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1985/04/08 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 運輸委員会 第6号
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1985/04/08 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 運輸委員会 第6号

#1
第104回国会 運輸委員会 第6号
昭和六十一年四月八日(火曜日)
   午後一時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月七日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     内藤  功君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     小柳  勇君     穐山  篤君
    目黒今朝次郎君     菅野 久光君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         鶴岡  洋君
    理 事
                江島  淳君
                吉村 真事君
                安恒 良一君
                矢原 秀男君
    委 員
                梶原  清君
                倉田 寛之君
                高平 公友君
                内藤  健君
                森田 重郎君
                穐山  篤君
                菅野 久光君
                内藤  功君
                伊藤 郁男君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  三塚  博君
   政府委員
       運輸省運輸政策
       局長       栗林 貞一君
       運輸省国際運輸
       ・観光局長    仲田豊一郎君
       運輸省貨物流通
       局長       武石  章君
       運輸省海上技術
       安全局長     間野  忠君
       運輸省海上技術
       安全局船員部長  広瀬 好宏君
       運輸省港湾局長  藤野 愼吾君
       海上保安庁次長  岡田 專治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        多田  稔君
   説明員
       建設省道路局有
       料道路課長    藤井 治芳君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一
 部を改正する法律の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(鶴岡洋君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○安恒良一君 まず私は、今度の提案の中で基本的なことをちょっと、一つ聞いておきたいのですが、今回非常に長い法律の名前になっていますね、法律の一部を改正する法律の一部を改正するという、こういうことになっていますが、これはリベリアが世界の船舶の保有国の最大の国であって、リベリアの態度によってこういうふうに差しかえになったということになっていますが、どうも見通しを誤ったのじゃないか。まず一つはリベリアが議定書の批准を保留したというこの理由をまず最初にひとつ聞かせてもらいたいんですが。
#4
○政府委員(栗林貞一君) 先生おっしゃいますように、七八年の議定書でございますけれども、リベリアが附属書の一部の受託の撤回ということを五十八年に行ったわけでございますが、リベリアの方でIMO、国際海事機関に言っているところによりますと、国内の国会の方の手続を本来得るべきところを、それが確認されないままに批准書を寄託してしまったということで、純粋に国内的な手続ミスである、手続に瑕疵があったので撤回をしたいということを申し出たというふうに聞いております。
#5
○安恒良一君 そこで、この条約の批准状況、それから各附属書の受託の有無、これをちょっと説明してみてください。
#6
○政府委員(栗林貞一君) この一九七八年議定書のまず本文と附属書のT及びU、これは一括して受託することになるわけでございますが、これは五十八年十月二日に発効し、実施をされておるわけでございます。この附属書のTは五十八年の十月二日から国際的に実施されておるわけでございますが、附属書Uにつきましては、効力発生の日から三年間または国際海事機関で決定されるこれよりも長い期間締約国はこの附属書の規定に拘束されないということになっておりまして、これは昨年の十二月の会議におきまして六十二年の四月六日から実施ということになりました。
 それから六十一年の三月末現在におけるこの議定書の本文及び附属書T及びUの批准状況は、三十八カ国、船腹量合計で七九%でございます。附属書のTは油の関係でございまして、附属書のUは有害液体物質の関係でございます。
 それから附属書のV、W、Vというのは選択的に受託ができることになっておりますが、Vは容器入りの有害物質、Wは汚水、Vはごみ、廃物ということになっているわけでございますが、これは六十一年三月末現在では、附属書V及びXは批准状況二十四カ国、船腹量合計で四〇・三%、附属書Wにつきましては二十三カ国、船腹量合計で三六・六%でございます。
 この発効要件はいずれも、十五カ国以上、船腹量合計世界総船腹量の五〇%以上ということになっておりまして、批准国数では各附属書とも既に要件を満足しておりますが、船腹量合計としては残り一〇%程度がまだ足りないという状況でございます。
#7
○安恒良一君 資料で細かい国別のはいただいていますから。
 そこで、各附属書の受託の有無を今聞いたわけですが、附属書のTとUは強制、それからVとWとXは選択制になっていますね。これは間違いないですね。
 そこで、我が国がこれをやったときに、この法律改正を国会で議論したとき、一本の法律を五段階に分けて決めていったですね。そして当時、私は当時委員はしていなかったのですが、皆さん方はこれを五段ロケット方式だと、こう言ったというんですね、古い人から聞いたら。ですから、大臣にこれは聞きたいのですが、ちょっとこういう法律の出し方自体に問題があったのではないか。というのは、一つ一つが決まったとき法律をあれするのはいいですが、こういう一本の法律で、しかも五段階に分けて、しかもこれは今言われたように、船腹で言うと五〇%、それから国で言うと
十五カ国が批准しないと効力を発効しない、日本としてもしないというやつを、一本の法律で、しかもそれを五段階に分けて順次やっていくという、こういう立法の仕方自体に私は無理があったのではないかなという感じがしますが、そこのところはどうですか。
#8
○政府委員(栗林貞一君) 五十八年のときの立法の仕方の問題でございますが、先生御承知のように、七八年の議定書への加入のための国内法制の整備という格好でお願いしたわけでございますが、この議定書はそれぞれの規制内容に応じまして附属書のTから附属書のVまで五つの附属書に分けられております。特にVからVは選択的に受託ができてそれぞれ独立して発効するという形式をとっておるわけでございます。それで我が国といたしましては、同議定書の国内実施に当たりまして、それぞれの規制内容ごとにその実施を各附属書の発効に合わせるという方針で行い、順次関係規定を施行させるということになったわけでございます。
 当時の受託の状況から申しまして、附属書で申しますとまずT、それからV、V、Wというあたりがその次に発効してまいる、それから最後に附属書のU、これはTとUは一緒ではございますけれども、Uの方に猶予期間がございますので、そういった格好で大体順番が決まっておりました。
 そこで、各附属書を検討してみますと、改正が相当広範囲にわたる上に相互に関連している、しかも最初に発効する附属書の実施に関して改正した条項を、その後に発効する附属書の実施に関して再び改正する部分というのはどうしても出てまいるわけでございます。そのため附属書にかかわる改正を同時に一本で行うということが法律技術的にできないということでございまして、そのために五十八年のときには海洋汚染防止法の一部改正を五条に分けて、それぞれ海洋汚染防止法の一部を改正する法律という柱を立てまして、附属書の発効に合わせて五回にわたってこの法律を順次改正していく、これが先生言われました五段ロケット方式というようなことで言われたわけでございますけれども、そういった法改正の方式をとらざるを得なかったということでございますので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
#9
○安恒良一君 いや、なかなか理解できないんです。なぜかと言うと、今度の法案でも、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案と、こうなるわけよね。今ちょっと理事会でこれ英語でするとどういう表現になるだろうかと、こうなるわけ、英語で出る場合に。日本語でも舌かむようなことですからね、これ。ですから私は、例えば今も言ったように船舶を我が国もかなりこれ保有高は九・五九%ですし、リベリアが一三・九七六でしょう。そしてリベリアがちょっと手続関係を国内問題であろうと誤るともうまたこういうふうに入れかえなきゃいけないでしょう。そういう組み立て方に無理がありはしないかということを言っているんですよね。今回これ出したのは今言ったリベリアが国内事情によってできなかったものですから、それで今度はこう後ろと前と入れかえちゃって、入れかえるたびに我が国はこういうふうに一部を改正する法律の一部を改正する法律、こういって国会で議論をしなきゃならぬと、ですから五段ロケット方式というやつに無理がありはしないかということを僕は聞いている。無理がある、そういう法律の組み立て方が。これは運輸省と外務省、きょうは外務省呼んでいないからあれですけれども、そういう五段階ロケット方式というもうこれは済んでしまったことなんですが、こういうやり方について、どこかの国がちょっと変えるとそのたび我々国会で一部の一部を改正する法律といって、それでこうして審議しなきゃならぬわけですね、これは。この五段階ロケットというやつはこうなりますわね。そのことを僕は聞いているんですが、どうですか、それ。
#10
○政府委員(栗林貞一君) リベリアのそういった行為がございましたために、前の法律改正をお願いしたものと実質的には内容が変わってないものについてまた法律改正をお願いするという大変御迷惑をおかけしているわけでございますが、一つの五十八年ごろの考え方といたしましては、それでは附属書というものについて別々に加入し、その都度整備していくという方法が一体あり得たのかということが一つ考えられます。
 それは世界有数の海運国でもございます我が国の立場といたしましては、やはりここでぜひとも五つの附属書に一括加入いたしまして、海洋環境の保全に対する我が国の前向きの姿勢を国際的にも示す必要があったということが一つ。
 それから一般に条約に加入する際には我が国ではそのための国内法の整備が完了しているということが前提になっていたということでいろいろ実は議論が政府部内でもあったようでございますけれども、やはりこういった方法しかないということでやむを得ずそういうことにいたしました。
 ただ、例えば先生今おっしゃいましたように、それではまた何か状況が変わったらその都度国会に法律改正をお願いしなければいけないことになるんではないかということにつきましては、私どもその点は非常に心配をいたしましたが、前回は改正内容が相当それぞれに広範でございまして、どうしても順番に改正していくことであったためにやむを得ずそうなったのでございますが、今度の場合は新しく非常に大きくつけ加わる有害液体物質の規制関連のものがまず最初に今度やってまいります。それから、その次のものについてはそれぞれ別個に改正するような姿に実際上はなっておりますので、これからさらにまた国際情勢によって法律改正をお願いするということは恐らくなかろうというふうに考えております。
#11
○安恒良一君 いや、恐らくなかろうと言われるけれども、このリベリア問題も、前回のときにリベリアがこういうことになるだろうということはなかったんですよね。ですからやっぱりこれ見通しの誤りで、見通しの誤りというか、相手国の問題だからあなたたちを責めているわけじゃないけれども、実際上はやっぱり見通しが誤ったことは事実。ですから法律の一部を改正する法律の一部と、こういう出方に、今度これ、これリベリア問題が見通しどおりであったらこの国会にこの法律はかかってないわけですよね、そうでしょう、この法律。ところが、リベリアというところがいろんな問題が起きちゃってだめになっちゃったものだから、これ、じゃということになって順序入れかえと、こうなるわけですわな。ですからこのことで時間とる気はありませんけれども、一本の法律を五段ロケットというようなやり方については、もう今回はやってしまっていることですから今もとに戻せといっても無理なことですから、そんなことを言っているわけじゃないですが、私はやっぱり今後この種のいわゆる我が国だけではどうにもならない、海外全体の問題を含めて協力し合わなきゃ全部にならないというときには、立法の仕方というものについては大臣この次からは僕は慎重にやってほしい。でなけりゃ、行政改革、行政改革と言っておっても、ちょっとどっかの国のやり方があれになるとそのために国会が衆参合わせて何日間か議論するというやり方になっていますから、今のことを責めるつもりありませんが、今後この種の法律の立法のあり方ということについては、やはり一本の法律で五段階ロケット方式などということについてはぜひ再検討をしてもらいたいなと、こう思いますが、よろしゅうございますか、将来の問題として。
#12
○国務大臣(三塚博君) 御指摘のとおりでございまして、国際条約に基づく、協定にまた基づく国内法の整備という点で、今後やはり全体の展望をよく踏まえながら慎重に見きわめつつ対応してまいらなければならぬということで今後進んでまいるつもりでございます。
#13
○安恒良一君 それじゃ、これでまず少し中身をお伺いしていきたいと思いますが、改正海防法のこの規制の概要について資料いただいていますから、読めばわかるところはこの資料のどこをということで、規制対象の船舶の現状についてちょっと説明してみてください。一番最近の新しいと
ころだけで、ずっとこれは五年分いただいていますから、それをちょっと説明してください。
#14
○政府委員(栗林貞一君) この五十八年改正後の海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の規制対象船舶で、それでは大体六十年末あたりの隻数をまず申し上げますが、油につきましては、排出規制の対象となる船舶はすべての船舶でございまして、約六万二百隻程度であろうと思われます。
 それから油の排出についての構造設備の設置が義務づけられる船舶は、これはすべてのタンカー及びタンカー以外の総トン数百トン以上の船舶でございまして、その隻数はそれぞれ二千八百隻及び一万百隻、合計一万二千九百隻程度でございます。
 構造設備に関する検査が義務づけられる船舶は、総トン数百五十トン以上のタンカー及びタンカー以外の総トン数四百トン以上の船舶でありまして、それらは合わせますと六十年末で五千二百隻程度であろうと思います。
 それから有害液体物質の排出規制の関係でございますが、これは有害液体物質をばら積み輸送するすべての船舶に排出規制がかかります。その隻数は約六百隻でございます。
 それから有害液体物質の排出による海洋汚染の防止のための構造設備の設置及びその検査が義務づけられます船舶は、一部の船舶は除かれますけれども、有害液体物質をばら積み輸送する全船舶ということです。
 それから汚水というのが規制ございますが、この規制の対象となる船舶は、総トン数二百トン以上の船舶及び総トン数二百トン未満の船舶のうち最大搭載人員が十人を超えるものということで、約九千百隻程度でございます。そのうち、汚水の分につきましては、設備の設置及び検査が義務づけられる船舶は国際航海に従事するものに限られますので、二千七百隻程度。
 それから廃物の排出規制の対象となる船舶はすべての船舶ということになっておりまして、六万二百隻程度と、こういうところがその対象になる船舶でございます。
#15
○安恒良一君 はい、わかりました。
 それからこれと関連をいたしますが、油類の輸入量の推移ですね、これも資料五十五年からいただいていますから、余り古いものじゃなくて五十九年、六十年ぐらいのところの油の原油、重油、石油製品等がどういうことになっているかということについて説明してください。
#16
○政府委員(栗林貞一君) 我が国における油類の輸入量の推移でございますが、五十九年で申しますと、原油が一億八千五百二十一万トン、重油が千百二十八万トン、その他が五千二百三十二万トンということで、五十九年度合計が二億四千八百八十一万トンでございます。
 六十年につきましては、原油が若干減りまして一億七千二十二万トン、重油が千百六十九万トン、その他が五千四百八十五万トン、合計で二億三千六百七十六万トン程度というふうに推定しておりまして、五十九年から六十年にかけて若干減っております。
#17
○安恒良一君 それから、今度は内航船舶により運送される海洋汚染防止法適用対象物質の輸送量について、これも資料は五十五年からいただいてますから、五十九年、六十年ではどういうふうになるのかということについて説明をしてみてください。
#18
○政府委員(武石章君) 先生今御指摘の輸送量でございますが、昭和五十九年度には、油類が一億六千二百十万トンでございます。それから有害液体物質が二千百七十万トンでございます。六十年度は、推定値でございますが、油類は一億五千六百万トン程度、それから有害液体物質は二千二百万トン程度ではないかと推計されます。
#19
○安恒良一君 六十年では推定値ですね、これは。
#20
○政府委員(武石章君) はい、そうでございます。
#21
○安恒良一君 どのくらい推定が入っているの。全部ですか、これは。
#22
○政府委員(武石章君) これは、産業構造審議会の需要予測に基づきまして、石油製品及び石油化学工業品の九品目それぞれについての見通しがございますので、それとの相関で推計をいたしております。
#23
○安恒良一君 それから、今度はそれらを輸送している途上に起こった海洋汚染の発生確認件数ですね、これも資料を五十五年から出すようにお願いしておきましたから出てますから、これのいわゆる五十九年、六十年。それからその内訳は、油による汚染、油以外による汚染、赤潮、それらの合計。それからいま一つお願いしておったんですが、この発生源を我が国の船舶がやった場合と、外国の船舶がやった場合があるかどうか、国別までわかるのかどうかわかりませんが、この海洋汚染の発生確認件数について、これも五十九年、六十年を今言った中身を付してちょっと説明してみてください。
#24
○政府委員(岡田專治君) 初めに私ども海上保安庁が我が国の周辺海域で確認をいたしました海洋汚染の発生件数でございますが、五十九年が九百八十一件、六十年が八百七十一件となっております。
 その内訳でございますが、例えば六十年のケースについて申し上げますと、八百七十一件のうち、油の排出によるものが六百二十八件、油以外のものによるものが百六十八件、赤潮によるものが七十五件、かような数字となっております。
 この油の排出によるもののうち、油といいましても船舶からのものとその他工場等からのものと二つに分かれるわけでございますが、船舶からの油の排出によるものは六百二十八件のうちの四百七十五件を占めておるところでございます。
 四百七十五件の船舶からの油の排出による汚染のうち、日本の国籍の船舶によるものが三百六十二件、外国の国籍の船舶によるものが百十三件という構成の割合になっておるところでございます。
 今御質問に、ございました外国の国籍の船舶からの汚染のうちやや大きなものを申し上げますと、パナマ国籍のものが二十三隻、韓国国籍が十四隻、リベリア国籍が十三隻、その他もろもろとなっておる状況でございます。
#25
○安恒良一君 油以外のものによる汚染はどうなってますか、今言われたような内訳で。油の汚染はほとんどが、七五・六%が船舶ですね。あと陸上、その他不明ということですが、油以外の汚染で船舶がやったのは比率はどのくらいですか。
#26
○政府委員(岡田專治君) 油以外の汚染で船舶からの排出によるのは十六件が六十年の数値でございます。
#27
○安恒良一君 これは全部日本の船ですか。
#28
○政府委員(岡田專治君) 十六件のうち、十五件が日本国籍の船によるもの、一件はパナマ国籍の船によるものでございます。
#29
○安恒良一君 そこで、今度は船舶からの油による海洋汚染の原因別発生確認件数について、これも一番新しいやつ、昭和六十年で結構ですから中身を説明してください。
#30
○政府委員(岡田專治君) 昭和六十年の船舶からの油による汚染、四百七十五件でございますが、これを原因別に見ますと、故意によるものが百十六件、取り扱いの不注意と見られるものが百八十一件、それから海難によるものが百四十二件、その他が残りの件数でございます。
#31
○安恒良一君 そうしますと、海難の場合はこれはやむを得ないんですが、問題になるのは故意、それから取り扱い不注意、こういうことになりますね。
 そして、この故意とか取り扱い不注意の件数は、我が国の船がやったものと諸外国のやったものはどうなってますか、故意と取り扱い不注意の中身。
#32
○政府委員(岡田專治君) 故意が百十六件とただいま申し上げましたが、そのうち日本の国籍によるものが百四件でございます。したがいまして外国国籍によるものはその差額、十二件ということになろうかと思います。
 取り扱い不注意でございますが、百八十一件と申し上げましたが、このうち日本の国籍によるものが百二十一件、その他が六十件、要するに外国国籍によるものが六十件ということでございます。
#33
○安恒良一君 大臣、お聞きのとおり、あえて私が細かく聞いているのは、日本と外国の船がどういう関係にあるのかということでわざと内訳を細かく聞いているわけです。ですからこれはちょっと頭に記録しておってください、後での質問に関係しますから。
 それで、今度は海洋汚染の海域別発生の状況について、これも一番新しい昭和六十年度で結構ですからちょっとどういう地域でどういうふうに起こっているのかということを説明してみてください。
#34
○政府委員(岡田專治君) 海域別の発生状況でございますが、昭和六十年で見ますと、東京湾が六十八件、伊勢湾が六十三件、大阪湾が二十九件、瀬戸内海――これは大阪湾を除いて考えました場合に二百八十八件、それから本州の南岸が九十三件、九州の沿岸が九十五件、その他の海域が二百三十五件、トータルいたしまして先ほど申し上げました八百七十一件になります。
#35
○安恒良一君 それから、この場合、いただいている地図を見ますと、例えば東京なんかは発生件数は六十八件なんですね。ところがそのうちもう六十一件が油と、こういうふうになっていますね。それから、そのほかにこれずっと地図を見ますと、東京と大阪は圧倒的に油が多いんですが、例えば伊勢湾なんか見ますと、今度は六十三件のうち油の汚染は二十五件だ、その他が三十八件と、こういうふうになっていますね。非常にこれ、おたくからいただいている海域別の発生件数が非常に特徴があるんですが、これは何か特別な状況でもあるんでしょうか。非常に圧倒的に油の汚染の多い地方とそうでない地域がこの地図を見るとあるんですが、これはどうですか、この原因は何ですか。
#36
○政府委員(岡田專治君) 例えば伊勢湾でございますが、伊勢湾の場合には赤潮による被害が六十年の場合に二十八件を数えておりまして、したがいまして油による以外のものの構成比率が大きいのではないかと思われます。また、瀬戸内海につきましても十七件が赤潮によるものでございます。ただし、瀬戸内海の場合には油以外のものはトータル八十五件、いわゆる赤潮ではない、かつ油ではないものが八十五件あるわけでございますが、これはやはり瀬戸内海におけるいろいろな臨海性の工業の配置などの状況なんかとある程度相応しておるんではないかと考えられます。
#37
○安恒良一君 まあこれは、私いただいている資料では、海洋汚染の発生確認件数は昭和五十五年から六十年まで、油による汚染、油以外による汚染、赤潮と、こういうふうに分けてありますが、こちらの方は私が六十年でいいと言ったものですから六十年だけしか出てないわけですね。ですから、これだけで僕は判断をしているんですが、例えば今言われたように、大阪湾を除く瀬戸内海は二百八十八件のうち油が百八十六、残りが百二ですよね。そして、まあ一つは赤潮が瀬戸内海にあること私は承知していますが、そうすると、赤潮の件数引いても非常にほかの件数が多いわけですね、これ。ですから、これはたまたま僕はこの地図を、こういうのを毎年のをもらっておけば一番よくわかったと思うが、大変だろうと思って六十年だけでいいと、こう言ったものですからね。この傾向は、例えば片っ方の方の五十五年から六十年までの件数がずっと書いてありますね。これとこういう発生状況は、海洋汚染の海域別発生確認件数といいますか、これは傾向は、そう変わりませんか。例えば大阪とか東京は、ほとんどがもう油ですわね、これ、圧倒的に油になっている。その他はそれぞれ、今言われたように、特徴的なことを言うと、瀬戸内海であるとか伊勢湾であるとか、そういうふうにこれ何域かに分けてありますが、それから日本海沿岸も違いますね。こういう状況は、大体ここ四、五年の傾向としては海洋汚染の海域別発生確認件数というのは、大体こんな傾向ですか、傾向としては。
#38
○政府委員(岡田專治君) ほぼ御指摘のとおりでございまして、瀬戸内海におきましては、私の今手元にあります五十六年から六十年までの五カ年間の数字がございますが、いずれの年におきましても、油以外のもの、赤潮も含めまして油以外のものによる汚染の発生件数が他の海域と比較いたしますと相当多いという数字がございます。
 以上でございます。
#39
○安恒良一君 赤潮の発生というのはいろんな汚染の複合ですからね。油もこれははっきりしますね。そうすると油以外というのはどういうものがあるんですか、例えば瀬戸内海がこんなに多いということについては。
#40
○政府委員(岡田專治君) やはり廃棄物が圧倒的な多数でございます。
#41
○安恒良一君 廃棄物というと、まだ我が国であれをしていない例えば主としてごみが多いんでしょうか、それとも汚水などが多いんですか、どういうものですか、それは。
#42
○政府委員(岡田專治君) 瀬戸内海、これは瀬戸内海の本州側、四国側両方を含めているわけでありますので、海岸線の延長から見るとかなり長い距離でございます。そして、やはり廃材でありますとかあるいは廃土いいますか、そういうようなものの不法投棄による汚染が多いようでございます。
#43
○安恒良一君 実態は大体わかりました。
 そこで、今回これを批准をすることによって、例えばケミカルならケミカル関係の船が、今回のこれを我々が批准をすることによって、この法律が成立することによって、まあ猶予期間ございますが改造しなきゃならぬと思いますが、そういうものの改造は何隻ぐらいの船が改造しなきゃならぬのか、それからその総費用は大体どのくらいかかるんだろうかということについて説明をしてください。
#44
○政府委員(栗林貞一君) 現在、日本にありますケミカルタンカーは大体六百隻でございます。それで今度、六十二年の四月からこれについて排出あるいは設備の規制が新しくかかるわけでございますので、それなりの対応をしなければなりません。それで、具体的には例えばばら積みの有害液体物質の規制に伴う設備で申しますと、いわゆる有効ストリッピング装置、吸引する装置でございます。タンクからケミカルを陸揚げしましてそれを洗浄するわけでございますけれども、その陸揚げした後吸引してきれいにする、空にするという装置、それから換気清浄装置、空気できれいにする、あるいは水でタンクを洗浄するといったような幾つかの装置が物質別に義務づけられるわけでございますけれども、今私どもが考えておりますのは、これは構造そのものを変更するということは恐らく必要がなかろうというふうに考えております。したがいまして、こういった装置あるいは設備を単体で設置するということになろうかと思いますが、金額的に申しますと有効ストリッピング装置というのがこの中では一番高くて、配管、ポンプなどを合わせまして二百万ないし三百万円程度、それから通風とかタンク洗浄機は数十万程度ということでございますけれども、これは既に条約ができ上がっておりますので、私どもこの点についてはいろいろと周知をもう既にやっておりまして、現実にはこういったものをつけているのが大部分でございまして、恐らくここでまた来年の四月に向けて新たな負担になるというものはほとんどないんじゃなかろうかというふうに考えております。
#45
○安恒良一君 そうすると、ケミカル関係の船が六百隻ぐらいある、そのうちで内航関係というのは約五百隻ぐらいあるんじゃないですか、それらはもう今回は、これがこの国会で成立しても、既に今申されたようなことはほぼ終わっている、特別にお金も要らぬ、こういうことですか、どうも僕が聞いていることと違うんだけれども。僕が聞いているのは、やはりこれ五百隻ぐらいは何かしなきゃならぬので改造に金がかかるというような
話をちょっと聞いているんですけれども、そこのところは今あなたが説明したことと違うんですが、私の方が不勉強なのかな、私はそういう話をちょっと聞いているんですが、そこどうですか。
#46
○政府委員(武石章君) お答えいたします。
 有害液体物質に関する規制が施行されることによりまして、外内航問わず厳しい排出規制や構造設備規制を受けることになるわけでございますが、既存の内航タンカーにつきましては十年間の猶予期間が設けられております。これは期限が六十九年の六月でございます。そのほかのタンカーにつきましても、運輸省におきましては、条約採択時その他随時海運業界に対しまして必要な情報の提供と指導を行ってきておりまして、ほとんどのタンカーの構造設備は、現実には附属書の規則内容に適合をしておりまして、今回の施行によっても特に運航上の支障は生じないと考えております。
 なお、政府といたしましては、内航海運業というものが非常に中小企業が多いということにもかんがみまして、これらの有害液体物質を輸送するタンカーについての改造資金について、船舶整備公団の改造融資制度の対象とするというようなことによりまして資金の確保を図るとか、あるいはそのほか技術的な助言をするというような援助をしてまいりたいと思っておりますので、非常に大きな影響があるというふうには考えておりません。
#47
○安恒良一君 いや、僕も十年間の猶予期間のあることは承知の上で聞いていまして、それで、いただいていますこの皆さん方の提案書の中に、一番最後のところに、いわゆる船舶整備公団法の抜粋がありますわね。ですから、そうすると、そこから融資を受けて、十年間の猶予期間、最後は昭和六十九年だけど、今ほとんどが融資を受けてほぼ完了している、もしくは、これからするところにしても、ここから融資を受けられるからそういう内航船その他について負担は大してかからない、こういうふうに受け取っていいわけですか。ほぼ完了しているんですか。
#48
○政府委員(武石章君) 完了といいますよりも、猶予期間中に船の寿命の来るものもございますし、スクラップ・アンド・ビルドにして新しいものにつくりかえるものもございます。それから、この条約が採択された後、私どもいろいろ指導しておりますので、その前後からのタンカーの構造といたしましては、そういうものをつけたものを建造しております。そういうようなことが全体的に作用しましてといいますか、総合して考えてみますと今申し上げたような状況でございます。
#49
○安恒良一君 そうすると、スクラップ・アンド・ビルドもあるでしょうから、新しいやつはもう既にそういうものをつくっているということですが、大体とりあえず二百万ぐらいかかるんじゃないかという局長の説明があったんですが、今、十年間猶予期間がある中で、既に、六百隻の中で内航関係のケミカル関係が五百隻ぐらいあるというんですが、それはもうほぼ、まだ今猶予期間中ですが、ほぼもう問題がないところまで改造するものは改造している、もしくは、スクラップ・アンド・ビルドになって廃船するやつは今度新しく入るわけですから、そのときは新しい装置のついたやつにするんでしょうから、それはどの程度完了していますか。船の中でどの程度が完了していますか。
#50
○政府委員(武石章君) これからかなり長い期間がございますので、全部完了しているということではなくて、この期間中に完了できるというふうに考えております。それにつきまして、内航業界の方としましても、私ども、そういう状況について十分確めておりますが、対応できるという回答を得ております。
#51
○安恒良一君 だんだん聞いてくると僕が勉強したことと同じで、やはりそうですね。
 大臣、これは今言ったように、これからやっぱりやる、猶予期間があるものだから、やる。ところが、内航船舶というのは零細ですから、やはりここで融資制度というのがここにありますからあれですが、ここらをきちっとして、これから猶予期間中にスムーズにこれがいくようにしないといけないんじゃないか。
 それからいま一つは、私は猶予期間があっても財政的なところをきちっとして早く切りかえるやつは僕は切りかえた方がいいと思うんですよね、せっかくこれをあれする以上は。十年あるから十年先で、六十九年までにゆっくりやればいいということじゃないと思うんですよ。しかし一方で、中小が多いものですから二百万でもかかるのは大変だということになれば、そういうことについて融資制度等できちっとして、やはり切りかえるものはどんどん切りかえていくということに、新しい装置をつけるものはつけていく、こういうことに指導していかなきゃいけない。しかし、財政的なことについては政府としての配慮がないと、私が今申し上げたように改造費が大変だということで、猶予期間があるから猶予期間中にやればいいということで後へ後へとしわ寄せすることも私は決していいことではないと思うわけですね。ですから、そこのところについて、運輸行政として御指導なり融資のあり方なり、そういうところについての考え方をちょっと聞かしておいてください。
#52
○政府委員(武石章君) 今、先生御指摘のような方向で私どもとしても指導してまいりたいと思っております。
#53
○国務大臣(三塚博君) 武石局長のやりとりを聞いておりまして、今最終的に答えましたように、融資制度、船舶整備公団を中心に建造、改造、その都度こういうものをチェックを進めていく。安恒先生の御指摘は、前倒しで、のんべんではなく、きちっとやられたらどうだ、こういうことの趣旨と承っておりますし、融資制度等についてもきちっと整備をしたつもりでありますが、これを活用しつつ対応してまいりたいと考えております。
#54
○安恒良一君 わかりました。
 次は、この附属書のV、それから附属書のX、附属書のWですね。これはいわゆる国数ではこれは達している。ところが、いわゆる船腹量では五〇%に達してないということで今日の状況になっています。
 そこで、我が国のやり方は、これが五〇%に到達をしたら、そうしたら我が国もこういうふうに法律をきちっとして実行させる。その場合も物によればやはり猶予期間を置くというやり方になってますが、これは私の考えなんですが、少しこのところを聞かしてもらいたいんですが、日本の場合は、世界の船の総船腹量の九・五九五%、約一〇%近く持っているわけですね。あと日本よりも余計持っているところはどこだろうかということで、このいただいた資料で見ると、リベリアが約一四%持っていますね。あとはイギリスとかその他大きいところはありますし、それからソ連が一つございますね。大きいところではソ連。それからパナマが九・七七%。こうあるんですが、この附属書に書いてあるところのV、それからX、W、これも非常に重要なことなんですから、日本はこれだけの船舶を持っていますから、日本だけやってもしようがない、海というのは世界一つなんだから、日本だけがその気になってもほかがやらないと効果が上がらないということもお考えなのかもわかりませんが、私はこれを促進をするために、まずどういう働きかけをされているのか。これは運輸省だけの分野じゃない、外務省も含めて、この附属書のTからXまでが完全に各国ともこれに従ってやろうじゃないかということにするための外交といいますか、促進についてどういう働きかけを各国にされているんですか。どうですか。
#55
○政府委員(栗林貞一君) 私どもも海洋汚染の防止と申しますのは、やはり世界の各国が協調して取り組まなければいけない。それがやはり一番いい姿であり、最も効果が上がるというふうに考えておるわけでございまして、この国際的な中心となります機関は国際海事機関、IMOというのがございますが、その場でいろいろ議論が行われ、
またこの条約についてもそこで採択されたわけでございますけれども、その場を中心にいたしまして積極的に意見を述べ、各国の早期受諾、発効に向けていろいろと促進の努力をしているということでございます。
 また、特に附属書V、W、Vの問題でございますけれども、この点につきましては、今言いましたIMOの場がやはり中心になると思いますが、ただ、具体的に見てみますと、相当大きな船腹量を持っている国がまだ未受諾であるということも資料に出ております。その辺の事情なども、いろいろ聞いてみますと、やはりそれぞれの国の事情があるようでございまして、国内のコンセンサスを得るのにどうもまだちょっと時間がかかっているとか、しかし、そうは言いながら具体的に受諾についての検討が行われているとか、いろいろな情報もございますので、そういうこともよく踏まえまして、IMO、国際海事機関の場を通じ、あるいはまた個別にもできる限りのことは働きかけていきたい。また、IMOの主催する例えばこれの趣旨の周知徹底を図るようないろんな催しがございます。セミナーでございますとか、そういったものもございますので、そういったことにも協力して積極的に進めていきたい、こういうふうに考えております。
#56
○安恒良一君 私、手元に一覧表をいただいているのに、VからVまでに問題があるというのは、英国でしょう、大きいところで。それからその次は米国、それからリベリアでしょう。それから、一%以上で、大きいところで見ますとソ連ですね、これは五・九%。それから次にパナマと、日本はいいわけですから、これは大きいけれども九・七と。そうすると、世界でリベリアを除くと英国にしても米国にしてもソ連にしても、経済先進国といいますか、一流国と言われている国なんですね。そういうところがV、W、V、まあもちろんこの条約をつくったときに強制と選択制にはなっていますが、これがおくれているというところに問題があるんですが、これは何か、例えば英国とか米国とかソビエトとか、いわゆる世界でいうと経済大国を誇っている国が多いんですが、そういうところがこういうふうに進んでないのには何か理由があるんですか。
#57
○政府委員(栗林貞一君) これはそれぞれの国内の事情で、詳しいことは私ども必ずしもよく承知はしておりませんけれども、例えば米国について申しますと、附属書のW、汚水でございます、それからVはごみでございますけれども、こういったものは別に商船だけが対象になるわけではなくて、例えば一般のプレジャーボートなんかもその規制の対象となると。それで、受諾のための国内的なコンセンサスを得るのにどうも時間がかかっているというふうな背景がある。努力はしているけれども、現在のところまだ受諾まで至ってないというふうなことを実は聞いておりますし、英国も同じような事情があるというふうに考えられます。ただ、ソ連とかリベリアについては、必ずしもその理由がはっきりはいたしませんが、こういった米国などの動向を見ながら、態度を現在のところはこういう状態にしているんではないかというふうに話を聞いております。
#58
○安恒良一君 大臣、ですから外務省も呼んでおけばよかったんですが、きょうは国務大臣としては大臣お一人ですから、私はごみにしろ、汚水にしろ海洋汚染を防止をするためには世界各国、やっぱり力を合わせなきゃいかぬと思うんです。その意味からいうと、俗にかなり経済大国と言われて、しかも船舶もかなり持っているというところはまず率先をして、お互いがやるようにしなきゃならぬと思うんです。
 ですから、我が国の外交としても、英国や、米国や、それからリベリア、それからソ連その他、一つ一つ読み上げる時間もありませんから、例えば中国の場合も二・六%持ってまして、これもまだあれしてませんし、こういうところがやっぱり積極的に海洋汚染を防止をするという意味で、汚水とかごみ等について等々、議定書の附属書のVからVまでがやれるような積極的な努力をしてもらいたいと思いますが、どうですか、大臣。
#59
○政府委員(栗林貞一君) まず私から今の先生の御質問についてちょっと御説明をさせていただきたいと思います。
 我が国といたしましても、もちろん海洋汚染の防止につきましては、世界有数の海運国としてできるだけの努力はしなければいけないという、そういう積極的な姿勢で臨んでいるわけでございます。
 例えばほかの国に先駆けてやるという意味では、現在の海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律におきましても、船舶からの汚水及び廃物の排出、いわゆる「廃棄物」と今の法律で言っておりますが、の排出につきましては、実は四十五年以来、前の海洋汚染防止法ができましたとき以来ある程度のことは実はやってきているわけでございます。例えば、最大搭載人員百人以上の船舶に対して一定の規制を行ってきております。そういう意味では、附属書のW、Vにつきまして一部先取りして十五年前からやってきているということは言えるかと思うのでございます。
 ただ、もちろん今度の附属書のW、Vなどでは、これがさらに規制が強化されてきている、内容的にも強化されてきておるわけでございます。一方、附属書のV、W、Vは、今申しましたように規制が強化されまして、Vは容器入り有害物質、Wは汚水、Vは廃物で内容はそれぞれ違うわけでございますけれども、それぞれの物質の特性に応じて一定の規制を行うということになっております。
 この附属書が実は発効する前に我々の方で独自に国内法化するということを考えてみますと、その場合には、我が国に入港する外国船舶についてもその規制を遵守させる必要がある、こういうことになっております。それで、内容を見てみますと、附属書のVにつきましては、容器入りの有害物質の容器そのもの、あるいは表示につきまして、国際的に統一された基準に従うということになっております。
 それから、附属書のWについては、一定の設備を船舶に備えつける、こういうことを義務づけております。これらのことは船舶の構造とか設備に関する規制になってまいりますので、外国であります出発国からこういった規制を満足している格好で出てこないと、日本には入れないといいますかという格好になります。一方、相手国の外国はまだ一定の基準であるそういった条約を批准してない、こういう状態が生ずるわけでございます。
 それから附属書のXについても特にそういった設備規制ではございませんけれども、非常に厳しい規制をやっておる、こういう状況でございます。そういった非常に厳しいかつ設備、構造に関することまで我が国で一方的に強制してやらすというのはなかなか難しいのではないか。やはりそこまでいくためには国際条約などの一定の国際的な合意というものが裏づけが必要ではないか。そうでございませんと船舶の円滑な運航にいろいろ問題が出てきたり、あるいは場合によっては国際的なトラブルの原因ともなりかねませんので、現在のところはできるだけのことはやりつつそういった条約全体の発効をできるだけ促進していくということで進めておるわけでございます。
 ただ日本船につきましては、もう内容的にこういうふうに固まってきておるわけでございますから、できるだけその設備、構造について前広にそれを整備していくということで指導をさらに進めてまいりたいというふうに考えております。
#60
○安恒良一君 僕が質問すること全部先に答えちゃったんだけれども、質問通告しておったものだから。
 大臣、今お聞きのとおり、私はこれは二つあると思うんです。一つは外交ルートで、世界に向かって我々の国は大国だ大国だとか経済的にもと言っているところが資本主義の国を問わず社会主義の国を問わずいわゆる附属書のV、W、Xをまたいわゆる批准して発効してないということですから、これはやっぱり外交ルートを通じて積極的な――我が国が世界における船舶保有量ではまあ最
大とまではいかないけれども、この表で見る限りにおいては第二番目ですから、努力することが一つだと思う。
 それから二つ目は、今既に局長の方からいろいろ言われましたが、いわゆるこの附属書が発効する前にやることがあるならばやってこれは決して悪いことじゃないわけですね。まず、我が国はその附属書を発効してないけれども、少なくとも日本の船舶はやってますよ、既に日本ではやってますよ、だからあなたの国もおやりくださったらどうですかと、これは説得力を持つと思うんです。しかも私は、きょう細かく海洋汚染の発生件数から、その中で日本の船が起こしたのが幾らあるのか、外国の船が起こしたのが幾らあるかというのをわざときょう細かく大臣の前で聞いたのは、残念ながらその海洋汚染の発生件数の中において、諸外国の船もありますが、日本の船がやっぱりやっておるやつが圧倒的に多いんですよこれ、この資料きょう細かく私は質問したように。その意味から言うと、私は海洋汚染を防止をするために、いわゆるこの附属書のV、W、Xについても世界の船舶保有国が早くこれを批准をする、そして世界的にみんなで発効がされて世界の海の汚染防止に努力することはもう当然のことですが、日本としてできるものは前もって前倒しでやると。なるほどこの条約の発効は批准がいわゆる五〇%にならぬとできませんから。しかし、日本として前倒しにやれるものはやる、この姿勢は僕は持つと。その中で各国にどうだあなたの国も早くやらぬかという話を持っていかないと、いわゆる五〇%に達して国数が十五カ国になればうちの国もすぐやりますよということじゃ、やはり同じすぐやりますよでも弱いと思うんですが、そこらについて、これは運輸大臣のところだけでは完全にできることではないと思いますから、外務大臣を含めてひとつ、いわゆる世界における我が国は四万を海に囲まれ、船舶の保有量も世界で第二番目という海洋国なんですから、その国らしくやっていったらどうかと思いますが、それに対する大臣のお考えを聞かしてください。
#61
○国務大臣(三塚博君) ただいま粟林局長から今日までの経過などについてお話があり、安恒先生からも本問題について、なぜ日本だけがという意味を込めて御質疑がございました。これは国会におきましてもなぜ日本だけがという議論も、本法律が提案をされました際に議論のあったところでございました。御指摘の外交ルートを通じまして取り進めますように外務大臣にもよく私からお話を申し上げてまいりたいと存じます。
 海運国家、海洋国家として国際国家の中で生きていく日本は、率先をしてやらざるを得ないという、そういうパイオニア的な立場の中で我が国政府がこれを進めておりますことを御理解を賜りつつ、さらに御指摘のとおり、米ソを初め先進各国がV及びW、Xと完全にアウトにしておるわけでございますから、心して内閣として取り組みますように、本日の論議を外務大臣以下にお伝えを申し上げ、取り進んでまいるつもりであります。
#62
○安恒良一君 それじゃ、大臣から前向きの答弁がありましたし、中曽根総理も世界の日本といつも言われるわけですから、世界の日本らしくまず我が国が実施できるものは実施をする。さらに、外交ルートを通じて附属書のVからXまでが早急に、経済大国と言われている先進諸国が批准を促進をしていただくことをお願いをしまして、まだ質問時間がありますが、大臣の前向きの答弁を聞きましたのでこれで終わります。
#63
○矢原秀男君 今回の法律案は、MARPOL73/78条約の附属書Uが明年、昭和六十二年四月六日をもって実施をされることになる国内法の整備のためのものでございます。
 この点につきましては既に御承知だと思いますけれども、MARPO

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3/78条約は、第二次大戦後の世界の石油消費量の増大に伴ってタンカーの大型化や石油輸送量の著しい増大がありました反面海洋の油による汚染をもたらす、こういうふうなことで国際的な環境保護の関心の高まり、こういうことに合わせて国内法もというのが歴史的な経過であろうかと思うわけでございます。
 こういう観点の中から質問の一でございますけれども、有害液体物質の陸上受け入れ処理施設の確保の問題についてまず御質問をしたいと思います。
 法律改正後の法律の遵守にもかかってくる問題でございますけれども、有害液体物質を輸送する船舶、ケミカルタンカーと呼ばれておりますけれども、このタンカーから発生する有害液体物質の残留分、またタンクを洗った後の洗浄汚水を受け入れ、処理する陸上の受け入れ施設の確保の問題でございます。この点でございますけれども、附属書Tが規制対象とする油の場合には、法律が施行された昭和五十八年以降、各石油精製所に油の受け入れ施設が設置されております。今回の附属書Uの実施に伴う有害液体物質の受け入れ施設をどのように確保されていくのか、その確保の具体的対策をまずお伺いをいたしたいと思います。
#64
○政府委員(栗林貞一君) ただいま先生おっしゃいました廃有害液体物質、有害液体物質でもう捨てなければいけないようなものでございますけれども、そういったものについてはこの有害液体物質いろいろ実は種類あるいは性状あるいは発生形態というものがございます。それに応じまして現在の化学工場あるいは産業廃棄物処理業者、廃油処理事業者等の既存の施設を活用して、受け入れ施設を行っていくことが予定されているわけでございます。
 具体的に申しますと、このケミカルタンカーが港に着きまして荷揚げをいたします。それでタンクを洗浄した後、洗浄水は通常桟橋でタンクローリーなどに移しまして、それで処理事業者とかそういった処理施設に処理を委託するというような格好をとることが考えられますが、昭和五十七年度の調査では、全国に約百三十のこういった施設がございまして、廃有害液体物質の処理がそういったところで可能でございます。それで、これは相当大きな能力を実は持っておりまして、現在の処理余力と申しますか、さらに処理できる余力が約三百万立方メートルぐらいの余力があるそうでございます。一方、船舶からこういった格好で陸揚げ処理を要する量を推計してみますと、大体七万立方メートルぐらいということでございまして、現在におきましても処理能力というものは十分だろうというふうに考えておりますが、これらの既存の施設を総合的に活用していくための条件を具体的に整備して考えていけば、その辺の受け入れ施設についての問題はないのではないかというふうに考えております。
#65
○矢原秀男君 今局長から伺いましたが、御答弁の中でタンカーからの洗浄水の大体年間発生量が約七万立方と伺いましたが、あと有害物質の既存受け入れ処理施設の中でちょっとお尋ねしたいんですけれども、一つは産業廃棄物の処理業者が大体日本でどのくらいなのか。二番目には、化学工場の自家処理施設、この実態がどうなのか。三番目には、地方公共団体の持つ廃油処理施設、この実態はどうなのか。もしわかりましたら簡単にお伺いをしたいと思います。
#66
○政府委員(栗林貞一君) ただいま先生おっしゃいました中で、まず産業廃棄物処理業者でございますが、これは昭和五十七年に運輸省が実施いたしました調査によりますと、全国に処理可能な会社が百二十九社ございました。これで、余剰処理能力は年間で約三百万立方メートルといっておりますので、私先ほど申し上げましたうちの大部分になるということでございます。
 それから、化学工場等における処理の関係は、全国で三十六事業所において処理が可能でございまして、処理能力は年間約四・五万立方メートル程度のようでございます。
 それから、油の方でございますが、これはやはり有害液体物質と申しましても、油に非常に似たようなものについてはこういうところを利用して処理もできるようでございますが、それは全国の主要港二十三港におきましてこの処理が可能でありますけれども、処理能力は年間約六千立方メートル程度であろうというふうに考えております。
 したがいまして、全体的に見ますと、最初に申し上げました産業廃棄物処理業者による能力が圧倒的に多いということでございます。
#67
○矢原秀男君 今、参考までにお伺いしましたことは、私質問の二としまして、法律改正等いろいろございますので、船に不当なおくれを生じさせない周辺整備の具体策はいかがかということで今お伺いをしたわけでございますが、現実に例えば付近の港に、今は数的には十分あるように伺ったわけでございますけれども、該当する船がその港に着いたときにその港に施設がない。そういう場合は、他港にはあるということで、時間や燃料、そういうロス、また施設のある港まで船を移動させる。処理業者のまたタンクローリーが船まで取りにきてくれるとしても、またそういう作業をどこの岸壁で行うのか。そういう既存施設の利用といっても、実際にはなかなか難しい段階というものも私は懸念をしているわけですね。今、局長、非常にすべての発生量に対する対応、数的には完璧であるようなあれが出てきたんですけれども、こういうふうな局長の御答弁から分析をしまして、私ども不安は別に今申し上げたように持っているわけですが、スムーズに洗浄水を陸揚げするような港の周辺環境の整備、これは大体完璧に、まあ完璧ということはこれはもうどういう問題でも言うべきことじゃないんですが、まあまあ対応できる、そういうふうに解釈していいんでございましょうか。
#68
○政府委員(栗林貞一君) 受け入れ施設全体の能力と、それから陸揚げ処理を要します推計量等を考えてみますと、先ほど申し上げましたようなことで十分余力はあるわけでございますけれども、確かに具体的な場合について、それではうまくいくかという問題は確かにあるわけだと思います。
 その点につきましては私どもも認識はいたしておりまして、やはり各港におけるそういった条件の整備については大いに努力していかなければいけないと思っております。例えば、先ほど申し上げましたが、タンクローリーに移すといいましても、うまくタンクローリーが着いて、それでそういう船から移しかえるような場所とかがうまく確保できるかどうか。それから船の運航の経済性との関係でいえば、その陸揚げの時間、夜間にかかるとか、かからないとか、そういったいろんな問題が出てくるだろうと思いますので、これは関係している役所などともよく連絡いたしまして、港ごとの状況に応じて検討を行って、例えばそういった情報をよく流すとか、それで経済的な順調な処理が行われるようにするということなど、その他具体的な問題の解決を図っていこうということで相談をいたしております。
#69
○矢原秀男君 その点、よろしくお願いいたします。
 質問の第三でございますけれども、関係政省令公布の時期も問題でございますけれども、やはり新しい規制の民間への周知のスケジュール及び方法というものが、わかっているようでございますけれども、いずれにいたしましても我が国の関係業界へ新しい規制の内容を広く周知徹底も必要でございますが、また逆に業界の方々にも法律の精神をよく理解をしていただきながら、やはり御協力もいただくということが非常に大切かと思うんですけれども、その点はいかがになるものでございますか。
#70
○政府委員(栗林貞一君) 今度の例えば政省令を公布して、具体的に周知徹底を図るといったようなことは、できるだけ早くそういう政省令を公布、施行しながら、一方では私どもの方で周知徹底にできるだけの努力をしていくということで、例えば運輸省、海上保安庁におきまして、昭和六十一年度については海洋汚染防止指導ということで、関東、京阪神、瀬戸内海、瀬戸内など石油化学コンビナートを控える港を中心にいたしまして、海洋汚染防止講習会ということで、船員あるいは海運会社の関係者に対して、六十二年四月からの有害液体物質の規制の周知ということをできるだけ積極的に図っていくということも考えておりますし、また一方、民間サイドにおきましては、社団法人で日本海難防止協会というものもございます。これらも海洋汚染防止の周知宣伝事業といたしまして、六十一年度は有害液体物質の規制に関する手引書でございますとか、あるいはスライドを作成して配付するなどの事業を行いまして、できるだけ条約、法律の周知徹底に努めるということを考えておりますので、関係団体と連絡をとりながらできるだけ周知に努めていきたい、こういうふうに考えております。
#71
○矢原秀男君 海洋汚染に関する法制度という点では、非常に先進的な我が国でございますし、また世界で最大の海運国家でもございます。こういう点からはよく業界の方々に御理解を、また御協力をそしてまた業界の意見、こういうこともよく聞いてあげていただきたいと思います。
 そういう観点の中から質問の四でございますけれども、要求される設備の内容とその経済的な影響について伺ってみたいと思います。
 この附属書Uの第十三規則、有害液体物質のコントロールできないような排出を最小限にとどめる船舶の設備や構造の内容云々とあるわけでございます。
 先ほどの質疑と重複するかもわかりませんが、こういう中で新しい設備や機器の購入また船体構造の改造、こういうことになれば費用コストの問題にも関係します。また内航の船舶所有者の実態という面から見ますと、企業の基盤が非常に弱い、会社の規模も俗に一杯船主などと言われている非常に小規模、零細な企業がほとんどでございます。こういうふうになりますと、機器の購入費用や改造費用、これが船舶所有者の経営圧迫の要因になるのではないかと懸念もいたしているのでございますけれども、この点はいかがでございますか。
#72
○政府委員(間野忠君) ただいま御質問の、この条約の改正によりまして船舶に必要となる設備でございますけれども、それは運搬いたします有害物質の種類によっても若干異なってまいります。
 ただ、有害物質を揚げました後、できるだけ多くの残留物を回収する装置、これが必要となります。それで、これは有効ストリッピング装置と言っておりますけれども、このほかにタンクを洗浄いたします装置、それから艦内の換気をいたします装置、そういったものが必要となってまいります。
 それで、経費の点でございますけれども、それほど値の張るものではございませんで、数千トンクラス、ケミカルタンカーとしてはかなり大きいものでございますけれども、数千トンクラスのもので設備費は二百万円程度であろうかなというふうに推測いたしております。
#73
○矢原秀男君 その点もよくいろいろと、今後いろんなお話等出てくると思いますが、よく御相談に乗っていただきたいと思います。
 質問の五でございますけれども、法律施行後の取り締まり体制についてでございますが、法治国家でございますけれども、大臣ね、法律でがんじがらめになっていますから、私、取り締まりとかいう言葉は余り好きでないんでございますけれども、これに関係しての質問をしたいと思います。
 この有害液体物質の海上排出に際して、明年の四月六日から規制や監視、そして違反の取り締まり、これが始まるわけでございますが、これは海上保安庁に伺ってみたいんですけれども、この規制する石油類の場合に、少量でも海上に排出された場合に海面に油膜が広がってまいります。だれでも容易に確認することができるわけでございますが、有害液体物質、いわゆる化学薬品の製品の場合には特殊な化学性質がありますから、海上への排出があった場合に非常に確認の困難なケースも想定されると思うわけでございます。例えば一つは無色無臭であるとか、二番目には比重が海水より重く、沈んでいくとか、三番目には揮発性が高く、海上に排出されても短時間ですぐ蒸発をしてしまう等々、非常に視認が極めて難しい事態が考えられるわけでございますけれども、こういうような点は大体どういうふうに対応しようとされているのか伺いたいと思います。
#74
○政府委員(岡田專治君) 先生のただいま御指摘いただきましたように、有害液体物質についての取り締まりは、本改正法によりまして六十二年から行わなければならないわけでございますが、いろいろ難しいわけでございます。
 私どもといたしましては、今新しい監視手法の開発をやっておりまして、どうやらめどがついている状況でございますが、これは巡視船艇にある装置を仕掛けまして、それによりまして自動的に海水を採取をしていきまして、それを四つほどのセンサーをくぐらせまして、もし、それぞれのセンサーであらかじめ決めておきました濃度以上の状況が発見されたときには、直ちに警報が鳴ると同時に、その海水を分離採取し、またそこのその日時等もあわせて自動的に記録する、こういう装置でございまして、これが実用になりますと、これによって採取してまいりました極めて違法性の疑いの濃い海水につきまして、後日、陸上の試験研究機関におきまして綿密な分析をやることによってその違法状況を確認することができるというものでございます。
 私どもとしましては、このような装置の開発及びそれの実用化ということに努めると同時に、また当然のことながら有害液体物質の国内におきまする海上における輸送実態等も勘案いたしまして、このような取り締まり体制の強弱、アクセントをつけなければいけないと考えております。
 なお、その他停泊中の船舶に対するいわゆる立入検査等も庁法により行いまして、法定上の書類の記載事項等について所要の指導をすることはこれまた当然のことでございます。
 大体、以上のような方法によりまして、この有害液体物質についての汚染の取り締まりを今後充実したいと考えております。
#75
○矢原秀男君 最後の質問でございますけれども、質問の六でございますが、タンカー業界への影響でございます。
 まあこの法律の精神や規制を遵守していただくという点から一応は御答弁で安心はいたしておりますけれども、費用負担を伴う新しい規制が実施されるという点からも関係法令の適用、運用に際しては、ケミカルタンカー業界、石油化学業界、また商社等の関係業界の方々の意見や要望を十分配慮していただくことを要請しておきたいと思います。特に関係法令の直接の規制がかかる内航のタンカー業界に対しましても、一つは受け入れ施設の問題、二番は船に不当なおくれを生じさせないという点、三番目は経済的な過重負担をかけないという点など、まだ業界の中でもいろいろと御心配等もあるようでございます。過剰な負担増や不便が極力ないように運輸省としても十分な配慮をすべきであると考えます。
 最後でございますので、運輸大臣並びに局長から御答弁を賜りたいと思います。
#76
○政府委員(武石章君) 先生いろいろと御心配をいただきましたとおり、有害液体物質に関しましての規制が施行されますと、内航海運業の用に供する船舶には、これまでより厳しい排出規制だとかあるいは構造設備規制、あるいは新たな検査義務、受検義務というようなことが生ずるわけでございますが、この問題につきましては、条約でいろいろと、条約がつくられる過程から内航海運業界ともよく連絡をとっておりまして、その結果を反映したという形で実は既存の内航タンカーにつきましては十年間の猶予期間が設けられておるということでございまして、これは六十九年の六月まででございますが、このように条約の採択の前後にわたって、海運業界に対しまして、必要な情報を提供するとともに指導を行ってきたところでございます。
 船の寿命というのは、こういう種類のタンカーは大体十年程度でございますので、ほとんどの船は新しい設備をこの期間に設置することなく退役していくものだと思っております。したがいまして、この条約の規制というものが明らかになる過程で、それ以後できます船はほとんど附属書の規制内容に適合した構造設備を備えた形で建造されております。
 そういう意味で、現実には今後この施行によって運航上の支障は余りないと考えておるわけでございます。
 もちろん先生御指摘のとおり、受け入れ施設がきちっとあるかとか、あるいはその受け入れの施設における実際の有害液体物質等のくみ上げといいますか、そこへの投入というようなことが円滑にいかないとそれはそれなりの経済的な負担になるわけでございますが、現実にこういう内航の有害液体物質を運んでおりますタンカーはほとんどが企業関係の物質でございまして、それぞれ相手工場内にほとんど受け入れ施設がある場合が多いようでございます。したがいまして、そこで荷役をして直ちに陸揚げをするというようなことが可能ではなかろうかと考えておるわけでございます。
 そういう意味で、海運業界にいたずらに過剰な負担が生じないように、私どもとしても十分に荷主業界あるいは受け入れ施設を整備する方々、内航業界と、この三者の間で十分協議をいたしましてそういう体制をつくってまいりたいということで、この条約を採択する前からその問題について取り組んで、いろいろと対応を考えた上でこの法律を制定して批准をするというところに至ったわけでございます。
 そんなような背景もございますので、御心配の点は余り大きな御心配にはならないんではなかろうかと考えておるわけでございます。
 政府といたしましては、さらに途中で改造する船あるいは今後の船につきまして、新しい船をつくる際にこういう設備を備えなければならないわけでございますが、内航海運業におきましては、中小企業が大変に多いということを考えますと、これらの物質を輸送するタンカーについての建造資金あるいは改造資金について船舶整備公団の融資制度を活用いたしまして、私どもとしても十分これに対応してまいるとともに、いろいろな技術的な助言とかそのほかの援助をしてまいりたいと、かように考えております。
#77
○国務大臣(三塚博君) ただいま貨物流通局長から具体的な手だてにつきまして詳細に答弁を申し上げたわけでございますが、いずれにいたしましても内航海運は中小企業が圧倒的に多いという点でありまして、新たな負担を法律によって課せられるという現実の中で、この措置はただいまの答弁のようにそれをさらにきちっとしたものにさせていただき、これの改造資金についての措置は万全を期すると。さらに、その他の援助等につきましても今後の対応の中で政府として相努めてまいると、このことは当然の責務かと存じます。
#78
○内藤功君 昨年九月の海上保安白書、これによりますと、廃船等の投棄禁止規定、廃棄物の投棄禁止規定及び油記録簿備えつけ・記載・保存義務違反と、これらの違反件数が昭和五十四年以降では最悪の状況であります。これ以上の海洋汚染を許さないためにも、本法改正案の立法趣旨に基づいて万全の対策を講ずべきだと思いますが、まずこの点いかがでしょう。
#79
○政府委員(岡田專治君) 海上におきまする汚染の防除につきましては、私ども取り締まり実施官庁として十分な責任を持って遂行しなければならないと考えております。
 ただいま御審議をいただいておりますこの法律改正案が成立しました暁におきましては、先ほど他の先生方の御質問に対してもお答え申し上げましたように、私どもなりのいろいろな工夫も込めまして、今後とも十分な行政を実施したいと、かように考えております。
#80
○内藤功君 ところで、東京湾の問題ですが、東京湾には漁船、貨物船、旅客船、大型タンカー、あらゆる種類の船が年間で約二十七万隻、一日に七百四十八隻も通るという世界でも有数の過密な海だと言われております。湾内には特定重要港湾四つ、重要港湾二つあります。取り扱い貨物量は年々増加して、運輸省の資料によると、昭和七十五年には約七億四百万トンから七億九千八百万トンに達すると、こういう数字が出ております。その上、船の長さ二百メートルを超えるいわゆる巨
大船が一万隻を超えて、そのうち六〇%が日本の関係法令あるいは日本の海の状況を余り知らない外国船だと、こういう状況であります。
 そこで、かねてから船舶航行の安全確保につきましては、海事関係者等から強い要望が出されておるわけですが、運輸省のこの点の御認識はいかがですか。
#81
○政府委員(岡田專治君) 東京湾につきましては、いろいろな需要予測等もあるわけでございますけれども、現状におきましては、例えば昭和五十年代の後半におきましては、船舶の出入港隻数はほぼ横ばい状況になっております。しかしながら、いずれにいたしましても過密な人口地域を後背地に抱える東京湾でございますので、私どもも海上交通安全法を初めとする関係法規の適正な執行につきまして全力を挙げて今行政を実施しておる状況でございます。
#82
○内藤功君 危険物積載船というのはどういう船を申しますか。
#83
○政府委員(岡田專治君) 危険物積載船といたしましては、大型のタンカーあるいは大型のLPG、LNG船等を申しております。
#84
○内藤功君 そういう危険物積載船が年々増加しておる。さらに我が国においては暴風、豪雨、地震、津波等による災害が発生しやすい自然環境にある、これが海上保安白書でも指摘をされておるところであります。
 特にLNGの危険性については、これは田尻さんの書いた「海と乱開発」という本に引用してあるんですが、物理学者のエイモリー・ロビンズという人は、「一二万五〇〇〇立方メートル(約七万重量トン)のLNGタンカーの爆発エネルギー量は原爆なみ」であると、こういうふうに言っておるそうです。一たびこのLNGタンカーの衝突事故が発生すれば、田尻氏によれば、東京湾は大火災となる。銀座まで延焼する。「さらにそれが臨海コンビナートのタンク群に延焼すると、想像を絶する災害となる」ということを、これは元東京都公害研究所次長でありますが、この専門家も指摘しておるんです。東京湾には扇島を初めといたしまして、既に四つのLNGタンカー基地がありまして、さらに増設も伝えられておりますが、私はこれ以上危険なLNGタンカー及び基地を東京湾においてふやすことはこれはやめるべきじゃないかと率直にそう思うんですが、いかがですか。
#85
○政府委員(岡田專治君) LNGの積み取りバースにつきましては、これの設置に当たりまして、ただいま先生の御指摘にございましたように、事によりますと大変な災害を発生する潜在的な危険性のあるものでございますので、そのような災害を防止する見地から、私どもといたしましてはいろいろな意味での条件等を十分につけまして、またこれまでもその設置者等よりそれらについての各種のバース運営に当たっての確約書等をとりまして、現実にこのバースの安全な運営が図られるように措置をしているところでございます。
#86
○内藤功君 昭和四十九年の十一月に東京湾で発生したLPGタンカー第十雄洋丸事件、これは二十日間燃え続けて、最後は自衛隊が出ていってこれを撃沈してようやく解決するという始末であります。
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕
 「扇島LNG船バース建設問題に関する調査報告書」というのがここにあります。これは東京湾海難防止協会がつくった分厚なものですが、これによりますと、非常に重要な指摘があります。例えば「衝突等により大量のLNGが破口より流出した場合は対処する方法もないと思われる」、もうお手上げだと。「いったん流出したLNGが気化し、ガスに引火した場合には、消火はほとんど不可能で、流出が続く限り火災は続くであろう」と。第十雄洋丸事故のごとく、一たん衝突や乗り上げ事故が発生すると、二次的事故として火災、爆発、危険物の流出その他の危険を誘発して、事故船自体のみならず、第三者に与える被害も莫大なものに拡大されると、社会的な問題にまで発展する等々、もう対策は事実上ないに等しいと、危険過ぎて実験自体もできないと、こういうことを言っておるのであります。私は重ねてこれは証明書、確約書を出すというようなことでなくて、やっぱりいわゆる総量規制といいますか、タンカーの量、タンカー基地の量をこれ以上ふやさないということが大事だと思うんです。この点をひとつ当局としては真剣に再検討すべきだと重ねて要望したいんです。
#87
○政府委員(岡田專治君) ただいま御指摘にございました扇島でございますけれども、先生の御指摘は絶対的な危険性の増大があるので慎重に対処しろと、かような趣旨と承りましたが、私どももLNGのバースの建設については、極めて慎重にこれに対して対処しておるところでございます。
 たまたま扇島の例で申し上げますと、例えば夜間着桟は禁止するとか、あるいは荒天時のいろいろ細かい使用基準を設定いたしますとか、あるいは荷役中のいわゆる火気管理についてきちっとした管理体制を組ませる、またそこのバースにおけるいろいろな機械につきましても、いわゆる機械の作動に伴う発火等がないように配慮した機械を設置させるとか、あるいは十分余裕のあるタグボート、いわゆる馬力の余裕のあるタグボートで微細な離着桟ができるように配慮させるとか、もろもろの安全対策をメニューとして確約させ、またこれの実行を監視しているところでございます。
#88
○内藤功君 さらに問題なのは、運輸省が東京湾に建設を予定しております人工島の計画であります。まず、この内容、規模について説明してください。
#89
○政府委員(藤野愼吾君) 私たちは昭和五十五年から沖合の人工島構想についていろいろと勉強をしてまいりまして、六十一年からそれらのフィージビリティー調査に入ることにしておりますが、その一環で東京湾の横断道路をアプローチ手段として活用する人工島の構想も、そういった全国的な幾つかの構想の一つとして内部的な検討を行ってまいりました。
 その内容につきましては、既に新聞に出ておるようなことではありますが、若干申し上げてみますと、この横断道路ができまして、その横断道路の人工島、つまり橋梁からトンネルヘ入る、何といいますか、接点がありますが、その前後にできますところの水域、ここはもともと船が利用しにくい水域になるわけでありますが、そういった水域を有効に利用するというふうなことを基本に考えて、その場所でまずは横断道路の設置によりまして湾内の避泊地面積が減るということがありますから、そういったことに対応するための避泊地をそこにつくりたい、確保したいというようなこと、それからさらにこの東京湾周辺で今後いろいろとニーズが高まってくるというふうに予想いたしますが、例えば大水深のコンテナ埠頭でございますとか、あるいはまた臨海性のレクリエーションの基地でありますとか、また国際交流施設といったふうなもの、そういったふうなものをここに立地させるという考え方はどうかということでこの構想をまとめたわけでございます。
 この構想は現時点で私たちの想定できる幾つかの機能を盛り込んだものではございますけれども、まだきちっと固まったものではございませんし、さらに規模とか、形とか、機能とか、また環境への与える影響云々等について今後引き続き検討をしなきゃならぬというふうには思っておるわけでございます。今後本年度以降のフィージビリティー調査におきましても、この東京湾を調査対象海域にして勉強したい、かように考えておるところでございます。
#90
○内藤功君 総工費四千五百億円、面積百八十ヘクタール、後楽園野球場の七十倍というとてつもないものができようとしているわけであります。
 ところで、建設省はこのような計画について当然知っていると思いますが、いかがですか。
#91
○説明員(藤井治芳君) お答えいたします。
 運輸省のこの人工島構想につきましては、私ども新聞報道等によりその存在は承知しておりますけれども、具体的な内容につきましては、今運輸省の局長がお話しになられましたようにこれから勉強されるということでございまして、聞き及ん
でいない状況でございます。
 いずれにいたしましても、道路事業の実施に当たりましては、今後必要に応じて長期的な視点に立って調整することになろうかと考えております。
#92
○内藤功君 運輸省では、建設省とも相談をしている、相談しなければこういう具体的な計画を東京湾横断道に密着してつくることはできないと思うんですね。今の御答弁は私は納得できないです。
 そこで運輸省に聞きますが、昭和五十五年から沖合人工島の研究調査を始めているはずなんですが、これまでの調査研究の具体的な対象地には東京湾は入ってないはずなんです。いつからこの東京湾の人工島計画の構想は始まったんですか。その勉強はいつから始まったんですか。
#93
○政府委員(藤野愼吾君) ちょっといつの時点でスタートしたかということの正確な記憶はございませんが、五十五年にはスタートしなかったとは思いますが、それ以降の段階で順次対象範囲を広げてまいっておるということでございます。
#94
○内藤功君 五十五年にはスタートしてないんですね。五十五年にスタートして現在まで運輸省が地元民の強い要望もこれあり、具体的に委託調査した海域は六カ所、下関、秋田、清水、大村、三浦、室蘭、これだけなんです。東京湾は入ってないんです。東京湾が急浮上した理由は東京湾横断道との関係以外には考えられないですね。
#95
○政府委員(藤野愼吾君) 今おっしゃいますように、六カ所の調査をやってまいりました。それから、すべて地元の委託ということでやったわけではございません。それから、確かに今も私も冒頭に御説明申し上げましたように、この東京湾の人工島構想については何らかの形でアプローチを確保しなければならぬという命題がございますから、東京湾横断道路というものをひとつ重要なアクセス手段として考えていることは、これはもう当然のことでございます。
#96
○内藤功君 そこで私は、これができたらどうなるであろうかということで、四月五日の日に船に乗りまして東京湾内の予定地と言われるところを見てきたんです。
 そうしますと、これは木更津から出ていったところですが、ノリを実際に養殖しているところです、現場そのものですよ。それでアサリがとれる、アサリ漁もやられている。こういう大変な、やっぱり八千数百人に及ぶ漁民の命と営業にかかわると言っても過言じゃないですね、そういう場所なんですね。
 それから、一体ここを埋立てるについて土砂はどうするか。これは千葉県君津市の山を削って、それで土砂をここへ持ってきて埋め立てるということですね。しかも三キロに一キロ、ここに予想図を、これは運輸省からいただいたのを持っておるんですが、三キロに一キロ、大変なこういうものを埋め立てる。私と一緒に行った海事関係者の人は、東京湾のこういう真ん中にこんな大きなものがつくられた場合に、いきなりこの人工島の陰から船が出てきた場合なんか、これ考えるとぞっとすると言っておられました。
 こういう漁業に対する影響が一つある。もう一つは、土砂をどこから持ってくるか、それによる山を削ったりなんかする自然の破壊についてどういうふうな考え方を持っているか、ここらあたり十分に検討をなさっているのかどうか、どんな検討をしているのか、これちょっと伺いたいんです。
#97
○政府委員(藤野愼吾君) 東京湾周辺で幾つか海洋といいますか港湾関係の事業も推進されており、またその一部を私たちも担当させていただいておる事情もこれありするものですから、ある程度のことはわかっているつもりではおりまするけれども、この具体的なプロジェクトの推進に関して、今先生御指摘のような漁業関係者との調整問題、それからまたそこに島をつくること、それに直接かかわり合いのある湾内の環境保全問題、そしてまた今話題の土砂をどこからとってくるか、その採取場所の環境問題、いろいろ数多い命題がこれには残っておるというふうには思っておりまして、今後それらの研究、勉強は引き続き進めていかなければならぬというふうに思っております。
#98
○理事(安恒良一君) 内藤さん、時間ですから。
#99
○内藤功君 じゃ、最後の一問ですが、勉強中だということですが、私が今指摘した諸点に加えて、これはただでさえ狭くて危険な場所なんです。きょうは時間がないから、その詳細は私ここで別の機会にまたやりますが、そこに一キロと三キロという巨大な人工島をつくって、そうすればどうなるか。東京湾の海水の移動、それから生物の移動を妨げるという問題がありますね、生物をすみにくくする。文字どおり私は死の海に至るという危険をもたらす、これは大変な問題だと思いますね。漁業に対する影響、周辺の山を削るという問題、漁業従事者に対する打撃、これは大きなものですね。勉強中だというなら、今のうちならこれは取りやめることもできるわけだから、これはやっぱりこういう無謀な計画はおやめになるこことがよろしい、やめるべきであるというふうに私は思います。これは最後にこのことを強く要望しておきたいと思います。
#100
○国務大臣(三塚博君) この横断道路につきましては、今回のいわゆる中曽根民活の第一号ということで政府において真剣に検討をされ、今回の国会にも提案をいただいたところでありまして、法律が制定をされますならば具体的に、ただいまのいろいろな御指摘、当然不安が国民間にもあられるわけでありますし、また同時に国民間に湾岸を挟む両県でぜひこの完工を期してまいりたいということなどもございますものでありますから、すべてを調整をしつつこれを進めるという政府決定の中で御提案をさせていただいておりますものですから、そういう中で撤回はできませんけれども、アセス、また海上交通の安全確保、漁業の操業のこれまた安全、こういう点において万般の措置を講じつつ取り進んでまいりたい、このように考えております。
#101
○伊藤郁男君 この提案の法律案につきましては、これは国際条約に関することでございますので、海洋国家日本の立場から率先してこれは改正すべきものと考えておりますし、今までの審議の過程におきましてさまざまな問題点も指摘されてきましたものでございますので、私はこの際、直接この法案には関係はございませんけれども、数点質問を申し上げていきたいと思います。
 第一は、瀬戸内海のごみ公害対策についてでございますが、最近は海上における油の汚染につきましては、これは海上保安庁の取り締まりがかなり強化されまして、あるいはまた多少のものでもマスコミがすぐ取り上げる、こういうことで海をきれいにする努力、こういうものがようやく国民的なものとなってきておる、こういうように私は判断をするわけですが、しかしこの瀬戸内海水域においては、現在なお河川から流入する木片あるいは木の根っこあるいはビニールなどの浮遊物が非常に多くて、そのために高速艇のスクリューあるいは水中翼船の翼、こういうものに相当な損害を与えているわけでございます。
   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕
特にビニールなどは船の冷却水の取り入れ口に詰まっちゃうと、こういうことがありますし、そのためにエンジンが焼けちゃうんですね。あるいは木の根っこというのはかたい部分が海面から少し下の部分に浮いておるものですから、したがってプロペラを傷めると、こういうことになっているわけであります。最近の船のプロペラというのは高速回転のやつが多いわけですから小型になっているわけですね。だから一度ここにぶつかると相当損害が大きい、こういうような状況、現状でございます。
 そこで質問ですけれども、第一は、浮遊物の現状について運輸省はどのように認識されておるか、これが第一。
 それからそれに関連をいたしまして、その浮遊物によって損害を受けている船舶の船体、機関及び推進器等の損害の状況、これはどのようになっ
ておるのか。
 それからもう一つは、この浮遊物の除去対策はどのように進められておるのか。
 この三点をまずお伺いをしておきます。
#102
○政府委員(藤野愼吾君) 今お話がございましたような浮遊ごみが瀬戸内海にあるということでございますが、その量や分布の状況を正確に把握することがなかなか困難でございまして、ただ、私たちそういったものの回収事業を担当しておるという中で年間の回収実績でそこらあたりをちょっと当たってみますと、昭和五十九年度では、浮遊ごみの集積が比較的多い港湾の中で総集計してみますと、重要港湾十二港で全体で約一万立方メートル、港湾区域の面積でちょっと割り算をしてみますと、一平方キロメートル当たり十三立方メートルくらいになるということでございますが、一方また港湾区域の外側にあります一般海洋と申しますか、では回収量は六千三百立方メートルで、一平方キロメートル当たりに直しますと〇・四立方メートルぐらい、こういうデータがございます。また地域的には、大阪湾、紀伊水道、備讃瀬戸、広島湾、まあそこらあたりがやや多い地域でございます。
 さて、こういったごみの除去対策についてどうかと、こういうことでございますが、既に御案内かと思いますが、私たち運輸省では一般海域を、それから港湾管理者が港湾区域内の浮遊ごみの除去を担当をしておりますし、さらにそのほか主な主要港湾では、民間団体であります清港会という名の団体がございまして、その方々が浮遊ごみの回収をしていただいているというふうなことがございます。
 さて、私たちといたしましては、この浮遊ごみの回収を積極的に進めていくために、今申しましたようなことで四十九年度から直轄事業として七カ所の基地を設けて清掃船を配備してやってまいりましたし、一方また港湾区域内での浮遊ごみの回収事業を実施される港湾管理者の皆さんに対しましては、清掃船を建造する場合に補助をさしていただいておる、こんな形で回収事業を推進をしておる状況にございます。
#103
○政府委員(岡田專治君) 浮遊ごみが船舶の航行の安全に及ぼす影響はどうであるかという御質問がただいまあった次第でございますけれども、御案内のようにプロペラを損傷いたしましたりあるいはプロペラに巻きついてこれの作動を妨害し、あるいは冷却水にナイロン等がポンプに詰まりましてふぐあいを発生する、こういうようなことでございまして、ごみによる船舶航行の安全への影響というものはそれなりに明確な状況があるわけでございまして、海事関係者より最近におきましても私ども取り締まり官庁としての保安庁に対しても陳情があった次第でございます。
 瀬戸内海におきまして昨年一年間約五百件弱の海難、いわゆる救助を必要とする海難があったわけでございますけれども、その中で浮遊ごみが明らかに原因であると我々が認定したものは約十数件、大体三%弱でございます。その中には、例えば貨物船が冷却水のポンプにごみが詰まって機関停止したというようなことが代表的な事例でございます。
#104
○伊藤郁男君 今数字でいろいろ示されるとどの程度のものかということがよく把握できないんですが、かなりのごみが河川から流れ込んだりしているということはわかるわけですね。そして損害もかなり出ているということでございますが、そこで今、藤野局長からも御答弁がございましたが、今の浮遊ごみ対策で一番やっぱり問題になるのは、例えば河川の場合はこれは建設省の河川局だと、それから港湾内は地方自治体の管理者、いわゆる地方自治体がやる。それから港域外に出ると、これはもう運輸省港湾局、こういうことで、総合的に個別の行政機関がそれぞれのところを受け持っているという形で、本格的な除去対策というんですか、総合的な調整が行われていないように思うんですが、この辺は一体どのようになっておるのか。調整をするとすれば環境庁あたりかなと、こういうように思うんですが、その辺の現状はどうなっておりますか。
#105
○政府委員(藤野愼吾君) まさに海面を浮遊しておるものですからなかなか実態の把握も難しい面があったり、それの回収を効率的にやるということも難しい面があったりしておりますが、そういった事業を行います場合には、私たち従来から海上保安本部とか、また港湾管理者、周辺の市町村、それから漁業協同組合、それから海運会社――海運会社といいましても当然それは船を運航なさっておる船員さんの目といいますか、耳といいますか、が重要なわけでありますが、そういった関係機関と、それから直接事業を担当いたします私たち港湾建設局との間で浮遊の実態等に関する情報連絡を密にして、そういった協力体制の中でやるような努力をしてきておるわけであります。
 今後もそういった体制でいくんであるとは思っておりますが、ただいま河川から流入するという話がありましたが、河川から流入するんでありますが、そのもう一つもとは河川に物が投げ込まれる、こういうことがあるわけてありますので、やはり周辺地域の皆さん方の理解と協力みたいなものもぜひいただきたいものだと思っております。そういったふうなことも期待もしながら関係機関との連絡を密にして回収事業の効率を上げ、そしてよりきれいな海、瀬戸内海ができるようにしていきたい、かように考えております。
#106
○伊藤郁男君 そこでこれ大臣に要望しておきますが、今局長の御答弁のようにいろいろの努力はされておるわけですけれども、まだもう一段と各省庁の管轄地域が違いますので、その協力体制ですね、もっと積極的な協力体制にしてほしいと思うわけですが、これやっぱり運輸大臣の音頭取りでそういうようなところの協力体制がもう少し強力にならぬのだろうか、それをうまくもう少し強力な協力体制をとればこの浮遊物の除去対策というのはもっと進むものではないか、このように希望を持っておるわけでありますが、その点についての大臣の御見解をお伺いしておきます。
#107
○国務大臣(三塚博君) ただいま藤野局長から、今日ただいまのとり得べき措置についてお話があったわけでございますが、なお伊藤委員の御指摘、特に瀬戸内は内海であり、それと河川との連結がそこにございまして、省庁別にある一定の境界線でこれが分離されるという意味でこれらの浮遊物の駆除あるいは排除、そういうものが効果が出ず航行船舶にただいまの御指摘の支障が出るということはまたこれは一つの問題でありますから、運輸省はあのとおり合同庁舎の五階から上、四階から下は建設省でありますので、まずさしあたりそちらの方とよく連携をとれますかどうか、環境庁のお世話にならぬでも、やはりそういうことで省間の協議を進めまして体制をとってまいりたいと考えています。
#108
○伊藤郁男君 その点はひとつよろしくお願いをいたします。
 それから次に、大阪湾の問題ですが、これは関西新空港の建設、漁業補償問題も山場を越えたようでございますし、いよいよ本格的になるわけでございます。そうなりますと、これから大阪湾は工事用船舶であふれるということになりますね。そして大中小の船がお互いに交錯しながら大阪湾の中を駆けめぐる、こういう状況にだんだんなってくると思うわけです。ついこの間も瀬戸大橋の橋げたに居眠り運転をした船がぶつかって事故を起こしたと、こういう事故もあるわけです。その程度の事故ならいいんですが、これから新国際空港の建設が進めば進むほど今度は船同士の衝突が予想される、こういう状況であります。
 そこで、このことを予想しながら安全運航対策というものが協議をされておると思うんですが、それがどのように対策が進められておるのか。特にこの点は全日本海員組合から一つの提案がなされておりまして、海事関係者等によって現地連絡協議会をつくって、そこで連絡調整を行って安全運航を確保するように、こういうように申し入れもしておるわけでありますが、これについてどのように対処されていくか御答弁をお願いいたしま
す。
#109
○政府委員(岡田專治君) 関西国際空港の建設に関連いたしましては、ただいまの御指摘にもございましたように、建設過程における大阪湾の交通安全の確保の問題あるいは建設した後の、空港完成後の、また関西国際空港への海上アクセス線等にかかわる海上交通安全の問題等もろもろの海上交通安全の問題があるわけでございますが、私どもはさしあたってはまず建設の際の安全の問題につきまして関西国際空港会社に対しましてその十分な安全確保を図れるようにいわゆる学識経験者を含めた客観的な検討を要請しているわけでございます。
 現在その安全対策について審議が行われているわけでございますけれども、ただいま御案内にありましたような現地の連絡協議会の問題につきましては、いわゆる空港の建設計画の具体化というものに対応したいろいろと深まっていく状況の中で地元関係者との連絡調整の方策の必要性についても今後恐らく検討が行われるものと考えておりまうので、その辺の状況を踏まえて所要の対策を講じたい、かように考えております。
#110
○伊藤郁男君 やっぱり船を動かしているのは船員でございまして、したがって直接船を動かしている者たちの十分な意見を聞く、こういう形でやっていただきたい。
 それからもう一つは、これはかつて大阪万博や沖縄海洋博などの場合に、目先の利益を追求した自家用新船というものが大量に建造されまして、これが結局この二つの巨大プロジェクトの終了後これらの自家用船が原因となりまして船腹過剰あるいは輸送秩序の混乱、こういうものを引き起こしたという苦い経験を持っているわけですね。こうした過ちが再び繰り返されないために、私は前にこの当運輸委員会におきましても当時の細田運輸大臣に対しまして、新空港建設のための海上輸送につきましては、内航海運業法及び内航海運組合法の立法趣旨を尊重して営業船の活用を最優先させるべきではないか、こういうふうに主張をいたしまして、当時の細田運輸大臣もそのような方向で強力に指導していきたい、こういうように述べているわけでありますが、この考え方に変わりはないのかということを再度質問をしたいわけでございます。
 今、内航海運というのは非常に長い低迷を続けておりまして、したがって内航海運総連合それ自体がスクラップ・アンド・ビルドで今船腹の調整をやっているわけです。真剣にこれやっているわけでありますが、そういう現状を考えますと、やはり関西新空港の建設、特に海上輸送の面につきましては営業船の活用を最大限優先させるべきだ、こういうことが将来の船腹過剰を引き起こさないためにも必要ではないか、こういうように考えているわけでありますが、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
#111
○政府委員(武石章君) この問題につきましては大変過去において内航海運業界が苦労した問題であるわけでございます。先生の御指摘のとおりでございます。そのときに発生いたしました自家用船につきましては、自家用船の業界と内航業界との間で昭和五十五年に協定を結びまして、一定の条件のもとで営業船としての資格を認めたといういきさつがございます。それについての取り扱いについていろいろと問題はあったわけでございますが、自家用船というものの本来の性格を考えてみますと、自家用船といいますのは建設業者あるいは砂利採取業者というものが自分で採取した砂利あるいは自分の使う資材の運送に船を使うという形態でございます。これにつきましては本来的には内航海運業法上は届け出は義務づけておりますけれども、実際問題としてこれを規制いたしまして排除するということはできない仕組みになっております。これは憲法上の問題としてそういう仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、これらの自家用船がもし営業行為をするということであればこれは非常に大きな問題でございますので、営業行為をしたとたんにこれは業法違反として取り締まりをする、こういうことに相なっておるわけでございます。
 関西空港におきましても、当然に建設事業者はみずからの船で運送する部分というのはかなりあろうかと思います。そういう意味で完全に自家用船を排除するというようなことにはなかなかまいらないと思うわけでございますが、営業船というものの今日の実情を考えますとできるだけその活用を図っていただきたいという方向でもちろんお考えいただこうと思っておりますが、いずれにしましても自家用船と営業船とは共存をするという形でこの問題には対処せざるを得ないんではなかろうか、こう考えております。
 ただそれ以後の問題といたしまして、もし自家用船がそれ以後におきまして営業行為をするというようなことに対しては厳に取り締まりをしていくというような方針で対処せざるを得ないと考えております。
#112
○国務大臣(三塚博君) 細田運輸大臣が伊藤議員の質問に答えさように答弁をし、ただいま局長が答弁のような措置を運輸省として講じてきたところでありますものですから、今後関西新空港、いよいよ漁業補償も終わり、本格的な工事に着手すると思われます。さような観点の中で十二分に、その意を体し、ただいま局長答弁の趣旨に沿い対応してまいる、営業船を第一に考えて、ただいまの状況の厳しい中でありますから、会社側に対しましても要請を申し上げる、こういうことであろうと思います。
#113
○委員長(鶴岡洋君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○委員長(鶴岡洋君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に、賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#115
○委員長(鶴岡洋君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#116
○委員長(鶴岡洋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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