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1985/02/15 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第3号
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1985/02/15 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第3号

#1
第104回国会 予算委員会 第3号
昭和六十一年二月十五日(土曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十四日
    辞任         補欠選任
     金丸 三郎君     工藤万砂美君
     田中 正巳君     矢野俊比古君
     村上 正邦君     石井 道子君
     岩本 政光君     岩上 二郎君
     田  英夫君     宇都宮徳馬君
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     岩上 二郎君     岩本 政光君
     土居 義彦君     真鍋 賢二君
     秦野  章君     大木  浩君
     林 健太郎君     曽根田郁夫君
     小柳  勇君     高杉 廸忠君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         安田 隆明君
    理 事
                遠藤 政夫君
                志村 哲良君
                桧垣徳太郎君
                降矢 敬義君
                水谷  力君
                和田 静夫君
                太田 淳夫君
                佐藤 昭夫君
                井上  計君
    委 員
                安孫子藤吉君
                岩動 道行君
                石井 道子君
                石本  茂君
                岩本 政光君
                大木  浩君
                長田 裕二君
                海江田鶴造君
                梶木 又三君
                北  修二君
                工藤万砂美君
                坂元 親男君
                関口 恵造君
                曽根田郁夫君
                竹山  裕君
                真鍋 賢二君
                宮澤  弘君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                柳川 覺治君
                稲村 稔夫君
                粕谷 照美君
                久保田真苗君
                佐藤 三吾君
                瀬谷 英行君
                高杉 廸忠君
                安恒 良一君
                大川 清幸君
                高桑 栄松君
                中野 鉄造君
                原田  立君
                神谷信之助君
                抜山 映子君
                宇都宮徳馬君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       法 務 大 臣  鈴木 省吾君
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
       厚 生 大 臣  今井  勇君
       農林水産大臣   羽田  孜君
       通商産業大臣   渡辺美智雄君
       運 輸 大 臣  三塚  博君
       郵 政 大 臣  佐藤 文生君
       労 働 大 臣  林  ゆう君
       建 設 大 臣  江藤 隆美君
       自 治 大 臣
       (国家公安委員  小沢 一郎君
       会委員長)
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  江崎 真澄君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)      古賀雷四郎君
       (沖縄開発庁長
       官)
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  加藤 紘一君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長  平泉  渉君
       官)
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長  河野 洋平君
       官)
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  森  美秀君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  山崎平八郎君
   政府委員
       内閣審議官    海野 恒男君
       内閣法制局長官  茂串  俊君
       内閣法制局第一
       部長       工藤 敦夫君
       総務庁長官官房
       審議官      本多 秀司君
       兼内閣審議官
       総務庁長官官房
       審議官      百崎  英君
       防衛庁参事官   千秋  健君
       防衛庁参事官   筒井 良三君
       防衛施設庁長官  佐々 淳行君
       防衛施設庁施設
       部長       宇都 信義君
       防衛施設庁労務
       部長       岩見 秀男君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       国土庁長官官房
       長        吉居 時哉君
       国土庁長官官房
       会計課長     斎藤  衛君
       外務省経済局長  国広 道彦君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       外務省国際連合
       局長       中平  立君
       大蔵省主計局長  吉野 良彦君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生大臣官房審
       議官       木戸  脩君
       厚生省保険医療
       局老人保険局長  黒木 武弘君
       厚生省社会局長  小島 弘仲君
       厚生省児童家庭
       局長       坂本 龍彦君
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房予算課長    鶴岡 俊彦君
       郵政省貯金局長  塩谷  稔君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       建設大臣官房会
       計課長      望月 薫雄君
       建設省都市局長  牧野  徹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和六十年度一般会計補正予算(第1号)(内
 閣提出、衆議院送付)
○昭和六十年度特別会計補正予算(特第1号)(
 内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和六十年度一般会計補正予算、昭和六十年度特別会計補正予算、二案を一括して議題といたします。
 これより抜山映子君の質疑を行います。抜山君。
#3
○抜山映子君 既に同僚委員によりまして貿易摩擦、国鉄民間移管の問題等々御質問がございましたので、重複を避ける意味におきまして、主として女性の視点からの質問を行いたいと思います。
 まず首相に伺いますが、民活ということをよくおっしゃいますが、その構想、ビジョンについてお伺いいたします。
#4
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府は、臨時行政調査会の答申を受けて以来、行政改革に挺身しておるところでございますが、この行政改革の大きな眼目の一つの官から民へ、規制から自由へ、そういう大きな眼目で努力しておるところでございます。そういう意味において電電公社も民営化する、あるいは鉄道もあるいは専売公社も民営化すると、そういうような方向で今懸命の努力をしておるわけであります。
 それと同時に、規制解除を徹底的に行って民間活力をさらに増大させようという仕事もしておりますが、そういうような行政改革からの要請が一つと、もう一つは、今度は経済政策の面から見ましても、今やはり日本の財政は非常に厳しい状況にございまして、財政資金が出動して内需を喚起するという苦しい状況にございます。
 そういう意味において、ここにある膨大な民間の貯蓄力というものを開放して、民間の手法や知恵を使って、民間が主になっていただいてこの膨大な資金を活用し、民間の技術力や経営力を善用して内需振興に努めたい、そういう要請が最近非常に強く出てまいりまして、その両方の意味からも民活ということを強く唱えて、例えば昨年の関西空港の新しい法案もそうでございますし、それから諸般の規制解除を行いまして、臨時議会におきまして特別の法律もつくっていただきました。そういう面もそうでございますし、今度の東京湾横断架橋や明石架橋もそうでございますし、そのほか江崎国務大臣を特命相にいたしまして、さまざまなプロジェクトを今検討推進しておるところでございます。これが民活の考え方でございます。
#5
