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1985/04/17 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第9号
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1985/04/17 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第9号

#1
第104回国会 社会労働委員会 第9号
昭和六十一年四月十七日(木曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     栗林 卓司君     藤井 恒男君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     前島英三郎君     松岡満寿男君
     和田 静夫君     野田  哲君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                大浜 方栄君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                遠藤 政夫君
                斎藤 十朗君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                松岡満寿男君
                糸久八重子君
                野田  哲君
                中西 珠子君
                佐藤 昭夫君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   国務大臣
       労 働 大 臣  林  ゆう君
   政府委員
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働省労働基準
       局長       小粥 義朗君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       労働省労働基準
       局賃金福祉部長  若林 之矩君
       労働省労働基準
       局賃金福祉部福
       祉課長      渡邊  信君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十六日、栗林卓司君が委員を辞任され、その補欠として藤井恒男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(岩崎純三君) 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○高杉廸忠君 中小企業退職金共済法案の審議に際しまして、一般の民間中小企業の退職金制度の実態についてまず伺います。
 労働省の昭和五十六年退職金制度調査等の数字をもとに企業別の退職金制度の普及率を見ますと、一人から九大規模では五割強であり、十人から二十九大規模では八割ですが、その背景と、小規模企業における退職金の普及についてどのような対策を講じておられるのか、まず伺います。
#5
○政府委員(小粥義朗君) 民間の企業におきます退職金の普及状況が、企業の規模が小さくなるほど普及率が下がるという傾向は、御指摘のとおりあるわけでございますが、その理由としては、第一には、まず企業の経営基盤が弱いために、なかなか退職金まで手が回らないというような面が基本的にはあろうかと存じます。それともう一つは、零細企業の場合に、従業員の転退職が大企業に比べるとかなり頻度が高いわけでございまして、退職金が、もともといわゆる終身雇用慣行を背景として、長らく勤めた労働者に支給されるという考え方からつくられた経緯もございますために、在職期間が比較的短いとどうしても退職金制度の普及の率も下がる、こういう傾向が認められるように私ども見ております。
 ただ、そうは言いながら、やはりいわゆる福祉の面での格差というものがそういう企業の規模間で出てまいるわけでございますから、私ども、できるだけ中小零細企業にも大企業と同じような退職金制度の普及が図られるように、従来から加入促進対策を進めてまいっております。
 ただ、従来の加入促進対策は、どちらかといいますと、この制度を実施しております中小企業退職金共済事業団のほかに、事業主団体を通じての啓蒙であるとか、あるいは地方公共団体を通じてのPR、それと中小企業退職金共済事業団と業務の委託関係を持っております金融機関の手を通じて加入促進なり広報活動を進める、こういうところで進めてまいったわけでございますが、いわゆるPRだけではなかなか思うように効果は上がらないということで、今回の改正では、新しく掛金助成制度というものを導入して、できるだけ多くの企業がこれに加入をする気持ちが持てるようにしたい。と同時に、従来事業主団体を通じましてPR等もお願いしていたわけでございますが、単なるPRだけにとどまらないで、事業主団体がその傘下の企業に対していろいろ事業を行っております、そうした団体の活動を通じてさらに加入促進が図られますように、業務の一部をそうした事業主団体に委託をして、それに必要な手数料も払うという形で加入促進の輪を広げていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
#6
○高杉廸忠君 退職金制度調査は、これは昭和五十六年でありますが、これによりますと退職金制度がある企業数の割合は、三百人以上の大手企業では九九%を超えている。三十人から九十九人の小規模企業では九〇%、こうなっているんです。
 そこで伺うんですが、その背景と実態に対する評価、これはどのように行っておられるか、伺います。
#7
○説明員(若林之矩君) ただいま先生御指摘のように、三十人以上の規模の企業でございますと退職金制度は九割以上の普及を見ているわけでございます。特に、三百人以上の大規模になりますと極めて高い普及率になっておるわけでございます。
 これは、ただいま局長が御答弁申し上げましたことと裏表になるわけでございますけれども、何より企業の経営基盤が安定をしているということ、それからやはり従業員に対する福利厚生活動への力の入れ方というものも強いということ、そしてまた、三百人以上の企業ということでございますと、終身雇用慣行というものが定着をしているわけでございまして、こういった面からも、退職金制度が早くから導入され普及しているというようなことがあるわけでございまして、こういった点がこのような数字の差異を生じているものというふうに考えているわけでございます。
#8
○高杉廸忠君 次に、「退職金制度の実施状況別企業数の割合」について伺いますが、五十三年の前回の調査と比べてみますと、中小企業でも退職一時金制度のみ、この企業数の割合が減少しているわけですね。それから、年金制度のみ及び退職一時金制度と退職年金制度の併用の企業数の割合、これがいずれも増加しているんですね。
 この背景についてどういうふうにお考えになりますか。
#9
○説明員(若林之矩君) 労働省の退職金制度調査によりますと、昭和五十三年と五十六年とを比較いたしますと、一時金制度のみが六二%から五五%へと、先生御指摘のように減少いたしておるわけでございます。年金制度のみが一六%から一九%に増加をいたしておりまして、一時金と年金制度との併用が二一%から二六%へと増加をいたしておりまして、企業年金制度を採用する企業の割合が高まっているということは、先生御指摘のとおりでございます。
 企業年金制度は、労働者にとりまして、一つには退職金の保全とその水準の確保という面でメリットがあるわけでございますし、企業にとりましても、退職金の支払い負担の平準化といった点で意義を持っているわけでございまして、そういったことが背景になってその導入も徐々に進んでいるものというふうに考えておるわけでございます。
 私どもといたしましても、労働者の老後生活の安定を図るという点では、退職金制度はより有効に機能するという意味で、今後ともこの企業年金の導入等につきましてはいろいろな面で啓発をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#10
○高杉廸忠君 退職一時金制度のみの企業の割合を企業別に見ますと、三十人から九十九人規模で六〇・三%、多いんですが、規模が大きくなるにつれてその割合は減少して、千人以上の規模では二四・六%と少ないことが示されているわけです。
 そこで伺うんですが、この背景事情についてどのように考えますか、伺います。
#11
○説明員(若林之矩君) 五十六年の退職金制度調査によりますと、退職一時金制度のみの企業の割合は、千人以上の規模が二五%、三百人から九百九十九人が三六%、百人から二百九十九人が四九%、三十人から九十九人が六〇%でございまして、規模が多いほど御指摘のとおり少なくなっておるわけでございます。
 この背景ということでございますが、退職金制度のあり方としての企業年金制度に対する理解が進みます中で、特に厚生年金基金制度が、三月からは七百人以上となったわけでございますが、これまでは千人以上というところを対象にしてきておるわけでございまして、こういったこと等の事情もございまして、大規模企業ほど企業年金の採用する割合が高まっているというふうに考えておる次第でございます。
#12
○高杉廸忠君 私が申し上げましたような事情を踏まえて考えてみますと、将来、超大企業では退職一時金制度のみの企業というのはほとんどなくなってしまうのではないか、こういうふうに考えるんですね。
 そこで伺いますが、どのようにお考えになりますか。
#13
○政府委員(小粥義朗君) 企業のサイドからしますと、退職金の支払いの平準化という観点で年金化という動きがあるわけでございますが、一方で、それをもらいます労働者のサイドの意識としては、確かに、老後生活のために安定的に年金的な給付が受けられるようにという意味での年金志向がふえていることは事実でございます。
 しかし一方で、定年退職時にまとまった退職金をもらい、それを住宅の建設に充てるとか、あるいは他のまとまった費用の支弁に充てるという希望もあるわけでございまして、傾向としては年金がふえていく傾向になろうかと存じますけれども、一時金を希望される労働者もなお相当数おられるという実態にございますので、全然なくなってしまうということではなく、年金のウエートが高くなるという方向に推移していくんではないかというふうに見ております。
#14
○高杉廸忠君 また、角度を変えて見ますと、退職一時金制度のある企業について五十三年の前回調査と比べてみますと、三百人未満の企業で社内準備のみの企業数の割合が減少しているわけですね。それから、中小企業退職金共済制度や特定退職金共済制度に加入している企業数の割合、これがいずれも増加しているわけですが、この状況についてどういうふうにお考えになりますか。
#15
○説明員(若林之矩君) 百人から二百九十九人の規模の事業におきます社内準備のみの割合は、五十年が七八・七%、五十三年が八一・六%、五十六年が七六・三%でございますので、この数字を見た限りにおきましては、何か顕著な傾向的なものがあるというふうには見られませんが、三十人から九十九大規模とか十人から二十九人規模の全体を合わせますと、社内準備の割合が若干低下してきておるわけでございますし、中小企業退職金共済制度の比率が徐々に高くなってきているということが言えるわけでございます。
 このことから、背景なり要因分析というのは、現在の段階では特にこれがその背景ということも申し上げられませんけれども、もう少しこの傾向について、今後出てくる調査なともあわせて分析をしてみたいというふうに考えております。
#16
○高杉廸忠君 ぜひ分析をしていただきたいと思うんですね。
 次に進めますが、退職一時金制度がある企業について退職一時金制度の支払い準備形態を見ますと、社内準備のみ、この企業が六三・二%、それから中小企業退職金共済制度に加入している企業、これは他の支払い準備形態と併用しているものを含んでいるんですが、これが二九・〇%、こうなっているんですね。これはどのようにお考えになりますか。
#17
○説明員(若林之矩君) 退職一時金制度の支払い準備形態といたしましては、社内準備のほかに、中小企業退職金共済制度などを利用した社外積み立てがあるわけでございますが、御指摘のように、社内準備のみの企業が六三%というふうに多くなっておるわけでございます。退職金につきましては、その支払いが確実に保証されることが望まれるわけでございまして、労働省としてもその保全措置について指導しているわけでございますが、企業資金の流動性という観点から、社内準備のみの企業がなお多いというのが現状でございます。
 労働省といたしましては、その支払いが確実に保証されるように退職金制度について指導してまいったわけでございますが、この観点からも、社外積立型でございます中小企業退職金共済制度の加入促進について、一層努力を払わなければならないというふうに考えております。
#18
○高杉廸忠君  「退職一時金制度の支払準備形態別企業数の割合」、これを見ますと、中退金が二九・〇%、社内準備のみ、これが六三・二%、今申し上げましたのですが、半分の割合なんですね。
 この点についてその背景を伺うとともに、社内準備を中退金に導くための方策について私は検討すべきである、こういうふうに考えるんですけれども、いかがですか。
#19
○説明員(若林之矩君) ただいま申し上げましたように、依然として社内準備の率が六三%でございまして、やはり今後、退職金の保全という観点から、社外積立型の退職金制度のウエートを高めていかなきゃならないということは、私ども、先生御指摘のとおりと考えております。
 この点につきましては、労働基準法研究会も、退職金制度を有する企業の事業主が講ずべき支払い確保のための措置として、社外積立型制度の採用を推進することが適当であるという報告を出しているところでございます。
 この観点から、社内準備型の退職金制度を中退金に移行するということは、社内準備のものを全部中退金に移行するということではなくても、その一部を中退金の制度に移行するということは、その分だけ保全が確保されるわけでございまし
て、好ましいと考えておるわけでございますが、現行の中退制度におきましては、事業主が中退制度に加入いたしました場合は、十年間分について過去にさかのぼって掛金を納付する制度が設けられております。このような方策についても、私ども、積極的にPRを行いながら、こういった社内準備型の退職金制度を少しでも中退制度に移行させて、そういった退職金の保全という観点でも中退制度を役立ててまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#20
○高杉廸忠君 中退金に加入している企業が二九・〇%、そのうち中退金のみの企業が二〇・七%、こうなっているんですね。そこで、両者の企業割合の差、すなわち八・三%は、中退金以外の退職一時金の支払い準備形態をとっている企業の割合と、こうなるんです。
 この割合についてどういうふうに評価をしているのか。またこの場合、他の支払い準備形態の実態についてどういうふうにお考えになっておりますか、伺います。
#21
○説明員(若林之矩君) 中退制度は、単独では退職金制度を導入することが困難な中小企業を対象とする退職金共済制度でございます。これが中退制度の存在の第一義でございますが、この制度を活用していただきますことは、退職金の保全になるということはただいま申し上げたとおりでございまして、他の支払い準備形態によって退職金制度を設けている企業が中退制度も活用していただくということは、大変に意義のあることだというふうに考えている次第でございます。
 他の支払い準備形態というものはどういうものがあるかということの御質問でございますが、これは退職給与引当金制度などの社内準備型のものが多いと考えております。したがいまして、そういった社内準備型のものを持っている企業が、その一部について中退制度を活用していただいているというケースが多いと考えております。
#22
○高杉廸忠君 特定退職金共済制度のみの企業の割合も四・五%、こうなっているんですね。中退金と特定退職金共済のメリットそれからデメリット、これを具体的に比較してひとつ示していただきたいと思うんですが、いかがですか。
#23
○説明員(若林之矩君) 中小企業退職金共済制度は、特定退職金共済制度と比べますと、多くの面でメリットを持っております。
 メリット・デメリットということでございますので両方申し上げますと、加入資格でございますが、加入資格につきましては、中退金では中小企業のみの加入になっておるわけでございますが、特定退職金共済制度の場合は、その団体の加入企業でございますので、従業員数は関係がないということになっております。
 それから掛金の関係でございますが、中退制度につきましては、このたび法律の改正をお願い申し上げておりまして、新規に加入した事業主に対しまして、あるいは掛金を増額する事業主に対しまして掛金の助成をすることができるということになるわけでございますが、特定退職金共済制度の場合は、このような助成はないわけでございます。
 それから退職金でございますが、中小企業退職金共済制度の場合は、一年未満の場合は支給しないことになっております。これは民間の一般の退職金制度が、一年未満のものの支給というのはごくまれでございます。そういった民間の一般の退職金制度に合わせて退職金カーブをとっております関係で、中小企業退職金共済制度は一年未満は不支給でございます。ただ、それによって浮きました財源は、比較的長く勤続している方の退職金の原資に回るようになっております。これに対しまして特定退職金共済制度の方は、一年未満でも支給する形になっております。したがいまして、一年未満というところを見ますと、中小企業退職金共済制度の方が不利であるということが言えようかと思いますが、今申しましたように、そういった財源を比較的長く働いておられる方に積み上げておりますので、五年以上二十五年程度までにつきましては、中退金の退職金の給付水準が非常に高い、特定退職金共済に比べまして大変に有利であるということが申せるわけでございます。
 それから通算制度でございますが、このたび法律の改正をお願いいたしまして、通算制度を一般的に中小企業退職金共済制度について導入するということになっておりますが、特定退職金共済制度の場合には、このような通算制度はございません。
 それから国庫補助の関係でございますけれども、事務費について補助をすることになっておるわけでございます。したがいまして、特定退職金共済制度の方は、事務費は事業主の掛金の中から出すということになります。中小企業退職金共済制度の場合は、その事務費分が退職金の給付の方に回るということになるわけでございます。
 以上申し上げたような点で、いろいろな面で中小企業退職金共済制度は特定退職金共済制度よりも有利であるというふうに考え、中小企業の方々にPRをしているところでございます。
#24
○高杉廸忠君 退職事由別に男子標準労働者のモデル退職金の格差を見ますと、会社都合による退職を一〇〇としますと、自己都合の場合は六二、こうなっているんですね。それからまた、中小規模より大規模の格差、これは非常に大きくなっているんですね。
 そこで伺うんですが、これらの実情に対する労働省の評価とその背景、どういうふうに考えますか。
#25
○説明員(若林之矩君) 労働省の退職金制度調査、五十六年のものによって見ますと、退職事由別に男子標準労働者のモデル退職金の格差を見てみますと、会社都合による退職を一〇〇といたしまして、自己都合の場合は七二ないし八九となっておりまして、この傾向は各企業規模に通じて見られるわけでございますが、千人以上の規模でその格差はやや拡大をいたしております。
 退職金は一般に、長期勤続優遇の形をとっておりまして、企業への労働者の帰属意識を高めて定着を図るといったような性格、機能もありますことから、退職事由によって格差をつけて支給される例が多く見られます。
 こういった退職金の支給条件でございますとか水準といったようなものは、やはり労使の自主的な話し合いを通じて決定されるものでございまして、現在のこのような会社都合、自己都合といったような差につきましても、長い間の労使の慣行の中で形成されてきたものというふうに認識しているわけでございます。
#26
○高杉廸忠君 今、数字で確認するんですけれども、五十六年の労働省の調査、これで千人以上の勤続十年を見ると六二です。そういう数字も格差が大きいことを示しているわけですね。それは確認いたしておきます。
 そこで、企業別に男子標準労働者のモデル退職金、これの会社都合の格差を見ると、勤続年数が長くなるにつれて中小企業と大企業との格差は大きくなる、これが明らかなんです、私が今申し上げた数字を見ても。
 そこで伺うんですが、その背景、労働者のこの点に対する労働省の評価、特に勤続三十年について見ますと、千人以上の大企業の退職金、これを一〇〇とすると、三十人から九十九人規模のそれは五三ですね。大変少ないんです。この実態に対する労働省の認識、それからどのように考えておりますか、伺います。
#27
○説明員(若林之矩君) 退職金制度調査によりまして、男子標準労働者のモデル退職金、これは大卒で会社都合の者というものを考えますと、千人以上の規模を一〇〇といたしまして、今、先生が御指摘のように、三十人から九十九人の規模でとってみますと、勤続十年では七二でございますけれども、勤続三十年になりますと五三と格差が開いてございます。先生の御指摘のとおりでございます。
 この背景といたしましては、退職金は、通常は賃金の支給率を乗じて算定することが多いわけでございまして、こういうことから考えますと、一つには、退職金算定の基礎となる賃金が、生産性の
規模間格差などを反映いたしまして、大規模ほど高いということが一つございます。もう一つは、支給率も大規模ほど高くなっているというようなことがございまして、こういった点から、ただいま御指摘のような数字になっているというふうに考えております。
