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1985/04/24 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 大蔵委員会 第10号
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1985/04/24 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 大蔵委員会 第10号

#1
第104回国会 大蔵委員会 第10号
昭和六十一年四月二十四日(木曜日)
   午後零時十二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     梶原 敬義君     竹田 四郎君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     福岡日出麿君     杉元 恒雄君
     赤桐  操君     菅野 久光君
     鈴木 和美君     上野 雄文君
     竹田 四郎君     安永 英雄君
     桑名 義治君     太田 淳夫君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 富雄君
    理 事
               大河原太一郎君
                藤野 賢二君
                矢野俊比古君
                村沢  牧君
                多田 省吾君
    委 員
                伊江 朝雄君
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                河本嘉久蔵君
                杉元 恒雄君
                中村 太郎君
                藤井 孝男君
                藤井 裕久君
                宮島  滉君
                吉川  博君
                上野 雄文君
                菅野 久光君
                鈴木 和美君
                安永 英雄君
                太田 淳夫君
                鈴木 一弘君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                野末 陳平君
                青木  茂君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       宮内庁次長    山本  悟君
       皇室経済主管   勝山  亮君
       大蔵政務次官   梶原  清君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵大臣官房審
       議官       大山 綱明君
       大蔵大臣官房審
       議官       亀井 敬之君
       大蔵省主計局次
       長        小粥 正巳君
       大蔵省主計局次
       長        角谷 正彦君
       大蔵省理財局長  窪田  弘君
       大蔵省国際金融
       局次長      橋本 貞夫君
       国税庁間税部長  村本 久夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   説明員
       大蔵省造幣局東
       京支局長     太田 幸維君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び
 一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(山本富雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は、昨日聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○鈴木和美君 私は最初に、事務的なことでございますが、事務当局に伺っておきたいと思います。
 今回、天皇陛下御在位六十周年を記念いたしまして臨時補助貨幣を発行することになりましたが、その品位、形式などについてはどういうものを考えているのか、事務的に簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。
#4
○政府委員(窪田弘君) これはこの法律をお通しいただいてから政令で決める予定でございますが、品位は、十万円につきましては純金、一万円については純銀ということでございまして、十万円の金貨につきましては量目は二十グラム、銀につきましては三十グラムということでそれぞれ製造をいたしたいと考えております。
#5
○鈴木和美君 もう一つは、資料を見せていただきますと一兆一千二百五十億という金額でございますが、この三種類の記念貨幣発行による財政収入を幾らと見込んでいものか、種類別に教えていただきたいと思います。
#6
○政府委員(角谷正彦君) 造幣局の補助貨幣回収準備資金からの一般会計繰り入れというのは、いろんなものがありますので、総額四千三百九十九億でございますが、その中から金貨分だけを抜き出すということは、製造経費をどう割り掛けるかとかいろんな技術的な問題がありますので若干困難な面がありますが、仮に一定の前提を置いて計算いたしますと、今申し上げた額面発行総額は全体で一兆一千二百五十億でございます。この中から製造経費、原材料費等を引き、それから補助貨幣回収準備資金の積立所要額の一割分を控除することといたしますと、全体で約三千七百億でございます。
 この種類別でございますけれども、金貨にかかるものが約二千七百億、それから銀貨にかかるものが約八百億、それから白銅貨にかかるものが約二百億であろうと一応推定されるわけでございます。
#7
○鈴木和美君 ちょっと口は悪いんですが、補助貨幣を発行することによって、従来の補助貨幣の発行の経緯と若干今回は違いまして、つまり天皇御在位六十年というものを利用して、財政事情の逼迫を金貨を発行することによって国が金もうけをするというような商売に徹した、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#8
○政府委員(窪田弘君) 実は、天皇陛下御在位五十年のときにも、当時百円が最高でございましたが記念貨を出させていただきました。今回六十年につきましては、かなり前から金貨のような立派なものをつくるべきではないかという御意見がございまして、私どもは金の調達その他なかなか大変でございますのでためらっていたわけでございます。しかし、金の価格がこのところ安定している等の事情を見まして金貨に踏み切らせていただいたわけでございますが、これを大蔵省の中で議論いたしましたときに、やはり大蔵省内やや保守的な面がございまして、天皇陛下を種にして余り
財政収入を上げてはいかぬという声がございまして、そこはしかし結果としてある程度の収入をいただけるということならばまあお許しいただけるのではないかということで、先ほど主計局の次長から御答弁申し上げた程度の税外収入を見込ませていただいておりまして、あくまでもこれは記念ということが先行しておりまして、財政収入はその結果であるというふうに考えておるわけでございます。
#9
○鈴木和美君 結果であるということだと、大体四世帯に金貨は一枚ぐらいの計算になりましょうか、そういう算出根拠と、結果として三千七百億円もうかるということとは、一番最初の計画のときのつまり算出根拠というものはどういう点から算出されましたか。
