くにさくロゴ
1985/03/05 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会 第1号
姉妹サイト
 
1985/03/05 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会 第1号

#1
第104回国会 外交・総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会 第1号
昭和六十一年三月五日(水曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
昭和六十年十二月二十四日外交・総合安全保障に
関する調査特別委員長において本小委員を左のと
おり指名した。
                安孫子藤吉君
                源田  実君
                佐藤栄佐久君
                杉元 恒雄君
                中西 一郎君
                堀江 正夫君
                久保  亘君
                黒柳  明君
                上田耕一郎君
                秦   豊君
同日外交・総合安全保障に関する調査特別委員長
は左の者を小委員長に指名した。
                安孫子藤吉君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    小委員長        安孫子藤吉君
    小委員
                源田  実君
                佐藤栄佐久君
                堀江 正夫君
                久保  亘君
                上田耕一郎君
                秦   豊君
    外交。総合安性保障に  植木 光教君
    関する調査特別委員長
    小委員外委員
                大鷹 淑子君
                高平 公友君
                久保田真苗君
                田  英夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小杉 照夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○安全保障問題に関する調査
 (安全保障問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○小委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外交・総合安全保障に関する調査特別委員会安全保障問題小委員会を開会いたします。
 安全保障問題に関する調査を議題とし、安全保障問題に関する件について小委員の皆様に御意見をお述べ願いたいと存じます。
 御意見のある方は順次御発言願います。
#3
○堀江正夫君 昨年十一月に開催された米ソ首脳会談において、世界の平和と軍縮に向け話し合いのスタートが切られたことはまことに有意義であったと考える。しかしながら、世界の現実は、ソ連による核及び通常戦力両面にわたる一貫した軍事力増強と、これを背景とする周辺諸国及び第三世界への勢力拡張の動きや地域的な紛争の継続もあり、依然として厳しい情勢にある。また、我が国周辺においても、ソ連の軍事力は引き続き質的、量的に増強を続け活発な活動を展開しており、真に憂慮すべきものがある。このような情勢の中でいかにして我が国の安全を確保するかは、言うまでもなく政治が取り組まなければならない喫緊かつ最大の課題であり、このことは同時に日本の国際的責任にもかかわる基本的問題でもある。
 以下、五十九年以来の外交・総合安全保障に関する調査特別委員会及び安保小委員会における各種論議を踏まえ、防衛の基本、自衛力、日米安保体制及び軍縮、軍備管理の四つについて、安全確保のための当面の具体的施策の若干について自民党所属の当小委員会委員の一人として私見を交えて提言する。
 第一、防衛の基本について。
 安全確保の基本が、抑止力の維持、強化にあることは言うまでもない。この抑止力を、自由主義を立国の基本とする我が国が、我が憲法に基づいて必要な限度において質の高い自衛力を整え、かつ、米国の軍事力の補完に期待するという基本政策を戦後一貫してとることによって保持してきたことは最も賢明な選択であり、この基本体制はもちろん今後も継続せらるべきものである。
 国としての基本的な防衛体制の整備と自衛力の保持、運用については、いわゆる専守防衛、非核三原則、文民統制等の諸原則を今後も堅持すべきは当然であるが、これらについては単なる原則論、観念論ではなく、軍事的合理性等も十分に勘案し、角を矯めて牛を殺すの愚を生ぜしめない配慮が必要である。また、一国の防衛の基本が国民の国を守るかたい意志にあることにかんがみ、立法府、行政府ともに国民の防衛に対する理解と協力を得るための積極的な施策と努力を教育その他広範な施策の中に展開することを考えるべきである。
 さらに、民間防衛、スパイ防止法その他国の防衛の基盤となる諸施策を、今国会に政府が提案している安全保障会議の設置を機に、国民のコンセンサスを得つつ、積極的に整備することが必要である。
 日米安保体制については、この体制の確保が特に日本の生存と繁栄上緊要不可欠のものであることに思いをいたし、その信頼性を一層強化することが必要である。これがため、軍事面を中心として経済その他各般にわたり、国及び国民を挙げて米国との間に間断なき対話を行い、相互協力扶助の緊密一体的な関係を確保するよう、今後とも努力を重ねることが必要である。
 また、自衛権の考え方についても、現憲法下日本自身の安全確保の原点に立ち、日米の総合的な防衛力を有事最も効果的に発揮できるようにするのは当然のことであり、この点について積極的に国民のコンセンサスを得るようにする必要が痛感される。
 私はさらに、防衛を真に国民のものとし、文民統制の実を挙げるためにも、また防衛についての国会の意思を国民の前に明確に示すためにも、国会が防衛に関する常任の委員会を早急に設置し、具体的論議を数多く行うべきであり、また、国政の最も重要な基本政策をつかさどる防衛庁を省に昇格すべきものと確信し、これを提言するものである。
 第二、我が自衛力について。
 我々の保有する自衛力が、現憲法下自衛のため必要な限度において十分に抑止効果が期待できる有効なものであるべきことは言うまでもない。昭和二十五年警察予備隊として発足した自衛隊が今や三十数年を経て国民の大部の支持を受け、その自衛力としての実力を逐次整備しつつあるものの、その実態が今日までの各種制約に阻まれて、必ずしも抑止力として期待できる存在になっていないことはまことに遺憾である。陸海空自衛隊は、今日なお正面戦力において、質、量両面にわたり多くの欠陥を抱えており、その他即応体制、継戦能力、抗堪性、通信情報能力、教育訓練面、隊員処遇等々改善すべき多くの課題を残している。
 このような状況下、昨秋、政府が当面の最小限の整備目標とする中期防衛力整備計画を策定し、向こう五年間でこれを達成するという基本方針を
確定したことは、現国際情勢に照らしても、政府として最小限の責務を果たそうということであり、私はこれを評価し、今後も政府が積極的に国民の理解と協力を得つつ、毅然たる態度をもってこれを完遂すべきことを強く要望するものである。
 この際、各種の要素を勘案すると、GNPの一%以内でこれを達成することはほとんど不可能に近いと考えられるが、同時に、この計画が一%を大きく超えるということはないものと判断している。今後防衛庁がみずから各種効率化施策を積極的に進めることは当然であるが、同時に一%を少しでも超えれば即軍国主義化、軍事大国化といった全く実態を無視した誤った議論は、政府の確固たる姿勢と国民の英知によって早急にこれを正さなければならない。
 実は問題は、さきに政府が決定した中期防衛力整備計画を一〇〇%達成したとしても、十八兆四千億の総予算額、ソ連の能力の増強、日本の地政学的地位等を勘案すると、正面兵力のほか特に即応体制、継戦能力、抗堪性、通信情報能力、訓練面等になお多くの欠陥を包蔵しているという事実を指摘せざるを得ないということである。
 これらについて真に国民の理解と協力を得ながら、早い機会にその是正を図るよう検討努力することは、政府のみならず国会に課せられた責任であり、真剣に取り組むべき問題である。もとより、これらが技術力を最高度に駆使した最も効率的な、いわゆる専守防衛の基本姿勢と日本の地政学的特性に適応した自衛のための最小限のものであるべきことは言うまでもない。
 この際、防衛力とは元来相対的なものであり、相手の戦力が強化されれば、抑止を確実にするためには我が方もまた強化せざるを得ないという宿命を持っていることを理解する必要がある。いわゆる歯どめという考え方も極めて非論理的であり、GNP一%の枠を外した後どのような防衛力を整備し、これにどれだけの予算を配分するかは、憲法の精神に基づき政府及び国会がこれを決めるべきものであり、GNP比等によってあらかじめ枠をはめるような愚は決して繰り返すべきではない。
 その他、自衛隊を真の抑止力として機能させるためには、いわゆる有事法制のうち必要なものの平時からの整備立法化、統幕議長に対する権限の付与を含む統幕の機能強化、自衛隊の使命にふさわしい階級等呼称の改正、給与法、年金法等の単独立法化等を考慮する必要があることをこの際あわせて提起したい。
 さらに、宇宙の軍事利用禁止についても、通信衛星の積極利用、偵察衛星等専守防衛の理念に基づくものについては積極的にこれを利用できるようその道を開くべきであろう。
 繰り返して言うが、以上述べた自衛隊についての諸施策は、言うまでもなく我が本土の安全確保のため必要な最小限の自衛措置として講じようというものであり、これにより我が本土のいわゆる専守防衛体制をより強固にしようとするものである。
 今日、自由主義陣営の揺るぎなき結束と協力のみが世界平和確保の最大の方策であり、そのための各国の責任が厳しく問われていることはちょうちょうを要しない。我が国が以上の諸施策によりみずからの自衛力をより強固なものにすることが、即軍事面における我が日本の国際的責任を果たすゆえんであり、それ以上の何物でもないことを銘記すべきである。
 第三、日米安保体制について。
 日本がみずからの安全を確保するためには、現憲法下のみずからの力だけでは機能的に欠落した部面があり、これらは米国の支援にまたざるを得ないこと、したがって日米安保体制が日本の安全確保上欠くことのできない絶対的な柱であることは前述したところである。これがため、在日米軍基地をより安定的に維持、整備することはもとより条約に定められた日本の責任であり、日本が有効的な抑止力を保持するために絶対欠くことのできない重要な存在であることをまずよく国民にも理解させ、積極的にその協力を得るようにすることが必要である。そして、日米安保体制による我が国に対する侵略の抑止、及び万一の場合の対処能力をより信頼性の高いものにするために、軍事面において昭和五十三年以来ガイドラインの研究が進められ、また、全自衛隊において各種共同訓練が逐次その密度を増し、かつその内容を深め、また、各種レベルにおける関係者の往来と忌憚のない対話が行われていることは、当然のこととはいえ喜ばしい現象であり、高く評価し、さらにこれの推進を望むものである。
 私は、今後これらがさらに実りのあるものとなるような各種配慮とともに、これらの成果を防衛力整備あるいは教育訓練面にそのまま反映させることが必要であると考えるものである。
 もとより、我が防衛力等は我々自身が決定することではあるが、そこには当然両者の整合性が必要であるからである。幸いに、日本から米国に対する武器技術供与が具体的に進められているが、日本としては日米安保の趣旨からも、さらに大局的立場からも、SDIに対する政府、やむを得ざるも民間レベルによる研究参加について速やかに決断すべきである。また、米国を初め自由諸国との武器の共同研究生産にもその道を開くべきである。
 私は、自衛力の項でも述べたが、日米安保体制の信頼性の確保向上の努力は、日本自身の安全をより一層確実にすることによって世界の平和に寄与し、ひいては日本の国際的責任を果たすことにも通ずるものであることを、この際さらに強調するものである。
 第四、軍縮及び軍備管理について。
 軍備なき世界の実現は言うまでもなく人類の悲願である。しかし、この悲願が達成されたという歴史はかってないし、現実に世界の平和は米ソを中核とする東西の軍事力の均衡によって確保されている。残念ながら軍事力は必要悪であり、我々は現実に核を中心とした異常とも言える恐怖の均衡の中に辛うじて平和をつかんでいるのである。
 したがって、我々がこの恐怖を少しでも減少することに当面全力を尽くすのは当然である。このような意味で、世界の平和と安定に特に大きな責任を持つ米ソ両国の首脳会談が昨年六年半ぶりに行われたことはまことに有意義であり、その後の両国の具体的提案を大いに歓迎するものである。しかし、その交渉の先行きは決して楽観できる状況にはなく、我々としては、この問題は米ソ二国問題であるだけでなく我々自身の問題であるとの認識に立ち、政府と一体となり、米ソ両国が実効的な軍備管理、軍縮措置を積極的、具体的に促進するよう、我々ができる外交その他あらゆる手段を講ずる必要がある。
 まず、私は基本的に、一、力の均衡を維持しながら可能な限りより低い軍備水準に持っていく。二、核軍縮を中心とするが、同時に非核軍縮分野、特に化学兵器禁止を重視する。三、現実を踏まえた実現可能でかつ効果的な検証措置を伴った具体的な措置を積み重ねていく。四、核戦力の減少措置は常にグローバルな観点に立ってこれを考え、いかなる場合も極東に対する配慮に欠けることのないこと等を米ソ両国が合意し、かつこれを遵守すること。これらを柱とした政府の基本的な方針を強く支持するものである。
 そして、前述した我々がとり得るあらゆる具体的手段として、一、自由陣営の有力な一員として、その団結を図り、少なくもみずからに弱点を生じて抑止の均衡を損なうことのないようにすること。これがため自衛力の整備に努めるとともに、SDIの政府あるいは民間協力を速やかに決定する。また、いわゆる反核キャンペーン等は一方的に我が弱体分裂化をねらったものであることを認識し、これに乗ぜられないようにする。二、この上とも検証の具体的措置のため、軍縮会議の場において、あるいは米ソ両国に対して直接必要な専門者の派遣を含むあらゆる技術的手段を積極的に提議し、かつこれを提供すること。三、化学兵器の全面禁止についても前号と同様に、我が国の考え方を積極的に提議すること。四、極東における
通常兵力の制限についても、米国等との緊密な連携のもと諸般の状況を勘案してこれを提議すること。等をこの際提言したい。
 なお、以上とは直接関係はないが、国連重視、平和国家としての我が国の立場を一層世界に明示するためにも、また日本の国際的責任を果たすためにも、国際監視団や外国に対する大規模災害救助要員の派遣に自衛隊を派遣することを早急かつ真剣に検討し、これが行えるよう措置を講ずべきである。
 以上をもって私の提言を終わります。
#4
○源田実君 私は、現在の世界情勢、甚だ危険な状態であると思います。その危険であるということは、一歩誤れば大変なことになる、取り返しが絶対つかない問題が起きるわけであります。というのは、もし核戦争をやったとすれば、今米ソ両国で持っておる核弾頭、これをいろいろな書類で調べてみますと、持っておるのが最小限一万二千メガトンです。多い計算は五万メガトンというのもありますが、まず一万二千メガトン。その中の五千メガトンを使っただけで、地球は実は暗黒状態になるのです。これは米ソを含む各国の百名余りの学者の結論がそういうぐあいに出てきた。ということは、この地上ではもう海の魚ぐらいがちょっと生き残るかもしれないけれども、動植物全部参るということなのです。太陽の光線が数%しか地上に届かない。勝つ負けるじゃないのです、やったらおしまいなのです。この点を我々は深く考えなきゃならない。
 それで、例えば今、日本は憲法で侵略戦争なんかはもう全部禁止してある。これは当然です。ところが、その憲法のおきてをいろいろ流用しまして、かえってマイナスになるようなことがあると思うのです。というのは一面的に非常に危険であるけれども、反面科学技術が非常に進むのです。ところが日本はどういうことを政府が言っておるのか、これは政府の宣言です。宇宙空間は軍用には使わない、平和目的以外には使わないと。それでやっていけるのか、本当は。また、軍用目的に原子力推進というのは使わない、こういう約束をしておるのです。これは議会の決定じゃないけれども、そうなっておるのです、政府の方は。そういうことが実際やって実効が上がるのかという意味なのです。
 例を挙げますが、潜水艦、これは今のところ鉛筆ぐらいの金属が一本海上に出ておっても人工衛星によってこれが見つかる。そうすると、潜水艦は皆やられるのです。それを避けるためには原子力推進でなきゃ潜水艦の意味がなくなるのです。日本はやらない。持たないと同じことになるのです。
 もう一つそのほかに、今度は宇宙空間、これも問題がある。今まさにスペースプレーンというものが今世紀末までには出るだろう。あのスペースプレーンが出たときには在来の空軍なんというのは全然手も足も出ません。ほとんどすべてのものがこのスペースプレーンによって、飛行機なんかは全部参ってしまうのです。これは専門的なことは私は今ここで申しませんけれども、大変大きな影響を与える。これを持った方が勝つのです。普通の飛行機は大気のあるところはある程度働ける。しかし、宇宙空間になったらエンジンも何も回りゃせぬです。そうするとそこで、そこでも働く、大気の中でもやる、こういうスペースプレーン、この速力がどのくらい出るか、まあやってみないとこれはわからぬですけれども、大体レーガンの言ったところの音速の二十五倍というと一時間に一万八千マイル走ることになるのですね。これは問題にならないですよ、こういうものにかかったら。各国がそれをやるとき、日本だけ今までのとおりでやるのか、原子力は使わないというので。こういうことをやったら自分の国が自分で滅んでしまうのです。
 さらに、これは今科学技術が非常に進むので深くよく考えなきゃならないのは、中立ならば大丈夫、中立て大丈夫なのだと。今まで申し上げたことで世界自体が参ろうとするのだから、その中の一国が中立だって何の役にも立たないです。世界の戦争をとめること、殊に核戦争を絶対とめることを考えなきゃならぬ。我々に何ができるのか。今までいろいろな制約をつくった、自分で手を縛るようなことを。これはさらに深く考え直して、世界の核戦争を絶対に防ぐという方向に持っていかなきゃならないと考えます。