 退職金の額につきましては、基本的には労使の自主的な交渉によって決定されるべき問題であることは申すまでもございません。しかし、このような退職金を初めといたします福祉面での格差が拡大するということは問題でございまして、私ども、そういった意味から中小企業について少しでも充実した退職金制度が普及、拡大するようにということを政策の目標といたしているところでございまして、今回の中小企業退職金共済制度の加入促進あるいは水準を引き上げるための改正をお願いしておりますのも、そういった認識に立ち、今後とも中小企業におきます退職金制度の充実を何とか図りたい、こういうような考えに立ってお願いをしているものでございます。
#28
○高杉廸忠君 中退金制度に基づいて退職金支給額、これを見ますと、五十九年度の実績としては平均で三十七万円、これは平均加入年数が七年ですけれども、こうなっているんですね。これでは、今お答えがありましたように、大企業と同じような退職金を支払うことができるようにすることを目的としている中退金事業団のバンフ、いろんなPRをしておりますけれども、これと実態は大変ほど遠い現状になっていると思うんですね。
 そこで伺うんですが、一つは、退職金の中小と大手の格差をどういうふうになくしていくか。それから二つ目は、中退金制度としてあるべき水準をどういうふうに考えるのか。第三として、社会的水準まで引き上げるための長期目標の設定、それに基づく年次計画、これをつくるべきだと、こう思うんです。勤続年数が多くなれば多くなるほどどんどん格差というのは開いてくる。大変な問題ですね。
 私、三つほど申し上げましたが、それらの諸点についてどういうふうにお考えになりますか。
#29
○政府委員(小粥義朗君) 格差の生まれております理由は、先ほど賃金福祉部長がお答えしましたように、基本的には、基礎になる賃金の額の差であり、またそれに掛けられる支給率の差なんですが、いずれにしても、それは言うならば企業の支払い能力の問題と深いかかわりを持つ問題でございます。さらにその支払い能力の前提にございますのは、結局、生産性の問題があるわけでございます。
 したがって、当面の私どもの対応としては、今の中小企業退職金共済事業団の実際の退職金の支給額が少ない、それは掛金が低いからであり、かつ在職期間が大企業に比べて短いからという二つの理由があるわけでございますから、まずは掛金を引き上げていただく、同時に、在職期間の短い点は、通算制度の一般化を図ることによって、いわゆる在職期間が長くなるメリットが退職給付にも反映されるようにしたいということで考えております。
 それでは、あるべき退職給付の水準をどの辺に見定めたらいいかということでございます。これはいろんな要素が絡みますので難しい問題でございますけれども、現在の中小企業の賃金格差というのを見てまいりますと、大企業と中小企業の生産性の格差、これは企業規模によって違いますが、例えば五〇%そこそこというような数字もございます。それに対して賃金は六〇%台の支払いがなされている。六〇%という生産性の格差以上に。払っていることについてはそれなりの評価をしなければならないと思っておりますが、現に大企業に比べれば六〇%そこそこの賃金しか払われていない、それが退職金にも同じような形で反映をされている、こういうふうに見ておりますので、少なくとも生産性の格差に見合うものは確保されなければならない。ですから、今の三十七万円は大企業に比べますとはるかに低い退職給付の水準でございますから、生産性の格差が仮に五十数%あるとすれば、少なくともそこまでは理論的に言っても確保されなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。
 そのために、いろいろな掛金助成制度とかあるいは中小企業での労務管理のやり方をもう少し工夫することによって、効率的なやり方というものも生まれてくる余地もあるいはあるんではないかといった観点もございますので、中小企業のいわゆる労務管理制度についてのいろんな援助なり指導といったものも含めて、この退職金の格差というものが何とかもっと是正されるように今後努めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#30
○高杉廸忠君 大臣もお聞きしてわかるように、勤続年数が多くなる大企業と中小企業の格差、退職金は物すごい開きがどんどん開いてくる。したがって、この格差を埋めていくために、私はぜひ長期目標の設定だとか年次計画、こういうものを積極的につくっていただいて格差をできるだけ縮めていく、このひとつお願いをしておきます。
 次に、中小企業退職金共済制度の趣旨、それから特徴、そしてその役割、そこを伺います。
#31
○説明員(若林之矩君) 中小企業退職金共済制度は、自分の企業だけでは退職金制度が設けられないいろいろな面があるかと存じます、そういう設計ができないとか、事務的な能力がないとか、資金の管理ができないとかいろいろあろうかと思いますけれども、そういった単独では退職金制度を設けることができないという中小企業が多い実情にかんがみまして、こういった中小企業で働く従業員の福祉の増進、そしてまた、そういう退職金制度ができますればいい人も集まってくる、定着もよくなる、そして企業の振興が図られるといったようなことを目的としてできているものでございます。
 その形といたしましては、事業主の相互共済の仕組みをとっておるわけでございます。一つの小さい企業では、人数が少のうございますから、独自に退職金カーブというものを採用することができないわけでございますけれども、たくさんの中小企業の方が集まってつくれば、先ほど申しましたように、あるところは掛け捨てになるけれども、かなり長く働いた労働者については高い退職金を払うことができる、こういったような形での制度も採用が可能になるわけでございまして、事業主の相互共済という形をとっておるわけでございます。
 そして、もとより中小企業でございますから、三百人未満等がすべて入るわけでございますけれども、最近の状況から申し上げますと、やはりその普及の中心と申しますか、この制度の持っている役割は、今日的に申しますと、零細企業における退職金制度の普及ということが大きな役割になっているというふうに考える次第でございまして、こういった中小企業の退職金制度の持っております特徴や役割ということから、異例な形での国の援助が組み込まれているというのが中退制度の趣旨、特徴、役割かと存じます。
#32
○高杉廸忠君 お答えがありましたように、個々の企業が独自に退職金制度を設けることが困難であると、こういうふうなお話です。しかし、中小企業と一口に言っても、百人以上三百人未満の中堅企業、これと五人未満の零細企業、これを一緒に論ずるというのは非常に私はどうかと思うんですね。
 そこで、零細企業、この中小企業退職金制度への普及状況、特に五割を超えた零細企業での普及率を考えてみますと、中退金制度について、任意加入制度から強制加入制度へと積極的に変えていくことに労働省としては本気になってもらいたいと思うんですね。零細企業加入について、どうですか。
#33
○政府委員(小粥義朗君) 確かに零細企業め置かれております実態から見ますと、できるだけ退職金制度の普及を図るために、そうした強制加入的な考え方というのも一つの考え方ではございますが、実は、退職金制度はこれをつくるかつくらないかは必ずしも義務づけられていない問題でございます。一たんつくるとなった場合は、それを就
業規則等で明確に中身を定めなければいけないということになるわけでございますが、根底の制度をつくること自体が強制的な形になっておりませんので、その面からして、加入そのものを強制加入にすることは、これは法律論としてもなかなか難しいところでございます。
 私どもとしては、実質的な問題としてできるだけ加入が広がるようにしなければならない、それは先生御指摘のとおりだと思いますので、その加入促進策について従来それなりにやってまいりましたけれども、必ずしも十分な効果を上げておりませんので、加入促進策をもっと積極的に強化して、退職金制度の普及が零細企業にも行き渡るように進めたいと考えておるわけでございます。
#34
○高杉廸忠君 中小企業退職金共済制度、これは中小企業の労働者の福祉増進と中小企業の振興に寄与する、これを目的としているわけですが、一般退職金共済、それから建設業退職金共済、それから清酒製造業退職金共済、それから林業退職金共済おのおのについて、中小企業の労働者の福祉面、中小企業経営の振興面で、では具体的に今日までどのような効果を上げてきたのですか、この際伺っておきたいと思います。
#35
○説明員(若林之矩君) 先ほど申しましたように、中小企業退職金共済制度の趣旨は、中小企業で働く労働者の福祉の向上、それから中小企業経営の振興ということでございます。
 これを数字としてこういう効果だということを申し上げることはなかなか難しいかと存じますが、退職金制度の普及率を見てみますと、中退制度が創設される以前の、昭和三十一年の企業規模三十人以上の普及率について見ますと六四%ぐらいでございましたが、五十六年におきましては九二%と増加をいたしております。この間、中小企業退職金共済制度におきましても普及促進に努めてきたわけでございまして、現在では、一般と建設と清酒と林業と、これを全部合わせますと、加入の労働者は三百六十万に達しておるわけでございます。このような、先ほど申しましたような退職金制度がかつてと比べますと相当大幅に普及をしてきているということにつきましては、中小企業退職金共済制度の普及というものが大きな役割を果たしてきた、というふうに考えている次第でございます。
 それで、このような中小企業退職金共済制度の普及、一般的な退職金制度の普及というものを通しまして、中小企業におきます人材確保というものも、かってに比べますればより容易になったということが言えようかと思いますし、定着面でもいろいろな面でプラスの効果が出てきていると、それが中小企業の振興につながっているというふうに考えている次第でございます。
#36
○高杉廸忠君 中退金制度は、共済方式により退職金カーブを描いた退職金が支給できる、こういうふうにして、手軽である、有利である、安全確実である、こういう特色を有すると、こういうふうにPRしているわけですね。
 しかし、中小企業の事業主、労働者に対する、しからば中退金制度の恩恵、その効果、これらの制度上の特徴、これらについて明らかにしていただきたいし、また、中退金制度にこのような特徴があるにもかかわらず、どうもその制度の普及が思わしくない。一体どういうところにその原因があるんですか、どういうふうにまた考えていますか。
#37
○政府委員(小粥義朗君) 今までの効果をどういうふうに見るかという点は、先ほど部長もお答えさしていただきましたように、計量化してお答えするのはなかなか難しい問題でございますが、現在三百六十万の加入労働者を対象に給付をしているというところにその効果が集約をされてくるわけでございますが、ただそれも、過去に比べれば数がふえてきたとは言いながら、実は全体から見ればまだ加入率は極めて低い。しかも、最近はその数がどちらかといえば頭打ちの傾向にあるということも、私どもも問題として認識をしているわけでございます。
 なぜ加入率がそんなに進まないのかという点でございますが、一つには、こういう制度があることをよく知らない中小零細企業の方が結構まだ多いというふうにも認められるわけでございまして、その点は、やはり加入促進策あるいはPR活動をもっと積極的にやらなきゃならない問題点であろうと思っております。もう一つは、先ほど来お話が出ておりますように、給付額が三十七万円という額では余りにも魅力に乏しいのではないかというところももう一つの大きな理由であろうかと思っております。
 したがって、これを何とか引き上げるために、まずは掛金の引き上げ、あるいは通算による在職期間の長期化のメリットというものを給付に反映したいということで、今回改正案でお願いをしている次第でございまして、そうしたもので必ずしも全部が満たされるということではないかと思いますけれども、少なくとも改善に向かって前進できるものというふうに私ども考えているわけでございます。
#38
○高杉廸忠君 お答えがありましたが、中小企業退職金共済制度の一般退職金共済は、当初は従業員百人以下ですね、金融、商業、サービス業等三十人以下なんですが、この中小零細企業を対象に発足したんです。ところが、三十六年の法改正で二百人以下、サービス業については五十人以下ですが、三十九年の法改正で三百人以下に拡大したわけですね。
 そこで見ますと、平均加入企業の規模が七・八人、これである現状を踏まえますと、このような対象企業規模の拡大、これは私は余り意味がなかったんじゃないか、こう思うんですが、これはどういうふうにお考えになりますか。
#39
○説明員(若林之矩君) 中小企業退職金制度の加入の対象でございますけれども、今、先生御指摘のように、だんだん範囲が広がってきておりますが、これは、中小企業基本法の改正によりまして中小企業の範囲が変更されます都度に、この法律もあわせて改正をして範囲を広げてまいっております。
 現在の中小企業退職金共済制度に入っております企業の平均従業員数は七・八人でございまして、企業規模三十人未満の企業の加入が全体の九三%ぐらいということでございまして、小零細企業の加入が大部分でございます。やはりこの中小企業退職金制度というものは終始こういった零細企業のための制度というものにこれまでも力点が置かれてまいりましたし、これからますます、先ほど来先生御指摘のように、十人未満のところの退職金の普及がおくれているわけでございますから、こういったところが一つのターゲットになってこの中小企業退職金共済制度を普及促進していかなきゃならないということでございます。
 そういう意味では、中小企業三百人未満と申しましても、中小企業退職金共済制度のターゲットは零細企業でございます。その点は御指摘のとおりでございます。しかし、こういった対象が拡大したことによりまして、百人から百九十九人の規模につきましては、千五百ぐらいの企業、十万人ぐらいの労働者が入っております。それから二百人から三百人ぐらいでございますと、二百ぐらいの企業、二万ぐらいの労働者が加入しておりますので、それはそれなりに意義はあったというふうに考えております。
#40
○高杉廸忠君 次に、中小企業退職金共済制度への加入状況の実態について伺います。
 中退金の一般退職金共済制度における加入の事業主教、これは約二十五万、加入労働者数は約百九十四万人である、こういうふうに聞くんですが、これらの数は、この制度の全対象事業主数及び全対象労働者数の何%ぐらいに当たるのか、伺います。
#41
○説明員(渡邊信君) 対象となる企業数を正確に把握する統計資料がございませんので、なかなか明確なお答えはできにくいわけですが、事業所センサス等によって推計をいたしますと、対象企業につきましては、一〇%弱程度の企業がこの制度に加入をしておりますし、また、労働者の方で見ますと八%ぐらいの労働者がこの制度に加入をしておるということになっております。
#42
○高杉廸忠君 一般退職金共済制度への加入の事業主教、加入労働者数を都道府県別に見てまいりますと、沖縄を除いて、奈良、鳥取、佐賀、和歌山等が少ないように、こう思うんです。これはどういうふうにお考えになりますか。
#43
○説明員(渡邊信君) 先生御指摘のように、加入率につきましては地域的にかなりアンバランスがございます。私ども、このようなアンバランスの原因について、その原因を詳細に理解しておるわけではございませんが、それぞれ自治体の労働福祉対策、中でも中小企業の労働対策に対する姿勢の違いといったふうなものも反映しているんではないかというふうに考えております。
 いずれにしましても、私どもとしましては、加入率の特に低い地域、こういったところに力を入れて普及促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
#44
○高杉廸忠君 また、加入の労働者の数を、これは産業別に見ますと、農林漁業、鉱業を除いて、金融それから不動産業、これが極めて低いわけですね。それから運輸、公益事業、サービス業等も少ない、こういう実態なんですね。これはどういうふうにお考えになりますか。
#45
○説明員(渡邊信君) 業種別の加入状況につきましてもかなりアンバランスがあるところでございますが、これにつきましても、業種別の適用対象企業数というものはなかなか正確に把握をできませんので、明確には申し上げられませんが、先生御指摘の中で、まず金融業や公益事業につきましては、既に退職金制度が相当程度普及しているのではないかというふうに見ております。また、サービス業につきましては、一般に小零細規模企業が多いので、なかなか中退制度の加入につきましても進んでいないのではないか、こんなふうに見ております。
#46
○高杉廸忠君 次に、特定業種退職金制度への事業主の加入状況、これを見ますと、建設業で約十一万五千、それから清酒製造業で約三千、林業で約三千。労働者の加入状況は、建設業が約百二十五万千人、清酒製造業が約四万一千人、それから林業が約五万五千人、こういうふうになっているんですね。
 これらの数字、これは各共済制度の全対象事業主数及び全対象労働者数の何%ぐらいになるんですか。
#47
○説明員(渡邊信君) 特定業種につきましては、対象となります労働者の方は、期間雇用者の数というものが把握をできておりませんので、恐縮ですが、事業主の関係について申し上げます。
 これもかなり大ざっぱな推計になるのですが、建設業につきましては加入率は約四割程度、清酒製造業につきましてはほぼ一〇〇%の加入をしておるというふうに見ております。林業につきましては、事業主の加入率は約三割程度ではないかというふうに推計をいたしております。
#48
○高杉廸忠君 今お答えがありましたが、発足がおくれていた林業退職金共済と、発足が早かった清酒製造業退職金共済について、事業主の加入状況、これを比較すると、林業の方が加入者数が高いんですね。この分でいきますと、林業退職金共済の加入事業主数というのは急ピッチで増加するんではないか、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#49
○説明員(若林之矩君) 林業の退職金制度につきましては、五十三年に林業の関係の業界が中小企業退職金共済制度に加入をしようということで、独自に任意制度として準備を始めまして、一定の加入者を確保いたしまして、五十七年一月に、都道府県単位の森林組合連合会等を中心とした関係事業主の退職金積立事業を引き継ぎまして、今日の退職金制度が設立されたわけでございます。その際の企業数が二千二百五十ぐらいでございました。したがいまして、この制度への加入状況は特にふえているということは言いにくいのではないだろうかというふうに思います。
 先ほど来申し上げましたように、清酒の方は、数はそうございませんけれども、加入率という面から申しますとほぼ一〇〇%という加入率でございますが、林業の方はまだまだ三割程度ということでございまして、私どもこれではまだ満足する加入状況ではないというふうに考えております。今回の改正で、掛金助成の制度も導入させていただきました場合には、こういうものも大いに活用して、林業における加入促進というのをもっともっと図っていかなきゃいかぬというふうに考えている次第でございます。
#50
○高杉廸忠君 次に、中小企業退職金共済制度の普及対策の実施状況について具体的に伺うんですが、中小企業退職金共済制度加入促進強化月間、これはどういう趣旨でやられているのか、あるいはまたその効果がどういうふうになっているのか、伺います。
#51
○説明員(渡邊信君) 中小企業退職金共済制度につきましては、まだまだ普及が十分であるとは思っておりませんので、いわば年中行事としまして加入促進には努めていかなければならないというふうに考えておりますが、特にこの普及促進を集中的に行うという趣旨で、毎年十月を普及促進のため、加入促進強化月間として位置づけまして、集中的にPR活動を行っております。
 いろいろな活動を行っておるわけでございますが、その効果としまして、強化月間期間中及びその直後の加入者の割合を見ますと、年間の加入者の約二割を占めておりまして、相当の効果が上がっているのではないかというふうに考えております。
#52
○高杉廸忠君 それじゃ具体的に伺いますけれども、加入促進月間において都道府県の基準局、それから市町村の行う活動内容、具体的にどういうようなことをやられているのか、あるいはまた、事業団それから市町村の加入促進活動、こういう実態、これについて伺います。
#53
○説明員(渡邊信君) まず、都道府保の労働基準局におきましては、関係行政機関が実施します加入促進活動への指導等を行っておりますし、また、ポスターや広報資料等の掲示や配布等を行っております。また、事業主や事業主団体に対していろいろな説明等、こういった活動を行っております。
 市町村におきましては、市町村で発行しますいろいろな広報紙、これに中小企業退職金制度の宣伝を載せております。また、事業主やその団体に対していろいろな各種説明会を開催しております。
 それから事業団におきましても、この期間はテレビ、ラジオ、新聞等のマスメディアを通じまして集中的な宣伝を行っておりますし、関係機関や事業主の団体、こういったものに対して積極的な広報活動、こういったことを行っております。
#54
○高杉廸忠君 中小企業退職金共済制度の加入の奨励、このために事業主に地方公共団体が援助措置を実施している。こう聞くんです。都道府県別に援助措置を講じている地方公共団体数を見た場合に、長野県、神奈川県、山口県、ここで多いんですね。都市化が進んでいる東京都、埼玉県、大阪府、兵庫県、ここでは少ないんですね。これはどういうふうに考えるか。また、東京、大阪、埼玉に比べて神奈川、千葉で多いのはどういう理由なんだろうか。どういうふうにお考えになりますか。
#55
