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1985/04/11 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 国民生活・経済に関する調査特別委員会 第3号
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1985/04/11 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 国民生活・経済に関する調査特別委員会 第3号

#1
第104回国会 国民生活・経済に関する調査特別委員会 第3号
昭和六十一年四月十一日(金曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山田  譲君
    理 事
                海江田鶴造君
                梶木 又三君
                水谷  力君
                糸久八重子君
                刈田 貞子君
                橋本  敦君
                藤井 恒男君
    委 員
                岡部 三郎君
                亀長 友義君
                坂野 重信君
                沢田 一精君
                杉山 令肇君
                関口 恵造君
                長谷川 信君
                松岡満寿男君
                山内 一郎君
                佐藤 三吾君
                高杉 廸忠君
                竹田 四郎君
                矢原 秀男君
                吉川 春子君
                抜山 映子君
                青島 幸男君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       平泉  渉君
   政府委員
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁国民
       生活局長     横溝 雅夫君
       経済企画庁物価
       局長       斎藤 成雄君
       経済企画庁総合
       計画局長     及川 昭伍君
       経済企画庁調査
       局長       丸茂 明則君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   説明員
       国土庁土地局土
       地利用調整課長  山崎 皓一君
       国土庁土地局地
       価調査課長    天本 俊正君
       大蔵大臣官房参
       事官       塩田 薫範君
       大蔵大臣官房企
       画官       杉井  孝君
       農林水産大臣官
       房企画室長    川合 淳二君
       農林水産省構造
       改善局農政部就
       業改善課長    鈴木 克之君
       農林水産省畜産
       局食肉鶏卵課長  鎭西 迪雄君
       農林水産省食品
       流通局食品油脂
       課長       増田 正尚君
       通商産業省機械
       情報産業局自動
       車課長      黒田 直樹君
       通商産業省生活
       産業局日用品課
       長        柴崎 和典君
       資源エネルギー
       庁公益事業部計
       画課長      林  昭彦君
       資源エネルギー
       庁公益事業部技
       術課長      末廣 恵雄君
       中小企業庁計画
       部計画課長    長田 英機君
       中小企業庁計画
       部金融課長    土居 征夫君
       郵政省貯金局経
       営企画課長    木村  強君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部賃
       金課長      伊藤 庄平君
       建設省都市局土
       地利用調整官   大久保伸明君
       建設省道路局企
       画課長      三谷  浩君
       建設省住宅局住
       宅政策課長    内藤  勲君
   参考人
       日本銀行副総裁  三重野 康君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国民生活・経済に関する調査
 (派遣委員の報告)
 (総合経済対策等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山田譲君) ただいまから国民生活・経済に関する調査特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民生活・経済に関する調査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁三重野康君の出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(山田譲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(山田譲君) 国民生活・経済に関する調査を議題といたします。
 先般当委員会が一月二十日と二十一日の二日間兵庫へ、また二月三日と四日の二日間和歌山県へ行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。
 まず、海江田鶴造君から御報告を願います。海江田君。
#5
○海江田鶴造君 去る一月二十日及び二十一日の二日間、山田委員長、刈田理事、松岡委員、竹田委員と私、海江田の五名は兵庫県の阪神地域に赴き、都市再開発について実情聴取と現地調査を行ってまいりました。
 一月二十日は宝塚市役所において、兵庫県当局から県政の基調及び都市再開発について、また宝塚市当局から宝塚市の都市再開発について、それぞれ概要説明を受けた後、「宝塚逆瀬川駅前地区」、「宝塚駅前地区」及び「川西能勢口駅周辺地区」の計三カ所の市街地再開発の現状を視察し、さらに橋上公園「宝塚大橋」及び遊歩道「花の道」を視察いたしました。
 翌二十一日は伊丹市役所において、伊丹市の都市再開発の概要説明を受けた後、「伊丹宮ノ前地区」及び「国鉄伊丹駅前地区」の市街地再開発事業の現状を視察し、次に尼崎市塚口本町に所在する西武百貨店を中心とする生活遊園式商店街「つかしん」の現況について説明聴取と現地視察を行い、さらに国鉄尼崎駅北地区の市街地再開発事業予定地を視察いたしました。
 その結果を以下に報告いたします。
 兵庫県は面積が八千四百平方キロメートル、人口五百二十八万人の西日本屈指の大県ですが、南の瀬戸内臨海地域には、我が国有数の播磨工業地帯、人口百四十万人の県都神戸市を含む阪神大都市圏を擁する一方、中・北部の内陸及び日本海地域では、丹波・但馬地方などに多数の農山漁村があり、地域の構造は多彩な様相を示しております。
 兵庫県は昨年十二月、県政の長期総合計画である「兵庫二〇〇一年計画」を策定し、人と人、地域と地域が連携する「共生ネットワーク社会」づくりを基本戦略としていますが、これは前記のような地域構造を多分に反映したものと考えられます。
 同県計画は、また、「全県全土公園化」という特色ある構想を打ち出しております。
 今回の派遣先である兵庫県の阪神間地域は七市一町から成り、昭和五十五年において百五十五万人、全県の三一%の人口を持つ大都市地域であります。この地域では、人口密度がほぼ神戸市に匹敵する平方キロメートル当たり二千四百五十人の高さに達しているほか、第二次、第三次産業を初め都市機能の集積度は大きなものとなっております。
 このため、既成市街地では、都市環境の未整備、交通混雑、木造賃貸住宅問題など深刻な状況にあります。さらに、一部地域では、人口減少、都市機能の衰退などのいわゆるインナーシティー問題も生じつつあります。
 今回の委員派遣の目的は、このような大都市地域において都市再開発がどれだけ問題解決に貢献しているかを現地調査するところにありました。
 最初に訪れた宝塚市は人口十九万人の住宅とレクリエーションの町として有名ですが、過去の人口急増と社会資本整備のおくれにより、交通、防災、生活環境などの面で大都市地域共通の悩みを抱えております。市当局はこれに対処するため、緊急性の高い駅周辺地区、幹線道路沿線地区を重点に市街地再開発事業を進めております。
 このうち、宝塚南口駅前地区の市街地再開発事業は、昭和四十四年、都市再開発法施行後の第一号として着手、五十一年に完成し、駅及び周辺地区を一体的に整備した結果、交通流通機能、防災性、商業活性度などが飛躍的に高まることになりました。
 また、ここを出発点として、武庫川にかかる橋上公園「宝塚大橋」、宝塚劇場前の「花の道」へと続くプロムナードは市民と観光客に親しまれております。
 また、逆瀬川駅前地区の事業は五十六年度以降進められており、再開発組合施行分は六十二年度に、住宅・都市整備公団施行分は六十一年度にそれぞれ完了する予定となっております。阪急今津線逆瀬川駅の東側一・七ヘクタールの地区にある未整備の街路、密集した低層木造家屋などを駅前広場、幅員の広い都市計画街路、六棟の高層セルに転換する工事が、今、急ピッチで進められております。これらのビルは店舗、事務所、住宅、コミュニティーホール、駐車場などに用いられる計画です。
 さらに、四・八ヘクタールの宝塚駅前地区で事業が始まったところでありますが、本事業では八棟のビル、駅前広場と道路の拡張に加えて、新たに千四百平方メートルの緑地を生み出すところに特徴が見られますとともに、長年にわたる慢性的な交通渋滞の解消が期待されております。
 次いで、隣接する川西市を訪れ、川西方式として有名な、駅周辺三十八ヘクタールの一体的再開発計画地を視察いたしました。本事業では阪急電鉄と能勢電鉄の連続立体交差事業、駅前広場の整備、アクセス道路の整備を骨格としており、現在のところ、昭和五十四年度から二地区で計六・五九ヘクタールの再開発事業が進められております。
 最後に人口五十一万人の尼崎市における都市再開発と同市北部に出現したユニークな商業施設「つかしん」について述べます。
 尼崎市は代表的な臨海工業都市として輝かしい発展の歴史を持っていますが、近年臨海部を中心に人口減少が著しく、インナーシティー問題に悩んでおります。尼崎市では、六十年二月現在、住宅地区改良事業十一、住環境モデル事業二、市街地再開発事業七、及び合計五土地区の土地区画整理事業が施行済みまたは施行中であります。これらの都市再開発が前記の問題の解決に寄与することを期待したいと存じます。
 「つかしん」は西武セゾングループが、約六万平方メートルの旧グンゼ工場跡の敷地に十年の歳月と知恵を結集して開発した未来型の商業施設ですが、内部に百貨店、専門店街を含むことはもちろん、小川、公園緑地、文化施設、コミュニティーチャーチ、ホール、ホテル、スポーツ館、飲み屋横町などを持っており、いわば「消費生活コンビナート」であります。
 このようにして魅力を創出しないと消費財が売れない時代に入ったことを痛感いたしました。
 今回の視察により、市街地再開発事業は用地取得困難な都心地区において公共施設、住宅、緑地などの用地を確保し、快適性、個性に富んだ町づくりを行う有力な手法であることを再認識いたしました。
 また、公的資金の数倍から数十倍の内需創出効果がある利点がある一方、権利調整に多大の時間と労力がかかる難点があります。このため、事業効果を説明力をもって各方面に周知させる努力が必要であります。
 以上、御報告申し上げます。
#6
○委員長(山田譲君) ありがとうございました。
 次に、糸久八重子君に御報告を願います。糸久君。
#7
○糸久八重子君 去る二月三日から四日までの二日間にわたり、水谷理事、橋本理事、高木委員、抜山委員、青島委員と私、糸久の六名は本委員会及び高齢化社会の諸問題について和歌山県における概要を聴取するとともに、これと関連して特別養護老人ホーム喜成会、協栄白浜年金ホーム及び岡老人クラブを視察してまいりました。
 以下、調査結果の概要について御報告いたします。
 まず、和歌山県における人口の推移と第四次長期総合計画について申し上げます。
 県人口に占める六十五歳以上の高齢者の割合は若者の流出も加わって昭和五十五年に一二・八%と全国におおむね十年先行する形で高齢化が進展しており、さらに、昭和六十年四月現在では一三・一%とより一層、高齢化が進行しています。
 特に、過疎地域においては、昭和五十五年に既に二〇%を超える町村が出現するなど、これへの対応が緊急課題となっています。このため、第四次長期総合計画においては若者の定住化を促進していくとともに、すべてめ県民が、自立自助、互助を基本に、生涯を通じて豊かで安心できる生活を送っていける条件づくり、高齢者が豊かな知識や経験を発揮できるような健康の確保、生活の安定、安らぎのある場の形成等の基盤づくりを推進していくとのことであります。
 また、今後、深刻化する大都市圏の高齢化に対応し、大都市高齢者等の地方定住による知識、技術、文化的素養等の地方移転を図るとともに紀南地方の特性、資源を有機的に結合させ、長寿化社会に対応した地域活性化を目指すゴールデンタウン構想を推進していくことになっております。
 次に、高齢者の福祉対策、生きがい対策について説明いたします。
 ひとり暮らし老人は約一万四千四百人、在宅の寝たきり老人は約四千二百人であり、さらに痴呆性老人についても相当数いると見込まれ、将来も、介護を必要とする高齢者がますます増加するものと予想されております。このため、第一に老人家庭奉仕員派遣事業、白帯生活用具給付事業等の充実による要援護老人とその介護者に対する在宅福祉対策の推進、さらに、重介護を必要とする高齢者のために特別養護老人ホームの重点整備や、施設に従事する職員の研修の充実等の福祉施設対策の充実を図っております。
 また、生きがい対策については、高齢者の豊富な知識、経験や技術を生かした社会参加活動やレクリエーション活動の場として老人憩の家、老人福祉センター等を設置し、技能作品展等のさまざまな活動がなされております。今後の課題としては、ボランティアの発掘、指導者の養成、組織づくり、情報の提供等民間奉仕者に対する地域福祉活動の推進が挙げられています。
 次に健康対策、雇用対策について説明します。三大成人病による死亡が総死亡の六〇%を超え、中でもがんによる死亡は二四・四%となり、これら成人病対策が重要な課題となっています。このため、例えば、老人健康大学と銘打って健康教育を実施したり、健康診査も充実してきています。また事後指導として例えば、機能訓練も県下十二カ所で実施しています。なお、各市町村においてヘルパーとの連携のもとに寝たきり老人の訪問指導も行っております。
 雇用対策については、県経済は生産動向や個人消費にやや明るさを取り戻しつつあるものの、素材産業を中心として一部業種や地域間の景況にはばちつきが残り、依然として厳しい状況にあります。このため、高齢者の雇用情勢も特段と厳しくなっているところであります。このため六十歳定年の一般化の早期実現を目指して定年延長の個別企業指導を強化することにより定年延長を積極的に推進するとともにさらに六十歳を超える高年齢者についてもその多様な就業ニーズに応じた対策を推進しながら雇用の維持拡大に努めています。
 最後に、農山村高齢者対策について申し上げます。農家人口に占める比率は一八・七%となり、高齢化が著しく進行しています。こうした中で農業技術の高度化や機械化の進行と地域社会における共同活動や伝統行事の機会の減少により高齢者は農業や地域社会に対し疎外感を高めつつあるといわれています。このため、例えば、農業改良普及事業や畜産関係については高齢者肉用牛飼育事業実施等により、その能力を地域の農業生産や社会活動の中で生かし、ふさわしい役割を果たすことにより生きがいを充実することを目的とし、高齢者の実態と意向を踏まえ、高齢者の自主的活動を助長してきているとのことです。
 次に、私どもが視察いたしました施設等について申し上げます。
 まず、特別養護老人ホーム急成会は昭和五十四年に設置され、現在、県下における高齢福祉の重要な拠点となっています。処遇方針としては「活動と和」をモットーに摂食時を利用して全員の離床を図ることにより、できるだけ寝たきり状態にしないよう努めていました。また、生きがい対策として種々のクラブ活動の積極的な推進、また、リハビリテーションによる残存機能の維持回復を図ることを主眼としております。さらにボランティアの受入、盆踊り等の行事を行って、地域社会との交流を積極的に進めています。
 協栄白浜年金ホームは昭和四十二年ころから白浜での開設を目指して準備を図り、昭和四十八年に開所し、現在八十五室の入居室を完備しております。入居の対象者は、協栄生命年金ホーム特約年金保険め年金受給者であります。入居料は入室の大きさや、性別、年齢等によって異なっていますが、例えば、六十五歳の女性が八畳、三畳、サンルームの部屋に入居されるとする場合、土地を早期に確保したこともあり、約三千二百二十五万円となるそうです。また入居すれば、物価スライドの追加もなく、たとえ寝たきりになったとしても終生にわたり医・食・住を保障するとのことでした。なお、附属施設としてゲートボール場、テニスコート、農園、プール等もあり、周辺地域も暖かく、海辺に面した名勝の地域であるのですが、都会から離れていることもあり、入居者数は定員百名に対して半分程度にすぎないとのことでした。
 なお、東京に近い江戸川台年金ホームは、満員に近い状態にあるそうです。
 最後に、岡老人クラブ連合会について申し上げます。会員数は百六十七名であり、組織は笑う会、観音会、喜ぶ会の三単位クラブが合同して組織されています。活動内容を見ますと、教養活動としては会誌の発行、熊野高等学校開放講座を開催しています。また、地域活動として伝承活動を含めて若妻会、小学生との交流を図る他、道路の清掃等の奉仕活動を行っています。レクリエーション活動として観賞用のひょうたんをつくり展示会、即売会も行っているとのことでした。
 なお、ひょうたんづくり等の活動の場を見せていただいたのですが、明るく、活気に満ちた雰囲気の中で高齢者の方々が創作活動に取り組んでおりました。
 以上、御報告申し上げます。
#8
○委員長(山田譲君) ありがとうございました。
 これをもって派遣委員の報告は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(山田譲君) 次に、総合経済対策等に関する件について政府から説明を聴取いたします。平泉経済企画庁長官。
#10
○国務大臣(平泉渉君) 去る八日の経済対策閣僚会議におきまして総合経済対策が決定されましたことを御報告いたします。
 最近の経済情勢を見ますと、原油価格が低下する一方で急速な円高の進展等を背景に企業、なかんずく中小企業の景況感に影響が出ております。今回の対策は、このような経済情勢等を踏まえ、我が国として引き続き内需を中心とした景気の維持拡大を確実なものとするための積極的な努力を行うことが肝要であるとの観点から決定されたものであります。
 円高になりますと、輸出数量の減少等により国内生産活動が圧迫されるといういわゆるデフレ効果がまずあらわれできます。他方、円高により交易条件が改善し、海外から所得が移転するというプラスの面もありますが、円高のメリットが最終需要に及ぶまでにはある程度のタイムラグがあります。このため、政府としては引き続き適切かつ機動的な財政金融政策の運営を図るとともに、円高及び原油価格低下のメリットが経済の各方面に浸透し、我が国経済全体に均てんされるよう、きめ細かな経済運営に努めていくこととしております。
 今回の対策は、七本柱から成っております。
 第一に、日本銀行は本年二度にわたり公定歩合の引き下げ措置を講じたところでありますが、今後とも内外経済動向及び国際通貨情勢を注視しつつ、金融政策の機動的運営を図ってまいります。
 第二に、上半期における契約済み額の割合が過去最高を上回ることを目指して、可能な限り公共事業等の施行を促進してまいります。
 第三に、電力・ガス料金の引き下げ、豚肉、バター、乳用種牛肉の安定価格帯の引き下げ、輸入牛肉の小売目安価格の引き下げ等を一行うとともに、主要輸入消費財の価格動向等につき、三十七品目について調査を行うこと等により、円高及び原油価格低下に伴う差益の還元と価格の適正化等を図ってまいります。
 第四に、東京都の環状七号線以内において、第一種住居専用地域の第二種住居専用地域への指定がえを重点的に推進するなど、規制緩和による市街地再開発の促進等を図ってまいります。
 第五に、住宅金融公庫の貸付金利の引き下げ等を行い、住宅建設を促進するとともに、電気事業、電気通信事業等の設備投資の追加、公共的事業分野における民間活力の活用を図ってまいります。
 第六に、中小企業国際経済調整対策等特別貸付制度の貸付金利の引き下げ等の思いやりのある中小企業対策や雇用対策などを行ってまいります。
 第七に、国際社会に貢献すべく適切な対応を図ってまいります。
 政府としては、今後この対策を着実に実施し、所期の目的を達成するよう努めてまいる所存でありますので、よろしくお願いをいたします。
 では、詳細につきまして調整局長から補足説明をいたさせます。
#11
○委員長(山田譲君) 次に、補足説明を聴取いたします。赤羽調整局長。
#12
○政府委員(赤羽隆夫君) お手元に、「総合経済対策」という文書が配られております。これにつきまして、御説明申し上げます。
 この文書は、まず趣旨を書きました前文と、それから「記」以下の対策、七本の柱からなっておりますけれども、対策の本文から成り立っております。
 まず、前文でございますけれども、先ほど大臣から御報告申し上げましたところに尽きているわけでありますが、改めて若干の点だけを補足して御説明申し上げたいと思います。
 第一パラグラフにおきましては、日本経済の置かれております国際環境という面で、先進国経済について、まずインフレ鎮静化の中で緩やかながらも拡大が持続している、こういう認識を示しております。さらに原油価格の低下は世界経済に全体としてはプラスの影響になるだろう、こういう認識を示しております。そうした背景のもとで最近の我が国経済を見ますと、景気動向にばらつきはありますものの、また最近拡大のスピードが緩やかになってはきておりますものの、全体としては拡大傾向が続いている、こういう認識を示しております。ただ、円高のデフレ効果といったようなことがあらわれておりますので、生産活動は引き続き弱含みの推移である。それからさらに、急速な円高、こういったようなものが企業、なかんずく中小企業に対しまして心理的な悪影響を与える、景況感にも影響が出ている、こういう認識を示しております。こういうような現在の経済情勢を踏まえまして、内需を中心とした景気の維持拡大を確実なものとするため、政府として積極的な努力を行う。そのために、以下の対策を実施をする、こういう認識になっておるわけでございます。
 本文の方でありますけれども、七本の柱がございます。「金融政府の機動的運営」、これにつきましては大臣の御要約の中にもございましたけれども、今後とも内外経済動向及び国際通貨情勢を注視しつつ、金融政策の機動的運営を図る。となっております。ただ、金融緩和というのが過度に投機的な土地取引、あるいは株式などの投機を助長する、こういうことがあってはならないということで、なお書きがついておるわけでございます。
 二番目の柱、「公共事業等の施行促進」でございますけれども、六十一年度予算が成立いたしましたので、六十一年度の公共事業等につきましての上半期の目標、これをこれから決めるというわけでありますけれども、その際、いわゆる前倒し率でありますが、契約済み額の割合、これが過去最高を上回ることを目指して可能な限り施行の促進を図るとなっております。過去の最高は五十七年度の実績ベースで申しまして七七・二%でございます。さらに、公共事業の地域配分に当たりましては各地域の実情、つまり、経済情勢、社会資本の整備状況、事業の優先度等を勘案して適切な配分を行う、こういうことになっております。地方公共団体におかれましても、また国等に倣って事業の円滑な施行を図るため必要な措置を講じてほしいということを述べております。
 三番目の柱が、「円高及び原油価格低下に伴う差益の還元と価格の適正化等」でございますけれども、ここには七項目挙がっております。まず第一の項目が、電力、大手ガスにおきますところの円高及び原油価格低下の差益の還元、これを暫定的料金引き下げと、こういう形で行う、六月から実施をするということでございます。還元の規模はおおよそ一兆円程度。二番目が、畜産物の価格安定を図るためのいわゆる安定価格帯につきまして、もう既に決定されておりますけれども、円高効果を含む生産費等の低下を踏まえまして、中心価格などで安定帯価格の引き下げをしたということでございます。三番目は輸入牛肉の安売り関係でございます。それからさらに、畜産振興事業団の輸入牛肉売買差益をより直接的に消費者に結びつく施策に活用するなどのことが揚げられております。四番目が、国際航空運賃、方向別格差縮小の措置をとる。五番目が、国際通信料金、国際電電の料金でございますけれども、これにつきましては遅くとも九月までに料金引き下げを実施をする。国際電電におきましてはむしろ差益ではなくて差損が出ているそうでございますけれども、生産性向上成果の事業努力を消費者に還元をする、こういう形でございます。六番目は、以上、関連をいたします公共料金あるいは政府介入料金以外の公共料金等につきまして、可能な限りその引き下げに努める。しかし、引き下げが困難なものにつきましても、料金の長期安定、サービスの改善、こういう形で差益を消費者、需要家に還元をする、こういう考え方を示しております。七番目は、これはいわば自由商品ということでございまして、市場メカニズムを通じて輸入品の価格低下あるいはコストの低下が国内販売価格に適正に反映されるように努める、必要に応じ関係業界に対して要請を行う等、適切な対応を図るということになっております。石油製品、配合飼料等につきまして、価格動向につきまして調査をする、監視をするということでございます。
