くにさくロゴ
1985/03/12 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第8号
姉妹サイト
 
1985/03/12 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第8号

#1
第104回国会 予算委員会 第8号
昭和六十一年三月十二日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十一日
    辞任         補欠選任
     安武 洋子君     橋本  敦君
     井上  計君     柄谷 道一君
     抜山 映子君     秦   豊君
 三月十二日
    辞任         補欠選任
     中西 一郎君     石井 道子君
     服部 信吾君     刈田 貞子君
     秦   豊君     井上  計君
     柄谷 道一君     抜山 映子君
     宇都宮徳馬君     田  英夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         安田 隆明君
    理 事
                遠藤 政夫君
                志村 哲良君
                桧垣徳太郎君
                降矢 敬義君
                水谷  力君
                和田 静夫君
                太田 淳夫君
                佐藤 昭夫君
                井上  計君
    委 員
                安孫子藤吉君
                岩動 道行君
                石井 道子君
                石本  茂君
                岩本 政光君
                長田 裕二君
                海江田鶴造君
                梶木 又三君
                金丸 三郎君
                北  修二君
                坂元 親男君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                竹山  裕君
                秦野  章君
                林 健太郎君
                宮澤  弘君
                宮島  滉君
                村上 正邦君
                柳川 覺治君
                稲村 稔夫君
                粕谷 照美君
                久保田真苗君
                佐藤 三吾君
                瀬谷 英行君
                高杉 廸忠君
                安恒 良一君
                大川 清幸君
                刈田 貞子君
                高桑 栄松君
                中野 鉄造君
                橋本  敦君
                柄谷 道一君
                抜山 映子君
                秦   豊君
                田  英夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       法 務 大 臣  鈴木 省吾君
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
       厚 生 大 臣  今井  勇君
       農林水産大臣   羽田  孜君
       通商産業大臣   渡辺美智雄君
       運 輸 大 臣  三塚  博君
       郵 政 大 臣  佐藤 文生君
       労 働 大 臣  林  ゆう君
       建 設 大 臣  江藤 隆美君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員  小沢 一郎君
       会委員長)
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  江崎 真澄君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       古賀雷四郎君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  加藤 紘一君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       平泉  渉君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       河野 洋平君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  森  美秀君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  山崎平八郎君
   政府委員
       内閣審議官    海野 恒男君
       内閣審議官    中島 眞二君
       内閣法制局長官  茂串  俊君
       内閣法制局第一
       部長       工藤 敦夫君
       内閣総理大臣官
       房審議官     田中 宏樹君
       日本国有鉄道再
       建監理委員会事
       務局次長     吉田 耕三君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   本多 秀司君
       総務庁長官官房
       審議官      百崎  英君
       総務庁行政監察
       局長       竹村  晟君
       総務庁統計局長  北山 直樹君
       北方対策本部審
       議官       稲橋 一正君
       防衛庁参事官   瀬木 博基君
       防衛庁参事官   筒井 良三君
       防衛庁長官官房
       長        穴倉 宗夫君
       防衛庁防衛局長  西廣 整輝君
       防衛庁教育訓練
       局長       大高 時男君
       防衛庁人事局長  友藤 一隆君
       防衛庁装備局長  山田 勝久君
       防衛施設庁施設
       部長       宇都 信義君
       防衛施設庁労務
       部長       岩見 秀男君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁総合
       計画局審議官   勝村 坦郎君
       経済企画庁調査
       局長       丸茂 明則君
       科学技術庁研究
       調整局長     内田 勇夫君
       国土庁長官官房
       長        吉居 時哉君
       国土庁長官官房
       会計課長     斎藤  衛君
       国土庁計画・調
       整局長      星野 進保君
       国土庁土地局長  末吉 興一君
       法務省刑事局長  岡村 泰孝君
       外務省アジア局
       長        後藤 利雄君
       外務省北米局長  藤井 宏昭君
       外務省欧亜局長  西山 健彦君
       外務省経済局長  国広 道彦君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       外務省情報調査
       局長       渡辺 幸治君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵大臣官房審
       技官       尾崎  護君
       大蔵省主計局長  吉野 良彦君
       大蔵省理財局長  窪田  弘君
       大蔵省理財局次
       長        中田 一男君
       大蔵省銀行局長  吉田 正輝君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
       国税庁次長
       国税庁直税部長
       事務取扱     塚越 則男君
       文部大臣官房長  西崎 清久君
       文部大臣官房会
       計課長      坂元 弘直君
       文部省初等中等
       教育局長     高石 邦男君
       文部省教育助成
       局長       阿部 充夫君
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生大臣官房会
       計課長      末次  彬君
       厚生省健康政策
       局長       竹中 浩治君
       厚生省保健医療
       局長       仲村 英一君
       厚生省保健医療
       局老人保健部長  黒木 武弘君
       厚生省社会局長  小島 弘仲君
       厚生省保険局長  幸田 正孝君
       厚生省年金局長  吉原 健二君
       社会保険庁医療
       保険部長     花輪 隆昭君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   長尾 立子君
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房予算課長    鶴岡 俊彦君
       通商産業大臣官
       房審議官     松尾 邦彦君
       通商産業省通商
       政策局長     黒田  真君
       通商産業省産業
       政策局長     福川 伸次君
       通商産業省基礎
       産業局長     岩崎 八男君
       工業技術院長   等々力 達君
       資源エネルギー
       庁長官      野々内 隆君
       中小企業庁長官  木下 博生君
       運輸大臣官房国
       有鉄道再建総括
       審議官      棚橋  泰君
       運輸大臣官房国
       有鉄道部長    丹羽  晟君
       運輸省国際運輸
       ・観光局長    仲田豊一郎君
       運輸省海上技術
       安全局長     間野  忠君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  広瀬 好宏君
       郵政省放送行政
       局長       森島 展一君
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働大臣官房審
       議官       田淵 孝輔君
       労働省労政局長  加藤  孝君
       労働省労政局長  小粥 義朗君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       建設大臣官房総
       務審議官     佐藤 和男君
       建設大臣官房会
       計課長      望月 薫雄君
       建設省都市局長  牧野  徹君
       建設省道路局長  萩原  浩君
       自治省行政局選
       挙部長      小笠原臣也君
       自治省財政局長  花岡 圭三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   参考人
       日本銀行総裁   澄田  智君
       日本国有鉄道再
       建監理委員会委  亀井 正夫君
       員長
       税制調査会会長  小倉 武一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十一年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十一年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○理事補欠選任の件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(安田隆明君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和六十一年度総予算審査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君、日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君、税制調査会会長小倉武一君の三名を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(安田隆明君) それでは、昨日に引き続き総括質疑を行います。柄谷道一君。
#6
○柄谷道一君 雇用の安定確保を図ることは政治の要請であると私は思いますが、労働及び総理の御見解をまず伺います。
#7
○国務大臣(林ゆう君) 円高の進展や構造不況業種の発生など、雇用を取り巻く環境が大変厳しく大きく変化してまいっております。この中で雇用情勢にも業種あるいは地域によるばらつきが見られるようになっておりまして、雇用の安定を図ることが従来にも増して重要な課題となってまいっているように思うわけでございます。労働行政の果たす役割は非常に大きいものがあると考えております。労働省といたしましては、今後業種、地域の雇用動向を注視しながら、適切な経済運営とあわせまして、雇用調整助成金の活用、あるいはまた不況業種、不況地域雇用対策の機動的実施、高年齢者の雇用、就業機会の確保等の施策を積極的に推進いたしまして、労働者の雇用の安定に万全を期してまいりたいと思っております。
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) まさに柄谷さんのおっしゃるとおり、政治の一番の要請は雇用の確保にあると思います。働く意思があっても職がないということは御本人はもとより御家族あるいは社会全体に大きな暗さを持ってまいりまして、人間の生きがいを挫折させるものでありますから、私たちも全力を振るって雇用問題については取り組んでおります。失業率を見ますと割合に悪い英国、カナダ等は大体一三%前後、それからドイツやそのほかが九%から一〇%ぐらい、アメリカが七%前後、日本は二・七%前後、これぐらいで、外国から比べると幸いに日本の状況はいいのでございますが、円高不況等にかんがみまして我々は大いに心して政策をやっていきたいと思います。
#9
○柄谷道一君 今、日本の経済、財政は三つの大きな課題を抱えていると思うのでございます。一つは貿易摩擦の解消、第二は円高による景気減速への対応、そして第三は増税なき財政再建の達成であります。この三つの問題を解消する方程式は内需拡大しかございません。しかし、最近の政策介入によります急速な円高、これは輸出関連産業を中心といたしまして雇用問題に重大な影響を与え、今後ますます深刻化していくおそれがございます。この点につきまして労働、通産、経企三大臣は産業の実態をどのように認識しておられますのか、お答えをいただきます。
#10
○国務大臣(林ゆう君) 最近の急激な円高によりまして大きく雇用の問題も変わってまいっております。労働省といたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、いろいろな助成金その他の手当てを通じながら雇用の場を確保することに今全力を挙げているということでございます。輸出産業その他につきましては、いっときも早く安定された雇用の環境が持たれるということを私どもとしては念願をいたし、それに対応するべくいろいろなできる限りの手当てを今なしているということでございます。
#11
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今回の円高が昭和五十三年のときの円高と比べまして非常にスピードが速い、そこが特徴でございます。昭和五十三年の七月の二十四日に約二百円しておったのが十月に百七十六円五銭までになったんです。このとき実際は九十四日間かかったんですが、今回はことしの一月の二十四日が百九十九円五十銭、同じぐらいの数字なんですが、それが二月の末の最高の円高は百七十八円六十銭ですから、それまで二十五日しかなかったというようなことが非常にショックを与えて、今後どうなるのかわからぬというようなことが輸出などの成約見送りというようなものが続出してきた最大の原因ではないか、私はそう思っております。
 それから、輸出の方は確かにJカーブ現象で、統計上、ドル建てではふえているんですが、円建てでは、実は円ベースだと去年の八月、九月、十月、十一月、十二月とことし一月までで〇・七とか三・三、四・九、七・四、七・五と、前年同期比よりは実際に金額で輸出は減っているんです。物の方は大体数量的には似たようなものだと。したがいまして、そういうところであちこちに不況感といいますか、それが局部的に非常に強く出ているということは事実で、よく認識をいたしております。
#12
○国務大臣(平泉渉君) 柄谷先生おっしゃいましたとおり、我が国経済の最大の当面する問題は今先生がおっしゃったとおりでございます。
 御承知のとおり、第一次オイルショックそれから第二次オイルショック、そのたびに我が国の国際収支が大変な赤字になりまして、官民挙げて国際競争力の強化ということを図ってきた。そのたびに非常に輸出競争力が強くなる、そこへ持ってきてアメリカの経済政策がこの四、五年ほど我が国の輸出を非常に助長するという、為替レートの関係その他景気もありまして、大変大幅な経常収支の黒字が出るという体質になり、一方日本の経済構造そのものも、輸出需要というものが非常に大きくあるんだという経済構造になってきておる。ここを転換していかなければ内外ともに不均衡が生ずるという問題がまさに大きな問題でございまして、政府も大いに努力をして調整、均衡を図らなきゃならぬと存じておる次第でございます。
#13
○柄谷道一君 大蔵大臣にお伺いしますが、今各大臣が申されましたように、貿易摩擦解消のために円高政策をとった。しかし、それは産業の構造改革、内需の受け皿、そういうものよりも、はるかそれを飛び越えた急ピッチで円高が進んだ、こういうことに由来するんではないかと思います。大蔵大臣、いかがですか。
#14
○国務大臣(竹下登君) 確かに円高というものはいわゆる貿易収支の改善に結果として役立つであろうというマクロの政策としてはそれなりの位置づけができると思いますが、それが余りにも急激だった場合には、特に中進国等から追い上げられて、大変厳しい競争条件裏にある輸出産業等を中心にその影響が出てくるというのは事実であろうと、私も思います。今いわゆる円高によるデメリットが一番急速にあらわれておる時期ではなかろうかというふうに考えております。したがって、先般急いで成立さしていただきました中小企業転換法等によって対応いたしますと同時に、何はともあれ中長期に見た場合、いわゆる円高のメリットというものが期待されますだけに、それらを見定めながら、それぞれの産業で対応策について、いわば自律的に時には転換するというようなこともあり得ると思いますので、それらの環境整備は政策課題として絶えず対応していかなければならない課題である。基本的には、柄谷さんがおっしゃいますように、我が国の産業構造全体の位置づけという問題が将来の問題としては最も大切なことであろうと考えます。
#15
○柄谷道一君 通産大臣に伺いますが、鉄鋼は二回にわたるオイルショックの影響を受けた国内需要の減退、さらに輸出の伸び悩み、加えて中進鉄鋼国からの輸入の増大、こういう三つの構造問題を抱えております。その構造問題が解決しないうちに急激な円高が起こった。今深刻な不況に見舞われているわけでございます。通産大臣の鉄鋼産業対策をお伺いします。
#16
○国務大臣(渡辺美智雄君) 確かに鉄鋼業につきましては過剰設備ということもありまして、従来から特定産業構造改善臨時措置法という法律に基づいて電炉業等の構造改善は実施をしてまいりました。まいりましたが、またそれが十分なところまで行き届いていないというときにこのような状態になって、非常に輸出の採算悪化というものを来していることも事実、したがって市況も低迷をいたしておる。そこで、鉄鋼業というのは、大体が巨大企業が多いわけですので、まず自主的に需要に見合った生産をやっていただきたい。どんどんつくられたのでは困るわけですから、それは指導をしておるところであります。また労働省などで雇用保険法に基づく指定業種に指定をいたしまして、失業者を出さないように工夫をしておるということであります。
 また、中小の鉄鋼業種につきましては、今回の特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の対象として指定をして、これは一時的に極力手助けをしていきたい、そう思っております。
 中長期的には一層の合理化を進めるとともに、今言ったように途上国などから追い上げられていることも事実でございますので、途上国でできないような新素材あるいは高品質化というものの技術を勉強をしていただいて、その開発をして、これはやはり生き残っていかなきゃなりませんから、そういうようなことで官民力を合わしてやっていこうという考えでございます。
#17
○柄谷道一君 鉄鋼産業というのは非常にすそ野が広い、地域によりましては企業城下町を形成いたしております。地域経済に与える影響も甚大でございます。
 我が国の基礎産業を守るためには三本の柱が必要である。一つは内需の拡大でございます。第二は研究体制の整備であります。そして、第三には鋼材輸入の適正化という問題であろうと私は思うのでございます。
 まず、民活法に盛り込まれております。その内容、規模及びこれが内需拡大、そして固定資本形成に対する貢献についてどの程度お考えになっているのか、通産大臣。
#18
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、公共事業がふえれば鉄の消費がふえるという関係にあることは当然であります。したがいまして、政府といたしましても今回の予算では、ともかく公共事業の中央、地方、そのまた周辺公的機関等の総事業量というものを去年よりも四%程度余分にふやすという策をとっておることも事実でありますし、また関西空港、それから四国の大型橋、東京湾の横断道路というような国家的な巨大プロジェクトを民活を入れて進めて、それで内需の拡大を図っていこうという政策をとっておりまして、まずそれを実行に移していかなければならぬわけでありますから、我々としては一刻も早く予算の年度内の成立を期して、その手続といいますか作業を実地に進めてまいる、それが最優先だ、そう思っております。
#19
○柄谷道一君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、今の通産大臣の施策を実施するために公共事業の前倒し、そして産業の状況によっては補正の編成をお考えですか。
#20
○国務大臣(竹下登君) 今、当初予算を御審議いただいておる段階において補正ということを言の葉に上せるというのは、これはやるべきことではないと思っております。
 一般論として申し上げますときに、まず公共事業の執行の問題でございます。これは国会等の議論を聞きながら、そうして三月、いろいろ出てまいります経済諸情勢の指標等を参考にし、予算通過後可能な限り早い時期にその執行の方法を決めたい。ただ、いささか私見でございますが、先般通していただきました補正予算の中に実額で六千億円のいわゆる債務負担行為による契約可能の予算措置がなされております。これが言ってみれば、なだらかに契約をつないでいく一つの大きな要因になるのではなかろうか。各都道府県議会等も一日ぐらいの臨時議会を開いていただいてそれぞれの対応をしていただいたというふうに承っておりますので、これもある意味における前倒し効果の一つではなかろうかというふうに考えております。
 その次の課題、補正というような問題でございますが、これは一般論として毎年補正予算というのはあり得ることでございますけれども、本予算審議の段階で補正に言及することは差し控えさせていただきたい、このように考えます。
#21
○柄谷道一君 少なくとも経済情勢の今後の進展に応じ弾力的な運用を行う、それだけのお答えできませんか。
#22
○国務大臣(竹下登君) あえて補正予算と言わないで、財政、金融等まさに適時適切なる弾力的対応は必要であると考えます。
#23
○柄谷道一君 現在の公共事業の実態に対する建設大臣の御所見を伺います。
#24
○国務大臣(江藤隆美君) 内需拡大の今後の大きな担い手として公共事業が各方面で真剣に議論されてきたということは、私は大変結構なことであると思っております。
 建設省は、こういう状況にかんがみまして、財政困難の中でありますが、事業費ベースにおいては経済成長を上回るだけの一応の事業費は確保しましたし、住宅等を入れますというと十三兆五千億、軸よそ一〇・一%の事業費の伸びだけは確保できたわけであります。今後慎重にこれらのものを大事に執行してまいる所存でございます。
#25
○柄谷道一君 私は、まだ現在の公共事業に対する予算措置は十分ではない、いずれこれは提言を含めて私の意見を述べたいと思います。
 次に、通産大臣と科学技術庁長官にお伺いいたしますが、鉄鋼業界は今懸命の減量経営を続けておりますけれども、しかし一方、基礎研究体制の整備、さらには新素材の開発、これが進められなければならないと思うわけでございます。しかし、こうした研究は大きなリスクとコストを伴うものでございます。政府、学界、民間の連携を組織化するとともに、必要な財政措置を行うべきではなかろうか、こう思いますが、両大臣の見解はいかがですか。
#26
○国務大臣(渡辺美智雄君) まさに御意見のとおりであります。
 新素材等の先端技術の開発、研究というのは莫大な金がかかります。またうまく成功するかどうかわからぬという危険もございます。だから、民間だけでやれと言ってもなかなかできない。したがいまして、産官学協同の研究体制、これをつくらなきゃならぬ。そういう観点から、通産省といたしましては、従来から国立試験研究所におきまして、実は官民の有機的な連携のもとに共同研究を推進してきております。さらに、そこに加えて昨年の十月には、基盤技術研究促進センター、こういうものをつくりまして、一層それが滑らかにできるように工夫をしております。そうして、異分野の英知を集めまして進めることが大切だということでやっておるわけであります。
#27
○国務大臣(河野洋平君) 今通産大臣もお答えになりましたけれども、新素材といいますか、新材料の技術革新における役割というものは非常に重要なものだというふうに考えております。そこで、新素材、新材料の開発促進というものに積極的に取り組まなければいかぬ。これは、ただ単に鉄鋼業界だけではなくて、あらゆる産業界に大きな影響を与えるものであろう、こう考えておるわけでございます。
 そこで、科学技術庁といたしましても、例えば科学技術振興調整費を積極的に活用していくこと、あるいは創造科学技術推進制度、これは流動的な研究体制をつくる。つまり、とかく研究体制というものが固定化してしまっているものを少し活力を持たせて、そのプロジェクトごとに新しい分野から新しい人を集めてきて研究をしてもらうという流動的研究体制でございますけれども、こういうものを積極的に活用してシーズの創出を図る、あるいはまた新技術開発事業団におきます委託開発制度、つまり成功払いでございますが、委託をして研究していただいて、成功したらコストを払っていただくけれども、成功しない場合にはそれでいいという委託開発制度、こういうものによって新材料の企業化を推進していくというようなことを考えております。またさらに、今、通産大臣からもお話がございましたけれども、国立試験研究機関でも積極的に新素材の開発には取り組んでいただきたい、こう考えております。