○抜山映子君 ただいまのお話によりまして、民活を活用しなくちゃいけないというのは行政改革と財政難であるということがよくわかりましたけれども、それでは、民活をするに当たってのやはり私はルールというものがあると思うんです。そのお考えについて伺いたいと思います。
#6
○国務大臣(江崎真澄君) 御承知のように、これは財政事情はアメリカよりももっと、GNP比でいいますと日本の方が悪いんです。それは省略しまして、どういうルールでやるか。これは東京湾の横断道路などにつきましては、特別割引債を発行して二六%の分離課税にするとか一〇%の特別償却を会社の場合は認めるとか、あるいは関西空港の場合も同じように、八〇対二〇というような比率で民間が八〇%。それから明石架橋も同様です。そういういろいろな手法がありますが、それで実質経済を四%に近づけよう、何とか民間活力を可能にしようということでこの予算は積算されておるわけでありますが、上半期のデフレの影響も出てくるでしょうから絶えず、今の計画でもとより十分でありますが、やはり総理も言われたように、もっともっと規制を緩和して、民間単独で事業がやりやすいように、地方自治体、例えば東京都なら東京都の場合も協力をする、あるいは建設省など規制を見直しして民間活力が容易に発揮できるような環境づくりも大切であるというわけで、総理からも私に非常に強い厳しい要請もありますので、もう毎日毎日特命室に呼び出しては予算の合間に命令をしたり、その状況の報告を聞いておる。そして今後に備えていきたい。
 一つ御報告申し上げたいのは、東京湾の横断道路それから明石架橋その他十六のプロジェクトがありますし住宅もつくろうと、こういういろんな計画が四%の実質成長の根拠になっているわけですが、それに触発されて、いずれこれは三月の半ばの段階までには総まとめするわけですが、通産省そして運輸省、郵政省、建設省、こういったところ、特に運輸省などは港湾用地に相当なスペースを持っておりますが、これに建設省も協力をする。それからまた、郵政省は郵政省で近代施設をそこにつくって通産省と相呼応していこうというようなわけで、何とかして民間活力を少しでも活発に引き出したいという考え方で旺盛に努力をしておるところであります。
#7
○抜山映子君 ただいま民間単独でとおっしゃいましたが、それでは、ルールづくりだけしてすべて民間に任せようと、こういう民活もあるわけですか。
#8
○国務大臣(江崎真澄君) もとより、今申し上げたように各省庁の規制の緩和、これが必要です。例えば貿易摩擦で一番問題になったのが非関税障壁という規格、基準・認証の制度と、こういうようなものがあるように、各省ともに相当なそれぞれ従来の規制があるわけで、これを緩和していくことはどんなにか民間として事がやりやすいかということにもなると思ってそこに着目し、各省庁の閣僚と話し合って部課で検討をしておっていただくところであります。
#9
○抜山映子君 私が思いますのに、その政府の民活は、財政難だから民活にさせようということで大変に場当たり的なものが多いように思うのです。しかし、民活でやる場合においてはおのずからそこに規制というものがなくてはならないと思います。利用者が選択のきくもの、これは結構でしょう。しかし弱者ですね、例えば赤ちゃんのように口のきけない者あるいは身体障害者や病者のように自由に選択のできない人たち、こういうものをすべて民活にした場合に、コスト意識が先行して非常に危険な民活になる、こういう認識を持っていただきたい。そういう意味で、首相に民活のルールづくりというものをはっきりさせていただきたいと思うのですが、首相いかがでしょう。
#10
○国務大臣(江崎真澄君) いずれ首相も必要に応じてお答えになると思いますが、今仰せのような点については、これはやはりそれぞれの省において細心の配慮をしていただくことは当然であります。今私が率直に申し上げておるのは、例えば東京都内で随分地価も暴騰してまいりましたが、そういうようなところに工場がある。例えばビール会社があの恵比寿にあるとか、そういうようなものは何も官が協力しなくても、もう千葉県、郊外に出たいと思っているわけです。ところが、それへのアクセスの道路だとか都市計画だとか、いろいろなものがひっかかって困るというようなものは、政府の規制の既に積み上げた計画とはまた別に、今の規制緩和によって自力で有効にその土地を多目的に利用することができ、それがまたひいては国民生活にも非常にプラスになる、こういうことを申し上げておるわけで、今御心配のような点については十分配慮することはもちろんでございます。
#11
○抜山映子君 首相に民活のルールというものについての御決意、そういうものをお伺いしたいわけです。
#12
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり公共性と公益性の強さ、それからその対象案件というものに関する人間的取り扱いの可否、そういうような判断があるだろうと思うのです。
 公共性、公益性についてはもう申すまでもございません。単に民間に任していいというものと任してはならないというものとあると思います。例
えばいろいろな検査や何かについても、民間に任していい分と任せられない分がある。人体や生命に関する、そういうような問題については公共性、公益性が非常に強いという面もございますね。それから、今の赤ちゃんの取り扱いや何かの問題につきましても、それは人道的な考慮というような面その他からも配慮すべき点もあるだろうと思います。そういう点が我々として非常に関心を持たなきゃならぬところだと思いますが、その他の部分においては、これは我々の常識に従って分界を決めていったらいいのではないかと思います。
#13
○抜山映子君 内需拡大は、明石架橋の問題とか東京湾横断道路の問題とかいうのが大変に脚光を浴びておりますけれども、日本が欧米に比して大変に見劣りのする都市開発とか下水道の整備をもう少し先行させればいいんじゃないかと思いますが、この点いかがでございましょうか。
#14
○国務大臣(竹下登君) お説のとおりだと私も思いますが、率直に申しまして、対GNP比で申しますならば、ほかが約五%でございますから、他の先進国から見れば倍程度の公共投資をやっておるわけでありますけれども、今御指摘のように、おくれた部面があるからそれは当然だと言われればそのとおりであると思います。ことしも国費は厳しい財政状況から前年度を下回る水準にとどめましたものの、事業費は種々工夫を行いました。したがって、前年度を上回る伸び率、こういうことに相なっておるわけであります。
 住宅、防災安全対策、それから生活基盤施設整備等につきましては、予算だけでなく、いわば制度の充実というようなことも行ってまいったわけでございますので、これからも世論の赴くところ、やはりそうした生活基盤というようなところへ傾斜がかかっていくではなかろうかと私も思っております。
#15
○抜山映子君 ただいまGNPの比でおっしゃいましたけれども、例えば下水道の整備なんかは欧米に比べて格段に劣っていると思うんです。欧米では九〇%から下水道が普及しているのに日本では三六%程度しか普及していない、こういうようなところをやはりこれから重点的にカバーしていただきたいということを切望いたします。
 さて、政府は税制のゆがみ、ひずみを正す、こういうことを大変に言われておりますので、女性の立場からどういう税制を改革していただきたいか、これをちょっと提言したいと思います。
 まず、夫から妻への居住用不動産の贈与でございますが、ただいま一千万円まで贈与税の対象外にされております。しかし、これが地価の大変な高騰によりまして実情に合わなくなっております。この一千万円の枠と申しますのが設定されましたのが既に昭和五十年からもう十年を経過いたしておりまして、国土庁の公示価格なんか調べますと、住宅地域の世田谷については昭和五十年には一平米十四・一万円であった。ところが今は、昭和六十年度において三十八・九万円、これが公示価格でございます。こういうようにアップしておりますので、これを三千万ぐらいまでに上げていただきましたならば、夫から妻への居住用不動産の贈与が比較的容易に行われ、女性の老後の安泰にもつながる、こういうように思いますので、この点について御見解を伺います。
#16
○国務大臣(竹下登君) 夫婦間における居住用不動産の贈与の場合の特別控除が御指摘のとおりあることは事実でございます。適用要件は婚姻期間が二十年以上の夫婦であることとか、あるいは一生に一回適用するとか、こういうようなことが行われておるわけでありますが、そもそもこの贈与税というのは相続税の補完的な税制だと、こういうことになりますと、やはり相続税のあり方についての検討から始まっていく経過をたどるであろうというふうに予測いたしておりますが、今税制調査会で当然問題意識を持って議論される課題であろうと思いますので、きょうのような御意見は正確に税制調査会へもお伝えして、その審議の参考に供していただくようにしたいと、このように考えます。
#17
○抜山映子君 今、大変な長寿社会になりましたが、昔は夫が亡くなるときは子供の成長が心配であったわけです。しかし、現在は夫が亡くなるときは子供の方は壮年期でございまして、夫は何も心配要らない。しかし、妻の老後の安泰、これからどうやって生活していくか、せめて住んでいる家ぐらいは安心して住めるようにしてやりたい、これが一般の夫の切なる願いでございます。
 今、東京都におきましては、小さな家でも一億円ぐらいするのはざらにございます。これが一千万でございますと妻に贈与できない、今、妻の相続分は二分の一でございますけれども、仮にあとの二分の一を子供と分ける場合に、現金決済できる妻はほとんどおらないわけでございます。そういう意味において、この点を女性の切なる希望として深く検討していただきたい、このようにお願いしたいと思うんですが、いかがでしょう。
#18
○国務大臣(竹下登君) おっしゃる意味は私にも十分理解できることでございます。税制調査会で当然検討の対象になり得る課題であろうと考えております。
#19
○抜山映子君 この一千万円の粋の前は、昭和四十一年に百六十万までという枠がございました。それが大体十年たったところで一千万円と、このように上げたわけです。ですから、時間的な経過から見ましても、昭和六十一年度、これはぜひ変えていただきたい、こういうことを申し上げたいと思います。
 次に、贈与税の基礎控除でございますが、これは妻、子供、一般人を問わず年間六十万円という枠になっております。これが昭和五十年に六十万円と設定されました。これはもう十年経過いたしておりますし、特に妻の場合につきましては六十万円の枠ということでなく、もっとアップしていただけましたら大変に助かる。