 それから三番目が、輸入消費財の主要なものにつきまして、三十七品目ございますけれども、これについて価格調査をし、四月末をめどに情報提供を行う。
 それから四番目の点が、インポートフェアあるいはバザールそれ以外の行事などによりまして円高のメリットを国民が享受し得るような環境の整備をするということになっております。
 四番目、「規制緩和による市街地再開発の促進等」でございますけれども、これは大きく三つに分かれておりまして、第一が市街地再開発の促進、第二番目が新市街地開発の促進、三番目が国公有地への土地信託制度の導入でございます。
 まず第一の市街地再開発の促進でございますけれども、これは東京都につきまして環状七号線以内におきましての一種住居専用地域の第二種住居専用地域への指定替え、それから二番目の点につきましては、市街地再開発事業の施行区域とかあるいは特定街区あるいは総合設計による場合といったような条件はついておりますけれども、現在よりも容積率の割り増しが可能になるように基準を見直すということでございます。土地の高度利用、有効利用を図ろうということでございます。斜線制限につきましても緩和を図るとなっております。
 二番目の新市街地の開発の促進、これは第一が線引きの見直しでございますし、第二が宅開指導要綱の行き過ぎの是正の徹底ということでございます。三番目の点は、埋立事業につきまして民間資金の出資比率を上げることによりまして民間資金の導入活用を図るということであります。一三番目は国公有地への土地信託の導入でございますけれども、現在国会に提案をしております国有財産法、地方面治法の改正法律案、これの成立を受けまして、この土地信託の制度を利用して国公有地等の有効活用の促進を期するということであります。
 五番目の柱が「住宅建設、民間設備投資等の促進」ということでございます。
 まず住宅建設等につきましては五つの細かい項目から成り立っておりますけれども、その中で特に第一番目、住宅金融公庫の貸付金利を引き下げるという点がございます。百二十平米までの住宅につきましてはこれまでの五・四%を五・二五%に引き下げる、それ以上の面積のものにつきましてもそれぞれ引き下げが行われます。
 それから三番目の項目でありますけれども、これは民間往宅ローンでございますが、金利の引き下げ等につきまして配慮するよう要請をするということであります。
 それから四番目、増改築等、リフォームの促進のためのいろいろな行事等を行うとなっております。現在増改築というのは住宅投資の五分の一、二割程度を占めております。したがいまして、増改築を促進をする、推進をするということは住宅投資に対してプラスになる、こういうことでございます。
 五番目は木造建築物の建設促進のための対策を総合的に推進をする。モデル木造施設の建設の推進等でございまして、林業対策も兼ねているということであります。
 この柱の二番目が、電気通信事業等における設備投資の追加等でございますけれども、まず電気事業、ガス事業におきまして、設備投資につきましては繰り上げ発注と投資の追加ということでございます。まず電気事業につきましては、今年度の上半期におきまして七千億円程度の繰り上げ発注、さらに本年度及び六十二年度におきまして一千億円程度投資の追加をするということであります。ガス事業につきましても繰り上げ発注等に努力をするよう指導することになっております。
 NTTの設備投資につきましても、六十一年度におきましては千五百億円程度の増加に努力するよう指導するということになっております。
 また、現在国会に提案をしております特定都市鉄道整備促進特別措置法案、これの成立を受けまして、大手私鉄でございますけれども、複々線化等の大規模な輸送力増強工事の促進を図りたいということがこの三番目でございます。
 それから公共的事業分野にわきます民間活力の活用でございますが、これも現在提案中の法律案、東京湾横断道路あるいは民活を利用した特定施設の整備の促進に関する臨時措置法案、これらの成立を受けまして事業の早期着手あるいは早期にその基本方針の策定等を行い円滑な実施を期する。関西国際空港につきましては本年度から本格的な工事に着手をするなどのことが示されております。
 さらに、テクノポリス構想の一層の推進を図るため新たに指定をするということが三番目でございます。
 四番目の点は、これも林業、山村振興対策も含めまして、勤労者のためのセカンドハウス、レクリエーション施設の建設等を国有林、公有林などにおいて行うということであります。
 六番目、「中小企業対策等の推進」でございます。
 これにつきましては六つの項目に分かれておりますけれども、まず第一が、先ごろ創設されました中小企業国際経済調整対策等特別貸付制度の金利の引き下げ、さらには小企業等経営改善資金融資制度、いわゆるマル経資金の金利の引き下げがございます。まず前者でありますけれども、これは事業転換のための融資とそれから経営の緊急的な安定のための融資がございますが、これまで五・五%でございましたものを、事業転換につきましては五・〇%、緊急的な経営安定のためのものにつきましては五・三%ということでそれぞれ金利を引き下げる。マル経資金につきましては六・八%を六・三%に引き下げ、こういうことになります。
 二番目の点は、下請企業に対する円高の影響の不当な転嫁を防止するための措置ということで、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用、親企業に対する指導の強化、さらには下請取引の機動的なあっせんあるいは相談受け付け、指導の充実等々の措置を述べております。
 三番目は、これは六十一年度から、ごくわずかではありますけれども、予算措置ということで、産地中小企業活路開拓アドバイザー、こういうものを通産大臣が臨時に委嘱をいたしまして事業転換等に対する指導助言を行う。
 あるいは、その次の項目でありますけれども、産地対策推進協議会の設置、これによりまして各種の対策につきましての周知徹底あるいはこれからの産地のあり方について検討するというようにしたいということであります。
 五番目、地域における内需の振興でございますが、それぞれの地域におきます需要の振興のために中小企業事業団の高度化融資に係る工場団地等を前倒しして実施をするといったようなことであります。
 六番目は、公共事業等の施行に際しましては中小企業者の受注機会の増大を図るということでございます。
 金属鉱業対策につきまして、円高で極めて困難な状況にございますけれども、金属鉱業経営安定化融資の融資時期の繰り上げ等を行う、さらには六月をめどに鉱業審議会におきまして経営環境の変化に対する対応の方向などについてまとめていただく、こういうことになっております。
 雇用対策につきましては、本年三月に改正をいたしました業種の指定基準に基づきまして業種指定を機動的に行う、こういったようなことが書かれております。
 七番目の柱が「国際社会への貢献」ということでございまして、我が国の内需拡大の努力というものは経済の拡大均衡を通じて世界経済にも好ましい影響を及ぼす、こういうふうに期待しているわけでありますが、同時に、今後の情勢の推移をも見つつ、多くの開発途上国が直面している経済困難にも配慮して国際社会に貢献すべく適切な対応を図る、こういうことでございます。
 以上、七本の柱につきまして御説明申し上げました。
#13
○委員長(山田譲君) 以上で政府からの説明聴取は終わりました。
 これより本件に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#14
○竹田四郎君 まず長官に伺いたいと思うんですけれども、きのうあたりで六十一年度のいわゆる春闘と称する大きな山は越えたわけであります。ことしの春闘というのはいろいろな経営側からも附属物がありまして、例えば五島昇さんが賃金もっと上げてやったらどうだ、それでなきゃ景気がよくならないぞ、こういう話がありましたし、この間は佐治さんがこれもまたもっと上げてやったらどうだと、こういう普通はない付録がことしはついて若干それが話題を呼んだわけでありますけれども、この総合経済対策にはそういう問題が一言も実は入っていないわけでありますけれども、長官は直接の担当の省ではないだけに案外自由に物を言えるのだろうと思いますし、そういう点ではどんな御感想をお持ちになっておりますか、内需拡大、景気対策という立場で。
#15
○国務大臣(平泉渉君) 今回の春闘というのは確かに非常に控え目な回答が多く、そういう妥結状況でございますので、私どもとしましてはこういうことの裏にありますまさに各産業が、中には構造的な不況産業というものももちろんございますが、従来の日本の主力産業であるような分野におきましても経営者側はかなり深刻に事態を考えておるのではあるまいか、また労働組合側の方でもそれぞれの会社の事情というものを十分に察して、なかなか今回は難しい状況だなと、こういうようなことがあったんではあるまいかと、私ども部外者でございますのでそのように見ておるわけでございますが、政府としましては今回提案、御報告を申し上げました総合経済対策などでできる限り経済環境の改善を図ってまいりたい、できることなら各企業がそういう不安ということのないような各企業の経営環境というものがより改善されるような状況というものをつくっていくということが経済政策の生硬な目標であると考えておるわけでございまして、今回の春闘のことを直接私が云々することは差し控えておりますが、企業を取り巻く経済環境の改善には政府としても今後とも大いに努力を払っていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
#16
○竹田四郎君 GNPの中で民間の消費、特に家庭の消費ですね、占める割合というのは非常に多いわけですね、六割ぐらい恐らくいっているはずでございますから。そこが動くということは全体の景気上昇にとって私は非常に重要なことだと思いますし、だからこそ、いろいろなそういう発言があったと思うんですけれども、今のお話ですと、何か企業の方が先だと、こう言うのですが、企業と消費というのは言うならば鶏と卵みたいな関係でありまして、片っ方だけよくすればそれでいいというものじゃ私はないと思うので、その辺はどうも企画庁は企画庁らしく、通産省や大蔵省の考えとは別個の考え方をひとつ持っていただきたい、こう思うわけでありますが、景気拡大には今もう一つ望まれているのは、ここにも書いてありますように金利を下げるという話が非常にあったわけですね。これが大変な今までのアメリカの高金利と対応しての金利問題があったと思うんですが、日銀の副総裁には先ほどから来ていて大変長い時間お待ちを願って恐縮なんですが、そこで今G5やG10やあるいはIMFの暫定委員会というのが開かれたわけでありますけれども、その中でベーカー財務長官と竹下さんとが協調金利の値下げの状況にあるんだと、こういうことで合意をしたと、こういう新聞記事があるわけでありますけれども、そうした中で恐らくここ一、二週間の間にはアメリカを初めあちらこちらでの金利の引き下げというものがあるだろうと、こう思うんですけれども、この辺は日銀はどうお考えになっているのか、政府はどう考えているのか。けさ恐らく閣議でそういう報告も竹下さんからあったんじゃないだろうかと私ども思うわけでありますけれども、御両者一体どう考えているのか。どうもこの辺が余りすっきりしない今日の段階で、この総合対策には「金融政策の機動的運営」というような言葉が載っているわけでありますし、また第三次公定歩合の引き下げというのは予算が上がった後では一つの課題になっているような気分もあるわけでありますけれども、その辺は御両者どんなふうに考えているんですか、政府、日銀。
#17
○参考人(三重野康君) 公定歩合を含めましての金融政策、先生御高承のとおり内外の情勢を見て機動的にやっていくわけでございますが、既にことし二回公定歩合引き下げておりますが、現在は二回目の公定歩合引き下げの結果による市中の貸出金利は先週の月曜から下がったわけでありまして、公定歩合と直接関係ございませんが、長期プライムレートもことしに入って三回下がっておりまして、これも先月末下がったばかり。したがいまして現在はそういったものの効果がどういうふうにあらわれるか、それを見守ってまいりますのが適当だというふうに考えております。
 大変抽象的な言い方でございますが、公定歩合につきましては、これは私の方の専管事項でお任せ願っているというふうに考えておりますが、政府におきましても私どもの基本的な態度は御理解いただいているものと、こういうふうに考えております。
#18
○説明員(杉井孝君) 公定歩合操作につきましては、先ほどお話がありましたように日本銀行の決定する事項でございますが、これにつきましては御案内のように一月三十日に引き続きまして三月十日からさらに〇・五%の引き下げが行われたところでございます。総合経済対策にもございますように、今後とも金融政策の運営につきましては内外経済動向とかあるいは国際通貨情勢等総合的に勘案して、適切かつ機動的に対処していく必要があると考えているところでございますが、なお、前回あるいは今回の引き下げの措置が今後経済全般へどういう影響を与えていくか、それを十分見守っていく必要があると考えているところでございます。
#19
○竹田四郎君 それじゃ、ベーカーさんとの約束というのはさらに遠い先のお約束だったということなんですか、竹下さんの、大蔵大臣の話は。その辺はどうなんですか。
#20
○説明員(杉井孝君) アメリカとの間では、インフレがおさまり利下げの環境が熟しているというロンドンでのG5のときの認識は今も変わらないと、そういう点で共通の認識であったというふうに聞いておる次第でございます。いずれにいたしましても、今後とも金融政策の弾力的、機動的運営というのを図っていく必要があると考えておりますが、金利引き下げそのものにつきましてはおのおのの中央銀行が判断する事柄でございますので、言及は差し控えさせていただきたいと思います。
#21
○竹田四郎君 どうも大蔵省は我々が聞くと、それは日銀の専管事項だと、こう。おっしゃっていて、ほかでは下げるべきだとかなんとかということを平気でおっしゃるわけで、その点は私はどうも議会軽視のそしりを免れないと思うんですがね。そういうことであれば、竹下さんはベーカーさんとああいう話をする必要はないと思うんです。それは日銀の総裁に任すべきであると私は思うんですが、大蔵大臣いませんから仕方がありませんけれども。
 そこで、副総裁、最近の株、債券の値上がり、土地の値上がり、これは一体どういうわけなんですかね。片っ方、中小企業では、大体最近のそれぞれの報告を見ておりますと、資金繰りの窮屈感が強まった、こういう報告が大抵出ているんですね。国金にしても中小企業金融公庫の報告を見ても、あるいはその他の報告を見ても、皆ほとんど中小企業の方では金詰まりという感じがするんですが、片っ方では、ぼんぼん――この間も不動産の業者の話を聞きますと、倍々ゲームだそうですね、今。東京都内の土地の値段というのは一年で倍になっていく。倍々ゲームだそうですね。こういうことというのは、私どもよくわからないんですが、どうも過剰流動性を日銀が認めている、こういうことに相なるわけじゃ。ないんでしょうかね。
#22
○参考人(三重野康君) マネーサプライの動きは、今、先生御指摘のとおり、やや高目に推移しているというふうに私ども思います。M2プラスCDの平残の前年比は、現在のところ約九%、これは名目成長率が五、六%でございますから、それに比較してやや高目の推移をしているというふうに思います。そういった、やや高目のマネーサプライを背景にして、これまた先生御指摘のように、株価とか東京都内の商業地の値上がりというのは、もちろん中央銀行としては気持ちのいいものではないことも事実ではございます。ただ、しかしながらこのマネーサプライの九%という中には、いわゆる大口定期預金の自由化とか、そういったものに伴うほかのところからのシフトという一時的な要因も若干入っておりますし、それに、何よりも物価全体の動きというのは、石油価格あるいは国際商品市況の低落、円高、そういうもので極めて安定した、これはもう卸売物価も消費者物価も極めて安定した推移をたどっておりますし、これからもそのような推移をたどるものというふうに判断しておりますので、このマネーサプライの動きが、流動性が既に過剰になったとか、あるいは警戒水域に入ったとか、そういうふうには判断はいたしておりません。しかしながら、やはり今後とも引き続き注意深くこのマネーサプライの動きは見守ってまいりたい、こういうふうに考えております。
#23
○竹田四郎君 私は、少なくとも今マネーサプライが九%というのは高過ぎると思うんです。大体経済成長率プラス二%ぐらいというのが私は普通の形のマネーサプライだと思うんです。
 このマネーサプライだって、上がったのは去年の十一月ごろですね。その前は八%あるいは七%ぐらいだったと思うんですよ。これ、なぜ九%になったかということを考えてみますと、私はあのときに、十月の二十何日ですか、日銀が短期金利の高目誘導というのをやりましたね。これは私は、非常に地元の銀行から怒られました。なぜあんなことを日銀がするんだといって大変な抗議が一私のところに来ました。高目誘導をやったために、企業も非常にお金の借り出しを焦った、こういうものがここに勢いを私はつけたんだろうと思うんです。そういう意味では、私はあの高目誘導という日銀の政策のやり方は誤りであったと言っていいと思うんです。非常に外の円・ドルとの関係に引っ張られてやった仕事であって、国内の金融政策としては私は誤りではなかったか、こう思いますが、日銀ではそれについて何らかの反省はないわけですか。
#24
○参考人(三重野康君) 今、先生が御指摘になりましたいわゆる高目誘導、私どもは高周放置と申しておりますが、どちらでもいいわけでございますが、十月の下旬から十二月の半ばまで――これはなぜそういった施策をとったかということを申しますと、あの当時、九月から十月にかけまして、債券市況が非常に暴騰し、長期金利が非常に下がってきた。これはなぜかと申しますと、公定歩合も含めまして金利が下がる、したがって、今のうちに債券を買っておけということでございまして、非常にオーバーヒートをして、主要銘柄につきましては一日一回転という、そういう過熱状態に陥ったわけであります。そういった債券市況の過熱というのは、私どもから見て二つ問題点がございます。
 一つは、そういう過度の騰貴は必ず裏が出る。裏が出た場合に、金融機関並びに証券会社に不測の損失を与えるということが一つございます。
 それから二つ目は、これはより重要というふうに私どもは考えたわけでありますが、その当時、ニューヨークG5の後を受けまして、円を円高に持っていこうとしていたわけでありますが、その債券市況の暴騰、長期金利の低下ということによりまして、内外の金利差が、当時四%からせっかく少しずつ収縮しているのが五%以上に広がったわけであります。これは、円を高くするのには逆の方向へ行くわけでありまして、日銀総裁がたびたび警告を発しましたけれども、なかなかマーケットが言うことを聞いていただけませんので、そこで、インターバンクその他の市場の金利を上げることによって、すぐには公定歩合が下がらないよということを示したわけであります。したがって、その結果として、長期金利は下がり、レートは上がることによって金利差が適当なところに落ちつき、かつ円レートも、当時二百十円台が二百円の方に向かっていったということでございまして、あの当時、私どもの金融政策の一番の目的は、円レートをもう少し強くしたいということに置いておりましたので、その線に沿っての施策でございましたので、私どもとしてはあれでよかったんではないかというふうに考えております。
 それから、そういったことによって非常にマネーサプライがふえた九ではないかという先生の御指摘は、それはそういうことに、事実そうなりました。と申しますのは、インターバンクその他のレートを上げることによって債券市況が戻ってきたわけです。金利が高くなってきたわけです。その結果、金融債の金利も上がったわけです。したがって、長期プライムレートが十二月から上がることになったわけです。そうしますと、今のうちに安い長期プライムレートで借りておけということで、十一月に、主としてこれは長期信用銀行でございますけれども、企業が非常な借り急ぎ、銀行の貸し急ぎが生じまして、その結果、たしかあの当時はマネーサプライが一時九・三%に上がったのは御指摘のとおりだと思います。しかしながらその後、それは次第に落ちついてまいりまして、現在は九%、年が明けてからは、もう少しまたさらに下がるんではないかというふうに考えております。
 そういうわけでございまして、当時の高目誘導というのは、そういう趣旨でとられましたので、確かに一部の銀行には御迷惑をかけたかもしれませんが、全体としての政策としてはあれでよかったんではないかと私どもは考えているわけでございます。
#25
○竹田四郎君 それはまた今後のことになると思うわけでありますけれども、ひとつこれは大臣にお願いをしておきたいんですが、そういう形で、片っ方ではあなた方は盛んに住宅をつくれ、何々をやれと、こう言っているんですが、基本になるものは、私はある意味では土地だと思うんです。その土地が今のように上がっていく、しかも、これはマネーゲームで上がっているわけですよね。本当にそこに実需があって上がっているわけじゃないと私は思うんです。マネーゲームで上がっている。日銀がマネーサプライやって余った金があるから、そこで、最近のはやり言葉で言えば財テクですね、財テクでやっているわけでありますから、この辺は何らか措置をしなければ、総合経済対策を幾らこの中に、住宅をたくさん建てろ、再開発をどうしろ、こういうふうなことを盛んに述べても私は届かなくなっちゃうと思うんです。ですから、ここに書いてあることとやっていることとは、どうも非常にちぐはぐなことを平気でやっている、こういうふうにしか私は思えないんですが、どうなんですか。これは大臣にお答えいただきたいと思うんです。
#26
○国務大臣(平泉渉君) 今お話しのような点は、我が自民党の中でも非常に議論がたくさんされておりまして、実はこの総合経済対策を審議する中でも、与党の幹部の方からもそういう話がございました。そういうことを十分私ども考慮に入れまして、この「金融政策の機動的運営」というところの最後のところに「過度に投機的な取引が助長されないよう」にしなきゃならぬと、こういうことを言っておりますが、こういうことが現実に行政の面の各般に浸透いたしますよう、関係各省庁にもよろしくこの点は督励をしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#27
○竹田四郎君 それから、これは先に日銀さんにお聞きしておきたいんですが、去年のG5からの協調介入あるいは協調の利下げということですね。このことは、私は管理されたフローティングだと、こういうようにもう見た方がいいんじゃないかと思うんですね。今度もいろいろな、何ですか、サーベーランスの指標をつくって監督をし合うと、こういうようなことでありますし、そういう意味では完全なフローティングではない、管理されたフローティングだと、こういうような段階にもう入ってきたと、こういうふうに私は考えているわけですね。
 で、アメリカ自体も最近はどうも完全な自由なフローティングということについては、やっぱり若干それが正しかったかどうかということに対する反省が幾らか出ているようでありますし、この間のG5でもフランスは何か出ておられなかったようでありますから、余りこれは協調されなかったわけでありますけれども、フランスは御承知のようにターゲットゾーンというものをもう考えていると、こういうことになりますと、どうも今の国際通貨というものは、今はなるほどフローティングでありますけれども、管理されたフローティングから、やがて管理された通貨制度というところへ行く方向というふうに私は考えるんですが、それはそういう方向は全然外れていますか、どうですか。
#28
○参考人(三重野康君) 先生が御指摘のとおり、いわゆるフロート制というのは非常な難点がございます。一番大きな難点は、先進国はほとんど為替管理を撤廃しておりますから、資本の流れが、もう自由自在に動き回ると。したがって、それがいわゆる経済のファンダメンタルがレートにあらわれるのを非常に邪魔をするという難点があるかと思います。したがいまして、これにかわる何かもっといい制度はないかということは我々も世界じゅうもみんな考えているわけでございまして、特にIMFの中でずっとこの数年来、それについての審議が行われておりますが、残念なことにただいわゆる制度としての新しい、フロート制にかわる新しい制度というのはなかなか見つけにくいというのが現実であります。
 しかしながら、これまた先生が御指摘になったように、昨年の九月以来、G5でいわゆの協調介入をやることによりまして、ある程度レートをほかの通貨の強い方へ持っていくことができたわけです。その結果として、私どもは時と場合によってはそういったことが、協調介入というようなことが極めて有効であるということを立証したというふうに思っております。したがって、これがいわゆるフロート制の運営をするに当たって何らかのプラスになることは事実でございますが、こういったことが即フランスの言うようなターゲット制度に行くかどうかについては、なかなかやっぱり問題が多いような気がいたします。
 やはり、あれも時と場合によっていつも有効とは限らないわけでありまして、私どもは結局、大変言い古されている、古いことではありますけれども、為替の安定というのは、結局はそれぞれの国がインフレなき安定成長ということを目指して政策をとり、良好な経済のパフォーマンスを維持することが結局は為替につながると、そういう建前にもう一度戻っているわけでございますが、しかしいずれにしろ、先生が御指摘なすった昨年の九月以来の一つの成果というものを今後もうまく何か利用して、変動相場制をなるべく弊害少なく運営していきたいというのが、各国共通の願いであろうというふうに思います。
#29
○竹田四郎君 日銀さん、ありがとうございました。もうよろしゅうございますので、お引き取りいただきたいと思います。
 大臣、せっかくこれをおつくりいただいたわけですが、これ見ていると、結局円高差益を国民に一部還元するよと、そういうことだけですね、これは。私はそんなふうにしか感じられないんですね。「金融政策の機動的運営」と言っても別にこれから景気拡大のために何をするというものでもありませんし、公共事業の施行促進と言っても前倒しを少しするだけでありますわね。後はほとんどこれは円高の還元。局長ね、この中で書いてあるのは、今円高差益というのは大体十兆ぐらい出ていると、こう言われておりますね心あるいはそれ以上出ているのかもしれませんけれども。この政策によって円高差益というのはどのぐらい返ってくるんですか、国民に。
#30
