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1985/05/09 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 農林水産委員会 第9号
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1985/05/09 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 農林水産委員会 第9号

#1
第104回国会 農林水産委員会 第9号
昭和六十一年五月九日(金曜日)
   午後零時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月九日
    辞任         補欠選任
     藤原 房雄君     中野  明君
     山田  勇君     関  嘉彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         成相 善十君
    理 事
                浦田  勝君
                北  修二君
                星  長治君
                菅野 久光君
                刈田 貞子君
    委 員
                岡部 三郎君
                熊谷太三郎君
                小林 国司君
                坂野 重信君
                坂元 親男君
                高木 正明君
                初村滝一郎君
                水谷  力君
                稲村 稔夫君
                山田  譲君
                塩出 啓典君
                中野  明君
                下田 京子君
                関  嘉彦君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林水産大臣   羽田  孜君
   政府委員
       農林水産省経済
       局長       後藤 康夫君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     関谷 俊作君
       農林水産省畜産
       局長       大坪 敏男君
       農林水産技術会
       議事務局長    櫛渕 欽也君
       農林水産技術会
       議事務局研究総
       務官       土屋 國夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        安達  正君
   説明員
       文部省高等教育
       局大学課長    佐藤 禎一君
       厚生省保健医療
       局健康増進栄養
       課長       伊藤 雅治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○生物系特定産業技術研究推進機構法案(内閣提
 出、衆議院送付)
○農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(成相善十君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、山田勇君及び藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として関嘉彦君及び中野明君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(成相善十君) 生物系特定産業技術研究推進機構法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○刈田貞子君 生物系特定産業技術研究推進機構法案に対する質疑をさせていただきます。私はこの法案に関しては、この後同僚の塩出委員の方から法案そのものについての審議をさせていただくことになっておりますので、私は周辺問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
 まず最初に大臣にお伺いをいたします。これは試験場長であった川井一之さんが書かれたものなんですが、
  最近のバイオ・ブームの要因については後節
 でも考えるが、農村の現場に行くと、”夢のテ
 クノロジー”としてバイオテクノロジーへの期
 待が大きいのに驚かされる。農家としては、何
 とかして、農業に明るい希望がもてないかと悩
 んでいるのである。最近の農業は、どちらを向
 いても暗い話が多くて、これでは若者が農業を
 継ぐ気になれないのも無理はない。そこにバイ
 オテクノロジーが明るい夢を実現させるものと
 して登場してきたので、いっきょに大きな夢が
 膨らんできたというわけなのであろう。
  こうなってくると、その過熱ぶりを批判する
 ばかりではなく、何とかして、農業に対する明
 るい期待を裏切らないようバイオテクノロジー
 の実用的開発を戦略的に演出していく必要性が
 出てきた。
こう言われているわけであります。大臣がこのバイオテクノロジーについて明るい日本の農業の未来を切り開くことに結びつける抱負をおっしゃっていただきたい。
#5
○国務大臣(羽田孜君) 今のお話、川井さんのお話にありましたように、農業を取り巻く環境というのは今非常に厳しいということ、これは私も同様に感じております。しかし、その厳しい中で未来はどうなんだと考えたときに、今私たちがいろいろとこれから議論をしてまいりますこういったバイオテクノロジーなど先端技術というもの、こういったものの将来というものが期待されるということは私は言えるんじゃなかろうかというふうに思っております。そういう意味で、私どもといたしましては、こういった新しい技術というもので研究開発を進めると同時に、何とかこの研究開発の成果というものを一日も早く得たい、そのための努力をしたいと思います。それと同時に、そういった技術なんかを農業者の人たち、実際に携わる人たちがきちんと理解し、またそれを各地域において進めていかれるようなそういった後継者というものを育成していく必要があろうと思いますし、それと同時に、ただ新しい技術をあれするというだけでなくて、そういうものを受け入れる土壌である例えば基盤整備といいますか、そういった環境整備みたいなものも地道にやっていかなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。いずれにいたしましても、こういった新しい技術というものが日本のこの狭いしかも変化に富んだ地形というものをうまく生かして、夢のあるあるいは実りのある農業というものを切り開きたい。そのためにこれから私どもとしても懸命に努力をささげていきたいというふうに考えております。
#6
○刈田貞子君 農林水産省がバイオテクノロジーについて力を入れ始めだというのは五十九年度からというふうに私たちは認識しているわけでありますけれども、そのハイテクに対する先端技術開発研究ということで五億円の予算を計上されましたね。このプロジェクトをつくり、そして研究課題五項目を挙げられて格別な研究にかかられた。私はその五項目の課題も見てみましたんですが、早いものだと五十三年度、それから遅いものだと六十五年度で完成するというふうな研究課題があるわけです。こういうことをお聞きする理由というのは、このたびのこの推進機構というのはただ突如出てきたものではなくて、農林水産省として
もこうした技術を今日の農業の中に積極的に取り入れていくということをこのあたりからずっと考えておられたその延長線上にこの機構の案が出てきたんだというふうに私は思っておりますものですから、少しさかのぼって五十九年、六十年というあたりでバイオに積極的に取り組んできたその成果というものがどんなふうに今あらわれているのか、あるいは把握されておるのか、あるいはまた何をつかまれたのかということからお伺いしたいわけですが、この五項目の研究課題はどんな状況になっているか教えていただきたい。
#7
○政府委員(櫛渕欽也君) ただいま御指摘の五項目の研究課題につきましては、先生御指摘の五項目のそれぞれが現在いろんな形で研究を続けているわけでございますけれども、これまでにそれぞれの課題の中で注目すべき成果を得ておるわけでございます。
 例えばまず第一の項目は細胞融合・核移植による新生物資源の開発、こういうテーマでございますが、この中で注目すべき成果としては、細胞融合の手法によりまして、従来不可能とされていました栽培種のトマトと野生種のトマトの融合細胞から稔性のある個体の作出に成功しております。さらにまた、遺伝子組みかえの研究の中ではベクターの研究というのが非常に重要なわけですけれども、こうした研究の中でバイナリーベクター、植物に遺伝子を組み込む場合に非常に有効な新しいベクターの開発に成功しておるわけでございます。
 第二の農業生物における遺伝子発現機構の解明でございますが、この課題の中では、先般新聞等にも発表がありましたけれども、米の主要なたんぱく質でございますグルテリンの遺伝子を単離しまして、そのアミノ酸の配列を決定したところでございます。
 さらにまた第三の光合成呼吸機能の生理的、遺伝的機構の解明でございますが、この研究はかなり長い研究の歴史があります。この中で、植物にC4植物という、トウモロコシなんかがそうですけれども、非常に光合成機能の高い植物と、稲や麦のようなC3植物というのがございまして、稲のようなC3植物にC4植物の持っている光合成の固定機能を持った酵素を転換できないか、あるいはその酵素の研究はどうなっているか、そういうことで酵素の研究を進めておりましたところ、これも新しい発見をしたところでございます。
 さらに、第四のバイオマス変換の微生物酵素の利用技術の開発でございますが、この中では、注目すべき成果として、最近非常に活性の高い生でん粉の分解菌を発見いたしまして、これを用いますと、サツマイモなどから蒸煮をしないで、無蒸煮でアルコールを製造する技術が開発できたわけでございます。
 最後の課題であります魚介類の雌性発生の育種技術の開発でございますけれども、これは大変興味のある成果を得たわけでございますが、ここではドジョウの精子を利用しまして、キンギョの雌の発生、雌性発生をさせましたキンギョの稚魚を雄のホルモンの溶液の中で育てまして、そうしますと、その過程で実際は雌でありますけれども、にせ雄という形態になります。そのにせ雄に性転換ということができるわけですが、こういうところまで成功したわけでございまして、この魚の雌性発生の技術につきましては、今後これからこういうにせ雄を利用することによって、生まれてくる魚を全部雌にするような技術の開発の見通しが立った、そういう状況にございます。
#8
○刈田貞子君 今おっしゃったのはみんなこれに載っているんですね。
#9
○政府委員(櫛渕欽也君) 一部載っております。
#10
○刈田貞子君 四つ載っている、大変よくわかりました。これなんか楽しみながらやっているようでいいなと思う。カラタチとオレンジを融合したらオレタチができたというのはいいですね。楽しみながらバイオと取り組んでおられるのだと思います。予算をかけてやっておられるのだし、その意気込みを成功に結びつけていかなければいけないということで、さらなる研究をお願いしたいというふうに思うわけであります。
 それからもう一つ、ハイテク室の機能がどんな形で動いているのかということをお伺いしてみたいわけであります。大学等へ基礎的な研究を依頼するとか、あるいはまた民間の研究に対してある種の助成をするというようなことをなさっておられるようでありますが、ここら辺の現状はどうですか。
#11
○政府委員(櫛渕欽也君) ハイテク室の最近の活動状況でございますけれども、先生今御指摘のありましたように、一つは、大学等に対しまして、将来この分野の技術の効果の高いと思われる可能性の非常に大きい基礎的な研究を対象としまして、バイオテクノロジー先端技術シーズ培養研究と言っておりますけれども、今後の技術シーズを開発するといった面での研究を委託して進めております。
 現在のところ、遺伝子の支配機構の解則でありますとか、あるいは海洋微生物、海の底にあります微生物の有用形質の探索でありますとか、あるいは人工酵素、人工的に酵素をつくるわけですが、そういった開発のための酵素機能の解明、こういうような研究、この三つのグループに分けたシーズ培養研究を進めておるわけでございます。
 さらに、民間企業に対しましては、民間の特にポテンシャルの高い研究領域につきまして、民間の共同研究プロジェクトをつくりまして、そこに助成措置を講じているわけでございまして、例えばこの中ではバイオリアクターシステムの開発でありますとか、組織培養の研究でありますとか、こういう七つの課題についていろいろと助成、指導をしているところでございます。
 こういった研究につきましても、ハイテク室発足しまして、こういう全体の研究推進につきましてはまだ研究年限が非常に浅いわけでございますが、これまでの二年間の研究の中でも、既に先ほどの大学の委託研究の中から若干注目すべき成果が見られておりますし、民間の助成にかかわる研究の中からも幾つかの成果を見たところでございます。
#12
○刈田貞子君 これは私わからないので伺うんですが、共同研究制度というのは五十六年に発足させましたね。その事業の中で、いわゆるプロジェクトでしょうか、その中で、イオ技術を特別にやっているグループないしは事業がありますか。資料が私の手元にないのですが、六十年三月一日現在でこの共同研究事業は三十件発足させてあって、九件が完了で、二十一件が事業のまだ継続中であるということがあるわけで、五十九年から民間企業からの要請もありまして、その事業の中に品種改良及び育種ということが追加されて、これは一緒に開発されているものがあるんでないでしょうか。
#13
○政府委員(櫛渕欽也君) 品種改良及び育種、そういったことで今御指摘の新しく五十九年から始まった民間との共同研究は三件ございます。
#14
○刈田貞子君 このことはまた後で、研究と実用化ということで伺うので、今ちょっと確認をしておいたわけであります。
 それでは二番目に私がお伺いしたいことは、この種の科学技術が進んでいくために必要なのは、人と資金と素材であろうというふうに思います。まず人の問題からお伺いしましょうか。これは頭脳の海外流出ということで先般新聞の記事を読ませていただきましたが、私どもにとりましても大変いろいろ考えさせられるお話でございます。具体的に申し上げますと、農業生物資源研究所の優秀な人材がお役所中心的な体制になじまないために、またアメリカのルイジアナ州立大学へ帰られてしまった。こういうことで我が国のこの種の研究事業に対して大変大きなショックを与えるのではないかというふうな論評があるわけでございますけれども、この辺の人材確保ということは、今後のこうした事業に非常に大事なものになっていくであろうというふうに私思いますものですから、この辺の事情をちょっと伺わせていただきたい。
#15
○政府委員(櫛渕欽也君) 今御指摘の先般の新聞に載りました記事、これは農業生物資源研究所に
昭和五十九年に、大分長く十五年間アメリカで研究しておりました村井という方を、選考採用で採用したのでございますが、結果的には今のお話にありましたように、今年の四月一日で退職して、本人はアメリカに渡ったわけでございます。農林水産省としては有能な人材を何とかして確保するように、御本人のいろいろ注文なども極力聞きながら、より研究しやすい環境づくりについては配慮してきたつもりでございますけれども、村井氏の場合には、大変長い海外経験でのいろいろ向こうの状況と、私どもの研究機関の制度といいますか、こういったものとの関係でいろいろとギャップを感じていたように思われるわけでございまして、結果的にそういうことで大変残念だなというふうに思っております。
 そういうことで、今後ともこのバイオテクノロジー研究のような大変先端的な研究については、より優秀な研究者の確保あるいは養成、これが大変重要だと考えておりますし、いろいろ国の、特に行政機関に設置されておりますこういう研究機関としての制約というのが当然あるわけですけれども、こういった中でもより研究環境の改善に努めながら、研究者の育成確保、こういうことについて今後最善を尽くしていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
#16
○刈田貞子君 これもこの論評に書いてあるんですが、五十八年十二月、同研究所設立に当たって国会で質疑がありました。問いに対して、農林水産省ではこの種の新しい研究分野に必要なのは人材であるというふうにお答えになっておられるわけです。したがいまして、そうした研究者の招聘に努めるんだということが書かれてあるわけであります。私もこうした遺伝子操作を中心とするバイオ研究に関しての権威者、こういう方を日本の国として失うことは大変残念なことだというふうに思いますわけで、いろいろ事情はあろうかと思いますけれども、こうした方たちが居ついて、居ついてという言い方はおかしいかもしれませんが、いていただいて、そして自由に研究ができる環境づくりというのはこれから大事であろうというふうに思うんでございますけれども、大臣、いかがでしょうか。大変重要な課題だと思います。
#17
○国務大臣(羽田孜君) ただいま御指摘がありましたように、この村井先生がアメリカに再び帰ってしまったということ、私どもも大変残念に思っております。なお、ほかにも大学ですとかその他で、日本に一たん帰られて研究を始めたんですけれども、どうも日本の研究の場になじまないということでまた帰国される方があるということは事実であるようでございます。
 御指摘がございましたように、科学技術の進展と申しましても、人がなすことであるということ、そして特にこういった先端技術というものを研究開発されるような方々というのは、創造性が大変豊かであるということ、あるいは強い個性を持った方が多いということでありまして、またそういった方々を養成していかなければならない、そうでないと本当の意味での各国に先駆けての研究開発というのはなかなか難しいのかなというふうに思いますが、そういう意味で、私どもといたしましても、今度の今御審議いただいておりますような研究機関も、自由闊達に研究できるような体制というものについて、我々もいろんな角度から考えてみなければいけないのかなということを感じております。そういう意味で、研究者の資質というものの向上を図るという意味でも、今御指摘のありましたようなことを私ども念頭に置きながら体制を整えてまいりたい、かように考えております。
#18
○刈田貞子君 学者の先生というのはなかなかこういう組織的なものになじめないという一つの体質もあるのは私もよくわかるんでございますけれども、だから逆にこちらの環境の方が学者風になじんでいただくというような形をとってでもここにいていただいてそういう研究を進めていただかなければならないというふうに思うんです。その言い分がどういうことなのか私はよくわかりませんけれども、海外の出張一つをとってみてもまことに融通がきかぬというふうな具体的なことなとおっしゃっていますね。こういう事実は実はあるようでございますね。いろいろあるようでございますけれども、こんなふうなことも含めまして、研究者が研究しやすい形の環境づくりをぜひお願いしたいというふうに思います。
 それから二番目がさっき言った資金といいましょうか、財政的な面のことであります。昨日も語が出ておりましたが、バイオ、バイオと言って農水省あるいは政府自体の目玉商品のようなことにはなっておるけれども、その予算を見れば六十年から六十一年にかけてたった六億一千九百万しかふえておらぬではないかというお話も昨日ありました。確かにそういうことですよね。例えば研究費用なんかを見てみますと、基礎研究なんかでは、国庫負担がアメリカの経費の十分の一ぐらいというような段階にあるわけですね。したがいまして、これだけ力を入れていくということをおっしゃっておられるのだから、この辺の財政的裏づけというようなことも今後いろいろな形で考えていかなければならないというふうに思うんですが、この辺のところはいかがですか。
#19
○政府委員(櫛渕欽也君) 御指摘のとおりでございまして、こういった先端的な開発分野の充実を図っていくためには、一つは、当然のことでありますけれども、その研究の体制を整備していく、そういうことが重要でありますし、先ほど御指摘の人材の確保あるいは育成、これに合わせてこういった研究予算の確保、こういうことが当然重要なファクターだと考えておりまして、六十一年度におきましては、先ほど五十九年度をバイオテクノロジーの元年と申しましたけれども、三年目になりまして、ここで二十一世紀を見通してハイテク育種に力を入れようではないか、そういうことで新しいプロジェクトを興しておりますし、それから地域段階のハイテクを促進するような新しいプロジェクトも興しておるわけでございまして、そういうことで、先ほど話のありましたような前年を三割上回る予算を計上したわけでございます。なお、今後一層こういった面の予算確保、あるいは人材の問題、あるいは産学官の連携の強化、体制の整備に力を尽くしてまいりたいと考えております。
#20
○刈田貞子君 それで、我が国のハイテク関係予算のあり方として、特色、特徴と言われるのが、いわゆる開発資金を援助するという傾向が強いということだと指摘されています。アメリカなんかの場合は、何といっても基礎研究を重視している、まことに対照的であるというふうに言っているのですが、この言い分はどうですか。
#21
○政府委員(櫛渕欽也君) 政府が民間に対して融資する資金の場合と国の研究予算とでは、研究の基礎から応用開発の段階に至るいろいろな分野のウエートが違うと思うわけですけれども、国の研究はどちらかといえば、より基礎的な研究、そういうようなところにウエートを置いた予算である。民間のこういう機構への融資等の考え方なんかについても、当然基礎研究も含みますけれども、応用研究あたりが中心になっていくと、そういうふうに考えておるわけでございます。
#22
○刈田貞子君 応用研究あたりを中心にして力を入れていくということですね。
 それから三番目、三番目というのは私が頭の中でつくっている三番目なんですが、人と資金と素材、その中で、先般私はジーンバンクのことについてお尋ねしたんですけれども、このジーンバンクのあり方について、農水省のジーンバンクは三センター五サブ方式でできています、中心センター三つの五サブになっています。その機能連携をどういうふうにやっていくのかというふうなこと、それからもう一つは、各省庁が持っているジーンバンクがありますが、そういうところとの有機的な関連の持ち方というのはどういうふうに考えているわけでございますか。
#23
○政府委員(櫛渕欽也君) ジーンバンク事業の中でのセンターとサブの機能分担のお話が一つあったと思いますが、センターは、ジーンバンクと申しましても、動物、植物、微生物、林木、それか
ら水産生物、こういった全分野を含めたジーンバンクの事業でございまして、それぞれセンターを設定しまして、そのセンターは遺伝資源の収集から特性評価あるいは保存、それぞれの分野の一元的な管理を行うとともに、データベースとしての役割を受け持つわけでございますし、サブというのは、全国にあります多くの試験研究機関、あるいは原原種農場等の組織、ここをサブとして位置づけまして、ここでは遺伝資源の収集、評価でありましたり保存、こういったところを中心に分担していく。センターとの連携のもとに、主として遺伝資源の収集、評価、保存等を全部サブも分担するわけです。センターは遺伝資源の情報等の一元的な管理を担当する。そういう機能分担を考えているわけでございます。
 それから他の省庁がいろいろとやっておりますジーンバンクというのがございますけれども、これは二つの類型がございまして、一つはよくジーンバンクという片仮名で書く施設でございますが、厚生省にもあるいは科学技術庁にもございます。これはそれぞれ例えば人のがん細胞のようなもの、そういった細胞なりDNAレベルの保存機能を中心にしたバンクでございまして、科学技術庁の場合にはライフサイエンスの研究素材としてのそういうDNAでありましたり細胞でありましたり、そういうもののバンク、こういったもの。
 そのほかに植物の遺伝資源、農林水産省の遺伝資源もジーンバンクと名をつけていますのでちょっと混同しやすいんですけれども、植物の育種の素材等のための遺伝資源につきましては、農林水産省が最も組織的にやっておるわけですけれども、そのほかに同類のものは大学等の幾つかの中にそういう植物の実験材料として非常に多くのものがあります。
 こういう関係の省庁のDNAレベルのものであったり植物の遺伝資源であったり、こういうものについてもお互いの情報の交流というものを今後一層深めたい、そういうふうに考えております。
#24
○刈田貞子君 言われるところは、農水省のジーンバンクというのはかなり有用なデータソースを持っているんだけれども、その整理が立ちおくれている、だから利用価値がまことに低いんだと、そういう現状にありますというふうに言われております。近い将来にある程度の体制を整えてもらわないと大変であるということがここに書いてあるんですが、アメリカあたりでは収集ももちろん進んでいますし、その整理が進んでいる、したがってまことに利用価値が高く有用にジーンバンクが機能しているというふうに伺うんですが、その辺のところはどうですか。
#25
○政府委員(櫛渕欽也君) 我が国の遺伝資源の関連データベースの整理もかなり以前から組織的に進めておりまして、特に、作物の種類によって違いますけれども、例えば稲のデータベースなどに関しましてはかなり内容的な充実は図られておりますが、何せこのデータベースをつくるためには相当大変な手間暇がかかることがございまして、そういうことがありますので、実は先ほどの昭和六十年のジーンバンク事業から初めて組織的に相当金をかけてそういったデータベースづくりというものを進めておる。そういう意味で全体の作物を見ておくれているという状況は否めないかなと思っております。
#26
○刈田貞子君 このたびの推進機構でもそうした遺伝資源の提供のあっせんみたいなことも入っていますね。だから、こうしたことを一つの契機にしてこの種の事業の充実を図るということをぜひお願いしたいというふうに思います。これはあたら持っていてそれが機能させられないということではまことに残念でありますから、よろしくお願いしたいというふうに思うわけです。
 そのデータベースの問題ですけれども、これもいつも言われることですが、これもそうなんでしょうか、アメリカ・ロスアラモス国立研究所等のデータベースに大きく依存していますということが言われていますけれども、これは本当ですか、うそですか。
#27
○政府委員(櫛渕欽也君) 今の先生のお話の意味がちょっと理解できない点があるんですが、今私申し上げました遺伝資源のデータベースの話ですと、アメリカの場合には、ベルツビルというところのUSDAの研究機関にちょうど我が国の農業生物資源研究所の遺伝資源のデータベースと大体同様な機能を持つものが整備されているというふうに聞いておるわけですけれども、これとはまた別に研究情報、成果情報ですか、こういったもの、あるいは文献とか、こういうものを全部データベース化しまして研究者が必要に応じて自動的に検索できる、そういうような体制がとも思うわけですが、それについても現在農林水産省としても筑波の情報センターというのがございまして、技術会議の組織でございますけれども、そこの施設あるいはそこの陣容、陣営を中心にこのハイテク関係のデータベースの整備、しかもいろいろ文献情報等の検索システムの整備、こういうものを今早急に図るような体制をつくっておるわけでございます。
#28
○刈田貞子君 その遺伝資源のデータベースをつくるとあわせて、研究成果のデータベース、電話一本でずっと取り出せるようにしてください、だんだんにね。大事なことだと思います。
 それから次に、そうした開発研究というものが進んできて、それが実用化されていくというような問題の段階の話を少し伺いたいんです。これは昨日参考人の方々にも私はお尋ねをしたことになると思いますけれども、まず今回のこの機構の中で二十九条の関係のところだけについてちょっと確認をしたいんです。この機構の出融資というのは、どこまでも試験研究段階までのものですよね。試験研究が成功した、いよいよ企業がプロジェクトそのもの自体を企業化しようとか実用化しようとかという段階になったときに、資金がなかった、この機構からは離れちゃうわけですが、そういうときにどうするのか。せっかく研究を手伝ってきたのにという心配があるので、私は、その実用化ということの中で、今回の法律の二十九条関係のところを読んだんですが、いかがですか。
#29
○政府委員(櫛渕欽也君) おっしゃるように、この機構が直接支援をいたしまする技術開発につきましては、基礎研究から開発研究までの研究段階でございまして、企業化段階のものはこの対象にしていないわけでございます。また企業化段階に必要な資金につきましては、開銀でありますとか公庫とか、いろいろそういった機関での資金の融通の道が開かれているわけでございまして、一般にそういうような制度について民間におきましては十分周知されていると思っているわけでございますけれども、この機構としても、そういうことの要請があれば、そういった関係のことについての紹介とか、そういうようなことはやることにやぶさかではないというようなことでございます。
#30
○刈田貞子君 話の次第によっては、民間資金への橋渡しをするというところまで考えているというふうに確認してよろしいですね。
#31
○政府委員(櫛渕欽也君) はい。
#32
○刈田貞子君 それからアメリカの例で、いわゆるベンチャーですね、そういう機能について、アメリカではこうした研究開発ということのリスクは企業が負わない、それはベンチャーがしょっている、こういうシステムになっていますでしょう。この辺のアメリカ的なあり方についてどういうふうに考えられますか。
 それから、そういうことを通して産官学の連携プレーというようなことが十分であると言えるかどうか。現状で、産官学の連携がうまくとれている、つまり資金なんかを通じてうまくとれているというふうにお思いになりますかどうですか。例えば今のような機構では、成功はしたけれども、そこで企業化する段階では離しちゃうというあたりのような問題も含めて、連携プレーがそれでうまくいっているというふうに御認識がどうかということです。
#33
○政府委員(櫛渕欽也君) 先ほどちょっと申し上げましたように、一般的には、民間の場合に、企業化段階で必要な資金は市中銀行等の機関でのいろいろと融通の道があるわけで、そういったところを利用するようなことになるだろう、今も実際なっているわけです。
 今御指摘のアメリカのベンチャーでございますけれども、私どもが若干調べたところでは、かなりの数がアメリカ特有の、我が国なんかにはちょっとそういう特徴的な形態が少ないわけですけれども、自己資金で研究開発をやっているものや、あるいはそれぞれのベンチャーが開発した技術を販売して、その収入で新しい研究を進めているものとか、あるいは大企業なんかをスポンサーにして、それでいろいろと研究の委託を受けてやっているものとか、いろいろな形態があるように聞いておりますが、いずれにしても全体としての規模は余り大きくないということです。ただ、大学との結びつきが大変濃密な形態をとっているというふうに聞いておるわけで、そういうような意味合いからは、大学とそういった民間との形態の結びつきのようなものについては、我が国は非常に少ないというふうに見ざるを得ないと思っております。
#34
○刈田貞子君 連携プレーをとっていかないと成果も倍増していかないということがあると思いますので、それはよろしくお願いしたいというふうに思います。
 さっき私が、共同研究の制度のことで実用化段階にどうなるかは後で伺うというふうに申し上げたのがそこで出てくるんですが、共同研究制度下で実用化する場合、研究では、課題と経費は国と民間が分担した、そして結果が出ると、それを種苗法に基づいて品種登録するときには、これは共同でやる、共同の名前でやる、そしてその後新品種が生産者に販売されるまでの期間、優先的に有償譲渡等の権利を持ち得るということ。これはそうですか。
#35
○政府委員(櫛渕欽也君) 共同研究の中で、先生今お話がありましたのは育種の関係ですね。育種の関係と一般的な別な技術の研究の共同研究がありますけれども、その共同研究の成果で得られました特許等の権利のことでございますが、これは共同出願、共同特許ということで共有ということになりまして、優先譲渡の期間というのは、一般の場合は三年ということにしていまして、品種の場合は五年というふうにしております。
#36
○刈田貞子君 三年と五年というのは、販売される権利の有する期間ですか。
#37
○政府委員(櫛渕欽也君) そうです。優先的に実施させ得る期間ということです。国と民間の共同研究の成果として、例えば新品種ができた。そうすると、その新品種は、両者の共同出願ということになりますし、共同登録ということになりまして、その共同研究者に優先的に実施させ得る期間、これが五年であります。
#38
○刈田貞子君 五年過ぎたらどうするんですか。
#39
○政府委員(櫛渕欽也君) これは、そういう第三者の使用とか、第三者に譲渡し得るとか、そういうような状況が生ずるということでございます。
#40
○刈田貞子君 私は、例えばこの例一つを伺っているのは、そうした共同研究とか、あるいはまたそうした研究が実用化されていく段階で、そうした技術の権利の保障みたいなもの、そういうふうなものが今後いろいろな形で品種あるいは物ごとにいろいろあると思うんですよ。時間がないのでたくさんの例は聞けませんから、たまたまさっき共同研究体制のことを伺ったものだから、その例をとってみるとこういうことが書かれておりますということで一つ例を伺っているわけです。実用化の段階になりますと、そういうことがこれからかなりのテーマになっていくと思うんです。いかがでしょうか。
#41
○政府委員(櫛渕欽也君) おっしゃるとおり、大変重要なことだと思っております。
#42
○刈田貞子君 それから次は、基礎研究が今度はいろいろ応用化の形に入っていく中で、私は昨日も参考人の方に安全性というような問題について実はお伺いをしたわけでありますけれども、昨日のお話でも、安全性については、現段階での科学のベースで押さえられている安全性という意味のことを言われたんですよね。私もそうだと思うんです。見えない部分というのは随分あると思う。そういうものへの安全性の確認ということを今後どういうふうにしていったらいいのかということで、その応用段階における一つのガイドライン的なものが今後必要ではないのかというようなことで、先般通産省が遺伝子組みかえに関する商業化、実用化へのガイドラインを出されましたね。あの記事の終わりの方に、農水省も食品等についてその種のガイドラインづくりにただいま検討中であるということがありました。この点について伺いたいと思います。
#43
○政府委員(櫛渕欽也君) これまでの組みかえDNAの実験等につきましては、まさに実験段階ということでございまして、その例のガイドライン、全国共通といいますか、ガイドラインに従っていろいろ封じ込めの中でやってきたわけですけれども、今日そういった技術が進みまして、農林水産の分野でも実用化段階を迎えてきている。そういうような状況の中で、今先生御指摘のように、これまでの実験段階での安全性の確保の措置は当然でございますけれども、今後その実用化段階で適正な安全性の確保のための基準づくりといいますか、基準のあり方、こういったものについていろいろと欧米諸国の動きもあるわけですが、そういう動向等を見きわめながら現在農林水産省として検討しているところでございます。
#44
○刈田貞子君 バイオテクノロジーそのものについてのガイドラインは科学技術庁の基本的なものがありますね。今度は農林水産省がいろいろ今後基礎研究を応用の段階に持っていくというときには、どうしてもそうした一つの物差しが必要になってくるんじゃないかというふうに思うんです。
 これは私の頭のゲームだと思っていただきたいんです。牛も調べたんですが、これは甘味料を調べました。ハイテクの技術がかなり使われておりますですね。
 カップリングシュガー。これはでん粉に蔗糖を加えて、そしてトランスフェラーゼという酵素を倒せることによって甘味を減ずるという砂糖だそうでございますけれども、カップリングシュガーというのが今出ています。これは子供たちの虫歯が防げるというので大変人気があるのですね。それから今大変な勢いで伸びている異性化糖。これだってバイオの力でできているんだというふうに私は認識いたしております。それから私ども通常、明治製菓のメイオリゴと言っておりますけれども、これはフラクトオリゴ糖といって、これもバイオリアクターの働きでできているものだというふうに私は思っているんです。それからアスパルテーム。これは例のサール社の化学合成物質だというふうに思っておりますけれども、最近アスパラギン酸とフェニルアラニンメチルエステルを微生物に食べさせたらば見事にアスパルテームをつくり出した。これは東洋曹達です。これもバイオの力です。アスパルテームは化学合成物質ではない。バイオの力で我が方の範疇のアスパルテームができるようになったというようなことですね。これは完全にバイオテクノロジーの力が見事に応用されているものだというふうに思います。それから、私どもがよく話として使いますし、それから現に蔗糖の二百倍、三百倍という甘味がありますステビア。こんなのだって組織培養でやっているでしょう。それからタウマチン。甘みが蔗糖の二千倍です。西アフリカで植物増殖のための遺伝子操作による植物の甘味料をつくっているわけですね。
 これはほんの一例なんです。まだまだ甘味料をとっただけでも物すごくあって、しかも現実にバイオの力なんかを使って、私どもの周辺にこうしたものがどんどん誕生し、既にもう異性化糖に埋まっているという感じです。御存じないかもしれないけれども、糖液と称するものはほとんど異性化糖でありますから、そういう事態を考えるについても、科学の力というのはどんどん進んでいるし、だから、その恩恵に浴する我々としてはガイドラインが早く欲しいというふうに思うんです。
 こういうものがどんどん進んでいくことに反対するものでは決してありません。どんどん進むべきだというふうに思うけれども、それだけにそうした一つの尺度が大事だというふうに思うんで
す。これはいかがでしょうか。
#45
○政府委員(櫛渕欽也君) 先ほども申し上げましたように、今先生の御指摘のような微生物の世界というか、特に組みかえDNA技術に伴う安全性の問題と思いますが、この問題を含め、農林水産省としては、植物あるいは動物のバイオテクノロジーの実用化、こういった点も含めながら、特に植物と微生物の実用化段階の安全性についての検討は重要であるというふうに考えて、そのための検討を鋭意続けておるわけでございます。
#46
○刈田貞子君 それから畜産局長がお見えいただいて大変恐縮ですけれども、先ほど言いましたように、高等動物に対してこの種のバイオテクノロジーがどう働くんだろうかということで、これもまた一つの脅威を持っているわけでありますけれども、例の凍結卵――今、核移植はまだできないんだと思うんですが、受精卵移植というようなものはほとんど成功しておりますね。いろいろな作業をこれまでやってきました。それから法律を改正しました。今後、この種の技術を使って畜産の場面にどういうことが考えられますか、実用化という段階で。それを伺って時間なので終わります。
#47
○政府委員(大坪敏男君) 現在私どもの福島種畜牧場、日高種畜牧場その他の種畜牧場におきまして凍結受精卵移植技術の開発を進めているわけでございます。既に凍結受精卵によりまする双子生産には成功いたしているわけでございますが、受胎率につきましては、かなり高い水準とはいいましてもまだまだ解決を要するような状況にあるわけでございます。
 ただ、このような受精卵移植技術が広く一般に普及されていくためには、なお技術の高位平準化とか、技術者の養成確保の問題、さらにはコストの一層の低減とか、また機械器具類の開発等がぜひとも必要であるというふうに考えているわけでございます。
 そこで、このようなことを考えてみますと、普及につきましては、まず国や都道府県等の公的機関を中心とした乳牛の泌乳能力の向上なり、肉用牛の産肉能力の向上等、むしろ家畜の改良面に主として応用されていくのではないかというふうに考えているわけでございます。さらに、双子生産なり雌雄判別等の技術が一般の農家に広く普及するにつきましては、これに必要な条件の整備等が必要でございますので、今後なお五年ないし十年程度の期間は必要とするのではないかというふうに考えているわけでございます。
 また、これらの技術は、従来の技術と異なりまして、改良増殖といった面だけではございませんで、農家の経済その他各方面に与える影響が大きいわけでございますので、普及に当たりましては、計画的かつ秩序立った形で対応していくことがぜひとも必要と考えているわけでございまして、私どもといたしましては、今後こういった面について十分勉強してまいりたい、かように考えているわけでございます。
#48
○刈田貞子君 終わります。
#49
○塩出啓典君 それではまず最初に、この法案は、今日までのお話では、おくれております民間の研究を活性化させる、そういうことが今回の生物系特定産業技術研究推進機構を設立する一つの理由であると、このようにお聞きしておるわけでありますが、そのように理解していいのか。それともう一つは、六機構の設立によりましてバイオテクノロジー等の技術開発への民間の参加がどの程度促進されると考えるのか。これは非常に漠然とした質問のようでありますが、要は、促進されることは間違いないけれどもどの程度促進されるのか。そのあたりの見通しを持ってこういう制度がスタートするのか。その点をお尋ねしたいと思います。
#50
○政府委員(櫛渕欽也君) 最初の御指摘でございますけれども、おっしゃるように、現在我が国の農林水産業を初め生物系特定産業の技術の高度化によりまして農林水産業の体質の強化を図るというような観点から、これまではどちらかといいますと、公的機関の研究がかなり充実していたというような状況がありましたけれども、先生今おっしゃるように、バイオテクノロジー等の先端技術が非常に最近進んでまいりました状況の中で非常に広い民間の関心が高まってきている、そういう状況の中で官民一体になった形での国全体の研究水準の向上を図ると、そういうような観点でございます。おっしゃるとおりでございます。
 次のお尋ねの件でございます。こういうことで民間の参加が促進される中で、こういった機構の活動によって一体どれだけどういう技術開発の成果が期待され、効果が期待されるかという話でございますけれども、この分野の研究が非常に重要であるという認識は最近非常に強まっておりますけれども、一定のそういった出融資というような形でのリスクマネーの供給というものが伴わなければ、まだまだそういった研究のインセンティブを高めていくというような状況にないという判断もございますし、さらには国の研究と民間の研究との接近といいますか、そういうことも含めながら総合的に民間の研究の取り組みが積極的に進むような方途を講じていきたい。そういうようなことによって今後国全体としての技術水準の高度化というようなことを期待しているわけでございまして、この法律の目的にもございますように、こういった方向を通して国民経済の健全な発展でありますとか国民生活の向上に資する、こういうふうに考えております。
#51
○塩出啓典君 今お話がありました国の研究機関と民間とのいろんな交流、こういうような問題は必ずしもこの法律がなくても、現在他の委員会で審議しております研究交流促進法とか、そういうものでもできないことはないわけですけれども、今のリスクマネーの供給、このあたりが、いろいろ目的はありますけれども、六機構をつくるという一番の大きな目玉である、このように理解してよろしいでしょうか。
#52
○政府委員(櫛渕欽也君) はい、そのとおりでございます。
#53
○塩出啓典君 もちろん、このような研究を推進していくためには、こういう制度ができたからいいというものでもない。金額的に見ても私は非常に不十分だと思いますし、もっといろいろやるべきことがあるんではないか、こういうような気がするわけですが、こういう点についてはこの法案以外にこういうバイオテクノロジーに関する技術をさらに発展させるために政府としてはどういうことを考えているのか。先般、当委員会で種子法の改正とか、こういうようなものも民間の活力を導入するという方法であったと思うんですけれども、それ以外に何か考えているのがあればお聞きしたいと思います。
#54
○政府委員(櫛渕欽也君) 産学官の連携というようなことで実はいろいろと五十九年度ころから、共同研究でありますとか、あるいは依頼研究員制度の活用による民間若手研究員の人材の養成でありますとか、いろいろなことがありますけれども、特に最近、一つは、税制の問題を民間の活力を促進する一つの政策手段といたしまして取り上げて力を入れておるわけでございます。従来からそういう増加試験研究費の特別控除だとか、そういうような制度があったわけですけれども、そのほかに六十年度には基盤技術研究開発促進税制というもの、それから六十一年度にはハイテクの研究施設に係る固定資産税の課税標準の特例、こういったものを新たに起こす、新設するというようなことで整備を図っております。さらに先ほどの民間の共同研究、特に政策的に非常に緊急性の高い、しかも公益性の高い研究課題で行っております民間の共同研究に対しての助成、こういったものを行ってきておる次第でございます。
#55
○塩出啓典君 ただいまリスクマネーの供給をしていく、こういうようなお話でございますが、この融資条件というのはどうなっているのか。また出資財源は五億円、融資財源は十三億円、これが六十一年度の資金計画と聞いておるわけでありますが、それで要求を満たすことができるのか、どの程度こういうリスクマネーについての要望が強いのか。そのあたりはどうなんでしょうか。
#56
○政府委員(櫛渕欽也君) 融資の条件でございますけれども、これは大枠といたしましては、据え
置き期間は五年以内で償還期間が十五年以内ということで、条件つき無利子というふうに考えておる次第でございまして、初年度の出融資の財源が一体こんなものでいいのか、今後はどうかというようなお尋ねでございます。
 実際に現在の段階ではまだ民間の資金需要が必ずしも的確に把握できておりませんような状況もありますし、初年度であるということもありまして、特に基本財産の形成が必要だ。そういうよう係な状況の中で出資枠五億、融資枠十三億、こういうことでスタートすることになったわけでございますけれども、今後は民間のそういった今後の資金需要の動向等を踏まえながら出融資事業を増枠する方向で所要の予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
#57
○塩出啓典君 私は、こういう一つの機構をつくるに当たっては、産業界においてどの程度の要求があるのか、それに対してそういう方法の中でこういう形が一番いいとか、そういう点をいろいろ十分検討してやるべきではないか、そういう感じがするわけなんです。国会へ一つの法案を出す場合にはよく専門家の方々の第三者機関の意見を聞く。中曽根内閣ではこれを乱用し過ぎて問題になっている点もあるわけ。すけれども、そういうようないろんな方々の御意見等も十分論議して、そういう中からこれが最高の方法である、こういう事前の需要の調査、それからまたその需要を満たすための方法論の調査、そういう点をもうちょっと十分にやるべきじゃなかったかという私の感じなんですが、そのあたりは農水省としてはどのようにお考えであったんでしょうか。
#58
○政府委員(土屋國夫君) 先生御指摘の点について私どももある程度理解している面もあるわけでございますけれども、ただ、この制度の性格が、実際にある程度の構想をしてみることによってそこにまた需要が喚起される、そういうこともございますので、私どもとしては、全体としては、前からいろいろ御説明申し上げておりますように、民間におけるこの種研究開発への機運というものは大変高まっておりますし、そういうものをこのような政策手段で支援することによってかなりそこに需要は出てくる。そういう潜在的に相当の大きな需要は存在しているという認識を持っておりますし、また若干そういう点についての関係方面のいろいろな御意見等を承っておりますし、そこにはそういう意味での希望が大変強いというものがあるというふうに承知しておりますので、なるべく早くこの構想というものをより具体的なものにまとめ上げて、関係方面に対して周知徹底を図るということが必要ではないかというふうに考えておるところでございます。
#59
○塩出啓典君 これは農林大臣、先国会で郵政省、通産省共管の基盤技術研究促進センターがてきたわけで、それの農水省版じゃないかと思うんですね。私はその必要を認めたにしても、もちろんバイオテクノロジーとほかのハイテク産業とは性質が違う、そういうことで別にしたんだと思うんだけれども、それを考えれば、リスクマネーを供給するこの機構と農業機械化研究所を一緒にすることの方がよっぽど無理があるわけでありまして、我々国民から見ると、各省の縄張りというか、通産省や郵政省がやったんだから農水省もやらなきゃ損じゃないか、そういう感じで急に出てきたんじゃないかという、そんな感じがするんですけれども、そういう点はどうなんでしょうか。
#60
○国務大臣(羽田孜君) 今前段で先生からお話がありましたように、何というんですか、こういったバイオのような先端技術というものは積極的に進めていかなければならない、しかも国際的にも非常に進んできておるということでございまして、私ども実は電気通信の関係、今お話があった通産、郵政の関係でつくり上げた、あのときにもいろいろと勉強したことがありますけれども、そのときにもバイオ等のこういった先端技術についても進める、あるいはそういった準備というもの、体制というものを整える必要があろうということは実は私たち話し合っておったものでございまして、これを突然出してきたというよりは、時代の要請に基づいたというふうに考えてよろしいんじゃなかろうかというふうに思っております。
#61
○塩出啓典君 これは例えば今まで既にある郵政省、通産省、そういうものと別個のものがいいのか、あるいは一緒の方がいいのか、もちろんバイオとコンピューターは違うかもしれませんけれども、しかしバイオコンピューターというようなのもこれからは出てくるんじゃないかと思うんですね。学問というのは境界がなかなか分かれがたい。そういう点から考えると、私はそういうものを含めた、しかも研究費を最初から分けるんじゃなしに、すぐれた研究にどんどん重点的に金を出していくという、そういう点からいえば、学問の世界に余り省の縄張りを持ち込んではいけないんじゃないか、そういう感じがするんですけれども、そういう点はどうお考えですか。
#62
○国務大臣(羽田孜君) 実は、例の通産と郵政の機構をつくるときにも、いろんなところから一緒にやろう、またぜひ自分たちもというような話もあったことも事実であります。ただ、何というんですか、研究の性質というものが多少異なるということもありましょう。境界は確かに今隔たりがだんだんなくなってきて、むしろ境界を越えてのいろんなものが進んでおるというのが現状でありますけれども、特にバイオのような研究というのは、国際的にどんどん進められているという現状からいったときに、これを本当に力強くプッシュするためにむしろ独立した方がいいだろう、独立といいますか、一つの違う分野でやるべきであろうということで、今度の法案の御審議をいただくということになったわけでございます。
#63
○塩出啓典君 それから、特に昨日の参考人の御意見におきまして、いわゆる安全性の問題について御意見がございました。現在のように一つの研究室内での研究であれば安全性の心配はないわけですけれども、今後、農作物とか食糧とか、そういうものにこの技術が活用されてくると、安全性という点が非常に重要な問題になる、こういうような御意見があったわけであります。我々も、植物の場合は動物の場合と違ってそう心配はないんじゃないか、そういう考えでもいたわけですが、専門家の方はそういうようなお話でございましたので、これは慎重に検討していかなくちゃいけない、こういうように感じたわけです。
 今後この安全性の確保について、例えば今遺伝子組みかえについてのガイドラインというものができておるように聞いておるわけですが、そういうようなものを今後つくるお考えがあるのか、この点をお伺いいたします。
#64
○国務大臣(羽田孜君) 私の方は基本的なことを申し上げたいと思いますけれども、確かに新しい技術だからというのでただ進んでいってしまうということだけでは、技術あるいはこういった研究の開発の進歩というのが余りにも早いものですから、やはり私どもも安全性というものは十分気をつけなければならないというふうに認識しております。特に、数年前のアメリカのウィリアムズバーグのサミットでこれは私どもの中曽根総理からもお話しになり、また各国の首脳の皆さん方も同意をされたわけでありますけれども、こういったものについて幅広い分野からいろいろとチェックする必要があるんじゃないかということで、これは単に該当する技術者、科学者というだけではなくて、幅広い分野の科学者、技術者あるいは学者の方ですとか、また宗教家の方々、こういった方々にも入っていただいて安全性あるいは倫理の問題、こういった問題なんかもチェックする必要があろうということで、第一回目が箱根で行われたことはもう御案内のとおりであります。たしかそれに引き続きランブイエですとかその他で行われ、ことしはボンあたりで行われるというような記憶がありますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては、そういった点について細心の注意を払っていかなきゃいけないと思っております。
 今先生から、農林の関係は動物というよりはむしろ植物というお話があったわけですけれども、ただ、組みかえのDNA技術は非常に画期的な技
術であるわけでございまして、こういうことを考えたときに、官民を問わず安全性にはきちんとした考え方を持たなきゃいけないと思っております。この安全性の基準等についてのガイドラインをつくる用意というのは、技術的な問題でございますので、局長の方からお答えいたします。
#65
○政府委員(櫛渕欽也君) 農林水産省関連の技術開発にかかわる組みかえDNA関連でございますが、これは植物、動物、微生物、いろいろあるわけですが、こういったそれぞれの領域での技術がいよいよこれから実用化の段階に入る、そういう前提で現在先生の御指摘の安全性の基準づくり、こういうものに現在取り組んで検討を進めている、そういう状況でございます。
#66
○塩出啓典君 それから、ことしの計画は、民間からの出資が十五億円、産投特別会計から二十五億円、それから融資が十三億円、そのうち基本財産が三十五億円以上、それから出資財源が先ほど申しましたように五億円、融資財源は十三億円、このようになっておるわけですが、衆議院の参考人の意見では、もっと増額すべきだ、こういうような意見がございましたが、六十二年度以降の計画はどうなっておるんでしょうか、お尋ねをいたします。
#67
○政府委員(櫛渕欽也君) 六十二年度以降の計画ということでございますけれども、現在の段階では確たることは申せませんけれども、一つは基本財産の積み増し分が非常に少なくなるということと、それから民間のそういった研究需要、こういったものを十分発掘しながら、より増額の方向で所要の予算を考えていきたい、そういうふうに考えております。
#68
○塩出啓典君 将来どの程度にするかということは考えないでともかく足場をつくる、そして後どれだけふやすかということは予算折衝の努力である、このように理解していいわけですか。
#69
○政府委員(櫛渕欽也君) 大体さように考えているわけでございます。
#70
○塩出啓典君 小さく産んで大きく育てるという言葉もありますが、しかし産むことは産んだけれども後、栄養が続かないというようなそういうことにならないようにやっていただかないと、我々もこの法案をこの委員会で審議して成立させる責任があると思いますので、その点ひとつ頑張っていただきたいと思います。
 そこで、これは大体何人ぐらいになるんでしょうか。もちろん今までの農業機械化研究所はそのまま残って、新たに生物系特定産業技術研究推進機構というのができる。それが一緒になってというように理解しているわけですが、いわゆる特定産業技術研究推進の方のメンバーは大体どの程度のメンバーになるんでしょうか。
#71
○政府委員(櫛渕欽也君) 全体としてのメンバーはほぼ百人程度ということで、実際これは機構が設立の段階までに決まるものでございますので、現在のところそういうふうに考えておりまして、先生今お尋ねの民間研究促進業務、こちらの方はどうかというお話でございますけれども、そこらあたりにつきましては、現在機械化研究所全体で九十名、この機構にそのまま移行するということになっておるわけで、そういった中で機械化研究関係と民間研究関係の共通的な業務、こういったものもございますし、その辺のことを十分勘案しながら今後も検討してまいりたい、そういうふうに考えております。
#72
○塩出啓典君 今後機械化研究所の職員の人たちがある程度はこちらの民間研究推進業務の方の仕事を手伝う、そのように徐々に移行していく、このように理解してよろしいんですか。
#73
○政府委員(関谷俊作君) 機械化研究所は、現在昭和六十一年度になりまして定員九十人になっておりますが、新しい機構に移行しました場合の人員配置なり組織のあり方と申しますのは、いわゆる総務、企画というような部門がございますが、これは新業務と従来の機械化関係業務と両方含めた総務、企画を担当するわけでございます。その部門と、それから機械化促進研究検査等だけをやる部門と、それから新しい業務だけをやる部門と、色分けとしますと、その三つに分かれるわけでございまして、全体で百人ということになりますと、我々の感じでは現在の九十人の中で今総務、企画を担当している部門の人たちは、そこを主体にして新しい部門を含めた全体の総務、企画をやる。それから従来の研究検査の部門の人たちは大体従来どおりの部門を担当する、こういうような分担になるのではないかというふうに考えております。
#74
○塩出啓典君 そうしますと、この新しい業務を専属にやる人は当初は約十人ぐらいだ、そう理解していいわけですか。
#75
○政府委員(櫛渕欽也君) 先ほど申し上げましたように、また今農蚕園芸局長のお話にもありましたように、双方に共通する部分、業務、この辺の業務関係を十分含めながら、民間研究促進業務についても、具体的な人数は現在の段階で申し上げる状況にございませんけれども、決められていくものというふうに考えております。
#76
○塩出啓典君 よくわからないので……。
#77
○政府委員(櫛渕欽也君) その全くの新しい部門といいますか、数だけで加わる人数は十人程度と、そういうことでございます。
#78
○塩出啓典君 私は、例えばこういうリスクマネーを供給する、その場合にどういう研究にリスクマネーを供給するか。研究者の人柄、あるいはまた研究の内容、そういうものを見てやっていかないと、無利子の資金であればいろいろ要望はたくさんあると思うんで、そういうのを間違ってやっちゃうと、結局、据置期間が過ぎてもお金が返ってこない、こうなる心配があるんじゃないか。したがって、こういう一つの組織をつくる場合の理事長とか、そういう経営の中心になる人は非常に大事じゃないかと思うんですね。そういうところにいい人を得ないとこの制度はうまくいかないんじゃないか。そういう点を非常に心配するわけですが、ここは最初に発起人が十五人で決めて、その発起人の中から農林大臣がこの理事長等を任命する、このようになっておるわけですけれども、発起人は一体だれが決めるんでしょうか。
#79
○政府委員(土屋國夫君) 発起人につきましては、私どもまず役所の関係の者がいろいろ関係の方面の方々と十分御相談をしながら、まさにこの制度にとって適任者、適材の方になっていただくという、そういうことで進めていきたいというふうに考えております。いろいろ関係方面のこれまでのいろんな例もございますので、そういうことで進めさせていただきたいと思っております。
#80
○塩出啓典君 この理事長は農林大臣が任命するようになっておりますが、農林大臣としては、ここでだれだということは言わなくてもいいと思うんですが、大体こういう人が非常に適任である、この人を発起人に加えて、ぜひ理事長にしてこの仕事をやらしたいというような意中の人はいらっしゃるんでしょうか。
#81
○国務大臣(羽田孜君) この段階ではまだ特別にございません。
#82
○塩出啓典君 そこで、この業務というものは二十九条にその内容があるわけですが、「民間において行われる生物系特定産業技術に関する試験研究に必要な資金の出資及び貸付けを行う」、これがリスクマネーの供給だと思うんです。次に「政府以外の者に対し、生物系特定産業技術に関する試験研究を国の試験研究機関と共同して行うことについてあっせんする」と、あっせん業務があるわけですが、この場合の「国の試験研究機関」というのは農水省所管の研究機関なのか、それともすべての国の研究機関を含むものなのか。その点はどうなんでしょうか。
#83
○政府委員(土屋國夫君) 国の試験研究機関ということで私どもが考えておりますのは、直接この制度の共管の官庁になっております私どもと、それから大蔵省における試験研究機関というものを対象にして進めていきたいというふうに考えております。
#84
○塩出啓典君 これはあっせんをするということになりますと、かなりな農水省傘下の研究機関ですね。例えば農業については二十機関、二千四百七十四人いらっしゃるようでありますが、さらに
は林業試験場とかあるいは水産試験場、これも九機関、四百十六人、さらには都道府県の研究機関、そういうのを含めれば一万名をはるかに超える研究者が農水省の傘下にはいらっしゃるわけであります。そういう人たちにいろいろ共同研究をあっせんするということになりますと、かなりこの全体の情報をつかんでおかないとそういうことはなかなかできないんじゃないかと思うんですね。そういう点は農水省としては何か情報センターをつくって一本にまとめるとか、工業技術院の研究関係で、いわゆる全部オンラインでそういうどこの研究所でも、中国の工業試験場にいても、筑波のどの研究所でどういうことをやっているかというようなことがちゃんとわかるように、そういう計画があるように私聞いておるわけですが、当然あっせん業務をやるとすれば、全体の掌握がもう瞬時必要じゃないかと思うんですけれども、そういう点は何か具体的な計画はおありですか。
#85
○政府委員(土屋國夫君) 先生おっしゃるとおりでございまして、大変大事なことは情報の把握、あるいはそれの提供ということであります。これまでも共同研究を民間との間で進めてまいっておりますけれども、必ずしも十分な情報が提供されてないということで、需要はありながらそれが進まないということもございます。
 なお、共同研究というのは申し上げるまでもありませんけれども、私ども国の機関にとっても大変重要な必要な面もございまして、民間における研究の特性といいますか、国の研究機関に比べてすぐれた能力を持っているところもございます。欠けているところを補っていただくという面もございますので、共同研究というものはそういう面からも必要ではないか。そういうことでこの機構において情報の把握あるいは説明会とか手引書の作成とか、そういったようなことを行うことによって、この共同研究がより円滑に進められるのではないかというふうに考えております。
#86
○塩出啓典君 それからこの三番目、「政府以外の者の委託を受けて、生物系特定産業技術に関する試験研究を行うこと。」、これは単なるリスクマネーの供給だけではなしに、この機構においてはそういう試験研究も行う計画はあるんでしょうか。
#87
○政府委員(土屋國夫君) ここで規定しておりますこの業務は、民間において必要な試験研究であって、研究資金の負担はできましてもなかなか体制がないということで公的な機関にお願いしたい、期待したいという試験研究も現実の問題としてあるわけでございます。そういうことに対して、これまでも共同研究とか受託研究とか、そういうことで進めてまいっておりますけれども、この機構においても民間のそういうような要請に対応して受託し得る道は開いておきたい。もちろんこの研究機関自体は、特に研究推進業務につきましては、機械化研究業務以外の分野についてはそういう施設等を持ちません。持つことは予定しておりませんので、そこでみずからが研究施設を使っての研究を行うということは現実問題としてできないわけでありますけれども、その一つの組織として、機構としてそういうものを受けて進めていくという道は今後あり得るのではないかということでこのような規定を設けたわけでございます。
#88
○塩出啓典君 そのほか四番目、「政府以外の者に対し」「試験研究の素材として生物の個体又はその一部の配布を受けることについてあっせんする」とか、五番目、「海外から生物系特定産業技術に関する研究者を招へいする」とか、あるいは今お話ありましたように、「生物系特定産業技術に関する情報を収集し、整理し、及び提供する」、あるいは「生物系特定産業技術に関し調査する」とか、こういうことは私どもいずれも非常に大事なことであり、こういう海外の学者を招聘したりいろいろな情報を提供する、そういうことが日本の国全体のバイオテクノロジーの技術の発展に大きな刺激を与えることは考えられるわけで、ぜひ必要だと思うんですが、ただ人数が十人ぐらいでこういうことができるのかどうか。今のお話では試験研究も今やるんじゃない、将来のためだと。まず十人でやるのはどの程度までやるつもりなんですか、ここに響いていることは全部将来のために項目を並べているだけであって、実際十人ではどの程度までできるものなのか。その点はどうなんでしょうか。
#89
○政府委員(土屋國夫君) 全体の機構の組織体制をどうするかということと、それからもう一つは、私ども大事なことは、いろいろ専門の方々にお願いをいたしまして、この機構の外部にあってといいますか、その周辺にあってこの機構の運営に御協力をいただくという、そういう体制も大変大事なことではないか。特にいろいろプロジェクトの審査体制等においてもそのような専門家にお願いをいたしたいというふうに考えておりますけれども、したがって必ずしも職員の規模だけで云々するということではないというふうに考えております。
 しかし、いずれにいたしましても、この機構というものは最初からそう一遍に立派なことを行っていくというわけにはなかなかまいらないわけでございまして、そういう意味で最初は情報の把握、収集ということがまず大事ではないかというふうに考えておりますし、それからこの中で特に重要な業務であります出融資業務の対象というものをどういうふうに関係方面からの御協力なり、あるいは出資をどうやって求めていくのか、そういうことがさしあたっては大事な業務ではないかというふうに考えておりまして、できるだけ徐々にそういう各界のいろいろな御要請に応じてこの組織の充実をしていきたい、そういうふうに考えているところでございます。
#90
○塩出啓典君 財源的にはどうなるんでしょうか。今後そういう組織を充実していく場合に、人も雇わなければならない、そうすると給料も払わなくちゃいかぬ。そういう意味では基本財産というものの運用益というものが使われるんではないかと思うんでありますが、そういう今後定員の問題等はどういう扱いを受けるのか。またこの予算は結局どういう扱いを今後受けていくのか。この機構独自の計画でいけるのか、あるいは農水大臣がそういう点は認可するのか。その点はどうなるんでしょうか。
#91
○政府委員(土屋國夫君) 予算とかあるいは定款、事業計画書、業務方法曹といったようなものにつきましては、農林水産大臣の認可、あるいはほかの関係主務大臣の認可にかかっているものがこの機構の公共性から見てございます。そういうことで、これからこの機構の整備をしてまいりたいと考えておりますが、その中で特に大事な財源的なもの、私どもとしては、この基本財産は、初年度にかなりこれは負担になるわけでございますけれども、次年度以降はこの負担が軽くなってまいることは当然でございます。そういう面で次年度以降はむしろ一般の業務に充当できるような財源確保に重点を置いていきたいということと、もう一つは、民間からの出資ということについて、当面十五億円以上というふうに考えておりますけれども、これらにつきましても、民間の御協力、御理解を得て少しでも拡充すべく努力してまいったい、そういうことで機構全体としての活動が円滑に行われるような、そういう体制をつくってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#92
○塩出啓典君 民間からは今年度は十五億円以上の出資をお願いしているようですが、これは大体見通しは立っておるんでしょうか。
#93
○政府委員(土屋國夫君) 率直に申し上げて、まだ見通しは立っているというふうに申し上げられる段階ではございませんが、今鋭意私どもとしては関係方面にも十分この制度の趣旨等についての御理解を賜っているところでございます。
#94
○塩出啓典君 この民間からの出資というものは、六十一年度限りではなしに六十二年度以降も毎年出資をお願いする計画なんでしょうか。
#95
○政府委員(土屋國夫君) 当面は、まず初年度の基本財産の形成というところにこの民間からの出資を充当するというふうに考えておりますので、
基本財産自体大体これでいけるという見通しが立つとすれば、必ずしも民間には――この金額で初年度は対応できるかと思っておりますけれども、民間の関係方面においていろいろ御賛同いただけるところがございましたら、私どもとしては積極的にそういう方々の御賛同も得ていきたい、出資の増資にも努めていきたいというふうに考えておりますが、当面まずこの十五億円以上の出資を求めていくということが先決ではないか、大事ではないかというふうに考えているところでございます。
#96
○塩出啓典君 私は、企業にしてもお金を出資するには、それだけのメリットというか、見返りがなければ、農水省のために、はい、そうですか、と言って出す人は余り少ないんじゃないかと思うんですがね。こういうところに出資をした場合の企業のメリットというのはどういう点がありますか。
#97
○政府委員(土屋國夫君) 大変難しい御質問でございますけれども、まず、私どもとしては、いろいろこれまで御説明申し上げているようにこの面での技術研究の促進ということが、推進ということが生物系産業の発展というものに大きなインパクトを与えるであろう、影響を持ってあろうというふうに考え、産業振興に積極的な貢献をするのではないか、そういう基本的な考え方でそれらについての受益者たる広範囲の関係方面の方々に御賛同いただきたい、こういうことが一番大きな趣旨でございまして、直接的な利益といいますか、そういうふうな結びつきということでいろいろこれを御説明することは大変難しいわけでございます。しかし、私どもはできるだけそういう方々の御意見等も、出資者等の御意見等も十分考慮しながらこの機構の運営等にも努めていき、そしてこの制度の趣旨が十分に生かされるような、そしてまた一番のねらいであります民間活力の活用ということにつながり、それが農林漁業を初めとした生物系産業の発展につながるようなそういうことを大所高所からひとつ御理解、御賛同をいただきたい、そういうことで出資を求めている次第でございます。
#98
○塩出啓典君 私は、そういう民間の方々が出資をしていただくことは、これは決して悪いごとではないと思うんですが、ただこの機構は言うなればリスクマネーを供給する、そういう意味でここへ出資しておかないとリスクマネーを供給してもらえないんではないかと。そういうことで結局この機構というものは出資をしたそういう一部の人たちのためにこの資金が使われるのではないか。自分たちで出資した資金だけならばどう使おうと自由ですけれども、この組織には産業投資特別会計という公の金が入っておるわけですから、そういう意味でこの運営というものがそういう特定の人に支配されてはいけないんじゃないか。けれども、実際今のときにお金を出す人というのは何か見返りがないと。ただ国のため、日本の技術発展のために金だけ出してあとはどうでもいいんですと、こういう人ばかりならいいんですけれども、そういう人はなかなか少ない。そういう意味で、運営というものは非常に難しいんじゃないか。そういうのを私は心配するんですけれども、そういう点は余り心配ないですか。
#99
○政府委員(土屋國夫君) 先生今お話ございましたように、民間の出資は、こういう状況の中で出資を求めるわけでございますから、当然民間の企業としてはそれなりの期待というものを持って出資をされるというふうに考えておりますけれども、これは先ほど申し上げたように、産業投資特別会計からの多額の出資ということがあるわけでございますし、そういう意味で個別の企業の利益といったことにつながるのではなくて、まさに産業全体の活性化、振興につながり、それが国民経済の発展につながるという、そういうことでこの機構か機能することが最も大事なことではないかというように考えておりますので、その辺につきましては、いろいろ組織体制、役員体制等も含めまして、そういう公正な中立的な体制の確立を図るということが非常に重要ではないかというふうに考えているわけでございます。そういう点での評議員その他いろいろ人選等についても十分配慮していく必要があるというふうに考えております。
#100
○塩出啓典君 これは農水大臣にお願いしたいわけですが、私は、今お話をしましたように、お金を集めるにしても、またそれを運営するにしても、非常に難しいことで、その運営を誤ると大変なことになるんじゃないかと思うんですね。そういう意味で、評議員会とかいろいろな専門委員会もあるようですけれども、理事長というか、そういう中心となる人たちの考え方というものが私は非常に大事になってくると思うんですね。だから、この研究は将来物になるかならないかというような技術的な面に対する直観力というか、そういうものも必要だし、一方では財政基盤についても明るいような人でなければならないわけですし、もちろん別な人が呼吸を合わせてやっていくという場合もあると思うんですけれども、そういう意味で、理事長の選任等においては本当に人材を探して、立派な入をぜひ選ぶように努力してもらいたい。このことをお願いしたいんですが、その点はどうでしょうか。
#101
○国務大臣(羽田孜君) 全く先生の御指摘のとおりでありまして、技術者に皆さん方優秀な方が集まっていただくと同時に、この成果というものが国民の福利の増進、あるいはまた生産ですとか、そういったことに携わる皆さん方にも還元される、そういったことのために運営というのは非常に大事なことでありますので、運営に当たる人たち、特に理事長という立場になる人たちというのはそういうものをきちんと全うできる方を選任していかなければいけない、かように考えております。御指摘をよく念頭に置きながら進めてまいりたいと考えております。
#102
○塩出啓典君 それから、今後国の研究機関、それから民間の研究機関、さらには大学、そういうような間の連絡調整というものがますます重要になってくるわけでありますが、そういう中で新しく出る機構というのは産学官の連携の中ではどういう位置づけになるのか。農水省関係の全研究機関の窓口としてここへ行けばすべての窓口になるのか。その点はどうなんでしょうか。
#103
○政府委員(櫛渕欽也君) 先生のお話のように、今後ますます官産学の連携の強化ということは重要になっていくと考えております。こういった中で、今回いろいろと御検討をお願いしていますこの機構の役割でございますけれども、機構は国の研究機関との連携、これは非常に重要なことになっていくと考えております。国の研究の一層の活力の増大ということについても十分考えていきますけれども、そういう意味で官民の連携の一つの拠点といいますか、そういうふうになるのではないかと考えております。
#104
○塩出啓典君 それから、いろいろ重要事項の審議を行う斜議員会が設けられるようでありますが、この評議員会はどういう人を選ぶのか。農林漁業者の出向も十分反映されるような人選をすべきだと思しますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
#105
○政府委員(櫛渕欽也君) 御指摘のとおり、この機構の対象にしておりますこういった技術開発の領域が、特に農林水産分野の技術を中心にしております関係もありますし、そういう意味で技術開発の開発側の民間、あるいはその技術開発を実際に利用していく農林漁業者側、こういう双方の意見が十分反映されるような角度からこの評議員会の審議等がなされるような、そういう観点で適切な人選が行われるように考えていきたい、指導していきたいと考えております。
#106
○塩出啓典君 それから、いわゆる出資、融資、この業務が行われるわけですが、その出資、融資先を選考することは非常に大事な業務であり、これが公平にまた納得のいく、しかも先見性を持った判断で行われていかなければいけないんではないか。このあたりがうまくいくか、いかないかということがこの機構の死命を制すると思うんですが、この選考の基準はどうなのか。また選考する
ための専門の委員会をつくるようにお聞きしておるわけでありますが、どういうメンバーの委員会を考えておられるのか。この点をお尋ねをいたします。
#107
○政府委員(櫛渕欽也君) 選考の基準のお話がございますけれども、非常に広い分野からの非常に数多くのプロジェクトというものが考えられるわけでございまして、こういった中からこの機構が審査していくわけですが、その基準等につきましては、特に画一的な基準というものを定めるということはこの機構の趣旨になじむものではないと考えておりますし、当然それぞれの候補課題につきまして個々に審査して決定することが適切なことだと考えております。
 基本的な審査の方向としては、当然のことでございますけれども、一つは、この試験研究の目的が、政策に対する適合性等から見て、特に必要性あるいは緊急性がどうであるかというような問題。あるいはもう一つ別な観点としては、試験研究の方法あるいは試験研究の内容、性格でございますが、こういったものが特に倫理性とか安全性とか、そういった観点に照らして妥当かどうか、そういうような観点。もう一つの問題としては、当然のことですが、試験研究の計画内容が技術的にどの程度熟しているかといいますか、技術的な可能性、妥当性、こういったような観点からこの審査が行われていくものではないかというふうに考えております。
 また、この審査の体制でございますけれども、それぞれ生物系特定産業の分野での学識経験を有する専門家等にお願いして審査体制をつくってまいりたいと、そういうふうに考えております。
#108
○塩出啓典君 たとえ小さな企業であっても、先駆的な研究をしているところはたくさんあるわけですし、企業の規模や、あるいは出資金を出してなくてもプロジェクトの内容を重視して、出資金も出せないような中小零細な企業へむしろこたえるべきではないか。そのためのリスクマネーの供給でもあるのではないかと思いますので、そういう点をひとつ配慮して公平にやってもらいたい、この点を要望しておきます。
 それから、特に昨日の参考人のお話では、いわゆる基礎科学の面が世界的にもおくれておる、特に分子生物学の分野がおくれておるというようなお話があったわけですが、私は、こういうようなリスクマネーというものをこの機構はある程度そういうような基礎的な研究にも出すべきではないかと思うんですが、この点はどうなんですか。
#109
○政府委員(櫛渕欽也君) 御指摘のとおりでございまして、現在、民間といえどもかなり基礎的な研究にかかわるような状況が生まれてまいっておりますし、全体としては、さっき申し上げましたように、研究の段階としては、中心的には応用的な研究になるんではないかと思いますけれども、基礎から開発までの研究段階、こういう中で民間研究に大いに期待しているわけでございます。
#110
○塩出啓典君 それでは、もう質問はこの程度にいたしまして、最後に要望いたしたいわけです。
 私たちも、こういうような機構ができる、しかもリスクマネーを供給して民間におけるバイオテクノロジーの技術を発展させる、こういう方向は非常に賛成であり、この法案には賛成でありますけれども、きょう質問いたしましたように、今後の運用の面において非常に心配すべき点もたくさんあると思います。また、いささか長期的な展望に欠ける。これは現在の我が国の予算制度のもとではある程度やむを得ないかもしれませんけれども、何か法律をつくってからすべてがスタートするというような、こういうことは、逆なような気がします。本来はすべての具体的な計画をつくってから、我々や国民の皆さんから見てある程度納得できるような内容のものをつくって、ある程度こういうものができてから法案を成立させるべきであって、そういう点がいささか逆になっているような気がするわけでありますが、そういう点、早急に具体的な面も詰めていただいて、そして人事の面等の運用を誤らないように努力をしていただきたい。このことを要望しまして質問を終わります。
#111
○下田京子君 それじゃ質問に入りますが、今回の生物系特定産業技術研究推進機構を設置した中心目的は、民間のバイオテクノロジー等の研究を促進することにあると思うんです。そのために出資、融資による資金援助であるとか、あるいは共同研究の促進、遺伝資源の提供のあっせん、受託研究などを実施することとした法案だと思います。
 そこで、まず最初に確認したいことなんですけれども、既にこれまでもバイオテクノロジー中心に民間の研究促進のために直接補助金の交付を行ってきておると思うわけです。具体的には、六十年度の場合に、民間のバイオテクノロジー関係の研究に対する補助といたしまして五つのプロジェクトが組まれておりますね。一つは細胞融合による微生物、植物細胞の改良技術の開発、二つは組織培養による種苗の効率的な生産技術の開発、三つは食品産業におけるバイオリアクターシステムの開発、四つ目が新農薬開発のための細胞培養等共通基盤技術の開発、そして五つ目に免疫利用による家畜疫病の簡易診断法の開発というものがあるわけです。六十一年度には、さらに二つのプロジェクトがふやされているということなんですが、確認したいことは、これらの既にやられている研究に対する補助は今後機構が設置された後も残され、かつ充実、拡充していくという方向であるというふうに理解してよろしいんですか。
#112
○政府委員(櫛渕欽也君) そのとおりでございます。
#113
○下田京子君 それで、私は大変問題に思いますのは、農水省予算全体が大変大幅なマイナス予算になっている中でハイテク関係の民間への補助金は逆に年々拡大されてきております。五十九年度三億九千五百万。それが六十一年度では五億二千六百万で、五十九年度比でいきますと、実に三三・二%アップ。今もお話しのようにさらに拡充していくと。細胞融合による微生物、植物細胞の改良技術の開発、このプロジェクトの場合を見てみますと、農林水産技術情報協会が事業実施主体となっておりまして、参加企業は十四社。その中で財団法人日本きのこセンターを除きますと、すべて大手の企業なんです。明治乳業、明治製菓、三井東圧化学、日立製作所、植物工学研究所。これは三菱商事と三菱化成が出資してできたものですね。さらにサントリー、サッポロビール、久保田鉄工、麒麟麦酒、協和醗酵工業、キッコーマン、カゴメ、それに旭化学工業。いずれも文字どおり大企業への補助金というふうに言える中身になっております。そうですね。
#114
○政府委員(櫛渕欽也君) この全体のプロジェクトの中で今先生の御紹介ありました細胞融合のプロジェクトにかかわっております関係の民間企業は、今お話のあったとおりでございます。
#115
○下田京子君 細胞融合にかかわる部分というのが非常にまた重要なんですよね。その重要な部分で大企業に文字どおり補助金を出しているということをお認めになったわけであります。
 さらに、事業実施主体は補助金の受け皿になっておりまして、この点について「研究ジャーナル」の八五年一月号の中で、この受け皿になっておる農林水産技術情報協会の坂井専務さんが次のように言っているんです。「補助金を受けて行う十四企業参加の共同研究では、さらに問題が多い。もともと国の試験研究機関や大学の研究は、公共の福祉に貢献することをモットーとしなければならないが、民間企業の研究は終局的には利潤の追求にあるといっても差支えない。」、こういうふうに指摘されております。
 私は経済的、社会的制約によって非常に不利な立場にある中小企業に対する保護助成は当然だと思うんです。しかし、こういう大企業の利潤追求に奉仕していくという性格が非常にはっきり出ているということ。お認めになりますね。
#116
○政府委員(櫛渕欽也君) ただいまのことにつきましては、むしろ私どもの理解は、細胞融合の研究については、こういうような研究にかかわりを持ち得るような現在の段階での企業の中でたまたま
こういう企業が集ったというふうに見ておりますし、組織培養のプロジェクトでは今度は全然別なグループになっておるわけでございますので、今のようなお話は一般論としてそういうふうなことを書かれたかどうかわかりませんけれども、そういうふうに考えております。
#117
○下田京子君 いずれにいたしましても、ただいまの研究プロジェクトにかかわっては、きのこセンターを除いて全部が大企業である。そしてそれは問題が多いということで技術情報協会の専務さん自身が指摘をされていることですから、否定できないわけです。
 次に、補助金の相手が大企業であるという点での問題だけにとどまりませんで、研究の成果が果たして国民に還元されるだろうか、またその保証はどこにあるんだろうかという点なんです。例えば食品産業におけるバイオリアクターシステムの開発の場合です。これは鉱工業技術研究組合法に基づいて五十九年八月、農水大臣認可によってつくられた技術研究組合が専業実施主体になっているわけですけれども、六十一年度には二億五千九百万円の補助金がついておるわけです。これまた驚いたことに、このプロジェクトには五十四企業が参加しておりますけれども、日立造船とか三井造船とか三菱重工など、およそ食品とは関係のない重化学工業の大手企業が名を連ねているということです。
 研究による成果はどうかという点なんですが、工業所有権は技術研究組合が存続している間は組合に帰属すると思うんですね。また専用実施権は発明考案した企業に帰属すると思います。しかし組合が解散した場合にはどうなるかといいますと、工業所有権も発明考案した企業に帰属いたします。ですから、形式的には個別企業でないような形をとっておりますけれども、実際に個別企業にその成果は帰属していくというふうになりますね。違いますか。
#118
○政府委員(土屋國夫君) お答えいたします。
 先ほどの問題にも関連いたしますけれども、今私どもが取り上げております例えば細胞融合による微生物改良技術の開発といったようなことは、これはいわゆるバイオテクノロジー全体に大きな影響を与える基礎的あるいは共通的な技術ということでございまして、これの技術開発によるところの受益というものの範囲は大変広いというふうに考えております。そういうことでその相手方としては情報協会を選び、そこでの研究にはそれぞれ専門の能力を持つところの企業の方が参加していただくということで、そういうことで助成をしているということでございまして、その効果が先ほど申し上げたような意味で大変広範回に及ぶというところを我々は重視しているわけでございまして、特定の企業だけにその受益があるというふうには考えておりません。
#119
○下田京子君 考えているとかいないとかではなくて、これは技術研究組合自身が出しておりますシステムの開発のところで今私が指摘したようなことをちゃんと述べているんですよ。その開発考案をしたものは一体どこに帰属するかというと、それは開発したところ、企業に帰属していくんだと。この点はそのとおりでしょう。否定できないでしょう。
#120
○政府委員(土屋國夫君) 第一義的にはそのような組合、共同で行っておるところのそういう組合への帰属ということがあると思いますけれども、先ほど申し上げたように、その技術開発自体の効果というものは大変広範囲に及ぶ技術でございますので、それらは今申し上げたような意味で第二義的あるいは派生的には大変広範囲に及ぶのではないかというふうに考えております。
#121
○下田京子君 派生的に及ぶかどうかということはまた別問題なんですよ。ですけれども、基本的には、ここに述べてあることを私はそのまま言ったわけですよ。一番関心の高い共同研究による成果は一体どこに帰属するかということで、発明考案した企業に帰属しますよというふうに書いてあるわけですから、それは否定されなかったわけですね。
 私は、国の補助金交付をする際に研究成果を国民に還元すべきだ、これは当然だと思うんですけれども、そういう条件を具体的に付しておりますか。
#122
○政府委員(土屋國夫君) 補助事業に当たりまして、研究成果の公表義務というものは課しておりません。
#123
○下田京子君 ですから、結果として派生的に行くかどうかということはあり得るとしても、義務も課してないし、これは開発考案した企業に帰属する。それを国が二分の一補助を出して今もやっているという点で大変問題があるわけです。私はむしろそういう研究内容の公表を義務づけるべきだということを申し上げておきたいと思います。
 次に、今回の機構の設立に当たっての事業の一つでございます融資専業の問題で質問いたします。
 従来の補助事業に加えまして、今回の機構を設立して融資事業を加えたのは、文字どおり個別企業に対する助成、これが基本的ねらいだというふうに理解してよろしいですね。
#124
○政府委員(土屋國夫君) 個別企業等の研究活動の促進に対して支援をしていきたいというのがねらいでございます。
#125
○下田京子君 それでは次に、その融資条件について聞きたいんですけれども、利率については、成功の度合いに応じた所定の利率というふうに言われておりますね。成功の度合いの判定は一体だれがどこでどうするのかということで、他の委員からの御質問等に答えて述べられているのは、まず研究目標の達成度で判定する、その研究の評価は専門家にゆだねる、そして詳しくは類似の法人を参考にして今後業務方法害によって定めていきたい、こう言われておりますね。これでは抽象的でさっぱりわからないんです。
 私は具体的に聞きたいんですけれども、農業生物資源研究所と植物工業研究所が共同研究で行った稲の細胞培養技術の改良について研究のポイントであった植物の再分化には至らなかったけれども、その前段の融合細胞の培養とカルス化までは到達したというふうに言われているんですが、この場合、成功度をどう評価されますか。
#126
○政府委員(土屋國夫君) 大変難しい問題でございます。
 先ほどから申し上げているように、専門家の御意見等もお伺いしないことには、私どもにはなかなか判定しにくいところでございますけれども、基本的な考え方としては、当初の採択するかどうかというところが大変慎重な判断を要すると思いますけれども、採択されたプロジェクトのその目標についてどの程度達成されたかどうかということが一番大事なことではないかというふうに考えておりまして、それは実用化とか企業化ということとの結びつきを必ずしも問題にするものではないというふうに考えるべきではないかということでございまして、それ以上、この問題は大変難しい問題でございまして、まだ具体的な詰めをしておらないということを率直に申し上げざるを得ません。
#127
○下田京子君 まだわからないということですからやむを得ません。
 融資対象となる研究というのはどういうものが対象になるかなんですが、成功が一〇〇%見込まれているような研究にわざわざ融資するというようなことはないと思うんですね。むしろ、かなりリスクが伴うが失敗しても無利子ですからどうぞという格好で大いに研究に取り組んでもらうというところに今回の融資の意義があるんじゃないかと思うんです。ですから、今回の融資難業のポイントというものは、失敗したら無利子だというところがポイントだと思うんですよ。
 そこで、大変これだけ優遇しているんですけれども、質問したい点は、融資の原資は産業投資特別会計からの借入金ですよね。機構は金利を負担するわけですが、貸付金利は、最低が無利子で、最高が産業特会からの借入金利の現在だと六・三%と、こうなるわけです。当然その間の利子の逆ざや分、これをどういうふうにしてカバーしていくのかということが一つ問題であろうと思うん
です。
 具体的には、基盤技術研究促進センターの業務方法書を見ますと、第十七条の規定によりまして成功報酬を取る、こういうふうに述べてあるんです。さっき他の法人等も見てなんという話があったから、こういうことを考えておられるんでしょうか。
#128
○政府委員(土屋國夫君) 御指摘のとおりでございまして、私どもは特に類似の機構でございます基盤技術研究促進センターの状況というものを十分参考にしてまいりたいというふうに考えております。
#129
○下田京子君 その成功報酬を取るということなんですけれども、具体的な内容と、それから、それだけで実際に利子分に対する逆ざやは穴埋め可能だというふうに判断なされておるんでしょうか。
#130
○政府委員(土屋國夫君) 据置期間につきましても、一般的には産投からの借り入れについては無利子ということでございますけれども、私どもとしては、何とかその分についても成功報酬として利息相当額は成功した場合においてはいただきたいというふうに考えておりまして、それらの操作で何とかこの機構の融資事業というものも運営できるのではないかというふうに考えております。
#131
○下田京子君 できなかったらどうするかということについてのお答えがなかったんですが、その辺ももうちょっと具体的に御答弁いただきたいわけですが、時間がございませんので……。
 次に、この融資を受けた企業名は公表されますでしょうか。
#132
○政府委員(土屋國夫君) その点につきましても、できるだけ公表していくという考え方で対応しておりますので、それらについても関係方面の御意見等も十分踏まえて今後対応していきたいというふうに思っております。
#133
○下田京子君 次に、融資を受けた研究の成果については企業は研究内容も含めて公表する、そういう義務づけは付されておりますでしょうか。
#134
○政府委員(土屋國夫君) お答えいたします。
 これは、民間企業の研究活動を促進するという意味で、まさに民間企業の研究に対するインセンチブを与えるというのが大きなねらいでございますから、そういう点については十分配慮しなければいけませんけれども、そういう面からの許容される点についてはできるだけ研究成果というものが一般に公表され、そして多くの方々に利用されるということを我々としては期待し、また、そういう面で指導していきたいというふうに考えております。
#135
○下田京子君 もちろん成功して特許や品種登録がされれば、それはもう国民の知るところになるのは当たり前のことなんですが、成果の公表は義務づけられていない、融資といえども失敗すれば無利子という、全く企業優先という点で大変問題であるということは指摘しておきます。
 次に出資事業の問題です。
 この場合、二以上の企業が共同して設立する技術開発法人に出資すると、こうなっていますね。これは具体的な例なんですが、例えば資本系列が同じ企業、これは例としては正しいかどうか、もう既にありますけれども、三菱商事と三菱化成が共同出資して設立した植物工業研究所のような法人を対象になされるのかどうか、つまり同系列の資本でつくられた法人ということで。また外国資本と国内資本の合弁企業の場合もその出資の対象になり得るかどうか。
#136
○政府委員(土屋國夫君) それらの点についてまだ十分詰め切れていないところもありますけれども、この制度の趣旨は、できるだけ研究開発を促進するということで、しかも出資事業につきましては、各企業共同してそういう研究開発を促進するというところにねらいがあるわけでございますので、何社かの企業が共同してある一つのプロジェクトについての研究を進めていくということについては対象にしていきたいというふうに考えております。
 同系列云々ということにつきましては、今のところまだ私どもとしては、はっきりどういうふうにしていくかということについては検討が不十分でございます。
 なお、国内における外資企業等については制度として対象にしていかざるを得ないというふうに考えております。
#137
○下田京子君 今言ったことは、否定的ではなくて、検討するけれども今後対応をしていくだろうということだと思いますね。
 いずれにしましても、出資する場合に、共国技術開発法人が行う特定の研究テーマに対して出資するということになると思うのですね。その場合に重要なのは、研究内容とかあるいは成果などの公表を義務づけておられるかどうか。
#138
○政府委員(土屋國夫君) おっしゃるように、この出資は融資の場合と同じように特定のプロジェクトに対して出資をするという考え方でございまして、それについての成果の公表ということにつきましては、融資事業の場合と同様に許容される乾田はできるだけ公表してもらうということでございますけれども、それを義務づけるということはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
#139
○下田京子君 原資は産業特会といえども、これは国の資金ですよね、言うまでもなく。企業秘密ということで成果が義務づけされていないという魚がやはり問題だと思うんです。特に、機構の役職員に対して第二十七条で秘密保持義務を課しておりますね。そして、それを守らなかった際には罰則まで適用するとなっております。どうしてこういうものをつけたんだということについては既に他の委員に対して、農業機械化研究所の規定を受け継いだものだから入ったんだというような答弁をなさっておりますけれども、私は非常に問題だと思う。
 今聞きたいことは、それじゃ通産省所管の基盤技術研究促進センターの場合にこうした役職員に秘密保持義務を課しておりますか。
#140
○政府委員(土屋國夫君) 今ここにありますように、同様な義務といいますか制約は課していないというふうに承知しています。
#141
○下田京子君 そうなんですよ。ですから大臣、本当に法の目的にあるように、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に資するためには自由濶達なそういう研究が行われる必要があるというふうに述べられているんです。としますと、こういう条項というのは私は再検討すべきだと思うんです。そして、よく私が今まで議論してきましたけれども、研究の成果が公表されるというのはどうして大事かといいますと、途中途中にあってその研究の成果を学会や何かに今発表していますでしょう、国の場合に。そうすると広く国民的に評価もされ、批判もされるんです。そういうことがまさに大臣が言わんとする自由濶達な研究という内容なんです。そういう点で、ぜひこの項についての再検討を私は大臣にお願いしたいと思うんです。
#142
○国務大臣(羽田孜君) 先ほど申し上げた研究についての自由濶達というのは、研究者が研究をしていくのに自由濶達でなければならぬということであります。ただ、この項については、しかし私どもとしては、この研究機構というものをつくるということはまさに国民の福利を増進するということが目的でありますから、これに反するようなことがないように、今御指摘の問題なんかは私たちは念頭に置いていきたいというふうに考えます。
#143
○下田京子君 どちらに基本があるかなんですよ。目的を達成するために、その言葉だけ目的を頭に付せればあとはいいというんじゃ話にならないんです。
 何度も申し上げますけれども、いいですか、高度技術の推進は、私たちは否定しません、重要です。そして、民間企業と共同研究、大いに結構です。大学とも大いにおやりなさい。問題は、その研究を本当に法に言っているように、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に資するんだということになれば、研究の成果をオープンにすることなんです。そしてお互いが学び合うことなんです。それをできないというのがこの法律の最大の問題なんです。企業秘密ということがこの法律にあるという点でそれが最大の問題だということを
繰り返し申し上げておきます。
 そして次に、いいですか、よく聞いておいてください。国の研究機関が今共同研究を現にやっておりますよね。現にやっておりますが、今度機構が資金の援助だけでなくって、大企業の利益のために国の試験研究機関を組織的に動員することになるんじゃないかということを私は申し上げたいんです。
 その一つが共同研究のあっせんなんです。科学技術会議の第十一号答申では、「新たな情報変化に対応し、長期的展望に立った科学技術振興の総合的基本方策について」という中で、研究者の創造性の発揮のために、産学官の有機的連携の強化を二十一世紀に向けた基本的方向として示し、国立試験研究機関における共同研究の促進を提起。さらに昨年七月、行革の推進方策に関する答申の中でも、国の研究機関の活性化ということで共同研究の推進をうたっているんです。
 今回の機構による共同研究のあっせんというものは、こういう指摘に基づいて取り入れたというふうにこれも理解してよろしいですね。
#144
○政府委員(土屋國夫君) どうもその辺につきましては、残念ですけれども、お考え方が私どもとは若干異なっておるわけでございますが、私どもが共同研究を進めていくというのは、決して特定の企業、大企業とおっしゃられましたけれども、そういうものの利益のために行うということではないわけでございまして、研究の重要性は言うまでもありませんけれども、それぞれの特徴あるいは能力というものが民間と国では違うわけでありますので、それらを相補って、そしてより技術開発を進めるということが国民経済の発展に大きな役割、影響を持つものだと、そういうことで共同研究を進めることにしているわけでございます。
#145
○下田京子君 現に行われている共同研究はじゃどうか、そして、これが機構に移った際の共同研究の成果はどうなるかという点で聞きたいと思うんです。
 農水省の資料によりますと、現に共同研究が行われているのは五十七年度で七件ですよね。六十年度で十八件でしょう。計この四年間に四十八件の共同研究がなされておりまして年々拡大されてきておりますでしょう。これら共同研究が、問題は、その成果が国全体の研究の発展につながるかどうかということなんです。だから、ポイントは民間企業の持つ秘密性なんですよね。今行われていることによりますと、農林水産省共同研究規程というのがあります。そうすると、この規程の中では、共同研究を協議していろいろだれに帰属するかということを決めるわけなんですけれども、この研究成果を第三者に公表しようとする場合に、共同研究者と協議して共同研究者の同意がなければ公表できない、こうなっているんです、現在も。さらに共同研究の終了後であっても、研究成果を公表することが基本的な原則にはなっているんですけれども、ただし書きで、共同研究者つまり民間企業が業務上支障があるため公表しないでくれというふうに言ってくれば、共同研究者の利害に関係するということでこれも公表できなくなっちゃうんですね。そうでしょう、現在。そうですね。
#146
○政府委員(土屋國夫君) 現在の共同研究の仕組み自体は今先生のおっしゃるとおりでございますけれども、なぜそういうことをしているかということは、あくまでも共同研究のパートナーである民間企業における研究のインセンティブを与えていくということに大きなねらいがあるわけでありまして、それを無視してはなかなか共同研究というものも進まないのではないかというふうに考えております。
#147
○下田京子君 ですから、言ったとおり、民間企業の持つ秘密性、それを保持するためにやるということをいみじくもいま証明されたと思うんです。
 で、「研究ジャーナル」の八六年一月号に、事務局長の随想が載っているんですね、櫛渕事務局長さん御本人の。よろしいですね。そこでこういうふうに言っております。「産官学の共同の研究開発について、科学技術会議第十一号答申などにはいいことずくめのように述べられているが、実際には懸念される問題がある。官民の共同の研究開発といっても、官と民、つまり公的機関と民間企業との研究体質の相違から来るぎくしゃくしたものは取り除くことができない。公的機関の研究者は民間研究の企業的体質や発表規制に戸惑いを禁じ得ない」というふうに述べておるんです。もちろん以下続くわけです。
 私はこの点で研究者の単なる戸惑いなんてものでは済まされない重大な問題があるんだと思うんですよ。何度も言っておりますように、国の研究者というのは国民全体の奉仕者であって、一部の企業の奉仕者じゃないわけですね。途中途中研究成果というものは発表しているわけなんですよ。ところが、企業体質というのは自社の利潤追求というものが優先されるんです。ですから、国民に奉仕することではなくて、一私的企業の利益に奉仕させるというふうになるわけですから、これは民間研究者と企業研究者との体質の違いなんていうそういう生易しいものではないんです。ですから、研究成果の公開原則というのがゆがめられていくわけなんです。私は、大事なのは共同研究、そして国民全体の経済の発展、生活の向上、それを目的と言うならば、民間と一緒になっても、国のそういう立場に立った公表なり何なり義務づけていくべきではなかろうかと思うんです。
#148
○政府委員(櫛渕欽也君) 先ほどからも土屋総務官から申し上げておりますように、国と民間の共同研究というのは、双方の持ち味といいますか、双方の持つお互いのノーハウを十分に持ち寄って、それぞれが単独ではできないような技術の開発、研究開発を進める、そういう観点で現在もすべての、先ほど先生のお話にありました四十七件の共同研究というのはそういう観点で成立をして現在継続しているようなものでございまして、私が考えておりますのも、そういう意味で、もっともっと相互の研究環境の違いというものについてのお互いの理解ということを深めることがまず非常に重要だ、そういうふうに考えている次第でございます。
#149
○下田京子君 環境の違いを埋めていくだとか、互いのノーハウを持ち寄ってもっといい研究をするだとか、全然否定してないんです。問題は企業の秘密性、それに国の機関がオーケーという格好で国の果たしてきた役割が後退していると、とんでもないということなんですよね。
 次に、機構の行う受託研究の問題でお聞きします。
 これは現に民間サービスという格好で進められておるわけですが、「バイオテクノロジーによる生物資源の開発利用の促進について」という農水省生物資源開発利用研究会の報告が出ました、五十八年九月に。それを受けて、流動研究員制度というものがもう既にスタートしておりますよね。これに乗って、現に五十九年四十名、それから六十年四十二名、流動研究員制度に基づいてなされている。それから依頼研究員制度というものも既になされておりまして、この受け入れは五十九年五十一名、六十年が八十名、こういうことになっております。そして農業生物資源研究所には、森永製菓とか三井東圧とかサントリーなどから研究員を受け入れているわけですね。さらに、民間企業の研究員を対象として、研修も実施する、施設もどうぞ御利用くださいということで、民間からの受託も拡充するという方向で今サービスが実施されていると思うんです。
 そこでこれも質問したいんですけれども、今回、機構の民間研究促進業務の一つとして民間からの受託研究を実施するというふうに言っていますが、機構には研究者を抱えておりませんね。ということは、研究そのものを実施するのは主として国の研究機関ということになると思うので、その研究を進める際に研究者の身分はどうなるか。それは機構への出向という態様もあるでしょう、また機構が国の研究機関に再委託するというような方法を考えているんでしょうか。
#150
○政府委員(土屋國夫君) この受託研究のところにつきましても、必ずしも十分な議論をしていま
せんけれども、今先生のおっしゃられたようなことで、再委託とかあるいはこの機構への出向ということも将来あり得るというふうには考えております。
#151
○下田京子君 端的に答えてください。将来あるといったって、委託研究なんですから、機構は研究機関を持ってないんですから出向か再委託しかないんですよ。業務にちゃんと入っているんですから、将来なんというものでなくて機構がスタートしたらやるんです、そういうことでしょう。
 そこで私が問題にしたいのは、現在、参議院の科技特で審議中なんですけれども、研究交流促進法においては、従来国が受託した研究の成果、つまり特許権などはすべて国が取得していたわけですけれども、それを今度この研究交流促進法を改めて、資金を負担した一部企業に、つまり委託者に特許権の一部を譲与できるようにしようというような格好で変える話が今進められているんです。この法案については大変問題だから私たちは廃案を生長しているんですけれども、としますと、この並びで農水省の現在の受託研究等実施規程も改正することになりますね。
#152
○政府委員(土屋國夫君) そういうことになると思います。
#153
○下田京子君 現在、受託研究の場合にはすべて特許は国が承継して、企業は専用実施権を持っているんですけれども、それが今度この研究交流促進法の改正に伴って農水省の規程も変えられて、その一部は今度委託者に変わっていく。
 同時に、聞きたいことは、機構が国の研究者や都道府県の研究員を出向させて受託研究した場合、その特許権はすべて委託者に帰属するというふうになりますね。
#154
○政府委員(土屋國夫君) この受託研究に伴う特許権の問題はいろいろな態様があるわけでありますけれども、受託研究について民間に国が委託した場合に、現在は特許権は国が専有、民間は専用実施権といったようなことになっておりますが、そのいろいろなケースによって異なってくると思います。
#155
○下田京子君 きちっと確認してほしいこと、それは今度機構ができて、そして国の研究者や、私が何度も言っておりますけれども、都道府県の研究員を出向させて、そして受託研究した場合、だから民間から機構が委託を受けてやるその研究の際には、その特許権は原則として民間が専有する、こういうことになりますねということを確認してほしいんです。
#156
○政府委員(土屋國夫君) その場合、成果は原則として委託者に帰属するものと考えています。
#157
○下田京子君 まさに受託研究の特許権が今のように委託者に帰属していくということが明らかになったわけですね。ですから、決して考え方が違うなんて言っても、結果として財界の要望に直接こたえたということが言えると思うんです。
 経団連が昨年六月に「ライフサイエンスの推進に関する見解」を発表しておりますけれども、その中で民間における技術開発の促進のためにということで、委託研究における特許権の共有化を特に要求しているんですよ。そして、それを受けて今回の研究交流促進法も今審議中で、変えられていこうとするんです。そして今言うように、機構が受けた委託研究にあっては、それは委託者である企業に全部帰属する、こういう格好になるわけで、ということは、今後資金力のある大手企業が、特許権のすべてもしくは一部が与えられるということで、積極的に国の試験研究機関に委託を申し込んでくるんではないかというふうに予想されるわけなんです。特に農林水産予算が厳しく削減されております中で、研究予算の確保の面からも民間資金に依存する傾向が強まってくるだろうと思うんです。
 そこで申し上げたいというか聞きたいことは、研究交流促進法を受けて国の試験研究施設についても安い使用料で企業に貸し付けるというようなことも当機構は検討していくことになりますか。
#158
○政府委員(土屋國夫君) その問題につきましては、研究交流促進法の問題でございまして、この機構とは直接脚係はないのではないかというふうに考えております。
#159
○下田京子君 直接関係がないとおっしゃいますけれども、じゃどうなさるんですか。国の試験研究施設についてはどういう形で企業に提供するんですか。
#160
○政府委員(土屋國夫君) これは研究交流促進法の制度の問題でございまして、機構が入るか入らないかということとは関係なしに、民間と国との施設利用についてどういうふうにするか、これは研究交流促進法に基づいて扱いを決めていくという問題になるのではないかというふうに思います。
#161
○下田京子君 機構は研究機関を持ってないんです。しかし委託研究を機構が受けるんです。ですから、出向していただいてどこかの研究機関にそれは委託しなかったらできないことなんで、合しきりに逃げの答弁ばかりなされておりますけれども、説明のときには、研究交流促進法をまって同列でいくでしょう、今後の検討になりますがというふうに聞いています。
 もう時間がないので、最後に大臣、二点について姿勢をお聞きしたいと思います。
 一つは、今回の機構設立と相まって農業機械化研究所が統合されていく。私はこれを独立してむしろ強化していくべきだというふうに考えているんです。仮にもこういう格好で機構に統合していくというような中にあって、機械化研究所の研究員の職員の身分であるとか勤務条件だとか、絶対に後退させないようにということは確約いただけることと思いますけれども、それが一点ですね。
 それから二点目に言いたいことは、国の試験研究所の充実の問題なんです。一般的には国の試験研究の充実をやります、こうおっしゃっているんですけれども、年々見てみますと、例えば予算で見ましても、特に一人頭の研究費は五十六年度から据え置かれているんです。九十一万円でずっと据え置かれているんです。トータルでも減っているんです。研究員も少なくなっているんです。
 かいつまんで申し上げますが、私はそういう国や何かの試験研究所を見てきました。福島にあります畜試にも行ってきたんですが、あのキメラ牛の問題で大変今脚光を浴びております。特に凍結卵の問題で二十三頭のうち二十一頭の成功も上げているんです。私が驚いたのは、ここの場長さんの応接室、継ぎはぎだらけのソファーのカバーです。それほど予算がないんですよ。今継ぎはぎだらけのカバーが一体どこにありますか。
 それから岩手の東北農試にも行きました。これは小麦の研究から、クローバーの研究から、あるいはシラカバを飼料としての実用化の研究から、もう十年、二十年、本当に長期的な形でやってきているんですね。こういったところにきちっとした対応をすべきだという点で、もう本当に今予算の後退なんてことは許せないという点での決意を聞かしてください。
#162
○国務大臣(羽田孜君) まず第一の問題でございますけれども、今日の日本農業を進めていくに当たりまして、機械化研究所の果たしてきた役割というのは非常に大きいわけでございまして、私どもといたしましても、この機能というものは失われないように、これからも職員の皆さん方の処遇の問題ですとか、あるいは研究体制ですとか、そういったものについて抜かりのないように万全を期していきたいということを申し上げたいと思います。
 なお、一般の研究機関につきまして、今お話がございましたような実例、まあ予算のあれは現実のものでありますから、これはもうそのとおりであります。厳しい中にありましても、こういった一般の研究機関でも当然もう創意が十分に生かされるような体制でなければいけないということでありまして、私どもとしてもなかなか難しい、厳しい予算の中でも、今後ともこういったことを念頭に置きながら日本農業の中で今まで果たしてき、また将来とも必ず大きな成果を上げていく研究所、この体制の整備というものはよく考えてま
いりたいし、またその研究の環境整備というものも念頭に置いていきたいというふうに考えております。
#163
○喜屋武眞榮君 私、最初に大臣に対して基本的な問題をお尋ねしたいと思います。
 と申しますのは、この法律案は民間の試験研究を促進することによって生産性を高める、そのために技術開発を促進すること。ところで、その過程において生産と需要の調整を図るということが、国策の上から、あるいは行政の上から非常に重要な問題になってくると、こう思うんです。そこで歴代の大臣は例のごとく、国内で生産可能なものは最大限国内で生産する、こういう方針を例外なく強調しておられます。ところで、この二つがどうも壁になってぶつかり合うという危険が現にあるわけなんです。だから、この調整を政策の面あるいは行政責任の立場から、あるいは国策の上からどのようにこの調和をとっていくかということをよっぽど考えていきませんというと、常に矛盾した形で日本の農業が行われておる、こういうことを自問自答することがしばしばございます。
 例えば一例を沖縄のパイナップルにとるというと、技術開発をして生産を上げようと、こういうことで張り切っておる。ところが、国内需給の面からもなお余裕があるにもかかわらず、いわゆる自由化のあおりを食らって、常にこのことで悩まされておる、こういう事例が実はあるわけなんですね。
 そこで大臣にお尋ねしたいのは、この矛盾を農水大臣とされてどのように考えておられるのであるか、どのようにその調整をしていこうとしておられるのであるか。このことがいつも、特に沖縄の場合、頭を悩まされておる、毎年のようにこのことを繰り返しておるわけであります。それは一例でありまして、これは日本全体の立場からも幾らでも言えるわけであります。そのことを基本的な問題としてどうお考えか、大臣にお聞きしたい。
#164
○国務大臣(羽田孜君) 需給の問題というのは、これは大変難しい問題でございます。そして今日日本の置かれている立場というものを考えたときに、国際協調ということも確かに重要な問題でもあろうというふうに思います。
 ただ問題は、実は今までも申し上げてまいりましたように、我が国を取り巻きます各国の状況というのは、確かに一部のものは生産が相当大きくなり輸出するものもあるようでございますけれども、まだ存分に実は栄養の面でも満ち足りているということは言えないということ、そして我が国に対して供給してくれている国というのは相当遠い国であるということもございます。そういうことなんかも考えながら、また各国とも自分のまさに需要というものを満たしたときに相当豊富に輸出するというのが常況じゃないかというふうに思っております。そんなことを考えましたときに、私どもといたしましては、何といっても、まず基本的な食糧については国内で供給を確保するための生産基盤あるいは生産対策というものをきちんと講じていく必要があろうというふうに思っております。
 それと同時に、もう一面では、地域経済を支えているもの、今先生のお話のあったパイナップル等がございますし、そのほか幾つか地域経済を支えているものがありますが、こういったその地域経済を支えているものについては、私どももその輸入その他については十分いろんな角度から配慮しながら対応していきたいということで、これからもそのようなつもりで進めていきたいと思っております。
#165
○喜屋武眞榮君 例のごとく、所信表明の中で歴代の大臣がおっしゃる大事な柱が何かしら現実にむなしいものに感じられてならない、こういうことを繰り返しておるものですから、真っ初めにそれをお尋ねした次第であります。生産者農家が本当に意欲を持って取り組むことができるようにすること、これが本当のあるべき正しい日本の農政の確立だと、こう私には思われてなりません。
 次にお尋ねしておきたいことは、このバイオテクノロジーの関連予算として二億三千万そこそこ計上されておりますね。この予算を見ますというと、国の地域農業試験場等との連携のもとに、都道府県研究機関の共同研究によるバイオテクノロジー手法を用いた地域の生物資源の改良、活用技術の開発を図る云々とされておるわけでありますが、この二億三千万円がその目的に沿って活用されていくには、一体どのような手順が要るのであるか、どのように考えておられるのであるか、それを確かめておきたいと思います。
#166
○政府委員(櫛渕欽也君) 昨今、都道府県のバイオテクノロジーの軌地におけるいろいろ生物資源の開発、改良等の場面での研究が非常に活発に進んでおりますので、そういった研究開発をより一層ここで組織的に前向きに発展させたい、そういう考え方に基づきまして、六十一年度から数テーマ、地域地域、県によっていろいろと関心課題は違うわけですけれども、それも予算の制約がありまして、なかなか全県という状況には至らないんですが、幾つかの県共同の形で、しかもそれぞれ地域農業試験場等国の研究機関も加わった形で、国公立の共同型の、しかも幾つかのテーマで地域の生物資源開発研究を進めたい、そういう観点から進めてまいっておるものでございます。
#167
○喜屋武眞榮君 厳しい予算の中から苦労して生み出された大事な予算でありますので、この予算にすき間風が起こらぬように、それこそ活性化して十分ひとつ生かしてもらうように希望しておきます。
 もう一つお尋ねしておきたいことは、機構の中に、特に非常に重要な役割、任務を持つ評議員の役職がございますね。これには発起人十五人以上によって設立する、評議員会は評議員二十五人以内によって運営されると、こういう仕組みになっておるようでありますが、この運用にかかわる評議員の人選についてどのように考えておられるのであるか、それをお尋ねしておきたい。
#168
○政府委員(櫛渕欽也君) 評議員の人選の問題でございますけれども、基本的にはその機構の自主性をできる限り尊重する、そういったことを基本にいたしまして、この機構の業務が非常に広範囲にわたることがございますので、こういった広い範囲からまず学識経験を有する者を選びたい。さらに、当然のことでございますけれども、公正中立な判断のできるそういった方を選びたいということが人選の基本でありますが、特に農林水産分野の技術の関係を扱う機構でございますので、この評議員の人選に当たりましては、技術開発を担当する民間側、それからその技術を利用する農林漁業者の側、こういった双方の意向が十分反映されるようなことに配慮してまいりたいと、そういうふうに考えております。
#169
○喜屋武眞榮君 次に、もう一つ確かめておきたいことがございます。
 出融資対象選定に当たっての考え方でありますが、民間研究促進業務の中心となる出融資事業の出融資対象の選定についてはどのように考えておられるかということです。
#170
○政府委員(櫛渕欽也君) 出融資対象のプロジェクトの選定についての考え方でございますけれども、非常に広い範囲から出てまいりますこういっったプロジェクトが想定されまして、これにつきましては、それぞれ政策上の必要性でありますとか緊急性でありますとか、あるいは技術的な可能性といいますか、研究の熟度といいますか、そういった観点等を総合的に審査して決定していくことが適切ではないかと、そういうふうに考えております。
#171
○喜屋武眞榮君 今の答弁で尽きておるかとも思いますが、ちょっと念を押しておきます。そうしますと、地元の地域性あるいは特性というのを非常に大事にして結びつけていくと、こういう基本的な考え方ですね。
#172
○政府委員(櫛渕欽也君) そのプロジェクトの対象等につきましては、今先生の御指摘もございましたように、極力そういった地方のいわゆるミニプロジェクトと申しましょうか、地方的な課題で、特に農業団体やあるいは地方の企業、あるいは地方公共団体等のいわゆる第三セクターと申しておりますけれども、こういった一つの研究開発に対しても積極的に、この機構からこういった出融資の事業をそういった方向に積極的に向けていくように努めてまいりたいと考えております。
#173
○喜屋武眞榮君 次に、野生植物資源確保について確かめておきたいんです。これは主任務としては科学技術庁にも関係するわけでありますが、この場では特に農水省とされてどのように基本的に考えておられるか、こういう意図でお聞きしたいんです。農林水産技術研究にとってこの遺伝資源の確保は絶対に欠かすことのできない重要な課題であり、その中でも野生種の資源は特に重要であるということが強調されるわけでありますが、このことについては科学技術庁との密接なつながりがあるわけです。そのことについて農水省とされてはどのように基本的に考えておられるか、相提携していこうと思っておられるのか、また過去においてどのように提携してこられたか、こういった立場からお尋ねしたいと思います。
#174
○政府委員(櫛渕欽也君) 今先生の御指摘の件でありますけれども、実は野生植物と申しましょうか、こういった資源植物の収集確保の問題で、農林水産省としては現在、これが特に最近のバイオテクノロジーの研究開発の将来の基盤であるという認識で、こういったいわゆる野生種と申した方が正しいかもしれませんが、在来種はもちろん野生種あるいは近縁野生植物、こういったものにつきまして、従来よりもよりその収集に力を入れてまいっており、またそれが必要だと考えておりますが、実は科学技術庁は、そういった資源植物の遺伝資源の収集確保に関しまする資源調査会の答申が出され、その後そういったことについての必要性についての検討を進めておりますけれども、実態としては、そういう収集の施設があるとか、あるいはそういった研究者がおるとか、まだそういう状況にございませんで、現在そういう意味で、いわば作物の育種の素材となるような遺伝資源的な植物につきましては、農林水産省のジーンバンクと、それに関連するものとしては幾つかの大学等が所有しているそういう特定の植物、そういうのが現状でございます。それと都道府県にもございます。
#175
○喜屋武眞榮君 緊密な連絡提携で実をひとつ上げてくださるように希望しておきます。
 次にサトウキビ生産にかかわる技術開発研究についてお尋ねいたします。
 これは特に沖縄とのかかわりが大きいわけですが、沖縄の基幹作目の一つでありますサトウキビは、毎年のようにこの値段が、御記憶にあられると思いますが、所得補償方式かパリティ方式かということでいつも頭を悩ましておる問題であります。生産者の手取り額がこの数年間据え置かれており、非常に厳しい状況にある。さらに最近、糖分の取引、砂糖分の取引が行われることになったために、生産性の向上と品質の向上、この両面から強く要求されてきて、このことが生産農家の置かれた状況を一層厳しいものにして、毎年のように手取り額が据え置かれて農民は浮き沈みしておるわけであります。
 そこでお尋ねしたいことは、現在サトウキビ生産にかかわる技術開発、例えば多収量化、あるいは干ばつ対策、病害虫対策、気象災害対策、地力増進対策等、こういった問題が山積しておるわけですが、これらのことに対してどのような状況か、また今後どのような研究が予想されておるのであるか、お伺いしたい。
#176
○政府委員(櫛渕欽也君) サトウキビに関する試験研究の現状と今後の見通しということでございますけれども、現在サトウキビの研究につきましては、国立の機関では九州農業試験場、これは種子島に試験地がございますが、それから熱帯農業研究センター、これは石垣島にございます沖縄支所、それから鹿児島県、沖縄県の各農業試験場、ここが分担をしながら試験研究を進めている状況でございまして、昨今いろいろな面で成果を得ておりますが、今先生の御指摘のありました重要な五つの点につきまして簡単に御報告いたします。
 まず多収化の問題につきましては、現在最も普及しておりますNCO310という品種がございますが、これをさらに二割程度上回るような有望な系統が九州農業試験場において育成をされております。今後はこういった有望種のいろいろと特性の調査をさらに進めてまいるわけでございますが、現在のところ、こういったものが高糖多収品種というようなことで将来普及していくのではないかと考えております。
 それから第二点の干ばつ対策でございますけれども、この面につきましては、一つは干ばつに強い品種の育成という観点と、もう一つはがん水技術の面と、この両面から研究を行っております。干ばつに強い品種の育成につきましてはなかなか難しくて、現在のNCO310をしのぐようなものがなかなか育成されておりません。したがいまして、かん水の技術というような面で、成果としてはそちらの側にあるわけですけれども、ドリップかんがいが現在非常に有望視されておりまして、今後こういったドリップかんがいについての資材の改良でありますとか水利システム、こういった面の研究が一層進んでいくと考えております。
 それから第三の病害虫対策でございますけれども、これにつきましては、最も重要病害と言われております黒穂病について抵抗性を有する品種NiF4というのとNiF5というのが最近育成されておりまして、その点で今後の黒穂病に対する対策としては相当効果を上げるのではないかと期待されております。さらに重要な害虫でありますハリガネムシ、これにつきましては、沖縄県にあります指定試験事業の中で研究を進めておるところでございまして、この研究によりまして性フェロモン利用によります防除法を開発し、これが実用化の段階に至っていると聞いております。
 それから最後の気象災害の対策でございますけれども、これにつきましては、干ばつ以外に非常に大きな被害を与える風害でございますが、普及している品種の中には、なかなかこの風害に対してNCO310よりも強いものが生まれておりません。そういったことで、さらに強神性品種の育成という観点、これについて研究を進めているわけでございます。
 それともう一つ地力増進対策でございますけれども、これについては有機物投入ということをもっていろいろと検討しておるわけですが、ケーントップなどの収穫残滓を還元するといった方法でかなりの地方の増強が図れるということが確認されましたので、そういう手段を一層地方対策として講じていきたいということで進めておる状況でございます。
#177
○喜屋武眞榮君 多収化の310号とおっしゃったのですか。
#178
○政府委員(櫛渕欽也君) NCO310よりも二割ほど収量の高い系統が育成されました、そういうことでございます。
#179
○喜屋武眞榮君 次に今度はサトウキビに関連した機械化の面との結びつきでありますが、沖縄におけるサトウキビの生産においては、品種改良の研究とともに機械化に伴う研究の必要性が指摘されておる。それは沖縄の立地条件、さらに、これは全国的にも言えるが、老齢化の問題あるいは婦人の労働力の問題、こういうものとも関連があります。特に沖縄の場合に、キビの収穫期における労働力の問題、これが一番生産費につながる大きなウエートを占めておるわけです。この面をいかに機械化していくかということによって大分問題が解決されていく。こういう立場から機械化の問題が重視されるわけであります。特に収穫期に当たっての省力化の面からの研究開発、これが重要課題とされております。
 そこで、今度のこの法律案によって、農業機械化研究所の行っていた業務が機構によって行われることとなる。そうしますと、サトウキビ生産に係る機械の研究開発について今後どのように取り組まれていくのであるか、非常に関心のある、また興味ある問題でありますので確かめておきたいと、こう思って聞いておるわけです。
#180
○政府委員(関谷俊作君) サトウキビは、先生の御質問のとおり、労働強度の大変高い作物でござ
いますので、最近の就業状況から見ますと、機械化を一層推進する必要があるわけでございます。
 収穫機の開発につきましては、これはもう先生よく御承知のように、機械化研究所が四十七年以来ずっとやってまいりまして、最初歩行用小型刈り取り機を開発して、これは市販されたわけでございますが、沖縄にはこれは導入されておりませんで、現在我々のいわば一つのホープのように考えておりますのは、昭和五十年から五十五年の間研究しまして五十七年度に製品化された乗用中型細断式収穫機という、刈り取りから脱葉、細断、風選、袋詰めまで一行程で行うことのできる乗用型の収穫機でございます。クローラーを備えて大変走行性もすぐれている、こういうものでございまして、既に補助事業で十一台沖縄県へ導入されておるという実績も持っているわけでございます。
 こういう研究の成果、蓄積、また実績がございますので、新機構に移行しました場合、これまでこういう研究をやっておりました研究所の研究第四部のこの関係の研究体制をそのまま新機構に移行して引き継ぎまして、これから例えば今の機械につきましても、製品の耐女性、安全性、いろいろなそういう面での向上をさらにして、機械化技術の開発を進める、こういう課題もございますので、これまでの体制をさらに継続して、沖縄において大変大事なサトウキビの機械化促進、収穫過程の機械化の促進について研究を続けてまいりたいと思っております。
#181
○喜屋武眞榮君 今の点、ひとつよろしくお願いいたします。
 それから次に、特に大臣の御理解も賜って御協力をお願いしたいことがございます。それは人材養成の立場からであります。これは文部省の主管になるわけでありますけれども、内容的にはぜひひとつ農水大臣のお力添えをお願いいたしたい。それは次のことであります。
 現在、琉球大学に自然科学系の総合大学院博士課程の設置を今検討されております。その中に熱帯生物資源化学専攻も含まれていると、こういう情報を受けております。これが実現しますれば、いわゆるバイオテクノロジーの開発研究にとって沖縄は最もふさわしい地域、土地であります。高級技術者養成のための重要な拠点ができるわけでありまして、そこで現在不足しておる人材養成に大きな役割を果たす、こういう期待が持てるわけであります。それで、もう文部省としても早急に対応すべきであると、こう思うわけでありますが、特に内容的に、また側面的に大臣のお力添えを願って、ぜひこれを実現さしていただきたいということを強く申し上げまして大臣の御所見を承りたいと思うんです。
#182
○国務大臣(羽田孜君) 実は、その大学院の設置につきましては、私もよくまだ承知しておりません。また私の立場で果たして論評することがいいのかどうかあれでございますけれども、しかし、まさに生物資源、特に亜熱帯の生物資源につきましては、沖縄の地域というのはこれは最もあれでございますし、もしまたそこにそういった大学院が設置されるということになるとするならば、生物資源研究の担い手の育成にも大変大きな役割を果たすであろうというふうに考えております。
 そういうことで、私どももよく念頭に置きながら、もし機会があったら何かお手伝いすることがありましたら、私ども懸命にお手伝いしていきたいというふうに考えております。
#183
○喜屋武眞榮君 ぜひひとつ重大な御関心をお持ちくださって実現をさせていただきたい。よろしくお願いします。
 次に、私きのうも中村参考人にもお尋ねしたことがございますが、戦後、特に最近、日本人の体質がアレルギー化しておる、こういうことをよく聞かされるのであります。そのことについて厚生省にお伺いしたい。
 同時に、このことは農水省とされましてもぜひ重大な関心を持っていただきたい。といいますのは、食生活と健康あるいは食生活と寿命、こういうつながりにおいて非常に重大な関係があるからであります。
 それで、アレルギー化というのは、私の聞く範囲では、よく最近、日本人の体質がたんぱくアレルギーあるいはピリン系のアレルギーあるいは花粉アレルギー、こういったいろんなことを聞かされるわけでありますが、これは日本人の食生活と重大な関係があると私は思っておるわけですが、そのことについて厚生省は実態を把握しておられるか、またそれに対してどう対応しておられるか、対策を持っておられるかをまずお聞かせ願いたいと思います。
#184
○説明員(伊藤雅治君) 食べ物とアレルギーの関係につきましては、近年実地医家及び研究者の間でも非常に関心を持たれているテーマでございまして、かなり食物アレルギーがふえているという報告も聞いているところでございます。食べ物が原因となりまして生体にアトピー性皮膚炎でございますとか、胃腸アレルギー、鼻アレルギー、ぜんそくなどの多種多様の症状が引き起こされるわけでございます。この発症機序につきましては、免疫学的な機序によるもの及び非免疫学的な機序によるもの、二通りあるというふうに聞いているわけでございますが、この双方とも現時点におきましては不明の点が多うございまして、信頼し得る検査法も現在乏しく、診断等におきましてもかなり困難を伴っているというふうに理解しております。
 そこで、厚生省としましてはいろいろなこれに関連する研究テーマの研究を現在続けておりますが、また健康体力づくり事業財団等におきましても、食品とアレルギーの関係についても現在研究を進めているところでございます。これらの研究成果をできるだけわかりやすい形で、国民の食生活の参考とするようなパンフレット類等につきましても、この研究成果を踏まえてつくりたいと実は考えているところでございます。
#185
○喜屋武眞榮君 この問題につきましては、さらに質疑を深めたいという気持ちもありますけれども、時間の関係でやむを得ませんので次の機会に譲りたいと思いますが、特に先般中近東、東南アジアの国際自然医学協会のシンポジウムが東京でありまして、そこで長いディスカッションがあったんですが、その結論として人間の寿命をはかるのは生涯においてどれだれ野菜を多く食べたかというその量が寿命のバロメーターであるという結論、みんな一致しておりました。国際医学の皆さんが来ておられましたが、そういうことで野菜食物は人間の寿命に重大な関係がある、こういうことを私、聞きまして、非常に興味を持っておりますが、このことは次にいたしたい。
 私、大変失礼なことをしまして、先ほど大臣に琉大の医学部のことをお願いしましたが、実は文部省にもせっかく来ていただいておりますので、文部省にも一言お願いをいたしたいと思います。私の要望は先ほどお聞きくださったと思いますが、農水大臣もヘルプしてくださるとおっしゃってくださいましたので、文部省とされまして、実現しますように御努力をお願いしたいという願いを込めて最後に文部省にお願いいたします。
#186
○説明員(佐藤禎一君) 琉球大学におきましては、近年計画的に大学院の整備を進めておられまして、修士課程でございますが、理学研究科、農学研究科、それに続きまして昨年度には工学研究科、さらには本年度には保健学の研究科、そういったものを整備してきておるわけでございます。引き続きまして、六十二年度には大学としてはとりあえず医学研究科を整備したい、こういう計画があるというふうに私どもは承知をいたしております。
 お尋ねの自然科学研究科につきましては、実は私ども事務的にはまだ大学から内容をお聞きいたしておりませんが、お話によりますと、大学の中で現在構想の取りまとめを行っていらっしゃる、中間的な報告を出されたそうでございますが、なお学内の意見を取りまとめた上で御要求なさる、こういう段取りだと伺っておりますので、大学での意見の集約を待ちまして検討さしていただきたい、こういうふうに考えております次第でござい
ます。
#187
○喜屋武眞榮君 ぜひひとつお願いしますよ。
#188
○委員長(成相善十君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#189
○下田京子君 私は、日本共産党を代表し、生物系特定産業技術研究推進機構法案に対して、反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、本法案が大企業の利益に奉仕し、国民の福祉や生活向上に反する内容となっていることです。
 これまでも政府は、民間活力の活用と称して、私の質問でも明らかにしたように、三菱化成や三井東圧、日立製作所などの大企業が進めるバイオテクノロジー等の先端技術開発に補助金を交付するなど積極的な助成を行ってきました。今回の法案はさらに機構を設立し、国の資金を出資したり、研究が成功しなければ無利子という特別に有利な条件での融資を大企業中心の民間研究に行おうとするものです。
 しかも問題は、国の資金を活用した研究でありながら、研究成果はすべて開発した企業に帰属し、研究内容や成果の公表の義務が一切ないということです。
 言うまでもなく、バイオテクノロジーの研究開発には未解明な部分も多く、細菌研究などはその手法いかんでは軍事利用の可能性も秘められています。それだけにその研究開発に当たっては、国が責任を持って公的規制と公開の原則に基づき進めることが不可欠の条件です。本法案にはそうした規制がないばかりか、役職員及びその職にあった者にまで秘密保持を義務づけている点で極めて反民主的な悪法と言わざるを得ません。
 反対の第二の理由は、単に資金面ばかりか、国の試験研究機関等を大企業奉仕のため総動員する体制づくりが本法案による機構によって進められるということです。
 機構は、国と民間との共同研究のあっせん、国の遺伝資源の提供のあっせん、さらに民間からの受託研究を実施することとしています。これは産学官共同の名のもとに、大企業の研究開発のため、人も施設も情報も提供しようとするものです。特に私の質問で明らかにしたように、研究交流促進法とも関連し、受託研究において、機構を通じて国の研究者の事実上の民間出向や、特許権を委託者である民間企業への全面譲与に道を開くものです。この点は文字どおり経済団体連合会等財界の要望に忠実にこたえたものです。
 しかも、こうした民間企業との研究交流は、本来自主、民主、公開の三原則に基づいて進められるべき国の試験研究が企業秘密というベールに覆い隠され、国全体の研究の民主的発展を阻害し、また臨調行革路線のもとで現行の国の研究や業務体制が縮小され、真に必要な国の基礎的研究や技術が後退させられることにつながりかねません。また、農機具の安全研究など、特に充実を求められている農業機械化研究所を廃止し六機構に取り込んだことは、その業務の縮小につながる心配も大きく、農民要求にも反するものです。
 我が党は、バイオテクノロジーを初め科学技術の進歩と発展が人類の生活向上と繁栄に大きく寄与してきたことや、今後ともそうした科学技術の発展が農業を初め私たちの未来に大きな展望を開くものであることを期待しています。そのためにも我が党は、ハイテクを初めとする基礎的研究や技術開発は、大企業本位ではなく、国が責任を持ち、自主、民主、公開の原則の上で進めるべきであることを強調し、反対討論を終わります。
#190
○委員長(成相善十君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 生物系特定産業技術研究推進機構法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#191
○委員長(成相善十君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 浦田君から発言を求められておりますので、これを許します。浦田君。
#192
○浦田勝君 私は、ただいま可決されました生物系特定産業技術研究推進機構法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    生物系特定産業技術研究推進機構法案に対する附帯決議(案)
  バイオテクノロジー等の生物系特定産業技術は、農林漁業等に生産性の飛躍的な向上、新製品の開発等の画期的な技術革新をもたらす可能性を有している。
  よって、政府は、その試験研究について、安全性等の問題にも留意しつつ、適正な推進を図るとともに、本法の施行に当たり、次の事項の実現に遺憾なきを期すべきである。
  一 生物系特定産業技術研究推進機構の運営に当たっては、農林水産政策等との整合性に留意しつつ、その成果が、広く農林漁業等の振興に活用されるよう努めるとともに、機構の利用が、少数の企業に偏ったり、企業の私的な利潤追及のためにのみ行われたりすることのないよう配慮すること。
  二 機構の円滑かつ自主的な運営に資するため、必要な資金及び人材の確保に努めるとともに、その大事については、設立の趣旨、業務の性格等に即し、内部人材の登用を含め、適材適所による適正な人員配置を行うこと。
  三 民間研究促進業務の中心となる出融資事業については、研究プロジェクトの選定、研究成果の評価等を行う専門的審査体制を整備し、事業の公平な運営及び資金の有効活用を期すること。
  四 農業機械化促進業務については、農業機械化研究所が果たしている役割の重要性にかんがみ、従来の機能及び国際的評価が損われることのないよう、組織、業務運営等に十分配慮するとともに、同研究所の職員については、機構への継続雇用により、その身分を保障し、給与等の勤務条件にも不利益を生ずることのないよう措置すること。
   また、農業機械の試験研究、検査等に当たっては、農業労働力の高齢化、女性化等の実態に即応して、機械の安全性の確保等に十分留意すること。
  五 農林漁業等に関する技術の試験研究については、基礎的研究の重要性にかんがみ、この分野で主導的な立場にある国等の公的研究機関による研究の一層の充実を図るとともに、農林漁業者及びその団体による研究開発の推進についても、十分配慮すること。
  六 バイオテクノロジー等の先端技術の研究を推進するに当たっては、生産災害発生の危険性等について十分配慮し、適正な試験研究が行われるよう、指導、監督に万全を期すること。
   また、その実用化に際し、安全性の確保等について事前評価するための体制の早急な整備に努めること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員の皆様の御賛同をお願い申し上げます。
#193
○委員長(成相善十君) ただいま浦田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#194
○委員長(成相善十君) 多数と認めます。よって、浦田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、羽田農林水産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。羽田農林水産大臣。
#195
○国務大臣(羽田孜君) ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
#196
○委員長(成相善十君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#197
○委員長(成相善十君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#198
○委員長(成相善十君) 次に、農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案及び農林中央金庫法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次両案の趣旨説明を聴取いたします。羽田農林水産大臣。
#199
○国務大臣(羽田孜君) 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農水産業協同組合貯金保険制度は、信用事業を行う農協、漁協等が貯金等の払い戻しを停止した場合に、農水産業協同組合貯金保険機構が貯金者たる農漁業者等に対し保険金の支払いを行うことを内容とするものであり、一般金融機関を対象とする預金保険制度とともに、貯金者保護及び信用秩序の維持を図る上で重要な役割を果たしているものであります。
 近年における金融自由化の進展に伴い、一般金融機関の場合と同様、信用事業を営んでいる農協、漁協等の経営環境は一段と厳しくなるものと予想されております。
 政府といたしましては、このような状況に対処して、農協、漁協等において、貯金等の払い戻し停止が予想されるような経営困難が生じた場合に有効に対応できるよう、農水産業協同組合貯金保険機構の業務を拡充することとし、これにより貯金者保護と信用秩序維持に万全を期するため、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
 第一に、機構の業務を拡充し、貯金等の払い戻しを停止するおそれがある農協、漁協等の救済のためにこれと合併する農協、漁協等に対し、または組合系統組織における相互援助取り決めによりその合併もしくは信用事業再建措置を援助する農協、漁協の連合会等に対し、機構が資金援助を行うことができることとしております。
 第二に、保険金の支払い方法を改善し、保険事故が発生した場合において、貯金者等の保護のため必要な場合には、早期に仮払金の支払いを行うことができることとしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 次に、農林中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農林中央金庫は、大正十二年に特殊法人たる産業組合中央金庫として設立されて以来、六十余年にわたり、農林漁業者の組織する協同組合等に対する金融の円滑化を通じ、我が国農林水産業の発展に貢献してきたところであります。
 この間、協同組合系統組織の事業活動の充実に伴い、逐次制度の改正を行い、現在では、民間資金のみを資本金としており、また役員の選任に対して政府の関与が行われていない等所属団体による自主的な業務運営体制を整えるに室っているものであります。
 このような経緯にかんがみ、政府といたしましては、特殊法人の経営の自立化及び活性化の一環として、農林中央金庫の民間法人化を図ることとした次第であります。
 他方、最近における金融の自由化の進展等を背景とした農林中央金庫をめぐる金融環境の変化には著しいものがあり、農林中央金庫の業務に対する所属団体その他の取引先のニーズも多様化してきております。
 政府といたしましては、このような状況を踏まえ、農林中央金庫について、農林漁業者の組織する協同組合等に対し金融上の便益を供与することを第一義的使命とする基本的性格を維持しつつ、民間法人化のために必要な措置を講ずるとともに、金融環境の変化に即応した業務機能の整備を図ることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、本法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農林中央金庫の民間法人化を図るために必要な規定の整備であります。
 農林中央金庫の民間法人化を図るため、政府の出資資格を廃止するとともに、総務庁設置法における特殊法人に関する審査、調査等の規定の適用対象から除外することとしております。
 また、資本金の増減、剰余金の処分等に係る政府の関与を縮小する等民間法人化に伴い所要の規定の整備を行うこととしております。
 第二に、最近における金融環境の変化に対応するために必要な業務に関する規定の整備であります。
 まず、所属団体その他の取引先の事業活動の円滑化に資するため、貸し付けに係る期間制限等の規制を撤廃するとともに、新たに金銭債権の取得または譲渡の業務及び債券の募集の受託等の業務を行い得るようにすることとしております。
 また、債務保証業務及び出資等の払込金の取り扱いの業務の範囲を拡大することとしております。
 さらに、金融機関としての機能の整備を図るため、預金の受入対象者の追加、余裕金の運用対象範囲の拡大等を行うこととしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#200
○委員長(成相善十君) 次に、両法案の補足説明を聴取いたします。後藤経済局長。
#201
○政府委員(後藤康夫君) 農水産業協同組合貯金保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提案いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容を若干補足させていただきます。
 第一に、農水産業協同組合貯金保険機構の業務として新たに加えられる資金援助業務の対象につきましては、主として信用事業に起因して、貯金等の払い戻しを停止するおそれがあるか、または貯金等の払い戻しを停止した農協、漁協等としております。
 第二に、機構が行う資金援助業務の方法につきましては、基本的に金銭の贈与、資金の貸し付けもしくは預け入れ、資産の買い取りまたは債務の保証もしくは引き受けとしております。
 第三に、機構が行う資金援助を農協、漁協またはこれらの連合会等が受けるための手続につきましては、資金援助を受けようとする農協、漁協またはこれらの連合会等は、あらかじめ、合併または信用事業再建措置について、都道府県知事による適格性の認定またはあっせんを受けなければならないこととしております。この場合において、都道府県知事は、その合併等が貯金者等の保護に資すること、機構による資金援助が不可欠であること等の要件を充たすときに、主務大臣の承認を経た上で、適格性の認定等を行うことができるものとしております。
 第四に、機構が行う資金援助の決定につきましては、農協、漁協またはこれらの連合会等から機構に対して資金援助の申し込みがあったときは、機構は、主務大臣の認可を受けて、資金援助を行うかどうかを決定しなければならないこととしております。
 このほか、機構の理事の任期を二年とする等所要の規定の整備を行うこととしております。
 以下をもちまして、農水産業協同組合貯金保険
法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
 引き続きまして、農林中央金庫法の一部を改正する法律案について、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容について若干補足させていただきます。
 第一に、農林中央金庫の民間法人化を図るために必要な規定の整備であります。
 その一は、政府の出資資格の廃止であります。
 農林中央金庫は、大正十二年に政府出資を受けて発足したものでありますが、昭和三十四年以降は民間資金のみを資本金としており、また、経常的経費についても補助金等を受けていない等自主的な業務運営を行うに至っているものであります。
 このような状況を踏まえ、今回、農林中央金庫の経営の自立化及び活性化を図る観点から政府の出資資格を廃止しようとするものであります。
 その二は、これに伴い、総務庁設置法における特殊法人に関する審査、調査等の規定の適用対象から農林中央金庫を除外することであります。
 その三は、資本金に関する規定の整備であります。
 農林中央金庫の資本金制度につきましては、その経営の基礎を明確にする等の観点から、資本金額及び出資一口の金額を法定するとともに、増資に際しては認可を必要とすることとしていたものでありますが、民間法人化に伴い、これを、他の民間金融機関の法制度にならい、資本金の最低額を法定するとともに、資本金の減少に際しては主務大臣の認可を、資本金の増加に際しては主務大臣への届出をそれぞれ必要とすることに改めることとしております。
 その四は、登記に関する規定の整備であります。
 農林中央金庫の登記につきましては、これまでほとんどの登記が主務大臣の嘱託により行われることとされておりましたが、これを当事者の申請に基づく豊記に改めることとするものであります。
 その五は、役員に関する規定の整備であります。
 副理事長及び理事につきまして、これまで理事長が出資者総会の同意を得て任命することとなっておりましたのを出資者総会において選任することに改めるとともに、理事の任期につきましては、現在四年とされているところでありますが、今後の業務運営に当たり経営の活性化を図る等の観点から、これを三年に改めることとしております。
 その六は、業務運営に係る政府の規制の緩和であります。
 農林中央金庫の自主的運営を助長するため、金融機関に対する貸し付け及び剰余金の処分に係る主務大臣認可を廃止することとしております。また、剰余金の処分に係る認可を廃止することに伴い、農林中央金庫の準備金の積み立て、剰余金の配当等につきまして、協同組合原則にのっとった所要の規定を整備することとしております。
 このほか、民間法人化に伴う所要の規定の整備といたしまして、主務大臣による従たる事務所の設置命令を廃止するとともに、これまで産業組合法の準用によっておりました農林中央金庫の定款記載事項及び名称使用制限に関する規定につきましては、法人としての基本的事項に関するものでありますので、これを総則中の規定として整備することとしております。
 第二に、最近における金融環境の変化に即応し、所属団体その他の取引先のニーズにこたえるとともに金融機関としての機能の整備を図るために必要な業務規定の整備であります。
 その一は、これまで貸付期間の制限や定期償還貸し付け、年賦償還貸し付け等の貸付方法の区分を設け、それぞれ規制を行ってきたところでありますが、このような規制は今日の金融情勢のもとでは必要性に乏しく、他の民間金融機関の法制度においても、かかる規制を行っていないことからこれを廃止するものであります。
 その二は、新たに金銭債権の取得または譲渡の業務を行い得ることとすることであります。
 これは最近、資産運用の選択が多様化しているとの実態を踏まえ、所属団体等のニーズにこたえようとするものであります。
 その三は、債務保証業務及び出資または株式の払込金等の取り扱いの業務の対象範囲を拡大することであります。
 これらの業務は、信用供与に伴う金融サービスとして最近重要性を増しておりますことから、これら業務の対象者を農林中央金庫が貸し付けを行い得る者まで拡大することとしております。
 その四は、新たに貸付先のために、社債等の債券の募集の受託の業務及び担保附社債信託法による信託の業務を行い得ることとすることであります。
 これは近年、企業等が社債等の発行により資金の調達を行います場合には、当該企業等にとっての主たる融資機関が募集の受託等の業務を行うことが一般的になっておりますので、農林中央金庫におきましても関連産業法人等の貸付先のために本業務を行い得るよう法律上の規定を整備するものであります。
 その五は、預金の受入対象者の追加であります。
 これは、決済の利便に資する等のため、農林中央金庫が預金の受け入れを行い得る対象者として、新たに、貸し付けを行い得る者、継続的に為替取引を行う者、業務代理により貸し付けを行った者等を追加するものであります。
 その六は、新たに、公益事業法人の業務の一部の代理を行い得ることとすることであります。
 これは所属団体等のニーズに応じ、ガス料金、電気料金等の公共料金の収納を行い得ることとするためのものであります。
 このほか、農林債券の円滑な市場消化を図る観点からその募集の委託を受けた証券業者に対して資金の貸し付けを行い得ることとするとともに、農林中央金庫の余裕金の運用対象に金銭債権、金銭信託等を加えることとするほか、罰則の整備、関係法律の改正等所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上をもちまして、農林中央金庫法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
#202
○委員長(成相善十君) 両案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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