 それから、そういう問題もいろいろありますけれども、今までの、人類が始まって以来の戦争の継続、これははっきり申し上げますが、人類を侮辱したことになるけれども、今日まで地球上におる生物で戦争をやるのは人類だけなのです。私も大きなことを言ったって随分やりましたけれども。人類だけなのです、戦争をやるのは。他のものは同じ種族ではやらない。けんかはするけれども相手に致命傷を与えないです。人類は殺すのです。これは非常に深い反省を要します。
 こういう問題を処理するためには、どんなことがあっても核戦争にならないように、核戦争をやろうというものを、口だけではこれは確証にならない。したがって、核戦争をやろうとしても途中でやった方が負ける、こういうような体制にまで持っていかなきゃならぬと思います。それはどうすればいいのか。これは今までいろいろな軍隊、正面兵力、非常に重視しております。今まではそうでしょう。しかし、今はそういうものよりさらに実際の科学技術の水準がはるかに相手をリードしておる。これが手も足も出ない。昔の剣道で言えば、剣道の名人に対して素人がかかるような格好。刀も抜かない、何にもしないでも勝つ。勝つのじゃない、負けないのです。結論的に言いますと、勝たなくてもいいから絶対に負けない戦略をつくり上げなきゃならぬ。これをつくるのは、科学技術において相手をはるかにリードしておるということによっておのずからそういう体制が出てくると思います。
 ただ、科学技術が進歩するにはどうすればいいのか。この問題は、実は全般的に考え直さなきゃならないのですが、実はアメリカの天才がいろいろな発明をやっております。それをずっとその人間を当たってみると、アメリカに移民した者が非者にいい考えを出しておる、ヨーロッパから。なぜそうなるのだろうか。ヨーロッパにおるときはキリスト教のあの……
#5
○小委員長(安孫子藤吉君) 源田君、ちょっと時間の制限。
#6
○源田実君 それじゃここでやめましょう。
#7
○小委員長(安孫子藤吉君) ではそれの結論だけ。
#8
○源田実君 これで切っておいてください。今の最後のところはやめておきます。
#9
○久保亘君 私は、二年次にわたって中間報告が出されておりますが、その中で我が党の委員が述べております問題を、新しい情勢にかんがみて、補足する立場から意見を申し述べます。
 最初に、自衛隊の現状と問題点についてであります。
 国防会議を経て一九八五年九月十八日に閣議決定されました新中期防衛力整備計画の策定は、日本の防衛政策の極めて危険な転換点であります。これまでの中期業務見積もりのような防衛庁限りの計画とは異なり、これは政府自身の公式計画であるからであります。それは、この政府計画によって防衛計画の大綱に定められた専守防衛戦略や防衛費のGNP対比一%枠をみずから破壊、突破しようとする危険な企図を秘めたものであると言わざるを得ません。
 去る二月五日にワインバーガー・アメリカ国防長官は、八七会計年度アメリカ国防報告を議会に送りました。このアメリカ国防報告は、新中期防衛力整備計画の危険性を鮮明に映し出しております。これは新たに米国の優越点を生かし、ソ連の弱点を利用する競争戦略を提起していますが、その際、ソ連の弱点利用の上で、日本がソ連の主要な極東作戦基地の出入り口を押さえるユニークな地政的位置にあることを強調しています。それによれば、弾道弾搭載原子力潜水艦を自国に近い海洋要塞に展開するというソ連の決定は、日本海及びオホーツク海の入り口を支配できる日本列島の
戦略的重要性を決定的に高め、日本の安全保障と北東アジア、ひいては世界の安全保障を連結させたのであります。
 また、八七会計年度アメリカ国防予算をめぐる議会ヒアリングのために送付された統合参謀本部の八七軍事態勢報告も、その戦略的位置のゆえに日本が地域的な安全保障のかなめ石であると強調しています。
 これら一連のアメリカ政府の声明によって明らかなように、日本はその戦略的位置を重視する米国の対ソ競争戦略の一環に組み込まれているのであります。新中期防衛力整備計画の本質は、米国の対ソ戦略に呼応して、日本がソ連太平洋艦隊の海洋要塞を封鎖、破壊するための最前戦基地化するための軍事計画であります。
 このような戦略的背景のもとで、洋上防空、一千海里シーレーン防衛や三海峡封鎖の攻勢的任務に見られるように、新中期防衛力整備計画は専守防衛戦略を否定しようとするものであります。洋上防空、一千海里シーレーン防衛や三海峡封鎖戦略は、だれが見ても米国の対ソ競争戦略の要求に沿ってソ連の海洋要塞とされる日本海、オホーツク海封鎖のための海空統合作戦を意味しており、日本本土の専守防衛とは全く異なった攻勢的戦略であると断定できるのであります。
 現実に、洋上防空の名のもとにOTHレーダー、エイジス対空戦闘艦、E3A空中管制機の導入、配備が伝えられています。また、百六十三機のF15戦闘機の空中戦闘哨戒能力を高めるための空中給油機の導入も、この戦略的目的に沿うためのものであります。さらに、ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)一隻、対空ミサイル搭載防空護衛艦(DDG)二隻、汎用護衛艦(DD)五隻のいわゆる八八艦隊の編成は、同様に三海峡封鎖、シーレーン防衛専用の兵器体系であると言わなければなりません。陸上では、新型戦車、対空戦車、装甲戦闘車、指揮通信車、偵察警戒車のいわゆるビッグファイブなるものは、三海峡封鎖時の音上陸戦闘を戦う攻撃的な機甲戦力の形成を企図するものであります。
 このような攻撃的な戦略兵器体系の導入には、巨額の防衛費が必要となります。新中期防衛力整備計画は十八兆四千億円の防衛費を想定していますが、これは明らかに防衛費の対GNP比一%枠突破を企図したものであると言わなければなりません。
 次に、日米安全保障体制の現状と問題点についてであります。
 ワトキンズ・アメリカ海軍作戦部長は、去る二月五日、アメリカ下院軍事委員会での証言で、前進展開しているアメリカ海軍戦力はソ連が戦争を仕掛けようとした場合、直ちにソ連潜水艦戦力に先制攻撃を加える任務を負っており、ソ連潜水艦に聖域はないとの新アメリカ海洋戦略を明らかにしました。また、同じ日の下院軍事委員会の証言に立ったレーマン・アメリカ海軍長官は、太平洋防衛の重要性を強調して、戦時には日本も含む西太平洋海域をカバーしている第七艦隊に空母五個機動部隊、戦艦二個部隊、洋上補給艦四個部隊を配備すると言明しています。これらの言明と並んで、敵の攻撃を敗北させ、平和を回復するための我が国の戦争遂行能力は効果的抑止の基盤であるとか、米国はその前方防衛戦略支援のための強力な海軍を必要としており、抑止破綻時にはこれらの海軍戦力はヨーロッパ並びにユーラシア大陸外周部の攻勢防御のために投入されるとの指摘は、日米共同作戦計画で裏づけられた日米安保体制の世界核安保化の実態を浮き彫りにしているのであります。
 既に、日米両国はフリーテックス85やリムパック84によって米国の対ソ新海洋戦略を実行するための日米共同作戦の模擬作戦を実施しています。特に、フリーテックス85は空母五個群を基幹にB52を含む戦闘用航空機六百機から成るアメリカ太平洋艦隊主力を日本の三陸沖に展開し、そこから海洋要塞と呼ばれるソ連の極東基地への海空共同攻撃を試みた危険な海軍演習でありました。これには海上自衛隊の第一、第二護衛隊群の一・五個群十二隻、いわゆる八八艦隊が参加し、対空、対潜、対水上戦闘を展開したのであります。また、ことし八六年二月末には、在日米軍第七艦隊司令部幕僚と三自衛隊の幕僚との間に防衛庁の中央指揮所を主舞台にして日米の合同三軍統合演習が始まりました。これは米国の新海洋戦略やソ連の弱点を利用する競争戦略への具体的取り組みであると言わなければなりません。
 さらに、ハワイで開かれた第十六回日米安保事務レベル協議の席上、米国側はOTHレーダーをグアム島及びアリューシャン列島のアムチトカ島に設置する計画を提示し、日本側が沖縄周辺の南西諸島に設置予定のOTHレーダーと合わせて、ソ連のシベリア、沿海州方面や朝鮮半島、インドシナ方面へのすき間のない早期警戒監視体制を強める方針を明らかにしています。同じ日米安保事務レベル協議で、OTHレーダー、E3A空中管制機、エイジス艦、空中給油機などの導入を伴う洋上防空戦略が強調された事実と相まって、日米安保体制は専守防衛とは完全に無縁な米国の対ソ戦略への傾斜を強めているのであります。一九八四年十二月に署名された日米共同作戦案並びに八六年度内終了予定のシーレーン共同防衛研究が、この日米安保の危険な変貌の根底にあると言わなければなりません。日米安保体制は、今、米国の対ソ競争戦略のもとで極めて危険な転換点に立っています。核巡航ミサイル・トマホーク搭載のアメリカロサンゼルス級攻撃型原潜がしばしば横須賀に寄港するのは、非核三原則の侵犯であるとともに、世界核安保化した日米安保体制の現状を告げるものであることを指摘したいと思います。
 最後に、軍縮問題と日米の対応についてであります。
 昨年十一月にジュネーブで開かれた米ソ首脳会談は、米ソ核軍縮に新しい展望を開きました。レーガン、ゴルバチョフ両首脳は、核不戦を前提に戦略核の五〇%削減、欧州中距離核暫定協定締結、宇宙軍拡反対などの原則的合意に到達したからであります。この基本的合意に基づいて米ソ両国は、ジュネーブで包括的核軍縮交渉を繰り広げています。
