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1985/03/15 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第10号
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1985/03/15 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第10号

#1
第104回国会 予算委員会 第10号
昭和六十一年三月十五日(土曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月十四日
    辞任         補欠選任
     海江田鶴造君     吉村 真事君
     梶木 又三君     矢野俊比古君
     中野 鉄造君     中野  明君
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     山田  譲君     小柳  勇君
     稲村 稔夫君     村沢  牧君
     田  英夫君     宇都宮徳馬君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         安田 隆明君
    理 事
                遠藤 政夫君
                志村 哲良君
                桧垣徳太郎君
                降矢 敬義君
                水谷  力君
                和田 静夫君
                太田 淳夫君
                佐藤 昭夫君
                井上  計君
    委 員
                安孫子藤吉君
                岩動 道行君
                石井 道子君
                石本  茂君
                長田 裕二君
                坂元 親男君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                竹山  裕君
                秦野  章君
                林 健太郎君
                宮澤  弘君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                柳川 覺治君
                吉村 真事君
                稲村 稔夫君
                粕谷 照美君
                久保田真苗君
                小柳  勇君
                佐藤 三吾君
                高杉 廸忠君
                村沢  牧君
                安恒 良一君
                大川 清幸君
                刈田 貞子君
                高桑 栄松君
                中野  明君
                橋本  敦君
                抜山 映子君
                宇都宮徳馬君
                青島 幸男君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       法 務 大 臣  鈴木 省吾君
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
       厚 生 大 臣  今井  勇君
       農林水産大臣   羽田  孜君
       通商産業大臣   渡辺美智雄君
       運 輸 大 臣  三塚  博君
       郵 政 大 臣  佐藤 文生君
       労 働 大 臣  林  ゆう君
       建 設 大 臣  江藤 隆美君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    小沢 一郎君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)      江崎 真澄君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       古賀雷四郎君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  加藤 紘一君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       平泉  渉君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       河野 洋平君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  森  美秀君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  山崎平八郎君
        ―――――
       会計検査院長   大久保 孟君
        ―――――
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   的場 順三君
       内閣法制局長官  茂串  俊君
       内閣法制局第一
       部長       工藤 敦夫君
       臨時行政改革推
       進審議会事務局
       次長       山本 貞雄君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   本多 秀司君
       総務庁行政管理
       局長       古橋源六郎君
       防衛庁参事官   瀬木 博基君
       防衛庁参事官   千秋  健君
       防衛庁参事官   筒井良 三君
       防衛施設庁施設
       部長       宇都 信義君
       防衛施設庁建設
       部長       大原 舜世君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁調査
       局長       丸茂 明則君
       科学技術庁研究
       調整局長     内田 勇夫君
       科学技術庁振興
       局長       藤咲 浩二君
       国土庁長官官房
       長        吉居 時哉君
       国土庁長官官房
       会計課長     斎藤  衛君
       法務省刑事局長  岡村 泰孝君
       法務省訟務局長  菊池 信男君
       法務省人権擁護
       局長       野崎 幸雄君
       法務省入国管理
       局長       小林 俊二君
       外務省アジア局
       長        後藤 利雄君
       外務省北米局長  藤井 宏昭君
       外務省中南米局
       長        山口 達男君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    三宅 和助君
       外務省経済局長  国広 道彦君
       外務省経済協力
       局長       藤田 公郎君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       外務省国際連合
       局長       中平  立君
       大蔵大臣官房審
       議官       尾崎  護君
       大蔵省主計局長  吉野 良彦君
       大蔵省関税局長  佐藤 光夫君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
       国税庁次長
       国税庁直税部長
       事務取扱     塚越 則男君
       国税庁調査査察
       部長       日向  隆君
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生省社会局長  小島 弘仲君
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房予算課長    鶴岡 俊彦君
       農林水産大臣官
       房経理課長    松下 一弘君
       農林水産省経済
       局長       後藤 康夫君
       通商産業省通商
       政策局長     黒田  真君
       通商産業省生活
       産業局長     浜岡 平一君
       資源エネルギー
       庁長官      野々内 隆君
       中小企業庁長官  木下 博生君
       気象庁長官    内田 英治君
       郵政大臣官房長  中村 泰三君
       郵政省通信政策
       局長       奥山 雄材君
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働省労政局長  加藤  孝君
       労働省労働基準
       局長       小粥 義朗君
       建設大臣官房長  高橋  進君
       建設大臣官房会
       計課長      望月 薫雄君
       建設省建設経済
       局長       清水 達雄君
       建設省都市局長  牧野  徹君
       建設省道路局長  萩原  浩君
       建設省住宅局長  渡辺  尚君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
       自治省行政局選
       挙部長      小笠原臣也君
       自治省財政局長  花岡 圭三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   説明員
       外務省経済局次
       長        池田 廸彦君
       会計検査院事務
       総局第五局長   秋本 勝彦君
   参考人
       中小企業事業団
       理事長      森口 八郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十一年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十一年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(安田隆明君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和六十一年度総予算審査のため、本日、中小企業事業団理事長森口八郎君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(安田隆明君) それでは、昨日に引き続き、総括質疑を行います。佐藤三吾君。
#6
○佐藤三吾君 冒頭に委員長にお願いがあるんですが、私が答弁者を指名した場合に、あなたが勝手に指名変更して答弁者を指名する、こういうことのないようにお願いしておきたいと思います。
#7
○委員長(安田隆明君) はい。
#8
○佐藤三吾君 しかし、総理、お疲れのことだと思うんですが、フォーカスでもされておりますが、よく眠っておられる。まあ○○ほどよく眠るというふうにございますから、注意した方がいいんじゃないかと思います。
 そこで、ちょうど総理になって三年四カ月ですか、もうそろそろ任期も来ているということですが、総理の感想をお聞きしたい。
#9
○国務大臣(中曽根康弘君) 国民にお約束しました公約をぜひとも遂行して責任を果たしたいと思うばかりであります。
#10
○佐藤三吾君 次に、サミットの問題で二つほどお伺いします。
 よく選挙民に聞かれるんですが、テレビで見ると総理がいつもレーガンのそばに寄り添っておるのはあれはどういう意味があるんでしょうか、こう聞かれるんですよ。
 もう一つは、与党の議員の方がたくさんぞろぞろ参加なさる、あれはどんな役割だろう、こう聞かれるんですが、答えてください。
#11
○国務大臣(中曽根康弘君) あの写真は、自然にああいう形ができるので、別に意図的なものがあったわけじゃありません。大体雑談しているその流れが流れていくとそういう形になる場合が多いと思います。
 それから、与党の皆さんに御同行願っておりますが、これは議員外交をその間にやっていただきまして、各国からも来ておる議員さんやあるいはその国の議員さん、議長さん等といろいろ政治や経済やサミット問題等を中心にして意思交換等を行っておるところでございます。
#12
○佐藤三吾君 労働、建設大臣にお伺いしますが、サミット七カ国の対比で年間労働時間数、年休取得日数、また道路舗装率、下水道普及率、都市公園の一人当たり面積、いかがですか。
#13
○国務大臣(林ゆう君) 細かい数字でございますから、政府委員をもって答弁させていただきます。
#14
○政府委員(小粥義朗君) 労働時間の国際比較はいろいろ困難な問題がございますので、幾つかの前提をそろえて比較した数字で申し上げますと、一九八三年時点の製造業の生産労働者の数字で申し上げますが、年間の総実労働時間は日本が二千百五十二時間であるのに対しましてアメリカは千八百九十八時間、イギリス千九百三十八時間、イタリア千六百二十二時間、西ドイツ千六百十三時間、フランス千六百五十七時間ということになっております。カナダについては正確な数字がございません。
 それから、年休の取得日数でございますが、日本が十日でございますが、それに対しましてアメリカ十九日、イギリス二十三日、イタリア二十四日、西ドイツ三十一日、フランス二十六日ということになっております。
#15
○国務大臣(江藤隆美君) 欧米諸国は昔から道路が馬車道でありましたので、道路の改良率というものがありませんで、舗装率ということになるわけでございます。資料が古いので恐縮でありますけれども、五十九年四月一日時点で、日本が舗装率五六%、アメリカは土地が広うございますから八二、フランスが九二、それからイタリアが大体九九、そのほかの欧米諸国は大体一〇〇%近い、こう思っていただいてよろしいと思います。
 それから下水道の普及率でありますが、日本は御承知のように大変おくれておりまして、また六十一年度から十二兆二千億で五カ年計画がスター
トするわけでありますけれども、日本は六十一年度が終わりました時点で三六%、五カ年計画が終わりますと大体四六%になると思います。アメリカが七二%、イギリスが九七%、フランスが六五%、西ドイツが九一%、イタリアが六七%、カナダが七四%、かなり土地の広い国がございますものですから、これだけはやっぱり一〇〇%には至っていないようでございます。
 都市公園は、日本が東京の場合二・一平米ですが、ほかの国からすると大体半分以下だと、こう思ってくだされば結構でございます。
#16
○佐藤三吾君 総理、日本は経済大国、資本大国と常に胸を張っておっしゃるわけですが、内容は、今申されたように、労働者の労働時間や生活関連の事業というものは非常におくれておる。こういう経済大国、資本大国にしたのはまさに勤労者であり、そして同時に勤労国民の皆さんが汗を流してつくり出した、こういうことを考えると、今、国際、国内情勢の環境からいっても内需を拡大せよという強い要求がある。大幅賃上げを実現して消費をふやさなきゃならぬという要求もある。こういうような情勢を受けて、サミットもあることですから、胸を張って出られるような施策をきちんとして出るべきじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
#17
○国務大臣(中曽根康弘君) 国際経済に調和した日本国経済をつくり出していくためにも、また現在の中小企業等に見られる円高不況等に対するいろいろな姿勢からも、内需の喚起ということに今全力を尽くしておるところであります。四月に予算が成立しました暁に、その予算執行に伴う新しい経済政策を発表するように今全力を尽くしておるところでございますが、何しろ財政的には厳しい状況ですから、財政的に厳しい中にも公共事業費等は量において三・七%から四・三%にかさ上げしておりますが、そのほかにも民活等あらゆる知恵を絞り、あるいは公定歩合を二度も引き下げまして四%まで下げまして、あらゆるものを総合的に組み立てつつ努力しておるところでございます。
#18
○佐藤三吾君 次に、靖国問題と私的懇談会についてお伺いします。
 靖国問題が昨夏の公式参拝で中国を初め国際問題になっていることは御承知のとおりです。これは、侵略された痛みというのはそう忘れられるものじゃない、同時に日本はやはり加害者であるということを忘れてはならぬと私は思うんでありますが、今後の対応を含めて官房長官、総理の見解を聞きたいと思います。
#19
○国務大臣(後藤田正晴君) お答え申し上げます。
 靖国神社のいわゆる公式参拝につきましては、御案内のように各方面から公式参拝すべきであるといったような強い御要請もあり、しかしながら従来からの、政府のといいますか、法制局長官の見解等もございまして、各方面の意見を慎重に聞かなければならぬということで、官房長官のもとにいわゆる靖国懇を設けまして一年間慎重に検討の結果、いわゆる遺族の大部分の方、そしてまた国民の多数の方々が、戦没者の追悼を行うという場合の施設として靖国神社が一番適当である、こういうようなことで、多くの意見を背景にしながら、靖国懇の御意見を踏まえながら、政府としては昨年の八月十五日に宗教儀式によらないいわゆる公式参拝を行ったわけでございます。そのことについて中国のみならず東南アジアの一部の国々からもいろんな批判があることは承知いたしております。
 ただ、この問題はいわば内政問題である、かように私は基本的には理解をいたしております。しかしながら同時に、過去の戦争で我が国によって大きな惨禍を受けた中国の民衆あるいは東南アジアの民衆、こういった方々のお考えということもやはり日本としては配慮しなければならぬ事柄であろう。したがいまして、いわゆる公式参拝が軍国主義を復活させるといったような趣旨ではなくて、ただひたすらに戦没者の追悼を行い、そして我々としては平和を祈念するというためにああいった参拝を行ったものであるという事柄を中国なりそういった国々に十分時間をかけて説明し、理解を求めていくべき事柄であろう、私はかように考えているわけでございます。
#20
○国務大臣(中曽根康弘君) 官房長官が答弁されたとおりでありますが、大勢の遺族の要望にもこたえ、かつまた宗教的性格を抜きにしまして、そして戦没者の追悼とそれから平和や不戦に対する決意を固める、そういう意味で靖国神社の参拝を行ったところであります。しかし、国際関係というものも政治の面においては考慮しなければなりません。また国民の内部のさまざまな御議論あるいは遺族の強い御要望等とも調和させなければなりません。そういう意味におきまして、政府としては慎重に対処しておるということでございます。
