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1985/03/25 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第3号
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1985/03/25 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第3号

#1
第104回国会 社会労働委員会 第3号
昭和六十一年三月二十五日(火曜日)
   午後一時三十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                大浜 方栄君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                森下  泰君
                糸久八重子君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                佐藤 昭夫君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  今井  勇君
   政府委員
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生大臣官房審
       議官       木戸  脩君
       厚生大臣官房会
       計課長      末次  彬君
       厚生省健康政策
       局長       竹中 浩治君
       厚生省保健医療
       局長       仲村 英一君
       厚生省保険医療
       局老人保健部長  黒木 武弘君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部長  森下 忠幸君
       厚生省薬務局長  小林 功典君
       厚生省社会局長  小島 弘仲君
       厚生省児童家庭
       局長       坂本 龍彦君
       厚生省保険局長  幸田 正孝君
       厚生省年金局長  吉原 健二君
       厚生省援護局長  水田  努君
       社会保険庁医療
       保健部長     花輪 隆昭君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   長尾 立子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局幼稚園課
       長        占部 道敏君
       文部省初等中等
       教育局特殊教育
       課長       山田 勝兵君
       厚生省年金局資
       金課長      丸山 晴男君
       自治省行政局行
       政課長      濱田 一成君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (厚生行政の基本施策に関する件)
○廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 社会保障制度等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○糸久八重子君 社会党の糸久でございます。
 本日は、大臣の所信、予算に対する質疑をさせていただきますけれども、最近の予算編成をめぐる基本的な問題、それから医療費の過誤請求、不正請求の場合の患者に対する返済の問題、それから障害児の保育・教育の問題、それから高齢者社会対策の問題等についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 先日お聞きいたしました厚生大臣の所信と予算に関連いたしまして、現在の社会保障が抱える基本的問題について若干お尋ねを申し上げます。
 行財政改革が最大の国家目標の一つとして標榜されました一九八二年度以降の厚生省予算の編成を見ますと、マイナス予算のシーリング合わせ、そしてつじつま合わせのため、毎年多額の当然増経費が切り込まれ、その削減分を補うために、医療、年金、福祉など国民生活に大変関連の深い分野について、続々と制度の大改悪が強行されております。結局は、健康保険本人の一割負担の導入とか、老人医療費の一部負担金の引き上げに見られるような国民への負担のツケ回し、そして厚生年金等の国庫負担の一部繰り延べ、国民年金国庫負担の平準化、政管健保の国庫負担についての特例措置のようないわば後代への負担のツケ回し、また、高率補助金のカットに端的に見られるような地方への負担のツケ回し、この三つのツケ回しによって辛うじて予算のシーリングをくぐり抜けているという、全くもって遺憾な状況にあると言わなければならないと思います。
 二十一世紀の本格的高齢社会を目前にした今日、国民の大変要望の深い社会保障、福祉に責任を持つべき厚生大臣といたしまして、ここ数年の事態をどのように総括していらっしゃるのか、まずお伺いをしたいと思います。
#4
○国務大臣(今井勇君) 高齢化社会を迎えるに当たりまして、社会保障に関しては、私は二つの大事な点があろうと思っております。一つは、年金とか医療といった基盤的な制度を揺るぎないものとしていくことでありまして、もう一つは、いわば福祉の原点であります思いやりのある施策を講じていくということであろうと思います。
 私は、こうしたことを通じまして、国民みんなが人生八十年の長寿を心から喜ぶことのできるようなぬくもりのある社会、そういうものをつくっていきたいとかねがね考えておるものでございます。
#5
○糸久八重子君 伝えられるところによりますと、一九八六年度の厚生省予算は、当然増、自然増だけでも一兆五千億円にも上っているにもかかわらず、別枠で認められたのがわずかに三千九百二十八億円にすぎないために、一兆一千百億円もの予算の削減を余儀なくされたようでございますね。
 一体、どのような手法で予算編成をなさったのか、その方法、項目別の削減額の内訳について明らかにしていただきたいと存じます。
#6
○政府委員(末次彬君) 五十七年度以降のお話と承って、ごく概略を申し上げますが、五十七年度私ども当然増と見込みましたのは七千億でございます。これにつきまして、厚生年金の国庫負担…
#7
○糸久八重子君 六十一年度。
#8
○政府委員(末次彬君) はい、かしこまりました。
 六十一年度私ども当初見込みました一兆五千億と申しますのは、厚生年金保険の国庫負担繰り延べ等、六十年度限りの施策というものが六千五百億ございます。そのほかに、いわゆる当然増と称しますのを八千五百億というふうに見込んだわけでございます。それにつきまして、老人保健制度の見直し、これが千九百六十余億、補助率の見直し二千三百億、医療費適正化千三百億、このほかに厚生年金国庫負担の繰り延べ三千四十、政管健保の特例千三百、それからその他の削減を含めまして、六十年度予算に比べましておおむね二千七百億の増加という内容になったわけでございます。
#9
○糸久八重子君 それでは、またこの際ですが、いわゆる臨調・行革路線が採用されました一九八二年度から一九八六年度までの当然増の額は一体どのくらいになりますか。そしてまた、その額に対して結果的にどのくらいの額の予算の削減が必要となったのでしょうか。概略についてお知らせいただき、年度別の詳細の項目等については後ほど資料をいただきたいと思いますが、概略の説明をお願いいたします。
#10
○政府委員(末次彬君) 五十七年度以降当然増といたしましておおむね八千億程度というふうに考えておりますが、各年度で私ども概算いたしました額を合計いたしますと約四兆一千億になるわけでございます。これにつきまして、各年度の予算として伸びました額をこれから差し引きますと、約三兆一千億になるというふうに計算しております。
#11
○糸久八重子君 それでは、先ほども申しましたとおり、具体的な項目等についての金額につきましては、資料として御提出いただけますか。
#12
○政府委員(末次彬君) 後ほど提出いたします。
#13
○糸久八重子君 お願いいたします。
 じゃ、詳細につきましては後ほど資料を拝見したいと思いますけれども、私が調査をしたところでも、五年間の当然増というのは合計でおよそ四兆五、六千億円にもなっているにもかかわらず、別枠として認められた分は大体一兆三千億円程度にすぎませんが、この五年間で厚生省が削減した国庫負担の総額というのは大体三兆円を上回るようでございます。
 厚生省は、受益者負担の強化を打ち出した臨調答申の大部分を実施した行革の優等生というように考えられまして、制度改革によって国庫負担の削減をしてきたわけですけれども、もう既に限界に達しているのではないか、そこで増岡前厚生大臣は、現行の予算編成方式はもう限界であるから、考えられる制度見直しはすべてやり尽くした、これ以上続行すれば社会保障の存立の基盤が危うくなるとして、昨年末の復活折衝の後に、社会保障特別会計構想を提言いたしましたね。そして先日の本院の予算委員会の中でも、また昨日の本会議の中でも、今井厚生大臣や竹下大蔵大臣がこの考えに対してそれぞれ前向きの答弁をなされたようでございますけれども、政府としては、今後、社会保障予算のあり方、特別会計の創設につきましてどのように検討していくおつもりなのか、やはりその方向をもう一度大臣から明らかにしていただきたいと思います。
#14
○国務大臣(今井勇君) おっしゃいますように、極めて厳しい財政事情が続く中で、この数年間ゼロシーリングだとかあるいはマイナスシーリングといった厳しい概算要求基準が設けられまして、厚生省予算につきましても、その予算編成に大変苦労をしてきたことは事実でございます。そんなことから、今後の予算編成がどうなるかにつきましては、私ども非常に重大な関心を持っているわけでございますが、いずれにしましても、厚生省の予算というのは、今後人口の高齢化などに伴いまして相当規模の当然増というものが生ずることを考慮しますと、従来のような方式で予算編成を行いますことは一層困難になる、私はそのように考えております。
 したがって、今後とも、社会保障の水準はこれはどうしても維持していかなきゃなりません。そのためにはどんな方策がいいのか、できるのかということで、予算編成のあり方も含めて関係当局とも十分相談しながら検討を進めてまいりたいと思いますが、その際、お説のありましたように、前大臣もおっしゃいました社会保障の予算を別枠にして特別会計にすることも極めて重要な検討材料の一つである、私はそのように今でも考えております。
#15
○糸久八重子君 おっしゃいますとおり、社会保障の予算というのは、高齢化の進行や制度それ自体の成熟化によりまして、制度の改善がなくても毎年多額の当然増が生ずるという宿命があるわけですから、仮に制度の見直しによって経費を削減したといたしましても、再び翌年から増加が避けられないという構造になっているわけですね。こうした特殊性を政府といたしましても真剣に検討した上で、すべての国民が納得できるような社会保障予算にふさわしい予算方式をぜひ確立していただきたい、その点を強く政府に要求して、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次には、医療費の過誤請求、不正請求が発覚した場合、患者に対する返済の問題につきましてお伺いをしたいと思います。
 この件につきましては、六十年の四月三十日付の厚生省通知、「健康保険組合における医療費通知の適切な実施について」というのが出されておりますね。その中の二番目に、「一部負担金等の額の減額の大きいケースについては、医療費の額の通知にその額を付記すること。」と書かれてありますが、「減額の大きいケース」とはどのくらいの額を言うのでしょうか、お伺いいたします。
#16
○政府委員(幸田正孝君) ただいま御指摘の昨年四月三十日の通知で述べておりますのは、支払い基金等の審査支払い機関に起きました過払いの問題、査定に伴います問題を言っているわけであります。不正というものを対象にしたものではございませんが、そういったことで審査支払い機関で審査によって医療費の額に減額があった場合に、被保険者等の一部負担金等に過払いが生ずると、その減額の大きいケースについては本人に通知をしなさいと、こういうことでありますが、一応この問題につきましては、健康保険組合連合会を初めといたします保険者間でいろいろと協議をいたしました結果、査定された医療費についての本人負担といいますか、患者負担が一件について一万円を超えます場合に通知をするということで保険者の間の申し合わせができているのが実情であります。
#17
○糸久八重子君 ここに書かれてありますね。「審査支払機関の診療報酬の審査により医療費の額に増減があった場合」というのは、これは過払いだけではなくて不正請求の場合も含まれているんでしょう。そうではないんですか。
#18
○政府委員(幸田正孝君) 不正請求の場合にもいろいろなケースがあるわけでありまして、私ども普通に分類をいたしております不正請求を申し上げますと、一つは架空請求でありまして、診療の事実がないにもかかわらずあるかのごとく請求をする。例えば、患者が海外に旅行をしているのに、その間に診療をしたということで請求をする、こういうのを架空請求と呼んでおりますが、これは支払い基金の審査の過程ではなかなか発見がしにくいケースであります。
 それから二番目は重複請求でありますが、これは例えば、自由診療であると言って患者から、自由診療分の金額を取っておきながら保険に請求をすると、こういうケースであります。これも支払い基金の審査の過程ではなかなか発見をしがたいというのが実情であります。
 それから三番目がつけ増し請求でありますが、例えば、投薬、注射等の実際の診療行為より多くつけ増しをして請求をする。例えば、三本しか注射をしておりませんのに五本の注射をしたことにして保険の請求をする、こういった場合でありますが、これも非常に巧妙な手口の場合でございますと、なかなか支払い基金の審査では発見をしづらいのであります。
 四番目が振りかえ請求でありますが、Aの診療行為でありながらBの診療行為の名前で請求をする。端的に申し上げますと、例えば、安い医薬品を使いながら保険の請求は高い医薬品ですると、こういう振りかえ請求。
 大体大きく分けましてこの四つ。そのほかにもいろいろなのがありますけれども、支払い基金なり国保連合会の審査過程で、今申し上げました、例えば架空請求の問題を発見しますのは、事実問題としては非常にしづらいのであります。支払い基金で審査をいたします場合には、やはり一定の医学常識に基づいて審査をいたしておりますから、まさか本人がいないにもかかわらず診療したということを支払い基金の審査委員が発見をするということは実際問題非常に難しい。したがいまして、私ども不正請求で通常端緒になりますのは、例えば、本人のところに医療費の通知が参りました場合に、実は私は海外出張中であの病院には行っていない、こういうようなケースでありますとか、そういうケースで不正請求が発見をされるのが大部分でございます。支払い基金でやっておりますのは、そういった意味で、通常は不正請求というのはなかなか発見をしがたいものだというのが実態であります。
#19
○糸久八重子君 今の御説明の中で、架空請求とか、つけ増し請求とか、振りかえ請求というのは、これは不正請求ですね、まとめて言いますと。
 それで、今の御答弁の中で、査定額に係る自己負担の相当額が一万円以上のレセプトの患者に通知をするということなんですけれども、一万円以上のレセプトの患者すべてに通知せよという、そういう意味なのですか、この通知は。
#20
○政府委員(幸田正孝君) 私どもの考え方は、一部負担金の額の増減額の大きいケースについてなかなか患者さん本人は知り得ないわけでありますから、それを知り得る立場にある保険者から通知をしなさいと、こういうのがこの趣旨であります。
 そういうことでありますけれども、何分にもレセプトの件数が非常に多い、そういう事務的な問題がございますので、保険者の団体であります健康保険組合連合会でございますとか、あるいは国民健康保険団体連合会ですとか、そういう保険者団体で話し合いをいたしまして、当面は、先ほど申し上げましたような意味合いでの患者負担額が一万円を超えるものについては通知をするようにしたいということでありますが、その前提は、ここに書いてありますように、支払い基金の審査によって減額をされたケースについてであります。
 先ほど申し上げましたように、不正請求については、支払い基金では実際問題としてはなかなか査定はできない。むしろほかの面から知りまして、例えば、私どもの持ち分で申し上げますと、医療費通知で患者、被保険者から訴えがありました場合に、それをもとにいたしまして監査を実施いたしまして、監査の実施の結果、不正が発見されるというのが通常のケースであります。
#21
○糸久八重子君 私、今質問いたしましたのは、発見されたレセプトの患者すべてに通知をせよという通知なのですかと、そう伺ったんですよ。
#22
○政府委員(幸田正孝君) 支払い基金で審査をいたしました結果、医療費の額に減額があった場合で、かつ一部負担金等の額の減額の大きいケースについて通知をしろと、こういう趣旨でありますが、その趣旨は、ただいま申し上げましたように、非常にレセプトの件数が多い、またこれを通知いたしますためにいろいろな事務費用がかかりますから、そういった事務費用というような面もかれこれ勘案をいたしまして、保険者団体の間で当面は一万円以上のものについて通知をする、こういう申し合わせになっているわけであります。
#23
○糸久八重子君 何か質問に対してはっきりとしたお答えが感じられないんですけれども、この通知を見ますと、「医療費の額の通知にその額を付記すること。」というふうに書かれてあるんですね。
 そこで、医療費通知というのは厚生省は、各保険者にどう指導して、どう医療費通知を出すように指導しているのでしょうね。
#24
○政府委員(幸田正孝君) 医療費通知の問題につきましては、昭和五十三、四年ごろから始められたものでありまして、いろいろな経緯がありますけれども、私どもは、患者あるいは被保険者がどのくらいの医療費がかかったかということを知り得るという意味で、できる限り積極的にやるように保険者に指導いたしております。
 ただ、その場合問題になりますのは、例えば、がんの患者さんにがんだということを医療費通知の結果知らせることになることは適当でございませんから、そういった疾病名でございますとか、あるいは患者がどういう病気にかかっているということを事業主が知るという場合も間々ございますから、そういった意味での患者のプライバシーの保護ということには十分注意をしろ、それから患者と医療機関との間の信頼関係を損なうことのないようにしろ、こういうことを念頭に置いて、医療費通知については積極的にやるようにという指導をいたしているわけであります。
#25
○糸久八重子君 私も国民健康保険に入りまして三年になります。その間にこの医療費通知というのが二回参りました。ですから、とにかくこれはアトランダム形式で抽出をして、そうして通知をするというような方法をとっているのか、健保組合によってそれぞれ異なるんじゃないかと思いますけれども、必ずしも全員に通知が行っているという状況ではないわけですね。
#26
○政府委員(幸田正孝君) これは非常に事務量との関係、あるいは通知をいたします場合の通知代、その書類作成費というような事務的な費用との関連がありますので、御指摘は、すべての患者についてすべての月について通知をしたらどうかということではないかと思いますが、健康保険組合の中にはもちろんそういったことをやっておられる健康保険組合もあります。しかし、一般的に申し上げまして、市町村国民健康保険の場合には、全数について十二カ月すべて通知をするということは人手の関係、費用の関係からなかなか困難であります。私どもは、従来は、少なくとも一年に一回はといいますか、一年に一月分は最低やるようにということで市町村国保を指導いたしまして、大体最低限はそういった格好で行われていると思っております。
#27
○糸久八重子君 それでは、一年に一遍だけのその通知のときに、例えば、患者が過誤請求とか不正請求の場合でそれに該当するケースになったとしますね。なった場合だけは医療費通知の中に連絡が行くんだけれども、そうでなければ知らないまま過ぎてしまうということが往々にしてあるわけですね。その辺どうなんでしょうか。
#28
○政府委員(幸田正孝君) 先ほど申し上げました意味のような患者の減額査定あるいは増額査定で、一万円以上の患者負担がありましたものについてはすべて通知を行うような取り扱いになっております。