 この米ソ軍縮交渉の最大の障害となっているのが、SDIを初めとする米ソの宇宙核軍拡競争であります。しかも、これに対して日本政府は、対米先端技術供与を通じてSDI参加を示唆し、全面核廃絶を展望する世界の核軍縮への機運に全く逆行する姿勢をとっています。一九八三年十一月に交わされた日米武器技術供与のための交換公文以来、日米装備・技術定期協議は着々と進展しています。また、アメリカ国防総省・国防科学委員会調査団の「日米技術協力に関する報告書」及びアメリカ国防総省報告「日本における光電子工業とミリ波・マイクロ波の技術」に示された米国の対日関心は、SDI関連の先端技術供与に絞られています。SDIによる戦略的に防衛された米国の登場は、アメリカ核戦略の根本的転換を意味するものであります。それは、この戦略的に防衛された米国を起点に、拡大抑止から前方防衛に至る戦争エスカレーションの全局面で対ソ競争戦略を進めようとする米国のレーガン政権の企図を象徴する危険な策動であります。これへの日本の参加は、日本の進路の重大な戦略的選択を意味するばかりか、核軍縮よりも核軍拡への道を選択するに等しい危険な行為であります。
 日本政府は、非核三原則の厳格な実施を基盤に、アジア・太平洋非核武装地帯の設置に踏み切り、域内及び周辺隣接地域に配備された米ソの戦域核の撤去を要求すべきであります。また、先端技術供与を通じる間接的参加とSDIの公式是認による公式的参加のいずれを問わずにSDIに反対し、米ソの宇宙核軍拡競争を阻止する行動に出ることを内外から強く要求されています。ジュネーブの米ソ包括的核軍縮交渉の進展と米ソ首脳会談による米ソ戦略核五〇%削減、欧州、アジアの中距離核全廃、全面核廃絶への合意成立へ向けて自主的な努力を繰り広げる責務が日本政府にあると思います。全面核軍縮への世界の潮流に逆行する日本政府の姿勢は強く糾弾されなければならな
いと思います。
 最後に申し述べたいことは、軍縮の極致は日本国憲法に定める非武装であり、恐怖の均衡を目指した核軍拡による危機と緊張を緩和するためには、いかなる軍事同盟にも加担せず中立の立場を貫くことであると考えます。したがって、日本政府は、非武装を目指してみずから積極的に軍縮を進め、中立の立場を堅持して核廃絶、軍縮・平和への説得力ある発言を強めるべきであることを主張したいと思います。
 以上で終わります。
#10
○小委員長(安孫子藤吉君) 次は公明党・国民会議黒柳明君の順序でありますが、同君より、本日のテーマについて意見を開陳した文書が小委員長の手元に提出されておりますので、これを本日の小委員会会議録末尾に掲載することといたします。
#11
○上田耕一郎君 本委員会の報告作成に当たって、日本共産党は、安全保障、防衛問題についての各党間の大きな違い、あるいは根本的対立は一層鮮明になったとしても、国連平和年のことし、広島、長崎を持つ世界で唯一の被爆国として、また非核三原則を国是とする我が国で、国会決議に基づき核軍縮、なかんずく核戦争阻止、核兵器廃絶の課題、非核化の課題については、何らかの一致点を探求して国会としての意思表示を行うべきだし、可能なはずだと考えてまいりました。
 というのは、先日暗殺されたスウェーデンのパルメ首相が、八一年十二月来日の際、広島に行き、非常に大きなショックを受け、世界政治に責任を持つ政治家はすべて広島を訪れるべきだと述べたことがあります。
 また、パルメ委員会作成の「共通の安全保障」という文書の序文でパルメ氏は、ワルシャワ条約機構とNATO諸国の高名な委員が中立政策をとる国の委員と合意に至ったことは、とりわけ広島を訪問して得た感動的で衝撃的な経験に負うところが多いと思うと書いているのであります。
 しかし、残念ながら、これまでのところ一致点を求めることはかなり困難となっておりますが、我が党はなお最大限の努力を払うべきだと考えており、以下、一致点となり得ると思う核兵器廃絶と非核三原則厳守の二つの問題について述べ、最後に日本共産党の主張としての日米安保条約廃棄、日米軍事同盟解消、日本の中立化について述べたいと思います。
 第一は核兵器廃絶についてであります。
 平和と安全保障にとって現在最も重大かつ緊急の課題は核戦争を阻止することであり、さらに核兵器を廃絶することであり、この点についてはどの党も一致できるはずだと考えております。第二次大戦終幕当時三発しかなかった核兵器がついに五万発を超えるようになった今日、一たび核戦争が起これば、勝利者はなく、人類は絶滅する危険があることが、例えば核の冬についての国際的な科学者の共同研究によって既に明白となっております。核兵器廃絶は決して遠い究極的な理想ではなく、今日人類の死活にかかわる緊急の重大課題なのであります。
 ところが今日、依然として抑止と均衡論に基づいて核兵器のバランスにしがみつく傾向が根強く、中曽根首相もしきりに抑止と均衡論を述べ、核兵器の緊急廃絶の主張に対して、空想的廃止論などとやゆすることさえ行っているのであります。しかし、抑止と均衡論なるものは、核兵器がつくられてから今日に至る経過の中で事実によって証明されているように、果てしない核軍拡競争をもたらすもの以外の何物でもありません。
 七九年五月十八日から八三年三月八日まで約四年間国連大使の任にあった西堀正弘氏は、昭和六十年十一月二十七日、本委員会の外交問題小委員会に参考人として出席し、
  抑止力の均衡ということを申す以上、これは長靴の泥みたいなものでございまして、どんどんエスカレートしていく。行き着く先は限りなき軍拡のエスカレーションだ。これは今までの米ソ間の軍縮交渉の成り行きを見てもおわかりになるとおりでございまして、この抑止力の均衡、力の均衡ということを言っている限り、とても軍縮ということは望みがたい事実だと思うのでございます。
と発言しているのであります。さらに西堀前大使は、「実はジュネーブにおける軍縮大使として、あるいはニューヨークにおける国連大使として訓令がございますので、心ならずも先ほどの均衡論というようなことをぶっておったわけ」と言い、今罪滅ぼしのつもりで全国で講演していると述べているのであります。西堀前国連大使の意見は決して特別のものではなく、国連の大勢であります。
 デクエヤル国連事務総長は、「安全保障の諸概念について」という報告書を第四十回国連総会に提出しました。この中で事務総長は、力の均衡、抑止の概念では核時代の安全保障の欠如の問題を解決できなかったことを振り返り、報告書第四章結論と勧告の中で、核兵器は人類にとって最大の危険となっており、核軍縮を促進し、核戦争を防止するための効果的措置は最優先させねばならないとし、さらに、「あらゆる核兵器の明確かつ完全な禁止と全面廃棄、ならびに核兵器の開発、実験、生産、貯蔵、使用の明確かつ完全な禁止を国際法に含めるためにさらに努力すべきである。」と述べています。第四十回国連総会は、昨年十二月十二日、これらについて国連加盟国の見解を四月三十日までに国連事務総長に知らせることを求める決議を採択しています。
 今国会で我が党が、デクエヤル国連事務総長の勧告に対する態度を質問したところ、政府は、「見解を提出するか否かの問題を含めまして、検討中」と答弁しました。
 被爆国日本の国会、さらに非核三原則を国是とする日本国会は、核兵器の明確かつ完全禁止と全面廃棄等々を国際法に盛り込むことを決議し、政府に対して積極的に世界各国に働きかけ、核兵器の完全禁止、廃絶に向けて努力するよう勧告すべきであると考えます。これは我が国の国会決議を生かすことでもあります。
 一九八二年五月二十八日、参議院本会議では第二回国連軍縮特別総会に関する決議が採択され、その中で、
  人類共通の崇嵩な目標である世界の恒久平和と安全に到達するため、被爆国日本国民の悲願である核兵器の廃絶を求め、すべての核兵器保有国に対し全面完全軍縮の一環として、核兵器の製造、実験、貯蔵、使用の禁止をめざし、特に、核兵器が二度と使われることのないよう実効ある国際的措置をとることを強く訴えること。
としているからでもあります。この国会決議を具体化する上でも、国連事務総長の勧告に積極的にこたえていくことが強く求められていると言わなければなりません。このことは現在の国際的な核軍縮交渉、米ソ交渉に対しても大きな貢献となるものと確信します。
 日本共産党は一九八四年十二月、日ソ両党の会談を行い、共同声明を発表いたしました。それは、核兵器全面禁止、廃絶を人類にとって死活的に重要な緊急課題とし、この課題を国際政治の場でも、国連でも、二国間交渉やその他の国際的会議でも、また反核、平和運動でも第一義的に提起し、その実現のため一貫して奮闘すること、核兵器を不法のものとして宣言する必要があるという趣旨のものでありました。この趣旨は直ちに米ソ交渉にも反映し、昨年一月八日のシュルツ、グロムイコの米ソ外相共同声明は、あらゆる領域での核兵器の完全廃絶をジュネーブでの米ソ交渉の目標とすることに合意したのであります。
 ソ連共産党ゴルバチョフ書記長は、一月十五日、アメリカ及び全核保有国に対し、今世紀末までの十五年以内に世界の核兵器を廃絶する構想を提案いたしました。我が党は、十五年間という期間の問題については世界の世論、今後の動向によって短縮され得るし、短縮されるべきであると考えますし、その他にも幾つかの問題を含んでおりますが、このゴルバチョフ提案は、核兵器廃絶という問題を世界政治、なかんずく、米ソ外交交渉の中心問題として押し出したという点では画期的
なものであるとし、歓迎するものであります。
 レーガン大統領は、二月二十四日、ゴルバチョフ提案に対し返書を送ったことを明らかにする声明を発表しました。その内容は、具体的期限を切った核兵器廃絶の提案そのものについてはまともな回答を避け、当面する焦点として中距離核戦力、INF全廃を中心とする提案をソ連側に行い、核兵器廃絶の課題を究極の目的として事実上米ソ交渉の当面の課題から棚上げしたものとなっていました。
 しかも、レーガン声明は、アメリカと同盟国の安全保障と安定に合致するやり方が重要と述べていますが、戦略的安定の名のもとに軍事的優位を求める抑止と均衡論の立場に執着することは、今日の米ソ交渉を従来型の交渉の枠内に押しとどめるものと言わざるを得ません。
