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1985/03/27 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 商工委員会 第4号
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1985/03/27 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 商工委員会 第4号

#1
第104回国会 商工委員会 第4号
昭和六十一年三月二十七日(木曜日)
   午前十時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     岩本 政光君     上條 勝久君
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     浜本 万三君     松本 英一君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     上條 勝久君     岩本 政光君
     松本 英一君     浜本 万三君
     井上  計君     伊藤 郁男君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     伊藤 郁男君     井上  計君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         下条進一郎君
    理 事
                前田 勲男君
                松岡満寿男君
                市川 正一君
    委 員
                岩本 政光君
                佐藤栄佐久君
                斎藤栄三郎君
                降矢 敬義君
                松尾 官平君
                梶原 敬義君
                浜本 万三君
                伏見 康治君
                井上  計君
                木本平八郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   渡辺美智雄君
   政府委員
       通商産業政務次
       官        大坪健一郎君
       通商産業大臣官
       房長       児玉 幸治君
       通商産業大臣官
       房総務審議官   鎌田 吉郎君
       通商産業省通商
       政策局長     黒田  真君
       通商産業省立地
       公害局長     黒田 明雄君
       通商産業省基礎
       産業局長     岩崎 八男君
       通商産業省機械
       情報産業局長   杉山  弘君
       通商産業省生活
       産業局長     浜岡 平一君
       工業技術院長   等々力 達君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        野村 静二君
   説明員
       経済企画庁調整
       局経済協力第一
       課長       小川 修司君
       環境庁企画調整
       局調査官     山岡 通宏君
       環境庁企画調整
       局環境保健部保
       健調査室長    海老原 格君
       環境庁大気保全
       局大気規制課長  片山  徹君
       環境庁水質保全
       局水質管理課長  坂本 弘道君
       厚生省薬務局安
       全課長      渡辺  徹君
       通商産業省通商
       政策局経済協力
       部長       岡松壯三郎君
       労働省労働基準
       局安全衛生部化
       学物質調査課長  冨田 達夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(下条進一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨三月二十六日、井上計君が委員を辞任され、その補欠として伊藤郁男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(下条進一郎君) 通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。通商産業大臣。
#4
○国務大臣(渡辺美智雄君) 去る二十六日、撚糸工連事件に関連し、通商産業省立地公害局工業再配置課長、高沢信行及び中小企業庁指導部組織課係長、高萩岳見の両名が逮捕されました。
 高沢課長は、昭和四十八年七月から同五十年七月まで生活産業局原料紡績課課長補佐でありまして、高萩係長は、昭和五十六年二月から同五十八年六月まで原料紡績課係長でありましたが、その間の職務に関し、撚糸工連から接待を受けたとの収賄容疑で逮捕されたと承知いたしております。これら両名につきましては、現在司直による取り調べの段階にあり、詳細は明らかではありませんが、今回の事態はまことに残念かつ遺憾であります。
 いずれにいたしましても、公務員としては、常に身を慎んで、いやしくも国民の疑惑を招くことのないよう心がけるべきであり、今後とも職員の綱紀粛正に万全を期してまいる所存であります。このため、綱紀粛正のための具体的な方策について早急に検討を行い、職員に周知徹底を図ることといたしております。
 平素から通商産業行政に対し深い御理解と御協力をいただいております商工委員会の皆様方に対し、今回のような事態が生じましたことをまことに申しわけなく思っております。通商産業省といたしましては、国民の信頼を回復すべく省を挙げて努力し、通商産業行政に取り組んでまいる所存でありますので、何とぞ今後ともよろしく御指導、御鞭撻のほどお願いを申し上げます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(下条進一郎君) 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○浜本万三君 本日は化審法の審議を予定しておりましたけれども、先ほど大臣から、去る二十六日に発生いたしました通産省の不祥事件に対する率直な所信表明がございましたので、予定を変更いたしまして、まずその問題について二、三お尋ねをさせていただきたいと思います。
 本件につきましては、既に我が党の同僚議員であります梶原委員から、前回の委員会におきまして、撚糸工連の不正事件として若干の質問をしたところであります。その際、通産省当局におかれましては、本件の事件の全貌についてはまだ省内で調査中であるということでございました。しかし、御承知のように、時間も相当経過をいたしましたし、また各報道機関も、本件につきまして詳細に事件の概要について報道をされておるという状態でございますので、この際、改めて次のようなお尋ねを申し上げたいと思います。
 まずその第一は、融資の総額は幾らであったのかということ。そのうちで、当局で御調査になった結果、不正融資と思われるものはどのぐらいな金額になるのかということが一つであります。
 第二は、小田前理事長ほかが詐欺あるいは横領したと言われておりますが、その全額の総額はそれぞれ幾らに上るのか。
 第三は、それらの金を裏金として、官僚でありますとかあるいは政治家への工作のために、わいろないしは接待に使っておると言われておりますが、捕捉できるそれらの金額並びに相手先ほどのようになっておるのかなとについて、まずお尋ねをいたしたいと思います。
#7
○政府委員(浜岡平一君) まず、日本撚糸工業組合連合会に対します設備共同廃棄事業関係の中小企業事業団からの融資額でございますが、過去五回の事業が行われております。五回目の事業は現在進行中でございますけれども、現在までの総融資額は約五百六十億円でございます。このうち、不正融資ということで既に司直のサイドで強制捜査が行われております金額は、四億二千万円でございます。私ども現在、特に最近時におきます融資につきまして、さかのぼって個別の設備ごとに実態を点検をいたしておる段階でございます。
 現段階では、御指摘のような明確に不正であると断ずることができるようなケースを発見するには至っておらないわけでございますけれども、仰せ、一つずつの企業あるいは設備について個別にチェックをいたしておりますので、なおしばらくの時間が必要かと思っておりますが、鋭意その実態の把握には努めてまいりたいと思っておるところでございます。
 なお次に、この工業組合連合会におきます資金の不正利用の問題でございますけれども、先生御承知のとおり、問題の発端は元経理課長の使い込みというようなところから発生をいたしておるわけでございます。当初、昨年の九月、撚糸工業組合連合会が告訴をいたしたわけでございますけれども、その際の告訴状によりますと、横領額は十一億七千九百万円になっているわけでございます。なお、当時私どもの方で連合会サイドから受けた説明によりますと、なおこのほかに五億円程度の資金の行方がはっきりしないというような状況であるという説明を受けたわけでございますが、その後、ほとんど関係者が逮捕されておりまして、その金額を確認をするというところには至っておらないわけでございます。
 なお、今申し上げました元経理課長につきましては、昨年の十二月の二十四日に起訴が行われておりまして、起訴されております横領額というのは二億七千万円でございまして、告訴されました金額と既に起訴されております金額の間には、今申し上げましたようにかなりの開きがあるわけでございます。この辺の今後の解明につきましては、現在司直サイドで鋭意御捜査が進んでいるというぐあいに推察をいたしておるわけでございますし、私どもといたしましても、大変巨額の金額でございますので、何とかその行方ができるだけ詳細に明らかになるように心から望んでいる次第でございます。
 次に、この連合会からの政治献金あるいは接待等についての資金の流れの額についてのお尋ねについてでございますけれども、政治献金の問題につきましては、既に当委員会におきましても、またそのほかの委員会等の場合におきましても、何度か重ねて御質問を受けておりまして、私どもの方でも連合会の責任者からその辺の説明を行うように求めたわけでございますけれども、関係者は説明を避けていたわけでございますが、そのうちに関係者が全部逮捕されるというような事態になりまして、私どもといたしましては、現在の段階ではその辺の状況を把握することはできないというような状況になっているわけでございます。
 なお、まことに残念なことでございますが、私どもの関係者が接待を受けているというような事実が司直サイドから明らかにされつつあるわけでございまして、この金額につきましても、申しわけございませんが、私ども自身としては把握できていないわけでございます。今後身を正しまして司直サイドの御解明を待つという状況にあるわけでございます。御理解を賜ればと思います。
#8
○浜本万三君 今の御答弁では納得できないわけなのでございますが、司直の手で目下捜査中であるということなので、これ以上は深く追及をいたしません。
 しかし、お話がございましたように、これは国民の血税でございまして、優秀な日本の官僚群としての通産官僚の皆さんが、こういう事件が起きるような管理をされておるということにつきましては極めて遺憾に思います。したがって、司直の捜査と並行いたしまして、できるだけ早く全容が報告できるように御準備をいただきたいと思いますが、大臣いかがでございましょうか。
#9
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま局長から答弁がありましたように、証拠書類その他押収をされておりまして、また本人も勾留中ということで、調べようにも調べる方法がないというのが実態であります。ある程度警察当局では押さえてあるんでしょうが、まあ公表をするかしないか、それはよくわかりません。
 いずれにいたしましても、こういうようなことが二度と起こらないためには、綱紀の粛正ということが一番大切であり、また、制度のあり方について、管理監督が本当に全うできるかどうか、こういうような点も含めまして、国会終了後速やかに手数をかけて調べていきたい。そして、二度とこういうことの起きないように万全を期してまいりたい、そう考えております。
#10
○浜本万三君 先ほど局長から答弁をいただきました、この撚糸工連の事件に関連いたしまして通産省の官僚が二人逮捕されたということでございまして、これに対する遺憾の意が表明をされたわけでございますが、これをめぐる報道の中で、さらに、通産省の上級の官僚の皆さんが同席をしておったというような報道がございます。したがって、私は、この二人の逮捕だけでは済まないんではないかという懸念を持っておるところでございます。
 本件につきましても、前回の委員会で、同僚の梶原委員から、通産省はこの事件にかかわっていないだろうなということを質問いたしましたところ、絶対にありませんという御答弁であったわけでございますが、現にお二人の逮捕者が出たわけでございます。しかも、報道には、さらに上席の方がしばしば同席しておったという報道がありますれば、その懸念はどうしても消えないわけでございます。その点について重ねて、これ以上逮捕者は出ないということかどうか、お答えをいただきたいと思います。
#11
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは事実関係のことでございますから、我々としては、警察官じゃございませんし、留置して一人一人調べるというわけにもまいらないわけでございまして、我々の聞くところにおきましては、まずこれ以上はないというように信じておるわけであります。
#12
○浜本万三君 この事件の全貌を私どもが見ますと、多額の無利子の政府資金で事業を行ってまいりました撚糸工連が、通産省のOBの方を幹部に迎えて、そしてかつての同僚の皆さんや部下に当たる通産省の役員の皆さんと癒着をいたしまして多額の資金を引き出そうとしたところに問題がある。むしろこれは構造的な癒着の状態から汚職が起きたのではないか、かように思うわけでございます。
 したがいまして、大臣も先ほど少し答弁にございましたように、構造的な癒着ないしは不正が起きる状態を一刻も早くなくすることが当面の責務ではないかと、かように思うわけでございます。その仕組みをどういうふうにこれから変えていかれようとするのか、構想があればお聞かせをいただきたいと思います。
#13
○国務大臣(渡辺美智雄君) 具体的にこういうふうにしたらばいいという具体案は持っておりません。おりませんが、これは本当に、もともと非常に管理監督が難しいような制度じゃなかったのかなあという気が、私は今まで全くこれ勉強しておりませんので、門外漢でわからなかったわけでございますが、要するに機械を買い上げる。買い上げるといってもこれは何千、何万台というのを買い上げるわけですから、それが本当に登録された、買い上げる機械が正しいものであるかどうかという一つ一つの見分けをこれはしなきゃならぬわけですね。通産省の役人がそれだけできるのかと、実際問題として、それは数がいないんだから。ということになると、やはりそれは信用された組合の役員の立ち会いとか、県の職員の御協力とか、そういうようなものをやらざるを得ない。したがって、これはもともとその役員を信用しなければできない仕組みになっておるんだろうと思います。したがって、そこらにも矛盾はなかったのか。
 それから仮に、買い上げる金を貸すんだが、これはそのお金を無利息で貸すから、十六年間運用して、それで利息で後で元金を払うんですよという制度なんですね。十六年間これ本当に管理監督、たくさんのものをし続けられるのかどうなのか。これは商工中金に全部預けちゃうんだからできるんだという仕組みになっておるということでございますが、ここらに対する検討等、今後この制度を続けるとすれば、よほどこれは発想を変えてやらなきゃ、なかなか責任が負い切れないという問題も私は起きてくるんじゃないかと。したがって、制度の存廃も含めて、これは私は一遍徹底的に洗い直しをしなきゃならぬと。具体的にどうすればいいと今言われましても、そういうふうなことで時間を割いて勉強している暇ありませんから、少し時間のかかることであって、これは国会でも終わってから以外に方法は私はないと、極力それは調べて事故の起きないような仕組みをつくるということが先決であると、そう思っております。
#14
○政府委員(浜岡平一君) ただいまの大臣の御指摘は、既に何度か、幾つかの委員会で大臣のお口からも出ておるわけでございまして、私どもといたしましてもこの御発言を極めて重く受けとめている次第でございます。まさに制度の存廃というところから洗い直しをしなければならないというぐあいに思っております。その際、現在の繊維産業の置かれております状況というようなものも踏まえなければいけないわけでございますが、根本から一度発想を変えて考えてみるということも必要であろうかと思っております。
 また仮に、何らかの形でこの制度を、設備政策というようなものを存続してまいるといたしましても、ただいま大臣から御指摘のございましたように、できるだけたくさんの人の意向、意見、意思というようなものを反映をいたしまして、ダブルチェック、クロスチェックが十分にきくような見直しというようなものを行う必要があるんではないかと思っております。
 特に、全国一本の連合会が主たる責任を持つのがいいのか、各産地にございます組合に、あるいは各産地を所掌しておられます地方公共団体にもっと前へ出ていただくというような考え方もあるかもしれませんし、私どもといたしましては早急に検討に取りかかりたいと思っております。
 大変繊維産業を取り巻く状況も厳しゅうございますので、多くの時間をかけることは許されないと思っておりますけれども、二、三カ月のうちには何らかの結論を出さなければならないという思いを深くいたしておるところでございます。
#15
○浜本万三君 局長の御答弁で、あるいはまた大臣の御答弁で、二、三カ月のうちに抜本的な見直しをして、国民の皆さんが納得のいくような結論を出したい、こういう意思表示でございますので、私はそれを期待し、見守ってまいりたいと思います。
 ところで、この種連合会のようなものに融資をしておる事業の数と申しましょうか、それは幾つあるのでしょうか。また現在、設備処理をするために貸付金を早急にしてもらいたいという要求の出ておる箇所が何カ所があるか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
#16
○政府委員(浜岡平一君) この設備共同廃棄事業につきまして、これまで中小企業事業団から融資をいたしました業種は三十業種、累計額は約二千四百十一億でございます。これが累計額でございますが、先生御指摘の現在進行中の設備共同廃棄事業につきましては、七業種六団体において行われておるわけでございます。いずれも六十年度から六十二年度までにまたがる計画を有しておるわけでございます。
 現在私ども一番方向づけを迫られておりますのが、六十年度下期融資待ちというような状況になっている部分でございます。この制度は現在のところでは、まず転廃業者に限って適用するということになっておるわけでございますけれども、融資申し込みに先立ちまして、設備を先に破砕するということになっております。現在、その設備を破砕をいたしまして融資決定を待っております企業が四千六百十九企業ございまして、融資予定額といたしまして百五十五億円というような状況になっておるわけでございます。主として下期にずれ込んでおります分は、融資の一部を御承知のように府県が担当いたしますものですから、府県の議会における予算措置がいつの段階で行われたかということによりまして、たまたま上期、下期というぐあいに時期が分かれるわけでございます。
 この制度をめぐりまして、ただいまも御指摘のように大変いろいろ議論があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、いわばこの部分は経過的な部分といたしまして、何としても対応しなければならないんじゃないかとは思っております。ただ、ただいまのような状況でございますので、私どもといたしましては関係の連合会におきまして全面的な再点検をすることを求めております。まだかなり膨大な設備数でございまして、一万九千ぐらいの台数になるわけでございますけれども、できるだけ高い比率の部分につきまして、通産省通産局あるいは関係府県の職員を動員をいたしまして抽出チェックを行っているところでございます。
 この二つのチェックが終わりました後で、問題がないと判定できます部分につきましては、ただいまも申し上げましたように経過的なものでございますし、また一部の連合会の出向者の不心得ということはあるわけでございますけれども、個々の中小企業者には罪はないわけでございますので、その辺の判定ができましたときには、やはり融資決定を行っていただかざるを得ないんじゃないかと思っておるところでございまして、その辺はぜひ御理解を賜ればと思っておる次第でございます。
#17
○浜本万三君 今御答弁いただきましたように、非常に膨大な企業数、膨大な貸付金額が予定されておるし、そういたしますと、一連合会であれだけの事件が起きたんですから、たくさんある連合会ないし企業の中でも、この種事件がないだろうかという疑惑はどうしてもやっぱり生まれるわけでございます。これをなくするためには、局長が答弁をされましたように、早急に他の関係企業についても徹底した洗い直しをして、そして間違いないというところで早急に融資の決定をして政策の実施をやってもらわなきゃならぬと思っております。
 先般、社会党の調査団を金沢付近に出しまして、産地の方や業者の方々といろいろ懇談をする機会を得たわけでございますが、その際、業者の一部の方から、社会党が撚糸工連問題を取り上げておるから融資がおくれておるんだと、こういう発言をされる人もあるわけなんでございます。そういう間違った宣伝もあるわけなんでございますから、ぜひその点はきちっとして、政府の責任で問題のないところは融資をするということを、六十二年度までは法律で決まっておるわけでありますから、やるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#18
○政府委員(浜岡平一君) ただいま私申し上げましたのは、六十年度融資の残存分でございます。先生御指摘の発言者は、多分何かの錯覚があるんじゃないかと思います。
 石川県下の撚糸業につきましては、六十年度下期の融資待ちケースはございません。ただ、もちろん六十一年度、二年度の分というのはあるわけでございますけれども、この部分につきましては、先ほど申し上げました総見直しの結果を踏んまえて対応していかなければならないと思うわけでございますけれども、先ほど私ちょっと申し上げました、大変繊維産業自体は今の円高の中で不況に入っておりまして、転廃業のスピードも加速してくるんではないかと思っておりますが、こういう状況と、それから制度の妥当性あるいは制度の効率性、的確性というようなものとのバランスを十分吟味しながら適正な対応をしていかなければならないというぐあいに思っております。
 ただいまの先生の御指摘は重要なポイントといたしまして、今後私どもの検討いたします際に、十分頭の中に置かせていただければというぐあいに思う次第でございます。
#19
○浜本万三君 実は、最後に大臣の国民に対するおわびを兼ねた決意表明といいましょうか、心境をお話しいただきたいと思ったんですが、最初コメントされましたので、何回もこだわりを申し上げるのはぐあいが悪いと思いますから、これ以上重ねて大臣から御答弁をいただくつもりはございません。
 そこで、もう一つだけお尋ねをするんですが、最近、これも新聞報道等によりますと、通産省の係官の方が交通事故で亡くなっておられます。この死亡原因については、自殺であるとかあるいは事故でおるとかいうようないろんな記事を拝見するわけでございますが、ちょうど疑惑の真っただ中の担当官の死亡でございますので、できるだけ早くその原因を明らかにする必要があると、かように思っております。
 そこでお尋ねするんですが、まず、亡くなったこの方の仕事ですね、業務はどういうものについておられたのか。それから、フィリピン問題で国会でも随分大きな問題になっておりましたので、いろんな仕事が忙しくて過労のためにあるいは亡くなったんじゃないだろうかというような推測もなされておるようなわけでございますから、仕事ぶりあるいは仕事の当時の量などを中心に、今わかっておる範囲でいいですからお答えをいただきたいと思います。
#20
○説明員(岡松壯三郎君) お答え申し上げます。
 まず、あのような事故が起こりましたことは、私どもとしては大変遺憾であり、また残念なことであるというふうに思っておる次第でございます。亡くなりました越野事務官は、五十八年の七月以来、経済協力部の経済協力課経済協力調整室というところに勤務いたしておったのでございますが、具体的な担当は、東南アジアの中でフィリピン、シンガポール、インドネシアあるいは北アフリカ諸国に対する経済協力関係の案件を担当いたしておったわけでございます。彼は大変まじめな人柄でございまして、それだけに業務に対して真剣に取り組んでおったわけでございます。
 御存じのように、マルコスの文書が二十一日の明け方アメリカで発表になるということでございましたので、祭日にもかかわらず二十一日は午後から出勤をしてくれておりまして、文書を受け取り、それの整理をしておったということでございます。入手されましたのが遅く、しかも百ページ以上の英文の文書、しかも大変読みにくい文書であったりいたしましたので、それについて整理をいたしますのに明け方までかかったということでございまして、その日は役所に泊まって二十二日の朝を迎えております。
 二十二日も大変忙しくしておったのでございますが、彼だけではなしに、私自身も二十一日出勤いたしましたが、そのほかの職員もフィリピン関係の業務を行っておる者は多く出勤をいたして、この問題の解明に当たっておったわけでございます。土曜日もそのようなことで、たしか十時半ぐらいまで勤務をしてもらいました。日曜日は一段落いたしましたので休んでもらっておったわけでございますが、日曜の夕方あのような事故があったわけでございます。
 一部の報道では、彼は自殺をしたのではないかというふうに言われておるのでございますが、ここからはまことに本人の言がない今となりましては推測の域を出ないのでございますけれども、直前まで一緒にいた母親の言を伺いましても、また職場に一緒におりました私どもあるいは他の同僚の話を聞きましても、どうも彼がみずから命を絶つような状況にあったということは考えにくいのでございます。
 もちろん、先ほど申し上げましたような勤務体制、これは二十一日からお話し申し上げましたその前から大変忙しく、疲労していたということは事実でございます。しかしながら、それがそのような引き金になったというふうに直接は考えにくいような状況でございまして、あるいは雨でホームがぬれていた、あるいは吹きっさらしのホームでございますので、何か過って足を滑らしたのかということも考えられなくはない、まことに気の毒なことであるというふうに思っております。
 今後私どもといたしましては、残されました御遺族、実は六十四歳になられる母親が一人残されているわけでありますが、できるだけのことをして、彼の今までの努力に報いてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#21
○浜本万三君 今伺いましても、仕事熱心であったということで大変仕事ぶりがわかるんでございますが、役所として長い間同じポストにつけて、そしてその仕事に精通した専門家をつくることも結構なんですが、今聞くと、非常に長い間同じポストで働いておられるということがちょっとうかがえるわけですが、できるだけやっぱりそういう点も注意をする。そこに一つの疑惑が持たれて、そして新聞報道のような自殺説が出る原因があるんではないかというふうに思うんでございますが、そういう疑惑があるとするならば、早急に、疑惑は一刻も早く晴らして、そして一生懸命働いてくれた人の報いをしていかなきゃならぬというふうに思っておりますので、十分ひとつ今後も対応をうまくやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 以上で、大臣の冒頭の所信に対する質問を終えまして、今から化審法の問題についての審議に移らしていただきたいと思います。よろしいですか。――化審法の問題について質疑をいたしたいと思います。
 かつて、PCBの問題を契機にいたしまして、化学物質の中にはその使用に際し、あるいは使用後の廃棄を通じて環境を汚染したり、人の健康に被害を及ぼす物が出たわけでございます。現行の化審法は、そういう状況の中で制定されたわけでございますが、自来十二年間経過をしております。しかし、化学物質による環境汚染はいまだに進んでおるように思うんですが、化審法の制定によって環境汚染は防止されておるかどうかということをまずお尋ねをいたします。
 また、本法の施行後、事前に安全性のチェックを受けたものはどのぐらいあるだろうかということ。
 第三は、さらに特定化学物質の製造及び輸入の実績につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
#22
○政府委員(岩崎八男君) 先生御指摘のとおり、化審法は昭和四十八年に制定されまして、この法律によりますと、およそ新規の化学物質を製造または輸入をしようとする者は、その化学物質について通産、厚生両大臣に届け出、必要な試験実績を提出することになっております。これまでに、昨年末、六十年末までにそういった新規化学物質として届け出がございましたものが二千八百八十九件。そのうち、これまでに二千三百十件の安全確認を行っております。これは、最初に自然界における分解性の試験をやらせます。分解性がないということになりますと、じゃそれは人体内にどの程度蓄積するかという蓄積性の試験を追加的にやらせます。蓄積性があるということになりますと、その慢性毒性試験をさらに追加的にやらせる、こういう仕組みになっておりますが、そのいずれかの段階で安全であるかということで確認をいたしましたのが、今申し上げました二千三百十件でございます。
 それから、現在までに特定化学物質として指定されておりますものは、御指摘のPCBあるいはDDT等七品目でございます。この七品目については、現実の運用としてはその製造、輸入を許可しておりません。禁止しております。したがって、そういうものの製造、輸入はそれ以後、特定化学物質指定以後ゼロであるというのが実態でございます。
 こういうものをどのように評価するかということのお尋ねでございますけれども、私どもとしては、そういうことでPCB事件、不幸な事件でございましたけれども、そういうものを契機として、とにかくその後新しくこの世に出される新規化学物質については、すべてについて安全性のチェックをした上でなければこの世に出ていないという意味においては、環境汚染の防止に非常に大きな効果があったというふうに考えております。
#23
○浜本万三君 それぞれの国で化学物質による汚染の対応が違っておるので、そういう点についてちょっとお尋ねするんですが、同じような化学物質による事故が発生いたしましても、その国の生活様式でありますとか、気候とか、風土などの条件が異なるという理由で、他国のデータを参考に取り込むことが非常に少ないわけですね。国民の側から言えば、同じ事故でありながら、それぞれの国によってその取り扱いが違うのはおかしいじゃないかという疑問が起きておるわけなんでございますが、どうしてそういうことになるんでしょうか。この点わかりやすくひとつ説明願いたいと思います。
#24
○政府委員(黒田明雄君) 私どもも、海外におきます環境汚染事例につきましては、いろんなルートで情報を収集するようにいたしておりまして、そのために特別の予算措置も講じているところでございます。また防止技術、防止の方法等についても情報収集いたしますとともに、国際的な会議の場もございまして意見の交換などをいたしております。
 今、委員御指摘のとおり、さりながら、それぞれの国情によりまして規制の方法が変わってくるという面があるのでございますが、これはそれぞれ、例えばドイツ法系の国もございますし、アメリカ法系の国もございますし、それに日本にも独自のこういったものをミックスしたような一つの法律体系あるいは物の考え方というのが定着いたしております。その上に、事故の発生の仕方というものがいろいろと変わっておりますし、またその汚染の経路などについて必ずしも明確でないといったような事例もございます。そういうもろもろの事情から、それぞれの国において最も適切というふうな方式を講じているわけでございます。
 日本につきましても、そういった日本の独特の方法というものがございますけれども、しかしながら、日本の法制が他の国と違っているかと言えば、それほどには違っていない。一般的な考え方の上に日本的な特殊性が加わっているものというふうに考えております。
#25
○浜本万三君 これまでも、私どもが汚染物質の濃度を比較する場合に、一般環境中の濃度よりも排水口での濃度の方が高いという常識があったわけなんでございますが、最近は化学物質の汚染の状態を見ておりますと、そういう従来の考え方が相当変わらざるを得ないような気がいたします。それは汚染が蓄積型になってきておるという点、したがって生物、これは人間を含めまして何万倍にも濃縮された形で汚染されて細るわけでございます。したがって、個々の発生源を幾ら規制いたしましても、総量が大きくなれば問題の解決にならないというふうに思います。
 そこで、汚染防止の対策といたしましては、どうしても生産でありますとか、輸入及び使用その他の段階におきまして総量規制をすることが必要になってきておるのではないか、かように思います。この点について政府のお考えを伺いたいと思います。
#26
○政府委員(岩崎八男君) ある面で先生の御指摘のとおりだと思います。したがいまして、この法律というのは、排出の濃度というよりは、およそ日本国土にその物質がどの程度投入されていくのか、いわば生産あるいは外国から輸入されたものを使う、そういう形である物質が日本国土の上にいわばたまっていくわけでございますが、そのたまりぐあいは分解性等によって違うし、また生物体への影響はその蓄積性等の差異によって違いますけれども、いずれにしても、そういった分解性、蓄積性等を勘案しつつ、まさに日本国土に投入されるその総量を生産もしくは輸入といった側面から注目しようというようなことを基本的な骨格とする法律がこの法律である、そのように考えております。
#27
○浜本万三君 最近技術が進みまして、公害測定機器などが非常に精度の高いものが開発されておると伺っております。したがって、今後はごく微量の化学物質を含めまして汚染実態を把握することができるのではないか、かように思っておるわけですが、環境庁とされましては、こうした技術上の進歩改善の中で、今後どういうふうに環境対策を講じられていかれるのかお尋ねをいたしたいと思います。
#28
○説明員(海老原格君) 今、先生が御指摘になられましたような技術上の進歩には、常に対応していく必要があるというふうに私どもももちろん考えております。新しい分析機器をもちました分析方法等につきましても、環境庁で実施しております「化学物質環境安全性総点検調査」に取り入れているところでございます。今後ともこのたゆまず進歩している新しい技術を取り入れまして、環境中の化学物質につきまして、さらに一層充実した総合的な安全性の評価が行っていけるように努めていきたいというふうに考えております。
#29
○浜本万三君 日本の化学物質に対する規制方法というのは、一定の許容限度を示しまして、その範囲内で規制するということが多いわけでございますが、どうもそのやり方では現在の環境汚染を防ぐことはできないんではないか、かように思います。
 したがいまして、そういう許容限度を示して規制するということのやり方を若干もうちょっと工夫をいたしまして変えていく方がよろしいんではないか、かように思いますが、いかがでしょうか。
#30
○政府委員(岩崎八男君) 許容限度を変える、どのような方向へ変えるかということ、私よく承知しませんが、化学物質は今ざっと一万種ぐらいいろいろな国民生活、産業活動の中に使われていると思います。これ自体を直ちに悪であるというような形にすることは、現在の近代文明、近代産業の中で不可能だと思います。したがって、そういった有用な化学物質というものを、いかに同然あるいは人間生活の中で害悪をもたらすことなく利用していくか、このように考え、それについて万全の体制を整える、このような考え方でこの法律はつくられている、そのように考えております。
#31
○浜本万三君 変えていくということは、そういう汚染するような化学物質を放出する者にも責任を持たすということをひとつ取り入れたらどうか、こういう意味を私書いたかったわけなんですが、例えばアメリカにおきましては、有害物質の環境への排出は非常に大きな社会問題としてとらえられておりまして、かつてカーターさんが大統領時代に、総合的環境対策補償及び責任に関する法律なるものを制定いたしまして、環境汚染防止に努力をされておるということを伺ったわけでございます。
 この法律の性格というのは、伺ったところによると、基金をつくって、その基金をもって不法に環境中に排出された有害物質の除去でありますとか保管、それから住民の避難等に要する費用に充てておるわけでございます。その運用は連邦政府より、基金より一次立てかえをするが、その後原因者が判明をいたしました場合にはその代金を返済するというような制度があるというふうに聞いておるわけです。ですから、汚した者がやっぱり社会的な責任を持つというふうな制度もあわせて取り入れることが環境汚染を防止する大きな政策になるんではないか、かように思ったので一つの例を挙げながらお尋ねをいたしたいと思います。
#32
○政府委員(黒田明雄君) ただいま浜本委員御指摘のアメリカの制度でございますけれども、スーパーファンドと言われておりまして、これは有害廃棄物の不法投棄によります深刻な環境汚染に対処するために設けられたその種の基金でございます。
 現在我が国では、こういう有害物質の廃棄につきましては、水であれ大気であれ、また廃棄物であれ、それぞれの法制で規制が行われておりまして、この場合、我が国におきましては廃棄物の処理及び清掃に関する法律というのが中心的な役割を果たしていると思うのでございますが、これによりますと、事業者はみずから処理をして環境汚染のない措置を講じた上で廃棄が許されるという方法になっておりまして、そういう意味では原因者がみずからその原因をなくするということが法律の基本になっているわけでございます。私ども今考えまするに、この廃棄物処理法上では現在廃棄物処理対策としては整備されたものになっているというふうに考えておりまして、私どもとしては、この的確な施行ということを通じて環境汚染に対処していきたいというふうに考えている次第でございます。
#33
○浜本万三君 そういう方式はとらないということなんですが、日本の国で、私が承知しておる限りでは、こういう問題に対応する法律としては、公害健康被害補償法というのがあるようでございますが、これをさらに一歩進めまして、今言われたアメリカのスーパーファンド並みの法律をつくるように準備を進めた方がよろしいんではないか、かように思いますが、重ねてお答えいただきたいと思います。
#34
○政府委員(黒田明雄君) このスーパーファンドの制度については、既に私どもよく承知しているわけでございますが、この運用実態についてはまだ必ずしも明確でないところがございまして、アメリカのこのスーパーファンドの運用実態を勉強してみたいというふうに考えます。
#35
○浜本万三君 厚生省の方にちょっと伺うんですが、最近、WHOにあっては、地球レベルの汚染と人体影響との関係にメスを入れるための調査を開始した、かように伺っておりますが、本計画の概要を御承知ならばお知らせをいただきたいと思います。
#36
○説明員(渡辺徹君) 先生のお尋ねの件は、WHOにおいてただいま検討されておりますHEALSという計画の件だと承知いたしますが、このHEALS――ヒューマン・イクスポージャー・・アセスメント・ロケーションズの略で、HEALSというわけでございますが、地球レベルの汚染と人体影響との関係に関する研究の計画ということでございまして、これは国連環境基金によるプロジェクトの一環ということで、一九八一年の十一月にWHOが保健関連モニタリングコンサルテーション会合というのを開きまして、ここで提案された計画である。さらにその後、一九八二年の三月に保健関連モニタリング政府指名専門家会合ということで、専門家を集めまして具体的な検討が行われた。
 その内容でございますが、目的といたしまして、まず特定環境汚染物質による指定都市での人体曝露の正確な評価及び指定都市間の比較を行うこと。それから次に、環境汚染物質による人体曝露の総合モニタリングと評価のための統一方法を確立すること。それから第三に、人の健康保護のための環境コントロール戦略開発の基礎をつくること。それから四番目に、地域ないし国際的レベルでの特定物質の汚染状況の総合評価を行い、汚染傾向を把握すること。それから五番目に、国、とりわけ開発途上国の環境モニタリング及び人体曝露評価の能力を改善すること。こういう五つの大きな目的を持つ計画であるということでございます。
 もう少し具体的にイメージを申し上げますと、環境試料、例えば大気でございますとか水、食品あるいは生体試料、血液などの分析によるモニタリングのデータを、化学物質による生体への影響との因果関係を解明するより有効なデータとするために、まあ実際の生活におきまして、人が直接的に化学物質に曝露している状況を調査して、一般環境中にある濃度で存在する化学物質がある地点に居住する住民にどのような影響をもたらしているかということを、まず方法論を確立する。具体的には、例えば各国、一説によりますと十五カ国ぐらいを予定しているそうでございますが、対象として選ばれた地点に居住しております住民につきまして、直接摂取している大気、水あるいは食品、それから各住民の生体試料を分析しまして、その一定地域の住民が直接曝露をされております化学物質の総量を検討し、対策を講じていく、こういうイメージだそうでございます。
 ただ、私ども承知している範囲では、現在これらはまた目的を確立したと。イメージで申し上げましたように、その内容について現在専門家によりまして検討を進めているところだということでございまして、まだWHOの提案段階にあるということでございまして、その具体的な手法でございますとか、どこの国で行うかとか、あるいは今後のスケジュールというものについては、まだ具体的には決まっていない段階であるというふうに承知しております。
#37
○浜本万三君 大臣、今私がいろんなことをお尋ねいたしてまいりましたのは、結局、科学技術が進みますといろんな化学物質も使わなきゃなりませんし、それに応じて環境も汚染する。人体にも重大な被害をこうむるような状態になるので、世界のそれぞれの国は環境汚染防止について非常に重視いたしまして、それぞれ政策を進めておると、かように理解できるわけでございます。我が国も非常に科学技術が進んでおるわけでございますが、一方では貿易摩擦等の厳しい国際的な非難も受けておるわけでございます。進んだ科学技術を持っておる日本こそが環境汚染防止のもろもろの対策を精力的に進めていくことが国際的な信用を得るんではないか、かように私は思うわけです。それだけに、環境対策を重視する政策を進めてもらいたいと思うんですが、通産省、厚生省及び環境庁を代表する意味で、国務大臣としてのこれからの決意を伺っておきたいと思います。
#38
○国務大臣(渡辺美智雄君) これからやはりこの日本が繁栄をしていくためには、いろんな科学の利用をしていかなきゃならぬ。その中でも、やはりこのケミカル関係の利用というのは大きな役割を果たさなければならないと思います。しかし、使い方によっては公害問題を起こすということにもなりかねませんから、それを事前にチェックをしていく。一遍公害を起こすと、後復旧するというのは容易なことではない、事前にこれを防止するというために万全の策を講じようとするものでありますから、委員の趣旨に沿いまして、今後とも通産省挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
#39
○浜本万三君 次は、IC工場で使用しております化学物質の問題等につきまして、通産、環境、労働各省の方々にお尋ねをしてまいりたいと、かように思います。
 まず、通産省に伺うわけなんですが、日本のICメーカーは、近年金国的な規模で新規工場の設立を展開しております。IC工場は各地のテクノポリス構造の中心になっておるわけでございまして、全国既に八十四カ所に立地されておると聞いておるわけでございます。今や日本全体が、まあいわばシリコン列島と言っても過言でないような状態になっておるわけでございます。
 こうしたIC工場は、当初無公害であるとか、あるいはクリーン産業であるというふうに宣伝をされてきたところでございます。しかし、最近このような工場が全国で設置、立地されるに及びまして、爆発性があるとか爆発性のある原材料を使っておるとか、可燃性、毒性のある危険な化学物質を使っておるとか、あるいはまた、ガスと薬品を大量に使っておる化学工場ではないかというような、いろんな言葉がございまして、大変まあ心配をされておるわけでございますが、通産省はこのような実態をどのように把握されておるのか伺いたいと思います。
#40
○政府委員(杉山弘君) 御指摘のございました、半導体工場で使用されております化学物質につきましては、まあおよそ私ども五十種類を超えるものというふうに理解をいたしております。
 ただ、その中には、アンモニアでございますとか窒素でございますとか、ごくありふれた化学物質もございまして、まあいわば用途が比較的特定されているというような化学物質に限ってみますと、約三十種類程度ということになろうかと思います。こういったものにつきまして、私ども昨年二度に分けまして主要な半導体工場を対象に調査をいたしました。
 それによりますと、代表的なものについて申し上げますと、その使用量等々については以下のとおりでございます。
 最も使用量が多うございますのは、半導体の洗浄に使われます有機溶済関係でございまして、トリクロロエチレン、これが五十九年年間の使用量で六千四百トン、テトラクロロエチレン、これが二百五十トン、トリクロロエタンが千トンでございます。これらは非常に量が多いようでございますが、例えばトリクロロエチレンにつきましても、全産業で使用されているものの約一〇%、テトラクロロエチレン及びトリクロロエタンに至りましては一%未満という感じでございます。それ以外に、例えばモノシラン、これが十七トン、四塩化珪素六十二トン、弗化メタン七十七トンといったようなところが使用量の多い方でございます。三十種類程度ございますので、すべてについて申し上げるのは控えたいと思いますけれども、また、これらの化学物質の性状につきましては、中には毒性のないものもございますが、御指摘のように、ある程度の濃度になりますと人体に何らかの影響をもたらすようなもの、中には引火性の強いもの、また爆発性のあるものというものが含まれているのは当然のことでございますが、これも種類が多うございますので、一々につきましては控えさせていただきたいと思います。
#41
○浜本万三君 その中で特殊ガスの問題についてちょっとお尋ねするのですが、半導体製造材料の大半は薬品とガスであるという、大げさな話になるかわかりませんが、そういうことをよく言われるものですから、また製造工程で使用されておりますガスは特殊ガスが多くて、そのほとんどが人体に対して極めて強い毒性を持つと言われております。それで一回の吸入でも致命的な事故となるというふうに聞いておるのです。それではもう大変なことになるというふうに思っておるわけですが、このような特殊ガスはどういうものだろうかと多少疑問に思っておるので、そのガスの性質についてお尋ねすると同時に、先ほど使用量をちょっと言われましたが、どの程度使用されておるのかということ。
 それから次は、さらにこれを長期にわたって吸収といいましょうか被曝といいましょうか、被曝をした場合には労働者に多少影響があるのじゃないだろうか、あるいは大いに影響があるのじゃないだろうかと思うのですが、どんな障害を及ぼすような影響があるのかということについて、これは通産省と労働省になりますが、お尋ねをいたしたいと思います。
#42
○政府委員(杉山弘君) 特殊ガスにつきましても先ほど一部お答えを申し上げましたが、先ほどのお答えの中でまだ名前を挙げていなかったものにつきまして申し上げてみたいと思いますが、ホスフィゾというものが年間使用量約一・四トン、三塩化棚素が約四トン、そのほか四弗化メタンが七十八トン、三弗化メタン約七トン、フロン113が三十四トン等々となっております。
 この中には、先ほど申し上げましたように、毒性がある程度の濃度になりますと出てくるものと、それから全く無毒なもの、例えば四弗化メタン、三弗化メタン、フロン113というものは私ども無毒というふうに承知をいたしております。
#43
○浜本万三君 ちょっと頭が悪いので、今にわかに理解できないので、後でまたひとつその資料をお出しをいただきたいと、かように思います。
 労働省の方、ちょっと。
#44
○説明員(冨田達夫君) 半導体産業において使われているガスについては、特殊材料ガスとして我々約三十数種類について注目をしております。それらのガスはいずれも毒性が強いものでございまして、例えばシリコン系のガスのシランの許容濃度は五ppmという数字が、ACGIH――アメリカの労働衛生専門家会議で勧告されている数字でございます。そのほか、例えば砒素系でアルシンがございますけれども、これはさらにその毒性は強くて、〇・〇五ppmという勧告がなされております。
#45
○浜本万三君 問題なのは、それによって労働者に障害が起きる。何か伺ったところによりますと、既に七、八名の方が亡くなっておるという情報も聞いておるわけなんですが、ますますその数も増加するのではないかという心配を持っておるわけです。
 それからさらに問題になるのは、これら化学物質の多くが水質汚濁防止法や大気汚染防止法で直接規制の対象になっていないということでございます。また化審法では、使用量が多くなれば灰色の物質として今後検討をし、規制をするということになるのだろうと思います。また、元素または合金であるというので審査の対象から外されておるというものも聞いておるわけでございます。したがいまして、そうなってくると、これは大丈夫だろうかという心配があるわけなんでございますが、その点、我々が心配するようなことはないのだというふうなお答えが出るのかどうか、お答えをいただきたい。
 さらにもう一つ、これら多くの化学物質に対する分析、測定が定められておらないと思います。したがって、環境中にどの程度のものが出ておるのかということをチェックするのに困難な状態ではないかと思います。
 そういうことをいろいろ考えてみると、あれもタッチしてない、これもタッチしてないという行政のノータッチ態勢のような気がしてならないわけでございます。ノータッチということは対応が悪いということでございますので、それらの点を総合をして、これは早急に改善する必要があるのではないか、かように思いますので、第二点としてこの質問をさしてもらいたいと思います。
#46
○政府委員(岩崎八男君) 現行の化審法というのは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、それが環境中でどの程度分解性があるのか、今話題になっております例えばこのトリクロロエチレン、こういうものは分解性が非常に少のうございます。ところがその次の、ではそういうものが人体内にどのように蓄積するのか、この点で実はこのトリクロロエチレンというのはそれほどの蓄積性がない、そういう結果になっております。したがいまして、現行化審法では、そういった分解性も蓄積性も慢性毒性もみんなクロであるという場合にこの特定化学物質に指定でき、かつその場合規制できる、このような法制になっておりますので、蓄積性がシロ、シロといいますか余りないということのゆえに、実はこれは現行化審法の対象にはできませんでした。
 ただ、そういう事態というものが果たして万全だろうか、こういうような反省に立ちまして、そういった蓄積性がないものでも、分解性が少ないというものでございますと、生産量がどんどんふえていきますと、自然界における濃度といいますか、そういうものも大きくなっていく、それが放置されないように、化審法の中でそのようなものも一つのこの法律の範囲の中に取り込んでおく必要があるのではなかろうか、こういう考え方が今回この改正法を提出するに至った一つの大きな理由でございます。
#47
○浜本万三君 ですから、量が多くなってくれば将来捕捉できるような態勢をつくろうということはよくわかるのですが、しかしもう既に一九八三年、兵庫県太子町の東芝太子工場で、トリクロロエチレンによる飲料水汚染事件というものが起きておるわけですね。これはもう環境汚染として生活環境を破壊し、その結果人体にも致命的な傷を残すことが明白になっておるわけです。こういう事態の発生に対しまして、通産省は当面の措置として行政通達をされておるようでございますが、その内容について伺いたいことが第一。
 それから、むしろそういう事態になればもう少し進んだ規制をする法律をつくった方がよろしいのではないがという気持ちを私持っておるのですが、それらにつきましてお答えいただきたいと思います。
#48
○政府委員(杉山弘君) トリクロロエチレンによります地下水汚染についての通産省の指導通達等についてお尋ねがございましたので、お答えを申し上げます。
 私ども昨年の八月に、半導体工場からトリクロロエチレン等の有機溶剤を含みました排水が地下健浸透される、ないしは公共用水域に排出される場合につきまして、暫定的な基準を厚生省の水道水の基準に準拠をいたしまして設定をいたしまして、各半導体企業にこの基準を遵守するように指導をいたしております。また、有機溶剤の工場内におきます適正利用のためのマニュアルをつくりまして、これも関係の方面に周知を図っているところでございます。
 それから、先ほどお尋ねのございました特殊ガスにつきましても、特殊ガスのメーカー、さらには地方公共団体、学識経験者等々にお集まりをいただきまして、特殊材料ガス災害防止基準というものを昨年につくりました。この内容につきましては、漏えいした場合の感知体制を整える、またこれが火がついたりするおそれがございますから、防火体制をどうしたらいいか、また一たん火がついた場合の消火設備をどうするか、緊急措置の場合にどう対応するかというようなことを内容といたしました基準をつくりまして、これもその周知徹底を図っているところでございまして、できる限りの対応をこれまでしてきたつもりでございます。
#49
○浜本万三君 最近JC業界はより高度な商品製作のために高純度の薬品、この中に砒素も含まれておるというんですが、及びガス等の材料を自分の会社で生産をするとか、生成をするとかという上うに切りかえつつあるというふうに伺っております。これまで先端産業はクリーンだということで公害問題に余り縁が無いというような気持ちもあったのかおわかりませんが、比較的危機意識が乏しいという状況があると思うんです。そういう実態についてどのように把握されておるか。これは通産省と労働省、両省から伺いたいと思います。
#50
○政府委員(杉山弘君) 半導体工場が使用いたします原材料等についての内製化を進めているんではないか、こういう御質問ということで、私ども改めて関係企業に問い合わせておりますところでは、今のところそういう動きは全くないということでございますが、あるいは先生の方で具体的な何かお調べがありまして情報をお持ちでございましたらお聞かせ願えれば、私どもでもう一遍確認をしてみたいと思っております。
#51
○説明員(冨田達夫君) 半導体工場において特殊ガスそのものをつくっているということについては伺っておりませんけれども、特殊ガス等を混合調製して使っているという事実はあるようでございます。我々はこれらの実態についても今後ともその把握に努めてまいりたいと考えております。
#52
○浜本万三君 ですから生成ということを申し上げたわけでございますが、いろんなものを恐らく買ってきて混合しておるのかもわからぬと思いますが、また後で詳しいことはいろいろ相談さしていただきたいと思います。
 今後この半導体工場ほおいてガス体化学物質の生産量及び使用量が増大していくことは先ほどの御説明でよくわかったわけでございますが、労働省の見解によれば有害なガスがたくさんあるというお話もございました。そうであるとすれば、これは何らかの規制が必要ではないか、かように思います。しかし、本改正案によりますと、どうもこの物質は対象になっていないように私は思うんですが、その点どうか。また、今後どうすればよろしいか、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
#53
○説明員(冨田達夫君) 半導体産業で使用されている有害ガス等についての法規制の概要でございますけれども、その化学物質のうち塩化水素とかアンモニアなどの有害ガス及びメタノール、トリクロロエタン等の有機溶剤については中毒発生予防の観点から、またフロン系のガスなどの不活性気体については酸素欠乏症の発生予防の観点から、さらにシラン、ジボラン等の可燃性ガス等については爆発火災防止の観点から、労働安全衛生法により規制しておるところでございます。
#54
○政府委員(岩崎八男君) 工場内の労働者の安全という面からするそういう物質の規制については、今労働省からお答えのとおりでございますが、そういうものが環境中に放出され、その結果として人体に影響を及ぼすというようなことについての規制としては、この化審法はおよそ人為的な化合物すべてを対象にいたしますので、そういった化合物について改正法のこの規制にかかるということが本法施行後確定いたしますと、この本法の対象として取り扱われることになる、そのように考えております。
#55
○浜本万三君 もう一回ガスに戻ってお尋ねするんですが、半導体製造に用いられるガスには、高圧ガス取締法の適用を受けていないものが多いと聞いておるんですが、まずその実態。また、一九八四年、昭和五十九年ですか、に高圧ガス安全協会に特殊材料ガス保安対策推進委員会というのが設けられて、翌年三十七の特殊ガスについて災害防止自主基準を設定したというふうに伺っておるわけでございますが、自主基準であれば、これは法律的な規制はないように思うんです。
 そうなってまいりますと、人命にかかわる重要な安全基準というものが示されていないとすれば大変困ることなんでございます。本法律案がこれに対応できないことを知りながら、この規制をされていないことについては多少私は疑問に思うんです、先ほどから言っているように。その点はいかがでしょうか。
#56
○政府委員(黒田明雄君) 浜本委員のおっしゃられるいわゆる半導体ガスと申しますのは、有害なものも含まれておりまして、そういったものについて、しばしば実は不活性ガスで希釈いたしまして高圧の状態で使われるという実態がございます。
 それで、この高圧ガスという、これは高圧ガス取締法によって要件が定められているのでございますが、高圧ガスという圧力のかかった状態になりますと、高圧ガス取締法の適用を受けることになっておりまして、現在もその適用がございます。ただ、この高圧ガス取締法では基準でもって種々決めているわけでございますけれども、この半導体産業等の先端産業分野におきます製造工程での使用実態というのはいろいろございますので、具体的にこの実態に即した規制あるいは安全な取り扱いが保障されるようにということで、高圧ガス保安協会において先ほど委員御指摘のような特殊材料ガス災害防止基準というのが取りまとめられております。
 この高圧ガス保安協会でございますが、これも高圧ガス取締法に基づいて設立されております協会でございまして、その特殊法人でありますこの保安協会は、いわばこういった基準を設定するのに適当な団体であり、かつまたこの高圧ガスを使用する産業界におきまして種々意見を述べ、安全を確かめ、やっていくということで、いわば機能を果たす団体でございますので、こういう保安協会において定めている。
 もう一遍申し上げますと、全体としては高圧ガスである限り高圧ガス取締法の適用があり、その中で使用実態に即した具体的なあり方について高圧ガス保安協会でただいまのような自主基準を定めている、こういうことでございます。
    ―――――――――――――
#57
○委員長(下条進一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、伊藤郁男君が委員を辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。
    ―――――――――――――
#58
○浜本万三君 次は、労働省と通産省の方に伺うんですが、さっきから議論しておりますように、IC工場で使用される化学物質には人体に悪い影響を及ぼす物質やガスがあるというふうに説明をいただいたわけでございます。
 したがって、今後の働く人たちの安全を確保するために、通産、労働両省は使用者に対しまして使用物質についての危険表示を徹底するとか、あるいは作業場の安全措置を講ずるとかいうような対策を十分講じてもらいたいと、かように思いますが、いかがでございましょうか。
#59
○説明員(冨田達夫君) 危険有害物質を使っている労働者の安全衛生を確保するために、労働安全衛生法では、まず労働者を雇い入れたりあるいは労働者の作業内容を変更したときには、その労働者に対して原材料等の危険性または有害性等について教育を行うよう事業者に義務づけているところでございます。また、労働者を法令で定める危険有害な業務等につかせるときには、特別の教育を行うことをあわせて義務づけているところでございます。
 さらに、トリクレン、トリクロロエチレン等、労働者に健康障害を生ずるおそれのある一定の化学物質につきましては、その物質の人体に及ぼす作用、取り扱い上の注意事項、中毒が発生したときの応急措置等について作業場所に表示をすることを義務づけておりまして、現在その徹底を図っているところでございます。
#60
○政府委員(岩崎八男君) いわゆる半導体ガスと総称されますもののうち、どういう物質が改正法の中においてどのように位置づけられるか、これは施行後の問題でございますけれども、一般的に申しますと、今回の改正によりまして第二種特定化学物質に政令指定されますと、その取扱業者――製造業あるいは輸入業あるいはそれを販売する業者は、そういう環境汚染の防止の見地からする諸種の表示をすることが義務づけられることになります。それから、第二種特定化学物質の段階に至りません前でも、指定化学物質になりますと、この法律工事業所管大臣はそういう表示について担当事業を指導、助言するという形になっております。
#61
○浜本万三君 まだこれから取りかかられるわけですからね、第二種化学物質にもまだ全然指定されていないわけなんでございますから、早急にひとつ万全の体制を確立していただくように希望をいたしたいと思います。
 それから、労働省の方に一つお尋ねするんですが、この労安法ができまして相当時間がたつんですが、有害物質としての捕捉率が非常に少ないように思うわけなんですよ。私の聞いたところでは五十二年に法律が改正されて、私もそのときに参画をしたんでございますが、一つも有害物質を捕捉していないといううわさを聞くんですが、どうも怠慢じゃないかという気がするんですが、その点の実情はどうでしょう。
#62
○説明員(冨田達夫君) 先生御指摘のように、昭和五十二年に労働安全衛生法を一部改正いたしまして、化学物質の有害性調査制度を導入したわけでございます。
 さらにその化学物質等について、もし具体的な規制が必要であるかどうかという御議論になった場合には、毒性が強くて重篤な障害の発生のおそれがあるものであるということと、それから障害が多発するおそれのあるものであること、さらには作業現場の労働者がどの程度の曝露を受けているかという実態を調べた上で必要に応じて決定していって追加することとしておるわけでございます。特に半導体製造工程で使用される化学物質につきましては、現在実施しております調査研究の結果を踏まえて具体的に対処していく考えでございます。
#63
○浜本万三君 今言われました調査結果というのは、一九八五年から二カ年計画で「半導体製造工程で使用される化学物質の危険有害及び使用実態調査」というのでございますか。
#64
○説明員(冨田達夫君) 昭和六十年度並びに来年度二年間かけまして現在専門家に調査研究を依頼しているところでございます。
 その内容について申し上げますと、まず国内外の関連資料の収集、それから作業工程、原材料ガス等の使用実態及びそれらに対する対策の概要の聴取、原材料ガス等の有害性に関する文献の検索等を現在行っておりまして、それらをもとに実態の把握及び対策の検討を鋭意進めているところでございます。
#65
○浜本万三君 先ほどからいろいろお尋ねしておるんですが、これからというお答えが非常に多いわけなんで、これから日本の産業もああいう先端産業が非常に進むという状態でございますから、なお一層速度を速めていただきまして、調査を早く終えて具体的な安全対策を講じてもらうように希望をしておきたいと思います。
 それから、最近IC工場からの排出物の処理が今後の環境保全に大きな影響があるということが言われております。それはIC産業環境保全対策検討委員会の報告書を拝見いたしましても、その気持ちが非常に強く感じられるわけでございます。
 通産省の方でも工業技術院に命じまして、半導体産業を中心に排水、廃液、廃棄物についてのテクニカルアセスメントを実施するように表明をされておりまするが、この進捗状態は今どうなっておるか伺いたいと思います。
#66
○政府委員(等々力達君) ただいま工業技術院では、半導体を含みます先端技術産業の環境への影響に関する調査を実施しております。この調査結果を踏まえて行政の方でこれを参考にしていただくということでございますが、この対象とする先端技術産業の内容といたしましては、半導体、それから高機能性高分子材料、ファインセラミックス及び新金属材料、主な四つの業種でございます。
 この調査内容といたしましては、まず第一に、この先端技術産業で使用する物質の調査でございまして、ある一定量以上使用される物質をまず調査いたします。
 それから二番目といたしましては、環境に対する影響等が出る可能性の実態を把握するという調査を行います。先端技術産業で使用される物質のうち、使用方法などによっては環境に対する影響が懸念されるわけでございますので、そういうものの実際の事業場における使用の実態を調査することといたしております。
 それから三番目に、環境規制法の体系等との関係に関する調査を行うということで、二番目に申し上げました調査を踏まえまして、現在の事業活動に伴って相当範囲にわたる環境影響の可能性のある物質について公的な規制、それから自主的な規制等の現状を調査いたしまして今後の環境対策の検討の基礎資料としたいと、そういうことで、現在結果を取りまとめ中でございます。
#67
○浜本万三君 工場と地方自治体の公害防止協定締結の状況についてちょっとお尋ねするんですが、これまではさっきも申しましたように、政府のクリーンビジネスというお墨つきをもらって、信用して、地方自治体が地域振興の目玉としてこのIC工場を誘致したわけでございますが、その後いろんな情報によりまして、大変これは危険な要素が含まれておるということを承知するようになってまいりました。そこで公害防止協定を結ぶという空気が出ておるのではないかと思いますが、その数は今どの程度になっておるのか、また内容がわかればお知らせをしていただきたいと思います。
#68
○政府委員(杉山弘君) 半導体工場が立地しております地域の地方公共団体と企業との間の公害防止協定の締結状況でございますが、私どもが代表的な工場約百三工場につきまして調査をいたしましたところ、公害防止協定を既に締結しておるという回答がありましたところが三十二工場、締結をしていないという返事がありましたのが三十工場、建設中その他を含めまして回答が寄せられておりませんのが四十一工場、こういうぐあいになっております。
#69
○浜本万三君 それに関連をして伺うんですが、去る三月十四日だったと思いますが、日経新聞によりますと、川崎市は、六十一年度から未規制物質を中心に半導体工場の環境調査を行うことを決定したと言われておりますが、これに対する通産省の評価、あるいは環境庁の評価並びに見解を承りたいと思います。
#70
○政府委員(杉山弘君) ただいま御指摘の件につきましては、立地をいたしております地域の地方公共団体がおやりになるということでございます。私ども、これについては結構なことであろうかと思っております。
#71
○浜本万三君 化審法の今後の運用方針について希望を申し上げ、お答えをいただきたいと思うんですが、化学物質の有害性調査に関する法律といたしましては今回の化審法があると思います。しかし化審法では、同一事業内で全量が他の化合物にされるようなものは適用除外になっておると思います。
 第二に、現在七つの化学物質が特定化学物質に指定されているものの、今日の半導体工場で使用されている化学物質でその対象となっておるものは非常に少ないと思います。今後本法がざる法と呼ばれないためにも、同法の運用を一層厳正にしていただくと同時に、それぞれの調査が進んでその調査結果が出ると思いますから、それに基づいて法律の見直しをする必要があるんではないか、かように思いますが、いかがでございましょうか。
#72
○政府委員(岩崎八男君) この法律は、化学物質が一たん環境中に出まして、その環境の汚染を通じてそれが食物連鎖等によって人体に影響を及ぼす、そういう視点からする安全確保の法律でございます。したがいまして、工場内で最終製品をつくるまでの間できます中間物については、そういった製品として外界に出、使用され、環境中に放出されるということを前提としておりませんので、この法律の対象にはなっていないというのが実態でございます。
 それから、そういった七つの特定化学物質は現在まで政令指定しておりますが、その他新規化学物質についてはすべて四十八年度以来チェックしてまいりましたけれども、そういったチェックが、現行法の中へ取り込むについての基準が狭過ぎるために、化学物質の安全性の十分な確保になお不十分ではないかという反省のもとに、今回の改正案を御提出申し上げている次第でございます。
#73
○浜本万三君 他にたくさん質問通告をしておったんですが、時間の関係上若干前へ急ぎまして、環境庁と通産省に次の質問を申し上げたいと思います。
 環境庁によりますと、十年以上環境モニタリングを続けた結果、通産省が食分解性と判断いたしました八十二物質のうち、二十八種の物質が環境中から見つかっていると報告をされております。現実の環境汚染に対して、実験室だけの調査では限界があるんではないだろうかと私は思っておるんですが、したがって化学物質の安全調査については固定した概念というものを捨てていただいて、柔軟な対応をしないと、後々悔いを残すことになるのではないかと思っております。そのためには、常にその対応について監視をするような地道な努力が必要ではないかと思います。
 そこでまず第一は、通産省とそれから環境庁の食い違った内容についてひとつ伺うと同時に、今後どのような考え方でこの対策を進められるのかお伺いをいたしたいと思います。
#74
○政府委員(岩崎八男君) この法律は、化学物質が環境中において分解性あるものであるかどうか、これがチェックの第一関門でございます。ただ、分解性というのは百またはゼロではありません。一〇〇%を瞬時に分解するのが分解性があり、いつまでたってもゼロであるというのが分解性がないということではなくて、それは食分解性か難分解性か、程度の問題であると思います。
 そこで、現在はある基準を設けて、そういう以上の分解性をもつものを食分解性としてこの法律のまず第一関門としてチェックするわけでございます。したがって、ある時点においてそういうものが環境中に残る、これは当然想定されておるところでございます。ただ、それが何ppmとか何ppbとか、そういう非常に安全度を見込んで人体に影響を及ぼすおそれのないような程度でありますと、それ自体特に問題とするには足りない、このような判断に基づくものでございます。かつ、食分解性というものは、その後どんどん新規に追加されない以上、最終的には自然界の中で他に変換していくということが想定され得るものであるというふうに考えます。
 ただ、環境庁等が行いますこういったモニタリング、これは最終的な現実、実態の確認として決定的なものでございますから、そういうものの今後の実情については十分注意を払いながら、そういった食分解性とか難分解性といった判断に十分しんしゃくしてまいる必要がある、そのように考えております。
#75
○説明員(海老原格君) 今、岩崎局長から御答弁があったとおりでございますが、食分解性とされた化学物質につきましても、実際に環境中に放出される量、こういったものが多ければ環境中から検出されるということは事実だろうと思います。
 環境庁といたしましては、専門家の方々の意見を聞きながら、環境残留性が高いと予想される物質を中心にして環境調査を行っております。その結果として、通産省側の安全性点検との差と申しましょうか、そういうものが出たのではないかというふうに考えております。
 環境庁におきましては、今申し上げましたように、環境残留性が高いと考えられる物質につきまして環境調査を順次実施しておりますし、その結果等を踏まえまして必要な意見を申し述べていくなど、環境保全の見地から遺漏のないように積極的に対応しているところでございますが、今後ともそういう観点から監視をきちんと続けていきたいというふうに考えております。
#76
○浜本万三君 それに関連しまして、私は環境庁に大いにやってもらいたいという気持ちを持った文書を見たわけですが、つまり先般発表されました化学物質調査検討会総合検討会の中間報告の中で、ここが非常に気に入っておるんですが、今後は化審法をパスした物質も環境中にあるかどうかを調べるというように、通産省にある意味での警告を発しておるんですが、これは大変いいことだと思っておるわけです。
 何にもかえがたい人間の健康については、だれしもこれは無視することはできないと思います。したがって、この点をしっかりと環境庁で自覚していただきまして、国民が安心して暮らせるような環境行政を進めていただきたいと思います。これは希望しておきたいと思います。
 それから次は、通産省と厚生省の方にお尋ねをするんですが、毒性の問題でございます。きちんとした毒性試験は、一物質当たり二年から三年かかるというふうに私聞いております。また、費用の面でも数千万円から億の単位になるんではないかということも伺っております。そのために企業に大きな負担をかけてはいけないという通産省の考え方が出ておると思います。したがって、過剰なデータの要求をしない、非常に控え目になってくるわけでございます。
 これに対しまして、厚生省は毒性の方を担当しておられますから、厚生省との間で多少議論があってしかるべきだと思うわけなんですが、その議論も多少あったように報道をされております。これは人間の健康を無視することができないという立場から、両省のその点の議論のエキスの点を御報告をしていただきたいと思います。
#77
○政府委員(岩崎八男君) この必要な限度において必要にして十分な試験をする、これが大原則でございます。その際、それではそういう化学物質が世に出ます前に、どういう試験を事前にやったらいいか、これについてOECDで統一した勧告が出ました。したがって、そのOECDの勧告した統一基準に基づいて今後試験を行う、これが原則でございます。このことは、今回の法律改正の一つの大きな契機でございまして、日本国は十二年間の歴史を世界に先駆けてこの試験についても持っておりますけれども、国際的な共通基準にのっとるようにしようというのが今回の一つの方針でございます。それはしたがって、国際的な共通する基準に基づく試験を行おう、これが第一でございます。
 ただ、これはいわばそういう何千種、何万種と出てまいります化学物質が、いわば上市前、プレマーケティングと言っておりますが、市場に出る、出ないについてのスクリーニングの試験でございます。その後、本当にこれはこれだけたくさん生産され、自然界にも放出されておる、これについてもっと厳密な試験をした方がいいんではないかという、追加試験というものをもう一つ必要に応じできるようにする、この二段階の試験のチェックを今回の法律改正においては用意しておる。そこの中身については、もちろん法律施行後の具体的な省令として、これは厚生、通産、環境庁総理府令、この三省庁共同の省令として出しますけれども、基本的な考え方はそのような考え方にのっとってやっていくものでございまして、そういう意味において厚生、通産両省において意見の相違はないと、そのように考えております。
#78
○説明員(渡辺徹君) 先生御承知のように、現行化審法におきましては、分解性、濃縮性それから毒性、いずれかのデータでシロということになりますと、特定化学物質にするというような規制ができない。
 今回私ども共管する省といたしまして提案させていただきました案、難分解性のものにつきまして毒性の評価はできるということでございまして、私ども厚生省といたしまして、毒性の評価を行うに当たりましては、実効のあるデータをとりたいと、こういう私どもなりの希望がございまして、通産省とも十分に協議をさせていただきまして、OECDの統一的な見解を参考とする今回の案を提出させていただいたという経過でございまして、議論の過程で私どもとして実効あるデータをとりたいということで、私どもなりのを提案をさせていただきましたが、私どもも通産省には私どもの立場を十分に御理解をいただいたと考えております。
 今後もさらに細部の検討をいたしていくということになるわけでございますけれども、十分に私どもの考え方を関係省庁と協議をいたしまして理解を得ていくと、そういうつもりでございます。
#79
○浜本万三君 先ほどの御答弁では、OECDの統一基準を使いたいというお話であったんですが、私が聞いた範囲では、OECDは三十八項目の検査項目ということになっているにもかかわらず、日本は二十八項目しかやらないんだと、こう聞いておったものですから、OECDの基準のとおりやらないんだなと思っておったんですが、今の答弁間違いないですか。
#80
○政府委員(岩崎八男君) OECDの基準にのっとった試験の項目基準を今後つくっていきたいと思います。
 ただ、それはOECDの現在四十項目弱提案されておりますそれを、すべてやることがそれにのっとることではない。それはどのようなものが適当か、基本的にはのっとってまいりますけれども、各国の実情に応じてその中の項目を今後省令として決めていきたいと、このように考えております。
#81
○浜本万三君 ですから、そのとおりにやるということじゃない答弁なので、私はできるだけ毒性については検査項目をふやす、また国際基準に合致したものをやって、国際的にも信用を得ると、また、日本の国民にも安心をさせるというような、そういう姿勢であってほしいと、かように思っております。
 時間が来ましたので、最後に大臣に締めくくりの御答弁をいただきたいと思うんでございますが、私どもは、何といってもやっぱり環境汚染を防止するということ、ひいては人間の生活の安全ということを確保するということ、これが一番重要な使命だと思っております。しかし、お尋ねをしてまいりましたこれまでのお話の中では、必ずしも十分その希望を満たされておるとは言えません。これから調査する、研究する、そして対応するということが多いわけでございますので、早急に私どもが安心するような体制を確立していただくように、力強いひとつ所見をいただき、質問を終わらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#82
○国務大臣(渡辺美智雄君) 化学物質の安全性確保ということは非常に今後とも重要なことでございますから、この法律の成案を待ちまして、一層実務的に充実をしてまいる決意であります。
#83
○委員長(下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十二分開会
#84
○委員長(下条進一郎君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#85
○松岡満寿男君 せんだっての大雪で大変交通関係が乱れまして大きな影響があったわけでありまして、改めて、非常に私どもは日常便利さの中にどっぷりとつかって生活をしておるんだけれども、一たんやはり歯車が狂うとあらゆる危険、混乱というものが周辺にあるんだなということを昨年の日本航空の事故とあわせて考えさせられたことであったわけでございます。
 またしかし、本国会におきましても、天候状態に例えますと、雪が降ったり、やりが落ちてきたりするような状況でありまして、各駅停車になってみたり、いろいろと皆様方に御協力いただきながら、しかしその中で、参議院一体何をしているんだという声が聞こえてくる中で、先議案件であります化審法、これが皆さん方の御協力で質疑が進むということはまことに喜ばしいことであるというふうに思うわけであります。
 しかしながら、すべての問題につきましては、すべての結果が出る前に原因というものがあるわけでありまして、今回渡辺通産大臣のも針発言、また平泉長官のマルコス問題、さらに昨日のまことに残念な現職課長の逮捕という問題が出てまいりました。商工委員会関連で言えば、相撲の星取り表でいきますと初日、二日、三日と連続黒星が三つ続いたと。しかし、これからが大物大臣、長官がおられるわけでありますから、十二日間白星が続けば優勝することもこれはできるわけでありますから、そういう気持ちでひとつ大いに頑張っていただき。たいというふうに思うわけであります。
 私自身は地方の市長を三期ほどさしていただきまして、どうも質問するより答弁する方に非常に関心がいっておるわけであります。大臣のこの前の御発言等につきまして、真意に対する若干の誤解というものもあったでありましょうし、なるほどニューリーダーあるいはニューニューリーダーと言われる大臣にとられましても、大変周囲の人たちは注目して大臣の言動というものに対して見ておるわけでありますから、平素まさに大変な使命感に燃えられまして、私利私欲を捨てて本当に国政のために、あるいは現実的な処理につきましても大変行動的にやっておられまするし、すぐれた人格、識見をお持ちであるわけでありますけれども、今後ともひとつ十分に、せっかくの国民的な庶民性に対する親しみというものを国民は持っておるわけでありますから御注意をなさいまして、特にまた本委員会につきましてはそれなりのレベルにおいての質疑を十分に尽くしてまいりたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。
 まあ一つ気になりますのは、かつてのロッキード問題によりまして、我が国の航空機に対する取り組みというのが十年、二十年おくれたという評論家の見方もございます。また今回マルコス問題、特別委員会でやりますし、また汚職問題につきましては司直の手に渡っておるわけでありますから、本委員会での問題というのはないわけでありますけれども、やはりそういうことによりまして我が国が国際的な責任を今負いつつある、貿易摩擦その他の中におきまして。そういう中におきまして対外経済援助というものについて十分なチェックをするのはいいんですけれども、非常にしり込みをしていくということについては、やはり十分に我々は考えていかなければいけない問題がありはしないか。
 また今度の撚糸工連一連の問題につきまして、省内における綱紀を粛正されるのは当然のことだと思います。しかしながら、随分いろんな面で省全体がやはりダメージを受け、心を痛めておられると思います。その中において、本当に必要な施策を推進していく上において障害になってくると、このほかにもスフとかいろんな業界があるわけです。業種の転換もしなきゃいけない、あるいは当面は何といいましても円高対策を積極的に進めていかなきゃいけない、そういうものに対する融資とか施策というものがこれによってブレーキがかかっていくということについては、これは非常な私は危惧をいたしておりますので、そういう問題につきましてはどうぞひとつ自信を持って、今後とも責任ある立場におきまして施策の推進をお願いをいたしたい、このように前段申し上げておきたいと思うわけでございます。後ほど御所見があればあわせて承っておきたいと思います。
 何はともあれ、本日は法案審査でございますので、化審法につきまして質疑を行いたいと思います。
 今回の法改正の必要性、緊急性でございますね。せっかく先議案件ということで、参議院でまず審議をいたすということでございますので、この辺の問題につきましてまず大臣のお考えを承りたいと思います。
#86
○国務大臣(渡辺美智雄君) この法律案は、化学物質による環境を経由した人の健康に被害が及ぶのを防止する、そういうような観点からつくられるものであります。
 PCB類似の症状を有する化学物質の審査、規制を行うことを目的に、昭和四十八年には先進国に先駆けて化審法というものを我が国が制定をいたしました。しかしながらその後非常に時代が変わりまして、各国間の化学物質の規制の様態等も違いが出てまいりました。そこでこれらの化学品の貿易の障害になるというようなことでは困りますものですから、OECDの場でも勧告がなされておりますので、それらを基準にして国際的な規制を取り入れていくということが必要ではないか、そういうような観点から、今回特定化学物質に該当しないような化学物質であっても、その生産とか用途が非常に広まっていって、それで環境を汚染する、あるいは人体に影響が出てくるおそれがあるんじゃないかと、こういうようなものについて新しい措置を講じて、未然に被害を防止しようという趣旨で本法案を提出したわけでございます。
#87
○松岡満寿男君 我々の先祖が営々として追求してきたことは、食糧をいかに確保するかでありましたし、片方は安全をいかに確保するかということであったと思うわけです。この安全を確保する立場から、過去非常に我が国におきましても、昭和四十年代中期から環境問題あるいは公害問題、そういう中におきまして住民意識も大きく変わってまいりまして、それに対する法律規制というものがそれぞれの省庁によって行われてきた。これは必要なことであったし、それなりの評価はできるわけであります。しかしながら、その段階におきまして、地元企業とかそういうものに対する大変なコストの面での、片方はやはり負担になっているということも事実であります。あるいは先ほどロッキードの話をいたしましたけれども、そういう分野についての研究開発というものについてブレーキがかかった、そういうものも過去においてあったんではないかと思うんです。
 この改正によりまして、企業の負担がやはり以前よりふえてくるという部分が当然あるわけでありますけれども、そういうものが、どの程度のものが予測されるのか、あるいはそれによりまして化学物質の開発意欲をそぐ部分がありはしないかという懸念があるんですけれども、化学工業の研究開発に支障を来すという部分が、おそれがないのかどうなのか、その辺をお伺いいたしたいと思います。
#88
○政府委員(岩崎八男君) 今回の改正によって試験方法を変えるといたしますと、これ細目にわたってはまだ詰めておりませんけれども、多分何百万円かその製造者にとっての負担になっていくんではないか、このように考えております。ただ、経済性を無視したような不必要な負担を避ける、この配慮はもちろん一方において必要でございますけれども、他方、何か有用ならばやみくもにつくってもいいということにもこれまたなりませんで、やはり化学品の開発というのは、今後とも安全性の確認を含めた開発であるべきである、これは基本だと思います。
 したがいまして、私どももそういった面からする必要にして最小限の試験、確認というものは、もしその開発者が中小企業といえども当然負うべき負担ではないか、このように考えている次第でございます。
#89
○松岡満寿男君 トリクロロエチレン等を規制しますと、聞くところによりますると、クリーニングとかそういう中小企業あるいは零細企業、そういう段階に対する企業活動、そういうものに影響がありはしないかということを懸念するんですけれども、その点はいかがでしょう。
#90
○政府委員(岩崎八男君) 確かに、今度はそういった化審法の対象になります物質を使用する側におきまして、今御指摘のトリクロロエチレン等、もしこの化審法の対象として今後規制されることになりますと、これの非常に多い使用者として、例えばドライクリーニング屋さん、全国には八万数千あるようでございますが、そういう企業が、ある影響を受けるということになります。
 現在、私どもが考え、御提案申し上げておるこの改正法案によりますと、そういった使用者について、第二種特定化学物質になりますと、一定の技術上の指針を公表し、それを守っていただく、こういうことになりますが、そういうことによってできるだけ利用は最大限しながら、環境中への排出はできるだけ抑えてもらおう、こういう趣旨のものでございますけれども、これはやはりその使用の形態によって技術上の指針も異なってまいると思います。
 そういう非常に数万点にも分散した使用場所、そこを一〇〇%押さえるような技術上の使用の指針をつくって、それを遵守させるということも最終的には必要かと思いますけれども、そういう技術上の指針というのは、効率性を考えますと、むしろ一カ所において多く取り扱われている地点、企業、そういうところ、そういう業種からそういった技術上の指針を決め、それのできるだけの遵守をしていただくということが今後の運用としては考えるべぎことではないかと。もちろん、利用の仕方によってできるだけ環境庁の許容限度までいくのをおくらせる、これの発想によるこういう規制でございますけれども、最終的には生産量あるいは輸入量の量的直接抑制という別途の手段を持っている、用意しているわけでございますから、その途中経時におけるそういった技術上の指針の遵守というものは、そういった使用の規模、業種等によって効率的な運用を図るべきだ、そういうふうに考えております。
#91
○松岡満寿男君 今回の改正のきっかけというのは、やはり諸外国における規制の実態に基づいておるんだろうと思うんですけれども、これはどうなんでしょうかね。今回のこの基準というものは、諸外国に比べて過剰になっておるのか、どうなのか。その辺の比較についてはどうでございましょうか。
#92
○政府委員(岩崎八男君) これは、私どもの化審法が、世界に先がけてつくりましたこの種法律の最初でございますが、その後、七〇年代あるいは後半に入りましてアメリカあるいはEC諸国でもこれがつくられるようになってきております。ただ、各国おのおの法制が違いますし、特に米国とEC諸国とでは、ある基本において若干違うところがあるように受けとめております。EC諸国は、現在試験方法について言えば、ある程度OECD統一勧告に従ったものを今整備しつつあります。したがって、私どもの今回のそういったOECD統一基準と共通するものをつくるといたしますとほぼ同じようなものになると、このように考えております。
 米国のこの種法律は必要に応じて、その必要と判断される限りにおいて、行政庁の側でその試験を次々に追加要求していくと、これは日本国においてもこの追加試験という制度を今回とろうとしておりますのですが、必要に応じてずっとそれを追加していく、そして必要に応じて用途規制その他を進めていく、こういった法制になっておるやに聞いております。したがいまして、日本国の今用意しようとしておりますこの規制あるいはそのための前提としての試験、こういうものが特に諸外国に比べて過重であるというふうには考えておりません。
#93
○松岡満寿男君 今回の改正による規制と、それぞれ水濁法とか大防法とか、大気関係ですね、それぞれ発生源とか、そういうものによって規制がいろいろありますね。そういうものとの関連で二重とか三重の規制にこれなる部分というのはあるんでしょうかね。企業活動というものに、国民の健康と安全を守るためにさまざまな規制、そういうものが必要であることはもちろん論をまたないわけでありますけれども、ある面では、不必要と言うと表現が悪いかもわかりませんが、そういう過重な負担を企業活動に加えていくという部分が行政の中に間々ないかという懸念もあるわけでありますけれども、そういう点についてはいかがでございましょう。
#94
○政府委員(岩崎八男君) 確かにこれは日本国に限りませんけれども、化学物質についてもいろんな視点からのいろんな法制規制がございます。毒物及び劇物取締法もそうでございますし、農薬関係、飼料関係、あるいは放射性物質の関係、あるいは労安法はもちろんでございますが、おのおのの視点からする規制の対応がございますし、そういうものと調整しながらダブル規制しないような形に法制度そのものを持っていくという配慮が必要でございます。また運用もそのようにしなきゃいけないかといって逆に言えばそういうことのゆえにあるエアポケット部分ができてもいけない、こういうことだと思いますんですけれども、今御指摘の例えば水質汚濁防止法との関係もその一つだと考えております。水質汚濁防止法によりますとそういったある使用地点の排出について排出部分における排出規制が可能でございます。
 私ども今回単に生産あるいは輸入というような量的規制以外に、その生産の過程あるいはそれを使用する工場における使用の過程についても、いろいろ技術上こういう使用の仕方をした方がいいんじゃないですかという、先ほど申し上げました技術上の指針を公表して、それの遵守を進めていきたいと思いますけれども、これはそういった排出のところのというよりは、むしろそういう生産する過程、利用する過程における例えばクローズド化とかあるいは回収利用の促進のシステム、そういうことについてこれをできるだけ進めていくことによって気化とか、あるいはそういう排水中にまじって排出するとかいう経路での環境への化学物質の排出総量をできるだけ抑えていきたい、このような視点から進めていきたいと考えております。
#95
○松岡満寿男君 学生時代に和辻哲郎の「風土」という書物を読んだことがあるんですけれども、湿潤的風土と乾燥的風土の人間に及ぼす影響とか、それ以外に我々の気質というものはやはり農耕型民族特有の日本民族のすぐれたいろんな面がありますですね。外国とのつき合いの中では、諸外国はやはり遊牧民的な部分がありますから、狩猟型民族といいますか、それぞれやはり民情も、その考え方、さまざまな違いがある、そういう中で狭い国土の中で非常に安全に対してシビアに対応していく、これはやはりいわゆる我が民族の勤倹貯蓄の精神であるとか、あるいは正直で中庸をとうとぶ精神とか、あるいは報恩感謝の精神、そういう基本的な特質の中から非常にまじめにやっていく、非常に私はすばらしいことだと思うんです。
 しかしながら、昨今の、現在我が国行政改革、財政再建、教育改革、いろんな中におきまして問い直されている部分というのは、政治の経済性というのは一体どうなるんだとか、一つのやはり効率的な面から物を見るという部分も多少必要な部分がありはしないか。そういう角度から見ますると、大臣にお伺いをいたしてみたいんですけれども、化学物質規制を行うに当たりまして国民の健康を最優先すべき、これは先ほど来繰り返しておりますように論をまたないことでありますけれども、これまでの公害規制の例を見ますると、かなりお金もかけ、もう念入りに、例えば昭和四十年代の中ごろに私ども瀬戸内海の方でも水銀問題が発生しまして、数年間にわたって漁業組合がとった魚を買い上げて、全部コンクリート詰めにして埋め立てに使う。そういうことをずっと長年やってくるというようなこともやっておったわけです。
 実害がどうだったかというのは、これは過去のことですからどうにもならないわけでありますけれども、必要以上の負担を企業活動に強いていくという場合もそれはあり得るわけですね、これは安全を守るにはそれはこしたことはないわけですから。しかし経済のバランス、こういう規制の実効性とその負担との調和、非常に難しい問題でございますけれども、それに対します通産大臣の御所見があれば伺いたいと思います。
#96
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは本当に難しい問題で、どこで線を引くかということになりますと一律的になかなか決めかねる、やはりケース・バイ・ケースではないかと、そう思っております。
 しかしながら何といっても人間の健康を守るということは最優先をされなければならない問題でございます。またそれを業としておる者にとりましても、やはり最小限度の規制は、これは仕方のないことでございまして、また当然の自分の仕事の責務、自分のつくったものによって他人様の健康を害するというようなことがあってはならぬわけでありますから、多少用心に用心が過ぎるかというように言われましても、そこらの点はある程度は仕方がないのではないか。そこらのところを現状に照らしまして、監督官庁といたしましても余り行き過ぎはできないように十分注意をしてやっていきたいと思います。
#97
○松岡満寿男君 ただいまの問題につきまして大臣の御所見をいただいたわけでありますけれども、環境庁おられれば、この問題につきまして、これまでの公害規制による負担と実際の効果、そういうものを総合的にどのようにとらえておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#98
○説明員(山岡通宏君) 公害規制は、今ありましたけれども、申すまでもなく国民の健康を保持し、生活環境を保全するという観点から行っておりまして、適切に行われているというふうに考えております。
 なお、最近の大企業におきます公害防止投資額を見ますと、企業種を見まして三千八百億円程度になっておりまして、設備投資全体に占めます割合も五%程度ということになっておりまして、全体として見ますとそれほど大きな負担にはなっていないということで考えております。
#99
○松岡満寿男君 トリクロロエチレン等によります環境汚染について、汚染の原因とかそれから汚染ルート、そういうものについてはどの程度解明をされておるんでしょうか。
#100
○説明員(坂本弘道君) 地下水の汚染でございますが、汚染物質が地表から地下にずっと浸透していく経路にいろいろ粘土層があったり、かつまた水の水位がいろいろ変動したり、いろいろ地層上の難しさが一つあるわけでございます。それから水の動き方も地表と地下によってはいろいろ違ったり、そういう複雑な挙動をしておりまして、そういうことからいわゆる汚染メカニズムというのは非常に複雑であるということが一つございます。
 それから、このトリクロロエチレン等を使っております工場だとかいろいろな使用目的が非常に広くございまして、地域によりますと幾つかの業種が点在しておったりして、それが、どれがどう汚染の原因になっておるかというふうなことをつかむのがこれまた非常に難しいというようなことで、現時点で言いますと、この汚染経路、それから汚染源を特定するのは大変難しい問題があるというふうに考えております。ただ、環境庁では五十九年度からこの地下水汚染機構の解明のための調査を行っておりまして、今後こういう調査は一層努力してまいりたいと、かように考えております。
#101
○松岡満寿男君 化審法関係の質疑はそれで大体終わりたいと思うんですが、ちょうど基礎産業局長さんもおられますので、質問通告いたしてはおらないんですけれども、鉄鋼関係でございますね、私は鉄鋼出身だからそういうあれをするわけでもないんですけれども。
 急激な円高が来まして、片方で隣の韓国あたりはウォン安になってきているというので非常にプレッシャーかかってきておりまして、急速に厳しい合理化努力の中で、いわゆるブーメラン現象の再現という形に今なってきているんですね。片方は政策的に円を高くし、片方は恐らく政策的にこれは安くしている。そうすると、かなり何十%という差がついてくる。そういうことに対して、やっぱりアメリカでも鉄についてはある面では守るという姿勢があるわけですね。軽薄短小の時代になっているとはいっても、基礎的なやつはきちっと守るべきは守っていかなきゃいけない立場に私は立つべきであろうと当然思うわけでありますけれども、この辺につきましてはどの程度実態を把握しておられ、そしてある程度の対応について恐らく検討しておられると思いますけれども、もしよろしければその辺の経過等についてお述べいただきたい。それで私は質問を終わります。
#102
○政府委員(岩崎八男君) 鉄鋼業の現状については先生十分、むしろ私ども以上に御承知のとおりの厳しい状況にございます。確かに輸入も三百万トン、あるいはことしはそれを超えるかとも思いますけれども、程度の輸入が既に行われている。しかも、それが特定品種に集中している。厚中板とか熱延薄板とかいうようなことで、そういう特定品種については相当な輸入圧迫になっているんではないかというふうに考えております。ただ、こういう輸入について、片や三千万トンも輸出している国が、その輸入三百万トンあるいはそれがふえるからといって、それについて保護的措置をとるということはやはり今できないし、むしろやるべきではないというふうに考えております。ただ、それが例えばダンピングとか、そういった不当な国際貿易上も認められないような、そういった貿易形態で入ってくるとすれば、そういうことについては我が方としても十分の監視策をとっていくべきだろうと、このように考えております。
 また、日本の鉄鋼業は、私は今、そういう意味で円高等も特にございまして苦境にありますけれども、その技術水準あるいはその品質水準等からまいりましても、今後とも世界の鉄鋼業のやはりリーダーシップをとっていくべき国だろう、業種だろうと、そう思っております。一億トンという生産量が今後ふえるということはないかとも思いますけれども、それをどんどん縮小していくべき状況にはないというふうに判断しておりまして、そういうものを世界一流の鉄鋼生産国としてどのように保持していくか、ここは今その鉄鋼産業当事者自体が懸命に新しい技術開発等を通じて、あるいは懸命なコスト削減努力を通じて実現していってもらわなきゃいかぬ、このように期待しております。
 私どももそのときどきの需給にあわせた、あるいは需給の適正な実現のために、あるいは輸出面におけるいろいろなトラブルの回避のために、政府としてできますことがあれば側面から支援してまいりたい。また技術開発についても、私どもの技術開発政策、今急速に強化されつつあると考えておりますけれども、そういう一環としてぜひ鉄鋼業の新しい技術開発についても支援をしていきたい、こういうふうに考えております。
#103
○松岡満寿男君 突然の質問をいたしまして大変御無礼申し上げました。ありがとうございました。
 十分以上残っておりますけれども、これで質問を終わります。
#104
○伏見康治君 先ほど松岡君の質問に対して、大臣は、現在の化審法は、十二年前ですか、制定されたのは世界に先んじてだという意味で、誇らしげに言われたと思うんですけれども、いつも物まね国民と言われている日本としては、自分の独自の判断でつくったという意味においては確かに誇っていいと思いますが、しかしその発端となったカネミ油症事件というものは余り自慢できない事件だと思います。今後いろんな法律等の改正についても、審議する前に過去のいろいろな出来事について倣うということが極めて大事だと思いますので、現行の化審法ができたその事情、それをまず伺っておきたいと思います。
#105
○政府委員(岩崎八男君) 御指摘のとおり、本法は昭和四十八年、あのPCB問題そのものは四十三、四年ごろだったかと思いますけれども、そういうPCBによるカネミ油症事件等化学物質によって慢性的な人の健康に被害を及ぼすことがあるということについて非常に強い日本国における認識が広まり、それを契機としてこの法律が制定されたということは御指摘のとおりだと思います。
#106
○伏見康治君 PCBという物質は。その当時の私たち、いわゆる科学者の意識では、非常に化学的に安定な物質であって、したがって危険性のないものである、だから大いに使ってよろしいというのが使う前の判断であったと思いますね。いわば化学的に非常に安定な物質であるということが、カネミ油症事件では実は裏目に出て、人体の中まで潜り込んでいったということがあって、化審法の中に出てまいります難分解性、蓄積性、毒性という三本柱が出てきたと思うんですが、そういうふうに理解してよろしいですか。
#107
○政府委員(岩崎八男君) そのとおりだと思います。
#108
○伏見康治君 そういうことであるといたしますというと、現行の化審法というのは、多分にPCBというあの事件そのものにいわば即して考えられた法律であって、工業的に生産されるいろんな新しい化学物質がどう環境汚染をするかということを組織的に考えた上でできたものじゃなくて、当座出てきた問題に対応するためにつくられた、悪い言葉で言えば、こう薬張り的な法律であったのではないかと思うんですが、その点どうお考えになります。
#109
○政府委員(岩崎八男君) 評価をどうするか、これはなかなか難しいところだと思いますし、またいろいろな視点からするいろいろな法制がある中で、包括的な何らかの法律をつくることが可能か、あるいはそれが望ましいかという問題があろうかと思います。
 ただ、午前中の御質問に対しても申し述べましたように、いずれにしろこの化審法が成立、その後十二年間運用されることによって、PCB等の七物質についてはその後生産、輸入等が禁止されておりますし、またこの十二年間新たに世に出されようとする新規化学物質については、先ほど御指摘の三つの視点からする事前チェックがなされた上で、それが生産もしくは販売されるようになったということは事実だと思います。
#110
○伏見康治君 今のお話の中に出てまいりました七物質、PCBからDDTに至る七物質というものは、法律が制定されてから何年間かの間に取り上げられた物質だと理解しておりますが、こういう特定化学物質というものがなぜこれだけ挙げられたのか。まだほかにたくさんあり得ると思うんですが、なぜこの七つだけに限定されているのか。また、この七つが採用された特別な理由といったようなものがあったら教えていただきたい。
#111
○政府委員(岩崎八男君) この法律ができまして、それ以降つくられたものについては、あらかじめ今の分解性、蓄積性、慢性毒性のチェックがなされ、それが三つともクロであれば当然にいわばつくられない、製造できないということのゆえに、新しいそういった種類のものは出てこなくなっておる。片や、それまでの既存化学物質については、いろいろな知見から、危険度の高いものから国が今の三つの点についての試験を進めてまいりました。そういう中で、分解性試験から始まって慢性毒性まで試験した結果、既存化学物質についてこの七つが、この三つともクロであるという結果になりましたので、これを現行法の特定化学物質に指定した次第でございます。
#112
○伏見康治君 今言われました七つの物質はどういう規制を受けているんでしょうか。
#113
○政府委員(岩崎八男君) 現行化審法による特定化学物質という政令指定になっております。
#114
○伏見康治君 それは具体的にはどういうことになっているんですか。
#115
○政府委員(岩崎八男君) これは政令指定されますと、その製造しようとする者は、あるいは輸入をしようとする者は、あらかじめ通産大臣の許可を受けなければならない、こういうことになっております。
 現在は、その運用として、当時の国会の附帯決議等もございまして、現実にはすべて許可しないという運用でやってきております。
#116
○伏見康治君 全然許可しないという方針が私にはいささかわからないんですけれどもね。
 近ごろ、いろんな面で日本全体が少し過保護になり過ぎて、例えば小学校で、指をけがするから鉛筆削りのナイフは持たせてはならぬというようなことは、私は教育上からいって甚だおもしろくないと思うんですね。危険なものは危険でないように使う訓練をしなければいけないと思っているんですが、それと同じで、危険な物質ということを、十分危険だということを承知していて、それを上手に使いこなすということが科学技術時代に対処する道だと思うんですね。危険性があるからそれを全面禁止するという態度は余りよくないと思うんですが、その点とういうふうにお考えになりますか。
#117
○政府委員(岩崎八男君) 御指摘の面もあろうかと思います。
 現行法においても、クローズドの中で使われる、かつ代替物がないというようなものについては、そういう用途制限のもとに使ってもいいという建前、考え方にはなっております。ただ、そういうクローズドで使う、代替物がないという今の法律要件に適合するような、そういうものとしてなかなか説明ができないという面が一つあろうかと思います。
 もう一つは、やはりそういうものを現実に、じゃ、生産も若干許可しましょう、使用も許可しましょうということでやり出したとしますと、多分、これは推測でございますが、直ちに環境容量に達しまして、再び製造なり使用を制限しなきゃいけなくなるんではないか。そういう意味で、現実にそういう法律の建前をそのまま今の七つの品種について弾力的に運用しようとするのは、現実問題としてむしろ望ましくないのではないか、このように考えます。
#118
○伏見康治君 ところで、現行の化審法ができる前にPCBや何かはあったわけで、法律ができてからの対象物質ではないわけなんですが、以前にあったPCBはその後どういうふうに処置されたのか。その大体の考え方、処分の大体の考え方を説明していただきたい。
#119
○政府委員(岩崎八男君) このPCB、当時大きく分けて三つの用途になっていたと思います。
 一つが熱媒体用に使用されておりました液状のものでございます。これは今、PCBをつくりましたメーカーに回収され、そこに厳重なタンク、例えば防油堤を築かぬといかぬとか、そういうむしろ消防法の危険物のタンク並みに扱われたタンクの中に回収、保管されております。その数量が今約七千トンでございます。
 それからもう一つの利用の仕方は、電気機器、トランスとかコンデンサーに使われておりました。これについては、廃棄物処理法に基づきまして、一定の基準に従って使用者がこれを使用済みになったら保管することになっております。その保管状況が、トランスは約三千台、コンデンサーは約四万六千台が今保管されておるというふうに承知しております。
 もう一つの使い方は、このPCB入りノーカーボン紙、複写用紙みたいなものですが、これについては、五十四年に調査した資料によりますと、千七百トン残っておったわけですが、それはそういうユーザー側において廃棄物処理法に従い保管されておる、こういう状況になっておると承知しております。
#120
○伏見康治君 相当膨大な量をただ寝かせておくということは、かえってまた危険をはらむような感じもいたしますが、その焼却といったようなやり方、つまりほかの安定な物質に、ほかのもっといい物質にかえるといったような、そういう方法はなぜ考えないんでしょうか。
#121
○政府委員(岩崎八男君) この残存PCBの保管あるいはその後の処理、これは環境庁において現在考えてやっていただいておりますけれども、いろいろ環境庁の側においては自治体、メーカー等を指導いたしまして、これの安全な焼却方法について研究を進めてきております。そういうための実験炉による実験も多分、私承知しているところでは昨年行われたというふうに承知しております。したがいまして、そういう安全な炉による焼却ということを、今後地元住民と地方自治体等の御理解を得ながら進めていかれることになるんではないか、このように考えております。
#122
○伏見康治君 環境庁から何か。
#123
○説明員(片山徹君) 環境庁といたしまして、現在、地元でこの液状廃PCBの保管ということに対しまして大変な不安が高まってきております。そのことから、兵庫県及び高砂市から要望がございまして、その要望を受けまして、昨年の七月に、大気保全局に液状廃PCB高温熱分解試験検討会という検討会を設けまして、環境への安全性の確保に十分配慮しながら、昨年の十二月に試験を行いました。現在、その結果を取りまとめているところでございます。
#124
○伏見康治君 PCBの後始末について伺いましたが、もう一つの例題として、DDTの方の後始末はどういうことになっているんでしょうか。
#125
○政府委員(岩崎八男君) DDTは残存物というのはないと思っております。もちろん新規の製造、輸入はゼロでございます。
#126
○伏見康治君 DDTというのは、戦争直後に私たちは大変御恩になりまして、おかげさまでノミに苦しめられていた私はノミから解放されたわけなんですが。
 私の友人に佐々先生という大変偉い害虫を駆除する方の専門の先生がおられまして、その先生が、先日お会いしたときに述懐して言われることは、私は専ら発展途上国へ行って、病気の伝播の原因になる蚊を駆除するということを非常にいいことだと思って、一生をかけてそれをやってきたと。ところが、近ごろ行ってみると、駆除をしたおかげでいろいろな環境の変化が起こりまして、例えば蚊を駆除いたしますと、人間が森林の中にいわば平気で入っていけるようになる、マラリアにかからずに済むということで、今までは森林が怖いから入らなかったのに平気で入っていくようになって、森林の伐採がどんどん行われるようになって、環境破壊が進行しつつある。
 それで、佐々先生の述懐というのは、つまり、いいと思ってやっていたことが実は裏腹になって、結果において必ずしもいいことじゃなくなってきたということを言われておったのですが、日本の中では、私は逆に考えるべきではないかと思うんです。つまり、いまだに発展途上国でDDTを必要とする国というのが相当あるはずだと思うんですね。そういうところにDDTをつくってあげて差し上げるということは、私はいいことではないかと思うんですが、その辺のお考え、これはどなたに聞いたらいいのかよくわからないけれども……。
#127
○政府委員(岩崎八男君) これは世界観の問題なり倫理の問題だと思います。アマゾン流域等においてDDTがなければ、どんなに人間の健康を害されるか知っているか、こういうことを指摘される方もございます。したがって、これはその国、その社会の一つの考え方の問題だと思いますけれども、少なくとも今、日本国においては、そういうDDTを生産したりあるいはそれを輸出しても、やはり地球汚染という意味では同じではないかというようなことで、そういうものに加担すべきではないという意見があったからこそ、この法律制定時にそういった国会附帯決議がなされたのではないか、このように受けとめております。
#128
○伏見康治君 国によっていろいろ事情が違うということの例を挙げたようなことになったかと思うんですが、したがって、今度の化審法の改正というのは、その出発点がOECDというところで何か決まった。それに対応するためのいわば化審法の国際化ということが一つの要因であるように伺っているわけですが、その際に、日本の立場というのとヨーロッパ諸国の立場あるいはアメリカの立場といったようなものがそれぞれ違っている。違っている中でどういう共通点を見出すかという大変な御苦労であったろうと思うんですが、一方からいえば、世界的に共通の基準というもので物事を処置したいという希望もあるわけでして、特にいろいろな化学物質の貿易というような観点から申しますと、その貿易が自由に行われるためには各国の基準が共通している方がいいという要素もあると思うんですがね。その国の特殊性ということと世界共通であるという要請と、この二つをどういうふうにお考えになって今度の法律をつくられたか、伺いたいと思う。
#129
○政府委員(岩崎八男君) 確かに、OECDの化学品グループにおいて試験方法を統一しようではないかという検討がなされてまいります。その過程において、私どももそこに参画し、それまでの私どもの経験に基づく主張もしてまいりました。私自身は専門家ではございませんのでその場に居合わせませんでしたが、MITI法――この化審法に基づく分解性や蓄積性試験方式自体、MITI法と呼ばれて、今回のこの統一行動の中にもそれが入り込んでおる、このように承知しております。
 これは御指摘のとおり、この貿易等を行うときに、おのおのが同種効果を持つにもかかわらず、別々の試験方法をやるのは不合理であり、かつNTBになりかねないではないか。だから、同じ効果、目的を持つものについて同一の試験方法をとったらどうだろう、こういう発想に基づくものだと思います。したがって、試験方法を同一にすることでありまして、その判断については、おのおのの国がそれぞれの国の実態に応じて判断することでいいんだろう、このように考えております。
#130
○伏見康治君 それで、その試験する項目というのか、略語でMPD――ミニマム・プリマーケッティング・セット・オブ・データ、何かMPDと称するものがOECDで決まっているそうでございますが、それは先ほどの同僚議員の質問にも出てきた、何か三十何項目という大変たくさんの項目があるようなんです。日本もそれを大体取り入れて、それを基準にして、それに該当するものをおつくりになった。それで今度の法律の中に出てくるんだろうと思うんです。ただ完全には一致してなくって、急性毒性データ、生態毒性データに関する項目が除外されているというふうに伺っているんですが、そうであるかどうか。それから、それがなぜであるかといったようなことについて。
#131
○政府委員(岩崎八男君) この現行化審法におきましては、試験というのは一種のシリーズでやられていたわけであります。つまり、分解性を調査し、その分解性がクロであれば蓄積性の調査をし、蓄積性もクロであれば慢性毒性の調査をする。なぜならば、慢性毒性試験というのは、非常に時間もかかりますし金もかかります。したがって、そういったそれ以前のものが法律上の要件に該当しないということがわかれば、そこまで進む必要はないではないか、このような論理に基づく法体系であり、それのような運用であったかと思います。
 今のMPDと申しますのは、あらかじめマーケティングの前にその三つについてスクリーニング試験をしよう、セットとして、ということでございますので、慢性毒性のスクリーニングについてもすべての化学物質が最初からやられなければならない、こういうことになります。片や、OECDのこのMPD――試験をするときこうしましょうというこのセットは、それをどのような法律によって各国適用されるかは、これは前提にしておりません。いろいろな国がいろいろな法律によってそういったMPDの一部あるいは全部を進めていくのだろうと思います。
 日本国の場合には、この化審法というのは、化学物質が一たん自然界に出まして、それが人体へ摂取され、慢性毒性を及ぼすか否か、こういうものについてチェックし規制しよう、こういう法律でございます。したがって、例えばこの劇物毒物、こういった急性の毒性のものは、本来この法律の対象から外されております。したがって、この化審法の運用について、MPDにあります急性毒性のための試験というのは、少なくとも本法の施行には必要がない、こういう判断でございます。
 それからもう一つ、このMPDの中には、ミジンコとかあるいは藻に対する、つまり生態、エコロジーに対する化学物質のミニマムの影響を試験したらどうかという、その試験をする際には、藻をこう使う、ミジンコをこう使うといった、そういったものが入っております。ただ、これも、少なくとも現行化審法あるいは今度の改正化審法も、環境を通じて人間の健康を損なうおそれがあるものについてチェックをし規制しよう、こういう法律でございます。もちろん、もっと包括的に、全自然、これに対する化学物質の汚染等をどうするかという問題が残っているということは事実だと思いますけれども、そういう面について、例えばヨーロッパ、北米等における酸性雨の問題等見ましても、化学物質あるいはそれの発生と、それがそういうエコロジーなり生物層に及ぼす影響について、これは余りにも問題が大きくて、そういうところまで法律の問題として今検討できる状況にはないんではないかというふうに考えております。
#132
○伏見康治君 ただいまの通産の方の意見に対して環境庁はどういう御意見でしょうか。
#133
○説明員(海老原格君) 生態系に対する問題というものは、我々環境庁といたしましても今鋭意調査研究中でございます。ただ、やはり何分にもある意味では自然を相手にするということでございますので、非常に大きな問題であるということで、もう少し何か検討するだけの時間が要るのではないかという考えでございます。お答えになりましたかどうか、こういうことでございます。
#134
○伏見康治君 もう少し追及したいけれども、必ずしも通告してなかったからここでやめておきます。
 OECDのお話の中には、そのGLP――グッド・ラボラトリー・プラクチスという言葉が出てまいりますんですが、これについてひとつ御説明をお願いいたしたいと思います。
#135
○政府委員(岩崎八男君) OECDでは、先ほどのMPDのほかに、今御指摘のGLPについて勧告がなされております。これはそういったいろいろな試験をするについて、その試験者の信頼性を国際的にも確認し合おうと、こういう発想によるものだと考えております。つまり同一試験をやろう、その同一試験はだれがしたか、それは何かえたいの知れないものではなくて、GLPという基準に従って各国が認定した信頼性ある試験主体によってなされたものである。そういうものであるならば、相互にそのままそういうものとして結果を認め合えるではないか、こういう発想に基づくものだと思います。いろいろなこの試験設備あるいはそれの記録の方式、こういうものについて一定基準以上でなければそういったものとして認めない、こういう内容のものでございます。
 これについて、我が国も既にこの十二年間化審法運用の中でこういったたぐいの試験に通暁した機関、主体というものが育ってきてはおります。昨年の十月以来これまでに四つの試験機関をこのGLPとして、グッド・ラボラトリーとして私どもも認定いたしました。今欧米諸国でもそういったグッド・ラボラトリーの認定が進められております。これが進められますと、これについての国際間の取り決めをすることによりまして、相互間にそういった試験結果についての共通性の制度的基盤というのができてくると考えております。
#136
○伏見康治君 大変いいお話だと思うんですが、過去の日本のお役所の考え方だと、そういう試験をやるというようなところはお役所の息のかかったところ、お役所自身でやるか、あるいは特殊法人みたいなところがなさるのが普通のやり方であったわけです、過去においては。今度のGLPというのは、住友ですか、何か今言われた四つというのはいずれも民間の団体だと思うんですが、そうでしょうか。そして、昔の考え方と今の考え方と何か切りかわったように思うんですが、どういうフィロソフィーの変換があったのか。
#137
○政府委員(岩崎八男君) 確かに米国等では、環境庁自体が数百人という陣容を持っておりまして、自身でやる分野が多いようでございます。
 ただ、日本国においては、現実問題としてそうした陣容を行政府が抱えることができませんので、そういう的確なものであれば、民間であれ、あるいはいろいろな公益法人であれ、認定していって、むしろそういうものが育っていくことを期待する、こういう立場でございますが、現在この四つ認定いたしましたものも、三つは株式会社の研究所でありますし、一つは財団法人の研究所でございます。
#138
○伏見康治君 中曽根総理大臣の民活――民間活力の利用という意味合いかとも思いますが、私はヨーロッパのいろいろな例から申しますと、民間の権威ある試験機関を育成するということは大変大事なことだと思いますので、その線でやっていただきたいと思うんですが、具体的にはそういう四つの機関を健康に育てて、検定の仕事がちゃんと立派にやれるということのために、国としてはどういう、援助か何かするんでしょうか。
#139
○政府委員(岩崎八男君) これは、この法律に基づくいろんな試験を受託して、それが一つの組織の活動の主体になります。したがって、その意味では競争でございます。
 ただ、化審法制定当時そういうものがなかなかございませんでしたので、私どもとして先ほど申し上げました一つの財団法人もつくりました。この財団法人はそういう民間からの受託の一つの機関として育ってきておりますと同時に、そういういろいろな試験方法の開発についても、私ども必要な補助金等を出したりして、例えば魚類による蓄積性試験等については相当な実績を持つようになってきておるということで、そういう試験設備あるいは試験方法の開発については若干の援助を続けてまいってきております。
#140
○伏見康治君 一般的にOECDの決められたことを基本的には日本が受け入れて、国際的に摩擦のないようにやっていこうという方向性は大変結構だと思うんですが、実際問題として必ずしもうまくいかないという面もあるのではないかと思うんですが、そういう、つまり将来何か摩擦が起こる、Aという国でいいと言ったものがBという国ではいけないというといったようなことが起こり得るかとも思うんですが、そういうことは相当あり得るとお考えでしょうか。また、そういうときには日本としてはどういうふうに対応なさるつもりですか。
#141
○政府委員(岩崎八男君) 今後これの運用面、これはまだかなり勧告が行われ、それを今各国採用しつつある途中でありますし、どうも私どもこの法律をつくるについて、昨秋、調査団を欧米に送りましたんですけれども、それの運用という面ではあるいは日本が一番進んでいるのかなという感じもしております。したがって、各国の現実の今後の運用がどうなりますか、そういうものの推移いかんにもよると思いますけれども、少なくとも日本国としては今の国際化という中で、こういう化学物質の安全というこの問題が誤解されて、不当なNTBというふうな誤解にならないよう、そこのところは運用上もよく気をつけ、各国に理解を求めてまいる必要があるんじゃないかと思っております。
#142
○伏見康治君 こういうのは具体的な場面に出会ってみなければ何とも言えないと思うんですが、十分弾力性を持って、しかし基本的な方針を曲げないようにやっていっていただきたいと希望をいたしておきます。
 もう一つ伺いたいのは、従来のというか、現行の化審法では、先ほど申し上げ、話題になりましたように、難分解性、蓄積性、慢性毒性という三本柱でやってきて、そのどの一つ分が欠けていても合格ということになったんじゃないかと思うんですが、新しい法律の方では、そういう関係は、つまりいろんな条件が全部整わなくちゃいけないというのか、その中の大事なものだけ通ればいいというような、その辺の考え方はどうなんでしょうか。
#143
○政府委員(岩崎八男君) 私は、確かに現在の法律の考え方も一つの根拠があると思っております。つまり環境をスルーして人体に影響し、慢性毒性を及ぼす。それをチェックするのに、まず環境に出たときに食分解性のものであれば、いずれ分解されなくなるわけだから、それは人体スルーで慢性毒性を起こす可能性はないではないか。したがって分解性がシロで、食分解性であれば、もうその段階でフリーにしていいはずだ。しかし難分解性のもので、次に、じゃそれを人間が摂取しました場合に、だんだん人間のどこかの臓器へ蓄積していくものであるかどうか。これを蓄積していかないで、常にまた放出、放下されるものであるならば、これもその段階でフリーにしていいじゃないか。しかしそれも蓄積していくものであるとするならば、どの程度蓄積した場合にどのような慢性毒性があるかをチェックして、それで慢性毒性はこの程度であるというんであれば、その段階で慢性毒性、自然界を通ずる人間への影響のチェックは完結する。このような考え方に基づいて、この三つをシリーズで、しかも一つずつクロであることに次へ進む、こういった発想になっていると思います。
 今回は、ただそれはそれでいいんだけれども、これだけいろいろな化学物質が相当量っくられるようになったときに、分解性はないが、したがってだんだん蓄積されていく可能性は強いんだけれども、人体には蓄積されない、蓄積性においてシロであったら現行法では実はフリーになるわけですが、それをそのままでいいんだろうか。むしろやはり分解性がないとすると、もしそれが生産量、輸入量がどんどんふえるとすると、どんどん自然界において濃度が高くなっていく、そうすると人体に蓄積はしないものの、曝露の危険性はより強くなる、そういうものを放置していいんだろうか。これが今回の法改正の一つの判断でございまして、そういった三つのうち、蓄積性がないものについても十分ウォッチし、必要に応じてそういう用途等についての使い方を定め、最終的には生産、輸入量の量的な投入量の抑制によってそれを安全度の範囲内におさめていこう、こういう改正をしたいということでございます。
#144
○伏見康治君 今言われたことは、そもそも化審法がPCBというものを頭に置いてつくられたということから、おのずから出てくるわけでして、PCBは安定な化合物でなかなか変化しない、それから、人間の体の中に脂肪と同じようにだんだんたまっていってしまう、そして慢性毒性があるという三拍子がちょうどそろっている物質であったわけですね。しかしいつもティピカルにPCB的な物質ばかりがあるわけではなくて、いろいろさまざまなものがあるわけですから、やっぱりPCBだけにとらわれた考え方でなくて、もう少し柔軟など申しますか、いろんな条件下での物質の状態を考えていくということが仰せのとおり必要であろうと思います。
 それで、先ほどから話題になった七物質以外に、今度の法律で新たなるいろんな物質が並んで出てくると思うんですが、特定化学物質という形で出てくるかと思うんですが、それには現在どんなものが挙げられていて、今後それがどんどんふえていく予想があるのかどうかといったような点をお伺いしたいと思います。
#145
○政府委員(岩崎八男君) これは実は、この法律が制定、施行されますまでの間にいろいろなチェックをし、また制定、施行された後現実に運用していくことになると思いますので、現在どういうものが幾らくらいということが申し上げられる状況にはございません。
 ただ、午前中来問題にされておりますトリクロロエチレン等は、少なくともこれは分解性がないということははっきりしております。したがいまして、トリクロロエチレン等についてこの類似のものというのは、多分この法律施行になりましたら、早い時期に指定物質ということになっていくんではないかというふうに想定しております。
#146
○伏見康治君 これからしばらく環境庁にお伺いいたしたいと思うんですが、環境庁は化学物質調査検討会総合検討会というのをおつくりになって、そして中間報告をお出しになっていると思います。それに関連して若干の質問をしたいと思うんですが、まずこの調査を行った経過はどういうものであったかを教えていただきたい。
#147
○説明員(海老原格君) お答え申し上げます。
 化学物質調査検討会総合検討会は、環境庁の企画調整局長の私的諮問機関でございます。
 現在環境庁といたしましては、化学物質の環境汚染の実態を把握するという立場から、化学物質の安全性総点検調査というものを行っておりますが、これがそろそろ十年目を迎えるということもございますので、その新しい次の十年に向けての改善点、そういうものを指摘していただこうということで、この総合検討会で御審議をいただきまして、中間報告という形でございますけれども、御結論をいただいたものでございます。
#148
○伏見康治君 この報告によりますと、化審法で食分解性と判断されて、いわば特定化学物質から除外された八十二化学物質を、十年以上にわたって環境モニタリングを続けた結果、そのうち二十八種類の物質が環境中に検出されたというお話です。これは前に同僚委員も言ったかと思うんですが、これの実態とそれに対する考え方ですね、それはそれで、そういう事実というだけで心配しなくてもいいんだとか、何か考える必要があるとかといったような点を教えていただきたい。
#149
○説明員(海老原格君) お答え申し上げます。
 ただいま申し上げましたように、環境庁におきましては、環境残留性が高いというふうに考えられます物質につきまして、一般の環境中における濃度レベルというものを把握するために、全国の港湾、河口部を中心といたしました地域の水質、それからその水の下にあります泥と申しましょうか、底質等を対象にいたしまして環境調査を実施しているところでございます。
 中間報告に示されました内容というのは、昭和五十八年度までに環境庁で調査をいたしました四百九十一物質のうち、通産省の安全性点検の結果、食分解性とされたものとダブるものが八十二物質あると、こういうことでございまして、その八十二のうち二十八物質について環境中から検出されたということでございます。
 それから、伏見先生のもう一つの御質問の件でございますけれども、こういったものについてどうなのかということでございますが、環境庁といたしましては、環境中に化学物質があるかどうかという観点から調査をしておるところでございまして、それがたまたま結果として、通産省の部分と合わないというところがあるのではないかと、こういうことでございます。環境庁といたしましても、今後一層努力をして、環境中における化学物質の存在状況を的確に把握してまいりたいというふうに考えております。
#150
○伏見康治君 通産省としては、今環境庁の方は合わないというふうに言われたんだけれども、そういうふうに考えるのですか。
#151
○政府委員(岩崎八男君) 合わないというのか、通産省は何も食分解性のものが環境中ゼロであるということを想定しているわけではありません。
 午前中も申しましたように、分解性というのは、瞬時に一〇〇%分解するものと、永久にゼロでほとんど分解しないものというのは、私は多分化学物質について皆無だと思います。すべてがゼロから一〇〇までの間に分布しておるわけでございまして、ある一定基準以上のものを食分解性とするということは、そのものが環境中にある時点においてゼロであるということには全くならないということだと思います。ただ、そういう食分解性のものは、それだけである限りにおいてはむしろ限りなくゼロに近づいていくように分解を続けていくもの、こういう想定である。現状のそういった食分解性のものの環境中の残存、これは先ほど環境庁から御報告ありましたように、いろんな水中あるいは水底あるいは工場側溝、いろいろな地点での点検だと思いますけれども、そういうところにおいて現在検出されたその濃度、その量が危険なものとは全く考えておりません。
#152
○伏見康治君 環境庁の方に伺いますが、今通産側が言った考え方は大体妥当かとも思うんですが、しかし環境の方からは、それは環境の中にそういう物質が発見されたということは危険な事態に将来なるであろう、その先駆的な現象であるというふうにでも理解していて、続けていろいろな研究をしていくというつもりだろうと思うんですが、どういうふうにお考えなんですか。
#153
○説明員(海老原格君) お答え申し上げます。
 環境中に存在していること、これが即人間に対して害作用を与えるというふうには考えておりません。やはりそれにはある量以上のもの、ある一定量以上になればそういう害作用というものが出てくるのではないかというふうに考えますが、やっぱり先ほど来お話がありますように、食分解性というその考え方だと思いますけれども、化学物質の使用量というか、生産量といいますか、こういうものとやはり分解性というものとの関係が非常に深いのではないかというふうに考えております。
 環境庁といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、環境中における化学物質の存在状況というものをきちんと把握していくのが使命ではないかというふうに考えております。
#154
○伏見康治君 環境庁としては、現時点の濃度が危険なものでないということは言っておられるとは思うんですが、しかしこれが年次的に測定を続けられて、それが次第に高まっていく、そしてやがて危険な水準にまでいきそうだというような傾向があるかないかを追跡しておられるんだろうと思うんですが、そういうことだろうと思いますので、それはそれで非常に大事なことだろうと思います。そして、その上でさらにもし危険な兆候があらわれてきたらば通産と大いに渡り合うということにしていただきたいんです。
 報告書の中で、化審法で審査済みの化学物質であって、「分解性や濃縮性に関する室内実験では、実際の環境残留性を把握しがたいケースがあると指摘している。こういうことは十分あり得ることだと思うんですが、実験室の中での容易に分解する、あるいはなかなか分解しないといったような試験というものが、本当の環境の中では非常に条件が違ってまいりまして、必ずしも実験室でやったデータがそのまま環境の中で使えるわけではないというのは大変大事な点だと思うんですが、その点に関しましては、通産としてはどういうふうにお答えになりますか。
#155
○政府委員(岩崎八男君) 最終的にはそのように思います。したがいまして、現実のモニタリング結果としてのそういった環境における存在量のチェック、これは極めて重要なことであるというふうに考えております。
#156
○伏見康治君 次の質問に移りますが、人間が今まで人工的につくり出してきた天然にはない化学物質というのは、世界全体で数十万、あるいは数百万と言ってもいいんでしょう、全く実験室的なものまで入れれば。実用的なものとしてやや量産されているものも七万種ぐらいあると言われております。その生産量も何百万トンとか何千万トンとかいう大変な量に到達しているわけですが、こういう多種多様の大量の物質を相手にして仕事をするわけですから、全体としての見通しみたいなものを持っていなければ対応できないはずだと思うんですが、大体どういう見通しを持って対処しておられるのか。
#157
○政府委員(岩崎八男君) 確かに考えられる化学物質、私、科学者でございませんのでわかりませんが、これはむしろ何百万とあり得ることだろうと思います。現在、米国の化学物質規制法に基づいて作成されております既存化学物質名簿、これには約五万七千の化学物質が収載されているというふうに承知しております。それから、ECでは現在作成中でございますが、やはり十万程度収載される見込みというふうに承知しております。
 我が国では、この化審法のときに既存化学物質名簿をつくりました。それには約二万物質、これは物質のあるいはくくり方にもよる面もあるだろうと思いますけれども、約二万物質。それにその後新規に私どもで確認しました化学物質、事前審査で確認しましたものが二千三百十ということでございます。
 ただ、この何万種とあります中で、多分専門家から見て、これは当然に安全である、安全というか慢性毒性的な効果はないというようなものと、いやこういうものはあり得るというようなものと、おのずから分かれていると思います。したがって、化審法制定後、私どもが厚生省とともに進めております既存化学物質についてのチェックも、そういったいろいろな知見からする危険性のありそうなものからチェックをしてきておりまして、そういう意味では、何万種あろうともそのすべてが何らかのチェックを早急にやらなければならないという事態ではないというふうに考えております。
#158
○伏見康治君 現行の化審法で、三つの条件で調べた結果パスしてしまって、安全というふうに言われてしまった物質が千九百八十五物質あるんでしょうか。そのうちの九九・七%が実は分解性、蓄積性という方の条件だけでパスしてしまったので、毒性の方はいわば無視してしまったという、これは過去のお話です。これは今後新しい法律ができたときにはパスしてしまったやつはどういうことになるんでしょうか。
#159
○政府委員(岩崎八男君) 昨年末までの累積によりますと、今の千九百幾つというのが二千三百十になります。
 今回は蓄積性はシロでも、分解性はクロであったというものがこの中に入っておりますので、そういうものについては改めて分解性はクロ、蓄積性はシロでとまったそのチェックを、慢性毒性はどうかとかいうことを調べ直す必要があります。これは、そういう危険のあるものからできるだけ早急にチェックを進めてまいりたいというふうに考えております。
#160
○伏見康治君 過去の化審法の実際では、毒性試験までやって落としたというのが実は余りなかったということになるんですが、それは、毒性の試験というのは、一般に大変時間と手間とお金がかかって大変だということで、それに引っかからない、もう一つ前の分解性とか蓄積性とかいう余りお金のかからない方の条件だけで判断をしてきたというおそれがあると思うんですが、話をちゃんとするためには、毒性試験というものが、余りお金のかからない、迅速、的確な廉価な方法というものをまず確立するということが必要だと思うんですが、そういう方面の仕事というものは厚生省はちゃんとやっているんですか。
#161
○説明員(渡辺徹君) 確かに、御指摘のように、慢性毒性試験の本格的な試験、長期慢性毒性試験をいたしますと、二年あるいは三年というような長期の試験方法があるわけでございます。
 こういう毒性の評価の方法といたしましてもっと簡便な方法はないかという御質問でございますが、現在国際的にも認められ、あるいは学問的にも確立されております長期の慢性毒性試験にかわるスクリーニングの方法といたしまして、一つは微生物等を用います変異原性試験というような試験方法、それから長期毒性試験にかわります。ある程度期間を短縮した反復投与毒性試験というような方法があるわけでございまして、こういう方法を駆使することで毒性のスクリーニングは可能であろうというふうに私ども考えておるわけでございます。
 技術的には、さらにそうした、例えば動物実験を、動物を用いない方法がないかというような議論も専門家の間ではあるわけでございますが、私どもは、現時点ではやはり変異原性試験あるいは短期の反復投与毒性試験といったような試験方法が、簡便で、学問的にもあるいは国際的にも確立された方法であるということで、こういうような方法をできるだけ採用することによりまして化学物質についての毒性のスクリーニングを行っておるということが、現時点では一番現実的な対応であろうと考えておりますが、先ほど申し上げましたような、専門家の間で検討されておりますようないろいろな簡便な方法につきましても、私どもといたしましても関心を持ちまして、今後そういう専門家の意見も聴してまいりたいというふうに考えております。
#162
○伏見康治君 つまり、確かに毒性があるということをいろいろ言わなくても、それを言えなくても、安全側にあるということが言えさえすればいいわけですね。そういう意味で、最終的に突き詰める試験というものは、非常に時間もかかりお金もかかるとしても、もっと簡便な手段で、これは安全側にある、これは危険側にあるという、真ん中に穴があいていてもいいという判定の仕方というものを考えると、随分たくさんの物質は処理できるんじゃないかと思うんですけれどもね。
 次に伺いますのは、環境庁や地方自治体の調査によりますというと、通産の方の既存化学物質総点検では濃縮性が低いとされておりました発がん性物質の疑いのあるトリクロロエチレン、トリクロロエタンなどが地下水を汚染しているということが、全国の十九都道府県、四十八市町村に広がっているということが言われておりますが、これは環境庁に聞けばいいんですか、その実情とメカニズム、汚れてきた筋道なんていうのはわかっているんでしょうか。
#163
○説明員(坂本弘道君) お答えいたします。
 環境庁では、昭和五十七年度に、全国の主要な十五都市におきまして、トリクロロエチレン等十八物質につきまして地下水の汚染実態調査を行ったわけであります。その結果、自然界に広く存在する硝酸性及び亜硝酸性窒素を除きますと、今先生御指摘のとおり、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンの検出率が高かったわけでございます。また、十五都市中十三都市で、いずれかの物質が、WHOが決めております暫定ガイドラインを超えていたわけでございます。したがいまして、それら十三都市につきまして、昭和五十八年度に、トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンがWHOの暫定ガイドラインを超えた井戸及びその周辺井戸を対象として、これら二物質の追跡調査を行いましたところ、大部分の井戸で汚染が継続していることが確認され、また汚染がある程度の広がりを持っているということが認められたわけでございます。
 さらに、昭和五十九年の十二月末までに自治体が独自に行いました四百六十八の市区町村における地下水汚染実態調査結果を取りまとめましたところ、トリクロロエチレンが二・四%、テトラクロロエチレンが一・九%、それから一、一、一−トリクロロエタン、これが〇・一%の井戸で水道水の暫定水質基準を超えておりまして、地下水の汚染が各地で見られていることが確認されたわけであります。
 また、公共用水域につきましては、環境庁が昭和五十九年度に実施いたしました調査結果によりますと、環境基準点等では水道水の暫定水質基準を超えてはいなかったわけでありますが、工場等の排出口に近い一部の地点で今の暫定水質基準を超えるものが見られたということでございます。
#164
○伏見康治君 今環境庁に伺ったような実情でございますが、つまりこのトリクロロエチレンといったようなものは、まさに通産省が今度の化審法で問題にするものだと思うんです。通産としては、この全国的な広範な汚染状態と今度の化審法というものをどう結びつけて考えておられるか。
#165
○政府委員(岩崎八男君) このトリクロロエチレンの現実の対応については、機械情報産業局長、立地公害局長から御答弁がありましたように、現在それの使用者の使用のマニュアル等を行政指導ベースで、ある団体をつくらせまして、いろんな需要団体をそこに糾合して、その使用マニュアルの徹底を図っております。また、それの使用工場の排出濃度については、暫定基準をつくって、その排出濃度を守らせようとしております。
 この改正化審法が制定、施行されますと、これが非常に確率高いと思いますが、まず指定化学物質の対象になるんではないかと思います。そして、そういう段階ではこの法律に基づく指導、助言の一環として、そういった使用マニュアル等がこの法律運用の一環になっていくんであろうというふうに予想しております。
 それから、必要に応じまして追加試験を指示することにより、この物質の慢性毒性等に関するより正確なデータを得るようにしなければなりません。その間、必要に応じそういった使用についての違背について勧告等も行っていくことになろうかと思います。もしそれが第二種特定化学物質として指定すべきであるという判断になりました際は、ここに用意されております第二種特定化学物質に対する規制は、一つが生産、輸入等の量の抑制でございますし、もう一つが先ほどの生産段階あるいは利用段階における技術指針の公表と、それの遵守の仕組みが用意されておるというふうに考えております。
#166
○伏見康治君 少し、余り身近でないお話になる恐れがありますが、飲料水とかなんとかいうものではなくて、大気中に出ていってしまって、空高く上がって、例えばオゾン層を破壊するなんという話がございますね。
   〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕
それがどこまで本当かはまだ決まっていないと思うのですが、そういう大気全体の汚染といったような問題に対しては何かお考えになっておられますか。
#167
○政府委員(岩崎八男君) この物質の性状、用途によって、水に溶解するあるいは地下水に浸透するあるいは空気中に蒸発する、いろいろな性状のものがあろうかと思います。したがいまして、最終的には必要な限度において新しい生産なり輸入なりの量を抑制するしかそれに対応する策は決定的なものはないんだろうと思いますが、蒸発性のもの、特にトリクロ等は蒸発するようでございますが、こういうものについては、先ほどの技術上の指針等によりましてその生産段階あるいはその利用行程等におけるクローズド化、これによる蒸発の抑制を進めていくことが可能だろうと考えております。
#168
○伏見康治君 もう一つ伺っておきたいのは、工場の中で使っているようなものは今度の法律の対象にはならないんですかね。工場の中というのは、いろんな意味で商業秘密があって公開されないといったような部面がたくさんあるのですが、そういうところから出てくるものはどういうふうにお考えになって取り締まるんでしょうか。
#169
○政府委員(岩崎八男君) その工場で最終製品をつくる目的のために、中間工程としてある物質ができてくる。こういう中間生産物は、実はこの法律の対象と考えておりません。この法律は、環境に放出された後、環境経由で人の健康を害するものという立て方になっております。
#170
○伏見康治君 余り実際上のあれがなくて、いわば私の頭の中で考えていることを申し上げて、少しぐあいが悪いのかもしれないのですが、ある種の物質は、本当に純粋な科学者が、ある物質であると認定するに足る十分な純粋な形ですると別に害もない。ところが、実際上工場から出てくるものには必ず不純物が伴っていて、その不純物の方が悪さをするというようなことが間々あると思うんですが、そういうケースはどういうふうに理解されるのか、処理なさるんでしょうか。
#171
○政府委員(岩崎八男君) 確かにこれは問題だと思います。なかなか技術的解決というのは難しいと思いますけれども、不純物といいますか、副生物といいますか、不純物そのものも、やはりそれ自体が化学物質であるという意味においては、そういう化学物質をできるだけ析出分離することによって、その化学物質としてこの化審法にどのように位置づけられるか、このような努力を進めるべきだと思います。
 ただ、ダイオキシンみたいなものがそういう化学物質としてこの対象になり得るかというと、現状ではそれはなり得ないと思います。ただ、ダイオキシンそのものを生産したり、輸入したりしようということになると、それ自体はこの化審法の対象としてそれの抑制が可能になりますが、そういう不純物的なものあるいは副生物として出てくるそういうものについて、それを分離した形での判断ができるかどうかということではないかと思います。
#172
○伏見康治君 もう一つ似たようなお話なんですが、今ダイオキシンということが出てきたので連想したのですが、元来ダイオキシンを含んでいない有機化合物があって、それを燃やしたらダイオキシンが出てきたというようなことがしばしばあるやに伺っているんですが、そういうものはどういうふうに考えるんですか。
#173
○政府委員(岩崎八男君) これは、したがって製造、輸入ということではありませんので、少なくともこの化審法の体系にはなじまないのではないかというふうに思います。
#174
○伏見康治君 環境庁としては、今のような問題はどうすべきだというふうにお考えになりますか。
#175
○説明員(海老原格君) 今お答えがありましたように、化審法においては、やはりそういう不純物等についてのノットインテンショナルと申しましょうか、非意図的に生産されるような化学物質については規制対象にならないのではないかというふうに考えられますが、環境庁といたしましては、そういう非意図的に生成されるもののうち、やはり非常に毒性が強いというようなものにつきましては環境調査をして、その存在状況をきちんと把握しておくべきではないかというふうに考えます。
#176
○伏見康治君 瓶の中に入っている化学物質が、化学物質の名前だけでなくて、それがこういう危険性を持っているといったようなことをちゃんと表示すれば、いろいろな危険が随分避けられると思うんですが、そういう点についてどういう考え方をされているか。
#177
○政府委員(岩崎八男君) これは、今回の改正におきましてそういった表示を取扱業者に行うよう指針を設け、勧告制度によってそれを担保していきたいというふうに考えております。
#178
○伏見康治君 大昔の話で申しわけないんですけれども、昔、電気ストーブには何ワットというのが書いてあるんですが、ガスストーブには、それをたいたときに一体何ワットの熱エネルギーが出てくるか書いてないんですね、昔は。それでガス会社に文句を言ったことがあるんですが、そういうものが書いてあるのと書いてないのとでは、それを取り扱う人の心がけが随分変わってくるわけで、ひとつ化学物質を取り扱う人が十分、余り難しいのはまただめだと思いますが、役に立つ指示を上に書いておくということは非常に大事なことだと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 そろそろ時間がなくなりかかりましたので、最後にお伺いしたいのは、この化審法というのは、いろんな事件が起こってから騒ぐのではなくして、事前に予防しておこうという大変立派な考え方だと思うんですね。しかし、いかによく考えても、その大きな網を逃れるものは幾つもございまして、何か大変大きな事故を起こすというようなことがあり得ると思うんですが、そういうとき、迅速にその悪い点を何か直すというか、要するに事後措置といったようなものを迅速にやる必要があると思うんですが、そういう点については何かお考えがありますでしょうか。
#179
○政府委員(岩崎八男君) どういう事故が想定されるかよくわかりませんけれども、例えば化審法対象物質運送中にトラックがひっくり返ったとかいうような事故、あるいはむしろ審査のずさんさのゆえに。結果として安全度以上の化学物質の自然界への残留が起こったとか、いろいろな事故の想定があり得ると思いますけれども、少なくとも化審法の運用において、そういった私どものチェックのずさんさのゆえに、ある思わざるそういった化学物質の環境残留等が生じたというようなことは絶対ないように、関係省とも協力しつつ、この法の運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
#180
○伏見康治君 最後に、大臣の所見を伺いたいんですが、こういう化審法を改正なさっていろんな状態に対抗なさろうとする方向は大変結構だと思うんですが、ただ、今まで質問してまいりましたように、いろんなところで人間の知恵には穴があるものですから、それを、その網をくぐり抜けてくるものが幾らもあると思うんですが、そういうものに対応して通産行政としてはできるだけ国民の生命、財産を守るような方向で努力してくださるという決意を伺いたいと思います。
#181
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御説に従いまして最大の努力をいたします。
#182
○伏見康治君 ありがとうございました。
#183
○市川正一君 本日、冒頭に大臣が特に発言をなされたように、昨日撚糸工連の不正事件で現職の課長、係長が逮捕されました。この問題について私は今まで二回にわたって取り上げてまいりましたが、二九十四日の質問で浜岡局長は、いらっしゃいましたかしら、浜岡さんは。――いいです。必ずしも浜岡さんじゃなくてもいいんですが、「社交の範囲を超えたものはないんではなかろうかと私は思っておる次第でございます。」と、こういう答弁をなさいました。しかし、現実に関係者が逮捕されております。社交の範囲というのはどの範囲か。例えば人事異動の際にお祝いの席を設けることはどうなのか、転勤の歓送迎会、結婚のお祝い、海外旅行のせんべつはどうなのかというふうな疑問が出ます。というのは、本日の朝日新聞を拝見しますと、常識的交際の範囲について再検討することにした、こういうふうになっておりますので、この際この点について明らかに国民に対してしていただきたいと思います。
#184
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは常識的範囲というのは多少差が私はあるんじゃないかと。政治家の常識的範囲、それからいろんな普通の民間人の常識的範囲、その人の生活水準とか給与とか、いろんな面で私は金額的には多少の差はあるのじゃないかと思いますが、じゃ常識的範囲とは何なんだというと、それはやっぱり常識的範囲ではないかと。みんなが見ておって、まあまああの人があの程度ならば仕方がないんじゃないかというくらいのところであって、これは法律じゃありませんから、この常識の話というのは、やはり厳格にどこで線を引くかといっても、みんなが妥当、正当と認める程度ということじゃないでしょうかね、常識的範囲。
#185
○市川正一君 またこれをやり出しますといろいろなりそうなんで、私はとにかく今度のような事件は国民の常識や良識を超えていると思うんですね、それは大臣お認めになると思うんです。
 逮捕されたのは課長と係長ですが、撚糸工連の小田元理事長の話として報道されているところでは、接待された中には局長クラスの幹部も含まれている、こう言われております。ということになりますと、これはもうトカゲのしっぽ切りになってはいかぬと思うんです。やはりけさ大臣は、これ以外にはないと信じる、こういうふうにおっしゃいましたけれども、私は通産省、通産大臣の責任において、先ほどの常識と良識の上に立って実態をぜひ解明していただきたい、こう思います。
#186
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは言うまでもなく、世間の指弾を浴びないように自重自戒をしていかなけりゃならぬ、そう思っておりますし、実態をよく解明をいたしまして、再発防止のために全力を挙げていきたいと思っております。
#187
○市川正一君 さらに重大なのは、政界とのかかわりだと思うんです。今焦点には官界との関係が出ています。具体的には政治献金の問題なんです。午前の同僚議員の質問に答えて浜岡局長が、連合会から説明を求めたが、関係者が説明を避けているうちに逮捕されたのでわからぬ、こういうふうにお答えになりました。しかし、既に少なからぬ政治家の名前が挙がっております。これは先日衆議院で我が党の中川議員が指摘したんでありますが、例えば今や時の人である平泉経企庁長官も――ここに福井県の県報を持ってまいりました。五十九年の一月三十日付です。これによりますと、福井県撚糸工業組合から平泉長官は五十八年の総選挙の際に十万円の献金を受けておられます。そのほか宮澤喜一、久保田円次、瓦力などの諸代議士もここに、県報にちゃんと届けをしていらっしゃる。
 そこで大臣に伺いたいんでありますが、先ほども政治家の常識の範囲というふうにおっしゃいましたけれども、私は前回本委員会におきまして、この日本撚糸工連への融資というのは、国からの直接の補助金ではございませんけれども、しかし中小企業事業団を通じての無利子、四年掘え置き、十六年返済という、世間から見れば本当に天国、極楽の、しかもそういう国民の税金や資金で賄われているその融資から政治献金をちょうだいするということについて、政治家としてどうお考えなのか、所見を承りたい。
#188
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもうその受け取った方が、撚糸工連というのが届けが出ているというんですから、それは恐らく選挙の陣中見舞いですな、仮に陣中見舞いを出したとしても、これは組合費を集めてその中から出したものかどういうものか、実際は恐らくわからぬと思うんですよ。そのために、受け取っておりますからありのままに公報に報告をしたということであって、金額もうんと過大であるとかどうとかというならば返すとかなんかということもあったんでしょうが、今の御時世で、大金と言えばそれは大金かもしれませんけれども、その程度のものはたくさんちょうだいすることがございますので、現実の問題としてはそういうような背景ももちろん知らなかったんでしょう。したがって、それが国からのものであるかそれとも組合の方がまとめて、ばらばらに出さないで組合で出すなんということは時時あるんですね。
 したがって、一概に私はそれは批判はなかなかできない。そういうふうな国から来たものだけで賄っているということがわかっていれば、あるいは恐らく受け取らなかったんじゃないかと思いますが、そういうことを知りませんし、恐らくそうだと思いますよ、知らないと思います。
   〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕
#189
○市川正一君 そうすると、もし知っていたらそれはやっぱり受け取るべきでない、こういう大臣のお考えですね。私はそれは常識ある態度やと思います。
#190
○国務大臣(渡辺美智雄君) 組合は何かほかにも事業をやっているんだそうですね、それだけじゃなくて組合それ自体の別な事業を。ですから一概に、それは受け取らなければここで質問されることもなかったんだから、受け取らない方がよかったかもしれませんが、それはよかったか悪かったかという話を詰められても、私がここでそれは常識の範囲外である、常識の範囲内であるという、なかなか断定的に物を申し上げることはちょっといかがかと思っております。
#191
○市川正一君 この点については、後藤田長官も、確かに政治資金規正法の再検討をやっぱり必要とするということを衆議院でお答えになっているんですね。したがって、私は繰り返し言うようやけれども、これはやっぱり普通の融資と違うんだ、国民の血税あるいは厚生年金なんかの積立金、これが中小企業事業団を通じて交付されるわけですから。そうして、しかもその条件は、さっき言ったように、四年間据え置きで、十六年返済で無利子やというふうなことについては、この問題についてはやはり今後も、この問題まだ決着ついていないんだから、前回大臣はこの制度について見直す、洗い直す、こうお約束なさったんだから、そういうことと絡めて私引き続いていろいろまたお聞きしたいと思います。
 そこで、前回マルコス疑惑をめぐって私質問をいたして、資料を提出していただくようにお願いいたしました。早速に本委員会の理事会の了承のもとに、昨日通産省から資料の一部が届けられました。迅速な御努力に謝意を表しつつ、同時に、非常に読みにくい資料を、せっかくちょうだいいたしましたので、私時間の許す範囲で検討してみました。読めば読むほどいろいろ疑惑が深まってまいりました。せっかくちょうだいいたしました資料なので、平泉発言については次の委嘱審査に譲るとして、この際、資料に関して二、三だけお伺いしておきたいと思うんです。
 まず、二つちょうだいした資料の、表に〇一五七一となっている、これはページ数だと思うんですが、この方の資料のちょうど中ほどでありますが、〇一五九九のページに掲載されております一九七七年十月十四日付の東陽通商の故小竹喜雄常務のアンヘニット社への手紙がここに出ておるんです。これは実は本日発売されました朝日ジャーナルの四月四日号に訳文が全文出ております。
 これによりますと、やはりリベートを受け取っていたアキノという、今のアキノさんじゃありませんが、アキノという道路大臣について、彼はOECFや駐フィリピン大使館の非公式のブラックリストに挙げられ、監視されている人物であることを御承知おきくださいと書いております。つまり、日本政府もOECFも、このアキノ道路相がリベートを受け取っていたということを知っていたということになるんであります。もし知っておりながら手をこまねいていたとするならば、これは重大でありますが、OECFはそういう事実があったかどうか調査なすって報告をしていただきたいのでありますが、経企庁いらっしゃいますか。
#192
○説明員(小川修司君) 経済企画庁はOECF経済協力基金を担当しておりますけれども、経済協力基金のいろいろな記録に当たりまして調べましたけれども、このようなことはございません。
#193
○市川正一君 ございませんて、あなた調べてくださいな。この種の資料の信憑性というのは、例えば住友商事がわずか一セントしか違わなかったとか、いろいろやっぱり裏が出てきているんですね、だから、にべもなく、ございませんと、あなたたんか切らはるけれども、これは一遍調べてみますというぐらいのことはやってどうですか。
#194
○説明員(小川修司君) 改めて調べますけれども、今まで調べたところではそのようなことは承知しておりませんし、記録はございませんということでございます。
#195
○市川正一君 じゃ、またひとつ誠意を持って調べてください。
 この手紙には第六次借款で決まったカガヤン渓谷農村電化計画についても書いてあるんですが、それによりますとカガヤンヘの借款が決まって交換公文が交わされたのは一九七七年の十二月二十一日なんです。ところが、この手紙は同年の十月十四日付なんですね。そうすると、この手紙の中で既に日本側のメーカーによるカルテルの結成が行われ、代理人としてのチャンピオンに伊藤忠商事が決まり、伊藤忠は海外経済協力基金や大使館の協力を要請したというふうに述べております。
 こういう経過を見ると、借款が相手国の要請というよりも、日本の企業の要請に基づいて進められてきたという以外にないのでありますが、そういうのが実態じゃなかったんでしょうか。経企庁どうです。
#196
○説明員(小川修司君) 円借款の手続でございますけれども、これは最初に相手国の政府から要請が参るということに。なっております。
#197
○市川正一君 そういう要請主義のことはわかっております。
#198
○説明員(小川修司君) そういう要請主義でございまして、事実上いろいろ向こうの政府に対しまして日本の企業が働きかけを行うというようなことは、あるような話は聞いておりますけれども、あくまでも私どもといたしましては、向こうの相手国政府から正式の要請を待って検討をするというようなことにいたしております。
#199
○市川正一君 そうおっしゃるんですが、しかし、例えば元駐フィリピン大使の田中秀穂さんですね、円借款事業は日本企業がつくり出す、こういうふうにおっしゃっています。そうして大使の在任中に日本企業から特定事業について円借款でお願いしたいという要請が何度もあったというふうに証言をされておる。私は、この田中さんの証言というのはこれは要請主義に反すると言っておられる、そのとおりだと思うんです。
 さらに小竹常務の手紙は、東京の通産省がカガヤン電化についてカルテルメンバーや予想された入札者を呼び、リベートを払わないよう警告したと、こう述べています。そういう警告はこれは結構なことなんですけれども、しかしカガヤン電化が円借款事業となることを事前に知っていたということをこれは意味しますし、しかもその後の入札者まで知っていたからこそ予想入札者を呼んだということになるのであります。つまり、円借款事業は交換公文前に実際はすべて決まっておる、そして通産省もあるいはまた基金も外務省も、その上で後からしかるべき青写真を書いているというふうにしか思えぬのです。
 私はここに、フィリピン国民のためではなしに、マルコス一派と日本の大企業のための借款という実態があらわれていると思うんでありますが、東京の通産省という名も出てまいりますので、この事実関係の究明について一度お調べをいただいて御報告を賜りたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#200
○政府委員(黒田真君) いずれにせよ十年ほど前の案件でございまして、現在その詳細については不明でありますが、先生御指摘のございましたような手紙があるということは事実のようでございますので、目下その関係をできるだけ調べたいと思っております。
#201
○市川正一君 確かに十年前のことでございますけれども、黒田さんの人柄を信頼して、ひとつ速やかな調査報告をお待ちしております。
 私こうしていろいろ見てみますと、結局対外経済協力をめぐっていろんな腐敗が起こるのは、巨額の国民の血税を使いながらその実態がほとんどベールに包まれている、そういういわば行政の秘密主義に私はあると思うんですよ、大臣。
 それで、私この際通産並びに経企に要請いたしたいんでありますが、これまでのフィリピンの有償、無償協力について、プロジェクトの場合はプロジェクトとその参加企業名それから受注金額、それから商品借款の場合には商品名と価格、日本側企業名について、ぜひその実態がわかるような資料を提出していただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
#202
○政府委員(黒田真君) これは従来もお答えしたことがあるわけでございますけれども、あくまでも借款は相手国政府に供与されるわけでございまして、その借款の実施としての契約の相手方というものは、先方政府と個々の企業が契約をすると、こういうことになりますわけでございます。したがいまして、もちろんOECF等がこれを契約を審査しあるいは承認等を行っておるわけでございますから、政府としてはもちろんその限りにおいて知り得る立場にはございますけれども、先方の問題であるということで、私どもといたしましては、今先生がおっしゃったような情報について公表する立場にはないのではないかというのが私どもの考え方でございます。
#203
○市川正一君 それはあなたちょっとおかしいですよ。何も内政干渉やと、そうあなたは言われなかったけれども、どうもにおいがおかしい。きのうはちゃんと与野党含めて必要な資料も出す、それから証人喚問にも応ずる、そして特別委員会でそれをやるということになったわけですよ。それで我が商工委員会だけはそういうものは出せぬとそう言うんですか。これは商工委員会としてはちょっとこれは聞き捨てならぬので、これは後ではっきりしましょう。
 とにかくこれだけ大問題になっているのに、これは要請主義やと、相手国と企業との間でやって、そういうものは日本国民に知らす必要はない、ましてや国会にそんなもの言う必要ないと言わんばかりの――そう言うたとは言わぬけれども、そう言わんばかりのことはちょっと私としては聞き捨てならぬので、私はこういう資料請求に対しての対応をしたいと思うんですが、(「もう一度答弁」と呼ぶ者あり)「もう一度答弁」という応援もありますので、心して答弁をいただきたい。
#204
○政府委員(黒田真君) 今後これらの事情解明のためにいろいろ御議論があるということは承知しておりまして、その関連で必要な資料というものは必要な手続を経た後に提出されるべきものであろうということは承知しておりますが、私どもとしての現在の立場を先ほども申し上げさしていただいたわけでございます。
#205
○市川正一君 それじゃ必要な手続を後でまた委員会としても理事会で御検討いただく機会を、委員長よろしくお願いいたします。
#206
○委員長(下条進一郎君) 資料の取り扱いにつきましては理事会で協議いたします。
#207
○市川正一君 そこで、この化審法の問題でありますが、まず本法案の提出に至る背景を伺いたいんであります。
 経企庁お帰りになって結構でございます。ちゃんと調べてください。
 通産省も御承知のように、私は去年の四月と五月の二回にわたって本委員会で、先端技術産業である半導体工場で使用される有毒ガスや有機塩素系の溶剤の公害あるいはまた災害対策について、当時問題になっておりましたアメリカのシリコンバレーにおける事故などとも関連して政府の対策をただしました。このやりとりは今までの規範を超えた新しい問題として各方面の関心を呼び、マスコミも取り上げ、また各地から問い合わせも相次いで参りました。そして政府の対応が注目されていたところであります。
 大臣の提案理由の御説明の中にも、「近年、PCBとは異なり、生物体内に蓄積する性質は有さないものの、」「健康に係る被害を生ずるおそれがある化学物質による環境の汚染が問題になって」いると、こう述べていらっしゃいますが、こうした国民の不安や関心にこたえるために今回の法改正を行うものである、こう解釈してよろしゅうございますか。
#208
○政府委員(岩崎八男君) 今回この法律改正を必要と判断しました理由二つございまして、一つは今御指摘のトリクロロエチレン等、蓄積性は有さないものの分解性もなく、かつ人体に影響を及ぼすおそれのあるもの、こういうものが現行化審法から抜けている、それでいいかということで、そういうものについて事後的な管理を行える体系にしよう、これが一つでございます。
 もう一つは、その後化学物質の安全性について欧米各国で進められてきましたいろいろな制度や考え方、こういうものと対応させることによって、化学品貿易に関する日本国のNTBであるというような誤解を回避したい、この二点でございます。
#209
○市川正一君 私は、ある程度歴史的に巨視的に言ったつもりでありますが、そこで今の局長の御答弁を踏まえながら考えますに、今回の法改正では、大部分の化学物質が事実上野放しにされていた現状を改善して、おっしゃったように蓄積性はないものの難分解性あるいは有害性のあるものについて規制を強化しようとするものだ、そういう点で私確かに一定の前進面を評価します。同時に、その実効性を確保する上で問題点もあるのではなかろうかという立場から、以下をただすのだということをひとつ御理解願いたいのですが、まず今回の改正では、指定化学物質及び第二種特定化学物質という区分が導入されることになっておりますが、当面それぞれに該当する物質は何種類ぐらいになるのか、また既存の化学物質についても総当たりをするのか、さらに、今問題になっているトリクロロエチレンなど有機塩素系の溶剤は、第二種特定化学物質に指定される、のかどうか、この三点についてまずお伺いします。
#210
○政府委員(岩崎八男君) 指定化学物質と第二種特定化学物質は、実はパラレルではありませんで、仕組みとしてはシリーズでございます。指定化学物質に指定し、そこで必要が生じた場合に追加試験をし、そこの認定によって第二種特定化学物質を政令指定していくものがある、こういうような仕組みで考えております。
 こういうものにどの程度のものが入るかということは、今後この法律の成立、施行を待って検討確定していくわけでありますけれども、御指摘のトリクロロエチレン等は、非常に大きな確率でまずこの指定化学物質に指定されることになるのではないかというふうに考えております。
 それで、そういうものがどの程度あるかというのは、今後そういう蓄積性はないものの、難分解性と慢性毒性があるというものを、既存化学物質、従来化審法でチェックいたしました二千三百の中でそういうものをもう一度慢性毒性をチェックすることによって、今後そういうむしろ危険性、可能性が高いものからプライオリティーをつけて国が試験を行い、判断をしていきたいというふうに考えております。
#211
○市川正一君 新規化学物質の事前審査の検査項目それから検査方法など技術的な事項については国際的な動向に配慮するというふうになっておりますが、その国際的な動向とは具体的には何を指しているのか、また現実にそういうものの採用を我が国に求めている外国があるとすればそれはどこなのか。もう時間がないので、さっきの私の質問の三つのうちの第二項目はどうもお答えがはっきりしなかったけれども、どんどん前に進みますから、後でまた思い出したらやってください。
#212
○政府委員(岩崎八男君) 我が国だけが求められておるわけではありませんで、我が国も入っておりますOECDにおいて、そういった化学物質の安全策、そのためのチェックの試験の内容そのものが各国ばらばらでは全体として外国貿易に支障のみを残す、したがってそういう試験項目については統一しようではないかと、こういうことがOECDの中で勧告され、それを加盟国が今フォローしようとしているという状況でございます。
#213
○市川正一君 そうすると、私の今の質問の第二項だけれども、ではその採用を我が国に求めている外国があるとすればそれはどこなのかという質問に対しては、OECDであるというのがあなたのお答えですね。
 そこで、OECDから勧告のあったMPDを採用することになるようなのでありますが、これは午前中いろいろありましたが、その三十八項目、MPDで決めている全項目を採用するのかしないのか、あなたのお答えははっきりせぬのですが、するんですかしないんですか、はっきり言ってください。
#214
○政府委員(岩崎八男君) OECDの勧告のうち、生態毒性試験、それから急性毒性試験に関する部分は、本法の施行とは関係がないということでその部分は落とすことにしております。
#215
○市川正一君 そうしますと、やっぱり検査項目自体で手抜きすることになりかねぬと思うのですが、全項目を採用しない合理的理由は一体何なのですか。
#216
○政府委員(岩崎八男君) OECDのこの勧告は、試験項目及びその試験方法についてであります。それは何ら、それをどう現実の法律として適周するかについての想定をしておりません。これは各国によって事情が違うはずであります。我が国は化審法というこの法律、そのほかにも毒物劇物取り締まりとか、農薬取り締まりとか、放射性物質の取り締まりとか、いろいろなものがございます。それでこの化審法という守備分野に関します限り、環境を経由して人の健康に影響を及ぼすおそれがあるかどうかというところが問題であります。したがって急性毒性というもの、これは私どもの法体系の中でこれを対象としておりません。劇物薄物は別途の法体系によってそういう急性毒性を取り締まっております。
 それからそういう生態毒性試験、自然環境にどのような影響、つまり酸性雨とかそういった生態系の問題について本法はそれを対象にしておりません。これについて今法律的に因果関係を明確にして何らかの対応をするということは、一般的に言って極めて難しいことだと思いますけれども、少なくともこの化審法はそれを対象にしておりませんので、この二点についてはこの化審法の運用上は不必要であるというふうに考えておる次第でございます。
#217
○市川正一君 私いろいろ調べましたけれども、結局、業界の間に、MPDは厳し過ぎる、コストが上がり過ぎるという声が蔓延しておるんですね。だからそれと直接連動したとは言いませんけれども、そういうものの反映があるということを私は指摘せざるを得ません。
 そこで伺いたいのですが、その検査項目ごとの基準値はそれではどうなるんですか。その決め方を、時間が迫ってまいりましたので簡潔で結構です。というのは、提案理由の説明の中でも、今回の法改正の大きな動機の一つに、「化学物質規制の国際的調和」ということが述べられています。これはやっぱり我が国には我が国なりの歴史や文化や風土や、あるいはまた民族的な特殊性があるわけでありますから、基準値の設定は我が国の自主的な判断で決めるべきである、こういうふうに私は思うのですが、それと関連していかがでしょう。
#218
○政府委員(岩崎八男君) まさに判断基準について統一しようとは言っておりません。試験方法、項目について同じ方法にしようと。日本の鯉でなければ認めないということでは、これは外国に対してNTBになります。したがって、試験方法、項目について統一しようということであって、その試験方法の結果をどう判断するか、このことについて統一しようという勧告ではありません。したがって、日本国は日本国独自のそのデータに基づく判断をするわけでございます。
#219
○市川正一君 繰り返すようですが、あえて自主的な基準値の決定ということを強調したのは、欧米諸国からの非関税障壁批判とかあるいは規制緩和要求の中に、自国のデータをそのまま認めることを要求するケースが散見されるので、あえて私伺ったんでありますが、第四条の第六項にそういう配慮規定を置いたことがかえって諸外国の不当な要求の根拠とされないかどうか。そうさせないための具体的な措置と、いわば決意といいますか、そういうことをあえて確認いたしたいからでありますが、この点いかがでしょうか。
#220
○政府委員(岩崎八男君) そのような懸念はないと思います。その客観的な試験の結果について、日本国のある権威ある機関がやったものと、どこか外国の権威ある機関がやったものについて、その外国のものを認めない、同一の試験について外国のその結果を認めない、こういうことを今回やめようと。そのために今のような同一の試験方法を決め、あるいはそういうものを行う試験主体についてグッドラボラトリーをお互いに指定し合おう、こういうことでありまして、これは客観的に出てくるある結果でありますから、それをどのように判断するかということは、おのおのの法律に従って、権威あるおのおのの国の専門家の判断にゆだねる、こういう方式でありまして、そういう御懸念はないと思います。
#221
○市川正一君 なお再度確認したいんですが、ここに化学品審議会の意見具申を持ってまいりました。
 この中に、同審議会の海外調査団報告書でもアメリカがMPDの採用に消極的であるということを指摘しています。というのは、この中に触れておりますが、アメリカの環境保護庁に多数の専門家、例えば新規化学物質の審査だけで約百人の専門家を抱えておるということを挙げているんですが、これに対して我が国の審査体制が著しく弱い、そういう実態を無視して批判してくる可能性といいますか、が考えられるんでありますが、そういう際に安易な妥協はしないということをきっぱりと明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#222
○政府委員(岩崎八男君) そのことと、今判断の安易さとは別問題だと思います。日本国のそういった試験機関の充実については今後とも努力してまいりたいと思います。
 その結果についてどう判断するかは、厚生省の審議会、通産省の審議会、そこに業界等は入らない、学者、専門家の判断の部会がございまして、そこで従来ともこの化審法の認定を行ってきておりますし、今後ともそのようにしたいと考えております。
#223
○市川正一君 もう一回開くんですが、ここに日化協の月報があるんです。去年の二月号の写しなんですが、その中に、化学品審議会の安全対策分科会委員の西川光一氏が、日比協の代表として諸外国と協議してきた報告が出ております、三十ページでありますが。
 これによりますと、英国化学工業協会――CIAですが、とMPDについて協議した際に、CIA側は「MPDのデータセットは一t/年以上の生産量でないと要求できない。これは国際的な適用除外である。日本政府もまず勇気をもって適用除外を一〇〇kg/年から一t/年に変えてからMPDを要求したらよいではないか。」といった報告が出ておりますね。これは大幅な基準緩和要求というふうに言わざるを得ぬのでありますが、こういう要求は受け入れられないということを明らかにしていただきたいと思いますが、その点どうでしょうか。
#224
○政府委員(岩崎八男君) 今のお話、私その出典を知りませんが、そういう議論があるのはそれで一つであって、そのことが大幅な基準緩和要求と言えるかどうか、これはまた別問題だと思いますが、要は少量のもの、日本国土に放散される量として少量のもの、それは環境を経由して人体へ影響する度合いはそれだけ少ないと推定されるわけであります。そういうものとして、従来化審法において年間総体で一トン、おのおのの生産者では百キロ、この二つの基準で、それ以下であればその審査等について特例を設けるということにしております。
 そのことについて。年間総量一トンというのはその限度でいいけれども、各個別百キロというのは余りに少な過ぎるではないか、場合によっては二百キロでいろいろチェックして試験をしてみる場合もあり得るかもしれない、こういう議論がありまして、そういうものは昨年のアクションプログラムの中でも、そういうことは可能ではないのかということが議論されております。したがいまして、総量一トンということを今私ども変えようとは思っておりませんけれども、その中で個別の生産者なり輸入者なりが行い得るある特例の限度が百キロというのをどうするかというのは今後検討していってもいいと考えております。
#225
○市川正一君 私は、この問題は非常に大事な問題にかかわってくるので慎重に検討していただきたい。
 化学物質の対策を考える場合、生体にとって異物である化学物質というのは、程度の差こそあれ有害であるという認識から出発する必要があると私は思います。そういう意味では可能な限り環境に放出しない対策が必要だと考えるのでありますが、製造、輸入業者、使用者の扱い方や回収、再利用、あるいは製造者であればその物質の無害化のための技術開発などの措置をとらせることが必要でないかと考えますが、この点いかがでしょうか。
#226
○政府委員(岩崎八男君) 基本的にそのように思います。
 したがいまして、今回もいろいろな仕様、生産過程における技術上の指針をつくって、それをできるだけ守らせるようにしたい、あるいは表示を義務づけたい、こういうことを想定しております。
#227
○市川正一君 あと三問であります。というのは、環境庁お越しいただき、労働省お越しいただきましたので、簡単に質問させていただきたいと思うんですが……
#228
○委員長(下条進一郎君) 時間が参っておりますので手短に願います。
#229
○市川正一君 第三十四条にあります環境庁長官の要請権限の問題です。
 環境庁は、従来から化学物質環境汚染実態調査などを実施してきており、一定の蓄積もありますので、長官の要請は第一義的に尊重されなければならないと思うんですが、通産省としての御見解を承りたい。同時に、環境庁も従来の実態調査の成果に立って積極的に意見を述べるべきだと思うのでありますが、この際お伺いいたしておきたいというふうに思います。
#230
○政府委員(岩崎八男君) 同じ行政府内の問題、人間でありますので、そういう法律に基づくいろんな要請等については、誠意を持って合理的な解決にお互いに当たっていくことは当然のことだと考えております。
#231
○説明員(海老原格君) お答え申し上げます。
 今回のこの委員会に御付託されております改正案では、化学物質の性状等に加えまして環境残留性の観点からも化学物質の安全性につきまして判断を行うこととなり、特に既存の化学物質につきましては環境残留状況の調査を行っている環境庁の関与が非常に重要になっているというふうに我我は認識しております。このため、今回の改正案におきましては、環境庁長官が環境調査結果をもとに主務大臣に説明を求め、または必要な措置を要請することができることとされているわけでございます。環境庁といたしましては、調査結果を踏まえ、環境保全の見地から積極的に意見を述べてまいりたいという所存でございます。
#232
○市川正一君 頑張ってください。
 最後です。労働省、お待たせいたしました。
 去年の四月二日の本委員会で、半導体工場で使用される有害ガスを特化則に入れるように私要求いたしました。労働省も検討を約束されたのでありますが、その後の検討がどうなっているのか、そしていつまでに結論をお出しになるのか。去年の質問でも、二年もかかっては遅い、急ぐべきであるということを強く要望いたしておきましたが、そういう見通しも含めてお答えをいただきたい。
#233
○説明員(冨田達夫君) 現在までに実施してきた調査研究につきましては、国内外の関連資料の収集とか、製造工程とか、あるいは原材料ガス等の使用実態及びそれらに対する対策の概要の聴取、各現場ではどうなっているのかという聴取を含めて原材料ガス等の有害性に関する文献対策を含めながら、その問題について調査研究を現在まで行ってきました。
 今後は、その研究結果をもとにしまして、実態が果たしてそれに合っているかどうかということを小まめに調べつつ、具体的な対策を進めてまいりたいと思っております。
 現在まで行ってきた具体的な例を挙げてみますと、半導体工場で使用されているシランとかアルシンあるいはジボラン、ホスフィン等の特に取り扱い上注意を要する原材料ガス、これらは主として刺激性が強くて、なおかつ肝臓障害を引き起こすような物質でございますが、そういうもの。それから、既に有機溶剤中毒予防規則で規制対象として労働者のその蒸気の摂取を工学的にも防止するよう事業者に義務づけておりますトリクロロエチレンあるいはテトラクロロエチレン等についても、その使用実態が果たしてそれでいいのかということを含めて調査研究を進めてきたわけでございます。さらには、水素とかヘリウムとかいうキャリアガス等についても、酸素欠乏症の発生防止の観点から、果たしてその安全性がどうなのかという点について鋭意調査をしてきまして、その結果を踏まえながら、必要に応じて今後の対策を進めてまいりたいと考えております。
#234
○市川正一君 それで、いつごろ出しますか。
#235
○説明員(冨田達夫君) この専門家による調査研究でございますけれども、昨年お話ししましたように、二年計画で六十一年度も引き続いて行うこととしております。ただ、その結果が出るまで放置していくということは具体的には問題でございますので、これと並行しまして、半導体製造工場の中で一貫工程を有する工場、これが五十四ございます。それから前処理工程を有する工場が二十二ございます。これら七十六の工場においては有害な原材料ガスが使われておる可能性がありますので、その事業場をとらえて現行の法規制の遵守等について指導を徹底していきたいと考えております。
#236
○市川正一君 終わります。
#237
○委員長(下条進一郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#238
○委員長(下条進一郎君) 速記を起こして。
#239
○井上計君 法案の質問に入る前に大臣に御要望いたしたいと思います。
 先ほど来同僚議員からも質問等がなされておりますけれども、昨日から、またけさの朝刊あるいはテレビニュース等々におきまして、撚糸工連の不正事件、さらにこれに関連して、通産省まで飛び火をしたということが大きく報道されております。全く残念なことでありますし、これについてはもちろん司直の手によって解明されると思いますけれども、私、大臣に特にお願いしたいのは、今後の問題、二度とこのような不祥事件が起きないように厳に監督指導をしていただかなくちゃなりません。ところが、そこで私心配しますのは、余りにもこの問題によって、省内で職員の方々が萎縮するんではないかという懸念があるんです。
 私ごとを申し上げて恐縮ですけれども、私も昭和三十年代後半から中小企業の近代化あるいは構造改善等について、随分と通産省中小企業庁の指導をいただきました。ひどいときには連日連夜のような指導をいただいて、そうして構造改善、近代化等々実施をして成果を上げた経験が私自身あるわけであります。当時感じたことでありますけれども、別にお世辞言うわけじゃありませんけれども、通産省の担当者それぞれが、まことに公私のけじめがはっきりしておって、そして、言い方はどうかと思いますけれども、清廉だというふうな印象を強く受けたことがたびたびあります。
 そこで、私は今、円高等の問題あるいは中小企業の事業転換の問題等、かつてないような重大な時期に、今度このような問題のために、業界団体それから業者と余り密接なそういうような交流、打ち合わせをしていることが、逆に癒着というふうな誤解を招くような懸念があるということで、通産省の職員の人たちが控え目にするとか、あるいは俗に言う、びびってしまって、適切、懇切な指導等がなされないようなことがあると、これは大変なことになる、こういう実は懸念を持っておるわけであります。
 したがって、もちろん今申し上げましたように、二度とこのような不祥事件が起きないように、大臣が大いに綱紀粛正等についてぜひ御努力願わなくちゃいけませんが、しかし、それと同時にあわせて、だからといって、あつものに懲りてなますを吹くようなことになって、業界あるいは業者の指導に支障が起きないように、この点についても御配慮いただかぬと、これ大変なことになるんではなかろうかと、こう考えておるわけであります。
 このような、言えば諸般の情勢が目まぐるしく変転する中で、やはり民間業者というのは、何といっても特に通産省の適切な指導がなければ対応できないようなことがもういっぱいあるわけでありますから、そのような点について十分ひとつ御配慮いただくように。だから、綱紀粛正は綱紀粛正として厳としてやる。同時に、しかしそれが余りにも行き過ぎて、あるいはそのために萎縮をしてしまって、せっかくの必要な業界、業者等に対する指導に支障を来さないように、この点について特に大臣がひとつ十分心していただくように、私の要望でありますけれども、まずお願いをしておきたいと思いますが、大臣のお考えいかがでありますか。
#240
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大変通産省の職員に対しまして温かい御配慮と御激励の言葉をちょうだいをして、私からも御礼を申し上げる次第であります。
 しかしながら、今回の事態はまことに残念な出来事でありまして、これはやはり二度とこういうことを起こさしてはならないし、起こるような構造的な問題があれば、そういうものはちゃんと改めていかなければ、なかなか監督をすると言ってもし切れるものではございませんので、責任もまた持てない。したがって、責任が持てるような仕組みを一遍考えたいと、そう思っております。
 また、通産省は取り締まり官庁ではございませんので、その点はやはり業界の実態をよく知悉をした上で適時適切な指導をしたり、また助成をするためにいろいろなことを実はやっておるわけでございます。したがって、業界の方などとしょっちゅう会合もできない、朝飯台もやれないというようなことになってしまいましても、これも私は、やっぱり行き過ぎは必ずしも国民のためになるかどうかこれわからない問題だと思います。したがって、先ほど常識の話がありましたが、やはりけじめはきちんとつけて、常識の限度を出ないように一つの基準みたいなものをつくっていこうかと、そう思っておるわけです。
 私は大蔵大臣のときに、省内に向かいまして、高級料亭へ行ってごちそうになるなと、特に役所間で接待し合って高級料亭なんてもってのほかだといって、これはもう全部やらせないということにいたしました。したがって、それ以外、業界の関係等で夕飯を食う場合もありますし、そういうような場合も、ただ何十回なんというカラオケ大会みたいなことになっちゃっては、これはだれが見ても行き過ぎということになりますから、そこらのけじめはちゃんとつけながら、余り萎縮もさせないというようにひとつ指導をしてまいるつもりであります。大変ありがとうございました。
#241
○井上計君 特に繰り返し申し上げますけれども、その点十分御配慮をひとついただきたいと、こう思います。
 私先ほど申し上げたように、私自身が三十年代後半から四十年代にかけて、私印刷業でありますけれども、印刷業の近代化構造改善等を実施するときに、本当に適切な助言と指導をいただきました。もしあのときに通産省中小企業庁の指導がなかったら、印刷業の構造改善事業はまずできなかったと、今でもそう思っておりますから、そういう面で、これからますます各業種、特に中小企業はもう大変な時期でありますから、一層その面については、それとこれとは別という考え方で、大いにひとつ通産省の皆さんは御活躍いただくように再度要望をしておきます。
 それでは法案の質問に入ります。
 既にもう先ほど来同僚議員から言い尽くされておるようでありますから、予定した質問はほとんどもう必要がないなど、こう感じます。環境庁にもお越しいただいておりますけれども、特に環境庁、先ほど私がお尋ねしようということは、もう同僚議員へのお答えでもなされておりますから省略をいたします。
 ただそこで、これも若干重複しますけれども、通産省にお伺いするんですが、改正案と現行法との間で特に著しい相違点というのは何であるかということ、それから、そのような中で特定化学物質の用途制限あるいは製造並びに輸入等の許可制についての規制はどの程度、どの範囲で行われるのか、まずこれをお伺いいたします。
#242
○政府委員(岩崎八男君) いろいろな見方からその相違というのは言えると思いますが、非常に大づかみに言いまして、現行化審法は非常に厳しい規制体系でありますが、そのゆえに非常に幅の狭い、ひょろ長のビルになっておるという感じがいたします。現実に有効に適用されておるのは七品目でございます。したがって、これをもっと対象のすそ野を広げる、そういうことが非常に大きな違いではないかというふうに思います。
 対象のすそ野を広げるということは、結局分解性がないもので慢性毒性の疑いがあるものについては、全部これを常時ウォッチしていきたい。ウォッチをして、それがどうも限界に達したと。その限界というのはもちろん十分な安全性を見た上での限界でございますが、そういう限界に達したと思われるときに、それについて現在の第一種特定化学物質と効果において同じような規制をかけていきたい、こういう発想であると思います。
 したがいまして、すそ野を広げるその部分については、これまでの第一種特定化学物質に対する規制と態様を異にしております。つまりこれまでは生産をしようとする者はその業の許可であり、厳しい設備基準を強制されておりました。あるいはその利用者についても同じようにその利用についての基準を強制されておりました。
 今回はそれが指定化学物質の段階では、その生産量、輸入量の届け出義務があるだけでございます。別途必要に応じて、通産省は現在の行政指導と同じような利用マニュアル等をこの法律に基づく指導、助言としてこの段階でも行い得ると思います。それで、限界に達したなというときに、やはりおのおのの生産、輸入予定量を聞きますが、その予定量に対して、それが全体の許容量から見て過大であるというときに、その生産、輸入の変更命令を出せるようにするということが今回の法律的な第一種特定化学物質との、その手段の違いでございます。
#243
○井上計君 すそ野が非常に広くなった。しかし、同時にまたある面では緩やかというか、やわらかくなったというふうなことでありますけれども、末端現場ではなかなかちょっと、何といいますか、緩やかになり、そうして広くなったということで、時には混乱が起きるんではなかろうか、これも一つ懸念するわけですね。
 そこで、これらのいわば化学薬品等々を使用する、あるいは製造する中に中小企業者が非常に多いんではないか、こう考えるんですが、これらについてはどのようにその状況を把握をしておられますか、しておられればちょっとお伺いしたいんですが。
#244
○政府委員(岩崎八男君) 確かにこういうものというのは、松岡委員からも御指摘ございましたけれども、この運用において合理的な運用というものを心がけるというのが非常に大事だと思います。行き過ぎになってもいけませんし、緩やか過ぎてもいけない、こういうもので、そこはあくまでも冷静に、合理的かつ効率的な運営を心がけなければいけないというふうに考えております。
 特に中小企業について、この中小企業といえども、中小企業であるがゆえに、ある化学物質の安全確保について免責されるということはないと思います。ただ、その効率性という面から見て、非常に分散された中小企業のおのおのの地点において一〇〇%何らかの、例えば利用の技術指針等を遵守させることがその目的の実現の上において効率的かというと、そうでなく、もっと大きな需要、利用の場所の方において、そういった利用の方式等についての徹底を図る方が、全体としてはより大きな効率が得られるということはあり得ることだというふうに考えておりますので、この法律の適用においても、先ほどのトリクロロエチレン等の利用者もよく言われますように、ドライクリーニング、あるいはメッキ業、こういった中小企業においても広範に利用されておりますけれども、そういう方々のある努力目標と、大きな量を生産もしくは利用しているその地点における努力目標というもの、あるいはそれの実現のための法律のエンフォースというものの力点、そういうものについては、おのずと効率性という視点から差をつけていっていいんではないかというふうに考えております。
#245
○井上計君 中小企業だから特に特例を設けて免除するとか、緩やかにするとかということは当然これは絶対にしちゃいけません。
 ただ、若干事案が違いますけれども、現行法が制定された契機となったのは、四十八年の例のPCB問題であろう、こう思います。あのPCB問題によって現行法が制定されました。あの当時、あのために、結果においてですけれども、大変な混乱が起きたわけですね。これは私さっき申した印刷業で、印刷業界なんかそのために大変な損害をこうむった企業がたくさんいるわけですね。印刷したものが全部だめになったというふうなこと等もあります。それから、その当時であったと思いますけれども、医療品なんか、ホルマリンを使っての仕上げ加工、これが禁じられて、そのために医療品薬界においても中小企業が大変な損害をこうむったというふうな経緯も過去にあるわけです。
 だから、したがってこういうふうな法律が新しく改正されてできた、特にまたすそ野が広くなったということによってそういう事態が起きるんではないかという懸念が実は若干あるんですが、それらについて緩やかにというふうなことは結構でありますが、同時にこれがまたそれらのものに対して特例を設けて、免除ということはいけませんけれども、そういう面についての配慮も今後実施の中で十分していただきたい、こういう要望をしておきます。特にお答えは要りません。
 それから最後に、私質問も要約いたしますが、先ほど来質問の中にありますけれども、毒性の試験費用等相当莫大なものがかかるということでありますし、それからまた今後改正法施行についていろんな新しい試験あるいは制限等加わってくることによって、中小企業がコストの面でまた影響が起きるんではなかろうかという懸念があるんですが、これらをあわせて、それらのことについてはどういうふうな配慮をお考えになっておるのか、また実態としてどういうことを予想しておられるのか、ありましたらひとつお伺いをしたいと、こう思います。
#246
○政府委員(岩崎八男君) 確かに安全性の確認は十分であればあるほどいいわけですが、その負担というもの、これを無視して安全性の追求だけをしてそれでいいというわけでもない、このことはよく承知しております。
 したがいまして、今回もこのスクリーニング試験と追加試験、この二つは別にしております。スクリーニング試験というのは、あくまでもそれが市場へ出ていくについていわば必要最小限のチェックをする、こういう発想でございます。それから追加試験というのは、明らかにというか、相当な程度をもってこれは人の健康を害するおそれのある状態に来ていると、そういう状況になりましたときに指示する追加的な試験でございますので、これについてはたぶん三年とかあるいは数億のオーダーの費用が要るというようなことになるんではないか。しかし、それは極めて限られた品目であり、かつそのことをやらせるに値するほどやはり安全という面から配慮していくべき時期になっている段階だと思います。
 スクリーニング試験については、新しく化学物質をつくろうとする物すべてについて行わせるわけでございますから、これはそういった経済性の面からも考えて、必要最小限のものにとどめるという配慮をしたいと思います。また同時に、これまでも、もう化学物質については随分いろいろな知見が蓄積されてきております。もちろんそれで十分ではない分野もござい属す。いろいろな今度は新しい問題意識から見た場合になお知見が不十分であるという分野もございますけれども、いろいろな面での知見の蓄積に応じて、この分野というものは本来的に相当安全ではないかというふうに専門家等からも見られている分野も出てまいりました。したがって、そういうものについては、何らかの特例的にそういうものは除外する、軽減する、こういうふうな運用も必要かと考えております。
#247
○井上計君 ありがとうございました。終わります。
#248
○木本平八郎君 大分もう時間が遅くなりまして、それでこの法案については毎度申し上げるんですけれども、私の順番一番後なものですから、全部先発の方々に言い尽くされて何も残っていないわけです、例によって。それで私はちょっと想定問答集はもうおさめていただいて、フリートーキング的に、けさほどからの議論を全部踏まえながら、ひとつ、きざな言い方ですけれども、哲学的に少しまとめ上げたいと思うわけです。
 それは、要するに突き詰めて言いますと、安全性の問題と経済性の問題だと思うんです。この経済性の問題というのはもちろんメリットもありますし、それから効率もあれば、それから利便性とか、それからコストの問題いろいろあるわけですね。こういうものと安全性とのかかわり合いだと思うんです。
 結論的に私の考え方を言いますと、今までは安全性と経済性というのはトレードオフの関係にあると大体思われていたわけですね。ところが、私はもうそういう段階、いわゆる文明のステージというのですか、日本の科学のステージが上がり過ぎたんで、もう二者択一の段階にまで来ているんじゃないかという感じがするわけです、これは非常に極端な言い方ですけれども。そういう観点から、ひとつこういう安全性と経済性というものを化審法を踏まえてどういうふうに役所ではお考えになっているか、通産省あるいは厚生省、環境庁にお尋ねしたいというよりも、確かめたいわけです。だから、議論は安全性の方に傾いたり経済性の方に向いたり非常に振れが大きいものですから、その辺ひとつうまく御協力いただきたいんです。
 まず第一ですけれども、今度新しく指定される物質ですね、こういう物質、先ほどの議論もありましたけれども、私の率直な感覚というか、受け取り方で言いますと、従来どうしても役所というのは安全サイドを見過ぎるという感じがするわけですね。何でもかんでも規制すればいいと、安全サイド、安全サイドに持っていけばいいというふうなことを非常に感じるわけです。特に、私なんか民間におりましたから、取り締まられる側ですから、何かどんどん厳しくなってくる。そして、民間の都合とかコストなんかを全然無視しちゃって、締めりゃいいということでどんどんやられるわけです。
 私、先ほどの井上委員の発言とはちょっと違うんですけれども、ある物質をこう指定しますと、そしてあるデータを試験をしていくと、それで完全にクロになったときには、これはもちろんクロですから、シロになればシロでいいわけです。ところが、シロかクロかという段階に灰色の段階があると思うんです。それも非常にクロに近い灰色とシロに近い灰色があるわけですね。この場合、普通クロでないと、ノットクロということになる。今までは、でも必ずしもシロではないということでやっぱり規制が非常に強いわけです。
 ところが、我々民間というか、その立場からいえば、ノットクロなら、とりあえずは外してもらいたいという感覚があるわけです。したがって、まず化審法について、この法律が施行された後ずっとフォローしていって、データが収集されて、そしてあるところまで行って、これは大丈夫だなという段階になったら一応規制を解除するというふうな融通性についてはどういうふうにお考えになっているか、まずお伺いしたいわけです。
#249
○政府委員(岩崎八男君) ちょっと語弊があると思いますが、ノットクロ、ノットシロのものをウォッチしていきたいというのがとりあえずの今回のこの法律の広げの一つだと思っております。そういうふうにしてウォッチしていきまして、追加試験等も必要に応じ行いますし、そこで最終的にシロであったらこれは取り消しの手続も用意してあります。
#250
○木本平八郎君 それで、先ほどからの議論を聞いていますと、通産省の方としては相当柔軟性があるように思うんです、今までよりも。それで弾力性というか、柔軟性があるんで、ぜひそういうふうにやっていだたきたいと思うんですけれども。
 ただ、やはりこういう法律をつくりますと、どうも役所の方が、法律に縛られるのは当たり前なんですけれども、縛られるというよりも振り回されて、法律の方がひとり歩きするということもなきにしもあらずだという感じが非常にするわけです。したがって、私はこれからの政治というのはどういうふうにあるべきかという、私なりの考えでは、朝令暮改だっていいんじゃないかと思うんです。怪しいからこれ一応指定したと、よく調べてみたら、そうそう問題がなさそうだから一応すぐまた解除するということだっていいと思うんです。一たんこれをやったからには、意地でもってあくまで通すというふうなことになっちゃうと、非常に硬直化するんじゃないかという気がするわけです。
 したがって、私はその問題と、もう一つは、役所がそろそろその責任を持って、自分の腹をくくって行政に向かっていただく時代になっているんじゃないかという気がするわけです。役所が責任逃れをしようとすると、どうしてもそこにコストが高くついちゃうという感じがするわけです。これは、余りそういう話をすると長くなりますので、別の機会にやりますけれども、今のマルコス問題なんかも、私はそういうところに根本的な問題があるという感工がするわけなんです。責任を逃れちゃいかぬということが――これはちょっと別にやりますけれども……。
 それで、やはり役所の判断としていろいろこう全般を考えたと、その結果こういうふうに判断してやったということですね。これは後で申し上げますけれども――こういう文明が過密になってきた状況では、そうそう何もかも先のことまでぴしっと見通すことはできないと思います。したがって、ある程度腹をくくってやってもらわなければ仕方がないんじゃないか。それに対しては、我々議会の方も、余り何でもかんでも役所はけしからぬと言って責めてもいかぬと思うんです、問題が起こったときに。
 したがいまして、我々の方も反省しなければいかぬですけれども、そういうふうなことでコスト高になっているという点はぜひお考えいただいて、そして、融通無碍じゃ困るんですけれども、柔軟性を持ってこういうものに対処していただかないと、非常に問題が思わぬところで起こってくるんじゃないかという気がするんです。その辺ちょっと御答弁いただいて次に進みます。
#251
○政府委員(岩崎八男君) もちろん、余りにも軽はずみな決定によりまして、その都度生産を抑えたり自由にしたりというと、かえって経済実態に混乱を生ずるというようなことがございますので、そういう意味では、私どものこのいろいろなアクションが経済界の実態にどのように影響するかということは常に十分配慮していくべきことで、そういうものを前提として十分の知識、判断に立って行動すべきことだと思っております。かつまた、そういうことでもちろん人知に限界がございますけれども、最大限の知恵を絞って責任のある運営をやっていきたいというふうに考えております。
#252
○木本平八郎君 それで、実は厚生省にお伺いしたいんですが、これは決して厚生省のやり方をどうのこうのということじゃなくて、参考のためにお聞きしたいんですけれども、こういうふうな人体に影響があるとか、健康に問題があるということについては、厚生省が中心になって判断の基準を示されると思うんですけれども、実は日本ケミファがかつて臨床試験データをごまかしたというか、症例数を十やらなければいかぬのを五つで済まして、あとデータをごまかしたとか、明治製菓が何か、あれは昭和医大だったですか、どこかに頼んだとき、動物実験をやらなければいかぬのを、それを適当にやっておいて、あとは捏造しちゃったというふうな問題があるわけです。
 実は私、大学は経済なんですけれども、高等学校は理科を卒業しているものですから、今、現在あっちこっちの企業にもう、まあ引退しているのもいますけれども、相当技術者とか研究者とかおるわけです。この問題があったときに、もう何年前ですか、例会で酒飲みながら、みんなで話していたんですけれども、そのときにこういう話があったんです。要するに、経営者とかあるいは営業部長だとか、常務取締役という文科出身のやつらは信用がならない、利益のためにこういうことを平気でやると言うわけです。ところが、技術者というのは、それはもうそういう利益とかなんとかじゃなくて、本能的にこういうことをやれないと言うんです。
 だから、したがって仮に、そのときの意見ですよ、こういう企業でデータをごまかしたとか捏造したというのは、これは想像ですけれども、技術者としては、いや、こんな試験はやる必要ないと、十分にもう大丈夫だと、ところが、これをやるには金がかかる、だからそこを、十やらなければいかぬところを五つで済ましてやっちゃったということが非常にあるんじゃないかということが技術者仲間の判断なんです。したがって、余り規制が強過ぎるとかえって脱法行為というのは起こるんじゃないかという気がするんです。
 話はちょっとなにしますけれども、カタストロフィーの理論なんかがありまして、あるところまで、例えばこういうふうに、ばねみたいなものをぐっと引っ張ると、引っ張る力と曲がる角度が同じだと。ところが、ある限界にいくとぴんと折れてしまう。例えば猫がネズミを追っかけるとき、あるところまではネズミは逃げていきますけれども、ある段階にいったら、もう窮鼠かえって猫をかんで、ぱっと猫に飛びついちゃうということがあるわけですね。したがって、規制も強ければ強いほどいいと思うけれども、ある段階にいくと、一遍に脱法行為みたいなものにぱんとひっくり返りちゃうということがこれはもうたくさんあり得るわけですね。その点においてどうも、私、厚生省の考え方が、強ければ強い方がいいという、これ警察行政と交通行政もそういうことがあるんですが、そういうふうなことではやはり破綻を来す可能性があるんじゃないか。
 したがって、私が申し上げたいのは、ある程度は性悪説から性善説に変えていかないと、コストばかり高くなるし、こういう問題も発生するんじゃないかと思うんですけれども、厚生省の厚生行政全体に対する、こういう規制に対する考え方を全般的にお伺いしたいわけです。
#253
○説明員(渡辺徹君) 私ども特にこの化審法におきましては、毒性評価という観点から共管をさしていただいておるわけでございますが、今回の改正のスキームの検討に当たりましては、従来難分解性で蓄積性がないものというものにつきましては、毒性に関するデータが非常に出にくい状況にあったと。それが今回の改正によりまして、毒性データにつきまして難分解性のものにつきましても一応提出していただくと、こういうスキームを提案申し上げたわけでございます。
 この内容につきましては、私どもも、化学物質の初期の評価の段階におきましては、これは本格的な、二年、三年かかるというような試験を要求するということでなく、簡便かつ適切、適正な正確なスクリーニング試験ができる試験方法はないかということで、OECDのMPD項目の中でも提案されております変異原性試験あるいは反復投与毒性試験というような試験、これはOECPでも、ミニマム・プリマーケティング・セット・オブ・データという呼び名でされておりますように、スクリーニング試験として必要とされる最小限のものということで、こういう試験によりましてスクリーニングをしようと。先ほど通産省からも御説明ありましたように、スクリーニング試験等の段階での毒性に懸念のあるものは指定化学物質にすると。しかし、後々この追加のデータでその化学物質についての毒性の懸念のなくなったものについては、これは指定化学物質の解除もすると、こういう制度になっているわけでございます。
 私どももこういう今回の改正の全体のスキームにつきましては、通産省とも意見の一致のもとに提案を申し上げたものでございまして、そういう趣旨で私どもも決して過剰なあるいは不必要なデータを化学物質に対して要求をするというつもりは毛頭ございません。
 先生が御指摘になりました新薬のデータに関する捏造事件、これは私ども厚生省薬務局がまさに今新医薬品の審査も担当しているわけでございますが、確かに先生御指摘のような私ども苦い経験も持っておるわけでございますので、先生の御心配、御懸念も、私ども十分に理解きしていただいておるわけでございまして、そういうことも踏まえた上で、私どもといたしましても十分に通産省と協議さしていただいて、そしてこういう必要最小限のデータで初期評価をやろうということで、こういう提案をさしていただきましたので、その点御理解をいただければ幸いと存じます。
#254
○木本平八郎君 ぜひそういうスタンスでやっていただきたいと思うわけです。
 それで、私、先ほどの科学者、技術者ともちょっとまた反対なんですけれども、要するにこういう規制値を考えるときに、どうしても科学者というか技術者、そこまでいかない技能者というか、そういう方が考えると非常にショートサイト的にこの規制をどうする、どうすると、この程度でいいか、この程度でもう少し強くするかというふうに発想がいっちゃうんですね。こういうものを扱うときには、今までのDDT段階まではそれでよかったかもしれないけれども、後で申しますけれども、こういうふうなトリクロロエチレンですか、こういう段階になってきますと、やはり行政官が全体の行政を考えて、科学者というか、そういう者のデータを判断してやると、あるいは政治家が全体をにらんだ上で、どういうふうに運営していくかということをやっぱり考えなきゃいかぬ段階だと思うんですよ。ただ単に、こういう技官というんですか、下の方から言ってきたからそのとおりにやればいいというふうな問題ではないと私は思うわけです。その点ぜひお含みの上、こういうものを運営していただきたいと思うわけです。
 ちょっと話を変えるというか、入る前に二つのことをお聞きしたいんですけれども、今度のこの規制、念のために非関税障壁になる心配はないかどうかという点だけちょっとお確かめしたいんですがね。
#255
○政府委員(岩崎八男君) これはあえて申しますと、そういう非関税障壁にならないようにというのが今回の改正の一つの配慮要因でございますし、この化審法というのはずっとあったわけで、一つの基準認証の形でございます。その運営のむしろ国際化というふうに私どもは考えております。
#256
○木本平八郎君 それからもう一つ、このトリクロロエチレンとかテトラクロロエチレンですね、これが燃えた場合、大きな火事になって、地震なら地震で大きな火事がぱっと来たときに、これが燃えるとホスゲンというか、毒ガスになる心配はないんですか。わかっていればちょっとお聞きしたいんですがね。
#257
○政府委員(岩崎八男君) どうもこれは、今直ちにどういうことになりますか、確定的なお答えできませんが、これ自体はどうも基本的には非常に難燃性のものであるということではあるようでございます。ただ、難燃性のものでも、最後に燃焼した場合にどういう化合物が発生するのか、それについては、申しわけございませんが、後刻先生のところに御報告さしていただければと思います。
#258
○木本平八郎君 実は私、突拍子もない質問したのは、冷房に使うフレオンガスというのがありますね。これは常温では本当に無害なんですね。ところが一たん火にあおられますとホスゲンになっちゃうわけですね。それで今私、数量はどのくらいか知りませんけれども、東京都に現在エアコン関係で入っている、それからこれはICなんかの洗浄その他にも使いますから。そういうものが東京の総人口の何倍も殺せるだけの、地震になって火事であおられた場合ですよ、やられるだけのものがあるわけですね。それ以外に新建材がいっぱいありますから、これは今度関東大震災のようなああいう地震が来て、そして火事になったら、もうホスゲンの方が怖いわけですね、現在。
 そういうことがあるので、実は突拍子もないことをお聞きしたのは、こういうものがあって、あるいは今化審法でやろうとしている方よりも、むしろ地震になったときのホスゲン化する方が怖いかもしれないですな。したがって、こういう段階になってくると、本当に予想もしないようなことがやっぱり起こる可能性が出てくるというふうなことで、私、実はそういうことを申し上げたわけです。だからそれを研究してくれとか、それを追求してくれということじゃなくて、そういうふうな文明のステージというんですか、生産というか、経済、産業のステージにもう来ているということなんで、私はきざな言い方をすると、どうも神の領域に入り込んできているんじゃないかという気がするんですね。
 例えばこのテトラクロロエチレンというのは、これ説明見ますと、例えば洗浄力が非常にいいからクリーニング業者が使っているというわけですね。確かにその効率はいいと思うんですね。ところが本当にそういう危険があるんなら、むしろ洗剤というのはいっぱいあるわけですね、石けんから始まって、普通の中性洗剤とかいろいろあるわけですね。それでもいいじゃないかと。どうしてもそれで間に合わないということかもしれぬけれども、これだけの危険性を冒してこういうものをやるまでもないじゃないかという判断があるわけですね、どのくらいの危険性ということはちょっと別にしてですよ。
 石けんの段階なら、これは燃えたって、水に油をやったって、どうしたってどうってことはないわけです。これは大体判断がつくわけです、我々の知恵で。それで中性洗剤もあるいは判断がつく段階かもしれない。ところがテトラクロロエチレンになってくると、ちょっと先ほど言ったように、もう地震が来たら何があるかわからないというような非常に高度な段階になってくると、こういうようなのは神様が、変な言い方ですが、神様が何を考えているかわからないわけですね。地震があるかないかというのは、神のみぞ知るという段階ですからね。そういう段階になってきますと、非常にこういうものの取り扱いということが、予想もつかないものが出てくるという感じはするわけです。したがって、私は先ほどの議論とは別に、安全性を考えるなら、もう経済性を捨てて安全性だけをとるということになれば、むしろ先ほどの話と全然逆で、怪しきはもう全面的に禁止するとか、やめるということだって必要じゃないかと思うんです。
 環境庁、こういうふうな環境の立場から、後でいろいろ議論を展開したいんですが、そういう考え方というのはいろいろの問題があると思うんですけれども、全般的に環境を維持するということについて、怪しいものはもうやめちゃうということが出てきてもいいんじゃないかと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えですか。
#259
○説明員(海老原格君) お答え申し上げます。
 化学物質の安全性につきましては、ここにおられます通商産業省、厚生省等、各省庁におきましてそれぞれの観点から安全性の点検を実施しているところでございますが、環境庁におきましては、化学物質の環境中における残留状況を調査して、環境中における安全性を評価するために総点検調査というものを実施しているわけでございます。この総点検調査の結果、環境中に相当程度残留しており、人の健康が損なわれるおそれがあるというふうに判明するような化学物質につきましては、ここで御審議いただいております化学物質審査規制法に基づき、製造等の規制を含めまして環境汚染防止のための措置をとるよう関係各省庁に要請をするなどして、国民の健康の確保と環境保全の観点から遺漏のないように対処しているところでございます。
 いろいろ申し上げましたけれども、やはり各省庁でそれぞれ今先生がおっしゃいますような観点をよく踏まえた上で検討をして、規制が行われているのではないかというふうに思うわけでございます。
#260
○木本平八郎君 私、かつて環境特別委員会で、ディーゼルエンジンの問題を取り上げたことがあるんです。ちょっと何ですから、今参考のために申し上げますと、ディーゼルエンジンの排ガス規制というのは非常に難しいと。燃焼温度を上げるとNOxが上がっていくし、燃焼温度を下げるといわゆる黒煙が出てくる、それでどうしようもないということなんですね。
 ところが私、そのときに言ったのは、どうしても排ガス規制をクリアできないんなら、ガソリンエンジン並みにできないんなら、もうディーゼルエンジンやめたらどうだということを言ったわけですね、非常に乱暴な意見のようなんですけれども。ということは、ガソリンエンジンは少し燃費が高いとか何かちょっと違うらしいんですけれども、しかしほとんどガソリンエンジンでもう間に合うわけですね。日本も経済的にここまで豊かになったんだから、そんなに燃費とかそういうことにこだわらなくてもいいんじゃないか。むしろほとんどのものが全部ガソリンエンジンで代替されるし、それで長距離トラックなんか非常に利便だと。便利でいいからガソリンエンジンにかえなさい。例えばディーゼル機関車が走っていますね、あれもガソリン機関車にかえればいいという非常に乱暴なことを言ったわけですね。
 それをやりますと、私は日本のメーカーというのは技術というのを、必死になって今度は排ガス規制をクリアしようと思って研究やるんですね。私は三年間で十分にやれるようになると。どうしてもだめならこれはもうやめちゃってガソリンにする。ということは、日本がこんな狭い国土で、こんなに人口が過密で、そういうところをあんなにもうもうディーゼルの煙を出して走られたんじゃ、幾ら環境をやろうとしたってだめだと。したがってああいうものはテキサスの平原とかあるいはサウジの砂漠地帯とか、そういったところを走るならまだ効率もいいし、いいでしょうけれども、こんな狭いところはもうちょっとディーゼルエンジンは遠慮してもらって、ガソリンにかえるということだってやっぱり必要なんじゃないかと思うんです。もう今の日本の経済あるいは産業、文明というのは、そのステージまで来ていると思うんです。だから何もわざわざそんな公害まで出して、環境汚染までして、ディーゼルエンジンを使わなくても、少々効率悪くても、ガソリンエンジンにかえても十分にやっていけるんじゃないかと思うんですね。
 ちょっと非常にとっぴな考え方ですけれども、こういう考え方について通産省はどういうふうにお考えになりますか。ディーゼルエンジンについて担当じゃないでしょうけれども、常識的にお伺いしたいのですがね。
#261
○政府委員(岩崎八男君) やはり安全性と経済性の問題、個々のケースで異なると思います。ディーゼルとガソリンエンジンをそういう公害防止という面から、どちらに二者択一にすべきか、これは一つの判断であり、どちらがより経済性があるかという面から考えればいいことではないかと思います。
 ただ、今回の化審法の化学物質の安全面、環境を経由する慢性毒性の防止という面からしますと、少なくとも安全性の判断は独自にあり得ると思います。その安全性の判断、これは相当な、まさに安全度を見込んで決めたらいいと思いますが、そういう判断をするに至る資料について経済性を考える、これは十分に考えなければいけないことだと、あるいはそういう安全性の判断を実現、キープするためのいろいろの施策について、これについて経済性や効率性を十分考えていく、これは当然のことではないかというふうに考えています。
#262
○木本平八郎君 私が申し上げたいのは、要するに、そういう環境とか国とか、置かれている状況においていろいろアプリケーションが違ってくると思うんです。先ほど伏見先生がおっしゃいましたけれども、DDTを持っていって蚊を退治したら、森林の中に入ってみんな伐採されて、環境がかえって破壊されたという話をされましたけれども、しかし仮に日本ならそういう心配ないわけです。蚊がいなくなったって、森林に行って木を切ることはあり得ないですね。だから文明のステージによって全部違うと思うんです。
 ところが、先ほど先生がおっしゃったのは、DDTが、マラリア蚊を退治するということのためにはよかったけれども、思わぬ結果が出ちゃったということなんです。したがって、化審法だとかこういう問題も、やはり思わぬ結果が出てくる可能性が十分にあるという点は、ひとつ今後とも踏まえて対処していただきたいと思うわけです。
 それからもう一つは、先ほどOECDの問題を、私は非関税障壁にならないかという点からお伺いしたわけですけれども、逆に、ヨーロッパの場合にはこれだけの規制が必要だけれども、日本の場合必要がないとか、逆の場合とか、これはあると思うんです。そういう中で、国際貿易、交流をやっていかなきゃいかぬということになりますと、いろいろの立場の違いとか、そういう置かれている状況の違いというのはあるわけです。それを柔軟に対処していかなきゃいかぬ。しかしそれがどうしても合わなければ、これは無理をして向こうの基準を受け入れるということはかえって混乱を起こしちゃうし、それからかえっておかしくなる。その場合には、やはりむしろ思い切って日本はもうそれを使用禁止にしちゃうとか、そういうことだってやっぱり必要なんじゃないかと思うんです。そうしないと、表向きはちゃんと皆さんと一緒につき合いますと言っておいて、実際はつき合わせないようにしたり、そういうことをやるとまたアンフェアだとかずるいとか言われるし、日本は、私はある意味ではつき合いのよさがかえって相手に疑いを持たれている面もあるんじゃないかという気がするわけです。
 そういう点で、こういうものの扱いというのが、今までのステージと違ってどんどんステージが上がってきて、非常にあらゆる多岐にわたって考えをめぐらさなきゃいかぬ段階に来ているんじゃないかという気がするわけです。
 法案自身については私も大賛成ですけれども、ただ、今後の運用、運営、それから新しい問題が出たときには、そういう観点から一応御検討いただく必要があるんじゃないかと思うんですね。そういうことをまとめまして、最後に大臣の御所見を承って、私の質問を終わります。
#263
○国務大臣(渡辺美智雄君) 木本先生の御意見は、非常に実務家としてやってこられましたから、大変現実的な見方で勉強に、なりました。
 やはりこういうものは行き過ぎてもいけないし、足りなくてもいけないし、これはそういう点に十分配慮しながら、有効適切にこの法律を活用してまいりたいと考えます。
#264
○委員長(下条進一郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#265
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認めます。
 討論、採決は後日行うこととし、本日はこれにて散会いたします。
  し午後四時五十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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