○政府委員(赤羽隆夫君) 円高の差益がどれぐらいあるのか。ただいま十兆円ということを仰せになりましたけれども、これは円高によりまして輸入代金の支払いがその程度の節約になるだろう、その数字が十兆円程度だろうと思います。他方、輸出収入、これは円高によって減るわけでありますから、輸出収入の減少ということを差し引かなければいけないと思います。大体円が高くなりますと輸入物価が下がる。これはほぼ円高に見合って下がる。これが大体十兆円の効果を持ってしょう。他方、輸出物価が円高に相当するだけ下がってしまいますと大変に輸出業者の打撃が大きいものですから、輸出業者におかれましては大変苦しい折衝なさるわけでありますけれども、結果として見ますと大体一年目で半分ぐらいはドル建ての輸出価格を引き上げる。それによりまして輸出収入の目減りというのを半分ぐらいにとどめる、こういうふうに考えられます。そういう前提で計算をいたしますと大体六兆五千億円ぐらい輸出収入の目減りがある、他方で十兆円の輸入代金の支払い節約があるわけですから、差し引き三兆五千億円ぐらいというのが常識的なところではないかと私ども考えております。このうちの電気・ガスで大体一兆円と言っておりますけれども、これは料金の引き下げという形で及んでいるわけであります。それ以外に設備投資の追加、これによりまして停電が少なくなるとか、あるいは都市の景観がよくなるとか、地中化によりまして、そういう形でのサービスの還元、これがあるわけであります。これ以外のものにつきましては市場メカニズムを通じて消費者物価が下がる、こういう形で最終的な需要家に還元される。この最終的な需要家という場合には当然消費者がその大きな部分を占めておりますけれども、政府例えば公共事業の実質的な、政府資金、予算の実質的な使いでがふえる。それによって公共投資の実質投資額がふえる。こういう形でも還元される。国民全体に対する還元というのは当然この三兆五千億円全額が還元される、こういうふうに理解すべきだと思っております。この中で公共料金のようなもの、あるいは公益事業の設備投資の増加、これが総合対策の中で数字として挙がっているものと、こう理解になるのではないかと考えております。
#31
○竹田四郎君 あなたそう言ったって、最近の小売物価見たって、ちっとも下がってないですね。卸売物価はなるほど下がっています。小売物価は下がっておりませんよ。最近の新聞記事なんか読んでも消費指数はここ二カ月間連続減少だと。一月は前年に比べて一%、十二月は一・七%。消費性向などもずっと落ちているわけですね。国民がGNPの中で一番多く占めるところには少しも金は行ってないということですよね。それで果たして景気が、内需が拡大などということが一体言えるかどうか。どこかへたまってしまって下には行かないわけですよね。こういう状態を解決していくことこそが内需の拡大につながっていくことじゃないですか。それこそが円高差益を国民に返すということじゃないですか。今それさっぱりいってないじゃないですか。大変立派なことを書いてあるんだけれども、これからまあ電気料金とガス料金は下がるでしょうけれども、具体的にほかのものはどれだけ下がっていくという目安はないじゃないですか。おたくの方で計算したCPIは今後一年すると〇・九%ぐらい下がると、こう書いてあるんですけれども、今までのところは現実に下がってない。もう円高差益が出てからかなりになるわけです。半年にはなるわけです。どこかに出てきていいはずだと思うんですが、出てきていないというのはどういうわけですか。
#32
○政府委員(赤羽隆夫君) 先生、今消費者物価に反映されてないというふうに仰せられましたけれども、三月の東京都区部の消費者物価というのは一年前に比べまして一・一%、例えば消費者物価でありますけれども、六十年は二%、で、それが一・一%とこういうことでございますから、上昇率はかなり顕著に落ちてきていると、こういうふうに思います。それから、輸入価格の低落というものが最終消費価格に及ぶには若干の時間がかかると、こういうことはやむを得ないことだと考えております。で、昭和五十五年の四月にそれまでの円安が円高に転換をいたしました。で、このときの経験などを分析をいたしますと、円高の効果というのが最終的に消費者段階までフルにあらわれるには大体三、四半期ないし一年近くの時間がかかると、こういう経験がございます。したがいまして、円高のメリットというのはこれから出ていくと、こういうことだと思います。ただ、これまで公共料金のようなものにつきましては、これは公共料金の引き下げ、こういう手続がありませんと値下がりはいたしません。で、そうした手続を今回の措置によって決めて、六月から電気料金、ガス料金の値下げをしようと、こういうことでございます。こうした電気料金、ガス料金の引き下げ、制度的な引き下げ、こういうものは市場メカニズムで決まります一般消費財、これの値下げをさらに促進するものと、こういうふうに理解をしております。若干時間がかかることはどうしても避けられないわけでありますけれども、もう現にかなり消費者物価については上昇率が顕著に低下をしてきている。それからさらに、この六月に行われます電気、ガスの値下げなどがさらにこの促進剤になるだろうと、こういうふうに理解をしております。したがいまして、ことしの後半ぐらいになりますと消費者物価の上昇率は一段と安定度が増すものと、こういうふうに見ているわけであります。
#33
○竹田四郎君 赤羽局長ね、もうあなたの性格か知らないけれども、非常に気の長いお話に私は思えるんですよ。私がかつて勤めていた造船の仲間は、ことしは一体どうなんでしょうか、みずから賃上げやめたんですよ。片っ方にはそんな犠牲を払っている人たちがいるんですよ。あるいは中小企業で倒産しているのがいるんですよ。私は、もう少し早くこういうのをやっていただきたいと思うんですね。一年たったら下がるでしょう、三、四半期だったら下がるでしょうと、こういうようなのんびりしたことでは――円高で困っている人たち、苦しんでいる人たち、その人たちのことをもう少し考えて、もう少しスピーディーにそういうものが下へ行くようにやっていただかなくちゃいけないと思うんですよ。外国品を買いましょうといって中曽根さんがポスターを全国に張り回すのも結構ですけれども、ちっとも下がってない。こういう点が私はもっと企画庁としてはやっていただきたいと思いますね。これは電力料金だけですよ。どうしてパンなんかもっと下がらないんですか。小麦なんかもっと安くして私はいいと思うんですね。それから飼料なんかももっと安くしていいと思うんですよ。あるいは日本人と豆というのは非常に食生活には私は関係があると思うんですが、私も毎朝豆腐を食っていますが、豆腐そう安くなっていませんよ。もっと安くなっていいはずだと私は思うんですよ。こういうことをしないで内需を拡大しようといったって、一丁食べる豆腐を二丁食べるわけにはいかねですよ、安くしてくれなければ。その辺は一体どうなっているんですか。もうこれだって半年以上たっているわけですよ。相当小麦だって豆だって私は入ってきていると思うよ。その辺はどうなっているんですか。
#34
○政府委員(赤羽隆夫君) 気が長いといっておしかりを受けましたけれども、現にかなりその効果は既に統計にもあらわれているということを申し上げたわけであります。これがさらに一段と上昇率は低下をするだろう、一段と安定をするということを申し上げたわけでありまして、夏まで待たなければ全然その効果はあらわれないというつもりでお答えをしたわけではございません。
 それから、パンの値段が下がらないということがございましたけれども、これはもう先生十分御承知のような制度的な問題がございます。まあ食省制度でございますけれども。それで、パンの業者、製パン業者の原材料であります小麦の値段が下がらないと、こういう問題があろうかと思っております。で、全体にそういうふうな制度的な問題を持っておりますもの以外のものは、これは当然コストが下がれば、そのコストが下がったのに応じまして下がると、こういうふうに考えます。もちろん別のコストの上昇要因もございますから、なかなか生産性向上のスピードの遅い品物あるいはサービスなどにつきましては現実に値下がりということは起こらないこともありますけれども、その場合でも値上がりをしない、こういう形で物価の安定に寄与すると、こういうふうに理解をしているわけでございます。
#35
○竹田四郎君 私がちょっといろいろ問題出したそういう点では、それぞれの役所はどういうふうな。対応をしていますか、ちょっと答えてください。ただ、今のようなやがて数字が下がるでしょう、顕著になってくるでしょうじゃ、これは片っ方で円高でいじめられている国民はたまったものじゃないですよ、率直に言って。具体的にこれはこのくらいにしますと、まあ、小麦のこともあると思うんです上ね、食管制度のこともあるんでしょうけれども、やっぱり安くなったということを国民に見せる必要が私はあると思うんですよ。
#36
○説明員(川合淳二君) お尋ねでございますが、まず小麦でございますが、これは先生御承知のように、政府の売り渡し価格は、国内産麦と輸入麦のコストの価格、あるいは消費者米価との関係、その他経済事情を総合的に勘案して決めるということになっておりまして、為替レートの変動等によりまして、輸入小麦の価格変動が直ちに政府の売り渡し価格に反映するという仕組みにはなっておりません。むしろ海外の価格変動などを遮断して消費者価格への安定を図るという観点に立って決定されております。例えば昭和四十七年に国際相場が高騰したときにも直ちには引き上げを行わず、三年間にわたりまして約二千五百億円の財政負担をしながら国内価格の安定を図ったというようなことをしております。
 先ほどちょっと食パンの話などが出ましたが、六十一年度の為替の差益を政府の売り渡し価格を通じてもし消費者に還元するというようにした場合でございますが、麦製品の価格に及ぼす影響は、例えば食パンでございますと一斤につき一円七十銭、あるいはゆでめんで計算いたしますと六十銭というような程度でございます。これを、実態といたしまして百万を超える企業とか商店あるいは飲食店等から成ります流通段階を通じまして確実に消費者に還元させるということは極めて難しいというふうに考えております。したがいまして、六十一年度の為替差益が発生した場合には、食糧管理のために既に多額の財政負担を行っているわけでございますので、従来と同様に食管の特別会計への一般会計の補てんが軽減されるということによりまして、間接的ではありますが納税者の負担が軽減されるという形で還元を行うことが適当ではないかというふうに考えている次第でございます。
 それから、牛肉につきましては、先ほど総合経済対策の中で御説明があった形で還元をするということをやっておるわけでございます。
 それから、えさ価格についてお話がございましたが、これにつきましては、原則として六カ月ごとに価格設定を行っておりまして、為替レートあるいは国際価格というものが適正な価格形成に反映できますように関係のところを指導を行ってきておるところでございます。実際には最近の価格は、一昨年の七月以降連続五回にわたりまして値下げが行われておりまして、約二〇%下がっているという現状にあります。
 それから、大豆につきましては、これは御承知のように民間の取扱物資でありますので、還元問題につきましては、原則的には市場における自由な競争を通じて価格が形成されるということでございます。
 農水省といたしましても、今後の価格動向を十分注視いたしまして、必要に応じまして実情を聞くなどの措置をとってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
 以上でございます。
#37
○竹田四郎君 結局は下がらぬということですな、一言で言えば、庶民の言葉で言えば下がらぬじゃないかと、私はこういうことだと思うんですよね。片方で賃金がかなり上がっているという状態ならそれもいいでしょう。そして外国からは盛んに内需拡大をしろ、内需拡大をしろといったって内需の拡大のしようがないじゃないですか。電力・ガスの円高差益の一部分をやるといったってこれ大したことじゃないですわな、設備投資へ向けるといったって。それが大きく内需拡大して、外国からもなるほど日本は物をたくさん買ってくれるようになったと、貿易黒字も減少していくんだというような確信を与えるようなもの何一つないじゃないですか。これじゃ、とてもじゃないですが、サミットでまた突き上げられるということにどうもなりそうな感じがしてしようがないんですがね。この辺は、大臣ね、ドルが高くて円安になったときは物すぐ上がるんですよ、何だって。今度は逆になったとか説明受けたって何が下がるのかさっぱりわからぬと、これじゃ国民納得しませんよ。片方じゃそれで非常に苦しんでいる人が非常に多いんですから。そして片方ではマネーゲームで株でもうけ、土地でもうけている人がごろごろいると。これじゃ、とても内需拡大をしろと言って国民に協力を求めても私は無理だと思うんですがね。その辺はもう少し、企画庁は実際の実動部隊を持っている役所じゃないですけれども、その辺は平泉さんの例のどすのきいた意見でもう少しリードをすべきじゃないですか、と私は思うんですがね、どうですか。
#38
○国務大臣(平泉渉君) 大分厳しい御意見を賜ったわけでございますが、確かにいわゆる食料品、農産物につきましては、自民党のみならず社会党の皆さんも含めまして、我が国の農林政策というものが形成されております中で、なかなか輸入価格が直ちに反映しないというシステムになっていることはもう先生大変よく御存じのとおりでございます。しかし、その問題を除きますと、この問題につきましてはもちろんできる限り、いわゆる食管とか牛肉のような特別な法律による制度がございますものを除きますと、努めてそういうものが価格に反映される。殊に今度、今回の総合経済対策の末尾に表がございますが、「輸入消費財価格動向等調査対象品目」というので三十七品目にわたって完全に追跡調査をいたすと、それはちょっと読み上げますと「マグロ サケ タコ エピ 食肉加工品」云々と、こうあるわけです。そういうものにつきましては、それは食料品でも十分に調査をいたすということを今度お約束をいたしておるわけでございます。
 また、先ほど調整局長から輸出と輸入のそれぞれの円高差益による我が国におけるポテンシャルな可能性としてのGNPがふえるであろうというこの部分が説明がされたわけでございますが、これは私は、もうあらゆる政策手段を動員してこの部分の実質的にGNPがふえるような状況に持っていく、こういうことが極めて重要であると考えておるわけでございまして、何もないじゃないかとおっしゃいますが、私は必ずこのメリットがあらわれてくると、私ども繰り返し国会で実質四%の経済成長は可能であると申し上げておるわけでございますが、これはもちろん何もしなくて出てくる、こういうわけじゃございませんので、経済政策のすべての手段を動員し、各省庁が本当に努力をしてこういう円高のメリットを十分に発揮しなければこれはできないことである、かように思っておるわけでございますので、御理解のほどをお願いを申し上げる次第でございます。
#39
○竹田四郎君 大臣、ひとつ、前川さんがやっている前川委員会の経構研の報告書というのが出ているわけでありますけれども、まあ、この内容はこれから細かく各省でやっていかれると思うんですが、私はこれ読んで、非常に国際協調のためのということでありますから、ある意味では当然だろうと思うんですけれども、かなり大胆なことが書いてあるわけですね。例えば、農産物などもある程度日本を犠牲にしてほかから買ったらいいじゃないか、こういう意見もありますし、あるいは生産費で日本が高いというようなものはもうどんどんほかへ移したらいいじゃないか、こういうようなことをかなり大胆に提言しているんですが、しかも、それには前川さん自体、相当内部ではできにくいから外力によってこれをやっていかなければとてもできないだろう、こういうようなことを書いてありますけれども、この辺は一体どうなんでしょうか、どんなふうなお考えですか。
#40
○国務大臣(平泉渉君) まだこの報告書を政府といたしまして受けとめた直後の段階でございますので、どこで私が立ち入った政府としての感触を申し上げるというのはいささか早過ぎるわけでございます。
 ただ、先般、御承知のとおり、このことを、この報告を受けとめました経済対策閣僚会議では、中曽根総理大臣みずから、これは中学生がエベレストに登るほど難しい事業であるが、何としてもこれを実施しなきゃならぬ、こういう発言をされたわけでございますし、また、引き続きました閣議の席でも再度総理は言及をされまして、何としてもこれは日本の命運にかかわる問題であるから、今回の我が国の経済構造の改変ということにつきましては各省庁全力を挙げて協力してもらいたい、こういう御発言もありました。私ども、これは自民党・政府ということだけでなしに、これは本当に国会の皆さま全体の御協力をいただきまして、このまさに我が国の運命のかかわる重要な問題であるということで、これを時間的にどの程度の時間でこれが可能であるか、すぐできるものもあるかもしれません。また、大変時間のかかるものもあるかもしれませんが、いずれにせよそんな時間はないと思うんですね。そういう意味におきまして、私どもは相当の決意を持ってこの報告書の趣旨というものを実現する方途を考えていかなきゃならぬ、かように今のところ考えておる次第でございます。
#41
○竹田四郎君 大蔵省に聞くんですが、これも随分大胆なことが書いてあるわけですね。「上記の原則に照らし、貯蓄優遇税制については、非課税貯蓄制度の廃止を含め、」、こう書いてあるんですが、これは大蔵省はどういうふうにお考えですか、この点は。
#42
○説明員(塩田薫範君) 先生御指摘の非課税貯蓄の問題でございますけれども、御承知のように、現在、税御調査会におきまして税制の全般的な見直し作業を行っていただいているところでございますが、利子配当所得の課税のあり方につきましても、こういった所得の持つ特異性あるいは金融の国際化、自由化の進展、そういったさまざまな事情を配慮しつつ、幅広い角度から検討がこれから進めていただけるものというふうに考えております。私どもとしては、その検討結果を踏まえて適切に対処していきたいというふうに考えております。
#43
○竹田四郎君 一つ一つこれ取り上げて聞いたところてしょうがないと思いますけれども、こういう総合経済対策あるいはこの前川報告、こういうもので果たして日本の貿易黒字ですね、こういうものは解消していって均衡がとれるという、そういう見通しというのはあるんですか。これは私は、恐らくこういうことをなさっても、結局は日本の貿易黒字というのはなくならない、こういうふうに思いますけれども、これは赤羽さん、どのくらいのタームを置けば大体均衡できるという計算でこういうものをおつくりになっているんですか。
#44
○政府委員(赤羽隆夫君) 私、この作業を下請したわけじゃないものですから、私にこの報告書につきましての解説と言われましても困るわけでありますけれども、日本経済といたしまして五百億ドルを超えるような黒字というものは、これは世界経済の中で続けていくわけにいかない、したがって、これを減らす方向であらゆる努力を払っていく、こういうことで努力をしなければいけないという認識は非常に正しい認識だと考えておるところであります。
#45
○竹田四郎君 確かにあなたはこれを一つ一つ下請してやっているわけじゃないんですけれども、経済企画庁としてはそういう全体の経済の均衡ある発展を考えていく役所でしょう。実行は別としても、企画的にはやっていく役所が経済企画庁だと思うんですね。ですから、やはりあなたの方は、例えば今、貿易の黒字減らしをやっていくにはこういうようなことをしたらどうか、ああいうことをしたらどうかという、発表するしないは別としても、常に考えていらっしゃる役所だろうと私は思うんですね。ですから、私がつくったんでないからわかりませんと言われると、これは私どもの方でもって聞く場所ないわけですよね。ですから、余りそういうお答えの仕方をなさらないで、もう少し懇切にひとつお答えをいただきたいと私は思うんです。率直に言って日本の貿易黒字というのはなくならないだろう、かなり高い額というものを常に持っていくだろうと私も思うんですよ。そんな均衡するなんということは恐らくないだろうな、こう思いますよ。
 そこで、ずっとこの貿易摩擦というのを見ておりますと、やっぱり先進国の間の貿易摩擦というのが一番際立って出ているわけですね。日米、それから日本とEC、ここが一番強く私は出ていると思うんですよ。日本として、やっぱり私はもっと日本のマーケットというのを広く、深くしていく国際経済政策というものをこれからとっていかなくちゃいかぬ、貿易などもそういうことをしていかなくちゃいかぬだろうと思いますね。ですから、せっかく経済協力をたくさんやっても、マルコスやイメルダの財産になっちゃうんじゃこれは困るんですね。実際そこの経済が力がついて、日本との貿易が友好的に進んでいくような対応というものが、私はこれは必要だと思うんですよ。
 そこで、どうなんですか、もう少し日本政府として日本の市場をもっと広げていく、深くつくっていくという、そういう考え方というものをお持ちになる必要はないんでしょうか。それはきょうあすつくれということじゃございませんよ。ある相当なタームというものを見て、そして、その間にやはり日本の市場を広げる、これが必要だと思うんですね。それでないと今のようなけんかばかりやっているようなことに、国際的な経済関係に私はなってしまうんじゃないかと思うんです。そういう意味でも、私は、例えば開発途上国などをもう少し面倒を見て、そして個々の経済力を高めていくことにもっと積極的に私はなるべきだと考えますね。
 それからあるいは、自民党政府さんは大変お嫌いかもしれませんけれども、やっぱり東西の壁などというものをもっと取っ払う努力をなさっていく。今の自由貿易体制の枠をもっと広げていく。ココムなどというようなものに縛られて大変日本の国はいるわけでありますけれども、これは日本みずからを縛っていることになっているわけですね。場合によれば、アメリカによって日米の貿易戦争にこれが使われているというようなこともあるわけですね、光ファイバーのことなどはまさにそういうことであったと私は思いますけれども。そういう意味で、もう少し日本の貿易構造を変えていく、市場構造を変えていくという付近のことはお考えにならないんですか。これは大臣か局長のお答えをいただきたいですな。
#46
○政府委員(赤羽隆夫君) 経済摩擦の解消、これに向けまして政府が従来努力をしてきておりますのは幾つかの柱があると思います。
 五つぐらいすぐに思い浮かぶわけでございますけれども、まず第一は日本の市場開放ということでございます。これにつきましては、昨年アクションプログラム・市場アクセス改善のためのアクションプログラムというのを策定をいたしました。それを現在、着実にかつできるだけ前倒しで実行する、この努力を続けているところでございます。これが第一の柱。
 第二番目の柱、今は円高になりまして、円高のデメリット、こういうことで国内的には問題を起こしているわけでありますけれども、昨年の秋口ぐらいまでで申しますと、やはりドルが高過ぎる、円が安い、それぞれ競争力、経済の実力を反映しない過大なドル、それから割安な円、こういうことがございました。そのために日本に対する外国製品の輸入が困難になっていた、こういうことでございまして、円・ドル為替レートの調整、これが必要であると言われておりましたけれども、これは済んでいるということだと思います。
 それから三番目の柱といたしましては、国内のマーケット、日本の国内市場を広くする。第一の柱、それから第二の柱というものが日本市場へのアクセスを改善するわけですけれども、日本の市場自体、国内市場自体を大きくするということで内需拡大の努力というのが続けられている。これが三番目の柱でございます。
 それから四番目の柱と申しますのは、一、二、三に比べますとやや細いけれども、やはり重要な柱でございまして、外国のビジネスマンが、せっかく開かれ、かつ内需拡大ということでマーケットを大きくする努力をしております日本市場、これに売り込むための努力をしてもらわなければ困る。日本人の趣味に合った、そういう製品をつくって売り込みの努力をしてもらわなければ困る。これが四番目であります。この点につきましては、その必要性というのを訴えているということです。
 それから五番目の柱、これは日本の消費性向と申しますか、輸入品に対する消費性向、つまり輸入性向を高める必要がある。こういうことで、消費者あるいは企業に対しまして、できるだけ輸入品、これが国民の選択の余地を広げるんだ、そういう点から見て、輸入性向を高めるような、そういうお願いと申しますか、消費者啓発と申しますか、企業に対する指導と申しますか、そういうことをやってきているということでございます。日本に対しますところの外国の品物を入れる、こういうこととしては、今申し上げました五つの柱があって、政策をやってきているわけでありますけれども、これに加えまして、先生も御指摘の経済協力、こういったような点で、発展途上国に対して援助をする。その中には技術協力なども入っているわけでありますから、それによって発展途上国が日本市場に対して売り込む、日本市場にふさわしい、売れるような商品等を生産するためのお手伝いもしている、こういうことだと思います。
 ココムの問題などを御指摘になりましたけれども、これはむしろ経済問題ではないというふうに私ども理解をしておりますので、これにつきましては私からお答えしにくい点であると考えますので、お許しを願いたいと思います。
#47
○竹田四郎君 もう時間がないからあれですけれども、四つほどあなた、柱を言われたんですけれども、そういうことを踏まえた上で私は次の問題を出したわけですから、そういうことがうまくいけば、内需拡大で貿易摩擦はなくなっているわけでありますし、またなくなるという確信を私どもが持つことができると思うのですが、そういうことができないからいろいろなことを私申し上げているわけですから御承知おきをいただきたいと、こう思います。
 そこで、大臣ね、私は緊急避難措置的なものとして、余り黒字がふえるということになれば、やっぱり輸出課徴金制度というような緊急避難的な措置というものを発動、常に発動するというわけじゃありませんけれども、あみ時期は考えなくちゃいけないんじゃないか、そういう緊急措置をとっておく、こういうようなこともやっぱりしておかなければいけないんじゃないかというのが私の考え方です。これ何回か私もそういうことは申し上げているわけでありますけれども、非常にさらに貿易黒字がふえるというようなことならば一定時期だけそれを適用するということがあってもいいじゃないか、幾ら自由貿易だったって必ずしも自由貿易じゃないわけでありますから、そういうふうにされたらいかがかという案を、提案を一つ申し上げます。