 さきにも触れましたが、中曽根首相は、ソ連ですらも、抑止と均衡の上に立って安定を乱さないようにしつつ、これをレベルダウンして、廃絶にだんだん持っていこうという戦略をとっているのであって、私の考えとほとんどよく似ている、(一月三十一日、参議院本会議)などと答弁しております。
 しかし、政府の態度はゴルバチョフ提案とは全く異なるものであります。なぜなら、日本政府の態度は、核兵器廃絶を最優先の課題とするのではなく、全面完全軍縮、つまり通常兵器を含むすべての軍備が廃絶される遠い将来の課題としてしまうものであるからであります。
 現に、デクエヤル国連事務総長の報告「核戦争防止」の第二部「各国政府の見解」の中には、次のように日本政府の見解が述べられています。
  日本政府は、すべての国、特にかなりの核戦力、通常戦力を保有する核兵器国が効果的な軍縮措置、とりわけ核軍縮措置を引き続き実施することにより、その戦力を漸進的に削減するために活動し、それによって、厳格かつ効果的な国際管理のもとで、全般的完全軍縮、それゆえ核兵器の完全廃絶という最終目標に進むことが根本であると考える。
  核軍縮の問題は、通常軍備の分野での軍縮を含め、幅広い軍縮との関連で検討さるべきであることも指摘しなければならない。なぜなら、通常戦力における東西の不均衡が核軍縮の問題と不可分に結びついているからである。
 我が党は、この政府の態度は全く誤っており、核軍縮、なかんずく核兵器廃絶の課題を事実上棚上げにするものであると考えます。そうではなく、核廃絶の問題を通常戦力の軍縮と切り離して最優先の課題として追求することこそ、世界で唯一の被爆国の国際的責任なのであります。八一年秋に全世界に広がった反核、平和の世論と運動、なかんずく日本の原水爆禁止運動が求めているように、核軍縮、核廃絶の実現こそ軍拡から軍縮への決定的転換を生み出すものであり、それこそが通常戦力の軍縮にも道を開くものであることが極めて重要であると考えるものであります。
 私は、本委員会が政府に対し、核軍縮を通常戦力の軍縮と不可分として、核兵器廃絶を全般的完全軍縮の日まで引き延ばす態度をやめさせ、核軍縮、核兵器廃絶を最優先の課題とするよう勧告することを提案するものであります。
 日本共産党宮本議長は、一月二十八日、ゴルバチョフ書記長の核兵器廃絶の提案を歓迎したレーガン大統領にあてた書簡で、核兵器保有国なかんずく米ソ両国が多年の米ソ交渉の経過に照らし、それぞれ核兵器廃絶の政治的合意を形成する努力を払い、両国間での核兵器廃絶の政治的合意を実現することを切実に求められていることであることを強調しました。我が党は、核兵器廃絶のためにも核戦争の危険の緩和に役立つ積極的な部分措置の実現のためにも、米ソ両国間で核兵器廃絶の政治的合意がつくり出されることが最も緊急な課題であると考えます。
 核軍縮、とりわけ核兵器の完全禁止に向けて、本委員会が、米ソ両国による核廃絶の政治的合意が図られるよう積極的な意思表示と働きかけを行うよう提案するものであります。
 第二は非核三原則の厳守、非核政策の徹底についてであります。
 日本国民の圧倒的多数は非核三原則の厳守を求め、日本政府も非核三原則を守ると繰り返し言明してきました。しかし、現実の米軍の艦船等の入港状況を見ると、実際には非核三原則が空洞化され、日本に核兵器が持ち込まれている可能性は極めて高いと言わなければなりません。
 例えば、本委員会の委員派遣で昨年調査に赴いた青森県の三沢米軍基地には核攻撃機F16が昨年二十七機常駐し、来年は五十四機に増強されようとしております。ライアン米司令官は我々に対し、米軍戦闘機部隊の常駐は十数年ぶりのことであり、海峡、ソ連に近い三沢米軍基地は戦略的に極めて重要であると証言いたしました。ソ連政府は相互の領土に届く核兵器の五〇%削減を提案しておりますけれども、その対象に含まれる核基地として、日本の三沢米軍基地を名指しで挙げているのであります。
 さらに、昨年日本に寄港した米原子力潜水艦の回数は、一九七二年のベトナム戦争当時の最高三十回を大幅に上回り三十六回となりました。そのうち核巡航ミサイル・トマホーク積載用のものが二十四回を占めているのであります。また、空母ミッドウェーは横須賀を母港として絶えず入港しています。ラロック元米海軍提督が、米空母機動部隊は核兵器を約二百個以上装備していると証言したことは記憶に新しいところであります。日本への入港の頻度が高まっている米原潜や米空母機動部隊が、日本に入港するときにのみどこかに核兵器をおろしてくるなどということは全く考えられません。
 政府は非核三原則は守ると述べながら、米原子力潜水艦やミッドウェーなど米空母が日本に寄港する際、事前協議制を盾にアメリカ側に核兵器の有無を確認しようとしないばかりか、核兵器を積載しているかどうかの確認のため事前協議を日本が提案する権利さえないとまで答弁するに至りました。日本政府が非核三原財を厳守しようとするならば、すべての核積載可能艦船について核の有無を確認することがどうしても必要であります。
 神戸市では、この十年間、神戸港に寄港しようとするすべての軍艦に対して非核証明書を提出させ、非核の軍艦のみを寄港させています。この神戸市の方式はニュージーランド政府も取り入れています。ロンギ政権が昨年末提案したニュージーランド非核地帯・軍縮・軍備管理法案の九条には、「首相がその外国軍艦はニュージーランド内水への入域に当たって核爆発装置を積載していないと確信した場合のみ、首相はその外国軍艦のニュージーランド内水への入域に許可を与えることができる」となっています。神戸市、ニュージーランドの行っているように、核兵器がないことが証明されない限り一切の軍艦は日本に寄港させないとの厳格な態度をとるべきであります。このことは国民世論が強く求めるものであります。
 代表質問でも私は指摘いたしましたが、非核平和都市宣言を行った地方自治体は九百を超え、その人口は六千万人を上回り、日本全人口の過半数を超えるまでになっているのであります。被爆国日本が国会でも繰り返し決議された非核三風則を厳格に貫くために、すべての艦船、航空機などが日本に寄港、着陸する場合は非核の証明をするとの措置をとるよう、政府任せでなく国会サイドからも何らかの行動を起こすことが必要とされております。私は、本委員会が非核三原則の厳守、そのためのこうした措置をとることについて提案をしたいと思います。
 私はさらに、日本が核戦争に巻き込まれることを阻止し、核戦争阻止に積極的役割を果たすためには核兵器の持ち込みだけでなく、日本を核戦場に導く危険のある核戦争関連施設の問題を取り上げることも、非核三原則厳守の趣旨に沿うものであることを強調したいと思います。
 例えば、東京の横田基地、清瀬、埼玉の新座にまたがる大和田通信基地、所沢基地の三つを囲んで有名なジャイアント・トーク・ステーションが
あります。CIが核戦略の中で最も重要な機能を果たすものであることはワインバーガー国防報告がつとに指摘したところでありますが、このジャイアント・トーク・ステーションはグアム島から飛び立ってソ連領土周辺を毎日パトロールしているB52に対し、米ソ対決の際、アメリカ大統領からの対ソ核爆撃指令を伝えるその施設であります。これが核報復の最優先の目標となることは言うまでもありません。これらの核戦略と不可分の通信施設など日本を核戦場に導く危険を持つすべての施設の撤去も、超党派の国民的課題となっていることを指摘したいと思います。
 私は、中曽根内閣がレーガン戦略に追随して日本の核基地化を強行しようとしている限り、この非核三原則の完全実施、ニュージーランドなどの非核政策を国家として採用する非核政府の樹立が国民的課題となっていることを強調したいと考えます。
 第三は、日本の安全、アジアの平和を守るためにいよいよ重要な課題となっている日米安保条約廃棄、日米軍事同盟解消の問題であります。
 七八年の日米防衛協力のための指針、ガイドラインは事実上の安保条約再改定に等しいものであり、それ以後、自衛隊の増強とともに日米軍事同盟は本格的な攻守同盟としてのNATO化の道を急速にたどり、今日政府の言う専守防衛、集団的自衛権否定などは事実上空文に化すに至っております。詳細は述べる時間がございませんが、この安保のNATO化は次の三つの柱に沿って進行させられています。
 第一は、安保条約の事実上の適用範囲の拡大と多角的軍事同盟化であります。
 八一年五月の鈴木・レーガン会談、八三年一月の中曽根・レーガン会談、八五年六月の加藤・ワインバーガー会談などによって安保条約の適用範囲は一千海里シーレーン防衛、洋上防空などの口実でオホーツク海から北西太平洋の広大な海域に広げられました。
 第二は、自衛隊と米軍とのNATO並みの統合軍化、事実上の従属的な一体化という現実であります。
 ガイドラインに基づく日米共同作戦計画研究、シーレーン防衛共同研究、日米共同演習、兵器の標準化、継戦能力とインターオペラビリティーの強化などを通じて急速に自衛隊は即戦力を持つ軍隊となり、アメリカ側の戦略に基づき、アメリカ側は自衛隊を既に戦略軍の機能を果たすに至っているとまで評価しております。自衛隊自身の増強も、軍事費の突出により軍事費のGNP一%枠突破を事実上行っていることは中期防衛力整備計画の実態を見ても明らかであります。
 第三は、核軍事同盟化の柱であります。
 日本の核基地化、安保条約の核軍事同盟化の現状については既に述べたところで繰り返しません。
 こうして日米安保体制は、日本が攻撃された場合に守る条約、仕組みではなく、日本以外の中東、ヨーロッパなどでの米ソ対決の際、アメリカの戦争に日本を巻き込む仕組み以外の何物でもないことがすべての事実によって一層鮮明になってまいりました。