#10
○政府委員(窪田弘君) 大体記念貨はこのところ七千万枚出させていただいております。それは大体一世帯に二枚ぐらいの計算で当時始まったのではないかと思いますが、今回も全体七千万枚といたしまして、そのうち金銀のような手間のかかるものを何枚にするかということが問題でございましたが、造幣局の製造能力、この法律をお通しいただいてから秋の十一月初頭に配布するまでに何枚できるか最大限見込みますとともに、金をかなり必要とするわけでございますが、一千万枚で二百トンという日本の一年の輸入量に匹敵する量になってしまうものでございますから、その両面から考えまして恐らく一千万枚が限度ではなかろうか。それに準じまして銀貨も一千万枚、白銅貨を五千万枚、こういうことで、いわば製造能力から逆算をいたしまして決めさせていただいたわけでございます。
#11
○鈴木和美君 私の意見は後ほど大臣がおいでになってから申し上げますが、もう一つ聞いておきたいことは、事務当局からで結構ですから、今回御在位六十年を記念して臨時貨幣を発行しようという発想に立った目的ですね、それはどういうところに目的があったのか、改めて聞かせていただきたい。
#12
○政府委員(窪田弘君) これは先ほどもちょっと申し上げましたが、かなり早い時期からこの天皇陛下の六十年御在位を記念して金貨のような立派な貨幣をつくるべきではないかという声がいろんな方からございました。実は私昨年の六月に現職に着任をさせていただきましたが、そのときに一つの引き継ぎ事項になっていたわけでございます。
 したがいまして、そういういろんな意見の盛り上がり、それから造幣局にもかねがね、金貨の製造は昭和七年でおしまいになっておりましてその後やっておりませんが、やはり造幣局といたしましてそういうものもいつかはやってみたいという念願がございました。また、五十八年度に造幣特会、補助貨幣回収準備資金を取り崩しまして一般会計に入れていただく法律を御審議をお願いいたしましたときに、この参議院でも、もっと貨幣の多様化を考えるべきではないかというふうな御意見もかねがねございまして、私どもとしても宿題になっていたものでございますから、今回の天皇陛下の御在位六十年という御慶事を契機にそういう記念貨に踏み切らせていただいたという経緯でございます。
#13
○鈴木和美君 大臣、突如として恐縮でございますが、先ほど発想や経過や目的などについてお伺いいたしました。しかし私は一つだけ納得がいかないのは、何でメダルみたいなものでやることはできなかったのか。金貨でなくても、お祝いをするということならメダルだって一つの方法ですね。
 もう一つは、天皇陛下の御在位というものを利用して国は三千七百億円の商売をするというような、つまり利用した形というものはどうも私は納得がいかないんです。
 それからもう一つは、私はここで今天皇制の問題を議論しようという気持ちはございませんけれども、最近、中曽根内閣になってから、先般全斗煥大統領が来てから大変天皇制という問題が表に出るようになってきましたですね。この前のときには、経済摩擦とかハイテクとかそういうことよりも、全斗煥が来たときには天皇のお言葉ということが大変議論になっていたと思うんですね。それだけ政治色を帯びてきているような今日だと思うんです。私が非常に心配していることは、いろんな意味で天皇制というものが利用されちゃって変な方向に発展をするということを大変私は心配をしているんです。
 竹下大臣、今テレビでも大変お忙しいと思いますが、中曽根さんのやっていることを見ると、私は天皇制のはらんでいる一番危険なものは何かということを考えますと、天皇制というものを自分たちの利益のためとか、または自分たちがやりたいと思っていることのためにその手段として利用するというような、かつての非常に苦い経験を私は持ってきていると思うんです。ですから、今回この方向をとるということについてのねらいは何なのかということについて、私はやっぱり懸念を持っている一人であります。
 したがって、ここは大蔵大臣から率直な見解をまず伺っておきたいと思います。
#14
○国務大臣(竹下登君) まず、記念して臨時補助貨幣を発行する、こういうことに踏み切りましたのは、五十一年の御在位五十年の際にも記念百円白銅貨を発行した、今度は六十年で、しかも最長期間ということになりますし、また最年長といいますか、そういうことだから極めて素朴にこの問題を扱うべきであろうという考え方に立ったわけでございます。しかし、やっぱり各界の識者、これは学識経験者というのがおりませんで、私はあえて識者とお呼びしておりましたが、識者の方にも集まっていただきましたら、みんなこれは非常に素直なことではないかということでございまして、発行に踏み切ったわけでございます。
 ただ、御指摘なさいましたように、いわゆる記念貨幣発行における財政収入というのは確かにあるわけでございます。これに対しては、私にもいろんな方が、いわば天皇のお祝いを利用してと申しますか、財源対策を考えるのは昔なら不敬じゃないかというようなことまで言ってくれた人がおりました。しかし、それは結果としてそうなるのであって、私は率直に言って、これが発行されることによってインフレが助長されるとかいうようなことにもならぬだろうから、結果としてそうなることだからこれは素直に受けとめてもらおうではないか、こういう考え方になったわけでございます。
 ただ、天皇陛下を政治の場に利用するというようなことは、これはやっぱり象徴天皇でございますから、その点については、絶えず象徴天皇たるの位置というものを念頭に置いていつも気をつけていなきゃならぬ問題だというふうに思っております。
#15
○鈴木和美君 大臣もお忙しいでしょうから、もう一つだけお聞きしまして、あとどうぞ、昼飯も食わなきゃいかぬでしょうから。
 大臣、私が非常に心配していることば、何と言われても中曽根さんになってからこういう問題というものが方々で、靖国神社から始まって起きているわけですよ。ですから、どんなに答弁されようとも、そういう疑念というものを払拭するということが私はできないんです、はっきり言って。そういう意味で、先ほど大臣もテレビでお忙しいでしょうがということはそこを言ったんですが、竹下内閣総理大臣ができるのかどうか知りませんけれども、とにかく私は、今のお言葉じゃありませんけれども、天皇をこういう問題に利用するということについてはやっぱり毅然たる態度を、自分の見解を私はもう一回述べてほしいと思うんです。
 それからもう一つは、確かに素直なお祝いだと言うけれども、三千七百億を、結果としてという言葉を使っています。また別な表現で言うと、貿易黒字の問題、二十五億ドルこれで解消するからいいじゃないかというようなお話もある。円を強くするんだからいいじゃないかというようなお話もあります。
 そういうことを聞けば聞くほど発想が非常に嫌
らしいというように私は感じ取っているんですが、この二つについて大臣の見解をしかと聞いて
 おきたいと思うんです。
#16
○国務大臣(竹下登君) 象徴天皇という位置づけはあくまでも一人一人の国民、なかんずく政治の衝にあります者としていつでも念頭に置いて、これがおのれが政治活動の中でいやしくも活用するとか利用するとかという考えは持つべきものでな
 いと思っております。
 それから、結果としてとお答えをいたしましたが、確かにそのとおりでございます。まだ全量輸入するとかそういうことを決めたわけではございませんが、単純計算をしてみるとおよそ二十数億ドルの問題になろうかと思います。がしかし、それは結果としてそういう議論は出てまいりますが、あくまでもこれは本当に、そういう発想がどこから出たかということになりますと、何かそこはかとなく出るべきところから出たという感じがいたしております。
 識者の方にお集まりいただいたときも、私も本当は最初識者といってもどういう人を選んでいいかと思って、やっぱり法律の専門家の人にも入ってもらいましたし、労働界からも入ってもらいましたり、美術界からも入ってもらったりして、お話を私も静かに自分の意見も申さないで承っておりましたが、極めてそのときも自然にそういうことにしたらいいじゃないかということで、どこの発想かということも、実は何となく、目に見えるものではございませんが、そこはかとなくそうしたものが浮かび上がってきたというふうな印象でおります。