 それから、もう一つは中曽根さんは円高差益でまるで減税をやったと局じような効果があるということを盛んにおっしゃっているんですが、私はほとんどないだろうと思います。まあ、ゼロとは思いませんけれども、経企庁でもおっしゃっているので〇・四%か〇・五%ぐらいのアップにはなるとおっしゃっているんですが、そこまでいくかどうかわかりませんけれども、そういう数字を出されておりますから、若干はふえるだろうと思いますけれども。それから、公共事業の前倒しもいいんですけれども、これはもう御承知のように契約だけは前倒ししたって仕事は進んでいかないんですよね。後の補正予算というものが保証されてなければ進んでいかないと私は思うのですが、これは大臣にお聞きしたいんですが、竹下さんも予算を審議中に補正などということは口にするわけにはいきませんと、こういうことをことしは特におっしゃっておられたわけなんですけれども、予算も無事に四日の日に上がったわけですから、もうそういう拘束はないと思うのですが、その辺では補正予算というものを考えてもいいではないか、かなり早期に考えてもいいではないかと思うのですけれども、これは長官はどんなふうなお考えですか。その二点をひとつ質問して終わりたいと思います。
#48
○国務大臣(平泉渉君) 輸出課徴金という問題は前から各方面でいろいろ議論されておる問題でございますが、これはなかなか国際的にもいろいろな議論を呼ぶ御提案でもございますので、今後とも私どもは今回の為替調整というものが、私は我が国の輸出貿易状況に対しては相当の効果が出てまいる、また逆に言えば、だからこそ国内的には相当のデフレの問題があるというふうに見ておるわけでございますが、いずれにせよ問題の推移は十分注意をしていかなければならぬ問題でございますので、問題の推移を見ながら先生の御提案なども十分参考にさしていただきたいと思うわけでございます。
 それから、補正予算云々の問題、これは大蔵大臣の管轄のことでございますから、私がここでちょっと申し上げるのはいささかどうかと思うわけでございますが、私どもいずれにしましても今回の総合経済対策などを通じまして景気の維持、拡大というものに対してはできる限りの努力を図っていかなきゃならぬ、もちろん財政の問題というものも非常に今財政困難な状況でございますので、非常に私どもとしては財政面については十分なことが必ずしもできかねておるということは先生よく御存じのとおりでございますが、そういう中で、私どもとしてはできる限りのやはり努力をしなきゃならぬという気持ちは政府としては持っておるわけでございまして、まだ新年度に入うて間もなくのことでございますので、今後の景気の推移というものはできる限りよく慎重に、またかつ綿密にフォローしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#49
○松岡満寿男君 四月七日に「国際協調のための経済構造調整研究会」の報告書が出まして、翌日総合経済対策が発表されたわけでありまして、本日、長官から御説明をいただいたところでありますけれども、六十年度の貿易黒字が五百二十六億ドル、昨年に比べて五〇%増という状況であります。Jカーブ効果によりましてそういう輸出が、貿易黒字がふえちゃったというような厳しい状況でありまするし、同時に東京サミット、さらに本年は十一月にアメリカの中間選挙等控えておるわけでありまして、そういう中におきまして今回の総合経済対策、まことにタイムリーであったと思います。そして、国内を見ますると、円高によりまして中小企業あるいは基礎素材産業、あらゆる分野におきまして大きな影響が出てきておる。片方では、国会でも論議を重ねてまいりましたような円高差益についての還元を一体どうするんだという状況の中でありますから、先ほど竹田先生の方から、赤羽局長が非常に気が長いというお話でありましたけれども、これはやはり各省の意見を総合調整していくというのは大変御苦労な仕事であっただろうと思うんです。そしてまた、円高のデメリットというのは面接的にすぐこう出てくるわけですけれども、メリットというものは非常にすぐ出てこない、市場メカニズムを通していろんな形で出てくるというようなものでありまして、効果が非常に遅いという点でありますから、なかなかこの対策というのは難しい問題があるわけでありますけれども、そういう中におきまして非常に適切なタイムリーな施策であるというふうに評価をいたしておるところであります。
 しかしながら、内容につきましていろいろと質疑をいたしてみたいというふうに考えておるわけですけれども、まず私的諮問機関とは申しましても、経済構造調整研究会、これは正式に政府としても推進体制を、協議体制を整えていくということでありまするし、同時にアメリカ側も非常にこれについての評価をいたしておりますですね。シュルツ長官を初めといたしまして、本日の新聞見ますると、シグール次官補も、非常に歴史的な政策転換だという評価をしておるようであります。しかしながら、この総合経済対策についての評価でございますね、海外の評価というものが我々の目や耳には入ってこないわけでありますけれども、この辺はどのような評価がなされておるか、情報があればひとつまず伺ってみたいと思います。
#50
○政府委員(赤羽隆夫君) 総合経済対策、四月の八日に決定になったわけでございますけれども、その当日の夕刻、私どもの局の審議官が外国記者クラブに説明をいたしました。また、在外公館等を通じ諸外国政府に対する説明を今行っているところでございます。ただ、これに対しますところの諸外国、特に外国政府の反応というのはまだ届いておりません。私どもといたしましては我が国の内需拡大の努力が経済の拡大均衡を通じまして世界経済にも好ましい影響を及ぼす、こういう理解を外国の皆さんがしていただけるものと期待しているところでございます。
#51
○松岡満寿男君 この総合経済対策について我々も説明を受けた段階で、大体こういう対策を立てればどの程度の波及効果があるとか、あるいはGNPに対する影響はどうだというような御説明が過去はあったわけですけれども、今回ないということで議論したことがあるわけですけれども、長官は〇・四、五%ということをどこかでお話しされましたし、企画庁も正式に〇・六、七という数字を出しておられるようでありますけれども、これはそういうGNPに対する貢献度、そういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
#52
○政府委員(赤羽隆夫君) 四月八日の総合対策を決定いたしました経済対策閣僚会議の席上、総理から御指示がございまして、上期中、秋口ぐらいまでのGNPに対する効果を試算するように、こういう御指示がございました。それにこたえまして私どもが試算をいたしましたものを昨日発表をいたしました。それによりますと、上期中の効果ということで、GNPに対しまして大体〇・六あるいは〇・七程度の効果があるものと、こういうことで発表さしていただいたわけでございます。もちろん前倒しといったような項目が入ってございます。したがいまして、これを上期において〇・六ないし〇・七だから年間はその倍になるのか、こういうことになりますと、そうはならないわけでございます。したがいまして、上期だけでの効果を試算したものと、こういうふうに御理解願えれば幸いでございます。
#53
○松岡満寿男君 本年のGNP四%実質成長という計画でいろんな施策を推進しておられるわけですけれども、当初からやはりこれについては、民間の見方というものは低めに出ておったわけですね。この前もちょっと御説明を伺ったときに、今回は原油価格とかの値下がりであるとか金利、二回ほど公定歩合下げましたし、欧米の状況もかなりいいというような御説明もあったわけですけれども、今回の円高は非常に急ピッチでありましたね。そして、同時に五十二、三年のときには、現在より欧米の経済状況というのは非常に好況だったと思うんですよ。さらに、その後に円安がずっと続いてきたという条件がありましたね。そういうのに比べますと、今回諸外国の状況でありますとか考えましても、企業の方がそういう価格に円高分を転嫁できない、前回ほとんど九〇%以上が転嫁できているわけですけれども、現状は非常に厳しい状況じゃないかと思うんです。
 そういう中で、例えば四%を維持すれば、例えば基礎産業である鉄鋼は一応一億トン体制、これが損益分岐点になっていますね。維持できるかできないかという瀬戸際であるとか、いろんな波及効果がマクロの段階で出てくるわけですよ。だから、この四%をどんなことがあっても維持したいと、先ほど長官もそういうお話があったわけですけれども、私はどうもこの経済対策の前段を見ましても、その拡大テンポはさらに緩やかになっているが、全体として拡大傾向が続いているという現状の景況についての認識ですよ。これがどうもちょっと私どもの実感から見ると多少問題がありはしないかという感じがするんです。
 御承知のように、先月ですか、百人の社長の景気に対する見通しについてのアンケートをやった調査がございますね。ほとんどがやはり景気は下降局面だとか停滞だということを言っておる。今回の、先ほどベースアップの話も出ましたけれどもIMF・JCの特に鉄につきましては史上過去最低の二・六六%という形での妥結になってきているということは、やはり企業全体としては非常に悪いと、これから先、経営者もそういう見方をはっきりしておるわけです。ですから、この四%というのを推進するためには相当な努力をしていかなければいけない。しかし、そのスタートである政府の総合経済対策の景気の現況に対する見方というものが現実と離れていると、これは大変な事態になるわけでありまして、その点につきましての基本的なお考えをひとつ長官の方からお伺いをいたしたいと思うんです。
#54
○国務大臣(平泉渉君) 詳しいことは事務当局から御答弁をさせますが、私ども大変今先生のおっしゃる御心配はよくわかるわけでございまして、私も福井県でございますから、輸出産地というような面もございまして、大変先行きの景気状況については心配をいたしております。また、つい三日ほど前でございますが、関西の経済界との懇談会を経企庁がやっておりまして、私も参りまして関経連の会長以下大阪商工会議所の皆さんとも懇談をいたしました。ここも伝統的に輸出関連産業の発達している地域でございますし、大変景況感についての御心配がある。かようなことで、今先生の御指摘になっておられるような問題、また今回の春闘の中の動き、各企業の動きなどにつきましても、十分私どもは注意して見ていかなきゃならぬと思っておるわけでございます。
 まさにそのような問題があることが今回の総合経済政策というものを一刻も早くつくらなければならぬ、また出さなければならぬ、実行しなきゃならぬ、こういうことになったわけでございまして、総理も大変督促をされまして、まさに前倒しのことがあるものですから、予算中は予算がまだ成立するまでは発表に至らなかったわけでございますが、一刻も早くこの円高対策というものはしっかりと手を打たなきゃならぬ、こういうことで私どもも認識は一致しておるわけでございます。
 私どもは、まだ今年度に入ったばかりでございますので、まさに早期の段階において手を打っていく、そして、これからの一年間というものを通じて四%の実質成長というものを確保する手だては十分にあるんではあるまいか。後半期に入ってはもちろん円高差益というようなものが十分還元されてくるであろうし、また非製造業分野における投資の拡大ということも十分見込まれるのじゃないか。
 また、全般附に見て物価の安定からくる所得の増大による消費需要というものも起こってくるのではないか。かようなことを私どもは十分考慮に入れておるわけでございます。
 いずれにせよいろいろな御心配の点もよく私どもも承知をいたしておりますので、経済運営には万遺漏なきを期していかなければならない重大な局面であり、また大事な段階である、かように認識をしておるわけでございます。
#55
○松岡満寿男君 大臣も地元にはそういう産地を控えておられるわけですから、十分な御認識をいただいておると思うんですけれども、今回は前回の円高の時点と違いますことは、やはり海外の環境というものが変わってきているし、同時に中進国の成長というものもあるだろうと思うんです。そういうものをやはり直接いろいろな形で、燕の洋食器なんかにつきましては、韓国、台湾に非常に押されてきている。鉄なんかにつきましても、政策的にドルに対してウォン安ということをやっておるわけですから、一〇%ぐらい安くしてやっている。そうすると、相当な圧力で燕の洋食器も取られちゃっているというような状況があるわけですね。
 加えて、前回に比べて外国は総体的に安定成長に移行しておりますから、なかなか輸出環境は厳しい。そういうところで、それは輸出課徴金なんか加えたらこれは大変な事態に私はなるだろうと思うんです。
 ですから、そういう日本の産業全体を揺るがすような大きな時期に遭遇をしてきている。しかも、その中で、いわゆる外需依存型から内需依存という形あるいは産業構造というものを大きく変えていかなきゃいけない。
 ですから、私はむしろこの総合経済対策の中に中小企業対策を入れていただいたのも結構ですけれども、やはり当面困っておる大企業、基礎素材型産業を中心として円高の影響を受けて四苦八苦しておる産業もあるわけです。そういうような産業構造の転換というものを強いられている。そういうものに対する総合的な、しかも的確な対応というものも、私はこれは当然入れていただきたかったわけでありますけれども、これはまた別の機会に譲りたいと思うんです。そういう厳しい状況認識というものを当然やはり企画庁としてもお持ちだろうと思うんですけれども、その点についてもう一回御意見を伺いたいと思います。
#56
○政府委員(赤羽隆夫君) 現在の状況、景気の現状といいますか、というのは、やはり拡大傾向にあるとは思いますけれども、そのスピードはさらに緩やかになっている。こういうことでございまして、円高のデフレ効果というのが出ている段階だと思います。
 その一つのあらわれが生産活動が、鉱工業生産が弱含み状況に推移している、こういう点にあらわれていると思います。さらに、極めて急激にやってまいりました円高、余りにもそのスピードが早いために、これに対しまして、特に中小企業におきましての対応ができない、こういう状況にある、こういうことでありますから、それに対しまして予算成立をきっかけといたしまして総合経済対策を打った、こういうことでございます。この総合経済対策というのは、全体としてやはりマクロの政策、こういうことでございまして、ミクロの政策、これにつきましても現段階でできることはできるだけきめ細かく入れておるわけでありますけれども、なお、総合経済対策というこの範囲内ではカバーできないでいる点もまた多かろうか、こういうふうに考えております。それぞれにつきましてさらに関係当局のきめ細かい対応が必要ではないかと考えます。
#57
○松岡満寿男君 公共事業等の施行促進の問題でありますけれども、今回過去最高を上回る恐らく八〇%ぐらいの公共事業関係費を上期に集中しようというようなことであろうと思うんですけれども、御承知と思いますけれども、一般会計の中での公共事業関係費というのはこの数年ほとんど変わっていない、横ばいなんですよね。五十四年から六兆円台に乗ってずっとそのままであるわけです。たしか五十七年のときですか、私も地方で市長をやっておりまして七七%の上期集中ということで仕事をさせていただいたことがあるんですけれども、大体やはり七〇%前後で推移してきている。その前倒し分というのは大体四兆円から五兆円でずっとこの数年推移をいたしておりますね。ですから、実際言いますと、昨年とそれほど金額的にも変わらない状況になってきておるんですね。先ほど予算も済んだなんという話でありましたけれども、きょうから補助金についての特別委員会が我々の参議院にできたわけでして、これを早く皆さん方の御協力を得て決めていかないと実際に箇所づけができない、箇所づけ半分済んだだけであと半分そういう高率補助関係残っているわけですから、これはぜひ野党の皆さん方にもお願いをしなきゃいかぬわけでありますけれども、こういうふうに見できますると、与党の立場で申し上げるのもなんですけれども、それほど目新しいものでもない。まあしかし、一応そういうふうに積極的にこういう対策をやっているんだということを国民にアピールし、国民に理解してもらうという点では非常にまことに適切なことであろうと思うわけですけれども、やはり補正予算を早急にこれ組まないとこれはどうにもならない事態ではないかな。先ほど来申し上げましたように、円高デフレによりまして産業界は非常に厳しい状況にあるわけですから、その点はやはり特にお願いをいたしておきたいということと、特にこの中に書いてありますように、「公共事業の配分に当たっては、各地域の経済情勢、社会資本の整備状況、事業の優先度等を勘案して適切に行うものとする。」、これはあくまでも作文であるわけでしょうけれども、既にある程度どこにどうというようなアウトラインはでき上がっておるわけですから、例えば、中国地区は非常に景況が悪いからそれを重点的にということにもこれはならぬだろうと思うんです。しかし大切なことは、今回の民活その他によりまして内需をふやしていこうというときに、出てくる話はやっぱり大都市周辺におけるプロジェクトなんですよ。ですから、この前、天野委員会でも東京湾の開発ということで霞ケ関ビル八十棟分をあそこに建てるんだというような一つの計画出てくる、横断道路も進行している。しかしながら、三全総、四全総の思想として地方分散ということを言いながら、どうもその辺については残念ながら現在の状況では地方におけるそういう対応というものがおくれぎみである。ですから、この社会資本の整備状況等を見てやるということであれば、例えばこの際できるだけ良質なストックを形成していこうという、国家としての一つの目標、国民的な合意の中で、下水道であるとか、あるいは高速道路であるとか、あるいは新幹線あるいはコミューター航空の飛行場、そういうものについて地方を優先的にやっていくという一つの旗振りを企画庁にぜひお願いいたしたいと思うんですけれども、その点についてのお考えいかがでしょう。
#58
○政府委員(及川昭伍君) 総合経済対策の中でも、社会資本の地域配分に当たっては景気の状況や社会資本の整備状況等を見ながら適切に配分するということにいたしておりますが、社会資本の整備は御指摘のように単に景気対策という観点だけではなくて、国土の均衡ある発展であるとか、交流可能性を全国土に展開していくというような三全総や現在検討しております四全総の考え方等にも従いまして、国土全体を眺めながら進めていかなければならないものだというふうに考えているわけであります。
 先ほど提出されました経構研の報告におきましても、特に地方における社会資本の整備ということが項目を挙げて示されているわけでありますが、民間活力を中心とした大規模投資が、どちらかといえば当然のことながら大規模投資は大都市地域において行われることが可能性としては大きいわけでありますから、公共予算を使用した地域の社会資本整備はできるだけそれらのことを考えながら配分していくということを経済企画庁としても各省と協議をしていきたいというふうに考えているわけであります。
#59
○松岡満寿男君 県民所得の格差ですね、五十四年までは縮んでいくような形だったんです、大都市と。ところが、五十四年以降は今度は格差がどんどん開いてきちゃった、逆に。ですから、地方の時代とは言いながら実質的には地方の県民所得というのはどんどん下がっていっている。そういう中で、今回の内需拡大という発想の中で、例えば霞ケ関ビルを八十棟も東京湾に建てていくということになると、再び急速に大都市に国民が集中していく。しかし、それに伴って水をどうするんだとか、電気をどうするんだとか、道路どうするんだというさまざまな問題がこれは出てくるでしょうけれども、私はそれではやはり日本の国土づくり、将来のあれを考えたときには非常にまずい事態になるんじゃないかと思います。こういう県民所得が開いてきている、格差が、という事実の認識と、それに対する対応をどうしたらいいんだということをどのように企画庁としてはとらえておられるのか、お伺いしたいと思います。
#60
○政府委員(及川昭伍君) 御指摘のように、最近といいますか、二、三年前から地域格差の縮小傾向が若干拡大傾向といいますか、兆しが出てきておりますし、人口の大都市集中、地方分散しておりました人口の大都市集中の傾向もあらわれてきておるわけであります。そういうこともありまして、地域の振興、国土の均衡ある開発を図るということは非常に大事な局面に来ているというふうに思っているわけであります。第三次全国総合開発計画は定住構想の実現ということで定められたわけでありますが、現在国土庁を中心に検討が進められております第四次開発計画におきましては、定住構想に加えて各地域間の交流可能性の拡大、定住と交流ということを重点にしようかということを今政府部内で検討しているわけでありますが、経済企画庁といたしましても、交流可能性を地域で拡大するためには、やはり御指摘のありました交通、通信関係の社会資本、コミューターや高速道路等も含めてそれらが各地域で整備されることが大事であるというふうに考えておりまして、国土庁の計画づくり等とあわせながら、私どもも総合経済計画を担当する所管省として、各省の施策の作成、策定に当たってそういう点に配慮するよう方向づけをいたしていきたいというふうに考えておるわけであります。
#61
○松岡満寿男君 先ほど一般会計公共事業関係では六兆二千億という数字を申し上げたんですけれども、総事業ベースでは十二兆円ぐらいということになるわけでありますから、非常に大きなやはりウエートを国民経済の中で公共事業というのは占めておるわけですね。だから、これは片方でそういうものを進めながら社会資本の蓄積をしていく、これは外国もそういうことを言っておるわけだし、我々もそういう考え方に立っておるわけです。片方ではやっぱり民活活用していく。そういうものを総合調整していかないと、これはどうも民活民活ということを言っていると再度やはり都市に集中してくる、これをやはり私どもは非常に懸念をいたしておりますので、その辺についてのチェックを非常に十分にお願いいたしたいと思うんです。
 四全総では、五十九年末に戦後四十年間で社会資本のストックというのは九百兆あるんだと、二十一世紀、あと十五年すれば欧米並みにするためには四百兆の投資が必要だということを言っておるわけですが、土地を入れて六百兆という数字が出ているんですね。これでいきますと、年間四十兆投資が必要だと。現在、現時点ではそういう公共事業とか民間関係を全部入れて二十四兆円ぐらいのものなんですね。そうするとこれは大変な、十五年間でやるという前提で言っているわけですけれども、投資になっていく。片方では財政再建しなきゃいけない。今回、総合経済対策で財政の出動がなかったという批判がいろいろ出ていますけれども、これは私は現状では当然のことだろうと思っておるんです、それは。しかし、そろそろいわゆるデフレ対策として出動の時期も近づいてきておる。しかし長期的に見ると、短期的な対応と、長期的に見た場合にこのような社会資本のストックを良質なものをつくっていくということになると、これは民活には頼れない、公共事業でまた分担していくということになると、これは大変なことになろうと思うんですけれども、その段階で十分に考えていただきたいことは、くどいようですけれども、地方とやっぱり国土全体の活用という面で都市部とのバランスというものを十分にとっていくということが私は必要だというふうに考えておるわけです。
 そういう中におきまして、今回の差益還元の中で私ども非常に注目いたしておるのは電力九社、大手ガス三社の還元であります。残念ながらガスの方は大都市集中でありますから、それについての保安関係のいろんな仕事というものが地方にどのくらい行くのかこれはまあちょっとわからないんですけれども、少なくとも電力九社につきましては地方の事業がこれはある。現在の状況から見てできるだけ地方に対して優先的な仕事をすべきではないか、あるいは中小企業にその仕事をやらせるべきだということを私はこの前商工委員会で申し上げ、通産大臣もそういう御答弁をいただいたわけですけれども、この総合経済対策を見まするとその部分がどこにも出てきてないような感じがするんですけれども、通産省の方、その点につきましてひとつ御説明をいただきたいと思うんですが。
#62
○説明員(末廣恵雄君) 電力関係の設備投資につきまして、特に配電線の地中化につきましては、今回の総合経済対策におきまして六十一年度、六十二年度にそれぞれ約一千億円程度の追加投資を行うということになっておるわけでございますが、今回の総合経済対策ではこういった地中化を含めました設備投資、公共事業等を行うに当たりましては地方での実施及び地元中小企業の活用ということについては基本方針の一つとして配慮いたしているわけでございます。例えば第六項目目の「中小企業対策等の推進」という項目ございますが、この中で「公共事業等の施行等に際しては、中小企業者の受注機会の増大に努める。」ということが示されておりますが、この公共事業等につきましては当然電力におきます配電線の地中化も含まれているものと考えております。
 したがいまして、こういった配電線地中化の部分におきまして、この方針が今回のこの文書の中に必ずしも明示的に示されていないからといいましても、この私どもの方針には何ら変化はございませんで、通産省といたしましてはこういった追加的な投資を行うに当たりましては従来にも増して地方での実施それから地元中小企業者の活用が図られるよう電気事業者に要請してまいる所存でございます。
#63
○松岡満寿男君 この差益還元ですけれども、国民に対してはどの程度の一世帯当たり還元、それは新聞なんかにはちらちらと出ておるんですけれどもね、それと実際に電力の多消費型の産業、鉄鋼とか化学とかございますね、そういうものに対しては、自動車もそうだと思うんですけれども、どの程度の還元になっていくんでしょうか。
#64
○説明員(林昭彦君) 具体的な家庭なりあるいは重要産業なりへの差益還元額というのは、実は現時点では大きな一つの見込み額を示しているだけの段階でございますものですから、私ども試算をしていないわけでございます。新聞紙上いろいろな数字が出ておるわけでございますが、特に電力につきましては、今回私ども一兆円という見込みを出すもとになりました差益問題懇談会、ここでの大枠で示されておりますように、特別料金でございますとか、これは産業用の電力に対してでございますが、あるいは一般家庭用の三段階料金制度といったようなものについても非常に実態上是正の必要があるものについては調整をするんだということが明示されておりまして、この件につきましては現在電気事業審議会におきまして鋭意検討をお願いをしているところでございます。したがいまして、これがはっきりいたしませんと、家庭につきましても産業別につきましても具体的な数字が、たとえ一兆円というのが前提にいたしましても、出てこないということでございます。
 ただ、この一兆円のうち相当部分が電力でございますが、前回、五十三年度の還元措置の場合には全体が電力で二千七百億でございましたので、それに比べれば相当規模が大きいということは言えるのではないかというふうに考えております。
#65
○松岡満寿男君 新聞なんか見ると、電力・ガス標準世帯で月千二百円ぐらい、そういう数字が出ていたり、鉄鋼については一律還元分だけで五百億だとかそういうのが出ているんですよね。それはどこから出ているんですかね、そういう話は。
#66
○説明員(林昭彦君) これは私どもがした計算ではございませんので必ずしもつまびらかではございませんが、差益問題懇談会の報告書の中で一律還元の方が何と申しますか重点があるような書き方にも読めるというようなこともございまして、また現実の問題として料金制度の調整という部分に回る財源というのが必ずしもその過半を占めるということはないんじゃないかという前提、あるいは標準家庭という場合に恐らくは標準的な家庭のサイズというものを考えて各新聞社で御試算なさったんではないかと思います。ちなみに、前回の還元措置を行いましたときに、一家庭当たりの還元額というのを実施の段階で私どもの方で試算をしておりますけれども、そのときは一家庭というよりは一つの契約口数ごとの平均をとって計算しておりますが、これは例えば学生でございますとかあるいは単身赴任者とか、そういう一般家庭という定義からはどうかというのも入った一口平均ということになりますので、その辺のところでいろいろ数字の違いが各新聞社ごとに出ているのではないかというふうに推察をいたすわけでございます。
#67
○松岡満寿男君 前回の円高のときには円高分の九〇%ぐらい価格に転嫁できたという条件もありますね。現在の世界の経済情勢、非常に安定成長になってきておりますし、これからの急速な円安というのも期待できない。そういう中でこの数年間それぞれの企業が合理化努力をしてきて、ぎりぎりのところまで来ている。だからああいうベースアップになっているわけですね。だからそういう状況の中ですから、どうかひとつこの際、この恩恵を料金の改定なり企業活動にプラスになるように早急なひとつ対応をお願いをいたしておきたい。特に特別料金等につきましては、今まで地方に対する企業誘致にある面では非常に障害があったわけですから、その点につきましてもぜひお願いをいたしておきたいと思います。
#68
○説明員(林昭彦君) 先ほど申し上げました差益問題懇談会の報告書におきましても、できるだけ多くの部分を料金の形で還元すべきだという御指摘もございますので、今松岡委員の御趣旨も踏まえて私どもとしては関係審議会に諮りながら早急な実施ということに努力してまいりたいと考えております。
#69
○松岡満寿男君 この円高の差益還元の全体的な問題ですが、今回、輸入消費財価格動向等調査対象品目、三十七品目挙げておられます。これはかなり、ずっとフォローしていかれるだろうと思うんですね。これはほとんど関税率が非常に高い品目ですし、いろいろな流通メカニズムも複雑な部分があるわけです。これはそういう形でチェックしていかれるんだろうと思いますけれども、どういう形でフォローしていかれるのか。
 それからまた例えばガスの問題につきましても、今回は東京ガス、大阪ガスと東邦ガスですか、三社だけ、それ以外の地域の、私どものところはまだプロパンガスでやっておるわけですけれども、そういうところのガスですね、そういうものについては一体どういう形でフォローなりある程度の協力要請なりやっていかれるのか。市場メカニズムに任せておくとなかなか、先ほど来御意見出ているように、えらい気の長い話になるわけですから、その辺についての考え方をお願いしたいと思います。
#70
○政府委員(斎藤成雄君) 第一のお尋ねの点、三十七品目の調査でございますが、これはこの三十七品目それぞれ所管をしております官庁がございますから、これらの官庁がまず中心になりまして、最近の小売価格とそれからそれに相当するCIF価格、輸入時の価格、それからまた現時点に対比できるように例えば昨年の十月あたりの、あるいは九月あたりのG5以前の状況の価格、そういったものを調査をいたしまして、円高が始まってからどのくらい影響が出ておるか、あるいはマージンがどういう動きを示しているかということを調べまして、そしてその内容について円高以外にもいろいろ価格へ当然影響してくる要素がございますから、そういった実情も掌握をした上で必要があれば各省がそういったものの調査を行った上で整理、発表したいと、こういう考え方に立っております。さしあたり四月末を目途に発表するということにいたしておりまして、今後もまた状況を見ながらやっていくことになろうと思っております。
 それから第二番目の地方ガスの問題でございますが、御存じのように地方ガスというのはおよそ全国で二百五十ぐらいございます。これらの状況は経営規模もいろいろでございますし、それからまた燃料につきましても、今お話がありましたようにLPGを使っているのもありますけれども、天然ガスを使っているものもある。いろいろの状況でございまして、大手三社のように直接海外から原料を引いているというわけでは必ずしもございません。したがって円高のメリットがどういうふうに出るかということはかなりばらつきがあるだろう、こういう認識に立っておりまして、そういう意味で今回の総合経済対策の中では、この大手三社などを挙げた後のところに、「その他の公共料金等についても、円高、原油価格の低下及び物価の安定基調にかんがみ、可能な限りその引き下げに努めるものとするが、」云々、引き下げが困難なものについてもしかるべく措置をとる、こういう書き方になっておりまして、当然のことでございますけれども、十分通産省の方でそういった状況を把握した上でこの原則にのっとって指導するということになっております。現在既に通産省、資源エネルギー庁の方では料金部会にこういった地方ガスについてもどう扱うか諮問をいたしているそうでございまして、お尋ねの趣旨の方向に沿って措置されるものと期待をいたしております。
#71
○松岡満寿男君 電気、電力の方はああいう電線の地中化で、共同溝という形にはならないにしても、相当地域の方で仕事が出てくることは予測されるわけですけれども、ガスについて、そうするとこれは大手ガス三社だけになると、保安関係の強化等のための繰り上げ発注、この「保安の強化等のため」というのはこれどういう趣旨なんでしょうか。
#72
○説明員(林昭彦君) これはいろいろあるわけでございますが、ガスの場合、導管で家庭に配っているわけでございますが、これが腐食をしてガス漏れを起こすというようなことが最近ちょっと問題になっております。こういう問題を積極的に取り組みまして、導管の取りかえというようなことも必要になってくるかと思います。また、一般家庭で異常なガスの流出があったときに自動的にとまるヒューズコックのようなもの、こういうものの取りつけというようなことにも積極的に取り組んでもらいたいというような、そういった需要家の保安あるいはガス事業者自身の保安体制、こういうものを一段と強化するためにいろいろな面で投資が必要であろう。この投資については差益の部分のうち一部リスクに対応するために留保しております分を積極的に活用してやってもらいたいというのが趣旨でございます。
#73
○松岡満寿男君 せっかくの事業ですから、地域の経済発展のために資するようにひとつ早急な対応を電力については特にお願いをいたしておきたいと思います。
 それから中小企業の関係ですけれども、ジェトロで国内中堅、中小企業を対象とした円高の影響及び対応策に関する調査というの、この前出ましたね。これで見るとやはり百九十円以上の円高水準を採算レートとしたのは一一・九%しかないですね、やはりだから現在の百八十円水準というのは非常に厳しい状況なんですよ。ですから、こういう対策を的確にとっていただいておるわけですけれども、それぞれそれの対策については合理化によるコストダウン、あるいは製品の高級化とか、新製品の開発とか、それぞれ努力をいたしておるわけですね。
 今回、例の中小企業事業転換法、今回の措置によりまして、五・五という金利についてはいろんな議論も委員会の中であったわけですけれども、五%に下げるという引き下げの対策、あるいはマル経資金については六・八から六・三%に下げていくという一つの方向づけがここへなされた。これは非常に的確な対応だと思うんですけれども、産地を中心として中小企業、非常に厳しい状況にあるわけですね。特に、今回の問題についてはそれぞれの企業努力以外の出来事ですね。やっぱり一つの国際的な海外均衡策の一環として出てきておる。先ほどちょっと触れましたような、近隣の諸外国というのはまた別の対応をしている、為替についてはですね。そういう非常に厳しいハンディキャップの中で、この程度の対応で十分なのかどうなのか。
 また、その事業転換法について、聞くところによりますると、どうも実績が当初の計画より少ないというふうに聞いておるんですけれども、その辺の実態と見通し。それからさらに、それぞれ産地を中心として貸し付けの対象枠を拡大してほしいという、別に、例えば陶磁器の中では珪砂の生産とか、そういう分野にも広げてほしいというような要望も出ておるようですけれども、そういう対応についての考えを聞かせていただきたいと思います。
#74
○説明員(長田英機君) 中小企業に対する対策が十分であるかどうかという点が第一点でございましたが、先生お話ございましたように、二月二十五日の日に特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法、これを早々に成立していただきまして公布施行しておりますが、このような法律の実施あるいはこれに伴いますところのいろいろな各種措置の実施によりまして、私ども鋭意円高対策をやっているわけでございます。
 で、さきの総合経済対策におきましても、それぞれの産地対策等におきますきめ細かい対策をやっていこうということでございまして、私どもとしましては、今まで成立していただきました法律あるいはやっておりますところの各種諸措置、これを駆使いたしまして、これからきめ細かく対策を実施していく、こういうことでございまして、こういう段階にあると考えておりまして、そういう対策を実施することによって万全を期していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それから、事業転換対策の点でございますが、先生も御指摘になりましたように、低開発国とのいろいろな競争関係、追い上げが非常に厳しくなっていく、あるいは国内においても技術革新が非常に激しい、こういうようなことになりますと、真に中小企業者が経営の安定を図るためには、現在の業種に固執するよりも転換をしていった方がいいんじゃないか、こういうようなことから事業転換の重要性が出てくるわけでございまして、私どもとしましては、こういう事業転換をやっていきます企業に対しては強力な支援をしていきたい、こう考えているわけでございます。
 新法を制定し、二月二十五日の日に公布施行して以来、事業転換計画の認定に出てきたものは数件でございますが、まだ法律を施行したばかりでございますし、これから、さきの決定しました総合経済対策で産地協議会というものを県ごとに設けてほしいという要請を現在しておりますが、このような産地協議会におきまして各産地の、あるいは組合の実情に応じた事業転換という考え方が出てくるように、これから地方公共団体の方々と知恵を出して臨んでいきたいということでございます。
 それから、融資についての条件の問題がございました。
 この融資の条件につきましては、五・五%の融資を五・〇ないし五・三ということで金利を下げてまいりまして、いろいろ過去において御議論もあったわけでございますが、各種金利のいろいろなバランスというようなこと、現在の円高の状況及びその影響の度合いということを考えてみますと、現在、私どもが今回決めましたような融資の制度ということで何とか対応していけるのではないか、このように考えている現状にございます。
#75
○松岡満寿男君 たしか戦後間もないときに、企画庁の方から経済白書、そのときには、国家も企業も国民も皆赤字だというようなことがあったというふうに記憶しているんですけれども、現在この金融資産、負債残高、国民経済計算年報六十一年版を見ますると、非金融法人企業が資産が四百五十六兆、負債が七百一兆、差し引き二百四十四兆の負債額。それから一般政府が百二十六兆の資産、二百六兆の負債、マイナス七十九兆。家計は五百十八兆の資産、そして負債が百八十五兆でプラス三百三十二兆、こういう勘定になっているわけです。
 したがって、今回のこの総合経済対策、一番大切なことはやはり国民のこういう理解をいただく。国民が円高のメリットを享受し得るような環境整備をしていく。そのためにいろいろな施策をされておる。今回そういうものを大いにPRをされ、実施に移されるということは非常に時宜を得たことであるというふうに考えておるわけです。
 しかしながら、同時に先ほど来指摘しましたように、我が国の経済を見ましたときに、やはり中進国の追い上げがある厳しい状況です。それで、企画庁から出されたパンフレットなどを見ましても、いろいろと先進国との対応ですから、労働時間なんかの比較についてもそういう先進国だけとの比較があります。しかし片方では韓国、台湾の労働時間とか、いろいろな労働条件、こういうものも身近にあるわけなんですね。
 そういう問題でありますとか、産業調整と一口に言いましても、
#76
○委員長(山田譲君) 松岡君、時間です。
#77
○松岡満寿男君 そう簡単なものじゃないわけですから、この厳しい状況の中でやはり企業に対する投資減税であるとか、あるいは法定耐用年数の短縮であるとか、そういうさまざまな施策を同時に、やはり国民経済も見詰めながら、そして産業にも目配りしながら、また地方と中央とのバランスもとりながら、総合的な対応をしていくということが求められておるわけでありますから、どうかそういう点を、十分に認識をしておられると思いますけれども、かじ取りを十二分にしていただきたい。最後に、そういう問題につきましての長官の御決意を承って、質問を終わりたいと思います。
#78
○国務大臣(平泉渉君) だんだんの御調を十分に拝聴させていただきまして、大変参考にさせていただくものが多々あったと存じます。
 殊に、地場産業といいますか、地方の景気の状況というものが相当深刻なものであるということは私ども十分認識をいたしております。公共事業が少し伸びが少ないということも反映をしておると思いますし、また最近の経済、技術の発展が大都市中心になっておるということもあるわけでございまして、私も国会冒頭の経済演説の中では、どうも地方の経済が十分に伸びない傾向が全般的にあるということを特に指摘をしておるわけでございまして、今後の経済運営に当たりまして、特にまた円高不況と言われる中において、地方の景気の状況というものには十分注意をしてまいりたいと思うところでございます。
 また、御指摘の大企業等の企業の経営の実態の問題につきましても、もちろんこれは産業の中核でございますから、十分注意をしてまいる所存でございます。
#79
○松岡満寿男君 ありがとうございました。
#80
○刈田貞子君 質問をさせていただきます。
 私どもの党は、このたびのこの総合経済対策は内需拡大に対して何の効果もないのではないかという見解を、既に正木政審会長を通じて談話を発表しているところでありますが、その具体的な部分についていささか質問させていただくわけでございますが、これらの対策を読ませていただきますと、その大半は現在の経済状況の中から判断するならば当然やらなければならない措置であるということで、何ら目新しいことはないのではないかというところが一点あると思います。
 それから、今回の対策の中で十分な内需拡大策につながるものが具体的にあるだろうかということに関しては、これはまたないであろうというふうに思うわけでございまして、財政的措置に欠けているという点は、これは先ほど来御指摘があったとおりでございます。我が党といたしましては、やはりこうした内需拡大を高めるためにも、従来より申し上げておりました所得税減税、これを実施しなければならないであろうというところを主張するものであります。
 それから中小企業対策、先ほどお話が出ておりましたけれども、金利の引き下げということは打ち出されておりますけれども、円高の影響を強く受けている、先ほど長富もおっしゃっておられた産地対策等のきめ細かな策が欠けているであろう、それから雇用対策についてもまことに不十分であるということを発表いたしたところでございます。
 それで、お伺いをするわけでございますが、この総合経済対策が今後何ら効果をもたらさないというような時点をどこで判断するか、あるいはまた先ほど来お話を伺っていますと、大分その効果のタームというのを長い視点でとらえられておるようでございますけれども、もしそういう効果等が見えない場合に、この経済対策七本の柱、これを見直すおつもりはあるのかどうなのか、あるいはまた四野党が既に強調いたしております大型減税等の対応、こういうようなものを考えられるかどうか、この点についてお伺いします。
#81
○政府委員(赤羽隆夫君) 総合経済対策でございますけれども、私どもといたしましては、これは相当の効果があるものと、このように評価をして、それで取りまとめたわけでございます。いろいろ数字の上で計量的に計測のできない項目もございますけれども、計数的に試算のできるものにつきまして、上期の効果ということで計算をしてみましても、先ほどもお答え申し上げましたけれども、GNPの〇・六ないし〇・七程度の効果はあるものと、こういうふうに考えております。要は、これをできるだけ速やかに実行するということであると思います。実行がなされますと、それに応じて効果は出てくるものと、こう考えております。ただ、経済というのは生き物でございますし、単に国内の条件ばかりではなく、海外の条件変化があると、こういうことになりますと、それに対応した機動的な政策運営というのは常に心がけていかなければならないところだと、こういうふうに考えております。
 この対策の中にあらわれておりませんでした例えば減税とか、そういったような追加的な施策と、こういう点につきましては、従来からお答えしておりますように、政府といたしましては現在税政調査会の方へ諮問をしているという段階でございまして、特にこの段階で総合対策の中にそういう項目を考えることはなかったということでございます。
#82
○刈田貞子君 税制調査会の答申を待ってということなんですけれども、逃げですね、それは。私が質問いたしましたのは、効果があらわれない場合には見直しをなさるおつもりはありますか、それからどのあたりから効果が出るというふうに思っていらっしゃいますかということを伺ったんですが、上期には出るとおっしゃるんですか、六十一年度。
#83
○政府委員(赤羽隆夫君) 効果はないという認識ではございません。効果はあると思います。この考え方といたしまして、上期ということを申し上げましたけれども、考え方といたしましては、まず円高につきまして、当然プラスの効果があるわけでありますけれども、マイナスの効果もあると、それぞれ先もあれば影もあるという認識でございますが、この影の部分、いわゆるデフレ効果というのが先行する、先に出てくる。それから、プラスの効果というのが国内の需要、最終需要にあらわれてくるには時間がかかるということがございます。この点は本委員会の冒頭で大臣からも御報告したとおりでございますけれども、先に出てくるデフレ効果、それから時間がかかって出てくるプラスの効果、これをいわばその谷間をブリッジする、橋をかける、こういったようなことも今回の対策のねらいとして考えていると、そういうことで上期の効果という御説明を申し上げたわけでございます。いずれにしても効果はあると考えております。効果がないということは、現在のところ私どもはそういう評価ではありません。しかし、効果がない場合にはまた、先ほども申しましたように、常に機動的、弾力的な政策運営を心がけなければいけない、そういうことで、客観情勢の変化に応じた政策運営と、こういうことになろうかと思います。ただ、それが新しい総合対策を必要とする、現時点でそういう認識ではございません。
#84
○刈田貞子君 今回の円高によって輸出産業が大変に影響を受けているということで、倒産やらあるいは縮小に伴う雇用問題等既に深刻になっていることは、これは皆共通の認識に立っているものというふうに私は思いますけれども、そのことで、この総合経済対策では第六項に中小企業対策等の推進ということが挙げられておるわけでございますが、そこで伺いますが、五十三年のときの円高によるやはり中小企業対策というのを進められました。いろいろ論評を読んでみますと、このたびの円高というのは非常に急速にやってきたと、急速につくったというふうに言うんですが、したがってその受ける影響度も大変に大きいのだということでございますけれども、それでやはり中小企業対策としても、五十三年のときの中小企業対策とは違うことをやはり考えなければならないのではないかというふうに思うんですね。
 これは私は中小企業白書から引いてみたんですが、五十三年には、円高原因で倒産した中小企業の数が五十三年度を通じて一千万以上の企業について言えば二百七十一件倒産というふうに、私はこれ自分で白書から引いたので、数字が違っていたら教えてください。ですが、マスコミ等の見通しをいろいろ見てみますと、今回の方が倒産のピッチが非常に早いというふうに言われておるわけでございますけれども、五十三年の倒産件数を上回るという分析をお持ちになっておるのかどうなのか。そして、その五十三年のときの状況と違うので、今回の中小企業対策はこの中で特色を持たせなければならないであろうというふうに思うんですけれども、その二点について通産省にお伺いします。
#85
○説明員(長田英機君) 中小企業に対する円高対策につきまして、五十三年のときのものと今回とどう違うのかと、こういう御質問についてお答えいたします。
 円高によりまして中小企業が影響を受けるわけでございますが、通常、為替の動向が不安定なために商談が中断したりいたしまして資金繰りに困ってしまうと、こういうような状況が最初出てくるわけでございます。これは五十三年も今回も大体同様な傾向でございまして、中小企業が非常に深刻な状態にあるわけでございます。こういうことに対する対策といたしましては通常、緊急融資を行う、あるいは税の還付を行う、あるいは信用を補完するというような措置を講ずるわけでございますが、これらにつきましては、五十三年時点と今回の対策はほぼ同様な対策を講じていると言えるかと思います。しかしながら、前回の場合と今回を考えてみますと、中小企業を取り巻く客観情勢、すなわち低開発国との競争関係、そういうものも非常に厳しくなってきているわけでございます。一たび、前回も円高の時点で中小企業が苦しみまして、また同様の事業をやっていますと、また今回同じ苦しみを味わう、こういうことになるわけでございまして、こういうことを避けて本当に中小企業の経営の安定を図るためには、やはり事業分野を転換していくことが非常に効率的、望ましいことなんではないか、こういうふうに考えているわけでございまして、五十三年時点の対策と今回の対策を比べました場合に、この事業転換対策の分野につきましては、格段と助成措置を強化しているわけでございます。
 具体的には、事業転換、なかなか一人一人の中小企業の人では難しいわけでございますので、組合というものを一つの核といたしまして、組合員が転換していきます場合に、組合としていろいろ需要開拓、試験研究をやるなどによって支援して、事業転換を行いやすくしていく。さらに個々の企業が転換いたします場合にも、金利が前回は五・五ないし五・三でございましたが、今回は先ほどお話ございましたように、五・〇というようなことで、事業転換対策面の強化を図っていく、これが今回の円高対策の一つの特色ではないかと考えるわけでございます。
 それからなお、今回の総合経済対策におきまして、これでは不十分なんではないかというお話もございましたが、今回、四月八日の対策の中では、産地の中小企業推進協議会を県ごとに設けたり、あるいはこういう新しい事業分野に挑戦いたしまして成功をおさめられた経営者の方々に、産地へ行っていろいろ産地を啓発していただく、こういうようなアドバイザー制度を設けたり、いろいろきめ細かい工夫をいたしているわけでございますが、これはこれだけの対策ではございませんで、今申し上げました、今回の円高に関連しますところの法律、二月二十五日に施行公布されましたが、こういう法律あるいはそれに関連しますところの施策、これらの措置を強力に駆使いたしまして、そして総合経済対策で決めましたような場を通じて、それを現実効果あらしめていく、こういうようなことで、そういう点から見てみた場合に、今回の対策によりまして十分万全を期していけるというふうに私どもは考えているわけでございます。
#86
○刈田貞子君 転換事業のことも先ほども伺いましたけれども、そんなに簡単に転換できない事情があるでしょう。先ほども新潟県の燕市の話が出ておりましたけれども、ここは国の国策によって農村地域への工業の導入を促進するという農村地域工業導入促進法で、そしてこれは昔から地場産業としてあったところではあるけれども、洋食器の産業というのはさらに拡大して促進して、こては一つの農村の工業化モデル地帯として非常に脚光を浴びたところですよね。ここをどういうふうに扱うかというのは、国が農水省の一つの施策として、この農村地域工業導入促進法に基づいてやった一つの方策であるわけ。ここが成功しないと、このこと自体もやはりかげりが出てくるということで、私はこの燕市の例も詳しく申し上げたくて、いろいろ数字調べてきたんですけれども、ここで働いている人が二兼農家なんです、全部。兼業農家が働いているわけ、九割まで。つまり雇用されている人が。その人たちは、ただ単にそこに、工場に勤めている、研磨に出ているというだけでなく、庭先に今度小屋を建てて、そして大体あそこの産業はただでさえこまいわけだ。そこからまた下請のまた下請までもらってきて研磨やっているわけ、みんな庭先で。こういう兼業農家の人たちが実はこの円高のあおりを食っているという実態があるわけだ。これは例の工業化促進法でできている地域だからなんですね。これは農水省さんにお尋ねしても、それから通産省さんにお尋ねしても、私は答えは同じだと思うんですけれども、やはり兼業農家の収入減が非常に進んでいるということについて、一言ずつでいいんだけれども、両省から伺いたいんです。二言で結構です。
#87
○説明員(鈴木克之君) 農林水産省といたしましては、地場産業の育成も含めました農村地域への工業導入の促進方につきまして、今後とも関係各省と連絡を一層緊密にいたしまして、農村地域での就業機会の確保に努めてまいりたい、かように考えております。
#88
