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1985/04/02 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第5号
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1985/04/02 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第5号

#1
第104回国会 社会労働委員会 第5号
昭和六十一年四月二日(水曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     石井 道子君     上田  稔君
     高杉 廸忠君     山田  譲君
     藤井 恒男君     田渕 哲也君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     上田  稔君     石井 道子君
     山田  譲君     高杉 廸忠君
     田渕 哲也君     藤井 恒男君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     対馬 孝且君     安恒 良一君
 四月二日
    辞任         補欠選任
     安恒 良一君     福間 知之君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                大浜 方栄君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                遠藤 政夫君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                前島英三郎君
                糸久八重子君
                安恒 良一君
                中西 珠子君
                佐藤 昭夫君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  今井  勇君
       労 働 大 臣  林  ゆう君
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       工藤 敦夫君
       厚生大臣官房総
       務審議官     北郷 勲夫君
       厚生省健康政策
       局長       竹中 浩治君
       厚生省保健医療
       局長       仲村 英一君
       厚生省保健医療
       局老人保健部長  黒木 武弘君
       厚生省生活衛生
       局長       北川 定謙君
       厚生省社会局長  小島 弘仲君
       厚生省児童家庭
       局長       坂本 龍彦君
       厚生省保険局長  幸田 正孝君
       厚生省年金局長  吉原 健二君
       厚生省援護局長  水田  努君
       社会保険庁医療
       保険部長     花輪 隆昭君
       社会保険庁年金
       保険部長
       兼内閣審議官   長尾 立子君
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働大臣官房会
       計課長      石岡愼太郎君
       労働大臣官房審
       議官       田淵 孝輔君
       労働省労政局長  加藤  孝君
       労働省労働基準
       局長       小粥 義朗君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       労働省職業能力
       開発局長     野見山眞之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明負
       人事院任用局企
       画課長      竹澤 正格君
       大蔵大臣官房参
       事官       塩田 薫範君
       文部省初等中等
       教育局特殊教育
       課長       山田 勝兵君
       運輸省海上技術
       安全局船員部労
       政課長      一色 昭造君
       自治大臣官房参
       事官       奥田 義雄君
   参考人
       環境衛生金融公
       庫理事長     山下 眞臣君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十一年度一般会計予章(内閣提出、衆議
 院送付)、昭和六十一年度特別会計予算(内閣
 提出、衆議院送付)、昭和六十一年度政府関係
 機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (労働省所管、厚生省所管及び環境衛生金融公
 庫)
○児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給
 に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○年金福祉事業団法及び国民年金法等の一部を改
 正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨一日、対馬孝且君が委員を辞任され、その補欠として安恒良一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(岩崎純三君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に高杉廸忠君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(岩崎純三君) 去る三月二十八日、予算委員会から、四月二日の一日間、昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管、労働省所管及び環境衛生金融公庫について審査の委嘱がございました。
 本委員会といたしましては、理事会で協議の結果、本日午後一時まで労働省所管分を、午後一時三十分から厚生省所管及び環境衛生金融公庫分をそれぞれ審査することといたしました。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(岩崎純三君) これより昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管を議題といたします。
 予算の説明につきましては、労働大臣から既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○安恒良一君 私は、先国会で成立をいたしました労働者派遣法の政令、省令さらに行政指導などの行政の姿勢について少し質問をしたいと思います。
 まず、さきに業務処理請負事業の実態に関する統計的な調査が発表されています。これは私の手元にいただいていますが、その就労状況を見ますと、通常の始業、終業の時間をだれが派遣労働者に指示するのかということについて、主として自社が指示をしているというのが、この統計で見ると、ビル管業務それから警備業務で九四・二%、通信業務で七八・七%、医療関係業務で七七・六%となっています。さらに、派遣先で残業が必要となった場合にだれが指示するのかというのは、就労先が直接行うと、こう言っているのは、例えばビル管とか警備業務では三・一%と非常に少ないのであります。もちろん、今回の指定で警備業務は外されておりますから、そのことを論争しようと思いませんが、こういうような実態を労働省はどのように受けとめられているのか、お考えを聞かせてください。
#8
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、先生御指摘の調査結果等に基づきまして、その後、法が成立以来、労働省におきましては政省令その他、今、先生おっしゃいました行政指導も含めまして、今後の派遣法を施行するに当たりましてどういうふうに定めていくかということを中央職業安定審議会に諮りながら検討をいたしているところでございます。
 今御指摘の時間外労働等の問題につきましては、労働者派遣法第二十六条の第一項第七号で労働省令に定める事項を決めることになっておりますが、その中に、時間外労働の範囲等も定めながら的確な指導が行われるように対処してまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。
#9
○安恒良一君 これは、だれがどう指示するかというのは既に法律で明らかになっていますが、法律の実体と違う状況が出てきているということでありますから、法律どおりにやってもらうようにぜひこれはしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますね。
#10
○政府委員(白井晋太郎君) 法律の厳正な施行をやってまいりたいというふうに思っております。
#11
○安恒良一君 次に、今おっしゃいましたように、政令、省令等を今諮問されつくられようとしていますが、この問題について若干触れてみたいと思います。
 日弁連から、人権擁護の立場からこの法律に対する意見書が提出されています。それは、労働者派遣法の第二十六条の第一項で、労働者派遣契約の当事者は、労働省令で定めるところにより、まず一つは派遣労働者が従事すべき業務の内容、それから就業の場所、指揮命令する者、派遣期間、始業、終業の時刻、安全衛生に関する事項、その他労働省令で定める事項と、七つの事項が挙げてありますが、私は、この各事項は、トラブルを防止するためにも、単に口頭で明示するだけでは不十分であり、これを書面化すべきであると思いますが、どうでしょうか。
#12
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先ほども先生の御指摘ございましたように、労働者派遣契約は、派遣元及び派遣先の間におきまして、派遣労働者の派遣中における就業条件を定めるものでございまして、派遣中の就業をめぐるトラブルの発生を防止する等の観点から、重要な事項につきまして、今御指摘ございました必要的記載事項として法第二十六条第一項に規定しているところでございます。そのような同条の趣旨から考えまして、また今、先生おっしゃったような趣旨から考えまして、契約当事者に当該内容を書面に記載しておくことを義務づける必要があると考えておりまして、その旨労働省令におきまして措置していきたいというふうに考えている次第でございます。
#13
○安恒良一君 それからさらに、第七号のその他労働省令で定める事項の中には、少なくとも次の事項を書面をもって盛り込む必要があると思います。派遣料金の額、それから派遣労働者を必要とする具体的事由、それから時間外・休日労働を行わせることができる範囲、それから福利厚生施設の利用に関する事項、それから派遣元責任者、派遣先責任者の氏名、これらについては労働省令ではどのように取り扱う方針ですか、内容を明らかにしてください。
#14
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、先生御指摘になりました五つの項目につきましてはそれぞれ検討をいたしておりますが、現在我々としましては、三番目におっしゃいました時間外労働の範囲、それから派遣元責任者及び派派先責任者の氏名等については規定する、それから福利厚生の問題については後ほど述べますが、そういうような考えで進めているわけでございますけれども、労働者派遣契約の内容にかかわります規制は、派遣労働者の派遣中における就業条件を明確にし、就業条件をめぐる派遣先におけるトラブルの発生を防止するためのもので、先ほど申し上げたとおりでございますが、派遣先における就業条件を派遣契約に定め、その内容を派遣労働者に明示するというものでございまして、その趣旨から、派遣先における就業条件のうち法定事項と同程度に重要なものを労働省令で規定することとしております。
 具体的には、先ほど申しました時間外または休日労働を行わせることができる範囲、派遣元責任者及び派遣先責任者の氏名等を労働省令において定めることと考えております。
 なお、必ずしも必要的記載事項とするまではないと思いますが、しかし、福利厚生に関する事項を労働者派遣契約において定めた場合には、労働者派遣法第三十四条に「就業条件の明示」という条文がございますが、この規定に基づきまして、労働省令により、当該内容を派遣労働者に明示させることを現在考えております。
#15
○安恒良一君 これは今検討をされていますから、私は、少なくともトラブルをなくするためには派遣料金の額ですね、これも僕はやはりきちっとしておかなきゃいかぬと思うんですね。それから、派遣労働者を必要とする具体的理由、ですから、ここのところは今検討中ですから、私が五つ挙げた中で、時間外・休日労働を行わせることができる範囲、それから派遣元責任者、派遣先責任者、福利厚生は後で細かく聞きますが、こういうことはやるということですから、大臣、今まだ議論中でありましょうから、やはり私は、トラブルをなくするという意味で派遣料金の額ですね、それから派遣労働者を必要とする具体的な理由ですね、こういうことを明らかにすることは何も悪いことじゃないんですね。ですから、このところはひとつ大臣、前向きに検討してもらいたいと思う。よろしゅうございますね。
#16
○政府委員(白井晋太郎君) 先生のおっしゃる趣旨はよく理解できるわけでございます。しかし、法に規定するということ、法の中に規定してそれを実施するということになりますと、派遣料金につきましては、労働者派遣というそこのサービスに対する対価であって、派遣を必要とする理由も、また派遣元におきます取引上の主観的な動機等でございますので、法律に規定する事項として適当かどうか、規定され得るものかどうかということについて問題があるというふうに我々考えておるわけでございまして、趣旨としましては先生のおっしゃる点はよく理解できるわけでございますが、そういう状況でございます。
#17
○安恒良一君 いや、だから私は、今ここで具体的に細かい返事をもらおうと思っておりませんから、前向きに政省令なり指導を定める中できちっとトラブルが起こらぬように検討しておってもらいたい、こう言っているわけですから、よろしゅうございますね。――大臣に聞いておるんだ、大臣。
#18
○国務大臣(林ゆう君) ただいま局長の方から御答弁申し上げましたけれども、これから決められるべきことでございますので、先生の御趣旨は十分に私どもは体していきたいと思っております。
#19
○安恒良一君 次に、この法案が上がるときに衆参の社労委員会で附帯決議をつけています。その中で、「我が国の雇用慣行との調和に十分留意し、常用雇用労働者の代替を促すこととならないよう、十分配慮すべきであり、」、こういう附帯決議をつけておるわけであります。また一方、派遣法の二十六条の第二項に、労働者派遣期間につき、労働大臣が必要であるとして派遣期間を定めた場合にもそれを超える定めをしてはならない、こう規定してあります。
 したがって、ここは大臣にお聞きするんでありますが、労働大臣が政省令で定める適用対象業務ごとに検討して定めた期間を超えて派遣就労が継続される場合があるとすれば、これは私は、労働大臣は、やはりその派遣労働者のいわゆる派遣先の常時雇用労働者として雇用するように行政指導を強化すべきであると、大臣が指定した期間を超えてなお雇用している場合は、もうこれはこの法の精神からいって常用労働者になるように指導すべきであると思いますが、大臣、どうですか。
#20
○国務大臣(林ゆう君) 派遣法の第二十六条第二項におきましては、御指摘のような趣旨から、対象業務の種類に応じまして派遣期間の制限を設けることができる旨の規定がございますが、この規定の趣旨からいたしまして、派遣期間の終了後、再契約あるいは期間の延長をすることは禁止されていないと解釈されるわけでございます。しかしながら、そのような再契約が繰り返されることによって派遣先の常用雇用の代替を促進するおそれがあるというような場合におきましては、その実態に応じまして、派遣元事業主に対し労働者派遣を中止するなどの適切な措置を講ずるように指導したいと考えております。
#21
○安恒良一君 いや、中止するだけじゃなくて、附帯決議もつけてありますように、期間が過ぎてまた更新また更新とこうやっていけば、これはもうその派遣を受けた先はその人を常用工として必要なんですよ。にもかかわらず、わざとこうしているのは、その方が賃金や労働条件その他が安いからということになります。そういうことがないように先回の衆参でちゃんと附帯決議がついているわけですから、その場合には派遣を中止するんじゃなくて、そんなに必要ならば、労働行政としてその人をやっぱり常用工として雇うようにしたらどうですかと、こういう行政指導をすべきであるということを言っているんですが、大臣、どうですか、それは。そうでしょう。
#22
○国務大臣(林ゆう君) 派遣法におきまして、そういったような再三の繰り返しをされるということは、それぞれの企業に対しまして、派遣法としては、人材を派遣して、その間その業務に携わるということ、これを再三再四繰り返しをされるということは、先生御指摘のような常用というようなことに考えられないかというようなお話でございますけれども、もともとこの派遣法というものをつくりましたときには、さしあたって、そういったような今までおられるような方々の職場を侵すことのないような、いわゆる補助的なようなことでその企業に対する貢献をしていきたいというようなことでございますので、それぞれのそういったことは、企業においてこの人をまた常用するとか、あるいはまた労働省といたしましては、先ほどちょっと御答弁申し上げましたように、再三そういうようなことがあって常用の方々の職域を侵食すると申しますか、そういったようなものがあってはいけないということで中止を勧告するというような措置を講ずるということでございます。
 先生御指摘のような、もうそういうふうに再々更新をするんだったら常用にしたらどうだというような御質問でございますけれども、それは、それぞれその企業においてそういう立場の人をどう採るかということになろうかと私は思うわけでございます。
#23
○安恒良一君 どうも大臣、言語不明瞭で何を言われたか、最後の方はぐずぐずっとわからぬです。私が言っていることは、法を犯さないように指導されることも結構です。それと同時に、そんなに派遣された労働者が派遣先で繰り返し繰り返し雇用されるようであるならば、それは常用労働者にしたらどうですかという、行政指導を強めたらどうてすかと言っているんですから、それぐらいのことは、行政指導を強めますと、あなた答えて何も悪いことじゃないんじゃないですか。やはり衆参の附帯決議等もついていることですから、あなたがその派遣を中止させるということも一つの方法だけれども、いま一つは行政指導として、そんなに同じ人を繰り返し雇うようだったら、雇う先が常用労働者として雇いなさいという指導を強めてくださいと言っているから、わかりましたとおっしゃりゃそれで済むことですよと、そんな難しいことは言っていないんです。
#24
○国務大臣(林ゆう君) 先生御指摘のことにつきましては、派遣元の事業主に対しまして私どもは、そういったような指導といいますか、啓蒙といいますか、そういったこともなされなければならない、このように思います。
#25
○安恒良一君 ひとつこれは要望しておきます。今言ったのは、派遣元よりも、派遣を受けている側のことを僕は言っているんですから、大臣。まあ、いいですわ。そこはひとつ局長以下よく聞いているから、行政指導を強めてもらいたい、こういうことで、二人うんうん言っておるから、それでいいわね。
 次に、派遣労働者の福祉についてお尋ねいたしますが、業務処理請負実態調査をいただいていますが、その調査の結果からも明らかになっていますように、常用労働者以外に対する社会保険の適用状況は、常用労働者に比べて極めて低いんです。特にホテル、旅館のサービス分野では、労災、雇用、健保、各保険それから厚生年金、すべての面で全く適用されていないのが非常に多いのが目立っています。一方、派遣法第三十条では、「派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者又は派遣労働者として雇用しようとする労働者について、」「福祉の増進を図るように努めなければならない。」と定めてあります。
 そこで、今後法律の運用に当たって、派遣元事業主が迅速に社会保険、労務保険への加入手続をとるように強力な行政指導をとるべきだと思いますが、この点大臣、どうですか。
#26
○国務大臣(林ゆう君) 派遣法第三十条の趣旨及び労働者派遣法の国会審議の際に行われました衆参両議院の附帯決議の趣旨を踏まえまして、派遣労働者につきましては、社会保険や労働保険の適用の促進を図っていくことは重要な課題であると考えております。
 この業務が労働者派遣業の対象業務となった場合は、一般労働者派遣事業の許可基準といたしまして、社会保険、労働保険の適用等派遣労働者の福祉の増進を図ることが見込まれることを定めるとともに、特定労働者派遣事業の届け出の受理に際しまして強力な行政指導を行うなど、社会保険や労働保険の適用促進に強力に取り組んでまいりたいと考えております。
#27
○安恒良一君 大臣が強力に取り組む、こういうことでございましたから、どうぞ事務当局も強力な行政指導をしていただきたいと思います。
 次に、今度はILO条約との関係について、ちょっと少し時間の範囲内で、もう時間がわずかしかありませんので、質問しますが、労働者供給事業関係労働組合協議会は、昨年の十二月三十日の日に、労働者派遣法の登録型労働者派遣事業は、ILO九十六号条約の有料職業紹介に該当し、条約に違反しているとしてILO事務局に申し立てを送った。ILO事務局は、本年の一月十七日にこの申し立てを受理したという報告がありまして、次の理事会はこの三月に討議される運びになっています。ですから、もう四月ですから討議されたと思います。
 そこで労働省は、この申し立てをどのように受けとめているのか。さらに、ILO理事会に対してどのような弁明をしたのか、ひとつ報告をしてもらいたいと思います。
#28
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、先生御指摘の労供関係労組が、労働者派遣法がILO第九十六号条約に違反であるということで、ILOに申し立てを行ったのはそのとおりでございます。
 ただ、この中し立てにつきましては、三月のILO理事会におきまして、本件申し立てを受理するかどうかの決定を十一月の理事会に延期することと決定されております。したがって、現在の段階で申し立てが受理されたことを前提とすることにはならないわけでございますが、後段先生がおっしゃいましたこれに対する考え方としましては、我々としましては、したがってまだ詳細なところは詰めておりませんが、労働者派遣事業が、自己の雇用する労働者を他人の指揮命令のもとに労働に従事させ、かつ当該他人に雇用させることポ予定していないという、それに限る事業として定義づけておりますので、ILO九十六号条約の規制の対象にはならないというふうに我々としては考えている次第でございます。
#29
○安恒良一君 ILO自体が十一月ということですから、その点は、いずれILOの舞台の中でお互いが議論をしなきゃならぬことだと思います。
 次に、ILOの九十六号条約は、営利を目的として経営される有料職業紹介所を漸進的に廃止することを目的としているが、同条約の第五条で厳しい条件をつけて例外を認めています。例えば同条約の第五条の第二項の(b)号で、有料職業紹介所は、「権限のある機関の裁量で更新される有効期間一年の許可証を有しなければならない。」となっているのに対し、法律では、有効期間、一般労働者派遣事業の許可期間を三年とされていますね、こっちの方は。これは明らかにILOの規定に違反しているのではないか。どうしてILOの方では一年というのを三年まで拡大をしてあなたたちは法制化をされたのか、説明をしてもらいたいと思います。
#30
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 まず前提としまして、先ほどお答え申し上げましたように、労働者派遣事業はILO九十六号条約の規制の対象にはならないというふうに我々としては考えておりますので、それを前提として考えなければならないというふうに思うわけでございますが、一般労働者の派遣事業の許可の有効期間を三年といたしましたのは、許可の有効期間を定める他の立法例、例えば建設業の許可とかいろいろございますが、それから許可の申請に要する事業者の負担の軽減等を考慮して定めたものでございます。
 なお、我が国におきます有料職業紹介におきましては、これも先生もう御存じのとおりだと思いますが、有効期間は一年ということで、一年の許可にいたしている次第でございます。
#31
○安恒良一君 これもいずれ今言われたILOの舞台であなたたちは有料職業紹介等には当たらないと、こういうことの前提で一年と三年ということですからね、これはILOの舞台の中でお互いが議論をされなきゃならぬことだと思います。私は、その当たる当たらぬは別にいたしましても、やっぱりILOの中で有料職業紹介は有効期限を一年ということにしてあるのに、我が方はこの法律を三年とされているというところにいろいろ問題があるなど、こう思いますが、これは後に譲りましょう。
 そこで、もう最後になりますが、同条約の第五条の第二項の(c)号で、有料職業紹介所は、「権限のある機関が定めた金額表による料金及び経費に相当する額のみを徴収しなければならない。」として、事業者が得るべき料金や経費について厳しい規制を設けています。だが、この点に関しまして今度は労働者派遣法では、第二十三条の第二項で、事業報告書には、労働者の派遣に関する料金の額を記載しなければならないと規定しただけで、労働者派遣事業者に対して料金や経費についての規制を設けていない。この点についても、我が国がもう既に批准をしております、昭和三十一年六月にした条約の趣旨に反するのではないでしょうか。ここの点はどうですか。
#32
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 この点につきましても、先ほどから先生にお話し申し上げておりますように、我々としては、この労働者派遣事業はILO九十六号条約の規制対象外だというふうに思っておりますので、そういう点での議論が詰められる必要があるかと思います。
 なお、この労働者派遣法におきましては、労働者派遣法の第五条第四項及び第二十三条第二項によりまして、労働者派遣事業を行う者については、標準的な派遣料金を事業計画書または事業報告書に記載して労働大臣に報告することとされておりまして、行政としても、この報告に基づきまして派遣料金の実態を把握し、派遣労働者の保護を図る観点から、派遣元事業主等に対し必要に応じ適切な指導を行っていきたいというふうに考えておりまして、実質的にそういうものを守っていきたいというふうに思っております。
 なお、今御指摘の規制の部分につきましては、我が国におきます有料職業紹介事業では、ILO九十六号条約にのっとりまして手数料規制を行っている次第でございます。
#33
○安恒良一君 時間がありませんから終わりますが、私は、料金や経費についてもやはり規制をした方がいいと思います。これは、今まだ政省令を御検討中でありますから、ひとつぜひ検討事項に挙げて検討してもらいたいということを申し上げて、終わります。
#34
○高杉廸忠君 フィリピンに建設予定と伝えられています労働安全衛生センターについて伺います。
 昨年の昭和六十年十月二日付の報道によりますと、「労働省は安全衛生分野でASEANでの人材育成に乗り出す」、こういうことを決めたとのことでありますが、この際は、ASEANにおける人材育成、その構想について説明していただきたいと思うんです。
#35
○国務大臣(林ゆう君) 労働省といたしましては、開発途上国における国づくりに資するため、国際協力事業団を通じるなどによりまして、職業訓練、労使関係、労働統計等の分野の研修員の受け入れ、あるいはまた日本人専門家の派遣など、広範な分野で従来から積極的に開発途上国に対する技術協力を行ってまいりました。
 労働安全衛生分野につきましては、現在フィリピンにおきまして労働安全衛生センターを設置、運営するための計画が進められておりまして、職業訓練など従来から行っている分野の協力に加えまして、今後は、こうした分野での開発途上国に対する技術協力を積極的に進めてまいる所存でございます。
#36
○高杉廸忠君 フィリピンに労働安全衛生センターを建設するという準備を進めているようですけれども、具体的に今どういうような状況になっているのか、伺います。
#37
○政府委員(小粥義朗君) 一昨年にフィリピン政府の方から、労働安全衛生センターの建設あるいは安全衛生関係の技術協力の要請がございました。実は、昨年第一次の調査団を派遣いたしたわけでございますが、今年度に入りまして早い時期にまた第二次の調査団を派遣して、その上で具体的な、例えば施設の規模であるとかといったようなものを現地の事情を調査の上で固めていきたい、こういうような段階でございまして、まだ具外的なところまでは決まっておりません。
#38
○高杉廸忠君 報道によりますと、同センターの建物と使用する機材はすべて無償ですね。日本側が供与し、本年には建設のための調査団を現地に送って、昭和六十二年度中には着工する、こういうふうになっているんですね。
 そこで伺いますが、センターの建設に要する経費、その規模、できる限りひとつ具体的に御説明いただきたいと思うんです。
#39
○政府委員(小粥義朗君) 先ほどお答えいたしましたように、具体的な計画として、例えば金額幾らというようなことは、近く派遣いたします第二次調査団の調査結果を見た上で決めることになりますので、現段階ではまだ決まっておりません。いわゆるJICAを通じての無償協力という形でございますので、従来、例えば職業訓練関係の施設についてASEAN諸国でのそうした技術協力をやっておりますが、それと同じような形でつくられる場合には、同じ形でつくられることになるというふうに考えております。具体的な金額等は、例えば面積であるとか規模等はまだ決まっておりません。
#40
○高杉廸忠君 そうしますと、この種の無償供与と、今、予算の審議ですから、我が国の予算措置との関係、これは具体的にはどういうことになるんですか。
#41
○政府委員(岡部晃三君) 無償資金協力により実施いたします場合には、外務省所管の経済開発等援助費で手当てをすることになっているわけでございます。この外務省所管経済開発等援助費と申しますのは、外務省予算のうち無償資金協力に関する予算を指しておりまして、内容的には、相手国政府への機材の供与、建物の建設等の費用でございます。
 ちなみに、その額を外務省予算から見てまいりまするというと、昭和六十年度におきまして千百五十億円、六十一年度予算案におきましては千二百四十億円でございます。
#42
○高杉廸忠君 御承知のように、フィリピンではマルコス政権からアキノ政権への交代があったわけですが、このことが具体的にこの種の計画に何らかの影響を与えるのではないか、こう思われるんです。
 そこで伺うんですが、この種の日本とフィリピンとの間の契約関係、これは革命政権樹立の場合も当然に有効であるのかどうか、この点伺います。
#43
○政府委員(岡部晃三君) この労働安全衛生センターにつきましては、フィリピンにおきます労働災害の防止、職業病の予防など労働者の福祉の向上に資するために前政権が強く要請してきたものでございますが、しかしながら、アキノ政権成立後もフィリピン政府より、本件のための調査団の派遣につきまして強い要請が参っているところでございます。ちなみに、先ごろ訪日されました新政権の労働大臣もその意向を我が国政府に強く伝えてまいったところでございます。
#44
○高杉廸忠君 特に労働大臣、マルコス政権の腐敗が明白となっている今日でありますから、私は、金額の大小にかかわらず、その適正な支出についても一層の注意を払う必要がある、こういうふうに考えるんです。
 そこで大臣、どのような具体的な配慮をされるのか、この際伺います。
#45
○国務大臣(林ゆう君) これまで労働省が行ってまいりました協力におきましては、いわゆる円借款供与に関する事業は含まれていないと私どもは承知いたしております。今後労働省が行う協力につきましては、これまでどおり適正に行われるよう十分に注意を払ってまいりたいと思います。
#46
○高杉廸忠君 特にこの種の問題が今、予算委員会でも終始解明される状況にあるわけでありますから、今後フィリピンの国民のために労働省がなるようにぜひお願いをしたいと思っております。
 次に、中国残留孤児の帰国孤児に関して以下伺いたいと思うんですけれども、孤児にとって重要な問題というのは、帰国後の生活であると思うんです。その対策は、生活保護という消極的なものよりも、孤児に対する総合的就職対策が第一である、こういうふうに考えるんです。
 そこで、大臣を初めこの問題についてどのような具体的な方策、対策を講じているのかについて伺いたいんですが、まず中国帰国孤児の就業状況、これについて伺うんですが、帰国後の生活の実態、それから就職状況、それから離職の状況、さらに生活保護等々をどのように把握されているのか。これは援護局から来ておられるかな。――あわせまして厚生省、労働省の方にちょっとお伺いいたしたいと思います。
#47
○政府委員(水田努君) 五十九年の十月一日現在で、帰国孤児百八十一世帯につきまして厚生省が調査をいたしました結果について御報告を申し上げます。
 まず、就労の状況でございますが、孤児本人が就労している割合、これは男性の場合と女性の場合があるわけですが、男性の場合は七四%、女性の場合は四四%。いずれにいたしましても孤児の世帯、孤児本人か配偶者いずれか働かざるを得ないわけでございまして、そのいずれかが働いているというのは全体の六九%となっております。
 就労している孤児の職業は、最も多い全体の五一%がブルーカラーの工員になっております。
 それから、就労によります収入は、十万円から二十万円の間の者が最も多く、三年以上就労している者では十五万円以上というのがほぼ半数になっております。
 次に、離職め状況でございますが、孤児本人について離職の経験の有無を調べましたところ、男性については五%、女性については七%でございます。やめました理由は、職訓校へ入校するため、病気のため、それから日本語の学習のためということになっております。
 次に、生活保護の受給状況でございますが、帰国しましたときはほとんどの世帯、九六%が受給しておりますが、帰国後二年以上三年未満で五三%の者が離脱しておりますが、残念ながら四年以上の者でなお三四%受給している状況でございました。
#48
○高杉廸忠君 これは特に比較をしてもらいたいんですけれども、インドシナ難民の就職については比較的スムーズに行われていると聞いているんですけれども、その実態について、中国の帰国孤児と比較してどういう状況になっているんでしょう。
#49
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 インドシナ難民につきましては、我が国での生活を営むに足りると認められる職業につくことができる人、いわゆる定住許可条件に該当することが見込まれなければ定住促進センターへの入所が許可されないということになっておりますので、職を決定しない限り定住促進センターから退所できないということになっております。
 一方、中国帰国孤児定着促進センターにおきましては、四カ月間の日本語教育、生活指導終了後は、就職先が決定していなくともセンターを退所できるということになっておりますので、肉親の郷里などの落ちつき先で親兄弟等とも相談しながら就職活動を行うことができるという状況になっておりますので、就職率等で見ますと、インドシナ難民の方は一〇〇%いっていいように見えますが、今のような条件が付されておりますので、その点に違いがあるということでございます。中国引揚者の場合につきましては、雇用対策の援護措置その他につきましても遜色はございませんし、それから職業紹介状況等を見ましても、五十五年から五十九年で千九百八十五人の就職を安定所経由で得ておりますし、職業訓練校におきましても、五十六年以降九百十四人が入校をいたしております。
 そういうような状況で、我が国に入ります場合の条件が違うということがまず大きな前提になっているかと思います。
#50
○高杉廸忠君 先ほどからも中国の関係の方の生活保護、そして就業状況、それから今またインドシナ難民の方々の就業状況を比較してお答えをいただいたんですけれども、中国帰国孤児は仕事がないために、お答えがあったように、約半数の人たちが生活保護に依存せざるを得ない状況、こういうふうになっていますね。一方、インドシナ難民については、今お答えがありましたように、労働省が非常に熱心に就職対策を推進しているわけなんですが、難民センターの卒業がイコール就職ということになっているわけですね、インドシナ難民の方々については。
 そこで大臣、インドシナ難民に対してこれだけ熱心にとれる対策が、どうして中国帰国孤児に対してはとれないのか。私は、同じといってもあれですけれども、ぜひ重点に、中国帰国孤児の方々にも具体的な就業、こういうことをもっと積極的にやっていただきたい、こう思うんです。大臣、いかがですか。
#51
○国務大臣(林ゆう君) 中国の帰国孤児の方々を我が国に迎え入れるに当たりまして、その生活基盤である職業の安定を図っていくことは、もうこれは先生御指摘されるまでもなく、大変重要な問題であると私どもは考えております。
 そこで、帰国孤児の方々のいわゆる就職につきましては、私どもも精いっぱいの、センターなどで鋭意教育をするなどの努力を続けておりますが、この方々は日本語が大変不自由なことなど、それからまた社会雇用の慣行にふなれなこと、また新たな技能習得が必要なこと、それからまた帰国地が各地に広範にわたっているというような問題がございまして、政府、地方公共団体が一体となって、地域社会の協力を得ながらこういった方々の受け入れに万全を尽くしておるというのがただいまの現状でございます。
 それで、帰国時におきます日本語の教育や生活指導、就職のための職業相談、職業紹介、さらにはまた職場あるいはまた社会への適応に至るまでの総合的な対策をきめ細かく実施する必要があると、このように私どもは考えておりまして、関係機関との有機的な連携を図りながら、公共職業安定所の全国的組織網のもとにこういったようなことの手当てと申しますか、職場を求めること、そして日本の国にいっときも早くなじんでいただくこと、こういったようなことを今行っているということでございます。
#52
○高杉廸忠君 大臣、ぜひ就職の総合対策ですね、これを実現していただきたいと思うんです。そこで、総合的な対策要綱をつくっていただいてこれを内外に明らかにしていく、そしてそれに基づいて職業安定所の職業紹介、職業指導あるいは事業主の雇用、こういうような具体的なそれぞれの協力の呼びかけをいただいて、実効が上がる対策、これをひとつダイナミックに講じていただきたいと思うんです。大臣、いかがでしょう。
#53