 安保条約の危険な本質を示すものとして、最近明らかになった米海軍の公式論文があります。それはワトキンズ米海軍作戦部長の海洋戦略、ケリー米海兵隊司令官の水陸両用戦略の二つであり、これはヨーロッパで米ソ対決が起きた際、日本が直ちにアメリカとともにソ連の潜水艦を撃滅する任務を持つということが公式戦略として表明されております。既に時間が参りましたので、中身については省略させていただきます。
 日本共産党は、このような現状のもとで、日米安保条約は日本の安全、アジアの平和とも全く両立することのできない憲法違反の条約になったと考えております。日本共産党は昨年第十七回党大会を開催いたしましたが、その中で、この三年間の日本の政治、政党間の闘争の経過を総括して次のように述べております。
  この三年間、明確になったことは、日米軍事同盟に反対するかどうかが日本の政治、政党間の闘争全体の中心となっていることである。これは、たんに安全保障の領域での選択の問題ではなく、わが党綱領がしめすように、日本の真の独立か、対米従属かという、日本民族の命運のかかった根本的な選択である。その点で、日米軍事同盟への批判、その廃棄の課題を日本の民族の自決権と真の独立を達成する問題として明確にすることが重要である。これはまた、日米軍事同盟強化と日本の軍国主義化の道が国民生活破壊への道であるという点からみても、文字どおり全国民的な中心課題である。
 我々は、日本の安全、アジアの平和のために日本国民は安保条約を廃棄し、日米軍事同盟を解消して中立の道を進み、非核、非同盟のために国際的貢献を行うべきであると考えます。アメリカ、ソ連、中国などとは日本の国際的中立を保障する条約を結び、日本は非同盟諸国会議にも参加してすべての軍事ブロックを解消する、核兵器を完全に廃絶するという非核、非同盟の世界を目指すために貢献し努力すべきであるということを強調して、私の意見表明を終わります。
#12
○秦豊君 まず、私どもの防衛政策の基本について若干展開をし、あわせまして、本年の一月に民社党が正式に提唱をいたしましたいわばニュー平和戦略の内容についてやや詳述をし、小委員会の御参考に供したいと思います。最後に具体的な提案を含みたいと思います。
 去る昭和四十三年の私どもの第十回大会におきまして私どもが打ち出しました防衛政策の基本は、自主防衛の五原則であります。まず第一には、憲法に基づく防衛であるべきこと、第二には、平和外交を防衛と不可分の関係に位置づけること、第三には、日米安保を自主防衛の補完として正当にインプットすること、第四には、専守防衛と非核武装に徹すべきこと、最後に第五の原則として、シビリアンコントロールを徹底し、国民合意による防衛をのみ進めること、以上を私どもの防衛政策の五つの原則として展開をいたしております。
 特に、その中におきまして、私たちは防衛力整備に当たってのスクラップ・アンド・ビルドの視点ということを強力に提唱をしてまいり、今後ともこの線に沿った具体的な政策提言をも行いたいと思います。つまり、このことを一言で申し上げますならば、警察予備隊以来保安隊、自衛隊への歩みをたどってまいりました睦海空三自衛隊、二十数万の武装集団の現状解析を精密に行うこと。
 かつて、西ドイツ国防軍は、二回にわたる第三者機関の国防軍内部解析、いわゆるシステム解析の手法を導入いたしまして、一年半にわたる綿密な内部点検を行いました。この二回にわたる点検作業は、いわば国軍の内部じゃなくて、国軍を外部から見詰める専門家集団の目によって非常に冷厳に、厳しく解析が行われ、そのことがその後のNATO軍と西ドイツ国防軍の関係、あるいは西ドイツ国防軍内部における効率的防衛のあり方について著しい改善を示したことは幾多の資料によって明らかであります。
 また、国防軍、軍部の内部解析につきましては、先年の北朝鮮海域で惹起されました情報収集艦プエブロ号事件、このプエブロ号事件の後に、アメリカの国防総省ないしアメリカの議会筋の提唱によりましてこれまたシステム解析の手法が導入され、陸、海、空、海兵のアメリカ四軍のあり方と突発的危機管理体制との連関等々、精密な作業がこれは一年有余にわたって展開され、その後のアメリカ軍部の配置、編成の効率化に大きく寄与したと伝えられております。
 私がここで自衛隊の欠陥是正についてあえて西ドイツまたアメリカ軍の対応を例示いたしましたのは、同様な視点が既に二十数年の閲歴をけみしている我が国の自衛隊のあり方にも妥当すると思うからであります。残念ながら、日本の自衛力整備の方向につきましては、国に明確な総合的国家戦略なく、陸海空の現場、現場の第一線におきましてはやはり一点豪華主義的な、つまり装備の体
系と体系との間にはバランスと均衡を失しており、依然として自己完結性なき戦力がいたずらに量的拡大のみを競っているという現状は否定ができません。したがって、みずからの内部解析をするということは非常に厳しい自己精察が前提になるわけでありまして、そのような視点を導入する発想は自衛隊内部ないし防衛庁内部からでは極めて至難であります。そういう視点はつまり当特別委員会こそが最もふさわしい場ではないかと私は考えております。
 法案を抱えている委員会におきましては、法案をめぐる応酬と攻防が第一義でありまして、中長期にわたって国の安全保障体制のあり方について準客観の突き放した冷静な視点を堅持するということは甚だしく困難視されております。したがって、当安全保障特別委員会においてこそ、衆議院においても果たせず、当院の他の常任委員会でも果たせないまさにロングレンジの視点に立った自衛力のあり方の見直し、欠陥の是正等については、集中的な論議を積み重ねることによって具体的な提言を行政府に対して提示すべきである。そのことが私どもに与えられた総合的な、また重要な役割であると考えております。
 次に、私たちは昨年の十月二十四日、国連創設四十周年記念特別総会の最終日に当たりまして、我が国も加わった場において、一九八六年、つまり当年を「国際平和年」とすることが宣言をされました。私ども民社党の場合には、そのエポック、画期を踏まえて、いわばニュー平和戦略とも言うべき幾つかの具体的な政策について既に提言を行っております。
 私どもの基本的な認識は、八五年の世界のGNPはおよそ十六兆ドルに達し、そのうちで軍事費は名目ベースでおよそ一兆ドルに達しております。言うまでもなく、米ソ両軍事超大国が占める軍事支出はその五一%を超えていることも御高承のとおりであります。したがって、経済、技術、文化等における国際化と相互依存性の強まりとは裏腹に、軍事的にはますます極端な二極化が進行されつつあり、このことが世界平和に対する大きな危機要因であることは言うまでもありません。したがって、このような現状を踏まえる限り、民社党は米ソの緊張緩和こそが世界平和の基礎条件であると考えております。幸いにも、昨年のジュネーブを舞台に展開されましたレーガン・ゴルバチョフ会談におきまして、基本的な、いわば新デタントの再構築とも言うべき路線については一定の成果はあったものの、具体的な核軍縮の進展についてはなおなお冷厳な見通しをしか分かち合うことができません。しかし私たちは、核軍縮を初めとする軍縮問題については次のように考えております。
 我が国は、自由陣営の一員としての立場を踏まえつつ、有効な検証を伴う東西間の核兵器の相互的、段階的削減を推進させ、最終的な人類の共通目標としての核兵器の廃絶を目指します。そのためには、先般のジュネーブ合意におきまして原則的な方向が打ち出されました核兵器の五〇%削減が一片の合意にとどまるのではなくて、具体的な措置と実行のプランの裏づけを持った合意書として実ることについて、強力な働きかけを今後とも展開したいと思います。
 また、我が国の平和、安全保障にとりまして見逃せないテーマは、アジアにおけるSS20の展開並びにその削減と撤去の問題であり、それとヨーロッパにおける中距離戦域核ミサイルSS20の削減との共通性であります。ヨーロッパで削減されたSS20のアジア地域へのいわゆる移転が行われないことについての日米間の初歩的な了解はあるようでありますが、日ソ間あるいは日米間、日米ソ間における共通の認識としてこれが定着することについては、今後とも強力な要求を展開しなければならないと考えております。
 また、次に重要な論点は、包括的な核実験禁止条約の締結、核保有国による核軍縮の具体的な実現のための目標、手順、経過等の公表を目指すとともに、とりわけ我が国にとりまして重要な意味合いを持つと思われます有効かつ正確な検証手段の確立のために、核保有国を初め非核先進国あるいは各国際機関等の協力を推進するという視点であります。
 それにつきましては、現状では五キロトン以下の地下核実験については、残念ながら現行の科学技術水準をもってしては探知不可能とされている領域でありますが、核弾頭の軽量、小型化の傾向からいたしましても、五キロトン以下の核実験の探知技術の開発こそがむしろ必須であり、急務であると考えられており、我が国としましては今後、例えば我が国の国際的水準に達している地震探知技術等の応用、転用による五キロトン以下の核実験の探知、検証技術への具体的な貢献として、例えば明年度以降の予算編成に当たってそのような科学技術部門に対する具体的な配慮をも裏づけるべきであると考えております。
 次に、私たちは、アメリカの推進しようとしているSDIへの参加問題につきましては、SDIが果たして防御兵器であり、そして核軍縮を促進し得、核兵器の廃絶に将来構想として果たして具体的につながっていくのか、また、単にアメリカ本土のみではなくて、日本を含む自由陣営全体の安全に役立つと確信を持っているのかなとの諸点を十分に確認する必要があると考えており、その点についての日本政府の対応を含めて今なお不十分である現状にかんがみ、参加問題については極めて慎重な基本的なスタンスを貫くべきであると考えております。