 これは富裕者のためということじゃございませんで、例えば夫が退職して退職金をもらったこの際に、どうも子供たちが余り親孝行でもないと、そういう場合に妻に多少お金を持たしておかないと心配である、こういう場合に、夫がさあそのときに贈与しようと思いましてももう年が迫っていますから、年間六十万ずつだととても大した額は妻に贈与できないわけですね。こういう意味から、もうちょっとアップしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#20
○国務大臣(竹下登君) 非常に具体的なお話でございますが、やはり贈与税というのは相続税の補完という見地からこれはとらえなきゃいかぬと思います。今の贈与税の限度というものを物価スライドとか十年間という期間で、いろいろな御意見はあろうと思いますが、抜山さんのおっしゃったその数字を、今直ちにこの辺までが適当であろうとか言う状態には私もございませんが、それこそこれからの税制抜本審議の中でいろいろ議論される課題であろうと思います。
#21
○抜山映子君 昭和五十年に六十万と設定されましたその以前を見ますと、昭和三十九年に四十万であったわけです。昭和三十三年には二十万であったわけです。こういうように随時インフレに応じて上げてきておるわけです。ですから、これは昭和五十年からもう十一年目を迎えたわけですから当然上げなくちゃいけない時期に来ておるわけでございますし、先ほど相続税の補完と申されましたけれども、首都圏、京阪神においては大変に地価が高騰いたしました。そういうわけで、相続が発生するともう別居して悠々と暮らしている子供たちがわっと寄ってきて、そして妻が住んでいる家をむさぼって分割する、こういうケースが大変に多いわけです。家庭裁判所におきましても、二十年ほど前は夫婦間の争いが一番多うございました。しかし、ただいまは遺産分割のケース、しかも親子で争う遺産分割のケースが一番多いのでございます。したがいまして、夫が亡くなるときに一番心配するのは妻のことである、そういうことからも、ひとつこの点を前向きに検討していただきたいということをお願いしたいと思います。
 次に、内職者に対する税制上の優遇措置でござ
いますが、最近パソコンとかワープロの普及によりまして自宅で仕事をするケースが大変にふえてまいりました。これは実質上、外で勤務すると同じ内容の仕事でございます。たまたま自宅でするから自営業として内職者の扱いになるわけでございます。しかし、これはパートの人と比較いたしますと、自家営業として費用が控除になるとはいえ、大体四十七万円ぐらいで課税の限度になってくるわけです。そうしますと、大体九十万円の内職をいたしますと、同じような収入のパートの主婦と比べて十万円ぐらい税負担が変わってくる、こういうことで、これをひとつバランスがとれたような形にしていただければ内職者の主婦が大変助かる、しかも時代の要請ともマッチする、こういうように思うのですが、この点についての御見解をお願いいたします。
#22
○国務大臣(竹下登君) パート問題が議論されるたびにそれと対照的なものとして内職の議論がなされます。また、内職の税制を議論されるときにはまたパートの税制の議論がある。そこで、これを一応六十年度の税制改正の際にまとめた答申をちょうだいをしました。「主婦の内職収入についても主婦のパート収入の取扱いとバランスのとれた措置を講ずべきではないかとする意見があるが、主婦のパートや主婦の内職の厳密な定義は困難であること、また、その勤務の実態も区々であることを考えれば、基本的には、まず、主婦のパートや主婦の内職を雇用政策上あるいは労働法制上どう位置づけるかという視点から取り上げて議論すべき事柄であり、」云々、こういう答申を一応ちょうだいしたわけであります。
 そこで、この問題は各党の政策担当者の方にもお集まりいただきまして議論をいただいた結果として、いわば税制上の扱いとしていろいろな工夫をいたしておりますが、根本的に抜山さんの胸にすとんと響くような解決にはなっていないというのが現実でございます。だから、労働法制上どう位置づけるかというようなことを含めてこれからの検討課題であるし、税調等にも正確にお伝えすべき課題だと思っております。
#23
○抜山映子君 今の問題を抜本的に解決しようと思いますと、二分二乗方式をとることが賢明だと思いますが、この点いかがですか。
#24
○国務大臣(竹下登君) 二分二乗と、こういう問題でございますが、いつも議論されますように、これはメリットとデメリットがあります。
 一口に申しますならば、メリットとしては所得の分割の道がある事業所得者と給与所得者との間の負担のアンバランスがそれで解消されるということ。それから二番目は、専業主婦の夫の所得に対する内助の功をしんしゃくした形になる、こういうことも言えましょう。それからパート問題がこれによってある意味においては解決されてしまうではないか。
 今度はデメリットの方で申しますと、片稼ぎ世帯が共稼ぎ世帯や独身者に比べて有利になり過ぎるという議論がございます。そうして、そのことは専業主婦が相対的に有利に扱われるということから、女性の社会進出に対してむしろ抑制的に働くのじゃないか、思い過ごしかもしれませんけれども、そういうデメリットもあるわけでございます。
 それから、制度的に複雑になるために、納税者、源泉徴収義務者、執行当局の負担が相当にふえるんじゃないか。メリット、デメリットがございますので、これは古くて新しい問題、新しくて古い問題でございますが、この問題につきましては、やっぱり非常に検討する分野の多い課題でございますので、にわかにそれを取り上げましょうという御返答をする段階にはまだ至っていないというのが正直なところの現状でございます。
#25
○抜山映子君 デメリットの方は税制上非常に煩雑になる、あるいは単身者に不利である、こういうことだと思いますが、単身者に不利だという面につきましては、これは控除の制度を設けることによってバランスをとることができるのじゃないか、こういうように思うわけで、ひとつ積極的に検討していただきたい、このように思います。
 次に、高齢者の自助自立促進政策の面からの税制改革を提言したいと思います。
 これから我が国は高齢化社会に突入いたしますが、経済企画庁が発表いたしました「人生八十年時代における生涯家庭生活設計に関する調査」において、老後は子供の世話にならず、夫と二人きりで趣味を生きがいにして暮らすと答えた主婦が三分の二を超えているわけです。そこで、高齢者は年をとりますと大きな邸宅に住むのは物騒である、あるいはスペースがむだである、あるいは経費を縮減したい、もろもろの理由によりまして住居を売却して、夫婦二人だけの小さな住宅もしくはマンションあるいは老人ホームに住みかえるときに、何か税制面からの優遇措置を講ずる必要があるのじゃないか。例えば一定の控除の枠を設けたらどうかと思うのですが、この点いかがでしょうか。
#26
○国務大臣(竹下登君) この問題は、現在自己の居住の用に供しておる家屋及びその敷地を譲渡した場合の譲渡所得について、居住用財産の譲渡という事情を考慮して、その所得が長期譲渡所得であるか短期譲渡所得であるかを問わず、三千万円の特別控除が認められておるというのが現行の税制でございます。そして、その譲渡した居住用家屋及びその敷地が所有期間十年を超えるものである場合は、その譲渡代金で新たに居住の用に供する住宅を取得するときは、買いかえによる取得した住宅に対応する部分は譲渡がなかったものとして、取引価格の引き継ぎによる課税の繰り延べを認める居住用財産の買いかえの特例措置、これが三千万円特別控除との選択によって認められる、こういう仕組みになっておるわけでございまして、これは現行税制の中では極めて手厚い措置だというふうな評価をいただいておるところであります。
 考え方は私も理解できる問題でございますが、現行税制上においてはかなり手厚い措置だというふうに私どもも思っておるところでございます。
#27
○抜山映子君 今の三千万の控除のほかに、例えば若い人が五千万の住宅を売って、そして一億の家を買った、こういう場合は税金がかからないわけです。拡大の方向に向かっては税金はかからない。老齢者が縮小の方向に向かって、老人ホームに入るために家を売ってという場合にはこれはかかってしまう。こういうことで、政府は老人の自助自立と口先で言う割にはその自助自立を促すための対策に不十分である、こういうように思うわけです。アメリカなどでは六十五歳以上の高齢者については一部控除の制度というものを設けておりますので、ひとつ前向きに検討していただきたい、こういうことを切望いたします。
 次いで、高齢者の預貯金に対しては優遇措置が必要と思いますが、いかがですか。
#28
○国務大臣(竹下登君) これは高齢者に限って現行の非課税貯蓄の限度額とは別枠の非課税貯蓄を設けるべきではないかとの御指摘であるわけでございますが、これは税制上の仕組みからいいますと適当でないとあえてお答えせざるを得ないと思っております。これは理由としましては、マル優、特別マル優、郵便貯金合わして一人九百万円もの非課税貯蓄が認められることになりますが、現行の非課税貯蓄限度額は、最近におきます平均貯蓄水準一世帯当たり七百七十万円、うち預貯金が四百三十万円、これから見ても相当程度の余裕があるというふうに考えられることが一つございます。それから非課税限度額の引き上げというのは、結局は貯蓄余裕のある人だけにその恩典が及ぶ、こういうことになるわけでありますので、ある意味においては別の角度からの不公平を助長してしまうという指摘がございます。非課税貯蓄の総額は今や昭和六十年三月末で約二百六十八兆と、こういう個人貯蓄残高のほぼ六割を占めて、かなりの課税ベースの縮小をもたらしておるというのが現状でございます。
 したがって、今の問題は、やっぱり利子配当課税のあり方という税制上の本質論からいろいろな議論がなされていく課題であろう。なかんずく金融の国際化、自由化、こういうのが好むと好まざるとにかかわらず進んでいくわけでございますか
ら、税制調査会でもかつての議論とはまた新しい角度からの議論が展開されるのではなかろうかというふうに思っておるところでございます。
#29
○抜山映子君 郵政省いかがですか。
#30
○国務大臣(佐藤文生君) このたびの金利の引き下げに伴いまして、お年寄りのために特別な措置といたしまして、金利を一年間福祉定期貯金に関して行わない、こういう措置をいたすことに決定しまして、今月の二十四日からそれを実施します。
 それから、第二点としては、かねてからお年寄りのために老後の安定をしていただくためにシルバープラン貯金制度を新しくつくっていきたい、こういうことを考えております。これはなお郵政審議会の方からぜひこれを実施してほしい、こういう強い答申が出ておりますので、さらに前向きに努力していきたい、こう考えております。
#31
