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1985/03/27 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 逓信委員会 第5号
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1985/03/27 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 逓信委員会 第5号

#1
第104回国会 逓信委員会 第5号
昭和六十一年三月二十七日(木曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     出口 廣光君     亀井 久興君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     亀井 久興君     志村 愛子君
     松岡満寿男君     鈴木 省吾君
     抜山 映子君     中村 鋭一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり
    委員長         大森  昭君
    理 事
                岡野  裕君
                長田 裕二君
                片山 甚市君
    委 員
                志村 愛子君
                添田増太郎君
                西村 尚治君
                宮田  輝君
                山内 一郎君
                大木 正吾君
                服部 信吾君
                山中 郁子君
                中村 鋭一君
                田  英夫君
                青島 幸男君
    国務大臣
        郵 政 大 臣 佐藤 文生君
    政府委員
        郵政大臣官房長 中村 泰三君
        郵政省簡易保険
        局長      二木  實君
        郵政省通信政策
        局長      奥山 雄材君
        郵政省放送行政
        局長      森島 展一君
    事務局側
        常任委員会専門
        員       酒井 繁次君
    説明員
        外務大臣官房領
        事移住部領事第
        二課長     本田  均君
        文部省高等教育
        局企画課長   遠山 敦子君
        自治省業政局
        挙部管理課長  岩崎 忠夫君
    参考人
        日本放送協会会
        長       川原 正人君
        日本放送協会副
        会長      横井  昭君
        日本放送協会技
        師長・専務理事 矢橋 幸一君
        日本放送協会専
        務理事     川口 幹夫君
        日本放送協会専
        務理事     林  乙也君
        日本放送協会理
        事       松本 幸夫君
        日本放送協会理
        事       植田  豊君
        日本放送協会理
        事       井上  豊君
        日本放送協会経
        理局長     松村  勇君
        宇宙開発事業団
        副理事長    園山 重道君
        宇宙開発事業団
        理事      岩崎  隆君
        宇宙開発事業団
        理事      船川 謙司君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認
 を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○郵便年金法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大森昭君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十五日、出口廣光君が委員を辞任され、その補欠として亀井久興君が選任されました。
 また、昨二十六日、抜山映子君、松岡満寿男君、亀井久興君が委員を辞任され、その補欠として中村鋭一君、鈴木省吾君、志村愛子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(大森昭君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に宇宙開発事業団副理事長園山重道君、同事業団理事岩崎隆君、同船川謙司君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(大森昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(大森昭君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
#6
○片山甚市君 NHKの昭和六十一年度収支予算について御質問をするに当たり、私は逓信委員会にこの一年間籍を置きながら、NHKの放送について心温まる思いがたくさんありました。大変うれしく思うのでありますが、引き続き全職員の力によってよりよい番組を放送ができるように全員一致協力を願いたいことを冒頭に申し上げて、質問に移るところであります。
 まず、経営環境についてでありますが、冒頭に放送に対する国民の最近の視聴動向について聞きたいのであります。
 昨年、NHK世論調査部が行った全国放送意向調査や六十年度の国民生活時間調査によると、いずれもテレビ視聴時間の漸減傾向が見られます。テレビですと約三時間という報告がありましたが、その背景には、ビデオディスクやパソコン等のニューメディアへの志向、国民のレジャー行動の多様化等社会環境の変化があるとされておりますが、こうした調査の結果、動向について、川原会長から説明を賜りたいと思います。
#7
○参考人(川原正人君) NHKが昨年の秋に実施しました国民生活時間調査によりますと、多少国民の方々がテレビを見る時間が減っておりますけれども、これの主な原因としましては、やはり視聴者の方々がレジャー活動といいますか、そういうものに積極的に余暇時間をお使いになっておられるということが一番大きな理由かと思います。
 それから、年齢の低い小さい方の場合には、やはり小学生、中学生の方が平日の学業、勉強の方に相当時間をとられる傾向があり、その影響としましてテレビに接触する時間が減っているのではないかと想像しております。
 私どもNHKとしましては、テレビの視聴時間が長いことばかりが日本の社会にとって本当にいいかどうか、これは必ずしも視聴時間の長いことのみを願っているわけではございません。しかし、もしテレビの私どもの番組の制作態度が視聴者の生活の状況に合わないで、そのためにテレビに接触する時間が減っているとすれば、やはりこれは相当慎重に私どもも反省しなければならない点があろうかと思います。やはり国民の生活というものは時代の進展、それから生活意識の変化というものが刻々にあるわけでございますので、そうした視聴者の方々の生活感覚あるいは時代に対する認識に私ども的確に即応するような番組の制作、編成を今後とも考えていきたいというふうに思っております。
#8
○片山甚市君 今会長から言われましたけれども、時間の問題でなく質の問題だと言われる。いわゆるテレビ離れの問題について、基幹的な情報メディアとしてのテレビの地位は当分続くと思いますが、視聴者のテレビに対する期待にどうこたえていくのか。特に、ニュース、報道番組の拡充への期待が大きいことで、同時に民放各社ともその強化に取り組んでいるとのことでありますが、NHKはこれらの状況をどう受けとめて、ニュース、報道番組についての御努力をされるつもりですか。
#9
○参考人(川口幹夫君) ニュース並びに報道番組はNHKの生命とも言えるものであろうかと思っております。特に最近におきまして、NHKの調査したところによりましても、人々がニュースあるいは報道番組に対して非常に強い関心と期待を寄せているということは、これは明白でございます。私どももこれまでも鋭意その強化充実に努力をしてまいりましたけれども、さらにこの四月七日から始まります六十一年度の中ではいろんな工夫をいたしまして、新たに番組をつくるとか、それから内容の充実とかを進めてまいる所存でございます。
 まず、世界的な情報としてワールドネットワーク「世界はいま」という番組を一つ新設をいたします。それから、ニュースワイドの中のいろんなやり方を変えます。特に、いわゆる地域放送の充実等にもこの中では特段に留意をしてまいりたいと思っております。それから、NHK特集では、シリーズとして「世界の中の日本」というのを考えておりますけれども、現在のような情勢の中で特にこの番組などは強化してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
 それから、さらに緊急報道といいますか、いろんな事柄が予期せぬときに起こってまいります。こういう突発的なことに対しても万全の措置をとって的確に対応していきたい、このように考えております。
#10
○片山甚市君 昨年は放送界に対する厳しい批判すなわちやらせ番組などがありましたが、国民の放送に対する信頼性を一層高めるために郵政大臣、協会会長はそれぞれどういうような対策を今後していかれますか。
#11
○国務大臣(佐藤文生君) 放送というのが国民の日常生活に非常に重大な影響がありますので、放送の番組の質の向上に向かって各局とも鋭意努力してもらいたいと、こういう気持ちがいっぱいでございます。さらに、その番組編成の自由というものは放送法で保障されているわけでございますから、そういう裏腹にやはり社会的にも大きな責任があるということを自覚されまして質の向上に努力してもらいたいと、こういうことを常に言っております。
#12
○参考人(川原正人君) 何と申しましても今、放送特にテレビジョンが社会に与える影響というのは非常に大きいと思います。そういう意味での私どもの責任というものをもっと深く自覚をしてその責任にこたえられるような放送を進めるべきだと思います。そうでありませんと、もし私どもが十分な反省もなしにただ興味本位の報道姿勢あるいはセンセーショナリズムに走っておりますと、結局世論の厳しい批判が私どもの表現の自由そのものにまである種の制約を加える必要があるのではないかという方向に行くことを私は非常に恐れております。私どもは、そういうことの来さないようにあくまでも表現の自由を守るためにも私どもがやはりみずからの責任をはっきりと自覚をして視聴者の期待にこたえられるような質の高い番組を出すべきだというふうに考えております。
#13
○片山甚市君 NHKは、視聴率に振り回されることなく公共放送の役割を十分果たしたいという意味で言論、放送の自由を守っていきたい、国民から期待をされるNHKとしての放送の強化をしたいというように会長がおっしゃったと受け取って、この質問をまず打ち切ります。
 次に、財政状況でありますが、昭和六十一年度は三カ年経営計画の最終年度でありまして、最初の三カ年収支見通しによれば単年度で百十三億円の赤字が生ずるものとなっておりましたが、予算によれば九十九億円の赤字にとどまっておりますが、その理由、編成した予算の内訳の説明を賜りたいと思います。
#14
○参考人(井上豊君) 先生御指摘のとおり五十九年から六十一年度の三カ年経営計画におきましては、六十一年度の赤字が百十三億の収支不足ということを予定しておりました。これを計画前半の五十九、六十年度の百六億さらに七億、計百十三億で賄いまして、この収支の三カ年均衡を図ることといたしていたわけでございます。六十一年度の予算編成に当たりましては、先ほど申し上げましたように経営計画では三カ年の中で収支を相償うということでございました。また、事業支出、収入支出の、六十一年度の収入支出の関係で申し上げますと、当初の計画では十一億円の支出オーバーということになっておりましたけれども、私ども、六十一年度予算編成の中で、要員の効率化でございますとかいろんな意味での経費の削減あるいは予算の重点的な配分などによりまして支出を圧縮いたしまして、再々申し上げておりますけれども事業収支の均衡を図るということを基本にしたわけでございます。
 したがいまして、百十三億から十四億円の改善を図りまして、先生御指摘のように債務償還に九十九億円を充当するという形で九十九億円の赤字にとどまっているということでございます。
#15
○片山甚市君 それならば引き続き同じことを聞きますが、事業支出を切り詰め収支相償を図ったとのことでありますが、支出を切り詰めることが可能となった要因は何でございましょうか。
 これは今後の収支計画を見定める上で重要であると考えるのでお聞きするんですが、今おっしゃるように、要員削減等御努力をされることも収支上は必要でありますが、放送は人で行いますから、必要な人材育成に事欠くような、またオーバーワークのようなことになりましたならば、取材の問題、判断の問題について十分でないと思いますから、その点について含めて質問をいたします。
#16
○参考人(井上豊君) 私ども、放送番組を制作していく上で一番大事なのは、NHKに働く職員の意欲であり、また資質を年々育成していくことであるというふうに十分考えているわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、六十一年度の事業運営に当たりましては、確かに要員の効率化も実施をすることにしてございます。そのほか、私どもといたしましては、例示としてはあるいは細かくなるかもしれませんけれども、例えば放送所の送信機を老朽更新する必要があるわけでありますけれども、現在なお真空管によって機械を運用しているわけでございますが、技術革新の成果を導入するということでこれをIC化するとか、あるいは視聴者の皆様の要望にこたえます好評番組を再放送することによります経費の節減でございますとか、さらにビデオ化が急速に進んだわけでございまして、フィルムの関係経費が節減できるというようなこと等、あるいは日常の印刷物の作製費などにつきまして極力経費の削減を図ったわけでございまして、公共放送の使命を達成するに必要な経費は重点的に配分した考えでございます。
#17
○片山甚市君 五十九年度からの三カ年経営計画から見て、五十九年度は百七十六億円の黒字、六十年度は予算どおり七億円の黒字が生ずると見て、六十一年度予算のマイナス九十九億円を差し引くと、六十二年度には八十四億円を繰り越すことが可能となっております。とすれば、六十二年度も受信料改定を見送られるのではないか。会長が新聞紙上でも発表したけれども、六十二年度には料金を改定する用意を持たない、しなくて済むようにしたいとおっしゃっていましたが、会長から説明を賜りたいと思います。
#18
○参考人(川原正人君) 五十九年度から六十一年度にかけての三年間の経営計画、この経営計画は現在の料金でもって三カ年間で収支をきちんと合わせるということで進んできたわけでございますけれども、幸いにして物価の方もこの三年間予想ほども上がらなかった、非常に安定しているということ。それから、私どもはまた、経営の内部ではできるだけ経費の節約あるいは合理化に努めまして、今御指摘のようにこの三年間六十一年度予算を執行しました後、当初はプラス・マイナス・ゼロということでございましたけれども、八十数億円のプラスといいますか、余裕を持って六十二年度を迎えることができるという見通してございます。
 さらに、加えまして、今進行しております六十年度の予算の執行も、今の予算の編成当時に予想しました以上にかなりの黒字を残すことができるのではないかと今思っております。まだ決算が済んでおりませんので正確な数字を申し上げる段階ではございませんけれども、かなりのゆとりを残せるのではないかと思っております。それを加えますと、六十二年度の予算は現行料金をもって賄い得るという私は確信を持っております。そういう意味で、六十一年度の予算の審議でございますけれども、あえて六十二年度について申し上げれば、現行料金で予算は編成できるであろうということを申し上げてきたわけでございます。
#19
○片山甚市君 衆議院においてもそのような御趣旨をおっしゃっておるようでありますし、新聞紙上でもそういうようにおっしゃっておられるようでありますから、せっかく努力によって受信料の引き上げが行われなくて済むように一層の御努力を賜って、私たち逓信委員会としてはこの収支予算について承認する立場から言えば、ぜひとも実現してほしいことであります。
 そこで、NHK財政の収支構造を見ると極めて厳しい状態だということは理解できますが、六十二年度以降も視聴者の負担増を避ける努力をしてもらわなければなりません。事業収入の中心である受信料収入は一%程度の伸びしか期待できないのに、衛星放送等、ニューメディア関係の支出増は避けられないし、国民の要望に沿うために、あるいは社会経済情勢の変動による経費の自然増も考えられるところです。
 収支が逆転すると予測される場合、事業を遂行する者にとって必要な措置に対し、慎重かつ責任を持った対策が求められるものでありますが、特に、リスクの大きい衛星放送が事業に大きなウエートを占める今日、責任はより重大ではないかと思いますが、会長として、衛星放送をめぐる問題についての御所見を賜りたいと思います。
#20
○参考人(川原正人君) 放送衛星を十分に活用していくためにはもちろん、打ち上げ、製作、運営の経費のほかに、放送衛星を通じて行います番組サービスにつきましてもかなりの経費と人手を要するわけでございます。新しいメディアを開発していくためには当然そうした経費がかかるわけでございまして、これを賄うことについては私どもも尋常の手段ではなかなか貯えないということは覚悟しております。
 しかしながら、現行の仕事の上に新たな仕事がつけ加わるからと申しまして、それをそのまま直ちに受信者の新たな負担に期待するということはすべきではないと思いますし、また、そのようなことが許される状況でもないということはよくわかっております。
 したがいまして、既に今までやっております既定の仕事をできるだけ合理的に運営する、あるいは今までの仕事の体制を抜本的に見直す、そういう形の中で、私どもがもっと効率的な事業の運営をしてゆとりを出す、あるいは、今までは私ども考えられなかったような新しい副次的な収入をさらにふやしていく。私ども長い間蓄積いたしました番組とか、俗に言うノーハウといいますか、そういう知識もかなり蓄えておるわけでございますので、そういうものをもっと多角的に活用して、受信料以外の収入がどこまでふやせるか、これもできるだけの努力をしてみたい。そういう形の中で、新たに必要とされる衛星放送あるいはそのほかのニューメディアの必要な経費を生み出していきたいというふうに考えております。
 しかし、何と申しましても協会の経営を支えておりますのは受信料でございますし、受信料以外に私どもが余り商業主義的な事業活動をすることは、これはまた十分慎まなければならないと思っております。やはりこの三千億を超える受信料に見合うだけの収入をとてもほかから持ってくることは困難でございますので、新しい仕事をやるため、あるいはまた、今までの仕事をやるにしましても経費はかさむのは、これは避けられない状況でございますので、一%の受信料の収入でどうしても貯えないという事態が参りますれば、あるいはそのときには率直にそのことを視聴者の方にお話しして、さらに受信料の負担をお願いするということもあり得るかと思いますけれども、できるだけその時期は先に延ばしたいというふうに考えております。
#21
○片山甚市君 NHKの基本的な財政は受信料であり、その受信料は一年間に一%程度増加するのに精いっぱいであるということはわかっていますが、社会的要因としての経費の増がそれを超えることは明らかなときに、大変御苦労でありますが、国民の期待にこたえるようにさらに努力を賜りたいと思います。
 そこで大臣、六十一年度収支予算に対する意見書の中において、「協会は、」「極力長期にわたり、受信者の負担増を来さないよう努めること。」との要望を行っておりますが、現状認識及び今後の財政事情について、大臣としてはどのようなお考えですか。簡明でよろしゅうございますから、お答え願いたいと思います。
#22
○国務大臣(佐藤文生君) 六十一年度の予算を拝見いたしまして、意見書をつけて皆様方にただいまお諮りしているわけでございますが、極力長期にわたって経営の合理化をやる過程の中で、受信者に対する受信料の増をしないように努力してほしい、こういう意見の外、二項目をつけまして、大体妥当な予算の内容である、こういう考え方でお諮りしている次第でございます。
#23
○片山甚市君 金額としては大したことはありませんが、今後、国際放送の分担金をもう少しふやすとか、政府としてはこれで今後とも来年度に向けて努力を願いたい。決算が出ましたならば会長は黒字をできるだけ多くしたいとおっしゃっているんですが、そのかわり、郵政大臣は口先でなくて、国際放送の問題等についてはできるだけNHKに負担をかけるのを少なくする、いわゆるもっと多く出すように、財政が厳しいからではなくて、それは国家の存在上、必要な放送でありますから、そういうふうにお願いをしたい。
 さて、六十一年度予算の受信料収入の算定根拠となる有料受信契約数のうち、有料受信契約目標は四十三万件となっておりますが、五十九年度が二十五万件にとどまっておりまして、六十年度はほぼ目標達成の見通しと聞き、現場の関係者の御苦労を思うと大変感謝にたえません。
 さて、新規受信契約獲得のために、さらにその対策をどのようにとられるのか、NHKについてお聞きしたいと思います。
#24
○参考人(松本幸夫君) 五十九年度の受信料の基礎になります新しい契約者の数の増ということが大変不本意な結果に終わりまして、私ども、そういった五十九年度の活動を反省しつつ、六十年度につきましてはできる限り早い時期に計画を確実に達成する癖をつけるという目標のもとに活動を展開いたしました。その結果、今までのところ、先ほど先生御指摘のように、大変順調な形で六十年度の業績は上がっているというふうに御報告できるかと思います。
 これから先も、当然のこととして私ども、契約の増、収納の安定ということを確実に実行してまいらなければならないわけでございますけれども、何と申しましても一番効果のございますのは、口座をできるだけふやしていくということが収納の安定ということに寄与できるものというふうに考えております。今年度の、六十年度の口座の増の目標と申しますのが百五十万という目標を立てておりますけれども、これは確実に達成し得るというふうに考えております。来年度も、そういった高口座時代の仕事のやり方というものをどういうふうに具体的に展開していくのか、これを最大の課題に考えまして、収納の安定と契約の増ということに努力を重ねてまいりたいと考えております。
#25
○片山甚市君 受信料の滞納については、それを防ぐために振り込みの口座をつくることについて、多くさせるということについてはよくわかりました。新規契約者については訪問をしなきゃなりませんから、大変なお金がかかる割に、手間のかかる割に大変御苦労でありますが、ぜひとも目標の四十三万件が達成できるように、全職員一致して御努力を願いたいと思うんです。
 そこで、受信料の滞納の現状はどうなっておるかということですが、負担の公平を期するためにも収納の確保に最善の努力が払われるべきでありますが、これを口実に受信料支払いの義務化などには反対の立場でありますが、契約拒否者などの実態と対策についてお聞きしたいと思います。
#26
○参考人(松本幸夫君) 滞納につきましても、ひところ五万あるいは年間十万に近い数がふえるというような状況があった時期がございました。その後、この滞納をいかにして抑えるかということで、私ども滞納の抑止ということについての努力を傾けてまいったわけでございますが、具体的な形として昭和五十二年には特別営業対策員というものを設けまして、この方が日ごろ日中にお目にかかれない方々に重点的にお目にかかるための対策を展開したわけでございます。これは五十九年までにかなりの成果をおさめましたので一応特別対策員は廃止いたしましたけれども、その後、五十九年の業務体制の変更ということを図りまして、ここで職員を中心にして滞納対策に当たるという努力をしてまいったわけでございます。職員の勤務時間なりあるいは日曜の出勤なりを多くいたしまして、できるだけお目にかかりやすい時間に説得をするという勤務体制をしきました。そういった結果、全体といたしまして、ここ数年九十九万台というかなり多い数字ではございますけれども、その水準で完全に歯どめがかかっているという状況が出てまいっているというふうに思っております。
 私どもとしては、これから先もこの滞納対策に努力してまいらなければならないわけですけれども、いかんせんこの滞納のための経費が大変かかります。つまり、コストとその成果という点で考えますと、これから先のやりようというものも具体的にもう少し考えてまいらなければならぬというふうに思っております。できるだけ文書対策と訪問対策という双方の組み合わせというようなことも、もう少し効率的にやるような方法も考えて、滞納をこれ以上ふやさないための努力をさらに続けてまいりたいと思います。そういった意味で、支払い義務化というようなことでなく、私どもとしてはできるだけ我々の努力によって収納を確実にしていく、公平負担を確実に実現していくという努力を傾けたいと考えている次第でございます。
#27
○片山甚市君 大臣にお聞きしますが、現行の受信料の徴収制度の意義と、今後それについて、NHKが申されたように義務化法案をつくってもらいたくない、自主努力をしたいと言っておるんですが、これについてはどういうふうにお考えですか。
#28
○国務大臣(佐藤文生君) 五十五年に義務化とすべきであるということで国会にその趣旨の改正案をお諮りした経緯がございます。
 しかしその後、これが国会で見送られまして、NHKの努力にまつということで現行の態勢でやっておるわけでございますが、非常にこれは重要な問題でございますので、政策懇談会等を通じて賛否両論の意見がやっぱりあるやに聞いておりますので、慎重にこの問題については今後検討していきたいと、こう考えております。
#29
○片山甚市君 前の大臣もそのようなことをおっしゃっておったんですが、保護をするということは規制をすることになり、自由と反することです。できるだけ口は出さないで金は出すということにしてもらいたいんですが、法律でちょっと守ってやろうということになると、だからこんな放送番組にせよと言いたがるのが法律の趣旨です。断固反対です。どちらにするとしても、お金のことで済むんならお金は出してやってもいいけれども、統制化には反対ですから、私はこの案件を承認するに当たって、法律でお金を取るようなことにしなきゃならぬような放送なら民放に食われてしまえ、NHKなんか要らぬ、こういうふうに言っておきます。もう一遍言います。法律で料金を徴収しなきゃならぬほど悪い番組を放送するんなら民放の方がずっと気持ちがいい、コマーシャルだから。そんなことにならないように、先ほど会長が決意を込めて言われましたから、大臣の方は、義務化法案などを出す前に放送の自由を守れるような状態にするんであって金だけではない、こういうことを私が言っておることについて、あなたの在任期間中でもよろしいから、頭に置いてほしい。特に注文をしておきます。
 さて、放送衛星についてでありますが、ゆり二号bは本機aが故障のため打ち上げられたが、この打ち上げも当初計画どおりにはいかず、本年二月打ち上げられました。大臣は所信の中で、いよいよ本格的な実用放送衛星時代が到来すると期待しているようでありますが、これまでの経過から言えば、そう甘いものではない、安定するかどうかについて。
 そこで、ゆり二号bの打ち上げに至る経過、打ち上げ後、今日までの現状について事業団から簡潔に御説明を賜りたいと思います。
#30
○参考人(園山重道君) 放送衛星二号aにつきましてトラブルが生じまして、大変御心配をおかけしておりまして申しわけなく思っております。おかげさまで2bにつきましては、予定を半年おくらしていただきまして、先般二月、当初二月八日の予定でございましたが、天候その他のかげんで十二日まで延期いたしましたが、十二日に無事打ち上げることができました。その後、これを現在、衛星の機能をチェックしているところでございまして、御承知のように2aが百十度におりますので、同じところに持ってまいりますと混信等を生じますので、現在百十七度というところに静止をさせましてチェックをいたしておるところでございます。2aで故障を起こしました中継器、進行波管等を含めて、現在のところ異常なく正常に作動をいたしておるところでございます。
#31
○片山甚市君 ゆり二号bの成功を祈ってやみませんし、ぜひとも今回はbが定着するようにお願いをしたいと思っています。
 そこで、今の段階で言うべきかどうかについてちゅうちょするんですが、万が一にもアクシデントやトラブルが発生した場合については、関係者からなるべく早く本委員会に事情について公式に説明してほしい。
 なぜそういうことを言うかというと、これまで新聞報道でトラブルなどが小さく報道されても本委員会には何の音さたも今までございませんで、うまくいったときにはもう天下が開けたように直ちに文書などで私たちに配付をしてくれる。問題は事実を正しく認識することなのでありまして、特に視聴者・国民の貴重な財産である公共放送としてのNHKの存立にかかわる問題としての認識に欠けているのではないかと言いたいのです。責任の一端を担う逓信委員会に対しては当然の措置であると考えるが、大臣及び関係機関の御所見を賜りたい。
#32
○政府委員(奥山雄材君) 放送衛星二号のa並びにbの開発あるいは打ち上げにつきまして、片山委員初め当委員会の諸先生から賜りました御叱正あるいは御指導につきましては、私ども真剣に受けとめ、また厚く感謝申し上げているところでございます。当委員会で御教示いただきました諸点を踏まえて措置を講じた末、2bにつきましては打ち上げましたので、万が一にも重大なアクシデントを生ずるようなことはないと確信しておりますが、かりそめにも2aについて生じましたような重大な事故が発生いたしました際には、速やかに当委員会の諸先生に何らかの方法で御連絡を申し上げるというふうに考えている次第でございます。
#33
○参考人(矢橋幸一君) 不幸にして今御指摘のございましたような事故があった場合には、当然この委員会に速やかに報告するべきだと思っておりますし、今後ともその方向で努力していきたいと思っております。
#34
○参考人(園山重道君) 宇宙開発事業団といたしましては、この開発から今後通信・放送衛星機構へお渡しするまで、常に私どもが責任を持ってこれのチェックをいたしておりますので、万一トラブル等が生じました場合には、即座に監督官庁に御報告をいたしまして、その御指示に従いまして当委員会の報告等について必要な措置をとるつもりでございます。
#35
○片山甚市君 私は、万が一起こらないことだと思いますが、こういうところですから、念には念を入れてということがありまして念を入れただけのことでありますから、こういうことで委員会を開く必要がないように、お互いに期待をするところです。三万六千メートルの上に上がっているものを言うんですからそら頼みで申しわけないんだけれども、とにかく何としても成功させたいなと思います。
 ゆり2号aは中継器の故障で現在一チャンネルのみの試験放送でありますことは残念であります。放送内容も総合テレビとほとんど同じ番組であり、受信機の普及状況もいま一つということでありますが、衛星放送が開始されて既に二年近くになるが、現在の衛星放送受信機の普及状況及びその中で難視聴対策として利用している世帯数はどの程度でありますか。
#36
○政府委員(森島展一君) 衛星放送の受信世帯数は現在約六万一千四百世帯でございまして、辺地における難視聴世帯のうち放送衛星による受信をしております世帯数は二千四百でございます。
#37
○片山甚市君 私は、聞いておるのは難視聴対策としての利用ということで二千四百だとお答えをいただいたということで確認しておきます。
 本委員会派遣による中国地方調査の際、昭和六十年十月の四日ですが、地域の事情について聴取したこともありますが、難視聴世帯数四十二万のうち衛星放送を受信しているものはわずかに二千世帯――うち千五百世帯は大東・小笠原地域――にすぎないということでありました。
 一方で、高価な受信機を購入しなければならない難視聴地域の人々にとって難視聴解消などというものはゆり二号を打ち上げるための単なる建前でしかなく、広く一般国民の視聴者にとっては、ローカル放送充実などという期待も犠牲にされる可能性が大変将来にわたって解消されない。放送衛星の持つ不安定な要因は将来にわたっても経営を脅かすことになろうと思います。難視聴解消対策を放送衛星のみに求めてきた経営方針とその責任は重いと言えますが、郵政省及びNHKは確固たる対策を示すべきではないか。
 この質問は、BS2aを打ち上げるときには難視聴解消ということがキャッチフレーズでありました。ほかのことは余得として、ニューメディアの開発ということだったんです。今、その建前が全然消えて、難視聴解消については二千四百世帯になっていますから、その点は羊頭狗肉の放送であることは言うまでもない。NHKにしたら、そうじゃなくて、もともとハイビジョンをやりたかった、ファクシミリの通信をやりたい、その放送をやりたい、こうありましょうけれども、私たちはこの放送衛星を打ち上げるときには難視聴解消ということに焦点を当てて、そして地上配備も、地上施設よりも宇宙放送の方が随分安上が方じゃないかと、こう言ってきたんですが、それについての御所見を賜りたいと思うんです。
#38
○政府委員(森島展一君) 先生おっしゃいますように、放送衛星は難視聴解消ということを主な目的で打ち上げたわけでございまして、その役割は変わらないわけでございますが、この衛星放送を受信する受信機がまだ確かに高こうございます。これを何とかして低廉化したいということで、いろいろ税制面とか財政投融資面とか私どもも努力しておりますが、BS2bによる二チャンネル放送というようなことが開始されれば衛星放送の受信機の普及が進んで低廉化が期待されるとは思っております。しかし、地上の難視を、放送衛星受信機の低廉化を待つだけではなくて、やはりいろいろな工夫を凝らして実際に難視を解消する努力を難視聴の世帯の方もされておりますので、アンテナの非常に高性能なものを使うとか、共同の受信用施設をつくるとか、そういった面の技術面を含めて、いろいろ指導、協力というようなことをこれからも地上において進めていきたいと思います。これはNHKについてでございますが、民放につきましては、これは衛星放送による難視聴解消ということができませんので、民放側の地上の中継局置局、これも強力に指導していきたいと思っております。
#39
○参考人(矢橋幸一君) 今先生御指摘のように難視地域における衛星放送の受信につきましては、衛星放送受信の設備が確かに値段が高いということと、それからやはり残念ながら今一チャンネルの放送しかできないということ、それからまたBS2bの打ち上げが半年延びていたということもありまして普及のテンポが残念ながら当初の予定よりはおくれているという実情にあるわけでございます。協会といたしましては、今後高性能で低廉な受信機の開発につきまして引き続き研究開発というものを続けていきたいと思っております。
 もう一つは、やはり受信機のコストを下げるためには普及をもっと図って、そうして量産効果によってコストを下げるということが一番大きなファクターになろうかと思いますので、そういう意味で難視解消と衛星放送の普及という車の両輪として今後NHKとして努力していきたいというふうに思っております。
#40
○片山甚市君 世の中というのは出発点はいろいろ処女のごとくありますが、最終的目的は違っておるような感じがします。
 ゆり二号bにより二チャンネルの放送が可能になれば衛星放送の充実が図られ、受信者もふえ、受信機の低廉化も期待できると言われておりますが、NHKにすれば、看板の難視聴解消も重要な部分だが、むしろニューメディアの実用化を進めたいのが本音ではないでしょうか。そうであれば、なお一層地上波、衛星波の役割を明確にする必要があると思いますが、どうでしょう。その場合、それぞれの電波利用が公共放送として必要などの説得性があるものでなければならないと思います。チャンネルの利用のあり方についてどのようにNHKは考えられていますか。
#41
○参考人(林乙也君) BS2bにおきますところの今後の放送に関しますスケジュールでございますが、ただいまも御説明がございましたように、打ち上げ後順調に経過してまいっております。七月の上旬には機能確認をいたしました上でNHKに引き渡しを受けるわけでございますけれども、なお八月から十月段階に発生いたしますところのいわゆる食の期間というものもございますので、2bのなお一層の信頼性、安定性の確認をする必要があろうかというように考えております。
 したがいまして、2bにおきましても、引き渡し後におきましてもなお当分の間、放送試験局としての運用を行っていく必要があるのではなかろうかと考えておりまして、そういうような安定性、信頼性が確認されました段階におきます放送サービスの問題について現在鋭意検討を進めておるところでございます。
 ただいま先生のお話のございました難視解消と放送サービスあるいはニューメディアとの関係でございますけれども、私どもといたしましても衛星放送というものが難視解消の方策として推進されてきたということは十分認識いたしておるところでございます。しかし、一方におきまして、ただいまも御説明がありましたように、衛星放送がそれに投じた経費とそれによって得られる成果という点からいたしまして、受信者に経済的にも納得される形のものを達成しなければ御理解、御納得もいただけないということは考えられるわけでございます。そういうようなことを考えました場合に、難視解消策を進める場合に当たりましても、ただ単に地上放送と同一の番組による放送に限定するというような補完的な位置づけとして考えるだけではございませんで、衛星放送の特性を活用した魅力ある番組を編成して、衛星放送の普及を促進しながらより実質的に難視解消を図っていくというようなことも考える必要があるのではなかろうか。放送番組といたしましては、当然地上放送の番組と密接かつ有機的な連携を持たせながら、なお衛星放送として魅力のある、また視聴者から受益感の得られるサービスを行うことによりまして普及を図っていく、そういったことの中で衛星放送というものが視聴者に納得いただけるような姿を確立する必要があるのじゃなかろうかというように考えておる次第でございます。もちろんこの点につきましては免許にかかわる事項でもございますので、今後郵政省御当局とも十分お話をさしていただきながら、いわゆる本放送にいたします場合のそういった措置というものについて進めてもらいたいと考えております。
#42
○片山甚市君 今の話は納得しませんが、時間が来ましたから、若干私の意見を述べてみます。
 ゆり二号bの寿命は四年以上五年が目標として設計されておりますが、BS3aは六十五年度夏に打ち上げるとすればあと四年半であります。その場合、寿命が四年しかないとすれば半年間のブランクが生じ、放送の継続性という重要な問題に波及することになります。これが一つです。
 いずれニューメディアの放送には料金問題などの論議も必要になってこようと思います。これらの問題は、これまでのNHKの受信料の定義づけにもかかわるものでありまして、慎重の上にも慎重に扱うべきであります。
 衛星放送はNHKにとってもろ刃の剣であることを十分に認識しておいてもらいたい。成功すればニューメディア放送の先駆者として新しい時代を切り開くパイオニアとして輝くだろうし、失敗すればNHKそのものの存在にかかわってくる。特に、放送衛星開発に当たって、ハード面については国の保障、事業団の責任など万全の措置が必要であり、ソフト面における視聴者、国民の意思が反映されるものとしてNHKは慎重に取り組んでほしいと思います。
 そう言いましても、答弁を求めたらこれ時間がありませんので、国際放送について一、二問聞いてみます。
 国際社会における我が国の役割と責任が大きくなっている折柄、国際放送への関心も高くなり、その意義の重要性から、最近の特にフィリピンの政変に際しては在フィリピン邦人の生命、財産の確保や、公正迅速な情報提供に大きな役割をNHKが果たしたと聞いておりますが、それはどういうことでありますか。外務省から聞きたいと思います。
#43
○説明員(本田均君) フィリピンには約三千二百名の長期滞在者及び一万人と推定されます短期滞在者が在留していたわけでございますけれども、外務省といたしましてはこれらの邦人の安全確保に全力を挙げまして必要な各種の措置を講じた次第でございます。そのうちの重要な措置の一つといたしまして、NHKの国際放送を積極的に活用しまして、ラジオジャパンを通じて邦人に対する各種の情報の提供並びに呼びかけを行ったわけでございます。結果的にこれらの邦人が慎重に行動しまして、特に邦人の間に混乱もなかった理由といたしましては、現地の在フィリピン日本大使館が緊急連絡網を通じまして必要な情報、指示を邦人に的確に伝達したということとともに、ラジオジャパンの放送が邦人保護に大いに貢献したという認識でございまして、その意味で外務省といたしましてはラジオジャパンの果たしました役割を高く評価しているところでございます。
#44
○片山甚市君 そこで、放送法三十三条は郵政大臣の国際放送実施命令権を規定しております。NHKによる放送番組の編集に当たっては、命令放送と自主放送を一体として放送するとともに、番組編集の自由が保障されているところであります。今回のフィリピン政変に関するラジオ日本の情報収集や報道に当たっても最大限の自由が保障されなければならないと思います。人道上の見地から、国際放送を活用するためには政府としても正確迅速な情報提供など、積極的な協力が行われていると思うが、政府の果たしてきた役割、今後の対応について所見を賜りたいと思います。
#45
○政府委員(森島展一君) 国際放送の重要性につきまして似、私どももひしひしと感じておりまして、これに必要ないろいろな対策、特に交付金の面でいろいろ努力も重ねてまいっておりますが、これからもこの国際放送の充実ということについてはいろいろな検討をし、努力をしていかなければならないと思っております。
 また、特に海外同胞が緊急な場合に非常にそういうラジオジャパンによる情報によって安心感を得る、こういった面から考えましても、特に遠隔地、日本から遠い地域における国際放送の受信を改善するためには海外中継、こういったことの充実が必要ではないか、こういうふうに考えていろいろ今努力をしておるところでございます。
#46
○片山甚市君 政府が協力することについてお願いしたのでありまして、介入することは、放送の自由と自主性はきちんと守ってもらいたい。今回フィリピンの場合は成功したということについて、やはりラジオ日本が存在する意味がある。これから中東や中南米いろいろありますから、十分に成果が上がるようにしてもらいたい。
 そこで、国際放送拡充強化のため八俣送信所の整備計画が進捗しておると思いますが、六十一年度後半には一部が完成し、運用を開始するということでありますが、どの地域にどの程度受信状況が改善されるのか、簡単でよろしいから説明してください。
#47
○政府委員(森島展一君) 六十一年度に八俣の整備増強計画の半分が完成いたしますと、特に北米の西部の方、それからアジアでもやや遠い方、それから東南アジア、こういった面では相当の改善がなされるだろうと、こういうふうに思っております。
#48
○片山甚市君 そこで、例年議論になります海外中継局については、六十一年度においてシネスから撤退し、ガボンへの吸収と、放送時間の拡大を図ることになっておりますが、これでヨーロッパ、中東、アフリカ地域の受信改善がなされるとのことでありますが、最も受信状況の悪い中米、北米における受信改善について中継局設置が必要であるかと思います。初めはパナマに置くという話があったんですが、どうなったのか、進捗状況について説明してください。
#49
○政府委員(森島展一君) 南北アメリカにおきます国際放送受信の改善につきましては、御指摘のようにパナマに中継局を設けられないかということで外務省とも協力しまして、何遍もNHKともども調査団を派遣し努力してまいったんでございますが、パナマの方の事情がなかなかこちらの思うようなことになっておりませんので、いまだにパナマについては結論を得るに至っておりません。一方、最近カナダで短波の国際放送をやっておる送信所が借りられるのではないかという話が出てまいりましたので、この点も外務省と今話を進めておるところでございます。
#50
○片山甚市君 NHKは、論ずれば国民生活すべてに深い影響力を持っておりますし、信頼があるということについてこたえてもらいたい。NHKならば間違ったことをしないだろう、勝手なことはしないだろう、視聴率競争に巻き込まれないだろう、公正なことについてはくみする放送だろうと国民の多くは期待しておるんです。当逓信委員会の一人としても私はそう思います。ぜひとも郵政大臣、また会長も、我々国民の気持ちを酌んで、よき放送が引き続きできるために職員とともに頑張ってもらうように会長にお願いして終わります。
#51
○大木正吾君 同僚委員の質問に関連いたしまして、まず最近のテレビ離れの傾向に関して、会長の御答弁でひっかかる面があるものですから、ちょっとお伺いいたします。
 NHKの調査のことは先ほど話が出ましたが、回答の中に、勉強する、あるいはレジャーが云々というお話がございましたけれども、果たしてそういったものだけでいいかどうか、もう一遍あの部分を聞かしていただきたいんです。
#52
○参考人(川原正人君) 私どものやりました調査の数字の面を一応分析しましたところ、その数字の面で関係があると思われますのは、やはり国民の方々というか、視聴者の方々の生活時間の中で余暇時間の使い方がかなり目立った変化をしている。そして、レジャーという言い方が少し漠然としていたかもしれませんが、いろいろな文化活動、そういう文化的ないろいろな今施設がふえておりますけれども、そういうところへ行って御勉強になる、あるいはスポーツを楽しまれる。さらにもう一つ、交際というような項目で調べましたところもふえているということは、いろんな社会的なおつき合いがふえているのではないか。
 一方、子供さん方の一日の時間の使い方の中で、これはいい悪いは別としまして、明らかに小中学生等が学校の授業、勉強以外の学業に相当の時間を最近目立って当てておられるということがありまして、それとの関連でテレビに対する接触時間が減っているということがこれまた非常に数字の面で目立つ傾向がございますので、一応その辺に相関的な関係があるのではないかというふうに分析したわけでございます。
 しかしもちろん、単にそういう数字でのプラスとマイナスの面の比較だけではなくて、私どもとしましてはテレビジョンというものが国民の期待に本当にこたえているのかどうか。ある時期においてテレビジョンというのは非常に情報の入手手段としても、それから、とりわけ楽しみというか、おもしろいといいますか、一種の娯楽の手段としても大変期待をされていた。しかし、そのテレビジョンの方に国民の期待に沿っての新しい変化がないと、視聴者の方々はどんどん生活の態様も変わっておりますし、より高度の新しい文化的なものを求めておられますので、それに対して十分的確な姿勢をとっていないと、勢いそちらの面からもテレビに対する接触率が減ってくるということは当然考えられるわけでございます。
   〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
その辺の本当の内容についての分析なり勉強なりはこれからのことだと私は思っております。その点では単に数字の比較だけでこちらが多くこちらが減ったからそれが原因だと単純に考えているわけではもちろんございません。もっと内容にわたりましてテレビジョンが本当に視聴者の方々の期待にこたえるような放送をしているかどうかということが確かに問題だろうというふうに思っております。
#53
○大木正吾君 大体二十歳前後から上、三十歳ぐらいまでの傾向は、ちょっと若い層も入りますけれども、ステレオデッキとかあるいはヘッドホンステレオとか、そういったものを持っている人々を電車の中でもバスの中でも見かけるわけでございますし、旅行に行くときに持っていく人を見かけることも多いわけだし、同時に、子供がパソコンでテレビゲームをやっている時間が多いですね。こういうこともありますし、私たち今から数年前には自分が見たいというものについては仕事をほうり投げても見るという、こういう傾向もあったと思うんですね。ですから、これ実は私、別に根拠を持ってしゃべっているわけじゃないんですが、ここに出された本があります。これは三十過ぎの方が書いているわけで、なかなかまとまったものにもちろんなるまでになっていませんけれども、これ大体通読して簡潔に要約しますとやっぱりテレビ離れが進んでいる。同時に、新しいものに対して挑戦するといいましょうか、新しい分野の開拓をしながら、単にNHKだけじゃなく、民放も含めまして一つの壁に当たっている、こういう感じがどうしてもこの中からはにじむんですね。
 ですから、そういったことを含めた認識が、例えば今お話がありました中で、放送衛星の問題に絡む新しいチャンネルの使い方の問題とか、それの費用の問題とか、いわば経営施策の中におたくの方でもってそういった大型のものをつくっていきたいということが出てくるのだけれども、レジャーであるとか、まあ勉強に走っていることはまことに結構な話ですよ。それだったら別にあなた今の教育改革の問題も論議要らないですね。ですから、もう少しやっぱり私は今直面しているNHKの経営のあり方あるいは報道のあり方ですね、こういった問題、じわじわと去年、今年、来年と変化が起きてくるんですよ。こういうことについての認識が実は片山委員の質問に対する答弁として出るかと思って聞いておったら出てこなかったものですから、その辺は会長、大臣もう一遍答えてくれませんか。
#54
○参考人(川口幹夫君) 先生が御指摘のように、テレビ離れというのは内的な原因と外的な原因があるというふうに私は把握しております。それは、単にほかのメディアがいろいろたくさん出てきたから、あるいは余暇時間が多くなってきたからという外的な理由だけではなくて、放送しているテレビ局の問題でもあろうと、そういう内側の対応策が十分でないから、したがってテレビ離れが起こっている、この二つの原因を絶対に無視してはいけないというふうに思っております。
 NHKとしましても、このようなテレビ離れ現象につきましては、前から鋭意いろんな対応策を考えてきたんでございますけれども、さらにこの六十一年の四月からはいろんな工夫をして、何とかテレビというものがもっと興味のある、あるいはもっとためになるといいますか、何らかの意味で影響を与えるメディアだというふうな形に持っていきたいものだと思っております。
 具体的には、例えば六時の時間帯を今度は帯で一新することにいたしました。それから、七時半の時間帯とかあるいは教育テレビにおきましての青少年向けの番組の編成等々に相当な工夫をいたしまして、このテレビ離れの現象を何とか内側からは救いたいというふうに思っております。
#55
○大木正吾君 川口さんに聞いたわけじゃないんで、これは会長と大臣に聞いたわけで、ぜひ今のテレビ離れ傾向についての見方が、そういった断片的に改革していく問題だけで済むかどうかという基本認識を僕は聞いているわけです。民放を含めて視聴率はわずか一%上がったとかと言っていますけれども、上がってまた来年も二%上がって、その次上がっていくかどうかという問題について、そういったことについて私たちはやっぱり同じこういった委員会で審議する際に悩む問題なんですね。一体人間社会がどういうメディアを追求していくんだろうかという問題ですね。
 これは、最近の社会の一般の傾向を見ましても、例えばの話がNTTの変化の問題もありましょうし、同時にここに一つ例を持ってきましたけれども、けさの読売新聞の例です。別にNTTといって株が書いてあるから持ってきたわけじゃないんで、これは私読んでないんですがね。同時に雑誌として見ますと、例えば「金融ビジネス」、こういった本がまた二、三部新しく出ているんですよね。これ要するに産業構造というか、経済構造に占めるやっぱりニーズの変化というものをとらえているんですね。ですから、業界が競争し合いながらニーズをとらえていると思うんです。同時に私自身心配しますことは、テレビ離れということについての基本的な認識がどうもNHKの会長なりあるいは幹部の方々に欠落し、新しいものに挑戦していく態度といいましょうか、度胸といいましょうか、決意といいましょうか、そういったものが足りない、こういう感じがするんで、これは川口さんの言っていることはよくわかるんですが、むしろ会長なり大臣の最高首脳に、そういった社会のニーズの変化に対しましてどういうふうにこれから抜本的に考えていけばいいんだろうかというこの辺のことを私は聞いているわけで、答えてほしいんですがね。
#56
○参考人(川原正人君) 人間の生活といいますか、社会というのはもう刻々に変わってまいりますし、特にここ数年の急速な変化というものは私ども十分考えておかなければいけないと、そして少なくとも放送ジャーナリズムというようなものはそういう時代の変化に一番敏感でなければいけないというふうに思っております。特に今これだけ経済の高度成長の中で、私ども、今の視聴者の方々の意識が、生活は豊かになったけれども、やっぱり精神的な生活の中で、あるいは文化の面で、心の充実という面で何か物足りないものを感じておられるんではないか、そういうものに対しては的確にこたえていかなければいけない。あるいは世の中でも、こういう高度成長の結果として、人類が住んでおりますこの地球の環境自体も非常に危険なように変化をしていっている、そういうものを私どもがもっと敏感にとらえて視聴者の方々に伝えていく、そういうことも必要であろうというふうに思っております。
 今御指摘のような、例えば新聞、雑誌等において経済的な情報というものがここ急速にまたふえてきておるということもよくわかっております。私どもの番組の中でもその種の番組は、まだ十分ではないかもしれませんけれども、既にある番組の中でもその種のテーマを積極的に取り上げますし、また、新しい番組も幾つかふやしていっております。
 ただ、世の中の動きの中で、率直に私言いますと、今の印刷ジャーナリズム等の中でその種の情報が新しく出ておりますけれども、ややもすると、経済の本質を十分に解き明かすというよりは、俗に言う財テクといいますか、要するにどういう方面にお金を回すのが一番得であるかというようなことにやや重点が行き過ぎているんではないかと。そういう傾向に対してはもうちょっと本質的な問題をとらえるような私どもは番組をつくっていきたいと、そういうことは心がけているつもりでございます。
 いずれにしましても、そういった社会の変化に対してできるだけ敏感に反応しなければならないと。そういうことを怠ったためにテレビから視聴者が離れていっているとすれば、それは本当に重大なことだろうというふうに考えております。
#57
○大木正吾君 視聴率の問題の、率が上がったか下がったかということを私は問うておるわけじゃありませんし、俗悪番組をつくれということを言ったわけでもないわけでして、視聴率が下がろうと上がろうと、やっぱりNHKが果たす役割は極めて大事な問題がございますから、そういった意味でもって質的な側面も含めてのこととして、むしろテレビを離れている傾向というものについてはもっと重視をしていろんな角度から研究してもらいたい、こういったことを、きょうの答え返ってきませんから、申し上げておきます。
 さて問題は、じゃNHKの番組の編成問題についてちょっと関連して伺ってまいりますが、編成の流れといいましょうか、編成の仕方について、今、川口さんおっしゃった内的な問題、外的な問題含めてですが、一般的に教えてください。
#58
○参考人(川口幹夫君) 番組の編成を私どもが考えますときに、まず一番大事にするのは視聴者の意向でございます。激しく変化する世の中で時代の趨勢にどのような形で対応するのか、生活的な問題もあります。視聴者が今どういう番組を欲しがっているのか、あるいはどういう情報が今必要なのかと、そういうものに対してまず的確にこたえたい。そのためには例えば世論調査等も必要でございますし、それから世論調査というのは定期的でなければいけないし、あるいは科学的でなければいけないんですが、そういう世論調査を実施するとか、あるいは直接視聴者の皆さんにお会いする視聴者会議あるいは懇談会、そういうふうなものがございます。
 それから、今大体一日に一万ぐらいの割で電話とか投書とかいうふうなことで視聴者の声がNHKに寄せられております。そういう声の中から要望を拾っていくというふうな形の直接的な視聴者に対する意向にどうこたえるかという問題がございます。
 それからもう一つは、いわゆる学識経験者によりまして番組審議会というものをNHKは中央と地方に持っておりますけれども、この会議が毎月一回行われておりますが、ここで大体二時間、非常に緊密なやりとりの中でいろんな御要望、御意見を拾い出しております。
 そういったことを参考にいたしまして、大体半年以上前、ことしの番組でございますと去年の八月ごろから準備を始めまして、そして積み上げていきまして、大体一月に一つのプランができると、そして四月から実施をすると、こういうふうになっております。
 一応編成の仕組みでございますので、御了承いただきたいと思います。
#59
○大木正吾君 図表的なものもちょうだいしておるんですが、世論調査などは年代層などを分けてやられていることだと思うんですが、この最高の、言えば編集を最終的に、番組を決めます審議会の中に、年代層とか各階層とかそういったものは十分に吸収できる状況になっておりますか。
#60
○参考人(川口幹夫君) 番組審議会の委員の人選に当たりましては、できるだけ各層の意見がいただけるように、あるいは男女の性別のようなものにしてもきちんと両方の意見が聞けるようにと。それから、年齢も一時は多少高齢化といいますか、したことがありますけれども、このところぐっと若返りまして、一番若い方は今年度で言うと三十六歳の方がいらっしゃるはずでございます。なるべく多様な方々から御意見がいただけるようにしてございます。
#61
○大木正吾君 そういった問題がもう少しこの委員会等に――それはだれがどう言ったかということまでは要りませんけれども、大体どういう動向でもって議論されているかということは要約ができるはずでございます。どういう番組を組むかということは報道関係の生命だと思うんですね。ですから、そういった問題についてもう少しやっぱり委員会等に、予算の審議等をいたす場合には、どういう意見がどのくらいのウエートを占めたとか、番組ごとにも若干違うかもしれませんが、そういったことについて資料をこれからもぜひちょうだいしてみたいと、こういう感じがいたします。そういったことをまずこれ一つ要望として申し上げておきますので、今回は結構ですが、この次からはそういったことについて配慮のほどをよろしくお願いしたいと思います。
 さて、それから私自身の実は感じで申し上げたい問題が若干ございます。
 それは番組編成に絡む問題で、実は事業計画との関係を拝見しますと、「重点施策」という中に幾つか問題が出てくるわけですが、新しいワイド番組をどんどんつくっていきたいとか、そういった面のこととか、いろんな角度でスポーツニュースの重要性、そういったことなども若干施策の中に出てくる問題点がございますけれども、その重点施策をずっと延長していきますと、先ほど同僚議員が質問いたしました問題と若干、言えば取り組み方に矛盾といいましょうか、難しさが出てくる、こういう感じがするんですね。当然この衛星の打ち上げ問題が、新しいチャンネルの獲得はもちろんでありますが、この次、六十五年度段階の予算を拝見いたしますと、その関係につきましても、これでもって済むのか、今後の問題にも若干重なっていくのかわかりませんが、相当程度新しい設備資金というものについて六十五年度準備関係の資金が入っていますね。そういった問題については、これはどういうふうにとらえたらいいんですか。
 要するに、現状から新しくワイド番組をつくるなり、そういったものに対しまして衛星の利用の仕方ですね。さっきは難視聴問題から始まったことは間違いないんですが、他のことについても考えているということを非常に消極的に意見を述べられておったという感じがするんですが、実際問題としてNHK自身は、衛星の利用の仕方が拡大していくに従いまして五、六年後には相当、言えば放送のあり方を番組も含めて変えていくと、こういう考え方に立っているんじゃないですか。その辺はどうなんでしょうか。
#62
○参考人(林乙也君) 今後の衛星の利用につきましての基本的な方向についての御質問かというふうに考えるわけでございますが、六十五年にBS3が打ち上げられるわけでございまして、その段階におきましては、NHKのみならず一般放送事業者も放送サービスを展開するということにもなります。また、現在NHKにおきまして開発し、国際的な規格、基準の統一につきまして努力しております高精細度テレビジョンあるいはハイビジョンと申しておりますけれども、それにつきましてもBS3の段階には実用化につきましての一定のめどもつくというような姿も想定されておるところでございます。
 そういうような状況の中に、いわゆるニューメディア状況というものが社会一般にもさらに進展するというように考えられるわけで、NHKといたしましてもそれに対応する一つの施策というものを進めていかなければならないわけでありますけれども、その場合におきましても、あくまでもNHKといたしましては公共放送という一つの立場の中で国民・視聴者の多様なニーズにこたえていくという考え方で進めていく必要があるのではないかというように考えております。
#63
○大木正吾君 わかるんですけれども、その公共放送のところを出てくれと私申し上げているわけではないんですけれども、結局衛生というものは相当高い値段がつくわけなんですね。そして、本年度予算を拝見しますと二十億何がしかの金が次のBS3の問題に関しまして予算化されているわけですね。これは最終的に幾らになるかわかりません、まだトータルがはっきりしていませんが、そうなりますと、現在上げているものでも六百何十億、NHKもその半分ぐらい出しているはずなんですが、そういったことと無関係に難視聴対策だけで済ましていいのかどうかというところ、この辺は確かに公共放送だから難視聴対策をやるというんだったら非常に判断の難しいところであることは間違いないんですけれども、といって、いわば民法のようなコマーシャルベースだけでもってやるというわけでもないんですけれども、ただ、質のよいもの文化のレベルの高いもの、そういったものについて考えながらも、ハイビジョンなりそういったものについてもっと踏み込んでいく、こういうことは当然考え方の中にあるでしょう。そういったことをもっとはっきりさせてもらいたい、こういう考え方なんですがね。
#64
○参考人(林乙也君) 衛星放送の今後のあり方にいたしましても、それからハイビジョンのあり方にいたしましても、その開発の成果というものを視聴者に積極的に還元していかなければならないというふうに考えておるわけでありますが、その場合には、やはりそれに投じた経費と、それによって得られる成果ということとの対比において御納得をいただけるような関係を果たしていかなければならないというように考えるわけでございます。
 先ほどもお答えを申し上げたわけでありますけれども、衛星につきまして、それが難視解消対策として進めてきているということにつきましては、私どもも十分に認識し、それを踏まえて推進していかなければならないわけでありますが、それと同時に、やはりそれがコストパフォーマンスというような形において視聴者に御納得いただくためには、やはり全国的な普及というものの中で、それがつじつまが合うといいますか、コストパフォーマンスの点で御納得いただけるというように考えなければならない。その場合には、やはり衛星放送としてそれが独自の受益感が持たれるようなサービスがあって初めて普及にもつながるということにもなるのではなかろうか、そこらあたりをどういうふうな形で展開していくのが最も適当であろうかということについて、現在私どもとしては真剣に取り組んでおるところでございます。
 いずれにしましても、これは放送行政にもかかわるといいますか、免許をいただく一つのことにもなるわけでございますので、郵政省御当局とも十分そこらあたりについて、私どもの気持ちも十分御説明し、また郵政省御当局の御意見もいただきながら詰めてまいりたいというように考えておる次第であります。
#65
○大木正吾君 郵政省の局長に伺いますけれども、六十年の九月に「放送ニューメディアに関する調査報告書」なるものを出しておられますね。これを見ますと、マスコミ関係の万三百十四名、研究者の方が二百六十二名、メーカー二百四十名、経済界二百六十五名、これによる郵送アンケート調査一千八十一名に出していまして、このウエートが若干出ているわけですが、見ていきますとはっきりしますことは、マスコミ関係者、研究者等の場合には大体五〇%が報道の充実、文化の向上、災害問題、こういった順序の答えが出ているようですね。
 NHKは当然、監督官庁からこういった資料はちょうだいしていると思うんですが、これはどうですか。
#66
○政府委員(森島展一君) ただいま先生おっしゃいましたニューメディアに関するアンケート調査、これは郵政大臣の私的な懇談会ということで、六十年の五月から放送政策懇談会という懇談会を設けて、有識者十五人の方にいろいろ御議論をいただいているところでございますが、その資料として、特に放送に非常に関心のありそうな方面の方の御意見を聴取して、これを懇談会の方にお示ししたわけでございますが、これは懇談会の内部資料ということで、懇談会そのものがこれは自由に御議論いただくということで非公開ということでやっておりますので、その資料は外に出しておりません。
#67
○大木正吾君 これ、資料を外に出していないとおっしゃるけれども、この中のだれかが書いておるんですよ。私が言ったのは、別にだれがどういうことを答えだということは要らないんでありまして、人数でもって申し上げたんですよ。その結果として報道の充実をさしてもらいたい、災害時の安全を確保してもらいたい、こういった方々がマスコミ関係の方では五〇%以上を占めておりますと、こういった記事があるんですよね。別にこういったものを秘密にする必要もないと思うんですが、それはどうなんですか。
 せっかく調査したものについては、放送衛星時代、ワイド番組、そういったものに絡む問題で、今後の要するに放送ニューメディアに関する問題の調査なんですから、監督官庁と当然実行をするNHKの方との連携なりあるいは指導、そういったことがあってしかるべきと考えますが、こういったこともここでもって質問しちゃいけないんですか。どうなんですか。
#68
○政府委員(森島展一君) この放送政策懇談会自体の方で非公開でやろう、こういうことをお決めになっておりますので、その中でむしろ発表した方がいいんじゃないかというようなものがあればまた懇談会の方にちょっとお諮りして、どういうふうに取り扱うか、懇談会の方に伺わしてもらいたいと思っております。
#69
○大木正吾君 いや、別に懇談会に諮る語らないじゃなしに、事実問題として記事になっておるからこちらは聞いているし、同時にこれが今後のNHKのあり方なりニューメディアなりあるいは放送業務全体に絡むから伺っているわけでして、このことの事実をあなたはお認めにならないんですか。
 これは間違っていますか。私が申し上げた数字は間違っていますか。どうです、これは。
#70
○政府委員(森島展一君) ちょっと今、手元に事実を確かめる資料がございませんけれども、また後で調べさせていただきます。
#71
○大木正吾君 しかし、局長さんがそういったことで、別に数字の何人か違ったところなどは構わないんですよ。大体こういった懇談会をつくられて報告書をちょうだいしておれば、パーセンテージはどれくらいになってウエートはどうだということぐらいは頭になかったら局長さんとしてはどうなんですか、実際これは今後のいわゆる報道の動向を調べるものなんですよ。別にこのことは守秘義務に絡むものじゃないでしょう。
 大臣、これどうですか。ちょっと認識の違いがあるかもしれませんが、やっぱりテレビ離れの傾向ということを心配し憂えるからこそ、今後どういう報道を基本的にとればいいんですかと聞きたいから、私自身がこういった資料を調べてきたんですよね。それについて担当の局長さんが答えられない知りませんでは、ちょっとこれ予算委員会みたいにとめるわけにはいかないんだけれども、何か大臣答えてください、この扱い方については、当然放送行政を生かしていくんだということについて。そうでなかったら何のために懇談会つくったか、報告書をつくったかわけわからないじゃないですか。局長答えたから、大臣の方からお答え願えませんか。
#72
○国務大臣(佐藤文生君) 私は、放送政策懇談会というのは非公開で自由な討論の中から放送行政の将来のあり方を図っていきたい、こういうような原則は聞いております。したがって、将来の方向の一つの資料づくりとしての放送政策懇談会ですから、資料を十分にそろえて、それが一定の方向を示されたものが局長のところに行き私のところで見まして、それを参考にして私が一つの政策を展開する、こういうことになっておりますので、先生のお手元に入っている資料がどういう資料か私もよく正確にわかりませんけれども、それはその内容をひとつ後から見さしていただきましてチェックさしていただきます。
#73
○大木正吾君 これは争っていると時間がもったいないですから。ただ放送局長、お願いしておきたいけど、こういったものをやったからには、やっぱりこの委員会に説明できる限界で結構ですから、こういったものについては資料として出してもらわないと、私たち自身ちょっと会長なり大臣とも認識が違うかもしれませんけれども。私個人もテレビを見る時間を減らしているんですよ、減っちゃっているんです。見たくないんです、実際問題としては。ニュースは見ます、絶対見ます。同時に、大事ないわば災害やなんかの問題のときとか事件の問題は見ますけれども、余り最近の民放が流しているような、割合に低俗な番組についてはほとんど見る気がしませんね。そういった変化が自分の中にも起きているし、孫と私の子供と女房と私の間にも起きているんですよ。全体的にやっぱりテレビをつける時間が減っている。私の家庭でもそうなんですよね。そういったことがあらわれているから、単にテレビ離れの問題として勉強しているんでしょうなんていうことでは納得できぬから問題を提起しているんですよ。新しい時代をどうするかという問題を問いただして、自分でも勉強したいし、皆さん自身も考えてもらいたい、こういう立場でもって申し上げている。
 そこで、問題になりますことは、さっき川口さんおっしゃったことと絡むんだけれども、やっぱり放送衛星の時代に入ることは、これは数年後、恐らく間違いないでしょう。そうなりますと、結果的には番組は相当長時間のワイドのものが求められてくるでしょう。白黒からカラーに変わったような大きな変化にはならないかもしれませんけれども、相当大きな変化が来ることは私は間違いがない、こういうふうに一応状況判断をするわけです。
 そういった際に、どういうような番組を考えられていくのか。一般論としてスポーツ絡みあるいはニュース絡み、同時に良質のワイドな歴史物のロマン的なものとか、そういったものも考えられましょうが、放送衛星の使い方で、難視聴対策だけじゃなしに将来について何か計画なり考え方がございますか。
#74
○参考人(川原正人君) 放送衛星というのは非常に多面的な性能といいますか、能力を持っております。また、この放送衛星を開発いたしますには政府の方のいろいろな御協力、御指導もありましたけれども、NHKとしましてもかなり多額の受信料をかけましてこの衛星を開発してきておりますし、今後とも恐らくこの衛星を持続していくためには毎年相当の経費がかかると思います。としますれば、私どもとしてはやはりそれだけの経費をかけて非常に能力の高い放送衛星を所有するわけでございますから、これは受信者のためにもその能力は十分に生かして、その利益を還元してまいりたいというふうに考えております。
 具体的にどういうことをするかというのは、今でも常に研究はしておりますけれども、具体的な中身につきましては、これからのことになろうかと思います。
 ただ、技術的には既に申し上げておりますとおりに、例えばハイビジョンというような放送も可能であります。あるいはPCMという非常に音質のいい放送も可能でございます。恐らく将来はファクシミリというようなものもかなり効率的に一斉に全国に届けることができるという能力を持っております、これは技術的に見まして。とすれば、そういう技術はフルに発揮してまいりたいということ、これがございます。
 それからもう一つは、先ほど来御指摘のように、難視聴の解消ということを全く機械的に解釈いたしまして、地上でやっております放送をそのまま衛星から出すということでありますと、これは地上の放送がごらんになれない方というのはごく一部でございますので、それだけのことをしていたのでは、これは普及もいたしませんし、今申し上げましたように、これに投入しました受信料、それに基づく利益の還元ということにはほど遠いことではないだろうか。
 そこで私どもは、この衛星を難視聴の解消にも役立てながら、同時に新しい何かこの衛星を使っての視聴者の方への利益の還元、サービスをやりたいという願望を強く持っております。
 具体的な中身については、先ほど申し上げましたように、まだ研究の段階でございますが、恐らく今地上の番組でやっているような形でもってあれと同じような制作手法で、また別のチャンネルから番組を出すということは少なくとも今のNHKとしましてはそれだけの能力はなかなか出てまいりませんから、もっと効率的な番組の制作を考えながら、しかもなお視聴者に満足いただけるようなサービスを考えるしかない。
 先ほど先生が非常にワイドな番組ということをおっしゃいましたけれども、確かに形としてはそういうふうなものが当然考えられると思います。しかも、最近のような日本自身がもう国際社会の中で生きていくというか貢献をしていかなければならないという時代でございますので、国際的な情報というものをもっと自由にいつでも情報が提供できるようなことができないか。それにはこの放送衛星というのはかなり高い能力というか便利な手段でもございますので、そういう活用は十分あり得るのじゃないか。もちろんスポーツということもありましょうし、あるいは劇場等も細切れでない形でお伝えすることができれば、ずっと今までのテレビと違ったものができると思います。
 そういうことを私ども内部では具体的に今検討しておりますし、でき得べくんばそういう形でこの衛星放送の能力、利益というものを視聴者の方々に還元してまいりたい。
 それからもう一言言えば、そういう形の中で私どもがこれに投入しました経費をもし新しい料金の形で補うというか、将来の経営に役立てるということができるならば、それも私どもとしては当然考えていくべきことではないかというふうに思っております。ただ、これにはいろいろまた解決をしなければならない問題あるいは踏まなければならない手順というものがあることはよく承知しておりますので、そういうこともあわせて今研究しておるところでございます。
#75
○大木正吾君 会長の今おっしゃったことは、ほぼ私の頭にあることと似たことをおっしゃっていただきましたわけですが、結果的には番組のワイド化、画像が極めて鮮明になりますし、良質になります。また、国際化ということになりますと、同時に言語問題等も出てくるでしょうし、いろいろなものが出てくるでしょう。ですから、そういった研究を今のうちからどんどん始めていただきまして、言えば難視聴対策、同時に低俗番組には落ち込まない形の中におけるワイドという問題、この検討が進められていきまして、そしてあとは――今、受信機、受信装置は三十万ぐらいするのですか。そういったものが量産されますればこれはペイすることも可能なんだし、そういったことを総合的にぜひこれは研究すべき段階、それを促進すべき段階、こう考えて、さっきも郵政の放送局長に聞いたんですけれども、なかなか話、返ってこない、まあ会長答弁でおおむね私の考えていることと大体合っていますので。そういったことが受信料問題、さっき片山委員も質問されたんですけれども、これは四年サイクルで回ってきた、あるいは三年サイクルでもって値上げしてきた経過もあるわけでございますんですね。
 ただ、やっぱり白黒からカラーに変わったときには猛烈にテレビの視聴者がふえたわけでしょう。ああいったことの転期にこのこと自身が関連してくれば、ある意味ではもう一遍のささいな値上げなりが必要かもしれませんけれども、この時期にはこれはもうそういったことは必要ないぞと、こうなるかもしれませんし、そういったことも含めてこれはぜひ考えていただきたいし、その辺については大臣の方からひとつ答弁してもらいましょうか。
#76
○国務大臣(佐藤文生君) 新しいテレビの時代を迎える転期が何か来たような気は私します。したがって、先般NHKの放送を見た中で、今からのテレビはどうあるべきかということで民放各社の放送の担当者第一線を全部集めてやったテレビを私は自宅で見まして、画期的な三十年の歴史を持ったテレビが、受信者も成長するし制作者の放送局の方も成長していかねばならない、そのギャップがあってはならないということで討論が三時間にわたって展開するのを見まして、私自身も放送行政の最高責任者として皆さん方の意見あるいは放送政策懇談会の意見、国民の意見、それを聞きまして、NHKというのが民放とどこが違うのかということを毎回自問する必要がある。要するに公共の福祉のために全国あまねくの方々に受信ができる体制を整えて、放送法に基づいた公共放送である。したがって、そういう観点から努力をして国民の要望を絶えずNHKはどんな放送局よりも受けとめて、それを公正に放送していく、こういう放送局になっていけば私は国民の御期待に沿え、また委員会の皆さん方の御期待に沿えるNHKになるんじゃなかろうか、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
#77
○大木正吾君 それから、災害対策関係についてもこの放送衛星は威力を発揮するだろうというふうに考えておりまして、ここ一年間物すごく災害が、火山の爆発の問題でございますとかあちこち事件が多うございまして、そして裏日本のあの地震のときには大分情報のおくれとか手違い等もありまして、津波が来てしまって子供たち、学生の方が大分やられました。こういったこともありましたし、メキシコ地震のときなどについて考えますと、民間の放送等も大変な協力をいたし、番組をすぐに変更しましてやったという経過も何かあるようですね。
 ですから私は、NHKの公共放送性というものの意味合いを国民にしっかり植えつけるには災害のときこそNHKというものはやっぱり最先端を行くんだと、こういう関係でもって物をとらえることは極めて大事な問題だ、こういうふうにとらえていまして、東海地震の予報なども盛んに新聞等ちらちら最近出ておりますが、災害と放送衛星の絡みですね、こういった問題についても、これは会長なり関係者の方からどういうふうな受けとめ方をされているか、あるいは新しい放送衛星時代に入ったときにはさらにもっとしっかりした敏速な措置がとれるかどうか、そういうことについてぜひ伺っておきたいと思うんですが。
#78
○参考人(川口幹夫君) 新しい時代の放送というのがどうあるべきか、これはもちろん技術の進歩によるところ、それが一つの大きなポイントになります。それから、それをどういうふうに使うのかという運営の問題が次に考えられますけれども、今先生おっしゃったような災害放送などの場合に、例えば衛星を使ってのやり方とか、あるいは去年懸案でありました緊急警報放送というものを実施に移しましたけれども、このようなやり方がこれまでの緊急報道体制を大幅に前に進めたということは多分申し上げていいかと思います。
 これまでにも衛星を使って、例えば長野県の王滝村の災害でありますとか幾つかの事例がもうたくさんございます。そのたびに我々は新しいメディアを使うことがいかに有利な条件になるのかということを痛感してまいりました。今後も新しいメディアの開発に力を入れると同時に、それをいかにうまく使うかということには最大限の努力を尽くすつもりでございます。
#79
○大木正吾君 これは会長に伺いたいんですが、私自身が実はNHKを拝見しながら感じますことを二、三申し上げてみたいと思うんです。
 番組のあり方としまして、さっき私がちょっとここに新聞と財テク案内の雑誌を持ってきましたが、会長は余りこれ歓迎されないようなお話だったようですけれども、別に財テクでもって金もうけを宣伝しろと言っているわけじゃないんでございまして、なぜ読売新聞がこういったものを週一回出すようになったのかとか朝日新聞が出すようになったのかとか、なぜこういう雑誌がふえているかという問題、これは政府御自身の、大臣には非常に言いにくい話かもしれぬけれども、やっぱり老後生活が不安でならぬ、子供の教育費用もかかる、こういった問題がありまして、相当切り詰めながらもやっぱり何らかの有利なものを生んでいきたい、こういう気持ちがあり、しかも、日本の百四十三兆にも上らんとします赤字公債、こういったものが背景にある限りはやっぱり国民の税金が相当そっちへ回っていきますから、結果的にはやっぱりどうしても自分自身で老後生活を考えざるを得ないという環境に立っちゃっているんですよ、私たち自身が全部が。そうしますと、これは豊田商事のああいった悪い話も、もちろんこれは問題防がなきゃなりませんけれども、そういったこと等に絡んで、要するに国民のニーズ、産業構造、経済構造が変わっているんだということをしっかり受けとめながら、いわば私は放送関係の仕事をしたことありませんからわかりませんけれども、やっぱりもう少し幅広い視野でもって物を見て、そして新しい番組についても、ジャンルごとにありましょうから、研究してもらいたい中で申し上げた一つの側面なんですね。
 ですから、最近TBSが夜の七時を挟んでニュースを延長しました。七時になったら今度NHKの番組に切りかえようかどうしようかというときに肝心なニュースを流すものだから、こっちは六チャンネルのままにしてしまうかどうか迷うこともたまたまあるが、私はNHKのファンだからNHKに切りかえて見る、女房は反対する、こういう問題もぶつかることはありますよ、率直に申し上げてね。同時に、夜十時から始まる朝日放送のテレビのニュースもキャスターに何か芸能人引っぱってきてやっていますからね。こういったものも、あれも一つの事例だと思いますけれども、やっぱり九時のニュースは相当しっかり見ている方が多いという感じがいたしますね。といって七時のニュースが悪いとは私は申し上げませんけれども。朝の七時はほとんどこれはもうNHKですがね。
 ですから、ニュース番組のキャスターの方々など、あるいはチーフの方なんかは、非常に僕は頭の隅が痛くなるほど悩んで考えておるとは思うんですが、何か私も知恵ありません。ありませんけれども、ニュース番組についてもう一歩こう何かワイドというか、あるいはもうちょっと突っ込んだといいますか、民放がNHKのまねをしたかどうかわかりませんけれども、あれでもって相当なやっぱり変化を始めているということは間違いありませんからね。だから、そういったものを、先を行く研究がされることが一つの問題であろうと思うんですね。
 それから、同時にやっぱり生活絡みの問題としまして、料理番組もやられているようですけれども、むしろ広い意味で文化面といったらいいと思うんですが、スポーツもこれは文化の中の一つですからね。スポーツももちろん取り入れた形における文化面のいわば番組をもっとふやしていくことが必要であって、私の好みから申し上げますと、娯楽番組等についてはむしろ歴史物ですね、歴史を後世に残すという意味合いで、そういったものについてもう少しやっぱり番組の時間帯をふやしてほしいということですね。こういった気持ちもございます。
 大体こういったようなことを幾つか申し上げて、考えてみているんですが、ニュースの充実と同時に経済面の動向の変化、これについて、私もしょっちゅう見ているわけじゃありませんから、あるいは見漏らしているものがあるかもしれませんが、とにかくそういった経済動向の変化というものを敏感にとらえたものが夜の、ちょっとあれは遅いんで十一時五十分から始まります「きょうの焦点」というやつがありますね。あれなんか私、見ていますと、朝国会に出てくるのにうちを七時過ぎに出てきますから、ふろに入る時間もなくなってしまうので、もうちょっと早くしてもらいたい気持ちもする。これは欲は言いませんけれども。
 ですから、そういった中に、要するに総合的にはスポーツ、文化、経済問題、そういったことをもう少し充実させる方向で番組全体について検討をしてもらいたいということが私の一つの番組に対する要望的な意見なんでありまして、これについて会長、そういったことをやっておられるとおっしゃるかもしれませんが、会長からの見解を伺っておきたいと思います。
#80
○参考人(川原正人君) 世の中の変化といいますか、あるいは視聴者のニーズという言葉でよく言われますけれども、視聴者の方の生活環境の変化、その中での視聴者の要望の変化、これはもう私ども常に敏感にそれを調べ、あるいはそれを感じとっていかなければならないと思います。そして、それに応じた番組の編成をするというのも当然の義務だと思っております。その意味では、御指摘のように報道番組に対するいろんな御要望、しかも今までどおりの報道の仕方でない、もっと新しい魅力のある報道の仕方の御要望というのはよくわかっているつもりでございます。あるいは経済問題についても、確かに私どもがみずからの生活をきちんと守っていかなければならない、そういう状況の中での経済番組に対する具体的な御要望というものもわかっているつもりでございますけれども、十分にそれに対して私どもの放送がこたえ切れているかどうか、これは常に私ども部内でも検討し、部外の御批判も率直に承っているつもりでございます。
 具体的には、先ほど川口も申しましたし、なお重ねて御説山してもよろしいわけでございますけれども、四月からの新年度におきましても、それにこたえられるような番組を幾つか用意をいたしております。決して財テクそのものに私は反対をしているわけではございません。ただ、視聴者の御期待にこたえる中で、私どもが視聴者の御期待にこたえるんだということの中で、うっかりすると視聴率といいますか、あるいはそういうものに引きずられて物事を考えていくことがないといたしませんので、その点は十分気をつけてまいりたい そういうつもりでいるわけでございます。
#81
○大木正吾君 時間が迫りましたので、ちょっと一、二、個別の問題を伺いますが、放送大学について、これは文部省から、だれかおいでいただいているはずですが。
 最初の出だしはまことによかったんですが、何か最近の新聞等拝見いたしますと、大分入学希望者が減っている、こういうことになっているようですが、これについて問題の箇所、例えば臨教審からも意見が出ておるようですし、同時に、単位の互換問題が相当隘路じゃないかという感じもいたしますし、学習のキャンパス、教授との接触、そういった問題等についての隘路が問題じゃないかという感じもいたしますが、文教委員会の問題だから逓信委員会でやるなということをおっしゃらずに、問題の箇所についてどういうふうな御認識が、承っておきたいと思うんです。
#82
○説明員(遠山敦子君) お答え申し上げます。
 放送大学、六十年度から第一学年を受け入れました。昭和六十年の四月に受け入れました学生数は、入学定員一万人に対しまして一万九千人に及ぶ出願がございまして、大変な反響を呼んだという評価があったわけでございます。
 で、来年度、六十一年度、第二年次の募集をいたしましたところ、先般、報道などがございましたけれども、目下集計中でございますけれども、締め切り日を若干延長いたしましたところ、結果的に入学定員一万三千人に対しまして約一万人の応募がございました。そのようなことで、六十一年度の開設の予定の定員は、六十一年度の新規の入学生と、それから六十年度に入学した全科履修生の方々を両方をプラスいたしますので、一万七千人を見込んでいるわけでございますが、両方足しますと一万八千人がほぼ見込まれている状況でございます。したがいまして激減というふうには私ども考えておりませんで、しかしながら第一年次におきます一種の大変な反響に比べまして、やや第二年次には反響が少なかったということは事実でございます。
 このことに関しましては、昨年度、入学志願者の全員を合格といたしましたので、入学待ちの志願者が少なくなったということが一つと、さらには昨年、超過応募がありましたこともございまして、大学側の募集活動にやや控え目なところがあっというふうには考えております。今後とも、募集活動を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、御指摘の臨教審からの意見の点でございますが、審議経過報告が目下出ているわけでございますが、その中に、やはり放送大学が国民一人一人の学習機会を充実していく有力な生涯学習のための機関であるというふうなことで、今後ともこの面の拡大などを図ることという大変的確な御指摘がございます。ただ、臨教審は四月の末に答申が出るわけでございまして、正式にはその答申を受けまして文部省といたしましては、今後、放送大学のあり方について多角的な観点からこれを進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
 で、陸路というふうな御発言がございましたけれども、単位互換のことに関しましても既に幾つか話が進んでございます。例えば、目下は産業能率短期大学の通信教育部との間では、具体的に昭和六十一年度から実施されることとなってございます。その他幾つかの大学との協議も目下進行しているわけでございます。単位互換の問題のみならず、いろいろな問題があるわけでございますけれども、大変新しいメディアを使った新構想の大学でございまして、私どもも短期的な視点ではなくて、長期的な視野からこれを育ててまいりたい。そのこと自身が、国民一人一人が学習の意欲を常に持ち続けることにこたえていく道であろうかというふうに考えている次第でございます。
 教授との接触の問題も御指摘がございましたけれども、学習センターというものが各地に置かれてございまして、ここで面接授業が行われているわけでございますが、そこにおける教授たちの評価を見ますと、大変熱心な授業態度であるというふうなことが話されているわけでございます。
 いずれにいたしましても、まだ第一年次を終わろうとしている段階でございまして、今後とも事態の推移を見ながら、この問題について、さらに積極的に対処したいというふうに考えております。
#83
○大木正吾君 時間がありませんから、もうこれで私、意見だけ述べて終わりますが、これは大学放送というんだったら、まだいいんですがね。放送大学というと、やっぱり文部省管轄というふうにとられる半面もありましょうが、やっぱり放送というとNHKと、こうすぐくるものですから、その辺についてはぜひ文部省としても十分連係動作をしっかりしておいていただきたい、こういったことを要望しておきます。
 最後に、大臣にお願いしておきますが、私自身の認識では、やっぱり衛星放送時代――放送衛星時代といいましょうか、そういった中で、さっき議論を若干いたしまして必ずしもお互いに理解は十分じゃないと思いますけれども、相当大きなテレビ離れ傾向ですね。これについては、やっぱり非常に国民なり、逓信委員のメンバー、私たち全体も心配している問題点でございますから、ぜひこの種の問題については放送衛星時代を迎える準備なども含めて、どういう料金で、国民に余り負担をかけないでいけることなども経営上の工夫として含めまして、相当思い切ったことについて今後脚研さんあるいは御検討をいただきたいことと同時に、そういった時代に入りますと、恐らく番組なりあるいは報道の中身もメディアも変わってきましょうから、そういった点でもってぜひNHK全体の経営者側の御努力を切望しますと同時に、毎年二百人ずつ減らしていかれる職員の方々の立場も、五十七歳の定年と伺っていますけれども、まだ五十七歳といったら私たちより下ですから、そういった方についても十分に御配慮していただきたいことを最後にお願いいたしまして終わります。
#84
○理事(片山甚市君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時より再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#85
○委員長(大森昭君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#86
○添田増太郎君 新米ですから、先輩の皆さんの質問と重複する点もあるだろうと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 放送のモラルについてでございますが、この点につきましては先ほど大臣も大木議員にお答えをいたしておりましたが、実は私も、去る三月二十二日の午後七時二十分より、NHKの特集番組でございますところの「今、あらためてテレビとは?」という第一部と第二部、私も拝聴させていただきました。私は、あれを見ましてNHKに対し一層の信頼感というものを深めたわけでございます。
 先ほどもいろいろお話がございましたが、どうも最近の民放を含めましてのテレビ報道等におきまして、大変人権を無視した、しかも視聴者本位の何といいますか、自制心を失ったかのような報道が最近目立ってきておるわけでございまして、これでは一体テレビというのは将来どうなるんだろうと、もう大変心配されるわけであります。自分自身を自制するという機能が一体あるだろうか、こういう危惧すら実は抱くわけであります。日ごろ大変努力をされておりますことに対しましては十分理解をいたしておるわけでありますが、しかし、やっぱりジャーナリズムというものがしっかりしないと私は本当のこれからの民主主義というものは育っていかない、こういうふうに考えるわけでございまして、もちろん報道の自由に基づきましてNHKは不偏不党、真実をもって国民に知らせていくという一つの大きな使命を持っておるわけでございます。その反面、他の民放等に対しましても、私は、やはり国民はNHKさんは指導的役割というのも持っておるんだ、こういう認識をかなり持っておるわけでございまして、したがいまして、今後とも一体我々はモラルというのは那辺に置いていかなくちゃならないか、それをいつでも一人一人が自覚していかなければならない、かように考えるわけでございまして、この点について会長にもう一度ひとつお尋ねをしておきたいと思うわけであります。
#87
○参考人(川原正人君) 昨年来、放送、特にテレビにつきましていろいろ世論からの批判を厳しく受けるような事態が生じましたことについては、私もこういう放送の事業を担ってかつその責任を負っている者として非常に残念に思っておりますし、みずから反省すべき点は厳しく反省しなければいけないというふうに思っております。特にこういうマスメディアに携わる者の責任の自覚といいますか、モラルといいますか、これは常にみずから研さんをし戒め合っていかなければいけないというふうに考えております。私どもNHKは他の放送事業に対して指導するというような考えは持っておりません。そのようなおこがましいことは考えませんけれども、やはり同じマスコミの一員として常にみずからの道を誤たないということは心がけてまいりたい。
 現在痛感しますのは、やはり民主主義というのは自由というのが根底原則にあるわけでございますけれども、そういう意味で日本のマスコミも表現の自由を与えられ、かつ仕事の方も幾つかの放送局が自由に営業ができるという非常に恵まれた環境にあると思いますけれども、このことが逆に過当な競争になる、あるいは商業主義の非常にすぐれた特徴もございますけれども、それが過当な商業主義に陥ると利潤のためには何もかもかなぐり捨ててもうけに走るという傾向が出やすいわけでございまして、そのことがテレビにおいては視聴率優先主義になってまいります。そのことが時として人権を無視し、あるいは物事の本質、バランス感覚を失して、それほど多くのスペースを割いて伝えなきゃならないことはないような事態にまで過熱ぶりを発揮するという弊害が出ているのではないかと思います。
 私ども、言ってみればそのような競争の中に身を置いているわけでございますので、そうした過当な競争、あるいは興味本位の報道、センセーショナリズムに毒されないように引き締めてまいりたいというふうに考えております。そして、そうすることがまたこの世界において少しでも同業諸君の中の反省といいますか、みずからを戒める一つのきっかけになれば甚だ幸いである。もしそうでないと、今度は世論のもっと大きな批判を受けて我々の恵まれた今の自由そのものが束縛される、あるいは表現の自由さえ管理規制をされかねないという危険を感じておりますので、このことは同業の者と一緒に厳しく反省してまいりたいと思っております。
#88
○添田増太郎君 今後ああいう番組等について、さらにひとつ工夫をして数多く企画をしていただきたいと思うわけであります。
 経営の方針についてお尋ねをするわけでありますが、大変心配されましたゆり二号bが打ち上げられることによりまして難視聴が解消される、しかも災害等に対して迅速な報道ができる、また新しいニューメディアの実用化等の時代を迎えまして大変果たす役割は大きいわけでありまして、それだけに国民の期待というのも大変大きいと考えるわけであります。そういう反面、新分野の開拓、それから財政の確立ということは相反しながら大変これは難しくなってくると思うわけでございまして、しかもそういう中で本年は経営計画三年の最終の年でございまして、努力をされておるところでございますが、こういうものを踏まえまして、先ほども質問がございましたが、予算編成に当たっての基本方針をまずお伺いいたしたいと思うわけであります。
#89
○参考人(川原正人君) 六十一年度の予算を編成するに当たりましては、当然のことながら私ども受信料によって支えられている公共放送としまして、その使命をまず完全に達成するということに意を用いました。新しいニューメディア放送衛星を初めとして、文字放送あるいは音声多重放送等次々と新しい技術が進展もしてまいりまして、いろんなメディアが活用できる状況でございますので、それらを十分に視聴者の方々に利益を還元できるということを第一といたしまして、しかし同時に、やはり受信料によって支えられているということは視聴者の方に受信料のこれ以上の負担をなるべくおかけしないということを当然考えなければいけませんので、過去五十九年度以来の計画の実施の過程でも、徹底的に経費の節約をすること、あるいは合理的な経営をすること等考えてまいりまして、具体的に要員等におきましても毎年二百人あるいは二百人以上の削減を図ろうという決心のもとに、六十五年度までには何としても一万五千人、ピーク時に比べれば数年の間に二千人ぐらいの人を減らそうということを鋭意進めております。
 そのほか私ども自身の手でやるべき仕事と、物によっては外部の力をかりる、あるいは関連の班業を設立しまして、そちらの方の力によっていろんな仕事をやってもらう。番組の制作も一部はそういう形で外部の関連の企業に受け持ってもらう。そういうことが企業の効率的な経営に役立つならば、それも思い切って展開してみたい。それから副次的な収入も、せっかくの私どもの相当の経費と人手をかけた番組でございますし、あるいは収集したデータもたくさんございます。あるいは技術の発明の成果も持っております。そういうものをできるだけ活用して受信料以外の収入をふやしてまいりたい。そういうことを今工夫して六十一年度の予算の編成に取り組んだわけでございます。その結果がお手元に差し上げているような形ででき上がったものと御理解いただきたいと思います。
#90
○添田増太郎君 今大変難しいときを迎えておると思うわけであります。そういうことで三カ年計画をお立てになりましていろいろ努力をされてきたわけでございます。しかし、一方においては人員が減る、また一方においてはNHKさんに対する公的ないろんな要請がふえてくる。しかも衛星放送の時代を迎えまして、ますますその果たす分野というのは高度化してくるわけで、よほどNHKさんは本気になって取り組んでいかないとこれは大変なときを迎えておるんじゃないか、こう考えるわけでございまして、したがって、これから臨むために最大の課題は一体何なのかということをやっぱり的を絞って、その課題に向かって一つ一つ解決していくということが大事になってくるだろうと思うわけで、会長はその最大の課題は一体何かということに対してもう一度ひとつお聞かせ願いたい。
#91
○参考人(川原正人君) 私どもの今NHKという放送事業に与えられました最大の課題は、やはりこれだけ変化の激しい時代あるいはその激しい変化の中で、やはり我々の生活あるいは人類の命運というものにかかわる幾つかの問題が発生していると思いますので、そういうものをやはり的確にそして正確に冷静な態度で視聴者の方にお伝えしていくということ、そしてまた、我々が、日本が、あるいは人類が長い間蓄えてまいりました伝統とか文化というものをこれまた我々の今の同時代の者が十分に享受できて、そしてその上に新しい文化が創造できる、そういうことをやっぱり着実に目指していくべきだというふうに考えております。
 もちろん、そしてそのためのいろんな技術手段というものが開発されているわけでございます。それはあるいは衛星放送というような画期的な新しい手段も生まれましたし、文字放送とかいろんな各種のニューメディアというものが展開されているわけでございますが、それらをやっぱり、単にその形だけの高度情報化社会というのではなくて、本当にそれらのメディアが人々の生活の向上に、あるいは心の充実に役立つような形で活用されるような方向を目指したいというふうに考えております。ただ、それには相当の人手と経費がかかることでございますので、それをまたいたずらに視聴者の御負担にかけることなく、やっぱり合理的な効率的な方法でもってその利益を視聴者の方々に還元していきたいということが今最大の使命と考えておるわけでございます。
#92
○添田増太郎君 ひとつしっかり頑張ってやっていただきたいと思うわけであります。
 六十五年度まで二万五千人体制で臨むという計画をお立てになっておるわけでありますが、その中の一環として五十九年から六十一年までの三カ年計画というのをお立てになったと、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。したがって、六十二年度からさらに新しい六十五年度までの経営計画というものを立てなけりゃならぬというふうに考えるんですが、その点どうなんでしょうか。
#93
○参考人(川原正人君) こういう企業体でございますから、常にある種の先の展望は持っていなければ経営はできるものではございませんし、部内ではそういうことは常に議論をし、幾つかの試算も常に繰り返し試みてはおります。ただ、事業計画、経営計画ということになりますと、仮にそれが六十二年−六十五年であれ、あるいは五年間であれ、一つの全体として形の整ったものにしませんと計画とは言いがたいわけでございまして、今五十九年から六十一年までの計画にのっとって仕事をしておりますけれども、仮にこの先六十二年度から数年間のもし計画を立てるとしますと、事業をこういうことをしたい、ああいうことをしたいという方は、これはそれなりにいろんなものがあるわけでございますけれども、じゃそれに見合う財政計画といいますか、収入がどこまで形を整えてできるかということを考えますと、実は毎年の受信料の収入が一%そこそこぐらいしか現実にないと。副次収入等もいろいろと工夫をして過去五年間の間に倍にはふやしてはおりますけれども、ただ倍と言ってもこれはけたが違いまして、十億のものが二十億になったという程度のものでございますので、財政的な計画を収支整うような形で六十二年度から数年先まで立て得るかということになりますと、大変そこが今苦しんでいるところでございます。といって、あるところから先は赤字のままですというような経営計画でもって外部に申し上げることができるかどうか、これはまた非常に無責任な話になりますので、その辺のところをどのようにまとめていくかというところで今苦慮をしている最中でございます。ただ、何らかの意味の見通しは持たなければ当然いけないというふうには思っております。
#94
○添田増太郎君 六十一年度、六十二年度、これはつながっていくものでございまして、したがって六十一年度中にいわゆる以後の問題等についてはそろそろ手がけていかなくちゃならぬだろうと思うんです。したがって、いつの時点でこういう作業に入らなければならないと考えておるか、その辺ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#95
○参考人(林乙也君) ただいま会長から御調則もございましたように、私どもといたしましては常に将来の経営見通しというものを持って仕事に取り組んでいかなければならないわけでございます。内部的には六十二年度以降の収支見通しについてもそれなりの作業はいたしておるつもりでございます。
 ただいま会長が申しましたように、その後の単なる収支見通しでなしに業務計画あるいは財政の一つの展望というものを踏まえていくためには、衛星の将来の問題あるいは将来二年先にありますオリンピックの問題等々もどういうふうな形で組み込んでいくかというようなことで、現在そのあたりを懸命に取り組んで作業をしておるところでございます。六十二年度予算の御審議をいただく際には、そこらあたりも御理解をいただけるような形でお示しするように努力いたしたいと思っております。
#96
○添田増太郎君 難しいだけにひとつよろしく万全を期して効率的な予算計画等をお立ていただきたいと思うわけであります。
 何といっても経営の基本の一つにやはり収入の増加ということがあるわけですが、大半がこれは受信料が頼りになっておるわけですが、その受信料も、先ほどもお話があったように義務的な何物もないということで、大変それはその末端では苦労されて聴視料の増加策を講じられておるわけでございます。そういうことから考えまして、この受信契約率九〇%というのは、私はやっぱりこれはすばらしいものだ、よく努力していると私は評価していい数字だと思うわけであります。
 しかし、受信契約者の収納率は高いがテレビの所有者総数、推定総数等から考えますると、まだまだこれはやはり努力をしていかなきゃ、いわゆる国民の公平性を欠く、こういうふうに考えるわけでございまして、いろいろ最大の努力をかけて今日までやってこられておるわけでありますが、しかしさらに今後いかなる方策を講じてこういうものと取り組んでいかれるかということについて、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
#97
○参考人(松本幸夫君) 現在の世帯数に対して契約の数がどうなのかということで申しますと、確かに先生御指摘のとおりだというふうに思います。私ども契約をどのくらい当該年度にふやしていくのかという計画を立てます場合に、当然国勢調査をベースにして考えているわけでございますが、しかしその国勢調査でふえる世帯数の中でテレビを持っておられる方が一体どれだけおられるかということを推定するとなりますと、ふえる世帯の恐らく半数程度が単身者であるという推定もできるわけでございます。単身者の持っておられるテレビというものはどの程度のものなのかということも一つの数字として考えてまいらなければならないわけでございます。それも、私どもは経済企画庁等の出しておられます資料、あるいは国勢調査の資料等を参考にいたしまして単身者のテレビを持っておられる世帯数というものを推定いたしまして、そしておよそこの程度の数だろうというので、五十数%を一応単身者の方は持っておられるだろうというふうに考えております。
 そして二人以上の世帯の方につきましては、これはもうほとんど全部の方がお持ちであるという前提で総世帯数の増をはじいているわけでございます。それは同時に、今申しましたテレビを持っておられる世帯の増につながるわけでございます。そういった形でそれにさらに努力値を加えた数字を年間の目標に立てているわけでございまして、これをどうしても毎年達成してまいらないとならぬわけでございますので、私どもとしてはできるだけ立てた計画を着実に実行していく。これは年間計画だけでございませんで、私ども期ごと、二カ月を一期というふうに考えて仕事をしております。期ごとの計画あるいは月ごとの計画あるいは週ごとの計画というものを着実に実行していくという努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
 そしてまた同時に、もう一つは、口座をふやしていくということがこれから先の収納の安定という点では特に大事なことかというふうにも考えておりまして、そういった口座をふやして収納の安定を図っていくということももう一つの柱として考えているわけでございます。
#98
○添田増太郎君 口座をふやすということが一番私は効率的で安全な受信率を高める問題だろうと思うわけでありますが、東電とか例えばガス、NTT、こういう口座のパーセンテージを見ますると大変高いわけですね。したがって、電気料金とかガス料金とかといって、もう納めなきゃ止めるぞと、こういう制裁措置を講じられるわけで、比較的皆さんに勧めやすいわけですが、しかしNHKさんもやっぱりもっと努力をして口座振替をふやすということをしなくちゃならぬと思うんですが、やはり工夫が必要だと思うんですが、どういうふうに工夫をされる考えなのか。
 それから委託契約、これは郵便局にお願いをいたしておるわけですが、これを見ると今簡易局が三千四百三十六局もあるわけですから、さらにその条件改善等を図ってこれをやはりお願いするということの努力をさらにまた強化すべきじゃなかろうかと思うんですが、ひとつ簡潔にお答え願いたい。
#99
○参考人(松本幸夫君) 口座の増加ということは、先ほど申しましたように、私ども一つの柱として考えているわけでございますが、今までの経緯を若干簡単に申し上げますと、三十八年から私どもの方は試行を始めまして口座にかかったわけでございます。しかし、先生御指摘のように、電力、ガス、水道というところと比べますと、普及率が十分でないということで、私ども、五十七年に郵便貯金のオンライン化によります作業が完了いたしました時点で郵便貯金の振替の実施をお願いしてございます。それから五十九年には御承知の口座料金を設定させていただきまして、口座を利用された方には月五十円割り引かさしていただくという制度を料金体系の中に取り入れさしていただいたわけでございます。それから、さらに口座がふえますと、従来受託者、収納を請け負っていただいておりまず方々の手数料が減ってしまいますので、なかなか受託者の抵抗感があるということがございますので、昨年から受託者の口座に対する抵抗感をなくすような制度を導入いたしました。そういった形で制度的に料金体系の中に口座料金を入れると同時に、受託者も積極的に口座に取り組んでもらえるというような制度もつくったわけでございます。同時に、各金融機関にあるいはお願いしております……
#100
○添田増太郎君 時間がなくなりますから、簡潔にひとつ……。
#101
○参考人(松本幸夫君) 郵便局にも積極的な口座の勧奨ということもお願いしているわけでございます。
 それから先ほど簡易郵便局についてお触れになられましたけれども、私ども今のところ特定郵便局に取り次ぎ、収納ということをお願いしてございますけれども、簡易郵便局のいわゆる郵政窓口をやっておられますところには委託はいたしておりません。
#102
○添田増太郎君 時間がございませんものですから簡潔にひとつ質問いたしたいと思いますが、御存じのとおり、日本文字放送、近畿文字放送と、NHKが出資をされた会社が相次いで設立されておるわけですが、その他法人五社も設立されまして、この法人五社、いずれにしても広告、コマーシャル等でやっていくわけですから、これはかなり厳しくなってくると思うんですが、文字多重放送の先行きは一体どうなのかということについて、先ほどもちょっと触れられたようですが、簡単にお願いをいたしておきたいと思います。
 それから電通が五月中旬に東京で大デモンストレーションを計画しておるということですが、このねらいは一体何なのかということ。
 それから電通さんと総合ビジョン株式会社というの、これおつくりになるようですが、これは今後ともハイビジョンの提供をするだろうと思うんです。したがってこの見返りは一体どういうふうに考えておるのかということについて。どうぞよろしくお願いします。
#103
○参考人(植田豊君) 御質問の日本文字放送、近畿文字放送をNHKが出資者の一翼に加わりましてスタートしておるわけでございます。NHKの放送設備を借用しまして多重放送という新しいメディアで放送事業を行います一般放送事業者でございます。NHKとは全く別個の独立した放送事業者となっております。
 この見通しという御質問でございましたが、私ども今の感じではまだ六十年十一月のスタートではございますけれども、受信者の関心もこのところ民放のスタート等もございまして、次第に高まってきているように感じております。それから情報提供者の皆さんも現実の放送をごらんになってその有用性にだんだん着目していただいているなという感じもございます。ただし、結局は受信機がどこまで普及をするかというのがポイントになろうかと思います。この受信機のお値段等の問題もあろうかと思いますが、この点が徐々に進展を見ることでニューメディアとしての将来の発展は期待できるのではないかというような感じがしておるところでございます。
 それから総合ビジョンでございますが、ハイビジョンについての御指摘もございました。二十一世紀に向けましての新しい映像メディアとして私ども一生懸命開発をしてまいりました。ただし、放送での実用化には若干時間がかかるんではないかなと今感じております。
 しかしながら、放送の実用化の前に、映画でありますとかCATVでありますとか、あるいはビデオパッケージ、印刷、さらには医療などの幅広い分野での活用が想定されておりまして、既に多方面で事業化の動きも出ておるところでございます。NHKといたしましては、みずから開発した技術でもございますハイビジョンの普及にも役立つものと思われますので、総合ビジョンを通しましてハイビジョンのノーハウを一般企業に積極的に活用をしてもらいたい、こう考えておるところでございます。そして、その結果として副次収入をふやすことができればと、この点も期待しておるところでございます。
 また、ハイビジョンの導入に関心を有する企業がかなりふえておるわけでございますが、そういうところと協力をいたしまして番組ソフトの開発も一緒にするといったような形で、このことはまた将来におきますNHKの番組制作の蓄積、ノーハウの蓄積にもなろうかと思っておるところでございます。さらに、最近では海外におきましてハイビジョンに関心が高まっております。これらについても総合ビジョンの貢献を期待しておるところでございます。
#104
○宮田輝君 国際化時代でございまして、テレビジョンを見てもまさに世界じゅうの情報が日本国内に入ってくるということを感じております。NHKは放送法で国際放送を行うということも決められております。ただ、国際放送は国内でお聞きになるということがないわけでございますから、一般的にそれほど関心が高くないんではないかと、こう思います。そういうときに、この一月でございましたか、南イエメンの内戦のときにNHKは、東京からの国際放送で外務省の呼びかけとか政府の緊急連絡を何回も何回も繰り返して放送して、在留日本人の脱出に貢献したということで、外務大臣から会長が感謝状を受けたと、こういうニュースが伝わりました。国際放送というものへの関心があるいはこんなことでも多少広がったんではないかと思いますが、この感謝状のいきさつを、会長、いかがでございますか。
#105
○参考人(川口幹夫君) 国際放送の担当でございますので、いきさつを申し上げます。南イエメンで戦闘が激化いたしました一月十九日からでございますけれども、我々は英語と日本語によりまして相当たくさんの放送をいたしました。日本語によりますGS、一般向け放送では十九日から二十日まで十二回。それから英語は十九日から二十一日まで十二回。それから一月二十一日、これはさらに激化しまして、外務省から、政府からの緊急連絡というのが出ました。これに対しましては直ちに私どもの方の対応を決めまして、そして一般放送により二十一日から二十二日まで二十二回、それから英語では二十一日から二十九日まで二十回と、非常にたくさんの回数の放送をいたしまして、これがガボンを通じまして現地には非常に鮮明に入ったようでございます。したがって、南イエメンの日本人救出には全く万全の態勢がとれたということで、外務大臣から感謝状をいただきました。
#106
○宮田輝君 お話しのように、東京から、日本の場合は二十一の言語で世界各地へ国際放送を行っているわけです。今はたまたまその在留日本人のお役に立ったということでございましょうが、外国の人にもこれは当然聞いてもらっていると思いますし、聞いてもらわなければならない。郵政省もNHKもそれなりに努力はされているわけでございますけれども、国際放送というのを主要国と比較してみますと、かなり弱いんではないかという感じを持ちます。NHKは毎日四十時間、一週間で二百八十時間やっているわけでございますね。アメリカのVOAがその五倍近い、一週間に千三百六時間、主要言語が日本の倍の四十二の言語を使っております。それからまた、イギリスのBBCでございますが、日本の二倍半、七百二十八時間やっております。それから、フランスは六百七十七時間ですから、これも二・四倍ぐらいになりましょうか。西ドイツのドイッチェ・ベレ、これが五百三十六時間で、日本の二百八十時間に比べて倍近い放送をやっております。
 それから、送信所なども大分開きがございます。日本の場合は、六十三年度から八俣が整備されて三百キロになるということでございますが、アメリカにしてもイギリスにしてもフランスにしても、あるいは西ドイツにしても、五百キロワットという設備がなされております。
 さらに、その運営の経費でありますが、日本の場合は、今度の予算を拝見いたしますと、六十一年度はNHKは五十一億五千万円、政府からの交付金が十二億四千万円。大体五十億と。アメリカのVOAが、これは為替換算で変わってきていると思いますけれども、十一月の平均レートによる資料によりますと、日本が五十億円に対してVOA、アメリカは三百四十四億円、これは六倍。それからまたイギリスは、BBCは約二百三十八億円ですから、日本の四倍。ドイッチェ・ベレ、西ドイツは約二百五億円、それぞれ五十九年度でございますが、四倍になっております。そういうことを見ますと、これでいいのかなと当然思うわけでございます。六十三年度からは、先ほど申し上げたように、八俣も三百キロになる。NHKも大分お骨折りでございますけれども、まあ追いかけていると言うことができましょう。
 交換中継をやっているところがまたあるわけですね。それはVOAもそうですし、それからBBCもそうでございますし、ドイッチェ・ベレも交換中継をやっている。カナダの放送協会も交換中継をやっている。その点についてまずお伺いをしたいんですけれども、八俣が三百キロになり、中国とか太平洋をめぐるこの地域などに対しては日本というのはかなりいい場所でもあろうかと思います。外国から日本の放送所、つまり八俣を貸してくれというような話もあるやに聞いております。また日本の場合も、さらに外国の中継所を利用できたら、これもまた考えていいことではないかと、こう思うんですね。国内の場合は当然法制上の問題もあるわけですけれども、いわゆる交換中継による国際放送の充実という点についてNHKと郵政省はどんなふうにお考えでございましょうか。
#107
○政府委員(森島展一君) 交換中継という方法をとりますと、我が国の国際放送のうち、遠隔の地域で非常に受信が難しいようなところに中継所が借りられれば、大変有効な方法でございますし、それでまた相手がもし日本でそういう中継放送をしたいという希望があれば、交換中継の方法によって経費をお互いに節約し合いながらできると、こういう非常に効果的な方法とは考えております。ただ、欧米の先進国ではそういう例があるわけでございますけれども、我が国でそういうことをやる場合に、法制面でどういう問題があるか、こういうことを至急に検討しなければならないと思っておりますが、できますればそういった方法を早く実現できるような検討をしたいと思っております。
#108
○参考人(林乙也君) 交換中継の点でございますが、現在NHKにおきましては、お話もございましたように八俣の送信所の整備を六十二年度までの計画で進めておりまして、これが完成いたしましたならば相当の地域の受信の改善が図られるのではなかろうかというふうに考えておりますが、やはり北米東部あるいは南米等の向きにつきましてはやはり必ずしもその効果が及ばないというようなことでございまして、結局それらの地域に対しましては外国に国際放送の中継局を設けると、取得するというのが必要になってくるのではなかろうかいうように考えております。この中継局の確保につきましての方策といたしましては、外国にNHKの国際放送局の中継局を設置、建設する方法、あるいは外国において建設されるものについて国などの御助力をいただいて建設する方法、それから現にある中継局を借り、賃貸といいますか、そういった方法、それに加えて交換中継の方式というようないろいろな方式があります中で、交換中継の方式は現在国際的に相互に借料を負担するといいますか、相殺するというようなことでも行われておりますので、放送事業者といたしましては経費的にも非常に軽減されるというような効果もあるわけでございます。
 また、相互主義というような形の外国の放送機関も積極的に交換中継方式に取り組んでおるというようなこともうかがわれます中で、この実現につきましては電波法の改正ということが必要であろうかと考えておるわけでございますけれども、郵政省御当局におかれましてもそこらあたりの点をぜひお取り組みいただきたいというように私ども考えておる次第であります。
#109
○宮田輝君 御検討いただきたいと思います。
 貿易の不均衡によりますいわゆる経済摩擦で私たちはいろんなことを勉強もいたしました。非関税障壁と言われるものでも考えさせられましたし、生活様式の違い、広い意味での価値観の違いというようなことも改めて感じたりいたしました。いわゆる経済摩擦も源はそれぞれ固有の文化とか風俗、習慣、言葉などについてお互いの理解、理解までいかなくても認識が足りなかったというようなことに大もとがあるんではないかと考えたものであります。しかも、物や金の交流は急激に進みました。集中豪雨的というような言葉も使われたわけでございますが、それに引きかえ、人々の心の交流による相互認識、相互理解がおくれて全く追いつかないと、こういうような状況でもあったんではないかと思うんです。しかも、日本はこういう面で特に努力しなければならない立場にあったんだと思うんですが、先進諸国と比べるとこの点でもいまだしという感じであります。
 先ほどお話し申し上げたいわゆる短波放送による国際放送も日本の場合はまだ弱い。なのにアメリカやフランスなどはもうテレビジョン映像の国際放送を始めているのは御承知のとおりであります。アメリカのテレビジョン映像による国際放送は通信衛星を利用して五十八年の十月からUSIA、アメリカ海外情報局が放送を始めて全世界のアメリカ大使館に受信アンテナを設置、受信して地元局に提供しているということであります。各国の放送機関は自由にこれを受信して放送に使うことができるわけです。これはNHKも利用されているはずでございます。六十年の四月からは月曜日から金曜日まで週五日間、定時化して毎日約二時間のテレビジョン映像による国際放送を行っております。内容は、アメリカのニュースが三十分、アメリカの社会、文化の紹介などが三十分、それからアメリカの三大ネットワークの主な報道番組あるいは大統領の記者会見などを一時間、合わせて毎日二時間の放送をしております。
 ヨーロッパのTV5計画、これはヨーロッパの通信衛星ECS1を利用して五十九年の一月からフランス、ベルギー、スイス、フランス語三カ国の共同プロジェクトが放送を始めております。欧州域内フランス語圏のテレビジョン局が互いに受信して利用する、フランス語圏のCATVが受信放送している、これは毎日ニュースや番組を放送しているということでございます。
 また、情報によりますと、六十二年にイギリスで試験放送を開始するという話も届いております。これはアメリカと同じようにやるんでしょうが、BBCがアメリカ、ヨーロッパ、中東、極東向けに毎日二十分の放送を行う、将来は放送時間を拡充し、各国の放送機関やCATVに売る方針であるということも聞いております。そのほかオーストラリアも検討しているというようなことも伝わってきておりますけれども、こういう映像による国際放送も行うようになってきた今の国際情勢といいますか放送界における国際情勢について、郵政省、NHKはどうお考えでございましょうか。
#110
○政府委員(森島展一君) 映像によります国際放送と申しますと、やはり放送衛星を使ったものであればこれは国際放送と言えると思いますが、先生が今おっしゃいました通信衛星を使った場合はこれ国際放送と申しますよりは国際的な放送番組の中継と、こういう形になるわけでございまして、放送衛星を使ったテレビジョンの国際放送ということをやりますためには国連の方の決議がございまして、その相手国の了承なしにやってはならぬというような非常に国際的に難しい問題がございます。
 現在までに行われております国際的な放送形態に類似したものとしましては、通信衛星を使った番組中継によりましてテレビ番組を相手の国の放送局なりあるいはCATVに供給する、それでその国で放送される、こういう形になっているというふうに考えております。もっとも、ヨーロッパではフランスやドイツで近々放送衛星を打ち上げる予定になっておりますから、それがほかの国に受信されるというような形態も近々起こるとは思いますが、私ども考えなければならない点として、今御指摘をいただきました通信衛星を使って既にアメリカやイギリスあたりがいろんな国際的な番組、テレビ番組を映像時代に向けて送っておるではないか、日本はどう考えるかと。こういうことにつきましては、私どももこういったことを国際交流の非常に重要な時代に日本としても映像番組による交流というようなことはNHKそれから民放でもそれぞれにいろんな形で工夫なり努力されておりますけれども、国としても何か考えなければいけないと思っております。
 その場合、そういう国際的なテレビ番組の交流の効果だとかどこが実施するかとか財源をどうするかとか、非常に大きな問題がございますので、これから多角的に検討をしていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#111
○参考人(川口幹夫君) 映像による国際放送ということは、将来は絶対にそうなるであろう、あるいは日本としてもできるだけ早くそのような形ができるのが望ましいというふうには思っております。
 ただ、今郵政省の方から申されましたように、なかなか現実的な問題はそう簡単にはいかないところがございます。したがって、それまでの間NHKとしては、例えば情報のネットワークを早くつくる。特に、ヨーロッパ、アメリカだけじゃなくて、アジアの各国とのネットワーク等の整備、これをなるべく早くいたしたいと思っております。
 それから、現在も相当海外への番組の頒布ですね、輸出、というのは広がっておりますけれども、去年の例でいきますと三千二百一本、三十五カ国に対する頒布をしております。年々歳々ふえていきますので、この辺についてはさらに努力をしたいと思います。
 それから、共同制作という形をとりまして番組を安く制作をすると同時に、これはいろんな国で放送するという一石二鳥の方策を非常に積極的に今進めている段階でございます。
#112
○宮田輝君 今やっておられるその国際化時代に対応して、日本の放送として努力されているということは、これはさらに期待を申し上げたいと思います。
 ただ、国際放送ではないとかということではなくて、映像による情報送出ということについては、局長もおっしゃったようにぜひ前向きにこれは取り組んでいただきたいということだと私は思っております。映像の時代ですね、やっぱり。短波放送も結構でございますけれども、やはりブラウン管に入ってくるというテレビジョンというのは強いものであると感じております。
 先ほどちょっとお話ございましたけれども、国際社会における日本の役割ということを考えてみても、情報の世界への提供というのは国際社会への貢献でもあると私は考えております。しかも、それが大きな国益につながるとしたら、これはやっぱり前向きに考えるべきことではないかと思うんです。相互認識、相互理解のためにどうしてもやらなければならないことなんではないかなと。財政事情もありまして、政府も大変なことはわかります。去年も実はこの場で申し上げたんですけれども、あるいは国際放送のシステムを抜本的に見直すべきときがきているということでもないかと思うんですね。今のNHKに政府は毎年十二億円ほど交付金を出して、NHKはまた厳しい財政事情の中で五十一億円かけて政府の命令放送を含めて放送をしているわけです。それが六十三年になりますとNHKの国際放送は大体八十億円ぐらいという数字になるということを聞きました。そうなったときに、政府はこの交付金をどうなさるのか。もうこういうシステムではあるいは対応できないんではないかということも考えざるを得ない。だとしましたら、NHKを中心に政府や民間企業も含めて、財政基盤のしっかりした組織に再編成して、前向きに日本の情報を海外へ送る仕事に取り組むということもこの際考えなければならないんではないかと思うんですね。
 特に、政府開発援助というのは非常に大事なものですけれども、それに劣らないぐらいこれは大事な仕事ではないか。企業の協力も私は求めていいんではないかと思うんです。このままでは将来に大きな禍根を残すということも考えて、あえて申し上げているわけでございますけれども、テレビジョン映像の国際放送やあるいはシステムをも含めて国際社会への情報伝達の充実は急がなければならない重要課題だと思うものでございます。大臣と会長にお考えございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
#113
○国務大臣(佐藤文生君) 郵政省としては、国際放送に関する課題というのを、先生方の御意見ももう毎年毎年出ていることでございますので、そういう御意見を受けて、最重点課題として取り組んでいきたい、こういうぐあいに思っております。もちろん財政的な厳しい面、それから諸外国において日本の放送を聞きたいという日本人のみならず、外国の青少年がたくさんいるということ、そういう実態を見たときにそういう問題の一歩前進する何かの方策を考えていく必要がある、こういうことを考えておるわけでございます。
#114
○参考人(川原正人君) 日本が国際国家として国際社会にもっともっと貢献すべき時期だと思いますし、その意味では情報の世界においてもさらに国際化を図っていかなければいけないと思います。その面では今までやっておりました短波による国際放送、それはそれなりにやはり一つの利点も持っております。国境を越えていつでも相手の国の受信者の耳に届くという意味ではその利点がございますが、しかしやはり訴える力ということになりますと、やはり映像の力というものは非常に大きいものがございますし、今貿易摩擦と言われる中で日本の社会の仕組みとか、伝統的な物の考え方とか、文化とかいうものに対する誤解が随分あると思います。そういうものを解くには何と言っても映像が一番説得力があると思います。
 ただ問題は、これを届けるためにどうしても相当のお金がかかるということでございまして、私どもそれが任務だとは思っておりますけれども、どうしても今のNHKの受信料収入、財政状況からいきますともう限界にきておりますので、何らかの形での公的な資金がこの面に動員されることを期待しております。ただ、このソフトの中身につましては、これはやはりNHKとか、あるいはいろいろな民間の事業者を含めて、日本のせっかくの自由なマスメディアがございますので、その力をぜひ生かしていただきたいというふうに私どもは考えております。
#115
○宮田輝君 会長、大臣のお言葉を心強く感じながら伺ったものでございます。
 日本は、国際社会で生きていかなければならないと思うんです。貢献もしなければならない。そして人々とともに繁栄していきたい、こう思うんです。そういうときに会長がおっしゃったように、もしも誤解があったらそれはちゃんと情報が伝わっていたらそれは防げたかもしれないというようなことがあるとしたら、これは非常に大きな問題でございます。やっぱり価値観の違いというようなものはあるわけです。日本人は日本語を使うんです。アメリカ人はアメリカの言葉を使う、これはわかるようにしなければならない。まあ、自動翻訳なんという話もぼつぼつ聞いておりますけれども、そういうことも大事でございましょうが、まず情報を提供するという意味でぜひひとつ前向きに取り組んでいただきたいと思うんでございます。
 国際放送の役割も大きいだけに、どうかひとつ、今の短波による放送を充実するのはこれは申し上げるまでもございません。充実が行われておりますが、しかしまだまだ主要国に追いつかないということは最初に申し上げたとおりでございます。加えて主要国が映像による情報送出を行ってきているということでございますので、御関係の皆様の一層の前向きの御努力、御精進をお願い申し上げて、私の質問を終わります。
#116
○服部信吾君 まず初めに、選挙前に行われる政見放送、これについて現在政見放送訴訟、こういうものが行われているようでありますけれども、特に五十八年に行われた参議院選挙、このときにある候補の政見放送をしたところ、NHKがこれを一部事前にカットしたと、こういうようなことで、この訴訟が起こっているようでありますけれども、東京地裁は昨年四月に、東郷さんという方らしいんですけれども、東郷さんに差別の意図はなく、そのまま放置してきても法律上保護された他の利益を侵害しないと、NHKだけに公選法違反というような厳しい判決が出たわけでありますけれども、また、今月の二十五日には東京高裁の方から、社会通念に照らせば事前削除やむなし、こういうようなある面では逆転判決が出た、こういうことでありますけれども、この裁判における経緯についてお伺いしておきます。
#117
○参考人(川口幹夫君) 裁判の結果については今先生のおっしゃったとおりでございます。この問題は政見放送の自由ということと、いわゆる放送における公共性の問題とが絡まった大変重要な問題であったろうと思います。
 私どもは、この政見放送の中で、いわゆる差別語というものを言われたところを、実際の政見の中身、内容の基本とは余り関係がないところであり、この差別語をそのまま出すことによってNHK自体の公共性が損なわれるというふうな判断をいたしましてカットをいたしました。もちろん御本人に事前に十分その意図を申し上げ、できたら撮り直してもらえないかということも申し上げ、さらに自治省とも十分御相談の上でカットに踏み切ったわけでございます。これが告訴されまして、結果、第一審ではNHKの方が敗訴、そして第二審ではNHKの方が勝訴というふうな格好になりました。
 私どもはあくまでも政見放送における政見発表の自由というのが最大限に保障されなければいけないというふうに思っております。ただ、明らかに刑罰に触れるような内容とか、あるいは公序良俗に反するような表現までそのまま放送せよというのは、放送が持っております公共性、それからその影響力の強さというふうなものからいかがなものかというふうなことを思っておりまして、今回の二審の結果についてはそういうところを酌んでいただけた判決であるんではないかというぐあいに思っております。
#118
○服部信吾君 政見放送訴訟、これについては会長としてはどのようにお考えですか。
#119
○参考人(川原正人君) これは大変難しい問題であり、私ども今後とも慎重に対処していかなければならないものと思っております。
 もちろん政見を発表される方々の思想に触れる問題とか、その政見がゆがめられるような場合に、もちろん軽々にカットなどをすることは考えてはおりませんけれども、そういうことにかかわりがなくて、しかも今、川口が申しましたように、明らかに人の人権を無視するような用語がある場合には、やはりこの種の放送事業者としての責任としてその部分はカットさしていただく場合もあり得るのではないかと思っております。この事件のときにも非常に私ども悩みました。悩みましたけれども、そういう判断のもとに削除さしていただいたわけでございます。しかし、今後の問題、似たような問題がまたあるいは起こるかもしれませんけれども、あくまで慎重に私どもはこれに対処してまいりたいというふうに考えております。
#120
○服部信吾君 ちょっと具体的にお伺いしたいんですけれども、政見放送ですから、選挙の直前という非常にタイムリミットいろいろあると思うんですね。これは大体いつごろ録画して、いつごろ放映したのか。この点についてちょっとお伺いしておきます。
#121
○参考人(川口幹夫君) 具体的な数字、日時は今ちょっと手元にありませんので改めてお答えいたします。
#122
○服部信吾君 こういう今差別というようなことでカットをされたと言いますけれども、やはりこれが大変いろいろな面で問題になってくるんじゃないかと思いますけれども、この法的根拠、これは何かあるんですか。
#123
○参考人(川口幹夫君) これはいわゆる解釈の問題というのが必ずつきまとってまいりますので、法的根拠というのは、いわゆる放送法の考え方、それと選挙法の考え方との部分がマッチングしないところが出てまいります。そこのところについての解釈の仕方であのような考え方で削除を行ったということでございます。
#124
○服部信吾君 これはとにかく要するに短期間でいろいろとこれを削除するかしまいか大変な問題でしょうね。当事者とすれば自分の言ったことを切られたということなんですけれども、どの程度当事者の方とこの問題についてはお話し合いしたんですか。
#125
○参考人(川口幹夫君) 当然のことながら、おいでいただきましてやっていただいたわけでございます。その際に差別語の問題は私ども気づきまして、直ちにその件についてはお話し合いをした。ところが、御本人はそのまま必ずやるというふうなことでございました。
 後、そのことについては私どもが意のあるところを御本人と何回も何回も、それこそ数え切れないぐらいに何遍もお話し合いをしまして、それで御納得いただけないので、さらに自治省とも打ち合わせをいたしました。それから、NHKの中には選挙放送に関する外部の方を入れた委員会がございます。ここにもお諮りをしまして、そして決めたものでございます。
#126
○服部信吾君 NHKさんもどうしようかということで、いろいろ自治省さんとよく相談をした、こういうことでありますけれども、自治省さんの見解はどのようになっておるんですか。
#127
○説明員(岩崎忠夫君) 昭和五十八年の六月十日付で、雑民党の政見放送の中に一部極めて不穏当な文言があったが削除して差し支えないかという照会があったのでございます。そこで、翌六月十一日付の選挙部長名で日本放送協会におきまして当該文言を極めて不穏当であると判断をされ、当該部分を削除することは公選法百五十条一項に違背するものではないと解する旨の回答を行っておるところでございます。
 そこの基本的な考え方でございますけれども、公選法百五十条一項といいますのは、政見放送につきまして「その政見を録音し又は録画し、これをそのまま放送しなければならない。」と規定しているのでございますが、これは政見放送につきましては、放送事業者が作為的に内容を改変することはもちろんでございますが、内容を審査検討いたしまして放送の諾否を決するというようなことは、政見放送の自由を侵害しまたは侵害するおそれがあるので、これを禁止して選挙の公正を保障しようとしている規定なのでございます。したがいまして、通常の場合は録画いたしました政見をそのまま放送することは当然でございますけれども、いかなる場合、内容でありましても常にそのまま放送しなければならないようなものではない、政見放送の性格やテレビジョン放送の持ちます国民全体に対する影響力の大きさ等からいたしますれば、制約することもあると考えられるわけでございます。例えば一見明白に刑罰法令に触れることが明らかな場合等につきましては、そのまま放送する必要はないだろうと考えておるところでございます。
 一昨日の東京高裁判決におきましても、政府打倒のためのクーデターを呼びかけましたり、その決起を促しましたり、あるいは内容が極めてわいせつであって社会通念に照らし政見発表としては不相当であるというようなことが明らかなものにつきましてはこれを削除することもやむを得ない緊急避難的な措置として許されるべきである、こういうふうにしているところでございます。
#128
○服部信吾君 政見放送というのは、国民がある面からいえばこれを聞いていろいろ政治的な判断をするわけですから、余りおかしなことを言えばこれは当然国民だってそれに対して批判票というか、なるわけでありまして、大変厳しい問題があると思うんですよ。そこで電波法からいってこれはどうなんですか。
#129
○政府委員(森島展一君) この問題は電波法の観点でどういう問題があるかという点は非常に難しいと思いまして、特にこの問題が、報道によりますと原告側はこの判決を不服として上告するような意向もございます。つまり係争中でございますので、私ども現段階では、この電波法上の意見は差し控えたいと思っております。
#130
○服部信吾君 今回の二十五日の判決の結果を見てNHKの川口総局長が、協会の主張が認められ、政見放送の本質がよく理解された判決だと考える、今後ともケース・バイ・ケースで慎重に対処していくということが各紙に報道されているわけでありますけれども、このケース・バイ・ケースというのはどういうことですか。
#131
○参考人(川口幹夫君) 政見放送の自由ということについては、これは最大限に保障されなければいけないと私どもも思っております。今回の削除のケースというのは、これは本当に残念なことで、こういったことがあっては大変遺憾だと思います。したがいまして、高裁の判決がNHKに勝訴という形で出ましたけれども、これからも、またさらに上告をするというふうな形になっておりますから、当然のことながらこの問題については慎重にやりたい。ここで、二審の結果が出たからといって、直ちにそのことを理由にして軽々な判断等は慎まなければいけないだろうというふうに思っております。それがケース・バイ・ケースという言葉でございます。
#132
○服部信吾君 相手の方は上告するんだというようなことで、またこれ上へいくと思いますけれども、当然その前にまた選挙があるわけですから、こういうような問題もまた出てくるんじゃないかと思うわけでありますけれども、郵政大臣、この問題についてどのようにお考えですか。
#133
○国務大臣(佐藤文生君) 判決が確定しておりませんので、この問題についての意見は差し控えさせていただきたいと思います。
#134
○服部信吾君 大変難しい問題だと思いますのでひとつ慎重に対処していただきたいと、このように思います。
 そこで、NHKの財政状況及び事業運営について若干お伺いしたいと思いますけれども、先ほど来いろいろな観点から議論がされているところでありますけれども、特に最近の放送界をめぐる状況を見ますと、国民の価値観の多様化とか、あるいは放送に対する要望が大変高度化しておる、多様化しておる。先ほど来問題になっている衛星放送の実現、あるいは放送大学の登場、民間放送の多局化、大変何というんですか、ふくそう化してきておる。そういう中からやはりテレビ離れなんということも出ているようでありますけれども、こうした放送環境の変化はNHKの経営にもやはり大きな影響を及ぼす、このように思うわけでありますけれども、会長から現在のNHKの経営環境について基本的な認識をお伺いしておきます。
#135
○参考人(川原正人君) 今NHKの置かれました経営環境と申せば、日本の社会全体が今、特にこの最近のところ、いろんな国際的な貿易収支あるいは為替等の状況によって厳しい状況に置かれていると、そういう状況の中で私どもの視聴者の方が大変御苦労になっている、そういう中で私どもが全国民によって受信料を支払われ、それによって事業が支えられていくということは、あくまでもそういうふうな日本の経済情勢を十分念頭に置かなければいけないと思っております。特に、日本の各民間企業というものがこの十年以来と申しますか、石油ショック以来、非常に減量経営というか企業の効率的運営に御苦労になっている。そして、受信者の方々が実際はその企業の従業員として、またこれ大変御苦労になっている。そういう中から私どもの事業に受信料を払っていただいておられるわけですから、私ども自身もよほどそうした民間の事業経営というか、そこで働いて御苦労になっている人々、あるいはそれ以外の農山漁村の方もたくさんいらっしゃるわけですけれども、そういう御苦労になっている方々によって支えられているということを十分にわきまえていきたい。さすれば、経営的にはよほど効率的な経営をして、安易な形で受信者の負担増をお願いするようなことは慎まなければいけない。しかし、同時に一方で、やはり私どもに課せられたといいますか、期待されている放送事業者としての使命といいますか、それもあることでございますので、それにはまた十分な成果をもっておこたえしていかなければいけない。そういう面で新しく取り上げていくものには積極的に取り上げてまいりますけれども、既往のものにつきましてはできるだけ再検討して、より合理的な経営を進めていかなければならないというふうに考えております。
#136
○服部信吾君 五十九年度においては、当初予算においては百六億円の黒字と、こういうふうになっていたわけでありますけれども、決算を見てみますと百七十六億と大幅黒字になっている。これは大変結構なことですけれども、かなり誤算があったんじゃないかと思うわけであります。
 それでは、六十年度予算で七億円の黒字が見込まれておりますけれども、その収支の見通しはどのようになっておりますか。
#137
○参考人(井上豊君) 六十年度もいよいよ年度末に差しかかっているわけでございます。六十年度の予算執行につきましては、まず収入につきまして先ほどお話もございましたように、受信料収入につきましては、前年度に受信契約の増加数が計画値に至らなかったというようなことで当初減収というようなことも考えていたわけでございますけれども、年度を通しまして営業現場の懸命の努力によりまして、契約の増加と受信料収納の確保に努めまして、現時点ではほぼ計画どおりの収納が確保できるのじゃないかというふうに考えております。また、副次収入等の増加につきましても重ねて努力しているところでございます。
 それから支出につきましては、放送衛星二号bの打ち上げの時期が半年ほどおくれてまいりました。それから予備費の使用状況等を勘案をいたしますと、これらの経費につきましては現在のところ予算残が見込まれるわけでございます。また、その他の経費につきましても可能な限り私ども支出を抑制すべく努力をしているわけでございまして、予算に計上いたしました、先生御指摘の黒字七億円を上回る収支の改善が実現できるよう、現在努力をしているところでございます。
#138
○服部信吾君 五十九年から六十一年度の三カ年の収支状況を見てみますと、先ほど言いました五十九年度は百七十六億円の黒字、六十年度は七億円以上の黒字、六十一年度になりますと九十九億円の赤字になってくるわけですね。三カ年でトータルいたしますと八十四億円以上の黒字を生じておる。こういうことでありますけれども、六十一年度は九十九億円の赤字を予想しておる。ある面から言えば、NHKの財政基盤である受信料収入、その確保がなかなか思うようにいかない、こういう状況にあると思いますけれども、当初予定に比較して受信料収入が伸び悩んでいる理由、これについてお伺いしておきます。
#139
○参考人(松本幸夫君) 当初の計画に対しまして、五十九年度におきまして、先ほど井上から御説明申し上げました契約の増が達成できませんで、これが当初予定四十三万に対して二十五万二千という成績で終わってしまったわけでございます。それが一つベースとして三カ年間に響いてまいりますので、全体として受信料収入、六十年度はほぼ予算額どおりの目標に達すると思いますけれども、三年を通しますと計画値に達しないと、しかしそれを副次収入で補うという形になっているわけでございます。
 どうしてそういう状況になったのかということで申しますと、料金改定をいたしました五十九年度という年が、一つは受信料改定の趣旨の徹底でございますとか、あるいは新しい受信料体系とさせていただきましたのでそれの御理解を賜るということ、それから口座料金を設定したということに伴いまして非常に年度前半に口座が大幅にふえたという状況がございます。そういったことに対する対応、あるいは料金改定の年でございましたので、精算料金という問題もございました。そういった問題の処理というようなことで五十九年度当初の契約取次業務というものが必ずしも予定どおり進まなかった。年度前半の不振が全体に回復し得ずに五十九年度を終わってしまったという、五十九年度当初の状況が五十九年度全体に響いてしまったというふうに考えております。
 私どもこういった五十九年度の反省を十分いたしまして、その問題点の克服ということで六十年度仕事に取りかかったわけでございますけれども、六十年度は先ほど申しましたように、予定どおりほぼ仕事が進んでいる。さらに六十一年度に向けて契約取次業務の強化と申しますか、仕事の徹底ということを通じましてより安定した収入を確保したいというふうに考えておる次第でございます。
#140
○服部信吾君 NHKの受信料収入が九七%もの財源になっておる、こういうことでありますけれども、今後この副次収入ですね、これをやっぱり少しふやしていかなくちゃいけない。そういうことで大分御努力はされているようでありますけれども、全体の事業収支に占める割合を見てみましても、大体〇・六%か〇・七%にすぎない、まだまだ小さい、こういうことでありますけれども、NHKの公共性、こういうことを考えますと余り副次収入ばかり拡大するということもこれはどうかなと、こういうことはあるわけでありますけれども、今後の副次収入に対する対策をどのように考えていらっしゃいますか。
#141
○参考人(井上豊君) 先生おっしゃいましたように、副次収入の事業収入の中に占めます割合は六十一年度二十三億五千万でございまして、〇・七%ということでございます。大原則は公共放送としての使命を達成をすることが基本でございまして、その使命を達成する中で放送番組の多角的な活用でございますとか、技術協力ということで副次収入も増加をさせようということでございます。したがいまして、大幅に今の副次収入を増加させるということは不可能だというふうには思いますけれども、厳しい財政状況の中で少しでも視聴者の負担の軽減に努めるという観点から、今後の問題といたしましては、やはり放送番組の多角的な活用をさらに国内、国外を含めまして積極的にやってまいりたいというふうに考えます。
 それから、けさほど来いろいろ議論されておりますハイビジョンといったような新しい技術メディアにつきまして、NHKが長年開拓をいたしました特許でございますとか、いろんなノーハウがございますので、それらの点につきましても、これも国内のみならず国外に対しましても技術の移転というようなことで増収に寄与させていきたいと、こういうふうに考えております。
 それからまた番組の素材をいろんな番組の分野で持っているわけでございます。これらにつきましても活用をさらに図っていきたい、こういうふうに考えております。
#142
○服部信吾君 受信料も横ばい、また副次収入もなかなか急激には伸びない。こういうようなことになってきますと、大分厳しい状況になってくるんじゃないか、こう思うわけでありますけれども、当然その他にやはり経営の効率化あるいは事業運営費の節減強化、こういうものもやはり徹底してやっていかなくちゃいけないと思うんですね。NHKとしては、その一環として五十九年から七カ年計画により六十五年度の一万五千人体制を目指して要員効率化を推進しているようでありますけれども、その進捗状況及び今後の計画についてお伺いしておきます。
#143
○参考人(植田豊君) NHKは五十五年度以降継続的に要員の純減を実施してきております。五十九年度以降は六十五年度を目途に一万五千人体制を目指すという要員の効率化計画を立てまして、業務全般にわたりまして徹底した見直しをしておるところでございます。五十五年度から六十年度までの合計で九百十二名、五・四%の純減を達成してきております。この後、六十一年度から六十五年度までに千百人の純減を目標としておるところでございます。
 効率化に当たりましては、毎年度重点項目を検討いたしまして柱を立てまして、毎年度ごとに策定することといたしておりますけれども、今後も考えられます主な柱を申し上げますと、スタッフあるいは業務管理体制を縮小していく、あるいは業務そのものを集約・再編成をしていく、あるいは本部から地方に至るまでの全国の体制を見直していく、あるいは関連団体を積極的に活用していくといった事項につきまして多角的に検討しておるところでございます。
#144
○服部信吾君 内部においてもいろいろ経費の節減を図っていく努力をしておる、また関連団体への業務委託、こういうものもこれから拡大をして経費の節減を図っていこうと、こういうようなお考えのようでありますけれども、六十一年度における措置の内容についてお伺いをいたします。
#145
○参考人(井上豊君) 先生のお尋ねは出資のことに関連してであろうかと思いますけれども、六十一年度につきましては全体といたしまして二億円の出資を関連団体に対しまして予定をしているわけでございます。その中で、これは関連団体ではございませんけれども、年度内に名古屋地区に文字多重の新たな法人を予定しておりまして、それに対します出資が二千万ということでございまして、その他関連団体等に対しまして今後の業務の進展を見まして出資額を確定をしていきたい、こういうふうに考えております。
 それから、経費の節減という点で申し上げますと、六十一年度の事業運営に当たりましては、要員の効率化は当然のことでございますけれども、業務の重点的な施行でございますとか、あるいは経費の重点的使用ということで極力支出を抑制したいというように考えております。一先ほど一万五千人体制ということでございましたけれども、六十一年度につきましては二百名の純減を予定しております人件費の節減、それから放送所の送信機を真空管からICに変えるというような技術革新の成果を導入することによります経費の節減、それから視聴者の皆様からの要望にこたえまして好評番組の再放送というようなことによります経費の節減、あるいはフィルムのビデオ化が進んでおりまして、これによります経費の節減等、さらには日常業務に関連をいたします印刷物作成費等の経費の節減等さらに努力を重ねていきたい、こういうふうに考えております。
#146
○服部信吾君 いろいろと内部において経費の節減やら経営の効率化、そういうことで御努力をされているようでありますけれども、今度、何かニュースセンターの設備の老朽を機に現在の放送センター内に新しいニュースセンターを建設すべくことしから着工する、こういうようなことが言われておりますけれども、この財源措置あるいはこの目的についてお伺いしておきます。
#147
○参考人(川口幹夫君) 今の放送センターができましたのは一九六四年、昭和三十九年のオリンピックのときでございます。当初あのオリンピックのための放送をやって、以後内幸町の方からだんだんだんだん移行してまいりまして、最後的にはニュース等が入ったのは昭和四十八年でございます。それから十年以上時間がたちまして、最近一番困っておりますのはニュースセンターが全く今の機能には合致しなくなったということでございます。一つは技術の革新によりまして、昔はフィルムを主体にした取材報道がニュースのメーンだったんですけれども、このごろはもう全くビデオでございます。それから一つは国際化ということで、非常にたくさんのラインが海外から入ってまいります。それからニュースの、例えば一貫した報道の体制、これは昔と全く違いまして、昔は放送記者がおりまして原稿を書いてくる、それからカメラが飛んでいって写してくる、それを編集してアナウンサーが読んで放送する、こういう型が普通であったんですけれども、今はいかなるところからも中継でもって直ちに現場の状況に即した報道ができる、こういう体制になっております。そのような取材の形の変化に応ずるには、現在の状態は老朽化したというようなことがはっきり申し上げられます。かてて加えて緊急の報道体制というのは、これまた先ほどのようにいろんな事件、事故が勃発する中におきましては焦眉の急でございます。今新しいニュースセンターの建設ということを考えているわけでございます。
 現在の概要について申し上げますと、建物は放送センターの敷地内に建設をする、面積が大体四千平方メーターでございます。地上三階ということで、延べ床面積が大体千九百平方メートルぐらいのニュースセンターを予定しております。経費としては九十九億円でございます。内訳としては建物に五十八億円、それから放送設備、これが高いんですけれども四十一億円という予算になっております。
#148
○服部信吾君 こういう非常に財政の厳しい折に九十九億円をかけて新しいニュースセンターを建設する、こういうことでありますけれども、民間なんかから比べれば随分うらやましい限りだなんて、こういうような話もまた出てくるんじゃないかと思いますけれども、大体これいつごろめどにして完成するわけですか。
#149
○参考人(川口幹夫君) もう既に基礎工事等には入っておりますけれども、六十一年、六十二年とかけまして、六十二年度からは使用できるはずでございます。
 それから、一つ訂正いたします。延べ面積は一万九千平方メートルでございます。
#150
○服部信吾君 これからの新しい国際化に備えてとか、いろいろと理由は確かにあろうかと思いますけれども、これだけ財政が厳しい折ですので、建設に当たって、決して反対するものではありませんけれども、ひとつ慎重にやっていただきたいと思います。
 そこで、会長ね、二月六日の新聞報道によりますと、川原会長が六十二年度までは料金を上げない、こういうふうに言ったということが新聞報道されておりますけれども、この事実はありますか。
#151
○参考人(川原正人君) 今、二月六日というのをとっさに伺いましたけれども、多分それは記者会見での発言かと思いますけれども、そのような趣旨の説明をいたしております。
#152
○服部信吾君 それは記者会見ですか。この新聞報道によりますと、「自民党は六日の総務会で、NHKの六十一年度予算と事業計画、資金計画の国会提出を了承した。この中で、川原NHK会長は「五十九年度の料金改定以来の経費節減努力で、収支状況はいいので、六十二年度も料金を上げるつもりはない」と述べた。」。要するに、自民党さんの総務会でそういうようなことを話をした。こういう事実はあるんですか。
#153
○参考人(川原正人君) 率直に言いまして、予算につきましてはいろいろ事前に説明をする段階もございましたので、あるいはそういう場でも申し上げたかもしれません。
#154
○服部信吾君 そういうことになりますと、ちょっと適当だと思いますか。要するに政権政党のそういう場所で、六十二年度は料金改定しないので何とかこの案頼みますよという、何かそういうようなニュアンスにもとられがちですけれども、これは適当な場所だと思いますか。
#155
○参考人(川原正人君) 事前説明の段階で余り先走ったことを申し上げるのは必ずしも適当だとは思っておりません。ただし、いろいろ先の見通しをいろんな段階で聞かれるものでございますから、割合、私率直にいろんな場で発言をしてまいりましたので、そういうこともあったかと思っております。
#156
○服部信吾君 この六十二年度まで料金上げないということは事実ですか。また、その根拠があったら述べていただきたいと思います。
#157
○参考人(川原正人君) 何分、今、六十一年度の予算の御審議をいただいておりまして、六十二年度については何らの資料も差し上げていないわけでございますから、事実かと言われますと、これから先の問題になりますけれども、私としましては、今この六十一年度の予算の資料もごらんいただきますとおり三カ年の経営計画で、当初の予定では三年間で収支やっと償うという形を予定しておりましたところ、結果としまして今現在八十数億円の余裕を持って、六十一年度の予算も多分このとおり執行すれば八十数億円の余裕が残るだろう。つまり、六十二年度の予算編成段階では最低それだけのゆとりといいますか、余裕を持てる。加えまして、間もなく終了するこの六十年度の予算の執行におきましてもある程度のゆとりが出そうな今めどがついておりますので、それも加えますと、よほど今の経済情勢その他に大きな変動がなければ六十二年度は現行料金据え置きのままで予算が編成できるのではないかと、私はそう確信いたしております。
#158
○服部信吾君 会長がそのように言われるのでしたらひとつ大いにやっていただきたいと思いますけれども、今度の料金値上げ、これからどういう経緯になっていくかわかりませんけれども、もしそういう事態がくればこれはちょっと今までの料金値上げのようにはいかないんじゃないかなという気がします。
 それは、先ほど来衛星放送等によっていろいろと、本来の投資すべきところではないとは思いませんけれども、そういうようなところへ六百億の六割を投入しておる、そういうようなことを考えれば、そういうところに投入しないでやはり料金値上げを抑えたい、こういうことになればそういう議論も出てくると思うんですね。ですから、そういう面においてはできる限り努力をしていただいて、料金値上げを延ばしていただきたいというか、そういうことを私は言っておきます。
 それから、次に放送衛星の問題について若干お伺いしたいんですけれども、会長は、この放送衛星の基本的考え方、将来における計画があったらお伺いしておきます。
#159
○参考人(川原正人君) 放送衛星につきましては、今現在予定しました二号のaの方が、御承知のように二チャンネルが一チャンネルしか出ていないという状況、それから予備の衛星を先般打ち上げまして、現在これも予定の軌道に静止させていただいておりますけれども、まだ今機能のテストをやっている状況でございますので、実際問題としてはこの放送機能、確実に安定して、また私どもに引き渡しを受けて機能を十分に点検した上でないとなかなか具体的な次の段取りに踏み切れないでいるわけでございます。
 ただ私どもとしては、せっかくこれだけ多額の受信料もつぎ込みましてようやく今二チャンネルの電波が確保できる見通しになってまいりましたので、その段階ではやはりこれだけの資本の投下といいますか、経費の投入に見合ったような成果を上げていきたい、つまり成果というのは受信者の方にそれだけのやはり利益を還元していきたい、そうすべきではないかと今考えております。それには難視聴の解消を主たる目的として挙げておりますけれども、ただ、この衛星を当初二十年前に計画しました段階に比べますと、難視聴の実態というのもかなり変化をしてきております。それから、いわゆるニューメディアというものもかなりの速度で今発展をしてきております。そういう中でこの衛星の二チャンネルの使い方につきましては、できるだけ受信者の方に受益感のあるようなサービスを込めていきたい。そして、できるならばこの衛星によって私どもの財政収入をさらに補っていく、そういうふうな方途が考えられれば考えていきたいというふうに考えております。ただしかし、これにはいろいろまだ解決すべき問題もありますし、あるいは私どもとして踏まなければならない手順というものがあると思います。それには慎重に対処してまいりたいと考えております。
#160
○服部信吾君 ちょっと諸外国の件についてお伺いしたいんですけれども、諸外国のこの放送衛星の状況ですね、どうなっているのか、あるいはこういうような計画というものがあるのかどうか、この点についてちょっとお伺いしておきます。
#161
○政府委員(奥山雄材君) いわゆる放送衛星という形で各御家庭の受信者の方々が直接放送波を受信される形態の放送衛星といたしましては、五十九年一月二十三日に打ち上げました日本のBS2aが最初でございます。いわゆる放送衛星と言われるものの中には、通信衛星を利用して共同受信をして放送形態に使うようなものまで世界的には放送衛星というような言葉で言われているためにかなり混乱がありますけれども、あくまでも個別受信として開発いたしましたのは日本が最初でございます。
 ところで、昨年中に、一九八五年中にアメリカ並びにヨーロッパにおきましても、一部の国におきまして個別受信を目的とした放送衛星を打ち上げる予定がございましたけれども、高出力の中継器の開発が思うように任せなかったこと、さらには日本における2aの状況並びに2bの開発等をにらみながら、それぞれの計画が若干おくれておりまして、一九八六年、つまりことしでございますが、ことしじゅうには西ドイツ、フランス等で放送衛星の打ち上げを行うべく現在計画が進められているやに聞いております。
#162
○服部信吾君 先進諸国の難視聴状況なんというのはどういうふうになっているんですか。
#163
○政府委員(奥山雄材君) 諸外国の放送あるいは通信にかかわる法制を見てみますと、我が国の放送法のようにある特定の放送事業者に難視聴解消の義務、つまり全国の放送普及義務を課しているものはございません。したがいまして、そのような意味におきましては難視聴解消の義務そのものがございませんので、難視聴解消といいますか、難視率といったようなものを正確に把握しているところはないようでございますが、それぞれの国におきましても何らかの形でそれぞれの放送事業者が収入を得るために難視聴の解消に努力をしているということは事実でございます。ただし、アメリカのように非常に国土が広大で、しかも集落が分散しているようなところでは難視聴解消というような大目的を一つの放送事業者に掲げさせること自体が無理でございますので、そのような目標値自体がございません。しかしながら、将来放送衛星によって欧米が放送波を各家庭に降らせたい、各家庭に放送を行き渡らせたいという政策目的を持っていることは事実だろうと思います。
#164
○服部信吾君 何か西ドイツとかフランスですか、ことしあたりから打ち上げをする予定だ、こういうことですけれども、その西ドイツやフランスなんかの放送衛星打ち上げの目的と理由はわかりますか。
#165
○政府委員(奥山雄材君) やはり日常の放送を補うという目的が一つと、それからやはり将来の宇宙開発というものに放送衛星の開発そのものが非常に各国ともかかわっておりますので、各国における宇宙開発技術の自主性の確立というやはり二つの目的だというふうに承知をしております。
#166
○服部信吾君 そうすると、我が国の放送衛星というのは、その目的はあくまでも難視聴解消が表だということでありますけれども、欧米等においての先進国等においては、どっちかというとハイビジョンとかそういうような観点でこの放送衛星を打ち上げるわけですか。
#167
○政府委員(奥山雄材君) ハイビジョンはむしろ諸外国よりも日本が一番熱心でございまして、またNHKを中心とした日本の高精細度テレビジョンに関する技術がむしろ一番進んでおりますので、世界のこれからの放送衛星の技術をリードしていく立場にあるだろうと思います。
 ただ、そうした高精細度テレビジョンだけではなくて、やはり放送衛星そのものが、先ほども申し上げましたように、各国の宇宙開発にかかわる技術と非常に密接な関連があるということ、それからアメリカの場合は放送衛星によって非常に広い国土をあまねくカバーできるという大きな利点があること。逆に、ヨーロッパの方は国が近接し、あるいは密集してるんですが、非常に相互間の交流が密接であって、言語的にも相互の流通が非常に盛んである。英語、ドイツ語、フランス語等が相互に行きかうということから、お互いにそういった面でのものを将来的には目指していくということのようでございます。ただし、それは、あくまでも国際的な放送となりますとまた別の条約その他各国の主権にかかわる問題がございますので、さしむきは各国それぞれの自国向けの放送衛星を開発しているというふうに承知しております。
#168
○服部信吾君 だから、そういう面から言うと難視聴解消のために放送衛星を打ち上げようというのはどうも我が国だけというような気もするわけであります。これも世界に初めての放送衛星、こういうことですので我々も非常に期待をしているところでありますけれども。
 そこでちょっと、ゆり二号のbですか、当初打ち上げが四日間延期されたと、こういうことでありますけれども、これの理由とその原因、どうなっておるのか。それから、何というんですか、これを打ち上げるに当たって保険を掛けるということで、打ち上げ準備保険だとか打ち上げ保険、それから寿命保険、こういう三つの保険を掛けるようでありますけれども、BS2aと2bの保険料の額がどのぐらいになっておるのか、この点についてお伺いしておきます。
#169
○参考人(船川謙司君) お答えいたします。
 BS2bにつきましては、当初は二月八日打ち上げの予定でございましたが、天候の悪化がございまして二日間おくれました。そのほかにロケットエンジンを暖めますヒーターの方に若干故障が起きまして、そのためにおくれまして二月十二日に最終的に種子島宇宙センターから打ち上げられまして、二月十五日にアポジモーターの点火、ドリフト軌道への投入、それから二月十六日には太陽電池パネルを展開いたしまして衛星の姿勢を正常に確立することができたと、その後、先ほどお話が出ましたように暫定的な静止軌道に三月二日に投入いたしまして、現在衛星の各機能のチェック中でございまして、昨日までの結果におきましてはすべての機能が正常に働いております。
#170
○参考人(岩崎隆君) 保険料についての2aと2bについての御質問でございました。
 主要な保険でございます打ち上げ保険について申し上げますと、今回のBS2bにおきましてはグロスの保険料率が三一・五%と、こういうことでございましていただ、無事故のときにはいわゆる無事故戻しというのがございますので、実質の料率といたしましては二五%、二五・〇ということでございました。これに対応いたしますBS2aのときの料率を申し上げますと、グロスの料率が一一・五%。したがって、2aから2bになりますときに一一・五が三一・五になる。それから、無事故戻しを引きました実質の料率は、2aが九・二%でございましたものが今回の2bにおいては二五%になっておるということでございます。
 保険料の金額について申し上げますと、グロスの金額は2aが十八億三千万でございましたものが2bにおいては五十億二千万と。それから、無事故戻しで戻ってまいりましたその後の実質の保険料額ということでございますと、2aが十四億七千万でありますのに対しまして2bは三十九億九千万と、こういう状況になっているわけでございます。これにつきましては、御案内のとおりの最近の非常に厳しい保険市場、国際的な保険市場というものがこの料率の中に反映された結果であったわけでございます。
#171
○服部信吾君 当初打ち上げする予定が強風で二日間延びたと。それで点検したらどこかおかしかったということです。そうするとこれ、もし強風じゃなくてそのまま打ち上げようとしたら完全に失敗したと、こういうことになるんですか。
#172
○参考人(船川謙司君) ふぐあいを起こしましたところはロケットのヒーターのところでございまして、これがふぐあいですとエンジンが十分暖まってないおそれがあるということで、念には念を入れるというふうなことで取りかえたものでございます。
#173
○服部信吾君 いや、それはそれでいいですけれども、時間がありませんから、それを言ってもあれなんですけれども。
 あとこの五十億、これグロスで五十億ということは、これは支払いじゃなくて、事故があったときに受け取るのが五十億と、こういう意味ですか。
#174
○参考人(岩崎隆君) 支払った保険料が五十億ということでございます。保険金の方は約百六十億円ほどの保険金額を付保しているわけでございます。
#175
○服部信吾君 まあ大変な金額ですね。五十億円を保険に支払うなんて、ちょっと普通じゃ考えられないような金額でありますけれども。やはりそれだけの目的を持ってやられるということでありますので、ひとつ事故のないようにやっていただきたいと思います。
 例えば五年後に、六十五年に放送衛星の第三号を打ち上げると、こういうことですけれども、この総額は大体幾らぐらいになるんですか。
#176
○参考人(井上豊君) 三号につきましては、現在、予定でございますけれども、総額が七百八十七億円でございます。で、三号の場合は、NHKとそれから日本衛星放送株式会社というものにチャンネルがそれぞれ二つ、一つということでございますので、NHKの負担といたしましては全体の四三%に相当いたしますおよそ三百四十億円というふうに考えております。
#177
○服部信吾君 まあ大変貴重なお金を投入して、そして国民のまず難視聴を解消するとか放送ハイビジョンを行うと、こういうことで、大変遠大な計画だと思いますので、ひとつ国民の期待を裏切らないようにやっていただきたいと、このように要望をしておきます。
 それから、ちょっと時間がありませんけれども、最近NHKのアナウンサーがよく民放へ行ってしまうと、こういうのがよくあるようでおりますけれども、アナウンサーまでNHK離れになっちゃうんですか。野球だったらトレードというのがあるんでしょうけれども。こういうような実態、会長はどのようにお考えですか。
#178
○参考人(植田豊君) NHKといたしましては、アナウンサーという職種が極めて専門性の高い職種である、高度な専門能力を必要とする職種であるという観点から、長期的な視野に立って時間をかけて育成、指導しておるところでございます。
 アナウンサーの転出は一面ではNHKの育成した人材が他社から高い評価をいただいているというふうにも解されるところでございます。また一面、本人が出演契約者として自由な場を広くNHK外に求めようとしているというふうにも考えられるわけでございます。NHKといたしましては、これまで同様NHKの公共放送としての使命を自覚して、誇りを持って業務を遂行するアナウンサーを育成、指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#179
○服部信吾君 まあ高い評価という、これは一面あるかもしれません。しかしその裏面は、どうもNHKにいると待遇が悪いとか、またどうも窮屈だとか、自分たちと合わないんじゃないのかとか、やっぱりそういう両面があると思いますし、やはりそれは人間ですから、恋い焦がれて迎え入れられればこれはそちらへ行くし、待遇がいいところへ行くのはこれは当たり前だと思いますよね。だが、何となく一生懸命NHKさんで訓練し、またいろいろと人材として育てて、それが全部向こうへ持っていかれちゃうと、こういうようなことなんでしょうけれども、こういう問題について会長のお考えを聞いて、私の質問終わります。
#180
○参考人(川原正人君) 私ども、もちろんどんな職員であれ、私どもの企業に必要な職員を教育し、また仕事をやってもらっているわけでございます。特にアナウンサーについては、非常に特別な専門的な能力が必要でございます。長い年月をかけて、私どもから言えば養成、本人から言えば一生懸命努力をしているわけでございますので、あるいは給料等に問題はあるかもしれませんが、願わくばNHKで働くということの誇りを持っていつまでも働いてほしいというふうに思っております。
 ただ、一方でやはりこういう自由な社会における人間の職業の選択というものも、単なる義務感だけでもってこれを拘束することもなかなか困難でございます。もしNHKで働くことに何か不満があるというような状況があるならば、私どもよくそういうことは聞いた上で、いつまでもNHKで誇りを持って働いてもらえるような、そういう環境をつくってまいりたいというふうに考えております。
#181
○山中郁子君 テレビの報道番組に対する批判はある面で年々増加してきているという傾向が続いてきたと思うんですけれども、昨年は特に社会的批判が相次ぎました。既にけさからの質疑の中でも幾つか触れられておりましたけれども、いわゆる三浦報道、豊田商事社長刺殺事件、あるいはテレビ朝日のアフタヌーンショーに端を発しましたこれもいわゆるやらせ問題、それから日航機事故などでの被害者や遺族に対する取材の態度、そういうことが代表的な例であろうと思います。
 これらは社会一般の風潮でもあるせつな的な刺激を求める傾向、あるいはまあ俗に言うのぞき趣味、多少今下火になったというふうにも言われておりますけれども性風俗産業の宣伝など、そういうものに無批判に迎合するという面があることは確かだと思うんです。
 そういう面自体も問題なんですけれども、その裏返しとして私は、やはり今非常に鋭く問われているのは、放送番組の送り手の側の見識、それから文化水準とか、テレビあるいはこうした放送文化に対する哲学、そういう姿勢が問われているのではないかというふうに考えます。
 この点について、私は初めにまずNHKの会長の御所見を承りたいと思います。
#182
○参考人(川原正人君) この一両年に起こっておりますいろんなテレビの番組、あるいはその番組に対する極めて厳しい御批判につきましては、私ども、十分にそのテレビ事業者の姿勢あるいはそのあり方について反省をしているつもりでございます。
 そして、それにはいろんな原因があると思いますけれども、一つには、確かに私どもの仕事、特にジャーナリズムに対する姿勢というか考え方、そこの根底において十分な教育といいますか、心構えが欠けていた点があるのではないか。もちろん私どもの番組ではそういうことがないように相当の努力をしているつもりでございますけれども、やはり放送事業界全体をとってみた場合に、それは私どもの番組も含めまして、そういう点でまだまだ勉強が足りないというか、放送というものの社会に対する影響あるいはジャーナリズムというものに対する一人一人の職員の意識、あるいは教養と言った方がいいのかもしれませんけれども、そういう点についてもっと勉強しなければならない点があるというふうに考えております。
#183
○山中郁子君 これも本日の審議の中で取り上げられてきたことでありますけれども、去る三月二十二日に放映されました、NHK特集の「今、あらためてテレビとは?」という番組、私も大変興味深く視聴いたしました。これは今、私も指摘をいたしましたし、また会長もそのことをお認めになり、さまざまな議論の中心になっております問題を含むテレビ放送をめぐる問題点が討論され、提起され注目を浴びたところだと思います。
 私はある業界新聞の報道で見たのですけれども、この番組は一種の硬派番組であったわけですけれども、放映途中から大変大きな反響を呼んで、電話も殺到し、さまざまな影響をもたらしたということが伝えられておりますので、ひとつ具体的に、どのような反響の寄せられ方の実情であったのか、その傾向をどのように把握しておられるか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
#184
○参考人(川口幹夫君) ちょうど三月二十二日が放送記念日でございます。六十一年前にNHKが誕生して日本の放送が始まったんですけれども、これを真ん中にして、放送記念日を真ん中にしまして春期特別編成期間というものを設けております。
 この中で私どもが一つ考えましたのは、昨年の、先生おっしゃいましたような種々の事件によって放送の信頼が失われている、そのような状態では国民に対し、視聴者に対しまことに申しわけがない、むしろこの際放送記念日という一つのめどのときにみずからを深く反省する、そして本当の信頼される放送とはどういうものかということを改めて考え直す必要があるんじゃないか、そういう自戒の意味を込めまして「今、あらためてテレビとは?」という特集番組を組んだわけでございます。
 放送中から深夜まで放送センターの電話がほとんど鳴りっ放しの状態でございました。そして当日、それから翌日にかけまして全国から寄せられたお電話の数、合わせて六百六十二件でございます。東京が五百六十九件で、地方が九十三件ということで、そのうち大体九〇%ぐらいは、大変タイムリーな企画だ。テレビ界の荒廃を正すためにいい番組ではなかろうか。今後、このようなことをもう一遍やったらどうだ。続編を期待するというような声もございました。それから一部には、ややNHKがみずからいい子になり過ぎて民放批判みたいなことに偏してはいなかったかというふうな御批判もございました。
 主な意見を、視聴者の方々の電話による反響を大体見てみますと、定期的にテレビ批判番組をやってみたらどうだろう。それから、民放の制作実態がよくわかった。あるいはテレビ局自体がみずからのうみを出す英断である。あれはビデオでございましたので、討論は生でやってほしい。民放の経営体質あるいはスポンサーの問題にもやっぱり触れてほしかった。NHKのみずからの宣伝が目立った。そのほか、いずれも積極的にテレビについていろんな御意見をお寄せいただいたということでございました。
#185
○山中郁子君 形にあらわれてそのように電話が寄せられるということだけでない部分に何があるかということは常に問題になるところでもあるし、我々も考えていかなければならないところではあるんですけれども、少なくとも積極的な対応という形でそのような状況が出され、またそうした試みというか、提起をさらに続けてほしいというふうな要望もあったという、今御報告をいただいたわけですけれども、この問題について、総括的に会長の御見解もあわせてお伺いしておきたいと思います。
#186
○参考人(川原正人君) 昨今のテレビ報道に対する御批判は、本当に謙虚に私ども受けとめております。
 ただ、多少、この機会に私の気持ちを言わしていただけば、私はテレビだけではないと思っております。日本のマスコミ、活字によるメディアも含めまして日本のマスメディアがやはりもうちょっと冷静に、みずからのジャーナリズムのあり方をもっと謙虚に考えるべき時期ではないかというふうに思っております。特に、活字だけでなくて最近は写真によるジャーナリズムというものも非常に盛んになっておりますけれども、そういうものを通じまして、やはりジャーナリズムというものが、この社会の動きを本当に公正、客観的に、一番必要なことを報道しているのか、報道しなければならないことを過不足なくしているのか。どうも過当競争という中で、視聴者あるいは読者の興味を引きそうなことに少し過熱をしているのではないか、そのために物事の本質を間違って伝えている心配はないだろうか、そういうことをもっとマスメディア全体が私は反省すべき今時期だろうと思っております。
 そのことは、日本のマスコミというのが非常に恵まれた環境にある、これは大変ありがたいことだと思っています。つまり、自由ということです。非常に自由でありますし、その表現の自由が少なくとも現在においては確保されている。ただ、もう一つの自由は企業としての自由、つまり、多くの企業が自由にマスメディアに参加している。つまり、それが過当な競争になりかかっている。したがって、やはり企業とすれば、しかも大部分の企業はやはり株式会社組織であり利潤を追求しているわけでございますから、何としてでも読者の数をふやすというか売り上げをふやす、あるいは視聴率を高めるということが何より肝心になってまいります。そのときに、ある種の視聴者の興味本位といいますか、時に低俗な関心に訴えてでも視聴率を上げよう、販売部数を上げようということにどうしてもなりがちでございます。そのことが今の日本のマスコミにとってかなり弊害を生じつつあるんではないか。このことをマスコミの者自身が気がついて、早くみずからを戒めることをしなければ、結局、世論からもう一つ大きな批判を受けて、そういうマスメディアの自由というものが、一体どこまで許されるべきなのか。人権問題が起きておりますし、逆にマスメディアの自由を外から制約すべきじゃないかという意見さえ私は起こりかねない、あるいは一部に出てきていると思います。そういう点はよほど我々が十分に注意をし、みずからを戒めていかなければならないんではないか、かように考えているわけでございます。
#187
○山中郁子君 私も今の問題が例えばテレビだけに集中して限定されて起こっているというふうな立場で物を申し上げているわけでは当然ございませんし、今審議していること自体がNHKの予算の審議でございまして、逓信委員会の論議でありますから、当然のことながらそういう立場で申し上げています。
 今会長もその所見を披瀝されたんですけれども、これはテレビ放送メディアに対する社会的批判は、言論の自由、放送の自由という民主主義の基本にも不信感を広がらせかねない危険なものを内包しているというふうに私も考えます。そして、国民の立場からいえば、この民主的権利をどうやって守るのか。それは民主主義を発展させることによってこそ確保していかなければならないものだというふうに私は考えます。それは既に午前中も若干の議論がありましたし、今会長も少し触れられました。つまり、こうした状態のもとで逆に権力の介入が行われるということがあってはならないという、これがまた重要な問題であります。現に、確かに右翼言論人などを含むさまざまな介入も実際に発言がされている。そのような言動も出ているということがあります。これは、放送人としてのNHKを初めとする担当者の方たちは当然でありますけれども、我々視聴者・国民の立場からも大いに警戒しなければならない問題であります。
 私どもは、昨年来の国家機密法を制定しようという動き、そして今もそれが引き続き続けられているというこの問題にもつながる問題として受けとめ、このことについての所信を述べ、あらゆる場所でのこうした動きに対する批判を繰り広げてきたところであります。
 かつて戸板潤という学者は、戦争中の天皇制、権力の弾圧のもとで獄死をした人でありますけれども、彼が言った言葉で比較的知られている、人口に膾炙している言葉として、ファシストは押しなべて風紀屋であるという意味の言葉がありました。つまり、エロ、グロ、ナンセンスというような状況の社会的退廃の風潮をとらえて、そういうものを非難するというところから入っていって、ファシズム、言論統制、暗黒政治、そういうものにつながっていったという、私ども日本の国民にとって決して忘れることのできない、また忘れてはならない近代日本の痛切な歴史の教訓がここに象徴的にあらわれているというふうに思います。
 今、既に会長が若干触れられましたけれども、私はやはりそういう立場から介入を排除する放送人としての使命感、そしてそれに基づく御決意をこの問題とあわせて披瀝をしていただきたいというふうに思っております。
#188
○参考人(川原正人君) 放送法にも書いてございますけれども、やはり私どもの大きな任務として、健全な民主主義を守っていくということがあるわけでございますし、そのためには表現の自由ということが一〇〇%確保されていなければいけないと思っております。そういう意味では表現の自由、あるいはその前提となる取材の自由というものは最大限に私は保障されるべきであろう。そういう観点でこれからの私どもの仕事も全部考えてまいりたいと思っておりますし、その辺で逆に私どもが外部からつけ込まれるようなことだけは、これはNHKだけでない、日本の放送人、あるいは先ほども申しましたようにマスコミ全体が今、心すべきことではないかというふうに考えております。
#189
○山中郁子君 引き続き基本的な理念に関する問題でありますけれども、いわゆる新しい民主主義的な文化を創造するということの必要が求められているわけですけれども、放送、マスコミ分野でという意味です。もちろん今の議論としてそれだけではありませんけれども、その基本的な内容は、社会的な諸過程への参加や平和あるいは民主的な国際連帯を柱とする民主主義の前進であろうと私は考えます。これらのことに対してのテレビも含めて、放送機能の果たす役割というのは依然として重要なものがあるというふうに考えておりますけれども、この点についても御所見を承りたい。
#190
○参考人(川口幹夫君) 放送は、今やマスメディアの中でも一番端的に国民に訴えかけるものではなかろうかというふうに私ども深く自戒をしております。「昭和六十一年度の番組編集の基本計画」という中にもそういうようなことははっきりとうたい込みましたけれども、教育、教養、あるいは娯楽、それに大きな問題、報道ですね、この各分野にわたって私どもが国民の生活の向上、あるいは今後の日本人の生き方というような問題について深い示唆が与えられるような放送をすることこそ一番我々に課せられた使命ではなかろうかというふうに思っております。
 六十一年の四月七日からはいよいよ新しい番組も具体的に編成されて放送されていきますけれども、その中に幾つかの思いを込めてそのような番組編成をしたつもりでございます。
#191
○山中郁子君 それは私個人的に、例えばNHKの放送、テレビ番組などを視聴いたしまして、さまざまな意見を持ちます。そのことについては、今は置いているわけですけれども、以上申し上げまして、また会長を初めとしてNHKの側でも確認をされてこられました基本的理念を踏まえて考えて、具体的にやはりNHKとして対処すべき問題は多々あるだろうというふうに私は考えます。
 しかし、きょうの限られた時間でそのことを全面的に申し上げたり、また御意見を伺ったりする時間的な余裕はございませんので、それとの関連でひとつ具体的に伺いますことは、つくる側の方たち、つまり、今申し上げましたように、いろいろなことが求められているわけです。そしてまた、それにこたえなければならないということが放送、あるいはNHKのすぐれて特有な責務でもあるし、また仕事になっていると思うんですが、つくる側の方たちにやはり保障されるべきことがいろいろあると思うんです。だけど、今実際を例えば、やはりプロデューサーなりディレクターなりそうした制作スタッフの方たちは、もう毎日毎日忙しくて、それで夜遅くまで、あるいは朝帰りというふうな状況が続くというような状態です。
 ごく一時的にはやはりそうした制作に対する、仕事に対する情熱で、それでそうしたことに耐えて、しかもそういうことに積極的に取り組んで仕事がつくられていくということは、それはあると思います。人間にはそういうエネルギーもあるし、何も放送の仕事だけでなくてもそういうことはあり得るけれども、やはり常態としてそういうことが続くというふうなことになれば、つくる側の力がかれてくるわけですから、やはりそこのところは何らかの制度的な保障に至るというか、制度的な保障に近い保障をやっぱり考えていく段階になっているのではないかというふうに私は思います。
 例えば、そういうつくる側の人たちが、自分はもちろんそういう期待にこたえて一生懸命やっているつもりであっても、一番最初に会長の御発言にもありましたけれども、仕事の中ですり切れていく。そういう民主主義的な意識の発揮だとか、文化、教養の分野での発展の保障、そういうものができなくなってくる。それがやっぱり制度として保障されなければならないだろうと私が申し上げている内容です。
 今申し上げましたような労働実態というのは労基法上からも確かに問題があるわけですけれども、今私はそういう問題にとどまらないで、番組の内容の質と結びつく問題として考えるべき本質的な問題だというふうにとらえて申し上げております。一部の新聞社などでは既に実施されているというふうに伺っておりますし、またヨーロッパあるいはアメリカなどのケースもしばしば伺うところなのですけれども、一定の期間を、勉強だとか、俗によく充電期間というふうに言いますけれども、そういうものとして制作スタッフ、つくる側に保障していくというようなことは積極的に考えていく時期に来ているのではないかと思っておりますけれども、その辺の問題について具体的に検討される御意思がおありかどうか、お伺いをしたい。
#192
○参考人(植田豊君) 放送事業が職員のすぐれた創造性に負うところが大きい、この一人一人の職員の資質、能力というものが質の高い放送番組の維持に不可欠だということは全く私どももそう感じております。そのために職員に精神的あるいは時間的なゆとりも必要であるという御指摘でございます。私どももそのとおりだと思います。
 ただ、これも先生御指摘のように、放送事業の一面宿命かと思いますが、職場によっては不規則な勤務形態がございます。休暇がとりにくい、あるいは休日出勤が多いといったことも放送事業に間々あることでございます。必ずしも否定できません。その中で職員が適正な休務を確保できますようこれまでも可能な限り努力をしておる点でございます。
 協会は従含水準に見合いました休日休暇制度を有しておりまして、また職員の創造性の開発のための研修でありますとか留学制度、これは先生御指摘の一年といったような期間の御指摘もございましたけれども、例えば語学等の研修のために一年間職員を留学させるといったことも制度として持っておりまして、これらの充実にも努力をしておるところでございます。今後さらに努力を重ねてまいりたいと思っておるところでございます。
#193
○山中郁子君 それは実態に照らしてよいものをつくっていくという保障として考えるという観点からも、ぜひ積極的に取り組んでいっていただきたいと思うんです。放送の仕事だから日曜も出なきゃいけないし、夜もやらなきゃいけないというふうな、そのことを私は言っているんじゃないんですよ。それは夜やらなきゃならない場合もあるでしょうし、休みにも出てくることはある、そういうことがずっと続いて、そしてもう頭も体もよれよれになって頭の中もかれ果ててくるみたいな状況に置かれる人たちが幾ら一生懸命主観的にやってもその放送の番組の質という問題についての向上が期待できないじゃないか、そのことを申し上げておりますので、もちろん御承知の上で積極的に努力するというお答えがいただけたものだと思っております。
 ところで、これは郵政省にお伺いするわけでありますけれども、昨年たしか十二月二十六日付で放送行政局長名で「放送番組審議会の運営等について」というものが出されています。これは今私が最初から問題提起をして議論もしてまいりましたこととの関係になるわけでありますけれども、これは「放送局を再免許するに当たりことなっていて、この「運営等について」という指示が出されているわけですけれども、私はこのような指示を政府が出さなければならないという状態になってこれが出されたということは大変残念なことだというふうに思っておりますけれども、まず、この指示を出す権限の根拠はどこに求められるのか、法律的な問題。つまり政府の介入というか関与という問題は、やはりこの放送の問題のときにかなり微妙な問題でありますし、かなり十分慎重に扱わなければならない分野の問題でありますから、その意味でお聞きをいたします。と同時に、この指示の趣旨がどういうものであるのかということをあわせてお答えをいただきたい。
#194
○政府委員(森島展一君) 放送法におきましては、放送事業者に番組編集の自由を保障しております。これと表裏一体といたしまして、放送番組の自主的なチェック機関として放送番組審議会の設置も義務づけておるわけでございます。こういった法制下で放送番組の適正化を図っていくという上では放送番組審議会というものの重要性が非常に大きいものというふうに考えられます。
 ところが昨年、いろいろ世間からの批判もございまして、放送番組審議会の機能が形骸化しているのではないか、こういう声が非常に高まっておるところでございまして、これは放送法の精神に照らしましてそういう形骸化ということがあってはならない、こういうふうに考えまして、郵政省といたしましても昨年十一月一日の放送局の再免許の際にも、この放送番組審議会の機能が十分発揮されるように、民間の放送事業者それからNHKに対しましても要望をしたところでございますが、さらに先生おっしゃいますように、昨年の十二月二十六日にこの放送番組審議会の開催方法とか議題の設定の仕方とか放送番組審議会の組織とか運営、こういったことに関しまして一般放送事業者に対しましての指針を示して要望した、こういうことでございます。
#195
○山中郁子君 私はやはり今もおっしゃいました審議会の持ち方、例えば「放送番組審議会の開催は原則として月例とし、少なくとも年間十回は実施すること。」とか、あるいは「放送番組の社内考査機構を経営の責任者と直結させ、権限の強化を図るとともに、その活動の状況を放送番組審議会の審議に供するなど、社内考査機構と放送番組審議会の活動の連携を図ること。」とか幾つかの例を挙げればそうしたことはやはり放送法上のこのことの根拠を一歩踏み込んでいる面があると言わざるを得ないというふうに思うんです。やはりどうしてもこれ以上の行政の踏み込みがあってはならないというふうに私は考えているものでありますけれども、一方、それでは放送番組審議会か有名無実というか、形骸化されてしまっていていいのかと言えば、それはまたそれで問題は出てくるところだということで、この点がやはり最初からの私も提起をし、またNHKの会長も強調されましたマスコミあるいは今の場合は放送ですね、テレビ放送の側の自主的な自浄作用というか、そうしたものがやはり政府の介入なり行政の介入というものがら放送の自由なり言論の自由なりを守っていく保障だということの具体的な事例だというふうに私は把握しているところです。
 さらに大事なことは、一層民主的な前進を図っていくという意味で、例えばこの審議会が公開をされて、自由にそのことを聞くことができる、国民・視聴者の参加が一層進められるということが大切だと思います。今この審議会の問題に関して私は申し上げているわけですけれども、そのほかのいろいろな審議会についていろいろなところで、またこの逓信委員会でも常に問題になっているところではありますけれども、共通したそうした問題として国民の参加、視聴者の権利としての審議会の公開というところへさらにダイナミックに進めていかなければならないと考えております。NHKは審議会の議事録の要旨などを公表されているわけですけれども、民放関係を私ちょっと見ると、やはりその点についてはかなり消極的だというふうに言わざるを得ないというふうに思っています。
 昨年十一月二十一日付で民放連が各社に「番組審査機能の活性化について」という文書を出していらっしゃいまして、その中で、「視聴者の番組批判をより広い範囲から吸い上げられるようにする」ということなども含めて、そうした努力の方向を出していらっしゃるという文書を私も拝見はしているんですけれども、それはやはり審議会が一般視聴者の意見を聞く場合があるし、聞くことができるし、吸い上げなきゃいけないという、こういう立場であって、もう一つ積極的にそれを一層公開していって、一般視聴者の参加、一般視聴者の意見をそういうところから積極的に取り込んでいくという、そういう態度にやはり欠けるんだなという不満を感じているわけです。
 私は今この民放の問題についてそういうふうに申し上げましたけれども、そういうことについてというわけではなくて、一般論としてでよろしいんですけれども、この審議会を公開というところにさらに進めていくという点でNHKの御努力が期待できるかどうか、会長の御見解を伺いたいと思います。
#196
○参考人(川口幹夫君) 会長の見解の前に今NHKでやっております審議会の公開の形を申し上げます。
 NHKでは幸いにして郵政省から御指導いただく前にすべてきちんとやっておりますのでほとんど毎月です。八月だけ休みますから一年間に十一回ずつ中央、各地方番審とも必ず実施をしております。この中で行われました論議は必ず速記をとりまして、そしてそれを議事録として残しておきます。それで、私総局長でございますけれども、総局長記者会見というのがありまして、その中で記者クラブのメンバーに必ずこれを公表するということをやっております。それから、もちろん議事録の方はこれはきちんとした冊子として諸方面にお配りをするという格好で公開しております。
 ただ、いわゆる傍聴とか、あるいは全速記録を出すとかいうふうなことについては、これは、一つは各審議会が率直でかつ忌憚のない御意見を活発に行っていただくという意味からして多少問題があるんじゃないかということで、今いわゆる傍聴のような形はとっておりません。それから、もちろんこれは経費の問題等もありますけれども、速記録全部は出しておりません。要録でございますけど十分その役は果たしているというふうに考えております。
#197
○山中郁子君 私はやっぱり十分と言うには一歩さらに進める必要があろう。審議会のメンバーの方たちを見ても当然そうした見識があり、公開されたからといって、言いたいことも言えないというような方たちを選任なさっているわけではないわけなんで、それは私たちが見ても皮肉でも何でもなく、公開になって傍聴者があっても、あればあるほどより一層情熱を持っていろいろな話し合いをされる方たちであるというふうに思いますよ。そういう方でさらに一歩前進をさせて公開ということは、NHKが今おっしゃったようなそうした進んだところで努力していらっしゃることは一定の事実として私は知らないわけではございませんので、先ほど申し上げたとおりですけれども、さらにそれを積極的に前進させていくべきであろうし、そのようにしていっていただきたいということを私の意見として申し上げたところです。
 次に郵政省にお伺いをいたします。
 これは余り議論をしないで私の考えを申し上げ、郵政大臣にやっぱりちょっと見解を伺いたいと思うんです。というのは、先ほど午前中に大木委員もおっしゃったことなので内容的にはダブるんですけれども、私としてもこれはやっぱり問題だというふうに考えて、再度郵政省にもぜひ要求したいと思っておりますので申し上げます。
 いわゆるニューメディア時代における放送に関する懇談会の問題です。これは来年一月に報告書を出すというような報道がされている。そこで私は簡潔に要求事項を申します。
 一つ、この懇談会の議題は何か。二つ、いかなるスケジュールでどこまで今論議が進んでいるのか。三つ目、これまでに論議した議事録と郵政省の提出した資料を出していただきたい。四つ目、中間報告を出すお考えはないのか。つまり中間報告を出すべきであろうということについての一つは要求です。
 私が午前中にこれらのことについてのやりとりがあったのを承知の上でなお申し上げますのは、放送法が言論法という性格を持つ特別な法律だからということも今私たちはやはり十分考えていかなければいけないというふうに思います。そして、放送法は国民の言論のあり方について直接定めている唯一の法律ですよ。
 この放送法に関する、いわゆるニューメディア時代における放送に関する懇談会、先ほど大臣は、そうしたところでまとめられた問題が自分のところへ来たときにそれに基づいて参考にして政府としてのものを出していくんだと、こうおっしゃいましたね。そういうものが密室でやられているということは民主主義に逆行をする。私は最初からずっと議論もし、NHKの会長ともいろいろそういうことで議論をしてきた、そのまさに本質の問題に逆行するそういう態度ではないかということを申し上げたいんです。
 例えば、「ニューメディア時代における放送に関する懇談会検討事項」などという、こういう例えば実際の文書などもあるわけで、おたくの方でもそういうものを持っていらっしゃるし、そういうところにいろんな資料も出したり議論もしているわけですから、先ほど申し上げました四つの点に関してぜひとも政府は積極的に対応して秘密主義を改め、やはり国民の前にそうしたものの状況を報告しつつ進めていくべきであるということについて郵政大臣のお約束をいただきたいと思うのですが。
#198
○政府委員(森島展一君) まず最初にこちらから。
 放送政策懇談会、ニューメディア時代における放送に関する懇談会という正式の名称で懇談会が開かれておりますが、これの議題、それから検討状況、これにつきましては、既に議題につきましては、この懇談会をつくるときにこういった柱で検討するというそういう議題、例えば「放送ニューメディアの技術開発動向及び普及動向」とか、「放送と放送類似メディアとの関係」、「放送の担うべき役割」、「ニューメディア時代における放送事業者のあり方」、主な点だけ申し上げますと、そういうことで議題を設定しておりますので……
#199
○山中郁子君 簡潔で結構です。
#200
○政府委員(森島展一君) 検討状況は、現在のところ放送の現状の把握という段階でございますので、中間報告というようなことにまだ至っておりません。まとめる段階はこれからということでございます。
 それで、その資料について御要求でございますが、けさほども申し上げたんでございますが、放送政策懇談会第一回のときに、この懇談会の先生方が、これは自由に発言されたいということだと思いますが、非公開でいこうということを懇談会自身としてはお決めになっておりますので、その資料につきましても懇談会の取りまとめの段階でそういう資料が含まれた報告がなされるものというふうに私ども考えておりますので、その中には当然普通の場でもよく出ておるような資料もあるとは思いますが、一般的に懇談会として取り扱っている資料は、やはり議論の中で非公開というふうに懇談会自身がお決めになってというふうに私ども思っておりますので、御了承願いたいと思います。
 検討状況はとにかくまだこれから取りまとめという段階でございます。
#201
○山中郁子君 私の与えられた時間が近づいてまいりましたので、大臣から御所見を伺うということは今の局長のお話を出ないならば結構でございます。午前中に伺ったものとして承っておきます。
 私は、ただその説明をいただきたいということではなくて、そういうことであってはならないはずだと、そのことが今まさに議論されているところなんだということを申し上げています。そのことを十分に受けとめていただかなければならないと思います。
 最後に、NHKにどうしてもひとつ具体的な営業に関する姿勢の問題をお尋ねもし、またお約束もいただきたいということがあるのです。それはNHKの営業所のあり方なんですけれどもね。これは会長がそういうところへいらしたことがないわけじゃないと思うんですけれども、今はもう収納額を上げようということで、何かそういうスローガンだとか檄みたいなものがべたべた張りめぐらされているわけですよ。そして、だれがどのぐらい成績を上げているというふうなことで、昔からそういうものとして有名な保険の外交の人たちのところの職場みたいな、そういう状況が出ているんですね。
 それで、最近NHKの大阪の人たちの中でエピソードがあるんですけれども、もうじき終わるらしいですけれども、朝のテレビ小説の「いちばん太鼓」という、あれに出ている岡野真一郎という若い俳優さんが、何かあいさつ回りに営業所を回ったんですって。そうしたら、その営業所の中にはそういう何か収納を上げようとかというスローガンだとか成績のグラフだとか、そんなことばっかりがべたべた張ってあって、例えば自分が一生懸命これからやっていくその「いちばん太鼓」なら「いちばん太鼓」という番組のポスター一つ出てないといってびっくりしたという話が何か話し合われているということを私も間接的に聞いたんですけれども、まあ大変よくそのことをあらわしているなというふうに思ったんです。
 それで、集金をする方たちあるいは営業所で働く方たち、そういう方たちが放送文化の一端を担っているという誇りというか、そういうものを持って働くというそういう作業環境というものがつくられていかなければ、その収納の問題、それから財政の問題も先ほどからいろいろ意見が開陳されておりましたけれども、やはりそこのところは、片方ではそういう仕事に携わる意欲をなくすという状況が放置されたままであってはならないというふうに思います。必ずしもNHKの集金の問題だけではないけれども、やはり今は仕事をするかいを持って、そこからやっぱりしがいのあるという、そういう働き方が求められている時代であるわけですから、そうした作業環境はぜひともやはり改善をしていくべきであると思いますし、その辺のお考えを承りたいと思います。その後で、もし委員長のお許しがいただけるならば、もし大臣が先ほどの問題について意見をいただけるならば、あわせてお示しを願いたいと思います。
#202
○参考人(松本幸夫君) 私が営業の責任者でございますので、私からお答えさしていただきます。
 先生のおっしゃるとおり、営業現場という仕事が大変息の長くかつ地味な仕事でございますので、私としては営業現場が誇りを持った気持ちで仕事をしてまいらなければならぬということはかねがね考えているところでございます。NHKが大変皆様方からの信頼をいただいていると、またNHKらしさというものがいい意味で非常に皆さん方からNHKらしい番組をつくれというようなことを言われるわけですけれども、そういったものを支えてきたのは、やはり私は受信料制度であったというふうに考えておりまして、その受信料制度をさらに自分たちの手で一つ一つ築き上げてきたのは、私はやはり営業現場であるというふうに思っております。そういう意味では営業現場がNHKらしさを支え、またNHKを支えているんだという誇りを強く持つべきだという気持ちで指導してまいっておりますし、それと同時に、当然責任も果たさなければならぬということも強く申しております。
 残念ながら、先ほども他の委員の方の御質問にお答えしましたとおり、五十九年度の成績が非常に悪うございましたので、恐らくそのお回りになられた営業所では責任の方が強調されて、業績ということに非常に重点を置いた形がそこにあったのかもしれません。しかしながら、私どもとしてはその責任だけを言っているのではなくて、誇りのある職場としての営業現場をつくっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから先ほど、出演者のポスターすらないじゃないかというお話があったというふうに御指摘いただきましたけれども、私ども決してそういうことではございませんで、いい番組、あるいは朝の連続テレビ小説もそうですし、あるいは大河ドラマもそうですし、しかるべきポスターは各営業現場に全部配っております。少し誇張されてお話が伝わったのじゃなかろうかというふうに考えている次第でございます。
#203
○国務大臣(佐藤文生君) 放送懇談会の最終の結論が出ると思います。その出た報告書を私は見まして、また同時に皆さん方にその報告書は公開していくべき問題であろうと、こういうぐあいに考えております。したがって、中間的にやるということはやってないようでございますので、自由な討論の中で最終報告書がつくられるものと思います。
 それから、今この本もいただいたんですが、昨年の九月に「ニューメディアに関する調査報告書」というのを郵政省放送行政局が出したと、こういうぐあいに書いてありますけれども、出しておりませんということだそうです。多分資料としたのがどういうわけでか出たのかもしれませんけれども、何も秘密にするべき内容のものではこれはないわけでございますから、一遍最終にまとまったときに出されるものだと、こういうぐあいにお考えになっていただいて、お答えにしたいと思います。
#204
○山中郁子君 途中で、今秘密にしているから問題だということを言っている。終わります。
#205
○中村鋭一君 おととい、政見放送の一部をカットした問題につきまして、NHKのとった立場を認める二審の判決がございました。これは一審とは逆転判決でありますから、それを考えますと司法、裁判官すらも一審と二審では見解が違う。事ほどさように、この表現の自由といいますか、そういうものと公序良俗というものについての考え方は大変難しいということを示していると、こう思うんですが、初めにお伺いいたしますが、今後NHKが、政見放送に限らず、このような事態に遭遇された場合は、それはNHKの自主的判断に基づいてカットをなさいますか。
#206
○参考人(川口幹夫君) 政見放送における表現の自由というのは最大限に認められるべきであるというふうに思っております。したがいまして、削除するようなケースというのはこれは希有のことではなかろうかと思います。当然NHKだけではございませんで、自治省の見解もただし、それからNHKの中に設けてられております選挙放送についての委員会がございます。これは外部の方が入ってできておりますけれども、そこで十分に検討をいただき、慎重の上にも慎重を期したいというふうに思っております。
#207
○中村鋭一君 先ほど会長ね、山中委員の質問に対するお答えの中で、私の理解が誤りでなければ、あなたは、民間放送には自由な経営が認められておる、民間放送は営業成績を上げなければいけない。営業成績を上げるためにはそこに過当な競争の結果、視聴率を上げるといういわゆる視聴率戦争が引き起こされ、その結果としてどうもセンセーショナリズムに堕するといいますか、いろいろぐあいの悪い点があるように思いますと、このような意味のことをおっしゃったと思うんですが、それは間違いじゃございませんか。
#208
○参考人(川原正人君) 大体そういうことですけれども、私は、民間放送だけが自由で、民間放送だけがそういう視聴率主義に走っているということでは必ずしもなかったんです。
 つまり、日本におけるマスメディアが――マスメディアというものは、国によると非常な統制のもとに置かれる場合が私はあるし、日本でもあったと思うんです。それが、非常に幸せなことに、今の日本では全く自由な企業として成り立つというか認められていると、そういう意味で、民放だけでなくて活字のメディアにおいても自由にそういうマスメディアを設立し運営できると。NHK自身は特別な法律に基づくもので、そういうマスメディアの中にやはり置かれて、そういうまたメディアの激しい今度は競争が行われる。その競争の中に私どもは身を置いている。そういう中では、一方でどうしても、特に企業の場合にはやはり何といっても利潤を上げなければならない、売上高を上げる、視聴率を上げる、そういうところにどうしてもそれは走りがちでしょう。私どももその中に時として巻き込まれかねない、そういう状況にある、そういう意味で申し上げたつもりでございます。
#209
○中村鋭一君 いや、こだわるようですけれども、今前半のマスメディアの中に当然商業放送も含んでおっしゃったと思うんですね。含んでおっしゃったとすれば、それはその部分を取り上げれば、会長が民間放送の報道あるいは制作される番組について御批判をなさったと受け取っておいてよろしいかとお尋ねをしたんです。
#210
○参考人(川原正人君) その部分だけ取り上げられれば、一部に少なくともそういうことは私はあるし、あったと思います。それが昨年来ある種の番組について手厳しい御批判を受けたんではなかろうかというふうに考えております。したがって、私は民間放送事業をすべて批判するつもりはございません。非常にそういう自由な立場での意欲的な仕事もされておられるし、あるいはまた競争というものが日本のマスメディアをここまで活力を与えてきた、そういう面は十分に認めております。そういう意味で申し上げているつもりでございます。
#211
○中村鋭一君 重ねてお尋ねで恐縮でございますが、NHHは、今まさに会長自身がおっしゃったような問題については何ら問題はない、そのようにお考えでございますか。
#212
○参考人(川原正人君) 何ら問題がないとは考えておりません。NHK自身にもいろいろ問題があります。特にそういう日本のいろんなマスメディアの競争の中にNHK自身もあるわけでございまして、また、私ども企業の性格は違いますけれども、やはり私どもの番組が全く視聴者から見られないという状況の中にもしあれば、私ども企業は全く成り立たないわけでございます。その意味ではやはり大勢の方に見ていただきたいと思って努力もしますが、時としてその努力がやや視聴者の見る目といいますか、多くの視聴者に見ていただきたいということのために冷静さを失っていることが私どもの中にも正直言ってございます。その都度大いに部内では批判もし、激論も交わしているところでございます。
#213
○中村鋭一君 表現の問題について少し議論をさしていただきたい、こう思うんでございますが、私ここに、昭和二十六年の判例でございますけれども、それにわいせつの定義について、わいせつとは「いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良の性的道義観念に反する行為をいう」、こうあるわけですね。わいせつの概念というのは、だから、羞恥心を刺激したり、あるいはいわゆる劣情を刺激する、これをいう、こうなっているわけです。しかし、そうは言いましても、わいせつそのものの全般的な概念というのはやっぱり時代とともに移り変わっているわけですね。
 終戦直後、初めてキスシーンが映画で上映されましたときには、そのシーンそのものが大変な問題になりましたね。それから、赤い色のパンツをはいた女性が初めてカラー映画に登場したときも大変な論議を呼んだ、こう思っております。しかし当時は、だからキスシーンそのものが羞恥心を刺激し、かつ劣情を刺激すると考えられていたんですよね。ところが、今は映画はもちろんのこと、テレビでもそんなどころじゃない。ベッドシーンがどんどん出ております。ということはわいせつというものについての考え方も時代とともに当然移り変わっているわけですから、いわゆるポルノ論争というものも起こって、日本だってもうヘアを解禁していいじゃないか、こういう議論が起こってきているわけですから、当然ながらNHKとしても、ドラマを制作なさる場合に、一応ベッドシーンが当然ドラマの中で必要とされるケースがありますけれども、じゃこれ例えば民間放送で映されておるベッドシーンとNHKで許容されておるベッドシーンとの間には明文化した規定があって、NHKの場合はここまでのベッドシーンならいいと現実にプロデューサーがディレクターにそういう指示をして、明文化した細かい規定があるのかどうか。それともその都度相談をなさりながらドラマの脚本を見て、うちはNHKなんだからここまでならいいだろう、こういうふうな討論をされているのかどうか、お伺いをいたします。
#214
○参考人(川口幹夫君) 細かく明文化した規定はございません。
 ただ、番組基準というのがありますから、その基準の中で概括的に規定してあります。それは、テレビが持っている不特定多数に、しかも全く一方的に規制なしに入っていくような媒体でありますから、そのことを考えれば映画の表現などとは当然違わなければいけないんじゃないかというところで、それぞれの場合に応じて議論をして決めております。
#215
○中村鋭一君 川口さん、もう少しそれじゃそこのところ具体的に教えていただけませんかね。明文化したものはないけれども一応の基準はある。じゃ、そのベッドシーンなら両の乳房まではいいとか、太ももの三分の二から下まではいいとか、そういうような細かい規定はないんですか。
#216
○参考人(川口幹夫君) そのような細かい規定は一切ございません。
#217
○中村鋭一君 ただいまはそういったベッドシーン等に関係してお尋ねしたんですけれども、今度はあれいつかちょっと私日時は忘れましたけれども、たしか去年だったと思いますが、NHKの「ニュースセンター九時」をやっていらっしゃる木村さんも参加して、写真週刊誌の編集長と、それからたしか大阪読売の編集委員をしていらっしゃる黒田清さんという方が参加して、いわゆる映像メディア、写真メディアにおける表現はどこまでが許容さるべきかについて大変真剣な討論をNHKの番組でされていた記憶がございます。そのとき話題になりましたのは、例のあの日航機の事故で、一部週刊誌あるいは写真週刊誌等が事故現場の遺体でありますとか、その他の部分遺体等々を出しましたね。しかし、あの節、これはNHKも民放も含めてテレビ局は一切ああいうシーンは出さなかったと思うんですね。だから、そのことについて、じゃどこまでが許されるものだろうか、どこまで報道をすべきなんだろうかという討論の番組をしていらっしゃいました。現在、NHKとしては、例えばそういう事故現場の写真あるいは外国から入ってくるフィルムで、各地で行われております戦争なんかで処刑された死体でありますとか、あるいは戦争で死んだ体でありますとか、そういうものがフィルムとして当然入ってきているだろうと思うんですが、それはどういう基準で放映をされるおつもりでございますか、またされてきておりますか。
#218
○参考人(川口幹夫君) 報道における表現の問題ということでございますけれども、これまた明文化した規定はございません。漠然とといいますか、概括的に、例えば死体は、これは快さないとかいうふうなことはございます。ただし、じゃ死体はすべて快さないかといいますと、例えば死体を映すことが、ある大きな報道目的にかなうというふうなケースもあろうかと思うんです。ですから、すべてやっぱりそのときの情勢あるいは取材の状況それからそのことが持っている意味づけとかいったことに関連して判断をしなければいけないんじゃないかと、このように思っております。
#219
○中村鋭一君 じゃ、昨年の日航機の事故の場合は、そのときのケースにおいて一切その事故現場におけるそういうシーンは放映しないということを上部において決定をされたわけですね。
#220
○参考人(川口幹夫君) そのとおりでございます。いわゆる死体が散乱しているようなところをことさらにクローズアップして映すなどのことは一切やるまいということを決めました。
#221
○中村鋭一君 そこで、これは私からの意見並びにお願いでございますけれども、これはまあ雑誌ジャーナリズムそれから映像メディアを含めて当然ながら表現の自由、報道の自由ということは一〇〇%保障されているわけであります。しかし、そういう場合に、一方ではこのたびの政見放送でこういう言葉をカットなさった。それは裁判所において認められた。そしてまた日航機の事故においても自主的な判断に基づいてそういう場面は放映をされなかった。こういう配慮は必要であると思いますけれども、そういうことを恐れる余りに本当に視聴者が知りたいものが結果においてその映像の場面から消え去るとか、あるいは結果においてそれが報道の自由を阻害する働きをするとか、またそれを恐れる余りにNHK全体がコンサーバティブになって非常に因襲にとらわれた保守的な物の考え方をして、さわらぬ神にただ力なしというような考え方が、特に報道面において、現場の放送記者でありますとか、ディレクターでありますとか、カメラマンでありますとか、こういう人を支配することがないように、その点は常に適切な指導と助言を上部の方がしてくださるようにお願いを申し上げておきたいと思います。
 次に、先日大阪選挙区におきましてことしの夏の選挙に出馬するという意思を表明したタレントがおります、西川きよしさんでございますが。このときに、まあ出るかもしれないということが報道をされた段階で各紙もそれからテレビ局もたくさん取材がありまして、たくさんの番組が放映されました。まあ幸か不幸か私のところへも、中村さん、あなたが一番大きな影響を受けるだろうということでたくさんのテレビ局が取材に来ていただきました。
 さて、そこでお伺いをいたしますが、この有名タレントはたくさんの番組を持っておりました。で、出るか出ないかはもうしばらくして考えますと言うのと、記者会見を開きまして、私は出ることを決心いたしましたと言うのとでは随分違うと思いますけれども、NHKは、番組に出演しているタレントさんが選挙に出るということをおおむね決定した段階で自局の番組に出ているすべてのものからおりてもらうことにしておりますか。それともはっきりと決定をした段階で、それから例えば一カ月後におりてもらうとか、このようなお考えでございますか。また、そういうことについての規定はありますか。
#222
○参考人(川口幹夫君) これは、規定というよりも私どもの日常の業務運営の中で決めていることでございますが、当人がそのことを確実に決めたという意思表示があった場合は出演を御遠慮いただくというふうにしております。
#223
○中村鋭一君 そうしますと、これは私なんかにも大いに関係のあることでございまして、青島さんなんかもそうかと思いますが、仮に私が選挙に出る意思がありますね、ありますけれども、その意思をはっきりと決定的には表則をしないで各テレビ局に出演をしておりますね。しかし、世間の人はそれはもう周知のこととして新聞とか雑誌にはもう中村鋭一の出馬は決定的だと、こう書いているといたします。しかし私は、いや、そのことはまた意思表示はしておりませんと、こういうふうにいけば、じゃNHKの場合は、番組に出演している場合はその公示の直前まで意思を明らかにしない場合はテレビ出演は可能なわけでございますか。
#224
○参考人(川口幹夫君) 余り断定的なことは申し上げられませんけれども、私どもの今までのケースでは大体そのような形で外部にうわさが出て、そして御本人に確かめたケースでは、一応事前に御自分が意思を決定したということをおっしゃっていただいて、そして御出演を御遠慮していただくというふうな措置をとっております。
#225
○中村鋭一君 いや、ですからそれは水かけ論になりますけれども、本人に確かめて、本人がいやあれは世間が言っていることだと、私はまだ全く決定をしておりませんと言えばNHKはとことんまで出演をお認めになるんですかということを伺っているつもりですが。
#226
○参考人(川口幹夫君) これまた多少水かけ論になりますけれども、最終的にはやっぱり御本人の意思が確定できないと私はそれはすべきじゃないだろうと思います。ただし、外部の事情がもうほとんど九九%確定的だという中で御本人だけが否定されているというケースがもしあったら、それはやっぱりそのときにきちんと考えなければいけないだろうというふうに思います。
#227
○中村鋭一君 例えば今回のケースを見ますと、既に記者会見を開きまして大阪選挙区で立候補をするということを決定をいたしました。だから、この段階でこのタレントがあらゆるテレビ番組からおりるのはこれは当然であろうと思いますが、しかし、そこからまた派生してくる問題は、ことしの夏の参議院選挙までおよそ百日近くありますね。しかし、大阪選挙区について言うならば、そういう形で今話題が沸騰をしておりますから、それは選挙区の候補者であると同時にいわば時の人ですね。だから、社会部的なニュース素材として、その特定の意思表示をした候補者が、ほかの候補者は取り上げられていないのに、選挙が公示をされる以前に、これからも例えばこのタレントはこういう動きをしている、こういう選挙参謀を決めた、こういう戦術を採用した、こういう今既に活動を開始したという形でニュース報道という枠の中で報道をされる可能性、またそういうおつもりはありますか。
#228
○参考人(川口幹夫君) NHKの場合は、そのようなことに対していわゆる報道価値があるというふうには思いません。したがいまして、選挙に出るという意思を表示された後は取材としても慎重に扱いたいというふうに思っております。
#229
○中村鋭一君 ということは、今後公示以前も公示以後も、立候補者すべてにつきまして扱いをする場合は、それは選挙という面においての扱いであって、いわば平等に客観的に報道をするのであって、特定的にその人を取り上げてやることはないと、このように理解をしておいてよろしゅうございますね。
#230
○参考人(川口幹夫君) そのとおりでございます。
#231
○中村鋭一君 よくわかりました。
 いや、もしそのような形でお取り上げになるならば、これは私もお取り上げをいただかないとね――これは冗談でございます。
 先ほどもお尋ねがございましたけれども、NHKのアナウンサーがたくさん外へ出ていかれますね。お答えを承りまして、それはそのとおりだと思います。一生懸命苦労してお育てになりまして、それがどんどん外に出ていくんですからね。それはもう会長さん以下皆さんの心中察するに余りあります、だと思いますよ、それはやっぱり残念なことだと思います、はっきりはおっしゃいませんけれどもね。それはそうですよ、一生懸命育ててね。しかし、やっぱりそれは大きな天地があれば外へ出ていくのは、これはまあとめることはできませんから。
 そこで、これは私の一つの提案でございますけれども、逆にNHKとしては、今NHKの職員以外で大変なタレントを発揮している立派なキャスターなりパーソナリティーなり司会者なり、そういう人がおりますね。逆にそういう人をNHKに引き抜いて持ってきて、でNHKという場で思う存分やってくださいと、何といったってNHKはもう北海道から沖縄県まで大変なネットワークを持っていらっしゃるんですから、それだけの視聴率もすべての番組について上げていらっしゃるんですからね。そういうおつもりはございませんか。
#232
○参考人(川口幹夫君) 原則的には、司会はアナウンサーがするものというふうな形はその昔はありましたけれども、今は全くございません。そして、外部の出演者の方が大きな報道番組のキャスターを務めるというケースもこのごろは非常に多くなっております。これは時代の進展につれてそのような役割というのが局の内外を問わず成立するようになってきたものだというふうに思っております。したがいまして、そういうことに対して適切な人材がありましたら、これはお伺いして、そのような役目を果たしてもらうというふうに考えております。
#233
○中村鋭一君 それは単にキャスターだけじゃなくて、ニュース解説からその他NHKの相当広い分野についてNHKの外部から人材があればこれを招聘し、場合によれば、言葉は悪いですけれども引き抜きをかけてでもNHKに来ていただくと、そういうふうに積極的に解釈をしてよろしゅうございますか。
#234
○参考人(川口幹夫君) いわゆる引き抜きというその言葉が私は適切じゃないと思いますけれども、必要だと思えば相当大胆なことをやってもいいんじゃないかというふうに思っております。
#235
○中村鋭一君 私、本当にNHKがやっぱり大きく脱皮して……。どうもいまだに客観的に見てますと、NHKはずうたいが大きくて小回りがきかないようなところがありますね。ですから、そういう点で新しい血をどんどん注入なさって、これまでNHKの枠の外にいて本当に自由で奔放ですばらしい仕事をしていた人がNHKに来てどんどんどんどん仕事をなされば、それは随分視聴率も上がると思いますよ。だから、そういう点については、本当にもっともっと弾力的に積極的に考えていただいていいんじゃないかと思います。
 さきのフィリピンの政変ではテレビ報道というものが実に大きな役割を果たしました。個人のことですけれども、私は今から十六、七年以前に、ある新聞の社会部に二年ばかり出向をしておりましたけれども、そのときサツ回りをしておりまして、府警本部に詰めたんですが、あのころは新聞社の記者クラブの部屋はボックスはなかなか立派なもので、民放各社は小さな小さな隅の部屋に全社が押し込められて、一課長の会見なんかがありますと、必ず新聞社が先にやりまして、それから夕刊紙がやりまして、テレビは一番後回しと。いつも日刊紙の大新聞の記者の方が言っていたのは、おい、一過性は後にしろと。要するに、テレビは一過性だからそんなものは信用できないというような感じでね。それがもう最近になりますと、これはテレビの放送記者なんというのは大したものでございまして、むしろそういう表現はどうかと思いますけれども、既に新聞何するものぞというような感じが記者クラブにおいても満ちあふれているようなそういう感じがいたします。それだけに、テレビの前線にあって取材をしている放送記者の皆さん、これからどんどんどんどん国際的な仕事もしていただかなきゃいけない、こう思います。
 それで、NHKの場合、NC9の木村さん、それから前にやっていらっしゃった磯村さん、宮崎緑さん、大変英語が御堪能ですが、私、そういうふうに今はどんどんどんどん仕事が、放送記者の比重、またキャスターも含めてアナウンサーの比重が高まっているわけですから、そういう話学ができるというのは大変結構なことだ、こう思うんですが、逆に、NHKの場合は、そういう話学が非常に流暢な人をキャスターあるいは放送記者に採用されているんですか。
#236
○参考人(川口幹夫君) 語学のみが優先するというふうなケースはそんなにございません。もちろん、外信部的な仕事をする者は語学ができなければこれはしようがないですけれども、そのほかのところは別段、例えば取材能力とか、それから事態の判断力だとか、それから報道記者にいわゆる必要な要件というものがあれば、それを第一条件にすることはございません。
 ただ、今おっしゃった人たちは、語学ができるということだけじゃなくて、いわゆる取材活動も十分できるし、それから報道姿勢といいますか、みたいなものについてもはっきりした見識を持っていると。それから、いわゆるキャスター能力といいますか、そういったことについても大変すぐれているというようなところで起用しているのでございます。
#237
○中村鋭一君 結構ですね。まあ、宮崎緑さんなんか、その上にまた美人ですから、これはもう会長、ひとつ宮崎さんがこの上また他局に引き抜かれないように十分気をつけていただきたいと思いますよ。最後に残ったドル箱といいますか、そんなことはないですけれども、それもひとつお願いを申し上げておきたいと思います。
 オリンピックが韓国で開かれます。それに先立ってアジア・オリンピックがございますけれども、NHKはまずアジア・オリンピックについてはどういう放送態勢を組まれますか。
#238
○参考人(川口幹夫君) 実は、まだ大変悩んでおりまして、アジア大会の放送につきましては、慣例上、ABUとして一括交渉するということになっております。これまでの放送は大体そういうことでもってきちっとやられてきたんですけれども、今回のソウルのアジア大会はソウル・オリンピックとの関連づけでないとなかなか話がうまくいかないというところがありまして、実はちょうど今ABUのスポーツ部会というところで細かい話し合いを進めている段階でございます。交渉の経過等については特段、私、まだ報告を受けておりません。
#239
○中村鋭一君 ソウル・オリンピックについての取り組みは今どうなっていますか。
#240
○参考人(川口幹夫君) 先生御承知のとおり、オリンピックの放送権料というのはどんどんどんどん上がってまいりまして、これではいけないというのでロサンゼルス・オリンピックのときに、いわゆるジャパンプール方式という、これはロサンゼルス方式という名前をつけましたけれども、その形で今後交渉しようじゃないかというふうなことで、ロサンゼルスが終わりました後、民放連の方々とお話をしまして、基本的にはロサンゼルス方式をそのまま適用するということで意思は固めてあります。それで、まだ具体的な交渉はソウルとは何もしておりません。
#241
○中村鋭一君 恐らく韓国は相当高い金額を言ってくると思いますね。過去のオリンピックの放送権料の経緯を見ますと、それはもう今や、何かこうオリンピックはスポンサーだと、放送権料で何かやっているようなそういう印象でありますから、大変だと思いますけれども、頑張ってください。
 国として、郵政省としては、このアジア・オリンピック、またソウル・オリンピックについてどのような協力態勢をとるおつもりでありますか。
#242
○政府委員(森島展一君) オリンピックは世界の非常に多くの人が関心を持つ国際的な事業でございますので、国としても何かできることがあればとは思いますが、基本的にはこのオリンピックの放送を中継するということはこの放送事業者の問題だと思っておりますので、NHKそれから民放の方々がこのオリンピック委員会や関係者の方々と大いに放送中継をうまくいくように努力されることを期待しているものでございます。
#243
○中村鋭一君 テレビ朝日が夜の報道ネットワークの売り物の一つに、この東欧圏でニュース、番組の映像を東欧圏の方にスタジオをつくりまして盛んに今やって、それを売り物の一つにしておりますね。NHKも大変そういう国際間の交流というものは熱心でございますけれども、この東欧圏とのニューズネットワーク、ニュースの交換等々については現状はどうでしょうか。それと、将来の計画はありますか。
#244
○参考人(川口幹夫君) 東欧圏につきましても、一部誤解がありますけれども、NHKの方が早くから東欧圏のニュース素材についてはルートを開いておりまして、決して負けてはいないというふうに私は思っております。
 それで、一九八三年の七月からOIRTという、これはソ連、東欧圏の放送連合でございますけれども、このOIRTの準会員――会員にはなれないんです。準会員として加盟しております。
 そういう結果、随時東欧のニュースとか番組の交換素材をインタービジョンで入手をしております。それで、六十一年の二月からOIRTの合意が成立いたしましたので、NHKが選択したニュース項目を定期的に入手するということができます。それから各時間のニュース番組等にこれをどんどん活用するという方向で今やっております。
 それから、ソビエトとか東欧諸国の各放送会社、放送機関とは協力協定というものを結んでおりまして、これには取材協力、それから番組交換、共同制作等のお約束を交わしております。決して東欧圏についても私どもは手をこまねいているわけではございません。
 現在、定時的なものを申し上げますと、OIRTが週一回域内のニュースをパッケージでNHKに送ってまいります。その見返りにNHKからは月二回のパッケージを東欧圏に出しているというふうなことがございます。それから、協力協定を結んでいる国はルーマニア、ソビエト、オーストリア、チェコスロバキア、ハンガリー、東ドイツ、ブルガリア、ポーランドという国でございまして、そのほかに番組交換とかニュース交換も、送り出しが六十年度は大体四十六時間ぐらいございます。それから受け入れは約十五時間、このような結果になっております。
#245
○中村鋭一君 どうもありがとうございました。それは私存じませんで、おやりになっているそういうニュースは見ますけれども、テレビ朝日のように、たしかチェコのプラハだったと思いますけれども、あちらにスタジオを置いて派手にやっているものですから、大分、NHK負けているんじゃないかと思いまして、今伺いまして安心をいたしました。
 最後に一つだけお伺いをいたします。
 昭和六十五年に大阪で花と緑の万博が開催されますが、一九七〇年の大阪の万博もNHKを中心とする放送メディアがこれを大きく盛り上げてくださいました。したがいまして、六十五年の花と緑の万博もこれは大変な国家的な行事でございますから、ぜひ大々的にNHKにおかれてはこれを取り上げていただきたい。できれば今からでもひとつプロジェクトチームをおつくりいただきまして、この放映の計画を練っていただきたいと思うんでございますが、これについて最後に御見解をお伺いいたしまして私の質問を終わります。
#246
○参考人(川口幹夫君) 花と緑の万博が開催するということが決まりまして、NHKの大阪放送局でも対応策を今考えているところでございます。まだ何しろ四年先のことでございますから、これから具体的な計画が進められていくだろうと思いますけれども、できるだけの御協力を惜しまないというふうに思っております。
#247
○中村鋭一君 ありがとうございました。
#248
○田英夫君 実は昨日フィリピンから帰ってまいりました。
 先ほど中村委員のお話にもありましたが、今回のフィリピンの政変劇の中でテレビ、ラジオが果たした役割というものは非常に注目すべきものがある。注目すべきという意味はいろいろ実はありまして、もちろんマルコス政権というものが我々にとってああいう政権があってはならないという前提の上でありますけれども、マルコス時代はまさに国営放送はマルコスの宣伝の具であったということはもう周知の事実でありまして、そしてあの政変劇の中でマルコスが握っていたテレビ、ラジオの放送局を市民の手に奪還するということが一つの焦点になったということを聞いてまいりました。そしてあのような形の政変劇というものもまたこれは日本であってはならないことでありますけれども、その段階で二月二十二日から二十五日という四日間に起こったいろいろな劇的場面の中で、例えばエンリレ、ラモス両将軍が基地に立てこもって、そのときには手兵わずか百人という形で、そこにマルコス軍が出動したならばひとたまりもなく粉砕をされて今回の政変もあのような形にはならなかったというその一瞬をとらえてこれを救ったといいましょうか、アキノ現大統領側から言えば救ったのはアキノ大統領の弟さん、つまり亡くなったアキノさんの実弟でありますが、この人が、唯一残っていた市民側のラジオを通じて、今エンリレ、ラモス両将軍が基地に立てこもった、その基地にみんなで行こうじゃないかということを呼びかけて、たちまちのうちに万を数える人たちがそこに集まって、それに対してマルコスが戦車を先頭に軍を出動きしたときには、何十万の人たちがこれを取り巻いていて基地に到達することができないでいた。こういう役割をラジオが果たしたということを聞いたわけです。またその百人の手兵で立てこもっているその状況の中で戦車が出動するという機運が出てきたときに、これまた一つの危機であったわけですが、再びラジオの声がマルコスが逃げたという報道をしたんだそうでありますが、これは実はデマであり、うそであります、意識的にこれを流して、これを聞いた当時の政府軍の戦車を含めた軍隊が引き揚げてしまった、こういうことがあったということを聞くわけであります。
 このことは我々にとっていろんな教訓を持っているというふうに真剣に考えなければいけないと思って帰ってきたんでありますが、つまり電波というものは、いつも私が申し上げる常にこれは国民の共有物でなければならない、マルコスが支配した国営放送のようなものがあってはならない、これは民主主義ではない、同時に民衆がいかに放送というものを信じて行動するかという、そういうことにもなるでありましょうし、また民主主義という立場からすれば、それを物差しにすれば、マルコスに比べてアキノ政権というものが好ましい政権であるとするならば、それを生んだもとにはラジオ、テレビがあったということも言えるでありましょうし、これはひとつこの機会に御報告というような意味で、もっといろいろ詳しいことを申し上げれば切りがありませんが、委員の皆さんにもお聞きいただきたいということで申し上げたわけであります。
 最初に、実は委員長のお許しを得て、NHKに直接関係はありませんけれども、一つお聞きしておきたいことがあります。
 先日の新聞の報道によりますと、都民テレビ開設の動きが再び活発になったということで、都は年内にもこれを決定してほしいということで動き始めているという報道があり、現に鈴木東京都知事が佐藤郵政大臣に先日陳情をされたということでありますけれども、これは郵政大臣のお口から直接その辺の事情を伺っておきたいと思います。
#249
○国務大臣(佐藤文生君) 先般、東京都を放送対象地域としたテレビジョン放送周波数の割り当てをしてほしいという要望について東京都知事が参りまして懇談をいたしました。ところが一方、民放連等からはこのような放送局の新設についてはいろんな問題があると反対する旨の意見書も出されている現況でございます。したがって私は、東京都知事との話し合いの中で郵政省としては幅広い観点から慎重に検討等を進めていきたい、こういう返答をしておきました。
#250
○田英夫君 一方で鈴木東京都知事は年内にも決定をしてほしいということを言っておられるということでありますが、これは電波監理審議会の問題も絡めて今後どういうことに手続上をも含めてなっていくのか、郵政省から伺いたいと思います。
#251
○政府委員(森島展一君) この問題は今検討中でございますが、周波数の割り当てということになりますと、当然電波監理審議会に諮問する、こういうことになりますが、それより前に私どもこの周波数事情とか経済基盤とか、こういった観点で検討をしておるところでございます。
#252
○田英夫君 確かに東京の場合には、他の県などが既にUHFの局があって、県のエリアで県民放送の局のような形のものを持っているのに対して東京にはUHFがないということで、そういう感じのテレビ局はないと。しかし同時に、既存のテレビ局はいずれもキーステーションであって、これは全国に対して非常に大きな影響があると。しかも、東京都がいわば中心になって新しくUHFをつくっていけば、東京都がかなりのいわばスポンサー的な存在になるでありましょうし、これが果たして都民の放送局と言えるかどうかわかりませんけれども、その辺、つまり既存の放送局の経営の問題と、都民的放送局の開設の問題というところの板挟みなんでしょうけれども、大臣これはお考えとしてはどうですか。東京都というのはちょっと県民意識みたいなものとは違いますけれども、東京都からすれば、そういう意味で都の行政というものも都民に徹底させる機関にもしたいでしょうしね。その辺はどういう比重でお考えになりますか。
#253
○政府委員(森島展一君) 確かに先生おっしゃいますように、県域というテレビの割り当てという観点から見ますと、東京都だけはその県域に相当する割り当てがないわけでございますが、そういったことを含めて幅広く検討しなければならないと思っております。
   〔委員長退席、理事片山甚市君着席〕
#254
○田英夫君 いつも申し上げていることですけれども、電波はやっぱり国民のものだという、そういう基本の上に立って、この場合は都民の立場ということになるでしょうけれども、そこをぜひお考えいただいて、今後の郵政省を中心にして電波監理審議会というところに持ち込まれる段階でも、いずれの場合にも今後この問題がどういうふうに今なっているのかということをぜひ都民や国民の前にオープンにした形で扱っていただきたい。たまたま新聞には報道されましたけれども、いつの間にか消えてしまったと、あれはどうなったんだということにならないように、また、つくられる場合も、何か突然UHF局が出てきたということにならないように、その辺の状況を私も機会があればまた伺うかもしれませんが、ぜひオープンにしておいていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 次に、NHKの問題でありますけれども、NHKの経営のあり方といいますか、放送局としてのあり方といいますか、そういうことを考えますと、川原会長を初め皆さん、そのことにいつも頭を痛めていらっしゃるだろうと思うんですね。つまり、放送法によって、もうきょうこの審議自身がそうですけれども、国会で予算の承認を得るということお必要とすると。そういう意味で、いわゆる公共放送という立場が一方にある。これは悪い言葉で言えば、ともすれば親方日の丸ということにつながりかねない。口の悪い人は国鉄、日本航空、NHKと、こう連想をする向きもあるようであります。事実それは非常に類似をした点がありまして、それは国や政府との関係ということが一つと、それから一方で一種の競争相手として国鉄と私鉄、日本航空と全日空や東亜国内航空という他の純民間航空会社、NHKの場合の民放との関係、そういう点も類似点は非常に多いと思います。同時に、NHKという放送法に規定されて他の民放とは別の特別な存在として、公共放送として役割を果たしていくという上で万全の放送体制をとりたいということ。これはまた必要なことだと思いますね。そのためには、万全のということは、第一の方の親方日の丸的なものと結びつきますと、かつて国鉄がそうであったように、肥大化してしまって、そのことが主たる原因で経営がおかしくなってくる。こういうことに結びつくのではないかという、そういう懸念。常識的なことですが、そういうことを前提にして考えたときにいろいろ問題が起こってくるのじゃないかと思います。
 まず、NHKの関連団体の現状ということですけれども、最近非常に多くの関連団体、組織がつくられているということを伺いますが、大まかで結構ですが、現在どういう状況になっているか御説明いただきたいと思います。
#255
○参考人(植田豊君) いわゆるNHKの関連団体といたしましては、公益法人で七団体、株式会社で十一社、このほかに福利厚生のために健康保険組合共済会がございますので、合計二十団体になるわけでございます。
#256
○田英夫君 一つ具体的に、さっきもお話が出ましたが、ことしの一月に総合ビジョンという会社ができたわけですけれども、これはどういう性格の会社でどういう仕事をするのかということを御説明いただきたいと思います。
#257
○参考人(植田豊君) 総合ビジョンにつきましては、まずNHKは昨年の秋のことでございますが、NHKエンタープライズという会社に出資をいたしました。ここは放送番組の制作、購入及び販売をNHKから委託するためにNHKエンタープライズをつくったものでございます。これらの仕事のうち番組の購入や販売につきまして、最近番組ソフトの市場、マーケットと申しますか、非常に変化、流動化しておると思われます。具体的には、内外を問いませんけれども、資金力ですとかあるいは情報力のある企業が続々とこの番組ソフト市場に参入してまいりました。さらに、番組やスポーツ放送権といったものが著しい高額化してきておる、あるいは出版化権、ビデオ化権といった諸権利を包括的に売買をする。全体として取引が大変大型化をしてきておるというような諸状況がございます。
 このために、NHKエンタープライズだけでは対応が難しいというふうに判断されるわけでございます。このためNHKエンタープライズでは強力な情報あるいは販売のネットワーク、ノーハウを持ちます広告代理店あるいは商社等と共同出資をしまして総合ビジョンをつくったものでございます。
 総合ビジョンの主な仕事といたしましては、放送ビデオソフト等の映像素材の企画、制作及び販売、あるいは映画、テレビ番組、スポーツ等の放送権の購入及び販売、ハイビジョン用ソフトの企画、制作、販売等々でございます。
   〔理事片山甚市君退席、委員長着席〕
#258
○田英夫君 今のお話でNHKエンタープライズの出資ということでおつくりになったということですけれども、なぜNHK本体が出資をされなかったのか、その辺の事情をもう少し御説明をいただきたいと思います。
#259
○参考人(植田豊君) NHK本体の出資をいたします株式会社の場合には、NHKの本来業務との密接なかかわりが極めて重要な点でございます。
 先ほども申し上げましたように、番組ソフトの状況が極めて流動化しておる。NHKのみのための番組ソフトのやりとりではなかなか思うように番組が買えない。かなり包括的な取引が要るというような状況の中で、先ほども申し上げましたように、NHK本体のみのためでない、もう少し幅の広い形で総合的に考えていく必要がないかというような点が一つのポイントかと思っております。
#260
○田英夫君 今のお話ですが、確かに放送法の第九条で、NHKは「営利を目的としてはならない。」ということがあって、さらにその九条の三で「協会は、その業務を遂行するために必要がある場合には、郵政大臣の認可を受けて、収支予算、事業計画及び資金計画で定めるところにより、宇宙開発事業団、通信・放送衛星機構及び有線テレビジョン放送法第二条第三項に規定する」云々と、こうありまして、出資をする場合には密接に関連するということと、政令で定めるということ、二つの縛りで出資について縛りをかけているというふうに思うんですけれども、これはわかるようですけれども、大変難しい規定ですね。この辺はNHKの方でも郵政省の方でもいいんですが、どういう意味を持っているのかといいましょうか、NHKは第九条で「営利を目的としてはならない。」とまず大前提がありますからね。それと出資の問題との絡みの中でこういう条項があるんでしょうか、この精神というのは一言で言えばどういうことだと思いますか。
#261
○政府委員(森島展一君) NHKはその経営基盤を受信料に置いておりますので、そういった観点からNHKが出資をするという場合の制約をこの九条の三によって課しておる、こういうふうに考えます。
#262
○田英夫君 この総合ビジョンの場合、もしNHKが直接出資しようとした場合には、今さっきの御説明がありましたけれども、この九条の三あるいは施行令の第一条六号、これを見ると大変難しい文章書いてありますけれども、この出資の対象に該当するのかどうか、その点はどうですか。
#263
○政府委員(森島展一君) 委託によりましてNHKの番組を販売するとか、NHKに対しまして放送権の提供等を行う、こういうような業務でございますとNHKの業務に密接に関連しておりますので、NHKの出資の対象の範囲を定めました放送法施行令の第一条、これに該当するというふうに考えます。
#264
○田英夫君 そうすると、できることならばNHK本体が直接この出資をするということなら話は簡単なんですけれども、そうでなくてエンタープライズが出資をしているということにしたというのを、もう一遍そのお考えを聞かしていただけませんか。
#265
○参考人(植田豊君) 先ほどはNHKの本体の業務とのかかわりの度合いをちょっと触れさせていただきました。総合ビジョンの場合には冒頭も申し上げましたように、番組の供給、頒布等につきまして、広告代理店でありますとか映画会社でありますとか商社等の情報力やノーハウを積極的に活用したいという目的がございました。協会がみずから直接出資するよりは、NHKエンタープライズが出資をいたしまして、これらの諸団体と相協力しながら、この大変流動化しておるソフト市場ですぐれたソフトをできれば安く、またNHKの番組をこれらの各社の能力を生かしまして積極的に販売もしていく、そういうためにあえてこういう形をとったものでございます。
#266
○田英夫君 確かに今ニューメディアの時代になって大変いろいろな分野に広く対応していかなくちゃいけないという意味でおっしゃることは理解できる気もするんですけれども、同時にNHKが出資する場合には法律的に厳しい縛りがあって、これはまた当然だと思うんですね。ところが、NHKがその縛りの中で合法といいましょうか、という形で出資してつくった会社が、今度はつまりエンタープライズですね。そういうものが今度出資するのは自由だというのは、いささか何か抜け道のような気がするわけですね。
 そういうことではなくて、今おっしゃる意味はわかりますから、やはりエンタープライズが出資するとしても、やはりNHK自体が出資する場合に縛られているそういう精神ですね、これはやはり基本として頭の中にないと、又貸しみたいな格好になると、これは抜け道として大丈夫で、直接だとどうも縛りがあるから、それは避けて抜け道行っているんだという印象になりますと、いささかこれはどうかという気がするんですがね、この辺はどうですか。
#267
○参考人(植田豊君) NHKといたしましては、先ほど申し上げましたように、情報化の時代あるいはニューメディアの時代という中で、より豊かで多様な番組の編成をNHK本体そのものはコンパクトな体制で実施するためにエンタープライズを設けました。さらにこのたび総合ビジョンができたわけでございます。
 先生御指摘のように、この総合ビジョンは本来独立した会社ではございますけれども、NHKとの関連で実施する業務につきましては、公共放送としてのNHKの使命を十分に理解して業務に当たることが大前提であると私どもは思っております。また、NHKの番組がこの新会社、総合ビジョンとの関連において放送される場合も出ようかと思いますが、この際番組基準を遵守するのはこれまた当然のことだと思っております。このような節度のある関係の中で効果的に業務を分担し、財政負担を軽減させたい、あるいは副次収入の増加に寄与をしていきたい、かように考えておるところでございます。
#268
○田英夫君 確かにそういう複雑といいますか、激動していく状況の中で広く対応しようというお気持ちはさっきも申し上げたようによくわかるんです。しかし、一方でこのNHKエンタープライズと電通が二五%ずつ五〇%の出資をする、そのほかに映画会社が入ったり、もう大手の企業がざっと入っていますね。これはそうすると今おっしゃったように、そこでつくった番組がNHKからオンエアされるという可能性が大いにあるわけですね。むしろそれが多いと考えでいいですか。
#269
○参考人(植田豊君) そこの企画によりましてNHKに相談が来る、あるいはNHKが企画したものをNHKエンタープライズに委託をする、そのNHKエンタープライズとしてトータルにどう考えるかというような関係も生じようかと思いますが、しかし結果としてはこの総合ビジョンの仕事がNHKの放送番組にかかわりが深いことは間違いないだろうと思います。
#270
○田英夫君 これは、私の心配している意味は御理解いただけると思うんですけれども、NHKというものは放送法で御存じのような公共放送という形で縛られているといいますか、設立をされて、しかも主として聴取料によって経営が行われるという大原則がある。しかし、一方で今そういう激動をしている。しかしそこで問題になるのは、冒頭国鉄と私鉄、日航とその他の民間航空会社ということで申し上げたように、今度は逆の立場から見ると既に民放連の方から疑問符が呈せられているように、電通といえば民間放送にとってはその経営の中で非常に重要な役割を果たしてもらっている企業だということが言えるんですね。それが四分の一の出資をして、NHKエンタープライズと同じ額の出資をしている。そういうものをNHK絡みでつくってくるとなれば、これは競争相手の方の民間放送が非常に心配をするのは当たり前だと思いますね。
 一方でNHKの方はいろいろな意味で、さっきも私が冒頭申し上げたように、経営的にやはり聴視料だけに頼らない収入の道も考えなくちゃいけないという御努力というもののあらわれということはこれもまた理解できる。その辺のところが、これは会長も非常に頭を痛められるところでしょうけれども、やはりNHK絡みのところは常に又貸しであっても――又貸しという言葉はよくないですけれども、エンタープライズが出資したそういう会社であっても、やはり放送法で定められたNHK的精神といいましょうか、これは貫かれていくべきではないだろうかという気がするんですね。そうでないと、いたずらに民間放送から疑心暗鬼の目をもって見られるんじゃないだろうか。この辺の精神的なといいましょうか、ところにぜひ触れていただきたいんです。ですから、さっき申し上げたあれで言えば、やはりNHK自体が出資する場合に放送法で縛りがかけられているこの精神は、やはりこのエンタープライズが出資するという形のこの総合ビジョンの場合でも何らかの形で貫かれていなければいけないんじゃないかなということを申し上げたいわけなんですね。この辺はいかがですか。
#271
○参考人(植田豊君) 先生御指摘のとおり独立した、しかもエンタープライズから出資をした株式会社ではございますけれども、NHKとの関係において業務が展開される場合には、放送法に基づくNHKの本来の使命、責任というものを十分理解し、それを前提とした仕事であるべきだと思っております。
#272
○田英夫君 今のお答えはNHKが直接出資する場合の規定といいましょうか、その精神というものをこうした総合ビジョンというようなものを間接的など言っていいでしょうか、そういう投資の場合でも貫いていきたいという精神だと、こう理解していいでしょうか。
#273
○参考人(植田豊君) それで結構でございます。
#274
○田英夫君 今度は具体的なことを少し伺っておきたいんですけれども、出資者の中に東宝とか松竹とか東映とかいう映画会社が三社入っておりますね。そうなりますと、東宝などは非常にこの総合ビジョンに期待をしているということを聞いているんですけれども、特にハイビジョンのソフトの企画、制作ということで参画をしたいという御意思があると聞くんですね。
 そうしますと、これは将来の問題としてハイビジョンというNHKにとって一つの大きな宝物を使うわけですけれども、それで東宝なら東宝というものが総合ビジョンというところを通じて一つの制作をする、するとこれはテレビを通じて家庭でテレビジョンで見る、テレビの画面で見るよりももっと大きな、つまり映画館で見るような形でそうした総合ビジョンで制作したものを一般の方が見ることができるというところにつながってくるんじゃないだろうか。それをまた東宝さんなんかは目指しているんじゃないだろうか。だからこそここに三社の名前が出てきているんじゃないか。そういう形で一つの将来展望を持っておられるんじゃないかなという気がするんですが、そういうことは起こり得るわけですか。
#275
○参考人(植田豊君) 総合ビジョンに東宝等が出資をしておることはおっしゃるとおりでございます。
 それからなお、今ハイビジョンの御指摘がございました。ハイビジョンにつきましては、NHKとしては本来、将来は放送衛星で実際に放送ができないかと願っておるところでございますが、これはまだまだ先のことでございます。ただいまの全体の空気といたしましては映画界等々が具体的にビジネスとして展開をしたい。諸外国でもその動きがあるようでございます。そういう中で東宝さんを初め一部のところで具体的にビジネスの検討ができないか、その際、NHKエンタープライズないし総合ビジョンとの共同制作ができないだろうかというような問いかけがございます。
 これは現在検討中のものでございますので、これ以上具体的になかなか申し上げにくい点ではございますが、結果仮に共同制作が展開いたします場合は、NHKといたしましてはハイビジョンの制作のノーハウを得るということ、それから将来の放送衛星時代、放送で使える時代のソフトを蓄積できるということ、なおかつそれが共同制作という形で比較的廉価にリーズナブルな形で制作ができるといったこともあり得るかと思っておるところでございます。その辺を十分話し合いまして、NHKの立場が貫けるかどうかといった問題は先ほど来先生御指摘のとおりでございますので、その辺に十分注意をして検討してまいりたいという状況でございます。
#276
○田英夫君 だんだん格好がわかってきた気がするんですよ。つまり今のハイビジョンの衛星放送が本格的になって、ハイビジョンを使って東宝さんがひとつそれに参画をする、あるいは松竹でも東映でもいいわけですけれども、そうしますとその段階ではいわゆるビデオシアターというようなものがいわば映画会社側でつくられるような世の中になってきて、市民の皆さんは家庭でテレビを見るよりももっと高品位の画面、大きなもので十分に楽しめるというようなことが近い将来に衛星放送が本格化すれば起こってくるというようなことを想定しますと、その今おつくりになった総合ビジョンというものが実はテレビを中心としたマスメディアといいましょうか、そういうものの中で、映像文化といいましょうか、そういうものの中で非常に大きな役割を果たすことになってくるんじゃないだろうか。そういうところで、しかも放送法で言われているNHK的精神というものを貫いていけるだろうかということを私は心配するといいましょうか、ぜひそれは守っていただきたい、こういうふうに思うんですが、この辺はどういうふうにお考えですか。
#277
○参考人(植田豊君) 総合ビジョンの目的が、先ほど申し上げましたようにソフトがこれだけ流動化している中できっちりした良質な、しかも必要な場合には大型なあるいは多角的なソフトを確保してまいりたいという気持ちでスタートしておるわけでございます。NHKといたしましてはエンタープライズに委託しておる仕事ではございますけれども、NHKの本来の使命にもとることのないよう十分に心してまいりたいと思っておるところでございます。
#278
○田英夫君 最後に会長から直接お答えいただきたいんですけれども、私はるる総合ビジョンを通じて問題を提起してきたのは、冒頭申し上げたようにNHKというものを運営していく、経営していくというときに、一つは親方日の丸的になってはいかぬということと同時に、この激しいニューメディアの競争の中で、やはりNHKが大きな役割を果たしていくためにどうしたらいいかという二つの時には矛盾する問題の中で、正しい運営をしていただきたい、こう思うからなんですね。今のお答えで十分総合ビジョンについてはある意味ではわかった点が多いんですけれども、今の最後の部分のようなことになってきますと、他の民間放送との関係というようなことで余りにもNHKが巨大な力を放送並びに映像文化の中で持ってしまうということを恐れる向きがある、それはいかがなものかということなんですね。
 その前に、最近相次いで総合ビジョンを含めていろいろな形でNHKの周辺に関連団体、会社というものができてきている、その方は非常に目につくんですけれども、NHK本体の中の肥大化を防ぐというような行動というものが余り目につかないんじゃないだろうか。確かに人員を減らすとか、そういう御計画は毎年進められていることも承知しておりますけれども、改めて客観的に見て、NHKの現在の組織の中で肥大化してしまっている部分があるんじゃないだろうか。私もよく承知しておりますが、例えば報道一つとってみても人員といい、やり方といい、機材といい、そういう面で不必要なものがあるんじゃないだろうかという点検、つまり肥大化を、もっと体をやせさせて健康な体にしていくというような努力がもっと目立っていいんじゃないだろうかという感じを持つものですから、最後にその辺のお考えを会長から伺って質問を終わりたいと思います。
#279
○参考人(川原正人君) 私どもが考えております一番の根本のところは、やはりNHK自身が肥大化とか巨大化と言われるような体質を改善していきたい。もっとコンパクトといいますか、引き締まった、しかも充実した体質の企業体にしてまいりたい。そのためには、今いろんなニューメディアの展開の中で新たに私どもがやり遂げていかなければならない仕事も次々生まれてきている。それを従来の仕事の上にただ単純に継ぎ足していくというようなやり方をしていては、これは最後に自分の重みで身動きできなくなる心配がある、それはむしろ一番私どもが痛切に今感じているところでございます。
 それをどうやってもっと能率的な企業経営ができるかというところで、一つはもちろん部内の業務の体制、業務の進め方、これを徹底的に見直して、もっと軽量化できるところは軽量化するということに努めたいと思います。同時に、今まで私どもが自分の手でやらなければいけないと思っていたものも、もっと外部の企業にお願いする、委託するといいますか、あるいは力をかりる面がまだまだあるはずだ、それはさらに積極的に外部の企業の力をかりたい。あるいはそういう場合に、既存の外部の企業も結構ですけれども、やはりNHKというものの使命とかNHKの番組のありようをよくわかったような関連の企業をNHKが力をかすことによって設立いたしまして、そういう企業によって私どもの仕事を分担してもらう、一体となって仕事を進めていくことも必要なのではないか、そういう面でいろいろ関連企業の設立育成を考えているわけでございます。
 さらに、先ほど来御指摘の総合ビジョン等につきましても、これは今までのNHKの放送あるいは番組調達ということではもはや間に合わないといいますか、それを超えたところでいろいろの番組の調達あるいは購入、販売、それが非常に大きな資本力を持った企業が参画してきまして、むしろそれをそのままにしておきますと、最後に私どもがそういう大きな力のある企業によって外側の番組素材を、言葉が少し過ぎるかもしれませんが、全部押さえられてしまって、それをあるいは必要以上の高い値段でむしろ買わされる、あるいは買わざるを得なくなるようなことさえ予想される。それならばむしろ私ども自身が直接出資できなくても、私どもの事業の使命をよく心得、また番組のありようも心得た私どもの関連企業がそういった大企業と、むしろその中に飛び込んでいってNHKの必要とするものを調達する、あるいはNHKの番組を逆にそこで販売してもらう。あるいはハイビジョンの御指摘もありましたけれども、これも私どもは放送を通じて一般の家庭に電波をもってお届けしよう、そういうことができる。特に放送衛星を使えばそれが可能であるということで開発してきたわけですけれども、事態はそれよりさらに進んで、映画会社がむしろこれは劇場等で上映する手段として非常に有効に使えるということから非常にそこに力を入れてくる。そうすると、とれまた私どもがそれは放送とは直接関係がないということで見送っておりますと、私どもの技術陣営が長い間かかって開発したその成果が、機械等は一般に市販されるわけでございますから、そういう事業にどんどん先に使われてしまう、そちらの方がむしろそういった制作のノーハウもどんどん先に進めていってしまうということにもなりそうな気配でございます。
 私どもの今まで開発しました技術的なノーハウ、成果、あるいは番組の方でも私どもそれなりにテレビジョンというものを通じていろんなことを勉強してまいりましたので、そういう新しいメディアの活用の面でもおくれをとらないように、何らかの方法でそこにむしろ参画していきたいということから、そういう企業の中に関係の会社を通じて今私どもの考えでいるところを十分に反映させていきたいということで仕事を始めているわけでございます。御指摘のところは十分私どもわかっているつもりでございますし、いたずらにただ横に手を広げるのじゃなくて、自分の本体の方も足元を十分に見詰めながら仕事を展開してまいりたいというふうに思っております。
#280
○田英夫君 終わります。
#281
○青島幸男君 先ほどからテレビの報道の問題もさまざま論じられてまいりました。報道の格好も最近は変わってきておりまして、昔のようにラジオの報道番組をそのままテレビに持ってきたという感じの、ただアナウンサーがあらわれて記事を読み上げるというようなものではなくて、視聴者の方からの希望もありましょうが、優秀なキャスターの方を選んで解説を図る、あるいはデータを掲げる、あるいは生の映像をそこに挟み込んで解説を加えるというような格好で多面的にニュースも報道されるようになりましたし、その意味では民放に先駆けてかなり研究もなされ、実績も上げてこられたと大変に評価をしております。
 しかし、どうしても報道というものは視聴者から信頼されるものでなければならないということは大前提だと思いますね。しかし、いずれにしても人間のやることでございますから、中には過って物事を伝えるというようなことも間々起こる可能性はあります。そうした場合の改めようですけれども、NHKとしては基本的にどういうお考えでこれに臨まれておるわけですか。
#282
○参考人(川口幹夫君) ここに私が持っておりますのは「番組基準ハンドブック」という本でございますけれども、この中にそういう場合の規定をしてございます。番組基準の第二章の第五項というところには「報道番組」という項目がありまして、この中に報道のあり方についてのいろんな規定がございます。もちろん真実を報道しなければいけないということはもうその基本でございます。それと裏腹になりまして、番組基準の第十二項で「訂正」というところもございまして、ここには「放送が事実と相違していることが明らかになったときは、すみやかに取り消し、または訂正する。」ということを決めてございます。
 おっしゃったように、非常に複雑な時代になりまして、報道の形というものもまたなかなか複雑でございます。したがいまして、念には念を入れ誤りなきを期してやっているつもりでございますけれども、やはり人間のすることでございますからどこかで間違うことがないとは言えません。その際に、私どもとしてはこの番組基準が示すように速やかに訂正をするということをモットーにしていきたいと思っております。
#283
○青島幸男君 私もその基本的な考え方には賛成で、それは大変妥当なことだと思っておりまして、そのようにお図りいただきたい、実態についてそのように対処していただきたいと思っておりますが、一、二非常に納得のいかない、誤報なら誤報であったと速やかに即座に訂正して真実を改めて述べ立てるという方法でなしに、何かあいまいなうちに過ごされてしまったというのは、一々ここで例を挙げて申しませんけれども、もしそういうことがありますと、大変に信頼を損ねるということになりますので、やっぱり誤りは誤りと率直にいち早く認めて訂正を出すべきで、人から批判を受ける、確かに誤りを報道したことは多少恥じらいも伴いますし、ミスであったことは事実で、だれでも自分のミスを認めるのは認めにくい点もありますが、それを認めないと、実生活の上でもそうですけれども、うその上にうそを積み重ねていくようなことになったり、あるいはそのうそを糊塗するために大変よそ様に義理を欠いたりということになって、結局は一番率直にいち早く誤りを認めて訂正することにある。これが一番率直な、オネスト・イズ・ザ・ベスト・ポリシーといいますかね、それだと思いますので、その辺をぜひ心してやってもらいたいということを要望申し上げます。
 と申しますのは、新聞紙面でも誤りの報道があった場合は、いつ何日のどの面に載せた報道は誤りがありました、ついでこのように訂正いたします、また誤り報じられた方々の被害、その面については同様の記事を掲げるとか、さまざまなことをやりますね。しかし一回誤った報道がなされますと、それはそれなりのインパクトがあるわけですよ。それで、その新聞の紙面で一つその頭の中に入ってしまいました概念は、なかなか消し去ることができない。それで翌日なり翌々日なりに同様の謝罪広告なり本人の言い分を掲げたとしますね。でも、それを同時にその人たちが読むとは限らないわけですよ。ですから一回与えてしまった印象を拭い去るというのは大変難しいことだから、二回やっても三回やってもあかない切れないくらいの被害をだれかに与えるということもありますね。放送の場合なんか特に生々しく伝えられますから、それをまた訂正を見ないというケースもありますね。そのためにいたく人権を傷つけられた、名誉を傷つけられたというようなことがあれば、それは取り返しのつかないことですから、そのようなことのないように、ぜひ心がけてほしいということを再度要望いたしますが、御決意のほどを承りましょう。
#284
○参考人(川口幹夫君) 先生おっしゃるとおりでございます。
 報道の真実を確保すること、それによってしか信頼が生まれないというふうに思っております。したがって、その信頼性の確保のためにも、もし誤った場合は直ちに訂正するということを改めてここでお誓い申し上げます。
#285
○青島幸男君 その点はよろしくお願いします。
 昔と違いまして、毎日毎日かなりのものが放送されまして、中にいいものもあるし、あるいはとっておけば歴史的な価値が生じるであろうというようなものもありますね。NHKさんは独自に放送したものをテープなりディスクなりにして保存しておいでのように伺っていますけれども、これも毎日放送分を全部保存しておけというようなことを例えば要求しますと、大変な莫大な量になるかと思いますね。例えばとっておくものと、あるいはそのまま消してしまうものと、それからこれは初めから撮る前にとっておこうという計画でおつくりになるものと、それぞれに基準みたいなものがなければ、膨大なものになってしまうような気がするんですけれどもね。何か基準を設けていらして、ライブラリーというような格好のものを所持していらっしゃるのか、その辺はいかがなものでしょう。
#286
○参考人(川口幹夫君) おっしゃるとおりでございます。
 非常にたくさんの番組をほとんど、一日十八時間ですから、まあ休みなしといいますか、それぐらいの形でもって放送しております。したがいまして、これ全部とっておくということはもう事実上不可能でございます。またその必要もないと思います。私どもは一応番組の保存基準というものをこしらえまして、それに従いましていろんな形での保存を図っております。
 現在、放送番組ライブラリーというのを正式につくったのが昭和五十六年の四月でございますけれども、それから現在までの保存巻数が大体二万九千巻ということでございまして、この二万九千巻の中で保存に耐えるもの、その中から再放送を組んだり、それから外部の二次利用に役立てたりというふうなことで、これは非常に活用されております。
 大体これぐらいのところが今ライブラリーが保存しているものでございますけれども、後々、年々、保存基準の中でえりすぐられたものがたまっていくというふうなことに相なります。
#287
○青島幸男君 それはテープにした形で保存なさっていらっしゃいますか。それともディスクに切りかえたりなさっているわけですか。
#288
○参考人(川口幹夫君) まだディスクは正式な保存の形になっておりませんで、今はテープでございます。
#289
○青島幸男君 日進月歩の世の中でございますから、非常に信頼性の高い記録装置があすにも開発されるというようなことも夢ではないと思いますので、でき得る限り、後々歴史的な価値を生むであろう、今思わなくても、あれをとっておけばというようなことでほぞをかむようなこともあると思いますので、新しい信頼できる録音の機械なり設備なりができるということも考えまして、少し余裕を持って記録を保持するというくらいの気持ちで取り組んでいただけるとありがたいと思いますね。それはそれで要望しておきます。
 それから、事業計画の中に、ニューメディアの実用化に向けての調査研究を推進する、という項目があるんですけれども、これはどのようなことを考えていらっしゃるわけですか。
#290
○参考人(矢橋幸一君) これは六十一年度におきましては、将来の衛星放送システムといいますか、将来の衛星放送の中でこれから新しい周波数帯を開拓していくと。例えば二十二ギガヘルツという非常に波長の短い新しい周波数帯を開発して将来のいわゆるマルチ放送に備える、あるいは放送衛星の今の出力、電波の強さを強くして、それによって受信のパラボラを小さくして受信料を安くするという、そういった研究。あるいはさらには受信機のローコスト、コストを下げていくという、そういった研究。いろいろございます。
 それからハイビジョン放送につきましても、やはりまだ将来の受信機、ハイビジョンを家庭で楽しむときに、やはり壁掛けのテレビのような、ああいったものがないと家庭じゃ楽しめませんので、そういったいわゆる平面ディスプレイと言っておりますけれども、ワイドな平面ディスプレイを安いものを開発していこうという問題。今やもうハイビジョンの番組をつくれる態勢にはありますけれども、例えばハイビジョンのカラーカメラ、まだ感度が悪いという問題がございます。感度アップの問題とか、いろんな問題がございます。そういった研究もございます。その他、ファクシミリの放送ですけれども、これもこれからいろいろな多重技術によってファクシミリというものが実用化されていきます。それの研究をしなければならない。あるいは番組識別コード放送といいまして、緊急警報放送もその一種でございますけれども、番組に識別コードをつけておきまして、そういった例えば交通情報なら交通情報だけを受信者が自由に収録できるとか、そういったいろんな新しいニューメディアがございます。
 そういった研究をこれからやっていこうということでございまして、同時にこれはBS2を使いまして衛生にハイビジョンあるいはファクシミリといった放送の技術実験をやっていこうということも含まれております。
#291
○青島幸男君 衛星放送のお話も出ましたけれども、将来は衛星放送をおやりになる計画なんでしょう、何百億もかけて放送衛星を打ち上げているわけですから。これをただ難視聴解消だけに使うのはもったいないと。この辺でいつも私と会長と議論がかみ合わないところでございますけれども、もともとは難視聴対策のために打ち上げられたんだから、一義的に難視聴解消を考えなさい。それはそれでいいんだけれども、その衛星に無限に近いほどの能力がある。この能力がもったいないから何かに使おうということとは話が別ですよと。ですから、これはこれなりに別枠で考えていかなぎゃならない。それで事務上、郵政省との間で詰めていかなきゃならない法改正なども含む手続も要るかもしれませんし、あるいは一般の視聴者の方々のニーズ、御希望、動向をうかがってコンセンサスを得てそっちに踏み切るなり何なりという、先ほど会長こういう表現をなされたと思うんですけれども、適切な手続を経て皆さん方のニーズに沿えるようにしていきたいという、私はそれを混同して一挙に能力があるからといってやるのはおかしいですよということを再々申し上げました。何でもかんでもできることはやっちまえという時代ではない。確かにたくさんの可能性か持っているから、その可能性を皆さんに享受していただくために研究開発をするのも結構だ。しかしそれは別途考えて省との間の話を詰める、あるいは視聴者の方とのコンセンサスを得るという方向があって初めて皆さんの納得のいく状態に立ち至るだろう。そのときに改めて衛星放送分の料金を別途いただくというようなことができればそれはありがたいというふうな表現で会長おっしゃられたと思うんですけれども、私の認識に間違いございませんか。
#292
○参考人(川原正人君) 私どもも、放送衛星を開発するのにたくさんお金がかかったから何でもかんでも早く回収したい、それには何をやっても勝手だというふうにはもちろん思っておりません。当然それには解決しなければならぬ問題もありますし、必要な手順も当然あると思います。それは十分に承知して間違いのないように運んでまいりたいというふうに思っております。
#293
○青島幸男君 従来の放送、今行われていますね、東京では一チャンネルと三チャンネル。それを衛星放送で難視聴対策のためにそのままの番組で流す、それはそれで結構だと思いますね。それともう一つ、PCMですか、あるいはハイビジョンと申しましょうか、より質の高い音あるいはより質の高い画像を放送衛星によって流せる、それも是としますね。
 しかし放送衛星の分だけは別枠で、また別の編成を考えて放送を流すんだとすれば、それは一波余計に持つことになるから、それには法的手続から何から要るんじゃありませんか、そういう適正な手続を踏んでからなさってくださいよということを申し上げておりますね。これは改めて一波要ると同じような考え方に私は立っているわけです。今行われている放送をそのまま星から流す分には一向に問題はないわけです。ただそれを流したのでは意味がないだろう、せっかく良質の画面もいい音も出せるんだからそれをやろうじゃないか、それも結構でしょう。しかし高いアンテナ代を払って見るんだし、NHKも協力して何百億もお金を出しているんだから、一般の方々に今の放送とは違った内容の、もっとおもしろい、もっと充実したものを流せないものかということをもし考えるとすれば、それはまた一と三のほかに別波一つ設けることになりますね。ですから、それはそういう手続を踏んでからでなければ困りますよということを私再三申し上げておりますが、この考えについては大臣どうお考えになりますか。
#294
○政府委員(森島展一君) 放送衛星の主たる目的が難視聴ということで、それとあわせて衛星放送の利用の普及を図るというような観点からいろいろな実験も行われますが、これが新しい独立した衛星放送チャンネルというようなことになる場合、これがBS3になりますと民間放送の衛星放送事業者というのが出てまいりますけれども、このときにどういう利用のあり方をすべきか、これはNHKについて見ますと、業務の範囲とかNHKの経営のあり方、それから当然財源としての受信料制度のあり方、こういうことに関係いたしますので、この辺は多角的に検討して早く方向を見出さなければならないものと思っております。
#295
○青島幸男君 だから私は、そういう高度な放送がなされるというのも時代の勢いでしょうから、研究開発は無論必要でしょうけれども、受信者の間にそういう要求が起こってくるのももう時間の問題だと思いますね。だったらそれはそれで結構ですから、それに移行するんだったらそれなりのきちっとした手続きをお踏みくださいということをまず申し上げます。
 それから、どうも会長のお心の中にはこういうことがあるんじゃないかと思うんですよ、どうも受信料も頭打ちになっている。テレビ受像機の普及率ももうこんなものだろう。そうすると何か別途新しい財源をといっても、番組を売ったり総合ビジョンですか、そこでいろいろ副次収入を得ようとしても大した額にはならないだろうということで、音はきれいたし絵はきれいたし、放送衛星から送るものはまた内容の違ったものをお送りしますから、別途料金を御協力いただきたいというようなことに将来的展望を定めていらっしゃるんじゃないかというような気がするんですけれども、その辺はどうでしょう。
#296
○参考人(川原正人君) 率直に言って、今私がいろいろと先のNHKの仕事といいますか、あるいはテレビジョンのありようといいますか、あるいは放送衛星の本当のありようを考えた場合に、私の願望としては率直に言ってそういうことをいろいろ考えることが正直ございます。またそうでないと、NHKが本当に視聴者の期待にこたえてすぐれた放送を続けながら、しかも経営を安定して推進していくことにはなかなかなりにくい。やはりそういうことを当然私どもとしては考えていかなければいけないんじゃないかというふうに、それは率直に言っていろいろ考えております。
#297
○青島幸男君 あるいはそういう時代が来るかもしれません。しかし、そのために研究開発も怠ってはならないと思います。
 もう一つは、今まで一般のユーザーのあるいは国民のニーズが多様化してきているというようなことを、間々我々言葉としては使いますけれども、実は多様化させてきたという部分もあるんじゃないかと思いますね。実際にテレビが出現したころは、公園だの人の集まるところにあって、見に行って胸を躍らせて見ていました。それがやがて、あれが各家庭で見られるようになったらすばらしいだろうな、それがカラーになったらすばらしいだろうなという我々の欲求と、あるいは経済活動と申しますか、それがうまく車の両輪のように回り合って激しく進んでまいりまして我が国の経済が急速に成長したと思いますね。ですから、それはそれでいいんですけれども、何かいたずらにニーズが多様化しているからと言うんだけれども、実は研究開発の成果としてそういうことができるという可能性が次々に生まれてきていますからね、次々に生まれた可能性をこれ見よがしに提示するものだから、あれも欲しい、これも欲しいと、実際にパソコンなんというのもそうですけれども、買ってみてちょっといじるとすぐあきたりできなかったりするんでそういうことを申し上げるんじゃないんですけれども、とにかくできるという可能性を先へ先へと追求していって製品もどんどんできてくる。さあといって、国民の方々のそれに対するあこがれとかあるいは欲ですね、そういう所有欲みたいなものあるいは競争意識みたいなものをどんどん刺激して先走ってしまうというのもちょっと考えものだなという気もしないではないんですけれども、これも時代の趨勢でしょうか、そういうことも拒否してもこれは拒否できるものでもないと思いますね。
 いずれにしてもそういう時代が来るとは思いますけれども、そういうユーザーが一方的にメーカー側に引きずられているというようなことも十分勘案しまして、本当の意味の視聴者と送り手のコンセンサスというものが成り立った格好で、徐々に納得のいく格好で、しかも法的な裏づけもきちっとあってという方向で進んでほしいという気持ちを大変強く私持っていますので、重々そのことに御配慮なさって省の方も監督を進めていらしていただきたいし、NHKの方もその覚悟で進んでいただきたい、こう思うんですが、もし御決意がありましたらそれをお伺いしまして、私の質問を終わります。
#298
○参考人(川原正人君) 視聴者のニーズという言葉の中には非常に複雑なものを含んでいると思います。御指摘のような面があると思いますし、先般私どもが「今、あらためてテレビとは?」という中でも、正直に言いますと、視聴者のニーズということが多少安易に使われ過ぎていたんじゃないかという感じもいたします。そういう言葉に隠れて、いわば視聴者の興味にのみ訴えるようなことを我々が少しし過ぎていないかということも考えます。
 ただ、放送衛星につきまして今御指摘でございますけど、私どもやはり前にもここで申し上げたかと思いますけれど、この放送衛星をNHKの責任者がこういう場で申し上げましたのは実は二十年ぐらい前のことでございまして、二十年間のやはり世の中の情勢が非常に変化をしておりますし、それから、私どもここまでまいりまして、受信料をもってここまで開発した放送衛星というものを本当に受信者に役立てるためには、やはりハイビジョンというものを一気にいくことは、恐らく私はできないと思っています。ハイビジョンはむしろそうではなくて、一度劇場とかパッケージメディアでまずある程度進むんではなかろうか。実際の電波に乗るのはまだ当分先だと思いますけれども、ただこの放送衛星を全く地上と同じ番組だけを繰り返していていいんだろうかと。それは、やっぱり私はNHKとしてはその道をとるべきではなくて、いろいろ解決すべき問題があればそれは解決していかなければなりませんけれども、もっと視聴者の役に立つような内容の放送を展開していくべきではないだろうか。そうでないと、また受像機の普及、受信機の普及というのは全く期待できないと。
 およそニューメディアというものは、これを普及していくためには二つの要素が絶対必要だと。一つは、それの装置といいますか、機械装置、これが安く提供できること。もう一つは、新しいメディア、それによって送られるソフトの内容が使う人に本当に役に立つということ、そして役に立つ内容でなければ、またその受像機の値段も大量生産にならないと安くならないと、こういう相関関係はもう率直に言ってあると思いますので、普及を促進するためにも、やはり私はこの衛星の放送が新しい魅力のあるものを展開していかなければこれは立ち往生してしまうというふうに考えております。そういう意味ではいろいろ難しい問題はあると思いますけれども、私どもとしては何とかこれを、新しい内容のものを展開していきたいという強い願望を持っております。
#299
○青島幸男君 終わります。
#300
○委員長(大森昭君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#301
○委員長(大森昭君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#302
○委員長(大森昭君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 この際、片山君から発言を求められておりますので、これを許します。片山君。
#303
○片山甚市君 私は、ただいま承認すべきものと決定いたしました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、新政クラブ及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)
 政府並びに日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
 一、放送の不偏不党と表現の自由を確保するとともに、放送の社会的影響の重大性を深く認識し、国民の放送に対する信頼を一層高めるよう努めること。
 一、協会は、厳しい経営環境にかんがみ、一層、事業運営の効率化と収入の確保に努め、今後における視聴者の負担増を極力抑制するとともに、衛星放送等ニューメディアの進展に対応する長期的な経営の在り方について、さらに検討を進めること。
 一、衛星放送については、その正常な運用に万全を期し、難視聴解消の目的達成に努めるとともに、視聴者のニーズに応える効果的な活用方策を検討すること。
 一、国際間の相互理解の増進に資するため、国際放送について、交付金等の確保を図るほか、海外中継の拡充等受信改善と番組の充実刷新にさらに努めること。
 一、協会は、地域放送について、地域に密着した多様な放送サービスの展開を図るなど、その充実強化に一層の努力を払うこと。
  右、決議する。
以上でございます。
#304
○委員長(大森昭君) ただいま片山君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#305
○委員長(大森昭君) 全会一致と認めます。よって、片山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、佐藤郵政大臣並びに川原日本放送協会会長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤郵政大臣。
#306
○国務大臣(佐藤文生君) 日本放送協会昭和六十一年度収支予算等につきましては、慎重なる御審議の上、ただいま御承認をいただきましたことを厚くお礼申し上げます。
 これまでの御審議に当たりまして、各委員の提起されました貴重な御意見並びにただいまの附帯決議につきまして、今後の放送行政を進めるに当たり、御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
#307
○委員長(大森昭君) 川原日本放送協会会長。
#308
○参考人(川原正人君) 日本放送協会昭和六十一年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、ただいま御承認を賜りまして、厚く御礼申し上げます。
 本予算を執行するに当たりましては、御審議の過程で種々御開陳いただきました御意見並びに郵政大臣の意見書の御趣旨を十分生かしてまいりたいと考えております。
 また、ただいまの附帯決議につきましては協会経営の根幹をなすものでございますので、これを外しまして執行の万全を期したいと考えている次第でございます。まことにありがとうございました。
#309
○委員長(大森昭君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#310
○委員長(大森昭君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#311
○委員長(大森昭君) 次に、簡易生命保険法の一部を改正する法律案、郵便年金法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。佐藤郵政大臣。
#312
○国務大臣(佐藤文生君) 簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び郵便年金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 初めに、簡易生命保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、最近における社会経済情勢の推移及び保険需要の動向にかんがみまして、簡易生命保険の加入者に対する保障内容の充実及び加入者の利便を図るため、保険金額の加入限度額の管理方法を改めるとともに、保険金額を増額するための簡易生命保険契約の変更をすることができることとすること等を行おうとするものであります。
 まず、保険金額の加入限度額について申し上げます。
 現在、保険金額の加入限度額は、被保険者一人につき、千万円とされておりますが、加入限度額の管理方法を改め、一定条件を満たす簡易生命保険契約に係る保険金額については、加入保険金額に算入しないこととすることにより、実質的な加入限度額の引き上げを図るほか、被保険者の年齢に応じて加入限度額を設定することとし、そのため、これらの具体的な限度額の管理方法等について政令で定めることとしようとするものであります。
 第二は、簡易生命保険契約の変更についてであります。
 これは、加入者の利便を図るため、保険金額を増額するための簡易生命保険契約の変更をすることができることとしようとするものであります。
 このほか、家族保険について被保険者が保険期間中の一定期間生存したごとによっても保険金の支払いをすることができるものとすること等を内容といたしております。
 なお、この法律の施行期日は、保険金額の加入限度額等の改正については公布の日から起算して六カ月を、簡易生命保険契約の変更等の改正については公布の日から起算して一年六カ月を超えない範囲内において政令で定める日からといたしております。
 次に、郵便年金法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、最近における年金需要の動向にかんがみまして、郵便年金の保障機能の充実を図るため、保証期間つき年金契約について、年金契約者が年金継続受取人を指定できることとすること等を行おうとするものであります。
 その内容は、保証期間つき年金契約については、年金受取人が保証期間内に死亡した場合は、年金継続受取人に年金を支払うこととされておりますが、この年金継続受取人を年金支払い事由発生日の前日までにおいては年金契約者が指定できるものとするほか、年金継続受取人の終身にわたり年金の支払いができるものとしようとするものであります。
 このほか、郵便年金契約の解除等があった場合に支払う返還金について、年金支払い事由発生日の前日までにおいては、受取人の指定がないときは年金契約者をその受取人とすること等を内容といたしております。
 なお、この法律の施行期日は、返還金の受取人等の改正については公布の日から起算して六カ月を、年金継続受取人の指定等の改正については公布の日から起算して一年六カ月を超えない範囲内において政令で定める日からといたしております。
 以上が簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び郵便年金法の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#313
○委員長(大森昭君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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