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1985/04/10 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第7号
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1985/04/10 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第7号

#1
第104回国会 社会労働委員会 第7号
昭和六十一年四月十日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月九日
    辞任         補欠選任
     藤井 恒男君     柳澤 錬造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                大浜 方栄君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                遠藤 政夫君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                糸久八重子君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                佐藤 昭夫君
                柳澤 錬造君
                下村  泰君
   国務大臣
       労 働 大 臣  林  ゆう君
   政府委員
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       労働省職業安定
       局高齢者対策部
       長        清水 傳雄君
       労働省職業能力
       開発局長     野見山眞之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       中小企業庁計画
       部金融課長    土居 征夫君
       労働省職業安定
       局高齢者対策部
       職業対策課長   長勢 甚遠君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。昨九日、藤井恒男君が委員を辞任され、その補欠として柳澤錬造君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(岩崎純三君) 中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○糸久八重子君 それでは最初に、高年齢者雇用対策の長期的展望と基本的な取り組み方針につきまして大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 本格的な高齢化社会の到来の中で、急速に増大する高年齢者の雇用問題についてどのように対応していくかということは、大変重要な課題でございます。人生八十年時代における今後の高年齢者雇用対策のあり方としては、六十五歳までの雇用の場の確保を図り、六十六歳を超える者については、生きがいとしての社会参加活動ができる社会システムを目指すのが基本ではないかと考えるわけでございます。
 人生八十年社会に対応した高年齢者雇用対策について、その長期的な展望と基本的な取り組み方針に関してお伺いをさせていただきます。
#5
○国務大臣(林ゆう君) 本格的な高齢者社会の到来を迎えまして、活力ある社会を維持していく上で、高年齢者の雇用就業の場の確保は早急に対処すべき極めて重要な国民的課題となっております。このため、従来から六十歳定年の一般化の早期実現に努めてまいりましたが、今後は、高齢化の波が六十歳代前半届に移っていくということが見込まれておりまして、このような観点からの対策を講じていく必要があろうかと思っております。
 このため、審議会におきまして、中長期的観点に立って今後の高年齢者雇用のあり方を踏まえた対策の充実強化について検討していただいてまたところでありまして、その結論を踏まえて今日法案を提出したところでございます。
 今回の法案におきましては、六十五歳程度までの雇用就業の場を確保するということを基本といたしておりまして、具体的には、六十歳定年を基盤といたしまして、六十五歳程度までの継続雇用の推進、そしてまた高年齢者のための早期再就職の促進、そしてまた定年退職後などにおける就業の場の確保に重点を置いて施策の充実強化を図っているところでございます。
 今後、今回のこの法案をもとにいたしまして、高年齢者のための総合的な雇用就業対策を強力に推進してまいりたいと考えております。
#6
○糸久八重子君 今後の高齢社会の急激な進展を考えるときに、六十歳定年年齢の引き上げを検討することも大事なわけですけれども、法施行後の一定期間の状況を見た上で、段階的に定年年齢を引き上げていく方策を検討すべきではないかと思うのですが、大臣、いかがでございますか。
#7
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、大臣申し上げましたように、六十歳定年、今後の高齢者の就業雇用の場を確保するために、総合的な対策として今回の法案を提出させていただいたわけでございますが、その中で、定年を設ける場合には六十歳の定年ということで、それを努力義務として入れさせていただいたわけでございます。
 今、先生御指摘の六十歳以上の定年についての問題でございますが、これも先ほど大臣申し上げましたように、六十歳の定年を立法化するにつきましては、非常に長い間審議会でいろいろ御検討いただきまして、現在の実情その他から、全会一致で六十歳定年の立法化のコンセンサスを得て審議会の答申を得たわけでございまして、現実的にはこれが最も適当ではないかというふうに思って、労働省としましてはこの案を提出させていただいたわけでございます。
 一般的に、六十歳程度までは壮年期に比しまして大きな変化はないものと見られますが、六十歳を超えてまいりますと、個人によりましてその健康状態や生渦状態もさまざまとなってくるわけでございます。また、就業に対する意向も志向も多様化してまいりまして、この多様化した志向に対しまして、それに応じました雇用就業の場を確保していくことが必要であろうということで、今回の法律では、六十歳程度までの雇用就業の場を確保することを主体にいたしておりますが、これも、一律に定年延長によるのではなくて、六十歳定年を基盤としながら、企業の実情に応じまして、定年延長、再雇用、勤務延長さらには高齢者会社の設立など、多様な形態によってこの六十歳を超えた属の就業のニーズに応じた雇用機会の確保を図ることが適当であろうというふうに考えている次第でございます。
#8
○糸久八重子君 確かにおっしゃるとおり、六十歳定年制というのは、かなり長い討議を経た上でやっと法案提出という形になったわけですけれども、今後の高齢社会というのは加速度的な進展が見られるわけですね。そういう意味から考えますと、やはり新たな目標を構築して、積極的に国民にアピールしていくことも大事ではないかと思うわけです。
 ですから、六十歳定年一般化という目標ではなくて、もう既に六十五歳定年の一般化というくらいの目標を掲げていかないと、これからの高齢化社会を乗り切ることはできないのではないか、そう思うわけですけれども、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
#9
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、御答弁申し上げましたように、先生、御指摘のように、高齢化が急速に進んでまいりまして本格的な高年齢者の社会を迎えるわけでございますが、その高年齢者社会が活力を生むためには、高齢者に対します就業雇用の場を確保するということも、これはもう先生御指摘のとおり非常に重要なことでございます。そして、なお今後は、現在五十五歳から六十蔵のところに大きな高齢者の層がございますが、これが六十歳代前半層に移っていくわけでございまして、その点から申しましても、六十五歳程度までの雇用就業の場の確保ということが非常に重要であるということは、先生おっしゃるとおりでございます。
 これについて、先ほど申し上げましたように、それぞれだんだん年齢を経るに従いまして、非常に健康な人もおられるわけでございますが、特に六十歳を超えてまいりますと、個人的にいろいろと事情もございますし、また就業することにつきましても、常用雇用のみではなくて、短期な雇用その他を望まれるのもございます。そのような高年齢者のニーズに対応いたしまして、そのニーズに沿った形での就業の場を確保していく。先ほども申し上げましたが、企業の実情に応じまして、定年延長ももちろんございましょうし、再雇用、勤務延長、その他高齢者会社の設立等によって、多様な形態による就業の場を確保していくことが必要ではないか。一律に定年延長だけで六十五歳まで持っていくことがいいのかどうかというようなところには非常に問題があるのではないか。
 なお、現在までの企業労使間のいろんな折衝その他、実情を見てまいりますと、答申にもございますように、社会的コンセンサスとしては六十歳定年を立法化するということが、現在の社会的コンセンサスではないかというふうに考えている次第でございます。
#10
○糸久八重子君 これからの高齢者は、健殿であること、それから勤労を通じて社会参加に生きがいを求めること、さらに定年延長を含めた雇用の安定、さらに所得と、総合的に対策を進める必要があると思うわけですけれども、厚生・労働両省連絡会議というものを設置してあるということをこの前お伺いいたしました。さきの委員会の答弁の中では、五十九年十二月十九日に初会合を持っているということであったわけですが、今日までの協議の成果についてお伺いをさせていただきたいと思います。
#11
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 この高齢者問題はもちろんでございますが、年金問題を含めまして、そのほかいろいろと御指摘のございます身体障害者問題その他、厚生省と労働省の関係では非常に密接な連絡をとっていかなければならないということがあるわけでございまして、身障対策を進める場合、その他高齢者対策を進める場合に、もちろん大臣同士の会合というのは限られた回数でございますが、課長クラスを初め、事務的段階でのいろいろな協議をさせていただ、いているわけでございます。
 今回の法律を提出するにつきましても、シルバー人材センター等の問題につきましては、厚生省と労働省のいわゆる所管から申しますと、非常に錯綜する密接な関係があるところがございまして、そういう点で、このシルバー人材センターのあり方、それから今まで労働省と厚生省の間で、何といいますか、官庁同士ではっきり分けられていたような点を有機的に関連させて、今回の法律の中で対応させていただくというようなことを厚地省に申し上げまして、厚生省の御了解も得て、現在の法案提出になっているという次第でございます。
 そのほか、いろいろ成果はあると思いますが、この法律に関しては、具体的にはそういう対応をとっているということでございます。
#12
○糸久八重子君 中年対策についてお伺いをしたいのですが、中高法制定の目的は、当時の雇用失業情勢から、中高年齢者の就職は困難をきわめていることから、中高年齢者がその能力に適合した職業につくことを促進するため、一般的な施策に加えて特別の施策を講じて職業の安定を図るとしているわけですね。そして、中高年齢の年齢範囲というのは、男女いずれかの求職倍率が一を上回る年齢階層の最下限とし、当面四十五歳以上とすることが適当であるとされているわけですが、今度の中高法の一部改正で、法律の題名が「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」になり、「中高年」の「中」がなくなっているわけです。
 これは、中高法制定当時から今日まで、四十五歳から五十四歳までの年齢層の雇用失業情勢が改善されて、特別の施策が必要ないと判断したからでございましょうか。
#13
○政府委員(清水傳雄君) 中高年齢者の雇用失業の状況を見ますと、まず、労働力需給の状況という意味合いでの年齢別の有効求人倍率で見ますと、中高年齢者四十五歳から五十四歳層、〇・四九ということになっておりまして、厳しい状況にはございますが、五十五歳以上が〇・一三というのに比べますと、一般の労働市場が〇・六七ということになっておりますので、そうしたものにより近い状況にあるということは言えると思います。
 失業率について見ますと、四十五から五十四歳層は一・七%、一方。高年齢者は五十五歳以上は三・二%。年齢計で見ますと二・六%、こういった状況でございまして、やはりそれだけの生活の重みというものもございましょうが、低い水準に失業率はあるということが言えるわけでございまして、いずれにいたしましても、一たん離職をすると、中高年齢者というのは非常に厳しいということは言えようかと思います。一般的に見れば、高齢者のこうした厳しい状況に比べれば、一般の労働市場により近い状況にある、こういう状況であろうかと思うわけでございます。
 今般、こうした形で「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」という形で法改正をお願いいたしておりますゆえんのものは、既に先生御指摘のとおり、本格的な高齢者社会を迎えまして、高齢化の急速な進展ということで、特に高齢化の波が六十歳代前半層に移る、こういう状況の中で、高年齢者の雇用就業の確保に取り組むということが国民的な最重要課題である、こういうことからでございまして、総合的な高齢者向けの法的整備を図るためにこうした形でお願いをいたしておるわけでございます。しかし、さればといって、今申しました雇用失業情勢、こうした状況を踏まえながら、いわゆる四十五歳から五十四歳層の対策をなおざりにするということでは決してございません。
 従来の中高年齢失業者に対する手帳制度ということは存続をし、また中年齢者に対する再就職の促進という点につきましても、従来どおりの対策を講じていくことにいたしておりますし、また、その再就職の促進等のために安定所等の中高年齢を担当する就職促進指導官、そうした者も本年度におきまして増員を図るとか、その他、特定求職者開発助成金等を初めといたします四十五歳以上層に対する諸対策につきましては、従来どおり引き続きその充実強化を図っていく、こういうふうな考え方でございまして、特に高年齢者に重点を置いた形で施策を進めるというような意味合いで今般の法律案を提出さしていただいている、こういうことでございますので、御了解をお願い申し上げたいと思います。
#14
○糸久八重子君 確かに、五十五歳以上の高年齢者雇用対策の重要性は認識をしておりますけれども、ただいま御答弁にございましたとおり、中年者というのは一たん離職をすると復職は大変難しいという状況にあるわけですから、やはり従来どおりということもわかりますけれども、そういう意味では特別の施策も必要ではないかと考えるわけです。従来どおり以上に特別の施策を加えるとするならば、どういうことが考えられますでしょうか。
#15
○政府委員(清水傳雄君) 私も御答弁申し上げました、先生も御指摘のとおり、労働市場の状況、一たん離職をした中年齢者、四十五歳層、そういう方々の再就職というのは非常に難しい状況にある。したがいまして、その再就職の促進を図る、再就職しやすいような体制づくりを進めていくということが、四十五歳以上層についてのやっぱり、番大きな課題でございまして、私どもといたしましてもそのことのために、先ほども申し上げましたように、就職促進指導官の増員を図る等を初めといたします安定所の体制整備ということについて、あるいはまた、そういう人たちの再就職のインセンティブをつけるための特定求職者開発助成金を初めといたします。そうしたもろもろの手段の有効活用という形で施策を進めでまいりたい、このように考えております。
#16
○糸久八重子君 それでは次に、六十歳定年制の立法化の問題についてお伺いをさせていただきます。
 政府はこれまで、昭和六十年までに六十歳定年制の一般化を図り、立法化を検討することを明らかにしてまいりました。定年制の現状は、労働省の「昭和六十年雇用管理調査結果速報」の概要によりますと、定年年齢六十歳以上が五五・四%、改定が決定している企業を含む場合が五八・七%、改定が決定及び予定がある企業を含む場合が六八・七%となっているわけですね。これは資料を拝見いたしました。
 したがって、過半数を超えたことをもって一般化したと判断して、そして六十歳定年制の立法化を提案なさったのでしょうか。
#17
○政府委員(清水傳雄君) 六十歳定年の状況につきましては、今、先生御指摘のとおりでございます。
 そのような数字をもちまして、いわゆる私どもがスローガンとして掲げてまいりました六十年六十歳定年の一般化の目標が達成されたと言えるかどうかという点につきましては、この一般化ということ自体が数字をもって表現することが非常に難しいことでございますので、そうした面の評価ということにつきましてもいろいろな見方があり得るかと思うわけでございますが、言えることは、六十歳定年ということが我が国の雇用慣行の中で主流になってきている、また六十歳以上を定年にすべきである、こういう認識が労使を含めまして定着しつつある、コンセンサスとなりつつあるということは言えようかと思うわけでございます。
 しかしながら、現状を見ましても、なお六十歳未満の定年の企業がやはり四十数%という現状でございまして、そうした企業におきましては、六十歳定年に持ってくるということにつきましてさまざまな事情があり、いろんな困難な面があろうかと思うわけでございます。幸いにして、そうしたコンセンサスというものができつつある状況でございますので、これを立法化するということによりまして、こうしたまだ未達成の企業に対して六十歳定年が本当の意味で定着するように最大の努力を傾注していく、そういう法制上のよりどころを今回ぜひともお願いを申し上げたい、こういうことで提出をさせていただいている次第でございます。
#18
○糸久八重子君 法案の提案の内容は、六十歳定年制というのは努力義務規定になっているわけですけれども、これでは全く強制力がないと思います。それで、一応六十歳定年ということが主流となって、そしてコンセンサスが得られるようになったという状況ならば、やはりこれは強行法規とすべきだと考えるめですけれども、本来宅年制というのは強行法規とすべきでないとお考えなのでしょうか。
#19
○政府委員(清水傳雄君) 一般に法律を強行法規でするか、それ以外の形にするか、いろいろ考え方はあろうかと思いますし、今般の法制化をめぐります雇用審議会等におきましても、この点につきましてはさまざまな御議論があったところでございますが、ただ、定年延長ということは、基本的には労使間で自主的に解決すべき問題、労使間の問題というふうに考えられるわけでございます。企業それぞれの中の雇用をめぐるさまざまな事情の中で、そうした取り決めを労側間でさまざまな工夫を凝らして行っていくということがこの問題解決の基本であろうかと思うわけでございます。
 したがいまして、それについての立法化に当たりましては、やはり何と申しましても、広い形での労使の合意なり社会的コンセンサスを得た上で行われることが適当であろうというふうに考えられるところでございまして、この問題について雇用審議会において五十四年以来、長年にわたり御検討をいただいてきた結論というのもそういう形であるというふうに理解をいたしておるわけでございまして、そうしたことで今回御提案申し上げております努力義務ということを内容とする全会一致の答申が取りまとめられたところでございまして、これに沿いまして六十歳定年の法制化を図る法案を提出させていただいたということでございます。
#20
○国務大臣(林ゆう君) ただいま部長の万からも御答弁申し上げましたように、雇用審議会におきましては大変な議論があったわけでございますが、その全会一致の結論といたしまして、六十歳定年を努力義務とするとともに、必要に応じて法郡上の権限に基づく行政措置を講することができる体系にすることが適当である、こういったようなことが言われたわけでございまして、今回御提案申し上げてあります内容は、この結論のとおりでございまして、社会的コンセンサスが得られる現実的、そしてまた妥当なものと私どもは考えているわけでございます。
#21
○糸久八重子君 労使の自主交渉で定年延長問題が前進する可能性が客観的にも主体的にもあれば、法制化というものは必要ではないと思うんですね。自主交渉による進展にはやはり限界があるから法的なバックアップが必要なのではないか。やはり全体的な体系化をすることが大切だと、今、大臣もおっしゃいましたけれども、そういう意味から考えれば、これはどうしても強行法規にしなければやはり実効性がないのではないか、そう私は考えるのですけれどもね、いかがでしょう。
#22
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 努力義務にいたしました経緯、趣旨につきましては、先ほどから御答弁申し上げているとおりでございます。
 労働省といたしましても、この六十歳定年の問題は非常に議論されました。ちょうど昭和五十四年の雇用国会と言われたころであったわけでございますが、そのころから、昭和六十卸に六十歳定年一般化ということで行政指導を進めてまいったわけでございまして、いろいろと措置をとりながら現在に至ったわけでございます。その結果につきましては、先ほど先生からも数字その他の御発言がございましたが、かなりの成果が上がってきたというふうに理解しているわけでございます。
 そしてまた、御答弁申し上げましたように、六十歳定年というものが主流を占め、そして六十歳以上定年というものにつきましてのコンセンサスも得られてきたのではないかというふうに考える次第でございますが、今回この立法化に踏み切りましたのは、今後さらに、残ったところにつきまして六十歳定年を推し進めていくには、法制化することによってその根拠を持ちながら推進していくと。我が国の社会基盤その他から申しますと、こういう努力義務ではあっても、法制化することによってその成果はもっと上がっていくものであろうというふうに我々は理解いたしているところでございます。
 しかし、これを強行法規にするかどうかにつきましては、先ほどから御答弁申し上げておりますように、全体的なコンセンサスがそこまで来てないということと、もう一つは、確かに労使のみではなかなか進まない面もございますが、それに行政指導を加えるごとによって定年延長を図っていく。そして、定年延長というのは、そもそも企業内における労務管理、それから賃金その他退職金を含めました労働条件の問題、それから労働側のいろいろな意向の問題等を含めまして、そういう点での労使間での協議と申しますか、自主的な努力が払われて進めちれるということが非常に重要な点でございまして、一概に強行法規のみをもって進めるべきものではない、そういう性格のものではないというふうに我々は考えた次第でございます。
 そういうことでこういう努力義務で出さしていただいたわけでございまして川それにつきましては川一定の行政措置をとるということも法案の中に書かしていただいた次第でございます。
#23
○糸久八重子君 法案の中では、「定年を定める場合の年齢」について、事業主は定年を定める場合には、「当該定年が六十歳を下回らないように努める」こと、「六十歳を下回らないように努める」、こととしているわけですね。しかしこれでは、今までも申し上げておりますとおり、人生八十年時代を展望した場合は、大変これは前向きではないと思うわけです。むしろ、事業主は六十歳以上の定年年齢を定めなければならないとする積極的な規定方法を選ぶべきではなかったかと思うのですけれども、その辺についてはいかがでございましょうか。
#24