○説明員(若林之矩君) 地方公共団体が行っております中退制度への加入奨励は全国で百九十一でございまして、一県百二十二市二区五十九町七村でございまして、確かにこういった市町村の奨励措置の有無が都道府県でアンバラでございます。これは、中小企業退職金制度への加入援助措置について、地方自治体の財政状況でございますとか、自治体の政策の重点の置き方等によって援助措置の実施の有無が分かれてくるということだろうと思います。したがいまして、必ずしも都市化が進んでいるところがいいとか、そういったようなことでは整理できないような分布でございます。むしろ、一般的に申しまして、都市化が進んでいる地域よりも、進んでいない地域の方が援助措置を講じている割合が高いようでございまして、それは、そういった地域の中小企業の労働福祉水準を向上させることによって、地域の労働力をその地域にとどめておくといったような効果をねらって
いるのではないかというふうに私ども分析をしている次第でございます。
 ただいま御指摘のように、首都圏の関係で申しますと、東京、埼玉と神奈川、千葉の間で確かにその県内における援助措置を行っております市町村の数に差がございますけれども、ちょっと私どもこの具体的な理由については分析をいたしておりません。
#56
○高杉廸忠君 十分連絡をとって、援助措置が全国的に行き届くように、ぜひひとつそういう面の御指導もいただきたいと思うんです。
 それから補助対象ですね。これは一般退職金共済加入と特定業種退職金共済加入の両方なのか、あるいはまた一般退職金共済加入だけに限るのか、この点はどうなっていますか。
#57
○説明員(渡邊信君) 現在、地方自治体でこの制度に対します補助を行っている自治体の数は百九十一と把握しておりますが、その大部分は一般の退職金共済制度に対する補助のみでございまして、一部九つの自治体におきまして特定業種、林業でございますが、特定業種に対する助成も行っているものがあります。
#58
○高杉廸忠君 加入助成金制度について伺うんですけれども、地方公共団体の加入助成金制度の実施状況を見ますと、都道府県レベルでは愛知県だけが実施しているようですけれども、愛知県の補助の実施状況、具体的にどんなのがあるんですか。
#59
○説明員(渡邊信君) 御指摘のように、県レベルで実施をしているのは愛知県だけでございますが、愛知県におきます補助の具体的内容を見ますと、まず補助対象事業主は、愛知県内に所在する事業所の事業主で、新規にこの制度に加入する事業主ということになっております。助成額は一年間に納めた掛金総額の二〇%でございまして、予算を見ますと六十一年度で六千百七十五万円というふうになっております。
#60
○高杉廸忠君 次に、相談員制度の趣旨とその業務内容、それから中退金相談員の設置状況の推移、今後の増員の予定、こういうものはどういうふうになっていますか、この際伺います。
#61
○説明員(若林之矩君) ただいま御指摘の相談員制度でございますが、関係行政機関あるいは事業主団体等を通じた加入促進活動に加えまして、中小企業退職金共済事業団の直接の手足として加入の促進に参画して、きめ細かく加入促進活動を実施しようということで設置をされているものでございます。
 業務でございますが、未加入企業への個別勧奨でございます。事業場に伺いまして未加入の企業の加入を勧奨するということが一つございます。それから、既に入っております企業に対しまして掛金月額の増額などの勧奨をするといったようなこともございますし、その他、企業でいろいろ難しい事情があるときの御相談でございますとか、あるいは退職金の制度についてのより広い御相談を受けることになりますが、基本は、やはり未加入企業への個別勧奨、それから、既に入っておられる企業の掛金月額の増額というところが仕事の一番中心でございます。
 五十一年度に設置されたものでございまして、五十一年度には東京、大阪に設置をされまして、五十四年度から愛知、福岡、広島、北海道、宮城、香川と、こういうふうに設置をされてきておりまして、現在八県で二十三名が設置をされているわけでございます。
 やはり、零細企業に対する相談活動というのは極めて重要でございまして、今後ますます相談員制度の重要性が高まってくるというふうに考えておりまして、その一層の充実を図るように努力したいというふうに考えております。
#62
○高杉廸忠君 それじゃ具体的にお聞きしますけれども、相談員の方々が相談コーナーでどういう重点的な活動、特に相談内容で最も多いのはどういうようなものがありますか。
#63
○説明員(渡邊信君) まず、相談員の活動状況について若干申し上げますと、相談員は、年間約九千程度の個別訪問を実施しておりまして、相談員一人当たり約四百件の企業を訪問しております。そのほとんどは未加入企業への加入勧奨でございます。
 それから相談コーナー、これは現在東京に一カ所設けられておるわけですが、六人の相談員で五万九千九百三十件の相談を受けております。これはまだ発足したばかりで、六十年の四月から十二月までの実績でございます。業務の内容として主なものは、本制度の内容、それから加入の手続はどうなっているのか、こういったものが二万九千件と最も多数を占めております。
#64
○高杉廸忠君 次に、中小企業退職金制度の普及促進対策の拡充について、大臣、私の提案を含めて申し上げたいと思うんですが、五年ごとに中退金法が改正されておりますので、この際、その改正中退金法の施行期日にあわせて、ぜひひとつ中小企業退職金共済制度加入促進年、仮称ですけれども、こういうようなものを設けて、具体的にやっぱり制度の改正内容の周知とセットにして加入促進運動を展開していくべきだと考えるんです。ここで労働大臣の所見を伺います。
#65
○国務大臣(林ゆう君) 中小企業の退職金共済制度につきましては、五年目ごとの見直し、こういうことがなされているわけでございますが、こういった機会に制度の改善が行われてきているところでございます。このような制度の改善を機会といたしまして加入促進運動を強化する、これもこの制度への普及促進に極めて私どもは有効であろうかと、こんなふうに思っておるわけでございます。
 御指摘のような加入促進年、こういったものを設けるかどうかは別といたしましても、今回のような制度改善時の機会をとらえまして、この制度への加入促進のためのキャンペーンなどを強力に展開しながら加入促進の運動をしていかなければならない、このように考えておる次第でございます。
#66
○高杉廸忠君 大臣、ぜひひとつ加入促進のために年間を通じて、促進月間に限らないで、常にやっぱり促進運動を展開していっていただきたい。
 特に、普及を図るために中期加入達成計画ですね、こういうものを具体的に策定して効果が上がるようにひとつ取り組んでいただきたい、こういうふうに思うんです。あわせまして大臣の所見を伺います。
#67
○国務大臣(林ゆう君) この制度の普及、そしてまた加入促進につきましては、絶えずこれを皆さんに知っていただいて、こういった制度を利用してもらうということに努めてまいらなければならないわけでございますが、この制度の計画を策定して、計画的、機動的に取り組んだらどうだと、取り組まなきゃいかぬじゃないかと、こういった先生の御指摘は私も全く同感でございます。
 そこで、労働省といたしましては、この中期加入促進計画の策定について大変貴重な御意見をいただいたと、こういったことに十分留意いたしまして、今後の加入促進のために私どもとしては促進策を講じてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#68
○高杉廸忠君 局長、加入率を高めるために、例えば三十人以上の中小企業について、労働者の人たちの半数以上の加入希望者があった場合、できれば私は出先の方で、地方部局でその中小企業に対して加入の勧告をするような、奨励をするようなそういうシステムですね、そうすることによって一層の加入促進を図る、こういうようなやっぱり具体的な取り組み、これも考えていいんじゃないかと、こう思うんです。いかがでしょう。
#69
○政府委員(小粥義朗君) 勧告という、制度として確立することが適当かどうかは別としまして、少なくとも半数の人が希望しているということであれば、これが加入につながる可能性は高いものというふうに私ども考えますので、こうした加入促進、必ずしも中小企業退職金共済事業団なり地方自治体だけではなく、私どもの直接の出先機関である都道府県労働基準局あるいは監督署を通じても加入促進を図ってまいらなきゃならないわけでございますから、その際に、そういうような加
入の動きの、希望のあるところを重点的にとらえて、この加入奨励策を講じていくということは非常に効率的だろうと私ども存じます。
 そうした点については、今後の行政の中で十分考えてまいりたいと思います。
#70
○高杉廸忠君 さらに局長、奨励金制度を普及させるために当該地方公共団体に対して援助措置、これをもう具体的に講ずべきだと考えるんですよ。どうでしょう。
#71
○政府委員(小粥義朗君) ここは、いろいろ率直に申しまして問題があろうかと存じます。元来、地方自治体の方で国が助成制度をつくる先にこういう制度をつくって、少なくとも百九十一の団体がやっておられるわけですが、その気持ちの中には、自治体が先行することでもって国がそうしたものを制度として全国的に持てるように、その先駆け的な役割を意識された向きもあるようにも聞いているわけでございます。しかし、今回の改正で掛金助成制度を国としても講じていきたいと、こういうことになるわけでございますから、そうすると、今までの自治体が行っております奨励措置とある部分、相当部分においてダブる形になろうかと思います。その場合に、これを上積みとして引き続き支給をしていただくような方向に持っていったらいいのか、あるいは同じ掛金助成としては大体共通のねらいであるとすれば、むしろほかの部分についてそうした地方自治体の奨励策が講じられるような方向に持っていったらいいのか、これは私どもこれから施行までの間に十分検討しなければならない問題だと思っております。
#72
○高杉廸忠君 大臣、お聞きしているように、ひとつ前向きに御検討いただきたいと思います。
 それから局長、制度普及のためにやっぱり社会保険労務士さん、そういう人だとかそういう団体、そういう人たちにできれば委託費のような形でも出して具体的な指導をする、こういうような方向で何かお考えありますか。
#73
○政府委員(小粥義朗君) 今回の改正では、事業主団体に対して業務の委託の範囲を広げて手数料の支給を行う、こういうことで考えておりまして、現段階では、まだ社会保険労務士の方について同じようなことを制度としては考えておりませんけれども、今御指摘になりましたように、事業主団体だけを通じてPR活動をするだけでは、果たして十分かどうかといった問題がございます。また実際には、事業主団体が加入促進の活動をする際に、それぞれの団体と深いかかわりを持っておられる社会保険労務士の方を通じてやられるケースもあろうかと存じます。そうした面の実態もいろいろ私どもこれから把握をさせていただきまして、今せっかくの御提言でございますので、研究をさしていただきたいと存じます。
#74
○高杉廸忠君 それからまた、商工会議所の事業主にも普及の協力をいただいているんですが、やっぱり労働組合もその対象にして、労働組合からもどんどん積極的に地域において加入普及、こういうことを具体的に取り組んでいく必要がある。そういう積極的な活用についても、ぜひひとつ検討いただきたいと思うんですが、いかがですか。
#75
○政府委員(小粥義朗君) 確かに、これは行政サイドだけの加入促進活動だけではなく、労働組合としてもその組合員の福祉の向上につながる問題でございますから、私どもとしてはそこに大きな期待を実は持ちたいわけでございますが、ただ現実の組織状況が、必ずしも大企業に比べて中小企業の場合、組織状況が高いわけじゃございません。むしろ、中小零細になるほど極端に組織率も下がっておるわけでございますから、そうした地域の状況に応じた対応がまた必要になろうかと思いますけれども、少なくとも中小企業退職金共済審議会でも労働側委員が三者構成の一つとして入って、いろいろこの問題についての御討議もいただいているわけでございますから、そうした労働組合サイドの各地域における活動をどういうふうに今後加入促進に結びつけていくか、これも私ども十分検討さしていただきたいと存じます。
#76
○高杉廸忠君 それから、大臣、中央や地方にもできれば加入促進運動の推進母体として、これまた仮称でありますが、共済制度普及協議会、こういうようなものをつくっていただいて、そして事業主の代表の方や労働組合の役員、代表の方も含めて具体的に取り組む、中央も地方もそういう促進を具体的にやはり考える必要がある、こういうふうに思うんです。これ、私の提案にもなるかと思いますけれども、その点いかがですか。
#77
○政府委員(小粥義朗君) 先ほど労働組合のことについてもお答えいたしましたように、単に行政だけじゃなく、また事業主だけじゃなく、労働組合も含めまして、言うなら関係者が一体となってこの加入促進を進めることがまことに望ましいことであると存じます。
 ただ、そういう協議の場が具体的にどういう格好でつくれるか、これは今にわかにお答えをできる具体的な構想も持っておりませんけれども、今回の改正を契機に、さらにその普及状況等を見ながら、御指摘のような関係者による協議の場というものをどういうふうに持っていったらいいか、私ども研究をしていきたいと思います。
#78
○高杉廸忠君 ぜひひとつ、前向きに御検討いただいて、具体的な加入促進ができるようにしていただきたいと思うんです。
 次に、パートタイマーや派遣労働者への中退金制度の適用問題、これについて伺うんですが、まずパートタイマーに対して伺うんです。
 退職金制度を設けている事業所の状況ですけれども、五十八年一月の雇用管理調査によりますと、わずかに九・六%であります。また、その派遣的労働者に対して退職金制度を設けている事業所の状況、これは五十九年十二月の職業別労働力実態調査結果、これによりますと、事務処理業の場合に一七・四%なんです。こうした実態、これに対してどういうふうに認識をされ、どういうふうに受けとめられているんですか、伺います。
#79
○政府委員(小粥義朗君) パートタイマーあるいは派遣労働者の方々の就労の形は、いわゆる終身雇用的な就労の形ではない面があるわけでございまして、そういう面で、実はそうした人を使用する企業のサイドの方からは、退職金の必要性というものについて常用労働者に比べると意識が低い。また、現にそうした形態で働いておられるパートタイマーあるいは派遣労働者側の方々の方からも、いわゆる長期間同じところに雇用されて退職金をもらうというよりも、むしろ日々の賃金を高めてほしいというような希望がある向きもあるわけでございまして、そういうようなことが両方重なって、退職金の適用の割合が低いものというふうに見ております。
#80
○高杉廸忠君 局長も御存じのように、パートタイマーや派遣労働者という方々は小規模事業所で雇用されているケースというのが多いわけですね。パートタイマーや登録型の派遣労働者に対する中退金の適用、これはどこにネックがあるのか、どういうふうに労働省の方では把握されておりますか。
#81
○政府委員(小粥義朗君) パートタイマーの方でも、通常の労働時間の三分の二以上働かれる方々、これはパートタイマーとはいいながら実質的に常用労働者に近い就労形態を持っておられるわけですが、そうした方については現行の中小企業退職金共済制度へも、いわゆる包括加入の原則の中でできるだけ入っていただくように私ども指導もしているわけですが、それよりもさらに就労時間の短いパートの方も数多くおられるわけでございまして、そうした場合に、先ほどお答えしましたような、いわゆる企業サイドの意識あるいはパートタイマーの方自身の意識といった面で、全部が全部、退職金よりも日々の賃金の引き上げを希望されるといった面があって、そうした面で退職金が必ずしも普及してないと、こういう面があろうかと思います。
 それから派遣労働者の場合には、いわゆる常用型と先生御指摘の登録型とあるわけでございます。常用型はこれはもう純然たる常用ですから、派遣元において退職金制度というものも適用される可能性は十分持っているわけでございますが、
登録型の場合には、手を挙げたときだけ就労をするという形になるものですから、そういう面では、言うなら断続的な就労形態というものも出てくるし、その場合の退職金のいわゆる基礎になる期間をどう見ていくかといったようなことも、必ずしも常用の場合とは違って、企業のサイド、それから派遣労働者自身のサイドからの声も私ども実は必ずしも強く耳にしているわけじゃございません。ただ、そうした声がありながら、まだ表面に出ていないというところも率直に言ってあろうかと思いますから、この辺は、近く派遣法が施行にもなる予定でございますので、その施行の状況を見ながら私どもとしてもこうした派遣労働者に対する退職金制度の適用について、今までどちらかといえば何も実はやってなかったというわけでございますから、検討を進めてまいりたいと思います。
#82
○高杉廸忠君 ぜひ、パートタイマーや登録型の派遣労働者の労働福祉の向上のために、中退金制度の適用について早急に検討していただきたい、これもこの際要請をしておきます。
 同時に、パートタイマーで少し具体的にお聞きするんですが、実際に加入まで持っていくためには、経営者と労働者の双方に対する加入促進、宣伝、これが必要であるし、その場合、自治体の協力がぜひとも必要だと、こう考えるんですけれども、いかがでしょう。
#83
○政府委員(小粥義朗君) パートタイマーの場合、既に自治体の中に、そうしたパートタイマーを対象とする退職金制度の創設についていろいろ主夫をしておられる自治体もございます。そうした面からは、自治体のいろんな働きかけというものが大きな力を持つものと考えますが、派遣労働者、特に登録型派遣労働者について自治体の立場でどういう形の働きかけなり活動というものが考えられるか。これは今までのところむしろない、初めてこれから出てくる問題かと存じます。特に、派遣法施行に当たります職業安定機関の対応も、その面から今後そうした事態についての検討を必要とするかと思いますが、パートタイマーについては、御指摘のように、自治体の活動あるいは働きかけといったものがかなり大きな影響を持つものというふうにも考えますので、そうした点は、今後私どもも大いにその面での推進が図れるような対応をしてまいりたいと思います。
#84
○高杉廸忠君 特にパートタイマーで申し上げるわけですけれども、自治体で加入助成措置をとっているところというのは、昭和五十七年四月で一県百二十一市、それから二区五十五町五村、こういうふうになっているんですね。それで、パートヘの助成でなく中退金より特退共への助成、または最近は摂津市のパートタイマー等退職金共済条例、こういうものや大阪府の貝塚市のパート労働者を対象とした中小企業退職金共済掛金補助制度、こういうものが七月からスタートするというふうに聞いているんです。
 こういう積極的に取り組んでいる自治体があるわけですから、国としても対策、対応、こういうものを急ぐ必要があると思うんです。自治体に対する協力もさることながら、国の積極的なそういう姿勢もぜひ必要だと思うんですが、いかがですか。
#85
○政府委員(小粥義朗君) パートタイマーに対します退職金の適用の問題は、今御指摘になりました近畿地方の市において積極的な対応が出されているわけでございます。私どもも実は、そうした市の行っておりますパートタイマーの退職制度は国の制度としてつくれないのかというふうなこともいろいろと意見をいただいているわけでございますが、今回の中小企業退職金共済制度は、あくまで中小企業を対象としてのものでございますので、一部自治体で行っておりますパートタイマーの退職金制度、これは大企業、中小企業を問わず、いわゆるパートタイマーに着目しての制度でございますから、必ずしもかみ合わない面があったわけでございますけれども、いずれにしても、パートタイマーの退職金問題については、私どもも今、パートタイマーの雇用管理に関する研究会を省内で持っておりますので、その中で検討してもらうことにいたしております。
 なお、御指摘のありました貝塚市の事例は、これは中小企業退職金共済制度を前提としての奨励措置でございますが、これはこの制度に直接結びつく制度でございます。まだ詳しい内容は承知しておりませんので、私どもも至急勉強したいと思っておりますけれども、それがこの普及促進に相当な効果を持つということであれば、これは大いに今後も広めていってしかるべき対応ではないか、こういうふうに考えております。
#86
○高杉廸忠君 局長ね、パートについて検討いただくということでありますから、ぜひひとつ頭に入れておいていただきたいんですけれども、現行の支給条件では、一般の場合で言いますと一年未満、これは不支給になるわけですわ。一年以上二十三カ月までは掛金総額を下回る額、こういうふうになっていて非常に少ない。不支給の条件もある。検討委員会ができて積極的に検討されるようでありますから、それらを含めて前向きにひとつ支給条件についても御検討いただいて、できるだけ不支給がないようなことも含めてお願いをしたいと、こう思うんですが、いかがですか。
#87
○政府委員(小粥義朗君) 先ほどお答えいたしましたパートタイマーについての雇用管理の研究会、全般的にパート問題についてやるわけでございますので、その中で退職金問題もあわせ検討を行うということでやることにいたしておりますが、確かに御指摘のような、パートタイマーの場合のいわゆる掛け損、掛け捨て、常用労働者を対象とした今の中小企業退職金共済制度、それと同じであるより、むしろパートタイマーの特質に着目した形のものがあってしかるべきではないかという御意見かと存じますけれども、これはパートタイマーの方の希望等もいろいろまた把握をしてまいらなければならない問題でございますので、そうしたパートタイマーの希望等を把握しながら、それに合った形の退職金制度というのはどうあるべきか、そうした観点で研究を進めてまいりたいと思います。
#88
○高杉廸忠君 中小企業退職金共済制度、大臣ね、魅力あるものにしていく、そして、その普及率を高めていく、こうでなきゃならぬと思うんですね。どうしても魅力に乏しい。いろんな今までのお答えを聞いていても、大企業に比べると格差が大きくて低い、そういう実態。
 それで、この際伺うんですけれども、今回の法改正の中身で、退職金給付の水準、これを引き上げる必要があると思うんですが、これはどういうふうになっていますか。
#89
○政府委員(小粥義朗君) 退職給付の水準は、これは掛金に応じて決めるという仕組みをとっているわけでございます。
 結局、従来の退職金の支給額が実績として低い数字しか出てないというのは、つまるところ掛金月額が低いというところに帰着するわけでございますから、したがって、なるたけ高い掛金で申し込まれるような形に今回いろいろ奨励措置も考えているわけでございます。掛金は一定にしておいて二正期間掛けた場合に、その際に支給される退職金の額を引き上げるとなりますと、これは全体の収支の問題になってまいりますので、掛金を高めることでもって退職給付の額の水準の向上を図るということで対応したいと思っておるわけでございます。
#90
○高杉廸忠君 大臣ね、これまた要請、お願いになりますけれども、いろいろずっと今まで論議をしてきましても、魅力あるもの、そして掛金との関係もありますが、できるだけ給付水準、退職金をたくさんできるようにする、そういう制度の見直し、これについては、やはり非常にテンポの速い今日の情勢ですから、情勢の推移を勘案して、現行の五年というのを少なくとも三年ぐらいに短縮して、そしていろんな問題点も浮き彫りにされていますから、そういう内容を盛り込むように、三年に短縮してでも制度の見直し、これをしていくべきだ、こういうふうに考えるんです。大臣、どういうふうにお考えになりますか。
#91
○国務大臣(林ゆう君) 今回の改正によりまして、私どもは、中小企業退職共済制度というものへの
一層の加入促進や退職金水準の向上が図られるものと期待をいたしておるわけでございますけれども、昨年十二月の審議会の建議におきまして「引き続き慎重に検討すること。」とされました年金制度の導入の問題や、制度改正後の運営の中で新たに生じる問題等につきましては、今回の中退法の第九十八条の「五年」といったものにこだわらずに、必要に応じまして適宜審議会を開くなどいたしまして検討をしてもらい、給付改善の問題も含めまして、今後ともこの制度の一層の改善、充実が図られますように私どもとしては努めてまいりたいと思っております。
#92
○高杉廸忠君 ぜひひとつ積極的にお取り組みいただきたい。お願いをしておきます。
 それから、具体的に今度は今回の法改正の中身について伺うんですが、掛金の月額の最低額を千二百円から三千円に引き上げるんですね。二・五倍の引き上げ率、これは前回の法改正のときの一・五倍と比べると大変大きい、こういうふうに思うんですが、二・五倍の率にした理由、それから今回の最高額の引き上げの倍率一・二五倍、そうしますと、前回の法改正時の一・六倍に比べて逆に低いわけですね、その理由、これはどういうふうになるんですか。
#93
○説明員(若林之矩君) 最高の掛金額につきましては、前回の法改正以降の賃金とか退職金等の推移を見ますと、二五%程度の上昇が見られているわけでございます。したがいまして、一万六千円の二五%アップということで二万円に引き上げることといたしております。
 それから最低掛金額につきましては、現行の最低掛金額は千二百円でございます。これに二五%ということになりますと大変低い金額にとどまるわけでございます。たびたび申し上げることでございますけれども、やはり給付の水準をできる限り引き上げていくということのためには、最低掛金額というものを大幅に引き上げるということがまず必要であろうかと思うのでございます。仮に千二百円の掛金で三十年加入し続けますと、その退職金は百五十万ぐらいということになるわけでございまして、民間の退職金水準のモデルの四分の一程度にとどまるということでございます。そこで、この制度における退職金額をできる限り民間退職金の水準に引き上げるというためには、最低掛金額の大幅な引き上げが必要となってまいるわけでありまして、最低掛金額を引き上げますと、最低が上がるだけじゃなくて、その波及効果としてほかのところも、つまり最低以上のところも徐々に引き上げられ、全体の掛金月額の水準がかなり引き上がるという効果が期待できるわけでございます。
 そこで、どうして三千円ぐらいにしたかということでございますが、期間雇用者を対象といたします特定業種の退職金共済制度における掛金日額を月額に換算いたしますと、建設業で三千七百八十円、清酒で三千円、林業で二千二百五十円となっておるわけでございます。その他、最近におきます中小零細企業の加入時の掛金の水準、こういったものも勘案いたしまして千二百円を三千円と、大変大幅でございますけれども、引き上げることにしたわけでございます。
#94
○高杉廸忠君 次に、資産運用の方法に生命保険を加えるわけですね。
 そこで伺うんですが、導入をしたねらいというのは何なのか、それからまた生命保険契約について、契約を締結する生命保険会社というのは何社ぐらいなのか、この際明らかにしていただきたいと思うんです。
#95
○説明員(若林之矩君) 中小企業退職金共済事業団または特定業種退職金共済組合と生命保険会社の間で、この中退制度の被共済者を被保険者といたします生命保険の一種で、退職年金制度に活用されております企業年金保険契約というものを締結することによりまして、生命保険会社に納付する保険料を企業年金資産として運用をしてもらう、保険契約者でございます事業団あるいは特定業種退職金共済組合は、被保険者の退職時に一定率の運用利回りによった保険金を受け取るということにするわけでございます。と同時に、一定率を超えた運用実績の部分についてはさらに配当を受けるということになるわけでございますが、これが今回の生命保険で運用するということの中身でございます。
 こういうような資産運用の方法として、現在生命保険が法律上は規定されてないわけでございますけれども、これを法律を改正して導入することとした意味でございますが、現在は、御承知のような低金利の状況下でございまして、従来の定められました資産運用の方法だけでは運用の利回りが低下をしてまいります。制度の安定的な運営を図るという観点からは、安全でしかもできる限り有利な方法がございましたならば、これを取り入れさせていただきまして、できるだけ効率的に運用するということが必要であるというふうに考えておるわけでございます。
 もう一つは、運用の面ではないのでございますけれども、生命保険会社と運用についての契約を結ぶということになりますと、当然、生命保険会社による制度への加入促進というものが期待できるわけでございまして、私どもこういった形での加入促進の力も期待していこうというふうに考えておるわけでございます。
 じゃ、どういうところと結ぶのかということでございますが、契約を締結いたします生命保険会社は、企業年金を取り扱っております生命保険会社全社を対象といたしております。将来的には、ただいま申しましたように、大いに制度加入の力になってもらいたいわけでもございますので、制度への加入促進等の実績に応じて資産の運用を委託していくというふうにしたいと考えております。
#96
○高杉廸忠君 次に、退職金給付に対する国庫補助を廃止して、掛金負担軽減措置に要する費用に対する国庫補助、これを新設することになっていますね。これはどういう理由なんですか。
#97
○政府委員(小粥義朗君) 従来の国の補助が、いわゆる給付補助とそれから事務費補助と両方あったわけでございますが、その一つである給付補助が掛金月額の最低額に対応する形で決められておりました。したがって、一番低いところにへばりついていたというような形になっておりました。それがついているために、かえって加入の申し込みの掛金月額がその補助に見合う部分にどうしてもとらわれやすい、言葉をかえますと、掛金月額は低いところに集中する逆の理由にもなっていた面も実はあるわけでございます。したがって、そうした国の補助というものがもっと全体の掛金、ひいては給付の水準向上に役立つように考えるべきではないかということで、むしろ従来ついておりました国の補助は、事務費の補助の充実に充てるということで、従来の形の給付補助はこれを廃止し、かわりに直接的な助成の形でございます掛金に対する助成という形で制度を変えたい、こういう趣旨でございます。
#98
○高杉廸忠君 それじゃ局長ね、掛金助成に要する費用を労働保険特別会計予算から支弁するわけですね。そういうことですね。その理由、それはどうでしょう。
#99
○政府委員(小粥義朗君) これは、中小企業退職金共済制度が個々の企業では退職金制度がつくりにくい、そういうところに国がかわってその制度をつくる、こういうことでございますから、事務費についてはこれは国の負担において補助をする。
 給付の問題になりますと、これは従来、制度発足以来、一部の補助はついていたわけでございますが、いわゆる給付補助は退職金そのものになるわけでございますから、退職金は、本来でしたらこれは使用者責任において負担されるものということになりますと、労働保険の中で使用者だけの拠出によるものがあるわけでございますから、そうした使用者責任による退職給付については、使用者の拠出による資金をもって充てることがむしろなじむんではないかといった点が一つでございます。
 それからもう一つは、こうした掛金助成を行い
ますことが、中小企業における雇用の安定なり、あるいは中小企業で今後退職金の不払いといった事態が出ないように未然に防止するためにも、中小企業退職金共済制度の普及、適用が大きな効果を持つわけでございますから、そうした雇用の安定あるいは退職金の保全といった観点からも、いわゆる労働保険の福祉事業としての趣旨にかなうものであるという、そうした両面から、今回労働保険特別会計で支弁をすることに切りかえたわけでございます。
#100
○高杉廸忠君 時間がありませんから、この論議についてはいずれ機会を改めてしたいと思いますが、労働省のよって来るものは労働保険特別会計ですべてやろうと、これはやはり国の財政、予算のあり方の基本的な問題だと思うんです。私は立場を異にして、やはり国がきちっとしたことをやるべきだという立場に立っていますから、この辺についてはまだ論議をする機会を得たいと思います。
 時間がありませんから、先に進めさせていただいて、建設業の退職金共済制度の問題について伺うんですが、共済に加入しても証紙が貼付されていないケースが非常に多いということも聞いているんです。そういう実態を労働省の方ではどういうふうに把握されておりますか、伺います。
#101
○説明員(若林之矩君) 建設業退職金共済制度の加入の促進、手帳の交付、そして証紙の貼付ということにつきましては、かねてから御指摘をいただいている問題でございまして、昨年の十月に、建設業退職金共済制度への加入状況、証紙の購入状況等について調査をいたしました。
 それによりますと、制度への加入率は、元請では一〇〇%、一次の下請ですと七四%、二次の下請ですと二七%と、二次の下請の加入率が大変低くなっております。
 制度に加入しております企業でも、加入対象者の一部についてしか被共済者としていない、つまり手帳を交付していないということが出ております。これもやはり二次下請の方になりますと、交付をしていない比率が高くなっておりまして、一次下請の場合でございますと、半分ぐらい交付している。二次下請になりますと、一五%ぐらいしか交付をしていないといったような結果が出ておるわけでございます。
 それから証紙につきましては、元請が購入いたしまして、下請に対しまして被共済者の就労日数分の証紙を必要数交付しているというような結果を得ておるわけでございます。
#102
○高杉廸忠君 具体的には、貼付の履行確保対策ですね、どういうふうに考えていますか。
#103
○説明員(若林之矩君) 建設業におきます加入の促進、手帳の交付、証紙の貼付の履行確保につきましては、従前から建設省当局とも連携をとりまして進めてきておりまして、公共工事につきましては、一つには、工事費の積算に当たりまして建設業退職金共済掛金相当額を含めるということにいたしております。第二といたしましては、工事を受注いたしました建設業者から、発注官庁等に対しまして共済証紙購入状況の確認に必要な書類を提出させるということにいたしております。それから、受注業者が下請契約を締結いたします際には、掛金相当額を下請代金の中に算入するか、または、先ほど申し上げましたけれども、下請業者に対して共済証紙の現物を交付するということを勧奨いたしておりまして、こういったような形で指導を進めてまいっておるわけでございます。
 ただいま申し上げました調査結果からも、手帳の交付の実情を見ますと、手帳の交付を受けておりますと比較的印紙の貼付が履行されているということでございまして、ポイントは、手帳が交付されているかどうかというところにあるというふうに認識をいたしているわけでございます。
 そこで、今回の法改正におきましては、新たに加入した被共済者を雇用した事業主、言いかえますと、事業主が労働者に初めて共済手帳を交付するという場合につきましては、その事業主に対して国の補助によりまして掛金の一部免除措置を講ずるということにさせていただくということで提案をいたしているわけでございます。これによりまして、従来、制度に加入しておりませんでした期間雇用者についても、手帳交付が進みますと、一たび手帳をもらえば、その手帳がいっぱいになれば次の手帳をくれということになりますし、手帳をもらえば、これに印紙を押してくれということになるわけでございますので、手帳の交付が進みますと証紙の貼付の履行も進むというふうに期待しているわけでございます。
 今後とも、引き続き関係官庁とも協力を深め、また、新しいこういった掛金助成を活用いたしまして、履行の確保を図っていきたいというふうに考えております。
#104
○高杉廸忠君 建設業退職金のことについて特にお願いしておきますけれども、掛金改正については六年間据え置きとなっているわけですね。日額百八十円を四百五十円まで引き上げていい、こういうふうになっているわけですから、これについてもぜひ検討いただきたい。
 同時にまた、建設業退職金事業本部、それで運営委員会、これをぜひ設けていただいて、証紙の取り扱いも具体的にできるようにひとつ御指導いただきたい。
 それから、特に証紙の取り扱いの業務委託ですね。これは地域に行きますと、銀行とか郵便局とかの窓口で取り扱っているけれども、地域によってはない非常に不便なところもある。したがって、身近なところで手に入るような方法を具体的に検討し、実施ができるように、例えば農協で扱うとか、そういうことも含めてひとつ実施ができるようにしていただきたい。どうでしょう。
#105
○説明員(若林之矩君) 特定業種の退職金共済の日額の問題でございますが、一般の退職金共済は、法律で掛金の額が書いてございますけれども、特定業種退職金共済の場合は、法律で一定の幅が書いてございまして、その範囲内で業種別の団体が定款で決めるということになっているわけでございます。これまでのケースでは、法律の改正のたびに掛金日額の引き上げが行われているわけでございますが、中小企業退職金共済審議会の建議におきましては、賃金あるいは退職金等の動向も踏まえながら、この日額の問題が適切に対応されるようにというような建議をいただいておるわけでございます。私どもといたしましては、こういった建議も踏まえまして、業種別の団体に対しまして掛金日額が適切に定められるように要請をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから運営委員会でございますが、これは特定業種退職金共済組合に運営委員会がございまして、中小企業退職金共済審議会の使用者側の委員の方、労働者側委員の方に参加していただいておりますが、こういったものも積極的に活用していきたいというふうに考えております。
 それから印紙の購入の件でございますが、現在は金融機関で扱ってもらっておるわけでございまして、かなり支店もあるわけでございますので、私どもといたしましては、現在証紙の売りさばきにつきましては比較的うまくいっているのではないかというふうに考えている次第でございますが、かねてから郵便局等でも扱わせたらいいのじゃないか、今、先生御指摘のような農協でもといったような御意見もございます。ただいま申しましたように、地域によってはあるいはそういうあれもあるのかもしれません。私どもは、全般的には現在の売りさばきでうまくいっているように考えておりますけれども、なお引き続き、御意見でございますので、研究をさせていただきたいと存じます。
#106
○高杉廸忠君 不便なところもありますから、ぜひひとつ前向きで実施ができるようにお願いをしておきます。
 最後に、労働大臣から所見を伺って、私の質問を終わりたいと思うんです。
 この法律の第四十四条第一項第二号で、共済事業団は、保健だとか保養、教養のための施設の設置、運営を行うこと、こういうようになっているわけですね。そこで、施設の設置、運営状況について、もし未設置であるなら具体的にスケジュール
を組んで、設置に向けての取り組みを積極的にしていただきたい、これが一つです。
 それから融資制度の拡充について、中小企業事業主に対して労働者の福祉施設の設置に要する資金を貸し付けることに限っていますけれども、中小企業に働く人たちの子供の進学とか、あるいは結婚や住宅建設等に要する資金の貸し付けもぜひひとつできるように検討をいただきたい、こういうように思うんです。
 私は、本法案の審議に際して幾つかの提案をいたしました。要請をいたしました。これらはすべて働く人たちの福祉の向上、生活の確保、こういう観点であり、働く人たちの基本的な権利の実現でもある、こういうように思うんです。
 したがって、それらの諸点について要請申し上げましたから、具体的にその実現ができるように、労働大臣の一層の御指導をいただきたい。特に大臣に期待するところ大でありますから、最後に大臣の所見を伺って、私の質問を終わります。
#107
○政府委員(小粥義朗君) 今、御指摘の中に融資問題がございますので、私からその分についてお答えをしたいと思います。
 中退事業団が持っております資金、これをできるだけ事業主に還元すべきではないか、あるいは退職金の支給の対象になる労働者の福祉に還元すべきではないか、こういう御意見もいろいろいただいているわけでございます。
 施設につきましては、事業団みずから施設の設置、運営ができるようになってはおりますが、直接は今やっておりません。しかし、間接的な方法として、事業主に対する施設の資金の融資といったもの、あるいは地方債を通じてやるといったような形でやっているわけでございまして、一方また、労働者に対するいろんな資金の需要に対して融資をするという問題もございますが、実は、これらの事業団の資産はいずれも将来の退職給付の原資に充てなければならないものでございますので、したがって、その運用は安全でなければならないということが要請されるわけでございます。そうなりますと、融資の利息というものも、低いもので採算がとれるというわけにはまいらないといった面もございまして、今までのところ、融資業務については必ずしも積極的な広がりを見せておりません。
 今、特に御指摘のありました労働者に対する進学であるとかあるいは住宅等の資金の問題、これは一方で財産形成貯蓄というものがございます。その中で、その貯蓄を原資にした融資制度も実は制度として道が開かれておりますので、御指摘の点は、そうした中でさらにうまく生かされるように私ども検討してまいりたいと思います。
#108
○国務大臣(林ゆう君) 先ほど来、いろいろと貴重な御提言、御意見などを私どもは拝聴いたしました。
 今回のこの法改正に当たりまして、そしてまたこの法律を運営するに当たりまして、私どもといたしましては、それぞれの御意見を十分に参考にいたしながら、これの運営に努力してまいりたいと思います。
#109
○委員長(岩崎純三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四分開会
#110
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#111
○中西珠子君 日本経済の中で中小企業が果たしている役割は大変大きく、日本の経済発展に対する中小企業の労働者の貢献度も非常に高いと思いますが、中小企業と大企業では賃金、労働条件に大きな格差があり、殊に退職金については、中小企業での退職金制度の普及率は大変低く、退職金そのものも非常に低水準にあります。
 殊に、従業員規模一人から九人の企業では、退職金制度の普及率は五三・八%と約半分にすぎないと言えますが、その五三・八%の企業は、中退金共済制度加入と考えてよろしいわけでしょうか。
#112
○説明員(若林之矩君) ただいま御指摘ございましたように、十人未満の企業におきます退職金の普及の状況というのは大変低いものがございます。
 私どもの中小企業退職金共済制度の加入状況を見ますと、二十五万の加入事業場のうちで、その九十数%が三十人未満の零細企業でございます。わけても六六%ぐらいが十人未満のところでございます。したがいまして、中小企業退職金共済制度という点から見ますと、そのほとんどが十人未満の零細企業の事業主が加入している、そこで働いている労働者がその恩典を受けているということでございますけれども、何分にも十人未満の事業場というのは多いわけでございまして、先生おっしゃいましたような、今五三%ぐらいの零細企業で退職金制度を持っているもののほとんどは中小企業退職金共済制度に入っていると、こういうふうには言えない現状にございます。
 こういった零細企業に対して、私どももますます加入促進を図らなきゃならないというふうに考えておる次第でございます。
#113
○中西珠子君 特定業種退職金共済の方の加入状況はどうでしょうか。
#114
○説明員(若林之矩君) 特定業種の退職金共済制度で見てみますと、建設業退職金共済制度に加入しております企業は十一万七千でございます。加入労働者数で申しますと百五十五万ということになっております。これはなかなか加入率というのを見るのは難しゅうございます。入っているのははっきりいたしますけれども、分母をどうとるかというのは難しいわけでございますけれども、私ども大体五〇%ぐらいの加入状況ではないかというふうに考えております。
 それから清酒製造業でございますが、加入企業数が三千、加入労働者数が四万一千でございまして、こちらの方はほぼ一〇〇%加入をしているというふうに考えております。
 それから林業の退職金共済制度でございますが、加入企業数が三千、加入労働者数が五万六千ということでございまして、こちらの方はまだ制度ができましてから期間が短いということもございまして、加入の状況は大体三割ぐらいというふうに考えております。
#115
○中西珠子君 中小企業全体を考えますと、中退金共済制度に加入しているのは約一割ぐらいと言われていますね。これはまた最近数年間ちっとも変わってなくて、ずっと一割ぐらいと言われているんですが、この加入率が低い理由というのをどのように分析なすっていらっしゃいますか。
#116
○説明員(若林之矩君) ただいま先生一般の退職金共済制度の普及率一割程度という御指摘でございまして、中小企業の事業場、独自の退職金制度を持っているものも持っていないものも全部分母にいたしますと一割程度の加入率ということになるわけでございます。中小企業の中でもとりわけ小零細企業におきましては、自社の退職金制度の普及率がまだ低いわけでございますので、先ほど申し上げましたように、中退制度に入っております事業場の比率でいきますと、圧倒的に小零細企業が多数入っているわけでございますけれども、普及率という点では大変低い水準にとどまっているということでございます。
 こういうように、小零細企業において退職金制度の普及率が低いということの理由といたしましては、まず何よりもこれらの企業の経営基盤が脆弱であるということが挙げられようかと思います。それから、従業員の生涯福祉というものに対する理解が十分でない。次に申し上げますけれども、やはり中小企業は離転職が激しいわけでございまして、働いている人の生涯を考えての福祉、ライフサイクルを考えての福祉という点ではやはり立ちおくれがあるわけでございます。
 それから、退職金制度は一般に終身雇用慣行というものを前提にしているわけでございますけれども、小零細企業では、ただいま申しましたよう
に、離転職が大変に激しいわけでございまして、一般に働いている人の勤続年数が大変短いということでございまして、こういったことから、終身雇用慣行になじみにくい、そういった面からまた退職金制度の導入がおくれているというふうに考えております。
#117
○中西珠子君 非常に加入率が低いということは残念なことでございますね。
 それで、昭和五十五年四月二十四日の参議院社会労働委員会の附帯決議がございますが、これでは、「中小企業退職金共済制度を一層魅力あるものに改善するとともに、加入促進対策を強化し、その普及促進を図ること。」と、こうなっておるわけですね。この附帯決議以来、加入促進のためにどのような御努力をなすっていらしたか、お聞かせください。
#118
○政府委員(小粥義朗君) まず労働省としては、私どもの出先機関であります都道府県労働基準局、それから労働基準監督署を通じまして、事業主に対する呼びかけ、パンフレットの配布とかいったようなことを含めて呼びかけをしてまいっております。それから、中小企業退職金共済事業団それ自体もPR活動をやっておりますのと、もう一つは、事業主団体を通じて啓発、宣伝活動をお願いしてきている。さらに、中退事業団と業務の委託関係を持っております金融機関の手を通じて加入促進の働きかけをするといった、いろんなルートを通じてのことをやっております。
 それらのほかに、そうした諸般の加入促進活動を効果的に行うために、毎年十月を加入促進月間として、そうしたマスコミ機関も活用した形で加入促進の活動を進めるといったことをやってきておりますが、総じて言えますことは、それはいろんなルートがございますけれども、いわゆる広報活動というところが主体になっていたわけでございます。
#119
○中西珠子君 事業主の団体などを通しておやりになるということは、業種別にやっぱり別の対策をそれぞれおとりになっていたということですか。
#120
○政府委員(小粥義朗君) 事業主の団体はいろんなものがございます。例えば商工会議所であるとか商工会であるとか、さらには業種別の団体、協同組合といったようなものもございます。そうした各種の事業主団体を通じて、宣伝あるいは加入の奨励を呼びかけていただいていたわけでございます。
#121
○中西珠子君 共済契約者の脱退状況をどのように把握していらっしゃいますか。相当脱退が多いような感じをこの統計を見ていると受けるんですが、まず一般退職金共済についてお伺いいたします。
#122
○説明員(若林之矩君) 中退制度の五十九年度におきます共済契約者の脱退数は一万五百十八件でございます。それから被共済者の脱退数は二十二万八千八百八十四人というふうになっております。
#123
○中西珠子君 清酒製造業の退職金共済の加入、脱退状況の推移を見ますと、共済契約者は五十六年度に大量に脱退しているわけですね、二百一。それからそれ以後の脱退は少ないように思えます。しかし、五十六年度に非常に脱退数が多かったというのは、どういう理由なんでしょうか。
#124
○説明員(若林之矩君) 清酒製造業の脱退状況でございますけれども、五十二年から五十四年ぐらいまでは大体低い五十人から七十人ぐらいで推移いたしておりましたが、確かに先生御指摘のように、五十六年には脱退いたしております事業所数が二百一でございます。確かに五十六年は脱退が多くなっております。
   〔委員長退席、理事大浜方栄君着席〕
五十七年以降は脱退がとまったわけでございますが、ちょっと私どもこの経緯は承知しておりませんので、また調べましてお答え申し上げたいと存じます。
#125
○中西珠子君 ちょっと関心がありますので、後でお知らせください。
 建設業の退職金共済の方は、昭和五十七年度に大量の共済契約者の脱退が出ていますね。これは五千九百八十二という数字が出ていますが、それ以後五十八年が四千七百九十二、五十九年が三千五百五。五十七年以前に比べると、その以後の方が増加しているように見られますが、その理由については把握していらっしゃいますか。
#126
○説明員(若林之矩君) 建設業の脱退状況でございますけれども、過去におきましても、例えば四十八年ごろに四千三百ぐらいの脱退が出たことがございます。そういうことで、建設業につきましては過去につきましても、かなり脱退が波を打っている点がございまして、これはやはりそのときどきの建設業界の景況等も反映しているんではないかというふうに考えております。
#127
○中西珠子君 景気の反映ということは、建設業あたりは非常にもろに言えると思うんでございますが、一般の方の脱退の防止策というふうなものはとっていらっしゃらないわけですか。
#128
○説明員(若林之矩君) 先ほど、中退制度一般の場合におきます企業の脱退が、五十九年度の場合は一万五百件あると申し上げましたが、これの脱退の原因について見ますと、その大半が被共済者の全員退職ということでございます。
 具体的に申しますと、事業主が一人、従業員が一人というようなことで、その従業員について中退制度に入っていていただいた。ところが、その一人の従業員の方が退職をしたので、そこで脱退をするというようなケースが大半でございます。しかし、中にはやはり経営不振による掛金滞納といったようなものもあるわけでございます。それから被共済者の脱退数でございますが、二十二万八千八百と申し上げましたが、これはもうほとんどが退職による脱退でございます。
 そこで、先生のただいまの御指摘は、そういった事業主が制度から脱退するのを防止する方策はないのかと、こういうことではないかと存じますが、これにつきましては、私ども相談員制度というようなものを持っておりまして、こういったケースについていろいろ御相談に応ずるというようなこともいたしておりますが、今後ともこういった企業の脱退というものを防止いたしますためには、この相談員制度等を強化して、事業主の御相談に十分に応じるという体制をとっていかなきゃならないと思いますし、やはり金融機関が何といいましても日ごろ掛金を収納しているところでございまして、毎月毎月の収納状況を一番把握しているところでございますので、金融機関との連携も強化いたしまして、できる限り脱退を防止していくということに努力してまいりたいと考えております。
#129
○中西珠子君 円高で打撃を受けている事業主の掛金滞納ケースというのが、もう既に出てきているのではないかと思いますが、どうでしょうか。
#130
○説明員(若林之矩君) 現在のところ、私ども、円高の影響で事業主の方から脱退の御相談があるというようなことは聞いておりません。
#131
○中西珠子君 脱退とまでいかなくても、掛金がなかなか納められないで、掛金納付を猶予してもらいたいというふうな、そういうケースは出ていませんか。
#132
○説明員(若林之矩君) まだ、私どものところではそういったケースは聞いておりません。
#133
○中西珠子君 そういう可能性も非常にあるのではないかと思うんです。もしそういうケースが出てきた場合には、納付期限延長とか、そういうことはできないでしょうか。一時的な猶予措置ということはできないんでしょうか。第二十一条では、五人未満の従業員規模の共済契約者については納付期限の延長とかありますね。しかし、こういう五人未満の規模でない、もう少し大きい規模の共済契約者で掛金納付ができなくなった場合の猶予措置というのはないんでしょうか。
#134
○説明員(若林之矩君) そういう景気の状況に応じて、いろいろと事業主の方が財政的に難しい状況に陥るというようなケースは過去にもあるわけでございますし、しかし、やはり労働者の老後のための退職金制度でございますから、そういった中でも何とか契約を続けていただいて、退職金制
度を維持していただきたいと私どもは考えておるわけでございます。
 そこで、今、先生が御指摘のような事態になりましたときに考えられますことの一つは、労働大臣の認定を受けて掛金の減額をするということが一つ考えられるわけでございます。もとより、私ども、掛金の減額につきましては、やはり安易に認めるわけにもまいりませんので、これにつきましては、経営の悪化の状況などにつきましての一定の基準を設けまして、そういった状況になったときにはこれはやむを得ないということで、認定をし減額をして契約を続けていただくということにしているわけでございますけれども、さらにそれも難しいということになりますと、いよいよ掛金の滞納になります。なりましても、直ちにこれで契約を解除ということは、やはり何としても維持していただきたいという面からいいますとそういうことはできませんので、一年間掛金の納付を猶予するということにいたしております。一年間滞納ということになりますと、この時点では契約解除もやむを得ない、こういうことでございます。
#135
○中西珠子君 逆に、中退金法適用のために中小企業の要件があるけれども、中小企業でなくなった場合、今度は脱退するわけですね。それはよくなったケースかもしれないんですけれども、そういうケースは非常に多いでしょうか。
#136
○説明員(若林之矩君) 中小企業の退職金共済制度に入っていただいております企業は、何と申しましても零細企業でございますものですから、幸いに大いに成長されて中小企業でなくなると、人数の要件が仮に三百を超しましても資本の要件というのもございますので、資本の方も人数の方も両方とも中小企業の対象となる要件を超してしまったというものは年間に数件と、大変わずかなものでございます。
#137
○中西珠子君 この中小企業の要件というのは非常に厳しいもので、絶対に弾力的に運用はできないものなんでしょうか。もうぴしっとなっていて、一人でも二人でもふえたなんというと、もうだめだということになるんでしょうか。
#138
○政府委員(小粥義朗君) 三百人を一人でも超えたらもうだめであるとか、資本金が一億円を一円超えたらだめだとかいうようなしゃくし定規なことではなくて、これはやはりそうした状態をとらえて判断するというのが建前でございますから、ある瞬間を超えたから即だめであるというようなことではなく、一定の継続する期間を見て私どもは判断をしたい。そういう形の中で弾力的な取り扱いができるようにしていきたいというふうに考えております。
#139
○中西珠子君 それでは、加入促進の対策として、今度は掛金の減額措置というものをお考えになっているらしいんですけれども、法律案の十八条の二、それが一般の方で、八十三条の二が特定業種の方ですね。これの内容について御説明ください。
#140
○説明員(若林之矩君) 今回、新設することになります掛金助成の内容について御説明申し上げます。
 本制度に新たに加入することによります負担あるいは掛金の引き上げに伴います事業主の負担を軽減させて、新規加入及び掛金引き上げの促進をストレートに図っていこうというものでございまして、この具体的な内容は省令で定めることにいたしております。
 第一に、新規の加入事業主に対します掛金助成、これは中小企業退職金共済事業団、一般の方でございますが、新規の加入事業主に対しまして掛金総額の三分の一につきまして加入後二年間助成をすることにいたしております。
 第二点目といたしましては、掛金月額の変更に係る掛金助成でございます。これも中小企業退職金共済、一般でございます。これは事業主が掛金の月額を変更した場合、三千円を六千円に引き上げるといったような場合でございますが、こういった増額に要する費用の三分の一につきまして、変更後一年間助成をするということにいたしております。
 それから第三点は、これは特定業種の退職金共済の場合でございまして、新規被共済者に係る掛金助成というものでございます。新規被共済者を雇用する事業主に対しまして、最初の一年間につきまして証紙貼付に要する費用の五十ないし六十日分について助成をするというものでございます。
 これはもう少し具体的に申し上げますと、特定業種退職金共済制度というのは、御承知のように、業界の退職金制度でございまして、業界の中を労働者が移動する場合にはすべて通算されて適用されるものでございます。したがいまして、手帳を持ってAの事業主からBの事業主へ行って張ってもらうわけでございますが、一番最初に労働者に手帳を交付した事業主について、その交付した手帳について、ただいま申し上げましたように、五十ないし六十日分の証紙の貼付に要する費用を免除するということでございます。第一冊目の手帳に助成がつくと、こういうものでございます。
#141
○中西珠子君 今のは十八条の二と八十三条の一と、後の方が今おっしゃった特定業種の方ですが、省令事項にこれからなさるものの内容を御説明くだすったわけですね。
#142
○説明員(若林之矩君) そのとおりでございます。
#143
○中西珠子君 こういった加入促進対策、非常に結構だと思うんですけれども、その費用、それを労働保険特別会計から支弁するということだそうですが、これは労働保険の目的に反しないかという心配があるわけです。そしてまた、法律的に問題はないだろうかと心配する向きもあるわけですが、いかがですか。
#144
○政府委員(小粥義朗君) 私ども、労働保険特別会計からこの掛金助成に要する補助金を支弁することにいたしました理由は、大きく言って二つあるわけでございます。
 まず、特別会計は雇用勘定、労災勘定、それぞれ分かれておりますけれども、それは雇用保険、労災保険、いずれもいわゆる福祉事業というものを持っております。その福祉事業、雇用保険の場合はいわゆる四事業でございますが、その目的に照らしてかなうものというふうに考えましたわけですが、具体的に申し上げますと、中小企業のこの退職金制度というものは、中小企業における雇用の安定に非常に大きな効果を持つということが考えられるわけでございます。したがって、雇用保険事業の目的の一つとしての雇用安定というものにも大いに貢献する面がある。
 他方、労災保険におきましては、既に賃金の不払いから生じました場合の立てかえ払い事業の経費を支弁をいたしております。こうした退職金共済制度に加入することは、それだけ退職金の保全が確実になるわけでございまして、従来やっております立てかえ払い事業の対象になるような事故が起こることを、言うならば未然に防止をする、こういう効果を持つわけでございます。
 そういう観点から、それぞれ雇用勘定あるいは労災勘定から支弁をすることはその目的にかなうものであると、こういうふうに考えているわけでございますが、
   〔理事大浜方栄君退席、委員長着席〕もう一つ全体を通じまして、いわゆる掛金の助成は、つまりは退職給付の原資になるわけでございます。退職金の原資は、共済制度に入っているところも入っていないところも含めまして、元来使用者の責任とされているわけでございまして、そうした退職給付に充てるための助成ということであれば、やはり使用者の支弁する経費でもって充てるのがむしろなじむものではないか。先ほど申し上げました雇用保険の四事業あるいは労災保険の福祉事業、いずれも使用者拠出の保険料によりその事業に要する費用を賄う仕組みになっておりますので、そうした観点からも労働保険特別会計からの支出にかなうものあるいはなじむもの、こういうふうに考えたわけでございます。
#145
○中西珠子君 使用者拠出の保険料や掛金、そういったものから使うのであるから使用者側からは問題はないと。それからまた、雇用保険の目的である雇用安定にも資するから雇用保険事業の中の
四事業から出してもいい、労災の方は福祉の目的にかなうと、こういうことなんですね。これから聞かれたときにはそのように御説明いたしましょう。
 今回の法改正によって加入促進のための助成制度ができるわけですが、どの程度これで加入者が増加すると思っていらっしゃいますか。
#146
○説明員(若林之矩君) ただいま申し上げましたように、今回の助成制度によりまして加入促進を図っていこうということでございますが、一般の中小企業退職金制度の共済契約者数、被共済者数につきましては、六十一年の二月末で共済契約者数が二十五万三千事業主でございます。それから被共済者数は百九十七万二千人でございまして、残念ながら最近では伸びが頭打ちの状況にございます。
 今回の掛金の助成の導入によりまして、今後五年間で加入企業、加入労働者、こういったものを二、三割程度何とか増加させたい。この制度を有効に活用することのほか、いろいろと加入促進策を今回の法律の中でも講じさせていただくわけでございますので、こういったものを有機的に活用いたしまして、ただいま申しましたような形で加入企業、加入労働者数を二、三割程度増加させたいというふうに考えている次第でございます。
#147
○中西珠子君 御期待どおりに二、三割は少なくとも加入者がふえるといいと思いますが、掛金減額措置で助成をなさるということは大変結構ですけれども、掛金そのものも引き上げていらっしゃるわけですね。これはもちろん、退職金の充実に貸すように最低の掛金月額を上げて、そして最低を上げるばかりでなく全体を上げる、また月額の刻みも整理した方がいいというふうな中退金共済審議会の建議があったわけでございますが、今回、掛金月額の増加というものは何を根拠にしてお決めになったのかということですね。
 それで、掛金分布状況を見ますと、掛金月額三千円未満の被共済者の割合というのは三六・五%、それから最低の掛金月額千二百円というものは一五・七%で、最も多いわけですね。これを二倍半に引き上げられて最低を三千円にするということになすったわけですけれども、もちろん掛金減額措置をおとりになって一生懸命助成なさるわけですけれども、これは既加入事業主にとっては急激な負担増になるということは全然ないでしょうか。その点についての配慮をするようにという審議会の建議もあるわけですが、増額をなすった根拠というか、考え方というものをお知らせいただきたいと思います。
#148
○説明員(若林之矩君) 最高の掛金月額につきましては、前回の法改正以降の賃金、退職金等の推移を見てみますと、大体二五%程度の上昇が見られております。したがいまして、一万六千円の現在の最高の掛金月額に二五%アップいたしまして二万円の引き上げということにいたしたわけでございます。
 それじゃ、最低の方の千二百円はどうするかということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、今回、民間の一般の退職金の水準というものを比較いたしてみますと、仮に現在の千二百円で三十年加入を続けましてもその退職金は百五十万ぐらいでございまして、民間の退職金水準のモデルの四分の一にも満たないというものでございます。したがいまして、この制度における退職金額を民間の退職金水準にできる限り近づけるというためには、最低掛金そのものの大幅な引き上げが必要になってまいります。こういう最低掛金月額を大幅に引き上げますと、それに伴いましてその直近のところがだんだん上がってまいりますものですから、掛金月額全体の平均を相当引き上げるという、そういう波及的な効果も期待できるわけでございます。
 そこで、千二百円というものを大幅に三千円に引き上げたわけでございますが、引き上げに当たりましての考え方は、期間雇用者を対象といたします特定業種の退職金共済制度におきます掛金日額を月額に換算いたしますと、建設業の場合で三千七百八十円でございます。それから清酒の方では三千円でございます。それから林業が二千二百五十円ということでございます。こういったことと、それから、最近におきます中小零細企業の事業主の方が初めて加入して掛ける最初の掛金の月額の状況を把握いたしまして、これらのことを勘案して三千円と決めたわけでございます。
 現状は確かに、先生おっしゃいますように、千二百円のところに一五%ぐらい張りついているというような状況でございますし、三千円未満のところは三十数%ということでございます。そうすると、千二百円から三千円に引き上げるのは随分急ではないかということでございますが、一つには、今申しましたように、最近の中小零細企業の掛金の最初の加入金額というものはある程度のところへいっているということと、それから、今回は掛金助成をすることになるものでございますから、新規加入の場合で事業主が新しくこの制度に入っていただくということになりますと、三千円ということでございますれば最初の二年間は二千円で済むということでもございます。そうすれば千二百円から二千円へのアップということでもございますので、三千円に引き上げましても、今、先生御指摘のような事業主の加入を阻害する要因にはならないというふうに考えております。
#149
○中西珠子君 三千円で入る場合、今度の最低で入る場合、確かに助成がありますから、三分の一の助成で二千円払えばいいということになって、それがまた二年間続くということですけれども、今まで千二百円が一番多く一五・七%を占めていたということですから、これがかえって加入促進の抑制効果を持つと困るなという心配があるわけなんですね。もちろん大いにPRもしてくだすって、そして助成措置のあることもよくPRしてくだすって、大いに加入率を上げるという御努力をしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
#150
○説明員(若林之矩君) ただいま申しましたように、千二百円から三千円に引き上げるわけでございまして、これまでの過去の改正の経緯からいいますと相当大幅な引き上げになるわけでございます。先生御指摘のような、これが加入の阻害要因にならないように、そのほかにもいろいろと加入促進のための手だてを講じさせていただきますので、全体を総合的に活用いたしまして、今、先生御心配のようなことのないようにして、さらには従来以上に、先ほど申しましたような目標に向けて加入促進の努力を進めてまいりたいというふうに考えております。
#151
○中西珠子君 それでは、この中退金制度の一般と特定業種との、それぞれの退職金共済制度の収支状況を説明してください。
#152
○説明員(渡邊信君) 退職金共済事業団等の収支は、加入脱退状況や金利の動向等によって影響を受けまして、毎年異なっておるわけですが、昭和五十九年度の決算によってこれを見ますと、まず一般の退職金共済制度におきましては、収益が一千八百二十五億七千万円、費用が一千八百三億三千万円となっておりまして、差し引き二十二億円余の剰余金を計上しております。
 特定業種退職金共済制度におきましては、収益が四百五十三億九千万円、費用が四百十三億四千万円となっておりまして、差し引き四十億の剰余金を計上しております。
#153
○中西珠子君 それでは、資産運用の方法として生命保険を加える理由は何ですか。
#154
○説明員(若林之矩君) 中小企業退職金共済及び特定業種退職金共済の資産の運用につきましては、これは法律に規定がございまして、一定の範囲での資産運用が許されているわけでございます。最近は、基調といたしまして低金利の時代になってきておるわけでございまして、従来認められております資産運用の方法ということだけでは、だんだん運用の利回りが落ちてくるということも考えられるわけでございます。現時点で、安全でありしかも効率的な資産の運用の方法がございますならば、これを積極的に取り入れまして効率的な運用をしていくということが、この制度を維持するためにぜひとも必要なわけでございます。そういった観点から、現時点で安全かつ非常
に効率的な運用の方法として、生命保険を資産の運用の対象として加えさせていただくということでございます。
 もう一つは、これは波及的な効果ということでございますけれども、生命保険が資産の運用の対象ということになりますと、当然生命保険の会社が企業に対する勧誘活動をやるわけでございますので、こういったことを通しても新規加入とかあるいは掛金の増額というものが促進されるということでございまして、私どもはこういった波及的な意味での効果も期待をいたしている次第でございます。
#155
○中西珠子君 生命保険を加える理由としては、低金利時代にまさに有利な運用を図るということは大事だし、また勧誘活動を大いにやってもらうという波及効果、これも大いに結構だと思いますが、六十一年度に生保会社へ委託する資産額はどのくらいを見込んでいらっしゃいますか、また対象はどのくらいの会社ですか。
#156
○説明員(若林之矩君) まず、対象の企業でございますが、これは生命保険会社すべてを対象として契約を結ぶということにいたしております。将来的には、何よりもやはり新規加入等についての実績、つまり貢献度に応じて資産の運用をしていきたい、契約を結んでいきたいというふうに考えております。
 当面、生命保険による運用でございますが、総額では年間で四百億前後の運用を予定いたしております。
 いずれにいたしましても、こういった問題は金利の状況等をにらみながら進めていかなければならない問題でございますので、極めて弾力的な問題でございますけれども、ただいま申し上げたような数字を考えているところでございます。
#157
○中西珠子君 それでは、ちょっと年金制度の導入についてお伺いいたします。
 中小企業退職金共済審議会の五十九年八月の建議でも、六十年十二月の建議でも、中退金制度に年金制度を導入することについて検討するべきであるという指摘がなされていますが、労働省のこれに対するお考えをお聞きしたいと思います。
#158
○政府委員(小粥義朗君) 私ども、労働者の老後の生活保障としてこれから年金が非常に大きな役割を占めてくることになると考えております。その場合に、いわゆる公的年金と、それから職域年金と申しますが企業年金的なもの、それとまた個人保障によります、個人の貯蓄によります対応と、大きく言って三つの領域があろうかと思っておりますが、公的年金だけではなかなか老後の生活の保障は得られない。したがって、職域保障としての企業年金というものは、今後さらに重要性が高まってくるんではないかと考えております。民間企業における流れを見ましても、いわゆる退職一時金が年金化をする方向に今動いております。
 そういう意味では、この中小企業の退職金制度におきましても、年金制度の導入ということはやはりいずれ考えなければならない問題であるというふうに考えておりますが、現状においては、この中退の退職金の額は平均で三十七万円強というような額でございますから、年金化をするにはまだまだ熟していないということもございますので、今回は改正の中に織り込んでおりませんけれども、審議会の方ではそうした問題意識の提起がございましたので、私ども今後その面の検討をしてまいりたいというふうに思っております。
#159
○中西珠子君 検討を続けていただきたいと思います。
 次に、パート労働者の退職金問題でございますが、中退金制度にはパート労働者は締め出しということではないんですね。これについての指導はどのようになすっていますか。
#160
○政府委員(小粥義朗君) 中退制度は、いわゆる包括加入の原則をとっておりまして、ある企業でこの共済制度への加入の契約を結びますと、その企業が雇用しております従業員を原則として全部被共済者ということにする建前でございますが、ただ、その従業員の中には、いわゆる常用労働者だけではなくて、パートタイマーあるいは期間を決めて雇用されます臨時労働者といった方もおられますので、そうした方については、これは包括加入の原則の適用を除外しても差し支えないと、こういうふうにいたしているわけでございます。
 その意味で、パートタイマーの場合は必ずしも包括加入の対象になっていないということでございますけれども、パートタイマーの方にも、いわゆる常用に近い形で働いておられる方がおられるわけでございまして、通常の就業時間が常用労働者の三分の二以上超えるような時間で働くパートタイマーの方については、これをできるだけ包括加入の建前にのっとって加入の対象にしてもらうように、私ども指導としてはいたしているわけでございます。
#161
○中西珠子君 それは大変結構でございますから、大いに強力な指導をしていただきたいと思います。
 パートは、何といっても賃金、労働条件は悪いし、それから雇用の安定がないということで、退職金のある人は本当に少ないわけでございますが、パートの退職金について、労働省としてはこれからどういうふうに方針を立て、対策を立てていかれるおつもりなのか。今の中退金制度への包括加入についての方針はわかりましたけれども、全般的にどのようなお考えでいらっしゃるか、お伺いしたいと思います。大臣、お願いいたします。
#162
○国務大臣(林ゆう君) 労働省におきましては、パートタイム労働者の就業実態が多様化しておりますことから、パートタイム労働者の雇用管理のあり方につきまして研究会を設けまして、学識経験者などによる調査研究を進めているところでございます。御指摘の退職金に関する問題につきましても、さらに研究を重ねてまいりたいと思っております。
#163
○中西珠子君 よい方向へ結論をお出しいただくように願っております。
 現行の通算制がございますが、その通算の利用状況は今はどうなっておりますか。事業主の都合で退職した場合だけ通算制が今は許されているということですが、そういうものの件数がおわかりになりましたら教えていただきたい。それから、これからの改正につきまして、それの効果をどのようにお考えになっているか、お教えいただきたい。
#164
○説明員(渡邊信君) 現行の通算制度は、おっしゃいましたように、事業主側の都合によりまして退職を余儀なくされた、こういったケースにつきまして労働大臣が認定をしますと通算を行うことができるようになっておりますが、その認定件数ですけれども、昭和五十七年度で四百九件、五十八年度で三百六十四件、五十九年度で三百二十八件というふうになっております。
 今回御提案をしております新しい通算制度におきましては、一つの企業で最低二年以上被共済者であった場合には、自己都合退職であっても通算を認めようということにしておりまして、本制度に加入しております企業の割合が大体一割ということでございますから、転職をします労働者が次の企業で被共済者になる可能性も約一割、こういった前提で推計をいたしますと、毎年約二十二、三万人の労働者がこの制度から退職をしております。その一割の二万二、三千人が確率的には被共済者になる可能性があるわけですが、二年以上の被共済者期間が必要と、こういったことも考えますと、今後は毎年一万五千人程度がこの通算制度を利用できるということになるのではないかというふうに見込んでおります。
#165
○中西珠子君 二年以上という要件を付された理由、それからまた、この次加入するときには二年以内という要件を付された理由は何ですか。
#166
○説明員(若林之矩君) まず、二年以上継続して一つの事業場でこの共済制度に入っていたという人が移動した場合に通算を認めるということにいたしておりますが、中小企業退職金共済制度は、やはり中小企業に働いている労働者の福祉というものがまず第一義でございますけれども、また、そういった退職金制度を充実させることによって、よき人材を確保し、そしてまた、企業に定着を
図るという中小企業の振興という観点も含まれているわけでございまして、そういった観点から、二年同じ企業で働いて、そして移動したという人についてこの通算の制度の対象にしようとしたものが二年でございます。
 それから、後の方の二年でございますが、二年以内に別の企業に就職をした場合に対象にしようということでございまして、これは期間の区切り方として、長ければ長いほど通算が有効であるということもあろうかと存じますけれども、やはりこれは事務的にも大変にフォローしていくのが難しい問題でございます。もとよりコンピューター等を活用して通算業務をするわけでございますけれども、そこにはおのずと限度がございますので、そういった観点を踏まえて、二年以内に新しい職につかれた方ということにした次第でございます。
#167
○中西珠子君 法第九十八条で、「掛金及び退職金等の額は、少なくとも五年ごとに、」「検討するものとする。」とありますね。それで、前回の法改正、五十五年からことしは六年目に当たるわけでございますが、五年目に法案を提出なさらなかった理由は何でしょうか。
#168
○政府委員(小粥義朗君) 四年目に当たります一昨年、中小企業退職金共済審議会から建議をいただきました。また、その建議をいただいて私どもも検討をいたしたわけでございます。その検討の過程で、例えば国庫補助のあり方あるいは通算制度のあり方、例えば通算制度のあり方といいますのは、これを余り大幅に認めた場合には、逆に移転を奨励するような格好にもなりかねないといった危倶も一面議論としてございました。したがって、そうした面をカバーする格好で適切な通算制度というのはどういうものがいいのか、あるいは年金制度を導入するとしても、どういうような形のものが今後考えられるのかといったような問題をなお掘り下げて検討する必要があるということで、引き続き審議会での検討を一年続けていただいたわけでございます。
 したがいまして、結果的に五年目の検討での改正案は昨年提出するには至らなかったわけでございますが、おととしの検討結果をさらに掘り下げた形でこの一年検討を進めさせていただいて、今回法案として所要のものを御審議いただく、こういうことになったわけでございまして、法律で「五年」とありながら、結果的には一年延びたということについては、私ども大変遺憾に存じておるわけでございまして、この点は、今後そうしたことのないように十分留意してまいりたいと思っております。
#169
○中西珠子君 政府部内で意見の相違があってなかなか出せなかったという話も聞いているんですけれども、とにかく五年の検討というのが六年になったりしないで、将来はもっと短くしていただきたい。少なくとも三年目ぐらいの検討が必要なんじゃないかと考えているぐらいなんですが、とにかく、政策的な問題は非常に慎重な検討が必要ではございますけれども、何でもおくれないようにやっていただきたいと思います。
 それからまた、これちょっと古いんですけれども、昭和五十七年の七月に、政策推進労組会議がアンケート調査をやったんですね。それによりますと、中退金の利用状況は二一・四%というわけで、大変利用状況が低いというわけなんですが、なぜ中退金を利用しないかという理由につきまして、同調査によりますと、もうとにかく手続が面倒なので利用しないというのが一五・九%あるわけですね。
 それで、その手続を簡素化してほしいという要望は、このアンケート調査ばかりでなく、あちらこちらから耳にするわけでございますが、労働省では、これに対応して手続の簡素化というものをなさるおつもりであると思いますが、どのようなことをなさるおつもりですか。
#170
○説明員(若林之矩君) 今、先生御指摘の政策推進労組会議の五十七年のアンケート調査によりますと、先生おっしゃいますように、手続が面倒だということが一五・九%あるということでございます。
 私ども実は、お言葉を返すようでございますけれども、中退制度は、メリットの一つは簡便だということでPRをさせていただいているわけでございます。中退制度は、制度に加入します事業主が従業員一人一人について掛金月額を決めて金融機関に払い込むだけで、あとはもう運用もそれから支払いもすべて中小企業退職金共済事業団が実施するというものでございまして、事業主の方が自分で自分の会社の中に退職金制度を設けられるということに比べますと、大変手軽な退職金制度になっているというふうに考え、PRもさせていただいているわけでございます。
 手続が面倒で利用しないということの具体的な内容がどういうものかわかりませんし、私ども、少しでも煩雑なものがあれば、それは簡便なものにして、使っていただきやすいものにしなければなりませんので、今後ともいろいろな形で、既に入っている事業主の方ですとか、あるいは現在退職金制度がないけれども、これから入ろうというような事業主の方々に、いろんな機会に御意見を伺って、問題点は探ってまいろうというふうに思っております。
 今回の制度改正に当たりましては、掛金、退職金等の口座振替、口座払いの導入を予定いたしております。これは省令で処理するものでございますが、これによりましてもかなり手続が簡単になりまして、支給の事務が速くなるというふうに考えておりますが、今後ともいろいろな意味で努力はしてまいりたいと考えております。
#171
○中西珠子君 とにかく口座振り込みを申込金、掛金、退職金等についてなさるということは非常に結構なんですが、中退金共済審議会でも事務手続の簡素化を進めなさいということをおっしゃっているわけですから、一層の簡素化を進めて、加入者が多くなるように御努力願いたいと思います。
 それからまた、同じようなアンケート調査によりますと、インフレによる目減りがあるから利用しないという理由も挙げられているわけですね。中退金制度へスライド制を導入するということは、退職金のスライド制というのは一般にもないから、非常に難しいことだと思いますけれども、この点に関してはどのようなお考えでいらっしゃいますか。
#172
○説明員(若林之矩君) この制度の収支は、当然のことでございますけれども、現行の給付を前提にいたしまして、掛金と給付との均衡を図っておるわけでございます。仮に、今百万円の退職金が支給されるという形で均衡しておりましたものを、物価スライドで百十万円ということにいたしますと、その十万円分の掛金は過去にさかのぼっていただかなきゃならない。そうしませんと、収支が相均衡しないわけでございます。そのことは結局、基本的には事業主の負担を増加させることになるわけでございます。
 この制度は、任意加入を基本といたしておりますものですから、任意加入でこれだけの退職金が払われるということで掛金月額をしてきたのに、スライドで退職金の方は上がるということになりますと、事業主の方では掛金をさかのぼって強制的に賦課されるというような結果になるわけでございまして、これはやはり中小企業退職金共済制度が持っている共済制度としての基本的な考え方からいってできないことだろうというふうに私どもは考えている次第でございます。
#173
○中西珠子君 共済制度としてはできないことであろうとおっしゃいましたけれども、加入率がこれから大いに努力なすって、二、三年の間にはもう二、三割は少なくともふやしていただくということだそうでございますけれども、何かやっぱり強制加入の要素というものを入れないと、なかなか加入率が上がらないんじゃないかなという気持ちが非常にあるわけなんですね。
 それで、強制加入にすることは難しいと思いますけれども、そういう強制加入的なものに発展させていくということは絶対に不可能でしょうかということが一点ですね。
 それから、今、五十九年度の退職金の平均が約三十七万ですね。それで、中退金制度の今回の法改正で非常に退職金も上がるであろうし、加入者もふえるであろうということなんでございますけれども、中小企業退職金共済審議会の六十年十二月二日の建議の中では、「我が国社会が今後本格的な高齢化社会の到来を迎えるにあたり、退職金は、労働者の老後保障の機能をもつものとして一層重要な役割を果たすものと考えられる。」と、こう書いてありまして、改善が必要ということを言っておられるわけです。今回の法改正で確かに改善があるわけですが、将来やっぱりこれをもっと発展させて、本当に老後保障の一端を担うというふうなものになさっていくおつもりがあるのかどうか。
 そしてまた、先ほどもちょっと出ましたけれども、今回大幅な改善があるのに、五年たってみてやっぱりうまくいかなかったなあということでは、五年先に見直しては遅いのではないか。少なくとも三年先ぐらいに見直しをやっていただいて、一層の改善をやっていただきたいと思うんでございますけれども、労働大臣、いかがでございましょうか。
#174
○政府委員(小粥義朗君) 見直しの時期の問題、大臣からお答えをいただきますが、その前の御質問について私からお答えをいたします。
 強制加入的な形がどうしてもとれないのかという点でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、退職金制度自体がいわゆる企業の任意で設けられるわけでございます。したがって、その加入を強制するのは法律をもってしてもなかなか難しい面があるということ、それからもう一つは、中小企業退職金共済制度以外に、いわゆる適格年金制度であるとかあるいは特定退職金共済制度であるとかといったものがございます。それぞれの制度が、例えば中退制度は、比較的勤続期間の長い人に有利に働くような退職金カーブを描いて給付をするように考えておりますけれども、むしろ特定退職共済制度におきましては、比較的短期間の方が中退制度に比べれば有利になるということで、勤続期間の長い人を主たるねらいとした制度としてつくるのか、あるいはそうではなく、短い期間の人を主たるねらいとしてつくるのかでいろいろ形が変わってくるわけでございます。
 したがって、それぞれの企業の労働者の在職期間が長いところ短いところ、いろいろございますので、そうした面からも、すべからくこれに加入を義務づけるというのはなかなか問題の多いことではないかと考える次第でございます。
#175
○国務大臣(林ゆう君) 今回の改正によりまして、中退制度への一層の加入促進や退職金水準の向上が図られるというふうに私ども期待をいたしておるわけでございますが、昨年の十二月の審議会の建議にもございますように、「引き続き慎重に検討」すべきとされた年金制度の導入などの問題や、あるいはまた、制度改正後の運営の中で新たに生じる問題等につきましては、中退法の九十八条の「五年」というその期間にこだわることもなく、必要に応じまして適宜に審議会を開くなどして検討を行って、今後のこの制度の一層の改善、充実に努めてまいりたいと思っております。
#176
○中西珠子君 労働大臣、大いに期待しておりますから、中小企業の労働者の福祉、それから老後の安定に資するように、中退金共済制度改善のために一層御努力をお願いいたしたいと思います。
 終わります。
    ―――――――――――――
#177
○委員長(岩崎純三君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として野田哲君が選任されました。
    ―――――――――――――
#178
○佐藤昭夫君 本日議題の中小企業退職金共済制度、この制度は、いわば独自の力で退職金制度を設けることが困難な中小零細企業に対して、国の援助と事業主の相互共済によって退職金制度をつくっていこう、こういう趣旨、目的で制度発足をして二十七年を経過してきたわけであります。
 同僚委員からも出ておりましたが、まず議論の前提として、この制度への普及の状態というか、加入の状況、とりわけ十人規模、十人以下とか三十人以下とか、そういう零細企業の加入率、そういうものはどんな姿でしょうか。
#179
○説明員(若林之矩君) 加入率を計算いたします場合、基礎であります対象となり得る企業数をどういうふうに把握するかという資料がございませんので、事業所センサスをもとに大まかな推計をいたしますと、全体としては一〇%弱でございますが、今度これを企業規模別に展開してまいりますと、この場合、さらに事業所センサスでは、一つの企業の支社、営業所等も入っておりますので、これを分母にいたしますと少し率が少な目に出るという問題がございますが、それを前提にさしていただきまして御説明を申し上げますが、一人から九人規模の企業では約六%、それから十人から三十人が一四%、三十一人から百人が一二%、それから百人から三百人が九%、そういった数字になります。ただいま申しました六%、一四%、一二%、九%、これは若干数字としては低目に出る数字であるということを御了解いただきたいと存じます。
#180
○佐藤昭夫君 多少そういうアバウトな数字ではありますけれども、今もありましたように、九人以下に至っては六%と端的に示されるように、零細企業について遅々としてこの制度への加入が進んでいないということが明瞭だと思います。
 そこで、今回のこの法改正を通して、こうした零細企業の加入促進がどのように進むかということについて、どういう展望を持っておられるでしょうか。この法案を通してこういう促進策が出てくるんだという点についてはどうでしょうか。
#181
○政府委員(小粥義朗君) 中小企業全体の中でこの制度への加入率が一〇%程度、こういうことになっておるわけでございますが、私ども、今回の法改正によりまして今後加入促進の活動をいろいろ展開していくわけでございますが、それによって一応目標としては、現在の加入企業あるいは加入労働者数が二割ないし三割、今後五年ぐらいの間にはふえるようにしていきたい、こういうふうに考えております。
 具体的にどんなことを今後展開していくかということでございますが、従来やっておりました加入促進策は、いろんなルートを通じてのPRが主体の加入促進策でございました。今回は、制度の仕組みとして、まず新しくこの制度に加入される企業に対する掛金助成制度を新しく設けるということが一つでございます。
 それからもう一つが、従来、事業主団体にはいわゆるPR活動等のことをお願いしておりましたけれども、単にPR活動だけではなくて、加入事業主からの申込金の収納業務といったような業務も新しく委託業務として加えまして、そうした事業主団体の日常の活動を通じて傘下の企業の加入が進められるような形に持っていきたい。その委託業務の範囲を広げたことに対応しては、その団体に対する手数料の交付といったことも考えていきたいと思っておるわけでございます。
 さらに、資産運用の弾力化の一環として、生命保険の導入を図ることにいたしておりますが、これは、その生命保険会社のまたいろんな活動が加入促進にもそれなりの効果を持てるんではないか、そうした期待も込めて生命保険の問題も考えておりますので、それらのものを総合することによって、従来以上の加入促進が進むものというふうに期待をしておりますし、また、その期待が現実のものになるように、私ども行政の立場でも進めてまいりたいと思っております。
#182
○佐藤昭夫君 ただいまのお答えは、もちろん中小企業全体としての加入もおくれているわけですから、全体として加入を促進していくための方策をどう講ずるかという、この重要さは否定するものではありません。否定するものではありませんけれども、とりわけその中でも零細企業がおくれているんだから、この零細企業の勧誘が前進していくような、促進をされていくような、そういう方策はこの法案で何か手だてはあるんですかとい
うことを聞いているんです。
#183
○政府委員(小粥義朗君) 三百人未満の中小企業の中で、さらに例えば十人未満の零細企業だけを取り出して特別にこういう手だてということは、今回の改正では区別した形では考えておりませんけれども、私ども、現に入っております加入企業も、三百人以下とはいいながら、大方が三十人未満に集中しているわけでございます。したがって、先ほどお答えいたしました加入促進のための諸方策は、むしろそうした三十人未満の小規模あるいは零細企業におのずから向けられることになるわけでございます。ですから、先ほどの事業主団体の活動を通じてと申し上げましたが、例えば商工会といったようなものを通じてやることも考えておりますが、その場合は、当然十人未満の零細企業が中心になってくるといった面もあるわけでございまして、御指摘のように、三百人以下全体というよりは、むしろ小規模零細の方に重点を向けて、先ほどの加入促進策というものの効果を発揮していきたいというふうに考えているわけでございます。
#184
○佐藤昭夫君 やはり、今度の法案を通して、とりわけ零細企業に対する手だてをどうするかということが余り重視をされていないような、そういう感じがするわけです、
 実は、私の出身であります京都、御存じのように中小企業の町でありまして、西陣とか友禅、清水焼、そういう伝統産業分野が数多くあるわけですけれども、その中の西陣、ここはほとんど十人前後の零細企業でありまして、この西陣の関係での退職金制度の状況について少し調べてみました。
 それによりますと、京都府と京都市と西陣織工業組合、この三者が協力をしまして機業調査委員会というのをつくって、何回か実態調査をやっているんですが、昭和五十九年度の第十一次調査、この結果でありますけれども、西陣全体で、いわゆる機屋さんというのが千百軒ぐらいある。調査の対象になったのが九百六十八軒というのですから、かなり精度の高い調査でありますけれども、独自の退職金制度を持っているところ、これが昭和五十三年調査三〇・五%、五十六年調査二八%、五十九年調査三〇・七%、それから今の中退共、退職金共済制度に入っているところが五十三年一五・九%、五十六年一九・六%、五十九年二三・八%、こういう姿でありまして、五十九年についてみれば、二つ合わせても五〇%ちょっとという状況でありまして、半数の企業は全く制度がない。全く制度のない企業というのが、ほかならぬ零細の中でも超零細と言うべきそういう企業だということが歴然としているわけですね。
 ですから、そういうところに対してはどうしても特別の手だてを講じて援助の手を差し伸べ、そういったところでの事態の改善が進んでいくような方策が今日必要になってきているというふうに言えるんじゃないかと思うわけでありますけれども、そうした点で今もお聞きをしますと、今度の法改正を通して何か少しそういう零細、超零細、ここに手だてが進むのかと思うと、別にそういう特別のことは考えていないということであります。今回の法案で、掛金助成を始めるということで事業主負担が多少軽減をされる、これが全体としてこの加入促進に役立っていくであろう、そういう思惑であります。
 問題は、従来の共済給付、退職金給付、この国庫補助を廃止したというこの問題でありますけれども、冒頭にも申しましたように、この共済制度というのが、そういう中小零細企業における退職金制度の充実を図るというこの趣旨、目的、これからいって国庫補助のむしろ強化を図る必要があるんじゃないか。なぜこの国庫補助制度を廃止するのかということがどうしても理解できぬわけですけれども、この点はどうなんですか。
#185
○政府委員(小粥義朗君) 給付に対します補助というのがこの制度創設以来ついているわけでございますが、いわゆる任意的な制度にこうした給付に対する国の補助が出るというのは極めて異例なことでございまして、なおかつ、退職金の支払いそのものは本来企業の責任とされているといった面が他方にあるといったことから、さらに加えて、現在までの給付補助の仕組みというものが掛金月額の最低額に対応する形で決められている。そのために、幾ら高い掛金額を掛けても、補助のメリットというのはもう一定のものに限られてしまっているといったことから、かえって掛金月額は最低額の周辺に集中するような逆の面も実はあったように私ども分析をしているわけでございます。
 したがって、同じ国の補助をするんであれば、もっと直接的に給付の改善に役立つような形で考えるべきではないかということで、ストレートな効果が期待できる掛金に対する助成ということで制度の補助の仕組みを考えたわけでございます。補助の資金の性格とかいろいろの面のお尋ねも従来からいただいておりますが、従来の給付補助を変えて、掛金助成に対する国の補助という形にしたのはそういう趣旨でございます。
#186
○佐藤昭夫君 今、御説明されているのは、補助制度のシステムといいますかね、これをいろんな他の制度とのつり合いやらバランスやら、そういうことからいって一定の手直しが必要だということの理由は言われるわけだけれども、補助制度そのものを廃止する、廃止しなくちゃならぬというふうには今の御説明からは必ずしも納得ができないですね。
 それで、せっかく従来国費からのそういう補助制度というものをやっていたと、しかし遅々として進んでないじゃないか、もちろん中小企業全体の加入も進んでないけれども、とりわけ零細企業、超零細企業、ここの部分が進んでない、だからここに対する特別の手だてが今日必要じゃないか。だから、国庫による補助制度、これをやめるならやめるとして、いわば一般会計からのお金の支出がそれで浮くんですから、その中の何がしかでも零細の企業の退職金制度への加入促進のためにそういったお金を使うといったようなことをなぜ考えなかったのか、これからも考えるつもりは全くないのか。
 例えば、そういうことなんかも含めて、零細企業に対する特別の手だてを、私は一例として言っているんですよ、今後の課題として、特別の手だてをどうしても考えてもらう必要があるんじゃないか。今後の課題として、その点についてはどういう考え方ですか。
#187
○政府委員(小粥義朗君) 国庫から支出しておりました給付補助を廃止して、その廃止分はこれは事務費の充実に充てていきたいという考え方をとっているわけでございますが、別途掛金助成に対する補助を新しく設けるわけでございます。
 御質問の趣旨は、例えば掛金助成の制度を一つとらえても、いわゆる中小企業一般という形じゃなくて、その中に何らか階層別の区分というものを設けて、特に零細企業に手厚くできないかというような御趣旨も含まれているかと思いますけれども、私ども、中小企業全体のこの制度の加入状況がまだ一割程度というような極めて低い状況でございますから、今回は、中小企業全体についての掛金助成という形で制度を考えております。
 ただ、この制度が本当に零細企業には全然働かないのかどうか、これはやはり制度の実施の状況というものも見定めた上でいろいろ分析もしなければならない問題が出てくると思います。そうした中で、明らかにそこに質的なネックがあるとすれば、それはどういうふうにそのネックを改善したらいいか、当然この制度についての改善の検討は今後も引き続き行うわけでございますから、そうした中で必要な措置が考えられるとすれば、今後も考えて検討していきたいと思います。
#188
○佐藤昭夫君 ぜひそういう方向で、零細、超零細企業の加入促進のための方策について、大臣もよくひとつ目を注いでもらって検討を始めてほしいというふうにお願いします。
 次の問題でありますが、今回の法改正によって始まります掛金助成というシステムであります。これについては同僚委員からもありましたが、既に全国の多くの自治体でいろんな形でその取り組
みが始まっています。全国で既に百八十八とか百九十一とかいう、そういう自治体でこの助成を行っているということであります。
 そこで、この内容を見ますと、愛知県では新規加入一年間掛金月額の二〇%とか、三重県の鈴鹿市のように三〇%を見ているところもある。それから長野県の真田町、従業員二十人以下の事業主に対して掛金月額の一五%、年間一万八千円を限度にしてこれを無期限交付するというところさえあるわけであります。
 今回、国がこの掛金助成をやると、新規加入二年間三分の一助成をやるというこのことのために、既に始まっております地方自治体のこういう独自施策、これがかえって逆に後退をして、差し引きすれば従前と双方あわせて大した変わりないというようなことでは、中小企業に対するこの施策が全体として前進をしたということに必ずしもならないわけですね。ですから、ぜひ今回国かこういう施策を始めるに当たって、自治体が既にとり始めている独自施策が後退をしないように、相ともに携えて前進をすると、この中小企業施策が前へ進んでいくという、こういうことになるようによく留意をして、自治体と連係プレーを進めてもらいたいというふうに思いますが、どうでしょう。
#189
○政府委員(小粥義朗君) 私どもも、国がとります助成措置と各自治体が独自にやってこられた助成措置とが、相携えて中小企業退職金共済制度の充実に役立つような方向にいきたいと願っているものでございます。
 ただ、今まで各自治体がそうした独自の制度をとってまいりました経緯としては、国が国の制度としてやってもらいたいけれども、なかなかそれが実現しないのであれば、自治体だけでも先駆けて制度をやる、それで、国の制度ができた場合にそこに発展的に吸収されるという形でやられている向きもないとは実は言えないわけでございまして、そこは確かに事柄の性質上、こちらから強制をするわけにはまいりませんが、趣旨としては私どもも、せっかく今までそうした措置をとってこられたわけですから、例えば助成のねらいがまさに完全に重複するとすれば、少し視点を変えた形で地方自治体の助成制度というものをつくり直すなり、ともに国と各自治体とでの助成が相まって、さらにこの加入促進が進むような結果が得られるように、今後自治体に対しても働きかけていきたいというふうに考えております。
#190
○佐藤昭夫君 次の問題は、零細企業への普及の促進、そしてそこで働く労働者の福祉の向上、こういった問題等の関係で、全体的な労働条件との関連をどうとらえるかという問題であります。
 先ほど紹介しました西陣織の調査、ここで見ますと、退職金制度以外の問題で調べますと、加入率、普及率、健康保険六丁六%、厚生年金五七・七%、労災保険四八・九%、雇用保険四六・五%、それから少し性格が変わりますけれども就業規則四九・八%。こういうことでありまして、やっぱり全体としておくれているわけですね、この数字が示すように。
 そういった点で退職金制度の前進を図る、これを一つの契機にしながら、健康保険や厚生年金は厚生省の管轄ということになるかもしれませんが、あとの三つについては労働省の管轄の仕事でもありますし、これらが総合的に全体として労働者の生活と権利が守られるように進んでいくという方向で、労働大臣、ぜひ目を配っていただいて、そういう方向での指導をこれを機会に強めてもらいたい。西陣だけの問題でないと思います。中小企業全体の姿だと思いますので、そういう方向でお願いをしたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。
#191
○政府委員(小粥義朗君) 今、西陣の実態について特に雇用保険、労災保険の適用状況のお話がございました。それが五〇%を割っていることを甚だ遺憾に存ずるわけでございます。ただ、現在の労災保険、それから雇用保険ともに、農林水産業の一部を除いて全面適用の建前をとっておりますが、必ずしも全部が加入をしていないというのも事実でございます。
 ただ、例えば労災保険で申し上げますと、保険事故である労働災害が出た場合には、これは未加入であっても事業主が過去二年の保険料を払うことによって労働者には保険給付が受けられるような仕組みをとっておりますために、必ずしも事前に一〇〇%入っているという姿になっていない、そうした事情もその辺に一つの理由があろうかと思っております。
 したがって、私どもは、労災あるいは雇用保険を含めまして、いわゆみ零細企業の労働者の福祉が守られるように、退職金問題とあわせて、今後その適用の拡大であるとか加入促進といったものに力を入れていきたいというふうに考えているわけでございます。
#192
○国務大臣(林ゆう君) 労働省といたしましても、零細企業の中で働く人たちの問題は、今回のこの法の改正によりまして、十分に私どもとしては配慮しながら適正な法の運営がなされるように万全の努力をしてまいりたいと思います。
#193
○佐藤昭夫君 次に、法の第三条第三項で定めております包括加入の問題であります。
 これも西陣の例でありますけれども、工場に出勤して手機を織っておるそういう職人さんであります。事務員はこの共済制度に加入をさせるけれども、手機の織工の方は加入させない、こういう例が数多くあります。
 したがって、この包括加入の問題についてどういう具体的な指導、それから出先機関としてのチェック、これをやっておるのか。いずれにしても、包括加入をせっかく法で定めておる、それに沿ってきちんとこれが行われていくような指導のひとつ徹底をしてもらう必要があるだろうと思うんですが、どうなっておるんでしょう。
#194
○説明員(若林之矩君) 中小企業退職金共済制度におきましては、包括加入の原則をとっておるわけでございます。この制度に加入している事業主は、包括加入の例外として認められている者以外の者はすべて加入させるべきことというふうになっておるわけでございます。
 そこで、事業団といたしましては、加入を勧奨いたします際、わけても契約を締結するときを中心としまして指導をいたしておりまして、事業主の方にパンフレット等で、しかじかの人以外は原則包括加入ですということを申し上げて契約を締結するということにいたしております。また、その他の機会には、加入事業主がお集まりの機会に包括加入の原則についての周知に努めておるわけでございまして、今後ともこういう形で包括加入の原則の周知徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。
#195
○佐藤昭夫君 パート労働者の問題、これももう同僚委員からありましたとおり、常勤労働者とほぼ似たような仕事をしながら排除されておるというのはいかにも不合理ということで、ぜひパート労働者といえども中退金への加入促進、この積極的なひとつ指導をすべきだということで、そのことも当局は既に確認をされておるところでありますが、具体的にはパート労働者の指導要綱というのがありますね。こんな中にこの問題をひとつぴちっと徹底させることを位置づけるということなんかを検討してもらえぬかというふうに思いますが、どうでしょう。
#196
○政府委員(小粥義朗君) 「パートタイム労働対策要綱」のことを御指摘かと思いますが、パートタイマーに対する退職金制度については、先ほど大臣からもお答えしましたように、雇用管理のあり方についての研究会を設けておりますので、その中で検討を進めていくということにいたしているわけでございます。
 私も先ほどお答えをしたわけでございますが、いわゆるパートタイマーの方の退職金の希望というものが人によってそれぞれ差がある面が正直言って認められるわけでございますので、そうしたパートタイマーの方の退職金に対する希望なりそうしたものの実態というものもよく把握をしなきゃならないと思っております。そうしたものを踏まえた上で、要すれば「パートタイム労働対策
要綱」の中に織り込むべきものについては織り込んでまいりたいというふうに考えております。
#197
○佐藤昭夫君 そうしたら最後に、中小企業の退職金問題とは少し外れますけれども要望を、お尋ねをするものでありますけれども、御承知のように、自動車教習所は夜間教習もあって、長時間労働が恒常化をして全国的にもいろいろ問題になっていると思います。本年三月に、きのう質問通告で文書をお渡ししておいたところでありますけれども、京都の自動車教習所労働組合の関係の連絡会議が京都の労働基準局あてに、長時間労働の解消、労働時間短縮を協議するための労働組合と経営者そして基準局の三者協議の場を六月中にぜひ設けてもらいたいという要望を出しているわけであります。
 労働者としても、この三者協議は適切にひとつ進めていこうという従来からの立場であろうと思いますし、ひとつこの協議が実るように指導方をお願いしたいということですが、どうでしょう。
#198
○説明員(若林之矩君) 労働省といたしまして、労働時間短縮の行政指導、わけても中小企業に対します行政指導につきましては、地域とか業種の実情に応じた改善がなされますように、従来から、同じ地域とか業種におきます中小企業集団というものを対象にいたしまして、業種別会議を開催するなどで労働時間短縮に向けての関係者の理解の得られるように環境整備を図ってきておるわけでございますが、六十一年度におきましては、中小企業集団を対象といたしまして、週休二日制等の推進会議の開催とか、あるいは労働時間短縮援助事業の実施といったようなものを対策の手法として、中小企業における労働時間短縮の促進に努めておるわけでございます。どういったような集団をとらまえて指導していくかということは、各基準局で地元の状況等を判断して進めたりしておるわけでございます。
 御指摘の教習所につきましては、これまでも業種別会議等で取り上げてきた経緯もあるわけでございまして、教習所の労働時間が長いという実態も踏まえて、現地局としても何らかの指導を進めるという考えでおるわけでございますけれども、どういった指導手法をとっていくとか、そういったことは地域の実情、業種の状況に応じて、それぞれ現地で判断していくことでございまして、そこは現地局に任じておるところでございます。
#199
○佐藤昭夫君 終わります。
#200
○下村泰君 本法案の施行に伴いましていろいろの問題が生まれてきておりますけれども、私は、労働者の現在の背景についてちょいとお伺いしたいんです。
 かつては人手が余っておりました。それだけに賃金も安くて済んだ。そのころにはある程度の賃金といいましょうか、それがいただければ生活ができる。ですから、単に飯の種というのが今までの私は労働条件だと思うんです、労働者にとっても。ところが、今のような豊穣な、豊かな時代に入りますると、もう主食の飯だけの問題ではなくて、今度は副食の方に移っていくわけですね。したがって同じ労働条件でも、賃金ということよりは健康であるとか、週休二日制であるとか、持ち家であるとか、あるいは定年延長、退職一時金、老齢年金、あるいは思ったときの所得保障、仕事そのものや仕事の進め方、処遇などというふうに働きがいのある、ここは非常に働くのに条件がいいというような方向にどんどん変わってきていると思うんですね。生きること自体に精いっぱいの条件から解放されて、生き方、いわゆる生活の質、労働の質、これを問題にするようになってきたと思うんです。
 これからの企業は、このような変化の中にあって、今申し上げました主食よりもおかずの方、副食物、労働福祉、しかもそれをよりおいしい、つまりおかずの方、副食の方、こういうものを労働者に提供することなしには経営することがだんだん経営者も難しくなってきた、こういうような状態になっていると思いますけれども、これに対して労働省はどういうお考えをお持ちでしょうか。
#201
○政府委員(小粥義朗君) まさに御指摘のような労働者の意識の変化にもございます。かつては賃金が最大の眼目であったわけですけれども、国際的にも見て我が国の賃金水準は、アメリカ、西ドイツには及びませんが、フランス、イギリス等を抜く水準に届いてまいっております。しかしながら一方で、労働時間であるとか、あるいはいわゆる福祉厚生の面だとか、あるいはストックの面、資産といいますか、住宅その他のストックの面ではまだまだ足りない面があるというようなことから、そちらの方にむしろ労働者の問題意識なり関心も向いてきているというふうに私ども考えます。
 したがって、単に賃金だけではなく、そうしたものを含めました総合的な生活の向上というものが図られるように、行政としての対応も今後求められていくだろうし、またそれに対応していかなきゃならないというふうに考えております。
#202
○下村泰君 これは、例えば大企業と言われる企業はそれぞれそういったことができるわけですね、ある程度は。もっとも満足という点にはいかないでしょう、人間なんというのは上を見れば切りがないですから、これでもかこれでもかという欲望がありますからね。例えば大学なんかでも就職時期になりますれば、いろんなことが見出しになって、私の会社ではこういうことをやりますからどうぞうちへ来てくださいというようなことをやる。それがやれる企業はまだいいわけですよね。
 ところが、今一番問題になっているのは中小企業、殊に零細企業ですよ。そうすると。低経済成長の段階で、この構造不況の中で、先ほど私が言いました主食よりもおかずの方ですね、こっちの方にはなかなか手が回りかねる場合もあるというんじゃなくて、むしろ回りかねない企業の方が多いんじゃないかと思うんですね。そうしますると、労働福祉の改善に向けて企業が、零細企業といえども努力すべきであるということはこれは言をまたないわけですけれども、国としても、労働福祉の拡充のために、各種制度の改善を含め大いに取り組まなきゃならない。これ労働省も大変なことだと思うんですけれどもね。これに対してどういう御意見がございましょうか。
#203
○政府委員(小粥義朗君) 零細企業の場合の人の管理といいますか、雇用管理、いろんな業種によっての違いはございますけれども、例えば一つの例がファーストフード産業の場合、言うならアルバイトだけで必要な人員を賄って、正社員は店長一人であるというようなケースがあるわけでございます。ところが、それの方が効率がいいと思って始めたところが、そうしたアルバイトだけではサービスの中身についても正社員に比べれば非常に差がつくとかということで、やはり例え小さくても正社員といいますか、いわゆる常用労働者をちゃんと要所に持って、それでアルバイト等との適切な組み合わせの中でやっていかないと、それはサービスの大幅な低下を来すし、お客さんも離れてしまうと、こういったことも実は聞いているわけでございます。
 そうなりますと、零細企業の場合、どちらかといえば従来は人の使い捨てみたいな面が例えば三次産業の場合はあったかと思いますけれども、今後はやはり三次産業でもそうした人の使い方についていろいろと気を配り、そのためにまた退職金制度等が導入されれば、そこで必要な人が定着をしていくという面のメリットも期待できるわけでございますから、そうした零細企業における人の使い方、雇用管理といったものについても、今後いろんな好事例集といったようなものを集めまして、私ども個々の企業がそれなりの工夫で対応ができるようなことも考えていかなければならないというふうに思っております。
#204
○下村泰君 結局この法案の改正も、ただいまおっしゃったような認識に立って立案されたものだと思いますけれども、改正内容の個々の事項ですね、それについて具体的にひとつ説明がいただければ幸いだと思います。
#205
○説明員(若林之矩君) 我が国の退職金制度は、大企業では大変普及しているわけでございますけれども、中小企業、わけても零細企業、十人未満の
ところの普及状況が極めておくれているわけでございます。半分ぐらいの企業は退職金制度がないというのが現状でございます。そこで、こういった十人未満の退職金制度のないところ、しかしこれからは高齢化社会でございまして、老後の退職金制度の持つ意味というものは極めて大きいわけでございます。そういった意味で、退職金制度の充実というのは急務になっておるわけでございます。
 ところで、私どもの中小企業退職金共済制度の現状を見てみますと、退職金の支給実績、一番新しいところで平均三十七万ぐらいということでございまして、退職金というには大変低い水準でございます。
 そこで、今回の改正の主眼といたしましては、一つは中小零細企業、わけても零細企業に中小企業退職金共済制度の加入促進を図っていくと、一人でも多くの労働者がこの中小企業退職金共済制度に入って退職金制度を持つようになるようにというのが一点でございます。
 もう一つは、今申しましたように、現在の支給実績が三十七万ということでございますので、これをできる限り高い水準にするというための方策を講じるというものでございます。
 こういった二つの観点に立ちまして幾つかの改正を行うことにいたしておるわけでございますが、一つは、現在三十七万と申し上げましたが、その三十七万という低い水準の原因は、一つには、中小企業の労働者は移動が激しいということでございまして、大体一人七年ぐらいで転職をしているということでございます。そこで今回は、通算制度というのを導入いたしまして、一つの企業で中小企業退職金共済制度に入っていた従業員が、中小企業退職金共済制度へ入っている別の企業に移動いたしました場合は、掛金を通算するという制度を導入することにいたしております。そういたしますと、退職金カーブというものを退職金共済制度がとっておりますので、勤続年数が長くなりますと加速的に支給額が多くなるという形になっております。七年で二回もらうよりは、十四年で一回もらった方が退職金の額が大変有利になるということでございますので、そういった形での通算制度をとるようにさせていただきたいというふうに考えております。
 それからもう一つは、さっき三十七万と申しましたけれども、この原因の一つは、掛金の月額が低いということでございます。現在は最低掛金が千二百円でございますけれども、その千二百円の最低掛金のところに一五%ぐらい張りついているということでございますし、三千円未満のところが三十数%あるということでございます。そこで最低掛金を思い切って引き上げるということにいたしまして、千二百円の現行の最低掛金月額を三千円に引き上げることにいたしております。こういたしますと、直接的に千二百円から三千円に上がりますと同時に、その周辺につきまして波及的効果で掛金月額が引き上がっていくということが期待されるわけでございます。
 それから、さらに第三点といたしましては、この制度への加入を促進いたしまして、また給付の水準を引き上げますために一般の退職金共済制度におきましては、新たにこの退職金制度に加入いたしました事業主につきましては、二年間にわたりまして掛金の月額についての助成をするということを考えております。それから、既に入っている事業所が掛金を引き上げる、例えば三千円を六千円に引き上げるといったような場合には、一年間にわたりましてその増額に必要な経費の一部を助成しようというものでございます。
 それから第四点といたしましては、かねてから建設業等の特定業種の退職金共済制度につきましては、手帳の交付でございますとか、印紙の貼付、そういった履行が進んでいないという御指摘を受けておりますので、こういった問題を解決いたしますために、初めて労働者に第一冊目の手帳を交付する事業主に対しましては、一年間にわたりまして掛金の助成をするという制度を新設したいと考えております。
 それから最後になりましたが、第五点目でございますが、事業協同組合でございますとか中小企業団体中央会、商工会議所、商工会、こういった中小企業の事業主団体に対しまして加入促進についての業務の委託をすることにしたいと思っております。やはり中小零細企業に日々直接にかかわっている事業主団体がそういった面での加入促進活動を一番やっていただきやすいというふうに考えまして、こういった事業主団体に対して加入促進の業務を委託することにいたした次第でございます。
 こういうことで、こういったものを全部有機的に活用いたしまして中小零細企業、わけても零細企業の本制度への加入促進を図ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#206
○下村泰君 今の中に通算というのがございましたね。通算というのはあくまでも、つまり企業主が加入しておらにゃいかぬわけでしょう。そうしますと、AというところからBというところへ行ってCへ行った、ところがあいにくBが加入していなかったと、こうなるとどうなりますか。
#207
○説明員(若林之矩君) この通算制度につきましては、Aという企業をやめまして、次の退職金共済制度に入っている企業に移動します期間が二年以内であれば、適用するということになりますので、今、先生おっしゃいましたBという企業での就職期間が仮に六カ月ということでございまして、AからCに行った期間が二年を超えていなければ通算制度は適用されるということになります。
#208
○下村泰君 それは本人が知っていれば渡りに船で利用する人も随分出てきましょうな。悪用するという手もありますわな。どうでしょうか。
#209
○政府委員(小粥義朗君) 通算のメリットというのは、こういう事例で御説明をするとおわかりやすいかと思いますが、例えば七年勤めてそこでやめた、従来の制度でしたらそこで退職給付が事業団から出るわけですが、これを今度、自己都合退職でやめても二年の間にさらに次のところへ就職すれば通算されるということで、七年で前のところをやめ、二年以内にまた別のところで就職して、今度また七年勤めたとなりますと十四年の通算期間になります。そうすると、中退制度の退職金給付は、そうした十年以上勤めた場合に割がよくなるように退職金カーブは決めてございます。そうしますと、七年でもらった、もう一度改めて七年勤めてそこをやめるときにもらった、つまり二回に分けてもらうよりも何十万円か退職給付がふえることになるわけでございます。
 したがって、そういったメリットが出てまいりますので、できるだけ在職期間が長くなるようにしむけていくということの効果が期待できるわけでございますし、また、一度加入している事業所をやめた退職者が次の就職先を選ぶ場合にも、せっかくならば退職共済制度を持っているところにしたいというような選択も働くかと思いますので、そうしたことによって中小企業の必要とする人材の確保にもまた役立つのではないかと思いますから、ぜひこうした通算制度が効果を発揮できるようにしたいと思いますが、何分にも再就職先が入っていなければこれは意味がありませんので、そのためにも、加入促進というのが絶対の条件としてぜひ進めていかなきゃならないテーマであるというふうに考えておるわけでございます。
#210
○下村泰君 結局私が申し上げたかったのはそこなんですがね、だから変な段々ばしごみたいになっちゃ困っちゃう。地図を見るとよく鉄道線路がありますね、白黒白黒であれじゃ困るんで、白なら白、黒なら黒で一色にしたい、そうしていただくのがこういう方々にとっては一番最大の利益である、こういうことになりますので、その点はひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから、退職金の話はせんだっても終身雇用云々ということでいろいろお話もいたしましたけれども、さらにある書物によりますると、我が国の退職金制度というのはえらい古いんだそうですな。存在は今から約二百五十年も昔にあるというんですね。封建時代の主従関係に端を発して、三
井家の家憲で今から二百五十年前に、使用人に対する主人の慈悲として退職手当を出すべきことと述べているんだそうですね。実にどうも先見の明があるというか何というか。私らも子供の時分に覚えているのは、のれん分けという、普通の企業、普通の企業というよりは、商家はのれん分けという退職金制度みたいのがある、それがだんだん今日まで変化したんでしょう。
 退職金の性格については功労褒賞説、賃金後払い説、生活保障説、生活補助説等の諸説があると、こういうんですけれども、労働省としてはどこにこの退職金の性格を置いていますか。
#211
○説明員(若林之矩君) 退職金の性格、機能というのはいろいろな説がございますけれども、結果的にはそれぞれをみんな包括したような形なんだろうと思うんです。一般の賃金と同じでございまして、基本的には労働者にとっては老後の生活費としての意味を持ち、また企業に養っては、生産コストの一部でございますから、経営効率を重視した形になるわけでございますけれども、一つには退職後の労働者の老後生活の資金、そしてまた中途退職者の場合には失業中の生活費に充てるということになるわけでございます。それから持ち家の取得とか、子女の教育とか、そういった大型出費へ充当するそういう機能を持っておるわけでございます。それから、一般には長期勤続優遇の形をとっておりまして、労働者の移動を抑制したり、あるいは企業への帰属意識を高める、労働者の定着を図る、こういった機能も持っておるわけでございます。それから、企業として円滑な労働力構成というものの適正な維持を図るという意味も持っているということも言われておりますし、また、ただいま先生御指摘のように、在職中における労働者の功績に対して報いる、こういった性格も持っていると思います。
 こういったものがそれぞれ相絡み合ってのことと存じますが、今後におきましては、本格的な高齢化社会の到来に伴いまして、労働者の老後生活の安定というものを図る意味での退職金の持つ役割がますます増加してくるというふうに考えておるわけでございます。
 そこで、私どもも今回このような改正をお願いしておりますのも、退職金の持つ労働者の老後生活に対する役割がますます高まってくる、こういう観点に立ちまして、退職金の普及促進に努めてまいりたい、そういったことで今回の改正もお願いをしている次第でございます。
#212
○下村泰君 もう一点だけお伺いして終わらせていただきます。
 中小企業退職金共済法についてこういうことを言っている学者がいらっしゃるのね。退職金も賃金であり労働条件である以上、労使間交渉により対等決定されるべきものであるのに、法律では加入や掛金額、したがって退職金額が事業主の意思によって決められ、労働者の意思は無視されている。二つ目が、中小企業労働者の退職金制度に対する要求を、粗末な代償を与えることにより、かわすことができる。すなわち、中小企業者はこの制度を運用することにより、労使の自主的決定による退職金制度を回避でき、既にある自主的な退職金制度を中退金制度に埋没させることができる。しかも、掛金額は使用者の意思で決められるため、本制度の普及は退職金の水準を低く固定する役割を演じる。三番目、一般の自主的退職金制度が恩恵的ないし労務管理的性格を克服する方向に進みつつある中で、この法律は、恩恵的、労務管理的な性格を確認したことになる。四番目が、中退金の退職金額は低く、大企業の退職金制度との間に開きがあるため、中小企業ばかりでなく、大企業の既設の自主的な退職金制度の改善を阻む役割を演じかねないなどの問題点を指摘し、こういうふうに学者が言っていらっしゃるんですね。
 これに対する労働省の見解を承って終わりにしたいと思います。大臣も、できれば一言どうぞ。
#213
○政府委員(小粥義朗君) 退職金を初めといたします労働条件の決定、基本的には労使対等の立場でこれを決めるということでございます。そのための具体的方策として、例えば労働組合と企業との間での交渉でこれを決めていくということになるわけでございますが、労働基準法の立場でいきますと、退職金制度を設けるか設けないかは必ずしも基準法上義務づけられているわけじゃございません。ただ、これをつくる場合には、その内容について就業規則で明らかにすべきであるということを義務づけているわけでございまして、したがって今御披露ございました意見、私ども必ずしも納得のいかない点もございます。
 といいますのは、中小企業退職金共済制度に加入するについて、労使の間でのいろんな話が前提となって、その上で、じゃどのランクの退職金、つまり掛金月額でいこうじゃないかといったことは当然労使の間で決め得るわけでございまして、それを踏まえて事業主が加入の手続をとるということにすぎないわけでございますから、退職金共済制度があることが、労使が決める仕組みというものを奪ってしまっているという筋合いのものではないというふうに考えるわけでございます。
#214
○国務大臣(林ゆう君) 今、局長から御答弁申し上げましたけれども、今回のこの退職金の共済制度といいますのは、何と申しましても魅力をもっともっとあるものにしていかなければならないというふうに私どもも思っております。
 そういったようなことにかんがみまして今回のこの法の改正をお願いしているわけでございますが、私どもといたしましても、さらにこの制度を魅力あるものにするようにということで、いろいろと最大限の努力を払ってまいりたいと思っております。
#215
○委員長(岩崎純三君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#216
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#217
○委員長(岩崎純三君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、前島英三郎君が委員を辞任され、その補欠として松岡満寿男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#218
○委員長(岩崎純三君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、討論はないものと認めます。
 これより採決に入ります。
 中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#219
○委員長(岩崎純三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 大浜君から発言を求められておりますので、これを許します。大浜君。
#220
○大浜方栄君 私は、ただいま可決されました中小企業退職金共済法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    中小企業退職金共済法の一部を改正する
    法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、中小企業と大企業との間の労働条件格差を縮小する必要があることにかんがみ、中小企業労働者の労働条件改善のための施策を総合的に推進するとともに、本法律の施行に当たっては、高齢化社会における老後保障としての退職金制度の重要な役割に十分留意しつつ、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
  一、中小企業退職金共済制度の適用拡大を図るため、地方公共団体への協力要請、相談体制の整備等加入促進対策を積極的に推進すること。
  二、中小企業退職金共済事業団等の余裕金につ
 いては、安全かつ効率的な運用を行うとともに、共済融資制度の一層の改善に努めること。
  三、中小企業退職金共済制度の運営に当たっては、関係労使の意見を十分反映し得るよう一層の配慮を行うこと。特に、受益者である労働者の意向が反映できるよう所要の措置を検討すること。
  四、特定業種退職金共済制度についても加入促進策を強化し、掛金日額の改善を図るとともに、共済手帳の交付及び共済証紙の貼付の履行確保に必要な措置を講ずること。また、建設業退職金共済制度について、給付改善に関し検討するとともに、林業退職金共済制度は、発足後の期間が短いため退職金額が低いこと等にかんがみ、制度の一層の充実を含め、林業労働者の福祉向上に努めること。
  五、今後とも、中小企業退職金共済制度の安定的運営を確保するため、所要の財源措置を講ずること。
  六、増大するパートタイマー等の労働条件、生活実態を踏まえ、中小企業退職金共済制度における包括加入の原則に留意し、これらの労働者に対する本制度の適用等について早急に検討を進めること。
  七、新制度施行後の本制度の普及状況を的確に把握し、五年目ごとの検討にこだわることなく、適宜本制度の見直しを行うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
#221
○委員長(岩崎純三君) ただいま大浜君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#222
○委員長(岩崎純三君) 全会一致と認めます。よって、大浜君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、林労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。林労働大臣。
#223
○国務大臣(林ゆう君) ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
#224
○委員長(岩崎純三君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#225
○委員長(岩崎純三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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