#21
○佐藤三吾君 総理は、自民党の研修会ですか、四国かどこかでしゃべった中で、今の若い者が国のために死ぬためには、それの戦争との関係をきちんとしたものとするのは当たり前じゃないか、こういう趣旨の発言をなさった経緯もあるわけですが、それは慎重に今後対応する、こういうことですか。
#22
○国務大臣(中曽根康弘君) そういうことであります。
#23
○佐藤三吾君 靖国問題もそうでございますが、私設懇談会、研究会というものが中曽根内閣になって非常に利用される。
   〔委員長退席、理事桧垣徳太郎君着席〕
この問題もそうでございましたし、再三この国会の中で私設懇談会については自粛を確約しておるのでございますけれども、なかなかそうはいっていない。この点について官房長官並びに総理の見解を聞きたいと思います。
#24
○国務大臣(後藤田正晴君) いわゆる私的懇談会、この件については国会等においてもしばしば御意見を拝聴いたしております。ただ、政府なり各省が行政運営上役所の窓からだけじゃなく、広く学識経験者の意見を聞いて、そして政府なりあるいは各省なりが方針を決定するという際に、研究会なり懇談会というものを設けて方針を決めていくということは極めて有効なる手段である、私はかように考えているわけでございます。ただ、それはいわゆる八条機関の審議会と混同しては相ならぬ。八条機関であれば機関意思の決定が行われるわけでございますが、懇談会の場合には委員の方々の個々の意見を参考にして、そして政府なり各省なりが行政運営上の方針を決める際の参考にしていく、こういうやり方でございますから、その区分けは明確にしておかなければならない。
 このやり方について議会軽視であるといったような御批判は十分承知しておりますが、政府としましては各方面の有識者の意見を聞いて方針を決め、それによって立案をし、そして必要な場合に法律案として国会の十分な御審議を願う、こういうことでございますから、私どもとしてはいわゆる八条機関の審議会といわゆる私的諮問機関の区分けを厳重にしながら、そして同時に国会の御審議を十分仰ぐ、こういうことでやっておるわけでございますから、これはけしからぬといったような御批判も当たらない、この制度は有効に作動しておるものであると、かように私は考えておるわけでございます。
#25
○国務大臣(中曽根康弘君) 官房長官答弁のとおり、八条機関と混交しないように、行政の独善を排して、専門家やあるいは国民の世論の存するところをよくきわめるために意見を聞くという形でやっておる次第でございます。
#26
○佐藤三吾君 官房長官、区分けとか、総理はそれに類することを言ったんですが、どういう区分けをするんですか。
#27
○国務大臣(後藤田正晴君) いわゆる八条機関は機関意思の決定をするわけでございます。それを政府としては尊重しなければならぬ、こういう立場に立つわけでございます。他方のいわゆる私的懇談会は識者の意見を参考にして行政運営上適切にとるべきところはとっていく、政府の責任においてやっていく、こういうことでございますか
ら、これを混同してはならぬ、こういうことでございます。
#28
○佐藤三吾君 この一年間の大臣レベル、省庁レベルのこの種の私的懇談会の推移はどうなっていますか。
#29
○国務大臣(佐藤文生君) 郵政省はこの十年来、大変な変化の中にどのような先導的な役割を図らねばならないかということで六つの私的懇談会をつくっております。そのうちの一つは郵便局を中心にした今後のあり方はどうすべきか、あとの五つは、電気通信分野の国際的にあるいは国内的に大変な変化が生じておりますので、郵政省の立場で独善的に物事を考えるんじゃなくして、広く国際的に国内的にいろんなニーズが生まれてきておりますので、それに対応するための懇談会が五つあります。
 それからなお、法律に基づいた審議会等がありますが、特に電波監理審議会あたりは電波とかあるいは放送の内容の規律に関して適時的確に処断しなくちゃならぬということで、法律に基づいた審議会は答申という形で郵政大臣に一つの方向を示す、こういう結論を求めておる。それから私的懇談会の方はいろんな意見が出ますから、それをまとめて私の方にこういういろんな意見がありますよと、こういうことで性格的に私の方に報告をするというか、こういう意見がありますよということを連絡するというか、そういうような結論になって私的懇談会は運営されている。したがって、法的と私的の懇談会とはそれぞれ性格を異にして、たくさんの意見を郵政大臣として情報を入れまして、的確に時代の流れに沿っていくような処置ができるような両方の面のそれぞれの価値を私の方に入れまして一つの方針を示していく、こういう内容になっております。
#30
○佐藤三吾君 労働、厚生どうですか。
#31
○国務大臣(林ゆう君) 労働省におきます私的懇談会は現在十ございまして、その名称を申し上げますと、賃金・物価・雇用問題懇談会、長期労働政策ビジョン懇談会、産業労働懇話会、労使関係法研究会、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律に関する調査会、公共企業体等労働問題懇話会、労働者参加問題研究会、労働基準法研究会、労働時間問題懇談会、男女平等問題専門家会議、この十のいわゆる私的懇談会というものがございますが、労働行政は先生御承知のように、労使の関係の中でいろいろと話し合いをしなきゃいけないというような分野が非常に多くございますので、多くの方々から幅広く多様な御意見を聞いて、その御意見を行政に反映させるということが必要であろうかという趣旨にのっとりましてこういったものを設けておるわけでございますが、労使間におきましては特に利害が対立するということが多くございますので、自由な雰囲気の中で労使関係のお話し合いをしていただいて、それを懇談会から意見を聴取する、そしてまた、八条機関による公的の分との両者の相違を十分に留意しながらやっていかなければならないというふうに私どもは考えておるわけでございます。そういったことで、この懇談会もスクラップ・アンド・ビルドを行うなどいたしまして適切な運用に努めてまいりたい、このように思う次第でございます。
#32
○国務大臣(今井勇君) 厚生省といたしましては、昭和六十年の一月二十五日現在、十一の懇談会を実は開催しておりましたが、私もこの懇談会につきましては必要なものは必要だけれども、やめるべきものはやめようじゃないかということで、現在実は八つの懇談会を開催いたしております。この一年間に結局のところ六つの懇談会が目的を終えておりますし、新たに三つの懇談会を開催することにしたものでございますが、いずれにいたしましても、行政の簡素化あるいは効率化という面から見まして、新たな懇談会の開催につきましては必要最小限にとどめるように厳しく対処してまいりたい、私もそう考えております。
#33
○佐藤三吾君 各省聞きたいんですが時間がございませんから……。
 今聞きますと、これは官房長官か江崎さんかどっちかわかりませんが、こういう業務上必要な機関については、私的じゃなくて八条機関としてなぜきちんとしないのか、その辺が私は一番問題だと思うんですよ。この点について、この一年間の推移を含めてどういう感想なのか、認識を聞きたい。
#34
○国務大臣(江崎真澄君) 簡素、効率的な行政府の運営という面からいいまして、先ほど官房長官が申し上げておりましたし、かねて藤波官房長官当時の速記録なども私拝見しておりますと、極力これは簡略にするように、少なくするようにと。しかし答弁にもありましたように、御承知のまうに、各政党の意見というものはこういう国会審議の場、あるいは政策審議会、私どもで言えば政務調査会、それぞれの機関を通じて十分表明されておるわけであります。
 そこで、民間の人々と自由に懇談する、自由に話し合いをする、これはやはり行政が独善化しないためには非常な役割を果たしておるというふうに確信をいたします。行政組織法の八条によりますと、これはやっぱりその発言そのものが権威も持ち相当な影響力も持ってくるわけでありますが、懇談会という場合は自由な発言の場所、それが行政上の妨げにならない範囲では、もっと国民の意見を広く聞くという意味では、もちろん国民を代表する機関である衆参両院それぞれの各党の意見というものが中心になりますが、一般的意見を広く聞くという意味ならば必ずしも排除すべきものではない。しかしそれが効率的、能率的に働かないようなものは、さっき答弁にありましたように極力避けていく、これが望ましい、そういうふうに私は要請をしておる次第であります。
#35
○佐藤三吾君 自由な発言については私は否定しません。しかし、例えば靖国懇に見るように、お好み学者や財界人を集めて、初めに結論があるわけだ。こういったやり方、これは私はやっぱり私的懇談会の自粛をするという歴代官房長官、総理の答弁とは違いがあると思うんです。この点いかがですか、今後は。
#36
○国務大臣(江崎真澄君) これは御承知のように、あそこでは反対の意見も述べられておることはお聞きのとおりだと思います。自由な懇談をしていただきまして、おおよそのまとめができた、そして後それをどうするかということについては内閣の責任において内閣が決定をしたということでありまして、懇談会そのものに束縛をされたというわけではございません。
#37
○佐藤三吾君 官房長官、これらの私的懇談会、研究会の設置目的、経緯、構成メンバー、これらの提出を要求したいと思います。
#38
○国務大臣(後藤田正晴君) 資料の提出は御要望どおりいたしたい、こう思います。
#39
○佐藤三吾君 次に、自治体問題で二、三質問します。
 昨日の閣議で決定を見て、今国会に法案が提出されるということですからまたその際議論をしたいと思いますが、きょうは予算委員会ですから、総理もいらっしゃるので、ここでひとつ聞きたいと思います。地方六団体の国会への意見提出権を自治省は断念した、削除した、こういう報道がされておりますが、どういう理由なのか。さらに、その理由は各省庁の抵抗があったと聞くんですが、これは各大臣から、どういう意味で抵抗したのか、削除をさしたのか、お聞きしたいと思います。まず自治大臣。
#40
○国務大臣(小沢一郎君) この問題につきましては、地方制度調査会の答申におきましても、地方公共団体の意向が国政に十分反映されるようにという、その方途を講ずべきであるという旨述べられておることは先生も御案内のとおりであります。
 自治省といたしましては、地方公共団体の全国的な連合組織の意見の提出権というものを制度化しようと考えまして折衝、調整、協議を重ねたのでございますけれども、各省庁の調整が得られることができませんでして、この点につきましては大変残念に思っておりますが、今後とも地方公共団体の意向が国政に十分に反映することができる
ような措置を講じていかなければならない、そのように考えております。
#41
○政府委員(吉野良彦君) 担当者がおりませんので的確にお答えできないことをお許しいただきたいと思いますが、便宜私から申し上げますと、恐らく考え方といたしましては、全国の知事さん方あるいは市町村長の皆さん方の御意見は、それぞれ知事さんの御意見あるいは市町村長さんの御意見としてそれは十分政府に反映をされる道があるわけでございます。一方、今お話しのいわゆる六団体、これは言ってみればいわば一種の任意の団体でございますので、そういった団体の御意見を法律上意見の提出というような形で規定をするのはいかがなものか、むしろやはりそれぞれ知事さんなり市町村長の御意見というのは反映される道が講ぜられているのであるから、そういった方策によって反映の実が上がるようにすべきではないかというような考え方があったのではないかというふうに想像をいたします。
#42
○佐藤三吾君 僕は各大臣に指定しておるわけです。
#43
○国務大臣(竹下登君) 私も正確に理解が必ずしもできておりません。今、吉野主計局長が前官房長として恐らく一番正確に理解しておるだろうと思って、私にかわっての答弁をお願いしたわけでありますが、私が聞いておりましても大筋吉野主計局長がお話ししたことではなかろうか、こういう印象を持ちました。
#44
○理事(桧垣徳太郎君) 佐藤委員に申し上げますが、全大臣の御意見をということでございますが、むしろどういう調整事情であったのかということは官房長官からお答えを求めてはいかがですか。
#45
○佐藤三吾君 それでもいいでしょう。
#46
○国務大臣(後藤田正晴君) いわゆる地方六団体の意見提出権の問題は、従来からそういう御要望があることは十分承知をしております。
   〔理事桧垣徳太郎君退席、委員長着席〕
ただ、今吉野君がお答えしましたように、やはり地方六団体は法律上の組織ではございませんし、それからまた、実際は六団体といいましても、これは従来政府は六団体の意見はそれぞれ会議等開きまして十分お伺いをしておるということは一方にございます。それから同時に、基本的には自治省という役所がある、自治省というものが各地方団体の、そういった六団体の意見を十分平素から聞いて、また何らかの際にはそのときどきに応じて意見を聞きながら政府部内において自治大臣が各省に対して要望していく、これは今の制度の基本ではなかろうか、私はかように考えます。したがって、自治省としてはどうしても各省とのいろんな折衝の場合に対立するのが常でございます。しかし、そこらがちょうどいいところではないのかなと、私は実はさように考えております。
 私も長い間自治行政をやっておりましたけれども、法律上の意見提出権ということはやや行き過ぎになりはせぬかな、かように私は思います。今回も自治省としては、地方団体の御意見がそういう点にありましたから、恐らくや私の聞くところでは意見提出権を法律上認めるようにしたらどうだということを各省に働きかけたと思いますが、各省それぞれの立場でそれは行き過ぎではないのかといったようなことで意見がまとまらなかったというのが実態であろう、こう思いますが、私は意見提出権は少し行き過ぎであろう、かように考えております。
#47
○佐藤三吾君 総理、これはあなたの諮問機関の地方制度調査会、私も委員ですが、ここで第十七次も出し、そして今度も出した。それを行き過ぎとはどういう意味ですか。
#48
○国務大臣(中曽根康弘君) 行革審の答申も尊重もし、また地方団体の御意向等も考え、そしてある意味におけるでこぼこ調整的な調整もやりまして今回の措置に相なったものであります。
#49
○佐藤三吾君 いや、今官房長官の行き過ぎというのは私は聞き捨てならないけれども、地方制度調査会の答申が誤っている、こういうことですか。
#50
○国務大臣(後藤田正晴君) 私がさように申し上げましたのは、本来的には自治省という役所が六団体なり地方団体それぞれの意見を聞いてそれを国政の上に反映させるようにできる限りの努力をする。それは全部通るとはこれは限りませんけれども、しかしそれが基本であろう。それと同時に、さればといって政府としてはいろんな場合に六団体とお会いをしていろんな御意見も聞いておる、これで十分ではないのか、こういう意味合いでございます。
#51
○佐藤三吾君 これは調査会の中でも議論もあったんですが、例えば今度のいわゆる民活にしても四国に三つの橋をつくる問題とか、東京湾に橋をつくる問題とか、地方に重大にかかわる問題を国が一方的に決めるということについてはまかりならぬという強い気持ちもあるわけですね。また困っているわけですよ。そういう意味で、そういう大きなプロジェクトをする場合には絶えず地方自治体と協議をすべきだ、これが趣旨ですよ。いかがですか。
#52
○国務大臣(後藤田正晴君) 御質問のような大きなプロジェクトをつくるといった場合に、今日まで地方団体の意見を聞かないでやるということはございません。これは地方団体の意見も十分拝聴した上で政府としては決めておる、かように御理解願いたいと思います。
#53
○佐藤三吾君 いいでしょう。これはまたひとつ法案審議の中でやりましょう。
 そこで、この同じ法案の中で地方自治制度を否定する裁判抜きの国の代執行の強行、こういう措置がとられておるわけですが、どうもこれは聞いてみると仕掛け人は瀬島さんと後藤田さん、あなたらしいんだ。真意は何ですか。
#54
○国務大臣(後藤田正晴君) いわゆるマンデーマス規定についての御質問だと思います。このマンデーマスの規定は、御承知のように国政事務の最終担保のあり方と、いま一つは住民から直接選ばれた地方団体の機関、それとの間の調和を図っておる規定であると、私はかように理解をしておりますが、御承知のような地方自治法制定当時のいきさつもございまして、日本の裁判制度というものがアメリカなんかと事情が異なっております。しかも長期裁判です、日本のは。その長期裁判で二回の裁判所の裁判を経なければ発動ができない。しかも、発動した場合には、地方住民から直接選ばれておって総理大臣とは何の関係もないわけです。その総理大臣が罷免権を発動するということは、いかにもこれは地方自治の精神に反するではないか。ここらを現実的にやはりどう理解をして改善措置を図るか、こういう意味合いで私は今回の提案になっていると思いますが、もちろんこれは国と地方との両者の間における重大な関係を規律している規定でございますから、慎重の上にも慎重な、地方制度調査会においてもそれからまた行革審においても御議論があったように私は承知をいたしておるわけでございます。
 私が仕掛け人だと、こういう佐藤さんの仕掛け人という意味は私はよくわかりません、それは。だから、それは別としまして、これは私の長年の、私自身地方行政に従事をしておりましたから、この規定はでき得る限りはチャンスがあれば改正をすればよろしいと私自身はさように考えておったことは事実でございますが、多少の意見を聞かれたことはありますが、仕掛け人というのはこれはさようなことはございませんので、御理解をしていただきたいと、こう思います。
#55
○佐藤三吾君 機関委任事務の地方議会の審査並びに監査の委員を入れるということに対しては、これは十七次でも出したんですが、今度はそれに伴って裁判抜きの代執行という措置が強行されてきたわけです。例えば土地収用であるとか、こういう緊急な問題については八本の法律がありますように、事足りているんです。自治省もそういう見解なんです。ところが、なぜこれが必要なのかという、指紋押捺は聞かなきゃやるのか、さもなくば、あなた何か一言漏らして取り消したようですが、選挙のときに拒否した場合にやるんだとか、何か有事を展望したものも含まれておるんじ
やないかと思うんですが、いかがですか。
#56
○国務大臣(後藤田正晴君) 私の考え方は、やはり身近な行政というものはできる限り地方に移譲するのが基本であるという私は考え方です。それにはお互いにやはり中央政府と地方政府の間で信頼感を生まなきゃなりません。したがって、マンデーマスの規定が働くというようなことは私はレアケースであろうと思いますけれども、やはり両者の調和は最終担保としては置かなければなるまい、そういう意味合いにおいて現在のマンデーマスの規定では、これは中央政府の立場に立ては、地方にどんどん仕事を任せろといってもなかなか任しがたいという気持ちになるのも、私はこれはやむを得ないのではないか。ならば、ここらは現実的にレアケースでありますけれどもやはり改正をした方がいいのではないのかということで、私はこの意見に賛成をしておるわけでございます。
 なお、選挙事務の云々、これは実は経緯を申しますと、地方制度調査会からの答申がありましたときに記者会見で私が記者の質問に応じて答えたものでございますが、これは、私はそのときの理解は制度論として実は答えたつもりでございます。しかし、地方制度調査会の御意見は、いわゆる行政委員会については答申が出ておりません。答申が出てない。したがって、選挙の代執行は入ってないということがはっきりしておりましたので、私は、これは僕の間違いであって訂正しておくと言って訂正したわけでございます。
 今回の改正規定は、行政委員会についてではなくて知事あるいは市町村長、つまり地方の首長の問題である、こういうことでございます。したがって、今佐藤さんがおっしゃった、何とおっしゃいましたかな。
#57
○佐藤三吾君 指紋押捺、有事。
#58
○国務大臣(後藤田正晴君) 有事なんということは、全然それはもう全く違います。
 この規定を現実的に改正をしながら、同時にやはり長年の地方団体の主張であった監査委員会の権限ですね、あるいは市町村議会の権限の拡充を図っていく。この両々相まって、そして今なかなか機関委任事務を整理しろと言ったところで、遺憾ながらお互いの間に不信感があるわけですから、この不信感を除去する措置を講じながら、やはり機関委任事務なんというものは、できる限り同化しているような事務は地方に任じていく、これこそが本当の意味での地方自治の伸長につながるのではないか。あくまでも現実に立脚して本当に地方自治を伸長しなければならない。それには余りにも国が留保し過ぎておる、あるいは関与し過ぎておる、これをできる限りは地方に任せるべきだ。しかし、それにはやはり中央政府に最終担保としての安心感を与えなければ、幾ら言っても理論倒れになるのではないのか。こういう意味合いでの改正でございますから、そこらは地方自治の本旨を踏まえての改正であると、かように理解していただきたいと私は思います。
#59
○佐藤三吾君 官房長官、本旨を理解しての改正だと言うなら、今八本の単独法がございますね、それ以外に何を求めておるんですか。
#60
○国務大臣(後藤田正晴君) 申しわけありませんが、八本の法律というのは何ですか。
#61
○佐藤三吾君 例えば土地収用法とか代執行的なことを単独法で求めておるでしょう。それ以外に何を求めているんですか、これは。
#62
○国務大臣(後藤田正晴君) いや、私はその内容はちょっと理解できませんので、担当の省があればそこからお答えしていただきたいと思います。
#63
○佐藤三吾君 では、自治大臣でいいですよ。どうぞ。
#64
○国務大臣(小沢一郎君) 八本については全部私も覚えておりませんけれども、先生の御指摘のように、いわゆる特定の目的といいますか、あるいは有事の隊とか選手とか、そういうものでもって今日のこの代執行の問題が考えられておるのではなくて、むしろいわゆる制度論といたしまして、これは官房長官からもお話ありましたが、占領下においていろいろな事情の中で総理の罷免権に始まる二度の裁判等々の今の制度がつくられたのだろうと思います。
 したがいまして、私は基本的には国と地方の意見が対立する、真っ向から利害が対立する、こういうことはあり得ないことだと思いますし、あり得べきことではないだろうと思います。しかし、地方制度調査会の答申にもございますように「明らかに重大な公益の侵害がもたらされるおそれがある場合」にはと、そういう限定を、まあ先生にこんなことを申し上げるあれじゃないですけれども、御存じのことですが、それをつけて、そして今日の機関委任事務のいろいろな諸問題もとらまえて、そして最終的に裁判抜きということでありますけれども、裁判所の審査を最終的に求める制度も踏まえて地方制度調査会に出ておりますので、そういうような観点から私は今回の答申がなされ、それを踏まえて、これはいずれにしてもいろんな議論のあるところでございますので、国会において十分御議論をしていただくというふうに考えております。
#65
○佐藤三吾君 総理、これは今いみじくも官房長官が言ったように、機関委任事務をしておる国に安心感を与える、こういう趣旨でつくったのだということなんですが、機関委任事務そのものがもう早く地方に移管すべき性格のものですね。そういうような中で安心感のために地方自治制度を根底から覆すような、こういった国の代執行制度というのはとるべきじゃない。あなたはいつも車の両輪だと、こう言っておるんですね。両輪ということの意味は、お互い信頼関係がなきゃできないことですよ。ところが、これはもうまさに国の地方に対する不信、そして介入、縄張りを守ろう、これに尽きると思う。こういうことがあっていいのかどうか、あなた、行革は盛んに言っているけれども、ここら辺はきちんとしたひとつ態度を示してもらいたいと思う。
#66
○国務大臣(中曽根康弘君) 行革審の答申を受けまして、中央と地方との権限調整をやろう、そういう意味で片っ方ではこれを譲るが片っ方ではこれをさらに強化する、そういうようなでこぼこ調整をやって、きしまないように調整した結果ああいう形になったと、私はそう思っています。罷免権というようなものはやめる、これはまた非常に戦前の思想のあらわれで、当然これはやめるべきものでありましょう。しかし、また一面におきましては、そういう代行制度というものも認めるが、しかし一面においてはまだ監査委員による機関委任事務に対する監査も認める、こういうように両方の権限を強化し、あるいは調和させてここまできたと、そう考えております。
#67
○佐藤三吾君 まあ、いいでしょう。これは法案審議でまたやりましょう。
 そこで、撚工連の問題に入ります。
 実は、きょう参考人として衆議院の元森文部大臣それから武藤嘉文さん、稻村佐近四郎さん、これは大臣歴皆持っておりますが、御三氏にぜひひとつ事実を究明するためにもこの委員会に来てもらいたい、こういうことをお願いしておったんですが出席できない、こういうことのようでございますから、極めて残念でございますけれども、そういう方々についてはこれに深くかかわっておる問題ですから、これはひとつ委員長の方でも、国民の血税を浪費するという、しかもそれをかたるという、こういう事件でございますから、今後はそこら辺は十分意を体して、国民に明らかにする意味からも、こういうことのないようにひとつお願い申し上げておきたいと思います。
 そこで、そういうことから急に質問の内容も変わらざるを得ないんでございますが、まず通産省にお伺いしますけれども、今回の事件の概要、設備廃棄事業融資の実態、撚工連関係の融資、事業の実態、事件の背景、こういったものについてどう受けとめているか。
#68
○政府委員(浜岡平一君) 基本的には、大変責任のある業務をやっております連合会でこういう事態が発生しておりますことを非常に遺憾に思っておりますし、監督責任の重大さを痛感いたしております。
 事件につきましては現在までのところ三つの展
開がございまして、一つは元経理課長による使い込みの問題、二つ目は五十七年度に行われました設備廃棄事業に際しまして適格性のない設備が対象の中に取り込まれていたということ、それから三つ目に撚糸工連の資金を組合幹部が流用していたと、こういう三つの問題が現在のところ浮上してきているというぐあいに思っておるという状況でございます。
 現在、前の二つにつきましては既に起訴が行われておりまして、三つ目の問題につきましては現在司直サイドでの捜査が行われているという状況でございますが、私ども事態の進展に応じまして、業務執行体制あるいは監督体制等につきまして見直すべきところは十分に見直して業務の厳正な運営を図っていかなければならないと痛感をいたしているところでございます。
#69
○佐藤三吾君 廃棄事業の融資の実態、ちょっと言いなさいよ。
#70
○政府委員(浜岡平一君) この連合会におきます設備共同廃棄事業は、現在中小企業事業団からの融資に依存して行われるというような体制がとられておるわけでございますが、こういう体制がとられるようになりました四十九年度から六十年度までの間に、五つの事業にまたがりまして所要資金の約九〇%、五百六十億円が中小企業事業団から融資をされておるわけでございます。
#71
○佐藤三吾君 中小企業事業団の総裁お見えになっておると思うんですが、こういう内部告発が起こらなければわからなかったというような不始末をやっておるんですけれども、有効な対応はできなかったのか、実態を含めて報告いただきたいと思います。
#72
○参考人(森口八郎君) 申し上げます。
 撚糸工連に対する融資につきましては、生活産業局の方で指導会議というものがございまして、この指導会議で設備廃棄の規模とかあるいは一台ごとの買い上げ単価とかあるいは償還方法等について決められております。
 この指導会議にはもちろん私どもも参画しておりますし、それから関係省庁、それから産地側等々が参画をいたしております。こういう指導会議でそういう方針が決まりますと、私の方は連合会の方から融資に必要な書類を提出させまして、その書類に従って書面審査を行うということといたしております。書面は、借り入れでございますので借り入れの申込書がもちろん主体でございますが、当然それに付随いたしまして、どういう物件について廃棄するのかという廃棄の物件の目録、それから、これは当然廃棄するものが当該連合会あるいは単位組合の組合員でなければいけませんので、組合員であることを証する確認書あるいは買い上げ対象設備が登録設備であることの証明書、これは単位組合から連合会に出すものでございますが、そういう証明書を同時に徴求いたします。それから、当然買い上げられた設備は破砕するわけでございますが、この破砕には県の職員または通産局の職員を含めまして地区組合連合会の職員がこれに立ち合いますので、その破砕に関する確認書を取るわけでございます。それから、この織機はもちろん連合会が買い上げをいたしまして破砕するわけでありますので、それに関する組合員との売買契約書ももちろん取るわけでございます。
 その他、これは当然連合会の仕事でありますので、連合会の仕事であるという旨の組合の決議書等を取ります。その他、もろもろの必要な書類を取るわけでございますが、こういうような書類に従って私どもの審査の委託機関でございます商工中金において審査をし、その上において私の方でもさらに審査をいたすわけでございますが、こういうように審査をいたしましても、今回の事件のように融資の要件でございますまず組合員、中小企業者である組合員であるというようなこと、あるいは登録設備であるというようなことを確認すべき連合会の幹部が、この立場を利用して虚偽の申請を行った場合には、現在の体制では事前にその事実を発見することは極めて難しいというように考えております。
 ただしかし、こういうように不祥事件を引き起こしたわけでございまして、私どもでもその責任を痛感しておりますし、今後こういうことのないように一層審査を厳重にいたしますとともに、関係省庁とかあるいは貸付事務を担任しております商工中金等と協議いたしまして、厳正な貸し付けを実施するための方策等について早急に検討して今後こういう不祥事の起こらないようにいたしたいというように考えております。
#73
○佐藤三吾君 連合会の幹部がやったと言ったって、その連合会の幹部と皆さんはしょっちゅう飲んでいるじゃないですか。意思疎通はよくできているじゃないですか。まあ、後で私がテープやその証言を言いますがね、どういうことなのか。
#74
○政府委員(浜岡平一君) ただいま御指摘がございましたように、基本的には指導会議を主宰し、また個別の事業の伸展状況をウォッチしてまいりますのは私どもの局の責任でございます。
 先生御指摘のようなことがいわゆる公務員の姿勢にもとるというようなことがあってはならないわけでございまして、私どもも今後とも公務員として恥じることのないような姿勢で仕事に取り組んでいかなければならないと痛感をいたしております。
#75
○佐藤三吾君 会計検査院来ていますか。――検査院がこのいわゆる中小企業高度化資金並びに撚工連関係の融資の実態等について調査して、その結果不当な事項、処置要求、こういった点を指摘しておりますが、これについての概要、問題点をひとつ聞かしてください。
#76
○説明員(秋本勝彦君) 中小企業の高度化資金の貸し付けの適正化につきましての処置要求事項、これは五十二年度の検査報告に掲記してございます。その事態といたしましては、貸付対象施設が必要以上の規模であるものなど、貸付対象にならないものに貸し付けられておりましたり、貸付対象共同施設が一組合員または組合員以外の者によって制限範囲を超えて利用されていたりなど、そういう不適切な貸し付けが十三都道府県下におきまして四十七事例三十六億六千五百九十七万余円見受けられたというものでございます。そしてこれは事業団の審査及び管理に関する規定などが不備であることなどのために都道府県に対する指導が不十分であったりいたしましたので、事業団の貸し付けに関する諸規定を改正いたしますとともに、体制を整備いたしまして都道府県の貸し付けの審査や貸し付け後の管理を徹底させるなどの適正を期する要があると認めまして、是正、改善の処置を要求したもの、これが五十二年度の処置要求事項でございます。
 それからまた、五十三、五十四両年度の検査報告に掲記してございますものは、撚糸工連に対して行った設備共同廃棄事業資金の貸し付けに関する不当事項を含んでおりまして、五十三年度につきましては二事例一千三百万円、それから五十四年度につきましては四事例の八千九百万円、計六事例の一億三百万円でございます。そしてその態様は、無登録設備やほかからの借り入れ設備を買い入れ対象としておりましたり、事業の対象とならない事業者の設備を買い入れ対象としていたというものでございます。
#77
○佐藤三吾君 今検査院の指摘のように、五十二年から起こっておる事例、そして今撚工連のとった措置は全部今度の事件と全く同じ内容のものです。
 五十三年から通産大臣をやった江崎さん、一体どういう措置をとったですか。
#78
○国務大臣(江崎真澄君) 私はたまたまこういう毛織物を織る地帯の選出でもあります。したがって事情がわかっておりますから、組合長に少し権限の持たせ過ぎじゃないかと。組合長の恣意によって、気に入った業者には融資あっせんの共同保証をするし、気に入らない業者には保証をしない。いや、そうじゃなくて、それは内容が悪いからだと、こういう申しわけで役所の方は処理をしておったようですが、そういう点について厳重に注意をしたという経緯がございます。これは織機の買い上げ等についてもありまして、撚糸の買い
上げなんというのは、まだその末端機ですからね。ですから、もっと大きな買い上げ等がありましたことを私はよく知っておりますし、たまたま私は冷静な立場でそういうずっと事態の推移を眺めてくる地元の議員でもあったわけですから注意をしましたが、よくわかりましたということでその場はその注意を聞くわけですが、どこまでそれが本当に徹底したか。徹底しておればこういう不祥事は起こらなかったということを残念に思います。その当時の古い事件であるのか、その後のことであるのか、私もつまびらかにしておりませんけれども、そういう点は生活産業局などに厳重に注意をしたことを記憶いたしております。それは、もう一遍繰り返しますと、組合長に権限を与え過ぎる、だからそういうことが起こり過ぎるんだということです。
#79
○佐藤三吾君 まあ、組合長に権限を与え過ぎると、そういう指摘をした。
 その後を受けた安倍外務大臣、通産大臣時代どういう処置をとったのか。
#80
○国務大臣(安倍晋太郎君) 当時のことは覚えておりませんけれど、行政が撚糸関係につきましての陳情その他を受けたことがあります。それらの点については厳正に措置を講ずるようにといった点について事務当局と話し合いをした覚えがございます。
#81
○佐藤三吾君 全然これは意味不明ですね。まあいいでしょう、後で出てきますから。
 法務省、この事件の概要、現在の経緯、説明してください。
#82
○政府委員(岡村泰孝君) 一連の撚糸工連の事件でございますが、既に御承知かと存じますが、昨年の九月十四日に撚糸工連が、三谷といいます撚糸工連の元経理課長を告訴いたしまして、これを東京地検におきまして受理いたしまして捜査を行いました。そして昨年の十二月三日に三谷元課長を業務上横領の罪で逮捕いたしまして、十二月二十四日起訴いたしました。その後引き続き捜査を継続いたしまして、本年に入りまして二月の十三日、撚糸工連の小田前理事長ほか四名を詐欺事件で逮捕いたしました。この事件につきましては、三月の六日に小田前理事長ほか三名を起訴いたしますとともに、小田前理事長ほか二名を同じ日に業務上横領の事実で逮捕し、現在勾留の上捜査を継続しておると、こういう段階でございます。
#83
○佐藤三吾君 通産省、五十九年一月の十日から十二日に絹撚糸共同廃棄事業について泊まり込みで撚工連と打ち合わせを行っていますが、どこでどういう会議だったのか。
#84
○政府委員(浜岡平一君) 当時の担当者と現在の担当者が変わっておりますので、正確な事実の確かめようがないわけでございますけれども、先生御指摘のは、五十九年の一月十日から十二日、現時点で確認のしようはないわけでございますが、撚糸工連の通常総会議案資料の日誌、手元にございますので、それを見ますと、一月十日から十二日まで「絹ねん糸共同廃棄事業について打合せ(原料紡績課)」と書いてございまして、この記録のつくり方の全体の流れから申しますと、これは場所は担当の原料紡績課の部屋ではないかと推察をいたしますが、現段階で確認は難しい状況でございます。多分そうだと思います。
#85
○佐藤三吾君 だれだれが参加したかわからないの、出席者。
#86
○政府委員(浜岡平一君) この五十九年一月十日から十二日までについての日誌の状況から見ますと、場所は今申し上げましたように担当課の部屋だと思いますが、担当課長、担当官が多分参加したということではなかろうかと思います。
#87
○佐藤三吾君 わからないね、これは。
 それでは、五十九年二月二十八日、設備共同廃棄で福井問題について事情聴取を行っておるんですが、その内容はどういうことですか。
#88
○政府委員(浜岡平一君) これもただいまの日誌で見ますと、二月二十八日、「設備共同廃棄に係る福井問題について事情聴取を受ける(原料紡績課)」と書いてございますので、私どもの担当課の方におきまして、当時福井県の産地組合におきまして設備共同廃棄の処理の手順において的確でない、適切でないものの取り扱いにつきまして注意を喚起いたしまして、それに対する事情説明があったという状況だと思います。
#89
○佐藤三吾君 どういう内容ですか、その中身は。
#90
○政府委員(浜岡平一君) 処理対象にいたしました設備の種類の申告におきまして適正でないところがございまして、そのままでは当該設備の種類に比較いたしまして高い対価を支払うことになるというようなおそれがあったという状況であったということでございます。
#91
○佐藤三吾君 その適切でない内容を言ってくださいよ、具体的に。事情聴取するぐらいだから相当な問題があったんだろう。
#92
○政府委員(浜岡平一君) ただいま担当の方に聞きましたところでは、一段設備と二段設備というのがあるそうでございますけれども、一段設備であるにもかかわらず二段設備というぐあいに申告を、申請をするというような動きがあったようでございます。
#93
○佐藤三吾君 五十九年の三月二十八日に原料紡績課宮下班長、倉持係長が愛知、福井、石川を撚工連の皆さんと視察に行っていますが、これはどういう目的ですか。
#94
○政府委員(浜岡平一君) これもただいまの日誌で見ますと、二十八日から三十日の欄に先生御指摘のような記録がございます。担当の班長と担当の係長が愛知県下、福井県下及び石川県下の各産地を視察したと記載をしてございますが、撚糸につきましては二十九府県にまたがって産地組合が存在をいたしておりまして、また、よりの対象にいたします織物の種類も多様でございますし、設備の種類も多様でございますので、担当者といたしまして産地に出向きまして、業界の実態、設備の実態といったものを把握すべく努力をしたものと推察をいたします。
#95
○佐藤三吾君 四月二十六日に福井組合の工藤理事長が共同廃棄事業に伴う関係で関係省庁に陳謝に行っておりますが、その陳謝の理由は何か、また省庁はどこどこか。
#96