#29
○糸久八重子君 それじゃ、これは、先ほど私が申しました査定額に係る自己負担当額が一万円以上のレセプト患者すべてに通知せよという意味なんですね。確認いたしますけれども、いいんですね。
#30
○政府委員(幸田正孝君) 現在行われている実態を申し上げますと、医療費通知が行われている月であればそれに付記をする、それからそうでない場合には別な紙で通知をしろ、こういうことで保険者間の申し合わせができております。
 先ほど私が申し上げましたのは、減額査定になりましたすべてのケースについて通知をするということではありませんで、そのうちの一万円以上のものについて通知をするということを申し上げているのであります。
#31
○糸久八重子君 その件についてはよくわかりました。漏れのないように通知ができるように、どうぞ指導をしていただきたいと思います。
 この通知が六十年の四月三十日付で出ているわけですけれども、それ以前にこういう不正があったりなどした場合は、これはどういうことになっておりますか。
#32
○政府委員(幸田正孝君) 先ほども申し上げましたように、不正の問題とそれからそれ以外の問題と、こう二つお考えをいただいた方がよろしいかと思います。
 不正の問題は、先ほど申し上げましたように、診療の事実がないにもかかわらずあるかのごとく請求をしている。それからこの支払い基金の査定は、通常の場合には、例えば、十本なら十本の注射を現にやっておりますけれども、査定の結果、それが九本に査定をされた、こういうのが支払い基金の査定で行われる通常の査定であります。
 私どもは、不正請求に伴います患者の負担の問題については、これはすべて患者に返還をするのが筋でありますから、そういった方向で指導を従来もいたしてきておりますし、これからもいたすつもりであります。
#33
○糸久八重子君 具体的な例でお伺いしたいんですけれども、一九八五年十一月に厚生省が発表しております医師の「行政処分対象者一覧表」というのが出ておりますね。その中で、不正請求をしているM医師、それから無資格診療のK医師、このお二人については、その当該患者に通知は出しているんでしょうかしら。
#34
○政府委員(幸田正孝君) ちょっと、大変申しわけございませんが、千九百何年でございますか。
#35
○糸久八重子君 八五年十一月。
#36
○政府委員(幸田正孝君) 八五年というのは昭和六十年十一月でございますか。これは、不正請求ということによって行政処分の対象になった医師は、私どもはございません。
#37
○糸久八重子君 ここに昭和六十年十一月ということで、「行政処分対象者一覧表」というのがあるんですけれどもね。五人。(資料を示す)
#38
○政府委員(幸田正孝君) 私どものいただいている資料と同じでございますが、これは事件名をごらんいただきますと、所得税法違反でございますとか、あるいは業務上過失致死傷と…。
#39
○糸久八重子君 じゃ、もう一つの例で、富士見産婦人科病院の場合なんですけれども、被害者同盟が埼玉県に対しまして、不正に受け取った患者の一部負担金を返還するよう文書で通知するなどして指導せよと要求を出しているわけですけれども、これは昨年の六月二十日に県の方に提出しておるようでございます。で、七月二十三日付の埼玉県の回答で、通知する方向で検討したいとありますけれども、現在に至るもまだ通知をしていないということです。
 三百七十八枚のレセプト分、百二十三万五千百七十三円が保険者へ返還されたと聞いておるわけですけれども、これに見合う患者負担分は返済されていないし、通知すらしていないわけですね。すぐ通知を出すようにし、また返済するように埼玉県当局を指導していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#40
○政府委員(幸田正孝君) 富士見産婦人科病院の問題でありますが、実は昭和六十年七月二十三日に、埼玉県の部長から被害者同盟の代表幹事の方に回答を申し上げているわけでありますが、この事件が起こりましたのが既に七、八年以上も前の事件でありまして、今日に至るまでいろいろな経緯があるようであります。そういった経緯を踏まえまして、また事件そのものが産婦人科病院に係る事件でありますので、患者さんの中には、今さらこういう問題に触れられたくないという感情をお持ちの方もおられるというような、いろいろなやりとりがあったように私は聞いておりますが、その結果、先ほども申し上げました六十年七月二十三日、埼玉県生活福祉部長から被害者同盟の代表幹事の方に対しまして、事件から五年以上経過した今日、患者の中には事件に触れられたくない等の考えを持つ方もいると、こういうことから、県が一方的に通知をするよりは、照会があればお答えをいたします、こういうことで臨みたいというのが県の基本的態度のようであります。
 私は、もちろん不正請求の問題につきましては、できる限り指導をし、徹底を図るようにいたすべきが理の当然であると思いますけれども、富士見産婦人科病院につきましては、今申し上げましたようないろいろな経緯等がございまして、現在のところ、そういう取り扱いになっているということだと承知をいたしております。
#41
○糸久八重子君 この事件に触れたくないからとおっしゃる方もいると言いますけれども、通知はあくまでも本人に行くわけですから、表ざたになるわけではありませんから、それは何か言いわけにすぎないような気がするんですね。
 それで、今まで私も幾つか取り上げてきたわけですけれども、厚生省の保険局保険課長の名前で出ております、昨年の四月三十日付で出ました通知文、「健康保険組合における医療費通知の適切な実施について」という表題で、中身をずっと読みますと、とにかく、そういうような場合があったら必ず通知するようにというようには読み取れないんですよ、内容の文章からいって。したがいまして、出されたこの通知では周知徹底をしないから、不正請求とか、それから過誤請求とかというような場合にはどうするのかということを、やはりきちっと独立した通知を出すべきだと私は思うのですけれどもね。最後にそれをお伺いしたい。
#42
○政府委員(幸田正孝君) 実は、健康保険組合の数が千七百、それから市町村国保の数が三千三百、そのほか共済組合、国保組合等を加えますと五千以上の保険者がございます。それぞれの保険者によりましていろいろな事情がございますので、私どもの方は、御指摘のように六十年四月三十日でこういう通知を出したわけでありますが、これを受けまして健康保険組合連合会、これはすべての健康保険組合が加入をいたしておるわけでありますが、健康保険組合関係としては、ただいまいろいろ御指摘のありましたような、さしあたり減点査定が行われた結果、一部負担金が一万円以上のレセプトを対象に医療費通知に付記をするか、あるいは医療費通知の様式に準じた別紙の様式で通知をするか、いずれの方法かによって通知をしろ、こういうことで徹底を図っております。
 昨年の四月からそういった格好で行われているわけでありまして、これは健康保険組合だけにとどまらず、市町村国保についても同じような格好で行われているわけでありますので、私といたしましては、実施一年まで経過をしておりませんし、すべての保険者で一万円という線でお互いに協定といいますか、申し合わせをしまして進めている事柄でありますから、あえてこの上、通知をする必要は今のところないんではないかと考えております。
#43
○糸久八重子君 確かに厚生省のこの通知を受けて、保険者連絡協議会というところが、また「取扱いについて」という文書を流しておりますね。それの中に、「一万円以上の」というのが書かれてあるんですが、「減額査定が行われた場合において、医療費通知に附記する対象については、保険者の事務量、被保険者間の衡平等を考慮し、さしあたり、査定額に係る自己負担当額が一万円以上のレセプトとすること。」と書いてあるんですね。だから、あくまでも「医療費通知に附記する対象については、」と書いてありますから、これは医療費通知を出すときに、一万円以上のそういうものがあった場合にはそこに書くんだというふうにしか受け取れないわけなんですね。だから、もう少しよくわかるように指導徹底してほしい、そういう要望でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、問題を変えまして、障害児の保育と教育問題についてお伺いをしたいと思います。
 厚生省は、保育所における障害児の受け入れを促進するために、障害児がいる場合に保母の加配を認め、補助金を出しておりますね。この制度の趣旨と概要、さらに対象となった障害児の数について、制度の発足当時及び直近の数字をお知らせいただきたいと思います。
#44
○政府委員(坂本龍彦君) 障害児保育の考え方でございますが、障害を持つ児童につきましても、その程度等に応じましてできるだけ一般の児童と同じように保育の対象とすることが望ましいという考え方によりまして、一般の保育所において障害児を受け入れて保育する場合には、一定の国庫補助の対象にしようということでございます。
 この制度が始まりましたのは、最初は昭和四十九年度からでございますけれども、その当時はいわば試行的な措置でございまして、一定の保育所を指定いたしまして、その指定された保育所で試行的に実施をいたしてまいりました。それで、昭和五十三年度からは、今度は特に保育所を指定ということでなくて、実際に受け入れられるような保育所であれば、そこに保母の数をふやすための助成をすることといたしたわけでございます。ちょうど五十三年度はその切りかえの時点でありますので、従来の指定の保育所による措置と、それから新たに一般の保育所による措置と両方併存をして実施いたしまして、五十四年度からは受け入れ可能な保育所につきまして保母加配のための措置をいたしてきております。
 それで、数字でございますが、まず五十三年度につきましては、予算額が一億一千百七十四万円でございまして、対象児童数が五百九十一人でございます。翌年の昭和五十四年度は、これが二億六千六百八十二万円、それから対象児童数が千八百二十四人になっております。さらに、昭和六十一年度の予算案におきましては、予算額が八億四千九百九十二万円、対象児童量数が四千四百九十三人となっております。
#45
○糸久八重子君 文部省にお伺いしたいんですが、厚生省ではこのように努力をしておりますのに、文部省はどうしていらっしゃるのでしょうか。幼稚園における障害児受け入れ促進策というのはありますでしょうか。
#46
○説明員(占部道敏君) 幼稚園におきます心身に障害のある幼児につきまして、昭和五十五年の三月にその受け入れの実態について調査を行ったことがございますが、そのときは幼稚園の約三五%強でございますが、受け入れておりまして、また幼稚園一園当たりにいたしますと、平均二・四人というような状況になっておるようでございます。
 文部省といたしましては、このような状況にかんがみまして、幼稚園におけるこういう心身に障害のある幼児のためにどのような教育を行っていくか、その内容や方法につきまして、また幼稚園と医療関係機関等と連絡のあり方などをどうするか、そういうことにつきまして、昭和五十四年から調査研究協力者会議を設けて、具体的、実践的な調査研究を行ってきているところでございます。
 また、それら幼児の指導のための教師用の参考資料の作成なども行ってきているところでございますが、予算につきましては、国は、心身に障害を持っておられます幼児を受け入れている私立幼稚園につきまして、都道府県が行う私立特殊教育教育費補助の事業につきまして、その経費の一部を補助していく、そういうことで進めておるところでございます。
#47
○糸久八重子君 保育所とか幼稚園では、そのように障害児に対しての受け入れを積極的に考えているわけですけれども、小中学校の場合ですけれども、文部省は、盲聾養護学校該当児を一般の小中学校に受け入れようとはしていないわけですね。
 静岡県清水市の石川重朗君の場合なんですが、車で一時間近くかかる盲学校に行くように言われている。しかも、そこにはスクールバスもない。親の送迎が一時間の往復ですから大変無理だということを言いますと、それでは寄宿舎に入れと言うんだそうです。このような県と市の態度に御両親は非常に怒りまして、そして支援の障害者の方たちと御一緒に、きのう三月二十四日から清水市の市役所前でハンストを始めているわけですけれども、一体文部省はどういう指導をしていらっしゃるのでしょうか。
#48
○説明員(山田勝兵君) 心身障害児の教育につきましては、今、先生から御指摘がございましたように、やはりその障害の種類、程度、発達段階に応じまして、障害の程度の重いお子さんは盲聾養護学校で、それから比較的軽い児童生徒につきましては小中学校の特殊学級等で、それぞれ適切な教育を行いたいということでやっておるわけでございます。
 今、静岡県の事例が指摘されましたが、我々も静岡県の盲学校の小学部六年在籍のお子さんがいろいろ就学関係をめぐって問題があるということは承知しているわけでございます。このお子さんの状態は、県の方から聞いてみますと、全盲で、しかも重度の精神薄弱という障害があるということでございまして、端的に考えれば、盲学校における教育が重要であるというふうに考えております。
 ただ、この子は、ちょうど小学部六年在籍でございますが、年齢からいいますと本年度で学齢時期を終わるわけでございます。その後の就学問題につきまして、今いろいろ意見を出されておるわけでございますが、県の方でも、学齢が過ぎたからもう教育的な対応を行わないということではなくて、一定の対応策は考えているようでありますが、保護者の方が、やはり中学校の通常の学級へ入学させたいということでいろいろトラブルが発生していると聞いております。
 我々といたしましては、障害児の教育というときは、やはりそのお子さんの可能性をできるだけ伸ばすということが教育の眼目でございますので、適切な措置をとってもらいたいと思うわけでございますが、保護者もいろいろ希望を持っておるわけでございます。その辺につきまして十分双方が話し合って、いい結果が出るようにということを期待しておりますし、またそのように指導してまいりたい、かように考えております。
#49
○糸久八重子君 長崎県諌早市の峯友美香ちゃん、このケースもよく似ているわけですね、御存じだと思いますけれども。やはりお怒りになっている御両親は、三年前に長崎地裁で県教委や市教委を相手どって訴訟を起こしているわけです。美香ちゃんはこの四月から養護学校三年生となるわけですが、裁判所に訴えてからもう二年になるけれども事態は全く解決していないんですね、前進していない。
 この問題もかなり長いわけですけれども、この問題については文部省はどう指導していらっしゃるんですか。
#50
○説明員(山田勝兵君) 長崎の事例もよく承知しております。
 該当のお子さんにつきましては、当初、県教育委員会は養護学校就学通知を出したわけでございますが、普通の小学校への入学を求めて審査請求、それから今ございました訴訟、こういうものが行われておるわけでございます。訴訟でございますから、それはそれで県教委も市教委も対応をとっておるところでございますが、もう訴訟だということではなくて、やはり保護者の方と話し合いは続けているというふうに承知しております。学校は養護学校の小学部の二年の方に途中から通学したわけでございますが、養護学校の方は四日間登校して、それから小学校の方に週二日、交流のような形で通学しているというふうに聞いております。
 訴訟の段階でございますので、それはそれとしての対応は必要かと思うわけでございますが、何分お子様の教育のことでありますから、やはり何が本人のためにとって一番いい方法であるかということは、教育委員会も保護者もぜひ話し合っていってほしいと、またそういう考えに基づいて文部省といたしましても関係機関を指導していきたい、かように考えております。
#51
○糸久八重子君 三月六日の衆議院の予算委員会の第三分科会で海部文部大臣は、その人その人にどうしたら一番いいかということを教育委員会や保護者、学校側もしゃくし定規的に考えないでよく話し合いをしてもらいたいとお願いしたい、こう答弁なさっていらっしゃいますね。
 両親が近くの小中学校に通わせてほしいと求め続ける場合に、それでもなお文部省は盲聾養護学校に行けと強制するというのもおかしいし、やはりしゃくし定規的に考えないで、地域の小中学校でどうしたら受け入れられるか、そしてそういう部分について知恵を出し合うべきではないのかと私はそう思うんですね。スクールバスもないような盲聾養護学校に入学させるような強制はこれはすべきではないと思いますし、また、両方のケースについて伺いますと、県や市は文部省の指導によると、そう明言しているんですね。ですから、今までの長い経過から見ますと、長崎では訴訟になったり、静岡ではハンストをやっていると、そういうような異常事態になっているわけですから、保護者の意向に対する行政側の対応が余りに不親切だからこういう事態になるのではないかと思うんですね。
 石川さんのハンストもすぐにやめさせていただくようにお願いをしたいと思いますし、また今後、ハンストとかそれから訴訟とかを理由にして両親側に不利益になるような対応をさせないよう指導するようにお約束をしてほしいのですけれども、いかがでしょうか、文部省側。
#52
○説明員(山田勝兵君) 障害児の教育につきましては、やはり障害児本人のその可能性をできるだけ伸ばしていくということが教育にとっては不可欠なことだと思うわけでございます。また、それと同時に、一般の社会それから障害を持たない子供たち、そういう子供たちがやはり障害児について正しい理解を持っていく、そういうことも大切だろうと思うわけであります。しかし、障害児本人の可能性を伸ばすということがやはり教育の一つの基本でございますから、適切な学校、学級で教育するということが障害の状態によっては大切であって、その点は否定できない点もあるわけでございます。
 ただ、子供の状態もいろいろ変化いたしますし、また、話し合いが不十分でなかなか共通の理解に立ち得ないということもあろうかと思うわけでございます。そういう意味では、教育委員会ももちろんそうでございますが、保護者もやはりお子さん本人の立場に立って話し合うということで努力を続けていただきたい、かように思うわけでございますし、文部省が教育委員会を指導する場合もそのような立場で進めていきたい、こう考えておるわけであります。
#53
○糸久八重子君 少々時間がございますので、ちょっと私も参考までにお話しをしておきたいと思いますけれども、私も教師をしていたときに、脊椎カリエスを患って中学生になっても本当に身長も伸びなくて、こんな小さな男の子が一年生のときには母親の背中におぶさって一週間に何日か学校へ来ておりました。それで、そういう形で来ながらやはりクラスの中で一緒に勉強している中で、母親が学校へ送ってくるだけで、あと、だんだん家へ帰れるようになったんですね。というのは、クラスの中の子供たちが、中学校というのは教室移動するわけですから、背中にその子供を乗っけましてそして教室移動をしているわけですね。そういうような中でやはり体の不自由な子供に対するいたわりの気持ちがおのずから生まれてくるだろうし、またその本人も、そういうふうに友達に一生懸命に面倒を見てもらったということで高校にも進みましたし、たまたま昨年でしたか、新聞で見たということで私の事務所に来てくれたんですけれども、そういう体の持ち主でありながら高校へ行って、大学の二部に行って、今税理士の試験を取って、これから弁護士の試験を取るために一生懸命頑張っているんだというようなことを申しました。
 私はだから、やはり先ほども文部省の方おっしゃいましたけれども、子供というのは可能性を持っていることなんだししますから、できるだけやはり希望に沿ったそういうところでみんなと同じように勉強をすることによって十分可能性も引き出すこともできるし、子供たちにも思いやりの気持ちが育つという、そういう部分もありますので、余りしゃくし定規にならないようなそういう行政の対応をしていただきたいと思いますし、また、今これは文部省との話し合いであったわけですけれども、厚生大臣、障害者の問題は厚生省にも関係することだし、やはり一つの省庁だけでもって問題解決するということではなくて、幅広く、各省庁との関係のあることでは話し合いをする中でよりよい対策をとっていただきたいということを特に切望いたしまして、時間がなくなってしまって、高齢者の問題につきましてもきょうは予定をしておったんですが、できませんでしたので、次の法案にかかわる部分でまたその辺はたださせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。以上で終わります。
#54
○中野鉄造君 私は、年金財政の将来を考える立場から、財政投融資計画の見直しが最近叫ばれておりますが、その一つの例として、事業団を取り上げてみたいと思うんです。
 御承知のように、年金福祉事業団は、簡単に申しまして、被保険者への貸付事業だとか、あるいは施設事業が中心になっていますけれども、これに対する資金計画が昭和六十一年度の場合、資金運用部資金の出資金、これは交付金でございますけれども、この資金計画で非常に特徴的なことは、最近非常に交付金だとかあるいは出資金だとか、そういったようなものが急増しておるというわけですが、特にこの交付金の場合、五十年度四十三億円であったのが、六十一年度にはもう十倍の四百三十五億になっております。また出資金では、これは五十年度三億円だったのが、六十一年度では何と千三百四十四億円になっているわけですけれども、まずこの出資された出資金−大蔵省来ていますか。
#55
○委員長(岩崎純三君) 速記とめて。
   〔速記中止〕
#56
○委員長(岩崎純三君) 速記起こして。
#57
○中野鉄造君 じゃ、大蔵省がちょっとおくれるようですから、大臣にお尋ねいたしますけれども、先ほどからちょっと私お話ししておりました、年金をいわゆる事業団の方に使っているということですね。これは還元融資という形で使われるわけでしょうけれども、年金というものは、これは言うなれば預かり金みたいな性格のもので、将来年をとった方々に年金として支払っていくその原資みたいなものですね。それらがこうした出資金だとか交付金だとか、こういう形で使われていくと。ために将来年金の掛金を上げなくちゃいけないというようなことになってきますけれども、このことについて厚生大臣はどういうようにお考えですか。
#58
○政府委員(長尾立子君) お答えをさせていただきます。
 先生の御指摘のように、厚生年金の保険料は被保険者の方の拠出によるものでございますので、本来、年金のために使われるべきものであるということは先生御指摘のとおりでございます。しかしながら、被保険者の、拠出者の立場を考えますと、やはり被保険者の福祉のためにも使われるべきであるという御意見を審議会からもいただいておるわけでございますが、そういう意味では、現役の被保険者の方のためのいろいろな諸事業のために保険料を支出しているのが、今、先生お話しの金額になるわけでございます。
 そこで先生から、政府交付金が非常に大きな額になっておるという御指摘をいただいておりますが、この交付金の大部分は、実は年金福祉事業団が被保険者に対しまして住宅資金の貸し付けをいたしておりますが、この住宅資金の貸し付けは、資金運用部に預託いたします利息よりも低い利息で貸し付けをいたしております。このいわば差を埋めるという形で、事業団自身が低く貸し付けますので、その利差といたしまして政府交付金を支出いたしておりますものが金額的には一番大きいという、こういう事情になっておるわけでございます。
 こういった被保険者に対する還元的なものが保険料全体の予算の中で余り大きくなるのはいかがかという御指摘かとも思うのでございますが、この点につきましては、私ども、審議会なり関係方面の皆様の御意見を伺いながら、この制度、この事業をどういうような規模で実施していくかということを検討させていただきたいと思っておるわけでございます。
#59
○中野鉄造君 今、答弁にもありましたように、それは私も十分に承知しております。
 つまり、現在六・八%で財投から事業団が借りてきて、そして事業団が六・三%で住宅に貸し付けておると、そういうことになっているわけですけれども、一方、出資というのは、出資という名前ですけれども、これは借入金の返済、これ四十三億、それと金利引き下げの原資に千三百億、こういうふうに使われているわけですね。そうすると、出資金を借入金の返済に充てるということは、これはちょっとおかしいんじゃないかと、私はこう思うんです。つまり、単なる借金返しなんだから、国はそれを出資とみなすことは、これはできないんじゃないかと、こう思うんですが、この辺のところいかがですか。
#60
○説明員(丸山晴男君) お答え申し上げます。
 先生御質問のとおり、年金福祉事業団に対します出資金は、施設事業分が四十三億円、貸付事業分が千三百億円ほどございます、六十一年度の計画ベースでございますが。このうち財投の借入金の償還に充てるために出資をすることはいかがか、こういう御質問であろうかと思いますが、いわば還元融資事業といいますのは、厚生年金特会あるいは国民年金特会からの保険料を一たん財投に預けまして、そこから新規預託分の三分の一を引き出してまいりまして、被保険者の直接生活の向上に役立てる各種事業に充てているわけでございまして、そのうちの利子補給あるいは施設整備財源の償還ということで、その還元融資事業の大宗を実施いたしております年金福祉事業団が還元融資事業を実施いたします際のいわば自己財源の強化、こういう考え方に立ちまして、昭和五十年から出資金あるいは交付金の仕組みができ上がっているわけでございますが、確かに法形式としては借りてきたわけでございますけれども、もともとは年金加入者の保険料でございますので、それを財投に返すといっても、実際は財投からまた年金特会の方に利子つきで返されているわけでございます。したがいまして、出資金を借入金の返済に充てるという場合でも、結果的には出資金として幾ばくそれなりの資金が年金福祉事業団に残るわけでございますので、出資金の使途としていかがかという御質問でございますけれども、出資金の使途としてあり得るのではないか、あるいは貸付原資の償還に充てることも許されるのではないか、かように考えて五十年来実施をされてきているわけでございます。
#61
○中野鉄造君 今もお話があるように、出資の大部分が住宅金利引き下げのための措置として使われている、こういうように私は理解しますけれども、この金利引き下げのため、いわば無償の資金を入れることで金利引き下げの元本としている。したがって、補給金と違ってこれは完全に消えるものとはまた違う。しかしながら、出資というものは、出資する国から見た場合、結果として利益を生まずに出しっ放しがこれは常態ではないかと思うのですね。何かしら厚生省は一生懸命年金を集める、大蔵省はそれを使う。あなた集める人、私使う人みたいな、こういうふうに私は思えてしようがないのですが、いかがですか。
#62
○政府委員(吉原健二君) おくれて参りまして申しわけございません。
 出資金でございますけれども、もともと、あるいはもう御答弁申し上げたかもしれませんが、一つは大規模保養基地の施設の整備のための償還金に充てているわけでございます。それからもう一つは、年金福祉事業団がやっております住宅の貸付事業の原資に充てるということで出資金を毎年計上いたしているわけでございますけれども、やはり年金福祉事業団がやっておりますこういった各種の福祉施設の設置なり、あるいは住宅融資の事業というものを将来とも安定的にやっていくためにはある程度の出資金を持つことが必要だ、こういう考え方に基づいてやっているわけでございます。
 お答えになっているかどうかわかりませんが、とりあえずお答えをさせていただきます。
#63
○中野鉄造君 年金福祉事業団への出資というのは一般会計、つまり税金から出すというものではなくて、厚生年金以下の三会計、すなわち将来の年金給付のもととなる国民の保険料なんですね、これは。それがその三つの会計に利益を生まない形で出し続ける、こういう方法は本来資金運用部へ預ければ金利収入がつくものを犠牲にしているんじゃないのかと、こういうように私は理解するのですけれどもね、その点いかがですか。
 先ほど事業団のお話もありましたけれども、事業団に出資している。事業団は御承知のように今累積百億からの赤字です。こういうものが将来果たして返ってきますか。そういう見通しありますか。
#64
○政府委員(吉原健二君) 福祉施設の事業でございますけれども、これは厚生年金、国民年金、船員保険を通じまして、今まで保険料として集めたお金、当然それは現在並びに将来の年金給付の原資に充てられる、そのための保険料であることはおっしゃるとおりでございますけれども、その一部につきましては、直接被保険者なり受給者のための福祉施設、そういったものに充ててはどうかということで、社会保険、健康保険、年金制度を通じまして、ある程度の福祉施設の運営なり事業の経営ということが保険料を財源にしてできる道が開かれてきているわけでございます。しかし、あくまでも保険料というのは、おっしゃいましたように、年金について言いますと、将来の年金給付の財源に充てる、そのためにできるだけ有利に回す、これが本筋でございますので、おっしゃるように、福祉施設費にそれほど多くの保険料収入というものを充てるということは、私は、確かにおっしゃるように、必ずしも筋が通っているとは思わないわけでございますけれども、現在の考え方はそういうことできているわけでございます。
 そこで、年金福祉事業団がやっておりますいろんな事業というものも、還元融資の一部をそういった被保険者の福祉に充てるというような考え方できているわけでございますけれども、将来この還元融資の事業あるいは福祉施設費の事業というものをどういった規模で、どういった考え方で今後ともやっていくかにつきましては、おっしゃるような御意見も踏まえまして、十分これから検討していかなければならないというふうに思っております。
#65
○中野鉄造君 その事業の中の一つの住宅政策なんですけれども、私は、住宅政策が重要であるということは十分理解しているのですけれども、住宅に貸すということ、これは必ずしも反対ではありません、保険料を集め、また一部住宅に貸し付ける運用というのは、これはほかでもやっているわけですから。しかし、集めた保険料の一部を出資という形で金利引き下げに使っている、そういうところはありますか。
#66
○説明員(丸山晴男君) お答え申し上げます。
 出資をして金利引き下げに使っている例があるかというお尋ねでございますが、現在、全く出資金という例でございませんけれども、各種共済年金におきましては三分割で、福祉運用、それから有利運用、それから財投協力、三本立てでやっているわけでございますが、そのうちの福祉運用につきまして、いわば共済年金の積立金をファンドにいたしまして、加入者への住宅貸し付けに低利で充てているわけでございます。これ自体直接出資金ではございませんで、共済年金の場合は自主運用でございますので、いわば積立金を直接福祉運用として住宅貸し付けの原資に充てている、こういう例はございます。
#67
○中野鉄造君 そうでしょう。私が言うのはそれなんです。ほかのところは自分の自己努力でそういうようにやっているのです。それを、年金福祉事業団への出資というのは、将来の年金保険給付に必要な資金を出資の名のもとに本来得るべき利益をこれは失わせている、そういうようにさっきから私は言っているんです。今もおっしゃったように、ほかには出資という形ではなくて自分の自己努力の範囲内でそれはやっている、それは私承知しております。だけれども、こういうケースでやっているところはないはずなんです。そこを私は言っているんです。
 それで、先ほど冒頭に申し上げましたように、私は、住宅政策というものは、これは反対するものじゃない、住宅政策というものは重要であることはわかっているわけですけれども、それは裏返して言えば、例えば、住宅金融公庫だとかそういったようなところが十分に機能していないということもこれは言えると思うのです。それはそちらの方に任しておいて、やはり年金のお金というものはそういう形でみだりに使うものじゃないと私は思うのです。
 もっとひどいのは、これは交付金なんですけれども、これはもう年々四百億を超える交付金でありますけれども、この交付金だって事業の運営に必要ということかもしれませんけれども、この交付金というものは、これはもうその字のごとく、まさに完全に消費されていく性格のものなんですね。そういうことからいえば、先ほどから言っております将来の年金の原資たる保険料がさらに上積みされて空費されている、そういうようなことにはなりませんか。
#68
○政府委員(吉原健二君) この交付金も、年金福祉事業団が現在行っております業務に必要な経費に充てられているわけでございまして、年金福祉事業団のやっております住宅貸し付け等の業務、これがあるいはむだである、あるいは必要ないということになりますと、やはりこのための交付金ということもそういう御議論があろうかと思いますけれども、私どもは、今の年金福祉事業団がやっております住宅貸し付け等の業務は、今の段階ではやはり被保険者のあるいは受給者の福祉のための還元融資としてはそれなりに重要な役割を果たしておると、こう思っているわけでございまして、そういった事業を行うに必要な政府交付金も今の段階では必要な経費で、決してそういった意味ではむだな費用というふうには実は考えておらないわけでございます。
#69
○中野鉄造君 私は、還元融資全体を否定しているわけじゃないんですけれども、特にかつての財投が企業に偏重していた時代、そういうのがありまして、年金部分を保険者に還元させようとする意図はこれはよく理解できます。しかし、問題はそのやり方だと思うのですね。将来、年とった国民の皆様方に年金を支払うために、保険の掛金額をどうしても多少でも上げていかざるを得なくなるということはこれはもう明らかなんですから、そういうことを考えれば、その運用についてはこれはより慎重でなくちゃいけない、こういうように私は思うのですし、また、先ほどからも申しておりますように、低利の住宅政策ということがこれはより重要ですけれども、それを年金事業団でやるのか、それとも住宅公庫を一層拡充し、そこで運用していくかという選択のこれは問題じゃなかろうかと思うのですが、その辺のところ、大臣どのようにお考えになりますか。
   〔委員長退席、理事大浜方栄君着席〕
#70
○政府委員(吉原健二君) 確かにこれからの年金財政というものを考えますと、あくまでも年金制度というのは将来の年金給付というものを安定的にやっていく、安定的に運営していくための保険料というのは財源でございますので、そういった観点に立って、今までのような還元福祉事業あるいは還元融資事業のあり方がいいかどうか考え直すべき時期にだんだん来ているということは、私どもも認識をしているわけでございます。
#71
○中野鉄造君 ですから、今も申しましたように、高度成長時代とは違って、御承知のように非常に財政が厳しいときなんですから、従来のように安易に財投対象機関の事業を進めて、コストを償わぬ分は一般会計や特別会計に簡単に依存するという、そういう方法はこれはもう過去の遺物だ、そういう考えを私は持っているわけです。ですから、今申しましたように、本当にこれは有利運用という面に力を注いでもらいたい。大蔵省でも、その折衝の中でもこういったようなものは安易にそれに折れていくということは、私は本当にこれは年金財政の将来を考えると遺憾なことだと思うんですが、その辺の決意を大臣から最後にお聞きしたいと思うんです。
#72
○国務大臣(今井勇君) 確かに、先ほどからずっと御意見を聞いておりまして、おっしゃいますことは私なりに理解をいたすところでございます。
 いずれにいたしましても、この年金積立金は年金の長期安定のために用いられるものであります。したがって、高利に運用すべきものでありますが、同時に、いろいろ被保険者のためにも事業団を通じて運用することも大切だと思いますが、ひとつ先生のおっしゃいますようなことを十分踏まえましていろいろ考えてまいりたい、こう考えております。
#73
○中野鉄造君 くれぐれも、今申しますように、年金というのは国民の皆さん方が営々として努力してそこに積み立ててきた預かり金なんですから、それを何の有利な運用もしないで簡単に他に使うということは、これはいかがなものかと私は思いますから、その点はひとつ今後より慎重に取り扱っていただきたい、このように思います。
 もう時間がございませんので、次に参りますが、一点だけ。
 今回、機関委任事務から団体委任事務に改めるという、そういう趣旨でございますが、この背景にある審議会等の考え方について一言お聞かせいただきたいと思うのです。
#74
○政府委員(坂本龍彦君) 社会福祉関係の措置等につきまして、現在の機関委任事務から団体委任事務へ変えていくということにつきましての考え方でございますけれども、近年高齢化が進みまして、福祉需要が増大してまいっておりますし、また核家族化でございますとか都市化、あるいは離婚の増加、婦人の就労の増大等、福祉需要が多様化してまいってきております。そういう中におきまして、一方で地方公共団体における社会福祉行政につきましても、戦後四十年たちまして既に同化、定着化というような事情もございまして、こういうことを考えますと、社会福祉行政につきましては、今後地域の実情あるいは住民の多様化したニーズに的確に対応できるように、地方公共団体の自主性を尊重し、その創意工夫を生かしていくような方式に改めることが適当であるという考え方に基づくものでございます。
 これまでにも、臨時行政調査会の答申あるいは行政改革に関する審議会の答申等におきましても、そのような考え方に基づいていろいろな提言がなされておるわけでありまして、今回、政府といたしましても、そういう考え方に基づいて措置を行うことにいたしたわけでございます。
#75
○中野鉄造君 今回のこの事務の見直しは、これは二十数目に及んでいるわけですけれども、簡単に申しまして、機関委任事務というのは、その性質上国としても厳格に全国的統一性、公平性の確保が必要とされると。一方、団体委任事務は、その性質上必ずしも厳格に全国的統一性を要しないと、こういうようにされておりますが、今回、老人ホームヘの収容等、あるいはこれまで同じであった生活保護と異なって団体委任となるんでありますが、老人ホームヘの収容あるいは身体障害者福祉施設への入所措置、こういったようなものは全国的統一性あるいは公平性をそこまで確保しなくてもいいと、こういうようなお考えでしょうか。
#76
○政府委員(坂本龍彦君) 基本的な考え方といたしまして、機関委任事務の場合には、国が相当に詳細な内容までを規定いたしまして、地方の都道府県知事あるいは市町村長といういわば国の機関としての長にその内容を的確に実施させるものでございます。一方団体委任の方は、各地方団体の事務としてその地方の実情に見合った行政が行えるようにするものでございまして、国はしかし、法律をもってあるいは政令等によりまして、基本的な事項についてはこれは全国的に一定の水準が保たれるように当然規定はいたすわけでございますが、従来のように、かなり詳細な面にわたってまで直接の規制をするということではなくて、ある程度の地方の自主性の尊重、さらに創意工夫を生かせるような、こういう考え方でやっていこうというものでございます。
 したがって、全国的にやはりその統一性が失われてもいいということではございませんので、法律の要求いたします一定の水準というものはどうしてもこれは確保する必要があろうと。そのほかにいろいろ多様な福祉需要もございます、地域の実情もありますので、それに見合った運営が行えるようにしていこう、こういう趣旨でございます。
#77
○中野鉄造君 最後になりますが、この改正によって、老人ホームの入所者等の福祉に従来までと比較していろいろ欠陥が出るんじゃないか、そういうおそれがあるんですが、その点一つ。
 もう一つは、今回の改正によりまして、老人ホームの入所者等の処遇に関する地方公共団体への指導が不十分になるおそれはないかと思うんですが、この点についての自治省の取り組み方、そういう点についてお尋ねいたします。
#78
○説明員(濱田一成君) お答え申し上げます。
 今回の入所措置につきましては、多様なニーズにきめ細かく対応できるように、地方公共団体の自主性の尊重の観点から、入所措置について団体委任事務に改めることといたしたものでありますが、ただいま厚生省から御答弁もありましたように、入所対象者等についての基本的要件については国が定めると、また、具体的な要件は地方公共団体にゆだねるというようなことになるわけでございます。基本的な部分につきましてそのように国の方で示されるわけでございますし、また、地方公共団体といたしましても、それぞれ福祉の重要性については十分認識しているところでありますので、この点につきましては、国から適切な指導、助言あるいは勧告というようなものを受ければ、十分適切に対応していくものと理解いたしております。
#79
○佐藤昭夫君 中曽根内閣のもとで、いわゆる軍事費は大突出をさせながら福祉を切り捨てる悪政が、老人保健法の再改悪を初め一段と強まっておりますが、さすが気が引けるのか、総理は施政方針演説で、寝たきり老人や障害者のように、社会的、経済的に弱い立場にある人はきめ細かな配慮が必要だと述べたわけであります。しかし、これも国民を欺く言葉であると思うのでありますが、まずきょうは、この寝たきり老人の問題に絞って幾つか質問をいたします。
 まず厚生省、この寝たきり老人の実態及び施策の内容について概略述べてもらいたいと思う。
#80