#17
○鈴木和美君 大変恐縮ですが、前後おかしくなりますけれども、大臣にもう一つだけちょっとお願いしたいんです。
 最近、東京の造幣局の移転問題というのが非常に出ておりまして、大臣も衆議院でお答えをされたようでございますが、昭和四十四年からこの問題は起きているわけでございますね。それで最近は自民党の原先生あるいは中村先生などが積極的にそのお話を進められているようでございますが、私は、現在の東京の造幣局の立地条件やそれから地域に及ぼしている影響とか、それから、仮にあそこを緑地にしようと言ってみたって、今民活の動きが出ているようなときに、サンシャインじゃないんですが、変なことになってもいかぬなというようなことなどを感じておりまして、現存のあそこにやっぱり東京の造幣局というのは置いておくべきというように私は思うんです。
 そこで、大臣がお答えになっていることは、まあ移転をするというような環境にはまだなっていないというようなお答えなのでございますが、造幣局のこれからの展望なども私は質問したいと思っておるものですから、東京の造幣局の移転問題に関する大臣の見解をここでひとつ伺っておきたいと思うんです。
#18
○国務大臣(竹下登君) 東京の地元区民の皆さん方が可能な限り緑が欲しいとか避難場所が欲しいとか、これは素朴な問題として私もその気持ち自身を否定しようとは全く思っておりませんが、あの東京支局というのは、率直に申しまして、本局機能のまさに一部を担当して日本銀行さんへ持っていくところでございますので、あれがもしほかのところへ行ったらどうなるかということを考えますと、私はオーケーという心境にはないということを素直にお答えをしておるところでございます。
#19
○鈴木和美君 大臣、どうぞ結構でございます。
 そこで、私はもう一つ事務当局にお尋ねしますが、この金貨の十万円というものが四世帯に一枚、つまり一千万枚ということなんですが、大体補助貨幣というものは、現在の通貨法から見ると、退蔵というようなものをあらかじめ前提にして法律が組まれているものではないですね。すべてが市場に回るということが現在の通貨法の私は前提だと思うんですよ。そこで、この今回出される金貨は、好むと好まざるとにかかわらず、引きかえが行われると退蔵というようなものになっていくんじゃないのかなと、現在の金の動向などを見て私は感ずるんです。
 そこで、どのくらい退蔵になるんだろうかということの予測と、現在の通貨法上の問題の疑念についてお答えをいただきたいんです。
#20
○政府委員(窪田弘君) 御指摘のように、確かにこの記念貨はかなりといいますか、もうほとんど記念にしまっておかれることになるのではないかと思います。そういう点で今補助貨の制度とは若干問題があることは御指摘のとおりだと思います。
 ただ、オリンピックの記念銀貨以来記念貨ということをやらせていただいておりますし、これは我が国だけでなくて世界的にこういう記念貨幣はつくられておりますが、やはりそれもかなりの程度退蔵されているようでございます。したがいまして、この補助貨の通常の役割から見ますと確かに御指摘のような問題がございますが、そうしばしばあるものでもございませんし、こういう記念貨ということでお許しをいただけるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
 なお、私冒頭に銀貨の量目を三十グラムと申し上げましたが、これはまことに勘違いしておりまして申しわけございません。やはり同じ二十グラムでございます。訂正をさせていただきます。
#21
○鈴木和美君 これを発行することによって、欲しがる人と言った方がいいんでしょうかね、欲しがる人と一千万枚との関係なんですが、適当な数字であるというように認識しているのか。いや欲しがる人全部に与えることができないというように見ているのか、だぶついちゃうんじゃないかというように見ているのか。どの辺でございますか。
#22
○政府委員(窪田弘君) 例えば、この法律をお願いして御説明などをいたしますと、もう国会方面では一千万枚では足りないぞという声が圧倒的なのでございます。
 ところが、先般朝日新聞でアンケート調査がございましたが、これによりますと、買いたいという人は一七%でございました。したがいまして、この数字を見まして案外少ないなという感じもいたしました。それから専門の貨幣業者などの感じは、世界じゅうで一千万枚も同一種類の記念貨を出した例がございません、破格に多いわけでございますから、ややこれは多過ぎるのではないかという見方もございまして、本当のところはよくわかりませんが、しかし、新聞、雑誌等に見られますところから考えますと、かなりの人気を呼んでやや不足ぎみの方を心配しておくべきかなというような感じを持っております。
#23
○鈴木和美君 先ほどの御説明で二百トン使うということでございまして、私もよくは承知しませんけれども、大体世界の流通量というか、千四百トンぐらいに私は聞いておるんですが、二百トンの調達方法というんでしょうか、それはどんなぐあいに調達しようとしているんですか。
#24
○政府委員(窪田弘君) 従来、金貨をつくったらどうかという声は省内外ございましたが、私どもが一番踏み切れなかったところは、やはり金の調達が難しいという点でございました。今回金貨に踏み切りましたときには、金の価格が非常に低下してきて市場も落ちついているということのほかに、日本銀行がかなり持っておりますので、いざとなればそれを使えばいいという考え方から踏み切らしていただいたわけでございます。
 一般的に金の買い方は、市場から買うのと、日本銀行保有の金を使う場合と、あるいは政府間、例えばアメリカの財務省から買うというふうな場合もございましょう、いろんな場合が考えられるわけでございますが、いよいよとなれば日銀の金を使えばいいという感じは今も持っておりますが、ただ、最近の金の市場から見て、できたらこれは市場から買いたいと考えております。ただ、買うにつきましては、法律を成立させていただきませんと契約する権限がございませんし、そういう話がまた金の市場を乱さないとも限らないものですから、そこは慎重に考えていかなければならないと思っております。
#25
○鈴木和美君 今回、調達の方法として一番安易というか、金の高騰を招かないというか、そういう意味では日銀の七百五十トンの中から二百トンという発想も出ましょうが、日銀の金というのは、御承知のように円の準備資金の大変な財源なんであって、そんな簡単に使えるものじゃないと思うんですね。また、金の産地の国との値ごろなんかといったってなかなか簡単に私はいかないと思うんですね。
 そういうことを考えてくると、市場からどうしても調達しなきゃならぬというように私は思うんです。金を二百トンも日本政府が集めるというような風聞が飛んだだけでも大変な金の高騰というものを生じさせかねないと思うんですね。ですから、今コストで計算しているグラム当たり幾らというものと、調達するときの金の値段というんでしょうか、それとはどういう差が生じるだろうというような予測に立っているのか、そこを聞かしていただけませんか。
#26
○政府委員(窪田弘君) まさに御指摘のとおりでございますが、まず、今の予算でどう計上しているかということを申し上げますと、一グラム二千八百円で計算をさせていただいております。これは何かと申しますと、昨年予算編成期の金の価格に過去十年の趨勢値を掛けて出したものでございますが、その後また金は急速に下がってきております。
 実は数日前にある新聞に、大蔵省は市場から買うのではないかという記事がトップで出まして、私ども大変驚いたわけでございますが、その後の金の値段の足取りを見ておりますと、それで特に上がるということはございませんで、昨日が一グラム千八百九十八円、きょうの午前中が千八百九十二円と、むしろ予算で見込んでいるよりかなり低くなっておりますので、まあ何とかいけるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
#27
○鈴木和美君 省がそう見ているのであれば、ああそうですかと聞く以外にございませんが、とにかく大変な問題を内包している。だから、そんな甘いものじゃないんじゃないですかということだけ指摘しておきたいと思うんです。
 さて、造幣局にお尋ねをしたいんですが、この秋に大体製造が完了するみたいな計画になっておるんですが、五十四年ぶりに金貨が発行されるというようなことから見て、現在の造幣局の技術体制や状況、環境などから見て、予定したような状況で生産が可能なのかどうか、ここを聞かせていただきたいと思います。
#28
○説明員(太田幸雄君) 五十四年ぶりに金貨の製造をさせていただくという予定でございますけれども、金貨の製造といいましても、貨幣製造技術上他の貨幣と基本的に特に異なるというところはないわけでございます。ただ、何と申しましても、素材が金であるというところから、例えば溶解の工程でございますとか、それから模様とか文字をプレスする、そういった工程等で特に入念な作業を行う必要があるというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、造幣局におきましては、日常的に貨幣製造に関する技術とか技能の研さんに努めているところでございまして、また各種研修等を行ったり、専門的かつ高度な技術を習得させるということによりまして技術者の養成を図っているところでございます。今後もこの面で努力していきたいというふうに考えております。
#29
○鈴木和美君 私は、造幣局の立場からすると、金貨をつくってくれ、銀貨をつくってくれということは、忙しいことではあるけれども、現行の造幣局の仕事の量とかいろんなことを見て、職場の条件からはある意味では歓迎されることだと思うんです。しかし心配なのは、こういう記念というものは一時的なものなんですよね。だから、一時的に忙しい思いをしても、後が続かないとどうにもならぬことなんですよね。
 そういうことから考えると、これは理財局長に尋ねますが、現在の五円とか一円は二十年も模様がえしてないですね。こういうものをこの後に模様がえをするというような企画、発想はございませんか。
#30
○政府委員(窪田弘君) 五円、一円を今デザインを変える考えはないのでございます。と申しますのは、一円などはかなり額面よりコストの方が上回る状況でございますから、さらにこれをまた変えるというのもいかがかと思います。
 ただ、御指摘のように、仕事の平準化を考えるべきだということはまさにおっしゃるとおりでございますが、ただ、幸いなことに、先般五百円玉をつくらせていただきまして、五百円が一応製造、在庫分まで含めましてかなり手がすいてきたものでございますから、その製造工程の中ではこの金貨はそう無理なく入るものだというふうに考えております。
#31
○鈴木和美君 どうぞ造幣局の安定した生産計画が保たれるような御配慮をいただきたいと思うんです。
 さてその次は、十万円のお金を持って金融機関の窓口に並ぶという引きかえの方法なんですが、大変危険を、事故とか災害とかそういうものが考えられるんですが、やはり金融機関で従来のような引きかえの方法をとるのか。もっと民主的、公平、平等に渡るような方法をとるのか。巷間、金融機関の窓口でやるということになると、預金獲得の何か材料に使われるというような話まで今飛び出ているわけですね。そういう意味で、平等、公平なそういう方法というものは検討されているのか。やっぱり相変わらず金融機関の窓口で交換するということなのか。その点を伺いたいと思います。
#32
○政府委員(窪田弘君) まさに大事な点でございまして、従来はどうやっているかと申しますと、大体府県別に人口割で配りまして、後は金融機関ごとに預金の高に応じて大まかに配分して窓口で配るという方法でございますが、オリンピックの記念銀貨を出しましたときに、窓口が大変混乱いたしましてけが人も出たというふうなことがございますので、私どもも今度はやはりその経験を踏まえて慎重にやらなければならない。そこで今、日本銀行、郵政省を初めとしまして、全国銀行協会でございますとか各業態ごとの代表の方にお集まりをいただきまして、引換業務連絡協議会というふうなものを、この法律をお通しいただいた後につくりまして、その配分方法を具体的に御相談をしたいと思っております。
 おっしゃるよに、現金を持って窓口へ並ぶといろいろ間違いが起こりかねませんので、例えば抽せん券をお渡しするとか、何か工夫をしなければならないと思っております。けさのある新聞に、往復はがきで申し込むというふうな記事も出ておりましたが、こういう方法も考えていないわけではございませんが、しかしこれはかなり経費を要します。したがいまして、その予算措置もしてございませんし、これは実際問題としてはなかなか難しいのではないか。もうちょっと簡単で、しかも余りそういった疑惑を持たれず、公平な仕組みをとれないものか、今後関係の業態の方といろいろ研究をしてまいりたいと思っております。
#33
○鈴木和美君 私は、円高の問題だとか金利の問題だとか、取り巻く環境がこういう環境にありますから、新聞の予測とは違った意味で、やはり投資の意味も含めまして需要が大きくなるんじゃないかと見るんですよ。同時に、天皇ということになるものですから、高齢者というか、そういう方々が求めたいということが大きくなって、そしてキャッシュを持って並ぶということになると大変ですね。問題じゃないかなと思うんです。そういうことがあるものですから、ぜひそこは公平、民主的に、事故の起こらないような対策を強めていただきたいと思うんです。
 最後の質問ですが、週刊誌とかいろいろな新聞などを見まして、最近、百円銀貨が香港とか東南アジアでつぶされて地金にされているというような報道がありますね。同時に、金が十万円で出るというようなところから、需要が多ければ高騰するというような問題もあったりして、にせのものが出るようなこともあるんじゃないかというようなことが巷間言われているわけですね。そういう偽造とか不正に使われないような対策というもの
はどういうことをお考えになっているのかお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#34
○政府委員(窪田弘君) 例えば、週刊誌に出ておりましたが、昔の百円の銀貨を海外へ持っていって鋳つぶしてやるとか、あるいは今御指摘のようなにせのものが外国でつくられるのではないか、いろいろな心配がございます。しかし、外国でつくられる分については、今の取締法がいろいろ刑法を初め貨幣の偽造についてはございまして、これを使っていくしかないわけでございますが、何といっても、まず公平に行き渡るように配分するということが先決ではなかろうかと思っております。
 先ほど主計局の方からも御答弁申し上げましたように、十万円の額面のうち素材価格というのは六万円、あるいはそれを下回る程度でございますから、これを持ち出して鋳つぶすというふうなことはないかと思いますが、しかし、記念貨として値段が上がって、にせ金がつくられるというふうなことがあってはならないわけでございますから、ここはやはり基本的には配分を公平にやるということではなかろうか。
 御指摘の点については、なお研究してまいりたいと思っております。
#35
○鈴木和美君 終わります。
#36
○委員長(山本富雄君) 午後五時まで休憩いたします。
   午後零時五十分休憩
     ―――――・―――――
   午後五時六分開会
#37
○委員長(山本富雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、桑名義治君、赤桐操君、鈴木和美君及び竹田四郎君が委員を辞任され、その補欠として太田淳夫君、菅野久光君、上野雄文君及び安永英雄君が選任されました。
#38
○委員長(山本富雄君) 休憩前に引き続き、天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#39
○多田省吾君 私は、初めに大蔵大臣に円高問題で一、二お尋ねしておきたいと思います。
 円高が急速に進みまして、本日も一ドル百六十六円六十五銭まで進み、日銀の数億ドルの介入によって百六十七円八十五銭変わらずというところまでこぎつけた、こういう状況だそうでございます。
 また、六十年度の貿易収支黒字幅も五百数十億ドルと、政府見通しよりもかなり多くなっております。これは原油価格の下落や急速な円高、それからドルベース輸出の額がふえてしまういわゆるJカーブ効果等の現象によるものでございます。しかし、それ以外にやはり貿易構造の中で、自動車等は昨年度に引き続きまして二百三十五万台、自主規制枠でございますからこれは数量は減らない。また、円建てもありますのでドルの価格は相当急上昇する。半導体におきましても、ダンピング訴訟等を恐れて、どうしてもこれは量もふえるしドル価格も上昇せざるを得ない。また家電業界も、VTR、コンパクトディスクあるいはステレオ等アメリカにないものがどんどん輸出されておりますので、これも対米輸出の主力商品ですからどうしても数量は減らない。ですから、ある説には、円高が進めが進むほど貿易黒字は上る一方ではないか、こういう説すらあるわけでございます。
 OECDも四月十八日に、六十一年の日本の経常収支の黒字は七百七十億ドルに達するだろう、このようにも言っております。私は、むしろこういう状況が続けば八百億ドルも突破しそうな勢いではないか、このように思います。ですから、やはり根本は私は内需拡大、これを急速にやる以外にはないのではないか、このように思うわけでございます。
 また、円高が急速に進み過ぎる、これはどうしても日本の経済を守るためにも、総理が午前中答弁なさったそうですが、協調介入あるいは単独介入をやるべきだ、このように思います。しかし、レーガン大統領等も、今日の円高に対しては妥当だとかあるいは歓迎だとか、そういう意向を示しておりますので、アメリカのいわゆる協調逆介入ということは望み薄であろうと思われますが、大蔵大臣として御決意はいかがでございますか。
#40
○国務大臣(竹下登君) かなり急速にドルの全面安が進んでおります。この為替相場の動きはかなり急速だというふうに私も問題意識はひとしくいたしております。
 為替相場で一番大事なことは安定ということでございます。相場の安定のためには、結論から言いますと、今内需のお話が出ましたように、日本が内需を拡大し、あるいはアメリカが財政赤字を削減し、高金利時代からさよならをし、そしてヨーロッパが雇用関係の改善をするというようなことが基本的には政策協調として望ましいと考えております。
 動きが急に過ぎて乱高下と判断される場合には、適時適切に介入をすることといたしております。ただ、具体的にどのような場合に介入するか、また協調介入を行うかどうか等につきましては、為替市場への影響等もございますので、発言を差し控えさせていただきたいと思いますが、今後とも為替相場の動向を十分注意して、あらゆる対処の構えは絶えずしていなきゃならぬ課題だというふうに思っておるところであります。
 また、今御指摘がありましたように、Jカーブ効果、要するに、アメリカでつくっていないものはまだ値上げしてもどんどん売れるわけでございますが、数量ベースが落ちてきたということが、中長期的には為替の関係の影響が出つつあるというふうに思っております。そして、おっしゃいましたとおり、原油価格の下落、三月末で着いたのはまだ二十二ドルぐらいのものでございますけれども、だんだん安いものが入ってまいりますと、いわば一番高いときの半分払えばいい、こういうことになれば、お説のように、その理由によってまた貿易黒字の問題が存在するということも、各国に対しても今からそのことは十分理解を得ておかなければならない課題だというふうに考えております。
#41
○多田省吾君 この問題はまだ御質問したいのでございますが、天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律案について若干御質問をいたします。
 今回の記念貨幣の発行につきましては、昨年暮れに、大蔵省といたしまして天皇記念貨幣検討の懇談会を開かれたということでございますが、やはり広く国民の声を聞くということは大事だと思います。この会合は何回開かれ、そしてまたどういう内容のお話があったのか。また、この記念貨幣の意義についてお答えいただきたいと思います。
#42
○政府委員(窪田弘君) この会合は昨年の十二月九日に開きましたが、それは十二月九日の一回限りでございます。
 そのときいただきました御意見は、大約申しますと、金貨幣の発行を大いにやったらいいではないかという積極的な評価がございました。それから、その場合、高品位である程度の大きさを持った、つまり立派なものをつくった方がいい。この額面をどういうふうにするか、五万円にするか十万円にするか私どもは迷っておりましたのですが、やはり金貨ともなれば十万円ぐらいの立派なものがいいという御意見が大勢でございました。ただ、それでございますと、かなりの高価でございますし、また発行枚数にも限度がございますので、金貨幣とあわせて銀、白銅の記念貨幣を発行することが適当であろう、こういう御意見が多くございました。
 また、デザインにつきましては、金貨というのは長く歴史に残るものでございますから、今の日本の文化の水準をあらわすような立派なものにすべきである、こういう御意見をいただきました。
 この会合自体は一回だけでございますが、しかし、ここに御参加いただいた先生からはその後いろんな機会に御指導をいただいております。
 この発行の意義でございますが、やはり天皇御在位六十年というまれな御慶事を記念するということのために発行することといたした次第でございます。
#43
○多田省吾君 先ほどの質疑でも、収入が多過ぎるのではないかという質問に対しまして、あくまでも記念が先行であり、収入は結果であるという御答弁がございました。
 収入につきましては、金、銀、白銅合わせて三千七百億円である。そのほかに補助貨幣回収準備資金として百分の十、これは千百二十五億円だと思いますが、ほとんどこの記念通貨は回収というような必要はなかろうということを考えますと、ある時期にまた六十一年度も含めて一般会計に繰り込まれるお金であろうと思われます。そうするとやはり合わせて四千八百二十五億円一般会計に入ってくるのではないか。そのほかに、もし仮に金が安く購入できて、今一グラム千九百数十円ですか、そんな値段で全額買えるとは思いませんけれども、買えるとすれば三千円程度を予定していたそうですから、一グラム千円ずつ浮く勘定でございまして、そうしますと二千億円浮きまして、合わせて六千八百億円ほど一般会計に入る勘定になると、このように思われますけれども、その計算はいかがですか。
#44
○政府委員(窪田弘君) 御指摘のように、もし安く買えますればそういう結果になるわけでございますが、冒頭にございました補助貨幣回収準備資金に入れる分をやめればというお話につきましては、補助貨幣回収準備資金は、引きかえまたは回収に充てるほかに、造幣局の事業に使うという目的もございます。五十七年度までは、市中に流通している額と同額を準備資金に積むという制度でございましたが、法律改正をお願いいたしまして、現在は市中に発行されている額の一〇%まで縮減をいたしたものでございます。これは補助貨幣全体としての引きかえと造幣事業に要します経費に充てるものでございますので、記念貨の分だけやめるというわけにはなかなかまいらないと思います。したがいましてその分は省略するわけにはまいりませんが、御指摘のように、金が実際に幾らで買えるかによりまして一般会計繰入額が変わってまいりますのは事実でございます。
#45
○多田省吾君 私は、補助貨幣回収準備資金をやめればという質問はしておりません。一たん入るでしょう。しかし、回収準備等でそんなに使われないでしょうから、将来一般会計へ繰り入れるようなことになればと、そういうことを申し上げたわけです。ちなみに、六十一年度の予定といたしまして、準備資金現在額が九千二十一億円ありますけれども、一般会計へ四千三百九十九億円繰り入れるということになっておりますので、その辺も考えて申し上げたわけです。
 それはそれといたしまして、今後の問題として、このような記念貨幣発行が今後もあり得るのか、考えられる種類と規模について、今念頭にございましたらその見通しをお聞かせいただきたいと思います。
#46
○政府委員(窪田弘君) 記念貨幣の発行につきまして特にはっきりした基準はございませんが、今まで発行いたしましたものは、オリンピックの関係でございますとか、あるいは天皇陛下の御在位五十年の場合、それから内閣制度発足百年、こういう国民的に記念になる大きな節目の場合にやらせていただいておりますが、今後もこういった記念貨幣の発行にふさわしい行事がございますれば、今後も発行していきたいと考えております。
#47
○多田省吾君 先ほどの質疑でも、金が二百トン購入されるわけでございますが、ある場合は日銀の保有金を使う場合もある、このように御答弁がございました。現在日銀の保有金は七百五十トンと聞いておりますが、アメリカは八千百四十トン、西独は二千九百五十トン、フランスは二千五百四十トン、英国は五百九十トン、このようになっております。日銀の金保有につきまして、公的金準備量、今の七百五十トンは諸外国に比べて大変少ないわけでございますけれども、これをどう考えておりますか。
#48
○政府委員(窪田弘君) 確かに諸外国と比べても少のうございますが、現在すぐこれが要るというわけでもございませんので、もし金が暴騰して値段が上がるような場合は一時それを使わしていただくとか、いわばラストリゾートとして、後ろ盾としてありますので、この金貨の発行もそう支障なくできるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。まだ日銀の金を使うと決めているわけではございません。
#49
○多田省吾君 心配されるのは、この春から秋にかけて二百トンの金を購入するということになりますと、金の相場が急騰するのではないか、こういうおそれがあります。この価格暴騰を防ぐために日銀の保有金を使う場合もあるとか、こうおっしゃっているわけでございます。また、ある場合は政府間取引でアメリカ等から借り入れる場合もあるという御答弁もございました。きょうあたりは一グラム千八百九十二円だ、このように聞いておりますが、私は、やはり金の暴騰はあくまでも防がなければならない、しかも二百トンというわずか半年間で日本が購入する金の量というものは莫大なものである、このように思います。この辺のお覚悟をお聞きしておきたい。
#50
○政府委員(窪田弘君) 先週以来この法案の審議をしていただいておりまして、金の調達に関するお話がたびたび出ます。そういう段階で果たして市場にどういう影響があるかと心配しておりましたが、今お話しの千八百九十二円というのはきょうの午前の相場でございますが、午後は一層、円高の影響もあると思いますが、値下がりをいたしまして、一グラム千八百七十四円ということに非常に安定をいたしておりますので、まず支障なく調達できるのではないか。もちろん御指摘のように、暴騰するようなことがないように慎重に調達をしてまいりたいと考えております。
#51
○多田省吾君 これは念のために、十万円金貨を例にとって、いわゆる原料コストとかあるいは製造コスト、それから雑費とか補助貨幣回収準備資金への投入、収入が幾らあるのか、この辺の内容をお知らせいただきたい。
#52
○政府委員(窪田弘君) 一枚十万円の内でございますが、原材料費、これは金の素材価格でございますが、約六万円でございます。その他、この金の調達をするにつきましては、造幣特別会計が資金運用部特別会計から一時借り入れをしてこのお金を調達いたしますので、その金利その他の経費が約三千円かかります。それから、今お話がございました補助貨幣回収準備資金に一〇%に当たります一万円を繰り入れます。したがいまして、残りました二万七千円程度が一般会計への繰入額、こういうふうに想定をいたしております。
#53
○多田省吾君 この金地金の調達に六万円、すなわち一グラム三千円という金額はどのようにして算出されたのですか。
#54
○政府委員(窪田弘君) 昨年予算編成時の市場価格をもとにいたしまして、過去の趨勢値を乗じまして、それに保険料、運賃等の諸掛かりを加算いたしますと大体三千円程度に相なるわけでございます。
#55
○多田省吾君 過去何年の平均をとられたのですか。
#56
○政府委員(窪田弘君) 十年の平均上昇率をとっております。
#57
○多田省吾君 普通の場合は過去一年の平均価格等をとられるのが普通なのに、今回に限って、この金の価格に限って過去十年の平均をとられたというところはちょっと私ども腑に落ちませんけれども、これはどういうわけですか。
#58
○政府委員(窪田弘君) これは、金は非常に価格変動の大きいものでございますので、短期間をとりますと非常に変動率が変化をいたしますので、長くとりまして趨勢値を見込んだということでございます。
#59
○多田省吾君 特に、十万円金貨の配布につきましては、先ほども御質問があったわけでございま
すが、往復はがきにしますと経費がかかる、そういう経費は予定してない、こういう答弁もございました。いろいろ世上言われているわけですね。まずその配布について基本的にどう考えていらっしゃるんですか。
#60
○政府委員(窪田弘君) 記念貨幣は、通常の場合、過去二十年ほどの慣行がございまして、大体人口と各金融機関の預金高に応じて配分をし、各金融機関がそれを窓口で配分するという慣行でございますが、今回は大変人気が出て混乱が起こることも予想されます。
 そこで、慎重を期しまして、日本銀行、郵政省その他全銀協でございますとか、各業態の代表の方にお集まりをいただきまして、記念貨幣配布協議会とでもいうようなものをつくることを考えております。内々下相談をさせていただいておりますが、そのときに、やはり抽せんとか何らかの混乱が起きない方法を考えるべきではないかというふうな御意見が多いものでございますから、そういう方向で今後詰めてまいりたいと思っております。
#61
○多田省吾君 この委員会でNTTの株式売却に関しましても種々論議がされたわけでございます。きょう電電株式売却に関する意見が電電株式売却問題研究会から出されました。入札、売り出しの組み合わせ方式で、入札はわずかにして売り出しを多くして、また、各証券会社が申し込みを受け付けて、第三者機関に集計して、これが多くなれば抽せんあるいは一定の基準で割り当てを行って購入者を決定する。申込者全員に少なくとも一株は行き渡るように割り当てを行うというような意見が出されたわけでございますが、大蔵省としてはこういった研究会の意見というものを尊重されるわけでございますか。
#62
○政府委員(窪田弘君) きょういただきました研究会の意見は、考え方の大筋をお示しをいただいたわけでございまして、今後それを参考にいたしまして、国有財産中央審議会にさらにお諮りをいたします。五月の中旬から審議をしていただきたいと希望しておりますが、そういう今御指摘のような点はさらに今後細かく技術的に詰めてまいりたいと考えております。
#63
○多田省吾君 もちろんこの記念貨幣は株式とは違うわけでございますけれども、もし人気が高まって購入希望の方が多いといたしますと、やはり公平な配布をいたしませんと相当混乱が生ずる、このように思います。
 それで私も、やはり希望者には少なくとも一枚以上は抽せんでも渡るようにしなければならないのではないか、このように思われるわけでございます。ただ単に金融機関に任せる方法というものはとれないのではないか。あるいは行列で配るのも犯罪の引き金になるというようなこともありますので、これも大変でしょう。また、抽せんとなりますと相当いろいろ手間もかかるわけでございます。公平を期して、しかも混乱も防ぐということ、これは相当大変だと思いますが、混乱が生じないように、公平に渡れるように大蔵省でもよく考えてやっていただきたい。大臣からこの点お答えをお願いしておきたいと思います。
#64
○国務大臣(竹下登君) 確かに金だけで考えますと一千万枚、こういうことになりますので、この問題につきましても、今言っていただきましたような意見を念頭に置きまして、十分これは立派にやったと言われるような工夫をしたいというふうに思っております。
#65
○近藤忠孝君 この法案の前提の問題として、天皇在位六十年を祝えるのかという問題であります。
 一つは、戦前の二十年、これは言うまでもなく絶対主義的天皇制のもとで、天皇は最高権力者、最高指導者、当然戦争責任の問題が出てきます。この問題につきましては、衆議院の予算委員会で中曽根総理と正森議員との間で大激論されたことであります。それからもう一つは、戦後、我々は国民主権を貫く立場から申しますと天皇の存在に反対をいたしました。しかし結局象徴天皇制ということですが、問題は、その象徴天皇制の範囲を逸脱をして国権に関する機能を行使してもいいか。もう一つは、この天皇を政治的に利用している。特に中曽根さんの利用は甚だしいものだと思うんですね。
 そこで、宮内庁来ておられますね。まず宮内庁にお聞きしますが、現在皇太子の訪韓計画が進められていますが、それは皇太子自身の意思によるものかどうか。どうですか。
#66
○政府委員(山本悟君) 天皇陛下なりあるいは皇族方の公式の外国訪問というのは、言うまでもなく、両国間、日本とその国との友好親善の増進のためという目的で貫かれているわけでございます。何ら政治的にどうこうというようなことがないことは言われておるところでございます。
 したがいまして、常々、そういった公式の御訪問についてどうだというようなことが新聞記者クラブの会見等でも質問が出ることがあるわけでございますが、いかなる場合でも、事情が許せば、そして親善のためになるなら行っていい、こういうような答えをされているわけでございまして、その間に何ら特別なことはなかろうと思います。またそして、常に、その決定は政府で決めることであってということで、個別の問題につきまして御発言になったことは一回もないと、さように存じております。
#67
○近藤忠孝君 時間がないので、聞いたことに対してお答えいただきたいんです。
 皇太子自身の意思ではないと確認してよろしいですね。
 となりますと、今度天皇の名代として行くということですが、これは国家機関としての皇太子が外交行為を行うとして訪韓することになるのか、この点どうですか。
#68
○政府委員(山本悟君) 御名代というのは、その名のとおりでございまして、かわってという意味になるわけでありますが、天皇陛下がいろいろな御事情で行かれない場合に公式に親善のために御訪問になる、そういう立場で皇太子さんがいらっしゃると存じております。
#69
○近藤忠孝君 それが国家機関として行くのかどうか。国家機関とすればその憲法上の根拠は何なのか、この点を聞いておるんです。これは端的に答えていただきたい。
#70
○政府委員(山本悟君) 日本国の象徴であると憲法で規定されております天皇、その名代としてということであろうと存じます。
#71
○近藤忠孝君 その名代としてというのが、それが憲法上のどういう根拠なのか。摂政ならまた別ですよ、正式の機関になるけれども。国家機関なのかどうか、この点どうですか。
#72
○政府委員(山本悟君) 憲法で規定されております国事行為というのが限定的に列挙されていることは言うまでもないところでありますが、やはり天皇という象徴であるお立場としての行為というのはある。いわゆる公的行為ということで言われていることでございまして、公式の格好での外国の御訪問、これは言うまでもなく政府の閣議によりましてそれを要請され、それを受けられて行かれるわけでありまして、その意味におきましては非常にはっきりした公的行為であると思っております。
#73
○近藤忠孝君 ですから、公的行為、国の外交行為ですよね。その場合に、皇太子というのは憲法上ないんだから、だから憲法上のどんな国家機関なのか。まず国家機関なのかどうか、今度行くのが。それからもう一つは、それは憲法上の根拠は何なのか、それを聞いておるんです。
#74
○政府委員(山本悟君) 先ほども申し上げましたように、憲法上の機関である天皇、象徴としての天皇陛下、その名代、いわゆるかわりということでいらっしゃるわけですが、あくまでも、天皇の行為としてのいわゆる国事行為、憲法で限定的に列挙されました行為ではないわけでありまして、その点は、先ほど来申し上げておりますように、国事行為ではなく公的行為。やはりそれは皇太子もその意味におきましては公的行為として行かれるということであろうと思います。
#75
○近藤忠孝君 それはもういいんで、問題は、象
徴としての天皇、これは国家機関ですね。あと、そういうかわりをするんであれば、これは摂政ですよね。そうでなくて、かわりと言うけれども、それがあくまでも国をいわば代表して行く形ですよね。となれば、どういう国家機関として行くのか。外務大臣は外務大臣という一つの国家機関ですね。ところが、象徴のかわりといったってそんなのは憲法上ないんだから、それがどういう根拠なのか。行けるか行けないかという憲法論はまた後でしましょう。私が聞いたのは、その前提としてどういう機関なのか、そこなんです。
#76
○政府委員(山本悟君) その辺私からお答えするのが、宮内庁としてお答えするのがいいかどうかちょっと疑問でございますが、やはり公的行為というのは、象徴たる天皇の地位の、何というか、反映といたしましてそういう行為があると言われているところでございまして、その意味での天皇の御行為、それが天皇としては事実上外国にいらっしゃれないという御事情があった上での、そのかわりに行けということでいらっしゃるというように存じます。
#77
○近藤忠孝君 宮内庁に関係あるのは、宮内庁法第一条で、「宮内庁は、内閣総理大臣の管理に属し、皇室関係の国家事務及び政令で定める天皇の国事に関する行為に係る事務を」云々ということで、ここで国事に関する行為でないことは答弁で明らかですね。となりますと、ここで言う、宮内庁もこれはかかわりを持つわけだから、この場合に、皇室関係の国家事務に当たるのかどうかということで宮内庁がそれにかかわるのか、その点どうですか。
#78
○政府委員(山本悟君) 宮内庁といたしましては、ただいまお読みになりましたようなことが宮内庁法に規定されていることはそのとおりでございますが、やはり天皇及びそれを取り巻く皇族、これは特別な地位が皇室典範その他で認められているわけでございますが、そういった方々のお世話をする、その意味においては国家事務の一環であると思います。
#79
○近藤忠孝君 そうしますと、ここで言う国家事務というのは、そういうある意味では実質的な中身を持ちますね。そういう中身まで踏み込んでこれはできるのかどうか。いわばこれは国政に関する機能になってしまうんですね。そんなことまで宮内庁が一緒にやるのかどうか、この点をお答えいただきたいというのが一つ。
 それからもう一つは、我が党は、これは断じてなすべきでないということで、先日これに対して宮内庁長官に直接申し入れに行きました。今言った二点、特に、皇太子の意思によって行くのかどうか、それからもう一つは、宮内庁がこんなことを、これは憲法上の範囲外のことなんだから、こんなことに対して関与していいのかどうか、この点について回答を求めたんですが、この点はどうですか。その点についてもあわせてお答えいただきたいと思うんです。
#80
○政府委員(山本悟君) 宮内庁が天皇を初めとする皇族の方々の一般のあらゆるお世話をする、これはやはり国家事務。そういったものが必要であるというところの憲法の考え方に基づいて存在されるわけでありますから、それをいろいろお世話することは、これは当然この宮内庁法で規定されている中身に入ると思います。これは宮内庁の権限としてずっと列挙されておりますことをお読みいただければ明らかのことであろうと思います。その意味におきましては当然お世話をするということが第一点。
 それから第二点の御質問でございますが……
#81
○近藤忠孝君 申し入れに対する回答。
#82
○政府委員(山本悟君) 申し入れというのはいただきましたが、その御回答というのは、考え方の基礎はただいま私の申し上げたことと同じであろうと存じます。
#83
○近藤忠孝君 公党が正式に申し入れして回答を求めておるんだけれども、これはいつ回答するんですか。
#84
○政府委員(山本悟君) しかるべきときに回答することになろうと思います。
#85
○近藤忠孝君 しかるべき時期というのは、五月のいろんな行事が終わってからということになると、これは全く無視と同じですね。どうなんですか。これは私に対してじゃなくて、日本共産党中央委員会に対してひとつ回答を速やかにすべきだと思うけれども、その点のまず答弁をいただきたい。それが宮内庁です。
 最後、大蔵大臣、全然質問しなかったんで一つだけ質問しますと、中曽根さんがこれを祝うのは当然だと言う中に、戦前天皇は立憲君主制で自分の判断はなかったというんです。ところが戦前は立憲君主制じゃないんですよね。立憲君主制の立場に立った美濃部達吉博士の天皇機関説、これが発禁処分になって、結局美濃部さんも貴族院から追放される。そして結局、一時期そういう解釈の方向が出た時期もあったけれども、昭和に入ってからは完全に明治憲法の天皇絶対制のもとで天皇が最高権力者、最高指導者として、まさに開戦の決断まで判断をしたんですからね。ところが中曽根さんはこれを、立憲君主制でそんな判断というものはしなかった、めくら判だというんですが、そう考えるのか。
 特に、私が今指摘した天皇機関説が弾圧されていた過程から見まして、その点について、少しは中曽根さん――中曽根さんはやっぱり皇国史観ですから、これは大分古い考えですね。これからのニューリーダーはそうであってはぐあいが悪いんで、ひとつ大臣の答弁をお聞きして、質問を終わります。
#86
○国務大臣(竹下登君) 今回の祝賀は、天皇陛下が御即位されてから六十年間という長期の間在位しておられるということと、あわせて御長寿をお祝い申し上げようとする。
 戦前と戦後とでは天皇陛下のお立場には大きな変化があられましたが、天皇陛下が常に国民統合の大切な支柱であられたということには変化はなかったというふうに思っております。陛下は、立憲君主制のもとにおいて、君臨すれども統治せずということが衆議院でも御議論になっておりましたことをつけ加えて、お答えとさせていただきます。
#87
○政府委員(山本悟君) ただいまの御意見、十分心得させていただきました上で措置をしたいと思います。
#88
○近藤忠孝君 終わります。
    ―――――――――――――
#89
○委員長(山本富雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、福岡日出麿君が委員を辞任され、その補欠として杉元恒雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#90
○青木茂君 一問だけ伺います。
 幾ら記念通貨といえ、補助貨幣は補助貨幣ですから、補助貨幣が十万円、少しきついんじゃないか。庶民もみんな手に入れて本当にお祝いのできる、国民みんながお祝いのできるぐらいの金額にした方がいいじゃないかという気がして仕方がない。一万円があるじゃないかといっても、それは貧乏人は麦を食え論と同じになってしまうんだから、一番高いものでも庶民が本当に買えてお祝いのできる金額にした方がいいと私はかねがね思っていたんだけれども、そういう発想はございませんでしたか。
#91
○政府委員(窪田弘君) 昨年の秋の貨幣大試験のときにこれを新聞記者発表いたしましたときに、そういうふうな御意見も新聞記者の間からありました、これは五万円がいいではないかとか。
 そこで先ほど申しました懇談会で御意見を伺ったわけでございますが、私どもから御説明いたしまして、例えば五万円にすると今の十円玉程度の大きさになってしまいます。十万円でございますと、金の量からいって五百円玉あるいはちょっと大きいぐらいになる。それで皆様方の御意見は、どうせこういうお祝いで金貨をつくるにはやはり立派なものにした方がいいじゃないかということが大勢でございました。しかし、それだけでなく、やはり一万円の銀貨、五百円と合わせて七千万枚という従来の記念貨と同じ枚数を出させていただ
くということでいいんじゃないかというのがその懇談会の大勢でございましたから、そうさせていただいております。
#92
○青木茂君 終わります。
#93
○委員長(山本富雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#94
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#95
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、「天皇陛下御在位六十年」記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律案について、反対の討論を行います。
 本法案は、中曽根内閣が今年天皇在位六十年を記念して行う一連の天皇制美化キャンペーンの重要な一環として出されているのであります。
 本法案による十万円の金貨発行、一万円の銀貨発行などは、補助貨幣として全く異例の高額貨幣であり、そもそも初めから貨幣としての流通は予想されていないのであります。結局これは、大蔵省が天皇在位六十年にあやかって高額貨幣を発行し、額面と鋳造費との差額三千七百億円を財政のつじつま合わせのために確保しようとするもので、財政困難に陥った江戸末期の幕府がたびたび行った貨幣悪銭に等しいものであります。
 中曽根総理は、天皇在位六十年を祝賀する理由として、天皇は元来平和主義者で、戦争を回避するために努力されたとか、戦前も君臨すれど統治せずであったとか、二千年近い歴史において国民の中心であったなどと言っているのでありますが、いずれも史実に反するものであり、皇国史観とも言うべき特殊で非科学的な歴史観に基づくものであります。
 戦前の天皇が、国家主権はもちろん、軍隊の統帥権、宣戦布告、法律の認可、公布、議会の召集、解散などの権限を一手に握った絶対主義的天皇制であり、中国侵略から太平洋戦争に至る重要局面で、常に戦争を拡大し促進する上で大きな役割を果たしたことは覆うことのできない歴史的事実であります。
 戦後、主権在民を明確にした新憲法において、象徴天皇制という形で温存された天皇は、「国政に関する機能を有しない。」という憲法の規定を踏み越えて、皇室外交を繰り広げ、国政に関与する言動を繰り返しており、今また天皇の名代として皇太子が韓国を訪問する計画が進められるなど、天皇、皇室の国政への関与はますます深くなっているのであります。
 さらに、自民党歴代内閣は、みずからの政権の安定のためにこの天皇制を政治的に利用してきたのであります。今回の在位六十年祝賀も、参議院選挙を有利にし、自民党政治の延命と中曽根首相自身の三選の条件をつくり出し、さらには、戦後政治の総決算として憲法の改悪と天皇の元首化を図ろうとする企ての一環をなしているものであります。
 日本共産党は、戦前戦後一貫して侵略戦争に反対し、主権在民を現憲法に盛り込ませた政党として、このような天皇制美化のキャンペーン及びその一環として行われる臨時補助貨幣の発行には断固反対であることを明確にし、討論を終わります。
#96
○委員長(山本富雄君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 天皇陛下御在位六十年記念のための十万円及び一万円の臨時補助貨幣の発行に関する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#98
○委員長(山本富雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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