○政府委員(浜岡平一君) これにつきましても御指摘のような記載がただいまの日誌にございます。昭和五十七年に岐阜県下の産地組合において行われました設備処理事業に際しまして、御承知のとおり当然対象設備を破砕するわけでございますけれども、破砕のやり方が必ずしも十分でなくて、破砕の後残されました部分品が一部市場に出たというような事態があったようでございまして、これに対しまして事の経緯、それから事態の再発の防止等につきまして、撚糸工連に対しまして、厳重な注意を行っていた時期のようでございまして、これについての状況説明だと思います。
 関係省庁とございますが、省は通産省、庁は多分中小企業庁ではなかろうかと思います。
#97
○佐藤三吾君 この時期は、ちょうど安倍さんが通産大臣の時期ですね。どうですか。
#98
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、大臣としてはその辺の関係は承知しておりません。行政関係でそうしたいろいろ問題はあったかもしれませんが、大臣ベースで話をするとか、あるいは方針を決めるとか、そういうことはなかったと思っております。
#99
○佐藤三吾君 これは今、通産省の報告では、取りかえたり、それが市場に出たりしておることですから、ちょうど今の事件と同じ内容ですよ。こういう重大なものを厳重注意だけで認めたところに問題があるんじゃないですか。取り込み詐欺ですよ、これは。
#100
○政府委員(浜岡平一君) 先ほどの御説明でやや不十分なところがございましたが、福井県下の問題につきましては、福井県におきまして、刑事事件として取り扱われているという状況のようでございます。
 先ほど、五十三、四年の問題を御指摘いただいたわけでございますが、五十五年に業務運営の適正化につきまして、内容的にはかなり厳しい通達を出し、また、問題になりました融資につきまし
ては、繰り上げ償還をさせるというような措置を講じておるわけでございますけれども、結果的には御指摘のような再発という結果につながっておるわけでございまして、この点は冒頭申し上げましたように、私どもの監督の不行き届きという点は痛感をいたしておりまして、責任の重大さを感じておるところでございます。
#101
○佐藤三吾君 八月二十三、四に篠島局長が福井に、三十一日に石川に行っておりますが、撚工連の代表と一緒に行っていますけれども、その目的は何か。それから、かなり派手などんちゃん騒ぎをやっておるんですが、メンバーはだれだれか。
#102
○政府委員(浜岡平一君) ただいまの日誌に五十九年八月二十三日及び八月二十四日に御指摘のような懇談が行われたという記録があるわけでございますけれども、私も当事者でございませんので、だれが参加者であったか、それから、御指摘のようなことがあったのかどうかは、ただいま確認のしようがないわけでございます。
#103
○佐藤三吾君 ごらんのとおりのような回答で、そこら辺をきちんと明らかにしてもらわぬと進みようがない部分があるわけですね。これはひとつ明確にしてほしいと思うんです。氏名、だれだれが行ったのか全部。出張命令簿があるでしょう。
#104
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#105
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
 佐藤君の質疑は午前はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。
   午前十一時四十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時五十一分開会
#106
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和六十一年度総予算三案を一括して議題といたします。休憩前に引き続き、佐藤三吾君の質疑を行います。
#107
○政府委員(浜岡平一君) 先ほど事実関係が明確でございませんでしたが、現在までに確認できました事項を御報告申し上げます。
 まず、出張関係でございますが、昭和五十九年の三月二十八日から三十日にまたがりまして、私どもの原料紡績課の宮下班長及び倉持係長が愛知、福井、石川各産地に出張をいたしておるのは出張命令で確認をいたしました。
 先ほど御説明申し上げましたように、各産地の幹部と業界の実情について意見交換を行うと同時に、工場見学等を行うのが出張目的でございます。
 次に、同じ昭和五十九年八月二十四日と御指摘になりました出張の件でございますが、八月二十四日から二十五日にかけまして、当時の生活産業局長が福井県下に出張をいたしております。出張目的は、当時大変な合繊織物業界の不況状況でございまして、福井の繊維協会の幹部を中心に業界の人たちと不況対策について意見交換を行うというのが出張目的でございます。
 なお、この会合には小田日本撚糸工業組合連合会理事長は出席はいたしておらなかったそうでございます。
 夜は地元の業界紙でございます化合繊新聞社が会合を設けたというのが本人の話でございます。
 次に、八月三十一日と御指摘をいただきました関係でございますが、同じく昭和五十九年八月三十一日から九月一日にかけまして、当時の生活産業局長が石川県下に出張をいたしております。出張目的は、福井の場合とほぼ同様でございまして、石川繊維協会の幹部その他の協会員の人々と合繊不況対策につきまして意見交換を行うためということでございます。この会合には、地元でございますので撚糸工業組合連合会の小田理事長も出席していたのではないかと本人は申しております。
 なお、当日の夜は、石川県の幹部の方々と会合を行ったというぐあいに本人は説明をいたしております。
 なお、出張に際しましては随行者は二つのケースの場合ともございません。
 それから、八月二十三日の懇談の件でございますが、本人に確かめましたところ、多分局長室で会ったんではないかと思う、食事をした明確な記憶は持ってないというぐあいに申しておりました。しかし、いずれのものにつきましても非常に急いで調べたわけでございますので、事実関係をさらに確認をいたしまして、整理をいたしまして、できるだけ早急にお届けをさしていただくことにいたしたいと思います。
#108
○佐藤三吾君 まあ、急なことでできなかったという言いわけは私は聞きたくないんですが、いつ提出しますか。
#109
○政府委員(浜岡平一君) できるだけ努力いたしまして、来週早々にも御提出できるように努力いたします。
#110
○佐藤三吾君 わかりました。
 そこで、話を変えてまいりますが、中曽根総理は、二月十七日、衆議院でこの問題につきまして、長年にわたるこの問題にメスを入れるチャンスを逸した、監督責任を痛感しておると、こういう答弁をしているんですが、今回の一連の事件について起こるべくして起こったと、こういう理解ですか。
#111
○国務大臣(中曽根康弘君) 起こるべくして起こったとは思いませんが、監督不十分というためにこのような事件になりましたことは、甚だ遺憾でございます。
#112
○佐藤三吾君 長年にわたる問題のメスを入れるチャンスを失ったというのはどういうことですか。
#113
○国務大臣(中曽根康弘君) 繊維不況、繊維対策という問題は、田中内閣あるいはその前池田内閣のころ、あるいは佐藤内閣のころいろいろ沖縄返還との絡みで縄とか何とか言われたころからの大問題で、長年の課題であったと思います。そういう中におきまして、かなりの思い切った処置をやらないと、対内外の調整ができないためにいろいろ官民努力してきたところでありますが、そういう中において今回のような不祥事件が起きたということは、今から考えてみますと、この長い間の過程におきまして、そして清潔な行政、あるいは清潔な政治というものを遂行していく上に欠くるところがあったんではないかと、そういう反省も起こりまして、そういう気持ちも手伝って今のような発言を申し上げたのであります。
#114
○佐藤三吾君 総理の地元は、四十九年から五十年にかけて過剰仮より機買い上げの全体計画で、全国の所要資金が二十九億四千六百八十七万円、そのうち約一〇%二億五千二百五十九万六千円を占めておるんですが、これらの地元業者に何かと頼りにされておると、こういうことを聞いておるんですが、いかがですか。
#115
○国務大臣(中曽根康弘君) 別に特に頼りにされているということはありません。どちらかと言うと余り縁が深くない方であったと思いますが、しかし、実際は桐生、伊勢崎が中心で、私の選挙区は少ないのであります。そういうかげんから、それほど頼りにされたという記憶は余りありませんが、しかし国政一般の問題としてこれらの繊維不況という問題については関心を持ち、また中小企業の皆さんや織物業者の皆さん方の生活ができるように努力するのは政治として当たり前でございますから、いささか努力もしたと考えております。
#116
○佐藤三吾君 政治献金か何か見返りがありましたか。
#117
○国務大臣(中曽根康弘君) 私の記憶では、今の撚工連という関係はないんではないかと思います。
#118
○佐藤三吾君 小田さんの証言によりますと、大臣就任祝い、盆暮れ何かと政治家にはつけ届けをしておる、こういうことを言っておるんですけれども、いかがですか。
#119
○国務大臣(中曽根康弘君) その小田さんという方に私は会った記憶もございません。田中内閣のころ通産大臣をやっておりましたから、あるいは
会ったのかもしれませんが、私の記憶には全然ございません。
#120
○佐藤三吾君 現在の閣僚で撚工連から政治資金をもらっている人は、渡辺通産大臣、海部文部大臣、江崎総務庁長官、これははっきりしておるんですが、いかがですか。
#121
○国務大臣(江崎真澄君) どうして名前が出たのか私わかりませんが、はっきり申し上げておきます。その小田何がしという者も私記憶にありませんし、それからもう一つ率直に申し上げたいのは、地元の撚糸工業組合の組合長というのは私の応援者じゃありません。だから、個別の相談を受けることは当然地元として、政治家としてありますが、その組合長は私を支援しない人ですから、私に相談を持ってくるはずはない、これははっきり申し上げておきます。
#122
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はつき合いがありませんから、もらった記憶はございません。
#123
○国務大臣(海部俊樹君) 地元で撚糸の中小企業の皆さんと日ごろのおつき合いはございますから、日常のおつき合いはありますし、また、出版記念会をやったときに会員券なんかを引き受けてもらったことはあると思いますが、言われるような政治献金を私が受け取ったこともありません。
#124
○佐藤三吾君 自民党の繊維対策特別委員会のメンバーとして、海部さんは副委員長ですね、それから平泉さんも副委員長、さらに江崎さんは委員、いかがですか。
#125
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほど申し上げたように、毛織地帯ですから委員に名前を並べておるということは、これは地元のおつき合いとして当然でしょう。私の応援者の中にも織物業者もおりますし撚糸業者もおります。しかし、パーティー券を買ってもらったこともなければ、ましてや献金を受けたことは一切ございません。私よくわからないのです、その相手の人自体も。これははっきり申し上げておきます。
#126
○国務大臣(海部俊樹君) 自民党の繊維対策特別委員会に入っておりました。
#127
○佐藤三吾君 副委員長ですか。
#128
○国務大臣(海部俊樹君) はい。副委員長をやったこともあります。
#129
○国務大臣(平泉渉君) 繊維産業は福井県の基幹産業でございますから、繊特の副委員長をさしていただいておりました。
#130
○佐藤三吾君 ここにテープがあるんですが、小田さんの重言その他を聞きますとかなりはっきりしておるんですけれども、海部さん、やっぱりもらっていませんか。
#131
○国務大臣(海部俊樹君) 小田さんから私が献金をもらったことはありません。私の事務所の者が調べましたら、出版記念会なんかに会員券を買ってもらったことはあると言いました。それだけです。
#132
○佐藤三吾君 幾らもらっていますか。
#133
○国務大臣(海部俊樹君) 献金は、私はもらっておりません。
#134
○佐藤三吾君 会員券。
#135
○国務大臣(海部俊樹君) 会員券の方は十枚とか二十枚とかという程度であったと記憶しております。
#136
○佐藤三吾君 それでは、若干証言を明らかにしますと、小田さんは、昨年の十月十日の石川の温泉での証言ですが、きちんと撚工連の名で献金しておると、はっきりしています。そして、この連合会を守っていくためには政治献金は必要である。献金先は稻村さんだけじゃなくて、海部さん、岐阜の武藤さんは、これはもちろんです。ざっと三十名。さらに井上専務は、十月九日、目黒議員の部屋での証言でございますが、政治献金は二十九地区でやっておる。御三家と称するのがあって、そのうち一人は稻村佐近四郎氏、武藤嘉文氏、そして海部文部大臣だと、こう言っておる。これは業界と非常に深い関係だと。こういうことで政治献金は常識だと。さらに、逮捕されました三谷健一氏は、九月十二、十四日、三谷事務所でこういう証言をしています。お世話になるから政治献金が必要となり、結構たくさん出しておると、特に通産省に物の言える先生がいいと、こういうことを供述しておるわけですね。一番近い先生は稻村さん、そして岐阜の武藤さん、海部さん、三者が御三家として名前を挙げておるんですが、それでも否定されますか。
#137
○国務大臣(海部俊樹君) どういう理由で御三家と言われるのかよくわかりませんけれども、私は、申し上げたように、地元に撚糸関係の業者の方もいらっしゃいますからいろいろお話もします。自民党の繊維対策特別委員会にも所属しておりますけれども、言われるような意味で献金を受け取ったことはありませんし、またそのようなことは私の事務所でもよく調査しましたけれども、事務所の者がまとめて受け取ったこともない。それから、私の後援会にももちろん入ってもらっておりません。覚えがありません。
#138
○佐藤三吾君 渡辺さんいかがですか。
#139
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は全然知り合いでありませんし、私の選挙区にはそういう企業もありませんから、全く心当たりがない。何かありましたら教えてください。
#140
○佐藤三吾君 江崎さんいかがですか。
#141
○国務大臣(江崎真澄君) 全く心当たりはありません。さっき申し上げたように、私を応援しない人が地元の組合長ですし、その問題の人というのも初めて聞く名前ですし、第一、事務所がどこにあるかも知らない。それこそ本当に私も教えていただきたい方なんです。
#142
○佐藤三吾君 ここにこういうコピーがございますが、これは撚工連創立三十周年パーティーの際に招待した名前なんですが、それを読むとちゃんと政治家の名前が出ておるんです。稻村佐近四郎四百万、森喜朗三百万、海部俊樹二百万、江崎真澄三百万、武藤嘉文三百万と出ておるんですがね。
#143
○国務大臣(海部俊樹君) そういう事実無根のことをおっしゃってもらっては私も非常に迷惑をいたします。全く身に覚えのないことでありますから、その旨御理解いただきたいと思います。
#144
○国務大臣(江崎真澄君) 何か私の名前も出たようで驚いているのですが、それこそはっきりしていただきたい。そういうのがむしろ詐欺かもしれませんよ、いいかげんなことで。
 それは元通産大臣であったことは事実ですが、何か私いつ事件が起こっておるかも、さっきの御答弁でも知らぬと言ったのですが、これは何か五十九年という話ですね。だとすれば、私は五十三年当時の通産大臣でございましょう、関係ありませんよ。知りません。全く知らぬことです。それは猫ばばということだってありますから、はっきりしてもらいたいです。
#145
○佐藤三吾君 確かに、告発した人の話を聞きますと、三百万で出したのが五十万しか届いていない、こういう事例もあったようです。それはそういうのもありましょう。
 しかし、海部さん、あなた本当にないのか、まあ気色ばんで言いますが、このマイク聞かせましょうか。
#146
○国務大臣(海部俊樹君) どうおっしゃっても、私は受け取った記憶がありません。受け取ったことはありません。それは申し上げさしていただきます。
#147
○佐藤三吾君 盆暮れ、そうして選挙、パーティー。パーティーはさっき言いましたね、もらったと。九十万もらっていましょう。そのほか大臣就任祝い、もらっていないですか。
#148
○国務大臣(海部俊樹君) 大臣就任祝いはもらっておりません。
 それから、パーティーのことは私申し上げましたように、私の地元が出版会のときなんかに参っております。
 それから盆暮れのことは、田舎の家にそういった日常的な商品などが来たことはあるいはあるかもないかも、よく調査してみたのですけれどもわかりません。常識的に考えて物などもらったことはあるだろうと思いますが、それ以上いわゆるまとめてお金をもらうとか、その三十周年記念の式典のことも覚えていますが、地元の業者の人も皆
さんおいでになるので一緒に出てくれないかと言われて、初めて一度そのパーティーの祝賀会場には行きました。それだけで、その前後を合わせてもお金をもらったなんということは本当にありません。これはよく御調査を願って、私の方からもぜひ明らかにしていただきたいと思うことでございます。
#149
○佐藤三吾君 三人が共通してこのテープでは証言しておるのですよ。そして御三家とも言っておる。三人が共通して言っておる。そして、この政治家に我々の企業というのは助けられておるのだと、こういうことまで強調して、当たり前じゃないかと言っておる。しかも、五十五年まではやみ献金であったと。税務調査が入って、そこからは使途不明金の中で税金を払って納めておると、こう言っておるのだよ。
#150
○国務大臣(海部俊樹君) どのように言われましても、私はそれは受け取った記憶はございません。受け取っておりません。
#151
○佐藤三吾君 江崎さんどうですか。
#152
○国務大臣(江崎真澄君) 第一私は事務所がどこにあるかも知りませんから、もちろんそういうパーティーに招待は前通産大臣ということであるいは受けたかもしれませんが、行っておりません。大体事務所がどこで、そういうパーティーがどこで開かれたか知らないのですから欠席ですよ。案内状が勝手に来たというだけのことで、受け取るなんていうようなことはあり得るはずがない。第一、私を支援しない人が取り囲んでいるのですから。ただ、個別の知り合いはいっぱいおりますよ。もちろん撚糸業者であろうと織物業者であろうと、その辺は本当に私そんなところへ名前が出てくるというのだったら対決してもいいし、詐欺ということもありますし、本当にはっきりしてもらいたいと思う。怒りを覚えます。
#153
○佐藤三吾君 これは証言を聞かせるしかないね。一遍証言聞いてもらって、その上できちっとしましょうか。どうですかね。もう間もなくわかるのだがね。時間の問題だと私は思うのだから、すかっと言った方がいいんじゃないですか。
#154
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#155
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
 佐藤君の質疑にあります撚糸工連関係の問題の取り扱いにつきまして理事会で協議いたしますので、暫時休憩いたします。
   午後三時二十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時五十分開会
#156
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を再開いたします。
