くにさくロゴ
1985/04/02 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 商工委員会 第5号
姉妹サイト
 
1985/04/02 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 商工委員会 第5号

#1
第104回国会 商工委員会 第5号
昭和六十一年四月二日(水曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月一日
    辞任         補欠選任
     井上  計君     三治 重信君
 四月二日
    辞任         補欠選任
     福間 知之君     対馬 孝且君
     三治 重信君     井上  計君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         下条進一郎君
    理 事
                前田 勲男君
                松岡満寿男君
                市川 正一君
    委 員
                岩本 政光君
                大木  浩君
                佐藤栄佐久君
                斎藤栄三郎君
                杉元 恒雄君
                降矢 敬義君
                松尾 官平君
                梶原 敬義君
                対馬 孝且君
                浜本 万三君
                田代富士男君
                伏見 康治君
                井上  計君
                木本平八郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   渡辺美智雄君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       平泉  渉君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      高橋  元君
       公正取引委員会
       事務局長     佐藤徳太郎君
       経済企画庁長官
       官房長      平澤 貞昭君
       経済企画庁長官
       官房会計課長   長瀬 要石君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁総合
       計画局長     及川 昭伍君
       経済企画庁調査
       局長       丸茂 明則君
       通商産業政務次
       官        大坪健一郎君
       通商産業大臣官
       房長       児玉 幸治君
       通商産業大臣官
       房総務審議官   謙田 吉郎君
       通商産業大臣官
       房審議官     松尾 邦彦君
       通商産業大臣官
       房会計課長    植松  敏君
       通商産業省通商
       政策局長     黒田  真君
       通商産業省産業
       政策局長     福川 伸次君
       通商産業省立地
       公害局長     黒田 明雄君
       通商産業省基礎
       産業局長     岩崎 八男君
       通商産業省機械
       情報産業局長   杉山  弘君
       通商産業省生活
       情報産業局長   浜岡 平一君
       工業技術院長   等々力 達君
       資源エネルギー
       庁長官      野々内 隆君
       資源エネルギー
       庁次長      小川 邦夫君
       資源エネルギー
       庁石油部長    畠山  襄君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    高橋 達直君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  山本 幸助君
       特許庁長官    宇賀 道郎君
       中小企業庁長官  木下 博生君
       中小企業庁次長  見学 信敬君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        野村 静二君
   説明員
       外務省経済協力
       局審議官     太田  博君
   参考人
       海外経済協力基
       金副総裁     青木 慎三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和六十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)、昭和六十一年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)、昭和六十一年度政府関係
 機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管(公正取引委員会、経済企画庁)
 、通商産業省所管、中小企業金融公庫及び中小
 企業信用保険公庫)
○参考人の出席要求に関する件
○化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出)
○航空機工業振興法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(下条進一郎君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨四月一日、井上計君が委員を辞任され、その補欠として三治重信君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(下条進一郎君) 去る三月二十八日、予算委員会から、本日四月二日、一日間、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち公正取引委員会、経済企画庁、通商産業省所管、中小企業金融公庫、中小企業信用保険公庫について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 まず、渡辺通商産業大臣から説明を聴取いたします。渡辺通商産業大臣。
#4
○国務大臣(渡辺美智雄君) 昭和六十一年度通商産業省関係予算の商工委員会の予算審査における御審議に先立って、一言ごあいさつを申し上げます。
 我が国の当面の重要課題である貿易摩擦問題につきましては、経常収支の大幅な黒字を背景に、依然として深刻な状況にあります。一方、昨秋以来の円高傾向は、対外不均衡是正の観点からは望ましい効果が期待されているものの、その変動が余りにも急激であったこともあり、中小企業に深刻な影響を与えつつあります。また、技術革新や情報化の進展、国民ニーズの多様化など、我が国の経済社会は、広範な分野において構造的な変化に洗われつつあります。
 我が国が今後長期にわたり発展を遂げていくためには、当面の厳しい内外情勢を乗り越え、また、構造変化の大きな流れを見失うことなく、長期的展望と大局的な見地に立って、積極的な適応努力を積み重ねることが必要不可欠であります。
 私は、このような認識のもとに、特に次の五点を重点に全力を挙げて通商産業政策を展開してまいる所存であります。
 第一に、国際経済摩擦への建設的な対応であります。第二は、技術開発、情報化施策の推進であります。第三は、環境変化に対応した中小企業施策の展開であります。第四は、安全保障と経済性確保のための資源エネルギー政策の充実であります。第五は、国土の均衡ある発展の確保と快適で安全な国民生活の実現であります。
 昭和六十一年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画の作成に当たっては、このような基本的方向に沿って、諸施策の実現を図ることとした次第であります。
 この結果、一般会計は、七千八百二十一億九千八百万円を計上しております。特別会計につきましては、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計六千七十九億三百万円、電源開発促進対策特別会計二千七百七億八千九百万円、特許特別会計四百五十億四千百万円等、当省所管の五つの特別会計にそれぞれ所要の予算額を計上しているところであります。
 また、財政投融資計画につきましては、五兆三千百七十二億円を計上しております。
 通商産業省関係予算及び財政投融資計画の内容につきましては、お手元に資料をお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただき、説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。
#5
○委員長(下条進一郎君) 次に、平泉経済企画庁長官から説明を聴取いたします。平泉経済企画庁長官。
#6
○国務大臣(平泉渉君) 昭和六十一年度の経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁の予算額は四百十九億四千五百万円となっており、これは前年度予算額に比べて十九億四千九百万円の増額であります。
 また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金に係る分として、四千二百五十億円を予定しております。
 以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。
 第一に、経済協力の積極的展開を図るために必要な経費として、三百十九億七百万円を計上しております。
 この内訳の主なものは、海外経済協力基金交付金三百十八億九百万円であります。海外経済協力基金につきましては、経済協力の第三次中期目標のもとで政府開発援助の計画的な拡充に努めるため、事業規模として、七千四百億円を予定しております。この資金としては、前述の交付金のほか、一般会計からの出資金が一千八百億円、資金運用部資金等からの借入金が三千九百九十億円、政府保証債が二百六十億円、回収金等が一千三十二億円となっております。このうち、一般会計からの出資金は大蔵省に計上されております。
 第二に、物価政策及び国民生活政策の推進に必要な経費として、四十三億七千一百万円を計上しております。
 この内訳の主なものは、生活関連物資の需給、価格動向の調査監視、その他各省庁の所管する物価対策を機動的に実施するための経費十八億円、国民生活センターの運営に要する経費十九億円等であります。
 第三に、総合的な経済政策の推進、内外経済動向の調査、分析の充実、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」に基づく諸施策の積極的推進に必要な経費として、十四億七千九百万円を計上しております。以上、六十一年度における経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。
 何とぞ御審議のほど、よろしくお願いいたします。
#7
○委員長(下条進一郎君) 次に、高橋公正取引委員会委員長より説明を聴取いたします。高橋公正取引委員会委員長。
#8
○政府委員(高橋元君) 昭和六十一年度の公正取引委員会関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 総理府所管一般会計歳出予算のうち、公正取引委員会の予算額は、三十億一千九百万円となっており、これは、前確度予算額に比べて一億三千七百万円の増額となっております。
 以下、その内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、独占禁止法施行経費として、一億六千七百万円を計上しております。
 違反事件の審査のための経費、経済実態の調査のための経費など、独占禁止法を適正に運用するための経費であります。
 第二に、下請代金支払遅延等防止法施行経費として、二千百万円を計上しております。
 法運用の強化と啓蒙普及活動を積極的に行い、下請取引の適正化を推進するための経費であります。
 第三に、不当景品類及び不当表示防止法施行経費として、一億八千二百万円を計上しております。
 公正な競争を維持推進することにより、消費者の保護を図るため、景品表示行政を積極的に推進するための経費であります。
 最後に、その他人件費等の予算として、二十六億四千九百万円を計上しております。
 以上、昭和六十一年度における公正取引委員会の予算について、その概要を御説明申し上げました。
 何とぞ御審議のほど、よろしくお願いいたします。
    ―――――――――――――
#9
○委員長(下条進一郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件審査のため、本日の委員会に、海外経済協力基金副総裁青木慎三君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(下条進一郎君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○梶原敬義君 予算の関係に入る前に、日本撚糸工連の問題について、一、二点最初にお尋ねをいたします。
 私は、三月の二十五日に、社会党の日本撚糸工連調査委員会をつくりましたが、その一員といたしまして石川県の金沢市等に赴きまして、わずかな時間でありましたが、幾つかの調査、チェックをしてまいりました。そのときに非常に疑問に思った点がありますから、この点についてぜひ解明をしていただきたいと思います。
 例の機械を破砕をする場合に、問題の十三台のうちの六台の機械――その十三台のうちの何台かは中小企業から買ったものではなくて、どこかの大手の機械を撚糸工連が買ってきて、それに機械ナンバーか何かをつけて処理をしたんだろうと思いますが、そのうち多分六台だったと思いますが、もう解体をする前の機械を、立ったままじゃなくて、寝せたままの状況の現地調査をしているわけですね。それに県の職員も一人立ち会っておるわけですが、県の職員が、この機械はその工場に立ったままの機械じゃなくて、横に、もう足も崩して組み立て前の状況に寝せている機械を、これをやるんだ、廃棄するんだということで、ちょっと疑問を挟んで、おかしいではないかと、こういうことを言ったというわけですね。これは石川県の繊維課長なんです。
 ところが、撚糸工連あるいは県の地元の組合、どちらかよくわかりませんが、だれかが、その機械の立っている姿の写真を県の職員に見せて、そして県の職員もしぶしぶそういうことならということで確認をしたというか、認めざるを得なかった、こういうことを言われたんです。
 そもそも県の職員も、もう機械が寝ているものを、写真を見ただけでそれを見逃がしたというところは一つは問題がある。同時に、写真を見せて、これはもう意図的に、犯罪意図があって見せて、そして県の職員を納得さした者は一体だれなのか、それをひとつ明らかにしていただきたい。恐らくそのときに通産省からも課長補佐が現地に行っておりましたから、調査はもう既に進んでおると思いますから、明らかにしていただきたいと思います。
 それから、よく大臣が、もうこれは信用した相手の撚糸工連やあるいはその下の、工連の下にあります現地の組合が、そこが信用してやったのが信用できないんだから、何か法律を変えるなり何かをしてやらざるを得ないというような言い方をいたしますが、今のやり方でも、チェックのやり方を本当に厳しくやれば、私は問題を把握できたと思うんです、こういう破砕の問題についてはですね。そこをやらずして何か新しい手を打って、法律か何かをつくってやるというようなそういう考え方、そうやれば過去のことは全部免罪符になる。だから、その前の問題について、一体どことどこにどう問題があったのかというのは、やっぱり究明をしてもらわなければいけない。この点について通産省のお考えを最初にお伺いしたいと思います。
#13
○政府委員(浜岡平一君) 御指摘のとおり、問題の十三台のうちの、なかんずく六台の確認手続に十分でないところがあったことは否めないと存じております。
 処理要領を見ますと、破砕、これは実際にばらばらにしてしまうことを破砕と言っておるわけでございますが、破砕する前に何らかの理由で解体をする必要がある場合、これは例えば工場の中が狭くて、解体をしまして工場の外へ持ち出してばらばらに破砕するというような事態があり得るというようなことを考えておるんだと思いますが、こういう場合におきましても、解体する前に立ち姿を確認するようにというぐあいに事務処理要領ではなっているわけでございまして、立ち姿の写真を見ればいいというようなことには事務処理要領土ならないわけでございまして、写真を見せて、これでいいんだというぐあいに説明をしたのは不適当、要領には合致していないと私どもも考えております。立ち会いをいたしました県の職員に対しましてそういう説明をいたしましたのは、産地の組合の関係者と連合会の関係者でございますが、肩書等につきましては、詳細を後日先生のところへお届け申し上げたいと考えます。
 それから、ただいま御指摘がございましたように、現行制度のもとにおけるこういう確認手続につきましては、確かに要領の周知徹底というような面でも、率直に申し上げまして、今のようなケースが起きているわけでございますので、十分でないところがあるというぐあいに、私どももこのケースに即して考える限り認めざるを得ないわけでございます。
 今後こういう形の事業を行うとすれば、破砕の手続に関しましてはできるだけきめの細かいマニュアルをつくりまして、どういうぐあいに確認をするのか、特に破砕と解体という言葉の使い分け、それぞれの定義でございますとか、あるいはその破砕すべき場所というのはどことどこだ、破砕後はこういう姿になっておればいいというような、例えば写真までつけるとか、そういったきめ細かい行き届いたマニュアルをつくるというような工夫も、是が非でもしなければならないというぐあいに思っているところでございます。
#14
○梶原敬義君 後日私にだけに名前を知らせてもらうというのも、まあそれは結構ですが、やっぱり委員会ですからね、権威ある委員会ですから、委員長以下委員会に出してもらうのが筋でないかと思います。誠意ある対応をお願いをします。
 それからもう一つ、ちょっと思い出したんですけれども、さっきあれしませんでしたが、要するに、石川県の撚糸工連と、県の工連とその下にあります小松の撚糸工連の役員の皆さんと話をしておりましたが、政治献金の問題について、やっちゃ悪いということをあなたたちは知っていたのかと、こう言ったら、いや全然知らないと言うのです、けろっとしてね。これはもうトップの皆さんが出ておりました、おたくの課長さんも一緒でしたが。それはいけないんだと、なぜその問題を知らなかったか。いや結局通産省はちゃんとその問題については、中小企業庁ですか、政治献金やっちゃいけないということになっているというのは、もう通達済みだという答弁何回もされておりますが、現地は全然知らない。全然知らないと言うんですから、どこかで話が詰まっているわけなんですよ。
 だから、やったらいいというもんじゃないと思うんだよ、僕は。いや、上に言うたがら下へ言っているはずだというのは、これはまさに役人のすることで、ここでやったことが下まで行き届くかどうかが、これが本当の意味の行政であるし、仕事でないかと思うんですよ。この点については、そういうことは何かこうおれたちのせいじゃないというような言われ方で逃げたって、これは大臣、トップに責任が僕はあると思うんですよ。その点についても、僕はそういう状況を現地で感知してまいりましたので、ひとつ厳しく受けとめていただきたいと思います。
 それから、その後の真相の調査、通産省は通産省なりに私は進めていると思います。ただ、司直の手で進むことがすべてではないわけですが、やはり問題が問題だけに、一体どのような調査を大体、具体的にはいいですから、どうここまでその後進めてきたのか、ぜひ聞かしていただきたい。
 それから、現地で、地元の機械をもう売却した中小の皆さんが集まって不平たらたらです、いろいろ。幾らで売って幾ら手取りが来るかなんということはわからぬまま、現地の組合の皆さんが、印鑑だけ貸してくれと、印鑑を先に押して、後から数字を書き込んで、そして後でくれたというわけです。これは事務手続上、忙しかったかどうかわかりませんけれども、そんなやり方をやっているんですが、そういう皆さんの要望も強いし、早く真相究明に対して取り組んでいただきたいと思うんですが、その点いかがでしょうか。
#15
○政府委員(浜岡平一君) 三点お尋ねがあったかと存ずるわけでございますが、第一の商工組合あるいはその連合会を特定の政党のための利用に供してはならないという趣旨が十分伝わっていなかったということは、私どもも報告を聞きまして非常に残念に思っているところでございます。
 通達自身は中小企業庁から出ておるわけでございます。中小企業庁長官とも相談をいたしたわけでございますが、近いうちにあの趣旨を再徹底させるための通達等も出そうというようなことを決めているところでございまして、その際、御指摘のように、何とか末端にまで周知徹底されるようなきめ細かい注意等をつけまして、遺漏のないようにいたしてまいりたいと思っている次第でございます。
 それから、第二点の調査の進捗状況でございますが、御承知のように、私ども自身も、私ども自身の担当課も強制捜査を受けまして、ダンボール六箱の資料を押収されたというような状況になっておりまして、ほとんど資料がないという状況になっておりますし、また、関係者は依然として身柄を拘束された状況のままでございますので、なかなか思うには任せないところもあるわけでございますけれども、特に地域ごとの産地組合等からのヒヤリング等を通じまして、問題の把握には努めているわけでございますけれども、今申し上げましたような制約に足を取られているという面がございますことは、御理解を賜ればと思うわけでございます。
 それから第三番目の、実際に破砕を行います個別の組合員が、制度の詳細にわたっての情報を必ずしも与えられていないという点でございますけれども、これもまた今後十分心しなければならない点ではないかと思います。特に、返済のための果実を生ませる補償金の趣旨とか、あるいは連合会ベースでの負担金でございますとか、産地組合ベースの負担金、その辺の詳細な中身が周知されていなかったということは私ども大変な驚きでございまして、この点につきましては、今後この制度のあり方を考えます際に、十分念頭に置いて対応ぶりを考えなければいけないところだと思いますし、ほかの分野でも現在こういう事業が行われておりますんで、これを他山の石といたしまして、十分心してまいりたいと考えております。
#16
○梶原敬義君 また、撚糸工連問題につきましては、私どもも今いろいろ書類を集めてそれなりに調査をしておりますが、できればもう我々がいろいろするより通産省で先にやって、そしてもうこうだこうだと出してもらえば想像せぬでいいわけですから、ひとつそういう方向でお願いをできればしたいと思います。
 次に移ります。
 私はあと三つの割合大きな問題を用意しておりまして、一時間ですから、時間が非常に気になります。それで、私もできるだけ質問内容についてはポイントを申し上げますので、要点をつかんで御答弁をお願い申し上げたいと思います。
 最初に、基盤技術研究促進センターに関しまして質問をいたします。
 昨年の六月に、私もこの本委員会で基盤技術研究円滑化法案の審議に参加をいたしました。そのときにいろんなことを頭に浮かべながら審議をしてまいりましたし、また同僚議員もいろんな角度から議論をされました。私は今ここに基盤技術研究促進センターのパンフレットをいただいております。
 そこを見まして、やはり率直に感じたことは、会長が稲山さん、それから理事長が齋藤さん、副理事長が高仲さんということで、理事の皆さんが六人、それから監事が花村さん、こうなっております。通産省OBがこの中で二人、郵政省OBが二人、それから開発銀行が一人、あと民間は上と下に会長と監事。本来これは大企業だけのためにつくるのではないか、こう言って、役員の問題についてもこれはやっぱり中小企業の人も入れるべきではないか、こういう意味のことも大分議論をしたんですが、これではOBのOBの天下り先が一つできたようなものでありまして、理事もこんなに何も数はこれだけの範囲内いっぱいせぬでもいいわけで、通産省OBは一人でもいい、郵政省は一人でもいい。どうもこれを見まして、これはうまくいっているのかどうなのか、これが第一点。役員を見てそう感じました。
 それから、時間がないから先に言いますと、もう一点は、民間からの払い込みが、出資が約五十億円、一体五十億円の金がどういうところからどう集まったか、これも明らかでないんですが、ひとつこの中身を後で教えていただきたい。
 それから出資の関係ですが、きのうの新聞によりますと、まあタイミングがいいんですよ、私が質問するからといってこのセンターは新聞に発表したのかどうかわかりませんが、きのう四月一日現在で、私は日経と朝日を持っておりますが、「自動翻訳機など二十五件に 六十年度二十億円出資」、これが日経の見出してありますが、この中身をずっと見ますと、そういうことで、新聞の中身、それからセンターからいただいた資料によりますと、確かにそうなっております。
 しかし、そうなっておりますが、一体出資会社の新会社名というのは二十五社のうちで二十一社がまだ会社ができていない、仮称なんです。仮称で、予算は先月の三十一日までが予算で、新会社というのは全部仮称なんです。実際間に合っていないんです。これは一カ月ぐらいの間に間に合わせる、こう言うんだけれども、これは新会社の相手先もほとんど大企業が多い、中小企業はごく少ない。こういうようなやり方が、何か新会社、仮称をこうやって、そして募集が幾つかあって、その中で評議員会で審議をしていく。評議員会の審議とは一体どういうことなんですか。評議員会とは、だれだれが一体評議員か、これも明らかでない。何かもう好きな者ばかりが集まって、そしてこれは好きなようなやり方をしているという印象を強く持ちました。
 時間がありませんから、私、言いたいことを先に言います。
 それからちょっと調べてみましたら、この中で光技術研究開発会社(住友電工ほか)に対して一億円が出資されるようになっております。本件は、大型工業技術開発制度において実施されている光応用計測制御システム、これは研究開発出融資額百八十億円、期間が五十四年から六十一年度、このプロジェクトの期限切れによる救済措置と思われるような内容に、一年早めてなっておる。これはどうも現地の会社の、住友電工の会社の人の、私が当たった意向の中でも、ちょっと救済策じゃないかというようなコメントがあって、だれとは言いませんが、蓄えというなら言いますが、まあ言いませんが、一応そうなっておる。
 それから蛋白工学研究所(三菱化成ほか五社)に対し二億円が出資されることになったが、本件についてはようやく三月十二日に研究所の所長が決まった程度で、予算額やプロジェクト推進計画がまだ策定されていない、そう言っているんです。また本研究所は一応五社が音頭をとってこれから参加企業を募集する段階ということです、こうなっておるんです。これは向こうが言っているんだ。これは相手の立場がありますから言いませんが。しかも住友電工の光工学のさっきの大型プロジェクトの問題については、使用材料をこれまでのガリウム砒素からインジウム燐を使用することが前提になっているようでありますが、これは大型プロジェクトでやる内容でもあるし、そこの区分がなかなかはっきりわからない。こういう、どこから見ても、何かつくったのはいいが、どうも私は中身がぴんとこない。
 そもそも稲山さんが何で会長にならなきゃならない。何で稲山さんがこの新技術の問題で、通信とそれからエレクトロニクスや半導体にそんな詳しいものでもないし、これは理事長が兼務でやればいいんです。わざわざ上に持っていって、郵政省と通産省の間の調整役かどうかわかりませんが。私は去年の暮れのパーティーのときにも、案内がありましたから行ってみましたけれども、どうも基盤技術研究促進センターというのはぴんとこないんです。いろいろ言いましたが、その点について答弁を求めます。
#17
○政府委員(等々力達君) たくさん御質問の内容がありましたので、順次お答えしたいと思います。
 役員の人選の件につきましては、広く適材を求めた結果ということでございまして、会長、理事長及び監事につきましては、センターの適切な運営を図る観点から、通産大臣が広く適材を求めた結果指名したものでございます。そのほかの役員につきましては、センターの会長が適材として人選した者につきまして、通産大臣としてセンターの公正な中立的な運営を確保する等の観点からこれを任命を認めたものでございます。
 役員数につきましては、御承知のように、このセンターでは光工業、電気通信業、その他かなり広範な技術分野を対象に出資、融資の事業、それから共同研究のあっせん事業、あるいはジャパントラストというような事業を運営していくというようなことのために。かなり広範な事業を行いますために、現在の役員数常勤六名、非常勤二名というのは必要最小限のものではないかというふうに私どもは理解しているわけでございます。
 それから民間出資につきましては、これは先生御指摘のように、五十億円の出資をしていただいておりますが、関係会社は、出資していただいた会社は六百社ということでございます。
 それから出資をした会社の、何というのでしょうか、名前が仮称というようなことでございますし、それから出資の決定が随分遅いではないかというような御指摘でございますが、昨年の十月にこのセンターが発足いたしまして、それから種々の内部規程、例えば業務方法書あるいは出資、融資の内部規程、そういうようなことの内部を固める作業もかなり初めにございました関係で、実際に出資、融資の公募を行いましたのは十二月でございます。かなりたくさんの応募がございました関係で、その審査等にも非常に時間がかかったというようなことで、確かに先生御指摘のようにかなりおくれておるということは事実でございます。
 それから、この出資の会社につきましては、やはり出資が決定してから会社を新しく設立するというような事務手続になっておりますので、かなりの会社が仮称と、そういうことになっておるかと思います。
 それから、出資の対象になりました企業といいますか、会社の内容につきましては、先生から御指摘がございました光技術関係でございますが、確かに大型プロジェクトでこれはやっておりまして、本年度をもって光応用技術関係は終了することになっております。この関係の技術、一年繰り上げたということでございますが、これは内容的には非常に研究が進みまして、現在は、水島の製油工場でもって、実際に光通信それから工場のいろいろな装置の制御等に光ファイバーを使うあるいはレーザーを使うというような装置を、この大型プロジェクトの成果をそこに応用しております。今最終段階で運転をやっておりまして、私の口から申し上げるのもちょっとおかしいんですが、非常にいい成績を上げておりまして、一段落ということで、そういう意味で一年早く大型プロジェクトを終了させたといいますか、卒業を速めだというような事情でございます。
 ただ、この光通信関係の研究というのは、非常に将来性がございますので、大型プロジェクトが終了した後も、これは引き続きということではもちろんなく、新しい構想のもとに新会社をつくって研究を進めたい、そういう希望でございましたので、ここに出資の応募があったものだというふうに私ども理解しております。そのほかたんぱくのお話もございましたが、こういう事業につきましては、センターからの出資が決まってから本格的に会社の方の組織をするというような状況でございますので、何分その辺御理解をお願いしたいと思います。
#18
○梶原敬義君 そこがわからないんです。出資は、そういう研究会社が幾つかできるとしますね、先に研究会社ができておりまして、それに対して、そこの資本、もう少し内容を、危険分も負担してやろうということで、その後出資する手だってあるんじゃないか。予算を組んだからといって、無理にどんどんつくらせて、そしてやる。だから、二十億円の問題というのは、もう既に新年度に入っているわけですから、通産大臣、大臣は大蔵大臣もしたことあるんですから、予算を組んだからといって、何も無理やりそれをそのときに消化しなくても、それは後に回す手だってあるわけです。もちろんこの前提は、とにかくそういう研究会社をつくる、それに出す、あるいはもとある会社がまたつくったやつに対して出す。この法案の審議の過程ではつくる前に出すということが前提ではないんです。その点いかがですか。
#19
○政府委員(等々力達君) 今回の出資といたしましては、新しく異業種にわたる会社が新しい研究会社をつくるところに出資をする、そういう考え方で運営するようにしております。
#20
○梶原敬義君 私、この予算書の数字はゆうべもらったんですよ。それで、この膨大な資料をゆうべもらって、これは中身全部チェックできないんですよ。する暇ないんです。ただ、多分去年の法案の審議のときに、この相手側に出資する前提は、新会社をつくるということが前提ですか、今既にある、研究しているところにも状況によって出すということが前提ではないんですか。今あなたのは、とにかく予算を決める、どこそこに何ぼ出すという出資額を決める、そして会社をつくるんだという、もう一貫した答弁なんですが、それは法案の審議のときの経過からすると間違っておりませんか。
#21
○政府委員(等々力達君) 新しい会社に対して出資をするというふうに理解しております。
#22
○梶原敬義君 それじゃ、どこかに今三つか四つの企業がもう既に企業をつくっておる、そしてそれが今新素材の研究を始める、見込みがある。そこが申し入れたときには、そこには出資はしないんですか。
#23
○政府委員(等々力達君) 経理の方をはっきりさせるために、新しい会社にだけ出資するということで、既存の会社に出資をするということはやらないと……
#24
○梶原敬義君 そういうことを言っているんじゃないんです。新しい会社を例えば四月なら四月につくったとする、二つ。しかし、その時点にはまだ通産省からは出資はない。しかし、これは非常に有望なところだから、ひとつこの会社に、要するにセンターから出資をしてほしいと、そういう場合にはしないんですか、するんですか。
#25
○政府委員(等々力達君) 若干の後先はよろしいかと思いますが、新しい会社に出資する……
#26
○梶原敬義君 わかっているじゃないか。そうじゃないですか。何言っているんですか、さっきから。
 本年度の予算を見ますと、総額、産投出資の合計が二百五億、開銀出資が十二億ということになっております。そのうちに、NTTの株の三分の一の配当を目当てにしている、要するに、産投会計からもらう分については幾らですか。そして、NTTの配当は大体幾らぐらいを前提に考えてこの六十一年度予算組んだんですか。
#27
○政府委員(等々力達君) NTTの政府保有株式の配当収入につきましては、まだ決まっておらないわけでございますが、産投会計の六十一年度予算案においては二百八億円が計上されております。
#28
○梶原敬義君 大体NTTの配当というのは、一応百二十五億と五十七億ぐらいをこの六十一年度予算を組むときに大体めどにしているんじゃないですか。
#29
○政府委員(等々力達君) 産投会計の財源につきましてちょっと御説明いたしますが、産投会計の中は、新専売の政府保有株式の配当金とか、それから既存の政府関係機関、例えば輸銀であるとか開銀等からの国庫納付金、それにNTTの政府保有株式の配当収入が予定されております。そういうようなもの全体の中から、二百五億円を六十一年度のこのセンターに対する出資、融資の予算として計上しておるわけでございます。
#30
○梶原敬義君 聞くところによりますと、NTTの配当は大体八%ぐらいを想定した場合に二百八億円産投会計に入ってくる。その辺をめどで、事業資金の百二十五億と基盤技術研究促進センターに対する融資の事業資金の五十七億、この辺はそこをめどにしたと聞いておりますが、間違っていますか。
#31
○政府委員(等々力達君) 私どもの理解といたしましては、産投会計全体の中から二百五億円を出資、融資に計上しておるというふうに理解しております。
#32
○梶原敬義君 わかりました。理解したというんじゃないですよ。今のこと納得できません。
 役員報酬なんかを見ますと、常勤役員で六十年十月から六十一年の三月まで六千三百万円ぐらい、これの二倍以上、それから職員数で五十九、職員も、ほとんど通産省、郵政省あるいは開銀あたりかも全部出ている。何かもうこの辺のやり口が行革の状況の中で一体どうなっているのかさっぱりわかりません。大変な大きなコストもかかるわけですが、当初の法案審議をした趣旨に沿ってやっぱり実を上げていただくようにぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 次に、フィリピンの問題ですが、開発途上国への政府開発援助、ODAの予算を見てみますと、なかなかややこしいわけでありまして、幾つかの省庁がそれぞれの立場から参画しておりますが、六十一年度の予算の総額の中で、どういう省庁が、どの省庁が何ぼ担当しているというのがわかれば出していただきたい。なかなか出にくいと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
 それから、海外経済協力基金の予算ですね、六十一年度の予算、この二つについて最初にちょっとわかりよく説明をお願いいたします。
#33
○委員長(下条進一郎君) 各省庁別に答えられますか、それとも赤羽局長まとめて答えますか。
#34
○政府委員(赤羽隆夫君) まず、ODA予算の各省別内訳でございますけれども、今のところ手元にその資料を持ち合わせておりませんので、後ほどその点も調べまして御報告申し上げたいと思います。
 まずODAの一般会計予算でございますけれども、全体でございますが、六十年度は五千八百十億円、前年度比一〇%の増加、それから六十一年度につきましては六千二百二十億円、前年度比七%の増加ということでございます。
 それから、基金の六十年度及び六十一年度の予算でございますが、事業規模で申し上げますと、六十年度におきましては、当初予算ベースで七千二百億円の事業規模、それから六十一年度、政府の原案で申しますと、七千四百億円の事業規模、こういうふうになっております。
 ただいま省庁別の内訳が出てまいりましたので、御報告申し上げます。
 まず、外務省が一番多いわけでございますが、これ六十一年度の政府原案について申し上げます。
 外務省、二千九百四十九億八千四百万円、全体の構成比で四七%を占めております。大蔵省がそれに次ぎ、まして、二千五百億一千七百万円で四〇・二%、経済企画庁が三百十九億六百万円、五・一%、以下通商産業省から環境庁までございます。
#35
○梶原敬義君 何省庁あるんですか。
#36
○政府委員(赤羽隆夫君) 十五省庁ございます。
#37
○梶原敬義君 それで、きのうも予算委員会でたびたび質問があったと思うんですが、その中で、円借款の部分については経済企画庁が中心になってまとめている。ところが、十五省庁の全体の関係は一体どこが掌握しているんですか。
#38
○政府委員(赤羽隆夫君) このODAにつきましては倍増の目標というのがございます。第一次の目標が三年倍増、それから第二番目が五年倍増、それでことしから始まります七年倍増ということでございますが、こうしたODAの拡充目標、これの取りまとめは経済企画庁が中心になりまして、特に四省庁体制と言っておりますが、四省庁を中心として行われていると、こういうことでございます。
#39
○梶原敬義君 いや、だからちょっとわからないんですが、どうも開発途上国への援助といっても、十五省庁にそれぞればらばらばらばら分かれておりまして、いろいろ聞いても、どこかをつかむのにものすごく時間もかかるし、ややこしいんですよ。これは何かこう、外務省なら外務省が一本にまとめるとか、これはちょっと、今のような時期ですから、これからどんどん開発途上国への援助をするというんなら、その辺はともかく、この予算を見ても、あっち出る、こっち出るしているでしょう、そう思わないですか。この点についてはどうにかなりませんかね。いかがですか。
#40
○政府委員(赤羽隆夫君) 各省庁に分かれておりますのは、それぞれのいわば専門、もちはもち屋でと、こういうことで分かれているわけでございます。もちろん統一をすれば統一をしたで、またそれなりに問題が発生すると、こういうことでございまして、それは一つの考え方ではなかろうかと考えておる次第でございます。
    ―――――――――――――
#41
○委員長(下条進一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、福間知之君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。
    ―――――――――――――
#42
○梶原敬義君 経済企画庁長官か大臣か、私今言ったことに対して、もちはもち屋だと言ったってどうもわからぬから、ちょっと答えてくださいよ。
#43
○国務大臣(平泉渉君) この経済協力の問題は非常に重要な問題でございますので、もちろんこれは外交政策の観点からは、外務省が非常に関心が高いといいますか、所管であるという考え方はございます。また、産業政策という点からは通産省が非常に関心がある。また、大蔵省も同様である。そういうような、お互いに各官庁がそれぞれこの海外経済協力というのに非常に大きな関心を持ち、また非常に重要なことであると、こういうことから、今のような経済企画庁がその全体の統括をひとつ任されると、こういうような体制ができ上がっておるわけでございまして、今までの現実の遂行から見ましてかなり円滑にこれは作動しておると、こういうふうに私どもは見ておるわけでございますが、おっしゃるとおり、後、実際の援助プロジェクトについては、それぞれ専門の各省庁が当然関与をいたすわけでございまして、その辺十分疎漏のないように総合調整の実を上げていかなければならぬと思っておるわけでございます。
#44
○梶原敬義君 もっともなお話であるようでありますが、それではフィリピンの関係で、これまで各省庁ごとに、一体フィリピンに対する援助はどうなっておられるんでしょうか。六十一年度の予算も入れましてひとつ。
#45
○政府委員(赤羽隆夫君) フィリピンに対します援助でございますけれども、従来フィリピンに対します円借款の供与の資金額ということになりますと……
#46
○梶原敬義君 円借款じゃなくて、各省庁のを全部入れて。
#47
○政府委員(赤羽隆夫君) その点につきましては、資料要求がございませんでしたので、現在手元にまだ資料持っておりません。後ほど調べてお答え申し上げます。
#48
○梶原敬義君 ですから、関係している部署の皆さんが、それぞれ関係し合ってやっておる者がなかなかわからないような数字を、これ予算書をぽっと夕べもらって、私全部抜くつもりだったけれども、時間がなくてね。
 それで、今フィリピンの問題については、経済企画庁が担当している円借款の問題については数字はいただいておりますよ。しかし、全体を一体どう把握するかという問題については、ちょっとできないんですよ。大臣でもわからないでしょう。だから、今度の問題でも一体どこに責任があるのか、何かもうわからなくなってしまうわけですから、その点について大臣、ちょっとフィリピンの問題についていかがですか。
#49
○国務大臣(平泉渉君) 今、各省庁別というところが、昨日御質問を承った中になかったものでございますので、私どもの方で資料を本日ここに持ってきていない、こういうことで御答弁をしておらないわけでございます。
 昭和六十年度までの、六十年度分は未集計でございますが、五十九年度末までの我が国の援助総額、これは政府ベースの資金協力の供与約束の累計額でございます、技術協力は含んでおりませんが、八兆八千六百二十五億四千百万円であり、この時期における対フィリピン向け資金協力は、四千六百三十七億四千八百万円、総額の約五・二%ということになっておるわけでございまして、この辺は十分把握いたしております。
#50
○梶原敬義君 今言われました数字は、各省庁のやつを全部丸め込んでの数字で間違いないですね。それは間違いないですか。
#51
○政府委員(赤羽隆夫君) このただいま大臣が申し上げました数字は、通商産業省の「経済協力の現状と問題点」一九八五年版からとっておりますので、間違いございません。
#52
○梶原敬義君 間違ったら、後でまた間違ったと言えばあなたたちはそれで済むかもしれぬけれども、こっちもそのときそのとき真剣にやっていますからね。
 それでは、フィリピンの円借款の仕組み、交換公文を交わして、入札をして発注をして、次々に行く仕組みについてはもうそこに問題が出てきておるし、担当者がやはり見逃している点というのはずっと出てきている、そこを私はきょうは説明を求めたかったんですが、時間の関係で省略いたします。
 今回のこのフィリピンの今起きている問題について、問題がやっぱりあると見ているのかどうなのか。あるとすれば、OECFお見えですが、OECFも私は至るところで手落ちがあったと思いますし、四省庁体制で合意で積み上げて仕事をしてきているにもかかわらず、やはりああいう問題が起きているわけですから、私はここのところ、具体的にお聞きする前にどうお考えになっているのか、ちょっとお聞きをいたします。
#53
○国務大臣(平泉渉君) 今回の対比援助の問題につきましては、我々としては、政府としては正規の手続に従って処理をいたしており、その実施は適正に行われておると信じております。
 ただ、これに関連して疑惑を招きかねないようなうわさも種々伝えられておりますので、その真相究明のためにはできる限りの努力を行いたい、またその結果、改善すべき点があれば改善に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#54
○梶原敬義君 撚糸工連の問題の答弁のときとまた同じような答弁のニュアンスが、やっている、やっていると返ってまいりましたけれども、既にきょう新聞にも載っておりますが、私は今、朝日新聞持ってきておりますが、フィリピンの行政管理委員会のダザ委員長代行は、少なくとも五つの日本企業がマルコスの不正蓄財に関与し、うち二企業は刑事罰の適用が可能と、日本企業のマルコス前大統領への献金総額が推定五億ドルに上ると、日本企業からの献金に深くかかわったフィリピン政府官僚一人をもう既に確認をしたと、これは道路何とか相ということでしょうが。こういうことに事態がどんどん進んでおるわけですよ。これは日本の企業とフィリピン前政府とのかかわり、関係だ、我が政府は全く関係ないということで言えるのかどうなのか、今の御答弁で一体どうなんですか。
#55
○国務大臣(平泉渉君) これはフィリピン国内における、たとえ我が国の法人あるいは個人でありましても、当然フィリピン国内法に従って合法的に活動すべきものでございますから、フィリピン国の国内法に照らして問題があるということであるならば、これはフィリピンの国内当局がそれはそれなりの措置をとられる、こういうことに相なるのではあるまいかと思います。
 私どもとしましては、そういう行為、そういったものが我々の海外経済協力体制の中にどのように実際に悪影響を及ぼしておるか、この実態をまず究明しないことには、我々としてもこれは今すぐどうこうと態度を明らかにするわけにもまいりませんが、いずれにせよ、先ほど申し上げましたように真相を十分解明をいたしまして、そして皆様の御疑惑にこたえていかなきゃならぬ、かように思っておる次第でございます。
#56
○梶原敬義君 時間がありませんから先に行きますが、ただ、今言われましたように、フィージビリティースタディーというんですか、そこで一つ問題が上がって、その次に、交換公文のところで相当政府内部でも検討して積み上げた計算をし、そして借款協定を結び、それから入札のところでも三回契約まで承認を必要としておるわけです。これは海外経済協力基金がここでかんでくるわけですが、それから最後に評価まで全部あるわけです。ここが本当に正しくやられておったら、そういうような常識を外れたような問題がなぜ出るのか。もう私は、何度言われてもこれは納得ができません。早く真相を究明をするならするようにもっと、私は政府の動きが緩慢だと思います。そこに責任逃れをしているんじゃないかと思うんですが、政府も早く対応をしていただきたいと思います。
 時間がありませんから次に移ります。部落問題、部落差別の問題でありますが、部落差別の実態を今どうとらえておるのか、これが第一点です。
 それから、現実にいわれなき差別が繰り返されております。これは資料もありますが、もう出しませんが、たくさん結婚差別やあるいは就職差別や出ております。これは、「いのち 愛 人権部落差別は、いま。」と、部落解放基本法制定要求国民運動中央実行委員会というのがつくっておりますが、これを読んでみますと、幾つも出ておりますし、私も身近にそんな問題を知っておりますが、この点について、どうこれを、差別を解消するのか。どういう手を打ては解消されるのか、これが第二点。
 第三点は、一般に部落産業と言われております皮革産業の現状を一体どう認識し、これはファッション産業でありますし、今後非常に、今厳しい産業の実態にありますが、通産省は、いろんなさっきの話じゃないが、日の当たる大きなところば、基盤技術研究促進センターやなんかにはどんどん金をつぎ込みますが、こういう本当に苦しんでいるところ、あるいは差別と闘っているところ、こういうところをやっぱり見逃しがちになる。生活産業局長努力をされているのはよくわかりますが、この点について、私は部落解放基本法の制定に向けて前進をしなければ、この問題はやっぱり片づかない。
 戦前の教育、特に戦前の憲法下で学び育った人たちが、今日本の政治、経済、社会のやはり中枢を占めておるわけですから、そう簡単に差別というのは解消されない。もっと時間がかかる、こう歴史的にも見ておりますが、この点について、部落解放基本法の制定へ向けて一歩を踏み出していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。まとめてひとつお願いをいたします。
#57
○政府委員(見学信敬君) 同和の差別問題につきましては、先生御指摘のとおり、実態として事象が起きているという事実は遺憾ながらございます。
 私たちといたしましては、憲法で保障された基本的人権の問題にも絡まる問題でございまして、当省といたしましても、こういった差別事象を解消するために国民の理解を深めることが不可欠でございますので、広く国民各層に対する啓発が極めて重要であるというふうに考えておりまして、特に当省の立場としましては、地域改善対策事業の一環として、産業振興対策の一環からその啓発問題を強く取り上げ、予算的にも充実してきているところでございます。
 また、既に同対法あるいは地対法下におきまして、同和対策に関する産業対策をさまざまやってきたところでございまして、需要開拓等の産業振興事業あるいは経営指導事業、高度化事業等々の種々の施策を講じてきたところでございます。今後とも、通産省といたしましては、産業振興対策の性格に照らしまして、適時適切な対策の樹立に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
 さらに、最後に御指摘のございました基本法についての御見解でございますが、私どもとしましては、基本法の構想につきましては、一つの考え方として承らさしていただきたいと思っております。現在の法律は来年の三月で切れるわけでございますが、その後のあり方につきましては、総務庁に設置されております地域改善対策協議会の場で検討が進められる予定でございます。当省といたしましても、先生御指摘の基本法の考え方も一つの考え方として受けとめまして、これまでに講じてきました施策の評価を踏まえて検討していく所存でございます。
#58
○梶原敬義君 時間が来ましたから、最後にひとつ通産大臣にお願いをいたします。
 先ほど言いましたように、今、日本の政治、経済、社会のやっぱり中枢を握っているのは、戦前の旧憲法あるいは戦前の教育を受けた人たちが一番中心になっておるわけです、いずれにしても。ですから、そういう状況の中で、差別はなかなか、もうなくなった、なくなったといっても、私はそう簡単にはいかない、もっと時間がかかると見ておるんです。そのために、やっぱり真の差別をなくするためには、部落解放基本法の制定に向けて、ひとつ大臣、思い切って前向きに取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#59
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、これはもう法律の問題ではないんじゃないかと。問題は憲法十四条の精神が徹底をしていないのですよ。だから「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と、このとおり。この上であってもいかぬし、下であってもいかぬ。私はこの憲法どおりに行われるようにすべてやるべきである、そう考えております。
#60
○委員長(下条進一郎君) 浜岡局長、先ほどの質疑に対して補足説明を願います。
#61
○政府委員(浜岡平一君) 皮革産業及び靴産業につきましての私どもの基本的な姿勢を御説明を申し上げます。
 先生御指摘のとおり、大変中小零細性が高く、国際競争力にもなお問題があり、かつ合成皮革等の競合品の進出に悩んでいるというのが大ざっぱな現状だと思うわけでございますけれども、しかし、これらの産業は、いわゆる同和対策地域の極めて重要な産業でございまして、むしろ基幹産業として位置づけるということもできるんではないかと思っております。そういう意味で、これらの産業の維持、存続を図ることはもちろん、さらに先生御指摘のようなソフト、ハード両面の技術の開発を図りまして、発展を図っていくということが必要不可欠なことではなかろうかと思っております。
 従来、公害防止技術等の面につきまして積極的な支援をしてきたつもりでございますけれども、今後は確かにソフトな面でのバックアップというものが非常に重要だと思っております。ファッションの時代だと言われておりますけれども、足元がだめではファッションも全く砂上の楼閣になってしまうわけでございまして、そういう意味では、イージーオーダーシステムの導入でございますとか、あるいは足型の研究でございますとか、トータルファッションへの適応の問題でございますとか、新しいモデルの開発の問題でございますとか、そういった面に、新しい貿易体制の移行というようなところをきっかけにいたしまして、一段と力を注いでいかなければならないと、思いを新たにいたしているところでございます。
#62
○対馬孝且君 きょうは委嘱審査の関係でございますから、まず冒頭、昭和六十年度石炭特別会計予算に対しまして、六十年度予算額は千二百五十八億五千万円、六十一年度は千二百四十八億八千四百万円、こういう要求に対しまして、結果は千二百三十五億四千万円ということに決定をされました。通産省の努力である程度ほぼ要求額に近い予算額を獲得し得たということに対しまして、まず努力したことに対しまして敬意を表したいと思います。
 そこで私は、今回石炭問題を中心に、先般大臣の所信表明をお聞きいたしまして、渡辺実力大臣でございますから、この機会に、石炭第八次政策に臨む基本姿勢とそれから課題につきまして幾つか提言を申し上げて、ぜひひとつ日本の石炭政策の中長期にわたる誤りのない政策の樹立をぜひしてもらいたい、これが私の考え方でございます。
 そこで私は、昨年の五月二十二日のエネルギー委員会におきまして、第八次石炭政策の基本的態度に臨む心構えということにつきまして、当時の村田通産大臣に実は心構えを聞いてみました。
 私は、次の三点を申し上げて、一貫して申し上げておりますのは、まず、第八次政策に臨む石炭情勢は厳しい情勢にはあるが、第一の問題は、国内炭につきましては安全保障の見地から、つまりセキュリティーの見地に立って、現状総エネルギーに占める三%は最低これを活用すべきであると、これを第一点実は申し上げました。これはなぜかと申しますと、もう多くを申し上げる必要はありませんが、やっぱり食糧と同じでありまして、その国の資源というものは最低、安全保障の見地から一定の国内資源というものは当然保有し、また確保すべきものである、この基本に立って申し上げているわけであります。
 第二は、地域社会をいかなることがあっても守るべきである。それは、御存じのとおり、大臣もしばしば北海道に参っておられますし、炭鉱が地域社会に構成している主要な位置というのは大変な位置でございまして、端的な例を申し上げますと、土砂川炭鉱が、もしあそこが、三井炭鉱が閉山をすれば、農業もなければ何もない、まさに土砂川町は壊滅をする、地域社会もろとも壊滅をする、こういうことになるわけでございまして、そういう意味では、地域社会をいかに守ってもらうかということが第二点であると。
 第三は、北海道の雇用確保の問題でありますが、炭鉱労働者の安定雇用確保をぜひしてもらいたい、こういう三点を申し上げました。
 これに対しまして、ここに会議録がございますが、村田通産大臣は、全く対馬委員の認識と私は同じでありますと。したがって、厳しい情勢にはありますけれども、第七次の答申においては二千万トン体制が進められておりますが、現在は実際の実績は千七百万トンにやや欠けるところでございます。第七次は現在進行中でございまして、第八次が間もなく始まろうとしているわけでございます。私としましては、第七次答申に沿って、二千万トン体制を現在変えるつもりはないわけでありまして、したがって第八次答申では、先ほど申しました国内資源、貴重な国内資源をしっかり考えていくという建前から諮問をする考えでございます。そして同時に、地域社会を守ることが重要である、それから雇用対策の問題、保安体制の問題等も十分に配慮し対応いたしてまいりたいと。もちろん八次政策は今諮問をされている段階でございますので、そういう心構えで臨んでまいりたいという趣旨のお答えがございました。
 したがって、この点ひとつ、渡辺通産大臣に対しまして、一応八次政策に臨む心構えというのを、三本柱、私こう言っているのでありますが、国内資源の再活用、地域社会を守ること、雇用安定を守ること、この三本柱でぜひひとつこれからの八次政策に臨んでもらいたい、これが私の考え方でございます。村田前通産大臣にもお答えいただいておりますけれども、私は渡辺通産大臣の所見をこの機会にお伺いしたい、こう思います。
#63
○国務大臣(渡辺美智雄君) 結論から申しますと、私は専門家じゃありませんから、専門家の意見を尊重したいと、したがって第八次答申が出たときに、その趣旨に沿ってやっていきたいというのが結論なんです。
 この石炭問題というのは、産業政策上の話と、それからもう一つは社会的――社会政策といいますかね、社会的な問題と二つあると思うんです。
 産業政策上の観点からいたしますと、なかなか厳しい状況にあります。まして石油がこれから非常に下がっていくということになりますと、つられて当然海外炭も値下がりということもこれはもちろん出てくるわけでございますから、そういうときに、日本で対抗してやれるというのはどの程度までであるか、それは助成、援助をやっていくとしても、どこらが限界であるか、これは一般国民、納税者との相談ということになります。しかし、現実の問題として、そこには石炭を掘るという技術があるわけでありますから、この技術が全く絶えてしまうということは、将来海外における日本が、いろんな炭を探したり掘ったりする技術を持っているわけですから、ともかく全体のエネルギーの中で三%しかないから、国内だけでは幾ら頑張ってみたって、それは国内エネルギーの今や主要な部分になることは実際は不可能です。ですけれども、この技術は何とかこれ産業政策上生かしていかなきゃならない。
 それからもう一つは、地域政策としては、その山がなくなるということになれば、町全体がなくなるというところもあるそうです、どこか九州あたりには。六千人からの人が現実に存在をする、それをどうするのか、大きなこれ問題がございます。そこで、ただどんどん、しかし無理して掘っていくということになりますと、やはり大きな事故というふうなことだって予想されないことはない、今までの過去の経験からして。大変な犠牲を払った悲惨な経験が何回かありますから。こういうことは二度と起こしちゃいけない。もう最大限のことをそれはやっていかなきゃなりません。そこにもしかし限界がありますから、何か産業の転換というようなものも考えていかなきゃならぬ、いつの時点でするかは別ですよ。しかしながら、急に右から左というわけにはなかなかいかぬ。そういうことで、その人たちの雇用の問題というものをやはり考えてやらなきゃならぬ。どこの時点でこれをやるか、ここのところは非常に私は相談の話になってくるんだろうと思います。
 会社にだけぶら下がっておって、もう会社に全く余裕がなくなってきたということで、結局最後はそこに勤めておった人が退職金ももらえないで出ていくというようなことも、これも気の毒千万な話でありまして、やはり再就職をするにしても、ある程度余裕のあるうちに転換できるものがあればその方がいいんじゃないかということも考えられる。そういうようないろんな難しい問題がありますから、一挙には解決つかない問題だ。
 したがって、専門家の意見を聞いて、そしてそういう現実も踏まえながら、理屈だけというわけにいかない、なかなかね。経済的な問題だけでもいかない。そうかといって経済性を全く無視するということは、これは納税者との問題がぶつかってくるわけですから、そこらとの兼ね合いもある。したがって、第八次答申をよく見た上で慎重に検討したいと考えております。
#64
○対馬孝且君 今大臣から、慎重に、専門家の意見を尊重していきたいという、それはそのとおりだと思います。
 問題は、今言った私の三点の、つまり、国内資源を活用する、地域社会あるいは雇用安定というこの考え方はどうですか。心構えとして、そういう考え方を持ってやっぱり臨んでもらわぬと、今、確かに産業政策と社会政策、それは御説のとおりでありまして、ただ問題は、やっぱり歴史的な経過が第七次まで来た、今度は八次という、さらに、五年ごとのサイクルでずっと来たわけですから、第八次まで歴史的にこの石炭産業が来ているという経過を重要視してもらわなきゃならぬわけでありまして、そういう点から、臨む構えとして今お伺いしたわけですから、この点はどうですか。
#65
○国務大臣(渡辺美智雄君) 構えといっても、私は具体的な数字や何かを申し上げられるほど専門家じゃありません。したがって、今私が言ったようなことが私の心構えなんです。
 やはり従業員の将来のことも考えてやらなきゃなりませんかる、何よりも一番問題はそこなんですよ。今まで使っている従業員の方が非常に困るというようなことのないようにするにはどうすればいいのか、そこを私は中心に考えていく。それから、産業政策上として技術を生かしておくという点も一つ必要です。
 しかし、全体として、三%に落ち込んでしまったという現実の姿もありまして、できるだけ国内資源は活用するということは、私はいいと思いますよ。いいと思いますが、これもどこまで国内資源を、それじゃ全部をそっくり残してそのまま行けるのかどうなのか。経済性を全く無視したこともできませんから、それは納税者との相談ですと私は言っておるわけです。だから、世間の人が認める限度、やはりそういう限度がございますから、そことの兼ね合いも考えながら、やはり今あなたのおっしゃったようなことも加味をいたしましてやっていきたいと思っております。
#66
○対馬孝且君 なぜそういうことを言うかといいますと、総理大臣の私的諮問機関である経済構造調整研究会というのが、四月七日に報告書を提出される予定である、こう言われておるわけです。その内容も、これも既に日経新聞に実は出ているわけでございまして、これで見ますと、「経構研「報告書案」の内容」ということで日経の三月二十七日に出ております。
 これでいきますと、この中に「石炭鉱業については、地域経済に与える深刻な影響に配慮しつつ、現在の国内生産水準を大幅に縮減する方向で基本的見直しを行い、これに伴い海外炭の輸入拡大を図る。」、こういう趣旨のことが載っておるものですから、これについてもまたお伺いしたいわけであります。これはもちろん経構研の一つの報告書でありますけれども、これに拘束をされるというふうなことはもちろんないことは明らかでありますけれども、そのために石炭鉱業審議会という独立の審議会を設置し、また部会が構成をされて、向坂部会長を中心に鋭意検討されていることは大臣言われたとおりです。
 だから、この点を、一千万トンだ、あるいは一千三百万トンだということがるるマスコミの記事に活字になって出ているものだから、非常に九州、北海道にしましても、組合員、家族の方々はもちろんでありますけれども、働く者はもちろんだけれども、間接的に石炭産業で飯を食っているのは、北海道は約三十五万いますから、そういう方々からすると大変なことなんで、やっぱり身を切られるような思いであります、大臣御承知のとおり。
 そういうことから考えますと、この考え方については、一応経構研としての中間報告ですから、それなりの考え方もおありでしょうけれども、あくまでも石炭鉱業審議会の、今大臣もお答えになったけれども、経構研の考え方は参考意見になるかならぬかわかりませんけれども、私は、やっぱり石炭鉱業審議会の審議会としての独自の結論をもってこれは決定さるべきものである。この考え方を一つお伺いしたいということ。
 それからもう一つは、これはあわせて長官に、さっき私が言った三本柱というのは、もちろん産業政策面と社会政策面というのは、今大臣言ったようにありますよ。ありますけれども、そこらあたりを踏まえてこれは大臣に対処してもらわぬと、結果は厳しいことはわかっておっても、これは後で申し上げますけれども、実態がやっぱりそうでないものだからね。
 これは、私はこういうことを言いたくないのだけれども、かつて、当時の田中通産大臣時代に私もこれでお会いしたことがあるんだが、三菱美唄炭鉱が閉山になるときに、随分うまいことをおっしゃったのだ。大臣、参考までに申し上げますけれども、これは当時、岡田春夫元副議長さんも同席しておりましたけれども、私も当時の田中通産大臣にお会いしたときに、当時、四十七年ですね、三菱美唄閉山の際に、いや、とにかく山をつぶして閉山になっても、かわる企業があったらいいじゃないか、必ずここへ、美唄市に造幣工場、専売の工場を持ってきてやるよと。対馬君、君も心配のようだけれども、そう心配するなよと。造幣工場が来たら、それは千人とは言わないが、千人近くの雇用安定はできるんだと、専売公社のたばこ工場をつくれば、五、六百人の人は出ると。こういうことを思い込んで、いざ、ふたを開いてみたら――いまだに本当は田中元総理にお伺いしたい心境なんだけれども、そのときはうまいことを言ったけれども、現実にはまだ、今、三菱美唄炭鉱というのは犬も猫も一匹もすんでいない、まさにもう野原の地になってしましている。
 あのときを思い出しますと、みんなにいまだに私がこれ言われているのだけれども、随分あのとき、時の通産大臣がうまいことを言ったが、何も雇用対策ないじゃないかと。まさに今失業多発地帯ですよ、美唄というのは。北海道の中で一番失業多発地帯になってしまったんです。
 こういう現状というものがあるものだから、やっぱり雇用ということは、それは対策はぜひとってもらわなきゃならぬけれども、その前にやっぱり石炭企業で最大限雇用対策、現状の山をつぶさないという基本方針に立ってもらわないと、石炭というのは一たんつぶしたら、これを再開するというのは、簡単に、その辺の水道管の蛇口をあげるような、あるいは石油のそれこそスイッチをあけるようなわけにはいかないのでありまして、そういう問題を含めて私は申し上げているのでありますけれども、その点についてまず長官からお伺いして、大臣にお伺いしたいと思います。
#67
○政府委員(野々内隆君) まず、経構研の問題につきましては、非常に今中期的な観点から日本の産業構造について検討を進めているということについては伺っておりますが、まだ中身については私ども承知いたしておりません。
 現在、御指摘のように、石炭鉱業審議会で御審議をお願いいたしておりますので、今後、広範な意見を参考にするわけでございますので、そういう中で当然参考になると思いますけれども、審議会における答申というのは、やはり独自に検討すべきものというふうに考えております。
 また、先生御指摘の三本柱について、私どもも大変重要な柱であるとは考えておりますが、何事にも絶対というものはなかなかございませんで、最近では石炭の需要産業が非常につらい状態になってきておりまして、輸入炭の方が安いという現実も存在いたしますので、なかなか需要家の協力というものを得るのは難しゅうございますが、何とか関係者の間でのお話し合いというものは進めていきたいと考えております。
 確かに、雇用問題というのは非常に重要でございます。何とか私どももできるだけ雇用に、あるいは地元の社会というものについて、できるだけの配慮を進める必要があるというふうに考えておりますが、今後、こういう点も踏まえまして、石炭鉱業審議会において御審議をいただき、答申をいただいて、第八次策の立案に参りたいというふうに考えております。
#68
○対馬孝且君 今エネルギー庁長官からお答えございましたけれども、大臣、そういう考え方でよろしゅうございますか、今長官がお答えになったようなことで。
#69
○国務大臣(渡辺美智雄君) よいと思います。
#70
○対馬孝且君 わかりました。大臣もエネルギー庁長官と同じ考え方でよろしいというお答えですから。
 そこで、私は、今やっぱり一番大事なことは、これは国会の審議というものをぜひそんたくしてもらいたい。大臣初め関係政府側に申し上げたいことは、どういうことかといいますと、これは昭和六十年六月十九日、エネルギー対策特別委員長田代由紀男、これはエネルギー対策委員会の調査報告書をここでまとめていますね、全部。それから五十七年五月十二日、エネルギー対策特別委員長森下泰、これで一応全部まとめた。エネルギー委員会あるいは当商工委員会というのの調査取りまとめ、これは商工委員会ですけれども、この委員会の報告というのはやっぱり全部、これ文章が重複していて、私は時間もありませんから読み上げませんけれども、国内における石炭産業の国内炭というものを重要視をしてこれから対応をしていくべきである、こういう趣旨の報告書が全部出ているんです。
 私は、これエネルギー特別委員会と商工委員会イコールじゃありませんが、やっぱりこういう経過をひとつ全部――これは与野党一致して出しているわけですから、決して野党だけ出したわけじゃありませんから、この二つの調査報告書を見ましても、いずれも国内炭を重要視をして、かつ地域社会を考えてこれからも対応していくべきである、こういう報告書が出されていることをまず申し上げておきたいと思います。
 そこで、私が問題にすることはここなんです。一千万トンだ、一千三百万トンだといろいろ、あるいは需要業界、電力業界の動きも私も知っています。ただ、なぜ私はセキュリティー、安全保障ということを言うかといったら、今国だって防衛計画上これは新中期防衛計画、五カ年間で十八兆四千億円、これは決定したわけだ。これはやっぱり防衛計画というのは、一つの国としての考え方に立って――我々は考え方反対でありますけれども、中身はどうあれ、一応出されているわけだ。そうしますと、私は冒頭言ったでしょう、セキュリティーという意味、安全保障という見地は食糧とエネルギーは同じだと。
 なぜそういうことを言わなきゃならぬかといったら、これは私だけが言っているんじゃない、与党の皆さん方も言っていますけれども、今やイラン・イラク戦争が勃発して、いまだに先行きの見通しは不透明だ、こういう状況がある。もしペルシャ湾が閉鎖したら一体どうなるんだと。そこへ六〇%も我が国は石油の依存をしている、あるいはほかに有事の場合がないとは言いがたい。国家備蓄を今見ると、今月私が調べた中では、二月末の通産省調べでも、民間備蓄、国家備蓄を合わして百二十七日なんです。そうすると、これは昨年の十月段階百六十二日だった、間違いであれば指摘してもらって結構であります。そういうことを考えますと、やっぱり食糧と同じようにその国の民族として、最低自国の資源というものをセキュリティー、安全保障の見地から確保すべきものである。しかも、総エネルギーに占める割合というものは石炭というのは三%なんですよ、これ。そういう考え方にぜひ立ってもらいたい。これが私の意見であります。私、これひとつ申し上げます。
 それからもう一つは、どういうことかといいましたら、これは率直に私は申し上げさしてもらうんだけれども、かつて大陸棚法案ということをここで議論しました。私はそのとき、商工委員会の筆頭理事だったんです、そのときに強行採決までここでやった。ところが大陸棚は――忘れもしない、当時の河本通産大臣、時の福田総理大臣、私も七時間二十八分当委員会で質問したんだ。あのときの解説からいけば、あたかもすぐボーリングをおろしたら東シナ海の第一区域から第七区域までもうとうに出ていなきゃならない、噴水して、もう今や石油でじゃぶじゃぶになっていなきゃいけない。あれは両国間で二千五百億、二千五百億出資をしてやるという国際協定なんです。
 ところが、もう十年になるんですよ、この法案が成立してから十年ですよ、五十三年ですから。私はこの委員会で、今、下条さんもおりますけれども、一緒に審議したから言うわけじゃないが、市川さんもおりますけれども。ところがいまだにただの一滴も出ていない。こういうことに対してのミスというのは、政府はそれほど厳しくないんだ。ただ、石炭情勢、石炭が今厳しいからというのを大臣言うけれども、一方では、こういうことについてはそれほど、十年たって今なおただの一滴も出ない。私の言ったとおりになったよ。あの発言を聞いて、そんなことを言って確信あるのかと、私も口悪い方だから、そういう言い方をしたら三百代言ということにならないかと、そうしたら時の河本通産大臣は言いましたよ。
 現実に十年この方だって、今試錐六本打ったそうだけれども、この間聞いたらただの一滴も出ていない。今ごろ相当出ていなければならない。それこそ、もう今ごろじゃぶじゃぶになっていなければいけない。そんなことがやっぱりあり得るわけであって、だから世界のエネルギー趨勢から判断しても、私の持論だけれども、国内資源として最低やっぱり三%ぐらいは自国で有事の場合に備えて確保すべきものである、これが基本論でなければならぬ、私はそういう主張を持っております。
 そこで、私は率直に申し上げたいんだが、常々、どうも国家財政を多額に出資をしているじゃないか、石炭に随分使っているじゃないか、そんなことを言う人がいるのだけれども、これは一番新しい六十年十月の、石炭協会が去年OECDに調査団を出して調べたあれです。これでいきましたら、我が国はトン当たりの国家補助金というのは二千四百八円です。ところが、イギリスは四千二百五十六円、フランスが九千八百六十一円、西ドイツが四千九百十四円、こういう国の金をやっぱり資源エネルギーのために使っているんですよ。何か日本の石炭に国が多額な助成をして、ばんばん金出して、むだ金みたいなことをと言うけれども、そうじゃないんです。どこの国だって、一定の国家の補助をちゃんとやっている。これはやっぱり大事なことだと思うんですよ。
 私はこれイコールとは言わぬけれども、そういう認識を持ってもらわぬと、何かむだ金使うようなことを盛んに言うんだけれども、むだ金ではなくて、最低やっぱり先ほど言った安全保障の見地から、国際的にもどこの国だってこれぐらいのことはやっているのであって、そういう観点からいくならば、私はやっぱり少なくとも今の世界のエネルギー趨勢を見たって、イギリスが石炭は三五・六%、いまだに全エネルギーの割合が三五%です。フランスが一四%、西ドイツが三一・八%、日本は先ほど申しましたように、これは海外炭入っていますから一八・五という数字になるが、国内炭だけでいえば三%。こういう認識をしながらぜひ対応してもらいたい、こう思いますので、この点について長官からひとつお答えしてもらいたい。
#71
○政府委員(野々内隆君) 確かにヨーロッパ諸国につきましては、かなり石炭に国家補助が出ていることは事実でございまして、先生御指摘の数字もほぼそういう感じかというふうに考えております。
 ただ、こういう政策にはそれぞれ地域の社会における国民の意識、あるいはエネルギーにおける沿革、いろいろな歴史的なものがあってそうなってきたのかというふうに考えておりまして、私どももエネルギーの安全保障というのは非常に重要であると考えておりまして、将来、今のように非常に安い石油の値段が続きますと、いずれまた反騰して高くなってくる時代があるだろう、あるいは中東に石油を七〇%も依存をしているという現状からいうと、エネルギーというものを石油に余りにも依存し過ぎる今のような状態というのは早く直す必要があるという形で、セキュリティー問題についても十分考えていかなければならぬというふうに考えております。
 ただ、国内炭につきましては、最近需要家から、価格の問題あるいは経済性についていろんな御不満がございまして、私どもこれが国の財政で補助ができるぐらいであればもちろんいいんですけれども、なかなかそれほどの余裕もございませんし、そのあたりが経済性とセキュリティー、そういうものを兼ね合わせながら今後考えていかなければならない、そういう非常に重要なポイントであるということは十分認識いたしております。
#72
○対馬孝且君 今、エネルギー庁長官がそういう認識であるということについてお答えがありましたから、私はそういう原点にもう一回立ってもらいたい、この八次政策に臨む場合に。もちろん厳しいということは私も承知はしておりますけれども、そういう議論をもう一回してみないと、国民のコンセンサスを得ないと、ただとにかく千二百五十万の額があるんだから、これをぶった切ればいいんだと、これはやっぱり深刻な問題であって、先ほどなぜ答申の問題を私言ったかというと、仮に現在千六百八十万トンぐらいに落ち込む見込みになると言いますが、これが一千万トンといえば、じゃどこの山が何ぼつぶれる、そういう計算が大体出てくるわけだ。百万トンの山をそれじゃ三つつぶすのか四つつぶすのか出るでしょう、これは答えが。
 そういう問題だという認識をしてもらわないと、もう北海道は今大変ですよ、これは率直に申し上げますけれども。だから、四月十三日に北海道道民大会、こういうことで立ち上がろうという今あれもでき上がっていますしね。これは悪いけれども、北海道の石炭問題については、ここに通産大臣いますけれども、これは与野党一致してやっているんですよ、これだけは。私はこういう問題を超党派でやっているんだ、何も私が社会党だから言っているんじゃない。北海道の五百七十万のやっぱり道民の生活と経済を、暮らしを守るために私は言っているのであって、超党派でやっている、全部これは超党派ですよ。だから、そういう認識を持ってもらわないと、どうも何か日の目を見なくなってきて、勢いのいい産業のためにはどうも力が入るというやり方ではなくて、日本の将来というものをやっぱり誤りのない対策を立てるべきだという意味から言っているのであって、これは率直に一つ申し上げたいと思います。
 そこで私は、次の問題なんですけれども、個々の山のことは、私今は申し上げません、検討中でありますから。そこで、この場合取り扱いを、ぜひこういう考え方をひとつとるべきではないかと私が思っているのは、やっぱり海外炭、国内炭の問題がすぐ出るわけだ、そうでしょう、政府も今やっているけれどもね。だから海外炭、国内炭のそれを、政策的にどういうふうにしたら一番いいのか。国内炭も生かし、海外炭も生かしながら、これを共有財産として、言うならば国民の共有経済効率をどういうふうに高めていくか、現在もやっていますけれども。つまりIQ制度をもう一回見直したらどうだと、私の考えでは。つまり、輸入割り当てで海外炭の輸入をやってもうかるところは、これは商社がもうかるわけですよ、はっきり申し上げれば。
 そういう商社がもうかる利益と、それから国内炭との関係を――もうかることがこれは悪いと言っているんじゃない。そうじゃなくて、やっぱりIQの割り当てする場合に、今もやっていますけれども、結局国内炭も連動してやっぱりこれを引き取らせる、こういう制度をもうちょっと強化した方がいいんじゃないか。そうすれば、お互いに海外炭も国内炭も生きてくる。何も私は海外炭はけしからぬとだけ言っているんじゃない。お互いにそういうことを、国内炭と海外炭の効率的な、効果的な政策というものを考えてみたらどうだ。ただ、現状ある体制を、もう一度このIQ制度を見直して、それを連動して割り当てしてとってもらう。例えば一定の割り当て限度というものを義務づける、こういうやり方だってこれは一つあるじゃないか、何も金を取れと言っているんじゃないんだから。そういう考え方があれば、それなりにやっぱり石炭政策にその考え方を生かしていけるんではないか、こういう問題が一つ考えられますし、私の長い体験からもそういうことは一つ考えられる。
 それから時間もあれですから、大臣もあれですから。もう一つは、だんだん深部、深部、私も炭鉱マンですから、これは深部化していっているわけだ。だから、いつも私の持論なんだけれども、フランスのソフレミン調査団以来、日本の炭量計算をした歴史はない。これは私の自論なんです。現実にやっていないんだから、はっきり言って。フランスのソフレミン調査団以来、日本の炭量の基本調査というのはやったことがないんです、はっきり言って。だから、私は今この段階で、そこを一遍にやれと言っているんじゃなくて、そういう点からいけば、何のために前回の七次政策に関連をして石炭鉱業合理化臨時措置法を改正したか。改正したでしょう、私が提案したんだからわかっているんだ。
 それはどういうことかというと、具体的に、封鎖鉱区というものを、一たん政府が買い上げた封鎖鉱区あるいは休眠鉱区と言うんだけれども、それをもう一回再活用することを考えたらどうだ。それは、深く、深く行けば、大臣も言うとおり保安上の問題も出てくる、コスト論の問題も出てくる。だから、例えば周辺鉱区、例を言うと、わかりやすく言った方が早いと思うから、三井土砂川なら三井炭鉱の周辺鉱区開発をやる。これは昔は、通産大臣も知っておるとおり、炭鉱を閉山したのは、何もこれは炭量がなくて閉山したんじゃないんですよ。私の方も閉山したけれども、今、三井ですけれども、これは何も炭量がなくて閉山したんじゃないんだ。そのときの油と石炭との経済合理性に合わなかった。経済合理性主義に政府が一本立てしたから、たまたま山がつぶれたというだけであって、炭量はあるんですよ。
 ただ、私が言うのは、これから深部、深部へ、深く、深く奥部へ行くんではなくて、浅部開発、浅瀬に展開をしていけば、保安上の問題もいいし、コスト論的にも安上がりになる、一石二鳥ではないか。そういう意味では、休眠鉱区、常に封鎖鉱区といわれる鉱区の開発を連動して横に広げていくという政策を持った方がいいんではないかと思うんですが、こういう二点をどうぞ、とりあえず今ぜひ、ひとつ考え方をお聞かせ願いたいじ、そうしてそういう考え方に立ってもらいたいと思う。
#73
○政府委員(高橋達直君) 消滅鉱区を再開発したらどうだという先生のお尋ねかと思うわけでございますが、現に、現在各炭鉱におきましてできるだけこの深部化を抑えたり、あるいは奥部化を抑えようということで、浅部開発を実施してきております。その際に、消滅鉱区につきましては、七次の答申に基づいて現在は原則禁止ということでやっているわけでございますけれども、現行の稼行区域と一体に開発するということが合理的である場合にはその開発を認めているところでございまして、最近でも、例えば五十八年度で一件、五十九年度で二件、それからその後、六十年度では三件ということで、大手の炭鉱におきましてもその開発を認めているところでございます。
 いずれにいたしましても、そういった消滅鉱区の取り扱いの問題も、これも八次政策におきましては重要な一つの審議項目でございまして、現在審議会の中で検討をしていただいておりますので、私どもとしましては、これの結論を踏まえて考えてまいりたいと思っております。
 なお、いずれにいたしましても、当然のことながら、実際の開発を行う場合には、企業がその新しい地域をどう見るかという経済性を検討した上で判断すべきものというふうに考えております。
#74
○対馬孝且君 石炭部長、今そういうことを答申段階でもちろん検討し、一部はやられていると、それは私も十分わかっていますが、この際、やっぱり八次政策の重要な位置づけとして、むしろ政府が積極的に課題に提供すべきだと私は思っているんです。それはさっき言ったでしょう。保安面もいいし、それからコスト面からいってもいい、あえて山をつぶさなくても、例を言うと、時間がなかったから僕は省いたけれども、三井砂川鉱なら三井砂川炭鉱のかつて桜田鉱という鉱区が存在しているんだ。これは昔の旧住友鉱区ですよ。言うならば住友歌志内。だから、そこへ行くまでに、それはちょうど陸を行くんでないから、下を行くんだから、それはたまたまその鉱区境界はあるけれども、そこを下を行けばコスト的にも非常に安いわけだ。
 だから、日本の一番問題は、時間がないから言いたくないんだけれども、かつて植村甲午郎経団連会長は、一社化にすごい意欲を持った。僕はあの人の考え方は賛成だった。全面的に私は支持した方なんだけれども、遺憾ながら企業が踏み切れなかったという経緯がある。いわゆる全炭鉱の一社化という問題ですよ。三井、三菱、住友あるいは北炭という鉱区が、こういうものはばらばらにしないで、西ドイツのように一社ルール炭田化をした方がやっぱり得策であると、これを出したのが、第四次のときの植村甲午郎会長がこれを出した。それで私は賛意を表した。ところが遺憾ながら企業は踏み切れなかった。
 私は、今考えると、これがやっぱり大事なことなんですよ。なぜかといったら、同じ山に鉱区境があるために立て坑を四本打つと、同じことを。これはもし一社化であったら、この鉱区境がなかったら、三井、三菱だって、現に北炭と、今三菱大夕張ありますけれども、新夕張炭鉱、あの穴から入っていったら、こんなものあんた、ものの十分がそこらで入っていけるんですよ、陸は別にして。同じ立て坑を二本おろしているわけだ。新夕張炭鉱も立て坑をおろし、立て坑を一本おろせば百億近い金がかかるんだ。そういうものを一社化していけば、非常に合理的に、三井、三菱、住友と鉱区境がないわけですから、近いところから合理的に炭を掘れるし、採掘も非常にコストも安くなるし、それからもう一つを言わせてもらうならば、保安上非常によろしいと、それから働く人間もよろしいと、地域性もいいと、こういうことなんだけれども、これは今言ったところで通らぬからしょうがないんだけれども、私は本来なら、この段階にきたら、思い切って炭鉱というのは一社化したらどうだと、西ドイツ方式のように。この八次政策でそれぐらいの検討をしてもらいたいと、これは私いまだに思っていますよ。
 私も五十三年法律出しました、石炭資源活用法案という法律を議員立法で私がつくって出しています。そのときに、とりあえずすぐ一社化できなければ販売機構だけでも一社化したらどうだと。流通機構だけでも全炭鉱一社化すると。段階論として、鉱業権あるいは鉱業形態まで一本化していくということが望ましいという前提で、私のあの法案というのは、販売権あるいは販売公団というものを一元化していくべきではないかという案を、私はこれは五十三年に石山灰資源活用法案という法律を出しました。
 そういうことがありますから、私はそのことを今すぐどうだと言いませんけれども、私は今ここでなぜ提言したかと申しますと、せめて販売流通関係ぐらいは一社化体制はとれないかと。私が法案を出したからこだわるわけじゃないんだけれども、そうすることにおいて、多分に前向き予算として活用していくことができるのではないか、こういう考え方を私持っておりますので、これもぜひひとつ八次政策の中でもう一回検討してもらいたい。
 間違っちゃ困るよ、経営形態を今すぐ一本化せよと、そんなことを今言っているんじゃない。せめて販売関係、販売流通関係だけでも、既存の持っている各社別でなくて、これを一社化することによってかなり有機的なメリットの目が出てくるのじゃないか、こう私は思っておりますので、これをぜひ検討してもらいたい。いかがでしょう。
#75
○政府委員(高橋達直君) かねてから、対馬先生の御高見につきましては私どもも承っておりまして、今度の八次策の検討に当たりましても、そういった流通段階あるいは生産段階での会社の一元化という問題も含めて現在検討しているところでございます。
#76
○対馬孝且君 大臣は何か、十分にはどうしても出なきゃならぬといいますから、衆議院の本会議の方に行かれるそうでございまして、大臣いる間にちょっと聞いておきたいんですが、この機会に、大臣もまさに実力大臣なんですから、ひとつ誤りのない八次政策をぜひつくっていただけるという私は期待を持っておりますから申し上げるんですけれども、通産大臣にまず聞かなきゃならぬことは、答申の時期はいつがめどか。今聞いているのは八月ないし七月と、こういう説明を私は聞いているんですが、これひとつお聞かせ願いたい。
 それから、大臣、北海道へぜひ来てもらって、これは国会開会中ですから日時は申し上げません。かつて私は、第七次政策をつくる前に、河本通産大臣に実は来ていただきました。それから労働大臣も新夕張炭鉱に実は入っているんですよ。これは私も一緒に坑内に行きましたけれども。大臣、坑内まで入れるかどうかは別にして、八次答申前にぜひ一回、近い距離でいいから、遠くまで行く必要はないけれども、空知炭田、札幌から一時間半ぐらいで行けますから、ひとつ空知炭田ぐらいでも大臣のその目で一回見てもらって、なるほど八次はこうあるべきだなというあたりを、やはり渡辺通産大臣の英知を出してもらいたいという意味で、北海道へ一回ぜひ来てもらいたい。これはもちろん国会情勢もありますから日時は申し上げません。大臣の来る決意をひとつお聞かせ願いたい。このことを申し上げたいと思います。
#77
○国務大臣(渡辺美智雄君) 答申は夏ごろと考えておりますが、概算要求に間に合うように出していただきたいと、そう考えております。
 それから、一社化論の話は、私は初めて聞いた話で、よくわかりませんが、ひとつ勉強の対象にはしてみたい。
 それから、北海道に限定できるかどうかわかりませんが、どこか一、二カ所私も見たいと思っているんですよ、非常にいいところと非常に困難なところと。これは今確約はできませんが、参議院選挙後でしょうかな、一遍行ってみる。どこか、あなたの言う所かどこかわからぬけれども、うまく行けるようなところへ行ってみたいと思います。
#78
○対馬孝且君 わかりました。大臣のそういう意欲がありますから、ぜひひとつ実現方をしてもらいたい、こう思います。大臣はいいです、待っているようですから。
 そこで、長官にひとつお伺いしますけれども、私、今問題提起をしたわけでありますが、大臣も一社化問題を初めて聞いたということですから、大いにひとつ検討していただいて、八次政策の中にぜひ生かしてもらいたい。とにかく削ることばかり考えないで、大事なことはやっぱりセキュリティー、地域社会の雇用確保。長官は鋭意努力されていますから、その辺は多とします。問題は、ぜひひとつ不安のないようにしてもらいたいんですよ。それだけはぜひひとつ守ってやってもらいたい。
 この機会に保安センターの強化を、予算審議ですから申し上げるんですけれども、私も白石の保安センター施設を見せてもらいました。最近随分強化をされまして、山はねまでは無理だろうけれども、炭じん爆発、ガス突出、落盤、この程度は今やっているんですけれども、問題はガス突出ですね、あるいは炭じん爆発現象。今度、最近はこのセンサーという問題が非常に事故の起こる一つの原因になっておりますが、そういう意味でこれ、私も現地を見せてもらって、非常によくやられているんでありますけれども、これを強化すると同時に、予算措置をぜひ裏打ちしてもらいたい。ただ言葉で強化強化と言ったってしょうがないんであって、保安センターの強化、それから今岩見沢にある保安技術指導センター含めて、これはひとつ予算措置の強化を含めて対応してもらいたい、こういうふうに考えておりますので、この点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
#79
○政府委員(黒田明雄君) 保安確保のために技術開発を促進しなければならないという点は、私ども重々承知いたしております。炭鉱の深部化、奥部化に伴います操業条件の悪化、これにうまく対応しなければならないこと、それから重大災害の防止という点で、なお今後努力しなければならない点がございますけれども、この二点につきまして、保安技術というのが大変有効な方法であるというふうに考えております。
 そのため、今対馬委員御指摘のガス突出等も踏まえまして、現在いろんな、大学でございますとか石炭技研でございますとか、今御指摘の保安センター等をひっくるめまして有機的な体制をとりまして、それぞれの特徴を生かした形で保安技術の開発研究を進めているところでございます。
 現在、既にこの予算確保につきましては格段の努力をいたしておりまして、従来に増して相当な充実を見せてきているところでございますが、このような方向で将来とも努力をいたしたいというふうに考えております。
#80
○対馬孝且君 ぜひひとつそれを強化して、予算の裏打ちをしないと、強化と同時に予算の措置を強化してもらいたい、特に申し上げます。
 それから、ちょっと石炭問題と、今円高差益の問題で緊急の事態が起きておりますので、これだけぜひ聞いておきたいと思いますが、実は北海道に上国という鉱山がございます。これは中外鉱山の系列なんでありますけれども、これは五月末日をもって閉山をするという発表がここで出ました。私も北海道ですから、すぐこれは連絡ございまして、対応してもらいたいということで今来たわけでありますが、これ、実は道南にあるんです。道南に江差という町がございますが、江差追分で有名な、あの近くに上国鉱山というのがございまして、私も実はこの間、二月に現地へ行っておりますので申し上げたいんですが、今度閉山になるって、これは円高によるしわ寄せなんですよ。現在はどちらかというと銀を採取しておるところでございまして、鉱量はまだ七万五千トンあります。
 ところが、今言った円高のしわ寄せが来まして、金、銀、銅、鉛というのは、これはロンドン相場で決まります。私も委員会でしばしば今まで質問しておりますが、私は今非鉄金属の社会党の副委員長を担当しておりますので、手がけてまいっておりますが、それで、これはまさしく今のメタルマインの関係で、これも石炭と同じで小委員会がつくられまして、今円高に伴う鉱業政策をどうやって確保するかという問題が検討されております。
 ぜひひとつこれ、少なくともこれこそ地域社会に及ぼす影響も大だし、鉱量が七万五千トンあるということははっきりしておりますし、大体一トン当たり今三百五十グラム銀が採取されております。ところが、円高が当時二百四十円の段階で三百五十グラムなものですから、結局今は百七十五円でしょう。したがってこれは大体今の数字でいくと四百八十グラム、トン当たりの掘った鉱量から、やっぱり四百五十グラムから四百八十グラムぐらい出ないと採算ベースに乗らない。これで閉山になるんですよ。大変な事態が、上国鉱山閉山が今道南で問題になっておりますので、今小委員会が行われているという話を聞きましたので、これに対して鋭意小委員会でひとつ――円高のしわ寄せということで鉱山がつぶれるということはもうはっきりしているわけであって、これは地域社会の問題、雇用安定を求める石炭と同じでありますけれども、ぜひこれの対応について積極的に取り組んでもらいたい。長官ひとつ。
#81
○政府委員(野々内隆君) 非鉄金属鉱山、御指摘のとおり、昨年来の世界的な不況に円高が加わりまして非常に大変な状態になっております。ここは一円円高が進みますと売り上げが十億円減少するという非常に大きな影響を受けるんでございまして、私どもも年末にとりあえずの措置といたしまして、経営の安定化融資の枠を確保すること、あるいは予算措置等をとったわけでございますが、その後さらに円高が進んでまいりましたので、先週急遽鉱業審議会を開きまして、その中に御指摘の小委員会を設置をいたしまして、とりあえずの今後とるべき緊急対策及び長期的な鉱業政策のあり方について至急検討を始めました。急ぐものにつきましてはできるところからやっていきたいと思っておりますし、予算措置の必要なものにつきましては、概算要求に間に合うように結論を出していきたいと思っております。
 上国鉱山につきましては、三月二十八日に、労組に対して経営側から閉山の申し入れがあったというふうに伺っております。私どもとしましても、親会社である中外鉱業に対しまして、閉山後の従業員の雇用先の確保に万全を期するよう指示をいたしますとともに、札幌通産局におきまして、関係課から成ります上国鉱山に関する連絡会というものを設置いたしまして、可能なあらゆる手を打っていきたいというふうに考えております。
#82
○対馬孝且君 これ一つだけ、最後になりましたから。
 今、私なぜ申し上げたかというと、非常に時間的に今言ったように逼迫しているものですからね。それで、この間、私、上国鉱山の労使関係からも来ていただきましたし、緊急にぜひこれひとつ取り組んでもらいたい。決してつぶすつもりはないんだけれども、もう円高によってやむにやまれずこれだと。それで今道南地帯の協議会というのができておりましてね、函館方面の道南地帯町村協議会、この協議会からも私の方に陳情が参っております。
 長官に言っておかなければならぬのは、今、全国〇・六三の求人倍率が、函館は〇・二〇です、道南地帯は。これはもう造船が冷え切った、二百海里で北洋がため、もう何もかもだめで、そのために市長が辞任したというわけではないけれども、今、市長辞任説まで出ているんです。非常に冷え切っておりまして、そういう関係からいけば、やっぱり上国鉱山の生存いかんが、道南の経済に影響するだけではなくて、雇用対策にも重大な影響をするし、それから町が大変だというんだ、鉱山税が入らないものだから、町が大変なんですよ、これ。あの町、下手したら大変なことになるんですよ、これ。町長も頭抱えているのは、鉱山税が入らなくなったら大変なことになる。
 こういう地域社会の問題にもなっておりますので、私も地元の代表という立場もございますけれども、今、長官から力強いお答えをいただきましたから、ぜひこれだけはひとつ積極的に前向きに取り組んでもらいたい。このことを特に申し上げて私の質問を終わります。
#83
○委員長(下条進一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十一分開会
   〔理事前田勲男君委員長席に着く〕
#84
○理事(前田勲男君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#85
○松岡満寿男君 六十一年度の商工関係予算につきましては、過去におきます与野党の議論、あるいは国民経済、国家経済全体の現状、さらに自民党におきますそれぞれ関係部会、あるいは年度末の復活折衝等々通しまして十分に議論して出されたものでありまして、先ほど両大臣から御説明ありましたように、当面の国際経済摩擦への対応とかあるいは技術開発、情報化施策、中小企業対策、資源エネルギー政策、さらに国土の均衡ある発展の問題でありますとか、物価、国民生活、もろもろの案件につきまして提起をされておるわけであります。特に本年は、内需振興の中におきまして新産業インフラと新しい施策も取り入れられておるわけであります。一日も早くこの予算案が成立し、実施されることを強く期待をいたすものであります。予算の全体につきまして大変な御当局の御努力に敬意を表したいと思います。
 さて、貿易摩擦関連と円高問題を中心といたしまして、両大臣初め当局の御意見を賜ってみたいと思うわけです。
 二月の貿易収支は、例年の二月では最高の四十七億ドルの黒字になっております。六十年度は六百億ドルを突破するだろうという状況になってきております。しかしながら、昨年来の一連の我が国のとった施策、またその中で特にアメリカの新聞では、腹切り介入だということを言っておるわけですけれども、急速な円高、これがさまざまな波及を国内に与えておるわけでありますけれども、そういう評価をしておる以上は外国の方は一応鎮静化しておるという状況だろうと思うんです。
 しかしながら、これから東京サミット、あるいはアメリカも十一月には中間選挙ありますし、再来年の大統領選挙、そういうものもある、あるいは東京サミット後は円安に動いていくんじゃないかという問題もこれはあるわけでありまして、先ほどの六百億ドルというのは、昨年経済企画庁の赤羽局長から御答弁ありましたように、Jカーブ効果というものもいろいろある、そこに追い打ちかけるように原油が下がってきた、円高が急速に進んでおるというところで、その辺のけじめがどの程度の効果になっているのか非常に難しい問題があろうと思うんですけれども、そういう中におきまして、せんだってある国際会議に出席しましたら、アメリカの国会議員の方からいろいろな話も出てきまして、今までの日本のそういう貿易摩擦に対する対応については余り評価しがたいというような意見もこれありました。
 せんだっては、平泉長官もNHKで討論をアメリカ側としておられたわけでありますけれども、そういう状況の中で、今一応形の上では鎮静化しているような感じがいたしますけれども、これからさらにこの貿易摩擦につきましていろいろな形での進展というものが私は予測されると思うのです。その問題につきまして、その現状とこれから一体どういうふうに推移していくのであろうという見通しがございましたら、通産大臣の方からまず御答弁をいただきたいと思います。
#86
○国務大臣(渡辺美智雄君) 見通しというよりも、私どもとしては最大限の誠意のある努力をするということが私は大切であると、そう思っております。日本の貿易黒字は私は減らないと思います。それは原油がこのように安くなりますと、輸入が数字の上で小さくなりますから、一方、輸出の方も円高ではございますが、値上げ等もあってそう極端に減るという見通しは私はないと思います。
 問題は、対米問題が一番の問題でございますから、まずアメリカに対しましては自動車、鉄、繊維等は秩序のある輸出をするという方向で対処をいたしておりますし、その他の電機等についても余りダンピングだと言われるような安売り競争は慎んでもらいたいということも言っておるわけでございます。それと同時に国内においてはアクションプログラムを実行をして、そして市場の一層の開放を図り、許認可、認承手続等の緩和をするといった約束を確実に末端まで実行させるということが必要なわけであります。それと同時にやはり日米間においてはアメリカもまたヨーロッパの間では彼らも輸出努力というものをもっとやってもらいたい。ただ自分の国で売れるから日本でも売れるじゃないかといわれても、風俗、習慣も違うし、趣味、嗜好も違うわけですから、やはり市場調査を厳格にやって、そして輸出の努力をしてくれということを強く言っておるわけであります。
 日本の商社マンがアメリカに十三人行っておれば、アメリカの商社マンは一人しか来ていない。日本の商社マンはみんな日本語でしゃべっているのはだれもいないんで、みんな勉強して英語でしゃべっているんですから、向こうの商社マンがこちらへ来て、それでおはようとこんにちはしかできないで商売するといってもなかなかこれ難しい話でして、そういう点を、自分たちの努力もしてもらわなきゃ困りますよということは強く言っておるわけであります。したがって見通しとしては幾らになるという数字を申し上げることはできませんが、それは我々は最大の努力をして、ほかから非難をされないようにしていくということが一番大切ではないかと、そう思っておるわけでございます。
#87
○松岡満寿男君 大物大臣が座られたわけですから、その点はひとつかじ取りを十分にやっていただきたいというふうに考えます。
 長官に伺いたいんですけれども、米国内の保護主義の動きですね、これはやはり米国内の国内の経済の状況に大きく左右されると思うんですけれども、ドル安の進展でありますとか、
   〔理事前田勲男君退席、委員長着席〕
米国内の金利の低下、そういう問題と、さらに今大臣が触れられましたが、国際的な原油価格の低下という条件があるわけでありますけれども、今後のアメリカの経済の見通しというものについてのお考えをひとつ伺いたいと思います。
#88
○政府委員(丸茂明則君) 今先生御指摘のとおりに、アメリカの保護主義の動きというものが、アメリカの経済、特に景気の情勢、中でも失業の動きというようなものにかなり大きく左右されるということはそのとおりだと思います。それで、アメリカ経済の今後の見通してございますが、結論から申し上げますと、私どもは緩やかな拡大傾向が続くのではないか、そして昨年に比べますとことしの方がやや成長率が高まるのではないかというふうに考えております。
 と申しますのは、昨年のアメリカの実質経済の成長率は二・二%でございまして、非常に低かったわけであります。しかし、これは二つの大きな足を引っ張る要因がございまして、一つは在庫調整がかなり進んだということでございます。それからもう一つは、御承知のドル高のために輸出が減り輸入がふえたということで、国内の需要が海外に流出してしまった。その点を除きますと、国内の最終需要という点で見ますと、昨年も四%半ぐらい、かなりの堅調な伸びをしております。今御指摘もございましたように、ドル高の修正がかなり進んでおります。それから、金利も下がってもおります。ということもございまして、ことしは昨年に比べますと輸出入からのマイナス要因というのが小さくなると期待されます。
 また、在庫調整につきましてはなかなか見通しが困難でございますが、いろんな指標から見ますと、ほほ五割に近いところまでいっているのではないかと思いますので、これも昨年ほどのマイナス要因にならない。そんなことでございますので、比較的順調に拡大が続くのではないか。特に金利の低下、石油価格の値下がりというもので、アメリカの景気を見ている人の中でも、ややことしに入ってさらに楽観論が強まっているというようでございます。
 ただ、ごく最近の数字を見ますと、二月の工業生産がマイナスになったとか、あるいは二月の失業率がかなり大幅に上がったというような、足元のところは必ずしも非常に力強いということではございませんが、これには二月が非常に悪天候であったというような一時的な要因が響いていると思っておりまして、全体として見ますと緩やかな拡大が続くというふうに考えております。
#89
○松岡満寿男君 四月の文芸春秋に、大前研一さんという方が、「日米に不均衡≠ヘない」というレポートを書いておられますけれども、両大臣はごらんになったでしょうか。
 この中で、アメリカの輸出は二百五十六億ドルだ。日本の国内でアメリカの企業が生産、販売している額が四百三十九億ドルだ、そうするとそれを足しますと六百九十五億ドル。日本の場合は日本の輸出が五百六十八億ドルに、アメリカの国内で日本が進出して生産し、販売している額、これプラスすると六百九十六億ドルだ。それに技術ライセンス料とかブランド使用料を足していくと、ソフト面ではうちの方がむしろ余分に払っているんじゃないか。だから、これでいきますと、アメリカは一人当たり二百九十八ドル日本の物を買っており、日本は五百八十三ドルアメリカの物を買っているんだ。だから、中曽根総理が百ドル余分に買いなさいということを訴えたけれども、これ逆じゃないかというような、昨今の貿易摩擦の中ではいささか留飲が下がると言いますと言い過ぎかもわかりませんが、例えばアメリカの企業に出ていってもらわにゃいかぬのじゃないかと、半ば冗談めいた話ですけれども、アラスカの石油を買ったらどうだなんという話をしているわけですね。
 それはそれで、たまにはこういう議論もあっていいなという感じがするんですが、こういうものは国際的な通念の中ではどのような理解をしたらいいのか。特に私ども気になるのは、総理が言っておられる国民に対して百ドル余分に買ってくださいよということをもそういう形で言っておられるということについて、平素国民に大変わかりやすく演説をしておられる通産大臣でございますので、その辺をわかりやすく、この問題について御意見があればひとつ賜りたいと思うんです。
#90
○政府委員(黒田真君) ただいま御指摘の論文は、ある意味で一つの相互の依存関係が大変密接であるということを示した、そういう意味では興味ある指摘のように思います。特に国境におけるいわば貨物、商品の流れだけを見て貿易統計が片方に偏っているというような議論が横行している昨今でございますので、サービスの問題でありますとか、あるいはさらに資本の活動というところまで視点を広げているという意味では、御指摘のように、現状に対する一つの反省といいましょうか、指摘だというふうに思います。
 ただ同時に、先生も御指摘になられましたが、その中には、こういったややジャーナリスティックなといいましょうか、たくさん皆さんに読んでいただくために、やや極端な書き方になっておりまして、総理のせっかくの御努力をいささか必要がないというような、あるいは私どもから申しますならば、通産省の交渉者の態度をやや茶化して書いてあるようなところもあったりします。そういった点では問題があろうかと思いますが、先ほど申しましたように、全体としては新しい視点を入れているようにも思います。ただ、こういう議論をいかにしたからといって、なかなか現実に貿易の面での問題というものもあることは事実でございまして、やはり我が方としては、輸入拡大を通ずる、より均衡のとれた姿に向かっていくということが必要ではないだろうかと、かように考える次第でございます。
#91
○松岡満寿男君 アメリカ側が基本的に求めているのはやはり産業協力と、それからもっとたくさん買ってくれということが基本だろうと思うわけでありまして、そのために、やはり私どもの国内におけるそういう産業構造というものについても、あるいは国外に進出する姿勢についても、十分にそういう点を考えた対応をしていかなきゃいけないというふうに思うわけでありますが、いずれにいたしましても、今回の円高が非常に大きな影響を国内に与えておることは、これは事実であるわけなんですね。
 この円相場の今後の動向というのは非常に国民も注目しておるわけですが、これは確かに当局言われるように、見通しは非常に難しい問題なんですね。
 ただ、せんだって日経新聞ですかね、「社長一○〇人アンケート」というのを見てみますると、大体円が百七十一円から百八十円というものをほとんどの経営者が予測をしておるわけでありますね。しかし、国際通貨の安定というのは、やはり大企業、中小企業を問わず、恐らく皆願っておると思うんですけれども、この円相場の今後の動向についてどのような考え方をしておられるかお伺いをいたしたいと思います。
#92
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは願望と現実が必ずしも一致はしないと私は思うんです。私は円相場がある程度強くなることは、日本国の中長期的な経済から見れば、それは決してマイナスではない。ただ問題は、半年の間に三十数%というような円高ということは非常にショックであるし、またそれが幾らで落ちつくのか見通しがつかないというためにいろんな輸出契約に戸惑いがある。それから企業が、これほど大きく円高になったのでは輸出採算ベースが合わないというようなことで、転廃業やむなしというような中小企業等が出てきているという、こういう点で大変な目先の戸惑い、悲劇ですね、そういうものがございます。
 しかし、これを乗り切っていけば、かつて日本は三百六十円から三百八円まで一挙にして円高になったこともありますし、それからまた昭和五十三年当時の円高百七十円台も経験したこともございます。それによって石油の第二次オイルショックに、むしろ神風になっていい効果をあらわしたということもございます。
 したがって、安定をするということが一番大事なことでありますが、余り百八十円をもっと下回るような円高で安定をするということではちょっとスピードが速過ぎる。ですから、願望としては、これは願望です、願望としてはまあ百九十円ぐらいのところで何とか安定できないものかねという願望はありますが、これはなかなか日本の政策誘導だけでそう簡単に動くものではありません。日銀等が一千万ドルや二千万ドルの介入をしてみたところで、ちょっと、ちょっとぐらいの話でありまして、なかなかそう効果的なことにはならない。
 しかしながら、アメリカの中でも、ドルの急落、急暴落ですね、これは非常に困る。向こうだって、それは輸出がしやすくなるという一面もあるが、輸入の方がオーバーしているというような状態の中では、これは輸入インフレ基調になる危険性が十分あるわけですから、これ以上の急落は、これは困るわけでございます。したがって、そこらのあうんの呼吸のコンセンサスができれば私は百八十円台で安定する方向に流れていくんじゃないか。それにはなお、介入だけでやるといってもなかなか難しいから、一層の金利引き下げというようなことも、政策当局としては今後の状況を見ながら考えていく必要があるんではないかという気がいたしております。
#93
○松岡満寿男君 円高が我が国経済に大きな影響を今与えておるわけでありますけれども、先ほどのアンケートで社長さん方が答えていますのは、大体景気はやはり下降していくとほとんどが見ておるわけです。しかも、当初の経済成長率四%、実質成長四%という見通しでやっておるわけですけれども、当初から民間は大体二%ぐらいという見方をしておる。その中で今回の原油安あるいは公定歩合を下げるということをちょっと前提にしても、例えば一−三月百八十円、円を第二・四半期で百七十円、第三・四半期で百六十円と、仮に今通産大臣のおっしゃったことと全然違う見通しで計算しますと、成長率一%ぐらいになっちゃうというような見方も出てきておる。非常にこれ大変な事態になってきておるんではないかと思うんです。
 その辺を非常に危惧いたしておるわけですけれども、これが急速にマクロ経済に及ぼしている影響というのはかなり大きなものになってきておるわけでありまして、その辺の円高がマクロ経済に与えている影響、それをどのようにとらえておられるのか、その辺を御答弁をいただきたいと思います。
#94
○政府委員(赤羽隆夫君) 円高の我が国経済に与える影響でございますけれども、この為替レートの変動が経済に与える影響というものは、交易条件効果、それから貿易数量効果、この二つの効果があると言われております。この場合、前者の交易条件効果はプラスの効果、それから後者の貿易数量効果、これはマイナスの効果ということであります。
 専門的な用語を使いまして恐縮でありますけれども、まず前者の交易条件効果と申しますのは、円高の場合について申し上げますと、輸入品が安く買える、それによりまして輸入のために支払う国民所得が節約になる、それだけ懐にとどまる所得が多くなるということであります。他方、輸出につきましては、当然輸出収入、外国から輸出によって稼ぎます国民所得が減るわけでありますけれども、この場合、例えば三〇%近い円高の場合を考えてみますと、三割輸出収入が減ったのでは企業はやっていけない、こういうことで、企業の皆様は非常に努力をされまして、外貨建ての輸出価格を引き上げるという努力をなさって、それが一〇〇%通るわけではありませんけれども、かなりのものはドル建て輸出価格に転嫁できる、こういうことになります。
 五十二、三年のケースで申しますと、いろいろ研究によって違いますが、大体円が高くなりましたことの七、八割から九割ぐらいが外貨建ての輸出価格に転嫁できた。ということは、裏を返しますと、輸出収入の減少というのは、一割ないし三割程度にとどまったということになるわけであります。今回の場合には条件が厳しいということで、ほぼ半分ぐらいはドル建て価格の引き上げによって損害を軽減することができる、こういうことになります。輸入につきましては一〇〇%フルに輸入代金支払い節約効果があるわけでありますから、差し引きいたしますとプラスの効果、国民経済全体として見ますと国民所得がふえる、こういう効果があるわけです。これを交易条件効果と申します。
 それに対しまして、数量効果と申しますのは、ドル建ての輸出価格を引き上げる、当然値段が高くなるわけでありますから輸出がしにくくなる、こういうことで輸出数量が減る、あるいは伸び率が下がってくる。他方、輸入につきましては安く買える、こういうことで輸入数量がふえる。この結果、競合製品をつくっております我が国の国内産業が圧迫される、こういうことで、数量効果の方はいわゆるデフレ効果として働く、こういうことになるわけであります。
 この差し引きがどうなるのか、こういうことでありますけれども、従来のケースから申しますと、やや長期的に見ますとプラスの効果の方が上回る、こういうふうに考えられます。しかし、マイナスの効果というのは、特に輸出産業、円が高くなるに従って月々輸出収入が減ってくる、こういうことでありますから、売り上げ高が減るということでありますから、これは大変な苦労である、苦難である、こういうことになりまして、マイナスの効果の方が先に出てくる、こういうことではないかと思います。
 こういうことで、差し引きプラスマイナス、やや長い期間をとってみますとプラスになるわけでありますけれども、その効果というのを別の観点から整理をいたしますと、まず、円が高くなることによって貿易黒字、これが減る効果がある、こういうことだと思います。したがって、対外不均衡の是正の効果が第一でございます。第二番目は、先ほども申しました国民所得が結局はふえるということでありますから、国民所得がふえて、それに伴って国内需要がふえる、こういうことになります。第一の対外不均衡の是正ということは外需の伸びが下がるということでありますから、この二つを合わせますと、内需中心の経済成長パターンへ移行することが可能になるということであります。それから第三番目の点といたしますと、物価がより一層安定するだろう、こういうことになろうと思います。結局のところ、インフレがない内需中心の成長、こういうパターンに移行する、こういうプラスの効果が考えられると思います。
 要は、結局速やかに出てまいりますマイナスの効果、多少の時間を経てあうわれてまいりますプラスの効果、このプラスの効果をできるだけ早く円高によって被害を受けております部門に対して均てんをさせる、こういうことがその政策的な対応でなければならないということだと思います。その点につきましてはまた御質問があると思いますので、その際また御報告申し上げます。
#95
○松岡満寿男君 今当面はマイナスの効果の方が大きくあらわれているわけですね。
 基礎素材型産業等見ましても、鉄鋼、セメント、非鉄金属、まあ非鉄金属あたりは直下型地震だと言われているわけですけれども、しかし過去の我が国を支えてきたのは要するに、言うまでもなくこういう基幹産業であったわけですね。将来ともやはりそういうものが支えていくだろうというふうに思うわけですけれども、しかし、こういう急速な円高の中で、鉄鋼五社もこの前、役員報酬を一〇%から一四%カットするという非常な深刻な事態を迎えておるわけですね。鉄は輸入産業だなんて言っている人もいますけれども、八十億ドルぐらいしか買っていないわけですから、ほとんどもう五〇%ぐらい輸出に向けている、そういう中で非常に大きな痛手をこうむっておりますね。それからセメントも、昭和四十二年にトン当たり八千円だったものが、二十年たっても一・五倍ぐらいしか伸びていない。そういう中で非常に企業努力をしながら合理化して、耐えて耐えてきておるわけですね。
 そういうところに対してはやはり一定の成長率を維持していくということが、マクロ的にもこれは必要なことだ。そうすると、例えば鉄鋼業の場合は、粗鋼一億トンを維持するためには経済成長四%ないといけないという状況なんです。ところが、先ほどからの議論がありますように、これが二%になるかもわからない、そういう状態になったときには、一体これはどうなるんだという危惧があるわけでありまして、こういう深刻な状況にある基礎素材型産業に対して、やはり内需の拡大であるとか適切なる対応をしていかないと、これは大変なことになりはしないか。
 せんだって参議院の予算委員会におきましても、総理初め通産大臣も大変前向きな御答弁もあったと聞いておるわけでありますけれども、この問題に対するひとつ御所見、姿勢を伺っておきたいと思います。
#96
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も似たような考えでありまして、内需の拡大のためにはやはり規制の緩和、それから公共事業等の前倒し、それから円高差益の早期還元、金利の引き下げ、そういうことをまずできるものからどんどんやる。ともかく八割公共事業を前倒しするといっても、なかなか全部消化できないでしょう、恐らくそんなには、ですよ。だからもう目いっぱいですから、消化できないほど予算をつけても意味がない話。しかし、それをやってなおかつ後半が足りなくなるというときには、それは今先生の言ったような懸念が出てくる場合には、それは何でもやるほかないと私は思っている、実際のところは。ですから、それは例えば建設国債を臨時的に出すというようなことだって、それは考えたって私はいいと思いますよ。ともかく安心をさせる必要があるわけですから。
 ただ、もっと先のことになりますと、国民はまた使わない、お金はだぶだぶある、しかも非課税貯蓄が三百兆もあって手つかずだと、そういうのをそのままにしておいて、金がない、金がないと言うのも、これもナンセンスな――まあ、また言い過ぎているからちょっとやめておくかな。これはちょっと取り消しますが、本当に税制の改革というようなことで、あるようなら、じゃ政府がちょっと拝借して使わしてもらいますと、それは建設国債も同じだと言われますが、それはコストがかかるわけでしょう、コストが。コストがかかって利息がかかる、社会保障費を上回ってその分は利息を払っている状態ですからね。社会保障費よりもはるかに利息が多いんだという、これも私はもう財政としては非常にいびつな話だと思います。
 したがって、やはりそこは政策をどっちを優先するかという問題でございますから、やはりそういうような、それじゃ分離課税を導入するとか、それによって所得水準が上がったりすれば、それは利息を十万円もらえるところが八万円になったからということと、月給も下がらずにそれはもうもっと月給が上がる、減税もできるという状態と、どちらがいいかというと、政策判断の問題ですから、そういうものも踏まえまして、来年度以降はそういうような基本的な問題に少し踏み込んで、与野党で本音の話を詰めていくということも私は大切ではないか、そう思っております。
#97
○松岡満寿男君 まあ大変突っ込んだ御答弁いただきまして、大いに意を強くいたしておるわけですけれども、やはりこの際、抜本的な税体系の見直しをやるわけですから、同時に耐用年数の短縮とか、こういう問題もやはり踏み込んでいくべきだというふうに考えております。
 この影響は中小企業の方にすさまじい形であらわれてきておりますから、燕の洋食器とかあるいは瀬戸の陶磁器でありますとか、いろいろなところからさまざまな形の陳情が、通産あるいは中小企業庁の方にも行っておるだろうと思うんです。この前、円高によります事業転換をやったばかりでありますけれども、そういうところに対する対応でありますね。中小企業、この前の法案のときにもさまざまな利率についての議論もあったわけです。マル経を下げたらどうかとか、あるいは今回の融資の率もそういう議論もありました。そういうものについてどう当面の、そういう輸出を中心とした、あるいは輸出下請関係の企業に対する対応でございますが、取り組みの姿勢をお示しをいただきたいと思います。
#98
○国務大臣(渡辺美智雄君) やはり金利情勢も変わってきているわけですから、マル経の問題、それからもう一つ、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法等の金利の問題も、それをつくったときとは金利の環境が違っているわけですから、私はもう一段これは下げていくということが必要だと、そう思っております。
#99
○松岡満寿男君 総合経済対策を立案中ということを伺っておりまするし、当面政府としてのこういういろいろな問題に積極的に対応する施策を立案されるだろうと思うわけでありますけれども、その点はひとつ十分に取り組みをいただきたいというふうに、時間がございませんのでお願いを申し上げておきたいと思います。
 せんだって電力・ガス差益問題懇談会の報告書が三月二十八日ですか出たようでありまして、いよいよこの円高差益につきましても前向きに取り組まれる、実施の時期にかかってきたわけでありますけれども、電気料金につきましては、やはりあくまでも原価主義という原則に立ちながら、なおかつやはり当面の内需拡大に資する方法ということを、今から知恵を絞りながら具体的に対応いただけるだろうと思うんです。大企業も中小企業も挙げてやはり、この円高差益の還元、苦しいときですから、国民ももちろんそうでありますけれども、期待をいたしておるわけでありますから、その辺の取り組みにつきましてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#100
○政府委員(野々内隆君) 先般、差益問題懇談会から報告がございまして、今週、電気事業審議会、あるいは来週、都市エネルギー部会を開きまして、具体的な料金についての検討を開始したいというふうに思っております。
 基本的な考え方は、この差益問題懇談会報告にございますように、原価主義という原則に立って行いたいと思っております。ただその際、現在あります制度の中で、特別料金あるいは三段階料金というような制度につきまして所要の調整を加える必要があるというふうに考えておりますが、その他内部留保を活用いたしまして、できるだけ設備投資というようなことによりまして内需振興に役立つような方法で計画を進めるように、電力会社に要請してまいりたいというふうに考えております。
#101
○松岡満寿男君 各方面から早期の実施を求められておるわけでありますけれども、実施時期についてはいかがでございましょうか。
#102
○政府委員(野々内隆君) できるだけ早くやるということで、大臣からの御指示で現在検討中でございますが、石油の価格を幾らに見通せばいいかという点が大変難しゅうございますので、実はまだ二月の段階では、一カ月の入者価格の平均が二十七ドル五十七ということで、まだ一ドルも下がっていない状態でございますので、もう少し様子を見る必要があるかというふうに考えております。
 他方、決算の状況が五月にははっきりいたしてまいりますので、そのあたりをめどにできるだけ早くやるということで進めてみたいと思っております。
#103
○松岡満寿男君 まあ、なかなか時期は明確に表現していただけないんですけれども、できるだけ早くひとつ対応をいただきたいというふうに思います。
 この中で私一つ注目しておりますのは、過去からいろいろな議論を積み上げてきておるわけですけれども、配線の地中化でございますね。これは私は、現在の民活がともすれば大都市に集中している、地方が取り残されているという感じの中で、この地中化の実施に当たりましては、できるだけ地方に早くこの実施を進めていく、地方の中小企業者にこの仕事をさせるという対応をぜひお願いをいたしたいと思うのですけれども、その点は、どうでしょう。
#104
○政府委員(野々内隆君) 地中化につきましては、できるだけ促進をしたいと考えております。従来年間二十キロぐらいのオーダーで進んでおりましたが、昨年来これを年間百キロにふやすということを考えておりまして、さらにできるだけ加速化をしたいというふうに思っております。実施につきましては、東京というような都心のみでなく、地方都市につきましても、需要が安定をして将来何回も掘り返す必要がないような地域、そういうものを考えて進めたいと思っております。
 なお、地中化工事につきましては、電線埋設工事はかなり専門的な部分ではございますが、土木工事にかかわる部分につきましては、地元の中小工事業者にもかなり工事量がいくのではないかというふうに考えておりまして、従来からできるだけその辺配慮するように電力業界に要請いたしておりますが、今後ともそういうふうに措置をいたしたいと思っております。
#105
○松岡満寿男君 専門的な分野につきましても、ある程度の指導をすれば、それぞれの地域の中で私は十分対応できるだけの技術力はすぐ身についていくだろうと思うんですよ。だから余りそういうふうに仕分けをされないで、温かい目で指導していくという態勢をひとつお願いをいたしたいと思うのです。
 この地方都市に重点的にやっていくという問題と、中小企業者に対してできるだけそういう仕事をさせていくということにつきまして、具体的な取り組みをこれからされていくわけですけれども、仄聞するところによりますると八日に経対閣があるというふうに聞いておるのですが、通産相としてもその辺はひとつ明確にその閣議におきまして御発言いただきたいと思うのですけれども、いかがでしょう。
#106
○国務大臣(渡辺美智雄君) 八日にはなるべく、できるだけ具体的に発表したいと考えております。
#107
○松岡満寿男君 ありがとうございました。終わります。
#108
○田代富士男君 きょうは委嘱審査の日でございますが、最初にいわゆるマルコス疑惑に関しまして質問をしていきたいと思います。
 この問題に対しましては、政府当局といたしましてもその究明に全力を挙げていくのは当然でありますけれども、我々も当委員会を初め、関係のある諸委員会におきまして、徹底的にこの問題に取り組んでまいる決意でございます。
 昨日、テレビでちょっと見た折に、ソラーズ委員長が、マルコス一派が起こした今回の問題は泥棒集団のようなものであったという、こういうはっきりした発言をしておりました。マルコス氏の不正蓄財には日本の経済援助というのが絡んでいるという疑いが御承知のとおりに現在持たれております。財源となったのは日本の国民の税金であるし、貯蓄からではないか、こういうところで我々も看過できない問題でありまして、これはただ単なるフィリピンの国内問題ではないということは明白であります。フィリピン側も、この日本企業のリベートの問題等に対して日本政府並びに国会が調査協力を求めてきた場合には、収集した書類を提供する、こういう発言も明確にしておる今日であります。
 そういう立場から、このフィリピンのマルコス疑惑に関する不正追及に対しまして徹底的に追及をしていくべきであると思いますけれども、海外援助等に対した場合には、やはり四省の一省として関与していらっしゃる渡辺通産大臣といたしまして、この問題に対する決意を最初にお聞かせいただきたいと思います。
#109
○国務大臣(渡辺美智雄君) まことに残念な問題であります。実はかつて賠償援助というのが非常に国会などでも、今から二十年近く前ですか、騒ぎになったことがございます。これは賠償として、金額的に向こうへ、東南アジアその他へ差し上げたわけですが、性格が賠償でありますから、余り中身に深入りしてというわけにも実際できなかったということもあるでしょう。したがって、それらの国でいろいろ話があったことも私は事実だと思います。私自身も現場を見まして、ひどいものだと思った経験も実はあるわけであります。
 ところが、今回新聞に報道されるような問題が起きましてまさしく愕然としておる。しかし現実には、これは日本政府としては経済協力、経済援助というものを発展途上国あるいは最貧国、そういうところにどんどんこれからもしていかなければならないという世界的な要請がある。ところがこれらの国々は、えてして非常に独裁的なところが多かったり、あるいは民主主義が徹底をしていないということが多かったり、まあ先進国と同じような考えではなかなか動きが、実際は仕組みがそうなっていない。そこに非常に難しい問題がございます。
 しかしながら、今、田代先生がおっしゃったように、無償援助はもちろん国民の税金でありますし、円借款にいたしましても、三%とか四・五%とかいろいろございますが、その金利差額については少なくとも国民の税金で利子補給をしているわけでありますから、我々は、返してもらうお金であっても、それはやはり姿勢をきちっと正してやらなきゃならぬ。
 私はこの間、独裁国家でかつ腐敗政権等には援助はやらぬという方針がいいのじゃないかと言ったところが、これはやっぱり物議を醸しまして、どこで独裁国家というのを判断するんだ、腐敗の程度をどういう尺度ではかるんだというようなことをある人から言われました。言われましたが、基本的姿勢としてはそういうようなことも考え、なおかつ、せっかく援助をやるんですから、援助をやってその国の国民から喜ばれるならいざ知らず、日本の国が恨まれるようなことになったのでは、何のために援助をやるのかさっぱりそれはわからぬということでございます。
 したがって、これらの構造的な問題等もよくこの際解明をして、そしてそういうようにならないように、いろいろございますが、まず相手の政権なんですね、一番は。政権の清潔度、それからいろんな規則や何かがきちっとできているかどうか、執行されるかどうかということが第一。あとは、こちらに過当競争しようという気持ちがあるとやはり乗せられるという危険性もございますから、過当競争等はやらないような方法を何かやはり講じていく、弱味につけ込まれないようにする必要があるというようなことなど、これから文書が出ますとある程度のことが想像がつく、確たる証拠がきちんと握れないまでも、想像がつくと思いますから、そういうものを参考にし、有効な援助をするように、今後とも十分に注意をしてまいりたいと考えております。
#110
○田代富士男君 今、渡辺通産大臣から、こういう問題を解決するにはまず政権の清潔度であると、これは当然のことだと思いますが、それと構造的問題を解明していかなくてはならない、こういう御答弁でございまして、私もその意見です。そういう意味から、我が国の対外援助システムを根本から洗い直す必要があるんではないかと思うんです。
 現在我が国の対外援助は、円借款で、大体フィリピン五千億円ぐらいになっておりますかね。そういたしますと、これだけの巨額の援助がなされておるその事前審査というものは、慎重に行われていると私は思うんですけれども、政府の意思表示といいますか、それまでの政府や基金のミッションや、それを受けての金融審査というものは、具体的にどのような調査がされているのか。私も今回ちょっといろいろ聞いてみましたけれども、形式的な審査に終わっていたのではなかろうか、このように受け取られる面があります。また、この調査には何人ぐらいの係員が携わっていたのか、これもちょっと調べて見ましたら、在フィリピンの担当者はたったの二名である、こういうことも聞きまして、これで十分であるのかと、我々今回取り組んで改めて感慨を新たにしたわけでございます。
 今構造的問題としてこれを解明していかなくちゃならないと通産大臣おっしゃったけれども、この人員も拡充して対処すべきではないか、このように思いますが、御意見いかがでしょうか。
#111
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは非常に難しいところは、金を貸すわけですよね。金利が安い、円借款というのは。貸して長年月返してもらう。ですから、もちろんそのプロジェクトの内容で、不経済なやつだとか見積もりのうんと違うというような問題については、ある程度チェックができますが、うんと細かいところまで詰めていきますと、やっぱり主権侵害といいますか、向こうが怒るわけですね。借りた金で返す金じゃないかと、そんなに細かいところまで、微に入り細にわたって貸す方が何も調べなくても、信用をもっとしてくれというような話になりかねないところもあるんです、実際は。
 そこで、現実に、こちらが公共事業を請け負わせて、現場監督をするような形でやるということも、なかなかこれは言うべくして実際はできない。しかしながら、執行状況等については、例えば私は現地で例も見ておりますが、基金から人なんか行っておりまして、現場でどれくらいの執行状況になっているかというようなところを、行ってちょいちょい見ているという程度のことはやっているんですが、恐らく経理の内容まで全部立ち入って、相手の国の事業執行について監督までするというところまでは私はできないんじゃないか。
 かつて、日本が世界銀行から金を借りていろんなことをやったときも、向こうから来て、日本の請負業者の中まで調べる、立入検査をするというようなことはやっておりませんし、やっぱり国家間の信頼の問題ですから、だからそこらのところの兼ね合いということも難しいことは確かに難しい。難しいけれども、やはり専門家に、ちゃんとフィージビリティースタディーというものが正しいものであるかどうか、信頼できるところのコンサルタントがやっているかどうか、それからそいつを正しく執行しているかどうかというようなことについては、お役所自身人数を広げることはできないにしても、信頼のできる人に委嘱をして調べる方法も、ある程度間接的にはあるんじゃないか。いずれにしても、厳格な資金の執行が行われる工夫を、相手の国を傷つけないで行うようなことを考えていく必要はあるだろうと、そう思っております。
#112
○田代富士男君 借款契約がなされて、具体的な事業の実施段階に入るわけでありますけれども、その承認をする際、基金はどのようなチェックをするのか。事業が適正に達成するに適当なチェックとは、具体的にどのようなチェックがされているのか。これも形式的なチェックではなかろうかと、このように私はいろいろ話を聞いたときに思ったわけです。
 今、通産大臣も、借りた金であるから信用してくれと、先方がそういう主張をするのはこれは当然かわかりませんけれども、こういう事態が起きたんですから、私はそういうことも考えの上に置きながら入札価格のチェックまで立ち入りまして、業者の見積もりが適正であるかどうかまで介入するということは、これはちょっと厳し過ぎるかと思うけれども、こういうことを起こさないとするならばやはり踏み切るべきではなかろうか、そのくらいの勇断が必要ではなかろうかと思いますけれども、この点に対してはいかがでございましょう。
#113
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは非常に国によって嫌がりましてね、そんなら要らぬというところまで発展する可能性もあるんですよ。ですから、要するにこれはもう本当に相手の国の組織なり清潔度なり、これが一番問題なわけですから、だからもしそういう問題があるようだったら、あとは貸せませんと、お貸しできませんというぐらいのことはやっぱり言ってもらわぬといかぬのじゃないかという気もするんですがね。
 これ外務省に聞かぬとよくわかりませんが、言い過ぎてまたしかられると困るわけですが、趣旨は、気持ちは私も全く同じなんです。やり方についててれから勉強していきたいと思っております。
#114
○田代富士男君 こういう問題が日本の国内であるならば、民間はもとより政府系の金融機関でも、こんなずさんな審査承認方法はとらないと思うんです、御承知のとおりに。
 例えば、入札の報告書の義務づけというようなこういうことなど、具体的なチェックのできる方法を、何といいますか、交換公文の取り交わしの際に盛り込むような手だてを講ずべきではなかろうか、こういうことは考えられないことはないと私は思っておりますけれども、それとあわせまして、これはもう今もいろいろ取りざたされておりますけれども、調達方式につきまして、LDCアンタイドからもっとオープンな一般のアンタイドへの切りかえを進めることが、今問題にされております企業との癒着を少しでも防ぐことになるのではないかと思いますけれども、この程度のことはいかがでしょう。
#115
○国務大臣(渡辺美智雄君) これもなかなか難しい問題が実はあるんです。日本から貸したお金だから、その事業についてはうんといい条件で貸したものだから、それはアメリカやイギリスに全部仕事をとらせるよりも、やはり日本から出ているお金なんだから、日本の業者の人にやらしたいと。これはどこの国もそうなんですね、アメリカでも、イギリスでも、フランスでも、どこでも。だから、そこがやっぱり国益同士の争いという問題があるんであって、日本は本来から言えば、もう大まかに、じゃあ円借款、何でもお金上げます、しかしあなたの国自由にお使いなさいというのが本当は一番いいのかもしらぬ、本来から言えば。どこへ頼もうと、何してもどうぞ御自由にと。
 ところが、ほかの国がそれやっていないものですからね、我が国なども、やはりそれについてはある程度国内から貸したお金については国内の人がそいつを請け負ってもらう。そして、向こうにも技術の移転もひとつやらせるために、その国の業者とジョイント組んだり、あるいは一緒に入札参加したりすることまではいいじゃないですかというようなことをやっているんです。
 しかし、先生のような意見もあるんですよ、これは。それはもっと、ほとんど大したことのないぐらいの、何というか、贈与部分が少ないんだったら、国際入札で全部にオープンにしろと、みんな贈与でやるものは話は別たかと、あるいは贈与部分が非常に多いようなものは話は別だが、少しぐらいの贈与しかないようなものは、それは国際入札で全部にやらせろという意見があって、それは言われているんです。そこらのところのどこで線を引くかということがなかなか難しい問題なものでして、これは国益にかないながら、やはり世界の人にも認められる程度のものにはしなきゃならぬと、そう思っております。
#116
○田代富士男君 この問題はまた特別委員会等もありますから、きょうは委嘱審査の日でございますから、最後の質問にとどめます。
 アメリカでは、かつてカーター政権のころであったかと思いますけれども、外国政府高官に対する不正資金の支払いを禁止する海外腐敗活動防止法というのが制定されたやに私は聞きとどめております。この種の立法には、当然その是非に議論もあるだろうと思うのでございますけれども、そのような議論を含め、企業の癒着活動の防止のための論議をする努力をすべきではないかと、私はこのように思いますが、いかがでございましょうか。
#117
○政府委員(福川伸次君) 御指摘のように、海外で日本の企業が進出をいたしまして活動をする場合、当然のことながら進出先の法令を尊重し、またその商慣行に従ってやるべきことは当然であると思っております。現にこういった進出企業の活動につきましては、例えばOECDで多国籍企業の行動指針といったようなものができておりますし、これはもちろん強制力はございませんが、そういう企業の行動というものは、当然慎重でなければならぬというふうに思っております。
 今回このような再発の防止ということにどのように取り組んでいくかということにつきましては、私どもも今申したようなのが当然企業として社会的に責任があるものと思っておりますが、これについていかなる措置を講ずべきかという点に関しましては、今後ともこの問題自体の解明を待って、私どもとしても今後適切に対処すべきものであろうと考えております。
#118
○田代富士男君 次に、経企庁に対して質問を移したいと思いますが、最初に三月の月例経済報告についてお尋ねをしたいと思います。
 御承知のとおりに、三月の月例経済報告によりますと、最近の日本経済は円高で輸出の伸びにブレーキがかかり始めまして、鉱工業生産や中小企業の製造業、設備投資が鈍化傾向を示しているということであります。また、企業収益も全体として減益傾向が強まりまして、業況の判断は製造業を中心に急速に悪化をしている、こういうようなデフレ効果といいますか、個人消費や住宅建設といいますか、こういう面における改善傾向を上回る形で表面化しておる。そして、この報告では、こういう面から景気は一段と停滞色を強めていると、こうなっているわけです。また報告では、鉱工業生産は一月が〇・六%減と、こういうことになっているわけです。御承知のとおりだと思います。
 このような状況でございますから、経済情勢というものは、円高デフレの影響と考えておりますけれども、経企庁長官はこの経済情勢をどのようにお考えになっているのか、これがまずお尋ねしたい点の第一点。
 また、円高傾向の今後の展開について伺いたいんですけれども、特に輸出関連中小企業にとりまして、この円・ドルレートの安定の見通しは極めて関心が高いわけでございまして、これはこの前もお尋ねしたけれども、明確な答えが帰ってきていないんですが、現時点におきます経企庁長官としてのお考えを最初にお尋ねをしたいと思います。
#119
○政府委員(丸茂明則君) 今、三月の月例経済報告につきまして、最近の景気情勢をどう見ているかという御質問でございますが、私ども、景気は拡大テンポは緩やかになっておりますが、緩やかな拡大傾向にあるというふうに考えております。
 その中で、今御指摘のように、鉱工業生産は一月にも減少いたしましたし、ならしてみましても弱含み傾向を続けております。また企業の日本銀行の短期経済観測等のデータによりましても、特に製造業企業あるいは中小企業の景気観と申しますか、景気をどういうふうに考えているかという見方が厳しくなっているということも事実でございます。ただ、このところの鉱工業生産が弱含みになっているということに、もちろん昨年秋以来の急速な円高が影響はしておりますけれども、それだけではございませんで、例えば昨年の後半ぐらいから我が国の輸出はほぼ横ばい状況になっております。
 その理由は、必ずしも円高ということではございませんで、中国向けが御承知のような理由で急速に減少したとか、あるいは石油収入が減っております中近東向けの輸出が減少したというようなことが重なりまして、輸出がここのところかなり長い間、昨年春以来数量で見ますと横ばい状況にございます。それから鉄鋼その他の一部の産業でやや在庫がふえまして、それの調整をしている。そういうようなことも一応円高とは別に、工業生産を弱含みにさせている要因であるというふうに考えております。
 もちろん最近におきまして、景況観の悪化等に円高の影響が出てきているということは事実であると思います。その反面非製造業、住宅建設等につきましては、あるいは設備投資も非製造業につきましては現在も堅調でございますし、いろいろな来年度の調査を見ましても、全体として見ますと、製造業の投資は減少するけれども、非製造業はかなり堅調であなというような調査結果が出ているようでございます。したがいまして、製造業部門を中心にして景気が鈍化をしておりますけれども、非製造業部門が比較的堅調であるということで、全体としては緩やかな拡大をしているというふうに私どもは判断をしているわけでございます。
#120
○田代富士男君 次に、円高の行き過ぎ問題についてお尋ねをしたいと思いますけれども、御承知のとおりに、金利低下、円高、そして石油の大幅値下がりなど、景気を決定する重要な要因が大きく変動いたしまして、景気に対する読み方が複雑になっているというのが現在の状況じゃないかと思います。そういう中にありましても、この円高というものは最近の景気を左右する最大の要因の一つと言えるのではないかと思うんです。
 御承知のとおりに、五十二年から五十三年のときと比較いたしまして、今回の円高の特徴というのは、第一には円高が景気の下降局面に差しかかったところで起きたという点じゃないかと思います。もう一つ第二は、五十二年一月には一ドル二百八十八円から、五十三年の一月には一ドル二百四十四円となり、さらに五十三年十月に一ドル百七十六円のピークに達しまして、その間一年十カ月かかっている。それに対しまして今回の円高は、御承知のとおりに、六十年九月から十一月のたった二カ月間で約二〇%のテンポでありまして、テンポの速さは極めて速いわけでございます。
 今回の円高というのは、G5決定に基づくものでありまして、人為的な誘導策として引き起こされたものでありますが、現在の我が国の経済の実勢から見まして行き過ぎの嫌いはないのか、このように思うんですけれども、これは平泉長官、いかがでございますか。
#121
○国務大臣(平泉渉君) おっしゃるように、最近の景気動向につきましては、先ほど担当の方から御説明をいたさしたわけでございますが、我が方といたしましても、非常にこの点につきましては細心の注意を払って最近の景気動向を見、また殊に地方の中小企業に与えておる、いわゆる産地経済への影響というものを非常に注意深く見守っていかなきゃならぬと思っておるわけでございます。
 その際、一番私どもが中心に考えておりますのは、一つの面では円高デフレのショックというものがあるということ。そして、そのために、殊に輸出関連の産業で非常に今影響が出るんではあるまいか。しかし同時に、他面から言えば、この円高によるメリットの面というものも出てくる。その両方の面を十分企業関係の方々にも、一般国民の皆様にもよく御理解をいただくということが必要でございまして、経済というのは非常に一般の心理に影響される面がございますので、余り悲観の方が広まりますと、実際に経済がダウンするという面もございます。
 その点、我々としましては、今非常に全体の情勢が円レートの問題の点においても確かにそういう御心配の面があるが、同時に、急激な円高の割合には、結構経済が堅調であるという見方もできると思うわけでございます。その点につきましては、政府が累次にわたりまして金利に対して、金利を下げるという手段を即刻機動的にとったという面もございます。
 また一方、石油価格が先行きどんどん値下がりしていくであろうという予測もございます。そういった両全体を含めまして、何としても皆様に御迷惑をかけないような経済運営をしていかなきゃならぬ、大変大事な時期であると経企庁は判断をいたしまして、今後ともあらゆる指標を十分分析をしながら、また国民の皆様に対する広報ですね、いわゆる十分な情報を提供するという中で、景気が着実に進行していく、拡大していくという政策をとっていかなきゃならぬと思うわけでございます。
 なお、今おっしゃいました円高が急激ではないかという点につきましては、これは確かにそのとおりでございまして、私どもは先般も海外とのいろいろ交渉をしておりますと、最近の日本の円高は大変急激であるということについて、ある意味では日本は今までちょっとやり過ぎておったんだ、ここらで少し、というのが率直なところ少しあるわけでございます。しかし、それに対して我々は、確かに急激ではあるけれども、これに耐えていかなきゃならぬ、そして新しい経済をつくっていかなきゃいかぬ、そういう面で、決して余り極端なことになってはいかぬという気持ちでこれに対処してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
 大変これはデリケートな問題でございまして、大体この辺の円のレートというようなことが、ちょっと政府側は言う立場でもございませんし、また国際的にも波紋を呼び起こしますが、他面、円のレートというものは国民生活の最も重要な基礎でございますから、この点につきましてはできるだけ安定化を図っていきたい、かようにまた私どもも思っておるわけでございます。
#122
○田代富士男君 具体的な面から一つ質問いたしますけれども、これは、一つは日本生命の出された試算と日債銀の調査によって出された試算の面からお尋ねをいたしますけれども、一ドル百七十五円での円高デフレによるマイナス効果と、御承知のとおりに一バレル二十ドルへの原油価格低下のプラス効果というものは、マクロ的にはほぼ同じインパクトである、このように日本生命は大幅な円高と原油の価格低下が我が国のマクロ経済に及ぼす影響を、同社のマクロ経済計画をモデルにしまして試算しまして、そのシミュレーションをまとめているわけでございます。
 日本生命の試算では、一ドル百七十五円で原油価格一バレル二十ドルのケースでは、実質GNPの成長率は三・〇%になりまして、ほぼ為替レートの円高による低下分を相殺するだけのプラス効果をもたらす、こういうような結果が出ているわけでございます。
 これに対しまして、この日本債券信用銀行によりますと、原油価格の低下というものは長期的にはプラスの面がある、これは我々も承知はしておりますけれども、短期的には経常収支の改善効果が、日本の場合は西独に比較いたしまして二倍の〇・六%も見込め、そのために円レートの上昇を招いている、その影響で一ドル百七十円はおろか、百六十五円程度にも達するとしまして、そのために日本経済に一層大きなデフレ効果をもたらす、こういうような、言ってみるならば、日本生命の調査とこの日本債券信用銀行のこの試算と、ちょっと異なる見解があるわけなんですが、これに対するお考えは、見解はいかがであるかという質問が第一点。
 この際、今後の経済のかじ取りをしていく経企庁といたしまして、円高によるデフレ効果の測定と、この原油価格の低下による効果の測定も大事ではないかと思いますけれども、政府の取り組みにつきましてお聞かせいただきたいと思います。
#123
○政府委員(赤羽隆夫君) 日本生命とか日本債券信用銀行でそのような試算をしているという点につきましては承知をしておりまして、検討さしていただきました。
 経済の見方というのには、いろいろなファクターの組み合わせによりまして、先行き明るく見る見方と、それから慎重な見方、あるいは悲観的な見方に分かれるというのが、我が国に限らず、どこでもそうでございますけれども、一つのファクターの組み合わせによってこのような試算ができるというのはあり得ることだと、こういうふうに思っております。
 問題は、政府として、経済企画庁としてどのように見ているかということでありますけれども、政府が六十一年度の経済につきまして見通しを立てましたのは、これは昨年の十一月から十二月にかけてでございます。既に四カ月近くたっておるわけでございますけれども、その間に起こりました経済の情勢の変化、見通しをする場合の前提になるような事情の違いといったようなものがございます。そういったようなものをどのように評価しているのかということを申し上げて、お答えにかえたいと思います。
 まず、四カ月足らず前に前提といたしました為替レートというのは、二百四円ということでございました。ところが最近は、百八十円前後のものになっている。ですから、予想以上の円高が進んでいるというのが第一点でございます。
 したがいまして、この円高に伴うところのマイナスの効果、デフレ効果、先ほどは貿易数量に与える効果ということで御説明申し上げましたけれども、これは当時考えたよりは大きくなるということは避けられないと思います。したがいまして、この点につきまして重大に考える必要があるということは、私どももそのとおり理解をしております。しかしながら、プラスの効果、交易条件効果というのがあるわけでございますが、これはむしろ四カ月前に考えていたよりも大きくなるだろう、こういうことであります。
 さらに、先生も御指摘になりましたけれども、原油価格値下がり、これのプラスの効果というのもかなり大きいと、こういうふうに考えます。経済見通しの時点におきましては、原油は一バレル二十七・三ドル、こういう前提でございました。これがどれぐらい下がりますかでありますけれども、仮に十ドル下がるということになりますと、それだけで二兆二千億円のプラスになる、それだけむしろ産油国から補助金をもらった、こういうことになるわけであります。
 さらに、その当時の一般的な見方は、欧米諸国、先進諸国でありますけれども、それの本年の見通しというのもかなり慎重な見方が多うございました。政府は、アメリカにつきまして大体三%程度の成長ということを前提にして見通しを立てておりましたけれども、それから三カ月、四カ月を経まして、ヨーロッパ、アメリカの六十一年、一九八六年に対する見方はかなり明るくなってきているということだと思います。ですから、欧米諸国の経済についての見方がより一層明るくなっているというのもプラスの面でございます。さらには、公定歩合の二回の引き下げということで、金利水準全体が低下をしてきている、これもプラスになるだろうということだと思います。
 最初に申しましたように、確かにマイナスの要素、これは強まっておりますけれども、他方、プラスの要素も多くなっている、こういうことで、差し引きいたしまして、実質四%程度の成長というものは現在でも達成可能だと、こういうふうに考えているわけでございます。
 民間の見通し、日本生命、日本債券信用銀行なども、どうも円高のデフレ面、マイナスの面というものを非常に強調される、これは結構な見方ではありますけれども、その反面におきまして、プラスの面の評価がやや足りないのではないか、こういう感想を持っておる次第でございます。
#124
○田代富士男君 今局長が、一部答弁の中でもお話ししていらっしゃいましたけれども、経済見通しと為替レートの問題についてお尋ねをいたします。
 六十一年度の経済見通し作成の前提条件の一つに、円・ドル為替レート一ドル二百四円と設定されておりましたけれども、今日のその水準は、今、局長は一ドル百八十円台とおっしゃったけれども、今日では百七十円台になっております。場合によっては、これは百五十円台すら予想される向きも出てこないとは言えないわけなんです。こういうことを前提にいたしまして私お尋ねしますのは、前提条件の見直しに対する政府の方針をお聞かせ、いただきたい。
 それからもう一つは、見通しをもし改定しないとするならば、なぜそれは改定をしないのか、理由を明確にしていただきたい。もし改定しないとするならば、見通しと実勢との乖離は避けられないわけなんです。そうした場合に、経済、財政上の支障についてどのように対処されるのか、この点についてもお答えいただきたいと思います。
 それと関連いたしまして、経済見通しにつきまして、東京外国為替市場の円相場は、御承知のとおりに、遂に百七十円台を記録いたしまして、円高による景気の陰り現象が強まっております。特に輸出産業の低迷は、同僚議員からの質問等もありましたが、極めて深刻な状態に入っている。六十一年度の経済成長については、こうした輸出の減退から景気の減速あるいは後退局面に入るという見方から、各調査機関やエコノミストが三%であるという、こういうことを発表しておりますけれども、政府見通しては四%としておりまして一番高い。今景気の陰りが見られますが、その達成というものは困難ではないかと思います。あわせてお答えいただきたいと思います。
 それで、私の経企庁に対する質問は、用意していた分の半分もいっていないんですが、与えられた質問時間が来てしまいましたものですから、この質問を最後に、途中ですが、残余の質問は次回に譲りたいと思います。お答えいただきたいと思います。
#125
○政府委員(赤羽隆夫君) 先ほども御説明したことと若干重複をいたしますけれども、確かに政府見通しの前提となります六十一年度の為替レートは二百四円ということでございました。最近の数字は百八十円台ではなくて百八十円前後と申し上げました、約百八十円ぐらいだろうと。
 六十年度の為替レート、これは二百二十一円ぐらいでございます。暦年の六十年は二百四十円弱と、こういったようなことでございました。確かに為替レートのような重要な前提が変わってきたということはそのとおりでございます。
 それと合わせまして、先ほども申し上げましたけれども、原油、これもまた重要な一つの前提となる変数でございますが、これが二十七ドルぐらいで考えておりましたのが、さらに十ドルとか、あるいはそれ以上にも下がる状況であるということでございますから、当然それによって経済の見通しが変わるということは論理的に言えることだと思います。
 ただ変わったのがどのようになるのか、先ほども御質問にお答えをいたしまして、日本生命、日本債券信用銀行の資産のいわばコメントをした際に申し上げましたように、マイナスの面は確かに強まっておる、その当時考えたよりも強まっておるけれども、またプラスの面も強くなっている。さらにはその当時予想しなかった原油の引き下げ、原油価格の値下がりとか、それのプラスの効果も、数字も申し上げましたけれども、非常に大きいものがある。こういうことでございまして、全体の経済の成長率という点で考えますと、年末に算用をした当時出しました結論であります四%成長、それを現在時点におきましてこれはもう達成は不可能である、下方修正が必要だ、こういうふうに判断すべき理由はない、こういうふうに考えております。
 その上で、政府の経済見通し、これもやはり経済は生き物でございますから、時間の経過に伴いまして刻々改定したらいいではないか、こういうふうな御意見があるわけでございますし、あるいは先生の御質問の趣旨もそういうことかと思いますけれども、私どもといたしましては、月例報告その他におきまして、そのときどきにつきまして状況の判断、経済情勢の判断というものを示しておるわけでございます。
 それがその都度経済見通しの改定につながりませんのは、この経済見通しというのは、むしろ予算編成の前提ということでございまして、したがって予算編成の裏づけ資料、基礎資料、こういうことでございますので、予算を今御審議をいただいておる、さらにその予算が成立した暁におきましてそれが執行されておる、こういう前提となる見通しが、大幅に経済情勢の違いということで不適切になるというような場合でなければ改定をしない。具体的に申しますと、主として補正予算あるいは景気政策の大幅な変更、方向の転換、こういったようなときに改定をする、こういうことでございまして、現時点で改定をするということを考えているわけではございません。
 要は、先ほども申しましたように、プラスとマイナスがあるわけでありますが、マイナスの面が早く出てくる、プラスの面につきましてはそれが出てくるのに時間がかかる、いわゆるタイムラグがある、こういうことでございます。したがって、できるだけ早くプラスの面が国民経済の各分野に浸透をしていく、均てんをする、メリットの均てんが行われますように政策的にも措置をとるべきである、こういう観点から、来週になると思いますけれども、予算が成立した時点での総合経済対策というものを打ち出していく、こういうことで対応していきたいと考えておる次第でございます。そういうことで、現在鋭意作業を続けておる段階でございます。
#126
○伏見康治君 ただいままでの御議論は、主としてハードウエアの貿易に関するお話であったと思うわけですが、私はソフトウエアの方がどうなっておるかを少し問題にしたいと思うのです。
 技術貿易と申しますか、特許の貿易と申しますか、日本が買う特許、それから日本が売る特許というのは、ハードウエアの貿易と違いまして、日本はずっと買う方が多かったと思うんです。ところが最近、それがソフトの方でもやはり日本の売り上げがだんだんふえてきて、拮抗するようになっているというふうに伺っているんですが、その辺の数字は今どういうことになっているかお伺いしたいと思います。
#127
○政府委員(等々力達君) ただいまのお話、技術貿易収支のことであると思いますが、最近の傾向を見ますと、全体的には技術貿易の輸入輸出、かなり均衡がとれてきたというところでございます。ただ、内容的には、先進国に対してはやはり特許その他の工業所有権の使用料を支払うという分が非常に多く、開発途上国からはこちらの工業所有権の使用料、そういうものの受け取りが多くなっておる、そういう状況でございます。
#128
○伏見康治君 総務庁統計局の発表した数字によりますと、五十八年度で、何か輸出した技術輸出の金額を輸入の方で割りますというと、八六%とかなんとかいう数字である。それから五十九年度というのは、まだ印刷物にはなっていないんでしょうけれども、伺ったところによると、九九%に到達しているようですね。ですから、恐らく現時点では一〇〇%を超してしまって、その数字だけからいえば、日本の技術輸出というものが輸入を超してしまったと言える時点に今来ているんじゃないかと思うんです。
 それで、私の友人たちの中には、そのことを大変重く見ている人がいるわけでございまして、つまり、戦後の日本というものは、物まね国民の名前どおりに、よそから知恵をかりてきて、ただ営々と生産するということをやってきた。知恵は全部よそさまのものを拝借しているという時代であったと思うんですね。そのこと自身大変結構だと思うんです。ただ、もうけることも結構なんですが、ちゃんとした知恵を出しませんと、日本はいつまでも先進国の文明の余沢を受けているという立場から脱却できない。貿易インバランスでヨーロッパやアメリカの方々にいじめられているというのも、日本が専ら物まね的なことのお金もうけばかりやっていて、本質的な世界への、文明へのコントリビューションをしていないではないかというのが一つのファクターであろうと思いますから、日本がソフトウエアの方でも輸出入の均衡をとり得るようになってきたということは確かにめでたいことだと思うんですね。
 日本人は創造性が足りないということが言われていたのが、日本人の創造性もまんざら捨てたものでない、慶祝に値するというお話が、私の二、三の友人の中では大変盛んなんですが、大臣はどうお考えになりますか。つまり、物まね国民の段階から創造性を発揮できる段階に日本人が来たということは、もっとお祝いしていいんではないかということを言っている人がいるんですが、大臣どうお考えになりますか。
#129
○国務大臣(渡辺美智雄君) 戦後、日本から学者が、優遇されないということで、頭脳流出という時代が続いて、アメリカの方でもってノーベル賞をもらったというような例があるわけでございます。それが日本に回帰をしてきて、頭脳の還流が行われて、それでいい人が国内から出られるようになったことは大変私は喜ばしいことだと。もともと日本人というのは熱しやすく冷めやすくて、私ら子供のころよく教わったんですが、ドイツ人というのは、親子三代がかって一つの発明をやる。ところが、日本人というのは飽きっぽくて、四季が非常に移りかわるものだから、飽きっぽくて浮気っぽくて、すぐにあきらめてしまうというようなことを言われたんですが、必ずしもそうじゃなくて、やはり学問に対して政府がどれぐらい応援をしていくかというところが私は変化を来したのではなかろうかと。
 いずれにいたしましても、優秀な民族でありますから、余り先を急がないで、物理学にせよ何にせよ、基礎学問ですね、応用学問ばかりでなく、基礎学問にゆとりを持って助成をしていくという姿勢を続ければ、結構一人前に私はなれるんじゃないかと希望を持って見ておるわけであります。
#130
○伏見康治君 さすがに大臣で、私が期待していた以上のお答えを得て大変欣快なんですが、それに便乗したようなことをちょっと申し上げます。
 もう年寄りなものですから、言うお話は古いお話で申しわけないんですが、私が大阪大学の教授をしておりましたときに、先輩の教授で八木秀次先生という方がおられました。この先生は、御承知のように八木アンテナというのを発明されまして、今そこらじゅうの屋根の上にみんな乗っかっているのが八木アンテナなんですね。ところが、太平洋戦争が始まったときに、日本の兵隊がマレー半島に行きまして、イギリスの兵隊の持っている無線機を見ましたら、それに八木アンテナと書いてある。ところが、日本の兵隊さんは、八木アンテナというのは何だかわからない。つまりその当時、八木先生の発明というのは、イギリス人にはよくわかっていて、戦場でさえ使われていた。日本は、八木アンテナは発明しておきながら、それを実用化することができなかったということがございます。
 それから、同じ阪大の私の先輩、同僚の中に岡部金治郎先生という方がおられました。この先生はマグネトロンを発明された。これも、今各家庭にある電子レンジというのは、全部マグネトロンを使っているわけです。ところが、このマグネトロンの発明も、日本というものはそれの発明の価値を認めなかったんですね。結局、アメリカの方が先にその価値を認めまして、そして太平洋戦争の最中――余り戦争のお話をするのはよくないかもしれませんが、太平洋戦争の最中、アメリカの海軍はマグネトロンを使ったレーダーというもので日本の海軍を見つけることができる、日本の海軍の兵隊さんは、大変お気の毒なことに、見えない敵と戦争をしていたわけです。
 というようなことを考えますと、日本人の頭脳が僕は欧米人に劣っているとはさらさら考えない。非常にたくさんの発明をする能力を持っておられる。ただ、日本の社会構造というか、世の中の構造というものがそういう発明を認めるようにできていない。これこそまさに政治家が何とか改善しなけりゃならないところだと思うんですが、大臣どうお考えになりますか。
#131
○国務大臣(渡辺美智雄君) 余り効果を急ぐせっかち民族なものですから、そういうような風習というものが私はあるだろうと思います。
#132
○伏見康治君 それで、また先ほどの創造性の、売る方と買う方が均衡してきたというお話に戻りたいと思うんですが、先ほどそちらからお話がございましたように、実は売っているというのは発展途上国へ売っている方が多くて、買うのは先進国から買っているという、先進国と途上国とのちょうど中間で何か仕事をしているような感じで、数字の上で拮抗していても、実は余り褒めた話でないということに、よく考えてみるとなるわけですが、その辺のところを区分けしてみたら、数字はどういうことになるかということを教えていただきたいんです。
 応用特許と基本特許といったようなものがあって、基本特許の方がいわばオリジナリティーの高いものだと思うんです。そういうものの数字の方はどういうふうになっているか、教えていただけますかしら。
#133
○政府委員(等々力達君) 一般的な傾向で申しますと、日本の特許では原理特許というようなものが少なく、応用特許の方が多いと、そういうことが言われております。ただ、私どもこれに関して厳密にといいますか、細かく数字をつかんでおりませんので、細かい数字はここではちょっと挙げられないかと思います。
#134
○伏見康治君 また後で数字を教えていただきたいと思いますが、数字でなくって教えていただきたいのは、実際そういう区分をしていろいろなことを考える必要があると思うんですが、何をもって基本特許といい、何をもって応用特許とするかという、そのデフェニションを教えていただけますかな。
#135
○政府委員(等々力達君) このデフェニション、大変難しいかと思います。
 私の考えでは、基本特許というのは、かなり原理に近いところである、応用特許というのは、いろいろな実際の商品、あるいは応用面につきましてそれを敷衍していったものだというふうに理解しておるわけでございます。
#136
○伏見康治君 先ほど、一番初めに申し上げました、売る方と買う方とが拮抗しているというめでたい話も、よく調べてみると必ずしもそうでないということになりますと、近ごろ日本のお役所は全部創造性ということで非常に夢中になっておられるわけですね。通産省はもちろんですが、科学技術庁に行っても、あるいは文部省に行っても、日本人は創造性を涵養しなければだめだ、将来日本はこれ以上の発展ができなくなるというようなことで、創造性、創造性と言って、創造性を増すためのいろいろな政策を打ち出しておられるわけだと思うんですね。
 そうしますと、創造性を増すためのある施策が本当に効果をあらわしたかどうかということを知るためには、創造性をはかる尺度を持っていないといけないと思うんです。例えば専売特許の売り上げと買うものとが拮抗するというのは、やはり一つの尺度には相違ないと思うんですが、その尺度だけでは足りませんので、創造性をはかる尺度というものをぜひ考えていただきたいと思うんですが、そういうことが可能かどうか、ちょっと教えていただきたいと思うんです。
#137
○政府委員(等々力達君) これは大変難しい問題かと思います。研究の創造性といいますか、そういうようなものの評価を行わないといけないことはもう確かでございます。
 例えば研究におきます研究発表、本当は内容が一番大事なんでございますが、研究発表の数であるとか、あるいはこういうような成果に対する評価の一つといたしましては、いろいろな各方面で行われております賞、例えば代表的なものはノーベル賞のようなものがあるわけでございますが、そういうような賞の数等で判断するとか、いろいろあります。そのほか、かなり時間が経過してから評価されるような、そういう結果もございますので、いろいろな尺度といいますか、そういうようなことをいろいろ総合的に考えていく必要があるかと思います。
#138
○伏見康治君 創造性、創造性と言って、大変騒々しい話だとは思うんですが、これだけ国を挙げて一生懸命になっておられるとすれば、それをはかる尺度ぐらいちゃんと考えておかないといけないと思いますので、ひとつ合理的な幾つかの指標を発明していただくように、これもお願いしておきたいと思います。
 ところで、ここで問題にしているのは、政策の問題でございますから、個々の人の発明が独創性があるかないかという判断ということとは直接の関係のないお話なんです。つまり、国全体として統計上創造性が出ているかどうかという問題を今は議論していたんですが、しかし実際の特許行政の仕事というのは、実は個々の発明が独創性があるかないかの判断をしょっちゅうしているところだと思うんですね。
 それで、特許行政がどういうふうに行われているかということはすこぶる大事だと思うんですが、ちょうど一年前でしょうか、特許法が大幅に改正されまして、そして特許の行政のやり方が大幅に変わる、ペーパーレスにするといったようなお話を承りました。もう一年たったんですが、それの進捗状況、つまり特許の審査のやり方がいろいろ変わるはずだと思うんですが、一年たちましたので、どういうことになりましたか。まだ完成はしていないんでしょうけれども、どういうところまで来ているのかというお話を承りたいと思います。
#139
○政府委員(宇賀道郎君) 特許行政のやり方につきまして、今御指摘のありましたペーパーレスシステムは、昭和五十九年度から十カ年計画で推進するということで、五十九年度から特別会計を認めていただいている次第でございます。
 十カ年計画でございますから、最初の三年を試行準備の期間、次の四年を拡張の期間、最後の三年を習熟の期間というふうに区分けをして、長期的に推進をしておるわけでございますから、最初の三年、昭和五十九年度から六十一年度までは試行準備の期間ということに当たるわけでございます。したがいまして、その段階におきましては、例えば総合データベースを構築するとか、あるいは特許情報にFターム――ファイル・フォーミング・タームという一種の分類を付するわけでございますが、それをつけて検索をしてみて、それのテストランを行うとか、あるいは事務の流れの中で発想とか起案とかいろいろな部分につきましてのシステムを開発するとか、そういった段階でございまして、現在は準備、試行の段階を着実に推進しているという段階でございます。
 ただ、まあ何分にも全く新しいことをやっておるわけでございますから、いろいろ試行錯誤的な問題が多数出てまいります。特に今のようにいろいろなことをやってまいりますと、いろんな問題が出てくる。その場合、基本的には現在は試行準備の期間でございますから、ローリングと申しますか、テストをやってみて、問題が出れば、あるいはハードあるいはソフト、一部修正してまたやり直すというようなことで、経験を積み重ねながら、長期的に見て事業の所期の計画が達成できるようにいろいろ進めつつある、これが現在の段階であるということでございます。
#140
○伏見康治君 その最初の三カ年間のいわばテスト期間、トライ・アンド・エラーのことをいろいろやっておられるというので、もしお差し支えなかったら、例えばこういうことは予想はしていたんだけれども、いざやってみたら非常にまずかった、こういうことは予想どおりうまくいったといったような実例がありましたら、ちょっと教えていただきたいんですが。
#141
○政府委員(宇賀道郎君) まだ最初の三カ年自体も終わっておらないわけでございますから、試行準備全体として評価するという域まで申し上げられるかどうかあれでございますが、例えばある特定の分野で何万件かの文献を選んで、これをFタームをつけて検索をテストしてみたというような場合に、当初人間が手でやる場合にはこれくらいの文書を見なければいけなかった。それがそういう検索をした結果、相当少ない範囲の文書を見ればいいようになったというような効果が認められたというような分野もあるわけでございますが、しかし、こうやって絞ってみたらやはり漏れておると、もう一回人間が手でやってみたら漏れているものもあるという分野もあるわけでございます。これは分野ごとにどういうFタームを決めるか、あるいはどういうふうにFタームを付与するかというようなことで適した分野、適さない分野もあるわけでございますから、そういった問題もあろうかと思います。
 それからハードウェアの面で言いますと、例えばイメージを入力する、出力するという際に、応答期間、たたいてから出るまでに多少時間がかかる、これはもう少し改善できないだろうかというようなことで、これはハード面あるいはソフト面で改善をしつつあるというような分野もあります。あるいは機械を使ってみたら若干音が高い、雑音がするとかいうような点もありまして、そういうような点はハードの面で改善できるんではないかというようなことで検討している。
 いろいろな分野があって、それらを総合的に評価しながら次へ向かって進むべく、ローリングでいろいろ試行準備をやっているというのが今の段階でございます。
#142
○伏見康治君 お話のとおり、機械というものは上手に使えはよく動くんですけれども、その使う人間と機械とがうまくマッチしておりませんと、いわゆるマン・マシン・インターフェースがしっかりしておりませんとうまくいきませんので、機械を入れさえすればいいといったような安易なことでなくして、今やっておられるようなトライ・アンド・エラーの段階をぜひ十分にひとつやっていただきたいと思います。それを希望いたします。
 ところで、究極的には物事を判断するのは機械が判断するのではなくして、この場合は審査官というんですか、審判官というんですか、そういう方々が特許の内容を吟味なすって、価値があるかないかという判断をなさるわけですね。それで究極的にはそういう審判官の頭の働きというものが非常に問題になるわけです。先ほど申し上げました八木アンテナとか、岡部マグネトロンとかいうお話も、日本にそういう判断をする人が、近くにちゃんとした人がいなかったということになると思うんですが、人間がやはり究極的には大事なので、審判をなさる方々の働きやすい職場をつくるといったようなことが大変大事だと思うんです。
 近ごろ、ただ民間が特許に関連する仕事を易しくするために、審判官を引っこ抜いて持っていってしまうというようなお話を盛んに聞かされておるわけですが、そういう状況の中でも、優秀な審判官をちゃんとそろえてお仕事をなさるということは御苦労が多いことだと思いますが、その辺の人事はどういうふうになっているかということを伺いたいと思います。
#143
○政府委員(宇賀道郎君) 今、先生御指摘のとおり、最終的に出願の内容を理解し、これを対比判断して結論を下すのは審査官であり、審判官でございます。したがいまして、特許庁にとりまして極めて重要なのは、そういう審査官、審判官の人員を確保すること、それも優秀な人材を獲得し得るべく処遇の改善について努めること、この二点ではなかろうかと考えております。
 最初の人員の問題でございますが、御案内のとおり、我々としても工業所有権行政に対するニーズが相当増大しているという中にあって、その増員の枠を確保するということにつきましてはせっかく努力をしておるわけでございますが、同時に、政府全体で、公務員全体につきまして大変厳しい枠と申しますか、定員削減がかかっておりまして、特許庁のみひとりその例外におるというのはなかなか難しい状況でございます。
 そういった中で増員の枠の確保に努力をしておるわけでございますが、同時に、先ほどのペーパーレスシステムのような工業所有権行政を全体に総合的に推進する。可能な限り、例えば民間に一部委託できるような、既存の公開された情報の整理であるとかいうようなものは民間に一部外注するとか、あるいは民間にもお願いいたしまして、出願の適正化と申しまして、出願の数を減らしていただく、適正化していただくというふうなことも進めておりますが、基本的にはそういった中で極力、困難な環境の中ではございますが、でき得る限り増員に努めていく、これがまず第一のあれではなかろうかと考えております。
 いま一つ優秀な人材、特に民間に比べて優秀な人材というお話がございましたが、これはいわゆる処遇改善の方の問題になろうかというふうに考えるわけでございます。御案内のとおり審査官、審判官につきましては、その職務が、責任が非常に大きい、複雑かつ困難であるというようなことから、一般の行政関係の職員に比べまして従来からそれなりの優遇措置は講じておるわけでございます。
 昭和三十五年以来、調整額と申しまして、本俸の八%程度の額をプラスして支給するというようなことで処遇改善はしてきたわけでございますが、さらに最近では、昭和六十年の給与法改正によりまして、従来特許庁の審査官、審判官ともに一般職俸給表が適用になってきたわけでございますが、そこから切り離しまして、専門行政職俸給表というのが新たにつくられたわけでございます。特許庁の審査、審判官もそちらの方を適用していただくというような改善も行ってきたところでございまして、何分給与の問題でございますから、全般的に、特に民間と比べますといろいろ問題があろうかと思いますが、そういう厳しい枠の中で、とにかく少しでも処遇改善には意を用いてまいりましたし、今後ともできるだけのことはしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#144
○伏見康治君 詳しくお話をいただいてありがとうございました。そういう線で、ひとつ今後も努力をしていただくようにお願いしておきたいと思います。日本人の頭脳は決して欧米人に劣っていないと思いますので、なすったせっかくの発明、発見が世の中に生きるように、最初の関門ですからひとつしっかりやっていただきたいと思います。
 次に、時間が余りなくなりましたが、石油の値段が大暴落をいたしまして、それから円高差益とかいうことで、大変電力会社はお金もうけをしている。そのもうけたお金をどうするかということが専ら議論の対象になっているようでございますが、何年か前に似たようなことが小規模にございまして、そのときは、わざわざもうけ過ぎたお金を各家庭に何百円だかお返しするといったようなことがございました。あれはいささかばかげた処置ではなかったかと私は思うんですね。
 私は物理屋なものですから、物理の言葉を援用したいんですけれども、エネルギーの問題を議論いたしますときには、実はあわせてエントロピーという概念を考えないといけない、つまりエネルギーの質の問題というのがございまして、役に立つエネルギーと余り役に立たないエネルギーとがある、その質の区別をしなきゃいけないんですが、その区別をするのに、エントロピーという概念が役に立ちます。実際はそのエントロピー概念を実際に合うように組み合わせて、エクセルギーという概念を近ごろ大いにそういうエネルギーの有効性を議論する方は使っておられるわけです。
 私は同じことがお金についてを言えると思うんですよ。百万円というお金はどこへ持っていっても百万円なんでしょうけれども、どこに置かれるかによって百万円の価値が違ってくると思うんですね。中でも、まとまった百万円と、一万人に百円ずつ分けた百万円とでは価値が非常に違うわけです。
 ですから、政府がまとめて持っておられる、あるいは電力会社がまとめて持っているお金をただ配るというのは非常に愚の骨頂であると思いますね。お金の本当の価値を御存じない。ノミナルなお金は確かにプラスすれば百万円になっているんでしょうけれども、本当の使用価値というものはまるで変わってくるわけです。私は、そのもうけたお金をどうなさるかということをお考えになるときに、そのお金の使用価値、エネルギーで申しますと、エクセルギー的概念を使っていろんな問題を考えていただきたいとお願いいたしたいんですが、実は私は経済学者でありませんので、それ以上詳しいことは言えません。
 さてそれで、私は物理そのものに入っていきたいんですが、ちょうどオイルショックが起こる前後に、政府は御承知のようにサンシャイン計画とか、それから少しおくれてムーンライト計画とかいうのをお立てになりまして、新しいエネルギー源を探す、あるいはその新しいエネルギー源を国民生活の中に持ち込むといったような意味のプロジェクトを幾つも発足なさいました。そして、大分年月がたちましたので、その中にはうまくいったのもあるし、うまくいかなかったのもある、いろいろ優勝劣敗があったと思うんです。
 最近のように石油の値段が暴落いたしますというと、サンシャインというのも、それからムーンライトというのも、昔ほどのいわば世間の期待がなくなっちゃっていると思うんです。それだけに、そういうサンシャイン、ムーンライトの中のいろんなプロジェクトの評価というときには、前よりもずっといわば厳しい評価をしなければならない時代に来てしまっていると思うんですが、その辺のところを今どういうふうにお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
#145
○政府委員(等々力達君) 私ども、サンシャイン計画あるいはムーンライト計画の推進に当たりまして、こういう研究開発が節目に来るときというのは、例えば比較的基礎的な段階からプラントをつくる、そういう段階、例えばでございますが、そういうようなときには、必ず産業技術審議会の中に評価委員会をつくりまして、その時点における技術の先行き、その技術がうまくいきそうかどうか、それから経済性、それからその技術によってどのぐらいのエネルギーが供給できるか、そういうような点、いろいろ評価をいたしまして先へ進むというようにやってきております。
 それで、ただいまお話にありましたように、確かに今石油の価格が急に下がってまいりまして、現時点では恐らくサンシャイン計画のどのプロジェクトについても、非常に経済性につきましては大変難しい局面に来ているかと思います。しかし、エネルギー技術の開発には、これはもう先生もよく御存じのとおり、大変長い準備期間といいますか、リードタイムがかかるわけでございます。そのほか、資金面の需要も非常に大きくだんだんとなるというようなことでございます。
 そういう観点からいたしますと、今直ちにこういうプロジェクトについて、現在の経済性というところからこういうプロジェクトについて、例えば打ち切りというような、そういうことをやるのはちょっと気が早過ぎるのではないか、そういうふうに思っております。そういう意味で、やはりこういう石油価格もかなり大きくこれから変動することも予想されますし、また今後原油、そういうようなものの供給が、中長期的に考えますとやはりだんだんと逼迫してくるということは大方の意見でございますので、そういう点も勘案しながら今後進みたいと思います。
#146
○伏見康治君 サンシャイン計画についてまだいろいろお伺いしたかったんですけれども、もうほとんど時間がございませんので、最後に一つだけ、大事なことだけ伺っておきたいと思うんです。
 エネルギーが将来どのくらい必要になるかという予想を立てませんと、いろんな仕事が一切できない。電力会社として大変だろうと思うんです。一つの原子力発電所をつくるにしても、地元の説得から始めますと十何年すぐたってしまうわけです。少なくとも二、三十年先どうなるかという見通しがなければ、発電所一つつくることもできないわけであります。
 ところが、近ごろはいろんなことがどんどん変わりまして、その見通しが非常に難しいと思うんですが、例えば戦後エネルギー需要がどのくらい伸びるであろうかというときの議論の仕方は、今から考えると随分乱暴な話ですけれども、数カ年の点をとりまして、それをあとは指数、関数的にずっと延長して考える。ですから、そのときの予想から言うと、今どき使っている私たちのエネルギーというのは大変なことになるはずなんですが、実際はそうでなかったわけなんです。
 それで、お役所のどこかでは、エネルギー長期予想、見通しといったのを絶えずお書きになっているはずだと思うんですが、近ごろの長期見通しというのは大抵一年か二年たつというと下方修正をする、ずっと下方修正ばかりやっているような感じがするんですが、結局のところその辺のところを今どういうふうにお考えになっているかということを教えていただきたいと思います。
#147
○政府委員(野々内隆君) 私どもの政策の基礎といたしまして、長期エネルギー需給見通しというものをつくりまして、逐次必要に応じて改定をいたしてきております。
 御指摘のように下方修正ということが行われておりますが、これは当初、従来の高度成長というような観点からの判断では、もっともっと石油需要が伸びるであろうということであったわけですが、エネルギー価格が非常に高くなったということ、あるいはそれに伴う景気のおくれ、産業構造の変化、いろんな要因でエネルギーの需要の伸びがだんだん落ちてまいりまして、従来GNPとエネルギーの需要の弾性値が一ぐらいでございましたが、最近では経済成長とエネルギー需要の相関関係が非常に弱まってまいりまして、ここ数年はむしろ弾性値マイナスというような時代もあったわけでございます。
 したがいまして、そのときどきに応じて改定をしていきたいと思っておりますが、ただ一年というような短期的な時点で改定するのはいかがかというふうに考えておりまして、ここ一、二年の動きを見ておりますと、「長期エネルギー需給見通し」、これは五十八年十一月に策定をされたものでございますが、大体この線ぐらいのところではないかと思います。その五十八年のものでは二・一%の伸びを想定いたしておりましたが、最近四・一%ぐらいの伸びになっておりまして、ただこれは一時的な景気の動き、あるいは気候の動きというものが大きく影響いたしておりますので、もうしばらく様子を見る必要があるというふうに考えております。したがいまして、現時点ではまだこの長期エネルギー計画の改定の必要はないんじゃないかというふうに考えております。
#148
○伏見康治君 残念ながら時間がなくなりましたので、おしまいにします。
    ―――――――――――――
#149
○委員長(下条進一郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、三治重信君が委員を辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。
    ―――――――――――――
#150
○市川正一君 予算案に関連いたしまして、私は前回に引き続いて、いわゆるマルコス疑惑で質問をいたしたいと思います。
 三月二十七日の前回の本委員会において、私はマルコス文書の中にある故小竹氏からアンヘニット投資会社あての一九七七年十月十四日付の書簡を取り上げました。これはその後、例えばきのうの予算委員会などでも他党の各委員も問題にされているところでありますが、その手紙は、「東京の通産省は、部外者はいうまでもなく、入札ならびにカルテルに参加すると思われる会社に対して、いかなる「コミットメント」も行わないよう警告いたしました。」と、こうある部分についてでありますが、こうした警告をした事実があるのかどうか、再度お聞きいたします。
#151
○政府委員(黒田真君) 先日もその点についてはお答えをいたしました。その際、八年余前のことではありますが、できるだけ調べてみたいというふうにお答えをいたしました。
 その後、極めて限られてはおりますが、当時の資料等に当たってみるなど、可能な限りの調査を実施しておるところでございますが、かかる事実があったということを確認するには至っていないというのが現状でございます。
#152
○市川正一君 至っていないようでありますけれども、しかし、今度のこの書簡の内容は非常に具体的であり、当事者間のやりとりとして信憑性が高いとこう言われています。きのう参議院の予算委員会において安倍外務大臣は、マルコス文書の記述はそれなりの重みを持つものと受けとめている、こう述べられました。言いかえれば、企業名、記載金額が実態に近いということを認めた、こう報じております。私はそういう認識でこの文書あるいはこの手紙などに対応なさっているのかどうか承りたいと思います。
#153
○政府委員(黒田真君) 確かにいろいろな事実に関して触れられておりまして、数字等々について政府の答弁はそれなりに重みを持って受けとめているということでございました。一ただ、この書簡は、あえて申し上げれば、商売のあるいは競争の過程の中から出てきている書簡であるというような事情を考えますと、他のある客観的な事実に関して述べているものよりも主観性をより多く含んでいるというような性格を持っているということはあるいは注意すべきかなあというようなふうにも考えるわけでございます。いずれにせよ現在できる限りの調査を行って事実を確認したいということで努めておりますが、その後確認するには至っていない、こういうことでございます。
#154
○市川正一君 至っていないということはまだ経過中だというふうな日本語になるわけですが。
 当時の通産省の経済協力部長は、おととし事務次官で退職して、現在日本興業銀行の顧問をされている、ここに人事院のリストがありますが、この名簿によれば杉山和男氏であったと思うのでありますが、当時の直接の担当責任者である杉山氏に、通産省はきちんと確認されたんですか。その点まず伺いたい。
#155
○政府委員(黒田真君) 当然、当時関与したと思われる職員に対する照会をも含めて調査を行っているところでございます。
#156
○市川正一君 そうしますと、杉山さんにもお聞きになったという解釈をしてよろしゅうございますか。
#157
○政府委員(黒田真君) 私自身は行っておりませんが、当然行っているものと考えます。
#158
○市川正一君 それはきっちりしておいてほしいんです。
 問題は、異常なリベートの存在というものを通産省が承知していた、ないしは把握していたといういわば帰結になるのでありますが、フィリピンにおいて、高率のリベートを取って私腹を肥やすようなこういう出来事は、今に始まったことではありません。例えば、この小竹書簡が出された一九七七年当時にも、対フィリピン援助について、三菱商事のある担当者はこう言っております。「あの国ではリベートが悪だという考え方が皆無の国のために、リベートのない商売はないと考えた方が早い。一九六九年にブルドーザーを輸出したときは、リベートはなんと三三%に達した。」こう話っております。
 渡辺通産大臣は、三月二十九日の参議院予算委員会で、「でたらめな政府には援助をしなければいい」、こうおっしゃって、先ほども同趣旨のことを述べられました。
 現行の援助に対するこの種の疑問やあるいは警告というものは従来からも出されておりました。例えば元アジア開発銀行総裁の渡辺武氏は、「金さえばらまけば、援助の効果が上がるものではない。これまで、途上国に対する無益、無用な援助がいかに多かったかは、援助の歴史が物語っている。私自身、援助によってつくられたダムの水が田畑をうるおすことなしに海に流れているのも見た」、こう言うんですね。「化学工場として建設された建物で、単に大瓶から小瓶へのつめかえる作業が行われているのも見た。物資による援助が横流しされて、悪徳役人のフトコロを肥やすことも少ないとはいえないし、技術援助の名目で、ぜいたくな旅行をする先進国の人が、ひんしゅくを買っている例も多い」。これは一九七八年の談話でありますが、こう話っております。
 かつて、韓国のソウル地下鉄をめぐる疑惑が問題になった際も、一口話でありますが、ソウル地下鉄はキシキシときしんで走る、こう言われたことを私は思い出すのでありますが、フィリピンのこのマルコス独裁政権こそ、渡辺大臣の言われるでたらめ政府のまさに典型だと思うんです。
 としますと、同時にこういうでたらめ政府と一体になって暴利をむさぼった日本企業も問題であります。したがって、通産大臣発言の立場からしても、そういう関係企業を徹底的にこの際調査すべきという結論になるのでありますが、いかがでしょう。
#159
○国務大臣(渡辺美智雄君) そこが問題なんですね、これは。恐らく企業が――これ事実関係私わかりませんよ。わかりませんが、あなたがいろんな人の証言を言ったけれども、そういううわさはときどき、私も大臣になる前に、その援助について、全体としては役立っているが、むだな部分もあったんじゃないかという批判は私は否めないと思います、私も見たことありますから。
 ただ、商社が暴利をむさぼったか、もうけが全部なくなっちゃったか、暴利をむさぼったか、もうけを取られちゃったか、そこらのところは事実を見ないことにはわからない、実際は。だから、要するに工事が悪かったというようなものは、もう赤字欠損で工事が悪かったのかどうか、そこらの点もございますから、それは断定的には私は物は言えない。非常に苦境に立っておったことの方がむしろ多いんじゃないのかという、そういうことを言う人もあります。したがってよく調べてみないとわからない。
#160
○市川正一君 ですから、もうかったのか損したのか、それは調べてみぬとわからぬのですから、私は今日の疑惑に関連して、その企業名を公表された企業を調査すべきである、これは当然の結論になると思うんですが、調査なさいますか。
#161
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは安倍外務大臣が言っているように、向こうの政府と民間との取引ですから、援助したのはたしか向こうの政府に日本国はやったのであって、極端に言えば貸したのであって、借りた人がその金の使い方に問題が出てきたわけですね、この円借款というのは。したがって、相手国政府がこうだと言ってくれれば公に調査をいたしますが、そこのところはやはり外務省と違ったことを言うわけにいきませんので……
#162
○市川正一君 構やしませんがな。
#163
○国務大臣(渡辺美智雄君) いや、そういうわけにいかない。あなたは構わないかもしれないが、私はそういうわけにいかない。だけれども、それは内々的には私は非常に関心を持っております。
#164
○市川正一君 二つの面から、一つはこれは国民の血税である、税金であるという面からも、やはりこの問題は人ごとやないんです。
 それからもう一つは、フィリピンの政府自身が、必要があれば資料も提供するし、はっきりしてほしい、今後のこともあるので、ということを言っているんですから、だれに遠慮会釈要らぬのですよ。
 そして私この機会に、海外援助担当の行政府である通産省にまずお聞きしますが、こういう不正腐敗が起こる原因の一つに、借款供与の際の審査に問題があると思うんです。いわゆる要請主義だと、こういうふうに言われております。しかしその実態は、前回私が指摘したように、日本の企業やあるいは商社がプロジェクトを組んで、そしてフィリピン政府にそれを持ち込む、これを借款の対象として組み入れていくという手法をとっているのは、もう多くの事例が示しておるところです。
 そこで聞きたいんですが、借入国政府が要請の際に提出するFSですね、フィージビリティースタディー、可能性調査、こう言われておりますが、このFSを実施した企業ないしそのグループが借款供与となった場合に、ほとんどそこが受注することになっていると思うんですが、この点事実はどうですか。
#165
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、技術的なことはよくわかりませんが、フィージビリティースタディーをやった企業を採るという話――そういう傾向はあるかもしれませんね。
#166
○市川正一君 その傾向が問題なんですね。それは単に自然現象の傾向ではなしに、やっぱりそういうちゃんとFSをやって、そしてプロジェクトを組んで、そして受注をしているという、いわばそういう結果なんです。
 そこで、基金来ていますか、副総裁。総裁の御都合がお悪いそうなんで、ひとつしっかり答えてほしいんです。
 供与の交換公文が交わされて、そして借款交渉が始まり、貸付実行に至るまでのフロー、流れですね、これをできるだけ簡単にわかりやすくお答え願いたいんです。
#167
○参考人(青木慎三君) お答えいたします。
 まず、交換公文が結ばれますと、それを受けて私どもの方と相手方政府ないしは政府機関との間に借款契約を締結するわけでございます。借款契約を締結するに当たりまして、私どもは交換公文を受けてやるわけでございますが、その借款契約が現実にちゃんと動くかどうかについては審査をいたします。審査をいたしまして借款契約を結びますと、大半の場合には、相手方の機関の能力にもよりますけれども、それを補佐するためにコンサルタントをつける場合が多いわけでございます。借款契約を結びました後、まずコンサルタントを決めるというのが、これは向こうの政府がコンサルタントを雇うわけでございます。
 それから、コンサルタントを雇われますと、そのコンサルタントがフィージビリティースタディーを点検しまして、直ちに工事に入るというよりも、それから詳細設計ということが行われることが大半でございます。要するに、フィージビリティースタディーというのは、物理的な検討をしてあるわけでございますけれども、本当に工事を始めるためには、それに詳細な設計をつけて、まずその工事の内容を固める。それが固まりますと、今度は本当の工事に入るわけでございますが、本当の工事に入る前に、向こうはだれに工事を委託するかについて入札を行うわけでございます。入札を行うに当たりまして、私どもの方は、その入札が借換契約に合っているかどうかという点を点検しますので、承認行為がここに一つございます。
 入札が終わりまして開札しまして、実際の落札者を決めるに当たりましても、私どもはその落札者を決めるに当たっての手続が適切であるかどうかについてのチェックをいたしましてこれを承認する。
 それから、最後に落札者と契約が結ばれるわけでございますが、この契約がちゃんと事業の実行に十分適切であるかどうかについて点検しましてこれを承認する、こういう手続がありまして工事に入るわけでございます。
#168
○市川正一君 図面もいただきましたので、大体今の御説明でずっと流れがわかりました。
 そこで、今御説明のあった入札のところですが、その入札書類の承認は、単なる形式を確認するだけなのか、あるいはそのプロジェクトなり品物なりのスペック、仕様書ですね、そこも確認審査の対象になるのかどうか、それを伺います。
#169
○参考人(青木慎三君) 入札書類の承認に当たりましては、その入札が対象工事に合っているかどうか、あるいは品目、数量が借款契約の対象範囲がどうかという点を点検することにいたしております。
#170
○市川正一君 いや、要するに中身も、仕様書も。
#171
○参考人(青木慎三君) 中身につきましては、ではもう少し詳しく申し上げましょうか。
#172
○市川正一君 では、引き続きこちらで聞きます。
 そうしますと、借入国と供給者である企業との間の契約についても基金がこれを承認なさるわけですが、この流れで。その際の審査の内容を伺いたいのです。
 例えば、入札前に審査された仕様書に照らして、適正な契約価格になっているかなども審査して承認なさるのかどうか、その点を絞って伺います。
#173
○参考人(青木慎三君) 価格に関しましては、私どもは、入札という行為によって適切な価格が出るというふうに考えておりますので、非常に大ざっぱな見当はつけますけれども、一々積み上げでこれが適切かどうか、品目一つ一つに当たっての点検をいたすようなことは、現在はいたしておりません。
#174
○市川正一君 しかし、普通常識からいうと、プロジェクトを組む場合には、この仕様書に基づいて当然、例えば資材の原価計算だとか、あるいは加工費から始まって、輸出する際であればこん包費から運賃、保険料、さらに現地での工事の際の人工など、そういう原価と経費の積み上げによってチェックするというのが、これは私は常識だと思うのですがね、今積み上げないとおっしゃったけれども。そうでなかったら何が基準になるかというのですね。
 したがって、私は、基金の契約承認の際に厳密に審査しておれば、不当に高額なリベートはチェックできると思うのです。私は、金融機関としての立場にある基金としては、当然そういう審査をなさるべきだと思うのですが、その点、手抜かりがなかったのかどうか、ひとつお答え願いたいと思います。
#175
○参考人(青木慎三君) これは積み上げという手段をとっておりませんので、何で価格の算定をするかと申しますと、大体類似の工事全体を見渡しましてこれくらいかかるであろうという大ざっぱな検討はいたしますが、一品一品、それから一つ一つの工事に関する原価をはじいて行うということはいたしておりませんで、それは入札によって、各入札者の競争によって適正な価格が形成されるのだというふうに解釈しておるわけでございます。
#176
○市川正一君 そうすると、基金というものの存在がおかしくなってくるんですけれども。
 じゃ百歩譲って、必ずしも原価を積み上げなくても、プロジェクトに詳しい専門家であれば、大体契約単価が適正であるかどうかというのはわかるものですね、そのために基金にもベテランの方々がいらっしゃるし、セクションがあるわけですから。
 私は、基金がそこのところでチェックしない、あるいはできないということならば、供給企業の思いのままに価格が決定されていくということになりはしないかという懸念を言わざるを得ぬのですが、どうですか。
#177
○参考人(青木慎三君) その点は、基金の事業につきましては、原則として国際入札をすることになっておりますので、非常に多数の人の競争になりますので、そこにおかしな価格が形成されてくる気遣いはないというのが私どもの考え方でございます。
#178
○市川正一君 余り人をばかにしたようなことは言いなさんな。
 国際的な常識からいっても、そういう国際入札をやっているからいいといったって、今度のマルコス文書をあなたごらんなさいよ。あそこではプロジェクトの入札に当たって、入札者のいわゆる談合がやられているじゃないですか。これはもう世間の常識ですよ。そういう実態の上に立って今度のつかみ金的なことがやられているのです。
 そこで、私は経企庁長官に伺いたいのでありますが、海外経済協力基金法の第三十四条によれば、こう規定しております。「経済企画庁長官は、必要があると認めるときは、基金に対して報告をさせ、又はその職員に基金の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他必要な物件を検査させることができる。」ということになっております。まさに私、今度のマルコス疑惑の解明こそ、ここで法律が言うところの「必要があると認めるとき」であると言わざるを得ません。私は、長官はこれに基づいて立ち入り調査、その他必要な調査をなさるべきだと思いますが、いかがですか。
#179
○国務大臣(平泉渉君) これは三十四条の適用がある事態であるかどうか、いずれにいたしましても我々といたしまして十分基金に連絡をいたしまして、実情の把握に努めておるところでございます。
#180
○市川正一君 この三十四条の規定によって調査をすべき必要を認めるんですか、認めないんですか。
#181
○国務大臣(平泉渉君) まさにその辺が今調査をいたしておるわけでございます。
#182
○市川正一君 まさにそれが今求められているんですよ、調査が。そうでしょう。リベートの問題あるいは融資条件の問題、その他について厳正に、適正にやられたかどうかということについて、監督官庁として、それこそ国民にその内容を明らかにすべき責任をあなたは持っているんですよ。もう一度伺います。この必要を認めるんですか、認めないんですか、明確にお答え願いたい。
#183
○国務大臣(平泉渉君) この問題は十分慎重に検討いたさなきゃならぬ、かように考えておるわけでございます。
#184
○市川正一君 外務省も調査すると言っています。国税庁もリベートの実態を解明するというふうに答えています。ひとりこの海外援助における中心的な官庁である経企庁が、その義務において、その責任において、積極的にこの調査に乗り出すべきではないですか。慎重は結構です、慎重は結構ですが、実態調査に、どうしてあなた報告求めたりなんかしないんですか。
#185
○国務大臣(平泉渉君) いや、私は別に調査しないと言っているわけじゃございませんが、三十四条の適用云々ということに関しまして、そういった問題を含めて十分合まだ慎重に検討しなきゃならぬ、かように考えておるわけでございます。
#186
○市川正一君 言いたくはありませんが、あなたの内政干渉発言からもうかなりたっていますよ。だからもうそろそろ足を踏み出していいんじゃないですか。あれについては、あなたは誤解だと、こうおっしゃった。何が誤解なのかは予算委員会で我が党の山中議員が質問したのだけれども、さっぱりわからぬ。私はそういう点からいっても、今の非常に無責任な態度からいっても、思い出すのは一九七五年の六月に、来日中のイメルダ前大統領夫人が赤坂の鹿島建設の別館にある鹿島平和研究所で鹿島平和賞を受賞いたしました。この授賞式には、当時の中曽根自民党幹事長も出席されたんでありますが、世間では中曽根総理も、また平泉長官も鹿島財団の閨閥としてよく知られているところであります。そうしますと、このイメルダ夫人への鹿島平和賞は、当時から余りにも政治的、余りにも利権絡みのものではないかという批判が高まっておったんであります。事実、歴史の示すところによると、このイメルダ夫人への鹿島平和賞授賞の後、日本の対フィリピン経済援助が新しい段階に入っていくんでありますが、そういう私は歴史的事実を踏まえて、この点は基本法に基づいて今後も改めて追及をいたしたいというふうに考えております。
 そこで、私この機会に伺いたいのは、結局こういう円借款を初めとした経済援助は、いわゆる要請と称してつかみ金的に決められることになってしまう。私は、そういう問題の根底には、渡辺大臣の言われたでたらめな政府、そういう借款や援助が結局アメリカの戦略援助の一環として実施されてきたという問題を指摘せざるを得ぬのであります。日米首脳会談の中などでは、常に日本の対外援助の増額がアメリカから要請されております。
 そこで、外務省にお伺いするんでありますが、日本の政府開発援助が、例えばこの時期の区分は私の方からお願いしたいのは、一九七六年から八二年というふうにお願い申し上げましたが、その援助実施対象国は何カ国ぐらいになるのか、もしお調べがついておりましたら伺いたい。
#187
○説明員(太田博君) お答えいたします。
 現在、我が国の援助の対象となり得るべきいわゆる開発途上国の数、これはOECD開発援助委員会によりますと百五十九カ国でございまして、我が国はこのうちの大多数の国、年によって多少出入りがございますけれども、百四、五十カ国に対して援助を行っております。
#188
○市川正一君 そのうちアメリカと軍事条約を結んでいる国は何カ国ありますか。
#189
○説明員(太田博君) お答えいたします。
 軍事条約というのが、アメリカと安全保障ないし相互防衛条約を締結している国ということといたしますと、先進国も含めてアメリカは約四十カ国と縮んでおりますけれども、そのうち開発途上国は二十七カ国であります。
#190
○市川正一君 軍事条約は縮んでいないけれども、アメリカから軍事援助を受けている国は何カ国ありますか。
#191
○説明員(太田博君) アメリカが防衛関連物資、役務、これを供与している対象国、これは八十から九十カ国程度になっております。
#192
○市川正一君 この数字の区切り方、その他は後でまたお伺いすることとして、最近の傾向として明白なのは、アメリカの戦略的に関心の強い国やあるいはそういう地域、ここに対する日本の補完が、従来のアジアだけでなしに、例えばパキスタン、トルコそういう紛争周辺地、さらにはケニア、ソマリア、オマーン、エジプト、ジャマイカ、ホンジュラス、ドミニカ、パナマなど中南米や中東、アフリカにまで非常な勢いで広がっております。
   〔委員長退席、理事前田勲男君着席〕
そういう点で、私は最近の援助の傾向というものが、外務省にお伺いしますが、一九八五年、去年でありますが、三月に来日中のアマコスト・アメリカ国務次官と浅尾外務審議官とが初の日米次官級会議を開きましたが、間違いございませんか。
#193
○説明員(太田博君) お答えいたします。
 昨年の三月二十三日に、当時の浅尾外務審議官とアメリカのアマコスト国務次官との間に協議が行われたことは事実でございます。
#194
○市川正一君 その際、報道によりますと、アメリカ側がそのときの協議の中心課題である経済援助政策について中東、アフリカ地域を重視するとともに、エルサルバドル、ニカラグアを含む中南米・カリブ地域を重視していることを強調し、日本の中米・カリブ海地域援助への期待を表明するとともに、対フィリピン援助の必要性を指摘した。これに対して日本側は、対アジア向け援助が相対的に減少する一方で、アフリカ、中南米向けがふえていると援助の多角化を説明、中米・カリブ海地域向け援助を強化することを強調するとともに、フィリピンの重要性を考慮して、今後の援助について米側との連携を強めることを確認したというふうに報ぜられておりますが、大筋そういう内容として確認して間違いございませんか。
#195
○説明員(太田博君) お答えいたします。
 本件協議は、日米間の外交政策一般に関する協議として行われまして、その一環として援助についての協議、話し合いも行われた次第でございます。その援助に関する協議におきましては、日米双方が当面の援助政策をどのような考え方に基づいて行っているか、それからどういう地域にどういう角度から関心を持っているかということにつきまして、それぞれ説明をいたし、意見交換をしたということでございまして、その協議、意見交換の一環として、中米・カリブ地域、それからフィリピンについて話し合いが行われたということは事実でございます。
#196
○市川正一君 そういうアメリカ側のいわば戦略に基づいて日本の対外協力援助というものが進められているという側面を私は指摘しなければならぬのでありますが、フィリピン援助もその一つであったということであります。
 それからもう一つの側面として指摘しなければならないのは、日本の大企業の経済進出の露払いの役割を果たしていることであります。そうしてそういう中で今回のような不正、腐敗が行われているという点であります。
 実はこの点について、一九八〇年の三月に、日本経済調査協議会、これは財界の調査機関でありますが、「わが国安全保障に関する研究会報告」という文書をまとめております。その中で、「先進国の企業の輸出や利益に貢献し、多国籍企業の進出に役立つところ大であったが、被援助国にとっては、政府ならびにそれをとりまく若干の関係者の懐を肥やすだけで、一般国民大衆の所得の向上にまでなかなか結びつかない。それのみならず、政府当局と先進国の企業との間には汚職が公然と行われ、政治をスポイルし、国民の批判をまね」いている、と指摘しております。財界の調査機関であります。
 こういう状況のもとであえてやられておるんでありますが、最近のフィリピンの経済情勢は、これはもうお聞きするまでもなく、対外借款の返済猶予など、経済の混乱で極めて深刻な事態になっております。マルコス政権の末期には、フィリピンへ進出した企業は、企業の縮小や撤退という状況も生まれております。そういう中で、民間企業にまで見放されたマルコス政権に、十二次、十三次の商品借款を与えているという経過であります。
 そこで私、渡辺通産大臣にお伺いしますが、実は七年前に、この本委員会で海外経済協力基金法の一部を改正する法律案の審議をいたしました。その際に、私質疑の中で、今日表面化してきた海外援助問題の幾つか問題点を指摘いたしまして、同時に経済協力のあり方について、「発展途上国の経済の自立と発展、福祉の向上を図るために、わが国の自主的な立場から、社会体制のいかんを問わず、すべての国と平和、中立の原則に立って民主的に進めること」が重要である。そして「世界の平和と諸民族の独立、全人類の社会進歩のため積極的に推進すべきものである」、これは議事録ここにございますけれども、こういうふうに述べまして、当時の通産大臣は小坂徳三郎氏でありましたが、これに同意の表明をされたんでありますが、こういう立場については大臣いかがでございますか。
#197
○国務大臣(渡辺美智雄君) やはり経済協力ということは、発展途上国の独立、経済的な自立、こういうものをしてもらいたいということでやるわけでありますから、当然その国からの強い要請がなければなりませんし、要請がある以上は自助努力、自分でできるだけそれをやっていくという機運ですね、ただもらえばいいというんでは、いつまでたったってよくならぬわけですから、だからそういう機運を醸成をしてやる、醸し出すという意味で、我々は世界の各地から恩恵を受けて日本が繁栄しているんですから、そういう御恩返しというような意味でも、そういうような自助努力でやっていこうという国に対してまあ協力をすると。しかも我々の国との友好関係の国でなければならない。そういうことでやろうという趣旨では、あなたの言う、大体同じようなことを言っているのかもしれませんが――少し違うところあるかな、大体同じだ。そういう意味で私はやっていきたいと、そう思っておるわけです。同じ趣旨ならば結構でございます。
#198
○市川正一君 時間があれば、もう少し正確にしておきたいんですけれども、しかし私が述べたことと同じ趣旨だというふうに言っていただけるなら、一応きょうはそうしておきましょう。
 そこで、そういう上に立って、私最後に御意見を賜りたいんでありますが、こういう国民の血税を使った経済援助が独裁政権を支え、そしてその不正蓄財に使われている、またアメリカの戦略援助の肩がわりに使われていると、そういう内容をチェックできないシステムになっているんです。これは基金の方もそうですし、国会の方もそうなんです。
 というのは、ここに私基金からもらった資料があるんですが、これに上りますと、例えばイギリスではこうなっているんですね。議会には海外開発委員会があり、「援助方針ならびに大規模プロジェクトについて討議され、議会に報告される。議会は開発予算の審議を通じて援助をコントロールする。政府の作成した援助予算支出計画および特定のプログラムは議会に提出し、承認をうけなければならない。議会は大蔵省を通じて全ての支出について、年に数回におよぶ報告書を提出させることによりコントロールを行っている。」というのがイギリスのシステムなんですね。ほかの国のことはもう時間がありませんから、同様の幾つかの例を資料としてちょうだいしておりますけれども、こういう経済援助について国会が一定のチェックをすることは私必要だと思うし、また当然だと思うんです。
 そこで、渡辺通産大臣に伺いますが、マルコス疑惑の究明のために、何よりも国会に必要な資料を提出することとともに、今申し上げたようなその援助全体についても国会が審議できるように制度化すべきだと思うんですが、この点はいかがでしょうか。この点を最後に伺って質問を終わります。
#199
○国務大臣(渡辺美智雄君) イギリスがどうなっているか、私はつまびらかでありません。
 問題は、国会でいろいろ御関心を持っていただくことは大変結構なことだと私は思っております。それをどういうように制度化するか、制度化して適切に迅速に対応できるかどうか。イギリス国会と日本の国会との性格、あるいは実際の審議の実態、そういうようなものも必ずしも同じであるというようにもなかなか言えないかもしれませんし、一長一短あるいはあるのかもわかりません。が、主として外務省がこれをやってくれと我々のところへ相談をかけるわけですから、やはり外務大臣などと相談をしないと、具体的にこうした方がいいということはここではお約束はできません。
#200
○市川正一君 外務大臣と相談してくださいよ。
#201
○国務大臣(渡辺美智雄君) ええ。できませんが、やはり有効な援助をしなきゃならぬということにおいては全く私も同意見でございますから、どういうふうな方法が一番有効で、その国の国民からも喜ばれ、国内からも喜ばれるということになるかという点についてよく相談いたします。
#202
○市川正一君 終わります。
#203
○木本平八郎君 私は、この昭和六十一年度の予算の中に、石油精製合理化対策事業費等補助金としてことしから五十億円予算が計上されているわけですが、これに関連して、先ごろ秋に法案が通過しましたガソリン輸入の問題、それから石油精製業界の合理化の問題といったものについて質問したいわけなんです。
 しかし、その質問に先立って、先ほどマルコス疑惑の問題で市川理事から、商社が相当もうけているのじゃないか、だからこれを調査しろという要求がありましたけれども、私ぜひこれを調査していただきたいと思うわけです。これは私、元商社マンとしての私の経験からいって、これは調査しますと驚くほど口銭が少ない、商社自身の利益は驚くほど少ないということが出てくると思うんですよ。どんなに高くても五%だと思いますし、もっとうんと少ない金額が出てくると思うんですね。それは特殊な商社はわかりませんけれども、一応大手はそんなにもうもうけられないと思うんです。したがって、国民から商社は非常に疑惑を今持たれている最中ですから、商社のためにもこれは調査していただいた方がいいのじゃないかということを前もってお願いいたしまして、質問に入らせていただきます。
 それで、まず最初にお聞きしたいのは、この一月からガソリンの輸入がフリーになってどんどん入ってきているわけですけれども、その大体輸入の実績と、将来、今後ことしいっぱいぐらいどういうふうになっていくんだろうというふうなことをまず御説明いただきたいのですが。
#204
○政府委員(畠山襄君) 御指摘のように、ことしの一月六日から特定石油製品輸入暫定措置法がおかげさまで施行になりまして、それに基づきまして石油製品の輸入が順調に行われております。あの法律で対象になっておりますのは、揮発油と灯油と軽油でございますけれども、揮発油につきましては、石油業法の石油供給計画の見積もりでは四十六万キロリットルであるというふうに考えておったわけでございますが、これは一−三月の見込みでございますけれども。その一−三月の実績はほぼ五十三万キロリットルぐらいになろうかということでございまして、ガソリンの場合若干見込みを上回っているわけでございます。また灯油につきましては、二十万キロリットルと見込んでおったわけでありますが、それが五倍の百万キロリットル強になろうかという状況と相なっております。軽油につきましては三万キロリットルと思っておりましたが、二十三万キロリットルぐらいということで、これも大幅に計画を上回ろうということになっております。
 かような状況でございますので、今後の見通しにつきましても、この法律に基づきまして順調に輸入が行われるだろうというふうに見ております。
#205
○木本平八郎君 それで、一時外国から日本に対していろいろ要求があったり、クレームがありましたけれども、そういうものはもう鎮静化しているかどうかという点と、それから、日本は自分で原油が出ないわけですから、五%という一応のラインは突破しているんですけれども、やはり将来は少なくとも二〇%ぐらいまではいかなきゃいかぬのじゃないかと思うんですが、その辺の御意見はいかがですか。
#206
○政府委員(畠山襄君) 第一点の外国の要請が鎮静化しているかという点でございますが、確かに御指摘のように、昨年のIEAの閣僚会議でございますとか、あるいはその前にこちらに見えました外国要人の方であるとか、そういった方から、日本の石油製品、なかんずくガソリン等の輸入政策について批判があったことは事実でございます。しかしながら、迅速にこのような措置をとりまして、おかげさまでこの特定石油製品輸入暫定措置法というものを施行させていただきましたものですから、現在では非常に高く評価をいたされておりまして、例えば渡辺通産大臣のところへこの間米国のヘリントン・エネルギー庁長官がお見えになりましたけれども、その方も非常に高く評価しておりましたし、このエネルギー庁長官は中曽根総理のところへ行ってもそういうことを述べてもおられました。そういう状況で、外国からの評価は非常に高い評価になっております。
 それから二〇%程度輸入をすべきではないかという御指摘でございますが、ただいま申し上げましたのは、ガソリン、灯油、軽油という三品目でございますが、これ以外に、木本委員御案内のように、ナフサでございますとか、そういったものも輸入をしているわけでございまして、そういったものの輸入もカウントいたしますると、御指摘のように二〇%ぐらいの輸入比率に相なるであろうかと思うのでございます。
#207
○木本平八郎君 ナフサとか重油とか、そういったものはこの特定製品に入っていないわけですから、特定製品でぜひ二〇%目標ぐらいで頑張っていただきたいと思うわけです。
 その次にお聞きしたいのですけれども、最近非常に原油が安くなって、日本に今入ってきているのはまだ二十七、八ドルとか二十五、六ドルという非常に高いものが入荷しつつあるわけですけれども、現実はもう十ドル原油がスポットで出ておるというふうな状況になっているんです。それから円が、二百四十円がもう百八十円になっているわけですね。そうすると、これだけ下がりますと、ガソリンなんかでもうんと安くなるのじゃないかという国民の受け取り方が相当あると思うんですね。その辺が実際に、例えばこれだけ安くなっているはずだけれども、ガソリン価格にすればそんなに安くならないわけですね。その辺のからくりというか、仕組みをちょっと説明してくれませんか。
#208
○政府委員(畠山襄君) 委員御案内のように、ガソリンの小売価格の構成は主要な部分として三つから相なっていると思います。一つは今御指摘の原油代でございます。もう一つは揮発油税その他の税金部分でございます。それから三番目は以上以外の部分、つまり流通マージンでございますとか、そういったものでございます。この三つの構成要素が大ざっぱに申し上げて一対一対一というような感じになっておろうかと思います。
 そこで、今御指摘のように、原油の価格が例えば半分に下がりましても、税金の額は半分になるわけでもございません、キロリッター当たり定額で決まっておりますものがほとんどでございますし、それから流通マージンの方も固定的な要素でございますので、したがいまして下がるのはその原油代に見合う部分だけでございます。
 ですから試みに、全く試みに試算をいたしますと、例えば小売価格が百五十円だといたしますと、五十円、五十円、五十円と、大ざっぱに申し上げてそういうふうになっているわけでございますが、そのうち原油代に当たる部分が二十五円になったといたしますと、原油代は確かに五〇%減ということになるわけでございますが、ガソリンの小売価格というものは百五十円が二十五円下がったというだけのことでございますので、一七%減という程度にしか下がらない仕組みになっておるわけでございます。
#209
○木本平八郎君 今の御説明どおりだと思うんですね。一番大きな税金は下がらない。それからナフサや重油に対してコストを負担している分が今まで二十二円ぐらいあるわけですけれども、こういうものも下がらない。それから石油精製会社のコストとか販売一般管理費とか、こういったものも全然下がらない。したがって私の試算では、原油価格は約四割ぐらいになっちゃいます、六割ぐらい下がるわけですね、これは先ほどのように十四ドルとしてドルが百八十円ということになりますと。六割も下がっていて、結果的には小売価格というのは二割しか下がらない。
 こういう仕組み、これはだれが悪いわけでもなくて、日本の国の経済がそうなっているわけですから、したがってこの辺をもう少しよくわかるように国民に説明しなきゃいけないんじゃないか。今まで確かに石油業界は説明しているんです。ところがそれは、幾ら業界が言っても、自分に都合のいい説明しかしていないと、国民は全然信用していないんですね。そういうのは、消費者教育じゃないけれども、これはやっぱり必要だと思うんですね、通産省がそれをやっていくということが。そうしないと、国民の政治に対する不信感みたいなものが非常にあると思うんですよ。特に石油業界、ガソリンについては、国民はもう疑惑の目で見ていますからね、私も見ているわけですけれども。だから、そういう努力はぜひなさらなきゃいけないんじゃないかと思いますが、どうですか。
#210
○政府委員(畠山襄君) 御指摘のとおりでございまして、私ども同じような問題意識から、石油業界とは一応独立をいたしました例えば石油情報センターというような公益法人的なもので、そういう国民の皆様への実態の御説明その他をお願いいたしておりますけれども、御指摘のように、もっとそういう客観的な御説明を深めてまいりたいというふうに考えております。
#211
○木本平八郎君 そういう公益センターか何か、そういうものがあっても、国民というのはよくわからないんですね。通産省と言えば少なくとも信用するわけです。こういう時期だから、むしろ予算はそっちに出させても、通産省の名前でやるということをぜひ検討していただきたいと思うわけです。
 その次に、こうしてガソリンが輸入されてぎているわけですけれども、リファイナリーの操業度はどういうふうに変化しているかという点についてちょっと教えていただきたいんですが。
#212
○政府委員(畠山襄君) リファイナリーの操業度は、かって六割ぐらいでございましたが、現在おおむね七割程度。昨年も七割でございましたが、これは常圧蒸留装置でございますが、今も七割程度ということであろうかと思います。
#213
○木本平八郎君 それから、その操業度を上げるためには、一つの委託加工みたいな、委託加工というんですか、受託加工ですね、例えば中国なら中国から原油を預かって、それを精製して、そして製品にして全部お返ししている。もちろん加工賃だけ稼ぐわけですけれども、そういうこともどんどん積極的にやった方がいいんじゃないかと思うんですが、その辺の委託加工の方の状況はどうなっていますか。
#214
○政府委員(畠山襄君) 委託加工というのは、結局加工したものを御案内のように輸出をするわけでございますので、製品の輸出問題の一環になるわけでございますけれども、石油審議会の石油部会小委員会の中間報告が昨年の九月十二日に出されまして、その際に、石油製品輸出につきまして、「現行の輸出管理制度の運用の弾力化を図り、その円滑化を図っていくことが必要」だという指摘をいただいているわけでございます。
 そこで、この中間報告を受けまして、受託精製を含めまして輸出の弾力化のあり方について現在検討させていただいているわけでございまして、国内石油製品需給への影響、それから石油製品貿易への影響、国内の安定供給確保対策の関係、そういったもろもろの観点から、いろいろ具体的な方針を決めさせていただきたいと考えております。
#215
○木本平八郎君 そのお答えは前にもお聞きしたんですが、私、自分が実際に貿易に従事していた人間として、エネ庁なり石審なりが、委託加工を輸出というふうにみなされているというのがどうしても理解できないんですね。委託加工は人のものを預かっているわけでしょう。預かったものをお返ししているだけですね。例えば生地を預かって、洋服にしてそれをお返しする。これは販売じゃないんですよ。輸出じゃないんですよ。その辺は少し考え方を変えていただかなきゃいかぬのじゃないかと思いますんで、次の石審のときにはぜひそういうふうに変えていただきたい。
 それで、今私なぜそういうことを言っているかというと、今一番大事なのは、これは後でなにしますけれども、リファイナリーの操業度を上げることなんですよ。そんな輸出とかなんとか変なことにこだわらずに、そっちの方に必死になってやらないとえらいことになる。これが私のきょうのメーンテーマなんですけれども、そういうところをひとつぜひ石審にも説明していただきたいと思うわけです。
 その次は、石油業界の構造改善の問題ですね、集約化の問題があります。それで、それがどういうふうに進んでいるか、あるいはこれからどういうふうに進めようとされているかという点。これはもう前から私お聞きしているんですけれども、こういうガソリンの輸入と特定製品の輸入という事態を受けて、その後方針が変わったのか変わらないのか、考え方が変わったか変わらないか、その辺ちょっと御説明いただきたいんですが。
#216
○政府委員(畠山襄君) 石油業界の構造改善の問題というのは三つあると思います。
 第一は、元売の再編成の問題でございます。これは、おととしの十一月でございましたか、それまで十三社ございましたものを七グループ体制に再編成するということでございまして、その路線に従いまして着実に再編成が進んでおるというふうに理解いたしております。たまたま昨日も、大協、丸善の合併が行われまして、コスモという新しい元売会社が誕生したわけでございます。
 それから第二の点は、先ほど御指摘の精製設備の合理化、廃棄、そういった問題でございます。この点につきましては、先ほどの石審の九月十二日の中間報告では、七十万バレルないし百万バレルをこれから三年間かけて廃棄していく、合理化していくようにという答申をいただいているわけでございまして、それを六十一年度から三年間でやっていくべく、先ほど冒頭に御指摘もありました予算などを通じましてそれを推進していこうということで考えているわけでございます。
 それから第三点は、流通業界の構造改善でございまして、これもスタンドの共同給油所の設置でございますとか、灯油の共同配送でございますとか、そういったことを中心として、その構造改善のあり方を一生懸命検討しているところでございまして、つい先般も流通業界の方から出されました構造改善計画を承認いたしまして、その計画に基づいて構造改善の推進を図っているところでございます。
#217
○木本平八郎君 それで、今話が出たコスモの問題ですけれども、企業秘密に関するようなところは説明していただかなくていいんですけれども、この合併に何か問題があったか、それとも予想外にうまくいったのか。問題があったとしたら、こういう点があったというふうな、あるいはそれが今後ほかのリファイナリーの集約という点において障害になるというふうな点がありましたらお聞きしたいんですが。
#218
○政府委員(畠山襄君) 大協、丸善の合併は、総じて見れば、タイミングの点から申しましても非常に順調にいったということであろうかと思いますが、その過程におきまして、ある意味じゃ当然のことでございますけれども、問題があったと言うとやや語弊があるかもしれませんが、いろいろ苦労された点として伺っている点は、やはり第一は雇用の点であろうかと思います。全体として七千人ぐらい両方合わせるとおられた者を、合併後のコスモ本社に採用される人は三千五百人、残りの三千五百人の雇用をどうやって確保するかという点には非常な苦労をしたようでございます。
 それから、これはむしろ今後の問題でございますけれども、合併後は、スタンドの塗りかえから始まりまして、流通の合理化、そういうことをやってコストダウンのメリットを発揮しなくちゃいけないわけでございまして、こういった点でもこれから乗り越えていくべき課題が幾つかあるのではないかというふうに考えております。
#219
○木本平八郎君 企業合併というのは、私も経験があるんですけれども、なかなかこれは、例えば両方の会社の経営業績、内容が違うから、減資するとか、片一方一対二で合併するとか、あるいはどっちが社長になるとか、あるいは重役の数だとかいろいろなことがあるわけです。
 しかしながら、今の石油業界の現状からすれば、こういったものを一つ一つ乗り越えていかざるを得ないと思うんです。これはもうここ四、五年の間というのは大変な努力を必要とすると思うんですけれども、今おっしゃった以外に、雇用の問題も大変だと思いますけれども、それ以外に石油業界独特の合併の阻害要因みたいなものがあれば教えていただきたいんです。
#220
○政府委員(畠山襄君) 御案内のように、石油の場合は安定供給の確保ということが至上命題になっておりますので、その合併の結果、安定供給が確保されることが阻害になってはいけないということが私どもとしては一つあるわけでございます。
 それから、今申し上げた中に入っていて恐縮でございますけれども、やはり石油業界の合併に伴って非常に苦労をするのは流通との関係でございまして、スタンドの塗りかえにいたしましても相当な経費を伴うわけでございまして、そういった点は石油業界にやや特有な現象であろうかというふうに考えております。
#221
○木本平八郎君 ちょっともとへ返って恐縮なんですけれども、先ほど三年間で百万バレル設備を廃棄するとおっしゃいましたね。ところが、将来の日本のガソリン、ガソリンというか石油の需給を考えた場合、精製能力というのはどの辺が妥当だと通産省としては見ておられますか。
   〔理事前門勲男君退席、委員長着席〕
#222
○政府委員(畠山襄君) 精製能力の絶対的な水準というのは、御案内のように、その石油の需要のレベルがだんだん変化することに伴って変化いたしますのでなにでございますけれども、先ほどの石油審議会石油部会の数字が出てまいりました裏の考え方といたしましては、おおむね八割ぐらいの稼働率を前提としていたのではないかというふうに考えております。
#223
○木本平八郎君 今後、こういう外国からの製品輸入というのも必ず一つの趨勢としてはふえていくと思うんです。ふえていけば、日本の精製設備というのはそれだけ要らなくなるという点があって、これはもう通産省としても、何回もコンピューターを回してシミュレーションなさって、将来どのくらいの設備が必要なのか計算されていると思いますけれども、そういう点から、私は、これは早くそこのところに到達しなくてはいけないと思うんですね。
 今、六十三年までの計画をおっしゃいましたけれども、ついこの間の法案なんかは十年だといって、私なんかも承知できなかったんですけれども、やはり当初のとおり五年間でやっていくということが必要なんじゃないかと思います。一応五年間で適当な設備まで縮小するというふうなことが大事じゃないかと思うんですが、その辺はどういうふうにお考えですか。
#224
○政府委員(畠山襄君) 先ほど御説明申し上げましたように、とりあえず、その輸入問題を御議論いただきました同じ石油審議会の小委員会におきまして、これから三年間の見通しでどうかというと、先ほど申し上げましたように、七十万から百万バレルを廃棄しようということでございますので、その後どういたしますかは、この計画がある程度進捗いたしました段階で考えさせていただきたいと思います。
#225
○木本平八郎君 この席でも、もう再三申し上げているように、私が非常に石油の問題にこだわっているのは、まず一番初めは、消費者にとって一円でも安い方がいいということはもちろん前提にあるわけです。しかしながら、現状の石油業界のやり方、動き方、進み方を見ていますと、なかなか合理化が進まないんじゃないか。合理化が進まないだけじゃなくて、こういう足腰の弱い状況では、私は必ずまたもう一回は石油ショックというか石油危機が来ると思うんです、どういう形で来るか知りませんけれども。そうなったときに、もう何回も申し上げているように、今の石油業界では足腰が弱くて、世界と競争して原油なり製品を確保してくることができなんじゃないか、必要とするものが調達できないんじゃないか、したがって、今これを鍛えて、早く一人前にしておいて、そして国際競争力をつけておかなきゃえらいことになると。
 私は、石油業界にそれを任すのがいいかどうかという点においては疑問がありますけれども、仮に今のリファイナリーに任せるとすれば、やはりオリンピックに出られるだけの力をつけなきゃいかぬ。それをもたもたして過保護にしていると、この業界自身がつぶれちゃう。私は、がんだと思うのですよ、早期手術がもう絶対に必要だというふうに思うわけですね。そういう点から、今のままでは業界が共倒れになってしまう。ガソリンスタンドがもう現実にそうですよね、半分しかペイできていないと、こんなおかしなことはないわけですよね。これを自由化しておけば、たたき合いもするけれども、当然もうかるようになっていくわけですよね、ガソリンなんというのは必ず必要な必需品なんですから。
 そういう点で、リファイナリーも早く集約化するなり設備を廃棄するなりして、足腰を強くしてやっていかなきゃいかぬと思うのですが、いかがですか。
#226
○政府委員(畠山襄君) 御指摘のとおり、国際化が一段と進んでいる段階に入っておりますので、リファイナリーにつきましてもその合理化をできるだけ早く進めるように、先ほどの三カ年計画等の推進を一生懸命やってまいりたいというふうに考えております。
#227
○木本平八郎君 私は、日本の企業あるいは石油業界でも、友だちもいるんですけれども、本来ならこれをオイルショックのあの辺でうまくやっておけば、私は日本のリファイナリーもどんどん外国に出ていって拠点をつくっていると思うのですよね。国際化して、アメリカのメジャーに対抗できるところまではなかなか難しいかもしれないですけれども、相当なところまでいっていると思うのですね。
 僕は、はっきり言って、これは石油行政を間違えたツケがここへ来たという感じなんですね。しかし、今でも多少遅いかもしれぬけれども、遅くないから今からでもやっぱり大手術を思い切ってするということですね。集約するとか、そういう手術をするということは、血も出まずし、痛みもあるわけですね。これはやっぱり耐えなければ、盲腸じゃないですけれども、何とか冷やして散らしてということをやっていると、がんと同じてもう本当に手おくれになってしまうと私は思うわけです。
 そこで、実は私は、この予算をそういう点で非常に興味を持って石油関係の方を見たんですけれども、そうしますと、先ほど言いましたように、石油精製合理化対策事業費等補助金として、今まではゼロだったのがことしから五十億円計上されたわけですね。これは手術費用だと思うんですよ。ところが、私の感じではちょっとこれ少な過ぎるんじゃないかという感じがするんですが、その計算の根拠、その他考え方を御説明いただけませんでしょうか。
#228
○政府委員(畠山襄君) 御指摘の約五十億円の内訳なり考え方でございますけれども、まず、今おっしゃいました手術費用というのに多分該当するという部分が石油精製合理化対策事業費補助金というものでございまして、これが三十億円弱でございます。これは先ほどの七十万バレルないし百万バレルを六十一、六十二、六十三と三カ年かけて実施していくための初年度の費用というふうに御理解いただきたいと思います。
 それから、残りの二十億円につきましては石油産業活性化技術開発費等補助金というものでございまして、御指摘のような国際競争に耐えていけるような技術開発を行いますために、石油需要の高度化でございますとか、そういったことを行うための予算でございます。
#229
○木本平八郎君 それで、この四番目の「その他」というところに三十七億円あるわけですね。あるいはその前に「その他」というので二十三億五千万円ですか、計上をされているんですけれども、この「その他」というものの内容はどういうことなんですかね。
#230
○政府委員(畠山襄君) 恐縮でございますが、その四番目とおっしゃいますのはどの資料でございましょうか。
#231
○木本平八郎君 全部で総額が四千二百六十九億ですね、それで石油産業体質強化対策、流通対策等に二百二十一億五千五百万円となっていますね。これの中に、先ほど言った精製合理化対策とか、それから石油産業設備高度化融資ですか、これが八億五千五百万円とか、給油所高度化技術調査費が一億円とか、こういうふうになっていますね。そこまでが3で、それから4があるわけですけれども、「その他」というのは――それじゃ、いいです、ちょっと後で、後ろの方で調べて、見つけた段階で……。
#232
○政府委員(畠山襄君) 失礼いたしました。今木本委員の御指摘になったのは、「石油及び石油代替エネルギー勘定」の「石油対策」といたしまして、1が「開発」、2が「備蓄」、3が「産業体制整備等」となっておりまして、4が「その他」となっております、その三十七億二百万円のことであろうかと思いますが、これは調査費が主でございます。資源探査衛星でございますとか、そういったような技術開発費ですとか、そういった調査費等々であろうかと思います。
#233
○木本平八郎君 その前に「その他」もう一つありまして、二十三億五千万円ありますね、3の一番最後。それは何ですか、二十二億というのは。
#234
○政府委員(畠山襄君) 今御説明を申し上げました三十七億二百万円の方が資源探査とか、そういった調査費でございますが、今新たに御指摘の二十三億五千万の方は産業体制整備に分類されるべき調査費等でございます。
#235
○木本平八郎君 私、細かい数字をいろいろ聞いたのは、「その他」の内容をお聞きしたかっただけで、それで、実はこれを見ていまして、午前中もありました石炭関係の同じような性質の、いわゆる合理化対策費、改善対策費だと思うんですが、私見たところ、六十一年度は百三十三億なんです。去年が百三十七億で、ことしが百三十三億あるわけです。石炭というのは、もう十何年もかかって集約化、合理化、いろんなことを構造改善やってきているわけです。それでも百三十三億円まだ入れているわけですよ。それに対して、これからやろう、やらなきゃいけない、こんなに大問題だと私は思うんですけれども、この石油リファイナリーの集約化、合理化に対して五十億円というのはちょっと少な過ぎるんじゃないかという気がするわけですが、その辺はどういう感触ですか。
#236
○政府委員(畠山襄君) 御指摘のように、石炭の場合はいろいろ産炭地域の問題でございますとか、公害の問題でございますとか、私詳しくはございませんが、いろいろそういった多方面の経費もまた計上されておろうかと思うのでございますが、この石油の場合は、一応廃棄をするための費用と、それから先ほどの技術開発ということでございますので、初年度の規模としてはこういった規模が適正であろうかというふうに考えておりますが、御指摘も踏まえまして、今後必要量を要求してまいりたいと思っております。
#237
○木本平八郎君 この日本開発銀行の貸付計画の中に、石油に関してはことしは六百億円の貸付計画があるわけですね。この六百億円の貸付計画というのは、この目的はどういうものに、例えば構造改善なのか、それとも今までのような高度化だとか、流通対策なのか、その辺はどうなんですか。
#238
○政府委員(畠山襄君) この六百億の内訳は、御指摘のような構造改善にかかわるものと、それから備蓄の設備を民間が昔つくっておりましたときのその継続分でございますとか、そういったものも含めてのものでございます。
#239
○木本平八郎君 それで、先ほどの予算なんですけれども、給油所の高度化技術調査委託費ですか、これが去年までゼロだったのがことしは一億円ありますね。これはどういうものなんですかね。
#240
○政府委員(畠山襄君) 御指摘の給油所の高度化技術調査委託費と申しますのは約一億でございますが、給油所設備をスタンドの上に高層化していくために、いろいろ保安の状況とか、そういったことを調査をする必要があるものですから、そのための実験費用、調査費用、こういった性格のものでございます。
#241
○木本平八郎君 そうですか。いや私は、やっぱりガソリンスタンドが過当競争で五万九千軒というのは多過ぎると、これを合理化していくにはどうしたらいいかというふうな、それの調査の費用じゃないかと思ったんですけれども、高度化技術となっておりますからね。その辺はどうなんですかね。
#242
○政府委員(畠山襄君) 今、木本委員の御指摘のような費目もございまして、全体として流通対策は、くくりようもございますが、まあ十五億円ぐらいあろうかなというふうに考えております。
 それで、広い意味で私ども流通業の構造改善と申します場合に、多角化でございますとか、それかうおっしゃったような集約化、それから情報化、こういう三つの概念で整理をいたしておりますが、そのうち高度化というのは、多角化というものにも入りますし、それから場合によっては情報化というものにも入りますが、その多角化の一環でもありますので、したがって、広い意味では構造改善の一助になるための予算であるというふうに考えております。
#243
○木本平八郎君 まだまだお聞きしたいことがあるんですが、エネルギーとか石油、ガソリンの問題は、商工委員会でチャンスがあるたびに私は質問を続けていきたいと思うんです。
 それで、最後に大臣にお聞きしたいんですが、今までの議論をお聞きいただいて、私は石油業界の再編成というか、構造改善というのは本当に焦眉の急だと思うんですよ。これを急いでやらないと、大げさに言うと民族としてえらいことになる、私はそういうふうに感じるんですがね。その辺、大臣の御所見を承って私の質問を終わります。
#244
○国務大臣(渡辺美智雄君) 基本的には私も同じ考えなんです。日本の企業で、例えば鉄なんというのも原料は日本にないんですから、外国から持ってきて、それで製錬をして、そして外国に売っておる。それでちゃんとアメリカの鉄に負けずにやっておるわけですからね。ですから、最初はつらいことがある、あるけれどもやはり輸出のできない大企業というものは滅びる企業である、私から言わせれば。やはり輸出輸入ともにできるような企業にしなければなかなかこれから生存ができない。したがって、とりあえず輸入を認めることにしたんですが、これはあなたのおっしゃるように、輸出入ともこれはやらせるようにしなきゃならぬ。すぐやるかどうか、これはいろいろ、そう簡単にはいきません。いきませんが、輸出ができない企業で、大きな企業でだめなのは薬ですよ。薬が、一番大きな薬屋さんで五%、三%あればいい方。これが国内の保護でみんな守っちゃいますから、価格を決めて買い上げてもらって、ですから輸出ができない。
 それから設備その他についても、要するに外部から入れないというふうな仕組みにしてあると国際的に立ちおくれになる、全く私は御説のとおりだと思う。しかし長い間そういうふうなものでやってきているから、急にすぐにここでやるといっても少しショックが大き過ぎるということなので、これはやはり時間をかける必要がある。したがいまして、これはまあ輸出できるような体質にしていかなきゃならぬ。輸入する以上は輸出するのは当たり前なんですよ、これ。ですからそういうふうなことで、外国に出ていって、何も国内だけでやらなくたっていいんだから、それはほかに出ていって、そうしてそこで正式に精製をして、ほかへ売ったり日本にも持ってきてもいいし、そういう御時世になっておる。したがって、そういう方向でやるのは正論、正論です、だれが言っても正論。そう思っております。
#245
○木本平八郎君 終わります。
#246
○井上計君 具体的な質問に入る前に、これは質問通告は特にしておりませんが、通産大臣もう十二分に御承知のことでありますけれども、きょうは商工委員という立場で特に大臣にお願いがあります。
 きのう、予算委員会の集中審議で私申し上げましたように、余りにも日本の黒字幅が大き過ぎる、特にアメリカに対する黒字幅が大き過ぎるというふうなことが、何かマスコミ等でひとり歩きをして、日本がどうも悪者だというふうに自他ともにというか、他からというよりもむしろ国内で、日本の黒字幅が多過ぎるというふうに思い込んで、輸出は悪だというふうな風潮が最近非常に高まっておるんですね。大変私はこれはもう嘆かわしい、ゆゆしき重大問題だと、こう思っておるわけです。
 十年ほど前まで輸出貢献企業という表彰制度がありました。輸出貢献企業という事業所は、通産大臣からもらった輸出貢献企業の賞状をずっと皆飾っておるのを、最近は恥ずかしいといって取っている企業も大分あるんですね。私は日本の、もう貿易立国にあらざれば――これも貿易立国によって戦後あのような状態からこのような経済大国になったわけでありますが、今後とも未来永劫貿易立国にあらざれば日本の安定はあり得ないと、こう考えたときに、余りにも輸出悪というふうな風潮があり過ぎる。
 したがって、特に大臣にお願いしたいのは、きのうは集中審議の中でも私の意見を交えて申し上げましたけれども、今後ともやはり国際競争力をつけるために、通産省としては十二分の指導政策をおとりいただく必要があると、このことを特にお願いをしておくわけです。
 今も大臣、御答弁の中にありましたけれども、何といってもやはり輸出しなければだめなわけです。当然輸入があるわけです。手元にもらっておる資料をちょっと見ておりますと、改めて私実はびっくりしているんですけれども、主要国との輸出入のトータル一九八五年を見ても、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、インドネシア、オーストラリア、この四国は要するに完全な我が国の入超なんですね。この四国の入超の額をちょっとざっと計算しますと二百四十億ドルあるわけですね。だからもし今言われているように、アメリカ及びその他EC各国との間でとんとんにいったら、日本は実は完全な債務国に転落するわけですね、これ。
 そうなったら一体日本はどうなるのかということをやはり考えていかないと、現在我が国においては債務国になってどうなるとかなんというふうな、そんなふうな懸念全くない状態の中で、ただ黒字、黒字ということばかりひとり歩きしておるということを考えると、やはり将来のために大変なことになるんではなかろうかと、こういう懸念をさらに最近強く持っておるわけです。したがって何といっても、先ほどから石油の問題についても国際競争力というお話ありましたが、我が国の産業全般にわたって国際競争力をつける努力、つける政策、つける指導というものについては、特にひとつ今後とも重点を置いてお取り上げをいただきたいという、これお願いが一つ。
 それからもう一つは、若干それに関連しますけれども、昨年、建設省の流水占用料問題が大きく浮かび上がってまいりました。さらに農水省の水源税構想が大きく浮かび上がってまいりました。
 前村田通産大臣を中心として、通産省はこれについてかなりの抵抗、努力をしていただき、また業界も労使一体になってこれらのことについての随分と反対の運動をしたわけであります。幸いにしてといいますか、六十一年度これ見送りになっておりますけれども、六十二年度はまだ全くもってどうなるかわからぬというふうなことの情勢の中で、これもまた、建設省が考えているような流水占用料の大幅な引き上げ、あるいは農水省の水源税、これらが実施されると企業の体質がますます弱まって、申し上げるような輸出競争力がますます減退をしていくであろう、また民間活力が大きく失われるということになりますから、これについてもひとつぜひ通産大臣に御努力をいただかなくちゃいけないと、こう思います。
 具体的な質問の前に、まず要望を申し上げておきますが、ひとつお答えをいただければ大変ありがたいと思います。
#247
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一つは輸出の問題でございますが、貿易でもドイツはことしは恐らく経常収支四百億ドルの黒になるだろうと、それで今までの中で非常にいい経済になるんじゃないかということを、この間ラムズドルフ前経済大臣が、二日ばかり前に私のところへやってまいりまして、そういうことを言っておった。ドイツの黒字問題というのは余り非難を受けません。なぜか。それはやはり市場開放が日本よりも徹底しているということだと私は思います。
 したがって、日本という、このような資源のない国でございますから、やはり豊かな暮らしをするためには通商ということは非常に必要であって、私がいつも言うように、香港島のような、岩山の上で、資源がなくて、自由貿易で豊かな暮らしをしている。中国で資源がいっぱいあって、香港よりも生活水準が低い、それを見ればすぐわかるじゃありませんかということを私はいつも実は言っているんです。したがって、将来に向かってもやはり譲るべきものは譲り、先取りするものは先取りをして、そして私は今、先生のおっしゃったような方向で体質を強化をしていくということが一番大事であるし、好むと好まざるとにかかわらずそうしていかなければ経済の繁栄が持続できない、そう思っております。
 それから流水占用料、水源税ですか、この問題につきましては、特に流水占用料というのはダムとか堤防とか護岸とかという話でございましょうが、これを目的税にするということはもう理屈の上から言っていかがなものか。特定な人にだけ背負わせるということについては非常な疑問が私はあると思います。
 それから一方、山が廃れまして、それではげ山になって、洪水が起きてダムが埋まっちゃう、そういうことでみんな被害を受ける。これにつきましても、やはり全体が影響を受けるわけですから、特定な業種だけが負担すべきものでは恐らくないのかもしらぬ。したがってこれは税制改革の全体の中で、私はやはりそういうところに予算をつけるべきものはつけ、そして調達すべきものは調達をするということでいく必要がある、それが正論だろうと、そう思っております。
#248
○井上計君 輸出の問題あるいはまた、今、流水占用料、水源税の問題等については大臣の所見を伺って安心をし、また大いに期待をしています。実力大臣にぜひ頑張っていただきませんとゆゆしき重大事になりますので、特にひとつ要望をしておきます。
 では具体的な質問に入ります。
 昨年の九月のG5以降急激な円高になりまして、この急激な円高のために、いろいろな業種、もう各方面で当初予想しなかったほど広い範囲でそれぞれの業界、企業が大変な苦難な状態に陥っております。既に円高倒産と言われるようなことも発生をしておるわけでありますが、輸出関連企業だけが困っているのではなくて、円高によって、いえば輸入増等の影響を受けて国内産業も大変困っておるという、そういうケースが非常に多くなりつつあるのですが、余りこれは注目されていないんですね。そのような国内産業、困っておる業界が幾つかありますけれども、私はきょうはその中で、非鉄金属産業について特に要望をし、またお願いをということで質問をしたい、こう考えておるんですけれども、現在非鉄金属産業については現状をどのように認識をしておられますか、お伺いいたします。
#249
○政府委員(小川邦夫君) 先生御指摘のとおり、昨年の九月下旬以降大変な円高が進んでおることが、非鉄金属産業、これは精錬、鉱山等ございますが、ともに大きな影響を現在受けております。
 と申しますのは、もともと円高が起こる以前から非鉄金属の国際市況が、需要の低迷だとかあるいは発展途上国の生産がふえるなどでもともと低迷しておって、採算上決して楽ではない状況であったところへ、九月下旬からのこの円高でございますものですから、鉱山につきましても、非鉄金属の地金の市況というものが外貨建てをそのまま反映した国内価格という形で形成されておることから、手取りがどんどん円高に伴って減ってしまっておる。それから精錬の方も、精錬費自体が外貨建てをそのまま換算した形の契約になっておりますので、これまた円高によって手取りが減っておるということから、非鉄産業全体として大変苦しい状況に現在陥っているというのが現状でございます。
#250
○井上計君 現状が非常に苦しいということ、さらに今後ともこの状態はこのまま放置しておればますます深刻化して、これまた大変な事態に陥るであろうということが予想されるわけですが、よく言われておりますように、経済安全保障政策ということが言われております。食糧もあるいは石炭も、経済安全保障という形の中で、いえば国が積極的なまた助成政策をとっておるわけです。私は非鉄金属についてもやはり石炭あるいは食糧と同じように、経済安全保障の一環としてもっと国が積極的な助成あるいは指導をしていかなくてはいかぬ、こう考えておりますが、どのように位置づけをしておられるのか、されるつもりか、まずお伺いします。
#251
○政府委員(小川邦夫君) この非鉄金属の鉱山、精錬業というのは、私企業であるということでございますから、基本的には経済合理性というものを追求する存在であって、したがって生き残るための企業の自助努力というものが求められることは当然でございます。
 しかし、今先生御指摘のとおり、この非鉄金属というものはいわば工業製品の基礎として、非常に広範囲な資材として使われるものでありまして、この資源としての性格からいえば、やはり安定供給ということも一方では十分考えなければいけない。安定供給というものは、一番はっきりしておるのは、国内資源を供給することがいろいろな政治的な外の問題にも海外のいろいろな動きに耐えられるという意味で望ましいわけでございますし、また、こういった国内鉱山の技術というものを温存しておることが、将来海外で新たなソースを求めていく場合にも技術が生かされるという面もございます。そういう意味で、やはり資源セキュリティーということから、こういった産業はある程度は経済合理性も考えつつ残していくという配慮はなければならない。
 それに加えて、やはり鉱山が閉山相次いでおるという事態が起こりますと、これは地域経済として、どうしても山間部に鉱山というものが所在しておりますから、その地域というものには鉱山に専ら依存する町村というものが存在しておるということから、地域経済、雇用というものも一方では配慮せざるを得ない。こういったことも一方あわせ考えつつ、産業としての合理性をどう追求していくか、こういうことであろうかと考えております。
#252
○井上計君 まあ重要な産業として位置づけをされておるということを伺いました。
 そこでちょっと参考に伺いたいのですが、新素材の開発が各方面で今多く行われております。鉄、アルミ等は、既にかわっているものもありますけれども、将来かなりの面でセラミックスにかわるであろうということも言われておるのですが、その辺、私全くそういうことに弱くてわからぬものですからお伺いするんですが、非鉄金属が新素材にとってかわられるというふうな、そのようなことについては全くないと、異質のものでありますから、と思うんですが、どうなんですか、ちょっとお伺いしたいんです。
#253
○政府委員(小川邦夫君) 率直に申し上げまして、限界的な部分では、いろんな新素材が出る中で、こういったベースメタルと言うべき銅、鉛、亜鉛の一部代替するという動きはこれはこれであるわけでございますけれども、ただこれだけの膨大な量をカバーするに足るほどの代替する材というものはいまだ考えられないわけでございまして、そういう意味で、ベースメタルとしての銅、鉛、亜鉛というものは、引き続き重要な基礎資材、材料として残り続けるであろうとは認識しております。
 ただし、企業体としてこういうベースメタルのみに生きていくか、新素材というものにも企業としてのチャンス、ビジネスチャンスを求めていくかという点では、新素材についてもできるだけ企業としては取り組んでみようという動きは非鉄産業の中にも見られるわけで、それはそれで企業努力として続けていくことは望ましいことかと考えております。
#254
○井上計君 いずれにしても、伺いますと、非鉄金属の重要性、また自給率をできるだけ高めていくということについては、今後とも絶対重要であり必要であるというふうなことになるわけでありますが、そこで、先ほどお話の中にありましたけれども、地域産業としても非常に重要な役割を果たしてきておる。ところが現状は、このままでいくと既に閉山相次いでおるというふうな重大な事態に陥っておるわけでありますけれども、この際やはり非鉄金属に対する政策を抜本的に見直す必要がある、円高の問題が非常に緊急度を帯びてきたわけでありますけれども、絶対見直す必要がある、このように考えております。
 したがって、緊急避難的な政策でなくて、今後とも、いえば円高基調といいますか、要するに昨年の九月以前のような円安相場はまずこれは当分あり得ない、こういう前提に立つと、どの辺が適正な円相場かということについては難しい問題がありますけれども、やはりある程度の円相場を想定した中で、非鉄金属鉱山、精錬等々が今後ともやっていけるような、そのような抜本対策をぜひひとつ改めて立てていただく必要がある、このように考えます。
 それについては、税制助成あるいは雇用対策、あるいは現在行われておる融資条件、金利等々の改善というふうな問題、あるいは非鉄金属精錬の中で一番大きなコストアップの原因になっておる電力等々についてこれまたどうするかという問題もあろうと思います。いずれにしても、これらの体質改善のための抜本対策をひとつ立案をして、非鉄金属業界の体質を強くしていく、そういう政策が改めて求められる、このように考えております。
 また備蓄制度についても、そういうふうな経済安全保障という面から考えると、やはりこの際また改めて検討し直して、いえば現在でも石油の備蓄あるいは食管会計等々でかなり、いえば経済安全保障という面から相当なやっぱり国もそれに対しての助成、補助をしておるわけでありますから、その一環として考えていくべきである、このように考えますので、再検討のお願いをしながら今後の対策をひとつ十分おとりをいただきたい、こう考えるわけであります。
 まだ私の質問時間ありますけれども、皆さんお疲れで、採決もありますから、以上お尋ねをして質問を終わりますから、ひとつお答えをいただきたい、こう思います。
#255
○政府委員(小川邦夫君) 御指摘のように、容易ならざる事態に備えてどういう措置をとるかということでございますが、これまでとった措置につきましては、御案内のとおり、経営安定化融資につきまして非鉄金属特有の融資制度というものが枠組みに従来からございましたものですから、その資金を、六十一年度予算におきましても百二十五億の融資枠というものを確保し、幸い長期プライムが下がったことから、二・二%の低い金利で何とか緊急にはこの事態を乗り切るための一助として活用できることと考えております。それに加えて、中小企業の、このたび御決定いただきました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の業種指定でも、この非鉄鉱山を対象にしていただいておりますし、さらには不況業種の雇用安定特別措置法の適用も鉱山についてはしていただいているということで、緊急事態に備える諸措置はこういう形で用意しております。
 ただ今後、それだけで終わりかと、さらに検討すべき項目がいろいろあるではないかという点につきましては、私どももその点を真剣に取り組むべく、鉱業審議会の開催を三月末から始めまして、ここにおきまして御指摘のような問題点を真剣に取り組んで、答えの方向を求めていきたいと考えております。
#256
○井上計君 大臣、今ちょっと生理的要求でお立ちだったんで、なんですが、今エネ庁次長から非鉄金属鉱業についてのいろいろと対策等々伺いました。大臣もぜひひとつ、積極的なこれについての御努力をお願いをしたいと、こう思います。
 また、今お話ありましたように、鉱業審議会で今いろいろと種々御検討いただいておるようでありますが、その審議会の答申に、今お話をいただいたような、そのような抜本的な見直し政策が織り込まれるように十分ひとつ御努力をいただきたい。これ最後に要望しておきます。
 終わります。
#257
○委員長(下条進一郎君) 以上をもちまして、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち、公正取引委員会、経済企画庁、通商産業省所管、中小企業金融公庫、中小企業信用保険公庫についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#258
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#259
○委員長(下条進一郎君) 次に、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑は前回終局いたしておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#260
○委員長(下条進一郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委名長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#261
○委員長(下条進一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#262
○委員長(下条進一郎君) 次に、航空機工業振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。渡辺通商産業大臣。
#263
○国務大臣(渡辺美智雄君) 航空機工業振興法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 航空機工業は、あらゆる分野の先端技術の集積の上に成り立つ総合的工業であり、その関連産業は極めて広い範囲にわたると同時に技術波及効果も大きいことから、その発展は、一国の産業基盤の強化及び産業技術の水準向上に資するところ極めて大なるものがある生言えます。
 諸外国においては、航空機工業を一国の産業技術を牽引する産業として位置づけ、政府がその積極的な振興策を実施しているところであり、技術立国を志向する我が国においても、今後その発展がますます期待される産業であります。
 航空機工業振興法は、航空機等の国産化を促進するため、昭和三十三年に制定されましたが、本法に基づき、航空機工業の振興のための施策を展開してきた結果、これまで日本航空機製造株式会社によるYSuの開発、生産、販売、さらには近年のボーイング榊の米国との共同開発、そして現在進行中のV二五〇〇及びYXX計画への参画と、我が国航空機工業は、ようやく国際共同開発のパートナーとして参画できるだけの成果を上げるに至ってきております。
 こうした状況のもとで、近年、内外の航空機工業をめぐる大きな流れとして、航空機等の開発に要する膨大な技術的、資金的リスクを分散させるため、国際共同開発方式が航空機等の開発の趨勢となってきており、我が国航空機工業の振興策としても、国際共同開発に積極的に参画し、諸外国との間における先端技術分野における積極的な交流を図っていくことこそが最も適切な方策であると考えられるところであります。
 一方、現在我が国が取り組んでいる百五十席クラス搭載用のジェットエンジン開発計画(V二五○〇計画)及び百五十席クラス輸送機開発計画(YXX計画)については、開発の本格化に伴う資金需要の著増が見込まれることから、現行の補助金による助成方式では対応し切れなくなってきており、これらの計画を初め、我が国が今後、現実に国際共同開発に取り組んでいくためには、膨大な資金的なリスクを克服していくための新しい助成制度を導入する必要が生じているところであります。
 本法律案は、このような観点から、航空機工業振興法の一部を改正しようとするものであります。
 次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一は、目的の改正であります。これまで「航空機等の国産化」の促進による「国際収支の改善への寄与」を目的としていたところを、航空機工業をめぐる内外の実情の変化を踏まえ、「航空機等の国際共同開発を促進するための措置等を講ずることにより、航空機工業の振興を図り、あわせて産業の技術の向上及び国際交流の進展に寄与すること」に改めることとしております。
 第二は、民間航空機等の国際共同開発の促進のための措置を講ずることであります。
 現在進行中のV二五〇〇、YXX計画等膨大な開発資金を要するリスクの大きい国際共同開発に対して、効率的な助成を行うための措置として、政府は、国際共同開発に対する助成の業務を行うに適切な者として通商産業大臣が指定した財団法人に対して交付金を交付すること、指定された財団法人は、まず国からの交付金を用いて国際共同開発事業者等に対する補助及び利子補給を行うこと、そして、将来開発が成功した場合には、国際共同開発事業者等からその助成額を超えて収入または利益の一部を納付金として納付させ、当該納付金を次の国際共同開発に対する助成金として用いることとする等の措置を規定するものであります。
 第三は、このような措置が、適確かつ公正に実施されることを確保するために、指定財団法人に対する業務規定、事業計画の認可等の通商産業大臣による所要の監督を規定することとしております。
 なお、以上のような新しい措置を規定すると同時に、現行法に規定されている日本航空機製造株式会社に関する規定を、同社が既に解散している実情に照らし、削除することとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重に御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#264
○委員長(下条進一郎君) 本案に対する質疑は後日行うこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト