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1985/03/20 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第2号
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1985/03/20 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第2号

#1
第104回国会 社会労働委員会 第2号
昭和六十一年三月二十日(木曜日)
   午前十時一分開会
   委員の異動
 三月六日
    辞任         補欠選任
     佐藤 昭夫君     近藤 忠孝君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     佐藤 昭夫君
  出席者は左のとおり
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                大浜 方栄君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                糸久八重子君
                中西 珠子君
                佐藤 昭夫君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   国務大臣
       労 働 大 臣  林  ゆう君
   政府委員
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働省労政局長  加藤  孝君
       労働省労働基準
       局長       小粥 義朗君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       労働省職業安定
       局高齢者対策部
       長        清水 傳雄君
       労働省職業能力
       開発局長     野見山眞之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       日本国有鉄道職
       員局次長     葛西 敬之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (労働行政の基本施策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○糸久八重子君 私は、日本社会党を代表いたしまして、大臣の所信表明の中にございます長期的な労働政策問題、それからパート労働者の問題、中国残留孤児の雇用対策の問題、国鉄に働く労働者問題等についてお伺いをしたいと思います。
 まず、労働大臣は所信表明の中で、「二十一世紀を展望した長期的な労働政策ビジョンを策定し、総合的な労働政策を樹立してまいります。」と述べられていらっしゃいます。今、労働行政は大きな歴史的転換期を迎えて、適切な対応が強く要請されております。そして、その力量が問われておるわけでありますが、長期的な労働政策ビジョン策定の理由、その趣旨を労働大臣にお伺いをしたいと思います。
#4
○政府委員(岡部晃三君) 先生御指摘のように、現在我が国の経済社会環境は非常に目まぐるしく変化をいたしております。構造変化と言うべきものが進んでいるわけでございまして、このような変化は、今後二十一世紀に向かいましてさらに進展するものと予想されるわけでございます。勤労者生活に対する影響も非常に大きいものと予想されますので、そのような中で豊かな勤労者生活を達成いたしますために活力ある企業経営、豊かな勤労者生活ということで長期政策を検討することとしているわけでございます。
 そこで、具体的な検討項目といたしましては、高齢化社会における職業生涯の問題、女子の職場進出とキャリア形成の問題、技術革新の経済社会及び労働への影響、産業や地域構造の変化と労働問題、日本的経営の将来と労使関係、勤労者の生活と福祉、国際化の進展と労働問題、こういった項目に分けまして、現在それぞれ検討を進めているところでございます。
 発表時期につきましては、問題がこのように非常に広範囲でございますので、一年程度じっくり検討が必要かというふうに考えている次第でございます。
#5
○糸久八重子君 理由と趣旨をお伺いしたわけですけれども、検討項目とか発表の時期までお答えいただきまして、ありがとうございます。
 二十一世紀に向けて予想される労働を取り巻く各種構造変化の展望については、現時点ではどう予測し、認識していらっしゃいますでしょうか。
#6
○政府委員(岡部晃三君) この構造変化の内容でございますが、先ほどの項目にその一端が示されていると思うのでございますが、やはり高齢化というものが非常に大きなインパクトを持つ、それから、世界的な潮流といたしまして、女子の職場進出あるいはキャリア形成の問題というふうなことが大きく出てまいってこようかと思うのでございます。それから、基本的にはやはり技術革新の問題、これはゆるがせにできないMEの進展の労働への影響ということは大きな課題であろうと思うのでございます。
 そういった中で労働省といたしましては、真の労働者のニーズは何であろうか、これはやはりその生活、生涯を通じまして真の福祉とは何かということを模索する、これが労働省の使命であるというふうに考えているわけでございます。
#7
○糸久八重子君 この「長期労働政策ビジョンの策定」の中に、「企業経営や勤労者生活の面に様様な影響が及ぶものと予想される。」と、そう書いてあるんですけれども、「様々な影響」、具体的に言いますとどういうことが予想されますか。
#8
○政府委員(岡部晃三君) 一つ大きな問題といたしまして、企業経営あるいは労働者の生活の中で、例えば人事、労務管理の面におきまして非常に大きな変貌が予想されるところでございます。例えば卑近な例で申しますというと、果たしてこの高齢化社会におきまして十分にそのポストが確保され得るであろうか。そうなりまするというと、例えば窓際族問題でございますとか、あるいは言いますところの資格職能制度問題、そのような身近なところから大きな問題がこれは予想されるというふうに考えております。
 私どもといたしましては、この技術革新の進展というふうな点につきましては、例えばそのシンポジウム等において検討したわけでございますが、言うなれば労働態様のさま変わりというふうなものがこれから押し寄せてくるものと予想して
おるところでございます。
#9
○糸久八重子君 労働省は、一九八〇年十二月に「週休二日制等労働時間対策推進計画」というものを発表いたしましたね。その中では、一九八五年までを一つの区切りとして年間労働時間二千時間を実現すべく努力をするという中身であったと思います。しかし、二千時間は実現することができなかったわけですけれども、その理由としてはどういうことが挙げられますか。
#10
○政府委員(小粥義朗君) 五十四年時点の労働時間の実情を踏まえまして、昭和五十五年に今お尋ねの計画を立てて推進を図ったわけでございますが、従来の高度成長期に比べますと、二度にわたるオイルショックを経験しました後、我が国産業界のいわゆる生産性の上昇率も相対的に低下をいたしてきております。これが基本的には一番大きな理由ではないかと思うわけでございますが、もう一つは、二度のオイルショックを経験しまして、企業のサイドで非常に新規雇用に対する対応が慎重になる傾向が出てまいったというふうに私どもは見ております。そのために、むしろ雇用増よりも労働時間の調整でもって、言うならば景気の変動に対応する雇用調整を図ると、こういう傾向が出ておりますために、どちらかといえば比較的控え目な雇用量でもって対応し、景気がよく産業活動が活発になりますと残業時間がむしろ延びるという傾向が見られるようでございまして、その辺が総体としての実労働時間の短縮につながらなかったと、こういう大きな理由ではないかと思っております。
 所定労働時間それ自体は、昭和五十五年以降わずかでありますが減っているんですけれども、残業時間がむしろふえぎみであるというところに計画が達成できなかった一番大きな理由があると思っております。
#11
○糸久八重子君 行政指導には不十分な点はございませんでしたか。
#12
○政府委員(小粥義朗君) 計画に基づきまして私ども行政指導を展開してまいったわけでございますが、確かに中小企業と大企業では非常に格差がございます。
 大企業の場合は、残業問題につきましても、大体労働組合が存在し、三六協定を通じてチェックをしていくということもできているわけでございますが、そのために残業時間についてのガイドラインといったものも関係審議会の議を経まして公表し、それに基づいての指導をしているわけですが、特に中小企業の場合には、やはり経営基盤の弱さといったものが根底にありますために、必ずしも時間短縮が思うように進まない。
 と同時に、もう一つは、中小企業の場合、所定労働時間を短縮するにしましても、コストアップにつながるといった問題もあることはございますが、むしろ同業他社との関係あるいは取引先との関係から、一社限りでなかなか時短ができないといった事情が現実にもございます。そのために、従来は個別企業に対してそうした働きかけをしていたわけでございますが、それではなかなか進まないというところも私ども反省をいたしまして、これからは事中小企業に関しましては集団を対象にして効率的な指導を展開していきたいと、こういうふうに考えております。
#13
○糸久八重子君 労働時間短縮の目的達成に向けて公の機関、企業体が率先して模範を示すべきと考えますけれども、大臣いかがでございますか、その辺については。
#14
○国務大臣(林ゆう君) 労働時間の短縮は行政の重点課題の一つとして私ども取り組んでいるわけでございますが、経済計画あるいはリボルビング報告及びまた内需拡大に関する対策に基づきまして、昭和六十五年度まで、当面の目標といたしましては年間休日の十日程度を増加さしていくとか、あるいは年間の実労働時間を二千時間にするとか、そういったようなことを積極的に進めているわけでございますが、民間企業にはそういったようなことで、それから、あとは金融機関もことしの八月からはまた週休を二日にするとかいうような話も出ているようでございます。そして国家公務員にとりましては、いわゆる先憂後楽というようなこともございまして、まだそこまでいってないというところもございますが、労働省といたしましては、時間短縮につきましては、今申し上げたようなことで取り組んでいるような次第でございます。
#15
○糸久八重子君 ちょっとよく内容がわからなかったんですが、いずれにいたしましても、やはり一番短縮できる機関で率先して、例えば公の機関とか企業体とかというところでは模範を示すような時間短縮をやっていかなければなかなか進まない、そう私は考えるわけでございます。
 それから昨年、「労働時間短縮の展望と指針」というのを労働省お出しになっておりますけれども、これは「昭和六十年代前半における労働時間短縮の展望と指針を示す」として、週休二日制とか年次有給休暇の消化とか連続休暇、所定外労働時間の短縮等々挙げておるわけですけれども、一体労働省としては六十年代前半に年間労働時間を何時間にするということなのでしょうか。何かはっきりそこのところ書いてないんですがね。
#16
○政府委員(小粥義朗君) お尋ねの「展望と指針」の中で具体的に二千時間を目標とするということはうたっておりませんけれども、その「展望と指針」自体が、先ほどお尋ねのございました推進計画を踏まえまして、その考え方を引き継ぎながらさらにきめ細かくやっていく、こういう考え方でございます。
 したがいまして、考え方としては、昭和六十年代前半、つまり昭和六十五年度までに年間の総実労働時間が二千時間を割るようにしたいというのを一つの目標にしているわけでございまして、その点は実は政府の経済審議会のリボルビング報告の中にもうたわれておりますし、あるいは内需拡大に関します対策の中でいろんなことを具体的事項として挙げておりますが、そうしたものの前提としては、政府としての当面の目標は、昭和六十五年年間二千時間というものを一つの目標としまして進めようというつもりで今進めているところでございます。
#17
○糸久八重子君 具体的に数字を今おっしゃられたわけですけれども、経済企画庁の国民生活審議会は中間報告といたしまして、昨年の六月に「長寿社会への構図 人生八十年時代の新たな経済社会システム」というのを発表いたしまして、労働時間は二〇〇〇年には年間千八百時間程度として、個人生活での自己実現が可能なようにするとしているわけですね。
 それから、通産省の産業構造審議会では、ことしの二月に「二十一世紀産業社会の基本構想」、これは中間報告ですけれども、それを発表して、二十一世紀に向けて年間実労働時間を千九百時間内にまで引き下げるように努める必要があると、そうしているわけですね。
 各省庁から労働省のお株を奪うようなこういう提言がなされているわけですけれども、やはり「長期労働政策ビジョン」でも、労働時間のあり方については、検討項目の中には労働時間ということがはっきりとうたわれていないで、勤労者の生活と福祉とかというような形であらわれているわけですけれども、やはり労働時間のあり方についてもきちっと項目を入れて検討をしていく必要があるのではないかと、そう思うわけですけれども、いかがでしょうか。
#18
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘のとおり、労働省としての政策の目標として労働時間をそれでは二十一世紀どの程度のものを目標として想定していくか、これは必要だろうと思っております。今までほかのいろいろな審議会で二十一世紀の数字が千九百時間である、あるいは千八百時間であると出ております。私ども、先ほどお答えしましたように、昭和六十五年二千時間というのは当面の目標として掲げているわけでございます。国民生活審議会あるいは産業構造審議会、そちらの方では二十一世紀を展望してのものでございます。それは千八百時間、千九百時間、それぞれいろんな考え方の違いで数字の差はございますけれども、こうした問題が実はいろいろと提起されてくること
は、私ども労働時間短縮に関する国民全般の関心を高めるためにもむしろ結構なことではないかと思っておるわけでございます。それは、それぞれの審議会の立場で何を重点に考えた場合の数字であるかによっていろんな差が出てくるかと思います。今まで出ておりますのは産業構造の面からくる問題、これは実はむしろ現在のアメリカの水準に合わして千九百時間といったような考え方が出ているようにも聞いておりますけれども、一方、国民生活審議会の方では、今後の生産性上昇率のうち一定部分を労働時間短縮に振り向ける。それは、仮に年一%であれば、昭和七十五年である二十一世紀には、昭和六十五年を二千時間に想定した場合に一〇%程度の短縮が見込まれるといった意味で千八百時間と、こういういわゆる国民経済的な視点から出ているようにも承知しております。
 したがいまして、労働省として二十一世紀の労働者生活のビジョンを考える場合に、労働者の生活のあり方から見て、年間の実労働時間というのはどの程度が一番望ましいのかという生活面からの視点をいろいろ織り込んだ目標を明確にする必要があると私ども思っておりますので、先ほどお答えありましたビジョン懇談会の中ではぜひそうしたものを明確にしていただきたいというふうに考えております。
#19
○糸久八重子君 やはり労働省は政策官庁として、労働政策とかそれからこの時短の問題、これからの将来戦略についてリーダーシップをとるような形でもっと積極的に脱皮をしていっていただきたいと思うわけですけれども、大臣、その辺の決意をお聞かせください。
#20
○国務大臣(林ゆう君) 先生御指摘のように、労働者の生活の向上、健康の保持ということは、これはもう何といたしましてもゆるがせにできない大事な課題の一つでございますので、先ほど局長の方から御答弁もありましたように、二十一世紀に向けての長期ビジョンにつきましては、長期労働政策ビジョン懇談会というものも発足したばかりでございますが、ここ一年くらいの間にはそのおよその結論を出してもらいまして、それに対応してこれからよりよき労働者の生活のために私どもは一歩も二歩も踏み込んでやってまいりたい、このように思っている次第でございます。
#21
○糸久八重子君 次に、高齢者の職場確保の問題について入りたいと思いますが、所信表明の中に、「六十五歳程度までの高年齢者の雇用就業の場の確保は、早急に対処しなければならない極めて重要な国民的課題であります。」、そう述べておられます。経済低成長とか技術革新による省力化、労働力の増加等の動向を踏まえるならば、高年齢者の雇用の場の拡大は我が国の完全雇用政策の中核的な関心事であると思いますし、また、その政策手段の主要な位置を占めるものといたしましてワークシェアリングに対して労働大臣はどうお考えになっていらっしゃるのか。そしてそのワークシェアリングの具体的な方策の検討を開始していただきたいと思うのですけれども、そのあたりについてお伺いいたします。
#22
○政府委員(小粥義朗君) 労働時間と雇用の関係につきましては、先生御指摘のように、労働時間を短縮し、一定の限られた労働力需要というものをできるだけ多くの人に均てんさせるという意味のワークシェアリングの必要性は、これからの我が国の労働力事情というものを考えた場合に必要になろうかと思っております。しかし、これは労働時間と雇用が相互にすぐ置きかえられるものでは必ずしもないという面がございまして、特に個別企業の段階で考えた場合に、若干の労働時間短縮が即その企業における雇用の増に結びつくかとなりますと、これは企業の実情に応じて必ずしもそうではない。そうした点は、実は欧米で、フランスあるいは西ドイツでこうしたワークシェアリングを念頭に置いた労働時間短縮も現実に行われておりますが、フランスの成果はどうであったか、あるいは西ドイツの三十八・五時間の結果をどう評価するかといった点についてもいろいろ議論の分かれているところでございます。したがって、そうした労働時間と雇用を相互置きかえるような対応が企業の側で、産業のサイドでとれるような仕組みをとるためには、やはりそれなりの対応に時間がかかるということは否定できない面があろうかと思っております。
 したがいまして、長期的に見た場合、当然このワークシェアリングといったことが、労働時間短縮をしながら雇用をふやすというものが我が国においても必要になると思いますが、それが我が国の産業界に摩擦なく導入できるようにするためには、賃金の問題と労働時間の関係とかいろいろな調整を要する問題もあるわけでございますので、そうした点を労使とも十分理解してもらう中で、一番スムーズに円滑に進むような手法を今後行政としても研究をし、また推奨をしていきたい、こういうふうに考えております。
#23
○糸久八重子君 次に、高齢者のパートタイム雇用機会の問題についてお伺いいたします。
 短時間勤務を希望する高年齢者の再就職を促進するための高年齢者短時間雇用助成金というのがございますが、その利用状況がどうなっているのか。また、この助成金は六十歳以上六十五歳未満の者を対象としておりますけれども、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法施行規則二条に、高年齢者の年齢は「五十五歳とする。」とあるわけですから、対象者の年齢幅を五十五歳以上とすべきだと思いますけれども、拡大のお考えがあるのかどうか。また、助成金の引き上げについてはどうなのか、あわせてお伺いをしたいと思います。
#24
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、先生御指摘の高年齢者短時間雇用助成金の利用状況でございますが、これは制度ができて発足後まだ一年ちょっとということでございまして、半年に一回の申請によることになっておりますが、まだその制度の何といいますか指導と申しますか、そういうものが十分でない点もございますし、また、先ほどちょっと高年齢者の短時間労働の問題がワークシェアリングの問題に絡んでお話がございましたけれども、企業側で必ずしも短時間勤務に向いている仕事を用意ができていない、また作業工程の流れの中で生産に大きく影響を及ぼす作業等につきましてはなかなか短時間勤務で入れるということに支障があるというようなことでございまして、そこのニーズとがうまくマッチしないという点もございまして、現在のとこる利用状況はほとんどないという状況になっております。今後この制度の活用について十分検討していかなければならないというふうに思っております。
 今御指摘のもう一つの、これを五十五歳以上とできないかということでございますが、今回高齢者に対する法律を提案いたしまして御審議いただくことになっておりますが、我々としましては、六十歳までは定年の延長ということで参りまして、さらに六十五歳程度までの雇用の促進を図るために、この六十歳以上六十五歳の制度もそのほかの制度とともに利用してまいりたいというふうに思っているわけでございます。
 それから中身につきましては、単価の点につきましては部長の方からお答えさしていただきます。
#25
○政府委員(清水傳雄君) 六十一年度予算案におきましては、短期雇用助成金につきましても充実を図るという観点から、中小企業につきましては、六十年度は二十万という単価でございましたがこれを三十万に引き上げ、大企業向けにつきましても十五万円を二十二万五千円と、こういうふうな形で引き上げを図っているところでございます。
#26
○糸久八重子君 次に、高年齢者雇用確保助成金、これの短時間勤務労働者にかかわるものの利用状況はどうなっておりますでしょうか。
#27
○政府委員(白井晋太郎君) これも同じときにできました同じような制度でございまして、この制度は、毎年十二月末を基準日としまして翌年の一月末までの支給申請でその中身を検討するということになっておりまして、現在それぞれ各安定所
等を適じてその状況を把握しているところでございまして、把握が現在まだ手元にございませんが、先ほど申し上げましたように、この制度自体はやはり適用される面が、先ほど申し上げましたような短時間勤務等を問題にいたしておりますので、必ずしも普及が思わしくいってないというふうに我々理解しております。
 今後、先ほどの制度と一緒にこの普及を図っていきたいというふうに思っているわけでございます。
#28
○糸久八重子君 制度が若いということもありますけれども、やはりこういう制度ができているわけですから、十分な行政指導をしていっていただきたいと思うわけです。
 今後、ますます高齢者層のパートタイム就労希望者がふえてくるのではないかと思いますけれども、それに対応するために、高齢者のためのパートバンクの全国各地への計画的設置が急務ではないかなというふうに考えるわけですけれども、パートバンクについての設置状況、そして今後の設置方針を明らかにしていただきたいのですが。
#29
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、高齢化の進展に伴います高齢者のパートタイム希望者の増加、それからパートにつきましては、家事負担の軽減、その他家庭婦人の労働市場への参入等で婦人のパートの急増等もございます。
 そういうような点から、パートタイムの雇用の需給が集中しております大都市のターミナル等にパートタイマーのための職業相談、職業紹介を専門的に取り扱う施設としてパートバンクを設置してまいっているわけでございます。現在、六十一年二月末で、大都市圏及び地方中核都市を中心に三十二カ所設置しているところでございますが、六十一年度におきましてはさらに五カ所の増設を計画いたしている次第でございます。
#30
○糸久八重子君 高年齢者のパートタイマーの数というのは把握はしてございませんか。
 それと、高年齢者がパートタイマーとして就業する背景と、それから高年齢者の就業理由、つまりパート勤務を選んだ理由とか、就労条件等について労働省は実態調査を行うべきではないかと思うんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。
#31
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 高年齢者のパート労働者数の把握でございますが、パート労働者の把握というのはなかなか難しいわけでございまして、と申し上げますのは、短時間勤務で把握していくのか、また企業がパートタイマーと呼んで雇用している者をパートタイマーとして把握していくのか、いろいろ定義上の問題がございます。現在我々が把握しているのでは、総務庁の労働力調査特別調査の五十六年のがございますが、パートタイマーの呼称により雇用されている者が二百五十五万人、そのうち五十五歳以上の高年齢者のパートタイマーが二十九万人を占めているというふうに把握いたしております。
