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1985/03/22 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第13号
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1985/03/22 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第13号

#1
第104回国会 予算委員会 第13号
昭和六十一年三月二十二日(土曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     海江田鶴造君     加藤 武徳君
     高桑 栄松君     刈田 貞子君
     中野 鉄造君     服部 信吾君
     田  英夫君     宇都宮徳馬君
 三月二十二日
    辞任        補欠選任
     石井 一二君     矢野俊比古君
     加藤 武徳君     海江田鶴造君
     竹山  裕君     倉田 寛之君
     岩本 政光君     真鍋 賢二君
     金丸 三郎君     伊江 朝雄君
     橋本  敦君     下田 京子君
     宇都宮徳馬君     田  英夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         安田 隆明君
    理 事
                遠藤 政夫君
                志村 哲良君
                桧垣徳太郎君
                降矢 敬義君
                水谷  力君
                和田 静夫君
                太田 淳夫君
                佐藤 昭夫君
                井上  計君
    委 員
                安孫子藤吉君
                伊江 朝雄君
                岩動 道行君
                石本  茂君
                長田 裕二君
                海江田鶴造君
                梶木 又三君
                倉田 寛之君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                秦野  章君
                林 健太郎君
                真鍋 賢二君
                宮澤  弘君
                矢野俊比古君
                柳川 覺治君
                稲村 稔夫君
                粕谷 照美君
                久保田真苗君
                佐藤 三吾君
                高杉 廸忠君
                安恒 良一君
                大川 清幸君
                刈田 貞子君
                中野  明君
                服部 信吾君
                下田 京子君
                橋本  敦君
                抜山 映子君
                宇都宮徳馬君
                田  英夫君
                青島 幸男君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       法 務 大 臣  鈴木 省吾君
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
       厚 生 大 臣  今井  勇君
       農林水産大臣   羽田  孜君
       通商産業大臣   渡辺美智雄君
       運 輸 大 臣  三塚  博君
       郵 政 大 臣  佐藤 文生君
       労 働 大 臣  林  ゆう君
       建 設 大 臣  江藤 隆美君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    小沢 一郎君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  江崎 真澄君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       古賀雷四郎君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  加藤 紘一君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       平泉  渉君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       河野 洋平君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  森  美秀君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  山崎平八郎君
   政府委員
       内閣法制局長官  茂串  俊君
       内閣法制局第一
       部長       工藤 敦夫君
       総務庁長官官房
       会計課長     塩路 耕次君
       総務庁長官官房
       交通安全対策室
       長        矢部 昭治君
       防衛庁行政管理
       局長       古橋源六郎君
       防衛庁参事官   瀬木 博基君
       防衛庁装備局長  山田 勝久君
       防衛施設庁長官  佐々 淳行君
       防衛施設庁総務
       部長       平   晃君
       防衛施設庁施設
       部長       宇都 信義君
       防衛施設庁建設
       部長       大原 舜夫君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁国民
       生活局長     横溝 雅夫君
       経済企画庁調査
       局長       丸茂 明則君
       科学技術庁研究
       調整局長     内田 勇夫君
       環境庁長官官房
       長        古賀 章介君
       環境庁自然保護
       局長       加藤 陸美君
       国土庁長官官房
       長        吉居 時哉君
       国土庁長官官房
       会計課長     斎藤  衛君
       法務省刑事局長  岡村 泰孝君
       外務大臣官房審
       議官       都甲 岳洋君
       外務省アジア局
       長        後藤 利雄君
       外務省北米局長  藤井 宏昭君
       外務省経済局長  国広 道彦君
       外務省経済協力
       局長       藤田 公郎君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       外務省国際連合
       局長       中平  立君
       大蔵省主計局長  吉野 良彦君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省理財局長  窪田  弘君
       大蔵省国際金融
       局次長      橋本 貞夫君
       国税庁次長
       国税庁直税部長
       事務取扱     塚越 則男君
       国税庁調査査察
       部長       日向  隆君
       厚生省保険局長  幸田 正孝君
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房予算課長    鶴岡 俊彦君
       通商産業省機械
       情報産業局長   杉山  弘君
       資源エネルギー
       庁長官      野々内 隆君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        逢坂 国一君
       中小企業庁長官  木下 博生君
       運輸大臣官房国
       有鉄道再建総括
       審議官      棚橋  泰君
       運輸省運輸政策
       局長       栗林 貞一君
       郵政省通信政策
       局長       奥山 雄材君
       労働大臣官房会
       計課長      石岡愼太郎君
       労働大臣官房審
       議官       田淵 孝輔君
       労働省労政局長  加藤  孝君
       建設大臣官房会
       計課長      望月 薫雄君
       自治省行政局選
       挙部長      小笠原臣也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和六十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十一年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十一年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
 前回に引き続き、総括質疑を行います。宇都宮徳馬君。
#3
○宇都宮徳馬君 それでは、最初に中曽根首相にお伺いします。
 世界の情勢は、米ソ首脳会談等も開かれつつありまして、緊張緩和、平和の方に向かいつつある動きも見えます。しかしながら、その反対の動きも非常に強いんです。特に太平洋、西太平洋方面で緊張が増していることは疑いありません。緊張とともに混乱も増しています。一つの変革期です。その変革の非常に大きなものがフィリピンであらわれました。フィリピンでマルコス政権が倒れました。独裁政権と言われ、米国と非常に親密な関係にある政権と言われたマルコス政権が倒れた。この政権は一体なぜ倒れましたか。表面から見るといかにも民衆が倒したように見えます。私もそう思いますけれども、あなたはどう考えられますか。民衆パワーが倒したように見えますね。あなたはどう考えられますか。
#4
○国務大臣(中曽根康弘君) 長い間の統治によって人心がもう飽いてきて、そして政権の交代を要望する声が全国的に高まってきた、その結果であろうと思います。
#5
○宇都宮徳馬君 マルコス政権はアメリカの強い援助もありましたが、日本もやっぱり援助していましたね。特に軍部と非常に近い政権でいわば軍部独裁政権とも言える政権です。そういう政権を変えた民衆の意思というものをどう考えられますか。
#6
○国務大臣(中曽根康弘君) やはりアキノ氏の暗殺事件あるいは今度の大統領選挙にまつわるいろいろな風聞等々から人心がかなりの不信感を政府に持ってきた、そういう大きな流れがありまして、その結果ついに倒れざるを得なくなったのではないかと想像しております。
#7
○宇都宮徳馬君 私はやはりもう少し深いところにあると思います。アキノさんが殺される、殺したのはマルコス政権が殺したと言われている、やはり殺す理由があったんでしょう。それ以前にマルコス政権に対する不信が非常に強くあった。これは、マルコス政権が非常な独裁をして民主主義を踏みにじったということが一つあります。それからもう一つは、やっぱり非常に腐敗していたということもあります。
 最近、マルコス関係の書類がアメリカに持っていかれましていろいろ調べられています。その調べられている内容について少し御存じですか、伺います。
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) 今、外務省、通産省あるいは経済企画庁等をして事実、真相の究明に全力を尽くさせておりますが、今の状態ではまだ資料が極めて不足でございまして、実態、真相究明にはまだ至っておりません。しかし、全力を尽くしてできるだけ早期に究明するように努力しております。
#9
○宇都宮徳馬君 私ももちろん資料を十分持ち合わせておるわけじゃありませんけれども、恐らくあなたの持っていらっしゃる資料と同じくらいのものです、アメリカを通じた資料ですからね。
 この中で非常にやっぱり我々が注目しなければならないのは、日本関係のいろんな事実が出てきているんです。それは、はっきり言うとマルコスさんのリベート取り、収賄に関係したような書類が出てきております。これはまだはっきりは申し上げられませんけれども、日本の特別なフィリピン関係の商社だと。それから、フィリピンの方のマルコス周辺にある、いわばリベートを受け取る専門の商社みたいなものとの間の文書が交換されている。それがアメリカの国会によって、どうもアメリカの国会はやはり民主主義がしっかりしていますから、そういう悪いことの調査というものは非常に早いですね、そういうことが少し出てきておるようです。
 その一つは、フィリピンにインベストメントという会社があります。その会長はベニトという人です。このベニトという人と日本の、近ごろ新聞に出ているトーヨー何とかいう会社ですね、この会社との因縁は非常に深いようである。それで、そのトーヨー何とかいう会社の、名前はしばらく言いませんが、とにかくこの幹部がベニトに手紙を出していますね。その手紙がアメリカの国会で取り上げられています。その手紙の中に非常に問題なことが書いてあるんですね。つまり、彼らのやっていることが不正であるということをみずから意識して言っている。そして、もしもこれが公になるとロッキード事件みたいな事件になるということが書かれているんです。これもお調べになればすぐわかります。書かれているわけです。そういうマルコスという人が、マラカニアン宮殿ですか、あの人の住んでいた宮殿で非常にぜいたくな生活をしていたと言われていますけれども、そのお金というものはもちろん正常なお金だけじゃありません。いろんな不正な金によってそういうぜいたくができたわけです。それで、そのぜいたくの根拠になるのがこういう手紙ですけれども、このベニトという人はそういうことが暴露されないように、OECFとか日本大使館によって非公式なブラックリストがつくられるということを非常に恐れていたといいますね。だが、日本大使館はこのことに関係しなかったことは明らか、これは安心してもらってもいいんですけれども、そういうことです。そういう事実があります。恐らくそういう事実はこれから続々と出てくると思いま
すよ。
 だから、そういう事実に対して中曽根内閣は、これを積極的に国民の前に明らかにする態度をとるか、あるいは秘匿する態度をとるか、これははっきりさせておいていただきたいと思います。
#10
○国務大臣(中曽根康弘君) 不正の有無等につきまして、全力を挙げて真相究明に努力しておるところでございます。今後もあらゆる手段を通じまして努力を継続して、国民の皆さんの前にできるだけ早く明らかにしなければならないと思います。
#11
○宇都宮徳馬君 この責任は日本政府には特にあると思います。国民の税金を相当借款その他の形で供与していますね。フィリピンに供与した有償援助といいますか、要するに借款、これが既に四千六百六十七億円に達しています。相当な額です。そして、これは昭和四十四年からのですけれども、最近になりまして、つまりあなたの内閣になってから一千七百億円、二年間に供与されていますね。今後また供与がふえるはずです。これも二千五百億円くらいになるでしょう。相当な額になるわけであって、これは国民の税金ですから、国民の税金がフィリピン国民の本来の用途に役立たずに不当な汚職その他に用いられては、税金を払う国民はたまりません。怒りたくなると思います。ですから、あなたもおっしゃったように、この問題に対しては厳正に対処していただきたいと思います。西太平洋のこれは一国です。つまり、緊張がだんだん大西洋から太平洋に移りつつある、そういう状況の中の西太平洋の一国ですね、フィリピンは。
 西太平洋の一国でフィリピンに似た国はもう一つある。それは韓国という国です。韓国という国もこういううわさがつきまとっている国です。そして、あなたは組閣のときに全斗煥大統領に直ちに会いまして、そして二十億ドルの借款を供与される約束をしたわけですね。あの二十億ドルはどういうふうに使われているか、大体あなたも御記憶があるでしょう、自分で約束したんですから。だから、その概括についてここで御説明願いたいと思います。
#12
○政府委員(藤田公郎君) 韓国に対します経済協力につきましては、五十八年一月の総理御訪韓の際に両国間で共同声明が発表されておりまして、それに基づきまして毎年両国間で年次ベースでの円借款を供与いたしております。五十八年度対韓円借款といたしましては総額で四百九十五億円が供与されております。五十九年度の円借款では総額で五百四十四億円、この交換公文が既に締結されております。
#13
○宇都宮徳馬君 現在、供与された総額はどのぐらいになっていますか。
#14
○政府委員(藤田公郎君) したがいまして、ただいま申し上げました五十八年度分の四百九十五億円に加えまして五十九年度分五百四十四億円の総額でございますので、一千四十億円程度でございます。現在、六十年度の供与につきまして両国実務者間で協議中でございます。
#15
○宇都宮徳馬君 これは円ベースで支払う、こういうことなんですか。
#16
○政府委員(藤田公郎君) 我が国の借款はすべて円借款ということで、円ベースでお約束をし、円ベースで供与者に対して支払われる、こういうことになります。
#17
○宇都宮徳馬君 韓国の政情も決して満足すべきものじゃない、どういう変化が起こるかわからぬ、よく見ますとそういう状況ですね。
 大体、韓国は朝鮮半島の南半分です。北半分に朝鮮民主主義人民共和国というものがある。この分断は、日本の植民地だった時代は統一されていたわけですけれども、戦争に負けまして日本が撤退するときに米ソ両国によって分断されたわけです。この分断状態というものは、日本が植民地化して統一して支配していた後にあらわれた非常な不幸な事態であって、私はこの分断に対しては日本の政治に責任があるというふうに考えています。ですから、この南北両国に対しては、やっぱり日本の政治というものは常にこれをどうやって統一する方向に持っていくかということを考えながらやらなきゃいかぬと思います。ところが、非常に対立している、あるいは対立感情をあおる国があるように感じます。
 朝鮮の南北問題に対してどう考えられるか、この際ついでにちょっと聞いておきたいと思います。
#18
○国務大臣(中曽根康弘君) 同一の民族が、特に長い歴史と文化を誇る同一の民族が南北に分断されて別々の生活をしなければならぬということは非常な悲劇であり、お気の毒にたえないところでございます。できるだけ早く平和的統一を可能ならしむるように我々も側面から御協力申し上げるべきものであると思います。
 ただ、まことに遺憾なことでございますが、第二次世界大戦後の非常に緊張した国際関係の中で、北と南が戦争をするという不幸な事態があって南が共産主義政権に席巻されたりした、そういう過去の非常に根深い悲劇があったものですから、お互いの猜疑心というものがなかなか去り得ない、戦争の記憶がいつもよみがえってくる、そういう面からなかなか平和的統一が難しいという状態は遺憾であります。
 しかし最近、全斗煥大統領は北に対して首脳会談を申し入れたり、あるいは議会会談、あるいは経済あるいはスポーツあるいは赤十字、そういうような各方面の多面的な対話を進めようという機運が盛り上がってまいりまして、非常に結構なことで、それが一つ一つ実現していくことを熱望しておるものであります。
#19
○宇都宮徳馬君 北にもいろいろな問題がありますが、南は日本と非常に関係深いだけに関心も当然深いわけですけれども、アメリカの一部の勢力が今市の状況に対して非常に心配しています、それはフィリピンの状況なんかと関連して。だから、レーガン大統領が左の独裁も悪いけれども右の独裁も悪いなんて言い出しているわけです。今、全斗煥大統領が二、三年後に辞任することを公言しているわけです。約束しているわけですけれども、その前に憲法を改正しろというような議論があります。つまり、そういう韓国の民主主義的な前進を欲する勢力、学生などもその中に入っていますし宗教家なども入っていますけれども、金大中なんかもその一人ですね。入っていますけれども、そういう勢力がやっぱり今の全斗煥政権のやり方に不満です。マルコスと同じような軍事独裁的な性格を持っているという意味で不満ですね。
 ですから私は、韓国との接触というものは、借款なんか大いに与えているということは借款の与え方さえ正しく、リベート等の不正な事実がなければいいわけですけれども、しかしながら一つの政権に偏る、例えば朴正煕政権に非常に偏ってその間にいろんな腐敗が起こったということも言われておる。全斗煥政権もこういう軍事政権に余り偏って、そうして例えばアキノ政変のような政変ができたときに日本の立場が非常に困ることになりますね。ですから、よほどつき合いは慎重にしなければいけません。
 私が特に申し上げたいのは、日本の憲法は天皇陛下を国民統合の象徴としていますが、これはもう政治とは離れた国民統合の象徴であるということです。それで、皇太子殿下はこれは国民統合の象徴の跡継ぎですね。こういう人を政治とか外交の中に持ち込むということは、よほどこれは慎重にしなければいけない。皇太子を韓国に行かせるといいますか、そういう動きがあるということを聞きますけれども、あなたはこれは御存じですか、どう思っておられますか。
#20
○国務大臣(安倍晋太郎君) 皇太子殿下の韓国訪問につきましては、これは政府から既にその経緯について発表いたしておりますが、先般、全斗煥大統領が正式に日本を韓国の元首として訪問されたわけでありまして、日本は今韓国との間に国交を持って友好親善を進めております。戦後初めての元首の訪問でございます。それにこたえるという、御答礼という意味で天皇陛下の御名代として皇太子殿下の訪韓ということが韓国側でも要請を
されるといいますか、韓国としてはこれを歓迎するというお話がありまして、そういういろいろの非公式のお話が結局、最終的には今公式的な形で皇太子の訪韓を歓迎するということになっております。
 日本政府としましては、皇室のことでございますから非常に慎重に考えておりまして、やはりおいでになる以上は韓国の国民あるいは政府に心から歓迎をしていただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。そういう立場から、目下、皇太子殿下の訪韓について韓国側と外交ルートを通じまして、具体的にどうしたらいいかという点で話を詰めておるところでございます。はっきりしたまだ結論は出ておりません。
#21
○宇都宮徳馬君 外務大臣、何かきのう手術されたそうですね、元気ですか。
 全斗煥大統領がこちらに来られたということと皇太子が向こうに行かれるという意味はちょっと違うんですね。やっぱりこちらは政争から超越した象徴的存在、片方は政争のど真ん中にいる人です。そういう人と同一に考えちゃいけません。ですから、こういうことを慎重にしませんと、やっぱり皇室の存在を脅かすことになります。変な利用の仕方をしちゃいけないということを私は申し上げておきたいと思う。
 次に御質問申し上げますけれども、最近のレーガン政権の姿勢ですけれども、ニカラグアに今いろんな問題があります。そして、ニカラグアでゲリラ勢力が反政府活動をしています。これは、どちらがいい、どちらが悪いというわけじゃないけれども、しかしいずれにしても、とにかくゲリラというものは正統政府じゃありません。しかし、正統正府でないものにレーガン政権が一億ドルの援助を与える、こう言っています。それがアメリカの下院で否決されましたね、援助案が。これは私は、非常に重大な問題であると思います。これに対する日本の対応が何かいいかげんであっちゃいけない。こういうレーガン政権の外交に対する態度についてあなたはどう考えられますか、中曽根総理。
#22
○国務大臣(中曽根康弘君) 外国政府の行っておるいろいろな外交、内政等については、我々は一切内政干渉しない、そういう原則を堅持しております。日本に関係が及んでくるという場合には、日本政府独自の立場に立って自主的に判断をしてまいる、こういうことであります。しかし、国際紛争というようなものはできるだけ平和裏に解決されるということが国連憲章並びに我が国の国是でございますから、そういう線に沿って民主的に平和的に解決さるべきであると考えております。
#23
○宇都宮徳馬君 ロン・ヤス関係などと言われまして、あなたとレーガン大統領は非常に親しいということが言われている。これは非常に私は結構なことだと思いますよ。特に軍事的な協力関係などが約束されている国ですから、結構だと思うけれども、しかしやっぱり間違ったこともしますから、そのことは非常に注意していなきゃいけません。間違ったことの追随をさせられては、これはたまらない。日本の平和政策の維持はできません。
 この際、一つあなたに伺っておきたいのは、あなたは中曽根内閣を御組織になってから何度か戦後政治の総決算であるということを言われていますね。あなたの言う戦後政治というのはどういうものであるか、決算というのはどういう形にするのかということです。単に審議会を余計つくるとかなんとかいうことじゃ決算にならない。やっぱりちゃんと具体的な方針を持って、こういうことをやるのだという方針をみずから持たなきゃ戦後政治の総決算なんということは、これは言えるはずがないんですね。あなたの言う戦後政治の総決算というものはどういう意味であるか。特に聞きたいのは、日本の戦後の政治の原則になっていた憲法にある平和主義、それから民主主義、そういうものの何らかの意味の否定につながるのかどうかということをあなたにはっきり聞いておきたいと思います。
#24
○国務大臣(中曽根康弘君) 今通常国会の施政方針演説でも申し上げましたように、戦後四十年たちまして、我々は民主的に偉大な成果を上げた、また偉大な時代を今つくりつつあると、そう考えて、そのよいところをますます助長して伸ばしていこう。しかし、四十年の間にはいろいろひずみも起こるし国民の不満もいろんな面でも出てくる。例えば教育の問題にせよ、あるいは財政再建あるいは行政機構の膨張、そういういろんな問題について直すべき点も出てきた。そういう意味で、いいところはいいところとしてみんなで確認し、悪いところは悪いところとしてみんなでこれを直していく、そういうスタートをやろうという意味で総決算ということを言っておるわけであります。
#25
○宇都宮徳馬君 そういうことはすべての内閣が考えるべきことですね。現在ある諸問題を解決していく、それを国民のためにいい方に持っていく、これは当たり前なことであって、総決算などという大げさな文字を使うべき問題じゃ私はないと思いますよ、今言われたようなことならば。もう少しそういう、もっといろいろ具体的な問題で解決すべき問題が多いと思いますね。
 最近のドル安に伴ういろんな危惧があらわれてきていますね。そのドル安というものは日米の貿易の不均衡を回復する、ある意味ではほとんど唯一の手段です。唯一の手段ではあるけれども、このドル安によって非常な今度は貿易のバランスも依然として解決されないけれども、しかし日本経済に対する大きなショックの可能性、現にショックがあらわれてきています。特に中小企業、地場産業と言われるような特殊なものを生産して売っているところとか、あるいは今までも非常に景気のよかったハイテク関係あるいは電機関係あるいは自動車関係、そこにも明らかな不況があらわれてきています。それで、特に大きな自動車産業等になりますと、これは第二次下請の方はまだいいけれども、第三次下請の方はこれはもう現に非常な不安感になってきている。雇用不安が出ているわけですね。ですから、ドル安に対してどう対応していくかということは、これはこれからの政治の大きな問題であると思います。
 しかしながら、このドル安に対応するという仕方はいろいろあります。円を下げていくという仕方も一つの対応の仕方である。あるいは、ドル安ということは結局日本に安い商品が入ってくることですから、それに対して関税、非関税障壁で対抗するということも一つの行き方である。いろんな行き方があると思いますね。いろんな行き方があると思いますけれども、いずれにしてもこの現在のドルの下落の本質、なぜドルが下がってきたのかということに対してはっきりした認識を持たないと本当はドル安対策は立たない、こういうことになるんですね。ですから、今のそのドル安の本質、そこに竹下大蔵大臣がおられるけれども、私はG5なんというああいっただ会議の決定で下がっているのじゃないと思います。私はもっと本質的なものがあると思いますよ。それはドル自身の持つ弱さである。それが今までむしろ人為的に支えられていた。それが崩れたというところに問題の本質があると思いますが、これに対して中曽根総理、どう思われますか。
#26
○国務大臣(中曽根康弘君) 最近における円が強くなりドルが安くなった、かなり急激な変動が起きておるという根本的な原因は、やはりアメリカが債務国に転落した、昨年の夏六月ごろから。それからもう一つは、アメリカの財政がやはり二千億ドルぐらいの赤字財政が続いている。やっぱりこの二つが非常に大きな原因として存在していると思うのであります。
 そういう点も注目しつつ、我々は実体経済に即した円・ドルレートが維持されるように、今の状態、百七十四円とか五円ぐらいにもこの間なりましたが、あれは行き過ぎである、両国の経済力、実体経済という面から見ると行き過ぎであると、そういうふうに我々は考えておりました。また変動が急激過ぎると、そういう意味におきまして我々としては重大な関心を持って見守ってきてお
るところであります。日本銀行当局は職責を持っておるわけでありますから、また独自の見解で対処しているだろうと思います。
#27
○宇都宮徳馬君 確かにドル安の原因がアメリカの財政赤字にあることは間違いありませんね。財政赤字から起こる。
 それで、アメリカの今の軍事費と公債費の総額を御存じですか。予算の何%ぐらいを占めていますか。アメリカの軍事費と国債費の合計はアメリカ総予算の何%ぐらいを占めていますか、御存じですか。
#28
○国務大臣(中曽根康弘君) 今年度提出している予算では約九千億ドル程度の総予算の中で軍事費が二千億ドルぐらい。国債費は大体日本と同じぐらいの比率で二〇%前後ではないかと思います。
#29
○宇都宮徳馬君 軍事費が二千億ドルというのは誤りです。
#30
○国務大臣(中曽根康弘君) 二千七百億ドル……
#31
○宇都宮徳馬君 二千七百億ドルも誤りです。レーガンの最初のレーガン教書は三千三百億ドルですよ。したがって、国債費をまぜると予算総額の大体四三%を占めています、軍事費と国債費が。それで例のグラム・ラドマン法案なんか出まして、何とかして国会方面から財政を締めようという動きがあるわけですけれども、それに対してワインバーガー国防長官などは抵抗しているわけですね。そういう状況です。
 だから、軍事費と国債費が総予算の四三%にもなるという状態、それゆえにいろんな産業に対する補助金のようなものがうんと減らされています。それから純粋の社会保障費は減らされませんけれども、教育補助費とかなんとかというものがうんと減らされています。そういうものがうんと減らされながら軍事費がふえていく。それから国債費は、これは当然ふえます。予算が赤字になれば国債ふえるんですから、国債がふえれば国債利子はどうしたって上がる傾向にありますね。ですから国債費はふえるわけです。ですから、アメリカの現在の財政赤字の根本は軍事費と国債費、これはほとんど食べるものとか着るものとか住むものとか、そういう人間の衣食住に役立たない、そういうものに予算の四三%が使われておるという状態ですね。
 これは、やっぱりアメリカの経済を非常に弱くしています。これは、決してアメリカの政府部内あるいはアメリカ国会内にそういうことに対する批判がなかったわけじゃありません。例えば共和党のハットフィールドなんという人はそういうことをもう数年前から憂えて、国家の資金が余りに軍事に費やされるから、平和産業は参ってしまうということを言っていますね。それで、アメリカの軍事予算がこんなに使われなきゃ、まずアメリカの道路網の大修繕が必要だ、これにはやっぱり二千億ドルくらいかかるなんということを言っています。そういう国民の日常生活のための費用が節せられて、そして軍事費、公債費に使われているわけですよ。だから要するに、結局において軍事費を前することなしにはドルが回復することはないと私は考えますけれども、これはひとつ竹下大蔵大臣答えてください。
#32
○国務大臣(竹下登君) おっしゃいますとおり、歳出の財源に見合ういわば公債を発行いたしまして、そのことが結局いわゆる高金利に結びついていく、そういう関連から申してみますと、経済全体のファンダメンタルズというのは、これは当然他の国に比較して諸条件が悪くなりますので、それが市場の形成するドル相場に影響してくるという論理は通ずると思います。
#33
○宇都宮徳馬君 ドルが下がるのは直接的には貿易赤字です。つまり、経常収支の赤字に反映してくる貿易赤字、これがドルを下げる直接の要因です。しかしながら、アメリカは一時強い高金利政策をとっていました。だから、日本なんかが出超で蓄積する金がアメリカに入るというような形で、要するに経常国際収支は非常に悪いのだけれども資本収支関係になると黒字になるというような関係があって、それでドルが保たれているということがあります。それが最近になってそういうドル高政策を一切放棄したということが言えますね。そのために貿易収支の赤字が真っ当にかぶってきてドルが下がってくる、こういう状況です。ですから、ドル安というものは決してそう簡単なものじゃないと思います。ですから、日本の中にいずれまたドルが高くなるというような予想があって、最近なんか、いわゆる財テクというものが企業ではやっているものだから、ドルを買って大損したなんというような記事が出ています。御存じですか。
#34
○国務大臣(竹下登君) いわゆる海外投資に金利差があって、それを機関投資家もあるいはそれに勧められる個人もレートの変更によってそれぞれ損失を受けたというケースはあると私も承知しております。
#35
○宇都宮徳馬君 でありまするから、ドルの問題に対してはよほど慎重にお考えになって問題の本質を十分見て対処をなさらないと、民間にも損する者が出てくるなんという現象になりますから、やっぱり根本はアメリカの軍事支出を減らすこと、アメリカの財政を健全化すること、それ以外にドルというものを本当に強くする方法はありません。私はそう思うんです。どう思われますか、今の問題。
#36
○国務大臣(中曽根康弘君) 本質的にはそういうものは中長期的にあるだろうと思います。ただ、アメリカの経済というものは非常に強靱な面がそのほかにもありまして、いろいろな多国籍企業が持っておる財産であるとか、あるいはさらにアメリカのまた安全保障面における力とか、そういうようないろんな面がありまして、いわゆるセーフティーへーブンという要素もある。だから、少し国際紛争が起こりぎみというとドルが強くなる、円は暴落する。これはやっぱりそういう国家にある根強さというものもまた否定できない面もあるわけであります。
#37
○宇都宮徳馬君 私はそれはよくわかっていますよ、アメリカのドルの強いあれはね。特に国際的に紛争が起こるとドルが強くなる。それはなぜかというと、やっぱり太平洋、大西洋に守られていて地政学的に非常に安全です。ですから、ヨーロッパに紛争が起こるとすぐアメリカにドルが流れてくる。それでドルは強くなるわけですね。そういうこと戦後に何度かありますよ、ドルが強くなったり弱くなったり。大体紛争がヨーロッパに起こると、つまりヨーロッパとソ連との間に紛争が起こるとアメリカがそれを後ろ盾するような形になる、その場合には必ず外貨がアメリカに流れ込んできて強くなるということは何度かあります。しかし、そういう状態というものは余り健全な状態じゃないわけですね。あなたが安保面とそれからアメリカの経済面との関連を言われましたけれども、これを余り考えることは危険である。
 私はここで、時間もありませんから申し上げますけれども、とにかくドルがどんどん安くなるその原因はアメリカの極端な軍事化にあるというふうに言えると思うんです。それは世界の軍事化にも波及している。それから大西洋のそういう軍事的危機というものは、最近はむしろ太平洋、特に西北太平洋に移りつつあるように見えます。
 アメリカはハワイあたりまでが大体アメリカの海とも言えるんです。西北太平洋というものは、むしろ日本、中国、フィリピン、朝鮮、インドネシア、それからソ連、そういう国の海ですよ。そういう国の海に余りにアメリカが深く入り込んできています。だから、フィリピンの問題の背景にもアメリカの軍事基地の問題がありますね。それから朝鮮問題の背景にもある。これは複雑な問題ですけれども、ある。アメリカがそういう軍事化によって使っているお金というものは莫大ですよ。これは経済的利益を上げないが、お金は莫大です。それが西太平洋なんかにおいてもドルの垂れ流しになって、それでシンガポールあたりの金融市場を形づくっているようなところもあります。
 つまり、ユーロダラーじゃなくてシンガポールダラーみたいなもの、香港ダラーみたいなものができている。そういうものがあって、それがアメ
リカの一つの経済力になっておるとも言えないことはないけれども、またこれは非常に外国人の経済力です。だから、アメリカのそういう軍事基地を各地に持つような政策というものは、アメリカの軍備そのものを拡張させるだけじゃなくて、そこにおけるいろんな費用というものは、これは莫大なドルの垂れ流しが行われておる。だから、あなたがおっしゃるように、アメリカが軍事力があるからドルが強くなるなんということは、危機の場合に流れ込んでくるという要素を除けばほとんどない。むしろドルを弱くしている要素である。これをあなたはよく考えてレーガンさんあたりに教えないと、アメリカは本当に崩壊しますよ。どう思いますか。
#38
○国務大臣(中曽根康弘君) 平和的志向といいますか、平和を守っていこうということは私も宇都宮さんとそう劣っているとは思いません。私も世界の平和やあるいは各国が平和政策を推進するように念願をして協調していきたいと思っておる人間でございます。しかし、先ほどの御質問は経済の現実に対する御質問でありましたから、私は冷厳に事実は事実としてこういう力もあるということを申し上げたので、望ましきという面においてはあなたと変わるところはないと思うんです。しかし、一国の政治を預かる者として、政治にせよ、安全保障にせよ、経済にせよ、冷厳な客観的な冷めた目ですべて物を見ていないと判断を誤りますから、そういう意味で申し上げておる次第なのであります。
#39
○宇都宮徳馬君 防衛問題を見る場合に非常に必要なことは、やっぱり平和を維持しているものは、あなたの冷めた目というのはどういう目か知らないけれども、ただ力と力の関係で個人同士の関係も国家同士の関係も平和が保たれるなんというものじゃありません。人間はもう少し高尚であって、理性とか徳性とかいうものによって平和が維持されておる要素がこれは非常に多いんです。それから、抑止力といったって、人間が気違いだったら抑止力も何も作用しません。だから、やっぱり理性と徳性が平和のもとであるということはこれはもう間違いないことです。そうでなければ国際法なんというものは成立しない。
 私は最後に申し上げますけれども、最近あなたの内閣になってから例えば逗子に海軍将校住宅をつくる、それから三宅島に軍用飛行機の発着場をつくるというようなことをやられて、それで現在の世界ですから、非常にある意味じゃ危険な世界にそういう軍事施設をつくられるということに対してひとつの不安が住民の間にあるのは当然とも言えますね。それで、この逗子の海軍将校住宅を一千戸つくるなんというところは、まさにこれは三浦半島じゃ珍しい自然林地帯です。
 三宅島なんというところは、これは私の衆議院時代の選挙区で、そこでは私はしょっちゅう第一位の投票を得ていたところですから非常によく知っているんだけれども、これは非常に小さい湖なんかあったりしているんです。それから蛇が住んでいないおもしろいところで、珍鳥が繁殖している鳥獣保護区ですよ。そこにあの飛行機がやってきて、私はどうも厚木に家があるものだから、厚木の飛行機かどっかに少しでも行ってくれることはありがたいんだけれども、あの騒音を三宅島に移すということは三宅島の住民にとって非常に気の毒だという私は感じがしているんです。だから、三宅島の住民の反対はよくわかります。
 それからまた、逗子なんかのことにしても、あそこはなかなかにそれこそ三浦半島唯一の自然林だ、原生林だと、こう言われているんです。ですから、住民としてみれば惜しいんですね。できたら自分たちの公共の用途に供したいと考えるのは当たり前です。あそこは米海軍の弾薬庫があったところです。それで、日米安保条約による地位協定によっても……
#40
○委員長(安田隆明君) 宇都宮君、時間が参りました。
#41
○宇都宮徳馬君 はい。不要になったらああいうふうに日本に返すということになっているわけですね。そういうところですから、あそこに非常な不満、それから国民的にもそれに対する抵抗が起こるのは当然だと思うんです。それをただ何かけしからぬけしからぬ、何か異なった特別な考えを持った者の反対であると考えることは非常な間違いであると思いますね。これはもう一度よくとにかく考えて、政府としても御反省になる必要があると私は思います。これについてひとつお答え願いたいと思います。
#42
○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の安全を守っていくためには日本の独力だけではできません。それでは膨大なお金がかかって増税をしなきゃならぬという形にならざるを得ないと思います。そういう面からアメリカと安保条約を結んで、アメリカの力も我々はこれを援用しつつ日本の防衛を全うしておるわけでありますが、そのためにはアメリカに対してある程度の施設も供与しなけりゃおらないわけであります。そういう意味で、三宅島やあるいは逗子の問題については住民の皆様にお願いをしておるところでありますが、自然の景観を壊さない、あるいは騒音につきましても住民の皆さんに御迷惑をかけない、そういう範囲内におきまして、住民の皆さんの御協力と御理解をいただいて無理のない形でこれを実行していこう、そういう考えに立ってやっておりまして、今後ともそういう限度を十分守りつつ住民の皆さんの御理解を得るように努力してまいりたいと思っております。
#43
○委員長(安田隆明君) 以上で宇都宮徳馬君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#44
○委員長(安田隆明君) 次に、青島幸男君の質疑を行います。青島君。
#45
○青島幸男君 私は、二院クラブの青島幸男でございまして、選挙制度とそれから政治資金の問題を中心に据えまして幾つか御質問申し上げます。率直でわかりやすい御答弁を期待するものでございます。
 ただいま国民の間でも国会の中でも最大重要事として検討されておりますのが、衆議院の定数是正の問題でございます。これはもう今衆議院が違憲の状態にあるというような異例なことでございますので、最も速やかに早急に手をつけなきゃならぬということだと思いますが、これを総理は緊急避難的に改正を行っていいものと思われていますか、それとも抜本的な改正がこの際必要だと思われていますか、どちらをお選びになるおつもりでございましょうか。
#46
○国務大臣(中曽根康弘君) 衆議院の定数是正の問題は喫緊の要務でございまして、昨年の秋の臨時国会におきましても各党のある意味における合意が成立し、そして大体の非常に大ざっぱな方向が示され、かつ衆議院議長さんがお出ましになりまして、衆議院議長見解としてそれがまとめられて、そして国会決議もなされたわけで、今国会において速やかに成立させるという約束ができております。各党で協商の機関をつくりまして、今各党の代表がいろいろ努力して案をまとめつつあります。そういうときでありますから、我々の方も積極的に自民党として協力もし推進するように努力しておるところでございます。
#47
○青島幸男君 究極、どの案を見ましても、一対一という理想的な格好をこれを抜本的案と言えば、その線に向かって近づきつつはあるけれども、必ずしもそうならない。しかし、一対二ならいいのか、一対三ならいいのか、これは国民の権利に関する問題でございますので、程度の問題で論じるのは私はいかがかと思うんです。ですから、自民党の中だけでも、なかなか実際問題として案がまとまりにくいという背景があります。というのは、それぞれの地域とそれぞれ選出されている方々の利害関係と密接にかかわりがあるわけですからね。しかも、各党間で話し合いを行ってもなかなかまとまりにくいのは当然のことだと思います。しかし中選挙区という歴史的な経緯を踏まえつつ、しかも限りなく一対一に近づくように案をまとめていくためには、かなり皆さん妥協していかなきゃならないところが出てくる。そのために一番合理的なのは、やっぱり第三者機関の考
え方にゆだねるという部分、その方向で与野党の合意を得ていくという格好にしていった方が、より国民の目にもわかりやすい、合理的な手段になりやすいというふうに考えますが、その点についてはいかがお考えですか。
#48
○国務大臣(中曽根康弘君) 大体各党の代表で粗ごなしにこなして、そしてある段階に来たら衆議院議長さんにお出ましを願っていろいろ判断を仰ぐ、そういうコースで今進んでいるように思いまして、これは妥当なコースではないかと自民党員としては思っております。
#49
○青島幸男君 衆議院は、今一対三・九四ぐらいのアンバランスが生じているようでございますけれども、昨年十二月の速報値によりますと、参議院の選挙区では鳥取の一に対して神奈川の六・三というようなことで、これも実にゆゆしい問題になっておると思うんですけれども、参議院の選挙というのはもうこの六月予定されておりますですね。七月七日に参議院の半数の人間の任期が切れますので、これは当然行われなきゃならないはずで、選挙の開始の日から考えますともう三カ月ないんですね。こういう状態で今すぐに参議院の方の地方区選挙区と申しますか、の定数是正を即座にといってもなかなかこれは難しい問題だと思いますが、これをそのままほおかぶりして今度の選挙を迎えてしまうことに矛盾をお感じになりませんかどうか、その点をお尋ね申し上げます。
#50
○国務大臣(中曽根康弘君) いずれ参議院のことも研究しなければならないと思っております。
#51
○青島幸男君 衆議院の問題がそれこそおしりに火がついたという状態になっております。なかなか参議院までは手が回りかねるというような考え、事務的にもあるいは気持ちの上でもそうだというのがわからない気はしなくもないんですけれども。しかし、参議院と衆議院とは本来違った使命を持って、それぞれが車の両輪としてお互いチェック・アンド・バランスの効果を上げながら進めていくように二院制というのは基本的にできていまして、ですから、全国区もある、あるいは六年間の任期が安定して得られるというような格好で、長いスパンでじっくりと政局をにらんでそれなりの政策が打ち出せるというようなことになっているはずなんです。ですから、確かに今すぐ衆議院の定数是正と同じように参議院の地方区選挙区の定数是正もしなきゃならぬと、同一に論じるわけにはいかぬかもしれませんけれども、しかし、一票を投ずる有権者の立場になりますと、鳥取の人の一票の私は六分の一しか影響力が持てないんだと思うと、いたくやっぱり投票に行こうという気持ちをそぐと思いますけれども、その投票しに行く有権者の立場に立ってお考えになったときの気分はどんなものと考えられますか、その点もお尋ねします。
#52
○国務大臣(中曽根康弘君) 参議院は衆議院と違いまして、チェック・アンド・バランスの中でも、参議院は衆議院の行き過ぎを是正したりあるいは調整したりするという特別の役目があると思います。それと同時に、参議院に出てくる議員の皆さんも衆議院とは若干性格を異にして、その地域全体をにらんでその代表としての使命を果たすということで、衆議院よりも選挙区が大きいわけであります。全県区というようなものでもありますし、あるいは全国区というようなものでもあります。そういう点で衆議院とは違うわけでありますから、選挙制度につきましても、基本的に同じ部分と違う部分と両方あると思うんです。そういう面から見ましても、参議院の場合にはまた衆議院と別の観点も入れて考えなければならないと、そう思っておる次第です。
#53
○青島幸男君 参議院と衆議院の性格の違いはおのずと規定されておりますが、だからといって、その選挙区の定数是正を行わないままあるいは放置したまま次々に選挙を繰り返していくということはやっぱり政治不信につながってしまいますので、その地方区選挙区の定数是正にも大変な熱意を燃やしていただかなきゃならないと私は思うわけです。
 それはそれとしまして、多くの国民の反対を押し切って全国区を比例代表制にいたしましてこれを強行してしまったわけですけれども、この我が国で初めて行われました拘束名簿式比例代表制の結果につきまして、総理はどう評価しておられますか。
#54
○国務大臣(小沢一郎君) この新しい制度への移行に関しましては、国会におきましても十分論議されてその上で施行されたものでございまして、前回の比例代表制につきましても、国民にその点につきましても十分理解され、選挙が円滑に執行されたものと考えております。
#55
○青島幸男君 随分それはひどい認識でございまして、野党席から笑い声も出ておるようですけれども、そういうような経過でできたことじゃないんですよね、それはもう薄々おわかりだと思いますけれども。こういうふうに選挙制度が変わって初めて、しかもなれない選挙なのに、国民の方々は正確に自分の考え方を反映なさって大変にきちっとした選挙をなされたということで私は敬服しているくらいでして、初めての選挙制度なのによくまあ、従来と余り変わっていないわけです。というのは、この選挙制度を変えた一つの理由は、全国を一区にして、しかも百人近い候補者の中から一人を選ぶというのは大変煩雑だ、だからやめようといったのが一つの理由なんです。ところが結果を見ますと、ちゃんとおのれの心情に合った政党的な区別をまずなさって、それからその中で選んできちんと投票なさっているわけです。
 だから、結果として同じだったということは、全国を一区にして百人からの立候補者を見定めるのは難しかった、だから直さなきゃならなかったという理屈にはならないわけです。その理由の一つはもう外されたわけですね。しかももう一つは、金がかかり過ぎるとか、あるいは労力がかかり過ぎるというのがあとの二つの理由でしたが、これは制度的な理由ではないわけです。制度が悪いからそうなったのではなくて、そうする人がいるという運営上の問題であります。現実の問題として、金も労力もかけずに当選している者もいるわけですからして、その辺もよく考えていただかないとならないわけですからね。ですから、この一つ一つの理由が全部外されているわけですよ。
 しかも、この前選挙をなさった方、それからこれからの選挙に向けて今選挙活動をなさっている方も、前より大変だとおっしゃっているわけですよ、金もかかるし労力もかかると。選挙制度を変えたからといって一つもよくなっておらぬじゃないかという不平も、自民党の中にもたくさんあるでしょう。野党の中にもあるそうですよ。一つもよくなっていない。その三本の柱というのは、それなりの意味がなかった。しかも、意味がないのに変えたと。この改革は、もうこの二度目で終わりだというようなことを言っている人もおりますし、それからジャーナリズムの中では、二度にして最後の比例代表区の特集なんという記事を早々と組んでいる人もいるくらいです。もうやらないというような大勢になっているようですけれども、改革は失敗だったとお認めになりませんか、どうですか。
#56
○国務大臣(小沢一郎君) この以前の全国区の問題につきましては、先生も御指摘がありましたし、いろいろなそれはそれなりに当初その目的を持って、いわゆる職能的な感じの各界の代表とか、そういうような参議院の特性を生かしてまさに良識の府として選ばれてくる、そういうことを期待しながら全国区の制度というものは当然できたものだと思います。それが、しかし今いろいろ御指摘のように、全国が一つの選挙区である。金の問題もあれば労力の問題もあれば、いろいろな弊害も生じてきておる、それを直さなければならないのではないかということから、国会で論議された上、新しい制度に移向したものであろうと思います。その前回の比例代表制につきましては、それは先生方個々人あるいは政党個々人でいろいろ事情は違うでしょうけれども、それなりにこの点は先生もお認めのとおり、国民も理解して投票をしてくれたものと思っております。
 この問題につきましては、いわゆる選挙制度の
ことでございます。どのような選挙制度にいたしましても、それがもう一〇〇%理想的なものであれば一番結構なわけでございますが、それぞれの問題点は御指摘のようにあるかもしれません。しかしながら、これは国会の、参議院のいわゆる院の構成にかかわる基本的な土俵づくりの問題でございますので、私どもももちろん勉強はいたしますけれども、各党各会派、議員の先生方、皆さんの論議の中でそういった先生の御指摘の問題等につきましても御議論をしながら検討していくべきことであろう、そのように思っております。
#57
○青島幸男君 大変答弁に苦慮されているようですけれども、何を言っているかよくわからないのですよ、あなたのおっしゃっていることは。国民は何も理解しておらぬですよ、そんなことを。比例代表制選挙というのは国民の間からほうはいとして起こった意見ではないわけですよ。これは選挙される側が勝手に決めたのですよね。有権者にとってはちっとも労力もかからないし金もかからないのですよ、投票所へ足を運んで意中の人を書けばいいわけですから。それを金がかかり過ぎるだの、労力がかかり過ぎるだの、矛盾点が多いだのというのは、つくった方の問題なんですよ。有権者の方にはないんですよ、そんなものは。しかも、結社の自由あるいは個人の立候補の自由というような憲法にかかわる問題をなおざりにして、しかも党利党略としか言いようがないように一方的に強行採決したのですよ、あなた方は数を頼んで。しかも、この問題が論議されている最中ですよ。今あなたがおっしゃったような答弁は絶対満足できないですよ、国民のだれが聞いても。どうなんでしょうね。
#58
○国務大臣(小沢一郎君) 国民の意見ではなくて選ばれる方で勝手に決めたというようなお話でございますが、私はその御意見こそ不可解でございまして、国会で論議して決められたものでございます。そして、国会は国民の代表者の皆さんが決めるわけであります。私どもも国民を代表し、国民に選ばれて国会に出ております。その国会で最終的には多数で決める以外ないわけでございまして、それは国民の支持するところでございますし民主主義の根本の原理であります。したがいまして、私はそのような民主主義の手続により国会によって、国民の代表者によってこの選挙制度も決められたし、今後もそのようにされるべきものであると考えております。
#59
○青島幸男君 ですから、民主主義の根幹にかかわる問題だからこそ与野党衆知を集めて、どなたからも納得のいくような案にしようじゃないかということで鋭意努力を積み重ねて論議をしていたんですよ。その論議の最中に、発言権を持つ人がまだまだ何人もおいでになって、これから集中的に論議を尽くそうじゃないかと情熱を燃やしている最中に自民党が多数をもって強行採決したのですよ。これが民主的なルールに従った判断だと言えますか。
#60
○国務大臣(小沢一郎君) これは国会の基本のルールでございますから、もちろん十分に論議をされた上で各党、各議員の間で、その結果で結論を得なければならない、それは当然のことであります。しかしながら、いつまでも論議だけをしていたのでは何も決まらないわけでございまして、いずれ多数の意思によって決めていく、これが民主主義の根本の原理であります。
#61
○青島幸男君 あなたの論理でいきますと、自民党、連立てはありますけれども、衆参両院で過半数を持っているわけですよね。だから、最後に採決で決めればいいんだと言えば、あなた方の考えだけで国を運営することができるということですよね。そんなばかなことがあっていいわけないでしょう。民主主義の根幹にかかわる問題だ、その発言は。十分な議論を尽くしていかなきゃならないというのはもう自明の理でしょう。
 もう一つ問題があるんですけれども、強行採決のときに議長所信という、これまた異例なことなんですけれども、「この法律の施行の後(昭和六十一年の参議院通常選挙終了後)に新法施行状況等を勘案し、必要により本制度に検討を加えるものとする」と、こう書いてあるんですね。言葉は立派ですけれども、平たく言いますと、やってみてぐあいが悪かったらやめちまおうという話ですね。確かに試行錯誤は必要です、何事においても。しかし、それこそ今申し上げたように、議会制民主主義の根幹にかかわる選挙の問題を、一回やってみてだめならやり直そう、考え直そうみたいなそういう安直な考え方で行われては国民にとって大変迷惑だと思いますね。しかもこの所信というのは、与野党で合意の上に交わした覚書とかそういうのじゃないんですよ。議長の個人的所信なんですね。ですから、はっきり言わせていただけば、自民党にとって都合がよければ何回でもやるけれども自民党にとって都合が悪いことが生じたらやめちまおう、こういう話ですよ。こんなばかばかしいことを笑って見過ごすわけにはまいりません。どうでしょうね、もうこれはやめちまおうという雰囲気が非常に高まっておるようですし、この制度を反省の上にもうやめちまうんだということを明言なさったらどうでしょう。
#62
○国務大臣(小沢一郎君) 基本的に制度を変えるかどうか、それは国会で決めることでございます。現在の比例代表の選挙制度も参議院の議員立法によりまして国会の意思によって最終的に決まったものでございまして、私どもはその決められた制度にのっとって選挙を管理、執行している立場でございまして、今まで申し述べました、もちろん一般論として先ほど来申し述べておりますが、基本的には先生の御趣旨は国会の中で決めていただく問題であると解釈しております。
#63
○青島幸男君 大変苦しい答弁を自治大臣はされていたようですけれども、私が申し上げた話を聞かれまして、初めて行われました拘束名簿式比例代表制の結果について総理からぜひとも評価をお尋ねしたいと思います。
#64
○国務大臣(中曽根康弘君) 青島さんは大臣や政府にいろいろお聞きになりますが、この法案はたしか議員立法で議員の皆様方がおつくりになったので政府がつくったのじゃないので、むしろ政府に質問なさるよりも野党や与党の議員の皆さんにいろいろ御質問なさるというのが第一義的に筋じゃないか。それから今度は議員のこういう考えについて政府はどう思うかと、そうお尋ねになるのがどうも筋じゃないかと思うんですがね。ですから、むしろ議院運営委員会とかあるいは選挙制度の調査会とかそういうところでまず御議論願うのが筋じゃないかと、そう思うんです。政府にいろいろ聞かれましても、物事には一長一短がありまして旧制度にも一長一短があり今度の制度にも一長一短がありますが、国民がどっちを歓迎しているであろうかという面もまた大事な面でありまして、そういう点は慎重に今後も研究を続けていきたい、そう思っております。
#65
○青島幸男君 私もこの法案が論じられました選挙制度の委員会におりましたのでその辺のいきさつは重々承知しておるつもりで、ただ選挙が行われた結果をどう評価なさるかということだけお尋ねしたかったんですけれども、そこのところをはっきりおっしゃらないのならそれはそれで結構です。しかしいずれにしても、民主的なルールで物事が行われなきゃならぬというのは当然のことでございます。
 翻ってまた、衆議院の定数是正に話が戻りますけれども、先ほど私が第三者機関の考え方にゆだねるという方向で与野党一致を見た方が早いのではないか、民主的なルールに従えるのではないかと申し上げたのは、また定数是正の問題で強行採決が行われるというようなことを懸念して申し上げたわけでして、強行採決が行われる、与野党がもう抜き差しならない対決になった、それでは仕方がない、国民に信を問おうということで再び総選挙、同日選挙というような結論に導かれてしまうのではとても納得ができないというようなことが背景にありましたものでそういう質問の組み立て方をしてまいったわけです。まさかそういうことはあるまいと思いますけれども、念のためにお尋ね申し上げますが、いかがなものでしょう。
#66
○国務大臣(中曽根康弘君) 解散は考えておりま
せん。
#67
○青島幸男君 続きまして、政治家個人に対する税金のありようについてお話を伺いたいと思います。
 国民の間には今非常に重税感があるということは総理もお認めになっておられると思います。もう一つは、国民も納税の義務は承知しておりますし、それが平等な負担であり、しかも使われ方が納得のいくものであれば税金を納めることにそう抵抗はないと思うんですけれども、最も不満に思われるところは、不公平な税制になっていやしないかということが不満に思われていると思いますが、不公平税制についてはどのようにお考えになっていますか。
#68
○国務大臣(竹下登君) これも国会で議決を得て今執行されている税制の中に、仕組みの上で不公平があるということは政府側からこれは断定できない事柄であります。ただ青島さんがおっしゃいましたように、いわゆるクロヨンでありますとか、トーゴーサンでございますとか、そういうそれぞれに不公平感を感じていらっしゃるということについては十分認識をいたしておるつもりであります。制度上の不公平というだけの議論になりますと勢い租税特別措置だけの議論にとかく狭まっていく。恐らく青島さんのおっしゃっていることはそういうことでなく一般に感じておるいわゆる不公平感、水平的公平とか垂直的公平とかいろいろの角度から議論をされておりますが、そういうものが現に国民の世論の中に存在しておるということは十分承知しておるつもりであります。
#69
○青島幸男君 十五日の税の申告が終わったばかりでして、納税者の間でいつも意見が分かれるのは必要経費の点で、サラリーマンについて、給与所得者についても必要経費を認めようじゃないかというような方向で当局としても検討されている部分もあるようですけれども、税法上の必要経費というものの規定をお聞かせいただきたいと思います。
#70
○政府委員(水野勝君) 必要経費は一般的には収入金額を得るために要した経費でございますが、さらに税制におきましては、その収入金額を生ずべき事業活動に関連して所得を生ずべき業務について生じた費用、これも含む、このような規定に相なっておるわけでございます。
#71
○青島幸男君 ちょっと違うような気がするんですよ。「これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額」というような記述もありますですね。私どもの方に税の申告のために配布されたパンフレットがあるんですけれども、これによりますと、必要経費を控除した額が政治資金に係る額の所得金額ですと。政治資金というのは雑所得でやっているんですよ。何回かごの点は大蔵大臣とやりとりしたことがあると思うんですけれども。政治家に対する必要経費というのは税法上の必要経費に当たらないんじゃないかということですね。当該収入を得るために必要な経費。政治活動というのは収入を得るためにやるわけじゃないですから、実際に事務所を構えたり、常任の人を雇ったりということは確かに必要なことです。それから政治活動に必要な金というのは、例えば自分の政治信条を皆さんに訴える、あるいは政策論議を闘わして、これを御理解いただくために集会を設けたりパンフレットを発行したりするのは必要なことです。政治活動をするために必要な経費ではあるけれども、当該収入を得るために必要な経費ではないわけです、政治活動というのは収入を得るためにのみ行うわけじゃありませんから。ですから、そのことを混同していると、税法上の必要経費をこれに該当させてしまうと実に法的にもあいまいなことになってしまうということを再三申し上げておるわけです。それでこの点については何とか考えていかなきゃならぬだろうという返答もいただいておるわけですけれども、一向になされた形跡がないんです。その点はどういうことになりましょうか。
#72
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、所得税法三十七条、「総収入金額を得るため直接に要した費用」、これは先生御指摘のとおりでございますが、「及び」ということで、そのほか先生今御指摘の「販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」ということで、「直接に要した費用」というのもございますが、関連して「生じた費用」というのも規定されておるわけでございます。
 この必要経費につきましては、もう昭和五十年代初めから先生から何回も予算委員会なり決算委員会でいろいろ御指摘いただき御議論をいただいているところでございます。確かに直接収入を得るために生じた経費という点につきましては、いろいろそのころからも御議論はいただいているところでございますが、先生今御指摘のいろいろな信条をいろいろな機会に御発表になるそうした経費、それはひいてはやはりそれによりまして議員なり何なりという政治家としての地位を得られる、それに関連する経費ではなかろうかということで、ここにございます「業務について生じた費用」というふうに読ましていただいているというのが現在の考え方ではないか、このように考えておるわけでございます。
#73
○青島幸男君 ところが、これがおもしろいのは、私がそういう指摘をしました。これは五十五年の確定申告についてというパンフレットですけれども、それには「政治資金収入から」「必要経費を控除した差額が政治資金にかかる雑所得の金額です。」と、こうなっているので、ここが問題だと言って追及したわけですね。そうしたらここを変えてきたわけですよ。今度はそこを外しまして、「政治活動のために支出した費用を控除した差額」と、こういうふうに実にこそくなやり方で表現を変えてきているんです。控除となりますと、給与所得控除とか医療控除とか、その控除の意味には条文の裏づけが必ずあるわけですけれども、ここで言われるところの「活動のために支出した費用を控除」というこの「控除」はどういう法的な根拠によって記載したのか、その点お尋ねします。
#74
○政府委員(塚越則男君) ただいま主税局長からお話がございましたとおり、所得税法三十七条の規定でございますが、「総収入金額を得るため直接に要した費用の額」、そのほかに、「及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」という規定がございまして、必要経費という言い方だと、単にその「収入金額を得るため直接に要した費用」だけというふうに通俗的に解される場合もあるだろう、そこのところはもともと所得税法の規定がこうした広いものを含んでおるものでございますから、それをはっきりする意味で現在の申告書の手引のような表現にしたということでございます。
#75
○青島幸男君 私の解釈が通俗的で申しわけないですな、それは。
 しかし、一番問題なのは、政治家の政治資金ですけれども、政治活動に専ら使って余りがあったら申告しなさいということになっていますけれども、政治活動に使って余りがあるとわざわざ申告をする人はまずまれで、政治活動に使ったのだということになればこれは免罪符のようなものでして、競馬に使おうとも皮のコートを買おうと私的経済と混同しようと税法上一切記述が不必要だ。これは国民にとってはいたく腹立たしいことだと思いますけれども、大蔵大臣どうでしょうかね。
#76
○政府委員(水野勝君) その点につきましても従来から御議論はいただいているところでございます。昭和五十七年に納税環境整備のための特別部会を税制調査会に設置いたしまして、納税環境の整備のもろもろの点につきまして御議論をいただいた中で、事業所得者等につきましては赤字であれば全く申告なり報告書は要らないということでございましたものを、年間収入金額が五千万円以上であれば赤字の場合でも一定の報告書を税務署に申告と申しますか報告をしていただくという制度が五十九年度改正から発足はいたしてございます。
 しかし、その時点におきましても、政治家の
方々につきましてはこれは事業所得とも種類が違うところでございますし、もしそうした点につきまして一定の事柄につきまして明らかにされるという必要があるとすれば、それは国会でもたびたび当時から御議論、御答弁を申し上げておりますように、税法の世界でこれに対処するといいますよりは、やはり政治資金規正法とかそういった領域、別の次元の立法政策の問題ではないか、こういうふうに従来から御答弁がなされておるわけでございまして、そういう考え方から、総収入金額報告書制度制定のときにも事業所得、不動産所得等に限られておるというのが現状でございます。
#77
○青島幸男君 おかしいですな、やっぱり。
 収支相償う、あるいは欠損が出ても五千万以上だったらちゃんと報告せいということでしょう、一般の納税者に対しては。そうすると政治家に対してはそれがないわけですね。何億集めようと何十億集めようと、政治資金として使ったんだからと一言言えば不問に付されるというのは有権者にとっては非常に納得できないことだと思いますけれども、政治資金規正法で扱うとか言い逃れするような格好でどうしてそこを範疇におさめないんですか、政治家の政治資金の使い道について。
#78
○政府委員(水野勝君) 繰り返してはございますけれども、そこは税法の世界でそういったものに対処するのとは次元の点が違うのではなかろうかという点が第一点でございます。
 それから、もちろんそういうような御申告の場合でございましても、もろもろの資料、データ等によりまして、執行当局といたしましてはほかの納税者と執行の面におきましては同じ次元で、もろもろの資料その他につきまして適正に調査等はさしていただいているというところでございます。
#79
○青島幸男君 調査していないですよ。必要経費の話は別にしましても、政治活動に使ったと言えばそれでよろしいわけですよ、現行。答弁ありますか。
#80
○政府委員(塚越則男君) 国税当局といたしましては、政治家の場合にも課税上問題があるということでありますと、一般の納税者と同様に必要な調査を行って適正な課税に努めております。
 政治資金の調査に当たりましては、法人税等の調査の際に得られる資料でございますとか、それから政治資金規正法による報告書等から得られる資料、いろいろな資料、情報を総合いたしまして収入金額の把握に努めて課税の充実に努めているところでございます。
#81
○青島幸男君 全然充実に努めていないんですよ、現状は。そんなほじくり返した例なんかないじゃないですか。これは重大な問題ですよ。総枠でどのぐらい使ったのかということをきちんと、一般の納税者としては雑所得でもこういうもので、大蔵大臣見てください、これがそうです。(資料を示す)雑所得でも、雑所得は幾らあった、例えば原稿料収入が幾らあった、資料を集めたり本を買ったのが幾らだ、これが必要経費だと。そうなってくると差額が幾ら、これの額が大きい場合は累進でまた加算されますね。そういうふうにして払うようになっているわけですね。
 政治家の場合、これは政治活動に専ら使用して残金がない、あるいは欠損という場合は申告しなくていいということになっていますと不公平じゃありませんかということを申し上げているんです。これが何億、何十億になってもこの問題は不問に付されるというのは、一般国民の側からすればとても我慢のできることじゃないと思いますよ。しかも、こういうことを放置しておくからわいろなのか政治献金なのかの区別もつかぬ。
 この間、日撚連の問題で当委員会も紛糾して一時ストップするような状況にもなりましたけれども、例えば不正が生じているかどうかを調査する資料もない。ましてや疑問をぶつけられた方がおのれの疑念を晴らす、証明するというすべもない。やみからやみですよ。こういう状態が積み重なってくるから政治不信に結びついてくるということを再々申し上げているんですけれども、この問題についてはなぜか触れませんね。どうなんでしょう、大蔵大臣。
#82
○政府委員(水野勝君) この点は先生からもしばしば御指摘がございますように、政治家所得、これは雑所得といたしておりますけれども、普通の所得の種類とはかなり違う性質があることは先生たびたび御指摘いただいておるとおりでございます。一般の事業所得でございますと、まさに収入金額を得るために必要経費を、あるいは一般の管理費等を支出する、これはまさに常態でございますが、雑所得と申しますのはまさにそうした利益を得るための事業活動ではないわけでございます。例えば個人的に本来の著述家でない方が自分の出版をする、あるいは自分の自伝を出される、自家出版をされる。こういったことも、もし利益があればそれは雑所得になるわけでございますが、そうした特殊な場合につきましてもすべて収入金額を利益があろうとなかろうと御申告、御報告をいただくというのは、税法としてもそこまでは求めることはいかがかということでございまして、そういった点は事業所得に限らしていただいているわけでございます。
 そういたしますと、一般の雑所得につきましてもすべて収入金額がある場合は御申告、御報告をいただくということがいかがかとすれば、その中で政治家につきましてだけ特別にそうした制度を設けるということも、これは一般の雑所得の場合と区分をする。そこは税法としては限界があるわけでございまして、もしそうしたものが必要でございましたら別の次元で御処理いただくのが私どもとしては適当ではないか、このように考えておるわけでございます。
#83
○青島幸男君 この問題を再三論じておりますと、究極は、それは政治家のモラルの問題ではないかということで再三私もごまかされているんですよ。しかし、モラルはモラルとして、制度上きちっと理由の立つ、リーズナブルなものにしておきませんとどなたも納得しませんよ。今言われたように、雑所得というのは自分のメーンの職業から生じるものではないんだ、補足的なものなんだ、だからそういう扱いをしましょう、だから収益がなかったらその分までも申告しろとは申せません、こういうことですね。しかし政治家の場合、政治活動の主たる源は政治資金なんですよね。ですから、これは雑所得として扱うのも私はいかがかと思うんですよ、政治家の政治資金について。ですけれども、これがどなたにも納得のいくような手当てを法的にも制度的にもしていかないと、いつまでたっても混同が抜けないという感じがしますけれども、別途手当てをしてでも明快にしていかなければならないと私は思いますけれども、いかがなものですか。
#84
○国務大臣(竹下登君) 青島さん、国会にお出になってこの議論はたびたびなさっておる議論であります。そこで、モラルの問題という角度からもいろんな議論がなされ、やはりより国民に明快にするためには、いわば個人で受けた献金も一度政治資金規正法の団体に入れることによって少なくとも明らかにしようではないかというようなことがそういう議論の過程から結実されて、今日そういう手法もとられておる。そういうふうな工夫は私も引き続いてお互いがモラルというものの前提の上に立ってやらなきゃならぬ手法だと思っております。
 ただ、雑所得のほかにもう一つの別名の所得区分を設けるという御質問もかつてあったことがございますけれども、今までの区分の中で新たにそれをどういう区分で位置づけるかというと、税法上はまさに雑所得というのが最も適切ではなかろうか。私ども自身も現実に講演料をいただいたり原稿料をいただいたりしておりますよね。そういうことから考えますと、雑所得という区分の中に置かれるというのが最も常識的ではないかというような、議論の結果そういたしておるということであります。
#85
○青島幸男君 そこがおかしいんですよ。言うところの、講演なすったりなさるでしょうね、大蔵大臣も。あるいは雑誌や新聞に寄稿なさって原稿料をいただくこともおありでしょう。私もそうい
うことは間々あります。しかしそれはそれで雑所得としても取られるわけですよ。申告しなきゃならないわけですね。これがおもしろいのは、自分で稼いだ金で政治活動をやるでしょう。そうすると自分で稼いだ金には税金がかかるわけですよね。ところがもらった金にはかからないわけですよ。そうすると、専ら政治活動はもらった金でやれということなんですよ。そういうばかばかしい矛盾が生じてくるわけですね。ここら辺はどうお考えになりますか。
#86
○政府委員(水野勝君) その点は、御自分でお稼ぎになった分で政治活動をされる、そして経費がそれを上回れば課税はない。今の御指摘のもらったお金でもそれは雑所得にかかる収入金額でございますから、それが経費でもって全部出てまいればそれは課税にならないわけでございまして、御自分のお金、もらったお金、そこは課税上は差はないわけでございます。
 それから、雑所得の点につきましては、まさにそれが先生御指摘のメーンではない活動からの収入であり所得であるというのは、十種類の中から特定の九種類のどの所得種類にも属さないものとして雑所得に処理させていただく。そもそもが、残りがあって、それを所得として政治活動以外に使われるということは、世の中からは考えられていないメーンでないものでございますから本来が所得が発生するべきものではない。そうした種類のものとしては本来の課税所得の区分である九種類のいずれかに属させるというよりは、メーンでないもの、例外的なものとしての雑所得の世界、これが適当ではないかと私ども考えるわけでございます。
#87
○青島幸男君 だからなおわからないんですよ。集めた金で私的経済に使おうとどうしようとそんなことは考えない、またそう行われるはずはないというふうに勝手に決めてかかられるのが問題なんですよ。出たり入ったり、私的に使ったか政治活動に使ったかを明確にする資料がないんだから、だから政治活動に使ったという免罪符で一挙に不問に付すというやり方は何とか考え直さなきゃいかぬじゃないかということを私は申し上げておるわけでして、それは何回もの議論の間から御理解いただいているし、またそういう答弁もいただいているわけですよ。
 今度は政治資金規正法の問題に入ります。そっちでまた細かいことをお尋ねしますけれども、その辺のところを、雑所得以外考えられないとおっしゃいますけれども、何か明確なリーズナブルな条文なり理屈なりをそこに付していかないとこの混沌はいつまでも続いていって解決がつかない。それがわいろなのか政治献金なのかわからない。しかも、今その辺のところに非常な疑惑のまなざしが集まっているところですから一層明確にしていかなきゃならないと私は信ずるわけです。
 まだ十一分ほど時間を残しておりますが、次の問題に移ります前に、委員長のお許しを得て休憩にさしていただきたいと思います。
#88
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#89
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
 青島幸男君の質疑は午前はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時一分開会
#90
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和六十一年度総予算三案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、青島幸男君の質疑を行います。青島君。
#91
○青島幸男君 午前中の質疑に続きまして、継続させていただくことにいたします。
 質問の順序を突如変えて申しわけないんですけれども、デノミの問題についてお尋ねを申し上げます。
 物価は幸いにして安定しておりますし、求めておられます内需振興というような建前からもかなりのインパクトがあるのではなかろうかという考えがいたしまして、状況からいって、デノミに適当な状態ではなかろうかという気がしますが、政府はデノミについてどういう御見解でしょう。やる時期か、まだ早いか、いつかやらなきゃならないか、あるいは全然やる気はないか、この点についてお尋ね申し上げます。
#92
○国務大臣(竹下登君) まず、デノミネーションは現在全く考えておりません。先般も本院の大蔵委員会において、その前提は別として、やらないということは別として、平たくいろんな事情を説明しろということがございましたことを重ねて申し上げますならば、今、青島さんおっしゃったように、物価は落ちついているとか、あるいは経常収支の状態は我が国にとってみればいい状態にあるとか、そういう点の問題は、そういう限りにおける条件は整っておるという議論もあることはございます。しかし、先進国でデノミをやった例を見ますと結局、非常にニュートラルでただ呼称の変更をしたというデノミは今までの例としてはございません。大体、インフレを鎮静さすためとか、あるいは平価の切り下げをする際にそれと一緒にやるとか、何らかの政策的目標があって、単純な呼称の変更という意味のデノミをやられた経験は今までないということでございます。
 それから内需の問題は、正確な計算をしたことはございませんが、古い資料に物価上昇率を掛けて見てみますと、例えばコンピューター等を新しく組みかえる方の支出と、それからそれを受ける方の企業収益と計算しますと、やっぱり支出の方がかなり多いではないか、こんなような昔議論したデータが残っておったということを大蔵委員会でも申し上げましたので、そこまでは一般論としてお話しを申し上げますが、現在デノミは考えておりません。
#93
○青島幸男君 予算審議なんかをしておりますと、もう何十兆、何百兆というような単位になりまして、八けたの計算機ではおさまらなくなるんじゃないかというような不自由さもあるんですが、しかし、おっしゃられるとおりに、一応呼称だけ変える、けたを下げるということだけしましても、かえってそのことが、今安定してしかもなれていることにいたずらに混乱を招いて何のメリットもないというようなことになると、むしろデメリットの方が多いということになりますと、やる意味はないわけですから、扱いについては慎重にならざるを得ないだろうし、慎重に扱ってもらいたいという希望をまじえてお尋ねをしたわけでございます。
 さて次は、政治資金規正法の問題についてお尋ねをいたします。
 もともと政治資金というものは、私はその個人に共鳴する方からの、支持者からの献金で賄われるべきだと信じているわけです。会社、団体からの献金というようなものは、結局圧力団体というようなものになりかねない、また金権政治につながってしまうおそれがあるということから、企業からの政治献金をやめるようという国民の声が大きくて、企業からもらうことを是としないという声も大きいわけです。
 昭和五十年に改正されました政治資金規正法では、附則八条で、「この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加えるものとす」と、こういう検討条項が加えられておりまして、この新法施行後、ことしはもう十年目に当たるわけですけれども、この「検討」の扱いはどういうことになっておりますか、その辺をお伺いします。
#94
○国務大臣(小沢一郎君) 政治資金規正法の点につきましては、自治省といたしましても制度の運用状況や収支報告の集計結果等を踏まえまして、個人献金の状況等々につきまして事務上の検討は進めております。しかしこれは、政治資金は各党各会派あるいは各議員個人個人の政党・政治活動
にかかわりを持つ問題でございますので、まず第一義的には国会で各党間において御協議をいただいて進めていかれるべきものと考えております。
#95
○青島幸男君 昭和五十五年の一月三十日に、亡くなられた大平総理はこの問題に関して「企業、団体からの政治献金も一定の節度がなければならぬことは当然」であると言われた後で、「自由民主党におきましても、企業献金から個人献金に移るように漸次努力を重ねておるところでございます。 政治資金規正法の改正問題でございますが、これは青島さんも仰せのとおり、五年の間に見直すようになっておるわけでございます。すでに」――この時点では既に四年たっているわけでございまして、我々はもう一度検討してみる必要があると感じ、そう要請しているところでございますと、まことに前向きな答弁をなされておるのでございますけれども、それから十年経過いたしましてなお検討中ということは非常に怠慢ではないかというふうに考えます。
 各党各会派の考え方もさることながら、こういうふうにかつての総理、自民党代表が考え方を述べておられますこの考え方はやっぱり踏襲していかなきゃならないと私は信じるんですが、どうもそのようになっていないという不満がありますが、その点をお答えいただきます。
#96
○国務大臣(小沢一郎君) 自民党あるいは各党間で、この問題につきましてはいろいろの御議論あるいは意見があることは当然であろうと思います。もちろん私どもも、先ほど御答弁申し上げましたように、事務上のいろいろな検討は進めております。しかし、繰り返しになりますが、何といっても各党間でいろいろと御協議を進めていただくのが第一義的には必要ではないかと考えております。
#97
○青島幸男君 かつて大平さんは、個人献金に移行するように検討すべきだと、こういうふうにおっしゃっておられるわけです。必ずしも私も企業献金が悪であるとは断じませんけれども、やっぱりそのよって来るところは個人献金というような格好に依存していくようなふうにしていかなければ、政界浄化にはつながっていかないという認識を私は持っておりますけれども、総理、その辺の御認識はいかがでしょう。
#98
○国務大臣(中曽根康弘君) 企業も労働組合も社会的存在でありまして、社会に対して非常な機能を持ち、また貢献も行っておって、個人に負けないくらいの機能を果たしておるわけであります。そういう意味において、企業あるいは労働組合から献金を受けるということは一概に否定すべきものではないと思うんです。しかし私は、政治資金規正法全般についていろいろ各党各派で話を持ち寄って検討すべき点はないか、そういうことで皆さんで話し合いをする機会が早ければ結構だろうと、そういうふうに思っております。
 どちらに重点を置くかというような問題もありましょうけれども、これはそのときの人の見方にもよるので、個人献金を中心にすべきであるという人もあれば、またフィフティー・フィフティーにやるべきであるという人もあれば、口数で均衡を保つか金額で均衡を保つか、さまざまな考えがあり得ると思いますが、私は適正なバランスをとりながら行うことが好ましいと、そう考えております。
#99
○青島幸男君 先ほど申し上げました政治家個人に対する問題につきましてこの時点で私発言をしているんですけれども、そのときに後藤田官房長官は当時自治大臣をしておられまして、今事務的に話を詰めているところだとお答えになっておられまして、その後の経過を御記憶でいらっしゃいますか。
#100
○国務大臣(後藤田正晴君) 突然の御質問で、大分期限がたっておりますから思い返しながらお答えをいたしたいと思います。
 あの当時は、大平さんの御意見は基本的には公経済、つまり政治活動ですね、それの経済と私経済を峻別すべきではないのかと、これが私は基本であったと思います。そういったような関係で各般の改正をしたと思いますが、政治資金規正法についてもそういった関係で、ただいま小沢自治大臣がお話しを申し上げましたように、役所としてはそれなりの勉強はその当時から進めておるわけでございます。ただ、先ほどの御答弁にありましたように、各党各派あるいは政治家個人にとってもそれぞれの財政基盤が違いますから、そこでこういった問題についてはそういった影響の広く及ぶ問題でございますから、各党各派で御審議をいただければいいのではないかと、これは私もそう思っておるんです。私自身は、この問題はやはり公経済と私経済の峻別、それからもう一つは節度の問題があると、こう考えておるわけでございます。そこらをはっきりして是正すべき点があれば是正したらよろしい。
 それから、なお個人献金と企業献金あるいは組合献金の問題については、これはいずれもやはりいろんな見方があると思います。それからまた附則にもございますから、それらは頭の中に置かなきゃいけませんけれども、しかしながら、やはり組合あるいは法人、企業というものは同じくやはり社会的な実在でございますから、これらについて一概に否定をするということは私はいかがなものであろうかと、かように考えておるわけでございます。
#101
○青島幸男君 あの時点でそういう議論がありまして、その当時おっしゃった事務的に詰めておるということの結果と思いますが、五十五年改正では上限百五十万ということになりまして、一歩前進ということは確かにあったわけです。私は、これはこれなりに評価をさしていただきたいと思うんですが、しかし実態となりますと、一つの政治団体に上限百五十万ということなんですね。ところが、政治団体を幾つつくっても制限がないわけです。
 それで、調べてみますと、何々研究会、何々調査会というのはたくさんございまして、上限百五十万と抑えてしまったものですから、皆さんたくさん政治団体をおつくりになって、上限百五十万が十も二十もありますと、それは事実上意味をなさないことになるんですね。ですから、それでは政治家の個人に対しても政治資金を明確化することが政治家の姿勢を正すことになるし明朗な政治活動の基本になるということで国民の理解の行き届くところになる、そのために政治資金規正法をつくるんだということになりますと、こういうふうにしり抜けになっているような状態をそのまま見逃すというのは精神に反するだろうと思うんです。
 ですから、私は改めて御提言を申し上げたいのは、一個人に一団体、しかもどなたの団体がということが明確にわかるようにしていただく。その政治団体、私は幾つもある必要はないと思うんです。政治家の方々でも漁業の関係の方も、それから同時に科学技術の研究活動をなさっておる方もおいでになりますし、それぞれの交友もあるわけですから、それぞれの目的を持った政治団体というのは幾つあってもいいんですけれども、ただ収支を明らかにするための指定政治団体というのは一つ。しかも、一人の個人に一つであって、だれの団体がということが明確になるということが法の精神にのっとったやり方だと思うんですけれども、こういう提言についてはどうお考えになりますか。
#102
○国務大臣(後藤田正晴君) 僕ですか。
#103
○青島幸男君 はい、事のついでで申しわけございませんが。
#104
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいまの御提言は、私はやはり政治資金の明朗化という観点に立ちますと傾聴しなければならない御議論であろうと、私はそう率直に思います。あの百五十万あるいは百万といったような限度がありますね、これらもそういうことを頭に置いて私はつくられたものと考えるわけですけれども、今おっしゃったような一種の抜け穴といいますか、これは先ほど言いました節度の問題であろう、私はかように考えるわけでございます。
#105
○青島幸男君 自治大臣、どうでしょうか。
#106
○国務大臣(小沢一郎君) 官房長官から御答弁の
とおりであると思いますけれども、立法論、立法政策上の問題としてはいろいろな観点、考え方があると思います。先生の今お話しのこともその一つであろうと思います。したがいまして、そういったいろいろの御意見を踏まえまして国会の中において御議論をなさって合意点をまとめていただくということが第一義的に筋道ではないかと考えておるわけであります。
#107
○青島幸男君 後藤田さんが傾聴に値する提言だと言ってくださったので、私はそれは当然その方向で与野党とも検討してくださるのではなかろうかというふうに考えます。
 それから、強い国の管理を受けている団体とか企業、つまり電力とか銀行ですね、これは特に政治献金をするのはおかしいんじゃないかという議論が起きまして、市川房枝先生が存命のころに私ども抗議に参りましたりして、電力はやめているわけですね、今も。ところが、銀行は都市銀行、地方銀行合わせて十五億近い政治献金を行っているわけです。しかも、このごろではどうも政治献金受けに行くと規正法が厳しいんで、なかなか渋って出さないから、政治資金規正法を緩めてもっと楽に集まるようにしようじゃないかというような意見もあるように聞いております。これは大変けしからぬことだと私は思うんですけれども、そういうお考えについては総理はどうお考えですか。
#108
○国務大臣(中曽根康弘君) 政治資金全般については膨張の方向にいつも行ってきておりますが、できるだけ膨張を抑制して、そうして節度のある国民の理解し得る政治資金という形にしていくことが望ましいと思っております。
#109
○青島幸男君 今度マルコス事件で問題になりました五つ、六つの商社の名が挙がっておるわけですけれども、兼松江商千二百九十万、住友商事四千二百万、川鐵九百万、丸紅五千万、三菱五千九百万、伊藤忠四千九百万、こういう額の金が実際国民協会に入っているわけです。中曽根総理大臣個人の政治指定団体にも丸紅、三井物産、伊藤忠などから百二十万ずつ、これは会費だと思うんですが、入っていますね。こういうことがあるとああいう問題が出てきたときに非常にぐあい悪いことになりはしないかと思いますから、この点は切にお考えいただきたいと思います。
 予定されておる時間がもう極めて短くなりましたので、私は最後に総理の政治姿勢について一言申し上げて終わりにしたいと思うんですけれども、これまでの議論で明らかなように、中曽根政治の基本は大変に企業寄りだと言わざるを得ないと思うんです。それに総理の強い政治力、政治指導力の裏には、それぞれの人々が率直に議論を交わして、それぞれが納得する結論を出していこうという民主主義のルールに従うのではなくて、総理みずからが持つある結論の方向へ情報操作を行って強引に持っていくというやり方に特色があるような気がします。
 中曽根政治では、常に実体のない言葉が先行しております。スパイ天国などという言葉がありますけれども、特に日本の国家機密が常に盗まれ続けているというような印象を国民に植えつけて、そのタイミングを見計らって国家機密法を持ち出してきなさる。事実としては、スパイ天国というのは言葉だけで実体のないものだということは、アメリカ当局などの言でも明らかなわけですね。それに、破産状態にある国鉄というような言葉もそうですね。国鉄が赤字であり、その再建が必要であるということは事実なんです。しかしながら、いきなり破産状態だと断じてしまうというのは妥当ではないと思いますね。国鉄の再建を国民みんなが真剣に考えるためには、まず精到なデータが明示される必要がありますが、負債ばかり強調されまして、資産の評価はいまだに明らかにされてないままですね。民間なら破産状態だという言葉を先行させまして、国民もその言葉が浸透したころ、いきなり……
#110
○委員長(安田隆明君) 青島君、時間が参りました。
#111
○青島幸男君 はい、すぐ終わります。
 分割・民営だというあらかじめ定めたこの結論を既定事実のように推し進めてまいります。情報操作政治のこれは典型だと言わざるを得ないと思うんですね。議会制民主主義のあり方に沿ったものとはとても考えられないのです。それに何々懇談会というようなものもたくさんこしらえまして、希望どおりの答申を得て、しかもこれが公的機関の答申のごとくに大々的に発表、宣伝して、国民になじみ深いキャッチフレーズを優先させ定着させて、強引に自分の考えていた結論の方に導いてくるという、こういう反民主的といいますか、情報操作的といいますか、これはもう推し進めてまいればファッショと言わざるを得ないと私は思いますので、その点を深く総理に反省を促しまして、私は時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。
#112
○国務大臣(中曽根康弘君) 表現のうまさから言ったら、青島さんの方がよっぽどうまいのじゃないかと思います。私はやっぱり事実に即して物を申し上げておるので、例えば国鉄にいたしましてもこれはもう破産寸前、破産同様の状態にあるということは国民の皆さんが知っておりますし、国鉄再建監理委員会の意見書の中にもその趣旨のことは明確に書いてあるんです。日本がスパイ天国であるということは世界的に指摘されておるところでありまして、防衛庁の中からも不祥事を出した、そういうことも国民の皆様は御存じであります。そういうような事実に即して私は申し上げているので、決して修飾で物を申し上げているのではない。また国民の皆さんの御意見をよくお聞きして、そして国民の声を中心に政治がとらえて政治は運用さるべきである、わかりやすい政治を行うべきであるというのが私の信念でありまして、その点は青島さんと私の政治的見解の相違があるように思います。
#113
○青島幸男君 最後です。
#114
○委員長(安田隆明君) いや、時間です。終わりです。
#115
○青島幸男君 反論する時間がないのが大変残念ですが次回に譲ります。
#116
○委員長(安田隆明君) 以上で青島幸男君の質疑は終了いたしました。(拍手)
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#117
○委員長(安田隆明君) 加藤防衛庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。加藤防衛庁長官。
#118
○国務大臣(加藤紘一君) 参議院予算委員会における委員の発言について私が批判する発言を行ったことが伝えられておりますが、私の真意ではありませんので、御了承いただきたいと思います。
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#119
○委員長(安田隆明君) この際、去る十八日の委員会において留保しておりました中野明君の質疑を行います。中野君。
#120
○中野明君 委員長に申し上げますが、先日、私は暫定予算で質問を留保しましたが、理事会においてのその後の検討結果が一体どうなっておるのか、そこのところを委員長から御報告をいただきたいと思います。
#121
○委員長(安田隆明君) お答えいたします。
 暫定予算問題に関するこれまでの経過を踏まえて、本日の理事会において自由民主党桧垣理事から大蔵省に対し、暫定予算の編成準備に入るよう要請したい旨の発言があり、各党これを了承し、直ちに官房長官及び大蔵大臣に対しその旨の申し入れを行った。
 これを受けて、後藤田内閣官房長官から当理事会において、政府としてはこのことを重く受けとめております。なお、政府としては一日も早い予算の成立をひたすらお願いしたい旨の発言がありました。
 さらに桧垣理事から、理事会の合意に基づき、ただいまの官房長官の発言を踏まえて暫定予算の提出問題について当予算委員会の審議と並行して各党レベルで二十五日までに話し合いをしていただきたい旨の提案がありました。
 委員長といたしましては、各党間で本問題について精力的に御協議をいただき話し合いが進むこ
とを強く期待しております。
 以上であります。
#122
○中野明君 昨年の予算委員長見解も出ておることですし、委員長におかれましてもぜひこの問題については責任を持って見守っていただきたいと思います。
 それでは、各党間の話し合いということでございますので、私は、先日質問をした残りを許された時間やってみたいと思います。先日、私は対外経済協力問題でマルコス氏の蓄財のことについてお尋ねをいたしましたが、いよいよアメリカからも資料が出されるというようなことになりました。フィリピンでもサロンガ氏が行政規律委員会の委員長になって精力的に調査をするようですが、政府としてサロンガ氏から調査の要請があれば全面的にこれは協力すべきだと私はこのように思うわけですが、政府のお考えはどうですか。
#123
○国務大臣(中曽根康弘君) フィリピン政府からそういう御要請が正式にございますれば、日本政府としても十分協力いたしたいと思います。
#124
○中野明君 大変これは世界的にも注目を集めております大事な問題ですので、ぜひ国民もそういう疑惑を持たないように徹底的に協力をしてもらいたいと思います。
 それではもう一点、これは北洋漁業の問題でございますが、アメリカと三月八日にサケ・マス交渉がまことに厳しい状況で妥結をいたしました。この状態から見て、北洋漁業というのは将来お先真っ暗のような状態であります。二百海里時代に入りまして当然予測されたこととはいいながら、やはり水産庁あるいは業界の認識が甘かったのじゃないかというような気もするんです。そういう批判も巷間出ておりますが、農水大臣としてこれをどうお考えになりますか。
#125
○国務大臣(羽田孜君) お答え申し上げます。
 私どもといたしましては、従来からの歴史ある我が国の北洋漁業、これを踏まえながら今日までソ連邦と話し合い、そしていろんなこの間には問題もございましたけれども、今日まで操業を続けてまいったわけであります。しかし今御案内のとおり、確かに二百海里時代というものが定着し、またお互いの二百海里内でとるものにつきまして、ソ連の方ではなかなか日本の私どもの方から申し上げたものについて十分とることができないという中で特に非常に厳しくなってきておるというのが現状でございまして、私どもといたしましては、従来の実績というものを先方に申し上げ、これからも相当粘り強い交渉を続けていかなきゃならないなということを今改めて感じておるところであります。
 なお、もう御案内でございますけれども、十七日からモスクワで再開をされておりますけれども、今の状況というのはなかなかやはり予断を許さないという状況であるということもあわせて御報告申し上げておきます。
#126
○中野明君 それで、大臣から再開された日ソの交渉のことも今お触れになりましたけれども、非常に厳しいような状況に伝えられております。そこで、農水大臣としては、乗り込んでいって一日も早く決着をつける、こうすることがやはり待機しておる漁民の一番望んでおることじゃないかというふうに思うんですが、そういう点についてのお考え、そういう行動を起こすのかどうなのか、その辺お答えいただきたいと思います。
#127
○国務大臣(羽田孜君) もうこれは先生御案内のとおり、日ソの漁業協議というのは、日ソ地先沖合漁業協定、これに基づきまして今日実務的なレベルで決着を図るということで進めておるところであります。ただ、漁民の関係者の皆さん方あるいは加工関係の皆様方からも、何とかひとつ大臣、訪ソしてこれを打開してもらいたいという声は私どものところにもたくさん実は上がってきているというのが現状であります。
 ただ、これは交渉事でございますので、私どもが出向くことで本当に交渉を解決する道が開けるのであるという確信を持つならばもちろん出てまいりますけれども、今現在、私どもの担当者が鋭意実は交渉しておりますので、その辺を見きわめておるところであります。
#128
○中野明君 これは昨年の例もございますし、一日おくれればおくれるだけやはり漁民にとっては死活問題になってまいります。やはり農林水産大臣としてはぜひみずからこれの打開にソ連に乗り込んでいくんだと、それぐらいの決意を持ってやっていただかないと大変だろう、このように思います。
 それで、総理に私最後にお伺いしたいんですが、こういう背景、こういう状態に、今まで何とかいっていたのが、急にソ連としても強くなったという国内事情の変化があったんだろうかどうだろうか、この点について総理はどうごらんになっていますか。
#129
○委員長(安田隆明君) 中野君、時間になりました。
#130
○国務大臣(中曽根康弘君) ソ連の内部の事情はよくわかりませんが、我々が聞いている情報では、日本の二百海里領域内におけるソ連側の漁獲がうまく進まない、日本の場合はいろんな入り会いとか各県の既得権の線がハチの巣のようにいろいろできておる、そこへソ連船が入ってきてやってもなかなか思うとおりの漁獲がない、そういう意味で日本側の二百海里に余り魅力がない、そういう意味でこれは我々の方は余り要らない、だからソ連側の二百海里も日本は遠慮しなさいというような論理が最近強く動いてきているということを聞いております。
 しかし、北洋漁業というのは、漁業関係の結びつきというものは長い日ソ間の伝統のある仕事でございまして、両国の漁民や政府が営々として相互協力の一つのシンボルとして築き上げてきている大事な共同作業でもございますから、お互い長期的な見方に立って、友好のシンボルとしても実りあるものに両方でこれを大事にしていきたい、そう念願いたしております。最近、アメリカとの間におけるものはまあまあの線で妥結いたしました。ソ連側におかれても、そういう日本との友好のシンボルとして大事にし合いたいという我が方の意図も十分了承されるように強く期待しているところであります。
#131
○中野明君 終わります。
#132
○委員長(安田隆明君) 以上で中野明君の質疑は終了いたしました。
 これにて総括質疑はすべて終了いたしました。
 次回は、明後二十四日午後三時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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