 理事会で協議いたしました結果、本問題の取り扱いにつきましてさらに協議する必要がありますので、佐藤三吾君の残余の質疑は後刻に譲ります。
#157
○国務大臣(江崎真澄君) 私は念のために申し上げておきたいんですが、憲法の五十一条で「両議院の議員は、議院で行った演説、討論又は表決について、院外で責任を問われない。」、これはもう佐藤さんも御存じのとおりだと思います。そのことは、相当責任のあることをこの予算委員会という権威の場で御発言になる、こういうことの裏づけがあってのこれは憲法の条章だというふうに考えます。
 そこで、この権威ある場で名前を出して、そうして全く身に覚えのないことを御発言になるというからには相当の根拠を持っての御発言だと思いますが、これはもう先ほどから繰り返しておりますように、私は本当にきょうは何事であろうかぐらいに思っておって、このことについては一切関与しないばかりか、さっきからも申し上げておるように、私は敵視されたこともあるんです。省エネのために省エネルックをつけたりノーネクタイで過ごしましたから、選挙のときには江崎を落とす会というものが本当にできまして、それでネクタイをつけないということは洋服自体を奨励しないことだと、地元の意向にも反するというくらいに言われた。それから、撚糸組合の組合長というのは私を支持してくれません。これはもう一々名前を申したりすることはしませんが、そういう関係にあって、そうして今のような話が出てくるということは、これは一体どういう経緯なのか、私自身が非常に意外に思うばかりか怒りを覚えます。
 これはやっぱり国務大臣として責任のある立場ですから、ただ言いっ放しでそれで済むものではなかろうというふうに思います。そして、また同時に、事実そういう問題のあった人は検察で今取り調べ中ですが、猫ばばをしたのか、そうだとすればこれは明らかに詐欺になりますね。元通産大臣だったからこうしたああしたというのはとんでもない話だと私思ってさっきから否定をしておりました。念のためにこのことをもう一度繰り返して、全然関与なし、そしてまた本人はもとより事務所の所在地すら私は知らない、こういうことを重ねて申し上げておきます。
    ―――――――――――――
#158
○委員長(安田隆明君) 次に、久保田真苗君の質疑を行います。久保田君。
#159
○久保田真苗君 私は、まず平和の問題についてお尋ねいたしますので、ひとつ気を静めて御答弁をお願いいたします。
 総理、きょうはパルメ首相の葬儀の日でございます。パルメさんは核兵器を持たない国の立場と役割というものを徹底的に追求したし実行された方だと思うんです。それで、日本につきましても超大国では信用されないけれども、核の査察なんかも日本なら信用されると、日本の立場を非常に高く買っていたということでございます。私も、米ソよりも日本が信用のある国になりたいと、こう思います。やっと米ソ首脳会談が実現して、またすぐ冷たい風が吹きかけておりますけれども、この大事なときに米ソの間に入って核軍縮をさせるという役割を日本がやれないものだろうか、あるいはどんな具体的な構想があるのだろうか、こういうことを共存の哲学をお持ちの総理にお伺いしたいと思います。
#160
○国務大臣(中曽根康弘君) パルメさんの痛ましい悲劇的な御逝去には心から哀悼の意を表したいと思います。
 私たちは同じように平和と軍縮をこいねがっており、特に日本の場合は広島、長崎の惨劇を受けた国であり、その首相でありますから、そういう意味においては人一倍執念を燃やしておると私は思います。
 そこで、米ソ首脳会談をぜひ実現するように、私も間接的ではありますが、直接ゴルバチョフさんやレーガンさんにも言いまして、そして米ソ首脳会談が行われましたが、今おっしゃるように、第二回会談についてまだ確定的な見通しが出てこないのは甚だ残念でございます。しかし、さらに私たちも積極的に努力してまいりたいと思います。
 ただ、スウェーデンと日本は違いまして、スウェーデンは有武装中立ですね。武装中立の国でやはり相当な兵器あるいは兵器生産力、科学技術力を持っておる国であります。我が国は自衛隊方式というやり方で防衛を全うして、日米安全保障条約でそれをさらに補強しておるわけであります。そういう国の立場が違います。我々はそういう意味においていわゆる抑止論、均衡論というものに立って平和を維持してきました。現に四十年の平和はそれで維持されてきた、そういう立場から我々は米ソの間に立って仲介人、いわゆるメーディエーターとかあるいはブローカーとか、そういう立場にはないんです。我々は、自由世界の一員として懸命な努力を行いつつ戦争を抑止してきたと思っております。しかし、一員ではあるけれども、その中にありながらまた平和と軍縮のために一生懸命努力している一員であると思っています。そういう立場を貫きまして、私はやはりやり方は違いますけれども、世界の平和と軍縮のために全精力を集中して努力していきたい、そう思っておる次第でございます。
#161
○久保田真苗君 立場は違っても現にやれること
がたくさんあると思います。
 今続いておりますこのイラン・イラク戦争でございますけれども、イランが毒ガス兵器の攻撃を何回となく受けているわけです。毒ガス兵器は御存じのように非常に大きな殺傷力を持ちますけれども、外務省からちょっとお伺いしたいんですが、この拡散ぶりとかその殺傷の程度とかいったものをお聞かせください。
#162
○政府委員(三宅和助君) お答えいたします。
 イラン・イラク戦争におけるいわゆる化学兵器の使用問題につきましては、国連がこれを積極的に取り上げまして、実は一昨年、イラン側からの申し出によりまして国連が調査団を派遣いたしたわけでございます。また、昨年の三月にもやはり同じ種の調査団を派遣しまして結論を出しております。また今回もイラン側の申し出に応じまして国連としていろんな調査団を派遣してその結果を報告するということで対応しているわけでございます。
#163
○久保田真苗君 私は、これは非常にコストが安くしかも低い技術で製造でき、しかも大量殺傷できるという、こういうものを放置しておけば第三世界への拡散は必至だと思うわけです。これが国連におきましても少しも有効な手段がとられていないという非難があるわけでございますけれど、私は外務大臣がイラン・イラク戦争の問題で非常に努力をなさったことは認めるんですけれども、こういった問題につきましてもっと国連へなり当事者へなり働きかけをなさって、一日も早くこれをやめることができないんでしょうか。
#164
○国務大臣(安倍晋太郎君) イラン・イラク戦争において化学兵器が使われておるという事実、これは国連の発表にも明らかでございます。
 我々はこれに対しまして、こうした悲惨な兵器を使うことは国際条約にも違反をしているという見地から、イラクあるいはイランの外相との会談の際にもしばしばこれを取り上げまして議題にいたしておりますし、あるいはまた国連等の場においても、化学兵器の禁止を守るべきであるという日本側の強い主張を述べておるわけでございます。
 今回の第二次国連調査団の派遣によりまして、最近の戦闘において化学兵器が使用されたという事実がさらに明らかになりました。特に、この化学兵器がイラク軍によって使用されたということを初めて国連事務総長が本日発表をいたしたわけでございまして、これを契機として国連でもこの問題について積極的に取り上げられるものと我々は思っておりますし、また日本としましても、この問題を国連におきまして積極的に議論をして、そして化学兵器禁止のために今後とも外交活動をさらに積極的に進めてまいりたい。また当事国であるイラン、イラクにつきましては日本とも友好関係にあるわけでございますし、こうした国連によって調査が明らかになった以上は、イラクに対しましても日本の立場をはっきり伝えなければならない、こういうふうに考えております。
#165
○久保田真苗君 経済制裁とか経済援助をやめるとか、そういった強い手段がとれますか。
#166
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今後とも国連における論議が行われると思うわけでございますし、またイラクに対しましては直接日本の立場も伝えます。また日本の化学兵器問題に対する考え方も、公式な見解として近く発表する予定にいたしておるわけでございます。今後とも推移を見ながら、日本としてのはっきりした反対の立場を貫いてまいりたいと考えております。
#167
○久保田真苗君 よろしくお願いします。
 核実験禁止の問題です。ステップ・バイ・ステップ方式を出しておられますね。それは地震波による探知が前提になるわけです。ところが、核実験小型化という傾向がございます。今でもこの提案は有効とお考えになりますか。
#168
○国務大臣(安倍晋太郎君) いわゆる核実験禁止につきましては日本はこれまで全面禁止を主張してまいりましたが、やはりこれは効果的で実証的なものでなければならない、こういうふうに考えましてステップ・バイ・ステップ方式によって最終的には全面禁止に持っていくということで我々提案をいたしておりますし、この提案につきましては、軍縮会議におきましてまだ正式に取り上げられてはおらないわけでございますが、相当各国からの理解と支持が表明をされております。
 そうしてまた、地震の専門家等も日本としては積極的に派遣をしておる。さらにまた、予算措置も今度の予算で講じようといたしておるわけでございますし、何とかこれを具体的に軍縮会議の一つの合意として取り上げられるように努力を重ねてまいる考えであります。
#169
○久保田真苗君 私は、核実験の小型化に対してこの地震波による探知が有効かと伺いましたが、事務当局でも結構でございます。
#170
○政府委員(中平立君) お答え申し上げます。
 今大臣が申し上げましたように、一昨年六月の軍縮会議におきましていわゆるステップ・バイ・ステップ方式を提案したわけでございますが、その後、核実験に関するアドホック委員会の設立に関しまして、アメリカ側とソ連側との合意がなされてない関係で進展はしておりませんが、日本政府といたしましては、この方式でかなりの貢献ができるのではないかと考えておる次第でございます。したがいまして、先ほど大臣が申し上げましたように、現在御審議いただいております予算におきまして、三千万余りの予算を計上しておるわけでございますけれども、具体的に申し上げますと八カ国、すなわちアメリカ、イギリス、西ドイツ、カナダ、スウェーデン、ノルウェー、オランダ、豪州、この八カ国と詳細な地震波データを交換いたしまして、核実験に関する解析を行うということを考えておるわけでございます。
#171
○久保田真苗君 日本には地震波の探知の分析のノーハウや機材がないから、スウェーデンがこの分析を一手引き受けするのだという情報がありますが、事実でしょうか。
#172
○国務大臣(安倍晋太郎君) 昨年スウェーデンを訪問いたしました際に、パルメ首相とも一時間にわたりまして会談をいたしました。そのとき我が国が提案しておりますステップ・バイ・ステップ方式につきまして説明をいたし、日本としては地震の技術は非常に進んでおるので、核実験についての探知能力というものは日本としてもそれなりに持っておるので貢献をしたいということを申し述べました。パルメ・スウェーデン首相も日本のこうした考え方について非常な賛意を表されたわけであります。そして、日本とスウェーデンで相協力しながら核実験の禁止に向かって努力していこうということを語られたことを今思い出しておるわけでございます。
 私は、日本の技術ノーハウというものは世界的にも相当すぐれたものであろうと思っております。これを提供して、そして核実験禁止の推進に貢献をしたい、こういうふうに思うわけであります。
#173
○久保田真苗君 能力はあるのですが、それを分析したりする体制というものがないんじゃないでしょうか。
 運輸大臣に伺います。気象庁の体制では甚だ不十分だと思うのですが、どうでしょう。
#174
○政府委員(内田英治君) お答え申し上げます。
 先生御存じのように、気象庁は常時監視という立場でございまして、自然に起こる地震の問題を監視しておるわけでございます。その中に核実験によるところの地震波も把握されるようなことになるわけでございますが、非常に地震を検知するところの機械も最近すぐれておりまして、それでしかも自然の地震波であるかあるいは人工によるものであるかということの区別もかなり進んでまいっております。それで、日本の一カ所だけで地震の波をキャッチしたときには、これが人工のものであるかどうかはなかなかわかりにくいのでございますが、例えば外務省を通じて最近では波形のデータというようなものが入手されることになっております。今までは波形のデータではなくて、もっと精度の粗いと申しますか、そういうものが入ってきたのでございますが、最近はそういうデータによりましてきめ細かい監視をできるよ
うになってまいりました。それで、気象庁としましては今まで持っておりますところの知識や経験をフルに活用いたしまして、この核実験の地震波探知ということにつきまして今後も関係省庁と一層緊密に協力してこの業務に当たっていきたいと、こう思っている次第でございます。
#175
○久保田真苗君 能力の割には役割を果たしてないと思いますので、どうぞ体制整備をよろしくお願いします。
 それから、国会へ参考人で見えました国連大学学長のスジャトモコさんから、核実験探知の補完手段として国連に監視用の衛星を日本が寄附してはどうだろうかという提言があるわけです。日本のイメージアップの上からも大変望ましいと思うんですが、総理あるいは外務大臣、どうお思いになりますでしょうか。
#176
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今のお話につきましては、日本が探知衛星を購入してこれを寄附したらどうかということであろうと思いますが、一つのアイデアだろうとは考えますけれども、日本に対してまだ国連等からそういう正式な申し入れ等も来ておりませんし、これについてまだ何ら検討もしてないという状況でございますし、今ここで私の意見を申し上げるという状況にはなっておらないということであります。
#177
○久保田真苗君 いろいろな角度からやっていく必要もあると思いますので、日本としては国際的にひとつ思い切ったことをやってほしいなというのが私の希望でございます。
 それから総理にお伺いしたいんですが、中距離核削減の問題もどうもヨーロッパが主体だというようなおそれがあるわけでございます。そこで、考えてみますと、それは自業自得のような気もするんです。欧州には地域的な軍縮の努力がいろいろございます。また南太平洋にも南米にもインド洋にもそういうものがありますけれども、我が国の周辺にはそういった地域的な軍縮会議とか、そのような信頼醸成措置というものが何もない、それはなぜなのか。そして我が国が地域諸国の話し合いの場づくりにイニシアチブをとっていくという、そういうお気持ちはないでしょうか。
#178
○国務大臣(安倍晋太郎君) INFの問題につきましては、これは我が国としては、アジアを犠牲にしないグローバルな立場でこれを削減そして撤廃すべきであるということを強く主張をいたしております。ゴルバチョフ提案はヨーロッパ主力ということになっておるわけであります。今回、レーガン大統領のまた新しい提案が出たわけでございますが、その提案には、日本の意見等も取り入れてグローバルな立場からINFの撤廃を打ち出しておられるわけでございます。最終的に、今後議論が続いていってどうなるかは予測できませんが、日本としてはあくまでもINF問題についてはアジアが犠牲にならないという立場を堅持してこれは主張していかなきゃならぬと、こういうふうに考えております。
 それから、地域的な安全保障の問題については、ヨーロッパにはヨーロッパ安保、欧州安保等もあるわけでございますが、日本の場合またアジアの場合においては、そういうふうな地域安保といいますか、そういう状況が全体としてまだ熟してないということが言えるのじゃないか。ソ連からもアジア安保というふうな提案があるわけでございますが、この提案等もいろいろと検討してみましても、アジアの場合、特に日本の立場から言いますと問題が非常に多い。特に国境を確定した立場でアジア安保といった構想ということになれば、日本は北方四島問題等も控えておりますから、そういう構想には同調できないということでございまして、まだまだ情勢としてはアジアにおいては熟してないということが言えるのではないだろうかと考えております。
#179
○久保田真苗君 必ずしもソ連とかそれからアメリカ、そういうところを入れない方法もあると思うんです。むしろそういうところへ地域的に働きかけていくという、そういうものができると私はいいと思うんで、ひとつそういう意味からいろいろ御検討いただきたいということでございます。
 そこで、いろいろな外交上のインフラというものが不足している。特に、外務省の軍縮課は非常に働き者だという定評があるんですが、いかにも弱体であるという感じを受けるんです。私、こういった南北のかけ橋というような役をしていく上から言いましても、軍縮部門の強化ということは考えられないものだろうかと、こういうことを思うわけです。外務大臣、いかがですか。
#180
○国務大臣(安倍晋太郎君) 外務省は国連局の中に軍縮課を置いておるわけでございますが、この軍縮課は国連及びジュネーブの軍縮会議等における軍縮問題の審議並びに軍縮に関する国際約束に関する事務を行っておりまして、さらにこれらの事務に必要な情報の収集とか調査研究を行っておるわけでありますが、現在軍縮課の定員は十一名、軍縮会議日本政府代表の定員は九名ということになっておりまして、外務省としては、我が国外交の重要な柱である軍縮を促進していくための体制を整備していくことが肝要であるという考えから、従来から本省、在外公館の双方におきまして体制の強化を図っているところでありますが、そういう立場で昭和六十一年度におきましては、軍縮会議日本政府代表部に一名の増員を要求いたしておるわけでございます。しかし各国との対比から見ますと、御指摘のように日本の軍縮にかかわっておる要員は非常に少ないわけでございますが、一生懸命努力、活動を続けておるということでございます。
#181
○久保田真苗君 ぜひそういうことをお進めいただきたいと思います。
 次に、SDIの問題につきまして大蔵大臣にお尋ねしたいんです。
 アメリカで財政収支均衡法ができまして、実は私、やっと軍拡赤字から内部チェックができたとほっとしたんです。それからソ連の方も、生活向上をしなきゃならないということになってきて、これもほっとした。そこへまたSDIという非常にお金を食う虫が、そういう話が風雲急を告げてきたような感じがするんです。しかも、部分的配備まで近いなどといういろいろな情報がございますけれども、私ども自身、財政赤字を子々孫々しょい込んでいるところへこれから一体どれだけの財政負担を末長くしょい込むことになるのか、その辺について大蔵大臣が多分御存じと思いますので伺います。
#182
○国務大臣(安倍晋太郎君) SDIにつきましてはまだ研究段階であります。それもアメリカの手によって研究が行われておる。確かにアメリカは研究に対して膨大な予算をつぎ込んでおるわけでございます。日本がこの研究に参加するかどうかというものを今調査しながら検討を進めておる段階でありますし、アメリカ自身の研究に対する参加をするとしてもこれは参加の問題でございますから、日本がこれに対する予算措置を今後考えるとかという段階ではないと私は思っております。
#183
○久保田真苗君 でも、研究、開発、配備ということになるし、現にもうレーガン大統領は部分的配備まで言い出しているわけです。そうしますと、ここで軽率な踏み切りをしますと本当にこれは借金の上に借金になると思うんです。ですから私は、こういうことも十分聞かしていただいた上でないと、そういうことをお決めいただくと非常に困ると思うんですね。