○説明員(柴崎和典君) 先生御指摘のとおり、燕の金属洋食器の業態というのは大変複雑でございまして、最末端は家内工業的な零細企業群に支えられておる、こういう状況でございます。したがいまして、今回の円高の影響がそういう末端に非常に大きな影響を与えておる、御指摘のとおりでございます。私どもとしましては、各種の中小企業施策を総動員いたしまして、この産地の振興に側面的に努力してまいりたい、かように考えております。
#89
○刈田貞子君 この燕市の問題については、既に方々の委員会でいろいろ論議がございますので、あえて私は申しませんけれども、強いて言うならば、そういう雇用されている立場の者が実は農民が多いというところの視点が以外と欠落しているわけでございますので、そこのところをぜひ御認識いただきたいというふうに思います。そして、布やらあるいは業界やらがいろいろ事業転換のための策を指導して、それでここで見ますと、緊急融資が当初枠が十五億、それで新たに七億追加して、それが全部底をついちゃって、ほっと一息している関係者はあるけれども、事実収入が減ってしまった、あるいはもう庭先に下請の仕事が来なくなってしまった農家というのは、まさに仕事あるいは収入、現実的に収入がなくなってしまったということについては、これは非常に問題があろうかというふうに思いますし、こうした農家を救う方法というのは今ないんでございます。農業の方の対策としては、あくまでも農事にかかわる一つの金融対策がありますけれども、こういうものについて私はないと認識しておりますものですから、したがってこうした農家を救う方策というのがないのではないかというふうに思うので、あえてこういう部分を認識しておいていただきたいということでこれを取り上げてみました。
 それから次に、建設国道の関係についてお伺いいたします。
 この総合経済対策の中では、環状七号線以内の第一種住宅専用地域から第二種住宅専用地域への指定がえが出されておるわけでございますけれども、これは実は大きな論議を呼ぶところだろうというふうに思います。――農水省さん、ありがとうございました。
 ここでは例外を設けておりまして、「真に低層住宅としての良好な居住環境の維持のため必要な場合を除き」ということがうたわれているわけでございますが、実はこれは六十年度建設白書の中でも、「良好な居住環境の維持のため必要がある場合を除き」できるだけ一種から二種にかえなさいということがあるわけですね、白書の中でも。このたびは、よく調べてみますと、「真に低層住宅としての良好な」というふうなことが書いてあるわけで、私伺いたいのは、この「良好な居住環境」というのは、環七の中で見るとどこら辺のところを具体的に言っておられるのか聞きたいわけ。
 それで、この建設白書では、環七の中に第一種住宅専用地域は、六十年度分で二千四百三十六ヘクタールあるというふうに書いてあります。それから、区内全部の分も入れると一万三千八百五十三ヘクタールまだ一種専用地域があるというふうに白書でうたっているわけですね。それで、どんなところを想定して「除き」あとは全部一種から二種にしてしまうというふうにおっしゃっておるのかどうなのか伺います。
#90
○説明員(大久保伸明君) 御説明申し上げます。
 その真に良好な居住環境を有するというのは人によって多少差はあろうかとも思いますが、我々の念頭にありますのは、例えば松浦町であるとかあるいは南平台であるとかといったような非常に緑豊かな低層住宅としての環境のよいところというようなことを念頭に置いておるわけでございます。
 それから、どういうところをそれじゃ直すのかというお尋ねでございますが、これにつきましては実は東京都の長期計画の中で環七以内についてはそういう高度利用が図れるようにするんだというような基本的な方針が述べられておるわけでございます。がしかしながら、今先生がおっしゃるように、非常にいい住宅地というのはそうすぐにかえるのかというような点がございまして、防災計画上必要なところであるとか、あるいはかなり実態がそういう低層住宅地の良好なというような実態ではなくなりつつあるような場所を優先的にそういうところからかえていっていただきたいということを申し上げているわけでございます。
#91
○刈田貞子君 そこでお伺いいたしますけれども、この一種から二種に指定がえをするということは土地の価格にどういう影響をもたらすかという問題が一つあろうかというふうに思うんでございます。それで国土庁が発表した例の一月一日現在の地価公示価格、あれなんか見ますと、例えば日本橋蛎殻町でしたか六三・幾つか、対前年比、ああいうふうなことが今ある中で、私はこの土地の価格にどういう影響をもたらすかということを先に考えないと、これが景気浮揚につながるとか内需拡大策にどうつながるとかいう以前のテーマとして実は問題意識を持ったわけでありますけれども、このたびの発表によりますと、土地が比較的都心の、都内の土地がそれだけアップしたということの理由として例の品川の国鉄用地あるいは紀尾井町の国有地の払い下げ等が影響しているというふうに言っている人もおりますし、実はそうではなく、先ほど同僚の竹田委員の方からも出ましたけれども、実は民間の金融機関が不動産業に活発に融資をしていると、そのことが実は原因でという、マネーゲームだという話が出たわけでありますけれども、そういうものが影響しているんだというふうにも言われているわけですけれども、これは確かに一理あろうかというデータは、一月末の都銀、地銀、これが出しているもので読みますと、不動産業に貸し付けている貸付残高が一月末で前年度比二三・六%にもアップしているわけなんです。だから、そういう不動産に対してどれだけ投機をしているかということの裏づけではないかというふうに私は思うんですけれども、全企業^業種の平均が一〇・三ですからはるかに上回っているわけですね。こういうことも通して私は今そういうものが動いている中で一種から二種への指定がえということがこの地価とどういう影響を持つようになるとお考えでしょうか、まず国土庁に伺いたい。
#92
○説明員(天本俊正君) 先般、四月一日に地価公示の発表をいたしましたが、その中で東京都の都心部におきます商業地及び一部の住宅地について四〇%から五〇%の非常に高い地価の上昇が見られております。これは先生御指摘のような金融緩和の条件等もございますが、我々基本的には今都市が、非常に東京の場合都市構造が大きく変わっております。国際化あるいは情報化の波の中で新しいオフィス需要が非常にふえているわけでございます。これになかなかこの都市構造が追いついていけないといったようなところが基本的な底流として地価高騰の原因にあるのではないかというふうに思っております。したがいまして、先ほどからございますような容積率を変える等の措置によりましてこれが実際にどのような動きになるかによりますので一概には言えませんが、一般論といたしましては都市開発、都市再開発が進みますことによりまして居住空間やあるいはオフィスの床といったものの供給が増加するということになりますと、全体としましては現在の土地需給の逼迫状況というのが改善されまして地価の安定化にもつながるものだというふうに考えております。
#93
○刈田貞子君 そうだと思います。
 それで、国土利用計画法の届け出規則がありますね、あれの強化をやはりする必要があるんじゃないかと思うんです。今、東京都が条例で三百平米から届け出をせいという条例をつくろうとしていますね。現在は二千平米まで無届け出でできるということになっているわけですけれども、この辺のところを強化していただきませんと、もしこういうことが実際に動くとすればあの環七の中身というのはやっぱり無秩序なビルが乱立したり、それからここのところ少し状況がおさまっているワンルームマンション、そんなようなものがまたたくさんできて、あるいは日照・日影というようなトラブルが起きてくるというようなことにもつながり、それで環境の悪化ということにつながっていくんじゃないかというふうに思うんですね。そうすると国民にとっては何の利益もないわけですわ。これいかがでしょうか。
#94
○説明員(山崎皓一君) ただいま地価調査課長からも御答弁申し上げましたとおり、現在都心の地価というものが非常に上がっております。全国的には比較的地価が安定しております中におきまして、東京の都心だけが非常に際立った上昇を示しているわけでございまして、そういった観点から私どもこの都心の地価に対して何らかの対策が必要ではないかということで、東京都との間で連絡会議というものを設けまして検討を行っているわけでございます。
 その中で、先生も御指摘になりました国土利用計画法による土地取引の届け出面積の引き下げということが一つの手段として考えられないかということが検討されているわけでございます。と申しますのは、今全国的には市街地の場合二千平方メートル以上の市街地の土地取引につきましてはあらかじめ都道府県知事に届けることになっているわけでございますが、東京のような場合、二千平方メートルを超えるような取引というのはほとんどないわけでございまして、この国土法の土地届け出の制度といいますのは代表的な土地取引につきまして届け出を受けまして、その際の価格等を知事が適正かどうか判断することによりまして、それ以外の土地取引への効果の波及を及ぼそうということを予定しているものでございますが、ほとんどこの届け出にひっかからないということになりますとそのような効果が東京都心の土地取引については期待できないわけでございます。したがって、そういった観点からこの届け出面積を引き下げるということが、実需はともかくとしまして投機的な形での土地取引というものを抑えるという意味で有効なのではないのかなということで、現在東京都と検討を進めておりまして、できるだけ早く結論を得たいというふうに考えておるところでございます。
#95
○刈田貞子君 先ほどは面積率の話を伺ったわけですから。あなた容積率とおっしゃったけどね、面積率の話ですから。容積率の問題もここでまた出ているわけですが、そういうことも含めまして私はこの市街地再開発事業が一体経済対策としてどういう効果があるのだろうかということを経済企画庁の方にお伺いしたいわけでございますけれども、先ほどここで視察報告をいたしておりましたのも、再開発地域の視察をしてまいりまして、その報告をここでしていたわけでございます。その最後のところに、要するに再開発事業というのは権利調整等をめぐって多大な時間と人力を用いると、必要とするということが大変難なんだというふうに先ほどここで御報告したばっかりなんですね。で、非常に再開発事業というのはそういう意味でいろいろ問題があるわけです。一つ計画をして、それが計画がまとまるまでに十年から十一年、十二年かかって、そしてそれから今度は事業がスタートしてということなので、この効果もどこらあたりのところで、どの効果をねらおうとしているのか私はわかりませんけれども、大変にこうした政策が経済対策としてどういう意味を持つのかということに疑問を持っておりますが、いかがでしょうか。
#96
○政府委員(赤羽隆夫君) 仰せのように、短期的にその効果があらわれると、こういう性質のものでもありませんし、また金額的に数量的にでございますけれども、定量的にその効果が計測できるということも困難であると、こういうふうに考えますけれども、しかしながら、将来の方向を示すと、こういうことでその将来の方向というのが都市空間の高度利用といったようなことから市街地の再開発等を通じまして都市機能がさらに強化されると。そういうことになれば、そこに対しましていろいろなまた建築投資以外の投資もまた行われるようになるだろう、そういうことでございまして、経済対策として当然掲げるべき一項目にふさわしいものと考えております。
#97
○刈田貞子君 そうすると、やっぱりこれはあくまでも将来に向けての話にこれはなってしまうんですよね。時間がないので、お伺いしたいことがたくさんあるんですけれども、この前残しておいた輸入品の話のことをちょっとお伺いいたします。
 先ほど松岡委員の質問に対して、三十七品目の調査をこれから暫時しながら輸入品が安く国民の手に入るように進めていくんだということをおっしゃっておられましたけれども、私、そのお話聞きまして、いつまで調査しているのって、こういう感じになるわけなんですね。本当に依然として調査なんですよね。私ここに、輸入品は家庭生活として大変にいろいろ関係の深いものがあるわけですから、昨年来関係省庁が調査なさいました資料を各省庁分全部持っています、ここに。で、国税庁初め経済企画庁、通産省、そして農水省あたりの調査、調査した分たくさんあるんですよね。その上にまた三十七品目をまた調査するというのは、さらにどういう意味を持たせるのかなというふうに私は大変に不思議でございます。例えばこのマグロとかサケとかタコとかエビね、そうしてこれバナナ、グレープフルーツなんていうのは、これは農林水産省がちゃんと調査しているのがあるのよ、これ。その上に何を調査するかっていうところなんだけど、一人でしゃべってしまいますと、恐らくまだ下がり方が少ないからさらに再調査しようと、こういうことなのではないでしょうかと。これは私、時間がないからしゃべってしまいます。その質問が一つ。
 それからもう一つは、今回千点の商品について三千店のお店で「サミット側インポートフェア」と、こういう形で輸入品の大安売りをすると、こういうことであるわけですね。私たちはこの記事を読みまして、この発表を伺いまして、政府の顔はどっち向いているのかっていう感じがしたわけでございまして、昨年来総理が百ドルの輸入品をみんなで買いましょうと、こういうお話をなさって以来、しかし輸入品は高いからという声がたくさん国民の中からあったわけですね。それで、先ほど来いろいろ御努力をなさってきたということも伺いました。しかし、昨年の九月と今年の三月を比べると、値下がり幅はこの程度ですというような調査はたくさん出ているわけです。マスコミ筋もやっているし、経企庁自身もなさっていて、いかに下がっていないかがわかっておられるわけですよね。それなのにサミット向けにこういうフェアをなさるというのは、それができるんだったらなぜサミットに向けなくても、去年の秋、去年の暮れにやってくれたら国民は喜んだと思いますよ。私はこういうあれがおかしいなと思うんだけれども、どちらの顔に向けて安売りをなさるのかというふうに私は大変不満を持つものでございますし、もう一つ、スーパーとデパートを中心にしてこの安売りをなさるというふうにおっしゃるんだけれども、スーパー、デパートの言い分は、デパートでドル建ての輸入、これが総売り上げの一%しかありませんから大変困難ですというふうに言います。それから、スーパーは食料品等も入れておりますので幾らか量がふえておりますけれども、総売り上げ高の五%ぐらいしかドル建てで物を買っていませんから大変無理ですと、こういう話をいたしますけれども、果たしてこのスーパー、デパートを中心にこの五月の初めを皮切りに安売りが本当にできるのでしょうか、どうでしょうか。
 これは専門家のお方の御答弁とあわせて経済企画庁長官の抱負と同時に伺わしてください。それを聞いて終わらせます。
#98
○政府委員(斎藤成雄君) お尋ねの点について順次お答えを申し上げますが、昨年いろいろ調査の発表があったと。農水省、大蔵省あるいは経済企画庁、通産省という御指摘がございましたけれども、恐らく昨年の十一月に発表いたしました輸入物資の流通状況についての調査をあるいは指していらっしゃるんじゃないかと思いますけれども、これは輸入物資が国内で流通過程を経る間にどのくらいマージンがふえるかということをねらいとして発表したものでございまして、その結果は、ことしの三月末に物価安定政策会議からいろいろの提言とともに報告されたものでございます。これは円高の影響がどうのという問題ではなくて、流通の過程でどういうマージンがかかるかということの調査でございます。
 それから、いろいろ調査があるではないかというのは御指摘のとおりでございまして、私どもも総務庁統計局の調査その他、常日ごろいろいろ統計の結果を利用しているわけでございます。
 今回、四月末を目途に発表しようとしているものはもう既に三月中に大体調査を終えておりますけれども、具体的に現在の価格がどうなっているかという単なる数字のフォローではなくて、昨年以来の円高がどのように影響しているかということについて、その影響の状況を見ようというものでございます。
 御承知のとおり、物価というのは為替レートだけで決まるものではありませんで、いろんな要素がそれに加わってまいります。したがって、物価が下げ足らぬと仮におっしゃる向きがありましても、ほかの要素があるかもしれない。あるいはもっと高くてもいいんじゃないかと言われてもほかの要素が加わってもっと下がっているかもしれない。下がる方は私の方は特に問題といたしませんが、下げ足らぬようなものについて、なぜであるかということについて物資所管省に十分調査をしてもらいたい。そしてもし、下げ足らぬ、あるいはもっと下がってしかるべきものについて理由がどうもはっきりしないというときには、その理由について必要があれば公正取引委員会その他とも連携をとって十分円高の効果が末端に浸透するように行政的に取り組んでいきたい、こういう趣旨でございます。
 町に行けば小売のところに値段がついておりますから調べればごく簡単にわかるわけですけれども、今回の調査というのは、小売価格を単に調査するということではなくて、その内容を調査して、そして費用があればいろいろ指導をしていこう、これは今回の総合経済対策の――調査を行うというのは提言の前文のところに明確に書いてあると私どもは理解をいたしております。
 それから二番の、インポートフェア云々というお話がございましたけれども、このインポートフェアあるいはバザールで売らせるという問題は、これも総合経済対策の中に書いてございますけれども、今回の円高をできるだけ活用するように通商産業省の方から百貨店やスーパーに対して特に要望をいたしまして、それに基づいて行われる行事でございまして、既に各百貨店あるいはスーパーからはこういうものについてはこれだけ値下げをいたしますという報告が出ております。そういう意味で、円高差益について積極的にこの百貨店あるいはスーパーが取り組んだ目玉が出ているわけでございまして、百貨店やあるいはスーパーがマージンとして、あるいはその売り上げの幅がどのくらいであるかということは御指摘になりましたけれども、そういう売り上げ規模が輸入品については大きくないにもかかわらず、こういうものについては値下げをいたします、こういうのが百貨店、スーパーの売り上げの今回の内容でございます。
#99
○国務大臣(平泉渉君) 国際貿易のメリットが十分に国民生活に還元されるということは、これはもう単に国民生活の観点というだけでなしに、もちろん直接的にそういうメリットがございますが、そのほかに我が国の経済の生産構造全体をより合理的で、より効率性の高いものにし、結果において日本経済をより足腰の強いものにする、そういう意味で非常に重要なことであると私どもは認識をいたしておるわけでございます。
 我が国は陸続きの外国を持たない国でございますので、えてして製品輸入の段階で、殊に製品のみじゃございませんが、一般の輸入品の価格体系というものがどうも国際的な比較を十分になし得ない部分があるやに私どもは感じでおります。
 そういう点を含めまして、国民に対して輸入品のメリット、輸入品の価格、そういったものが十分に反映されて国民生活を豊かにする、こういうことは非常に重要なことだということで、全力を挙げて、殊に今度の円高問題はそういう点でメリットが出されなければまずいことでございますから、大変重視をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
#100
○吉川春子君 それでは質問いたします。
 急激な円高の進行が中小企業を直撃して円高倒産が一層深刻になっております。今回の円高は明らかに政府の誘導政策によってもたらされたものであり、中小企業の救済の責任は政府にあるわけです。
 今回の円高は、一方では、トヨタ、松下電器などの大企業五十社だけで我が国輸出総額三十六兆円のうち五六・九%を占め、八四年九月期決算の内部留保は、トヨタが二兆円、日産、松下各一兆円を初め、大企業百五十社で二十七兆円という大企業の史上最高の高収益を上げ、一方では、これと対照的に中小企業は史上最悪の二万件突破の倒産という背景のもとで、五カ国蔵相・中央銀行総裁会議の合意に基づく政府主導の政策によるものだと、こういうふうに言えると思うんです。
 多くの中小企業は一ドル二百二十円以上では採算がとれないというふうに訴えています。大企業による輸出急増によって激化させた貿易摩擦を解消するために中小企業を犠牲にすることは絶対に許されないと思います。緊急融資金利のわずかばかりの引き下げでお茶を濁さずに抜本的な円高是正を行うべきではないか。との点について、日銀の副総裁と経企庁長官にまずお伺いいたします。
#101
○参考人(三重野康君) 先生御案内のとおり、日本経済にとっての最大の課題の一つは膨大な対外不均衡の是正かと存じます。その観点からいたしますと、円レートは方向としてはどうしてもやっぱり円高に持っていかなければならない、この点はぜひ御理解をいただきたいのでございます。
 最近の動きはさすがに急でございまして、ここまでまいりますと、先生がおっしゃった中小企業を含めて日本経済全体が対応するにやっぱりある程度時間がかかりますので、私どもは現在は、より安定した為替の動きをこいねがっているわけでございます。もちろんマーケットが相手でございますので、あめ細工のようにはなかなかまいりませんが、基本的な態度としては、より安定した動きができることをこいねがっているわけでございます。
 事実かなりの円高で、先生が御指摘のとおり、中小企業、特に輸出関連の中小企業は採算の悪化とか、あるいは輸出成約のストップないし減少という厳しい状態にありますことは私どもも十分に承知をいたしております。けさほど企画庁から御説明のありました政府の総合経済対策もそうでございますが、私どもも年初来既に公定歩合を二回、一%下げまして、このことが、内需の振興その他を通じまして中小企業の対応に時間をかすことに資することを期待しておる次第でございます。
#102
○国務大臣(平泉渉君) 円が安ければ安いだけいいというわけではないと思うのですね。円のレートというものは、別に政府が云々したと、こういうことではなくて、むしろファンダメンタルズを十分反映した為替状況であったかどうかということ全体について、国際的な市場の圧力もございますし、また全体としての政府の意向もございますが、そういう中で今度の為替の調整が市場で行われてきたと、こういうふうに私どもは理解をいたしております。そのこと全体に対して協調的に各国の金融当局がそれぞれ措置をとったと、こういうふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。
 今、我が国の通貨当局からの御説明もございましたけれども、我々としましては、こういう市場の動きの中で極端な変動が起こるということは、取引の安定を害し、経済の妥当な、通常の、ノーマルな発展というものを阻害する。そういうことのないようにこれはしていかなきゃならぬ、これは我々政府が十分その点は注意してまいりたいと思っておるわけでございます。
#103
○吉川春子君 経企庁が二十六産地について行った調査でも、採算レートは二百十円から二百四十円の範囲というふうになっておりまして、六割が二百二十円に集中しているわけです。百八十円から百九十円が一年続くと大変な痛手をこうむるというふうにもこの報告では言われているわけですけれども、安ければ安いほどよいというわけではないとおっしゃった長官のお考えとしては、じゃ中小企業のこういう状態と兼ね合わせてどの程度が適正だとお考えなのかということを一つお伺いしたいのと、一年程度こうなっていると大変な痛手を受けるということにかんがみて、やはり円高の是正を急ぐべきではないかと思うんですけれども、そういう点はいかがですか。
#104
○国務大臣(平泉渉君) どこのレートがいいと、こういうことはなかなか言いにくいことでございます。もちろん、産地というか、純粋に輸出という観点からだけ見ればその輸出の仕事が非常に楽になる、こういう意味では円が安いということにそれなりのメリットがございますが、同時に、国民経済全体から見ますと、原料が非常に値上がりをする、全体にインフレ傾向が出てくる、そういうこともございますから、また経済の本質そのものの議論までいたしますと、我が国の労働、我が国の技術というものが非常に安く買われるということでもございます。そういうこと全体を考えますと、やはりおのずとファンダメンタルズに即応した妥当なレートというものはあるのではあるまいか、かように私どもは考えております、そういう中で、もちろん産地にはそれぞれの取引、円のあるレートのもとでの生産体制というものがつくられておるわけでありますから、それが余り急激に変化するということは確かに大変な苦痛を伴うことである。今回の私どもの総合対策というのもそういったことの十分なクッションを入れていく、こういうことに主眼があるわけでございます。
#105
○吉川春子君 ちょっと時間の関係で先へ行きますが、現在通産省に政務次官を本部長とする下請等中小企業対策推進本部が設置されておりますけれども、この深刻な中小企業の円高による打撃を救済するには極めて弱体ではないかと思うわけです。抜本的な中小企業対策本部を政府部内に設置して、関係省庁の力を結集して円高被害の実態調査、関連中小企業対策の徹底を図るべきことを我が党は要求しておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
#106
○政府委員(赤羽隆夫君) 確かに通産省に置かれております対策推進本部、これは本部長が政務次官であることは御指摘のとおりでございますけれども、この対策本部での仕事といいますのは、下請中小企業等に対する施策の推進、下請中小企業等に及ぼす影響の調査の取りまとめということを行っております。中小企業庁といいますのは、中小企業全般につきまして政府部内で横断的に指導、助成を行うというのが中小企業庁の仕事でございますので、これを中心に行うのが適当かと考えます。
 なお、政府といたしましては、四月の八日の経済対策閣僚会議におきまして、一項目として「中小企業対策等の推進」を揚げておるわけでありますが、これは閣僚ベースの経済対策閣僚会議の決定ということになっております。
#107
○吉川春子君 我が党は円高是正と、やはり政府に強力な対策本部を設けるように強く今後とも要求していきたいと思います。
 四月八日に経済対策閣僚会議が出した「総合経済対策」は、円高による中小企業への深刻な影響の受けとめ方が全く弱いのみならず、「中小企業対策」としてうたっている「中小企業国際経済調整対策等特別貸付制度及び小企業等経営改善資金融資制度の貸付金利の引下げ」も〇・二%から〇・五%と極めてお粗末なものとなっています。この高利率の政府の特別融資制度の対策さえ、五カ国蔵相・中央銀行総裁会議の盟主であるアメリカの代表から不公正な輸出補助と抗議を受けると、通産省の首脳はこれに対して、円高政策が産業構造再編の一環を支援する中小企業の事業転換を図るもので救済ではない、こういうふうに回答しているわけです。このような政府の対応では生きるか死ぬかの深刻な状態にある中小企業は救えないと思います。既に刃物の町である岐阜県の関では、金利年二・九%の少額融資貸付制度をつくっておりますし、ほかの自治体でもこういうようなところがあるわけで、政府は政府に責任のある円高による被害の救済という認識に立って緊急措置として三%ぐらいに引き下げるべきではないかと思うんですけれども、どうですか。
#108
○説明員(土居征夫君) 今、御指摘がありました円高対策といたしましての中小企業国際経済調整対策等特別貸付制度につきましては、先生御承知のように、昨年の十二月段階から急激な円高の影響が中小企業に影響を及ぼしてくるということで創設されたものでございまして、十二月二日の段階で六・八%だったものをさらに予算措置を講ずるということで、一月の二十日から五・五%に引き下げ、三月四日には国会で御審議いただきました中小企業事業転換等臨時措置法の施行にあわせまして、事業転換資金もこれに加えるという形で対策の拡充強化をしてまいったわけでございますが、今般、その金利をさらに五。五%から今御指摘のありましたように五・〇ないし五・三に引き下げたところでございます。現在の金利は大企業向けの最優遇金利でございます長期プライムレート六・四%に対しましても一・一%から一・四%という低利になっておりまして、各種の国の政策金利の中では最も低いラインに位置するものでございます。御承知のように、国の政策金利といいますのは大体財投金利に制約されておりまして、財投金利の上のところで設定されておるわけでございますけれども、こういった非常に例外的に低い金利として今回の対策を講じていることを御理解いただきたいと思います。
#109
○吉川春子君 この政府の融資制度が高金利だということで、実際には自治体の方を優先して政府の金利をなかなか使わないという実態も各地であるわけで、私は三%程度に引き下げるように強くここで要求しておきたいと思います。
 それから、労働省に最後にお伺いいたしますけれども、日米貿易摩擦の主要な原因は、自動車、電機を初めとする大企業製品の異常なまでの国際競争力の強さにあるわけですが、この強さは、日本の労働者の一時間当たりの賃金がアメリカやヨーロッパの二分の一から三分の一という低さで、一方、年間の労働時間はと言えば、総実労働時間で日本は二千百五十二、アメリカが千八百九十八、西独が千六百十三、こういうことになっています、これは八三年度の数字ですけれども。労働省の調査でも、八四年度の賃金労働時間の実態は一向に改善されてないばかりか、さらにこの水準より悪化しているわけです。労働時間は五時間ふえて、年次有給休暇も取得率は前年度を四%も下回って、労働者が休んだのは平均八・二日である。この労働時間の短縮というのが強調されてい会ときに、こういう結果は非常に重大ではないかと思いますけれども、労働省のお考えを伺わせてください。
 それから、一方、年次有給休暇を一〇〇%消化すれば、スポーツ、行楽、観光など年間一兆二千四百億の支出が見込まれて内需拡大にもプラスになると朝日生命保険の調査でも発表されております。もっとも、これは賃上げも伴わなければ、時間的な余裕だけあっても消費がふえるかという点は問題があると思いますけれども。とにかく労働時間の短縮ということをもっと本気で取り組まなければならないんじゃないんでしょうか。とりあえず欧米並みに週四十時間、週休二日、年次有給休暇をふやしたり、とりやすくする、こういうことに対して政府は本気で取り組むべきではないかと思うんです。そのことについて労働省のお考えを伺って、こういうことがやはり経済全般の上で好ましい影響を与えると思いますので、長官の御意見も伺いたいというふうに思います。
#110
○説明員(伊藤庄平君) 労働時間の短縮の問題でございますが、先生御指摘のような傾向ある中で、私ども、この労働時間短縮の問題、いろんな国際的な観点からも最重要課題の一つとして取り組んでおりまして、週休二日制の拡大、また、お話ございました年次有給休暇の消化健進、こういったものを軸にここ数年来非常に力を入れている課題にしてきております。この四月からも、新年度の予算によりましていろいろ業種の実態、そういうものに応じてきめ細かな労働時間短縮の推進をやっていこうということで、企業集団をつかまえてのそういう集団に対する指導、こういうものを綿密にやるとか、いろいろ後押しの施策を新たに始めているところでございまして、今後とも、この労働時間の短縮につきましては十分そういうものを活用しながら努力していきたいというふうに考えております。
#111
○吉川春子君 下がったのはどうしてですか、努力しているのに、そこを聞いたの。前年度と比べて下がっているのはなぜですか。
#112
○説明員(伊藤庄平君) 前年に比べていろいろ指導はしておりますけれども、いろんな経済情勢や特に中小企業をめぐるいろんな経営環境の問題、そういうものが微妙に反映してきておることは事実だろうと思いますけれども、そういう中で何とかこの労働時間短縮の問題、いろんな国際的な観点、いろんな観点から必要だということを事業主の方にいろいろ理解してもらおう、その辺の理解をまず深めていくのが先決だろう。そういう理解がなかなか進まない面、こういうものが先生御指摘のような一因になっている可能性もございますので、そういうところに十分力を入れていこうと、こういうふうに考えているところでございます。
#113
○国務大臣(平泉渉君) 労働省の意見と同じでございます。
#114
○吉川春子君 不十分ですけれどもいいです、それで。
 終わります。
#115
○橋本敦君 続いて私からお伺いしたいと思います。
 長官もおわかりだと思うんですが、今日の円高、深刻なまたそれに伴う中小企業不況、こういう中で国民が今一番望んでいる経済対策といえば、私は真の内需拡大に大きく役立つ賃上げであり、大幅減税であり、中小企業対策である。それと同時に、国民全体の暮らしから見れば、物価の引き下げ、電力、ガス、これの円高差益の十分な還元、これだろうと思うんですね。ところが、今度八日に発表された総合経済対策は、一番目玉の一つとした円高還元についても、差益還元についても十分でない。それに加えて私どもの立場から見れば、東京湾横断道路の建設や規制緩和、こういうことで、いわゆる民活の名で依然として大企業中心の経済対策、こういうことになっているというように考えざるを得ないんです。
 そこで、きょうは時間がありませんので、当面焦点となっております円高差益還元問題について伺うことにいたしますが、まずこの問題でいえば、還元額がおよそ一兆円程度と、こういうことになっておりますが、これは経企庁自身が四日に発表された試算額一兆三千四百億、これの七割程度ですから、五十三年の還元率にとどまっているわけですね。この点で長官自身も、新聞で見ましたが、五日の記者会見で、消費煮に一〇〇%還元するという、こういう原則を貫きたいと、こういうことをおっしゃっていたわけでありますが、この点からしても不十分ではないかというように私は思うんですが、長官の御意見はいかがでしょうか。
#116
○政府委員(斎藤成雄君) 具体的な内容について先に私から答弁させていただきます。
 差益はどのくらい計算上出るかという点はお尋ねのとおりでございまして、私どももそのぐらいの数字になるのではないかと考えております月それからまた、それについてどのように還元するかということにつきましては、これは大臣が記者会児で前にも申し上げておりますように、原則としては需要家に還元すべきものというふうに考えておりまして、どのくらいという、その率は言っておりませんけれども、原則としては需要家に還元すべきものと、こう考えておるわけでございます。これは企画庁、かねがね従来からそう言っております。ただ、今私どもが総合経済対策の中で論じております場合の問題点は、為替あるいは原油の価格の動向につきまして将来をどう見るかというところが問題でございまして、このように、最近のように油の価格の変動幅が非常に大きいときに計算上の数字をまるまる還元してしまいますと、一たび価格に変動が生じた場合にはまだまだ電気料金あるいはガス料金の変動、それから改定をやらなければいけない、そういう問題が出てまいります。したがって、どのくらいそういった変動に対応する金として留保しておくか、これが非常に難しいところでございまして、現在通産省でこれらについていろいろ検討を行っているという状況でございます。私どもはそういった変動の要素をある程度考慮して、大づかみに計算すれば前回の還元率七割ということで、まあ大体一兆円ぐらいの還元ということで妥当ではないかと、こう考えてきたわけでございます。具体的な内容の額などについては目下通産省がいろいろ詰めている最中でございますから、私どもちょっとこれ以上申し上げるわけにはまいりません。
#117
○国務大臣(平泉渉君) 今事務当局から説明がございましたが、石油という非常に値段がフラクチュエートするものの上に成り立っている問題がございますので、なかなか難しい面はあろうと思いますが、私どもとしてはこれはあくまでも外的な要因による利益が出るわけでございますから、需要者に還元したいと、これはもう一〇〇%還元だということを私は常々主張をいたしております。それを現実にどういうふうに一〇〇%というのを実現するかという点につきましては、今専門家が鋭意私どもの趣旨を体してやってくれておると、かように理解をいたしております。
#118
○橋本敦君 大臣が一〇〇%還元を目指すという御答弁がありましたので次に進みますが、今、事務当局がおっしゃった問題について私は一つの反論を提起したい。つまり油の価格の不安定性ということがあるのでということですが、すでに五十五年のときもそういう意見があった。したがって、そのときは五十五年度のときに別途積立金、これをつくりまして、そしてまた五十八年度になれば原油価格が五ドル下がると、こういうことになって、それの利益分も原価変動調整積立金ということで政府はこれを積み立てることを認めてきたわけです。それがどれだけになっているか、私は通産省から資料をいただきまして政府の資料としてもはっきりしたんですが、電力の関係で五十五年から五十九年までの今言った二つの別途積立金が残高三千三百八十六億、これだけあります。ガスの関係で言いますと、これが一千三百七十五億あります。これが手つかずで残高で残っているんですよ。それから、さらに六十年度の差益、また油益が電力とガス合わせますと三千五百億、これがありますから、合計しますと八千二百六十一億、こういう残高があるわけですね。だから、したがって、これだけあるんですから、これ以上今日の円高差益からさらに三割減で積み立てなきゃならぬという必然性は政策的にはない、現にあるんですから。だから、そういう意味で今日一〇〇%の円高差益還元が可能だということがこの数字の上からも十分に言えるのでありますから、この際思い切って一〇〇%還元という方向をやっぱり具体的に経企庁としては進めるべきだと思いますが、重ねて御意見を伺います。
#119
○政府委員(斎藤成雄君) 前回の電気料金の改定の後、為替とそれから油の価格が常に料金引き下げの方向にばかり動いてきたかというと、そうではございませんで、時期によって為替はかなり円安にぶれましたし、曲もさらに高くなったという時期もございます。そういう意味で為替レートあるいは油の価格について変動を織り込んだ取り組み方をしなければいけないというのが私はその筋だろうと思います。ただ、御指摘の一〇〇%というときにどういうものをもって一〇〇%というかということについて、現在今具体化を通産省の中でも検討してもらっているわけでございまして、やはり今後の変動に備えて留保をするということは私は十分あり得るとし思います。ただ、具体的に、じゃ幾らかと、これはまだ今詰めている最中でございますから、これ以上お答えのしようがございません。
#120
○橋本敦君 一〇〇%といいながら、今度はまた今言ったように、やっぱり残しておかなきゃならぬということも言うということで、答弁は矛盾している部分がありますね。しかし、一〇〇%はどの程度かということをおっしゃっているんですが、一〇〇%は一〇〇%なんですよ。今まで言ってきたように、積み立て、残高があるわけですからね、事務当局の言うのは、それはなかなか理屈に合いませんわ。要するに今度の差益還元をもっと思い切ってやればよいということを私は指摘し、その方向で通産省とともに経企庁も努力すべきだということで、その点は腹をくくって本当に国民のために利益還元をやるということでやってもらいたいですね。現に十一日の朝日新聞でも、算出根拠はあいまいだと、差益がもっと還元できるはずだというこういう記事を出していますが、これはやっぱり国民が今見ている声の一つですよ。だからしたがって、一〇〇%還元を長官は目指すとおっしゃったんですから、具体的にその方向に進めていただきたい。
 さらにその条件があるというのは、石油関係の差益の問題ですよ。これは石油業界が大変な赤字を抱えている、それからもう一つは石油価格の小売の値下がりが大きい、いろんなことを言って、石油関係での円高差益、これをどれぐらい見るかということさえもなかなか政府は明らかにしてこなかったんですが、どっちにしても大手石油業界を中心にして今回の円高で円高差益と考えられる差益があることは事実じゃありませんか。どう見ていますか。
#121
○政府委員(斎藤成雄君) 石油業界が現在の円高あるいは油安によって、かなり差益と申しますか、利益が上がっていることは御指摘のとおりでございます。ただ、現在の石油製品につきまして、価格はこれは市場にゆだねられておりますから、そういう意味で私どもはその差益がどのくらいあるとかどうとかということには今のところは触れていないわけでございます。これらは市場の中で市場のメカニズムを通じて決まってくる、こう考えておるわけでございます。
#122
○橋本敦君 どっちにしても円高差益があることを認められたことは私は一歩議論が前進するステップになると思いますね。
 そこで、次の問題に移ります。
 次の問題は、何といっても物価引き下げというこういうメリットを国民全体に今の円高状況の中でやっぱり広めていかなくちゃならぬということについて政府の指導注を発揮しなきゃならぬ、こういうことです。現に流通段階のメカニズムの分析を政府はもっと真剣にやるべきだと思うんですが、日銀の卸売物価統計、これを見ますと非常に重要な数字が出るんですね。経企庁は今度の経済対策で物価の値下がり、これが〇・五ないし〇・七%と、こういう楽観的な見通しをしております。が、これは見通しの問題ですが、現に日銀の卸売物価統計、これによりますと、素原材料価格、これが一六・九%下がっている。ところが、それを使う中間財は五・一%の下がりにすぎない。今度はそれを使って最終仕上げをやる最終財になると一・一%下がっただけだと。さあ、そこで問題は、これが消費者物価になりますと、今度下がるんじゃなくて二・一%上がっているというのが二月の日銀が発表した卸売物価統計ですよね。
 そこで、経企庁に伺いますが、経企庁は日銀のこの統計をどう見ておられますか。なぜ下がらないのだと考えておられますか。そして、現に経企庁が今度の経済対策で〇・五ないし〇・七%の物価引き下げが展望されるというなら、具体的にこの日銀統計との関係で根拠があるのかどうか、これをお示しいただきたいのであります。
#123
○政府委員(斎藤成雄君) 二つの問題があろうかと思いますけれども、最初の方の問題は、卸売物価統計の上で素原材料の下げ幅はかなり大きいのに末端消費財に来ると小さい点だと思います。これは五十三年の円高問題のときにも出ておりますけれども、当然のことなんですけれども、輸入段階で出てきました価格が国内の生産過程に入りましてだんだん製品にまで移ってまいりますのに時間がかかるわけでございます。中には製品として輸入して入ってきたものがございますけれども、こういうのは通関後すぐ市場に出るんでしょうけれども、原材料として入ってきたものは、それが加工されるプロセスというものは当然必要でございますから、したがって円高が末端まで、つまり最終消費財まで波及していくのには、これはどうしても時間がかかる。五十三年のときの経験から申しますと、これが大体九カ月ぐらい、三四半期分ぐらいかかっている、こういうふうに統計分析の上から言われております。そういう意味で、現在卸売物価のうちの素原材料が下がっておりますものは徐々に中間財あるいは最終財に影響していくものというふうに私どもは見ております。
 それから、〇・五%ないし〇・七%の影響があるだろうという御指摘がございましたが、これは私どもは、今回の総合経済対策の実施によって物価に影響するのがどのくらいか、こういう前提での作業でございまして、お尋ねのように円高全体の影響ではございませんで、総合経済対策の効果として、まあ、この計算もなかなか前提でまだ詰まっていないところがたくさんあるものですから、厳密な計算は難しいんでございますけれども、ある程度前提を大胆に決めて計算をしてみるとこんなところかなと、こういうことでございます。
#124
○橋本敦君 時間がなくなってきましたので、最後に二点お伺いしますが、長官、今お聞きのように、物価引き下げ、これの展望も今度の経済対策で大体アバウトな検討だということにならざるを得ないと思うんですね。そこで長官に私は要請をしたいんですが、一つはこの日銀統計が示す問題は、今政府委員がお答えになったように、単に時間がかかるんだというだけじゃなくして、流通機構のメカニズムに適正なマージン以外の大きな利益があってはならぬので、ここにメスを入れるということで物価を下げる方向で指導することを政府として強力に検討して物価引き下げの方向に指導する、これを強めてほしい。このことを通じて、今回総合経済対策でこれを実施することによって経企庁が期待する〇・五ないし〇・七%の物価引き下げはもっと引き下げられる可能性を生み出すということだって可能ではないか。思い切ったそういった物価引き下げの政策をとってもらいたい、これが一つ。
 それからもう一つは、内需拡大に真に結びつくために個人消費支出の拡大を今度の経済対策でどれぐらい伸びると見ているのか、そこは見ていないのか、これは非常に大事な問題で、見てないとなれば、経済対策の重大な欠陥だと思わざるを得ないので聞きたいんですが、この二点を伺って質問を終わります。
#125
○政府委員(斎藤成雄君) 今の数字の点についてちょっと補足をさせていただきますが、私どもがきのう電力、ガスの還元などを含めた総合経済対策の影響として見ております数字は、CPIで大体〇・五ぐらい、それから卸売物価で〇・六ぐらい、こういうふうに見ておりますんで、ちょっと先ほどあるいは説明が違っていたかもしれませんが、補足させていただきます。
 流通の御指摘の点につきましては、従来から特に輸入品、高級ブランド品などについて、いろいろ問題が指摘されておりますので、私どもはそういうものを含めて十分監視し、必要があれば指導していきたいと考えているところでございます。
#126
○政府委員(赤羽隆夫君) 個人消費に対する効果でございますけれども、今回の対策によりまして消費者物価が〇・五程度下がる、上昇率が低下をする、こういう試算がございます。今回の対策の効果というのは、主として円高、さらには原油安、このメリットの還元ということでございますから、消費者物価の低下率に相応する個人部門の実質所得増加があるものと期待されます。そういうことでありますと、消費性向は多少変動はいたしますけれども大きな変動はございませんから、その点から考えますと、この物価の上昇率の低下〇・五%に近い消費の増加があるものと、こう考えて差し支えないものと考えます。
#127
○抜山映子君 四月十日の新聞発表によりますと、貿易黒字が史上最高の五百二十六億ドル、こういうことでございます。特に米国との黒字額が膨らんだのは自動車輸出が三三・六%も急増したからだ、こういうように解説ございまして、米国との均衡をとるためには、やはり先般国際協調のための経済構造調整研究会が発表した中にありますように、産業が直接投資するということが一番貿易構造を変えるという近道ではないか、こういうように思うんですけれども、テレビなんかはかなり諸外国において現地生産しているという傾向が出ておりますが、自動車についてはまだまだだと思います。そこで、自動車産業が外国などでジョイントベンチャーをつくって直接投資している、現地製造しているというケースをお教えください。
#128
○説明員(黒田直樹君) 先生御指摘のように、自動車産業におきましても、最近、現地生産というものが特に欧米先進国でプロジェクトが幾つか出てきているところでございます。アメリカにおきましては、現在、日本のメーカーのいわゆる単独の進出によるものが二件すでに稼働をいたしておりますし、また、日本のメーカーとアメリカのメーカーとの合弁による現地生産工場が一件、そういう意味で、日本企業が関係している現地生産工場というものが三件、三工場がすでに稼働を始めているところでございます。また、主要なメーカーでその後もいろいろなプロジェクトが発表されておりまして、現在三つのプロジェクトが工場建設に取りかかっているというのが現状でございます。
 生産能力という面から申し上げますと、一九九〇年前後には、アメリカでは日本のメーカーの関係する現地生産能力というものは、乗用車で約百三、四十万台の規模に達するものと現在見込まれております。また、アメリカ。以外におきましても、例えばカナダにおきましては、現在二つの現地生産工場というものが建設に取りかかっておりますし、また、ヨーロッパでは、例えばイギリスにおきまして現在一つのメーカーにおきまして現地生産工場が建設されつつある、近く生産を開始する予定というようなことでございまして、先生の御指摘のように、自動車部門におきましてもこの数年特に非常に現地生産化の動きが急速に進展しているものと承知をいたしております。
#129
○抜山映子君 ただいまの数字を伺いましても、まだまだ十分ではないように思います。
 自動車産業が現地生産を逡巡する理由をどう把握しておられますか。
#130
○説明員(黒田直樹君) 日本の乗用車産業の場合、大変、先ほども御指摘にございましたように、輸出の比率が高い産業でございまして、ほぼ生産の半分ぐらいが輸出に向けられているというのが従来のパターンでございます。そういうところで。ただいま申し上げましたように、例えばアメリカでは百数十万台といったような規模で今プロジェクトが進展しているところでございまして、この背景は、やはり輸出だけに依存するということではなく、かつ相手国市場における経済あるいは社会へできるだけ貢献していくというような形で経済活動を進めるのが望ましいということから、こういう投資が進められているものというふうに理解をいたしております。
#131
○抜山映子君 ちょっと回答がピント外れであったような気もします。
 なぜ逡巡している向きがあるのか、それをどう把握していらっしゃるのかということをお聞きしたかったんです。
#132
○説明員(黒田直樹君) 大変失礼いたしました。
 逡巡ということではなく、ただいま申し上げましたように、この二、三年急速にそういう方向で進展してきているというふうに考えております。
 ただ、全般の自動車の世界における供給能力と、あるいはそれぞれの市場における自動車の供給能力というものを考えますと、例えばアメリカの市場におきましても、ただいま申し上げましたように、日本からの投資というのが一方で進んでいるわけでございますが、他方で、アメリカの自動車産業もそれ自体大幅な合理化投資を米国内において行っておりますし、また、韓国であるとかあるいはユーゴスラビアであるとかメキシコであるとかいったような新興の自動車工業国の生産、あるいはそれに伴う輸出というものも非常に出てきております。したがって、そういう全般的な競争という中での判断ということでございまして、海外投資そのものについては前向きに進めているものと私どもとしては理解をいたしているところでございます。
#133
○抜山映子君 まあひとつ、拡大傾向にあるらしゅうございますから、この方向は相手国の雇用や技術水準の向上にも役立つという意味から、ひとつ政策的に通産省の方も頑張っていただきたい、こういうように思うわけでございます。
 さて、この円高メリットが消費者に還元されているかどうかの問題でございますが、総務庁統計局の調査によりますと、値段が同じもの――昭和六十年九月と六十一年三月を対比しまして全く同じであるもの、それから反対に上がっているものと、大変奇妙な数字が出ておるわけです。例えば牛肉なんかは百グラム百六十一円で同じである、マトンも同じ値段である、チーズも同じである、チョコレートなんかはかえって上がっている、それから万年筆、フィルム、腕時計なんかは同じ値段である、こういうような数字が出ておるわけでございます。そこで、まず牛肉の方についてお伺いしますが、どうして六十年九月と六十一年三月と同じ値段だという奇妙な現象が出ておるんでしょうか。
#134
○説明員(鎭西廸雄君) 牛肉につきましては、昭和五十年度以降、畜産物の価格安定等に関する法律という法律に基づきます価格安定制度を採用いたしておりまして、それによりまして、それ以降、私どもとしては、卸価格、小売価格とも非常に安定して推移してきているというように考えております。例えば、比較的最近全般的に消費者物価も落ちついておりますけれども、五十五年を一〇〇といたしますいわゆる消費者物価指数で見ますと、総合は一一五・九、その中で国産牛肉は一〇七・八ということで、相当実質的にむしろ値下がりしている。それから輸入牛肉に至りましては九六・六ということで、むしろノミナルな価格でも下がっている、かようになっているわけでございます。それから具体的には、百グラム当たり、今先生がおっしゃいましたように、大体六十年度を通じまして百六十円前後ということで推移してまいっているところでございます。
 で、ただいまの、なぜ九月と二月とを比べて同じなのかという御質問でございますけれども、これは実は、輸入牛肉のCIF価格、これは比較的、その月に入ってきたものの平均でございますので、円高等の影響がその月に直接あらわれるわけでございますが、小売物価統計は、申すまでもございませんで、その月に小売店頭に並んでいるものの価格でございますので、一定のタイムラグがございます。それと、牛肉の場合は夏と冬とで消費構造の違いというようなのがございまして、これを九月と二月で一概に比較するということについてはやや問題があろう、かように考えております。
#135