 なお、今国会に御審議をいただきますべく現在研究交流促進法という法律を準備中でございます。この法律を御審議いただきまして、産学官の交流の促進あるいは国際的な交流も促進してまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
#28
○柄谷道一君 意気込みはまことに結構なんですけれども、これを裏づける財政措置は極めて不十分だというのが私の率直な印象でございます。この点だけを申し上げておりましたら時間がたちますので、なお一層の政府の施策の拡充を求めます。
 ついては、これは鉄鋼のみにかかわらず素材産業全般の傾向でございますけれども、我が国の設備、機械の陳腐化というものが最近憂えられております。我が国の法定耐用年数は物質として何年もつかという視点でございます。既に欧米等におきましては、技術革新化、その機械、装置が何年有効に稼働できるかという視点に立ちまして、その年数の短縮を図り、積極的な機械、設備の近代化を図っております。
 このような状態を考えますと、放置いたしますと日米間の設備というものは逆転してしまう。それは我が国の技術、工業にとりまして大変大きな影響を与える。この際、真剣に法定耐用年数のあり方について検討を行い、勇気を持って改革に立ち上がるべきではなかろうかと私は思います。通産大臣、大蔵大臣の所見を伺います。
#29
○政府委員(福川伸次君) 御指摘のように、我が国の法定耐用年数は、昭和三十九年に抜本的な見直しが行われて以来部分的な手直しにとどまってまいりました。御指摘のように、諸外国ではかなり法定耐用年数について弾力的な運用をする動きがあることも事実でございます。近く税制の抜本的な見直しが行われるということでもございますので、産業界の実態あるいはまた今申した諸外国の現状等を踏まえまして、法定耐用年数の問題点、それから改正の必要性につきまして私どもとしても十分検討し、現在省内にも委員会を設けて検討いたしております。その成果を見まして、今後の抜本策に私どもの見解を反映させてまいりたいと考えております。
#30
○国務大臣(竹下登君) 今、福川局長からお話がありましたが、柄谷さんも御指摘のとおり、「資産の物理的寿命に経済的陳腐化を加味して客観的に定め」るというのが今日におけるいわゆる耐用年数の哲学とでも申せましょう。しかしながら今日、技術革新等によりまして、物理的寿命の問題は別として、経済的陳腐化という点につきましてはさまざまな変化が出ておることも事実でございます。したがって、今日までそのときの状態に応じての見直しを行ってまいりましたが、この問題につきましては、確かに五十八年十一月の税制調査会の中期答申でも、「資金の早期回収等の政策的観点から見直しを行うことは法定耐用年数の考え方になじまない」という御指摘がございますものの、いわゆるおっしゃいました経済的陳腐化の判断等々を今度の抜本的見直し作業の中で御議論をいただける課題であるというふうに考えております。
#31
○柄谷道一君 総理、総理として、私の申し上げました今の提案について各省を督励して前向きな検討を行う、こういう姿勢をお示しいただきたい。
#32
○国務大臣(中曽根康弘君) 御趣旨に沿いまして各省を督励いたしまして、大いに協力するように努力いたしたいと思います。
#33
○柄谷道一君 もう一点の問題は、最近の急速な中進国からの鉄鋼、鋼材の輸入でございます。
 米国も産業と雇用を守るために我が国に自主規制を求めております。我が国も同様の視点に立ちこの適正化を図ることは、施策として極めて重要であると思うわけでございます。通産大臣、外務大臣、いかがお考えですか。
#34
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはなかなか難しいことでして、外国からいいものが入ってくるのを抑えるという御時世ではない。現在の状況を見ますと、一九八四年ころは鉄などを例にとると四百万トンぐらい入ってきたんですが、去年は三百万トンをちょっと割るぐらいの輸入でございました。不公正な輸出が諸外国で行われて、ダンピングのような形でもし日本に入ってくるとすれば、それは国際的なガットのルールがありますから、それによって厳正に対処をしていきたい、そう思っております。
#35
○国務大臣(安倍晋太郎君) 鉄鋼に関して言えば、日米間は比較的うまくいっているんじゃないかと思っております。昨年日米の鉄鋼取り決めもできましたし、日米間の安定的な需給関係の調整、さらにまた日本からの技術協力といった面について比較的順調に進んでおるんじゃないか、こういうふうに考えております。
#36
○柄谷道一君 私は、基礎産業である鉄鋼の問題について、時間の関係ではしょりましたけれども、いろいろ提言も含めて御質問をいたしました。やはり産業を守っていく、それは我が国にとりましても重要な課題であり、かつ雇用問題からもゆるがせにできません。総理はこれからどのような姿勢で鉄鋼に対する産業政策を指揮していかれるおつもりか、最後にお伺いします。
#37
○国務大臣(中曽根康弘君) 鉄鋼産業は、約十七兆産業で、約三十六万人ぐらいの雇用を持っておる、日本の産業構造の中でも非常に重要な部分を占めていると思います。この産業自体が衰微するとか失業が出るというようなことはゆゆしいことでありまして、日本の大きな今までの力の減衰を意味すると思います。そういう意味におきまして、新しい製品の開拓あるいは新しい創造的技術の開拓あるいはさらに内需の振興、そういうあらゆる面におきまして政府は総合的な努力をやっていきたいと思います。もちろんこれはマーケット主義、市場主義のもとに民間主導でやることでありまして、政府が余り介入し過ぎるということは芳しいことではございません。これは今までの鉄鋼のやってきた伝統にも反します。鉄鋼自体というものは相当な人材もおり、かつ世界に冠絶した優秀な技術を開拓したものでありますから、そういう自助的努力というものを我々としては側面から大いに激励する、そういう政策で進めてまいりたいと思います。
#38
○柄谷道一君 私は内助努力ということを否定するものではございません。しかし、自助努力だけで回復できるような生易しい条件ではないということは、総理、よく御理解をいただきたいと思うのでございます。やはり政策と自助努力、これが一体にならなければ現在の鉄鋼産業対策というものが進められるわけはない、このように思います。この点は強く言っておきます。
 鉄鋼ばかり言っておれませんので、次に造船の問題について触れたいと思います。
 世界的な船腹過剰の中で最近、造船、重機では五十四年に設備三五%、人員四〇%に及ぶ削減を実施いたしました。ところが現在、さらに円高という直撃を受けまして、深刻な雇用情勢が発生いたしております。工場閉鎖、雇用調整、大手四社の無配転落、労働組合のうち大手二社が賃上げすら断念しなければならない、こういう状態でございます。そして六十歳定年を五十八歳に引き下げたり、四十五歳以上の中高年齢者を対象に希望退職を募る。これは時代に逆行する傾向であり、かつ中小企業等におきましては、年間百五十時間にも及ぶ労働時間延長により現在の危機に対処しようといたしております。労働、運輸両大臣、この現状をどのように認識しておられますか。
#39
○国務大臣(林ゆう君) 造船業界は、不況を反映いたしまして雇用者はこの一年間で約一万二千人が減少しているような状態でございますし、またさらに今一万三千人の余剰人員がいるというように、聞いております。特に最近では、中小造船業の倒産などに伴う離職者が大変ふえておるというようなことで、私どもといたしましては、こういったいろいろ離職その他の面で造船業界が大きな打撃を受けつつある上に、さらにまたそういった事柄が今後起きるということを大変危惧いたしておりますが、先生御指摘のような造船業界というもの、かつては日本の大きな産業の柱の一つであったのがこういったことになるということを大変私どもは憂慮をいたしながら、その離職者の再就職の先につきまして今最大の努力を払っているところでございます。
#40
○国務大臣(三塚博君) 今日置かれております我が国海運、造船の現状はただいま短い時間に御指摘のとおりであります。かつて五十二年、五十三年不況ということで、相当政府も国会と一体となりまして対応策をとったわけでありますが、昨今見られます海運、造船の現況というものは聞きしにまさる状況でありますことだけはそのとおりでありまして、世界的な船腹過剰あるいは過当競争、経済の動向等の総合の中で見られておるわけでありまして、全力を尽くして打てる手は打ち、進まなければならぬ、こんなふうに考えております。
#41
○柄谷道一君 造船産業というのはいわば労働集約型産業でございます。したがって、瀬戸内、九州等におきましては、地域の発展とともにその企業、産業を維持してきたという特色がございます。今造船の深刻な不況は地方自治、地方財政にも甚大な影響を与えると思いますけれども、自治大臣のお考えはいかがですか。
#42
○国務大臣(小沢一郎君) 造船業の構造的不況によりまして、特にそれに大きく依存しておる地域におきましては、先生御指摘のように、非常に地域経済全般に深刻な影響をもたらしておるものと考えております。私どもといたしましては、地方税の減収につきましては、普通交付税の算定を通じまして財源措置を講じてまいらなければなりませんが、それとともに、いわゆるこういった地域につきましては、地域の経済活性化対策を自治省としては講じていかなければならない、そのように考えておるところであります。関係の省庁ともよく協力しながら対処していきたいと思いますし、また今後の地方自治体の財政運営につきましては、県当局とも十分相談しながら対処してまいりたい、そのように考えております。
#43
○柄谷道一君 現在、海造審で造船産業の安定化のための施策が検討中であると聞いておりますが、その進展状況及び今後の見通しについてお伺いいたします。
#44
○政府委員(間野忠君) 昨年十月に海運造船合理化審議会に対しまして、造船業の経営の安定化と活性化の方策について諮問いたしまして、現在造船の需給の見通しとその対策について御審議いただいておるところでございます。
 現在のところ、需給見通しについて一応共通の認識が得られた段階でございまして、相当長期間にわたって需給のギャップが続く、それに対してどのような対策をとるかということを御検討願っておる段階でございます。
#45
○柄谷道一君 私は、その対策小委員会による新造船建造見通しというものを拝見いたしますと、現在我が国の造船能力は六百三万CGT、これに対して現在は操業規制を行いまして四百万CGT、これでも今このように深刻な状態でございます。それが八六年は三百二十五万、八七年三百十万、八八年三百二十万、八九年三百五十七万、九〇年三百五十七万と低迷がさらに現在以上に深刻化し、そして九一年以降になって初めて四百万に復元する、これが見通してございます。現在以上にまだまだ谷へ落ちていくわけです。この谷間を一体どうしてカバーするのか。現在でも深刻なんですよ。これ以上に受注量がなくなっていくというこの造船の現状に対する通産大臣の方針を聞きたい。
#46
○国務大臣(三塚博君) 通産大臣から補足を後でいただければと思いますが、御指摘のとおり大変深刻な状況にあります。今おっしゃるとおり、六百万トンの造船能力がありながら三百万前後に低迷をする、九〇年でという御指摘であります。いかに対応するかということに相なりますと、やはり船腹過剰でありますので、この点の解決というものを果敢に取り進めなければなりません。それと、やはり造船設備過剰に相なっておりまして、この辺を調整しなければなりません。これは中小造船、大手造船も企業でございますから、生きてまいりますためには受注を図り、つくっていかなければなりません。そのつくることが逆に実は船腹過剰を倍加せしめるということで海運の不況をさらに深刻化させる。そのことはさらに今度はダンピングで造船をとらざるを得ないという悪循環をもたらしておりまして、大変複雑骨折の様相を呈しておるというのが昨今の状況かというふうに思います。
 さようなことの中で、一つは事業転換を思い切ってやらなければならないと思うのでありますが、同時に海運業に対する需要創出に政府一体として取り組むということが大事なことだということで、運輸省といたしまして各省と打ち合わせをしつつ全力を尽くしておるというのが現況でございます。
#47
○柄谷道一君 私は、やっぱり造船産業の持つすぐれた技術、設備の汎用性、これを活用していくという必要があると思うのでございます。
 私の居住いたしております兵庫県では、現在例えば明石海峡大橋の早期着工と鉄鋼構造による作業基地の建設、従来バースの再開発による港湾機能の充実、造船技術を活用した海洋開発の促進など十項目等にわたりまして地方自治体に要求し、それぞれの首長もまことに結構な提言であり中央官庁に積極的に働きかけていく、こう答えております。
 しかし、私はこれらの政策を展開していくためには一省一省で取り組んで成功できるはずはないと思うのでございます。少なくても運輸、通産、建設、自治、大蔵、労働等を含めた政府内に連絡機構を設置して、やはり政府一体としてこの問題に取り組んでいく必要があると思うのでございます。総理の御見解いかがですか。
#48
○国務大臣(中曽根康弘君) 柄谷さんの御指摘のとおり、非常に重要な課題であると思いまして、政府としても各省庁挙げて取り組んでまいりたいと思います。
#49
○柄谷道一君 個別に取り組むのか統合的に取り組むのか、それをお伺いしたいと思います。
#50
○国務大臣(中曽根康弘君) これは両方要るのじゃないかと思います。
#51
○柄谷道一君 運輸大臣、いかがですか。
#52
○国務大臣(三塚博君) 造船の持つ技術はすばらしい技術であります。さような意味で、ただいま総理からも申されましたとおり、その技術が公共事業に大いに活用されるように各省連絡調整をしつつ取り進まなければなりません。運輸省は主管省でございますが、発注という観点でありますと、御案内のように建設省あり、各省、地方自治体があります。そういう意味で、その辺に深い理解をいただきながら、持つ能力を活用いただく。さらに、この深刻化しておる現状に対応した理解をいただきながら取り進めていただかなければならぬ。かような観点で各省に局長レベルでいろいろと御協議をいただいておるところでありますが、さらにこれを取り進めてまいりたいと、このように思います。
#53
○柄谷道一君 その一例として、過般衆議院の予算委員会でも取り上げられたわけでありますが、明石海峡大橋の作業基地の問題でございます。あの地域は国立公園で、景観も大切にしなければなりません。鉄鋼、造船の不況も配慮しなければなりません。とするならば、鉄鋼構造による作業基地を建設いたしまして、橋ができればそれを撤去する、これは一石二鳥の対策であろうと私は思うのでございます。今、埋め立てがよいか、そのような私の構想がよいかを検討中だとは聞いておりますけれども、私は重点はやはり鉄鋼構造の作業基地、そこに焦点を当てた検討がこれから進められるべきである、こう思います。運輸大臣、いかがですか。
#54
○国務大臣(三塚博君) 大変具体的な御提案でございますので、真摯に受けとめさせていただき、関係省と協議をさせていただきます。
#55
○柄谷道一君 しかし、どのような過程でもやはり雇用不安が生ずることは否定できないんですね。
 今、労働省はいろいろ施策を講ぜられているようでございますが、例えば雇用調整金の運営についても、従来は、株を全然保有していないところへ人を出せれば対象になるけれども、株を保有しているところに出向させれば対象にならぬ、こういう仕組みだろうと私は思うんです。かつては人材派遣の意味を持っておったものが、今既にこれは雇用対策、失業救済の策として派遣、出向が行われているというのが現状でございます。その他いろいろ労働諸法をこの際見直しまして、構造、円高とダブルパンチを受けている産業についてひとつ配慮を加える必要がある、こう思いますが、労働大臣、見直しの用意ありますか。
#56
○国務大臣(林ゆう君) 先生御指摘のように、最近の急激な円高によりまして、大きく産業界、特に造船業界におきましては大変に困難な状況も見られているようなわけでございますので、それの雇用保険の問題につきましては、労働省といたしましては、その給付の基準も大きく伸ばしたりいたしておりまして、特定の不況業種の離職者に対しましては、五十五歳以上には三百九十日というような給付を行うなど、離職者に対しましてはいろいろなできるだけの施策を講じているわけでございます。そういった中で、これからも労働省といたしましては、離職された方の再就職の促進というものにも大きく力を入れてやっていかなきゃいかぬ、このように思っておるわけでございます。
#57
○柄谷道一君 私は、現在の施策だけでは対応できないほど深刻であるこの際、現在の施策をさらに一歩前進せしめるための見直しを行う用意ありゃ、こう伺っておるわけです。
#58
○国務大臣(林ゆう君) どうもちょっと焦点がぼけまして大変失礼いたしました。
 今後こういった問題がますます深刻になってまいるわけでございますので、私どもといたしましては、いろいろと改めるべきところは改めながら、それに対応するような機動的な方策もつくっていかなきゃいかぬ、このように考えておる次第でございます。
#59
○柄谷道一君 私は、また別の機会にその改善策について別途労働大臣に提言をいたしたい、このように思います。
 そこで、運輸大臣、この事業転換を行っていくに当たっても、中小造船というのは資金面、技術面にその力がないんですね。したがって私は、中小造船に対しては融資制度、税制、技術面の特別援助措置、こうした特段の国の施策を導入しなければ中小企業造船の再建というのは不可能だ、こう思います。いかがです。
#60
○国務大臣(三塚博君) 今日の円高不況に対応するための特定中小企業業種転換に対する特別措置法、通産省を中心に関係各省令これに取り組まさせていただいておるわけでございますが、まずこれで及ぶ限りの努力を進めてまいる。そういう中で金融上の措置、税制は既に決まりましたものでありますから、六十一年度税制に向けて御検討をいただく、このことの声を高らかに運輸省も上げて御協力をいただくと、こういうことで取り組まさせていただくということで今後に対応してまいりたいと考えております。
#61
○柄谷道一君 次に、海運の問題について若干お伺いします。
 一昨年の海造審の中間答申には、「我が国の経済的安全保障上極めて重要なものである。」と我が国の外航海運を位置づけまして、そして「今後とも、日本人船員の乗り組む日本船を我が国商船隊の中核として位置づけるべきものと考えられる。」、このようにしております。運輸大臣の基本的認識はいかがですか。
#62
○国務大臣(三塚博君) ただいまの御指摘、まさに要を得た、中心を得たものだというふうに思います。我が日本、海洋国家、海運国家であり同時に貿易国家でございます。四面海で張りめぐらされた中のこの四島の中で生き抜いてまいります道は貿易立国、そして海運国家としてこれに対応していかなければなりません。そのためには、経済安全保障という観点からいいましても、今日、経営が苦しいために仕組み船でありますとか外国籍船でありますとか、いろいろな手法を講じてやられておりますことも企業経営上やむを得ないものとは存じますけれども、やはり優秀な日本人船員による日本商船隊の編成というのが本来海運政策、我が国の基本政策の中心であろう、こんなふうに考えており、その方向に着実に進みますように一歩一歩積み上げてまいりたいと考えております。
#63
○柄谷道一君 総理、ただいまの運輸大臣の御答弁は、我が国の海運政策の基本であると理解してよろしゅうございますか。
#64
○国務大臣(中曽根康弘君) あり得べき基本であると考えます。
#65
○柄谷道一君 あり得べきとはどういう意味ですか。
#66
○国務大臣(中曽根康弘君) そうあることが望ましくかつ国家として正常的なあり方である、そう思う次第です。
#67
○柄谷道一君 ところが、現実はこれに逆行する現象があらわれているわけです。三光汽船、ジャパンライン、中村汽船の経営危機がもたらした雇用へのしわ寄せ、便宜置籍船やマルシップによる脱日本船員方針が強化されていること、さらに一九八四年、米国の海運法によってアメリカの規制緩和政策がとられて以来、北米定期航路におきましては過当競争を生み出し、それが一層脱日本船員の方針を強化させていること、また運賃収入の約八割はドル建てでございますから、急激な円高によりましていわゆる運賃収入の低下という現象を招き、それがまた再び脱日本船員という経営方針を強化させていること、運輸大臣のまことに結構な答弁ではございますけれども、現実は逆へ逆へと進展しているというのが現状でございます。この点に対する対応をお伺いいたします。
#68
○国務大臣(三塚博君) 先ほど申し上げましたのは、我が国外航海運の基本的理念を申し上げて、総理も同じであると、こういうことでありまして、この大目標はやはり掲げてそれに近づく努力をしてまいらなければなりません。しかし、御指摘のように今日の世界的な船腹過剰、こういう中における国際競争の激化、運賃市況の御指摘のような長期低迷という最悪の状態の中にあるわけでございますから、私どもは労使一体のこれに対する取り組み方を助長する方向の中で政府としてやり得る道は何か。しかし、これも財政運営の基本方針がありますものでございますから、過度の介入と言われるようなことは、今日までの日本商船隊の力からいいまして世界のトップであるわけでありますから必ずしも良策ではございませんので、その辺のところを十二分に対応しながら、やり得る措置として解撤を進めて日本船腹量の適正規模をつくり上げる、あるいは計画造船ということでこのことに対する思い切った措置を講ずるなど、これを進めることでただいまのところこれに対応していかざるを得ない、こういうことであります。
#69
○柄谷道一君 政府自体が行うべきこと、行政指導により達成すべきこと、たくさんの問題がございます。私は、きょうは時間の関係で、これらの問題は改めて運輸大臣と真剣な話し合いを持ちながらこの解決を図り、基本理念というものが生かされる道は何か、これを大いに議論を深めていきたいと思います。
 そこで、中小企業庁長官に伺いますけれども、円高によりまして繊維その他輸出関連産業、中小企業の直面しております状態は深刻でございます。兵庫県の西脇等へ行きますと、もう為替相場の変動の中で成約ができない、先物契約ができない、このままの状態でいけば五月は全面操業停止だ、こういう深刻な状態であり、自殺者も出ているわけでございます。これは単に繊維のみだけでなくて、中小企業全般にあらわれている傾向でございます。とすれば、この際、企業借入金に対する返還猶予ないしは償還期間の延長、さらには円高融資の一層の金利の引き下げ、雇用対策、こうした総合政策を実施をしなければならない。また輸出関連ではなくても非鉄鉱山、紙パイプ等におきましては、既に円高を見越して、その見通しが先行して成約がとまり価格が暴落しておる、こういう産業もあるわけでございます。総合的な施策をお伺いします。
#70
○政府委員(木下博生君) 先生今御指摘のように、輸出関連の中小企業産地においては新規契約がなかなかできにくいという状況が深刻化しているというのは御指摘のとおりだと思います。中小企業庁として最近調査いたしましたものでもそのような結果が出ておりますし、担当の部長等を派遣しましても同じような話を聞いておるわけでございます。
 したがいまして、そのような中小企業者に対しましては特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法が既に施行されておりますので、その法律の運用によってできる限りの措置を講じていきたいというふうに考えておるわけでございますが、既存債務の返済猶予という点につきましては、まず設備近代化資金につきましては五年間のものを八年に延ばすということができるようになっておりますし、それから中小企業の高度化資金につきましては十数年という非常に長い返済期間の貸し付けでございますが、これにつきましてはことし返済ができなくなるというような場合には来年まで延ばすことができるというような措置をとっておるわけでございます。
 それから、中小企業金融公庫等の金融機関からの貸付金の返済につきましてもケース・バイ・ケースに、その企業者の方々が非常に資金繰りに困っているというような場合には弾力的にその点を運用するようにという通達を出しておるわけでございます。それから、低利融資につきましては現在のところ五・五%というもので緊急経営安定科策のための融資をいたしておるわけでございますが、これは財投資金を使っての融資でございますので、一番低い金利で運用しているということでございますので、今のところはこの運用のままでいかせていただきたいというふうに考えております。
 それから、中小鉱山についてのお話がございましたが、中小鉱山に対しましてもこの特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の対象となり得るというような考え方でおるわけでございます。ロンドン相場が下がれば自動的に国内相場が下がりますので、それによって影響を受けるのは円高によって影響を受けるのと全く違いがないということで対処したいというふうに考えておりまして、緊急経営安定対策あるいは事業転換というような対策についてはできる限りの措置を講じていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#71
○柄谷道一君 こうした問題を解決するには先進国、特にアメリカとの協調、相互理解ということが極めて必要であろうと思うのです。外務、大蔵、通産各大臣の経済外交に対する基本的姿勢と考え方を伺います。
#72
○国務大臣(安倍晋太郎君) アメリカとの間の経済交流、貿易の交流は日本にとりましてもアメリカにとりましても最大でありますから、この関係をうまく持っていくということが両国にとっても極めて大事であろうと思います。特にまた、自由貿易体制を堅持していく上にも極めて必要であろうと思います。そういう中で黒字問題等もありまして日米間で市場開放についても貿易摩擦等があるわけですが、しかし貿易、市場開放等については日本の努力も相当進んできております。同時にまた、円高等によりまして今後の貿易面にもいい傾向の出てくる可能性も出ておるわけでございます。我々は日米一体となりまして、基本としてはやはり保護主義に進まないで自由貿易体制を守っていくという点でこれから相協力していかなければならない、特にニューラウンドに向けて今後とも歩調を合わせて進みたい、こういうふうに思っております。
#73
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今この自由貿易体制下におきましては一国だけが繁栄を持続するということは不可能であります。世界の経済はつながっております。特に日米関係というのは、日本だけがいつまでも黒字でアメリカが赤字でというようなことを続けていれば、必ずその反動がくるということを予想しなけりゃならない。そこで、今外務大臣が言ったように、貿易ができるだけ均衡をとるように我々は市場の開放等を通じて目下努力中であります。
 それからもう一つは、この貿易摩擦というのは誤解に基づくもの、あるいは文化の差があるんだけれどもそれがよく理解されないもの等もございますので、我々はやるべきことはちゃんとやりますが、しかし理解をしてもらうことは理解もしてもらわなければならない。そういう点で今後いろんな、議員、民間を含めた積極的な外交も展開する必要がある、そう思っておるわけでございます。
 いずれにせよ、日本とアメリカの持っておる世界経済に占めるシェアというのは非常に大きいわけでありますから、それが相協議し合って、世界経済みんなが手を取り合ってそれぞれの分野において協調し合っていくということが世界経済全体から見れば自由貿易が守られて繁栄できる道である、そう考えております。
#74
○国務大臣(竹下登君) 基本的には外務大臣、また産業政策の立場から通産大臣からお答えがあったとおりでありますが、私の方は特に通貨の面において世界経済に及ぼす影響が大であります。