○国務大臣(林ゆう君) 中国から帰られました帰国孤児の就職問題につきましては、民生機関等の連携のもとに、職業安定所におきましても、綿密な職業相談、そして職業指導を行っておりますが、求人開拓や職業訓練の実施、その他援護措置を積極的に活用いたしまして、その早期就職の促進に努めているところでございます。
 また、六十一年度からは、中国帰国孤児定着促進センター退所後の早期就職を図りますために、センター入所時から職業講話の実施、職業安定所、職業訓練校及び事業所の見学、職業相談、職業紹介を積極的に実施いたしますとともに、センターを退所後も、定着先におきまして継続的に援助を行っていくために、関係職業安定所に相談結果を送付するなど、就職援助措置の拡充を図ることといたしております。
 今後とも、これらの方々の再就職を促進いたしまして、生活の安定を図るために民生機関等関係機関との連携を一層密にいたしまして、事業主の協力を得ながら効果的な対策を総合的に講じてまいりたい、このように考えております。
#54
○高杉廸忠君 ぜひ、総合的な対策要綱をつくっていただいて、具体的に実施をしていただきたい、これは特にお願いを申し上げておきます。
 それからさらに、国鉄の民営化に伴う余剰人員対策については、大臣みずからが先頭に立って、今非常に熱心にその再就職の先の確保、こういうことも図っておられるわけですから、中国の孤児の就職問題についても同様に、大臣、ひとつみずから先頭に立ってぜひ実現をしていただきたい、お願いしますが、いかがでしょうか。
#55
○国務大臣(林ゆう君) 中国の帰国孤児問題は、政府あるいはまた国民が一体となりまして取り組むべき重要な課題であると私どもは考えております。
 私どもといたしましても、職業の安定が生活の安定を図るための基本であるということの認識のもとに、中国の帰国孤児の就職の促進に努めてきたところでございますが、今後とも、このような基本的考えのもとに、積極的に就職問題に取り組んでまいりたいと思います。
#56
○高杉廸忠君 具体的には大臣、国民の皆さんにも御協力いただく呼びかけ等、政府の広報の番組がありますね、こういうものをもっと具体的に使っていただいて、それでやっぱり積極的に、国民の皆さんに呼びかけるその方法を具体的に政府で持っておられるんですから、広報のような番組をもっともっと活用してこの問題に対するPR、これをぜひやっていただきたいと思うんです。いかがでしょうか。
#57
○国務大臣(林ゆう君) 先生の御指摘のとおりだと思います。そこで私どもといたしましては、厚生省とも相談をいたしまして、積極的にこの問題に取り組んでまいりたいと思います。
#58
○高杉廸忠君 孤児の方々には能力に応じた仕事を見つける、見つけてやることが安定就労につながる道だと思うんです。そのためには、職業安定所で親身になって一人一人の相談に乗って、必要があれば職業訓練校への入校を指導するなど、具体的なそういう世話役も含めて対応を図ることが大切なんだと、こういうふうに思うんです。
 全国の職業安定所に対して今までどういう指導をしてきたのか、私はかなり御指導いただいていると思うんですが、指導通達等があればやっぱり私どもに資料としていただければありがたい、こう思うんです。ありましたら、ひとつ指導の通達等を明らかにしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#59
○政府委員(白井晋太郎君) 先ほどから大臣がお答え申し上げておりますように、中国帰国孤児の職業指導、職業相談それから職業紹介、職業訓練等につきましてはできる限りの努力をいたしているわけでございますが、今、先生御指摘の通達等につきましては、まず、公共職業安定所におきまして、「一般職業紹介業務取扱要領」に基づいて綿密な職業相談、職業指導を行うということをいたしております。それから、求人開拓や職業訓練の実施等につきましてもこれに基づいてやっているところでございます。それから、五十七年四月六日付の通達で、「中国引揚者に対する職業転換給付金制度の適用について」という通達を出しております。また、五十九年四月十一日に、「中国引揚者に対する特定求職者雇用開発助成金制度の適用について」というような通達を出しております。
 これらに基づきまして特別措置の適用について、またそれを活用しましての就職の促進について指示いたしているところでございまして、後ほど先生のお手元にお届けしたいというふうに思っております。
#60
○高杉廸忠君 ぜひお願いをいたします。
 次に、身元未判明孤児の身元引受人について伺うんですが、身元引受人はどのような法律上の責任を負うことになっているのか、お伺いをいたします。
#61
○政府委員(水田努君) 身元引受人という制度は、法律上の制度ではございませんで、未判明の孤児が日本に帰ってまいりまして地域社会に定着します場合に、やはり日常生活についての相談役というものをつくるという趣旨で創設したものでございまして、一口に申し上げますと、生活上のコンサルタントみたいなものでございまして、いわゆる民事上の責任を負う身元保証人というような性格のものではございません。
#62
○高杉廸忠君 就職に際しては身元保証人が必要とされる場合が多いんですね。一方、身元未判明孤児は、その立場上、自力で身元保証人を見つけるということは非常に困難だと思うんですね。そこで、一つの例ですけれども、方法として雇用促進事業団の身元保証制度、こういうのがあるんですね、これを活用するような方法が考えられるんですけれども。
 そこで伺うんですが、現在までこの方法を活用した事例というのがあるのかどうか、あるとすればどの程度あるのか教えていただきたいと思うんです。
#63
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 中国帰国孤児につきまして、今、先生御指摘の雇用促進事業団の身元保証制度を活用した例はございません。
 我々としましては、身元未判明の帰国孤児について、既に先ほどお話しございました個人及び法人の身元引受人制度が行われておりますが、職業紹介に当たりましては、必要な場合には、帰国孤児の特別対策としまして、職場適応訓練制度というものを活用いたしているわけでございます。この職場適応訓練制度は、雇用予約をもって個々の企業とそこへ就職する就職予定者とが就労訓練を受けるという制度でございますが、そういう職場適応訓練制度等を活用することによりまして、事業主の理解を得ながら積極的な就職は進められるというようなことで、こういう職場適応制度を活用いたしているところでございます。
 御指摘の身元保証制度はこれが必要かどうか、先生の御指摘もございますので、就職促進状況等を踏まえながら今後検討してまいりたいというふうに考えております。
#64
○高杉廸忠君 援護局長、身元引受人と身元保証人とは違いますね。そこで、今の未判明孤児の人たちの就職について保証人が必要だと、こういうふうになった場合、何かいい知恵はないんでしょうか、身元引受人と保証人とは違うということですから。援護局長は何かお考えがあれば、ひとつ私ども参考にしたいと思うんですが、どういうような方法で、知恵を出す必要があるだろうと思うんですけれども、どうでしょう。
#65
○政府委員(水田努君) これから孤児が大量に帰ってまいるわけでございまして、この人たちのいわゆる地方に定着する前の精神的なよりどころとして身元引受人という制度を設けているわけでございますが、先ほどからお話がありますように、自立していくためには安定的な職業につくということが必要であるわけでございますが、安定的な仕事につく場合に、孤児の置かれている状況に十分事業主が配慮していただいて、そういう日本の、安定的な職場というのは身元保証をとるケースが多いようでございますが、それを免責していただくように、できるだけそういうところに職業あっせんをしていただくなり、あるいは私、雇用の分野については非常に明るくございませんので、やはりもちはもち屋と申しますので、ひとつ労働省の方で工夫をしていただくのが一番妥当ではないかと考えている次第でございます。
#66
○高杉廸忠君 労働大臣もお聞きのように、具体的な就職関係になりますとどうしても保証人ということになるわけ。なかなかその辺も、身元引受人という制度があるけれども、身元引受人というのは保証人でないだけに、具体的になると未判明孤児の方々がそこで戸惑うことが多いんですね。そこで、労働省としても鋭意御検討いただくというようにして、就職も完全にできるようにひとつ御指導もさらにいただきたい。お願いをしておきます。
 それから次に、企業的農業への就職あっせんについて伺うんですけれども、孤児の人たちの中で中国で農業に従事していた人が大半だろうと思うんですが、どの程度の比率になっているのか、わかったら教えていただきたいと思うんですが。
#67
○政府委員(水田努君) 第五次の訪日調査から今日まで、日本に参りました孤児についてその職業を調べましたところ、農業に従事しております者は全体の一六%でございまして、第一位の工員、ブルーカラーの三二%に次ぐ職業となっております。
#68
○高杉廸忠君 援護局長にさらに伺うんですが、現在の孤児の人たちで、日本で農業、特に企業的農業への希望というのが具体的にはどの程度になっていますでしょうか。あるいは、どうしても農業をやっていきたいという人たちがいると思うんですが、その辺。
#69
○政府委員(水田努君) 私どもは、直接的には孤児の方の就職のあっせんをする立場にございませんので、その実態は把握しておりませんが、帰国してまいりました孤児で農業に従事しておった者は、日本での職業では一切ついておりません。女子についても全く同様でございます。
#70
○高杉廸忠君 農業の人たちの経験ですね、これは果樹園芸とかビニール栽培のような企業的な農業経営を行っているところに就職あっせんをする、そういうことが適当だと私は思うんですがね。この点についてはぜひ農林水産省と十分連絡をとって、そういう経験を生かして、日本に定着する上でも企業的農業への就職のあっせんも、具体的にやっぱり関係省庁と十分連絡をとりながらその実現に向けて取り組んでいくべきだと、これが具体的な指導だと思うんですね。これについて援護局の方あるいは労働省の方、ぜひひとつ農林水産省とも連絡、連携をとりながら具体的に進めていっていただきたい、このように思うんですが、いかがでしょう。
#71
○政府委員(水田努君) 先ほどから労働省の方でお答えいただいておりますように、この四月から所沢のセンターで職業紹介、日本における職業の講話なりあるいは個別の職業相談に応じていただけるようになっておりますので、しかも広域的な就職紹介もやっていただけるやに聞いておりますので、当然そういう農業関連の企業からも求人があっているんではないかと思いますので、ひとつ私どももまた労働省の方にお願いするほか、先生の御指摘のとおり、農水省や農協の中央会にもひとつ職場開拓について厚生省、引き揚げ対策を講じている立場でお願いしてまいりたいと思います。
#72
○政府委員(白井晋太郎君) 先生の御指摘の点も踏まえまして、関係機関とも十分連絡をとりながら、本人の希望を勘案した適職への再就職を図ってまいりたいというように思います。
#73
○高杉廸忠君 衆議院の社会労働委員会の関係で、できるだけ簡潔に早めてくれというような御要請もありますから、最後に、大臣を含め御要請を申し上げて、質問を終わりたいと思うんです。
 今まで私の方で幾つか提案もし要請もいたしました。これは御承知のとおりに、去る三月七日に、私ども国会議員友の会で中国から帰国をした孤児の人たちから日本における生活について直接いろんなお話を伺ったわけなんです。その孤児の方々から言われましたことは、生活習慣の違いとか言葉の不自由さ、こういうものに加えて中国と日本の制度の違い、こういうものに戸惑っているわけですね。それで多くの難問を抱えているわけです。皆さんは一生懸命自立をするという努力をしているわけですけれども、時として失望というふうに変わるということも切々と訴えられたわけなんです。
 そこで私は、予算の一般質疑の際にも、あるいは社会労働委員会の際にも、厚生省にも関係省庁にも十分この点も、事実をやっぱりお伝えして、そしてできるだけ定着をし、そして自立ができるように、こういう形で御指導を一層強めていただきたい、こういう要請もしてまいりました。それで、本委員会においても労働大臣を初めとして関係省庁にお願いをしたわけでありますが、最後に、就職の問題についても、自立のためにも、そしてこの定着のためにも、一層ひとつ大臣の強力な御指導、積極的な取り組みをお願いしたいと思いますが、大臣の所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#74
○国務大臣(林ゆう君) 中国から帰られた孤児の方々の生活の安定ということ、これはまた我々日本人といたしましては、そういった方々に温かい配慮をしながらこれを迎え入れていかなきゃいけない、このように私どもは思っております。
 そこで、労働省といたしましては、これらの方々が就職をされるに当たりましても、今まで以上にさらに細かい配慮もしていかなきゃならない、このように考えております。そしてまた、いろいろな制度の違いやら、また言葉の違いなどからくるそれぞれの方々の悩みもたくさんあるように私も理解いたします。そういったことはそれぞれ私ども、安定所でもって職業をお世話したならば、またそういったところにも足を運んでいただいてその悩みも訴えられ、それを聞いてまた私どもとしてはそれに対応するといったような、例えばそういったような細かな配慮も今後は大変必要でなかろうかと思いますので、そういった細かなところまで気配りをしながらこういった問題に対処してまいりたいと思います。
    ―――――――――――――
#75
○委員長(岩崎純三君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま安恒良一君が委員を辞任され、その補欠として福間知之君が選任されました。
    ―――――――――――――
#76
○佐藤昭夫君 それでは、お許しを得まして、順番を繰り上げて質問させていただきます。
 今、大幅賃上げ要求を中心としていわゆる春闘が闘われ、そのたけなわであります。
 労働大臣、お尋ねをしますが、賃金引き上げ問題は、労働者の生活向上にとっても、また日本経済の焦眉の問題であります内需拡大という点からいっても、非常に重要な課題ではないかと思いますが、どうでしょうか。
#77
○国務大臣(林ゆう君) 中長期的には、技術革新など経済発展の成果を賃金などに適切に配分することは、勤労者の福祉、生活の向上のみならず、今日の課題であります内需中心の均衡のとれた経済成長の達成という面からも、大変望ましいことだと認識をいたしております。個別の具体的な賃上げにつきましては、労使が自主的な話し合いを通じまして解決を図ることが基本でございます。
 政府といたしましては、今後とも適度な経済成長、そしてまた雇用の確保、物価の安定等環境の整備に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#78
○佐藤昭夫君 今も、そういった労働者の生活向上、また内需拡大という点からいっても大事な問題だということは確認をされるんでありますが、事実、例の昨年十二月に発表されました経済審議会、この報告の中でも内需拡大に関連をして、「経済発展の成果の適切な配分、消費の拡大等」、こういう表題で、「技術革新など経済発展の成果を賃金と休日増・労働時間短縮へ適切に配分すること等を通じ、可処分所得や自由時間の適度な増加を図ることが必要」だというふうに報告をしております。また、総理の私的諮問機関である国際協調のための経済構造調整研究会、ここも消費生活の充実という立場から同趣旨の報告を出す見通してあるという報道などもあるわけであります。
 こういった点で、また先ほど大臣述べられましたそういう趣旨からいって、もちろん賃上げの問題は労使の自主的な交渉によって解決をされる問題でありますけれども、労働省としてどんなことができるかというようなことを何かお考えになったことがありますか。
#79
○国務大臣(林ゆう君) 経済審議会のリボルビング報告やあるいはまた産業構造審議会、産構審におきます中間報告におきましても、中長期的目標として、そのように内需拡大のために、経済発展の成果を賃金や労働時間短縮に適切に配分するということを提唱いたしておりますことは承知をいたしております。
 労働省といたしましては、これらの提言には全く同感でございますが、労使間の諸問題について個々具体的な決定は労使自決の大原則がございますので、そのようなことにつきましては労働省といたしましても見守っておるというような状況でございますが、現在、二十一世紀を目指した長期労働政策ビジョン懇談会というものをつくりまして、そこで本年の末を目途といたしまして検討いたしておるところでございますので、こういったことを踏まえながら環境整備に努めてまいりたい、このように考える次第でございます。
#80
○佐藤昭夫君 そこで、賃金引き上げ問題について、我が国の経済力、特に大きな企業の力量からいってどれぐらい賃上げが可能なのか、こういう問題について、いわゆる大企業の内部留保という点に注目をして少し議論をしてみたいというふうに思うのであります。
 済みません、ちょっと大臣に資料を――渡っておりますか。その資料の数字をごらんいただいておると思いますが、実はきょうも大蔵省から課長の御出席を願っておったのですけれども、きょう一斉に委員会が開かれておるという関係で、どうしても都合がつかぬということで、大蔵省に試算をしていただきました。そこに、「大蔵省」と印刷をしたけい紙ですから、勝手に私がつくった数字じゃないということはひとつ御信頼をいただきたいと思うんでありますが、いわゆる内部留保ですね。それについて、一つは大蔵省発行の法人企業統計年報五十九年版、これをもとにして当期内部留保、ですから、前年度に比べて内部留保がどれだけふえたかというその額を、資本金一億円以上のグループについて、十億円以上のグループについてということで計算してもらいますと、一億円以上、三兆六千二百二十一億円。十億円以上、二兆九千六百五十二億円という、こういう当期内部留保がある。それを従業員数、それで割り算をしますと一人当たりどれくらい内部留保がふえたのか、そのふえた年額、一億円以上のグループ四十二万六千九百六十三円、十億円以上についていうと五十八万四千三百八十円と、こういうことになるんだ。月当たりで見ると、それを十二で割りますと三万五千五百八十円、十億円以上のグループですと四万八千六百九十八円、こういうことになるわけです。
 さらに、大企業の中でのトップグループといいますか、トヨタ自動車、日産自動車、富士通、この三つを代表にして、これは有価証券報告書をもとにして同じような計算をやってもらいますと、トヨタ自動車であれば一人当たり一年の内部留保の当期増加分、これが四百二十三万円、日産自動車の当期内部留保のふえた分七十四万七千円、富士通が百十六万四千円。一月当たりだったらその十二分の一と、こういう計算になるという大蔵省の試算が出たのですね。
 そうしますと、まずちょっと聞いておきますけれども、政府委員の方でも結構なんですが、この大企業の内部留保、言うならもうけですね、これを労働者の賃上げに回したらどれくらいの賃上げができるだろうかということを労働省、考えてみたことありますか。政府委員の方、どうですか。
#81
○政府委員(加藤孝君) 現在、労使でことしの春闘をどのぐらい賃上げするかということで盛んに今話し合いが行われておるわけでございますが、その場面におきましては、こういう内部留保の金額がどのぐらいあるかというようなことも当然やはり議論の対象になっておるということであるわけであり、また、その内部留保の中からどのぐらいを一体賃金に回せるのかと、こういう議論が行われておるわけでございます。
 また、そういう内部留保の金額がどうかということについて、例えば私どもの試算で言えば、これは日銀の主要企業経営分析というものでやってみますと、四十九年度の場合にこれが七十一万円になって、月額換算になると五万九千円になるとか、そういうような数字は持っておりますが、ただ、これは先生もう御承知のように、内部留保を全部賃上げに吐き出すという話には、いろいろな設備投資とかなんとかというような問題があるわけでございますので、まさにそれをどう適切に配分するかということで現在労使で話し合いが行われておるものである、こんなふうに理解しておるわけでございます。
#82
○佐藤昭夫君 今の御答弁、ちょっとそのままには受け取りかねる点がありますけれども、まあ話を先へ進めましょう。
 大蔵省からこういう数字が出ておりますので、これを仮に賃上げに回したとするというので一年間の内部留保のふえ分、ボーナスを入れると十八カ月ぐらいで割るのが普通じゃないかという、そういう一つの話がありますけれども、これ仮に十八カ月で割ったとしますね、そうしますと、一億円以上の企業平均で二万三千七百二十円ということになる。それから十億円以上のそういうグループでとりますと三万二千四百六十六円ということになる。その中でもまあトップグループといいますか、その関係を拾っていきますと月当たり、トヨタ自動車二十四万円、それから日産自動車四万二千円、富士通六万五千円という、これくらいの額になる。
 そうしますと労働大臣、どうでしょうか、この内部留保を全部吐き出せという乱暴なことを私言っておるわけじゃないんですよ。内部留保のふえ分ですね、前年よりもふえた分、せめてそれくらいは、諸外国に比べても依然として低賃金の最たるものという芳しからぬ話になっている日本の労働者の低賃金と、それから昨今の焦点であります内需拡大のためにも非常に重要な要素と、こういう点で、大幅賃上げをするためにこの内部留保のふえ分を賃金引き上げのために出すということは決して、ふえ分ですから、そんなに乱暴な話じゃないと思う。まあ百歩譲って、その半分出してもこれ相当の額になるということで、もちろん労使の交渉を見守ってはいくわけですけれども、客観的な労働省という立場から見て、もう少し大幅賃上げがあってしかるべきじゃないか。そうすれば、結果として労働省の職員の人の賃金も上がるんですから、人事院勧告で。ということで労働省の中でも喜ばれるはずだということで、もう少し大幅賃上げがあってしかるべきじゃないかというふうに一般論としては思われませんか、労働大臣。
#83
○国務大垣(林ゆう君) 内部留保というものは、私は、これを賃金の原資に全部結びつけるということは大変難しいというふうに思うわけでございますけれども、企業といたしましては、いろいろと財政面から見た企業の体質の強化とか、それからまた将来の企業の発展に資するというようなことで、そういったものが大いに役立っていくように思います。
 そこで、これをどのように賃金に分配するかということになりますと、これはもう先生十二分に御承知のように、労使の中で話し合いをされているわけでございます。そしてまた、賃上げというものは、先ほども私もちょっと御答弁申し上げましたように、内需の拡大にもつながるというような面もございますので、今回のいろいろと春に向けての賃上げの問題につきましては、まあ払えるところは豊かにこれを配分してもらうというようなことで、政府としてもそれを期待しておるということでございます。
#84
○佐藤昭夫君 一般論としては、労働者の生活向上、内需拡大、そういう見地から見て賃金の引き上げというのは望ましいことだと思うと述べられるけれども、「しかし」ということで「労使の問題」と、こう移って、そこで途端にトーンが弱くなるということであります。
 大蔵省の試算は、私も長年労働組合運動をやってまいりましたからその経験に照らして、非常に内輪目に内部留保というものを見る、そういう立場なんです。ですから、準備金やら引当金やら、こういうものなんかも内部留保の中にその一定部分は含めて考えれば、この内部留保の額はもっとふえるんですよ。少なくとも、さっき私が挙げました大蔵省試算に基づくというその数字よりも二、三割はふえた数字になるでしょう。特にどういう事情があるのか、私もすぐにはわかりかねますが、富士通のさっき言いました内部留保、一人当たり月額の内部留保のふえ分ですね、当期内部留保、それを十八カ月で割った額六万五千円、こういうふうにさっき申し上げたと思うんですけれども、広い角度から見ますと十四万六千円ぐらいになるんです。ですから、会社によっては大蔵省の試算よりも倍以上に内部留保がふえるという、こういう例だってあるんですよ。
 しかも、さっき言いましたように内部留保を累積額含めて全部吐き出せって、そんな乱暴なことを言っているんじゃない。前年よりもふえた分、これを吐き出すというのは決して無理な話じゃないだろうと思うんです。いわんや、半分吐き出しても一万円を優に超える、そういう賃上げがやれるはずだと、幾ら少な目に見ても。こういう数字が出てくる。大企業についてはもっと出せるはずだと、半分と見ても。
 こういう点で労働大臣、ぜひ大臣に就任をされまして最初の春闘といいますか、労働者の賃上げの時期を迎えるわけですけれども、労働者と労働組合から、今度の大臣はなかなか話せるということで喜んでもらえるようなひとつプレーをやってもらいたいというふうに私は思うんですけれども、どうでしょうか。
#85
○国務大臣(林ゆう君) 先ほどから御答弁申し上げておりますように、大幅な賃上げということになれば、労働者の方々にとっては大変喜ばしいことだと思いますし、また、適正ないわゆる利益の配分と申しますのは、これは内需の拡大にも通じるというようなことでございますので、今、いろいろの企業の中でそれぞれ交渉をされておられるわけでございます。私どもといたしましては、それをじっと今見守っているというようなことでございます。
 先生御指摘のような、この辺でひとつ労働大臣として大きく旗を振ってみたらどうだというような御質問でございますけれども、今、労使双方でいろいろと交渉を続けておられる中でございますので、私どもといたしましては、払えるところは豊かにひとつそういった配分がなされるというようなことに期待を持っているわけでございます。
#86
○佐藤昭夫君 もう一問だけ。
 払えるところは、さっきの二つの角度からいって、大幅賃上げをひとつ頑張ってやってもらいたいと望んでおるということでありますが、現実は、いろいろ新聞の報道がありますように、日経連とかそういう経済団体なんかは円高不況というような言い方で、むしろ、経済審議会だとか何とか研究会だとかこういうところの報告が出たということで、そういう企業のもうけを防衛するために予防線を、どんどんとアドバルーンを上げておるというのが今の現実だと思うんですよ。だから、そういう意味からいっても、せっかく総理の諮問機関、内閣の諮問機関としてつくってきたそこでさえ、生活向上のために、内需拡大のために、いよいよ大幅賃上げが必要な時期に来ていると、こういうことを言ってきているという、こういう国民的コンセンサスになり得る一つの方向が出ているんですから、ぜひ労働大臣としてはこの立場で、ひとつそういう経済団体もよく考えてもらいたいということで、どういうプレーの仕方をするかということはそれはお任せをしますけれども、何か一歩前進をしたなというふうに受け取れるようなプレーをぜひお願いしたい。というのは、そういう逆流も起こっていますから、せめてその逆流は食いとめるという、このことでひとつ労働大臣として大いに頑張ってもらいたいというふうに思うんですが、その御答弁を最後に求めておきたいと思います。
#87
○国務大臣(林ゆう君) 個別具体的な問題につきましては、再三申し上げておりますように、労使の自主的交渉を通じて決定することということが大原則でございます。私どもといたしましては、経済審議会のリボルビング報告などを踏まえつつ、労使の良識ある話し合いで賃金が決定されることを期待しているわけでございます。先生の御指摘のようなお話も、私はすべて良識ある話し合いの中ということでお答えをしたい、こういうふうに思います。
#88
○佐藤昭夫君 終わります。
#89
○中西珠子君 労働省の予算案を見ますと、前年度に比べて一般会計はマイナスであり、総額で見ましてもわずか一・七%のアップという非常な緊縮予算であります。その枠内でいろいろと苦心されて、施策の優先順位を考えられ、また、新しい行政需要に何とか対応しようとして重点配分を行っておられるという苦心と努力の跡が見られますので、労働省予算につきましては一応全般的に評価しているものでございますが、新しい施策として打ち出されているものにつきまして、まず御質問したいと思います。
 労働者の健康安全確保のための対策として中小企業共同安全衛生改善事業助成制度、これは仮称だそうですが、こういうものを創設されるということですが、これについて説明してください。
#90
○政府委員(小粥義朗君) 最近の労働災害の発生状況を企業の規模別で見てまいりますと、中小企業での労働災害の発生が非常に多いわけでございます。そこで、従来からこうした中小企業の安全衛生水準を上げるための施策としてはいろんなことをやっておりましたけれども、言うならば個別ばらばらにやっていたというところが実情でございます。
 そこで、特に中小企業の場合は、個々の企業が安全衛生管理をやるにしても、例えば安全衛生教育あるいは外部の専門家を招いていろんなことをやってもらうにしても、もともと資金なりあるいは人材不足といった点を中小企業それ自体が持っておりますし、さらには、今申し上げたようなことをやるにしても、個別企業ではスケールメリットがなかなか得られない、しかがってまた経済効率も悪くなるといったような問題がございますので、この際、中小企業の集団を対象として、その集団が自主的にやるようなそういう安全衛生活動についての助成制度を総合的に考えていこう、こういう観点で六十一年度新しくその助成制度を設けたい、こういうふうに考えているわけでございます。
 したがって、その中小企業で構成します集団が共同でやる安全衛生教育であるとか、健康診断であるとか、あるいは作業環境の測定であるとか、そういったような措置をやる場合に一定の助成をしようというのがその内容でございます。
#91
○中西珠子君 規模別の災害の発生状況というものを教えてください。
#92
○政府委員(小粥義朗君) 災害の発生状況として、私ども度数率という指標を使っております。これは、労働時間延べ百万時間のうちに何件労働災害が起きたか、こういう数字でございます。
 昭和五十九年の数字で見てまいりますと、例えば千人以上の大企業の場合はその度数率が一・〇六という数字でございますが、企業の規模が小さくなるほどこの数字が、度数率が高くなってまいりまして、例えば百人から三百人未満ですと四・四八、ですから千人以上の四倍以上の災害が出ている、こういうことになるわけです。さらに五十人から百人の規模ですと六・七二、それから三十人から五十人までの規模ですと八・五五という、千人以上に比べれば八倍というような非常に高い災害の発生状況にあるわけでございます。
#93
○中西珠子君 職業病の予防とか健康の維持のために健康診断を行わなければならないということになっていますね、殊に危険有害なものを扱っている業種では。その健康診断の実施率はどういうことになっていますか。
#94
○政府委員(小粥義朗君) 健康診断には、いわゆる一般的な健康診断とそれから特殊健康診断とあるわけでございますが、その一般的な健康診断を含めました数字しか今手元にございませんので、それで申し上げますと、これは五十七年に全国的に調査した結果でございますが、百人以上の事業所の場合には、定期健康診断の実施率は九七%を超える数字が出ております。ところが、三十人から九十九人までの事業所になりますと九〇・六%、それからさらに十人から二十九人までの事業所ですと七一・六%ということになってまいります。これは定期健康診断でございますので、いわゆる危険有害用具がある場合の特殊健康診断になりますと、これは経費もいろいろ定期健康診断よりはかかりますので、実施率としては中小企業の場合もっと低い数字になろうかと思います。
#95
○中西珠子君 非常に経営基盤の弱い中小企業、そして殊に規模の小さいところでは、本当に労働者の健康と安全を守る対策というものが重要だと考えております。そして殊に中高年の婦人にとっては、終身雇用のもとでは大企業での中途採用をほとんどやりませんから、そういった安全な、健康で働けるという作業環境で働くことができないという実情があるわけですし、多数の中高年の婦人とかパートの婦人たちが中小企業で本当に危険物、有害物にさらされながら働いているという状況は実態としてあるわけですから、中小企業の労働者の健康と安全を守る対策をとっていただくということは結構なことですし、こういった共同安全衛生改善事業助成制度というものも考えてくだすって、大いに推進していただくことを要望いたします。
 本当に、労働者の健康と安全を守るということは労働省の重要な使命の一つであると思いますので、この点に関す合労働大臣の御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
#96
○国務大臣(林ゆう君) 先生御指摘のように、労働者の健康を守るということは何よりも大事なことでございますので、私どもといたしましてもこれを積極的に進めてまいりたいと思います。
#97
○中西珠子君 人的能力開発に関するいろいろ法改正に伴う予算措置が講じられておりますけれども、これは後回しにいたしまして、もし大蔵省がいらしていれば、先にパート対策についてお聞きしたいんですが、いらしていますか。
 パートタイムの労働対策につきましては、「国連婦人の十年」の最終年の昨年、ナイロビで開催された世界婦人会議におきまして将来戦略が採択されたわけでございますが、その将来戦略の百三十五項、百四十七項におきましても、非常に強い調子でパートの婦人は搾取されていると、そして政府としては、このパートの婦人の賃金、労働条件を引き上げて、また雇用の安定を図っていかなければいけない、パートの婦人の保護を積極的に推し進めなければいけないということが書いてあるわけでございまして、日本も、やはりそのナイロビ将来戦略というものを、日本に適用する部分については取り上げて大いにやっていただけるものと期待いたしておりますけれども、パートタイムの労働対策についてはどのようなことをお考えになっておりますか。
 この予算では、いろいろパート労働旬間だとかパートバンクを増設するとか、それから、この間から何度もおっしゃっております「パートタイム労働対策要綱」に基づいてやっていくと、そういうことをおっしゃっておりますけれども、この予算面で見る労働旬間とパートバンクの増設、そして利用状況についてお聞きしたいと思います。
#98
○政府委員(佐藤ギン子君) 先生のお話にもございましたけれども、パートタイム労働者の労働条件の向上、雇用の安定というのは私どもにとっても非常に重要なことでございますので、今お話しございましたように、まず「パートタイム労働対策要綱」をつくりまして、労使、特に使用者にこの内容を周知徹底するということに力を入れますと同時に、パートタイム労働旬間も六十年度から十一月に行うことにいたしましてさらに周知を図ると、それから、パートバンク等につきましてもさらに充実を図っていくということでやっているわけでございます。
#99
○中西珠子君 パートバンクの現在の利用状況というものもお聞きしたんですが、それにつきましては数字を持っていらっしゃいませんですか。
#100
○政府委員(白井晋太郎君) ちょっと今手元に資料がございませんので、後ほどお届けいたします。
#101
○中西珠子君 パート労働者の組合加入の状況というのはどういうふうになっておりますか。
#102
○政府委員(佐藤ギン子君) 労働省で実施いたしました調査ですと、大体一〇%程度が組織化されているということでございます。
#103
○中西珠子君 企業に組合があっても、そこに加入しているパート労働者というのはわずか一〇%ぐらいと、そして、同じ企業にパートの労働者がいながら一人も加入させていない組合は八七・九%に達しているという報道もございますし、また、この実態調査を拝見いたしてもそのとおりだということなんですが、パート労働者の賃金とか労働条件というもの、それから雇用の非常に不安定な、景気の安全弁というふうな使われ方をしているという状況に対して、行政指導だけで効果的にその人たちの労働条件を上げたり賃金をよくしたりすることができると確信をお持ちでいらっしゃいますか。
#104
○政府委員(佐藤ギン子君) 確かに、パートタイム労働者の雇用の安定、労働条件の向上というのはなかなか難しい面があるわけでございますけれども、やはり何が一番問題かといいますと、パートタイム労働者につきましては、労使ともに、パートタイム労働者についても労働基準法その他の各種の労働法規が適用されるということを十分周知しておらないというところに大きな問題があるわけでございますので、私どもとしては、とりあえず当面は、この対策要綱のさらに周知徹底に努め、労働基準法その他が十分に遵守されるように力を入れてまいりたいと考えております。
#105
○中西珠子君 労働基準法の適用がパートにはないと思っている人が多いことは確かでございますし、その点についての指導、周知徹底ということはもうぜひやっていただかなければいけないし、また労働契約というものも文書でなされていないということもございますから、そういった面での大いに行政指導を期待いたしております。
 加入する組合が非常に少ない、またパート労働者は組合には入れないというふうな状況が続いている中で、パート労働者の苦情処理をどのようにするかということについては、どのような行政指導をなすっていらっしゃいますか。
#106
○政府委員(佐藤ギン子君) パートタイム労働者につきましては、もしその持っておられる問題あるいは苦情というものが労働基準法の違反であれば、最寄りの労働基準監督署においでいただければ、お名前を出さないで調査あるいは監督指導することができるわけでございますし、労働条件その他につきましては、パートバンクあるいは最寄りの職業安定所さらに婦人少年室、どこでも御相談においでいただければ、その問題に応じて、もしそこで解決できない場合でも、適当なところに御紹介するなどして解決のお手伝いをしていきたいというふうに考えております。
#107
○中西珠子君 私は、パートの保護のためには、パートの労働法というものがどうしても必要だと考えております。そして、公明党・国民会議はパート労働法を国会に提出もしたわけでございます。
 もう一つパートのために必要なのは、減税ということだと思います。非課税限度額がただいま九十万でございますが、これを百二万円まで引き上げるという要求を公明党・国民会議はいたしておりまして、他の野党の方々とともにこれを要求しているわけでございますが、この点についての労働省の御意見を伺いたいと思います。
#108
○政府委員(佐藤ギン子君) 給与所得者に係る課税のあり方につきましては、勤労者の生活に与える影響が大きいということで、労働省としても大きな関心を持っているところでございます。特に、今お話しに出ておりますパートタイム労働者につきましては、家庭の主婦層がかなりの部分を占めるということでございまして、パートの労働者のための減税についての要望が多いということは十分承知しているところでございます。既に先生御存じのとおり、五十九年度からは課税最低限度額が引き上げられまして九十万円になりましたけれども、これはパートタイム労働者の要望を十分に踏まえて行われたものであるというふうに私ども理解いたしております。
 パートタイム労働者も、一般のその他の労働者であっても、給与の低い方たちについての課税最低限度額をどうするかということは大きな問題でございますけれども、こうした問題につきましては、給与所得者全体の枠組みの中で十分検討された上で結論が出されるべきであるというふうに考えております。
#109
○中西珠子君 大蔵省のこの点に関する対応についてお伺いします。
#110
○説明員(塩田薫範君) 今、御指摘にございましたように、いわゆるパートで働いていらっしゃる主婦の場合の課税問題といいますか、あるいはその所得税におけるパート問題というのは、今、先生御指摘のように、九十万円までのパート所得でありますと、給与所得控除の五十七万円と基礎控除の三十三万円ということで、御本人の所得については課税にならないと。と同時に、その配偶者といいますか、だんなさんの方の税額計算上、控除対象配偶者になるということで、配偶者控除の対象になるわけでありますが、これが九十万円を超えますと、パート主婦の方も所得税の納税者になり、だんなさんの方の課税上も配偶者控除がないということで、したがって九十万円からちょっと超えたところで、世帯としての手取りの所得といいますか、これがかえって減ってしまうというようなことが問題になっているわけでございす。
 ただ、この問題につきましては従来からいろいろ議論されていたわけでございますけれども、この問題は、今、労働省の局長さんからお話がございましたように、ほかのといいますか、所得税全体の例えば給与所得控除のあり方といいますか、仕組みだとか配偶者控除のあり方、あるいは課税単位のあり方、そういった所得税制の基本的な仕組みとの関連が非常に強いわけでございます。現在、税制調査会において、所得税制だけでなくて税制全般につきましての抜本的な見直し作業が行われているところでございますので、私どもとしては、その検討結果を待って適正に対処をしていきたいというふうに考えております。
#111
○中西珠子君 所得税制の見直しということが必要だから大蔵省に来ていただいたわけでございまして、パートタイマーの基礎控除の現行三十三万を三十七万に引き上げる、そして給与所得控除の最低限度額を八万円に引き上げるというふうなことですね。そして、八万円引き上げて六十五万円、現行は五十七万円だということなんですけれども、そういうほんの少しの引き上げで非課税限度を百二万円に持っていってもらいたい、そしてまた、内職者に対しても課税最低限をパートタイマーと同じくらいに拡大していただきたい、必要経費を拡大していただきたいというふうな要望を野党が一緒になってお願いして出しているわけでございますから、この点は、税制調査会に対して大蔵省の意見として、やはり前向きの方向で努力をしたいのだということを表明していただきたいと思いますが、どうですか。
#112
○説明員(塩田薫範君) 先生十分御承知の上でおっしゃっているんだろうと思いますけれども、いわゆるパートの課税問題は、九十万円を引き上げるという話がありますが、九十万円を引き上げればパート問題が解決するかということになりますと、例えば九十万円を百万円に引き上げたということでは必ずしも十分問題が解決しないということは十分御承知のところでございます。ただ、このパート問題といいますか、給与所得控除を含めた所得税の課税問題につきましては、繰り返しになって恐縮でございますけれども、所得税のいろんな仕組みとの関連がございます。そういう意味で、これからの税制調査会での議論を踏まえて対処していきたいと思います。
 ただ、我々としては、先ほど先生御指摘のように、去る三月初めに与野党幹事長・書記長会談におきまして、今後各党間において「実務者間で結論を得る。」というような合意がなされたことは承知しておりますので、その検討の推移も見守っていきたいというふうに考えております。
#113
○中西珠子君 何とか百二万までは実現するように努力していただきたいと思います。
 次に、育児休業制度の普及促進対策でございますが、この前の社労の三月二十日の委員会におきまして、六十年度の育児休業奨励金の予算がどのくらい消化できているのかということを、直近の数字で結構でございますから、委嘱審査までに何とか知らせていただけないかというお願いをいたしたわけでございますが、どういうことになっておりますか。
#114
○政府委員(佐藤ギン子君) 六十年度の支給実績につきましては、年度が終了しましてから地方室から普通はとることになっておりますので、正確な実績ということではまだ申し上げられないのでございますが、おおむねのところでございますが、昨年より少し上回ります二百件程度ということになると存じます。
#115
○中西珠子君 予算を拝見いたしますと、一応育児休業奨励金は九億二千百万円入っているわけですね、六十年度に。そして、その目標の事業所数は千五百七十五となっておりますね。ですから、これがなかなか消化されていないということで、本年度予算は十六億一千四百十万ですか、そしてその対象の事業所は一応目標として三千六十九ということになっているわけですね。私は、この育児休業奨励金をせっかくお出しになっているんだし、昨年から非常に増額されまして初年度六十万、それから二年目は四十万と、中小企業の場合ですが、そういうふうになすっているということに対して反対しているわけじゃないんですよ。それで、なぜこれだけ消化ができないのかなということが大変疑問なんでございますけれども、その点はどうなんでしょうか。
#116
○政府委員(佐藤ギン子君) 今、先生がおっしゃいましたように、育児休業奨励金につきましては六十年度から大幅に拡充したわけでございますけれども、この奨励措置を拡充しました効果があらわれるのにどのぐらいかかるかということでございますけれども、今までも時々、これほど大幅ではございませんけれども、拡充してきたことがございますが、その後件数がふえるのに若干時間がかかっております。それは、一つは制度的なこともございまして、育児休業制度を導入いたしまして、その育児休業制度を利用して女子が休んで、出てまいりましてからこの奨励金を出すということでございますので、少し時間がかかるということでございます。
 したがいまして、私どもとしては、来年度はこれよりもずっと伸びるということを期待し、かつ努力してまいりたいと思いまして、このほかにも、六十一年度には育児休業制度普及指導員を七名増員いたしておりますし、育児休業制度普及促進旬間を六十一年度からは五月に行いまして、毎年行うことにいたしておりますので、さらにこの周知にも努めていきたいというふうに考えております。
#117
○中西珠子君 ナイロビで採択されました将来戦略ばかり持ち出してまことに恐縮でございますけれども、百四十項にやはり育児休業制度のことが出ておりますね、御承知と思います。それで、そこには男女ともにとれる育児休業というものが必要だということを強調しているわけでございます。私ども公明党・国民会議といたしましても、男女ともにとれる育児休業が必要だというふうに考えまして、また無給では非常に生活に困る人もいるので、年間の所得の六割は育児休業基金から保障するというふうな育児休業法案を国会に提出したわけでございますけれども、これからはやはりILOの百五十六号条約、百六十五号勧告にもございますように、男女ともにとれる育児休業というものが必要になるのではないか。父子家庭がどんどんふえていて、奥さんが交通事故で亡くなってしまったとか、蒸発したとか、離婚したとかいうことで乳飲み子を抱えて困る男性も出てくるわけでございますから、そういう男女ともにとれる育児休業法というものが必要なのではないか。もちろん、現在やっていらっしゃいます育児休業奨励金をお出しになって一生懸命なすっているその御努力はもう高く評価するんですけれども、とにかく男女ともにとれる育児休業法の制定というものに向かって労働省は、将来は努力していただけるのかどうかという点についてお伺いしたいと思います。
#118
○政府委員(佐藤ギン子君) 確かに先生おっしゃいますとおり、育児休業制度が母親も父親も両方とれるようにということが国際機関でも言われておりますし、また一部の国では既にそういう制度になっておるわけでございます。私どもといたしましても、まず現在の育児休業制度がさらに普及していくことに力を入れ、また今、先生おっしゃいましたようなことも頭に置いて今後努力してまいりたいと思います。
#119
○中西珠子君 それでは、少し今度は女性ばかりのことを言いませんで、今は男性の育児休業も必要だということも申しましたんですけれども、男女ともに職業能力を開発するということはこれから非常に重要なことでございますし、また、最近の職業能力開発のための法改正に伴って、職業能力開発関係の予算が大幅に増加しているわけでございますが、殊に民間企業における職業能力開発の促進として学習企業の育成などということが挙げられているわけですけれども、これはどういうことをなさるおつもりなのか、その点に関して御説明願います。
#120
○政府委員(野見山眞之君) 日本の場合、多くの企業が入社した従業員の教育訓練等を熱心にやっているわけでございますけれども、最近のように、企業の中の生産活動あるいは活動の多様化等いろいろ仕事の中身が変わってくる、あるいは従業員が就職してから定年の延長等で六十歳前半層ぐらいまで勤務を続けていくということになりますと、その生涯にわたって能力を常にブラッシュアップしていかなきゃいけないということでございます。したがいまして、企業がそのトップから第一線に至るまで能力開発の必要性を十分認識して、従業員の入職から退職に至るまで、節目節目で常に能力の開発向上に努めていくというような企業をできるだけ育てていく、あるいはお手伝いをしていくということがこれから重要ではないかということで、学習企業づくりに私どもの行政としても重点を置いているわけでございます。現在、臨時教育審議会におきましても、生涯学習体系への移行ということが大きな柱になっておりますけれども、労働分野におきましては、職業生涯にわたる学習企業づくり、これがそのポイントになるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
 そういう観点から、労働省といたしましては、企業の中に職業能力の開発を担当する推進者を置いていただく、そしてこれらの人が中心となりまして職業能力開発のための計画をつくっていただき、それを総合的、計画的に推進していただくということを私どもとしては奨励し、援助していくということが私どもの行政における学習企業づくりの対策の内容になるわけでございます。
 そこで、昭和六十一年度におきましては、職業能力開発促進法に基づきまして、企業に設置されます職業能力開発推進者に対して講習会あるいは計画づくりに対する援助を行うということが一つ。それから二番目は、特に中小企業におきましては、どのようにして能力開発、教育訓練をしていったらいいのかというノーハウが必ずしも十分でないという面がございますので、昨年スタートいたしました職業能力開発サービスセンターを新年度におきましてもさらに増設をいたしまして、中小企業に対する能力開発計画づくりにお手伝いをするということが一つの柱になっております。
 それから全体としまして、就業時間中にこういう教育訓練を計画的に進めていくという場合には、生涯能力開発給付金制度がございます。これも新年度には、中小企業等についてはさらに対象年齢を拡大するというような改善等も含めまして、能力開発給付金制度の積極的な活用を図るということによりまして、企業における学習企業づくりへのムードづくりをさらに進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
#121
○中西珠子君 大変結構なんでございますが、その際やはり企業に対して、女性であるがゆえに差別をしない、職業能力開発においては女性も同じように扱うということですね。これはなぜそんなことを言いますかというと、均等法の中の教育訓練の面においては差別をしてはいけないという禁止規定がございますけれども、その中にOJTは省令として含まないということで省令をお出しになっていますので、企業が、生涯の訓練が必要、能力の開発が必要ということで学習企業に育っていくに当たっては、やはりそういった均等法の精神は体する、省令はOJTなどは含まれていないけれども、とにかく男女差別をしないで、男女ともに職業能力を開発するという方向で推し進めていただきたいという御要望をしたいと思いますが、いかがですか。
#122
○政府委員(野見山眞之君) 均等法の中に、省令で定める教育訓練については差別をしてはならないということを守ること自体は当然のことでございますけれども、それ以外の職務遂行中における教育訓練も含めまして、均等法の精神に沿って女子の能力を開発していくということは、企業にとっても重要な課題でございますので、私ども開発行政を担当する立場からも、企業に対する教育訓練の推進に当たっても十分指導援助をしてまいりたいと考えております。
#123
○中西珠子君 今度は百四十二号のILO条約を批准されることに踏み切られたわけでございまして、これは御承知のとおりの職業能力開発のための条約でございます。そしてまた、勧告も非常に広範なものがあるわけでございますが、これに関する勧告の中にも、男女差別を訓練や職業能力開発においてはやらないようにということがはっきりとうたってあるわけでございますから、この点に関しては、企業を指導をなさるに当たりまして十分特段の御配慮をしていただきたいと思います。労働大臣、いかがでございますか。
#124
○国務大臣(林ゆう君) いろいろと法に決められておりますものにつきましては、これを厳守してまいらなければならない、このように考えておるものでございます。
#125
○中西珠子君 それから、「技術革新の進展に対応した能力開発対策」というものが出ておりますが、これは具体的に言うとどういうことをなさるつもりですか。
#126
○政府委員(野見山眞之君) 技術革新の過程で、新しい知識を備えた技能者の養成、いわゆるテクニシャンの養成が緊急の課題でございます。したがいまして、六十一年度におきましては、高等学校を卒業して二年間の専門訓練を受ける職業訓練短期大学校の開設を進めていくということが一つでございますし、また、この四月には新しく職業訓練大学校におきまして情報工学科を新設することにしたわけでございまして、これは公共訓練における情報関係の指導員の養成であると同時に、民間企業におけるME化に対応した教育訓練担当者の養成を図っていくということをねらいとしているわけでございます。
 また、企業におきましても、新しいテクニシャンの養成ということで、実はきょう民間企業では初めて、電機メーカーでございますが、職業訓練短期大学校を開校いたしました。これも新しいテクニシャンの養成を図るということでございまして、今後、民間企業におけるこういったテクニシャンの養成のための訓練短期大学校の推進も進めていきたいというふうに考えております。
 また、公共訓練におきましては、特にテクニシャンが不足をしているというような状況にかんがみまして、情報処理関係の訓練科目を増設する、あるいは需要の少なくなってきた訓練科目を廃止してME関係の訓練学科に転換をしていくというようなこと、あるいはME関連の機械をリースで導入して必要な教育訓練をしていくというようなことなどを今後とも進めていきたいというふうに考えております。
#127
○中西珠子君 今、民間の電機メーカーで、職業訓練短大をつくってME化の対応のための技術者を養成するというお話でございましたが、こういう場合は補助金などの援護措置というものがございますんですか。
#128
○政府委員(野見山眞之君) 中小企業の場合は、一定の基準に基づきます教育訓練をやる場合には助成金が出ますが、大企業の場合は、これは企業自身の努力でやっていただくということで、養成訓練については補助金が出ませんが、先ほど申し上げました生涯能力開発給付金制度におきましては、新しい技術の導入に対応して新しい教育訓練を行う場合には、一定年齢以上の場合は、大企業、中小企業を問わず、賃金に対する一部助成及び運営費のお手伝いをしているという状況でございます。
#129
○中西珠子君 技術革新の急激な進展のもとで、本当に技術者その他の養成も必要でございますけれども、これまで持っていた技能が全然古くなったという労働者も出てくるわけでございまして、そういう人たちのやはり再訓練、能力の再開発ということも非常に大事になってくると思いますので、そういった面でも十分な努力をしていただきたいと思います。
 天然資源が本当に乏しい日本におきましては、人的資源の開発が何よりも重要なことでございまして、日本の将来は人的資源の開発にかかっていると言っても言い過ぎではないというふうに考えるぐらいでございますが、労働大臣のこの点に関する御決意のほどをお伺いしたいと思います。
#130
○国務大臣(林ゆう君) 日本は、先生御指摘のとおり、資源のない国でございます。それに伴いまして人材というものは大変大事な国の宝だと、こういうふうな認識のもとに、先生のおっしゃるとおりのことであろうかと思います。
#131
○中西珠子君 四月一日、きのうから男女雇用機会均等法が施行になったわけでございますが、運輸省はこれに対してどのような対応をなすっておりますか。
 均等法の三十四条に基づきまして、運輸大臣が指針を定めなければいけないとか、船員に関するとにかくこの均等法の適用のための施行規則というものも定めなくちゃいけないとかいうふうになっておりますし、また、均等法と一緒に改正されました労働基準法関係につきましても、それに対応する船員法の施行規則の改正というものをなさらなくちゃいけないというふうなことも考えておりますが、どのような対応をなさいましたか。三月十八日に公表なさいました官報を拝見したのでございますが、精神的な面についての対応についてお話を願いたいと思います。
#132
○説明員(一色昭造君) 先生御指摘のありました男女雇用機会均等法が四月一日から施行されておりますけれども、船員の分野にかかわりますものにつきましては私ども運輸省が担当してございます。
 私どもが担当しております女子船員にかかわりますものにつきましては、先生御指摘のように、三月十八日付で、募集とか採用とかそういうことに関しまして、事業主が講ずるように努めるべき措置についての指針を、私どもの船員中央労働委員会の答申をいただきまして、それぞれ公布したところでございます。あわせまして労働基準面につきましても、船員法がこの前の国会で改正されておりますが、関係省令を、同じように船員中央労働委員会の答申をいただきまして、それぞれ公布したところでございます。
 このうち、まず労働基準面につきましては、妊娠中の女子船員につきましては、原則として船内労働というものを禁止するというようなことをしておりまして、妊産婦船員の母性保護の充実を図るというようなことをやっております。それから妊産婦以外の女子船員につきましては、雇用機会の拡大という観点から、従前夜間労働を非常に制限しておりましたけれども、これにつきまして撤廃等を行っております。
 それから、先ほど御質問のありました指針につきましてでございますけれども、私どもは、船員という非常に限られた分野でございますけれども、労働省が定めました陸上労働を対象といたしました指針を参考としつつ、船員につきましては海上労働という特殊性がございますので、その海上労働の特殊性を加味しながら指針を定めたということでございます。
 したがいまして、こういう関係省令を改正してございますので、現在、私ども関係団体なりあるいは私どもの出先を通じましてその啓発活動に努めているというところでございます。
 以上でございます。
#133
○中西珠子君 やはり三十四条の読みかえ規定によりまして、労働大臣がつくられると同じような女子労働者の福祉基本政策というものも、近く運輸大臣が女子船員に対してつくっていただくということになっておりますと思いますが、近くつくっていただくことを要望いたします。
 それからもう一つ、最後にお聞きしたいのは、女子差別撤廃条約も批准できまして、雇用機会均等法ももう施行になったという段階におきまして、世界じゅうの百七カ国が既に批准しているILOの百十一号条約、これは職業上、雇用上の差別をなくすための基本的な条約なんでございますが、これは批准できない理由が何かあるわけでございましょうか。早期に批准していただきたい、こう願っておるわけでございますが、この点につきましてはいかがでしょうか。
#134
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 本条約、いわゆるILO第百十一号条約につきましては、今、先生おっしゃったとおりでございますが、性に基づく差別に関しましては、男女雇用機会均等法等により、その要請は国内的にはおおむね満たされており、批准上の問題はないものと考えられますが、非常に広範にわたっての差別を禁止しているものでございまして、この条約が、性に基づくもののみならず、雇用及び職業に関する広範な差別対象につきまして、批准するために国内法整備が必要なのかどうかということも含めまして、現在検討している段階でございます。各省にわたる問題を抱えておりますので、労働省だけでなかなか解決できないわけでございますが、鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#135
○委員長(岩崎純三君) 中西君、時間です。
#136
○中西珠子君 性差別ばかりでなく、やはり社会的身分に基づく差別とかいろいろあるわけですね、そのほかいろいろありますけれども。そういった点ではやはり問題は、前向きに差別をあらゆる面でなくすという方向で検討していただきまして、努力していただきまして、一日も早くILO百十一号条約の批准ということを実現していただきたいと心から要望いたします。
 労働大臣のこの点に関する御決意と、均等法も施行されたこの段階におきまして、どのようなお考えをお持ちでいらっしゃるかをお聞きいたしまして、私の質問は、時間が参りましたので終わります。
#137
○国務大臣(林ゆう君) ILOの問題につきましては、先ほど局長の方から御答弁申し上げましたように、雇用あるいは職業に関する極めて広範な問題でございますので、この条約批准のための国内法の整備が必要かどうかといったようなものも含めて、現在検討しておるさなかでございます。
 また、機会均等法は四月一日から御承知のように施行されました。今後ともこの法律の趣旨に沿いまして、企業の雇用管理が見直され、そして雇用の分野での男女の均等な取り扱いが着実に実現されますように、法律の適切な運営に努力するとともに、今回婦人少年室の体制を整備するということになっておりますので、そういった面を含めまして、この法律が有効に効果を上げるべく努力をしてまいりたい、このように考える次第でございます。
#138
○藤井恒男君 本院で、国民生活・経済に関する調査特別委員会というのが持たれまして、これは衆議院にない大変ユニークな特別委員会ですが、三年間、いろいろと参考人から意見を徴したり、勉強会を開いたりしております。その中に技術革新に伴う産業・雇用構造検討小委員会というのが持たれておりまして、これも三年間、いろいろと職場を見学したり、あるいは学識経験者の意見を徴したり、労働組合の意見を承ったりしておるところです。既に二回にわたって中間報告を行い、この会期末までに第三次の報告書を今まとめる作業に入っている段階です。
 したがって、その意味で概括的なことをお聞きするわけでありますが、情報化、そして技術革新という波が非常に急テンポである。この波を受けて産業の雇用情勢が随分変わってきているし、これからも雇用情勢というのが一変するんではないだろうかという予測すら立つような状況になっているわけです。まだまだ未踏破科学などについては緒についたばかり、バイオなどについても緒についたばかりでございますが、これがどんどん一般企業に入ってまいりますと、雇用情勢が随分変化するんじゃないだろうか、あるいは随分影響してくるんじゃないだろうかというふうに思うわけです。
 したがって、この技術革新あるいは情報化に伴う雇用情勢への影響等について、労働省の考えをお聞かせいただきたい。
 また同時に、高齢化というものも進んできているわけでして、この意味で労働省が定年制法案を提案したことを私は高く評価したいというふうに思うわけですが、定年制法案あるいは六十歳前半層の雇用の拡大ということでも、労働省は随分力を入れておられるわけだけど、この技術革新との問題ですね、いわゆる高齢者に対する技術革新がどのような影響を及ぼしていくのか、そして定年法を出す、あるいは六十歳前半層の雇用拡大というものを図るというわけだけど、これから技術革新がさらに進んでいけば、そういった高齢者がどのようにこれは対応されるのか。こういったことについて、今、中西さんもちょっとお触れになっておられたけど、概括的なことをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#139
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先ほど御指摘の報告書等については、もう先生御指摘のとおりでございますので、それ等に基づきましてどういうふうに考えるかということでございますが、ME化を中心とした技術革新は、今後中小企業も含めまして広範に進展していくものと我々も考えております。
 このような技術革新が産業構造や雇用情勢に与える影響については、その他の経済的、社会的要因とも絡み合う問題ではございますが、そういうことで一概に結論づけることはできませんが、雇用面において見ますと、まずマクロ的には、ME化が最近特にロボットを中心として非常に進んだと見られます五十年代について見ますと、雇用者数で全体的には五十一年が三千七百十二万であったのが、五十八年四千二百八万にふえておりまして、その増加率は一三・四%というような増加をいたしております。その中で特に集積回路製造業、それから電子計算機等製造業、これらにつきましては、前者が三九四・一%の増、それから電子計算機等製造業が七一・二%の増ということで、技術革新による部門での雇用増が大幅に図られている、その他サービス業の増はもちろんございますが、そういう状況でございます。したがって、技術革新が全体的にもたらす雇用面でのマクロの問題で見ますと、必ずしも技術革新によって省力化が進んで減っていくというものではない。今のような、いろんなそのための技術者、それから関連部門での増加が図られるのではないかというふうに考えております。
 それから職業別に見ますと、プログラマーやシステムエンジニアなどの情報処理関係技術者の需要増大、これ今申し上げたところでございますが、等がございまして、産業別、職業別の労働力需要構造が変化していくというふうに考えております。
 したがって、今後全体で見ましたマクロ的な他の経済的、社会的要因をも含めましてこれでの推移を見守っていく必要がございますし、経済の安定的成長を図っていくことが先決であるわけでございますが、その結果もたらされます産業別、職業別の労働力の需要構造の変化に対応いたしましては、これがうまくマッチしていくように、ミスマッチが労働市場に起こらないように、職業訓練、職業指導等を含めまして対策を検討していかなければならないのではないか、また対応していかなければならないんではないかというふうに考えている次第でございます。
 それから高齢化の問題でございますが、高齢化の問題、今、先生の御指摘のとおりでございまして、西暦二〇〇〇年には、二十一世紀には働く人々の四人に一人が五十五歳以上になるというふうに推計されるわけでございまして、これらに対応しての雇用対策を今から的確に立てておかなければならないわけでございますが、技術革新と高齢化の問題につきましては、我々が労働省において調査いたしましたME化の進展に伴います影響の調査の中で、今後の問題点の中でも、高年齢者の活用対策を問題点として挙げております事業所が三三%に及んでおります。そして、そのための職業転換教育が必要だと、これは高齢者だけには限りませんが、必要だとしているものが二九・一%ございます。
 そういうようなことで、社会的に高齢化の波を避けるわけにはいかないわけでございますが、経済的、社会的に今後我が国が活力を維持していくためには、高年齢者の活用ということが重要でございまして、そのためのいろいろな技術、技能の確保に対します訓練、それから、一般に今まで我が国がME化にうまく対応していったというのは、配置転換その他が非常にスムーズにいったということがあるわけでございますが、いわゆる単能的なME化に伴う技術者のみの育成ではなくて、多能工的な労働者の育成を図っていかなければならないのではないかというふうに考えております。
 さらに、ME機器、OA機器がむしろ高齢者のために役立つような開発はないのかということで、現在労働省におきまして五カ年計画でそういう検討もいたしているわけでございまして、あらゆる面から問題点を把握しながら検討を進めていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
#140
○藤井恒男君 これまでのところは、ヨーロッパなどに比べて我が国は、雇用構造、需要構造等においてどちらかといえば良好な状態で推移しているというのが一般的な見方だと思うんだけど、これから高齢化がどんどん進んでいき、さらにME化というものが深部に入っていくということになると、やはり状況は変化してくるだろうというふうに思わざるを得ない。我々の結論づけ、まだ議論しなきゃならないんだけど、今までの、第三者というか、学識経験者等の意見の中では、やはり精神的に参ってくる人間が多い。例えば自殺者が多発することを懸念するというような報告があるんですね。私は、ME化、技術革新というものは我が国で大いに進めるべきだという考え方を持っているんだけど、残念ながら、自殺者が多発してくるだろうという文言を今度の中間報告に盛り込まざるを得ない、こういうような雰囲気なんです。したがって、その面も十分私はチェックしてみなきゃならぬし、労働省としても考慮に入れておかなければいかぬのじゃないのかなという気がします。
 時間がないから、もうそのことについての御答弁は結構でありますが、時間短縮の問題についてお聞きしたい。
 恒例になりましたサミットの前に労働サミットというのが開かれる。今回も東京で四月二十一日から二十三日まで。労働大臣もレセプションを主催されたりする予定が既に組まれているわけですが、この中で時短の問題が当然議題になる。これは国際化という問題ももちろんありますし、労働者の福祉という問題もあるし、また内需拡大という観点からも問題が出てくるし、貿易摩擦という面からも問題が出てくる。前労働大臣は、大変精力的にこの時短で全国駆け回ったわけですが、火をつけて回ったわけなんで、大変な努力であったと私は思うんですが、大臣も所信表山の中で、週休二日制に積極的に取り組まなければいけないし、推進しなければいけないということを述べておられるわけです。
 そういった雰囲気があるんですが、昨年十月十五日の経済対策閣僚会議、これは内需拡大対策ですが、ここで時短対策としての目標設定が、週休日等の年間休日日数が今後五年間で現在より十日程度増加するよう努めるというふうに述べておられるわけですね。私は、労働省が出した考え方だろうと思うんだけど、その根拠がどういうものなのか。
 また、労働基準法研究会ですか、ここの最終報告は、一週四十五時間、一日八時間ということになっているけど、これは週休二日制の普及ということと矛盾しないのか。この辺についてお聞きしておきたいと思います。
#141
○政府委員(小粥義朗君) 初めに、昨年十月の経済対策閣僚会議での、今後五年間で現在より十日程度休日をふやすという根拠でございますが、製造業の生産労働者について労働時間の状況を国際比較いたしますと、いわゆる週休日が日本の場合はまだまだ完全週休二日が徹底しておりませんので、外国に比べていわゆる定期的な週休日は二十日ぐらい少ないんですが、一方で国民の祝日であるとか年末年始の休みといったような週休日以外の休日が、逆に外国よりは若干多くて、差し引きしますと、年間でサミット構成諸国の休日が大体百十一日から十四日程度、それに対して我が国の場合は百二日というのが平均の姿になっております。したがって、その間に約十日程度の差があるものですから、この休日数を、十日程度少ない姿を改めて、先進国並みの休日数にしようというのがその考え方でございます。
 それから、昨年暮れに労働基準法研究会から報告が出されまして、法定労働時間を週四十五時間、一日八時間、こういう提言が出されております。これは、実はいわゆる労働基準法を改正して今の姿を実現すべきである、こういう提言でございまして、その場合労働基準法は、御承知のように、罰則でもってその履行を担保する最低基準を決める法律でございますから、いわゆる週休日の拡大というのは、所定労働時間の短縮の中で労使が自主的に進めていくことを基本に考えよう。罰則でもって所定労働時間を縮めるのは、我が国の企業間格差の実態等を踏まえますと、一挙に四十時間といっても、それはとてもなかなかできる実態にはないんで、法定労働時間としては応四十五時間を最低線として考えたらどうか。その最低線の上で労使が自主的に休日の増加をしやすいように、労働時間の配分についてはいろいろな新しい弾力的措置というものを考えようということで、例えば、現在では四週間単位の変形労働時間制をもっと長期のものを認めるとか、あるいはあらかじめパターンを決めない非定型的な変形労働時間制というものを考えたらどうかといったような弾力的な配分についての考え方を示していただいたわけです。ですから、それにはおのずから一定の歯どめが必要だろうと思います。その報告でも言っておりますように、労使協定その他いろんな要件の上でそういう弾力的配分を進めることが、個々の企業において休日をふやしていくのにやりやすくなるんだ、そういう考え方でございますので、週休二日を拡大していくという考え方を基本に踏まえて報告が出されているものというふうに私どもは受けとめているわけでございます。
#142
○藤井恒男君 わかりました。
 次に、パートタイムの問題は中西さんが今細かく質問されましたので、私は省略いたしますが、これは労働省から出された「パートタイム労働の現状について(概要)」という中でも、パートタイムがこの十年間に約二倍にふえた、女子雇用者のうち五人に一人はパートタイム労働者だ、しかもそのパートタイムの女性の場合、三十五歳以上が七七・四%、家庭の主婦層が八五・九%、またパートタイム労働者の所定内給与額が五百七十二円、女子一般労働者が七百六十五円だ、こういう実態が明らかにされているわけです。パートはますますふえていくだろうと思うし、先進国でもパートはふえているわけですからね、十分ひとつ気をつけていただきたいというふうに思う。
 と同時に、これも労働省から出た調査で、パート労働者の組織化に取り組んでいない組合が五四・五%。で、いわゆるパート労働者と正社員と申しますか、労働者とに一線を画すという意識が既存の労働組合に強いのじゃないかというようなコメントも、この新聞には出ているわけですが、これらについてのやはり労働省としての指導なども十分考えなきゃいかぬのじゃないかなというふうに思うわけです。
 これらについては、もう御答弁は結構でございますから、私がそういう考え方を持っているということも、ひとつ頭の中に入れておいていただいたらありがたいと思います。
 最後に一つお聞きしておきたいことは、円高の影響が非常に大きい。とりわけ中小企業に大きいわけです。そういった意味で不況業種、不況地域に雇用調整助成金を活用しておられるわけでありますが、これに対してアメリカ政府が、雇用調整助成金は輸出補助金に当たるのではないかという懸念を表明し、また、これを批判した時期があったわけですが、この問題について労働省はどのように対応したのか。私は、アメリカのそういった考え方を撤回させるべきだというふうに思うんだけど、現状はどのようになっているのか、この点をお聞きいたします。
#143
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、先生御指摘のように、アメリカ政府は、今回労働省が行いました雇用調整助成金制度の改正、基準を弾力化したわけでございますが、米紙がそれを報じたことから、雇用調整助成金が輸出補助金に当たるのではないかと懸念を表明、説明を求めてきました。
 これに対しまして労働省としましては、日米貿易委員会の席上を初め、外交ルートを通じまして、雇用調整助成金制度について正しい認識と理解を得るため、雇用調整助成金制度の趣旨、仕組みについて説明するとともに、これらの資料の提供を行いまして、米国が懸念している輸出補助金には当たらないということで対応いたした次第でございます。
 こうした結果、現在ではアメリカ政府も、雇用調整助成金は輸出補助金に当たらないとの理解が深まっているものと我々としては判断している次第でございます。
#144
○藤井恒男君 思っておるだけですか。理解を得たわけじゃないの。
#145
○政府委員(白井晋太郎君) これはそういうふうに理解しておりますが、外交問題等でございますので、そういうふうに判断しているというふうに答弁したいわけでございます。
#146
○藤井恒男君 ちょっと時間オーバーだけど、これはこちらで、アメリカの場合、いろいろな問題はあるけど、もちろん外交ルートではございましょうが、私はやっぱりぴしゃっとピリオドを打つべきだ。打たさなければいけない。もっと理解を深めるために、私たちは物を言ったんだから向こうは理解しているだろうでは、私はだめだと思うんですよ。
 だから、幸い目の前に労働サミットもあるんだから、我が国における雇用調整助成金というのはこういうものなんだ、あるいは我が国における産地の形成、中小企業というのはこういう状況になっているんだということをよく説明して、やっぱり大臣、これは理解をきちっと求めるべきだと思いますが、どうでしょう。
#147
○国務大臣(林ゆう君) 細かなことにつきましては、経過は先ほど局長から御答弁申し上げましたけれども、先生の御趣旨を踏まえましてきちっとしたことをやってまいりたいと思います。
#148
○藤井恒男君 結構です。
#149
○下村泰君 大臣が十三時から衆議院の社会労働委員会の方にお呼ばれされているそうで、食事もできない、まことに酷使状態は気の毒ですので、端的に伺いますから、端的にお答え願いたいと思います。
 身体障害者の雇用促進のことについては、たびたびお尋ねしておりますけれども、ことしは殊に障害者の雇用率の見直しの年でございます。したがいまして精神薄弱者、こういう方々の雇用促進の方針、それから前の補正予算の審議の中でやっぱりお尋ねしたんですけれども、この精薄者の雇用促進のほかに、てんかん、小人症、内部疾患、難病の方たちのものは具体的にどのように進めていられるのか、ちょっとお尋ねします。
#150
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、先生御指摘のてんかん症等につきましては、従来から、身体障害者の雇用促進法上の身体障害者であるかどうかにかかわらず、こういうてんかんにかかった方、小人症の方、内部疾患を有する方の障害者に対しても、求職登録制度を公共職業安定所に設けまして、これを活用して、ケースワーク方式によるきめ細かな職業相談、職業指導を行っているところでございます。
 さらに、小人症の方であって肢体の不自由な方、それから心臓機能障害や腎臓機能障害の内部障害を有する方等、身体障害者雇用促進法に定める身体障害者に該当する方については、雇用率制度その他の福祉制度による助成金制度を活用しているところでございます。
 また、てんかんにかかっている方については、昭和六十一年度から新たに職場適応訓練制度の実施対象者に加えまして、その雇用の促進を図ることとしているところでございます。
#151
○下村泰君 今の局長のお話を伺っておりますると、非常に抜け目のないようにこういった症状の方々に手厚く手を差し伸べられているというふうに感ずるんですよ、こっちはね。感ずるんですけれども、実際の面においてはなかなかそうはうまく動いていないというのが私は実態だと思うんです。言うはやすく行うほかたしというような言葉がありますけれども、私はしみじみ最近になってそれがわかるんですな。