○抜山映子君 先ほど大蔵大臣から老齢者の優遇についてはまだまだマル優枠に余裕がある、こういうことでございますが、子供たちが独立し、あるいは配偶者に先立たれた老人の一人世帯になりますと、決して今のマル優枠で十分ということは言えない。資金のある者は不動産や金に投資することができますけれども、一般の方は預貯金で年金のレベルダウンの分を補いたい、こういう希望が切なるものがございます。したがいまして、郵政省のシルバー預金なんかにつきましてもひとつ前向きに御検討いただきたい、こういうようにお願いいたします。
 老人の自助自立でございますが、今の個人年金控除は年間わずか五千円でございます。これですと、個人が年金をつくろうと思ってもとても意欲のわくものではございません。この枠をアップしていただけませんか。
#32
○国務大臣(竹下登君) 個人年金保険料と老後生活安定のための自助努力の奨励という意味と、老後生活に対する相互扶助の促進と社会的連帯意識の助長、こういう観点から一般の生命保険料控除の対象とされていることに加えまして昭和五十九年以降別枠で五千円、こういういわゆる所得控除をすることと、五十九年からでございますが、していただいたわけでございます。
 これも、税制の窮屈な議論で申しますならば、生命保険年金それから郵便年金等の個人年金と税制との関係におきましては、他の類似の商品、貯蓄がございます。年金型の信託でございましたか、預貯金や公社債の貯蓄で年金方式による元本及び利息を受け取る契約のものとか、一般の貯蓄との課税上のバランスをどう考えるか、こういうような問題がございますほか、公的年金それから企業年金を通ずる年金課税のあり方といわゆる俗に言われる年金課税のあり方というものとの関係もある問題を含んでおりますので、これこそ税制調査会における抜本見直し、こういう問題について、先ほど言いました利子配当課税をも含めて恐らく検討さるべき問題だというふうに問題意識としては持っております。
#33
○抜山映子君 年金の統合によりまして年金は実質的に大変にレベルダウンするわけです。そうしますと、どうしても個人年金控除というものを大きくしていただかないと自助自立はできない、こういうように思うのです。
 それから寝たきり老人に対する控除、これは今大変に女性に負担がかかっておりますが、この控除枠のアップについてお伺いいたします。
#34
○国務大臣(竹下登君) 昨年の国会におきまして、寝たきり老人に対する控除の問題というのは、これは幹事長・書記長会談というところから出まして、そして既にその実行上の問題で一応の解決を見た問題でございます。六十年度予算編成に当たっての与野党協議、こういうことでございます。したがって六十年分以降の所得税につきまして、寝たきり老人を含む同居の特別障害者に対する特別控除額を十四万円、改正前七万円でございましたが、引き上げるという改正がまさに行われたところでございます、去年の十二月の九日。この結果、寝たきり老人等の特別障害者を在宅で扶養する場合には、扶養控除額、特別障害者控除額と合わせて八十万円の控除が認められることになりますが、この控除額の八十万円というのはどういうものと比較してみるかといいますと、子供を扶養する場合の控除額が三十三万円といたしますと、それの二・四倍、こういうことに相当するものでございます。いずれにせよ、これは与野党間の協議で一応の答えが出た問題でありますが、なお税調の抜本審議の対象には引き続きなり得る課題だというふうに考えております。
#35
○抜山映子君 老人保健施設をつくるということが言われておりますが、これの基準づくりはどういうようになっていますか。
#36
○国務大臣(今井勇君) 日ごろ大変お世話になっておりましてありがとうございます。
 老人保健の施設でございますが、これは御案内のように、今後増大をしてまいります寝たきり老人などの多様なニーズに対応いたしまして、入院治療する必要はありませんけれども、在宅での療養が困難な場合に医療サービスと生活サービスをあわせ行う施設でございます。高齢化の社会がだんだんと進展してまいりますので、このような新しい施設体系が国民に望まれるものだと考えております。今回、このような基本的な骨格を老人保健法の中に位置づけることにいたしまして、六十一年度のモデル実施の状況や各方面の御意見を十分踏まえた上で具体的な施設や給付の基準を策定いたしまして、六十二年度から順次整備を図っていきたい、こう考えております。
#37
○抜山映子君 これも民活でやるということですが、いかがですか。
#38
○国務大臣(今井勇君) 御承知のとおり、老人保健施設は地方公共団体のほかに、医療法人であるとかあるいは社会福祉法人などの民間に開設をお願いをいたしたいと考えております。地方公共団体が財政や職員の確保、そういったものに困難な面がございますので、どうしてもやっぱり民間の創意工夫を生かしながらその整備を図り、介護する老人の多様なニーズにこたえていかなきゃならぬ、こう考えております。
 しかしながら、単に営利だけを目的とするような施設は私も好ましくないと考えておりますので、営利目的のものはこれは開設を認めない。それから、これから策定してまいります設備あるいは運営の基準におきましても、寝たきり老人の処遇にふさわしいような適切なサービスが確保されますように十分に配慮してまいりたい、このように考えておるものでございます。
#39
○抜山映子君 営利を目的としたものは認めないというのであれば、その基準づくりが必要ですね。どういう基準ですか。
#40
○政府委員(黒木武弘君) お答えいたします。
 営利を目的としたものに許可を与えないということは、法制上整備をいたしたいと思っております。
 なお、具体的な基準は、運営あるいは設備その他の管理基準について、これからモデル実験の結果あるいは関係方面の意見を聞きながら基準づくりに努めたいというふうに考えております。
#41
○抜山映子君 環境設備で基準を決めたいと、大変粗っぽい議論だと思うんです。お年寄りを見るためには、おむつ交換の回数だとかあるいは床ずれができていないかとか、リハビリの方法はどうかとかプライバシーの保護はどうかとか、こういう細かい基準が必要なんですが、この点を留意していただかないと大変危険なものになると思いますが、いかがですか。
#42
○国務大臣(今井勇君) おっしゃいますとおりでございまして、先ほど冒頭にも申し上げましたのは、営利だけに走ってはいけませんよ、営利だけを目的とするようなことではいけない、十分ではないんだということを申し上げたつもりでございます。
#43
○抜山映子君 留意していただきたいのは、健康な人が利用する施設でないだけに危険があるということです。自力でその施設を出ることも難しい人たちあるいは家族から監視の目が行き届かない人たちであることが多いわけですから、特にこの点を注意していただきたいと思うものです。
 さて、総理にお伺いしたいと思いますが、国立病院の統廃合ということを考えておられるようですが、これについてのお考えをお聞かせください。
#44
○国務大臣(中曽根康弘君) 地域における総合的な効率的な医療体系への再編成といいますか修正といいますか、そういう意味を目指して国立病院の統廃合ということを進めておるわけでございます。機能的には落ちないように、しかも地元の医師会や皆さん方ともよく調和できるように、また地元とよく話し合って地元の御理解のもとにそれが進められるように、新しい医学の発展に応ずるような体系に前進したいと考えてやっておるところでございます。
#45
○抜山映子君 機能的に落ちないようにと言われましたが、その具体的な方策はどういうものですか。
#46
○政府委員(木戸脩君) お答えを申し上げます。
 現在、いわゆる統廃合の対象になっている施設がいろいろあるわけでございます。当該施設が例えば移譲になったという場合にも、その施設が地域の日常の基本的な医療に非常に役立っているという場合には、移譲の相手方が見つかるまではきちっと国立て対処をしていく、それから必要があれば大きな国立病院から医療スタッフを送る、こういうようなことを考えているわけでございます。
#47
○抜山映子君 これは全国地方自治体の九割が反対決議をしておるわけですが、これをどういうように受けとめておられますか。
#48
○政府委員(木戸脩君) 今先生が御指摘のように、地方自治体からはさまざまな御意見をいただいているわけでございます。とにかく個別の施設においてそれぞれ地域に役立っているから、こういう理由で残してくれという具体的なものから、国立らしい高度専門医療をやってくれといういろいろな御意見があるわけでございます。私どもとしましては、国立病院といえどもやっぱり地域に根差しているという点はよく考えておりまして、要するに地域の医療に支障のないように、計画の実施に当たってはよく地元と協議をして地域の医療に支障のないようにしてほしいというのがこれらのいろいろな要請、請願の最大公約数の趣旨であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#49
○抜山映子君 移譲と言われましたが、移譲の相手はどういうところですか。
#50
○政府委員(木戸脩君) 今回移譲のリストに出されましたものは三十四の施設でございます。そのうちには、大都会にございまして県立病院あるいは市立病院あるいは大学病院があるようなところもございますれば、比較的辺地にございましてほかに開業医以外に本当に医療機関がないというような、いわば命の綱のような病院、いろんな病院があるわけでございます。私どもはそのようなやっぱり施設の特性を考えまして、地元とよく協議をいたしまして、自治体あるいは自治体にかわる公的医療機関、あるいは都会地であれば民間の医療機関等も活用してまいりたいと考えているわけでございます。
#51
○抜山映子君 国立だからよい人材が集まるんですよ。これは民間に移譲された場合にはよい医療スタッフが集まらない、レベルダウンにつながるのじゃありませんか。
#52
○政府委員(木戸脩君) 医療機関と申しましても、非常に小さい診療所のようなものから五百床、六百床といった大きな病院まであるわけでございます。医療というものは、医療そのものが公的なものでございまして、民間、国立あるいは公的というような差異は基本的にはないというふうに私は考えているわけでございます。民間の医療機関でも非常に歴史もあり、しっかりした医療スタッフを持っているものもあるわけでございます。
 しかし、民間と公的といった場合には、やはり公的は民間がやらないような高度医療、先駆医療あるいは不採算の医療というものをやっていかなきゃならない。その中でも国立は他の公的がやらないようなもの、例えば今度十二月に医療法の改正を認めていただいたわけでございまして、今いろいろ地域医療計画というものをつくっておりますが、医療法の中でも、国は都道府県の区域を超える広域的な医療についてその整備に努めるというような規定もございますので、そのような趣旨を踏まえまして、やはり国は他の医療機関がやらない高度の医療、専門的な医療あるいは難病といったような政策的医療をやってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#53