 それで、総理にお伺いしたいんですけれども、SDIというのは、これを上回るようなミサイルを無限のイタチごっこのように増幅していくという考えが非常に強いんですけれども、総理はどういうふうにお考えになっているんでしょうか。
#184
○国務大臣(中曽根康弘君) SDIはまだ研究中のものでありまして、開発、配備という段階までには至っておりません。しかも、SDIはアメリカがイニシアチブをとって、アメリカのお金で、各国に希望を募って、もし希望する会社があったら参加してください、大体そういうタイプの仕事で、日本政府が自分でお金を調達してどうこうするという問題ではないわけであります。したがって、予算的に日本が特にお金を要するということは今のところは考えられません。そういうような
面から見まして、財政負担という点は今のところ余り関心がありませんし、必要性もないのではないかと思います。
 ただ、SDI自体は、レーガン大統領のかなりの理想と夢が盛られておる新しい兵器体系へ転換しようというものなので、いわゆるMADと言われる大量破壊によってその恐怖から平和が維持されているという形から、そういうものでない、ICBMをもう不要なものにしてしまうというやり方によって新しい防御兵器の兵器体系へ移ろう、攻撃兵器の兵器体系から防御兵器の兵器体系に移ろう、それで核をなくしていこうという大きな理想が盛られているものなので、これはやはり理想としては私はかなり共鳴するものはあるんです、核兵器を廃絶するという意味において。ですから、非常に注目して、どういうものであるか研究、調査の調査団を派遣しているという状態なので、それ以上のことは今のところ中身がよくわかりませんから言明するというところまでいっておらぬわけであります。
#185
○久保田真苗君 中身がわからないという状態が困るわけです。研究には参加してもお金が要るわけじゃないとおっしゃるけども、開発、配備ということになれば物すごいお金、物すごい燃料が要るという話です。
 それじゃ、そうなったときに、日本はそんなものにコミットしないで研究だけだ、配備はしないんだとはっきりおっしゃれるわけでございますか。
#186
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだ研究に参加するかどうかも決めていない段階でございますし、また私は、このSDIは非常に長期的な構想であろう、開発、配備ということになりますと、これは大変長い期間がかかるんじゃないかと思っておりますし、なおそういう際においてはやはりソ連との合意とかあるいは自由国家群とアメリカとの合意とか、いろいろと協議等もあるわけでございますし、これはまだまだ先の問題として考えておるわけで、いずれにいたしましても今は研究に参加するかしないかという段階でございますから、それ以上のことは我々としては想定は困難であろう。とにかく、今SDIの研究に参加するに当たっては、我々はSDIというものの実態を十分これは研究しなきゃならぬ、調査しなきゃならぬ、そういうことで三次調査団も今後派遣をいたしまして、そうしたデータを踏まえて慎重に検討を進めて、我が国の自主的な立場からこれに対して対応を決めていくべきだと、こういうふうに思っております。
#187
○久保田真苗君 内容がわからないままどんどん進んでいく。いろんなことを本当は伺いたいんです。例えば空気中で爆発したときの地上とか大気中の影響とか、どのくらい防御できる確率があるのかとか、核攻撃の心理的負担を減らすとか、いろんなことが言われています。だけれども、今余りその内容はわからないと先へ送っておられるんですね。だけれども、これがわからないままどんどん進められてサミットあたりまでにはっきりとコミットする、こういうことになるのは私は納得できないし、政府にそんな権利はないと思うんです。これは非常に戦略的な政治的な重要な問題なんです。単なる技術的な問題じゃないので、私がお願いしたいのは、こういう取り決めをするのをはっきりと国会審議にかけていただきたい、このことなんです。どうですか、安倍さん。
#188
○国務大臣(安倍晋太郎君) SDIは、先ほど総理もお答えになりましたように、防御構想でありますし、最終的には核兵器を廃絶したいというのが最後のねらいになっておるわけで、そういう観点から日本としても理解を示しておるわけですが、しかしSDIそのものについては、その内容、実態等について日本もある程度の調査はしておりますけれども、まだまだその調査は完全でないわけですから、そこで第三次調査団も派遣をして、そしてアメリカ側の意見も聞いて、それを踏まえてこれから検討をして結論を出したいということでありまして、日本にとっても大事な一つの方向を打ち出すわけでございますから、これについては慎重に自主的に行わなければならない。今お話しのように、別に期限を切ってわからないままに入っていくとか、参加するとかしないとか、そういうことではなくて、日本もやはりきちっと納得がいった形でないとこの問題に対して結論は出せない、こういうふうに思っております。
#189
○久保田真苗君 その取り決めは国会審議にかけると、これをはっきりお答えいただきたいんです。
#190
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、政府において責任を持って決定をしなければならない問題であろうと思います。その最終的な結論が出た場合においては、その結論を国会に御報告を申し上げたい、こういうふうに思っております。
#191
○久保田真苗君 私は、やはりこれは条約とか協定とかというものの中でも最も政治的、最も戦略的なものだと思うんです。これを国会の承認を経ないでやるという権利は、私は政府にないと思うんです。はっきりお約束いただけますか。
#192
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん、条約とか協定とかいうことになりますれば、国会の御批准がなければこれは確定をいたしませんから、その点については我々も十分承知をいたしております。
#193
○久保田真苗君 既成の枠内でこういうものをすり抜けてやるということをしないでいただきたい。よろしいですね。
#194
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん、国会の批准を要することが必要だということになれば、当然国会の御審議をお願いをすることになるわけでございます。しかし、これは一体これからどういうことになるのか、とにかく調査の結果を我々踏まえましてまたアメリカ側とも折衝もしなきゃなりませんし、その前に政府の結論も出さなきゃなりませんし、また諸外国のアメリカとの間の枠組みがどういうふうになっているかということももっともっと研究をしなきゃならないと、こういうふうに思っておるわけです。
#195
○久保田真苗君 やめるという御決定ならそれはそれで結構なんですけれども、やるという御決定を国会の承認なしでやるということは、私は本当にこれは政府の越権行為だと、このことを申し上げておきます。
 次に、貿易問題なんですが、過去に私ども、世界が大きい貿易摩擦を二度経験しているんですね。英独間の貿易摩擦が第一次大戦に結びついた、それから英米間の貿易摩擦が世界の未曾有の大恐慌に結びついた、こういことを体験している国は、やはりそれは非常に今の状態に、日本のジャパンプロブレムということで神経質になっていると思うんです。でも、財界とか官界の一部では、口で大変と言いながら、やはりたかをくくっているという、どうもそういう気がするわけです。今は私はあれかこれかではなくて、輸入も、それから円高差益の消費者還元とか、公共投資、減税、賃上げ、時短、こういったすべて内需拡大に役立つことを総合的、並行的にしてやるべき時期だと思うんですが、これは総理にお伺いしたいと思います。
#196
○国務大臣(江崎真澄君) この問題は私どもも非常に深刻にとらえております。
 御指摘のように、確かに第一次世界大戦、そして第二次世界大戦の原因をなしたのは貿易摩擦であったというふうに思います。今や日本のこの突出した貿易黒字インバランスというものは、やはり重大であるというふうに認識をいたしております。したがってあらゆる対策、これは既に御承知のように、日本はアクションプログラムを昨年総理のリーダーシップのもとに政府・与党を挙げて実施に移しました。これは、関税率においてはもう世界一安い関税国ということになっている。例外品目もないわけではありませんが、平均すればそういう状況になっておる。そうして輸出製品についても、御承知のように制限品目を鉄鋼、自動車その他設けておることは御存じのとおりであります。それから、海外に資本投下をしてその国の雇用に貢献をする、こういうことも大切であります。
 それから、今お示しのようないろいろな総合対策のうちでも最も意を用いた点は、日本の市場に非常に入りにくい、そこで規格、基準・認証の手続を最も簡素化していこう、わかりやすくしよう、そして外国の人が入りやすいように、また苦情があるときにはその苦情に即座に対応をするように、これがOTOの組織でもありますし、それを各省庁ともに的確に守っていこう。それで総合施策をとることももとよりでありますが、やはりまず内需を振興する面においては、今後といえども、これも総理の強い指示がありまして、私は民間活力をどう引き出すかという特命相でもありますので、その点についてやはり公的規格デレギュレーションの問題を今後どう進めるか、今作業をしておる最中であります。
 それからまた、予算で御協議をいただいておる一々については申し上げませんが、横断道路を初めとしていろんな積算をして、そして内需を振興しようということにしておる次第であります。相当な成果が上がるものというふうに考え、なおこの上ともにこの円高でデフレ傾向にあるときに、予算についての執行面では公共事業など弾力的な配慮もなされるでしょうが、どうかして下期に息切れのしないように目下いろんな対策を練っておるところであります。今一々申し上げる段階ではまだございませんが、皆さんの御期待にこたえられる相当な成果を上げたいということで努力をしております。
 それから、もう一つ私この機会に申し上げておきたいと思いますのは、この間ウォリス国務次官が訪問をされました。私との会談は四十分ぐらいという話でありましたが、一時間半に及んだんです。そのとき私は、もうアメリカの経済と日本の経済というものは完全にオーバーラップしています、補完し合っております、そして水平分業のような形も相当進んでおるんですよと。それは六百十三億ドル、昭和五十九年の統計のときに、そのうちの百九十億ドル、三〇%というものは、このアメリカ独自の企業、日本の勤労意欲、技術力、こういうものが二十億ドル、それからOEMというアメリカのブランドの合弁企業による逆輸出、これが五十億ドル、部品の輸出が八十億ドル、アメリカで全く生産をされていない商品の輸出が四十億ドル、合わせて百九十億ドル。今度の昨年の約七百五十億ドルという対米輸出の中でもやっぱり三〇%以上は、今統計はまだ出ていないが、必ずその程度のものは出てくるわけです。これに十分関心を持ってもらいたいと。
 これに非常な興味を示されまして、日本はなぜもっと宣伝をしてくれないんだ、これはもう日本とアメリカの経済というものは一体だということを自分は今初めて聞くんだ、どうもいかにもそれは残念だと。このことは我々訪米ミッションでも申し上げたつもりだし、またダンフォースその他の上院議員が訪日されたときにも資料としてお配りしてありますが、どうぞその水平分業体制というものを頭に描いていただきたい、そして双方協力し合った形で協調的競争、そういう立場で今後の経済の活性化を図り自由貿易体制を確保したいという話を申し上げたところ、まあ倍の時間をかけて、甚だ好ましい状況であるというので耳を傾けてくださったのが今申し上げたウォリス国務次官でございます。
#197
○久保田真苗君 政府調達が言われますが、これはどういうふうになっておりますんでしょうか。
#198
○説明員(池田廸彦君) お答え申し上げます。
 政府調達につきましては、この前ガットで行われました東京ラウンドの交渉におきまして政府調達コードというものをつくりました。我が国はこれのメンバーでございまして、我が国の政府調達につきましては、このガットのルールによって公開入札の原則、これにのっとって行われております。もちろん少額のものは除かれるシステムになっておりまして、一定限度の切り捨てラインというものが設けられておりまして、ある程度の額がまとまったものについてだけがガットのルールが適用される、こういう仕組みになっております。
#199
○久保田真苗君 制度はわかっているんですけれども、江崎特命相、こういうものは積極的にやっていらっしゃるわけですか。
#200
○国務大臣(江崎真澄君) もちろん今は政府機関ではありませんが、NTTがまだ独立をしないときに相当な大きな買い付けをして成果を上げて、御承知のように当時の真藤総裁がアメリカ側からも評価された。それからまた、民営化してからも相当思い切った買い付けをしておる。これなどは大いに奨励をしておるところであります。それからまた、アクションプログラムを作成しました段階の後におきましても、何せ当時の三百七十億ドル、今度は五百億ドル超と、こう言っておりますが、そのときにも各業者別に平常ベースプラス七十四億ドルを緊急輸入する。これは一時的、緊急避難的な輸入でありますが、それなども商社名を示して、しかも懇切丁寧にアメリカ側にそれを資料として配付もし説明もした。
 いずれにしろ、今後政府調達を含めてやはりアメリカにもっと日本がいかに市場を開き、そうして輸入努力をしておるかということを宣伝をする必要、十分知ってもらうための努力を重ねていくことが必要だというふうに思います。特にこれはワシントン筋だけでなしに地方の州に行きますと、日本の商品を歓迎する声、日本の企業を歓迎する声が大変強いわけでございまして、それなどを思いますときに、もっと宣伝の必要があるということを痛感しておる次第であります。
#201
○久保田真苗君 大蔵大臣、私大変素朴な質問なんですけれども、ウイスキーのことですね、アルコール飲料のことがECからまるで目玉のように言われているんです。ところで、このウイスキーというのをこの間原価を調べましたら、ジョニーの黒で輸入の価格が八百円なんだそうですね。それで、それに関税がかかるのが三百円なんですよ。それに酒税がかかって、その上に一番大きいのが流通マージンで卸売、小売と合わせて一万円になる、まあ今少し値引きしたところもあるようですけれども。ECが言っているようなことは、例えばこのわずかの関税を減らせというような点ですね。これは向こうがここにそんなに固執しているのになぜこの三百円をやめられないのか、こういうのをさっさとやめてしまったら、これは目玉にこたえることになるのじゃないかと思うんです。いかがでしょうか。
#202
○国務大臣(竹下登君) 私は、久保田先生の御質問というのはいわゆる酒税という問題かなと思ってとらえておりましたが、酒税ではなく、いわゆる関税の問題だということが今わかりました。あるいはアルコール類と言った方がいいかもしれません。それでは、フランスはブドウ酒、それからイギリスはスコッチ等々たびたび問題になる課題でございますが、この問題につきましては双方間には大きな不満というのは現状ではないであろうというふうに思っておりますが、せっかくの御提案でございますので、いわゆる国内価格の問題は関税とは本当は余り関係なく、流通価格だと思います。実際七百二十円のものが一万円になるわけでございますから、したがって関税の占める比率というのは、それは確かにおっしゃるとおり、少ないものだということをおっしゃっておるわけでありますが、ウイスキー、ブランデー、ワイン、いろいろ出てまいります。ワイン関税は今国会でまた引き下げの御審議をいただくことにしておりますが、個別の問題でございますので、それは直ちに結構でしょうと言うだけの自信は率直にございませんので、勉強の結果またその都度御連絡することにいたしましょう。
#203
○久保田真苗君 結構でございます。流通の問題は時間がありませんので、次にさせていただきます。
 南北問題なんですけれども、途上国でいろいろの経済問題がこの数年間発生してまして、現在当面する問題、それから懸念される問題、こういったことにつきまして御認識を伺い、あるいは必要な対応などもお答えいただければありがたいんですが、経済企画庁長官、それからもしございましたら大蔵大臣、外務大臣にお願いしたいと思います。
#204
○国務大臣(平泉渉君) 発展途上国では今一次産品の価格が低落をしておる、また低迷をいたしておる。一方、原油の方も御承知のような現状でございますので、原油を産出する国はいわゆる発展途上国が多い、こういうことから、これらの国々に非常に輸出所得の減少がございまして大変経済が低迷をいたしておる、こういう現状があることはお説のとおりでございます。産油国経済についてもこういう成長が鈍化する可能性がある。メキシコ、ベネズエラ等、一部の産油国においては累積債務問題が困難となる可能性がある。他方、石油の場合につきましては、我々消費国の方は非常にこれは貿易収支が改善になってくる、主としてまた経済の成長に寄与する、こういうふうな問題がございます。
 そういうことで、現在の国際経済情勢の中では一つの大きな問題で、いわゆる先進工業諸国と発展途上国との間の経済格差というものがますます大きくなってくるのではあるまいか、現にそうである、こういう認識が非常に高まっておるわけでございまして、先般来からも、あるいはこれは大蔵大臣から御答弁があるかもしれませんが、ベーカー提案その他の提案があるいはアメリカ側からもなされる、あるいは今後国際経済関係の諸般の会合におきましてこれが大いに議題となる、こういう情勢でございます。我が政府としましても、こういう時期において我々がこういう国々に対してどういう対策をとっていくかということを真剣に検討をしておるところでございます。
#205
○国務大臣(竹下登君) 私の分野で特に申し上げるといたしますならば、世銀あるいはアジ銀、これらの国際開発金融機関、これにつきましては我が国はいつでも積極的に増資とか出資を国会も賛成で通してもらっておるわけでございますから、非常に意欲的な対応を示して今後ともいかなきゃならぬ。それから東京市場で、何分大きな市場になりましたから、そういう国際機関が資金調達をされるということにつきましては、いわゆる金融・資本市場の自由化あるいは円の国際化というようなものの推進を通じてこれは十分それらの要請にこたえていくという必要があろう、このように考えております。
 それからいま一つは、私どもの方で申しますならば、ああして各国が政策協調の中で金利が今下がっております。このことは債務国の利払い負担の軽減ということで、やはり開発途上国に与える影響はいい方向に働くというようなことで、当面努力いたしております私の範疇を申し上げたわけであります。
#206
○国務大臣(安倍晋太郎君) 経企庁長官、大蔵大臣と同じ認識であります。
#207
○久保田真苗君 ナイロビ会議に参りましたときに、南北で対立した一節がございます。それは、ほかにもありましたけれども、先進国の経済政策批判というものがありまして、これはどうもこの会議だけではないように思うんですが、これがどういうものであったかというのを外務省から御説明いただけますか。
#208
○政府委員(中平立君) お答え申し上げます。