○抜山映子君 輸入牛肉の六十年度分の円高差益が約四十億円にも達しているっていうわけですね。これがまだ消費者に還元されていない。これを還元するために、その輸入牛肉を販売する、安く売る、「肉の日」などというのをつくってやる、こういうように新聞に出ておるわけですけれども、このように特別に肉の日などというのをつくって還元するのは私は余り消費者のメリットにならない、というのは、その日だけ売っているんだということで、消費者としては慌ててその日にプラスアルファみたいな形で買ってしまうということでは、こういう一過性の還元の仕方では、私は消費者のためにならない、もっと継続的に消費者がいつでも安く買える、こういうようにしていただきたいと思いますんですけれども、この点について経済企画庁長官の御意見をお聞かせください。
#136
○説明員(鎭西廸雄君) ただいまお話しございましたように、確かに私どもも、国内の食肉の価格が卸段階、小売段階を通じて安定するということが基本的に重要だろうというように考えております。そういう基本的な考え方のもとに、最近五年間牛肉の行政価格も据え置いてまいっております。さらに、六十一年度におきましては円高等の効果、それから世界的な穀物価格の値下がりというようなものを背景にいたしまして、行政価格につきましても乳用牛の雄の牛肉でございますが、これについては二・三%引き下げておりますし、さらに配合飼料のウエートの非常に高い豚肉につきましては五・六%引き下げた、こういうことで安定帯についても引き下げております。そのほか、ただいまお話しのございましたように畜産振興事業団はより直接的に消費者にそういった形での円高の効果を還元する、こういう形で一年を通じまして、例えば輸入牛肉の指定販売店制度というのを設けておりまして、これは通年、市価の一、二割安で輸入牛肉を販売しておるわけでございますけれども、この五月からその値引き率をさらに引き下げまして、二、三割引きということでやっていきたい、かように対応することにいたしたわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、私どもとしては、ただいま先生お話しのございましたように、基本的には国内の肉用牛生産のコストを引き下げる、足腰の強い畜産経営をつくることによりまして、中長期的に消費者サイドにとっても、生産者サイドにとってもメリットのあるような、そういう政策というのをやっていく必要があろう、かように考えておるところでございます。
#137
○抜山映子君 それでは、チョコレートの方についてお伺いしますけれども、昭和六十年九月、一枚三百二十六円であったものが三百四十円にかえって上がってしまっている、これは一体どういう理由ですか。
#138
○説明員(増田正尚君) 御説明いたします。
 総理府で調査いたしております小売物価統計調査の対象品目となっております輸入チョコレートは、アメリカの代表的な板チョコレートでございまして、都内の十二店舗の価格を調査したものでございます。三月の価格が上がったことにつきまして、私どもも不思議に思いまして調べてみたわけでございますが、この間輸入代理店は卸売価格を上げていないというふうに言っております。価格は今先生のお話のように三百二十六円で推移しておりまして、本年二月、三百十二円に下がっております。これはバレンタインデーの関係があって値下がりしたというふうに思われます。バレンタインデーを中心にいたしましてチョコレートの年間需要の約一割程度がこの月に売れるという状況でございまして、その後の値戻しで三月に価格が上昇したことも一つの原因じゃないか、これは推測でございますけれども、そういうことでございます。いずれにいたしましても、私どもといたしまして価格の動向を十分監視して、必要に応じ業界を指導してまいりたいというふうに考えております。
#139
○抜山映子君 バレンタインデーの影響でこういうことであったというんでありますと、やはりこれは政府として非常に行政指導がまずかった、消費者の方をよく見て指導してくださらなかったと、残念ながらそう言わざるを得ないと思うんですね。
 さらにお伺いしますが、万年筆とか、フィルムとか、腕時計とか、これがさっぱり下がっていない、全く同じ値段である、この理由はどういうわけでございましょうか。
#140
○政府委員(斎藤成雄君) 物資の所管課長が来ておりませんようですから、私からお答え申し上げますが、御指摘の万年筆とか、あるいはフィルム、腕時計もそうでございますけれども、大体ブランド品でございますから、ブランド品につきましては、御存じのように価格を安定させるという販売政策をとっておるケースが大変多いわけでございます。したがって、価格が動いてないものと思われます。こういった高級ブランド品政策、価格を一定に維持しようとする政策につきましては、特に輸入品に多く見られるわけでございますけれども、私どもはこれは適切ではないと考えておりまして、せんだって三月二十八日に物価安定政策会議で答申をいただきましたその中にも、こういう輸入品の象徴的存在であるブランド品については価格政策を改めさせるようにすべきであるという御要望をいただいておりまして、そういう方向で私どもも努力をしていきたいと思っております。
#141
○抜山映子君 ただいま商品価格を安定させる政策が働いているという表現をとられたのですが、この表現は私は余り穏当には思えないわけです。そうじゃなくて、輸入のエージェントが消費者に還元しないで、流通段階で自分たちが利益を取ってしまっている政策だというんではないかと思うわけです。今までいろいろお伺いいたしましたが、これらの輸入品価格について、円高の影響を末端の小売価格に連動させるような競争原理が適切に働くような流通の仕組み、あるいは政府としての指導、そういうものが必要だと思いますが、いかがですか。
#142
○政府委員(斎藤成雄君) 御指摘のとおりでございまして、マージンがその流通段階で多く取られる、つまり高級ブランド品についてはある高値のところで値段を動かさないようにすると、こういうのを高級ブランド品政策というふうに呼んでおりますけれども、輸入総代理店というのが中心になってそういうのをやることが多いわけでございます。先ほどお答え申し上げましたように、物価安定政策会議ではこういうものについて改善も求めておりますし、御指摘のように、競争政策ということで輸入総代理店が入れております物についても並行輸入をできるだけ奨励をするという格好で、競争の格好でこれらを解決いたしていきたいと、私どもも考えているところでございます。
#143
○抜山映子君 昭和六十一年三月二十八日の物価安定政策会議政策部会が出しておりますこの書物によりますと、「昭和五十年度から昭和五十九年度までの十年間に公正取引委員会に届け出られた輸入代理店契約のうち七〇%が輸入代理店に独占権を与えているいわゆる輸入総代理店契約である。」と、こういうように出ております。これらのソールエージェントの中には非常に国内の市場占有率が二五%以上のものもたくさんあると思いますので、ひとつ経済企画庁としても公取と連絡を密にして流通機構の改善に努力していただきたいと切望するものでございます。
 ところで建設省の方にお伺いしたいと思います。
 内需拡大で住宅政策が非常に大幅にローンとかそういうものも緩和され、金利も下がっておるわけですけれども、日本の東京、大阪地区におきましては住宅事情が非常に悪い、木造アパートであったりミニ開発があったり、非常に悪いように思うんですけれども、地方の一人当たり居住面積と比較してどの程度悪いのか、ちょっと数字を明らかにしてください。
#144
○説明員(内藤勲君) 今御質問の一人当たりの住宅の居住面積の比較でございますが、昭和五十八年の住宅統計調査によりますと、全国では、平米数といいますか畳の数なんですが、八・五五畳、それに対して東京都では七・一八畳、大阪府では七・二四ということで、東京、大阪を除いたその他地域では八・八二ということでございますから、大都市における一人当たりの居住面積は確かに低い、そういうことが言えるかと思います。
#145
○抜山映子君 都市中央部の特におくれている住宅環境の改善方策について、どのようにお考えですか。
#146
○説明員(内藤勲君) 今の数字でも申し上げましたように、住宅の規模の面でもこれから押し上げる必要があるわけですが、新しい五カ年計画におきましても新しい誘導居住水準というものを設けまして、かつての平均居住水準よりもレベルアップいたしましたし、それを裏づけるために住宅金融公庫の貸付条件、そういったものを改善しているわけでございますが、あと住環境の問題として考えますと、個々の住宅を含め環境として考えましたときには、木賃地区の改造を進めていくとか、各種の再開発手法を行使しまして住環境の改善に努めたい、そういうことだと思います。
#147
○抜山映子君 ひとつその政策を大いに進めていただきたいわけです。
 外国と日本における一人当たりの居住面積の比較をしたかったんですが、その数字がとれませんで室数の比較の数字がいただくことができました。それによりますと、アメリカでは一人当たりの平均室数が二、日本が一・四、イギリスが二・〇、こういうようになっております。この室と申しましても、日本の室は四畳半とか割と狭うございますが、向こうのは大変に一室が広いわけで、一人当たりの居住面積は大変に大幅に違うものと思います。ひとつそういう優良な社会資本、ストックをつくるという意味で、日本の住宅の整備のために建設省として御努力いただきたいと思います。
 それから、内需拡大のいろんな方針が出されておりますけれども、日本の高速道路は「渋滞二キロ」だとか「四キロ」だとかライトで表示が出まして、大変な低速道路になっております。これをひとつ重層化する構想、二階建てにする構想、これは技術的に見て日本の技術をもってすれば極めて簡単なことでございますし、土地を新たに取得するという手間も要らないわけでございます。これの実現の可能性について、いかがなものでしょうか。
#148
○説明員(三谷浩君) お答えします。
 御指摘のとおり、非常に自動車交通の進展に比しまして道路整備が立ちおくれておりまして、例えば東名、名神等の高速道路、あるいは首都高速道路等で非常に渋滞が激化しております。道路というのは、例えば都市部でいたしますと、出入りが自由な街路のような道路、それから専用道路的な高架道路、こういうものがあろうかと思います。
 先生の御質問は、その高架道路を二重、三重にしたらどうかとこういうような御質問かと思っておりますが、確かに高架道路、こういうものを使うのは都市空間の有効利用という面ではメリットはありますが、一方、環境問題あるいは景観、それから構造上いろんな問題、あるいは非常に経済的に高い、こういう問題も多いわけでございます。したがいまして、都市高速道路、例えば土地の非常に買いにくいような都市高速道路につきまして、交通容量の拡大を図るために都市高速道路を例えばこの上にさらに二階、三階というふうに多層化することは、耐震の問題であるとか、あるいは環境、施工性、経済性等の問題がありますし、またそういう道路をつくりましても、またおりてくるためのランプのための用地が要るというようなこともございますので、当初から立体交差等で限られた場所で計画があります場合はともかくといたしまして、なかなか難しいのではないかというふうに考えております。
#149
○抜山映子君 新規に土地を手当てしてつくるよりは私は安いのではないか、こういうように思いますので、ひとつ検討してみてください。
 経構研の発表によりますと、マル優枠をもうなくしてしまえ、こういうような意見が出ております。日本の貯蓄が非常に高いことについてはアメリカからも大変に非難されておりますけれども、今後社会保険料などの公的負担が増大いたしますし、年金もレベルダウンをいたしました。したがいまして、六十年版経済白書では、日本の貯蓄率は西暦二〇〇〇年には確実にもう低下する、こういうように出ております。したがいまして、このマル優枠を廃止するのは自助自立を日ごろ説いていらっしゃる政府の方針に合わない。特に高齢者にとっては、金利生活者にとっては残酷な措置になるのではないかと思いますが、郵政省、外国なんかは非常に郵便貯蓄について優遇制度を設けていると聞きますが、その点はいかがですか。
#150
○説明員(木村強君) お答え申し上げます。
 日本のみならず欧米主要国におきましても、貯蓄は国の基本である、大切であるという観点から、それぞれの国情に応じた貯蓄優遇税制が設けられておると承知しております。
#151
○抜山映子君 日本よりももっと優遇されている国があると思いますが、その国名だけでもおっしゃってください。
#152
○説明員(木村強君) 利子に対する非課税の制度ということが貯蓄優遇税制の中では一番わかりやすいものだと存じます。しかし、貯蓄の優遇税制そのものについての数字は非常に複雑でございまして、どれが日本より優遇されておると端的にはなかなか申し上げられないかと存じます。けれども、一例を申し上げますと、例えばフランスにつきましては利子非課税方式ということで、ある個人が例えば年間納税額が千四百二十フラン以下の者につきましては総合計約一千三百五十万円の貯蓄の元本の利子が非課税である。これは日本の郵便貯金以外の全体の優遇税制、少額貯蓄非課税制度の数字とほぼ類似しておるわけでありますけれども、先生の御指摘に端的に答えますれば、イギリスが約七万四千三百ポンド、約二千万程度の貯蓄元本の利子が非課税になっておるというふうに承知しております。
#153
○抜山映子君 日本の貯金の高いのは、単に貯蓄好きということではなくて、老後への不安、病気への不安、住宅への不安、教育の不安、こういうものがあってのことであることは周知の事実でございます。しかも預貯金が高いといいましても、自由裁量的貯蓄の方は非常に少なくて、保険料とか住宅ローンなどのような契約的義務貯蓄の方が高いということがございますので、余り貯蓄が多いことを目のかたきにするのは政策としておかしいんでないか、それよりもデレギュレーションをもっとやるとか、大規模プロジェクトをやるとか、建設国債の増発をやって積極的財政政策をとるとかいう方がよほど効果があると思うという私見を申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
#154
○青島幸男君 経企庁にお尋ねをいたします。
 内需拡大が叫ばれておりまして久しくなりますが、笛吹けど踊らずということで個人消費の伸びが依然として活発な動きを見せませんが、これの原因をどのようにとらえていらっしゃるか、そこからお尋ねいたします。
#155
○政府委員(丸茂明則君) 個人消費の動きでございますが、最近発表されました国民所得統計で見ますと、昨年の十−十二月の、これが国民所得統計でとれます一番最近の時期でございますが、の個人消費は実質で見まして前年同期二・八%、三%弱ということでございまして、緩やかではございますが、着実に増加をしているというふうに見ております。また、その後ことしに入りましてからの経済指標を見ますと、百貨店販売、これが一月には前年同期に比べまして、これは名目金額でございますが、八%ふえております。それから二月も六・四%ということでございまして、比較的ここ一年ぐらいでとりますと、かなり高い伸びをしております。また、レジャー面で見ましても、国内旅行などはかなり堅調な伸びを続けている。したがいまして、個人消費も緩やかではございますけれども、着実にふえているというふうに見ております。
#156
○青島幸男君 確かに多少の伸びは見られないことはないんですけれども、一方、貯蓄とかあるいは財テク志向が非常に高くなって、消費するよりもむしろそっちへ回ってしまう率の方が高いんではないかという懸念もありますが、その辺の動向はとらえていらっしゃいますか。
#157
○政府委員(丸茂明則君) 先ほども御議論がございましたように、我が国の貯蓄率、国際的に見ますと非常に高い状況にございます。その理由といたしましては、やはり老後あるいは病気等の不時の出費に備えてというようなこととか、あるいは住宅を自分で持つための資金というようなことが日銀の貯蓄動向調査等によりましても一番大きな理由だというふうに言われております。で、今御指摘の財テクというような動きがかなり盛んになっているということは一般的にそのとおりだと思います。ただ、全体的な家計調査等から見ますと、必ずしもそれによって貯蓄率が最近高くなったというふうには必ずしも言えないのではないか。確かにここ数年来、あるいは十年ぐらい前から見ますと、我が国の個人家計の金融資産残高というものが徐々にふえてきておりまして、この伸びというのが年々の所得よりも高く伸びております。例えば家計で申しますと、四十五年ごろには一年間の所得に対して貯蓄残高というのが一年分に満たなかったのが最近では、これは平均の数字でございますが、一・二倍ぐらいになっている。こういう状況になってまいりましたために、その大事な貯蓄をなるべく有利に運用したいといういわゆる金利志向が強まっているということは否定できないと思います。やはり日銀の調査等によりましても金利の高いものがいいというものの割合が、これは高いものがいいのはわかり切っていることでございますが、安全性と利回りというどちらに重点を置くかというのに対して、利回りを重視する傾向が最近高まっているということは事実でございます。ただそれによって、繰り返しになりますが、貯蓄率がかなり顕著に高まったかどうかという点は、まだ統計的には十分明らかにするところまではそれほど大きくはないのではないだろうかというふうに考えております。
#158
○青島幸男君 内需拡大をして貿易摩擦に対する抵抗をなくしていきたいというほどに内需は拡大しない。一方、財テク志向が強いとはいえ、貯蓄がどんどん伸びている。私の聞きますところによりますと、郵便貯金に百兆以上の金が集まるとか、それから一般の勤労者は大体平均で五、六百万の貯金をしている、まあマイナスの面もある、借金の面もありますが、しかし、こういう元来貯蓄好きなんでしょうかね、我が国の民族は。今までは非常に金利の操作だとかあるいは公共事業の前倒しとか割合経済的なテクニカルな面がかなり論じられてきたと思うんですが、私はそこで翻って民族学的にと申しますか、あるいは文化的にと申しますか、形而上的側面から民族の志向をとらえてみたいと思うんですけれども、質問の通告がなくて大変申しわけないんですけれども、長官、我が国の日本人の民族的な資質というものをアメリカ人あるいは欧米の先進国の民族性と比べましてどういう特徴を持っているとお考えになっていらっしゃいますか。
#159
○国務大臣(平泉渉君) 貯金の問題については、例えば我が国とか後発の資本主義国というのは資本蓄積というものが非常に重要であったわけでございますから、政府ももちろん貯蓄増強のためにありとあらゆる政策手段を動員しまして、明治以降長年にわたって貯蓄を増強する一連の法律体系、制度というものができてきた。ですから私は、先生のおっしゃる哲学的な問題はちょっと別といたしまして、政治の面で見ましてもそういう意味では制度的に我が国が非常に完備した、先ほども郵政省から答弁がございましたが、津々浦々の郵便局で郵便貯金という制度を、例えば本当にそれが充実した制度として日本の場合は機能したわけでございまして、そういったことが長年の間に習い性となる、こういう面もあるのではあるまいか。
 ただ、御承知のとおり今我が国の経済全体のスケールが大変大きなスケールになってまいりますと、それほどまでの資本蓄積というのは今や時代の要請から言えば少し焦点が変わってきておるということはもう御指摘のとおりでございまして、むしろ我が国としてこれからは国民は住宅のような形での資産を持つというような、もっとそういう方面に充実するということもこれからの政策の要点として重要なことではあるまいか。
 今先進国を皆比べますとほかの国々では、今度はアメリカのように余りにも貯蓄性向が低過ぎて全世界から借金をして消費しているというような極端な体型もございます。私はこれも行き過ぎだと思いますが、我が国も今度は別の極端ではあるまいかと。これは今の我が国の経済の発展段階に応じてのことでございまして、戦前のように資本蓄積の足りないときには今のような制度というものも非常に重要であったわけでございますが、今や我が国全体のそういう制度をやっぱり見直していく必要があるという指摘も今回まさに経構研などでなされておる。ただ、蓄積というものをそれじゃどういう形で今後やっていくかと。私どもとしては、やはり住宅政策というようなものがすぐれた投資であり、同時に国民の資産であり、そして国民の生活の質を高める。いろんな観点から見ましても政府としては、やっぱり今後住宅のようなものを単に内需という意味だけでなしに、もう少し充実させていくべきではないかという気持ちを持っております。
#160
○青島幸男君 二言語で一民族で大して宗教的なこだわりもなく、人種差別もなく、割合世界的に見ても高い水準で教育も行われておりますし、元来器用で勤勉であるという民族性を持っているように私思いまして、それがひいては着実に生産力を上げて、第二次世界大戦のもとにもなったと思われますし、今の貿易戦争といいますか貿易摩擦の原因にもなっているというふうにも考えますが、一面そういう律儀な非常に謹厳で生まじめでという部分も持ってはいるんですが、他方非常に軽薄で付和雷同する性格も兼ね備えているんではないかと思うんですね。と申しますのは、列島改造だとかあるいは消費は美徳であるというようなことを真に受けて大変な好景気を迎えた時期もありました。そしてあり余る石油の上に大消費時代を築き、国土の乱開発を招いて、そのあげくに公害のたれ流しとか乱開発のための大きなマイナスもしょったわけですけれども、しかし一時期そういうプロパガンダといいますかそういうものに乗って狂乱に陥りやすいという性格も一面は持っているように私は思います。
 例えば戦争中のことを言いますと、欲しがりません勝つまではというような、コピーとしては大変すぐれていると思いますが、誤解を招かないように申しますが、これはいいと申しているわけじゃなくて、コピーとしては大変すぐれていると思います。それから、石油の一滴は血の一滴だというような名言もありますが、それと同じように、列島改造をするんだとか所得倍増だとかというような言葉で、一時期、それこそ何か到来物が参りますと、こんな大きなこん包なんだけれども開けてみると何重にも包装がしてあって、幾重にも手だてが講じであって、内容は割合小さいんですけれども、そのために石油消費した部分というのが非常にあったろうと思いますが、しかしつまらない要らないものをたくさんつくるということで景気上昇していた部分というのはありますね。ところが今は、消費拡大をしようと言っても、外国から何かを買おうと、幾ら総理が外国製品を一つでも買ってくださいと言われても、実際に出かけていって、割合に我が国の製品がよくなっていますからね、質が。だから、金額からして選ぶところない、何も買うものないのよというのが主婦の実感のようでして、それより何よりも使わないでためておこうという感覚を今持っているというのは、やっぱりほかの委員の方どなたでも御指摘なように、老後の不安とか、それから社会保障制度の充実がないということですね、現実の問題としては。核家庭化が非常な勢いで進んでまいりましたし、それと同時並行的に高齢化社会が進んでいるわけですね。昔は何家族もがそれこそ何十人という単位で住んでいる家もありましたけれども、それはやっぱり相互扶助ですね、あれ、貧乏人の愛情とか義理とかというものは。それを排除するという近代的な傾向になりますと、それはそれなりに本人の個人的なプライバシーとかそういうものは尊重されるかもしれませんけれども、そういう意味の人情というか、財貨によらない相互扶助というものはなくなってきますね。ついには、最後に物を言うのは金だというような情けないといいますか、一面情けない状況ですけれども、そういうところに陥らざるを得なくなっている。
 しかも一方では、政府が、このままでは国民健康保険もこれは破産状態だ国保を一割負担というようなときに、過大な宣伝を、過大といいますか宣伝をなすった。あるいは、年金制度も危ういぞというような、一面事実ではあるんですけれども、ある意味では強迫観念を国民に与えた。そうすると、そういう公的な補助政策というので任せ切ってはいられない。例えばアメリカ人が大変享楽的であるというのは、一面国の施策が行き届いているから個人であかないつけなくとも、失業すれば失業手当、あれは民族性も多分に起因しているところはあるかもしれませんが、スウェーデンのようにそのために負担が非常に大きくなるということもありますけれども、国の施策が行き届いているかも貯蓄がそれほどなくとも身の安全は確保できるという部分があれば、むしろ享楽的に金を使ったりもできるんでしょうけれども、お金を使えないという状態に今あるわけですよ。国の施策がそれほど充実はしていない。息子や娘には頼れない。そのくせ医療が進んで環境もよくなっているから長生きをする。長生きをするけれども労働条件は悪くなる。最後に頼れるのは自前の金しかないという実に哀れむべき事態になっているわけですね。ですから、今、幾ら政府が内需拡大だといって、皆さんで相互にいろいろお買いになって景気浮揚してくださいよと言っても、おいそれと乗れないだけの実態なんじゃないですかね。ですからある意味では、ここに総合経済対策というような格好できめ細かに論じていらっしゃる、検討していらっしゃることも大変大事なことではあると思いますけれども、一面、そういう割合乗りやすいタイプの国民性もありますから、そういう将来に対する安堵感とかそういうものをはかって心理的な効用をねらった方があるいは効果が上がるんじゃないかというような私感を私は持っておりまして、例えば、牛肉が安いから「肉の日」をつくって買いましょうというよりも、むしろ円高でちょっとだけぜいたくをしてみませんかとか、そういうコピーで、まやかしで国民の嗜好をつるということではなくて、少なくとも、そういうことで今まで一週間に一度だったなら牛肉を二度食べましょうよとか、今までは国産の万年筆だったら何かブランドものの万年筆にしましょうよというような、そういう心理側面を多少とも刺激するような方策があっても、この際内需拡大をすることが急務であるとすれば、そういう考え方もある意味では必要なんじゃないかという気がしますが、延々と私見を述べておりましたら御意見を承る時間がなくなりましたが、勝手なことを申しましたが、それについて御意見がありましたら承りまして、質問を終わりたいと思います。どうでしょうか、長官。
#161
○委員長(山田譲君) 御意見ありますか。
#162
○国務大臣(平泉渉君) 大変御示唆に富む、私も大変同感するところが多い御発言でございます。
 ただ私、日本の社会保障制度というのはおっしゃるほど整備してない状況ではないと思いますが、いずれにいたしましても新しい我が国の経済情勢に即応した、新しい経済状況の中での貯蓄のあり方というようなものを十分我々考えていかなきゃならぬと思っております。
#163
○委員長(山田譲君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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