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1985/05/08 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第12号
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1985/05/08 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第12号

#1
第104回国会 社会労働委員会 第12号
昭和六十一年五月八日(木曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         岩崎 純三君
    理 事
                大浜 方栄君
                佐々木 満君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                遠藤 政夫君
                関口 恵造君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                糸久八重子君
                中西 珠子君
                佐藤 昭夫君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
       発  議  者  糸久八重子君
       発  議  者  中西 珠子君
   委員以外の議員
       発  議  者 目黒今朝次郎君
   国務大臣
       労 働 大 臣  林  ゆう君
   政府委員
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働大臣官房審  稲葉  哲君
       労働省労働基準  小粥 義朗君
       労働省職業安定  白井晋太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       労働省労働基準
       局労災管理課長  松本 邦宏君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  加来 利一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の
 徴収等に関する法律の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づ
 き、公共職業安定所及びその出張所の設置等に
 関し承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付
 )
○林業労働法案(目黒今朝次郎君外一名発議)
○育児休業法案(糸久八重子君外三名発議)
○育児休業法案(中西珠子君外二名発議)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○糸久八重子君 労働保険制度をめぐる諸問題につきまして、労働省の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
 まず、予定されております労災保険法改正の目的は一体どこにあるのでしょうか。高齢化に伴う支払い額の増大に歯どめをかけて、そして労災保険財政における事業主負担を軽くするといった使用者側の思惑が存在しているのではないだろうかと思われるわけですけれども、法改正に取り組むに当たりましての労働大臣の基本的な姿勢について、まずお伺いをさせていただきます。
#4
○国務大臣(林ゆう君) 労災補償行政の基本の姿勢といたしましては、不幸にして業務災害や通勤災害をこうむった労働者の方及びその遺族に対して、迅速でかつ公正な保護を及ぼすということでありまして、このため、労働者災害補償保険制度を適切に運営するとともに、社会経済情勢の変化に対応すべく制度の不断の見直しと改善を行い、労働者の福祉の増進を図ることと考えております。
 今回の労災保険制度の改正は、高齢化の進展、年金受給者の増加などの実情にかんがみまして、昨年十二月に行われました労働者災害補償保険審議会の公労使三者一致の建議を踏まえまして、年金制度に年功賃金の要素を反映するために、給付基礎日額につきましても年齢階層別に最低限度額及び最高限度額を設けることを中心に、給付面における不均衡、不公平の是正を図ることなど、主として公平性確保の観点からこのような所要の改正を行うこととしたものでございます。
#5
○糸久八重子君 ただいま労働大臣の御答弁がございましたとおり、制度面の公平性を確保する、そして均衡を図る観点から是正することを内容としているとおっしゃられたわけですけれども、給付の内容そのものの改善についての取り組みはなされておらないわけですね。そして、年金の限度額の設定とか一部休業者に対する休業給付の引き下げとか、被災労働者への支給額抑制の意図がされているのではないかどうかがわれるわけです。
 給付内容そのものの改善を行わない理由について、何なのか明らかにしていただきたいと思います。
#6
○政府委員(小粥義朗君) 今回の改正を行うもとになりました昨年十二月に出された労災保険審議会の建議があるわけでございますけれども、実はこの建議が出されるまでに数年間にわたって、労災保険審議会の中で基本問題懇談会が設けられ、労使それから公益各側から労災保険制度についてのいろんな問題点が提起をされました。言うならば洗いざらい出された問題点について公労使三者でそれぞれ議論をする中で、当面措置すべきものと今後なお引き続き検討すべき問題と仕分けをしたわけでございます。
 その際に、給付改善についても意見が出されたわけでございますが、その点については、現在の労災保険制度によります給付がILOの条約の水準を満たし、国際的に見ても遜色のないレベルにあるということから、むしろ給付改善よりもそれ以外の問題点の改正というものを当面まず行うべきだということでもって、給付改善につきましてはなお引き続き検討すべき事項の中に整理をされまして、今後引き続き労災保険審議会の中の基本問題懇談会で検討していただくことになっております。
 したがいまして、給付改善については一切要らないということではなくて、今後の検討課題として、私どももなお検討を進めていくという考え方に立っているわけでございます。
#7
○糸久八重子君 それでは次に、労働災害の動向についてお伺いします。
 最近の労働災害の発生状況についてなのですが、ここ数年労働災害による死傷者数が減少してきておるわけですね。五十九年の場合には前年度比二・五%の減少、逆に死亡者が二千五百八十八人から二千六百三十五人へと少々増になっているわけです。とにかく労働災害は依然として多いわけですけれども、最近の労働災害の特徴的なものというのはございますか。
#8
○政府委員(小粥義朗君) まず、全体の労働災害の発生の動向でございますが、先生今御指摘ありましたように、全体としては、昭和三十年代半ばの非常に災害の多かった時点から比べますと減少傾向にあるということですが、最近数年間は、この減少傾向がむしろ鈍る状況が数字の上でもあらわれてきております。特に五十九年の災害の件数を見ますと、御指摘ありましたように、いわゆる全体の災害の件数は若干ながらその前年よりも減ったわけですが、死亡者数が逆にふえるというような事態もあったわけでございまして、私どもその点を問題として労働災害防止の活動をさらに積極的に進めようということでやってまいっております。
 そこで、またこれは確定的なものではございませんけれども、六十年の数字を一応つかんでおりますのでそれで申し上げますと、死亡災害は二千五百七十二名、これは前年に比べますと二・四%の減少ということになったわけでございます。また、休業四日以上の死傷者数についても二十五万七千七百名程度ということでございますので、前年に比べますと五・二%程度の減少が見込まれるということで、五十九年の数字では、その前年に比べて死亡者数がむしろふえるといった動きがあったわけでございますが、幸いにして六十年度はいずれの数字も前年に比べて減少の傾向を示している、こういうことにはなっております。
 しかし、その減少の幅が必ずしもまだ十分満足できるものじゃないという点がございますので、私どももさらに労働災害の防止対策については力を尽くしていきたいと思っておりますが、そうした全体の動きの中で特徴的な点を二、三申し上げますと、一つは、建設業であるとか林業であるといったような特定の産業における災害は、必ずしもまだはっきりした減少傾向をたどっていない。そういう災害多発業種といいますか、そういう業種における災害が思ったほど減っていないというのが一つの特徴点でございます。
 また、第二点としましては、大企業に比べまして中小企業での災害の発生率が高いという傾向にございます。ちなみに千人以上の規模の企業の災害の発生率を見ますと、度数率という数字であらわしますが、一・〇六という度数率になっております。ところが、三十人から五十人規模のいわゆる中小企業になりますと、これが八・幾つというような、つまり千人以上の企業に比べますと八倍にも相当するような高い災害の発生率になっているというような、いわゆる中小企業における災害がなかなか減らないというのが第二の特徴でございます。
 それから第三としまして、災害を受ける労働者の面で見ますと、いわゆる年齢別に見た場合に高齢者の災害の件数のウエートが高くなる。件数自体は必ずしもふえているということじゃございませんが、全体が減っている中で高齢者の災害の割合がふえている。
 それから四番目の特徴としては、まだ件数そのものはそれほど大きいものじゃございませんが、いわゆる技術革新等先端技術の導入がどんどん進んでおりますけれども、そうしたものに伴う新しい労働災害といいますか、そうしたものの兆候がいろいろとうかがわれるといったところが最近の労働災害の特徴点であろうかと思っております。
#9
○糸久八重子君 確かに、労働災害の発生は大企業よりも中小零細企業で非常に多く発生していると思われるわけですけれども、労働災害の発生における企業規模別の格差、どうして中小企業に発生率が多いのか、その辺の状況はいかがでございましょうか。
#10
○政府委員(小粥義朗君) 全部の災害を種類別に細かく分析を尽くしたわけじゃございませんけれども、今までのいろんなデータから見ますと、中小企業における災害のパターンとしまして、いわゆる設備や何かによる災害というよりも、むしろ在来型の人間の行動による災害が結構多いわけでございます。
 これは、一つには安全衛生教育、使用者に義務づけられております安全衛生教育が必ずしも一人一人の労働者に十分徹底していないといったような面があろうかと思っております。そういういわゆる安全衛生管理の問題が中小企業の場合欠けている。これは一つには、そうした教育に当たる人材が必ずしも中小企業の場合得られないといった面もございます。それから、少ないとはいいましても、いわゆる設備とか環境による災害というものもあるわけでございまして、こうしたものについては、やはり設備、環境の改善にそれなりの経費がかかるということから、中小企業の経営基盤の弱さといったものがそこに反映されている面もあるというふうに考えております。
 いわゆる安全衛生対策を講ずるためのコストの問題と、それからその安全衛生管理に当たる人材の問題、この辺が中小企業の場合は大企業に比べて欠ける部分があるというふうに私ども見ております。
#11
○糸久八重子君 次に、高年齢者の災害の状況なのですが、これも特徴的なものの一つとしてお挙げになられたわけですけれども、五十歳以上の死傷者数について、割合でも結構ですけれども、おわかりでしょうか。また、業種別に高年齢化による影響についての特徴があれば御説明を願いたいと思います。
#12
○政府委員(小粥義朗君) まず、高齢者の災害の状況でございますけれども、年齢別の発生状況を五十歳以上とそれ以下とで分けて見ますと、五十歳以上の労働者の災害が全体に占める割合といいますのは逐年増加しておりまして、昭和五十年度では二九%だったんですけれども、五十九年度の数字を見ますとそれが三五・八%にふえている。これは、労働者の年齢構成が高齢化の進展の中でふえてきている。という面が、もちろん背景があるわけでございますけれども、現実にそうした高齢者の災害の割合がふえているということでございます。
 また、業種別の特徴としましては、災害の発生率の高い業種としまして幾つかのものは従来から指摘をされているわけでございます。それらについては、それぞれ業種ごとの災害防止団体というものをつくられて災害防止対策を講じているわけでございますけれども、総体の数字は年々減少傾向にはあるものの、業種別に見た場合、従来災害率の高い業種は今なお災害率も依然として高いという状況にございます。
 その主要なものを申し上げますと、まず件数でいきますと、これは建設業が圧倒的に多いわけでございます。製造業も件数は多いんですが、これは度数率という観点で見ますと必ずしも高いものではない。むしろ建設業に次ぐものと、しましては、林業であるとか、あるいは陸上貨物運送業等を含む交通運輸業、それから港湾の荷役関係の業種、さらにマイニング、こんなところが高い業種に入るわけでございます。
#13
○糸久八重子君 次に、一時に三人以上の死傷者を伴う重大災害について、最近の動向はどうなっておりますでしょうか。
#14
○政府委員(小粥義朗君) 災害によって一時に三人以上の労働者が死傷するものを重大災害と私どもはとらえておりますけれども、昭和六十年のその重大災害の発生状況を見ますと、前年に比べて二三%の減少にはなっているんですが、数そのものとしては百四十一件という数字が出ております。
#15
○糸久八重子君 百四十一件でございますか。私が調べましたものを見ますと、五十九年度では百八十四件という資料があるわけですね。そして死傷者数が千百三十二名、前年度比が七・五%増ということになっておりますけれども。
#16
○政府委員(小粥義朗君) 先生御指摘のように、昭和五十九年の一−十二月は百八十四件でございますが、私は昭和六十年の数字を申し上げましたので、六十年の一月から十二月までの間の数字は、重大災害の発生件数が百四十一件、それによります死傷者数は千三十人、死亡者数は二百九十五人ということになっておりまして、件数としては前年に比べれば先ほどお答えしましたように二三%の減でございますけれども、なお死傷者数は
千三十人という大きい数字を数えておるわけでございます。
#17
○糸久八重子君 五十九年の数字でちょっと比較をしたいと思うのですけれども、労災の死亡者が五十九年では二千六百三十五名、基準局から出されております労働者災害補償保険事業年報五十九年度版というのがあるわけですけれども、それを見ますと死亡労働者数というのは三千八百三十九名となっているわけです。この辺の差はどう解釈したらよろしいんでしょうか。
#18
○政府委員(小粥義朗君) 私ども毎年労働災害の発生件数として出しておりますのは、災害発生時点でとらまえた数字を出しております。ですから、業務上の傷病にかかって長い間療養した後それが原因で亡くなられた場合、これは労災補償の面では業務上の死亡として出てまいるんですが、これは災害の発生時点から相当後になって死亡としてあらわれるわけでございます。したがって、労災の方の業務上の報告の数字では、そうした後になって亡くなられた方も含めたいわゆる死亡時点の数字を計上しておりますので、それが毎年三千八百幾つという数字になるわけでございます。災害発生時点で死亡者数をとらえますと二千五百幾らというような数字になるわけでございます。
 なお、二千五百何十名という災害の発生件数ございますが、これは実は通勤災害の関係は除いてございます。といいますのは、企業の災害防止対策に関係のある数字として私ども毎年の災害件数をとらえておるものですから、第三者行為による通勤途上災害については一応災害発生件数から除いておりますが、労災の方の数字にはそれは入れてございます。そういう通勤災害と、後になって亡くなられた方の死亡件数が亡くなった時点で計上されてくるといったところで、労災補償の数字と安全衛生の方の数字が違うわけでございます。
#19
○糸久八重子君 それから高齢者の問題なんですが、六十歳以上の傷病・障害年金受給者はどのくらいおりますでしょうか。
#20
○政府委員(稲葉哲君) 六十歳以上の年金の受給者の総計でございますけれども、三万三千八十三人ということになっております。これは六十一年二月支払い期現在の数字でございます。
#21
○糸久八重子君 それは傷病、障害含めて三万という数でございますか。
#22
○政府委員(稲葉哲君) そうでございます。
#23
○糸久八重子君 障害年金受給者の一級から三級までの人数はおわかりですか、六十歳以上。
#24
○政府委員(稲葉哲君) 一級の障害年金の受給者が八百六十二名、二級の障害年金の受給者が四百九十名、それから三級の障害年金の受給者が千二百七十九名でございます。やはり六十一年二月支払い期現在でございます。
#25
○糸久八重子君 この方たちの平均の年金額、わかりますか。
#26
○政府委員(稲葉哲君) 一級につきましては平均年金額二百八十八万三千円、それから二級につきましては二百四十六万六千円、三級につきましては二百二十二万四千円でございます。
#27
○糸久八重子君 今後、高齢被災労働者というのはやはりかなり増加していくことが予想されるわけですけれども、今までのところ、特に高齢被災労働者に着目した施策はなかったわけですね。
 それで、昨年の十一月に高齢被災労働者に対する福祉援護事業についての調査研究会というのが中間報告を出しておるわけですけれども、その中に高齢被災労働者に対してどういうことを考えていくということが盛られておるのでしょうか、簡単に御説明をいただきたいと思いますけれども。
#28
○政府委員(小粥義朗君) 高齢被災労働者の方でしかも重度の障害等をお持ちで、長い間の療養あるいはリハビリ生活をしなければならないという方がだんだんふえてきているわけでございます。特に重度の災害に遭われた方は、ある意味では労災病院なら労災病院に入院しましても極めて長期間にわたって入院生活を続けなきゃならない。しかし、労災病院も限られているものですから、新しい労災患者の受け入れ能力がそのためにまた制約されるといった問題もございまして、そうした長期にわたる重度の被災者の方の介護というものをどういうふうに進めていったらいいかというのが一番の問題でございます。
 先ほど御指摘ありました中間報告では、そうした高齢の重度の被災者の方の今後の援護事業のあり方としまして、やはり特別の対応をすべきである、必要があるということをまず指摘をし、その対策の方向としては、在宅介護の方策を一方で進めると同時に、そうした重度の被災者の方を入居といいますか収容するいわゆる養護施設的なもの、そうしたものを同時に考えていくべきである。つまり在宅介護とそうした施設への収容による援護事業、二つを進めるべきであるというのがその方向として指摘をされたわけでございます。
#29
○糸久八重子君 じゃ、これらの細かい内容につきましては後に質問を譲りたいと思います。
 もう一つ特徴的なもので、新しい技術の導入による災害もふえてきているということをおっしゃられたわけですけれども、
   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
今後、経済のソフトサービス化とか人口の高齢化、それから技術革新など非常に産業の構造と就業構造との変化が労働災害の発生においても反映して大きな影響を与えてくるのではないか、そして新しい問題がどんどん出てくるのではないかと思いますけれども、そういう状況の中で労働省は、五十八年度を初年度として五年間で労働災害を全体のおおむね三〇%減少させることを目標として第六次の労働災害防止計画を推進中でございますね。この目標達成の見通しについてどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#30
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘のように、五十八年を初年とします災害防止の五カ年計画で三割の減少を目標として立てたわけでございまして、五十八、五十九、六十年の三年間の実績を見ますと、その三年間で一三%の減少を一応果たしております。しかし、目標は三〇%の減少でございますので、残り二年間で三〇%、つまり一三%既に達成しているわけですから、残り一七%を達成しなければならないということで、極めて難しい状況にございますが、何とか私どもそれに近づけたいということで今努力しているところでございます。
#31
○糸久八重子君 どういう積極的な施策を講じていかれますか。
#32
○政府委員(小粥義朗君) 先ほどお答えしました労働災害の最近の特徴点として、特定の業種に災害がなお依然として多いとか、あるいは中小企業に特に多いといったような問題点がございます。
 そこで六十一年度におきましては、そうした特定の業種についての災害防止対策、これは従来からもやっているわけでございますが、それにさらに力を入れると同時に、特に中小企業の安全衛生管理、健康診断あるいは環境測定といったようなものを含めました総合的な中小企業の安全衛生管理のための助成事業というものを予算の面でも新しく再編いたしまして、これらを軸にして特に中小企業での災害の防止に力を入れていきたいというふうに考えているわけでございます。
 と同時に、先ほど特定の業種に災害が依然として多いということも申し上げましたが、先ほどお答えした大くくりの産業ではなくて、もっと細かい区分で見た場合にも、幾つか災害の多い、したがって労災の収支率の悪い業種があるわけでございます。そういう個別の産業については、いわゆる労災の指定団体制度というものを新しく六十一年度から発足をさせまして、その団体を指定して、その団体の自主的活動でもってその産業の災害防止に取り組んでいただく。また行政も、それに側面からお手伝いをするという形で労災指定団体制度というものを設けました。その手法を今後うまく使うことによって、そうした特定業種での災害防止をさらに実を上げていきたいというふうに考えているわけでございます。
#33
○糸久八重子君 大臣、災害はあってはならないわけです。労働災害防止対策をとにかく積極的に推進していかなければならないわけですけれども、労働大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思
います。
#34
○国務大臣(林ゆう君) 労働災害というものは、本来ならばあってはならないことでございますので、それが先ほど来いろいろと御質疑の中でございましたような数字が挙がっているわけでございます。私どもといたしましては、これの根絶ということに全力を挙げて取り組んでまいっていかなければならない、このように考えているような次第でございます。
#35
○糸久八重子君 それでは次に、技術革新の著しい進展で、労働者の労働態様も大きく変わってきている、そして新たな身体的な障害も出てきているわけですが、特にその中でVDT作業者の労働安全衛生対策についてお伺いをしたいと思います。
 多くの企業でオフィスオートメーション化が進んでおりまして、VDT作業に従事する労働者が非常にふえてきているわけですが、このVDT労働者からさまざまな心身への好ましくない状況の訴えが出てきているわけでございます。例えば、画面の注視による目の疲れだとか、それから肩や音の筋肉の痛みがあるとか、それから持続的な精神的なストレスなどが挙げられておるわけであります。
 このVDT作業に伴う健康への影響について、大臣、どのように認識をしていらっしゃいますでしょうか。
#36
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘のように、VDT作業に従事する労働者の方が非常にふえてきております。労働省でも数。年前に、そうした作業に従事する方の健康状況の調査をしたわけでございまして、その際に、やはり目が疲れる、あるいは肩が凝るといったような訴えをされる労働者の数も相当の率で出ております。
 そこで私どもとしては、五十九年でございますか、企業がそうしたVDT作業に従事する人の、言うなら健康管理に参考になるようなガイドラインというものを実は出して、それを参考にやっていただくようにガイドラインを出したわけでございますが、その後、さらに専門的な調査研究を重ねた上で、昨年の十二月に、VDT作業に従事する人の健康管理に関する指針というものをつくりまして、これを労働基準局長名の通達で各都道府県基準局にも示達をして、これに基づいて各企業に対する指導に当たってもらうように指示をしたわけでございます。
 その基本的な考え方は、いろいろ国際的な面での調査研究も行われておりますけれども、そうしたものも参考にし、さらに国内でのいろいろな事例調査の結果を踏まえて、幾つかの項目をその中で示しているわけでございまして、やはり今のVDT作業によりますいろいろな訴えがなされる、それは、言うならば疲労の蓄積という形で出てくるわけでございまして、この疲労の蓄積がある水準を超えれば健康障害をもたらすおそれもあるということから、そうした疲労が蓄積をしないように、例えば一定の作業時間の後にはそれなりの休息時間を置くように、あるいは画面の高さ、照度、あるいは座って作業をするわけですから、そのいすの高さであるとかいったようなところまで、さらに健康管理の面としては、健康診断でこういう項目を新しく織り込んで、そうしたVDT作業従事者の健康状態を常に把握していく必要があるといったような内容のものを指針として出して、これに基づいて今、各企業に対する指導を広めていこう、こういうふうにしているわけでございます。
#37
○糸久八重子君 作業時間が長くなりますと、疲労は蓄積しますね。一日のVDT作業時間につきましては、総評とか同盟とか、それからマスコミ・文化共闘のガイドラインでは、四時間以内としておるわけです。また、昨年九月の日本産業衛生学会委員会報告のVDTに関する勧告においても四時間を超えないようにとしておるわけです。
 ただいまおっしゃられました労働省のVDT作業のための労働衛生上の指針では上限を設けていないわけですね。なぜその上限を設けなかったのか、その理由について明らかにしていただきたいと思います。
#38
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘のような、一日の作業時間の上限規制をすべきであるという御意見があることも、私ども承知をいたしておりますが、先ほどお答えしました専門的な調査研究の結果、あるいは内外の文献を収集した結果の中で、そうした一日の作業時間について上限を設定する必要があるということについての医学的知見は必ずしも得られていないということで、それをとらなかったわけでございますが、それより、先ほどお答えしましたように、疲労の蓄積を来さないように、一定の作業時間の後にしかるべき休息時間を置くことでもってその疲労は回復するという方が、むしろ具体的事例としても出ておりますので、そうした面で一定の休息時間の設定の方を指針に織り込んだわけでございます。
 外国で、例えば国際的な労働組合で一日四時間というような線でもって労使協定を結んでいる国もございます。あるいは個々の労働組合では、企業との間で四時間というような線で協定を結んでいるところもあるわけでございますけれども、いわゆる国の公的制度として、作業時間について上限規制をしている例は、実はまだないわけでございます。
 今後、また医学的知見がさらに詳細なものが収集される中で、あるいはそうした面の問題も出るかと思いますけれども、御指摘ありました産業衛生学会の勧告というのも、いわゆる小委員会での案が示されたわけでございますが、まだ産業衛生学会として公式にそうしたものを出しているというふうには承知をいたしておりません。ただ、小委員会で出されました考え方については、私ども指針をつくります際には十分参考とすべきものを参考にさせていただいて、指針の中へ織り込めるものは織り込んだつもりでございます。
#39
○糸久八重子君 指針の中に休息時間の設定は盛り込んだとおっしゃったわけですけれども、例えば四時間以内の作業時間で、三十分でその疲労の蓄積がとれるとした場合、四時間以上、例えば五時間の作業時間があった場合には、三十分では疲労の蓄積が回復できないという状況もあろうと思うんですね。だから作業時間が長くなればなるほど疲労の蓄積は大きくなる。そして長く休息時間もとらなければならなくなる。そういうことから考えれば、当然やはり作業時間の上限設定というのは考えていかなければいけないのではないかと、これは意見ですけれども、そう思うわけでございます。
 次に、総評のVDT労働と健康調査によりますと、VDT作業に従事してから妊娠、出産を経験した女性のうち、約三六・四%が妊娠、出産に何らかの異常があったとされているわけです。通常の妊婦の異常発生率というのは、せいぜい一〇%と今一般に言われているわけですけれども、このVDT作業者の場合には三六・四%ということですから、非常に高い発生率である。しかも作業時間が六時間以上の場合には六三・三%と、その異常率が非常に増大しているわけです。
 そういう状況を見ても、妊婦には大変な悪い影響を及ぼしていると思うのですけれども、この点についてはどう判断なさいますか。
#40
○政府委員(小粥義朗君) VDT作業が異常妊娠を多く発生させるといったような問題は、今御指摘のありました総評の調査結果で触れられているわけでございますが、それ以外に、アメリカでも先年そうした発表が行われたことも私ども承知をいたしております。
 しかし、それぞれのそうした指摘があった後、それらについて関係専門機関でいろんな調査もいたしておりますが、その結果としては、必ずしもVDT作業と異常妊娠との間に相当の因果関係があるというふうには認められないという方が、むしろ今の医学的知見の大勢としてはそういうような判断に立っているというふうに実は私ども承知をいたしておりまして、昨年秋に開かれましたMEと労働に関する国際シンポジウムの場でも、たしかカナダの人がその問題についての発表もしたわけでございますけれども、その際、必ずしもつ
ながりがあるとは認められないというふうな結論が示されているわけでございまして、今の医学的知見の大勢を集約した結果としては、必ずしもそうした面が認められないというふうになっているというふうに私ども承知しているわけでございます。
 なお、今後医学的知見をさらに収集していかなければならないと思っておりますので、そうした医学的知見が広く収集される中でどういうような判断が出てくるか、私どもも関心を持って見守っていきたいというふうに考えているわけでございます。
#41
○糸久八重子君 それではこの際、VDT作業が異常妊娠とか異常出産の原因でないことが実証されるまで、妊産婦をVDT作業に従事させてはならない措置をとるべきではないのでしょうか。
#42
○政府委員(小粥義朗君) 先ほどお答えしましたように、医学的知見がそうしたことを必ずしも実証してないということは、言葉を裏返して申し上げますと、別に一般作業に従事している人と変わりはないというのがむしろ今の医学的知見の判断でございますので、そうした判断に立っている時点で一定の制限を課するというのは、必ずしも科学的根拠のない規制ということにもなりかねないわけでございますから、今の段階で、先生せっかくの御指摘ではございますが、直ちにそうした指針の中へ織り込んでいくことについてはいささか問題があるんではないかというふうに考えております。
#43
○糸久八重子君 いずれにいたしましても、VDT労働というのは大変ないろいろな障害が出ているわけです。この際、VDT労働を有害業務として年二回程度の定期健康診断を義務づけるべきではないかと思いますけれども、その点はいかがでしょう。
#44
○政府委員(小粥義朗君) VDT作業を有害業務と見るかどうかという点は、基本的に冒頭に申し上げた点にかかわってまいるわけでございまして、私どもの現在の考え方といいますのは、一定の作業時間、つまり指針で言っておりますように、一時間の作業をした場合に十ないし十五分の休息をとればその疲労は回復するという判断に立っているわけでございまして、したがって適正な健康管理が行われれば健康障害には至らないで済むもの、こういう考え方でございますので、むしろそうした作業管理というものを適正にやっていただくことでもって事態は解決するわけでございますから、直ちに健康診断の回数をふやすといったようなことは現時点では必ずしも必要ないんじゃないか、むしろ作業管理の徹底の方を励行すべきじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
#45
○糸久八重子君 VDT労働が健康に与える影響についてですけれども、実態調査はなさったことはございますか。
#46
○政府委員(小粥義朗君) 昭和五十八年度に技術革新と労働に関する調査ということで調査をいたしました。
 ディスプレー使用による体への影響について、それぞれその作業に従事している労働者の方から訴えといいますか、自訴があるわけでございます。目が疲れるとか肩が凝るといったような訴えをされる方がどれくらいの割合いるのか、それが平常の一般作業に従事する労働者の方と比べてどうなのかといったようなことは調査をしたものはございます。
#47
○糸久八重子君 その調査の結果に基づいて、健康異常とVDT作業についての因果関係、その究明はまだ完全にはしてないということなのですね。
#48
○政府委員(小粥義朗君) いいえ、こうした五十八年の調査結果を踏まえまして、その後、産業医学総合研究所あるいは産業医科大学、さらには中央労働災害防止協会といったところで専門家によります調査研究を進めた結果、こうした健康面への影響があることはもちろん否定できない事実でございますが、それはいわゆる健康障害と見るべきかどうかという点については必ずしもそうではないんであって、疲労の蓄積であるから、その疲労が蓄積しないような作業管理を徹底することによって回復するものであるという判断に立って、先ほど申し上げた昨年十二月の指針等もつくられているわけでございまして、この五十八年の調査結果を踏まえて、さらに専門機関によります調査研究は私どもとしても進めたわけでございます。
#49
○糸久八重子君 その指針の普及徹底はどのようにして図っていらっしゃいますか。
#50
○政府委員(小粥義朗君) これは昨年十二月に出たものでございますから、それを、従来のはいわゆるガイドラインとして出しておりましたときは、単なる参考資料ということで企業に利用してもらうという程度だったわけでございますが、今回の指針は、これは労働基準局長名の通達として各都道府県基準局に示達をしております。
 したがって、各都道府県基準局さらにその出先機関であります労働基準監督署は、この指針によって各企業に対してVDT作業に従事する労働者の作業管理、健康管理はこれで指導するようにと、こういう指示をいたしているわけでございますから、これからその指導が普及をしていくというふうに見ておりますし、六十一年度の重点事項としてもこの問題を取り上げて、各基準局あるいは監督署へ指示をしているところでございます。
#51
○糸久八重子君 そういうわけで、各県各基準監督署がこれに基づいて企業を指導するということになるわけですから、先ほどから話題になっておりますけれども、作業時間の上限設定をなるべく短い方が望ましいとかというようなそういうあいまいな規定では、どの程度に指導していいのかやはり各基準監督署も困ってしまうのではないか、そう思うんですね。そういうわけで上限設定というのは必要なのではないかなというふうに申し上げたわけでございます。
 次に、現在まで、VDT作業に伴う健康への影響によって労働災害の認定を受けた方はいらっしゃいますか。
#52
○政府委員(小粥義朗君) 私ども労働省で把握しております労災の認定申請の件数としては四件承知をいたしておりますけれども、一件は業務上には当たらないということで業務外の判断がなされておりますが、他の三件につきましては現在調査をしているところでございます。
#53
○糸久八重子君 調査をしている他の三件というのは、具外的にどういう身体的な状況があったのかおわかりですか。
#54
○政府委員(小粥義朗君) その三件、いずれも眼精疲労についての申し立てでございます。
#55
○糸久八重子君 わかりました。
 私が持っております資料の中で、茨城の方なんですけれども、作業を始めて三カ月後に視力が急速に衰えて、今まで一・五だった視力が〇・三に落ちてしまった、そして労災認定の申請をしたんだけれども、因果関係がはっきりしないというので却下になったということを聞いているわけです。
 とにかく、急速にそのように視力が衰えるということは、もう明らかにVDTの障害だということが言えるのではないかと思うのですけれども、その辺の認識についていかがでしょうか。
#56
○政府委員(小粥義朗君) 率直に申しまして、このVDT作業によります目の疲労あるいは目に及ぼす障害というのは、まだ医学的に未解明の分野でございます。結局、申請がありました場合にケース・バイ・ケースで、その人の年齢であるとか、あるいは作業に従事していたその従事期間、あるいは労働量といったようなものを総合的に判断して、また同時に、専門の医師の意見等も伺いながら判定をするわけでございます。
 こうした事例がいろいろ集積されていく中で、何らか一定のパターンというものが出てくればもっと判断もしやすくなるんではないかと思いますけれども、現在のところは、まだ事例としても少ないために、ケース・バイ・ケースで専門家の意見を聞きながらやっておりますので結論が出ていない、こういうことでございます。
#57
○糸久八重子君 とにかく、先端技術産業がまず
ますふえていきまして、こういう事例はふえてくると思うのですね。一度健康障害になった場合、例えば目の障害になった場合に、〇・三のものがまた一・五に復活するということはとても考えられない。そういう意味ではやはり早急にこれらの問題には対処していっていただきたい、これ要望をしておきたいと思います。
 次に、給付日額の改正の関係についてお伺いをしたいと思います。
 今回の改正の中で最低限度額、最高限度額を設定してあるわけですけれども、その趣旨や目的はどういうところにあるのか明らかにしていただきたいと思います。
#58
○政府委員(小粥義朗君) 最近、労災保険制度におきましても年金受給者の数がふえ、しかも高齢化が進むと、こういう状況にあるわけでございますが、そうした中で、年金給付についてのいろんな不均衡の面が出てまいったわけでございます。その主要な点は二つございます。
 一つは、芳年時に被災をされた方は、年金についてのスライドがありますものの、言うなら中高年になって賃金が高い時期に被災された方に比べますと、これは年金ですから、五十、六十過ぎて七十でも八十でも、いわゆる亡くなられるまで支給されるわけでございますから、そうすると、通常なら労働市場から引退された後の年齢時点で比較をしますと、被災時点が若かったか、それとも壮年時であったかによって相当大きな格差が生まれるわけでございます。特に、賃金が低い若い時点で被災された方には相対的に不利な形になるものですから、その辺を何らか改善すべきではないかというのが第一点でございます。
 それから第二点は、異常に高い年金額を受けられる方がいるわけでございます。これは給付基礎日額の算定方法の問題もあるわけでございますけれども、現在一千万円を超える年間の年金額を受けておられる方が三十名ぐらいおられるわけでございます。いわゆる労災保険制度は稼得能力の喪失を補てんするということで制度の基本がつくられているわけでございますが、余りにも高額な年金額が、しかも七十にもなり八十にもなり亡くなられるまで支給をされるということになりますと、他の年金受給者との間での不均衡の問題、あるいは他の制度との間での不均衡の問題、こうした点も現実に指摘をされるような事態になってまいっております。
 そうした両面にわたります不均衡を是正するために、年齢階層に応じた最高限度額、最低限度額というものを設定して、その辺の不均衡を改善したいというのが今回の給付基礎日額についての改正の趣旨でございます。
#59
○糸久八重子君 年齢階層別の最高限度額それから最低限度額を決める場合にどのような基準によって策定していくのか、その策定基準について明らかにしていただきたいのですが。
#60
○政府委員(稲葉哲君) 最高限度額、最低限度額の算定方法につきましては、労働省で毎年行っております賃金構造基本統計調査という調査がございます。この調査は、五人以上の民営事業所におきます労働者の決まって支給する現金給与額につきまして調査しているものでございますが、この調査の年齢階層五歳ごとの数値をとりまして、その二〇分位のうちの第一・二〇分位を最低限度額の数値、それから第一九・二〇分位を最高限度額の数値というふうに考えておりますが、これをそれぞれ男女別に求めまして、それを手続としては日額に換算いたします。その場合には、就労実態も若干の考慮をいたします。
 こうして得られました日額を労災年金の現実の受給の対象となっております被災労働者の男女割合によりまして加重平均をいたしまして、男女計の年齢階層別の第一・二〇分位、それから第一九・二〇分位を求めまして、その数値をそれぞれの年齢階層の最低限度額あるいは最高限度額というふうに設定することといたしております。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
 ただ、最高限度額につきましては、日本国も批准いたしておりますILOの百二十一号条約によります制約がございますので、その線を下回らないように所要の修正を加えるということにしているところでございます。
#61
○糸久八重子君 男女の賃金格差とか学歴による賃金格差は、基準策定に当たってどのように考慮するのですか。
#62
○政府委員(稲葉哲君) 男女の格差につきましては、それぞれ原統計の男女別の数字を得た上で、それを労災年金受給者の男女割合によりまして加重平均いたしまして求め直すということにいたしております。したがって、現実の労災年金受給者の男女の割合が反映されるということにすることにいたしております。
 なお、学歴については特に考慮はいたしておりません。
#63
○糸久八重子君 労災保険審議会の建議の中でこう言われているのですね。「また他方では、きわめて高額の年金受給者が存在し著しく均衡を失する等の問題がある」、としてあるわけですが、「きわめて高額の年金受給者」、今三十名程度と言ったのですが、どのような範囲でそのように見ていらっしゃるのでしょうか。年金額とか受給者数、三十名ということなのですが、おわかりでしたらお知らせ願いたいのですが。
#64
○政府委員(稲葉哲君) 労災年金の受給額、年額で一千万円以上につきまして三十名というふうに御説明した次第でございます。
#65
○糸久八重子君 今回の年齢階層別の最低限度額、最高限度額の導入によりまして、現在の年金受給者のうち、改善措置を受ける者と最高限度額を超える者は、年齢階層別でそれぞれ何人おりますでしょうか。
#66
○政府委員(稲葉哲君) 昭和五十九年に実施されました賃金構造基本統計調査、最も新しい調査でございますけれども、これをもとにいたしまして、現在算定いたしております最低限度額、最高限度額というものを基礎にいたしまして、その影響を受けます受給者の数を六十年五月支払い期の年金受給者に当てはめまして計算いたしてみますと、現在年金受給者は全部で約十七万人おるわけでございますけれども、最低限度額を今回設定することによりまして給付額が引き上げられる対象者という者は約二万一千人になります。
 なお、この当てはめによりまして最高限度額を超える者、これは経過措置によりましてその額は保障されるわけでございますけれども、そういう前提の上で超えている者は約一万二千人ということになります。
#67
○糸久八重子君 最高額年金者の存在は、被災時の業務が繁忙期であったため賃金が高かったこととか、それから年金における賃金スライドの適用によってそうなったにすぎないわけですね。現行の労災年金については、給付額が被災直前三カ月間の平均賃金に基づいて算定されておりますね。しかし、三カ月程度の期間では、その間がたまたま業務の繁忙期であったか、それから閑散期であったか等の、言ってみれば偶然的な事情によって被災労働者の給付額の差が生じてしまうわけですね。
 被災直前三カ月間の平均賃金という、その算定基礎には問題があるのではないのでしょうか、いかがですか。
#68
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘のとおり、年金というのは長期給付の算定基礎を三カ月間という極めて限られた期間でもって決めることについては、私どもも問題があると思っております。ただこの点は、労働基準法の現在の平均賃金を年金給付の算定基礎に持ってくるという仕組みをとっておりますので、この点を見直すためには、当然労働基準法の改正問題も絡んでまいるわけでございます。
 したがって、労災保険審議会でもこの点がいろいろ議論はされましたけれども、今直ちに手当てをするのにはなお検討を要する問題がいろいろあるということで、引き続き検討事項とされているところでございまして、私どもも同様の問題意識を持って今後の検討には対応してまいりたいと思っております。
#69
○糸久八重子君 労災補償保険審議会の委員の方方が諸外国に調査にいらしたようですね。
 諸外国での給付の算定基礎はどうなっておりますか。
#70
○政府委員(稲葉哲君) 労災保険審議会の委員がヨーロッパ諸国を中心に調査をいたしたわけでございますが、西ドイツ、フランス、イギリスを調査いたしております。それぞれの国によって平均賃金の考え方が若干異なっておりまして、ある国では定額ということで何段階かを設けているという国もございますし、日本と同じような方法をとっている国もございます。
 なお、最高限度額につきましては、たしかほとんどの国がそれを設けているというふうに記憶いたしております。
#71
○糸久八重子君 給付の算定基礎、日本の場合では三カ月ですけれども、例えば西ドイツ、フランス、英国ではどうなっておりますか。
#72
○政府委員(小粥義朗君) ちょっと、資料が今すぐ出ませんので、調べた上でお答えを後ほどさしていただきたいと存じます。
#73
○糸久八重子君 お願いいたします。
 年功賃金体系が給付額に反映されていないという点は、かねてから問題として指摘されていたことですけれども、特に賃金の低い若年時に被災した労働者の場合は、中高年に達しても若年時の低額の賃金を基礎にした給付しか受けられないわけですね。今回の改正案では、年齢階層別の最低限度額を設定して底上げ措置を図ることになっておるわけです。
 年功賃金体系の反映としては、最低限度額ラインの設定だけでは十分ではないのではないかと思いますけれども、その辺はいかがでございましょう。
#74
○政府委員(小粥義朗君) 今回、最高限度額あるいは最低限度額というところに線を引いて、それを超える場合あるいは下回る場合だけ取り扱いを変えるという形にしたわけですが、本来の議論としては、労災の年金受給者個々人についての年功賃金のカーブというものを描くべきじゃないかという議論もあり得るわけでございます。
 しかしながら、年功賃金体系というのは、日本の場合、体制としてはあるわけでございますが、業種によって、あるいは職種によっては必ずしも年功賃金体系になっていない業種もあるわけでございます。例えばタクシーの運転手の場合でしたら、必ずしも年功というものはそれに加味されていないということになりますので、受給者個々人について年功賃金体系を反映させるということは、極めてこれは実務的にも不可能なぐらい複雑なものになるわけでございます。したがって、最高最低に線を引くことでもって対応しようということにしたわけでございます。
#75
○糸久八重子君 労災被災者の生活実態なんですが、審議会に出されました労働省の資料によりますと、補償年金受給額の実態を年齢別に最高クラスを見てみますと、傷病年金一級の場合、四十歳から四十四歳で年平均が三百九万九千円、それから障害等級一級、三十歳から三十四歳で三百三十三万一千円、遺族年金では被災者の被災年齢三十五から三十九歳、遺族が四名で二百三十三万八千円であるわけです。
 やはり労災被災者というのは、ある意味からいえば企業の利潤追求の犠牲となったわけですから、その償いとしての補償としては、果たして十分とは言えないのではないか。今回の法改正の理由にひそむ状況と照らして、この保障額で被災労働者の生活状況を推定すると、本当に生活困難ということになると思われるのですけれども、大臣の御見解を賜りたいと思います。
#76
○政府委員(小粥義朗君) 先ほどもお答えをいたしましたが、労災保険制度の基本的性格は、災害によって失われました稼得能力、それの補てんというのが基本的な性格になるわけでございます。したがって、いわゆる生活保障そのものを目的とする他の社会保障制度とはおのずから性格を異にする部分があるわけでございますから、結果的には所得保障に効果を持つ面があることは否定をいたしませんけれども、直接的な給付の基準というのは、やはり稼得能力が失われたその補てんということでもって給付水準というものを考えていかなきゃいけないというふうに私ども考えているわけでございます。
 そういう観点から個々の被災労働者の家庭を見ますと、あるいは御指摘のような非常に生活が苦しいという方もおられるわけでございますけれども、労災保険制度としての性格上、おのずからそこに限界があるということは御理解賜りたいと思うわけでございます。
#77
○糸久八重子君 労働災害を受けることによって働くことができなくなった。そして、確かに労災の目的というのは稼得能力の補てんなのですが、もし仮に労働災害を受けなかった場合には、それなりの生活能力、それだけの賃金を得ることが可能であったわけですから、そういう意味からいいますと、やはり稼得能力の補てんだということだけで切っていくというのはおかしいのではないかと思うのですね。
 それで、財団法人の労災年金福祉協会の労災障害補償年金受給者の生活実態調査、これは六十年の二月にしているわけですけれども、これによりますと、重度の被災労働者の八割以上が被災時に家計にかなり影響があったとしているわけです。そして八割弱が生活上困ることがあるのだ、そう答えております。現行の給付水準ではまだまだ本当に十分ではない、だから給付水準の引き上げをしてほしいという要望もたくさん出ているわけですけれども、そういう意味での給付水準の引き上げについてはどのように考えておられますか。
#78
○政府委員(小粥義朗君) 労災保険制度のいわゆる法定給付としまして、休業補償であるとかあるいは年金があるわけでございますが、御指摘のような生活上のいろんな問題もその災害に伴って負担として加わってくるといったような面を考慮しまして、実は労災保険の福祉事業で特別支給金制度が設けられているわけでございます。
 例えば、休業補償について申し上げますと、法定給付では六割の保険給付がされるわけでございますけれども、さらにそれに特別支給金によりまして二割、二〇%の上積みがされるわけでございます。そうしますと、通常働いていた場合の賃金の八割は、八〇%はつまり労災保険制度で補てんをされているわけでございまして、これはいずれも無税でございますから、そういう面では、災害を受けなかった場合の得られたであろう賃金収入というものの大方は現在の保険制度でカバーをされてきているわけでございます。
 したがって、特別支給金を含めました現行給付水準というものは、労災保険審議会の中でも、一応国際的に見ても遜色のないレベルに達してきているのだ、こういうような共通の認識の上に立って、今回給付改善を直ちに法改正の中に織り込むことについてはむしろなお検討を要する問題として引き続きの検討事項にされたわけでございます。
 私ども、もちろんこれでもって給付改善一切必要なしというわけじゃございません。今後のいろんな社会経済情勢の変化、あるいは他のいろんな諸制度との比較、そうしたものも絶えずいたしながら、今後引き続き検討課題とされております給付改善については、私どももさらに検討を進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
#79
○糸久八重子君 現行の給付基礎日額の最低保障額は三千二百十円、この額はどのような水準をもとに決められているのでしょうか。
#80
○政府委員(稲葉哲君) 現行の最低保障額につきましては、雇用保険の日額の最低限とリンクさせながら定めているところでございます。
#81
○糸久八重子君 この最低保障額三千二百十円、これは今後引き上げを検討すべきではないかと思いますけれども、その辺はいかがですか。
#82
○政府委員(小粥義朗君) 現在の最低限度額三千二百十円が、先ほどお答えしましたように、雇用保険の失業給付の最低額とリンクをして従来から決められてきております。したがって、労災保険
だけでどうこうというわけにはまいりませんが、今後、雇用保険の最低給付額というものの検討も当然されるでございましょうから、そうしたものとあわせて私どもとしても考えていかなきゃならない問題であるというふうに思っております。
#83
○糸久八重子君 最低、最高限度額の設定の額ですけれども、その額の改定はいろいろな関連するものがあるということなんですけれども、賃金構造基本統計調査結果に基づいて毎年行うことになるのでしょうか。最低、最高限度額改定の周期についてはどういうふうに考えておられますか。
#84
○政府委員(稲葉哲君) 賃金構造基本統計調査は現在毎年行われております。そして、私どもとしては最も新しい調査を資料として採用したいというふうに考えております。
#85
○糸久八重子君 今回の改正案によりまして、法改正の施行後被災して年金給付を受けるようになった場合に、その最高額はどのくらいの額になりますか。
#86
○政府委員(稲葉哲君) 昭和五十九年の賃金構造基本統計調査によりまして、最高日額は一万七千六百十三円ということになります。
#87
○糸久八重子君 そうしますと、例えばボーナスを含んだような場合、年額になりますと大体どのぐらいになりますか。
#88
○政府委員(稲葉哲君) これを年額換算いたしまして約五百五十万円でございます。それにボーナス特別支給金額約二割加わるということになりますので、六百五十万前後ということになろうかと思います。
#89
○糸久八重子君 かなりの低額になってしまうわけですけれども、制度改革の前と後での急に不利になる人ですね、なるべく出さないように経過措置を考えていかなければならないのではないかと思いますけれども、改正時における既裁定者に対する取り扱いはどのようにするのでしょうか。
#90
○政府委員(稲葉哲君) 既裁定者につきましては、既に支給しております日額につきまして、その額を保障するということにいたしております。ただ、最高限度額をオーバーしている間につきましてはスライドは停止するということで考えております。
#91
○糸久八重子君 法の改正前後で年金の最高額については非常に差が生ずるわけですけれども、改正後に被災して年金を受給する場合に、給付基礎日額が最高限度額を超える者につきましては、その最高限度額のラインに引き下げるのではなくて、制度改正に伴う何らかの激変緩和の措置を考えていかなければならないのではないかと思いますけれども、その辺はいかがですか。
#92
○政府委員(稲葉哲君) 御指摘の件につきましては、労災保険審議会の中でも御議論がございまして、この保険制度のように災害を受けるということが確定しでないような制度につきましては、そのような経過措置は設けないのが通例であるという結論に至った次第でございます。
 先ほどの、労災保険審議会の委員の外国調査のときの件でございますけれども、西ドイツにつきましては被災前四週間の賃金によってとっております。それからフランスにつきましては被災前一カ月の賃金によっております。ただ、いずれも年金につきましては一年間の賃金を基礎といたしております。
 なお、イギリスにつきましては定額になっております。
#93
○糸久八重子君 年金については一年間というのが諸外国の例だということなので、日本の場合でも三カ月ということではなくて、ぜひその辺の期間の問題も十分御検討いただきたい、そう思うわけでございます。
 ここに団体からの要望事項が来ておりまして、このことについては、参議院の社労委員会でも、また衆議院の社労委員会の中でも大変話題になっておるわけでございます。というのは、団体というのは全国脊髄損傷連合会の要望事項でございますが、恐らく労働省にも出されているのではないかと思います。要望事項が幾つかあるわけでございますけれども、重度の労働災害被災労働者の年金受給者が死亡したときに、遺族にその遺族補償年金を支給してほしいという要望なわけです。
 この点については、審議会等での話題にはなったのでしょうか。
#94
○政府委員(小粥義朗君) 審議会の議論の中でもその問題は出ました。
 それに対する考え方としては、確かに、脊損患者の方のように長期にわたって介護を必要とするような状態で療養をされていて、結果亡くなった場合の直接の死因が労災事故である脊損と因果関係がないという場合に、これは業務上の災害による死亡とは認められないわけでございますので、その場合、業務外ということになって年金がとまってしまう、打ち切られる、こういうことになるわけでございます。
 患者団体からは、そうした長期にわたる療養をしてきた方については、その直接の死因が必ずしも脊損なら脊損と関係なくても業務上にすべきではないか、こういう要望をいただいたわけでございますが、これは労災保険制度の基本的性格としまして、業務との因果関係が認められない場合に、これを使用者負担責任において補てんするというわけにはまいらないものですから、そこは建前上困難であるというふうになったわけでございます。
 しかしながら、これは衆議院段階でもいろいろ御議論がございました。そうした長期の療養をされてきた方が亡くなる場合のその死因と業務との因果関係、これをもっと詳しく調べて、できるだけ業務上のつながりを探し出して認めるべきではないかというような御意見でございました。確かに、脊損患者のように神経が麻癖をしてしまいますから、その脊損に因果関係を持った余病を併発した場合に、普通の健常者でしたら、その余病の併発によって痛いとかどうだとかというような訴えもできるわけでございますが、神経が麻癖しているがためにそうしたものもでき洗い、そのために余病の発見がおくれて手当てがおくれた、それが死亡につながるというようなことになれば、これは何らか労災事故としての脊損とのつながりもあるんじゃないか、こういった御指摘もあったわけでございます。あるいは長期間にわたる療養生活の中で投薬を長い間受けますと、その副作用といったものも出てくるのではないかといった御指摘もございました。
 したがいまして、そうした点については私ども、直接の死因となりました疾病というものが労災事故である脊損とのつながりについて何らかつながりがあるんではないかという視点でもってのいろんな医学的な情報の収集であるとか、あるいは専門家による検討といったものを今後進めてまいる必要があるというふうに考えております。
#95
○糸久八重子君 ただいまおっしゃられましたとおり、この方たちの場合には、受傷という第一損傷と同時に、下半身不随という後遺症があるわけですね。そしてその後遺症の悪化に伴って死亡するという例が非常に多い。この後遺症というのはやはり業務上の疾病によって生じたわけですから、当然因果関係というのは認められるのではないか、そう思うわけだし、またこの患者連合会の方たちもそういうことを特に強調していらっしゃるわけですね。大変慎重に因果関係についてのことは、先ほどのVDT作業者の場合も、視力の減退というのは因果関係が認められないとかというようなことで大変問題になるわけですけれども、やはり半身不随というような形の重度の方たちのこういう場合には、この方たちを介護するために家族が恐らく外の勤めにも出れないで介護していた。その介護の問題については、冒頭の質問の中にもちょっと入れたわけですけれども、その部分については労働省は考えていてくださるということで大変ありがたいわけです。
 そういう意味で、この方たちの死亡した場合、そしてその残された遺族というのがある程度の高年齢者になっている場合には、恐らく外の勤めにも出れないというような場合もあると思いますから、当然遺族補償年金というような形のものを考えていかなければならない、これはもうごく当た
り前のことではないかと思うんですね。
 そういう意味で、今後十分な検討をしていただきたいと思うわけですが、この点について一言お願いします。
#96
○政府委員(小粥義朗君) 先ほどもお答えいたしましたように、原疾病である脊損と直接の死因となった疾病との因果関係、これが全然ない場合にはこれは何ともいたし方ございませんけれども、いろんな形でのつながりがあるんではないかということも多分に考えられるわけでございますから、そうした点については、今後の医学的な解明なりあるいは情報の収集、さらに専門家による検討というものを前広に進めていくことによって、被災者の救済に遺漏がないようにしていきたいというふうに考えております。
#97
○糸久八重子君 それからもう一つなんですけれども、改正時既に六十歳以上の受給者と、改正後六十歳に到達した受給者に対して慰謝料とか退職金に相当するものを支給してほしいという要望もございますね。
 給付基礎日額の最高限度額を我が国の賃金水準に照合させて低額に抑えてあるわけですけれども、そういう意味から考えますと、賃金構造対象労働者というのは五体満足な人たちであるわけですし、重度障害者のように身体的、精神的な苦痛はないわけです。この人たちとの平等性を考えるならば、苦痛の代償といいますか、慰謝料を当然払っていかなければならないのではないかというふうに考えるわけですけれども、この辺の見解はいかがでしょうか。
#98
○政府委員(小粥義朗君) 慰謝料の問題につきましては、従来もいろいろな場面での御指摘をいただいたわけでございますが、現在の労災保険制度では、いわゆる慰謝料は民事訴訟の問題としてはあるわけでございますけれども、労災保険制度におきましては慰謝料相当分というものは給付の範囲には考えていないわけでございます。したがって給付水準決める場合、そこまで織り込むとなると、これは今度は民事損害賠償の兼ね合いについても大きな問題をはらんでまいるわけでございまして、現在のところは、慰謝料までを含めて給付水準を考えることは我が国の場合必ずしも適当ではないんではないかというふうに考えております。
 それから退職金問題につきましては、確かに退職金制度を持っている企業は多いわけでございますけれども、これは被災時までにそれが払われたというものではなくて、今後払われるであろうし、またそうした制度を持たない企業もあるわけでございますので、それを、大数を一律に処理するというこの保険制度の中で織り込むのは技術的にも難しいということで従来織り込んでないわけでございまして、今直ちにこれをどうこうすることは技術的にも難しいんではないかというふうに考えます。
#99
○糸久八重子君 患者同盟の方たちはこう言っていらっしゃるんですよ。六十歳以上の賃金構造対象労働者というのは、定年退職をしてそして退職金を受給する。その後再就職の場合は賃金が低くなってくるわけですけれども、だから六十歳以上の労働者の賃金というのは、賃金構造のように低水準になっていくんだと。今回の改正では、最高限度額を賃金構造の水準に低く抑えながら、退職金に相当するものが支給されてないからやっぱりおかしいんじゃないか。もし被災していなければ退職金は当然受給できるわけだと。労災年金の本質というのは稼得能力の補てん、これも先ほどおっしゃられたようですけれども、当然受給できるはずの退職金に相当するものを支給するのならば最高限度額を低額に抑えるという意味もわかると。そういうことを主張なさっているんですね。
 だから、こういう内容から考えますと、これは本当にこのとおりだと思うんですね。ですから、今の御答弁の中でございましたけれども、この慰謝料とか退職金の問題等についても早急に検討なさって、そして望ましい方向に出していっていただきたいと、そう要望を申し上げておきたいと思います。
 じゃ、続いて通勤災害に関する改正関係に移ります。
 今回、「当該逸脱又は中断の後の往復が通勤とされる行為を日常生活上必要な行為であって労働省令で定めるものとすること。」とされておるわけですけれども、この労働省令では具体的にどのような行為を考えておられますか。
#100
○政府委員(稲葉哲君) 今回の改正によりまして、労働者の通勤経路からの逸脱、またはその通勤の中断後の往復が通勤とされます行為の範囲につきまして、それを拡大して労働省令で定めるということを考えているわけでございます。
 いずれにいたしましても、労災保険審議会の議を経て省令を定めたいというふうに考えているところでございますが、私ども考えておりますのは、学校への通学、それから公共職業訓練施設への適所といった行為、それから人工透析等の医療を受ける行為と、こういったものを考えておるところでございます。
#101
○糸久八重子君 従来よりもやや改善されたとしましても、今回の改正案によっても、通勤災害として認定される範囲はまだまだ大変狭いのではないかと、そう思います。
 日本の国の労働者というのは、非常に通勤に長時間を必要としていますね、そして労働時間も長時間であると。そうすると、通勤経路の逸脱または中断というのはこれは常態化しているのではないかというふうに考えます。保加えて、最近共働きが一般化しているわけですけれども、そういう労働者の通勤の実態というのは、生活上さまざまな経路の逸脱が不可避となっておるわけですが、保育所の送り迎え、この辺のことについてはいかがでしょうね。
#102
○政府委員(稲葉哲君) 通常の保育所への送り迎えにつきましては、範囲に含めて従来から措置いたしております。
#103
○糸久八重子君 通勤経路の逸脱、中断中の災害であっても、例えば日用品の購入とか、日常生活上必要な行為を行っている場合の災害こそ通勤災害の保護制度の対象とすべきではないかと思うんですけれども、正常な通勤経路に服した場合だけでなくて、逸脱中の経路についても考えていっていかなければいけないのではないかと、そう思うのです。最近は道路事情も悪いし、迂回していくというような場合もあるだろうと思いますけれども、その辺はいかがでしょうね。
#104
○政府委員(稲葉哲君) 御指摘のような御意見があることは私ども承知いたしております。それから、労災保険審議会の中でも御議論がございました。
 ただ、逸脱中の外れた道筋と申しますか、その間につきましては、通常の通勤経路ですと経路が特定できますので通勤災害の認定ができるわけでございますけれども、逸脱した経路につきましては非常にそれが確定しにくいという技術上の問題がありまして、まだそこまで含めるのは適当ではないというふうに考えている次第でございます。
#105
○糸久八重子君 近年、単身赴任の方たちが非常に増加しておるわけですけれども、この方たちというのは、週末自宅に帰って月曜日に職場に帰るというような形、もしくは一月にそういう形をとる。特に、週休二日制を導入している企業も多くなっているわけですから、金曜日に帰って月曜日に行くというようなそういう勤務者も多くなっているのではないかと思いますけれども、そういった場合の帰省の途上に災害に遭遇した場合は、通勤災害とみなすことは無理でしょうか。
#106
○政府委員(小粥義朗君) この問題、実はいろいろな面で指摘もいただいている問題でございます。
 結論としては、労災保険審議会の検討の中でも引き続き検討していこうということにされておりまして、今回の改正には盛り込んでおりませんけれども、従来そうした単身赴任的な方のいわゆる家族の住んでいるところとの往復の過程で出た災害、これの取り扱いとしては、例えば一例を申し上げますと、小田原に家があるんだけれども、相当通勤時間がかかるので都内にセカンドハウスを
持っていて、通常はそこから通うけれども、週末には小田原の家族の住むところへ戻って、それで月曜はそこから東京へ出勤をするというケースについては、これは通勤災害として認めたケースもございます。しかし、例えば東京と大阪というふうに離れますと、これが必ずしも定常的にあるかどうかというのもはっきりしないとか、あるいは毎週じゃなくて月に一回ならどうだとか、あるいは年に二回ならどうだとかというような、いわゆる通勤と見れるかどうかという面で、いろんな通勤途上としてのとらえ方が難しい問題も出てまいるわけです。
 実は、この単身赴任につきまして、御承知のように、税制上の取り扱いも、昨年ですかなされたわけでございますが、その場合も、やはり会社の出張命令と関連さした形で取り扱うことにしているわけでございまして、そうした会社の出張命令あるいは旅行命令というものがない状態の中で、この単身赴任者の土帰月来型の行為を現在の労災保険制度に言う通勤としてとらえることは、やはり法律の概念上も無理があるし、やるとすればちゃんとした形で対応を考えなきゃいけないといった問題もございますので、さらによく検討しようということになっているわけでございます。
 今回の改正に織り込まれなかった趣旨はそういう事情でございますので、私どもも、今後こうした単身赴任の数がふえるだろうと思っておりますので、その往復過程の被災についてはどういうふうに対応していったらいいかは真剣に検討したいというふうに考えております。
#107
○糸久八重子君 労災法の制定時から見ますと、いろいろやはり事情というのは大きく変わってきているわけです。ですからそういう場合に、やはり変わってきた事情に対応していくような方策をとっていかなければいけないのではないかと思います。
 例えば単身赴任者の場合でも、家族と一緒に生活をしていないということで相当なストレス等も高じてくると思います。それで最近では、かなり壮年の労働者が自殺をするなんという例もたくさん出てきているわけですけれども、そういうことから考えますと、当然できれば週末は家族と一緒に過ごすというのが精神衛生上非常にいいことじゃないかと思いますから、そういう意味で、この問題については早急にやはり検討事項に入れていただいて、ますます単身赴任者が多くなるというようなこの現状の中で、速やかな対応をお願いしたいと思うわけです。
 先ほど御答弁の中にもちょっとあったんですが、出張を含めた帰省、これもやはりかなりあると思うんですけれども、その際に事故が生じた場合には労災適用にはなりますでしょうか。
#108
○政府委員(稲葉哲君) 出張の実態の事実認定の問題はございますけれども、出張と監督署長が認定いたした場合には労災の適用対象になります。
#109
○糸久八重子君 実はこういう例があるんです。昨年の八月十二日の日航機の事故なんですが、たまたま123便に乗り合わせて亡くなりました大阪の方でございます。この遺族から、出張を兼ねた帰省中の事故として労務災害の申請をしたけれども、これは事業所が千葉にあるわけですけれども、千葉の労働基準監督署は業務外の災害として労災適用を認めなかったわけでございます。この方の実家は大阪の堺市、これは八月十二日ですから、旧姓休みを利用いたしまして堺市の実家に帰省する途中に日航機の事故に遭遇をしたということでございます。この方は帰省する際に、勤務先の会社の社長から、大阪に在住している社長の知人と会って情報を収集するようにという出張命令を受けて、そしてしかも出張手当も支給されておるわけでございます。
 千葉の労働基準監督署が適用を認めなかった理由というのは、出張の命令が八月十一日、つまり出発する前日であった、そして航空券の購入が八月七日であった、つまり航空券の購入よりも出張命令が後であったということが第一の理由である。そして出張の日時も、特に八月の何日の何時に行って調査をしてこいという日時も設定をされていなかった、だからこの事故というのは私的な目的の帰省の途中で発生したんだから労災適用にはならなかったということなんですね。
 私は、これは新聞記事で見たわけですけれども、航空券の購入よりも出張命令の方が後であったということが第一の理由になっているわけですが、八月の旧盆の時期というのは人間の大移動が行われる時期でございまして、当然乗車券とか航空券というのは早目に購入しておくというのが、これは常識でございますね。ですから、そういうことから考えると、この退けた理由の第一番目が出張命令が後であったということは、ちょっとやはりおかしいのではないかなというふうに感ずるわけですけれども、この辺の見解についてはいかがでしょうか。
#110
○政府委員(稲葉哲君) 認定権者であります労働基準監督署長の認定でございますので、私どもがとやかく申し上げるのはどうかと思いますけれども、私ども承知している範囲では、ちょうどお盆休みの直前の帰省だったというふうに承知いたしております。お盆休み、たしか四日というふうに承知いたしておりますが、そしてそのための帰省をあらかじめ計画されていて、その後に、今お話がありましたような、社長さんからのお話があったというようなことで、その帰省につきましては全く私用によります帰省というふうに監督署長が判断をしたというふうに承知している次第でございます。御指摘のような航空券の購入が前後どちらであったかということも一つの判断要素にはなっていたかと存じます。
#111
○糸久八重子君 それから、出張を兼ねた帰省中の事故死が労務災害に当たるかどうかという先例がなかったというんですね。こういう先例は本当にありませんでしたか。これは千葉の基準監督署がそう言っているわけですけれどもね。
#112
○政府委員(小粥義朗君) 先ほどもお答えいたしましたように、会社の出張命令に基づいての帰省の中で、たまたま家族のところへ寄るということはあり得ることでございまして、そうした出張中の宿泊を家族の居住しているところにするケースは間々あるわけでございますから、今具体的事例でちょっとつかんでおりませんが、ケースとしてはあり得るんではないかというふうに考えております。
#113
○糸久八重子君 それでは、そういう実例があって労災の適用になっているのかどうかということは、また調査をしてお知らせ願いたいと思います。
 大変時間がなくなってしまいましたが、それでは、はり、きゅう治療労働者に対する補償打ち切りの問題についてお伺いをします。
 五十七年五月の三百七十五号通達で、はり、きゅう治療を一年程度続けた被災者に対して一方的に打ち切ってきた経過がありますね。主治医がはり、きゅう治療の効果を認め、あるいは職場復帰に努めばり、きゅう治療を受けている労働者まで打ち切ったということを不当として、横浜や大阪では訴訟に及んでいますけれども、このことをどう考えておられますか。
#114
○政府委員(稲葉哲君) 労災保険の療養費支給につきましては、原則として健康保険のそれに準じて取り扱うということにいたしておるところでございます。
 はり、きゅうにつきましての健康保険の取り扱いについてまず申し上げますと、はり、きゅう単独で施術が行われる場合に限りまして六カ月を限度として認めるということになっております。そして、一般医療とあわせて行われる場合には認められないというのが健康保険の取り扱いというふうに承知いたしております。
 そこで、労災保険におきましては、労災医療というものの特殊性も考慮いたしまして、これを一般医療と離れて行う場合につきましても、健康保険の六カ月の取り扱いというのを九カ月ないし十二カ月というふうに比較的長期の施術を認めるということにいたしているとともに、もう一つ一般医療と並行して行われますはり、きゅうの施術につきましても十二カ月間それを認めるということ
にいたしているわけでございます。
 こうしたはり、きゅうの施術期間につきましては、こういった問題に造詣の深い専門家の皆様方の御意見を聴取いたしましたところ、負傷あるいは疾病の治療を目的といたします場合では、通常であればその期間はほぼ六カ月で目的を達するということでございますが、個々の症状によりましては若干長短がございまして、九カ月ないしは十二カ月を要する場合もある、そしてそれでほぼ十分であるというような御意見をいただいているところでございます。そしてそれ以上延ばしたからといって施術の効果は期待できないという御意見が得られたわけでございますので、こういった意見をしんしゃくいたしまして、私どもの施術期間は九カ月ないし十二カ月というふうに定めたところでございます。
#115
○糸久八重子君 打ち切り手続の問題なのですけれども、打ち切られた労働者がその理由や根拠を求めても、通達が本省から来ていて、監督署長や審査官はそれに拘束されるから打ち切らざるを得ないというふうに回答するということなのです。被災労働者が医学上の所見を添えてはり、きゅう療養給付を請求している以上、これを否定するからには、それ相応の合理性のある打ち切り理由を示すのが筋であると思うのですけれども、これについてはいかがですか。
#116
○政府委員(稲葉哲君) ただいま御答弁申し上げましたように、その道の専門家の会合におきまして、九カ月ないし十二カ月の施療を行えばそれで十分であり、それ以上施療を続けてもその効果は期待できないという御結論をいただいておりますので、それに従って私ども通達をいたしておりまして、現地におきましては、その通達に基づきましてそういう御説明をするということにいたしておるところでございます。
#117
○糸久八重子君 それでは、細かい問題についてお伺いしたいと思いますが、建議の中に書かれてある特別加入制度の合理化の問題ですが、特別加入しようとする者のうち、業務歴から見てじん肺とか振動障害等の職業性疾病にかかっていると考えられる者に対しては健康診断書を提出させるとあるわけですけれども、この特別加入制度の趣旨というのはどういうものでありましたでしょうね。
#118
○政府委員(小粥義朗君) 本来労災保険制度は、使用者に雇用されている労働者がその業務上受けた災害による損失を補てんする、こういう形が基本的な仕組みになっているわけでございます。ただ、形式上労働者雇用関係にはないけれども、言うなら労働の実態が雇用労働者と同じような実態を持っていると思われる方を、特に特別加入制度としてこの保険制度に入れる道を開いたわけでございます。
 したがって、その範囲も法律でそれなりに限定をしておりますし、同時にこの場合は、いわゆる任意加入を建前としております。一般の雇用労働者は、これはすべて、極めて一部を除きまして強制適用、当然適用になっているわけでございますが、特別加入制度については任意加入が前提になっているというところが一般の場合と違う一番大きな点でございます。
#119
○糸久八重子君 特別加入制度の大きな意味というのは、労働災害や職業病被災者に対する救済幅を拡大していくところにあるはずではないかと思いますけれども、こういうように特別加入者に対する事前の健診の義務づけというのは、保険への加入または保険給付の対象を制限しようとするものではないかと思いますし、この特別加入制度の趣旨と大きく矛盾するものではないかと思いますけれども、その辺はいかがですか。
#120
○政府委員(小粥義朗君) 労災保険制度としては、やはり事業主によります労働災害の防止活動というものを前提にして、にもかかわらず災害を受けた場合にそれを補償する、こういう仕組みになっているわけでございますが、特別加入の場合には、使用者に当たる者がその特別加入者との関係ではないわけでございます。
 したがって、いわゆる雇用労働者とは見られない状態の中で従来同じ作業をしてきて、もう既にそうした業務に起因する疾病にかかっている人が、これはもう発病が明らかであるということで、逆にその時点から労災保険制度に加入をするということになりますと、これは言うならば一種の逆選択みたいな形になるわけでございまして、任意加入制度を前提としております特別加入制度の建前からしますと、やはりそうした加入前にもう既に出ている疾病についてはこの保険制度ではカバーし切れないわけでございますから、そうした点を把握できるように健康診断の診断書の提出を今回、これは省令事項でございますけれども、考えたいということで私ども考えているわけでございます。
#121
○糸久八重子君 もう一つ、省令事項の中で意見書の提出というのがございますね。保険給付請求事案について、支給決定前に事業主は意見の申し出を書面により行うことができることとする。このことなのですけれども、労災害議会の中の使用者側の強い意見があったと聞いておるわけですけれども、この背景と意図についてはいかがでしょうか。
#122
○政府委員(小粥義朗君) 労災保険審議会の中での使用者側委員からは、そうした業務上の認定に当たっての意見の提出ではなくて、むしろ業務上の認定に対する不服申し立ての資格を認めろ、こういう要望が出されたわけでございます。しかしながらこの点は、事実上の利害関係は使用者が持つにしても、法律上の利害関係は持ち得ないものということでございますので、それはとれないということにしたわけでございます。
 一方、労働安全衛生法等に基づきまして、使用者は労働者の健康管理についてそれなりの責任なり義務を負っているわけでございます。また、産業医等を置いてふだんから労働者の健康管理をやっているわけでございますので、そうした健康管理について責任を負っている立場からの意見の提出をこれは拒否する理由もないということで、業務上外の認定申請に当たって使用者から意見が提出できるような仕組みをとろう、これは省令事項でございますけれども、そういうことで考えたわけでございまして、本来は、先ほどもお答えしましたように、不服申し立ての適格性を認めるべきであるという意見であったわけでございますが、それはとれないということでその点ははっきりしているわけでございまして、むしろ健康管理に責任を負っている立場からの意見を申し出ることについて道を開いたということでございます。
#123
○糸久八重子君 労災認定とか補償給付への使用者側の異議申し立てができるようにして、そして最終的には、労災認定、補償給付の決定を使用者側の同意がなければ不可能という状況にしようとする意図があるのではないかと考えられるんですけれども、そういうことはございませんね。
#124
○政府委員(小粥義朗君) 使用者から出されます意見は、参考意見として行政当局が判断に際して見る場合がございますけれども、あくまで判断そのものは行政庁が主体的に行うものでございまして、意見に拘束されるというものではございません。
 むしろ、従来の労災認定申請の実態を見ておりますと、使用者の方の証明をもらうのがなかなかもらえないというようなケースもあったわけでございます。それは、使用者としてはなかなか意見を言う場が全然ないので、一たん証明をすればもう物を言う機会がなくなってしまうということで、かえって認定申請に必要な書類を整えるのがおくれるというケースもあったわけでございますが、こうした意見の提出が一方で道が開かれることでもって、ためにする証明の遅延であるとかそうしたことはむしろ今後避けられるんではないか。かえって認定申請の処理が迅速にいくんではないかというふうに考えているわけでございます。
#125
○糸久八重子君 この意見書の提出の件ですけれども、このことは、労働協約による上積みの補償とか、それから民事裁判での損害賠償請求という被災労働者の権利行使を不利にすることになるの
ではないかと大変心配されているわけです。申し立て制度の新設がやがては不服審査制度にまで及んで、被災労働者の不服審査請求の行使を妨げる要因になることも十分推測できると、労働組合はこの制度の新設を危険視しておるわけですから、十分慎重な対応をお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。
#126
○委員長(岩崎純三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#127
○委員長(岩崎純三君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#128
○中西珠子君 私は、社会党の糸久さんが二時間にわたって細々と御質問なさいましたので、なるたけ重複を避けて、同じ御返答をなさらなくて済むようにしたいと思いますけれども、労働大臣には、労災保険法改正を今回なさるに当たっての基本的な姿勢というものをやはりお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#129
○国務大臣(林ゆう君) 午前中の御質問に対しましてお答え申し上げましたように、今回の労災保険制度の改正は、高齢化の進展、年金受給者の増加などの実績にかんがみまして、昨年十二月に行われました労災補償保険審議会の公労使三者一致の建議を踏まえまして、年金制度に年功賃金の要素を反映するために、給付基礎日額につきまして年齢階層別に最低限度額、最高限度額を設けることを中心に、給付面における不均衡、不公平、これの是正を図ることなど、主として公平性確保の観点から所要の改正を行うことにしたところでございます。・
#130
○中西珠子君 年金たる保険給付の給付基礎日額を年齢階層別に労働省が毎年なさっております賃金構造基本統計調査に基づいてお決めになって、そして最低保障額と最高限度額というものをお決めになるそうでございますけれども、最低保障額を決めることは、現在の労災の年金を受けている人の平均を見ますと、二百万とか三百万という大変低い年金の水準でありますから、これは非常に必要なことだと思うわけでございます。最高限度額というのを設けるということは、これはやはり法定の補償というものの水準を切り下げるということにつながるわけで、結局労災で年金をもらっている人たちの生活が苦しくなっていくということになるのではないかと心配するわけでございます。
 最低保障額を決めて、そしてそれによって救われる、言いかえれば年金水準が上がる人たちというのは、けさほどの御答弁で二万一千人あるということですね。それで、最高額の限度を超えてしまう人というのは一万二千人ですか。結局、既裁定額というものは尊重なさるから、スライドをストップするということになるわけですね。それによって保険財政でどのような影響を受けるのか、その点につきまして、つい近い将来とまあ数年先というところまでお教え願えますですか。
#131
○政府委員(稲葉哲君) 今、御質問のとおり、最低保障額につきましては直ちに引き上げ、最高限度額につきましては、既裁定者についてはその額で据え置くということをいたします結果、初年度においては約二十六億円の持ち出しと申しますか、負担増になる見込みでございます。ただ、これがいずれ年を追いまして最高限度額の適用を受ける者が出てまいりますので、四、五年いたしますとほぼ見合う額になるというような推計になっております。
 なお、将来につきましては、年金受給者自体、現在十七万人でございますが、これが二十年後には約倍の三十万人を超すということに推計されておりますので、それら全体を勘案いたしますと、保険財政に対します今回の最高限度額あるいは最低限度額の設定によります影響というのは、ほとんどないというふうに私ども推定いたしているところでございます。
#132
○中西珠子君 保険財政に対する影響がほとんどないというふうにお考えになって、今度その保険の給付基礎日額というものの最高限度をお決めになったということは、保険加入者、そして保険の給付受給者がふえるという見込みの中で、結局保険財政が何とかつじつまが合っていくようにと、赤字にならないようにという御配慮の方が大きかったんでしょうか。
#133
○政府委員(小粥義朗君) 年金のような長期給付の支払いに充てます原資は、例えば他の社会保険制度では相当額を積み立てているわけでございますが、労災保険制度におきましては、年金制度が導入された時期も比較的新しいという面もございますけれども、今後六年間の支払いに必要な分を積み立てるという形で予算も毎年編成をいたしております。しかし、本来でしたら年金受給者、相当年金受給期間が長くなっておりますので、もっと多額のものを支払いに充てるために積み立てていかなきゃならないわけでございまして、もしそれを本格的にやるとなりますと、これは今すぐの話じゃございませんけれども、将来の話として見た場合には、相当の収入増を図らなければならないという問題が実はあるわけでございます。ただ、そうした長期的な問題は今後さらに検討が必要でございますので、私どもとしても検討を続けていくわけでございます。
 今回の改正は、あくまで制度自体の中における不均衡の是正というものに主眼を置いて改正案をまとめましたわけでございまして、特に財政面でのことを考慮して、支出節減のためにあれこれするという趣旨のものではございません。
#134
○中西珠子君 最高限度額と最低限度額を決められたということですが、保険給付そのものはやはり余り引き上げにはならないということですね。最低はもちろん上がりましたから、水準が上がる人は二万一千人いるという試算だそうですが、保険給付そのものをもっと改善するということはこれから先の検討課題だとは思います。
 特別支給金というのがございますね。この特別支給金というものも、被災された本人並びに家族というものの生活を潤すという意味では非常に結構なんですけれども、法定の給付の上に屋上屋を重ねるような上積みの形でこれがあって、そしておまけに規則でお決めになっているということは、一方から見ると非常に柔軟性があって対応がしやすいということかもしれませんけれども、国会の私どもの立場からすると、特別支給金についてはこちらの審議というものは全然されないというふうな、そういう感じを持つわけですね。
 それで、これを一本にできないものかと思うんですけれども、まず現状について、特別支給金の受給状況、これを種類別に教えていただきたい。そして受給者の数が、労災全体の総受給者との比率はどのようになっているかを教えていただきたいと思います。
#135
○政府委員(稲葉哲君) 特別支給金には、御承知のとおり、休業特別支給金、傷病、障害、それから遺族の各特別支給金がございます。そのほかにボーナス等の特別給与を基礎といたします特別支給金があるわけでございます。
 これらの特別支給金の支給金額、それから受給者数でございますけれども、昭和五十九年度の数字でございますが、休業特別支給金につきましては四百六十八億円、対象者が二十六万十六人でございます。それから傷病特別支給金では、支給総額が十九億六千七百万円、対象者が二千十三人。それから障害特別支給金では二百五億二千七百万円、対象者が五万二千百二十五人。遺族特別支給金では百三十七億二千七百万円、四千八百八人というふうになっております。それから特別給与を基礎といたします特別支給金は、額でもって四百四十三億四千三百万円ということになっておりまして、こちらの人数につきましては、特別給与を対象といたします特別支給金につきましては、人
数についてちょっと統計上把握いたしかねます。
#136
○中西珠子君 比率はわかりますか。
#137
○説明員(松本邦宏君) ボーナス特別支給金につきましては、三カ月を超える給与を基礎にしておりますが、給付基礎日額の算定の基礎になります賃金と別個のものでございまして、統計的にちょっと別の把握をいたしておりません。したがって正確な数字は、金額的には申し上げられますが、人数的にはちょっと申し上げられません。
#138
○中西珠子君 金額的にはわかっているんですか。
#139
○説明員(松本邦宏君) 金額的に申し上げますと、特別給与を基礎といたします特別支給金に障害特別一時金というのがございますが、これは六十一億一千万。それから遺族特別一時金でございますが、これは四億二千八百万。それから特別年金、これにつきましては三百七十八億五百万ということでございます。
#140
○中西珠子君 今、特別年金とおっしゃいましたけれども、それは障害特別年金ですか、遺族特別年金ですか。
#141
○説明員(松本邦宏君) 特別年金の合計でございまして、障害特別年金は百二十一億四千二百万、遺族特別年金は百六十四億、傷病特別年金は九十二億六千三百万、合わせますと先ほど申し上げました三百七十八億五百万ということでございます。
#142
○中西珠子君 年金の、労災の法定の方の給付は結局被災前の三カ月の平均給与ですね、そういうことになっていますけれども、こちらの特別給与の方は、その特別給与の性格上、結局算定基礎年額を出されてそれを三百六十五で割っているわけでしょう。これを労災の法定の年金の方の、これは基準法の改正が必要となるかもしれないけれども、その基礎になっている三カ月間の平均賃金というのをやはり一年間というふうに画して、そしてこちらの特別支給金というのも一本にまとめるという考えは全然持っていらっしゃらないんですか。
#143
○政府委員(小粥義朗君) 今回の改正案を取りまとめる前提になりました労災保険審議会の建議が出されるまでの議論の中で、御指摘のような問題も論じられたわけでございます。特に、特別支給金を法定給付にすべきではないか、そちらに繰り込むべきだ、こういう意見もあったわけでございます。基準法との関係はございますけれども、それは一応法理は共通の部分ありますが、年金制度を導入してから基準法とは独立の仕組みがつくられておりますから、そのこと自体致命的ではないんですけれども、むしろ法定給付にすることで他の制度との調整がどういうふうになっていくかといったような問題をいろいろ議論をされたわけでございます。結果としては、今直ちにやることはいろいろ問題があるなということで、今後他の制度との調整等の検討の中でもその辺を引き続き検討していこう、こういうことになったわけでございます。
 そういう意味で、本来一本にしてはどうかという考え方、これはあり得るわけでございます。さらにまた、三カ月というような期間ではなくて、他の欧米諸国にあるような年金給付という長期給付の算定基礎であれば一年間という期間をとるべきじゃないか、こういうこともございました。これは実は基準法といろいろと関係してくる面があるわけでございまして、短期給付については三カ月、長期給付については一年というような立て方も考えられるわけですが、そうなりますと、いわゆる実務の面で二重に給付基礎日額というものをはじかなければいけない。しかも、従来三カ月だったものを一年というような期間に延ばしますと、そのための事務というものも相当ふくそうしてくるだろうといったようなこともありますので、行政の実務処理体制の問題も当然出てくるといったいろいろの問題が提起をされました。したがって、それらの問題、問題意識は十分持ちながら今回の改正では見送っているということでございます。
#144
○中西珠子君 けさの糸久委員の、年金の算定基礎はやはり三カ月の平均賃金ではなくて、せめて一年ぐらいにするべきだと、欧米諸国でも一年というふうになっているという、そういうお話があったときに、基準法の改正も必要だということを基準局長がおっしゃったわけですが、とにかく、特別支給金というのを支給していらっしゃることは結構なんですよ。結構だし、それで被災労働者の生活が大変潤っているんだからいいんだけれども、しかし規則としてどんどんそういうものをふやしていらして、そしてそれが積み重ねになるということは非常に素人から見ると複雑なんですね。
 それで、これを一本化するのは行政事務上非常に煩雑で大変だというお話でしたけれども、休業の方の給付は一年という算定基礎ではなくて、一カ月とか四週間という算定基礎にしている国もあるわけでしょう、ドイツとかフランスとかあるわけですね。ですから、全然できないわけでもないわけですから、これをやっぱり法定の給付として一本化するというか、統合するというか、そういう方向に向かっての御検討というのをやはりやっていただきたいと思うわけです。現在支給されているのは非常にいいんですけれども、そして現在特別給付金があるために結局百分の六十じゃなくて、それプラス百分の二十で百分の八十という、相当世界的に見ても恥ずかしくないような給付水準になっているわけですからね、それがいけないと言っているんではないんですのよ。ただ、素人の目には大変わかりにくい。
 それから、労災の認定を申請して、そして給付を申請するときにも、これも特別支給金というのを忘れて書かなかったならばその人はもらえないということになりますからね。もちろん御指導になっていて、きちっと特別支給金も特別給与のある人は申請をするようにということでなすっているんだと思うんですけれども、とにかく大変手続が複雑で、また支給の仕方も複雑だという印象を受けます。
 また、法定でないというところを規則でお決めになっているというところは、これは柔軟性があって大変よろしいんでしょうと思いますよ、行政の側から見れば。しかし、我々から見ると、その特別支給金の方は全然我々はタッチできないところにあるというふうな、そういう感じを受けるわけです。ですから、国会でもう少し論議ができるような法定の給付というものに統合するという方向で御検討願いたいと思うわけです。
 それから、ほかの社会保険の年金との兼ね合いとか均衡というふうなものもあって、労災の補償はほかの社会保険の給付水準よりも、労災の性質上、高くなっておりますからね、それが引きずりおろされるということでもまた困るんですけれども、将来やはりこれは御検討願いたいと思います。
 いかがでございますか、大臣。
#145
○政府委員(小粥義朗君) 先ほどもお答えいたしましたように、この問題、引き続き検討の課題の中にも入っているわけでございます。私どもとしても、殊さらに複雑な形態の給付体系ではなくて、わかりやすいものという意味では一本化の方向が望ましいと思っております。
 しかし、さっきちょっと触れましたが、ほかの給付との調整の関係では、逆に受給者に不利になる面も実はあるわけでございまして、そうした点を比較考量して、果たしてどういう形がいいかという意味で、まあにわかに結論が出ないために引き続きの検討になっておるわけでございますが、私どもとしては、わかりやすい給付体系という点では御指摘のとおり同じように考えるわけでございます。今後の検討に当たっては、その点を十分踏まえて対応していきたいと思っております。
#146
○中西珠子君 それでは、ちょっと細かいことをお聞きいたしますが、今度の改正によりまして、一部の休業者に対する休業補償給付は、早く言えば引き下げになるわけですね。これが一部休業者に与える影響というものはどのようにお考えになっておりますか。
#147
○政府委員(小粥義朗君) 現行の休業補償が一日
を単位として支給されることになっております関係で、一部休業の場合には、実際に働いて得た賃金と一日分の休業補償とを合わせると、通常の人が一日働いた以上の収入が得られることになるという面で不合理な問題が出るために、今回それを、休業した時間に見合う分に休業補償は限定をすることにしたわけでございまして、そのことからしますと、現行制度に比べれば確かにその公休業補償が減るということになるわけでございます。一方逆に、従来のような形で出ておりますために、かえっていつまでも一部休業を続けるというような形の逆の面も、実は実際の事例としてはいろいろ指摘を受けている面もございます。
 ですから、今回のことによって決して休業補償受給者が社会復帰の意欲を損なうことのないように、これは私どもとしても配慮していかなきゃならないと思っておりますけれども、そうした点に配慮しつつ、今余りにも不合理な形が出ている、それがかえって意欲を阻害している面をむしろ是正したい、こんなような考え方で今回の改正案を考えたわけでございます。
#148
○中西珠子君 逆に、部分就労をしている人は、結局完全就労じゃないからボーナスなんかはカットされますし、通常の勤務者より収入が少ないというわけですね。それでまあ休業を一部やって、そして療養しながら将来の完全職場復帰を目指して一生懸命働いているという人に対して休業補償がカットされてしまっては、完全職場復帰を目指して少しでも訓練的に自分をならすというリハビリのために働くという意欲がそがれるという方が大きいんじゃないかと私は思うんですけどね。
 とにかく、こういった一部休業者のカットということで影響を受ける人はどのくらいいますか。何人ぐらいを想定していらっしゃいますか。
#149
○政府委員(稲葉哲君) 昭和五十九年度の調査でございますけれども、影響を受ける者、これは私どもの電算機の中に人数で入っていないで件数で入っているわけでございます。件数と申しますのは支払い件数で、原則的には一カ月分まとめて払っているわけでございますが、ただ一カ月分に満たない場合もございますので、その場合には若干違ってきますが、そういった件数で申し上げまして受給者全体の〇・一%程度でございます。
#150
○中西珠子君 社会復帰を速やかにさせるということは、労災法の一つの目的でもあるわけでしょう。そうすると、その社会復帰のためのいろいろリハビリとか、そういったことでは労働福祉事業でやっていらっしゃいますけれども、仕事につきながらリハビリをして社会復帰をするという方の手だてというのは余りないわけでしょう、現在の労災の制度のもとでは。
 結局、自営業者としての社会復帰資金を貸し付ける制度とか、それから労災病院に社会復帰指導員を配置しているとか、そういうことはやっていらしても、職業をもう一度身につけているというとおかしいけれども、とにかくもう一度職場に帰って、そして自分自身をならして、訓練して、そして完全な職場復帰を目指すというふうなことだとか、また、もとの職場に帰れないときには職業転換のための訓練をやると。そういう訓練のための援護金というふうなもの、助成金というふうなもの、そういったものはこの労災の制度の中ではやっていらっしゃらないわけでしょう。
#151
○政府委員(小粥義朗君) 振動病であるとかじん肺のように長期療養をされた方が治って就労する場合に、通常の人と違っていろんなハンディキャップを負うわけでございますから、そうした方の就労がしやすいようにするための援護金というのは、これは労働福祉事業として現在やっております。
 休業補償でもってそうした社会復帰の意欲をそがないように、言うならある部分上積みして出すべきじゃないかという御議論もあるわけでございますけれども、むしろ休業補償は休業補償それ自体の性格に照らして適正な額にすべきで、私どもとしては、今の援護金であるとかあるいは今後職業能力開発行政とタイアップして、実際に訓練を受けやすいような環境もつくっていかなきゃいけないわけでございますけれども、単に基準行政だけではなく、職安行政あるいは能力開発行政といった他の行政との連携をもっと密にして、実際に個々の労災受給者がリハビリを受けられるような、あるいは社会復帰が促進されるような体制づくりをしていくことが大事じゃないかと思っておりまして、その点は今後とも力を入れていきたいというふうに考えております。
#152
○中西珠子君 今、基準局長がおっしゃったような方向で、労災行政それから労働基準行政ばかりでなく、同じ労働省なんですから、職業能力開発行政と緊密な連絡をおとりになって、やはり被災した労働者の社会復帰というものを速やかならしめるために御努力いただきたいと思います。これはお約束いただきます。お願いいたします。
 それから労災の方の特別加入の制度について、ちょっと細かくなりますがいろいろお聞きしたいわけです。
 例えば家内労働者、この家内労働者は労災特別加入ができるわけですね。しかし、加入者は作業ごとに結成する団体の名簿に載っていなければできないということになっているわけですね。そういう団体の数はどのくらいあるかということと、労災特別加入している家内労働者、そういう団体を通じてやっている人はどのくらいいるか。また、平均給付基礎日額はどのくらいのところにありましょうかということです。平均が出ていなければ傾向だけでも結構です。それから保険給付を受けている人がいるかどうか。また、給付を受けているとすると、その支給状況についてお伺いしたいと思います。
#153
○説明員(松本邦宏君) 家内労働者の特別加入については、五十九年度末の数字でございますが、団体数が百十三でございまして、加入者数は四千百三名ということになっております。
 それから家内労働者、これちょっと数字が違いますが、五十九年七月末日現在で調べました数字でございますが、家内労働者の総数は約六万八千名ほどと把握しておりまして、その時点での加入者は実は三千九百名ほどでございましたので、加入率としますと約五・八%ぐらいの方が入っておられるかと思います。
 それから給付基礎日額で申し上げますと、実は家内労働者につきましては、一般の特別加入とは違って、定額の給付基礎日額を認めておりますが、ちょっと細分はしておりませんが、千五百円から四千円のところが七五・四%、約四分の三はそこのランクでございまして、あと五千円から七千円というのが一五・三、八千円から一万円が六・五、一万二千円から一万六千円というのが二・八%というようなことになっております。
 それで、受給者の数でございますが、これは五十九年度の数でございますが、年金受給者の数は八名でございます。短期の休業補償等の受給を受けた方は一万二、三千おられるという状況でございます。
#154
○中西珠子君 家内労働者の数を把握することは難しい、非常に実態を把握することも難しいんですけれども、一応先ほどおっしゃった六万八千人の中で加入率が五・八%、三千九百人というのは非常に少ないですね。そしてまた、これは家内労働も非常に危険有害業務というものもあるし、そして、規則で明示されている作業ごとに結成される団体の名簿に載っていなければ加入できないということになっているわけですけれども、その団体数も百十三ということで、少ないわけですね。
 やっぱり団体を結成させるということは非常に難しいんでございますけれども、労働省としてはどのような方針をお立てになって家内労働者が特別加入するのを奨励なすっていますか。また、団体をつくることを奨励なすっていますか。それとも、それは自然に任せてあるわけですか。
#155
○説明員(松本邦宏君) 特別加入につきましては、今、先生も御指摘のように、団体をつくって加入していただくということをやっておりますが、この団体は、特別加入のために特別に新たに団体をつくっていただくということでは必ずしも
ございませんで、既存の団体をそのまま特別加入の団体として御利用いただければいいわけでございます。一般的に特別加入の場合でございますと、地域的な、あるいは職種による同業者の集まりがございますので、大体それを利用してやっていただいているわけでございます。したがって家内労働者の場合も、多くの場合、既にそういう団体が結成されているケースが多いんじゃないかと思いますので、そういうのを御利用いただければよろしいわけでございます。
 数字の上では、今御説明いたしましたように、必ずしも加入状況は進んでいないというような状況でございますので、我々としても、いろんな機会あるごとに指導はいたしておりますし、あるいは家内労働者に対しては婦人少年室あたりでもいろいろな御指導の機会がございますので、そういった機会なども利用さしていただいて特別加入制度の周知はやっておるつもりでございます。
#156
○中西珠子君 家内労働者の災害も非常にふえているわけですから、労災の特別加入の道があるということをもう少し周知徹底していただきまして、そして加入するように奨励指導していただきたいと思います。
 同じ特別加入の制度の一人親方ですね、これについてはどういう状況になっておりますか。団体の数、それから今お聞きしました給付の基礎日額の傾向ですね、それから保険給付支払い状況、受給者がどのくらいいるかというふうなこと、これは数を把握していらっしゃいますか。
#157
○説明員(松本邦宏君) 一人親方などにつきましては、ちょっと八つほどの職種に分かれておりますので、トータルで御説明をいたしますが、団体数といたしますと三千八十五、これは五十九年度末の数字でございます。加入者といたしますと二十三万三千四百六十七という数字になっております。
 それから給付基礎日額の方で申し上げますと、三千円から四千円という層が四八・三%、約半数でございまして、その上の五千円から七千円が三六・四、八千円から一万円が一四・一、一万二千円から一万六千円が一・二というような数字になっております。
#158
○中西珠子君 受給者は。
#159
○説明員(松本邦宏君) 受給者につきましては、年金受給者が約六百名ほどでございます。短期の受給者は非常に数は多うございますが、年金受給者は約六百名ほどでございます。
#160
○中西珠子君 自営の中小企業の事業主ですね、これは労働省令で定める範囲の中小企業の事業主は特別加入ができるわけですが、これはどのくらいおりますか、加入の状況。それから給付基礎日額の傾向、それから受給者の数をお教えください。
#161
○説明員(松本邦宏君) 中小企業事業主につきましては、これは特別に団体というのは要りませんので、加入者総数で申し上げますと八十万二千七百五十一名、五十九年度末の数字でございます。
 それで、給付基礎日額の方で申し上げますと、三千円から四千円の層が五六・二%、五千円から七千円が二五・七%、八千円から一万円が一三・六%、一万二千円から一万六千円が四・五%ということでございます。
 それで、受給者の数につきましては、実は中小企業事業主につきましては労働者と込みで入っております関係で、特別に集計をいたしておりませんので、人数は把握いたしておりません。
#162
○中西珠子君 包括加入ということはわかっておりますけれども、とにかくそういった方々もやはり被災した場合には生活保障の道が開けたということは非常にいいことだと思うんです。一人親方の場合は、やはり家内労働者と同じに団体加入が必要だということですが、どこの団体にも入っていないという人は、地域とか同じ業種の団体に何とか加入するということになっているわけですね。
 労働省としては、やはりこの一人親方の加入ということは奨励していらっしゃるんでしょうか。
#163
○説明員(松本邦宏君) 特別加入制度につきましても、我々といたしましては、いろんな機会を通じまして加入についての、制度についての周知に努めておるところでございます。
#164
○中西珠子君 それからもう一つ、特別加入の範疇に属する海外派遣者特別加入の制度がございますね。これについてはどのくらい加入しておりますか、加入者の数。それから給付基礎日額の傾向、それから保険給付の支払い状況、これを御説明ください。
#165
○説明員(松本邦宏君) 海外派遣者につきましては、団体数で申し上げますと三千四百三十三団体、加入者数にいたしまして四万七千五百二十二でございます。
 それで、給付基礎日額につきましては、海外派遣者の場合には、一番下の三千円から四千円という層は〇・五%でございまして、五千円から七千円が一八・〇%、八千円から一万円が四五・二%、一万二千円から一万六千円が三六・三%ということで、比較的高い給付基礎日額になっております。
 それから受給者につきましては、五十九年度で年金受給者が五十一名おります。
#166
○中西珠子君 この年金受給者の平均年齢はわかりますか。
#167
○説明員(松本邦宏君) 平均年齢まではちょっと把握いたしておりません。
#168
○中西珠子君 わかりましたら後で教えてください。今でなくていいんです。
 それから労働福祉事業の中で、労災就労保育援護費とか労災就学援護徴というふうなものを支給していらっしゃるというふうに理解しておりますが、その受給状況について数字を教えていただけますか。
#169
○説明員(松本邦宏君) 労災就学援護費の支給状況について申し上げますと、支給額でございますが、小学校につきましては五千円、中学校については七千円、高等学校については九千円、大学については一万九千円を、これは月額でございますが、支給することにいたしておりまして、六十一年二月支払い期の対象者は、小学校が七千三百九十人、中学校が八千二百二人、高等学校が一万百八十七人、大学が三千二百九十五人というふうになっております。
#170
○中西珠子君 就労保育援護費の方は。
#171
○説明員(松本邦宏君) 保育援護費につきましては、月額が五千円でございまして、これも六十一年二月支払い期の対象者は五百五十八名でございます。
#172
○中西珠子君 労災就労保育援護費の対象者は少ないですね、五百五十八名ですか。
 これは結局、給付基礎日額が幾ら以上、例えばつい最近まで九千円以下の人とかというふうに決まっていたわけでしょう。今は幾らですか。
#173
○説明員(松本邦宏君) 現在は給付基礎日額、これはスライドがある場合はスライドを乗じた後でございますけれども、一万二千円以下の方ということになっております。
#174
○中西珠子君 大変これはいい制度だと思うんですけれども、就労保育援護費の受給者がなぜ少ないのだろう、こう思っているわけですが、いろいろ基準監督署で周知徹底、それから労働福祉事業団の方でも周知徹底するように努力はなすっているわけでしょう。どういう方法で教えていらっしゃるのですか。
#175
○説明員(松本邦宏君) これは、被災された方にはこういう制度があるということを対象者についてはお教えすることにしておりますが、保育援護費の対象者が少ないのは、大体被災時の平均年齢が四十二、三歳でございますので、要するに保育というのは学校へ入る前でございますから、結局平均的に考えれば、その年齢の人にはそういう小さい子供がもういないということの結果だろうと思います。
#176
○中西珠子君 それから、今度は改正によってメリット制を拡大なさるということですが、メリット側を拡大して従業員規模二十人までは入れるというふうなことになりますと、労災隠しというのがふえるんじゃないかという、そういう心配をな
すっている方がありますが、それはどうなんでしょうか。
#177
○政府委員(小粥義朗君) お尋ねのように、労災隠しがふえるんじゃないかという懸念を持たれる向きもあるんですけれども、やはり何といっても労災をなくすためには、企業の安全衛生対策にもっと力を入れてもらわなきゃならない。また、その意欲を高めるためにもこのメリット制度というのは非常に効果のあるものでございますので、そうした面で今回改正をしたいと思っておるわけでございます。
 一方、労災隠しにつきましては、これは労災の申請自体は労働者がするわけでございますので、労働者の立場でちゃんとした申請がなされればおのずから労災隠しというものはあり得ないわけでございまして、死傷病報告や何かの報告で、使用者サイドがともすれば隠すようなことをするんじゃないかという懸念がございますけれども、労災はあくまでも被災労働者の申請によって行われるわけでございますから、その点の心配はないものというふうに考えております。
#178
○中西珠子君 これはけさも質問があったわけですけれども、事業主の意見の申し出制度を今度は省令で新設なさるわけですね。
 それで、被災労働者がこれは労災だということで認定申請しても、事業主の方がこれは労災じゃないと、労働者側の落ち度によってこういう災害が起きたというふうな意見を出すということはあり得るわけですね。そういうことで、結局事業主の同意がなければ労災認定もしてもらえないことになるのではないかという御心配が非常にあちらこちらあるらしくて、殊に労働組合の方からの反対というものはあるわけですけれども、労災認定には絶対使用者の影響力を行使させないということをお約束できますか。
#179
○政府委員(小粥義朗君) 今お尋ねの例に挙げられました、この災害は労働者の責任だから労災の対象にならないとかいうようなことでございますけれども、労働者の作業行動に不注意があって災害に遭った場合といえども、いわゆる故意あるいは重大な過失とかそういう問題はまた別としまして、通常の場合は、労働者の不注意があったから労災の対象にしないというものじゃなく、あくまで業務起因性なり業務遂行性があれば認定がされるものでございます。
 今回、使用者の意見の申し出を省令によって道を開くということにしますのは、これはいわゆる安全衛生法に基づいて使用者が労働者の健康管理の責任を負っている。しかも、産業医を配置して長年にわたって労働者の健康状態の管理をしているわけでございますから、そうした健康管理の責任を負っている立場からの意見を聞かしてもらうということも、また総合的な業務上の認定をする際に必要な資料の一つたり得るわけでございまして、そういう意味でその道を開いたわけでございます。
 御懸念の、この意見具申し出があるとそれで拘束されてしまうんではないかという点については、これは一つの参考意見ということであるわけですから、業務上外の認定はあくまで行政庁の主体的な判断でもって行うという点には変わりはないわけでございます。
#180
○中西珠子君 非常に技術革新が目覚ましい進展を遂げておりまして、ME化がどんどん進んでいるわけです。殊に、けさも質問に出ましたけれども、VDT関係の眼精疲労から非常に視力が低下したとか頸肩腕症候群とか、いろいろ労災の認定をどうしても受けたいという被災労働者の要望が出てきているわけです。これはやはり因果関係が、これまではっきりと医学的に証明ができてないから労災認定ができないというふうなお話でございましたけれども、これは将来の問題として大いにいろんな情報も集めていただき、またそういったME関係、技術革新の影響で出てきた新しい障害とか疾病というものについての労災認定の道を開くように御努力をいただきたいと思うわけですけれども、その点については労働大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
#181
○国務大臣(林ゆう君) 最近の新しい技術革新によりまして、従来になかったようないろいろな問題が起きていることは事実でございまして、ただいまのところそういったことの因果関係が医学的にまだ確立をされていないということは大きな問題であろうかと思いますので、そういったことを労働省といたしましても十分に把握をいたしまして、今後の重大な検討課題となっているというふうに私は認識をいたしております。
#182
○中西珠子君 実態調査をどうぞまたやっていただきまして、そして十分な御検討を願って、必要な場合には認定の基準を変えると、新しい基準を設定するというふうな方向で御努力願いたいと思います。
 それから、中小企業には中高年労働者の被災率が非常に高いという数字が出ておりますけれども、殊に高齢の被災労働者の介護のためにはどういう援護事業を将来なすっていくつもりか、労働省の方針について伺いたいと思います。
 この点に関しては、高齢被災労働者の介護のための援護事業を充実しなければならないということを労災保険審議会の建議でも言っているわけでございますし、けさほども出ました研究会の中間報告にも出ているわけでございますけれども、労働省は今後どのような方針をおとりになるつもりなのか、それをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#183
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘の研究会の中間報告も示されたわけでございます。その中では、在宅介護の方策を一方で進め、同時に、在宅がなかなか難しい場合、そうした高齢の被災者を収容して施設の中で介護を進めていくというその介護施設といいますか、私どもナーシングホームと言っておりますけれども、そうしたものの整備も必要である、こういう二つの方向での中間報告をいただいているわけでございます。
 問題は、このナーシングホームをどういうような構想で今後整備していったらいいか、その辺は全国にどういうような配置で考えたらいいかとか、あるいは各施設の中身、内容というものをどういうふうにしたらいいか、なお具体的に詰めなきゃならない問題がございますので、引き続きその点の検討は研究会にお願いをいたしておりますけれども、そうしたものを少なくとも試行的にも早いところ手をつけていかなきゃならないんじゃないかというふうにも考えておりますので、来年度以降の予算要求の中で、ある程度の方向づけができるように私ども考えていきたいというふうに思っております。
#184
○中西珠子君 高齢被災労働者の介護のための援護事業は、これはやはり手厚くやっていただきたいと思います。
 それから、まだちょっと時間がありますのでお聞きしたいんですが、昭和五十五年に労災保険法の改正案が成立しましたときに、衆議院と参議院と両院の社会労働委員会で附帯決議が採択されまして、その両方の附帯決議の中に、年金給付導入前に打ち切り補償を受給し、なお療養を継続している者などに対する援護措置を充実させる必要があるということが指摘されているわけでございますが、これについては労働省はどのような措置をおとりになりましたか。
#185
○政府委員(稲葉哲君) 昭和三十五年の三月末日以前に労災保険法の規定によります打ち切り補償費の支給を受けた者でございまして、けい肺あるいは外傷性脊髄損傷、いわゆる脊損のために現に療養を必要とする人たちに対しましては、既に昭和三十七年から療養援護金として療養の費用とそれから雑費を支給してきたところでございます。
 昭和五十五年の国会の附帯決議を受けまして、その後、常に介護を要する方々で現に自宅において介護を受けている方々に対しまして介護加算という制度を新たに設けまして、これを五十六年六月から実施しております。介護加算の額は月額三万六千五百円ということにいたしております。
#186
○中西珠子君 月額三万六千五百円は低いと思いますけれども、ほかの社会保険とのつり合いということもあるでしょうから、急にたくさんにはで
きないのかとも思いますが、とにかくそのような措置をとっていらっしゃるということは結構なことで、これを続けていただきたいと思います。
 それから、他の社会保険年金とのつり合いというふうなこともちょっと今出てきましたのですが、労災保険年金と社会保険年金との併給調整、これを受けている人は何人ぐらいいますか。
#187
○政府委員(稲葉哲君) 現在八万四千五百三十九人でございまして、年金受給者全体で十七万七千人余りでございますので、その四七%ほどということになっております。
#188
○中西珠子君 とにかく併給調整を合しているわけですけれども、昭和七十年に年金を統合するという政府の方針があるわけですね。これを目指して労働省としては労災保険年金をどのようにしようと思っていらっしゃるんですか、まだ将来のことはわからないでしょうか。何かやはり一応の方向性というものはお持ちになっているんだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#189
○政府委員(小粥義朗君) 率直に申し上げまして、現段階でこういう形でというものを明確に絵をかいて持っているわけじゃございません。しかし、労災保険審議会の中の議論でも、他の保険制度との調整が一つの大きな問題として論議をされたわけでございまして、現行の調整の仕組みが果たしてこれでいいのかどうか、また、されてない部分について今後やるべきなのかどうかといったような、他の制度との兼ね合いでございますから、なかなか解決の難しい問題の指摘もございました。と同時に、その調整の仕方によっては、現在労災保険が使用者の負担で拠出による保険料で賄われているわけでございますから、ほかの制度と調整する場合に、一体どちらが先に出るのかといったような問題は、制度の理論的な問題と同時に、負担のあり方の問題にもいろんな影響を持つものでございますから、そうした点も総合的に検討をした上でないと、にわかに結論が出しにくいということで引き続き検討をするということになっております。
 したがいまして、七十年にはそうした年金の一元化といった構想もあるわけでございますから、その時点に向けて私どもとしてもそうした適正な調整というものが行われるような仕組みというものを今後考えていきたいと思っております。
#190
○中西珠子君 将来の問題としては、この労災保険というものが使用者責任という観点から出発してきたということもあるし、その前は救恤的なあり方であったということもあるので、歴史的な面から見ては非常に難しいこととは思いますけれども、これは十分に御検討くださいまして、よい結論をお出しくださるように希望いたします。
 それから現在の問題といたしまして、労災保険法と労働基準法の労災補償との間に、これはやっぱり労働基準法の労災補償も、労災保険に入っていない企業もあるわけだから、幾ら強制保険とは言っても、現状としてはあるわけですから、これは現在は必要だと思うんです。レーゾンデートルがあると思うんですけれども、労働基準法の労災補償と労災保険法の補償との間にやはり乖離があるわけですね。格差というか乖離というか、それがあるわけですね。それについては現在どのようにお考えになっているか、また将来はどういうふうにお考えになっているか、将来どのように改正するなり、将来の方向づけというものは今お考えになっていますか。
#191
○政府委員(小粥義朗君) 労働基準法とそれから労災保険法に基づく労災保険制度、もともとは基準法による使用者の補償責任を保険するという形で生まれたわけでございますけれども、年金制度導入時点から、いわゆる労災保険制度として一種のひとり歩きをするようになってまいったわけでございまして、その面で、従来の打ち切り補償に比べて年金が非常に長期にわたって支給されるという形では、必ずしも基準法とオーバーラップしていない部分もあるわけでございます。労災保険が強制適用になって、一部にまだ任意適用の部分が残っておりますけれども、極めて微々たるものであるということからしますと、現在基準法の補償規定が働きますのは、四日未満の休業と、それから労災保険の任意適用事業である農林水産業の個人経営の五人未満の事業所、それから国鉄等は労災保険適用ならず、国鉄自体の制度を持っておりますが、これも今後民営・分割というような問題が出てまいっておりますから、どうなるかまだ帰趨はわかりませんけれども、少なくとも基準法適用部分というものはだんだん減っていくんではないかというふうに見ております。その場合、なおかつ基準法の災害補償規定を労災保険法とは別個に持っている方がいいのかどうか、これは基準法自体の問題としても十分検討しなきゃならぬ問題だと思っております。
 同時に、先ほど来の御質問にも出てまいりました平均賃金と保険の給付基礎日額との関係といったような問題で、基準法と労災保険の関係についてはなお検討すべき課題が幾つかございます、そういう意味では、その二つの法律の関係について私どもこれはそういつまでもそのままに放置しておけないんではないか。できるだけ早い機会にこの二つの法律の関係をすっきりしたものにしたいというふうに考えております。
#192
○中西珠子君 やはり経済社会情勢の変化というものに、また技術革新の進展というものに即応した法体制というものをお考えにならなきゃならないわけですから、前向きの姿勢でよりよきものにしていただくようにお願いいたしますと同時に、労働災害の防止のためにも一層の御努力を、御健闘をお祈りいたします。
 これで私の質問は、ぴたっと時間が来ましたから、終わります。
#193
○藤井恒男君 二、三質問いたしますが、今回の改正に当たって、限度額を上回るものについて経過措置を設けて既得権を保障する一方で、限度額を下回るものについては限度額まで引き上げるということになっております。
 そこで、限度額まで引き上げるのにどの程度の財源がかかるのか教えていただきたいと思います。
#194
○政府委員(稲葉哲君) 五十九年に実施いたしました賃金構造基本統計調査をもとにして算定いたしました最低限度額、最高限度額につきまして、六十年五月支払い期の年金受給者にこれを適用いたした場合という前提でもってお答えさしていただきますが、この試算によりますと、最低限度額設定による支出増となる額は、昭和六十二年度で、初年度でございますが、約四十億円というふうに見込んでおります。
#195
○藤井恒男君 六十二年度四十億円。
 将来にわたってこの保険財政への影響ということをどう考えておられますか。
#196
○政府委員(稲葉哲君) 当面は、最高限度額の適用を既裁定者については経過措置でもっていたさないという措置をとっておりますので、そちらによりますマイナスの影響はございません。ただ、将来的にはそれが徐々に働いてまいりますので、およそ四年先には最高限度額の設定の影響と最低限度額の設定の影響とがほぼ見合う形になろうと思います。
 その先は、最低限度興の適用の影響よりも最高限度額の適用の影響が上回ってくるというふうに見込んでおりますが、先ほどもお答えいたしたところでございますけれども、年金受給者は今後大幅に増加してまいりますので、そういったことによります保険財政の支出増、非常に大きなものがございまして、それと比較いたしますと、今回の最低限度額、最高限度額の設定によります影響というのは非常に微々たるものであるというふうに私ども判断しております。
#197
○藤井恒男君 先ほども国鉄の問題などについてまだ予知することはできないわけだけど、私、いろいろ影響が出てくると思うんで、その辺ちょっと気がかりであったわけです。
 それから今回の改正では、労働者が監獄などに収容されている場合は休業補償給付をしないようにするということなんだけど、労働者が収容される場合というのは過去にどういった事例があったのか、お聞きいたします。
#198
○政府委員(稲葉哲君) 私ども個々のケースを全部把握しているとは申し上げかねますけれども、承知している事例として申し上げますと、業務災害によります休業補償給付受給中の労働者が、その休業中に暴行、傷害、強盗、窃盗、恐喝、詐欺あるいは覚せい剤不法所持といった罪を犯しまして、それによって監獄等に拘禁収容されたものというふうに承知いたしております。
#199
○藤井恒男君 不支給とする場合、既決者と未決者をどのように扱っていくのか。既決に限って適用すべきだと思うんですけど、いかがなもんでしょう。
#200
○政府委員(小粥義朗君) 労災保険法によります保険給付がいわゆる損害補償といった性格を持っておりますので、具体的な範囲は今後関係審議会の議を経まして省令で決めることにいたしておりますけれども、考え方としては既決の者に限っていきたいというふうに考えております。
#201
○藤井恒男君 次に、通学など労働者の一定の行為について、日常生活上必要最小限度の行為として労災保険の保護の対象とするということになっておるわけですが、これは具体的に省令で決めていくわけですね。こうした場合に、最近の職場における、主として技術革新の影響などからおのれの職業能力を高めなければいけない、守備範囲を広めなければいけないということで、いわゆる学校に通うというような人たちがふえているわけですが、私はこういった人たちについても積極的に認めていくべきじゃなかろうかと思っているんですが、いかがなもんでしょう。
#202
○政府委員(小粥義朗君) その範囲も具体的には省令で決めることになるわけでございますが、今の考え方としては、学校といっても高校や大学に限りませんで、その人の能力開発に必要なカリキュラムであれば各種学校、専修学校も含めて考えたいと思っております。
 ただ、およそその各種学校全部がいいということにできるかどうか、純然たる趣味のための通学というものもあるわけでございますので、その人の職業能力の開発向上に役立つものと認められる一定の範囲のものというふうに考えていきたいと思っております。
#203
○藤井恒男君 今回、事業主が保険関係の成立の届け出を怠っていた間に事故が生じた場合は、事業主から保険給付に要する費用を徴収するという規定が設けられたことによって、未加入事業所の加入促進に資することになると思うんですが、その場合、費用徴収の範囲をどう考えているのか。
#204
○政府委員(小粥義朗君) 現在、費用徴収の例が一つございまして、既に加入している事業主が保険料を滞納している期間中に生じた事故について費用徴収ができることになっております。
 今回、新しく法律改正で織り込みます未加入中の事故に対する費用徴収も、考え方としては、この既存の費用徴収の仕組みと大体同じような形で制度をつくりたいというふうに思っております。
 ちなみに、現在の費用徴収制度は、三年間の期間で、かつ給付に要した費用の四〇%を限度としてやっておりますので、今回の改正によります費用徴収も、ほぼ同じような考え方をとっていきたいというふうに思っております。
#205
○藤井恒男君 労災保険は強制加入ということになっているわけだけど、未加入の場合の加入促進対策ということについて、先ほどもどなたか御質問があったのかとも思いますが、具体的にどういったことを行っているのか、お聞きいたします。
#206
○政府委員(岡部晃三君) 現在、労災保険の未加入、いわゆる未手続事業、これは全事業所約三百万以上あるわけでございますが、約百万が未手続事業でございます。これの内容は、御承知のとおり、小規模の商業、サービス業等の事業でございまして、これに対します適用はかなり困難な状況にあることは事実でございます。しかしながら、これは労働者を雇用しているすべての事業場に強制的に適用になる性格の制度でございますので、この適用促進というのは法の履行、費用の公平負担、労働者の福祉という観点から極めて重要でございます。
 労働省では、従来からこの労働保険制度の周知徹底を図りますとともに、例えば労働保険事務組合に対しまするところの事務の委託の普及、あるいは電子計算機の導入による適用関係事務処理の効率化というふうなことで、適用促進に努めてきたところでございます。
 しかし、先ほど申し上げましたように、今日相当数残されております未手続事業に対しまして、さらに適用促進を図りますために、昨年度から全国の県におきまして合同のブロック会議を開催いたしまして、一体となって適用の促進に当たるということを指示してまいっているところでございます。このためには、業種別の事務組合の設立等による委託加入の拡大というような新しい方策も検討しているところでございます。
#207
○藤井恒男君 全国脊髄損傷者連合会から労災法改正に対する要望書が出ているわけですが、これは労働省も御承知のことだと思います。
 この中で、重度労働災害被災者の労災年金受給者が死亡した場合に、大部分の者が業務上の疾病と因果関係が認められないという理由で遺族補償年金が支給されていないという実態を訴えているわけですが、これはそのようなことになっているんですか。
#208
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘のような事例で、長期療養されていた方が亡くなった場合、その直接の死因がその被災者の原疾病、この場合ですと脊損になろうかと思いますが、それとどういう関係で直接の死因である疾病が生じたのか、その辺の因果関係は個別にケース・バイ・ケースで判定をすることにいたしておりまして、結果として因果関係なしということで、その死亡自体が業務外とされたケースが多いのは事実でございます。
#209
○藤井恒男君 これは非常に難しいことかとは思うけど、私は、やはり科学的知見を集積して、因果関係の解明により努めなければいけないんじゃないか、この要望書を見る限りにおいてそのように感ずるんですが、いかがでしょう。
#210
○国務大臣(林ゆう君) 先ほどちょっと局長の方からも答弁がございましたように、なかなかその因果関係というものの把握が難しいというようなことでございますけれども、御指摘の要望書にあるような、脊損などによりまして長期にわたる療養中に併発した疾病と原疾病との医学的な因果関係、こういったものにつきましてはなお解明すべき点があるものと考えられますので、今後とも、医学情報の収集、研究などを進めながら、医学専門家に検討をお願いして、できるだけそういったことの解明を早くなされるように努めてまいりたいと考えております。
#211
○藤井恒男君 大臣、それはぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
 五十九年四月に行管庁が、労災保険制度の運営について勧告を行っているわけでありますが、この勧告に基づいて、勧告の内容に沿って実施したものももちろんあろうと思うんですが、実施しなかった主なもの、どういったものがありましょう。
#212
○政府委員(小粥義朗君) 勧告では二十九項目にわたりまして非常に具体的な指摘もあったわけでございますが、その中でまだ実施されていない事項の主なものとしては、一つは、労災リハビリテーション作業所の機能のあり方の再検討という指摘があるわけでございます。この点は五十九年の七月以降、今、リハビリテーション作業所に入っておられる在所者の方の社会復帰の意向等の実態調査をずっとやってまいりました。その調査結果も出てまいりましたので、新しく労災リハビリテーション作業所の運営に関する委員会というのをつくりましたので、そこの委員会の場で今後のあり方の検討をしていただくということにしております。
 また、労働福祉事業費の規模の適正化という指摘もあるわけでございます。これは今回の改正の前提となりました労災保険審議会における論議においても、この福祉事業はどうあるべきかという議論が大いにあったわけでございます。そこでは
今回の改正に盛り込むまでの結論を得るに至らななかったので、引き続き検討すべき事項として、今後の検討課題とされているところでございます。
#213
○藤井恒男君 今、二つの点を指摘されたわけですが、今後のスケジュールですね、どういう形になっていくというふうに判断したらいいですか。
#214
○政府委員(小粥義朗君) まず、リハビリテーション作業所の方でございますが、これは既に委員会も労災福祉事業団に設けまして検討を始めることにしておりますから、そんなに時間がかからないで進むものと思います。
 一方の労働福祉事業費の規模の問題でございますが、これは現在の福祉事業の中身、それをどうしたらいいかといった問題にも当然かかわってくるわけでございます。これが当然に、先ほど申し上げました検討課題とされておりまして、実は労災保険審議会で建議が出されて、一応の検討は区切りがついたんでございますけれども、引き続きの検討課題が他にも幾つかございますので、早急にこの審議会の中に、従来と同じように基本問題懇談会を引き続き設けまして、これから検討を始めることにいたしております。ちょうど委員の任期がこの三月で終わっているものでございます。今新しい委員の再任手続をとっておりまして、この五月には新しいメンバーで発足できるものというふうに考えております。
#215
○藤井恒男君 終わります。
#216
○下村泰君 多少、ほかの諸先生方と重なるところがあるかもわかりませんけれども、少し角度を変えていろいろとお尋ねしてみたいと思います。
 今、日本の国の労働問題で一番直面しているのは何だといったら、やはり高齢化、いわゆる高齢の労働者がこれから多くなっていく、しかも非常な加速度的に、いまだかつて世界に例を見ないスピードで老齢化社会に入っていくと。これはもう皆様方の方がよく御存じだろうと思います。
 そこで、いろいろと考えてみますと、いわゆる簡単に言えば、じゃ、なぜお年寄りの方々が働かなければならないかと、こういうことになりますわね。年をとってきたら通常の年金、いわゆる年金生活というのができれば、そんなに僕は働く必要はないと思うんですね。
 五十九年に出されたんでしょうかね、これは総務庁の統計局で出している「労働力調査」、これを見ますと、「年齢別労働力人口の推移と見通し」というのがございます。五十年、六十年、六十五年、七十五年というような年代の見出しで、その下に労働力人口の推移が見通しされておるんでございますけれども、六十五年に千二百五十五万人、全労働力六千二百三十万人の約二〇%。それから七十五年というふうに、推移の見通しですから七十五年というのが出ておるんですけれども、ここへ来ると千四百八十五万人という労働力になっているわけでございますね、五十五歳以上が。五十五歳以上が千四百八十五万人。こういう数字が出ています。
 それから、日本、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランスなどと年齢別の労働力率の国際比較をしてみても、日本は非常に高い。六十五歳以上の欄を見ましても、アメリカが一九・一、それから西ドイツが七・四、フランスが八・二、イギリスが六十五から六十九までが一四・三、七十歳以上が五・五。これに比較して日本は、六十五歳以上が四一と物すごく高いわけですね。
 年齢別の男子労働力率の国際比較を拝見しましても、確かに日本は抜きん出て数が多いんですね、数値が。これはパーセンテージになってますけども、六十五歳以上、これはイタリアが一九八三年ですから三年前で九・九、フランスが一九八三年四・三、カナダが一九八一年で一六・四、オランダが一九八三年で四・一、スウェーデンが一九八二年で一三・三、イギリスが一九八一年で九・九、アメリカが一九八二年で一七・一、西ドイツが一九八三年で六・五に比べて、日本は一九八四年で三七・六と。これはもうこうやって各この表を見ただけでも、いかに日本の場合にはお年寄りが働かなければならないかと、これが現状なんですね。
 さあ、そうしますと、こういうお年寄りが働かなきゃならないという日本のこの産業の構造の中で、ますます働きにくいような状況に追いやられているということも事実だと思うんです。急にいろんな近代化されることによって、それについていけない人もおります。中には、私もそうなんですけど、ソフト何とかというのがありますわな、いろんな子供が遊んでいるのが。あれ、私見ただけでうんざりするんですね、見ただけで目がおかしくなってくるんですよ。こんなものによくまあ慣れて子供たちはよく遊んでいられるなと思うんですけれども、ああいうのを見ただけで私なんかうんざりします。そうしますと、私みたいに見ただけでうんざりする方もいれば、中にはこれが仕事場となっている方々もいらっしゃるわけですね。
 さあ、そうなりますと、本格的な高齢化社会を迎えるに当たりまして、高齢労働者の職場環境の改善、あるいは労働安全衛生対策の拡充についてどういうふうに基本的にお考えになっていらっしゃるのか、まずこれから先に伺わしてください。
#217
○政府委員(小粥義朗君) 高齢労働者の方の、職場で働く場合に事故がふえてきているという傾向にあるわけですが、その原因としては、何といっても一つには加齢、年が多くなることによる体力なり能力の衰えが一方にあるわけでございます。それが従来の重労働といいますか、そうしたものになかなかたえられなくなる、あるいは身体動作が緩慢になって、いろいろ事故の原因にぶつかった場合の臨機応変な対応がしにくくなる、こういう面があるわけでございます。そういう加齢による労働能力の問題は、これは必然のものでございますので、それ自体をすぐとめるというわけにはいかない問題だと思います。
 むしろ、私ども高齢者の安全衛生対策として今考えておりますのは、一つには、その身体的行動をとる場合のいろんな気を配る点でございますね。そうしたものを今各企業が高齢者の安全対策としてやっております事例をいろいろ集めております。そういう集めた中から好事例をまとめまして、これを各企業に知ってもらい、各企業での安全管理に使っていただくということをまず一つ考えているわけでございます。
 それからもう一つは、最近、特に高齢者の健康管理の問題が大きく浮かび上がってきております。もともと血圧が高いとか、あるいは心臓のぐあいが悪いといった持病を持っておられる方が、働いている過程で急にそれが表へ発症して亡くなるというケースもあるわけでございます。したがって、そういう高齢者の健康管理、これをまず企業として十分気を配ってやってほしいということでの指導と、また助成をやっているわけでございます。
 それ以外には、例えば高齢者の体力が衰えてくる、そのために仕事を従来よりは楽なものにかわらなきゃならないとなると、ますます職場も狭まってくるわけでございますので、従来と同じような作業を、言うならロボットの助けをかりてやれるような、そういうことはできないかというんで、身体障害者あるいは高齢者の労働に適するいわゆるME機器、お助けロボットというような名前でも呼んでおりますけれども、そうしたものの研究開発を労働省自体でも今手がけております。開発し、製品ができ上がるまでにはまだ時間もかかるかと思いますけれども、労働省自体としても、関係研究機関の力を動員しましてそうした開発に取り組んでいるところでございます。
 そうしたことを総合してやっていく中で、高齢者の労働災害というものを何とか減らしていきたい、こういうふうに考えております。
#218
○下村泰君 まあ行政指導の面ではそういう形にならざるを得ないでしょうし、また、より以上に積極的に労働省の方が動いてくださらなければ、企業というのはもうほっておいたら銭のかかることとか面倒くさがることはやりませんからね、これは大いに叱咤激励をしていただきたいと思いますけれどもね。
 昭和五十九年の労働省の「高年齢労働者の安全衛生に関する実態調査結果」というのが出ております。ここにグラフもございますがね。生産労働者たる高年齢者は男女とも災害率が非常に高くなっている。これで拝見しますと、性・年齢階級別労働災害率ですか、五十歳以上が、休業四日以上が一二・三三%、それから休業一日以上が一六・二九%ですか。そして今度は女子の方を見ますと、女子の方で五十歳以上、四日以上が八・四六%、それから一日以上が一〇・七三%と、こういうのが出てますね。
 そして、生産労働者たる高年齢被災者について休業日数の長いものの割合が非常にこれ高くなってますね。例えば五十歳以上男子を見ますと、十五日から一カ月以内が一七・八、一カ月以上が三五・一というんです、これ。死亡が〇・九。それから女子の方が、五十歳以上が二四・六ですね、十五日から一カ月が。で、一カ月以上が三六・四、こういうふうな数字が出ております。
 結局、高年齢労働者に対する安全衛生対策、過去五年間に検討した事業所の割合が二七・五%と低い。この「過去五年間」というところが私は非常にこう何か不安を感ずるんですがね。少なくとも去年いっぱいやったとか、二年ぐらい前からやったとか、過去五年間の検討した事業所の割合が二七・五、これは余りにも低過ぎるんじゃないかというような感じがするんですね。で、グラフになってますね。「高年齢労働者に対する安全衛生対策を過去五年間に検討した事業所の割合」、こういうふうに出ています。「検討した」というのが二七・五%、「検討中」が一九・五%、「検討していない」というのが四九・三%、半分ですわね。そうすると、五年間にわたってこういうのを検討しなかったという事業所が半分以上というのは、これはどういうところに原因がありますかね。まずここのところをちょっと伺わしてくださいよ、半分以上というのを、五年間に。
#219
○説明員(加来利一君) これは五年間ということでとってあるわけでございますけれども、一つは、推定されることでございますけれども、検討しなかった理由としましては、高年齢労働者自体の数が全体の労働者の中で占めるウエートが特に高い、こういった観点から、逆に事業所全体の安全衛生水準を上げなければならない。こういう観点で、特に高年齢労働者ということだけに着目して検討をしていないと、こういうものが相当含まれて回答されているのではないか、このように思うわけでございます。
 結局、高年齢労働者の災害防止だけに着目して検討をしたかどうかと、こういう質問と受け取ってそして書いているのではないか。といいますのは、高年齢労働者は全体の労働者の中でだんだんとウエートが高くなってきております観点から、災害全体を防止するという点では事業所全体の安全の水準を上げる、こういう観点が必要であるかと、このように思うわけでございます。そういったことから「検討していない」というような回答をしているものもある、このように思うわけでございます。
#220
○下村泰君 そうしますと、全体のところは検討してはいるけれども、高年齢者のみを対象にして検討はしていない、こういうことなんですね
#221
○説明員(加来利一君) そういうものも含まれておるというふうな理解もございます。
#222
○下村泰君 私ら簡単ですから、そういうふうにお答えが出てくると、じゃ年寄りはほったらかしてあるんだなと、すぐ私らはそういうふうに認識してしまうわけですね、思うわけですよ。ですから、やっぱり一応こういう調査というのは、私はそういうところまである程度手の届くようにした方がいいんじゃないでしょうかね。私らが例えばこういう質問をしなければ、全体だけ考えて高齢者は全然外されている、こういうふうな極端な言い方をされてもやむを得ないでしょう、今のお答えでは。どうなんですか。
#223
○説明員(加来利一君) 高年齢者だけに着目して災害防止対策をするということになりますと、高年齢者の適応性に関してその部分の低下とかそういったものを取り出す、こういうことになりますので、まず一つは、自動化といったような面が出てくるのと、もう一つ、適正配置という形で配置を適切にしなければならないというような問題も起こってくるわけでございます。
 したがいまして、そういった面にだけ着目するということといいますか、全体のレベルを上げるということの方がより重要、そういう考え方があった事業所があったのではないか、このように思うわけでございます。
#224
○下村泰君 私は別にあなたをいじめているわけじゃありませんからね。それは各事業所にしてみれば、年寄りだけを別にしてじゃなくて、それは全体の安全対策をと、それは当たり前のことですよ。ただ、こういった調査結果の出方が非常に何かおもしろくないというのが私の意見なんです。意見は意見として聞いておいてください。
 しかし局長、これはやはりこういう調査というのは、そこのところまでいかないと本当の調査にはなりませんわな。話は話で結構です。別にお答えなくても結構です、そう思ってくだされば結構なんですから。
 それで、今もお答えになりましたけれども、安全衛生対策の内容別を見るというと、一番割合に高いのは作業方法の改善あるいは配置転換、これがやっぱり一番多いのですね、これが一三・八%。しかしそれにしても一三・八%しかないわけですね。
 安全衛生対策の具体的な項目別に見ると、高年齢者のみを対象に実施している事業所の割合は、高いものですら「健康診断の追加等」がありますね。成人病とか人間ドックとか、こういうのが八・八%、それから「配置転換等」の八・六%、それから「職務内容の変更」の七・七%、これはやっぱり低いんですね、全体的に見ると。
 こういうふうに、いわゆるこういったお年寄りに対する手当てが各事業所で非常に低いというのが現実の内容なんですよね。今お答えになったのは、全般的な底上げをするということに事業所は一生懸命になっておると、だからこういうお年寄りの方は余り手が回り切れないというようなお答えでございましたけれども、やっぱり全体の底上げをして、いわゆる労働災害を起こさないのが一番いいことなんですから、災害が起きてからじゃ間に合わない、どんな手当てをしたって。幾ら医学が進んだからといって、ばらばらになった体をもとどおりに戻せと言ったってそうはいかないんですから。指の一本や二本とか、そんな、いろいろ医学的に新聞の活字に発表されるところを見ますと、きれいな指を氷のうでもってくるんで、冷やしてそれで病院にかけつけて行ったら全部神経まで通ったとか、こういうことはありますわね。そのぐらいならまだいいけれども、ばらばらになっちゃった場合にはどうしようもねんだから。結局はそういった災害が起きないことの方を願いたいわけです。
 今、それぞれの分野に分けて申し上げましたけれども、全体的に見るとやっぱり低いわけですね。こういう手当てに対してどういうふうにお考えでしょうか。
#225
○政府委員(小粥義朗君) 高齢者の災害防止対策を重点に取り上げていかなければならない事態にも来ているわけでございますが、実は挙措動作の違いとなりますと非常に個人差が大きい面があるものですから、いわゆる医学的な知見を集約して、じゃ六十歳代の人であればこういうふうに作業をやればいいというようなのは、なかなか線が決めにくいわけでございます。むしろ、まだいろいろそういう面での調査研究をしなきゃならぬ事項が幾つか残されておりますので、さしあたってはそれに力を入れてやっていくということに、今、災害防止五カ年計画の中でもうたっているわけでございます。また、現に研究を進めてもらっているわけでございます。
 そうした研究成果を踏まえて、今度、それじゃ高齢者の事故防止には機械をどうすればいい、あるいは作業基準をこういうふうにつくればいいといったようなものを具体的につくっていかなけれ
ばならないわけでございます。まだそこまで率直に言って手が届いてないというのが実情でございますので、私どもその点を今後至急に手がけられるように進めていきたいと思っております。
#226
○下村泰君 実際のことを申し上げて、労働省もこれほど急速な、いわゆる高齢化というのは恐らく読んでなかったと思いますよ、だれしも想像しなかった。たしかこの委員会で私も前にお話ししたことありますが、諸外国が百年近くかかってお年寄りがふえているのに対して、日本は二十七年ぐらいでいきなりどどどんと老齢化社会に入っているわけですね。ですから、余りにも急速に来たために、いろいろの諸手当てができてない、準備がされてない、これはやむを得ないことだと思いますけれども、お互いに、大臣だってもういわゆる高齢という言葉に当てはまる方の部類にやや入ってきていますからね。私も間もなくそうなりそうなんですけれども、お互いに情けない話ですけれどもね。しかし、そういった方々が生産の部門に携わっているとなれば、これはもう笑っている場合じゃない、真剣に考えなきゃならない時期に来ていますから、よろしくひとつそういうふうにお願いします。
 それから、現在、雇用促進事業団の雇用促進融資の一環として高齢者職場改善資金融資制度というのがありますね。労働福祉事業団の労働安全衛生融資の一環として職場環境改善資金融資制度がある。両方とも職場改善資金融資制度なんですね、上が違うだけなんです。それを拝見しますと、高年齢者職場改善資金、こちらの方が融資額の最高額が一億二千万ですね。それから労働安全衛生融資の職場環境改善資金の貸し付け、こちらの方が一億五千万。
 これだけの額を、どのくらい今まで件数があるのですか。例えば一年なら一年を限って言いますと、中小企業、いわゆる零細に近い方でこの融資を受けたの何件ぐらいあるのですか、実際のことを言ってもし今すぐ件数が出なければ結構ですよ。
#227
○説明員(松本邦宏君) 職場環境改善資金の方で申し上げますと、最新時点の六十年度の実績でございますが、二百六件で百六十三億という金額が使われております。なお、この年の融資枠は全体として二百三億ほどでございます。実は、五十八年度までは職場環境改善資金につきましては満額使われておりましたけれども、五十八年で申しますと、例えば百八十八億の融資枠に対して満額の百八十八億融資いたしております。ただ、五十九年度くらいから若干金融が緩和してまいりまして、銀行等にも資金がだぶついている関係がございまして、若干利用は落ちておりますが、実は財投の中では非常に優等生ということで、いつもお褒めをいただいている融資でございます。
 それから高齢者職場環境改善資金の方につきましては、これは六十年度は九事業所ということで、融資枠は四億百万でございます。
#228
○下村泰君 高齢者の方は比較的利用度が少ない、こういうことになりますか。高齢者の方が利用度が少ない、その利用度の少ない理由はどういうことなんでしょうね。
#229
○政府委員(小粥義朗君) 雇用促進事業団が行っております高年齢者職場改善資金融資制度、これはまだ発足して、たしか五十六年からの発足かと思いますが、期間もまだ短いわけでございます。確かに予定しました融資枠に比べますと、実際の利用状況がぐっと少ないということになっているわけでございますが、これは高齢者の雇用の場を開発するという観点で、例えばしゃがんで作業して腰に負担を感ずるようなものを立ち作業でむしろ楽にするとか、そのために例えば作業の対象物をコンベヤーでずっと動かしていたのを、上をつるような形にして動かすという形で、作業場の環境を改善するために必要な資金ということでございます。
 そういう高齢者向けの作業環境の改善の、言うならパターンといいますか、そういうものはまだ必ずしも定着、定立していないわけでございます。どういうふうに変えたらいいかというところでまだ迷っている企業もいろいろあるように聞いておりますので、今度高齢者の雇用開発協会等も整備をされますから、そういう中でこちらの方の融資についてもなお利用がどんどん進んでくるんではないかというふうに考えております。
#230
○下村泰君 これは私の提案なんですけれども、これらの制度を統合再編して、それで融資制度から助成金制度に転換してみたらどうか。高年齢者
 職場改善資金融資制度、こっちへくると今度はただ職場環境改善資金、同じようなものだ、中身は。してみりゃ、こんな二つもあることはないので、一つにして、むしろ職場改善の資金の助成というようにしてみたらどんなものだろうかなと思うんです。これ思うだけですよ、こうしろというわけじゃないんですけれども。どうなんですか、そんなことは。考えられますか。
#231
○政府委員(小粥義朗君) 融資制度でいくのか助成金制度でいくのか、これは事柄によって両方あり得る。むしろこれは助成金の方がいいというケースのものもあり得ると思います。ただ、一般的に言いまして、融資と助成金制度を比べた場合に、融資の方は融資率が一〇〇%じゃない場合、ある程度の自己負担は当然必要になりますけれども、大方が八割とか九割の融資率でやるわけでございますから、そうすると問題は、むしろ担保があるのかないのか、あるいは返済能力があるのかないのかといった問題が出てくるわけです。一方の助成金制度は、これはもう渡し切りになりますので、これを一〇〇%の助成率というのは通常あり得ないことでございますから、少なくとも二分の一ぐらいは自己負担をしなきゃいけないとかいった自己資金の調達が企業の負担になって出てくる。しかも渡し切りになりますと、これはそれだけの効果を期待しなきゃいけないためにどうしても要件があれこれとうるさくなってくるわけでございます。
 ですから、こうした職場環境改善の場合、融資の方がいいのか助成金がいいのか、またその対象となる企業の経営基盤、これがある程度のものを持っているのか持っていないのか、そうしたものでもまた違ってくるかと思います。この融資制度も発足以来相当長くなっております、福祉事業団の方のあれは。ですから、これからのこの融資制度のあり方についてはいろいろ検討もしていかなきゃならないと思っておりますが、今ここでにわかに助成金制度の切りかえの方がこれこれでいいというふうにまではまだ踏み切るだけの材料を持ち合わせませんので、今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
#232
○下村泰君 中には中小企業でもって、同じ中小の方でも小の方に属する人たちというのは、意外とこの融資制度というのは二の足を踏む方もいると思うんですね、意外と。今おっしゃったように、返還ができるだろうかできないだろうか、中には倒産しかかっちゃったやつもいるでしょうからね。ほかの名目にして、こういうことは名目さえ何とかうまいこと利用すれば――こんなことを言っていいのか悪いのか、利用しようとすればできないことはないはずなんで、もしそんなことをしてまで倒産したなんてことになりゃ、えらいことになると思うんです。中には、それこそ返還できるところの騒ぎじゃないなんていうのもおるかもわかりませんわね。しかし、中にはまたその資金によって立ち直るという企業もあるでしょうし、そういう企業もあるので、できるだけ借りやすい方法というのも、あるいはもらいやすい方法というのが一番いいんじゃないか、これは私らの意見でございますけれども。
 さて、先ほどからいろいろとこの年金に関する給付基礎日額ということについていろんな方からいろんなお話が出ておりますけれども、労働省の賃金構造基本統計調査というのを利用しておるわけですね。年齢階層別の最低限度額及び最高限度額を設定するということですね。この賃金構造基本統計調査というのは一体どういうことなんでしょうかというのをまず伺わしていただきたいんですけれども。
#233
○政府委員(小粥義朗君) この統計調査は、労働
省が毎年一回、六月の時点だったと思いますが、六月を調査対象期間にしまして約十万事業所を対象に賃金の調査をしているわけでございます。
 年齢別にあるいは業種別、職種別に、また性別ももちろん入っておりますが、そうした労働者がどれだけの賃金を得ているかというものを調査しているものでございまして、頻度は年に一回でございますけれども、内容的にはサンプルの数も他の調査に比べればはるかに多い数でございますから、賃金構造を知るためには一番しっかりした調査であるというふうに見ております。
#234
○下村泰君 そうしますと、六月でしょう。六月というといわゆる春の闘争というのがありますわね、春季闘争、ベースアップもあります、それから今度ボーナスもありますというようなことで、それぞれ決まってくるんでしょうけれども、例えば春季の値上げ分、これは五十九年ですけれども、春季の値上げ分でいきますと、主要企業、いわゆる千人以上ですね、約二百八十社を調べてみますとパーセンテージで四・四六、中小企業三百人未満八千社、これが四・四五と出ておるんですね。労働省の賃金構造基本統計調査というのは、五人以上の常用労働者を雇用する民営及び公営の事業所のうち抽出した約七万から十万事業所、これを見ますと五十九年で男が上昇率三・六になっている。女の方が三・三なんですね。
 そうすると、いわゆる主要企業あるいは中小企業の方が四・四五と高くて、労働省の方で調べたのは、それは中には小さいところもあるんでしょうけれども、三・六と三・三。例えばこういうところから割り出されて額が払われるということになるというと、これはたまったものじゃないなというような気がするんですけれども、これはどうしてこういうふうに違うんですかね。
#235
○政府委員(小粥義朗君) 賃金関係の統計調査はいろいろあるわけでございますが、そういう中ではサンプル数あるいは調査内容からして一番しっかりしたものというふうに見ております。
 一方で、春闘の賃上げの影響が六月時点でどういうふうに出てくるか。これは大企業は大体六月時点ですと反映されるわけですけれども、中小の場合は比較的解決が遅くて、六月時点まだ一〇〇%春闘の影響が反映してないというケースもあり得るかと思います。ただ、これは時系列的に見まして前年との比較でどれだけ上がったというふうに見てまいりますと、中小企業が仮に春闘の結果が反映されるのが遅くなったにしても、翌年の結果には当然入ってきているわけでございますので、前年との比較でどれだけ上がったかというふうな比較対照としては十分吟味にたえ得る調査結果ということになるわけでございます。
 ですから、他の調査結果を使うにしても、それぞれ欠点もあるものですから、私どもとしては現在得られる統計調査の中では一番その意味ではすぐれている賃金構造基本統計調査を使おうと、こういうふうに考えているわけでございます。
#236
○下村泰君 私の時間なくなりました。
 それじゃ、一つだけ今の質問につけ加えさせてください。年齢階層別の最低限度額及び最高限度額の設定に当たっては、春闘の賃上げ率も考慮に入れる。全部、統計できていませんでしたね、今のお話では。中には中小企業ではおくれてくるところもある。それだったらば、十月ごろに調査をする、あるいは九月ごろに調査をして、全部が上がった段階のものでいわゆる基準を出した方がいいんではないかというのが私の意見なんですが、どうでしょうかね、もらう方は多い方がいいんですから。
#237
○政府委員(小粥義朗君) 確かに中小企業の場合、春闘の結果が反映されるのが大企業に比べて遅くなるという意味では、一〇〇%六月時点の調査に反映してないかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、要するに毎年毎年こうやっていくわけでございますから、若干のタイムラグが出るのは御指摘のとおりあるわけでございますけれども、この調査をまた改めて別途やるというのは大変なあれでございまして、しかも毎年六月時点を選んでおりますのは、ある程度春闘結果が反映されるという見方に立って六月を選んでいるわけでございますから、一応既存の統計調査の時系列的な評価というものを損なわないためにも、今の統計調査でもって対応していくのが一番適当ではないかというふうに考えているわけでございます。
#238
○下村泰君 それじゃ、今までのこの私のやりとりをお聞きになって、労働大臣、どういうお考えをお持ちでしょうか。また、高齢者に対するこういったことの安全施策その他についてどういうお考えでしょうか、一言お聞かせください。それで終わります。
#239
○国務大臣(林ゆう君) 先ほど来高齢者の問題につきまして先生いろいろと御指摘がございました。急速な高齢者社会を迎えてその対応に十分なことがなされていないというもどかしさ、これは私どもも十分感じているわけでございますが、今後とも、そういった問題で高齢者の方々のいろいろな意味での福祉、あるいはまた災害防止のため、あるいはまた職場の確保、こういったことにつきましては全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
#240
○佐藤昭夫君 本改正案はいろいろ問題の多い改正案でありまして、それは、これまでの労災保険法の改正経緯との関係で見れば明瞭であります。
 すなわち、昭和五十五年改正までは一定の給付改善を図ってきた。
   〔委員長退席、理事大浜方栄君着席〕ところが、五十五年改正で財界、経営者側が熱心に主張をしていた民事賠償を、労災保険給付との調整、いわゆる相殺規定を設ける改悪を行いました。今回の改正も基本的にはこの延長線上の改正であって、労働側の要求はほとんど入れられていない。
 そこで私は、まず最初にはっきりさせる必要があると思いますのは、労災保険法の基本的な性格、特性についてであります。すなわち、労災保険法は他の一般的な社会保険と異なって、広い意味での無過失損害補償制度、こういう性格のものだと言うべきだと思いますが、この点の基本的認識、どうでしょうか。
#241
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘のとおり、労働災害につきましての使用者の補償責任というものを法理としました保険制度でございまして、発生経過的に申し上げますと、基準法に定める災害補償の規定の、言うなら責任を保険によって担保しようという形で労災保険制度がつくられたわけでございます。ただ、その後の過程におきましては、基準法で言う打ち切り補償にかわって長期給付としての年金制度が導入されるといったようなことから、保険制度自体のひとり歩きをしている部分もあるわけでございますが、基本的性格は、使用者の補償責任を基礎にした保険制度であるということでございます。
#242
○佐藤昭夫君 今の答弁のように、基本的に事業主の補償責任、これを基本に組み立てられているそういう制度だと。したがって、一般的な原則論を言えば、労災保険の給付内容は労働者の生活水準の向上、特に賃金水準の向上を反映したものに事業主の責任においてされるべきが本旨であります。
 今も少し議論があったわけでありますけれども、ところが、実際はそうなっていない。特別支給金がその一例でありまして、例えば一時金、遺族特別支給金三百万円、障害特別支給金、一級の三百四十二万円、十四級八万円、傷病支給金、一級が百十四万円から三級百万円までのこういう支給内容、これは五十五年から全然改正をしていない。五年以上も据え置いたままということになっているわけであります。一方この間の物価は、調べてみますと一四・四%上がっている。賃金水準は、三十人以上の事業所で二三・二%、五人以上をとりますと一九・八%アップをしている。
   〔理事大浜方栄君退席、委員長着席〕
逆に言えば、例えば遺族特別支給金、こうしたことからこの特別支給金三百万円というこの内容は、その実質水準は賃金上昇と比べて二三・二%も下がっている、こういうことになるのでありま
すから、三百万円は実質約二百三十万円だと、こういうことになるわけであります。
 まさに、事業主の補償責任の低下、これが制度的に認められている、こういうふうに言うべきであって、したがって、本来毎年改正をすべきところかと思いますが、それは無理であるにしても、五年間も据え置きにしておるというここは大問題、ぜひともこういう点については改正の努力をやってもらう必要があると思いますが、どうでしょうか。
#243
○政府委員(小粥義朗君) 御指摘の給付水準の引き上げにつきましては、今回の改正の前提となりました労災保険審議会における公労使三者のいろんな論議の中でも問題の一つとして提起をされたわけでございます。
 結論は、現在の労災保険の給付水準が法定給付及びこの特別支給金制度を加えてみた場合に、国際的にも遜色のないレベルに達しているということから、今回の改正にあわせて行うことについては見送る結論となったわけでございますが、ただこうした給付水準、当然社会経済情勢の変化、あるいは労働者の生活実態等をにらみながら、常に目を配っていかなきゃならない問題であることは御指摘のとおりだと思います。
 したがいまして、この問題引き続きの検討課題とされておりますけれども、私どもその点はさらに今後とも十分関心を持って対応していきたいというふうに思っております。
#244
○佐藤昭夫君 大臣としての御意見はどうですか。
#245
○国務大臣(林ゆう君) ただいま局長の方から御答弁申し上げましたように、いろいろと五年という年月は大きな時代の流れの中で変わってくるというような要素もございますが、今回の場合は、先ほど御答弁のとおりでございますので、今後ともこういったことには私どもも気を配りながら考えていかなければならないことだと考えております。
#246
○佐藤昭夫君 初めに指摘をしましたように、最近の事業者側の態度が極めて問題であります。基本は確認をされておるとおり、事業主の損害補償責任、これが明確であるべきでありますが、そうした立場でこの労災保険が補償責任を、その損害補償を代行している。言いかえれば、個々の事業主の労災に対する損害補償責任を労災保険として政府に業務委託をしているとも言うべきものであります。
 にもかかわらず、最近の経営者側、例えば金を出しているのは事業主だから口も出すようにせよと言ってみたり、労災決定そのものに不服申し立てができるような制度改正をせよということまで要求をするに至っているのであります。まことに不遜な態度と言うべきであって、労働省としてまさかこのような不遜な態度を、不服申し立て制度を根底から覆すようなこういう要望を認める、許すというふうなことはないでしょうね。
#247
○政府委員(小粥義朗君) 業務上の認定について使用者の不服申し立てを認めるという要望は、これは審議会の中における使用者側委員から強く主張されたところであることは事実でございます。しかし、その問題については審議会の公労使三者の議論の中で、事実上の利害関係はあるとしても法律的な関係者にはなり得ないということで、不服申し立て制度の適格性を認めることは適当じゃないという結論になっておりますので、私どももその考え方を踏まえて対応していきたいと思っておるわけでございます。
#248
○佐藤昭夫君 次に、具体的な問題として、脳卒中、急性心臓死などの業務上外認定基準に関してお聞きをしたいと思います。
 いわゆる過労に基づく死亡の労災認定は、「中枢神経及び循環器系疾患(脳卒中、急性心臓死等)の業務上外認定基準について」という、例の昭和三十六年二月十三日付、基発百十六号通達、これによって行われているのでありますが、二十五年前につくられ一度も改正されたことのない基準、これを物差しにして現在も実際の判定が現場の労働基準監督署でやられているわけであります。しかし、二十五年前に比べて労働環境は著しく変化している。交代制勤務、技術革新のもとでの新たな緊張を強いられる仕事の増大、労働密度、労働の質そのものが大きく変化をしているわけでありまして、現場の監督官諸君からも、二十五年前の基準では対応し切れないという声をいろいろ聞くわけであります。
 労働省は現在、この百十六号通達、その見直し作業をやっていおと聞くわけでありますが、結論までに一年ぐらいかかるということでありますけれども、今の認定基準が二十五年間の変化、現在の労働実態に即していないというふうに考えてこの見直し作業をやっているんでしょうか。
#249
○政府委員(小粥義朗君) 最近、労働者の高齢化も進んでまいりまして、成人病としての高血圧あるいは心臓疾患を持っておられる方の数もふえてきている。それがたまたま業務遂行中に発症して亡くなられるというケースが事例としてもふえておるわけでございます。そうした場合には、御指摘のように昭和三十六年に出されております認定基準に基づいて個別に判断をすることにしているわけでございますが、ケースがふえてきただけに非常に手間暇が、時間がかかるといったことも現実の問題として現場の実務の面からする声も出ております。
 そこで、そうした事例が多くなってきていることとあわせて、じゃもっとわかりやすい、判定のしやすい認定基準というものが他に得られるんだろうかというような観点で、この認定基準の見直しを今専門家にお願いしてやっていただいているところでございます。
#250
○佐藤昭夫君 二十五年間そのままになって何の改正もなくやってきた、進んできたというこういう経緯の上に立って、今日の労働実態、労働の量並びに質の実態、その変化、これを見直し作業の重要な要素として考えているんですか。
#251
○政府委員(小粥義朗君) 高齢者のそうした疾病を発症させる機序といったいわゆる医学的な問題だけではなくて、労働者が従事している労働の態様、そうしたものの変化というものも当然検討の要素の中に入れているわけでございます。
#252
○佐藤昭夫君 そこで、京都で起こっております具体的な例で、以下質問をいたしたいと思います。
 京都の小槻貞次さんという、駒タクシーというタクシー会社、そこの運転手さんが、昭和五十五年七月二十九日、タクシー運転の業務中、脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血で倒れて休業補償給付を請求したところ、京都の上労働基準監督署長は業務外として不支給の決定を下した事案があります。
 これについて、六十一年二月十四日、不服審査請求を出していたところ棄却の決定が下された。目下再審査の請求中であります。
 この概要は、小槻氏が昭和五十五年七月二十九日、二人のお客を乗せてタクシーを運転中、京都の例の北野天満宮、そこの交差点に差しかかったとき、急に普通貨物自動車が飛び出してきたために急ブレーキをかけて一旦停止したと。この際体ががくっと強い衝撃を受け、再発進後、突然後頭部から頭全体に締めつけるほど痛い頭痛が起こったと。それでガードレール、電柱に衝突して失神をする。直ちに病院に運ばれ一命は取りとめたわけでありますが、クモ膜下出血と診断され入院、現在は退院をしているわけですけれども、即時入院ということになった。
 こういう事例でありますが、この点について四人のお医者さんの所見、医証によりますと、小槻氏の労災認定に特に不利なものはなく、むしろ疾病の発生機序等については同氏に有利なものであります。ところが審査官の判断は、「脳動脈瘤破裂の誘因については、平川医師、服部医師、森竹医師とも一般的に破裂は通常興奮、緊張、いきみ等があって一過性の急激な血圧値の変動によって発症する可能性を認めている」と、すなわちお医者さんはそういうふうに認めながら、小槻氏の「発症当日及び発症前における勤務態様及び勤務実績から通常に異なった特に過重な労働とは認められ
ず、さらに、強度な精神的緊張を伴う災害によって発症したとも認められない。」と、こういう判断であります。また長時間労働についても、「常態として労働時間の超過は認めるが」、「同僚労働者と較べても特に過重な業務とは認められず、」という、こういう判断で不支給と、こう決めている、却下をしているわけであります。
 これが業務上認定をされなかった、今紹介しました点が主な点だと思いますが、この点はあらかじめひとつ調べておいてほしいということを言っておいたんですが、大筋こういうことで間違いないんでしょうね。
#253
○政府委員(稲葉哲君) 大筋においてそのとおりでございます。
 ただ、医師四人の多くの者がそういうふうな判断をされたという点については、若干、多くの者というふうには聞いておりません。
#254
○佐藤昭夫君 お医者さんの判断は、多数決の採決で決めるという問題じゃなしに、それぞれが専門家として医学的な判断をする。その中の重要な三人の医師がそういう医者としての、専門医としての判定をしているというここの問題であります。
 ところで、京都のハイタク労働者の諸君は、この小槻氏の事件をきっかけとして、いかにハイタク労働者の健康実態がひどい姿にあるかという問題を明らかにするために実態調査をやった。この小槻氏の案件でも審査官は、「常態として労働時間の超過は認めるが」、「同僚労働者と較べても特に過重な業務とは認められず、」というふうに言っているんでありますが、果たして労働実態の姿はそういうことなのかという問題であります。
 この自交総連の京都地連、ここの労働組合が傘下の各組合、また京都にあります上京病院などそういった病院とも協力をして、組合員を対象にハイタク労働者の健康実態調査を行い、その中間報告が発表されておる。これも資料としてあらかじめ労働省の方に提示をしておりますので、ごらんを願っておると思いますが、例えば、血圧では要注意の人が百三十五名、一五%ある。心配事の一番のトップが健康問題五三・九%だと。よくある症状として、いつもたんが出る、絡む二六・三%。背、腰、これがよく痛む三〇・七%。頭が重い二七%と。とにかく一日じゅう町じゅうを走り回って、狭い車中で同じ姿勢で運転を操作し、排気ガスを吸うなどの繰り返しをしている悪影響が深刻である。さらに既往症、胃・十二指腸潰瘍二八・五%、交通外傷・むち打ち症二七・五%、こういう中間報告になっているわけであります。
 この結果を見ましても、ハイタク労働が精神的、肉体的に過酷なものになっていることがうかがえると思いますが、労働省はこうしたハイタク労働者の健康実態をどう見ておられるか。小槻氏のような事件を初めとしまして、過労による労災案件、これが今後ともどんどんとふえていく可能性、これを多分にこの調査は示しているんじゃないかと思うんですが、そうした可能性、すなわち過労によってそれが労災案件にまで行き着く、こういう可能性について労働省、どのように見ているんでしょうか。
#255
○政府委員(小粥義朗君) 今、御紹介のあった健康実態調査の中間報告を私も拝見したわけですが、いわゆるタクシー労働者の労働時間等の問題も、私ども行政の一環として手がけているわけでございます。そうした中で、最近特にそれがにわかに条件が悪くなってきたというふうには必ずしも見られないわけでございます。この中間報告の結果が即金タクシー運転手の姿をあらわしたものというふうに受け取れ得るかどうか、これはなお私ども詳細な検討をさせていただきたいと存じます。
 むしろ労働時間管理について、二七通達で五十四年以来やっているわけでございまして、違背件数も、わずかずつではございますけれども、年々改善を見てきている中で、なおかつこうした事態があるとすれば、これは例えばそういう都市型のタクシー業における特殊性といったものもあるいはあらわれてきているのかなというふうにも考えられますが、いずれにしても、これが全タクシー運転者の姿という形で置きかえ得るのかどうかはにわかに即断いたしかねるというのが率直なところでございます。
#256
○佐藤昭夫君 この問題の深刻さの受けとめがどうも不十分じゃないかと思うのでありますが、今私が挙げましたような健康破壊の背景、これにはハイタク労働者の低賃金と労基法をも無視したような長時間労働、これがあるんじゃないかということであります。
 これも資料としてあらかじめ提示をしておいたと思いますが、労働組合の機関紙九十八号、ここに書いておりますように、一日平均二、三時間オーバー労働して、月平均一、二回公休を返上して出勤をする、月間水揚げが大体四十七万円から四十八万円。水揚げに応ずる歩合給でありますから、賃率六〇%として月二十八万ぐらいになるだろう。こういう収入でありますから、勢い世は週休二日制、時間短縮という、こういう時代にもかかわらず、タクシーの労働というのは全く逆になっておる。しかも休憩もろくろくにとれない、タクシーの中で簡単な食事を済ますとか仮眠をする、そういうことからさらにスピード運転、これをやむなく重ねていかざるを得ない。そういうことが労基法を無視した労働、そして道交法違反を重ねる、こういう実態に突き進まざるを得ないということが訴えられている。
 ですから、これは労働省のハイタク、トラック等の監督実施結果、一九八〇年十月から十一月にかけて行われました労働省の監督実施結果でありますけれども、ハイタク関係の事業所七二・五%が違反をしている、こういう数字なんかもあるわけですね。そのうち労働時間の違反が半分近くを占めているという、こういう点で、小槻さんのこの事件にもありますように、業務中に疾病を起こしても、特に過重な業務ではなかったというふうにされたというんでは、これはハイタク労働者としてはたまったものじゃないと私は思うんですね。
 そこで、認定基準の、最初提起をいたしましたこの問題でありますが、百十六号通達、これは今多くの関係者から実態に即してないという批判が巻き起こっているんじゃないでしょうか。最大の問題は、二十五年前に決められました認定基準がアクシデント主義をとっている。すなわち「業務に関連する突発的又はその発生状態を時間的、場所的に明確にしうる出来ごともしくは特定の労働時間内に特に過激(質的に又は量的に)な業務に就労したことによる精神的又は肉体的負担が当該労働者の発病前に認められること。」、こういう基準があるわけでありますけれども、いわば思いがけない特殊な出来事とか過激業務による強度の精神緊張、強度の肉体的努力、その直後に発病するということをこの認定のいわば要件としているというふうに言えると思うんであります。
 でありますから、幾ら過激な仕事を毎日していても、発病日に変わった仕事をしていないと当てはまらない。幾ら長時間労働をしていても、発病前に特に変わったことがないと当てはまらない。発病前にアクシデントがあったとしても、周りの同僚に比べて過重でないと認められない。発病までに疲労が次第に積み重なって、発病の引き金になったことを原因とは認めない。既往症のあった場合は、特に目に見える強度の災害が必要だと、こういう内容になるわけでありまして、したっがて、これでは現実の労働実態には見合わないというのは明瞭じゃないかと思うんです。
 そもそも業務上外の認定は、自然科学的な証明の問題ではなくて、法律上保護を与えるのが相当か否かという法律判断の問題なんです。したがって、百十六号通達の基準というのは余りにも医学的判断を重要視しておって、業務上外認定を医学的判定に従属させるものだと言えると思うんであります。
 したがって、今大切なことは、基準見直しに当たってはこのアクシデント主義の見直し、これをどうしても行う必要があるんじゃないかと思うんでありますが、この点についての見解はどうでし
ょう。
#257
○政府委員(小粥義朗君) 認定基準の見直しに関して、既に五十七年から専門家による検討をお願いしてきております。その中で、やはりこうした疾病の発症というのは個人差が非常に大きいということが、少なくとも今までの専門家の意見の中では大勢を占めているわけでございます。そうなりますと、やはりそうしたもともとの持病として持っている疾病が何らかのきっかけで発症するという場合に、そこに一つのアクシデント性といいますか、突発性といいますか、そういうものがなければならないという考え方は、基本的には私ども必要な考え方ではないかと思っております。
 既に、現行の認定基準についていろんな判例も出ております。中にはこれを否定した判例もございますけれども、さらに上位の判例ではそれを支持された方がむしろ多く出ているような実態にもございます。そういう面で、基本的には災害性ないしは突発性というものが全国斉一的に判定をしていくためにも必要な要素であるというふうに思っておりますが、ただ問題は、その突発性ないしはアクシデント性というものがどれぐらいの期間にわたって出るものであるか、また、あった場合に初めてこれを業務上の要因として評価するのかといったような個別の見方をどういうふうにしたらいいかという問題もあろうかと思います。
 ですから、そうした面も含めて、実は認定基準の見直しの検討を合していただいているわけでございまして、災害性を全部捨象してしまえということは私どもなかなか認めがたいというのが率直なところでございます。
#258
○佐藤昭夫君 労働災害の多発しておるこのこと、そういう状況のもとでいかに労働者の健康、権利を守るかという、その角度から見直し作業を行うという基本的視点がどうもあいまいな気がしてならないわけであります。おまけに、答弁の中で何かこのアクシデント主義、これを支持する判例の方が多いんだかのごとき答弁がありますけれども、まあしかし、そのことでやりとりしますともう時間が来ていますので、またの機会にその点は一遍はっきりさせるというふうにしたいと思います。
 まあそう言いつつ、今もおっしゃったように、アクシデントが認められないから業務起因性が認められないという、そういう今までの労基署の主張、これに対してことしの二月二十八日の大阪地裁判決、泉大津労基署の事案ですね、この判決なんかは、この「被告のいう」、被告というのは労基署、「いわゆるアクシデントの存在は、このような業務と疾病との相当因果関係の存否を判定するに際して考慮に入れるべき要素の一つであるとはいえても、このようなアクシデントの存在が相当因果関係認定に不可欠なものとまではいえない。」ということで、非常に明白な判決を下しているわけです。
 こうしたことは総評の弁護団、いわゆる法律家、そういう人たちの労災問題研究会、そこのまとめなんかを見ましても、百十六号通達に七十四件の批判的な判例、先例がまとめられているのであります。ぜひそうしたことにもよくひとつ注意を向けて、本当に労働者の健康、権利、これを守るためにという基本的視点で基準の見直しをやるという立場で、一層の努力をやってもらいたいというふうに思いますが、もう最後ですので、大臣にその点お尋ねをしておきます。
#259
○国務大臣(林ゆう君) いろいろと御意見もございました。私どもといたしましては、いろいろな事例もあることを承知いたしておりますが、個々のことにつきましては、その都度その都度それぞれの機関においてそういった結果がなされると思います。
 ただ、基本といたしまして、労働者の健康あるいはまた福祉を守っていくということは、私ども労働省としてはこれはもう本来の役目であろうかと、このように思っております。
#260
○佐藤昭夫君 終わります。
#261
○委員長(岩崎純三君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#262
○委員長(岩崎純三君) 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。林労働大臣。
#263
○国務大臣(林ゆう君) ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、公共職業安定所及びその出張所の設置等に関し承認を求めるの件について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 現在、労働省の地方支分部局として、公共職業安定所が全国に配置されておりますが、これらに関して、現下の重要課題である行政改革の一環として、その一部を整理統合するとともに、近年の地域の実情の変化に伴い、その配置の適正化を図る必要が生じてきております。
 この案件は、昭和六十一年度において行う予定の右の理由による再編整理に伴い、札幌東公共職業安定所及び同所江剔出張所ほか公共職業安定所及びその出張所十一カ所の設置等を行うことについて、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、国会の御承認を求めようとするものであります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認くださいますようお願いを申し上げます。
#264
○委員長(岩崎純三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#265
○委員長(岩崎純三君) 次に、林業労働法案を議題といたします。
 発議者目黒今朝次郎君から趣旨説明を聴取いたします。目黒君。
#266
○委員以外の議員(目黒今朝次郎君) 社会党の目黒議員であります。
 ただいま議題となりました林業労働法案につきまして、日本社会党を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 我が国の森林は、国土面積の七〇%に当たる約二千五百万ヘクタールを占めておりますが、このうち人工林の面積は約一千万ヘクタールに及び、その蓄積は十億立方メートルと全森林蓄積の四割を超えるまでに達しております。
 この豊かな森林は木材などを生産し、建設資材、家具、紙などの形で国民の生活必需物資の供給を担う等の経済的機能を果たしているほか、国土保全、水資源の涵養、大気の浄化、自然環境保全、保健休養等の多面的な公益的機能など、はかり知れない重要な役割を果たしております。殊に、国土開発に伴う山地災害の多発化、水需要の増大さらには都市への人口集中などによる生活環境の悪化等から、森林の公益的機能の充実が一層重要となっております。
 しかしながら、森林、林業を取り巻く状況は近年非常に厳しく、危機的状態を強めております。すなわち、木材需要の七〇%に及ぶ外材輸入と住宅建設の大幅な落ち込み等による国産材需要の不振、山村の過疎化の進行による林業労働者の減少等により、森林資源の保全、管理機能は著しく低下しております。このため、造林の育成に不可欠の除伐、間伐の立ちおくれ、脆弱な森林の増加さらには山地崩壊、水害などの国土災害の危険性の増大、水資源の不足といった状況を現出させておるのであります。
 二十一世紀へ向けて、人類が避けて通れない課題は資源と環境だと言われます。我が国においては、まさに、林業こそが森林の育成を通してこの二つの課題にこたえ得るのであります。そして、この森林の育成に不可欠なのは、その生産の担い手である林業労働者の安定的維持と確保であります。
 ところで林業労働者、とりわけ民間林業労働者の置かれている労働の実態は、極めて憂慮すべき
ものとなっております。すなわち、民間林業労働者は季節的、短期的雇用が多いため不安定であり、健康保険、厚生年金等被用者保険の適用はごく少数であり、賃金は他産業に比べて低い上に、出来高払い制のため労働強化を強いられ、振動病の罹病者は毎年増加するという状況にあります。また、労働基準法さえ適用されないなど、まさに劣悪過酷な労働条件のもとで重筋労働に従事しております。
 このような民間林業労働者の労働環境のもとでは、新規学卒者や若年労働者の就労は皆無に等しく、労働力の高齢化、女子化が進んでおり、このまま推移するならばわが国の森林、林業の危機的状況は一層深刻なものとなることは明白であります。
 世界的な森林の減少による環境変化が懸念されている中で、今後わが国が森林の管理を適正に実行し、国産材の供給能力を飛躍的に向上させ、国産材時代への展望を切り開いていくためには、何といってもその生産労働力の確保対策が重要であります。
 しかるに、現行労働関係の諸法律やその運用のみでは、林業労働の特質からくる諸問題は解決し得ないところであります。したがって、民間林業労働者の雇用安定、労働条件の改善、安全衛生、福祉面での施策の整備、充実等のためには林業労働の特質を踏まえた新たな立法が必要であります。
 これが日本社会党が林業労働法案を提案する理由であります。
 次に、法律案の主なる内容について御説明申し上げます。
 第一に、この法律は、林業労働者の雇用の安定、労働条件の改善、安全衛生の確保、福祉の増進等に関する施策を講ずることにより、林業労働者の地位の向上を図るとともに、山村地域の振興に寄与することを目的としております。
 第二は、林業労働計画の策定であります。すなわち、労働大臣は、本法の目的を達成するための基本となるべき事項について、五年ごとに全国林業労働計画を策定し、都道府県知事は、全国林業労働計画に即して、毎年市町村長が策定した市町村林業労働計画に基づいて、都道府県林業労働計画を策定することとしております。市町村長が策定する市町村林業労働計画では、林業の事業の量、林業労働者の雇用の安定及び福祉の増進に関し必要な事項について規定し、山村経済の発展のための林業の振興及び林業労働者の雇用の開発について配慮することとしております。
 第三に、専業労働者とは常用労働者以外の林業労働者で、一年間に通常九十日以上雇用されるものをいい、兼業労働者とは、常用労働者及び専業労働者以外の林業労働者で、時期を定めて一年間に通常三十日以上雇用される者をいうこととしておりますが、公共職業安定所長は、林業労働者について、専業労働者及び兼業労働者別に林業労働者登録簿に登録するとともに、林業事業体の届け出に基づき、林業事業体登録簿を作成することとしております。また、林業事業体は、公共職業安定所の紹介を受けて雇い入れた者でなければ、林業労働者として林業の業務に使用してはならないものとしております。
 第四に、林業労働者に対して、一年間のうち最低限の雇用が確保されなかった場合及び本年度雇用実績が前年度雇用実績を下回った場合においては、雇用の安定を図るため、雇用保障手当を支給することとしております。雇用保障手当の費用については、一定規模以上の森林所有者、林業事業体及び登録林業労働者から納付金を徴収するとともに、国が薮用の三分の一を補助することとしております。
 第五に、振動機械を使用する登録林業労働者等について、定期及び特殊の健康診断を義務づけるとともに、振動障害を予防するため、出来高払い制の禁止、振動機械の操作時間の規制等を行うこととしております。また、振動障害者の福祉増進のため、国は、療養施設等の設置、軽快者の雇用安定のための助成、援助、職業転換希望者に対する職業訓練等について、それぞれ適切な措置を講ずるよう務めなければならないこととしております。
 その他、政府は、労働保険及び社会保険制度について検討を加え、その結果に基づき速やかに必要な措置を講ずるものとし、また、労働基準法の労働時間、休憩及び休日に関する規定を、林業労働者にも適用するために、労働基準法の一部改正を行うことのほか、監督、罰則等について所要の規定を設けることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決くださるようお願い申し上げまして、提案理由を終わります。
#267
○委員長(岩崎純三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#268
○委員長(岩崎純三君) 次に、育児休業法案(参第五号)を議題といたします。
 発議者糸久八重子君から趣旨説明を聴取いたします。糸久君。
#269
○糸久八重子君 ただいま議題となりました育児休業法案につきまして、日本社会党を代表いたしまして、提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 我が国における人口の高齢化は急速に進んでおり、出生率の低下と相まって、来るべき社会の担い手となる児童の健全育成が一層重要な問題となっております。
 また、近年、婦人の職場進出は目覚ましく、一九八五年には雇用されて働く婦人の数は千五百四十八万人に達し、そのうち有配偶者が約六割を占めるに至っており、今後も乳幼児を持ちながら働く婦人の増加が見込まれております。
 しかし、働く婦人の職場環境を見ますと、出産後も勤続する意思を持ちながら、育児のために職場を離れなければならない例が多く見られ、一度離職すると再就職が難しく、また、不利な労働条件を余儀なくされる場合が多い実態にあります。この職業と家庭生活との調和の問題に対処するためには、保育施設の整備充実とあわせ育児休業制度の普及が不可欠となっております。
 現在、我が国では、公務員である女子教員、看護婦、保母等については育児休業が制度化され、対象範囲が限られておりますが、国家公務員についてその利用状況を見ますと、対象者に対する利用率は一九八四年度で五九・二%となっております。
 また、労働省の女子保護実施状況調査によりますと、一九八一年で三十人以上規模の事業所で育児休業を実施している事業所はわずかに一四・三%にすぎません。しかも、この数字は教員を含んでいるものであり、一般事業所はさらに低いものとなっております。
 一方、ヨーロッパ諸国では、多数の国において育児休業制度が立法化され、働く婦人の人権と母子福祉・育児についての手厚い配慮がなされております。
 一九八五年に我が国が批准した国連の女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約は、「子の養育には男女及び社会全体が共に責任を負うことが必要であることを認識」すると述べております。
 また、ILOも、一九八一年に男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約及び勧告を採択しており、その勧告では「両親のうちのいずれかは、出産休暇の直後の期間内に、雇用を放棄することなく、かつ、雇用から生ずる権利を保護された上、休暇(育児休暇)をとることができるべきである。」とうたっておりますが、現在、これらの理念が世界共通の認識となるに至っております。
 しかるに、第百二回国会で成立した男女雇用機会均等法においては、「事業主は、育児休業の実施その他の育児に関する便宜の供与を行うように
努めなければならない。」との規定のみであります。
 かかる実情の中で、我が国においても、すべての労働者を対象とする所得保障を伴う育児休業制度を早急に確立する必要があります。
 これが、ここに育児休業法案を提出する理由であります。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 まず第一に、この法律は、子を養育する労働者に育児休業を保障することにより、労働者の負担の軽減と継続的な雇用の促進を図り、もって労働者の福祉の増進に資することを目的としております。
 第二に、使用者は、父または母である労働者がその一歳に満たない子を養育するための休業を請求したときは、その請求を拒んではならないものとしております。ただし、共働きである父母の一方が育児休業をするとき、または一方が家事専従でその子を養育できるときは、重ねて他方が育児休業をすることを拒むことができることとしております。
 第三に、これが最低の労働基準として遵守されるための必要な規定を設け、また、育児休業を理由とする不利益取り扱いの禁止を規定しております。
 第四に、育児休業期間中の給付については、別に法律で定めるところにより、賃金の額の六割に相当する額の給付を行うこととしております。
 なお、この法律は、公務員を含めた全労働者に適用されますが、公務員関係規定の整備等は別に法律で定めることとしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#270
○委員長(岩崎純三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
#271
○委員長(岩崎純三君) 次に、育児休業法案(参第六号)を議題といたします。
 発議者中西珠子君から趣旨説明を聴取いたします。中西君。
#272
○中西珠子君 ただいま議題となりました育児休業法案につきまして、公明党・国民会議を代表し、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 近年、既婚婦人の就労が著しく増加し、昭和六十年には、女子就業者は二千三百四万人を数え、非農林女子雇用者は千五百三十九万人で、このうち有配偶者、いわゆる共働きの妻の数は九百十一万人となっております。このような婦人労働者の増加が保育需要を増加させ、保育所の数も年々ふえて、昭和六十年四月一日現在では全国で二万二千八百九十九カ所とはなりましたが、婦人の就労形態の多様化、通勤時間の延長、また、核家族が総世帯の六割以上を占めるに至った家族構成の変化などにより、延長保育、夜間保育、ゼロ歳児保育に対する要望が高まっているにもかかわらず、午後七時ごろまでの延長保育を行っている保育所は全国で三百七十二カ所、午後十時ごろまでの夜間保育を行っているところは全国で二十四カ所にすぎません。産休明け保育やゼロ歳児保育を行う公立保育所は非常に少なく、ベビーホテルの繁栄の陰に乳児の悲惨な事故が後を絶たない状況です。
 このような状況のもとで我が国の出生率は近年激減し、昭和五十九年には一二・五にまで低下しています。六十五歳以上の人口の総人口に対する比率は、十五年先には一五%前後となり、二十五年先には、二十歳から五十九歳までの生産年齢人口は四九・八%となり総人口の半数を割ると予測されています。
 かくも急ピッチで人口の高齢化が進んでいる我が国において、婦人が経済社会活動の担い手として一層職場に進出せねばならないことは明らかであります。共働きの妻は家事育児と職業生活の両立が困難であり、また育児のために離職すれば不利となるような状況では子供を持つことをためらい、出生率は一層減少することになりましょう。働きながら安心して健全な次の世代を産み育てることが可能な環境をつくらなければ、我が国の永続的な発展は阻害されるのではいかと危倶されます。
 雇用を継続しながら一定期間休業し、育児に専念できるように、所得保障つきの育児休業制度を確立することこそ、労働者の福祉の向上と、次の世代の健全な育成のためにも、また国としての人口対策の見地からも緊急課題であると考え、この法案を立案いたしました。
 最近の離婚率の上昇、交通事故死の増加などにより父子家庭が急増し、昭和五十五年で既に三十万世帯を突破している状況から見ると、女子労働者のみならず、男子労働者にも育児休業がとれる権利を与える必要があると考え、この法案は男女労働者いずれにも育児休業を請求する権利を確保しています。ヨーロッパでは既に、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、フランス、イタリア、スペイン等が男女双方に育児休業請求権を与える法律を制定しています。
 ILOの百五十六号条約、すなわち家族的責任を有する男女労働者の機会均等と平等待遇に関する条約第三条は、「家族的責任を有する者が、差別を受けることなく、又出来る限り就業にかかわる責任と、家族的責任との相克を防ぎながら、就業の権利を行使出来るようにする事を、国家の方針とする」よう求めています。また同名の百六十五号勧告は「両親のうち、いずれかの者は、出産休暇の直後の期間に、親として育児に専念する休暇を取る可能性を有すべきである。但し雇用を放棄する事なく且つ雇用から生ずる権利が保護されるものとする」と言っています。このような休暇や育児休業の普及には育児休業制度の法制化が必要であると痛感し、ここに育児休業法案を提出する次第です。
 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、この法律案は、子を養育する労働者について育児休業制度を設けることにより、労働者の雇用の継続を確保し、あわせて子の健全な育成に資することを目的とすると定めております。
 第二に、育児休業とは、「労働者がその一歳に満たない子を養育するための休業をいう」と定義し、育児休業は一定の期間を定めて請求するものとしています。請求は、育児休業期間の始まる一カ月前にすることとし、期間の延長の請求も同様とします。
 第三に、使用者は、父または母である労働者が育児休業を請求したとき、また育児休業期間の延長や短縮を請求したときは拒んではならないと規定しています。ただし、共働きの場合、他の一方が育児休業をしている期間は拒むことができるとし、また、両親の一方が無職で家庭にいる場合は、疾病、負傷、出産、その他やむを得ない理由でその子を養育できない期間を除き拒むことができるとしています。しかし、多胎出産の場合は、共働きの父母双方が同時に育児休業をすることができるとし、この場合に妻が専業主婦であっても、父親の労働者が育児休業をすることができることとしています。
 第四に、育児休業中は、労働協約により、賃金を支払う定めのある場合を除き、原則として無給としています。しかし、労働者の生活の安定と子の健全な育成に資するため、別に法律で育児休業基金を設け、この基金から当該労働者の賃金の額の百分の六十に相当する額の育児休業手当を支給することにしています。
 第五は、この法律で定める育児休業に関する基準は最低の基準とし、この基準に達しない労働契約は関係部分について無効といたしております。
 さらに、年次有給休暇の日数算定上、育児休業期間は欠勤とみなさないことにしています。ま
た、不利益取り扱いの禁止条項を設け、使用者は、育児休業を理由として労働者に対し解雇、その他不利益な取り扱いをしてはならないものとしています。
 第六は、この法律の規定に違反する事実のあるときは、労働者は都道府県労働基準局長、労働基準監督署長または労働基準監督官に申告することができます。労働基準監督官等には報告徴収及び立入検査の権限を認め、この法律の違反については労働基準監督官は刑事訴訟法の規定による司法警察員の職務を行うものとしています。
 第七に、この法律の適用対象は、公務員を含み、船員以外のすべての労働者としています。なお、船員の育児休業については別に法律で定めることとしています。
 また、この法律の実効性を確保するため所要の罰則を設けております。あわせて関係法律の改廃整備をも行うこととしております。
 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#273
○委員長(岩崎純三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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