 先生非常によく御存じのように、昨年のナイロビ会議におきまして採択されました「将来戦略」の中におきまして、婦人の開発過程への参加に対する障害の一つとして世界経済の悪化が挙げられておるわけでございます。その中で三点ばかり先進国の政策に関しまして批判が述べられておる。主として三点でございますが、その中で、先生御指摘のように、開発途上国の主権行使を妨げる経済的強制措置が先進国により採択されておるということが述べられておるわけでございます。それからあと二点といたしまして、新国際経済秩序の実現に対する先進国の政治的意思が欠如しておるということ。それから最後に、開発途上国の輸出に対する先進国の保護貿易主義的な措置。この三点でございますが、これは非常にある意味では抽象的に書かれておるわけでございまして、我が国を初めといたしまして、西側諸国はこの問題につきまして立場を留保したわけでございます。
 今御指摘の経済的強制措置ということは非常に抽象的でございますので私どもは詳細については承知しておらないわけでございますが、いずれにいたしましても、日本といたしましては、開発途上国の開発というものは世界の平和と安定に非常に重大な関係を持つということから非常に重要な問題であるという認識をしておりまして、他方、先ほどから申し上げましたような開発途上国の要望といいますか、批判といいますか、そういうものもございますので、開発途上国との対話を今後一層やりまして、共通の問題に対する解決に努力してまいりたいと、こう思っておるわけでございます。
#209
○久保田真苗君 先進国の経済政策に対する不満というのは非常に大きいと思うんです。私は、途上国の言っていることが何から何まで適切だとは思わないんですが、大ざっぱに言って、非常に経済政策に不満があるというふうに思います。このために、国連あたりでアメリカが不評判である、日本もそれにつれて評判が悪い、そういう事実は大変残念だと思いますし、アメリカが総スカンになるような国際機関というのは大変困ると思うわけです。
 そこで、やはり総理も言っておられる南北のかけ橋という役割は今まさに出番なんじゃないかというふうに思うわけですけれども、これについて御所見をお伺いしたいと思います。
#210
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに私も開発途上国における先進国に対する不満はあると思っております。
 そういう意味で、世界の平和、安定、繁栄を図っていくためには、やはり南北がともに相協力して努力していかなきゃならないという観点から南北問題というものを重要にとらえて、日本は、先進国としての立場から南の問題に対して、南の経済発展に対して積極的にやはり努力を傾けなきゃならない。これまでも経済援助等、世界の中でアメリカに次いで日本は行っておるわけでございますが、さらに今後とも南、開発途上国側の実際の要請というものを踏まえた形でこれからひとつ援助等についても積極的な役割を果たしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
#211
○久保田真苗君 その役割の一つとして経済協力というのがあるんですが、日本の経済協力の基本理念というのは今どういうことですか。
#212
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはしばしば申し上げておりますが、我が国の経済協力、経済援助の基本的な理念は、人道主義、そして相互依存、この二つの理念を中心にいたしまして行っておるわけであります。
#213
○久保田真苗君 そうしますと、フィリピン援助ですが、フィリピン援助を今どうも非常に急いでおられるらしい。こちらから枠をつくって持ち込むのだというお話もあるんですが、どういうおつもりなんでしょうか。
#214
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピンはせっかくアキノ新政権が生まれたわけでございますが、経済は非常に悪化しておるというのが現状でございます。したがって、アキノ政権の最大の課題は経済の安定、民生の安定であろうと思っておりますし、それに対して日本の役割は非常に大きいと思いますし、また非常に期待が強いわけでありまして、日本はこれまでもそうですが、フィリピンに対しましてはアメリカとともに、アメリカ以上に実は最大の援助国ということでございますから、フィリピン経済の今後を考えますときに日本の果たす役割というのは大変大きいわけでございます。
 そこで、新政権が生まれました段階におきまして、政府間の今協議を行っております。そして、日本としてもフィリピン政府側から要請があれば直ちに協議チームを派遣いたしまして、これからフィリピンの経済の再建のためにどういう日本が役割を果たすことができるか、どういう援助というものをフィリピン側が期待しているかということについて十分ひとつ話し合いをして、そしてできるだけ早くその援助体制というものをつくって実行してまいりたい、こういうふうに思います。
#215
○久保田真苗君 フィリピン援助につきまして
は、社会党はこれまでたびたび警告してきたんですけれども、いろいろな教訓があると思うんです。今アメリカでマルコスさんの蓄財の問題がいろいろ調べがありますけれども、日本もあのくらい追及するだけの額を出していると思うんですね。私は、今後の援助の留意点の一つにぜひ含めていただきたいのは、やはり政権の腐敗というものが現にある、そういう状態にあるときには、調査をして、本当に慎重にやっていただきたいと思いますけれども、どうですか。
#216
○国務大臣(安倍晋太郎君) フィリピンを初めとして、日本が援助する国に対する日本としての援助の姿勢は、先ほどから申し上げましたように人道主義、あるいはまた相互依存という立場から行うわけでございまして、日本の援助というものが本当にその国の民生の安定、福祉の向上にやはり直接結びつくものでなければならない、こういうふうに思っておるわけでございますし、日本の援助は、フィリピンも含めましてこれまでの援助というのはその政権を相手にしているわけではございません。実際は政府間で協議をするわけですが、実際の援助はやっぱりその国の国民の生活の安定というものに結びつくような形で積み上げ方式で精査をしてやってきておりますし、また後追い調査等もやっておるわけでございまして、これについては、私は、日本の援助は確実にフィリピンを初めとして開発途上国の経済の発展には大きく寄与しておる、こういうふうに考えておりますけれども、しかしやはり念には念を入れる必要もあります。したがって、今後フィリピンの援助につきましても、せっかくできましたアキノ政権側の意見も十分聞きながら、日本のこれから生まれる新しい援助はフィリピンの経済の再建、そして国民生活の安定に結びつくような形で喜んでいただけるような形でこれを実行していかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
#217
○久保田真苗君 腐敗政権を助けているということは結局民衆のためにならないことでございますから、やはり腐敗に対してはもっと敏感である、慎重であると、こういうことをお願いしておきたいと思います。
 それから、最近しきりにアメリカの方からフィリピンとかハイチとか中南米という援助先の名前が挙がってきているんですが、私はこの国自体が悪いと言うわけじゃないんですが、いわゆるアメリカの戦略で物を見ていくという、そういうこととやっぱり一線を画していただかなきゃならない。アメリカに言われたからやるということなのかどうなのか、その辺をはっきりしていただきたい。
#218
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日米間では、経済援助につきまして、最近も行ったわけでございますが、協議をいたしております。そして、アメリカはアメリカのもちろん立場がありますし、日本は日本の独自の立場で援助を行っておる。その援助がどのように効果的に行われておるかということについて、やはりお互いに相談をし協議もしておるわけでございます。しかし基本は、日本は日本の立場でやっておるわけです。アメリカはアメリカの立場でやっておるわけでございますし、私はそういう中でフィリピンの援助とか、あるいはアジアの援助等については日本がほとんど責任を持つような形で主力を注いでおるわけでございますが、同時に中米諸国につきましてもやはり日本の立場から人道的に、あるいはまた相互依存という関係を進める意味においても日本の立場で援助はしておりますし、今後ともこれは続けていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。決してアメリカの戦略的な援助に日本が巻き込まれて一緒になってやるということではないわけでございます。その辺はきちっと区別をしながら、しかし同時に、両国の援助がそれなりに効果的にその国の発展に貢献するということが必要でございますから、そういう意味でのやはり話し合いというものはいたしておるわけであります。
#219
○久保田真苗君 いろいろ戦略的な物の見方をしますと、フィリピンは太平洋での戦略的かなめ石だったり、中南米やカリブ海はやわらかい下腹だったり裏庭だったり、日本は熊のおりのしんばり棒だったり、よくそういうことを言っていただくものだと思うんですが、そういう意味合いからいいますと、私もう一つ気になるのが中米情勢の緊迫なんですね。グレナダで起こったことをニカラグアに重ね合わせて見る方もあるんです。それはアメリカの中でも外でもですね。非常におどかされている。ニカラグアはまさに恐怖のどん底でしょうね。こういう窮鼠猫をかむような心境、こういう恐怖というのは非常によくない、そういう緊張はよくないと思うんです。それで、もちろんこういう小さい国は赤子の手をねじるようなものだと思います。けれどもグレナダの場合よりは恐らく大量の血が流れるでしょうね。そうしますと、こういうことは決して日本のお友達の国のアメリカとしてこれがいいことではないと私は思うんですね。こういうまず情勢についての見通しと、それからそういう血が流れない、そしてこれがまた反米思想を醸さない、そういうような南北のかけ橋の役を日本ができないんでしょうか。
#220
○政府委員(山口達男君) お答え申し上げます。
 ニカラグアでは七九年の革命でサンディニスタ政権が成立したわけでありますが、革命後国内の締めつけを同政権が強化いたしまして、その結果野党、教会、企業等、いわゆる民主勢力とのあつれきが高まっており、反政府ゲリラの活動が見られるようになりました。また同政権が一方でキューバ、ソ連等との関係を深めまして軍備を増強しておるという事情もございまして、このような状況が近隣諸国の懸念を招いているわけでございます。他方、隣国のエルサルバドルでも内戦状態が続いておりまして、ゲリラとの交戦状態が近年見られております。
 このような中米の紛争をどう解決するかという問題につきましては、域内の和平努力を求めるという動きが近年高まっておりまして、コンタドーラグループの外交工作が昨年末から、またことしの一月、二月、三月に続きまして、コンタドーラグループ及び支援グループの外相会議が何度も開かれております。我が政府といたしましては、従来からこの域内の和平努力を一貫して支持しておりまして、最近の域内各国の和平努力を非常に期待を持って見守っておるということでございます。
#221
○久保田真苗君 大臣もそうですか。
#222
○国務大臣(安倍晋太郎君) ニカラグアにおける情勢が混沌としておる、サンディニスタ政権に対して反対の勢力が軍備、武力闘争を行っておる、これに対してアメリカが物質的な支援もしておるということも聞いておるわけでございますし、またサンディニスタ政権がキューバであるとかあるいはまたソ連の力を借りておるということも事実であろうと思うわけでございますが、そういう中で日本の立場というものは、今局長が申し上げましたように周辺諸国が懸命に今努力しておりますコンタドーラグループの和平努力、これを積極的に支援をいたしまして、コンタドーラグループの手によってニカラグアの平和と安定が行われることを我々は期待をして、今後ともその観点からコンタドーラグループに対する我々の協力を進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
#223
○久保田真苗君 それで援助の問題ですけれども、いかなる場合にも人道的な援助というものは必要だと思います、どこに対しても。しかし、腐敗とともにもう一つ紛争地という問題があります。紛争地に援助するときには非常に慎重な調査、そして慎重な配慮が要ると思うんです。さもないと紛争を一層激化する、こういうことになりますので、私はひとつきょうは腐敗と紛争地、これに対する慎重な調査と配慮をお願いしたいと思います。いかがですか。
#224
○国務大臣(安倍晋太郎君) 紛争を助長するような援助を行ってはならない、これは国会の決議にもあるわけでございますし、我々も紛争を助長するような援助は真の援助ではないという観点からこれは行わないという姿勢を貫いておるわけでございます。同時に、非常に国内が混乱をする、あるいは今もお話のように腐敗をしてその援助とい
うものが本当にその国の生活というものの安定あるいはまた経済の安定というものにつながっていかないというふうな判断があれば、我々としてもこれは十分この辺のところは検討していかなければならない、こういうふうに思います。慎んでいかなきゃならない、こういうふうに思います。
#225
○久保田真苗君 ODAなんですが、七年倍増、にしきの御旗になっています。でもこれは出しおくれの証文なんですね。七年先になってやっと目標を達するという非常におくれたことなんで、今日本が思い切った対策を講ずるうちには入らないんです。特に大変な貿易黒字を持っているところから、どっちみち途上国の援助ということもサミットだのそれからいろいろな場で要求されていくと思う。この際私は、もうめり張りのきいたことを言われない先にもはっきりしていただきたい、こう思うわけです。もう既にそういう案もおありかもわかりません。例えば円高、原油差益、一次産品の下落、そういったものをどういう形で還元していけるのか、その点について既にお考えがあったり、これからお考えになることがあれば、ひとつ外務大臣に伺いたい。
#226
○国務大臣(安倍晋太郎君) これまで我が国は、援助につきましては御承知のように三年倍増、そして五年倍増を達成いたしまして、今回、ことしから七年倍増のスタートを切ったわけでございまして、この日本の努力というものは世界的にも非常に評価されておる。最近は御承知のように援助疲れといいますか、先進国の経済も必ずしもよくないということで援助が足踏み状態でございますが、そういう中で日本が三年倍増、五年倍増、そして七年倍増を打ち出したということは、日本が世界の中で大きな責任を果たしていくという点で、私自身も各国を歩いてみまして非常に評価されておると思います。したがって我々は、この七年倍増をまずきちっと進めていくということが大事であろう、こういうふうに思うわけでございますし、同時に今お話のように日本の黒字というものがふえておるということにつきましては諸外国からもいろいろと批判も出ておるわけでございます。特に為替の差益だとかあるいは油益といいますか、これからの問題として原油価格の低落によりまして油益というものが生じてくるわけでございますから、我々はそういう観点も踏まえて、これからやはり国内的にも国際的にも日本がどのような努力をする必要があるかということは今後の課題として検討をしなければならない問題であろう、こういうふうに思っておるわけです。
#227
○久保田真苗君 課題かもしれないけれども、シナリオというものはあるわけでしょう。可能性のシナリオ、そういうものがあれば聞かせていただきたいんですが。
#228
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今すぐシナリオといったようなものを具体的にここで私がお見せするほど固まったものはないわけでございますが、今外務省としましても、こうした日本の役割を果たすために国際的にどういう貢献をしたらいいかということについて研究をいたしておりまして、だんだん煮詰まってきてもおるわけでございまして、そしてこれはいずれ政府全体で御協議を行っていただかなきゃならぬと考えておるわけです。
#229
○久保田真苗君 ともかくシナリオはおありになるということですね。
 大蔵大臣、この前オイル高のときにOPECが基金をつくっていますね、非産油途上国に寄附するため。九十億ドルもつくっているんですよ、二兆ばかり。こういうことをやっているんですけれども、今あちらは非常に景気が悪い、こういう状態ですね。やはり持てば求められるということはどうしてもあります。ですから、私はこの際思い切ったことをしていただきたいと思うんですけれども、大蔵大臣の御感触はどんなものでしょうか。
#230
○国務大臣(竹下登君) 九月の十八日に外務大臣と徹宵で四百億ドル以上、これは確かにどこへ行きましても評価されておると思います、率直に申しまして。それで先生の御判断としては、あるいは民間等でそういう機関をつくったらそれに対して指定寄附という制度が一つはございますですね、そういうことをやったりいろんなことでその趣旨が生きるようにしろ、こういう意味だろうと思いますので、財政当局から初め言い出すわけにもまいりませんけれども、先ほど来外務大臣からもお答えがあっておりますように、十分協議を重ねて、今の外務大臣が申しておりますような姿勢で対応していかなきゃならぬというふうに思っております。
#231
○久保田真苗君 どうもさすが大蔵大臣、お察しいただいてありがとうございます。
 それで、ODAの円高差額というのがあると思うんですね。それを削るかどうかということが問題になると思うんですが、まさかそんなことなさいませんよね。
#232
○国務大臣(竹下登君) ことし予算を組みましたときはたしか二百九円で組んでおります。したがって、これは今おっしゃるように、部分的には円高によって実質上支出が少なくて済むということもあり得るでございましょう。が、要はやっぱり中期な、七年間ということでございますので、為替はいろんな経過もございましょうけれども、円高差益で何とかドルベースを減してやろうとかいう悪巧みなどはしちゃいかぬことだと思っております。
#233
○久保田真苗君 はい、どうもありがとうございます。
 ところで外務大臣、途上国へのひもなし借款というのがありますね。これについてアメリカが限度を上げるという提案をしそうになって、そして、それに対して日本は何ですか、贈与比率の規制を緩和してほしいと、笑い物になるんじゃないんですか、こんなことを今日本が言い出せば。
#234
○国務大臣(安倍晋太郎君) この問題は、OECDでも閣僚理事会で私も去年もおととしも論議をしたところでありまして、いわゆるアンタイドの問題であろうと思いますが、この水準をどういうところに持っていくかということについては、今まさにOECD閣僚会議を控えましてアメリカとかヨーロッパ諸国との間に調整をいたしておるわけでございますし、日本もやっぱり国際社会の一員としてこれらの国々との間の協調した関係で進んでまいりたい、今目下調整の段階でございます。何とか合意を円満に行いたい、こういうふうに努力をしておるところであります。
#235
○久保田真苗君 余りみっともないことはおっしゃらない方がよろしいと思うんですね。
 それから、経済協力の中でNGOの寄与ということをいろいろな研究会などで言っていますけれども、これは外国と比べると日本のNGOの寄与というのはどうなんですか。
#236
○政府委員(藤田公郎君) 我が国の場合は、NGOの歴史が委員も御承知のとおり割と浅いということもございまして、諸外国に比して絶対額で申しますと、一九八四年暦年はドルでは四千万ドルぐらいのNGOによる援助が行われておりますので、世界では五位か六位ぐらいに位すると思いますが、ODAとの比較で申しますと、大体一%ぐらい、一〇〇対一ぐらいに当たります。西欧諸国はやはりキリスト教の伝統と申しますか、非常にNGOがむしろ古い歴史を持っておりますので、例えばアメリカの例で申しますと一〇〇対一六、一六%ぐらいに当たります。ほかの西欧諸国もかなり一割以上の、一〇〇対一〇以上の比率を占めているというのが現在の状況かと思います。
#237
○久保田真苗君 今後大事なことだと思うんですけれども、私一つ外務省に注文があるんですね。それは国際機関との協力、NGO、例えば今お金の入っている企業を例にとりますと、ウィーンに国連工業開発機関というのがあります、UNIDOと言うんですけれども。そこのプロジェクトに日本の企業なり日本の企業団体がボランティアとしてソフトの協力をしている、そういう例を御存じでしょうか。
#238
○政府委員(中平立君) 国連諸機関の活動を国民に紹介して、それから国連諸機関の活動に対する国民の理解と支援を求めるために外務省としてもいろんな努力をしているわけでございますが、例
えば一昨年から昨年にかけましてユニセフを通じましてアフリカヘ毛布を送る運動というものをやったわけでございます。これなどは非常に成功した例でございますが、ただいま先生御指摘のUNIDOにつきましては、確かにUNIDOといたしましてNGO、それから民間企業と協力しましてプロジェクトをやっておるというようなケースもございますし、それからまた、民間企業の参加を認めました協議システムというものもございます。それで私たちが承知しております範囲では、我が国の民間企業もこの協議システムに適宜参加しておる、こういうふうに承知している次第でございます。
#239
○久保田真苗君 よく聞こえなかったんです。参加しているんですか、していないんですか。
#240
○政府委員(中平立君) しています。
#241
○久保田真苗君 しているんですか。私がおりましたころは、日本の企業というのは一つも見当たらなかった。それからは進歩かもしれませんけれども、実にたくさんのプロジェクトがありまして、例えば日本の企業あるいは企業団体、そういったものがやるにふさわしい、例えば品質管理についての途上国へのソフトの提供、それから訓練、それから例えば西ドイツなんかがやっています途上国への製鉄のミニプラントの導入、こういったものは後々もいろいろな人間のつき合いもふえますし、企業のイメージアップにもなる。ただ日本の場合、非常に数が少ないかあるいは場合によってないところもあると思うんです、UNIDOみたいなところには。それは、結局いろいろなハンディがありまして、やっぱり仲人役が必要だと思うんです。それをやりますと、きっと応ずる人がある。ですから、外務省なりあるいは外務省の機関なりが、こういうことを民間の企業や企業団体、それからもちろん職能団体等に呼びかけて便宜を供与していただいて、そして日本がこういうところでソフトな人間による協力をしていただくようにぜひお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#242
○政府委員(藤田公郎君) ただいまの御示唆も含めまして、私どもは国際協力に従事しておられるNGOとの関係は、NGOの自主性は尊重しながら、まずNGOの方々がどういう活動をしておられるのか、それから相互の連携をどういうふうに図っていったらいいのかということを側面的にお手伝いをするというのが最初のステップかと存じまして、ただいま御審議をいただいております六十一年度予算では国際協力事業団でNGO関係の研修コースというものを設けておりますのに加えまして、NGOの相互の連携をお手伝いする費用というのも計上させていただいております。
 現在約二百余りのNGOが日本にございますけれども、この二百ぐらいのNGOの方々のリストをつくり、協議の場に便宜を図るということを考えておりますので、これを通じましてただいまの御示唆のございました国際機関との連携等々での便宜の供与も図っていけるのではないかと思います。
#243
○久保田真苗君 それじゃ、人権問題に移ります。
 外務大臣、日本は人権に関する条約の批准率が非常に悪いんですね。二十あって、そのうち七つなんです。これは一体どういうわけなのか。早期批准を望みたいんですが、いかがでしょうか。
#244
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本も憲法の趣旨に従いまして、人権尊重という基本的な姿勢のもとにいろいろな施策は講じておりますし、外国との必要な国際条約には参加をいたしておるわけでございますが、しかし日本は日本なりのまた制度、あるいはまた法律等もあるわけでございますから、そういう国内法との調整等も図っていかなきゃなりませんので、今準備はしている条約等は随分あるわけですが、まだ締結、批准というところに至っていない面も残っておることはこれはもう事実でございますが、全体的に見れば、私は世界各国の中で人権尊重の日本の法律制度等についてのあり方は決しておくれてはいないのではないか、こういうふうに思っております。
#245
○久保田真苗君 ところが、人権差別撤廃に関する条約というのがございますね。これは満場一致で国連で六五年に採択されているんですね。二十年も前に採択されて、もちろん日本も賛成して、そして百二十四カ国批准という状態なんです。去年お出しいただきました検討中のリストにこれがありました。ことしも入っています。だけれども、二十年もこの大事な条約がこのままおくれているということは、一体どういう理由でございますか。
#246
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も人種差別撤廃条約はこれはできるだけ早く締結をしなきゃならないと、こういうふうに思っております。外務省が中心になりまして、いろいろと関係各省との調整も進めておるわけでございますが、しかし国内法との関係があるものですから、まだまだこれをクリアできない点もあって、締結をして国会へ提出するという運びになっていないのは非常に残念に思っておりますが、今後とも努力は重ねてまいる考えであります。
#247
○久保田真苗君 問題となる点はどこでしょうか。
#248
○政府委員(中平立君) これは前々からも御説明しておるわけでございますが、この条約の第四条が一番大きな問題でございまして、この第四条に規定されております処罰義務に関連いたしまして、我が国の憲法で規定されております表現の自由等の基本的人権との関係をいかに処理していくかというところが一番大きな問題でございます。
#249
○久保田真苗君 ほとんどの自由主義先進国、これは批准しているわけですね。この諸国もみんな一番苦心をしたところだと思うんです。でも、それを乗り越えて批准し、場合によって立法もやっているわけですね。その例を研究していらっしゃると思うんですけれども、条約の批准の仕方ないし国内法制の改革について、幾つかの例がありましたらお話しいただきたいんです。
#250
○政府委員(中平立君) 御指摘のように、西欧諸国はほとんど締結しておるわけでございます。その際に、イギリス、フランス等は何らかの形で留保または解釈宣言をやっているわけでございます。他方、西独、オランダ等は留保も解釈宣言も行わずに締結しておるわけでございます。このように、各国の事情や法体系によりまして対応はまちまちでございます。
 なお、もう少し御説明いたしますと、イギリス、フランス、イタリー、マルタ、オーストリア、ベルギーの六カ国が、先ほども申しましたように、留保または解釈宣言を行っておるということでございます。
 それから、同じ対応の仕方でも、新規に人種差別処罰立法を制定した国もございますし、また刑法の改正によって対応した国もございます。前者につきましてはイギリス、フランス、イタリー、ニュージーランド等でございまして、後者の刑法の改正によって対応した国は西独、オランダ、ノルウェー等でございます。
#251
○久保田真苗君 それだけお調べになっているわけですから、いつまでもたなざらしにしておかれないで、ひとつどんどん進行して批准に持っていっていただきたいと思うんです。
 それに関連しまして、地域改善対策特別措置法、この同和地区の差別問題というのが、これまた長年我が国ではひっかかっている問題なんです。この特別措置法の中には四十四の事業が措置法に基づいて定められているんですけれども、その中で基本的な問題はどうも余り進んでいないんじゃないか、こういう気がいたしますのですね。それで、いろいろな問題を残したまま、この法律の期限が迫ってきているわけです。私どもとしましては、どれだけ進んだか進まないかというのを、ひとつ江崎長官に自己診断してみていただきたいんですが。
#252
○国務大臣(江崎真澄君) これは特別立法をいたしまして、昭和四十四年以来、十七年間、相当な成果を上げてきた。特に生活環境の問題、整備ですね、それから住居問題から教育の問題、就職のあっせんの問題、職能教育の問題、それらについ
ではそれぞれ所定の成果を上げておると思います。まだ今の地対法についても一年間期間を残しておりまするので、その間に鋭意事業を促進させていくつもりであります。
 ただ、問題なのはソフトの面、いわゆる精神的な面を含む非常な苦しみ、苦痛、こういった面においては十分でない点があるということを認めざるを得ません。これはやはり教育全般にも関する問題でありますし、それからまた粘り強く啓蒙をしていかなければなりません。同じ日本人がどうしてそんな差別待遇を受けるか、これはもう本当に私、心から残念に思い、またその解決には最善の努力を払わなければならないというふうに考え、この法律の存続中にも全力を挙げる決意で努力をしてまいりたいと思います。
#253
○委員長(安田隆明君) 関連質疑を許します。村沢牧君。
#254
○村沢牧君 私は昨年、本委員会で部落解放にかかわる事業の促進を要請した際、当時の後藤田総務庁長官を初め関係大臣から、政府は最大限の努力をして地対法に計画された事業については法期限内、すなわち六十一年度までには何とか完成しますという答弁があったわけであります。しかし、六十一年度まで予算の面を見ても、あるいは事業の実態を見ても、かなりの事業が残ると私は思います。また地対法制定当時の計画に計上しなかった新たな事業もある。総務庁からこの内容を明らかにしてください。
#255
○政府委員(本多秀司君) お答えいたします。
 地域改善対策特別措置法制定時に見込まれましたいわゆる残事業、これは昭和五十六年当時の価格で国費ベースで換算したものでございますが、この残事業がいわゆる七千億、こういうふうに見積もられていたわけでございます。現時点におきまして、一部の事業を除き、法期限内に大部分が完成あるいは完成見込み、こういうふうに見ているところでございます。
 なお、先ほど先生御指摘がございましたように、地対法施行後、追加事業あるいは追加要望事業等が出されておりますので、これにつきましても緊急性等を考慮いたしまして、法の有効期限内に極力実施できるよう努めているところでございます。今後とも関係省庁と緊密な連絡をとりつつ、地対法の有効期限内に事業の完成が達成できるよう引き続き努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#256
○村沢牧君 地対法に関係する省庁は非常に多い。したがって私は、時間の関係上、総務庁で一括報告してくれと前もって通告しておいたんですけれども、今みたいな抽象的な答弁である。なぜ具体的な答弁ができないのか。総務庁には地域改善対策室があって、室長以下十三名のスタッフがおる。そんなスタッフがおって、私が言ったように具体的にどれだけ残っているのか、数字の面においてはっきり答弁をしてください。
#257
○政府委員(本多秀司君) 実はことしの一月に地域改善対策協議会の下部機関といたしまして基本問題検討部会が設置されたところでございます。当部会におきまして、私ども、昭和五十九年の六月に地対協が出されました意見具申、この中で提起されておりますいわば問題点といいますか課題、例えば、えせ同和行為の排除等々指摘されているわけでございますが、こうした問題点をこの基本問題検討部会におきまして十分御議論いただき、そして今後法期限後の基本的な方向づけの意見をちょうだいいたす、こういうところに私ども総務庁の使命があるというふうに理解しているところでございまして、そうした基本的な方向づけに基づきまして、それぞれの関係する省庁におきまして残事業のいわば積み上げが行われるというふうに理解しているところでございます。したがいまして、私ども総務庁といたしましては、個々具体的に積み上げ数字を申し述べる立場にないと、かように考えております。
#258
○村沢牧君 ですから、関係省庁がたくさんあるのだから総務庁がまとめて報告しなさいと通告してあるのじゃないですか。関係省庁幾つあるんですか。
#259
○政府委員(本多秀司君) 例えば現在……
#260
○村沢牧君 ちょっと待って。関係省庁幾つあるの。
#261
○政府委員(本多秀司君) 建設省、厚生省、法務省その他労働省等、かなりの省庁が関係してまいります。
#262
○村沢牧君 つかんでいませんか。数字はつかんでない、あなたは。残事業の数字をつかんでいませんか。
#263
○政府委員(本多秀司君) 私ども、まだつかんでおりません。これは先ほど申し上げましたように、基本問題検討部会におきまして十分議論を踏まえた上で、その後の、法期限後の基本的な方向が明らかになるわけでございますから、したがいまして、現時点におきましては基本問題検討部会におけるいわば総合的な議論の結果を待っていると、こういう状況でございますので、現時点においていかほどの残事業が残っているのかということを数字的に申し上げる立場にはございません。
#264
○村沢牧君 そんなことをつかまなくて総務庁の改善室は何ができるというのですか。あなたはつかんでいないとするならば、各省庁ではつかんでいるというふうに思いますから、じゃ、関係省庁は全部言ってください。
#265
○国務大臣(江崎真澄君) 今の政府委員側の答弁ではちょっとやっぱり御満足がいかぬだろうと思うんです。これは、私が聞いておりましても、残事業いかん、そういう質問が出ておったとすれば、これはどうも十分な答弁ではないと思います。
 私どもは、概念的に承知しておる範囲においては、事業はもう一年あるからとにかく計画的に促進すること、そしてできないものは、例えば土地区画整理事業であるとかその他住宅問題の改造にしても、そこに問題があって苦情処理が十分できない、折衝中であること、それが一体どれだけかということについては今政府委員のところで定かにしていないようでありますから、その問題については、いずれ精査して、先ほどの基本問題検討部会とこれまた別の問題ですから、よく検討するように命じます。
#266
○村沢牧君 長官、あなたのところには専門の室があるのですよ。十三人もスタッフがいるのだ。幾ら事業が残っているかつかまなくて、何をやっているのだ。あなたのところがつかんでいなかったら、各省庁、全部言ってください。
#267
○国務大臣(江崎真澄君) これは、各省庁に今すぐおっしゃっても、あれが残っておる、これが残っておるというのは大変報告しにくいと思うのです。そういう通告があったのに手落ちがあったとすればこれはまことに残念なことでありまして、直ちに調査をして、いずれ近い機会に御報告をいたさせます。
#268
○村沢牧君 私はこの問題がはっきりしなければ、質問、あとは続かないのですよ。
#269
○国務大臣(江藤隆美君) 建設省が期間内に実施すべき事業が、完了するものが四千六百億ございます。残事業が三千三百億の見込みでございまして、これは地元との調整その他が遅滞したために事業実施ができなかったものでございます。したがいまして、この法律が切れました後も引き続いてこの事業は実施する予定にいたしております。
#270
○村沢牧君 各省庁は全部言ってください。建設省だけじゃないですよ。
#271
○政府委員(小島弘仲君) 現在大体厚生省関係では千二百億ぐらい、そのうち六十一年度予算に組み込んでおりますのが四百億でございますので、六十二年度以降約八百億程度残るかと考えております。
#272
○村沢牧君 ちょっと待ってください。私は各省庁全部と言ったんですが、いいですか。
#273
○政府委員(野崎幸雄君) 法務省は啓発を担当する機関でございまして、物的事業は一切担当しておりませんので、私どもの方はその方の事業というものはやっておらないわけであります。
#274
○村沢牧君 総務庁に要求しておきますけれども、今言ったのを全部後から集計してもらいますから、私一々メモはとれないから、あとは聞いて
おいて総務庁で集計してください、各省庁幾ら残っておるか知らないようですから。
#275
○国務大臣(江崎真澄君) そういう通告を私が聞いておればしっかり御答弁するんですが、事務当局側が手落ちがあったと私は思います。直ちに集計をして、その土地の事情によってできないもの、また残事業といえども一年間のうちに完成し得るもの、これは区別できるわけですから、およその見当については納得のいく答弁ができるはずで、これはぜひそういうことにいたしたいと思います。
#276
○村沢牧君 私が今申し上げたことは、各省庁に全部言ってもらいますから、総務庁は知らないようですから、それを全部メモをとって、総体幾らですと後から答弁してくださいよということなんですよ。
#277
○国務大臣(江崎真澄君) そういたします。私の方で責任を持ってまとめます。
#278
○村沢牧君 どうぞ今この場でやってください、各省庁の分。今、建設省と厚生省からしかないじゃないか、あと言わないじゃないか。
#279
○国務大臣(江崎真澄君) いや、私の方にそれが上がってきておりませんので、そこで政府委員が答弁をしましたが、政府委員の答弁が御満足がいかぬようでありますから、なおそれは今後まとめて御報告をいたしますと、こう申し上げておるわけです。
#280
○村沢牧君 各省庁全部言ってくださいよ、数字を。残事業あるのかないのか。そうでなければあとの質問できないですよ。
#281
○政府委員(本多秀司君) 私の答弁が行き届きませんで大変失礼申し上げておりますが、現在各省庁においていわば予算要求ベースとしていわゆる残事業の数字が述べられたというふうに理解しておるところでございます。正確なところ一体幾らの残事業が法期限後金額ベースで残されているか、こういう御質問でございましたので、私ども現時点においては答えられる立場にはございません。なぜならば、残事業を確定するためには、同和問題についてなお残っておりますいろいろな基本問題が基本問題検討部会において討議された後に明らかになる、かような理解をいたしておるために、現時点においては残事業幾らというのを金額的に申し述べる立場にない、かように申し上げたわけでございます。
 しかしながら、先生今御指摘のように、現在一部の省庁が申し上げました数字をいわば足し算をすれば確かに各省庁において見積もられている数字の合計が出ることは事実でございますので、これにつきましては各省庁連絡をとりながら数字をまとめていきたい、かように考えているところでございます。
#282
○村沢牧君 建設省と厚生省が答えたんだから、ほかの省庁答えてくださいよ。でないと、あと幾ら残事業が残っているかわからなくちゃ全然質問にならないよ。
#283
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#284
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
 久保田君の残余の質疑は次回に譲ります。
 次回は、明後十七日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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