 それから、もう一つ御指摘の高年齢者のパートタイム労働者の実態調査でございますが、高年齢者の就業実態につきましては、五十八年六月に高年齢者就業実態調査というのを行ったところでございます。この調査によりまして、高年齢者についての就業ニーズと短時間勤務の希望とを把握いたしておりますが、御指摘のように、高齢者が今後どういうふうなニーズを持っているのか、またその雇用就業状況がどうなのか、また健康、能力、体力の面からの問題もあると思いますので、そういうような面につきまして各種の調査を通じて実態把握に努めてまいりたいというふうに思っております。
#32
○糸久八重子君 次に、女子のパートタイマーの問題につきましてお伺いいたします。
 一九八四年の総務庁の労働力調査によりますと、パート従業員は四百六十四万人、うち女性は三百二十八万人で七〇%を占めている、そして働く女性の二二%、平均年齢は四十一・七歳で家庭の主婦が大半を占めているとあるわけです。そして女子パートタイマーはますます増加の傾向にあると思います。
 およそ女子パートタイマーを採用する企業の本音といいますのは、パートは賃金が安くて使いやすいとか、それからパート向きの仕事が多いとか、業務に忙しい場合と暇の場合、そういう非常に較差があるとか、それからパートは雇用調整が容易であるなど、そういうような理由でもってパートタイマーを採用するのではないかと思いますけれども、その点についての労働省の認識をお伺いしたいと思うのですが。
#33
○政府委員(佐藤ギン子君) 企業側がパート労働者を雇用する理由は、先生今いろいろお挙げになりましたものが確かに挙げられておるわけでございますが、また反面、女子の方でも、女子パートタイマーの現状を見ますと、やはり今お話しがございましたように、かなり年齢の高い主婦が多いわけでございまして、家庭責任と仕事とを両立させたいということで余り長時間労働はできない、なるべく自分の家から近いところで働きたいというような女子の方の、供給側の理由もありまして、その両方がマッチしたところにパートタイマーが増加してくる理由があるだろうというふうに考えております。
#34
○糸久八重子君 確かに、労働組合の調査によりますと、女子がパートで働く理由としては、一番大きな理由は生活の補助のためとするものがもう大半なわけです。これは、夫の給料が安いとか、実質賃金が低下しているとか、税金が多いとか、それからローンの返済だとか、教育費の増大とかという中で、やむにやまれないで働きに出なければならないというのが実態なのではないかと思います。
 これは一労働組合の調査なんですが、これらの実態について労働省は調査をしたことがございますでしょうか。また、今後調査をするような御意思があるのかどうかお伺いしたいと思います。
#35
○政府委員(佐藤ギン子君) 女子がどうしてパートタイム労働者として働くかという理由に、つきましては、余り大きなしっかりした調査は必ずしもないわけでございますが、部分的な実態調査はやっております。
#36
○糸久八重子君 それでは、それはまた後でお伺いをしたいと思います。
 女子パートといいましても、労働時間は、一般の労働者と同じく七時間から八時間程度というのが一番多くなっておりまして、労働省で出されております資料の中にも、常用バートで三三%、それから臨時では四五・八%というように大変数が多くなっているわけですし、中には九時間以上も働いている者もいると。資料によりますと、常用で四・八、それから臨時で五・四というふうに示されているわけですけれども、常態として一般労働者の勤務時間以上の者をパートタイマーと呼んでいる、パートとして処遇しているのはおかしいのではないかと思うんですけれども、その辺についてはいかが御判断なさいますか。
#37
○政府委員(佐藤ギン子君) 事業所によりましてパートタイム労働者、パートタイマーという名前で女子を雇用している企業はたくさんございます。確かに、先生おっしゃいましたように、八時間以上働いている方たちが五%前後あるわけでございますが、事業所でどういう名前で呼ぶかということでございまして、そのこと自体を法律違反とか、直ちにおかしいということもなかなか言いがたい面があるのではないかと思います。
#38
○糸久八重子君 パートの問題はいろいろあるわけですけれども、ほとんどの者が年次有給休暇を利用できないと推測されるわけです。この点につきまして、労基法の三十九条の規定との関連も含めてどうなのかということにつきまして御説明をいただきたいのですが。
#39
○政府委員(佐藤ギン子君) パートタイム労働者であっても労働基準法は適用になるわけでございまして、年次有給休暇の規定は適用になりますので、その労働基準法上の要件を満たした労働者につきましては当然に年次有給休暇がとれることになります。
#40
○糸久八重子君 あわせて母性保護に関する休暇、つまり生理休暇とか産前産後の休暇とか育児時間、この実態を労働省は把握していらっしゃいますか。
#41
○政府委員(佐藤ギン子君) パートタイム労働者につきましても、これまでも各種の統計調査でできる限り実態等については把握しているわけでございますが、これからもさらにそういうものの実態を把握していくように努力したいと思います。
#42
○糸久八重子君 これらの休暇がとれる女子パートというのは、私どもが把握しておりますものによりますと非常に少ない。しかも、これを要求しますと職場から締め出されてしまう、そういう現実があるわけですけれども、そういうような点につきまして今後労働省はどういう対応姿勢をおとりになるのか、お伺いをしておきます。
#43
○政府委員(佐藤ギン子君) 確かに、先生おっしゃいますように、なかなかパートタイム労働者が年休をとることについて難しい企業も一部にはあるやに聞いております。
 私どもでは、五十九年の十二月にパートタイム労働者の対策要綱をつくりました。その中には、年次有給休暇の問題につきましても、労働基準法に沿って与えるようにということは盛り込まれておりまして、この対策要綱によりまして事業所には指導に努めているところでございますが、さらにこうした指導を徹底させていきたいと思いますし、今、先生がおっしゃいましたように、請求すると締め出されるというような問題につきましては、監督署の方におっしゃっていただければ、その御本人のお名前は出さないで事業所の方にいろいろ監督指導することができるようになっておりますので、そういう方法も女子労働者には周知していきたいと思っております。
#44
○糸久八重子君 パートタイマーにつきましては、いろいろ今までお伺いしましたとおり、例えば労働時間の問題とか、賃金の問題とか、有給休暇の問題とか、各種休暇の問題とか、問題は非常に多いわけです。これらは就業規則で定めていかなければならないはずですね。ところが、有給休暇の規定のない就業規則があるのですけれども、これについて労働省の見解をお述べいただきたいと思います。
#45
○政府委員(小粥義朗君) 先ほどお答えありましたように、パートタイマーといえども労働基準法の適用を受ける労働者でございますから、当然、法に定める所定の要件を満たす場合には年次有給休暇を取得できる。したがって、そうした年次有給休暇の付与については、これは就業規則の記載事項ということにもなっておりますから、そういう記載のないものについては改善方の指導をするようにいたしております。
#46
○糸久八重子君 今挙げました有給休暇の規定のない就業規則を持っているのは、医療法人社団亮正会のものなのです。一九七九年二月十九日に就業規則を制定した時点では年次有給休暇の規定があったわけですけれども、一九八五年一月に改正した規則には入っていない。そして医療法人亮正会に属する高津中央病院では、パート労働者が要求する年次有給休暇を与えまいとして、昨年のパート契約更新時に一週間の空白期間を設けて、一週間後の契約だから新規契約であって、パートは一年契約なのだから年休権は発生しないと、そしてパートの年次有給休暇を取り上げてしまった。みずからの行為を正当化しようとして就業規則を改悪したとしか思われないわけです。
 このことにつきましては、衆議院の予算委員会で我が党の土井議員から質問があったわけですけれども、その質問に対して、「鋭意調査中」との答弁でありました。あれから一月経過しているわけですから、調査結果がどうなったのか教えていただきたいと思います。
#47
○政府委員(小粥義朗君) お尋ねの高津中央病院におけるパートタイマーの就業規則の問題ですが、今お話ございましたように、一月ですか、作成されていながら実は届け出がなかったわけでございます。したがって、二月に所轄の監督署から指導をいたしましたわけです。その結果三月十五日に届け出がございました。一応形式的な要件は整えておりますのでそれを受理したわけですが、今内容を精査しておりますけれども、御指摘のようなパートタイマーについての年休の規定が欠けているようでございます。したがって、これは、先ほどお答えしましたように、改善方の指導をしたいというふうに考えております。
#48
○糸久八重子君 八五年の一月に規則の変更をして新しいのにしたわけですね。そして八五年の七月十五日に労働基準監督署に提出をしたけれども受理されなかった、内容が不備だったわけですからね。そして八六年の二月十二日に是正勧告、つまり三十九条、八十九条の労基法違反であるということで是正勧告が出ている。そして、何か今度また届け出をしたけれども、受理をしたというんですが、内容が不備であった、そういうことなんですね。だけれども、内容の不備があったということですから、やはり是正勧告して、内容は充実をさせていくわけですね。
#49
○政府委員(小粥義朗君) 受理をいたしましたけれども、内容は不備でございますので、その点は是正をさせるようにいたしてまいります。
#50
○糸久八重子君 医療法人亮正会のパートの雇用契約書というのがあるんですけれども、そこには年次有給休暇に関する規定が書かれていないわけです。例えば給与とか、そういうものはあるわけですけれども、やはり契約書の中にきちんと年次有給休暇等も入れさせていくべきではないのかなと思います。「本契約に定めるもののほかは、」「就業規則による」、そう書かれてあるんです。だから、結局年次有給休暇についての規定は契約書に書いてないけれども、就業規則によりますということでぼかしてあるわけです。契約するときに就業規則を一々きちっと読んで就職する人はまずいないと思うんですね。そういう意味では、やはり契約書の中にこういうこともきちっと盛り込ませていかなければいけないと思うのですけれども、その辺はいかがですか。
#51
○政府委員(小粥義朗君) 五十九年に策定いたしましたパートタイマーの対策要綱におきましても、そうした点は雇い入れ時に明確にするように盛り込んでおりますし、そうした点は今後とも指導を徹底していきたいと思っております。
 たまたま高津病院の場合、どういう雇い入れ時のものであるかちょっとつまびらかにいたしませんけれども、趣旨としては当然雇い入れ時に明確にすることは望ましいというふうに考えます。
#52
○糸久八重子君 やはりこの病院のことなんですが、昨年の末にパートの看護助手のKさんという方が年次有給休暇を申請しましたところが、病院側はこれを認めないで欠勤扱いにした、そして賃金カットをしたというんですね。これは明らかに労基法三十九条違反となりますね。
#53
○政府委員(小粥義朗君) お尋ねの件は、ことしの一月に御本人から所轄の監督署に申告がなされまして、同署で調査をいたしまして労働基準法違反が認められましたので、年次有給休暇、これは六十年十二月十三日分というふうに報告を受けておりますが、その賃金を支払うように是正を勧告いたしまして、去る二月末に本人に支払われ、既に是正済みであるという報告を受けております。
#54
○糸久八重子君 それから、不当な労働条件を拒んだことで解雇された二人のパート労働者がいるわけですけれども、地労委で争いまして勝訴したわけですね。一年後また再契約をされたわけです。それはことしの初めなんですけれどもね。このうちの一人は一九八五年の二月十九日に解雇されて、そして勝訴した結果、八六年の二月に再契約をしたわけです。つまり一年間ブランクがあったわけですけれどもこそのブランク中の雇用保険の継続についてはどうなりますでしょうか。
#55
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 一般的には、解雇がさかのぼって無効とされた場合には、一たん解雇により喪失しました雇用保険の被保険者資格について初めから存在したものと、初めからと申しますのは、その前に就職されたときから存在したものというふうにされております。
 先生御指摘の場合には、解雇の効力を法的に争っておられまして、その間労働者が失業給付の受給を希望する場合、希望しておられたわけでございますが、そのときには、一応被保険者資格を喪失させ、解雇無効となった場合に返還するという条件のもとで失業給付を行っている。この方の場合はそういう失業給付を行っていたと思います。
 そして、繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたように、解雇無効の判決等が確定した場合には、既に行いました資格喪失確認処分を取り消しまして、被保険者資格を継続させるということになるわけでございまして、その場合には、既に支給した失業給付の返還も命令されるということになります。そのような手続をとることになっているわけでございます。
#56
○糸久八重子君 厚生省がきょうお見えに、なっておりませんけれども、社会保険等についてもそれに準ずるわけですね。
#57
○政府委員(白井晋太郎君) ちょっと厚生省の方の所管のことはわかりません。
#58
○糸久八重子君 パートタイム労働保護立法の国際的動向について、特にフランスやスペインやベルギーのパート労働法制について詳しい資料を提出していただきたいと思います。
 それから、諸外国のパート法制を参考にしながら、我が国も、対策要綱という形ではなくて、パート労働者保護法の立法化に向けて検討作業を開始すべきであると思うのですけれども、その辺についてお伺いをいたします。
#59
○政府委員(佐藤ギン子君) 先生おっしゃいましたように、幾つかの国でパートタイム労働者のための労働法ができております。
 我が国の状況でございますけれども、パートタイム労働者につきましても、先ほども申し上げましたように、労働基準法等の労働関係の諸法規が適用されるわけでございます。先ほど先生もお挙げになりましたようなパートタイム労働者の問題点も、多くの部分が現行の法規を十分に使用者が守れば、女子パートタイム労働者の条件も改善するというものが多うございますので、私どもとしては、当面、こうした現行の諸法規が十分守られるように使用者に指導いたしますとともに、女子にもそういうことを十分周知するということをいたしたいと考えまして、五十九年の十二月にパートタイム労働者の対策要綱をつくりまして、そうした面につきまして啓発指導に力を入れているところでございますので、当面はこのような方向でやっていきたいというふうに考えております。
#60
○糸久八重子君 対策要綱は、読んでみますと、もうすべて努力義務なんですね。ですから、やはりきちっとした決められた保護立法というのはどうしても必要ではないかと思いますので、特に要望をしておきたいと思います。
 それでは、問題を今度変えていきたいと思いますけれども、冒頭に質問させていただきました労働時間の問題と関係をするわけですけれども、労働省は、労働時間短縮に向けて鋭意努力をしていらっしゃる。そしてそういうような中で、大臣、最近労働時間が実質上延長された職場のあるのを御存じでしょうか。
#61
○国務大臣(林ゆう君) 不況産業の中の一部にそのような傾向があるということを聞いております。
#62
○糸久八重子君 私がきょう挙げておきたいのは、具体的に国鉄の中でそういう状況があるということなんです。
 昭和五十九年の四月一日に動力車乗務員、つまり電車や機関車の運転手の労働時間が実質上延長されているのですが、それを御存じでしょうか。
#63
○政府委員(小粥義朗君) 労働省としては存じておりませんでした。
#64
○糸久八重子君 それでは私の方から申し上げますけれども、これまで過労働時間が四十時間であったのを、いわゆる法内超勤の導入によって超過勤務前提の作業ダイヤ――乗務割交番というんだそうですけれども、それを作成することになったそうですが、そのとおりでございますか、国鉄。
#65
○説明員(葛西敬之君) お答えします。
 国鉄の乗務員の労働時間は、四十時間を標準とするということで運用されてまいりました。その標準とするというのは、列車の乗務員の勤務の特殊性からいたしまして、四十時間の勤務を平均して達成するためには、四十時間を上回る勤務並びにそれに下回る勤務、これが混在されていくという意味で標準という言葉を使っていたわけでございますが、これが運用の中で誤った運用が定着いたしまして、四十時間を上限とする運用ということになってしまっておりました。その結果として、国鉄の乗務員の労働時間は、四十時商標準というにもかかわらず、実態として三十七時間程度しかないというのが実態でございまして、私鉄に比べて著しく非効率な乗務員運用になっているという実態がございました。これを修正するために、一週間四十時間を超えて乗務割交番を組むことを可能とするような制度に改めたという事実がございます。
#66
○糸久八重子君 今、三十七時間というお話でしたけれども、実際には今四十時間を超えて、そして四十二時間とか四十三時間というような、そういう乗務割交番というんですか、そういうことがなされているということを聞いております。
 過労働時間が四十時間といえば、年間は五十二週といたしまして二千八十時間、労働省の目標は当面二千時間としますと、それよりも少々多いということなんですけれども、それを超えてさらに労働時間を長くするという、つまり、わざわざ改悪をしているというふうに考えなければならないわけですけれども、労働省は事前にそういうことは御存じであったのでしょうか。
#67
○政府委員(小粥義朗君) 労働時間短縮問題を担当しております私どもとしては、事前には承知をしていなかったわけでございます。
#68
○糸久八重子君 今私が申し上げたものだけではなくて、その後六十年の九月三十日には、国鉄自動車の運転手と車掌の労働時間が同じように改悪されているんです。そして現在、電車や列車、貨物列車の車掌の労働時間も改悪提案をされていると聞いております。いずれも以前は週四十時間であったものを、労働省は六十五年までには二千時間という目的達成という目標を出しているわけですけれども、そういう国鉄のだんだんに労働時間を延長というような、この改悪の状況を見過ごしていてよろしいのですか。
#69
○政府委員(小粥義朗君) 労働省として、当面の行政指導の目標として二千時間というのを出しております。それが国鉄の場合超えることになるのはいかがかと、こういうお尋ねかと思うんですが、過所定労働時間を単純に五十二倍しまして、それが年間実労働時間ということでは必ずしもございませんで、それ以外に、年次有給休暇の取得日数であるとか、あるいは定期の週休日以外のいろんな休日等もございます。そうしたものを含めまして実質的な実労働時間が全体をならして二千時間という目標を立てておるわけでございますが、そういう全産業の中には、時によって不況産業が幾つかございます。
 過去にも、造船産業のように極めて深刻な不況に直面して、企業の浮沈をかけて緊急事態を乗り切らなければならないという事態には、労使いろいろ話し合いをしながら一時的に労働時間を延長することも過去ございました。五十三年の造船不況当時もございましたし、最近の造船不況の中にもそうした動きがあることも否定できないわけでございますが、全体を短縮する方向に持っていく中で一時的に逆行する形、これは決して好ましいとは言えませんが、だからといって企業の合理化が、あるいは立て直しが必要な事態においてはやむを得ない場合があろうかと存じております。
 国鉄の場合も、昨今非常に、再建問題が論じられているわけでございますから、恐らくそうした観点からの対応が国鉄内部において、もちろん関係労使がいろいろ話をされてそういう形になったんではないかというふうに理解をしておるわけでございます。
#70
○糸久八重子君 使用者側の都合を優先させれば、いつまでたっても労働時間というのは短縮はできない。そして、今の御答弁の中で、構造的な
不況とかいうようなお話もございましたけれども、貿易摩擦とか円高不況が予想されている中で、民間会社は競争力の強化を目標に掲げるでしょう。経営難の会社も、ふえるといっても減ることはないのではないかと思います、こういう状況の中では。
 それで、労働省としては、そういう状況の中でもなお労働時間短縮を目標にするわけですから、当然経営との調整は検討しているはずなのではないかと思います。経営困難は国鉄だけの問題ではないんですね、今おっしゃったとおり。それが理由で時間短縮ができないというのではどこもできない、そう思うのですけれども、本気で時間短縮に取り組む気はあるのですか。
#71
○政府委員(小粥義朗君) 労働時間についての法的規制が労働基準法を軸にして定められておるわけでございます。そうしたものに違反するものについては私ども厳正に対処してまいるわけですが、法定基準を上回るものについて、それをどうするかは基本的にはやはり労使の問題でございまして、それぞれの産業あるいは企業の置かれたその時点での実情に即した労使の対応というものがあるわけでございまして、それを行政として画一的にどうこうというのはやはりいかがかという場面もあるわけでございます。
 もちろん、先ほど申しました不況産業の場合も、一時的に、言うならば緊急避難的に労働時間の延長が必要となる場合はあるわけですけれども、そうしたものはできるだけ早く解消してもらうという方向での指導は私どももしているわけでございますし、また、そうしたものを当然就業規則等で定めるわけでございますから、そうした場合に使用者側が一方的に、やることなく、就業規則の改正については、当然労働組合があればその労働組合の意見を聞いてやるという所定の手続は踏むように私どもも厳正に指導しているところでございます。
#72
○糸久八重子君 質問の冒頭にも申し上げましたけれども、国鉄は公共企業体ですね。そして、国の機関に準ずるところが模範を示さなければ、この低成長時代に民間会社が率先して労働時間を短縮するということは考えられない、そう思うわけです。国鉄でさえ時間を延長しているのだからという、民間会社が口実として使うのではないかと考えるのですけれども、労働省いかがですか。
#73
○政府委員(小粥義朗君) お尋ねのような見方もあろうかと思いますが、今、国鉄の浮沈がかかる大問題が国会の場でも論議をされようとしているときですから、逆にむしろ国鉄の業務の運営形態をもっと効率的にしろといったような、そういう意見も一方にあるのではないかと思いますので、一概になかなか言えない面があるのではないかと率直に感ずる次第でございます。
#74
○糸久八重子君 国鉄側は今の問題についていかがですか。
#75
○説明員(葛西敬之君) 労働時間の延長をしているというお話でございますが、我々の方の制度では労働時間の延長はいたしておりません。四十時間勤務というものを守った上で法内超勤を命ずることができるという形で制度をつくっておりますので、その点をまず御理解いただきたいと思います。
 それから、国鉄の場合、勤務は私鉄等対抗する輸送機関と比べて実態的に年間の労働時間は短いという状況でございまして、我々としては、今後鉄道事業の再建を図っていく上で効率的な勤務体制をつくりまして、対抗する競争輸送機関と伍して輸送力を確保していけるという体制をつくる必要が絶対あるというふうに考えております。
 また、この勤務制度の改正につきましては、全組合と合意の上で協約を結びまして、それを就業化して実施しているものでございます。
#76
○糸久八重子君 時間延長をしていないと言うわけですけれども、制度を改正することによって今までの四十時間を四十二時間、四十三時間にするということですから、実質的にこれは労働時間延長ということになるでしょう。
 それから、労働組合と合意をしたと言うんですけれども、労働組合が納得しようとしまいと、これは関係ないと思います。
 労働省の行政の目標とか行政指導との関連ではどう考えておるんですか、国鉄側では。
#77
○説明員(葛西敬之君) できるだけ効率化をすることは我々の使命であるというふうに考えております。
#78
○糸久八重子君 この労働時間延長でどのくらい過員がつくられたのでしょうね。
#79
○説明員(葛西敬之君) 乗務員の勤務の改正によりまして、これは乗務員勤務の改正そのものと、その他列車体系の変更等ダイヤ改正に伴うものが混然となっておりますので、勤務改正そのものによる要員効率化数というのはそれ独自では分離できないものでございますが、昨年、六十年二月のダイヤ改正におきまして約四、五千名の合理化ができたものと考えております。ただしこれは、それがすなわち余剰人員が生み出されたという性格のものではないというふうに理解しております。
#80
○糸久八重子君 四、五千名が合理化をされたということは、結局それが過員になったということではないんですかね。そうじゃないんですか。
#81
○説明員(葛西敬之君) 合理化をする、効率化をするということは、すなわち過員を生み出すということではございませんで、効率化された人間をどのように活用していくかという問題との関連にかかわってくるというふうに考えております。
#82
○糸久八重子君 実際にそういう合理化をされることによって、いわゆる過員と呼ばれる人たちを一カ所に集めて、例えば千葉県などの場合には、千葉に開発センターなんというものを設けて、そこに過員になった人たちをためておくというようなことも行われているんですね。そうなりますと、とにかくもうおれは仕事がなくって、こういうところに入れられたんだから、この先お先真っ暗なんだというような方たちなんですよ、そこにいる人たちは。そういうやり方をすべきではないと思うんですね。明らかにこういうふうに過員が生まれているんですよ。どうですか。
#83
○説明員(葛西敬之君) 要員の効率的運用によりまして企業としての活性化を図るということは、これは我々の任務でございます。したがいまして、長期的に見て効率化をできるだけ早く徹底的に進めておくということが必要であるというふうに考えております。
 ただ、それによって結果として出てくる余剰となる人間につきましては、派遣ですとかあるいは内部におけるもろもろの活国策等を現在推進しておりまして、極力有効にこれを使うということを推進している次第でございます。
#84
○糸久八重子君 労働大臣にお伺いしたいんですけれども、所信表明の中で積極的雇用対策を第一に挙げておりますね。幾ら雇用対策を講じても、後から後からこういう過員が出たり失業者が出てくるというのでは追いつかないと思うのですけれども、いかがですか。
#85
○国務大臣(林ゆう君) 国鉄の余剰人員問題につきましては、先生御承知のように、昨年の十二月に閣議決定されました「国鉄余剰人員雇用対策の基本方針」というものがございまして、それに基づきまして政府の国鉄余剰人員雇用対策本部や、あるいはまた関係省庁、国鉄等の関係者が一体となりましてこの問題に取り組んで、公的部門あるいはまた民間部門等へ幅広い雇用の場の確保に今努めておると、こういうことでございます。
#86
○糸久八重子君 労働省としては、それぞれの企業が定年の延長とかそれから時間短縮によって労働者の雇用機会をふやす努力をするようにしているわけですね。だとすれば、国鉄の余剰人員対策も基本的には国鉄自身が努力をすべきで、それでも足りない分を国がカバーをするというのが本当なのではないのでしょうかね。いかがでしょうか、その辺については。
#87
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 冒頭からいろいろ雇用対策、最近の雇用失業情勢についての御質疑があったわけでございますが、先生御指摘のとおり、いろいろな経済情勢その他厳しい情勢にございますけれども、適切な経
済運営と相まって全体の雇用量をふやしていく、そしてそこに適切な雇用対策を打っていくということがマクロで見ました一つの雇用対策でございます。それから円高その他の影響、それから今の国鉄の問題等個々の企業をとらえまして、地域別、業種別または個々の企業別にいろいろな事情があるわけでございまして、これらに対しましてはその場その場での適切な対策を打っていかなければならないということだというふうに思っております。
 国鉄の問題につきましては、国鉄が抱えております赤字問題その他を含めまして、この際思い切った改革をしていかなければ国鉄の将来から見て非常に問題であるということでございますので、そういう国鉄の持ちます問題を解決していくために、先ほど大臣が申しましたように、国鉄の雇用対策を進めていくということを閣議決定もいたしたわけでございます。先生御指摘のとおり、まず、国鉄自身が自主的にその余剰人員の解決を図っていくことでございますが、さらに国全体としましても、やはりその勤めている人が路頭に迷うというような問題は非常にその個人にとっては大問題でございます。そういうようなことのないように国全体としてもそれをバックアップしていくということをこの方針で決めているものだというふうに理解いたしております。
#88
○糸久八重子君 週四十時間の労働時間を改悪して、いわゆる余剰人員というのをわざわざつくり出していると、そう私は思うんですね。だから、そういう意味では労働省の施策と食い違っているんではないかと。そして、大臣の所信と国鉄の現在の労働対策の関連性をどう考えていらっしゃるんですか。
#89
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 労働時間の短縮によってわざわざ余剰人員をつくり出したかどうかということにつきましては、一概に言えない面を持っているのではないかというふうに思いますが…
#90
○糸久八重子君 四、五千名出たそうですよ。
#91
○政府委員(白井晋太郎君) それは全体の、何といいますか、効率化を図っていく上で出てきた問題で、国鉄が民営化その他を進めて、他の私鉄その他と競争関係にいくには、それに見合った体質を持っていかなければならないということで余剰人員の問題も出てきているのではないかというふうに理解いたしております。労働省の進めております労働時間短縮、それからその他のもろもろの雇用政策と必ずしも反するものではないというふうに我々は理解しているわけでございます。
#92
○糸久八重子君 政府の案によりますと、今後十万人近い国鉄職員が国鉄の職場を追われるようになります。低成長の中で十万人もの雇用対策が本当にできると思っているんでしょうか。それよりも、まず国鉄のこういうやり方を改めさせて、そして国鉄に一人でも多くの労働者の職場を確保させるということがまず先なのではないか。労働時間を延長させて、わざわざ国鉄からほうり出す職員をふやすようなやり方は納得できませんけれどもね。いかがですか、労働省。
#93
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 国鉄再建監理委員会の報告等に基づきまして、九万数千人の余剰人員が六十二年四月現在であるということでございます。その中で、この監理委員会の報告では、六万一千人の余剰人員についていろいろの雇用対策を進めますとともに、あとの残りの者につきましては、分割された企業の中でこれの吸収努力を払っていくということでございまして、国鉄の方は労働時間をふやしたという争うには先ほどの回答ではございませんでしたけれども、労働時間をふやすことによって余剰人員を吐き出したということではなくて、先ほどから申しておりますように、国鉄の将来の企業としての生き延びていくための効率化を図ることの結果としてこういう余剰人員がはじき出されたというふうに理解いたしております。
#94
○糸久八重子君 こういう国鉄のやり方を、労働大臣がおっしゃられた御自分の所信とのかかわりでどのようにお考えになるのか、お伺いをします。
#95
○国務大臣(林ゆう君) 国鉄の余剰人員は、先生の御指摘は、いわゆる時間が長くなったからそれによって余剰人員もたくさんできたんじゃないかというようなことが先ほど来御質問の中にございました。その中で国鉄当局はそういうことはございませんという答弁もあったわけでございますが、私どもといたしましては、時間短縮そのもの自体につきましては、企業の労使が自主的に決めるべき問題であるというふうに私どもは受け取って、それに従いましていろいろな施策をやってまいっておるような次第でございます。そして、その中で国鉄の余剰人員という問題が出てまいっておるわけでございますから、私ども労働省といたしましては、この余剰人員を一人でも路頭に迷うというようなことなく再就職の方向へということで政府が全力を挙げて取り組んでいるということでございますので、私が所信の中で申し上げました国鉄の余剰人員というものにつきましては、それぞれの機関にお願いをしたり、あるいはまた指導したりなどをいたしながら今日対処しているというような状況でございますので、私はこの目的達成のためには全力を挙げて取り組んでまいる、こういう所存でございます。
#96
○糸久八重子君 片方では時間短縮、片方では時間延長ということで、大変おかしな方向があるわけですけれども、やはり労働省は、時間短縮というその意味ですべての職場で時間短縮が推進できるように率先して努力をしていかなければならないし、こういう国鉄の状況もよく把握をして、そして指導していくのが労働省の役割なのではないかと思うんですね。そして先ほども申しましたけれども、無理やりに、つまり時間を延長することによってつくり出されたと私はあえて言いたいんですけれども、つくり出された過員を正規の仕事につけないというようなそういう状況もあるわけなんです。
 そして国鉄は、経営形態が変更後職場がどうなるのかというのを身を持って体験しなさいと、そういうことまで言っていると、そう聞いているんですけれども、国鉄側はどうですか、その辺は。
#97
○説明員(葛西敬之君) 今の御質問の趣旨がちょっとよくわからなかったのでありますが、余剰人員について現在これを遊ばせておくわけにはまいりませんので、各民間企業等に派遣をいたしまして、派遣の民間企業の中で働くことにより鉄道事業の活性化に必要な体験を積んでくるという考え方で派遣を推進し、現在一万人ほどの人間が各企業等で働いているという状況ではございます。
#98
○糸久八重子君 まだ国鉄の法案の審議も始まっていない中で、本当に先行してどんどん国鉄の中でそういう改革が行われているというのは非常に私は遺憾に思うわけです。労働条件の問題だけではなくて、過員をつくり出すことばかりが先行している、私はあえてもうそう申し上げたいわけですけれども、乗客の安全も非常に無視をされているということを申し上げたいと思います。
 最近の保線職場の合理化で千葉の銚子保線区、ここは線路の巡回が三日に一回から六日に一回となりました。その中で、ことしの一月六日、総武本線のレールのボルトが十本飛んでいるのが発見をされました。一月十二日にはレールの破損事故が発生し特急列車がとまりました。レールの破損については、線路の巡回によってではなくて、運転士が異常な音に気がついて発見をしたものだということでございます。職場調査で、私は職場調査に参りましたけれども、この点を当局にただしましたところが、当局は、レールの破損については毎日見てもわかりにくいところで不可抗力であると、そう言いました。ボルトについては、ボルト抜け一本ぐらいでは輸送に関係ない、それを発見できないからといって安全無視とは言えないと居直りました。過員の生み出しに目がくらんで、このような安全問題が全く見えていない。
 そういう今の国鉄の状況に、大臣、経費削減と安全問題、どっちを優先するとお考えですか。
#99
○国務大臣(林ゆう君) 国鉄を運行するにつきましては、安全というものが何よりも優先するものと
私は理解をいたしております。
#100
○糸久八重子君 確かに、国鉄の一番の重要な意味は安全をモットーにしなければならないのですけれども、私たちは昨年の夏のあの日航機の事故を見て、ああいう事故はやはりもう一度繰り返してはいけない、そう思うわけです。しかし、今までも私も指摘いたしましたとおり、職員を過員扱いにして安全を無視しているという、そういう事実がたくさんあるわけです。
 例えば、安全衛生委員会というものもありますけれども、それが千葉県の各職場の中で昨年一年間一回も行われていなかったというような事実もあるわけです。そしていろいろ伺ってみると、安全衛生委員会のメンバーの中に組合の役員が入っているわけですが、その組合の役員が合理化によってほかの職場に飛ばされちゃったから安全衛生委員がいなかった、だから開けなかったんだというような形をとっているわけです。そもそも、安全衛生委員会に属している組合役員を非常に遠いところに飛ばすということ、それ自体がやはりおかしいのではないか。何かそこに国鉄の組合いじめのようなものが暗にあるのではないか、そういうふうに強く感じられたわけです。安全衛生委員会の問題につきましては衆議院の方で質問もあっただろうと思いますから、私は割愛をさせていただきまして、もう一つ先に参ります。
 国鉄当局は職場規律の厳正と言っておりますけれども、これは本来、仕事を重視する立場のものであるはずだと思います。安全輸送は国鉄の業務の、先ほども申しましたけれども、柱でございます。職場規律の厳正の結果が安全無視の過員づくりというような状況もあるわけですけれども、そういう安全重視にやはり頭を切りかえるべきだと思いますけれども、その辺について御見解を伺ってまいりたいと思います。
#101
○説明員(葛西敬之君) 安全というのは輸送業務の最も重要な前提であるということについては、我々まさにそのとおりだというふうに考えておりまして、安全を達成するためにこそ職場の規律というものが極めて重要であるというふうに考えております。これまでの事故の例等を見ましても、規律の弛緩というものが事故につながった例は極めて多うございまして、規律を維持することが安全を守る一番重要な要件の一つになるというふうに考えております。
#102
○糸久八重子君 この職場規律というのも、当局の都合で使われていることが非常に多いんですね。例えば、勤務時間だのワッペンだの大変うるさく言っているんです。他方では、仕事に関係がないのに勤務時間中に職員を呼びつけるようなことをしているわけです。
 千葉の勝浦保線区ですけれども、昨年の秋に半数近い職員が管理者から個々に呼び出された。いわゆる個々面接というのをやられたわけです。そして長い人で二時間も拘束されているんです。話の中身は、国労の分会の調べでは四十三項目、大変細かいことについて一々聞いているわけですけれども、まさにこの中の質問事項を見ますと、これは思想調査だと言わざるを得ません。例えば、ワッペンについてどう思うかとか、上司の指令と組合の指令のどちらに従うかとか、そういうようなものを聞いているわけですけれども、これは明らかに不当労働行為だろうと思うのですけれども、労働大臣いかがですか。
#103
○政府委員(加藤孝君) 勤務時間中に従業員についていろいろ事情を聞くというようなことは、これはどの職場においても、例えば人事というようなこと等に絡みまして、本人の事情をいろいろ伺うような形で関連してあるわけでございます。むしろ、これはまた勤務時間外にやれば、それはまたそれで逆に超勤を払えというような問題もあるわけでございまして、これは勤務時間中に行われたこと自身が、特にそれが特異なことだとは思わないわけでございます。
 聞かれた内容そのものがどんな内容であったのか、私詳細は知りませんが、少なくともそういうことに伴いまして何か問題があれば、今、国鉄においてはいろいろ苦情処理申し立てのシステムもあるようでございますし、そういうような中でよく問題についての話し合い解決というものが図られる筋合いのものであろうというふうに思うわけでございまして、そのことをとらえて、直ちに不当労働行為がどうかというふうな形で一概に申し上げられるものではないと思うわけでございます。
#104
○糸久八重子君 勤務時間内に呼び出しを受けたということで今秘説明がありましたけれども、一人について二時間以上も拘束をするということは、やっぱりこれは異常ではないかと思うんですね。私はその時間のことについて申し上げたのです。
 そして、組合員が一人一人呼び出されて、管理者からどっちに従うのかと言われたら、これは当然上司の指令に従えと言っていることだと思うんですね。そのことが不当労働行為ではないかと、そう私は申し上げたんですけれども、いかがでしょうか。
#105
○政府委員(加藤孝君) 業務については、あくまで管理者の指示に従うというのが当然でございます。組合活動については、組合の指示に従うということは当然でございます。その問題の性格によるわけでございます。
#106
○糸久八重子君 例えばワッペン等の問題についても、これは違法な行為なんだからつけないように指導するというのが当局の指導なんだそうですけれども、そういう場合だったら、ワッペン着用についてはどう思うかなどと言わないで、ワッペンは違法なんだから着用するなど、そう言えばいいものを、どう思っているとかなんとかというような、そういう聞き方についてはこれはやっぱり問題だと思うんですね。そして国労は、ワッペンについては判例と違う見解を持っていて組合員を指導していることは当局もよく知っていると、そう思うんですね。だからこれは不当労働行為だと、そういうふうに私は言うんですけれども、いかがですか。
#107
○政府委員(加藤孝君) ワッペンにつきましてはいろいろな判例等もございます。判例の一般的傾向としまして、やはり乗客等に不愉快な思いをさせるような形があるような場合に、そういったものを着用しないで勤務するということを当局が命令をしたからといって、それが不当労働行為になるというものではないと思うわけでございます。
 あくまで合法的な正当な組合活動に対する介入が不当労働行為という問題になるわけでございまして、正当ならざる組合活動について、これをやめるようにということを指示することが不当労働行為ということになるものではないというふうに考えるわけでございます。
#108
○糸久八重子君 先ほども申しましたとおり、ワッペンは違法なんだから着用するなど言えばいいのに、どう思うかとかいうことは明らかに思想調査ではないかと、そう私は申し上げたのです。
 それだけでなくて、この質問事項の四十三項目の中には、民営・分割についてどう思うかとまで聞いているわけですね。これも、国労側は分割・民営については反対していることを承知していながら聞いているわけですね。こういうような問題はもう二度と質問をしてもらいたくないんですけれども、国鉄側いかがですか。
#109
○説明員(葛西敬之君) 勤務時間内でありましても、業務上、通常の業務に支障ない時間に現場長が職員の気持ちというものを十分掌握するということは、これは必要なことであるというふうに考えておりますし、その中で職員のいろいろな事柄に対する、経営問題に対する考え方を聴取するということ自体は、これは決して間違ったことではないし、管理者として知っておいてよいという判断でなされるケースも十分あり得るというふうに考えております。
#110
○糸久八重子君 先ほども申しましたとおり、まだ法案というのは提出されただけでありまして、審議もしていないと。そういうことで、先取りをしているなんというのは大体けしからぬと、そう思うのです。
 これは、今私は勝浦の保線区の例を挙げたんで
すけれども、ここだけではなくて、同じ時期に銚子の保線区でも同じような呼び出しがあって、わざわざ局の施設部長が銚子まで行って個人個人に個々面接をしている。そんな暇があるんだったら、もっと安全対策に力を入れるべきだと、そう思うんですね。管理者というのはまず仕事を重視すべきであって、仕事を重視するために労務管理があるのではないかと、そう思うんです。
 今の国鉄は、それが何か逆さまになっているような、そういう感じがするんですけれども、改めて言っていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょう。
#111
○説明員(葛西敬之君) 我々は、業務の効率的、安定的、安全な遂行を達成するために、職場規律等の職場管理に取り組んでいるわけであります。
#112
○糸久八重子君 むだな時間を割いていることを今お話し申し上げましたけれども、例は今お話ししただけではないんですね。
 当局は、昨年末にいわゆる進路アンケートを書かせたですね。そして、ことしになって、白紙で出した者を一人一人呼び出しているわけです。職場では、この忙しいのに何で呼び出すのかというような声が上がったわけですけれどもね。その辺についてはいかがですか。
#113
○説明員(葛西敬之君) 進路のアンケートにつきましては、既に六十一年度の公的部門の採用につきまして、政府の方で大変御配慮をいただきまして、募集、採用が始まっております。
 我々といたしましては、職員の中で公的部門等に行きたいという希望を持っている者がどのくらいいるかということを中心にいたしまして、またその公的部門に行きたいという希望が、今後検討されていくであろうもろもろの改革の案の中で、どういうところに行きたいという希望との順位関係がどうなっているかということを知るためにアンケート調査をいたしました。それに対しまして約五万名の人間が白紙で回答いたしましたが、国鉄労働組合が、個人の意思を抑えまして、白紙で出すようにという指導をしたという情報が入ってまいりました。また、その指導文書のサンプルも入手されるというような事態になりました。これは、本人が希望を述べるチャンスをつぶしてしまったのでは、本人の将来にとって非常にマイナスに働く可能性もあり、気の毒であるということになりましたものですから、もし自分の真意が書けなかった人間がいるならば、これは再度その五万人の人間について真意を聞いて、その真意を今後のもろもろの作業に反映さしてあげようということで、一人ずつを呼んで話を聞いたということでございます。
#114
○糸久八重子君 本人にその意思を確認するためにとおっしゃっておりますけれども、呼び出されて聞かれた中身というのは、確認ではないんですね。今ここに進路アンケート、一つあるんですけれども、ここにこう書いてあるんです。「私は分割、民営に反対です、引きつづき館山保線支区で働き続けることを希望します。なお上らんの未記入は白紙委任ではありません。」と、こういうふうに書いたにもかかわらず呼び出して、そして白紙ならば、管理者に白紙委任したとみなすぞとか、それから旧会社に、旧国鉄に残されてもいいのかと、そうおどしをしている事実がたくさんあるんですよ。
#115
○説明員(葛西敬之君) 今申し上げましたように、本人の自由な意思が回答に反映されなかったという情報が入ったものですから、白紙で出した人たちを一人ずつ面接いたしました。その結果として、国鉄労働組合の指示によって自由な意思表示ができなかったと答えた者が七千三百人ほどございました。国鉄労働組合の方では、白紙で書いたのは真意であるということを言えと、それ以上のことは答えてはいかぬという指令を出しておりまして、我々の方としましては、七千三百人以上に本人の自由意思が表示できなかった人間がいたのではないかというように危惧をしたわけでありますが、少なくとも七千三百人については、自分の本当に行きたいところはここであるということを個人面接の中で申し述べております。
 そういう意味でございますので、これはやはり個々人の希望を本当にくみ上げてやるという観点から必要であると、また必要であったというふうに考えております。
#116
○糸久八重子君 東京や秋田で、進路アンケートの問題で裁判が起きていますね。どちらも、しつこくおどしてくる管理者に対して慰謝料を求めているわけです。今の時期、職員が管理者相手に裁判を起こすというのはこれよほどのことではないかと思うんですけれども、よほど腹に据えかねたから裁判を起こしたのではないかと思いますけれども、そもそもどうなのかということの確認をする必要はないと思うんですよ。というのは、アンケートには「最終的に皆さんの帰属等を決定するための希望調査は再度行うことになります」と、そう書いてあるんですね。だから、もう一度やると当局は言っているわけですから、職員の意思はそのときに確認ができるはずで、今回気持ちの決まっていない職員に対してしつこくその意思表示を求めるということがそもそもおかしいと、そう思うんですけれども。
#117
○説明員(葛西敬之君) 最終的には、法案が通った後、再度意思確認のアンケートをやるつもりではおりますが、本人の希望というものを参酌してその配属を決めていくということを考えますと、初めからここに行きたいと言っており、最後の段階でも同じことを言っている人間と、初めは白紙で出して、それからその最後の段階になって意思表示を新たにしてきた人間とどちらが希望が強いかということになりますと、これは終始一貫して同じ希望を持っているという人間の方が希望が強いということになる可能性もございますから、そういう意味で、せっかくのチャンスを無にすることのないようにということで本人の意思確認をしたわけであります。
 また、おどしているというようなことは、これ実際全くございませんで、我々の方は極めて淡々とそして優しく聞くように指導をいたしております。そして、おどしているとかあるいは脅迫されたとかというようなことが言われることがないように、また、そういう場合にきちっと聴取の状況がわかるように、テープレコーダーですべてを記録させております。
#118
○糸久八重子君 裁判の例はどういうふうに考えますか。
#119
○説明員(葛西敬之君) 裁判の例につきましても、私が今申し上げましたような状況で聴取がなされたものであって、裁判そのものの結果は、結果が出ればおのずから明らかになるというふうに考えております。
#120
○糸久八重子君 大変優しく質問をしたということならば、何も裁判ざたまで起こさないと思うんですね。明らかにそこに、何かしつこく強要されたりなにかするということだから腹に据えかねて裁判を起こしたのだろうと、私はそう思うんですね。
 アンケートについても、組合がどういう態度をとるかは、これは組合の自由でしょう。もし組合が白紙という指示を出していたのだとしたならば、それに組合員が従うのもこれは自由だと思います。それにもかかわらず白紙で出した組合員に意思表示を迫ったのだとしたら、これは組織統制からの逸脱を強制することになりまして、そして明らかにこの部分は不当労働行為だと思うのですけれども、労働省の見解はいかがですか。
#121
○政府委員(加藤孝君) 先生のおっしゃる前提がどこまでそういうことなのかはっきりいたしませんので、ここでそれが不当労働行為がどうかというふうな形で見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
#122
○糸久八重子君 組合の圧力がかかると、白紙アンケートの意味が未決定から白紙委任に変わっちゃうのでしょうかね、国鉄さん。どうなんですか。
#123
○説明員(葛西敬之君) アンケートにつきましては、これは順位をつけることも、また白紙で出すことも自由でございます。我々は、白紙で出されたものにつきましてはすべての選択肢に対してイ
ンデファラントであるというふうに解釈をいたします。インデファラントであるということは、どこに行っても同じように考えているという意味でありまして、したがいまして、特に強い希望なしということになりますから、その意味では、もし本人が強い希望が本当にあるのであるならば、これは本人の意思から離れた解釈を我々がとらざるを得ないことになるわけでありまして、本人の意思を吸収してやることが本人のためであるというふうに考えております。
#124
○糸久八重子君 それでは当然、この進路アンケートの問題で一々呼び出されて聞かれた内容の白紙委任とか、それから旧国鉄とかというような、そういう言い方は不当ですね。これは撤回しますね。
#125
○説明員(葛西敬之君) 白紙である場合、これは自分は特に強い志望がありませんということを意味いたします。またその場合、ほかに強い志望のある人間がいっぱいおりました場合、そのままそういう人間に、優先順位が後になれば、現在、清算事業団に自動的に行くような法案になっておりますので、そういう形はこれはあり得ることであるということを言うことはむしろ本人にとって親切なことでありまして、状況判断ができるような情報を与えた上で本人の意思を自由に述べさせるというのが正しいやり方であるというふうに考えております。
#126
○糸久八重子君 強い志望がないと判断をしたいとおっしゃいましたけれども、まだ自分がどうしていいかさっぱりわからない状況というのを持っているわけですね。だから白紙で出したということなんですね。だから、それを勝手に白紙だからこの人はこうなんだろう、ああなんだろうということを勝手に判断されては困るわけですね。だから、白紙なんだから白紙委任とか、旧国鉄なんだなというような、そういうことを言うということはこれは不当でしょう。
#127
○説明員(葛西敬之君) 不当ではないというふうに考えております。
#128
○糸久八重子君 どうして不当ではないんですか。どうして一方的に白紙なんだからそれはもうこちらの裁量で決めるぞというようなことが不当ではないんですか。
#129
○説明員(葛西敬之君) 監理委員会の意見の中には、本人の希望を参酌して配属等を決めるということが書かれております。今回アンケート調査をいたしまして、この時点での希望を聞いたわけでございますが、その時点での希望として、特にまだどこに行きたいという明確な判断を持っていないということがその時点で意思表明されたということになります。もちろん、最終的な決定はこれのみによって決定するものではございませんで、再度最終的な意思確認をしますよということを断ってございますが、先ほど申し上げましたように、現時点から強い志望を持っていた人間という者と、現時点ではわからなかったけれども、後からこちらに行きたいという希望が出てきた者と、本人の希望を参酌するという場合、その希望の強さという点から見れば、終始一貫して同じことを希望している人間の方が強い希望を持っているというふうに判断される可能性が極めて強いということでございまして、したがいまして、今日の時点で、もし本人が強い希望を持っているならば、あるいは明確な意思を持っているならば、それを自由に表示させることが本人にとって非常に重要であるということでありまして、これをもし何らかの形で抑え込んだというような事実があるとすれば、これはやはり本人の希望を別途聞いてやるべきではないかというふうに考えたわけであります。
#130
○糸久八重子君 結局、だから今の時点では、進路アンケートに希望を書いた者、それから白紙の者、出さなかった者等と、いろいろあると思うんですね。
 それで、希望を書いた者は何か優先するようなことをおっしゃったけれども、人間というのはなかなかやっぱり判断が、早く判断できる人と、よく考えなければならない人とあるわけですね。だから、そういう希望を書いた者とか白紙の者とか出さなかった者、これはすべて同等の扱いである、そして希望調査は再度行うということを確認していただけますね。
#131
○説明員(葛西敬之君) 先ほどから申し上げておりますように、今回アンケートをした時点で、これで決定するものではございません、これのみで決定するものではございませんが、今回表明された本人の希望というものは希望として参酌されることになります。
#132
○糸久八重子君 希望として参酌されるというのはどういうことですか。
#133
○説明員(葛西敬之君) 先ほども申し上げましたが、最終的にそれぞれの職員の振り分けを決定していく際には、監理委員会の答申にもありますように、本人の希望を参酌して配属を決めていくということが書かれております。したがいまして、我々は、希望というのは一つの要素としてこれを判断材料としていくということでありまして、今回この時点で意思表示がなされている場合、それは判断材料の中に加えられるという意味であります。
#134
○糸久八重子君 そうすると、現実に国鉄労働組合に対する差別となって出てくるではありませんか。
 労働大臣、こういうような組合の別を理由にする差別は、もうそもそも不当労働行為であるばかりか、大臣の所信の柱である労使の対話の実現を阻害すると思われますけれども、いかがですか。
#135
○政府委員(加藤孝君) 組合によってそれぞれ正当な事情がなくて差別をするというようなことがあれば、それは不当労働行為の要件に該当する場合もあるかと存じますが、現在の問題は、あくまで本人が今後の国鉄の再建の方向に向かってどんな希望を持っておるのか、どんな対応を希望しておるのかというようなことに絡む問題でございまして、これが特に、個々人の問題でございまして、組合によってどうこうしているということではないと思います。
#136
○糸久八重子君 ところで、今月九日の京都新聞、鉄労本部の志摩書記長が「鉄労三万二千人は当局から新会社の座席指定をもらっており、」広域異動については「無視してもらって結構」、そう言っているんですね。座席指定の約束をしたのですか。
#137
○説明員(葛西敬之君) そのような約束はしておりません。
#138
○糸久八重子君 新聞の記事の訂正はありませんでした。
 もう一度聞きますけれども、こういう約束は当局はしておりませんね。
#139
○説明員(葛西敬之君) 当然のこととしてそういう約束はいたしておりません。
#140
○糸久八重子君 そういうように新聞記事が出るように、例えば鉄労の場合には全部座席指定にしたり、国労の組合員が白紙で出した場合には、とにかく希望を出した者を優先するとか、そういうことは明らかにもう組合所属を理由とする差別だと、そう思うんですね。大臣、いかがですか。
#141
○政府委員(加藤孝君) 今ございましたように、そういう組合によって約束をしておるとかいうようなことはないということでございますので、そういう組合による差別というのが特に行われているとは思っておりません。
#142
○糸久八重子君 それでは、そういう約束がないということを確認しましたので、鉄労の志摩書記長にはっきりと抗議をしてほしいと思うんです。新聞ではちゃんと出ているわけですからね、そして全国でそれを読んでいるわけですから。だからきちっとやはり抗議をしてほしいと思うし、本来だったら、ここの席に総裁が出ていらして、私は総裁から言ってほしかったと、そう思うのですけれどもね。総裁がほかの委員会に出ていらっしゃるということなので、非常に残念ですけれども、その辺はしっかりとお願いしたいと思うんですが。
#143
○説明員(葛西敬之君) 私は、京都新聞の記事をまだ読んでおりませんが、その点について調べま
して、志摩書記長にもそういうことを発言したのかどうか、これはよく確かめてみたいと思います。そのような約束は我々はできるはずもないし、するはずもないということでありますから、もしそういう発言をしたとすれば、それは不穏当な発言であるというふうに数々から見て判断せざるを得ない発言であるということでございます。
#144
○糸久八重子君 とにかく、公の機関が違法行為をしているかのごとき事実無根の発言は、やはり放置すべきではないと思います。しかし、何か火のないところには煙は立たないと思うんですね。先ほどから指摘しておりますとおり、最近の国鉄の労務管理というのは、明らかにもう国労敵視だと言っても過言ではないと思います。実は、鉄労などとの約束はされているのではないかと現場の職員はもう既に考えているんですね。だから、そういうように当局が努力をして、そういう職場の不信感を払拭するように、やはり労働省としては当局の指導を強化してほしいと思いますけれどもね、労働省。
#145
○政府委員(加藤孝君) 現在、国鉄の再建に向かいまして、政府もあるいはまた国鉄当局もいろいろ懸命の努力をしておるわけでございますでそういう再建の方向に向かってまさに努力をせざるを得ない国鉄の今危急存亡の時期にあるという事情にあるわけでございまして、そういう方向へ向かって国鉄の各組合に対してもできる限り協力をしていただけるようにということで、当局が懸命の呼びかけなり説得をしていくということは当然のことだと思うわけでございます。
 そういう中におきまして、そういう当局の呼びかけ、説得に対して協力するところと、協力について余り積極的でないところという中において、そういう積極的でないところに対してさらに懸命な説得への努力がされるということがあるのはあり得ることだろうと思うわけでございます。それが往々にして、先生がおっしゃるようなそういう言い方につながる場合もあるかと思いますが、要は、この国鉄の改革を推進していくためには、どうしても各国鉄の職員の皆さんあるいは組合員の皆さんに協力をしていただかなきゃならぬということがあるわけでございますので、そういう意味で、十分労使で話し合いを尽くし、そして積極的な協力をいただけるような努力が今後ともされていく、できる限りトラブルのない形の中での説得、協力というものがされていくということを期待しておるものでございます。
#146
○糸久八重子君 分割・民営を既成事実としてこれを一気に推し進めるために、さまざまな業務命令に無条件に従わない労働者を恫喝したり、差別したり、排除したりするというような、そういう異常な事態が本当に目に余るほど目立つわけですね。私も、千葉県内の職場の実態調査に参りまして、つくづくそれを感じたわけでございます。当局は、口を開けば輸送の安全を旨としていると、そう言っておりますけれども、どこの職場でも労働者の権利が侵害されている、そして労働者と国民の安全が無視されているということが私には目に見えてまいりました。
 輸送の安全ということは、ここで働く労働者の健康と生活が十分に守られて、そして人間らしく働くことのできる職場によってこそ支えられると思うのですね。しばらく前までは、それが一定の労使慣行であったと思うのです。しかし、それを一挙に国鉄当局は押しつぶして、労働者の人格や人権や職場の労使関係を否定して、ひたすら分割・民営の実現を図ろうとしているというのが最近の特徴ではないかということを私はあえて申し上げまして、実はもう一つ中国引揚者の就職問題も用意したのですが、時間が参りましたので、これは次の機会に譲らせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
#147
○委員長(岩崎純三君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#148
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、労働問題に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#149
○石本茂君 大変短い時間でございますので、簡略な質問をするかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、高年齢者の雇用、就業の状況についてお尋ねをしたいわけでございますが、今日、労働政策の一環として、定年延長のことでございますとか、それから労働時間の短縮、あるいは週休二日制の導入の促進といいますか、そういうことが盛んに言われているところでございます。ちょうど昭和四十九年でございましたか、発足いたしました例のシルバー人材センターの状況でございますが、現在、これ全国に何カ所できておりまして、どれくらいの人々が参加しておられますのか、お尋ねいたします。
#150
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先生御指摘のシルバー人材センターは、今後急速に進展します我が国の人口の高齢化に対応して、新しい労働対策の一環として重要な施策と位置づけながら、昭和五十五年度から実施いたしているものでございます。現在、各方面から非常な関心を呼びまして、好評を博しておりますが、五十九年度末までに全国の主要都市に二百三十五団体設置いたしまして、六十年、本年度中に新たに二十五団体が発足いたしております。全国に、おきましては二百六十団体の設置でございます。
 それから会員数でございますが、先ほどの、これはちょっと五十九年末までのしかございませんで、二百三十五団体の会員数が合計十万七千五百四十九人ということになっております。一団体平均四百五十八人、約五百人でございます。
 また、事業の運営は順調に推移しておりまして、これも五十九年度末でございますが、契約金総額が約二百二十六億円、一団体当たり年間契約額は約一億円ということになっております。
#151
○石本茂君 加入しております会員が十万人を超えておりますと。この雇用の状況といいますか、どういう場面に主として活躍をしておられますのか、教えていただきたいと思います。
#152
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 シルバー人材センターは、今度この国会に提出さしていただいております高齢者対策に関する法律案の中でも、法的にも位置づけることにいたしておるわけでございますが、その中での考え方は、高齢者対策としまして、いわゆる常用雇用その他普通の雇用についておられる方については六十歳への定年延長、それから大体六十五歳程度までの継続雇用、それぞれのニーズに応じました継続雇用等を考えているわけでございますけれども、さらに定年退職後等におきまして、雇用関係を特に望むわけではないけれども、しかし、何らかの就業を通じて労働能力を活用し、追加的な収入を得てみずからの生きがいの充実を図る、いわゆるボランティアではございませんけれども、ボランティアを含みました社会参加を希望される高年齢者に対しまして、その地域でそれぞれ公益法人等をつくってシルバー人材センターを設けて、そこへこれらの高齢者の方を登録していただきまして、そしてシルバー人材センターと家庭なり事業所なり官公庁等の請負委任契約等によりましてそういう仕事を提供していただき、そこで会員が働いていただくということでございまして、いわゆる定年退職後等におきます、長い職業生活の引退過程におきます社会参加のための事業として行っているものでございます。
#153
○石本茂君 これは年寄りの老婆心といいますか、私は、この事業が将来に向かいましてしぼんでいくのではないだろうかというような愚鈍なことを考えるものですからこういう質問をしているわけでございますが、今、局長が申されますように、やはり高齢化社会といいますか、寿命がどんどん延びておりますし、それから活動能力も十分
に持っていると十歳あるいはそれを超える人たちもおるわけでございますので、どうかこの事業の助成につきましても特段の配慮をお願いしたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#154
○国務大臣(林ゆう君) 本格的な高齢者社会をもう迎えておるわけでございます。こういった中でお年寄りの方が短期的に、あるいはまた臨時に働きたいというか、こういった意識がだんだんに高まりつつございまして、そういった方々もだんだんふえてまいっているような次第でございます。それで、そういうことに対応することも労働政策の大きな一つの課題というふうに私どもは受けとめておるわけでございます。
 そのため、今度の国会に中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案、こういうのを提案いたしまして、シルバー人材センターの法制化を図ろう、このように考えておるわけでございまして、その中身といたしましては、設置基準の緩和、あるいは運営に対する補助の拡充、こういったものを講ずることにいたしております。
 それで、労働省といたしましては、このシルバー人材センターを高齢者対策の重要な柱と考えておりまして、今後とも一層の拡充を図ってまいりたい、このように考えておるものでございます。
#155
○石本茂君 大臣の御意見を聞きまして大変安心いたしましたと言えばおかしゅうございますが、よろしくお願いしたいと思います。
 次にお伺いしたいと思いますのは、育児休業制度の立法化の件のことでございますが、この問題は、ちょうど五年前になりますと思うんですが、前に労働大臣をされました早川崇先生が非常に熱心に、情熱を燃やして、そして当時、男女雇用平等云々というような法制化についての、どういいますか、労働省が手をつけておられたころでございますが、この問題と同じように進めていかなければならない、あるいはそれ以前に確立しなきゃいけないということを申されまして、私ども自由民主党もそうでございますし、また各党の代表であります婦人の方々にも相諮りまして、そしてこの制度の立法化について随分検討したことがございます。党の中でも特別の委員会のようなものができまして、再三再四、数回にわたりまして論議が交わされ、そして法制のめどといいますか、各党も意見はまちまちでございましたけれども皆賛成でございまして、そして法律の骨子案という、こういうものもつくりました。当時、その会合には労働省当局もお出ましをいただいておったわけでございますが、その時点で、男女雇用の問題を含めまして労働省であわせて検討していきたいということになりまして、それでは労働省の方にということが一決いたしまして、それっきりになったわけでございます。
 男女雇用機会均等、名称は変わりましたけれども、法もでき上がりまして、いよいよ四月一日から施行されるわけでございますが、そうした経過の中で、この育児休業制度の立法化ということをめぐりましてどういうことになっておりますのか、お伺いいたします。
#156
○政府委員(佐藤ギン子君) 確かに先生おっしゃいますように、数年前に各党でも大変御熱心に御検討なされましたわけで、そういう場に私どもも呼ばれまして、労働省ではどういうふうにしておるのかというお話がございました。婦人少年問題審議会で、雇用の場での機会均等を確保するための法制化の審議とあわせて、この育児休業請求権の問題も検討しておりますという御説明をいたしまして、それでは政府の様子も見ましょうという御結論をいただいたのを私どももよく記憶いたしております。
 その後、婦人少年問題審議会におきまして、機会均等を確保するための法制化の一環としてこの育児休業請求権について御検討いただいてきたわけでございますけれども、婦人少年問題審議会での御検討の結果をまとめられました建議では、同制度の普及率が一割強にすぎない現段階においては法制化は時期尚早であり、当面、行政側の積極的な指導、援助等により、なお一層の普及を図ることが先決であるというお返事をいただいたわけでございます。
 そこで、労働省といたしましては、その建議の趣旨を踏まえまして、男女雇用機会均等法におきましては、育児休業制度につきましては事業主の努力義務といたしますとともに、この普及促進のための国の助言、指導、援助の義務を新たに盛り込んだわけでございます。そして、そのために六十年度からは大幅な予算措置の増額も行われているわけでございます。労働省といたしましては、法制化の問題につきましては審議会の御建議をいただいてこういう新たな措置をとりましたばかりでございますので、当面はこの措置によりまして普及率をまず高めていくということが第一に必要で、そのことが結果的には法制化の道を開くというふうに考えておりますので、今申し上げました六十年度からの育児休業奨励金の大幅な拡充、これを大いに活用するということとともに、育児休業制度の普及指導員も増員いたしまして、さらに普及指導の対象となる重点業種なども定めて積極的に普及を図っているところでございます。このほかに、育児休業制度普及促進旬間というものも設けておりまして、この制度につきまして、労使はもちろんのこと、社会一般の理解も深めまして、企業への普及促進を図ることを目的として集中的な啓発活動もいたしておりますので、さらにこの問題には力を入れてまいりたいと存じます。
#157
○石本茂君 あらゆる角度から促進を図っておられますことは承知をいたしておるところでございますが、さっき申されました促進事業の一つとしまして、出産といいますか、分娩手当と申しますか、企業体に対しまして、どういいますか、第一子が生まれます時点で、その人に対します分娩手当といいますか、出産手当といいますか、促進のための奨励金と申しますか、今単価を六十年度から上げましたと言っていらっしゃるわけですが、これがどれくらい消費されているんですか。この予算の収支といいますか、使われ方でございますが。
#158
○政府委員(佐藤ギン子君) 今お尋ねになりましたのは、育児休業奨励金のことについてのお尋ねかというふうに思いますが、これにつきましては、支給実績を見ますと、五十年に創設しましてから支給件数は徐々に上がってきておりまして、五十七年から五十九年度で大体二百件程度までふえてきております。これは奨励金の額も大幅にふえてきておりますのと、それから婦人少年室に育児休業普及指導員なども置いてその活用を図っているところでございますので、さらにこの増加を図っていくように努力していきたいと存じます。
#159
○石本茂君 そういう手段も大変必要なことだと私は思いますが、来年、再来年とは言いませんけれども、今一部の勤労者、学校の女子教員とか、看護婦とか、保母ですね、そういう人たちが育児休業法という法のもとに庇護されているわけでございますが、だからといって大勢全部休暇をとるというわけでもございません。それから、産後の今は六週間でございますが、これは有給でございますけれども、その期限が切れますと無給になって、ただ社会保障費だけが負担ということになっておりますので、そういう面から考えますと、私は全勤労者にこの法律をかぶせた場合に、育児休業のための経費というものが、産後八週間これは有給になると思いますけれども、その後は無給と。そして、社会保障費などの、これは経営者側、雇い主側が支弁するわけでございますが、やはり法的な根拠があれば、たとえ三カ月間でも六カ月間でも、休む者も気楽に休めますし、それから休ませる側もそうした法的根拠のもとでございますと、これは休ませることも当然だという認識を持つようになるんではないか、そんなような気がいたしますので、いつまでもだらだらと、まだ時期尚早でございます、時期尚早でございますと言ってこれは延ばしていていいものなんだろうか。やっぱり当時早川先生が必死になって叫ばれましたように、育児というものに重点を置いてこれはお考えになっておりました。母と子というよ
りか、各党は母だけじゃなく父親もということでございますが、親子の人間関係というもの、特に人間性というものを引き起こすためには、何といいますか、一年以内ぐらいにそういう意識というものはやはり確立するように思うんです。
 そうしたこと含めまして、せめて離乳するまで、お母さんのお乳で育てなきゃならない期間だけでも、一年ということにしますけれども、ほとんど今三カ月とか半年とっているのが現状でございますので、そうした人間性の育成という原点を考えましても、この問題はなおざりにはできないんじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
#160
○政府委員(佐藤ギン子君) 先生おっしゃいますとおり、結婚後も働き続けて、子供を産んでも仕事を続けたいという女性がふえてきておりますが、そういう人たちが、子供が小さいうちはぜひ自分の手で育てたいと、そういう気持ちは非常に大事だと思いますし、そういう人たちが安心してしばらくの間は職場を離れ、また職場に帰ってこられるような制度というのは、女子労働者にとっても非常に重要なことですし、子供の心身の健全な発展のためにも重要ですし、ひいては企業のためにも立派ないい制度だと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、審議会で長いこと御検討いただきましてやりといただきました御建議の結果が先ほど申し上げましたようなことで、当面まず普及率を上げなさいというお返事だったわけでございまして、私どもも、法制化をしますためにはもう少し普及率を上げるということを何とかして達成しなければならないということでございまして、新しい予算措置をいたしましたのも六十年度からでございますので、もう少し私どもとしては、力も足りないところもあるかと思いますけれども、努力をさせていただきたいと存じます。
#161
○石本茂君 大臣にこの件でお尋ねをいたしますが、今私申しておりますように、ただ母親が楽をするとか、父親が楽をするとかという意味じゃございませんで、育児という非常に大切な条件がそこにございますので、私はこの制度はやはりできるだけ早い時期に実施してもらいたいと思うんですが、どんなものでございましょうか。それはわがままな考えでございましょうか。
#162
○国務大臣(林ゆう君) 石本先生の切実なお考えのもとでの御質問、私どもにとりましても本当に子供を育てるということは、次の世代に我々の経験を受け継いでいくということに対しては大事なことでございます。そのもとになりますのがいわゆる赤ちゃんを丈夫に育てると、こういったようなことでございますので、法制化という問題につきましては、先ほど婦人局長の方から御答弁いたしましたように、まだ普及率その他の問題でいま少し早いんじゃないかと、こういったような審議会での建議もなされております。
 こういったことも踏まえながら、私どもは法律に取り組んでいかなければならないわけでございますが、先生御指摘のような問題、これも十分に私どもは頭の中でそしゃくしながら今後の対応を図ってまいりたい、このように思うわけでございます。
#163
○石本茂君 行政のお立場はよくわかりますが、どうか普及促進につきまして、あらゆる手を今打っておられるわけでございますが、私どもも努力をいたしますけれども、これは早い時期に育児という重要な断面をお考えくださいまして、そしてやはりこの立法化ということもどこかで急がなければならぬのだということを、ひとつここをお考えの中に入れておいていただきたいことを、この場をかりまして切望いたします。
 続きまして、いよいよ四月から施行されることになりました、そして大騒ぎをしてでき上がった男女雇用機会均等法でございますが、この法律の施行も目の前にいたしまして、今日まで御苦労されてきたと思いますし、現在ただいま、あるいはまたこれから先どういう点で最も苦労をされるのか、それからどういう点に重点を置いて指導していこうとしておられますのか、お伺いしたいと思うんです。
#164
○国務大臣(林ゆう君) 男女雇用機会均等法というのは、この四月から施行されるということ、もうすぐ目の前に来ているわけでございます。この法律が円満に施行されるためには、法律の趣旨あるいはまた内容を関係者に十分理解していただくということがまず大事ではなかろうか、こんなふうに考えまして、現在、水省及び地方婦人少年室が中心となりまして、広報活動あるいはまた啓発の活動に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 また、法律を施行するに当たりましては、その施行を担当する婦人少年室のいわゆる充実と申しますか、そういったものが大事なことであろうかと、こういったことで、昭和六十一年度に婦人少年室の職員を増員いたしますとともに、職員の資質を向上させるための研修を充実して、今後も均等法の施行におきまして婦人室の体制をしっかりと整備してまいらなければならない、こんなふうに考えまして、その努力を今続けているというところでございます。
#165
○石本茂君 ただいま大臣のお言葉をいただきまして、私も本当によかったと思い、また反面、これからの問題でございますので、これは雇う側も雇われる側も認識を深め、自覚をしていかなきゃいけない問題だと思うわけでございますが、やはり指導と監督といいますか、指導体制のために六十一年度には人員の増加も図りましたと今大臣申されまして、何かほっとしているところでございますけれども、法律ができて、どんなにすばらしい規定ができましても、実施の面で問題が起きますと、あってもなくてもよいということになりますので、どうかこの問題につきましては、将来に向かってやはりあの法律はつくってよかったと、雇う側も雇われる側も喜びを抱くような体制づくりをさらに御検討いただきたいことを心からお願いいたしまして、私の質問終わりますが、最後に、局長さんのお腹をちょっと聞きたいと思います。
#166
○政府委員(佐藤ギン子君) 今、先生おっしゃいましたこと、私どもも全く同感でございまして、法律が絵にかいたもちになりませんように、いろいろな面で力を入れてまいりたいと存じます。
#167
○石本茂君 どうもありがとうございました。以上で終わります。
#168
○中西珠子君 労働大臣にお伺いいたしたいんでございますが、大臣は所信表明の中で、「本格的な高齢化社会の到来など今まで経験したことのない変化や厳しい国際経済環境の中にあって、勤労者の雇用を確保し、その福祉の向上を図ることは、社会経済と国民生活の安定のための基本的課題であります。」とされて、「雇用対策の積極的な推進」を第一に挙げておられます。
 けさほどの質疑の中の御答弁にもありましたけれども、いろいろ労働省がおやりになっている高齢化社会に対する対策として、高齢者に対する雇用を促進するためのいろいろ助成金なども出していらっしゃいますが、依然として、労働省からいただいた資料によりましても、高齢者に対する求人倍率は非常に低いわけでございますね。六十年度が五十五歳―五十九歳の年齢層では〇・一六、六十歳から六十四歳までの年齢層では〇・一〇、六十五歳以上が〇・一五と、こうなっているわけでございますが、高齢化社会の到来を間近に控えて、高齢者に対する雇用の問題も非常に深刻になりつつありますし、一方、経済摩擦などの外圧による産業構造の転換の必要性ということが、政府のいろんな審議会からも指摘されていますし、またマスコミあたりからも非常に叫ばれているところでございます。内需主導型の経済へ転換して外需依存型の経済は脱却するなどということは、言うに易しく本当に難しいことだと考えるわけでございますが、そういった外圧によって余儀なくされる産業構造の転換の必要性というものもございますし、また、これは非常に労使ともに痛みを伴うものであるということでございます。
 また、これは中長期的な課題として労働省でお取り組みになっていただかなければならないわけでございますけれども、現在、急激な円高で、中小企業の操業短縮だとか、休業だとか、また倒産が続出しているということが中小企業庁やそれから経済企画庁あたりの調査でも明らかになっているわけでございます。こういうものに対する緊急の、目前の対策というものも労働省に対して大いに期待されているところでございますし、先ほど申し上げたような、中長期的な展望に立った雇用対策ということも非常に労働省に期待されているわけでございます。
 このようなときに、ILOの百二十二号条約、これは雇用政策条約でございまして、すべての国民に自由に選択のできる生産的な職業、雇用を確保するという完全雇用政策を宣明する条約を批准することに踏み切られ、また一方、技術革新のもと、非常に生涯職業能力の開発ということが必要にもなり、また、産業構造の変換に伴って業種を変えたり職種を変える労働者がふえてくるといった、そういう人たちに対しても職業転換のための再雇用もやっていかなければいけないという緊急のニードもあるわけでございます。
 こういうときに、もう一つのILOの百四十二号人的資源開発条約、これは御承知のとおり、職業、雇用に結びついた職業指導と職業訓練の総合的な、また調整された政策や計画を展開していくということを内外に宣明される条約でございますが、このような条約二つを批准することに踏み切られたということは、労働大臣が、雇用対策やそれから職業能力の開発、人的資源の開発というものに対して非常な決意を持って臨んでおられるということを示すものだと思いまして、大歓迎であるわけでございますが、果たして、国内的にはどのような具体的な政策を展開なさるおつもりなのか、その点をお示し願いたいと思います。
#169
○国務大臣(林ゆう君) 中西先生、いろいろと現在の経済情勢、あるいはまた高齢者社会を迎えるに当たりましての将来のことなどお話がございまして、その中で私どもといたしましては、何といたしましても、将来のいろいろな産業構造が変化していく中で、雇用の確保というものは一番の大事な課題の一つといたしまして、それに取り組んでまいっているわけでございます。
 また、最近の急激な円高の影響によりましては、労働省といたしましても、非常に輸出に高い依存をする地域の中小企業が中心になりますけれども、この対策についても、今後の雇用の安定といったようなことを観点といたしまして今いろいろと作業を進めておりますが、その中で特に輸出の比率の高いところ、労働省は先般ヒアリングをいたしました。そういう調査によりますと、業種といたしましては、陶磁器業などでは既にもう雇用調整が実施されておるなどといったような、雇用に影響も出ておるようなところもございます。
 このため、労働省といたしましては、雇用調整助成金の対象業種の指定基準を改正したり、あるいはまた、一層機動的な業種指定を行いたい、また関係都道府県におきましては、臨時雇用対策本部を設置させて機動的に雇用対策の促進を図る、こういったことを根幹といたしまして今対策を進めているわけでございますが、このうち雇用調整助成金の業種指定に関しましては、円高の影響を受けていると見られる業種につきまして、昨年からことしの二月にかけまして陶磁器業等の十業種を指定いたしました。さらにまた、三月一日には作業工具等の十八業種を指定いたしまして、こういったものに取り組んでいるというところでございます。
 そういったようなことで、いろいろと産業経済の新たな転換と申しますか、変化に対応すべく、労働省といたしましても精いっぱいの努力を今続けているというところでございます。
#170
○中西珠子君 今、大臣、雇用調整助成金の対象業種、ことに円高の影響を受けたもの、に対して十業種指定なすった、また別個十八業種指定なすったというお話でございましたけれども、どういう業種か、ちょっとお漏らしいただけますでしょうか。
#171
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先ほど大臣申し上げましたように、円高によりまして雇用に及ぼす問題をいろいろ調査さしているわけでございますが、その雇用に及ぼす影響等を四段階に分けまして、円高に伴う雇用調整が現在のところはまだ見られないけれども先行き懸念を要するもの、それから、現在は円高に伴う雇用調整は見られないものの、現実として新規成約、需給の減少といった状況が続けば雇用に影響が起こるであろうと見られるもの、それから三番目としましては、円高により雇用調整を実施しているもの、それから四番目としましては、従来から構造的不況要因等、他の要因にこの円高が加わりまして雇用調整等を実施しているケース等がございます。それらの調査によりまして、特に今申し上げました三番目と四番目の非常に雇用調整を要する業種をとらえまして指定いたしているわけでございます。
 全部読み上げますとたくさんになりますが…。
#172
○中西珠子君 後ほどくださいませ。
#173
○政府委員(白井晋太郎君) 後ほど資料として提出さしていただきます。
#174
○中西珠子君 産業構造の変換に伴う雇用調整は、日本の労働省は大変上手にこれまでやっていらっしゃって、失業の防止を非常にうまくやっていらっしゃったという世界に定評があるわけでございますから、その調査を厳密になさいまして、効果的な雇用調整の助成金の支給ということもやっていただきたいと思います。
 今度は、職業転換に対してどのようなやはり助成をなすっているか、お伺いしたいと思います。
 これは、人的資源開発の条約、百四十二号条約も批准なさることですし、非常に生涯職業能力開発のための御努力を続けていらっしゃるということは承知しておりますが、助成の面ではどのようになさっていくのか、それをちょっとお伺いしたいと思います。
#175
○国務大臣(林ゆう君) 我が国におきましては、企業の労使が、できる限り雇用の維持を図るという観点から、雇用の安定のために努力するということがいわゆる慣行のようなことになっているのでございます。こうした企業の努力が我が国の雇用の安定に大きく寄与をしているというふうに私どもは思っているわけでございますが、今後につきましても、産業構造の転換と雇用を取り巻く環境が大きく変化をすることが見込まれる中で、雇用対策においては労使の雇用安定努力を促しますとともに、雇用調整助成金の活用、あるいはまた不況業種、不況地域の雇用安定対策の実施、さまざまな変化に的確に対応した職業能力開発の推進などの各種の施策を積極的に推進いたしまして、失業の予防、そしてまた雇用の安定、こういったものを図ってまいりたいと思っております。
#176
○中西珠子君 命のお話で、非常によい政策を展開していただけるものと大いに期待しておりますけれども、産業構造の転換、内需主導型の経済への移行ということを至上命令というふうに考えますならば、非常にいろいろな施策が政府全体として総合的に必要なのではないかと思います。
 労働省に限って申しますと、内需拡大のために必要とされている消費の拡大、そういったことのためにはやはり可処分所得の上昇ということが必要ですし、労働時間の短縮というふうなことも必要だと考えるわけでございます。こういった中長期的な面で、また可処分所得の上昇ということは、すぐ目の前に春闘も近づいてくるわけでございますから、実質賃金の向上のために大幅な賃上げが必要というふうに私は考えております。
 労働時間の短縮に関しましては、政府の審議会、例えば経済審議会だとか、それから通産省の産業構造審議会の中の企画小委員会だとか、もういろんなところがいろんなことを言っております。労働大臣の所信の中には、労働基準法研究会の報告を受けて、そして中央労働基準審議会に諮問して、そして基準法の改正も考えるという含みのことを述べていらっしゃいますけれども、基準法研究会の報告につきましては、労働省はどのように受けとめていらっしゃるわけでございます
か。
#177
○政府委員(小粥義朗君) お尋ねの労働基準法研究会の報告は、昨年十二月十九日に労働大臣あてに提出されたわけでございます。これは五十七年からいろいろ検討していただいておりますが、研究会はいわゆる学識経験者だけで構成された研究会でございます。したがいまして、出されました報告も労働省に対する答申ということではなくて、報告という形でお出しをいただいたわけでございます。言いますれば、通常の形ですと、行政当局が関係の審議会にいろんな法律案の要綱をつくって諮問をする前の過程において、行政当局の原案をつくる参考とさしていただく報告という性格を持っているわけでございます。したがいまして、昨年暮に報告をいただきましてから、この点について実はかねがね中央労働基準審議会の労使の委員から、研究会が学識経験者だけの研究会であることといった点を踏まえまして、その報告が出された時点で、改めて基準審議会の場で、労使委員を交えたそうした場でもってその報告についての論議をする場所を設けるべきであると、こういう要請をいただいておりました。それを受けまして私ども実は先日、中央労働基準審議会にこの労働基準法研究会の報告の御説明をしたところでございます。今後、この基準審議会の場で、研究会報告に対する労使を交えた論議が展開をされていくことになると思っております。
 私どもとしては、その労使の論議を踏まえまして、その上で労働省としての労働基準法についての改正案というものをまとめる作業に入っていきたい、こういうような段取りで考えているわけでございます。
#178
○中西珠子君 基準法研究会の報告が非常に各方面で論議を呼んでいるわけでございますが、一番問題にされている、殊に婦人の立場から一番問題にされているのは、一週四十五時間というのはいいんだけれども、一日の労働時間というものは、目安は八時間とするけれども。それを弾力化するという、この弾力化というところが非常に問題とされているわけでございますが、この点につきましては、労働省はどのように受けとめていらっしゃいますか。
#179
○政府委員(小粥義朗君) 研究会報告の中で、労働時間の弾力的配分という意味合いで、新しく提起しております点が主要なものとして二つあると思います。
 一つは、現行労働基準法にございます四週間を単位として平均過当なりの労働時間が四十八時間を超えなければ、週によって四十八時間を超えてもいいといういわゆる変形労働時間制、これが現行の労働基準法で認められているわけでございますが、これを四週間のタームではなくて、もう少し長い三カ月程度を単位とする変形労働時間制を考えてもいいんではないかと、こういう提案があるわけでございます。
 それからいま一つは、変形労働時間制の場合は、あらかじめある週、ある日の労働時間というものが決められていると、パターンが決められているということが要件とされているわけでございますが、そういう日による労働時間のパターンをあらかじめ決めにくい業種なり企業といったものも現実には存在いたします。例えば、観光地の旅館業であるとか、あるいは下請としての製造業といったような場合は、必ずしもそういうパターンが決めにくいといった事情がございます。そういう一定の範囲の業種あるいは企業につきましては、これは一週を単位として、あらかじめ定型的に決めることはしないけれども、労使協定あるいは労働者に対する事前の通知等を要件にして、一日二時間の範囲で延長ができるように、するといった二つの点が提案されているわけでございます。
 御指摘のように、こうした二つの新しい提案は、三カ月に範囲が広がれば、その中のある週については極端に就労時間が長くなるのではないか、あるいは一週当たりあらかじめパターンを決めないでやるとなるにしても、これがいつぽっと出てくるかわからないといった面で、女性に対するいろんな長時間労働の負担が加わるんではないかというお尋ねだろうと思うわけでございますが、今お答えいたしました二つの新しい提案については、いずれも研究会報告としては、労使協定その他一定の要件のもとにということを明示いたしているわけでございます。
 そこで、具体的にその要件をどういうふうに設定するか、これはやはり肝心なところでございまして、それがいたずらに労働者の生活の設計を損なうといったことのないように、あるいは健康を害するといった極端な事態が出ないように、その要件としてどのような歯どめをかけていくか、これは今後の労使の論議、さらには私どもとしての実態調査を踏まえた検討等によって適正な要件というものを設定していかなきゃならない、こういうふうに考えているところでございます。
#180
○中西珠子君 変形労働時間の期間の延長ということと、非定型的な労働を許して一日二時間ぐらいは限度として延長させるというふうなこういう考え方は、最近の「日本労働協会雑誌」昭和六十一年二、三月号に、基準法研究会の労働時間に関する報告をお書きになった方々の座談会が出ているんですけれども、結局、産業構造の変化、労働の実態からいうと、一日というのはかつてほど重要でなくなったという認識に基づいていると、こうおっしゃっているわけなんですね。しかし、今、労使協定というものの要件を定めるからというふうなことをおっしゃいまして、その内容についてもいろいろお考えになるということだそうでございますけれども、中小企業の未組織のところで働いている人たちは、労使の力関係というもので、反対すれば首になるから嫌でも我慢するという形になって、労使協定は形式的にはできても結局のところ泣き寝入りになってしまう。もしくは、それができない人は首になるということになる危険が非常にあるし、殊に女性の立場というものは、一日の労働時間というものほかってほど重要ではなくなったなんということを言われては非常に困るわけでございますね。女性というのは、殊に家庭責任を持つ女性は一日を単位として生きていると言ってもいいぐらいで、それは男性についても、やはり健康保持とか生活の質の向上というふうな面からは、一日の労働時間というものは非常に大事だと思うんですけれども、殊に家庭責任を持った女性の場合は、子供を保育所に預けに行くという時間も決まっていますし、まず朝預けに行かなくちゃいけない。それから、仕事が終わったら急いで保育所から連れて帰ってこなきゃいけない。それから、子供にまた食事をつくって食べさせなければいけないというふうに、一日というものが単位で日常の生活が送られているわけですから、一日の労働時間は重要ではなくなったなどというお考えの方々に労働省が同調していただいては困るわけでございます。その点はいかがですか。
#181
○政府委員(小粥義朗君) 女子労働者の場合の労働時間については、今御指摘のような点があって、それが男女雇用機会均等法の成立と同時に改正されました労働基準法に基づきます女子労働者の保護の規定にも、なお一定の範囲で残業時間の制限であるといったようなことが設けられているものと理解しているわけでございまして、したがって、そうした女子労働者の保護規定、現行の基準法にございますものを、新しい研究会報告の提言により今後検討されていく基準法のいろんな仕組みの中でどういうふうに盛り込んでいくか、これはまだ私ども具体的な案を持っているわけじゃございませんが、そうした点はまた踏まえて、労使の意見も当然交わされることになりましょうし、そうした面を総合的に勘案した上での要件の設定、これは当然に必要になってくるものというふうに考えております。
#182
○中西珠子君 男性の方の労働時間の短縮というものがやっぱりどうしても必要だと思うんですね。これは、内需の拡大のために、消費の拡大のために必要とか、いろいろなことをいろんな政府の審議会もおっしゃっていますけれども、第一に、労働者の生活の質の向上と福祉のため、健康の保持のために絶対労働時間の短縮は必要だし、
国際経済摩擦というものが長引いているのも、これは日本の長時間労働というものがアンフェアであるという、公正な国際競争をしていないという面からの批判もあるわけですし、これはやはり日本の男性の時間外労働の規制とか深夜業の規制とか、そういったものもあわせて考え、また労働基準法研究会は、週休二日制の法制化はまだ時期尚早だというふうなことも言っておられるらしいですけれども、週休二日制の促進とか、そういった面で労働省がもっと前向きに考えていただきたいということを強く要望申し上げます。
 そして今度、女子保護法規が男女雇用機会均等法の制定とともに改正されまして、非工業的職種、工業的職種というふうに分けて時間外労働の規制がなされているわけでございますけれども、これは結局男性と女性とがそれぞれ別の基準がある二重基準ということになるわけでございまして、そのことのために機会均等法の適用除外も許されるということになりますと、差別はあくまで存続していくということになるのではないかと思うのですが、これは婦人局長いかがですか。
#183
○政府委員(佐藤ギン子君) 先生おっしゃいましたように、男女の間の機会均等を確保するためには、男女が同じ基盤で働くということがやはり第一の重要な点だと思います。そういう意味で女子に対する特別措置というのはなくなっていくことが望ましいわけでございまして、そういう意味で男子も含めた全体の労働時間が短くなっていくということは望ましいことでございますので、労働省としても、そういう方向で労使の御意見を伺いながら労働時間の短縮に努めているのだというふうに理解いたしております。
#184
○中西珠子君 経済審議会報告にも、とにかく、技術革新など経済発展の成果を賃金と労働時間短縮に適切に配分することなどを通じ、可処分所得や自由時間の適度な増加、物価の安定を図ることが必要であるなどということも言っていますし、内需拡大のための関係閣僚会議、そういったところでも労働時間の短縮は必要なことだというふうに決定なさっているらしいので、私は、労働時間短縮に向けて労働省が指導的な立場をとって、そして勤労者の男性も女性も含めた労働時間の短縮、それから生活の質の向上、福祉の向上というものに努力していただきたいと思いますが、労働大臣の御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
#185
○国務大臣(林ゆう君) 中長期的には、技術革新など経済発展の成果を賃金と労働時間短縮に適切に配分をすることが、内需中心の均衡のとれた経済成長の達成という面から考えましても望ましいものであると認識をいたしております。
   〔委員長退席、理事大浜方栄君着席〕
 個別の具体的な賃上げにつきましては、それぞれの労使が自主的な話し合いを通じまして適切に解決をするということが基本でございますが、労使間の良識ある話し合いで賃金が決定をされまして、払えるところはできるだけ豊かにしていただくことを念願いたしているわけでございます。総体といたしまして内需拡大に結びつくことを期待しているところでございます。
 また、労働時間短縮につきましては、昨年の十月の内需拡大に関する対策にも掲げられてありますとおり、労働省といたしましても、週休二日制の普及を最重点に、積極的に推進に努めてまいっているところでございます。
#186
○中西珠子君 どうもありがとうございました。
 労働大臣がこれまで予算委員会なんかでの質問にお答えになって、労働省は「労働時間短縮の展望と指針」を出しておりますから、これに基づいて大いに行政指導もやっていきますというふうなことをおっしゃっているわけでございますが、この点に関してちょっと具体的なやり方をどういうふうになさっているかということにつきましてお伺いしたい、これは大臣の御答弁じゃなくて結構なんでございますけれども。
 とにかく、年次有給休暇の消化という面で非常に日本はおくれているわけでございますし、第一、法定の年次有給休暇の最低基準というものが非常に低いわけでございます。最低基準が五日というのはフィリピンだけで、六日というのは日本のほかにはタイとメキシコとマラウイというふうな開発途上国というふうなことでございまして、年次有給休暇の最低基準も十日ぐらいまでに引き上げる必要があるということは、審議会や研究会などで指摘されているところでもございます。
 年次有給休暇の消化率が非常に悪いというその理由としてよく言われることは、年次有給休暇などをとると皆勤賞や精勤賞は与えない、またボーナスは差っ引いて、ほかの年次有給休暇をとらなかった人よりも低くするとか、それから昇進、昇格においても、年次有給休暇などをとる人は昇進、昇格の対象にしないなどという、年次有給休暇を消化するということのために不利益な取り扱いをするという制度を持っていたり、慣行を持っていたりする企業が多いということは既に指摘されていることでございまして、労働省の「労働時間短縮の展望と指針」の中でも、そういう不利益取り扱いを受ける場合があるということもおっしゃっていまして、そういうものは是正していかなければならないと、こうおっしゃっているわけでございますが、是正する方途としてはどのようなことをお考えになっておりますか。
#187
○政府委員(小粥義朗君) ただいまの年次有給休暇の取得が理由となって各種の手当の削減であるとか、あるいは不支給であるとかといったような事態は、実は前からもいろいろ事例としてあったわけでございます。ただ、法律的に言いまして、それが直ちに基準法違反であり無効であり云々というわけにはなかなかいかないというような、法律的に断定しにくい面もあったわけでございますが、五十三年に通達を出しまして、これは、例えば精勤手当、皆勤手当がどの程度差がつくかということにもよるわけでございますけれども、少なくとも年次有給休暇の取得を損なうような形でそれを上回る大きな格差がつくというようなことについては、これは基準法で規定しております年休の趣旨に反するものだということで、各労働基準監督機関を通じまして是正方を指導するように通達を出したところでございます。
 いろいろ判例も二、三出てまいりまして、そうした基準法三十九条の規定に反するようないわゆるそういう各種手当の支給の形態というものは、言うならば公序良俗に反して無効であるといった判例も見られるようになってまいりましたので、そうした点をむしろ個々の企業に十分理解してもらうことによってそうした手当の支給要件等を改めてもらう、こういう指導に当たっているところでございます。
 これからも、研究会報告で指摘しておりますように、そうした面の是正にさらに努めていきたいと思っております。
 ただ、昇進、昇格までそれでもって左右されるというのは、実は余り私ども耳にしておりませんので、具体的にお答えいたしかねますが、昇進、昇格になりますと、いろいろな要素が総合的に判断されてこうしたんだという、そういうやり方がむしろ一般的かと思いますので、単に年休取得だけでもって決定的な条件であったというふうに見れるかどうか、この辺は少々具体的な事実を判断する場合に難しい面があろうかと思いますが、手当についてはそういう考え方で今後とも進めてまいりたいと思っております。
#188
○中西珠子君 年次有給休暇の取得率というか消化率は大体六割ですね。五十八年度は六割で、五十九年度がちょっと下がりまして五・六ぐらいですか、そうですね。
 それで、年次有給休暇は、病気になったときに困るから、これはちょっととっておかないとどうしても困るという考えの勤労者が多いんですね。それで、年次有給休暇を病気になったときの休暇、休日としてなし崩しに使うという傾向がどうしてもあるというのは、日本で法的に病気休暇制度がないのが理由ではないかと思うんですけれども、病気休暇制度というものは持っている企業もありますね。しかし、ない企業の方が多いわけですね。それで年次有給休暇を病気休暇に使うとい
う傾向があるわけですけれども、この点について、病気休暇制をつくる必要があると私は考えているんですけれども、いかがでしょうか。
#189
○政府委員(小粥義朗君) 病気休暇制度を個別の企業で採用しているところもあることは承知をいたしておりますけれども、また一方、年休というのはそういう病気休暇に充てちゃならないというILOの考え方も示されているわけであります。
 しかし、我が国の労働基準法が昭和二十二年に制定されましたときにこの年次有給休暇制度が導入されたわけですが、以来この年休制度、国際的な面からすると、我が国の年休制度は確かにユニークな面があるわけでございます。勤続年数でもって年々ふえていくといったような面も含めましてユニークな点があるわけですが、ある意味では、これは一つ定着をしている面があるようにも判断しております。
 御指摘の、病気のために、不時に備えて使わないでとっておく、それが未消化につながる、その傾向は率直に言ってあろうかと思います。しかし、これを制度としてすべての企業に導入するとなりますと、これはやはりまたいろいろな問題が出てくるわけでございまして、制度として考えた場合は、例えば健康保険制度で病気の場合の手当も出るようになっております。だから、そうしたものをいわゆる社会保険等含めまして総合的に判断いたしませんと、すべての企業に一定の範囲で義務づけるというところまで直ちに行くべきかどうか、なお慎重な検討が必要かと思っております。
#190
○中西珠子君 慎重な検討をどうぞやってくださいませ。
 私は、もう一つお伺いしたいのは、労働時間短縮などをやると、いわゆるNICS、新興工業国家、例えば香港、台湾、韓国、シンガポール、ああいったところが長時間労働で、そして非常に安い賃金でどんどん日本を追い上げているから、もう時間短縮なんかやっていたら、これは国際競争力が劣ってしまって大変なんだという使用者側の意見もありますし、殊に経営基盤の強くない中小企業などは、そういう心配をまずやるのではないかと思うわけでございます。一方労働者の側におきましても、時間外労働などは、もう収入がふえるからむしろ余得であって、ぜひこれはやりたいのだと。また、恒常的な時間外労働がワークスケジュール、作業の日程の中に繰り込まれているもんだから、絶対それはやめたくないというふうな勤労者も多いわけでございますし、割り増し賃金率の上昇ということも、総評、同盟などの労働四団体並びに全民労協などは、割り増し賃金率の引き上げというふうなことも要求しているわけでございまして、これは、時間外労働は減らすけれども、収入が減らないように割り増し賃金率はふやすということと同時に、時間外労働をさせないようにペナルティーとしてのやはり割り増し賃金率を高くしていくということが、時間外労働を規制していく上に、また減らしていく上に非常に有効なのではないかという、これは欧米の考え方を取り入れて主張しているのだと思いますが、その点に関してはどのような御意見がおありになるのかということが一つ。
 それから、中小企業に対して時間短縮を推し進めるためにはどのような政策をおとりになるおつもりかということが第二点。
 それから第三点は、どうしても時間短縮をやっていく上でいろいろの障害になるのでは、意識の問題があると思うんですね。国民の大多数が非常に勤勉で、自由時間ができるとかえってそわそわしてしまって、何をしていいかわからないというふうな状況にあって、そして、例えば最近ミサワホームか何かが土日社員というのを募集しましたところが、二千人も応募者があったという話も聞いておりますし、週休二日制なんか与えても、とにかく土、日が退屈でしょうがないし、何をしていいかわからないから働いた方がいい、もしくはもっと収入を得た方がいいから働いた方がいいという、そういう昔からの勤勉は美徳なりとする意識の問題ですね。こういった問題をも含めて、どういうふうな指導を労働省はやっていかれるおつもりか、お伺いしたいわけでございます。
#191
○政府委員(小粥義朗君) まず、時間外手当の割り増し率の引き上げの問題でございます。
 御指摘のように、現行基準法が二五%と規定しております割り増し率、これを引き上げれば、それだけ企業のサイドからも残業が高くつくということで、いわゆる残業時間の抑制の効果は一面持つものというふうに考えられますが、他方で、我が国の場合、先ほど率直な御指摘もございましたけれども、労働者の側においても、いわゆる残業手当というものが生活収入の中に組み込まれているといった面から、残業志向性といいますか、そうしたものは、正直言いましてある程度あるわけでございます。そういう面からしますと、むしろ割り増し率の引き上げが直ちに抑制だけに働くのかどうか、必ずしも一概に言えないといった議論が実はいろいろございました。
 と同時に、もう一つは、我が国の場合、いわゆる終身雇用慣行というものをバックに、二度のオイルショックを経験しまして、企業が不況時にも人員整理をしないで済むように、ある程度雇用は控え目にしながらも、景気の変動に伴う調整はむしろ残業時間でやるというような傾向がございまして、そういう面がございますために少々残業時間が長目になっていると、こういう傾向がございます。したがって、その面からしますと、やはり雇用調整的機能を持つ限りにおいては、全部を悪と言うわけにはまいらない。
 そうしたもろもろの点がございまして、実は基準法研究会報告の中でも、時間短縮のプライオリティーは、残業手当の抑制よりもむしろ法定労働時間の短縮に優先順位を与えるという形での考え方も示されたわけでございまして、私どもそうした、両方やれればそれにこしたことはないわけでございますが、現実非常に企業間の格差がある現状では、まずは法定労働時間の短縮こそ優先すべきではなかろうか、こういう考え方を持っております。
 ただ、割り増し率といいましても、日々の残業と休日労働とを比較しますと、やはり労働者に対する負担も違うわけですし、休日労働についての割り増し率の引き上げに対する研究会報告の提言は適切なものというふうに考えておりますので、そうした面での検討を進めていきたいと思っております。
 第二番目の、じゃ、中小企業に対して具体的にどういう労働時間短縮の指導なり対策を進めていくかということでございますが、中小企業で労働時間短縮が進みません。番大きな理由は、やはり根底に経営基盤が脆弱である、したがって生産性の上昇率も大企業に比べてかなりの差があるというところが基本的にはあるわけでございますが、いま一つ、中小企業がなぜ週休二日制がやれないのかという理由も、私どもいろいろ調査した結果が出ております。それで見ますと、確かに労務費コストが上がるというのを理由に挙げるところもございますけれども、それ以上に多い理由というのは、むしろ同業他社との関係で、うちだけやるわけにはいかないとか、あるいは取引先あるいは下請の立場であれば、発注元との関係でそう簡単にはいかないんだというような理由を挙げる方がむしろ多いわけでございます。
 したがいまして、中小企業対策として今後進めていく場合には、個別企業に対してどうこうと言ってもなかなかこれは進まないであろう、やはり中小企業集団、対象として団体を対象とする労働時間短縮の指導というものをむしろ積極的に進める方が効率的ではないか、こういうふうに考えております。そういう形での対策を六十一年度、新しく予算も組ませていただきまして実施をしたいというふうに考えております。
 それから三番目に、意識の問題がございましたが、これは、確かに労働時間短縮、当事者である労使の考え方が基本にはなるわけですが、同時に、店が閉まってしまうとかというようなことになれば、消費者初め国民一般の問題にもなるわけでございます。そういう面で、むしろ国民全体の
労働時間短縮に対する意識というものを変えていただく、そういう面の啓蒙、啓発活動は行政としても進めていかなきゃならないと思っておりまして、これはかねがねやっているのでございますが、必ずしも十分な効果を上げていないということから、各地域でのそういう啓発活動、そういうものをやれるような予算も計上いたしまして新年度からの対応を進めたいというふうに考えております。
#192
○中西珠子君 中小企業の集団に対して指導なさるということは大変結構でございまして、予算措置も講じていらっしゃるということで承知しておりますけれども、中小企業の中には下請企業、孫請企業なんというのが多いわけですね。そうすると、中小企業の横並びの集団だけを対象にしたのでは、親企業の方が結局発注しまして、そうして納入する期日はいつまでだというふうなことでせっつかれた場合には、どうしてもしわ寄せが中小企業に来るということがありますので、やはり親企業に対しても指導をなさる必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
#193
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘の点、そのとおりだと思います。
 私、先ほど団体を対象としてと申し上げましたのは、同業企業だけを集めた団体、いわゆる産業別団体だけを意味しているんじゃございませんで、これは大手企業の下請企業がいわゆる協力会とかいったような形でそれぞれグループをつくっている場合も幾つかございます。そうしたものも含めまして団体として取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。
#194
○中西珠子君 どうぞ、大企業も含めて、親企業も含めて大いにやっていただきたいと思います。
 それでは、ちょっと婦人の問題の方に移らせていただきまして、私つい最近、三月十六日に朝日新聞で読んだ記事なんでございますが、男女雇用機会均等法も四月一日から施行になる、これを機に金融機関が一斉に新人事制度を採用するということになった、これは、一般職と総合職に分けて採用をし、やっていくんだという新しい人事制度ではあるけれども、新しい男女差別を生むという批判の声も上がっていると、こういう記事があるわけでございますが、これは男女雇用機会均等法の施行に当たりまして大臣がお出しになりました指針に沿っているものでしょうか。いかがなんでしょうか。
#195
○政府委員(佐藤ギン子君) 今、先生からお話ありました朝日新聞の記事につきましては、具体的なところは私ども十分承知をしていないわけでございます。
 ただ、一般的に申し上げますと、各人の意欲と能力に応じて雇用管理をするということで、総合職と一般職に区分して雇用管理を行っていこうということそのものを一概に不合理と言うことはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。今お話ございました男女雇用機会均等法の指針では、一定の募集とか採用の区分とか、それから一定の職務から女子であることだけを理由として女子を排除するというものはいけない、是正してもらうということになっております。
 ですから、総合職と一般職に分けまして、女子は総合職には行かせないというようなことがあれば、これは明らかに指針違反ということになるのではないかと思います。そういうものについては指導が必要だと思います。
#196
○中西珠子君 企業がこの均等法の施行前にいろいろ人事政策を変えたり、それから、今まで大体において男性向きの雇用管理、女性向きの雇用管理というものをやっていた企業がいろいろ対策を考えているらしゅうございますが、そういった企業の人事管理、雇用管理の変更というものに対しては集団的に指導をなさっているわけでございますか。
#197
○政府委員(佐藤ギン子君) 現在、二月から今月にかけまして、雇用機会均等法の内容と趣旨を十分に企業に理解してもらうように、いろいろな説明会その他で周知に努めているわけでございますが、機会均等法の考え方といいますのは、今まではどちらかといいますと、企業の雇用管理というのは、男子、女子という性の差に着目したグループ別の雇用管理が行われていた、このことはおかしいんではないか、やはり女子であれ男子であれ、能力、意欲に応じた雇用管理をされることが望ましいんじゃないかという考え方でできておるわけでございますので、これまで機械的に男子、女子で分けていたものを、違う観点からグループ別に分けまして雇用管理をしていく、その場合に、女子であることを理由としてそれぞれの区分から排除しないのであれば、機会均等法の違反ということはできないのではないかというふうに考えております。
#198
○中西珠子君 いろいろと抜け道を考える企業もあると思いますので、指導を徹底させていただくことを要望いたします。
 それから、これは労働省令の中でございますが、教育訓練の分野で差別をしてはならないというものを列挙していらっしゃいますけれども、この中にOJTが入っていないのはなぜでございましょうか。
#199
○政府委員(佐藤ギン子君) いわゆるオン・ザ・ジョブ・トレーニングにつきましては、上司ですとか、場合によっては職場の先輩というような人たちが、部下などに対しましていろいろな教育訓練的な配慮を加えながら仕事をさせる、その仕事に必要な知識、技術、技能を習得させる教育訓練を言うわけでございまして、業務命令や配置転換の形で行われるものも多いと考えております。
   〔理事大浜方栄君退席、委員長着席〕こういうOJTにつきましては、もう本質的に職務の遂行あるいは配置転換そのものと区別するということが難しいものでございます。またもう一つの点としましては、教育訓練の内容を具体的に特定するということが難しいというようなことから、法律的に規制することが困難であるということで、私どもとしては法的な規制の対象にはしていないものでございます。
#200
○中西珠子君 教育訓練の内容をOJTは具体的に特定することが難しいとおっしゃいましたけれども、OJTという範疇でくくることはできるわけですね。OJTの面で女だからということで差別されますと、やはり能力に差ができてきて、将来の昇進とか昇格というものにも影響を与えてくると思いますので、OJTという大きな範疇でくくって、そしてOJTにおいても差別をしないということが一言この省令の中に入っているといいなと私は要望しているわけでございます。
 まあ、今はとてもだめとおっしゃるかもしれません。今、特定できないから法的には扱えないという。お話でございましたけれども、将来はまたお考えいただけるということでしょうか。
#201
○政府委員(佐藤ギン子君) 先ほど申し上げましたように、オン・ザ・ジョブ・トレーニングといいますのは、職務の遂行そのものである場合があるわけでございまして、それからまた配置転換そのものである場合もあるわけで、配置転換として、配置そのものとして女子であるがゆえに差別をするということもあり得るわけで、その場合には配置の観点からとらえまして、法に基づく指針に違反するかどうかということをとらえる方がとらえやすい場合もあるわけでございます。
 おっしゃいますとおり、オン・ザ・ジョブ・トレーニングというのは法的な規制は非常に難しいんでございますが、また反面、女子の能力の開発には重要なものでございまして、そういう意味で、法的に規制がされていなくとも、使用者にはそういうものを総合的にとらえて単純に均等な機会が与えられるように、私どももいろいろと指導してまいりたいと考えております。
#202
○中西珠子君 おっしゃるように、配置とか配置転換と非常に強く結びついたものであることは確かですね。ただ、その配置においても差別があって、そして配置された職務においてもOJTがないということになりますと、ますますもって能力の差はつくわけですから、これはやはり現在の段階では、省令に入らなくても、指導の面でOJTにおける差別は排除するように強力な指導を展開
していただきたいと思いますので、その点を要望として申し上げておきます。
 それから、今度は均等法の中で、再雇用特別措置を普及促進するために国としていろいろの指導、援助を行うということが決まりまして、今度の予算の中でも予算要求をなさっているわけでございますけれども、現在女子再雇用特別措置というふうなものを持っている企業というのはどのくらいございますんですか。
#203
○政府委員(佐藤ギン子君) 女子再雇用制度を慣行によって実施しているものも含めまして見ますと、普及率は七%程度でございます。
#204
○中西珠子君 それで、大企業は二十万、中小企業は三十万ですか、そういう助成金をお出しになってこれから大いに奨励なさるわけでございますけれども、見通しとしては相当効果があるとお思いになっていますか。
#205
○政府委員(佐藤ギン子君) 四月から施行されるものでございまして、なかなか私どもも、これは新しい制度に対する措置でございますので、予測が難しいところでございますけれども、精いっぱいPRに努めまして、企業の中でこういう制度が活用されて、女子の再雇用制度が普及していくように努力してまいりたいと思っております。
#206
○中西珠子君 努力をしていただきまして、大いに効果を上げていただくように期待いたしております。
 先ほども石本先生から育児休業制度の問題の御指摘がございましたけれども、育児休業奨励金の実績というのは、昭和五十七年から五十九年までは非常に低くて、年間百九十七、百九十八、百八十七と、二百件にも満たないような成績らしいと、私はいただいた資料から拝見しているわけでございます。六十年度から大幅にこれを引き上げられまして、初年度六十万、二年目は四十万というふうに大幅に引き上げられて、予算の手当ても九億以上の予算を六十年度つけられたわけでございまして、それで六十一年度はそれをまた相当引き上げた予算要求をなさっていますけれども、この奨励金を六十年度引き上げられた効果というものが、まだ全部実績がおわかりになっていないと思いますけれども、直近の数字などございましたらお示し願いたいと思います。
#207
○政府委員(佐藤ギン子君) この報告は、今、業務の簡素化という観点から、年度が終わりますと各室からとることになっておりますので、大変申しわけございませんが、六十年度につきましてはまだ数字がございません。
#208
○中西珠子君 予算要求を新たになさって、昨年度は大変結構なことだと言って非常に奨励金を引き上げたわけでございますが、六十一年度に昨年の九億どころか十六億ぐらいですか要求なさっていますね。これ委嘱審査もございますことでございますが、少しでもわかった数字というのをこの次の委嘱審査までに集めることできませんですか。
#209
○政府委員(佐藤ギン子君) これからできる限り努力いたしてみます。
#210
○中西珠子君 よろしくお願いいたします。
 それから、均等法の第六条で「労働大臣は、女子労働者福祉対策基本方針を定めるものとする。」というふうになっておりますね。これはお定めになるということを期待しているわけでございますけれども、お定めになるとすればいつごろの御予定なのでしょうか、お聞かせ願います。
#211
○政府委員(佐藤ギン子君) 今、先生から御指摘ございました基本方針につきましては、できる限り早く来年度中に検討に着手したいというふうに考えております。
#212
○中西珠子君 来年度中というのは会計年度ですか。六十一年度という意味、それとも暦年の六十二年、どちらですか。
#213
○政府委員(佐藤ギン子君) 六十一年度中にはできるだけ早い段階で着手いたしたいと思っております。
#214
○中西珠子君 これはできるだけ早い段階でお決めになっていただくようにお願いいたします。
 私、まだちょっと時間がございますので、労働外交の点についてお聞きしたいんでございますけれども、労働外交の展開というものは、非常に国際化の中で重要な地位を占めていると思うわけでございますが、具体的にはどのようなことをなさるおつもりでいらっしゃるのか。それからまた、ILOとのマルチ・バイ・プログラムについてはここ数年どのような推移をたどっておりますか、ちょっとお聞かせ願いたいわけでございます。
#215
○国務大臣(林ゆう君) 近年、各国間の相互依存関係が深まってまいりまして、我が国の国際的地位もだんだんに向上してまいっております。これに伴いまして、労働の分野におきましても積極的な対外政策というものを展開してまいる必要が高まってまいりました。このため、従来からILO、OECD等国際機関活動への積極的な参加、また国際交流の推進、開発途上国に対する労働分野での技術協力の展開、海外労働情報の収集、提供等を通じて積極的な労働外交を展開しているところでございます。特に六十一年度におきましては、我が国と外国との間の労働問題に関する情報不足等に基づく誤解の解消を図り、積極的に意見交換をしてまいりたい。このようなことで、政労使の労働関係者による国際交流を従来にも増して推進してまいることにいたしております。
 また、開発途上国の経済社会開発を支える人づくり協力の要請にこたえまして職業訓練、労働安全衛生等、広範な労働分野における技術協力を積極的に進めてまいるということにいたしておりますし、また、マルチ・バイ・プログラムの件につきましては、我が国がILOと協力して行っておりまして、昭和四十九年度からこれが開始されたというふうに聞いておりますが、五十二年度からは毎年度実施されて、最近数年間、これに対する拠出額も千二百万円でずっと推移をしてまいっておりましたが、本年度は千六百万円に増額されまして、来年度につきましても本年度と同額程度を予定いたしております。
 今後とも、ILOと密接に連携をとりつつ、開発途上国のニーズに合致したプログラムについて、我が国の協力を一層推進してまいるつもりにいたしております。
#216
○中西珠子君 労働省は、労働外交を積極的に展開なさいまして、OECD、ILOなどと協力して、また、マルチばかりでなくバイラテラルな面でも、職業訓練の面だとか、それから安全衛生の面だとか、労使関係の面だとか、労働行政の面だとか、大いに開発途上国に対して指導的な立場で協力がなされる立場にあると思うわけでございます。特にILOとの間では、毎年マルチ・バイのセミナーもやっていらっしゃいますし、それから、殊にアジア・太平洋地域の技能開的計画、こういったものに対しても積極的な御後援をくださっているわけでございますけれども、一層のILOに対する御協力、それから未批准条約の批准というものも強力に推し進めていただきたいと思います。
 先ほども申し上げたように、百二十二号条約と百四十二号条約の批准に踏み切られたことに対しては、心からの敬意を表しているわけでございますが、労働大臣の一層の御協力、また批准への取り組みというものをお願い申し上げて、私の質問を終わりますが、一言、労働大臣から御決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
#217
○国務大臣(林ゆう君) 先ほど来、先生のいろいろと御示唆に富んだ御意見を拝聴いたしております。
 労働省といたしましても、今後の日本の国際的な地位から考えまして、海外に対しますところのいろいろな援助その他のこと、こういったことにつきましても労働省は積極的に取り組んでまいりたい、このように思う次第でございます。
#218
○中西珠子君 終わります。
#219
○下村泰君 まず、大臣御就任おめでとうございます。初めてこうして委員会でお顔を会わせますので、一応お祝いを申し上げておきます。
 質問に先立ちまして、せんだって大臣の所信表明を伺いまして、八つの柱から成るお話がありました。その六番目に、
 障害者等特別な配慮を必要とする人々の職業生活援助対策であります。
  障害者の方々の社会的自立を促進するため、障害者の雇用機会の確保に努めるとともに、重度障害者、精神薄弱者に重点を置いた施策を進めてまいります。
  また、失業対策事業について、制度の改善を図ってまいります。
こういうふうに述べられていらっしゃいますが、改めて伺いますが、こういうことの第六の項目に対する大臣の現在のお気持ち、これをひとつ聞かせていただきたいと思います。
#220
○国務大臣(林ゆう君) 先ほどは下村先生から御丁重な御祝辞を賜りまして感謝をいたします。ありがとうございました。
 私が所信表明で述べました中の第六の、いわゆる身障者に対しましての問題でございますけれども、体が御不自由だということで、今まではなかなか表も歩きにくいような環境がずっと戦前から戦後間もなくぐらいまで続いておりました。こういったことが、それぞれの社会的な認識が高まった中で、今はもう普通の方々と同じように仕事もしていきたい、働いていきたい、こういったような意識が大変に持たれまして、そして一般社会の中に溶け込んでいこうという意欲がそれぞれの方にも見受けられるようになりました。大変私はこういったことは結構なことだと思いますし、そういった方々が雇用の面で御不自由のないようなことにしていかなければならない、こういったような観点から労働省といたしまして、また私の感じからいたしましても、そういった職場を何とかお世話もでき、そして喜びを持ちながら、体の御不自由な中にありながらでも仕事を持つ喜びという、ものを味わっていただくような方策を私どもはとっていかなければならない、こんな考えを持ってああいったものをその所信の中に私は表明したということでございます。
#221
○下村泰君 身障者の方々に対する大変温かい、心温まる思いやりのお言葉で、ありがとうございます。
 私は、もうこちらに参りましてから、こういった方々のためのみを思い今日までやってまいりましたので、こういう問題を重点的に取り上げてこれからもまいりますので、ひとつよろしく御理解のあるお心をお聞かせ願いたいと思います。
 労働省として、私はこれはすばらしい大ヒットを飛ばしているなと思ったのが、これはちょっと旧聞に属します、新聞の記事を取り上げて旧聞と言うのはちょっとおかしいんですけれども、これは昨年のことなんです。ただこの記事を見まして、やあ労働省もやりおるわいと思いました。時によっては、むだなところへつまらぬ銭を出して、我々の税金を何のつもりでこんなばかばかしいところへ援助するんだとか、あるいは、何でこんなつまらぬところへ銭を出すんだという感覚がよく私にはあったんですけれども、某紙の記事で、これはいいところへお金を出しているな、こういう方法をもう少し各省庁でやってくれたらなというような気がしました。
 職業安定局長に伺います。
 これは前任者の加藤さんのときなんですが、財団法人雇用情報センターというところへ労働省から委託いたしまして、毎月一回五千部を発行しているそうですが、求職者情報誌「エンプロイ」というのがあるんです。これは大変何か効果を上げているそうですけれども、安定局長、安心してしゃべってください、ちょっと。
#222
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、先生御指摘の朝日新聞、昨年六月二十九日付でございまして、これ、今おっしゃったとおり前加藤局長のときでございますが、これを始めましたのは昭和五十九年度からでございまして、首都圏の公共職業安定所に求職の申し込みが行われました障害者、それから高年齢者等の情報を財団法人の雇用情報センターというところへ委託いたしまして、今おっしゃいました求職者情報誌「エンプロイ」という雑誌に掲載しまして、企業等に配布して、それらの就職促進を図っているところでございます。
#223
○下村泰君 この記事を拝見しますと、大変これは成果が上がっている。大体あれですわ、求人雑誌というのがあります、テレビのコマーシャルでもたびたびやっておりますし、それから電車の中に入りましてもつり広告に随分出ております。ところが、求職者の方の情報誌というのはたしかこれだけですかな、今のところはこの「エンプロイ」だけですね。ほかにはありますか。
#224
○政府委員(白井晋太郎君) 労働省が今委託してやっておりますのはここだけでございます。
 それから今、先生ちょっとおっしゃいましたが、一般の学卒とか大学卒とか、そういう人に対する求人誌は非常に発達してきているわけでございますが、こういう身体障害者、それから中高年齢者等に対するのは、この新聞記事には、お金にならないからというような発言もございますが、一般に採算ベースその他の問題もあると思いますけれども、行われていないというふうに私は見ております。
 それで、これによる成果でございますが、やはり非常に厳しい条件の中でございますので、これによっての就職状況は、五十九年七月から始めまして約一年間、六十年六月までで中高年齢者で合計二百四十名、それから身体障害者で百五十二名ということになっております。
 そして、この「エンプロイ」に登録していただきました登録件数に対する比率が、それぞれ中高年齢者で九・三%、身体障害者で一八・六%の就職率になっておりますが、これは一般の就職率に比べますとはるかに高い率になっているわけでございます。
#225
○下村泰君 この記事によりますると、一般のいわゆる全国平均の就職率が二ないし三%に比べて、この「エンプロイ」によって紹介された方々というのは、一都三県の平均で九%余りというふうになっておりますから、これは非常に打率としても高いわけですね。これはすばらしいことだと思います。
 それで、どうしてこういうことがもっと早くやれなかったのかなと思えばまことに残念で、そもそもこういうことを始めた原因、しかも、自己紹介ビデオというのを東京の飯田橋と広島の職安でやっているんだそうですけれども、このビデオで紹介するというのも、非常に失業率の高いアメリカでやって反響が大きいので日本でも始めた、こういうところが私はいつも腹が立つんでね、何でアメリカがやったからこっちがやるんだと。日本でなぜこういうふうなヒントをだれかが、例えば労働省の中でこういうことの、あれでしょう、労働省そのものの、何ですか、役所の仕事では余り有能ではないんだけれども、ほかのことをやらせると物すごく頭のいいなんというやつがおるんです。そういう人なんかを、つまり広報企画なんかに使って考えさせれば、こんなこととっくの昔に私は日本でもできたんじゃないか、労働省でも早くにやれたんじゃないか、こんな気がします。どうも四角四面、かみしもをいつも着て、遠山の金さんがおしらせに出てくるような格好ばっかりしているようなお役所なんですよ、日本は。もうちょっと、かみしもを脱いで、平民的に庶民的に物を考えていただきたい。そうすれば、こんなことはもっと早くできたと思うんですよ。
 この自己紹介ビデオというんですか、これでいきますると大変就職率は高いんですね。飯田橘の職安では、六十二人をビデオに撮り十七人が就職。そしてこの六月下旬の三日間に三十六人の応募者の新規撮影を進めたと。で、広島の方では百十二人を撮影して三十五人が就職したと。今この打率を、これ野球じゃありませんが調べた。そうしますと、飯田橋の方は二割七分四厘。これは巨人の原よりかちょっと打率は低いんですが、まあ野手としてはいい方でしょう。そして広島の方が三割一分二厘。大変なものです、この高打率は。落合以上だ。こういうふうに打率が上がっているということは、それだけ成果が上がっているということなんですね。そして、前任の加藤さんのお言葉が出ているんですが、「きびしい就職戦線で、
高齢者や身障者自身も積極的に自分を売ろうという努力が大事。労働省としても、できる限りの応援をします」、ここのところが問題なんですが、これは去年。
 いよいよことしに入ります。これから労働省としては、こういうことの応援をどういうふうに広げていかれるつもりなのか、それを聞かせてください。
#226
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 まず、先ほどの「エンプロイ」の関係でございますが、労働省としまして大いに応援していかなければならないということで、この雇用情報センターへの委託予算を二・三倍、倍増以上にいたしまして、約五千六百万になるわけでございますが、求職者の今の情報の作成、提供、それから労働市場情報や雇用管理情報の作成、提供、それからこの雇用情報センターに今度、話はさかのぼりますが、石神井に労働省のコンピューターセンターがございまして、ここへ求職求人情報が集まるようになっておりますが、それをことしから、関東近辺の公共職業安定所の情報を、求人求職情報全部、これは中高年、障害者に限りませんが、全部集めまして、それを各公共職業安定所、関東近辺の安定所全部に、例えば飯田橋の安定所で千葉の安定所の情報が入る、千葉の安定所では飯田橋の求人が入るというふうに、総合的な雇用情報システムを導入することにいたしております。これの端末をこの雇用情報センターに配備しまして、高齢者、障害者の情報がこのセンターへ入るように、そして「エンプロイ」誌に載せていただけるように、そういうふうに機動的にやってまいりたいということで、必要な経費の増額を図っているところでございます。
 それから、先生その後でおっしゃいましたビデオの問題でございますが、このビデオも昭和六十年度までに、実は五十九年度に二カ所、これが新聞に載ったわけでありますが、飯田橋と広島。六十年度にはそれに八カ所を加えましてやっておりますが、さらに六十一年度予算で新たに二十六カ所において実施すると。これも倍増以上の実施を図ることといたしております。
 ただ、これは実は高齢者、中高年齢者に対して現在実施いたしておるところでございまして、障害者への実施はいろいろやり方その他ございますので、現在のところまだ実施いたしておりませんが、高齢者対策として実施しているところでございます。
#227
○下村泰君 今のお話で結構だと思います。身障者のことに関しましてもおいおい何か考えてください、頭のいい方が労働省にはたくさんいらっしゃるのですから。ましてや、今では中高年齢者の再就職問題が非常に大きな政治的な問題にもなっている昨今でございますので、今の方法でそういう就職率がよければ、この方法をどんどん進めていっていただきたいと思います。
 殊に企業側が、同センターが行った企業側へのアンケートによりますると、九〇%が求人の参考になったと答えているわけですね。こんな、企業側の方からそれだけのいい言葉が出てくるということは、これは大変私は結構なことだと思いますので、どんどん進めていただきたいと思います。
 次に、公務員の受験についてちょっと伺いたいのですが、これはお目の不自由な方々のことなんです。
 公務員の点字受験、本来これは人事院に聞くべきことだと思いますけれども、労働省の立場での御意見をちょっと伺いたいのです。現在、全盲の人が公務員では何人おられましょうか。
#228
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 現在、重度の視覚障害者、一級で在職しておられる方が防衛庁で三名、北海道開発庁で一名、大蔵省で一名、文部省で十二名、厚生省で百九十七名、農水省で一名、労働省で一名ということになっております。
#229
○下村泰君 そうしますと、その重度というのは全盲ですか、それとも何とか見えるのか。
#230
○政府委員(白井晋太郎君) 視覚障害者は一級でございますので、ほとんど全盲だと思います。
#231
○下村泰君 私の手元に、ある方はそういうふうにはなっていないのですけれども。幾らか視力が残っているという方々と、それから全盲というふうに私は分けているんですけれども、どうなんでしょうか。
#232
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先生のお調べになったのとあるいは数字が違っているのかもしれませんが、今私申し上げましたのは一級でございまして、二級以上が一応全盲ということになっておりますから、調査上は一級は全盲でございます。
#233
○下村泰君 例えば、そういう方々はどういう方法、どういう試験の内容で合格されていらっしゃるのでしょうか。
#234
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 労働省の場合の例で申しますと、これは所沢の国立職業リハビリテーションセンターで勉強していただいていた方でございますが、非常に優秀な方でございますけれども、選考採用で採用させていただいております。
#235
○下村泰君 それ、ちょっとわからないのですけれども、点字による試験というのが行われるわけですか。全然とにかく見えなければ、点字以外にはその試験を受けられるあれはないと思うんですけれども、現在、点字試験というのはおやりになっていらっしゃらないでしょう。
#236
○政府委員(白井晋太郎君) どうも言葉足らずで失礼しました。
 選考採用と申しますのは、いわゆる公務員試験を受けて名簿に載って、その中から原則としては公務員の採用をすることになっているわけでございますが、一定の職種またはその公務員名簿からは対象者がいないというときの場合に、面接その他によりまして各省が採用するというのが選考採用ということになっております。したがって、労働省の場合には、既に所沢の職業リハビリセンターの中で非常に優秀な成績を残されているというようないろんな客観的な資料その他もございましたので、面接の上採用させていただいたということでございます。
#237
○下村泰君 例えば、学校を卒業なさって、そしていわゆる公務員の試験を受けるという場合には、これは当然点字でなければ受けられないわけなんですけれども、今お役所では全省庁にわたってそういったお目の不自由な方々、点字でなければ受験のできないような方々に対して、点字の試験というのはやっていらっしゃるのですか。
#238
○政府委員(白井晋太郎君) 一般的にはやっておりません。
#239
○下村泰君 そうしますと、やっぱりお役所がどちらかといえば門戸を閉ざしているという感じになるんですね。お目の不自由な方々でもやはり門戸を開放せにゃいけないのではないか。それから、お目の不自由な方々が例えば役所に入ってきたにしても、それはそれなりに、またお目の不自由な国民もいらっしゃるんですから、そういう方に対応できる仕事場もあると思う。
 ですから、やっぱり労働省としては、そういう方たちにもそういう門戸を開くべきであるというふうに感じるのでございますけれども、いきなり学校を卒業してもそういったチャンスが与えられるのかどうか。今後、つまり点字でも試験を受けさせるような体制を整えることをやるのかやらないのか、ちょっと聞かしてください。
#240
○政府委員(白井晋太郎君) 私の方から事務的なことをお答え申し上げまして、大臣から後お答えいただきますが、おっしゃるとおり、確かに目のお悪い方々に対する門戸が開放されることが重要なわけでございますが、身体障害者の中でも、視覚障害者の就職というのは非常に難しい問題があるわけでございまして、これはもう先生御存じのとおりと思いますけれども、そして、視覚障害者に向きます職種と申しますか、そういう職域を開発していかなければならないということがございます。労働省としましては、従来から、私たちレベルを含めまして人事院に対して要望を行ってきておりますが、いろいろと人事院でも検討していただいておりますけれども、公務員試験は、一応
各省からの数字が出そろって、その採用を前提とした人数を試験で合格者として決めていくという形をとっているわけでございまして、まず、そういった視覚障害者に対します職域が十分拡大されまして、点字試験によって何人か採用を決めた場合に、それが確実に採用されていくということが重要でございますので、その点で今後引き続き検討を続けてまいりたいというのが人事院の回答になっているわけでございます。
#241
○下村泰君 例えば、公務員の方が病気あるいは事故によってお目が不自由になった、こういう場合にはどういうふうな取り扱いになりますか。
#242
○政府委員(白井晋太郎君) そういう場合には、やはり一応、これは労働省としての考え方と申しますか、労働省としましては、そういう方がもし生じた場合には、その方に向く適職を開発しまして、そこへ配置転換さしていただくということがまず第一義的に考えられるべきじゃないかというふうに思います。
#243
○下村泰君 結局職場復帰をそういう状態にして考えてくる、これはこれで結構です。
 さあ、今のようなお話でございますけれども、大臣、大臣の先ほど申し上げました六番目に、「障害者等特別な配慮を必要とする人々の職業生活援助対策」ということはちゃんとうたわれているんですよね。労働大臣がこう。うたっていらっしゃるんですから、少なくとも今申し上げたように、その方たちに向く職域というのがあるはずなんですね。ですから、それは諸官庁が門戸を大きく開いて、そういう方々を採用することによって、点字の試験を受けさして採用することによって、こうやっているんだという姿をやはり一般企業の前に見せつけてくださらぬと困るんですよね。そういう意味で、ひとつ大臣の御決意を承りたいと思います。
#244
○国務大臣(林ゆう君) 公務員の試験に点字で受けさせてはどうかというお話と、それから全般的に重度の身障者に対して雇用の場をどういうふうなことを具体的にやっておるかと、こういうような御質問であろうかと思いますが、公務員の採用試験につきましては、これは人事院が所管をいたしておりますので、労働省といたしましては、点字での受験というものを従来から人事院に働きかけをいたしております。人事院におきましても、そういった問題につきまして真剣に今取り組んで検討してもらっていると私どもは理解をいたしております。
 また、先生御指摘のような重度の身障者の方々の雇用の場というものは、職域の開発、そしてまた雇用の促進というものを考えていかなきゃいけないということで、労働省といたしましては、いろいろな能力開発の学校とか訓練とかそういったものをいたしまして、そして企業の方にこういった方々を雇用してもらうというような働きかけを従来ともやっておりますが、今後とも、さらに一層そのための努力を続けてまいりたい、このように思う次第でございます。
#245
○下村泰君 ありがとうございます。
 これは確認事項なんですけれども、障害者雇用率の見直しについてお尋ねしますが、何か五年ごとに見直しが行われるんですね。ことしがちょうどその年になります。それで、今後のスケジュールをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#246
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、先生御指摘になりましたとおり、五年ごとの見直しで、ことは五年目に当たっております。予算上も計上いたしまして、本年六月ごろに身体障害者の雇用、失業等の実態調査を実施いたします。その結果を踏まえまして、雇用率を引き上げるかどうかについて十分な検討を行い、本年秋ごろまでに身体障害者雇用審議会にもお諮りした上で結論を出す予定にいたしております。
#247
○下村泰君 昭和五十五年障害者年ですね、それからことしまでの間の障害者の就離職状況ですね、就職したりあるいは離職したり、これをお聞きしたいんですけれども、何か年々離職者が多くなってきているように私は見受けるんです。労働省としては、こういう方々に対してこれまでの状況をどういうふうに考えていらっしゃるか。それから、どのようにしてこれからこういう人たちを定着させたらよろしいのかというようなことを、お考えがございましたらお聞かせ願いたいと思います。
#248
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、最近非常に定着率が悪いと申しますか、職場にお勤めになった障害者の方方が離職されたり転職されたりするのは非常に多いわけでございます。そういう実態を踏まえまして、労働省としましては、本年から職場定着推進チームというのを設けまして、そのチームの育成によりまして定着指導を図ってまいりたいということで、障害者の対策の一つの重点として実施いたしているところでございます。
#249
○下村泰君 身体障害者の中には、とてもこういう仕事にはついていけないとか、あるいは粘着力がないとか、それから周りの環境についていけないとか、いろいろあると思います。結局そういう方たちの親御さんたちが、この子の将来はということで始めるのが大体あの共同作業所なんですね、毎度申し上げる。この共同作業所のことについて、さきの補正予算の委員会におきまして中曽根総理にお伺いしたんです。こういうお言葉御存じですかと言ったら、知りませんと。知らなくて当たり前だと。日本丸というような大きな船の船長が、リベットのそこらで頭のはげかかったのなんかはおわかりにならぬだろうと。けれども、国民の中には、こういうような作業所をつくって、お互いが肩寄せ合って仕事をしていらっしゃる方方がいるんですよということを総理に御説明しました。そうしましたら、「よく調査いたしまして、きめ細かい配慮ができるだけやれるように努力をいたします。」と、こういうお答えが返ってきたんです。その後労働省の方では、この小規模作業所の件について何らかの御検討をなさってくださったのでしょうか、お伺いいたします。
#250
○国務大臣(林ゆう君) 労働省では、これまでも重度の障害者の雇用を促進するという観点から、雇用関係があると認められる小規模な作業所に対しましては、納付金制度に基づく助成金を活用いたしまして援助してまいってきたところでございます。さらにまた、小規模作業所の連合団体などとも連携を密にいたしまして、その事例の収集を行うなど、現在その実況の把握に努力をしているというところでございまして、福祉行政との関連も踏まえながら、今後ともその施策の検討を続けてよりよき方向を見出していきたい、このように思っておる次第でございます。
#251
○下村泰君 この問題は、前から数回この委員会では出させていただいておるんですけれども、そのたびに職業安定局長のお答えは、雇用関係があればとおっしゃるんですね。ただね、私がこの問題を取り上げるのは、雇用関係ができているくらいなら何もお願いしないんですよね。大体二十人以下というふうに、これ厚生省と労働省と、とにかく両方でお話し合いをしていただかないと解決しない問題なんです、これは。毎度申し上げておるんですがね。本当に言葉は悪いけど、日本の役所というのはやくざ組織で、縦割りはしっかりしておるんですが、横の連絡というのは自分のシマだけ大事にしてなかなかやらない。いつかも、たしかあれは橋本先生が厚生大臣のときで粟原先生が労働大臣のときだと思いましたけれどもね、両省で話し合ってくださいと頼んだことがあるんです、僕は。そうしましたら、橋本大臣もそれから粟原大臣も話をするというふうにお答えくださった。ところが全然してないんですよ。この子供たちの集まっている場所というのは、厚生省から見ればもう授産場になるし、労働省から見れば作業所になりますしね、両方の性格を持っているわけなんですよ。ですから、労働省だけにお願いしてもどうにもならない、厚生省にお願いしてもどうにもならないという問題なんです、これは。ですから、できるだけ両省でもってお話し合いをしてくださらぬ限り、共同作業所の問題は解決しないんですよ。
 大体、神奈川県でも百二十一カ所あるんです。
 東京都になると百何十カ所あります。神奈川県のように富裕な県は十二、三人あるいは十五人ぐらい、二十人以下ですから。そういうところには年間ちゃんと五百万円ずつ出しているんです、補助金を。それだけじゃもちろん足りないんです。東京都も大分やってます。お金のたくさんある地方自治体はいいんですけれども、そうでないところはもう全然取り上げてもくれてないし、そういう方たちは親御さんがいろんなボランティア活動をする、それからいろんなところへ行ってお勤めする、そういった御自分たちの財源を持ち寄ってその子供たちの面倒を見ているわけですね。
 私も、あゆみの箱という芸能人だけの集まっているこういった慈善団体をやってきましたけれども、とにかく二十四年間やっていて日本全国くまなく、北海道から沖縄まで参りますね。必ずそういった方たちを抱えていらっしゃる介護者であれ、あるいは御両親であり肉親の方々は、もう言葉は決まっておるんですよ、私らの目の黒いうちはいいがと。目が白くなっちゃったらこの子たちはどうなるんだと、もうこういう言葉しか返ってこないんです。
 この人たちも、やはり国民の一人であることは間違いないわけなんですよ。結構仕事の内容によっては一人前にできる能力を持っている方もおるんです。そういう方々が寄り寄り寄って作業所というものを一生懸命もたしているわけなんですよね。それだけにそういう方たちに何とか温かい行政の手が伸びないものなのかと、それを常日ごろ考えておりますので、こうして毎回お願いをしているんです。何らかの方法というのがありそうなものなんですが、どうでしょうか。そんなことを考えていただけますか。安定局長、あんた専門家なんですから、ちょっと何か答えてください。
#252
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 これは、先ほど大臣が申しましたように、そういうことで労働省といたしましては調査等を進めながら実態把握に努めてまいりたいというように思っているわけでございますが、先生御指摘の各県の補助につきましても、金額にはいろいろ差はございますが、かなりの県が補助しているという状況もございます。
 役所の管轄、所管の問題で横の連絡が十分じゃないということでございますが、そういう連絡につきましても厚生省とよく連絡してまいりたい。そして、労働省の実態調査の結果、労働省がやるべき分については、どういうふうに進めていけばいいかということを検討してまいりたいというふうに思っております。
#253
○下村泰君 時間が来たようなんですが、まだよろしいですか。
#254
○委員長(岩崎純三君) もうちょっといいですよ。
#255
○下村泰君 それでは、もう一つ伺いますが、これもやはり新聞記事によるんですけれども、これは昨年の十一月二十二日の読売新聞の記事なんです。「詐欺に泣く身障社員」という見出しで記事が出ておりました。これは八王子にございます「新いまいうずら」といいまして、何かウズラをたくさん飼いまして、そしてそのウズラの卵を養護学校であるとか、あるいは小学校の給食にこのウズラを届けているということで、大変一時は何か倒産しかかって、二度立ち上がりまして、黒字に転向してずっと営業しておりましたところが、石原芳樹というんでしょうね、新聞の記事では「石原芳樹(三四)ら八人が、」と書いてございますけれども、「おぐら産業」とか「カマダ」とかといぺーパーカンパニーをつくって、つくっちゃつぶし、つくっちゃつぶし、そして業者から品物をだまし取って、これをバッタ売りしておったということで、たまたまこの詐欺に引っかかったわけですね。そうして、たしか一千五十万だと思いましたが、引っかけられた。そのためにこの会社が倒産に追い込まれたと、こういう記事なんです。
 そして、この事実上の責任者でございます、経営の責任者である今井靖彦さん、この方にいろいろ話を伺ってみたんですが、現在全部で二十七人いらっしゃるんですが、そのうち十八人が精神障害者なんです。十八人おりまして、女子が四人。重度の男子が三人で、重度の女子が一人。この詐欺に引っかかりました後、二人の方が施設に入りました。そして、四人の方が在宅です。五名の方がまだ通っていて、七名の方が今住み込みで、それこそお情けですね、ほかからいただいた内職のようなお仕事で、手袋の縫製とか、あるいはウーロン茶の包み袋、それから紙袋の作業とか、こんなことをやりながら何とかもたせているんだそうです。しかし、この施設も立ち退きを命ぜられているんだそうです。
 撚糸工業とか、豊田とか、何ですか中江の何とかという、ああいうやつらのだましたのと違って、こういう体の不自由な方々のことをだますなんというのは憎みても余りあるやつだと思うんですけれども、こういうふうな状態に追い込まれたところに対して何らかの手当てといいましょうかね、手助けというようなことは考えられないものなんでしょうか。それについて伺います。
#256
○政府委員(白井晋太郎君) この記事は私も見させていただいたわけでございますが、先生のおっしゃるとおりでございますけれども、労働省としましては、企業倒産について何らかの手を打つということは甚だ困難でございまして、そのために離職された方々、特に精神薄弱者の方々についての措置をやっていくということが労働省のできる問題ではないかというふうに思っております。
#257
○下村泰君 佐藤先生もお見えのようですから、終わりにしますけれどもね、ただ、この詐欺事件の一つ前に、多摩地区の農協の連合体である東京都経済農業協同組合連合会、これは経済連と言っているんだそうですが、実はここが、ある担当者が、この人以外に詐欺に引っかかったらしいんです。そして、八千万円の借財をしょったんですね。ところがその人が、その担当者が自分の非をカバーするために、たまたまその紹介した人がこの「新いまいうずら」を経営していた責任者だったんです、その詐欺をした男を紹介したのが。その責任を問われてごちゃごちゃしている間にこの事件が起きた。それで全部この今井さんという方にくるめてきたらしいんですね。そうすると、今いる土地を売却すると一億二、三千万円に売れるんだそうです。そうすると、一億二、三千万円に売れれば、その担当者、八千万円詐欺されたその人の責任が免れる。なおかつプラスの金が入ってくるというようなのがどうも裏の事情らしいのです。こんなようなことがありまして、これは私、もう少し念のために調べまして、何かうまい方法があればまたお願いをしたいと思います。
 きょうはこの辺でおしまいにしておきます。ありがとうございました。
#258
○佐藤昭夫君 どうも、委員長初め下村先生、同僚議員の皆さん方、御迷惑をかけました。ちょっと予算委員会のスケジュールがずれ込みましたので御迷惑をかけ、お許しいただきたいと思います。
 それで、きょうは、同僚議員からも若干あった模様でありますが、労働時間短縮の問題に絞って幾つかお尋ねをいたしたいと思います。
 労働省は、昭和五十六年から週休二日制と労働時間の短縮を推進してまいりました。その目標は、昭和六十年度中に年間総労働時間を欧米並みに近づける、具体的には年二千時間を切る状態を目標としてきたわけであります。しかし、一九八三年、昭和五十八年で見ますと労働時間二千百五十二時間、こういう姿でありますから、この目標は六十年度中に達成可能というふうにはおよそ言えないと思うんですが、その点については政府はどのように見ていますか。
#259
○政府委員(小粥義朗君) お尋ねのとおり、五十五年に計画を策定しまして、二千時間を下回るようにという目標を立ててやってまいったわけでございますが、昭和六十年、暦年の数字が今まとまっているところでございますけれども、二千百十時間ということでございまして、遺憾ながら二千時間という目標の達成は難しいというふうに考えております。
#260
○佐藤昭夫君 政府としていろいろ方針は出しな
がら、しかし、しかく目標に向かって進んでいない、こういう状況のもとで労働基準法研究会の報告も出され、今関心が大いに高まっているところでありますが、何よりも、今、労働者の生活向上と健康のために、そしてまた国際的批判を解消するためにも、政府が急速に、そして真剣に労働時間の短縮に取り組むべき時期を迎えていると思うのであります。
 この時間短縮の必要性を三つの面から指摘できると思いますが、その一つは、長時間労働と健康の問題であります。
 すなわち、技術革新による生産様式の変化、OA化の時代に、長時間労働と過密労働によって労働者の健康に新たに悪影響を及ぼす要素がふえてきている。これは既に労働省が発表したストレスに関する調査報告、これでもこうしたことが示唆をされているわけでありますが、これが労働時間短縮の必要な今日的第一の理由であります。
 これに関連をして要望したいと思いますが、病気の早期発見、これが労働者の健康にとって重要であるということは論をまたないわけですけれども、労働者は、現在年一回健康診断を受けるということになっています、安全衛生法の六十六条ですが。この定期健康診断の内容が、現在は血圧と検尿だけしかしていないという随分時代おくれのものになっているんですが、せめて血液検査と心電図程度は検査項目に追加する、診断項目に。これは労働省令でできることではないかと思うので、ぜひ労働省として踏み切ってもらいたいというふうに思うんですが、どうでしょうか。
#261
○政府委員(小粥義朗君) 事業所で行います定期健康診断の検査項目は、今御指摘のように、血液検査あるいは心電図関係は項目として入っておりません。これは実は、いわゆる成人病を早期に発見するというために必要な項目だろう、と存じます。そうした成人病の検診につきましては、先生も御承知かと思いますけれども、いわゆる厚生行政の中で、国民一般を対象とします健康管理という中で従来行われております。労働安全衛生法に基づきます健康診断項目は、これは事業主の責任において、その負担においてやらせるという建前のものでございます。成人病は、必ずしも就業と直接的関係を持たない面もございますので、現在のところは、厚生行政における国民一般を対象とする健康管理の中で成人病の問題を扱い、労働行政としては、特に就業と深いかかわりを持つ問題ということで健康診断の項目を決めているところでございまして、そういう意味で、今直ちにそれを企業の責任において行います健康診断項目として入れることは困難であろうと存じております。
#262
○佐藤昭夫君 成人病の罹病率が高いということは、いろんな各種統計、指標によって明らかですね。それを厚生行政に属する問題だからということで逃げると。そういう逃げの姿勢、消極姿勢じゃなくて、厚生省との相談の必要があるということであれば、厚生省とも積極的に相談をして、労働者の健康、命を守るための方向に向けてひとつ相談、検討をやろうということは約束できませんか。
#263
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘の問題もございます。
 先ほどお尋ねの、いわゆる長時間労働が中高年齢者の健康に及ぼす問題、これは特にストレスその他の問題にもかかわってくるわけでございますが、そういう観点から、実は労働省としても、中高年齢者の職域における健康管理問題は、労働行政としても深い関心を持って今後進めていかなきゃならないと思っております。
 その場合に、地域健康管理と重複する面についてどう調整をしていったらいいか。これは当然私ども、厚生行政との調整も図らなきゃならないと思っておりますから、今お尋ねの健康診断項目にそうしたものを入れるかどうかを含めまして、厚生省といろいろ相談をし、検討していきたいとは思っております。
#264
○佐藤昭夫君 ぜひ大臣、積極的姿勢をお願いしておきます。
 それから二つ目の問題は、国際的に見て日本が著しく立ちおくれておるという問題です。
 一九八四年のILO七十回総会に提出をされましたILO条約・勧告適用専門家委員会、ここの一般調査の報告によりますと、一九六四年と一九六七年の一般調査以降に労働時間短縮について進歩のあった国は五十八カ国ということで報告が出ています。この五十八カ国の中に残念ながら我が日本は含まれていないと。事実そうですね。
#265
○政府委員(小粥義朗君) ILOが七十回総会に提出をいたしました一般調査の中には、御指摘のとおり入っておりません。
#266
○佐藤昭夫君 ですから、労働時間短縮の問題について進歩のあった国ということでは日本は入っていない。
 大臣、ぜひ名誉挽回のためにもひとつ日本の特段の努力、このことのための真剣な対応を御努力願いたいと思いますが、どうでしょうか。
#267
○政府委員(小粥義朗君) 大臣にお答えいただきます前に、今の一般調査の性格は、先生御承知かと思いますが、いわゆるその対象期間内に法制面あるいは協約面でとった措置について各国が報告したものを取りまとめたものでございまして、その意味でその間、我が国において法令面あるいは特に労働協約で顕著なものがあったというわけじゃございませんので、報告の対象がなくしたがって五十八カ国に入っていないわけでございますが、労働時間の短縮がその間全然停滞していたということでは必ずしもございませんで、特にピーク時の昭和三十年代中ごろからは…
#268
○佐藤昭夫君 しかし、欧米並みに六十年度中に近づけると言いながら、近づいていないじゃないか。
#269
○政府委員(小粥義朗君) 二十年間の対象期間内には、それなりの短縮をしていることだけは申し添えさせていただきたいと存じます。
#270
○国務大臣(林ゆう君) 労働者の健康の確保、そして生活の充実、こういった観点から、あるいはまた消費機会の増大を通じての内需拡大、先進国としてよりふさわしい労働条件の確保、こういった観点からも時間短縮は必要であると私どもは認識をいたしております。このため、昨年決定されました内需拡大に関する対策などにおきまして、労働時間の短縮を政府全体の課題として推進していくことにいたしております。
#271
○佐藤昭夫君 三番目の問題は、現行の労働基準法制定の経緯、そしてその後の経済発展や生産性の向上の面から見ての問題でありますが、御承知のように、現行の労働基準法は昭和二十二年、第一次吉田内閣のもとで成立をいたしました。そのときの国会における審議でありますが、まだ帝国議会の時期、第九十二回帝国議会、衆議院の労働基準法案委員会という、そこの会議録があるわけでありますけれども、昭和二十二年三月十二日の委員会で、当時の厚生大臣河合良成さんはこういうふうに答えているわけであります。一九一九年以来の国際労働会議で最低基準として採択され、今日広く我が国においても理解されている八時間労働制、週休制、年次有給休暇制のごとき基本的な制度を一応の基準として、この法律の最低労働条件を定めたことであります。いわば、これはもう最低基準だと、昭和二十二年のその当時からこういうふうにこの国会で言ってきたものであります。
 これが、しかくいまだ完全に、実施をされていかない、こういう姿になっているというのは、これはもうおくれも甚だしい。しかも、今日日本の国力といえば、当時とは比較しようがないほど成長をしているわけでありますから、そういった点で労働時間短縮に本当に速度を速めた真剣な対応、努力、これが政府に求められているという点で、もう一遍ちょっと大臣の決意のほどを聞きたいと思うんです。
#272
○国務大臣(林ゆう君) 労働時間の短縮の必要性と申しますか、先ほどお答えしたとおりでございますが、労働時間の短縮につきましては、労使の自主的努力によることが基本であるということは先生も御承知のとおりでございます。これを、最低基準を定めている法律の改正によって行う場合に
は、企業間に格差があるような状況のもとで雇用不安を起こすというようなことがないように、実態を踏まえながら対応していく必要があろうかと考えております。
 そういったようなことで、労働時間の短縮ということは、先ほども冒頭に申し上げましたように、政府といたしましては重要課題の一つとして取り組んでまいっておるということでございます。
#273
○佐藤昭夫君 どうも歯切れが悪い感じがするんですけれども、もう少し問題を進めましょう。
 先ほど来挙げています三つの視点から、我が国における労働時間短縮の緊急必要性、これが指摘できるわけであります。ところが、その見地から見て今回の労働基準法研究会報告の内容、これは果たして妥当なものかどうか、私は非常に重大な問題を含んでいるんではないかというふうに思うんでありますが、最初に、一日八時間労働制、この原則を報告が否定していることであります。一体どういうふうに述べているんでしょうか。
#274
○政府委員(小粥義朗君) 法定労働時間については、一週の労働時間を基本とし、一日の労働時間はそれを各日に割り振る場合の基準とすることが適当である、こういう考え方を示しております。
#275
○佐藤昭夫君 事実そのとおりだと思うんです。しかし、人間は機械じゃないという問題です。単に週でくくって、あるいは月でくくって、とにかくトータルで労働時間が短縮されておればそれでよいというものでない。歴史的に見ても、労働時間を短縮するその原則は、一日をどうするかと、ここが問題になってきておる。そして同時に、週当たり、月当たり、一年間の総労働時間をどう短縮するかということがこの時間短縮問題の考え方の原点であります。それを報告で言っているような週単位で減らせばよいと。人間の生きていくため、生活していくために生体のリズムがあるわけですから、それを無視してこういう週単位で減らせばよいという、こういう考え方というのはどう見ても納得できない、およそ非科学的だというふうに言わざるを得ないと思うのですけれども、大臣どうでしょうか、御見解は。
#276
○政府委員(小粥義朗君) 研究会報告で、一日の時間を各日に割り振る場合の基準とするといたしましたのは、一つには、週単位の労働時間がどうなるかということが国際的にも問題になっていると、むしろそちらの方が大勢として受けとめられるんではないかという考え方がございますが、だからといって一日の時間を全く野方図でいいという考え方をとっているわけではございません。その意味では週四十五時間、その場合一日は八時間を上限とするということも明確にうたっているわけでございます。むしろ基準とするという表現に若干の誤解を招く点があったかと思いますが、従来の労働時間、週と日の関係は、一日八時間、週四十八時間、あるいは一日八時間の週四十時間ということで、言うならば八の倍数で週の労働時間というものを決めるのが大勢であったわけでございますけれども、四十八から一挙に四十にいかない場合に、例えばその中間の過当なりの労働時間を挙げた場合、一日の労働時間との関係はどうなるのかといったような疑問もいろいろ出てまいります。そうし観点から、一日に割り振る場合の基準とするという表現も使ったわけでございまして、過当なり四十五時間、一日八時間という提言も基準法研究会ではしているわけでございまして、その場合の一日八時間といいますのは、上限という表現もとっているわけでございます。
#277
○佐藤昭夫君 この報告では、過当なり四十五時間と、こうしているわけですね。四十時間を基準にしようという議論はなかったんですか。
#278
○政府委員(小粥義朗君) ございました。これは研究会の内部でいろんな議論がございまして、特に労働基準法をどうするかというところに焦点を当てて議論がいろいろあったわけでございます。
 その場合に一番留意されました点は、やはり基準法が全産業を対象とするいわゆる最低基準の法律である、しかもそれが罰則でもって履行を担保すると、そういう性格の法律であるので、法定労働時間の枠組みをにわかに変えてすることが、我が国の産業別あるいは企業別のいろんな格差がある中で果たして可能かどうかといった議論がございました。ですから極端な議論としては、むしろ法定の枠組みは現行どおり週四十八時間で、その中で短縮する場合にいろんな仕組みというものを考えたらどうかという議論もございましたが、一方で、世界の趨勢が実際の労働時間が四十時間、さらにはそれを割るような先進諸国の趨勢にあるときに、果たして四十五時間でいいのか、むしろ四十時間をという議論もございましたが、先ほど申し上げました労働基準法の基本的性格から見て、ここは現実のいろんな企業間、産業間の格差を踏まえた場合に、現実妥当性のあるものとして四十五時間が適当であろうと、こういう判断で報告はまとめられたものというふうに私ども承知をいたしております。
#279
○佐藤昭夫君 四十時間という議論はあったと、しかしこれを目指すべき方向としては採用しなかった、週四十五時間と、こういうことになったと。
 ならば、この四十五時間というのは一体何を根拠にして出したのか。七時間労働六日間でいくと四十二時間、一日八時間、これを週休二日の五日間でいくと四十時間、隔週週休二日制、これだったら四十四時間となるんですね。四十五というのは、この計算式はどこから出てくるんですか。
#280
○政府委員(小粥義朗君) まず初めに、四十時間を目指していくという姿勢がそもそもないのかという点でございますが、最低基準としての法定時間の枠組みは四十五時間という線を出しておりますけれども、その枠組みの中でさらに労使いろいろ工夫して、これをさらに短縮できるような、短縮しやすくなるような仕組みを考えていこうという意味では、四十五時間をさらに短縮できるような方向を目指しているということは、少なくとも研究会報告の中にも盛り込まれているところでございます。
 今お尋ねの、四十五時間は一体どんな根拠からかという点でございますが、これは一番大きな理由は、先ほども申し上げましたが、現実の我が国の労働時間のいろんな格差の実態、そうしたものを見ました場合に、四十時間以下といいますのは現在三〇%ちょっと、これは労働者の数で推計した場合でございます。一方、四十八時間をなおいまだに超える労働者数が約三割ございます。そういう中で四十五時間というのがほぼ六割ぐらいの見当に当たっているわけでございます。したがって、過半数を超えるその四十五時間といった線を一応現実を踏まえた場合の妥当な線として研究会では示されたものと、こういうふうに受けとめております。
#281
○佐藤昭夫君 四十時間にしたらならぬということは言ってない、最低基準の議論なんだと、こう言ったって、それならばさっき幾つかの例で挙げたように、四十二時間にしようとか四十四時間にしようというのも、その棚上げというか、何をして、四十五時間にしようという目指すべき方向を出しておるわけでしょう。これはとにかく、先ほど来るる言っている、諸外国に比べて日本の労働時間の現状がもう大変なおくれた姿にあるというこの現状を肯定し、それに安住をしていく、そういう行政指導のやり方だというふうに言わざるを得ないじゃないですか。しかも、あなたは答えてないけれども、四十五時間にしたという、その根拠は何ですか。
#282
○政府委員(小粥義朗君) 四十五時間の線が出された根拠は、先ほどお答えいたしましたように、現在の所定労働時間のランク別の労働者の分布を見まして、過半数を超えている、六割に達しているところを、少くともなお残り四割にも法的強制力をもって広げていくことを最低基準として四十五時間というところに線を求めたわけでございまして、これは今後の問題でございますけれども、この線にのっとって法律改正が行われたとしますれば、これは単なる指導じゃございませんで、罰則をもって履行を担保する、こういうことになってまいりますから、その意味では単なる指導とは
違う非常に強い意味合いを持つものというふうに私ども考えております。
#283
○佐藤昭夫君 労働時間の全労働者、全産業の分布の状況を見て、そこから四十五をとったんだと、これはほかならぬ現状肯定じゃないですか。諸外国に比べて著しくおくれておる日本の労働時間の現状肯定の姿勢じゃないですか。何か一つの科学的な根拠を持って四十五時間というものを出したというのではさらさらないと。こんなことで絶対に承服できるものじゃありません。
 しかし、まあきょうはおくれて始めましたので、私もう余り、皆さん御予定あって御迷惑かけてもいけませんから、またこの続きはこれからおいおいやらしていただくということで、本日はこれでやめておきます。
#284
○委員長(岩崎純三君) 本件に関する質疑は以上で終了いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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