○政府委員(小島弘仲君) 寝たきり老人につきましては、これは昭和五十九年の厚生行政某礎調査と社会福祉施設調査という形で調べておりますが、在宅で生活している方が二十七万人、病院に入院している方が約十万人、それから特別養護老人ホームでお世話しております方々が十一万人、合計四十八万人と見込んでおります。この寝たきり老人の方々についてはいろんなケースがあります。医療を必要とする方々については、病院で老人医療の対象となっておるのが一般でございますし、家庭でなかなか介護ができないという方につきましては特別養護老人ホームで、先ほど申し上げましたように、現在十一万人ほどお世話しております。
 従前、やや施策面で立ちおくれが見られます在宅の老人対策ということに六十一年度は特に力を入れておりまして、寝たきりの老人の意識調査、これはある抽出調査でございますが、いたしましても、施設に入りたいという方が在宅の方々のうちの一〇ないし一五%程度でございまして、やはり住みなれた家で、あるいは地域でという御要望が強いように見受けられますので、今後は、在宅でお世話している家族の方々に対する援助措置と申しますか、それに力を入れていかなきゃならぬというふうに考えておりまして、ホームヘルパーの大幅な増員と、あとデイサービス施設の充実、あるいはショートステイ、家族の方が御旅行になるという場合にお預かりするというようなショートステイの対象人員の大幅増というようなことをしているところでございますが、その他保健対策として、寝たきりになった方をできるだけ何とか日常行動ができるようにするというリハビリ、あるいは寝たきりを防止するための保健対策というようなところが主な施策でございます。
#81
○佐藤昭夫君 在宅福祉の充実に六十一年度は特に力を入れたと、こういうことでありますが、この言葉は大臣もしばしば使われてきた言葉でありますけれども、一体それならばこの六十一年度、在宅老人福祉に関する予算はどれくらいふえたんですか、大臣にお聞きします。
#82
○国務大臣(今井勇君) 昭和六十年で百十二億五千万でございますが、六十一年度に百三十三億三千三百万になっておるわけでございます。
#83
○佐藤昭夫君 だから差し引き二十億八千万、こういう増ですか。
#84
○国務大臣(今井勇君) 伸び率にして一一八・五%でございます。
#85
○佐藤昭夫君 ショートステイやデイサービスの補助率を引き上げたわけですね、三分の一。これによる予算の増は幾らですか。
#86
○政府委員(小島弘仲君) これによります予算増だけは切り離しておりませんが、例えばショートステイについて申し上げますと、対象人員を二万七千八百人から三万七千三百人というふうに九千五百人ほどふやしております。それも含めまして予算額といたしましては一億九千七百万が三億八千五百万になっておると。それからデイサービスにつきましては、実施箇所九十六カ所を二百十カ所に百十四カ所ふやしておりますとともに、補助率を三分の一から二分の一に引き上げておりまして、これが三億九千九百万から十四億四千七百万というふうに増加しております。
#87
○佐藤昭夫君 ですから、両方合わせて予算の増約十億というところだろうと思うんです。
 片一方、高欄補助金の見直しによる老人福祉法に基づく施設への収容措置費、この補助金が昨年は十分の八から十分の七に引き下げられて、そしてさらにそれが十分の五に引き下げられる、こういう方向になっておる。これによるカットの影響額、これはどれくらいですか。
#88
○政府委員(小島弘仲君) これは社会局と児童局と合わせまして、カット額の影響ということでございますと、六十年度の予算の補助ベースに比べまして、六十一年度予算では二千二百九十五億の減という形になります。
#89
○佐藤昭夫君 いや、私がお尋ねしておるのは、老人福祉法に基づく施設への措置費ですね、この補助金が既に減らされ、そしてさらに減らされようとするわけでしょう。この影響額六百八十五億じゃないですか。
#90
○政府委員(小島弘仲君) 老人の施設福祉関係で申しますと、十分の七から二分の一にしますと六百八十五億という数字でございます。
#91
○佐藤昭夫君 お聞きのように大臣、六十一年度は在宅福祉に特に力を入れたと、こういうことを強調しながら、そのことによって予算措置としてはどういうふうな変動が出ているかといいますと、さっき明らかになったとおり約十億ふやしたわけでしょう。一方で、この施設の方は補助金カットで六百八十五億減る。まさにエビでタイを釣るもいいところで、在宅福祉重視重視とこう言いながら、予算の中身というのは国の負担をばっさり削っているだけ。結局は寝たきりのお年寄りなどの世話を家族に押しつけること以外の何物でもない、こういうふうに言わざるを得ないと思うんでありますが、こういう国民を欺くやり方ではなくて、国が本当に果たすべき責任をきちんと果たして、施設も職員も十分整備して在宅サービスを充実する、まともな在宅福祉の発展充実に政府としてもっともっと取り組まなくちゃいかぬということは、大臣、お感じになりませんか。
   〔理事大浜方栄君退席、委員長着席〕
#92
○国務大臣(今井勇君) 今回の、今の御指摘のことでございますが、これは関係の補助金問題関係閣僚会議及び補助金問題検討会で事務事業の見直しとあわせてやったものでございます。しかし、おっしゃいますように、福祉行政というのは地方に定着をしておりますし、住民の関心も極めて高いものでもあります。また、地方も責任を自覚しておりますし、国も地方に対します信頼感を大きく持っておるものでございます。しかもまだ、地方の負担増につきましても、やはり所要の地方の財源対策は講じてあるわけでございますから、全般を通じまして福祉の後退ということは私はやってないと思っております。
#93
○佐藤昭夫君 冗談言ったらいけませんよ。こんな形で地方に対する補助が減っていけば当然、別に今、地方自治体も財政的に決して潤沢じゃない、だからこそ全国知事会にしたって市長会にしたって、高率補助金は一年限りと言いながら、どんどんとこれが継続をされることに対して怨嗟の声が起こっておるじゃありませんか。大臣、それを知らぬはずないでしょう。それをぬけぬけと福祉の後退なんか起こりようがありませんというようなことを今さらこの席上で言うというようなことは、もうこれは断じて認めることができないと思うんですよ。大臣、もう一遍意見聞いておきましょう。
#94
○国務大臣(今井勇君) 先ほどから申しますように、今回の措置は確かに国の補助金の率は落としましたが、それに対しまして、やはり地方の負担増につきましては所要の地方財源の対策を講じておるわけでございます。しかも、地方も福祉行政についてはそれなりのことをやりましょうという、そういった自覚も相当に地方なりにやっぱり私は育っていると思っているわけです。したがって私は、全体を通じまして福祉の後退というのはやってない、こう思っています。
#95
○佐藤昭夫君 何回そういうことを繰り返して言ったって、それは事実が示している。そういう措置では困るということで地方団体からどんどんと意見が上がってきているじゃないですか。
 そこで、問題を進めますが、寝たきり老人問題に取り組む上で重要なことは、一生寝たきりにさせない、できる限り機能を回復させて社会生活に復帰できるようにする、こういう基本的な立場が重要であるということは論をまちません。その中心がいわゆるリハビリであります。先日もNHKの三チャンネルであったと思いますが、倒れたときに早期にリハビリに着手することが機能回復にとって非常に大切だと。また、退院後在宅のもとでいかにリハビリが続けられるかという点の重要性が強調されておったわけでありますけれども、まず、この点の認識について大臣、どうでしょうか。
#96
○国務大臣(今井勇君) 寝たきりになりましたお年寄りが再び社会生活を営めるようにするためのリハビリ対策というのは、私は、御指摘のとおり、極めて重要なものだと考えております。
 そこで今回、訪問指導などの在宅の寝たきりの方々の対策を実施してきたところでございます。六十一年度予算におきましても、訪問指導とか機能訓練などの保健事業を一層拡充するよう措置しているところでもありますが、具体的に申しますれば、例えば、機能訓練の事業につきましては実施箇所を千七百六十七カ所から二千四百五十一カ所にふやすとか、あるいは訪問指導の事業につきましても、今度は寝たきりの方々全員に対してとにかく訪問指導をするということをやっているわけでございまして、私どもとしましても十分考えてやっていると思っております。
#97
○佐藤昭夫君 そこで、リハビリの問題でありますが、リハビリを充実していく上でリハビリ要員の配置の問題は欠かせない重要な点であるわけですが、この点で我が国の場合は諸外国に比べて非常に立ちおくれている。言語訓練士に至っては身分制度も確立をされていないという現状にあります。理学療法士、作業療法士、これらの要員の配置の実態と今後の見通し、計画、この点について説明してください。
#98
○政府委員(竹中浩治君) 理学療法士、作業療法士でございますが、この養成につきましては厚生省といたしましても推進をしてまいったところでございまして、昭和五十九年末現在で、PT、理学療法士は四千五百三十三人、それから作業療法士、OTは千七百五十一人というのが現在の数字でございます。従来目標といたしておりました理学療法士六千人、それから作業療法士四千人、これは昭和六十三年までに達成できる見込みでございます。
 このような情勢を踏まえまして、昭和五十八年九月に医療関係者審議会から、PT、OTの需給関係は昭和六十年代後半にバランスするものと予想されるので、今後はこれらの養成に当たってはより一層資質の向上を図るべきであるという提言が行われておるところでございます。
#99
○佐藤昭夫君 ただいまも触れられておりましたが、私もここに持っていますが、医療関係者審議会理学療法士作業療法士部会、ここの報告だと思うんでありますが、昭和六十七年ごろに需給が均衡し、それ以降は新しい需要に十分対応できる、こういう見解でありますが、これはいわば机上の計算も甚だしいものだというふうに私は思うんです。なぜならば、寝たきり老人やあるいは障害者、これは大都市から過疎地に至るまで全国至るところに分布しているわけでありますけれども、対応する医療機関や福祉施設、これの現状がどうなっているか。全国的な必要数と同数の療法士が均衡して計算上こういうことでいくと。だからといって、この需要に対して全部供給が均衡とれてうまくいくというふうに、機械的にいくんだろうか。
 例えばということで、この報告の、御存じと思いますけれども、一番最後に、日本全国こういうふうに養成施設が計画をされていくという図が載っているんですけれども、これ見たら、いわゆる山陰地方は養成施設はゼロじゃないですか、この地図の示すごとく。だから、全国トータルして需要がこういうふうに何人ふえていく、一方供給の方もこういうことでバランスをとって昭和六十七年以降は大丈夫と言ったって、まさか山陰地方の例えば島根県へ、わざわざ広島や岡山から全部供給しなくちゃならぬというようなことで、これで十分対応できるというふうに言えるはずがない。この点についてどう見ているんですか。
#100
○政府委員(竹中浩治君) 先ほど申し上げましたのは、お話しのとおり、全国的にあるいはマクロで考えた数字でございます。PT、OTだけでなしに、医師にいたしましても歯科医師にいたしましても、全国的なマクロの数字のほかに、地域的なアンバランス、不均衡という問題は並行して生ずるわけでございますので、そういった点につきましては、全体の全国の養成数がある程度いきました段階でそういった地域の不均衡の是正についても考えていきたいと思っております。
#101
○佐藤昭夫君 とにかく、今も認められたように、マクロな見通し、いわば非常に非科学的な現実離れをしたそういう議論の上に立って大丈夫と、将来は大丈夫やっていけますということで、余り問題の深刻さを深く追求しようとしないという、ここに今日の政府の姿勢の一端があらわれているというふうに思うんですね。
 こうしたリハビリ要員の不足の深刻さというのはもっとほかの面にもあらわれているわけでありまして、保健事業の五カ年計画の中で老人保健事業を実施するため、年次計画的にマンパワーの確保を行うということで市町村の機能訓練事業を支援するため、保健所に理学療法士と作業療法士を配置することにしています。一体、各年度の計画数と現在の配置数、これがどうなっているか説明してください。
#102
○政府委員(竹中浩治君) 老人保健事業の基盤整備にかかわるOT、PTの整備の状況でございますが、五十七年度から五カ年計画が発足をいたしておりますが、予算上では、五十八年度に八人、それから五十九年度に十四人、六十年度で二十六人、それから現在お願いいたしております六十一年度予算では、さらに増員をいたしまして四十九人という予算をお願いいたしておるところでございます。
 現員でございますが、五十九年の予算の十四人に対しまして、十月一日現在で八人、それから六十年の予算二十六人に対しまして、これは七月一日現在で現員が十二人でございまして、六十年度末までにはもう少し増加するものと考えております。
#103
○佐藤昭夫君 今も数字があったように、五十九年度で十四人配置すべきところ、現在いまだに十二人しか現状ではないと、こういうおくれた姿にあるわけでしょう。何しろ全国八百五十五保健所のうち四十九カ所のみに配置されていると、こういう姿であるわけで、これではどのように言葉は一生懸命頑張ってやっていますというふうに言ったって、大変な立ちおくれた姿にあるということはもう否めないと思うんです。
 そして、この老人保健法で訪問指導の一環として、適所が困難な在宅の寝たきり老人に理学療法士などを派遣する。そのための巡回在宅老人リハビリをやるということになっているわけでありますが、実際にはほとんどの自治体でこれはやられていないんじゃないかと思う。それというのも、このOT、PTの不足が大きく起因をしているんではないかというふうに考えざるを得ないんでありますが、この点の現状はどうでしょうか。
#104
○政府委員(黒木武弘君) 巡回してリハビリをやる事業がどれくらいの進捗状況かというお尋ねのようでございますが、御指摘のとおり、残念ながらほとんど着実に成果が上がっているとは言えない状況でございます。
 この原因は、老人保健事業としてリハビリをやります場合に、一つは、専門病院の協力を得てこの事業をやっていく。さらに、保健所のOT、PTを配置しまして、その支援のもとにやっていくということで事業を立案あるいは実施をいたしておるわけでございますけれども、なかなか専門家の方が得られないということで事業の進捗がはかばかしくないという現状でございます。
#105
○佐藤昭夫君 ことしの二月十七日付雑誌「週刊社会保障」、ここに幸田保険局長は、特別掲載ということで「「医療保険」これからの課題」という論文を寄稿されているのでありますが、その中で、在宅サービスの拡充のためにできるだけ身近なところに老人へのサービスができる拠点を設ける、デイサービスセンターを考えていく、いわばリハビリ訓練を受けられるデイサービス施設を中学校区に一つぐらい設けていきたいものだと、こういうことを述べておられるわけですが、本当にこれをやろうというのであれば結構なことでありますけれども、果たして一体このことを本当に実現するために着実に施策が十分に講ぜられているかというと、これも随分ほど遠い姿になっていると思うんです。中学校区に一つということですと、中学校の数は全国で一万を超える。先ほどのリハビリ要員の需給見通しては、老人福祉施設で必要と推計されておったのが、昭和六十五年でPTが二千四百、OT千百、昭和七十年でPT二千八百、〇丁千二百、こういう人数でありますから、仮にこの人数が全面配置されてみたところで、全国一万を超える中学校区にそういうデイサービスセンターをきちっと配置していくという、それがカバーできる数字ではおよそないということで、雑誌にはいいことを書いてみたところで、実際に厚生省がやるその年その年の施策が随分おくれた姿になっているということについて責任を感じてもらわなくちゃいかぬというふうに思うんですが、大臣、どうですか。
#106
○政府委員(小島弘仲君) デイサービスセンターにつきましては、先生御指摘のように、厚生省としてはまだ政府計画というところまで行っておりませんが、中学校区に一つぐらい整備して、少なくともそれぐらいの割合で整備を図ってまいりたい、ここにはリハビリ関係のセクションも置きたいと、こう考えておりますが、リハビリにつきましては、医療機関で行う場合といろいろ兼ね合いがございますので、全施設にリハビリを配置するというところまでまだ考えておりません。これについては生活訓練的なものを中心にやっていく、また、ところによって状況に応じる、できますところは積極的にOT、PTも配置していくということでございますが、全体的に、医療機関で行うリハビリとデイサービスセンターで行うリハビリとの機能分化についての最終的な詰めがまだできてない段階でございます。
#107
○佐藤昭夫君 念のために聞きますけれども、厚生省は、中学校区にセンターを最低一つつくって、そこにすべてそういうリハビリの要員を全面配置していくためには、どれくらいの人数をどれくらいのテンポでやっていく必要があるか、そのための予算措置は幾らくらい要るかということを試算してみたことがありますか。あったら言ってください。
#108
○政府委員(小島弘仲君) これにつきましては、先ほど申し上げましたように、リハビリにつきましては医療機関が中心になってやっていくような体制でございますので、入院のみならず通院の形でやる場合もありますので、全体的なデイサービスセンターに地域の実情を踏まえましてどの程度配置する必要があるかというのは、一万カ所というのは目標でございますので、具体的な配備計画がまだ完了しておりませんので、医療機関で行うリハビリとデイサービスセンターで行うリハビリ。との最終的な調整の詰めがまだできていない段階でございます。
#109
○佐藤昭夫君 そうすれば、雑誌に書いておることはうそじゃないですか。中学校区にちゃんとつくっていこうという、そういううそを書きなさんな。
#110
○政府委員(小島弘仲君) デイサービスセンターをつくっていくという目標には変わりございません。しかし、リハビリにつきましては、地域によってはデイサービスセンターでなくて医療機関でできる場合もございますし、その辺の性格づけと申しますか、地域ごとのデイサービスセンターというものの中身が地域ごとにやっぱりいろいろな特徴があるんだというふうに考えております。したがいまして、医療機関の配備計画等々とにらみ合わせながら、これから詰めをしなければならぬ段階でございます。
#111
○佐藤昭夫君 とにかく、国立病院や療養所を統廃合しようというその時期に、いやいや、病院でカバーしていますというような、そういうことで言い逃れができるような今の厚生省のやり方じゃないでしょう。
 厚生大臣、いろいろ聞いてもらっとったんですけれども、本当にあなた言われるように、決してこの医療行政、厚生行政を後退させないというんであれば、もっとこのリハビリの、この分野の問題についてもテンポを速めた強化策というものを国として考える必要があるというふうにお感じになりませんか。
#112
○国務大臣(今井勇君) いろいろ今、リハビリの問題は政府委員から答弁をいたしましたが、私はやはり極めてこれは大事だと思っております。したがって私ども、高齢者対策本部というので今いろいろ検討さしておりますけれども、やはり先生がおっしゃいますように、今、政府委員が答弁した程度のものはやっぱり整備していかなきゃならぬ、こう考えておりますから、ひとつ前向きで検討さしていただきたいと思っております。
#113
○佐藤昭夫君 それで、そういう観点に立ちまして先ほどの小委員会報告というか、部会報告ですね、この中でも触れているんですけれども、将来見通しについては幾つかの不確定要素も含まれておるということでありますから、ひとつ本当に福祉を充実させる、寝たきり老人対策を充実させる、こういう観点からリハビリの要員、これが非常に不足をしておるというこの実態を一日も早くどう改善をするかという角度に立って、この需給見直しについても、果たしてこれでいいのか、このテンポでいいのかということについてもう一回必要な検討をやってもらいたいというふうに思うんですけれども、大臣、どうでしょう。
#114
○政府委員(竹中浩治君) PT、OTの需給についてのこの意見書でございますが、この中にも、五十八年現在では、例えば老人保健事業はこれから進むというような段階でもございますし、また、各地方公共団体の対応がどうなるのかといったような不確定な要素があったわけでございまして、この意見書の中で、将来これらがはっきりした段階で再度見直しを行う必要があるということを言っておるわけでございます。こういった要員の養成というのはかなり息の長いものでございますし、現在相当な急ピッチで養成数がふえておりますので、例えば三十年後に一体どうなるのかというようなことも含めて考えていかなければならないわけでございますが、私どもといたしましては、こういった老人保健事業その他の問題がもう少し定着をした段階で、将来のPT、OTの需給見通しについては見直しが必要だという段階になった場合に、改めて検討したいと考えております。
#115
○佐藤昭夫君 大臣、最後に。どうですか、大臣。
#116
○国務大臣(今井勇君) 具体的な問題は、今、政府委員が答弁したとおりでございまして、私は基本的には、私が大臣に就任しましたときの気持ちは今もって変わりません。したがって、今いろいろお話しになりました問題につきましても、本当に真剣に考えてまいりたいと考えております。
#117
○佐藤昭夫君 終わります。
#118
○下村泰君 まずお尋ねする前に、一昨二十三日に五反田にございます簡易年金ホールで、あゆみの箱の第二十二回の東京中央大会というのを行いました。その節に坂本児童家庭局長さんから厚生大臣のお言葉をちょうだいいたしまして、御礼を申し上げておきます。そこへ招待された身障者の方々も大変、大臣のお言葉を代読していただいたその内容について、心強いお力をいただいたというふうに聞いております。大変喜んでおりました。
 ところが、こちらの厚生大臣のこの間の所信表則の中には、さほどこの身体障害者に関することについてお述べになっていらっしゃらないんですが、この委員会で述べた所信表明と、あの簡易年金ホールで坂本局長が代読なさいました身障者に対するお気持ちと違うところがあるんでしょうか。それとも、きちんと厚生大臣あそこでおっしゃったようなお気持ちで今後とも臨んでいくんでしょうか、ちょっと聞かしてください。
#119
○国務大臣(今井勇君) 私は当初から、身障者、要するに恵まれない方々に対する気持ちというのは、もう大臣になりましたとき以来一貫してございまして、変わっておりません。
#120
○下村泰君 それなら結構なんですけれども、少なくともこの所信表明の中にそういうお言葉ももう少し入っていればなというふうに感じました。
 さて、「精神薄弱著援護施設等に係る費用徴収基準の改正について」意見具申がされております。これは中央児童福祉審議会。それから、「身体障害者更生援護施設に係る費用徴収基準のあり方について」、これは身体障害者福祉審議会。同じく六十年十二月十八日に答申がなされております。この内容なんですけれども、答申されている内容というのはどういうことなんでしょうか。
#121
○政府委員(小島弘仲君) 身体障害者の更生援護施設、従来は食費程度の負担だけであったわけでございますが、五十九年度に法律が改正になりまして、他の精神薄弱者福祉法あるいは老人福祉法と同様に、施設入所措置につきましても、本人または扶養義務者から可能な範囲で、無理のない範囲で費用を徴収することができるという規定が入りましたので、それを受けまして、費用徴収のあり方についていろいろ御建議をいただいたわけでございます。
 その中身につきましては、一つは、身体障害者の自立意識を促進するという意味からもやはり費用は取るべきである。その場合には本人をまず第一義的に考える。それで、扶養義務者につきましては、その対象の範囲等についても十分考えるようにということでございますと同様に、身体障害者更生援護施設にもいろんな種類がございますので、その種類の態様に応じてあるべきやはり費用徴収の仕方というものを考えるべきであるということと、さらに、ただ、どんなに負担能力があるといいましても、いきなり全額徴収というのはちょっと余りにも急激過ぎるんじゃなかろうか。したがって、段階的に徴収額を引き上げていくような措置を講ずべきであるというような内容の御建議でございます。
#122
○下村泰君 それで、厚生省としてはこれは実施するんですか、その気になって。実施なさるんですか、これは。
#123
○政府委員(小島弘仲君) これは、法律の改正でその規定もございましたので、七月一日から徴収を始めたい、こういうふうに考えて、現在種々検討を行っているところでございます。
#124
○下村泰君 厚生省の予算の六十一年度の概要を拝見させていただいても、「福祉対策」の六番目の「社会福祉施設の運営」というところ、ここが七千四百八十五億二千三百万、これが六十年度の予算額。六十一年度が五千七百十九億四百万。したがいまして、千七百六十六億一千九百万円の減額になっておるわけですね。そうしますと、この中で一体どのくらい費用を徴収することによって、この減額の中でどのくらいに当たるんでしょうか、今回の措置で。
#125
○政府委員(小島弘仲君) その減額分につきましては、補助率の変更によるところが大部分でございます。いわゆる六十年度は措置費については十分の七の補助率でございましたが、六十一年度は十分の五、二分の一の補助にいたしますので、その影響額が非常に多かろう、こういうふうに考えております。
 身体障害者援護施設につきましては、七月という年度途中からの実施ということもございますが、更生施設で八億四千万、それから授産施設で十六億三千万、養護施設で二十三億一千万、合わせまして四十七億八千万というような数字を一応考えております。
#126
○下村泰君 殊に、答申の内容なんですが、この中にこういうことがあるんです。「意見具申」として、この四番目に「昭和六十一年度からの障害基礎年金の創設として具体化されることとなり、この面からも費用徴収制度導入の条件が整えられることとなった。」と。ということは、基礎年金が上がりました。上がったから取りやすくなった、こういうことなんでしょうね、これは。そうしますと、何か、せっかく基礎年金が上がった、もちろんいただく方は大喜び、それからもちろん保護者の方々、扶養義務を背負っている方々も大変喜んだわけですね。ところが、喜ばしておいて今度は後ろからばっさり切られているわけですよね。悪い言葉で表現すると、何のことはない、飯場の親方が、給料やっておいて全部集めてイカサマ賭博やって巻き上げているようなものなんだ、これは。例えば、今までと、それからこれから徴収した場合、どういうふうに変化しましょうか、具体例でひとつ挙げていただきたいんですが。重度障害者授産施設に入所している一級障害者でどのぐらいになるのか、恐らく計算出ていると思いますけれども。
#127
○政府委員(小島弘仲君) まだ負担額そのものについては検討中でございまして、結論を得るに至っておりませんが、要するに障害基礎年金の充実というのは、障害のために不幸にして稼得能力が失われたり、あるいは減少された方の所得保障ということでございまして、年金というのは所得保障の一環でございます。したがって、年金も含めまして負担能力を考えるというのはこれは当然のことであろうと考えておりますので、無理のない負担をお願いするというふうに考えております。
#128
○下村泰君 実際、障害者の方々の御意見を聞いて、食費とかその他本当に生活する上の最低のものですね、これは負担してもいい、当たり前だというふうに考えていらっしゃるんですね。
 ところが、意見具申されたこの書類の中に、身体障害者更生施設という欄があります。肢体不自由者更生施設、視覚障害者更生施設、それから聴覚・言語障害者更生施設、内部障害者更生施設、そして最後の項目に重度身体障害者更生援護施設と書いてある。これ全部費用が書いてあるんですよ、ここに。これは恐らく例だとは思いますけれども、食糧費が二万五千二百円、それから日常諸費、これが一万五千七百八十円、その後ろに今度は事務費というのがある、十三万九千九百円。この事務費というのは、職員の人件費と管理費、入所者の保健衛生費等に充てられるものである。これが下手をするというと扶養義務をしょっている方々にかかってくる、こういうことになるわけですか、この十三万九千九百円が。
#129
○政府委員(小島弘仲君) これも、要するに処遇をするためには、入所者の食費とか日常生活費、いわゆる生活費のほかに、やはりそれを介護したり、指導したり、援助したりする職員が当然必要になりますので、それは事務費という形で計上しております。したがって、入所に要する費用というのは、事業費と事務費の合算額ということでございますのでこれが対象になる、御指摘のように対象になります。
#130
○下村泰君 そうすると、六十年度でちょっと試算しますと、障害福祉年金一級で三万九千八百円、授産工賃ですね、いろいろお仕事をします。これは、その人その人によって能力が全部違いますからね、たくさん一たくさんといったって知れていますわ、ある方になると何千円と、千単位の方もいらっしゃいましょう。大体幾らか高い方でやってみたんです。七万五千円として十一万四千八百円。支出がどうかといったら、食費、一日三食として二万五千二百円、これだけで済んだ。ところが、今度とうなるかというんですね。基礎年金一級で六万二千五百円、それにスライドしますから六万四千八百七十五円ぐらい。授産工賃が、申し上げましたように高い方をとって七万五千円、それで十三万九千八百七十五円。食費が二万五千二百円、日常経費はここに書かれております、試算が出ています、一万五千七百八十円。計四万九百八十円。これならば十三万九千八百七十五円、そこから四万円ちょっとの支出、許せるんです、これは。ところが、ここに十三万九千九百円というのが乗っかってくる。もちろんそれは扶養義務者から徴収する。ここのところなんですよ、わからなくなっちゃうのが。
 障害者の基礎年金を上げたということは、どうぞひとつ自立をしてください、今までいろんな周りの、極端な言い方をすればひもですわ、それを全部切って、そして障害者の皆さん、こういうふうに年金も差し上げましょう、上げました、だから自立してください、そういう気持ちだったんでしょう。ところが今度、その扶養義務者からまたそれだけ巻き上げる――巻き上げるというのはおかしいですな。いや、確かに巻き上げるんだ、これは。だって国の方が取るんですからね、お国が取るんだからこれは巻き上げるわけでしょう、施設が取るわけじゃないんだから。そうすると、障害者に対して、せっかく年金を上げたんだ、自立しなさいよと言っている片方で、扶養義務者からそういうことをさせるというのはまたもとへ戻るでしょう。そう思いませんか。
#131
○政府委員(小島弘仲君) おっしゃるように、年金の支給というのは、障害のためになかなか経済的に自立が困難な障害者の方の自立をしやすいような条件を整備しようということでございます。したがいまして、本人の負担能力にまず着目するというのは、施設の費用徴収でも当然でございますが、現在、五十九年度で改正になった身体障害者福祉法も、従前の老人福祉法等と同様に、扶養義務者の負担も本人とあわせまして考えるというシステムになっておりますので、まず本人から、本人の年金を含めた収入に着目いたしまして、無理のない御負担を願うと。それでまだ残っている分については、扶養義務者に負担能力がある以上そこから徴収するということは、我が国全体の福祉の制度の仕組みの中で、やはりやむを得ない措置であるというふうに考えております。
#132
○下村泰君 局長が言わんとしていることはよくわかりますよ。ただ、状態が違うんですわな。親が子を面倒見る、子が親の面倒を見る、これは当たり前のことなんです、世間一般の常識で。しかし、これは健常者に言えることなんですよね。普通の体で普通の仕事をしている人間に言えることなんです。障害者の場合は違うんです。もっと温かい目で見てやるべきだと私は思うんですけどもね。だからこういう、例えば障害を持ったお子さんを生もうと思って生んでいる親はいませんよ。それはもう厚生省にいらっしゃる方よくおわかりでしょう。原因不明の病気というのはまだたくさんありますよ。例えば口唇口蓋裂を例にとってもそうでしょう。いまだに原因不明なんです、あれは。私も口唇口蓋裂の問題で、この点は厚生省の方にお礼を申し上げておかなくちゃいけませんけれども、五十七年から健康保険が適用になったんですから、これはお礼を申し上げなくちゃいかぬ。しかし、それまで、私どもがそういうものを手がけるまで放っておいた厚生はどうもよくないでしょう。まあ健康保険が適用になりましたから、これはお礼申し上げます。
 あの口唇口蓋裂のお子さん方を調べているときでも、各大学の歯学の方の、歯医者の方の先生あるいは外科の先生にお伺いしたんですけども、全然原因がいまだにつかめておらぬと。で、最終的には大気汚染から来るんではないかというような説を唱えた松本歯科大の先生もいらっしゃいました。そのくらい原因がわからない。してみると、これからもまだまだそういった原因不明によって障害を持ったお子さんが生まれてこないとも限らない。しかも、この口唇口蓋裂の場合には、いまだに四百五十人に一人が口唇ですね、唇の裂けるお子さん。それから五百五十人に一人が口蓋裂、上あごの裂けるお子さんがいまだに生まれておる。こういうもうデータがちゃんと出ていますからね。
 そういう健常者とこういう方々とは立場が違うし、もう基礎から全然違うわけですよね。ですから、こういう方々に対するもう少し温かい思いやりといいましょうかね。それから在宅療養者、在宅障害者との平均もとらにゃいかぬとこの意見書には出ているんです。むしろ逆に在宅の方の手間がかかるんですわな。中には親御さんが仕事を全然できないで、若いうちに退職すれば退職金が大変たくさんもらえるというので、若いうちに退職して、その退職金で喫茶店を経営している、深川の方にいらっしゃいますよ。そこの家に行きました。そしたら、その障害者も完全に寝たきりの障害者でね。で、この障害者を、神様から授かった子供であるとそのお父さん言ってましたよ。そして御自分の退職金で喫茶店を営んで、そのお子さんのお姉さんはいまだにお嫁さんに行かないんです。行かれないんです、そういう障害を持っているからというので。話ができ上がってもすぐ壊れる。そのお姉さんも、お父さんの亡くなった後に私が今度は扶養義務を、私が面倒を見るんだというふうにおっしゃっていました。すると、むしろそういった在宅でもって悪戦苦闘している人がたくさんいるわけですね。そういう方の方を手厚くしてあげなければならないはずだと思うんですよ。それを、在宅で療養している方もいる、それと一緒に、こちらの施設に入っている方も公平でなければいけないというような見方ってちょっとおかしな気がするんですね、私は。国のレベルというのが、こういう方々に少しでも温かい手を差し伸べて、こういう方々を自立させるための援護施設というか、援護施策といいますか、そういうことを国が本腰を入れてやらぬことには私は福祉という言葉は意味がないと思う。そのために税金を払っているんです、国民は。
 だから、私なんかよく言うことあるんですよ。自分の税金がどこに使われているかわからない。よく新聞の記事に発表されてますと言いますけれども、細かいことの内容なんていうのは国民一人一人、私もそうでした、長屋住みの庶民にとってはあんな新聞見たってわかりやしませんよ。だから私は、項目をつくれと言ったんだ、税金の窓口に。米を食べたいために逆ざやの料金を納める人は米税、道路をつくってほしい人は道路税、文教費に使ってもらいたい人は教育費、こういういわゆる弱い立場に置かれた方々のための福祉なら福祉費用、障害者のための費用。窓口はっきりつくれと、そうすれば納めやすいというんですね、税金も。そして自分の出した税金の使われ方がどうされているか、これもよく見る。監視もできる。この方がよっぽどわかりやすくていいと言ったことがありますよ。
 ですから、こういった方々に対する施策というのは、どうも私は審議会のメンバーというのを疑いたくなるんですが、これ一体どういう方たちなんですか、この審議している人は。まずそれを伺いたい。
#133
○政府委員(小島弘仲君) 審議会のメンバーというのは、身体障害者問題について学識経験のある方ということでございますので、施設の経営をなすっているそういうような方、あるいは身体障害者自身の方、さらにはそういう問題に経験のある行政官のOBというような方々、あと学者というような方々で構成されております。
#134
○下村泰君 そういう方がどうしてこういうような答申を出すのか私にはまるっきりわからないですな。これに対してどういうお答えをしますかと言ったって、これはもう局長も困るでしょうけどね。
#135
○政府委員(小島弘仲君) まあ経済的にいろんな意味で自立てきない、要した費用の負担も含めてでございますが。そういう方々については、公的な措置とそれから私的扶養との関係をどう考えるかということに尽きるのだろうと思います。
 それにつきましては、我が国の福祉の法体系全般的に、まず本人の負担能力、それからそれが十分でない場合には扶養義務者の負担能力を勘案し、それで足りないところに公的な費用負担が出てくるという仕組みでございますので、現在の老人あるいは精神薄弱者等の福祉の措置、あるいは生活保護のあり方等全般を見直した上で、福祉施策の中での費用負担の均衡ということを考えてこういうような御答申、御建議をいただいたものと考えております。
#136
○下村泰君 それは、まあ言葉を使って言えば立派ですわな。
 けれどね、一番私が疑問に思うのは、障害者に対する年金も額が多くて、大変喜ばしいほど大きければ当然費用を取って当たり前だと思いますよ。だけど、現在支給されている額で、これ費用取ったってそれほどの額じゃないんですよね。で、扶養義務者ということがこの中にも書かれておりますよね、三親等内までとかね。あとは何か法で決められた人が扶養義務を負うとか出ております。とにかくそういう方たちに御迷惑をかけない、肉親に迷惑をかけたくない、何とかして自分たちで自立したいという人たちの願いを壊しているようなものだと思うんですよ、今度のこの措置は。そこのところを私は納得できないんですよね。どんな言葉を使って、これこれこうだからこうなったんですと、それから老人ホームその他を比較してこうなるんですと、いろんな言葉あるでしょう。それから対比の仕方もあるでしょう。けれど、納得のできないものはどう考えたって納得はできないんですよね。こういうふうに法がなっておりますからこうなんですといったら、そういうやっぱり法は変えなきゃならないと私は思いますよ。現在のこのやり方というのは、むしろ自立しようとしている人たちを逆なでしているような感じがするんですよね。逆行しているという感じがするんですよ。
 もちろん、それは扶養義務者においてもそれぞれいろいろと控除もありましょう。全額負担できない人はこれこれこういうふうにしてくださいとか、それはいろいろありましょう、免除の方法は。けれども、どちらにしましても、自立しよう、ああ自立できるんだという光が見えてきて、それを何ですか、いきなりシャットアウトされたというような感じを障害者の方たちが持っていることは事実なんですよね。これが基礎年金というのが六万二千五百円に上がって、それが一年でも二年でも続いていて、さあそこらでそろそろということなら話はわかる。答申自体もそうでしょう。六十一年の四月一日からこれだけ上がるんだから取って当たり前だと、こういう言い方なんだ。何かどこかが違っているような気がするんですがね。
 これを本気でやるんでしょうな、厚生省は。もう予算書にも出ています。本気でこれをやるのでしょうね。
#137
○政府委員(小島弘仲君) 七月一日から実施する考えで準備を進めております。
#138
○下村泰君 恐らく、扶養義務を背負わされている方々にしても、今回の六十一年四月一日からの基礎年金の上がったことや何かでも非常に私は喜んだと思いますよ。日本の福祉も立派になったと心中思っていたかもわかりませんよ。それが今度は七月一日からこういうことをやる。何だ、それじゃこれ一体どうなっているんだというような感じを必ず持つと思いますよね。日本に住んでいてよかった、日本人でよかったと、そう思ったところが、やっぱり日本人というのは当てにならないな、こういうことになる。日本の国は当てにならない、殊に厚生省は当てにならない、こういうことになりますよ。それは局長は、あなたは御自分で関係ないからそうだろうけれども、実際に関係のある人たちにとってはこれは大変ですよ。青天のへきれきみたいなものですよ。ですから、こういうところに手厚く保護をしてくださる、温かい手を差し伸べてくれるというのが私は厚生省だと思うのです。
 これ以上聞いてもどうにもならないでしょうけれども、大臣、私の言っていることが間違っているでしょうか。お答えください。
#139
○国務大臣(今井勇君) 切々としてお訴えくださるそのお気持ちはよくわかるわけでありますが、私からこういうことを申し上げるのはいかがかと思いますが、この身障法の改正というのは五十九年の改正で、実は全会一致で通していただいている法律でございまして、私どもはそれをいよいよ施行をする義務を負っているわけでございますから、そういうことで、今、局長が七月一日から施行をいたしたいというふうに何遍も繰り返し申し上げていることでございまして、私どもは、確かに従前は食費相当額を負担の限界としていたところでございますが、この福祉法の一部改正によりまして、他の福祉施策と同様に、施設入所に要する費用についても本人または扶養義務者が負担をしていただく旨の規定がございます。これをやっぱり守ってまいるというふうな気持ちで今おるわけでございます。