○抜山映子君 それでは、ひとつ総理から地域医療の水準の低下を招かないようにお約束いただきたいと思いますが、いかがですか。
#54
○国務大臣(中曽根康弘君) そのような考えで進めてまいりたいと思います。
#55
○抜山映子君 実はこの統廃合の中で、三百床をめどとしているんですが、国立加古川病院は三百二十二床もあるのにこれを移譲の対象にしてしまう、こういうようなことなんですけれども、加古川では大変に人口流入が多いんです。こういうような点、やはり配慮の点において非常に粗っぽく病院の対象を決めたのではないか、こういうように思われる節がございますので、ひとつ慎重に御配慮いただきたいと思います。
#56
○委員長(安田隆明君) 抜山君、時間が参りました。
#57
○国務大臣(今井勇君) この再編成というのは極めて大きな問題でございますので、今、総理も御答弁なさいましたが、関係の地方公共団体あるいは地元関係者、そういう方々と十分お話し合いをいたしまして、理解と協力がなければできませんので、そういうふうにして十分お話し合いをしてまいりたい、こういうふうに思っております。
#58
○委員長(安田隆明君) 以上で抜山映子君の質疑は終わりました。(拍手)
    ―――――――――――――
#59
○委員長(安田隆明君) 次に、宇都宮徳馬君の質疑を行います。宇都宮君。
#60
○宇都宮徳馬君 それでは、まず総理大臣に質問いたしますが、あなたは非常に平和とか軍縮とかいう問題について国際舞台でなかなか立派なことを言っていらっしゃる、私はそれ知っています。それで、あなたのおっしゃることが本音であると思って私は聞くんですけれども、現在世界で一番大きな問題は、やはり核戦争をどうやって起こさないかという問題でしょう。平和の問題ですね。
 それで、核兵器というものの大量破壊能力、大量殺人能力というものは、これはだれでも知っています。しかし、核兵器にはもう一つ別の面があるんです。それは非常に不必要な苦痛を与える非人道的な残虐兵器だという面があります。こういうことは核兵器だけじゃありません。毒ガスもそうですし、それからダムダム弾なんというのもそうであって、これはあなた方がちょうど生まれたころか、生まれる前のヘーグの陸戦条約といいますか、それの中で、不当に不必要に人体に苦痛を与える兵器は使っちゃいかぬし、またつくってもいかぬという規定があります。それはこの世紀の初めの方にできた条約です。それから、その後に毒ガスを使っちゃいかぬという条約が第一次大戦後にできました。その後に細菌兵器をやっちゃいかぬという条約、最近日本の政府も批准したわけですけれども、それもできました。それは要するに、非常に不必要な苦痛を死ぬまでに与える、だからいかぬということなんです。
 核兵器というものは、大量破壊兵器であると同時に不必要な苦痛を与える兵器であるということは、これは間違いないわけですね。ですから、毒ガス禁止条約とか細菌兵器の禁止条約とか、あるいは先ほど申し上げました不必要に苦痛な兵器を使っちゃいかぬというへーグ条約の規定なんかから申しますると、核兵器もやっぱりそういう意味でも使っちゃいかぬ兵器であると、私どもはそう思います。そう思いますが、あなたはどう考えられますか。つまり、大量殺人兵器でとにかく戦闘員も非戦闘員も無差別に何十万、何百万と殺してし
まう。現在ある核兵器の貯蔵量だと人類を何回殺しても殺せるというような大量殺人兵器であると同時に非常な苦痛を与える、不必要な苦痛を与える兵器であるということをどうお考えになっているかひとつお聞きしたいと思います。
#61
○国務大臣(中曽根康弘君) 核兵器は、地球上に現出してきた兵器の中で現時点においては最も残虐的な兵器であって、こういう兵器を速やかに地球上から追放することが我々の仕事であると思います。
#62
○宇都宮徳馬君 全く同意見であります。
 それで、その毒ガスも細菌兵器も国際法ができていますね。これを持ってもいかぬし使ってもいかぬし、つくってもいかぬという国際法ができているわけです。核兵器だけできていませんね。まだ持ってもいいし使ってもいいし、それから保存してもいいということになっている。おかしいですね。この世紀の初めごろ既に不必要に苦痛を与える兵器を使っちゃいかぬという陸戦法規ができている。その後妻ガス兵器の禁止条約ができている、細菌兵器の禁止条約ができているにもかかわらず、あなたの今おっしゃった非常に苦痛を与える危険な兵器である核兵器の禁止条約という国際協定はまだできていませんね。それをつくるべきかどうか、それをひとつ質問します。
#63
○国務大臣(中曽根康弘君) 方向として私も同感であります。
 それには、日本は核兵器なんて持っておりませんが、持っている国が賛成するということが大事なので、持っている国を賛成させる方向に持っていくためどういう具体的、現実的手段があるか、そういう点をよく検討してみたいと思います。
#64
○宇都宮徳馬君 現実というものはなかなかいい方にいかないんですよね。やっぱり理性を持って、それこそ捨て身で努力しなきゃいい方には向かないんです。現実的、現実的なんと言ったって、だんだん悪い方に向いてしまう。そうでしょう。ゴルバチョフとレーガン会見行ったけれども、軍縮なんか決めているけれども、現に今度はレーガン予算は軍拡予算ですね。なかなか現実的にはいい方へいかないんで、だからやっぱり先頭に立ってそうして捨て身でやる人がいないとなかなかできない。あなたはそういう捨て身でやる決心があるかどうか、私は聞きたいのです。
#65
○国務大臣(中曽根康弘君) 核兵器を地球上から追放することについては、私も宇都宮さんに負けないくらいの強い決意と悲願を持っている者でございます。ただ、現実の政治家として、やっぱり国家の安寧、生命財産を考えておる者、責任を持っておる者といたしましては、やはり現実性というものに目を覆うわけにはいかないのであります。
 そういう意味において、今度レーガン・ゴルバチョフ会談において核兵器の五〇%削減というような話が出て、多少なりとも一歩前進する気配が見えてきました。INFにおきましても前進する気配が見えてきました。これらは、核兵器を持って両方が疲れてきて、その疲れた結果、これを適当に制限し、なくす方へ持っていこうという、いい方向に向いてきておるのでありまして、これを実らせるというその方向を乗り越えてやっぱり全廃の条約というものが出てくると思うんです。ですから、具体的問題としては、レーガン・ゴルバチョフ会談というものをできるだけ前進させて、お互いが相互信頼を持てるような環境をつくり上げていくということで努力してみたいと思います。
#66
○宇都宮徳馬君 現実的ということは、物事をつまり前進させないためにしばしば用いられる言葉ですけれども、しかしとにかく現実的でなければならぬことは事実ですね、ただ空想の上で前進してもしようがないですから。それはよくわかりますけれども、しかしながら、やはりいろいろ難しい問題はありますけれども、それを乗り越えていく不退転の決意と自分自身の方向というものはしっかりしてなきゃいけませんね。そうしなきゃもう現実に負けちゃって、それこそヘーグ条約があるのに毒ガスが使われたり、それから細菌兵器が使われたりする。日本なんかもあの大戦中にはやっぱり細菌兵器の準備なんかもやったし、毒ガス戦の準備なんかもやっていました、実際に。日本の戦争犠牲者の中に毒ガス実験でけがをしたような人間もいるんですからね。だから、やっぱり一つの理想的な方向を決めても、いわゆる現実的と称してそして後退していく傾向があるから、これだけはひとつ十分御注意願いたいと思います。
 それで、今度はサミットが開かれますね。あなたの非常な努力があったろうと思うんです。日本で開かれるということは私は決して反対じゃありません。反対じゃないけれども、サミットを、ただ西側サミットというけれども、必ずしも日本は西側じゃないですからね。あれもただ何かお祭り騒ぎをしてもしようがない。せっかく世界の指導者たちが来ているんですから、そこで核兵器の今申し上げたような大量破壊力というよりも不必要に人間に苦痛を与えて大量に殺していくという性格を、サミットにおいでになるレーガン初め世界の首脳たちによく理解させるということは、これは大きな一歩前進になると思いますね。
 それで、彼らもやっぱり日本に来る以上、広島、長崎ということがすぐ頭にくると思う。広島、長崎の市長たちも、あるいはあそこの政治家たちも、こういう機会に広島、長崎の苦痛を世界に理解させたい。大量に殺されただけじゃなく、大量に死ぬ人間がいかにして苦しんで死んだか、こういうことが二度と人類の上にあっちゃならぬということを世界に理解させたいという熱意を持っていますよね。ですから、この熱意が出てきたら、あなたはそれにちゃんとひとつ官房長官なり何なりに命じて対応していただくという決心はありますか、どうですか。
#67
○国務大臣(中曽根康弘君) サミットでは無理だろうと思います。と申しますのは、今までのサミットの運営のルールから見まして、視察とか見学というようなそういうようなスケジュールはないのでございます。二国間の公式訪問というような場合に、それは先方が御希望があれば、また両者で話がまとまればその地を訪問するということはございますけれども、サミットの場合はもう非常にコンパクトな日程が既に大体決められておりまして、そしてある首脳のごときは恐らく宮中の晩さん会が終わったらその晩のうちに羽田を立って国へお帰りになる、そういう方々もあるだろうと想像いたします。そういう状況でございますから、平和と軍縮の問題はいろいろお話をしてみたいと思いますが、広島、長崎を訪問するというスケジュールは無理だろうと思います。
#68
○宇都宮徳馬君 スケジュール的に無理であるということはわかります、予定がないんですから。だから、これはやむを得ませんけれども、しかし例えば、広島のそういう被爆者が来て被爆実況を語る、どんなにこの核兵器が非人道的な残虐兵器であるかということをよくやっぱり知らせる必要があるのじゃないですか、このときが一つの機会ですから。
#69
○委員長(安田隆明君) 宇都宮君、時間が参りました。
#70
○宇都宮徳馬君 それでは一つだけ言いますが、三宅島、それから逗子の市民運動があります。あれは核兵器なんか来られちゃ困るという気持ちがあります。それで三宅島では、今村長から電話があったんですけれども、八割五分の人があそこに軍用飛行場ができるということに反対であるということだけはひとつ御承知願いたいと思います。
 それでは、時間が来だそうですから、どうも失礼しました。
#71
○委員長(安田隆明君) 以上で宇都宮徳馬君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#72
○委員長(安田隆明君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村君。
#73
○下村泰君 私は、障害者問題一つに絞ってお尋ねをさせていただきます。
 ことしは身体障害者雇用促進法で定められている雇用率の見直しの年であります。労働省もそのための調査費を予算要求しているわけですが、精
神薄弱者への雇用率適用について伺いたいと思います。
 昨年の六月、労働省の職業安定局長の私的諮問機関である精神薄弱者雇用対策研究会が報告書を出しております。適用については賛否両論が併記されております。否とする意見、すなわち時期尚早とする意見とはどういうものなのか、それについて労働省がどういうふうにお考えなのか、まず承りたいと思います。
#74
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 報告書の中で、今先生おっしゃいました現段階では雇用率制度の適用は時期尚早であるとする意見では、主なものは「精神薄弱者の判定基準、全国的な実態の把握、職業前教育の充実等の条件整備対策が未だ十分でない状況下では、雇用率制度の適用は、慎重に対処すべきであるこということと、「精神薄弱者の場合には、恒常的な指導の必要がある等、その雇用に伴う事業主の負担は、身体障害者を雇用した場合に比べて大きなもの」であるというような二つの意見が主な意見でございます。
 この問題につきましては、その報告書にもございますが、「今後さらに身体障害者雇用審議会等において検討が深められることが望まれる」とございまして、現在身体障害者雇用審議会におきまして慎重な検討をしていただいておるところでございます。
#75
○下村泰君 もちろんこれに関しましていろいろな御意見があることは十分承知しておりますけれども、どれをとっても本質的な問題ではないような気がするんです。いわば口実のような気がします。
 既に多くの中小企業においても多くの精神薄弱者が雇用されております。また、基本理念として雇用率適用が有効な手段であることは間違いないわけなんです。現在身体障害者雇用審議会で検討中のようですが、昭和三十五年以来関係者、関係団体が適用を求めて二十五年以上運動をしてきておるわけなんです。ぜひともその悲願がかなえられるように強くお願いをしたいと思います。いろいろ難点を挙げることも必要でしょうが、それを実践で乗り越えていくのが障害者問題の基本であると思います。また、それをバックアップするのが政治力ではないかと思います。したがって、雇用率適用を一日も早く実施していただきたいと思うのですが、労働省のお考えはいかがでしょうか。
#76
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 精神薄弱者の雇用の促進は非常に重要な問題だと考えておりますが、先ほどの報告書にも御指摘がございましたように、数字をはめるということになりますと、その実態の把握、それから判定基準というのがその基礎に必要でございまして、その辺がまだ十分検討が進んでいない状況でございますので、慎重に検討してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#77
○下村泰君 そうしますと、いつごろどうなるかという答えは出ませんか。
#78
○政府委員(白井晋太郎君) 審議会の検討をことしじゅうにはやっていただきたいというふうに思っておりまして、その検討結果を見まして労働省としては対処してまいりたいというふうに思っております。
#79
○下村泰君 こういう関係の方、二十五年以上待っておるんですよ。それがまだことしじゅうなんて、そんな悠長なことを言っていられるんですかね。労働大臣、お答えください。気の毒でしょう、こういう人たちは。
#80
○国務大臣(林ゆう君) 先ほど局長の方からも御答弁申し上げましたが、関係されている方々は長い間このことを悲願として大きな運動を起こしておられるということも私どもは十二分に承知をいたしております。そこで、いろいろと身体障害者雇用審議会におきましてそういったようなことも踏まえながらの検討を私どもとしては申し上げておるわけでございまして、その答申がなされましたならば、それに私どもとしては十分に対処してまいりたい、このように思うわけでございます。
#81
○下村泰君 はっきり出ませんね。ただそれだけの御意見ですか、もう一度伺います。
#82
○国務大臣(林ゆう君) 先ほども申し上げましたように、いっときも早い答申をということが関係をされている方々の切なるお願いということは私ども十分承知いたしておりますので、その答申を一日も早く私どもは求めまして、それによって対処してまいりたい、こういうことでございます。再三申しわけないですけれども、お答えとしてはこのようなお答えしか申し上げる段階に今ないと思います。とにかく二十五年間というような長い期間運動されている皆様方の切なる願いは、私ども十分心に感じておるところでございます。
#83
○下村泰君 大臣としては精いっぱいだと思いますけれどもね。
 「今後の精神薄弱者雇用対策の在り方」というここにメモがあるんですけれども、その中に「現在、中小企業等において多数の精神薄弱者が雇用されている実態に鑑み、事業主の負担の軽減を図るとともに、雇用を奨励し、維持させるため、精神薄弱者に雇用率制度が適用されない場合にも、当面、納付金制度だけでも適用して、精神薄弱者を多数雇用する企業に対し、調整金、報奨金を支給できるように検討することが必要である。」と、こういうふうにちゃんとこれだけの答えも出ておるんですけれども、労働省はどういうふうにお考えですか。
#84
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 そのような報告書がございまして、我々としてはその点も含めながら審議会で慎重に検討していただこうと思っております。先ほどから申し上げておりますように、雇用率、数字自体ではめることは、現在の実態把握、それから基準のつくり方等から見て非常に難しい面があると思いますが、今先生のおっしゃった点も含めながら検討していただきたいというふうにお願いしているわけでございます。
#85
○下村泰君 精神薄弱者だけじゃないわけですね。精神障害者、てんかん患者、難病患者など多くの人が職業面で相当なハンディを持っている。それは生きるか死ぬかの問題です。昭和三十五年の身体障害者雇用促進法制定から二十六年、当時と今と比べれば相当な変化がいろんな面で見られます。このあたりでこの身体という文字を取っていただいて、障害者雇用促進法にしていいんじゃないかと思うのですよ。松沢病院のかつての病院長の秋元先生に伺いますると、最初の訳を間違えた。そのために、本来ならば心身障害者という言葉であるのが、その心の方が取れてしまったというようなお話も承っております。
 推定ですが、今私が申し上げた人は全国で三百万人いる。障害者という言葉を当てはめれば五百万人以上。厚生省でもその実態はつかみ切れてないはずです。毎度私が委員会で質問するたびに、四百万人以上、あくまでも推定、それ以上の答えが出たことはありません。実態というものは机上でははかり知れないものがあると思います。見かけの視察だけではなくて、じっくり腰を据えて現実というものをもっと見定めていただきたいと思います。
 そこで、この身体という文字を外して、全体、つまり総合的な障害者促進法というふうに見直す気があるのかないのか、承りたいと思います。
#86
○政府委員(白井晋太郎君) 法律の成立の過程から名前だけを変えるのはなかなか難しいかと思いますが、中身そのものは総合的な対応としてやっていく所存でございます。
#87
○下村泰君 簡単にかわされたような気がするんですがね。もうちょっと情のある返事はできませんかね。――ちょっと局長やめて、大臣。
#88
○国務大臣(林ゆう君) ただいま局長の答弁もございましたように、法律の名前を変えるということはなかなか困難な手続もあろうかと思いますので、その精神といたしましては、その中で私どもまた酌み取りながら対処をしてまいるということでございます。そういうことで御了承いただきたいと思います。
#89
○下村泰君 これは言葉の語源の方は労働省じゃなくて、これは厚生省の方ですね。済みません、ちょっと答えてください、総合的にできるものかできないものか。法律を変えるんだったら変えたらいい。
#90
○国務大臣(林ゆう君) 法律そのものは先ほどのお話のとおりでありますが、気持ちとして先生のおっしゃる気持ちはよくわかります。いろいろまた十分検討をいたしていただきますようにお願いいたします。
#91
○下村泰君 どうもありがとうございました。
 さて、国鉄の分割問題にちょっと触れたいのですけれども、国鉄の中身がどうのこうのというのは私の方の管轄じゃございませんので、障害者の方に絞ります。
 これまで国鉄というところは身体障害者の雇用率が一・八%の義務があったわけです。そして大変ありがたいことには、昨年の六月、六十年六月には一・八二%達成してくださっております。そして雇用者が千六百八十八人。この方たちはお体の不自由な方たちですから、切符を売る場所であるとか、あるいは売店であるとか、そういうところでお仕事をさせていただいております。しかし、この一・八%というのが今度民営化されます。もっともまだ国会を通ってないんですからどういうふうになるかわからないですけれども、世間ではもう完璧に民営化という形になっています。そこで、この場合にこの雇用率がどうなるのか、これをちょっと伺わせてください。
#92
○政府委員(白井晋太郎君) 国鉄の現在の雇用率は先生のおっしゃるとおりでございます。民営化されました場合は、民間でございますので一・五、の法定雇用率になります。一・八が一・五になります。
#93
○下村泰君 その一・五になった場合に、現在一・八二の方たちを一・五の基準に合わせるような行動をするんですか。
#94
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 雇用率は、その雇用率を達成していただく最低基準でございますので、それを一・八のものを一・五に下げるということではございません。雇用率は下がりますけれども、雇っている人をそこまで下げるということではございません。
#95
○下村泰君 少なくともそういうことのないようにお願いしたいと思います。しかも国鉄は、今のところ民営化される理由というのが、もろもろ大きな問題を抱えているところなんですから、それだけに合理化の一番最初の対象にこういう方々がされやすいのです。運輸大臣、そういうことは絶対しないということを確約してください。
#96
○国務大臣(三塚博君) 障害者の雇用対策は政府の基本方針であります。よって、一番弱いところにしわ寄せをして進むということになりますと、分割・民営は国民的な共感と理解を得ることができません。その辺のところを十二分に配慮をしつつ取り組んでまいります。
#97
○下村泰君 ありがとうございました。
 さて、こういった問題のおしまいに、ちょっと総理、これは全然番外のプログラムなんですけれどもお許し願いたいと思います。
 総理は日本丸という大きな船の船長さんですから、船の細部まで御存じなければいけないはずなんですけれども、一本ぐらいリベットが外れてもわかりません。ですから、そんなことを私はお責めはいたしませんが、小規模作業所という言葉を御存じでございましょうか。
#98
○国務大臣(中曽根康弘君) 不敏にして知っておりません。
#99
○下村泰君 私は、知らないから悪いとは言いません。要するに、小規模作業所というのは、こういった障害者の方々は一般の企業には雇っていただけない。養護学校を卒業します。卒業しても雇っていただけない。そういう方たちの自立・更生を促すために親御さんたちが寄ってたかって――寄ってたかってという言葉はよくありませんが、知恵を絞ってそういう方たちに集まっていただいて、ささやかな作業所をつくっております。これが小規模作業所です。そしてその方たちにお仕事をいろいろな善意ある企業からいただいております。ところが、こういう方たちのやっている仕事というのは、はさみとのりと紙とホチキスなんですね。そういう仕事しかないんです。のりで張り合わせる封筒の仕事であるとか、あるいはホチキスでとめる仕事であるとか、あるいは組み立てのボール箱をつくる仕事であるとか、こういうものしかないんです。したがって、非常に賃金も少のうございます。ところが、こういう方たちに自立更生を促すためには、神奈川県下では百二十一カ所私は回っております。全国のこういう作業所も回っております。大阪の岸和田も全部回ってきました。大体最低五百万の補助金があればそこにいる職員の方も、お世話しているボランティアの方も、それからそこに働いていらっしゃる方々の最低の生活の確保ができるんです。そういうことでいきますと、これは世間どなたでも言います。私もかつて舞台に立っておるときは言いました。飛行機一機こっちへ回せと。これは一般庶民の感覚ですから。国は国で守らなければいけない、しかしこれもやはり国民の一人だと思うんです。こういうところには法律が壁になって補助金も与えられないんです。少なくともこういうところへ年間五百万、今大体一千カ所以上あります。それにしても五十億です。
#100
○委員長(安田隆明君) 下村君、時間が参りました。
#101
○下村泰君 はい、わかっております。
 ですから、P3Cの半分あれば足りるわけなんです。こういったような方たちも国民である以上守らなきゃいけないと思います。総理の施政方針の言葉は大変きれいなんです。「寝たきり老人や障害者のように、社会的、経済的に弱い立場にある人々に対しても、きめ細かい配慮を行ってまいります。」、こういうことをおっしゃっている総理に、一言お言葉をいただきたいと思います。
#102
○国務大臣(中曽根康弘君) 小規模作業所の問題につきましてはよく調査いたしまして、きめ細かい配慮ができるだけやれるように努力をいたします。
#103
○下村泰君 ありがとうございました。
#104
○委員長(安田隆明君) 以上で下村泰君の質疑は終了いたしました。
 これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
#105
○委員長(安田隆明君) それでは、これより補正予算二案に対する討論に入ります。
 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。久保田真苗君。
#106
○久保田真苗君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となっております昭和六十年度補正予算二案について反対の討論を行います。
 第一に、本来ならば、当然当初予算を組む段階において計上しなければならない経費を、当初予算に計上しなかったために、経費の追加に対処するため、本補正予算において措置を講ぜざるを得なくなっているということであります。
 この点でまず問題になりますのは、給与改善費であります。公務員の労働基本権を剥奪した代償措置としての人事院勧告は完全に実施されるのが当然であります。しかるに政府は、六十年度当初予算において給与改善費を一%しか計上しておらず、当初から人事院勧告を完全実施する考えがなかったと言わざるを得ません。時期をおくらせ、昨年七月から勧告を実施するための今回の措置は、全く不十分であるばかりでなく、六十一年度当初予算において給与改善費が計上されていないという事態は言語道断であります。行財政改革を建前とする政府の不当な態度をここに厳しく糾弾し、これを改めるよう強く要求いたします。
 反対の第二は、対外経済不均衡に対して、有効な内需拡大の対策が立てられていないことであります。
 一般公共事業費について国庫債務負担行為の追加が行われておりますが、相も変わらず見かけ倒しのものであります。政府は、五十七年度以降毎
年補正予算で国庫債務負担行為を追加してきましたが、それは次年度公共事業費の一部先食いにすぎず、実質的追加でなかったために、内需の拡大どころか逆に成長の足を引っ張る結果となっています。人事院勧告を完全に実施し、減税を大胆に実行し、社会保障制度を充実させ、個人消費の拡大を図るとともに、下水道を初め生活基盤整備中心の公共事業の計画的遂行が、内需拡大を実現するためには不可欠の方策であります。政府の経済政策がいかに内需拡大のかけ声と矛盾した本末転倒の政策であったかは政府みずからの統計が如実に証明しており、このような中曽根内閣にもはやこれ以上経済政策を任せることは困難なのであります。
 第三に、公債が七千五百億円追加発行されておりますが、これは政府の目指す増税なき財政再建の破綻を象徴しているものと言えます。
 無策の経済政策によって政府の税収見積もりにはまたしても穴があき、四千五十億円に上る特例公債の増発に追い込まれ、六十五年度特例公債依存体質からの脱却が今や完全に不可能となったのであります。政府の財政運営は経済の安定成長という財政本来の役割を無視し、歳出削減一本やりの政策を続けたため、その弊害が随所にあらわれてきております。この経済見通しの誤りと内需不振の政策の誤りによって、税収の確保を一段と困難に陥れています。
 このような経済運営を厳しく糾弾するとともに、政府がなおも六十五年度特例公債脱却を目標に掲げるならば、それに至る手法、手順を国民の前に明らかにしなければならず、その提示を強く要求するものであります。
 以上、反対理由を述べ、政府が増税なき財政再建が破綻したことを国民の前に明らかにすることを要求しまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#107
○委員長(安田隆明君) 次に、水谷力君。
#108
○水谷力君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十年度補正予算二案に対し、賛成の討論を行います。
 政府は、昭和六十年度当初予算におきまして財政再建に向け強い意志を貫かれ、蔵出の削減に努める一方、景気への配慮から国費はマイナスとしつつも、種々の工夫により一般公共事業の事業費については前年度以上の水準を確保したところであります。
 しかしながら、その後我が国経済は米国景気の陰りの影響で拡大テンポが弱まり、加えて国際協調のためとられた円高誘導により企業収益の伸びがやや鈍化することなどから、税収入の減収が予想されるに至りました。また、反面において、災害対策、給与改善等国民生活に重要な歳出の増加も必要となっております。
 本補正予算は、これら昭和六十年度予算成立後生じた事項のうち災害復旧等、特に必要となったものに対して必要な措置を論ずるとともに、その財源を手当てするもので妥当な措置であります。
 以下簡単に賛成の理由を申し上げます。
 まず、災害復旧ですが、昭和六十年発生の災害についてその早期復旧を図るため、初年度の復旧進度を高めることとして三千五百二十七億円を追加計上いたしております。災害の早期復旧は、国民生活の安定を図る意味で重要なことは申すまでもありませんが、さらには地域経済への景気効果も大きく、この点から見ても極めて好ましいことであります。
 また、このほか内需拡大に関する対策の一環として一般公共事業に係る国庫債務負担行為三千九百八十七億円を追加計上し、これにより事業費として六千億円を確保することといたしておりますが、これは現下の課題である対外不均衡の是正に役立つとともに、拡大のテンポを緩めつつある景気への刺激効果が期待をされ、適切な措置であると思います。
 次に、昨年八月の人事院勧告に基づき公務員給与の改善措置がとられております。今回の措置により、七月実施とはいえ民間との給与較差は解消されることになり、公務員の生活安定、士気向上の点から喜ばしいことであります。どうか公務員諸君におかれては、現下の厳しい国の財政事情下での措置であることに思いをいたし、公務に精励を願いたいのであります。
 そのほか、国民健康保険特別交付金、道路整備特別会計への繰り入れ、義務的経費への追加等が行われておりますが、これらはいずれも法律の制度、施策に基づき措置されているものであります。
 以上の歳出増を賄うため、予備費を減額するほか、既定経費の節減、税外収入の確保等に努め、特例公債の発行を必要最小限度にとどめております。内外経済の影響で税収が当初の見込みを下回る上、蔵出が増加することになり、やむを得ず特例公債を発行することとなりましたが、なおその発行総額は前年を下回っており、財政再建の精神は貫かれております。
 最後に、政府に要望いたしたいのは、急激な円高移行等により経済の先行きに不安が見受けられますので、予算の弾力的執行とあわせ、民活を積極的に導入して内需の振興を図られたいのであります。特に、円高不況に悩む中小企業等に対しては細心の配慮をいただきたいことを申し添えて、賛成討論を終わります。(拍手)
#109
○委員長(安田隆明君) 次に、太田淳夫君。
#110
○太田淳夫君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和六十年度補正予算二案に対し、反対の討論を行うものであります。
 反対の理由の第一は、中曽根内閣が内需主導型経済成長への転換を内外に広く公約してきたにもかかわらず、その実現のための実効ある政策を何ら実施せず、政府みずからの公約の達成を放棄している点であります。
 貿易摩擦問題が一層深刻化しようとしている現在、自由貿易体制を維持し、国内経済の安定成長を達成するためには、内需拡大の施策を一刻も早くとることが不可欠であります。しかし、政府は何らの積極的政策をとらず、日本経済は急速な円高によりデフレ色を一層強め、個人消費は停滞を続け、完全失業率も過去最悪の水準となるなど、景気は悪化の一途をたどっております。
 政府は、一刻も早くこれまでの外需依存の経済運営を転換し、内需依存の安定成長を実現するため、今回の補正予算において公約となっている所得税減税の思い切った実行と、国民生活向上にもつながる社会資本整備のための公共事業の追加を実施すべきであります。
 反対の理由の第二は、政府の財政再建策の失敗が再び明らかとなったことであります。
 今回の補正予算においても、歳入の大半を占める税収が政府の見積もりの甘さ、経済運営の失敗により四千五十億円も減額修正され、七千五百八十億円の国債の追加発行を余儀なくされております。その結果、六十年度の公債発行減額は、政府公約の六十五年度赤字国債脱却に必要な一兆円減額からほど遠い二千四百二十億円にすぎず、中曽根内閣の増税なき財政再建はまたも破綻の一端を示したのであります。これはひとえに、一般歳出削減のみにとらわれ経済を無視した財政再建に固執した結果にほかなりません。最気悪化と税収低迷の悪循環を断ち切り、経済の安定成長を軌道に乗せ、自然増収を図り、財政再建の基盤整備こそ必要なのであります。
 反対の理由の第三は、既定経費の節減及び予備費の取り崩しが極めて安易に行われており、当初予算に補正財源があらかじめ水増しされている点であります。
 予備費計上の見直しについては、前年度補正予算審議においても我が党が強く要求したにもかかわらず、今回も千五百億円にも達する巨額の取り崩しが行われ、依然として予備費が補正財源隠しとして使われているのであります。国民の前に真の財政の姿を明らかにするためにも、当初予算計上の見直しも含めて安易な補正財源化を以後絶対に行うことのないよう、強く警告しておきます。
 以上申し述べましたように、六十年度補正予算
二案は、内需拡大が急務であるにもかかわらず、政府はその責任を回避し、何ら積極的な役割を果たそうとしないものであり、反対せざるを得ないものであります。政府に対し、所得税減税の実施を含め、内需拡大への施策を速やかにとることを強く要望し、私の討論を終わります。(拍手)
#111
○委員長(安田隆明君) 次に、佐藤昭夫君。
#112
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、昭和六十年度補正予算二案に反対の討論を行います。
 中曽根内閣の対米追随、臨調路線に基づく軍事、経済政策によって、国民の生活と経済は深刻な状況に直面しています。企業倒産は年間一万八千件を超え、統計史上最高の失業率が記録され、労働者、農民を初め、国民生活水準の実質低下によって消費の伸びは五年間でわずか〇・二%、内需不振と不況の悪循環が続いています。今こそ日米軍事同盟強化のための軍事費突出と、民活の名による財界奉仕の政策をやめ、減税、社会保障の拡充、行き届いた教育、大幅賃上げ、労働時間短縮など国民生活改善、向上の政策へ転換しなければなりません。しかし、本補正予算はこれと全く相反しているのであります。
 すなわち、反対理由の第一は、軍事費と財界奉仕を聖域としつつ、一層国民生活関係費を削減していることです。
 事もあろうに、超突出の軍事費は、さらに三百二十五億円が追加される一方、社会保険国庫負担金の六百一億円、中小企業対策費四十三億円を初め、国立学校運営費、私立学校助成費、畜産振興費などが軒並みに削減され、国民生活に深くかかわる経費は一千億円も削られています。また、三年連続人事院勧告が値切られ、憲法違反行為が続いています。このように、国民の多数が強く求める軍事費削減にはこたえず、その負担を国民に転嫁する本補正予算案を到底容認することはできません。
 反対の第二は、国民医療に無責任な態度をとるにとどまらず、改悪さえ意図していることであります。
 一昨年の健保改悪の際、政府は退職者医療制度を設けましたが、政府の見込み違いによって国保財政は二千八十億円の赤字となりました。総理の全国知事会での陳謝のとおり、国が責任を持って全額補てんするのが当然であります。しかるに、今回の補正による補てんは一千三百六十七億円、その三分の二でしかありません。こうして国保料は平均一七%の大幅値上げとなり、料金を払えない人が続出しています。しかも政府は、保険料未納者に対する健康保険証の支給停止、年間入院負担の十倍増などをはかる老人保健法改悪法案を提出しようとしています。まさに中曽根内閣の戦後最悪、社会保障切り捨て政治であります。
 反対の第三は、財政破局を一層深刻化する問題であります。
 税収の過大見積もりなどの失政が本補正における七千五百八十億円の国債増発をもたらし、国債の毎年一兆円減額はおろか、今年度縮減は三千億円にとどまり、国債残高は増加し続けています。六十五年赤字公債ゼロの公約の破綻は明らかであります。しかも政府は、税制改革の名で大型間接税の導入、大増税によって破綻を取り繕おうとしていますが、こうした暴挙を国民は決して許すものではありません。
 以上、中曽根内閣三年余、戦後政治総決算の罪悪はいよいよ明白であり、その反国民的施策の強行を強く糾弾して、本補正予算に反対する討論とします。
#113
○委員長(安田隆明君) 次に、井上計君。
#114
○井上計君 私は、民社党・国民連合を代表し、昭和六十年度補正予算二案に対し、反対の討論を行います。
 現在、我が国は内外ともに大きな課題を数多く抱えております。その中でも最も緊急を要するものは、第一に対外経済摩擦の解消であり、第二は急激な円高による産業界の混乱と円高デフレへの対応、そして増税なき財政再建の達成の三つでありますが、その解消と対応は容易なことではありません。それは、そのいずれもが相互に関連し合い、政策運営のいかんによっては一つの改善の政策が他の政策目標の改善を妨げ、改善どころかマイナスとなるおそれがあります。
 したがって、こうした困難な諸課題を速やかに克服するためには、かねて我が党が主張しているように、行政改革の断行を強力に進めて、より歳出を節減すること、内需振興の経済を実施するために積極的な公共投資を行い、同時に大幅な所得減税を実施すること等により個人消費の拡大を図ることによって景気を刺激させ、税の自然増収を図ることといった総合的な施策を講ずることが最も重要であります。
 しかるに、政府の考え方は、従来からの縮小均衡型経済運営から一向に脱却することなく、民活依存を唱えるのみで、積極的に具体的な施策を推進しようとしているとは思えません。
 このような情勢にある中で、さらに昨年秋からの急激な円高により、輸出に依存してきた産業界、特に中小零細の輸出企業者は甚大な影響を受けて軒並み経営困難な状態に陥り、既に倒産企業も続出しており、日本経済の根幹を揺るがしかねない状況にあります。
 したがって、この難局の打開のために、この際改めて中曽根内閣に対し、対外経済摩擦の解消と行財政改革の目標達成のために拡大均衡型経済財政政策への転換を強く求めるものであります。
 私は、以上の見地に立ち、本補正予算に反対する理由を申し述べます。
 第一に、行財政改革への取り組みが極めて不十分であるということであります。
 我が党が補助金の整理・統廃合を強く求めたのに対し、中曽根内閣は高率国庫補助金の一律一割カットという単に地方への赤字のツケ回しを行ったにすぎないのであります。補助金の整理合理化に当たっては、存続の意義の失われたものの廃止、地方に同化、定着した補助金の地方一般財源化、人件費補助の廃止、箱物補助金の統廃合など、行革の趣旨に沿った措置を直ちに講ずべきであります。
 さらに、赤字国債発行の減額について、政府は六十年度予算において一兆一千五百億円の減額を図るとしたのにかかわらず、本補正予算では新たに四千五十億円の赤字国債を発行するに至った責任は、行財政改革の推進の観点から極めて重大だと言わざるを得ません。
 第二に、公共投資の拡充が盛り込まれていない点であります。
 我が党は、建設国債を財源に、社会資本の整備と景気拡大を図るため、本補正予算において事業費ベース約一兆円の公共投資追加を組むことを強く求めてまいりました。しかるに、本案においては、建設国債の追加発行が災害復旧分のみにとどまったのは極めて遺憾であります。
 第三に、税制改革についてであります。
 我が党は、六十年度予算に当たり、国民の負担軽減と個人消費の拡大のために約一兆円程度の所得減税と、産業基盤強化のために三千億円程度の投資減税の実施を求めてまいりました。しかるに政府は、こうした景気回復に不可欠の施策を見送ったばかりでなく、法人税の貸倒引当金の法定繰入率の引き下げ、公益法人、協同組合等の軽減税率の引き上げ、法人税における所得税額控除の控除不足額の還付に関する特例措置等により逆に三千億円の事実上の増税を強行しようとしておるのであります。
 このように依然として国民大衆勤労者の税負担が高いままに放置され、赤字財政のツケが中小企業にまで及ぶような政策を続けていくことは断じて容認することはできないのであります。
 第四に、我が党は、退職者医療制度の創設に伴う国庫補助率の引き下げ措置が、政府の同制度への加入者数の見込み違いにより、国保財政に多大な負担増を強いている点について、補正予算において五十九、六十年度分の不足分二千八十億円の全額を国が措置するよう求めてまいりました。これに対し千三百六十七億円の特別交付金を支出することにとどまったことは到底認めるわけにはま
いりません。
 以上、反対の理由を表明するとともに、この際、政府は大胆に政策の転換をすべきであることを強く求めて、補正予算二案に対する私の反対討論を終わります。(拍手)
#115
○委員長(安田隆明君) 以上で討論通告者の発言はすべて終了いたしました。
 それでは、これより採決に入ります。
 昭和六十年度一般会計補正予算、昭和六十年度特別会計補正予算、二案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の方は起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#116
○委員長(安田隆明君) 多数と認めます。よって、昭和六十年度補正予算二案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#117
○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 これにて散会いたします。
   午前十一時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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