○政府委員(清水傳雄君) 具体的な法律の規定の仕方でございますが、私どもといたしまして、五十四年以来の雇用審議会の御議論の経過なりその答申を踏まえまして、今般、そのまま法制化をさしていただくということでお願いをいたしておるわけでございます。
 その経過からいたしますと、今御指摘のように、非常に強い規制、あるいはもっと高齢化社会を迎えての強い規制を伴った法律にすべきであると、こういう議論があり、またそれについて、いわゆる定年の法制化ということは契約自由の原則に反すると、こういう強い反論もあり、そうしたさまざまな議論の経過の中で、定年を定める場合には、事業主は、「六十歳を下回らないように努めるものとする。」と、こうした旨の規定を設けるとともに、それを支えるための一定の行政措置を講ずべきである、こうした結論になったわけでございまして、それを法制化さしていただいたと、こういう経緯でございます。
 先生が御指摘のように、本格的な高齢者社会を迎えまして、もっと高い目標を持って進めるべきであると、こういう御指摘、私どもといたしましても、決して六十歳で雇用が終わりであるという状況で足りるというふうには思っておるわけじゃもちろんございません。六十五歳程度までの継続雇用が何とか確保されるということが、やはりこれからの雇用対策の中で極めて重要な課題である。そうした中で、六十歳定年ということを基盤としつつそれを進めていく上におきましては、先ほど来申しておりますような、労働者個々の事情もさることながら、我が国の雇用慣行、年功序列の雇用慣行、賃金慣行、あるいはまた高齢者向きの企業内における職場という、幅というのが非常に狭い、そうしたものを企業労使の努力の中で解決をしていくためにさまざまな手段を講じつつやっていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございまして、決してこれをもって私どもといたしましては目標を低く掲げているということじゃなしに、そうした現実の中で、社会的コンセンサスの得られる中で、最大の努力を発揮さしていく有効な手段として今般の法律の中でいろいろな手だても講じさしていただいているところでこざいまして、こうしたものを通じまして、今申しましたような形でぜひ積極的な取り組みを図ってまいりたい、このように考えているわけでございます。
#25
○糸久八重子君 六十歳を下回る定年を定めている事業主に対し、これは法案の中にあるんですけれども、「政令で定める基準に従い、」「特段の事情がないもの」に対して定年を引き上げる要請を行うというような規定がございますね。その中の「政令で定める基準」、「特段の事情がないもの」、その内容を明らかにしていただきたいのですが。
#26
○政府委員(清水傳雄君) 御指摘のように、今回の法案におきまして、政令で産める基準に従い、六十歳未満定年であることについて特段の事情がないと認められる事業主に対して、定年の引き上げ要請なり、その他一連の行政措置を講じられる内容になっておるわけでございます。
 こうした行政措置の対象となります基準につきましては、これは法案にもございますように、具体的には法案成立後、関係審議会で御検討をいただくことになっておりますので、現段階で確定的なことを明確に申し上げられる状況ではないわけでございますが、そうした中におきましても、考え方と申しますのは、この定年の立法化問題について答申を打っていただきました雇用審議会の中におきまして、いろいろな御議論があったわけでございまして、そうした御議論の経過、過程ということを踏まえて検討が進められるものというふうに考えております。
 具体的に申しますと、この答申の趣旨といたしましては、要するに六十歳未満定年の企業のうち、六十歳定年にすることが合理的でないものあるいは無理なものがあり、それらについてまで特段の行政措置を講ずることは適当ではないけれども、しかし、特段の支障がないにもかかわらず努力をしていないものについては、やはりそうした形での行政措置を講じて六十歳定年を推進していくべきであると、こういう内容のものでございました。
 したがいまして、そうした観点から見ますれば、例えば、経営事情が特に悪いような場合でございますとか、あるいは業種、業態によりまして、労使が六十歳未満定年で合意をせざるを得ないような、そうした職価的な制約のあるようなたぐいのものもございましょうし、あるいは、形としては六十歳未満定年ではあるものの、勤務延長とか再雇用とかという形で実質的に雇用が保障されているような場合なんかにつきまして行政措置の対象とすることが適当かどうかと、こうした観点から検討がなされるのではなかろうかというふうに考えております。
#27
○糸久八重子君 いろいろな確定的ではないけれどもということで御答弁いただきましたけれども、これらの基準というのは、法の趣旨からいっても社会通念上妥当なものにやはり限定すべきではないかと思いますけれども、その辺の見解はいかがでしょうか。
#28
○政府委員(清水傳雄君) いずれにいたしましても、六十歳定年を基盤といたしまして、六十五歳程度までの継続雇用をぜひとも図ってまいりたいということが私どもの一番のねらいといたしておるわけでございまして、高齢化社会というものにふさわしい雇用慣行が確立されるように、そういう観点からの検討を図ってまいりたい、このように思っております。
#29
○糸久八重子君 さらに、法案の中身のところに参りますけれども、事業主に対し引き上げ計画の作成、変更、その適正な実施勧告をすることができるという規定があるわけですけれども、計画の策定に当たって行政は指導を行うのでしょうか、また、変更や勧告はどういう場合に行うのでしょうか、指導基準はあるのでしょうか、その辺をお知らせください。
#30
○説明員(長勢甚遠君) 当然、この政令に基づきまして行政の基準が作成をされ、それに基づきまして、十月以降この法律を施行する段階で、通達等によりまして安定所を指導することになりますので、その際に、先生御指摘のようなことについても触れることになろうかと思いますが、現時点におきましては、そこまで今御報告申し上げるほどの内容は詰めておりません。
#31
○糸久八重子君 次に、正当な理由なく計画を作成しないとき、または勧告に従わないときは企業名を公表すると規定しておりますね。「正当な理由」というのは一体どういうことなのでございましょうか。
#32
○政府委員(清水傳雄君) これは、先ほど申し上げました「政令で定める基準」から照らしまして、特段の事情がないにもかかわらず六十歳未満定年である企業に対して一連の行政措置を講じていこうと、そうした行政措置の中身といたしまして計画の作成命令とか、そうしたものがあるわけでございますが、それを正当な理由なく出さない場合に企業名の公表等の段階に移していく、こういう仕組みになっておるわけでございます。
 したがいまして、一たん「政令で定める基準」というフィルターを通した後の段階の正当の理由ということになるわけでございますので、考え方といたしましては、もちろん個々の具体的なケースに応じて判断をしていかざるを得ないわけではございますが、一般的に申し上げますならば、かなりシビアな線でもって運営に当たっていくことになろうかと思うわけでございます。
 具体的に申し上げますならば、例えば、作成命令等が現実にそうした「政令で定める基準」なんかに該当しているにもかかわらず出されるというような場合に、そういう計画を出さないといかふうな場合は、これは正当な理由があるというふうなことにもなろうかと思うわけでございますし、あるいはまた、その後の事情の変化によりまして、「政令で定める基準」に該当するような事態が起こったがゆえに計画を出せないと、こういうような場合も正当な理由があるというふうに言えるかと思うわけでございますし、そうしたことに類似をするような状況というものが想定されるのではなかろうかというふうに思います。
#33
○糸久八重子君 企業名の公表というのは、一種の社会的な制裁と考えるわけですけれども、公表された企業は、社会的お制裁を受けたから、もう定年引き上げを行わなくても上いということに考えられますけれども、その辺はいかがですか。
#34
○政府委員(清水傳雄君) そういう御指摘のような事態もあるいはあるかもしれませんが、やはり我が国の今までの企業のビヘービア、また私どもが今までこうした問題以外の分野におきましても、さまざまな形で法律の努力義務等を初めとするそうしたものをよりどころといたしまして行政指導等を行ってまいりました経験に照らしますれば、こういう装置というのは、決して効果がないものでは全くございませんで、我が国の企業労使というものは相当遵法精神も高い、こういう一般的な状況でございます。
 ただ、これを運用するに当たりましては、やはり本当に効果があるような形でいくようにということを十分に配慮しつつ運用していかなげればならないわけでございまして、そうした意味におきまして、こうした企業名の公表というのも、ある意味におきましては、伝家の宝刀のような意味合いを持つわけでございますので、そうしたものが最大に効き目が発揮できるような形でそれまでの十分低行政指導の積み重ね、啓蒙普及、そうしたものを行いながら全体としての運用を図ってまいりたい、このように考えております。
#35
○糸久八重子君 次に、十条関係になりますが、事業主は、高年齢者が労働省令で定める数以上定年解雇等により離職する場合は、あらかじか職安に届けることになっているとありますけれども、「労働省令で定める数」というのは大体どのくらいをお考えですか。
#36
○政府委員(清水傳雄君) この届け出をしていただくことの趣旨は、商年齢者が多数離職する場合に、事前に公共職業安定所におきまして把握できるようにし、また、その把握に基づきまして早期に再就職の促進のための措置を講ずることができるようにしてまいりたいと、こういうところでございます。
 具体的なその要件につきましては、今後、関係審議会の意見を聞いて定めてまいることになるわけでございますが、既に同様の趣旨の制度で、雇用対策法によりまして大量雇用変動の届け出制度というのがございまして、この場合には、一月に三十人以上の離職者が生ずる場合には届け出なければならないということになっておることを参考にいたしますれば、対象が高齢者でございます、五十五歳から六十五歳の人たちが対象でございますので、私どもといたしましては、五人程度以上離職する場合に届け出をしていただくことが適当ではなかろうかとは思っておりますが、いずれにいたしましても、関係審議会の御議論を踏まえまして省令を定めてまいりたい、このように考えております。
#37
○糸久八重子君 届け出を受けた職安が、今の御答弁によりますと、再就職等について考えなければならないとおっしゃったわけですけれども、やはり職安は、そういう届けでを受けた場合に内容を検討して、離職させないような措置を行うべきではないかと考えますけれども、そうではないのですか。
#38
○政府委員(清水傳雄君) 離職をする原因、要因というのは、しれはざまざまな状況があろうかと思うわけでございます。企業の整理によって離職をせざるを得ない場合もございますし、あるいは定年に到達したために離職をするというふうな場合もございますし、それから本人の責任で離職をするというふうな場合、さまざまございますので、一般的に、そうした離職そのものを規制するというわけにはこれはなかなかまいらないわけでございまして、こうした届け出制度を、従来からも大量雇用変動の場合等を含めましてとっておりますことは、やはりその後の措置が円滑にいくように、再就職の促進ということが安定所の使命の重要なものでございますので、それを適切にやってまいることができるようにするために、事前の措置に積極的に、こうした事後というふうな形でなしに、事前届け出というふうな形で対応を図ってまいりたい、こういうものでございます。
#39
○糸久八重子君 定年制を定めていない企業につきまして調べてみますと、その理由の多くは、高年齢者でも働ける職場であるためとする企業が約五割を占めているわけですけれども、これに対する労働省の対応はいかがでしょうか。
#40
○説明員(長勢甚遠君) 六十歳定年の法制化を議論いたしておりました雇用審議会におきましても、定年を定めていない企業をどのように評価するかということが御論議の一つとしてございました。
 定年は、その年まで雇用を保障するという機能を持ちますと同時に、逆に、その年になりますと大体退職をするということでこざいまして、むしろ定年がなくて、体力や能力のある限り雇用するという場合の方がより雇用保障としては厚いというケースもあるわけでございます。そういうことで、今回の法制化に当たりましては、「定年の定めをする場合には、」云々という規定でございまして、定年を定めなければならないという規定にはいたしていないわけでございます。
 今、申しましたような御議論が一般に通用するんではないかと私どもも思っておりまして、我が国の雇用慣行のもとでは、一般に定年がない場合に、何らの正当な理由なく解雇ができないという法制でございますから、そういうものも一つの高齢者雇用のあり方として、十分評価ができるものと考えております。
#41
○糸久八重子君 六十歳未満の定年制は、事業所で見ますと、卸売業とか小売業とか金融・保険業、それから運輸・通信業が多くなっております。これらは事業所の規模も非常に小さくて、労働組合の組織率も非常に低い。そして、こういうようなところは行政の強力な指導がなければ引き上げは困難だと考えられるわけですね。先ほどのお話にもありましたけれども、事業主名の公表などという行政措置がとられるということでしたが、それ以外に何か特別な対策というものはございますか。
#42
○政府委員(清水傳雄君) 一般的に、高齢化の現状と企業の雇用慣行、仕組みとの間にやはりなお大きなずれがあるわけでございまして、こうしたずれをなくしていくということが今般の法律案の目的でございます。
 このずれをなくしていくための手段といたしましては、基本になりますのは、企業の労使のさまざまな工夫によります継続雇用への努力ということになるわけでございますが、これをいろいろな形で援助をしていくということ、またそれを助成制度等を通じて誘導していくということ、あるいはこの法制化を通じましての一定のインパクトというものを与えつつそうしたものを促進していくこと、こういうような方途ということになってこようかと思うわけでございまして、このインパクトのみでこういう六十歳定年あるいは継続雇用ということが達成できるわけではなしに、企業における労使の努力を援助助成する措置、それを誘導する措置、そうしたものをあわせ講じつつやってまいりたい、このように考えております。
 具体的な手段といたしましては、高年齢著雇用開発協会を拡充強化いたしまして、それによります援助指導体制を強めるとともに、高年齢者多数雇用報奨金制度なり、あるいは高齢者の雇用確保の助成制度、こうしたものを通じましての誘導措置等も講じつつ指導を図ってまいりたい、このように考えております。
#43
○糸久八重子君 そのような行政措置、引き上げ計画の作成命令だとか、それから実施勧告とか事業主名の公表という行政措置の対象外として、例えば、経営事情によって、定年延長と雇用のどちらをとるかというような事情もあるだろう、それから、労使が会社の業務の内容から見てやむを得ないと判断しただとか、それから、六十歳定年に至ってないんだけれども、勤務の延長とか再雇用で実質的に六十歳まで雇用が保障されているとか、そういうようなものが対象外の例と先ほどもお挙げになりました。また、衆議院の答弁の中でもそうお示しなんですけれども、六十歳定年に至っていないけれども実質的に六十歳まで雇用が保障されているという場合、これは希望する者全員が雇用されているのではなくて、三〇%から五〇%くらいで、会社が特に必要と認める者に限るとなっているのが実態なんですね。ですからこの場合、行政措置の対象外とするのは問題と思うんですけれどもね。その辺の御見解はいかがでしょう。
#44
○政府委員(清水傳雄君) 勤務延長制度、再雇用制度の運用のあり方、現実のあり方というのはいろいろな形があろうかと思うわけでございまして、私が先ほど検討の対象になる可能魅の問題といたしまして、実質的に六十歳定年と同じような形でそうしたものが運用されているようなケースの場合は、やはりそうした議論の対象、検討の対象になるのではなかろうかというふうに申し上げたわけでございますが、会社が特に必要と認めた者に限り勤務延長あるいは再雇用を行う場合、こうしたような場合につきましては、これは六十歳までの雇用保障というふうな観点から見ますれば、これはもう当然不十分なものであるというふうに言わざるを得ないというふうに思います。このような場合には、労働省といたしましても、定年延長のための指導、行政措置というものの対象になってくるというふうに考えるわけでございます。
#45
○糸久八重子君 定年延長した企業について見ますと、年齢の引き上げに伴いまして、役職とか資格の変動とか、仕事の内容が変わるとか、賃金が下がるとかいう状況があるわけですけれども、その実態はおおよそどうなっておりますか。
#46
○政府委員(清水傳雄君) 定年延長の実施に当たりまして、今御指摘のように、年功的な人事処遇制度につきましてやはりいろいろな見直しを行いながら定年延長を図っていく、こういうケースが非常に多く見られるわけでこざいまして、労働省の雇用管理調査によりますと、定年延長後、賃金体系の見直しなりあるいは役職の変更を行ったと、こういうふうに回答している企業が約三分の一ということになっております。
#47
○糸久八重子君 さらに、定年延長した企業について、定期昇給とかそれからベースアップ、賞与のありなしですけれども、そういう変動の状況についてはどうなっておりますか。
#48
○政府委員(清水傳雄君) 定期昇給につきまして、まず、定期昇給が定年延長後もあるというふうにした企業が七六・一%、ない形で対処している企業が約二四%というふうな状況になっております。ベースアップにつきましても、あるというふうにした企業が八五%、ない企業が約一五%という状況でございます。
#49
○糸久八重子君 先ほども申し上げましたけれども、昨年一年間に定年年齢を延長しなかった企業について、その理由を見てみますと、勤務延長制度とか再雇用制度があるためとする企業が五割を占めていると、そして職務内容や作業環境が高年齢労働者に適していないためというのが二割、さらに中高年齢層に着目した賃金体系の見直しができないためというのが二割という状況であるわけですけれども、これらの実態についてはどうお考えでございますか。
#50
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先ほど部長からもお答えいたしましたし、先生御指摘の延長できない企業、それから延長がおくれている業種別の御指摘等もございましたが、規模によりまた業種によりまして、定年延長を行うについて非常に企業の内部で努力しなければならない菜種、業態や零細企業等を含めました企業等があると思います。定年延長が円滑に推進されるためには、この問題につきまして労使双方が共通の問題として考え、企業の実情に応じて、その実施方策に工夫、努力をしていく必要があるというふうに考えます。企業は経営を進めていかなきゃなりませんし、賃金原資その他についても全体の枠があみわけでございますから、そういう点でのいろいろな工夫、努力が必要ではないかというふうに思うわけでございます。
 したがって、我々としましては、この法律に基づきまして六十歳定年に向けて努力していただくわけでございますが、その間のいろいろなそういう事情、そういうことにつきましては、先ほども部長の方から申し上げましたが、安定所自体の体制を整備いたしますとともに、また民間の自主的な活動もこれに対応していただくということで、しの法律の中で高年齢者雇用開発協会というのがございますが、これを法的に指定することによりまして、先ほども出ました高年齢者のアドバイザーの設置による相談体制の強化、それから個別企業におきます条件整備のための調査研究、企画、立案援助の措置、そのほか雇用施策のモデルの開発など、企業がそういう定年延長についていろいろと工夫をしていくための援助指導、相談を行う体制を強化して、そういう点での側面からの援助を図っていくというようなことをもちまして、定年延長がスムーズにいくように指導をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#51
○糸久八重子君 勤務延長制度のある企業について、勤務延長者の就業形態を見てみますと、短時間勤務の割合というのが約四%、そしてまた、再雇用制度のある企業について、再雇用者の就業形態を見てみますと、短時間勤務の割合が六%と、短時間勤務の割合は再雇用者の就業形態の方が高い状況にあるわけですが、その実態をどう受けとめて、どうお考えになりますか。
#52
○政府委員(白井晋太郎君) この調査は、六十歳までではなくて、その上の六十歳代前半層も含めまして、六十歳以上の者も含んだ企業の対応を調査いたしているわけでございます。もちろん、今、先生がおっしゃいましたところで、勤務延長その他につきまして、六十歳定年の本来の形に沿わないというようなものについては行政指導その他、先ほどから申しております一定の措置をとっていかなければならないというふうに考えているわけでございますが、これも先ほどから議論になっておりますように、六十歳代を超えた高作齢者につきましては、個々人の事情によっていろいろと就業のニーズ、形態についての意向もあるわけでございまして、それらが適切にそのニーズに対応して実施されると、また労使話し合いの上にそういう体制で雇用が継続されるというようなことにつきましては、その中身の援助指導については、先ほど申しましたようなことがいろいろあるわけでございますが、形態としてはそういう形も進めていかなければならないのではないかというふうに考えている次第でございます。
#53
○糸久八重子君 勤務延長者それから再雇用者の就業状態に占める短時間勤務の割合というのは、これからも急ピッチで増加していくのではないかと思いますけれども、やはりこれらについての対応をしっかりとしていっていただきたいと思います。
 定年延長にしましても、今まで論議になりましたが、極端に労働条件が変わるというのは、老後の所得保障という意味からいつでもおかしいと思います。したがいまして、労働省は指針を示して、急激な変化を防ぐということは検討できないのでしょうか。
#54
○政府委員(清水傳雄君) 今まで先生御指摘ございましたし、またお答え申し上げてきたわけでございますが、定年延長を進めるに当たりましては、やはりそのネックとなりますものが、従来の賃金体系、あるいは企業内部における職域の確保、こういった点を多くの企業が非常に大きな隘路として掲げておるわけでございまして、これらをどういうふうに解決していくかということが非常に重要な問題でございますし、これを労使双方がいろんな工夫、努力をして乗り越えていかなければならない問題でございます。そうしてまた、それに伴います労働条件の問題につきましても、基本的には労使が自主的に決定をしていくべきものでございまして、具体的に定年延長に伴います労働条件のあり方について、一定の基準を設ける等することは、労使問題への介入ということになりかねないというしとから適当ではないのではないかというふうに考えておるわけでございますが、もちろん、その労働条件の見直しが不当ではないかとかというふうな問題の性ずることもあり得るとも思います。そうした具体的な問題の当、不当につきましては、しかるべき機関において判断がなされていくごとになろうかと思うわけでございます。
 労働省といたしましても、一般的に適正な見直しが行われるような指導ということにつきましては十分に留意をしてまいりたい、このように考えております。
#55
○糸久八重子君 次に、高年齢者雇用率制度の問題についてお伺いをいたします。
 現行の雇用率制度というのは、高年齢労働者が企業の経営状況、雇用調整等によって離職させられることを防止すること、定年制は、五十六以上にして制度として措置されているけれども、定年前の離職を余儀なくさせられることを防止することなどを同部に設けられているわけで、一定の有効性を持って今まで機能してきたと認識しております。
 今回の改正案において、雇用率制度を廃止することとしておるわけですけれども、その理由は何でしょうか。
#56
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 現在までの高年齢者雇用率制度につきましては、我々としましては、六十歳への定年延長を行政として推進するための手段として創設された、そして、先生のおっしゃるような趣旨も含めまして活用されてきたというふうに考えている次第でございます。今回の雇用審議会の答申に基づきまして、六十歳定年の立法化を行うことになったわけでございますが、それによりましてこれを廃止することとしたところでございます。
 現行の雇用率制度につきましては、企業におきまして企業の歴史いろいろございます。企業の業種、業態、年齢構成、非常にたくさんの企業の中では多様であるわけでございますが、一律に一定割合の高年齢者雇用を求める、この雇用率制度が求めているという点では無理があるわけでございまして、現実としましてはなかなか適用できないという問題が指摘されていたところでございます。
 今回の法改正によりましては、六十歳定年を基盤として、六十五歳程度までの雇用就業の場の確保を図っていくというための法的整備を図っているわけでございます。そういうことで、雇用率制度を廃止したからといって、高年齢者雇用対策が後退するということはないというふうに考えた次第でございます。
 現実におきましても、大企業においても、定年延長の急速な進展によりまして、雇用率が着実に向上しておりますし、また、六十歳定年制のもとで早期に高年齢者を退職させるような場合であっても、関連会社において雇用を保障しているというのが一般的でございます。雇用率制度がなくなったからといっても、先ほども申し上げましたように、高年齢者の確保という面では、実態的には問題が生ずることはないというふうに我々は考えた次第でございまして、御理解をいただきたいというふうに思う次第でございます。
#57
○糸久八重子君 高年齢者雇用率の未達成の企業の割合というのは四六・六%、そして大企業ほど憩い状況にあるようです。産業別では、金融とか保険業、卸業、小売業で未速成の割合が高い現状にあるわけですけれども、これをこのまま改善していかなくて許されるのですか。
#58
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先ほども申し上げましたように、高年齢者雇用率制度をそもそもつくりましたのは、六十歳定年延長への行政指導を推進するためということであったわけでございます。先ほどこれも申し上げましたが、企業によりまして、また企業の規模にふりまして、業種、業態等にもよりまして、雇用率制度を一定割合で定めていくということは非常に無理があるわけでございまして、特に大企業の場合には、新規学卒者等若年労働者の採用がかなり定期的に行われているということ、それから定年到達前の著について、系列会社、下論会社への出向あるいは再就職のあっせんといった道を講ずることが可能です。これは先ほど先生御指摘になったわけでございます。
 そういうこともございまして、我々としましては、企業そのものの六十歳定年を推進するわけでございますが、しかし、高年齢背全体の雇用就業の場がマクロにおいても確保されていくということが重要でございまして、そういう点から、雇用率制度で推し進めるのではなくて、六十歳定年を基盤としながら、全体の雇用就業の場を総合的に確保していくということを図っていくことが重要であるというふうに判断した次第でございます。
#59
○糸久八重子君 高年齢者雇用率の未速成の企業の割合が半数を占めている現状の中で、やはり雇用牽制度を廃止することはどうも納得がいかないわけです。雇用率制度がある中でも、先ほども申し上げましたとおり、企業は選択定体制などを設けて、選択とは名はかりで、本人の意思に反して退職させられているということが現実にあるわけです。ですから、そういう中で解用率制度を存続させて、そして企業は、公平に高年齢者を雇用し、活用していく方策をとるように指導していくのが本当ではないかと思います。
 どの企業も、平等に一定の割合の高年齢者を雇用して、そしてその能力の活用を図るという視点は、社会全体及び競争条件の同一性からいっても、ぜひ必要ではないかと思いますけれども、御見解を賜りたいと思います。
#60
○政府委員(清水傳雄君) 高年齢者雇用率制度の見直しを今回の法律で行った趣旨は、今、局長から御答弁を申し上げたとおりであるわけでございますが、もちろん先生の御指摘のように、各企業がそれぞれの中で高齢者の雇用について積極的な努力をしていただく必要のあることは、これはもう言うまでもないわけでございまして、そのための手段としてどういう措置を今後講じていくということが最も有効であるか、こういうことになろうかと思うわけでございます。現行の雇用率例度につきましては、先ほど来御答弁をいたしておりますように、六十歳の定年の一般化を目指しまして、六十歳定年になってない企業について雇用率制度が低い、それをてことして、六十歳定年の実現のための指導としてこれの活用を図ってまいったわけでございます。
 今般、六十歳定年の法制化が図られることに伴いまして、六十歳までにつきましてはより具体的明確な形でこれを進めることができると、こういうことになったわけでございますし、また企業における業種、業態、年齢構成、こうしたものの多様な中で、非常に歴史の浅い若い企業におきまして、あるいはまたその業種によりましてさまざまな実態もあるわけでございますので、一律に一定の高齢者雇用を求めるということにつきまして現実的ではないと、こういう問題もございます。やはり六十歳定年を実現さしていくということに主眼を置き、そのための手段として活用されてきました雇用率制度を、今回見直しを行いまして、その考え方というものは、これからも六十歳代前半層の雇用あるいは継続雇用ということに生かしていって、それへの誘導をするための一つの基準として高年齢者多数雇用報奨金制度を新たに創設をし、その中にこの雇用率制度というものを虫がす形でさらに前進を図ってまいりたい、このように考えた次第でございます。
#61
○糸久八重子君 改正案の五十五条ですけれども、労働大臣は、「事業主に対し、定年に関する制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況について」報告を求めることができるとしてあります。この場合、常用の高年齢者の雇用割合についても当然報告を求めるべきだと思いますけれども、いかがでございますか。
#62
○説明員(長勢甚遠君) 五十五条に基づきましてどういう報告を求めるかという御質問でございますが、今後、定年の基準等につきまして、あるいは施行全体につきまして審議会等でいろいろ御議論をいただきますので、その御議論を踏まえながら最終的に決めていきたいと思いますが、当然、定年あるいは再雇用その他の高齢者雇用に関する制度の状況はお聞きすることにするべきであろうと思いますし、またその中で、全体の従業員数、あるいはその中での高齢者の数といったものも御報告いただくということも考えられるわけでございます。
 今の先生の御意見等も踏まえながら、さらに検討したいと思います。
#63
○糸久八重子君 改正法案では、服用率を廃止して、六十歳から六十五歳までを傘として六%、さらに、五人以上雇用している場合に高年齢者多数雇用報奨金を助成することになっておりますけれども、六十五歳以上の労働者の場合も含めるべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。
#64
○政府委員(清水傳雄君) 一般的に、高齢化が非常に急速に進展をしておる中におきまして、高齢者の方々の就業意欲、就業希望、こういったものも進んでおります。さまざまな形になっておるわけでございますが、年齢別にその状況を見ますと、六十五歳以上につきましては、労働力率は二四・三%、あるいは雇用者比率は八・一%、著しく低い水準ということになってまいっておりますし、また、さまざまな意識調査なんか等から総合してみますと、労働者の引退希望年齢というのはおおむね六十五歳という状況になっておりまして、六十五歳までの高年齢者とは異なる状況にあるわけでございます。もちろん、自分の能力のある限りいつまででも仕事をしたいと、こういう希望、願望というものはこれは多くの人が持っておるわけでございますし、そうしたものに即応したいろいろな手だてというものは考えていかなければならないわけでございます。
 ただ、雇用という場を通じてのそうした希望をかなえるための対応策ということにつきましては、一般的な他の社会保障政策等との関係も十分配慮しつつ、一定の園が財政措置を講じつつ雇用を確保していく対象届というものにつきましては、やはり一定の段階というふうなものを対象として政策的に進めていくべきものであるというふうに考えるわけでございまして、そういった意味合いで、高年齢者の雇用就業対策として国が特別の財政的措置を難じていくのは六十五歳までということといたしておるわけでございますが、六十五歳を超えて働くことを希望する高年齢者の方々に対しましても、シルバー人材センター等を初めといたしまして、あるいは安定所の活動等を含めまして、そうした機会を提供する努力というものは当然払ってまいりたい、このように思っております。
#65
○糸久八重子君 六十歳代前半属の雇用対策についてお伺いいたしますが、労働省の高作齢者就業実態調査によりますと、男子の就業率というのは六十歳から六十四歳で七一%、六十五歳から六十九歳で五八・五%と、大変高い数値になっているわけですね。その就業理由というのは経済上の理由が八一・四%であります。年金等位車以外の収入と就業率の関係を見てみますと、収入額の低い者ほど就業率が高い、これは当たり前の話ですけれども用年金水準を引き上げることはもちろん大切なんですけれども、少なくとも定年年齢と年金支給開始年齢というのは総合さすべきであると思います。
 調査の結果のような就業実態をどう認識なさって、そしてこれからどう対策を講じようとなさっていらっしゃるでしょうか。
#66
○政府委員(白井晋太郎君) 六十歳代前半届の雇用就業対策全体につきましては、後ほど大臣からお答えいただきますが、今、先生御指摘のように、六十歳代前半届の就業実態、それからその所得の実態、あるわけでございますが、先ほどから申し上げておりますように、これらの層は、彼らのニーズに応じました雇用就業の場を確保していくということが非常に重要なわけでございまして、そのために、先ほどから申しておりますようないろいろな措置を通じまして、この六十歳代前半層の継続雇用も含めました就業の場を適切に確保していくということを考えている次第でございます。
#67
○国務大臣(林ゆう君) 従来は六十歳定年の推進に重点を置いてまいりましたけれども、今後、高齢化の波が六十歳代前半届に移行していく、このようなことが見込まれておりますので、今後の高齢者対策の重点も六十歳代前半属の継続雇用の推進、こういったものに移行していく必要があろうかと、このように考えているわけでございまして、そのために、今回の法案におきましても、先ほどから政府委員の方でお答えをしてございますが、企業におきましても、六十歳代前半層の継続雇用に積極的に取り組んでもらうために、高年齢者解畑推進者の選任、こういうことにつきまして事業主の努力義務といたしておりますこと、あるいはまた、継続雇用を実施するために必要となる各種の条件整備について、事業主に対しまして相談援助体制を整備するために高年齢者雇用開発協会、これの役割を法律上で位置づける、こういったことでその充実を図りますことなど、あるいはまた、高齢者の雇用に対する意欲を喚起してもらいますために、六十歳代前半届の者を一定割合を超えて雇用する事業主に対しましては高年齢者多数層刑報奨金制度、こういったものを創設いたしますなどの措置を講することにいたしておるわけでございます。
 現状におきましては、なお六十歳代前半届の雇用につきまして、事業主の理解はまだまだ十分とは言えない面がございますので、このような施策を通じまして一層の啓蒙、指導、そういったものに私どもとしては努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#68
○糸久八重子君 六十歳前半届の就業率が高いということと、それからただいま大臣もおっしゃられたように、前半届の継続雇用が大切と、そう認識をしていらっしゃる。ですから、高齢化の一層の進展を考えるときには、やはり早期に六十五歳定年制を法制化すべきであると思うわけです。これにつきましては、今までいろいろと御意見はお伺いいたしましたから、御答弁は要りませんけれども、要望として申し上げさせていただきたいと思います。
 それでは次に、高年齢者雇用開発協会の問題についてお伺いをさせていただきたいと思いますが、改正案の中で、中央高年齢者雇用安定センターの指定対象として財団法人高年齢者雇用開発協会を考えているようでございますけれども、この協会の性格とか創設の経緯、沿革、簡単に御説明いただきたいのですが。
#69
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 高年齢者の雇用につきまして、先ほどからいろいろ申し上げておりますような相談体制、研究体制等を整備するために、この法郡上、今、先生がおっしゃいましたような役割を持った団体の指定を考えているわけでございますが、財団法人の高年齢者雇用開発協会は、全国的な団体としては一団体が設立されております。そのほか県レベルの団体が三十六道府県で現在設立されておりまして、事業主に対します相談指導、情報資料の収集、提供、それから調査研究等を行ってきているものでございます。
 今回の法案におきまして、同協会を個別企業におきます継続雇用の推進の前提となります条件整備を促進するための相談援助体制の中心として位置づけることにいたしておりまして、これは先ほども申し上げましたとおりでございますが、これにあわせまして、地方協会をすべての都道府県に整備することといたしております。
 そして、この中央、地方協会を通じまして組織の拡充を図り、次のような事業主に対する相談援助業務を充実することといたしております。一つば、高年齢者雇用アドバイザーの設置等によります相談体制の強化、それから二つ目には、個別企業における条件整備のための調査研究、企画、立案援助事業の実施、それから三番目には、雇用施策モデルの胴発研究の実施、それから四番目には、好期例等各種情報の収集、提供体制の強化、それから次には、職務再設計コンテスト等の開催による啓発活動の実施、
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
それから高年齢者雇用推進者に対する講習、研修事業の実施、それから先ほど大臣から御答弁申し上げました継続雇用に関する給付金の支給業務の実施等を行わせることといたしている次第でございます。
#70
○糸久八重子君 この開発協会が高年齢者雇用安定センターとして指定された場合に、本法律に基づく業務の範囲と現行の業務の範囲とにどのような違いがございますか。
#71
○説明員(長勢甚遠君) ただいま局長から御説明申し上げましたとおり、現行雇用胴発協会は、主として一般的な調査研究を実施いたしております。それにあわせまして若干のセミナー等の開催をいたしております。今後、この協会を通じまして個別の事業主に対する相談援助体制を格段に強化いたしたいと思っておりますので、ただいま局長から御説明いたしましたような企画、立案事業に対する体制の整備でございますとか、あるいは高齢雇用推進者に対する講習の実施等を、今度の法律に基づきまして新たに行わせようとしているものでございます。
#72
○糸久八重子君 高年齢者雇用安保定センターという法律上の名称から更ける印象は、高年齢者雇用に関して何でも扱っているように見えるわけですね。聞こえるわけです。ここでは高年齢労働者が就職あっせんも受けられるのではないかという誤解を受けたりすることも考えられるわけですけれども、ちょっと名前に何か難があるような気がいたします。
 高年齢者雇用安定センターの指定については、全国的に何カ所指定をなさいますか。
#73
○説明員(長勢甚遠君) 全国に一カ所及び各県に一カ所を予定いたしております。
#74
○糸久八重子君 都道府県の高年齢者雇用附発協会が雇用安定センターとして指定された場合に、その名称はどうなりますか。
#75
○説明員(長勢甚遠君) 今回考えております指定法人という方式でございますが、これは、既にある公益法人をこの法律上は雇用安定センターとして指定をするという法律の構成でございますので、つくられる団体がどういう名称であるかということではなくて、その団体がこの指定にふさわしい業務を行う能力等があるかどうかということで考えますので、名称等は雇用安定センターという名前を使っていただく必要はないわけでございますので、現実に地方において協会としてございます中には、例えば雇用促進協会でございますとか、そういったような名称のもの、あるいは雇用対策協会という名称を使っているものがありますので、その団体がこの雇用安定センターとしての行うべき業務を行う能力があると判断ができれば、その団体を指定いたしたい、このように考えております。
#76
○糸久八重子君 今回の改正案では、全国及び都道府県の開発協会が継続雇用に関する総付金の支給業務を行うために、高年齢者の雇用に関して重要な役割を担うことになるわけです。公共職業安定所で扱う場合と比較して、手続等でサービスの低下があってはならないと考えるのですけれども、この点の心配についてはいかがでしょうか。
#77
○政府委員(清水傳雄君) 御指摘のように、この協会で非常に重要な役割を担ってもらうことにいたしておるわけでございまして、総付金の支給業務等を安定所で行わないで、こうした協会で行わせるということといたしましたゆえんのものは、この協会を通じてのさまざまな指導援助と企業に対する人事労務管理面についての相談活動、こうしたものと助成措置とが有機的な連携を保ち得るようにということもございますし、また同時に、あわせまして安定所においてそうした支給業務という金銭的な業務というものを切り離しまして、安定所本来の再就職のあっせん活動ということに、その持てる能力をできるだけ傾注できるようにということも一つのねらいとしておるものでございます。
 このねらいどおり、適切にこの協会の業務運営がなされなければならないことはもちろんでございまして、そうしたことが可能になるように、六十一年度の予算等を含めましてい体制の整備を図ることにいたしておるところでございます。
#78
○糸久八重子君 高年齢者雇用開発協会の活動については、中央職業安定審議会の答申にも、「その活動について、関係者の意見が反映され」とあるわけですけれども、労働者側の意見も十分に反映されて適切に実施されていくように、労働省として的確に指導していくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
#79
○政府委員(清水傳雄君) 御指摘の点につきましては、今、先生がおっしゃいましたように、関係審議会におきましてもそういう意味の問題の指摘をいただいたところでございまして、一般的には、この法律の中で適正な業務運営が確保されるように必要な監督措置等の規定も設けておるわけでございますが、実質問題といたしまして、この協会の事業運営、活動というものにつきまして、労使を含めました関係者の意見が反映をされるように、その協会の活動状況を労使・公益三者構成になっております中央職業安定審議会に報告をさせる等の適切な措置を講じてまいりたいというように思っております。
#80
○糸久八重子君 次に、シルバー人材センターについてお伺いをさせていただきたいと思いますが、現在、シルバー人材センターの事業実績はどのようになっておりますでしょうか。最近の状況と、特にお聞きしたいことは、一人当たりの平均収入額、月額で結構ですが、それと一人当たりの平均就業日数についてお教えいただきたいと思います。
#81
○説明員(長勢甚遠君) 現在、シルバー人材センターは全国で二百六十カ所設立を見ております。また、会員数も約十二万人ということで大変好評を得ておるわけでございます。
 今、お尋ねの就業の状況でございますけれども、まず就業日数でございますが、会員一人当たり月平均で、これは五十九年度の資料しかまだございませんけれども、四・八日ということになっております。これは、年々この就業日数はふえておりまして、発足当初の五十五年度におきましては三・○日でございましたが、五十六年度三・三日、五十七作度三・八日、五十八年度四・二日、五十九年度四・八日ということで、年々伸びております。これは、シルバー人材センターのいろんな努力もありますし、また社会でシルバー人材センターが理解をされ、活用が図られてきておるという実績であろうかと思います。
 また、その万々の平均の一日当たりの配分金の額というものは、大体三千円から四千円程度でございますので、働いている方々一人月平均大体二万五千円程度というふうに全国の平均ではなっておりますが、私ども経験的にシルバー人材センターを回って会員の方々のお話を聞いておりますと、非常に多い方もおられますけれども、平均すれば大体二万から三万程度というふうに私どもとしては理解をいたしております。
#82
○糸久八重子君 シルバー人材センターについては、請負委託で就業していて、そして雇用関係にないわけですから、労災は適用されないわけですけれども、各シルバー団体では事故、災害が非常に多くて、何とか労災適用をしてほしいという要望が大変強いわけです。一昨年では横浜でも死亡事故があったということであります。傷害保険制度を設けて、その活用を促進していると政府は言っておられるわけですけれども、それで各県のシルバー団体の要望にこたえることになるのでしょうか。
#83
○政府委員(清水傳雄君) シルバー人材センターによります会員の就業ということにつきましては、このシルバー人材センターの趣旨につきましては、先生既に御承知の事柄だと思うわけでございますが、高齢者が自分の能力というものを地域社会の中で生かしていく、そのための方策としてこの活動が展開をされておるわけでこざいまして、いわゆる自分で自分の世事を管理しながら、他人にはっきり雇われるという形でない形で、言うなら任意に自分の能力というのを社会参加、あるいは生きがい、地域社会に密着した活動の中で生かしていくと。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕こういう形で展開をされておりまして、したがいまして、その就業のあり方というのも、いわゆる請負なり委任なり、こういうふうな関係に立つわけでございまして、センターと会員、あるいは発注者と会員の間で雇用関係というものは成立しないで、雇用関係を前提とする労災保険には加入できない、こういう仕組みになっておるわけでございます。
 しかしながら、シルバー人材センターの会員が安心して仕事をできるという面の配慮も当然に必要なことでございまして、先生御指摘のように、損害保険業界の協力をいただきまして、そうした今申しましたような就業の実態に即しました傷害保険制度を設けて、その活用を図っているところでございます。
 今回、シルバー人材センターの拡充の一環といたしまして、この保険の内容につきましても、保険料を国庫補助の対象としつつ、保険水準の引き上げということも図ってまいりたい、そういうふうなことが可能になるような必要な予算措置を講じているところでございます。
#84
○糸久八重子君 シルバー人材センターは、これからの高齢社会ではますます発展といいますか。進展していくものと思われるわけですけれども、やはり仕事についているということは、そこには危険も伴うことも多々あるわけでございますから、より一層の充実につきまして御検討をお願いしたいと思うわけでございます。
 それから、シルバー人材センターに職業紹介機能を持たせ、地域における労働力需給システムの一環として位置づけようとしておりますけれども、その場合であれば、より一顧地域の各界の方々、とりわけ労働団体、商工団体、高齢者団体等の協力を必要とするのではないかと思います。運営にこれらの団体を参画させた方が有効に機能すると考えられますけれども、いかがでしょうか。
#85