 また、私どもは、日ソ関係の改善が先般のシェワルナゼ外相の日本訪問を契機として今後ともさまざまなチャネル、例えばトップ会談あるいは外相定期協議あるいは経済担当閣僚の相互協議、民間人経済協力等々、多重多層のチャネルを通じ、場を通ずる日ソ関係の改善が促進されることを希望する立場に立ちます。しかし同時に、北方四島の返還の実現と、それによってのみ日ソ平和条約を締結するという我が国の基本方針を共有するとともに、当面は、まずソ連に対して北方領土からの軍事基地の縮小、兵力の縮小、演習の抑制等々の要求を今後とも貫くべきであると考えております。
 それに関連しましてぜひとも何一言したいことは、北東アジアにおける信頼醸成措置の強化であります。
 日本政府が在来、衆参両院における答弁で一貫しておりますのは、信頼醸成措置といっても欧州とアジアとは基本的に立地の条件が違う、また歴史的な条件も違う、日本が北東アジアの信頼醸成措置の強化について今イニシアチブをとるというふうなことは、かえって非現実であるというとらえ方が日本政府の一貫した在来答弁であります。しかし、この議論は非常に基本的に誤った認識に基づくものであると言わざるを得ない。北東アジアにおいてこそ国家相互間の不信感を薄めるため、希釈化するための積み重ねが必要ではないのか。例えば南北朝鮮間における高速ファクシミリによるホットラインの設置を初め、中ソ間、日ソ間等にも同様のラインを形成するほかに、年間を通じ予定されている大規模な定期的軍事演習の事前通告あるいは一定規模以上の訓練の相互通告、あるいは臨時晦、突発的な大規模訓練等兵力移動についての事前通報システム、また軍事演習展開の際のオブザーバー、参観武官の相互派遣くらいは提起をし、かつ、その段階的実現を目指すべきではないかと考えております。
 また、私どもが見逃せない視点といたしまして南北問題解決への協力があります。我が国が発展途上国に対する経済協力を拡充することには二つの大きな意味合いがあります。一つは、言うまでもなく飢えに苦しんでいる数億の人々を現実に救済するという人道的な意義であり、いま一つは、世界の発展途上国の安定なくして国際の平和も安定もないという、いわばグローバルな相互依存的意味合いであります。
 したがって、私たちとしては次のような政策を考えております。いわゆる、ばらまき的な援助を改め、援助の目的に見合った計画的、効果的、かつ、きめの細かい援助を行うとともに、その援助
効果の再チェックの問題については実効を上げ得るようなシステム、制度を確立する。
 このことにつきましては、アキノ新政権の誕生に見られるごとく、またマルコス前独裁政権のあの罪過にかんがみるごとく、我が国から与えられた五千億円をはるかに凌駕するあの対比援助のかなりな部分が独裁政権の基盤強化に役立ってきたという極めて不透明なあの実績を忘れるわけにはまいりません。したがって、今後は単に対比援助のみならず、ASEAN諸国、第三世界への援助展開に当たりましては、余りにもプロジェクト中心に形成されている我が国の援助の基本的なあり方を改めること。また、在来の我が国の円借款の場合には、かつての円クレジットの色彩が濃厚でありまして、いわゆる与えた借款のかなりな部分が大商社を通ずる日本商品の購入と販売というふうに還流しているという好ましからざる実績をも冷厳に踏まえる必要がありましょう。
 次には政府開発援助、いわゆるODAは現在の外務当局の努力によりまして、将来的にはなるほど国際目標たるGNPの〇・七%までの引き上げが国家目標になっていることは事実でありますけれども、それに対する大蔵当局の極めて財源的発想、財政困難を理由とする反発が根強くなっております。当面私どもは、まずODAの七年倍増計画の促進に協力をすべきであると考えております。また、今後は技術協力という分野を格段に強化すべきであり、いわゆる途上国の人材養成を主眼とした人づくりの制度、機構、設備を重点にすべきであり、とりわけアフリカ、東南アジア等々を含めた食糧の恒久的増産のための農業の技術協力を重視すべきであると考えております。
 次に、先般のメキシコ災害で日本の援助体制はいわゆる資金的な援助、それは各国をぬきんでる膨大な金額が供与されたわけでありますが、メキシコ現地における市民レベル、庶民レベルあるいは国民レベルの反応は、いち早く医療チームを送り込んだ西ドイツあるいはフランスのレスキュー隊などに対する感謝が中心になっていまして、我が国の援助については謝意を表することが極めて儀礼的であったとする報道が相次いております。
 そこで私たちは、当面は医療チームあるいは消防庁のレスキュー隊などを中心とした国際救難隊を平時から設置し、創設し、訓練し、そして登録し、即応的な体制をより強化すべきであると考えております。国際連合における大きな役割を果たしている我が国が、大きな災害に当たって、ともすれば救援活動の立ちおくれというイメージを与え、膨大な救援金を送りながらなおかつさほどな感謝を引き起こしていないという現実にかんがみまして、国際救助国家日本のイメージの創造のためにもこのような常設機構の強化、再編が何よりも必須だと考えております。
 アジアの安定のための朝鮮半島の自主的平和統一への貢献、あるいはフィリピンの民主的政権の定着に対する協力、インドシナ問題の解決に当たっての日本外交の貢献、あるいは日中関係については中国の経済社会の自主的な発展への協力、中東和平に対する包括的和平の実現、パレスチナ問題の正当な解決のための協力、アフガニスタン問題の協力の促進等々の立場を堅持することは言うまでもありません。また、南アフリカのアパルトヘイトを中止させるために、アメリカ、イギリスなどと協力をしながら粘り強い説得工作を続けなければならないことも事実でありましょう。
 最後に、私どもは今、国連の有力な一員として機能はいたしておりますけれども、単に分担金を支払うというだけではなくて、加盟国として現在の国連の機能が果たして十分かどうかという視点を忘れないで、国連の機能強化にもっとより一層の努力を傾注すべきではないかと考えます。
 また、国会でぜひとも論議を提起したい問題は、国連の平和維持機能強化のために、日本の平和憲法の範囲内でなし得る貢献は他にあるのかないのかという討論を国会でそろそろ積み重ねるべきではないかと思います。例えば、医療班の協力についてはもっと積極的であってもいいのではないか、あるいは文民の派遣あるいは輸送手段の提供等については、日本国憲法の解釈、適用を何ら阻害しないと私どもは考えており、この国際連合の平和維持機能の強化と日本の役割については、今後当特別委員会等を晴夫とする国会の論議にもっと積極的に上せるべきではないかと考えております。
 以上、私どもの基本的な防衛政策と、いわば国際平和年に当たって提起いたしましたニュー平和戦略の主な論点について申し述べたわけでありますが、最後に、私どもこの総合安全保障特別委員会に与えられました役割は、まさにあの大平政権以来提唱されながら、なおかつ、いわゆる掲げている総合的安全保障政策の総合性が今に至るも欠如しているという現実を踏まえる限り、当特別委員会の担うべき役割は、また果たすべき役割は余りにも大きいと付言しなければなりません。今後追求さるべき最大のテーマは、まさに総合的安全保障政策の総合性の深化こそが当特別委員会の最大の使命ではないかと考えており、その点を付言して意見を終わります。
#13
○小委員外委員(田英夫君) 戦後の我が国の安全保障についての論議を振り返りますと、一方ではアメリカの要請を受けて、いかに西側の一員という名において日本の防衛力を強化するかという方向の主張とその実践、これに対して、平和憲法という精神を尊重して、いかに憲法を守るかという視点からの主張、これが国会の場の内外でぶつかり合ってきたと思います。そして、現実には平和憲法下における自衛隊の存在、日米安保条約がある中での非核三原則、こうしたことが現実に行われているわけでありますが、大体の、いや全部の世論調査が明らかにしているように、この問題については今や非常に多くの国民の皆さんの間に一つの一致点、コンセンサスが生まれていることも事実だと思います。
 率直に言って、平和憲法と自衛隊の存在というものは厳密に言えば矛盾すると言わざるを得ませんし、また、日米安保条約と非核三原則というものも厳密に言えば矛盾すると言わざるを得ない部分があると思います。にもかかわらず、世論調査ではおよそ八〇%近い人たちがこの四つの問題を支持しているという結果が出ているわけであります。つまり、平和憲法と自衛隊の存在、日米安保条約と非核三原則、これは私は八〇%コンセンサスと呼んでいるのでありますが、一つのこの国際社会における日本のあり方という中での日本人の知恵ということが言えるかもしれません。
 そこで、厳密に言えばと申し上げましたが、確かに厳密に言えば憲法第九条の条文を日本語の理解できる人が解釈する限り、現在の自衛隊というものを容認するのはいささかおかしなことになるのじゃないでしょうか。この国政を論議する国会の場でこのようなことを言うことすら不謹慎だという意見もあるかもしれません。そのくらい現在の自衛隊の力は戦力と言わざるを得ない。このことを、今アメリカの要請を背景にしながら日本の防衛力を増強しようと考えられる方々は謙虚に考えるべきだと思います。同時に、その逆の立場にある者は、今のこの現実の国際社会というもの、国際情勢というものを、特に日本を取り巻く国際情勢というものを冷厳に見つめることもまた必要ではないでしょうか。そうした立場の中から、国民の多数が八〇%コンセンサスという態度をとるに至ったということを私は尊重しなければならない、国民の知恵と私はしたがって呼んだのであります。