 その立場からお答えいたしますならば、通貨価値の安定と維持は経常収支不均衡の適正化並びに世界的な貿易及び資本取引の拡大発展にとっては欠くべからざるところでございます。したがって、双方が絶えず、なかんずく日米関係が政策の協調の中にお互いが相互監視を行いながらインフレのない持続的成長ということを目指していきたい、そのことはひいては南北問題にも好影響を与えることではなかろうかと、このように考えております。そしてマクロで国際通貨問題を考えてみますときに、ウィリアムズバーグ・サミットにおきまして首脳から支持を受け、私ども引き続き十カ国蔵相会議等におきまして通貨制度の改善について議論を重ねておりますが、一応これを開発途上国も含めたところのIMFの暫定委員会へ持ち込んでおります。この機会等を通じて、より一層通貨の安定が図られるような仕組みについても引き続き協調して検討を続けてまいりたいと、このように考えております。
#75
○柄谷道一君 マクロ的には今教科書のような御答弁、まことにそのとおりだと思うのですが、しかしこれは日本の政府ですよね。やはり国際協調とともに考えなければならないことは、日本の産業をいかに安定し雇用をいかに守るか。総理も雇用の安定こそ政治の要請であると冒頭言われたわけですから、そうした点を十分わきまえた中での協調というものでなければならぬ。そうでないとどこの国の政府がということに国民は思ってしまうんじゃないか。これだけは言っておきます。
 そこで、日銀総裁、円が安過ぎると政策介入が行われましたね。急激に円高が進んだ、これは進み過ぎだ、二回にわたって公定歩合を引き下げられた、私はこう思うのです。そこで一体、一ドル何円ぐらいが雇用、産業、貿易摩擦、総合的な視点から適正な外国為替相場だとお考えですか。
#76
○参考人(澄田智君) お答えを申し上げます。
 私どもといたしましてはどの辺の水準が適切であるか、そういうことを念頭に置いて対応してきておるわけではございません。ニューヨークのG5の会合以来、為替レートが各国のファンダメンタルズをよりよく反映すべきであるという、そういう精神に基づいて対応してきている次第でございます。対外不均衡是正のためには方向としてドル高修正、これが望ましいところでありますが、それが余りに急激に進む場合には、円高に対する我が国経済の対応が著しく困難となるばかりでなくて、国際通貨情勢の安定の点からも望ましくない、こういうふうに考えております。そういう意味で安定の方が現時点においてはより望ましい、こういうふうに考えておるわけでありまして、今週月曜から公定歩合の二度目の引き下げを実施いたしましたが、その考え方もそういう趣旨に立ったものでございます。
#77
○柄谷道一君 総裁の立場から言いにくいんでしょうけれども、江崎特命大臣、あなたは衆議院で百九十円から二百円、これで安定することが望ましい、こういう趣旨の発言をされていますね。日銀総裁、江崎大臣の発言は当たらずとも遠からずですか。
#78
○参考人(澄田智君) 私どものように為替市場に対しての直接の当局者というような立場にある者が為替の水準ということに触れますと、それは不測の思惑あるいは憶測を起こしますので、これは差し控えさせていただきたいと存じます。
#79
○柄谷道一君 江崎さんのお考えは。
#80
○国務大臣(江崎真澄君) 私は経済摩擦をどう回避するか、こういう立場の特命相でもあるわけですから、そこで経済摩擦解消の面から言うならば急激な円高は本当に困る。これは困るが、安定するとすればまあ二百円、そして百九十円の上ぐらいのところがいいところかなという一つの意見を申し上げた、こういうことでございまして、これは担当の日銀総裁や大蔵大臣が言える話ではないと思います。
#81
○委員長(安田隆明君) 関連質疑を許します。秦豊君。
#82
○秦豊君 今の対外問題に関連しまして、総理、東京サミットの大きな基調というのは世界経済の活性化と平和と軍縮にあり、しかもこの二つの命題というのは深々と絡み合っていると私は考えています。
 そこで、総理としては、まず平和と軍縮という分野では特にどんな主張と提案をされるお考えですか。
#83
○国務大臣(中曽根康弘君) サミットというのは、元来がエコノミックサミットというので、経済サミットというのが趣旨なのでございます。しかし、経済というものが円滑に進むためには平和あるいは安全保障という問題もベースとして必要であります。そういう意味もあり、かつまた平和と軍縮の問題は各国の為政者が最大関心を持っておる問題でございますから、話題として登場してくる、そういうことでございます。
 いずれにせよ、世界経済のインフレなき持続的成長、そういうことを目指してまず議論は行われ、あるいはさらにそのために発展途上国や債務国をいかに我々がこれから対策を講ずるか、そういう問題も大事な議題であろうと思います。
#84
○秦豊君 それだと、世界経済の活性化と平和と軍縮について日本国の代表としての特別なアクセントをつけた提案というのは殊さらには用意はされてない、こういうことですか。
#85
○国務大臣(中曽根康弘君) 今議題について最高首脳部のスタッフが相談をしている最中で、四月に最終的な相談で、大体そういう議題がまとまっていくだろうと思います。まだその過程でありますので発言は差し控えたいと思います。
#86
○秦豊君 総理としては、東京サミットに、四月に枠ができますけれども、教育問題については何か構想をお持ちですか。
#87
○国務大臣(中曽根康弘君) その議題がまだ決まらないんですから、日本だけが突出した発言をするということは慎んだ方がいい。ただ、正式の話にそういう教育問題が登場するということはちょっと考えられませんが、しかしヨーロッパの大きな問題というのは産業調整の問題で、労使間の問題あるいは産業構造の改革、これが労働問題と絡んでなかなか進まない、そういう問題があります。日本の場合にはかなり封鎖性というものやあるいは市場流通関係が独特な形を持っておる、こういうものがやっぱり基本的には教育制度というものと関係しているか関係していないか、そういうことは一つの関心のポイントではあろうと思いますが、正式議題として教育問題が登場するとは思いませんが、コーヒーブレークのときとか食事のときにあるいは出てくるかもしれません。
#88
○秦豊君 そこで、東京サミットを控えた来月の中曽根総理の訪米、これは東京サミットを成功させるためにも私は大変重要な契機であると思いますが、この日米会談では特に何が焦点でしょう。
#89
○国務大臣(中曽根康弘君) もし日米会談が行われるとすれば、もちろん東京サミットを成功裏に導くためにいろいろな大事な問題について相談し合うということであります。あとは日米間の摩擦解消の問題等々が話題ではないかと思います。
#90
○秦豊君 それから総理、引き続き、皇太子御夫妻の訪韓問題は既に公式に軌道に乗りつつある。ところが、それと同じような意味で今後の日中関係を展望した場合に不可欠な問題は、やはり皇室外交の一つの成果としての皇太子御夫妻の訪中問題ではないかと私は思っている。中国のある要人からそれに類した話を聞かされたこともあります。
 そこで、まだもちろんこれは非公式な段階にあることは承知しておりますけれども、公式な打診が行われた場合には総理として、つまり政府としてはどのように対応をされるお考えでしょう。
#91
○国務大臣(中曽根康弘君) まず皇太子殿下御夫妻におかれては韓国御訪問という問題が政治日程、両国間の交渉の題材として上ってきつつある、先方と外務当局間においていろいろ打ち合わせが行われると思います。中国との関係については全くまた白紙でございますが、韓国に皇太子殿下が御訪問になりまして、つつがなくこれが終わるという形になれば、次の段階として中国側にもし御招待の御意思がありますれば、これは将来の課題として登場してくる可能性はあると考えております。
#92
○秦豊君 安倍外務大臣、もともと皇太子御夫妻の訪韓、訪中というのは日本外交からすれば一体という考えを私は持っている。今総理もああいうふうに肯定的に答弁されましたが、外務大臣、できれば来春にでもというふうなお考えはお持ちではございませんか。
#93
○国務大臣(安倍晋太郎君) 政府の立場については、今総理からお述べになりましたように全くの白紙でございます。まず韓国への御訪問をこれから外務当局間で詰めまして、これをぜひとも成功裏に終わらせたい、こういう思いでいっぱいであります。
#94
○秦豊君 テーマを変えます。SDI、戦略防衛構想についての中曽根総理のお考えをずっとフォローしていると、やはりあえて言えば肯定的かつ前向きというふうなイメージがあります。その肯定論の論拠をちょっと改めて伺っておきたい。
#95
○国務大臣(中曽根康弘君) 私が昨年一月二日のロサンゼルスにおけるレーガン大統領との会談において理解を示しましたのは、これは非核兵器であり核兵器を廃絶する目的を持っておる兵器である、そしてあらゆる段階において重要なことは同盟国と相談もするし、ソ連とも相談をする、ソ連に対して優位を求めるものではない、そういうような考えに立って、地球上からICBMのような核兵器を追放するための目的へ、そういう防御的な新しい兵器体系に移っていこう、そういうレーガン大統領の理想を聞きましてそれに対して理解を示した、そういうことなのであります。
#96
○秦豊君 安倍外務大臣、これは総理と比べての話ですよ。あなたはSDIに対してはやや慎重な姿勢がこぼれてくる。あなたの慎重論の背景と根拠、どういうことですか。
#97
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本として研究に参加するかどうかということについては、まだまだ勉強しなきゃならない問題がたくさんあるわけであります。これから第三次調査団も出さなきゃなりませんし、それの報告を踏まえて日本は日本の立場として十分検討、協議をしていかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。そういう点から私は、SDIについては慎重にそして自主的に決定をしなきゃならないということを常に申しておるわけでありまして、総理との間に何も変わっているところはありません。
#98
○秦豊君 まだこれは政府の結論が出たわけじゃないのでやや性急かもしれませんけれども、例えば西側の反応なんか見ると、西ドイツ方式というのがあって、政府がつくった一定の枠組みですね、この中でまず民間が参加するというふうな、これを西独方式と僕は呼んでいるんですけれども、これ、またはこれに近い形というのは総理、イメージされますか。検討に値しますか。
#99
○国務大臣(安倍晋太郎君) このSDIの研究参加については各国それぞれ対応が違ってきております。西ドイツはおっしゃるようにSDIも含めた科学技術全般について包括的取り組みを行おうということで今交渉を行っておりますし、イギリスは政府間の協定で行こうということであります。フランスは民間で自由に参加させようということで、それぞれ対応が違っておるわけでございます。そういうことも日本がこれから勉強する上において重要な参考にしたい、こういうふうに思っております。
#100
○秦豊君 総理、今お聞きのとおりですが、西独方式というのはやや検討に値する構想とお考えでしょうか。
#101
○国務大臣(中曽根康弘君) 調査、研究をしておる段階でありまして、結論を出す段階にはまだ不十分なところがあります。第三次調査団を派遣して、そしてさらによく調査、研究をしてもらう、そういうことでまだ政府は結論については白紙でおります。
#102
○秦豊君 そこで、SDIについては去る昭和四十四年五月の例の宇宙の平和利用、これをうたった衆議院本会議の決議がありますね。研究に参加するという場合にこの決議と、政府の参加の方向が出た場合、一体どこでどう整合するのか、これを明確に答えていただきたいですね。
#103
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん政府としましては国会の決議を尊重していくということは極めて大事なことであろうと思います。そういう立場も踏まえながらなおかつ日本独自のいろいろな法律制度等もあります。そういう観点も踏まえながらいろいろな角度から研究、検討をしていきたい、これから研究をすることであります。
#104
○秦豊君 ちょっと外務大臣、無理がありますよ。決議に違背しない、矛盾しない、乖離しない形で一体こういう研究に参加できますか。
#105
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだSDIについては何も決めていないわけですから、しかし、政府としてはこれは国会の決議というものは大事にしていかなきゃならぬ、これを踏まえてやるという基本方針はこれは変わっていないわけでございますし、国会の御決議でございますから、あらゆる問題について我々はこれを尊重するという立場は、これはこれまでも通してまいりましたし今後とも通さなければならない、こういうふうに思います。
#106
○秦豊君 総理、ワインバーガー氏が日本に来ます。その後総理がワシントンに行かれます。その総理の訪米のころというのは、政府としてSDIに制して何らかの意思表示をするタイミングとしてはいかがですか。
#107
○国務大臣(中曽根康弘君) 別に私がワシントンに行ったからといってこれに対する結論とかにおいを言う責任もなければ義務もない、日本は日本で独自に判断をすべきものであります。国会の決議というものは我々はやはり大いに尊重していかなきゃならぬと思いますが、これもSDIに対する我々の態度を決めてから、果たして国会決議に違背するかどうか、違背するならこれはいかぬから、そういう我々の態度を決めてから法制局その他に勉強させる、そういうもので、それも決まらぬうちにやるということは誤解を生むことになりますから、それも差し控えておるということです。
#108
○秦豊君 そういう慎重さを大事にしていただきたいと思います。
 防衛庁、OTHレーダーの設置予定地なんですが、結局どこなのか。ハワイの日米協議ではアメリカ側に南西諸島と説明して、九人会答弁では硫黄島と言って都庁側から猛反発を受けているんです。一体どちらが本当なんですか。
#109
○政府委員(西廣整輝君) ハワイの事務レベル協議で私どもは南西諸島あるいは小笠原諸島等日本周辺の島嶼部が適当であるというように申し述べておりまして、先般の衆議院の予算委員会におきましては、戦術的その他から見て南西諸島と硫黄島方向とどちらがよろしいかという御質問がありましたので、OTHの機材としての特性、いわゆるドップラー効果を利用しているという特性からいえば硫黄島方向の方がより望ましいということを申し上げただけでございます。
 なお、設置地域については今後さらに検討することになりますので、現在のところどこということは決めておりません。
#110
○秦豊君 では、一言だけ防衛局長に追加するが、硫黄島は火山地帯、隆起性、工事の難しさ、予算の膨大さ、これがあるから運用上は望ましいかもしれぬが場所としては不適ではないかという声に対しては……。
#111
○政府委員(西廣整輝君) それらの状況も含めて今後検討する課題だろうと思っております。
#112
○秦豊君 総理、次期の対地支援戦闘機、FSXの問題ですが、これは一般的には国産化、これが一の選択肢、二の選択肢は外国機導入。果たして総理、これは二者択一的な命題でしょうかね。どうお考えですか。
#113
○政府委員(西廣整輝君) FSXにつきましては累次御説明しておりますように、三つの選択肢の中でこれらを慎重に検討して、今後の我が日本の防衛について何が一番望ましいかという点で選択をいたしたいと考えておりますが、現在外国機の資料が逐次入手されましてそれを検討しておる最中でございますので、そういったものの分析を終わり、各種の案について比較検討の上、我々としては最も適したものはどれであるかという最善の選択をいたしたいというふうに考えております。
#114
○秦豊君 防衛庁長官、これは庁内的なタイムリミットとしてはいつなんです。
 それから、第三の選択というのは全くあり得ないんですか。例えばアメリカの特定機種と我が国メーカーの共同開発というふうなことは全く検討に値しませんか。
#115
○政府委員(西廣整輝君) まず時期の問題でございますが、我々としてはできるならばできるだけ早い時期に結論を得たいと考えておりますが、先ほど来申し上げているように、だからといってあるところにタイムリミットを設けて検討するということではなくて、我々として自信を持てる結論を得るということを前提に考えておりますので、タイムリミットは必ずしも設けずにやっております。
 それから、第二番目の共同開発のような御提案でございますが、これ自身まだ直接の検討対象になっておりませんが、それも含めていわゆる国産開発というものの一つの変形ではないかなというようには考えております。
#116
○秦豊君 これは総理、ぜひ総理のお考えを肉声で伺っておきたいんですが、北方四島の一括無条件返還というのはもちろんこれは我々共通の民族、国民としての悲願ですよ。しかし、この問題というのは総理の認識の中ではオール・オア・ナッシングだというふうなとらえ方をされていらっしゃいますか。
#117
○国務大臣(中曽根康弘君) もとより我々は四島の一括返還というものを要求し、我々の正当な権利として実現せんと考えておるわけであります。
#118
○秦豊君 日ソ関係打開のためにモスクワを訪問してよろしい、国民が喜ぶならばという総理の一連の御発言がありますけれども、そういう総理のソビエト訪問ということの意欲、熱意、これがいささか薄れ始めているんじゃないかというふうな見方もないわけではない。また、仮に総理が訪問されるとすれば、あくまでゴルバチョフ氏の日本訪問が前提ですか。
#119
○国務大臣(中曽根康弘君) 別に濃くもなければ薄れもしてはおらない、私は私のちゃんとした考えで一貫してやっておるので、それは四島一括返還という重大な問題を避けて通れないし、その問題に対する解決なくして国民が支持するはずはない、そう考えておるからであります。
 先方との関係というものは、そういう問題がどういうふうに展開するかということにもかかってくるので、相互訪問を約束しておりますから、ですから私がもし万一将来行くという場合には、同時に先方がいつ来ると、そういうようなはっきりしためどのつくことが必要であるでしょう。ちょうどレーガンさんとゴルバチョフさんの話で、相互訪問の大体の大まかな時期もお互いが約束したようなものではないかと思います。
#120
○秦豊君 これで最後の質問ですけれども、最近気象庁でも観測のできない、予報できない風があるというのですね。それは解散風だというのですよ。各大臣に伺いたいが、時間の制約もあるからはしょりますけれども、これは私見ですよ、総理。総理がさっき手帳をしきりに繰っておられたので、解散の日にちを案じていらっしゃるのかなどちらちら見ていましたけれども、入念に手帳を見ておられたから。それにしても同時選挙なんていうものは、よほどの切迫感、よほどの大義名分がなければみだりに行うべきじゃないと私は考えているわけですよ。安倍大臣なんかどうお考えですか。それから海部大臣なんかどうですか。それから唐突ながら新自由クラブの河野長官なんかどうお考えなんでしょうね。開かれたテレビの前でぜひ明らかにしていただきたい。竹下大蔵大臣にもぜひお願いしたい。
#121
○国務大臣(安倍晋太郎君) さきの政府・与党首脳会議で、総理から解散は考えておりません、こういうお話がございましたので……
#122
○秦豊君 安心しているんですか。
#123
○国務大臣(安倍晋太郎君) 安心しております。
#124
○秦豊君 大蔵大臣、これはちゃんと答弁を求めていますよ。
#125
○国務大臣(海部俊樹君) 総理は解散を考えていないとおっしゃるし、私は今与えられた職務に一生懸命頑張っておりますし、解散の大義名分はないんじゃないかと、こう思っております。
#126
○秦豊君 少し正直な答弁。
#127
○国務大臣(河野洋平君) 解散とりわけ同時選挙などというものは計画的にやるべきものでもないし、やられるものでもないだろうと、こう考えておりますが、現在閣僚として申し上げる立場ではございません。
#128
○国務大臣(竹下登君) 政府・与党首脳会議に私も出かけておりまして、その際総理から解散は考えていないという線で皆さん方も考えていただきたいということでございますので、私もそのとおりだと思っております。
#129
○秦豊君 よくも優等生がそろったものだが、そういう安心感は必ずや覆されるでしょう。
 総理、最後にどんなに反対があろうとも、どんなに反対が渦巻こうとも、およそ一国の総理が解散を決意する、断行するというのはどんな大義名分のどんな場合でしょうか。あるいはそういう大義名分というのは既に整っているとお考えですか。解散を考えていらっしゃらない総理に最後にあえて伺うんです。
#130
○国務大臣(中曽根康弘君) 解散は考えていないのですからお答えのしようがありません。
#131
○柄谷道一君 問題を財政問題に戻したいと思います。
 従来中曽根総理は私の質問に対しまして、臨調路線を踏襲している政府としては拡大均衡というわけにはいかない、こう答え続けられてきましたが、昨年十月第百三回国会の所信表明では、「経済の拡大均衡を通じて対外経済摩擦の解消を図るためにも、内需拡大の努力が必要」である、こう述べておられます。これは従来の方針を変更したことを意味しておりますか。
#132
○国務大臣(中曽根康弘君) それは臨調路線を守る、つまり行革を実行していく、そして経費の削減、冗費の削減、人員の削減等に努力していくと、そういう路線を私は意味して言ったのでございます。
 しかし、最近の円高その他全般も見まして、特に内需の拡大、それを民活というやり方によって膨大な民間資本を動員すればこれは内需の拡大に相当資する、そういう方向で、つまり財政資金は使えないと、そういう意味の拡大というものはそれほど我々は大きくはできない。しかし、財政資金によらないで民間資金を動員するいろんな方法を考えれば拡大均衡は可能である、そういうふうに考えまして実行している最中であります。
#133
○柄谷道一君 具体的に総理の言う内需拡大とは民活以外に何があるのですか。
#134
○国務大臣(中曽根康弘君) それは金融政策もございますし、両方組み合わせたさまざまな政策も考えられます。
#135
○柄谷道一君 内需の拡大、いわゆる経済の拡大をうたいながらなぜ財政の拡大均衡には触れられないのですか。
#136
○国務大臣(中曽根康弘君) 財政が全然出動しないとは今も私申し上げていないのです。今度の予算を見ましても、住宅政策についてはこの厳しい予算の中でかなり大蔵大臣にも奮発してもらって政策を進めているわけではありますし、先ほど申し上げましたように、補正予算におきまして予算外国庫負担契約約六千億円、こういう仕事によりましてやはり拡大もやっておるわけであります。ですから財政が全然出動しないということではないのです。しかし、大きい眼目というものは、臨調路線にのっとってやはり民間資金をいかにうまく動員するかという点にかかってきていると考えておるわけです。
#137
○柄谷道一君 経済企画庁は昨年十二月、六十年度リボルビング報告の中で、景気調整のための財政政策を必要に応じ発動していくことが望ましい、こう結んでおります。経済企画庁長官は、本予算がこの趣旨に沿うものとお考えですか。
#138
○国務大臣(平泉渉君) 建設国債の発行額五兆七千億円というのは、現在の財政状況のもとでは大変な奮発であるという見方もできると思うわけであります。そういう点、そのほかに今総理もおっしゃいましたけれども、いろいろな住宅減税、財投その他の措置を含めまして一般公共事業の事業費のかさ上げ、設備投資のための税制上の措置、大規模プロジェクトと、こういうことでできる限りの努力はしておるというふうに見ておるわけでございます。
#139
○柄谷道一君 昨年八月、建設省は二十一世紀に向けての住宅・社会資本整備方針を打ち出しております。その中に「我が国経済をより高めの新しい成長軌道にのせ、財政の拡大均衡をめざすべきである。」、こう結んでおりますが、建設大臣は本予算がその趣旨に沿っているとお思いですか。
#140
○国務大臣(江藤隆美君) 二十一世紀までに残された十五年間を、国民の高貯蓄を生かしながらひとつ公共事業その他においてもいわゆる社会資本の充実、それから住宅建設などを進めていこう、こういうことを実はうたったものでありまして、昭和六十一年度の予算においてはあとう限りの工夫をして、その線に沿っておるものだと考えております。
#141
○柄谷道一君 一兆円の所得税減税、一兆円の公共投資増額を実施した場合、それぞれの景気浮揚効果、増収効果についてどうお考えか。六十一年度予算ベースで御説明願いたい。
#142
○政府委員(尾崎護君) 所得税減税が経済及び財政にどのような効果を及ぼすかでありますが、その減税の具体的内容とかまた財源計算などの計算の前提の置き方によりまして、またそのときどきの経済情勢等によりまして異なってまいりますので、なかなか一義的に計数をお示しするのは難しい問題なのでありますが、仮に経済企画庁の世界経済モデルの乗数を用いますと、特例公債増発による所得税減税一兆円のGNP拡大効果は初年度で約四千七百億円と見込まれます。また名目GNPの増加額が税収に及ぼす効果を大胆に試算いたしますと、一般会計ベースで初年度六百億円程度、それから国税、地方税合計したベースでは一千億円弱にとどまるものでありまして、減税額一兆円を大きく下回ることとなるわけであります。
 なお、このほか特例公債の発行に伴いまして利払い等の負担が生ずることは申し上げるまでもございません。
#143
○国務大臣(江藤隆美君) 建設国債を一兆円増発して公共事業をやった場合に建設省はどう考えるかということでございますが、初年度においてGNPに対して一・四七、次年度が〇・七八、三年目が〇・四七、締めて二・七二倍程度の効果があるであろうと踏んでおります。もちろん一兆円に対して裏負担が要るわけでございますから、事業費ベースにしておおよそ一兆四千億になるかと思いますが、それによって税収にはね返ってくる分はおおよそ三年間で四千七百億と計算をしておるところでございます。
#144
○柄谷道一君 私は、以下本年度予算の六つの問題点を指摘したいと考えますが、国鉄再建監理委員長が昼から御都合が悪いようでございますから、ちょっと途中で質問のトーンが変わりますけれども、お伺いしておきます。
 国鉄は、三十九年に赤字経営に転落して以来、累積赤字十八兆円、長期累積債務二十四兆円に達しました。今日でも一日約六十三億円、年間二兆三千億円もの赤字を出しておられます。こういう破綻状態にある国鉄を、交通市場の中で新しい競争にたえ得る事業体にして国民の足としての鉄道の役割と責任を果たし得るようにする、そのために国鉄改革は避けて通れない問題であろうと私も認識しております。
 そこで、国鉄経営を危機的状況に追い込んだ要因がどこにあったとお考えか。民営・分割化を必要とした基本認識はどこにあるのか。さらに、国民一般の中には民営・分割化をしますと地方ローカル線の廃止に拍車をかけるのではないか、こういう懸念がございますが、その点どうお考えか。以上三点をお伺いいたしまして、自後の問題はまた後の機会に運輸大臣にお伺いしたいと思います。
#145
○参考人(亀井正夫君) ただいま先生から国鉄の現状については危機的状況にあるという御指摘がございましたが、全くそのとおりでございます。
 この原因は、大きく申し上げますと、一つは交通輸送体系の中における鉄道の位置の低下といいますか、そういう問題が大きいと思うのでございます。三十年代にはモータリゼーションが発達し、四十年代には航空機が発達した。こういうことでだんだんとそのシェアを食われていったということが大きな原因でございまして、第二の原因は、そういうふうな状況の変化への対応が非常におくれたということでございます。対応がおくれたという、これにはいろいろ原因があると思いますが、通常私ども企業経営者の場合には、いろいろな市場の変化あるいは技術の変化がありました場合には、それに対応して自分のところも需要の創出、あるいはいろいろそういう経営努力をするんでございますが、これを怠った。第二に、もしそれができない場合には、需要に見合った減量経営ということで経営を確実にするという努力が要る、これも怠ったということでございます。
 それができない理由というのは、一つは大きく公社という制度に淵源をするんではないか。公社という制度は御承知のように非常にいろいろ外部からの干渉を受けやすい。自主的な経営責任の決定がなかなかできない。臨機な処置、あるいは経営の弾力性ということができない点がございます。第二には、労使関係というものが勢い非常に悪くなってくる。御承知のように、現在スト権が禁止されておりますから公労法によりましていろいろの労働関係が規制される。そういうふうなことでありまして、通常の労使関係とは違う異常な労使関係にあるということ。第三には、公社という制度のために、民業を圧迫しちゃいかぬということで非常にその事業範囲に制約を受けている、こういう公社制度のところに大きな原因があるのではないか。
 第二には、それとあわせまして、現在の国鉄というのが非常に巨大なる組織であり、それを全国一元的に画一的な運営をしておるというところに根本的な原因があろうかと思います。これは電電公社をNTTに直した場合に、民営化ということで分割をしない。なぜ国鉄は分割するのか、ここが非常に問題でございまして、私どもは、国鉄は分割をしないと今申し上げた民営化の実が上がらないという確信に至ったわけでございます。
 多少時間をちょうだいいたしましてそこを詳細に申し上げますと、電電の仕事、これは現在まだ全国独占でございます。国鉄は旅客において現在二三%、貨物においては五%のシェアしかない。既に非独占の地位であります。非常な激烈な競争にさらされておるということが一つ。第二には、電電の仕事は極めて技術集約型の仕事でございますが、国鉄の場合には列車に乗るところから切符売り、切符切り、車掌、運転士すべて極めて労働集約型の産業である。こういう性格が一つ大きく指摘されるのではないか。
 それから、現在の実態におきまして、北海道の人が鹿児島の人と電話では瞬時に話をするというシステムであり、これが活用されておりますけれども、現在北海道の人が鹿児島まで恐らく国鉄を利用して行くというのはほとんどまれではないか、こういう状況になっておるわけでございまして、余りにも大きな労働集約型産業というのは適正規模に直すということが必要である。
 第二には、画一的な運営で、東京本社で全国のダイヤをやっておるために、地域とだんだんと離れた運営をやって、縮小再生産に陥っておるということがございます。それから不合理な依存関係といいますか、全体が大き過ぎまして、全体で何とかなるわというこのもたれ合い思想、親方日の丸思想、こういうものがある。そうして、競争意識というものが皆無であるという状況でございますので、国鉄の場合には分割をしなければ民営化の実が上がらないということで、私どもはあえて非常に難しい問題でございますが、分割・民営化ということによって効率的な経営形態にしたい、こういう結論に達した次第でございます。
 そこで、そういうことにした場合に、今先生の第三の御質問のローカル線、地方交通線が一体どうなるか、こういう問題でございますが、新しい経営形態になった場合にもうけ主義で地方交通線はどんどん切っていくのだという逆宣伝が極めて行われておるわけでございまして、これは全く誤解あるいは中傷に基づくものであるというふうに私どもは確信をしておるのでございます。現在の国鉄というものの私どもの基本線は、特定地方交通線は除いてローカル線は全部生かせる、生かしていく、新しい旅客会社が抱えて生かしていくという基本的な計画を策定しておるのでございます。これは昨年の一月に国鉄の当時の幹部が、国鉄改革の基本方策という案を出しました。このときには特定地方交通線を除いた九十の地方交通線のうち七十は切り離すという案でございました。二十だけ抱えていくという案であった。これは全く誤った考え方であるというふうに私どもは考えました。
 現在の国鉄は、甚だ失礼な言い方でございますけれども、木の幹とか根が腐りつつあるわけです。したがって枝葉が枯れていく。そして枯れたところの枝葉を切っていくという思想がかつての思想であった。我々はもう一遍幹と根をしっかり再生をさせる、そういうことにすれば枝葉というものはもう一遍栄えていくのではないかというのが根本的な考え方でございますのと、第二の点は、民鉄になってもうけ主義でどんどんもうからぬところは切っていくんではないか、こういう思想がございますけれども、これは全く逆でございまして、私は私鉄の方にいろいろ伺って勉強いたしましたが、例えば名古屋の名鉄、これは五つの幹線と十三のローカル線があるそうでございます。このローカル線はほとんど大部分が赤字である。しかし名鉄は、地域の交通輸送の足としての公益性、公共性を自覚し、そしてそのローカル線がやはりフィーダーの役をしてお客を吸収しておるんで、地域と密着をして地域の人の名鉄だということで生きるためには、歯を食いしばってもこの赤字のローカル線は抱えて地域と栄えていくという精神で経営をされております。したがって、民営化になったらローカル線を切り離すというのは全く別の思想でありまして、今の公社、官僚思想の経営によれば、先ほど申し上げたように、赤字のところはどんどん切って、いいところだけ残していこう、こういう思想になるということでございまして、全くそういうローカル線を切り離すというのは誤解、中傷であるということをぜひこの際、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
#146
○柄谷道一君 以下、予算案の六つの問題点を指摘したいと思うのですが、質疑答弁を途中で打ち切ることもどうかと思いますので、でき得れば、委員長のお許しで午後に質問を回していただきたいと思います。
#147
○委員長(安田隆明君) 柄谷君の質疑は午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#148
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を再開いたします。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に、伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#149
○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に井上計君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#150
○委員長(安田隆明君) 次に、昭和六十一年度総予算三案を一括して議題といたします。
 午前に引き続き、柄谷道一君の質疑を行います。柄谷君。
#151
○柄谷道一君 本年度予算の問題点の第一は、国民生活圧迫型の予算であるということであります。税制の不公平に対する国民の不満が高まる中で所得減税や政策減税を見送ったばかりか、たばこ、消費者米価、国鉄運賃、国立大学授業料などの上昇を図ろうといたしております。公共事業につきましても積極性を欠くと言わなければなりません。このような予算案で拡大均衡が実現すると総理はお考えでございますか。
#152
○国務大臣(中曽根康弘君) 公共事業費の事業量におきまして、昨年は三・七%、ことしは四・三%に増大させる等々の努力も行い、あるいは住宅その他に対する新しい政策もありまして、所期の目的を達することができる、四%成長は可能であると考えております。
#153
○柄谷道一君 税金、社会保障費、教育費負担の増大、物価は安定とはいえ上昇、こういう中で可処分所得がどれぐらい本年は上がると経企庁長官はお考えですか。
#154
○政府委員(赤羽隆夫君) 可処分所得の増加は、本年は五・三%程度と見込んでおります。
#155
○柄谷道一君 内容を御説明いただきたい。
#156
○政府委員(赤羽隆夫君) 可処分所得の増加の計算過程でございますけれども、まず個人所得の増加を計算をいたします。これは雇用者所得それから個人財産所得、個人企業所得、これをやりまして、それから後、税金、社会保険料等の増加を引く、こういう形で計算したものでございます。
 内容は、突然のお尋ねでございますので、今用意しておりません。
#157
○柄谷道一君 その資料は、追って提出願えますか。
#158
○政府委員(赤羽隆夫君) 整理をしてそういたします。
#159
○柄谷道一君 一方、雇用、疾病、老後不安が高まっていく中で、今後、消費よりもむしろ貯蓄に走る、この傾向が強くなるのではなかろうかと思いますが、経企庁長官の御判断を伺いたい。
#160
○国務大臣(平泉渉君) 先生おっしゃいますとおり、我が国の貯蓄率は徐々に減少いたしております。ただ、欧米諸国と比べますと二倍近くまた多いという状況でございますが、長期的に少しずつ減少いたしておる、こういう状況でございます。
#161
○柄谷道一君 第一の問題点に対する答弁から、私は決して本年度予算が内需振興、消費購買力の増大につながるものでないということを指摘いたしておきます。
 第二は、問題の先送り予算ということであります。本年度の予算は、例年当初予算に計上されるべき国家公務員給与改善費を完全に見送るほか、私の試算したところによりますと、合計二兆八千九百七十億円に及ぶ負担を後年度に先送りしようといたしております。これは六十二年度以降の財政に重圧となってはね返り、ますます大きなひずみとなってはね返ってくるのではないかと思います。
 先送りいたしました財政負担を処理し、増税なき財政再建を公約どおり実現できるという確たる資料を、整合的しかも数量的に明示していただきたい。
#162
○国務大臣(竹下登君) これは柄谷さん多年の持論でございますが、私どもが申し上げておりますのは、まずは財政改革というものの第一義目標は、六十五年度までにいわゆる赤字公債依存体質から脱却することだ、そしてその後公債残高を対GNP比可能な限り滅していくことだと、こういう大宗を申し上げておって、その具体性というものについては、おっしゃいますとおり、毎年議論いたしますが、結局は可能な限りの努力をしながら中期展望とかあるいは仮定計算で予算審議の資料としていただきたいというのが精いっぱいの、いわばお示しできる数字に基づく資料でありますが、ことし、強いて申しますならば、あのようにしてお許しをいただいておりますので、仮定の前提の上に立っておりますものの、電電株の売却というものをその将来にわたっての中期展望等に入れさせていただいたということが一つございます。
 それから、俗におっしゃる先送り負担の処理に対する具体策を示せ、こういうことでございますが、制度間調整の問題もございます。それから一%給与改善費を計上しなかったということにつきましては、これは年々の財政事情によってその都度措置すべきものであるという考え方に徹したわけでございます。
 それで、柄谷さんいつもおっしゃいますが、いわゆる厚年からのこれは借り入れでございますから、それのいわゆる返済ということについては具体性が全くないではないか、この御指摘は私どももたびたび受けておるところでありますが、これは財政事情の展望を見詰めながら、可能な限り適切な時期にお返しするという基本方針にいささかの変わりもございません。
#163
○柄谷道一君 後年度に繰り越した、しかしそれを具体的にどう処理するかの方針はまだ明定していない、極めて残念な姿勢であると思います。
 それでは、当面の財政の中期展望の主要経費別内訳は提示できませんか。
#164
○政府委員(吉野良彦君) いわゆる中期展望の主要経費別の内訳でございますが、柄谷先生からも従来何度が御指摘をいただいております。そこで、私どもも部内におきまして真剣にいろいろ議論を重ねたわけでございますが、結局のところ、これも従来申し上げたことではございますけれども、この主要経費別内訳を作成をいたしましてこれを明らかにするということは、大変これは難しい作業でございますし、また同時に大変誤解を招きやすい性質もございますので、今回も従来と同様提出をさせていただけないという状況になっておりますので、御理解をいただきたいと存じます。
#165
○柄谷道一君 それでは、少くとも部門別内訳表は提示できませんか。
#166
○政府委員(吉野良彦君) お話しの部門別内訳、いわゆる投資部門と経常部門とに分けて提出できないかという御指摘かと存じますが、現在いろいろ計数を整理いたしておりますので、そういった部門別内訳として整理をしてお出しすることはできると存じますので、作業を急ぎまして提出をさしていただきたいと存じます。
#167
○柄谷道一君 これは今後の集中審議等にも非常に重要な資料でございますので、本予算委員会総括質問の終わるまでに提出するということをお約束いただきたいと思います。
#168
○政府委員(吉野良彦君) 提出いたしますようにいたします。
#169
○柄谷道一君 資料をいただいてから深く論議いたしたいと思いますが、本日わかっておれば、社会保障移転支出、公共投資、これの内容について御説明いただきたい。
#170
○政府委員(吉野良彦君) 先ほども申し上げましたように、現在作業中でございますけれども、その中で最も中心になります社会保障移転支出、それから公共投資それぞれにつきましては大まかな計数を申し上げられると存じます。
 まず、社会保障関係の社会保障移転支出でございますが、これは六十一年度は十一兆八千八百二十億円でございますが、以下六十二年度が十二兆五千五百億円、六十三年度が十三兆四千百億円、六十四年度が十五兆一千九百億円程度というふうに試算をいたしております。
 それから公共投資でございますが、六十一年度が六兆四千五百五十七億円でございますが、六十二年度が六兆五千百億円、六十三年度六兆五千七百億円、六十四年度六兆六千三百億円程度とそれぞれ試算をいたしております。
#171
○柄谷道一君 その比率で対前年度伸びはどのようになっておりますか。
#172
○政府委員(吉野良彦君) 社会保障移転支出の方でございますが、まず六十二年度以下、それぞれ前年度に対する増加率で申し上げますが、六十二年度が五・六%増、六十三年度が六・九%増、六十四年度が一三・三%増でございます。
 公共投資の方でございますが、六十二年度が〇・八%増、六十三年度〇・九%増、六十四年度が同じく〇・九%増ということでございます。
#173
○柄谷道一君 これらは全般的な数値を提示願いましてから集中審議等で徹底的な議論をいたしたいと思います。
 そこで総理、臨調は緊急避難的措置は行ってはならぬと、こういうことを言っておりますね。ところが、毎年毎年緊急避難措置と称して先送りをして、その先送りをした財源措置も明確に答えるのはまだ非常に難しい、これは返済計画もなく借金ができるという、そんなことは社会一般には通じないわけでございます。これはやはり現在の財政運営のルールそのものに無理があるその帰着ではないかと、こう思うんです。この際、こういう財政運営ルールないしは予算編成方針そのものについて抜本的に見直す用意はございませんか。
#174
○国務大臣(竹下登君) 特に柄谷さん御指摘になります問題は、厚生年金等々の特例措置についての問題あるいは政管健保繰り入れ特例措置についての問題等でございますが、現下の厳しい財政事情におきまして、御指摘なさいましたとおり、どういう具体的な方法で返済するかということについては触れていない問題等もありますが、これは今後の財政運営の中で、お約束しておりますとおり、きちんとこれを返していくべきものであるというふうに基本的には考えます。
 そこで、やっぱり予算編成方針の根本にメスを入れるべきではないか、こういう御意見でございますが、年々年々、それこそ国と地方との役割分担とかあるいは費用負担のあり方とかあるいはそれぞれの制度の根源にさかのぼってのいろいろな対策とかいうことについては、毎年毎年の予算編成の中で濃密な議論を繰り返しながらそれを積み上げて、毎年御審議をいただいておるわけでありますので、私どもが制度、施策の根源にさかのぼって予算編成に対応していくという基本方針は今後とも貫いていかなきゃならぬ。もう一遍これを完全に、極端に言いますと積み木を崩してしまって、出発点から積み木を積み上げていくという作業というのは、これは言うはやすくなかなか行うはかたいという問題でありますので、厳しい対応で制度、施策の根本にまでさかのぼった議論を絶えず詰めながら対応していくというのがやっぱり正当な対応の仕方ではなかろうかというふうに考えます。
#175
○柄谷道一君 私は、明らかな返済計画もないまま、ただ財政負担を先送りする、これは極めて国民の国家財政に対する認識を誤らしめる以外に何もない、このことだけを指摘しておきます。
 第三は、福祉後退予算でございます。
 これは厚生大臣にお伺いいたしますが、我が国の社会保障費は高齢化の進展、年金制度の成熟化等によりまして毎年約九千億円の自然増がございます。これを画一的マイナスシーリングによって処理したことにより、既に五十六年以来厚生年金の国庫負担繰り延べ、国民年金の国庫負担平準化等の財政先送り、健保の本人一割負担、生活保護など高率補助率の引き下げ、国民健康保険の会計年度の変更等々でこれをくぐり抜けてまいりました。本年度も厚生年金や政管健保の国庫負担の繰り延べ、老人保健法の改正、補助率カット、これにより措置しようといたしておりますが、毎年こういう手法を繰り返しても既にもう限界に達しているんではないか、今までの手法を続ければ社会保障制度そのものの崩壊につながりかねない、私はそう思いますが、いかがですか。
#176
○国務大臣(今井勇君) お説のように、厚生省はこれまでも本格的な高齢化社会の到来に術えまして、社会保険制度を揺るぎないものとするように、医療保険や年金の制度改革あるいは制度の根幹にかかわります改革に取り組んで、いろんな工夫をこらしながら社会保障の水準の確保に努めてきたところでございます。先生おっしゃいますように、六十一年度予算におきましても老人保健制度や高率補助金の見直しなどを行ってやりくりしているわけでございますが、六十二年度以降の予算編成、これにつきましてはまだ六十一年度の予算を御審議いただいております段階でありますので確たることは申し上げられませんが、いずれにいたしましても、従来のような手法ではかなり困難な予算編成になるのではないかと私も考えております。
 したがって、厚生省といたしましては、今後とも社会保障の水準をどうしても確保していかなきゃなりませんから、一体どのような方策が可能であろうか、予算編成のあり方も含めまして関係当局とも十分相談しながらいろんな角度から検討を進めてまいりたい、このように真剣に考えているところでございます。
#177
○柄谷道一君 厚生年金につきましても五十七年以降、利子分を加えますと一兆七百七十五億円という巨額の金額がいわば厚生年金積立金から借りているわけですね。まだこれが続くわけです。一体この借金、本当に返すんですか。これは被保険者と保険者の積み立てた金ですよ。返済計画もなくてこれを安易に借りていくという姿勢が許されるんでしょうか。大蔵大臣、いかがですか。
#178
○国務大臣(竹下登君) いわゆる厚生年金国庫負担金繰り入れの特例措置という問題でございますが、御指摘なさいましたとおり、六十一年度も引き続きお願いせざるを得ないということに相なったわけであります。しかし、年金財政の安定が損なわれることのないよう、特例期間経過後において、国の財政状況を勘案しながら、積立金運用収入の減額分も含む年金国庫負担金の減額分を繰り入れるものとすると規定しておるわけでありますので、政府は今後それこそ財政改革をさらに一層強力に推進して、特例公債依存体質脱却後、可能な限り速やかな繰り入れに着手するということを明確に申し上げておるわけでございます。
#179
○柄谷道一君 いわば出世払いの借金、こういうことですな。しかし、出世するどころか厚生年金の負担はこれからますます増大し、国家財政が急に好転するという見込みはない。このまま続ければ、厚生大臣言われるように社会保障制度の根幹を崩しかねない。とすれば、かつて前厚生大臣は社会保障特別会計構想というものを打ち出しておりますけれども、現大臣もそのような構想をお持ちなんですか。
#180
○国務大臣(今井勇君) 社会保障予算でございますが、高齢化の進展や年金制度の成熟化などによりまして毎年毎年相当規模の自然増が避けられません。そこで、このような社会保障予算について一般会計から切り離しまして、社会保障に関します給付と負担の関係を明確に示すという構想は前の大臣が言われたところでございますが、極めて示唆に富んだ構想であったと思います。
 一方、この問題はまた国の財政構造全体にもかかわる問題でもございますので、厚生省といたしましては、この考え方を含めて今後の社会保障予算の全般のあり方について十分検討していかなきゃならぬ、こう考えているものでございます。
#181
○柄谷道一君 私は、この構想は推進しなければならぬと思いますけれども、しかし今言われましたように、我が国の財政構造全体にかかわる問題でございますし、財源、さらに社会保障制度の給付と負担の相対関係、将来像、広くかかわる問題でございます。自民党の藤尾政調会長も基本的にこれに賛意を表しておられると聞いております。これは極めて重大でございますので、私は、与野党政審会長会談等でこの問題をどう取り扱うか真剣な検討を行う価値のある問題であろう、こう思います。自民党総裁として、我々が申し入れました場合お受けになりますか。
#182
○国務大臣(中曽根康弘君) 非常に大事な基本的な問題で、財政構造にも絡む問題でありますから、もしそういうお申し出があるとすれば、一応検討してみたいと思います。
#183
○柄谷道一君 ただの検討ですか。尊重していただけるんですか。
#184
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、今申し上げた財政構造に絡む非常に大きな問題でありますので、とりあえずよく検討してみたいと、そう思うわけであります。
#185
○柄谷道一君 そうした思い切ったメスを入れない眼力、現在の手法を続ければ社会保障制度は崩壊する、このことだけは厳重に申し上げておきたいと思います。
 福祉の問題について述べましたので、高齢化社会の到来に関連いたしまして、社会保障の具体的長期計画の策定、老人保健制度の当初事業計画の進展状況と第二次計画策定の用意、寝たきり老人の在宅対策推進への取り組み、老人保健制度のあり方、公的年金制度における積立金の自主運用、企業年金への取り組み、以上六点について、簡潔で結構でございます、方針を明らかにしていただきたい。
#186
○国務大臣(今井勇君) お尋ねの六点についてお答えを申し上げたいと思います。
 まず第一点の社会保険の長期計画についてでございますが、これから本格的な、先生おっしゃいますように、高齢化社会におきましても社会保障制度というのは長期的に安定をして、かつ有効に機能しなければならぬと思っております。そのためには、やはり何といっても整合性のある高齢者対策を確立することがどうしても必要でございます。そう思いまして、昨年の九月、事務次官を長といたします高齢者対策の企画推進本部というものをつくりまして、長期ビジョンを検討中でございまして、できますれば今月中にもまとめるように今指示をいたしておるところでございます。間もなく全容が判明するものだと思っております。
 それから第二点のヘルス事業でございます。これは、高齢化社会を迎えまして、老後におきましても健康でありたいという国民みんなの願いにこたえるために、ヘルス事業が今後ますます重要になってくると思っております。ヘルス事業につきましては、昭和五十七年度を初年度とします五カ年計画に基づきまして推進に努めておるわけでありますが、五十九年度におきましても健診の受診者が千六百万人に達するなど着実な成果を上げておるわけであります。健康づくりというのは地道でしかも息の長い事業の推進が必要でございます。そのような見地から第一次の計画に続きまして第二次の計画を今策定いたしたいと、こう考えております。
 それから、第三番目の寝たきり老人対策の問題でございますが、何よりも寝たきり老人になることを防止するということが極めて大事なことだと思います。そのためにも、ただいま申し上げましたヘルス事業、これを拡充することが極めて大事でありますが、仮に寝たきりになった場合には、やっぱりお年寄りが家族と一緒に生活することを望むことが非常に多いわけでございますから、家庭での介護を支援するためにホームヘルパーを派遣するとかあるいはショートステイ、あるいはデイサービスの事業の拡充というものを図ることといたしております。また、家庭での介護が極めて難しいお年寄りにつきましては特別養護老人ホーム、そういう施設の整備を進めてまいりたい、こう考えております。
 それから第四点でございますが、老人保健施設でございます。これは寝たきりで介護を要するお年寄りにつきましては、手厚い看護、介護などの医療サービスや日常生活面でサービスを提供する施設がどうしても必要となってまいります。現在はこうした施設が余りありませんので、どうしても介護を必要とするお年寄りやその御家族の御苦労は大変なものでございます。また長期入院のお年寄りがふえておりますのが実情でございます。そこで、こういった方々の切実な御要望にこたえるために、今回老人保健施設の制度化を図ろうとするものでございます。これによりまして、こうしたお年寄りに最もふさわしい施設、サービスを提供しまして、お年寄りが住みなれた地域で安心して生活をできるようにしてまいりたいと考えております。
 それから第五点は、おっしゃいました年金の積立金の自主運営でございますが、年金の積立金につきましては、年金財政の長期的な安定や保険料負担の軽減といった観点から、できるだけ高利に運用するということが極めて大事な問題だと思っております。そこで、年金の積立金の別建ての高利運用につきましては、昭和六十一年度にはこれを見送ることとしたわけでありますが、今後厚生、大蔵両省で、意見の相違は若干ありますが、続いて検討協議を行うということになっておるわけでありますので、厚生省といたしましては、年金資金にふさわしい別建ての高利運用の実現に向けまして引き続いて努力をしてまいりたいと、こう思っております。
 それから、最後の第六番目の企業年金でございますが、企業年金は公的年金を補うものとして老後保障におきます役割が一層高まってくるものと、こう考えております。特に退職前の所得や暮らしに応じまして、ゆとりのある老後生活というものの多様なニードに対応できるものとしていくことが求められているところでございまして、したがいまして、本年四月から企業年金のあり方あるいは普及の方策などにつきまして総合的な検討に着手することにいたしておりまして、この結果を踏まえまして、必要がありますれば所要の法改正をいたしたい、このように考えておるところでございます。
 以上でございます。
#187
○柄谷道一君 健保の被扶養者認定基準、現在は六十歳までは年収九十万未満、六十五歳以上は年収百四十万未満と、こうなっておりますね。このような基準では、定年退職して老齢年金もらう、一回国保をくぐらなければ被扶養者になれぬ、こういう矛盾が生じてくると思うのでございます。したがって、健保の被保険者にそれらの人がなれるように六十五歳を六十歳に引き下げるとともに、厚年の平均年金支給額である、少なくとも百五十万円程度にこの額を引き上げる必要があると思いますが、いかがです。
#188
○政府委員(幸田正孝君) 生活の実態から見まして、国民健康保険ではなしに健康保険の扶養家族にすべきだと、こういう方々については当然扶養家族の取り扱いにいたすべきだと私ども考えております。そういった考え方からいたしまして、お話にありましたように、厚生年金の老齢年金の支給を受け始めます年齢であります六十五歳から六十歳に年齢を引き下げますと同時に、基準額につきましても百五十万円までに引き上げるということで現在検討をいたしておりまして、できますならば四月からでも実施をしたいと考えております。
#189
○柄谷道一君 第四点は、地方財政へのしわ寄せでございます。
 簡潔に伺いますが、自治大臣は、高率補助金の一律切り下げ措置は一年限りという前年の附帯決議を無視して、さらに補助率を引き下げ三年延長を図るということは国会軽視ではないかと思いますが、いかがです。
#190
○国務大臣(小沢一郎君) 補助負担率のあり方につきましては、自治省といたしましては従来から、ただ単に国の財政事情のみによってそれを切り下げていそして地方に負担を転嫁してはいけない、国と地方の事務事業の見直し、いわゆる役割分担のあり方、費用負担のあり方、そういう議論の中からこの問題をとらえていかなければならない、そのように主張しておったわけであります。
 六十年度予算編成以後昨年一年間、関係閣僚会議あるいは検討委員会でいろいろ真剣に議論されまして、それを踏まえまして、六十一年度の予算編成に当たりましては事務の見直しも行われました。そしてまた、その異例の補てん措置等もあわせて行なわれたわけであります。したがいまして、一応地方においても納得していただけたものと、そのように考えておるわけであります。
 いずれにいたしましても、国会の先生方から御指導、御激励をいただいております。今後とも私どももその御指導にこたえ得るように、一生懸命その趣旨にのっとって努力いたしたいと考えております。
#191
○柄谷道一君 今回の措置は国会決議に反するばかりでなくて、地方と国との信頼関係を損なうものではないかと、こう思うんです。いかがでしょう。
#192
○国務大臣(小沢一郎君) 今回の措置によりまして、地方に対しましても大変いろいろと御苦労、御負担をかけることになることは事実でございます。しかしながら、国全体の政治というものは国と地方と両々相協力、相まって、そして初めてその効果を上げることができるものであると、そのように考えております。
 今回、この厳しい財政事情の中でもその補てん措置を、異例の措置を含めてとったということによりまして、地方もそれなりに理解し納得してくれておるものと、そのように考えております。
#193
○柄谷道一君 三年間を暫定措置とされた根拠は何ですか。
#194
○国務大臣(小沢一郎君) ただいま申し上げましたように、この補助負担率の問題につきましては、いろいろ国と地方とそれぞれの役割をお互いに検討していかなければならない。そういうことから、今年度の御審議いただいておる予算におきましても事務の見直しが行われたわけですが、まだまだこれから事務の見直しあるいは権限の移譲の問題、そういった問題を検討していかなければならないということ、そしてまた、これが一年間の中でそういった見直しというものが行われるのでは、地方の財政運営の安定という面からも損なうことになる、したがいまして、三年間の暫定処置といたしまして、その中で十分その期間にただいまの趣旨にのっとって検討をしてまいりたい、そういう趣旨であると理解いたしております。
#195
○柄谷道一君 端的に伺います。
 三年たてば補助率引き下げはもとに戻し、もとの補助率に戻る、こう確認してよろしゅうございますか。
#196
○国務大臣(小沢一郎君) ただいま申し上げましたように、国と地方のいろいろなあり方、そういうものの検討の中においては、例えばこれはもう地方にお任せする、権限も移譲しましょう、だから地方が負担してください、そういうものもあるでしょうし、これはやはり国がもっと負担すべきではないだろうか、そういうことも出てくるのではないかと私は考えております。
 したがいまして、そういう議論の中で結論を導き出していくものでございますので、今ここで一律にいわゆる負担率をもとに戻すか戻さないかということをお答えするのは適当でないと思っております。
#197
○柄谷道一君 一兆一千七百億円の地方自治体に対する影響額、これは若干の財政措置はしておりますけれども、大半の九千三百億円はとりあえず借金しておけと、これはこういうことですね。この借金は元利ともお返しになるんでしょうね。
#198
○国務大臣(小沢一郎君) 先生御指摘のように、一兆一千七百億円のうち、たばこに関するもの二千四百億円を除きまして、九千三百億円は建設地方債の増発によって補てんされるわけであります。これにつきましては、後年度以降、その相当額につきまして地方交付税の総額に特例的に加算する措置が講ぜられておるわけであります。しかしながら、その他の部分について地方の借金になるということも、先生御指摘のとおり事実であります。したがいまして、こういった今申し上げました措置を含めてもなお交付税の総額が不足してくるという場合におきましては、毎年度の地方財政計画の策定を通じまして財源措置をしていかなければならない。そして、全体として必要な交付税の総額を確保していくということで、地方団体の財政運営に支障を来さないよう、そういうふうに努力して対処していかなければならない、そう考えております。
#199
○柄谷道一君 もう一つの問題は国保問題ですけれども、健保法改正のときに私が質問したのに対して、退職者医療制度をとるから財政的な影響は与えないと厚生大臣は明言されております。しかし、数字に大きな見込み違いがございました。今、地方の国保は大変な状態でございます。
 そこで伺います。見込み違い額二千八十億円のうち、六十年度補正で三分の二だけは補てんされたわけですが、残りはどうされるのですか。
#200
○国務大臣(今井勇君) 今回とりました措置は、極めて厳しい財政状況のもとで、政府としてあらゆる努力を重ねたぎりぎりの結果であると私は思っております。厚生省といたしましては、今後とも市町村の国保の財政状況などを注意深く見守りながら、その安定的な運営ができるように極力配慮してまいりたいと考えております。同時に、一方、市町村におきましても収入と支出の両面におきまして一層の経営努力をしてもらうようにお願いをいたしているところでございます。
#201
○柄谷道一君 それでは、六十一年度以降の財政対策、どうされるんですか。
#202
○国務大臣(今井勇君) 国保事業の安定化のためには、今後とも市町村におきまして医療費の適正化とかあるいは保険料の収納率の向上という、収支両面にわたって経営努力をさらに徹底していくことが肝要であると考えております。
 また、国といたしましても財政調整交付金というものを有効に活用すると同時に、制度の改革を含めまして国保財政の長期的な安定のために最大限の努力を払ってまいりたい、このように思っております。
#203
○柄谷道一君 この問題は地方行政委員会ないしは社労委員会でさらに深く論議しなければならぬ課題でございますが、安易な地方財政へのしわ寄せはいかがなものかと、国民、各地方自治体はそれぞれ深く考えておることだけを指摘しておきたい。
 次は、行政改革への努力でございますが、時間もございませんので、運輸大臣に伺います。
 一つは、国鉄再建の長期債務処理、雇用対策について御見解を伺います。
#204
○国務大臣(三塚博君) 長期債務につきましては、御案内のとおり新しい法体系をつくらさせていただきまして、旧法人、清算法人、旧国鉄とよく言うわけでありますが、用地の処分等、あるいは新幹線リース会社の再評価価格との差額等々埋め合わせすることによりまして残りました十六兆七千億円と想定されておりますが、国民の御負担にお願いを申し上げたい。このことは用地の処理、雇用の取り決めを終わるであろう三年以降、ほぼ固まるのではないだろうか。もちろん歳入歳出の全貌を見合わせながら、最終的に国の責任においてこれを処理する、こういうことで長期債務については基本方針を打ち立てた。要すれば、長期債務のしがらみで、今日、元利償還で国鉄経営ががんじ絡めに相なりましたことからの解放ということで対応してまいるということであります。
 雇用対策につきましては、国鉄改革の基本的な命題はまさにこの一点に集中すると言っても過言ではございません。さような観点から、総理大臣を本部長といたします雇用安定対策本部を内閣に設けまして、公的部門三万人、さらに産業界に一万人以上、国鉄の自主的努力によりまして関連会社等々に二万一千人ということでこれを達成してまいり、雇用不安のない形の中でスムーズな新会社への転換を図ってまいりたいと、かように取り決めて、ただいま鋭意その準備作業に入っておるというところであります。
#205
○柄谷道一君 もう一点、運輸大臣に伺っておきますが、世界に誇る我が国の鉄道車両技術、これは鉄道技術研究所、さらには設計事務所、各社協同といういわゆる技術集団によって分担設計されてやってきたという経過がございます。民営化、分割された場合、各社ごとにこの設計を行おうとすれば、そのスタッフもおりませんし、大体一車両開発のためには十万時間、約五億円の開発費用を要する。これは極めて不効率な研究開発にならざるを得ない。したがって、その集団をやはり存置すること、そして車両調達、標準化等の問題については、委員会を通じて統合的な施策を展開すること、これは極めて重要なこれから国鉄再建にかかわりある問題と思うんでございますが、いかがですか。
#206
○国務大臣(三塚博君) お答えを申し上げますが、国鉄の今日の世界の評価は技術にあるということは御指摘のとおりであります。総合的な観点で行われてまいりましたこのノーハウは維持してまいらなければならぬと思います。さような意味で、国鉄出捐によります財団法人をつくらさせていただくための諸準備を合いたしておるというのが現況でございます。
#207
○柄谷道一君 私は、このほかにも増減税問題、補助金問題、多くの問題を質問する予定でございましたが、時間がございませんので改めての機会に譲ります。
 そこで、資料をちょっと配ってください。
   〔資料配付〕
#208
○柄谷道一君 私は、昨年も提示いたしましたけれども、抽象的議論ではなくて、増税なき財政再建を達成するにはいかにあるべきか、私の提言を含めてお手元に配付をいたしました。
 この試算によりますと、赤字国債からの脱却の年度を七十年に五年繰り延べ、かつ名目成長率八%、実質五%、弾性値一・二という程度の数字を組まなければ増税なき財政再建は不可能という、これが一言で申して私の結論でございます。六十五年増税なき財政再建が可能だという魔法のような数字があるならば、私の案に対置してお示しをいただきたい。あわせて私の提言に対する大蔵、経企、建設、通産、江崎特命大臣の、これは昨日前もってお渡ししてありますから、御所見を承りたい。
#209
○国務大臣(竹下登君) 基本的な考え方につきましては、柄谷さんからたびたびこの御議論はちょうだいしておるところでございます。いつも私どもがこの点についての感想を申し述べますときに感じますのは、今御指摘のありましたいわゆる名目八%成長、実質五完成長、そして税制に占める弾性値一・二ということに対する、すなわち基本的な我が国の潜在成長力のとり方、これについて私どもが考えておるよりは幾らか高さに過ぎるではないか。しかし、きょうの表現を聞きますと、こうしてみなければ現実帳じり合わないじゃないか、こういう御議論は改めて私も傾聴をさしていただきました。
 私どもといたしましても、年々いろんな考え方でもって、対案というところまでいっておりません、すなわち弾性値等の見方の相違もありますが、これらのものを参考にしながら今後も対応に年々努力を積み重ねていきたい、このように考えます。そしてさらに、所得税減税等の場合の二分二乗でございますとか、そういう問題につきましてはいろんな議論が行われ、今税制調査会においても専門委員会等で議論が行われておるところでありますが、抜本改正の中で議論し結論が出されるべき問題ではなかろうか。歳入歳出、経済見通しについての簡単な考え方を御披露申し上げた次第であります。
#210
○国務大臣(江崎真澄君) これを拝見いたしまして、大変な御労作だと思います。そして、御指摘のように対外経済摩擦の解消、円高による景気減速への対応、増税なき財政再建の達成、これを抱えてどうするか、非常に具体的にお示しになっておられます。
 結論的に申しまして、今大蔵大臣も申し上げましたように、増税なき財政再建、これはやはり必須の課題でありまして、これあればこそ行政改革が今日達成されてきた。御不満な点もありましょうし、我々も党におりますと自由な議論をしがちでありますが、やっぱり増税なき財政再建というあの根本を守ったことが、今日まで国鉄の分割・民営というようなことに延長されてきたわけでありまして、もしあれを途中で妥協しておったらできなかったのではないか。それから、この数字にも示されておりますように、日本の財政というのはアメリカの財政よりも悪く、六十一年度末の国債発行残高はGNP比で四三%近いものになります。地方を入れるともっと大きい数字にもなります。これ以上悪化させるわけにはまいりません。それにはNTTの株の売却分で赤字を消却するとか、いろんな方策も考えておられるようであります。
 私は、先ほども議論になっておりました貯蓄だけがアメリカよりもまさっておるということ、これは老後の問題とかいろんな生活不安の問題とかありましょうが、こういう場面ばかりでもないと思いますから、少なくともにわかの円高による不況感というものは、公定歩合の引き下げとかあるいは石油の価格の低落傾向とか、そういうものによって緩和されつつある状況において何とかして民間活力を引き出して、そして上半期が公共事業等の前倒しによって調整されるとするならば、下半期においてはこの御意見も大いに参照しながら活力ある民間の力をひとつ活用してまいりたい、かように考えております。
#211
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私もきのうもらったので一読をさせていただきました。一ページ目は、まあ、こういう見方もあるのかなというような感じであります、率直に申し上げまして。しかし二ページ、三ページも読ましてもらいましたが、このようにうまくいけば非常にいいんだが、しかし問題は、これが財源問題のところでどうも私はひっかかるような気がする。それが率直な感想であります。
#212
○国務大臣(平泉渉君) 日本経済の潜在的な成長力をできる限り顕在化したい、こういう御趣旨は私どもそのとおりであると思います。経済政策はそうなきゃならぬ。そういう意味から言いますと、我々の「展望と指針」では実質四%程度の成長、名目六、七%、先生の方は実質五%、名目八%、まあ一%の差がございますが、我々としてはできる限りこの高成長というものを実現するということで頑張らなきゃならぬと思っております。
#213
○柄谷道一君 私は時間がありませんので論じませんけれども、私の数字に無理がある、無理があると言うことは増税なき財政再建はできないということを裏づけておるわけですよ。
#214
○委員長(安田隆明君) 柄谷君、時間が参りました。
#215
○柄谷道一君 これだけのことをやらなきゃ増税なき財政再建ができないということを意味しておるわけですから、余り国民を惑わすような姿勢はこの際改めてもらいたい。
 最後に、一つだけ言わしてください。
 防衛問題、たくさん言おうと思っておったんですけれども、総理、自衛官の若年定年というのは精強性を維持するためのものでしょう。ところが、これによって年金の保険料は一般公務員よりも一二%以上高い。今暫定期間ですけれども、本則に戻れば七年から十五年無年金の期間が発生する。私は、こうした問題の解決を抜本的に進めることが防衛の本旨にかなうものではないか、こう思いますが、防衛庁長官、総理の見解を伺いまして私の質問を終わります。
#216
○国務大臣(加藤紘一君) 委員御指摘のように、確かに部隊の精強性を維持するために若年定年制をとっております。したがって、逆に言えば、勤務中に払っている期間が非常に少ない、そしてその後年金を受給している期間が長いという形になるわけでございますので、単純な保険の数理からいきますと、ますます掛金率が高くなってくる。また将来、本則の六十五歳支給開始年齢になりますと、それは支給ができない期間というのが七年から十五年という、実はこれは非常に大きな問題であろうと思います。そういう点につきまして御関心いただいておりますのは我々非常に感謝申し上げますし、今いろいろ考えておりますけれども、やはり年金の保険の論理だけではなかなかこれは解決のできない部分があるのではないかと思いまして、大蔵省初め関係省庁と抜本的にいろいろ御相談申し上げなければいけないと、こう考えております。
#217
○国務大臣(中曽根康弘君) 自衛官については、その精強性の維持の観点から若年定年制をとっているところであります。
 自衛官の処遇については他の公務員とのバランスに配意するとともに定年退職後の生活にも配慮することが肝要であります。
#218
○国務大臣(加藤紘一君) 先ほどのお答えに補足して申し上げたいと思います。
 その若年定年制をしいていることによって問題が発生しているわけでございまして、これから将来、定年をもっと延ばすかといったら、今度部隊との精強性の問題がありますので、これ以上延ばすというのはいろいろ問題があろうと思います。したがって、年金等の制度の方で何らかのことを考えて、そして老後に生活の心配がないようにすることを考えていくように考えないと、本当に隊員の士気に大きく影響する部分があろうと、こう考えております。
#219
○委員長(安田隆明君) 以上で柄谷道一君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#220
○委員長(安田隆明君) 次に、金丸三郎君の質疑を行います。金丸君。
#221
○金丸三郎君 冒頭に委員長にちょっと申し上げておきたいと思いますが、実は税制改正の問題につきまして大蔵大臣と小倉税制調査会長に御出席をお願いいたしておりました。時間が大分推移してまいりまして、あるいは繰り上げて御質問申し上げたいとは思っておりますけれども、大蔵大臣から十分な御答弁が期待できると思いますので、小倉税制調査会長は御都合によりましては御退席をいただきましてもよろしいかと思います。せっかくおいでいただいたのに申しわけございませんけれども、そのようにお取り計らいをお願いいたします。
#222
○委員長(安田隆明君) 小倉参考人、どうもありがとうございました。御退席願います。
#223
○金丸三郎君 それでは、まず総理にお伺いいたしたいと思います。
 ことしは天皇陛下の御在位六十年という大変記念すべき年で、国としてもお祝いを申し上げたいというお気持ちのようでございます。私は、総理がどのようなお気持ちでこの式典を挙行なさいますか、国会議員としてまた国民の一人として、このようにしていただいたらなという私の気持ちを申し上げて、総理の御所見を伺いたいのでございます。
 ことしは六十周年と申しておりますけれども、御承知のように天皇陛下が大正十年に外遊なさいまして、九月御帰国になり、その後摂政の宮になっておいででございます。それから考えますというと六十五年でございます。六十年でも大変長い御期間、私は心の底から陛下に対しまして本当に御苦労さまでございましたと、こういう感謝の気持ちを申し上げたいような感じがいたすのであります。総理に、六十年間あなた総理をおやりになりますかと言われましたら、総理は何とおっしゃいますか。六十年というのは、これはもう大変な長い期間で、その間、陛下もいろいろと昭和十年から二十年まで、昭和二十年からあの昭和二十年代の日本の混乱の時期に陛下が全国をお回りになった、懸命なお姿を思い浮かべてみますというと、本当に陛下も感無量であられるだろうと、私はこのような感じがいたすのでございます。
 実は、総理もよく御承知の、前の宮内庁の長官をしていらっしゃいました宇佐美さんに内務省の地方局で私は上司としてお仕えいたしました関係から、親しくさしていただいておりました。あるとき長官のところに伺っておりましたら、長官が私にこういうことを申されたのであります。各国の大使が天皇陛下に信任状の奉呈においでになると、奉呈式が終わりました後、大使方が宇佐美長官の部屋においでになりまして陛下に対する印象を述べられる。このように正直なお方に会ったのは生まれて初めてですと、これが私の印象に実は非常に強く残っております。別の言葉で申しますと、陛下には私がない御性格じゃなかろうか。総理の方が私よりもよほど陛下にたびたび接しておいででございますから、陛下に対するそのようなことについての総理の御認識も伺わせていただいて、私はこの際、国民の皆さんにもそのことをよく知っていただいたらという感じがいたすのであります。
 陛下は大変質素なお方、謙譲なお方、英語で申しますならばフォー・アザースという言葉のぴったりするようなお人柄だと思っておるのでございます。昭和二十年の終戦の御決断は、最近人々に非常によく読まれております月刊雑誌がずっと連載をいたしまして、単行本になりました。したがって、これは国民のもうよく知っておるところでございます。陛下の目には政治的な信条も宗教の違いもなく、一人でも国民の命を救いたいというお考えであの決断をなさったのだ、陛下は自然な結論としてあのような御決断を下されたのではなかろうかと、私はこのように推測をいたしておるのであります。その陛下のお人柄を端的に物語るいわば有名なエピソードがございます。しかし、もう四十年前でございますので、あえて私はきょうそれをもう一週御披露申し上げてみたいと思います。
 昭和二十年の九月の二十七日、天皇陛下がマッカーサー司令官に初めてお会いになったときのことでございます。当時ある人がリークしました関係から、そのときの模様は相当に伝わりました。徳川侍従長に聞きますところでは、マッカーサー司令官との約束であったので、そのときの話は絶対に自分からは言えないと言って陛下はおっしゃらなかったそうでございますけれども、幸いにして一方の当事者であったマッカーサー元帥が自分で回想記を書いていらっしゃるその回想記に、当日のことが書いてあるのでございます。
 少し時間をとりまして、皆さん方にも申しわけないと思いますけれども、しばらく時間をお許しいただきたい。
 これはマッカーサー回想記でございまして、これはそのリコピーでございますけれども、本当のものであることに間違いはございません。その中に当日の模様として、これはマッカーサー司令官の記載でございます。
  連合国の一部、ことにソ連と英国からは、天皇を戦争犯罪者に含めるという声がかなり強くあがっていた。現に、これらの国が提出した最初の戦犯リストには、天皇が筆頭に記されていたのだ。私は、そのような不公正な行動が、いかに悲劇的な結果を招くことになるかが、よくわかっていたので、そういった動きには強力に抵抗した。
 ところで、マッカーサー司令官は、天皇が戦争犯罪者として起訴されないように自分の立場を訴えられるのではないかという不安を感じておったのだ。ところが、いざ天皇陛下がマッカーサー元帥に話し出されましたことは次のような言葉であった。
 「私は、国民が戦争遂行にあたって政治、軍事両面で行なったすべての決定と行動に対する全責任を負う者として、私自身をあなたの代表する諸国の裁決にゆだねるためおたずねした」
  私は大きい感動にゆすぶられた。死をともなうほどの責任、それも私の知り尽している諸事実に照らして、明らかに天皇に帰すべきではない責任を引受けようとする、この勇気に満ちた態度は、私の骨のズイまでもゆり動かした。私はその瞬間、私の前にいる天皇が、個人の資格においても日本の最上の紳士であることを感じとったのである。
 これが当日の記録でございます。
 マッカーサー司令官は、大変自尊心の高い、またみずからアメリカの大統領になるという考えまでも持っておった人であります。この場面は、私をして言わしめますならば、連合国の最高司令官としてのマッカーサー元帥でなく、マッカーサー個人と天皇陛下個人の、個人と個人との人柄の接触においてマッカーサー元帥がこのような感じを受けられた、私はこの点について最も天皇陛下に対してお人柄を御尊敬申し上げるというような感じがいたすのでございます。
 だから、天皇陛下のこのような御性格からいいまして、式典が盛大であるとか多くの人が参加するとかいうようなことは、どうも天皇陛下はちっとも望んでいらっしゃらない。天皇陛下は、本当に自分が一生懸命やってきたことに国民が心から理解をして感謝しておるのだということがわかりましたら、私はそれで十分にお喜びになるお方なのじゃないか。山の中の主婦たちが野菊を摘んできて、天皇陛下にありがとうございましたと言って差し上げるようなことでも、陛下はそれで御満足になるのじゃないか、私はそのような感じがいたすのであります。
 もう一つは、皇后陛下のことでございます。昭和二十年まで、特に私の推測では昭和十年前後から二十年までの皇后陛下の御心労も並み大抵ではなかったと思います。
 昭和二十年から全国を行幸啓になりましたそのときのお二人が本当にいたわり合い、一生懸命に国民のためにお尽くしになりました。皇后陛下が八十三歳におなりになる、陛下は来月満八十五歳でございます。私は、国民としてまた国会議員として、両陛下が本当にいたわり合いながら我が日本のために、また国民のために私をなくして今日まで尽くしていただいたことについて、天皇陛下に対して感謝申し上げると同時に、皇后陛下に対しましても私どもの感謝の真心をお示ししますことが今度の式典の意義になるのじゃなかろうか。
 若干私の主観が強過ぎるかもわかりませんけれども、総理のお考えをお伺いいたしたいと思います。
#224
○国務大臣(中曽根康弘君) 私もただいま拝聴いたしておりまして、全く同感の念を禁じ得ませんでした。
 この六十年の御在位、あるいはさらに摂政のときまで入れますれば六十五年になられますが、この長い間の御心労をお考え申し上げますと、本当に全国民の皆さんも、長い間御苦労さまでございました、ありがとうございましたと。また皇后陛下に対しましても同じような気持ちを持たれていると思います。その気持ちの表現がやはり正月三カ日の間、特に二日、それから四月二十九日の天皇誕生日の日に何万という国民が何ら強制されずして自然に皇居に伺いまして天皇陛下万歳と申し上げたいと。それも若い青年が非常に多いという事実を見ましても、それらの若い人も伝え聞いて陛下をお慕い申し上げている気持ちが惻々として民族の間に流れ伝わっているということを感ずる次第でございます。
 政府といたしましては、陛下が既に過去の天皇の中でも最も長い御在位であらせられる、六十年にお入りになった。それからお年も、たしか昨年の七月十三日をもって歴代天皇の中で最高御長寿におなりになった。そういう二つのまことにおめでたき事々等も我々として慶祝申し上げ、かつさらに天皇、皇后両陛下がますます御健勝で長く我我とともにおいでくださいますようにという念願を込めて、実は慶祝の式典を簡素にやりたいと思っておるのでございます。恐らく全国民はやってくれ、やってくれという声があると思うのでございます。その時期も、やはり四月二十九日御誕生日の暖かいころが一番いいのじゃないかと、そういうことで若葉緑のこの時期を選ばせていただいて、御都合も伺ってきたわけでございます。
 そういうことでございますから、全国民ことごとくこの日を期して陛下の御長寿と、感謝を申し上げたい、こう考えておる次第で、御協力をお願いいたす次第でございます。
#225
○金丸三郎君 ぜひ国民の真心のこもった式典になりますように、そしてでき得ますならば、そのような心のこもった自発的な陛下に対する感謝の催しが私は全国に行われることを期待をいたしておる次第でございます。
 次に、サミットにつきまして総理にお伺いいたします。
 代表質問等で既に質問もございましたので、もうくどくどと申し上げません。サミットに臨まれる総理の抱負と御決意、それからサミットの中心の課題に何をお据えになりますかということについてお伺いいたします。
 実は、政治の経済化、経済が政治化してきたと言われるようになりましてもう十数年になります。最近はあらゆる経済問題が卵もう政治問題と言っていいようになってしまいました。池田総理が初めてヨーロッパにおいでになりましたときに、あるヨーロッパの大統領がトランジスターのセールスマンが来たという批評をしたことは御記憶のとおりと思います。私は当時大変憤激いたしましたので、今日でも覚えております。ところが、ここ数年の世界の政治家の動きはセールスマンであります。サミットがセールスマンの会議であってはならない、大変失礼なことでございますけれども、やはりステーツマンの会議であってほしい、世界の人類や各国が望んでおるのもそれじゃないだろうかと、私はそのように思うのであります。いろいろ問題もたくさんございますので、会議ですべての問題が解決されるわけではございますまい。何を中心に据えて総理がお考えになりますか。私が若干危惧しておりますのは、米ソのやはり軍縮の問題でございます。
 最近、報道を読んでおりますると、若干米ソ両首脳の間に近寄ろうとしておった姿勢が少し遠ざかりつつあるような感じがございます。国際政治でございますから駆け引きもございましょう。そこら私にはよくわかりませんけれども、それらの問題も含めて、総理が何を中心に据えてサミットをおやりになるお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#226
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の東京サミットは、時期的に見まして非常に重要なサミットになってきたと思います。それは政治、経済、諸般の問題について非常に難しい問題が山積してきまして、先進国の首脳はこの世界を、政治や経済、安全保障の問題でどっちへ持っていこうとしているのかということを世界じゅうが注目しているサミットになりつつあると思います。そういう観点から、少なくとも世界の方々に希望を与えるサミットにしていきたい。問題を解決の方向に向かって幾つかの原則を世界の諸国民の皆様方にもお示しし、それに向かってみんなで努力し合うことによって、明るい政治と経済、安全保障が世界に訪れるようなサミットにしていきたい、そう強く念願しておる次第でございます。
 安全保障や軍縮の問題については昨年の米ソ首脳会談があり、ことしは第二回の会談がありますが、アメリカ案、ソ連案おのおのが提示されてきております。私は、ゴルバチョフ書記長もレーガン大統領も、考えは前と少しも変わっていないと思いますし、お二人ともたとえ部分的にでも何とか前進をさせ、妥結へ向かって懸命の努力をしたいという気持ちであると確信しております。決して後退はしていない。むしろ両者とも平和と軍縮に向かって、多少とも実りあるものへ着実に前進させるようなことにしていきたいと熱望しておると思うのであります。そういうような方向に行けるように我々はレーガン大統領を激励し、あるいはソ連・ゴルバチョフ書記長にも我々のそういう意図も伝える、そういうチャンスになれば非常にいいと思っておるのであります。
 それから政治、経済の問題にいたしますれば、経済的に昨年の円ドル調整あるいは通貨調整以来、ややもすると世界経済に陰りが出るんではないかという不安が起こりつつあります。私は、必ずしも世界経済はそういう不安、陰りの方向へ行くとは限らない、むしろ最近のアメリカやヨーロッパの情勢を見るといい方向へかなり強く出始めていると感じております。しかし、発展途上国や債務国の立場等を見ますというと、そういう危惧もありますし、また我が国の経済状態を見ましてもそういう憂いが出ることはやむを得ざる事態にあります。
 そういう面からいたしまして、まず経済問題、政治問題等につきましても、それらの問題を打開するめどをつくり合い、協力するゴールをみんなでつくり合いまして、世界の諸国民に安心を与えるようなサミットにしていきたい。またアジアにおいて行われる第二回目のサミットでございますから、世界の諸国民が持っておる多種多様の文化というものを融合させる。アジアの伝統的な文明、文化とヨーロッパの文明、文化というものが大西洋と太平洋が握手して新しい人類文明を創造する、そういうようなモメントにでき得れば意味のあることではないかとも思います。そういうような方向に、ともかく二十一世紀に向かってもまた現在の世界情勢に対しても、人類が一歩一歩たくましく、よい方向へ前進している、そして希望が掲げられつつあるという方向のサミットにぜひしていきたいと強く念願しておる次第でございます。
#227
○金丸三郎君 次に、外務大臣にお伺いいたしたいと思います。
 一つは、韓国に関することでございます。韓国は、申すまでもなく我が国と提携いたしましてアジアの安定、平和のための極めて重要な国でございますけれども、南北の両国が対立をいたしておりまして、統一とかいうようなことが言われておりますけれども、果たして実現性と申しましょうか可能性と申しましょうか、どうも私の実感としては東西ドイツの関係以上に難しいのではないかという感じがいたすのでございますけれども、これについての大臣の御所見をお伺いいたします。
 もう一つは、中国の問題でございます。私がお尋ねしたい中心は、中国と米国との関係、中国と日本との関係、中国とソ連との関係でございます。中国ではケ小平氏を中心にした趙紫陽、胡耀邦、こういう方々の政治的な同志と、対立して陳雲、姚依林というようなグループと、また第三のグループとして李先念とかあるいは彭真とか、そういう第三のグループとがあるように聞いております。この政治的な潮流が今後どのようなふうになりますかということが一つ。
 もう一は、非常にあからさまになってまいりましたのがケ小平氏の開放体制と、それに真っ向から批判をする計画経済を主張する陳雲氏の関係でございます。いわば経済の理念と申しましょうか、中国の経済の持っていき方について基本的な対立が起こっておるようであります。これが今後どのようなふうになってまいりますか。これは私は、ソ連との関係につきましても非常に政治的、経済的に微妙な関係を持っておるようにうかがうのであります。経済的に申しますならば、中国が香港や日本やアメリカに対する輸出は限度に来た、ソ連や東欧圏に、輸出しなければならないとか、一昨年アルヒポフ・ソ連第一副首相が参りましたときに、陳雲氏なんかに会いましても、ケ小平、趙紫陽、胡耀邦という人には会っていなかったということがあるようでございまして、これをどのようなふうに考えたらよろしいのか。この点につきまして大臣の御見解をお伺いいたします。
#228
○国務大臣(安倍晋太郎君) まず朝鮮半島の問題でございますが、韓国もさらに北朝鮮も朝鮮民族という同じ民族の立場に立っておりますし、両国の国民とも民族統一というのはその悲願であろうと思いますし、韓国もまた北朝鮮も民族統一にかけてのそれぞれ具体的な構想をこれまでも発表をしてきております。そういう中で世界情勢の変化とともに北と南の対話が最近まで行われてきておるわけでございまして、政治の面あるいはまた経済の面、さらにスポーツの面等で相当対話は進んできておると言っても過言ではないと思うわけですが、最近のチームスピリットの演習を契機といたしまして一時中断をするという事態にはなっておりますけれども、底を流れておるやはり南北間の対話を進めようという気持ちには変わりはないと私は思っております。したがって、この対話はこれからも継続をしていくであろうというふうに思っておりますし、特にまた米ソの首脳会談、そして軍縮が進む、世界の緊張の緩和という方向へ世界が移っていけばこの関係にも緊張の緩和は大きく進むのではないだろうか、こういうふうに思います。
 ただ、東西ドイツにも見られるように、南北、体制の違う国として戦後分断された中で来ておるわけでございますから、なかなか統一ということになりますと大変困難な問題を抱えておるとは思いますが、しかし緊張緩和からいろいろな面での交流というものはこれから進んでいく。そういう中で、具体的には韓国でもオリンピックが一九八八年には行われるということでございますし、また北は北で経済の非常に困難な事態に直面をしておる、こういう点もあるわけでございますから、私はそういう今の当面の具体的なそれぞれの国の問題を解決していくのにも両国がさらに歩み寄っていくという可能性は高い。そのためにやはり日本も隣国として環境づくりにこれから努力を傾けていかなきゃならぬ面が多々ある、こういうふうに考えておるわけであります。
 それから、中国につきましては、最近の中国の経済の発展というものは非常に目覚ましいものがあります。さらにまた、日本との関係は日中のこれまでの歴史にない関係を保ってきております。またソ連との間におきましても、まだまだ三障害と言われる基本的な問題は抱えておりますけれども、やはり実務的な両国の関係は改善をされておる、実務的な改善はいろいろと行われておるのじゃないかと思うわけでございます。しかし、まだまだかつての中ソの関係に返るというふうなことは今の状況では到底不可能であろうと思います。最近も、ソ連の党大会に中国は代表を送らなかったという実例もあるわけでございますが、しかし全体的には実務的な改善は、経済あるいはまた人的交流だとか文化等の面においての改善は見られておるように思います。これはソ連との関係だけでなくて、東欧諸国と中国の関係も改善をされてきておる、こういうふうに考えております。
 そういう中で、中国の体制の内部でいろいろと亀裂があるんじゃないか、対立があるのではないかという話でありますが、確かに陳雲氏の論文等を拝見しますと、現在の中国が行っておる路線に対する批判的な言辞も見られるわけですが、しかしこれは、いわゆるケ小平さんを中心にして進められておるところの開放体制、開放政策、その基本については陳雲氏も同調しておると思います。
   〔委員長退席、理事桧垣徳太郎君着席〕
ただ、そのやり方といいますか、その余りの急速なスピードについてむしろブレーキをかけておるというふうに私は思っておりまして、そういう面から、中国内部においてやっぱりそれぞれ意見の相違といいますか、これは比較的率直に出ておるわけでございますが、根本的な中国内部、今の体制内部における対立というものは私はないように思っておりますし、全体的にはケ小平体制の中で中国がまとまって、政治の安定、そして経済の開放体制を進めるために着実な努力が全体としては進んでおるし、その実といいますか、その成果は上がっておる、こういうふうに我々は見ておるわけであります。
#229
○金丸三郎君 次に、大蔵大臣に税制改革についてお伺いいたしたいと思います。
 政府の方では、税制調査会に対しまして税制度の根本的な改革を御諮問になったようでございます。シャウプ税制からもう三十数年たっておりますので、現在の税制は、悪口を言えば継ぎ足し継ぎ足しの家みたいなものじゃないか、そういう面も確かに私はあると思います。経済構造も違ってまいりました。国民の所得も違ってまいりました。また国の財政の伸びも大変なものでございます。どのような構想でこれをお進めになりますかということが第一点でございます。
 それから、税制の改正につきまして、総合的に改正するとなると問題が多過ぎるかもわかりませんが、重点といたしまして、不公平な点を是正することを重点と申しましょうか、お考えになるのか、国民の負担の軽減ということに重きを置かれますのか、経済の成長ということをお考えになるのか。それから先日来、ただいま柄谷委員からも御質問がございました、国と地方を合わせますと約二百兆に近い借金になっております。この償還をどのようにしていくのかと言えば、これは税以外にございません。自然増収でそれが返せるならばそれにこしたことはございませんけれども、一体、この償還ということをお考えになって税制の面ではどのようにしていこうとお考えになっていらっしゃいますのか、そういう点についてお伺いいたします。
#230
○国務大臣(竹下登君) まず基本的な問題といたしまして、今おっしゃいましたとおり、シャウプ税制、私も先日ショウプ博士とお会いしてまいりましたが、もう八十歳を過ぎていらっしゃいます。歴史というものをつくづくと感じましたが、やっぱり当時のことはかなり鮮明に記憶をしていらっしゃいました。基本的なシャウプ税制の税の組み立ての哲学というのは決して間違っていなかったんじゃないか、所得税というものが言ってみれば基幹税制として機能すべきであるとか、あるいは所得税には富の再配分の機能があるとか、すなわち累進税率の問題等でございますが、そういう考えはいささかも私は、当時おっしゃっておったことも大きな間違いでは決してないという印象を受けました。
 いみじくも今おっしゃいましたように、その後の経過の中で、いろんな継ぎ足しと仰せられましたが、それがゆがみ、ひずみとなって今日いろいろな不公平感や重圧感を感じておるという状態になっておると思うわけであります。それをこの際は抜本的に改正しようということで総理から税制調査会へ諮問が行われた。したがって、初めから増収を目的とするものでもなく減収を目的とするものでもなく、まさに基本的には抜本的に税のあるべき姿を見直してもらいたいと、こういうことが基本にございます。
 しかし、さらにこの社会経済の変化を背景といたしまして、先ほど申しましたいろいろな重圧感というものをまずこれを除去して、基本的には公正、公平、簡素、選択並びに活力。活力という言葉はいみじくもおっしゃいましたいわゆる経済の成長ということが活力という意味にもなるわけであります。簡素はもちろんこれはシンプルということでございますからまことに結構でございますが、公平、公正という点を中心としてまずはどこに痛みを感じているかという、どこにいわば減税あるいは重税感を除去すべきかというところから勉強してちょうだいしたい、そして秋までにはそれを一体としたもので総括的な答えを出してもらいたいということで総理が諮問をなすったわけであります。したがって、税制というのは安定的歳入を基礎とするものではございますが、その抜本改正の中に特に重点として重圧感がどこにあるかと、そういうものからいわば勉強して答申をまとめていただきたいということが税制調査会に対する諮問の基本的な方針、方向でございます。
 それから、二百兆円にもなるところのいわゆる公債残高、これをどうして返すかと、こういうことになりますと、これは一番好ましいのはあるべき税制、税の姿の中で経済成長に伴った自然増収が出ることがそれは最も好ましいことでございましょう。しかし、それのみに頼るというのもなかなか困難でございます。そこで、まずは六十五年度までに少なくとも赤字公債への依存体質から脱却した後、この累積するところの残高に対しましては、そういう自然増収というようなことが期待できるのはもちろん結構なことでございますが、さらに、いわゆるお許しをいただきましたNTTの株式の売却益でございますとか、あるいはやっぱりさらに歳出、負担するのも国民そして受益者もまた国民でございますから、それの基本的な負担のあり方、あるいはサービスはどこまで我々は受けてどこまでは我慢すべきかということの不断の努力というものでこの残高を逐年対GNP比に対して減していくという努力をしなければならないと思います。したがって、税制調査会の答申を求める中においては二百兆の残高をどうするかということは念頭にあるわけではございません。
#231
○金丸三郎君 次に、国土庁長官と運輸大臣にお伺いいたしたいと思います。
 国土庁では、ただいま四全総のおまとめに大わらわになっていらっしゃるようでございますが、四全総の中で我が国の航空それから陸上の鉄道、私鉄等の輸送機関、それからもう一つ重要なものが自動車、それから国内の海上輸送の問題もございます。この四つの交通の組織、体系と申しましょうか、二十一世紀を展望して我が国土をどのようなふうに持っていくか、それについてこの四つの輸送体系をどのようなふうにお考えになっていらっしゃいますか、現在の段階においてで結構でございます。
 それから、あわせまして、その構想の中で整備新幹線はどんな役割を持つとお考えになっていらっしゃいますか、お伺いをいたしたいのでございます。
 運輸大臣につきましても、ただいま申し上げましたような将来の我が国の交通の体系の中で、殊に大臣は航空と鉄道を握っていらっしゃるわけでございますので、そういう見地からも交通体系についてのお考えと、それから整備新幹線の建設の問題、これはだれがつくるかという主体の問題、財源等の検討委員会もございますが、それらをも踏まえまして、一体整備新幹線の予算がついたけれどもだれがつくられるのだろうかという不安が実は非常に強いわけでございますので、明確なお考えをお示しいただければありがたいと思います。
#232
○国務大臣(山崎平八郎君) お答えいたします。
 第一問の四全総におきまして幹線交通体系整備の問題をどのように位置づけておるかという御質問でございますが、四全総は申すまでもなくこの秋に策定を目標に今営々努力中でございます。ただいまの三全総はいわば定住圏構想でございますが、これに加えて交流問題を取り上げてあわせて検討中でございます。そこで、お話のとおり、二十一世紀へ向けての長期計画でございますが、まず今申し上げたように地域間の交流ということを促進いたしまして国土の均衡ある発展を図る、この上で幹線交通体系の整備は重要な課題である、かように認識いたしております。申し上げたとおり、この秋の策定という問題に向けまして各種の交通機関の特性を生かした相互補完的な交通体系、この形成を目指して努力中でございます。
 さらに第二問でございますが、第一が国及び地域の開発振興に与える新幹線の効果はまことに大きいと認識いたしております。そこで、整備新幹線につきましては整備新幹線財源問題等検討委員会、こういうものが四つの省庁と党の政調で組織されておりますけれども、ここにおきましてただいま検討をいたしておりますが、その状況を踏まえまして四全総における位置づけを明らかにしてまいる予定でございます。
 以上、お答え申し上げます。
#233
○国務大臣(三塚博君) 航空と鉄道について申し上げますが、航空は先般閣議決定をいただきました第五次空港整備計画に基づきましてジェット空港化を進めてまいる、さらにコミューターへの整備を進めて長距離間輸送に対応してまいるということで四全総の中にも取り入れていただくことに相なっております。
   〔理事桧垣徳太郎君退席、委員長着席〕
特に鉄道なかんずく整備新幹線の建設主体はどうなるか、こういうことでありますが、御指摘にもありましたとおり、昨年八月の政府及び党の間に合意をいたしました整備新幹線財源問題等検討委員会の議を経まして建設主体、運行主体等を決めてまいろうと、こういうことで政府は取り組んでおるところでございますが、建設主体につきまして自由民主党の中で昨日来新しい技術建設集団をつくりまして対応したいという党決定などもなされたようでございますが、これは自由民主党の一つの提言として私は受けとめておるわけでありまして、党と政府の八月の申し合わせがございますものですから、この財源等検討委員会の中で早急に結論を出すよう努力をすることの中でその方向づけをつけてまいりたい。今次国鉄改革の重要な目玉がこの取り扱いであります。基本的に新経営形態に負担を負わせるような形で分割・民営会社の再建への意欲をそいではならぬであろう、そういう意味で財源等検討委員会の結論をまつというのがただいまの姿勢でございます。
#234
○金丸三郎君 次に、地方財政につきまして自治大臣にお伺いいたしたいと思います。
 いつも地方財政の問題はぎりぎりのところで大蔵大臣と自治大臣の話で一夜で決着をしてしまいまして、一体地方自治があるんだろうかというのが実は私の率直な感想でございます。これでいいんだろうか。自治団体というものはなくなっちゃって、地域団体はあるけれどもどうなんだろうか。これは本日は十分に論議する時間もございませんからその点はさておくといたしまして、例年どおりあっと言う間に大蔵大臣と自治大臣の間で最後の話が決着をいたしました。
 補助率の引き下げという大問題がございました。その地方財政への影響は一兆一千七百億でございました。これはたばこ消費税によって補てんするという思いがけない措置によりましてある程度の片がつき、皆ほっとしたやらびっくりしたやらというのが私は率直な感想であったと思うのでございます。しかし、それだけでも足りませんので九千三百億の建設地方債が増発されましたことも申すまでもございません。今後一体、三年間の補助率の減に対しまして、たばこ消費税は一年間ということになっている、これが今後どうなりますのか。地方債の増発が交付税の実質の引き下げになっていきやしないかという懸念がございます。この点はどのようにお考えになっておりますのか。それから、将来地方交付税の総額の確保についてどのようにお考えになっていらっしゃいますのか、お伺いをいたします。
#235
○国務大臣(小沢一郎君) 地方自治につきましてはもう先生がすべて御存じのことで、大ベテランの大先輩でございます。したがいまして、私などは答弁する資格はないに等しいのでございますけれども、一応ただいまの問題につきまして御答弁をさせていただきます。
 一つは、たばこの消費税の問題でございまして、これは抜本的な税制改正の妨げにならないようにということで一年間の措置にいたしたわけでありますけれども、基本的に負担率の暫定措置は三年間でございます。したがいまして、六十二年度以降の問題につきましては、今日の地方財政の現状が変わらない限り何らかの形におきまして財政措置がなされるべきものと、そのように考えておるわけであります。それから、いわゆる補てん措置の残りの九千三百億円の地方債の点でございますけれども、これはもう先生御承知のように、後年度交付税に加算されて措置される分もあるわけでございますが、その他につきましては、御指摘のように事実借金としてあることは御指摘のとおりであります。こういうものにつきましては、今後この元利償還等につきましては地方交付税の基準財政需要額に算定するというような措置を講じまして対処していかなければならないと考えております。
 いずれにいたしましても、こういうようなことを行いましてもなお地方の財政に支障を来すというようなことの場合におきましては、私どもといたしましては地方交付税の総額を確保することによりまして財政運営へ支障を生じないようにいたしていかなければならない、そのように考えております。
 それから、こういうようなことをするのは結局は交付税の先食いになるのではないかという御指摘でございましたが、今の答弁の中でも申し上げましたように加算措置とか、あるいは今申し上げましたいわゆる交付税の総額につきまして、毎年度の地方財政計画の策定を通じまして何としてもこれは確保していかなければならない、そのように考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、国と地方はお互いが協力して国全体の行政をつかさどっておるわけであります。特に実態としては地方公共団体を通じて国民に、地域の皆さんに行政サービスをしていくというのがかなり多くのパーセントを占めるのではないかと思います。したがいまして、そういう意味において地方財政が健全でなければ国全体の行政もその効果を上げることができないわけでございますので、そういう点につきましては先生方の御指導をいただきながら、万遺漏なきよう一生懸命その地方自治の本旨に従って努力をしてまいりたい、そのように考えております。
#236
○金丸三郎君 最後に郵政大臣、でき得ますならば総理にもお伺いいたしたいと思いますのはテレビの問題でございます。
 郵政大臣は九州の御出身でございますので、九州各県の実情はもうよく御承知のことと思いますが、鹿児島に四局のいわば許可がございました。地元では大変に実は困り果てております。もう多過ぎると。第三局も数年たってもまだ赤字だ、五年になっても黒字になる見込みはない。地元の商工会議所の幹部にしましても、また広告をねだられまして困るだけだと。まだ全国には私は全然必要でないとまでは申しませんが、原則的にはもうテレビは飽和状態ではないかというのが一つでございます。
 それからもう一つは、過当競争になりますとどうも余り感心しない番組がふえてきやしないか。
#237
○委員長(安田隆明君) 金丸君、時間が参りました。
#238
○金丸三郎君 そういう面で私は、国民教育上もテレビの効果がありますだけに、本当にこれは電波行政を超えて考えていただかなければならない問題ではないかと思いますので、できましたら総理にも御所感を承りたいと思います。
#239
○国務大臣(佐藤文生君) 二点についてお答えします。
 電波の割り当てがもう飽和状態になっているんじゃないかという点。それから第二点は、現況のままでいくというと青少年に悪影響を与えるようなそういったような低俗番組がはびこっていくのではないか。
 その第一点の問題を申し上げまして、ちょっと現況だけ簡単に申し上げますが、電波というのは国民のものであり県民のものである、これがやはり基本でなくちゃならぬと思います。したがって、視点を県民、国民にどのように公平に電波を割り当てるかということが私の務めであると考えます。
 そこで、今全国で一番県民にたくさんな電波を通じて情報を与えている県はどういう県かと申しますというと、群馬、千葉、埼玉、神奈川といったようなところが六局の電波を県民にサービスしている。それにNHKの二局の、総合放送とそれから教育放送を入れますというと八つの種類の情報を県民に与えているのは以上のようなところでございます。ところが、茨城と栃木は六局を割り当てておりますけれども、十ないし十四ぐらいの企業者が出ておりまして、その調整がつかない。したがって、環境が十分に整備されて経済的に納得ができるような時期までこれは認可をいたしません、そういう措置をいたしておるわけです。
 電波の割り当てというのは、都道府県民に割り当てていく。しかし、それをやる会社は別でございます。県民の中から、既に熊本県あたりは割り当ててありますけれども、四百五十の会社がうちにやらしてくれということで調整ができていない。それから長野県あたりは電波を割り当ててございますけれども、千四百八十の企業者が、私がやりたい、私がやりたいということで調整ができない。しかし、それを県知事なり地域の経済界の人に慣習としてお願いしまして調整をしておるのが現況でございます。
 そこで、九州の方では二局しかできないような県がございまして、二局しかできていない。しかし、それを三局、四局に持っていきたいというのは、これは電波割り当て行政上我々は常に考えていかなくちゃならぬ。したがって、四波以上を聴取できる全国的な世帯数を調べてみたら四波を視聴されている地域が八〇%以上になっている。したがって、郵政省としては大体各県ともに四波体制にいきたいというガイドラインを持ちたいと。これが県民への情報の聴取の格差を是正する一つの政策として出しております。したがって、おたくの方は、九州では福岡がもうやっておるし、それから熊本も四波以上であるし、しかもおたくの方も四波体制ができる可能性があると、こう考えまして割り当てましたが、今一社しか出ておりません。したがって、これは十分に時間をかけまして、電波の割り当てと認可とは違っておるということを御理解願いたいと思います。
 それから、低俗番組がはびこると言われますけれども、これは過当競争による中から出てくる問題と低俗番組がはびこるという問題は関連性はありますけれども、例えばたった一波しか割り当てないような県でも経営者がしっかりしていないというとそれは低俗番組が出てきます。番組審議会とかあるいは番組基準というものを法的に各局に与えておりますので、それが形骸化している場合があるんですね。したがって、それが形骸化しないように郵政大臣として事あるたびに担当の放送局の経営者、番組審議会の委員長あてに私の方からその都度に行政指導する、こういうことで低俗番組の撲滅、それから青少年に与える悪影響の放送が行われないようにやっているわけでございます。
#240
○国務大臣(中曽根康弘君) 電波は、今のお話のように国民のものであり県民のものでございますから、これを私に使わせるという場合にはよほど慎重に、公平に、厳正に行われなけりゃならぬと思っております。県民の意思等々もよく拝聴して決めるべきものであるとも思います。粗製乱造はこれは何でもよくない、そう思っております。
 それから、番組につきましては、最近やっぱり番組審議会といいますか、あれを監視なすっている委員会の方が本気でやっているのかという疑問すら持たせるような番組がまだ往々あります。そういう意味において、番組審議会で審査している方々がもうちょっと精を入れて、一般の国民の気持ちを考えていただいて厳格な審査、監視をやっていただくように、政府はこれに干渉するわけにはまいりませんので、自主的におやりくださるように今郵政大臣を督励さしておるところでございます。
#241
○委員長(安田隆明君) 以上で金丸三郎着の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#242
○委員長(安田隆明君) 次に、安恒良一君の質疑を行います。安恒君。
#243
○安恒良一君 私は、まず総理に、財政再建の破綻と今後の対応策についてお伺いをしたいと思います。
 総理は、従来の財政再建の失敗は赤字公債脱却の期間が短いと、こういうことで七年に延長されました。五十八年度赤字公債発行額七兆円をスタート台に、毎年一兆円ずつ赤字公債発行の減額を行う計画でしたが、その実行状況及び目的達成の成算についてお考えを聞かしていただきたいと思います。
#244
○政府委員(吉野良彦君) まず、事実関係を私から御説明をさしていただきたいと思います。
 特例公債依存体質からの脱却ということを目指しまして年々努力をいたしているわけでございますが、計数的に申し上げますと、まず五十七年度から申し上げさしていただきたいと存じますが、五十七年度当初予算におきましては、特例公債発行額を三兆九千二百四十億円ということで予定をしていたわけでございますが、前年度の五十六年度後半以降のいわゆる世界的な同時不況というようなこともございまして、御承知のように五十六年度決算におきまして税収が三兆円以上落ち込む。さらにまた、五十七年度には、当初予算で見積もりました税収が六兆円以上落ち込むというような異常な経済情勢になったということは御承知のとおりかと存じます。
 その結果、五十七年度におきましては、先ほど申し上げましたように、当初予算におきましては特例公債を三兆九千二百四十億円ということを予定していたわけでございますが、残念ながら先ほど申しました事情のために、補正後予算におきまして七兆三千九十億円というような状況になったわけでございます。
 そこで、五十八年度予算でございますが、五十八年度予算におきましては、先ほど申しました五十七年度の補正後の公債発行額、これが特例公債を含めまして、公債全体といたしまして十四兆三千四百五十億円でございましたので、少なくともそれに比べて一兆円は減らしたいという目標を掲げまして、五十八年度当初予算におきまして一兆円減の、これは公債全体としてでございますが、十三兆三千四百五十億円ということにいたしまして、そのうち特例公債が六兆九千八百億円ということであったわけでございます。
 そこで、次に五十九年度でございますが、五十九年度は、ただいま申し上げました五十八年度の当初の公債発行額総額十三兆三千四百五十億円に比べまして六千六百五十億円減の十二兆六千八百億円、それからまた特例公債につきましては、五十八年度の当初の六兆九千八百億に対しまして五千二百五十億円減の六兆四千五百五十億円ということで、ともかくも五十八年度の予算額に比べましてかなりの国債の減額を達成いたしたわけでございます。
 さらに六十年度でございますが、六十年度は五十九年度の当初の公債発行予定額、全体でございますが、十二兆六千八百億円に対しまして少なくとも一兆円以上は減らしたいということで予定どおり十一兆六千八百億円、一兆円減額を織り込みまして予算を組んだわけでございます。ございますが、先般補正予算の御審議をいただきました際にも申し上げましたとおり、六十年度におきましても極めて大きな追加財政需要が一方にあり、かつまた税収につきまして四千億を超える当初見積もりに対する減額を見込まざるを得ないということでございましたので、残念ながら六十年度補正予算におきまして特例公債につきましても四千五十億円の増額をお願いするやむなきに至ったわけでございます。でございますが、六十一年度当初予算におきましてはこれも御案内のとおり、公債全体といたしましては六十年度当初予算に比べまして七千三百四十億円減の十兆九千四百六十億、そのうち特例公債は前年度に比べまして四千八百四十億減の五兆二千四百六十億円ということで、着実な減額に努力をいたしているわけでございます。
 いずれにいたしましても、いわゆる公債依存度でございますが、ピークの時点におきましては三四%をたしか超えておったかと思いますが、六十一年度今御審議をいただいております予算におきましては、公債依存度がともかく二〇・二%というところまで低下をさせるようになっておるということは御理解をいただきたいと存じます。
#245
○安恒良一君 大蔵大臣、聞いたことだけ答えていただきたい。
 五十九年から六十一年度までの赤字公債発行額は今わかりましたが、一兆円の削減計画との差について今聞いた年度だけ言ってください、五十九年から六十一年まで。
#246
○政府委員(吉野良彦君) まず六十年度でございますが、御指摘の趣旨は、恐らく前年度の五十九年度予算を御審議いただきました際に提出をいたしました中期展望で描かれておりました六十年度の姿、この六十年度の姿におきましては、特例公債をいわば機械的に一兆八百億円減ということで中期展望には数字を挙げておったわけでございます。この五十九年度の中期展望に示されておりました特例公債の減額幅が一兆八百億、それに対しまして実際に六十年度予算として御審議をいただきました特例公債の発行額は、五十九年度に比べまして七千二百五十億円の減にとどまっているということが第一点でございます。
 それから次に、六十一年度でございますが、これも六十年度の中期展望でお示しをいたしておりました六十一年度の特例公債発行額と申しますか、これも機械的な計算でございますが、これは前年度に比べまして一兆一千五百億減という計算をしていたわけでございますが、ただいま御審議をいただいております六十一年度の予算におきます特例公債の発行予定額は、前年度の当初予算に比べまして四千八百四十億の減にとどまっているということでございます。御指摘の趣旨はそういった数字かと存じまして申し上げました。
#247
○安恒良一君 私が聞いているのは、五十八年度赤字公債発行額七兆円をスタート台にして、毎年一兆円ずつ赤字国債発行額の減額を行うという計画を立てられたわけです。その一兆円に対して実際に行われた赤字公債の減額度はどのくらいであったかということであります。
#248
○政府委員(吉野良彦君) まず、特例公債発行額のいわば実績が各年度とうなっているかということを申し上げますと、五十七年度の実績が七兆八十七億円、それから五十八年度の実績が六兆六千七百六十五億円、五十九年度の実績におきましては六兆三千七百十四億円ということになっております。
#249
○安恒良一君 大蔵大臣、もう一遍言いますよ。五十九年度から六十一年度までに赤字公債発行を一兆円ずつ削減すると言うたのに対して、実績はどうであったかということを聞いているんですよ。同じことを何回も言わせないでください。時間がもったいない。
#250
○政府委員(吉野良彦君) 五十八年度の予算を御審議いただきました際に御提出申し上げましたいわゆる中期試算におきましては、お話しのように五十九年度以降毎年度一兆円ずつ減らすという数字が挙がっていたわけでございます。それとの比較におきまして実際に御審議をいただきました予算、これを申しますと、五十九年度におきましては五千二百五十億円の減、それから六十年度におきましては七千二百五十億円の減、それから六十一年度は四千八百四十億円の減にそれぞれとどまっておるということでございます。
#251
○安恒良一君 それをあなた言ったでしょう。だから、計画は一兆円減らすと言っているんだから、その差額はどうなっていますかと聞いているんですよ。
#252
○政府委員(吉野良彦君) 差額は、減額ができなかったということでございます。
#253
○安恒良一君 その差額の金額を聞いているんですよ、差額の金額を。
#254
○政府委員(吉野良彦君) 一兆円との差額でございますから、五十九年度におきましては四千七百五十億円、それから六十年度におきましては二千七百五十億円、六十一年度におきましては五千百六十億円ということになろうかと存じます。
#255
○安恒良一君 総理、今お聞きのとおりですね。ですから、もう計画を立てられた初年度から約半分しか赤字公債は削減をされていないのであります。そこで私は、政府の公約達成は非常に難しいのではないか、こういうことを考えているんですが、どうでしょうか。
#256
○国務大臣(中曽根康弘君) 私も、非常に厳しい財政環境にありますといつも申し上げているわけです。しかし、この旗をおろすわけにはいかない。我々は、厳しいけれども全力を振るって、あらゆる知恵と力を尽くして所期の目的を達成するために努力していきますと。さもなければ、一たん増税とかあるいは建設公債そのほかの増発という垣根が、枠が破られると、これは非常に大きな財政需要を呼び起こして、そして実に難しい予算編成やその他になり、究極的には国民に迷惑をかけてインフレを起こす危険が出てくる、そういうことを危惧して申し上げておるわけです。
#257
○安恒良一君 いや、私は、総理、旗をおろすとかおろさぬとか言っているんじゃないんですよ。実際の数字が非常に困難を示しています。
 そこで、赤字国債の六十五年度脱却は総理がお示しになった計画なんですね。ですから、赤字国債削減について定量的にはっきりとした財政再建達成の方法について大蔵大臣と総理のお考えを聞かしてください。これは定量的です。
#258
○国務大臣(竹下登君) いつもおっしゃいます定量的な計画を示せと、結論から言うとそういうことであろうと思っております。
 確かに私どもも、実績ベースで申しますと、それは当初の減額よりはなお実績としては余計減額したということもございますけれども、当初予算ベースで一兆円ずつと、こういう計画が崩れておることは事実でございます。しかし、結局この問題は、現段階においては六十五年度に何としても脱却したいという旗印のもとに毎年毎年予算の編成の際の努力でそれをやっていかなきゃならぬ課題である。平均的には必ずしもまいっておりません。そしてなかんずく、恐らく御指摘は、すなわち現在動いている六十年度なんかは補正でいわば赤字公債を増発したんじゃないかと。そのとおりです。少なくとも補正で、五十八年、五十九年は補正はありましたけれども赤字公債の増発をしなかったわけですから、だからなお厳しい状態が出てきておるということは事実でございます。
 しかし、やっぱりこれは定量的にお示しするというのはなかなか困難な問題だと言わざるを得ない。毎年毎年の予算審議の中で、要調整額等を比較していただく中で国民のコンセンサスが那辺にあるかということを見定めながら、毎年毎年少しでも、定量とは申しませんが、定性的なものが浮き彫りになってくるような努力を続けていかなければならぬではなかろうかというふうに考えております。
#259
○安恒良一君 私は、やっぱりこれは予算の話ですから、定性的な話では困るんですよ。抽象論では国民は理解できません。
 そこで具体的に伺いますが、六十二年度以降、これでいきますと毎年一兆三千二百億の赤字国債の削減に自信がありますか。また、公約は守れますか。これは実績の約四倍を超える赤字国債の削減を、本当に五十九年から六十一年までの財政運営をどのように変更してこれをやろうとされているんですか。具体的にお示しを願いたいと思います。
#260
○国務大臣(竹下登君) 確かにおっしゃったように六十五年度、今おっしゃった定量的に一兆三千億ずつ赤字公債を当初予算で減額していくというのは容易ならざる問題だという問題意識は私は持っております。したがって、やはりその問題は、強いて言えば、今年度の中期展望なり仮定計算で初めて入ってまいりましたのが、お許しをいただいた電電株の売却収入というものが初めて、これも定量じゃございません、定性的に入ってきたわけでございます。定量はまだ実績がございませんので、どれほどに売れるかという実績もございませんので、一定の仮定を前提に置いただけの数字しか示しておりませんが、そういうものが逐次浮き彫りにされてくることによって、徐々に定性が可能な限り定量に近づいていく努力を続けていかなきゃならぬと思います。
 定量的にということになりますと、それこそ経済成長率を六・五%、弾性値を一・一にしております仮定計算でございますから、そこをいじるとか、したがって自然増収を余計見積もるとか、あるいは増収策をそこへ計画的に当てはめていくとか、あるいは削減額を当てはめていくとかということになりますので、それは現段階において定量的なものを示すことはできないと言わざるを得ないと思います。
#261
○安恒良一君 私は、やはりこれは定量的に示していただかないと、我々の予算の審議も十分できませんし、国民もわからないと思うんです。
 そこで、そのことはおきまして、歳出の一律削減という方式ももう限界に来ているということになっていますね。ですから、政府・与党間ですら、例えば社会保障特別会計を発足させたらどうかとか、さらに教育臨調からは文教特別会計が打ち上げられていますが、中曽根総理、まさにもう総理の財政再建策というのは手詰まりが来たというふうに私は考えるんですが、総理、そこのところはどうなんでしょうか。
#262
○国務大臣(竹下登君) まず、ここのところだけお話ししておかなきゃいけませんが、今、安恒さんおっしゃいましたように社会保障特別会計、この提言がなされておるということは私どもも十分承知しております。したがって、これは本当は示唆に富んだ考え方であると基本的には受けとめておるわけでございます。これは今までも総合研究集団とか、あるいは日本社会党とか、いろいろなところからこの問題を私もちょうだいいたしております。ただ、これはやっぱりいわゆる財源が目的税とかいうようないろんなことが考えられますので、にわかにこの問題を今、制度として打ち出すということはなかなか難しい問題でありますが、示唆に富んだ提言であるということは私どもも十分に認識をいたしておるところでございます。
 ただ、いわゆる文教の特会という構想は、どうも調べてみましたら、まだ正確な構想としては打ち出されていないということのようでございます。しかしそういう意見が出ておるというのは、やっぱり関係者の皆さん方が、財政再建の中において大切な教育費とか社会保障とかというものをきちんと位置づけようという考え方があるからこそそういう提言もなされてきておるという、国民総参加の財政再建が議論されておる一つの証左であろうというふうに考えております。
#263
○安恒良一君 それでは、この問題で最後に総理に聞きますけれども、残りの財政再建期間四年間では、毎年一兆三千百十五億ずつの赤字国債の削減をするためには具体的な手法はどういうものだろうか、それからどんな歳出費目であろうか、このことをひとつ示していただきたい。でないと私は、国民は本当にこのことについて信用をしないと思うんです。
 そこで、量後に総理にそこのところをお聞きしたいんですが、私はもう財政再建の方向転換が必要なら必要ということを示す必要があるんじゃないか。それは一つは、六十五年度までの再建期間を延長するというのが一つの方法だろうと思う。二つ目には増税による再建というのも一つの方法だろう。三つ目はもう再建を放棄する、こんな道しか残されてないんです。私がこのことに賛成と言っているわけじゃありませんよ。道筋として考えるとそれしかないんじゃないかと思いますが、総理はこういうことについてどう実際お考えになって、どのようにしようとされているのか。六十五年度までに財政を再建すると国民に公約なさっているわけですから、このことについてお考えをお聞かせください。
#264
○国務大臣(中曽根康弘君) 極めて厳しい環境にあるということは前から申し上げたとおりでございますが、しかしこの道を今外すべきでない、そういう考えをかたく持っております。電電の株式の売却であるとか、また将来日本航空を民有にするというような場合も考えられます。あるいは税外収入の問題もあります。あるいは今までのケースで見ますと外為会計の例もございました。あるいは金融政策その他経済政策全般についていろいろ景気変動等を見つつ考えるということもあります。ともかく、現在の経済状況というものは極めて変動性が多い。二百四十円の円が百八十円に急変する、あるいは油がまた十ドルぐらい下がる、そういう非常に変動要因が多過ぎます。ですから定量的にやるということは極めて危険性があるわけなので、そういう意味でも我々は指針というような考え方に立ってやっているわけで、御了解をいただきたいと思うのであります。
#265
○安恒良一君 この問題また改めてやりたいと思います、どうも総理の答弁では国民が財政再建ということについてわからないと思いますので。
 次は税制改革問題で、これも総理にお聞きしたいんですが、昨年の施政演説では戦後税制の見直し、減税を宣伝されましたし、東京都議選が終わりますとだんだん総理の声が小さくなりまして、六十一年度は何もやらない、そしてことしの夏の参議院選挙を前に今度は四月ごろには減税答申を税調に出してほしいと。こうしたこの一連の動きの中から、国民の間ではどうも減税ということを選挙のために利用しているのではないだろうか、こういう批判の声が聞かれますが、総理の真意をお聞かせください。
#266
○国務大臣(中曽根康弘君) 私はシャウプ以来の税制大改革が必要であると申し上げておるんです。三十五年もの間の経過を見ますと随分、建物にいたしましても臨時の増設やら何かがふえてきまして、ゆがみやひずみが非常に大きくなってきている。あるいはサラリーマンその他についてはいわゆるクロヨンだ、トーゴーサンだというような声もあり、あるいは子持ちのサラリーマンの皆さんにはローンの返済で非常に大変だというような話もあり、そういうようないろんな面も考えてみまして、もうそろそろ大税制改革をやる時期に来たなと二、三年前から感じておったところです。しかし、それだけの大がかりなことをやるについては、国民の皆様方にやっていいか悪いか、そういうようなある程度の反応を見る必要もあるわけです。そういう意味において私は必要だと思うときに発言もしてまいりました。そして、必要だと思うときにそのスケジュールもお示ししてきました。それはみんな、国民の皆様方のお考えを伺いつつ、いわば対話を行いつつやってきたと自分は思っておるのであります。
 それで、これからやることにつきましても、やはり一番国民の皆さんが欲していることをまずやるべきである、それはゆがみやひずみの是正である、そういうような考え方に立ちまして、大体の工程管理を考え、そして政府税調にこれを諮問を行い、党税調にもその了解を求めて勉強を進めてもらい、そして大体のスケジュールに従って事を進めていこうというので進行中なのでございます。
#267
○安恒良一君 私の質問に対して、国民の疑問は間違いであるかのごとく総理が答弁されました。
 そこで、では次の点を総理、確認をしていただくかもしくは修正をしていただきたいと思いますが、まず一つは、減税答申の時期は四月ごろとする必要はなく、参議院選挙の後でもいいのかどうか、それから減税答申をまず出して、秋に、この減税財源対策、恐らく増税案の答申ということになるだろうが、切り離しはやめて同時答申でもいいのかどうかということ、この点どうでしょうか、総理。
#268
○国務大臣(中曽根康弘君) これはいろいろ検討しました結果、まず国民が一番欲している重税感とかあるいはよじれとかそういういろんな問題をまず手をつける方がよろしい、そして次にそれに対する財源措置というものも考えよう。それらについてはある一定期間国民の目の前にさらして、そしていろいろ批判も受け反応も見つつ、我々党人としては直すべきものは直し考うべきものは考えていくと、そういうような考えに立って、一方的に押しつけない。今まではややもすると官僚独善というようなことが税については非常に言われてきておったわけです。税こそまさに国民と一緒にやっていかなきゃいけない、どうせ税の改革をやるという場合には一番国民に関係する部分が多いんですから、みんな非常に真剣な目で見ておられるし、自分がどうなるかということをみんなお考えなんであります。
 したがいまして、自分がどうなるかというその判断をそのたびそのたびごとに得つつ、大体のコンセンサスがどの方向に赴くであろうかということを見ながらやるのが税の正しいあり方なので、私は今までのやり方は必ずしも悪いとは言いませんが、そういう点に対する配慮が少し足りなかったんではないかというような感じもしておるのでございます。今度は、そういう意味において周到に民意を探りつつ一歩一歩前進して、国民の意の存するところへ物事を持っていこう、そう考えてやっておるわけであります。
#269
○安恒良一君 周到に民意を探ると言っても、減税をやるときにその財源を示さないで減税ということは、なかなか私は国民は理解できないと思うんです。
 そこで、これは一つ確認をしておきたいんですが、昨年、六十年度予算審議の際に論議して政府は確約されました。増減税ゼロで、いやしくも増税になるような税制改革はやらない、それから課税範囲の広い間接税、大型間接税の導入はしない、この二点はよろしゅうございますか、総理。
#270
○国務大臣(中曽根康弘君) 国会で申し上げたことは私は守ってまいるつもりでございます。前から申し上げているように、これは税収増を目的としてやるものではありませんと、これはもうはっきり申し上げておるところです。
 それから、いわゆる大型間接税というものについては、自分はこういう種類のものはやりたくないとはっきり申し上げておる、それは守ってまいるつもりでおります。
#271
○安恒良一君 そこで、昨年の国会におきましても、私は総理と蔵相との間に増税なき財政百姓というというで、瀬島参考人に出席をしていただいて議論をしたんですが、どのような答弁をされているか思い出していただけますか。
#272
○国務大臣(中曽根康弘君) 瀬島さんは臨調審の答申を受けてそれを説明したような記憶があります。すなわち国民総負担との関係で、つまりGNPとの対比において新しい税目を起こす、そういうような形で増税というものは否定されておったと思うのです。ということは、不公平税制の是正というようなこと等は認められると、そういう意味のことをおっしゃったと思います。
#273
○安恒良一君 増税なきという解釈の一番外枠は新たな税目を立てないということで、許される増税は自然増収、不公平税制の是正による増収、でこぼこ調整による増税、こういうふうにお互いに整理したと思いますが、よろしゅうございますか。
#274
○国務大臣(竹下登君) 第一と第二のところが、新しい税目を設けることによって大きく租税負担率等が変わらない、だから大体一と二は一緒みたいな感じで、もとより不公平税制それから自然増収、これは除くということの整理は一緒だと思います。
#275
○安恒良一君 そうしますと、中曽根内閣はこの臨調答申を守ることを国民に宣言されていますから、これはやはり今後も不退転の決意でやっていけるということが、総理、言明できますか。
#276
○国務大臣(竹下登君) 増税なき財政再建というのは、これは財政改革を進めるに当たっての基本理念でございます。そしてこれはある意味においては、いわばそれがあってこそ歳出削減というものの退路を断たれたぐらいな大きな意味があっておるというふうに今日も考えております。
#277
○安恒良一君 六十一年度予算で行われましたたばこ関係の地方税二千四百億は増税に当たりますか。
#278
○国務大臣(竹下登君) この問題は二つございまして、一つは手続上の問題でございます。これはたまたま安恒先生から今その質問がありませんが、この機会をかりましてこの点については幾重にも私はこれはおわびを申し上げます。
 それからいま一つは、いわゆる増税に当たるか当たらぬか、こういうことになりますと、ぎりぎりのときで地方財政対策をどうするか、こういうときに決定したことでございますし、それからいわば新しい税目ではもとよりございません。したがって、言ってみれば言葉の上で使われました摩擦的な増収措置あるいはでこぼこ調整という範疇にこれは入るというふうに考えております。
#279
○安恒良一君 それは竹下さん、無理強いがあるんじゃないですか。あなたはいわゆる和田さんの質問に対していろいろと弁明をされたじゃないですか。私どもが去年確認したその分類の中に入るというのはちょっと飛躍じゃないですか。もう一遍答えてみてください。
#280
○国務大臣(竹下登君) いや、私が申しておりますのは、その金額からして従来とも許容されておる摩擦的な金額ではなかろうかということを申し上げております。それといま一つは、いわゆる新たなる税目ではない、こういうことを申し上げたわけでございます。
 したがって、いわゆる新たなる税目を求めての増収措置という範疇には入らないというだけを申し上げておるわけでございます。
#281
○安恒良一君 私はこの点は納得できません。こんなやり方で地方にやる金が不足する、そして増税ができる、しかもこの場では増税なき再建と違反しない、これでは私は納得できませんし、政府が何を約束しても、この場で私どもが総理なり大蔵大臣と議論して何を約束してもむだになるというふうに思います。これは了解できません。
#282
○国務大臣(竹下登君) 具体的には今度いわゆる根本に触れない限りにおいて租税負担の公平化、適正化を推進する等の観点から税制の見直しを行いました。具体的には住宅減税及び民間活力の活用のための措置並びに租税特別措置の整理合理化を行うほか、法人税の繰越欠損控除制度の一部停止及びたばこ消費税の臨時的引き上げ等を行っております。これらの増収規模もここ数年来とられてきた調整措置と同程度のものでございます。
 したがって、いわゆる臨調で言われました新たなる税目を設けて租税負担率を大きく変えるという意味の増税なき財政再建の趣旨には反しない、こう申しておるわけでございます。
#283
○安恒良一君 だめだね。
#284
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#285
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
#286
○国務大臣(竹下登君) 今の緊急理事打ち合わせで大体私も理解いたしました。いわゆる調整措置、数年とられてきた調整措置と同程度の措置である、こういうことであります。
#287
○安恒良一君 時間がありませんから、次にまた改めてやることにします。
 そこで、大臣はいつもここの国会で議論したことは正しく税調に伝える、そして十分民意を代表した皆さんの意見を守る、こう言われておりますが、去年国会で議論をしたやつをどのようにして税調に伝えられましたか、それをひとつ聞かしてください。去年この国会でもたくさん議論していますから。
#288
○国務大臣(竹下登君) これは去年の今ごろ幹事長・書記長会談でこの所得減税の話がありまして、それ以来の常会が終わるまでの間の本会議、委員会等々で出た問題を整理いたしまして、「国会の審議過程における主要な討議事項」でございましたということで税調の皆さん方にこれを正確にお伝えいたしまして、なお説明をし、そして夏の間勉強してください、こういうことまで言いまして、それから九月から再開された、こういうことでございます。
#289
○安恒良一君 そういう抽象的なことでなく、具体的に国会の論議をこういうふうに整理してこういうふうに報告したと、それを主税局長で結構ですから詳細に報告してください。
#290
○政府委員(尾崎護君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、去年の七月十九日の税制調査会におきまして「国会の審議過程における主要な討議事項」ということで、幾つかの項目に分けましてそれぞれに関連した御意見をまとめたものを税調の先生方に配付しております。それから同じく六十年の七月十九日に「税制改正関係法律案要綱等」という資料を配付いたしまして、その中では例えば予算修正に関しましての各党の共同要求でございますとか、あるいは附帯決議でございますとか、税制の論議に参考になるようなものを取りまとめまして、これも配付してございます。
#291
○安恒良一君 税調に提出したものを詳細に主税局長報告せよ、こう言っておるんですよ。あなた大臣と同じようなことを言ったってだめだよ。
#292
○政府委員(尾崎護君) 例えば「国会の審議過程における主要な討議事項」の内容といたしましては、税制、財政一般の問題といたしましては、税制改革に関する諸事項、例えば「税制改革の理念、目的は何か。」というような問題でございますとか、「「公平、公正、簡素、選択、活力」という基本的視点に立って税制の抜本的見直しを行うといわれているが、その具体的意味は何か。」、そのように項目別に要旨をまとめまして、このような点が国会で議論されたということを御報告してございます。例えば安恒先生の去年の御質疑に関しましても、減税と増税を抱き合わせて行うつもりかというような御質問、それから増税なき財政再建を堅持するのかというような御質問、それから増税の定義でございますとか、あるいはいかなる場合でも租税負担率が上昇するならばそれは増税なき財政百姓に反することになるのではないかというような御論議がございましたが、そのような点もまとめて報告してございます。
#293
○安恒良一君 それじゃ、それは後から資料として下さい。全部読み上げていただくと大変時間がかかりそうです。よろしゅうございますね。
 そこで大臣、これから先が大切なんですが、そういうのを税調に出したと。それで税調はこれをどういうふうに今日の段階において議論をしているのか、こういうことをひとつ主要な点を、それを受けた税調がこういう議論をしてこういうところに問題があるということについて、大臣聞かしてください。
#294
○国務大臣(竹下登君) 税調に報告しまして、夏の間勉強してください、それで必要とあらば速記録もあげましょう、こういうことでやっておりますが、したがって、それは税調の委員の方々の頭の中へインプットされておるわけでございますから、まさか読むに値しないなんて思っていらっしゃる方は一人もいらっしゃいませんから、そのことは頭にインプットされて議論に臨んでいらっしゃるというふうに私は考えます。
 そこで、勘ぐってさらに申しますならば、それじゃ、今度は税調で議論されたことを速記をとれとか、いわば公開にしろとか、こういう議論があるかもしれませんが、それについては、やっぱり専門委員会から部会からずっとございますから、いわばそれぞれの立場を去って、まさにフランクリースピーキングが行われることが好ましいという意味においては非公開にさせていただいておるということでございます。公開とすれば制限はしますけれども、公聴会というようなことは公開にしておるということであります。
#295
○安恒良一君 いや大臣、公開せいとかしないとか言っているんじゃなくて、税調から回答をもらおうと思っていないんです。私どもは国会で議論したことを税調に皆さんが持ち込んでいただいた、それを受けて税調が議論をしている、そのことがまた国会にはね返ってくる、それを受けてさらにことし我々が議論する、こういうふうに我々と国会と税調の間を行ったり来たりすることは非常にいいことだと思うんです。あなたは、我々が言うと必ず税調に伝えますと言うので、伝えっ放しじゃだめなんだよ。伝えたことがどう税調で議論されて、どう消化されて、どこに問題があるかということが我々に報告をされる。さらに我々はいろんな意見を言う。行ったり来たりをする中で日本の税制が国会という場においてきちっとできるんじゃないですか。そのことをあなたは伝えることはしょっちゅう言うんだけれども、伝えた後がないんですよ。それはどうするんですか。
#296
○国務大臣(竹下登君) 伝えましたことは税調の皆さんが完全に頭の中へインプットして、それを前提に、そこで今度は総合的な議論があった後、それらを受けて、後から主税局から説明をいたしますが、部会ができ専門委員会ができ、そこで議論がなされるわけです。だから結論は、政府が選択をして国会へ出して、そこで議論していただくわけでありますが、結論については、中間的なものにおいて一々それを行ったり来たりさすというのは実際問題としてなかなか難しい問題だなと。ただ、ちょうどきのう御議論があっておりましたが、専門委員会のこの報告のようなものはこれは当然お出しできるものだというふうには思っております。
#297
○安恒良一君 大臣、税調が出した答申に従って税法改正を国会へ出す、これじゃ押しつけになるじゃないかと。そこで、我々はいろいろ意見を言ったことを皆さんは税調に反映されると言われておる。私は中間的に行ったり来たりせいと言っているのじゃないんですよ。年度年度でことしまた議論しなきゃならぬわけですよ。そうすると、去年我々が出したことが税調でどう論議されたかということが報告されて、さらに実のあるものにしていくという年度年度があるわけですから、そのことをしなけりゃ国会における税の議論というのは進んでいかないんですよ、税調との関係で。そのことについてどうするのかと聞いているんです。
#298
○国務大臣(竹下登君) ですから、結局去年の七月までの御議論をまとめたものを報告し、そうしてそれをもとに議論されたものはこの秋ごろには大体まとまって出てくる、これは税制上法制化する以前に十分御議論いただける時間的な余裕はあるものであろうというふうに思っております。それと、そういうことの兼ね合いでいろいろお考えになったかなと思うのは、この年度中に四党の幹事長・書記長で何か所得減税に対する成案を得るということをおっしゃっておるのは、その辺の進みぐあいというものを念頭に置いてそういうことをお決めになったのかなというふうな感じも持っております。
#299
○安恒良一君 この点も理解できませんが、時間がありませんから次に行きます。
 次は、四%内外の内需主導型成長というのが果たして可能かということで、ひとつ経済の現状をどう見るのかということ、それから現在の瞬間風速、成長のスピードはどのくらいになっているのか、それから設備投資の新年度の動向は成長をリードする力があるのか、それから政府、日銀の政策姿勢で本当に四%成長を保証し得るのか、二回にわたる公定歩合の引き下げの成長率の引き上げ効果は何%ぐらいあるのだろうか、このことを経企庁長官、通産大臣、日銀総裁、竹下大蔵大臣、それぞれ関係大臣に答弁を求めます。
#300
○国務大臣(平泉渉君) お答え申し上げます。
 設備投資、非製造業は技術革新関連分野で根強い投資意欲がございます。また住宅投資は基調として持ち直してきておる。ただ、製造業関係の設備投資が少しこのところ低調でございます。ただ、これから六十一年度には、これから始まるわけでございますから、四月から円高の交易条件改善効果が本格的にあらわれてくるであろう、それから二回にわたる公定歩合の引き下げに伴う投資環境の改善、それから今御審議をいただいております予算案の中の昨年来二回の内需拡大策の効果があらわれてくるであろう、こういうことで私どもは四%成長はできる、こういうふうに見ておるわけでございます。
#301
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは各省手分けをいたしましていろいろやっておるわけでございますが、窓口は経済企画庁が答弁をするのが妥当だろうと思います。私もまずできるのではないか、そう思っております。
#302
○参考人(澄田智君) 公定歩合の引き下げは、これは金利面を通じまして間接的に作用を浸透するものでありますだけに、計量的に計測することは困難でございますが、私どもといたしましては、元来それまで金融が量的には既に十分緩和されておったという、そういう環境の上に二度にわたって公定歩合の引き下げを行ったわけであります。金利水準全体の低下を通じまして設備投資や住宅投資に好影響を及ぼし、また金利コストの低減ということが企業収益面においても好影響を与える、こういうようなことによって内需拡大に資するものと期待をしている次第でございます。
#303
○国務大臣(竹下登君) これは基本的には経済企画庁でお答えになることでございますが、私の分野にできるだけ絞って申し上げますと、円高が輸出数量の減等のデフレ効果をもたらします一方で、輸入物価はすべて下がりますから、交易条件の改善を通じた実質所得の増に伴う内需の拡大をもたらすであろう、それから、先ほど日銀のお答えにありました公定歩合の引き下げ等がさらにそれの支えになるであろうというふうに考えます。
#304
○安恒良一君 答えがされておりません。
 現在の成長のスピードですね、瞬間風速はどのぐらいになっていますか、ことしになって。
#305
○政府委員(赤羽隆夫君) 現在の経済拡大の瞬間風速でございますけれども、統計が出てまいりますのが六月の中ごろでございますので正確なことは言えませんけれども、私どもといたしましては、昨年末に六十一年度の経済見通しをつくる作業をした場合に、六十一年度の前提となります六十年度の経済成長率の実績見込みをはじきました。そのときの考え方は、六十年度の上期におきましては年率で三・九%、これは実績が出ております。それに対しまして、下期は三・二%程度に若干スローダウンするであろう、こういう想定をしておりましたけれども、今のところこれを変えるような情報はございません。したがいまして、三%をちょっと上回る程度の瞬間風速ではないかと考えております。
#306
○安恒良一君 私は、やっぱり経済の現状はやや悪化が憂慮されていると思うんですね。ここ一、二カ月公表されました設備投資のマイナス、企業収益の落ち込み、それから税収欠陥の拡大、こんなところから考えると、瞬間風速はせいぜい今二ないし三%内外ではないだろうかという実は心配をしています。
 それから、公定歩合の引き下げによる成長率を計量的になかなかはかりにくいと言われますが、いろんな学者先生から今回の引き下げが大体〇・二ないし〇・三程度じゃないかということが言われております。これは私が計量計算したわけではないわけです。ですから、こういうようなやり方でいきますと、円高で輸出はだめ、設備投資の方もだめ、それから現状の政府の施策も公定歩合の引き下げ、一連の政策もなかなかうまくいかない。そうすると、本当に四%を達成するということになるためには、唯一、民間の最終消費支出の伸びが問題ではないかと思いますが、その点どうでしょうか。
#307
○国務大臣(平泉渉君) ただいま申し上げましたように、大体円高のメリットが後半から出てくれば、現在既に非製造業関係の設備投資は堅調でございますが、だんだん設備投資の動きも変わってまいる。民間消費、これももちろん今おっしゃるとおり、消費需要というものももちろん重要でございます。そういう辺が両々相まって、私どもは成長を実現してまいりたいと思っておるわけでございます。
#308
○安恒良一君 そこで、民間消費を占うものとして、家計費が一九八五年どういうふうに伸びたか。全国世帯の実質消費、勤労者家計、それから実質可処分所得、それから五十九年度の全国消費著実態調査、こういうものについて説明してみてください。
#309
○政府委員(北山直樹君) お答えいたします。
 今の順序でいきますと、初め消費支出だと思いますが、これは昭和六十年につきましては実質で〇・三%増、こういう格好になっております。それから可処分所得でございますが、これは昭和六十年に一・九%の増ということでありまして、これは四年連続で実質的に増加している、こういうことでございます。それから実収入でございましたか、全国消費実態調査は五年ごとにやりまして、前年というのはございませんけれども、昭和五十四年に比べまして、五年間で消費で実質で〇・二%の増、こういうことになっておりますが、これは九月から十一月までの結果でございまして、一年間の結果と若干違ってくる、こういうようなことだと思っております。
#310
○安恒良一君 総理、今お聞きくださったように、前年度の政府が発表されたものでわずかしかよくなっていないんですね。ですから私は、やっぱり何としてでも、結局新年度の経済動向を決定するのは民間の最終消費支出をふやすしかない、その推移にあるだろう。そうすると、それはことしの春の賃金がどれだけ上がるかということ、それから減税がどれだけされるか、それから福祉安定や国民生活安定で国民の不安を除去しなきゃならない、これがあるとまた貯蓄に回りますから。こういうことにかかわると思いますが、この点について総理に最後にお答えしていただきますが、労働大臣、それから経企庁長官、それから日銀総裁、そして最後に総理、その点についてどうかということをお答えください。
#311
○国務大臣(林ゆう君) 昭和六十一年度の政府の経済見通しによりますと、実質経済成長は四%、先生の御指摘のとおりでございますが、これと関連いたしまして一人当たりの雇用者の所得は三・九%の増ということになっております。賃金はどの程度上がったらいいかというようなお話でございますけれども、春闘の賃上げ率は主として所定内給与の引き上げ率でございまして、雇用者所得の中にはそのほかに時間外手当とかあるいはまたボーナスなども含まれるもので、この両者を直接に結びつける、そして比較するということはできないというふうに考えております。
#312
○国務大臣(平泉渉君) 国民所得の七割を占める雇用者所得でございますから、これが一人当たりふえてくるということは最も望ましいことでございますが、それが本当にできるような経済情勢というものを、やっぱり我々政府の責任としてつくっていかなきゃならぬと思っておるわけでございます。
#313
○参考人(澄田智君) 私どもの方の直接の関係ではございませんが、雇用者所得の増加が、本年のように円高の影響あるいは石油価格の引き下げというような影響で物価が極めて落ちついているという状態のもとにおきましては、これが個人消費の実質的な増加に結びつく、そういう意味で好ましい影響がある、かように思う次第でございます。
#314
○国務大臣(中曽根康弘君) 所得増をもたらす大きなものは結局景気でありますが、景気を考えると、日本の場合におきましては、やはり民間設備投資、特に住宅関係というのが非常に重要な要素、それから金利の引き下げあるいは石油そのほかの輸入物価の低落、それと賃金、消費需要、こういうような諸要素があると思うのです。ですから、一つだけを考えるということは必ずしも妥当ではないと思います。
#315
○安恒良一君 労働大臣、あなたに言っておかなきゃならないのですが、いわゆる民間の最終消費をふやすためには賃金引き上げというのが一つの大きな要素であることを、労働大臣、あなたは否定するんですか、あなたの今の答弁を聞いておると。
#316
○国務大臣(林ゆう君) 言葉足らずで大変恐縮でございましたけれども、賃金の引き上げというものは内需拡大につながる大きな要素であろうかというふうに私も思っております。
#317
○安恒良一君 次は、東京サミットと政策転換ということでちょっとお聞きしたいのですが、先進国の経済はここ数カ月の異同はどういうふうになっていますか。それから、日本の経済実態は統計数字の動きでどうなっていますか。
#318
○政府委員(丸茂明則君) まず我が国の経済の現状でございますが、昨年から輸出の方はやや横ばいぎみになっておりますが、国内民間需要が、細かい点は省略させていただきますけれども、民間設備投資、個人消費、住宅投資、それぞれに拡大をしておりまして、現在も緩やかな拡大を続けているというふうに考えております。
 それから一方、物価は非常に落ちついた状況にございますし、国際収支、特に経常収支の方は依然として一カ月五十億ドルを超えるような大幅な黒字が続いております。これは円高が進行しておりますけれども、円高に伴いましてむしろ円建てで輸出している分のドル価格が自動的に引き上げられるという要素がございますので、現在のところはまだ大幅な経常収支の黒字が続いているということでございます。
 一方、物価の方は、消費者物価で前年比二%程度ということで非常に安定した状況でございます。
 一方諸外国、特に主として先進国の経済でございますが、アメリカ経済につきましては当初急速な拡大から鈍化をいたしまして、昨年は二%をちょっと超える程度の成長にとどまっておりますが、在庫の調整がほぼ終了の段階に入っていること、それからドル高の修正が進んでいるということもございまして、現在もまた、今後しばらくの間も拡大傾向が維持されるというふうに考えております。
 また、ヨーロッパにつきましては、今回の景気回復が始まりまして以来三年間二%程度というかなり緩やかな拡大にとどまっておりましたが、昨年ぐらいから輸出は伸びが鈍っておりますが、国内需要がふえてまいりまして、特にドイツを中心にいたしまして、ことしは昨年を若干上回る成長になるというふうに考えております。
#319
○安恒良一君 先進諸国は、ことしに入ってやや明るくなりつつあるということは私は言えると思うんですね。それから逆に日本の場合、いろんなことを言われましたけれども、残念ながら現在の時点をとらえると暗くなりつつあるというふうに私は経済の諸統計を読むわけなんです。そういう中でサミットを迎えるので、そこのところを私は聞きたかったわけなんですが、そうしますと、日本の内需拡大は国際的に期待されているんですが、その期待と逆な経済実態になったということでサミットを迎えますと、政策責任が私はサミットでは問われると思うんです。
 既にOECDそれからTUC、これは労働組合側ですが、内需拡大問題で、労働時間の短縮を含む労働標準問題が東京サミットの基本的課題であるという文書を作成して発表していますね。さらにECの対日包囲作戦といいますか、きのうの夕刊にもでかでかと載っていますね。外相理事会の決定と、こういうようなことが出ているんですが、例えば昨日のいわゆるECの外相理事会で決められたことについてどう対処するのか、またサミットのときにどういうふうにされるのか、そこのところを聞かしてください。
#320
○国務大臣(安倍晋太郎君) ECの外相理事会の対日問題に対する結論につきましては、日本が市場開放等については相当努力していると率直に評価をいたしておるわけでありますが、しかし同時に、日本については輸入目標等の設定をすべきである、あるいはまた部門別にさらに市場開放を行うべきであるというようなことも決めておるわけでございますし、日本としましても、そうしたECの要請等も踏まえながら今後協議をして、市場開放、さらに自由貿易体制を堅持していくということで努力していかなきゃならぬと思います。
 全体的には、今お話しのように、アメリカあるいはまたヨーロッパにおきましては、我々が予想していたよりは腰が強いといいますか、そういう状況にあるわけでございます。日本は今の経済目標に向かってこれからいろいろと政策の積み上げを行って努力をして、その目標を達成するという姿勢の中でサミットを迎え、そしてこれを成功に導かなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
#321
○安恒良一君 総理、東京サミットの成功のために今いろんな問題が内外から寄せられているんですが、やはり政府の政策の基本姿勢の転換を内需拡大で本当にやらなければいかぬのじゃないか、こう僕は思いますが、そういう点について総理はこれをどういうふうに、きのうのECの外相会議の対処の仕方、それから新ラウンドがことしの秋に開かれますが、これではどんなテーマが議論されるのかということも私は知りたいんです。どうもきのうの新聞を見ますと、ECがこれと我が国の黒字減らしの要求を絡めているというような問題も見られるんですが、これらを踏まえて、東京サミット成功のために総理はどうされようとしているのか、少しお考えを聞かせてください。
#322
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり日本の黒字解消に対する努力、それについてはアクションプログラムの徹底的な実行とか、あるいは金融や円の国際化、自由化をさらに推進するとか、あるいはさらに製品輸入を増大するとか、市場アクセス問題をアクションプログラムの推進と同時にさらに前進させるとか、あるいは内需の振興、特に住宅政策の推進等による中長期的な内需の振興、あるいはある意味においては輸出志向型の産業構造体制から若干の転換あるいは是正、そういうさまざまな要因があると思います。むしろそういう基本的な構造的な方向を、長期的なものとして関係各国が注目しておるのではないかと思います。
#323
○安恒良一君 総理、私はやはり、日本のライフスタイルを変えてくれ、狭義な消費生活の中身を変えろということでなくて労働時間短縮を含む日本の労働のあり方、それから教育やカルチャーを含む地域社会生活のあり方、それから私的消費生活と社会公共サービスの組み合わせ等経済大国にふさわしい日本に変えてくれ、こういうことではないだろうかと思うんですが、その点について労働大臣、総理どうお考えになりますか。
#324
○国務大臣(林ゆう君) 労働時間の短縮は、勤労者の健康あるいはまたゆとりある家庭生活、また自分の資質向上のために資する時間、そういったものにつきまして、それからまた消費の機会がふえるということで、内需の拡大にもつながるというような観点からも大切なことだろうと私どもは認識をいたしております。
 そして、今度の先生御指摘のようなことにつきまして、私どもといたしましては一応昭和六十五年度を目標といたしまして労働時間の短縮というもの、具体的に申し上げましたら有給休暇を完全に消化するとか、あるいは週休二日制の定着の促進を指導するとか、そういったようなことを六十五年度をめどに、そしてまた年間二千時間の勤労時間とか、一週間四十五時間とか、そういったようなものを今啓蒙、開発、指導しておるところでございます。
#325
○国務大臣(中曽根康弘君) ECの外相理事会とかそのほかの専門家は構造的な問題、つまり産業構造とか金融あるいは国際関係、そういうものを割合に強く言っておるので、むしろ国内外の労働界の皆さんや識者は今のような時間短縮の問題とか何かも言っておられる。しかし相手国は、日本のそういう内部的な問題については余り言いません。むしろ内政干渉になるというのを心配しているのかもしれません。むしろ日本又び内外の労働関係の方や識者がそういう点はつとに高らかにおっしゃっておる、そういう状態であると思います。
#326
○安恒良一君 やはり労働大臣も総理も非常に認識があれだと思いますが、千九百時間は既にアメリカやヨーロッパ諸国全部なっているんですが、それをこれから十五年かけて千九百時間にするなどというのはあれだと思います。それから総理、何も労働界が言っているわけじゃなくて、公正競争の観点から非常にこのことはアメリカや諸外国が問題にしているということは御認識をお持ち願っておきたいと思います。
 そこで、次は平和相互銀行の問題にまいりますが、ちょっとこれを総理見てください。(資料を示す)
 私は、今回の住友銀行と平和相互銀行合併問題が救済合併劇だ、こういうふうにされ、そしてこれは金融再編成の新しい手段だ、こう言われていますが、しかも一般の評では、まことにスムーズなできたレースだ、こう言われていますが、この点大蔵大臣、総理、どう思われますか。
#327
○政府委員(吉田正輝君) 金融機関の合併というような問題でございますけれども、これは金融機関によりまして経営内容、経営基盤、それから適当な相手がいるかどうかとか、いろいろさまざま異なりますので、ケース・バイ・ケースで対応するよりほかはないのではないかと思います。したがいまして、金融再編成のいわばモデルというようなことにはならないと思いますが、先ほどの御質問の出来レースでございましょうか、そういうお言葉にあるようなことではございませんで、住友銀行との合併を進めるという平和相互銀行の決断は、平和相互銀行自身が預金者に迷惑をかけないとか、行員の生活の安定を図ろうというような再建計画を策定する過程の中で、ただいま申しましたような種々の事情を勘案の上自主的に下されて、それが両協議の上合意をなされたものと了解しておるわけでございます。
#328
○安恒良一君 総理、大蔵大臣、住友銀行は大蔵、日銀に貸しをつくった、こう言っていますが、中曽根内閣は住友銀行から借りをつくられましたか。また住友銀行は特別低利融資を求めていると言われますが、それは事実ですかどうですか。そのことについて住友銀行の要求をのむ考えがありますか、どうですか。大蔵大臣答弁ください。
#329
○国務大臣(竹下登君) ケース・バイ・ケースで自主的にこういうのは行われていきますので、別に貸しとか借りとかの問題にはつながらぬと思います。
 それから、いわゆるそれによって特別な融資というようなものはないと思っておりますが、これは正確に事務当局から答えた方がよかろうと思います。
#330
○政府委員(吉田正輝君) 貸し借りの問題でございますけれども、これは金融機関は公共的使命を有しておるとは申せ本質的には私企業でございますので、経営の根幹に触れるような合併というような問題については、まずは経営者の自主的判断に基づく当事者間の合意というものが前提にされねばならぬというふうに私ども考えておるわけでございます。
 それから、低利の特別融資を求めているかどうかというようなことの御質問でございますけれども、住友銀行が合併の見返りとして特別の条件を要求しているというようなことはございません。例えば、日本銀行との関係なども御念頭に置きながらの御質問かとも思いますけれども、住友銀行ないし平和相銀と日本銀行の金融取引は、今後とも従来同様、通常のルールに従って行われることになるだろうというふうに考えております。
#331
○安恒良一君 そこで、平和相互銀行が行き詰まって自主再建で考えついた、こういうことですが、五十五年四月九日の本院物価等対策特別委員会で、平和相互の経営に対していろいろ問題にしましたが、いささかも問題がないというふうに答えられていますが、今日のざまですね。この点について大蔵省自身としてはどう責任をおとりになるんですか。
#332
○政府委員(吉田正輝君) 五十五年四月九日、参議院物価等対策特別委員会で同行の経営上問題ない旨の答弁を行ったことは事実でございますが、これは当時におきまして、同行には預金者保護に欠けるほど資産内容が悪化しているというような経営上の問題はないという趣旨で申し上げたわけでございます。この点は、五十五年五月十四日付の目黒今朝次郎議員の質問主意書に、対する答弁書、及び五十五年十月二十二日、参議院決算委員会における銀行局長答弁において申し上げているところでございまして、少なくとも当時における認識は以上のようなものであったと承知しているわけでございます。
 その後、本件が種々の経緯を経たことは事実でございますけれども、最近における同行の経営困難に対しましても、大蔵省といたしましては資金繰り支援の態勢を整備し、預金者保護に欠けることとならないよう配慮してきたつもりでございます。
#333
○安恒良一君 その当時はそうだと言い逃れするのなら、じゃ、これを聞きましょう。それじゃ、銀行の検査に要した、これは平和相互銀行じゃありませんが、平均日数と検査官は延べ一行当たり幾らでしょうか。それから平和相互銀行に対するこの十年来の検査実施の期間、それから検査に要した検査官の延べ人員、それから今回の異例の長期検査の目的は何であったんでしょうか。
#334
○政府委員(吉田正輝君) まず、一般的な統計的な数字を申し上げますと、相銀関連でございますから地銀、相銀などの平均日数及び検査官の延べ人員を申し上げたらよろしいかと思いますけれども、過去二年間における一行当たりの平均検査日数は、地銀が二十五日、相銀が二十四日となっておりまして、これを平均延べ人員に直しますと、地銀が百三十五人日、相銀が百二十六人日となっているわけでございます。
 それから、過去十年の平和相銀に対する検査の状況、日数及び延べ人員を、それぞれ二年ごとに大体やっておりますので、それに応じまして申し上げさせていただきますと、五十二年六月十八日実施分については二十八日間、百四十人日、五十四年十一月二十四日実施分につきましては二十四日間、百二十人日、五十六年八月十九日実施分につきましては三十日間、百八十人日、五十八年十月七日実施分は三十二日間、百九十二人日となっているわけでございます。今回の平和相銀、昨年からことしにかけて行われた検査の日数でございますけれども、百四十三日、延べ人員は一千一人日を要したわけでございます。
 検査の目的でございますけれども、これは私どもの金融検査は銀行の健全性確保の見地、終局的には預金者保護、信用秩序の維持を目的とするわけでございまして、金融機関の業務全般にわたって実施することになっておりまして、平和相銀に対しましても従来よりそのときどきの状況のもと最善を尽くすよう努力してきたところでございますけれども、今回検査におきましても、先ほど申し上げましたような目的で調べることは調べるとの観点から、厳正に深度のある検査を実施したところでございます。
#335
○安恒良一君 その結果判明した第三分類、第四分類の確定額は幾らになっていますか。
#336
○政府委員(吉田正輝君) 従来より個別の金融検査の結果については答弁を差し控えさせていただくことにしておりまして、お尋ねの件に関しましては金額そのものは申し上げることができません。
 ただ、平和相銀の場合、かかる事態になったこともあり、あえて感触を申し上げるとすれば、与信内容に相当の問題が存在すると認められると申し上げることができると思います。
#337
○安恒良一君 答弁納得できません。これだけの大きい問題になって、しかも既に週刊ポストとかサンケイ新聞とか、いろいろ確定額が述べられています。大臣、ひとつこのところは大臣からしかと中身を答弁してください。
#338
○国務大臣(竹下登君) いわゆる与信の内容につきまして公表するということは、これは事実上差し控えさしていただくということが恐らく今日までの原則であるというふうに思っております。したがって、今抽象的に、与信内容について相当の問題が存在しておったということを申し上げるのがやっぱり限界であろうというふうに思っております。
#339
○政府委員(吉田正輝君) ただいま大臣が申し上げましたとおりでございますが、金融検査は税あるいは検察等々と異なりまして反面調査もできない任意調査でございまして、有効に実施するためには金融機関との間の信頼関係が重要な前提となっております。つまり金融機関から提出される資料をもとにいたしまして検査するわけでございまして、具体的な金額等について申し述べさせていただきますようなことになりますると、金融機関と金融取引者との間の関係が円滑にならない、金融取引が円滑を欠くことにもなりまするし、金融機関から今後検査についての協力を得られないというようなことになりますると、先ほど申し上げましたような検査の究極的な目的でございます預金者保護、信用秩序維持に遺憾なきを期すということが不可能となりますので、個別の事柄については御答弁を差し控えさせていただいておりますのが従来からのお願いでございまして、このたびもそのようにお願いさせていただきたい、答弁を差し控えさせていただきたいというのはそういうことでございますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
#340
○安恒良一君 私は、預金者保護の大義名分からいっても、これだけ問題が起こっているところについて、やはり預金者の不安を除くという意味からも正確な金額が公表されてしかるべきだと思う。
 理事、この扱い協議してください。
#341
○国務大臣(竹下登君) これは恐らく、私の勘ぐりでございますが、一応住友との合併等も行われて、今いわゆる預金者に何の不安も与えていないような状態になっておるから、したがって過去の問題については発表してもいいじゃないか、あるいはこういうこととも思うのでございますが、やっぱりとにかく検察でないということと税務でないということで反面調査を求められないところの任意調査で相手の協力を得てやる、これが限界でございますので、やはりこれは従来どおりこの問題について、いわゆる大蔵省が行います銀行検査の内容については数字をそれぞれ公表するということは、これは差し控えさしていただくということを貫き通すことをお認め賜りたい、こういうことであります。
#342
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#343
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
 暫時休憩いたします。
   午後四時三十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後四時五十六分開会
#344
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を再開いたします。
 安恒君の残余の質疑は明日に譲ります。
 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト