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1985/05/15 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 文教委員会 第8号
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1985/05/15 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 文教委員会 第8号

#1
第104回国会 文教委員会 第8号
昭和六十一年五月十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十四日
    辞任         補欠選任
     小西 博行君     山田  勇君
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     井上  裕君     金丸 三郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  寛子君
    理 事
                田沢 智治君
                柳川 覺治君
                粕谷 照美君
                吉川 春子君
    委 員
                金丸 三郎君
                山東 昭子君
                杉山 令肇君
                世耕 政隆君
                仲川 幸男君
                林 健太郎君
                真鍋 賢二君
                久保  亘君
                中村  哲君
                高桑 栄松君
                山田  勇君
   国務大臣
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
   政府委員
       文部政務次官   工藤  巖君
       文部大臣官房長  山崎 清久君
       文部省初等中等
       教育局長     高石 邦男君
       文部省社会教育
       局長       齊藤 尚夫君
       文化庁次長    加戸 守行君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐々木定典君
   説明員
       科学技術庁振興
       局管理課情報室
       長        佐藤 征夫君
       通商産業省機械
       情報産業局情報
       処理システム開
       発課長      大宮  正君
       郵政省放送行政
       局有線放送課長  濱田 弘二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○プログラムの著作物に係る登録の特例に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(林寛子君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十四日、小西博行君が委員を辞任され、その補欠として山田勇君が選任されました。
#3
○委員長(林寛子君) 次に、プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案及び著作権法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○中村哲君 質疑といいますけれども、こういう問題に対する私自身の考えというものがありまして。それが我々の属している集団を代表しているというわけでは必ずしもありませんのですけれども、やはり自分がこの問題について質問する以上、自分の考えをちょっと述べた上で質疑をしたいと思います。
 文化庁は、日本の古い時代から、殊に明治以後の近代化、さらに悲惨な戦争を経て戦後全く新しく民主化していった、そういう時代の文化の問題に責任を持っておられるわけで、私はそういう文化庁の機能に大変興味を持ってきたわけです。
 私どもが日本の文化にかかわりがあるといえば、大正年間、まさにここでは問題になるような小学校教育を受けまして、大正デモクラシーの中から自由教育の代表的な学校で育ち、それも幾つかの学校ですが、例えば美術であれば、我々が入ったときは、学校に絵の手本というものがありまして、それは墨でかいた図案のようなものであったけれども、ヨーロッパの印象派が入ってきましたために日本ではこれが自由画の運動となって、教科書はあるけれどもそれぞれの学校が教科書を使わない。それからまた、国語の教科書もありますけれども、漱石とかその門下の鈴木三重吉なんかの影響で、「赤い鳥」とか「金の星」と言ったと思うけれども、ああいう児童文学の雑誌が出てくる。小川未明の文学もそうです。そういう中で言われたのは、要するに個性の尊重ということ。学校に入って必要なことは個性を伸ばすことだと、こういうふうにして、そういうことを言っていた代表的な学園の、しかもときには試験的に試みたクラスなんかにおりまして、そうやって勝手なことをしてきたのですが、戦争を経て、戦後の文化に直面してすべてが一新したわけです。
 当時、大正デモクラシー、それから自由主義の盛んなときは、実際には日本の文化的な環境というものは、極端に言えば、古代からの文化環境がずっと残っておりまして、東京といいましても大震災までは三越などの百貨店は畳が敷いてありまして、草履にかえたり、靴の場合にはズックみたいなものをかぶせて、そして店内を見物するというような時代。それが大震災で一新してしまいましたし、それから戦争でまた大きな変化をしました。我々の少年期というか、育ってきた義務教育の時代というのはまさに自由の時代であり、先ほど申しましたような個性尊重ということだ。ところが、戦争中は御承知のようにやや画一主義であるし、学問とか文化に専念できない。それから大きく戦後は変わった。
 そこで、今日ここで著作権の問題を考えます場合に、著作権というのは全く個人の創造的な権利を保障したものでありまして、学問もまた同じであります。したがって著作権という概念自身は、パーソナルな人間についたそういう権利としてこれはフランスにおいても初めて考えられるようになる。そういう時代の考え方が一つあるというところへもってきて、今日のような科学技術の発達から、一挙にして機械化してコンピューターの時代に入って情報化社会ということになっているものですから、そういう二重性の中でこの問題をやっぱり私自身は考えざるを得ないので、それで余計なことをちょっと申しただけです。
 本日の、コンピュータープログラムの保護というのは、昨年ここでやっておりましたコンピュータープログラムの製作者の権利、それが法的に保障されまして、その上でのさらに具体的な問題がこんなに出ているわけで、たしか前の国会では附帯決議を決めておりますが、その附帯決議を一々確認することもないと思いますけれども、そういう前の国会とのつながりで今日こういう問題が出ているし、また、今後とも科学の発達によって思いがけない進展をしていくだろうと思うんです。たまたま私は今回これについて発言する羽目になったものですから、いろいろな要素の問題に当面しながら考えさせられるわけです。
 そのために、最初本論と違うことを言うかもしれませんが、私の感じたのは、著作権というものは、先ほどから言いましたように、著作権が確立されるという、たしかビクトル・ユーゴーの影響があったように聞いておりますが、そういう非常に芸術的なものの保障、また、思想といっても思想の自由とつながっている、そういう時代に著作権というものの考え方が保障されていったわけで、それについては、法源としましては、ベルヌ条約−ベルヌ自身はスイスの首都でありますけれども、あそこはフランスとドイツの両方の文化の影響があるものですから、恐らくフランスの影響のもとで考えられたそのベルヌ条約というもの、これはやっぱり基本的には、創作する個人、演技をする個人、そういう人たちの能力、これを尊重するという立場であったと思うんです。
 ところが今日、コンピュータープログラムということになりますと、コンピューターのプログラムを作成したその人の技術を通じた創作ではあるとしても、コンピューターの製作にかかわっているような業界がそこに介在する。ですから、製作者というのに業界という言い方もあれなんですが、まさに産業社会の中での権利のあり方の問題になってきている。これは日本では保守的のように見ていますけれども、サルトルといろんな意味で対照的だったレーモン・アロン、彼はフィガロの編集長であり、パリ大学の教授ですが、レーモン・アロンなどの言う産業社会の中の著作権の問題になってきているわけです。
 そこで、今日ではベルヌ条約と並んで著作権条約というのに加入しているようですが、どうしてこういう二つのものに並行して加入しているのか。私の感じでは、最初のベルヌ条約というのは、スイスとかフランスとか、そういうヨーロッパの大陸と続いている大陸系の考え方、こういう権利というものは個人的だという考え方、それに対して、もう一つ条約の法源としてここに出ている著作権条約ですか、これはアメリカその他の考え方が強い。そのことは同時に、フランス法の思考の仕方とそれから英米法の思考の仕方というものは違うものですから、そこで実際に法的なことを言いますと、この二つの法構成の中で、日本のこういうコンピュータープログラムの問題が考えられているように思うんです。
 そこで、余計なことはやめますけれども、二つの条約がこう重なっているためにどういう違いがあるかというのをひとつお話し願いたいと思います。
#5
○政府委員(加戸守行君) 著作権に関します国際的な条約としては、先生ただいまおっしゃいました一八八六年にビクトル・ユーゴーの提唱に基づいて制定されましたベルヌ条約と、アメリカを中心といたします中南米諸国の考え方をベースといたしましてベルヌ条約との調和を図りながら設けられました一九五二年の万国著作権条約、この二つの条約があるわけでございます。
 一八八六年のベルヌ条約は、その後二十年ごとに大きな改正は加えられてまいりましたが、基本的な考え方は、先生おっしゃいますように、著作者の権利を保護する、つまり創作した人の権利を大切にするという基本的な精神からスタートし、もちろんスタートの時点では、小説とか絵画といった当時の伝統的な著作物を念頭に置いた規定でございました。その後、いろいろな手段の発達等ございまして、写真とか映画とかレコードあるいは放送という新たなメディアの登場に伴いまして衣がえをしながら今日に至っているわけでございます。
 一方、一九五二年の万国著作権条約につきましても、条約の中で、著作者の権利を保護する、あるいは著作物の著作者を保護するというような条文の中の文言もございまして、基本的発想はベルヌ条約とはそれほど異なるとは思いませんけれども、この万国著作権条約が制定されました大きな理由は、一つは、ベルヌ条約の保護期間が長い、つまり五十年を義務づけているわけでございまして、そういった五十年に対して、特に中南米諸国等で保護期間の短い国が、あるいは開発途上国にも短い国がある。もう一つは、これはアメリカが、現在でもそうでございますけれども、登録制度というのを用いておりまして、いわゆるベルヌ条約におきましては、いかなる方式の履行をも伴わないで著作権の享有並びに行使が行われるような体制になっているわけでございますが、それに対しまして、アメリカ並びに中南米諸国におきましては、登録をしなければ保護されない、あるいは登録をすることが訴訟提起の要件であるといったような様式行為を伴う国でございまして、これらの国がベルヌ条約に加入できないというような状況でございましたものですから、一定の方式、つまり例えば登録等の要求を認める、あるいは保護期間は二十五年でもよろしいと。まあ端的に申し上げますれば、ベルヌ条約よりも若干レベルの下がった段階での条約を結成いたしまして、多数の国が著作権条約を通じて相互に保護し合おうという体制をつくろうと意図したわけでございます。
 その結果といたしまして、現在、ベルヌ条約には七十六カ国が加盟し、万国著作権条約には七十八カ国加盟いたしておりますけれども、そのうち五十二カ国はベルヌ、万国の双方に加盟いたしておりますものですから、そのダブりを除きますと、国際著作権条約に加入している世界の国々の数は日本を含めまして百二カ国、ということは、日本は他の百一カ国との間にベルヌ条約または万国条約を通じて保護関係を持つというシステムになっているわけでございます。
 この場合、ベルヌと万国と両方に加盟した国につきましては、ベルヌ条約が優先して適用されますので、例えば無方式主義であるとかあるいは五十年という保護義務はベルヌ条約をベースにして判断されるわけでございます。したがいまして、万国著作権条約のみに加入してベルヌ条約に加入していない国につきましては、例えばアメリカのように様式の履行を要求することもできるし、あるいは南米諸国のように保護期間が若干短くても構わないというような違いがあるわけでございまして、特に開発途上国等にとりましては、どちらかといいますと、まず万国条約に加入して、先進国に至りました場合にはベルヌ条約に入っていくというようなステップを踏むケースも多うございます。例えば、韓国が現在、一九八八年のオリンピックに向けて国際著作権条約加入の方向で検討されておりますが、当初はベルヌ条約加入も想定したようでございますけれども、現在の作業段階では、ベルヌ条約に入るにはまだ無理であるということで、万国著作権条約加入の方向で進めております。
 先ほど申し落としましたが、ベルヌと万国の中で大きな違いがもう一つございまして、ベルヌ条約の場合には、条約に加入いたしますとその時点で、遡及効と申しまして、さかのぼって、今までにつくられた著作物も全部保護するわけでございます。ところが、万国著作権条約の場合には、条約に加盟した後の著作物のみを保護すれば足りる、つまり不遡及効と申しまして、過去の著作物は保護しなくてもいいというメリットがあるわけでございますので、そういった点で万国条約の方が入りやすいということがあるわけでございます。
 もとの質問に戻るわけでございますが、個人主義的な考え方、個人の創作性というものを保護するベルヌ条約の考え方は、万国著作権条約でもほぼ同様でございますけれども、先生おっしゃいますように、確かにそういった著作者というよりも、どちらかと申しますれば著作権者、つまり著作権を持っている者を保護するという考え方が万国著作権条約上は色彩的には出ているわけでございます。
 一つの例が、ベルヌ条約におきましては、著作者人格権と申します著作者の個性に応じました、例えば公表権であるとかあるいは同一性保持権、氏名表示権といったようなものを保護する規定がございますけれども、万国著作権条約では、著作者人格権に関する規定は設けておりませんで、そういったような違いは、著作者、自然人個人を大切にするのか著作権者を大切にするのかという若干大まかな分け方で申し上げますれば、確かに先生おっしゃったような色彩があるということは否定できない事実でございます。
#6
○中村哲君 今の御説明で、二つの条約の性格が確かにはっきり違っていると思うんですが、私は全く素人で、今度著作権法を見てのことなんですけれども、ベルヌ条約の方は「著作者」となっているんですね、それから万国著作権条約は「著作権者」ですね。つまり、著作者というのは自然人というか、パーソナルな人のことを言っているんで、ところが著作権者となりますと、著作権を譲られた遺族の場合もあるし、それから業界の団体もあって、著作権者という概念、「権」という概念が入ることによって、著作した作者、あるいは演技した初めの人ということから離れてきている。そこがやっぱり産業社会に出てきた、そうして大ざっぱに言って業界の人なんかも含めたような、そういう人たちがこれに介入してきたように私などは思うんですね。
 そして、期間が五十年であったものが二十五年というのは、これは例えば夏目漱石が亡くなって、もちろん版権は遺族にはないわけですけれども、そういうものをなるべく出版者とかそれに関連する業界の方に移っていいんだというような考え方、立法の精神が多少入っている。それがいいとか悪いとかというのじゃなくて、そういう意味でまさに産業社会の著作権の保障の仕方として万国著作権条約が時代の要求を非常によくあらわしているというふうに私は思うんです。そのことは、理由があれば最後にお聞きしようと思っているのは、つまり現在の情報化社会から必然的に出てきた科学の発達、それから諸取引等々の、一口で言えばこのごろ言われる市場の原理、フリードマンなんかの言う市場の原理の中での著作権のあり方の方に接近してきているというふうに私は思うわけです。それは私の方の感じで、別にそうだともそうじゃないともお聞きするわけじゃないんですがね。
 それで、今のお話の中に韓国のことが出ておりましたけれども、まあ韓国はオリンピックを前にして非常に張り切っておりますし、社会党は韓国との交流というものに対しては政党としての立場を持っていますが、私は社会党に関係する前に、二度にわたりまして韓国の文化協会から呼ばれて、日本と韓国の古代史の関係のことを話してくれということで行きましたけれども、ユネスコなんかに関係しますと、東洋でも韓国がユネスコの役員を出しているんですね、日本からは出ていないんだと思いますが。そういう意味で、韓国は文化国家として、それからまた産業の面では御承知のようにドルとリンクしているものですから、日本の円高なんかと関係なく国際的に非常に進出してきている。それから、中近東に対しては非常に深い関係を持っていますし、アメリカなんかと日本がつながっているときにフランスと韓国との連携というのはかなり進んでいる。
 そういうことなんですけれども、そういう韓国が日本文学とか日本の学術関係の紹介を韓国にする場合、その著作権のことはどうなっているんでしょうか。
#7
○政府委員(加戸守行君) お答え申し上げます前に、ベルヌ条約と万国条約の違いにつきましての先生のお考え方に関連しまして、ちょっと補足させていただきたいと思います。
 ベルヌ条約の目的としましては、「著作者の権利」を保護するという書き方をいたしております。一方、万国著作権条約は、「著作者その他の著作権者の権利」を保護すると。こういうことで、ベルヌ条約は著作者の権利を保護する、万国条約は著作者その他の著作権者の権利を保護するという点で、そういったニュアンスの差がございます。
 それからもう一つは、ベルヌ条約の中におきまして何を保護するのかという書き方をいたします場合に、「同盟国の国民である著作者」とか、あるいは同盟国において第一に発行された著作物の著作者と、つまり、著作者に視点を置いた保護の書き方をしております。それから万国著作権条約の方では、著作物に視点を置きまして、「締約国の国民の発行された著作物」とか、締約国で第一発行された著作物、つまり著作物を保護するということで、ベルヌ条約では著作者を保護する、万国著作権条約では著作物を保護するという書き方の違いもございまして、この辺は先生のおっしゃったような感じが、色彩的にそういう意味であらわれていると考えております。
 ところで、韓国との関係でございますが、現在、韓国におきましては、明治三十二年に制定されて四十五年に廃止されました日本の古い、旧著作権法の内容にほぼ相当する国内著作権法を持っておりますけれども、御承知のように、ベルヌ条約あるいは万国著作権条約といった国際条約に加盟いたしておりませんので、日本との関係につきましては相互保護関係は条約上ございません。したがいまして、両方の保護関係がないということは、日本のものは韓国で保護されない、韓国のものは日本で保護されないということになりますけれども、ただ、韓国の国内法では、日本の旧著作権法と同じように、韓国で最初に発行された著作物は韓国で保護いたしますので、日本人の著作物であっても韓国で最初に発行されたものは韓国において保護いたしております。逆に、韓国人が日本で最初に発行いたしました著作物は日本において保護する。つまり、それ以外の保護関係はないというのが実態でございます。
#8
○中村哲君 今、文化庁の方で細かなことをおっしゃったからそれで細かなことを言うのですが、最初に説明された、つまり万国著作権条約の場合、著作者自身をも著作権者の中に入れているという意味ですね、そこの条文は。
 それから、韓国の場合の著作権の問題は大体わかりましたけれども、そのことがどういうことを生んでいるかといいますと、簡単にここで言うことじゃありませんけれども、韓国では日本関係の思想や芸術等に非常に関心がある。ことに、一時はちょっと隔絶しておりましたけれども、最近は日本の方もNHKその他が韓国の芸術を紹介するようになりましたし、もともと韓国と日本とは密接な関係がありました。韓国の中で、五十代に近い人はまだ日本語が読めますし日本の言葉が非常に堪能であります。私は戦前、韓国と並ぶ台湾の台北帝国大学の教授を八年間もやっておりましたから、台湾の外地の文化状況、いろいろなことはよく知っておりますけれども、そこでも同じことが起こるのですけれども、四十から五十にかけての人は日本語は堪能だし日本的な思考は自然に持っておりまして、そういうところでは、それらの子供たちだものだから自然にまた日本語もすぐわかる。
 そういうところでは、日本の出版物というものがかなり読まれるんです。そのことがある種の、何といいますか、私はそういう言葉をいいと思っているんじゃないんですけれども、海賊版的なものが事実上発行される、こういうことがありまして、私、韓国の方はよく知りませんけれども、台湾なんかですと、私が台湾時代に書いたものもあったりしているものだから、そういうものについて、台湾の中で発売するならばというんで、それで復刻されております。そのことは、我々の立場から言うと、自分たちのああいう外地でやったことを今日評価してくれるんですから非常にありがたいんですけれども、ただそこいらが、万国著作権条約の適用というようなことに世界的に共通してなっていくときには、やっぱり何か著作権的なものに当たるものを相互に供与するような、あるいは共有するような、そういう平等性があるのが望ましいと思うんです。
 ただ、これらの問題が非常に難しい問題で、中国との関係においても日本関係のものがかなり紹介されていると思いますけれども、それをさらに中近東とか南のアフリカ諸国とかということになりますと、そういうところで日本の著作や芸術が紹介されますと、それに対する著作権的なものは、日本の立場からは、日本文化がそうやって受け入れられるんだから、実際にはみんな作者の方も、我々の知っているような作家で国際的に翻訳を非常にされているような人たちは寛大な気持ちで非常に温かく見ておりますけれども、そこいらの問題が、やはり近隣諸国との関係では今後ともあると思うんです。
 一番問題になるのは、隣接権条約ですか、あれになってきますと、日本自身が西欧のいろんな著作権の作物を入れて、それに対して正当な対価を払っているのか。私はこれは、民間放送とかNHKなんかに関係するもので、それで、政治家なんという言い方は変ですが、ああいう放送のことは差しさわりがあるから言わないかもしらぬけれども、やっぱりこういうことも、日本が外国の芸術等を入れる場合にはちゃんと対価を払うというようにしないと、日本が今日GNPが非常に高くなり、そして円高だといっておりながら、文化的には、現在いろんな文化的な作品をただ入れて、それの使用料を果たして払っているのかどうかというような問題がやっぱりあるんじゃないかと思います。
 ここいらも、今日のような国際関係では、エコノミックアニマルと言われないように、日本も使用料はちゃんと払うというような方向にいくべきだと思うんですが、何か多少差しさわりがあるかと思うけれども、詳しくお答えにならなくても、私はそういう意見だということです。
#9
○政府委員(加戸守行君) 初めに、近隣諸国との著作権関係、先生いろいろおっしゃられたわけでございますが、確かに国際条約の中で、相互保護関係を確立していくためには、まだまだ先進国の文物を大いに利用しなければならない、つまり、経済的負担にもたえ得ない国もあるわけでございまして、かつての古い時代の日本もそうであったわけでございますが、現在そういった開発途上国関係の方々をどうすれば条約に加盟していただけるのかというのが国際的な大きな解決すべき問題でもございます。
 ちょうど一九六七年でございますが、ベルヌ条約並びに万国著作権条約の方でもいろいろ動きがございましたが、特にベルヌ条約がストックホルムにおきまして開発途上国のための議定書をつくりまして、開発途上国のための便宜が図られるような制度をつくったわけでございますが、その制度自体が余り開発途上国に有利でないという形で、この条約は発効しないで終わりました。一九七一年に至りまして、ベルヌ条約と万国著作権条約、両条約の同時改正を行いまして、ベルヌ条約の中には開発途上国のための附属書というのを設け、万国著作権条約は条約本体の中の改正を行いまして、開発途上国のための便宜を計らったわけでございます。
 内容的には、例えば教育研究の目的のためであるならば、原作物が出て三年たった場合に翻訳がその国の政府の許可によってできる、あるいは、その言葉が英、米、独、仏語といったような先進国用語ではなくて、例えばベンガル語であるとかスワヒリ語であるといった、一カ国においてしか使用されない言語の場合には、原作の発行後一年たてば政府の許可で発行ができるような制度を設けております。それから、複製権につきましては、これはちょっとケース・バイ・ケースで違いますけれども、教育の活動のためであるならば、同じく政府の許可を得て、科学技術あるいは自然科学の文献につきましては発行後三年、それから小説、音楽、美術といったようなものにつきましては七年、それ以外の著作物については発行後五年をもちまして政府の許可で発行できるような制度というものを設けて、言うなれば開発途上国条項ということによりまして、現在、開発途上国もこの両条約に入りやすいような方向での努力はされた経緯はございます。
 しかしながら、それであってもやはり政府の許可を得てお金を払わなければならないとか手続の問題等もございますので、しかも使用できるのが翻訳権の場合には教育研究のため、それから複製権の場合には教育活動のためという限定がかかっている関係もございまして、まだ全世界の国が著作権条約に加盟するという状況には至っていない段階でございます。
 そこで、隣接権条約の問題でございます。一九六一年にローマで作成されました、実演家、レコード製作者及び放送事業者の権利の保護に関します条約、これを俗称いたしまして隣接権条約と呼んでおりますけれども、この条約に定められました内容を受けまして、日本でも昭和四十五年の全面改正の際にその制度を参考とさしていただきまして、内容を盛り込んだわけでございます。
 しかしながら、その条約に加盟するためには、特に大きな問題といたしまして、商業用レコードを放送で用いました場合に二次使用料の支払い義務を放送事業者が負うこととなっておりまして、現在我が国におきましては、これをベースに国内の実演家並びにレコード製作者に対しましては、芸能実演家団体協議会並びにレコード協会に、代表団体に対しまして年間約六億円程度の二次使用料が支払われているわけでございますけれども、これは国内の実演家、国内のレコードに対するものでございまして、隣接権条約に加入いたしますとすれば、外国の実演家、外国のレコード製作者に対しましても同様な支払い義務が生ずるという観点で、放送事業者側からのかなり強い抵抗があるわけでございまして、現在、この問題につきましては著作権審議会でも検討の段階でございまして、理解を求め、日本も隣接権条約ではまだ開発途上国といったような評価を受けることのないような方向の努力をすべきだと考えております。
#10
○中村哲君 今日、日本文化に対する関心というか評価というものは、昔の旧制高校のドイツ語や英語の先生が国に帰って日本の骨とうや美術を紹介したりしているというああいう時代ではなくなって、日本の文化の主流のものを、しかも日本で、日本の文化史の中で評価されているものをきちんと評価するというような方向になってきている。海外に行って大学で日本関係の講義をしている人なども、アメリカなんかで二世、三世というふうになっておりますと、日本のことを実際には余り知らない。それから日本で生まれた日本の人というよりも、日本の昔の領土にいた人なども日本語がうまいものですから大学で講義したりしていますが、そういう人たちの講義じゃなくて、日本そのものにおいて、日本文化の主流はどういうもので日本の土地にいる人が伝統的にどういうものを評価しているか、こういうふうなことについてもきちんと目を向けるようになってきているわけです。つまり、外国に紹介されているような日本文化の珍しさでなくて、今日、世界の大学のほとんどが日本の講座を開いたりしまして、日本文化の長所と欠点を理解するような時代になっているものですから、やっぱり日本文化の紹介という場合に、きちんと日本の一流のものを持っていく。そういうことは文化庁の役割でやっておられることも知っていますし、それから文部省としてほかの部局でやっていることも知っておりますが、こういうことには確かに経費は相当かさむんですけれども、しかし、先ほども申しましたように、日本の経済力の余裕ができているんですから、なお一層力を注いでいくということが必要と思います。
 ただそのときに、そう言いながら自分でもいろんな困難なことがあるなと思いますのは、ヨーロッパのEC諸国の相互の間の、フランスとスペインだとかイギリスとイタリアとかいうと、東京と大阪ぐらいの違いで、劇団関係でもオーケストラでもすぐ移動ができるんですが、日本の場合は、飛行機を借り切らなければというようなことで旅費も非常にかかる。こういうことについて、そういう特別の費用というものが、先ほど言った隣接権条約なんかのときに、日本がヨーロッパ諸国相互の間と同じょうに負担するわけにいかないという気持ちがあるんだと思うんですが、この点は、実際上劇団やオペラやその他が移動するときはどういうふうな負担になっているんですか。つまり、先ほどの著作隣接権ですね、本来なら日本が外国に隣接権として払うようなもの、そういうものを相互でプールしておいて、そしてそれを文化の交流のために使うと、そういうようなことは大体において文部省その他外務省もやっているんじゃないかと思うんですが、実際はどうなっているんですかね。
#11
○政府委員(加戸守行君) 先生おっしゃいますように、国際的な文化交流というのは大切なことでございますし、日本の文化を広く世界に知ってもらうという努力もすべきでもございます。また、外国の文化も日本に取り入れる、そういった観点から、例えば芸術、文化の領域にいたしますれば、日本から外国へ公演に参ります場合に、これは相当多額の持ち出し経費になるわけでございますので、例えば国際交流基金等からの補助を受ける、あるいは日本におきます民間の寄附を受けて、あるいは文化庁からの補助金を受けて、いろんな形で補いながら外国へ出かけていく。また、外国からも、特に東南アジア諸国からの場合でございますと国際交流基金で補助金を出すとか、あるいは文化庁からも経費を持つとかいうような各種のシステムによりまして、それぞれ若干日本側が、結果的にはいろいろな形でございますけれども、持ち出しをしながら交流を続けているという状況でございます。
 そこで、今先生おっしゃいましたように、例えば外国からお見えになる経費を、赤字になる場合にそれぞれの受け入れ国で負担するとかいった場合にも、行った先で負担してもらうというような関係の手がかりとして一つの考え方が、例えば、先ほど隣接権条約に関して言及なされましたけれども、今ヨーロッパ等の先進諸国におきましてはロンドン方式と呼ばれておりますけれども、二国間協定を結びまして、それぞれの国におきまして二次使用料の支払いが行われた場合に、外国人の分であってもそれは外国に払わないで自分の国にとめ置くという形をとりまして、その結果、例えば外国から実演家が参った場合にそれに対する経費に充当することによって最終的には外国にも還元できるというようなシステムを設けておる国が相当ございますし、そういった利用の仕方はそれぞれの国の方法によって違いますけれども、同じような考え方はフレア協定といいまして、南米諸国でもそのような方式がとられているわけでございます。
 先般の参考人陳述で小泉参考人が申し上げたと思いますけれども、日本の芸能実演家団体協議会も、今申し上げたロンドン方式によりまして、ヨーロッパ諸国とは八カ国、それからフレア協定方式によりまして南米の五カ国との間に協定を結びまして、日本が隣接権条約に加入した場合におきましても、それらの国に対しては送金をしないで日本でプールをしてそれらの国から実演家の方がお見えになった場合にそれを還元するというような方途を想定して準備を進めているという状況でございます。
#12
○中村哲君 本日の法案としては、プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案というのと、実際上はデータベースに関係する著作権法の改正の二つが問題になっているのですが、このコンピューターに関連しますソフトウエアそれからハードウエア、こういう問題については、この前の秋の国会で取り上げて、そしてそれについてはなお残っている問題が附帯決議になっているかと思うんですが、これらについては時間の関係で多少無理になりましたものですから、私の方のセットとしましては粕谷さんが質問されますから、そちらにお譲りしたいと思うんです。
 それで、そういうコンピューターに関する情報化文化というか、こういう時代にどんどん進んでしまってきている。これからも科学の発達というものは限界がありませんから、軍事技術の場合、一番危険なのはそのことでありまして、科学自身が自分をセーフするということはしないですから、SDIなんかの危険性というのはそれでありますし、それから核の問題というのはそれ自身がセーフするわけじゃないんです。したがって、こういう科学技術の発達というものをどうやって自分自身がチェックするか。
 文部省が正面から責任を持っております教育の問題は、こういう情報化社会になって子供たちの遊びから入学試験、よく問題になる大学の入学試験、我々の関係した大学でもコンピューターではじき出しておりましたから、受験産業なんというのもそういうコンピューターで割り出してきて、そしてだれはどこを受けた方がいいとか、そういうことが決まってくるので、先生が指導するよりは、点数で、コンピューターの結果で割り出される、こういう時代に既になっているわけです。だから、先般官立大学の受験目についての調整がありましたけれども、あれも実際は競争になっていくし、前の状態よりさらに競争が激しくなる。
 それから、私学との関係においてはさらにそうだと思う。私学はあれでどういうことが起こるかというと、官学の方で成績でずっと系列化してしまうから、今までは私学の方にいろんな変わった人材が入ってきた。だけれども、あれだけ官学の間だけでも系列化しますと、私学の方というのはそれとの関係で受験者が出ていくというようなことになって、一層点数主義の系列化になるんではないかと私は思っています。そういうことがあるものだから、我々私学関係の役員しておりましたときから共通一次には反対だと言っていたんで、そういうふうな時代になるかと思う。
 このことについてのいろんな弊害をどうするかという問題、これは情報化社会になったためだけじゃありませんけれども、そういう情報化社会になればなるだけに、人間が何か形式的な評価で、株にコンピューター的な文化というのは、判断力とか実行力とかその人の精神とかそれから良心とか、そういうものが問われないで、ただ物知り、どこまで何を知っているかという、よくテレビのプログラムであるああいうふうな式の教育になっていきつつあるんだと思う。それが情報化社会の教育の一番大きな欠点だと思う。それだからこそ臨教審は情報化社会の問題を取り上げておりまして、これには長所もあるが欠点もある。その欠点をいかにして抑えていくか、そしてそれに対策を立てていくか、これがこれからの文部省の大きな役割になっていくんじゃないかと思うんです。というのは、情報化社会がどんどん進行するというのは、これはフリードマンなんかの言うような市場の原理で、あるいはちょっと前の言葉で言えば資本主義社会の自然の法則としてそうなってくる。これが市場の原理と言われている。そういう弊害を抑えて、そして本当に能力ある人を開発したり個性ある人を育てたり、それからそういう試験制度に反発するような人材をピックアップするとか、そういうことが実際教育の大きなことになっていく。
 それで、人と人との触れ合いというものが教育でありまして、そういう機械化されて計量されるようなもので人の能力はわからないのでありまして、一言だけ雑談をしますならば、コンピューターで大衆大学、我々がおりましたような一学部に一万人から受験者があるという、それをコンピューターにかけますと、同じような点数のところが一番多くて、一番できないというのとできるという人はちょうどひし形みたいになっているんです。だから大体真ん中の辺は、英語の単語を一つ覚えているか覚えていないかというような二、三点の差で千人ぐらいがここにひしめいているんです。このうちの、ちょっと先の方だけ入るけれどもあとは入らないと、こういうふうなことで実際は入学が決まっているわけなんです。だから、そういう時代に対して、情報化社会化するような教育に対して、やっぱり文部省こそひとつ決断をもってそれに取り組んで対策をしていただきたいと思います。
 この点はひとつ文部大臣にお聞きしたいと思います。
#13
○国務大臣(海部俊樹君) ただいま、先生の御経験、御体験を踏まえての、情報化社会に対して児童生徒とかあるいは教育に与える影響のいろいろな面、もちろん光の面もたくさんございますが、我々が今憂えて対処しなきゃならぬのはむしろ影の部分で、しかもそれは児童生徒の心身の発達状況の中で悪い影響を与えるのではないかという御心配、御指摘だと思います。
 この委員会でも御議論いただきましたように、例えば例を一つ挙げますと、児童生徒の間で今爆発的にコンピューターゲームというのが普及しておりますけれども、この問題一つを取り上げて考えましても、人間の情緒の流れと切り離されてしまったところで喜んだり興奮したり落胆したりいろいろしておる。一体心というものはほっておいていいんだろうかという深刻な疑問もございますし、同時に、児童生徒の発達段階においては、いろいろな生活体験を身につけ経験することによって、知育、徳育、体育のバランスのとれた人格の向上を目指していかなければならぬわけでございます。
 文部省といたしましては、ただいま御指摘のような点も十分に踏まえまして、昨年来、情報化社会に対応する初等中等教育の在り方に関する調査研究協力者会議というのを設け検討を行い、中間報告は既にいただいておりますけれども、コンピューターがますます利用される分野が広がり度合いが深くなるとともに、やはりテクノストレスなどという呼び方もされておりますが、児童生徒の心身に与える影響の悪い面は十分に配慮していかなきゃならない。人間と人間との触れ合いを大切にするとか、自然との出会いを大切にして、そういった機会をなるべく多くしていくように努力をするとか、いろいろなことを考えまして、この影の部分の弊害を少しでも取り除くようにしていかなければならないと決意をし、それに取り組んでおるところでございます。
#14
○中村哲君 時間が参りましたからもうこれ以上は申しませんけれども、ただ一つ、ホワイトヘッドがその教育論の中で、初等教育を中心としまして、子供というのは好奇心を持って、そして同時に非常に夢を持つ。これは、小学生のときには夢を持つわけですね。目の前に新しくいろんな問題が広く展開するから。それを先生は指導していく、それを軌道の上に乗せていく、それでその人の能力を伸ばしていく、これが教育なんだと、こう言っておりまして、もとはやっぱり子供が夢を持つということ。それが今の義務教育ですと、何か夢をなくすようにしているように思いますので、その点はひとつ海部文部大臣、よろしく御努力をお願いします。
#15
○粕谷照美君 中村委員に続きまして、私は最初、法律の内容について質問をいたしたいと思います。
 まず、プログラムの保護の国際的動向について伺います。
 コンピュータープログラムの保護については、著作権法によって保護すべきであるか、または新規立法によるかということについて、通産省と文化庁の間にホットな論議が長い間巻き起こっていたということも経過の中にあったわけでありますけれども、最終的には、日本では著作権法で保護するということになったわけであります。この問題についての国際的な動向というのはどのような形になっておりますでしょうか。
#16
○政府委員(加戸守行君) プログラムの保護に関しましては、アメリカ合衆国におきまして一九七六年と一九八〇年の二度の改正によりましてプログラムの著作権法上の保護を明確にしたわけでございますが、その後、一九八三年にハンガリー、一九八四年にオーストラリア及びインド、それから一九八五年に至りまして我が国並びにイギリス、西ドイツ、フランスといった国で著作権法の改正が行われまして、プログラムを著作権法上の著作物として保護する旨を明らかにしたわけでございます。
 このほかに伝え聞くところによりますと、フィリピンにおきましても、著作権に関します大統領令によりましてプログラムの保護が明確化されているというようでございますので、それらの国をカウントいたしますと、現在九カ国において法改正が行われた。結果としてプログラムの著作権法による保護が明らかになっているわけでございます。
 それ以外にも、例えばオランダであるとか各種の国におきまして、判例上、裁判例によりましてプログラムの著作権法による保護が明確化されているわけでございます。さらに、カナダにおきましては著作権法改正の白書が政府から議会に提出されておりましてそういった方向を示しておりますし、そのほか、スウェーデン等の北欧四カ国あるいはオランダ、スペイン、アルゼンチン等におきましては、現在著作権法改正の検討が行われているという状況を承知いたしております。
#17
○粕谷照美君 国際的にはやはり著作権法でプログラムを保護するという現実がある、こういう御報告でありますけれども、伝え聞くところによりますと、これはことしの二月二十六日の日経産業新聞に載っているわけでありますが、去年フランスが七月に著作権法を改正して、使用権と二十五年の保護期間を独自に設定した、こういうことであります。大体「権利保護に使用権は絶対に必要で、五十年では技術進歩を阻害する」という考え方から踏み切ったと、こう載っておりますが、このことはベルヌ条約の精神を否定するものではないかというような批判もあるということでありますけれども、アメリカもソフトの権利保護を含めた知的所有権の国際標準づくりを呼びかけ始めたといいますし、また、WIPOの専門家会議でも、著作権法に執着している国は案外少ないというようなことを言っている専門家の方々もあるわけであります。
 こういうプログラムの保護のあり方について、著作権法で保護することの合意はありますけれども、その見直しを迫る機運が高まっていて、今後とも課題が残されているのではないか。この点については文化庁はどういう判断をされておりますか。
#18
○政府委員(加戸守行君) 国際的な動向としまして、一九八五年、つまり昨年でございますが、コンピューターソフトウエア保護に関しますWIPO・ユネスコの合同専門家会議でも、大多数の国がコンピュータープログラムを著作物として著作権法により保護すると、それは何を意味するかと申しますと、著作権条約上の著作物として保護するという大勢であったわけでございまして、そういった方向に対しまして異論を唱えたのはブラジル一カ国のみでございました。したがって、私どもはそういう条約上の著作物として各国が保護するということを当然想定してはいたわけでございますが、ただいま粕谷先生御指摘ございましたように、フランスが昨年法改正をしました際に、保護期間については二十五年ということを定めたわけでございます。
 それで、私どもの方から問い合わせをいたしましたが、ベルヌ条約におきましては五十年が義務づけられておりますけれども、例外といたしまして応用美術並びに写真につきましては二十五年で足りるという規定がございます。それで、フランス側からの見解といたしましては、ベルヌ条約上の応用美術の著作物に該当すると考えるという返事が参りました。私どもの常識的な判断からいたしますと、コンピュータープログラムが応用美術の著作物という条約上の概念に該当するというのは、率直に申し上げてかなり牽強付会ではないかという認識を持っております。
 したがいまして、フランスの著作権法改正によりましてこのような措置が行われましたけれども、仮定の話でございますが、事は条約の解釈でございますので、例えばアメリカのプログラムが二十五年だったものがフランスで海賊版が出たときに、そのアメリカの権利者がフランスで訴訟を提起しましたときにフランスの裁判所がどういう判断を下すのか。これはフランスの著作権法によって保護期間が切れているといって判断するのか、あるいは、ベルヌ条約上の応用美術には該当しないから、したがって五十年であるという形で判断が下されるのか、その辺は、具体的な事例が出てみないとわかりませんけれども、現時点におきます私どもの考え方としては、問題の大いにあり得るところではないかという認識を持っている状況でございます。
 なお、保護期間自体の問題につきましては、五十年がいいかどうかというのは、ベルヌ条約上も、小説、音楽、絵画といったものを念頭にして五十年というのができている制度でございますから、その中に、自動的にプログラムも五十年でいいと割り切ることについての御議論はあり得るところでございます。ただ、条約上の制約でございますから、条約というのは改正が可能でございます。そういう意味で、次のベルヌ条約改正の機会には、この五十年の保護期間をそのままコンピュータープログラムに適用することがいいのか、あるいは応用美術や写真と同じように例えば二十五年に短縮するというような議論は大いにあり得ると考えておりますし、また、その時点におきまして、我が国の状況を踏まえながらまた対応を考えていくということになろうかと思っております。
#19
○粕谷照美君 そういたしますと、そのときの我が国の対応ですね。対応に当たっての経過措置があると思います。どのような討議過程を経て結論を持って日本としての態度を表明するのか、その点はどうですか。
#20
○政府委員(加戸守行君) 国際条約の改正の際におきましては、日本国の中で意見が分かれていては困るわけでございまして、当然、日本国政府の訓令を持った代表が参加するわけでございますので、国内での意思統一も必要になるわけでございます。
 ただ、保護期間の問題につきましては、一昨年来の通産省との間のプログラム戦争のプロセスを通じまして、通産省側は短い保護期間を主張しておりましたし、また、昨年この問題が決着いたしました際の通産省との間におきましても、この保護期間の問題につきましては中長期的観点から検討するという課題になっておりますと同時に、当文教委員会におきましても、法改正の際の附帯決議におきまして、「中長期的に検討を行うこと。」という決議がついておりますので、そういった状況を踏まえ、かつ、国内におきます権利者あるいはユーザーサイドの御意見等も総合いたしますと、将来のことを今から予言するわけではございませんが、保護期間を短縮の方向で条約改正に臨む蓋然性というのはある程度高いのではないかというぐあいに予測をいたしております。
#21
○粕谷照美君 では次に、なぜ特別立法でやっていくのかという点についてであります。
 去年の著作権法改正で、今回提出をされましたプログラム登録特例法の中身について措置をすることができなかったのはなぜだろうか、こういう気持ちがするわけであります。また、第七十八条の二で言う特別立法によらないでも、著作権法の改正によって対処することも可能であったのではないか、こういう感じもするわけでありますが、文化庁としての判断をお伺いしたいと思います。
#22
○政府委員(加戸守行君) 理由としてはいろいろございますが、一つは、昨年プログラムの保護をめぐります両省間のいろんな議論のプロセスを経まして、話し合いがつきまして決着いたしましたのが、国会のかなり進んだ段階でございまして、法案提出時期が差し迫っていたわけでございます。そういう意味で、技術的に申し上げますれば、昨年の通常国会にこのプログラムの特例手続関係を定めるということが物理的には作業としてまず至難のわざである。ということは、これをドッキングさせますと昨年の著作権法改正は間に合わなかったであろうというのが第一点でございます。
 第二点としては、プログラムの登録に関します手続につきまして、プログラムの特性に応じた特例を設けるということでございまして、そういったプログラム登録固有の問題として一括処理することが適当である、そういった視点に立ちまして別に法律を定めるという考え方をとったのが第二でございます。
 それから第三といたしましては、もちろん法技術的には著作権法の中にこれを盛り込むことは不可能ではございませんけれども、昨年通産省との間に同時決着いたしました事柄として、半導体集積回路の回路配置に関する法律というのが通産省から昨年国会に提案されて成立いたしましたけれども、この中で、登録機関の手続に関します規定が約三十条ほどあったわけでございまして、今回の提案申し上げております中にも指定登録機関関係だけでも三十条近い条文があるわけでございます。そういったいろんな諸手続規定を、いわゆる著作権の基本的な保護を図る法律、これは百二十四条で構成されておりますけれども、その中にプログラムの登録手続に関して三十条の規定を入れるというのが法体系としていかがなものであろうかということ。それから個人的な感想を申し上げて恐縮でございますけれども、私この現在の四十五年成立の著作権法改正の際に立案に参画させていただきました一人として、著作権法がちょっと汚れちゃうなというような気持ちもございましたし、そういったのが第三の理由でございます。
 したがいまして、今申し上げたような諸般の事情によりまして別建ての法律にし、次の国会で提案をさしていただくということで、プログラム登録関係の固有の手続問題に関するのみの技術的な規定として特例法を提案させていただいている次第でございます。
#23
○粕谷照美君 すっきりした形で提案をしたいという気持ちからこれが出てきたという点については了解をいたしますが、去年の法改正で、プログラムについて創作年月日の登録制度を設けた趣旨、これがよくわかりません。
 また、プログラムの著作物については登録をしないでも権利が発生するわけでありますけれども、だとすれば、この登録をするということについてメリットがなければならないわけでありますが、そのメリットは一体どういうものでありますか。
#24
○政府委員(加戸守行君) 昨年の法改正によりまして、第七十六条の二に「創作年月日登録」を設けましたゆえんは、従来の登録制度におきましては、無名、変名の著作物の実名登録、あるいは第一公表年月日登録、または第一発行年月日登録といったような制度、そのほかに著作権の移転の登録等がございますけれども、通常コンピューターのプログラムは企業内等にあるいは家庭内等において使用される内部的利用にとどまる場合が多うございまして、公表されるケースというのが極めて少ないわけでございます。そういう意味で、プログラムを登録しようと思っても登録するに出ないというような結果が生ずるという点が第一でございます。
 それから、このプログラムの創作年月日登録制度を導入することによりまして、法律上は、プログラムの登録された創作年月日に創作されたものと推定するという法律上の推定効果しか付与いたしておりませんけれども、この結果として、著作者の事実上の特定、あるいは侵害訴訟が起きました場合、その侵害の事実を判断する場合の大きなよりどころになる、権利保全が期せるという観点があるわけでございます。
 ちなみに、法律上の推定のみならず、事実上の推定まで考えますと、例えば訴訟を起こす場合の原告適格、あるいは逆の場合の被告適格の場合、あるいは著作権侵害による告訴権を行使して告訴をする場合、それから訴訟になりました場合の、これは民事訴訟法上等の手続によりまして鑑定嘱託あるいは調査嘱託というような方法も登録機関に対して行うことができるわけでございまして、そういう意味の諸制度を活用いたしますれば、プログラムの登録者に事実上の権利保全の十分なメリットが多々生ずるということでございまして、こういった創作年月日を確定すること自体のみならず、それに関連いたします諸般の方途というのが十分想定できるということでございましてこの七十六条の二によりまして創作年月日登録を導入した次第でございます。
#25
○粕谷照美君 先般の参考人のお話でも、清水さんがおっしゃったわけですけれども、この制度ができて、我々登録をするということに一生懸命に努力をしたい、こういうお話がありましたけれども、現在、このプログラムについて年間どのくらいの登録が行われているか。
 また、この法律制定以降どの程度の申請があるというふうに文化庁としては予測をしておられますか。
#26
○政府委員(加戸守行君) プログラムの登録につきましては、昭和五十九年度は合計七件でございます。それから昨年度につきましては合計八件、件数としては極めて少のうございます。このほかに、内容的にはプログラムでございますけれども、いわゆるビデオゲームというものに使用されますゲームソフトがプログラムという形ではなくて映画の著作物という形で登録されているのが、五十九年度が七十八件、六十年度が四十九件ございます。いずれにいたしましてもプログラムの登録に関しましては、法改正前の状態といたしましては、極めて微々たる件数であったと思います。
 ところで、法制定後におきまして、来年以降の段階でどの程度登録件数が想定されるのかという御質問でございますが、これはまことに雲をつかむような話でございますけれども、衆議院の御審議段階で参考人の方からの答弁によりますと約数千件、それから今回の参議院段階でも同じように数千件ということをパソコンソフトウェア協会の方からおっしゃっております。したがって、これはいわゆるパソコンソフトのみについて数千件が年間想定されるわけでございまして、これ以外に、例えば汎用プログラム等につきまして一般の他の分野からのソフトの登録がどの程度かということはこれまた事実上想定しにくいわけでございまして、各関係の会社等にお聞きしましても、ほとんど登録をするという返事のある会社もございますし、余り登録しないという会社もございまして、それぞれ会社のお家柄によって違いがあるわけでございましたりで数字はつかめませんが、いずれにいたしましても、パソコンソフトのみについてでも年間数千件という数字で相当程度の登録が出てくるのではないかと想定をしているわけでございます。
#27
○粕谷照美君 特例法の二条の、プログラムの登録原簿について磁気テープで調製できると、こういうふうになっておりますけれども、その理由は何か。
 また三条で、登録に際して、プログラムの著作物についてのみ複製物の提出を義務づけているわけですね。この義務づけの意味はどのようなことになりますか。
#28
○政府委員(加戸守行君) ただいま申し上げましたように、法施行後におきましてはプログラムの登録の申請件数が相当多数に上るであろうという予想があるわけでございます。そういたしますと、プログラム登録につきましては、従来は著作権登録原簿というバインダー式帳簿によりまして記入をしてつくってきたわけでございますけれども、多数出てまいりますと、それを簡易迅速に登録事務を行う必要があるわけでございまして、あるいはその後の登録原簿の閲覧あるいは謄本、抄本等の交付請求に対応するという観点からいたしましても、従来のバインダー式帳簿とは違いまして、プログラムにつきましては登録原簿を磁気テープで調製いたしまして簡易迅速な事務処理を図りたいというのが第二条を設けた趣旨でございます。
 それから第三条の複製物の納付義務でございますけれども、プログラムの場合は、一般の著作物と違いまして、同じような機能を果たすものでございましても、プログラム自体は表現形式が違えば多数の、例えば給与計算のプログラムにいたしましても多数のものが存在し得るわけでございまして、単にこれは給与を計算するためのプログラムであるという登録申請が行われましても、一体その登録されたプログラムがどんなものであるのかということを特定することが極めて困難でございます。特に創作年月日登録の場合におきましては、いつ創作したということを登録するわけでございますから現実に申請の際にプログラムが完成されているということを確認する必要があるわけでございまして、そういう意味では、従来、私はこういう小説を書きました、こういう映画をつくりましたという文書だけの登録受け付けでございましたけれども、プログラムの場合にはそういった書面だけでは不明確であるという観点に立ちまして、何が、どのようなものが登録のプログラムであるのか、もうできているのかということを確認するためにプログラムの複製物、コピーの提出をお願いしようというわけでございます。
#29
○粕谷照美君 そのプログラムですけれども、何か伝え聞くところによりますと、非常に小さなものからすごい大量のものになるということもあるということでありますが、そういうさまざまな複製物の提出については、この申請者というのは大変過重な負担がかかるのではないかということも心配されておりますが、どのような形で配慮を伴いながらやってもらうということを考えておられますか。
#30
○政府委員(加戸守行君) もちろんプログラムは大小さまざまなものがございまして、一般的に申しますと、ソースプログラムにおきますステップ数によって相当の違いがあるわけでございます。したがって、それが何万ステップか何十万ステップかということによって違うわけでございますが、例えばそのコピーと申しますのがソースプログラムのペーパーによりまして提出いただくとしますれば、標準的なプログラムでも五、六百ページ、あるいは何千ページ、何万ページにわたるようなものも考えられるわけでございまして、そういったものを提出いただきましても実は保管する場所に苦難を伴うわけでございます。それから磁気テープで御提出いただくといたしました場合には、磁気テープでございますので、保存、管理の状況いかんによりましては磁気が消えるというような場合もございます。
 そういう意味で、将来の訴訟が起きた場合を想定いたしますればペーパーが一番よろしいわけでございますが、これは保管が困難であるという点で、現時点におきましては、私どもはマイクロフィルムによりまして提出を願いたいということを考えておりまして、特にロールフィルムあるいはマイクロフィッシュ等によりまして簡単に保管ができる、しかも確認もしやすいと、そういったもので御提出をいただこうかと現在考えておる段階でございます。
#31
○粕谷照美君 そのプログラムの登録は、これを公示するということになっているわけですけれども、公示の形態というのはどういう形でやられるというふうに考えていますか。
#32
○政府委員(加戸守行君) いろんな方法等ございますが、例えばプログラム公報を発行する、あるいは簡単な部分でございますれば官報に掲載をする等の諸般の方法があろうと思います。
 したがって、現在鋭意検討中でございますけれども、何らかの形で一般のユーザーが知り得るような、あるいは権利者サイドも知り得るようなそういった周知の方法というものを考えてまいりたいと思っております。
#33
○粕谷照美君 指定登録機関の設立についてでありますけれども、このプログラムの登録事務に関しては、文化庁長官の指定する指定登録機関が行うということになっているわけであります。
 先日のニュースに、軽自動車の約一千万台分のデータが盗難に遭ったというのがありますわ。これは運輸省所管の社団法人全国軽自動車協会連合会のコンピューターに入力されているその資料が盗まれたわけですね。極秘の検査登録がこういう形になるということは大変なことでありまして、したがって、私どもはこの指定登録機関に非常に注意を払っていかなければならないと思うんですが、本来的にはこういうものは国が行うべきであろう、こう考えるのであります。これを民間が行うことによって公正な登録が確保されるのかどうなのかという問題点があります。これにどのような対応をとっていかれるのかということであります。
 またそれと同時に、現在、指定登録機関としてあそこにしようなどといって予定をしているようなところがあるのでしょうか。また、いつごろを目標にしてこの指定団体を確定するつもりでございますか。
#34
○政府委員(加戸守行君) コンピュータープログラムは、製作に相当の時間と経費とが、特に膨大な経費がつぎ込まれるわけでございまして、その秘密保持というのは大変重要な点でもございます。
 そういう意味で、今回提案いたしておりますプログラム特例法の中におきましては、不公正な登録事務を行うおそれがある団体は指定できないという第七条の規定、あるいは指定登録機関の事務が円滑に行われることを確保するための諸般の監督規定を、例えば十四条、十五条、十七条などで設けております。そのほか、指定登録機関の役職員、またはこれらの職にあった者の秘密を保持する義務というものを第十六条で規定しておりまして、また、それに違反した場合の罰則につきましては二十九条に規定しているわけでございます。この秘密保持義務に関しましては、刑法上の扱いといたしまして、公務に従事した者とみなすということで、公務員と同様な法令上の罰則規定が動くわけでございます。そういう意味で、今回の法律の中では、公務員と同様な立場に立って登録事務を遂行していただくということを法制度上は担保しているわけでございますが、事柄は運用の問題でございますし、そういった点は遺憾のないように進めたいと考えているわけでございます。
 なお、いかなる団体が指定登録機関になるのであろうかということでございますが、率直に申し上げまして、現時点におきましては、それぞれ公益法人でございますので、著作権に関し適切なものというのは、経営的基盤がしっかりしておりましても、コンピュータープログラム関係については全く知らないというような団体もございますし、あるいは、プログラム関係の団体でございますれば、著作権関係についての知識、あるいは経理的基盤がどうであろうか等の問題もございまして、いずれも帯に短したすきに長しというようなことで苦慮しております。場合によりましては新しい機関をおつくりいただくということも含めまして、総合的に、鋭意検討を進めたいと考えております。
 時期につきましては、この法律が成立いたしますれば、登録自体は来年の四月から発効するわけでございますけれども、指定登録機関の指定事務に関しましては本年の十月一日から施行の予定でございますので、十月を過ぎた、秋ごろにはおよそのめどをつけて登録の準備にかかるような態勢で進めたいと考えておるわけでございます。
#35
○粕谷照美君 先ほど指摘しました軽自動車協会連合会の問題にしても、ワンセット二千万円から五千万円のお金が動いたのではないかということが報道をされておりますし、これが発覚するまでの間、二年間というものがあるわけですね。随分長い期間かかってようやく判明した。これをやられると大変なことになるわけですね。それでまだ、帯に短したすきに長しと今ごろ言っていて間に合うのでしょうかね。その辺の見通しはいかがですか。
#36
○政府委員(加戸守行君) 法律を御審議いただいているわけでございまして、法律が成立しない段階で御相談申し上げるのは難しいわけでございますが、法成立後速やかに関係団体、業界等の御意見も伺いながら、鋭意精力的に詰めたいと考えております。
#37
○粕谷照美君 今ごろからもうそろそろなんということもできないと思いますけれども、やっぱりきちっとした体制で、安心して登録ができるような条件というものをつくっていただきたいということを要望いたします。
 次に、データベースの現状と今後の問題について伺います。
 我が国において利用されているデータベースの数は、昭和五十九年度において一千二百四十二にも上ると、こういう御報告があったわけですけれども、その大体八割は米国製だと。我が国のデータベース産業は、欧米のそれと比較してどの程度の規模になっているのでございましょうか。先回の参考人の御報告もありましたので大体のことはわかっているわけですけれども、文化庁としてはどういうふうに理解をしていらっしゃるか伺います。
#38
○政府委員(加戸守行君) 私どもの把握している状況は、通産省のデータ等によって承知しているわけでございますが、先生今おっしゃいましたように、五十九年度では日本で千二百四十二のデータベースが商業用データベースとして使用されているわけでございまして、このほかに、いわゆる大学、研究機関あるいは企業内等で自己使用をしておりますもの、あるいは作成しておりますものは相当件数に上るのではないか。ただそれが市場化されてはいないというのが現状でございます。そういう意味では、潜在的な能力としてはかなりのものを持っているというぐあいに私どもは理解いたしております。
 なお、データベースサービスの売上高の推移につきましては、米国の五分の一ということが言われておりますけれども、国のランクだけでいきますれば、日本は五十九年度の売上高が九百六十七億円でございまして、世界第二の地位はかろうじて保っていると思われます。今後の伸びは、かなりヨーロッパをしのいでいくということは私どもも予想しているわけでございまして、過去の経験等に徴しますれば、こういった分野というのは日本人に極めて性格的に合った分野でございますし、こういった知的段階での産業というのは急速に発展するであろうと文化庁としても予想しているわけでございます。
#39
○粕谷照美君 それでは、そのデータベースの保護の現状と改正の趣旨について伺います。
 現行法上でも、データベースは第十二条によって、「編集著作物」として保護されております。今回積極的に、第十二条の二を起こしまして「データベースの著作物」としての定義を設けて保護するという、そこまで至った理由というものは一体どういうことですか。
#40
○政府委員(加戸守行君) このデータベースの保護に関しまして、著作権審議会におきましては第七小委員会を設置して鋭意検討を進めまして、昨年報告をちょうだいしたわけでございますけれども、この報告の中におきましても、この問題はいろいろと報告に至りますまでの段階におきまして相当大幅な議論がございました。もちろん委員の中にも、「編集著作物」で足りるのではないかという御意見等もございました。
 ただ、現在の編集著作物の規定と申しますのはベルヌ条約をもとにいたしておりまして、ベルヌ条約上は百科事典または選集、これはアンソロジーという言葉でございますが、百科事典または選集のような集合物は、その素材の選択または配列において創作性がある場合には著作物として保護するというような規定を受けまして、ほぼ同様なパターンで第十二条を定めたという立法の経緯がございます。これらの考え方の基礎には、まさに材料を集めて並べるという選択、配列ということについての創作性というものが強調されているわけでございますけれども、データベースの場合には、もちろん素材の選択、配列という行為は存在するわけでございますが、と同時に、むしろそれを統合整理して体系的に構成をするというところに大きなウエートがあるわけでございますので、この規定を拡張解釈するということにつきまして若干質的に違う要素というのが出てくるというのが第一点でございます。
 さらに、現在素材の選択、配列と申しましても、例えばファクトデータベースのように、この世に存在するデータをそのままほうり込むというケースもあるわけでございまして、その場合には材料の選択とか配列の余地がないケースがある。むしろ体系的な設定のみによって創作性を有するという場合もございまして、これは現在の十二条では読みにくい。むしろ読めないのじゃないかという問題も生ずるわけでございまして、そういった状況等を勘案いたしまして、これら一連の材料である情報の選択あるいはそれの体系的な構成という一連の過程の中で創作性があるものをデータベースとして保護するということを明文をもちまして第十二条の二に規定をしたということでございます。
#41
○粕谷照美君 一〇二国会の著作権法改正のときに、プログラムの著作物については第十条の九に例示に加えることによって保護を明確にしたわけであります。データベースの保護を明確にするのにプログラムの場合と同様の方法をとらなかったというこの理由はどう解釈したらよろしいんでしょう。
#42
○政府委員(加戸守行君) 第十条におきましては、それぞれ各号列記いたしまして、言語、音楽、無言劇、美術、建築等の著作物をそれぞれ並べております。
 具体的に申し上げますと、一号の小説等の言語の著作物というのは、いわゆる人間の言語体系によって表現されたもの。それから二号の音楽につきましては、いわゆる音的な、音によって表現されたもの。三番目の舞踊、無言劇の著作物は、人間の身ぶり、動作によって表現されたもの。それから四号の絵画等の美術の著作物は、形状とか色彩等によって表現されたもの。それから五号の建築は、それと若干類似でございますけれども、そういった形状の視点でございます。それから六号の地図等の図形の著作物というのは、まさに形によって表現されたもの。七号の映画は、いわゆる映像の連続によって表現されたもの。八号は写真という影像によって表現されたものという、いわゆる著作物がどんな形で表現されているのかというその表現の形に着目いたしまして著作物の例示をしているわけでございます。
 昨年、プログラムの著作物を加えさしていただきましたのは、これはもちろんオブジェクトプログラムの段階に至りますれば、〇一〇一によって表現されるわけでございまして、そういった機械可読形態なようなことを意図して作成される、そういったプログラムというものにつきましては、その表現形態が従来のものと違うという形で第九号にプログラムの著作物を入れさしていただきました。
 ところで、データベースの場合でございますと、例えば論文のデータベースでございますれば、それは一号の言語の著作物の集合体でございますし、例えば図形等を集めた図形情報のデータベースでございますれば六号の図形の著作物の集合体でもございますし、その表現形態としてはこの一号から九号までに入るようなものを集めたものということでございますので、いわゆる著作物がどんな支持媒体によって表現されるのかということを想定いたしました十条の例示によりますよりは、現在の十二条にございます編集著作物と並べまして、例えば百科事典等が編集著作物として考えられると同様に、データベースはそういった情報の集合体として知的創作性があるものは保護するという十二条に続けた十二条の二で設けるというような立法の過程を踏んだわけでございます。
#43
○粕谷照美君 大変明確な法律だとしみじみ感心しながら次長のお話を伺っていたわけであります。
 それでは次は、有線送信の部分に入りまして、まず、この概念の創設のことについて伺います。
 今回の改正で有線系ニューメディアに対する措置として、有線送信という概念を設けておりますけれども、その趣旨は一体どういうことになりますか。また、有線放送とそれとの関連はどのように理解をしたらよろしゅうございますか。
#44
○政府委員(加戸守行君) 現行著作権法におきましては、四十五年改正におきまして有線放送という概念を導入し、その定義づけとともに有線放送権を定めたわけでございます。
 その後、制定当初の段階におきましては、当時の有線放送といたしましては、放送を受けて、これをいわゆる専門用語ではスルーで流すと言っていますけれども、そのまま再伝達をする有線放送というものがほとんど主力でございまして、その後CATVの普及発達に伴いましていわゆる自主放送というのが出てまいりました。それからそれ以外に今度は多数の情報を同時に流すという従来の形態のほかにリクエスト型の送信というのが出てまいりまして、例えばデータベースのオンラインサービスあるいはキャプテンサービスのようなビデオテックス等によりまして、視聴者の個別のリクエストによりまして必要とする情報が個別に別の時間帯にそれぞれ流れていくといういわゆる送信形態のものが出てまいりました。現在の著作権法ではそれも有線放送という概念で読むことは不可能ではないわけでございますけれども、通常社会的な感覚といたしますれば、有線放送といいますと、どうしても有線テレビのように画像が流れてきて一斉にだれもが見られるというようなものを念頭に置きますので、しかも放送という用語はブロードキャストでございまして、広く投げかけるということでございますから、それを個人がリクエストしてその人のところにしか流れない情報の伝達を有線放送という概念でカバーすることには社会常識上の違和感があるわけでございます。
 と同時に、従来のそういった同一内容を同時に流す伝統的な有線放送と、個別のリクエストによりまして個別の情報が個別的に流れていくものとを著作権法の適用上同一の権利作用でよろしいのかという問題もございまして、その場合にはそれぞれ実態に見合って、これは有線放送権が動き、これは有線送信権が動くというような形で区分けをする必要があるのではないかというようなことを第七小委員会で御議論をいただきまして、したがって、この際、新しい概念を整理するということで、同一の内容の情報を同時に流すもののみを有線放送と考え、それをひっくるめまして個別的なリクエスト型送信もひっくるめたすべてのものの送信を有線送信という概念でカバーをする。したがって、有線送信が大概念であり、その中の一分類として有線放送があるという形で定義の区分けをし、また、法律の実体も権利作用も異にする面を生じさせるという形の手当てをする。さらには、隣接権の保護の関係におきましては、そのうち有線放送について隣接権を認め、権利保護を図るというような交通整理をさしていただいたということでございます。
#45
○粕谷照美君 これによってニューメディア社会に予測をされる混乱に一定の整理がついたということは理解はできますけれども、データベース業界やケーブルテレビジョン局にとっては有利な法改正であるという反面、録画や複製物について極めて厳しいルール、そしてマナーが要求をされるというふうに思いますけれども、これはいかがですか。
#46
○政府委員(加戸守行君) 有線放送、有線送信の区分けとともに、それぞれの権利関係を定めたわけでございますが、特に有線放送につきましては、従来と異なりまして、これを放送事業者と並んで有線放送事業者を著作隣接権を享受する権利者の立場に置く。と同時に、義務関係につきましては、二次使用料支払い義務を設けるというような措置。さらには、著作権法上の利用関係としまして、従来は認めておりませんでしたいわゆる著作物の一時的固定と申します、放送事業者について認められていた制度を有線放送事業者にも認めるようにするというような形で権利義務関係のバランスをとることによりまして、有線放送、特にCATVでございますが、これを法律上も認知をする。しかも、その権利義務関係のバランスをとるという形で、有線放送事業者は当法案に御賛同いただいているわけでございます。
 また、有線送信に関しましても、それぞれの特性に見合った書き方をし、データベースのフローの過程、流れていく過程というものにつきましての複製権、あるいは有線送信権等によります権利カバーも期するという形でデータベース関係者からも御賛同をいただいているというところでございます。
#47
○粕谷照美君 これ、直接法律とは関係ないわけでありますけれども、キャプテンサービスね、例えばお客の要望によって何かサービスをするというのがありますね。そうすると、客の要望といいますか、視聴者の要望というものにやっぱり迎合する部分というものが非常にたくさん出てくるのではないか。アメリカあたりでも、CATVが非常にもうかるというんですか、経営状態のよいところの番組は、必ずしも内容がいいからいいということではないというようなことも物の本で読みました。ポルノまがいを一日じゅうやっているようなのがすごく経営がいいなんというのは困ったことでありまして、これは法律で規制するというわけにもいかない。需要があるから送るといえばそれまででありますけれどもね。この間も予算委員会で、キャプテンサービスの中に水着姿の女性が突如として顔を出してあやしげな、すれすれの言葉でもって放映したというのが問題になりましたね。国会で問題になるぞと言ったら、どこかでどのようにか連絡をしたんでありましょうね、びっくりして、もうあれはやりませんなんということを言いましたけれども、国会で問題にしてやめるなんという、そういう営業の政策というんですか、ことについて私は大変問題があるというふうに思うんです。だからといって、じゃ、そのようなことがキャプテンサービスだけだろうかといえばそうじゃなくて、新聞を見ても雑誌を見ても、もういろんなところにはんらんしているわけでありまして、この辺は今の質問にどうというわけではありませんけれども、十分にやっぱり注意をしていかなければいけない部分だということを指摘をしておきたいというふうに思っております。
 次に、ニューメディアと著作権の問題でありますけれども、この法案は、著作権審議会第七小委員会の報告を踏まえて作成をされたというふうに思うわけであります。
 あの第七小委員会の報告なんかを見ましても、一度読んだくらいではとても私どもは理解ができないわけでありますが、その報告書の中身のうちに、今回の法改正で取り上げられていない部分がありますね。無線系ニューメディアとそれからパッケージ系ニューメディア、この著作権法上の課題についてお伺いをしたいと思います。
#48
○政府委員(加戸守行君) 昨年九月に第七小委員会から御報告いただきましたデータベース及びニューメディア関係の著作権問題に関する報告、それを受けて今回の法提案をさしていただいたわけでございますが、内容的には、データベース関係並びに有線系ニューメディアに関します部分の法改正を提案さしていただきまして、無線系ニューメディアに関しましては今回の法改正の対象とはしていないわけでございます。
 しかしながら、この第七小委員会で御審議いただきました無線系ニューメディアといたしましては、直接衛星放送、それから衛星通信、文字多重放送、ファクシミリ放送、静止画放送といった分野につきましてそれぞれの御議論をちょうだいしましたし、それからパッケージ系ニューメディアとしては、ビデオディスク及びディジタルオーディオディスクにつきましての御検討をいただいたわけでございます。現時点におきましては法改正の必要はないという結論をいただいているわけでございますが、それぞれ将来の課題はかなりあるわけでございます。
 第一の、無線系ニューメディアの中の直接衛星放送につきましては、これは現在の放送と同じように、衛星放送であっても放送概念でカバーされるということで特に問題はないであろうということでございましたが、衛星通信の場合におきましては若干の問題は残っておるわけでございまして、衛星通信が一般に傍受されることを目的として行われれば、これは直接衛星放送と同様な形態になってくるわけでございますけれども、例えばアメリカでございますように、CATVに番組を供給するための通信衛星による衛星通信が行われた場合、そういったものをCATV業者以外の、つまり当初予定した伝達機関以外の者が受信をして流すというケースは将来想定されるわけでございますので、この問題につきましては、国際的に衛星信号保護条約というのがございますけれども、その条約の批准問題、あるいはそれに基づく法改正の措置というのが必要になる事態は出てくる可能性は現在予見はされるわけでございます。
 それから、文字多重放送の問題につきましては、非常に技術的な問題でございますけれども、現在放送のための一時的固定というのが録音・録画だけに限られておりますので、例えばあらかじめディスクに文字図形情報を固定しておいて文字多重放送用に使用するというような、一種の固定、複製のプロセスを経るといたしますと、そういったものも四十四条の一時的録音・録画の規定の改正ということが将来想定されるんではないかということでございます。
 それから、静止画放送につきましても同様でございまして、そういった文字図形情報というものを一たん信号を停止信号の形で固定いたしまして、それをキャプテンサービス等で使うということも考えられますので、そういった措置をどうするのかという問題がございます。
 それから、ファクシミリ放送につきましては、現在考えられているのはテレビジョン放送波に重ねて放送するというような手段等が現在開発研究中のようでございますけれども、将来、一つの例としてはファクシミリ新聞という形で、放送波によってそのファクシミリを受信して自動的に複製される、つまり、家庭にいるままで新聞が、従来の伝統的な新聞配達ではなくて、電波によって新聞が送られるというような形態も出現してくるのではないか。そういたしますと、現在のそれを放送と考え放送事業者として措置する現在の法制度のままでいいのかどうか。実体的にはまさに新聞を配って歩くのではなくて電波で届くということで、実体上の効果は全く同じで手段の違いにしかすぎない場合に、それを著作権法上どう評価するのかという難しい難問があるわけでございまして、これはその実用化が想定される段階で検討すべき課題であろうと思っております。
 それから、パッケージ系ニューメディアにつきましては、ビデオディスクの問題がございまして、現在のところ一つの問題としては、出版と同じように百科事典とか写真集のようなものをビデオディスクに入れまして、いわゆる電子出版という形で行われる、そういった業態が想定されるわけでございますけれども、現在、出版につきましては、出版者の独占権を保護するために「出版権の設定」という制度が著作権法上ございますけれども、このような電子出版についてもその電子出版者の独占権を保護するための同様な法体系というものは考える必要がないのかどうかという問題がございますし、将来におけるこのような業界の現出あるいはその権利保護といった観点から一つの検討すべき課題であろうかと思っておるわけでございます。
 それからそのほかに、先般小泉参考人が申し上げましたように、実演家の出演しました映画フィルムが例えばビデオディスクの中に全く別の形で、人格権を侵害するような、人格的利益を失わせるような形で利用されている問題等についての問題提起がございました。ただ、これは映画の著作権との関係、実演家の取り扱いの全体との絡みがございますので、小委員会におきましては単に問題点を指摘するにとどめるという報告になっておりますけれども、事柄はかなり重要な事柄であろうかとは思っております。
 今申し上げたような事柄について、今回の法改正では必要ないと考えたわけでございますけれども、近い将来におきましてそれぞれの具体的な開発の進み方によりまして迅速な事前の対応を考える必要がある課題は多々あるということでございます。
#49
○粕谷照美君 無線系ニューメディア、この無線系のものとパッケージ系のものは、これはこれからの科学の発展に伴って、また利用度の発展に伴ってどのようにしていくかということで、著作権については問題点の指摘にとどまるということは私は理解できるんですけれども、今最後にお話しになられました著作権者の人格の問題ですね。私この間、本当にそうだなという感じがしたわけでありますけれども、これはやっぱり附帯決議されてもう随分長いことたっているわけでありますしね。単なる問題点の指摘だけにとどまっているというのじゃ非常に、逆にいってこのこと自身が問われている問題点だというふうに思うわけです。
 近い将来といったってなかなか、例えば文部省の法律なんか見ましても、当分の間置かないことができるなんというのが五十年も置いてないなんて、まるで著作権の権利そのものみたいな長い期間かかっている部分もありますのでね。次長、今はなかなか明確に何年と、来年とか再来年とかという言葉は出ないといたしましても、国会の中であれだけ問題になったことでありますから、問題点の指摘にとどめるという第七小委員会の文書は読みました。しかし、今の次長のお話で、何とか対処をしなければならないという、この近い将来についてのもう少し詳しい説明というものをいただきたい。
#50
○政府委員(加戸守行君) この問題につきましては、私、個人的感想を申し上げますと、そういった社会的正義感、公平感というような事柄もございますし、また、先般のこの法案が衆議院の文教委員会で可決いただきました際の附帯決議にもこの実演家の保護の問題が取り上げられたということもございますし、今のほかのニューメディアの手段の発達、利用の状況等を踏まえてというものとは少し性格の違う事柄ではないかという理解をいたしております。
#51
○粕谷照美君 ちっとも答えになっていないんですけれども、まあ私の言わんとするところもわかったと思いますので、この点については本当に誠意を持って早く何らかの対処をしていただきたいということを要望しておきます。
 それでは次に、自主放送のCATVの保護について伺いますけれども、いよいよ我が国も本格的なニューメディアの時代に入りつつあるわけですけれども、今回の法律改正によって有線放送事業者が著作隣接権によって保護をされることになるわけでありますけれども、具体的にどういう形で保護をされるのか、そのメリットを含めてお伺いをいたします。
#52
○政府委員(加戸守行君) 従来から著作隣接権といたしましては実演家、レコード製作者並びに放送事業者の三者を保護しているわけでございますけれども、今回は、有線放送事業者のうち、放送を受信してスルーで流す有線放送を除きまして、具体的に申し上げますれば自主制作あるいは番組の提供を受けてオリジナルに発信をする有線放送、つまり、自主放送と呼んでよろしいと思いますけれども、そういった自主有線放送につきまして著作隣接権の保護の対象とすることとしたわけでございます。
 これらの権利の内容としましては、有線放送を受信してこれを録音・録画複製する権利、それから有線放送を受信して再有線放送したりあるいは放送したりする権利、それから有線テレビジョン放送を受信してテレビジョン装置等拡大装置によりましてこれを公衆に伝達する権利、これらの複製権放送権、再有線放送権並びに公の伝達権といったものを有線放送事業者の権利として規定をしようとしているわけでございます。
#53
○粕谷照美君 CATVの権利処理の状況について伺います。
 非常に変化に富んだ有線放送番組が提供されるようになるということは大変うれしいことでありますけれども、その著作権の権利処理が円滑に行われるべきではないかというふうに考えます。
 現在、有線放送事業者はどういう形でこの権利処理を行っておりますか。また、権利処理の問題で解決をしなければならないという課題は何でしょうか。
#54
○政府委員(加戸守行君) 有線放送の形態が、先ほど申し上げましたように、いわゆる放送を受けて流す同時再送信の場合と自主放送の場合とがございますので、権利処理の仕方もそれぞれ異なっております。
 まず、同時再送信につきましては、有線放送連盟という、これはユーザー側の立場に立つ団体と、それから権利者側の団体としまして、日本音楽著作権協会、日本シナリオ作家協会、日本文芸著作権保護同盟、それから日本放送作家組合、それから日本芸能実演家団体協議会の権利者五団体との間で協約が締結されておりまして、いわゆるプランケット契約と言っていますが、包括的な一括許諾で個々のCATV事業者に許諾を与えているという状況にございます。
 それから、自主放送につきましては、音楽とそれ以外との場合が違うわけでございますけれども、音楽につきましては日本音楽著作権協会が一括許諾を個々のCATV事業者に与えて権利処理が行われております。それから音楽以外の著作物につきましては、シナリオ作家協会、文芸著作権保護同盟、放送作家組合、芸能実演家団体協議会、それにレコード協会の五団体が放送作家組合を窓口といたしまして包括許諾を行うという形態によりましてCATV事業者が権利処理をする異時再送信としての取り扱いがなされております。
 その他のいわゆる供給番組、つまりCATV事業者にビデオソフトを持ち込んで放送する、例えば映画を持ち込んで放送する、あるいは自主制作をして放送するということにつきましては、まだ権利処理のルールが確立されていない段階にございます。
 それで、こういった事柄につきましては、なるべくならば現在の権利処理方法であると同時に、できる限り今申し上げた窓口をどこかに絞って包括的に許諾を与える方法が実務上望ましいわけでございますが、それになじまないものもございますし、そういった点の話し合いということでございまして、文化庁におきましては昨年、ニューメディア、特にCATVにおける著作権等の処理の在り方に関する調査研究協力者会議を設けまして、そこで検討を行いまして、一応その一定の方向に従って、現在、権利者団体とCATV事業者の間に話し合いが進められているわけでございまして、従来の取り扱い等から見ればかなり円滑に、スムーズに話が進められて、よりよい権利処理の方向が進められる。特に窓口ができる限り一本化されるということを文化庁としても期待しているわけでございまして、そういった両当事者間の努力を今進めていただいている段階にございます。
#55
○粕谷照美君 まあ窓口を一本化と、こういうふうに言われます。私は、両者の間において本当に自主的にそして円滑に事が行われていかないと大変な問題が出るのではないかというふうに考えますのは、午後から質問をしたいと思っております貸しレコードとレコード協会の問題があるわけでありまして、ぜひ精力的にきちんとしたルールというものを早目につくっておいていただきますようにお願いをしておきます。
 次に、今後のこの著作権法改正の予測についてでありますが、著作権審議会は第八小委員会で出版の保護に関する件、第九小委員会でコンピューター創作物に関する件をそれぞれ議論をしているということであります。この結論というのは大体いつごろまでの間に出せるというふうに考えていらっしゃいますか。
#56
○政府委員(加戸守行君) 版の保護に関します第八小委員会は、昨年の九月にスタートいたしまして、現在まで五回の会合を重ねて検討を進めているわけでございまして、事柄は、出版者の版をどのような形で保護をするのかというメーンポイントは一つでございますので、そんなには時間をかけないでも結論がいただけるのではないかと考えております。
 一方、第九小委員会は、本年の三月に第一回会合を開いたばかりでございまして、コンピューター創作物に係る著作権問題でございまして、内容的にはコンピューターの自動翻訳であるとか、あるいはコンピューターグラフィックスであるとか、あるいは自動作曲であるとか、いろんな多種多岐にわたる分野でございます。また、従来学理的に申し上げましても、伝統的な著作物の保護が人間の思想、感情を創作的に表現したものという概念で、コンピューターがつくったと一般に言われるものは人間の思想、感情を創作的にその中で表現したと言えるのかどうかという難しい理論的な議論が相当ございますし、また、実務的な取り扱いとしてもかなり難しい問題ございますので、ある程度の期間、率直に申し上げますと、一年では済まない、場合によっては二年ぐらい、あるいは極端なことを申しますと三年かかるかもしれないというようなちょっと長い、ロングスパンで考える事柄ではないかと思っております。
#57
○粕谷照美君 午前はこれで終わります。
#58
○委員長(林寛子君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
#59
○委員長(林寛子君) ただいまから文教委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案及び著作権法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#60
○粕谷照美君 私は、午後から、ローマ条約に関係する問題と、貸しレコードに関係する問題を質問いたします。
 それで、午前中もいろいろな討議があったわけですけれども、衆議院の附帯決議を見てみますと、三項目目に、「著作隣接権保護の徹底を図るため、現在行っている「実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約」への加入についての検討を急ぎ、適切に対応すること。」と、こうなっています。この附帯決議は、何も衆議院がことしやっただけじゃなくて、もう何回となく衆参両院において行われているわけでございますが、このたび重なる国会における附帯決議があるにもかかわらず日本が未加入である。世界的には、現在二十九カ国がこれに加盟をしているわけで、大半が先進国だと言っているわけなんですが、アメリカやフランスが未加入の理由というのは、一体どこにあるんですか。
#61
○政府委員(加戸守行君) 隣接権条約は、現在二十九カ国が加入いたしておりまして、アメリカとかフランスといった有力主要国がまだ加入いたしておりません。
 フランスの場合には、昨年の著作権法改正によりまして初めて隣接権制度を導入いたしましたので、条約加入のための法体系は整備されたと思っておりますし、また、隣接権条約加入の方向で進んでいるというぐあいに承知いたしております。
 アメリカにつきましては、現在、アメリカの著作権法上レコード製作者に相当する録音物の保護をいたしておりますけれども、実演家については著作権法上の保護が与えられておりません。したがって、アメリカは隣接権条約に加入するような法制にはなっていないということが一つございます。それから、実態的にはまだ、隣接権条約の国内の加入の機運というのは特に権利者サイドの意向であろうかと思いますけれども、まだ進展を見ていないという状況のように承知いたしております。
#62
○粕谷照美君 私は、この二カ国が加盟をしていないということで、日本の国で加盟しないでもいいんではないかという口実にはならないというふうに思っているわけです。
 昨年の五月の二十七日付で、日本音楽著作権・著作隣接権団体協議会三団体の名前でもって、「著作権法上当面する重要問題の解決についてのお願い」というのが出されておりました。委員会でも随分審議をされてきたところでございますし、改めて質問をするまでもないというふうに思っておりますが、一つはやっぱりホームテーピングの問題でありますし、一つはローマ条約への加入の問題点だというふうに思います。
 このホームテーピングの実情というものを、その後何か調査をされた資料とか、ありますでしょうか。
#63
○政府委員(加戸守行君) ホームテーピングにつきましては、実情といいますか、実態的にどの程度のホームテーピングが行われているかという事柄につきまして、権利者サイドあるいはユーザーサイドにおきましてそれぞれの調査が行われておりますけれども、それが若干権利者サイドの、ユーザーサイドから言わせますとちょっと権利者サイドの誘導的な質問ではないか。逆にまた同じような見解が出たりいたしまして、そういった点では客観的にこれが実情を把握した新しい姿だとは申しにくいというぐあいに双方で理解をしている面もございます。
 しかしながら、文化庁といたしましては、総理府に依頼をいたしまして録音・録画の状況等についての世論調査を行っていただきまして、そういった中で録音・録画の機器の保有状況等は相当程度、特に録音機器につきましては九割程度の非常に高い比率で普及をしているという実態は一般的にございますし、それは各権利者両当事者間の調査によってもあらわれておるわけでございます。
 そこで問題は、この総理府の世論調査を行いましたときに、実は賦課金の問題等についての意見も聞いているわけでございます。五十二年度の著作権に関します調査でもほぼ同様な調査をしておりまして、その中で補償金について、五十三年調査では、賦課金を支払う必要があると答えた比率がわずか一〇・六%でしたが、今回の調査では、賦課金を支払うことが望ましいと思う、あるいはどちらかといえば望ましいと思うというのを合計いたしますと三一・四%で、比率が三倍に上がっております。賦課金は必要ないというのが五十三年調査では四二・五%でございましたが、今回の調査では、どちらかといえばというのとそうは思わないものも含めまして、必要はないと思うという意見が三五・三%、約五%ほど減ってまいっております。
 今の状況からいいますと、賦課金を払う必要がある、あるいはないという考え方が三〇%台でほぼ拮抗しているわけでございますけれども、少なくとも八年前の調査に比べますと、比率が大幅に変わってきている。つまり、それだけ一般の国民の間にもこのホームテーピングの問題に関する認識も深まってきているというような状況のように理解いたしております。
#64
○粕谷照美君 理解が深まったというのは大変望ましいことでございますが、このパーセンテージがどのくらいになったならば国民としては大多数定着をしたというふうに判断できるんでしょうか。
#65
○政府委員(加戸守行君) 率直に申し上げまして、賦課金制度といったものを想定いたします場合には、最終的のエンドユーザーである国民の負担、つまり機器を購入する際に何がしかの若干の値上がりをするわけでございますから、その分の負担を考えましたときに、国民に調査すれば、支払い側でございますので払いたくないというのが人情だろうと思います。
 そういう意味で、支払うことが望ましいと思うという比率が三一%まで出てきたということは、支払う側も、いいんだ、あるいはやむを得ないんだという認識が高まったと思いますし、単純に数字が逆転したら賦課金制度を導入する、逆転しなければ導入しないということではなくて、やはり今の白紙の状態においてどうですかという質問に対する回答ですから、制度として提案したときに、それは反対であるという数字は、そうは思わないという数字よりも私は低くなるのじゃないかというぐあいに理解もいたしておりますし、この数字の決め手によって制度を導入するかどうかということも、それは国民意識の問題もありますけれども、それはそれ以上に権利者サイドが今要望している気持ち、あるいは国際状況その他を総合勘案して方向を決めるべき問題ではなかろうかと思っております。
#66
○粕谷照美君 まあ一つの資料として見ているということであろうかと思います。
 ホームテーピングの問題で、貸しレコードが一時大変やり玉に上がったわけですが、どうも総理府の調査を見ますと、ホームテーピングをやっているというのは貸しレコードが一番というわけでもないように思いますが、ちょっと数字を御報告いただけますか。
#67
○政府委員(加戸守行君) 今回の総理府世論調査におきましては、いわゆる何から録音するということにつきましての音源の問題についての回答といたしましては、音源が複数ございますので合計は一〇〇をはるかに超しますが、ラジオからという回答が五七・四%。つまり、録音者の半数以上はラジオから録音している。それから、テレビからというのが三四・五%、友人、知人から借りたレコードというのが三〇・六%、自分が持っている、レコードというのが二五・一%、貸しレコード店から借りたレコードというのが二一・二%。それから、友人、知人が個人録音したテープをまた自分が録音したという、いわゆるまた貸しですか、これが一七・八%。あとは一%以下の細かい数字でございまして、一応調査の結果はそのようなものでございます。
#68
○粕谷照美君 こういうホームテーピングによって権利者が非常に経済的に被害をこうむっているということは、文化庁自身としても認めていらっしゃるんだというふうに思いますが、それはいかがですか。
#69
○政府委員(加戸守行君) かつての著作権制度と申しますのは、いわゆる著作物利国産業、つまり著作物をベースとして、それによって利益を上げている企業に対しまして、その収益を著作者に還元していただくという発想でスタートをし、今日まで参っておるわけでございますけれども、このように機器が普及してまいりましていろんな手段が伴いますと、家庭においてそこで著作物のコピーが生産をされていく、言うなれば従来の著作物利国産業の肩がわりを家庭で行うようになってきているという状況が出現してまいりますと、今までの著作権制度上の対応というのが十分でない、このまま放置しておけば結果的に著作者の権利が侵害される、あるいは経済的利益が失われていくという事態になっているわけでございまして、そういった面では、こういった調査の結果を待つまでもなく、文化庁といたしましても、著作権者、著作権のよりよき保護という視点に立ちます場合には、こういったホームテーピングの問題は看過できない事柄であると、強い認識を持っているわけでございます。
#70
○粕谷照美君 日本がローマ条約に加入をしないという、その問題点の幾つかを特徴的に挙げていただきたい。
#71
○政府委員(加戸守行君) 文化庁といたしましては、たび重なる国会の附帯決議を受けまして、一昨年著作権審議会の第一小委員会に、隣接権条約への加入についての検討方をお願いして御審議中でございますし、検討を依頼したということは加入の方向での検討でございますので、文化庁としては、早期にローマ条約へ加入したいという気持ちを従来から持っているわけでございます。
 ただ、客観情勢といたしまして、利害関係者、特に放送事業者の方からかなり強い反対が従来からございまして、その反対の理論の中には、隣接権条約がまだ加盟国が二十九カ国にしかすぎない、午前中申し上げましたけれども、著作権条約の場合でございますればベルヌが七十六カ国、万国が七十八カ国というような多数に上っているのに比較すると少ない。特に、この隣接権条約の加入が難しいために、一九七二年でございますか、レコード保護条約というのを制定いたしまして、隣接権によって保護するもののうちのレコードだけの海賊版防止の特別条約を制定いたしましたが、その後にできた条約の方が隣接権条約よりも加盟数がふえてくるというような状況もありまして、そういった、隣接権条約自体がまだ国際界における十分な理解、認知を得ていないんじゃないかというのが放送事業者側の一つの理論でもございます。
 もちろん実体的には、隣接権条約に加入し、外国のレコード、実演家に二次使用料を支払うことになれば経済的負担が大変であると、急激な負担にはたえがたいという何が放送事業者の主張でもございますし、私ども今までの過去の流れから見ておりますれば、その経済的負担の増加が一番強い反対の理由ではなかろうかと思っているわけでございます。
#72
○粕谷照美君 事業をやっているわけですから、負担が出るということはもうたえられないことだというふうに思いますけれども、それが許容範囲であるかないかということもありましょうが、基本的に、洋盤だったらただで邦盤だったらお金を払わなければならない、そうなれば、事業をやる上においてはただのものを流すという、これはだれが考えてもわかりますね、安易な方法だというふうに思うんです。そうしますと、洋盤ですから日本の人たちのつくった音楽などというようなものはなかなか流れない。まあ何というんですか、流さないでおいた方が経営上は大変安定すると、こういうふうに考えられるのではないかと思います。
 今、民放とかNHKに対して、邦盤と洋盤の比率などというものを文化庁として調査をされたことがありますでしょうか。
#73
○政府委員(加戸守行君) 文化庁としては、調査したことはございません。隣接権条約加入を熱望いたしております芸能実演家団体協議会とレコード協会の両者で調査した昭和五十六年のデータはございます。ただこのデータにつきましては、放送事業者側は、必ずしも適切であるとか正しいという認め方はいたしておりませんけれども、私どもが持ち合わせておる資料はその両団体の調査結果でございます。
 この場合の比率は、NHKと民間放送とではかなり異なっておりまして、NHKの場合には、洋盤が五六・六%という数字が出ておりますし、民放の方では、洋盤が三三%ということで、全体の使用比率は、サンプリング調査で比較的数も少のうございますので全数字を適切にあらわしているかどうかは別といたしまして、一般的な傾向は、NHKでは洋盤が多く、民間放送では洋盤が少ないというような状況は示されているわけでございます。
#74
○粕谷照美君 NHKなんかも民営化したらどうかとか、まあお金を一軒一軒からもらわければならないわけですから、集金人に対してうちはNHKは全然見ませんなどと言ってお金を払わないというような人たちも随分いるわけでありまして、経営的に大変厳しいから、なるべく合理化ということになるとこういう方面にも来るのではないかなという感じがしないわけでもないわけです。
 それでなかなか、実演家を出しての放送というのがNHKでは少ないように思います。大変レコードが多い、写真で風景を出しながらレコード音楽を聞かせるなどというようなことが多いわけで、これじゃ、本当の文化というものを国民に知らせるというんですか、日本の文化を高めていこうという点についてはちょっと問題があるのではないかと思いますが、文化庁はどう考えていますか。
#75
○政府委員(加戸守行君) 国民文化という観点から見ますれば、生がいいのかレコードがいいのかということになりますれば、それは国民の多くが生の演奏に接するということの方が望ましいわけでございます。ただ、それぞれの番組の性質、あるいは番組制作の経費等の関係もございましょうから、それぞれの実情に応じた形で行われていると思います。
 ただ、この問題に関しましては、つとに芸能実演家団体協議会の方で、録音物の使用によって生実演のチャンスが失われていくということに危機感を感じているわけでもございますし、そういった強い考え方が放送局、放送事業者の方にも反映をされ、レコードのみならず、生による番組というものの増加をできる限り工夫をしていただければという気持ちを持っているわけでございます。
#76
○粕谷照美君 それで、このローマ条約加盟について、両者の間に立って文化庁は随分努力をしているというふうに私どもは聞いているわけですけれども、この辺の、隣接権団体と放送事業者との間の現状について御報告をいただきたいと思います。
#77
○政府委員(加戸守行君) 両団体間でこの加入問題を話し合っているわけではございませんで、端的に申し上げますれば、加入するか加入しないかというある意味の意見の対立てございますので、この両当事者間ではちょっと折衷の余地がないわけでございます。
 しかしながら、第一小委員会におきまして、一昨年来検討を開始しております文化庁といたしましては、今すぐ加入するということではなくても、例えば何年先にというようなある程度の加入の目安、並びに加入した場合におきます放送事業者の経費負担の増加の激変緩和というような、ある程度の中をとったまとめ方であるならば、もちろん権利者も不満でしょうし、放送事業者側も賛成できないというようなニュアンスはございましょうけれども、いずれにしても、そういったような道を探って解決しなければならない事柄だと文化庁としては思っております。
#78
○粕谷照美君 大変放送事業者の方で問題にしているのは、日本の国のお金が外国へ流れるじゃないかと、こういうことだと思いますけれども、本当にそうなんでしょうか。午前中に二国間協定の御報告がありましたけれども、その点についてはどういうふうに分析をしていらっしゃいますか。
#79
○政府委員(加戸守行君) 午前中申し上げましたように、芸団協としましては二国間協定によりまして自国でプールできるような方途を考えておられますし、また現実に、十三カ国との間の協定も結ばれております。また、レコード協会にいたしましても、これはまた各外国のレコード製作者団体との話にもよりましょうけれども、全部送るのではなくて一部分はプールするというようなこともあり得ると思います。
 問題は、そういった円が流出するかどうかの問題ではなくて、放送事業者のいわゆる支払い負担がふえるかどうかということに最大関心事があるわけでございますから、要するに、隣接権条約に加入した場合の二次使用料の増加額というものがまさに放送事業者にとって今後の対応を予測する材料といいますか、基本的なファクターになると私どもは考えております。
#80
○粕谷照美君 これは隣接権団体の方の調査でありますから、民放の方としては、あるいはNHKの方としてはそうだとも言えない部分があろうと思いますけれども、それに未加入であるために支払い義務を免れている金額、民放連だったら今邦盤では二億二千五百万円払っているけれども、洋盤で四千八百三十九万円ですから、これ、入れば五千万円の出費増ということになりますね。NHKでは邦盤に対して九千二百五十万円支払っているけれども、洋盤はただですから、もし入ったならば八千六百八十六万円と、こうなっているんですが、しかしまた別のいろんな調査もある。
 だから、ここのところがかぎになっているというふうに思うんですが、文化庁としては先ほど加入をしたいという前提なので、ここの合意が成り立ては加入する条件ができる、今後とも努力をしていくというふうにお考えですか、いかがでしょう。
#81
○政府委員(加戸守行君) 数字の問題でございますが、先生は多分両団体のうちの一つの団体の数字をおっしゃったと思いますが、レコード協会と芸能実演家団体協議会と両者に払っておりますので、合計額は、NHKが六十年度で合意した額が一億八千五百万円でございますし、それから民間放送は四億五千万円でございまして、合計六億三千五百万円という金額が単年度で両団体に交付され、それをレコード協会と芸能実演家団体協議会が半分に分けるというようなシステムになっているわけでございます。そこで経費の増加額としましては、NHKの場合、先ほど申し上げた洋盤の使用比率が高うございますので、隣接権条約に加入いたしますれば大幅な増加となりますし、民間放送の場合には洋盤の使用比率が少のうございますから、それほどは伸びないであろうということは言えるわけでございます。
 ただ、現時点におきまして加入しますと、例えばイギリスとか西ドイツといった主要先進国は入っておりますから、アメリカ、フランスを除きますと、今申し上げた例えばイギリス、西ドイツあたりの分だけの支払いにとどまる限りにおきましては増加率はそれほど高くはない。つまり、NHK、民放合わせましても約三割程度の増加にとどまるんではないか。ただし、仮にアメリカもフランスも入って、世界の、日本で使っているレコードの主要国が全部加入したということになりますれば、NHK、民放合わせましてトータル約二倍程度の金額、つまり日本国内に払っている額と同額程度を外国に払う必要が出てくるというようなことでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、アメリカがまだ加入の動向を示しておりませんものですから、それはかなり先の話ではないかというぐあいに思っております。
 いずれにいたしましても、マクロで申し上げましたが、個別的に言いますと、NHKの負担率は極めて高くなり、民放の増加率はそれほどではないというのが一般的傾向でございまして、これはデータとして先ほど申し上げた権利者団体の調査の比率で申し上げておりますので、具体的にはそういった金額の問題等が出てまいりますとすれば、放送局側の協力も得てしっかりした数字をつかんで、そして、その経費負担の増加はこの程度で、段階的になだらかにいくというような話に入れることを期待しているわけでございます。
#82
○粕谷照美君 お互いに公正な負担できちんと権利が守れるように文化庁としても努力をしていただきたいということを要望いたしまして、次の質問に入ります。
 先回の法改正後、レコード会社とレコードレンタル事業者との間に、六十年の六月一日付で商業用レコードの貸与許諾について契約書が交わされまして、裁判における和解もあって今日までずっとスムーズに運用されてきたと思うのであります。ところが、今回CBSソニーと貸しレコード商業組合加入のうち四店の間で問題が起きている旨のニュースを見ました。文化庁、これ、どのように実情をつかんでおられますか。
#83
○政府委員(加戸守行君) 私どもは、本年の四月二十五日にCBSソニー並びにその関連会社であるエピックソニーの二社が、貸しレコード商業組合加盟である貸しレコード企業のアイコス、総合家電第一電波、レコードハウス、黎紅堂、この四つの貸しレコード店に対しまして差しとめ請求が行われた。その内容といたしましては、昨年の六月に締結されました契約が本年の五月末をもって切れ、後は自動更新になるわけでございますが、その契約の中に、一年間に限り特別許諾をすると言われましたレコードについて、その特別許諾を認めないで貸し出しの禁止をする。したがって、その禁止するレコードの貸し出しを予備的に差しとめるというのが訴訟の内容だと理解いたしております。
#84
○粕谷照美君 まあ裁判に持ち込まれたわけですから、国会の中で質問してもなかなか答えづらい部分もありますし、私もその内容までに入りたいというふうに思わないわけですけれども、しかし、CBSソニーの言い分というのはもっと具体的にお話しいただけますか。
#85
○政府委員(加戸守行君) 訴状でその言い分として出ておりますものは、昨年の六月に締結されました契約の中で、新人アーチスト二作目まで、並びに寡作アーチストで前作品を出しましてから十カ月を経過した寡作アーチストの作品につきましては原則として貸し出しを禁止する。しかし、特別の上乗せ料金によって、特別使用料を支払えば貸し出しを一年間に限り認めるというのが昨年の契約でございましたので、その一年を経過した本年の六月一日以降は、契約の文言から申しますれば貸し出し禁止ということに自動的になるわけでございまして、契約の文面だけで言います限りにおいては、請求者側に利があるわけでございます。
 しかしながら、昨年の段階で、円滑な移行という形で話し合いがまとめられましたときの考え方としては、一つの試行錯誤的なものではありましたけれども、昨年と一年たった今日とで、そこまで大幅な変更をすることが果たして妥当かどうかという問題があるわけでございます。実体的には、CBSソニー側の言い分といいますか、考え方は、私どもの推測いたしますところによりますれば、今申し上げた新人アーチストの作品あるいは寡作アーチストの作品が貸し出されることによって、レコード会社としては極めて大幅な経済的打撃を与えられているということで、この貸し出しを続ける限りレコードの退勢は回復できないというような考え方があるようでございますし、またそれはそれとして、請求者側の言い分もわかるわけでございます。
 と同時に、一方、貸しレ側にとってみますれば、その貸し出しが禁止されることによって、営業がある程度、相当な影響を受けるわけでございますので、その影響の度合いが、どちらがどちらかという問題はあるにいたしましても、一年たってがらりとそこまでの変革が、果たしてそういった対応が貸しレ側として可能なのかどうかという点で考えてみますと、貸しレ側につきましても、かなり深刻な危機感を持っているわけでございまして、そういう契約上の理屈の問題と、実体的な相互の円満な関係の保持という点とを並べて考えますと、訴訟どおりでいくのかなどうかなということが、極めて私ども重大な関心を持って見ているところでございます。
#86
○粕谷照美君 これはレコード関係の本だと思うんですが、日本レコード協会が出しているのです。その本の中に、春日英明さんといいまして日本レコード協会の事務局長付の方が国会を傍聴されまして、そのときの質問のあったことを一つ一つ報告をしているわけであります。その報告の中に、「レコード業界は、貸レコードについて念願の貸与権を獲得しながら、その行使において「…公正な使用料によって許諾し…」という附帯決議に泣かされた。」と、こう書いてあります。「ことほど「附帯決議」は法文の規定にまで立入って効力を発揮することもある。このケースは当方にマイナスに作用したといえるだろう。」と、こうなっているわけですね。その一方で、この「三十条問題及びローマ条約問題に関する附帯決議は」、これは「プラスに作用するものであり、」「われわれは活用しなければならない。」と、大変明確に自分のところの立場を出していらっしゃるわけでありますけれどもね。
 そのことを受けまして、日経流通新聞に加戸次長が、「私の意見」というふうなことで、家庭ダビング、CDレンタル、このことについてちょっと出しています。私もいろんな意見を言いましてもその意見が正確に新聞に載るわけでありませんのでね、このことについてどうのこうの言うあれはありません。今御答弁をいただいたことで、よく立場はわかりましたけれども、今後ともやっぱり公正な使用料でいい関係を持っていく、そのことが日本の文化発展のために役に立っていくんだ、寄与するんだというふうにお考えでいらっしゃいますか、どうですか。
#87
○政府委員(加戸守行君) この貸しレコードの問題は、もちろん国内におきますレコード製作者にとって深刻な問題でありましたと同時に、国際的にも大きな注目を浴びまして、日本レコード協会の上部団体でございますIFPI等からも、日本の迅速的確な対応を求められたという経緯もございます。
 したがいまして、貸しレコード問題については、著作権法上放置するのではなくて、それは緊急なる一定の措置が必要であるという認識は文化庁としても持ちまして対応させていただいたわけでございますが、一昨年の国会審議の段階におきまして、貸与権を与えるということになれば、貸与権に基づきましてレコードの貸し出しを拒否する、禁止するという措置に出ますれば、貸しレコード店二千店が全部つぶれてしまう。そういった社会状況の中にありまして、一定の歯どめをかけるという形で、権利は与えるとともに、「公正な使用料によって許諾し関係者の間の円満な利用秩序の形成を図るよう指導すること」という附帯決議が衆参両院の文教委員会でつけられたものと理解しているわけでございます。そういう意味では、レコード協会と貸しレコード店との間におきます、言葉は適当かどうかわかりませんが、一種の共存共栄、お互いに手をとって音楽、文化の振興のためにというような大乗的な見地から、権利を与えるとともに、実質上、法律上与えられた権利ではございますけれども、その権利行使についての歯どめが附帯決議でなされたものと理解しているわけでございます。
 今回のケースについて申し上げれば、このままの状態では両者間の円満な利用秩序ということには相ならないわけでございますので、その辺が対立のままで泥沼に陥らないように、国会の附帯決議の趣旨を体して文化庁としても行動する責務があるものと自覚をいたしております。
#88
○粕谷照美君 アメリカなどはレコードレンタルを許しておりませんけれども、やっぱりレコードの売り上げがどんどん、まあ落ちているとは言えませんけれども、経営はよくない、その最たるものはホームテーピングだと、こういうふうにレコード協会そのものが言っているんですよね。そういう意味で先ほど私は質問したわけですよ。
 そうしたら、そのホームテーピングは、貸しレコードから借りましたなんということよりはラジオで、十五歳から十九歳ぐらい六〇%、二十歳から二十四歳が五四、二十五から二十九が五八と、ずっと七十歳以上まで、五十九歳までは五〇%台を上回っていますし、六十歳から七十歳以上でも四十何%と、やっぱりただでホームテーピングができるから、ここのところに一番のあれが出ているわけですね。テレビなんかでも無料でホームテーピングできますから、これが非常に大きな数字として出ているんだというふうに思うわけです。それから、友人や知人から借りたレコードやCDミュージックテープの方が、貸しレコード屋から借りたレコード、CDミュージックテープなどよりは逆に上回っているということは、お金を出して借りるということが、いかに若い人たちにとって大変なことかということが数字の上で明確になっているというふうに思うのでございます。
 そういう意味で、このホームテーピングに対してやっぱり何らかの対策をとる必要があるのではないか。賦課金の問題をもう真剣に取り上げて考えな号やならないときに来ているというふうに思いますけれども、これはいかがですか。
#89
○政府委員(加戸守行君) ただいま先生おっしゃいました数字につきましては、いわゆる複製の本数ではございませんで、家庭内録音をしたことがある人、自分の経験でラジオからという人が半数以上もいるということでございまして、結果的にコピーした音源の比率ではないということをちょっと申し添えさせていただきます。したがいまして、実態的に、あるいは貸しレコードを利用した方の比率は二十数%でありましても、そのコピーの本数は極めて多いかもしれないということは言えるわけでございます。
 それはともかくといたしまして、こういった家庭内録音・録画の状況がある、しかもそれがどんどん伸びていっているという状況の中にありまして、この問題に対する対応というのは極めて迫られているというぐあいに私ども考えているわけでございますし、また、外国におきましても、既に法改正を行いまして、その録音用の機器、機材等を対象とした賦課金方式を導入しました国が西ドイツを初め八カ国ございますし、それから、いわゆる課税方式という形で録音・録画用の機器、機材に対しまして税金をかけ、かつ取った税金を文化目的に使用するというような課税方式をとっている国が三カ国ございまして、現在この措置を行った国が十一カ国、また、こういった補償金方式等を導入するように法案提出中の国が五カ国、それから法改正を検討中の国が五カ国というような世界の状況でございますので、特に録音・録画用の機器、機材の最大生産国である日本が、こういった国際時流の中で残されたままでよいのかという問題は、私ども極めて深刻に受けとめているということでございます。
#90
○粕谷照美君 深刻に受けとめてはかりいて何もしないんじゃ、結局同じことじゃないかというふうに思うわけですけれども。
 私は余り見たことはないんですけれども、「FMステーション」というこういう雑誌が出ているんですね。これを開いていってみますと、「エアチェック・カレンダー」なんというのが出ているんです。番組がずっと入っていまして、自分が録音したいのをここに入れなさいと。つまり、ホームテーピングをおやりくださいということを勧めているんだというふうに言いますと、「あなたが録音したものは、個人として楽しむなどのほかは著作権法上、権利者に無断で使用できません。」と、こういうふうに書いてありますから、それはそれで正しいわけですけれども。そして、自分のホームテーピングしたものに自分で名前書くよりは、こういうふうにきれいなものができておりまして、(資料を示す)それを切り取ってそこへつけてと、大変楽しんでいられるような条件がつくられているわけですね。
 FMのホームテーピング、これ、お金はどういうふうになるんですか。使用料なんというのはどういうふうになっていますか。
#91
○政府委員(加戸守行君) 現在の法律におきましては、家庭内で自分が聞くために録音するという行為につきましては著作権法が動きませんので、現在の法律上は自由であるし、そのことの結果として権利者サイドに何らの還元もされないというのが今の著作権法でございます。
#92
○粕谷照美君 そういう意味で私は早急に対応をとる必要があるということを先ほどから申し上げているわけでありますが、どうも、貸しレコードが一方的にやられているということは、やっぱり私は非常に気になるんですよね、別に関係があるわけじゃないんですけれども。
 メーカーの主張というものを見ますと、約束をしたときの状況に比べて大変状況が違っているということで、レンタル店がふえた、こういうことを言っているわけであります。それから営業目的の違うレンタル店がふえた。それからレンタル商品の構成の変化が出てきている。それからレコード購入との逆転が起きている。レコード小売店が−これ、レコード会社にとっては大変なことですけれども、小売店がレンタル店へ転業するようになってきていると。非常に情勢変化があると言うけれども、私は、商売をやっていく上には、情勢の変化なんて起きてくるのが本当に当たり前だというふうに思うんですね。計算尺をつくっていた会社が、コンピューターが出たりいろんなものが出たりするともう廃業に追い込まれるなんというのは当然の話でありまして、そういう中でどうやって必死に生きていくかというのが商業の世界じゃないだろうかと、こう考えているんです。
 貸しレコード商業組合に私ちょっと聞いてみましたら、去年JASRACに十五億六千万円払っているんですね。芸団協に六億円払っていますね。それからレコードメーカーに、一般のレコードとして六億六千万円、それからマル特といって特別貸し出しのレコードで十億八千万円、合わせて三十九億円のものお金を払っている。大変零細企業が多いわけでして、そういう中からこれだけのお金を払うのは大変だというふうに思うわけですが、CBSソニーの方ではどうもこのごろ払いが悪いと、こういう言葉も入っているようです。しかし払いが悪いというのは、JASRACなんかに言わせますと、もう一五%ぐらい、いろんな営業の状況があるわけですから、悪い場所があるのも当たり前だと。それをどうやって努力して解消するかということがまた問題なんだというようなことも言っておりますので、私は、ぜひ文化庁としては、先回に引き続きこの問題については努力をしていただきたいということを要望いたしまして、この質問を終わります。
 終わるに当たりまして、文部大臣に最後にお伺いしたいことは、昨年ある事故が起きまして、一人の少女が奇跡的に助かった。その助かった少女のことが連続して報道されるたびに国民の同情が集まった。集まった中で、その少女がチェッカーズのファンだということが報道されまして、チェッカーズから一番新しいレコードが贈られたわけでございます。その少女がまたインタビューに応じていろんなお話を同級生にしているその中で、今度うちへ帰ったらチェッカーズのレコードをダビングさせてやるからねということが入っちゃったんですね。もう今の子供たちにとってはそういうことが当たり前の時期になっているんです。
 先日も私ある県へ行きましたら、先生方の集まりで、本当にこのごろの生徒は大変だ、ファミコンとかパソコンなんてもう自由に駆使して、それが駆使できないような子供は友達と遊んでももらえないんだ、そのことがわからないような先生は生徒の相棒にしてもらえないんだというんです。それで先生がそのパソコンやファミコンの塾へ行って勉強してくるんだそうです。そうでないと子供とのあれがとれないというんですね。
 そういう中でこの著作権というものをきちっと教えていくということが非常に大事なことだというふうに考えて、午前中も中村委員の方から質問もありましたけれども、この問題点について、文部省としてはこれからどういうふうにして著作権思想というものを植え込んでいくのかということについての文部大臣としての所見をお伺いして終わりたいと思います。
#93
○国務大臣(海部俊樹君) 著作物、人間の知的活動の結果生まれてくるものをその人の権利として認めて、権利として大切にしていくということは、著作権法という法律もございます以上これは当然のことだと思いますが、今おっしゃるように、世の中のいろいろな日常の出来事や新しい方法がどんどんできできますと、人生の経験のまだ足りない特に子供なんかは、著作権を乗り越えていろいろ自分の思いだけで行動してしまう。結果として著作権を大切にしていないというような場面も御指摘のように出てくるわけであります。
 しかし、私たちとしては、この著作権というものは文化創造の基盤であると同時に、やっぱりその国その国で著作権制度がどれくらい普及し、どれくらい支持されているかということがその国の文化度をはかる水準だと、これは著作権関係者の間で言われておることわざだそうでございますけれども、我が国としても、著作権法があります以上、この権利の普及徹底のために文部省が努力をいたしますとともに、多くの国民の皆さんが、特に児童生徒も含めて、教育の場やいろいろなところで著作権というものを大切に考えていっていただくような、そんな風潮を醸し出していかなければなりませんので、その普及のために今後とも努力を続けていかなければならない、私はこのように考えております。
#94
○粕谷照美君 終わります。
#95
○高桑栄松君 著作権につきまして、参考人の御意見を承らせていただいたり、またきょうの質問と御回答を聞いたりしておりまして、私自身がいかに著作権のことを知らなかったかということを思い知らされたように思っております。
 ベルヌ条約というのも、私知りませんでしたが、一八八六年にビクトル・ユーゴーが提唱したものだと。今一九八六年ですからちょうど百年たったということで、その百年目に質問させていただくのもこれは大変意義があるかなと思ったわけです。しかし次長さんのお話を伺っても、わが国は著作権については途上国であるということでございますので、ビクトル・ユーゴーをして言わしむれば、ああ無情と、こう言うのではないかなと思っているわけです。
 それからまた、これから質問させていただきますが、一応大分時間を持たされていますので勉強してきたつもりでおりましたら、中村委員、粕谷委員がそれぞれ御発言になったものですから、お二人の著作権を侵すわけにはいかないので、それはまたカットしなければいけないのではないか。委員長、少し早く終わるかもしれませんがひとつ御勘弁をいただきたいと思っております。
 そこで、登録制度ですが、ベルヌ条約というのが出てきて、何だかこれに加盟している国と加盟していない国、万国著作権条約ですか、それとの間の差のことがいろいろ御説明があって、まあなるほどわかったんですが、日本のように、ベルヌ条約に加盟しておって、しかも今度のプログラム登録特例法のような特例制度を持っている国というのは外国にありますか。いかがでしょうか。
#96
○政府委員(加戸守行君) ベルヌ条約は、第五条第二項におきまして、著作権の「享有及び行使には、いかなる方式の履行をも要しない。」という規定がございまして、これはいわゆる無方式主義と呼ばれております。つまり、著作物を知的創作活動の結果としてつくり上げれば、自動的にそれが法律上の保護を受けるということが条約上の義務になっているわけでございます。
 したがって、登録制度と申しますのは、その権利の発生、行使に影響を与えないものということに限られるわけでございますので、我が国におきましても、例えば無名、変名の著作物についての実名登録制度、あるいは第一公表年月日登録、第一発行年月日登録といった事実を証するという推定規定を持たせるような法的効果の登録制度、あるいは第三者対抗要件としての著作権の移転登録といった、言うなれば、その後のトラブル防止のために、予防、安全といいますか、権利保全の視点から行う登録制度は設けられておりますけれども、しかし、登録をするしないは自由でございますし、登録しなくても、条約上の権利あるいは著作権法上の権利は担保されているわけでございます。そういった点では、実務的に有効な手段という、便宜補助手段的なものとして使われる制度に限られるわけでございます。
 日本と同様にこういった氏名の登録制度等を設けられている国としましては、ブラジル、カナダ、チリ、西ドイツ、インド、イタリー、ポルトガルといったような国はございますけれども、それは著作物全般についての登録制度でございまして、これも日本と同様に、権利の発生、行使には全く影響は与えない実務保全上の観点からの登録制度でございます。昨年の創作年月日登録並びに今回の登録手続等のような制度というのは日本のみでございまして、この類似のケースは外国にはございません。
#97
○高桑栄松君 今の無方式主義のことで、私ちょっとわからないんですが、教えてもらいたいと思うわけですけれども、登録は自由だ、しかし登録制度を設けたいということで、やっぱり登録しないと紛争が起きたときに損をするんじゃないかという感覚がやはりありますね、なければ全く意味ないんじゃないかなと思うので。そうすると、やっぱりベルヌ条約とは基本的な理解の上で相反しているというか、違うんじゃないかなと。そうすると、ベルヌ条約に入っているのにこれをつくったというのは、やっぱり何か――どこが違うんだろうかと思うんですが、どうでしょうか。
#98
○政府委員(加戸守行君) 先ほど申し上げましたように、著作権の行使をする際に登録していないと不利になるということでございますればベルヌ条約違反になるわけでございまして、例えばアメリカ合衆国はベルヌ条約には加入していない、万国著作権条約加盟国でございますが、登録をしていなければ訴訟が提起できないというような著作権の本質的な侵害に対する行使の際の制約がございます。したがって、この制度を維持する限りアメリカはベルヌ条約に入れないわけでございますけれども、そういったものと違いまして、今回の場合には、登録してあってもしていなくても権利主張ができ、権利行使ができ、訴訟の提起もできるわけでございます。
 ただ、今回の登録のメリットは何かと申しますと、登録してありますれば、創作年月日登録の日に創作されたものと推定するという法律上の効果がございますので、いつつくったかということをみずから立証しなくても、登録があればそれが優先的に法律上の推定を受ける、あるいは事実上の効果といたしまして、登録してあれば、その人が著作者であろう、つまり創作者であろう、あるいは登録してあるプログラムのコピーを見れば、このプログラムはこの人がつくったものだということのプログラムの特定ができ、かつ、訴訟が起きました場合にはそれを利用することも可能である。ということは、一々立証する手続の手間暇が省けるという便利さがあるということでございまして、便利さがあるかないかということは登録の反射的な効果でございまして、いわゆる著作権の享有並びに行使に当たっての方式では全くない。したがって、条約上も問題になることではないと理解いたしております。
#99
○高桑栄松君 なるほど今のでよくわかりました。創作年月日登録の日をもって要するに発効するというか、はっきり主張できるということですね。
 それがメリットということのようですが、一つは、何か通産省が主張しておられた付随効果というのが言われていたようで、それは二重投資の防止と流通促進という意味があって、その意味でプログラム登録、公示ということが必要であるというふうに言われたかというふうに聞いているんですが、今のお話で、もし登録そのものが紛争に対して必ずしも絶対条件ではないということになりますと、つまり付随効果の方が主眼なのかなという、まあ質問のために今考えたわけですけれども、そういうふうに言えますか、どうですか。
#100
○政府委員(加戸守行君) 一昨年来の通産省と文化庁との間におきますプログラムの保護をめぐっての対立点の中に、通産省は登録制度を導入するプログラム法案を考えまして、その登録の効果としては、二重投資の防止であるとかプログラムの流通促進というような視点が入っていたことも事実でございます。そしてまた、両省間で話し合いがつきました段階で、条約上の制約に抵触しないで、かつ、通産省の希望に沿えるものとしてはプログラムの創作年月日登録制度ではないかということで両省庁が合意に達したという経緯もございます。したがって、実質的な動機としてプログラムに関する二重投資の防止であるとかあるいは流通の促進であるという視点も入っていたことは、実際上の動機としてはそのとおりでございます。
 しかし、法律上の建前からいたしますれば、今申し上げましたように、いわゆる訴訟上非常に有利になる、便宜的な手段であるという形で活用ができる。特に訴訟が起きました場合に、このプログラムを侵害したものであるかどうかという事実関係の認定は極めて困難を伴うものでございますけれども、この登録制度によって登録しておきました場合には、例えば民事訴訟法上の調査嘱託であるとか鑑定嘱託というような方法をとることによりまして、指定登録機関においてある程度の事実関係の立証に近い証拠としてなり得るような鑑定なり調査が可能である、そういったメリットが非常に大きいわけでございます。
 と同時に、この登録制度の活用によりまして、プログラムが、どんなものが登録されているのか、今でき上がっているのはどんなものかということが一般国民にわかれば、二重投資の防止の観点からも役立つでございましょうし、あるいはプログラムの流通促進にも役立つという付随的な効果はもちろんございますけれども、それはやはり結果的な効果でございまして、法の意図するところは、先ほど申し上げましたように、創作年月日の法的推定並びにそれに伴うプログラムの特定とかあるいは訴訟上の便宜というのに実効性があるというのが本案を提案申し上げている理由でございます。
#101
○高桑栄松君 次は、これも質問で若干もう解明というかお答えが出ておりますが、私がお伺いしたいのは保護期間の一部なんですけれども、保護期間はベルヌ条約で五十年ということで、私たちが伺った参考人なんですけれども、阿部参考人は、やっぱり五十年は私は長いと思うと言っておられました。それから清水参考人は、進歩の非常に急なこの世界において、五十年という長さはなじまないだろう、こういうお話でございました。先ほど、フランスがベルヌ条約加入国でありながら応用美術の一部だというようなことで二十五年ということにした、牽強付会な解釈だとおっしゃっていたのを伺ったんですが、牽強付会でも、やったというところがフランスなのかなと。つまり、法の解釈というものを余り厳重にとるとうまくいかない、不快になるということで、牽強付会もその辺でやったのではないかな、フランスらしいんじゃないかと思ったんです。
 先ほど次長さんのお話だと、国際条約改定の機会に主張しなければとおっしゃっていましたが、それはやっぱり五十年ぐらいかかるのではないかと思うのでありますが、短くする方法というのは、いかにももっともらしい牽強付会さを加えてやるというようなことはできないものですかね。いかがでしょう。
#102
○政府委員(加戸守行君) 今や国際化の時代でございまして、やはり我が国も国際社会の中で、国際的な非難を浴びないような行動、対応をしなければならない使命を負っているわけでございます。
 フランスの場合につきましては、私どもその国会の議事録を拝見しておりませんからわかりませんけれども、やはり政治の場でございますので、ある程度一つの意図が働き、そういう形に落ちついたのではないかと推測いたしておりますけれども、そこまで条約上の厳密な議論があったのかどうか、あるいは国際事務局に問い合わせをしたのかということになると若干疑問と言わざるを得ないところでございます。もちろん、政治でございますから、フランスの国会で議決した法律はフランスの法律でございますけれども、フランスの憲法におきましても、やはり条約優先の規定がございますから、私先ほど申し上げましたように、仮に訴訟が出てきた場合にフランスの裁判所がどういう判断を下すのであろうかということを非常に強い関心を持っておるわけでもございます。
 そういう意味で、あえて応用美術とフランスが理解して二十五年にしたから日本ができるかということになりますと、私はやはり日本は日本として国際社会の中で他の同盟国から何だという非難を受けたり、あるいは裁判所によってそれが憲法違反だとひっくり返されるような提案をすべきでないと考えております、
 したがいまして、この問題は、条約改正の機会にということになるかと思いますけれども、一八八六年にできましたベルヌ条約も大きな改正はほぼ二十年ごとに行われておりまして、一九〇八年のベルリン改正、一九二八年のローマ改正、一九四八年のブラッセル改正、そして一九七一年のパリ改正でございますので、周期的に二十年ということでございますと一九九一年あたりが条約改正の時期には当たるわけでございます。
#103
○高桑栄松君 それでは、ちょうど百年目ですからことしあたりひとつ提案をなさって、サミットをここでおやりになったらいかがかなと、いやこれはただの私の考えで申し上げたわけです。
 そこで、指定登録機関のことを伺おうと思うんですが、いろんな条件がございましたね。先ほどの質問に対するお答えで出ておりましたが、守秘義務というのがあったのではたと思ったのは、守秘義務というのは――登録の公示というのは秘密でないという意味なわけで、守秘というのはどこを隠すんだろうかと思うんですが、何でしょうかね。
#104
○政府委員(加戸守行君) 登録の公示といたしましては、登録申請をされましたプログラムの概要、つまりこのプログラムは給与計算を目的としてこういうような計算ができるプログラムであるという程度のものでございまして、それはもちろん公示いたしますから秘密でも何でもないわけでございます。
 秘密といいますのはむしろ、プログラムのコピーを提出していただきますので、コピーはまさにプログラムそのものが記載された、ソースあるいはオブジェクトの別を問わずプログラムのコピーでございまして、それを見ればプログラムの海賊版はつくれるわけでございます。そういう意味でそれはまさに重要なる企業秘密であり、かつ、それはまた登録機関における秘密でもございますので、そういったような特にプログラムのコピー、プログラムを見れば、あるいは秘密が漏れれば模倣作品のプログラムが作成できるようなものはすべて秘密として処理をする、そういう考え方でおるわけでございます。
#105
○高桑栄松君 何だかわかったようなわからないような気がするんですが、大変難しいプログラムでも小学校の子供がばっと解いたとか何かあるわけで、守秘ということは今やほとんど不可能に近いことかなという気がするので、いずれにしても創作物であるかどうか、その後に創作物であるかどうかが問題になるのかなと思いますが、今のお答えよくわかりました。
 それで、登録件数のことがしばしば質問の中にもありましたし、お答えにも出ておりましたが、どうも伺っていると、登録件数というのは非常に不確定な要素がたくさんあってということだと思うんですが、今のお話で、パソコンで数千件でないかとかということですが、この団体をつくる場合に、手数料等で予算が決められるわけでしょうから、だからこの数が決まらないとどれくらいの規模にしていいかわからないじゃないかと思うんですね。それからまた、そういう不安定要素を考えると、国が補助というか助成をしなければいけないのかなというふうな気がするんですが、どんな形態を考えておられるんでしょうか。
#106
○政府委員(加戸守行君) 先生おっしゃいましたように、非常に不確定要素の多い事柄ではございます。したがいまして、文化庁としましては、指定登録機関を指定いたします場合につきましては、かなり関係団体あるいは関係業界の御理解と御協力を得なければできないことではないのか。例えば、登録件数がよそより下回った場合に、経費的な面では赤字になるわけでございますから、見通しが立たなければ指定登録機関を引き受ける機関がない。つまり、そんな赤字になるようなことは勘弁してくださいと言われるおそれがあります。そういう意味で、この登録によってメリットを受ける関係業界あるいは関係団体の方で若干のそういった応援もお願いしなくちゃならないこともあり得ると想定しているわけでございます。
 ただ、現在の行財政改革の状況の中でございまして、本来ならば文化庁が行うのか一番よろしいわけでございますけれども、これは非常に人員的にあるいは経費的に相当な負担を伴うことでもございますし、まあ民間活力の導入の一つの例としてこういった方法を活用さしていただきたいと思っているわけでございます。
#107
○高桑栄松君 いや、件数が少なかったら文化庁でおやりになったらいかがですかと言おうと思ったんですが、先に次長から言われましたので、また著作権で、これは質問をやめます。
 次に、登録機関は複数でもいいようになっているようですけれども、これは複数をお考えですか、それとも初めから終わりまで単数でいくことになるんでしょうか。何か業種別ですか、何とか別で考えるとかということはあるんでしょうか、いかがでしょうか。
#108
○政府委員(加戸守行君) 御提案申し上げております法律案の中では単数か複数かは言及しておりませんので、理論的には複数も考えられるわけでございますが、もし複数を指定いたしますと、それぞれの指定登録機関にどの程度の申請が分布していくのか、あるいは重複して登録の申請があった場合にどうするのかという問題もございますし、また、いわゆる事務処理上著作権登録原簿が二つあって、両方見ないとどちらに登録されているかわからないという状況でも困りますし、原則として単一の団体によって登録事務を処理することが適切ではないかと考えておりますし、現時点では複数を指定するという考え方はございません。
#109
○高桑栄松君 そこで、発足予定の十月一日までもう五カ月ないわけで、四カ月ですね。そうすると、いろいろなことの大体大枠の構想があるかと思うんですが、手数料はどれくらい見込んでおられるのですか。
#110
○政府委員(加戸守行君) 金額はこれから考えるわけでございますが、一つの例として、昨年通産省が提案いたしました半導体集積回路の回路配置に関する法律の中で同じく指定登録機関を設けておりまして、そこでの登録手数料が一件四万円でございます。ただ、衆議院の文教委員会におきます参考人質疑の段階におきまして、パソコンソフトウェア協会の清水参考人の方から、四万円はちょっと高過ぎるので、私たちとしては二万円程度まで抑えてもらえればありがたいというような御発言もございました。そういった状況も踏まえまして、もちろん登録件数がどの程度かというある程度の想定、それに合わせてどれだけの人員を置き、また、どれだけの施設設備を持たなくちゃいけないのかという相関関係はございますけれども、ざっくばらんに申し上げますと、数字的には四から二の間におさまるような数字というのを大体腹案として考えております。
#111
○高桑栄松君 それからマイクロフィルムでもよいということになっておったわけですが、私は自分でマイクロフィルム使ったことがないのでどれくらい費用がかかるのかわからないのですが、マイクロフィルムとか、マイクロフィッシュというのはどれくらいかかるのですかね。つまり、その登録する人は手数料プラスマイクロフィルム代ということになるわけですね。大ざっぱに言うとどれくらいかかるのか、ちょっと教えていただきたい。
#112
○政府委員(加戸守行君) マイクロフィルムといいますのは、いわゆるペーパーに記載されている事項をマイクロフィルムに撮るわけでございますから、もととなるペーパーの数によって違うわけでございます。
 一般的にビジネス用のパッケージプログラムと申しますのが、大体プログラムのステップ数で言いますと一万六千ステップから三万ステップ程度、これをソースプログラムのページ数、紙に換算いたしますと三百ページから六百ページ程度のものでございます。それから、汎用機用のプログラムがおよそ八万ステップから十五万ステップ程度でございます。もちろんそれよりももっと多いプログラムもたくさんございますが、それが紙に換算いたしますと約千五百枚から三千枚程度のページ数になるわけでございます。それから、ゲーム用のプログラムとしましては、映像データを含めてプリントアウトしますと、紙の数にいたしますれば四百ページから六百ページぐらいということでございまして、これをマイクロフィルムに撮りますと、通常一ページ当たりの一般のマイクロ化の場合には経費が約二十五円程度でございますので、先ほどビジネス用パッケージプログラムの中でステップ数の多い三万ステップ数だといたしますれば、紙にして六百枚でございますので、マイクロ化が、二十五円掛けますと約一万五千円でできるということでございます。
 経費的にはちょっと高いように見えますけれども、じゃ、その六百枚の紙をコピーを提出してくださいということになれば、その手間暇、紙代から考えますと、あるいは一万五千円を上回るか、近いということも考えられるわけでございまして、経費的には高いといえば高うございますが、現物を提出するのに比べればそれほどの差はないというぐあいに私どもは理解いたしております。
#113
○高桑栄松君 いや、これは今おっしゃったとおりで、現物との比較で申し上げたんじゃなくて、実質的にどのぐらいかかるのかなと。六百枚とか千枚というと、千枚なら二万五千円ですものね。ですから、手数料が四万円ならプラス二万五千円ですから相当なものだなと思うんです。
 そうすると、登録はしなくてもいいというのならしないという考えもあるわけで、しかし、登録制度をなさったからには一〇〇%登録をさせたい、してもらいたいというお気持ちだと思うんですね。開店休業ということじゃないと思うんで、そうすると、登録を推進していく何かお考えはありますか。例えばコストはできるだけ下げるとか何かあるんでしょうが。いかがでしょうか。
#114
○政府委員(加戸守行君) 登録の場合はまさに任意でございまして、例えば秘密保持のためにどうしても出したくないということもございましょう。でも、一般的に言いますと、先ほど申し上げた登録に伴うメリットが、特に侵害訴訟が起こった場合の権利保全にはかなり有効な手段でございますので、そういう意味で申しますと、何億円をかけて投資したプログラムについて何万円かかるからという、ちびるよりはむしろ将来の危険負担を考えれば、登録の方が多いのではないかと私どもは予想しておりますけれども、こういった登録に伴ってどのような効果があるのか、登録はどこで行われるのか、この程度の手続である、秘密はこういう形で守られますといった登録に関します内容については、関係団体にお願いをいたしましてそれぞれの業界に周知していただくような方途を講ずる必要もあろうかと考えておりますし、また、そういったPR、周知によりましても登録の実行を期したいと思っているわけでもございます。
 もっとも、登録が予想よりもはるかに上回る何万件も出てまいりますと登録機関がパンクする危険性もありますから、その辺は痛しかゆしの問題はございますけれども、将来におけるトラブル防止あるいはプログラムの円滑な流通ということを考えました場合には、登録件数がふえることを期待しているわけでもございます。
#115
○高桑栄松君 これは予告していなかったんですけれども、今何いながらそう思ったんですけれどもね。著作、こういうものに関するトラブルというか訴訟になるようなのは年間何件ぐらいあるんでしょうか。もし持っておられなければいいですけれども。
#116
○政府委員(加戸守行君) かなりラフな記憶でございますが、昨年プログラム法案を提案さしていただきましたときに、いわゆる訴訟となっておりますプログラムの侵害事件等は、私どもの承知しております限りでは数十件ございますし、また、プログラムの著作権に関する判例も四つか、五つになりましたか、四つか五つ既に出ておると思いますし、訴訟になります以前の段階での実務的なトラブルはもっと数が多いだろうと思います。
#117
○高桑栄松君 それでは、データベースの方に入りたいと思います。
 データベースのうちに創作性のあるものだけを今度保護するということになっておったわけですが、創作性のないデータベースというのがあるのかなということなんですけれども、具体的にどんなことを言うのか。それともどの辺までを創作性と称するかなんていうのがあるんじゃないかと思うんですが、お願いします。
#118
○政府委員(加戸守行君) いかなるものが創作性があり著作物となるかというのは、著作権法で申しますとアルファでありオメガでもある非常に初歩的でもありかつ極めて難しい問題でもございます。
 著作権法上は、著作物であるかないかということの判別基準を書いておりません。強いて言えば、思想、感情を創作的に表現したという定義に立ち返って判断するしかないわけでございます。例えば音楽でございましても、単に昔が表現されているから著作物とは申しませんで、音楽があってそのうちの九十何%かが音楽の著作物である。データベースにつきましても、データベースがあり、そのうちの九十何%かがデータベースの著作物になるであろうと思われます。
 では、どういう場合が著作物でないデータベースかというと、例として適当かどうかわかりませんが、ある一地域におきます例えば五十音別の電話帳みたいなものをデータベースとして作成した場合、つまり加戸守行という名前を問い合わせれば三六二−三三八九というのが返ってくる程度の簡易なデータベースであるとしますれば、そこには単に氏名順に電話番号が入っているだけのデータベースでございまして、創作性があるとは理解できない。したがって、それはデータベースではあり得てもデータベースの著作物ではないということになろうかと思います。しかしながら、一般的に商業実用に供されるようなものは、まず一〇〇%に近くデータベースの著作物と言い得るものではないかと考えております。
#119
○高桑栄松君 データベースもプログラムと同じように常に新しく変わっていくものだろうと思いますが、プログラムについては同一性保持の権利ですか、同一性保持権というのが例外規定を設けてある。データベースについてはこの例外規定、同一性保持権に対する例外規定がないという、このプログラムとデータベースとの、あるなしの違いというのは何かあるんでしょうか。
#120
○政府委員(加戸守行君) データベースも当然に古いデータであればデータベースの体をなさないわけでございますので、物にもよりましょうが、特に数値データベースのような場合には日々更新されるということがあり得るわけでございまして、そういったようなケースは著作権法の同一性保持権の観点から申し上げますれば、「著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変」に該当するとして問題が生ずるケースはないのではないか。
 そういうことでプログラムの場合に、一々特定いたしましたが、プログラムの場合には例えば機種が違ったらその機種に合わせるために改変をするとか、あるいは、例えばバグがある、つまり機能的に機能しないからそのバグを取り除くというような実用的な目的のために必要な改変が行われるわけでございますけれども、データの更新というのは著作権法上無理なく同一性保持権の例外として判断できるというのが第一。それから、プログラムは非常に市場流通が転々といたしますケースがありますが、データベースは通常データベースプロデューサーあるいはせいぜいディストリビューターの間に市場が移る程度でございまして、それは契約によって一般的にカバーできる事柄であり、そういった市場流通性が余りないものにつきましての同一性保持権、つまり、第三者が購入してそれを直すというような形態がまず考えられない。
 そういった二つの理由から手当てをしなくても大丈夫という判断をとったわけでございます。
#121
○高桑栄松君 今お話しになったディストリビューターですが、ディストリビューター活動も創作的活動であるという何か考えもあるようだというふうに聞いておりますが、もし、そういうふうな解釈が当てはまると、このディストリビューター創作活動なるものにも保護をする必要があるかというごとですが、どういうお考えでしょう。
#122
○政府委員(加戸守行君) 今先生御指摘なさいました点は、著作権審議会の第七小委員会でも御議論をちょうだいしたところでございます。
 通常、そのデータベースディストリビューターと申しますのは、プロデューサーがつくりました原テープの提供を受けまして、それにさらに加工をいたしまして、もっと検索がスピーディーにできるように、あるいは処理がしやすいようにということで情報の提供をするディストリビューターの仕事でございますので、データベースの二次的な加工において創作性がある場合には、データベース自体が二次的著作物である二次的なデータベースとしてそれ自体の保護を受けるということもあるわけでございます。この場合はディストリビューターもプロデューサーと同じく著作者の立場に立つということがケースとしてあり得ると思います。しかし、それ以外の場合、つまり創作性が認められるか認められないかの判別は非常に難しゅうございますけれども、一般的に申し上げれば、単にデータベースプロデューサーから提供を受けたデータベースを使って情報提供しているにすぎませんので、著作権法上の著作者の立場ではなくて単なる伝達媒介者にすぎないということになるわけでございます。
 これについて、その権利を認めるべきではないかという御議論も審議会の中にございましたけれども、事柄は、他の例えば有線送信事業者との絡みもございますし、また、それを著作隣接権として構成していくために非常に難しい問題もございますし、一体何を保護するのだという問題もございますし、これはちょっと遠い将来の話ではないのかなという点でかなり難点のある話でございますが、ただ、一つの課題であることは事実でございます。
#123
○高桑栄松君 そこで次長さん、先ほど放送と送信の概念がどちらが上位かというふうなお話があって、私は放送というのがブロードキャスティングだから、ブロードのキャストだからこっちが上位置念だろうと思っておったら、そうでないというお話なんで、そうかなと思ったわけです。
 そこで、そうすると送信というのは英語で言うと、何キャストか何か知りませんが、まさかナローキャストじゃないでしょうが、どうでしょうか。
#124
○政府委員(加戸守行君) 著作権法が改正されますと、常に私どもは英訳をいたしまして外国に紹介するわけでございますが、私が現時点考えております英訳としては、トランスミッション・バイ・ワイヤということになろうかと思います。別の言い方としましては、コミュニケーション・バイ・ワイヤという言い方もございますけれども。条約上の有線放送というようなものはどういう形で表現しているかといいますと、ディフュージョン・バイ・ワイヤと言っております。ブロードキャストというのは、一般に無線送信についてのみ使われておりまして、有線はブロードキャストという言葉は使わないわけでございますので、そうすると今申し上げたような、まあ無線送信は何かといえばワイヤレストテンスミッションになり、この有線送信がトランスミッション・バイ・ワイヤということになるのではないかと思います。
 先ほどの先生の上位置念、下位置念ということでございますが、今申し上げたトランスミッション・バイ・ワイヤに相当する有線送信は、いわゆるブロードキャストのほかにナローキャストと申しますか、個別のリクエストに応じて個別にしか行かない情報の伝達でございますので、ブロードキャストとナローキャストを含めたのがトランスミッション・バイ・ワイヤではないかと思います。
#125
○高桑栄松君 確かにブロードキャスティングは、テレビ局へ行きますとオンエアとありますから、確かにオンエアでブロードキャストなんだなと、よくわかりました。
 そこで今度は裁定制度のことで郵政省にお伺いをしたいと思うんです。
 きのう、十四日の国会で郵政省が出された有線テレビ放送法の一部改正案が通過をいたしました。それの改正目的、要綱をちょっと説明していただきたいと思います。
#126
○説明員(濱田弘二君) 有線テレビジョン放送法でございますけれども、この法律の中で、CATV事業者がテレビ局の電波を受信いたしまして、それを同軸ケーブル等のワイヤでもってCATVの加入者に送信をする、これを再送信というふうに法律上なっておるわけですが、この再送信を行いますがためには、CATV事業者はあらかじめ当該放送事業者から同意を得ることを要する、そういうふうになっておるわけでございます。
 ちなみに、我が国でCATV施設三万八千を超えておりますけれども、この九九・九%までは再送信業務をいたしておるところでございます。
 ところで、先生ただいまお尋ねの、今回の法律改正の目的なり中身でございますが、一口に申し上げまして、今回の改正はこの再送信に係るものでございまして、CATV事業者と放送事業者の間で再送信に関しましてなかなか協議がスムーズにいかない、こういうような場合に、再送信を円滑かつ適切に実施するために郵政大臣の裁定制度を設けようとするところでございます。
 ここで若干この法律改正に至りました背景につきましてポイントだけを申し上げさしていただきますと、従来、我が国のCATV施設と申しますのは、地元放送の再送信を目的とします難視聴型のCATVで発生したわけでございます。したがいまして、非常に規模も小さかったわけでございますけれども、近年に至りまして、この地元放送の再送信に加えまして、地元放送局以外の再送信も行う、あるいはまた自主放送も行う、こういうような施設が徐々に増加してまいったわけでございます。こういうようなCATVの、まあ言ってみれば新しいタイプの出現に伴いまして、放送事業者の方が、今までは非常にスムーズに再送信の同意を出していただいておったわけですが、ここへ来てなかなか同意を渋られる。端的に申し上げましたら拒否をされるというような事例が相当ふえてまいったわけでございます。こういうような事情を背景にいたしまして、今回、法律改正となったところでございます。
#127
○高桑栄松君 そうすると、著作権法に基づく有線送信権との間で、郵政大臣裁定が優位に立つということなのかなと、何だがこの辺がよくわからないんですが、郵政省としてはどんなふうにお考えになりますか。
#128
○説明員(濱田弘二君) この再送信同意制度というものの目的でございますが、これは放送事業者の方の放送の意図を保護することによりまして放送秩序の維持を図るというところにポイントがあるわけでございます。したがいまして、著作権制度とはその制度の趣旨を異にしておるというふうに私ども考えております。したがいまして、この再送信制度の関係での裁定が、著作権法上の著作権とか著作隣接権に影響を与えるものではないというふうに私ども考えております。
#129
○高桑栄松君 同じことを文化庁に伺いたいんですけれども、文化庁長官裁定というのも同じような意味である。郵政大臣は郵政大臣の裁定がある。どちらが優勢なのか、ちょっと伺いたいなと思っているわけです。
#130
○政府委員(加戸守行君) 著作権法上の文化庁長官の裁定制度は、著作物を放送する場合に、著作者が私の音楽は放送しちゃいかぬ、小説は放送しちゃいかぬというようなことを防ぐために、公共目的で文化庁長官の裁定制度を導入しておるわけでございます。放送事業者の有線放送につきましては、これは著作隣接権の世界でございまして、これにつきましては文化庁長官の裁定制度はございません。
 この趣旨は、ただいま郵政省の方からお答えありましたように、有線テレビジョン放送法が放送秩序の維持の観点から同意制度はございますけれども、著作隣接権制度は、放送事業者の経済的な利益を担保するための権利として有線放送権を与えているわけでございまして、これはむしろ料金の問題で、値段が高い安いの話し合いによって、話し合いに応ずれば許諾を与えるというシステムで、性格的に全く異なるものでございます。
#131
○高桑栄松君 その辺になるとちょっとわからないんですけれども、著作権法による著作隣接権関係では、いやだったらノーと言えるというわけですね。そうすると、裁定との関連は、やっぱり郵政が優勢なんでしょうかね。どうなんでしょう。
#132
○説明員(濱田弘二君) CATV事業者が再送信を行います場合に、有線テレビジョン放送法による同意を要するわけですが、あわせまして、非営利でかつ無料であるようなCATV施設を除きますと、著作権法によりまして放送事業者の方の許諾を得るという必要があるわけでございます。したがいまして、理論上の問題で申し上げますと、先生御指摘のように、裁定によりまして放送事業者は再送信の同意をすべきだという裁定が出た場合であっても、放送事業者の方が著作権法上の権利を行使されるということはあり得るところではあろうと考えておりますけれども、現在までの実態というところで申し上げますと、著作権法の許諾をめぐってのトラブルというのは私ども全く聞いておりません。
 それからまた、今回、裁定ということに仮になりますれば、その事前の段階で、放送事業者、CATV事業者の両方の意見を十分に聴取する、こういう手続を踏みます。それからまた、裁定というものにつきましても、単に結論として再送信を同意すべきであるということだけじゃなくて、言ってみれば放送事業者の方の御希望といいますか、言い分も生かされるよう再送信における条件というものを付すということも十分考えられますので、理論上はともかくといたしまして、実態面の問題としては、先生御指摘のようなケースはまずないものというふうに私どもは考えておる次第でございます。
#133
○政府委員(加戸守行君) 著作隣接権の上におきましては、放送事業者の有線放送権につきましては、著作物の放送とは異なりまして裁定制度はございません。
 これは、今郵政省から御議論ありましたように、実態的なトラブルもないし、また、そういうケースも考えられないということでございますが、理論的可能性として、放送事業者の同意が拒まれたために、有線テレビジョン放送法上の同意の許可が郵政大臣から与えられたにもかかわらず、著作権法を理由に放送事業者がCATVに許諾をしないというようなことが起き得るとすれば、それはまさに財産権の乱用でございまして、みずからの首を絞めるわけでございまして、その事態になれば文化庁としては、裁定ではなくて、放送事業者の隣接権を廃止するというような決意でも持たなきゃならぬ事柄ではないかというふうに考えております。もちろんこういうことは理論上の可能性だと思います。
#134
○高桑栄松君 いや、いろいろ問題点があることがわかって、大変よかったと思います。
 ところで、大臣がせっかく御出席で、発言の機会がないとなんですから、つくってまいりましたからひとつ。
 臨教審の第二次答申の中で、「教育荒廃の諸要因」ということで「テレビ等の家庭への影響」ということをうたっているわけです。これは私たちも、それからいろんな方が言っておられることであります。これは有線に限って言っているんじゃございませんので。それ全部含めまして、先ほども中村先生からの御質問もあったと思いますが、マスメディアの青少年健全育成に対する影響力の非常に大きいことを考えると、教育責任を持っておられる文部省として、また文部大臣としては、そのマスメディアの長所、短所を踏まえて、どういうふうにお考えになり、それからどんなふうにした方がいいと思われるか、ちょっと伺いたいと思います。
#135
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、臨教審でもその問題は随分議論されました。
 それで、長所の面はもうこれは数え上げれば切りがないほど長所はたくさんございましていいんですけれども、問題は、短所といいますか影の部分であって、特に青少年の心理に対してよくない影響を及ぼしたり、それが教育上困るという面がたくさんございます。もっとずばり端的に言うと、もう少し隠すべきところは隠してもらいたいというような、そんな場面に我々もよく出会うわけでありますし、ストーリー全体から見て、何かよくないことが行われるとあれはこの間見ておったんだとか、いろいろなことを言われますと、その辺のところの配慮は十分にしていただきたいなというのが率直に言って我々の願いでございます。
 ただ、この問題は表現の自由という大きな憲法上の権利も関係してくる問題ですが、しかしやっぱり社会公共の福祉とか公の秩序、善良の風俗というようなものに反するようなことはしてはならないという国全体の合意もあるわけでありますし、また、教育上その児童生徒の発達段階に応じていろいろ身につけていかなければならない問題、人格形成の上によくない影響を及ぼす問題、確かにあるわけでございますから、私どもはいつでもマスコミの皆さん方にも、番組の自主規制とかいろいろなものを審議会等をつくっておやり願っておるわけでございますので、一層そういうところでそういったような影響を十二分に考えながら対応していただきたいということを強くお願いを申し上げておきたいと思います。
#136
○高桑栄松君 確かに、この間、これもテレビ番組で私見てそう思ったんですが、このごろ中学生、小学生の自殺が相次いでいる、どうして自殺するんだろうかという中に、単に追い込まれたということではなくて、自殺するということをマスコミ報道の中で子供たちは学習しているというんですね。
 なるほど、学習して知識として入っているから、その入っている知識の方へ行っちゃうわけですね、別な知識がないんだから。だから、価値判断の基準というのは知識の中でしかないので、知識のないものは価値判断の基準にならぬわけです。だから自殺の方法を一つしか知らなけりゃ飛びおりるしかないわけだ。青函連絡船もあると思うと、じゃあっちへ行ってみるかなという考えもあるだろうと思うんです。ですから、学習するということが、いい面と悪い面の中で悪い面が今自殺なんかに出てくる。いじめもそうだと思いますね。いじめもやっぱり余り詳しく説明されるものだから、そんなことがあったのかなと、その学習を今度復習してみる必要があるわけで、やっぱり復習が出てくるんじゃないかと思うんですね。ですから、やっぱりマスコミというものの自主規制というのは、非常に格好のいい言葉ではあります。しかし、非常に格好がいいけれども、視聴率を追うとか、商売繁盛だけを願うというところにやっぱりプロデューサーも追い込まれるんでしょうしね。
 ですからこれは大臣、今御返事いただくというんじゃありませんが、やっぱりよく考えて、何か考えなきゃならぬだろうと思うんです。これはこれぐらいにしまして…。
 それで、CATVの諏訪の社長さん、山田さんとおっしゃったかな、山田参考人のお話を伺って、私がやっぱり意外に思ったのは、教育番組に非常に力を入れているとおっしゃっていました。私はやっぱり、ここは文教委員会でございますし、教育が主体で物を考えている先生方のお集まりなんで、私が一番感銘を深くしたのはそこなんです。有線テレビの小型のところがよく教育に力を入れるんだなと。視聴率はどうですと言ったら、視聴率を無視しているんですね。そんなことがあり得るのかなと思っちゃったんです。ですから、そういうものに対しては助成をするかというのが一つありますよね。
 しかし、一方では中学生の補習教育に使うと言っていました。これは塾なんですね、そうすると。ただポイントは、塾というのはあくまでも人間関係があるんです、そこで、教師との間、友達との間。塾へ行って楽しかったと。勉強だけじゃないんですね、友達がいた、先生から教えられたということがある。テレビを通してというのは人間関係が疎外されているという意味で、これを手放しで褒めるわけにはいかないんじゃないか。本当は塾論とテレビ補習論とで、本当はこれまた海部さんにいろいろと御意見を承りたいようなところがあるんですが、きょうは人間疎外ということで、テレビのようなものの教育番組としての価値は何だろうかなというのが一つあるんです。
 それからもう一つのポイントは、専門技術教育と言っていました。これは多分人間疎外どころか、成長した人間が専門技術を学ぶ年齢の人たちですから、まあまあどうということはないんだろうと思うんです。ですけれども、子供の場合には、そこに何かやっぱりアドバイスが要るんじゃないかな、放送事業者側にですね。
 何かお考えがあれば承りたいんです――いや、なければお考えいただくと。
#137
○国務大臣(海部俊樹君) よく考えてみます。
#138
○高桑栄松君 いや、それは難しい話ですよね。私もまだ意見を出すまでに至ってないんです。この次、私もよく考えてまいりますから。
 それでは、著作権思想の普及というところを二、三御質問して終わりたいと思うんです。
 最初に、冒頭に申し上げましたのは、私自身が著作権を概念として知っているだけで詳しいことを知らなかったというのが私の実情でございまして、みずからを省みて、やはりこれは著作権思想を普及しなければいけないのではないかと、こんなことを思うんです。たしか大臣が言われたのかな、教育の場をとらえてとおっしゃっておられたと思うんですが、著作権は学校教育の中でどこで教えているのか。もう一つは、大学では例えば著作権の単独講座みたいなものがあるのか。ないとすればどこで教えているんだろうか。岡山大学の阿部先生は、本当にもう立て板に水というのか、何でもすらすらと出るお方で、びっくりしちゃったんですけれども、しかしあの先生は単独講座でないでしょう。
 そういうことで、まずこの二つをひとつ伺いたいと思います。
#139
○国務大臣(海部俊樹君) 著作権というのも、ここでいろいろ御議論がございますように、文化創造の基盤となっておる人間の知的生産物として大切にされなければならない。権利としてそれは守っていかなければならない。先ほども申し上げましたように、その国の著作権制度を見ればその国の国民の文化普及度がわかるというようなことを著作権関係者は言っておるそうでありますから、我が国としても、やはり文化国家というのが一つの大きな看板である以上は、教育の場においてなるべくそれらのことを教えていかなければならぬと思いますが、しかしながら、著作権というものをそのままとらえてどの段階から教えたらいいか、正直に申しまして私もよくわからないことがございますので、小学校の初めの段階から著作権はと言ってもちょっと無理ではなかろうかというので、今、小学校、中学校の段階では、基本的人権とか他人の権利とか、あるいはそういう社会科の扱う道徳領域の中で、この権利を大切にしよう、人の権利を侵してはならないというようなことを通じて著作権という言葉をできればその中から教えるようにしておりますし、具体的現実にここで御議論をいただいておりますような高度の著作権に関する問題については、今は高等学校の商業に関する科目の中において著作権を取り上げ、指導しておるようにいたしております。
#140
○政府委員(加戸守行君) 大学におきましては、もちろん著作権専門の学者が少ない点もございまして余り普及はしていないわけでございますけれども、私どもが承知しています限りでは、国立ては新潟大学と図書館情報大学で著作権法の授業科目を設けておりますし、私立大学でも、青山学院大学、大東文化大学、日本大学、立教大学といった大学で著作権法の講義が行われております。それから、それ以外の大学におきましては、いわゆる無体財産権法といいまして工業所有権と著作権をドッキングさせまして無体財産権法の授業科目が設けられている中で著作権についても講義がある大学がございまして、これは東京大学、千葉大学、神戸大学とかあるいは早稲田大学、上智大学、国士舘大学、創価大学、成 大学といった、それぞれに関して、言うなればある程度著作権の知識、学識をお持ち合わせの先生方が取り上げていらっしゃるという状況のように理解しております。
 法律の授業科目の中には全部著作権法は取り上げていただきたいというのが私ども文化庁の切なる気持ちでございますけれども、まず学者養成から急がなければならないという、若干泥縄式の問題もございます。
#141
○高桑栄松君 例えば、レコードには著作権のことが何か書いてあるそうでありますが、本なんかにも、著作物なんかにも、何かそういったPRを入れておくと、その本を買った人が読んでおやおやという、著作権に対する認識を新たにするということがあると思うので、そんなのも一つのアイデアではないでしょうかね。いかがでしょうか。
#142
○政府委員(加戸守行君) かつてまだ著作権の揺籃期におきましては、いわゆる版権所有ということを明示しなければ、今の著作権に相当する当時の版権の保護がなかった時代がございまして、その名残が版権所有として残っているわけでございますが、出版物の中にも、無断転載を禁ずるとか、権利者に無断で複製をしてはならないとかという表示があるものもございます。ただ、書籍の場合につきましてはそんなに多くはございませんで、むしろ一般的な表示が多いのはレコードの方でございまして、これは貸しレコードあるいは今のホームテーピングの関係もございまして、いかなるレコードのジャケットにも、無断複製を禁ずる、あるいは許諾がない場合には貸与を禁ずるというような表示がすべて入っているわけでございます。
 そういった点で、非常に表示の意味がございますのは、先ほど申し上げましたアメリカ合衆国が登録制度を採用しているということがございますが、アメリカにおきましてはC表示、例えば日本からアメリカへ著作物が参りますときに、C、コピーライトの頭文字のCをとってCという表示をつけていないと、その後の訴訟提起あるいは登録の関係等で問題を生じますので、アメリカで保護を受けるためにはC表示というのが必要なわけです。したがって、アメリカの著作物というのはほとんどすべてにCがついている。ということは、Cのみならず−Cは略語でございます、コピーライト・リザーブド、つまり、著作権は保留するというコピーライト・リザーブド・バイ何々というような表示がございまして、いかなる著作物にもそういう表示があるということは、アメリカにおける著作権思想の普及向上にも役立っているのではないか。そういう点で日本も、方式あるいは登録は義務でございませんけれども、結果的にはアメリカにおいてはそういうのが役立っている点も非常に参考になろうかと思いますし、著作権の表示あるいは著作権の使用についての注意ということが著作物の複製物にたくさん載ることが私ども望ましいことと考えております。
#143
○高桑栄松君 それでは、最後に一つ質問をさせていただいて、ちょっと早いけれども終わらせていただきます。
 私は大学で教えておりましたので、資料を製作するときにいろんな著書から抜いてくるわけですね、それでこれは、自分が本を編集したり著書を出すときには、著者の許諾を得て、そしてその旨もちゃんと記載して出しますが、教材として使うときにはそのこともあるし、ないこともあるわけです。このごろはコピーが発達したものだから、ページとかみんなぱっと載りますけれども、昔はガリ版でとるならとてもじゃない、倹約するわけです。その意味で、著作権に対する考え方というのは、教材をつくる教師は意外と安易に流れているんだろうと、我が身を顧みてそう思っているわけです。
 それでまず小中高大学の先生方に著作権のことをちゃんと教える、教えるというか普及していただくのが大事じゃないかと思うんですが、教員養成大学でも入っていますかね。
#144
○政府委員(加戸守行君) 残念ながら、教員養成大学におきましてはそのようなことは教えられていないだろうと思います。
 ただ私どもの立場としましては、現職の先生方にも理解していただきたいという趣旨も含めまして、たまたま文部省で主催している関係もございますが、教育会館の筑波分館におきまして毎年開催されております小中学校の校長先生、教頭先生等の研修に当たりましては、文化庁からお願いをいたしまして、著作権の講義を一科目入れていただきまして、年間約千七百人程度を対象とします著作権の説明を、文化庁から講師を派遣いたしまして、小中学校の校長先生、教頭先生にはお話しを申し上げているということで、せめてそれが、学校現場に帰りまして学校の先生方にも著作権の大切さ、学校において利用する教材の関係の著作権問題等の認識を深めていただければという努力をしているところでございます。
#145
○高桑栄松君 ありがとうございました。
#146
○吉川春子君 それでは質問いたします。
 データベースをなぜ著作権法で保護するのか、また、著作権法で保護した場合どういう問題があるのかという点についてまずお伺いいたします。
 コンピュータープログラム、データベースの保護のために行う著作権法の改正は、著作権法の理念の変質をもたらすものではないのか、こういうふうに私は思うわけなんです。著作権法の目的の一つは、文化の発展に寄与することであります。この点について、著作者の権利を保護するということは、個々の著作者の精神的作業を法的に尊重すること、すなわちその作業から生じた成果である著作物を法的に尊重することであり、このことが文化の発展をもたらすのではないか、そういうふうに言っていいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#147
○政府委員(加戸守行君) 著作権法は人間個人個人の知的な創作活動の結果としてでき上がりました知的生産物、知的所産を保護することによりまして、文化の発達に寄与することを目的としているものでございます。
 そういう意味で、社会的にいろいろなものが、小説であれ、絵画であれ、音楽であれ、あるいは図面であれ、あるいは字引であれ、一般国民の前にその知的活動の成果物というのが利用関係が生じます場合には、その作家を保護するというのが著作権法の立場でございまして、データベースにつきましても、その情報を収集し、そしてコンピューターで検索できるように体系的に構成したものを保護するという視点に立って提案申し上げているわけでございますが、この考え方は、百科事典の編集者、国語辞典の編集者を保護するのとほぼ同様な視点に立っているわけでございまして、情報そのものをどのような形で集めるのか、あるいは選択するのか、あるいはそれをどう組み立てていくのかということについての知的活動の保護をするわけでございまして、事柄としては、編集著作物の著作者の保護をするのとほぼ同様な視点に立つものと御理解いただければ幸いでございます。
#148
○吉川春子君 データベースの細かい問題については引き続きお伺いしていくわけですが、著作権法の基本理念といいますか、その目的のところで、精神的作業から生じたものが著作物だと、こういう考えが基本的にあると思うんですけれども、その点はいかがですか。
#149
○政府委員(加戸守行君) ちょっと記憶が不明確で申しわけございませんが、国際人権規約等世界人権宣言の中で著作権の保護をうたっております中に、精神的活動の成果としての著作物を各国において保護するようにというような表現があったように思います。これはとりもなおさず、文化的所産と言われておりますものは人間の精神活動によって生み出されたものであるということは、著作物の定義自体でも、「思想又は感情を創作的に表現したもの」と言っているところから見ますれば、その精神活動の成果だということは当然にうなずけるわけでございます。
#150
○吉川春子君 著作物は、法第二条によれば、「思想又は感情を創作的に表現したもの」で、今御答弁があったように、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とされています。精神的な作業から生じたものを保護するのが著作権法であることはこの定義からもうかがえますし、今御答弁のあったとおりですが、所有権の保護は民法の大原則といいますか、中心ですが、精神的な所有権もあわせて保護している著作権法は財産権の保護を主として考えている民法をさらに一歩進めたものというふうに考えてもいいんじゃないでしょうか。
#151
○政府委員(加戸守行君) 日本国憲法の二十九条では、財産権はこれを保障するという規定がございまして、第二項で、「財産権の内容は、」「法律でこれを定める。」という規定がございます。
 先生おっしゃいますように、例えば有体物等についての財産権につきましては民法等によりまして規定されているわけでございますが、具体的な、いわゆる無体財産と呼ばれております、これは古い言葉でございますが、現在は知的所有権という言葉がよく使われるようになりましたけれども、その知的な所産につきまして、無形のものということでの保護が二つございまして、一つが工業所有権法の体系、一つが著作権法の体系でございます。特に著作権法の特質といたしましては、財産権としての保障のみならず、著作者人格権といういわゆる財産権と切り離された人格権が設けられている点におきまして、これは財産というよりも人格というような観点の保護でございまして、そういった点では工業所有権法とは異なるといいますか、異にする性格がございます。
#152
○吉川春子君 データベースも著作物であり著作権法で保護しようとする今回の改正法案の立場に立ちますと、精神的な作業から生じるのがデータベースであるということになるんでしょうか。この場合に、精神的作業の主体というのは法人なのか自然人なのか、どちらでしょうか。
#153
○政府委員(加戸守行君) これはケース・バイ・ケースによりまして異なるわけでございますが、個人がまさに一人でデータを集め、分類、整理し、選択し、かつ情報を加工してつくり上げていくとするならば個人の著作物でございますし、多数の方がそれに参画され、かつ、一定の例えばデータベースをつくる目的の企業あるいは会社の従業員としてその職務上データベースを作成したものでございますれば、そのでき上がったデータベースは個人の著作物ではなくて会社あるいは企業の著作物になるということでございます。
#154
○吉川春子君 著作権法の目的といいますか、保護しようとしている利益の一つに、精神的な活動を保護するというようなことがあるということは今御答弁でもありましたけれども、そういたしますと、法人という場合に、精神的な活動というのがあり得るんでしょうか。
#155
○政府委員(加戸守行君) 法人は、自然人に対しまして法律上のフィクションとして設けられた人でございまして、したがって法人と言うわけでございますけれども、法人もそれぞれ言うなれば一種の法人としての人格を持つわけでございまして、例えば企業イメージと言われるようなものもそうでございましょうし、また、対外的にも責任をとるのはだれかといえば法人がとる、つまり、その法人の責任において行動する。また、社会的信頼もその法人に寄せられているのであって法人の従業員個人個人ではない。そういった社会実態にかんがみまして、法人の人格というものを著作権法上も認めているわけでございます。
#156
○吉川春子君 法人が人格を持つということは疑いないことで、法人格という言葉もありますからいいんですけれども、そしていろいろなものの主体に法人もなり得ると。しかし、法人が主体になり得ないものもあるし、例えば法人に対して刑罰で処罰できるかどうかというような非常に難しい問題もありますが、精神的な活動というふうに言った場合に、法人がそういう精神的な活動はなし得ないんではなかろうか、非常に不自然ではないかと思うんですけれども、その辺についてはいかがですか。
#157
○政府委員(加戸守行君) 確かに先生おっしゃいますように、すべての世の中の精神活動は人間個人によって発するものでございます。ただ、一つの法人の中にありまして、その従業員が法人の意思を受け、法人の目的を達成するために、しかもそれは法人のものとしてつくり上げていくということにおきましては、あたかも対社会的にはその法人が一つの人格者として存在し、その法人の存在を位置づけるわけでございます。したがって、そういうものに対しましては、著作権法の立場におきましても法人の人格の発露と認め得るものにつきましては法人の著作者人格権を認めているわけでもございます。
 また、著作権法の中にもございますが、法人の両罰規定も設けておりまして、侵害したのが法人の著作物であれば、海賊版をつくったとするならば、その法人に対する両罰規定も著作権法上の罰則で規定いたしております。
#158
○吉川春子君 ちょっとここはややこしい問題なんですけれども、著作権法が主として自然人の権利を保護していて、法人というのは例外的に保護しているということは、うなずいていらっしゃいますように、あると思うんですね。そういう原則に立つと、法人を主体的に保護するというのはあくまでも例外的だと、しかしデータベースのような場合には、主として法人に著作権の帰属が認められるということに実体上なるんじゃないかと思うんですけれども、データベースが著作物であるとした場合に−さっきのをもう一度伺いたいんですけれども、要するに精神活動をするのは自然人なのか法人なのか、法人もそういう精神的な活動をして、そして著作物を生み出し得るものなのか、その辺はどうですか。
#159
○政府委員(加戸守行君) もともと著作物が個人の思想、感情によって形成されるものでありますがゆえに、自然人主義をとっている、ことは当然のことでございます。と同時に、法人の活動を法人の人格の発露と見得るというようなケースにつきましては、法人著作を認め、著作権法でその規定を設けているゆえんのものも――十五条でございますけれども、規定を設けておりますゆえんのものも、自然人主義に立脚しながら法人の人格を認めようという特別規定になっているわけでございます。
 それはあくまでも社会的実態から見てそうでございまして、著作物が無断で公表された、無断で直された、あるいは氏名表示が変わったということについて、それに対してクレームをつけ、著作者の人格を確保すべき立場にあるのはあくまでも法人でございまして、従業員が職務上参加したからといって従業員のものではない。それはまさに会社の、法人格の中に集合、集約されていると理解すべきであると考えております。
#160
○吉川春子君 データベースの作成の方法というのはいろいろあると思うんですけれども、データベースの価値は大きければ大きいほどあるんだというふうに言われています。データベースの作成というのは一個人のなし得るものではなくて、集団、それもできるだけ大きな集団の作成したデータベースが、社会的、経済的な価値も大きいわけです。
 データベースについては、私は、経済的な側面にだけ注目して、それを保護すれば足りるんではなかろうか。法人というものは自然人のような精神的な活動というものを本来なし得ないわけですから、そういうものをあえて精神的な活動を原則として保護するような著作権でフォローするんじゃなくて、むしろデータベースの持つ社会的、経済的な価値、そちらの方に着目して、そちらの面だけ保護すれば足りるんではないか、こういうような気がするんですけれども、どうでしょうか。
#161
○政府委員(加戸守行君) データベースの著作物も、著作権法上の著作物として位置づけているわけでございますが、そういう精神活動の成果としてでき上がったものにつきまして、例えばこれがまだ不完全である、データの間違いもあるかもしれない、もうちょっと念入りにチェックをして、そして市場流通をさせようと思っているにもかかわらず、それが無断で市場に流れた場合には、そのAという企業のデータベースとしての不評を買う。それはやっぱりAという法人の人格を傷つけるという点で公表権も必要でございますし、あるいは、作成されたデータベースがA社のものであるにもかかわらず、B社の名前で市場流通するということは許せないという気持ちもございましょうし、あるいはデータベースの内容を変えるに当たりましても、A社の製品として自信を持って送った製品が無断で勝手に内容が変えられているというのも、やっぱりA社の名誉を傷つけるということでございましょうから、やはりこの著作者人格権の総合的な観点から著作権法で保護するのがまさに必要でございまして、別個の体系にするということにつきましては、今のような人格の保護に欠けるという点があります。
 それからもう一つは、単独立法で何か保護するといたしますれば、それは、著作物でないという視点での独自財産権の保護ということになりますれば、日本独自の法制でございまして、日本が著作権条約を通じて百一カ国との間の相互保護関係は切断されますから、残りの百一カ国と単独で個別に日本の独特な制度に見合ったデータベース保護協定でも百一カ国との間に締結しなければ国際的な保護が図れないという基本的な大きな問題も出てくるわけでございます。
#162
○吉川春子君 人間のつくるものはすべて著作権法の言う精神的活動の所産であるということは言えないと思うんですね。車なども集団でつくるわけですよね。部品の組み立てとかそういうものも集団でやるし、建て売り住宅を建てるとかいろんな作業も集団でやるけれども、これは精神的活動の所産であるというふうには言わないわけです。膨大なデータベースを集団でつくるということも、私は、車をつくったり家をつくったりするのとどこが違うのかなというような感じもするんですね。しかし、もしそれが精神的な活動の所産物であるとすれば、できたものは原則として自然人に帰属させるべきであって、法人に帰属させるということは、またそこは原則から外れるんじゃないかと思うんです。
 どうも著作権法でデータベースのような、芸術でもない、何というんですか、文化の一部分ではあるけれども何か非常に経済的なものを著作権法というもので保護することが、何か今までの著作権法の枠を大きく踏み出しているというか、踏み外して、この著作権法の概念自体の非常に大きな転換を迫られるんじゃないか、そういうおそれがあるような気がするんですけれども、著作権法の変質と混乱をもたらすんじゃないかと思うんですけれども、その辺については文化庁としてはどういうふうにお考えですか。
#163
○政府委員(加戸守行君) 残念ながら吉川先生と意見を異にするわけでございますけれども、やはり人間の知的な活動によってつくられたものを保護する著作権法の目的からいたしますれば、いろいろな分野のものが出てくるわけでございます。
 例えば、一八八六年のベルヌ条約創設のときには写真を想定いたしておりませんでした。写真とか映画という手段が出てまいりまして、一九〇八年のベルリン改正条約の際にそれが保護対象として追加されたわけでございまして、そのときの議論といたしましても、カメラをぱちっと押すだけで被写体が写るものは人間の知的活動の所産といえるのかという議論があったわけでございます。しかしながら、それはどう背景を切り取ってそれを自分のものとしてそこに写し出すということにおける創作性というのが強調されて、現在では写真は疑いもなく著作物だという理解になってきているわけでございますけれども、その知的創作活動の程度というのはそれぞれのものによっていろいろ違うわけでございます。
 しかしながら、著作権法はあくまでも人間の思想、感情を創作的に表現した場合には著作物として保護するという体系をとっているわけでございまして、データベースについての御意見がございましたが、例えば類似のものでございますけれども、先般の参考人が説明の際に、国会図書館のあの書誌情報でございますか、というパンフレットを提示されまして、その後にデータベース化されたテープを提示されました。これは内容的にはほぼ同一のものでございます。現在、国立国会図書館で出しております書誌情報は、編集著作物として著作権法上の五十年の保護を受ける著作物でございます。それがデータベースとしてテープの中に入ったら著作権法で保護するのが不適切だということになりますと、その辺の関係は説明がつかなくなるわけでございまして、データベースというのは、あくまでも本来的には出版された編集著作物と本質的には変わりない。ただ、もっと付加的な要因がございますのが、データベースとしての利用をコンピューターによって検索することができるように体系的に設定する。つまり、従来の編集著作物よりもはるかに知的創作性が付加されたものであるという点においては、編集著作物以上の必要理由をもって著作権法で保護すべきものと私どもは考えております。
#164
○吉川春子君 文化庁の考えと私の考えは違うわけですが、どうも精神的な活動、文化、芸術、そういうものを保護しようということでスタートした著作権法が、技術革新というようなことの波を受けて、次第にその変質を迫られて、しかも反面、自然人のそういうような権利の保護がおろそかになっているという、そういう感はぬぐえないわけなんです。
 そこで、次の問題について伺いたいんですけれども、それではデータベースを著作権で保護しようとした場合に、保護期間が五十年である、この期間が長いのか適切なのかという問題についてはきょうもいろいろな論議がありました。それで、私は端的に文化庁にお伺いしたいんですが、次の条約の改正期には日本も独自の考えを出したいということでしたけれども、五十年が長いとすれば、何年ぐらいが適切なんでしょうか。
#165
○政府委員(加戸守行君) 保護期間の問題につきましては、データベースの保護期間につきましては私どもは五十年が妥当だと考えているわけでございまして、それは先ほど例に出しましたけれども、国会図書館の書誌情報が、印刷物なら五十年、テープに入ったら二十五年という論理は納得できないわけでございます。
 ただ、先般来の御質問はプログラムの保護期間についてでございましたものですから、コンピュータープログラムについては、通産省との間の議論をしました際にも問題となった事柄であり、また、国会の附帯決議でも中長期的観点から検討するべき旨の条項がございますので、そういった点では、将来におきます国際的な動向、つまり各国がどう考えているのかという考え方もございますし、国内におきます関係業界あるいは権利者、ユーザー側の御意向等も踏まえながら対応すべき事柄だと思います。
 ただ、条約的に言いますと、今ベルヌ条約の上では五十年の例外を規定しておりますのが、応用美術と写真について二十五年という規定がございますので、仮に短縮の方向での改正論議が起きるとするならば、コンピュータープログラムの著作権の保護期間については二十五年という提案がなされる可能性はあると考えております。
#166
○吉川春子君 データベースは五十年保護するのが望ましいと、こういうお考えだそうですが、通産省にお伺いいたしますが、データベースのコストの問題で、大変コストのかかるものだというふうに聞いていますが、このコストの回収期間というのは、データベースの場合、平均してどれぐらいのものでしょうか。おわかりになりますか。
#167
○説明員(大宮正君) ただいま先生から御指摘ございましたように、データベースというのは非常に構築費用が、これは資料を収集いたしましてそれを人手でコンピューターに打ち込むわけでございますから、非常にお金がかかることは事実でございます。
 ただ、日本のケースで申し上げますと、実はまだコンピューターデータベース産業というのは、これは揺籃期といいますか、非常に各国と比べてもこれからというところでございまして、実は私ども、正直申し上げて、一体どれだけで収支が見合うかということに対して、確たる資料は持ち合わせておりませんけれども、去年来いろいろ私どもが勉強してきたところでは、いろんなデータベースの思想が普及していけば、まあ大体十五年程度で非常にいいケースについては収支がとれるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
#168
○吉川春子君 私がいただきました日本データベース協会の資料によっても、回収期間が、一番長い方で五年から十年、二年から五年、二年以内と、こういうような形で、ほとんど一〇〇%近い数字になるわけですけれども、コストの回収期間と権利の保護期間との問題について、通産省はどうお考えになっていますでしょうか。コストの回収期間と無関係に権利の保護期間というのは決められないと思うんですけれども、その点いかがですか。
#169
○説明員(大宮正君) 私ども今、コストの回収期間と保護期間とが何らかの形でリンクしなきゃいかぬというふうには必ずしも考えておりません。先ほどから文部省の方から御説明ありますように、やはりこれは、権利の保護問題として、データベースのそういう創造性というものを何年間保護すればいいかというような、やはり著作権法の一つの考え方のもとに整備されるべきものだと、こういうふうに考えております。
 したがいまして、現在の国際的な情勢等を勘案いたしますと、現在の著作権法の体系の中でこれを処理する。先ほどお話しありましたように、プログラムについてもいろいろ意見があったわけですが、そういった検討結果も踏まえながら、現在の段階では著作権法の五十年の保護期間ということが適当であろうかと、こういうふうに考えております。
#170
○吉川春子君 工業所有権の保護期間が十五年というふうにされていますのは、この間の独占的な使用権を認めているということで、ある程度経済的なもともとれる範囲というような見方もされると思いますがいかがですか。
#171
○説明員(大宮正君) この点は、先ほどちょっと申し上げましたけれども、そういう工業所有権の体系とそれから著作権法の体系、どちらでいくかという考え方でございまして、私どもは、政府部内で検討した結果、いわゆる現時点では著作権法の体系で処理していこうと、こういうふうに考えたわけでございます。
#172
○吉川春子君 いや、工業所有権の保護期間が十五年となっている意味について伺っているんですけれども、これは経済的なといいますか、コストの回収がある程度可能な期間という意味も含んでいるんですか。
#173
○説明員(大宮正君) この点につきましては、まことに恐縮でございますけれども、これは特許庁が所管でございまして、私それに対して、そういう考え方がどうかということはここではちょっとお答えをはっきりできないのは恐縮ですが、調べて、また後からその考え方自体を御連絡するようにいたします。
#174
○政府委員(加戸守行君) 工業所有権法と著作権法の保護期間の違いにつきましての特性がございます。
 それは、工業所有権法におきます特許権とか意匠権といいますものは、一種の絶対的独占権でございまして、だれかが発明をすれば、全く別個に同様なものの発明をしても実施ができない。つまり、だれか最初につばをつけた人が絶対的な独占権を持つ。それに対して著作権法の世界では、別にアイデアの盗用がいいというわけではございませんが、似たような考え方で別の著作物もできれば、あるいは、独自に作成した結果類似のものができ上がっても、それは著作物として別個に保護される。そういった意味では相対的な独占権と申しております。したがって、工業所有権法では絶対的な独占権をまさに一手に保障するから保護期間が短く、著作権の場合には、そういった相対的な独占権であるから保護期間が長いというのが、工業所有権法と著作権制度の違いでございます。
    ―――――――――――――
#175
○委員長(林寛子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま井上裕君が委員を辞任され、その補欠として金丸三郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#176
○吉川春子君 通産省はプログラム権法の中で保護期間を二十年としましたけれども、これは経済的な採算、コストの回収という点も考えられて決めたんですか。
#177
○説明員(大宮正君) プログラム権法を我々が当初政府部内で議論したことのお話でございますか。
#178
○吉川春子君 そうです。
#179
○説明員(大宮正君) そのときの議論というのは、私当時おりませんのでちょっとつまびらかではございませんけれども、先生御指摘のような視点もあったかと思いますが、これは当然政府として、いろんな議論をしながら調整をして、整合性のとれた格好で国会へ提出する。これは既に昨年、前の国会で著作権法の体系で、国際的な、まあ先ほどお話しありましたように、条約との関連もございますし、それから相互の権利が対外的にも相互主義に基づいて保護されなきゃいかぬというようなこともございまして、著作権法の体系でいくのが適当であるという結論を下したわけでございます。
#180
○吉川春子君 データベースのコストの回収は、先ほどお話しもありましたように、十五年程度というわけですけれども、非常に速いテンポで時代が流れて科学技術の進歩が進んでいるわけです。著作権法で保護するという立場に立っても、五十年の長い間データベースを保護する意味がどこにあるのか。データベースをその間やっぱり実際的には独占的にといいますか、その著作者が利用するわけですから、そういう意味で、プログラムソフトなどでもそうですけれども、もっと速いテンポで使用の価値がなくなるとも考えられますし、もっと保護する期間を短くすべきではないかというふうにも考えられるわけです。
 こういう質問をしますと文化庁は、価値のある間は著作権で保護するというふうにお答えになるわけです。価値のある間は著作権は保護していいんだ、五十年という長きにわたってもね。しかし、そうすると、著作権を所有権としなかった法の趣旨には反することになるのではないかと、こういうふうにも思われるわけです。科学技術、文化の普及向上という立場からすれば、非常に速いテンポで価値の変化してしまうものを、従来の著作権と同じ長さで保護するのではなくて、適当な期間に保護期間を短縮して万人の使用に供することが著作権法の精神にマッチするのではないかと思うんですけれども、今条約の縛りがあるとかないとかということはさておいて、考え方としてはどうでしょうか。
#181
○政府委員(加戸守行君) 著作権制度の特質と申しますのは、一つの基本的なルールのもとに、例えば新しいものが出てくればそれに対応する、新しいメディアが出てくればまたそれに対応するという形で、非常に弾力的で可塑性に富んだ制度でございます。しかるがゆえに、写真が出てき、映画が出てき、レコードが出てき、あるいは放送という手段が出現しても、それに適切に対応できて、一種のアミーバのように、出てきたものを全部のみ込んでいきながら、それを一つの制度として運用していくというすぐれた特質を持っております。
 その中で、著作物の価値論、あるいはその利用の必要性というものから申し上げれば、例えば先生御指摘ございました、科学技術の進歩に対応して科学技術を早く開放すべきではないかという論理でございますれば、これはデータベースのみならず、学術論文は一般の小説よりは保護期間を短くすべきであるという論理にもなってくるわけでございますし、そういった点を考えますと、個別的な著作物をこれは幾らこれは幾らと年限をいろいろ判定することは極めて至難のわざであると同時に煩瑣なことにもなります。
 条約上の著作権制度はなぜこれだけ百二カ国にも及んでいるかというと、極めて弾力的で可塑性に富み、かつ、一つのシンプルなルールによって律せられているからこそでございまして、データベースに関してのみ特異な制度をつくるということは、国際的にも受け入れられないことでもございますし、また、五十年であるがゆえに絶対困るという論理は私どもは出てこない。もちろん、今はかの著作権制度というものが存在しなくてデータベースのみを保護しようというならば、その単独法としてこれは二十年がよかろう、二十五年がよかろうという論理はあり得るといたしましても、今申し上げたような著作権制度というすぐれた特質を持った制度の中で考えました場合には、それは個別論は言っていれば切りがない話であり、かつ、その相互バランスからいいますと、データベースがそうならばじゃ編集著作物はどうであるか、学術論文はどうであるか、設計図はどうであるかという議論に発展して、まさに制度そのものが崩壊するというぐあいに考えております。
#182
○吉川春子君 ですから私は、データベースとかあるいはコンピュータープログラムなどは著作物の概念にはなじまないではないかと、そういう考えに立つわけです。
 ここで大臣のお考えをひとつお伺いしたいと思いますが、文化庁は、まあ文部省もそうですけれども、国民の精神活動、文化というものについての向上とか保護を図るお役所であると思うんですね。最近の著作権法の改正を見てみますと、だんだん文化庁が通産省に近づいていっているようなそんな感じを私は受けるんです。経済的な利益の保護の方に非常に傾いていって、そして、文化庁の独自の分野である国民の精神的な活動の保護、向上、そういうものがやはりないがしろにされているんじゃないか、そういう感じが今度の著作権法の改正の一連の動きの中で非常に感ずるわけなんです。
 技術革新が急激に進む中で、人間の精神活動、文化、芸術、それに係る権利が脅かされているという面が一面にあります。私は、むしろ文化庁は、こういうことがないがしろにされないように、ここを中心に問題を考えるべきで、経済活動といいますか、そういう経済的な価値の強いものを保護するということにずっと傾いていって、その反面、じゃ、データベースにかかわっている個人の利益はどうなるのかとか、法人の利益に全部帰属させちゃうものはどうかとか、あるいはデータベースがどんどん侵食してきて日本の文化にいろんな影響を与えていることについてどうかとか、そういうような、余り詳しい検討なしに今度の法改正が出てきたということは非常に残念に思いますが、その辺、文化庁のあり方といいますか、大臣のお考えを伺わせていただきたいと思います。
#183
○国務大臣(海部俊樹君) 人間の知的活動の所産を保護するから著作権法という名前の法律でありますし、また文化庁は、その問題につきましては通産省といろいろ事前に公式、非公式にお話を何度もしてきたとは思いますが、守るべきものはきちっと守って、そして文化創造の基盤としての著作権を大事にしていこう。今御議論の問題については文化庁の加戸次長が詳しく御答弁申し上げておりますから重複することを避けますけれども、あくまでそれは文化庁としての立場を守ってこの著作権法の改正をお願いをしておる、こう私も理解をいたしております。
#184
○吉川春子君 私どもも、データベースの保護は必要であるし、その情報に対して価値を認めて創作者の権利を保護するということは、科学技術の発展、文化の発展普及という点からも重要なことであると考えています。その創作者がだれであっても、またどんな国の人であっても当然保護されなければならないとも思います。しかし、その保護のあり方が、情報源の独占的な地位を特定の国、法人、人に許したり、人間の自由な創作活動を阻害するものであってはならないというふうにも思います。国際的な情報化会社におけるデータベースの果たす重要な役割を考えるときに、その保護のあり方については非常に慎重であるべきではないかと、こういうふうに思うわけなんです。我が国で利用されているデータベースは、科学技術分野で約九〇%がアメリカを中心とする外国製です。特に、データ処理施設、そのための研究開発がアメリカに集中することによって、広範な技術開発の最前線に自分の国が進出する機会が狭まるということを心配している国も実は多いわけなんです。
 文化庁は、このアメリカの多国籍企業への情報の集中、日本への進出という実態についてどういう認識を持っておられるのか。今回の著作権法の改正に当たって、この点についてはどういう調査検討をされたのか。その点について次に伺います。
#185
○政府委員(加戸守行君) お互いにいろんな情報が、国内のみならず国際的にも交換されていくということは大切なことでもございます。そういう意味で、我が国におきますデータベースの現状も、現在アメリカのものが高いシェアを占めているわけでございますけれども、ただ、日本人の英知をもってすれば、日本におけるデータベースもどんどん増加してまいるでございましょうし、また、国際的にも流通するようになる。それは、ある一時点をとらえてのみの問題ではなくて、グローバルな意味で、あるいは長期的に見るべき事柄であろうと思いますし、事柄はデータベースを著作権法上の保護をするという明確化によりまして、安心してデータベースの利用が普及していくということを期待しているわけでございます。
 先生おっしゃいますようなデータベースの国際間のいろんな、著作権法とはまた別の視点からの問題というのはいろいろあろうかと思いますけれども、あくまでもデータベースの製作者を保護していくという観点に立った提案を申し上げているわけでございます。
#186
○吉川春子君 そういう、問題がいろいろあろうかと思うかというその程度の認識では実は困るんであって、これが非常に重要な結果をもたらすということも含めて私は指摘していきたいと思うんです。
 通産省にお伺いいたしますけれども、産業構造審議会の報告によりますと、フランスでは、アメリカのデータベースサービス業者の進出に対して脅威を抱いて、大統領の諮問に答えた報告、「ノラ・マンク・レポート」を出して、「外国のデータベースによる支配は、情報の文化的植民地化を招き、国家的危機にもつながる」として、政府の対抗施策を講じているというふうに聞いています。
 我が国としては、この問題についてどういうふうに考えるのか、何らかの対策を講ずる必要はないんでしょうか。
#187
○説明員(大宮正君) ただいまの先生の御引用になりました産業構造審議会の情報提供サービス振興小委員会、これは私どものところでやっておる委員会でございまして、御指摘のようにフランスでは「ノラ・マンク・レポート」というものがございまして、先生のような認識があるわけでございますが、ただ我が国は、必ずしもフランスと同様の認識ではございません。
 先ほどちょっとお話しもありましたように、日本はむしろ、海外からいろんなアメリカあたりからデータを輸入して、今日のいろんな日本の産業的なこういう発展もあるわけでございまして、むしろこれからは日本自身が、こういう日本の持っておるいろんな知識とかデータをデータベース化して、日本の国内だけではなく、海外に対してもそういうものを提供していこうというようなことで、そういった意味で、いわゆる情報化の進展あるいは日本のいろんな新しい知識を、そういうものを逆に海外から求められておりまして、そういうものを提供していこうと、こういう立場からデータベースの振興というのを進めるということで実は私どもやっておりまして、その答申をお読みいただいたらわかると思うんですが、そこにずっと書いてございますけれども、一つは民間のそういうデータベースの振興。それから、きょうもお見えになっております科学技術庁さんとか、あるいは通産省の特許の関係の政府のそういう大きなデータベースをできるだけ民間が使えるようにする。それから第三番目に、データベースがどこにどういうものがあるかということのわかるデータベース台帳というのをつくっておりますが、こういったことで、これから日本にも大いにデータベースを育成していきたい、こういうことでやっております。
#188
○吉川春子君 時間が思いのほか早くなって…。
 ちょっと科学技術庁に伺いますが、産構審の資料によりますと、日本のデータベースの産業利用の最高比率を示しているのが化学分野だと。アメリカの世界最大のデータベース、ケミカル・アブストラクトが日本に対して要求しているSTNインターナショナル構想、この構想というのはどういうものなのか。これについて我が国としてはどういう対応を示しているのか、示そうとしているのか、その点について端的にお答えください。
#189
○説明員(佐藤征夫君) STNインターナショナル、国際科学技術情報ネットワークと申しますのは、科学技術庁の特殊法人でございます日本科学技術情報センターがアメリカの米国化学会の機関でございますケミカル・アブストラクト・サービスと西ドイツの政府関係機関でございますFIZ・4という情報提供機関との間で同種のコンピューターを設置いたしまして、国際的なネットワークをつくりまして、それぞれの持っておりますデータベースを相互に利用しようという構想でございます。
 日本科学技術情報センターにおきましては、アメリカのケミカル・アブストラクト・サービスからの本構想への参加提案に対しまして種々の面から検討をいたしまして交渉を重ねました結果、ケミカル・アブストラクト・サービス、FIZ・4と日本科学技術情報センターの間でほぼ本質的なところで合意に達したわけでございます。日本科学技術情報センターにおきましては、今後早急に協定の締結をいたしまして、本年度中に計算機等を導入いたしまして、昭和六十二年度からドイツそれからアメリカと総合的に提供サービスを開始する予定でございます。これによりまして、日本の研究者等が欧米の科学技術情報を利用しやすくなるばかりではございませんで、海外から我が国の科学技術情報を利用しやすくなるということで、国際的な科学技術情報流通に非常に貢献するものと考えております。
#190
○吉川春子君 このCASの化学情報は、日本の科学技術情報センターのそれよりも圧倒的に多いわけですね。このデータベースが日本のユーザーにも利用が容易になることによって、JICSTのこの分野でのデータベースと競合する結果、情報量のはるかに多いCASの方にユーザーが流れるおそれはないのか。
 そして、その結果、この分野の情報収集についてJICSTの方が放棄するというようなことになればこれは一大事なわけですけれども、CASの方のねらいは、国際情報をネットワーク化してそれを一手に握って、化学情報の完全な独占を目指しているんだ、こういう指摘をする人もいるんですけれども、こういう心配は全くないと言い切れるんですか。
#191
○説明員(佐藤征夫君) STNインターナショナルは、先ほど御説明申し上げましたとおり政府関係機関あるいは非営利団体の機関でのネットワークでございまして、また、日本科学技術情報センターは、日本科学技術情報センター法によりまして、「わが国における科学技術情報に関する中枢的機関として内外の科学技術情報を迅速かつ適確に提供することにより、わが国における科学技術の振興に寄与することを目的とする。」ということになっておりまして、利用者にとって最大の利益が図られるよう事業を運営しております。
 また、先ほど御指摘のございました科学技術情報センターでつくっておりますデータベースは、日本語で海外のあらゆる分野、単にケミカル・アブストラクト・サービスでやっております化学関係だけでございませんで、機械、物理、電気、あらゆる分野の資料を集め、データベースを作成しております。これはSTNと別のシステム、JOISという日本語でもって検索できるシステムでサービスしてございます。また、データベース作成には非常にコストもかかりますし、国際的にも相互に有効利用するということは資源の有効利用という観点からも非常に必要なことでございまして、御指摘のような心配はないと考えております。
#192
○吉川春子君 時間が参りましたので、総務庁の方、せっかくおいでいただいたのにもう時間がなくなって申しわけありません。別の機会に、プライバシー等に関する質問は譲りたいと思います。
 今そういう心配はないというお話でしたけれども、それであればもうそれは結構なことなんですけれども、私は、この問題は非常に重要であるし、やはり文化庁がデータベースを著作権法で五十年保護するんだ、それは大切なことなんだと、こうのんきなことを言っているような時代じゃないんですね、実は。そういう問題についてきょうは指摘だけして、また引き続きこの問題についても質問をしていくということで、私の質問は終わりたいと思います。
#193
○委員長(林寛子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#194
○委員長(林寛子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより両案の討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#195
○吉川春子君 私は、日本共産党を代表して、著作権法の一部を改正する法律案並びにプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案に対して反対の討論を行います。
 我が党は、データベースの情報に対してその価値を認め、創作者の権利を保護することは文化の発展、普及のためにも極めて重要であると考えています。しかし、その保護のあり方については、著作権法の基本理念とのかかわり、世界最大のデータベース、ケミカル・アブストラクトに見られるアメリカのデータベースの排他的な独占の進行と、国際的にも深刻化している越境データ流通問題、プライバシー保護の問題等とあわせて検討されるべきものであると考えます。
 本法案は、これらの点について検討及び対策が極めて不十分なまま提案されたのみならず、データベースを著作権法で保護することを明確化するという本法案の内容も次のような重大な問題点を持っているのであります。
 第一は、データベースの著作物性についての検討と、何よりも著作権法が保護しようとしている自然人の精神的活動についての検討も極めて不十分なまま、著作権法で五十年にわたり保護することから生ずる問題であります。
 工業所有権である特許権が独占的所有権を十五年としているのも、その保護する期間が長過ぎることによって公共の利用、産業技術の発達を妨げるという理由からであります。プログラムの五十年の長期保護と同様に、データベースの長期保護は、著作権法の個人の利益を守りながら文化の普及と発展に寄与するという原則に反するのみならず、米国の情報産業の多国籍企業等に情報源の占有と独占価格を保障することになります。その結果、我が国の自主、民主、公開の原則に立つべき多様なデータベースの開発、科学技術の発展を阻害する危険が極めて大きいことであります。
 第二は、著作権法の基本理念の変質を一層進めるものであるという点です。
 もともと著作権法は、創作者である自然人の自由な精神活動による所産に対して権利を保護することによって文化の創造、発展、普及を目指すことを基本理念とし、法人等の著作権保護は例外的な規定とされているのであります。
 本法案は、データベースを創作性を有する著作物とする一方で、事実上の創作者に対して何らの権利も利益も配慮されていないばかりか、ただ法人の権利保護を目的とした法改正となっていると言っても過言ではありません。データベースの製作が社会化、集団化の性格が強いものであるとしても、このような著作権法の基本理念を変質させる法改正には賛成できないのであります。
 第三に、本法案の提案に関連して言えば、データベースの開発、普及は、個人のプライバシーの侵害の危険性と切り離せない重要な問題です。我が国はこの点でも国際的に極めて立ちおくれていますが、本法案提出に当たってもプライバシー侵害の規制について立法的な対応も全く示されていません。
 以上がデータベース保護にかかわって反対する主な理由であります。
 本法案の第二の柱は、有線系ニューメディアに関する著作権の法的保護であります。
 CATV事業者の自主放送に関して、放送事業者の自主放送に対して放送事業者の保護に準じて著作隣接権を認めるなど法的に権利を保護すると同時に、放送事業者や音楽有線放送事業者に実演家及びレコード製作者に対する商業用レコードの二次使用料の支払いを義務づけるなどの内容は我が党も妥当であると考えます。映画における実演家等の著作隣接権が依然として認められていないなど本法案の改正に問題点はありますが、ニューメディアの部分に関しては賛成できるものであります。しかし、本法案は分離されておらず、全体としてはということになればやむなく反対いたします。
 なお、プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案につきましては、さきの著作権法の一部改正案を実行するためのプログラム登録制度の創設であり、反対するものであります。
 以上で討論を終わります。
#196
○委員長(林寛子君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより両案について順次採決を行います。
 まず、プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#197
○委員長(林寛子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、著作権法の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#198
○委員長(林寛子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、粕谷君から発言を求められておりますので、これを許します。粕谷君。
#199
○粕谷照美君 私は、ただいま可決されましたプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案及び著作権法の一部を改正する法律案の両案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四党共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗続いたします。
    プログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律案及び著作権法の一部を改正
    する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、文化の発展に寄与する著作権保護の重要性にかんがみ、著作権思想の一層の普及に努めるとともに、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。
  一、プログラムの登録機関の指定及びその運営に当たっては、登録事務が適正かつ円滑に行われるよう十分配慮すること。
  二、ニューメディアに関する著作権問題については、今後とも情報伝達手段の進歩等に留意しながら適切に対処すること。
  三、複写複製問題については、文献複写に関する著作権の集中的処理体制の確立に努めるとともに、出版物の版面の利用に関する出版者の権利の創設について検討を進めること。
   また、私的録音・録画問題については、録音・録画の機器・機材に対する賦課金制度の導入など抜本的解決のための制度的対応について検討を急ぐこと。
  四、「実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約」への加入について、その検討を急ぎ、適切に対応すること。
   なお、ビデオディスクの発達等により録音・録画された実演の利用が多様化している等の実態を勘案して、実演家の権利の適切な保護等について検討すること。
  五、コンピュータ創作物の保護に関する問題については、今後における技術の発達普及に十分対応できるよう検討を進めること。
 六、著作者等の貸与権に関しては、著作権法の一部を改正する法律(昭和五十九年法律第四十六号)施行後に形成された円満な利用関係の維持に努めるよう当事者に対し指導する等適切に対処すること。
  右決議する。
 以上でございます。
#200
○委員長(林寛子君) ただいま粕谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#201
○委員長(林寛子君) 全会一致と認めます。よって、粕谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、海部文部大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。海部文部大臣。
#202
○国務大臣(海部俊樹君) ただいまの御決議につきましては、御趣旨を体しまして、今後努力をいたしたいと考えております。
#203
○委員長(林寛子君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#204
○委員長(林寛子君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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