#140
○下村泰君 私もこれでおしまいにしますけれども、あとは高杉委員からもこの問題についてもう少し突っ込んだお話があるだろうと思います。
 どうぞひとつ大臣にもお願いをしておきますけれども、もちろんこれは全員賛成で通したものは通したものなんです、私は余り賛成したくなかったのですけれども。いずれにしましても、谷間で涙をこぼしている人たち、こういう人たちに対する厚生省のあり方というのは、私は一番問題だと思うのですね。ですから、こういう方々に温かい日の当たるような方法を常に考えていただくことを心からお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#141
○石本茂君 お尋ねをいたしたいと思いますが、先ほど佐藤先生からもいろいろ御質問がございましたけれども、高齢者の医療保険対策に関しまして、私も一つ二つお尋ねしたいと思うのでございます。
 さっきも局長申されましたように、約四十八万人の高齢者、いわゆる寝たきりといいますか、病院に入っている人、特別養護老人ホームに入っている人、あるいは在宅者を含めまして、この問題はやはり私も在宅者の問題に大きな問題があるように思うのです。家庭で寝たきりになっている人の訪問看護という言葉が行き過ぎかもわかりませんけれども、訪問指導といいましょうか、どういうふうな状態で寝ているのか、褥瘡が出ていないだろうか、あるいはまた食事その他につきまして、保健婦、ヘルパーともに年々増加されておりますことには、私は深い敬意を払っておる者の一人でございますが、現在一体どれくらいの割合で、月ということにしてもいいのですが、保健婦などが家庭を訪問できているのでしょうか。それからまた、ヘルパーの人たちがどういうふうな回数で回っているのでしょうか、お尋ねします。
#142
○政府委員(黒木武弘君) 在宅の寝たきり老人等に対しまして、老人の保健事業ということでどれぐらいの訪問指導の実態になっておるかというお尋ねだと思いますけれども、まず、私どもの取り組む姿勢でございますけれども、寝たきり老人の方に対しまして保健婦さんあるいは看護婦さんを派遣しまして、家庭におきまして療養方法あるいは看護の方法について指導等を行うということで訪問指導事業を行っておるところでございまして、これは老人保健事業の重要な柱として私どもは取り組んでおるところでございます。
 五十九年度の数字で申し上げますと、訪問指導を受けた方の延べ人員でございますけれども、約百四十三万人、一人一年当たりの訪問回数で申し上げますと二・三回になっております。
#143
○石本茂君 私もそのお仕事をしてきた人間でございますけれども、月に一回や二回訪問して一体本当に効果があるものだろうかという非常に大きな疑問を持っております。せめて一週間に一回とか、二回というのは度があるかわかりませんが、月に一回や二回では、これはもう行ったも行かぬも同じようなことじゃないかという気がしてなりませんので、この問題、にわかにすぐどうこうなる問題ではございませんけれども、家族への指導、この辺に重点を置いていただきまして、少しでも異状を発見しましたら、すぐ保健所なり市町村役場なりへ連絡がとれるような体制にはなっているんでしょうか。
#144
○政府委員(黒木武弘君) 確かに御指摘のように、訪問指導の実施状況がいまひとつ進んでないということで、六十一年度予算におきまして、全寝たきり老人に。対しまして必ず一回保健婦さん、看護婦さんが訪問をするという予算を計上さしていただいております。保健婦さん、看護婦さん等が訪問指導された上で、この方は月一回必要だとか、あるいはもっと必要だとか、あるいは必要ないとか、いろんなそれぞれの状況によって度合いは違うと思いますけれども、これから御指摘のように、寝たきり老人の家庭が必要とするサービスが受けられるように努めてまいらなきゃいかぬだろうと思っております。
 なお、念のために、老人保健事業と申しますものは、厳しい財政事情の中で、毎年三五%増という形で予算的には重点的に伸ばしてきておりますので、さらにこれを伸ばすよう、あるいは中身を濃くするように努力をしていきたいと思っておるわけでございます。
#145
○石本茂君 本当に御努力なさっているのはもうよく知っておりますので、御苦労だと思っていますけれども、どうか手を緩めますことなく先に向かって努力してください。
 この関連になると思うのですが、昨年の八月に懇談会か何か、いわゆる中間医療機関、老人福祉施設と言っているように思うのですが、この中間医療機関に関する話題が提供されまして、そして六十一年度の予算を見ておりますと約十カ所、これは試験的でございます、法律を変えるんじゃなく、試行的に十カ所ほど中間施設をつくってみようということになっているようでございますが、私がちょっとまだ、愚鈍ですから納得しておりませんのは、これは医療機関でございますと私は思うわけですね。ただ、医療法人でもよろしい、福祉法人でもよろしい、その両方のところにつくってよろしいというふうに言われておりますけれども、これは病院などで治療を受けて、そして慢性的になった人、あるいはさっきの在宅寝たきり老人で、病院に行きたいと思っても満杯である、それからまた特別養護老人ホーム、これに入れないというような方で希望される人がここに入られるのだと思うのでございますが、これを私は医療機関だと思い込んでいるわけですが、そのことを一つ。
 それから、この機関では主として生活訓練といいますか、もちろん私は、わけのわからぬことをある方に聞いたのです、この施設へ行く人は、もう診断、治療というものが必要なくなったんでしょうか、薬を飲んでいるかもしれませんけれども、注射などはしなくていい人が行くんでしょうかなんてくだらぬこと聞きましたら、特別養護老人ホームに入っている人でも、薬も飲んでいるし、注射も時にはしているから、それは一概に言えませんというようなこと、これは隣同士の話し合いということでございますけれども、そういうようなことを私は思ったわけです。生活訓練、介護、看護が主たる役割をするものであって、もちろん医師の診断、治療も必要ではございますけれども、医療機関である。
 そしてもう一つ、これは私の考え違いかもわかりませんけれども、ここに入ります人は食費は自己負担である。それから医療費につきましては、今度法律が変わるんだと思うんですが、例の老人福祉法の中身でございますけれども、入院費は一日二百円が五百円に変わって、それが期限の限度がございませんから、入院費の一日五百円とそれから食費の自己負担、さらに別途に必要なものは、現在支払われております他の医療機関と同じような医療保険から支払われるものだというふうに思うんですが、この辺がどういうことなんでございましょうか、お伺いいたします。
#146
○政府委員(黒木武弘君) まず、中間施設の性格についてのお尋ねでございますけれども、確かに御指摘のように、医師が医業を行う場でございますから、性格的には医療機関の性格を持っております。ただ、医師が医業を行う場はすべて医療法に規定されておるわけでございますけれども、今回の老人保健施設は医師が医業を行う場でございますけれども、老人保健法に今回改正を提案いたしております法律の中に盛り込んだ形でお願いしてございます。これは確かに医療機関でございますけれども、反面、お年寄りが生活をそこでなさる、生活の場として生活サービスもあわせ行うという機能も持たして、いわば病院と老人ホームの中間的な性格を位置づけておるわけでございますから、医療機関あるいは準医療機関と申したらいいんでしょうけれども、そういう性格であるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。したがいまして、病院と特養の中間的な性格を有する、こういう性格にも着目いたしまして、私どもは、設置主体として医療法人、それから社会福祉法人等も設置開設者になり得るということで法律上御提案を申し上げておるところでございます。
 それから第二点の、ここで行われますサービスについて、特養なり老人病院なりとどういうふうに違うのかと、あるいは極端に言えば、注射をするのかしないのかという点等を含めてのお尋ねでございます。もう御承知のことかと思いますけれども、特別養護老人ホームは、在宅での介護が困難な寝たきり老人を収容しまして生活の場を提供するという、これは福祉施設でございますけれども、さらにまた老人病院は、これは入院治療を行う施設だと、どちらかというと、老人病院でございますから、主として慢性疾患ではございますけれども、症状が安定的に経過してないという人に対して医療を、入院治療を行う医療施設だと、こういうふうに理解いたしております。
 ところで、老人保健施設でございますけれども、したがいまして慢性疾患等の症状が非常に安定をしておる、そういう方を収容する施設である。したがいまして、入院治療の必要のない寝たきり老人等の養護介護老人に対しまして、看護とか医学的管理下の介護、機能訓練その他の必要な医療サービスを提供する、それからあわせて日常生活のお世話もする、こういう施設でございます。したがいまして、医療サービスについて申し上げますと、特養よりももっと濃度の濃い医療サービスが行われますけれども、病院に比べましたら医療よりも看護とか介護が手厚いという性格の施設でございます。したがいまして、医療行為について申し上げますと、症状が安定しているわけでございますけれども、やはり病気をお持ちだということで、場合によっては投薬だとかあるいは処置だとか注射等も必要なケースが出てまいりましょう。そういう意味で、この施設というのは医療サービスが行われる施設ということで御理解をいただきたいというふうに考えます。
 その施設に対する利用者の負担関係でございますけれども、御指摘のように、療養サービス、医療サービスについては保険財源の方から見る予定にいたしておりますけれども、食費とかその他日常生活的な費用につきましては、これは在宅でも必要な費用だということで、患者さんの負担でというふうに考えまして法案を提出しているところでございます。
#147
○石本茂君 それでは簡単に、これは特例医療病院もございますけれども、病院と在宅、家との接点だというふうに考えておればいいんでございましょうか、これは最も単純な物の考え方なんでございますけれども。しかし、治療はこれは必要でございますから、それがあしたどういうふうに症状が変わっていくか、これはわかりませんですけれども、割合落ちついた慢性化した疾患者を主として入れる、あるいは在宅でもいいかもしれない、しかし病院の治療はもう必要なくなったという人を入れる、これはもちろん医師の診断によってその施設に入っていくということになるんだと思いますが、これは間違いございませんですね。
#148
○政府委員(黒木武弘君) おっしゃるとおりでございます。したがいまして、そういう方が入所できるかどうかということの判断をだれがするかというお尋ねだと思いますけれども、管理医師と申しますか、医師がそのお年寄りの病状その他を見て入所ないしは退所の判断をなさる、これは病院に入られる場合とほぼ同様だというふうにお考えいただきたいと思います。
#149
○石本茂君 大体、納得というかわかりましたけれども、これが試行的でございますので、実際にしてみなければわかりませんけれども、病院に入っている人の中にもそれらしき者はいるし、その中間医療機関にいても病院に行かなきゃならぬと思う人もいるし、いや、あれはもう家へ帰ってもいいんだというような人もおるかもわからないような、そういう錯綜したような雑多な姿にならないような体制を私はつくっていただきたいということを希望しておきます。
 次に、続きましてでございますが、非常に高齢化社会を迎えてしまいまして、その長寿対策のために、年金の問題とか医療の問題とかいろいろ苦慮しておられるわけでございますが、これは隣り合わせの問題でございますけれども、母子保健対策、これも厚生省が所管していらっしゃるわけですが、非常に出生児の数が年々減ってきてしまったと思うんです。しかし考えますと、生まれてくる、あるいは今の乳幼児あるいは青少年、この人たちが労働人口として将来大勢の老人を支えていかなければならない、いやでも応でもそうしなきゃならぬ使命を持っているわけです。そういうふうに考えますと、心身ともに健全な子供を産むという体制づくりをするところは一体どこなんだろうかと、これよく考えてみますと私は厚生省だと思うんです。
 それで、来年度の国家予算などをずっと眺めておりますと、母子保健対策費はかなりとってございます。その中に健全母性の育成事業という項目が一つ出てくるんです。一番最後のところに出てくるんでございますが、これは一体どういうことを具体的にやっているんでしょうか、お尋ねします。
#150
○政府委員(坂本龍彦君) お尋ねの健全母性育成事業の概要でございますが、この事業は、主として思春期の人たちを対象といたしまして、思春期特有の医学的な問題あるいは性に関する不安とか悩み、こういった問題に対しまして、医師や保健婦などの専門家が個別に相談に応じたり、あるいは集団によって母性保健知識の普及を図ろうというものでございます。これは昭和五十九年から始めておりまして、現在の時点では、都道府県あるいは指定都市において実施をするように進めておるわけでございます。
 したがって、この事業につきましては一言で申しますと、これから成人になっていこうとする思春期の方たちのためのいろいろな医学上の問題、性に関する不安、悩みに対する対策であるということになろうかと思います。
#151
○石本茂君 これは、きのうも午前中予算委員会で、学校教育の中で性教育の問題が出て、厚生大臣も答弁にお立ちになっていらっしゃいましたけれども、なるほどそういう事業も必要だと思います。思いますが、私は、今とれております百五十億ほどの予算の中身を見ておりますと、妊娠中の精査でございますとか診査、それから出生児、新生児、乳児あるいは幼児の診査にかなりの経費を使っておられると思うんです。これも非常に重要なことでございますが、そういう心身に障害を持つような子供が生まれないように、妊娠中のあるいはこれから妊娠する人に対して私はうんと厳しい指導、これをするのが厚生省だと思いますね。
 これは、巷間の我々素人の言っておることでございますけれども、妊娠したとわかったら、幾ら嗜好品だから自由だといいましても、たばこをのむのをやめるとか、あるいはアルコール類は禁止するとか、生まれてくる子供の心身ともにの健全ということを考えるのが母親だと思うんです。この母体の育成といいますか指導と申しますか、この点にはうんと私は力点を入れていただきたい。生まれてくる子供の数が少ない。その少ない子供かひ弱かったり、根性が欠けていたり、あるいは身体のどこかに障害を持っているということになりますと、これは一大問題だと思いますので、このことにつきましては、今聞きましたこともさりながら、私は、もっともっと助産婦とか保健婦とか、その道のベテラン、医師はもとよりもちろん中心でございますが、そういう人を総動員してもよいから、今それをしておかなかったら将来悔いても悔いてもどうしょうもできないような状態が来るんじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
#152
○政府委員(坂本龍彦君) 確かにおっしゃるとおり、今後の日本を支えていく児童が健全に育成されるように、これはいろいろな面から施策を進めていくことは必要でございます。
 私は、先ほど健全母性育成事業についてのみ申し上げましたけれども、当然、厚生省の母子保健対策というのはそれに尽きるものではございませんで、広く妊娠前から妊娠中、さらに産後まで、いろいろな対策を総合的に実施しておるわけでございます。
 例えば、妊娠の前ということになりますと、いろいろ保健所とか母子健康センター、市町村などが婚前学級、新婚学級、母親学級というようなところでいろいろな知識の啓蒙普及も図っておりますし、また、妊娠の届け出があった場合には母子健康手帳を交付いたしまして、妊婦の健康診査というものも実施しておるわけでございます。さらに、新しく出産をされました場合には、新生児の訪問指導あるいは乳児の健康診断、それぞれ各段階において対策を講じておるわけでございますが、特にこの問題については重要と考えておりますので、医師、保健婦といった専門家の方々の十分な御協力を得て、今後ともこの対策については万全を期していきたいと考えておる次第でございます。
#153
○石本茂君 今、局長の申されましたことについては、一応全部承知しているつもりでございますけれども、やはり産後の助産婦さんたちの家庭訪問指導など、絵にかいたもちのような現実も知っておりますので、私は、大勢の国民を相手のお仕事ですから、中央で何もかも全部ということは無理だと思いますけれども、保健所もございますし、市町村もありますから、そういうふうな網の目を十分に張りめぐらして、そうして本当に一人の妊産婦あるいは新生児、乳幼児等に向ける目を、どういいますか、おろそかにしていただきたくないという願いを込めて申し上げました。
 次は、地域医療に関しますことのまたごく一部でございますけれども、この間もわけのわからぬことをちょっと聞いておったのですが、今ごろ僻地がないだろうと私も思う、道路が整備されましたから。しかし、まだやっぱり全国を歩いていますと僻地はございます。この僻地とか離島でございますが、一番そこで問題になっているのはお医者様がおらないということでございますね。医師過剰時代が来たということを新聞などでよく読みますし、それから入学定員を減らす学校なども出てくるようでございますけれども、この地域格差というものは一体出ているものでございましょうか、どんなものでしょうか。大臣、どうお考えでしょうか。
#154
○政府委員(竹中浩治君) お話ございましたように、医師の養成の状況を現状のまま置きますと、将来は医師過剰になるということで、大変関係者の関心を呼んでおるわけでございます。
 しかしながら、僻地あるいは特定の診療科目等々、全体の医師の数が仮にふえ、あるいは過剰の状態になりましても、そのままで置きますと不足状態を生ずる地域あるいは診療科目等は生ずるわけでございまして、そういった意味で、私ども、医師過剰についての諸般の施策と並行して、従来以上に僻地あるいはそれ以外の特定診療科目等の医師の不足を生ずる部分につきましては、過剰対策とあわせましてそういったところの充足対策をこれからも一層強力に進めていく必要があろうと考えております。
#155
○石本茂君 ぜひ、これはいろんな問題があろうかと思います。専門医の育成が中心になってまいりました医学教育でございますから、卒業した方があしたから地域というわけにはまいらぬと思いますので、今後の課題だと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 なお、この関連でございますが、さっきもマンパワーの育成の問題が出ておりましたけれども、私は、さっきから話がたびたびありましたように、老人対策にしても、あるいは新しく生まれてくる母子保健対策にしましても、助産婦とか保健婦とか、あるいはまた臨床を中心にいたしますと看護婦でございますが、この看護職員の需給対策はこれでいいのかどうか。そのことが一つ。
 それから、看護教育の体制でございますが、これはもう今から三十数年、四十年近い前に決まったものでございまして、当時、高等学校を出る人は三分の一ぐらい。今九六%ぐらい高校卒業者という時代を迎えておりますのに、看護教育の第一歩は中学卒業でもよろしい。私は、今、准看制度とか何とかいうのじゃなくて、こういう教育体系でいいんでしょうかということをお尋ねしております。
#156
○政府委員(竹中浩治君) 看護婦を中心といたしました看護職の需給計画でございます。
 看護婦さんにつきまして、昭和六十年末に六十六万人の就業者を確保するということを目標に、これは五十四年からの第二次計画でございますが、六十年末で六十六万人の就業者を確保する、こういうことを目的にいたしまして進めてまいりましたところ、昭和五十九年末の就業者数が六十二万人ということでございますので、おおむねこの目標は達成し得るのではないか。しかしながら、これも全国をマクロで見ました場合の数字でございます。したがいまして、個別に地域別にいろいろ見ますと、地域別な格差がございまして、依然として不足の状態が見られるところも多いということはあるわけでございますので、そういった格差の是正を今後進めていく必要があろうかと思っております。
 それからまた、人口の高齢化に伴いまして、看護活動の場も、在宅ケアなど地域における活動がこれから大変重要になってくるわけでございまして、そういった多様化いたします看護需要に対応した看護婦さんの養成計画を今後策定をしていく必要があるわけでございます。このために、現在こういった観点に立ちまして、昭和六十一年度を初年度といたします第三次の看護婦需給計画の策定を急いでおるところでございます。
 それから、もう一点お話のございました、いろいろ疾病構造の変化、あるいは高学歴社会と申しますか、一般の学歴もどんどん高くなってきておる、こういった時代の趨勢に対応して、看護教育は現在のままでよいのかということでございます。お話ございました点、あるいはさらに、従来どちらかといいますと療養所の世話が一番中心でございましたが、住民の健康の保持、増進から疾病の予防、リハビリテーションまでを含みます包括的かつ継続的なサービスをこれから提供していくことが求められてきておるわけでございますし、それから、先ほども申し上げましたような在宅ケア等の地域における活動の場も重要になってくるというようなことがございますので、看護の果たす役割はますます重要になるとともに、また時代の趨勢に合った看護婦さんの養成ということが必要になろうかと思うわけでございます。
 したがいまして、こういった状況を踏まえまして、看護教育の根本的な見直しが必要だという御意見が各所にあるわけでございまして、私どもこのために、こういった看護教育のあり方も含めまして、今後の看護制度の基本的方向を検討していただきますために、昨年の三月に看護制度検討会を設置いたしまして、今鋭意検討を進めていただいておるところでございます。来年度末、したがいまして来年の今ごろでございますが、そのころには結論をお出しいただきたいということでお願いをいたしておるところでございます。
#157
○石本茂君 今、局長も申しておられましたが、医療というか診断、治療と申しますか、保健にしてもそうですけれども、物すごく内容が変わってまいりました。大昔の私のような者は、保健婦の資格を持っています、あれも持っていますといいましても、とてもついていけないぐらいに高度化してきております。ですから、量の問題ももちろんでございますが、質的な条件に私は重点を置いていただきたい。そうして国民の皆様の御希望に沿うような看護というものをしていかなければならないし、させていくのが厚生省のお役割ではないかと思うわけでございます。
 もう大体時間も参りましたので、そうしたことに対する局長のお答え、それから大臣には、さっきから申しましたように、母子保健の問題、老人の問題、そして地域医療の問題など総括いたしました御意見をちょうだいしたいと思います。
#158
○国務大臣(今井勇君) 先ほどから先生の御所見の問題、あるいは看護職員の量的な、質的な問題、老人保健等の問題について広範な御質問をいただきまして、先生の日ごろのこういう問題に対します非常に深い御理解と洞察力に大変敬意を表するものでございまして、私もせっかくの厚生大臣になりましたわけでございますので、先生の御意見を十分踏まえまして一生懸命やってまいりたい、このように思いますので、よろしく御指導をいただきたいと思います。
 ありがとうございます。
#159
○石本茂君 どうか全般にわたりまして、あれもこれもまだお聞きしたいこともありますけれども、時間も来ましたのでこれでやめますけれども、どうぞ老人保健部長さん、それから政策局長さん、お立場の皆さんに特にお願いしたいと思います。大臣もよろしくお頼みいたします。
 どうもありがとうございました。
#160
○高杉廸忠君 限られた時間でありますから、端的に厚生大臣の所信に対して質疑を行いたいと思います。本来、本委員会なら下村先生の和やかな中で締めくくるわけでありますが、きょうは予算委員会の都合で私が締めくくりということになりました。
 限られた時間でありますから、大臣に端的に伺うわけでありますが、きのうから厚生省前に約二百名の障害者の方が座り込みをしていると、こう聞くんですが、座り込みをするのにはよほどのことであって切実な問題だと、こういうように思うんです。
 そこで伺うんですが、障害者の人たちが何を要求しているのか、また大臣はこれに対してどう考えるのか、まず伺います。
#161
○国務大臣(今井勇君) 私も厚生省の前にたくさんの障害者の方々が座り込んで御要求をなすっております姿を拝見いたしまして、まことに心の痛むものを覚えるものでございますが、障害者の方々の、昨日もお会いをいたしましていろんなお話を聞きましたが、その御要求の概要は私は三つあったと思います。
 すなわち、身体障害者の更生援護施設に入所した場合の費用の徴収に当たりまして、一つは、成人の障害者についてはその扶養義務者を対象としないこと。それから二番目は、生活施設につきましては個室化等の環境の改善を行うこと。三番目は、障害基礎年金の改善額以上の徴収を行わないことというものでございますが、特にこの中でも一番の問題、すなわち扶養義務者を対象としないことについて強い御要請をいただきました。
#162
○高杉廸忠君 先ほど大臣が下村委員の質問に対して、五十九年の身体障害者福祉法の改正の際のお話がありました。しかし、これからの七月の実施ということと、どういう基準でどう徴収をするかということは、その当時論議をしていなかったと思うんです。その点はいかがですか。
#163
○政府委員(小島弘仲君) 御指摘のように、具体的な徴収の内容については十分な御審議がなかったと記憶しております。
#164
○高杉廸忠君 それならば費用徴収については、今、障害者の人たちがせめてこの三つぜひひとつ実現をしてくれないか、施設の改善もそうです、年金以上の徴収はしないでほしい、それから成人の人たちの扶養義務、その人たちから費用は徴収しないでほしい、これはもう切実な問題だと思うんです。
 大臣、傍聴席にきのうの障害者の方も全国から来ておられるんです。大臣の一言に非常に注目をしている。もうやむにやまれず厚生省前に座り込んで、せめて切実なこの三つの願いについて何とか大臣の再考ができないかと、こういう願いだろうと思うんです。
 そこで大臣、費用徴収、これはするとなると一般会計に入るわけでしょう。そうすると、その費用はどこに使われたかわからない。先ほど下村委員も指摘しました。せっかく費用を徴収したなら、それが設備の改善とか直接障害者の人たちの施設、あるいは改善、生活、こういう面にはっきりわかるなら、まあ何とかこれも考える余地があるかもしれませんが、一般会計に入っちゃう、どう使われるかわからない、こういう状態の費用の徴収、これは私はやっぱり考えるべきだと思うんです。その点は大臣、どういうふうにお考えになりますか。
#165
○政府委員(小島弘仲君) 確かに、徴収はいわば雑人みたいな形になりますが、一般的にこの費用の徴収主体は地方公共団体でございます。国立の施設については国。先生御指摘のように、ただその使途は、全くこれは一般的に収入になるわけでございますので、特定されておりません。ただ、このような形で特会的な扱いというのはなかなか難しい問題もございます。
 また、限られた額でもございますが、我々としては、障害者の完全参加と平等を目指す十年計画ということに基づいて施策を進めておりますので、このような御要求の中身につきましても、生活施設について、特に施設につきまして個室化というのはなかなか難しい問題があろうかと思いますが、できるだけやはり機能面の改善を図る等、居住環境の整備というものには今後も努力してまいりたいと考えておりますし、また、具体的な徴収の基準までの詰めを行っておりませんので、どの程度になろうかということははっきり申し上げられませんが、我々としては、本人からもあるいは扶養義務者からも本当に無理のない妥当な、御納得の願えるような徴収基準を定める所存でございます。そういたしますと、やはり基礎年金の改善額以上に出ないというところも大きなぶれはなかろうかというふうな感じは持っておりますが、全体のバランスを考えながら、十分御納得のいただけるような基準をつくってまいりたい、こう考えております。
#166
○高杉廸忠君 きのうも、約五千名に上る全国の方々からの署名を、障害者の人が直接大臣にもお話を申し上げ、お渡ししたわけです。そのときに私も口添えをいたしました。せっかく成人をして障害者の人でも自立をしよう、そういう気持ちがいっぱいなんです。にもかかわらず、扶養の義務の方からも費用徴収する。こうなると、これは障害者の方がきのうも切実に訴えていましたよね、私たちは親兄弟があっても自分は自立したいんだ、こういう願いなんだ、こういうことは強く訴えられていましたから、これからも三つの基準に従って、年金以上の費用徴収しないことも含めて考慮するというならば、せめて大臣、成人の人たちには扶養義務者からは取らない、徴収しない、そのぐらいなことはやっぱり考えるべきだ。そして今一生懸命苦難な中にも、困難な中にも生活の中から立ち上がって自立しようというその障害者の人たちの気持ちを大事にしてやるべきではないのかな、これがさっき下村委員からも指摘した温かい、大臣、大臣ができることだと私は思うんです。
 ですから大臣、どうでしょう、そういうことを、まだ実施までに期間がありますから、慎重にひとつ御検討いただきたい、これは要請を含めて申し上げます。いかがですか。
#167
○国務大臣(今井勇君) 先ほどの御質問にもありましてお答えも申し上げたのですが、お気持ちはよくわかるのでありますが、やっぱりこの問題は、我が国の福祉施設というものが所得の多寡によって限定することなく、広く全国民を対象としておりまして、これを受けた場合には、負担能力に応じてその費用の全部または一部を負担していただくという原則がありますことを十分踏まえまして、ひとつ私ども考えなければならぬと思いますが、せっかくの今の先生の御要請でございますから、十分考えてまいりたいと思いますが、なかなか極めて難しいということを同時に御認識いただきたいと思うものでございます。
#168
○高杉廸忠君 大臣、今井大臣になってから障害者の人たちから費用を徴収するということになると福祉は後退する、どうもそういう印象を受けるんです。私は今井大臣にそうあってほしくないんです。ですから、実施までまだ時間がありますから、十分ひとつ慎重に御再考いただくことを要請いたしておきます。
 次の問題に入りますけれども、私は、先日の本院予算委員会の総括質問の際にも、国立病院・療養所長寿園の件で三つのお願いを申し上げました。大筋で総理並びに厚生大臣とお約束ができたと思っております。
 そこで私は、去る二十一日の休みでありましたが、現地に参りまして関係者の皆さんとお会いをし、御意見を伺いました。この目で実情も確かめてまいりました。一言で申し上げるならば、大変な過疎地であります。過疎地だけに大変深刻な問題なんですね。道路は見てまいりましたが、整備をされました。しかし、渋川から長寿園まで約一時間近くかかるわけなんです。吾妻線郡馬原町駅からでも十七・六キロもあるわけなんです。バス会社、これは二社あるそうでありますが、接続が悪くて、朝一番に西郡馬病院に行くために乗ってすらも、受付の締め切り時間には間に合わない、こういう大変過疎であり不便なところなんです。町の人口も、二十年前約八千四百人あったんですが、現在は約半分の四千七百人。若い人たちのほとんどが都市へ移って、残された人たちというのは高齢世帯、お年寄りの世帯なんですね。ですから、お年寄りですから何しろ運転ができないわけです。遠くに移動することすらできない。そういう地域の状況なんです。お年寄りの方たちは留守番とお孫さんのお守り、この毎日のようなんです。大半の世帯が高齢世帯であります。開業医も以前はあったそうです。しかし、その開業医の人が亡くなられてからはその来手がない、こういうお話でありました。
 こういう実情でありますから、近隣の八カ町村、これはすべてがこの長寿園を何とか続けてほしい、こういう切実な願いでありました。私も、入っている患者さんたちにも直接お会いをして、皆さんそれぞれからお話を伺いました。職員の方も地域の人たちが大多数であって、過疎の町だけに、療養所があることによって経済的に受ける恩恵というのも私たちの想像をはるかに超えるものがあるわけなんです。
 そこで厚生大臣、私は要請を含めて申し上げますが、何とか話し合いで活路が開けるような格段の配慮、もう余り時間がないものですから、いただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
#169
○国務大臣(今井勇君) お説のように、この長寿園の問題は地域の方々からの存続要望が極めて強い、私も御要請を受けてよく存じているわけでございます。
 ただ、今回のこの計画につきましては、長寿園の統合によりまして何とか国立医療機関としてさらに質的な強化を図ろう、こうするものでありますので、その実施に当たりましては、しかしながら後医療のことを随分考えにゃいけませんので、私どもはそれを考えているわけでございます。
 また、長寿園に今入院しておられる患者さんにつきましては、いろいろ配慮をいたしておるわけでございますが、また、患者さんにつきましても高齢者が多く、寝たきりの患者もおられることでございますから、十分に配慮をしていきたいと思いますが、この問題は、やはり地元の人たちとよくお話し合いをしまして、何とか私どもの当初考えました計画が遂行されますようにひとつ御協力をいただきたい、私はそのように思うものでございます。
#170
○高杉廸忠君 予算委員会の総括の際に総理にも、総理の地元であるだけに、おひざ元であるだけに、厚生大臣も特に地域の人たちと十分お話し合いをして、患者さんの移送についても無理のないように、そういうことは十分無理をしないようにやってほしいということは要請しておきました。重ねて大臣にも再度要請をしておきます。
 さらに申し上げますと、園側も、病院長という方は非常に人格者で、この地域の医療に貢献された方なんです。決して惰性に流されていたわけではない、これがはっきり私にもうかがわれるんです。現院長が就任してからも、旧結核療養所から脱皮を図るために、老人疾患とか循環器、呼吸器、この三本の柱を立てて、現地より七キロ下に下がったところに高齢者コロニーをつくろうというような整備計画もあったようなんです。しかし、それもいつの間にか廃止計画になってきたというようなことで、どうなったんだろうかという、院長すらもわかってなかったような感じがしたんです。しかも聞いてみますと、院長さんの大変な努力で、入院、外来ともに着実に実績を積み上げてきているんですね。地域医療にも大変な貢献をされて、この長寿園のイメージというものが従来から脱皮してきた、そして地域の人たちもそういう長寿園にあることを非常に望んできたという今日の状況、そこへ廃止と、こういうふうになったものですから、私は非常に唐突の感がするわけなんです。したがいまして、やっぱりそういう努力をしてきた、そういう実績を積み上げてきた、そういう国立療養所を大事にやっぱりすべきだなというふうに私は思います。
 ですから、そういうことも含めて大臣ね、この計画について、もう三月三十一日だそうでありますけれども、私はやっぱり患者さんの移送を予定されているところにも、高齢者の方を移動すると、前回申し上げましたとおりに、都病院から埼玉の病院に移したときに、五名の万全員が二カ月半で亡くなられたという実例もあるし、私もそのときにかかわっているだけに、余り無理されては困るな、こういうふうに思うんです。くどいようですが、重ねて大臣ね、そういうことを含めて無理をしないように、お年寄りの患者さんたちも納得のいくような方法、それから地域でも十分お話し合いの上でこれを配慮しながらやっていただきたい、こういうことを申し上げておきますが、重ねて伺います。
#171
○国務大臣(今井勇君) お説のように、この長寿園に入院しておられる患者につきましては、私どもは西群馬病院に全員が転院できるように病床を確保しておることはおるわけでございます。おっしゃいますように、この病院には高齢者が非常に多くて、しかも寝たきりの患者もおられることでございますから、その転院に当たりましては、病状などに十分配慮して、患者さんに万が一のことがあってはいけない、私は、それは先生のおっしゃるとおりであります。したがいまして、十分そういうことを配慮しながら皆さんによくお話し合いをしまして、そしてひとつやってまいりたい、こう思っております。
#172
○高杉廸忠君 それじゃ、重ねて大臣にもお願いしておきます。
 時間の関係がありますから、次に話題を変えまして、中国残留孤児の問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。
 私どもは去る三月七日に、国会議員友の会で、中国より帰国した孤児の方々から、日本における生活について直接お話をする機会を得ました。生活習慣の違いあるいは言葉の不自由さに加えまして、諸制度の異なるのに戸惑いを覚え、多くの難問を抱えて、自立の努力も時としては失望に変わる、こういうようなお話を切々として訴えられました。私は、中国帰国孤児の方々の今後日本に定着をし自立していくために抱えている諸問題、特に厚生大臣に関係する問題について、より積極的にひとつ施策の実現、これの要請を含めて申し上げたいと思います。
 まず、現在孤児の帰国直後の受け入れ施設として所沢に定着センターがありますけれども、受け入れ能力、これについてはもう限界ではないか、こう思うんですが、いかがでしょう。
#173
○政府委員(水田努君) 大量の帰国時代を迎えておりまして、現在のセンターは非常に手狭になっておると、御指摘のとおりでございまして、現在御審議をいただいております六十一年度の予算でその倍増計画を立て、現在の機能実行上、年間九十世帯受け入れを倍増の百八十世帯受け入れにすべく準備をいたしているところでございます。
#174
○高杉廸忠君 受け入れ能力を倍増して、予算を見ますと予算も増額していること、これは評価したいと思うんです。しかし、今のお話のようにまだ十分でない、こう思うんです。
 そこで大臣ね、今後の孤児の帰国状況に即応して受け入れ態勢の整備を早急に図る、これはわかるんですが、既存の社会福祉施設等を活用していく、こういうような民活方式の導入を私は検討されたらどうか、こう思うんです。私は、以下具体的に前向きの形で提案もいたしますから、大臣、一つ一つそういう面で、福祉施設などをこの際活用することを検討したらいいじゃないか、こう思うんです。大臣、どうでしょう。
#175
○国務大臣(今井勇君) まことに結構なことだと思います。どうぞひとつ具体的にどういうふうにすればいいかお考えもお聞かせ願いまして、これは極めて私は今後の問題としてありがたいことだなと思っております。
#176
○高杉廸忠君 先ほどのお答えのように、所沢ではもういっぱいだと、こう言うんですから、その周辺の福祉施設なり東京都の福祉施設なり、これは厚生省が本家本元ですから、援護局長、そういうことも私はやっぱり具体的に受け入れ態勢の中で考えていく方法だと思うんです。どうでしょう、局長。
#177
○政府委員(水田努君) ただいま大臣の御指示でございますので、私どもも事務当局として前向きに検討をさしていただきたいと思います。
#178
○高杉廸忠君 それじゃ次に、所沢のセンターでの日本語の指導期間、これはどの程度になっているかちょっと伺って、現在の期間で自信を持って社会に羽ばたける状態になるのかどうか。これは大臣でしょうか局長でしょうか、どちらでも結構です、どういうふうにお考えになっていますか。
#179
○政府委員(水田努君) 先生には所沢の実際を御視察いただいて、よく御存じのとおりであるわけでございますが、四カ月間、初歩的な日本語の勉強と社会生活の習慣を学び取るということを中心にやっているわけでございまして、私どもは、一応この四カ月の研修で、日常会話に必要な対人的な意思疎通ができる程度の勉強はできていると思っておりますが、これを基礎にして社会に出て実践的な日本語の勉強をすれば、ほぼ一年以内ぐらいで就職その他に支障のない程度まで上達することができると考えております。
 また、それを支援するために、六十一年度から生活指導員の派遣回数、現行月四回を三回ふやしまして七回としました。その三回分は日本語の補講に弾力的に使ってよろしいということを、昨日の主管課長会議で各県に指示をいたしたところでございます。
#180
○高杉廸忠君 局長ね、四カ月ということで果たして自信を持って社会に出て自立するというところまでいくのかどうか。私はちょっとそれも無理ではないかなというふうに感じたんですよ。
 そこで大臣ね、これはひとつ御検討いただきたいんですが、したがってその指導期間ですね、これを延長していく。これはずっとというわけにいきません、四カ月を五カ月にするか六カ月にするか、これが一つ。
 二つ、これは落ちついた先で日本語の補講を行うような、今、生活指導員というお話がありましたが、落ちついた先でも日本語の補講を行うような体制、これはやっぱり検討していただいた方がいいんじゃないか、こう思うんです。
 そういう点、二つの点いかがですか。
#181
○政府委員(水田努君) 研修の期間四カ月というのは、先生方御視察のときに指導課長も御説明しておりましたように、通常の外国人の初歩的な勉強をする時間の約倍の集中的な授業をしているわけでございまして、教室から一歩出ますとまた家族と中国語で話すという環境のもとでは、おのずと伸びるのに限界があるわけでございまして、指導課長も申しておりましたように、言葉が伸びるというのは竹の節のようなものであって、一つの節を越えるためにはやはり社会で実践的な日本語の勉強をすることが重要であると。そこで私どもは、やはり先生の次の御提案の、補講体制を整備するという方向で十分前向きにこれからも施策を進めさせていただきたい、このように考えております。
#182
○高杉廸忠君 ぜひ実現をしていただきたいと思うんです。
 次に、手当の問題ですが、帰国孤児は着のみ着のままで日本に来るわけなんですね。現在厚生省では、大人一人について十三万四千四百円の帰還手当を出していますが、例えば夫婦に子供三人の計五人で帰ってくる場合を考えますと、五十万円足らずということになるんです。そうなると、落ちついた先で家具や布団など身の回りの品物を全部そろえるとすると十分ではないなというふうに思うんです。そこで、これまで身元が判明した孤児が帰国をするという場合には、肉親の人たちがこれを多少手伝ってきたという経緯がありますから、何とかなったと思うんです。しかし、これからは身元が未判明の孤児が帰国の主流になってくるんじゃないのか、こういうふうに私は思うんです。
 そこで大臣、現在の帰還手当というものをもう少し見直して、やっぱり未判明の孤児の人たちにも十分なことができるような、そういう対策というものを今から講じていく必要がある、こういうふうに思うんです。大臣、いかがでしょう。
#183
○政府委員(水田努君) 大臣にお答えいただく前に、必ずしも先生の御指摘のほどこの五十万という金が値打ちがあるのかないのかということについて、少し説明をさせていただきたいと思います。
 現在まで帰ってきております孤児の平均的な家族構成を見ますと、夫婦二人に十八歳以上の子とそれから十八歳未満の子供二人、大体五人という構成でございまして、六十一年度で若干この帰還手当はアップを考えておりますので、それでいきますと約五十五万になるわけでございます。それで、先生を初め、大変額が低いんではないかということをよく指摘されますので、援護局の家庭の主婦をやっておりますベテランの女子職員がスーパーに行きまして、今から新しく世帯を形成するとした場合に、何人かに見繕いをさせましてその平均をとってみたわけでございますが、一応世帯を形成する場合、御指摘のとおり、ボストンバッグ一つで帰ってきておりますので、本当の着のみ着のままでございます。で、見ますと、世帯の人数にかかわりなく必要な物がございます。例えば、時間ございませんので簡単に申し上げますと、食器棚、食卓、冷蔵庫それから石油ストーブであるとか炊飯器であるとかハンガー、そのほか洗面器、バケツというような、世帯の人数と関係しない品物をそろえるとすると大体二十三万程度ではないかと考えております。それから、個々の世帯の人数に比例するものがあるわけでございまして、寝具でございますとか食器とか衣類は比例するわけでございまして、大体そろえますと三十七万七千円程度ではないかと考えております。これを合計いたしますと約六十万七千円程度になりまして、若干五十五万をオーバーするかのごとき感になるわけですが、孤児世帯にはみんな生活保護の緊急の現物給付をいたしておりまして、これで家具、什器、それから衣類等、十一万五千円程度がこの構成でございますと支給されますので、実際は、五十万を割る形で一応の姿、形は整えることができる。これはもちろんその平均的な世帯構成以上の場合は賄える。こういうことが現状で、世帯の構成人員が少ない場合はいささが御指摘のとおりきつい面があろうかと考えております。
#184
○国務大臣(今井勇君) 担当局長がいろいろと具体的にお答えしましたが、要は、やはり先生の御指摘の点を踏まえまして、帰還手当のあり方につきましては六十二年度の予算要求でひとつよく工夫、検討を行ってまいりたい、このように思います。
#185
○高杉廸忠君 ぜひ、実情に合った態勢でひとつ予算を要求し、実現をしていただきたいと思うんです。さっきも申し上げましたとおり、今まで判明したから肉親の方々が足らない分は面倒を見てきた。しかし今度は、未判明の方が主流になってくるとなるとそうもいかない。だから、実情に合うように見直しもしていただきたい。再度お願いをしておきます。
 それから次に、孤児がセンターを出て落ちつき先に行くまでの種々の対応があると思うんですが、通常どういうふうになっているのか。それからその間、さっきも生活指導員のお話がありましたが、じゃ、具体的にどういうような役割で活動されているのか、ちょっと説明をいただければありがたいと思うんです。
#186
○政府委員(水田努君) センターを卒業して落ちつき先に落ちつく、それから生活指導員が当然孤児世帯につくわけでございますが、その役割分担というものは一律的な指示をいたしておりませんで、一生懸命やるところもあればおざなりにやるというところで、やはり生活指導員の業務内容を明確化する、特に身元引受人という、未判明孤児の方に生活のコンサルタントとして身元引受人というものができましたので、これとの関連でも生活指導員との役割分担を明確にすべきだという指摘が非常にふえてまいりましたので、この生活指導員の役割分担の明確化を図りまして、昨日の主管課長会議でそれを指示いたしたところでございます。
 要点を申し上げますと、センターに四カ月間入っているわけでございますが、三カ月目に入った時点で、落ちつき先の都道府県にこういう家族構成の孤児世帯が帰るという連絡をいたしますので、その時点で都道府県はその受け持ちの生活指導員を決めていただきまして、県はその生活指導員を使いまして、センターを卒業して帰ってきた場合に、公営住宅に入る、いわゆる住宅の確保に支障のないような手配その他をさせる、そのほか、あとは子供の就学の手続をさせる、あるいは生活保護を早急に受けられるような事前の準備をしておく、それから帰ってきた後は就職に向けての働きかけをすると、もろもろのことを、帰ってくる前、それから帰ってきた後のそれぞれの時期に分けて、具体的に生活指導員のやるべき仕事の内容を昨日指示いたしたところでございます。
#187
○高杉廸忠君 局長、センターに入って、あるいは出てからということじゃちょっと対応が遅いと思うんです。ですから、これは大臣にもひとつ含めて検討いただきたいのは、センターに孤児がいる間に生活指導員を決めて、住宅や子弟の教育、落ちつき先の必要となるような手続ですね、そういうようなものを定着センターから出るときに決めるんじゃなくて、もう来ているときからそういうふうに先手先手でいくことがやっぱり自立や定着を促進するというふうに私は思うんです。ですから、ぜひ検討をしていただきたいんです。
#188
○政府委員(水田努君) 先生の御指摘のとおりでございまして、私の説明が悪かったかと思いますが、センター入所中に生活指導員を決めて先手先手に手が打てるように指示をしたと、こう申し上げたつもりでございます。
#189
○高杉廸忠君 それから、特に身元の未判明な孤児の場合に、生活指導員は、身元引受人とも孤児世帯の受け入れについて十分相談しておくように指導すべきであると、こういうふうに思うんですね。そして、身元引受人に余分な心配、負担をかけないようにしておく、こういうことも配慮すべきだと、こう思うんですね。それはどうでしょう。
#190
○政府委員(水田努君) 御指摘のとおりでございまして、そのために生活指導員と身元引受人がやるべき業務の内容をあらかじめ明らかにして、それを世の中に公表しておくことが身元引受人に無用な心配、負担をかけないということになろうかと思いますので、そのようにいたしまして、都道府県にこのような形で役割分担をそれぞれがうまく有機的に機能するようにということで指示をいたしたところでございます。
#191
○高杉廸忠君 それじゃ次に、身元引受人について伺うんですが、現在、登録の人たちはどのぐらいの数があるのか。あるいはまた今後の見通しですね、それが二つ目。それから三つ目に、身元引受人は厚生省が責任を持ってあっせんをしていくと、こういうふうに言っているんですが、具体的にどういうような方針で身元引受人のあっせんを行っていくのか、その三つの点について示していただきたいと思うんです。
#192
○政府委員(水田努君) 最初の二つは私からお答えを申し上げさしていただきたいと思いますが、身元引受人は現在、個人が五百名、法人が三十、計五百三十名ということでございまして、実質的には半年の間でこれだけの登録をいただいた。国会の先生方も友の会を通じて非常に御参加いただいたり、これが大変いい影響を及ぼしまして、山口県の県会でも身元引き受けを名乗り上げられ、これが佐賀それから鹿児島というふうに、いい意味で飛び火をいたしておりますし、これからもどんどんふえてまいるものと思っております。
 現在、身元未判明の孤児で帰国を希望している者が百三十二名でございますので、現状においてはこの五百三十という数は十分だと思いますが、なお帰国者はどんどんふえてまいりますので、それに応じて、やはり帰国者の三倍程度の身元引受人候補を持っておきたいと思っておりますので、PRその他を今後も進めてまいりたいと思っております。
#193
○国務大臣(今井勇君) 三番目の身元未判明の帰国孤児の問題でありますが、孤児の世帯の家族構成、あるいは中国におきます職業などと身元引受人側の希望条件等を勘案しながら、身元末判明孤児の世帯の定着、自立の手助けとなるのにふさわしい方をあっせんする方針でありまして、また、孤児の落ちつき先が特定地域に偏ることのないように配慮する考えでございます。
#194
○高杉廸忠君 次に、生業資金の貸し付けなどで伺うんですけれども、先日も孤児の方から直接お話を聞いて私も感じたんですけれども、孤児の人たちの中にも、中国での生活経験を生かして中華料理店などを開くというような自営業ですね、自立していこうという方もかなりいると、こういうふうに聞くんです。そういった人たちに対する指導、相談、こういうのはどういうふうになっているのかというのが一つです。
 また、政府系の資金、例えば環衛公庫、こういうような融資の面で私はやっぱり特段の配慮を、例えば手続の簡略化とか、担保なしの貸し付けとか、こういうものを制度化していく、これが必要ではないかと、こういうふうに思うんですね。大臣、その点はいかがでしょう。
#195
○政府委員(水田努君) 私、担当の局長じゃございませんので、突然の御質問でちょっと準備ができておりませんので、責任あるお答えにならないかと思いますが、担当の部局の方にも先生のお話をよくお伝えし、検討をしていただくようにさしていただきたいと思います。
#196
○国務大臣(今井勇君) 極めておもしろい――おもしろいというか、大切な御提案だと思います。これはひとつよく検討させましょう。
#197
○高杉廸忠君 ぜひ前向きにひとつ御検討いただきたいと思うんです。
 それから大臣、ついでに申し上げますと、やはりこれも直接お話を聞いて感じたんですけれども、中国において十数代にわたって漢方薬の調剤をしてきた方がいたんです。ところが、日本に来てから日本の資格がない、こういうことでせっかく中国で貴重な経験を持ち資格を持っている専門的技術を活用することができないと、こういう悩みを訴えられたんです。こういうような人たちに、中国での経験、あるいはまたそれを基礎にして、日本における薬種商というんですか、こういう資格を取る際の実務経験の期間として中国にいたものを取り扱って、現在日本でもその人たちが薬種商販売業の許可が取りやすいようにしてあげたらどうか。やっぱりそういう措置も具体的に講じていく、これが定着化するし自立する道だと私は思うんです。その点はどうでしょう。
#198
○政府委員(小林功典君) 薬種商販売業の問題でございますが、この業態につきましては、医薬品の取り扱いが保健衛生上適正に行われることを確保するという意味で、指定医薬品以外のすべての取り扱い医薬品、これはもちろん漢方薬以外のすべての医薬品でございますが、これについて必要な知識経験を有しているということが必要とされております。したがいまして、今お話しがありましたように、中国での漢方薬の調剤経験だけをもって薬種商の受験資格を認める、これはなかなか難しかろうと思います。ただ、御指摘のようなケースの中には、中国における関連制度の内容、実態、あるいは御本人の中国での実務経験の内容等によっては、薬種商販売業の受験資格の認定に当たって、これはあくまで個々の事例ごとの判断によるわけでございますけれども、ある程度その実務経験というものを勘案できるケースもあるのではなかろうか、このように考えております。
#199
○高杉廸忠君 大臣、これもひとつ前向きに検討してください。漢方はかなり中国では経験豊富な方々ですから、せっかくそういう知識と経験のある方が日本へ来て定着てきないで困っているというのが実情ですから、ひとつ御検討いただきたいと思うんです。
 その次に、はり、これもお話を聞いてみますと、中国ではりの資格を持っていたんですけれども、技術的にはかなり水準の高いものだというふうに私は思うんです。ところが、やっぱりこれも日本の資格がないために、せっかく水準の高い中国のはりの経験、資格を持っている方が、日本に来ても仕事ができないために、皿洗いだとか雑役に使っているような、あるいはビルの清掃人となっているような、そういう仕事しかないというのが今日の実態なんですよ。
 そこで、日本での資格を取るための高卒相当の二年間、こういうような養成所に通わなきゃならないというような、こういう現在の制度を、これまた中国で水準の高い技術ですからね、こういう方々についてはせめて二年間と言わずに半年ぐらい、やっぱり特定の措置でいいんではないのかなと。既に技術的にも経験的にも高いわけですから、そのくらいの配慮はやっぱりしてあげることが必要じゃないかな、こういうふうに思うんです。これも大臣、いかがでしょうか。
#200
○政府委員(竹中浩治君) はり師でございますが、御承知のように、現在我が国におきましては免許でございますが、中卒または高卒後一定の期間特定の養成施設で勉強いたしまして、そして都道府県知事の行う試験に合格をするということが免許の条件になっておるわけでございまして、これはほかのはり師以外の、例えばきゅうあるいは柔道整復、検査技師等々、医療に携わる職種の免許制度がすべてこういう共通の仕組みになっておるわけでございます。
 一方、中国でございますが、私どもが知っております範囲内では、はり師につきまして、我が国のような統一的な身分制度がまだ整えられていないんじゃないかというふうに聞いておりまして、したがいまして、なかなかその評価をするのが難しいというのが実情でございます。今、先生御提案の養成期間を短縮するという特別措置を講じたらどうかということでございますが、そういった点がいろいろございまして、なかなか難しい問題であるというふうに考えております。
#201
○高杉廸忠君 大臣、何回も申し上げるように、我が国と比較してどうか、とにかく中国のはりというのは、経験をしている人は技術的に水準は高いと思っていますから、これまたぜひひとつ御検討はください。お願いをしておきます。
 それから年金について、時間がありませんから端的にお聞きしますけれども、この間の孤児の方々からのお話でも、孤児の人たちは年金については非常に老後心配しているんです。聞いてみますと、本人が保険料を納めたくても納められない状況にあった、こういうふうに思うんです。
 そこで、孤児について過去に実施されていたような保険料の特別納付、こういうものは考えられないのかな。あるいはまた空期間、こういうものも長いわけですから、こういうふうな点で、その方々がこれから定着してずっと老後を日本で暮らすわけですから、やっぱり年金ももらえるような配慮もぜひしていただきたいなと、こういうふうに思うんです。この点いかがでしょうか。
#202
○政府委員(吉原健二君) 中国孤児の方の年金の問題でございますけれども、これらの方々、日本にお帰りになりまして、厚生年金に加入されるなり、あるいは自営業の場合には国民年金ということになるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、これからの年金の加入期間に応じて年金額が決まってくるわけでございます。既に四十歳あるいは四十五歳でかなり高齢の方でございますと、六十歳なりあるいは六十五歳までの被保険者加入期間に応じた年金ということで、おっしゃいますように、必ずしも高い年金が出ることにならないというのは御指摘のとおりでございます。
 ただ、今御質問にございましたけれども、過去にさかのぼって保険料の特例納付なり何なりというような措置を認められるかどうかということになりますと、先生御承知のように、保険料の特例納付というのは今まで二、三回やってきたことがあることは確かでございますけれども、いろいろ問題なり議論があった措置でございまして、最終回にやるときに、これ以上こういった特例納付の措置はもう認めないということでお認めいただいたという経緯もございますし、それから、仮に過去の期間の保険料の特例の道を開きましても、御承知のとおり、今、月額の保険料が非常に高くなっておりますので、何十年という間の保険料をまとめて果たして納めていただけるものかどうかというようなこともあるわけでございます。そういったことで、御指摘のような事情については十分私ども問題意識を持っておりますけれども、なかなか年金制度の上で対応が難しいというのが今の私どもの考え方でございます。
#203
○高杉廸忠君 時間が参りましたから、最後になるかもしれませんが、年金についても非常に老後を心配しているわけですから、大臣、どういう方法があるか、どういうことができるか、これまたひとつ十分御検討いただければありがたいと、こう思っています。
 最後に、住宅問題とか教育問題とか就労問題、雇用、いろいろの悩みというのはたくさんありますね。私も直接お話を聞き、皆さんも直接お聞きになった方々、これはそういう難問は一つ一つ具体的に、孤児の方々が日本に定着をし、自立していくためにやはり改善すべきは改善していく、こういうような方向でそれぞれお感じになったと思っているんです。
 そこで大臣、私は、住宅問題、教育問題その他就労あるいは雇用、いろいろの問題はその都度それぞれの機会を得て政府に改善をし、要請もしていきたいと思うんですが、やっぱり孤児問題については厚生省が本家本元だと、こう思っているんです。そこで、ぜひ各省庁間とも十分ひとつ御連絡をいただいて、これからも出てきます諸問題についてもリーダーシップを大臣は発揮いただいて、そして前向きにこの問題には改善をし、解決をし、あるいは自立、そして定着できるように特段の配慮をお願いしたい、こういうふうに申し上げて、大臣の決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#204
○国務大臣(今井勇君) 幅広い今の問題をずっと私も拝聴しておりまして、この孤児問題というのは、人道的な問題として全力を挙げて取り組まなきゃならぬという感じを強くいたしております。先生から今いただきました問題がたくさんございますが、中には直ちに着手できるものもありますが、なかなか難しいというものもあるというふうに私は直観をいたしました。しかしながら、いずれにしましてもできるものから一つずつできるだけ早く対応して、孤児問題の解決に向けて誠心誠意取り組んでまいりたいというのが私の現在の気持ちでございます。
#205
○委員長(岩崎純三君) 本件に対する質疑は以上で終了いたします。
    ―――――――――――――
#206
○委員長(岩崎純三君) 次に、廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。今井厚生大臣。
#207
○国務大臣(今井勇君) ただいま議題となりました廃棄物処理施設整備緊急措置法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 廃棄物の適正な処理は、国民の生活端境を保全し、公衆衛生の向上を図る上で必要欠くべからざるものであり、廃棄物処理施設の着実な整備を図ることはその中心となる施策であります。このため、昭和三十八年度以来五次にわたり廃棄物処理施設の整備計画を策定し、その計画的な整備を図ってきたところでありますが、なお緊急かつ計画的な整備が必要であることから、現行の整備計画に引き続き、昭和六十五年度までの第六次廃棄物処理施設整備計画を策定することとした次第であります。
 改正の内容は、厚生大臣は、昭和六十五年度までの間に実施すべき廃棄物処理施設整備事業の実施の目標及び事業の量について計画を策定し、閣議の決定を求めなければならないこととすることであります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#208
○委員長(岩崎純三君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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