 しかし、それでは日本の防衛力、安全保障ということをどう考えたらいいだろうかというその私見を申し上げるならば、まず第一に、昨年の秋に政府が決定をされた防衛力整備五カ年計画というもの、これはいささか、いや、むしろ極めて危惧すべきものだと言わざるを得ないと思います。
 例えば、あの五カ年計画の中に、P3C百機体制というものがあります。その他にもたくさんの例がありますが、今同僚委員の中からも御意見がありましたので省略をして、この点に絞って申し上げるならば、かつて三木内閣時代にできました防衛計画大綱とGNP一%というものは、いるい
ろな意見がありますけれども、私はそれが決定されたいきさつをつぶさに振り返ってみると、これは運動をするものだと言わざるを得ないと思います。そして、防衛計画大綱というものはそれまでの国会における厳しい論議の中で、政府・与党の中のまた厳しい議論を経て一つの決定をされた。私は完全に同感とは申しませんが、評価すべき方向だと思います。
 それまでのいわゆる脅威対処論を排して基盤的防衛力を整備するという、つまり限定、小規模侵略に対応するという、そうした自衛隊の限界をはっきりと示したという意味でそれ以前の防衛力のあり方、そして増強を目指したやり方に対する一つの歯どめとして、具体的にその歯どめの数字としてGNP一%というものを決定をした経緯、それを考えるときに、まことに私は国会における厳しい議論を経た一つの決定として評価をしていいと申し上げているわけであります。しかしながら、今回の防衛力整備五カ年計画は、このせっかくの与野党を含めた論議を通じての一つの決定を根底から覆すものになってしまっているということです。
 P3Cの話に戻しますと、昨年秋の臨時国会で私の質問に対して防衛庁防衛局長は、この百機のうち二十機はシーレーンの海上輸送の防衛に使う、残る八十機は対潜哨戒に使いますという答弁をいたしました。同時にそのときの質問で、いわゆるシーレーンとはグアム以西フィリピン以北という西太平洋だけではなくてオホーツク海も含むということも明言したのであります。それまではいわゆるシーレーンというものは、その字のとおり海上輸送路を防衛することを日本が分担をするというふうに受け取っていたのが国民の大多数の人の受け取り方ではなかったでしょうか。しかし、この防衛庁の答弁によってシーレーンというものの考え方が根本的に変わらざるを得なくなってきたと思います。
 率直に言って、P3C百機体制の中でその大部分といえる八十機が何に使われるかといえば、それはアメリカのトライデント型ミサイル潜水艦が西太平洋、つまりフィリピンのスビック基地を補給基地として西太平洋から八千キロ、九千キロの射程をもってソ連領土をねらっている。これに対して当然ベトナムのカムラン湾などを基地としてソ連の攻撃型原子力潜水艦が西太平洋のアメリカのミサイル潜水艦を攻撃するために遊よくをしている。一方でソ連のミサイル原子力潜水艦がオホーツク海の海に潜ってアメリカ本土をねらっているのを、横須賀などを基地としてアメリカの攻撃型原子力潜水艦がこれに向かって遊よくをしている。こういう状況の中で、そのアメリカのミサイル原子力潜水艦をねらって西太平洋に遊よくしているソ連の攻撃型原子力潜水艦、それがつまり西太平洋のシーレーンと称されるものの実態であります。一方でアメリカの本土をねらってオホーツク海に潜っているソ連のミサイル原子力潜水艦、このソ連の二つの種類の原子力潜水艦をいわゆる対潜哨戒の名のもとに発見しようとするのが八十機のP3Cの任務であるということをこの答弁は言外に告白したものと言わざるを得ないと思います。
 日本がアメリカの倍にも当たる百機のP3C、もちろん世界最大でありますが、それだけの数をそろえる。今後五十機五カ年で増強するということのために、現在の値段で推定しても一機百二十ないし百三十億円、一兆円近いお金がこのP3Cだけのために投入をされる。これほどのことをしてアメリカの対ソ戦略に協力をするということになれば、これは明らかに戦後営々として先輩の皆さんが論議を尽くし、そしてその上に築いてきた一つのコンセンサス、そしてその結晶とも言える防衛計画大綱というものを根底から覆して、日本の防衛力のあり方というものを大きく転換してしまう、それが今行われようとしていると言わざるを得ないと思います。その意味で私は、防衛力整備五カ年計画という中曽根内閣の手によるこの新しいといいましょうか、極めて危険な日本の防衛政策に対して警鐘を乱打しなければならないと思います。
 次に、核軍縮の問題についても同僚委員から触れられましたが、この点についても申し上げておきたいと思います。
 先ほど申し上げたように、日本は非核三原則というものを国民の英知によって世界に先駆けてつくりました。かつて一九六七年に結ばれた中南米非核地帯条約、いわゆるトラテロルコ条約を決定をした推進役になりましたメキシコのロブレス元外相は私が会ったときに、この条約のもとになったのは日本の非核三原則の考え方ですということを言ったことがあります。これはまさに世界に誇り得る非核政策だと思いますが、現実には今や世界の中でも核軍縮を考える人たち、願う人たちの間で全く色あせたものになってしまっている。だれもがこの三原則中「持ち込ませず」という部分について疑惑を抱いているからであることは言うまでもないわけであります。
 そして先日、ニュージーランドのロンギ首相は日本の新聞記者との記者会見の中で、我々は核を積んだアメリカの艦船がニュージーランドに寄港をすることを拒否することを決定し、今やそれが法律として決められようとしている、そして核を積んでいるかどうかという判定は、自分自身つまりニュージーランドの首相が行う、しかし、今自分が想定をして日本の皆さんに申し上げることができるのは、日本に寄港を許されたアメリカの軍艦がニュージーランドにそのまま寄港しようとして、私がこれは核を積んでいると判定をして寄港を拒否せざるを得なくなったときに一体どういうことになるだろうかということに困難を感じている、こういう意味の発言をしていることは既に報道されたとおりであります。まことに世界に非核三原則と誇らかに言いながら、しりが抜けていることを指摘されたと言わざるを得ないわけであります。
 それでは一体どうしたらいいのかという、そのことを今我々は改めて国民全体の意見をまとめて考えなければならないときではないでしょうか。その意味で私は一昨年、非核四原則で非核国家宣言をすべきだ、そして核保有国と条約を結ぶべきだという提言をいたしました。今そのことを詳しく繰り返すつもりはありませんけれども、つまり非核三原則中問題になっているのは「持ち込ませず」という部分、同時に核保有国の中からも、核を持っていない国、例えば日本のような国に対しては自分の方から核攻撃をしないということを約束することができるというたび重なる意見の発表があります。そこでこの二つを結び合わせて、日本には核を持ち込まないということと、日本には核で攻撃をしないということを核保有五カ国と条約を結んで約束をするという、これが一つです。
 同時に、アジア・太平洋非核武装地帯という構想を述べられる方々もありますけれども、現に先ほど申し上げたように、フィリピンのスビック海軍基地並びにクラーク空軍基地、そして韓国にアメリカの核があることはもう周知の事実であるし、その核を取り除きなさいとアメリカに要求をしても、容易にそれが達成されないであろうということは現実の問題として認めざるを得ない。それでは我々は手をこまねいていていいのか、あるいはアジア太平洋非核武装地帯の条約を結べとただ口で叫んでいればいいのか、日本として何もすることはできないのかという、そういう中から出てきたのが非核四原則によって核保有国と条約を結ぶということでありました。これに対しては既に核保有国から賛否の非公式の意見が寄せられておりますけれども、もちろんアメリカは、核の持ち込みという点について厳しくこれに拒否の反応を示していることをつけ加えます。
 最後に、このような核廃絶の問題について米ソの間で首脳会談が行われ、またゴルバチョフ書記長から具体的提案があったことは喜ばしいことであることは事実でありますけれども、しかし米ソがまず五〇%の、ソ連の場合は相手の領土に届く核兵器、アメリカの場合はそういう言い方ではありません。つまり大陸間弾道弾あるいはSLBM
というそういうものを五〇%削減する。まことに結構であり、やらないよりはいいということは言えますけれども、しょせん人類が十回死ぬものが五回死ぬ程度に減らされるだけであっては意味がないのでありまして、果たして米ソに任せておいてこの核廃絶ができるだろうかということに私は大きな疑問を持っております。
 昨年、ニュージーランドを訪問をしたときに、オークランドの女性の市長がいみじくも、米ソ核超大国間の政治的会談によって核が廃絶されるとは思いません、核が廃絶できるのは世界の草の根の市民運動が手を握り合って、声を大にしてこれを行動に起こしたときに初めてできますと。この発言は、最近のフィリピンのあの政治転換の市民の力ということと結びつけて考えたときに、決して私は非現実的なものとは思いませんし、日本の国政を担う我々国会議員として、こうした意見は唯一の被爆国の国会議員として極めて傾聴に値する、また、反省の材料にしなければならないものだというふうに受けとっていることを申し上げて、私の意見を終わります。
#14
○小委員長(安孫子藤吉君) 以上で小委員の皆様の御発言は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト