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1985/03/06 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 運輸委員会 第2号
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1985/03/06 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 運輸委員会 第2号

#1
第104回国会 運輸委員会 第2号
昭和六十一年三月六日(木曜日)
   午後零時三十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 一月二十日
    辞任         補欠選任
     梶原  清君     堀江 正夫君
 一月二十一日
    辞任         補欠選任
     堀江 正夫君     梶原  清君
 一月二十二日
    辞任         補欠選任
     藏内 修治君     倉田 寛之君
 二月十二日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     内藤  幼君
 二月十三日
    辞任         補欠選任
     倉田 寛之君    大河原太一郎君
     内藤  幼君     小笠原貞子君
 二月十五日
    辞任         補欠選任
    大河原太一郎君     倉田 寛之君
 三月六日
   辞任          補欠選任
     藤田  栄君     添田増太郎君
     伊藤 郁男君     柳澤 錬造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
   委員長          鶴岡  洋君
    理 事
                江島  淳君
                吉村 眞事君
                安恒 良一君
                矢原 秀男君
    委 員
                梶原  清君
                添田増太郎君
                森田 重郎君
                小柳  勇君
                瀬谷 英行君
                小笠原貞子君
                柳澤 錬造君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  三塚  博君
   政府委員
       運輸政務次官   亀井 静香君
       運輸大臣官房長  永光 洋一君
       運輸大臣官房会
       計課長      近藤 憲輔君
       運輸大臣官房国
       有鉄道再建総括
       審議官      棚橋  泰君
       運輸省運輸政策
       局長       粟林 貞一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        多田  稔君
   説明員
       日本国有鉄道総
       裁        杉浦 喬也君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠選任の件
○運輸事情等に関する調査
 (派遣委員の報告)
 (運輸行政の基本施策に関する件)
 (昭和六十一年度運輸省及び日本国有鉄道の予
 算に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 まず、理事の辞任についてお諮りいたします。
 瀬谷英行君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 これより、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 梶原清君の委員異動及びただいま決定いたしました瀬谷英行君の理事辞任に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に江島淳君及び安恒良一君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(鶴岡洋君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。
 まず、派遣委員の報告を聴取いたします。吉村君。
#6
○吉村眞事君 先般一月に実施いたしました委員派遣につきまして御報告申し上げます。
 派遣委員は、鶴岡委員長、瀬谷理事、矢原理事、そして私吉村の四名でありまして、一月十六日から十八日までの三日間の日程により、愛知県、岐阜県及び長野県に出張し、調査を行ってまいりました。
 調査事項は、各県並びに国及び国鉄の地方機関から管内運輸事情の説明を聴取するとともに、愛知県では基幹バス及びトヨタ自動車を、岐阜県では岐阜駅連続立体交差工事及び短距離離着陸機STOLを、長野県では長野電鉄及び国鉄長野工場をそれぞれ視察してまいりました。
 以下、主要な調査事項につき、その概要を御報告申し上げます。
 初めに、愛知、岐阜、長野三県の運輸事情について申し上げます。
 愛知県は、高度の産業集積と大都市圏を形成し、交通体系において東西南北の重要なクロスポイントとしての位置にあり、県内は道路や鉄道網が縦横に走っております。こうした中で、旅客輸送を見てみますと、全国第三位の高い自動車保有率を反映して、その七割が自動車に依存し、鉄道シェアは三割を占めるに過ぎません。首都圏や京阪神圏では鉄道シェアが五、六割の水準にあるのに比べて大きな特徴と申せます。このため道路整備水準の高さにもかかわらず、道路の混雑が深刻化しており、私たちが視察いたしました基幹バスなどのバスレーンの推進や地下鉄の建設のほか、岡多線等の鉄道新線の建設、輸送力の増強等が必要となっております。
 また、岐阜県は、北部山地の過疎と南部平野部の過密が同居し、地域交通とともに高速交通網、国鉄線の電化などが求められております。岐阜県は古くからの交通の要衝の地でありながら、地形が複雑で道路整備水準は全国水準を下回っており、そうした中で全体の八五%が自動車輸送に依存する現状にあります。とりわけ、マイカーの利用率は最近十年間に二倍以上の増加を示しており、過疎地域ではバス路線の維持が困難となり、現在十四カ町村で廃止代替バスの運行が行われておりまして、その補助の拡充等が望まれております。
 さらに長野県は、本州中央山岳部に南北に長く広がり、その三四%は過疎地域となっております。県内の基幹的交通は、盆地を縫って国鉄信越、中央の両幹線が走り、並行して国道と中央高速道路が走っております。観光地を控えて観光客の流入が多く、首都圏や中京圏に向けての交通が比較的整備が進んでいる反面、南部の伊那地方と長野市、松本市を結ぶような南北交通は不便が指摘されております。また県内の旅客輸送は、実に九一%までが自動車に依存しており、鉄道はわずか九%のシェアに落ち込んでおります。そして岐阜県同様十一町村において廃止代替バスの運行が行われている状況にございます。
 このように、三県とも自動車への依存度が非常に高く、こうした地域において鉄道の活性化、公共交通の維持をどう図っていくか、痛感されるところでございます。
 次いで、今回の調査の主要課題である国鉄関係につきまして御報告申し上げます。
 愛知、岐阜、長野三県を管内とする名古屋及び長野両鉄道管理局の経営現状についてでありますが、名古屋管理局は五十九年度の収入七百三十四億円に対し、経費が千六百十二億円で八百七十八億円の赤字を計上しており、営業係数は二二〇と全国平均一八五に比べ悪く、東海道本線だけで四百七十二億円の赤字が発生しており、幹線からの赤字が多いのが特徴となっております。管内ではサービス向上等により旅客収入の増勢が見られる反面、貨物収入は五十五年度に比べ三割減に落ち込んでおり、採算悪化の一因になっているとのことであります。
 また、長野管理局の場合は、収入四百一億円に対し経費が九百二十四億円で、五百二十二億円の赤字を計上いたしております。営業係数は二三〇で、前年度の二二〇に比べ若干悪化が見られます。管内ではオールセースルマン体制でキャンペーンを展開し、計画を上回る増収を上げているとのことでありますが、中央本線の塩嶺トンネルの資本費負担が加わったために収支が悪くなったとのことであります。
 次に、設備投資につきましては、名古屋管内で十一カ所の工事が進められており、私たちが訪れた岐阜駅の連続立体交差工事は、貨物駅の移転工事に着手中でありました。高山本線の電化工事は財源難から工事が中だるみとなっているとのことで、今後の投資の行方が懸念されるところであります。また、長野管内では篠ノ井線の複線化について要望が非常に強く、白坂トンネルを六十二年度までに仕上げたいとの説明がございました。
 さらに、愛知県内の鉄道建設公団の事業である岡多線、瀬戸線は採算上工事凍結されており、地元では昨年暮れに第三セクター経営に合意しているので早急に工事を再開してほしいとの要望がなされております。
 最重要課題とされる余剰人員対策は、現在名古屋管内で余剰人員が二千二百六十二名あり、うち派遣等の調整策適用者が千百六十七名、直営売店等での活国策適用者が千九十五名となっております。
 長野管内では五百五十六名の余剰人員のうち調整策で四百九名、活国策で百四十七名の対策が講じられております。
 分割・民営化後を想定した場合、名古屋管内で三千名、長野管内で千五百名もの余剰人員が発生するとされており、さらに私たちが視察した岐阜工事局では六百二十二名の現在要員を約三百名に、長野工場では六百六十三名が約四百名に縮減すると言われておりまして大量の余剰人員の発生が避けられません。
 当局においては、第一の優先課題として、個別的に採用の依頼を鋭意進めていくとの説明を伺いましたが、北海道や九州に比べ雇用情勢がよいとはいえ、厳しさは避けられないものと推察されます。
 なお、長野県等からは採用受け入れの方針が示されているほか、民間企業からも派遣職員の優秀さを認め、採用希望が出つつあるとのことであります。
 分割・民営化に対する地元の意見としましては、長野県から、企業性、効率性優先の結果、ローカル線の切り捨て、サービス低下、地元への負担要請等しわ寄せが強いられはしないか。
 山岳、豪雪地域では、除雪や災害復旧等に莫大な経費がかかるので、国庫助成制度は必要ではないか。
 分割案では県内が三分割されるが、現在でも静岡管理局管内の飯田線の接続の悪さを考えると、県内交通一体化の面で危機感があり、分割案は修正すべきではないかとの考えが表明されたことを御報告したいと存じます。
 特定地方交通線対策では、三県のうち岐阜県だけが対象路線を抱えており、第一次対象の樽見、神岡、明知の三線が既に第三セクターに移行済みで、第二次対象の越美南線が現在協議中となっております。第三セクターの三線の経営は、五十九年十月開業の樽見、神岡両線については半年分の決算が出ておりまして、樽見線は赤字助成が不要で、神岡線は一千万円の赤字助成を受ける程度となっており、おおむね順調で明るい見通しであると説明されました。ただ、両線とも貨物営業が主体で、旅客営業だけの明知線の決算を見ないと、第三セクター経営の評価は下しかねると見られております。
 次に、今回視察いたしました基幹バスとSTOL機について御報告いたします。
 基幹バスは、名古屋市が道路の中央にバスレーンを設け、バスの定時、速達性を回復させ、都市交通の基幹的役割を持たせようとして実施しているもので、説明では、乗客も増加し、道路渋滞もひどくならず一応の評価がうかがえました。この方式は、都市の公共交通の改善事例と申せますが、全国的な展開を考えますと、道路幅の広い名古屋市ならではの施策ではないかとの印象も持ちました。
 一方、短距離離着陸機STOLは、実験飛行の段階でありまして、国産C1輸送機を改造した機体を川崎重工の格納庫で視察してまいりました。七百メートル程度の滑走距離と騒音も通常の十分の一程度に抑えられるなど、今後、実用化に期待が持たれるところでありますが、同時にSTOL機運用のため制度面の整備も必要と言われております。
 次いで空港、港湾、新幹線に関する要望を御紹介したいと存じます。
 まず空港は、名古屋空港の空港並びにアクセスの整備、松本空港のジェット化が求められておりますほか、愛知、岐阜両県から中部新国際空港の建設が挙げられており、地元では中部空港調査会を設立して国にその推進を働きかけております。これにつきましては、まず地元において空港の位置の早急な決定が必要ではないかと思われます。
 港湾につきましては、名古屋港がコンテナ化に対応するために、大型水深コンテナバースの整備が急務となっていること。三河港が最近、取扱貨物の増加で発展しておりますが、三河湾入口の中山水道の中央部に浅瀬があり、巨大船の入港が困難となっており、中山水道航路を整備することが必要となっております。
 新幹線の整備は、長野県から北陸新幹線の早期着工が求められておりますほか、三県から中央新幹線の整備計画路線への格上げ、リニアモーターカーの導入とモデル実験線の建設が求められているところであります。
 最後に、このほか愛知、岐阜、長野三県並びにトヨタ自動車等から多くの要望を受けてまいりましたことを御報告申し上げまして、派遣報告を終わります。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(鶴岡洋君) 次に、運輸行政の基本施策に関し、運輸大臣から所信を聴取いたします。三塚運輸大臣。
#8
○国務大臣(三塚博君) 私は、昨年暮れの中曽根内閣改造によりまして運輸大臣を拝命いたしました三塚博でございます。
 今国会におきまして参議院運輸委員会が開かれるに際しまして、二百就任のごあいさつを申し上げたいと存じます。
 御承知のとおり、現在の運輸行政は、国家的な重要課題である国鉄改革の問題を初め、緊急に改革すべき数々の重要課題が山積をいたしておりますので、その職責の重大さを痛感をいたしておるところであります。
 私といたしましては、運輸行政の基本であります安全の確保に万全を期しつつ所管の行政に積極的に取り組み、懸案となっております諸問題の解決に最大限の努力をいたしてまいる所存であります。
 どうか本委員会の委員長を初め、関係委員各位の御指導と御支援を賜りますように心からお願いを申し上げ、就任のごあいさつといたさせていただきます。
 第百四回国会に臨みまして、当面の運輸行政の諸問題に関し所信を述べ、各位の御理解を賜りたいと存じます。
 今日、我が国の社会、経済は、技術革新、高度情報化、国際化、長寿社会の到来などさまざまな面で変革が進みつつあり、これに伴い経済の構造や国民の価値観が大きく変化いたしております。我が国の将来の発展と安定を確かなものとし、活力ある社会、経済をつくり上げるため、その基盤としての運輸部門の役割にはまことに大きなものがあります。私は、このような運輸を取り巻く諸情勢を踏まえつつ、国民の皆様が安心して、また、快適に日常生活を送ることができますように、安定した輸送サービスの確保、運輸関係社会資本の充実、運輸産業の活性化など二十一世紀に向かって新しい時代に対応した総合的な運輸行政の展開に全力を挙げて取り組んでまいります。
 もとより、運輸行政の要請は安全の確保にあります。まことに遺憾ながら、昨年は日航機墜落事故を初めとして重大事故が相次ぎましたが、このような不幸な事故が二度と繰り返されることのないよう安全対策に万全を期し、国民の皆様の信頼にこたえていく決意であります。
 以上申し上げました運輸行政の推進に当たっての基本的考え方にのっとり、当面する諸問題につきましては、次に述べますとおり所要の施策を積極的に推進してまいる所存であります。
 まず、第一に国鉄改革の推進であります。
 日本国有鉄道の抜本的改革のための方策につきましては、昨年七月に提出をされました日本国有鉄道再建監理委員会の「意見」を最大限に尊重し、同年十月、分割・民営化を基本とする「国鉄改革のための基本的方針について」を閣議決定したところであります。運輸省としてはこの基本的方針に沿い、将来にわたって国鉄事業を適切かつ健全に経営していくことができるよう効率的な経営形態の確立を図ってまいります。これとともに、余剰人員対策を円滑に実施し、また、長期債務などの適切な処理を図ることは、改革を実現するための最重要課題でありますので、先般閣議決定したところに従い所要の施策を推進してまいります。このような方針のもとに、昭和六十二年四月における新経営形態への移行を期して国鉄事業の再生に取り組んでいく所存であり、改革実施のための関係法律案を今国会に提出することとしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 さらに、当面、六十一年度において、国鉄事業の運営を改善するために緊急に講ずべき新たな措置として、長期債務に係る負担の軽減及び希望退職の促進につき所要の施策を講ずるとともに、引き続き、経営費の節減、特定地方交通線対策、増収施策の積極的展開等各般にわたる緊急対策を強力に推進する考えであります。
 改めて申すまでもなく、国鉄改革は、このたびの行政改革に残されました最も重要で、かつ、緊急に解決すべき国家的課題であります。重大な経営危機に瀕している国鉄の事業を根本から立て直し、国民の期待する役割と責任を今後とも果たし続けていくことができるよう国鉄の分割・民営化の実現に総力を結集して取り組む決意であります。
 第二に、運輸に係る安全対策の推進であります。
 冒頭述べましたとおり、安全の確保は運輸行政の要請であります。輸送機器の安全性の向上、宿泊施設の安全確保、各種の交通施設の整備、交通従事者の技術とモラルの高揚、運行管理体制の充実などの対策を的確かつ着実に推進することにより事故防止に万全を期し、もって国民の信頼にこたえるべく努力を重ねてまいります。
 特に、日航機の墜落事故につきましては、事故後、直ちに就航中のボーイング747型機について一斉点検を実施するとともに、日本航空の整備部門に対し立入検査を実施し、その結果に基づいて整備業務の改善勧告を行ったところであります。今後とも、航空機の安全運航の確保のための諸施策に全力を挙げて取り組む所存であります。
 次に、踏切事故の防止対策につきましても、踏切保安設備の整備、立体交差化、構造改良等の所要の施策を講じてまいります。
 また、昨年六月に発効した海上における捜索及び救助に関する国際条約に対応するため、今後とも広域哨戒体制の整備を促進するとともに、船位通報制度の有効な活用を図りつつ、関係諸国と海上の捜索活動における協力関係をより密接にしていく考えであります。さらに、交通事故被害者の救済対策の充実にも努力してまいります。
 第三に、運輸関係社会資本の整備であります。
 運輸関係社会資本は、活力ああ産業活動と国民生活の基盤形成のために不可欠な条件であり、豊かな社会の実現のため二十一世紀に向かって着実にその整備を進めていくことが必要であります。
 まず、港湾につきましては、多様化する海上輸送需要への対応、エネルギーの安定供給の確保、地域振興などの観点から外貿コンテナターミナル、エネルギー港湾、地方、離島の港湾などの整備及び港湾再開発を引き続き推進します。また、津波、高潮、波浪等による災害を防止し、海岸侵食の進行に対処するとともに、海岸環境の保全と整備を図るため、海岸事業を計画的に推進してまいる考えであります。このため、港湾整備及び海岸事業について六十一年度を初年度とする新しい五カ年計画を策定することとしております。
 さらに、民間活力を活用し、港湾の利用者のサービス向上、港湾機能の充実強化などに資する施設の整備を総合的に進めてまいります。
 次に、空港につきましては、将来の航空輸送需要に適切に対応し、均衡のとれた航空輸送網を整備していく必要があります。このため、六十一年度を初年度とする第五次空港整備五カ年計画を策定し、関西国際空港の整備、新東京国際空港の整備及び東京国際空港の沖合展開の三大プロジェクトの推進を図るとともに、一般空港の整備、環境対策及び航空保安施設の整備を進めてまいります。
 整備新幹線につきましては、整備新幹線財源問題等検討委員会における検討を進め、その結論が得られた段階で、五十七年九月の閣議決定を変更した上、建設費を執行することとされております。今後精力的にこの検討を進め、早期に適切な結論が得られるよう努めてまいります。これとともに、新幹線駅周辺環境整備事業を実施するほか、各路線ごとの調査の進捗状況に応じ、所要の作業または調査を進めることといたしております。
 第四に、国際運輸と観光に関する施策の推進であります。
 貿易物資の安全輸送を確保し、国際的な人的交流を促進する国際運輸と観光の果たす役割は極めて大きく、国際環境の変化に対応した政策を総合的に推進していく必要があります。
 外航海運につきましては、引き続き我が国商船隊の国際競争力の確保に努めるとともに、現下の世界的な船腹量の過剰に起因する厳しい海運不況に対処するため、船舶解撤を促進するための債務保証制度の創設など所要の施策を講じてまいります。
 また、国際航空につきましては、航空関係の総合的均衡を達成することを目指して日米協議を三月に再開いたし、年内合意に向けて努力してまいります。また、その他の国との関係につきましても、我が国をめぐる国際航空需要に対応した路線の充実と企業の参入機会の拡大に努めてまいります。
 さらに、国際的な人的交流の促進及び諸外国との相互理解の増進の観点から、国際観光モデル地区構想の推進、日本人海外旅行促進ミッションの派遣などの国際観光振興施策を強力に推進するとともに、国民の健全な余暇活動に資するため、観光レクリエーション地区の整備を進めてまいります。
 次に、運輸の分野における経済摩擦問題につきましては、昨年七月に策定されたアクションプログラムに基づき、自動車の基準・認証制度の抜本的な改善などの施策を着実に実施するほか、発展途上国の鉄道、港湾、空港等の整備等に関する経済技術協力、パナマ運河代替構想などの国際的大プロジェクトへの協力を積極的に推進してまいる考えであります。
 また、本年五月からカナダのバンクーバー市において開催される国際交通博覧会に我が国も公式参加することといたしており、このための諸準備を関係省庁籍の協力を得つつ進めてまいります。
 第五に、地域交通政策の推進であります。
 地域交通は、地域社会づくりの基盤であり、地域における交通のあり方について長期的な展望を踏まえた計画を策定し、この計画に基づき、地方公共団体と連携しながら効率的で質の高い交通体系の形成を図っていくことが必要であります。
 都市交通の分野におきましては、都市高速鉄道、都市バスなどの整備改善を進める必要がありますが、中でも都市の基盤的施設である鉄道の輸送力を大幅に増強する必要があるため、六十一年度から特定都市鉄道整備積立金制度を創設し、これを活用して鉄道の整備を積極約に推進してまいる考えであります。
 さらに、地方交通の分野におきましては、地方バス、中小民鉄及び離島航路に対する助成、国鉄の特定地方交通線の代替輸送対策の推進などを行い、住民の生活基盤として不可欠な公共輸送の確保に努めてまいります。
 第六に、貨物流通政策の充実であります。
 産業構造の変化と利用者ニーズの高度化、多様化に対応して、陸海空にわたる効率的な貨物流通体系の形成を図る必要があります。このため、消費者物流の健全な発達の促進、国際複合一貫輸送の推進、貨物流通施設の整備、内航船舶の近代化等による物流産業の活性化、合理化を進めてまいります。
 また、国鉄改革に伴う新しい鉄道貨物輸送に対応する通運体制の整備を推進するとともに、業界の実情に応じ、構造改善対策の推進、輸送に関する秩序の確立などに努めてまいります。
 第七に、造船不況対策と船員対策の充実であります。
 造船業は、世界的な需要の伸び悩み、第三造船諸国の台頭等により、現在厳しい不況に直面いたしておりますが、長期的に見ても、依然として相当の需給不均衡が予測され、生産性の低下などにより産業活力の低下が懸念されるため、長期的視点に立った対策が必要であります。
 このため、昨年十月、海運造船合理化審議会に対して今後の造船業の経営安定化及び活性化の方策について諮問を行ったところであり、今後、同審議会の審議結果を踏まえて最大限の努力をしてまいります。
 船員対策につきましては、船舶の技術革新に対応した新しい船内職務体制を確立するなど船員制度の近代化を一層推進するとともに、船員の教育訓練体制の整備に努めてまいります。また、依然として厳しい船員の雇用情勢にかんがみ、船員雇用対策を引き続き積極的に推進してまいります。
 第八に、運輸産業の活性化の推進であります。
 運輸産業の活性化、国民負担の軽減などを図る観点から、臨時行政改革推進審議会の答申なども踏まえ、運輸行政における事業規制その他の規制のあり方などについて、引き続き見直しを行うとともに、軽自動車及び小型船舶の検査業務の効率化などのため、所要の施策を講じてまいります。
 また、我が国航空企業の運営体制のあり方については、昨年十二月、運輸政策審議会から中間答申が出されておりますが、これは安全運航の確保を基本としつつ企業間の競争を促進することにより、利用者サービスの向上、企業基盤の一層の強化、国際競争力の強化などを図ることを基本的方針とし、国際線の複数社例の採用、日本航空の完全民営化及び国内線における競争促進施策の推進を図るべきであるとしております。今後はこの中間答申及び同審議会の今後の審議結果を踏まえ、政策の具体的推進を図ってまいる考えであります。
 第九に、防災対策、環境対策などの推進であります。
 防災対策としては、異常な自然現象の早期、的確な把握と、迅速、的確な予警報が重要であり、静止気象衛星業務の推進、気象資料伝送網の整備などを初めとする気象業務体制の一層の充実強化を図るとともに、大規模地震対策、海上防災対策の充実についても遺漏なきを期してまいります。
 環境対策につきましては、発生源対策及び周辺対策など所要の交通公害防止対策並びに国際的な動きに対応した法令の整備、監視、取締体制の強化などによる海洋汚染の防止対策を一層推進するとともに、公審の未然防止の観点から環境影響評価制度を活用してまいります。
 また、都市公審の防止及び自動車部門の燃料の多角化の観点から、メタノール自動車のトラック、バス部門への導入を進めてまいります。
 このほか、高齢者、障害者などが安全に交通機関を利用できるための施策の推進、国連海洋法条約採択後形成されつつある新海洋秩序への対応、沿岸海域を含めた海洋の開発利用の一層の推進、高度情報化社会への対応、技術開発など取り組む課題は数多くありますが、施策の充実にさらに努力を重ねてまいります。
 以上、運輸行政の当面する諸問題について述べましたが、これらは申すまでもなく、委員長初め委員各位の深い御理解を必要とする問題ばかりであります。終わりに当たりまして、重ねて委員の諸先生方の御指導と御鞭撻をお願い申し上げ、所信の表明にかえさせていただきます。
#9
○委員長(鶴岡洋君) 次に、昭和六十一年度運輸省及び日本国有鉄道の予算に関し説明を聴取いたします。亀井運輸政務次管。
#10
○政府委員(亀井静香君) 昨年十二月二十八日、運輸政務次官を拝命いたしました亀井静香でございます。
 浅学非才でございますけれども、三塚運輸大臣を全力を挙げて補佐をしてまいりたい、このように決意をいたしておりますので、諸先生方の御指導、御支援のほどよろしくお願いを申し上げます。
 それでは、昭和六十一年度の運輸省関係の予算について御説明申し上げます。
 まず初めに一般会計について申し上げますと、歳入予算総額は、三十七億九千九百七十一万三千円、歳出予算総額は、他省所管計上分一千百六十三億九千四百二十四万八千円を含め一兆一千三百十五億七千百二万七千円をそれぞれ計上いたしております。
 次に、特別会計について申し上げます。
 自動車損害賠償責任再保険特別会計につきましては、歳入歳出予算額一兆八千四百二億七千四百万円余、港湾整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額三千五百二十億二千六百万円余、自動車検査登録特別会計につきましては、歳入歳出予算額三百八十一億二千五百万円余、空港整備特別会計につきましては、歳入歳出予算額二千七百四十一億八千三百万円余をそれぞれ計上いたしております。
 また、昭和六十一年度財政投融資計画中には、当省関係の公社・公団等分として一兆九千九百四十一億円が予定されております。
 運輸省といたしましては、以上の予算によりまして以下の事項を重点に施策の推進を図ることといたしております。
 まず第一に、日本国有鉄道の事業の再建を推進することといたしております。
 国鉄事業の再建につきましては、昨年十月、国鉄の分割・民営化を基本とする「国鉄改革のための基本的方針について」閣議決定を行い、六十二年四月に新経営形態へ移行することといたしておりますが、この抜本的改革の円滑な実施に資するよう、引き続き、職場規律の確立、新規採用の原則停止、設備投資の抑制、特定地方交通線の整理の促進等の緊急対策を推進するほか、新経営形態への移行に向けて所要の施策を講じていく必要があります。
 このため、六十一年度におきましては、事業運営改善のための緊急に講ずべき新たな措置として、昭和五十五年度に棚上げした特定債務五兆五百九十九億円を一般会計が承継し、一般会計は同額の長期の資金を国鉄に対し無利子で貸し付けたものとすることなどにより、長期債務に係る負担の軽減を図るとともに、余剰人員対策として希望退職の促進を図ることとし、特別給付金及び退職手当の支給に必要な資金についての政府保証を付した債券の資金運用部引き受けによる財政融資を行うことといたしております。
 また、予算人員二万七千人の縮減を初め経営の一層の合理化に最大限の努力を傾注するとともに、所要の運賃等の改定による増収額七百五十億円を見込み、総額三千七百五十二億円の助成を行うことといたしております。
 第二に、交通基盤施設等の整備を促進し、国民生活の安定向上を図るため、港湾、海岸及び空港の各部門について、六十一年度を初年度とする新たな五カ年計画を策定することといたしております。
 これにより物流の総合化及び高度化、臨海部の活性化及び地域の振興等を目指した港湾の整備、高潮、津波等から国土を保全する海岸の整備、関西国際空港、新東京国際空港、東京国際空港の整備を初めとする空港の整備等それぞれの事業の計画的かつ着実な推進を図ることといたしております。
 また、鉄道につきましては、都市高速鉄道の整備等を推進するとともに、整備新幹線につきましては、日本国有鉄道及び日本鉄道建設公団に所要の建設費及び調査費を計上しております。このうち、建設費につきましては、整備新幹線財源問題等検討委員会における検討を進め、その結論が得られた段階で、五十七年九月の閣議決定を変更した上で執行するものとしておりますが、新幹線駅周辺環境整備事業のために必要があるときはこれに充てることができることとしております。調査費につきましては、これにより、引き続き、各路線ごとの調査の進捗状況に応じ、所要の作業または調査を進めることといたしております。
 第三に、外航海運対策といたしまして、貿易物資の安定輸送を確保するため、財政資金により、近代化船への代替建造を中心とする外航船舶の整備を促進するとともに、現下の海運不況に対応して船舶解撤に伴う債務保証制度を創設することといたしております。
 さらに、造船対策といたしまして、造船業の経営安定化のため、船舶輸出の確保を図るほか、過剰施設の処理及び船舶解撤事業に関する助成を行うこととしております。
 船員対策といたしましては、船員雇用対策などを推進することといたしております。
 第四に、経営改善に努力している地方バス、中小民鉄、離島航路等に対し、地方公共団体と協力して助成を行い、国民の日常生活に不可欠な公共交通サービスの維持、確保に努めてまいります。
 第五に、観光対策といたしまして、海外観光宣伝事業等を推進するとともに、国民の観光レクリエーション活動のための施設を整備していくことといたしております。
 第六に、貨物流通情報システム及び物流拠点における貨物流通施設の整備を促進するなど貨物流通対策の推進を図ることといたしております。
 第七に、海上における捜索及び救助に関する国際条約の発効及び国際的な新海洋秩序形成の動きに対応して、広大な周辺海域における船舶の航行安全体制を確立し、また、我が国権益の確保を図る等のため、巡視船、航空機等の整備を推進するほか、海洋調査の充実強化等を図ることといたしております。
 第八に、広域的な気象観測に重要な役割を果たす静止気象衛星業務を引き続き推進し、また、気象資料伝送網の整備等気象観測、予報体制の充実を図るとともに、地震、津波、火山対策籍の防災対策の強化を図ることといたしております。
 第九に、運輸行政の要請である安全の確保を図るため、陸海空にわたる交通安全対策の充実を推進することといたしております。
 なお、運輸省関係予算の部門別の重点施策の概要につきましては、お手元に配付してあります「昭和六十一年度運輸省予算の説明」及び「昭和六十一年度日本国有鉄道予算の説明」によりまして御承知願いたいと存じます。
 以上をもちまして、昭和六十一年度の運輸省関係の予算についての説明を終わります。
#11
○委員長(鶴岡洋君) 以上で、運輸行政の基本施策に関する運輸大臣の所信並びに昭和六十一年度運輸省及び日本国有鉄道の予算に関する説明の聴取は終わりました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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