○説明員(長勢甚遠君) シルバー人材センターは、会員を構成員とする社団法人として自主的に運営をいたしておりますので、その内容を全部つまびらかにいたしておるわけではございませんが、当然、先生御指摘のような問題も十分認識をしておるところでございます。現実に、評議員とかあるいは理事というような形で労使団体の方々を参画させておるシルバー人材センターもあるわけでございまして、労働省として、必ずそういう形でやれというところまで指導するのはいかがかとは思いますけれども、いずれにしても、その地域の全体の御意見を踏まえながら運営をされていくという方向で各シルバー人材センターに対する指導を行ってまいりたい、このように考えます。
#86
○糸久八重子君 職業訓練校の高年齢者向け訓練科の増設については、どういう状況になっておりますか。
#87
○政府委員(野見山眞之君) 高齢化社会の進展の中で、高齢者に対する能力開発は特に重要な課題になっていることは言うまでもありませんが、その中で、高齢者に対する職業訓練につきましては、やはり長年の職業経験を生かしながら、適性に応じた能力開発の機会を持ち得るということが重要ではないだろうかというふうに考えております。
 したがいまして、私ども、公共職業訓練におきましては、今申し上げましたような、これまでの経験を生かせるような、また高齢者が十分就業し得るような分野を中心とした訓練種目を中心に充実していくということで、これまで毎年四科目ずつ高齢者向けの訓練科目を増設してきておりますが、その中身といたしましては、建物の管理ですとかあるいは家電サービス、家屋営繕、さらには医療事務等に関する科目、そのほか園芸等の科目につきまして四科目ずつ増設をして、高齢者の訓練の機会をふやしているという状況でございます。
#88
○糸久八重子君 つい二、三日前の新聞の中に、東京都高齢者事業振興財団が五月から「高齢者のためのパソコン・ワープロ教室」を開設するための主従募集をした、ところが応募者が殺到して、九十六人の枠が募集初日の午前中で埋まってしまった、そして試験的に開いた研修で、参加した方たちから、非常におもしろいとか易しいとかという答えが返ってきて、機械に弱いと思っていた担当者を驚かせたという記事があったわけです。
 したがいまして、パソコンとかワープロというものは高齢者向きではないという意識を払拭して、ぜひこういうような科目につきましても訓練所の中に設置できるように、これは要望ですけれども、させていただきたいと思うわけです。
 次に、各シルバー人材センターは、大変少ない職員で、センターの運営とか会員の連絡とか仕事の発注等の交渉など、多くの事務を抱えているわけです。今後、センター事業の発展のためには、事務局体制の整備は大変重要と考えるわけですけれども、各団体は独自に職員を雇用しておりまして、事業財政基盤が非常に弱いわけですね。十分な保障も確立されていない。したがって、シルバー団体の事業の強化というのは、スタッフの強化が不可欠なのではないかと思うわけですけれども、そういう実情を調査して対策を弾むべきと思うんですが、その点についてはいかがでございましょうか。
#89
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先ほど、能力開発についての御要望があったわけでございますが、私たちも新聞を読ませていただきましたけれども、六十一年度予算におきまして、技能講習に関する助成を大幅に拡大いたしまして、先生の御要望の趣旨に沿ってまいりたいというふうに思っております。
 それから、今の職員の問題でございますが、シルバー人材センターの職員の処遇等につきましては、本来は、個々のシルバー人材センターにおいて自主的に決定すべき問題であるというふうに考えているわけでございますが、この点につきましても予算上の措置をふやしまして、地域の実情に応じた配慮がシルバー人材センターにおいて自主的にできるように、側面から援助してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 シルバー人材センター全体についていろいろと御質問をいただいたわけでございますが、今回、法案で整備すると同附に、その拡充強化を図ってまいりたいというふうに考えておりまして、その点につきましては、大陸の方から御答弁させていただきたいというふうに思います。
#90
○国務大臣(林ゆう君) 本格的な高齢者社会の到来ということを迎えまして、定年退職後などにおける高齢者の就業ニーズに適切に対応することが、新たな労働政策の大きな課題となってまいりました。このために、従来からシルバー人材センターの育成援助に努めてまいりましたけれども、今後、その一層の拡充を図るということが大事なことであろうかと考えております。
 そういったようなことで、今回の法案におきましても、シルバー人材センターを法律上に位置づけるということとともに、六十一年度の予算におきましても、従来の設置基準の緩和とか、また三十カ所を増設するとか、あるいはまだ補助額の引き上げなどの措置を講ずることにしておるわけでございます。こういったことで、シルバー人材センターの内容の充実をまた図っていかなければいけない。そういったようなことで、それぞれの地域でいろいろな御要望があって、その経験などが積み重なってまいるわけでございますから、そういったものの経験の交流をいたしますとか、あるいはまた職員の研修体制の整備を図ってまいるとか、こういったことで、このシルバー人材センターの機能が十分に役割を果たすように指導、そしてまた援助、こういったものに努めてまいる所存でございます。
#91
○糸久八重子君 本法案は、女子の高年齢新の雇用の安定にも役立つものであると思いますけれども、法案の内容のうち、今後増大するだろうと思われます女子高齢者の雇用安定のための措置並びに制度を具体的にお挙げいただきたいと思いますが。
#92
○政府委員(清水傳雄君) 直接、今回の改正法案の内容におきまして、女子の高齢者の方々のみを対象とする政策内容というのは、特段に含まれておりません。
#93
○糸久八重子君 婦人局長もお見えでございますので、最後に、男女別定年制は、雇用機会均等法の理念から見ても好ましくないわけでございますけれども、その辺の御見解を賜りたいと思います。
#94
○政府委員(佐藤ギン子君) 先生おっしゃいますとおり、男女別定年制は、雇用機会均等法におきましても禁止那須となっているものでございますので、今後、こういうものがなくなっていくように努力をしていきたいというふうに考えております。
#95
○糸久八重子君 終わります。
 ありがとうございました。
#96
○委員長(岩崎純三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#97
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#98
○中西珠子君 日本は、欧米と比べますと高年齢者の就業意欲がずっと高いと言われておりまして、各種の調査も、高年齢者の就業意欲の高さを示しておりますので、高年齢者の労働力率が近い将来大きく低下することはないと考えられますが、労働力人口の高齢化の見通しについて、まずお伺いしたいと思います。
#99
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、先生御指摘のように、我が国の人口の高齢化は、世界に類を見ないスピードで進展しておりますが、本格的な高齢者社会を迎えることになりまして、労働力率につきましても、今後大きく低下するとは考えられないわけでございます。
 したがいまして、二十一世紀初頭にかけまして、労働力人口は急テンポに高齢化していきますが、我々の推計では、昭和五十年における我が国の労働力人口は五千三百二十三万人で、うち五十五歳以上が八百四万人で一五・一%でございましたが、昭和六十年にはこれが一八%となっておりまして、七十五等、いわゆる西暦二〇〇〇年には全体で六千五百五万人の労働力人口のうち、五十五歳以上は千四百八十五万人、二三%と予測されます。すなわち、労働力人口の四分の一が五十五歳以上で占められるということが予測されているところでございます。
#100
○中西珠子君 高年齢者の雇用の状況は現在も非常に悪いし、また将来の見通しも余りよくないと思うのでございますが、五十五歳以上の有効求人倍率についてお伺いしたいと思います。
#101
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 年齢別有効求人倍率で、これは毎年十月にとっているわけでございますが、六十年十月の統計によりますと、年齢計全体では〇・六七倍でございますが、これに対しまして、五十五歳以上の高年齢者層は〇・一三倍となっております。
#102
○中西珠子君 五十五歳以上をひっくるめて〇・一三倍とおっしゃいましたが、五十五歳から五十九歳、六十歳から六十四歳、六十五歳以上と分けて、年齢層別にお教えいただきたい。
#103
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、五十五歳以上〇・一三倍と申し上げたわけでございますが、五十五歳から五十九歳までで〇・一六、それから六十歳から六十四歳〇・一〇、六十五歳以上が〇・一五という倍率になっております。
#104
○中西珠子君 同じ年齢層の失業率についてお伺いします。
#105
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 これは昭和六十年の計でございますが、全体の完全失業率は二・六でございます。五十五歳以上では三・二となっております。
 なお、年齢段階別に見ますと、五十五歳から五十九歳が三・二、それから六十歳から六十四歳が四・九、それかう六十五歳以上が一・七というふうになっております。
#106
○中西珠子君 今お聞きしましたように、高年齢者の失業率も高いし、また有効求人倍率も非常に低いという状況で、大変高年齢者の雇用の状況というものは厳しいものがあるというふうに考えられます。
 これから将来に向かいまして本格的な高齢者社会が近づいてくると。そして、急激な労働力人口の高齢化が進んでいって、それに伴って高齢者の雇用問題というものはますます深刻化すると思われるのでございますが、こういう高齢者の雇用問題に対応するため、労働大臣は長中期的にどのような対策をお考えでいらっしゃいますか。
 それからまた、今回の法案をお出しになっている背景というものについて、どのような御認識でいらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#107
○国務大臣(林ゆう君) 本格的な高齢者社会の到来を迎えるに当たりまして、活力あみ社会を維持していく上で、高年齢者の雇用就業の場の確保ということは、早急に対処しなければならない極めて重要な国民的課題になってまいっております。このようなために、従来から六十歳定年の一般化につきまして、早期実現を中心といたしました高年齢者の雇用就業対策に努めてまいったところでございます。今後、高齢化の波が六十歳代前半層に移っていくなど、高齢者についての雇用就業対策がますます重要となってまいるわけでございますので、こういったことに対処するために、今回、中長則的観点に立って抜本的な対策の見直しを行いまして、法律案を御提出したところであるわけでございますが、今回の法案におきましては、六十五歳程度までの雇用就業の場の確保を図る、こういったことを基本といたしておるわけでございます。
 具体的には、それではどういうことかと申しますと、六十歳定律を基盤といたしまして、六十五歳程度までの企業における継続雇用の推進、そしてまた、再就職を希望される高年齢者のための早期再就職の促進、そしてまた、定年退職後などにおきます臨時そしてまた短期的な就業の場の確保、こういったことに重点を置いて施策の充実強化を図っているところでございます。
 今後、この法案をもとにいたしまして、高年齢者のための総合附な雇用就業対策を強力に推進してまいらなければならない、こういうことでこれに取り組んでいるわけでございます。
#108
○中西珠子君 それでは次に、法案の内容についてお伺いいたします。
 第四条、「定年を定める場合の年齢」というのがございまして、「六十歳を下回らないように努めるものとする。」と、努力義務規定になっているわけでございますけれども、努力義務というものはやはり実効性がないのではないか、なぜ努力義務になすったのであろうということがまず一席でございます。
 もう一点は、努力義務になさるのならば、その対象を「六十歳を下回らない」などということになさらないで、なぜ年金支給年齢の六十五歳というものになぎらなかったのかということが大変疑問なのでございますが、それにつきましてどうぞお答え願います。
#109
○国務大臣(林ゆう君) 六十歳定年の法制化につきましては、いろいろと議論がなされてまいりました。今日提案いたしております内容は、雇用審議会における全会一致の結論を得たものでございますので、現段階では、社会的コンセンサスが得られる現実的でそしてまた妥当なものと私どもは受けとめているわけでございます。
 いずれにいたしましても、六十歳定年が法律上の社会的責任といたしまして明確にされ、そしてまた、それを推進するための行政措置が法律に明記されるということは、六十歳定年の推進に当たりましては極めて大きな効果がある、このように考えでおりまして、この法律を踏まえまして、企業の中で、労使の閥で積極的に取り組んでもらえるということを期待いたしておるような次第でございます。
#110
○中西珠子君 年金支給年齢を六十五歳にする前に、もちろん経過措置はございますが、やはり高年齢者の対策というものは、年金を含む社会保障政策とまた高年齢者の雇用政策というふうなもの、その他の高年齢者に対する対策というものは整合性を保つべきものだと考えるわけでございます。
 各省庁がいろいろ高齢者対策をなすっていますけれども、その総合調整機能を果たすところはどこなんでございましょうか。厚生省と労働省が定期的に会合をお開きになって、いろいろ協議をされたり連携、調整をされていることは存じ上げておりますけれども、総合的な調整機能を果たすところはどこなんでしょうか。
#111
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 全体の施策の調整を図るところは総務庁でございますが、ここに老人対策室というのがございます。そのほか、政府全体として内閣に、高齢化社会を迎えての諸対策のための閣僚によります長寿社会対策閣僚会議というのができております。こういうところで調整を図っているわけでございます。
#112
○中西珠子君 老人対策本部本部長を内閣総理大臣とする、副本部長を総務庁長官と厚生大臣とする川本部員は、内閣官房副長官、総務庁の事務次官並びに関係十五省庁の事務次官から構成する、こういうものができているわけですね。これは定期的に会合したり活発に活動していらっしゃるんですか。
#113
○政府委員(白井晋太郎君) 先ほど申しました閣僚会議の下の会だと思いますが、閣僚会議におきましては、先般も各省のそれぞれの施策を出させまして、それに基づきまして今、これは内閣審議室になるかと思いますが、で全体をまとめる案を検討中でございます。そういうことで、事務的には会は開かれております。
#114
○中西珠子君 そういうところがございますのでしたら、大いに利用して、連携を緊密にして調整を図っていただきたい。そして高齢者対策は、労働省の所管のものは指導的な立場で大いに推進していただきたい。そうして、総合調整をやって整合性のある政策をとっていただきたいと、心から要望いたします。
#115
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先生の御趣旨に沿いましで、特に雇用問題につきましては、労働省の責任において対策を進めていかなければならないということで、今回総合的対策の案を出さしていただいたわけでございます。御趣旨に沿って進んでまいりたいというふうに思います。
 それかもなお、先ほどちょっと私失礼いたしまして、長寿社会対策関係閣僚会議というものが正式名でございまして、これが六十年七月二十三日に閣議決定でできております。
 そして、老人対策本部と申されましたが、これができたときに老人対策本部の設置については廃止するということになりまして、老人対策本部はこのときに廃止されておりますので、訂正させていただきます。
#116
○中西珠子君 それでは、法案の方に戻ります。
 一応、六十歳定年というものを努力義務になすっているわけでございますが、六十歳定年を一層普及していくために、新たな目標年次を定めるということはお考えになっていないわけですか。
#117
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今回の法律によりまして、六十歳定年の法制化を図ることを意図いたしているわけでございますが、これによりまして、六十歳定年が法律上の社会的責任として明確に規定される。そして、それを推進するための行政措置が、またこれも法律に明確にされるということになるわけでございます。目標年度を設定することは、がえってその目標年度までに六十歳定年を引き上げればよいというようなことにもなりかねませんし、法制化の趣旨から見れば、適切ではないというふうに我々は考えた次第でございます。
 この法例化によりまして、労働省としましては、六十歳定年に引き上げることに特段の事情がないと認められる企業につきましては、同標年度を設定するまでもなく、早急に引き上げるよう指導を進めていくということにいたしております。
 それからなお、定年延長のための援助等も全力を尽くしてまいりたいということでございますので、この法制化によりまして、今申し上げました適切な行政措置を講ずることによって、六十歳定年の確立に全力を挙げていくことが当面の目標ではないかというふうに考えている次第でございます。
#118
○中西珠子君 高年齢者の雇用率制度を今度は廃止なさるわけですが、その理由は何ですか。
#119
○政府委員(清水傳雄君) 現在の中高年齢者雇用促進特別措置法によりまして雇用率制度が設けられておりまして、五十五歳以上の人たちを、努力義務として六%以上雇用しなければならぬということですが、そもそも雇用率制度は、六十歳定年の推進をするために、六十歳未満の企業に対しまして、この雇用率制度をてこといたしまして定年延長の行政指導を行うでまいったわけでこぎいます。今般、今回の雇用審議会の答申に基づきまして、六十歳定年の立法化を行うことに伴いまして、これの見直しを行って廃止するということとしたわけでございまして、少なくとも六十歳未満の人につきましては、今回の定年延長の立法化、その努力義務、またそれを支える行政措置ということによってこれを推進していくことができるというふうに考えております。
 さらに、六十歳代前半届にむしろ今後のまた一つの大きな重要課題を抱えておるわけでございまして、この対策に雇用率制度の考え方を生かしまして、高年齢者の雇用割合というものを、六十歳前半層を高めていくというために、雇用割合が一定率以上である事業主に対して助成措置を論ずる、そうした誘導助成措置の基準としてこの雇用率制度を生かしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#120
○中西珠子君 「労働大臣は、六十歳を下回る定年を定めている事業主であって、」、これは第四条の二ですが、「政令で定める基準に従い、六十歳を下回る定年を定めることについて特段の事情がないものと認めるものに対し、当該定年を六十歳以上に引き上げるように要請することができる。」と、こうなっておりますが、「政令で定める基準」というのはどういうものを考えていらっしゃいますか。中央職業安定審議会の意見を聞くということになっているらしいんですが、労働省も何か案を持っていらっしゃるんではないですか。
#121
○政府委員(清水傳雄君) 今般の法案は、言うまでもなく、雇用審議会の答申を踏まえたものでございます。
 長年にわたる雇用審議会の審議過程の中で、六十歳定年の立法化問題が議論をされまして、意見が対立してなかなかまとまりがつかなかったわけでございますが、そうした中におきまして、六十歳未満定年の、六十歳に到達していない企業についてどのように見ていったらいいのかということが、議論の非常に大きな焦点になったわけでございます。そうした中には、どうしても六十歳にすることが無理なものもあるのではないか、また他面において、やはり周辺の状況を見、なお様子見をしている、なおさらに一層努力をしてもらわなければならない企業もある、そうしたものもみんな含めて一つの枠組みをつくってこの六十歳定年を推進していく、そういう法律上のよりどころをつくっていこうと、こういうのがその議論の過程であったわけでございます。したがいまして、そうした議論の過程の中で、どういうところがなかなか難しいのかというようなことも幾つか議論もなされてきたわけでございます。
 今、先生御指摘のように、中央職業安定審議会におきまして、具体的な基準を御検討いただくわけでございまして、今この段階でどういう基準内容にするかということを申し上げられる段階ではございませんが、今申しましたような議論の経過等を踏まえますならば、そうした六十歳定年になっていないことについて特段の事情があるとは認められないような、そういう企業につきまして行政措置の対象としていくということになろうかと思います。例えば、経営事情が非常に悪いような企業の場合、定年をとるかというふうなところが非常に難しいような場合、あるいは業種、業態によりまして、職種なんかを見まして、例えば高所作業とか、そうしたところにつきまして高齢者の就業というのは非常に難しいものもございます。そういうようなこと等を踏まえながら、六十歳未満とすることは難しいということで、労使間の合意がなされているような場合でございますとか、あるいは、形式的には六十歳定年にはなっていないものの、実質的に勤務延長なり再雇用によりまして雇用が保障されているような場合ですとか、そうしたケースが検討の対象になるのではなかろうか、このように考えております。
#122
○中西珠子君 このごろの法案は、政令委任とか省令委任が大変多いわけですね。また、非常にふえているという感じで、政令や省令に委任する内容についてこちらが全然わからないのに、審議会に諮ってこうしますと言われてしまって、全然具体的に答弁がない場合も非常に多いわけなんですが、ただいまは、これまでの経過と、それからでさる限りの範囲において具体的な内容をお漏らしくだすったと思いまして、一応これはこのように受けとめておきます。
 とにかく、特段の事情があるからという業種、事業主、そういったものをなるだけふやさないようにしていただきたい。八十歳がもう人生の最終点ではない、まだまだ八十五、九十まで生きるような人がふえているときに、やっぱり六十歳定年はこういう特別の理由があるからできませんよ、そうですかということにならないようにしていただきたい。
 それから、定年の引き上げの要請をなすった後は、いろいろ行政措置をおとりになることになっていますけれども、事業主の名前の公表というものですね、これは効果があるとお思いになっているのでしょうか。
#123
○政府委員(清水傳雄君) 私どもといたしましては、六十歳定年の努力義務の規定そのものにつきましても、やはり相当な効果を持つものというふうに考えておりますし、またそれを目指して、もちろん企業名の公表に至るまで行政指導あるいは行政措置、そうしたものの積み重ねを行ってまいるわけでございます。
 企業名の公表というのは、最終の手段というふうに考えておりまして、企業名の公表ということに頼るということじゃなしに、六十歳定年の実現を目指して努力をいたしてまいりたいと思っておりますし、そういった意味合いで、企業名の公表ということ自体に、現実の運用の問題としてやはり非常に大きな効果を持ち得るような、そういうふうな形で全体の行政を進めてまいりたいというふうに考えております。
#124
○中西珠子君 行政指導をなすっていって、そして一般の労使も啓発していくということによって、朝業主の氏名の公表というものが恥ずかしいという気持ちを起こさせるような、そういう社会的な雰囲気をやはりつくっていくという御努力も必要ではないかと思うわけです。
 次に、高年齢者雇用推進者というものを設置なさるそうですが、この任務はどういうもので、どういう役割を果たすのですか。
#125
○政府委員(清水傳雄君) 私どもといたしましては、今回の法律におきましては、六十歳定年ということを一つの基盤としながら、六十五歳程度までの継続雇用ということを非溝に大きなねらいとして今後対策を進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 これを進めていく上におきまして、実際に継続雇用を行う、それに取り組むのは、何と申しましても企業であり、また関係労使であろうと思うわけでございます。特に、事業主のさまざまな隘路を克服しての自主的な努力というものがなければ、これはもう絶対に進まないわけでございます。これが不可欠の問題であろうかと思うわけでございます。
 そういう意味合いで、各企業に高年齢者の雇用推進者ということを選任していただきまして、その責任者としてこれに当たっていただくことを法律上明らかにしてまいりたいということがねらいでございまして、企業における今申し上げましたような自主的な取り組みの中心的な役割に当たる人ということで、この選任に関する規定を置いておるわけでございます。
 具体的には、継続雇用を推進するための賃金・退職金制度、人事管理制度の見直し、あるいは職場の改善、能力の開発向上、こうした条件整備を図るための業務を行っていただくということを期待いたしておりまして、そういうことがまたより意欲を持って取り組んでいただけるよう、またさまざまな知識なりあるいは経験の交流というふうなものが、各企業のノーハウの積み重ねが、そうしたそれぞれの企業にも役立ち得るように、今般の高齢者雇用開発協会におきまして、こういう人たちを対象とする講習なりセミナーなり、そうしたこともあわせ行いながら、この仕組みが効果的な役割を果たしていくようにやってまいりたい、このように考えております。
#126
○中西珠子君 日本におきましては、従来は五十五歳定年制、最近は、多くの場合五十八歳定年制ということを前提とした経営とか雇用管理が行われてきて、六十歳定年ということで相当行政指導をこれまで行っていらしたし、今回またそれを、努力義務ではあっても法制化なさり、また六十歳前半層の高年齢者の雇用や就業の場の拡大を図ろうとしていらっしゃる。そのときに、年功序列型賃金側のもとでは人件費の増大を招くから、余り高年齢者の雇用就業の場を拡大するのは嫌だというふうな業者も出てこないとは限らない中で、やはり賃金制度とか、退職金制度の見直し、人事管理制度の見直しというものが必要となってくるという状況はわかるし、また、今御説明になったように、高年齢者雇用推進者というものにそういうものもさせていくということは、非常に結構なことだとは思うんです。やっぱり定作延長に伴います高齢者側から見ると、賃金とか労働条件の低下を招く場合が多いのですけれども、そういった問題が余りひどくあらわれないように、賃金や退職金制度の見直しをやったり、人事管理の見ぼしをやったり、また作業環境の改善とか、職務の再編成とか、それから労働時間の調整とか、短時間勤務制度をもっと導入するとか、いろいろ考えなぎゃならないことがあると思うんですね。
 それで、労働省としては、今度できます高齢者の中央センターとか、そういったところを利用していろいろ指導もおさせになるんだろうと思うんですけれども、これまで労働省はどのような指導をしていらしたか、また、今後ともその指導を強化していくつもりでいらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。
#127
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、先生がいろいろ御指摘なさいましたように、定年延長を円滑に実施していくためには、賃金、退職金などのあり方や、それから年功的な人事処遇制度についての見直しなど、特に企業の労使で各種の工夫をしていかなければならない問題が多いわけでございまして。その例も多く見られるわけでございます。労働省としましては、雇用管理調査等によって調査等を進めながら、また、従来から定年延長、賃金体系の問題等につきまして研究、相談等を実施いたしているわけでございます。
 今回におきましても、これも今、先生御指摘いただきましたように、労使の取り組みを促進するために、賃金、人事管理制度の見直しなどの各種の条件整備のための事例、情報提供、相談援助等を進めていくごとにいたしているわけでございます。
 具体的には、御指摘のありましたセンターを法的に役制を規定することによりまして、そこで、民間の機関を利用した自主的な形での体制を強化してまいりたいというふうに思っておりまして、労働省も、これに直接間接に指導援助を進めてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
#128
○中西珠子君 直接間接と今おっしゃいましたけれども、労使だけに任じておいて定年延長させて、賃金や労働条件が下がらないということはやはり難しい場合が多いので、結局のところ、賃金制度の見直し、退職金制度の見直しとか、それから職務の再編成についての指導とか、それから労働時間の短縮、それから短時間労働の導入などということも、もう少し積極的に労働省が御指導になって、できれば指針とかガイドラインのようなものもおつくりになっておかないと、センターが幾ら頑張ってもなかなか難しいのではないかというふうに考えるんですけれども、いかがですか。
#129
○政府委員(白井晋太郎君) センターだけではなくて、センターで業務を拡充しながらそれを主体としてやっていくということを申し上げたわけでございますが、今いろいろと御指摘になったような賃金、退職金や人事処遇制度の問題、これらが円滑に実施されるということが重要でございまして、そのためには、やはり労使が各砥の工夫をなさる、自主的になすっていくということが重要な問題でございまして、本来労働条件の問題は、基本的には労使が具体的に自主的に決定すべきものであるというふうに考えている次第でございます。 
 したがって、それを援助するための強化を図っていくということでございますが、今、先生がおっしゃいましたようないろいろな問題について検討を進めますとともに。具体的な問題についてもいろいろと援助ができるように、労働省としましても指導を強化してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#130
○中西珠子君 組合の組織率も落ちていますし、それから中小企業、零細企業ですね、こういうところに対しては相当の行政指導をしてあげないと、そこで働く労働者というものの保護、福祉というものもお考えになるのが労働省のやはり任務の一つではないかと思うので、どうぞよろしく指導を強化して、できればガイドラインのようなものをつくっていただきたいと思うわけです。
 それから今度は、法案そのものの第九条に参りますが、「事業主は、その雇用する高年齢者(労働省令で定める者に限る。)が定年、解雇その他の労働省令で定める理由により離職する場合において、当該高年齢者が再就職を希望するときは、求人の開拓その他当該高年齢者の再就職の援助に関し必要な措置を論ずるように努めるものとする。」と、こうなっているんですが、「(労働省令で定める者に限る。)」という、どういうのがその内容なのか。それから「労働省令で定める理由により離職する場合」と、これはどういう理由をお考えになっているのか。お聞かせ願いますか。
#131
○政府委員(清水傳雄君) まず、第九条の「事業主は、その雇用する高年齢者(労働省令で定める者に限る。)」云々と、この労働省令の内容として考えられるものといたしましては、一つは六十五歳未満であること、それからまた日々雇用される人たちとか、そういうような人たちは対象とは考えられない、あるいはまた、いわゆる試用期間中の人たちというような事柄を考えておるところでございます。
 それから、離職理由に関する省令のところでございますが、例えば自己都合による離職の場合、それから自己の責任に帰せられるようなそうした離職のような場合、いずれにいたしましても、事業主がやはり一定の責任を持って再就職について努力をすべき対象となる、そういう離職者ということを考えておるところでございます。
#132
○中西珠子君 時間がないので、もっとほかの質問をさしていただきますが、高年齢者の雇用の促進のためには、やはり高年齢者の能力の開発、また再開発のために職業訓練が非常に大事だと思うんですね。それで、職業訓練の効果的な実施というものによって、高齢者が能力を再び開発して、そして雇用をされるチャンスを得るということにもなるので、高齢者の職業訓練科というものは、非常にいろいろな状況を配慮した後、お決めにならなければいけないと思うんです。ことしも増設なさるという乙とでございますが、高年齢者のために、高年齢者向けの今行っていらっしゃる訓練科目というものはどのようなものがございますか、お聞かせください。
#133
○政府委員(野見山眞之君) 公共訓練施設におきます高齢者向けの訓練は、高齢者が適応できる職種であれば、年齢制限があるわけではございませんので、どのような科目でも入所されるわけでございます。
 例えば、東京都にございます高齢者向けの訓練といたしまして、経理事務におきましても、若年者に比べて高齢者の場合は主として再就職のために中小企業に行く場合が多いということで、通常の経理事務についても勉強の中身を少し広げてやるとか、あるいは土地家屋調査士のような、ある程度経験を持った高齢者の方が適当なような仕事の場合には、そういう方々に入っていただくというような科目もございます。そのほか、高齢者向けということを特に銘打ってやっております種目といたしましては、家電のサービスですとか、家屋修繕あるいは医療事務等の事務につきまして、毎年四科ずつ増設いたしてまいりまして、六十年度におきまして七十三科目、約二千二百人の訓練を運用しているという現状でございます。
#134
○中西珠子君 先ほども糸久委員からパソコンとか、そういうようなものを教える科目をもっとつくったらどうかというお話がございましたけれども、地方の職業訓練校に行きますと、たくさんはないんだけれども、ほんの二、三台置いてあるパソコンを、高年齢の人たちが一生懸命になって、順番を待って勉強しているという風景も見られたわけです。こういうコンピューター関係は非常に費用もかさむので、訓練校で設置していくことも大変難しいとは思いますけれども、こういった面の訓練科目もふやしていただいて、また設備もふやしていただくように、高齢者のためばかりでなく、中高年の婦人のためにもそれをお願いしたいと思います。
 それから、職業訓練をとにかくさせて能力開発をすること、非常に大事なんですけれども、どういう訓練をしたらいいかというその指導ですね。それからまた、職業細分の体制と、そういったものも、シルバー人材センターはさる乙とながら、それはそれで、また別に公共職業安定所の機能と体制の強化というものが必要だと思うんですけれども、その点はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#135
○政府委員(野見山眞之君) ただいま御指摘のME関係の訓練につきましても、これも、若年者に限らず、高齢者等でも適用できる部分につきましては、入所できやすいように今後とも配慮してまいりたいと思いますし、特にME関連の機器の導入につきましても、時代におくれないように、例えばリース方式の導入等によりまして、積極的に訓練校にOA機器あるいはME機器の導入を今後とも進めてまいりたいというふうに思っております。
#136
○政府委員(清水傳雄君) 今回の法律の一つの重要な柱は、高年齢者の再就職の促進ということでございます。御承知のように、先ほど来御答弁の中にも出ておりましたが、求人倍率が〇・一三という非常に厳しい状況になっておりまして、何と申しましても、求人の確保ということをどうやって組織的に図っていくかということが非常に大事なことでございます。
 安定所を中心といたしまして、できる限り協力をいただけるような範囲を含めまして、そうした求人を把握するための網の目を広げてまいりたい、このように考えておりまして、いろんな団体等の方々に協力員をお願いするとか、あるいは高年齢者の就職相談室における求人確保のための体制を整備いたしますとか^あるいは情報提供をより積極的に行うために、求人求職情報誌を安定所を通じて発行いたしますとか、あるいは自己紹介ビデオをさらに拡大してまいりますとか、そうした体制整備を図りつつ、また、先ほど御質問にも出ましたように、事業主自身にも再就職のあっせんの努力をしていただく、それを制度的に援助するための助成措置を講じていく、あるいは高年齢者の離職者の事前の届け出をしていただいて、事前にそうした方々を把握して、再就職に万全を期せられるような、そういうふうな形の法律上の仕組みを導入するとか、こういうこと等を含めまして、その強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
#137
○中西珠子君 シルバー人材センターの新たな機能として、高年齢者のために臨時的、短期的就業のための無料職業紹介をおさせになることになっていますが、短期的な、臨時的な就業じゃなくて、やはり常用雇用を求めるという高齢者も多いと思いますので、公共職業安定所においては、ただいまお話しのような努力を一層されるとともに、とにかく、求人開拓というのはいろんな面でやっていかなければできないことではございますが、その面での努力も一層努めてやっていただきたいと思います。
 それから、シルバー人材センターがこれまでやってきました仕事のあっせん、これは川雇用という意味ではなくて、仕事をあっせんして就業をさせるということなんですが、そういうシルバー人材センターを通じて仕事をしてきた高年齢者の、仕事中事故に遭った場合の保護について、これは保険を掛けているというお話でしたけれども、今後臨時的、短期的な雇用を通じてやらせるというふうなことになりますと、やはり就労の場における労働安全衛生の改善とか事故の防止とか、それから労働者災害補償保険法の適用というものを確保してやっていただかなくちゃいけないのですが、どのような指導をなすっていくおつもりか、お聞かせ願いたい。
#138
○政府委員(清水傳雄君) シルバー人材センターの会員の就労中の事故に対する補償等の問題につきましては、午前中もお答えを申し上げたわけでございますが、シルバー人材センターの性格からいたしまして、センターと会員なり、会員と発注者との脚の雇用関係はない仕組みになっておりまして、雇用関係を前提とする労災保険の加入という問題、こういう形にはならないわけでございますが、それでも安心して就労できるような形をとっていくということは、もう申し上げるまでもないわけでございます。
 まず、そこで一つは、できるだけやっぱり危険な、または有害なそういう作業の受注ということは、これはできるだけないような形でやってもらわなければならないわけでございまして、そういう仕事の引き受けは厳に慎んでもらうような、そういう指導を一面において講じつつ、損害保険業界の協力を得まして傷害保険制度を設け、対応いたしております。また、その内容の充実ということも図ってまいりたいというふうに考えております。
 そしてまた、今般の措置によりまして、臨時、短期的な雇用をあっせんする機能もシルバー人材センターに付与しておるわけでございますが、その結果として、雇用のあっせんを受けて就業をする場合には、就業先との関係で当然に雇用関係が成立する、また労災保険の適用があるというふうに考えておるところでございます。
#139
○中西珠子君 臨時的、短期的雇用をしている人、そういう人に対しては労災を適用しないような事業主という者もたまにあるわけですから、その点ではきちっとした指導をしていただいて、シルバー人材センターを通じて仕事についた人の安全衛生も図っていただきたいし、また、事故に遭ったときの補償というものも確保できますように、強力な指導をしていただきたいと思います。
 それから、全国シルバー人材センター協会というものをおつくりになるそうですが、この業務についてはどういうことをお考えになっていますか。
#140
○説明員(長勢甚遠君) 現在、全国のシルバー人材センターを会員といたしまして、全国シルバー人材センター協調会という社団法人が設立をされております。
 この団体は、全国のシルバー人材センターの経験交流なり、あるいは職員の研修なりを中核的に行う指導的な役制を果たすということで今まで機能しておるわけでございますが、今後、シルバー人材センターの拡充を図る中で、単に数をふやすというだけではなくて、その充実を図っていかなければならない。となりますと、ますます適正な運営についての経験交流なり職員の研修という事業が非常に重要な意味を持つことになりますので、今般、全国シルバー人材センター協会という形でこの協議会を指定していくということにいたし、またその組織の拡充も図っておるところでございます。
#141
○中西珠子君 高年齢者多数雇用報奨金というものを今度創設なさるそうですが、支給対象はどのような企業になりますか。
#142
○政府委員(清水傳雄君) 六十歳から六十五歳のいわゆる六十歳代前半層の労働者を一定割合以上雇用している事業主に対して報奨金を支給する、こういう形によりまして、六十歳代前半層の雇用についてのインセンティブを高め、意欲を喚起し、これを奨励していくということが目標でございまして、一定割合というふうに申し上げましたが、六%ということを想定いたしておるところでございます。
#143
○中西珠子君 高年齢者多数雇用報奨金というのが今度新しくできるわけですが、そのほか、これまで高年齢者の雇用促進のために、事業主にいろいろの援助を助成金の形で与えていらしたわけです。それにつきましてどのようなものがあるかということをお教えいただきたいのです。
 私、予算関係の資料を拝見いたしておりますと、高年齢者単時間雇用助成金、それから定年退職者等雇用促進助成金というのがございまして、これの五十九年度の実績が、高年齢者短時間雇用助成金の実績はゼロ、定年過職者等雇用促進助成金の実績は一となっているわけです。この理由はなぜでしょうか。またよく知られていなかったというようなこともあるのかもしれないわけです。この趣旨は私は大変いいと思っているんですね。しかし、なぜこの実績が五十九年度せっかくおつくりになったのになかったのかということは、どのように認識なすっておりますか。
#144
○説明員(長勢甚遠君) 御案内のとおり、高年齢者短時間雇用助成金は、安定所において、安定所の求職者を短時間雇用の形でお雇いいただいた場合に助成措置を講ずるという制度でございます。
 また、定年退職者等雇用促進助成金は、定年退職者等をもとの事業主のあっせんによって他の事業主に再就職をされた場合に、その雇い入れた事業主に支給をするという制度でございまして、事業主による再就職の促進を、その援助を喚起していこうと、こういう趣旨のものでございます。
 いずれも五十九年度から実施をいたしておるものでございますが、先生御指摘のとおり、非常に実績が悪いのも事実でございます。一つは、制度が発足をして間もないということもございまして、いずれも周知徹底がおくれておるという部分がございますのと、もう一つは、短時間雇用助成金につきましては、どうしても企業の中で、短時間雇用という形での受け入れ方について、まだふなれであるという部分がございます。当然、今後六十歳代前半層の雇用を推進していく中で、短時間雇用の導入ということは、一つの方策としていろんな形を研究していかなきゃならない問題でございますし、高齢者協会等を通じまして、受け入れやすい短時間雇用の導入というものを指導する中で、この助成金の活用を図ってまいりたいと思っております。
 また、定雄退職者等雇用促進助成金につきましても、これはなかなか職業主側で、若干要件の問題もあるかと思いますけれども、利用についての意識が薄いという状況でございますが、今般、法改正によりまして、定年退職者等に対する事業主の再就職援助の努力義務も法制化をいたしましたところでございますので、これらの助成金を活用し、この援助努力義務を果たしていただくように我々としても指導をしてまいりたい、このように考えております。
#145
○中西珠子君 高年齢者の短時間就労というのは、これはやはり必然的にふえざるを得ないと思いますので、こういう助成金をお出しになって早々と奨励なさったのは大変結構なんですけれども、これ、もう少し周知徹底して、指導を強化して活用するようにやっていただきたいと思います。
 それから、何だかたくさんありますけれども、今回は高年齢者雇用確保助成金というのは廃止されるわけですね。予算に入っていませんね、六十一年度。これは廃止されるんですね。
#146
○説明員(長勢甚遠君) 従来、継続雇用の促進の助成金といたしましては、定年延長奨励金と、これは六十歳定休の推進を目的としたものでございますが、それと、高年齢者雇用確保助成金は、六十歳定年後の雇用延長のための助成金でございます。定年延長奨励金は、昭和六十年度で廃止をいたすことにいたしておりますが、高年齢者雇用確保助成金につきましては引き続き、これは六十歳前半層対策の助成金でございますので、継続をしていくことにいたしております。
 予算書で落ちているではないかという御指摘かと思いますが、今回の法改正によりまして、この高年齢者雇用確保助成金は、高年齢者雇用安定センターで支給事務をやらせるようにいたしておりますので、予算もその協会の方に組んでおりますので、あるいは先生のお手元の資料では落ちているという形になっているかもしれませんが、従来どおりの形で、単価アップも図りながらこの助成金の活用を図っていくということにしております。
#147
○中西珠子君 そうすると、ただいまの高年齢者雇用確保助成金は中央高年齢者雇用安定センターに行わせる、そういう支給業務を行わせる。そのほか、どういうものを支給させることをお考えになっていますか。
#148
○説明員(長勢甚遠君) 高年齢者雇用安定センターおきましては、継続雇用の推進を目的とする団体として指定をするわけでございますので、継続雇用の推進に資する助成金を取り扱わせたいと思っております。すなわち具体的には、この高年齢者雇用確保助成金と、このたび新設をいたします高年齢者多数雇用報奨金、これを高齢者協会に支給事務を行わせたい、このように予定をいたしております。
#149
○中西珠子君 そういう給付金や助成金の支払い支給業務というものは非常に重要な仕事でございますね。こういうものを中央高年齢者雇用安定センターにさせて、また労働大臣の認可を受けて、中央センターは都道府県のセンターにもそれを委託することができるというふうになっているわけですね。こういうことをやっていく上には厳密な監督というものが必要だと思うんですけれども、効果的な適正な事業運営を確保していくための監督指導というものは、どのような仕組みでなすっていくおつもりですか。
#150
○説明員(長勢甚遠君) 国の金の支給事務を行わせるわけでございますので、当然その事務体制が適正なものでなければならない、またそれを担保して監督もしなきゃならないということは、先生御指摘のとおりだと思います。
 そういうことで、この助成金は、一つはそれほど判断要素というものがなくて、支給要件を形式的に見れば合致しているかどうかがわかりやすいという給付金でありますので、この安定センターに業務を委託しても、いわゆる問題が少ないだろうということでお願いをいたしておるわけでございますが、同時に、そういう国の金を扱わせるということでございますので、今回の法律の第四章第一節の規定をつらつらごらんいただければよくおわかりいただけると思いますが、通常の指定法人と違う形で非常に厳しい監督、あるいは認可、あるいは役員、職員についても公務員たる改質を持たせるようにするとか、いろいろ厳しい監督措置を講じておりますので、これらの規定を運用することによって、間違ったことの起こらないように十分監督していきたい、このように考えております。
#151
○中西珠子君 そういう給付金支給業務におきましては、厳しい監督をお願いしたいと思いますが、この運営自体につきましては、労働者の意見の反映というものもやはりお考えいただきたいという要望を申し上げておきます。
 それで、時間ももう参りますので、先ほど申し上げたことでございますけれども、急ピッチで迫ってくる本格的な高齢者社会の到来に備えまして、人生八十年代の高年齢者の生きがい問題、雇用問題、年金などによる生活保障の問題、保健とか医療保障の問題などは整合性を持った総合的な政策が中長期的な視点から展開されていかなければならないと私は考えているのでございます。
 労働省は、殊に労働者の労働条件の向上、福祉の向上というものを任務とされているわけでございますから、厚生省などの関係省庁と一層緊密な連携をおとりになりまして、高年齢者の能力開発、雇用問題、人事管理、労働安全衛生、それから労災補償の面では指導的な立場で高齢者対策を推進していただきたいと思いますが、労働大臣のこの点に関する所信をお伺いいたしまして、私の質問を終えることにいたします。
#152
○国務大臣(林ゆう君) 労働省といたしましては、先生御指摘のとおり、全くそのとおりで私ども考えております。何分とも、高齢化社会が目前に控えておりまして、私どもは、万遺漏のないように、こういった問題に真剣に取り組んでまいりたいと思います。
#153
○中西珠子君 終わります。
#154
○佐藤昭夫君 まず初めに、本改正案の趣旨といいますか、改正案第四条で定める六十歳定年制の精神についてでありますが、それは、単に定年年齢を六十歳にすればよいということだけではなくて、常用労働者として安定した雇用関係が六十歳まで継続されることが望ましい、こういう趣旨だと考えるものでありますが、いかがでしょうか。
#155
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今回の法案の提出によりまして、全体の高齢者の総合的な雇用対策を図っていくわけでございますが、六十歳定年を法制化することにつきましては、我が国の雇用慣行等から見て、同一企業または同一企業グループにおいて継続して雇用されるようにしていくことが最も望ましい。したがって、このような観点から、企業の責任において六十歳まで雇用が保障されることをねらいといたしたものでございます。
#156
○佐藤昭夫君 そうすると、そういう趣旨に照らして全然好ましくない事例、はっきり言えば、六十歳定年制が有名無実化しているような、そういう事例を少し取り上げてみたいと思うんでありますが、こうした姿は銀行業、特に都市銀行などの大銀行ほど非碓に著しくあらわれていると思うんであります。
 そこでまず、銀行を初めとする金融業の、現行は五十五歳以上六%という法定雇用率を定めているわけでありますけれども、高齢者の実雇用率、これはどうなっておるんでしょうか。
#157
○政府委員(清水傳雄君) 高齢者の雇用状況は、毎年六月に発行いたしております。金融業だけで集計をいたしているわけじゃなくて、金融・保険、不動産として集計いたしておるわけでございますが、これによりますと、金融・保険、不動産では、高年齢者の雇用率は昨年の調査によりますと六・六%、未達成企業の割合は七一・九%という状況になっておりますが、制度発足直後の五十二年に比べますと、逐年改善を見てきているという状況でございます。
#158
○佐藤昭夫君 この六・六%という数字を見ると、まあまあだというふうに言う人もあるかもわかりませんけれども、実態は、保険業の外勤労働者に高齢者が圧倒的に多い。都市銀行では、六十歳定年制であるにもかかわらず、店内に五十五歳以上の行員というのはほとんどいないというふうに言われているわけで、これは、せっかく六十歳定年制を定めながら、まとに奇妙な実情だと思います。
 労働省、銀行のこういう姿については御承知ですか。
#159
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 雇用率の先ほどの未達成企業の割合等から見まして、そういう状態が一応推計されるわけでございますが、具体的には資料は持ち合わせておりません。
#160
○佐藤昭夫君 こういう労働省統計をとっていて、それは子細にわたるところまではつかんでいないにしても、銀行ではおおむね六十歳定年制を定めているけれども、その行員、店内には五十五歳以上の人というのはほとんどいないという姿、全く知らないんですか、もう一遍聞きますけれども。
#161
○政府委員(白井晋太郎君) 全体的には、先ほど申し上げましたように、雇用率その他から見まして、五十五歳以上の人数が少ないだろうということは推計できるわけでございますが、店内を個々に調査したことはございませんので、その辺についてはつまびらかにしないということでございます。
#162
○佐藤昭夫君 ここに一つの資料がありますので、大臣ごらんをください。ちょっと済みません。(資料を手渡す)実は、先ほど来私が申し上げている、六十歳定年制を定めながら五十五歳を超える人はほとんどいないという、なぜそういうことが起こってくるのかという背景であります、今お示ししているのは。
 もう一つあります。(資料を手渡す)東海銀行の人材開発室というところが発行しておる文書であります。「職業生活設計書記入にあたって」という文書でありますけれども、要するに四十九歳以上の行員、これを対象にして出向、再就職、これについての希望を書けということなどを中心にしたあれであります。そこをずっとごらんになればわかりますように、都市銀行、早いところでは四十六歳、今の例、東海銀行の例でいきますと、五十歳から出向、転職あっせんをやる。毎年執拗にこういうことを繰り返してやっているわけであります。これもある大銀行の人郡部、ここに確かめてみますと、五十三歳過ぎになるともう八割は全部出向している、こういう姿。したがって、五十五歳以上の行貝がほとんど大銀行には見当たらない、こういう姿が出てくるわけであります。したがって中高年の銀行員にとっては、六十歳定年制なんというのは夢のような話だと、こういう言葉が相次いで出てくる。
 こういう形というのは、これ大臣、安定雇用の継続というのにはおよそ言えないひどい姿だというふうにお思いになりませんか。
#163
○国務大臣(林ゆう君) 六十歳定年制のあり方ということにつきましては、労働省としてもこういったことを指導しておりますので、同一企業のグループの中におきまして雇用が保障をされるというようなことでこういったようなことがなされておるというふうに私どもは理解をするわけでございますが、いずれにいたしましても、こういったことは企業の実情に応じまして、労使合意のもとでこういった雇用保障を図っていくという取り扱いがなされておるものと私どもとしては理解をいたしております。
#164
○佐藤昭夫君 いかにも労使合意のもとでそういうことがあれば許されるというようなことを言われるわけでありますけれども、これ、きのうの質問通告の際に、あらかじめ目を通しておいていただきたいということを言ってありますので、御承知のことと思いますが、五十九年十月七日の朝日新聞朝刊、同じく同年十一月十六日朝日新聞の夕刊、ここに書いておりますように、「残れば窓際 行けば早期退職「60歳まで働かせて」」くれと、片道出向押しつけ断じて御免ということで、いろいろ職場の内外で集会なんかも開いて反対運動が巻き起こっておると、こういうことの紹介であります。この新聞にも書いていますように、「ほとんどの銀行で、形のうえは六十歳定年制が実施されているが、現実は五十代に入ると出向させられ、さらに二、三年すると、他人のメシをいつまでも食えないだろうと、退職を仕向けられる」、「出向に当たっては、五十五歳になったら退職するという念書を銀行からとられた」、「五十五歳になると、身分がそれまでの正社員から特別職員となり、給料も半減する」等々、るるたる訴えがこのところにも紹介をされているわけであります。
 大銀行といえば、別に倒産の危機に瀕している、赤字できゅうきゅうとしておるというようなそんな企業じゃない。日本の大企業を代表するような健全な経営基盤を持ったそういう企業でありますけれども、こんなところで、六十歳定年制ということを言いながら、事実上は、ここにもあるように、もう五十歳になったら大部分出向を強制されて、そうしてそこを二、三年たったらもう事実上銀行を退職して、転職せざるを得ないというところへ追い込まれている。こういうやり方が強引にやられているんですよ、銀行の実情をつぶさに知らぬということですけれども。
 今度の法案で、こうした六十歳定年例、これを制度化する、法制化すると言いながら、現にそういう姿が優良経営と言われるところで起こっておるというこのことを放置しておいて、幾ら法律で六十歳定年制ということを持ち出したって、これは高ねの花になるというふうに、大臣、思われませんか。
#165
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 定年制そのものにつきましては、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、制度内に六十歳となっている企業につきまして。定年前に、労使の協定その他によりまして、高齢者が出向されるということはあり得るというふうに思うわけでございます。具体的には、我々の組織においても同じでございますが、人事管理上の問題その他もございまして、話し合いの上でそういう出向措置その他がとられるということでございまして、行政が介入すべき問題じゃないというふうに考えている次第でございますが、六十歳定年を目標にいたしておりますのは、企業の責任においで六十歳以上までの雇用を保障する仕組み、先ほど大臣申し上げましたように、企業または同一企業グループの中で雇用が保障されていくということが望ましいということを言っているわけでございまして、労使の合意であれば、必ずしも不合理と断ずることはできないというふうに思うわけでございます。
 ただ、今、先生新聞等で御指摘になりました五十五歳になったら退職するという念書をとるというようなことがあるならば、これは実態として六十歳定年制度そのものの本来の趣旨に反するかどうかというようなことが問題になってくると思いますが、全体的な出向の問題につきましては、先ほど申しましたようなことではないかというふうに我々は考えている次第でございます。
#166
○佐藤昭夫君 六十歳定年制を打ち出すからには、六十歳まで雇用が継続をされることが望ましいとは思っている、こう言われながら、現実にこういう姿が出ているわけですね。
 逆に聞きますけれども、これは大銀行の例を一つ取り上げているわけですけれども、ここだけじゃないと思うんです。これはもう地方銀行でも似たような姿があるし、後からも商工中金の例なんかをさらに尋ねたいというふうに思っているわけですけれども、今回の法案は、先ほど来私が事例として挙げておるようなこういう姿に何らかの歯どめをかけるような力は持つんですか。全然そんな力はないというんですか。
#167
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先ほどから申し上げておりますように、六十歳定年の趣旨は、同一企業または同一企業グループでの継続雇用が望ましい、企業の責任において六十歳までの雇用を保障していただきたいということでございます。したがって、一般的な出向その他が直ちにこの法律に反するというふうには考えられないわけで、そのいろんな企業におきます実情に即しまして、労使の工夫の上で藤畑の保障の確保を図っていく方向がこの法律の趣旨に合うわけでございます。
 ただ、いろいろ具体的に挙げられました中で、それが実質的に六十歳定年が守られていないということが判断されるものであれば、そういうものについては、いろんな行政措置が法に規定してございますように、その措置に基づいて行政指導を行っていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
#168
○佐藤昭夫君 私も、何も一般論として出向をすべていかぬということを言っているものではない。るる言っていますように、六十歳定年制を打ち出しながら、事実上それが守られていない、六十歳までの雇用継続が否定されている、事実上五十五歳を待たず、もっと若いところでの若年定年制という姿になっているじゃないかという、このことを問題にしているわけですね。
 そういう具体的事象があれば、行政機関として適切な対応は考えたいということでありますので、その点はぜひ確認をさせていただいて、ひとつ鋭意労働省としても指導を強めていただきたいというふうに思うのです。
 この問題は、実は昨年の十一月の決算委員会で。御記憶と思いますけれども、都市銀行、ここを例にして、定年延長と引きかえに、さっきもちょっとありました賃金がダウンする、しかしそれが多少のダウンどころじゃない、もう半減をすると言っていいに等しい大変な切り下げがされるというその例が、この東海銀行の資料の後半部分に出てくるのです、いわゆる先任行員制度ということで。
 一つは、先ほどから言っています五十歳を超えると出向という形で外へ行かせて、そしてそこが二、三年たたずして事実上やめざるを得ないというところへ追い込むというやり方。五十五歳を超えて我が銀行に残る人は全部先任行貝だということで、賃金は下がる、定期昇給は行わない、ボーナスは別体系支給で、一般の場合の基準の五〇%相当額の範囲内でメリット運用をやる。だから五〇%でもざらに減るかもわからぬ。退職手当は、五十五歳以上を基準として計算をして、それに多少先任行員功労金を加えたものを六十歳に支給する。だから計算の基準は五十五歳だ。こういう形で、あれやこれや賃金面では抑えつけるという形で、両面から、こんなところにいつまでも働いておったってしようがないということで、やめていかざるを得ないようなところへ追い込んでいくという仕組みになっているということなんですね。
 この問題、当時労働省としても、ひとつ実態を把握してみたいという答弁があったわけですけれども、どうですか、調べられて、私の指摘をした事実というのはおおよそそういう姿になっているわけでしょう。
#169
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 決算委員会、昨年の十一月二十九日の件だと思いますが、現在訴訟になっている事案につきましての実態把握であったと思います。青森銀行の定年延長後の賃金制度につきましては、一応実態を把握いたしております。その他の地方銀行につきましては、定年延長に伴う賃金等の労働条件の変更条件について、定年延長指導の過程において把握している内容を、全国の公共職業安定所から報告をさせたところでございますが、事柄の性質上、詳細に把握することは困難な点が多かったわけですけれども、定年延長に伴い、賃金が低下するのは一般的であり、その賃金額は、大体六、七割としているものが多いというような調査が出ております。
 それから、定年延長に伴う労働条件の変更実態等につきましても、これも必ずしも十分につまびらかな把握はできませんですが、金融業全体の状況としては、労働省の雇用管理調査によりまして、これ保険業を含んでおりますが、過去一年間に定年延長をした企業のうち、賃金が下がると回答した企業は三六・七%、産業系では三五・五%、それから変わらないと答えた企業は四二・九%、産業系では四八・〇%となっております。
 それから、先ほどの先生の御質問でお答えした点でございますけれども、繰り返すようでございますが、出向等の問題につきましては、いずれにしましても、どういうふうに労使が話し合って決めているか、それから、企業の実情等を十分に検討しなければなりませんし、若年定年で切られたという判断ができるかどうかという問題もございます。そういうことで個々の問題になってくるわけでございますが、高年齢者雇用の確保の全体の問題として検討していかなければならないというふうに思っている次第でございます。
#170
○佐藤昭夫君 ちょっと先ほどの確認を薄めるような、そういうニュアンスの答弁をなさっておるのですが、大臣にもう一遍お尋ねをしましょう。
 衆論院のこの法案についての附帯決議がやられまして、その第六項、同様の内容を本参議院社労委員会でも後刻附帯決議をするということで、今、各党の意見のすり合わせ中というところかと思いますが、第六項にこういうのがあるのでしょう。「企業における雇用管理のあり方について、現実に高年齢者に雇用不安をもたらすことのないよう、また、積極的に高年齢者の雇用維持に取り組むよう、一層の普及啓蒙に努めること。」、まさに今私が取り上げているのは、六十歳定年制と言いながら、六十歳まで雇用継続が否定をされるような事態、すなわち、五十五歳を待たず、五十歳ちょっと済んだくらいで事実上やめざるを得ないようなところへ遭い込まれていっておるというこういう姿、まさしくこの附帯決議にも出てくる高年齢者に雇用不安をもたらす問題。ここの決議にもあります「積極的に高年齢者の雇用維持に取り組むよう、一層の普及啓蒙に努めること。」というしの附帯決議について、大臣は、これをひとつ尊重をして努力してまいりたいということを後で表明されているに違いない。この附帯決議に照らしたって、今私が都市銀行を例に、引き合いに挙げておりますこういう姿というのは改善をする必要があるわけでしょう。
 大臣の決意のほどをもう一遍お聞きをしておきたい。
#171
○国務大臣(林ゆう君) この附帯決議、先生御指摘とおりに、「積極的に高年齢者の雇用維持に取り組むよう、一層の普及啓蒙に努めること。」、こういった附帯決議がございまして、私どもは、この国会の御決議にはその御意思を十分に尊重しながら、これを行うことをしていかなければいけないというふうに今思っております。
 六十歳定年のもとで、先生御指摘のようなお話を伺ったわけでございますが、その職場で定年を迎えるようにすべきだ、こういったような御意見であろうかと思いますけれども、いろいろと労使合意の上で、それぞれの企業におきましては、派遣あるいはまた出向などというようなことによりまして、企業の責任におきまして六十歳以上まで雇用を保障する仕組みということは、あながち私どもといたしましては、その企業の派遣、出向ということは不合理であるというふうに断定をすることはできないのではなかろうか、こんなようなことであろうかと思います。
 いずれにいたしましても、この問題は、高年齢者の雇用の確保をどのように考えるかという観点に立って、企業の実情に即しまして、それぞれの企業が労使で工夫、努力をしていただきたい、このように考えているような次第でございます。
#172
○佐藤昭夫君 いろいろ大臣言われますけれども、六十歳定年制の精神、すなわち、希望すれば六十歳まで雇用継続がされるという、このことを否定するようなことがあってはならぬわけでしょう。ちょっとその点だけお聞かせください。
#173
○国務大臣(林ゆう君) 三月二十五日の衆議院の附帯決議にもございますように、「企業における雇用管理のあり方について、現実に高年齢者に雇用不安をもたらすことのないよう、また、積極的に高年齢者の雇用維持に取り組むよう、」、こういったような附帯決議がなされているわけでございますから、労働省といたしましては、これらの御趣旨を尊重しながら今後のいろいろな対応をしていかなければならない、こういった基本精神には少しも私どもは間違いがないというふうに認識をいたしております。
#174
○佐藤昭夫君 だから、この附帯決議を、当然のことを政府として尊重してまいりますということからいって、私が指摘している点の、これまたそういう六十歳定年制の精神を否定するようなこの姿というのがあってはならぬということに当然なるということだと思うんです。そこで、労使の交渉にゆだねられる事項云々ということがよく出ますからね。
 通産省おられますか。――商工中金というのがありますね。これは明らかに政府が指導監督すべきそういう関係にある一つの金融機関だと思うんですけれども、ここも似たような姿が起こっているんですよ、同じ金融機関だということで。どういうふうに実情を把握されておりますか。
#175
○説明員(土居征夫君) 商工中金におきましては、昭和五十六年から定年制を五十五歳から六十歳に延長いたしまして実施しておるわけでございますが、先生お示しの記事にありますように、商工中金の昨年四月一日現在の職員数は七千百三十八人おるわけでございますが、そのうち事務職の五十五歳以上の者というのは五十人おるわけでございますけれども、記事にありますように、そのうち二十七人が出向しておるという実態でございます。
 ただ、商工中金の場合は、出資者であります組合とか、あるいは一般企業からいろいろと人材を求められるケースが非常に多いわけでございまして、その場合、非常に知識、経験に富んだ人材が求められるということから、高年齢者の出向比率が多くなっているという実情にあるかと思われます。
 いずれにしましても、出向につきましては、各方面からの要語がございまして、御本人の意思も確認した上で行っておるというふうに聞いておりますし、雇用不安等の事態が商工中金において一般化しておるというふうには聞いていないところでございます。
#176
○佐藤昭夫君 出向一般を否定しているわけじゃないけれども、出向ということを通して事実上若年定年ということに遭い込まれているような、そういう姿があるということを問題にしているわけですね。
 それで、商工中金については、単に労使の交渉にゆだねるということだけでは済まぬ国の指導監督責任があるはずですから、ひとつ実情をよくつかんで、必要な適切な指導をするということをやってもらいたいと思うのですけれども、今の労働大臣の、国会の附帯決議の精神に立って適切な対応を考えるというその同一の精神で、通産省、どうですか。
#177
○説明員(土居征夫君) 商工中金、これは先生御指摘のように、国の特殊法人でございますけれども、基本的には、各中小企業関係の組合が出資をいたしまして、組合の共同施設といいますか、組合の自主的な運営という側面が非常に強調されている機関でございます。
 したがいまして、通産省が監督いたします基本的な立場は、貸し付けを中心とした業務運営の適正化というところに集中しておるわけでございまして、例えば、職員の給与規程なども認可制になっておりませんということから、基本的には自主的に決められるべきものというふうな法体系になっておるわけでございます。
 ただ実態が、今申しましたように、我々が把握している範囲では、そういう雇用不安というような実態、あるいは押しつけ出向という実態を聞いておりません状況でございますのですが、その辺に具体的にいろいろと問題があるということであり・かつ労働省等々と御相談して、そういう要請があればそれなりの検討はしでいかなきゃいかぬというふうに考えております。
#178
○佐藤昭夫君 もう時間が来ましたから、終わります。
#179
○下村泰君 私は、かつておりました芸能界を振り返りますと、私らの場合には、終身雇用であるとか定年とかというような言葉は全然通用しない世界、要するに終身就業、死ぬまで、息のある限り、舞台で倒れるまでやるのが私らの商売でしたからね、こういう問題に直面しますと、ああ、一般の方は大変なんだなということをつくづく感じているんです。
 今から三十年ぐらい前に、よく関係局の人たちが、いよいよ私も定年ですよと寂しそうな顔をしている人を見たときに、私は何の感慨もなかったんです。ところが、こちらに入るようになりまして、こういう問題を取り上げて、こういう問題に直面することによって、ああ、雇用関係がある方は大変なんだな、ふだん働いている人は大変なんだなと、こういうような考えに変わってきました。
 そこで、ちょっと伺いますが、この終身雇用という言葉は、一体いつごろからできて、どういうふうな意味と解したらいいんでしょうかね。
#180
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 いつごろからこの言葉は出てきたかについては、ちょっとつまびらかにいたしませんが、終身雇用慣行というのは何であるかということについては、いろいろ議論があるところでございますけれども、一般的には、企業に労働者が、特に若年労働者が採用されまして、よほどの事情がない限り、定年年齢まで雇用されているという慣行が終身雇用慣行であろうというふうに理解いたしております。
#181
○下村泰君 文字と慣行というのとは全然内容が違っているわけですわね。文字はあくまでも身が終わるまでということになるわけなんです。あるいは稼働能力がなくなったとでもいいましょうかね。それで初めてそこでお別れをすると、こんなら話がわかるんですがね。
 なぜ、私はこんなことを冒頭に当たってお尋ねをしたかと申しますと、ここにある資料によりますると、我が国の平均寿命統計は明治二十四年から政府によって発表されている。それによると、明治二十四年から三十一年までの平均寿命は、男子四十二・八歳、女子四十四・三歳。ですから、なるほどこのころには人生わずか五十年という言葉がぴったり当てはまるわけなんです。この時代からして、もし定年制がしかれているとしたならば、今の五十五歳というのが慣行的にしかれていたとするならば、これはまさに終身雇用なんですよね、この平均寿命からいきますと。そして昭和十年から十一年には男子四十六・九歳、女子四十九・六歳まで長くなってきておると、こういうことなんです。この時点でまだ生きているんですね。
 そうすると、大体この定年制というのがしかれたのはいつごろなんですか。
#182
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 これもつまびらかにいたしませんが、明治時代から既にあったという説もございます。そして、定年の問題はいろいろこざいまして、当初はいわゆる技能労働者、手に技術のある人々を会社が養成して、その人がよそへ逃げていくというような問題を、むしろ企業の中で雇用を継続して、終身雇用の保障をしていくというようなこともあったというような説もございますが、一般的に定年問題がクローズアップされて各企業に取り入れられるようになったのは、戦後になってからではないかというふうに理解いたしております。
#183
○下村泰君 こういうお話もあるんですね。明治三十四年に既に出ておるんですね。東京砲兵工廠、ここでは職工規則第四条の年齢満限により退職する者に対しては、互助会みたいのがあって、そこから一定の金額が支給される旨定めた義助会規約というものがあると記されている。ところが、この職工規則の年齢満限が何歳であったか、それについてははっきりしてないそうです。
 そして、これが一番最初ではないかと言われているのが日本郵船なんですね。「明治三十五年社員休職規則を作成し、会社の都合により船員に休職を命ずることがあること、休職期間経過後には解雇することを定めた」。この時点ではまだ定年というはっきりした形はとっていなかったんだそうですよ。そしてこの「参考」に、「日本郵船社員休職規則(大正七年)」となっております。これを見ますと。
  第一条会社ハ事務ノ都合ニ依リ社員ニ休職ヲ命スルコトアルヘシ
  第二条、社員年齢五十五歳ニ達シタルトキハ休職ヲ命ス
  但シ会社ニ於テ必要ト認ムル者ハ此限リニ非ラス
  (この条は明治三十五年当時にはなかった。)
ですから、それ以後ですわね。結局大正七年ごろにはっきりこれができた、こういうことになるわけです。先ほども申し上げましたように、昭和十年−十一年に男子四十六・九歳、女子四十九・六歳。大正七作をはるか過ぎているんですね、この時代にまだ平均寿命はこれだけだったんです。してみると、これは先ほど私が申し上げました、あくまでもこれは終身雇用に適しておるわけですね。
 その後大正時代に入りまして、定年制が大企業を中心に実施され始め、三菱鉱業、日本セメント、三井造船、安田生命、第一銀行などが制定した。このころは平均寿命が短いし、ましてや当時は小学校が義務教育で、後はなかったんですから、十二歳ぐらいからこういうところへ就職する、あるいは徒弟制度で就職し、それぞれの技術が磨かれて、いわゆる熟練工となった場合に、ほかの企業から、先ほど局長がおっしゃったように、引き抜きなんというのがあったかもわかりませんよ、それは工賃が少しでも高ければそっちへ行くんですからね。そういうことをむしろ予防するために、つまり今の制度は追い出しなんですよね、今の定年制は追い出しなんですよ、とにかく長生きしてきているんですから。ところが、このころは遭い州すんじゃなくして、待ったかける制度ですわね。お待ちくださいませ、あんたに行かれちゃ困っちゃうんだという制度なんです。
 これが職後になったらがらっと変わって、おまえ出ていけ、おまえ出ていけ、今度は追い出し政策になる。こういうところに、社会事情と合わない定年制が今までしかれていたということになるんじゃないかというような気がするんですけれども、いかがでしょうか。五十五年というのは、今も申し上げたように、昭和十年―十一年のときはまだ四十代だったんです。それが職後になってがらっと変わってきて、職後からもう四十年たっているでしょう。そのときにまだこんなものが残っていたということは、ちょっと私はうなずけないんですがね。
 ですから、これはやっぱり労働省の怠慢じゃなかったかと、政行指導の。そんなふうに感じるんですが、いかがですか。
#184
○国務大臣(林ゆう君) いわゆる戦前には人生五十年というような時代がございまして、まさに先生御指摘のような五十五歳の定年ということになりますと、これはもう本当に終身その企業でお世話になるといった、終身雇用というのはそんなところから言葉が出たんではなかろうかということもこれは考えられるわけでございますが、そこで戦後、最近になりましては大変寿命も伸びてまいりました。そういった中で、こういった五十五歳の定年というのは少し今の時世に合わないようなことになっているんじゃなかろうか。こういったようなことで、さしあたって、まず六十歳までの定年というところに今回の見直しと申しますか、そういったようなことの意味が含まれまして。私どもは六十歳定年という法案を今回御提出したというようなことであろうかと思います。
#185
○下村泰君 ですから、遅いわけですわね。しかも、十町年前の昭和四十七年の厚生省調査によれば、もう男子が七十・四九歳、女子が七十五・九二歳と、こうなっておりますね。今もう八十以上です。
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
こんなふうな時代になってきているのにもかかわらず、一般的にもう、何といいましょうかね、私らもそうでしたけれども、観念的に、ただもう五十五が来れば定年なんだと、どこへ行ったってもうこれ以上どうしようもないんだというような感じで今日まで過ごしてきているわけですね。ですから、何でこんなことを今まで慣習的にそう思い込んできたのか。実際ここが既におかしいと思うんですよ、私はね。
 しかも、最近の家族構成というのはどんどん変わってまいりまして、諸外国から見れば日本の大家族なんて非常にうらやましい制度であったと、それが今や崩壊しているわけですね。そして核家族になって、もう巣立ちした子供に親は面倒を見てもらえないと。もらおうと思っている方も情けないとは思いますけれども、これは今までの日本の風潮として、国土の風潮として今日まで来た。観念的に、とにかく巣立つまでは親は子を面倒見る、その面倒を見てもらった親を今度は子供が面倒を見ると、こういう相互のあれがあったんですけれども、もうこれは全部崩れてしまったわけですね。そうすると背のように、定年が来たからといって、庭に出てひなたぼっこをしながら盆栽をいじって楽隠居と、そういう姿はもう見られないわけなんです。
 こういうことを考えながらお次にちょっと伺いますけれども、大企業に比較して中堅企業が定年延長に対する取り組みが非常におくれておるんですね。原因はどのようなところにあるのか、そしてどのような指導をなさるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#186
○政府委員(清水傳雄君) 御指摘のように、規模別に見ますと、中企業、いわゆる百人から千人規模におきまして定年延長の進展のおくれが見られます。
 これらの規模の企業におきましては、いろいろな調査なんかによりまして、大企業に比べまして一般的に、定年延長に伴います人件費コストの増大を吸収することが難しいということ、それからまた、いわゆる企業内労働市場とでも申しますか、企業内部における職域というものが狭うございますので、そういった意味合いにおきまして、高年齢者に適した職場というものは見つけることもまたなかなか難しい、こういったことがその主な原因であるというふうに考えられるわけでございます。
 したがいまして、こうした中堅企業に対しましても定年延長を推進していくためには、これら二つの要因というふうなものを乗り越えていくための努力ということが必要になってくるわけでございますし、そういった意味合いで賃金・退職金制度、あるいは人事管理制度の見直し、職場の開発、改善、これらの問題を解決していくことが極めて重要なことでございまして、これらについての相談援助体制を強化する、こういう方法で進めてまいらなければならないというふうに思っております。
#187
○下村泰君 こうした統計を見ますと、三百人から九百九十九人までの企業、ここが一番多いんですね。今おっしゃった百人−二百九十九人、ここはまだまだ高いんですが、この三百人から九百九十九人、この企業が一番多いんです。ですから、ここのところの行政指導というのは大変だろうと思いますが、どうなさいますか。今のお答えの中にそれは入りますか。
#188
○政府委員(清水傳雄君) 従来から、安定所を中心といたしましての私どもの行政組織の主たるお得意様と申しますと、やっぱりこうした規模の企業が一番多うございますし、現実にも、いろんな形で接触を保ち、あるいは求人開拓なりその他の分野というのは、こうした層を対象として行ってきておりますし、今般の高年齢者雇用開発協会を通じて、これは事業主則体という形で組織をいたしております。そうしたところの会員企業としての立場にも立っていただく格好になりますし、そういう風聞活力も活用しつつその棚談援助体制を強化してまいりたい、このように思います。
#189
○下村泰君 そうしまして、この法案に盛り込まれているいろんな諸施策があります。これが完全に実施された場合、高齢者雇用にどのような効果があるのか、分析、検討してはいらっしゃいますか。
#190
○政府委員(清水傳雄君) 具体的に数字をもってこういうふうな形になるというようなものを持っているわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、今後の労働力人口の見通しを見ますならば、今から十五年の間に、労働力人口は全体として五百数十万人増加をし、そのうちの八割が五十五歳以上をもって占められる、こういう状況になってまいりますので、そうした高齢者雇用の重圧というものが日本の経済社会に非常に大きくかかってまいるわけでございますので、少なくともその高齢者からの失業者ができる限り出ないような努力をいたしてまいりたい、このように思います。
#191
○下村泰君 年齢階級別失業率の例を見ますと、六十歳から六十四歳までの失業率が昭和五十年で二・四%、六十年になりますと四・九%、これ二倍になるわけですね。こういうふうに倍になっている失業者、こういう数が今度の法律が施行されることによって大体どのくらいでなし崩しになっていくのか、それは大体予測つきますか。
#192
○説明員(長勢甚遠君) 失業率あるいは雇用がどうなっていくかということについでは、今、部長が答弁いたしましたように、明確な見通しが正確にはできないのは、これは経済状況あるいはその他の労働需給バランス、例えば婦人労働力がふえますとか、MEの影響とかいろんな問題もございますので、明確に見通しはできないわけでございますが、今回法案を提出いたしておりますのは、どういうことがあろうとも、間違いなく起こる事象は高齢者の労働力がすごくふえる、その分はどうしても雇用の場を確保しない限りは、今のままでいけば失業率は必ず上がるわけでございますから、同じ水準を維持していくだけでも相当程度雇用の場を確保していかなきゃいかぬと、
   〔理事佐々木満君退席、委員長瀞席〕
最低でもそれぐらいはやれるようにする態勢を今から準備をしなぎゃいかぬということでこの法案を提出させていただいているところでございます。
#193
○下村泰君 同じ水準というのは、どっちの水準なんですか。八〇%雇用するのか、それとも今の倍になった四・何%の方なんですか、どっちの水準でしょう。雇用率をつまり一〇〇%として八〇%の水準なのか、九〇%なのか、六〇%、七〇%、いろいろありますが、どの水準ですか。
#194
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 明確にはなかなか難しい問題でございますが、先ほどから申しておりますように、二十一世紀に入ってまいりますと、働く人々の四人に一人が五十五歳以上になるわけでございまして、全体の我が国の経済情勢、今後の経済発腰の推移にもよりますが、現在の安定成長を継続している限り、これら高齢労働者も活用していかなければ我が国経済の発展もないと。また、その活用をすることが我が国の現在の活力を維持していくことになるということでございまして、そういう意味で高齢者の活用を、雇用の場の確保を進めていかなければならないというのが今回の法律の趣旨でございます。
 失業率の推移はいろいろあるわけでございまして、現在、一般的には実業率全体を二%を目標として、完全雇用の目標といたしておるわけでございますが、これも高齢者がふえたり、また女子労働力がふえでまいりますと、任意または短期的な就業がふえるわけでございまして、労働市場におきます転職その他を行います失業者はふえてくるわけでございます。
 したがって、どの数字がいいということはなかなか難しいことになるわけでございますが、できるだけ低く抑えていくことが重要だというふうに考えている次第でございます。
#195
○下村泰君 人生がとにかく八十年、八十年と去年からことしにかけてよく言われておるんですけれども、こうなりますると、いわゆる定年退職して、例えば六十で定年退職したってまだ二十年あるわけですよね。本人にとっちゃ気の遠くなるような誠なんですけれども、在職中から退職後の生活についての準備をしておくことがますます重要になります。
 私、こういうことを質問するのは余り気をよくしてはいないんですよね。人間というのは、自分一人一人が自分の将来のことを考えられないような能力じゃしょうがないなとは思うんですよ。思うんだけれども、それはその人その人によっての能力というものがあるんですから、そうむやみやたらにも言えない。
 したがいまして、自分が退職をしてその後のことですね。今回の法案において、事業主は退職準備援助に努めることとしている点、これは大変丁寧なことだと魁うんですけれども、国としても積極的に退職準備を援助していく必要があるというふうに考えるんです、そういう考えられない人に対しては。もうとことんまで国は面倒見なきゃいけません、こうなったら。この点についてどういうふうにお考えになっているか、お伺いします。
#196
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 これは、自分の一生の人生をどういうふうに送っていくかというのは、なかなかそれぞれの立場で難しい問題でございまして、定年制度があるのも、また終身雇用制度があるのも、確かに人生何十年という問題もございますが、一たん会社に入れば、社員の立場からいえば、生活が保障されて、その上で技術の向上を図っていける。また企業側からすれば、勤続させるほど企業体質になじむ能力の伸長、その他企業への貢献度が上がっていくというようなことなども側面的にあるんだというふうに思います。
 しかし、五十年代が人生八十年代を迎えたということで、確かに働く期間もふえてまいりますし、先ほどから申し上げておりますように、我が国の実状から見れば、高齢者の雇用就業の場を確保するということが重要になるわけでございますが、しかし、長い職業生活を終えて、その後の退職後の生活をいろいろやっていきたい、希望によっては任意就業その他を進めていきたいというようなものもあるわけでございまして、そういうものにつきましてはシルバー人材センター等を活用していくということでございますし、そのほか年金等の問題もございます。これらについての知識を縛るというようなことも必要でしょうし、退職後のいろんな生活設計に基づく技能の確保ということも必要だと思います。
 そういうことについでは、今回、事業主の定年退職予定者に対する退職準備援助について規定しておりますが、最近では、大企業を中心に、高年齢者に対します。そういう生活設計等についての講習がふえているわけでございまして、労働省としましては、それらの普及促進を図りますとともに、その内容の充実を図るように指導してまいりたい。また、高年齢者雇用開発協会等を通じましてそれらの、特に中小企業従業員を対象としました人々に対する退職準備プログラムの実施などもしていきたいというふうに考えている次第でございます。
#197
○下村泰君 まだ時間はありますね。あと何分くらいですか。
#198
○委員長(岩崎純三君) 七分あります。
#199
○下村泰君 それじゃ、縮めましょう。
 まだたくさんお聞きしたいことはあるんですけれども、それでは少し飛ばしまして、先ほどからシルバー人材センターのお話が出ておりますけれども、この会員の年齢構成について五十九年三月三十一日現在で見てみますと、六十五歳以上の者が七〇%を占めておる。七十歳以上では三六・七%という現状なんですね。こうした六十五歳以上の者が七〇%を占めている、そして七十歳以上では三六・七%という高い比率になっておるんですけれども、こうしたシルバー人材センターの会員の年齢構成ですね、この実態をどういうふうに受けとめでいらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
#200
○説明員(長勢甚遠君) 御案内のとおり、シルバー人材センターは、定年退職後等において一般の通常雇用といったような形で、通常の職業生活ということではなくて、いわば月に四、五日とかその程度、暇なときにあるいは好きなときに任意な形で就業し、体がなまることを防ぐとか、あるいは生きがいも考えながら、かつその能力を生かして地域社会に貢献をしていきたいという方々について、そのニーズに応じた臨時、短期的な就業の場を提供するというシステムでございます。
 したがいまして、シルバー人材センターに参加される方々というものも当然六十歳以上の方々を考えておるわけでございますが、現在考えてみますと、六十五歳程度までは通常の仕事をしたいという万々が多いわけでございまして、今申しましたようなニーズを強く持っておられる層というのは、どうしても六十五歳あるいは七十歳を超えた方々がふえるのも当然のことであろうと思います。また、そういう方々のニーズにシルバー人材センターがこたえていくことも非常に大きな役割と思っておりますので、どういうふうに評価をしておるかとおっしゃられれば、自然の成り行きだなというふうに感じております。
#201
○下村泰君 六十五歳以上の者が多い現状を考えますと、厚生省の方の生きがい就労対策というのがありますね。高齢者能力開発情報センター運営事業、実施主体は社会福祉法人、六十年度全国で百四十八カ所設置と、こうなっております。
 この内容を見ますと、もろもろ書いてございまして、どういうことをするかといえば、「@仕事の指導、紹介および後保護、A求人開拓および啓蒙普及、B老人適職の調査研究、C社会参加促進のための情報提供、D各種福祉情報の提供、その他の事業を行うこととなっており、とくに@およびAについては職業安定法に基づく労働大臣の許可を要することとされている。」と。ということは、労働省と厚生省のよほどの連係プレーがないといかぬというわけですね。それから、もう一つ気になりますのは、ここに「婦人労働能力活用事業(ファミリー・サービス・グラフ)」というのがありますね“これなんかの仕事の内容を見たり、それから老人の方のシルバー人材センターの仕事の内容を見ますと、重なるところが随分あるんですよ、ダブるところが。殊にシルバー人材センターの方の「単純作業」ですね。「清掃、除草、樹木消毒、ゴミ処産、梱包、包装、皿洗い、ガラス拭き等」、七番目が「サービス」ですが、「留守番、家事手伝い、老人の話し相手、観光案内業務、広報物の配布、公共施設の受付等」、こういうのが全部御婦人の方も重なってきましょうし、今、厚生省のやっている生きがい対策も重なってくる。こういうことになりますると。下手をすると仕事場の奪い合いになりゃせぬかというような心配もするんですね。まして数は多くなる、仕事が少なくなるといえば、当然そういう姿も出てくると思うんですが、それをどういうふうに処理なさるおつもりでしょうか。
#202
○政府委員(清水傳雄君) まず、厚生省の生きがい就労対策としての高齢者一能力開発情報センター、これは今、先生御指摘のように、老人の能力の開発、向上を図るためのいろんな相談に応じるとともに、その能力に応じた就労機会の確保なり、あるいは社会参加のための福祉情報を提供する、こういうことを目的として社会福祉法人が設置、運営をし、また六十五歳以上の人たちの空きがい的な就職のあっせんもやっておられる、こういう形でございます。
 シルバー人材センターにつきましては、労働能力を有する定年退職後の高齢者に対しまして、その就業ニーズに応じた追加的な収入を得るための、先ほど職業対策課長が申しましたような、そういう仕組みのもとに活動を展開いたしておりまして、両者の運営主体なり目的というものがある程度異なるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、本格的な高齢化社会の到来の中での対策の一環として。労働省なり厚生省がそれぞれの観点から行っている施策ということになるわけでございます。ただ、シルバー人材センターにつきましては、現実には現時点の年齢構成が六十五歳なり七十歳の方々がかなり多く見受けられますが、私どもは六十歳以上の方々を対象として考えております。
 そうしてまた、これからの方向といたしまして、何と申しましても、六十歳代層の雇用就業対策ということを考えでみますに、なかなか企業に普通雇用での求人を期待するというのは現実問題として非常に難しいまだ現実の姿がございます。しかしながら、短期的な、スポット的なこういうものでございますならば、これは高齢者向けにも出していただけるという余地がなおかなり多くあるんじゃなかろうかというふうに思われるわけでございまして、そうしたものをやはり全国的にそういうセンターに集約をして、一定のまとまりを持って提供していくような、そういう網の目を全国的に広げていくということがこれからの高齢者対策の中で非常に重要な役割を果たしていくことになるんじゃなかろうかというふうに思います。
 そういう意味合いにおいて、この活動の基盤の強化を図るために、従来は通常費の助成ということだけを行ってまいりましたが、さらに、市町村のいろんな創意工夫を凝らしたお仕事なんかもこうしたところに出していただく形によりましてその基盤の強化を図っていく。例えば、民俗伝統工芸、調査物あるいは福祉活動、そうした点につきましても、高齢者の就業機会開発事業というふうな形で六十一年度予算化を図ってまいってきておるわけでございます。
 そういった意味合いで、一般的な企業を終身とする雇用対策というのが本流をなすべきものでございますが、ある意味におきまして、それを今申しました形で著千でも補完をしていく、こういうふうな役割を持たしていきたいとも考えておるわけでございまして、厚生、労働両省、若干目的なり運営主体は異なり、それぞれの観点から行っているところでございますけれども、両者相まって適切に対処をしていかなければならないわけでございます。
 厚生省の施策につきましても、私どもの方といたしましても、例えば紹介あっせんに当たる人たちを、安定所関係のOBの方々をそういう協議会に入っていただきまして担当してもらうとかいうふうな連携も行っておりますし、そういうふうな形で適切に対処してまいりたいと思っております。
 また、婦人労働能力活用事業でございますが、これも御指摘のように、仕事の面という形態におきましては似たような面がございます。ただ、これは現実には、内職のあっせん、あるいはまたそれに続いての能力をどうやって開発していくかというような観点、あるいは情報の提供とか、現実の運用としてはそういうところが割に中心になっているんではないかと思いますし、対象者も主として三十歳から五十歳ぐらいの御婦人の方々が多いということでございまして、これとシルバー人材センターとは、目的なり実施主体、対象等も異なりまして、そう重複というふうなものはないんではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
#203
○下村泰君 お時間でございますので、本来なら大臣の御決意はなんというところですけれども、さっきからずっと御決意ばかり言っていらっしゃるようですから、省略させていただきます。
#204
○柳澤錬造君 いよいよ日本も高齢化社会に入ってまいりましたので、そういうときにこういう法案をお出しいただいたということは大変いいことであり、そういう意味では私は、歓迎もいたしますし、賛意も表したいと思います。したがって、そういう立場に立って落手の点だけお聞きをしてまいりたいと思うんです。
 第二には、資料を見ましたら、昭和六十年に六十歳以上の労働力人口というのが五百八十八万人おる、その中で働いているいわゆる雇用者というのは二百三十万人だ。そうすると三九%になるわけなんです。これから将来に向かっていって三九%というのをもっと上げようとしているのか、それとも現状維持ぐらいのところで進めようとしているのか、目標をどの辺に置いておりますのですかということなんです。
 労働力人口の方から見ますれば、昭和六十五年になると七百十五万になる。そうすると、現在の三九%でも二百七十九万人が雇用できなくちゃいけないし、昭和七十五年になりますと労働力人口が八百八十万になる。そうすれば、三九%でも三百四十三万人の人が働けるようにしてあげなくちゃいけないという数字になるわけですから、なかなか大変なことだと思うんです。
 だからそういう点で、現状のところは三九%というのは少なくともそれは維持しよう、そのためにいろいろなこういう手を打つんだというふうにお考えか、それとももう少し上げていって、せめて五〇%ぐらいのところに目標を置いてやろうというふうにしているのか。細かい数字的なというよりかも、考え方の基本をどの点に置いてお考えかということをお聞きしたいんです。
#205
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 なかなか難しい問題でございますが、一般的に、高齢者に対する社会保障が充実してまいりますと、いわゆる労働力率は減ってまいるわけでございますが、しかし日本の場合、特に六十五歳程度までの高齢者を見ておりますと、労働力率は世界の水準に比べまして非常に高いところにございますし、それも必ずしも減る傾向にあるわけではないというのが現状でございます。これは社会保障制度との関連もいろいろあるわけでございますが、雇用総数全体の考え方としましては、現在の安定成長が維持される限り、毎年雇用者数もかなりふえてきてまいっておるわけでございまして、そういう成長を維持しながら、また先ほどから議論になっておりますように、今また先生御指摘になりましたように、労働力人口自体も、現状に比べてはるかに高齢化していくということをとらえますならば、高齢者の方々、特に就業意欲のある高齢者の方々に就業の機会を確保して働いていただくということが、社会の活力を維持するためにも必要ではないかというふうに考えている次第でございます。
 最近の傾向、六十歳代前半層の傾向は、労働力率四十数%でございますが、この程度の労働力率は、今後も維持されるのではないかというふうに考えているわけですけれども、特に労働力率を上げでいこう、そういうことをこの法律自体、または今後の雇用施策として考えているわけではございませんで、そういう維持されている労働力率を、労働したいという人々に対して雇用の場を確保していきたいというふうに考えている次第でございます。
#206
○柳澤錬造君 そういう答弁にしかならないと思うんです。
 それで、この法案の中にはいろいろのことが書いてあるわけですけれども、私は、むしろそれがいいんであって、余り法律でもって何か一つのことだけこうやりますんですよというふうなことはよろしくないので、高年齢者になっていけば、環境ははいろいろのことがあるから、そういうものにこたえて働ける場をつくってあげるんですという、そういう理念というか、考え方を持って行政指導をぜひしていただきたいと思うんです。
 それで次には、事業主は定年を定める場合には、「当該定年が六十歳を下回らないように努めるものとする。」という、努力せいと言っているわけです。言うならば、努力目標がここにあるわけですけれども、民間企業に対してはどのくらいの拘束力をお持ちになるのか。
 わかりやすく言えば、民間企業は、大体定年のようなものは労使で協定して、あるわけですから、そうすると、その労使協定どこの法律で努力せいと言っていることと、どちらが優位性を持つんですかということですけれども、いかがですか。
#207
○政府委員(清水傳雄君) まず、この努力義務がどういうような効力を持つかということでございますが、これはもう先生御承知のとおり、努めなければならないと、こういうしとでございまして、あくまでも企業に努力をしていただくということでございますが、ただ法律上は、明確にこうしたことを規定する、またその努力義務を支える形での一定の一連の行政措置を行い得る法律上の根拠規定を設けている。こうしたことが具体的には、従来の六十歳未満定年の企業に対しまして、かなり大きな役割を果たすということを私どもといたしまして期待いたしておるわけでございます。
 具体的に、労使協定とどちらが優先をするかということでございますが、例えば労使協定によりまして六十歳未満の定年を定めているという場合、それとこの努力義務の規定との関係と、端的に言えばそういうことになろうかと思いますが、これは、労使協定で六十歳未満の定年を定めておられる場合に、やはり行政といたしましては事業主に対して、特段の事情がない限り定年を六十歳に引き上げる努力というものを当然のことながら求めでいくということになると思うわけでございます。ただ、労使協定の効力自体に影響を及ぼすものではございませんけれども、行政としてはそういう努力をそうした企業に求めていく、こういうふうな形になると御理解いただきたいと思います。
#208
○柳澤錬造君 決まり切ったようなことを聞いていてそういうお答えが出てくるわけなんで、今の段階では、それは労使協定の方が優位性を持つものだと思うんですよ、この法律では努力目標と言ってい呑んだから。その辺を局長きちんとしておかないと、今盛んにベースアップをみんなやっているんだけれども、それじゃベースアップゼロというところがある、それを労働省が、ベースアップゼロとはけしからぬじゃないか、大体世間並みに上げろというふうなことが言えるのか、指導ができるのかということにもなっちゃうわけです。
 むしろその次の段階に、いわゆる「政令で定める基準に従い、」ということを言っているわけなんで、だからこの「政令で定める基準」というのがどういう内容のものができるか、この内容いかんによっては、今度労使協定そのものも、六十歳未満の定年制をやっているところは、おまえらそういうことではいかぬぞということが言えるようになると思うんです。だから、「政令で定める基準に従い、」と言っているわけなんですから、問題はそれがいつごろでき上がるんですか。
#209
○政府委員(清水傳雄君) この基準に関する政令につきましては、今回の法律案の六十歳定年に関する規定の施行時期は、本年十見一日というふうに法律案になっておりまして、これに合わせてその政令を制定する考えでございます。
#210
○柳澤錬造君 わかりました。
 それから、先ほどもお話し出ておりましたシルバー人材センターのことも一言触れておきたいと思います。
 私もそう全国的に知っているわけじゃないんだけれども、もうこれは大分前から中心になってやる人たちができ上がって動いている。非常にうまくいっているところというのは、もう率直に言って、その中心の人たちがボランティア精神でやっているんですね。無報酬でやっているんです。だからそういう点で、今度それを皆さん方がこういう法に基づいていろいろ助成をしたり拡充強化をしたりと、こうやろうというんですから、本当に私は大賛成だし、ぜひやっていただきたいと思います。
 したがって、そのためにどのくらいの予算を用意して、それで全国的にどのくらいそういうものをつくろうとしているのか、その辺はおよその目標があると思うんですから、目標というか、将来計画というか、そういうことをお聞きしたいです。
#211
○国務大臣(林ゆう君) 現在、シルバー人材センターは全国に二百六十カ所設立をいたしております。それで、先生御指摘の上うに、大変各方面で好評をいただいておりますので、新たな設置の要望も大変多く寄せられております。大変私どもといたしましては心強く思っているわけでございます。
 それで、ことし六十一年度の予算ではどのぐらいなものを予定されているかというような御質問でございますが、今年度は約六十億を予定いたしておりまして、前年度は十九億五千八百万、約二十億足らずでございましたものですから大変な大幅な増額と、こういうことになっているわけでございます。それでまた、今回この法案におきまして、シルバー人材センターの役割というものを法律上で位置づけるということをいたしたわけでございますので、この拡充のための措置を私どもとしては全力を挙げて取り組んでまいりたい、このように思うわけでございます。
 それから、具体的なことを申し上げますと、従来の設置基準を緩和する、そういうことで六十一年度におきましては三十カ所の増設を図ることといたしております。それでまた、事業の円滑な運営に対する助成を拡充するために、六十一年度におきましては補助の増額を図ることなどの措置をとろうと、こういうことでございます。
 今後、このシルバー人材センターが十分役割を果たしますように、その拡充に努力をしてまいりたい、こういうことでございます。
#212
○柳澤錬造君 大臣、本当にありがとうございます。
 それで、各県に報告させてもわかることだし、皆さん方のところから目ぼしいところへ出ていってもわかることだし、およそのところを御調査なさってあるいは報告なさるなり、そうするといみいろ違いがありますので、どういうことを具体的に行政指導していったらいいかという、一画一的でなしに、本当に役に立つようなシルバー人材センターとして成り立っていくように、よろしく指導していただきたいと思うんです。
 次には、この雇用問題ということを考える上でだんだん大きなウエートを占めてきているパートタイマー、これは昔は、何というんですか、働く側の人が、一日拘束されるというんでは、子供があったりなんかしたらそれは困る、しかしながら、何時間ぐらいならば少し働いて小遣い稼ぎ――小遣い稼ぎという、適当な言葉はないけれども、してもいいじゃないかというふうなことの気持ちがあった、それをうまく企業サイドが取り上げて、そしてこういうパートで働くというふうなことができ上がったわけなんですけれども、だんだん広がって、それでこのごろはかなりこれは多くいると思うんですよ。だからこのごろは、働こうという人の都合よりかも、雇う側がこの方が都合がいいからといって、パートの制度がどんどん広がっているんですけれども、労働省として、パートのこういうふうな今の雇用関係といいますか、そういうものの位置づけというものはどういうふうにお考えになっているのか。
 それで、なかなかこういうのをおつかみするのも難しいと思うんですけれども、今、大体全国でどのくらい対象になる人がいるのか。で、将来こういう人たちをどういうふうな方向に向けようというお考えをお持ちなのか、そこをお聞きしたいんです。
#213
○国務大臣(林ゆう君) パート労働についての考え方は私の方から御答弁申し上げまして、数字の件につきましては局長の方から御答弁差し上げますことを、お許しいただきたいと思います。
 先生御指摘のように、パートタイム労働は、いわゆる需要側と供給側の双方のニーズに合った就業形態がなされておりまして、今後ともこういったことが増加の傾向をたどるものと見られております。しかし、パートタイム労働者の処遇あるいはまた労働条件につきましては、雇い入れる。ときにその労働条件が不明確な点があるとか、あるいはまたパートタイム労働者の特性に配慮した労働時間の雇用管理、こういったものが行われてい呑んだということはちょっと言いがたい状況も見られるなど、いろんな問題が指摘をされております。
 こういったために、労働省といたしましては、パートタイム労働者の労働条件の改善、雇用の安定などを図ることが必要であるというような考えのもとに、五十九年末に策定いたしました「パートタイム労働対策要綱」、これに基づきまして労使に対する啓発指導を今進めているところでございまして、今後とも、この要綱に基づきましてパートタイム労働対策を一層進めてまいりたい、このように考えておるような次第でございます。
#214
○政府委員(佐藤ギン子君) ただいま大臣の方からパートタイマーの問題点と今後の見通しを申し上げましたので、私の方からは、パート労働者の数等について申し上げます。
 総務庁の労働力調査によりまして、週の就業時間が三十五時間未満の非農林業の短時間の雇用者数を見ますと、年々増加しておりますけれども、六十年で四百七十一万人でございます。これは非農林業の雇用者の一一・一%ということでございます。そのうち女子が三百三十三万人ということでございまして、段時間雇用者の七〇%は女子だという状況になっております。
#215
○柳澤錬造君 これは本当、今、数字を聞いて、四百七十一万といったら大変な数でしょう、一一・一%おるというんで。これはまたお調べいただきたい。それで、特に女子の場合、意外など言っていいほど安い賃金で使っているところがあるんですよ。だから、先ほども言うように、一日拘束されるのは困るけれども、一日四時間ぐらいならば働けるし、働いてみたい、それで少しでも収入があればというふうな、そういうものとマッチしたからでき上がったんだけれども、この辺で、もう五百万近くにもなってくるということになると、問題は変わってきますから、余り低賃金でそういう人たちを働かせるということがあってならぬように、それなりめバランスのとれたように、一時間当たりの単価からいうならば、毎日ちゃんと一日八時間なら八時間一カ月ずっと働いている人よりかも、そういう短い時間働く人の方が一時間当たりの単価は高くなくちゃいけないわけなんですよね。それがそうなってないんですから、ぜひともその辺も御調査をいただき、余りひどいところは、それなりに改めさせるように行政指導をお願いしたいと思います。
 それから次には、いわゆるMEといってマイクロエレクトロニクスが大変発達をしてきたわけなんです。それで、これの雇用に与える影響というものが私は非常に大きいと思いますし、労働組合なんかもそれなりにいろいろ今取り組んでいるわけなんです。このMEによって、技術革新を通じて新しい雇用が出てくるものもこれはもう当然あるわけなんです。同時に、今度はオートメ化していくからだんだん人が要らなくなってきて人を減らしてしまうという、そういう両面持っているわけだけれども、その関係がどうなっていくのか。
 それで、これも今のうちによほど労働省の方でもって考え方の基本を持って御指導いただかないと、大変なことになると思いますので、その辺のお考えはどういうお考えをお持ちなのかということをお聞きしたいんです。
#216
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 確かに、MEを中心としました技術革新の進展によりまして、雇用にいろいろと影響は出てきております。今、先生おっしゃいましたように、ME化は、その生産過程自体には省力効果があるわけですが、その導入工程を除きました周辺のいろいろな生産の増、それからまた、ME化のための技能者の需要等もございまして、例えば、全体マクロで見ますと、昭和五十一年から五十八年にかけまして、雇用者数の伸びは全体で一三・四%でありたわけでございますが、ME関連業種である集積回路製適業におきましては、雇用者数は同じ八年間で、数字でおよそ五倍近くの増加をいたしております。また、職種等を見ますと、先ほど後段段で申し上げましたように、プログラマーとかそれからシステムエンジニアなどの情報処理従事者を含むいわゆる情報サービス業の雇用者数も二倍以上に増加いたしております。
 全体的に見ますと、このようにME化の雇用量に与える影響につきましては、雇用を増加させる面と、それから先ほど先生おっしゃいましたように減少させる面、両面が確かにございますが、今後の経済環境の推移その他によりますけれども、それで一概に結論づけられませんが、現在までのところでは、ME化によって雇用が深刻になるということはないというふうに考えている次第でございます。
 それから、こういうふうに産業構造の変化または職種、職務内容の変化があるわけでございまして、この質的な面についての対応が必要になってくるわけでございますが、労働市場としましては、その間に需要と供給のミスマッチが起こらないように対応していかなければならないということとともに、これを導入いたします企業におきましても、それぞれ労使の話し合いの中で、その企業の内部での配置転換その他を行いながらこれに対応いたしております。
 しかし、今後の問題としましては、そういう労働力の需要に適合しました労働力の養成、それについては職業訓練その他必要でございましょうし、また、労働者全体がME化でいろいろ影響を受けるわけでございますから、いわゆる専門単能工と申しますか、そういうことではなくて多能工的に、いろいろな従来の技能の上にこういうME化に対応する技能を確保していくというようなことも必要ではないかということを考えているわけでございまして、それらの需給のミスマッチが起こらないように、今後労働省としても対応していかなければならない重要な課題だというふうに考えております。
#217
○柳澤錬造君 時間も余りありませんから、大臣、ME化によるメリットというか、技術革新はこれは進めなくちゃいけないんですから、やっていかなきゃいけない。
 ただ、日本人というのは、私も日本人だからなんだけれども、そう言っちゃいかぬけれども、もうかるとなるとわっといってみんなそこへ飛びつく。だめだとなるとみんなぱっとやって、それでいわゆるIC、半導体なんかでもそうですけれども、ああやって、それでいいとなったらみんな飛びついて、あっちでもこっちでも、九州なんかICアイランドというような名前がつくほどに。それで今、アメリカからの貿易摩擦での大きな問題になっているのも、余りにもあれが安くなっちゃって、十分の一ぐらいになっちゃったから問題を受けているわけですから、もう少し徐々にコントロールをしながら成長していくような指導をしていただかないとよろしくないと思うんです。
 だから、技術革新は当然でれば必要で、やらなきゃいかぬけれども、それがゆえにデメリットの方が大きくならぬようなことをやっていただきたいし、ですから、そういう点で御要望を申し上げて、締めくくりに最後に大屋から、御所見がございますれば、お聞きして終わりたいと思います。
#218
○国務大臣(林ゆう君) まさに先生御指摘のとおり、最近の技術革新というのは目をみはるようなものがございまして、それに対しますところの雇用問題というのが非常に大事なことになっておりますが、労働省といたしましては、雇用問題政策会議からいただきました提言に沿いまして、ME化への対応のあり方について、労使のコンセンサス形成の促進、そしてまた価広い知識、技能を持つ労働者の育成、そして労働者の継続的な能力の開発の促進などの対応を図ってきたところでございますが、今後とも、こういった技術革新が雇用に与える影響について調査研究を実施いたしまして、その実態の把握に努めますとともに、具体的な施策を的確に講じてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#219
○委員長(岩崎純三君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#220
○委員長(岩崎純三君) 御異論ないと認めます。
 本案に対し、大浜君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、本修正案を議題とし、趣旨説明を聴取いたします。大浜君。
#221
○大浜方栄君 ただいま議題となりました中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、高年齢者雇用安定センターに関する規定その他一部の規定の施行期日について、「昭和六十一年四月一日」を「公布の日」に改めることであります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#222
○委員長(岩崎純三君) 別に御発言もないようですので、本修正案に対する質疑はないものと認めます。
 それでは、これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある万は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御意見もないようですから、討論はないものと認めます。
 それでは、これより中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、大浜君提出の修正案を問題に供します。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#223
○委員長(岩崎純三君) 全会一致と認めます。よって、大浜君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。
 修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#224
○委員長(岩崎純三君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 高杉君から発言を求められておりますので、これを許します。高杉君。
#225
○高杉廸忠君 私は、ただいま可決されました中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本興産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 今後における高年齢者の雇用就業機会の確保の重要性にかんがみ、政府は、次の事項を含め、高年齢者の雇用就業対策の拡充強化に格段の努力を払うべきである。
 一、高年齢者の雇用就業対策について、今後の高齢化の進展、高年齢者の雇用就業の状況等に適切かつ効果的に対応できるよう、雇用政策と年金政策との関係のあり方を踏まえつつ、その充実、強化等について引き続き検討を進めること。
 二、六十歳未満定年の事業主に対する定年引上げに関する行政措置についで、その実施基準の制定、運用に当たっては、六十歳定年の進展に十分効果的なものとなるようにすること。
 三、高年齢者雇用安定センターが、継続雇用の推進に適切で、効果的な役割を果たすよう、その事業の実施に関係者の意見が十分反映されるようにする等、指導を行うこと。また、シルバー人材センターが、定年退職者等のニーズに応じた就業機会の確保のために所期の役割を果たすよう、増設等一層の拡充を図るとともに、適切な運営について十分指導すること。
 四、中高年齢者の再就職の促進体制を強化するため、公共職業安定所の組織、機能について一層の拡充強化を図ること。
 五、企業における雇用管理のあり方について、現実に高年齢者に雇用不安をもたらすことのないよう、また、積極的に高年齢者の雇用維持に取り組むよう、一層の普及啓蒙に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
#226
○委員長(岩崎純三君) ただいま高杉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#227
○委員長(岩崎純三君) 全会一致と認めます。よって、高杉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林労働大臣。
#228
○国務大臣(林ゆう君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し努力してまいる所存でございます。
#229
○委員長(岩崎純三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#230
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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