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1985/03/28 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第16号
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1985/03/28 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第16号

#1
第104回国会 予算委員会 第16号
昭和六十一年三月二十八日(金曜日)
   午前十一時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     坂元 親勇君     石井 一二君
     橋本  敦君     山中 郁子君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     倉田 寛之君     藤田 正明君
     抜山 映子君     山田  勇君
     宇都宮徳馬君     田  英夫君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     石井 一二君     坂元 親男君
     藤田 正明君     倉田 寛之君
     服部 信吾君     和田 教美君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         安田 隆明君
    理 事
                遠藤 政夫君
                志村 哲良君
                桧垣徳太郎君
                降矢 敬義君
                水谷  力君
                和田 静夫君
                太田 淳夫君
                佐藤 昭夫君
                井上  計君
    委 員
                安孫子藤吉君
                岩動 道行君
                石井 道子君
                石本  茂君
                岩本 政光君
                長田 裕二君
                海江田鶴造君
                梶木 又三君
                金丸 三郎君
                北  修二君
                倉田 寛之君
                坂元 親男君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                秦野  章君
                林 健太郎君
                宮澤  弘君
                宮島  滉君
                村上 正邦君
                稲村 稔夫君
                粕谷 照美君
                久保田真苗君
                佐藤 三吾君
                高杉 廸忠君
                安恒 良一君
                飯田 忠雄君
                大川 清幸君
                中西 珠子君
                服部 信吾君
                山中 郁子君
                山田  勇君
                田  英夫君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       法 務 大 臣  鈴木 省吾君
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
       厚 生 大 臣  今井  勇君
       農林水産大臣   羽田  孜君
       通商産業大臣   渡辺美智雄君
       運 輸 大 臣  三塚  博君
       郵 政 大 臣  佐藤 文生君
       労 働 大 臣  林  ゆう君
       建 設 大 臣  江藤 隆美君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    小沢 一郎君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  江崎 真澄君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  加藤 紘一君
       国 務 大 臣
       (経隊企画庁長
       官)       平泉  渉君
       国 務 大 臣
       (沖縄開発庁長
       官)       古賀雷四郎君
        ―――――
       会計検査院長   大久保 孟君
        ―――――
   政府委員
       内閣法制局長官  茂串  俊君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  厚谷 襄児君
       警察庁刑事局保
       安部長      新田  勇君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   本多 秀司君
       防衛庁長官官房
       長        宍倉 宗夫君
       防衛庁防衛局長  西廣 整輝酒
       防衛庁人事局長  友藤 一隆君
       防衛施設庁長官  佐々 淳行君
       防衛施設庁施設
       部長       宇都 信義君
       防衛施設庁労務
       部長       岩見 秀男君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁総合
       計画局長     及川 昭伍君
       法務省民事局長  枇杷田泰助君
       法務省刑事局長  岡村 泰孝君
       法務省人権擁護
       局長       野崎 幸雄君
       法務省入国管理
       局長       小林 俊二君
       外務省アジア局
       長        後藤 利雄君
       外務省北米局長  藤井 宏昭君
       外務省経済局長  国広 道彦君
       外務省経済協力
       局長       藤田 公郎君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵省主計局長  吉野 良彦君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省理財局長  窪田  弘君
       大蔵省理財局次
       長        中田 一男君
       国税庁調査査察
       部長       日向  隆君
       文部大臣官房長  西崎 清久君
       文部大臣官房会
       計課長      坂元 弘直君
       文部省初等中等
       教育局長     高石 邦男君
       文部省教育助成
       局長       阿部 充夫君
       文部省高等教育
       局長       大崎  仁君
       文部省社会教育
       局長       齊藤 尚夫君
       文化庁次長    加戸 守行君
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生省保健医療
       局長       仲村 英一君
       厚生省保健医療
       局老人保健部長  黒木 武弘君
       厚生省社会局長  小島 弘仲君
       厚生省児童家庭
       局長       坂本 龍彦君
       厚生省保険局長  幸田 正孝君
       厚生省援護局長  水田  努君
       社会保険庁医療
       保険部長     花輪 隆昭君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   長尾 立子君
       農林水産大臣官
       房長       田中 宏尚君
       農林水産大臣官
       房予算課長    鶴岡 俊彦君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     関谷 俊作君
       通商産業省通商
       政策局長     黒田  真君
       通商産業省産業
       政策局長     福川 伸次君
       通商産業省機械
       情報産業局長   杉山  弘君
       通商産業省生活
       産業局長     浜岡 平一君
       資源エネルギー
       庁長官      野々内 隆君
       中小企業庁計画
       部長       広海 正光君
       運輸省運輸政策
       局長       栗林 貞一君
       運輸省地域交通
       局次長      松村 義弘君
       郵政大臣官房長  中村 泰三君
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働大臣官房審
       議官       中村  正君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       建設大臣官房総
       務審議官     佐藤 和男君
       建設大臣官房会
       計課長      望月 薫雄君
       建設省都市局長  牧野  徹君
       建設省住宅局長  渡辺  尚君
       自治大臣官房審
       議官       石山  努君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
       自治省行政局選
       部長       小笠原臣也君
       自治省財政局長  花岡 圭三君
       消防庁次長    井上 孝男君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総務刑事局長   吉丸  眞君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   参考人
       日本電信電話株
       式会社代表取締
       役社長      真藤  恒君
       日本電信電話株
       式会社常務取締
       役        寺島 角夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和六十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十一年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十一年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○委嘱審査に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(安田隆明君) この際、委員長から申し上げます。
 暫定予算問題につきまして、
  政府としては、先般の御要請を重く受けとめ、政府部内及び各方面との検討を続けてまいりましたが、本年度においては、諸般の状況を勘案し、暫定予算の提出はお許しいただき、一日も早い本予算の成立をぜひともお願いいたしたいと存じます。来年度以降においては、参議院の予算審議が円滑に進めるれるよう一層の努力を払うとともに、予算の年度内成立が期待し得なくなった場合には、事態に即応して国民生活に影響を与えないよう適切に対応することとし、諸般の情勢を勘案し、財政法第三十条の規定により対処するよう努力いたします。との政府の回答を受けて、理事会としては、来年度以降は国民生活に影響を与えないよう配慮して、財政法第三十条の規定に基づいて対処すべきであるとの意見が一致し、これを当委員会の決議とすることにいたしました。
 以上、御承認をお願いいたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(安田隆明君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和六十一年度総予算審査のため、本日、日本電信電話株式会社代表取締役社長真藤恒君、同株式会社常務取締役寺島角夫君の両名を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(安田隆明君) 前回に引き続き、一般質疑を行います。
 前回留保いたしております安恒良一君の質疑を行います。安恒君。
#7
○安恒良一君 質問の順序をちょっと変えさしていただきまして、琉球バスと銀バスの二社合併問題についてお聞きをしたいんですが、これは八四年六月、沖縄県知事の提言に基づきまして、公共交通の抜本改善を目指して、八五年の七月に労使間で基本的に合意を見たところであります。ところが、その後会社側はそれぞれ企業利益のみを追求し、新会社の主導権をねらって、社会的公約や労使協定を無視をして合併を断念するという暴挙に出ています。この問題に当たっては、組合側は三百五十名の人員整理を初め退職金の大幅引き下げ等の合理化をも合意しているにもかかわらず、このような社会的使命を放棄をしているわけであります。この点について、関係大臣であります運輸大臣、労働大臣、沖縄開発庁長官それから自治大臣の御見解と今後の御指導についての方針についてお考えをお聞かせください。
#8
○国務大臣(三塚博君) 御指摘の件につきましては、御指摘のとおり合併に合意をいたしましていよいよスタートという段階で破談に相なりましたことは極めて遺憾千万でございます。私も先般沖縄県知事が参られました際に重ねての御努力を御要望申し上げておきましたところでございますが、御案内のように、両社それぞれの立場で自主再建に向けて進みたいということで破談になりました今日の段階でありますので、その自主再建を見守りながら、なお組合側も労働者側もそういうことで決断したことにかんがみまして、私自身の注意深い見守りを進めつつ、その方向を模索をしてまいりたいと、このように考えております。
#9
○国務大臣(林ゆう君) 沖縄のバスの問題につきましては、先生の御指摘のとおり、その合併が実らなかったということはまことに残念であると思っております。
 労働省といたしましては、今後とも沖縄県におけるバス問題の推移を注意深く見守るとともに、また万一離職者が発生するというような事態が生じました場合には、地元の関係機関と密接な連携を図りながら、離職者の特性を踏まえ、きめ細かな職業指導、相談等を実施するように適切に対処してまいりたいと思っております。
#10
○国務大臣(小沢一郎君) 本件につきましては、県当局のせっかくのあっせんにもかかわらず、ついに合併することができなくなりましたことは、大変残念に思っております。やはり何といっても地域民、県民の足を確保する地域交通、公益性、そういうことを前提にいたしまして、今後も話し合いを続けていただくことを希望いたしております。
#11
○国務大臣(古賀雷四郎君) お答えいたします。
 沖縄開発庁としましては、県民の足として重要な役割をしているバス事業の健全化を図る見地から、国、県及び金融機関による連絡協議会を設けるなど、二社合併実現に向けて異例の協力支援体制をとってきたところであります。さらに、安恒委員におかれましては非常な御苦労をいただきまして、大幅な人員の削減まで含む労使合意まで成立していたにもかかわらず、経営者側の事情により二社合併に至らなかったことはまことに遺憾でございます。
 私としましては、両社社長がバス交通の持つ社会的使命を自覚し、両者の決意表明どおり、県民にこれ以上の御迷惑をかけないよう、会社経営の健全化、さらに最善の努力をすることを強く期待するとともに、今後とも両社の自主再建努力を厳しくチェックされることが必要であると考えられますので、運輸省等関係機関と連絡を密にして、必要な指導を行い、利用者の利便の向上等バス事業の健全な発展に努力してまいりたいと考えております。
#12
○安恒良一君 運輸大臣、注意深く見守るんじゃなくして、これは社会的公約が労使協定ですから、これが完全に実行できるように関係大臣と協力してやっていただけますね。どうですか。
#13
○国務大臣(三塚博君) 見守りつつ強力に指導をいたします。それで関係省庁ともやらさせていただきます。
#14
○安恒良一君 次に、民活問題についてお聞きしたいんですが、私は中曽根内閣の民活の中で二つの点に問題があると思うんです。一つは、私的企業が著しく公益性の高い分野に参入する経緯。例えば医療年金など公的社会保障制度の分野に私的保険が参入する場合がこれであります。第二番目には、私的企業が公の財産を利用して活動するケース。例えば、国有地を買い受ける、または借り受けて企業活動が行われる場合がありますが、これらはよほど注意をしてやらないと、憲法初め幾つかの法律の趣旨から見て多くの問題を抱えていると思いますが、この政府の基本的方針について官房長官に承りたいと思います。
#15
○国務大臣(後藤田正晴君) 御承知のように、経済がどんどん伸びておる、そして税収等で自然増収が毎年のように出てくるといったようなときには、どうしても、あの仕事も国この仕事も地方といったように、どんどん国の役割がふえてきておりますけれども、しかしながら、同時に経済が安定成長とでもいいますか、以前のようでなくなった場合には、これはやはり本当に国としてやらなきゃならない仕事にどうしても国なり地方のお金というものは限定して使う。そして、できる限りは民間の力でやってもらう。殊に、また最近のように民間自身の人材、技術、資本、情報、こういうものが、民間それ自身に非常に力がついてきておりますから、そういった場合には、この民間の力を十二分に活用できるような方面に政策全体を誘導していくということが極めて肝要なことではないのか、それがまさに今日的課題であろう、そういうことで、今私どもとしては民間の活力を最大限に発揮をしていただく、それがための環境整備をやると、こういうことで取り組んでおるわけでございますので、ぜひひとつこの点については御理解をしていただきたい、かように思うわけでございます。
#16
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#17
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
#18
○安恒良一君 一般論として官房長官お答えになっていますから、私はこういう問題があるということについてさらにお聞きをしたいと思いますが、例えば国有地を私的企業に払い下げる場合について、国有財産の処分は競争入札を原則としているが、都市計画事業など公共事業のための随時契約が許される。しかし、都市計画事業者は土地の収用権を持つことになるので、その契約の公益性が明確でなければなりません。例えば新宿西戸山の公務員宿舎跡地に西戸山開発株式会社が二十五階建てのマンションを三棟建てることになっていますが、これは明白な公益性があるのか、それともオフィス化することを確実に防止をすることができるかどうかということが一つであります。
 それから第二点目には、随契による売却価格が適正なものであるという御主張があるならば、その算定根拠を公開すべきではないでしょうか。西戸山開発株式会社に百四十九億で売られておりますが、大蔵大臣にお聞きいたしますが、参考にした直近の事例を報告していただきたいと思います。
 それから、私は去年もこの問題を取り上げましたが、こういうやり方はいろいろ問題があると思いますから、今後こういうやり方について慎重にひとつやらなきゃならぬと思いますが、大蔵大臣並びに建設大臣に質問をしたいと思います。
#19
○国務大臣(竹下登君) 具体的な問題は中田理財局次長からお答えすることとさせていただきたいと存じますが、今後の進め方については、一般論として申し上げるならば、慎重の上にも慎重を期すべき問題であるという認識は持っております。
#20
○政府委員(中田一男君) 二点ございまして、一つは今回の西戸山開発が建てました二十五階建てのマンションがオフィス化しないような根拠はあるのかということでございましたけれども、これは建設省の方が主たる所管がとも思いますけれども、私ども土地を処分します場合に、西戸山会社に対しましては条件をつけまして、そして十年間少なくとも住居として使われるということを売却した相手方に譲渡契約の中で明らかにし、もし不適当であれば買い戻すということもやるべきだというようなことを我々の契約書上の条件としてオフィス化しないように歯どめをかけておるわけであります。
 それから、第二点目の売却価格の算定の経過を明らかにしろということでございますが、御案内のとおり、国の国有財産の評価というのは客観的に適正な価格を求めるということで統一した手法を用いてやっておりますが、原則は近隣の取引事例を持ってまいりまして、それと、実際に取引が行われました土地と我々が売却しようとしております土地との間の、例えば駅に近いとか遠いとか、大きさがどうであるかとか、周辺の環境がどうであるとかということの格差を勘案いたしましてこの評価を行ってまいっておるわけでございまして、御指摘のとおり、取引事例が一つの基本になるわけであります。今回の西戸山会社の払い下げ価格を決定するに当たりましても近隣の取引事例を大分調べさせていただきまして、九件ばかりこれを参考にいたしました。
 ただ、この九件はいずれも民間の間の取引でございまして、その価格等について御協力をいただいております。それは外に言わないでほしいという前提のもとで御協力をいただいておりますので、その一件一件について申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じますが、大体九件、五十九年から六十年にかけて取引が行われました事例の価格のレベルは五十万円台から七十万円台の間に散在しておりました。そういうことで御了解賜りたいと存じます。
#21
○国務大臣(江藤隆美君) この事業は、都市開発、住宅建設に実績のある六十六社が五千万円ずつの均等の出資を行いまして、三十三億円の資本金をもって会社を設立して行おうというものでありまして、特定の企業によるものではございません。
 それから、この西戸山の開発については、新宿区長が一つの考え方を持ちまして、東京都知事に都市計画法に基づいて申請をして、そして東京都知事がこの事業を認可したものであります。そこで、東京都知事はその条件といたしまして、基本的事項それから工事の施工にかかわる事項、とにかく迷惑を周辺にかけてはいけませんよ、あるいはその他もろもろの条件がついております。それから同時に、本事業で建設された住宅の使い道として、これは価格を安くしなさい、それからもう一つは、一般の人々にこの住宅を提供しなさい、特定の人に提供するのではありません、もしこれらが住宅として適正に使用されないあるいはほかにいかがわしきことがあれば認可の取り消し、もしくは原状復帰を命ずることがありますよ、こういう条件を厳しく付しまして認可をしておるわけでありまして、私どもも、民活の第一号にも当たるわけでありますから、このことについては厳重にこれらの約束事が実行されるように対応してまいろう、こう思っておるところでございます。
#22
○安恒良一君 西戸山株式会社に百四十九億で売ったということについては、直近の事例は出せないということですが、やはりこれは出していただかなきゃいけませんので、後でこれは理事会でひとつ御相談を願いたい。
 それから、そこで国有地の処分状況を予算、決算の附属資料として出すべきじゃないか。例えば、ことし六十一年度の予算で、大蔵省所管の歳入にちなんで国有地売却代として千二百二十六億円と書いてあります。一体どこの土地をどう売るのか、売る方針はどうなのかということが全然明らかでありません。やっぱり国有地の処分は行政の専決事項であってはいけない。国会ではほとんど関知ができない、私はこれは大変不当であると思います。このことについて大蔵大臣、お考えをお聞かせください。
 それで、私の質問はお考えを聞いたところで終わります。長時間ありがとうございました。
#23
○政府委員(中田一男君) お答えいたします。
 毎年度の国有地の売り払い代の収入の見積もりでございますが、決して一件ごとの売却予定地を積み上げて計算しているわけではございませんで、これまでの各年度の売却の状況でございますとか、各財務局における仕事の状況でございますとか、こういったものをもとに推計をいたして計算いたしておりまして、内訳を出せと言われても、実は積算しておらないものですから、内訳をお示しすることはできないということで従来からお答えしてまいったような次第でございます。
#24
○委員長(安田隆明君) 以上で安恒良一君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○委員長(安田隆明君) 次に、高杉廸忠君の質疑を行います。高杉君。
#26
○高杉廸忠君 先週の三月二十日に宇都宮地裁で宇都宮病院事件に関する第二次判決がありましたが、その判決並びに理由について伺います。
#27
○最高裁判所長官代理者(吉丸眞君) 御質問がございました事件につきましては、何分この三月二十日に判決の言い渡しがあったばかりでございまして、私どもまだその判決文を入手しておりませんが、原庁からの報告によりますと、概略次のとおりでございます。
 この事件の被告人は四名でございまして、うち三名は同病院の看護助手、一名は同病院の入院患者で看護の補助を命ぜられていた者でございます。
 裁判所が認定した罪となるべき事実は、第一に、看護助手二名及び看護の補助を命ぜられていた患者一名が共謀の上、昭和五十八年四月二十四日、小島という患者に対し、その背中等を金属性パイプで強打し、足で踏みつける等の暴行を加え、同日、同人をショック死させたという傷害致死の事実でございます。そのほかに、看護助手等が昭和五十八年十二月三十日、前後二回にわたり、大栗という患者に対し、共同してスチール製のいすで背中を殴打するなどの暴行を加えたという暴力行為等処罰二関スル法律違反の事実が二件ございます。
 裁判所は、看護助手のうち、傷害致死と共同暴行の双方に加担し特に傷害致死の犯行について主導的な立場にあったと認められる者に対し懲役四年の実刑を言い渡したほか、傷害致死の犯行に加担したけれども追随的な立場にあった看護助手に対しては懲役三年、執行猶予四年の裁判を、傷害致死の犯行には加わらず共同暴行のみに加担した看護助手に対しては懲役一年六カ月、執行猶予三年の判決を、傷害致死の犯行に加担した患者に対しては犯行時心神耕弱の状態にあったと認定した上懲役三年、執行猶予三年の判決をそれぞれ言い渡しております。
 以上でございます。
#28
○高杉廸忠君 厚生大臣に伺いますが、この判決についての所見を伺います。
#29
○国務大臣(今井勇君) ただいま御説明がありました第一審の判決につきましてでありますが、裁判所におきましてもそれなりの事実関係に基づきまして御判断されたものと考えますが、本件につきましては、さらに上級審の判断を仰ぐこともあり得る事項でございますので、本件についての具体的なコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
 しかしながら私は、裁判の結果は別といたしまして、一般的に申し上げますと、精神障害者の医療あるいは保護を行います精神病院におきまして病院の職員によります患者への暴行というようなことがあってはならないことと考えております。したがって、今後ともそういった不祥事件が発生しないように精神病院に対します指導監督の強化、徹底に努めてまいりたい、このように思っております。
#30
○高杉廸忠君 今、最高裁からのお話のように傷害致死、一昨年この問題等で大変社会問題となりました宇都宮病院事件というのはまだ終わっていない、こういうように思います。この問題については、別の機会を得てただしたいと存じます。
 次の質問に入りますが、大蔵大臣並びに厚生大臣に伺います。
 現在の予算編成は、歳出圧縮のために原則として全経費を対象として概算要求の段階で一律にシーリングを設定するという手法をとっております。この結果、一般歳出の伸びが顕著に抑制されてきたのは事実であります。さらに、財政再建のために各種の繰り延べの措置、これによる糊塗策、すなわち財政技術的操作による表面上の歳出の圧縮、これは財政体質改善の観点から見ますと何の意味もない、こういうふうに私は思います。むしろ、財政の実態を覆い隠して、負担を将来に繰り延べるという意味では問題をさらに深刻化してくるのではないか、そのおそれすらあると考えます。
 そこで伺いますが、このようにしてまで一般歳出をマイナスとする予算を編成することについて、大蔵大臣並びに厚生大臣、見解を伺います。
#31
○国務大臣(竹下登君) 高杉さんの御発言のような御意見は私どももたびたびちょうだいをいたしておるところであります。基本的な出発というのはやっぱり増税なき財政再建。ということは、結局いわゆる安易に増税に手をつけるなというかんぬきをかけて歳出削減からかかっていけと、こういうことであろうと思うのであります。したがって、昭和五十五年度予算一〇%まではまだプラスでよろしい、それから五十六年が七・五でございましたか、五十七年ゼロ、さらに制度、施策の根本に踏み込もうと、こういうことで厳しい概算要求基準を設定して、それでもって編成さしていただいたのがその後の五十八、五十九、六十、六十一と、こういうことになるわけであります。
 そうしますとどういう効果があるかといいますと、一つには各省庁におかれて優先順位をおのずから御決定になる、それのためにはやっぱり内なる改革が必要になってくる。これがいろいろ議論のありますところのいわゆる医療保険法等の改正、あるいはこれから御審議いただくであろう老人保健法の改正とかいうような問題がまさに制度改正ということになってあらわれてきた事実であるというふうに思うわけであります。やはり第一義的目標といたしまして、昭和六十五年度に赤字公債から脱却しようという目標を掲げております限りにおいては、私は予算編成の手法として概算要求基準を設けて厳しく対応していく。というのは、財政体質を変えていくためにはやはり有用な一つの手法であろう、難儀な手法ではございますけれども、そんな認識を持っております。
 それから、厚生年金等に見られる問題につきましては、御指摘の点もございます。あるいは各制度間の財政調整措置として理解できる諸措置も中にはございますが、いずれにせよ今日厳しい概算要求基準を設定して予算編成をいたしておりますと、おっしゃるような批判は出てくる。したがって、さて六十二年度予算どうするか、六十一年度予算がまだ通る前に六十二年の手法を諭ずるのはいかがかと思いますが、いずれにせよ私は、やっぱり厳しい対応をしなければならないであろうという問題意識は依然として持っておるということを申し上げます。
#32
○国務大臣(今井勇君) 今、大蔵大臣からもお話がございましたが、この厳しい財政状況が続く中で行財政改革の推進あるいは財政再建という目標に向かいまして、この数年間、政府全体として厳しいシーリングが設定されまして、その枠内で社会保障の水準を何とか確保するためにいろいろ工夫をしてまいったところでございます。しかしながら、先生御案内のように、人口の高齢化などに伴いましてもう毎年相当規模の当然増が生じますという社会保障予算というものの特質を考えますと、従来のような方式で一体予算編成を行うことがどうなんだろうか。極めて私は困難な問題が非常に生ずるのではないかと考えておりまして、やはりひとつここで一工夫が要るんじゃないだろうかというふうなことを常々考えているものでございます。
#33
○高杉廸忠君 大蔵大臣、事は社会保障費に限らないのです。このような一時しのぎの対策を今後も続ける考えであるかどうか、これは厚生大臣にもお聞きしておきます。
#34
○国務大臣(竹下登君) 今、六十五年度赤字公債依存体質から脱却しようという、非常に困難ながらこの旗はおろさないという姿勢に立っておる限りにおいて、やはり厳しい対応をせざるを得ないと思います。
 それから、社会保障のみならずという言葉がございましたが、そして一方、三十数%が今二〇%にまではなっておりますものの、全体としての公債依存度も、これを引き下げていこうという目標も掲げております限りにおいては、やはり厳しい対応を続けていかなければならないであろうと、今日の段階でそのように考えております。
#35
○国務大臣(今井勇君) 今後の予算編成がどうなるかにつきましては、まだ今のところ六十一年度予算が御審議中でございますから、何とも申し上げられないわけでございますが、少なくも、先ほど申し上げたように、今後とも人口の高齢化などが進みますと、相当規模の当然増が生じますことはやむを得ないことだと思うわけであります。したがって、そういうことを考えますと、従来のような方法で予算編成を行うことはますます苦しくなるだろうと、私はそのように思っております。
 したがって、今後とも社会保障の水準をどうしても維持していかなきゃなりませんから、そのためにはどんな方策が可能であろうかということで、予算編成のあり方も含めまして関係当局とも十分に相談しながら幅広い観点から検討を進めてまいりたい、このように思うものでございます。
#36
○高杉廸忠君 予算委員会の総括質疑の際にも質疑を通じて明らかなように、高齢化の過程で避けて通れないと思われます社会保障費の増大等に備えて、それならば大蔵大臣、どのようにその財源確保を考えているのか。これは厚生大臣にもあわせて伺います。
#37
○国務大臣(竹下登君) 結論から申しまして、今日までは結局一般会計でもってこれに充当する、こういうことになっておるわけであります。したがって一方、いわゆる特別会計、そして歳入歳出ともどもに検討をすべきではないかという増岡先生の私案もあったわけでございますが、この問題になりますと、まさに今厚生大臣からもお答えがあっておりましたように、広範な角度からこれは検討していかなきゃならぬなと。原則的に、やっぱり一般会計独立の原則ということから、特会を設けることそのものをいわば本筋ではないとした物の考え方が一つあるわけです。しかしながら、今おっしゃったように、将来を見通した場合に一つの安定的な財源をいわば目的財源としてこれに充当するという考え方も各方面で議論されておることでございますから、それがまたできることによって、今度は硬画化してもならぬとかいう問題もあるでございましょう、あるいは聖域化してもならないという問題もあるでございましょう。そして、総じて国民負担率というものは一体那辺が最も適当であるかというような非常に広範な議論から検討をしなきゃならぬ課題であろうという問題意識を持っております。
#38
○国務大臣(今井勇君) たびたび繰り返すようでございますが、人口が高齢化をいたしますから、社会保障に嘆ずる経費はふえていかざるを得ないわけであります。例えば年々受給者がふえてまいります年金につきましては保険料の計画的な引き上げというものを見込んでおりますが、医療を初めといたしまして、その他の経費もやっぱり増大が予想されるわけで、どうしても何かの財源措置が必要であろう、こう考えます。こういった。経費はいずれにしましても税金があるいは保険料で私は賄わなきゃならぬと思いますが、これをどのように一体組み合わせていけばいいのか。これはやっぱり今後の検討課題と考えておるものでございます。
#39
○高杉廸忠君 大蔵大臣から今特別会計の話も出ましたけれども、そこで伺うんですが、六十一年度予算の折衝の過程で、社会保障特別会計の設置についての私案が発表されているわけです。この私実は、これはどういう性格のものなんですか、厚生大臣。
#40
○政府委員(北郷勲夫君) 増岡前大臣がお考えになっておられましたのは、先ほど厚生大臣からも申し上げましたように、人口の高齢化に伴って非常に経費が増大する、経費が増大いたしますと負担もふえるわけでございますが、その給付と負担の関係を一体どういうふうに明らかにしていくかというようなことを非常に御心配をされまして、何らかの特別会計制度が必要なんではないかというふうにお考えになったわけでございまして、おっしゃいました私実はこういった考え方に立ちました前大臣の私案ということでございます。
#41
○高杉廸忠君 私は、この私案にはいろいろな問題があると考えるんです。その第一は、社会保障の長期構想との関係です。社会保障特別会計の設置は、私は将来における社会保障の具体像、これをあらわすもの、言いかえれば長期構想と密接不可分なものでなければならない、こういうふうに考えるんです。厚生大臣、どうでしょう。
#42
○政府委員(北郷勲夫君) 社会保障特別会計という考え方が出てまいりますもと自体が将来の社会保障経費が非常に増大するであろうというところから出発いたしておるわけでございますから、これは仮にの話でございますが、仮にそういうふうなものが検討されます場合には、当然そういった長期的な経費の見通しというようなものを明らかにしていかなきゃならぬと考えております。
#43
○高杉廸忠君 いや、具体像をあらわすものでなければならぬという……。
#44
○政府委員(北郷勲夫君) 社会保障の長期見通しの中でどれくらいの経費がかかるか、どういう形になるかというような姿が出てこなければ、当然社会保障特会の必要性自体が出てこない、こういうふうに考えます。
#45
○高杉廸忠君 第二は、社会保障特別会計の時限的性格の問題なんです。私は大蔵大臣にもお聞きしたいんですが、そうなりますと財政再建期間中に限って設置ということが考えられているのかどうか、いかがでしょう。
#46
○国務大臣(竹下登君) そこまで詰めた議論は残念ながらいたしておりませんが、あの増岡先生のまさに私案というのは、いわゆる時限的な考え方ではないではないかなというふうに私は受けとめ要求基準を設けて厳しく対応していく。というのは、財政体質を変えていくためにはやはり有用な一つの手法であろう、難儀な手法ではございますけれども、そんな認識を持っております。
 それから、厚生年金等に見られる問題につきましては、御指摘の点もございます。あるいは各制度間の財政調整措置として理解できる諸措置も中にはございますが、いずれにせよ今日厳しい概算要求基準を設定して予算編成をいたしておりますと、おっしゃるような批判は出てくる。したがって、さて六十二年度予算どうするか、六十一年度予算がまだ通る前に六十二年の手法を論ずるのはいかがかと思いますが、いずれにせよ私は、やっぱり厳しい対応をしなければならないであろうという問題意識は依然として持っておるということを申し上げます。
#47
○国務大臣(今井勇君) 今、大蔵大臣からもお話がございましたが、この厳しい財政状況が続く中で行財政改革の推進あるいは財政再建という目標に向かいまして、この数年間、政府全体として厳しいシーリングが設定されまして、その枠内で社会保障の水準を何とか確保するためにいろいろ工夫をしてまいったところでございます。しかしながら、先生御案内のように、人口の高齢化などに伴いましてもう毎年相当規模の当然増が生じますという社会保障予算というものの特質を考えますと、従来のような方式で一体予算編成を行うことがどうなんだろうか。極めて私は困難な問題が非常に生ずるのではないかと考えておりまして、やはりひとつここで一工夫が要るんじゃないだろうかというふうなことを常々考えているものでございます。
#48
○高杉廸忠君 大蔵大臣、事は社会保障費に限らないのです。このような一時しのぎの対策を今後も続ける考えであるかどうか、これは厚生大臣にもお聞きしておきます。
#49
○国務大臣(竹下登君) 今、六十五年度赤字公債依存体質から脱却しようという、非常に困難ながらこの旗はおろさないという姿勢に立っておる限りにおいて、やはり厳しい対応をせざるを得ないと思います。
 それから、社会保障のみならずという言葉がございましたが、そして一方、三十数%が今二〇%にまではなっておりますものの、全体としての公債依存度も、これを引き下げていこうという目標も掲げております限りにおいては、やはり厳しい対応を続けていかなければならないであろうと、今日の段階でそのように考えております。
#50
○国務大臣(今井勇君) 今後の予算編成がどうなるかにつきましては、まだ今のところ六十一年度予算が御審議中でございますから、何とも申し上げられないわけでございますが、少なくも、先ほど申し上げたように、今後とも人口の高齢化などが進みますと、相当規模の当然増が生じますことはやむを得ないことだと思うわけであります。したがって、そういうことを考えますと、従来のような方法で予算編成を行うことはますます苦しくなるだろうと、私はそのように思っております。
 したがって、今後とも社会保障の水準をどうしても維持していかなきゃなりませんから、そのためにはどんな方策が可能であろうかということで、予算編成のあり方も含めまして関係当局とも十分に相談しながら幅広い観点から検討を進めてまいりたい、このように思うものでございます。
#51
○高杉廸忠君 予算委員会の総括質疑の際にも質疑を通じて明らかなように、高齢化の過程で避けて通れないと思われます社会保障費の増大等に備えて、それならば大蔵大臣、どのようにその財源確保を考えているのか。これは厚生大臣にもあわせて伺います。
#52
○国務大臣(竹下登君) 結論から申しまして、今日までは結局一般会計でもってこれに充当する、こういうことになっておるわけであります。したがって一方、いわゆる特別会計、そして歳入歳出ともどもに検討をすべきではないかという増岡先生の私案もあったわけでございますが、この問題になりますと、まさに今厚生大臣からもお答えがあっておりましたように、広範な角度からこれは検討していかなきゃならぬなと。原則的に、やっぱり一般会計独立の原則ということから、特会を設けることそのものをいわば本筋ではないとした物の考え方が一つあるわけです。しかしながら、今おっしゃったように、将来を見通した場合に一つの安定的な財源をいわば目的財源としてこれに充当するという考え方も各方面で議論されておることでございますから、それがまたできることによって、今度は硬直化してもならぬとかいう問題もあるでございましょう、あるいは聖域化してもならないという問題もあるでございましょう。そして、総じて国民負担率というものは一体那辺が最も適当であるかというような非常に広範な議論から検討をしなきゃならぬ課題であろうという問題意識を持っております。
#53
○国務大臣(今井勇君) たびたび繰り返すようでございますが、人口が高齢化をいたしますから、社会保障に嘆ずる経費はふえていかざるを得ないわけであります。例えば年々受給者がふえてまいります年金につきましては保険料の計画的な引き上げというものを見込んでおりますが、医療を初めといたしまして、その他の経費もやっぱり増大が予想されるわけで、どうしても何かの財源措置が必要であろう、こう考えます。こういった経費はいずれにしましても税金があるいは保険料で私は賄わなきゃならぬと思いますが、これをどのように一体組み合わせていけばいいのか。これはやっぱり今後の検討課題と考えておるものでございます。
#54
○高杉廸忠君 大蔵大臣から今特別会計の話も出ましたけれども、そこで伺うんですが、六十一年度予算の折衝の過程で、社会保障特別会計の設置についての私案が発表されているわけです。この私実は、これはどういう性格のものなんですか、厚生大臣。
#55
○政府委員(北郷勲夫君) 増岡前大臣がお考えになっておられましたのは、先ほど厚生大臣からも申し上げましたように、人口の高齢化に伴って非常に経費が増大する、経費が増大いたしますと負担もふえるわけでございますが、その給付と負担の関係を一体どういうふうに明らかにしていくかというようなことを非常に御心配をされまして、何らかの特別会計制度が必要なんではないかというふうにお考えになったわけでございまして、おっしゃいました私実はこういった考え方に立ちました前大臣の私案ということでございます。
#56
○高杉廸忠君 私は、この私案にはいろいろな問題があると考えるんです。その第一は、社会保障の長期構想との関係です。社会保障特別会計の設置は、私は将来における社会保障の具体像、これをあらわすもの、言いかえれば長期構想と密接不可分なものでなければならない、こういうふうに考えるんです。厚生大臣、どうでしょう。
#57
○政府委員(北郷勲夫君) 社会保障特別会計という考え方が出てまいりますもと自体が将来の社会保障経費が非常に増大するであろうというところから出発いたしておるわけでございますから、これは仮にの話でございますが、仮にそういうふうなものが検討されます場合には、当然そういった長期的な経費の見通しというようなものを明らかにしていかなきゃならぬと考えております。
#58
○高杉廸忠君 いや、具体像をあらわすものでなければならぬという……。
#59
○政府委員(北郷勲夫君) 社会保障の長期見通しの中でどれくらいの経費がかかるか、どういう形になるかというような姿が出てこなければ、当然社会保障特会の必要性自体が出てこない、こういうふうに考えます。
#60
○高杉廸忠君 第二は、社会保障特別会計の時限的性格の問題なんです。私は大蔵大臣にもお聞きしたいんですが、そうなりますと財政再建期間中に限って設置ということが考えられているのかどうか、いかがでしょう。
#61
○国務大臣(竹下登君) そこまで詰めた議論は残念ながらいたしておりませんが、あの増岡先生のまさに私案というのは、いわゆる時限的な考え方ではないではないかなというふうに私は受けとめております。
 それから、審議会からもちょうだいしました、範囲を年金だけに設定して所得付加の目的税をやるべきだと、こういうふうな御意見をちょうだいしたことがございますが、その辺はいろいろ議論のあるところであろうと思います、範囲の問題等については。ただ、時限立法で行う性格のものではないではないか。これは全く一般論でございますので、あるいは不勉強でありましたらお許しいただきたいと思います。
#62
○高杉廸忠君 厚生大臣、時限について。
#63
○国務大臣(今井勇君) 今、大蔵大臣からのお答えと同じようなことでございまして、仮にこれを設置するにいたしましても一定の期限内に限定するということではないと考えております。
#64
○高杉廸忠君 第三に、大蔵大臣にも厚生大臣にもお聞きしたいんですが、特別会計に包含される制度の範囲の問題、特別会計を設ける根拠として、現在の財政法の第十三条で言う「必要がある場合」、こういうふうに言っているんですが、それが財政法に言うことと言えるかどうかですね、私ちょっと疑問に思うんですが、それはいかがでしょう。
#65
○国務大臣(竹下登君) ちょっと似たようなので申しますと、昭和四十九年に設置されました電源開発促進対策特別会計は、電源開発促進税(目的税)を財源とする電源立地対策等に関する経理を行うことを目的とするものであって、財政法第十三条に言う「特定の歳入を以て特定の歳出に」充てる場合に該当をすると、こういう例等がございます。したがって、財政法第十三条においては「国が特定の事業を行う場合」が一つあります。それから二番目が「特定の資金を保有してその運用を行う場合」、それで三番目の「その他特定の歳入を以て特定の歳出に充て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合」と、この三つのケースに限って認められるわけですから、これも仮定の問題ですけれども、いわゆる増岡先生の私案というものは第三番目のケースに該当するかどうかの議論の対象になるものじゃないかというふうに考えます。
#66
○国務大臣(今井勇君) 今、大蔵大臣から御答弁のあったとおりだと私も思います。
#67
○高杉廸忠君 次に、特定財源の問題についてでありますが、この給付の見合いを抜きにして特定財源を考えるならば、それは私は単に増税の理由づけになるのではないかと考えるのです。大蔵大臣、どういうふうにお考えになりますか。
#68
○国務大臣(竹下登君) 一般論としてこの増税という定義をどう位置づけますか。少なくとも臨調でおっしゃっている増税なき財政再建の増税とは何ぞや。新たなる税目をもって国民の負担率を大きく変えていく措置をとることとするならば、その特定財源が既存の税目でなく、新たなる税目であったらおっしゃるとおりの指摘の範疇に入るんではないかなというふうに考えます、現段階におきまして。
#69
○高杉廸忠君 そこで、大蔵大臣と厚生大臣にさらに伺うんですが、予算編成時に政府は財源として大型間接税を導入して社会保障特別会計を新設する方向で大蔵省と厚生省の両省で検討したのじゃないかというふうに伝えられているんです。大臣、どうでしょう。
#70
○国務大臣(竹下登君) いわゆる一般論で言います大型間接税を目的財源としての社会保障特別会計構想というものをリンクして議論をしたというところまでにはまだいってないんじゃないかと思います。
 五十四年の暮れあたり与野党の税の専門家の中で議論をしたときに、そんな議論をしたことがございますけれども、まだいわばオーソライズされたどこかのテーブルで議論がされておるという状態ではなかろうかというふうに理解しております。
#71
○国務大臣(今井勇君) 私も、検討に際しまして財源として大型間接税を当然の前提としてというふうには実は理解をいたしていないのでございまして、そういうことでございます。
#72
○高杉廸忠君 我が国は、諸外国に例を見ないスピードで高齢化社会に移行することは間違いのないところであります。高齢化に伴って社会保障費の増大、これは不可避であると考えます。これに対処するために財源の捻出が問題であることは理解できるんです。しかし、国庫負担の減額を目的としたり、あるいは増税の大義名分に利用されるようなことであってはならないし、特に、そういう理由で社会保障特別会計であったりすることは意味がないと思います。今後の社会保障費の具体的な長期構想を伴わないこういう社会保障特別会計の設置であるならば私は意味がない、こういうふうに思うんです。大蔵大臣並びに厚生大臣、どのようにお考えになりますか。
#73
○国務大臣(竹下登君) やっぱり長期ビジョンに合わせたものであるべきだということは、およそ見解を等しくいたしております。私自身、昭和三十三年に国会へ出ました当時、男性六十三歳、女性六十九歳でありました。それで、大体そのころまでやれると思っておりましたが、あと一年しかないと、こういう状態が今や七十四・五四歳と八十・一八歳でございますから、まだ少しあるなと、こういう生活設計を自分でも立てなきゃいかぬ老境に私も達しましたので、そういうことからしてやっぱり長期ビジョンが存在すべきである、こういうふうに私も思います。
#74
○国務大臣(今井勇君) 社会保障の特別会計の問題といいますのは、国の財政の構造全体にも、また今後の社会保障の進め方にも大きくかかわる問題でございまして、御意見も勘案しながら今後やっぱり私は幅広く検討してまいりたい、こう考えておるものでございます。
#75
○委員長(安田隆明君) 高杉君の質疑は午前はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#76
○委員長(安田隆明君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和六十一年度総予算三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#77
○委員長(安田隆明君) この際、昭和六十一年度一般会計予算外二案の審査の委嘱についてお諮りいたします。
 本件につきましては、理事会におきまして協議の結果、次のとおり決定いたしました。
 審査を委嘱する委員会及び各委員会の所管は、お手元に配付のとおりでございます。審査を委嘱する期間は、常任委員会については四月二日の一日間、特別委員会については四月三日の午後一時までの間。
 以上でございます。
 ただいま御報告いたしましたとおりとすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#78
○委員長(安田隆明君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#79
○委員長(安田隆明君) 休憩前に引き続き、高杉廸忠君の質疑を行います。高杉君。
#80
○高杉廸忠君 次に、同和問題についてまず総務長官に伺います。
 これまで十七年間同和対策を行ってきましたが、同対審答申が指摘している実態的差別のハード面では一定の成果があったと言われています。しかし、同じ実態的差別でも仕事や教育や福祉や産業などの問題、これは今なお厳しい状態が存在していると思います。
 総務長官、これをごらんになったと思うのですけれども、ごらんになってどういう御見解、御所見がありますか、伺います。
#81
○国務大臣(江崎真澄君) 仰せのように、そこに統計的にいろいろな差別事象が詳しく出ております。確かに物を建てるとか環境を整備するとか、そういったハードの面では相当な成果が十七年の間にあった、これは御見解のとおりだというふうに私どもも思っております。ただソフトの面、まあこれは心の問題と一口に言いましょうか、結婚差別とか就職における差別とか、あるいは入学の面とか、そういった面においていまだに相当な差別が残されておるということは本当に悲しむべきことだと思います。これは遺憾なことだで済む話ではないのでして、やはりその心の問題、悩み、差別、こういったものを一日も早く取り除く環境づくりのために私どもは今後も粘り強く努力をいたしていく責任を感じておるものであります。
#82
○高杉廸忠君 その同対審答申には、こうした仕事や福祉や教育や産業の問題も建物や道路も実態的差別としてとらえているわけなんです。またその実態的差別を今長官もお話しのように、ハードそしてソフト、そういう概念で分類しているんですけれども、政府もこうした分類の仕方をしているんでしょうか。その辺を伺いたいと思うのです。
#83
○国務大臣(江崎真澄君) これは御指摘のように、今おっしゃるように、仕事、福祉、教育そして産業差別、何というか就職の差別とか、そういった面はソフトの面ということにとらえております。
#84
○高杉廸忠君 同対審答申によれば、部落差別は心理的差別と実態的差別に分けることができる、こうしているんです。この両者が相互に作用し合い悪循環を繰り返す、こうしているんですね。すなわち実態的差別が心理的差別に影響をして、心理差別が実態差別に悪影響している、こういうことになるんですね。そうしますと、今日なお心理的差別によって数々の差別事件が起こっていることなんですね。また極めて悪質な差別事件も多く発生しているということは実態的兼別が十分改善されていないからだ、こういうふうになるんですが、長官はどういうふうにお考えになりますか。
#85
○国務大臣(江崎真澄君) 十七年前を思いますとよほど減ってはきておるというふうに思いますが、今仰せのようにいろいろな響き合いによってやはり差別が残存しておる、これは本当に残念なことだと思います。やはり同じ日本人でこんな差別があっていいはずはありません。しかも、悪質など今御指摘がありましたように、事例も私よく承知をしておるつもりであります。そういった面を何とか解消するやはり教育の面、十分努力をし啓蒙をしてまいりたい、かように考えます。
#86
○高杉廸忠君 特にソフト面で伺いますけれども、ソフト面と言われる実態的差別の改善、これが非常におくれているんではないかと思うんですね。
 そこで、長官を初め文部大臣、労働大臣、厚生大臣それぞれにお聞きするんですが、ソフト面ではどのように考えますか、伺います。
#87
○国務大臣(江崎真澄君) ソフト面については確かに私まだまだ足りないととろがあるというふうに認めざるを得ぬと思います。ハードの面では改善をされ、まだ一年残しておりますから十分所期の目的を達成できるように最善の努力をしていくわけでありますが、ソフト面におけるいわれなき差別の解消はやはり国民的な認識の問題ですから、これは粘り強く啓蒙をし教育で徹底をしていく、これは大事なことだと考えております。
#88
○国務大臣(海部俊樹君) 学校教育の現場におきまして、基本的人権尊重の教育の徹底が要請されておることは御指摘のとおりでございまして、私どもはそれに鋭意意を用いておりますが、教育の現場に立っていただく先生方にもそのしっかりした把握をしていただく必要があろうかと思います。現在教員養成大学の中においても逐次その講座数等もふえてまいっておりまして、昭和六十年度には二十六の大学で六十四の科目が教育されておりますけれども、もともと自主的に大学が決めるものではございますが、文部省としてはこの面についてもさらに留意を促してまいりたい、こう考えます。
 さらにもう一つ、対象地域の児童生徒の皆さんが高校に進学できるように、大学に進学できるようにいろいろな施策を講ずることも大切なことでございまして、進学奨励事業等をやってまいりました結果、従前と比べますと高校の進学率も、いまだ少しは格差が残っておりますが、全国平均九四・一%に対して対象地域が八七・三%まで高まってまいりました。こういったことをさらに意を用いて実行してまいりたいと思っております。
#89
○国務大臣(今井勇君) 厚生省といたしましては、同和地区の福祉の問題に対しましては、まず環境整備事業というハードの面、それから隣保事業などの保健、福祉の事業、これはソフトの面でございます。このうち環境整備の問題については、先生おっしゃいますように大分計画的に整備は進んでまいりました。それでもまだ全体が済んでおるわけではございませんから、やっぱり今後は環境整備事業の残されたものを推進すると同時に、おっしゃいますように隣保事業、こういった面の保健、福祉対策、これをさらに充実を図ってまいりたい、これが願いでございます。
#90
○国務大臣(林ゆう君) 労働省に関係いたします雇用の実態を申しますと、同和関係住民の就業の実態は、臨時、日雇い等の割合が高くなっておりまして一般常用雇用の割合が低いということ、そしてまた小規模事業所で仕事に従事する者の割合が高い、また単純労働従事者の割合が高い、こういった状況に今あるわけでございます。
 労働省といたしましては、これまで同和関係住民の就職促進施策、事業主に対する啓発指導等に努めてまいったところでございますが、就業実態の改善も徐々ではございますが図られてきていると私どもは認識をいたしております。
 今後ともこれらの諸施策の活用を図るとともに、関係省庁、地方公共団体などと密接な連携をとりながら同和関係住民の職業の安定に努めてまいりたい、このように考えている次第でございます。
#91
○高杉廸忠君 今お聞きしましたように、それぞれのハードの面ではかなり一定の前進がある。しかし、ソフトの面ではなお厳しい状態。こういうことになりますと、もう一段行政の御努力を一層していただかなきゃならない、こういうふうに考えるんです。それと同時に、またソフトの面でも非常に不十分であるし、部落兼別の現実に十分こたえ切れるものでなかったなと思うんですが、これはどういうふうに長官お考えになられますか。
#92
○国務大臣(江崎真澄君) 心理的差別の解消という問題についても地対法においてやはり規定しておるところでありますが、仰せのように何せ心の問題、そしてこれはいろんな形になってあらわれる。私、一口に心と申し上げておるんですが、さっきから例示され、また私もお答えしておるようないろいろな場面がありますね。そういう点において、一昨年の六月に地域改善対策協議会から「今後における啓発活動のあり方について」という貴重な意見の具申をいただいたところであります。「本問題が国民的課題として定着し得ない原因を探ってみると、むしろ啓発推進の前提ともいうべき条件が欠けていると考えられ、これを早急に整備する必要がある。」と、こう言っておりますね。
 その第一は、同和問題について自由な意見交換ができる環境づくりをしよう。それから第二番目には、行政の主体性の確保が大切である。それから三番目には、えせ同和団体の排除も必要である。これらを断固として行う必要があるということを言っております。
 したがって、私ども今関係大臣の御答弁にもありましたように、啓発推進指針策定委員会を設置して、昨年の十二月から、特に精神面に大いに貢献できるよう対策の検討を進めておるところであります。
#93
○高杉廸忠君 ところで長官、人間の心は法律では縛られません。しかし、その行為は規制できると思うんですね。長官いかがでしょう。
#94
○国務大臣(江崎真澄君) この問題は衆議院でも、あるいはまたこの参議院の予算審議の場でも御意見のあったところでございます。例えば、大阪府が条例などで規制をしておられるという例示もよく私知っておるつもりでございます。ただ問題なのは、果たして新しい法律といいますか、そういうものをつくることによって、規制をすることによるメリット、これは私、確かにあると思います。否定できません。しかし、一面ではまた同和をしていく同じ日本人としてこんなばかな差別があっていいはずはないという面からいいますと、法律で果たして決めることがいいのかどうか。リアクションもある。そこで、基本問題検討部会というものも発足させ我が総務庁においても慎重に検討をしておるところでありまして、法律で縛ることがいいのか、むしろリアクションを考えなければならないのか、そのあたりについては慎重に今検討をいたしておるところであります。
#95
○高杉廸忠君 そうしますと、差別の心は規制できないが、差別の行為、これは規制できると思うんです。しかし、差別行為をしておきながら、説得や教育や啓発に耳を傾けないで、しかも再三の法務局や自治体の努力にもかかわらず開き直るといったような場合、こういった場合にどのような対策をお考えになるのか、長官とそれから法務大臣にもあわせて伺いたいと思うんです。
#96
○国務大臣(江崎真澄君) 御質問の点は極めて重要だと思います。確かに土地の売買をめぐって大変な問題が起きたこともよく承知いたしております。そういった面などについても、やはりこれは教育の問題、そして認識の問題、粘り強くそういったことを防止する強い態度で臨まなければならない。一方では訴訟をするというような場面で勝訴されたことも、これは妥当な判決であったと私どもも見ておりますが、それには手間暇かかるという御議論も一面であることも理解いたしております。こういった問題が起こらないような対策を今後とも我々も十分念頭に置いてとっていかなければならない。誠心誠意努力をいたしたいと考えます。
#97
○政府委員(野崎幸雄君) 今、委員から御指摘がございましたように、法務局の人権擁護機関の懸命の啓発にもかかわらず耳をかさない者がいるということはまことに残念なことでございます。私どもといたしましては、このような者に対しても粘り強い啓発を続けていきますとともに、差別を生む土壌そのものを変えるための啓発活動をさらに充実してまいりたい、かように考えておるところでございます。
 今、法的規制の問題を提起されておると思いますが、法務省の人権擁護機関は非権力的な啓発をする機関でございますので、法的規制については所管外のことと考えておりますが、かつて法務省におきまして規制の問題を検討した経緯がございますので、その点について若干申し上げたいと思います。
 地名総鑑が発行、販売されましたのを契機といたしまして、こういった文書について取り締まる法律をつくることができるかどうかということで法務省では検討してまいったことがございます。しかしながら、こういったものを規制する法律をつくっていきます場合に、一体その構成要件というものをどのようにするのかといったことになりますと非常に難しい問題がございます。のみならず、こういったものを法的規制をしてまいりますことはかえって差別を潜在化させていくのではないかということも考えられるわけでございます。差別がなお根強く残っておりますのは、つまり国民の間に差別を容認する心理的な土壌、精神的な風土があるからでございまして、これを根本的に改めない限り部落差別を根本的に解消することはできないわけでございます。私どもはこれを可能にするものは啓発であり、啓発以外にはないと考えておるものであります。したがいまして、法務省の人権擁護機関としては、より一層その面の啓発に努力をしていきたい、かように考えておるところでございます。
#98
○政府委員(本多秀司君) 先ほど大臣から申されたとおりでございますが、一点だけ補足させていただきますと、御承知のとおり、現在の憲法下におきまして例えばそういう差別行為が行われた場合、損害賠償事件あるいは刑事罰事件、こうしたいずれにも該当しないものにつきましては、これはやはり大臣が申されましたとおり心の問題あるいは倫理の問題というふうに考えられるところでございます。したがいまして、そうした差別行為というのがそういう心のいわば顕在化といいますか具象化ということでございますので、本質的な問題としましてはやはり心、倫理を粘り強い啓発によって解消していくということが最も重要なことであって、直ちに法規制を導入するということにつきましてはよほど慎重でなければならない、このように考えるところでございます。
#99
○高杉廸忠君 そうなると、現に部落の地名総鑑を販売した興信所の中には行方のわからないものがいるわけですね。あるいはまた、具体的に言うならば本田探偵社というように開き直ったもの、こういうようなものを放置しておく、啓発ではこれは解決できないと思うんです。そういう具体的な事実に対しての解決の方法、対策、これはどういうふうになりますか。
#100
○国務大臣(江崎真澄君) これは御指摘のようにまことに深刻な問題だと私も認識します。ただ御承知のとおり、先ほど来法務省からも、また私どもの審議官からもお答えしておりますように、いわゆる現行の法体系におきましては損害賠償事件または刑事罰事件のいずれにも該当しないものは倫理の領域と申しますか、ということになりましょうか。
 そこで、警察権力の適用を必要最小限にして市民の自由なむしろ倫理的な判断にゆだねる範囲をできるだけ広くしようという、長い歴史の経験を踏まえたお互いの社会の知恵でこれを解決していくというわけですが、そうかといって今の名簿などの問題はこれはいかにもひど過ぎますね。そうして、それを営利の種にするというようなことは絶対あってならないことでありまして、これはやはり訴訟に訴えられればそれなりの問題にもなりましょうし、開き直るがごときはもってのほかで認識不足も甚だしいと思います。私どもも十分そのあたりを意にとめて、今後熱意を持ってこれらの防止に最善の努力を傾けていきたい、かように考えます。
#101
○高杉廸忠君 長官、特に悪質な事件ですから、これはひとつ厳正にしていただきたいと思います。
 ところで長官、同対審答申は尊重されるんでしょうね。
#102
○国務大臣(江崎真澄君) もちろん尊重してまいります。
#103
○高杉廸忠君 そうしますと、差別された側、今いろんなことがありますが、こんなときはどうすればいいんでしょうか。同対審答申では、こうしたときには一定の法規制の必要性や部落差別を受けた人たちの救済措置についての必要性を強調しているんです。答申尊重を今お約束いただきましたから、それならばそれを具体化する必要がある、こういうふうに思うんですね。あわせまして伺います。
#104
○国務大臣(江崎真澄君) そこで、御承知のように基本問題検討部会を発足させて、その部会の検討と、そして私ども総務庁としてのやはり官庁としての、政府側としての検討をしておるところでございます。
#105
○高杉廸忠君 次に文部大臣に伺いますが、この「いのち愛人権」ですね、こういう冊子を見ても、また小学校から大学に至るまで部落差別、または差別の事件が起こっていることは御承知だろうと思うんです。これは明らかに学校での同和教育が十分取り組まれていないからだ、こういうふうに私は思うんですが、その点はいかがでしょう。
#106
○国務大臣(海部俊樹君) 同和問題に対しましては、その徹底的な理解と認識を深めなきゃなりませんので、御承知のように研究開発校を指定したり、教員の加配配置をしたり、いろいろ努力を続けておるつもりでございますけれども、結果として御指摘のような悲しい事態が起こっておるということもまた事実でございますから、その撲滅のためにも徹底的な教育に力を入れていかなきゃならぬのは御指摘のとおりだと受けとめております。
#107
○高杉廸忠君 そこで文部大臣、そういうお考えであるならば、この際同和教育の推進を一層強めるような大臣声明なりを出してはどうか、そういうふうに考えるんですが、それはどうでしょう。
#108
○国務大臣(海部俊樹君) これは学校教育全体の中で教育委員会や担当者を呼んで絶えず繰り返し注意をしておるところでございますけれども、今日なお御指摘のように後を絶たないということであります。私どもはさらに意を強めて全国の教育委員会の担当者がそれぞれの学校教職員と力を合わせて取り組んでいっていただくように指導を一層強め、私どももその方針で対処していきたいと考えます。
#109
○高杉廸忠君 文部大臣、指導を一層強めていただくようにお願いをしたいと思います。
 それで、先ほど大臣からもお答えがあったように、十七年間の同和行政の中で高校進学率、これは一定の前進をした、しかし大学進学率は依然として低いんですね。その原因、これはどういうふうにとらえていますか。
#110
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、先ほど高校進学率の方はお答えいたしましたが、大学の進学率の方も全体の平均と比べますと、全国平均がやはり三〇%を超えておりますのに対象地域は一九・一%ということでありますから、かなり開きがございます。これをどう考えるかとおっしゃいますと、それぞれやはりいろいろな理由はあろうと思いますが、経済的な理由とか、その地域の教育、学力の事由とか、本人の進路指導の目指すものの理由とかいろいろあろうと思いますけれども、できるだけ全国平均に近づくように、進学率も上昇していくように私どもはいろいろ考えていかなきゃならぬと思っております。
#111
○高杉廸忠君 原因の一つには家庭の経済力ですね、もう一つは学力の問題だ、こういうふうに私は思うんです。
 そこで、経済力の問題について特にお願いしたいのは、同和対策奨学資金、この充実が一層必要と私は考えるんです。大臣はどうでしょう。
#112
○国務大臣(海部俊樹君) 同和対策奨学資金は、進学率の上昇に非常に役に立ってきた実績を残してきたと思います。他の政策との整合性の中でいろいろ厳しい制約もございますけれども、できるだけこの制度は充実し続けていかなければならぬものだと、こう考えております。
#113
○高杉廸忠君 大蔵大臣、文部大臣もそう言っているんですから、充実するためにぜひ御努力いただきたいと思います。要請をしておきます。
 それから、原因のもう一つですね、基礎学力を吸収することのできる基礎的生活体験の不足ではないかなと私は思うんですけれども、文部大臣、どうでしょう。
#114
○国務大臣(海部俊樹君) 不十分でありましたら担当の政府委員からお答えいたしますが、私どもは、教師を加配したり研修会を開いたり、あるいはそういったことを学んでいただく集会所をつくったり、いろいろと学力、文化と両面で向上していただくようなことを現実の政策としても考え、また取り組んでいかなきゃならぬと、こう思い、また取り組んでおるところでもございます。よろしいですか。
#115
○政府委員(高石邦男君) 小・中・高等学校を通じまして基礎的な学力をしっかり身につけるということが必要でございます。したがいまして、特に同和地域の子供たちに対してはそういう条件整備を進めていく必要があるということで、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、加配教員を配当する、そしてまたいろんな形の学習意欲を高揚させるための施策を展開する、研修を充実するというような具体的な内容の施策を推進しているところでございます。
#116
○高杉廸忠君 お答えがありましたが、子供たちの基礎的生活体験とは、文字文化を初めさまざまな文化的諸環境が豊かであるか否かということになると思うんですね、文部大臣。このような諸環境の改善に対して、残念ながら文部省としては集会所事業だけしか行っていないのが現状だと思うんです。
 そこで伺いますが、それだけで基礎学力が向上し環境が整備できる、こういうふうに大臣はお考えなんですか。
#117
○政府委員(齊藤尚夫君) 地域の教育水準、文化水準を高めていく拠点として、地域の人々の生涯学習の拠点として集会所の整備を進めているわけでございます。この集会所におきましては、読み書きの不自由な大人のための識字学級でありますとか、あるいは学業におくれがちな子供に対します補習教育でありますとか、その他地域の人々の学習要求に基づきましてさまざまな学習活動が展開されているわけでございます。今後ともそういうソフト面につきましての充実策を講じてまいりたいというふうに考えております。
#118
○高杉廸忠君 次に厚生省に伺いますが、身体障害者福祉センターなど八項目については地対法の政令に入っているのかどうか伺います。
#119
○政府委員(小島弘仲君) 現在入っておりません。
#120
○高杉廸忠君 政令に入っていないというのは、それじゃ、地対法の不備ということになると思うんですが、長官どういうことになるんでしょう。
#121
○国務大臣(江崎真澄君) これは私、地対法そのものによりましてソフト、ハードの面ともに、これは答申にもありますように相当な改善は見られておる。ただ、ソフトの面がおくれておる、これは事実ですね。ですから、その面は大いに粘り強く今後も努力をしていく。これは私どもの責任において、特にまた教育の面では文部省などその他の協力を得ながらやる。先ほど法務省の答弁にもありましたように、同和すべき、むしろ同じ日本人で差別をするなんというこういう不合理がいつまでもあっていいはずはないんですから、そのために法律などの問題やいろいろな面も配慮しながら現状を粘り強く推進していく、こういうことだと私は認識いたしております。
#122
○高杉廸忠君 厚生省、保育所や児童館が政令に入っていない、土地取得費に対する補助、これが入っていないわけです。だとすると、大蔵大臣聞いてくださいよ、保育所や児童館をどこに建てろということになるんですか。土地がないなら空中に建てろ、こういうふうになるんです。政令にぜひ入れていくべきだと、こう思うんです。これは大蔵大臣にも長官にもお願いしておきます。空中にまさか建てろというわけにいかぬでしょう。どうですか。
#123
○政府委員(坂本龍彦君) 御指摘のとおり、地域改善対策事業に係る保育所、児童館の用地取得費については国庫補助対象となっておりません。私どもとしては、他の地域改善対策事業に対する補助との関連を踏まえつつ今後とも検討を続けてまいる所存でございます。
#124
○高杉廸忠君 入れていただかないと仕事にならぬですね。大蔵大臣、土地を確保しない、それに補助を出さないで空中に建てろというだけじゃ意味ないので、それはぜひやってください。
#125
○政府委員(吉野良彦君) 一般論で恐縮でございますが、申し上げるまでもなく土地はいってみれば一種の永久資産でございます。したがいまして、地方公共団体が実施いたします事業に対しまして国が補助をいたします場合に、一般的に申し上げれば、永久資産である土地の取得費について補助対象にしない場合の方が多いかと存じます。今御指摘の問題も、一般的な考え方に沿って今の国庫補助の仕組みができておるというふうに存じます。
#126
○高杉廸忠君 いや、だから政令に入らなきゃいけないんですよ。できないんですよ。論点が違うよ。政令に入れろと言っているんだから、それでなかったら建てられないですよ。私は説明を聞いているんじゃない。政令に入れなければ児童館も保育所も建てられないでしょうと言っているんです。いかがですか。
#127
○政府委員(吉野良彦君) 設置者でございます地方公共団体がその負担において実施しているということであろうかと存じます。
#128
○高杉廸忠君 政令に入れてくれなきゃ事業ができないんですよ。入れてくれればいいんですよ。これは入れるように検討してくださいよ。いや、私はとめる意思はありませんよ。だけれども、建たないものをやれというわけにいかないから聞いているので、長官、善処するなら結構です。ぜひ検討してくださいよ。
#129
○国務大臣(江崎真澄君) この問題は厚生省の所管にも属するわけですから、私としては基本問題調査会の議に付します、そういうことで御了解おきを願います。
#130
○高杉廸忠君 ぜひ実現できるようにお闘いをしておきます。
 それから労働大臣にこの際伺いますが、同和の雇用状況は現実には大変厳しいんですね。これが解決できるように、大変だと思いますけれども、労働大臣どういうふうにお考えになっていますか。
#131
○国務大臣(林ゆう君) 先生の御指摘のとおり、確かに大変な状況下にございます。それで労働省といたしましては、雇用対策の関連では職業訓練校の整備、就職のための資金の貸し付け、給付金の支給等十項目の事業が地域改善対策事業として定められておることはもう御承知のとおりでございますが、これらの諸事業の活用によりまして、同和関係住民の職業の安定に努めているところでございます。しかしながら、これらの事業は働きたい人のいわゆる適性、あるいはまた能力の問題、そしてまた受け入れる事業所側の問題が解決されて初めて効果を上げるものと、このように思うわけでございまして、御指摘のように現在は厳しい雇用環境のもとにございますので、私どもといたしましては、求人開拓等により働く場の確保に努めるとともに、教育、産業等を所管する関係省庁と連携いたしまして同和関係住民の職業の安定を図るため一定の役割を果たしたい、このように考えておるものでございます。
#132
○高杉廸忠君 総務長官結構です。
 次に、中国孤児の関係で伺いたいと思うんですが、去る三月の七日に私ども国会議員友の会で、中国より帰国した孤児の方々から日本における生活について面接話を聞く機会を得ました。そこで、きょうは中国残留孤児の方々の今後日本に定着して自立していくための抱えている諸問題について、以下具体的にただしたいと思うんです。しかも、政府のより積極的な施策の実現、諸制度の改善を含めて要請をいたしたいと思います。
 まず、教育問題について文部大臣に伺います。
 帰国孤児にとって一番の悩みは子供の教育の問題であったんです。先般、帰国孤児子弟が近くの学校に入学しようとした際に、学校側から拒否されてたらい回しされた事件が報道されていたんですが、このようなことが起きるのは、文部省に孤児子弟の就学に対する認識と対策、これがどうも基本的に欠けているんじゃないか、こういうふうに私は思うんです。大臣、どうでしょう。
#133
○国務大臣(海部俊樹君) 最初に一般的な取り組みを申し上げますけれども、私どもは、帰国された孤児の子弟がスムーズに日本の学校に入っていただきたい、基本的にはそういう気持ちで各都道府県の教育委員会を指導いたしております。全国的にただいま二千三百十名ほどいらっしゃる。学校の数にしましても千百三十校ぐらいに分離されておるわけですから、それぞれの学校において一〇〇%完全に行き届いた教育をしてもらうにはどうしたらいいだろうか、いろいろ考えております。
 例えば、教材をつくって提供するのはもちろんのこと、言葉がよくわからない教師が多いわけですから、気持ちがあっても中国語がわからないので教育できないというところのためには、中国語のわかる教育指導員もこれからお願いして巡回指導をしてもらったり、私は初めて聞いた言葉でしたが、取り出し授業といいまして、クラスの中に入れておいては言葉がわからなくてお気の毒だから一人だけ別のところへお連れしてそこで教育するとか、至れり尽くせりの配慮をやっておるようでありまして、私はこれは全面的に努力していかなきゃならぬと思っておる基本姿勢でございます。
 ただ、先生御指摘のことは新聞の報道で私も承知いたしました。ここまで至れり尽くせりやっておるのに何という心ない現場であるかということが私のそのときの率直な気持ちでありました。ですから、直ちに教育委員会を通じてそういったことのないようにお願いしますとともに、全国的にもそのようなことが二度と起こらないように注意を喚起しておるというところでございます。
#134
○高杉廸忠君 大臣、今後日本に定着して自立していくためには、子供に十分な高等教育を受けさせたいということを非常に熱望していたんですね。しかし、やっと自立している状況のもとで家族が多いものですから、子供さんが多いものですから、日本へ来てその子供さんたちを高校や大学に入学させる余裕がない。こういう悩みというものを切々と訴えられたんです。
 そこで大臣、第一に孤児子弟に関しては希望者全員に日本育英会からの奨学金を出す方針、こういうものを確立したらどうか、こういうふうに思うんですけれども、大臣どうでしょう。
#135
○国務大臣(海部俊樹君) 日本育英会では、御指摘のとおりに、学力の基準と経済的な事情の二つを勘案して奨学金を出しておるわけですけれども、こういう新たなる事情が加わっておりますし、また帰国子女の方々は特別な事情があるに決まっておるわけでありますから、特別な事情を配慮して運用の上で十分に手当て、対策のできるようにすべきである、こう思い、そのような方針で指導もいたしていくつもりでございます。
#136
○高杉廸忠君 大臣、もう一つは奨学金の申し込みの手続、これについても話を聞かされまして私もわかったんですが、非常に複雑なんですね。複雑なために断念したという話も出たんです。そこで、孤児は日本語にハンディがあるわけですから手続を簡略化する、受け入れる学校側で手続は代行するというような具体的な方法でぜひ実現をさしてやらなきゃならぬというふうに考えるんですが、それはどうでしょう。
#137
○国務大臣(海部俊樹君) 奨学生の願書を出しますときに、おっしゃるように学校ごとにきめの細かい指導をしてあげるということは、言葉も不自由な帰国児ならば当然そうだと思いますので、そのような配慮をしてくれますように育英会を通じて各学校に代行できるように趣旨の徹底を図ってやってまいります。
#138
○高杉廸忠君 ぜひお願いをいたしておきます。
 次に、建設大臣に伺います。
 帰国孤児全員に原則として公営住宅を提供してそこから自立させるという方針を確立していただきたい、こう思うんです。建設大臣どうでしょう。
#139
○国務大臣(江藤隆美君) 身元のわかっておる人は今までもそうしておったわけですが、御意見は身元のわかっていない引揚者に対してもという御意向ではないかと思います。
 制度といたしまして、今公営住宅は百九十三万戸程度あるわけですが、その中の十四万戸が特定目的公営住宅といいまして、例えば引揚者、老人世帯、身障者、炭鉱離職者あるいは心身障害者、こういう人たちを優先して入れる、こういう制度があるわけでありますから、昨年の四月以来、身元のわからない中国引揚者の皆さんについては最優先的に住居の面倒を見るようにということで、今各都道府県に対してその方針でやっていただくよう強力にお願いしておる、こういうことでございます。ただ、所によりましては適当なところに公営住宅がなかったということがあるやもしれませんが、原則としてはそういう方向でやっていくと、こういうことでしょう。
#140
○高杉廸忠君 建設大臣、今も大臣が言われたように、今後は孤児の大量帰国の事態、特に未判明孤児の帰国が増加する、こういうことが予想されるんですね。そこで京都府では、御承知のとおりに、条例に基づいて年間を通じて孤児用に一定枠の公営住宅の確保を図っている、こういうふうに私は聞くんですけれども、他府県でも同様の措置を建設省の指導でぜひ実現してもらいたいし、この点については建設省が責任を持って進めてもらいたい、こう思うんですが、いかがでしょう。
#141
○国務大臣(江藤隆美君) 京都府が条例をつくりましてそういう措置をやっておるということは、私は適切なやり方であろうと思います。またほかのところでも倍率優遇という制度をとりまして、一人ですけれども十倍ぐらいの権利を持たせるようにしておるところが、宮城、岐阜、熊本県などがそういう方法をとっております。ですから、当たる率が十倍もある。それから、困窮度評価順位制度というもので、非常に困っておるから、とにかく引き揚げたこと自体でも大変でありまして、ましてや、そこで生活の基盤をつくろうというと容易なことではないわけですから、一番困窮しておるということで最優先的にという制度をとっておるのに青森、群馬、兵庫などの県がございます。
 したがいまして、京都府、あるいは倍率優遇、困窮度評価順位制度などをよく検討しながら、全国的にその地域に適した方法で温情ある措置がとられるように、これから積極的に取り組んでまいろうと思います。
#142
○高杉廸忠君 建設大臣結構です。
 次に、就籍問題について厚生大臣に伺います。
 就職や入学等について戸籍が必要であることは言うまでもないんですが、肉親が見つかった人についてはともかく、これから多くの身元未判明孤児が日本に帰ってくることが予想されるんです。そこで、こうした身元未判明孤児が戸籍を得るためには就籍という手続が必要なんですが、その手続には大変な時間をとる、こういうことをよく聞くんです。厚生省は訪日肉親調査期間中からこうした就籍手続について早目に指導していく、こういう必要があるというふうに私は考えるんですが、いかがでしょう。
#143
○政府委員(水田努君) 先生の御指摘のとおりでございまして、私ども、本年の二月に参りました第十次の訪日調査団から、最高裁判所の御協力を得まして、ほぼこの程度の資料を調えて日本に帰ってくれば迅速に手続をとることができるのじゃないかという範囲をお知らせいただきまして、それで指導をいたしたところでございますし、今後もそうやってまいりたいと思っております。
 なお、所沢のセンターで本年の四月から、帰ってきた未判明の孤児に対しまして、最高裁判所の方に来ていただきまして具体的な落ちつき先の手続のとり方についての手ほどきもしていただくようにいたしておりますので、念のため申し添えます。
#144
○高杉廸忠君 外務大臣に伺います。
 就籍手続をとる上で大変多くの資料が必要だと聞いているんです。これが早く集まるように早目早目の指導を行うことは必要なことだと思うんですが、しかしボランティアの方々から聞くと、肉親との離別の状況を初めとして四十年前の資料、こういうものまで全部求められている、こういう実情なんですね。そこで、特に外務大臣に要請があるんですが、孤児の肉親捜しに全力を挙げているところでもありますから、日中両国政府が日本人と認めているんですから、中国における関係資料の収集については中国側の積極的な御協力をお願いしてほしい。同時に、例えば就籍の手続の資料の一つとして、中国政府から日本人孤児であるというような証明書を発給していただいて就籍の有力な資料にできるように取り計らっていただきたい、こういうように思うんです。外務大臣、どうでしょう。
#145
○政府委員(後藤利雄君) お答えいたします。
 ただいま先生がお話しのように、孤児に関する関係資料の収集につきましては、従来より中国政府にその簡素化等、外交ルートを通じまして協力を要請してきております。中国側も一般的には協力の姿勢を示してきております。日本人孤児であるということの証明書につきましては、過去に中国側から孤児に対しまして孤児証明というものを発給された時期があったんですけれども、御案内のように、ただいま中国側の事情はよくわかりませんが、発給が停止されております。しかし、外務省としては、こういうような孤児証明がなくても、これにかわるような文書があれば日本の方では就籍は可能であるということに承知しておりますので、私どもといたしましても中国側に対しまして、日本において孤児が行う就籍手続を容易にするような資料の簡素化、あるいは迅速な発給につきまして近くまとめて中国側の協力を要請したい、かように考えております。
#146
○高杉廸忠君 なお、外務大臣に伺うんですが、四十年余りの長い間孤児を手塩にかけて温かく育てていただいた養父母に対する扶養費支払い問題なんです。いまだに解決されない、これは私はゆゆしき問題だと思うんです。昭和五十九年三月に日中両国政府は扶養費の支払い問題について基本的に合意しているんですね。しかし、二年間いたずらに費やして今もって支払いが始まっていない、これはどういうことなんでしょう。私はこうした政府の今の態度に怒りを覚えるんです。
 そこで、現在外交交渉中という話はこれまで何度となく聞かされてきましたが、どういう進捗状況になっているのか、具体的にここに明らかにしていただきたいと思うんです。
#147
○政府委員(後藤利雄君) 委員の御指摘をまつまでもなく、もう二年もたちまして、この問題は人道上の問題でございますので、私どもも本件につきましての解決につきましては厚生省ともお話ししながら中国側と鋭意交渉しております。ただ、遺憾ながら相手がございますので、私どもの希望というものが詳細の技術的な問題について必ずしもまだ詰め切っておらないのが現状でございまして、その点について私ども大変遺憾と思いますけれども、詳細につきましては外交交渉でございますので御説明させていただくのは差し控えたいと思いますが、いずれにしても扶養費、したがってお金にかかわることでございますので、それに関連しましてもう少しテクニカルな問題、技術的な問題について早急に詰めたいという希望は強く持っているということだけをお話しさせていただきたいと思います。
#148
○高杉廸忠君 外務大臣、この間NHKで放映された「二つの祖国」、こういう番組の中でも中国の養父母の人たちがインタビューに答えて、日本人は恩知らずだ、こういうふうな発言もあるし、あるいはまた財団法人の中国残留孤児援護基金、こういうものを設立してからは十億円の基金を造成しているわけですね。外務大臣、ここにはっきりお答えをいただきたいのは、四月十一日に日中外相定例会議が予定されているわけですね、そこでこれは決着する、こういうふうな決意をお伺いしたいんです。いかがですか。
#149
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほどから局長が答弁いたしましたように、中国残留孤児の養父母等に対する扶養費支払いにつきましては、現在厚生省とも協力しながら、外交ルートを通じて日中間で実施細目に関する最終的な協議を行っておるわけでございまして、協議の早期妥結に向けて鋭意努力したい、こういうことであります。
 今お話しのように、せっかくここまで来ておるし日本側の誠意を示すためにも日中間でこの問題を早く決着しろと、幸いにして中国の呉学謙外相が来月の十一日に日本を訪問して日本との間の定期外相会議を開くのでその際決着をするように努力しろと、こういう御意見でございますが、今回の日中外相会談も、第一回に引き続きまして日中間の懸案を総ざらいしてお互いに解決するものは早く解決していこうということで整理するのが大きな目的でございます。これは日中関係をさらに進めていく上には非常に大事な交渉だと思っております。そういう意味で、この問題も非常に人道的な問題でもありますし、何とかこの際詰めるだけ詰めてまいりたい、こういうふうに思っております。厚生省初め関係当局とも相談いたしましてこの日中外相会談には議題にしたい、私自身はそういうふうに思っておりますし、できればそれまでに詰めるように外交ルートでも努力を重ねてまいりたい、こういうふうに思います。
#150
○高杉廸忠君 最後の質問と要請になりますけれども、各省に対して中国より帰国した孤児の方々の定着化対策について今までいろいろお聞きしてきたんです。残余の問題は別の機会に譲ることにして、私は官房長官に特にお願いがあるんです。
 日本人である孤児に対する援護施策ですが、これは聞いているように今までばらばらなんですね。そこで、インドシナ難民対策のように総合的な取り組みが行われていないところに問題があるんだろうと思うので、私は極めて残念であり遺憾だと思っているんです。したがって、孤児の人たちの早期定着、自立に向けてぜひインドシナ難民対策のように閣議決定、これをぜひいただいて、その中からこの問題について解決ができるように取り計らっていただきたい、このようにお願いがあるんです。官房長官からお答えをいただいて私の質問を終わります。
#151
○国務大臣(後藤田正晴君) 中国人の孤児の問題は、人道上の大きな問題としてどうしても解決しなきゃならない課題である、こういう基本認識を持って政府としては取り組んでおりますが、だんだんの質疑応答で明らかなように、関係各省がたくさんあるわけですね。したがって、やはり総合的な対策というものが必要なわけです。従来から厚生省を中心にいろいろ対策を講じておりますが、なおそれでは不十分であるという御質疑かもしれませんが、いずれにいたしましても、政府としては、御質疑等の中で述べられました高杉さんの御意見を踏まえながら、総合的な対策に欠落することのないように全力を挙げてまいりたいと、かように考えております。
#152
○委員長(安田隆明君) 以上で高杉廸忠君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#153
○委員長(安田隆明君) 次に、飯田忠雄君の質疑を行います。飯田君。
#154
○飯田忠雄君 質問を申し上げます前に一言お断りを申し上げますが、本日、本院の予算委員会の一般質問があるということを衆議院では承知になっておるかどうか知りませんが、文部大臣に対して出席を求めておられますので、私の予定した質問時間ではそれができませんので、先にやらしてもらいたい、こういうことでございますので、まことに遺憾なことでございますが、そういたしたいと思います。
 最初に、まず大蔵大臣と自治大臣にお尋ねをいたしたいんですが、いろいろのテレビとかラジオとか新聞で解散風が吹いておるということが言われておりまして、数日前にもテレビでは代議士さんが現地で、解散は必ずあるということをおっしゃっておるわけです。そういたしますと、そういうことが今日の空気であるといたしますと、やはり予算を組んでおりませんと総選挙ができないのではないかと、こう思われます。
 そこで、総選挙に幾ら金がかかるかという問題ですが、昭和五十八年度の事例でいきますと、どのぐらいかかってそれはどの費目からどのように支出されたかということにつきまして、自治大臣及び大蔵大臣の御答弁を求めます。
#155
○政府委員(小笠原臣也君) お答えを申し上げます。
 まず、昭和五十八年十二月に行われました総選挙につきまして、どのくらいの経費を支出したかというお尋ねでございますが、総選挙に必要な経費は、最高裁判所裁判官の国民審査に要する経費及び選挙啓発の推進に必要な経費を含めまして、総額で約二百六十三億ということになっております。それから第二点の、支出科目は何かというお尋ねでございますが、これは予備費を使用いたしまして、衆議院議員総選挙費、最高裁判所裁判官国民審査費、衆議院議員総選挙解発推進費として支出をいたしております。
#156
○国務大臣(竹下登君) 今自治省からお答えがありましたが、解散権は憲法が国政の重大な局面において民意を問う手段として内閣に付与された基本的な重要な機能であります。
 解散による衆議院議員総選挙に要する経費は、当初予算に計上するにはなじまない性格のものである。このように、まさに予見しがたい予算の不足に充てるため予備費が認められておるというふうに理解をいたしております。
#157
○飯田忠雄君 それでは、予備費の中で、あらかじめどのぐらい要るだろうということで予備費を組んでおられると思いますが、そういうことはございませんか。
#158
○政府委員(吉野良彦君) 御承知のように、予備費はあらかじめ事項を特定をいたしまして積算をし計上しているものではございませんで、ただいま御審議をいただいております六十一年度予算におきましても、予備費総体の金額として、従来におきます予算計上の金額等の経験を踏まえまして、総額といたしまして三千五百億円を本年度もお願いをしているわけでございます。中身が一々個別、具体的に詰まっているものではもちろんないわけでございます。
#159
○飯田忠雄君 それでは、文部大臣御出席でございましょうか。最初に教育問題についてお尋ねを申し上げます。
 まず、教育を受ける権利の実質的保障の問題でございますが、今日いろいろの問題が起こりまして、教育に対しまするところの国民の不満が相当ございます。児童生徒の能力に応じて十分理解をさせる教育がなされていない。そのために学校教育だけでは足らずして、予備校に行かねばどうにもならぬということになっておるようでございますが、そういうような教育体制というもの、そこから結局子供たちあるいは児童の不満が生じてうっせきして、いじめの問題だとかあるいは学校拒否の問題だとか、いろんな問題が起こるというふうに考えられておるようでございます。
 そこで、こういうゆがんだ教育制度の生じました責任は一体どこにあるのかということが問題であります。これについて文部大臣、どのようにお考えでしょうか。
#160
○国務大臣(海部俊樹君) 我が国の初等中等教育は、その普及率においても非常にすぐれたものであって、また内容においてもきょうまで一定の成果をおさめてきた教育の光の部分というのは先生も率直にお認めをいただけると思うんですが、このごろは世の中の移り変わりと申しますか、例えば御家庭における兄弟の数が少なくなってくるとか、あるいは入学試験がどうしても点数中心主義が幅をきかせ過ぎますので、偏差値による学校の序列というような、余りいい言葉じゃありませんが、定着してきた。そのために、ただいま御指摘になったように、公教育以外の塾といったようなものが大変はびこってきた。塾へ余り通っていただくと、いろいろ児童生徒は発達段階において生活体験を身につけなきゃならぬわけでありますから、例えば山野を跋渉するとか自然に親しむとか、その地域の先輩から歴史や文化や伝統を身につけるとか、いろいろ好ましい生活体験がだんだんできなくなっていっておるということは、陰の部分として私も率直に反省をしなければならないし、同時に今取り組んでおります教育改革は、一人一人の児童生徒が、教育基本法の示しておりますように、人格の完成を目指して平和的な国家及び社会の形成者としてふさわしい、心身ともに健康な国民として育ってくださるように、それには知育も大切ですが、徳育も体育も調和のとれた、バランスのとれたものになっていかなきゃならぬ、このことを心から念じながら教育行政を推進していきたい、こう考えております。
#161
○飯田忠雄君 ただいま文部大臣が御答弁になりましたそういう施策につきまして、このたびの予算面ではどういうふうに予算が組まれて実行されようとしておるでしょうか。
#162
○政府委員(高石邦男君) 現在、学校制度全体については臨教審で大局的な角度から検討が進められているわけでざいます。それから教育内容につきましては、教育課程審議会を発足させまして具体的な審議に入っているわけでございます。
 いじめと校内暴力等の問題につきましては、これは金の問題というよりもそういう姿勢でその問題の根絶に向ける必要があります。したがいまして、文部省、教育委員会、学校、関係者一丸になってこの対策にエネルギーを注いでいる、こういうような状況でございます。
#163
○飯田忠雄君 教育につきまして教育制度はございますが、教育制度だけでは教育というものうまくいかぬ。やはり教育する人をどうするかという問題があろうかと思いますが、その教育をする人との関係でどういう予算が組まれておるんでしょうか。
#164
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、教育の制度、仕組み、教育の人とおっしゃいましたが、突然の質問ですから大ざっぱなお答えで恐縮ですが、今人件費には大体文部省総予算の七四・六%を人件費に使っております。そして、文部省予算の総額は今年度四兆五千七百二十二億でありますから、人件費に大体四分の三をつぎ込んでおるということでございます。
 また、個々別々のことになりましたら、後日資料を持ってきて詳しく御答弁いたします。
#165
○飯田忠雄君 教育というものの本来の性質は、これはもう政治ではなくて、教育は教育なんで、司法にも行政にも立法にも属さないものでございますが、しかし教育基本法ができまして国家との関係を関係づけてきております。そこで、国がやはり教育制度そのものに首を突っ込むことにならざるを得ない状況になっております。そうなった以上は、やはり責任を持ってやってもらわぬと困りますのでお願いをするわけですが、教育基本法と教師のいわゆる教育思想というものとの関係、これは一体どうなっているんだろうか。今日いろいろ教育問題でいざこざが起こりますのは、教師の考え方が教育基本法そのものの考え方になっておるかどうかという問題、それから文部省の考え方が教育基本法そのものになっておるかといったような問題、こういうところのずれが何かあっていざこざが起こるのじゃないかという気がするんですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
#166
○国務大臣(海部俊樹君) 文部省といたしましては、憲法並びに教育基本法の理念に従って教育は行うべきだと思いますし、もっと簡単に素朴に私の考えていることを申し上げますと、あすを支えてくださる児童生徒を育成するのですから、大人の世界の雑音とかイデオロギーから離れて、真っ白な静かな場所で一人一人が個性をうんと伸ばしていただけるような教育をするのがまことに望ましい姿であると、私どもはこう思いまして、そのような環境をつくり、そのようなことを目指して教育を進めていくつもりでございます。
#167
○飯田忠雄君 憲法に思想と良心の自由という項目がございますが、この憲法に言う思想と良心の自由、これと教育との関係はどうなっているだろうかということを考えるわけであります。教育について教育基本法があって教育のよるべき道が示されておれば、それは一つの思想が示されておるのであって、それと憲法に言う思想、良心の自由とは何か相当次元が違うものではないかという気もいたすのでございますが、その辺についてお伺いをするわけです。
 といいますのは、最近起こってきておる教科書の検定問題がございます。そこで、教科書の検定をなさる根拠になる基準というものは一体どこに置かれておるのだろうか。憲法に従うという点であるということになると、憲法には思想、良心の自由が書いてあるので、そういうものは一応抜いてやるのかどうかという問題が起こりますね。こういう点については深くこれは研究を要するところなんですが、文部省ではどのようにお考えでしょうか。
#168
○国務大臣(海部俊樹君) 憲法で申します思想、信条の自由、そこに掲げてありますいろいろな基本的人権の自由というのは、大人の世界に至ってからの自由であって、少なくとも義務教育の段階のうちから、義務教育を受けておる児童生徒に思想、信条の自由ということを当てはめますと、やっぱり人間の教育は、児童生徒のそれぞれの発達段階に応じて国民として必要なものを身につけてもらうことが教育の基本でありますので、義務教育の段階ではある程度その教育内容についても批判能力が不十分でありますから、国が主たる教材として与える教科書なんかは責任を持って検定もしなければならない。
   〔委員長退席、理事桧垣徳太郎君着席〕より公正で、より中正で、より適切なものが児童生徒に与えられ、しかも全国的に一定の水準を保っていなければならない、私はこう考えておりますので、そういった公正なよりよい教材を提供していくことも教育行政の中では一つの大切な使命である、こう受けとめて取り組んでおります。
#169
○飯田忠雄君 教科書の点についてはそういう御方針だということはわかりましたが、それじゃ、教師の教育思想についての点はどうでしょうか。教師の教育思想が文部省のお考えになっておるようなものでないとすると、教科書を検定しても結局同じことではないか、こう思いますが、いかがですか。
#170
○政府委員(高石邦男君) 日本の小・中・高等学校までにおける教育につきましては、いわば国民の普通教育として、憲法、教育基本法、学校教育法に定めるところに従って教育の中立性、公平性を維持しながら展開をするという制度になっているわけでございます。したがいまして、それらの諸法令に基づきまして具体的な教育内容を学習指導要領の基準というので決めているわけでございます。したがいまして、その基準に従ってそうした教材が整備されているかどうかということで教科書の検定という制度をとっているわけでございます。そういうような形でやっておりますので、およそ小・中・高等学校の教育につきましては、教育の中立性を維持しながら一定の国民として与えなければならない教育を展開していくということを具体的に教えてもらうというようなことを考えているわけでございます。
 したがいまして、教師一人一人の個人の思想、信条の自由、これは糧法で保障されておりますけれども、およそ小中学校の子供に教育をする場合には、そういう基本的な仕掛けの上で教育を展開しているということが現行制度の内容でございます。
#171
○飯田忠雄君 きょうは時間がありませんので、これ以上詳しくお聞きするわけにいきませんが、せっかくおいで願っておりますので、最後に、いじめとか暴力問題に関する責任の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 いじめ、暴力に関する道義的責任とか教育責任、刑事、民事の法律上の責任、こういうものについてどういう施策を関係当局では行っておいでになったのか、こういうことです。この問題につきまして関係当局の御答弁と、それから文部大臣、法務大臣の御所見をお願いをいたします。
#172
○政府委員(高石邦男君) 学校の現場におけるいじめ、校内暴力等による事件が発生した場合の責任問題でございますが、まず一つは、そういう行動を起こした子供、またそれによって被害を受けた子供、そういう子供にならないように教育をしていくというのが教育上の責任であろうと思います。したがいまして、そういう事件に至らないような基本的な教育の展開を図っていくというのが本質的に教育が担わなければならない責任であります。
 あと具体的な事件が発生した場合に、刑事上の問題、民事上の事件として取り扱われていくということになりますと、一般の刑事事件、民事事件ということになるわけであります。またその間における教育者の責任問題が生じれば、教師として的確な教育指導をしていたかどうか、また校長等については管理職としての的確な管理指導をしていたかどうかという責任が公務員法上の責任として問われる、こういうような制度になっているわけでございます。
#173
○政府委員(枇杷田泰助君) 民事上の責任につきましては、私どもの施策というものはないわけでございますが、民法の規定によりまして、その監督責任がある両親あるいは学校などがケースによっては民事上の責任を負うということに相なろうかと思っております。
#174
○政府委員(岡村泰孝君) 刑事上の立場から申し上げます。
 いわゆるいじめあるいは校内暴力につきまして、刑事上の立場からこれらの事犯に係ってまいりますものは主として少年でございます。したがいまして刑事的には、被害を与えました少年、すなわち加害少年をいかにして適切に処遇するか、こういう問題であろうかと思います。
 そういう見地から見まして、当該少年につきまして、検察当局といたしましては、犯行状況はもとよりでございますが、犯行に至ります経緯とかあるいは学校関係者や保護者等の従来の対応ぶり、こういった背景、事情も含めまして十分な捜査を遂げまして、適切な処遇意見を付しまして家庭裁判所に送致する、こういう方針で努めてきているところでございます。
#175
○国務大臣(海部俊樹君) 初等中等局長がお答えしたとおりでございますけれども、私どもは第一義的に、道義責任と申しますか社会的責任と申しますか、これはやはり学校の教職員の皆さんがすべて一丸となって、みずから再び起こさないという決意を持っていただくことで感じていただき、同時に、現場の教師の皆さんの服務に逸脱した点があるとするなれば、それは任命権者である教育委員会が適正な処置を講じていくことになる。法律問題につきましては、それぞれの法規に従って、当事者間の意思等も踏まえ処置されるものと思っております。
#176
○国務大臣(鈴木省吾君) 先ほど法務省の方の民事局長、刑事局長が事件の処理というような立場から御答弁申し上げましたが、法務省としてのいじめに対する基本的な姿勢というのは、御案内のように人権擁護、しかも法務省の人権擁護に対する姿勢はあくまでも啓蒙啓発、人権が擁護されるようなそういった学校内の気風、そういうものをまずもってお願いをしなきゃならぬ。これは第一義的には文部省にお願いをするわけでございますけれども、しかし人権擁護を担当いたしております法務省といたしましても、学校内でも基本的な人権が守られるような習慣をつけていただかなければならない。これからの日本を背負っていただく青少年の教育ですから、そういう気風というものを大いにひとつ充実したものにしていただかなければならない、かような考えでおるわけでございます。そういうような観点から、事件に至りますればそういう対処もしなきゃならぬ。しかし、基本的にはやはり指導、啓発というものをいたしてまいりたい、かような姿勢でおる次第であります。
#177
○飯田忠雄君 それでは、この問題はこれで結構でございます。文部大臣ありがとうございました。
 次に、解散権の問題につきまして御質問を申し上げたいと思います。
 まず、従来行われてまいりました解散の方式を見ますと、憲法七条によりまして内閣が天皇に助言をいたしまして、天皇が解散詔書をお出しになって、それで解散、こういう方式でございました。それで、この方式につきましては学者も非常に疑念を持っておるのですが、私も憲法の明文に照らして疑問を持たざるを得ない点が多々あるわけでございます。大きく分けて四つばかりの点で憲法違反だと思われる点がございます。
 まずその第一の点は、天皇の国事行為である解散詔書、それで国政行為であるところの衆議院の解散を行う、こういうことになりますというと、天皇は国政の機能を持っておいでにならない。その国政の機能を持っておいでにならない天皇の出された解散詔書というものはもちろん国政の機能はないはずなので、それで国政の効果が生ずるというのはどう考えてもこれは納得がいかぬ点であるわけです。これが第一番です。
 それから第二番は、衆議院の解散につきましては内閣が自主的決定権を持っているのだ、こういう御解釈が従来からあるわけですが、こういう御解釈はどこから一体導かれるのだろうかという点です。もちろん憲法学者の中にはそういうことをおっしゃる人もおりますが、これはまことに不思議な話でございまして、私どもにはわからないわけでございます。これは結局そういうふうに内閣で勝手にお考えになっているのじゃないかと思われる点であります。
 それから次に第三の点ですが、それは、衆議院議員というのは公選の公務員であります。公選の公務員を首にすることに当たるということになると、公務員を罷免する権利は憲法の第十五条によって主権者たる国民にあるということをはっきりと書いてあるわけです。「国民固有の権利である。」と、こうあります。国民固有の権利である公選公務員を罷免するということを内閣が行われるということになりますと、これまたどうも理解しがたいことだと言わざるを得ないのであります。
 それから第四番目には、内閣の所掌事務というものは憲法の六十五条と七十三条に明確に決められてあります。六十五条では行政権を内閣は所管するのだと。七十三条では行政権に属さないことで、なお内閣の権限にすべきことが羅列してあります。そういうふうに明文で書いてある。明文で書いていないことをおやりになるということは、一体憲法上許されるかという問題があるわけでございます。衆議院解散権という問題について内閣の職務とするということは、どうも私の見方が悪いかもしれませんが、探しても憲法にはない。
 こういう四つの点で、どうも憲法違反ではないかと思われるわけでございますが、こういう点につきまして、本日は総理がおいでになっていませんので、内閣官房長官とかあるいは大蔵大臣とか、将来の内閣総理大臣の候補者のお方の御答弁を求めたいと思います。
#178
○政府委員(茂串俊君) 大変幅広の、また基本的な問題についての御質問でございます。また飯田委員がかねてからいろいろこれにつきまして御見解をお持ちのことも十分承知しておるつもりでございます。
 ただいま幾つかの点につきまして御質問がございましたが、恐らく四つぐらいの点に分かれるかと思いますが、いずれも基本的には共通した理念なりあるいは解釈に立っての御質問であろうかと思います。
 最初に、天皇は国事行為しかできない、いわば国政に関する機能を有していない、そういう立場で解散詔書の発布をされる、そういった形式的、名目的な国事行為に衆議院の解散といったような国政行為としての効力を持たせてもよいのか、その点がどうなのかという点でございますが、これも前々から何回か御質問がありまして、私の諸先輩がお答え申し上げているところでございますが、もともとこの衆議院の解散という問題につきましては憲法第七条に規定がございます。第七条は御承知のとおり天皇の国事行為についての規定でございますが、そこの各号に列挙しております中の第三号に「衆議院を解散すること。」という規定があるわけでございます。
 この第七条に列挙しております各号の事柄を見てみますといろいろなものがあるわけでございます。例えば「儀式を行ふこと。」といったような非常に儀礼的な行為もございます。また、認証といったような行為もございますが、それと並べまして衆議院の解散とかあるいは国会の召集といったようないわば高度の政治的な性格を有するもの、本来的には形式的、名目的なものではないといったような行為も並んでおるわけでございますが、このような行為につきましても、それについて助言と承認を行うことを職務とする内閣が実質的に決定したところに従って行われるということの結果としまして、天皇の御行為は形式的、名目的なものとなるというふうに我々は考えておるわけでございまして、その意味で天皇は国政に関する機能は行使していない。ということは、すなわち形式的、名目的な行為にとどまるといいながらも、その背後には今申し上げたようなことで衆議院の解散について実質的な決定権を有する内閣が存するわけでございまして、その助言と承認によって天皇の国事行為が行われるということでございますので、その意味で解散詔書の発布そのものに解散の効力を認めても別に問題はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから第二番目に、憲法にそのことを定めた明文がないのに、衆議院解散の実質的な決定権が国事行為の助言、承認権の効力として内閣に授権されているというのはいかなるわけであるかとい
うことでございますが、この点につきましても、ただいま御説明したところと若干ダブることになるわけでございますけれども、天皇の国事行為について定めていると条三号に、先ほど申し上げたような「衆議院を解散すること。」という事項が載っておるわけでございます。これは先ほども申し上げましたように、いわゆる本来的に形式的、名目的なものではございませんで、政治的な性格を有するものであることはもとよりでございます。
 ただ、天皇は、憲法第四条一項の規定によりまして、国政に関する機能を持っていないわけでございます。それからまた、このようないわゆる国事行為を行う場合には必ず内閣の助言と承認が必要であるということが規定されておるわけでございます。それから、先ほど申し上げましたように、憲法七条の三号「衆議院を解散すること。」あるいはまた一つ前の二号の「国会を召集すること。」といったようなことをその文理どおりに解しまして、これをそういう意味では非常に国政にかかわりのある行為であるというふうに解しました上で、先ほど申し上げた天皇は国政に関する機能を有しない、またこういったいわゆる国事行為をやる場合には必ず内閣の助言と承認が要るというようなことを総合的に勘案いたしました上で整合性のとれた解釈をいたしますると、前々から政府が申し上げておりますように、これらについて助言と承認を行う立場にある内閣が実質的に決定する権限を持っておる、そして天皇がその決定したところに従って形式的な、名目的な行為をなさるというふうに解するのが最も合理的なのではないかというふうに考えておるわけでございまして、これはもう前々から政府が一貫して御答弁申し上げているところでございます。
 それから第三番目は、衆議院の解散というのは衆議院議員の全員をいわば罷免することでありまして、これは憲法十五条のいわゆる公務員の選定あるいは罷免は国民固有の権利であるという規定がございます、その十五条一項との兼ね合いで一体行政府限りでそういうことをやってもいいのかという点であったかと思います。これにつきましては、確かに一般に申しまして憲法の十五条一項はあらゆる公務員の終局的任免権が国民にあるといういわば国民主権の原理を表明したものでありますが、必ずしもすべての公務員を国民が直接に選定したりあるいは罷免すべきだという意味ではもとよりないわけでございまして、この選定、罷免につきましては、直接または間接に主権者たる国民の意思に依存するようにその手続が定められなければならないという趣旨であろうかと思うのでございます。
 ところで、先ほども申し上げましたように、衆議院の解散は確かにその効果といたしまして衆議院議員の全部について任期満了前に議員たる資格を失わせるということになりますので、その意味におきましてはこの十五条一項とも関連することは否定できないと思うのでございます。ただ、先ほど申しましたように、憲法七条の解釈によりまして衆議院の解散は内閣が実質的に決定したところに従って天皇が行為をなさる、それによって解散が行われるということが明定されておるわけでございますので、この憲法の規定に従って衆議院の解散権を行使する、あるいは衆議院の解散を行うということ自体がこの憲法の十五条一項に触れるということにはならないのではないかというふうに考える次第でございます。
 それから最後は、たしか内閣の所掌する事務の範囲がこれは憲法の第六十五条とかあるいは七十三条その他に明定されておるということでありまして、ところがその六十五条あるいは七十三条の解釈として衆議院の解散ということが一体含まれているのだろうか、少なくとも明文がない以上は含まれていないのではないかという御疑問ではなかったかと思うのでございますが、これも先ほどの御答弁と重複することになりますけれども、我々といたしましては、憲法第七条によりまして、これを根拠としまして、内閣は実質的に衆議院を解散する権限を有しているという解釈でございますから、特にこの七十三条とかそういった行政事務の範囲を定めている規定にそのようなことが明文として置かれていなくても、この七条の解釈そのものから衆議院の解散権は実質的に内閣に属するという解釈をいたしておるわけでございます。
 大体、たしかその四つの御質問だったかと思いますが、なお答弁として足らないところがございましたら補足して御答弁を申し上げます。
#179
○国務大臣(後藤田正晴君) この問題は前々から飯田さんのおっしゃるような御議論も知らぬわけじゃありませんが、我々の従来からの戦後の長い間の憲法解釈としては、先ほど法制局長官がお答えを申しましたように、第七条の天皇の国事行為、これは政府の助言と承認のもとに行う、したがって実質的にはこれは重大な政治行為でございますから、したがって内閣の助言と承認で解散権を行使をしておるので、それを形式的、名目的に解散詔書という形で天皇の国事行為にしてある、したがって憲法違反ではない、こういうような解釈が過去四十年間の間に私は定着をしておる、かように理解をいたしております。
#180
○飯田忠雄君 ただいまいろいろ御釈明をいただきましたが、一つ例を挙げましょう。卑近な例で悪いのですが、歌手が歌を歌いますね。そのときに作曲家のところへ行きまして歌い方を習います。作曲家は歌い方を教えて、歌手はそのとおり歌うわけなんですが、その作曲家は事実を自分でやっていなければ作曲ができないかというと、そういうものではないでしょう。例えば「矢切の渡し」の歌がございますね。あの「矢切の渡し」で矢切の渡しの船頭だとか、あの川の舟を作曲家が自分でつくらなくても結構「矢切の渡し」の作曲はできるわけです。それで、歌を歌手に歌わせるときはそれを作曲家が教えて歌わせる、それでいいわけで、助言権というものは必ず実態を決定する力がなかったら助言できないといったようなものじゃない。そんなものじゃないでしょう、これは。自分がやらなくても助言はできるんだ。この問題は、いろいろのことをやる場合、例えば仲人の場合を考えてみましても、結婚式のお仲人をやるこの場合に、お仲人は自分で結婚しなくてもお仲人できるでしょう。そういうものであって、当然自分が実行しなければ助言できないということはないわけです。そういう問題を考えていただきたいということ。
 もう一つは、助言権で内閣が天皇に助言されるその助言の内容は何だということなんです。具体的な内容はどういうものかという点、そういう点についてちょっとお答えを願います。
#181
○政府委員(茂串俊君) お答え申し上げます。
 ただいまお話がございましたいわゆる助言の内容でございますが、これはただ一般的に、助言とは何かというような定義づけから申しますと、ただいま委員がおっしゃったような解釈なりあるいは言い回しもできるかと思うのでございます。ただ衆議院の解散の問題につきましては、これはもう委員に申し上げるまでもなく、第七条だけの解釈ではなくて、第四条のいわゆる天皇は国政に関する機能を有しないという規定の趣旨と、それから第七条の規定の趣旨、先ほど申し上げましたように第七条には国事に関する行為が列挙されておりますが、その中にはいわゆる儀式を行うといったような儀礼的なものあるいはその他の名目的なものもございますけれども、衆議院の解散といったようないわば高度の政治的な性格を有するもの、これもそこに列挙されておるわけでございます。その場合に、一体それじゃそういったことを天皇がおやりになっていいかといいますと、先ほど申し上げた第四条の制約がございます。そこで、国政に関する機能は天皇は行使ができないという立場におられるわけでございます。
 そういう意味で、それでは一体だれがやるのかということになりますと、まさに先ほどもこれもたびたび申し上げておりますように、天皇が国事の行為をおやりになる場合には必ず内閣の助言と承認が必要になってまいるわけでございます。そういった点を兼ね合わして総合的に考えますと、やはり衆議院の解散というものの実質的な決定権、これは内閣にあるというような、いわば法論理的な帰結と申しますか、ちょっと大げさになりますが、そんなようなふうに我々は考えておるわけで、ただ一般的に助言というものがどういう性格のものかということから結論を出しておるわけでは毛頭ないわけでございます。
#182
○飯田忠雄君 私は定義をお尋ねしたんじゃなくて、具体的な内容とはどういうことを助言なさるのかということをお聞きしたんです。
 時間がないから、こちらから申しますと、天皇が行われる解散詔書の内容はどうするかという問題。それから、国事行為として解散詔書でやるか、それとも国会へ天皇がおいでになってお言葉を賜る形式でやるかとか、そういう具体的なやり方を、それを内閣で決められて、そして天皇にどういうことをやるかをおっしゃればいいことだ。何も衆議院の解散をしておいてやる必要はない。衆議院の解散というものは、何も内閣がやらぬでもほかに幾らでもやるところがあるわけです。憲法の条項に従って解散をやるやり方というものがあるんですよ。
 憲法の総理大臣の権限といたしまして、内閣を代表して議案を国会に提出する権限というのがあるわけです。この場合の議案というのは、どんな議案でもいいんですよ。国会で議する案だ。元来政治というものは、これは国会で国民の代表である国会議員が議するものなんです。これが政治なんです。そして、政治を行うに当たって、どうも今の衆議院は少し時代おくれでだめだから解散した方がいい、こう内閣でお考えになる。そうしたら総理大臣は閣議を開いて、内閣としては解散をしたいと考えるがどうだろうかと諮られて、いいのだったら、総理大臣は内閣を代表して国会に衆議院解散議案を出せるわけだ。
 そして、その総理大臣というのは、今日の憲法下においては国会における絶対多数党の党首なんです、普通は。それかもしくは少数党の場合でも国会内において多数派工作をやって成功した党首なんです。ですから、必ず国会は通るんですよ。国会は通るんだから通して、国会の議決を経てそれに基づいて天皇に助言する。そして、解散詔書を書いてもらって、内容に国政事項にわたるようなことがないかどうかを検査して、ないとなったらそこで承認をして、それを衆議院議長に渡す。もちろん、衆議院議長に渡すかどうかという問題は内閣でお決めになったらいいことですよ。そういうやり方があるわけなんですね。憲法の条文に照らしてきちっとできるわけだ。ところが、そういうやり方を殊さらに目をそらしておやりにならない。こういうことは一体どういうわけなんだろうか不思議でしょうがないんですが、この点について官房長官、それから将来の総理大臣の大蔵大臣、ひとつ御答弁をお願いいたします。
#183
○政府委員(茂串俊君) 官房長官あるいは大蔵大臣からお答えになります前に、純粋の憲法論に絡む問題でございますので、私から先に御答弁を申し上げたいと思います。
 ただいまの飯田委員のいわば御提案でございますが、これは衆議院を解散するというような機が熟した場合、これはだれが判定するかという問題がございますが、いずれにしても機が熟した場合に、手続的には国会でまず決議をする。その国会の決議をする前に、総理大臣は議案の提案権を持っているのだから、総理がまずそういうお考えをお持ちになれば国会にそういった議案をお出しになって、そして国会で議決をされる。そうして、その議決したところに従って、内閣は助言と承認権を持っているわけですから、天皇にどのようなやり方であるいは手続で解散が決定された旨を伝えるかということについて天皇に興奮と承認をすればいいではないかというような御提案だったかと思うのでございますが、これはもともと出発点が違うわけなんでございます。
 私どもといたしましては、先ほどからるる申し上げておりますように、第七条に衆議院の解散の法的根拠があるという確信を持っておるわけでございますから、その七条の解釈上そういった解釈ができないということになった場合に、一体それじゃ衆議院の解散権はだれが持っているかという問題が初めて出てまいるわけでございます。ところが、私どもといたしましては、第七条に衆議院解散権の法的根拠があるという前提で考えておるわけでございますから、したがいまして、いわば御議論の出発点がもう違ってまいるわけでございまして、その意味で、今飯田委員がおっしゃったようなお考えについて、我々の方で結構でございますというような御意見は、大変失礼でございますけれども、言いかねる立場でございます。
 それからまた、今言われましたように、国会の議決によって解散をしたらどうかという点につきましては、これはもう私が申し上げるまでもないのでございますけれども、いろいろ難しい問題があるのではないかなというような感想を今伺いまして持ったわけでございますが、例えば恐らく国会の議決といった場合には多数決で決めるのじゃないかというふうなことだと思います。というのは特別な規定がございませんからそうなってしまうことになるのでございますが、例えば議員の除名については憲法五十八条二項におきまして出席議員の三分の二以上の多数による議決という特別議決の制度があるわけでございますが、そういうこととの対比におきましても、果たして多数決によって、その少数に属するような議員の方々の御意見に反して、全員がそこで議員の資格を失うということが果たしていいのだろうか。まさにそういうような仕組みを立法論としてつくるのであれば、そういう明文の規定を置くべきではないか。特にまたそういった特別議決等の配慮がなされてしかるべきではないか。これは大変僭越な意見でございますが、そういうような感じを私は率直なところ持ったわけでございます。
 それからまた、国会の議決ということになった場合に、一体参議院の立場がどうなるのだろうか。解散するのは衆議院でございます。その衆議院が解散することについて一体参議院の立場というのをどういうふうに考えたらいいのか、この辺がどうも私にはすぐにはなかなか判断がつかない。特に、参議院の反対によって衆議院が、衆議院の方では解散すべしと言っているのに、参議院の意向によって、あるいは議決では反対の結果になりまして解散ができないといったようなことも果たしていいのだろうかとか、いろいろ問題がございまして、どうもこの場でいろいろ御意見を直ちに申し上げることもできないわけでございますけれども、大体今思いついたところで大変失礼でございますが、御意見を二、三申し上げたわけでございます。
#184
○国務大臣(後藤田正晴君) 憲法制定後数年間ぐらいでしたか、飯田さんのような御議論もあったし、不信任決議がなければ解散できないとか、いろいろ議論がありました。それは承知しておりますが、今日私どもの定着した見解でもあるしまた政治的にも定着しておるのは、先ほど来法制局長官がるる御説明を申し上げておりますように、実質的に憲法第七条によって解散権というものは内閣にある、こういうことでございます。したがって、事改めて議会にそれを提案をして議決を経なければ解散ができない、そういうふうには考えておらないわけでございます。
#185
○飯田忠雄君 第七条を根拠にして解散するんだ、それで七条の根拠によって内閣は解散の実質的決定権があるんだ、こういう御説明であったと思いますが、第七条を読んでみますと、「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。」とありまして、そして衆議院解散と書いてあるわけですから、その言葉を正直に読みますと、これは衆議院を解散する国事行為。衆議院を解散するときには、実際の解散決議のほかに国事行為が必要だ、これは国の重大事項だから必要だ、こういうわけですね。それでその場合には、天皇が象徴の地位において国民にかわって解散を言おう、ただし、それは内閣の助言と承認による、こういうふうになっておるわけでございます。そして、そのところから実質的決定権は内閣にあるよということを決めてあるということはどうしても読めないわけです。
 実質的決定権というものは、これは解散の性質からいかなきゃいけませんが、衆議院を解散するということは、これは最高裁の見解によりますと統治行為だ、こう言っておるわけです。統治行為ということは政治行為だということですね。政治行為の性質を衆議院解散権は持つのであって、司法権にはなじまない。ということは、行政でもないし立法でもない、司法でもないということなんです。統治行為だ、こういうことなんですが、統治行為の場合にはその権限はどこに属するかというと、主権者たる国民に属する、こうなっております。
 主権者たる国民は、それならばその権限をどうして行うかと申しますと、これは憲法の前文に書いてありますね。憲法の前文というのは憲法の一部分をなすものですが、そこにはっきりと示されておるわけです。「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動しこと、こう書いてありますし、それからこの憲法をつくるんだが、「その権力は国民の代表者がこれを行使」する、これがこの憲法の原理であるよと、これは書いてあります。つまり、国民の権利は国民の代表者が行使するのが憲法の原理だ、この原理に背くところの憲法、法律、詔勅はこれを排除すると、はっきりこう書いてあります。そしてそれを受けまして憲法の条文の中にも書いてありますね。この憲法に反する詔勅、法律、命令、その他一切の行為はこれは無効であると書いてあります。そして、憲法の前文の中で国民の代表者が権力を行使するとありまするその国民の代表者は何であるかという問題につきまして、憲法にはっきりと四十三条に明文がございます。国会議員、これが国民の代表者だということは憲法の明文が示すところであるわけです。
 そういたしますと、衆議院の解散といったような統治行為に属することは、当然これは国民の代表者である国会議員が構成しておるところの国会の権限だと言わざるを得ないわけであります。こういう問題があるのでありますが、この点につきましてどのように一体お考えになっておるのか、お尋ねをいたします。
#186
○政府委員(茂串俊君) お答えを申し上げます。
 今の御質問大きく分けて二つあったかと思います。
 一つは、衆議院の解散権というものは、これは最高裁の判決においてもいわゆる統治行為という性格を持った行為ではないかというようなお話がございまして、そういうものについてはいわば三権を越えたようなものであって、したがってまた、それは本来的には国民の代表である国会が判断すべきではないかというような御意見であったかと思います。これはもう釈迦に説法でございますけれども、この衆議院の解散権は統治行為であるという最高裁の判決がございましたことは事実でございますが、統治行為論というのはもともと司法権の限界を論ずるときに用いる訴訟法的な概念でございまして、ある行為がこの統治行為に該当するということ、そのことを理由としてその行為を行う権限が当然に国民あるいは国会に帰属するというふうに考えることはできないのではないかというふうに私は考えます。
 それから二つ目の、憲法前文の関係でございますが、確かにただいま委員がるるお示しになりましたようなことが前文に書かれており、またそれが前文の理念であろうかと思うのでございます。ただ、また先ほどのお答えに返ってしまって申しわけないんでございますけれども、今委員のおっしゃった点は、まさに憲法第七条が衆議院解散権の法的根拠でないという前提に立たれた上で、そうしてそれじゃ一体どこへ行くのかとなれば、そういった憲法の前文に掲げられているような理念、そういった一般的な理念にのっとって解すべきだというお考えかと思うのでございますが、私どもといたしましては、一貫して先ほどから申し上げておりますように、憲法第七条に衆議院の解散権の根拠があるという確信を持っておるわけでございますから、そういう意味で、ただいま先生が言われたような御見解には乗り得ないということになるわけでございます。
#187
○飯田忠雄君 憲法問題は確信でやられたんでは困るんで、法理論でやっていただかないと大変迷惑をするわけでございます。
 解散詔書の性質でございますが、大日本帝国憲法下においては、衆議院解散権というものは天皇の人権だったんです。行政権にも司法権にも立法権にも属さない天皇の人権だった。それで、衆議院を解散する場合は、天皇の人権の輔弼責任を持っておられる内閣が大体実質的に決定されて、天皇を輔弼されて天皇の解散命令として出されたものであります。ところが、今日のものはそうした解散命令じゃない。解散詔書に命令権はないはずです。これはなぜかというと、天皇には国政の機能がないんですから、これはもう儀式的なものだ、こうなっております。そうなりますと、儀式的な解散詔書で実質的な衆議院を解散するということをやるということになりますと、解散詔書にいわゆる国政の機能を付与しておるということになる。
 目に見えぬところになりますと内閣のお考えになっていることは一切わかりません。目に見えるのは、解散詔書が出てきてそれで解散になったというだけですから、解散詔書、これが根拠になって解散が行われている。そうなりますと、解散詔書というものに国政機能を持たしておるということなんです。しかも、それは内閣に実質的機能があるから持たせるんだということになりますと、これはまことに不思議なことなんですが、もう内閣は魔法使いのようなもので、解散詔書というものは実は解散する効力がないにもかかわらず、内閣がふっと息をかけたら途端にその権力を持ってしまった、そういう魔法遣いのようなことをおっしゃられてはまことに困るわけであるわけです。
 これを率直に申しますと、明治憲法における解散命令と今日の憲法第七条の解散とは本質的に違うものではないか。それがもし本質的に違わないということでありまするならば、これは明治憲法における主権者天皇の地位に現在の象徴天皇を持っていくことだと言わざるを得ないわけであります。そういうようなことをなぜしなければならぬのか。結局何とかして第七条解散というものでできるようにしたいという御念願はわかりますよ。それは念願であるとか御信念はわかるんだが、念願とか御信念で憲法を左右されては困るわけです。政治というものは憲法に基づいてやってもらわぬと困るということでございまして、政治で憲法を支配するということは大変迷惑を国民はいたします。
 こういう問題について、どう一体お考えになっておるのか御答弁願います。
#188
○政府委員(茂串俊君) ただいまの御質問の最後に言われました、政治は憲法に従って行われなければならない、政治のために憲法の解釈がゆがめられてはならないといったような御趣旨と思いますが、これは全く同感でございます。私も全くそういう意味で法律の、いわば純粋な法律論としての見解を申し述べておるつもりでございます。
 それで、ただいまいわゆる明治憲法下における天皇の衆議院解散命令権と、それから現行憲法のもとにおける天皇の国事行為としての衆議院の解散という行為、これと一体同じものなのか違うものなのかという御質問があったわけでございますが、これは明らかに違うわけでございます。明治憲法の第七条におきましては、統治権の総攬者としての天皇の人権として、衆議院解散命令権が認められておったわけでございますが、現行の憲法におきましては、象徴としての天皇に、その地位にふさわしい形式的、名目的な国事に関する行為として衆議院の解散を行うことを認めているのでありまして、その本質が違うということをまず申し上げたいと思います。
 それから第二番目に、それでは現行憲法のもとにおいて一体天皇のそういったいわば国事行為としての解散詔書に国政行為としての効力を認めることが一体いいのか、おかしいではないかという御質問が第二の御質問だったと思うのでございますが、これは先ほど申し上げましたように、天皇が行う衆議院の解散につきましては内閣の助言と承認が絶対的に必要でありまして、この助言と承認によって天皇は内閣が決定したところに従って国事行為としての解散詔書の発布というまさに形式的、名目的な行為をなされるわけでありますけれども、その背後にはこのように衆議院の解散について実質的な決定権を有する内閣が存するわけでありまして、その助言と承認によって天皇の国事行為が行われるというわけでございますから、そのような行為に対しまして解散の効力を認めるとしても別に問題はないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#189
○飯田忠雄君 きょうは、どうも皆さん冷静に考えて論理的に物を考えることをしてくださらぬで、信念だとかいったようなことでおやりになるのでちょっと困るんで、ひとつ冷静に、もう少し時間を置いて、冷静に考えてもらいたい。そうして、本当の民主的な解散の仕方はどうあるべきかという、現在の日本国憲法に基づく解散はどうあるべきかということを考えてもらいたいんです。決して第七条というものは内閣の国会に優越する権利を内閣に認めた規定ではないのですよ。国会に優越する権利をもし内閣に認めたんだというのなら、それは憲法に明文がなきゃならぬ。そんな明文はないわけです。衆議院を解散する実質権限が内閣にあるというのなら、国会に優越する権限でしょう。そういう言葉はないので、これは、きょうはこのままにしておきまして、ひとつまじめに検討をして研究をしていただきたい、それを要望してこの問題はこれでやめます。
 それで、次に衆議院の解散、同時選挙の問題につきましてお尋ねをいたしますが、選挙権者の立場から申しますと、同時選挙というのは被選挙人を正しく選択する上から大変不便であります。候補者が衆参いずれの候補者であるか間違って投票することが非常に多いわけです。これは過去においても事実がございました。私自身もそのためにひどい目に遭っておるんです。
 それで、このことについて自治省は把握しておられるかどうか、同時選挙の弊害というものを研究して把握しておられるかどうかお尋ねいたします。
#190
○政府委員(小笠原臣也君) お答えを申し上げます。
 御承知のように、いわゆる同日選挙というのは五十五年六月に初めて行われたわけでございますけれども、この際は関係方面の御努力と協力を得まして大過なく円滑に執行することができたというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 ただ、無効投票率については、総選挙におきまして二・一七%、通常選挙におきましては、全国区におきまして七%、地方区の方で五・九九%ということでやや高いというような結果になっておりますけれども、こういうことについては今後できるだけ無効投票が少なくなるように我々としては努力をしなければならないと、このように理解をしております。
#191
○飯田忠雄君 同時選挙をやりますと選挙民が非常に混乱することは、もう間違いない事実です。憲法の十五条では国民の公務員選任権というものは固有の権利として保障しておるわけですから、それをできるだけ邪魔しないようにすることが必要であろうと考えるわけです。
 そういう点について一つ問題のあるのと、それから次に、同時選挙を行いますと、参議院議員のうち半数の者が選挙運動に入っているときに衆議院の解散を行うわけですから、そうしますというと、もし緊急集会を召集しなきゃならぬという場合に、その選挙運動に走っておるのを集めなきゃならぬということになって選挙妨害のようなことになるわけです。そんなことになるような時期になぜ特に衆議院を解散しなきゃならぬのか、その必要性が一体あるのかという問題があるわけです。この点について御答弁を願います。
#192
○国務大臣(後藤田正晴君) まず、お答えする前提としまして、しばしば当委員会でも総理がお答えをいたしておりますように、政府としては現在解散は考えておらない、したがっていわんや同時選挙は考えておらぬ、かようにこれは総理の答弁どおり、額面どおり受け取っていただいておかなければならないと、この大前提のもとに立ってお答えをいたしたいと思います。
   〔理事桧垣徳太郎君退席、委員長着席〕
 確かに、先ほど事務当局から答弁をいたしましたように、若干の無効投票等の比率が上がっておりますけれども、同時選挙があっても、私は国民の正しい意思は選挙の上に反映せられる、そしてこの同時選挙は必ずしも憲法違反とは思っておりません。
 先ほど御質問の、半数改選ということで選挙運動に走り回っておる者が帰ってくるではないかといったようなことでございますが、半数改選制度を設けておるのも、さようなことを実際は頭に置いておったんではないか。私は、これは後で法制局長官にお答えをさしたいと、こう思いますが、別段私は、繰り返して申しますが、憲法違反といったようなことは考えておりません。
#193
○政府委員(茂串俊君) ただいま官房長官からいわば政治的な観点からの御答弁を申し上げたわけでございますが、法律論としてどうかという点につきましては、これはとりあえず問題になりますのが憲法五十四条の緊急集会との兼ね合いの問題であろうかと思います。特に、ただいま御質問の中にありましたように、半数改選の選挙のさなかに緊急集会を開くことがどうかといったような問題もありますが、これはいわば政治的な問題で、法律論として、だから憲法違反になるといったような問題はないかと思うのでございます。
 むしろ問題は、非常にレアケースでございますけれども、法律論として一応問題になりますのが、いわゆる同日選挙が参議院議員の任期満了後に行われた場合、この場合には参議院議員の半数が身分を失うわけでございますから、そういった場合に一体緊急集会との兼ね合いでどうかというのが時々問題になるわけでございますけれども、この場合におきましても参議院議員の残りの半数は存在しているわけでありまして、議事とか議決には総議員の三分の一以上の出席があれば足りることとなっておりますから、参議院の緊急集会を行うことは可能でございます。したがいまして、いわゆる衆参同日選挙を行うことが憲法五十四条との関係でこれに違反するということにはならないかと思うのでございます。
#194
○飯田忠雄君 この問題はこれでとどめまして、次に満州の棄民の問題についてお尋ねをいたします。
 先ほど同僚委員から詳しく具体的な問題については御質問がございましたので、そういう線と重複しないように御質問を申し上げたいと思います。
 まず、いわゆる満州の孤児と言われておる人たちですが、これは孤児なのか孤児じゃないのかという問題は重大な問題だと思うんです。この人たちは好きこのんで向こうにおったわけじゃないのでございまして、これは政府の政策によって終戦のときに捨てられた人たちであるわけです。親が捨てたんではないんです。親は、捨てたくて捨てるような者はおりません。これはすべて政府が、具体的には当時の関東軍が計画的に政策的に捨てたものです。その政策はいつごろから捨てる計画をしておったかといいますと、昭和十五年です。昭和十五年にははっきり私はそういう事実を感じ取っております。国防の名のもとに開拓団を招致しまして、しかも昭和二十年においてすら向こうに開拓に行っている人がおる。もう戦争が負けるということははっきりわかり切っているときにそういうことが行われておるわけです。
 それから、なおいろいろのことがございますが、一番いけないのは、もう負けることが決まっておるのに、終戦の直前に根こそぎ動員をやりまして、働ける者を全部戦死する場に追いやったということです。後に残された老幼婦女が大変苦しんだということは事実でありまして、悲惨なものでございました。そして、捨てられた赤ん坊を救うたのが中国人だと、こういうものであるわけであります。
 そこでお尋ねいたしますが、こういう人たちは現在どうなっているかということを正確に把握しておられるかどうか、お尋ねします。
#195
○政府委員(水田努君) お答え申し上げます。
 日中両国の政府で把握しております孤児の数は現在二千百三十五人でございます。このうち、既に日本に帰国いたしております者が二百七十二名、現在中国に残留しておる者が千八百六十三人でございまして、残留する孤児の居住地別に見ますと、黒竜江省に七百九十八人、吉林省に三百四十六人、遼寧省に四百四十九人、この東北三省以外の地域に残留しておる者が二百七十名と相なっております。
#196
○飯田忠雄君 こうした人々が今日帰ってこられるわけですが、そうした人たちに対する永住希望者の社会復帰対策とか、あるいは親族が見つからない人に対する措置とかというものについての根本的対策をお尋ねいたします。
#197
○国務大臣(今井勇君) 中国の残留日本人孤児の問題といいますのは、先生おっしゃいますように、これは人道上の見地からやっぱり我々政府及び地方公共団体、また国民が一体となって取り組むべき重要な国民的課題であろうと思います。したがいまして、私どもはその早期解決に向けて今最大限の努力をしておるわけでございますが、このため政府におきましては、まず総合的な孤児対策を進めるために厚生省に中国残留日本人孤児の問題懇談会というのを設けまして、二回にわたります提言を踏まえまして、孤児問題の各省の連絡会議におきまして緊密な連携を図りながら、就職だとか住宅あるいは子女の教育などの問題、こういった各種の施策の充実強化に最大限の努力を行ってきたところでございます。
 厚生省におきましては、まず帰国される孤児の世帯につきましては帰国直後に、原則として中国帰国孤児定着促進センター、これは昭和五十九年の二月に開所をいたしましたが、そこに入っていただきまして、日本の社会での定着自立のために研修を受けていただくことといたしております。具体的には、ここでまず、帰国直後の四カ月の研修期間、その期間に日常生活に必要な日本語の研修であるとか、あるいは日本社会の生活慣習の指導を行います。それで、また六十一年度からは労働省の協力を得まして、同センターにおきまして就職に向けての一般的なガイダンスを行いますと同時に、個別の相談によりまして定着先での就職のあっせんや職業訓練校への入校の指導等を行っております。
 また、定着先の都道府県に連絡をいたしまして、孤児世帯を担当いたします生活指導員というものを決定していただきまして、孤児がセンターにおきます研修の修了までに生活指導員によりまして、まず住宅の確保、それから日本語の補講あるいは子女の就学の準備などを進めまして、定着先で速やかに落ちつくことができるようにいたしておるわけでございます。
 特に、身元の未判明の孤児についてでございますが、日本で定着自立していく上で戸籍が必要でございますので、最高裁判所の御協力を得まして昭和六十一年度から定着先での就職のための指導を行っております。
 また、今後の帰国孤児の増加に対応するために昭和六十一年度には同センターを拡充いたしまして、年間の受け入れ能力を倍増、すなわち延べ三百三十人から六百六十人にいたすことにいたしております。そして、同センターの修了後の落ちつき先におきましては、孤児の落ちつき先での定着自立を促進するために厚生省が都道府県に委託しております生活指導員を各家庭に派遣いたしまして、日常生活を憎むための指導を行っておりまして、昭和六十一年度におきましては派遣の回数を月四回から月七回に大幅に増加いたしまして、これまでの生活指導に加えて日本語の指導も行うことといたしております。また、職業訓練校にも生活指導員を派遣いたしまして、労働省サイドと密接に連携をとりながら孤児の就職とか自立のための指導を行っているものでございます。
 このようなことで、厚生省といたしましては引き続き関係各省と密接に連携をとりながら各種の援護施策が総合的に講ぜられるように努力をいたしておるところでございます。
#198
○飯田忠雄君 扶養義務の準拠法に関するいろいろな条約が出ておりますが、近く我が国でもその扶養義務の準拠法に関する法律をおつくりになることになっております。
 そこで、問題になりますのは、その扶養義務はどういう範囲まで広げていくかという問題で、親族関係、親子関係、婚姻関係、それから姻族関係まで広がっておるわけです。それで、中国の養父母と帰ってきた人たちの間の扶養義務の関係についてどのように処置をされるのか、お尋ねをいたします。
#199
○政府委員(枇杷田泰助君) 扶養義務の関係は、各国の国内法で定まっておるところでございます。ただいまお話の出ました扶養義務の準拠法に関する法律は、現在参議院において御審議をいただくことになっておりますけれども、これはどこの国の法律を適用するかということを決める法律でございます。ただいまの中国の残留孤児とその養親との関係につきましては、中国の裁判所で判断する場合と日本の裁判所で判断する場合とではそれぞれ違うわけでございますが、いずれにいたしましても養親と養子との間には扶養義務関係があるだろうと思います。殊に日本の法律では当然そうなるわけでございますので、法律的な養親子関係がある場合には、養子は養親に対する扶養義務があるというふうに考えて差し支えないのではないかと思っております。
#200
○飯田忠雄君 中国において捨てられた人たちを救うてくれた養父母というものは、日本の法律上のこれは養父母関係が成立するかどうか、お尋ねします。
#201
○委員長(安田隆明君) 飯田君、時間が参りました。
#202
○政府委員(枇杷田泰助君) これは双方の国の法規に照らしまして、養親子関係が成立するかどうかは個別に見なければなりませんけれども、普通言われております養親とそれから孤児との間には、養親子関係があるというふうに認定できるケースが多いのではないかというふうに考えております。
#203
○飯田忠雄君 では、終わります。
#204
○委員長(安田隆明君) 以上で飯田忠雄君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#205
○委員長(安田隆明君) 次に、佐藤三吾君の質疑を行います。佐藤君。
#206
○佐藤三吾君 平泉さん、あなたの問題発言で国会が空転したわけですが、おかげで疑惑追及の特別委員会が設置される。協力できますか。
#207
○国務大臣(平泉渉君) 設置されるということになれば、政府として御協力申し上げるのは当然のことだと存じます。
#208
○佐藤三吾君 問題は、円借款でリベートが出たわけですが、これはあなたが担当大臣ですから、その点はきちっと認識していますか。
#209
○国務大臣(平泉渉君) 円借款を実施する経済協力基金、その監督官庁が経済企画庁である、そういうことが一つございます。また経済協力全般につきまして大蔵、外務、通産そして経企、四省庁の共同体制と、こういうことになっておるわけでございます。
#210
○佐藤三吾君 安倍外務大臣は、常にこの問題起こったときに、円借款に不正はないと、こう言い続けてきたわけですよ。こういう事態になって急遽ODAの研究会の評価検討部会で洗い直すと、こういうことを決めたようですが、これはポイントは何ですか。
#211
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も、いろいろと国会で議論がこれありまして、特にフィリピンの政変の前からいろいろとありまして、その際からお答えもしてきたわけですが、日本の援助はフィリピンだけでなくて開発途上国全般に対して行っておるわけでございますが、全体的に見まして非常にきちょうめんにやっておる。事前の調査であるとかフィージビリティースタディーあるいは交換公文、そして事後等につきましてもフォローアップしておりまして、それはそれなりに私は各国の評価を得ておると、こういうふうに考えております。そういう意味では、全体的には日本の経済援助は各国の国民の期待にこたえる効果を上げておると、こういうふうに考えておるわけでございます。そういう中で、例えば評価等について全体的に行うことはできませんでしたけれども、ピックアップして行っておりますが、その評価の状況等を見ましても、日本の援助は実質的には各国の期待にこたえるものであったと、こういうふうに考えておるわけであります。
#212
○佐藤三吾君 田中フィリピン駐在の大使が、五十四年、五十七年、大使であったのですが、そのころから円借款をめぐり疑惑が多かったと、こう言っておるんですが、それらの情報というのをあなたは掌握していなかったのですか。
#213
○国務大臣(安倍晋太郎君) いろいろ評判といいますか、批判といいますか、そういうものは承っておったわけでございますが、外務省その他関係各省で実施しておる円借は全体的には、そうしたいろいろな問題指摘等がありながらも、着実にこれは実施をされておると、こういうふうに私は判断しておりました。
#214
○佐藤三吾君 であれば、評価検討部会というのを第一回開いて洗い直すというのですが、これは何ですか、ポイントは。
#215
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、これまでも評価はやっております。これはやはり日本の援助、そしてこれは大切な日本の資金でありますから、これが本当に確実に相手の国の生活の向上とか民生の安定に資するものでなきゃならぬわけで、そういう意味で実施したプロジェクト等が交換公文どおり行われておるかどうかということは、やはり日本政府としてはピックアップして評価する必要がある、これは私は前から考えておりまして、ODAの研究会等も行いまして、その結果、評価等も外務省として進めてきておるわけでございますが、今回はフィリピンの問題でいろいろと疑惑が出ておるということでございますし、これはやはり解明をしていかなきゃならぬわけであります。
 そういう意味で、やはり全体的にこれまでのフィリピンに対するいろんな円借事業等についてももう一回いろんな面で検討してみる必要があるということを私は率直に感じておるわけでございます。なかなかこれは難しい問題もあるわけですが、しかしできるだけこれは検討してみて、そしてこれからやっぱり新しいアキノ政権になっても援助を進めていかなきゃなりませんから、それが本当に効果的に、あるいはまたもっと改善する必要があるならば改善する必要がある。これは同じ硬直した援助ではなくて、こういう際ですからフィリピン問題を契機にして、フィリピンだけじゃなくてその他の開発途上国に対してももっと改善する点があるならば改善した方がいい、率直に思っていろんな角度から実は検討をするように指示いたしておるところであります。
#216
○佐藤三吾君 検査院は五十年から検査を行っているのですが、こういう問題の摘発ができなかったのはなぜなのか。どこに壁があったのか。
#217
○会計検査院長(大久保孟君) お答えいたします。
 フィリピンに対する海外経済援助につきましては、五十三年及び五十五年の二回にわたりまして海外の調査を実施してまいりました。現地におきまして主に経済援助の効果という観点から調査をいたしまして、現地の我が国の関係機関あるいは相手国の協力を得まして、援助の効果が発揮されているかどうか、こういう点につきまして調査してまいりました。その間において会計検査報告に記載したことはございません。
 先ほど、なぜ発見できなかったかという御質問でございますが、私どもの検査は相手国政府が行った援助にかかわる契約の内容あるいは金額が適正かどうかという点にまでは及びません。したがいまして、今回明らかになったような問題について私どもとしては発見することはできないということでございます。
#218
○佐藤三吾君 相手国の問題まで入っていかなきゃ、外務省が今言う評価委員会でやっておるのは経済援助の効果がどうかというところでしょう。検査院はそうではなくて、それが不正がないかどうかを調べるのが検査院の任務じゃないんですか。
#219
○会計検査院長(大久保孟君) 先生御承知かと思いますが、検査院の経済援助に関する検査につきましては、これはあくまで援助対象の契約の実行は相手国政府の行為でありまして、直接これは我々の検査範囲には入りません。我々が直接検査する対象となりますのは、日本における執行機関であります外務省あるいは経済協力基金、そういったところに参りましていろいろと書類を見せていただいてするわけですが、どうしても検査の徹底に困難があるわけでございます。本院におきましては、先ほど外務大臣も申されましたが、今後いろいろと資料等をできる限り収集する、検討して調査するということでございますので、外務省の対応を見詰めまして我々も検査の徹底を図りたいと考えておるわけでございます。
#220
○佐藤三吾君 しかし、円借款でリベートが起こったのは全部日本企業ですよ。その日本企業をどうして検査をしていかないのか。
#221
○会計検査院長(大久保孟君) お答えいたします。
 日本企業は相手国政府との契約で例えば入札に参加する、そういうことだと思います。したがいまして、我々が相手国政府が契約したその内容について直接検査するというわけにはまいりません。あくまで基金なり外務省なりの円借款その他の契約書、そういったものを見て判断する。それにはそれだけの資料がなければ我々は判断できないわけなんです。今まではそれができなかったということでございます。
#222
○佐藤三吾君 それでは、今からどういう決意で臨むんですか。そこを言ってください。
#223
○会計検査院長(大久保孟君) 我々といたしましては、今後できる限り実施機関であります外務省、協力基金に参りまして、先ほど関係大臣も申されておりますが、できるだけの資料を収集するということだと思いますので、それを見まして具体的に検査の徹底を図りたいと考えております。
#224
○佐藤三吾君 国税庁は関係企業の不正やリベートを洗い直すということでけさほどの新聞に出ておるんですけれども、これはどういうふうに具体的に洗い直していくんですか。
#225
○政府委員(日向隆君) 伝えられます多額のリベート等につきましては、その実態によりましては交際費、寄附金ないしは使途不明金として課税処理する必要があろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましてはこのような観点から充実した調査をしてまいりたい、適正な処理をしてまいりたいと、こう思っております。
#226
○佐藤三吾君 その資料は国会にも出せますね。
#227
○政府委員(日向隆君) 調査の内容につきましては公表することは差し控えさせていただきたいと思います。
#228
○佐藤三吾君 委員長、これはおかしいですよ。疑惑を前提として調査に入るわけだから、それを国会の特別委員会で追及しようというのだから、これは予算の執行責任あるこの予算委員会の責任においてもきちんとしなきゃいかぬと思う。
#229
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#230
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
 佐藤君要求の資料につきましては、その取り扱いを理事会で協議いたします。
#231
○佐藤三吾君 ついでに、第一次から十三次にわたる対比の円借款事業の受注日本企業、それから受注内容、受注額、資料、これを要求します。
#232
○政府委員(藤田公郎君) ただいま委員の御要望でございますけれども、従来まで国会の場で御説明申し上げておりますように、入札を行い、かつ契約を行いますのは相手国政府と当該企業との間の商契約でございますので、我が国政府としてはその当事者でございません。したがいまして、受注企業名、それから受注金額等は従来も発表いたしておりませんし、御提出も申し上げてないというのが今までの状況でございます。
 プロジェクト、それから交換公文に記されております限度額、これはいつでも御提出申し上げられます。
#233
○佐藤三吾君 委員長、相手国と言うけれども、これは大変な、国から追放された男なんだ。それと結んで事態が起こっておるわけだから、これはやっぱり一般例と違いますよ。これは予算を承認した委員会としても、ぜひひとつ要求します。
#234
○委員長(安田隆明君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#235
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
 佐藤君要請の件につきましては、理事会で協議いたします。
#236
○佐藤三吾君 今理事から聞きましたが、あすの理事会で検討するそうですから、そういうことでひとつぜひこれは要求しておきます。
 それから、外務大臣、アメリカでは企業の海外活動の腐敗防止に関する法律をもって律しておるわけですが、これらを必要とする時期に来たのじゃないですか。
#237
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今初めてお聞きしますけれども、アメリカは世界で戦後初めて援助を実施した国であるから、アメリカの場合は会計検査院が援助についてはやっている。その他の国、日本も含めて、今会計検査院長のお話のように、会計検査院が相手の国の企業との契約に立ち入るというようなことはできないという立場です。アメリカは戦後の最大の、初めての援助国ということで、そういう仕組みになっておるということは承っておるわけであります。そういう意味では、アメリカはアメリカなりの立場で、おっしゃるような海外の援助活動については法律その他がはっきりしておると、こういうふうに考えております。
#238
○佐藤三吾君 だから、日本もその必要があるのではないかということで外相の見解を聞いておるわけだ。
#239
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私の立場で御回答できるとも思いませんが、しかし相手の国で、今やっているような場合でも相手の国の法律があるわけですから、日本の企業が相手の国の法律に触れるときは、それは相手の国の法律で罰せられると、こういうふうに思いますし、日本の企業の海外活動におきましては、税の関係であるとか外為法の関係であるとか、そういうものが日本の法律の中でもし違法行為があれば罰せられる。日本の企業であれば、日本の国内においてもあるいは海外においても日本の法律に違反すれば、これは処罰の対象になると、こういうふうに考えております。
#240
○佐藤三吾君 担当大臣の平泉さんはどうですか。
#241
○国務大臣(平泉渉君) いろいろな法的問題があるかと存じますが、十分検討さしていただきたいと思います。
#242
○佐藤三吾君 官房長官、どうですか。
#243
○国務大臣(後藤田正晴君) 海外援助、これは国民の税金あるいは貯蓄、こういった中から援助しているわけでございますから、それなりに私どもとしてはこれが効率的に使われるように重大に受けとめなければならないと、こういう基本的な認識は持っておるわけでございます。しかし、何分ともこれは外交問題でございますから、相手側の立場等もあるので、今にわかにここで私が結論じみたことを申し上げるのはどうかなと、こう思いますが、佐藤さんのおっしゃるような意味合いも含めまして、これは頭の中に置いて勉強しなきゃならぬ課題かなと、かように理解しております。
#244
○佐藤三吾君 この問題は極めて重大な問題ですから、また今度特別委員会の中で追及することにして、次に移ります。
 使途不明金の問題でお聞きしたいと思います。
 この使途不明金について、その意味、五年間の実態はどうか、国税庁。
#245
○政府委員(日向隆君) 使途不明金は、通常、法人がその支出をしたかどうか、仮に支出をしたといたしましても、その支出先が明らかでないところから、その経費性を肯定することはできないといたしまして、私ども、支出法人において課税していると、こういう性格のものでございます。
 お尋ねの第二点、過去五年間の推移はどうかということでございますが、私どもが資本金一億円以上の法人につきまして調査した際把握した使途不明金は、昭和五十五事務年度で三百三十四億円、五十六事務年度で三百八十七億円、五十七事務年度で四百二十八億円、五十八事務年度で四百二十四億円、五十九事務年度で四百五十八億円、かようになっております。したがいまして、ここ二、三年はほぼ横ばいでございますが、五十九事務年度と五十五事務年度とを比較いたしますと、三七%ぐらい増加しております。
#246
○佐藤三吾君 五十九年度を見ましても、今言うように四百五十八億円という膨大な使途不明金が出て、五十五年から三七%も増大しておる、こういう状況ですが、これは資本金一億以上のすべての企業に言えることですか。
#247
○政府委員(日向隆君) ただいま申し上げましたように、五十九事務年度で私どもが把握しました使途不明金四百五十八億円といいますのは、五十九事務年度におきまして私どもが調査しました資本金一億円以上の法人のうち、四千七百六十七件について把握したものでございます。
#248
○佐藤三吾君 何%ですか。
#249
○政府委員(日向隆君) 失礼いたしました。
 ちょっと不正確な点がありましたので補正させていただきますが、四千七百六十七法人について調査いたしまして、そのうち使途不明金を把握しました法人数は七百六十九法人でございます。したがいまして、その割合は一七、八%ぐらいになろうかと思います。
#250
○佐藤三吾君 それは一億円以上のすべての企業の一七、八%ですか。
#251
○政府委員(日向隆君) そうではございません。調査いたしました四千七百六十七法人のうち七百六十九法人でございますので、その割合は一七、八%ということでございます。全法人と言いますと大体二万社ぐらいあります。
#252
○佐藤三吾君 そのうち何%ですか。
#253
○政府委員(日向隆君) そのうちの七百六十九でございますので、四%前後になろうかと思います。
#254
○佐藤三吾君 そうしますと、二万一千社に仮に調査に入ったとすれば、どういう推計になりますか。
#255
○政府委員(日向隆君) 資本金一億円以上の法人数約二万社のうち、私どもで調査いたしますのは、脱税の疑いの濃いものを選定して先ほど言いました四千七百数社ということになっておりますので、単純にその割合を引き伸ばして推計することは難しいのではなかろうか、かように考えております。
#256
○佐藤三吾君 私が推計しますと二千八十四億になる。
 それでは、もう一つ聞きますが、これは一億円以上ですから、一億円未満の中小企業全体としての推計はありますか。
#257
○政府委員(日向隆君) 仰せでございますけれども、資本金一億円未満の税務署所管法人についてはこういう計数をとっておりませんので、お答えいたしかねます。
#258
○佐藤三吾君 私は、概数ぐらい把握したらどうかと思うんです。
 全部の企業を含めますと百六十二万ですから、一社当たり五十万としても約一兆円、これが使途不明金の実態だろうと思うんです。大蔵大臣どうですか、感想は。
#259
○国務大臣(竹下登君) 今、問答を聞いておりましたが、なかなか統計とるのは、本当に正確な把握というのは難しいだろうなという感じを持ちました。
#260
○佐藤三吾君 しかし、今度のマルコス問題もロッキードの問題も、それから私が追及しております撚糸工連も全部その根源は使途不明金です。そういう類のものですから、今の大臣のような答弁では私は国民は納得しないと思う。私は、むしろ国税庁はこういった問題について解明する責任があると思う。いかがですか。
#261
○政府委員(日向隆君) 委員の御指摘になりますように、真実の所得者に課税するという適正課税の見地からいいますと、使途不明金は課税上問題がある、こういうふうに考えております。したがいまして、私ども日ごろから企業に対しましては、安易に使途不明金処理をしないようにという指導をいたしますとともに、調査に当たりましては使途不明金の使途の解明に全力を挙げているところでございます。
#262
○佐藤三吾君 五十九年度の使途不明金の業種別実態、さらに透明度、そのうちの政治献金、これはどういうことですか。
#263
○政府委員(日向隆君) 直近の五十九事務年度におきます使途不明金の業種別内訳は、建設業が二百六十五億、製造業が七十二億、卸売業が五十四億、小売業が二十一億、その他四十六億円ということになっております。
 また、委員がおっしゃいました透明度でございますけれども、これは何を透明度とおっしゃいますか、私どもちょっとはかりかねますが、例えば総経費に占めます使途不明金の割合、これは計算いたしますと、五十九事務年度で調査いたしました四千七百六十七件について、概算で〇・〇一六%ということでございます。
#264
○佐藤三吾君 政治献金はどうなんですか。
#265
○政府委員(日向隆君) 失礼しました。
 四百五十八億円のうち解明しましたもの七十八億円、政治献金はそのうちたしか三十三億円程度というふうに記憶しております。
#266
○佐藤三吾君 今お聞きのとおり、七十八億、一七%の透明度、八三%は不明と、こういうことなんですが、税法上、実質所得者課税の原則というものを揺さぶるような内容なんです。申告修正する法人も、必要悪として経費と割り切っておるようですが、少なくとも政治献金は透明にすべきだと思うんですが、いかがですか。
#267
○政府委員(日向隆君) 私の立場で満足のいくお答えはできないかもしれませんが、私ども、委員が御指摘になりましたように、使途不明金は課税上好ましくないというふうに判断しておりますので、調査に当たりましては、できるだけその使途の解明に努めまして、ただいま私が申し上げましたように四百五十八億円のうち七十八億円の使途を解明し、そのうち政治献金が三十三億円と、こう申し上げておるところでございます。
#268
○佐藤三吾君 この点は、ひとつ官房長官。
#269
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほど事務当局からお答えをいたしておりますように、使途不明金は経費として否認をせられる。だから、税金払ったんや、だからいいんだといったような観念があっては相ならぬ。これはやはり実質所得者にきちんと税をかけるべきですから、やはり使途不明金というものはできる限り税務当局で究明をすべきものと、かように考えるわけでございます。
 他方、御質問の、少なくとも政治資金は透明にすべきでないかと。政治資金そのものは透明にやらなければならぬと思いますが、政治資金の面から使途不明金を明確にしろということは、これは逆ではないか、これはいささか無理であろうと、かように考えます。
#270
○佐藤三吾君 今、五十九年度だけを見たんですが、透明度は極めて低い、そうして三十三億が政治献金に行っておる、これも明らかだ。これを先ほどの全体で見ますと、一億以上の企業で約三千二百億の政治献金がやみで出ておる、こういう点が推計されるわけです。そうしてこの使途不明金が各政治家にばらまかれておる、こういうような実態じゃないかと私は思うんですが、自治大臣、大蔵大臣、どういう感想ですか。
#271
○国務大臣(小沢一郎君) 私どもの方は、政治資金規正法に基づきまして届け出られたものを公表されたそれの資料に基づいて行っておるものでございまして、実態の問題について、いわゆる企業の使途不明金という観点からの実態についてお答えできる立場ではございません。官房長官から先ほどお話ございましたように、政治資金規正法、それを所管する自治省という立場に立ちましては、そこから使途不明金というような問題について対応するのは、これは難しいことではないかと考えております。
#272
○国務大臣(竹下登君) 私の方は、やっぱり使途不明金と、それとそれに関する課税の問題、先ほど来、実際真実の所得者に対して課税をすべきであるし、さらに重課すべきではないかと、こういうような意見も含めての御意見であったと思うのでありますが、「いわゆる使途不明金については、現在、損金不算入を原則としており、結果的に全額が課税されている。これについて、更に重課すべきではないかとの意見があるが、本来、何らかの経費としての性格をもつ支出を損金不算入とし全額を結果的に課税することは、法人税制の枠内の措置としては限界であるとも考えられる。なお、これ以上の措置を講ずる必要があるとする場合には、商法、刑法等の関連で検討されるべき問題であるとの指摘があった。」、これが一番近いところの、昭和五十八年十一月のいわゆる中間答申でちょうだいいたした、これは私の守備範囲の税制調査会からの中間答申であります。
#273
○佐藤三吾君 総理はきょう来ておりませんが、五十九年度の政治資金を見ると、総理が約十二億、竹下さんが十億、安倍さんが八億なんですが、この中にまさか使途不明金が入ってないでしょうな。
#274
○国務大臣(竹下登君) これは政治資金団体の主宰者、会計責任者で私はございませんが、届け出について、いわば政治資金規正法に違反するような措置はとられていないだろうと確信をいたしております。
#275
○佐藤三吾君 安倍さんどうですか。
#276
○国務大臣(安倍晋太郎君) 政治資金規正法の手続によって届け出たものであるということであります。
#277
○佐藤三吾君 入ってないんですか。
#278
○国務大臣(安倍晋太郎君) それは規正法の手続できちっとやっておる、こういうふうに思います。
#279
○佐藤三吾君 まあ、いいでしょう。
 国税庁、あなたたちが実務をやるときに、やはり実質所得課税という原則に反するようなこういう使途不明金について、これはやっぱりなくしたいと、こういう気持ちを私は持っておるんじゃないかと思うんですが、これらを減少させるという方向というのをどういうふうに考えていますか。
#280
○政府委員(日向隆君) 私どものスタンスは委員御指摘のとおりでございますけれども、私どもの税務調査は御案内のように任意調査でございまして、したがいまして解明にできるだけの努力はいたしておりますけれども、これには限界があろうかと思います。
#281
○佐藤三吾君 企業は本来、使途を証明する義務があるんじゃないですか。不答弁犯の罰則もあるんじゃないですか。罰則適用はありますか。
#282
○政府委員(日向隆君) 私ども税法上不答弁罪というものをいただいておりますけれども、この不答弁罪は間接強制でございまして、全体として任意調査である税務調査の円滑な執行を担保するためのものであります。また刑事罰を科するということからいたしまして、その運用には慎重を期しているところであります。したがいまして、調査に対する全般的な協力が得られないという場合とか不答弁がたび重なりまして、調査が非常に困難になるといったようなことを総合勘案いたしまして、告発するかどうかを決定するというのが実際的であると考えておりまして、調査の一部について不答弁の事実があるからといって直ちに告発するというのは難しいと、こう思っておりますが、せっかくの御指摘でございますので、関係方面に連絡をいたしましてよく研究してみたいと、こう思っております。
#283
○佐藤三吾君 適用は。
#284
○政府委員(日向隆君) 私の知っております限りでは、実際に使途不明金につきまして不答弁罪を適用した例はないと思います。
#285
○佐藤三吾君 僕はそこに問題があると思うんですね。やっぱり使途不明金をなくす必要を感じながら所要の措置をとっていない。なぜそれをとっていないのかと言えば、今言ったような言いわけなんですが、私はやはりきちっとそこはすべきじゃないかと思う、国税庁自身が。そういう意味で、例えばフランスなどでは高い税率をかけるとか重加算税をかけるとかいろいろやっておるようですけれども、そこら辺は一体いかがですか。
#286
○政府委員(水野勝君) 日本の法人税法では原価、損失、それから一般経費、これらのものにつきましては損金に算入するというところでございまして、使途不明金につきましても同じでございます。使途が不明あるいは支出されたかどうかがわからないということであれば、それは経費として認定できない、損金として認定できないわけでございますので、これは法人税全額につきまして課税するということでございます。法人税の世界では、これが先ほど大臣から申し述べましたとおり限界ではないか。ただ、その行為に伴いまして仮装隠ぺいがある、そういう場合には御指摘の重加算税が適用されることになっておりますが、それ以上、法人税の世界で踏み込むというのには限界があるのではないか、このように考えております。
#287
○佐藤三吾君 どんな限界か。
#288
○政府委員(水野勝君) 法人税の世界では損金に算入しない。したがいまして、法人税が課税される。そしてその場合に、仮装隠ぺい行為があれば三〇%の重加算税が課税される。法人税の世界でそこまでが限界ではなかろうかと考えるわけでございます。
#289
○佐藤三吾君 大蔵大臣、今言うように不答弁罪という罰則規定までちゃんとつきながら適用ゼロ。私は個人であろうと企業であろうと、これを正確な報告、証明する義務があると思うんですね、納税には。このことから言ってみても、これをこのまま許すわけには私はいかないと思う。いかがですか。
#290
○国務大臣(竹下登君) 法律上、仮装隠ぺいの場合、先ほど私がお読みいたしました税制調査会の五十八年の中期答申も、これ以上はやっぱり商法あるいは刑法等の分野で対応すべきじゃないかという御提言がありますので、いわゆる所得税法、法人税法等の段階においてはおよそ限界ではないかというふうに考えておるわけであります。
#291
○佐藤三吾君 そうすれば、フランスのように重加算税じゃなくて、もっと高い税率をかけるとか懲罰的なものを含むとか、そういうことを考えているわけですか。
#292
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、フランスにおきましては通常の法人税率が五〇%でございますが、使途不明金の場合には通常は支出額の一三〇%、自己否認をされた場合は九七・五%の率で課税されるという制度があることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、我が国の法人税の立場からいたしますと、先ほど申し上げた損金に算入しない。したがいまして、とにかく丸々法人税を課税させていただく、仮装隠ぺいがあれば三〇%の重加算税を課税させていただく。またそれが会社の幹部の手に渡っているというような色彩が濃い場合には賞与等に認定する。日本の法人税制といたしましてはここらが限界ではないか。これが先ほど大臣から申し述べた税制調査会でのお考えでもあるわけでございます。
#293
○佐藤三吾君 私は今言うように、現行法律の中で不答弁罪もあるが、それの罰則も適用しない。そうして報告はしない。捜査して捕まえても税金を納めればそれで済む、こういうような対応では、これはどんどん拡大していくと思うんです。私はこれらについてはやはり公表して、そうして罰則を適用すべきだと、こう思いますが、大蔵大臣の見解聞きます。
#294
○国務大臣(竹下登君) 先ほど来申し上げておりますように、仮装隠ぺい等で告発された場合の罰則は別の法律であるわけですが、法人税、所得税法の守備範囲ということになりますと、やはりこの問題は商法あるいは刑法等の世界で検討さるべきではないかという税制調査会の答申というのが一応私どもの縛りになっておりますので、その答えにとどまっておるわけでざいます。
#295
○佐藤三吾君 だから、今後どういうふうに考えておるのかと聞いておるわけだ。
#296
○国務大臣(竹下登君) 今後の問題について、それが税法上の範疇のものか、商法か刑法があるいは政治資金規正法がというような点は、政治家として私は十分関心は、お話を聞きながら持たしていただきましたが、今私は大蔵大臣として、税法の範囲の中では難しいのではないかという、とっさの印象だけ申し上げます。
#297
○佐藤三吾君 まあ、いいでしょう。私は納得できませんがね。時間ございませんから、また次の機会にしたいと思います。
 次に、警察庁にお聞きしたいんですが、三月十一日、銃刀法違反で摘発した国際産業の事件の概要、捜査、被疑内容について御報告ください。
#298
○政府委員(新田勇君) 去る三月十一日、警視庁が捜索を開始いたしましたエアソフトガンというプラスチック製の一応おもちゃのようなガンでございますが、これが銃刀法上真正なガンであるということに認定いたしました事件について申し上げます。
 警察庁がこういうものが出回っているということを承知いたしましたのは、二月八日に日本モデルガン製造協同組合の理事長の川島さんという方が警察庁にお見えになりまして、これはプラスチック製のガンではあるが、金属製弾丸を発射する可能性が強いということで、ひとつ検討してほしいということでございました。私どもで検討いたしました。二月八日は土曜日でございましたので、月曜日の二月十日に、この会社を管轄いたします東京の警視庁の方に事案を引き継いだわけでございます。
 このガンについての科学的、機能的な面につきましては鑑定に付すると同時に、従来金属製のものをけん銃と見ていたことから、プラスチック製のものでもこのようなものに当たるかどうかということを鋭意検討いたしたわけでございますが、これに当たるだろうという認定をいたしまして、またその認定につきまして法務省、検察庁とも打ち合わせをいたしました。打ち合わせをした結果、同意が得られたということから、その後捜査会議を開いて捜査に着手したというのが三月十一日でございます。三月十一日に捜索した結果、大体一万丁ぐらいこの種の銃がつくられたという推測をしておりますが、その日には七百三十五丁を押収し、昨日まででございますが、千七百四十丁を回収いたしたところでございます。
#299
○佐藤三吾君 これは、検定は何日に結果が出たんですか。
#300
○政府委員(新田勇君) 検定とおっしゃるのは、恐らく警視庁の科学捜査研究所における鑑定の結果だと思いますが、これは二月二十四日に発射機能ありという結果をもらっております。
#301
○佐藤三吾君 製造中または販売前に押さえることはできなかったんですか。
#302
○政府委員(新田勇君) この銃の販売が二月の初めだというふうに聞いておりました。ですから、私どもがはっきりこのものが銃砲に当たるということで、私どもだけでなく、法務、検察の方とも相談した結果が三月十日でございましたので、三月十日以降ということになりますと既にもう販売が始まっておった。もちろん、製造はその前に行われておったと、そういうことでございます。
#303
○佐藤三吾君 通産省はどうですか。
#304
○政府委員(浜岡平一君) このエアソフトガンにつきましては、通産省の関係ではいわゆる娯楽の用に供するもの、広い意味のおもちゃということになるのかもしれませんが、そういう観点からのとらえ方と武器などとしてとらえるという観点と、双方があるわけでございます。ただいま警察サイドから御指摘のございました協同組合は私どもの所管でございまして、そういう意味で武器等製造法との関係につきましてもいろいろと常日ごろ議論をいたしておりますので、通産省のポジションというものを私の方から申し上げさせていただきますと、武器等製造法におきましては、武器または猟銃等に該当する銃を規制対象としているわけでございます。このうち武器である銃につきましては、従来から専ら戦闘または掃討の用に供されるけん銃、小銃及び機関銃をいうというぐあいに扱ってきておるようでございます。他方、猟銃等に該当するものといたしましては、猟銃、空気銃等でございますけども、このエアガンと空気銃との境目につきましては、空気銃というのは空気を圧縮して金属製弾丸を発射する銃だというぐあいに従来とらえてきておるわけでございます。このエアソフトガンは、いわば子供だけではございませんで、大人のおもちゃと言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、かなり成人等も娯楽の用に供しておるものでございまして、かつプラスチック製であるというような、従来の商品概念ではなかなか律し切れないものがあるわけでございます。現在、社団法人日本猟用資材工業会におきまして、警視庁科学捜査研究所と一緒にこの道具の性能、構造等につきまして試験を行っているという状況のようでございまして、ややいろいろと条件設定等に時間がかかるようでございますが、できるだけ早く結論を出したいという状況のようでございます。したがいまして、従来までの段階でございますと、いわばグレーゾーンといいますか、灰色領域でございまして、武器等製造法の許可を得ていたか得ていないかというような観点からの規制を行うというのはなかなか難しい領域であったようでございます。
#305
○佐藤三吾君 既に警察庁のお話では、二月二十四日に銃砲として鑑定しておる。それがなぜ一カ月たってもそんなに議論しなきゃならぬのですか。
#306
○政府委員(浜岡平一君) 警察サイドから意見照会といいますか、御相談を受けまして、なかなか直ちに武器等製造法に該当するというような判定を即断では下すのが難しいというような立場だったようでございます。そんなところから、やはりこのエアソフトガンの持っております性能等につきまして、当面まず警察庁サイドでの御対応が行われたわけでございますけども、今後むしろこの武器等製造法の方は、先ほど先生御指摘のように、製造の許可が要るかどうかというようなことで、いわば事前的な抑圧効果というようなものを働かすものでございますので、法律の適用につきまして、物の性格を確実に確認をいたしました上でやるということになれば法律が適用されるという方針を確認いたしまして、いわば事前抑制効果を働かせるということになると思います。
 ただ、その際どれだけの性能範囲のものが武器等に該当するかということを明確にする必要があるわけでございます。これは製造業につきましての許可でございますので、どの範囲のものが許可を受ける必要があるか、ないのかというところは客観的な一律の基準として設定をする必要があるわけでございますので、現在申し上げましたようなテストを慎重にやっているというような状況と理解いたしております。
#307
○佐藤三吾君 大臣どうですか、通産大臣。
#308
○国務大臣(渡辺美智雄君) 非常に技術的な問題でございまして、ただいま政府委員が答弁したとおりだと思います。
#309
○佐藤三吾君 警察が二月二十四日の日に、これは銃砲として鑑定したのは警察の科学研究所で鑑定しておるわけです、銃砲として。それで銃刀法違反ということで一斉捜査に入ったわけでありまして、それは何を研究するのですか。
#310
○政府委員(浜岡平一君) 若干言葉が足りなかったかもしれませんが、所持ということで法律の規制を適用いたします場合には、一つずつのものにつきましての判定ということになるわけでございます。ところが、製造の許可ということになりますと、かなり広範なといいますか、およそその種のものをつくろうとする場合に必ず許可を受けなければならないというオールオーバーに適用されるルールでございますので、製造法によります許可が要る範囲はどこまでの範囲のものであるかという、個々の商品ごとではなくて、一律の基準を設定する必要があるものでございますから、そっちの方の判断につきましてはやや手間がかかっているというぐあいに御理解をいただければと思うわけでございます。
#311
○佐藤三吾君 違法銃ということについては議論はないですね。
#312
○政府委員(浜岡平一君) 個々のものといたしましては違法のものがあり、それを所持していれば法律に問われるというものがあることは御指摘のとおりだと思います。ただ、今後製造法によりまして許可を受けなければならない範囲はどの範囲のものであるかということにつきましては、個々のものを離れましてオールオーバーに適用される基準でございまして、そういう意味で、どこで線を引くかという一般的な問題でございますので、個々のものが違法であるかどうかという判定と、今後どれだけの範囲のものを許可を得る必要があるということにするかどうかという判断基準はやや広がりが違うというぐあいに御理解をいただけるのではないかと思います。
#313
○佐藤三吾君 警察は今千七百四十丁を押収したようですが、完全押収はいつごろをめどにしていますか。
#314
○政府委員(新田勇君) 御案内のように四月の二十九日、その後のサミットという情勢を控えておりますので、一刻も早く回収したいということで、各府県に通達いたしまして、各県でも警察と、例えば子供さん方との連絡に教育委員会なども協力していただいておるところもございますので、一刻も早く全部回収したい、かように考えておるところでございます。
#315
○佐藤三吾君 実はこの委員会、この問題については参考人として日本モデルガン製造協同組合専務理事の國本さんを呼んでおったのですが、前回の委員会の都合でできなくなったので今配付をしたわけですが、それを見て警察庁、通産省どういう感想ですか。
#316
○政府委員(新田勇君) 恐れ入りますが、ちょっとまだ見ておりません。手元にないものですから、どういうものかちょっとわかりかねます。――個人の名前等が出て会話の中身が記録されているようでございますが、ちょっと私どもが承知しておらないところでございますので、これが正確かどうかはわかりませんが、先ほどちょっと最初に申し上げましたように、二月の八日に協会の方が見えたというようなところは私どもの承知しているところと一緒かと存じます。
 なお、その前に組合の方が警察と接触しておられるわけでございますが、私どもの方でもそういう業者の人が警視庁の暴力団の方の捜査をやる係のところへ、かねてからの顔なじみで訪れたことがある、しかしそこでは銃砲についての専門的知識がないので保安課の方へ行けというようなことを言ったということが十月の二十六日ごろにあったという記録がございますが、大体この辺のことが書かれているのかと存じますが、内容的に完全に一致するのかどうかちょっとわかりかねる次第でございます。
#317
○佐藤三吾君 通産どうですか。
#318
○政府委員(浜岡平一君) 走り読みでございますが、日本モデルガン製造協同組合の幹部と警察庁との接触の状況が書かれておるようでございます。片方の当事者は警察庁でございますので、私どもといたしましてはちょっと何らかのコメントを今行うということは難しいのではなかろうかと思います。
#319
○佐藤三吾君 警察庁にお聞きしますが、警視庁捜査四課に鈴木主任おりますか。
#320
○政府委員(新田勇君) 現地点におきまして私の記憶の中にはございませんので、いるともいないとも申し上げかねるところでございます。
#321
○佐藤三吾君 西田係長、古川管理官いらっしゃいますか。
#322
○政府委員(新田勇君) 西田係長の方はわかりませんが、古川という管理官がいるということは聞いたことがございます。
#323
○佐藤三吾君 この鈴木主任と荒井という国際産業の社長がじっこんであって、そしてさっきあなたおっしゃったように、十月に見てもらった。ところがその結果は、試射をした結果、これはおもちゃだ、売ってよろしい、こういう回答をもらっておるという。いかがですか。
#324
○政府委員(新田勇君) そのようなことはなかったと、試射ということはどういうことを意味するかわかりませんが、私どもがこのガンを真正けん銃であると言っておりますのは、このプラスチックのガンにつけて売っておりますフロンガスによってプラスチックの弾を撃つ、この銃の本来のといいましょうか、それをくっつけて売っているそのものについて申しているわけではございませんで、特製の薬きょう、特に強化された薬きょうを用い、そしてその中に火薬を入れ金属製の弾頭をつけた場合に、このガンが打撃構造を持った撃発装置を持っているということからそちらの方に悪用される、こういうことでございますので、これだけの内容からは直ちに申せませんけれども、そういうような特殊な火薬を持ってきて、そこで撃ったということは大変考えにくいことではなかろうかと思っております。
#325
○佐藤三吾君 二月十二日付で荒井社長、顧問弁護士両名の通知が卸、小売店に流れておる。その中では、「M―29新製品につきましても、事前に警察当局に相談し、「保安上問題がないので、製造販売してよろしい」との許可をいただいたうえで、製造販売に踏切ったものです。」とか、金属弾丸発射の可能性がある危険な製品である等の事実は全くありません。警察当局から取締まり、警告等を受けることはございません。いかがです。こういう通知がある。
#326
○政府委員(新田勇君) 先ほど申しましたように、捜査四課の方へ参ったときには、捜査四課の方では、自分は銃についての専門的知識はないということで、保安課の方へ行けということを申したということで、その後保安課の方にはあらわれていないということでございますので、そういった内容は事実ではないんではないかというふうに考えております。
#327
○佐藤三吾君 これは、今でもこの通知はあの店に張っていますよ、捜査後でも。いかがですか。
#328
○政府委員(新田勇君) たしか本日発売になりました写真雑誌にその種のことが出ておりましたので、早速見にやらせましたが、そこにはそういう張り紙はもう既になかった。前にあったかどうかわかりませんが、見に行った時点では確認できておらないという報告を受けているところでございます。
#329
○佐藤三吾君 五月に出したこの本ではこう書いています。「既に新聞・テレビで御承知のことと思いますが、M29パワーアップ・マグナムは、一部機構を改良して、近い内に再発売することになりました。大変、御迷惑をお掛け致しました。」、これはどうなんですか。
#330
○政府委員(新田勇君) 今の時点では、そういうものを改良して再発売をする余地はないのではないかというふうに考えておりますので、そういう広告は不可解でございます。
#331
○佐藤三吾君 三月二十四日にマスコミに対して本人は、警察は摘発した品物は必ず返す。二番目に、事件はうやむやになる、一週間でけりがつく、警察は勇み足をしたことで心配しておる、問屋はオーケー、こういうことを言っていますね。いかがですか。
#332
○政府委員(新田勇君) この被疑者につきましては、昭和五十三年に京都の方でも、同じとは言いませんが、銃刀法の違反事件がございまして逮捕したことがございました。しかし、結果的には起訴猶予になったというようなことで何がしかの自信を持っているのかもしれませんけれども、これまでの私どもの捜査の過程では、間違いなくこれは真正銃であるということで、捜査の徹底を期したいということでございます。
#333
○佐藤三吾君 本人は今でも電話ではそういうことを言っておるんですよ。いかがなんですか。
#334
○政府委員(新田勇君) 大変紛らわしい言葉であろうかと思いますが、捜査の実績をもってこたえてまいる所存でございます。
#335
○佐藤三吾君 また、本人は三月十九日、自民党の中山太郎さんのところにこの問題で陳情に行っていますね。何かありましたか。
#336
○政府委員(新田勇君) 初耳でございます。中山先生の方からも、何も私どもの方には連絡はございません。
#337
○佐藤三吾君 そうすると、警察としてはこの問題については毅然たる措置で、今後回収したものを返すとか、中を改良すればいいとか、そういうことはないですな。
#338
○政府委員(新田勇君) おっしゃるとおりでございます。捜査の徹底を期したいと存じております。
#339
○佐藤三吾君 通産大臣、今お聞きのとおりだよ。あなたのところは製造法でまだぐずぐずしておる。いかがですか。
#340
○政府委員(浜岡平一君) 違法のものを所持という観点から一つずつチェックすると同時に、やはりあらかじめ許可の要る範囲というものをはっきり設定をしておくことは必要不可欠かと思います。そういう意味で、できるだけ早く結論を出すべきであろうと存じます。
#341
○佐藤三吾君 大臣。
#342
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私、今突然ここへ来て、実はより糸事件のことで御質問があるのかと思って来たんですが、予備知識が全然なくて来たものですから、実際中身をよく理解をしておらないわけであります。したがいまして、ただいま局長が言ったとおりだと存じます。
#343
○佐藤三吾君 この性能について、警察、説明してください。
#344
○政府委員(新田勇君) 重複する場面がありましたらお許しいただきたいのでございますが、これは本来的にはフロンガスを利用してプラスチック製の弾を撃ち出すという一種の空気銃みたいなものでございます。
 その初速を鑑定いたしますと、我々が空気銃ということで規制している空気銃の秒速は、大体一秒間に二百メートルぐらいというふうに見ておるのでございますが、この組合の方では、自主規制ということで一秒間に六十メートルということにしている、その枠内、この鑑定のときには大体五十九メートルぐらいというものでございました。
 それから、このものが非常に危険であるといいますのは、このガンに打撃構造を持った撃発装置がついているということでございます。したがいまして、これを利用するそのためには、そういう弾じゃなくて金属製の薬きょうの中に火薬を入れ、その先に弾丸をつけるということで、その打撃装置で雷管をたたけば前へ出ていくということであります。ただ、この材質がプラスチックであるということから、雷管をたたきますと薬きょうが破裂しまして、銃自体が破裂してしまう可能性があるわけでございます。そこで、特製の薬きょうを用いる、たたいたぐらいではなかなか銃を割ってしまうような、そういう破裂してしまうようなことのない肉厚の薬きょうを用いた場合には、その先から金属製の弾丸が発射できる。そして、その弾丸は人を殺傷するに足るというものだというのが鑑定の結果でございます。
#345
○佐藤三吾君 官房長官、今お聞きのとおりですが、これが今八千丁、まだ出回っているわけです。本人は製造法で禁止されてないからということで、まだ五万丁つくる今準備に入っておるわけだ、これがもし暴力団に渡っていけば、これを武器として活用するのは明らかなんです。どういう決意ですか。
#346
○国務大臣(後藤田正晴君) 私も余り内容を具体的に承知しておりませんが、今までの警察当局からの答弁を聞いておりますと、これは銃砲であるといったようなことで、銃砲であればこれは厳しい規制を受けるのは当然でございますから、何か五万丁出すとかというのは、出してもそれはえらいことになりますよと、これは事前警告を申し上げざるを得ません。これは厳正に警察は処理するもの、さように考えております。
#347
○佐藤三吾君 問題は、本人は銃刀法違反になっていないわけです。製造法違反ならかかるわけです。ところが本人は今野放しなんです、経営者は。そうして今どんどん銃をつくっているわけです。これにも出しているわけです、こういうふうに五月号に。そういう事態なんです。知らぬじゃ済まされないのです。通産大臣どうですか。
#348
○国務大臣(渡辺美智雄君) 警察と至急連絡をとりまして適切に対処したいと存じます。
#349
○佐藤三吾君 わかりました。今の問題は、ひとつぜひそういうことできちっとして対応してもらいたいと思います。
 次に、撚糸工連の問題ですが、刑事局長来ていますか。――ようやく通産省の課長逮捕に踏み切ったんですが、これは当然私が主張したように関係課長や局長にも波及する、こういうふうに思うんですがいかがですか。
#350
○政府委員(岡村泰孝君) 失礼でございますが、ちょっと御質問が聞き取れなかったのでございますが。
#351
○佐藤三吾君 通産省の課長逮捕に踏み切りましたが、これは当然私が十五日、十八日主張したように、関係の課長、局長にも波及するんじゃないかと思うのですがいかがですか、こう聞いているのです。
#352
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局におきまして汚職事件の強制捜査に着手したわけでございまして、その後の経過等につきましては現在捜査中でございますので、今の段階で何ともお答えいたしがたいわけでございますので、その点ひとつ御了承いただきたいと存じます。
#353
○佐藤三吾君 私は十五日、この問題で政治家が絡んでいることはここで追及したわけですが、この問題は政、官、組合、この三つの絡みだと私は思うんです。伊藤検事総長は巨悪は眠らせないと胸を張ったんですが、これは信頼していいんですか。
#354
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局は常に不偏不党、厳正公平に対処するという方針でこれまでもやってきておりましたし、今後もそういう方針で臨むものと思っております。
#355
○佐藤三吾君 国税庁はこの問題でどういう対応をしておるんですか。
#356
○政府委員(日向隆君) 突然のお尋ねでございますので今正確に答える資料を持ち合わせておりませんが、捜査当局の捜査が終わりましたところで私ども課税上有効な資料を入手いたしましたら適正に処理していきたい、こう思っております。
#357
○佐藤三吾君 通産省、私が資料要求をして持ってきた中で、五十九年の九月二十九、三十日、この内容を報告してください。
#358
○政府委員(浜岡平一君) 大変僭越でございますが、お答え申し上げます前に一つだけ発言をお許しいただきたいと思います。
 ただいまの関係局長、関係課長にも波及すると思うという御発言がございましたが、私もそれからまた現担当課長もこの問題、撚糸工連の問題につきまして刑法に問われるような行為をした覚えは全くないわけでございまして、ただいまのような御発言があったことは非常に残念でございます。
 ただいま先生御指摘の資料は、五十九年九月二十九日から三十日の私の前職者の出張についてのお尋ねかと存じます。先生御承知のように、私どもの仲間が逮捕されまして司直サイドにおきまして現在捜査が進められているところでございまして、先生の御判断もいろいろあろうかと思うわけでございますけれども、個々の行為につきまして私からコメントさしていただくことはやっぱりいろいろな御批判はあるかもしれませんが、一つの組織の仲間でございますので、まことにたえがたいところがあるということを御理解いただきたいと心からお願いを申し上げる次第でございます。
 私が前任者から聞きましたところでは、九月二十九日に小松及び能登の中小零細工場の視察をいたしまして、その晩、石川県の繊維関係の有力者、その中には小田前理事長も含まれておったようでございますが、夕食をともにしたようでございます。九月三十日は石川県繊維会館の開館式に出席をしたというぐあいに本人は申しております。
 以上でございます。
#359
○佐藤三吾君 局長、何か勘違いしておるんじゃないですか。私は前局長が行った経緯を聞いておるわけであって、この人がここで悪いことをしたなら、それは今のような言い方がありましょうがね、悪いことをしたのですか。
#360
○政府委員(浜岡平一君) 大変私ども神経質になっておりまして、関係局長、関係課長と言われますと私自身のことかと思ったわけでございます。私にも妻もございますし友人も多数いるわけでございまして、そこの立場は御理解いただければと思うわけでございます。
#361
○佐藤三吾君 昨年の七月十七日、ここで三谷の証言によりますと発覚をした、そうしてこのあれを見ますと八月十四日に発覚した、こう出ております。この一カ月の間に篠島局長、井上専務、高丸常務、この三者の連絡は非常に密接であった。いかがですか。
#362
○政府委員(浜岡平一君) 私どもの方に撚糸工連の方から資金の不足が起きている、使い込み事件が発生しているという報告がございましたのは八月二十二日でございます。大変なショックを受けましたものですから、私どもにも明瞭に記憶をしておるわけでございます。ただいま御指摘のことにつきましては私ども何も承知しておりませんで、コメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
#363
○佐藤三吾君 あなたが記者会見をして発表したのは九月の十一日午後六時。八月二十二日に知ったものが、どうしてこんなにおくれたんですか。
#364
○政府委員(浜岡平一君) 多分九月十二日ではないかと思うわけでございますが、九月十二日は連合会が東京地検へ告訴をいたしました日でございます。ニュースソースはわかりませんが、その一日前から日刊紙等にこういう告訴が行われるというような報道が出ておりまして、告訴が行われた場合には記者会見をしてほしいというような要求をあらかじめ私どものクラブの方から求められておりまして、そういうことで九月十二日に記者会見をやったのだと存じます。
#365
○佐藤三吾君 それは十一日の午後六時なんだけれどね。私はやっぱり、この間に篠島、井上、高丸、三谷、この四人の密接な行動から見ると、証拠隠滅に全力を挙げておったんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#366
○政府委員(浜岡平一君) 先ほど申し上げましたように、私どももどの範囲まで司直サイドでの御解明が進んでいるのか知るべくもないわけでございますが、基本的にこういう私どもの同僚につきまして司直サイドでの御解明が進んでいる段階でございまして、司直の御判断にすべてを任せたいと思います。私どもとして、今の段階で今のようなお問いかけにお答えをするというごとは御容赦をいただきたいと思うわけでございます。
#367
○佐藤三吾君 検察庁はいかがですか、ここら辺の関係については。
#368
○政府委員(岡村泰孝君) 証拠隠滅の関係でございますが、撚糸工連の高丸常務理事につきまして贈収賄事件で強制捜査いたしました際に、その贈収賄に関します証憑書類を隠滅したという証拠隠滅の事実であわせて身柄を拘束いたした次第でございます。
#369
○佐藤三吾君 わかりました。
 そこで、五十七年度設備廃棄事業の廃棄目標ですね、目標台数、これは中小企業庁と撚工連の間で意見の相違があったと聞くんですが、いかがですか。
#370
○政府委員(浜岡平一君) 昭和五十七年度、五十八年度にまたがって行われました仮より設備の廃棄に関連をする御質問かと存じます。
 業界全体といたしまして過剰設備を処理していこう、適正な稼働を確保しようというような考え方が基本にある事業でございますので、やはりできるだけたくさんの過剰設備が解消され体質改善に寄与するという観点から、できるだけ適正な稼働状態に持っていけるように、廃業の規模が平たい言い方をしますと大きい方がいいというのがこれは基本的な考え方でございます。
 当時中小企業庁サイドにおきまして、こういう過剰設備廃棄事業を進めるに当たりましていかなる業種でもということではなくて、やはり一つの基準を持つべきではないかというお考えがございまして、一つのメルクマールといたしまして、設備の過剰率が三〇%以上の業種を対象にしよう。その際の処理率は全体の二〇%以上というようなことがいいのではないかというような一つのメルクマールが示されていたことは事実でございます。当時仮より設備は約二千七百台ございましたので、過剰率三〇%から言いますと約八百台ということになりまして、八百台以上の過剰設備があることというぐあいにこの業種には適用されることになったようでございます。また、処理率二〇%を適用しますと、五百四十台ということになるわけでございまして、五百四十台以上の廃棄が望ましいというような一つのメルクマールが示されたということのようでございます。
 当初、連合会の方から持ち込まれてまいりました処理予定台数は三百三十台だったそうでございますけれども、これでは今申し上げましたような基準には該当しないのではないかというようなことで、さらに業界内で練り直しが行われまして、五十七年度に動き出しました計画では五百九十三台というものが予定をされたというような経緯をたどっておると承知いたしております。
#371
○佐藤三吾君 その結果、現在どうなっておりますか。
#372
○政府委員(浜岡平一君) その後計画が、五十七年度、五十八年度の両年度にまたがるものという形に改定をされまして、廃棄目標は六百五十二台に引き上げられたようでございます。最終的な実績といたしましては六百四十一台が廃棄されたというぐあいに記録されております。
#373
○佐藤三吾君 小田理事長はこの時期に振興基金を創設する、こういうことになったのですが、この経緯は何ですか。
#374
○政府委員(浜岡平一君) 私どもの承知いたしておりますところでは、連合会の中におきまして、新しい生産技術やシステムの研究開発、さらには新需要の開拓に要する調査研究等を行うことを目的にいたしまして、「仮撚加工糸業振興対策基金運用規約」というものが、昭和五十七年十月一日に連合会において策定をされておるようでございます。これによりますと、五十七、八年度に実施されました仮より機共同廃棄事業に参加いたしました買い上げ対象者から、買い上げ価格の一〇・五%に相当する金額をこの基金に、代金支払い日から八年間無利息で預託をするという約束になっていたようでございます。
#375
○佐藤三吾君 その基金は何に使われて、年次別にどういう内容になっていますか。
#376
○政府委員(浜岡平一君) その後繊維業界の不況色が一段と強くなってまいりまして、かなり先に成果の出てくるこういう研究開発、調査研究等よりも、目先の資金繰りが大変だというような声が非常に強くなりまして、昭和五十九年の後半に、全体といたしまして十六億六千万円弱が預託されたようでございますけれども、そのうちの六億円がただいま申し上げました時期に組合員に返還をされたようでございます。十億強の残高があるはずでございますが、私どもが連合会から聴取いたしましたところでは、元経理課長の使い込み等、あの段階で組合でいわゆる被害額と考えておりました金額の大部分は、この残高の十億円分であるというぐあいに説明を受けております。
#377
○佐藤三吾君 検察庁はこの点についてはどうですか。
#378
○政府委員(岡村泰孝君) 現在検察当局において一連の事件を捜査中でございますので、その中身にわたりますことにつきましては答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。
#379
○佐藤三吾君 農蚕園芸局長、五十九年十二月十四日、小田さんと特別対策問題で懇談していますが、この中身、場所。
#380
○政府委員(関谷俊作君) 撚工連の小田理事長が私のところにおいでになりましたのは昭和五十九年の十二月四日の午後でございます。案件は、当時絹業対策ということで、理事長の御要請は、蚕糸砂糖類価格安定事業団から生糸の特別の売り渡しを受けたいと、こういう御要請がございまして、このお話をしたのは私の現在の局長室でございます。
#381
○佐藤三吾君 私が聞いたのは四日じゃない、十四日のことだ。
#382
○政府委員(関谷俊作君) 十四日という日付は私の方ではお目にかかっておらないと思います。私が小田理事長とお会いしたのは、そのとき局長室で四日にお会いしたということでございます。
#383
○佐藤三吾君 時間がございませんからきょうはこれで終わらざるを得ませんが、最後に渡辺通産大臣、この制度を見ると、当然こういう結果が起こるような内容の制度になっていますね。こういった制度全体を抜本的に私は見直すべき時期に来ておると、こう思うんですが、いかがですか。
#384
○委員長(安田隆明君) 佐藤君、時間が参りました。
#385
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは監督する上において大変な手数がかかるということが一つございます。それから、廃棄をしてもまたぞろふえてしまったのでは意味が余りないということがございます。しかし、現実の問題として、廃棄をしてもらわなければ生産過剰でにっちもさっちもいかないという現実にあったということもあります。いろいろございますので、これは私はその存廃を含めて抜本的に見直したいと、そう思っております。
#386
○委員長(安田隆明君) 以上で佐藤三吾君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#387
○委員長(安田隆明君) 次に、山中郁子君の質疑を行います。山中君。
#388
○山中郁子君 初めに平泉経企庁長官にお尋ねをいたしますが、あなたの記者会見の発言は、私が今改めて申し上げるまでもなく極めて重大なものでありました。国民の血税や年金、郵便貯金などの資金が円借款で使われて、そして一五%という巨額のコミッションが腐敗したマルコス政権の蓄財にされるなどということは国民として当然許されるものではない。この徹底究明は政府の責任であると同時に、直接所管大臣の一人であるあなたにとっても大きな責任を持つものであります。この調査究明に関して、これを内政干渉になるというのは何事かというのが国民の怒りです。本日の本会議におきましても、あなたの陳謝のあの発言の中では、一部に誤解を与えたというようなことでおっしゃっているんですけれども、これほどはっきりしている不当な発言に誤解などという余地はないと私は思います。何がどう誤解されたとおっしゃるのか、そこをはっきりしてください。
#389
○国務大臣(平泉渉君) 先般の私の発言につきましては、本会議の陳謝で述べたとおりでございまして、ここに改めて発言することは差し控えさせていただきたいと存じております。
#390
○山中郁子君 私は、あなたが誤解をされたとおっしゃっているから、どういう言葉がどういうふうに誤解をされたというのかというふうに伺っております。答弁拒否は許されるべきことではない。
#391
○国務大臣(平泉渉君) 十分この問題につきましては陳謝ということでお願いをいたしておるわけでございますので、よろしくお願いいたします。
#392
○山中郁子君 特に、女房に渡した金が何に使われたかなどのたぐいなどは本当に重大ですよ。対外援助の資金は、夫が妻に渡す例えばそういう生活費というような私的な金銭とは全く違うわけでしょう。国民に責任を負う公金ですよ。この認識さえもあなたはなかったのですか。
#393
○国務大臣(平泉渉君) 恐縮でございますが、この発言につきましては、私はこれ以上言及をさせていただきたくなく存じております。
#394
○山中郁子君 どうして差し控えるのか、もう一度よく国民の皆さんにわかるようにおっしゃってください。
#395
○国務大臣(平泉渉君) 本件につきましては、本日の参議院本会議におきまして十分私なりの陳謝を申し上げたと、こういう所存でございます。
#396
○山中郁子君 私は陳謝になってないということを申し上げているんです。弁解は全く納得できないし国民を説得し得るものではありません。我が党は、陳謝で済むことではなくて、罷免が当然のことであると強く主張してきておりますことは御承知だと思いますが、ここで改めて強く重ねて表明をしておきます。
 ところで、あなたが本当に反省しておられるのなら、少なくともあなたの所管である海外経済協力基金からフィリピンヘの経済援助に関する契約審等の関係資料を国会に提出するなど、調査に全面的に協力することをここで言明をしていただきたい。
#397
○政府委員(赤羽隆夫君) この円借款に関係いたしましてそれを受注した企業等の関係の資料でございますけれども、これは従来から政府が御答弁申し上げておりますように、企業と関係がございますのは相手国政府でございます。我が国政府は当事者ではない、こういうことで公表する立場にはない、基金もまた国家機関の一部でございまして、こうした政府の方針に従ってもらっている、こういうことでございます。
#398
○山中郁子君 大臣の御意見を伺っています。
#399
○国務大臣(平泉渉君) 政府委員から答弁させましたとおりでございます。
#400
○山中郁子君 私の申し上げたことを彼は実際に今論証したの、御自分の言葉で。つまり何の誠意も持っていないじゃないか、何の反省も具体的に行動で示そうとしないじゃないか、ここがまず明らかになっている。
 次に、この問題につきまして外務省にお尋ねすることになりますけれども、日本の対比経済援助が米国を上回って世界で第一位になっているということが伝えられておりますけれども、これが事実かどうか、そして日本、米国のそれぞれの額が幾らかお示しいただきたい。
#401
○政府委員(藤田公郎君) 経済協力の額の比較の場合には、約束額でとります場合と実績でとります場合とございますけれども、委員御質問の趣旨を考えまして実績額でお答えさせていただきますと、一九六〇年から一九八四年までの累計で比較いたしますと、米国が十二億ドル、我が国日本が十七・三億ドル、これは純支出額ベースでございます。返済分を差し引いた額ということでございます。
#402
○山中郁子君 円で言ってください。
#403
○政府委員(藤田公郎君) 円では、実はODAの総額はDAC――OECDの開発援助委員会でドル換算で集計をしておりますものでございますから、円額では出ておりません。
#404
○山中郁子君 一口に、新聞紙上その他で伝えられているように、今そしてまたお示しもありましたように、膨大な援助を日本が円借款をしてきたということですけれども、日本の場合は第一次から個別に額をお示しいただきたいのです。
#405
○政府委員(藤田公郎君) 年度で申し上げますと、円借款だけということでよろしゅうございますか。
#406
○山中郁子君 はい、一次からずっと。
#407
○政府委員(藤田公郎君) 四十六年度二百三十四億円、四十七年度百二十三億円、四十八年度百五十三億円、四十九年度百四十七億円、五十年度百四十七億円、五十一年度二百三十三億円、五十二年度二百七十五億円、五十三年度三百九十五億円、五十四年度はございませんで、五十五年度三百六十億円、五十六年度が四百二十億円、五十七年度五百億円、五十八年度六百五十・五億円、五十九年度が四百二十五億円、六十年度四百九十五億円、これはすべて約束額ベースでございます。したがいまして、先ほどの実績とはちょっと違います。
#408
○山中郁子君 これまでの公表資料では、第一次から第六次ごろまでの古い円借款などをめぐるリベートとマルコスの蓄財の疑惑が主として出ているようでありますけれども、最終的に、腐敗し国民から見放されつつあったマルコス末期政権へのてこ入れの経済援助、これを行った中曽根総理の責任も重大だと私どもは考えております。
 中曽根総理のフィリピン訪問はいつであったのか、そのとき経済援助問題が話し合われたのか、イメルダ夫人の来日はいつであったのか、中曽根総理との会談は何日であったのか、このとき経済援助の話が出たか、以上の各問題についてお答えをいただきたい。
#409
○政府委員(藤田公郎君) ただいまの御質問、順を追ってお答え申し上げますが、中曽根総理のフィリピン御訪問は一九八三年五月六日から八日までの期間でございます。その際発表いたしておりますけれども、経済協力問題につきましては第十一次の円借款五百五十四・五億円でございますが、及び追加円借款九十六億円、この供与につきまして意図表明をいただきましたほか、無償資金協力、技術協力につきまして我が国のフィリピンに対する基本援助方針の表明を行っておられます。
 それから、イメルダ夫人は八五年の十一月に来日をされまして、我が国におきまして安倍外務大臣及び中曽根総理大臣と会談しておられますが、安倍外務大臣との会談におきまして外務大臣より、我が国におきましてはフィリピンに対します経済協力について関心が高く、国会等におきましても種々論議が行われているという旨を指摘されるとともに、我が国の経済協力の目的はフィリピンの経済社会開発、民生の安定、国民福祉の向上に資するということであって、我が国の援助がこの目的のために効果的に使用されることを望む旨の御発言をされました。イメルダ夫人の方からは特段の御要請、御要望等はございませんでした。
#410
○山中郁子君 そうすると、このときの中曽根総理との話し合いのときには経済援助の問題はなかったけれども、安倍外務大臣との話し合いのときにそうした話が出たということでございますか。
#411
○政府委員(藤田公郎君) 中曽根総理との御会談の際には、援助の問題については特にやりとりはございませんでした。
#412
○山中郁子君 新聞各紙も報道しておりますけれども、八三年十一月十日にレーガン・中曽根首脳会談が行われ、フィリピン経済援助問題が話し合われたという報道があります。これは事実でございましょうか。
#413
○政府委員(藤田公郎君) 八三年は一月及び五月、ともにワシントンにおきまして日米首脳会談が行われておりますけれども、そのいずれにおきましても我が国の対比援助についてのお話し合いは行われておりません。
#414
○山中郁子君 十一月十日の首脳会談。
#415
○政府委員(藤田公郎君) 八三年十一月の首脳会談の記録はちょっと今持っておりません。
#416
○山中郁子君 事前にこのことは通告してございましたので、後ほどお答えください。
 中曽根内閣が第十二次、第十三次の経済援助を決めたのはいつか、そして円借款の金額はそれぞれ幾らか、お答えいただきたい。
#417
○政府委員(藤田公郎君) 第十二次円借款は一九八四年四月二十八日に交換公文の署名を行いました。金額は四百二十五億円でございます。第十二次の円借款は昨年でございますが、一九八五年十二月二十三日交換公文の署名を下しました。供与金額は四百九十五億円でございます。
#418
○山中郁子君 こうしてみますと、第十二次、第十三次の援助は、八四年のフィリピンにおける国民議会選挙、それから八六年初めの大統領選挙をそれぞれ目前にして、レーガン大統領とマルコスの直接の要請を受け中曽根総理の強い意向で決められたのではないかと思われるし、またそのように論評もされているところでありますが、外務大臣の御見解を伺います。
#419
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本とフィリピンのこの援助につきましては、これはずっと毎年毎年両政府間で積み上げてそしてお互いに合意した中で決定しているわけで、たまたまそういうときに総理大臣あるいはまたマルコス大統領と合意といいますか、そういうことで決まっているわけですから、実際はずっと積み上げてきているわけですから、何も選挙を前にして特別にやった、こういうことでは決してありません。
#420
○山中郁子君 たまたまというわけにはいかないいろんなことがあるんですね。一つ、報道によりますと、フィリピン政府の第十二次円借款のもとに融資すべき事業計画の概略リストという文書では、これは一九八三年の三月二十三日、十六の事業計画が書かれているけれども、サンロケダム建設計画はそれに入っていなかった。外務省の中曽根総理のASEAN訪問報告文書でも、将来検討するというふうにこのところは書いてあるんですね。ところが、これが五月に入ると、駐比大川日本大使あての文書で突如第一位に繰り上げられたということであるけれども、これは事実でありますか。
#421
○政府委員(藤田公郎君) 円借款の供与が決定いたします過程で先方政府から要請が行われ、それに対しまして我が国がそれを調査し、かつ先方政府と交渉いたしまして金額の調整等を行います。最終的に決定をいたしましたものが交換公文という姿で合意を見、発表をされております。
 その過程の先方政府の要求金額ですとか、我が方がそれに対して当初示した立場等々は、交渉の内容にかかわりますので従来も御説明は申し上げていない状況でございますけれども、ただいま委員の申されましたサンロケのものについて御説明申し上げますと、八三年の総理御訪比の際のマルコス大統領との会談におきまして、マルコス大統領よりサンロケダム建設計画に対します資金協力の要請がございました。それに対しまして中曽根総理より、本プロジェクトについてはまず調査が必要であるという回答をしておられます。今また委員の御指摘になりました書簡、文書等々については、この交渉の過程にかかわるものでございますので、私どもとしてはコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
#422
○山中郁子君 そうしますと、この外務省の文書にもあるサンロケダムは将来の課題として検討するというふうになっていたのが、中曽根総理に対してマルコス前大統領から要請があった、そして中曽根さんはそれじゃそれは検討するよと、こういうふうに話をした、そしてその結果、突如第一位に繰り上げられたということになるということが明らかになったわけです。
 それで、私は要求いたしますけれども、この日本大使あての文書、これをとにかく委員会に資料として提出をしていただきたい。
#423
○政府委員(藤田公郎君) 第一点の、第一位の要請になった云々ということにつきましては、先ほど申し上げましたように交渉の過程でございまして、いろんなお話が向こうからございましたけれども、最終的に御承知のとおり、第十二次の円借款の対象にはサンロケダムは入っておりません。サンロケダムにつきましては調査をするということで、フィージビリティースタディーを国際協力事業団が行い、この報告書を先方に提出しているというのが今の状況でございまして、円借款の対象として取り上げたという事実はございません。
 それから大川大使あての書簡につきましては、これは先方政府からの文書でございますし交渉の過程に関しますものでございますので、公表することは差し控えさせていただきたいと思います。
#424
○山中郁子君 徹底究明ということの立場を確認をしていただきたいということであります。
 マルコス前大統領が政変のときに逃亡した後のマラカニアン宮殿の大統領執務室には中曽根総理の大きな写真が飾られておりました。テレビでもそれが放映されました。マルコス前大統領と中曽根総理との極めて深い親密ぶりが外務省自身のASEAN訪問の際の報告にも書かれています。
 外務大臣にお尋ねもしお約束もいただきたいのですけれども、こうした余りにも符節がい過ぎるそして多くの国民の疑惑もある、そうしたことも含めて政府として厳しく調査をする、重ねて先ほどの日本大使あての文書を資料として提出することをお約束いただきたい。外務大臣の御答弁を承ります。
#425
○国務大臣(安倍晋太郎君) 我々としても、経済協力の実態についてはこれが効果的に行われていると、これは自信を持っているわけですが、しかしいろいろと言われておりますから、これからも評価もしますし、それからフォローアップ等もしたい、また改善を今後しなきゃならぬ点があればしたいと思っております。そういう意味でいろいろな面で調査は進めたいと思います。国会に対しましては出せるものもありますし、これは積極的に出しますし、どうしても出せないという、これまでの日本の政府としての立場の書類等もあるわけですから、これは今すぐここでおっしゃっても出すわけにはいかない。できるだけ御協力はしますが、出せるものと出せないものがある。御理解いただきたいと思います。
#426
○山中郁子君 出せるものと出せないものというのは、国民の立場から見て必要なもの、これを国が出すべきものであるということは当然のことだということを申し上げておきます。
 国家資金がどのように使われたのかは重大な疑惑として今出てきているわけですから、先ほども若干御議論がありましたけれども、会計検査院としても調査をするということについて積極的な御姿勢をお示しいただきたい。
#427
○会計検査院長(大久保孟君) お答えいたします。
 ただいまの委員の御指摘の点については、検査院としても重大な関心を持っております。当面は援助実施機関であります外務省あるいは海外経済協力基金等におかれまして、先ほど来みずからの責任において見直し作業を行うというようなお話がございますので、その結果を見ましてできる限り検査の充実を図ってまいりたいと考えております。また現在は、検査院といたしましては検査体制を整備充実、手持ち資料の整理、再検討、情報の入手等に努めてまいっておる次第でございます。
#428
○山中郁子君 細かいことのやりとりの時間がないのが残念でございますが、いずれにしても積極的に調査を進めていただきたいということで重ねて確認をしておきます。
 この問題の最後になりますけれども、委員長、私は日本共産党として、既に公表文書でも明らかになった関係企業の責任者のうち、とりあえず次の五名の方を証人として当委員会に喚問することを要求いたします。
 一、東陽テクニカ野村長社長、二、兼松江商湯本恭三取締役、三、川鉄商事、これは当時川鉄物産と言っておりましたようですが、田坂健三常務、四、住友商事森田俊彦取締役・業務本部長、五、丸紅春名和雄社長。
 以上でありますので、委員長においてお取り上げいただきたいと存じます。
#429
○委員長(安田隆明君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#430
○委員長(安田隆明君) 速記を起こして。
 山中君御要求の件につきましては、理事会で協議いたします。
#431
○山中郁子君 次の問題に入ります。
 神奈川県下におきます米軍基地増強計画問題についてお伺いをいたします。
 先日、三月二十三日の住民投票で逗子の富野市長リコールが否決されたのは御承知のとおりであります。去る三月二日の市議会解散リコール成立に続いて、米軍住宅建設に反対する地元住民の意思が極めて明らかになったものであり、まさに画期的なことであると私どもも考え、もちろん多くの国民が考えているとこうです。中曽根内閣と自民党の本部がこの市長リコールの成立に全力を挙げてきた中でこの結果が出たのでありますから、今こそ政府、特にまた具体的に防衛施設庁がその仕事に当たってきたわけですけれども、この明確な審判を厳正に受けとめて、直ちに米軍住宅建設計画を断念すべきであるというのが私どもの主張であり、多くの逗子市民並びに国民の意向であると思いますが、お考えを承ります。
#432
○国務大臣(加藤紘一君) 地元におきます種々のリコールの問題につきましては、自治体におきますそれぞれのことでございますので、防衛庁としてのコメントは差し控えたいと思います。
 いずれにいたしましても、池子の住宅建設の問題は、日米安保条約上私たちが提供しなければならない施設でございまして、国にとりましては重要な事業でございます。したがいまして、私たちは、緑を大切にしていかなきゃならぬという市側との話し合いもございますので、環境アセスメントの手続を従来から進めてまいりましたけれども、その手続を待ちまして着工してまいりたいと、こう思っております。いずれにいたしましても、地元の皆さんの理解を得ることが重要でございますので、今後ともその理解を得られるように精いっぱいの努力をしてまいりたい、こう思っております。
#433
○山中郁子君 問題は、地元の市民の方たちの審判が三度にわたって下されたという上に立って、政府がこれを深刻に受けとめ、そして誠意を持って撤回せよというのが私の主張でもあるし、またそういうふうにすべきだということであることを重ねて申し上げておきます。
 ところで、その問題になっている池子弾薬庫跡地に建設すると言っている約一千戸の計画の米軍用住宅が何のために必要なのかということがどうも今までのいきさつの中でも明らかになっていません。そこで、きょうはこれはぜひはっきりしていただきたいのでありますけれども、例えば三月十八日の読売新聞の報道などでは、アメリカの空母部隊を近代化するために第七艦隊の宿舎増設について日本政府に要求してきたと報道されています。このほか、いろんな問題がこれに関連してありますけれども、少なくともこのことは確認をされておりますか。
#434
○政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。
 アメリカ政府が、一般的にアメリカの軍隊の近代化、現代化、効率化ということを常に進めているということは事実でございますけれども、ただいま御指摘のありましたような、読売新聞に載っておりました具体的な計画を我々は承知しておりません。
#435
○山中郁子君 それでは、今ここで新たに取りざたされておりますエイジス艦などのいわゆる母港化はない、そしてまた、そういう要求があっても日本政府としては受け入れるものではないという態度であると承ってよろしいか。
#436
○政府委員(藤井宏昭君) 先ほど申しましたように、米政府が極東の安全と平和を守るために米軍の現代化というものを進めていくということは、一般的に申し上げまして、日本にとりましても日本の安全保障上の利益と我々は存じておる次第でございます。特定の案件が日本政府に提示されました場合、日本政府としては独自の立場でそれに対する判断を下すわけでございますけれども、一般的には、私は先ほど申し上げましたように、アメリカが現代化を進めていくということそれ自体は結構なことであるというふうに了解しております。
#437
○山中郁子君 じゃ、ここで明らかにしてほしいんです。この池子に新しくつくりたいとあなた方が言っている理由の中で、現在足りないからだということと、それから今単身でもって基地内に住んでいる人も家族を呼び寄せたいからだということを主要な理由とされていたことは事実であると思いますが、それは間違いないですね。
#438
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 四十八年にアメリカが徴兵制から志願兵制に変わりました。また五十六年、海兵隊はそれまで精鋭部隊であるということで妻子を海外に帯同することは許されておりませんでしたが、士気の維持、あるいは待遇の改善、こういうことから妻子の帯同を許可するようになりました、主としてこれは沖縄の住宅問題でございますが。この徴兵制から志願兵制に変わったことから、住宅事情をよくしなければいけない。現在まで確かに横須賀基地内等にございますが、ベッドルームが二つしかないとか、いろいろな事情で狭隘化、老朽化いたしておる、こういうところから、アメリカ軍の家族の住宅の需要が出てきた、こういう事情でございまして、ホスト・ネーション・サポートという立場から、日米安保条約の円滑な運用のためにこれにこたえて私どもが努力をしておると、こういう状況でございます。
#439
○山中郁子君 じゃ、具体的にお伺いしますが、そういう住宅、つまり一つは基地内、横須賀地区、行政で言えば横須賀市。葉山町、逗子市、厚木市、横浜市になりますが、基地外に住んでいる米兵の世帯数は幾つになりますか。
#440
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 私ども防衛施設庁の立場を御理解いただきたいのでございますが、防衛施設庁は米側に対する施設の提供ということを担当いたしております。私ども一般的に承知をいたしておりますのは、この人事政策の転換、あるいは採用制度の転換に伴って需要を生じたものが数千戸というふうに概括的に承知をいたしておりますが、基地の中に何人いて基地の外に何人住んでおるか、こういうことは私どもの所管外でございますので把握をいたしておりません。
#441
○山中郁子君 数千戸というのは常識的に五、六千戸と考えられますが、なぜ一千戸もの住宅を池子の弾薬庫跡地に建てなければならないのですか。
#442
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 池子で現在私ども計画しておりますのは、九百二十戸の米海軍将校、下士官用の住宅でございます。この九百二十戸に対しまして人員はどれぐらいかということでありますが、四千二百と承知いたしております。割ってみますと四・五人ということでありまして、将校、下士官の家族の比較的多い者をここに入れると、こういう考え方であると仄聞いたしております。
#443
○山中郁子君 だから、私はお伺いしたいのは、それじゃ、実際にそういうのは横須賀市に今どのくらいいる、葉山町、逗子、厚木、横浜、それからまた基地内にはそれぞれ単身居住していて新たに家族を呼び寄せたいという人がどのくらいいるのか、そういうことをはっきり示してもらわなければ、なぜあそこに一千戸もの住宅が今必要なのかということがわからないではないかと、こういうことを言っているんです。米軍に聞いたらいいでしょう。そして、数を聞いて私たちに示していただきたい。米軍に聞いたことがあるんですか、それぞれどのくらいの人たちがそこにいるか。
#444
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 横須賀地区における米側の需要は千三百と承知いたしております。これは一挙に千三百戸を建てるということがこの厳しい財政状況で難しい、あるいは池子における緑の保存ということを我々は真剣に考えまして、高層化、集合化、立体化、こういう努力をいたした結果、そういう数字になっておりますが、千三百戸と向こうが言っているところを見ますと、その程度の需要がある。それだけ狭隘な家あるいは基地外の居住者がいるのであろうと、こういうことを概括的に承知をいたしております。
#445
○山中郁子君 米軍の言うことを丸のみにして、そしてもうだんごで、一千戸だとか一千何百戸だとか、そういうことで国民にそのあれを押しつけるということでは、全く誠意がないし責任を果たすものにならないということで、細かくどういうことなのかという責任ある回答をできるように防衛施設庁、防衛庁はきちんと米軍と話し合うべきだ。そこの資料を国民に提出すべきだ。さらに、私にもそれを提出していただきたいと思います。三沢では市当局が米軍の三沢基地の住宅課に問い合わせて、そういうことを細かくちゃんと入手しているんですよね。それが横須賀地区でできないはずがないわけなんだから、そこのところをはっきりさせた上で、そしてその問題について市民の皆さんの審判を受けとめる必要があるということを重ねて申し上げておきます。
 次に、上瀬谷の通信基地の施設の増強計画について伺うわけですけれども、ここでは艦隊作戦統制センターの建設が計画されていますが、その目的及び機能はどういうものであるかをお示しいただきたい。
#446
○政府委員(藤井宏昭君) 上瀬谷の米軍基地に建設が予定され一つの計画がございました艦隊作戦統制センターというものは、米軍による個々の施設区域の具体的な計画でございますので、これを詳細に一々我々として知る立場にないわけでございますが、概略といたしましては、既に現在の上瀬谷の機能、すなわち第七艦隊との通信につきまして、それが施設が老朽化いたしましたので、その機能を特に変えることなくそれを現代化するというふうに、それでその際に、その名前として艦隊作戦統制センターという予算計画があったというふうに了解しております。ただ、この予算計画は実際に議会の承認するところとなりませんで、現在のところ実現しておりません。
#447
○山中郁子君 その内容についてお示しください。
#448
○政府委員(藤井宏昭君) 先ほど申しましたように、非常に詳細な内容については日本政府としてこれに立ち入るべきではございませんけれども、アメリカの資料等によりますと、この内容と申しますのは、現在の機能、すなわち第七艦隊の運用を指揮、統制するための通信センター、この現代化であるというふうに了解しております。
#449
○山中郁子君 事前に調べていただくようにお願いしましたけれども、米議会下院歳出委員会の八六年度軍事建設小委員会でのアーミテージ国防次官補の答弁、その中身をお示しいただきたい。
#450
○政府委員(藤井宏昭君) アーミテージ米国防次官補は、昨年の三月でございますけれども、下院の歳出委員会におきまして、艦隊作戦統制センターの目的、機能について次のように述べております。それは、一つは第七艦隊、もう一つはP3C哨戒、それから第三には空母機動部隊、それから海軍保安群、それから艦隊海洋監視情報施設などを内容とするというふうに述べております。
#451
○山中郁子君 今お示しになった中の艦隊海洋監視情報施設というのはどういう任務を持つものか、教えていただきたい。
#452
○政府委員(藤井宏昭君) これは艦隊との連絡、通信ということでございますが、これが具体的にどのような機能を持つものかにつきましては、先ほどから述べておりますとおり、日本政府として承知する立場にございません。
#453
○山中郁子君 私は、出所についても提起をして事前に調査をお願いしましたのですけれども、おっしゃらないので確認します。
 全世界六カ所が直結して、そしてソ連の艦隊や潜水艦の情報を収集、提供するというふうにローウェル米海軍少将が述べていて、その六カ所というのがノーフォーク、パールハーバー、ロタ、ロンドン、スートランド、そして上瀬谷であると。このことは御承知ですね。
#454
○政府委員(藤井宏昭君) 八〇年八月に出ましたアメリカの電子協会発行の「シグナル」という雑誌がございますが、そこでただいま御指摘のローウェル・アメリカ海軍少将が、全世界の六カ所直結し、ただいまおっしゃいましたように、ノーフォーク、パールハーバー、ロタ、ロンドン、スートランド、上瀬谷を結ぶものであるというふうに述べているということは承知しております。
#455
○山中郁子君 一方、今回の軍事建設計画においても、このプロジェクトは太平洋艦隊及び第七艦隊の通信の支援を行うものだと書かれているけれども、これも承知しておられますね。
#456
○政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。
 アメリカの一九八六会計年度軍事建設計画に関連いたしましてアメリカの海軍から米議会に提出された予算要求説明資料の中に、危機状況時における第七艦隊の運用、指揮、統制するための艦隊作戦統制センターなどの施設を上瀬谷受信所に建設するという記述がございます。
#457
○山中郁子君 太平洋艦隊及び第七艦隊というふうに私は質問しましたけれども、それで間違いないですね。
#458
○政府委員(藤井宏昭君) 米政府の公式資料におきましては、明示的に太平洋艦隊という言葉は使っていないというふうに了解しております。
#459
○山中郁子君 私は初めに申し上げたんです。軍事建設計画においてこうなっているんです。そうでしょう。それを知っているんでしょう。
#460
○政府委員(藤井宏昭君) 米政府の予算要求におきまして第七艦隊という言葉は出ておりますけれども、明示的に太平洋艦隊というふうには出ていないというふうに了解しております。
#461
○山中郁子君 軍事建設計画に太平洋艦隊及び第七艦隊の通信の支援を行うと書いてあるんです。
#462
○政府委員(藤井宏昭君) 我々の了解いたしますところでは、この予算書、軍事建設計画の読み方でございますけれども、現在の上瀬谷の機能としてパシフィックフリートという言葉は出てまいりますけれども、この新しいセンターにつきましては、明示的にはそれが出てこずに、第七艦隊というふうに出てきておるというふうに了解しております。
#463
○山中郁子君 じゃ、確認しますけれども、危機状況下における作戦の指揮、統制を行うためのものであるということは、太平洋艦隊及び第七艦隊の両方の作戦の指揮、統制を行うということに、この軍事建設計画と合わせるとなるというふうな理解の仕方も私の方はできるんだけれども、そうではないということであなた方は考えていらっしゃるということですね。
#464
○政府委員(藤井宏昭君) これは、先ほども申し述べましたように、アメリカの軍事予算の要求でございます。したがいまして、日本政府といたしましては有権的にこれを解釈する立場にはございません。しかしながら、我々の了解といたしましては、ただいま委員御指摘のようなことであるというふうに了解しておるわけでございます。
#465
○山中郁子君 時間がないので一つ一つ申し上げられませんけれども、同じくこの計画では、鶴見の貯油施設の増強、それからさらには、キャンプ座間の国防衛星通信システムの地上ターミナル建設等とあります。池子、横須賀、上瀬谷、鶴見、座間、そうした各米軍基地増強計画について今一斉に出てきているんです。これは結局は日米軍事同盟化、それから一層のそれの深まり、それと核基地化を進めていくもの、しかも全世界六カ所にわたって、あなた方もお認めになったように米軍が通信基地を上瀬谷としてそこに拡充しようとしている。こういう基地を日本の経費、つまり思いやり予算でやるなどということは到底許されないものだと思っておりますけれども、そのことについての御見解を伺いたい。
#466
○政府委員(藤井宏昭君) まず第一に、米軍施設の拡充計画という趣旨のことをおっしゃられたわけでございますけれども、まず鶴見ということをおっしゃいました。鶴見につきましてはこれは貯油施設のプロジェクト、これは現在の貯油施設が、現在バースまで貯油施設から離れておりまして、車で運ぶということで桟橋を改善しようということでございまして、これは予算がついておりません。したがいまして、この拡充計画というのは実際は実効的には存在していないわけでございます。
 それから、座間につきましては予算がついておりますけれども、これも百五十万ドル程度、日本円にいたしましてレートによりますけれども二億七千万円ぐらいでございます。冒頭に申し述べましたように、アメリカの在日米軍が時の流れに従いましていろいろ補修をしたり、手狭になったところを改修したり、あるいは現代化するということは当然のことでございます。これはいずれも大きな計画ではございません。したがいまして、増強計画というようなことではないというふうに考える次第でございます。
 それから第二点でございますけれども、思いやりということでございますが、このいずれの計画におきましても、日本政府に思いやり予算でやってくれという要求は来ておりません。ただ、累次国会で御答弁申し上げておりますとおり、昨年の六月でございますけれども、極めて非公式に上瀬谷のセンターにつきましては、アメリカ側が日本政府に打診したことはございます。それ以外につきましては何らアメリカ側から非公式な打診もないわけでございます。
#467
○山中郁子君 じゃ、上瀬谷についても出す意思はないと、お断りなすっているということですね。
#468
○政府委員(藤井宏昭君) 昨年六月に非公式の打診がありましたときに、日本政府の方ではほかにプロジェクトがあるのではないかという趣旨のことを申し述べておりますけれども、これは正式な要請ではございません。正式なアメリカからの要請がありました段階で諸般の事情を勘案いたしまして、日本独自の考えに到達するという道筋かと思います。
#469
○山中郁子君 アメリカの軍事計画の中ではっきりしているように、そのほかいろいろな証言などがあるんですが、アメリカは日本政府がどういうふうに理解しようと、これはもうアメリカが言えば日本がそのままオーケーするものだということを知っているんですよね。そういう本質的な重要な拡大だという問題がある。断じてそうしたものを認めるべきではないし、そしてさらに、それに金を出すなどということはとんでもない話であるということを改めて申し上げます。
 最後に、だからこそ神奈川県下のたくさんの自治体、神奈川県自体も非核・平和都市宣言などが行われているんです。こういう県民の世論を尊重する姿勢を政府は持つべきであると思いますが、自治大臣、外務大臣の御見解を承ります。
#470
○国務大臣(小沢一郎君) もちろん、特に逗子の問題に関連しての御質問だろうと思います。このリコールの結果が出た、それはそれで一つの意思表示であることは間違いありませんけれども、この問題につきましては、特に国有地におきまして国がその必要に応じて工作物をつくる、それは自治体の許可を得るとか住民の許可を得るとかいう必要のないものでございまして、政府がその決定に基づきましてできるものでございます。したがいまして、先ほど防衛庁長官もお話ございましたけれども、しかし住民の理解と協力を得たいと、そういうことで従来からも、また今後も話し合いをしていきたい、そういうお話がございました。このリコールの結果が出たからといってやめるとかやめないとか、あるいはそういうことはもうしない方がいいとか、そういうことではないであろうと思います。やはり理解を得られるように防衛庁が今後も話し合いをするということは、それはそれで当然のことであろうと思っております。
 もちろん、一般的に言いまして、私がこの委員会でも従来から申し述べておりましたとおり、国の施策も国民の理解を得て初めてその所期の目的を遂げることができるのだから、できるだけ国民の、住民の理解を得るように努めるべきであるということは申すまでもないことであると考えております。
#471
○山中郁子君 逗子だけじゃないのです。神奈川の県としての非核・平和都市宣言だとかいろいろそういうものを尊重すべきじゃないかと申し上げているんです。
#472
○国務大臣(小沢一郎君) ですから、私最後に申し上げましたとおり、国民の理解をできるだけ何事につきましても求めていくようにすること、それは当然のことであるというふうに自治省の立場として考えておるということであります。
#473
○国務大臣(安倍晋太郎君) 非核三原則は、我が国の基本の国是とも言うべき方針でございます。これは堅持していかなければならない。同時にまた、安保条約によりまして、核を含む米国の抑止力に国の安全保障を依存することは、また我が国の基本的な政策でもあります。米国がかかる抑止力の効果的維持のために必要な施設を我が国に置き、かかる施設の改善を図ることは当然のことだと考えております。
 なお、地方自治体が地方自治の本旨に基づきまして、各自治体、住民の意見として決議を採択されておるわけでございますが、これ自体につきましては政府としてとやかく言う筋合いはないと思うわけでございますが、しかしいずれにしましても、従来より御説明しておりますとおり、安保条約上、事前協議制度によりまして非核三原則を堅持するとの我が国の立場は確保されているというところでありますので、御心配の必要はないと思います。
#474
○山中郁子君 尊重するのかどうかを伺っているんです。
#475
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほど申し上げましたように、自治体がそういう決議をされることはこれは地方自治の本旨に基づくことである、こういうふうに理解をしております。
#476
○山中郁子君 余り尊重するとおっしゃりたくないわけですね。そうした事態の危険が、あなた方は安保条約に基づいて国がやるべきことでとおっしゃっているけれども、その危険が国民をしてこのようにたくさんの非核・平和都市宣言をさせ、そしてまた逗子の結果になっているということを申し上げております。そういう態度を改めていただかなければなりません。
 三つ目の問題に入ります。
 これは、NTTの九州総支社管内におけるいわゆるぐるみ選挙の問題についてお尋ねをするわけでありますけれども、NTTの真藤参考人には、お忙しいところを御協力いただきましてありがとうございました。
 お伺いいたしますが、NTTには顧問に選任されていらっしゃる福田幸弘さんという方がいらっしゃいますけれども、この方のここ半年ばかりの顧問活動というものはどういうものであったのか、顧問料は支払われているのか、任期は何年か、そういうことをお伺いします。
#477
○参考人(寺島角夫君) ただいまお話のございました福田さんでございますけれども、福田さんにつきましては五十九年二月から当社の財務顧問として委嘱をしてお願いをしておりまして、四月一日にNTTが発足いたしましたときに改めてNTTの財務顧問としてお願いをして今日に至っておるわけでございます。
 なお、顧問といたしまして常識の範囲内での顧問料をお支払いしておるところでございます。
#478
○山中郁子君 任期。
#479
○参考人(寺島角夫君) 失礼いたしました。
 任期は一応二年間となっております。
#480
○山中郁子君 各新聞が伝えるところによりますと、この福田幸弘さんという方は、例えば、参議院選に名のりを上げているのは福田幸弘元国税庁長官、改選期を迎える現職の藏内氏が金銭問題のトラブルを起こしたために福田幸弘元国税庁長官が公認を求めている、これは朝日。そうした報道が種々出されていますので、この福田さんが自民党から参議院選挙にお出になるということでいろいろ動いていらっしゃることは御存じですね。
#481
○参考人(寺島角夫君) 福田さんがより広い立場と申しますか、国政の場で御活躍をしたいということでそういう意思表示をしていらっしゃるということにつきましては承知をいたしております。
#482
○山中郁子君 社長にお尋ねしますが、そういう意思表示をされて既にもういろいろと事前運動のようなものを始めていらっしゃる方に顧問としてずっと仕事をしてもらうおつもりなんですか。
#483
○参考人(寺島角夫君) 先ほども申し上げましたように、福田さんには非常勤顧問としてお願いをしてございますので、私どもの財務顧問としてのいろいろな諮問その他に御協力いただく以外の御活動につきましては、どういうことをなさろうがそのことにつきまして私ども関知をしないと申しますか、私どもの財務顧問の範囲外の問題でございまして、そういう点から申しまして、また別の面から申しましても、当社の顧問である方が仮に立候補をされるということになりましても、そのことと財務顧問を引き続き委嘱を申し上げるということはかかわりのないことだと、こういうふうに考えております。
#484
○山中郁子君 社長にお尋ねいたしますけれども、このNTT法の審議の際に、NTTは非常に高い公共性を持つものであるということについて再三確認をされておりますけれども、そのお立場は変わりませんね。
#485
○参考人(寺島角夫君) お答え申し上げます。
 御指摘のございましたように、私どもの営んでおります事業が公益事業と申しますか、そういった公共性のある事業を営んでおることにつきましては重々承知をしておるつもりでございます。
#486
○山中郁子君 それではちょっと重ねてお尋ねしますが、NTTの九州総支社長川井淳さんとおっしゃるのだと思うんですが、その方の名によるNTT顧問福田幸弘後援会入会の案内状が出ておりますけれども、これは御承知ですか。入手しておられますか。
#487
○参考人(寺島角夫君) お答え申し上げます。
 その前に九州で福田さんの後援会ができましたことにつきまして若干申し上げておきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、福田さんは当社の財務顧問としていろいろと御活躍をいただいておるわけでございます。とりわけ、御承知のとおり昨年公共企業体でございます電電公社から株式会社でありますNTTに移ったわけでございます。そのときに財務会計制度等は大幅に変わるわけでございます。その変換を短い時間内に、かつ仕事を休まないでなさなければならない大変大きないろいろな仕事がございまして、そういったところに関しまして福田さんに大変いろいろと御尽力をいただいたわけでございます。
 したがいまして、福田さんのそういった御活躍につきましてよく知っておって敬愛をしておる社員も相当おるということ、たくさんおるといたしましてもそれは不思議でないと私考えておるわけでございまして、とりわけ九州は福田さんの地元でございますので、そういう機運が高まりまして、現役、OB集まりまして、ひとつ福田さんを御声援しようじゃないかということで後援会が結成をされまして、そしてその会長に今御指摘のございました川井がみんなの総意で選ばれたと、こういう経緯であるというふうに承知をいたしております。したがいまして、その私的団体でございます後援会が何らかの勧誘の文書等を出す場合には、会長であります川井名で文書が出されるというのは当然のことであろうと思うわけでございまして、会員勧誘と申しますか、そういう文書が出されておるということにつきましては承知をいたしております。
#488
○山中郁子君 入手されたかどうか伺っています。
#489
○参考人(寺島角夫君) お答えの前提といたしまして、今申し上げましたように、後援会というのはNTTの組織とは離れております任意の団体でございますので、その文書を一々入手はいたしておりませんけれども、ただいまお尋ねのございました勧誘につきまして文書を出したこと、その内容につきましてはおおよそのところ私は中身を見ております。
#490
○山中郁子君 私が今さら言うまでもありませんけれども、NTTは法律によって設立された高い公共性を持つ特殊会社であり、しかも一〇〇%国が株式を持っているんですよね。その九州総支社長が自民党の公認候補を担いで、いわば地位利用です、ここにちゃんとNTT九州総支社長と書いてあるんだから。そういうことで現役、OB、関連業界などに選挙応援を強力に要請し指示しているわけですけれども、この行為は、それでは今のお話によると、真藤社長、NTTはこのまま放置をするということですか、そして、よろしいというふうに思っていらっしゃるのですか、社長ぜひともお答えください。
#491
○参考人(真藤恒君) お答えします。
 彼は川井個人としての資格で会長に推薦されて引き受けたというふうに了解いたしております。
#492
○山中郁子君 ちょっとこれを参考人にお示ししてよろしいですか。
#493
○委員長(安田隆明君) はい、どうぞ。(山中郁子君資料を手渡す)
#494
○山中郁子君 これを見てください。「NTT九州総支社長川井淳」となっている。個人じゃないんですよ。そして強力に要請し指示をしている。これに書いてあるんです。これをよく見てください。
#495
○参考人(寺島角夫君) 確かに今お示しをいただきましたこの文書には「ダイナミックグループ福田幸弘後援会会長 NTT九州総支社長川井淳」と書いてございます。したがいまして、これは後援会会長である川井のその肩書として書いておるわけでございまして、世間一般的に後援会の会長さん等に著名な方をお願いする場合に、その肩書等を併記するということはごく常識的に行われておることではなかろうかというふうに私は考えるところでございます。
#496
○山中郁子君 じゃ、真藤社長にお尋ねしますが、真藤社長もこの川井さんのものと一緒にあなたの「推薦の言葉」を出して印刷して配布されています。これはもちろん御承知ですね。
#497
○参考人(真藤恒君) 川井の立場と同じ立場で「推薦の言葉」を出したことは確かでございます。
#498
○山中郁子君 これは結局、今九州総支社の中でも全県の全事業所、退職者、関係業界等挙げてぐるみ選挙が展開されているんですよね。こういうものについて今私はNTTの見解を問うたけれども、開き直ってこれでまた引き続きやるんだ、自民党の候補者を顧問に担いでやるんだと、こうおっしゃっている。そのことについてぜひ自治省に伺いたいことがあります。佐藤委員からお願いします。
#499
○委員長(安田隆明君) 関連質疑を許します。佐藤昭夫君。
#500
○佐藤昭夫君 自治省に伺いますが、特殊会社であるNTTは、政治活動に関する寄附はできないはずであります。その根拠となる法律の条文をお示しいただきたい。
 また、後援会活動へのNTTからの無償の労務提供、これも寄附とみなされると思うんでありますが、自治省の見解はどうですか。
#501
○政府委員(小笠原臣也君) お答えを申し上げます。
 政治資金規正法第二十二条の三第二項は、「国から資本金、基本金その他これらに準ずるものの全部又は一部の出資又は拠出を受けている会社その他の法人」の国会議員等に対する政治活動に関する寄附は禁止をしておるところでございます。また寄附の定義につきましては、政治資金規正法第四条第三項で規定をいたしておりまして、「「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」、このように規定されておるわけでございます。
#502
○佐藤昭夫君 先ほど来問題にしておりますこと以外にも、利益誘導、利益供与、買収などの公選法に抵触する事実が多々あります。我が党の調査による関係者の証言や投書、ここにその実物もあるわけでありますが、次のような目に余る実態が明らかになってきております。
 その一。福岡のある支社長の新年年頭訓示で、ことしは参議院選挙の年であり、私は当福岡から出馬する福田幸弘顧問の後援会役員をしております、とあいさつをしている。
 第二。同支社で、二月最初の管理職の定例会議の直後、ある課長が業務用の電話で後援会加入の電話工作を十本ほどかけている。
 第三。三月一日、福田後援会発会式会場福岡市サンパレスの駐車場の車の整理役に、勤務扱いの管理職が当たっている。これは労務提供であり、寄附の禁止の先ほどの条項に該当するわけであります。
 第四。関連企業である福岡電話工業の場合、昨年からことしにかけ社員に一人当たり十人の後援会員を組織するよう命令されている。
 第五。八女の地域後援会集会に、元請、下請を通して孫請の東光建設などに動員の指示があり、参加させられている。
 今紹介した関連業界のこれら事実は、請負関係を使った利益誘導であり、公職選挙法二百二十一条の罪に当たるのであります。
 そこで、NTT本社に聞きますが、私が今紹介した五件の事実を見ても、先ほど来山中委員が指摘した真藤社長の「推薦の言葉」と、川井九州総支社長名の文書の中にあるNTTグループが総力を挙げて支援していかなければならないと確信して絶大な支援を求めている結果による実態じゃありませんか。NTT本社の社長としての責任ある認識、態度を求めますが、答弁はどうですか。社長、社長ですよ。
#503
○参考人(寺島角夫君) お答え申し上げます。
 先生御案内のとおり、電電公社時代には公職選挙法等におきまして厳しいいろいろの制限がございました。それが日本電信電話株式会社ということになりますと、公職選挙法の規定上法的には一般の株式会社と変わらない立場に立つわけでございまして、そういう意味での変化はあるわけでございます。ただ、と申しましても、私どもがそういった法に触れることをやっていいということではもちろんないのは当然でございまして、いろいろ御指摘もございましたし、それから九州で現に先ほど来お話がございましたようなこと、私どもは公選法あるいは政治資金規正法に言う政治活動に関する寄附が禁止をされておる団体であるということも承知をいたしておりますので、そういうことに触れる行為をいたしておるとは考えておらないわけでございまして、この点は今後ともそういう法に触れる行為のないようには十分自戒をしてまいらなければならないところだと思っておりますが、現状におきまして私どもが今……
#504
○佐藤昭夫君 先ほど自治省が法違反だということを言ったでしょう。
#505
○参考人(寺島角夫君) いや、それは法違反であるかどうかは自治省の方のことでございまして、私ども法解釈する立場にはございませんが、私どもが申し上げておりますのは、政治資金規正法等に触れるようなことのないようには十分注意をしてまいらなければならないと考えておるということでございます。
#506
○佐藤昭夫君 真藤社長、社長の答弁を求めているんですから。
#507
○参考人(真藤恒君) 今いろいろ御注意、御質問をいただきましたが、今後重々心得ていきたいと思います。
#508
○山中郁子君 個人的だというふうにおっしゃっている。だけれども、具体的に私は個人的でない、ぐるみだということの証拠をここでお示ししますけれども、二月八日から二月十一日まで四日間、福岡市内部久志会館でNTTが協賛して映画鑑賞会を開催されて、そして、ここに福田氏が映画評論家として一日二回ずつ登場して売り込みを図っていらっしゃる。入場券も無料で配っている。そして、テレホンカードを何か抽せんでも配っている。これは明らかに利益供与あるいは買収ですよね。これを庁内に張りめぐらしているんですよ。これをお示ししたいと思うんですけれども、委員長のお許しをいただきたい。
#509
○委員長(安田隆明君) どうぞ。(山中郁子君資料を示す)
#510
○山中郁子君 もう一つ確認をしていただきたいものがあります。
 県内の各局の庁内掲示板に一斉に福田氏の後援会発会式ポスターが張り出されました。これには御丁寧に掲示許可済みスタンプまで押してあるんです。
#511
○委員長(安田隆明君) 山中君、時間でございます。
#512
○山中郁子君 はい。
 つまり、NTTが全面的に肩入れしているということを示している。これも最後に参考人にお示しをしたいと思いますが、よろしいですか。
#513
○委員長(安田隆明君) どうぞ。(山中郁子君資料を示す)
#514
○山中郁子君 御確認いただけますか、御答弁いただきたい。
#515
○参考人(寺島角夫君) ただいまお示しのございました映画会の件につきまして、承知をしている範囲でお答えを申し上げます。
 正確な日時を覚えておりませんが、たしか某映画会社が主催をいたしまして、「二十四の瞳」といったようないわゆる名画を何日間かにわたって……
#516
○山中郁子君 確認したかどうかを聞いている。
#517
○参考人(寺島角夫君) 上映をするという会がございまして、そこに福田さんが映画評論家として御出席をされたというふうに聞いておるわけでございます。
#518
○政府委員(藤田公郎君) 先ほど委員の御質問のうち、一つだけ後ほど御答弁すると申し上げました、一九八三年十一月十日の中曽根総理・レーガン大統領会談でのフィリピン問題でのやりとりでございますが、アジア情勢について話し合いをされました際に、フィリピンの経済情勢を含みまして、ASEAN諸国の動向等について話し合いがございました。その際、フィリピンにつきましては、日米両国ともフィリピンの福祉及び民生の安定のために支援を行っていく方針であるという意見の交換がございました。
 以上御報告します。
#519
○委員長(安田隆明君) 以上で山中郁子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#520
○委員長(安田隆明君) 次に、山田勇君の質疑を行います。山田君。
#521
○山田勇君 若干質疑の通告どおり参りません。変更しながら質疑をさせていただきます。
 まず、外務大臣にお尋ねをいたします。
 国際救援体制の整備についての質問をいたします。昨年、メキシコ地震、コロンビア火山爆発など海外での大きな災害の発生したときに、我が国も災害救助金と救援チームをつくりましたが、救助金はそれぞれ三億円と米国よりも多く、トップクラスでありましたが、救援隊の方は医療チームがメキシコに五人、コロンビアに八人と諸外国に比べ非常に少なく、海外で批判を浴びたようでございますが、安倍外務大臣は昨年十月、メキシコの被災地を訪れた後、帰国後国際緊急援助体制の整備を指示されたと聞いておりますが、その後この救援隊の編成などどう進展しておられるか、お尋ねをいたします。
#522
○国務大臣(安倍晋太郎君) メキシコに参りましてメキシコの非常な惨状を見まして、そしてまた、日本のこれに対する救援活動は各国に比べまして不十分だということを直接感じました。資金的な援助とか物資の救援とか、そういうものは各国以上にやっておるわけですが、目に見える援助活動が非常におくれておる。これはコロンビアの地震のときもそういう感じを受けまして、やはり日本としてこれだけ国際的な立場に立てはもっと積極的に援助活動を組織して、いち早く機動的に効果的に行うべきじゃないか、こういうふうに思いまして事務当局にも指示をいたしました。しかし、これは外務省だけでできることではありませんで、十四省庁の関係各省庁に集まっていただきまして、いわゆる国際緊急援助隊という構想のもとに各省庁で協議をしていただきました結果、今回予算も計上いたしまして、JICAのもとに国際緊急援助隊というものを創設いたすことに相なったわけであります。
#523
○山田勇君 大臣、それは大体何人ぐらいの編成になっておりましょうか。
#524
○政府委員(藤田公郎君) 救助隊は、諸外国で何らかの災害が起こりましたときにすぐ出動態勢に応じ得る方々の名簿を用意しておくという形になっております。
 人数につきましては、国際救急医療チームにつきましては、現在二百七十四名のお医者様、看護婦さん、薬剤師等の技師の方が登録をしておられます。
 それから国際救助隊につきましては、消防庁、警察庁等関係省庁でございまして、現在までのところ全国市町村三十三消防本部から総計で三百九十名の方が参加の御意向であるということで、名簿等を備えつけているということでございます。
#525
○山田勇君 ちょっとこれは質疑通告しておりませんが、その医療班チームの中にお医者さんがおるとします。そうしますと、諸外国で医師ライセンスの問題がありまして、医者は実質的にメキシコでもコロンビアでも医療活動ができないというようなことも聞いたことがあるんですが、その辺はクリアになっておりますでしょうか。
#526
○政府委員(藤田公郎君) まさにおっしゃいますとおり、外国におきましては医師のライセンスの問題というのがございますものですから、お医者様に行っていただきまして、主として先方のお医者様の手助けをするというのが主たる姿になりますけれども、実際にコロンビアで起きましたことは、先方も非常にお医者様の手が足りなくて実際はお願いしたいということで、先方の要請によりまして救急本部でかなり治療にも当たっていただいたというのが実情でございます。
#527
○山田勇君 そこで大臣、サミットが近づいておるんですが、少なくともサミットに集まられます先進六カ国の共通の医師ライセンスの問題というのはぜひ問題にしていただいて、相互間がそういう緊急の場合だけでもせめて医療体制が行われるというようなことを六カ国でお話をぜひしていっていただきたいと思います。御答弁は結構です。
 これに関連しまして、防衛庁にお尋ねをいたしておきます。
 自衛隊の災害出動は、国内において、各地における水害や地すべり、先日の日航機の事故に際しての出動など、多人数の部隊が出動し活躍をいたしておりますが、事国外となりますといろいろと問題があり実現をいたしておりません。さきに民社党塚本委員長は通常国会代表質問で、外国で大規模な災害が発生した場合、救援隊に自衛隊を加えるべきだと提言をいたしましたが、それにつきまして中曽根総理は、自衛隊員の身分を外務省や総理府に移して派遣することもあり得る、諸般の問題を検討し対応したいという前向きな姿勢を示されましたが、災害はいつ発生するかわかりません。国際的な連帯感の上に立って早急に結論を出すべきだと考えますが、いかがでしょうか。敏速かつ適切な行動がとれる体制づくりが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
#528
○国務大臣(加藤紘一君) 国際緊急救助隊につきましては外務省を中心にいろいろ御検討いただいておるようでございますが、先ほど外務省から御答弁がありました関係省庁の中に防衛庁は入っておりません。したがいまして、この問題につきましては、今後政府部内で防衛庁の参加の問題につきましては慎重に検討していかなければならないテーマであろうと思っておりますが、しかし現在の自衛隊法の「任務」には、自衛隊が海外で災害救助活動に従事するということが書かれておりません。したがいまして、もしそういうことに本格的に参加するような場合には、やはり自衛隊法の改正をしっかりやってからでないといかぬのではないかなというふうに思っておりまして、今後の慎重に検討する課題であろうと思っておりますが、現在参加ということを考えておりません。そういう段階でございますので、今のところ身分をかえてということは、本格的にやろうと思ったらなかなか難しいのではないだろうかな、こう思っております。
#529
○山田勇君 防衛庁長官、結構でございます。ありがとうございました。
 外務大臣に最後の質問をいたします。開発援助について質問いたします。
 今回の対比援助についての疑惑の徹底的な究明は言うまでもありませんが、このようなケースが他の国の援助に対しても発生しているのではないか。援助全体に対する見直しをしなくてはならないと思います。国民の税金など公的資金から出ている経済援助が、相手政権の私腹を肥やすために利用されていたとすれば、政府の責任は重大であります。
 我が国の政府開発援助いわゆるODAは、今後七年間で現在の年間一兆円規模を倍増することにもなっておりますが、その援助は真に相手国民、国家のために使われてこそその目的にかなうと思います。したがって、その使途については厳しく監視する必要があり、これは援助する側の当然の権利ではないかと考えますが、大臣の御所見を伺いまして私の大臣への質問を終わります。
#530
○国務大臣(安倍晋太郎君) ODAについての山田さんの御意見、私も全く同感でありまして、やはり日本がアメリカに次いでの膨大な援助を国際的にしております。これは日本の国際的責任であろうと思います。開発途上国も日本の援助によりまして、その国の福祉の向上、あるいはまた経済の安定等に大きくその効果が上がっておる、こういうふうに思っておりますし、日本はこれまでの援助に当たりましては、相手の国の政権ということを対象にするのではなくて、やはり相手の国の民生の向上、国民に直接結びつく形での援助でなければならない、こういうふうに考えております。その援助の基本精神は、人道主義あるいはまた相互依存という立場を貫いております。
 そういう中で、援助に当たりましては各国と比較いたしましても日本の場合は非常にきちょうめんにやっておる、こういうふうに私は思っております。事前の調査であるとか、フィージビリティースタディーであるとか、あるいはまた最終的には交換公文を取り決めまして相手側との約束を取り交わしておりますし、さらにその後のフォローアップ等も行っております。そしてまた、援助が適正に行われておるかどうかということについては評価委員会等つくりまして評価を行っておるわけでございまして、我々はそうした意味では全体的に効果的に効率的に行われておる、こういうふうに思っておりますが、しかし今フィリピンの問題等も出まして、援助のあり方等について疑問を持たれ、あるいはまた援助そのものについての疑惑の声が上がっておるのは非常に残念に思っております。
 したがって、我々はやはりこうした問題を解明いたしまして、そして本当に今おっしゃるように援助が真に相手の国の国民のためのものでなければならぬ、こういうふうに思っておりますし、そうした今回のフィリピン問題の解明の中に反省すべき点があれば、あるいはまた改善すべき点があれば、これはもう積極的に改善していかなきゃならぬ。そうして、この援助をさらに拡大をしていくわけですから、これが開発途上国から本当に評価されるような形に持っていきたい、こういうふうに思って、いろいろの面で今回の事件等を契機にいたしまして総合的に今再検討といいますか、見直し等も含めて勉強、研究をいたしておるところであります。
#531
○山田勇君 大臣、御退席していただいて結構でございます。
 続いて厚生省にお尋ねをいたします。
 厚生省は、昭和五十八年二月に発足したばかりの老人保健制度に今回早くも大改革を行おうとしておりますが、朝令暮改とまでは言いませんが、余りにも改正が早過ぎるのではないか。その上、自己負担の増加などは老人にとってはまさに死活の問題であります。この大改正の背景には、最近老人医療費が年率一〇%を上回って上昇していることや、一昨年十月に新設した退職者医療制度の見込み違い、また六十一年度の社会保障予算の厳しいシーリングによるものなどが背景にあると思いますが、その点厚生大臣いかがでしょうか。
#532
○国務大臣(今井勇君) 老人保健法の改正をなぜ行うのかという御質問だと思いますが、老人の医療費というのは、人口の非常に高齢化が急速に進んでおりますので、おっしゃいますようにずっと伸びてまいりまして、やっぱり今後も増大することは避けられないものだと私は思っております。そういうふうな老人医療費を長期的な観点に立ちましてどのように適正なものにしていくのか、またどのように国民が公平にこれを負担していくかというのが今日の緊急の問題だと思うわけでございます。また増大します介護を要するお年寄りについての保健だとか、医療福祉の総合的な推進もまた急務であろうと思います。
 そこで、今回の老人保健法の制度の改正というのは、こういう問題にこたえるために、まず一つは世代間の負担の公平ということを図るために一部負担を改正しよう、二番目は、医療保険の間の負担というものが実は必ずしも均衡でないと私ども考えておりまして、その不均衡を是正するために加入者の案分率を引き上げようと思っております。三番目は、介護を必要といたしますお年寄りやその家族のための老人保健施設というものを制度化しようということが今回の改正の大きなねらいでございます。
 こういうことにいたしまして、老人保健制度が長期的に安定が図られて二十一世紀におきましても安心して老後を託せるような制度を確立してまいりたいというのが私どもの願いでございます。
#533
○山田勇君 老人医療費への各保険者の拠出金算出の変更が原案どおり通れば、六十一年六月から老人保健拠出金は六十年度に比べ組合健保全体で一千三百五十億、または、政管健保では一千四百六十億円の大きな増加となり、片や、自営業の者や農家が中心の国民健保では二千九百億円のマイナスになることで、国の国民健保への国庫補助が一千六百億円減る勘定になると聞いておりますが、その点いかがでございますか。
#534
○政府委員(黒木武弘君) 今回の加入者案分率の変更に伴います国庫負担の影響額でございますけれども、六十一年度、私どもは千七十六億円の減というふうに見込んでおります。なお、このほかに一都負担の改正による国庫負担の減が八百八十七億円ございまして、合計いたしますと、国庫負担の減が千九百六十三億円ということで見込んでおります。
#535
○山田勇君 そもそも老人保健制度が発足の趣旨は、来るべき高齢化社会に備え、医療保険制度の基盤の上に国と地方自治体の責任のもと、長期的な安定化を目的としてきたものであったはずだと思うのであります。
 また、医療費以外の保健事業、保健サービスや施設については、国の責任のもと市町村が実施主体となり、この費用の支弁は国と地方自治体が全額負担すると同法に規定しておりますが、この施設事業は遅々として進まず、その上いよいよ実施段階になってその費用負担の変更、そして財源をサラリーマン保険に頼るというようなことは筋違いではないかと思うわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
#536
○国務大臣(今井勇君) 今ちょっと御答弁申し上げましたが、これからの高齢化社会を迎えまして、老人保健制度を長期的に、しかも安定していくためにはやっぱりどんどん増大し続けております老人医療費というのを国民が公平に負担していく仕組みが不可欠のように思います。そのために現在お年寄りの方が負担しておられます一部負担の額というのは、全体の医療費の、四兆円を超えます老人の医療費のうちの約六百億円、割合にして一・六%であるわけです。残りのほとんどは若い世代が負担をしている実情を踏まえまして、何とかこれを、世代間の負担の公平を図るという観点から一部負担の改正をお願いしたいというのがまず第一点。
 それから次は、老人加入率というものがございますが、今、実は格差が大分ございますので、これを是正して、どの保険者も同じ割合で老人を抱えるようにすることによりまして老人医療費の公平な負担の実現を図りたいというので、今度は加入者の案分率の引き上げを行いたいと思っているものでございます。
 こうした改正をいたしますので、先生おっしゃいますように、本来国や地方が負担すべきところを老人や保険者に肩がわりさせるということではなくて、やっぱり国は従前どおり医療に要します費用の二割を持ちますし、都道府県は五%、市町村は五%を持ちますので、あとは各保険者、政管健保であるとか組合健保というものがそれぞれ持ち寄ろうという考え方でございますので、少し先生の御指摘はいかがかと思っておるわけでございます。
#537
○山田勇君 結局、政府の考えております改正案は、医療それから費用負担の肩がわり、すなわち老人加入率の高い国民健保の負担を減らすために老人加入率の低い健康保険組合の加入者や企業に肩がわりさせ、それによって国自体の負担を減らす、また一方では、病院を老人ホームがわりにする寝たきり老人が多いため、この人たちに特別養護老人ホームと病院の中間施設をつくることとしておりますが、これに収容した人たちには、要する費用についてもその大半を保険者に負担させるということのようですが、これでは国のやるべき福祉行政を安易にサラリーマンと企業に肩がわりをさせるということになりますが、これではちょっと虫がよ過ぎるということにはなりませんでしょうか。
#538
○政府委員(黒木武弘君) お答えをいたします。
 国庫の肩がわりあるいはサラリーマン等への肩がわりという御指摘でございますが、まず先ほど大臣からお答えいたしましたように、私どもの国庫補助で見ております、つまり公費で見ております医療につきましては、老人医療費の二〇%分でございますけれども、来年度は八千百八十四億ということで六百五十五億円の増額を計上いたしておりますとともに、御指摘の老人保健事業につきましても二百九十二億、対前年度伸び率で三五%、額にして七十九億の増を計上いたしておりまして、老人医療の確保あるいは保健事業の充実ということに相努めているわけでございます。
 さらに、今回加入者案分率を変更いたしまして、結果的には国庫補助が減になるということでございますが、これは先ほど大臣からお答えいたしましたように、私どもは老人加入率について各保険者間の格差を是正するということで、結果的に老人医療費の公平な負担を通じて、何と申しますか国庫補助が減になるということを申しているわけでございますけれども、それではなぜ老人加入率について格差を是正するかという点でございますけれども、それは国保に老人がたくさん入っておられる、それはなぜか。それはサラリーマンが退職されますと、いずれは国保に加入されるという状況でございまして、したがいまして、現在国保は健保組合の四倍の老人加入率と相なっているわけでございます。したがいまして、その四倍の格差を是正いたしまして、どの保険者も等しい老人数を抱えていただくということで負担の公平を図ろうということでございまして、決して健保組合が黒字だからとか、あるいはサラリーマンにしわ寄せするとか、あるいは国保の肩がわりをさせるということではなくて、負担の公平ということを図ることによって、しかも二十一世紀に向かって長期的な安定のためにそういう制度を改革することによって、結果として国庫補助等が減額になるということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#539
○山田勇君 健康保険組合の黒字財政の原因は、組合が常々努力して、レセプトの点検、医療費通知、保健事業、健康管理など一生懸命やり、むだな医療費を節約しているという要素もあると思います。黒字で拠出金を出す能力はある。余ったものは出せということになりますと、健保組合はばかばかしくて、経営努力は何のためにやるのかといったような気分になると思うんですが、その点どうでしょうか。
#540
○政府委員(黒木武弘君) 健保組合の黒字につきましては、私どもは、一つは健保組合がほかの制度に比べまして被保険者の報酬が高い、あるいは老人加入率が低いといったような構造的な要因によるもの、そのほかもう一つとしては、御指摘のように医療費の適正化等の収支両面にわたる経営努力のたまものであるというふうに考えております。したがいまして、今回の加入者案分率の引き上げにつきましては、その経営努力をむだにするような形は考えておりませんで、経営努力の及ばない、先ほど申しましたように老人加入率を各制度とも等しくしてもらおうということでございまして、健保組合の経営努力を無にするような措置ではなくて、何度も申し上げましたように、負担の公平ということからそういう結果に相なるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#541
○山田勇君 まあ、わからぬでもないんですがね。しかし、実質的にはそうなってくるわけで、健保組合の黒字というものと拠出金とは僕は全く無関係と思います。黒字があるから拠出金が出せるというなら、じゃ赤字にすれば拠出金は出さなくてもよいという論理にもなります。何も拠出金の財源のために黒字を出しているんではないと考えますが、その点再度、政府はどういうふうに考えておられますか。
#542
○政府委員(黒木武弘君) 老人保健法で各制度間の老人加入率の調整をいたしまして負担の公平を図っておるわけでございますけれども、これは現行法も各保険者が黒字であるから、赤字であるからということで財政調整をいたしているわけではございません。現行法も老人の加入率を調整しているという仕掛けでございまして、それを今回の改正では、それを今四四・七%だけ公平に調整をいたしているわけでございますけれども、その調整の仕方を六十一年度で八〇%、六十二年度は完全に公平にするということで、どの保険者も同じ割合で老人を抱えていただく、その形で拠出していただこうということでございまして、私どもとしては、黒字があるから出していただくとか赤字だから出さなくてもいいという制度ではございませんで、老人加入率を調整いたしておる制度であるということで御理解をいただきたいと思います。
#543
○山田勇君 最近老夫婦が病気を苦にして心中するというような新聞記事が目につきますが、厚生省の国民健康調査によっても昨年度の老人の有病率は六十五歳から七十四歳までで人口千人につき四百二十四人、七十五歳以上は約五百五十六人で、半分以上が病気にかかっているようですが、老人の有病率は年々ふえていく傾向でしょうか。長寿世界一といっても、病気を抱えての老後の生活は決して楽しいものではありません。まして心中にまで追い込まれるようでは、何のための長生きかわかりません。高齢化社会の老人対策は一層きめ細かいものでなければなりません。六十五歳以上の老人の三分の一が夫婦か一人暮らしといった調査もあるようですが、この点を踏まえて老人施策についてお答えをいただきたいと思います。
#544
○国務大臣(今井勇君) おっしゃいますように、これから長寿社会を迎えまして、お年寄りの方々が老後を幸せに暮らしていくためには、まず第一に健康であることが私は基本であると思います。
 そこで、お年寄りの方々は若い人に比べましてどうしても病気がちでありますことや、その病気も成人病などの慢性的なものが多いということを考慮しますと、やっぱり老後を健康に暮らしていくためには若いころからの健康づくりだとか、あるいは病気になったり介護を要する状況になったときの対応が一層私重要になってくるものだと思っております。
 そこで私は、老人保健制度というのをやっぱり長期的に安定したものにいたしまして、それで二十一世紀になりましても安心して老後を託せるような制度とするために、私どもは今老人保健法というものの改正をお願いいたしているわけでございます。同時にまた、壮年期からの健康づくりを初めといたしますヘルス事業、これを一層推進を図っていかなきゃなりませんので、これにも私どもは大いに力を入れているところでございます。
#545
○山田勇君 経済大国だとか先進国家だとか言われておりますが、その礎となって戦後の荒廃した焼け跡の中から一生懸命日本の経済のために働いてこられた方が、ちょうど今老人という立場で国の保護を受けるという立場にあるわけですから、十分きめ細かい行政というのを厚生大臣に特にお願いをいたしまして、厚生省への質問をこれで終わります。厚生大臣、どうぞ御退出いただいて結構です。
 竹下大蔵大臣は昨年の十一月、大阪におきまして財政再建問題について触れられ、内需拡大のためには阪神に優勝してもらう方がいい、総理大臣にだれがなろうが、阪神タイガースがこれから五年間、六十五年度まで優勝を続けてくれれば財政は赤字国債依存型から間違いなく脱却できると述べられておりますが、確かに阪神フィーバーによります異常なまでの活況、それによる経済波及効果は大したものでありました。大蔵大臣のこの御見解は極めて傾聴に値するものと敬意を表するものであります。
 仰せのとおり、六十五年まで阪神タイガースが優勝し続ければその力で財政再建が達成されるようならば、阪神タイガースとともに竹下大蔵大臣の名前も後世の歴史に輝かしく残ることと思いますが、私はそれはちょっと、現実のものになることを切望してやみませんが、しかしながら、今日の財政状況を一見しますと、政府・自民党がこれまで公約してきました昭和六十五年度の赤字国債脱却の実現は、遺憾ながら阪神タイガースが今後五年間優勝し続けることよりも私は至難のわざと判断をせざるを得ません。
 既に御承知のごとく、我が民社党・国民連合は政府に対しまして、これまでの縮小均衡型経済運営から拡大均衡型へと転換し、早急に積極財政政策を推進するよう強調してまいりました。それによって現在の我が国が抱えた三つの重要課題、すなわち対外経済摩擦の解消、第二点が円高による景気減速への対応、増税なき財政再建への達成の解決が図られるからであります。
 しかるに、政府が来年度予算においても大幅な所得減税、投資減税の見送り、法人課税の強化、一般会計、公共事業費の抑制など、円高不況の克服と内需の拡大を阻害する対応をとり縮小均衡型経済運営をなおも踏襲している、これは極めて遺憾であります。
 また政府は、全く内容の乏しい民間活力の活用を声高に叫んだり、政府として何ら手助けもできない阪神タイガースの優勝に望みを託したりすることはなく、経済運営の一大転換を図り、前に述べました三つの課題の解決に向けて前進をすべきだと考えるのでありますが、大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
#546
○国務大臣(竹下登君) 大変激励をいただきましてありがとうございます。
 私が申し述べましたのは、昭和三十九年というのはいろんな年であった。すなわちオリンピックが東京で行われ、IMF世銀総会が行われ、OECDへの加盟が成って、新幹線ができて、黒四ダムができてと、こういうことを話しましたら、大阪財界の方がもう一つ忘れてはいませんかと、すなわち昭和三十九年阪神タイガース優勝の年と、こういうことでついそういうお話になりまして、別に悪気があったわけではございません。
 民社党、いわば拡大均衡経済というよりも拡大均衡財政を展開しろ、こういうかねての御主張でございます。私はいわば縮小均衡経済というよりも縮小財政というところに一つのポイントを自分自身置いているのではないか、こういう感じをいつも持っております。確かに、これは昭和六十五年赤字公債脱却というのは容易ならざることでありますが、今この旗をおろすわけにはいかない。まずはやっぱり努力目標として掲げておりますところの、この六十五年赤字公債依存体質から脱却する、これはいかに苦しくとも毎年毎年の予算でそれこそ内なる改革を期待しながら、最終的には国民の皆さん方が負担増をすべきか、あるいはサービスというものをある程度のところで我慢すべきか、その国民のコンセンサスが那辺にあるかということを、こういう問答を通じながら模索し続けておるというのが現状でございます。
 ただ、公共事業の抑制等のお話がございましたが、確かに国費ベースでは減っております。が、これは事業費は確保して四・三%の伸び率と、そしてそれが、いわゆる超物価安定の中において四。三%が、期待する以上に私はその効果はあるであろうというふうに考えております。そして予算を通過させていただきましたならば、これが弾力的運用、弾力的執行等において十分配慮していかなければならぬ。その決定は予算委員会等でこのような問答を繰り返す中で、それらを参考にしながら、予算成立直後可能な限り早い時期に執行体制を固めていきたいというふうに考えております。
#547
○山田勇君 そこで、円高による景気減速への対応ということで通産大臣にお尋ねいたします。
 この円高差益をどうするのか、これは現在国民の最も関心を集めている問題の一つだと思いますが、渡辺通産大臣はこの問題についていろいろと発言をされております。今後具体的に、国民にどのような形で還元すればよいのかをお聞かせいただきたい。電力・ガス料金をどうするのか、輸入品を安く国民の手に渡すのにはどうすればいいのか。余りにも大きな差益でありますから、国民の肌に実感として伝わる還元方法はいろいろあると思います。貿易黒字五百億ドル、原油価格の低落、それに円高差益、これらの金は一体どこへ行ったのか、国民の素朴なこれは疑問でありますので、国民にわかりやすく御説明をいただきたいと思います。
#548
○国務大臣(渡辺美智雄君) 円高差益は、確かに二百五十円、二百四十円というような為替レートが、二百円を割って百八十円あるいは百九十円ということになれば、その時点から起きてくるということであります。これはもう、石油などは実際は少しずつ下がっております。ただ、一月とか二月はまだ二十七ドル五十七とかいって、余り下がってないんですね、やっぱり運ぶのには時間がかかりますから。スポット物が安いといっても、全体ではありませんから、値段と期間と取り決めたものは下がってない。だから、それがだんだん下がるように恐らくなるであろうということでございますので、幾らまで下がるのか、そこの見通しがつかない。架空の計算はできますよ、幾らでも架空はね。だけれども、実際問題としてその見通しがひとつまだ立っていないということ。それから円レートは幾らで落ちつくのか。百八十円でずっとこれから先落ちつくのか。いや、そんな困る、困ると、もっと安くしてくれという人はいっぱいあるわけですからね。百九十円ぐらいがいいのかと。それによって幅がまるで違ってくるわけだ。したがって、そこらのところをよく今見きわめている。
 しかし仮に、仮にですよ、二百四十円から五十円ぐらい強くなったということになれば、ガスと電気と両方で一兆円くらいの差益ということになるんでしょう、それは。だけれども、それを今確定していいのかどうか、そこらのところも考慮中なんです。それから石油の値下がりもこれはやっぱりある程度見込まざるを得ないんじゃないかなと。これは多少時間がかかるが、ここらも頭に入れますと、まだもう少し決定までには時間がかかる。しかし、分けるときは、やはりこういうものは実需者ですね、実際に使っている人、これはコスト主義ということで法律で決まっておるわけですから、だから、そういうことで実需者に分ける。実際は家庭用が大体電力では二五%、あと七五%は営業用と工場用なんです、実際はね。ですから、全体に恩恵がいくようにすることがやっぱり必要なんだろうなと、そう思っておるわけでございます。
 ですから、方針としてはその程度までで、あとはひずみがありまして、景気を拡大しろ、いっぱい事業をやれと、しかし、電気料は事業をやった人は、ちょっと罰則ということもないが余計いただくよというのでは、そのまま置いてこれは内需拡大のブレーキになるわけですから、そこらのところも少し考え直しをする必要があると、そう思っております。
#549
○山田勇君 大臣、これは間違っていたら間違っていたとお答えいただいて結構なんですが、聞くところによりますと、このガス料金、電力差益で上げます今大臣おっしゃいました約一兆円ほどのこれを、そういう形で一律還元という形がいいのか悪いのか、一世帯に千円でも五百円でも八百円でも還元されるということは大変ありがたいことでありますが、通産大臣はどこで御発言になったか、僕もちょっと事実確認をしておりませんが、その一兆円というもうけたものは、会社の利益は利益として認めさせて、そこから税金を取って、その取った税金によって何か目的税的に、例えば輸出貿易で不振をこうむった業者にそういうものを還元していったんではどうだろうかというような発言をしたかせぬかというようなことを僕は聞いたことがあるんですが、僕は、大臣がもしそうおっしゃったなら、それはそれなりでなかなか見識ある一つの施策だなと思っておりました。それは、どなたも一世帯千円でも五百円でも返してもらいたいことでしょうが、本当に大所高所に立った政策という面から見ると、そういう還元方法もいいんではないかなというふうに僕は感じたものですから、その点について大臣の御所見を伺いたいと思います。
#550
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、主として六十年度のことに関連してそのような発言があったのかもしれません。額が非常に少ないわけですから、やはり半分近いものは国と公共団体に税金は利益があれば入るわけですから、これはお国と地方団体に入るということは一番の還元なんですね、実際は。国民に返すことですからね。ですから、その残りのものについて前倒し等の公共事業の方に使ってはどうかというようなことを言ったことは、あるいはあるかもしれません。それからもう一つは、これをそうすると決めたわけじゃありませんが、それも一つの考え方であります。しかし仮に、仮の話ですからね、これは。先ほど言ったように、仮に見通しがはっきりついて、一兆円というような見通しがつけば、やはりこれは実需者というものを考えなければなるまい、そう思っておるわけであります。
#551
○委員長(安田隆明君) 関連質疑を許します。井上計君。
#552
○井上計君 通産大臣に円高に関連をしてお伺いをいたします。
 急激な円高とさらに貿易摩擦の緩和のために、去る二月の十四日に特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法が制定をされました。これは、昨年の九月末以来、急激な円高で深刻な事態に直面しておるそれらの輸出関連の中小企業者に対してはまことに適切な助成施策であると、このように高く評価をしておるわけであります。ただしかし、この法律の立法化が検討された昨年の十二月ごろと現在と比較いたしますと、円レートは当時は、十二月初めはたしか二百四、五円であったと、こう思います。制定された二月十四日は百八十四円三十五銭でありますが、きょうあたりは百八十二円ぐらい、先般は百七十五円ぐらいになっておるわけでありますから、かなりまた一段と円高が進んでおるということになります。
 それから、もう一つは公定歩合でありますけれども、これが検討されている時点では五%でありました。ところが、制定された二月十四日ごろは四・五%でありましたが、この三月十日になりまして四%にさらに公定歩合引き下げがなされております。近くまたあるいはもう一回公定歩合の引き下げがあるかというふうなうわさもありますけれども、といたしますとこの立法が検討された当時、また制定された当時と現在と比較すると、さらに一段とこのような状態からして深刻化しておるわけであります。
 そこで、これは要望でありますけれども、この法律によって五・五%という特定金利が示されておりますけれども、これを特利とはちょっと言えないような状況になっておりますが、これはもう一段とこの五・五%の特利を下げる必要があるんではなかろうか、こう考えますが、いかがお考えでありますか。まずそれをお伺いいたします。
#553
○国務大臣(渡辺美智雄君) 状況が確かに変わっております。それから円の相場の動向も変わっておりますから、そういうようなものが中小企業に与える影響等を十分注意しながら頑張っていきたいと思います。
#554
○井上計君 大蔵大臣、ひとつ……。
#555
○国務大臣(竹下登君) 確かにその後下がりまして、民間のプライムレートは三月三十一日から連動するわけでございます。だが問題の一つは、されば預託金利はどうか、こういうことになりますと、法律で六%よりも少し上と、こういうことになっておりますので、先般の下げの結果六・〇五でございますから、それをさらに食い込むものには言ってみればこの補給等が生じてくる、こういうことになるわけでありますが、いずれにせよ金融政策というのはまさに弾力的、機動的に行うべきものであると。一般論で申しわけありませんが、きょうのところは一般論の域を出ないことをお許しいただきたいと思います。
#556
○井上計君 いずれにしても当時とまたかなり状況が変わっております。さらにまた円の先高観が非常にまだあるものでありますから、中小企業等の三月、四月の成約がもうかなりストップしている。中小企業庁の調査でもはっきりあらわれておりますが、ますます深刻さを加えておるわけでありますから、大蔵大臣も通産大臣も特にまた御配慮、御検討をひとつお願いしておきます。
 それから次に、これまた調査ではっきりしておりますけれども、各産地はますます苦境に陥っておるということであります。したがいまして、事業転換を急いで行わなくちゃいかぬと、こう考えますけれども、特にその中で繊維あるいは雑貨類等については、円高に加えて中進国との競合がさらにひどくなっておりますから、まことに深刻な事態になっておるわけであります。
 ところで、その繊維産業が行っておるところの設備の共同廃棄事業についてでありますけれども、これをこういう情勢の中でさらに積極的に活用すべきである、こう考えます。ところが通産大臣は、昨日の商工委員会、またきょうの当委員会で同僚委員の質問に対していろいろとお答えありましたが、現在の設備の共同廃棄事業をこの際どうあるべきかということを検討したいというふうなそういう意味の御答弁があったわけであります。もちろん検討は必要でありますけれども、この制度のよしあしと、それから手段、方法のよしあしとはまた別でありますから、これらについては十分ひとつ御検討をお願いいたしたい、慎重にお願いをしたい、こう思います。時間を短くする意味でもう御答弁要りません。
 そこでそれに続きまして、繊維産業は六十年度から設備の共同廃棄を行っておるわけであります。これが撚糸工連事件のような不祥事件を発生させたと、こう言われておりますけれども、しかし、大多数の廃棄をしておる企業というのはまじめな中小企業者ばかりでありますから、いわば撚糸工連の問題によってそれらの計画、三年計画が途中でいわば計画が変わるとかということになりますと大混乱に陥りますので、その点も十分御配慮いただきたいと思いますが、それについて、この六十年度から既に完全に破砕を実施している企業というのが相当あります。特にその中で六十年度下期分の完全破砕企業が約四千六百企業あります。それらについての融資残が百五十五億円でありますが、いただいた資料によりますとあるわけでありますけれども、もしそれらのものが今回の撚糸工連事件にいわば関連して融資がおくれるということになりますとこれは大変な事態が起きる、こう憂慮しておるわけでありまして、これらのことにつきましては十分さらに厳重に監督をしていただく、あるいは精査をしていただくことは当然必要ではありますけれども、何しろ年度末になってまいりましたから、年度内にこれらの融資についてはひとつ実行できるようにぜひこれは要望したいと思いますが、どうお考えでありますか、お答えをいただきます。
#557
○国務大臣(渡辺美智雄君) 既に破砕をしてしまったというような六十年度の分についてはこれはやらざるを得まい、融資はせざるを得まいと思っておりますが、しかし、このより糸の組合の方はまた差しかえて、実際無籍物を持ってきてこれだと言われてやられたのではかなわぬわけですから、それは十分に調べさしてもらうし、今後はやはりそのようなケースが、あるいはあるかないか、私はないと思いますけれども、後になってあったと言われても何ともこれは困る。したがって、実際のどれをつぶしたのかということを、大変なことではありますがはっきり確認できない以上は、私はただぼんぽんと上がってきたから融資するというわけには今後はいかないと思っておるんです。したがって、そういうような問題について、抜本的に制度のあり方も含めて検討をしたいと思っております。
#558
○井上計君 撚糸工連については今大臣おっしゃったように、私はこれはもう当然やむを得ないであろうと、こういうふうな理解をしておりますが、撚糸工連以外のいわばまじめに規定どおり破砕を実行しておる団体、さらに企業等については、やはり年度内の融資ということを行いませんとこれまた大変な事態が起きるというふうに考えます。企業の中にはこの融資によって退職金等々を予定し、また次の転換をもう既に計画をしておるという企業が多いようでありますから、特にこのことをひとつ要望をしておきます。
#559
○山田勇君 大臣、ありがとうございました。結構でございます。
 そこで大蔵大臣、先ほど申し上げました対外経済摩擦の解消、円高による景気減速への対応、増税なき財政再建の達成、この三つの課題の解決に至るまでの具体的なプロセスを、これはこうこうこうだというふうにひとつわかりやすく御説明をいただきたいと思うのですが。
#560
○国務大臣(竹下登君) なかなかわかりやすく御説明申し上げる山田さんほどの話術も持っておりませんが、まず対外経済摩擦の解消というものは、これは何としても大幅な貿易経常収支の黒字があるから、したがってこういう摩擦というものになった。そこで、貿易経常収支の不均衡は何であったかと言えば、一つはやはりドル高ということがあったでございましょう。したがって、中長期的に不均衡是正に資するというためには、いわゆるドル以外の通貨、円も含めて、これが適正なそれぞれの国の経済の基礎的条件を反映するようになって円高基調というものになってきた、これがやはり一つ中長期的には経済摩擦に寄与するところでありましょう。
 それからさらに、率先して市場はこのように開いておりますよということで新ラウンドの推進、こういうことをこれからも努めていかなければならぬ。実際問題、日本はと関税の低い国はないのに、何だか大変障害を起こしておるというような誤解も受けているわけですから、これらは先般のアクションプログラム等の実態をよく外国の方にも知ってもらって、そして実施に移していかなければならぬ。
 それからその次は、やはりこれはニューヨークにおけるG5でも決めましたように、それぞれの国々が今の経済政策で果たす役割というものをきちんと果たさなきゃならぬ。それは何かといえば、我が国に要請されておるのはより市場の開放に加えていわゆる内需拡大をやるべきである、こういうことになっておるわけです。
 そこで、今、井上先生からお話がありましたが、今とタイミングが若干ずれつつございますが、昨年十月と十二月、二回にわたっていわゆる内需拡大策を打ち出した。補正予算を通していただきましたことによってそれが逐次進みつつあるであろう。通していただいたばかりでございますけれども、六千億円という債務負担行為によって公共事業を契約してもいいですよということも国会でお許しいただいたわけでございますから。
 さらにいま少し時間をかけなきゃいかぬのは、今一体円高のメリットは何だとよく言われますと、率直に言って感謝していらっしゃるであろうと思われるのは海外旅行をした新婚さん、新婚さんに限らずでございますが、これだけは大変円高で実感として我が国の平価の購買力が強くなったという印象を受けられた。そして二番目は先ほど来御論議なすっておりました、将来いわばこれが安定していくならば円高のメリットを受けられる企業でございます。それで一番苦しんでいらっしゃるのは、これは何としても特に、今もお話がありましたように中進国とぎりぎりの競争をしておるところが円高になって、特に韓国などは御案内のようにドルにリンクしておりますから、したがって日本と同じような技術力であったとすれば大変有利な状態になる、こういうところはそれこそ今のお話にありました、先般早目に通していただいたあの中小企業の法律等によって対応をしていく。
 そこで、じっと中長期的に見ていただきますと、何としても原燃料、原材料、これはみんな下がるわけでございますから、したがってそれがまたいわゆる企業収益をよくする方向に働いていくということは、やっぱりこれは期待のできることであろうというふうに考えなければなりません。しかし、円高のデメリットは今一番出ておって、円高のメリットはまさに中長期のものである。ここでじっと我慢の子であったということをお願いをしたい気持ちでいっぱいでございますが、私自身も毎日受け取っておりますが、きょうの引け値が何ぼだったか、こういうようなことを見ながら、きょうは百七十九円四十五銭ということでございますけれども、日夜乏しき知のうを悩ましておるというのが実情でございます。少し長くなりましたが、これはいわゆる為替レートの推移によるメリット、デメリットの今後の問題についてお話をいたしました。
 それから内需の問題については、さらに予算が通過いたしました後これらの問題に対応をして具体的な、先ほど渡辺大臣からもお答えのありました円高差益の還元をも恐らく含め、あるいは金融政策の弾力的運用をも含め、総理が中心になってさらに第三弾とでも申しましょうか、当面の経済運営に対する方針をお出しになるであろうというふうに考えます。
 それから三番目の財政再建の手順ということでございますが、確かに経済というものが流動的である中で、その一部を支える財政というのをいわば非常に定量的に先を見込んで計画を立てることは、現実自由主義社会においては非常に難しいことでございます。したがって私どもは、毎年毎年の予算編成に当たって制度、施策の根本にまでさかのぼって必要ならばいつでも財政が出動するだけの力をつけなきゃいかぬわけでございますから、それに不断の努力を重ねていく。いささか話が長くなりましたが、話術はとてもかないませんが、以上のようなお答えでございます。
#561
○山田勇君 どうも大変丁重に御答弁いただきましてありがとうございました。それだけ御答弁いただきますと、私ども大分この話を持って講演へ行けるんじゃないかと喜んでおります。
 そこで大臣、海外旅行者も助かりますが、留学しております子供たちに送金するのが非常にそれもメリットがあるので、私も子供が向こうに行っておりますので随分多い目にそのときは送っているということ、大変私の経済にも助かるメリットもあるわけでございます。
 そこで、貿易摩擦に関連しまして、労働大臣大変長らくお待たせしました。労働大臣にお尋ねをいたしておきます。
 日米貿易の摩擦解消のために内需を拡大し輸入をふやすことが緊急課題として論じられておりますが、それではこの内需とは何か。今大臣からもいろいろと御説明もありました。内需とは何かと申しますと、国や地方自治体、それに企業、個人が使う金をトータルしたものが内需ということになると思いますが、政府や自治体は借金だらけ、民間企業にしても急激な円高で輸出不振となり景気の先行きに陰りが見えてきております。となれば思い切った設備投資も難しくなります。個人の消費拡大には賃上げ、大幅な減税ということになりますが、この点賃上げについて、ことしの春闘はどうあるべきだと政府は考えておられますか。総理の私的諮問機関であります経済審議会が昨年末発表しました中期経済計画に関する最終報告の中では、経済成長の成果を賃上げや労働条件の改善に回し個人消費を伸ばすべきだと提言をしておりますが、政府としての見解はどうでしょうか。ことしの春闘は大幅賃上げ、労働時間短縮、所得減税など組み合わせによって労働者の可処分所得をふやし内需を拡大し、ひいては貿易摩擦の解消にも通じるものでなければならないと思います。労使間の問題といえばそれまでですが、政府としても企業側に対しどうあるべきかというひとつ御方針を示していただきたいと思います。
#562
○国務大臣(林ゆう君) 先生御指摘のように、中長期的に見て、技術革新など経済発展の成果を賃金などに適切に配分すると、こういったことが勤労者の福祉あるいは生活の向上、そういったものにつながりまして、今日的な課題である内需中心の均衡のとれた経済発展に経済成長の面からも大変望ましいというふうに私どもは思っておるわけでございます。そしてこの賃金問題につきましては、労使間の良識ある話し合いで賃金が決定をされるということが基本でございまして、払えるところはできるだけ豊かにしていただくことを私どもは念願をいたしております。そしてまた、この労使間の話し合いによりまして今申し上げたように豊かにしていただくこと、これが内需拡大に結びつくということを私どもとしては期待をいたしておるわけでございます。政府といたしましては適度な経済成長、そしてまた雇用の確保、そして物価の安定等環境の整備に私どもとしては努めてまいりたいと、このように思っておる次第でございます。
#563
○山田勇君 労働大臣ありがとうございました。どうぞ御退室いただいて結構です。
 自治大臣に続いてお尋ねをいたします。
 大阪府など大都市圏域では不況感が強まり、地方税の大きな伸びが期待できません。その反面、大都市特有の財政需要がますますふえる中で、実態に即した地方交付税の算定がなされなければならないと考えますが、その点大臣いかがですか。
#564
○国務大臣(小沢一郎君) 御指摘のように、地方交付税の算定に当たりましては基準財政需要額の算定を通じまして、いわゆる今お話しのように、例えば大都市圏、人口の急増とかあるいは都市公園の整備とか、いろいろな実態の問題がございます。それにつきましては、その算定に当たりまして各種のいろいろな補正を行っております。
 それからまた、税収の減に対しましても、それらは基準財政収入額の算定を通じまして、交付税の額に反映するような仕組みにいたしております。しかし、この交付税、こういうものの算定はどうしても全国一律的な、客観的、画一的な基準をもってやらなければならないという面もあるわけでございます。したがいまして、今後、そういう基本的な性格を持ったものでありますが、できるだけ実態を把握しながら、それを反映することができるように今後とも努力してまいりたいと思います。
#565
○山田勇君 このことに関連しまして大蔵大臣にお尋ねいたしますが、国庫支出につきましても、地方団体の財政力等に配慮をして補助率なども調整すべきであると思うんですが、その点いかがでしょうか。
#566
○委員長(安田隆明君) 山田君、時間が参りました。
#567
○国務大臣(竹下登君) いまおっしゃいました議論につきましては、補助金問題検討会の報告を去年の暮れにいただきました。それに基づいて、それを閣僚会議で尊重して補助金の法律をお出しして今御審議をいただいておるところでありますが、「財政状況の良好な地方公共団体向けの補助金等の抑制措置について、地方団体間の財政力の格差の状況等を踏まえて、適切な方策を見出すべきである。」、こういう御提言がいただけました。
 そこで、六十一年度予算においては、こうした考え方を踏まえて、不交付団体向け調整措置の強化を行ったというところであります。必ずしも大阪にとっていい話ではないかもしれません。
#568
○委員長(安田隆明君) 以上で山田勇君の質疑は終了いたしました。
 明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後七時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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