 と申しますのは、こういう委員会で私は身体障害者のことに関していつもお願いします。そうしますと、行政側の方からいろんなお答えが返ってきます。ところが、実際にそれが行われているかどうかという面になるとなかなか行われがたいし、また行われにくいというのが現状だと私は思うんです。それはもちろんそちらの労働省側の方もこれは理解されていらっしゃることだと思うし、大臣も大変心の温かい方だというふうに承っておりますし、私語ではございますが、私にいろいろと温かいお言葉もいただきましたので、多分細かいところまでお気を配っていただけているものと思います。けれども、なかなかうまく実際面にはいっていないのが現状であるということは、これはもう御認識していただけることだと思います。
 時間を短縮します。
 実はこういう投書があったんですよ。これは千葉市にいらっしゃる方で社会保険労務士ということをやっていらっしゃる方なんですが、この方がある町工場に関係しておったんですが、その町工場は会社員が十二人、従業員が十二人ですね。そのうち九人が身障者なんです。当初職安に勧められたんです。ここのところを労働省聞いておいていただきたいですね。職業安定所に勧められて障害者を雇用した、ところがその障害者の方がなかなか最初はうまくいかなかった、そのうちに困難な訓練に耐えて健常者と同じ仕事ができたと喜ぶ姿を見て、営利を度外視してこの方たちを常時雇うようになさった、生産性を度外視してですね。ころが、こういう工場経営者に保はありがちなことで、契約期限の到来を機に立ち退かなければならなくなったと。大体こういう方たちを、何といいますか、常雇用する場合には、この方たちの通勤可能な地域でなければだめなわけですよ、余り遠いんじゃだめなんだ。だから、遠いところへ行けばあるいは移転可能な場所があるのかもわかりませんけれども、せっかく健常者と同じように仕事ができると喜んでいらっしゃる身障者の方々を遠いところへ通わすわけにはいかない。そこで、何か近所にうまいところがないかということでこの労務士の方も一生懸命運動なさった。ところが、役所に参りましても、身障者の工場だからといって、法律を曲げて許可するわけにはいかないと、にべもないごあいさつであったと。この方が思うには、政治家の大声一つで橋ができたり特急電車がとまったりする御時勢に、何でこういう方たちの面倒を見る政治家がいないんだと、この方は嘆いていらっしゃるわけですわね。
 そうしますと、そういう内容のことはこれは各地方自治体に任せてやるべきで、我々が関与すべきものでないとおっしゃるかもしれませんけれども、きめ細かい労働福祉というのは、労働省の本省の方から各自治体にそういうこともやってくれよと、あるいはやれよというような指示があって僕はしかるべきだと思うんですね。そうしますと、労働省の出先機関にこういう方々が相談に行った場合には、建設関係といろいろ御相談なさって、少なくともこういう方たちに手厚く福祉の手を差し伸べる、これが私は障害者の雇用促進につながる大きな原動力になるんじゃないかというふうな気がするんです。
 これについてもいろいろこれから先まだ質問ございますけれども、大臣を早く解放しなきゃならないと思いますので、こういうことについて、まず職業安定局長からどんなお考えがあるか、それから大臣がこういうことについて多少なりとも何かのお気持ちがあるならば、お言葉をいただいて終わりにしたいと思います。
#152
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先生いろいろ御指摘のように、なかなかいろいろな施策を総合的に計画いたしましても、それが手の届かない面がございます。特に、先生御指摘のこういう身体障害者、精神薄弱者、その他先ほど御指摘の方々につきましては、非常に手厚く、また個々にケースワーク的に対応していかないという面で、手落ちのところもあるかと思いますが、いろいろ具体的に御指摘を受けながらそれらも対応していかなければならないというふうに思っております。
 今の問題につきましては、最近の事情を私御説明申し上げまして、後、大臣から御答弁いただきたいと思いますが、その会社は東豊という会社で、千葉県の八千代市にあるようでございます。精神薄弱者七名でございまして、現状は、立ち退きを求められていた土地が昨年十一月に火災により全焼した、しかし現在千葉県佐倉市に仮工場を置いて操業を続けるとともに、八千代市内に新工場を建設中であり、近く完成の予定というふうに承っております。
 我が方からの助成としましては、特定求職者雇用開発助成金約四百万、重度障害者等職場適応助成金約四百万を支給することといたしている次第でございます。
#153
○国務大臣(林ゆう君) 厳しい経営状況の中で障害者に働く場を提供していただいている事業主の方々や、御苦労されながらみずから作業所を運営している障害者の方々の御努力に対しましては、私といたしましても本当に頭の下がる思いがいたすわけでございます。障害者の方々の働く場がいろんな意味で継続が困難な状況に追い込まれるというふうなことは、大変残念なことでございます。
 労働省といたしましては、先生御指摘のとおり、また先ほど局長から御答弁申し上げましたように、きめの細かい配慮をいたしながら、そしてその方々が本当に仕事を持つ喜びというものが継続されていくようなことに力を尽くしていかなければならない、このように思うわけでございます。できる限りの努力をしてまいりたいと思います。
 先生の御指摘のことにつきましては、十分私どももこれを念頭に置いて、今後のいわゆる労働行政の中に対処してまいりたいと思うわけでございます。
#154
○委員長(岩崎純三君) 以上で労働省所管に対する質疑は終了いたしました。
 午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時四十八分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時一三十二分開会
#155
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管及び環境衛生金融公庫を議題といたします。
    ―――――――――――――
#156
○委員長(岩崎純三君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件審査中、環境衛生金融公庫の役職員を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#157
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認めます。
 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#158
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#159
○委員長(岩崎純三君) 予算の説明につきましては、厚生大臣から既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#160
○高杉廸忠君 環境衛生金融公庫の理事長さんがお見えでありますから、環境衛生金融公庫予算に関連してまずお伺いをいたしたいと思います。
 公庫が環境衛生関係の営業振興に寄与されてこられましたことは、この際大いに評価しておきたいと存じます。
 ところで、理事長にお伺いしますが、六十一年度における公庫の融資改善の内容、どういうところに重点があるのか、まずお伺いをいたします。
#161
○参考人(山下眞臣君) お答え申し上げます。
 昭和六十一年度予算におきまして改善が図られておりますことのまず第一は、多年、環境衛生金融公庫が要望をいたしておりましたところの運転資金の融資制度が初めて創設されたことでございます。環境衛生関係営業の衛生水準の向上を図ります上で特に重要な振興事業、これを推進するために必要な運転資金を当公庫が融資することが非常に有効であるということで、環境衛生金融公庫法を改正していただきまして、運転資金の貸し付けをことしの十月から開始するという内容になっておるのが、第一の大きな改善点であろうかと存じます。
 その概要につきましては、利率につきましては、今申し上げましたように、対象といたしましては、当面、その振興事業を行う組合の組合員の方にお貸しするわけでございますが、利率は基準金利によるということで、ただいまのところ六・四%、償還期限は五年以内、融資限度額は、会社または個人にありましては二千七百万円以内という内容で予算化されているところでございます。
 そのほかに、従来から行っておりますところの設備資金の貸し付けの改善につきましても何点かございますが、その第一点は、やはり振興事業関連の施設貸し付けにつきまして、まず、償還期限を現行十年から十三年に延長いたしまして、返済をしやすくするという点が一点あります。そのほかに、この振興事業貸し付けにつきまして特別利率が適用されますのを、品目を列挙いたしておるわけでございますが、その対象品目を追加するということをいたしております。
 それからなお、この対象の業種につきましても、新しく食肉販売業が、振興指針が告示されましたことに伴いまして、追加されるということに相なっております。
 その次の設備資金の貸付条件の改善といたしましては、限度額の引き上げがございます。第一に、飲食店等の一般業種につきましては、従来三千五百万円以内でございましたのを四千万円以内に、それから旅館業につきましては、従来七千万円でございましたのを九千万円以内に、それから公衆浴場業につきましては、従来九千万円以内でありましたのを一億円以内というように限度額の引き上げをいたしております。
 次に、三番目に、公衆浴場を確保するために公衆浴場特別対策の適用利率を従来から実施しておりますが、これを六十一年度予算におきましては、現行の六・五%から六・〇%に引き下げるという内容がございます。
 そのほか、新たに環境保全対策の一環といたしまして、大気汚染防止貸し付けを創設するというようなことも加えられております。以上が主要な改善点でございますが、今後とも、当公庫の融資につきましては、環境衛生関係営業の置かれております状況に対応いたしまして、その改善と充実に努力をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。
#162
○高杉廸忠君 今お話しがありましたとおりに、公庫融資に運転資金を加えることにより、従来の設備資金貸し付けと相まって政策金融効果が一層促進され、その体制が整うことになると思うんですけれども、法改正施行後の活用について、周知徹底をどのように今後図っていくか、このことが大事だろうと思うんですが、どのようにお考えになっていますか、伺います。
#163
○参考人(山下眞臣君) 先生御指摘のとおりに、設備資金に加えまして新たに運転資金が創設されることによりまして、両々相まちまして、環衛業の非常に多様な資金需要にこたえまして、総合的、実効性のある融資を行うことが可能になると考えておりまして、当公庫の融資の前進に喜ばしいことだと思っているわけでございます。
 御指摘のとおりに、これを活用していきますためには、よく制度を知っていただくということが何よりもまず大事であるということを考えておるところでございます。私どもといたしましては、あらゆる手段を通じてこれをPRいたしてまいりたいと思っておりますが、当面具体的には、当公庫が発行いたしております定期刊行物やパンフレットによる広報、こういったものはもちろんといたしまして、全国の各都道府県に設置が完了いたしましたところの環境衛生営業指導センターあるいは各業種ごとの環境衛生同業組合、あるいはこの営業指導センターや同業組合に置かれております経営指導員、経営相談員、こういった方々によく理解をしていただいて周知徹底をお願い申し上げたい。あるいは、当公庫の貸し付けは非常に代理店に多く委託をいたしておりますが、国民金融公庫を初め、各民間金融機関ほとんどすべてに委託をいたしているのでございますが、そういった代理店にも、当公庫の融資制度をよく御理解、PR、あるいは窓口での親切な融資相談等をお願いいたしまして、新たに十月から始まります運転資金制度について、その周知徹底に全力を尽くしてまいりたいと考えておるところでございます。
#164
○高杉廸忠君 大変お忙しい中、ありがとうございました。今後、営業の振興に一層寄与されますように、御活躍をお祈りいたしたいと思います。
 次に、厚生省に伺いますが、国民年金の第三号被保険者の申請手続が大幅におくれているようですけれども、現状どうなっていますか。
#165
○政府委員(長尾立子君) 第三号被保険者につきましては、国民年金にかねて任意加入をされておられました六百七十七万人の方を対象に、昨年の十月末から十一月にかけまして届け出用紙をお送りいたしまして、厚生年金保険、船員保険の被保険者の被扶養配偶者の方にはその旨のお届けをいただくように準備を進めてまいりました。
 一月末現在で締め切ったわけでございますが、この届け出状況は四百三十六万件で、届け出率は六四%でございます。で、この六百七十七万人のかつての任意加入者の方々には、共済組合の組合員の奥様方、被扶養配偶者の方も約百三十万人程度は入っておられると思いますが、これらの方々には別途のお届けをお願いするということになっておりますので、実質的な届け出率は八〇%ではないかと思っております。
 共済組合の組合員の奥様方につきましては、二月末に開始をいたしました。また、任意加入をしておられなかった第三号被保険者の適用事務につきましては、四月一日から開始をいたしたところでございまして、この点につきましてはまだ状況をつかんでいる段階ではないわけでございます。
#166
○高杉廸忠君 期日に、四月一日ということでありますから、間に合わなかった人たちの救済ですね、これはどのようにお考えになっておりますか。
#167
○政府委員(長尾立子君) この提出期限でございますけれども、本年の一月三十一日までと一応お願いをいたしまして、共済組合の組合員の被扶養者の方は三月三十一日までというお願いをしておるわけでございますけれども、このように提出期限を定めさしていただきましたのは、本年四月からの保険料が、誤って納入する必要がない方についても納入されるということがあってはいけませんので、こういう形の期限を決めさせていただいたわけでございますので、引き続き届け出は受け付けております。
 私どもといたしましては、お届けは、極端な場合いつでもよろしいわけでございますけれども、できるだけ速やかにお願いしたいと思っております。
#168
○高杉廸忠君 大変申請手続がおくれていることについてお話があったんですが、その対策ですね、これにはやっぱりPRの強化や今後の取り組み、そして期間の問題、具体的にあると思うんですが、どのようにお考えになっておりますか。
#169
○政府委員(長尾立子君) 第三号被保険者の方のお届けは、できるだけ早くお届けをいただくということが望ましいことだと思っておるわけでございますが、省令上、第三号被保険者になられました場合は一月以内にお届けをいただくということでございますので、新しい制度が発足いたしました四月から一月以内にお届けをいただきたいわけでございますけれども、若干の届け出おくれということにつきましては、弾力的に取り扱う必要があるというふうに考えております。制度発足の際でございますので、お届けがおくれるということもあろうかと思いますので、その点は弾力的に取り扱わしていただきたいと思います。
 それから、今、先生御指摘のございました、徹底したPRを行って、こういった届け出漏れのないようにという御指摘は、もうおっしゃるとおりと思います。私どもといたしましては、現在こういうようなことを考えておるわけでございますが、一般的なPR、市町村広報紙、それからテレビ、新聞、雑誌等の一般媒体を用いましたPR、これを積極的にやらしていただくということが一つであると思います。
 それからもう一つは、三号被保険者の方につきましては、いわば配偶者である二号被保険者の方がおられるわけでございますので、事業主の方にできる限り御協力をいただくということが一つではないかと思います。私どもの社会保険事務所は、厚生年金の方からいろいろな形で説明会をいたす時期があるわけでございますが、この時期に、事業主の方に趣旨をお話し申し上げまして御協力をお願いする、用紙を事業主の方にお配りすると。それから、私どもの職員が事業主のところを巡回するということもやらせていただきたいと思っております。
 こういうことをやりましても、さらに漏れるということもあるかと思うのでございますが、まあ各個々の世帯をすべて網羅して、私どもの方から三号に該当する方にお届けをしてくださいという呼びかけをするというのはなかなか難しいと思うのでございますが、できる限り、世帯まで入った形のお届けの勧奨ということをぜひやりたいと思っております。
#170
○高杉廸忠君 せっかく基礎年金として出発するわけでありますから、漏れのないように鋭意ひとつ大臣ね、しっかりやっていただきたいと思います。
 次に、宇都宮病院問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 先日の三月二十日、宇都宮地裁において、宇都宮病院リンチ死亡事件に関与した四人の看護助手などに対して、傷害致死、暴力などのかどにより、懲役四年の実刑を含む厳しい判決がなされました。また、昨年の三月二十六日には同地裁で、無資格者の診療ほかの件で、石川文之進前宇都宮病院長に対して懲役一年の実刑と罰金三十万円という異例の判決もありました。
 そこで、大臣に伺うんですが、これらについての所見、まず伺います。
#171
○国務大臣(今井勇君) 先日出されました第一審の判決につきましては、裁判所におきましてもそれなりの事実関係に基づきまして御判断されたものだと考えておりますが、本件につきましては、さらに上級審の判断をどうせこれ仰ぐことになるんだろうと思いますので、本件についての具体的なコメントは差し控えたいと思います。
 しかしながら、いずれにいたしましても、裁判の結果は別といたしまして、一般的に申し上げますと、精神障害者の医療とか保護を行います精神病院におきまして、病院の職員が患者に対して暴行事件をするなんていうことは、これはあってはならないことだと私は本当に思います。
 したがって、こんな不祥事件が今後発生しませんように、精神病院に対します指導監督の強化徹底を図ってまいりたい。本当に私は申しわけないことだと思っております。
#172
○高杉廸忠君 大臣の所見もいただきましたが、宇都宮病院事件というのはまだ終わっていないと思うんです。
 そこで、同病院について伺うんですが、現在の措置入院ですね、それから同意入院の患者の実地審査がありましたが、その結果と、現在入院不要と判定されて残留入院している人数とその内容について明らかにしていただきたいと思うんです。
#173
○政府委員(仲村英一君) 五十九年に、宇都宮病院の事件の後に、措置入院患者と同意入院患者の全員五百四十三人でございますけれども、実地審査をしていただいたわけでございますが、その結果といたしまして、措置に該当する患者さんが四十七人、それから入院を必要とする患者さんが三百八十二人、それから通院でよろしいという患者さんが百三人、その他十一人ということでございました。その最後の百三人と十一人を足しまして百十四人でございますが、この方々は入院が不要ということで判定されたわけでございますが、その後、病院、県等が退院促進につきまして努力をしていただきまして、現在八十四人は既に退院をしておりますが、三月二十八日現在で三十人がまだ入院しておるのが実情でございます。
 その内訳でございますけれども、三十人の方のうち、実地審査の後に病状が悪化されて引き続き入院が必要と判定されている方が九人、それから家族の引き取りが拒否されて退院できないという方が十九人、それから単身のために引き取る方がおられない方が二人、こういう状況でございます。
#174
○高杉廸忠君 その解消ですね、いつまでにおやりになるのか、またその解消計画、これはあるのかどうか、どうでしょう。
#175
○政府委員(仲村英一君) ただいまも一部申し上げましたけれども、五十九年の時点で入院不要とされた患者さんのうちで、本年の三月二十八日現在で三十人がまだ入院されておるわけでございます。そのうち、病状の悪化等で入院の必要のあられる方九人を除きます二十一人という方が、先生がお尋ねの退院をすべき患者さんということになろうかと思います。
 したがって、私どもとしても引き続き県を指導いたしまして、この患者さんたちの退院を促進していただくように努力を図ってまいりたいと考えておりますが、いつ時点までというお約束はなかなかできないのではないかと思うわけでございまして、例えば、家族が患者の引き取りを拒否される場合でございますとか、引き取り手のない方の場合には、本人の処遇が、単に退院ということで出されましても、社会的に適応ができるかどうかという問題も含めて考えないといけませんが、当然のことながらお尋ねのようなことで、私どもといたしましても、今後家族の方を説得いたしましたり、あるいは住居のない方については住居を確保する等、いろいろの施策、対応を考えて退院を進める努力を続けてまいりたい、このように考えております。
#176
○高杉廸忠君 いただいた資料を見ても明らかなように、本年の二月十五日三十四人、三月七日三十一人、三月二十八日、今のお話のように三十人、こういうことですね。そこで、今、局長が退院の促進というけれども、実際には、資料にも明らかなように進んでいないんですね。これは明らかなんです。
 そこで、具体的にどういう方策を今後とって退院の促進を図る、こういう具体的な方策、これはやっぱり明らかにすべきだと思うんです。どうでしょう。
#177
○政府委員(仲村英一君) 退院の促進ということでございますけれども、実際上なかなか難しい面もあるということで先ほどお答えさせていただいたわけでございますが、保護義務者による引き取りということで引き取っていただくのが実は一番よろしいかと思いますけれども、それにつきましても、家庭の状況その他でなかなか難しい場合もあり得るということだと思います。方向としては多少なりずつとも減少はしておりますけれども、ただ単なる説得だけでは非常に難しい場合もあり得るのではないかというふうに考えておる次第でございます。これはやはり患者さんの社会復帰施策全体とのかかわりもあろうかと思います。
 栃木県の場合でございますけれども、六十一年度から新たに精神障害者が社会復帰する際に、いわゆる共同住宅というような形で家を建てた場合に、そこの運営費を助成するというふうな新しい施策も予算として計上いたしたというふうに私ども把握してございます。したがって、こういうような対策の対象として患者さんたちを選びまして退院を促進するような措置をとるように、今後指導してまいりたいと思いますが、一般的に申し上げましても、そのような施策も含めまして、今後継続入院者が解消されますように、粘り強くいろいろの施策、取り組みに努めてまいりたい、このように考えております。
#178
○高杉廸忠君 局長、これ以上人権の侵害を続けていってはいけないと考えるんですね。
 そこで私は、具体的に解決の方法を申し上げたいと思うんですが、ぜひともひとつ大臣実行していただきたい。まずお願いを申し上げます。
 そこで、具体的に申し上げますが、今、三月二十八日に三十人、この全員をぜひこの機会に弁護士さんに会わせていただきたい。そうしますと、弁護士さんの方では面接をして全部受け皿を用意するというんですよ。だから、そこまで今人権侵害を続けてはいけないというところまで来ているわけですから、大臣、ひとつそれが実現できるそのことからやってみたらどうでしょう。弁護士さんの方では受け皿をつくる、こう言っているのですね。どうでしょう。
#179
○政府委員(仲村英一君) 具体的なお尋ねでございますが、私ども、もう既に先生御承知のように、
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕「精神病院入院患者の通信・面会に関するガイドライン」というのをお出ししたわけでございますが、この中で、患者の代理人でございます弁護士さんあるいは患者または保護義務者の依頼によりまして患者の代理人となろうとしている弁護士さんとの面会は制限しないということが、内容として盛られているわけでございまして、この場合、したがって今御提案のございましたような、弁護士さんが個々に面会をされてそのようなことをなさりたいという場合には、先ほど三十人のうち症状悪化例九例を除きました二十一人の患者さんに、病院から引き取るというふうなことで、受け皿とおっしゃいましたけれども、いろいろ努力をされていただける弁護士さんがおられるということでありますれば、私どもといたしましては、その弁護士さんの具体的なお名前等をこれらの患者さんに個々に知らせるように、栃木県を指導してまいりたいと考えております。
#180
○高杉廸忠君 ぜひ局長、大臣にも特にお願いをしておきます。御指導いただいて、具体的に私の方からもお願いをしたり御連絡を申し上げます。実現できるようにひとつ重ねてお願い、要請をしておきます。
 次に、精神衛生法改正に関して伺うんですが、我が国の精神衛生行政の骨幹である精神衛生法の改正、これが俎上に上っております。この内容として、同意入院制度、精神障害者の定義、社会復帰、それから地域精神医療体制などがあるとのことですが、これ以外に改正を予定されている点、どういうような点が考えられますか。
#181
○政府委員(仲村英一君) 今、御指摘ございました同意入院制度でございますとか、社会復帰とか、地域精神医療とかいろいろございますが、これはすべて広く現在の精神衛生法に盛られておる部分で、なおさらに改善すべきではないかということで、御指摘のあったものも含めまして、種々検討を重ねてまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、具体的に改正点をまだ網羅的にお出しできる段階ではございませんけれども、現在、関係の諸団体、医療関係の団体でございますとか、学界とか研究機関、家族の会の方あるいは地方団体等に、精神衛生法改正についての御意見をお出しいただくようにお願いしているところでございまして、一部御意見として伺った部分もございますけれども、今後そういう広くいろいろの御意見を承って、さらに改正作業に検討事項として盛り込んでいきたい、このように考えております。
#182
○高杉廸忠君 精神衛生行政については、改革はほんの緒についたばかりで、私は課題はまだたくさん残されていると思うんですね。
 そこで、この際幾つかの点に関して伺いますが、まず、差別是正について伺います。
 医療法第二十一条、これは病院の法定人員及び施設等、これを定めていますね。この二十一条第一号による医師、看護婦などの医療従事者の配置基準並びにその算出の根拠、これをぜひ明らかにしていただきたいと思うんです。どうでしょう。
#183
○政府委員(竹中浩治君) 病院の医療従事者の配置基準でございますが、その員数の標準といたしまして、医師の場合は、入院患者数に外来患者数を二・五で除した数、これを加えまして、その数が五十二人までは三人、それからこの患者数がそれを超えます場合には、十六人患者が増しますごとに一人を加えるということになっております。また、看護婦及び准看護婦でございますけれども、入院患者数四人または外来患者数三十人ごとに一人という規定になっております。
 なお、この基準につきましては、設定の当時、厚生大臣の諮問機関でございました医薬制度調査会において十分検討が行われた結果、定められたものでございます。
#184
○高杉廸忠君 ところが、そのほかに精神病については低水準の特例が二つあるんですね。この内容について明らかにしていただきたいと思うんですが、どうでしょう。
#185
○政府委員(竹中浩治君) 医師等の人員の配置基準、先ほど申しましたようなことで、入院患者数と外来患者数に応じまして標準数を定めるということでございますが、精神病床につきましては、一般病床と比べまして入院患者数を、医師につきましては三分の一、看護婦につきましては三分の二に換算をいたしまして標準数を定めておるということでございます。
 それから昭和三十三年の厚生省医務局長通知によりまして、精神病院について、「医師の確保が困難な特別な事由があると認められるときは、暫定的にこれを考慮し運用することも止むを得ない」という通知が出ておるわけでございますが、現在、この昭和三十三年の医務局長通知によります運用は行っておりません。
#186
○高杉廸忠君 どうも答えを聞いていますと、一つは、精神病院は事情があればお医者さんは少なくて済む、一人でもいいというようなふうに聞こえるんです。それからまた、精神病の精神障害者ゆえに一般患者さんに比べて低い水準にあっても仕方がないというように今聞こえたんですけれども、どうでしょう。
#187
○政府委員(竹中浩治君) 精神病院につきましては、収容患者の症状がおおむね慢性的な経過をたどる、こういうことから、結核病院あるいは老人病院と同様の人員配置基準を指定いたしておるところでございまして、私どもといたしましては、この基準によりまして医療上適切な対応が可能であると考えておりまして、精神病院につきまして、まともな理由もなしに低水準の基準を設けておるということではございませんので、御理解を賜りたいと任ずる次第でございます。
#188
○高杉廸忠君 私にはそこの辺は理解もできないし、納得もいきません。したがって、今後もその論争というのは続けていきたいと思っていますが、私は、やっぱり適切な対応というならば、これはそういう差別がなくて十分な人権が守られ、そして治療が行われる体制があってしかるべきだ、こういうふうな立場をとっております。いずれまた詳しく論争したいと思いますけれども、話題を変えまして次に進みます。
 民間の精神病院の実態については、たくさんの事件からほぼ判断がつくんですけれども、一方の公立については、残念ながら十分に把握できない、こういうふうな実情なんです。
 そこで、この際伺いますが、東京都立松沢病院、この病院における過去三年間にわたる同意入院者の実態について私は資料を要求したんでありますが、出せないという返事でありました。つれない返事なんですね。なぜ提出できないのか、理由をこの際ここに明らかにしていただきたい。
#189
○政府委員(仲村英一君) 資料の要求がございましたのは、五十八年十二月末現在、五十九年十二月現在、それから六十一年の三月九日現在の松沢病院におきます入院患者数とその内訳ということでございました。一部につきましては、六十一年三月九日現在の数字につきましては、同意入院患者の保護義務者別の内訳と家庭裁判所の選任を必要とする者、しない者の状況についての資料をお出しいたしました。しかし、五十八年十二月、五十九年十二月と、過去にさかのぼりまして詳細な資料の御提出を要求されたわけでございますけれども、過去の時点にさかのぼって詳細なデータを求めることは、どうもカルテの保存状態その他から、その当時の入院患者をまず調べる。そうしますと、御承知のように、松沢病院は大体千人ぐらいの患者さんがおられますので、その千人、時点では千人でございますけれども、期間で言いますとかなりの数のカルテをひっくり返してみなくちゃいけないというようなことから、先生が御要求いただいた資料について的確にお答えすることが物理的に非常に困難であったということでございまして、特に他意はないわけでございますけれども、かなり膨大なさかのぼった作業をせざるを得ないということからそのような御返事になったわけでございまして、ぜひ御理解をいただきたいわけでございます。
#190
○高杉廸忠君 同意入院制度を改める必要があることは、宇都宮病院事件がそれを端的に教えていると思うんですね。岡病院の同意入院患者の中には、入院届も同意書も管理不行き届きで、ない人たちもかなりあったんです。これと同じようなことが公立病院でもあるという話もあるし、松沢病院に関しては、昨年の三月の時点で約三百名の手続不備者がいたのではないかという話も聞いております。
 先日いただいた資料によれば、手続上形式的にはパーフェクトに見えるんですが、しかし百七十一名もの人たちが市長の同意書ですね、これを取りつけている人がわかったんです。そこで私は、特にこの中身を、局長ね、その中身を知る必要を痛切に感じたから過去三年さかのぼって資料をぜひひとつ出していただきたいと。今のお答えでは、物理的にと言うけれども、私は調査可能だと考えます。そのことができないと、これから精神衛生法の大改正をやろうということですから、私はぜひ出していただきたい。あるいは、これから調査をし集約するというならそれでも結構でありますから、ぜひ実現をしていただきたい。再度お願いしておきますが、いかがですか。
#191
○政府委員(仲村英一君) 三月九日時点で、同意入院の患者さんが松沢病院に九百九十四人おられまして、これは先生に御提出申し上げた資料の数字でございます。その中で、今御指摘のように、保護義務者の選任を必要としない患者さんが二百三十八人、必要とする患者が七百五十六人でございますが、家裁におきまして選任済みの方が五百八十五名おられまして、今おっしゃいました百七十一人というのは、手続的には市区町村長の同意がございまして、現在家裁で選任の手続をお願いしているという百七十一名の方でございます。おっしゃいますように、家裁へ選任手続をしてどのぐらいたっておるかというふうなことも、中身として先生がお知りになりたいということだと思いますが、私どもとしても、それをどういう形で把握できるか、ちょっと現在百七十一名会員についてということでお約束できるかどうかわかりませんけれども、今後、せっかく先生の御指摘でもございますので、東京都ともよく御相談いたしまして、可能な資料については提出できるよういろいろ努力をしてまいりたいと考えております。
#192
○高杉廸忠君 局長もわかっているように、病院におけるカルテの保存期間というのは五年ですね。だから私は、十五年も二十年も前のことを言っているわけじゃないんですね。しかも、同意入院制度に関する判断の材料としてはぜひ必要なわけです。本来なら、全国の公立精神病院に関して全部私は資料として提出を求めたいところでありますけれども、非常にこれは膨大になるし大変だと、こういうふうに思っていますから、だから近くの都立の松沢病院に関してぜひ資料をお願いしたいと、こういって要請をしたんです。大臣もうなずいておられるように、無理ないと思いますね。重ねて、大変だと思いますけれども、資料を出していただいて、そして正確な私どもの判断にしたい。資料なくしては正確な判断ができないんです。法改正に向けて、我が国の精神衛生行政の政策、これを私はやっぱり確立をしていくということの立場から申し上げているんで、厚生大臣もぜひひとつ御指導をいただきたいと思います。いかがでしょう。
#193
○国務大臣(今井勇君) 今ずっとお話を聞いておりまして、ごもっともですね。私も、今の松沢病院の同意入院の実態に関します資料の提出に関しましては、担当の精神保健課長と東京都とよく相談させまして、努力してまいりましょう。ぜひひとつそのように努めます。
#194
○高杉廸忠君 お願いをいたします。
 これまで私は、三局長通達やガイドラインなどに関しては、法改正が骨幹と考えまして、今までの論議で触れてきてなかったんです。しかし、どうも疑問がありますので、この際伺います。
 全然ガイドラインを病院におろしていないのが広島と岡山の両県と聞いています。それから、衛生部が病院長会議であくまでも参考であると説明したのが長野と静岡の両県で、きちんと衛生部が指導しているのは大阪くらいだというふうに聞いているんです。
 このガイドラインについてはどのようになっておりますか、伺います。
#195
○政府委員(仲村英一君) ガイドラインにつきましては、六十年十月十九日に保健医療局長名で都道府県知事に通知したところは御承知だと思いますが、その後におきましても、内容的なことをさらに念を押すために、本年一月に開かれました全国の衛生部長会議、あるいは二月に全国の精神保健主管課長会議もございまして、そういう機会を利用いたしまして、精神病院の指導指針ということで、都道府県に機会をとらえまして鋭意指示をしてきておるところでございます。
 御指摘の県を初めといたしまして、精神病院に対するガイドラインの趣旨の徹底が十分でない都道府県に対しましては、さらにできるだけ速やかにその趣旨の徹底を図るように、今後とも強く指導してまいりたいと考えております。
#196
○高杉廸忠君 大臣、お聞きのようにわずかな県なんですね。ですから、趣旨の徹底、これはぜひ図っていただいて、全国的にやっぱり徹底するように特段の御配慮をいただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#197
○国務大臣(今井勇君) お説のとおりだと思います。
#198
○高杉廸忠君 局長ね、さっきのお話のような、どうにもならないですね、このぐらいのことでは。ぜひひとつ、大臣の今御返事もいただきましたから、鋭意趣旨の徹底をしていただきたい。重ねてお願いをしておきます。
 御承知のとおり、ことしは国際障害者年の中間年であります。我が国の精神衛生行政が国際的にも注視をされております。「完全参加と平等」の精神に沿って、私はさっき精神病の特例で申し上げましたが、二つの特例ですね、これはぜひひとつ撤廃をしていただいたらどうか、こういうふうに思うんです。大臣、ぜひとも撤廃していただくようにお願いしたいんですが、いかがですか。
#199
○国務大臣(今井勇君) 精神病院におきます医師などの人員配置の特例の問題でございますが、先ほど政府委員が答弁をいたしましたとおりでございまして、老人病院などと同様に、患者の疾病というのは慢性的なものであるということに着目して定められておるものですから、直ちに撤廃するということはいかがなものだろうかというふうに思います。
#200
○高杉廸忠君 大臣も、さっき局長からも現実をお聞きになったと思うんですね。一般病院に比べて、お医者さんは一般病院の三分の一でいいというんですね、看護婦さんは三分の二でいいというんですよ。何でそんな差別をつくるんですか。国際的にやっぱり経済先進国日本、人権後進国日本と言われるゆえんがそこにあるんです。国際障害者年の中間年である。世界が注目をしているんです。私も、昨年の八月にジュネーブで開かれました国際人権小委員会に出て、各国の人たちとも意見の交換をしてまいりました。特に批判を受けているのも事実であります。
 ですから、世界が注目をしている今日であります。宇都宮病院も、世界的にどこの国でも非常な関心を持って見ていた。そういう差別や区別、一般の人と精神病の方々と、そういう劣悪な条件でいいという理由をいつまでも続けていっては困るわけですから、ぜひひとつ前向きの姿勢で、法改正もありますから取り組んでいただきたい。重ねて要望いたしますが、大臣、いかがでしょう。
#201
○国務大臣(今井勇君) おっしゃいますように、これからのことを考えますと、精神病院を含めました病院におきます人員配置基準のあり方につきまして、やっぱり我が国の医療供給体制の全面的な見直しを進めていく中で、検討すべき重要な課題の一つであると私も考えております。
 そこで、精神病院におきます医師等の人員の配置の特例措置につきましては、これを今直ちに廃止するというようなことは、先ほど答弁申し上げたように、なかなか難しいと思いますけれども、せっかく先生の指摘されました諸般の情勢の変化なども踏まえまして、十分検討を進めてまいりたい、こう思います。
#202
○高杉廸忠君 ぜひ検討をお願いしたいと思います。
 言うまでもなく、お医者さんも供給過剰の時代と、こう言われておりますし、看護婦さんも非常にふえてきたと、こう言われているわけです。もう二十八年も以前の特例なんですね。二十八年前なんですよ。だから大臣ね、特一類とか特二類と言われる、今日の時代に即した判断が私はぜひ必要だと、こういうふうに思うんです。局長、そういうことも含めまして、大臣の姿勢も今伺いました、ひとつ鋭意その辺も含めて前向きに取り組んでいただく、このようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
#203
○政府委員(竹中浩治君) 先ほど大臣からお答えを申し上げたとおりでございますが、精神病院の人員配置の特例措置でございます。精神病院を含めた病院の人員配置基準のあり方というのが、今いろいろ議論の対象になっておりますので、全体の検討の中で、先生の御趣旨を踏まえて、十分検討させていただきたいと思っております。
#204
○高杉廸忠君 私の最後の質問になると思いますけれども、大臣ね、予算の総括質問、それから一般質問を通じて、私は幾つかの提案や要請を厚生大臣に特にお願いしました。長寿園の問題もしかりでありますし、あるいは中国残留孤児の問題もしかりであります。今また精神衛生行政についても、精神衛生法の改正を用意しておられるわけでありますから、少なくとも人権後進国と言われるようなことのないような、やはり経済先進国にふさわしい人権国に日本がなるためにも、精神衛生行政の一層の前向き、そういう取り組みをぜひお願いしたいし、今井厚生大臣に期待するところ大でありますから、そういう姿勢でひとつ臨んでいただきたい。重ねてお願いをし、大臣の所見を伺って、私の質問を終わります。
#205
○国務大臣(今井勇君) 私も、たびたびの質疑を通じまして、先生が長寿園の問題やら、あるいはお話しがありました中国残留孤児の問題、あるいはきょうの精神衛生法の問題等につきまして、大変温かみのある、しかも鋭い御質問をいただきまして、大変先生の御見識に敬服するものでございまして、できるだけの努力をいたしまして、先生の御希望に沿えるようなものを一つでも積極的にやってまいりたいな、こう考えておりますので、今後とも御指導を十分お願いいたしたいと思います。
#206
○糸久八重子君 初めに、政府管掌健康保険の国庫補助の特例措置についてお伺いを申し上げます。
 六十年度の繰り延べ九百三十九億円は一年限りである、これは、昨年三月の予算委員会で、我が党の安恒議員の追及に対して増岡前厚生大臣が約束した言葉でございます。それにもかかわらず、六十一年度においても、国庫補助所要額七千九十六億円のうち一千三百億円が削減されて、五千七百九十六億円しか計上されておりません。これは国会や国民に対する重大な約束違反であり、問題ではないかと思います。どうして六十年度に引き続き六十一年度もこのような措置が強有されようとするのか、大臣にお伺いをいたします。
#207
○国務大臣(今井勇君) 今回の措置は、国家財政が極めて厳しい状況にある中で、六十年度におきましては、医療費が当初の見込みを下回りまして、相当の額の積立金が出るというふうに見込まれましたので、国の財源を確保するためにやむを得ず講じたものでございます。この措置によります減額分につきましては、いわゆる財確法の第四条の規定によりまして、後日健康勘定に繰り戻すことにしておりまして、実質的には積立金とほぼ同様の役割を果たすものでございますので、政管健保事業の適正な運営には支障を生じさせるものではないと考えますので、ひとつ御理解をいただきたいものだと思うものでございます。
#208
○糸久八重子君 政管健保財政が赤字のときには、三K赤字として責め立てられて、その結果、被保険者とか事業主が経営努力をして、健康維持のためのあらゆる努力をいたしました。そして保険財政に余力ができて、黒字となって積立金が計上されるようになったわけですね。その途端に、国庫負担削減のシーリング合わせのために、本来繰り入れらるべき国庫負担が六十年、それから六十一年で二千二百四十億円もカットされる。これは経営努力をする意味が全くないと言わざるを得ないわけですね。健康保険を所管して保険制度の健全な運営に責任を持つ大臣として、この経営努力をしたということ、そのことをどうお考えになりますか。
#209
○政府委員(花輪隆昭君) ただいま先生から御指摘ございましたように、再度の特例措置千三百億円、前回分と合わせまして二千二十九億の特例措置に相なったわけでございます。政府管掌健康保険の黒字にいたしましては、五十九年度の法改正によりまする一部負担、本人一割負担の導入、あるいは標準報酬の上限の引き上げというふうな制度的な要因ももちろんございますし、それ以外にも、この法改正を特に契機といたしまして、国民の健康意識の高揚というふうなものも十分推察できるのではないか。あるいはまた、医療費の適正化対策、あるいは成人病予防対策の推進というふうなものの要因も考えることができるのではないかというふうに見ておるわけでございます。
#210
○糸久八重子君 本来、医療保険というのは、年金のような長期保険とは違った短期保険ですね。健全運営のためのいわば積立余裕金があればいいわけであって、多額な積立金は必要としないのではないのでしょうか。また、政府管掌健康保険の収支決済の推移を見ましても、五十六年度以降すっと黒字を示しているばかりでなくて、その黒字幅も当初見込みを大幅に上回っているのが現状である。そんなに多額な積立金を必要としないことを示唆しているんじゃないか、そう思います。
 そもそも、医療保険における積立金はどの程度必要なのか、その基本的な考え方、指標を明らかにしていただきたいと思います。
#211
○政府委員(花輪隆昭君) 政管健保の積立金はどの程度の規模と考えておるのか、こういうお尋ねでございます。
 政管健保の財政状況といたしましては、過去長らく、先生も御案内のように、赤字を続けてまいりました。私ども、実は累積債務を抱えまして五十九年度まで運営をしてまいったわけでございます。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕五十九年度二千四十億の黒字が出たわけでございますが、そのうちの十一億を過去の累積債務、これは保険料財源で返済すべき額でございますが、に充てまして、そしてやっとこの累積債務の償還を終わったというところでございます。その後の剰余につきましては、厚生保険特別会計法第七条の規定によりまして、決算上の剰余は積立金として積み立てろ、こういう規定がございます。その規定にのっとりまして、現在ようやく積立金を保有することができる状況になったわけでございます。
 先生も御案内のように、健康保険組合でございますと、給付費等の三カ月というものを準備金として積み立てなければならない、こういうふうな規定もあるわけでございます。私ども、過去の政管の赤字の状況というふうなものを見ますると、少なくとも二カ月以上三カ月程度まで持つことができれば大変望ましい。これは、今後の人口高齢化によります医療費の増、あるいは五人未満事業所の適用というふうなものもあるわけでございまして、今後の財政の安定的な運営ということを考えますと、そのようなことで積立金を持つことができることが望ましいというふうに考えておるところでございます。
#212
○糸久八重子君 六十一年度の繰り延べ額一千三百億円は、六十年度末の政管健保の積立金見込み額三千九百一億円の三分の一程度と説明されておりますけれども、二千六百億円程度の積立金があれば、六十一年度では事業の適正な運営が確保できると判断してのことなのでしょうか。
#213
○政府委員(花輪隆昭君) 六十一年度予算につきましては、直近の医療費の動向等を見込みまして収支均衡予算を編成したわけでございますが、その際、保険料率につきましては千分の一の引き下げを行ったというふうな予算を見まして、安定的運営という点につきましては、これで十分収支均衡予算を編成できたというふうに思っておるわけでございます。
#214
○糸久八重子君 今おっしゃられましたとおり、収支残が生じて必要以上の余裕金が生ずるならば、その分は本来被保険者に還元するのが筋ですね。だから、被保険者に還元するということになれば、保険料率の引き下げということになるわけですけれども、また給付の改善ということを考えてもいいわけですね。その辺はいかがですか。
#215
○政府委員(花輪隆昭君) 確かに、先生ただいま御指摘のように、短期保険といたしまして財政にゆとりがございますれば、基本的には、保険料の引き下げ、あるいは給付の改善に充てるというのが筋であろうというふうに私どもは考えております。
 しかしながら、先ほども申し上げましたように、政管健保は長年赤字でございまして、積立金というのは全く持っておらなかったというふうな状況が続いておったわけでございますので、私どもといたしましては、昨年の十二月、社会保険審議会、関係審議会におきましても財政状況を報告いたしたわけでございますが、その際、いろいろ御意見ございましたけれども、さしあたり今後の医療費の増高というふうなものが考えられるわけでございますので、審議会の方の御意向といたしましても、当面、この生じまする剰余は積立金として持っておくべきであるというふうな御意見も実はちょうだいいたしたような次第でございます。ただし、六十一年度予算編成の際に剰余があるというふうなことであれば、その剰余に着目をいたしまして被保険者に還元をするというふうなことを考えるべきだ、こういうふうな御意見をちょうだいいたした次第でございまして、保険料率千分の一の引き下げ、あるいは成人病の予防検診の拡充というふうな措置を六十一年度に講じまして、被保険者の立場に対する配慮というふうなものも十分いたしたつもりでございます。
#216
○糸久八重子君 六十一年四月の納付金から料率が引き下げられるわけですね。千分の八十四から八十三になるということだそうでございますけれども、それによる財政影響額はどのくらいになりますでしょうか。
 また、もう一つですが、被保険者一人当たりの保険料負担の減額分は、金額にしてどのくらいになりますでしょうか、お伺いいたします。
#217
○政府委員(花輪隆昭君) お尋ねの保険料率千分の一引き下げに伴う財政への影響額でございますが、四百十八億というふうに見込んでおります。
 また、被保険者一人当たりの保険料の軽減額でございますが、これは事業主負担と両方あるわけでございますけれども、被保険者本人負担分で申し上げますと、年額千三百二十円というふうに見込んでおります。
#218
○糸久八重子君 影響額が四百十八億円ならば、繰り入れの特例措置による国庫負担の削減分一千三百億円がなければ、保険料はさらに千分の三、一人当たりの負担では約八千円、本人負担だけでも四千円分の引き下げが可能ということにはならないでしょうか。
#219
○政府委員(花輪隆昭君) 数字的に計算をいたしますると、先生今御指摘のようなことになるわけでございますが、実は、先ほど来申し上げましたように、大臣からも先ほど御答弁申し上げましたように、この特例措置額は、後日、政府管掌の財政状況を勘案いたしまして、一般会計の方から健保勘定の方に繰り戻していただくということになっておるわけでございます。したがいまして、私ども手元に残りまする積立金の見込みでございます二千六百億、それから国の方に、そういう意味で一般会計の方の減額措置になっております九百三十九億と千三百億を合わせますと二千二百三十九億でございますが、それと手元に置いております二千六百一億、この合計額が全体で四千八百四十億ということになるわけでございまして、実質的な意味での積立金というふうなものを考えます場合には、私ども、この特例措置額も含めまして考えておるということにいたしておるわけでございます。財政状況を勘案して必ず繰り戻す、こういうことになっておりますので、積立金の一部だ、いわば実質的には積立金である、こういうふうに考えているわけでございますので、先ほど申し上げましたように四千八百四十億になるわけでございますけれども、これは現在の段階で健保組合三カ月と先ほど申し上げましたけれども、大体その半分ぐらいに該当する程度のレベルでございますので、私どもこれを取り崩して保険料の引き下げに充てるというふうなことは、まだ考えておらない状況でございます。
#220
○糸久八重子君 連年の特例措置によりまして繰り延べられた額については、将来の政管健保財政の悪化により事業の適正な運営が困難となった場合は速やかに返還する、さらに、国の一般会計が特例公債依存体質から脱却し、財政再建が成った後は速やかに繰り入れるという覚書が、大蔵大臣と厚生大臣の間で交わされているということでございますけれども、間違いはございませんか。
#221
○国務大臣(今井勇君) おっしゃるとおりでございまして、私どもはその政府内の方針に沿って、それをきちっと守ってまいりたいと思います。
#222
○糸久八重子君 六十一年度においても繰り延べを強行するのであれば、やはりその覚悟をはっきりと国民の前に明らかにする責務があるのではないか、そう思いますけれども、大臣、いかがですか。
#223
○国務大臣(今井勇君) 私どもは、大蔵大臣との覚書でございますから、そのとおりにやってまいりたい。繰り返しになりますけれども、そのとおりでございます。
#224
○糸久八重子君 私の方も繰り返し、もう一度念のために確認をしたいんですけれども、特例公債依存体質から国の財政が脱却したならば、仮に政管健保が大幅に黒字であっても、減額分は直ちに返還されることとなるのですね。よろしゅうございますね。
#225
○国務大臣(今井勇君) 直ちにというんじゃなくて、速やかに返還をされるという理解をいたしております。
#226
○糸久八重子君 次は、厚生年金保険等の国庫負担の繰り延べについてお伺いをしたいと思います。
 五十七年度以降の行革特例法によります国庫負担の繰り延べ、さらには六十一年度に予定されております補助金特例法による繰り延べ措置の続行によりまして、一体総額ではどのくらいの額の国庫負担が後代送りとされることになるのでしょうか。
#227
○政府委員(長尾立子君) 今、先生お話しございました昭和六十一年度までの厚生年金の国庫負担の繰り延べ額の累計額は、一兆二千五百十億円でございます。
#228
○糸久八重子君 五十六年度のいわゆる行革国会以来、政府は繰り戻しに際しては積立金運用収入を含めて返済する旨を約束してきておりますけれども、利子相当分についてもあわせて御答弁をいただきたいと思います。
#229
○政府委員(長尾立子君) 今の一兆二千五百十億円につきまして、一応の一定の前提を置きましてというのは、そのときに資金運用部に預託したならば生むであろう運用利子というものを一定の前提を置いて試算をいたしますと二千百七十二億円でございますので、合計いたしますと一兆四千六百八十二億円ということになります。
#230
○糸久八重子君 元利合計では一兆五千億円もの額が、いわば積立金から借金する形で繰り延べられておるわけですね。
 五十六年度の行革国会では、五十七年から五十九年度までの特例適用期間中の削減分は、財政再建後の六十年度以降繰り入れることを確約しているにもかかわらず、返すどころか、六十年度、さらには六十三年度まで国庫負担の繰り延べが延長されようとしているわけで、全く遺憾と言うほかはないわけであります。そして国会で質問をすれば、財政再建後速やかに繰り入れると答弁を繰り返しているわけでありますけれども、覚書も交わされているようですから、単に約束を先送りするだけでなくて、政府として具体的な返済計画を明示して、そしてその実現に向けて責任ある行動を起こす時期に来ていると考えるわけですけれども、年金担当大臣の確たる御答弁をいただきたいと思うんです。
#231
○政府委員(長尾立子君) 先生御指摘いただきましたように、この返済計画につきましては、国の財政が大変厳しい状況でございますので、具体的なスケジュールを今お示しすることができないわけでございますが、大蔵大臣、厚生大臣間におきまして、この国庫負担の減額分につきましては、特例公債依存体質から脱却した後にできる限り速やかに繰り入れに着手することとするという旨の覚書が交わされております。その際に、両大臣間で協議の上、年金財政の運営に支障を来すことのないよう計画的に繰り戻しを行うということが約束されておるわけでございまして、私どもといたしましては、この政府の基本方針に沿いまして繰り戻しについての措置をとっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#232
○国務大臣(今井勇君) 今申し上げたとおりでございますが、この繰り延べの措置といいますのは、国家財政が極めて厳しい事情にあります中で、社会保障の実質的な水準を低下させないためにとられた私はやむを得ない措置だと考えております。したがって、今回の措置に当たりましては、国民の年金制度に対します信頼というものをいささかも揺るがしてはいけないということのために、繰り戻しというものを確実にするような諸事項に十分に配慮したというふうに私は考えております。
#233
○糸久八重子君 それでは、ただいまの大臣の御答弁を信頼いたしまして、とにかくできるだけ速やかに――直ちにと私は言いたいわけですけれども、返済できるような措置をとっていただきたい、そう思うわけでございます。
 それでは、次に移ります。自治医大関係につきまして、自治省にお伺いをしたいと思います。
 自治医大の六十一年度の予算は六十八億四千百六十二万円ですけれども、その収入の内訳を教えていただけますか。
#234
○説明員(奥田義雄君) お答え申し上げます。
 六十一年度歳入予算六十八億四千二百万の内訳でございますけれども、学生からの納付金が十億六千三百万、受験手数料が四千万、それから補助金等の収入が四十四億九百万、資産運用収入が十億八千四百万、その他約二億四、五千万ございまして、合計で六十八億四千二百万という数字でございます。
#235
○糸久八重子君 一番大きいウエートを占めております補助金収入四十四億、その内訳につきまして教えていただきたいのですが。
#236
○説明員(奥田義雄君) 補助金等収入の四十四億九百万の内訳でございますが、国庫補助金、これは私立大学等経常費補助金でございます。十六億ございます。それから都道府県の負担金でございますが、これが二十七億六千九百万、その他の補助金等で約四千万でございます。
 以上でございます。
#237
○糸久八重子君 都道府県は一律に八千六百三十万負担をしているわけですね。そうしますと、全国で四十億五千万くらいになるわけですけれども、ただいまお伺いしますと都道府県の負担金がここのところでは二十七億五千万。そうすると、残りの十三億というのは一体何に使われているんですか。
#238
○説明員(奥田義雄君) 修学者に対します修学費貸与金会計の方に回しまして、そちらの方で貸与金として貸し付けているという状況でございます。
#239
○糸久八重子君 自治医大は一九七二年創設以来ほとんどが、今ここで御説明ありましたとおり、因と自治体の出資金、負担金で賄われているということなんですね。しかし、これが一学校法人にすぎないために、各都道府県だとかそれから国会にも業務報告とか会計報告をする義務がないわけですけれども、やはりこれだけの負担金、出資金があるわけですから、今後、これらの公金の使途につきまして詳細に国会やそれから都道府県議会に報告さすべきだろうと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#240
○説明員(奥田義雄君) 自治医科大学につきましては、医療に恵まれない僻地等の医療の確保と向上を図るために、全都道府県が共同いたしまして設立いたしました学校法人でございます。したがいまして、これの会計報告、業務報告等につきましては、直接には私立学校法の規定によるところでございますが、そのほか、この医大の寄附行為等の定めるところによりまして会計処理がなされているということでございます。
 ただ、自治医科大学につきましては、その設立の経緯にかんがみまして、会長には全国知事会の会長が就任しておりますし、また理事、監事、評議員、これらの方の多くに全国知事会の推薦によります知事さんが就任をしておりますし、さらに毎年の事業概要あるいは負担金というふうなものにつきましても知事会で審議されるというふうなことから、都道府県の意向というふうなものは十分反映されるように配慮されているところでございます。確かに、法律上はそういった義務づけをするような法の規定はございませんが、運用等においては、十分都道府県の意向が反映されるような仕組みになっているというふうに考えております。
 なお、都道府県から予算とか決算等の報告を求められました場合には、報告をしているというふうに聞いているところでございます。
#241
○糸久八重子君 今、お答えの中にもありましたけれども、これだけの全体の予算の約六五%というのが補助金等の収入、つまり国とそれから都道府県から出ているわけですから、やはりこれは当然会計報告、業務報告はすべきだろう、向こうから要求があればということではなくて、当然すべきじゃないかと私は思います。
 それでは先に参りますが、自治医大は、今申しました国及びそれから都道府県の拠出のほかに、「へき地医療振興自治宝くじ」というところから交付金が出ているそうですね。例えば、一九八四年度は二十三億八千二百万交付されて、そしてそのお金が核医学センター建設とか女子宿舎などに十六億七千百万円を出して、残りの七億一千百万円が積立金となっている。
 宝くじからの交付金の累積積立金が八四年度末でどのくらいになっておりますでしょうか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
#242
○説明員(奥田義雄君) お答え申し上げます。
 五十九年度末の積立金でございますが、百七十八億六千万という金額になってございます。
#243
○糸久八重子君 百七十八億もの積立金はどこに積み立てて、どのような運用をしておるのですか。
#244
○説明員(奥田義雄君) 百七十八億六千万の資金の積立金の運用状況でございますが、そのうち百六十二億三千九百万につきましては国債等に運用いたしてございます。それから十二億八千九百万につきましては金融債等に運用いたしてございます。残りが投資信託で約三億、それから銀行預金で三千二百万程度というふうな運用状況でございます。
#245
○糸久八重子君 資金運用収入を調べてみましたところが、八四年、つまり五十九年決算では十三億一千二百二万円にもなって、収入合計の二割を占めているわけです。そして、五十九年度決算は差し引き一億四千六百六十四万円の黒字となっているわけですね。使い切れずに積み立てておくようなところに宝くじから交付する意味というのは、一体何でしょうね。
#246
○説明員(奥田義雄君) 宝くじからの交付金につきましては、僻地医療振興事業費交付金というふうな形で交付をいたしておるわけでございますが、これにつきましては、僻地医療を振興する、そういう役割を持ちます自治医科大学の役割にかんがみまして、大学の全般にわたります建設あるいは機械器具等の整備というふうな経費の財源の一部に充てることを目的として交付をいたしているものでございます。
#247
○糸久八重子君 僻地医療振興宝くじというわけで、ただいま御答弁にありましたけれども、僻地医療振興のために使えると。だから自治医科大学にという交付金だということなんですけれども、そうすると厚生省は、僻地中核病院の助成を行っているわけですね。これを支援するために、例えば宝くじから交付をするとか、それから過疎地における診療所活動に交付をするとか、それからそのような僻地医療のためにすぐ役立つ有効な使い方をすべきだろうと思いますけれども、その辺はいかがでしょうね。
#248
○説明員(奥田義雄君) 僻地医療振興の手法といたしましては、いろいろな手法があろうかと思います。厚生省さんの方でいろいろお考えになって、積極的な施策を講じていただいておるわけでございますが、自治医科大学というのもその中の非常に大きな大切な事業というふうに考えております。特に、僻地におきます医師の確保というのは、非常に確保しづらいという深刻な状況がございまして、そのようなことから昭和四十七年にこの学校ができまして、僻地における医師の確保という観点から大学を設置したものでございます。そのための整備経費として宝くじを充てるということで、関係都道府県知事さん方が集まりまして、そういう方針でもってこの宝くじを発行しているというものでございます。
#249
○糸久八重子君 宝くじの根拠法規には、地方財政法それから当せん金附証票法の二つがあります。このいずれを見ましても、公共性や公益性が明確であるならば、自治医大以外の施設に対しても宝くじから交付することは妨げていないと思うのですね。ですから、私も今のような質問を申し上げたわけなのです。もう一度御答弁をいただきたいと思います。
#250
○説明員(奥田義雄君) もし宝くじを発行する必要があります事業がありまして、それにつきまして関係法律の規定によって適当であるというふうに判断されるものがございましたら、宝くじの性格から見て適当と言われるようなものがございましたら、それはそういうふうなものがまた議論の対象になってくるのかと思いますが、この自治宝くじにつきましては、先ほど申し上げましたように、過疎地域、僻地におきます医者の確保という観点から、それを養成する大学の整備ということで発行しているものでございまして、この宝くじを直接ほかの用途に充てるということは困難であろうかというふうに考えております。
#251
○糸久八重子君 私、その宝くじを実際にまだ見ていないんですけれども、今御答弁のありましたように自治医大のために、この宝くじは使うということが明らかに記載されておるのですか。
#252
○説明員(奥田義雄君) 過去の、去年のでございますが、見ますと、「へき地医療振興自治宝くじ」ということになっておりまして、その中に、「全都道府県が共同で設立した自治医科大学の整備のための資金にあてられます」と、こういう形で入ってございます。
#253
○糸久八重子君 それは、その宝くじの表面に書いてあるわけですね。
#254
○説明員(奥田義雄君) 表面の、表のところには「へき地医療振興自治宝くじ」というふうになっておりまして、その裏側でございます。裏側のところに、「この宝くじは栃木県が発売し、その益金はへき地医療の振興に必要な医師の養成を目的として、全都道府県が共同で設立した自治医科大学の整備のための資金にあてられます」、こういうふうな文章が入ってございます。
#255
○糸久八重子君 宝くじを買う場合に、表から裏からよく見て買うという人も余りいないと思うのですね。だからやはり、それが本当に自治医科大学のためのものとしての宝くじとして判断をして買う方がどのくらいいらっしゃるのか。
 また、伺うところによりますと、この宝くじは関東一円で売られているということも伺っているわけですけれども、やはりもう少しはっきりとした目的等がわかるような状況で売らないと、先ほど私が申しましたとおり、医科大学だけではなくて、僻地医療にかかわる交付金にしたらいいではないかという、その発想が当然出てくるんじゃないかと思うのですね。そこで私お伺いしたわけなんです。何かお答えいただけますか。
#256
○説明員(奥田義雄君) これの文言、表示等につきましては、発行主体の方でもって決めてございますので、ただいま先生がお話あったようなことにつきましては、その旨、関係方面にお伝えをいたしたいというふうに考えております。
#257
○糸久八重子君 先ほどの積立金のことで、続けてお伺いしたいと思うんですけれども、積立金の使途は、何か目的を考えていらっしゃいますでしょうか。
#258
○説明員(奥田義雄君) 先ほど申し上げましたように、自治医科大学の創設の目的にかんがみまして、大学全般の建設整備事業に要する経費に充てるということになってございまして、具体的には、いろいろな校舎、学生宿舎等の整備、あるいは医療機器の整備というふうなものに従来も充てておりますし、今後もさらに医療機器の整備ですとか、あるいは実験動物センター、さらには現在病院で検討いたしております第二病院の建設資金というふうなものにも、将来充てることになるのではないかというふうに考えております。
#259
○糸久八重子君 第二病院の建設等につきましては、お隣の埼玉県の医師会でも反対をしているということも伺っておりますし、最初決められました大宮から、ほかに移るようなことも考えなければならないという状況になっているというような新聞記事も拝見をいたしました。
 いろいろ自治医大のあり方というのが問題になっているのではないかを思いますけれども、厚生大臣にちょっとお伺いしたいと思います。
 現在、四十七都道府県すべてに医大または医学部が存在しております。そして各県は、ここに委託すれば僻地担当医を養成することが可能だと思います。また、医学生の段階からその地域になじみを持っている方がよりよいのではないかというふうに考えます。したがいまして、全国ただ一カ所に僻地担当医の養成を専門とする自治医科大学を置くということは、むしろこれは現在の状況から考えるとアブノーマルなような状態ではないかというような時代に来ているのじゃないかと私は思うわけですけれども、地域医療の見地から、大臣の御見解を承りたいと思います。
#260
○国務大臣(今井勇君) 突然の御質問でございますから、まとまった考え方も申し上げられないかと思いますが、自治医大の当初の発足の意味というものが、医師が極めて少ない時代からだんだんと充足をされつつある状況に今なりつつあるわけでございますから、したがって、当初の自治医大の目的としたもの、その設立なり目的と申しましょうか、理由というものがだんだん変わってきていることは、私は一理がわかるような気がいたしますが、そこで今の御質問のようなことがどうだろうかということにつきまして、私、今ちょっと端的に私の考え方をまだ申し上げるにはいささか検討が不十分のような気がいたしますので、しばらく考えてみたいと思っております。
#261
○糸久八重子君 設立の理由が変わってきているということはわかると、それは大臣がおっしゃったわけですけれども、そうなりますと、やはり自治医大のあり方そのものをこの辺でもう抜本的に見直す時期を迎えているのではないかと、私もそう考えるわけですけれども、そういう状況の中で、例えば地域や医師会で反対のあるような第二病院のようなものをつくるという、そういう計画というのはいかがなものなのかと、そう思うんですけれどもね、これはストップさせるべきではないかなと考えるわけですが、自治省、いかがですか。
#262
○説明員(奥田義雄君) 自治医科大学につきましては、先ほど来申し上げておりますように、僻地等におきます医師の確保ということを目的として全都道府県が四十七年に共同で設立したものでございまして、確かにその後、医師の数がふえてまいりまして、昭和五十八年度で人口十万当たり百五十人を超えるというふうなことが言われております。しかしながら、全国平均で見ますと確かに医師の数が増加しておりますけれども、地域で見てまいりますと、必ずしも僻地ですとか離島におきます医師の確保というものがやはり困難な状況にございまして、都市と僻地におきます医師数のアンバランスというふうなものはまだ続くのではないかというふうに考えておりまして、自治医科大学の役割というのは引き続き重要であるというふうに考えているところでございます。
 それから、第二病院の関係でございますが、これにつきましては現在自治医科大学でいろいろ検討しているようでございますが、地元の大宮市におきましては、議会が全員一致でもって誘致を議決しているというふうなこともございますし、市長さんも非常に御熱心であるというふうに承っておりまして、やはり地元の要望というのも非常に強いというふうに承っているところでございます。
#263
○糸久八重子君 本自治医大の卒業生が、僻地に義務づけの間は行くけれども、大体都市に残っている方も多いと、また都市を志向している方も多いというふうに聞いているわけですね。そういう中ではやはり、先ほども申しましたとおり、自治医大のあり方そのものを考え直していかなければならない時期ではないかと、そういうふうに私は申し上げたわけでございます。
 いろいろ問題がありますので、私は、参議院社労委員会で自治医大調査を行うよう申し入れをするつもりであることを表明いたしまして、本問題はおしまいにしたいと思います。
 自治省、御苦労さまでございました。
 じゃ、続きまして障害児問題についてお伺いをしたいと思いますけれども、文部省、おいでになっておりますでしょうか。
 障害児教育は、保育所、幼稚園といった就学前教育の段階では健常児の中に障害児を受け入れる方向を促進しているということは、三月二十五日の質疑で明らかにされたところでございます。しかし、義務教育段階になりますと、文部省は、盲聾養護学校該当児については盲聾養護学校に就学させなければならないという立場をとっておいでになっています。しかし、現実には盲聾養護学校該当児でも小中学校に在籍している者がおると思いますけれども、文部省、よろしゅうございますか、確認をしたいと思いますが。
#264
○説明員(山田勝兵君) ただいま御指摘がございましたように、心身障害児の教育につきましては、その障害の種類、程度、特性、発達段階等に応じまして、障害の重い児童生徒は盲聾養護学校で、それから比較的軽い児童生徒は小中学校の特殊学級等で教育を行うこととしているわけでございます。
 小中学校にどのくらい障害児がいるのかということでございますが、小中学校につきましては、通常の学級とそれから特殊学級というのがございます。通常の学級に在籍する心身障害児の数については、現在のところ把握しておりませんが、小中学校の特殊学級には六十年五月一日現在で、小学校で六万九千六百二十九人、中学校で三万四千三百六十三人、計十万三千九百九十二人いるということを承知しております。
 御指摘は、本来、盲聾養護学校等に行くような障害の重いお子さんが小中学校にいるかどうかということでございますが、我々、新聞報道等で通常の学級などに入学しているという例、そういうのも聞くことはございますが、それがどの程度の人数になるのか、それからその障害の程度がどの程度であるかということについては、現在のところ把握しておりません。
#265
○糸久八重子君 把握をしていないということは、調査が行われていないということでございますか。
#266
○説明員(山田勝兵君) はい、調査しておりません。
#267
○糸久八重子君 今、御答弁の中にありました、本来盲聾それから養護学校に行くべき子供が小中学校に在籍をする場合もあるということは新聞で承知していると、そうおっしゃったわけですけれども、文部省はこれらの子供たちを就学とみなさないのですか。
#268
○説明員(山田勝兵君) 先ほども申しましたように、障害の重い子供は盲聾養護学校で、それから軽い子供は小中学校の特殊学級、さらに軽くて特別な配慮を先生がしていければ通常の課程に適応ができるような子供につきましては通常の学級でということがあるわけでございますが、先ほど申しましたように、非常に障害の重い子供が通常の学級に措置されているということは、数などは承知していないわけでございますが、その子たちが就学とみなされないのかどうかというお尋ねがあったわけであります。
 障害児の就学につきましては、ただいま申しましたような方針に基づきまして、市町村の教育委員会がいろいろ法令関係の基準に照らし合わせまして、その状態を判断いたしまして盲聾養護学校、それから小中学校、そういうところに県と連絡をとって指定していく、そういう制度になっておるわけでございます。たまたま、いろいろな事情があろうかと思いますが、市町村教育委員会が仮に障害の重い子供を小中学校の方に指定したというような場合におきましては、やはりこれは、市町村委員会の判断に基づいて当該児童生徒を小中学校へ就学させている保護者の立場から見れば、直ちにそれが就学義務の不履行であるということまでは言えないというふうに考えております。
#269
○糸久八重子君 御答弁の中に、障害の重い子は盲聾養護学校でと、そうおっしゃったわけですけれども、障害の重い子は盲聾養護学校でなければならないと解釈されるのは、学校教育法のどの条文によりますでしょうか。
#270
○説明員(山田勝兵君) 学校教育法におきましては、学齢児童生徒の保護者は、これらの子女を小中学校または特殊教育諸学校の小中学部に就学させる義務があるのだとしております・これは条文で言えば学校教育法の二十二条、それから三十九条であります。それで一方、盲聾養護学校については、これは学校教育法の七十一条に規定があるわけでございますが、盲聾養護学校については、それぞれ盲者、聾者または精神薄弱者等に対して、多少要約して申し上げておりますが、幼稚園、小学校、中学校または高等学校に準ずる教育を行うことを目的としている、そして七十一条の二におきまして、盲襲養護学校において教育を受ける者の心身の障害の程度については政令で定める、こういう規定を置いておるわけでございます。
 したがいまして、これらの規定をあわせ読めば、法律だけのことからいえば、学校教育法は心身障害児の教育について、その障害の種類と程度に応じて適切な教育を行うことをその趣旨としているものである、こう考えるわけでございまして、したがいまして、学校教育法の施行令二十二条の二に定める程度の心身障害児は、盲聾養護学校の小中学部に就学して適切な教育を行うのが現行法令の定めに基づく制度である、こう解しているわけであります。
 ただ、具体的には、学校教育法の七十一条の二に基づきまして、政令の二十二条の二において、盲聾養護学校において教育を受ける者の心身の障害の種類、程度を各障害別に定めておるところでございますし、また学校の指定については、学校教育法の二十二条の二項、それから中学校関係の三十九条の二項、こういう規定の委任を受けて同法の施行令で、各教育委員会が政令の二十二条の二に定める障害の種類、程度を判断し、就学すべき学校の決定を行うこととしておるわけでございまして、この決定に基づき指定された学校に対して、保護者は、その保護する子女を就学させる義務を負うこととなっているわけでございます。
#271
○糸久八重子君 ただいま文部省から大変細かい説明がございましたけれども、内閣法制局にお伺いしたいと思います。
 ただいまの説明の中にありました学校教育法二十二条、三十九条の中に、小中学校または盲聾もしくは養護学校の小中学部に就学させる義務を負うと、そう書かれてあるわけですけれども、小学校か盲聾養護学校の小学部ということですからね、この条文から解釈すると、どちらに就学させてもよいという解釈ができますか。
#272
○政府委員(工藤敦夫君) ただいまの先生の御質問でございますが、学校教育法につきまして、ただいま文部省の方から答えがございましたが、私、若干条文を整理して申し上げますと、学校教育法の二十二条の一項あるいは三十九条の一項というところでは、学齢児童あるいは学齢生徒の保護者が子女を就学させる義務を負う、こういうことで規定してございます。それと同時に、その義務は小中学校あるいは盲聾養護学校において履行される、こういうことだと思います。言いかえますれば、義務の履行の範囲をそういう意味で二十二条一項あるいは三十九条一項で規定したものと考えられますが、同時に、そのそれぞれの第二項、第三項におきまして、この義務に関して必要な事項は政令で定めるということになっております。
 一方、七十一条、今文部省の方からも指摘がございました七十一条でございますが、これは、盲聾養護学校の設置目的といいますか、盲聾等心身に比較的重い故障のある児童あるいは生徒に対しまして、その故障の種類あるいは程度に応じて適切な学校教育を行う、こういうふうな設置目的を規定すると同時に、七十四条におきまして、都道府県は盲聾養護学校を設置しなければならない、こういう義務づけがございます。
 さらに、先ほども申し上げましたが、こういう規定を受けまして、政令におきまして学校教育法の施行令でございますが、施行令の五条で、先ほどの話が出ました二十二条の二に規定する者、そういう状態に該当する者以外の者は盲聾養護学校以外のところ、小中学校へ就学通知を行う、こういうことが書いてございますし、さらに、その政令の十一条以下で盲聾養護学校への就学通知、こういった規定もございます。
 したがいまして、施行令の二十二条の二に規定いたします、そこに該当いたします児童生徒につきましては、盲聾養護学校に就学するというのが現行法令上の制度であろう、かように考えております。
#273
○糸久八重子君 今、文部省もそうでしたけれども、政令まで、それから施行令までに及んでの説明があったわけですけれども、今仮にそういう施行令がないとしたなら、その二十二条というのは義務の履行の範囲を示しているということなのですね。もう一度確認したいのですが。
#274
○政府委員(工藤敦夫君) ただいまお答え申し上げましたように、学校教育法は、盲聾養護学校が盲聾といった心身に比較的重い故障のある児童あるいは生徒に対しましてのものである、こういうことから当然そういうことを予定して立法したものとは考えますけれども、ただ、今御指摘のように、二十二条一項だけ、そこの文理でと、こういう御質問でございますと、そこの文言だけから御指摘のような義務づけが明らかであるというふうには必ずしも言いにくいかもしれません。
#275
○糸久八重子君 そうすると、この二十二条の一項は、今おっしゃったとおりこの場合だけですと、その趣旨の義務規定とは読めないということになるわけですね。確認いたします。
#276
○政府委員(工藤敦夫君) ただいまお答えいたしましたように、二十二条一項の文理だけを踏まえて、そこだけで申し上げれば、今、委員御指摘のようなことになると思いますが、ただ、そういった規定、先ほど幾つか引きましたような規定、あるいはそういう規定の委任を受けました政令、こういうものをあわせ考えますれば、法全体の制度、仕組み、趣旨というものは、やはり二十二条、法律で言っております、あるいは政令の二十二条の二で言っております、そういうところに該当する児童生徒は盲聾養護学校に就学すべきことと、こういうふうに解されると存じます。
#277
○糸久八重子君 先ほど御答弁のありましたとおり、二十二条の一項だけではその義務づけが明らかでないと、そうおっしゃったわけですけれども、そういうふうに一対一の義務づけが明らかでないのに施行令で決めているというのは、やっぱりおかしいのではないかなと、私はそう思うわけでございます。
 そこで、総理府に障害者対策推進本部が設置されておりますね。そして、その副本部長は厚生大臣が担当していらっしゃるとお伺いしておりますので、副本部長としての御答弁をいただきたいと思いますけれども、心身障害者対策基本法十二条二項に、「国及び地方公共団体は、心身障害者の教育に関する調査研究を促進しなければならない。」とあるわけです。ここから考えますと、小中学校における障害児の受け入れ状況については当然調査をすべきであろうと思うのですけれども、副本部長としての厚生大臣はどういう御見解をお持ちでしょうか。
#278
○国務大臣(今井勇君) これは、教育現場の問題でもありますが、学校の調査ということでやっぱりよろしいんじゃないかと私は思います。
#279
○糸久八重子君 そうすると、この問題は文部省に頼めばいいのだと、そういうことでございますか。
#280
○国務大臣(今井勇君) 大変文言が足りませんが、これは文部省においてやっぱり慎重に検討さるべき問題であろうと思いますが、先生から御指摘がございますので、文部大臣によくお伝えをいたしてみたいと思います。
#281
○糸久八重子君 よろしくお願いいたします。
 続けまして大臣にお伺いしたいんですけれども、身障者福祉法二条二項に、「すべて身体障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとする。」とあります。さらに三条二項の中に、「国民は、社会連帯の理念に基づき、身体障害者がその障害を克服し、社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。」と規定してあります。これらの条文から見ますと、障害児が健常児の中に参加して勉強しようと努力するときには、政府は率先してこれに協力をする姿勢が必要なのではないかと思うのですけれども、大臣の御見解をお伺いいたします。
#282
○国務大臣(今井勇君) これは、心身障害児の教育の問題でございますが、障害の様態や発達の段階に応じまして適切な処遇が行われることが必要でありますが、どのような教育方法をとるか、とるのが望ましいかというのは、やっぱり学校教育の専門機関の判断にゆだねるべきものではないかと私は考えております。
#283
○糸久八重子君 厚生大臣の今の答弁、ちょっと不満足なんですね。私は、厚生大臣として身障者福祉法に書かれている内容についてのこの二つの文言からしてどうなのかということをお伺いしたんですが、身体障害者の子供については、これはすべて文部省任せだとかということではなくて、厚生省というのは身体障害者全体、子供は別枠で、これはもう文部省の分野ですよというふうに分けるのではなくて、やはり総括的に考えていただくのが厚生省の方法だろうと思うんですけれども。その辺で御答弁をいただいて、質問を終わりにしたいと思います。
#284
○国務大臣(今井勇君) 私は、一般の福祉の問題でございますれば、当然これは私が責任を持った大臣としてやるべきことだと思っています。しかし、今のお話のように、学校教育の問題でございますと、やはり学校教育の専門機関の判断にゆだねるべきものだろうというふうな意味で、私は先ほどの御答弁を申し上げたつもりでございます。
#285
○糸久八重子君 それでは、先ほど御答弁の中にございましたけれども、やはり厚生省の範疇でございますから、よく文部省とのお話し合いをこれからもきめ細かにしていっていただきたいと思います。
 私は、あと高齢者に関する質問を用意し、また政府委員の方にもおいでいただいたわけですけれども、時間がなくなってしまいましたので、この問題につきましてはまた後でさせていただきたいと思います、おいでくだすった方大変申しわけございませんでしたけれども。
 じゃ、終わります。
#286
○中西珠子君 厚生省の昭和六十一年度の予算は九兆七千七百二十億八千六百万円という膨大なものでございます。昨年に比較いたしますと、しかしこれは二・八%の増加率にすぎないということで、これでは自然増もカバーできないくらいの大変緊縮した予算であると考えております。
 これに関連いたしまして、ちょっと厚生大臣の御所見を伺いたいわけでございますが、三月十七日付のこれは毎日新聞でございますけれども、これによりますと、「人口の高齢化や医療技術の高度化などで厚生省予算が自然増だけでも膨らむ一方なのに、最近の緊縮財政で五十七年度以降はこの自然増にも財政当局から削り込みを強いられる状態になってきている。」と、「六十二年度は自然増だけでも一兆円を突破しそう」な様子であるということが書いてあるわけです。それで、一生懸命厚生省としては御苦労をされまして、国庫負担削減の努力をされているわけでございますけれども、昨年の予算折衝、殊に閣僚折衝のときに増岡前厚生大臣が、医療や年金を中心とした社会保障関係予算は、一般会計から切り離して、特別会計構想というものを考えてみたらどうかという提案をされたということが報道されているわけでございますね。それで、高齢化社会の進展に伴う社会保障関係予算の自然増を、他の予算と横並びで削減することには限界が来たというふうに御判断されたのだと思いますけれども、私自身もそのように考えておりまして、社会保障関係予算は一般会計から切り離して、社会保障特別会計とか、また特別基金とかそういったものをつくるとか、何とか抜本的な改革を考える必要があるのではないかと私自身も考えているのでございますけれども、この新聞報道によりますと、今井厚生大臣もこの特別会計創設の構想については、年金の充実などを図るため、一律削減をされなければならないような一般会計から切り離すことが社会保障財政のあり方にとっては極めて有効と、大変積極的でいらっしゃるという報道なんですね。これはこのとおりでございますか。どういう御所信でいらっしゃいますか、お伺いいたしたいと思います。
#287
○国務大臣(今井勇君) 私も前大臣の考えと同じように、確かに、医療とか年金とか、今後お年寄りがふえてまいりまして、どうしてもふえざるを得ないものでございますので、それに一定の枠をはめて、前年同額とかということでやられます予算というものについてはこれから非常に難しくなるだろうと、こういうふうに本当に真剣に考えております。
 そんなことから、前大臣がおっしゃいました特別会計構想というものには大変私も同感のものがございまして、機会があるたびに政府部内でもいろいろ申し上げているわけでございますが、いずれにしても、これは大問題でございますから、直ちにいくわけにはなかなかまいらないと思いますけれども、そういう考え方でいろいろこれから財政当局とも相談をしてまいりたいという、真剣な気持ちでおりますことだけは間違いございません。
#288
○中西珠子君 ぜひ抜本的な改革をお考えくださいまして、そして、それこそ国民の健康と福祉を守る立場の厚生大臣でいらっしゃいますから、やっぱり憲法二十五条に保障されております生存権及び国の社会保障的な義務という、この二十五条を尊重したやり方をお考えいただきたいと思います。
 私、続きましてお聞きしたいんですけれども、これは本当に厚生省としては、国庫負担を何とか削減しなければならないので、苦肉の策としてお出しになったのではないかと思っているんですけれども、老人保健法を改正されまして、老人医療の患者一部負担というものを改正されて、入院三百円を五百円とし、二カ月の期限は撤廃する、外来は四百円を千円にするというふうなことを打ち出していらっしゃいます。しかし、これによってどの程度の国庫負担の削減を見積もっていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#289
○政府委員(黒木武弘君) 今回の改正によります一部負担の国庫負担の減の効果額ということでございますけれども、全体で八百八十七億円の減額になるというふうに見込んでおります。
#290
○中西珠子君 八百八十七億円ですか、余り多くございませんね。しかしこれは、日本医師会も老人に対して過酷な負担を強いるものであると反対しているわけでございます。それから、私のところにもういろんな団体から陳情や要請がございまして、こちらもこれお取り次ぎしなければなりませんから申し上げるんですけれども、これはそのたくさんある陳情や要請の中の一つでございます。日本生活協同組合連合会の医療部会の運営委員長が書いたものですけれども、もっともっとたくさんあるんです、ここへ持ってきませんでしたけれども。
 六五歳以上の老人の二人に一人は病気を持ち、また複数の病気を持っている人もたくさんいます。一方、老人世帯の収入は、厚生省の調査でも、国民平均の半分以下の収入しかなく、多くの老人は極めて低い収入のみの生活を強いられています。老人は、いまでも医療機関にかかることを我慢させられているのです。
 このうえ、通院では二・五倍、一年間の入院では実に十倍という大幅な患者負担の増大は「病気の老人は早く死ね」というに等しい暴挙です。私たちはこの改悪に絶対反対です。だから、何とか反対してこれを撤回していただようにしてほしいということなんですね。
 このような要望もございますので、厚生省としては、これ以上何とも撤回することはできないというお考えかもしれませんけれども、このような老人を含めた国民の叫び声に対しては、どのようにお考えになっていますか。
#291
○国務大臣(今井勇君) 私も、随分皆様方からいろんな御意見をいただいていることは事実でございますが、ただこの点だけはぜひ御理解をいただきたいと思いますのは、とにかくどんどん人口の高齢化が極めて顕著に進んでおるわけでございまして、そして老人の医療費というものが年々増加をしております。
 そこで、じゃ、老人保健制度をこのままでほっといたら一体どうなるだろうかとなりますと、なかなかそれがやっていけなくなるというふうな感じが極めて強いものでございますから、老人保健制度を長期的に安定したものとする、それからまた老人の医療費を国民が公平に支え合うということのためには、どうしてもやはり新しい仕組みを考えざるを得ないということを私は考えているわけでございます。
 したがって、今回の改正でもいろいろおしかりを受けておりますけれども、老人の方々が払いやすいように、定額制というものは変えないで、また外来につきましても、月の初めに一回だけ払っていただけば、後は何回受診をしていただきましてもよろしいような現行の制度というものをそのまま維持しているわけでございまして、そうして若干の引き上げをさせていただきたいと、こうお願いしているわけでございまして、額につきましてもいろいろおしかりを受けますけれども、年金だとかあるいは高齢者世帯の所得の実態から見て、まあこの程度はひとつ何とかお願いをできるんじゃなかろうかというふうに考えているものでございます。
 したがいまして、今回の改正は、これから迎えます高齢化社会におきまして国民が安心して老後を託せるような老人保健制度の確立を目指したいと、こう考えておりますものですから、どうぞひとつ御理解をいただきたいものだと、お願いをするばかりでございます。
#292
○中西珠子君 同じ老人保健法の改正案の中で、加入者案分率を引き上げるということをお考えになっているらしいんですけれども、この理由はどういうところにございますか。
#293
○政府委員(黒木武弘君) 加入者案分率を引き上げる理由ということでございますけれども、これはもう御案内のように、各医療保険制度、老人の加入率がさまざまでございます。特に国保は被用者保険、つまりサラリーマンが退職しますと国保にどんどん入ってくるということで、現時点におきまして国保は、加入者千人当たりで百二十五人となっておりまして、これを健保組合と比較しますと、加入者当たりで健保組合は千人当たり二十九人でございますから、国保と健保組合は約四倍の開きがある。つまり、国保は健保組合に比べまして四倍たくさんお年寄りを抱えられているという状況でございます。また、たくさんお年寄りがおられますと、その財政影響は深刻でございまして、老人の一人当たり医療費は若い人の五倍もかかっているわけでございますから、一人当たりで見ますと若い人の五倍の年間五十万ということになっておりますために、先ほど申しましたように国保は老人が多い、しかも老人の医療費は若い人に比べて著しく高いということで、国保は大変財政的にはきつい状況にあるということでございます。
 このため、私どもとしましては、これからの高齢化社会を見据えまして、しかも老人の医療費が、大臣からもお話がありましたように、増高は避けちれないという状況の中で、老人の多い制度も少ない制度も、あるいは老人の多い保険者も少ない保険者も、公平に平等に老人を抱えていただくことにして、老人医療費を負担していただくことがどうしても必要だというふうに考えておるわけでございます。
 今回、加入者案分率を段階的に引き上げることにいたしておりますけれども、これは目指すところは、どの医療保険制度も同じように、現時点で申しますれば、千人当たりで六十九人のお年寄りを抱えていただくということにいたしまして、老人医療費の公平な負担を実現いたしたいということからでございます。
#294
○中西珠子君 社会保障の連帯の精神とかそれから公平化という点からは、ただいまの御説明は私にはよくわかりますけれども、しかし大変反対している健保連とかそれから日経連ですね、その御連中の言い分に対してはどのように反駁、論駁ができるかということは、私はちょっと疑問でございます。
 例えば、政府の改正案については、各医療保険制度に同じ割合の老人がいると想定して各制度が全制度平均の老人加入率六・九%で千人に六十九人とさっきおっしゃいましたね。これが六・九%ということで、老人医療費拠出金を算定すれば、「各保険者の老人加入率の違いからくる不公平」は完全に是正されるという考え方が前提になっている。しかし、国民健康保険制度の老人医療費拠出金には、実質五五%の国庫補助が行なわれており、保険料として負担している部分は四五%にしかすぎない。したがって今回の改正により国民健康保険制度がその保険料で負担することとなる老人加入率は、三%相当分でしかないのである。しかるに、被用者保険、たとえば組合健保は老人医療費拠出金の全額を保険料のみで負担している。このため改正案によって組合健保が全制度平均の老人加入率六・九%で老人医療費を拠出することとなれば、却って制度間には負担の著しい不公平が生じることになる。
 さらに、老人保健法施行後現在までに、各制度の老人加入率は六十一年度現在、国民健康保険一二・五%、政管健保四・二五%、組合健保二・九四%、共済組合三・九三%となっており、加入者按分率を急激に引上げなければならないような諸事情、諸条件の変化があったとは考えられず、法律の制定の経緯からいっても、加入者按分率は(現行老人保健法の)本則の五〇%に据え置くべきである。
 こういう主張なんですけれども、これに対してどのように論駁をなさいますか。
#295
○政府委員(黒木武弘君) 各団体からいろんな御意見をちょうだいいたしておるところでございますけれども、その一つで、御指摘のありましたように、国保には国庫補助が入っておるではないか、半分以上が国庫補助ではないかということから見て、公平にする措置というのは半分程度でいいではないかという御意見があるのはそのとおりでございますけれども、私どもの考え方は、国保には国保の沿革がございまして、しかも低所得者の方が多いとか、事業主負担がないとかといったような沿革あるいは事情がありまして国庫補助の制度ができ上がっておるわけでございます。それぞれの医療保険制度の衷情あるいは理的、沿革によって国庫負担が入っているもの、入ってないものがあるわけでございますけれども、私どものを人保健の考え方は、そういう制度を前提にいたしまして、そういう制度の上に立って老人医療蜜を公平にしようという措置でございます。
 したがいまして、制度の根っこにまで踏み込んで云々ということじゃございませんで、現在ある制度を前提にして老人医療費をどう公平に負担をしてもらおうかということでございますので、そういった批判というものは、別途の、老人医療費の公平ということとは別の御意見ではなかろうかというふうに考えておりまして、私どもの考えは、先ほど申しましたように、各制度が公平に老人医療費の財源を拠出してもらうという考えでございますので、御理解をいただきたいと思います。
 それから、制度が発足して、確かに三年しか経過をいたしてないわけでありまして、その後の事情の変化ということが、老人加入率をとってもそう変動はないんではなかろうかという御意見もあるわけでございますけれども、この三年間で国保には特に著しく老人の加入率が伸びているという事情等もございます上に、さらに私どもとしては、三年の間に医療保険制度の改革がございまして、給付と負担の公平化を目指す医療保険の一元化の方向づけがなされたということもございますから、私どもとしては、この段階でより公平な措置、負担の公平というものが求められている、そういう背景のもとにいろいろ諸事情の変化も勘案いたしまして、この際、案分率の引き上げをお願いいたしたいということでございます。
#296
○中西珠子君 公平の見地から、また連帯という意味からも、今回のあれはやむを得ないことかもしれないと思いますけれども、ちょっと急激過ぎるんじゃないですか。今年度が八〇%、そして近い将来に一〇〇%というふうなことで、ちょっと急激過ぎると思うわけです。
 そして、これによって国庫負担はどのくらい削減されると見込んでいらっしゃるんですか。
#297
○政府委員(黒木武弘君) 一つは、急激過ぎるという御意見でございますけれども、私どもとしては、今回の措置によりまして六十一年度八〇%、六十二年度一〇〇%にいたすわけでございますけれども、被用者保険の財政事情から申し上げましても、例えば健保組合で年々二千億余の黒字を生ずる財政構造にあるということで、私どもは、六十一年度の八〇%、それから六十二年度の一〇〇%ということで公平化の措置をお願いいたしても、大部分の健保組合等は財政運営に支障が生じないと思っておりますので、御理解をいただきたいものと思っておるわけでございます。
 それから、今回の加入者案分率の引き上げによる国庫負担の削減額でございますけれども、約一千八十億円を見込んでございます。
#298
○中西珠子君 とにかく、国庫負担の削減ばかりお考えにならなくちゃならないので、大変お気の毒と思うんでございますけれども、それでこそ、先ほども大臣からも伺いましたけれども、抜本的な改革というものを考えていただきたいと思うわけでございます。
 それで、老人をどうも結果的にいじめるような感じになる予算措置をお考えになっているような気がするんですけれども、これは結果的にと申しておりますが、老人福祉施設の費用徴収上限の改定を今度はなさるわけですね。養護老人ホームを月額六万円から七万円にする、特養の方は八万円から十万円にするということを提言なすっているのでございますけれども、それぞれの収容人員はどのくらいおりますか。
#299
○政府委員(小島弘仲君) 現在の入所人員でございますか。
#300
○中西珠子君 養護老人ホームと特養ですね、それぞれの収容人員。
#301
○政府委員(小島弘仲君) 養護老人ホームが約九万人、それから特養が十一万人でございます。
#302
○中西珠子君 所得によって、また扶養者の所得などにもよりまして、全然費用を徴収されてない人もいると思うんですけれども、そういう人たちは結局どのくらいいるかということが一点。
 それからもう一つ、「扶養義務者からの徴収の合理化等」ということを書いていらっしゃるのですね、予算の概要説明の中に。これはどういうことを考えていらっしゃるんですか。
#303
○政府委員(小島弘仲君) 現在、老人福祉施設に入っておりまして、全然費用徴収の対象とならない低所得者の方々について見ますと、養護老人ホームでは入所者の二八・二%、それから特別養護老人ホームにつきましては二〇・二%が全然費用徴収の対象になっていない、すべて公費という方でございます。
 それから、扶養義務者による費用徴収の合理化と申しますのは、現在、運用基準といたしまして、費用徴収となる扶養義務者の範囲を、入所前の生活をともにしていた扶養義務者と限定をしておりましたが、これは中央社会福祉審議会の老人福祉専門分科会等におきましていろいろ御議論のあったところでございますけれども、それではちょっと不公平があるのではなかろうか、同居でなくとも負担能力のある人はあるんで、その辺のところをもう一回見直すようにという御論議がございましたので、現在、検討しているところでございます。
#304
○中西珠子君 これにつきましても陳情がございまして、やっと歩けるぐらいな、腰がすっかり曲がって本当に歩くのが困難なようなおじいちゃん、おばあちゃんが来られまして、それでとにかく費用負担を上げてもらっては困るんだと、同居の扶養者も大して収入もないから、負担を上げてもらっては困る。だからそうかといって、帰っていくということもできないんで、自分の部屋は孫にとられてしまって私は行き場がありませんなんて、私の部屋に来て長い間頑張っている方があるんですよ。
 ですから、昨年も引き上げて、またことしも引き上げるという負担の上限の引き上げですね。これは何とかならないものかなと、私は本当に心から同情して考えたわけなんですけれどもね。
#305
○政府委員(小島弘仲君) これは、負担につきましては特に本人負担を中心としているわけでございますけれども、社会福祉につきましては、現在は所得のいかんを問わず、やはり特養の事業とかあるいは介護人派遣事業、在宅サービスの事業がございます。したがって、所得の多寡にかかわらず、そういう全対象者を一般に福祉施策の対象にするという反面、やはり負担能力に応じて無理のない御負担をお願いするという趣旨の取り扱いはどうしてもやむを得ないものだと考えております。
 この本人負担の段階的引き上げにつきましては、五十五年から現在の費用徴収基準を適用しているわけでございますが、そのときの国会の御論議もございまして、いきなり全額を対象とするような急激な負担増になるようなことはいかがであろうか、やはり段階的に引き上げていくべきだという御論議を踏まえまして、現在、そのような形で非常に長い年月をかけまして満席まで持っていこうということでございますが、重ねて申し上げますように、これは所得の状況に応じまして無理のない負担をということで考えておりますので、その辺の負担能力の適正化ということについては、絶えず見直しをしながら制度の適正な運営を図ってまいりたいと考えております。
#306
○中西珠子君 負担能力を本当によく考えて、そしてきめの細かい温かい配慮を持って対処していただきたいと思います。
 それから、今回新しく予算が入っております老人保健施設ですね、いわゆる中間施設、これは何かモデル施設を十ぐらいつくって運営してみるのだということだそうでございますけれども、どういうものを考えておいでになるか、ちょっと御説明願いたいと思います。
#307
○政府委員(黒木武弘君) 確かに、六十一年度予算で十カ所ほどの老人保健施設のモデル事業をお願いしたいと思っているわけでございます。
 御案内のように、今回老人保健施設を制度化いたします趣旨は、これからの高齢化をにらみまして、ますます介護が必要なお年寄りが増加するであろう、二十一世紀には百万人を超えるであろうということで、こうしたお年寄りや家族の心身の苦労は大変だということで、一刻も早く要介護老人のための施設をつくりたいということでございますが、何しろ我が国で初めての施設でございますので、試行的に一年間実施をしてみまして、その上で老人に本当にふさわしい施設になるように具体的な運用の基準をつくりたいと、こういうことでお願いをいたしているわけでございます。
 十カ所ほどで、予算的に申しますと、設備費、運営費含めまして四億二千万を計上いたしております。これからの実施につきましては、かなりやってみたいという設置者あるいは地元の声がございます。そういうこれからモデル実施をされる主体と、それから都道府県とを入れまして私どもでよく御相談をして、そしてこれからの高齢化社会にふさわしい老人保健施設の具外的な肉づけができるモデル実施ができますように、相談しながら適正な実施を期してまいりたいというふうに考えております。
#308
○中西珠子君 それでは結局、今おっしゃったように、実施主体とか都道府県と相談しながらということですから、どこにつくるというアイデアはまだ全然ないわけですね。
 それから、やはり老人保健施設に関連しまして、この老人保健施設に入る人は、生活費とか食費なども含めたそういったものは自己負担だけれども、老人保健施設の療養費というものを支払うのだというふうなことが予算の中に書いてありますが、それはどのような額をお考えになっているのか、またその財源などはどういうふうになさるおつもりなのか、決定はまだしてないわけですか。
#309
○政府委員(黒木武弘君) 先生御指摘のとおり、老人保健施設に入所された方に対しまして、老人保健施設療養費という形で給付をしたいと思っておるわけでございます。また、考え方としては、医療サービスにつきましては給付の対象にしたいと。しかし、食費等の生活サービスについては利用者の負担とさしていただきたいというふうに考えておるわけでございますけれども、その額等については、これからモデル実施等の状況を踏まえながら、そして関係審議会の御意見を賜りながら、ふさわしい金額に決めてまいりたいと思っております。
 その財源につきましては、これは法律で御提案申し上げておるわけでございますけれども、現行の老人医療と同じように、国の方で公費ということで二割、それから都道府県、市町村に各〇・五割ずつ公費負担をお願いしたいと。残りは保険者の負担ということで、各保険者からの拠出金で賄いたいと。そういうことで費用の財源を調達いたしたいというふうに考えている次第でございます。
#310
○中西珠子君 在宅寝たきり老人というのは今何人ぐらいいるんでしょうか。
#311
○政府委員(小島弘仲君) 約二十七万ということでございます。
#312
○中西珠子君 この在宅老人の寝たきりの二十七万を含めまして、寝たきりでなくても、しょっちゅう病気ばかりしているというふうな、そういう在宅の老人の介護を行っているのはほとんど九八%ぐらいが婦人ですね。それでまた、それももう高齢化社会になりまして、人生八十年代になっちゃったから、もう八十、九十の人を中高年になってしまった五十歳、六十歳ぐらいの婦人が介護しているというために、非常にもう疲労こんぱいしている人もいるし、それから、先にもう病気になって死んでしまったなんていう悲惨なケースもあったり、いろいろあるわけでございまして、今まで、在宅の寝たきり老人のための社会的サービスというものをぜひ拡充していただかなければならないということは、これは老人問題は婦人問題であると言って私は何度も要望を重ねてきたわけでございます。
 今回、予算措置を拝見いたしますと、デイケアサービスとか、それからショートステイホームだとか、それから家庭の訪問看護をやる人の人員をふやすとか、いろいろお考えいただいていて大変結構だと思うんですけれども、これを少し、具体的にどのようにお進めになっていくかということと、予算的な裏づけを御説明いただきたいと思います。
#313
○政府委員(小島弘仲君) 今申し上げましたように、在宅の寝たきりの方二十七万からいらっしゃるわけでございますが、これはちょっと抽出的に意識調査をいたしてみた結果、寝たきりの老人本人自身で施設に入りたいとおっしゃる方は、寝たきりの状態の在宅の方の一割から一割五分ぐらいでございます。家族の方も、施設に入れたいというのは二割から三割弱というようなところに出ております。したがいまして、やはりできるだけ家庭で、そこでみんなとともに生活したいという意欲は強いと考えております。その反面、先生御指摘のように、家庭が参っちゃうというようなことでは困りますので、今後は在宅対策についても力を入れてまいりたいと。収容施設対策と在宅対策の有機的な連携のもとに、施設にお入りいただいた方でも、一応リハビリなんかで立ち直れば、また在宅に帰すことができるようにというようなことも考えまして、在宅サービスの充実に努めることにしたところでございます。
 それで、六十一年度予算関連で申しますと、まずデイサービス事業につきましては、従来はこれはモデル的な事業として実施しておりまして、現在まで九十六カ所でございますが、これを百十四カ所増加をいたしまして二百十カ所で行うと。それで補助率も従来の三分の一から二分の一に引き上げるというようなことで、総予算額は、施設整備費を別にいたしまして、三億九千九百万円から十四億四千七百万円にふやすということを考えております。
 また、在宅で看護していながらも、やむを得ない旅行のためとか、また家族が病気になられた場合に、短期間収容施設に預かっていただくというショートステイの事業につきましても、従来の対象人員二万七千八百四十五人から三万七千三百四十六人と約一万人の増を考えておりまして、これも補助率は三分の一から二分の一に引き上げるということで、一億九千七百万円の予算を三億八千五百万円に、増加しているところでございます。
 また、ホームヘルパーの派遣事業につきましても、人員を千九百四十二人増加いたしまして二万三千五百五十五人というようなことにいたしまして、また、その活動費も年額三万円を三万六千円に引き上げる等の、あとは手当の改善等を含めまして、予算も六十年度の七十四億二千九百万から八十一億一千万に増加するという方法を考えております。
 その他、保健対策の充実といたしまして、寝たきり者全員に対する初回訪問の実施ということ、訪問指導事業の実施というようなことや保健婦の増員、これは千七百人ばかり増加いたしまして八千三百九十八人に持っていくというようなことで、予算も二百六十四億円から三百五十八億円に増加すると。
 その他、診療報酬の面につきましても、退院者の患者の継続看護や指導料の点数の増加を図るとともに、従来は退院後三カ月の訪問看護でございましたが、退院後六カ月というような充実を図ることにいたしております。また、同じ診療報酬では、在宅寝たきり老人の計画的診療という面から、寝たきり老人の訪問指導管理料というようなものを新設いたしましたり、また、寝たきり老人の訪問診察料というのを新設する等の充実を図っているところでございます。
#314
○中西珠子君 この在宅寝たきり老人に対する福祉対策を大幅に今度増額され、また充実されるということは大変結構なことだと思いますけれども、とにかく現在も二十七万もいて、これからもっともっとふえていくという人たちですから、これは肉親が看護するのが一番いいということではございますけれども、やっぱり介護人が中高年に達しているということもあるし、核家族化しているということもあるし、どうしても家族だけの手では負えないという面が非常に出てきていまして、人生五十年のころとは大分違ってきているということでございますので、これは一層充実して、そして施策も、きめの細かい施策を一層おとりになっていただくように心から要望させていただきます。
 それから、福祉ボランティアの町づくり事業費というのが入っていますね。これは五十七カ所から百十四カ所にふやすということになっていますが、これは、具体的にはやはり在宅老人福祉対策の補完という意味でなすっているわけでしょうか。少し具体的にお聞かせいただきたいと思います。
#315
○政府委員(小島弘仲君) これは福祉の町づくりということで、一つは、その地域全体がやはり老人問題あるいは障害者問題について関心を高めるというのが重要なことでございますと同時に、老人の方あるいは身障者の方々が動きやすいような、活動のしやすいような環境の整備を図っていただくというようなこととともに、身障者、老人の積極的な社会参加を推進できるような諸活動を充実していただきたいというようなことで、いろいろメニュー事業で実施している施策でございます。
#316
○中西珠子君 老人や身障者の積極的な社会参加を図るということは、もう大変結構で、また重要なことなんでございますけれども、
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
ちょっと予算書を見ていましたらば、老人クラブで生きがいと創造の事業助成費というのが出てきまして、新規に二十カ所ふやして大体四十カ所が実施することになる、これに対して助成をするということだそうでございますが、事業の内容としてはどういうことをなすっているんですか。
#317
○政府委員(小島弘仲君) これは一つには、お年寄りの方々の積極的な社会参加活動と創造的な諸活動、今までの知識や経験を生かした諸活動を推進するということで、生きがい対策あるいは社会参加の促進ということを考えておりまして、事業の内容といたしましては、生産または創造的な活動を行う場所の確保や施設の整備というようなことを中心といたしまして、さらには展示会の開催、作品の出品等のあっせんというようなことをやって事業活動の推進を図っているわけでございますが、活動の内容といたしましては、木工、木彫、陶芸、園芸、窯業、家畜飼育、手芸、織物、あるいは独自の地場産業というような形で、地域の特質を生かした、あるいはお年寄りの方々の長い経験と技能を生かせるような項目を地域の実態に合わせて選んでもらうことにいたしております。
#318
○中西珠子君 老人関係はそのくらいにいたしておきまして、今度は、ちょっと私が知らなかったんですけれども、今回初めて新たに結核対策特別促進事業費が八億円計上されていをわけですね。これは、結核というのはもうほとんど撲滅されてしまったのかと思っていたので、大変認識不足だったわけでございますが、どういうことをなさる予定でいらっしゃるか。また、特に対象になる地域があるのかどうかということを御説明願いたいと思います。
#319
○政府委員(仲村英一君) 結核に関しましては、ぜひ御認識を改めていただきたいわけでございますが、御承知のように、昭和二十五年までは十万人ぐらいずつ毎年結核で亡くなっておられましたけれども、現在どんどん減ってまいりまして、五千人ぐらいしか亡くなっておりません。したがって、非常に過去の病気だという御認識をお持ちの方も多いわけでございますが、まだまだ一つの伝染病としては最大のグループでございまして、五十九年末で言いますと、医療を必要といたします患者さんが十六万人ぐらいおられますし、毎年、新発生患者が六万一千人という数字でございます。使われております医療費は二千億円ということでございますが、したがって、この予防できる病気についてはもっともっと予防していかなくてはいけないということでございます。死亡率を言いますと、人口十万人対で四ぐらいでございますが、アメリカ、イギリスあるいはデンマーク、そこら辺になりますと一ぐらいでございますから、まだ四分の一は減らせるのではないか、理論的には。そうしますと医療費も節約になりますし、いろいろ私どもといたしましても誇れるわけでございますが、まだ減少させられる病気でございますので、ここで追い打ちをかけにゃいかぬということなわけでございます。
 ところが、今御指摘もございましたように、地域的にもかなり減少の度合いは変わってきておりますし、患者の発生の状況もやや減少が鈍化してきておるということでございます。例えば、有病率で申し上げますと、保健所単位で、全国で最低のところは十万人で四十人ぐらいしか患者はおりませんけれども、一番多いところでは千人ぐらいということで、非常にばらつき、二十五倍の開きがあるわけでございまして、そういうふうな状況になってまいりますと、従前の結核の予防対策に加えまして、よりきめ細かな有効適切な対策を打っていかなくてはいけないと考えたわけでございます。
 したがいまして、私ども、数字を十分保健所単位で把握しておりますので、そういう形で有病率の高い地域等におきまして、さらに結核について重点的に撲滅対策を促進していこうということで、財政当局の御理解も得ましてつけていただいた予算がこの八億円でございます。内容的には、細部についてはさらに詰めなくてはいけないわけでございますけれども、結核の予防思想の高揚のための事業でございますとか、効果的な健康診断の促進のための事業、あるいは健康診断を充実するための事業等、これからさらに地域の実情を踏まえまして、重点地域で、特に結核を撲滅するために事業を促進していただくというためにつけていただいた新しい予算でございますので、御理解をいただきたいと思います。
#320
○中西珠子君 これは新しく予算がついて、罹病率の高いところやなんかを重点的に結核の予防をなさるということで、大変結構だと思うんですよ。ただ私は、そういう最近罹病なさる方がふえているということは知らなかったものですから、そこが認識不足だったわけでございます。
 かつて結核で悩んでいて、そして年をとってから何か後遺症が残っているという人がいますね。そういった人たちに対する対策というのは、この中に含まれていないわけでございますか。
#321
○政府委員(仲村英一君) かつては二十歳代のいわゆる青年病と言われておったわけでございますけれども、現在は、既にもうかなり高齢化をしております。それから、新しい患者の発生につきましても、高齢者が非常に比重が高くなっておりますので、そういう観点では、病気の発病のメカニズムも多少変わってきているようでございますので、そういう、今おっしゃったようなことを含めて対策を打っていかなくてはいけないと思うわけでございます。
 御指摘ございました、例えば低肺機能でございますとか、恐らくそういう方たちも含めてのお話だと思いますが、低肺機能の方々には、それぞれ医療保険その他でもカバーする新しい施策もやっておりますけれども、お年寄りから若い方にたまたまうつってしまって集団発生をするというふうな事例もございますので、そういうことも含めまして、より効果的な撲滅対策をさらに推進してまいりたい、こういうことでございます。
#322
○中西珠子君 結局、健康診断はレントゲンの検査とツベルクリンということですか。それから血沈を調べるとか、そんなことですか。
#323
○政府委員(仲村英一君) 結核予防法に定めております結核予防対策の大きな枠組みは特に変えないで、従前どおり進めてまいりますが、それに加えまして、重点地域につきましてはさらにきめ細かい対策を推進させていただく、こういうことでございます。
#324
○中西珠子君 厚生省予算の中で、市場開放のためのアクションプログラム関連の経費というのが出ておりますけれども、これについてちょっと御説明をお願いします。
#325
○政府委員(北郷勲夫君) 先生も御承知のとおりでございますが、政府全体として昨年アクションプログラムをつくったわけでございますが、その中で厚生省関係もかなりございまして、薬だとか食品でございますとかいろいろございまして、そういった決まりましたものを実行するための予算でございまして、七千百万円ということになっております。
 中身はいろいろございますが、主な項目を申しますと、輸入食品の検査事務の円滑化を図る経費、具体的に申しますと、成田とか大阪空港での業務、日曜日とかなんかについてもやってほしいというような話がございまして、こういった関係の経費が一つでございます。それから、化粧品につきまして一つの規格基準をこしらえまして、個々の品目ごとの許可を要らなくすると、こういうようなことを考えておるわけでございますが、そのための、規格基準をつくりますための経費でございますとか、あるいは外国との協議の体制の整備のための経費、これは具体的に申しますと、外国へ行ったり来たりいたしますので、旅費がかなり要りますので、そういったところの必要な経費とかでございます。大体、全部合わせまして、先ほど申しましたように、七千百万円ほどが組まれております。
#326
○中西珠子君 例えば、輸入食品の検査事務の円滑化ということで、土曜日の午後とか、それから休日にも成田に窓口を開くとおっしゃいましたけれども、このために二千六百万ほど計上していますね。これは結局、時間外労働の勤務手当とか、それから休日労働の勤務手当とか、そういったものを含んでいるわけですか。
#327
○政府委員(北川定謙君) 今回、成田空港検疫所原木分室を設置しまして、そこでさらに食品の監視体制を拡充すると。それから今、先生御指摘のように、休日、夜間について、今までの勤務より延長をして仕事をする。そのために人を四名増員する。その人件費とその他設備関係の経費と、こういうことになっているわけでございます。
#328
○中西珠子君 これはもう非常に重要な、アクションプログラム関係のことは大変複雑で困った仕事の面もあると思いますけれども、これはやはり国際経済摩擦を解消するためには絶対に必要なことなので、厚生省としても十分御努力を願うように要望いたしておきます。
 それから私は、大変政府開発援助というものに関心を持っておりまして、これの質的向上ということを絶えず絶えず主張しているわけでございますけれども、この厚生省予算を見ますと、「国際保健医療協力等」となっていまして、政府開発援助の経費が出ておりますけれども、これが昨年度よりも減っているんですね。六十七億から六十一億に減っている。もちろん質がよくなれば減っても構わないというくらいなことかもしれませんけれども、質量ともに改善するということが必要なときに、これがまた、国際経済摩擦を解消する上からも、大いに日本が経済大国として国際的な責務としてやっていかなくちゃならない平和国家としてのコストであると言うこともできるわけなんでございますし、経済大国としても、とにかく資源の面では経済大国どころか資源小国であって、非常に海外の依存、殊に開発途上国への依存という度合いが強い日本ですから、大いにこの政府開発援助というものはやっていかなくちゃいけないんですけれども、質をよくしていくためにはやはり、経済援助ばかりでなく、こういった厚生省のやっていらっしゃる国際保健医療における協力ということが絶対に必要だと思いますので、今回の予算が減っている理由と、それから具体的にはどういうことをやっていらっしゃるか、これからはどういうことを考えていらっしゃるかというふうなことについてお話し願いたいと思います。
#329
○政府委員(北郷勲夫君) 減っているというお話でございますが、これ額面は確かに減っておるのでございますが、これは結論から申しますと、円高の影響なんでございます。厚生省関係の予算に計上されているものの中で、例えばWHOの分担金でございますとか、拠出金でございますとか、ドル建てのものがかなりあるのでございますが、最近の円高を反映いたしまして、六十一年度の予算でドル換算の率を変えておりますので、具体的に申しますと、一ドル六十年度二百三十七円でございますか、これを六十一年度二百九円というふうな予算として考えておりますので、ドルベースで考えますとふえておるのでございます。例えば、ドル建て経費を全体で申しますと約六十四億でございます。六十年度が六十四億でございますが、六十一年度の予算はその分が五十九億であります。しかしドルベースで申しますと、二千七百二十一万ドルが二千八百三十四万ドルということで、かなりこれはふえざるを得ないわけでございまして、分担金なんかは総額がふえますので、要するにドル建てで申しますとふえておるという状況でございます。
 それから、厚生省関係で一体どのような国際協力の事業をやっておるかというお尋ねでございますが、例えば看護婦さんの専門家、指導的な看護婦さんを日本に呼びまして研修をするとか、あるいは同じようなことでございますが、福祉の専門家をお呼びするとかいうような、国内に向こうのそれぞれの分野での専門家を呼んで研修するといったたぐいの事業、あるいはお医者さんなんかも含まれますが、それから例えば熱帯病なんかにつきましては、こちらから外国に参りまして向こうでいろいろ事業に協力するといったような仕事でございますとか、厚生省の予算でやっております事業はそんなようなものでございますが、そのほか、JICAで決まります、外務省の系統で決まります事業につきまして、実際の技術者のあっせんでございますとか、JICAの行います研修事業に厚生省の施設で一緒に研修を行うとか、こういったたぐいの国際協力の事業を行っているところでございます。
#330
○中西珠子君 この「国際保健医療協力等」と書いてあるところのODA経費の二番目に、「開発調査事業の拡充」とありますね。開発調査班業というのは大体JICAがやるのが多いんでしょうけれども、厚生省自体でやっていらっしゃる開発調査事業というのは、どういうものなんですか。
#331
○政府委員(北郷勲夫君) 厚生省でやっております事業は、発展途上国保健福祉開発企画推進専業とか、東南アジア諸国等人口開発基礎調査班業、こういったような名目になっておるのでございますが、国内で検討委員会を設けまして専門家の意見を聞くというようなことが一つと、それから、そういった話に基づきまして実際に外国に調査に行くというようなことをいたしております。
#332
○中西珠子君 開発途上国の人々が、殊に子供が飢えとか病気で苦しんでいるというときに、やはり日本としては政府開発援助、殊に保健医療の面での協力を大いに強化していただきたいと心から望んでいるわけでございますが、この国際保健医療の協力を推進、拡充していただくという面での厚生大臣のお考えというものをお聞かせいただきたいと思います。
#333
○国務大臣(今井勇君) 私は、かねてから国際協力というのを前から一生懸命やっておりまして、厚生大臣になりましたことを機会に、保健医療協力をぜひやろうじゃないかということをみんなに呼びかけまして、まず省内にプロジェクトチームを早速つくらせまして、そして本年度以降講ずべきいろんな問題をひとつ検討しようじゃないかということでやらしているわけでございます。
 その考え方は、いずれにしても日本のこれだけ進んだ保健医療の分野で、我々の知識というものをぜひ開発途上国の人たちにそれをトランスファーしたいと私はかねがね思っております。特にそういう国々では、我が国では既にもう済んだ病気というような感じでありますものの、例えば伝染病であるとか、それから先生のお話にありました結核であるとか、そういったものがまだまだこれからでございますし、医者もおりませんし、薬もないということでございますから、積極的に今これをやりたいと思っておるわけでございます。
 その中で、今三つほど特に考えたいと思っておりますのは、感染症の対策の部会をつくらせたい、それから、いずれにしても人間が必要でございますから、マンパワーの問題、それから、どうしてやるかという協力体制の問題ということで今検討を進めておりまして、ぜひひとつ先生のお力もかりまして、今後ともこの問題を積極的に進めてまいりたい、こう考えておりますので、よろしくお願いいたします。
#334
○中西珠子君 今、国際保健医療協力についての厚生大臣の所信、御決意のほどを伺いまして大変私も喜んでおります。どうぞ、今後とも一層のこの面での拡充強化というものを推進していただきますようにお願い申し上げます。
 それからもう一つお聞きしたいんですけれども、「生活環境施設の整備」というのがございますね。「厚生省所管予算の概要」の三十一ページにあるんですけれども、これもまた予算が減っているんですけれども、これはどういう理由で減っているんでございましょうか。私、これ通告しなかったかもしれないんですけれども、せっかく時間があるものですから、大変関心があるので、ちょっとお答え願いたいんです。
#335
○政府委員(北川定謙君) 先生今御質問の件は、恐らく公共事業関連の生活環境整備施設の整備費のことであろうと思いますが、これは、政府全体としての公共事業の抑制という観点から、この関係の予算が抑制をされたというふうに我々は考えておるところでございます。
#336
○中西珠子君 日本は、上水道の設備も悪いし、廃棄物処理の施設も整備されてないというふうなこともありまして、とにかく生活環境、住居環境というものをもっとよくしていかなくちゃいけないということを常々考えているわけでございますけれども、内需拡大のためにも公共事業を拡充していただきまして、そして国民の生活環境施設の整備ということは大いに推進していただきたいと思うわけでございますが、厚生大臣、この点の大臣の御所信と、それから国民全体の保健、福祉、それからとにかく生活の質の向上、そういったものをすべて広範にわたって所管していらっしゃいます大臣のこれからの御決意というものを伺わしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
#337
○国務大臣(今井勇君) お説のように、我が厚生省は、医療から始まりまして年金、福祉その他上水道、今お話しのありました公共事業等々たくさんなものをやっておりまして、予算の極めて厳しい時代でございますが、こういうときであればこそなおのこと、一層知恵を出しまして、きめ細かい対策を積み上げていくことが極めて大事だろう、こう思っておるわけでございまして、今後とも、一生懸命努力をいたしたいと思いますので、御支援を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
#338
○佐藤昭夫君 中曽根内閣になって四年目の予算でありますが、この四年間の社会保障関係費の伸びは八・三%、片や防衛費は二九・三%、一般会計の伸び率八・九%すら社会保障が下回っている、こういう姿にあるわけであります。したがって、この間の社会保障費の当然増経費も大きく削り込まれてきた。六十一年度予算でも、厚生省は当初一兆五千億の当然増が必要とされるとしてきていましたが、マイナスシーリングのもとで、概算時点で一兆一千億を削減し、政府案の段階で千二百億もさらに切り込むという、まことにひどい内容になっているわけであります。
 五十八年から六十一年の間に切り捨てられた当然増経費は、実に累計三兆円にも上る。三兆円といえば、GNPの約一%にも当たる膨大な額であります。当然国民生活を圧迫するとともに、国民の購買力低下を招いた一つの大きな原因になっているんじゃないか。あわせて、年金や医療面での制度改悪は、将来への生活不安を呼び起こし、消費を手控えるマインドを生み出しているということは否めないと思います。
 このように、社会保障、福祉の後退が、国民の生活はもとより、経済の側面にも大きな悪影響を来しているのはゆゆしき事態だと考えますが、まず、厚生大臣のこの点での基本的認識をお尋ねしたいと思います。
#339
○国務大臣(今井勇君) 私は、社会保障というのは、本来国民生活の長期の安定という目的によりまして行う政策であると考えております。
 また、国民経済との関連でございますが、消費支出を拡大させる等の効果があります一方、税金とか社会保険料など、何らかの形で国民の負担の増加を伴うものであると思います。さらにまた、年金であるとか医療といったものの改革は、制度が長期的に安定して、しかも有効に機能することをねらったものでございまして、社会保障というものを消費拡大の問題と結びつけて論ずることは、私は問題があるんじゃなかろうかというふうに基本的に考えております。
#340
○佐藤昭夫君 どうも大変なことを言い出すなという感じでありますけれども、大臣、あなたはかってたしか自由民主党の社会部会長をなさっていた時期がございますね。ちょっと確認をしたいと思います。
#341
○国務大臣(今井勇君) やったことございます。
#342
○佐藤昭夫君 そうなりますと、かつて自民党の社会部会としても中曽根総理に対して、社会保障や福祉をこれ以上後退させないようにと、こういう要望書を二回にわたって出されたことあるんじゃないですか。
#343
○国務大臣(今井勇君) 私は、中曽根総理に出したことがあったかどうかは今つまびらかじゃありませんが、少なくとも福祉を後退させないということは、かねてから申し上げたことでございます。
#344
○佐藤昭夫君 しかし、現実に福祉をめぐっての国民の負担はふえていることは紛れもないわけであります。あなたは、多少の負担をしてもらうのは制度を維持していく上で必要なことだということで肯定をされているんですけれども、それを肯定するか否定するか、ここは意見の分かれるところでありまして、少なくとも国民の負担がふえていることは事実だと。これを称して、社会保障、福祉が後退をしているというふうに多くの人は称しておるわけでありますが、それもそのはず、さっき言いました当然増経費三兆円累計削り込まれてきた、切り捨てられてきた。これは、年間の民間最終消費支出の約一・六%に当たるということでありますから、国民生活の圧迫にとどまらず、内需にも重大な影響を出して、今日の日本経済同体も困難にさせておる重大事だとして受けとめていただく必要があるだろうというふうに思うんであります。
 ところで、厚生省は、一月十四日に「昭和六十年国民生活実態調査」、こういうものを発表しておりますが、その中で、高齢者世帯の所得はここ数年どのように変わってきたかということの調査を発表しております。五十五年、五十六年、七年、八年、九年と、前年に比べて家計がどのように変化をしているかということで、ひとつ述べてください。
#345
○政府委員(北郷勲夫君) 高齢者世帯の一世帯当たりの平均所得金額ということでございますが、年を追って申し上げますと、五十五年百九十八万一千円、五十六年二百十七万四千円、五十七年二百十八万四千円、五十八年二百十万八千円、五十九年二百十四万六千円、こういう推移でございます。
#346
○佐藤昭夫君 そうしますと、今の数字が示しますように、一番最近調査の五十九年二百十五万円、三年前二百十七万円だったんですから、三年前よりも低いわけでしょう、所得。片一方物価はどんどんと上昇をしている。ここへ加えて、老人医療費有料化を初めとする国民負担増がここへかぶってきているということで、これは福祉の後退が起こってきておるということは紛れもないことだと思うのです。ですから、この調査の中でも、福祉がよくなったか悪くなったかという点で、悪くなったという人は四〇・九%、よくなったという人は五・七%、こういうシビアな数字となって調査の結果も出ているわけでしょう。
 この厚生省調査発表の翌日、一月十五日に、経済企画庁が「人生八十年時代における生涯家庭生活設計に関する調査」という、家庭の主婦の意識調査のまとめを発表しております。それによりますと、老後に対しては総じて明るいイメージを抱いている人が多いわけでありますけれども、イメージというか期待ですね、明るい期待を抱いておる人が多いわけでありますが、しかしさっき言いましたこの十四日の厚生省の調査、これとつなげてみました場合に、国民の老後への期待、それと現実の厳しさとのギャップ、これが非常に端的に示されておるというふうに言うことができるんじゃないか。
 厚生省というか、中曽根内閣が、社会保障への国の負担をいかに抑えるかということを大命題として、医療、年金を初めとする諸制度の改悪を次々に行って、国民に負担をかぶせてきたわけですけれども、それがさらに、六十一年度老人医療の再改悪によるお年寄りへの医療費負担の増大を初めとして、社会保障への攻撃の第二ラウンドを開始しようとしているということは、本当に許すわけにはいかぬというふうに思うわけであります。今、提案をされておるようなこういうようなことでいけば、そういう国民の老後への期待と現実のギャップ、これに拍車をかけるということは明瞭でありまして、本当にこれで、厚生省としての国民に対する責任をとっているというふうに言えるのかどうか。
 先ほど、福祉の後退をさせるということは、私としてもそんなことあってはならぬというふうにたびたび言明もしてきたとおっしゃっている厚生大臣、どうでしょうか。
#347
○国務大臣(今井勇君) このアンケートの結果を見ましても、確かに対象者の老後の生活設計を大まかに描くと、現在の場所で夫だけと一緒に暮らして、経済的な支えは公的年金を中心に夫の就労や今までの資産で賄うが、一方、精神的な生きがいは余暇とか趣味を通じた友人、隣人などとの交流を求めるというようなことが結論になっておるようでございますが、とにかく、少なくも公的年金というものを老後の生活設計の中心に据えまして、夫の就労や自分の資産といった自助努力でそれを補うといった平均的な老後の生活が、私はこれでよくあらわれていると思っております。
 そこで厚生省といたしましても、このような国民の考え方を踏まえまして、先般、公的年金制度が公平で、しかも長期的に安定させることとなりますように基礎年金を導入いたしましたり、また婦人の年金権を確立するということを中心にいたします制度改革を実施したわけであります。それで、いよいよこの四月一日からスタートするわけでございますが、六十一年度予算におきましても、国民が二十一世紀においても安心して老後を託せるように老人保健制度というものを改革したい、あるいはまた、在宅福祉のサービスの充実というものに取り組むこととしておるわけであります。
 今後とも私は、社会保障の予算の編成に当たりましては、今回の調査で明らかになりましたような、私は、国民の期待にこたえることができますように、社会保障の制度というものが長期的に安定をして有効に機能し得るように、制度の合理化であるとか、あるいは効率化というものを進めると同時に、寝たきり老人とか体に障害のある方々に対します施策につきましても、きめの細かい配慮を行っていきたい、こう考えておるものでございます。
#348
○佐藤昭夫君 年金や老人保健制度のことを例に挙げて、いかにも一生懸命やっているんだというふうに言われますけれども、確かに障害者の年金改善はされましたけれども、片や年金制度全体の大改悪、ここの関係で見たときに、決してそんなに威張れた話じゃないということだと思いますし、
    〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕老人保健の問題にすれば、国民負担増の第二ラウンドの負担をがばっと押しつける計画を今出しているんですからね。これこそ語るに落ちた話だと思うんですよ。
 そこで、本当にやるべきところには一生懸命やっておるんだとおっしゃるんであれば、しからばお聞きしたいということで、具体的な問題に入っていきたいと思うんですが、視力障害者の方々から出されておる要望の問題であります。
 その一つとして、点字による国家公務員T種試験、上級職の試験ですね、この道を開いてほしいという年来の要望があるわけであります。これは本当にそういう視力障害者の方々に未来への希望を開く重要な問題だと思いますけれども、制度上の問題は人事院に後から聞きますので、それはさておいて、厚生大臣にまず基本的姿勢を聞きたいと思いますけれども、こういう視力障害者の方々に未来に希望を開いていくという点で、ぜひそういうT種試験、上級職試験の道を開く、こういう方向で厚生大臣としてもひとつできる限りの努力をやってみようと、こういう御意思ありますか。
#349
○国務大臣(今井勇君) 私は、目の不自由な方々の職場が広がって積極的に社会に参加できるようになることを、視覚障害者の福祉の向上という意味で、基本的に大変大事なことだと思っております。したがって、それに必要なものであるならば、これはやはり積極的に考えていくことが大事だろうと思っております。
#350
○佐藤昭夫君 大臣も御存じのように、今日の状況のもとで視力障害者も、例えば大学の受験、共通テストですね、これも点字で試験が受けられるという道が開かれてきている。弁護士さんの場合にも、私の地元の京都で、日本で最初に弁護士さんになられた竹下さんという方がおられますけれども、立派に弁護士活動を今も続けておられるわけですけれども、こんなふうに司法試験に合格し、弁護士に全盲の方がどんどんとそういう道についていかれるということは、全国の視力障害者に大きな希望を与える問題であろうと思います。
 こうした点で、人事院来ておられますかな。――かつて五十九年の四月十九日に、本委員会で我が党の山中郁子議員がこの点字試験制度の問題も取り上げまして、労働省の職安局長から当時の任用局長鹿児島さんですかに対して、制度導入のため検討をしてもらいたいということの正式要請が出されたと思いますけれども、その後の検討状況はどうなっているでしょうか。
#351
○説明員(竹澤正格君) お答えをいたします。
 労働省から話があったことは事実でございます。しかしながら、私どもは、労働省にも再三再四申し上げたことでございますが、現在のところ、国家公務員の採用試験におきましては、点字試験というものは実施をいたしていないわけでございます。
 これは、公務員の採用試験の対象となります事務、技術等の官職の職務というものは、通常、文書を媒介として行われるものであるということで、諸種の事務用機器が発達しつつある現在におきましても、なお強度の視覚障害者がこれを駆使してこれらの職務を全般的に遂行できる状況に至っていないということが理由でございます。
 国家公務員の採用試験と申しますのは、採用を前提とする試験でございまして、つまり、先生先ほどおっしゃいましたように、司法試験のように資格試験ではないわけでございまして、したがいまして、視覚障害者の一般的な事務あるいは技術職への進出については、競争試験において点字試験を導入するということよりも、まず実際の採用に当たる各省庁における視覚障害者の職域の拡大というものが先決であるというふうに考えておるわけでございます。
 したがいまして、当面私どもは、各省庁における視覚障害者の採用需要が出てまいりますれば、選考の方法によって採用することが現実的ではないかというふうに考えておるわけでございますが、点字による受験につきましては、各省庁における視覚障害者の職域拡大の動向を見きわめながら、引き続き検討をしてまいりたい、かように考えております。
#352
○佐藤昭夫君 公務員は文書による職務が多いので、まだ点字試験を実施するそれに踏み切れないと、こういう話でありますけれども、しかしどうですか、大学の受験、これだって文書によるペーパーテストですね。そして、入学して学生の暁、文書によるいろんな学習、勉強の活動というのは非常に重要な部分を占めておるわけでしょう。しかし、それでも十分今日いけるというふうに判断をして制度的にそういう方向へ踏み切っていると。弁護士の場合、それは資格試験だとおっしゃるけれども、大体司法試験、資格取った方はほとんど弁護士ないしは法律家の道を進んでいるじゃありませんか。だから、やっぱりそれで十分やっていけるだろうという判断で制度的にそういう道を開いてきていると。それを依然として人事院だけがそういう頑迷固陋といいますかな、そういう態度をとり続けているということは、私は絶対に納得ができない。
 しからばということで、それなら聞きますけれども、本当にそういう人たちに、視力障害者の人たちに点字試験も受けられるような道を開くために、今すぐできぬというんだったら、あなたの論法で、将来できるだけ近い機会にそれがやれるように、どういう条件整備をやろうというんですか。それは人事院は知らないと、それはそれぞれの省庁でやりなさいという、そんな無責任な態度ではちょっと通らぬでしょう。人事院としてどうするつもりですか。
#353
○説明員(竹澤正格君) 先ほどお答えいたしましたように、人事院の採用試験といいますのは、これは採用を前提にした試験であるわけでございまして、それで、各省庁が現実に採用するということにならない限り、一般の競争試験の対象にするというのは少し問題があるわけでございます。
 先生御案内のように、国家公務員の採用と申しますのは、一般競争試験の方法とそれから選考採用の方法と二つの方法があるわけでございまして、現に選考採用によりまして視覚障害者が採用されておるという実績が多々あるわけでございます。
 したがいまして、私どもは、各省庁の職域の拡大がどんどん進んでいって、かつ競争試験をやってもいいと。つまり、試験に合格すれば必ず採用すると、そういう事態に立ち至れば、その時点で検討をしてもいいというふうに考えてございます。
#354
○佐藤昭夫君 とにかく全くあなた任せで、あなたのところの試験制度がガンにたって事が進んでないということについての反省がいささかもないですね。
 とにかく、そういう視力障害者であろうと、今日のOA化の時代、例えばハードウエアでは換点字のワープロもいろいろ開発されてきていると、仕事の仕組みもいろいろと工夫の余地があると、さらにはヒューマンアシスタントを置くということによって克服できる部分というのは大いにあると、こういうことでありますから、そういう点を十分生かして、一日も早くこういう人たちに希望の光が当たるような、そういう状況をどうつくるかという、前向きに積極的に問題を考えていこうというニュアンスを、今の答弁を聞いておる限り感じられませんね。
 それで、ここへくれば厚生大臣にお願いをしたいんです。本当に障害者の方々に一番責任を持っておる厚生省という官庁のそこの大臣として、さっき大臣も言われた、こういう人たちが希望を持てるようなそういう施策の充実をもっともっと図らなくちゃならぬ、その一つの問題としてこの点字試験制度の問題ですね。これについて、ひとつ厚生大臣としてもよくそこに意を用いて、人事院とも相協力をし合って、どうしたら問題の前進、打開ができるかという研究をぜひやってもらいたいということを大臣に要望するものですが、どうでしょうか。
#355
○国務大臣(今井勇君) これはなかなか問題がある問題だろうと思います。しかし、やっぱりこれははく検討さしていただきましょう。そのようにお答えをしたいと思います。
#356
○佐藤昭夫君 ぜひひとつ精力的に検討してもらいたいし、それと人事院も相呼応して積極姿勢で問題に取り組んでくださいよ。
 次の要望でありますが、病院勤務のマッサージ師に関して、視力障害者の大きな雇用の場として病院があります。安定した雇用のために、マッサージの今の保険点数が低いので上げてもらいたいという要望が非常に強いわけでありますけれども、リハビリとの関係もありますが、何よりもこれら視力障害者の方々の雇用安定、こういう立場から、次回の診療報酬改定時にはこの問題もひとつ検討の俎上にのせる、検討の対象にするということを考えてもらいたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
#357
○政府委員(幸田正孝君) 病院に勤務をいたしておりますあんま、マッサージ師等についての保険点数の問題でありますが、御案内のとおり、診療報酬の改定につきましては中医協でいろいろ御審議をいただき、医療機関全体としての経営が安定をするように、また新しい医療、医学、医術が的確に反映をされるようにという観点から診療報酬改定が行われているわけであります。
 今年の四月からも、一般の保険医療機関について申し上げますと二・五%、また、昨年の三月からは三・五%と、それぞれ引き上げを行っているわけでありまして、個々の点数の中身になりますと、これはいろいろなバランスの問題もありますし、今御指摘のとおり、リハビリの関係の中で、理学療法の中でどういうバランスをとっていくかという問題がありまして、なかなか難しい問題があります。せっかくの御指摘でありますけれども、私どもは、医業経営全体として安定をするようにということで診療報酬の改定を考えていく、こういうことのお答えをせざるを得ないわけであります。
#358
○佐藤昭夫君 必ずこういう答えを出せという、そこまで何も性急なことは言ってない。検討の課題の一つにひとつのせるということを考えてもらえないかということで、強い要望があるからどうだということで聞いているんです。
#359
○政府委員(幸田正孝君) マッサージ師についての御質問でありますけれども、医療機関に勤務をいたしております職種は非常に多数に上ります。看護婦さんを初め、准看護婦さんあるいは衛生検査技師、レントゲン技師の方々、いろいろな方がおられるわけでありまして、例えば、看護料について看護婦さんの処遇改善という意味で検討せよ、あるいはレントゲンの問題についても同様な見地から検討せよということになりますと、これまたいろいろな問題が出てまいります。私どもは、あくまでも医業経営の安定、そのことによりまして、結果として、そこに働いておられる看護婦さん、あるいは今御指摘のマッサージ師さんを初め、いろいろな職種の方に十分な給与ができるということになるわけでありますから、私どもは医業経営の安定をどう考えていくかということでありまして、個々の点数につきまして、このためにこの点数をこうするということは、なかなか今の段階で私からはお答えをしかねる問題でございます。
#360
○佐藤昭夫君 官僚答弁の最たるものみたいな感じがしますけれども、そういうマッサージとか看護婦とか、そこらも含めて医業経営全体の安定のため、こういう見地からいろいろ検討を加えるということで、ということは、私の言っているこの問題が全然シャットアウトされておる問題じゃない、そのことも含めて全体的に検討するということだというふうに私は受け取っておきますよ。
 もう一つ、先日、京都の盲人協会の人たちから聞いた要望の中に、老人の鍼灸マッサージ施術費の公費負担制度を創設してもらいたいというのがありました。この背景には、もちろん老人福祉ということもありますが、三療開業者の生活安定という願いがあります。現在お客は少なく、生活が十分でないのが実情であって、そういうもとで幾つかの地方自治体では老人にサービス券を配付したり、あるいは老人福祉施設でマッサージ等のサービスが受けられる施策などを実施しています。こういうやり方は、老人の福祉にもなるし、同時に三療に従事している視力障害者の生活安定にもつながっている。こういうことで、政府としても何か援助ができるような方策がないものか検討してもらいたいと思うんですが、どうでしょう。
#361
○政府委員(小島弘仲君) お話しのように、現在、我々把握しておるところでは、百七十一市区町村が敬老週間、敬老月間あるいは敬老の日の事業等にこういうことをやっているところは把握しております。
 ただ、医療上必要なマッサージにつきましては保険医療の中に既に組み込まれているわけでございますし、老人福祉という観点につきましては、先生、先日も御指摘いただきましたように、我々はむしろ、社会参加を積極的に、あるいは社会復帰ができるような、そういう意味でのリハビリ、あるいは積極的な、創造的な社会活動というようなものに中心を置いてまいりたい。国の施策としてはそういう位置づけが適当ではなかろうか。
 また、お話しのような、いわば老人に対する疲れをいやす、凝りをほぐすというような事業につきましては、それはやはりそれぞれの地方公共団体の御判断で事業の中に位置づけるというところが妥当ではなかろうか。国としてはもっと積極的にやるべき分野が残ってやしないかというふうに考えております。
#362
○佐藤昭夫君 どうもこれも消極的ですね。
 もう一つ、例えば老人施設へこれらのマッサージ師の方々を配置する、あるいは出張施術をする、こういうことも生活安定にもつながるし、雇用拡大にもつながる。こういう点で、こうした面での国としての奨励援助、こういうようなことは検討に値しませんか。
#363
○政府委員(小島弘仲君) 老人福祉施設につきましても、そこで病的な状態になっていらっしゃる方等々につきまして、医学的に必要なマッサージ、あんまというようなものについては、出張なり何なりということで十分それは受け入れて実施してまいっておるところでございます。
 ただ一般的に、医学的に必要のないマッサージというようなものを老人福祉施設なり身体障害者施設の必要不可欠な要員として配置しておくということについては、ちょっと問題があるんではなかろうかというふうに考えております。
#364
○佐藤昭夫君 大臣、いろいろと理屈並べて、きょうも盲人の方々が多数傍聴に来ておられますけれども、厚生省としてはいろいろ福祉の分野を後退させないように一生懸命やっておるつもりだと言われても、今の答弁はどういうふうに聞かれたろうか、非常に冷たいなというふうに受け取られたに違いないと思うんですよ。
 そこで、最後に大臣に改めてお尋ねしておきますけれども、来年は国際障害者年の折り返し点ですね。こういう時期を迎えて、今日まで社会保障分野の生え抜きだというふうに自称されておったあなたが大臣になられたこのときにこそ、こういう視力障害者を初めとして、障害者の方々が未来に希望が持てるような、新しい施策の前進が始まったということで喜ばれるような仕事、そういうことで記録に残るような仕事、これにひとつ大臣として渾身の努力をしてもらいたいというふうに思いますが、この点についての基本姿勢をお聞きしておきます。
#365
○国務大臣(今井勇君) いろいろ御質問とその答弁を聞いておりましたが、私は、やはり視力障害者の方々の職域をできるだけ拡大することができるように、これは各省庁と協力してやらなにゃいかぬなということをまず感じますね。それからまた、そのためにも活動しやすいような社会環境づくりということを、やはりそういうことをまずやらなにゃいかぬ。
 それからもう一つは、視覚障害者の職域の拡大ということが可能となるような、例えば福祉の機器の改造だとか、それからその他もろもろの問題があろうと思いますが、いずれにしても、やっぱり今後こういったものに力を入れていくということは極めて大事なことだと思いますから、今の先生のずっと御質問を聞いておりまして、なお一層力を入れてまいりたい、こう思っております。
#366
○佐藤昭夫君 終わります。
#367
○藤井恒男君 私は、中国残留孤児問題に特定して若干お尋ねいたしたいと思うわけであります。
 厚生省の六十一年度予算概要を拝見いたしますと、その中に中国残留孤児対策として、訪日孤児の人員を大幅に増員し、昭和六十一年度までに訪日肉親調査を終えさせるとともに、定着自立促進対策の充実強化を図る、こういうふうにうたっておられるわけです。これまでも大変状況の難しい中で、厚生省の皆さん、とりわけ援護局の皆さん、それから多くのボランティアの方たちの非常に熱心な活動で、中国残留孤児が訪日し、いろいろ肉親捜しもし、身元判明者も出ているわけでありますし、中には気の毒に、身元判明に至らず帰国する方もいらっしゃる。私も、帰国を希望する中国残留孤児国会友の会のメンバーでございまして、身元引受人になっているわけです。皆さん方のこれまでの御努力には心から敬意を表しているわけであります。
 今申した六十一年度までに訪日肉親調査を終えさせるということでございますけど、これからのスケジュール、どのように進めていこうとしているのか。また、これまでの調査の概況、大臣もよく御経験もなさっておられますし、御関心も深いように承っているわけですが、どのように見てこられているのか、このことを先にお伺いしておきたいと思うわけです。
#368
○国務大臣(今井勇君) 中国残留日本人孤児の問題というのは、先生おっしゃいますように、これは人道上の問題でもございます。したがいまして、なるべく早い機会に、すべての日本人孤児の皆さん方が身元がはっきりわかる、それで肉親に会える方は会えるというふうにしたいものだ、これは全力を挙げて取り組まなきゃいかぬと考えておるわけでございます。
 そこで、今まで第十次にわたりまして孤児の訪日を受け入れたわけでございますが、なかなか今までのようなピッチでは、これはもうだんだん年をとってまいります。孤児もそうですが、孤児の両親あるいは養い親、皆さん方にとりましてもお年でございますから、早くやらなければ、わかるものもだんだんわからなくなるだろう、こう思いましたので、私は六十一年度で、先生おっしゃいますように、残りの今わかっております範囲の七百人、とにかく全部訪日調査をやろうじゃないかということで今それを進めているわけでございます。そして、帰国を希望します孤児を温かく迎えられますように受け入れ態勢の整備も同時に図ってまいりたい、こう思っております。
 さらに、何といいましても、こういった方々がやはり帰国をされましても、地域社会になじんで自立してもらうことが最も大切でございますから、そういうための生活の指導、あるいは日本語の指導というものを充実強化しなきゃなりませんし、また関係各省の御協力も得まして、その方々の就職であるとか、それから住宅の問題、それから子女の教育の問題といったもろもろの施策が総合的に進められることが最も大事だと思っておりまして、この問題には最大限の努力をやってまいりたい。
 たまたま、けさでございましたか、残留孤児のデータを電算機に入れまして、それで索引ができるような、そういう本当にささやかなことでございますけれども厚生省でやりまして、これからもそれを大いに使いまして、残留孤児の一日も早く全員の身元が判明するようにというようなことをやったのもその一つのあらわれでございますが、どうぞひとつ、先生にもこの問題についてかねてから大変な御協力いただいておりますが、よろしくお願いを申し上げたいと思うものでございます。
#369
○藤井恒男君 これは厚生省がメーンで大変苦労なさっているわけですが、今、大臣いみじくもおっしゃった、残留孤児ももちろんのことですが、その子弟ですね、その子弟の教育問題というのがこれ非常に問題になっているわけで、帰国子女の九割が授業に支障を来している。帰国子女の入学も非常に難しい、ままならない、たらい回しみたいな状況にも遭っている、こういうようなことも報道されて大変心配もし、気の毒にも思っているわけです。
 したがって、この問題は人道上の問題でもありますし、我が国における大変な責任でもあるわけですから、ひとり厚生省だけじゃなく、文部省等ともやっぱり密接な連絡をとって対応策を講じなければ、これは時間的に余裕のない私は問題だと思いますので、本年度に一遍終わっちゃうんだと、ピリオド打っちゃうんだというならなおのこと、閣議でも十分発言していただいて、対応策をやはり広く求めるべきじゃないかというふうに考えているわけです。細かい教育についてのデータなどもありますが、時間の関係で私省きますが、そういった点についても大臣のお考えをお聞きしておきたいと思う。
#370
○国務大臣(今井勇君) まさにおっしゃいますように、残留孤児、日本へ帰ってみえたときのお子さんの教育の問題、先生のおっしゃるとおりでございます。この問題、やはり我が省だけでもできませんので、これどうしても文部省等々の、あるいはまた地方の教育委員会等の御協力も得なきゃいけませんので、ひとつ閣議等の席でも、おっしゃいますようなことで各省にお願いをいたしてみたい、このように思います。
#371
○藤井恒男君 局長にお伺いするわけですが、予算の概要の中でうたっております定着自立促進対策の充実強化を図るということについて、具体的に何かお考えを持っておられるのかどうか、その施策があれば聞かせていただきたいと思います。
#372
○政府委員(水田努君) 大変厳しい財政状況下でございましたが、大変財政当局の深い理解を得まして、一応私ども前年度め総枠にして二・一倍という予算を獲得できたわけでございますので、まずこれを有効に使って対策の推進を図ってまいりたいと思っております。
 具体的には、孤児の方が自立する場合には、やはり所沢の定着促進センターの受け入れ能力というのを大量帰国時代に即応して充実する必要がございますので、まずこの受け入れ能力の倍増を図ったというのが一つでございます。
 それから、センターを卒業した後、それぞれ地域社会に散っていくわけですが、その地域社会でこの孤児世帯のお世話をいたします生活指導員というものがあるわけでございますが、現在月四回指導に参っておりますが、その回数をさらに三回ふやしまして七回にした。特にその三回分につきましては、センターにおける語学の勉強というものは初歩的なものでございますので、実社会に入ってさらに実社会の経験的な日常会話の中で補講を強めていくということで、その三回分を日本語の補講に振り向けるということを中心にいたしております。そのほか、生活指導員が的確な指導を行うように、その資質の向上を図るための研修制度も新規として設けております。
 こういうことを中心に、定着自立に向けて一生懸命対処してまいりたい、このように考えております。
#373
○藤井恒男君 次に、帰国のための手続の問題、実はきょう法務省の方にも来ていただいて聞いてもらおうかとも思ったんだけど、余り時間がないのでお呼びしなかったわけです。これは局長の方から、また大臣もよく聞いておいていただいて、法務省の方とよく連携をとってもらいたいんですが、これは実際の話なんです。実際の話というか、実際にあったことなんだけど、私の友人が三重県におるんですが、ボランティア活動で身元判明者の身元引受人、引受保証人になっております。身元引受保証人。これは身元が判明したわけだけど、肉親者が引き受けを拒否しているわけですね、いろんな事情があると思うんですが。これは実際の問題なんです。この私の友人は、そのために引受保証人になって、既に三重県の彼の住んでいる上野市に二組定住させているんです。今、三組目の書類申請を終えようとしております。書類申請は大体私のところでやっておるんです、私の事務所で。
 そこで問題になるんですが、帰国者の日本国籍外の中国人の配偶者あるいは成人ですね、成人を伴って帰国する場合の問題です。成人同行者がおる場合には、法務省の査証審査が必要となるんです。法務省の中国担当査証審査の事務処理が非常に遅いんです。大体長いので六カ月かかる。早くても三カ月というのが普通ですね。私、一件だけは法務省に督促して一カ月ちょっとで済んだのがありますが、これは法務省自身も、担当官もこんなの初めてだというぐらい早いわけなんです。
 ここで非常に問題になってくるのは、帰国者がセンターへ入所申請書を出しますね。そしてセンター入所期間というのが十日間なんですよ。今言ったように、厚生省関係のいろいろな書類と法務省の書類と二通り進行しているわけですから、だから厚生省から入所の指定があっても、その十日間の期間に帰ってこれるということはほとんどないと見ていい。今言ったようなボランティアの保証人の場合にはそうなって、仮に早く着いても、あるいは遅く着いても身元保証人がその人たちを仮に受け入れているわけですね。これは経済的にも大変な負担になるし、言葉の問題もある。おくれて来れば次の入所期間まで待たなきゃいけないわけですね。これは私は善意のボランティアとはいえ、ちょっと厚生省も手を抜き過ぎている。もっとも法務省が、六十一年度中に全部終えるんだぞという特段の期間を設定しているから、そこの人員を臨時的にもふやして審査をするというようなことも一つの便法だとは思うけど、しかし今言ったように、十日間に限って入所ということになれば、その間どこか適当なところに仮に収容するというようなことを講じるべきじゃないかなと。でなければ、善意の方たちも、これからどんどん希望者がふえてきて、そういったボランティアの方たちが一生懸命やろうとしても参ってしまうと思うんですね。非常にこれは私は隠れた重要な問題じゃないかという気がしておりますし、同じ友人の、この私の友人の三重におる男のさらに友人が、兵庫と大阪で同じようなことをやっているんですが、もう脱落する寸前だと、もうこれでいいというような雰囲気になっているので、ひとつぜひこれは厚生省の方にも申し上げ、また法務省の方にも申し上げて、善後策を講じてもらいたいという切々とした書状が来ているわけです。
 この辺の隘路について御承知であるかどうか。そして、これは実際なんですが、このことについてどのようにお感じになるか、お聞きしたいと思うんです。
#374
○政府委員(水田努君) 御指摘のとおりでございます。私どもこの問題の解決に今一生懸命方策を検討しているわけでございますが、なぜそういうタイムラグが生ずるかという、まず原因を突きとめなきゃならぬわけでございます。
 孤児が日本に永住帰国を決意しまして帰ってきます場合には、まず中国政府に対しまして旅券の発行を申請して、旅券が発行されますと、北京の日本大使館に入国のビザの申請をするわけでございます。孤児本人が戸籍がわかっていて、男性で日本国籍を持っております場合は、奥さんが中国人で同伴する子供が未成年でございますと、全部ビザの発給というのが北京の日本大使館で処理がなされます。ところが、今、先生の御指摘のとおり、孤児が女性で、連れ合いが中国人であり、同伴する子供が成年に達しておりますと、これは全部身元保証人の所在する入管にビザの申請を出先の大使館がまとめて送るわけです。まず送るのに時間がかかる。それで地方の入管の事務所は処理のスピードが違う。しかも、身元保証人に就職の可能性その他自立の可能性があるかどうかという照合をしますので、その身元保証人と入管の事務所とのやりとりの時間が相当違ってくる。また、オーケーが出て今度は北京の大使館に送るわけです。また送る時間がかかる。相当時間がかかるものですから、私どもなかなか全体の流れの計測がつかないために、所沢センターの入所案内との間にそこが生ずる。そこを生じさせないためには、その流れを的確に掌握して、そこを生じないような形で入所案内をすると一番いいわけでございます。
 その流れを確実にしていくためには、やはり方法は二つあるわけでございますが、その一つは、これはボランティアの団体の方々が言っておられることでございますが、全部北京の大使館で処理をしていただけるようになりますと、時間の計測というのが確実にできるわけです。それが一つと、それができないならば、地方のそれぞれの入管の事務所で処理する時間を画一化してもらう。
 一カ月なら一カ月、二カ月なら二カ月以内に処理するということを確立していただければ、流れが計測できるわけでございますので、私ども常々、法務省あるいはこれは外務省にも関係してまいりますが、時間の短縮なり、あるいはボランティア団体の言っておられるような徹底した形が可能ならば、そういう形をとってもらえないかということを要望しておりまして、法務省の方も、法務委員会その他でもいろいろ御指摘を受けておられるようでございまして、スピードアップ、時間の短縮について非常に前向きに検討するという御回答を得ておりますので、そうなりますと、孤児が日本に具体的に帰ってくるタイミングというのを厚生省はつかむことができますので、そこを来さないような形での所沢の入校の案内ができるようになるのではないか。
 そういう方向で全体の流れの合理化を図ってまいりたいということで、今、最終の詰めを行っているところでございますので、先生の御指摘のような事例は、極力今後起こさないように、最善の努力をしてまいるつもりでございます。
#375
○藤井恒男君 大臣、お聞きのように、これは表面だけ見ていると、一時肉親捜しに呼んで、そしてまた帰国もする、これがテレビに放映されて、そして新聞に報道されて流れているわけだけど、実際の問題というのはこんな問題なんですよ。これは随分時間がかかっているんですよ、十次の肉親捜しまでやっているんだから。ところが、現実は今言ったようなことで、局長も認めておられるように、これはやっぱり法務省の問題、外務省の問題全部が一緒になって処理しなければ、これはとってもじゃない、大変なことなんですよ。だから、向こうの出国のビザ、中国における中国国内の問題ももちろんありますが、それはそれとして、中国できちっと形が整えば、日本に持ってくる分には、私が今言ったように、身元保証人の地元、そしてまた法務省、また別なルートで厚生省、そして北京の日本大使館を往復してやるというようなことは、とってもじゃない、日本国内で東京から大阪に来るような、新幹線が二十分おきに走っているというような状況とは全然違うわけなんだから、これは非常に大きな問題だと私は思いますんで、よく気をつけておいていただきたいと思うんです。
 同じようなことが、日本に一時帰国した孤児が、日本のボランティアの活躍といいますか、帰国受け入れについての熱意に感動しまして、本人が一週間休暇をとって、敏江県という、私はここを全く知らないんですが、旧満州の最北部の県のようです。だから、チチハルから特急で五時間かかるというんですから、旧満州の一番北でしょう。そこに一週間かけて休暇をとって、そして残留孤児の二十八世帯を個人で調査してきているんですよ。そこで判明したデータもあるんだけど、二十八世帯百二十六人、このうち日本血統というのが四十八人、そして日本人であると証明を持っておるのが八人いるわけだけど、その中で、既に一時帰国しておるのは二十人にすぎない。結局その他の人はどうしているんだと言ったら、本当に気の毒な話だけど、どのような手続をしてどうしたらいいのかわからないと言うんですよ。
 だから、旧名で恐縮だけれども、大連とか奉天とか新京とかハルピン、こういう大都会というようなところであるならば、これは情報網もあるし、ある程度の教育レベルもありますから、いろんな形で伝わることだと思うし、厚生省からも特別な班が出向いて現地でいろいろ調査もしたわけだけど、今言ったような辺境におる方たち、これはなかなか一時帰国の制度その他についても、字も読めない人もたくさんいるわけですから、わからないというような状況に置かれているようです。
 こういった点も、私はやっぱり、言ってみればそういった人にこそ、こちらで永住とはいかないまでも、一度、二度は日本を訪れて土を踏むというような道を開くべきじゃないかというふうに思うわけだけど、どうですか、そういった点についてのお考えは。
#376
○政府委員(水田努君) 今回の七百名の訪日調査をする孤児は、大きく言って二色ございまして、一つは、従来からそうでございますが、自分が日本人孤児であるので、ひとつ肉親を捜してほしいということを日本側に申し出て、中国側も日本人孤児であると認めた者と、そういう申し出をしていなくて、中国側が公安部でいわゆる外国人の把握をするという形で把握した者と、両方入っているわけでございまして、私ども、先生の御指摘のような方は、今回の七百人の中に当然入っていると思いますが、従前から私ども申し上げておるんですが、七百名というのは現在日中両国が認めている孤児の数でございまして、先生が御指摘のような孤児が、今後、あれだけ広い国でございますので、出てまいりました場合、日本にお連れをして肉親捜しをするのは当然でございまして、何か六十一年度で孤児を連れてきて捜すのは打ち切るというふうに誤解されているようでございますが、それは概了したいということでございまして、決して打ち切るというつもりはございませんし、先生の御指摘のような者が中国政府の方で間違いなく日本人孤児であると公的に認めた者であれば、当然私ども日本に連れてまいって調査をしたい、こう思っております。
#377
○藤井恒男君 これは、我が国ももちろんですが、中国の大使館あるいは総領事館等にも十分よく連絡をとってPRしなければ、これで終わりだよというような印象になりかねないというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、もう時間もありませんが、養父母の扶養費の問題について、せんだっても一部の新聞で、日本人は恩知らずだというような不満の批判的な意見が中国の一部にもあるというような記事を私ちょっと見たわけだけど、現在の交渉の経過がどうなっているのか、そしてその解決をいつごろ図ろうとしているのか、私は急がなければならない問題だ、相手国もあることですけど、非常に重要な問題だと思うんで、その概要をお聞きしたいと思います。
 もう一つ大臣に、私今申したように、中国残留孤児問題は厚生省の援護局だけの問題じゃない、文部省もそうだし、法務者もそうだし、あるいは外務省もいろいろかんだ問題ですから、これはひとつ大臣の手元でよく連携をとって、先ほど具体的にあえて問題点を指摘したわけだけど、その他にもいろいろ問題があるわけですから、よく善処していただきたい。それについての大臣のお考えをお聞きいたしたい。初めに局長からお願いいたしたいと思います。
#378
○政府委員(水田努君) 扶養費の交渉の内容は、外交交渉に属することでございますので、内容をここで申し上げることはお許しをいただきたいと思いますが、おおよそ大詰めの段階に参っておるという状況でございます。
#379
○国務大臣(今井勇君) 今、扶養費の問題は局長から答弁いたしましたが、この間も私が外務大臣にお会いをいたしまして、今度日中の外相会談がございますから、そのときに正式の議題として取り上げてひとつこれを促進していただきたい、重ねて申し上げましたところ、できればそのときに決めたいというふうな旨の御答弁がございました。
 私も、その外務大臣の御決意に大いに期待をしておるところでございますが、今後ともやはり十分と連絡をとりながら、この問題が一日も早く解決をいたしますように、最善の努力をいたすつもりでございます。
 それから、この問題につきましての他の省とのいろいろ連携でございますが、おっしゃるとおりでございまして、なかなか我が省だけでもできない問題がございますので、十分とほかの省にも正式な御連絡あるいは御要請をいたしまして、先生の御趣旨を忠実に実行できますような努力をいたしてまいりたい、このように思うものでございます。
#380
○藤井恒男君 終わります。
#381
○下村泰君 長時間にわたっておりますので、各委員ともお疲れだろうと思いますが、手短にひとつ御返答の方もお願いしたいと思います。
 まず最初に伺いますのは、前の年金法改正案の折にお約束いただいたんですが、厚生年金の障害年金を受けながら国民年金に任意加入している人の保険料が掛け捨てになるということで、思い悩んだ人が多数ありました。そのことから私がお尋ねした問題なんですが、できればそういう方たちに掛金をお返ししたいというような、たしかあのときの御返事でございました。
 その具体案が決まったようですが、その内容と算定の根拠を教えてください。
#382
○政府委員(吉原健二君) 今お話しございましたように、従来は、障害年金を受けておられる方が国民年金に任意加入する道が開かれておりまして、本来の障害年金と、それから国民年金に任意加入したことによる老齢年金というものが、両方もらえたわけでございますけれども、先般の法律改正によりまして、一人一年金という考え方に立って、障害年金しか通常の場合もらえなくなったということがあったわけでございます。
 そこで、そういったせっかく任意加入した人たちのいわば期待権、そういったものに配慮をいたしまして、これまで任意加入してこられた方のいわば保険料相当分の取り扱いといたしまして、今、保険料の返還というお話ございましたけれども、まあ実質的にはそういったことに通ずるわけでございますが、そういった方たちに、一定の条件に該当する場合に、特別の一時金を支給するということが法案の修正で行われたわけでございます。
 その一時金の内容等につきましては、政令にゆだねるということにされておったわけでございますけれども、先般、政令が施行されたわけでございますが、その内容は、まず、一時金を受けられる対象となる障害年金でございますが、少し長くなりますけれども、旧厚生年金保険法による障害年金、それから旧国民年金法による障害年金、それから障害福祉年金から裁定替えされた障害基礎年金、旧船員保険法による障害年金、そういった障害年金を受けておられる方が国民年金に任意加入をされておった場合でございまして、一時金の支給時期でございますが、一時金は、法律上、老齢基礎年金等の受給資格期間満了後、請求により支給できるということになっておりますが、ただ障害の程度が減退をしないと、もう固定をしていると認められる方につきましては、そういった老齢基礎年金の受給資格期間満了を待たずに、政令施行と同時に、請求によって支給ができるということになっております。
 それから一時金の額でございますけれども、一時金の額は、法律上、昭和三十六年四月から昭和六十一年三月までの任意加入をされておられた期間に係る国民年金の保険料の額の合計額を基準といたしまして、実際の保険料納付済み期間に応じて算定をするということになっているわけでございまして、具体的に申し上げますと、仮に三十六年から六十一年まで全期間任意加入をされておられますと、大体保険料を納めた金額の総額が五十七万二千六百七十円と、こういうことになるわけでございますが、今回の特別一時金の額は、その五十七万円、大ざっぱに言いまして六十万円の金額をもとにいたしまして、一年の納付済み期間につきまして二万四千円の特別一時金を支給するということにしたわけでございます。
#383
○下村泰君 そうしますと、単純計算でそれが二年、三年、四年、五年と掛けていきますわね。そうすると、その率でこう上がっていくわけですか。二・四プラス二・四というふうに上がっていくわけですね。
#384
○政府委員(吉原健二君) そういうことでございます。
#385
○下村泰君 そうしますと、支給されない方なんて出てきますか。ほとんどありませんか。掛けた人は一年以下でももらえるんだから、切られる人はないわけですね。
#386
○政府委員(吉原健二君) 今申し上げましたような支給要件に該当する方についてはすべて支給されると。実際にはほとんどの方がこういった特別一時金の支給を受けられるというふうに思っております。
#387
○下村泰君 いや、もし漏れるような人がいたら気の毒ですからね。大体これは役所の方が悪いんですからね、これは。あなたこれも入りなさい、これも入りなさいと、これもいただけるんだからこんないいことはありません、こんな結構なことありませんと入れておいて、今さらちょんなんて、これはちょっと話になりませんからね。どうぞひとつそういう間違いのないようにしてください。
 それから、今年度の予算案の中に、こちらを拝見しますと、身体障害者実態調査費として五千四百万円計上されております。まあ身体障害者の実態調査、まことに結構なんですけれども、私の手元にいただきました資料、これは実に、私はもう単細胞でね、涙腺故障者なものですからね、これを読んでいて、五十六年の九月ですね、国際障害者年に入った年です。厚生省社会局更生課長板山賢治さんという方、これがどちらにいらっしゃるのか知りませんけれども。まあこの方の文章を読んで私はびっくりしましてね。厚生省の中にこんなつわものがいるのかと思ったよ。これだけ骨身を削るように障害者の実態調査をした人がいるのかと。さらにこの方を手助けした人たちの名前も出ております。それを一々申し上げて本当に賞状渡したいぐらい、これ。私ら、あゆみの箱という運動をやっておりますからね、あゆみの箱の方から森繁久彌の名前で本当に感謝状贈りたいぐらいです、これは。
 ところが、五十年の調査が集計不能となったと。このときには、一部の障害者団体の反対に遭った十三都府県で集計が不能になったと。その理由が幾つか挙げられております。まず、「調査の目的が、障害者を家庭や地域から隔離し、施設に収容しようとするところにあること。」、二番目が、「調査用語、調査事項に障害者の人権を侵害するおそれのあるものがあること。」、三番目が、「調査の実施に関して障害者団体等に事前の協議がなかったこと。」、こういうことから十二都府県が反対運動を起こしてこれは集計不能になったと。で、この方は、「たしかに、指摘されるような誤解を生ずる部面が当時の行政をとりまく環境、方向のなかに一部とはいえ認められたことは否定できない。しかしながら、調査阻止という事態がうみ出した悪影響には、はかり知れないほどのものがあった。」と。後遺症ですわね、これの。「その第一は、身体障害福祉施策の企画立案、予算の編成にあたって四十五年調査結果に依存せざるを得なかった点である。」と。そうすると、これ十年の長きにわたって古いデータによって身体障害者の問題を、結局予算立案でも何でもしなきゃならなかった。これじゃもうまるっきり数字がいませんわね。
  第二には、障害者運動への偏見と障害者問題を敬遠する風潮の醸成である。
 実態調査反対運動の激しい展開の後遺症として残されたものは、@障害者運動は極端なもの、話しあう余地のないもの、A障害者問題はタブーだ。ヤケドをするからそっとしておけといった「偏見」と「敬遠」の風潮であった。とりわけこうしたふんいきは障害者福祉行政担当者に著しく、ある種の「ことなかれ」主義をも生み出していたようである。
  「データーのないところに計画はなく」「計画のないところに行政はない」というのがわたくしの信念である。昭和五十三年の春、身体障害者福祉を担当することになって今更のようにデーターの不足に驚かされた。予算積算数値が現実ばなれしていることにもあきれた。また一方、障害者福祉関係者の障害者団体ないし障害者運動に対するアレルギーの強いことにも驚いた。
 こういうふうにこの方は自分の感想を述べているのですね。実際このとおりなんです。しかし、こういうことを厚生省の一部門の中で、これだけのことがはっきり言えるという人もまた立派だと思いますよ。
 本日、障害者の方々も来ていらっしゃるけれども、あなた方も失望ばかりしてはいけないと思うし、文句ばかり言ってもしようがないと思う。厚生省の中にも、これだけあなた方のことを真剣に考えてやっていらっしゃる一人の官吏もおるということ、これは私は大変感激しちゃうの。もう涙腺故障者だから読んでいるうちに涙が出そうになる。
 そうして、いよいよ調査が始まりました。五十四年四月早々から入った。五月から十二月までの約半年間にわたって延べ五十回を数えたそうですね、その方たちとの交渉が。で、中には全然取り合ってくれない人もいる。ところが、だんだんだんだんと空気が変わってきて、「全面的賛成はできないが反対はしない」、「賛成はできないが、今後諸問題について継続協議する」といったような回答がそれぞれの団体から寄せられてくるようになった。そして、今申し上げたように、七カ月、約八カ月にかかって調査をした。その結果五十五年に調査の数が百九十七万七千というような数ですね。しかし、これだけの数じゃないですよ。実際は。ここが問題なんですね。これだけこの人が苦労をして、それこそノイローゼに近いような状態に私は追い込まれたと思いますよ、こういう方々を相手にして。しかも、身体障害者自身でなく、身体障害者にかかわっている人たち、そういう方の中にはいろいろの思想を持った方もいらっしゃいましょう、そういう方が矢面に立ってやるんですから、恐らく私は本当に心身を削るような思いだったと思う。その結果が百九十七万七千。こんなものじゃないですよ、実態の数字は。推定だけでどのぐらいだとお思いになりますか。推定でいいですから、別にそれを責めやしませんから。
#388
○政府委員(小島弘仲君) 当時の数といたしましては、ただ、これは児童の身体障害者の数が含まれてないという問題がありました。したがって、五十五年当時の数としては、おおよそ大人のうち、いわゆる身体障害者の方の数としては妥当な数字ではなかったかと、こういうふうに考えます。もちろん精神薄弱者は入っておりません。
#389
○下村泰君 本当のことを言って、実際この数では事足りないはずです。最低見積もっても二倍だと私は思っています。
 と申しますのは、いつかもたしかこの委員会でお話し申し上げたことがあったと思いますけれども、あゆみの箱という我々の慈善団体、これは芸能人が集まってやっていることなんですから、別に厚生省が出張ってきてどうのこうのというような問題じゃないんです。そういうショーを行いましても、招待席をつくっておいても来ないんですよね、場所によっては。これは名古屋のそばの四日市ですよ。今さら自分の障害者の子供をそういうところへ連れていって恥をかく必要はない、見せ物にしたくない、こういう観念が親御さんにもあります。これは事実私は現実にぶつかっているんですから。そういう感覚があれば、この当時の調査で百九十七万というのは、これは実際の数ではない、ですから、僕のその感覚からいえばですよ。名古屋のそばの四日市ですよ。これが人里遠く離れたところというなら別ですよ。名古屋の近辺でしたらこういった福祉に対する理解というのはあるんです、今は。その今はという近年においてそういう状態だったんですから、当然私はもうこれ以上倍の数であると確信持って言いたいんです。
 そして、この板山さんという方ですが、この方が成果をいろいろとおさめた、その結果こういうことに到達した。「誠意をもってのねばり強い話しあい」、二番目が「身体障害者福祉を前進させなければという願望の一致」、三番目が「障害者運動の成長―障害者の主体性の確立、よきリーダーの存在」、四番目、「マスコミの理解ある対応―調査の意義についての理解と反対運動への冷静な対応」、五番目、「都道府県担当責任者の毅然たる対応−数県でみられた反対運動への説得と対応は見事であった。」と、御自分でもこういうふうに認めているわけですね、そのときの調査の仕方によって。こういうふうな結果も出ているわけです。
 前々回はまるっきり十三都道府県で反対のために不能でした。そして前回が百九十七万七千。今回の五千四百万円の調査費で果たして前回、前々回の轍を、教訓の轍があります、それをよくごらんになりながら、どういうふうな方法で、いつどのような調査をなさるのか、ちょっとお聞かせください。
#390
○政府委員(小島弘仲君) 板山さんの話にもありますように、何と申しましても、必要な施策を十分に進めていきますためには、障害者の生活の実態、社会活動の実態、また障害の実情等々についての正確なデータの把握が必要でございますので、ぜひこれは本年の十月に円満に実施したい、こういうふうに考えて準備をしておるところでございます。
 これらにつきましては、関係団体とも十分率直な話し合いをしまして、御理解を得ながら円満に進めたい、こう考えております。特に、国際障害者年の折り返し点にも当たるわけでございますので、後半の基本施策の推進のためにも、どうしてもこの時点に実施することが必要だと考えておりますので、十分な理解を得て実施するつもりでおります。
#391
○下村泰君 当事者団体の方にも誤解があると思いますよ、厚生省に対する。それは、今までのあり方がそうであったということは、これは厚生省側も認めざるを得ないと思うんです。現に板山さんという方も、自分の方に弁もあったと、しかも周りがアレルギー体質になり過ぎておったというふうに認めていらっしゃる。したがって、そういう形で臨めば、相手もやっぱりきば出しできますね。そのきばをおさめるような方法でじっくりお話し合いになって、そして相手に理解を得て完全な調査をしていただきたいと思うんです。そうしませんと、先ほどから、この板山さんの言葉の中にもありますけれども、実際に実数がわからなければ、これ予算の立て方もできないでしょうし、対応の仕方も生まれてこない。これはこのとおりなんですからね、実数をつかんでいただきたいと思います。
 さて、この実数に関連するんですが、この間も当委員会でお伺いした費用徴収の問題なんですが、あえてもう一度言わせていただきますが、大臣、首かしげていないでください、あなた。何だか最初から逃げ口上みたいな顔をされては私は困るんです。
 細部の基準はまだ検討しておりませんね。検討中でございますか、これから検討するんですか。
#392
○政府委員(小島弘仲君) 現在検討中でございます。
#393
○下村泰君 前回、高杉委員からもお話がございましたけれども、これが出された、三十八兆のこの案が出されたときに、ちょうど私は考えてみたらいなかったんですね、この委員会に。たまたま、調査室の方の方に言われまして、当委員会にいなかったんだそうですが、いたらこれはもちろん頭から反対していると思うんですけれども、いなかったそうです。ですから、この経過というのは私はよくわからない。ただ、高杉先生も何か注文をつけていたそうです。それから共産党の先生からは、この徴収には反対であるというはっきりした意見が出ていたんだそうです。
 それで、単にお金の問題だけじゃないんですよね、障害者の方々にとっては。殊に施設それから福祉のあり方が今度変わってきますわな。今までは、簡単な言葉で言うとあてがいぶちみたいなものですわね。障害者の皆さんはお国の方がこうやって面倒見て差し上げますよという形だった。今度は逆に面倒見てもらう分、自分たちで金を出すんです。つまりサービスを買うわけですわね。そういうふうに変わってきた。また、そういうふうに変わっていくでしょう、これからも。
 さて、そこが問題でね、ただ厚生省側の判断で予算案を計上されていますし、しかも七月の一日から実施する、しかもその徴収の仕方はまだ検討中だ。徴収の仕方が検討中で何で七月の一日から実施するというふうに出るんですかね、そこのところがわからないんですよ。それで、徴収の額も決まっていない、それなのに何で七月の一日から実施するのか、何かちょっとおかしな気がするんですが。
#394
○政府委員(小島弘仲君) これは五十九年の法律改正で、本年の四月から実施というような形の法文にはなっております。ただ、これは地方公共団体が費用徴収の主体になるわけでございますので、そこにおけるいろいろな条例等の制定の準備もあろうと思いますので、この予算が成立し次第必要な手順を踏みまして七月一日から実施したい、こういうふうに考えております。
#395
○下村泰君 そこなんですね、私は頭が悪いせいか、何かそこが納得できないんですね。
 中身も検討中である、七月の一日からって、七月の一日までその中身がもうでき上がっちゃうんですか、それじゃ。あるいはもうでき上がっているんですか。
#396
○政府委員(小島弘仲君) 予算の積算に盛り込んでおりますので、おおよその考え方はあります。ありますが、それを中心といたしまして、他の関連制度とのあり方等々の調整を図りながら、最終案を今月中には固めるということで準備を進めております。
#397
○下村泰君 今月中にそれができるわけなんですか。それを一度見せていただくか御報告いただけますか、その内容ができたら。
#398
○政府委員(小島弘仲君) 先生にお示しいたします。
#399
○下村泰君 それで、法案がそうなっちゃっていて、今、予算が通ったら即時すると。これは行政機関の方としてはそれはやむを得ないことなんでしょうけれどもね。される方はたまったもんじゃないですよね。
 これ、前回も申し上げましたように、せっかく年金が上がって喜んだ、やあこれで何とか自立できる、完全平等、社会参加、おれたちも何とか苦しみながらも自立できると。障害者の人たちは、何もだっこでおんぶという感覚じゃないんですよね。障害者の中にだって、障害者として苦しみながら一般の健常者と同じように自立したいんだと、こういう観念が今広がっているわけだよ。そして大勢の障害者の人たちがそういう観念になりつつある。障害者自身も私のところへ来て、いつまでも甘ったれる気持ちはないんだと、自立したいんだと、そのための年金が引き上がって大変喜んだのに今度取られる、一体僕たちをどういうふうに見ているんだろうか、自立てきないんじゃないか、これでは。しかも、自立させるためには今度は扶養者まで持ってくる。じゃ、一体完全平等、社会の完全参加というのはお題目だけで何にも中身がないじゃないか、これが障害者の人たちの心なんですよ。これは局長にはおわかりにならぬかもわからぬわね、御自分は障害者じゃないんだから。ただ立案をして、ここで各先生方がいろんなことを言う、うまいことおしりをつかまれないようにお答えすりゃいいんだろうと思うけれども、それはそれなりの苦労があると思いますよ。私が局長だったらすぐしりつかまれるけれども、頭がいいからなかなかつかまられそうもない。
 ですから、もうここまで来ると人情論になっちゃうんだ、私は。法というのはあくまでも法なんですよ。法を駆使するのは人間なんですからね。いつでも言うように、本当に大岡越前や遠山金四郎じゃないですけれども、法なんというものは血道が通わなきゃ生きた法じゃないんですよね。死法なんです、それは。それであったんでは、僕は行政機関というのは成り立たないと思う。そういうところに何か血道の通った温かさがあれば障害者諸君は納得すると思いますよ。だから、例えば一年なら一年の猶予を待つ、一年後にはこれこれこうしますよとか、そんなのがありゃいいが、いきなり七月一日どんと出たら、寝耳に水ですわ、それは。何かこっちからあめもらって、こっちから鉄砲で撃たれたようなもんだよ。あめにむちなんてそんな生易しいもんじゃないですよ、障害者自身の気持ちを察すれば。そういうところを酌んでいただきたいと私は申し上げておるんですけれども。
#400
○政府委員(小島弘仲君) これは十分障害者の団体の方々、関係者の方々とも話し合いながら御理解を得ていきたいと思っております。
 年金の充実というのは、やはり障害者の経済的な自立をしやすいようにするための条件整備の一つだと考えております。我々最終的には、やはり障害者の方々が本当に「完全参加と平等」ということを目指しまして、雇用機会の拡大、このためには福祉機器の開発とか職場環境の整備とか、特に必要な事務処理機器あるいは機械設備というようなこともあわせていかなければなりません。だから、健常者に伍して十分障害を克服できるような、そういう環境をつくっていかなくちゃならぬと、こういうふうに考えております。
 同時に、福祉の施設につきましては、負担能力に応じまして、これは在宅の方の均衡というものだけでもございませんが、施設を御利用いただく方につきましても、そこに入所していただく方につきましても、負担能力に応じまして応分の費用負担をお願いすると。これは無理のない負担をお願いする。年金というのも所得保障の一つでございますから、収入の中に参入して、そこで負担能力を考えるのがやはりこれは妥当な筋であろうと考えております。しかし、その負担が余りにも過重なものとなったり不適正なものにならないように、そこは十分我々としても配慮してまいるつもりでおります。
#401
○下村泰君 何となく今のお返事の中に人間らしい感じが出てきているんですよ。それをお忘れなくお願いします。どうにもならないような状態じゃ何の役にも立たないんですから、そこのところ。
 この問題、私は実は調査室の人にお願いして各国調べてもらった。そうしたら、やっておるんですな、ほかの国でも。やっていることはやっています。ただ冷たいか温かいの違いで。少なくとも日本は、今井大臣が厚生大臣をやっている間は温かくしていただきたい、私は。どうぞひとつ大臣の御所見をお伺いして、おしまいにします。
#402
○国務大臣(今井勇君) 私も決して冷たい大臣になろうとは思いませんが、この問題は、今、局長がるる答弁いたしましたが、実は五十九年の法律改正のときに随分御議論を賜りまして、全党一致でお決めいただいたという歴史があるものでありますと同時に、年金などがだんだんと充実してまいりますので、まあひとつ扶養義務者にも無理のない程度の御負担をぜひお願いできぬだろうかという気持ちでございます。
#403
○委員長(岩崎純三君) 以上で厚生省所管及び環境衛生金融公庫に対する質疑は終了いたしました。
 これにて昭和六十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、厚生省所管、労働省所管及び環境衛生金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#404
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#405
○委員長(岩崎純三君) 児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案並びに年金福祉事業団法及び国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を順次聴取いたします。今井厚生大臣。
#406
○国務大臣(今井勇君) ただいま議題となりました児童扶養手当法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 母子家庭及び心身障害者に係る諸手当につきましては、従来からその充実に努めてきたところでありますが、国家財政の再建が課題とされております最近の厳しい財政状況のもとにあっても、社会経済情勢の動向に対応した適切な配慮がなされる必要があります。
 今回の改正案は、このような趣旨にかんがみ、児童扶養手当、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、特別障害者手当等について給付の改善を行うこととするものであります。
 以下、改正案の内容について御説明申し上げます。
 まず第一は、児童扶養手当の額を、児童一人の場合月額三万三千円から三万三千七百円に、児童二人の場合月額三万八千円から三万八千七百円にそれぞれ本年四月から引き上げることであります。
 第二は、特別児童扶養手当の額を、障害児一人につき月額二万六千五百円から二万七千二百円に、重度の障害児一人につき月額三万九千八百円から四万八百円に、それぞれ本年四月から引き上げることであります。
 第三に、本年四月に制度が発足する障害児福祉手当及び特別障害者手当についてでありますが、障害児福祉手当の額につきましては月額一万千五百五十円を、特別障害者手当の額につきましては月額二万八百円を、それぞれ支給することとしております。
 さらに、特別障害者手当制度の発足に伴い経過的に支給されることとなる福祉手当の額につきましても、本年四月から、障害児福祉手当と同様、月額一万千二百五十円から一万千五百五十円に引き上げることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、ただいま議題となりました年金福祉事業団法及び国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、年金福祉事業団法の改正について申し上げます。
 この改正は、年金福祉事業団の新たな業務として、資金運用部から還元融資を受けた厚生年金保険及び国民年金の積立金の一部について国債等の有価証券の取得、金銭信託等の方法により、安全確実かつ有利に運用できる道を開くものであります。
 なお、この事業から生じた運用益につきましては、これを積み立て、将来必要があるときは、厚生年金保険等の被保険者に対する住宅資金の貸し付け、福祉施設の整備等年金福祉事業団が行う各種の還元福祉事業の財源に充てることとしております。
 次に、国民年金法等の一部を改正する法律の改正について申し上げます。
 この改正は、昭和六十一年度における拠出制国民年金の額の引き上げに準じ、老齢福祉年金の額を、月額二万六千五百円から二万七千二百円に引き上げるものであります。
 また、これらの改正の実施時期は、本年四月一日といたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#407
○委員長(岩崎純三君) 以上で趣旨説明の聴取は終了いたしました。
 両案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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