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1985/04/22 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 外務委員会 第3号
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1985/04/22 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 外務委員会 第3号

#1
第104回国会 外務委員会 第3号
昭和六十一年四月二十二日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     中村  哲君     久保田真苗君
     小西 博行君     関  嘉彦君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     関  嘉彦君     田渕 哲也君
 四月十日
    辞任         補欠選任
     田渕 哲也君     関  嘉彦君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     関  嘉彦君     山田  勇君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     山田  勇君     小西 博行君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     小西 博行君     関  嘉彦君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     後藤 正夫君     板垣  正君
     森山 眞弓君     杉山 令肇君
 四月二十二日
    辞任       補欠選任
     板垣  正君     曽根田郁夫君
     大鷹 淑子君     水谷  力君
     杉山 令肇君     浦田  勝君
     夏目 忠雄君     宮島  滉君
     立木  洋君     橋本  敦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         最上  進君
    理 事
                石井 一二君
                宮澤  弘君
                松前 達郎君
    委 員
                浦田  勝君
                曽根田郁夫君
                中山 太郎君
                鳩山威一郎君
                原 文兵衛君
                平井 卓志君
                水谷  力君
                宮島  滉君
                秋山 長造君
                久保田真苗君
                黒柳  明君
                和田 教美君
                橋本  敦君
                関  嘉彦君
   国務大臣
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
   政府委員
       外務大臣官房長  北村  汎君
       外務大臣官房外
       務報道官     波多野敬雄君
       外務大臣官房審
       議官       都甲 岳洋君
       外務大臣官房審
       議官       斉藤 邦彦君
       外務大臣官房領
       事移住部長    妹尾 正毅君
       外務省アジア局
       長        後藤 利雄君
       外務省北米局長  藤井 宏昭君
       外務省欧亜局長  西山 健彦君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    三宅 和助君
       外務省経済局長  国広 道彦君
       外務省経済協力
       局長       藤田 公郎君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       外務省国際連合
       局長       中平  立君
       外務省情報調査
       局長       渡辺 幸治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小杉 照夫君
   説明員
       通商産業省機械
       情報産業局航空
       機武器課長    伊佐山建志君
   参考人
       海外経済協力基
       金理事      熊谷 和秀君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○扶養義務の準拠法に関する条約の締結について
 承認を求めるの件(内閣提出)
○所得に対する租税に関する二重課税の回避のた
 めの日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連
 邦政府との間の条約の締結について承認を求め
 るの件(内閣提出、衆議院送付)
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務
 する外務公務員の給与に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(最上進君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 去る三日、中村哲君が委員を辞任され、その補欠として久保田真苗君が選任されました。
 また、昨日、後藤正夫君及び森山眞弓君が委員を辞任され、その補欠として板垣正君及び杉山令肇君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(最上進君) 扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、以上三件を便宜一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(最上進君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 三件の審査のため、海外経済協力基金理事熊谷和秀君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(最上進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(最上進君) 扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両件について、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。安倍外務大臣。
#7
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、ソ連邦政府との数次にわたる交渉を経て、昭和六十一年一月十八日に東京において、私と先方シェワルナゼ外務大臣との間でこの条約に署名を行った次第であります。
 この条約は、できる限りOECDモデル条約案に沿ったものであり、従来我が国が諸外国との間で締結した租税条約または協定とほぼ同様の内容となっております。
 この条約の主な内容としまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する所得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。船舶または航空機を国際運輸に運用することによって生ずる所得につきましては、相手国において全額免除することとなっております。また、投資所得に対する源泉地国での税率につきましては、配当に対するものは一五%、利子及び工業的使用料に対するものは一〇%を超えないものとし、文化的使用料については免税としております。
 この条約の締結によって日ソ間の二重課税が回避されることにより、両国間の経済活動の円滑化が図られ、また、両国間の交流が促進されるものと期待されます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことを希望いたします。
 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明いたします。
 改正の第一は、在外公館の設置関係であります。今回新たに設置しようとするのは、総領事館一館で、スペインのバルセロナに設置するものであります。これは、実際に事務所を開設するものであります。バルセロナは、スペイン最大の貿易港を有し、経済的に重要な地であるばかりでなく、スペインのEC加盟もあって我が国からの進出企業も多く、かつ多くの邦人が在留している地でもあります。
 改正の第二は、同総領事館に在勤する在外職員の在勤基本手当の基準額を定めるものであります。
 なお、本法律案は昭和六十一年四月一日に施行されることを想定しておりましたが、これが実施されませんでしたので、所要の調整を行うため衆議院においてその附則の一部が修正されましたので、申し添えます。
 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
#8
○委員長(最上進君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより三件を一括して質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○松前達郎君 まず最初に、日ソ租税条約に関連したことなんですが、租税条約というのは大体内容が、各国と条約を結ぶときの内容といいますとほとんど似たような内容を持っておるわけなんですね。二重課税の回避とかそういうものを含んでいるんですが、このほかの国でまだ日本としてこういった条約を結ぶ必要があると考えられるところは、懸案のところは残っておりますでしょうか。
#10
○政府委員(斉藤邦彦君) 幾つかの国から租税条約を結びたいという要請がございまして、我が国も検討中でございます。実際に交渉を行っておりまして近く署名に至ることが予想されますのは、現在のところカナダでございます。
#11
○松前達郎君 これは、中国は結んでおりましたでしょうか。
#12
○政府委員(斉藤邦彦君) 中国との間では、一昨年国会の御承認をいただきまして、既に発効しております。
#13
○松前達郎君 それから、在外公館なんですけれども、これもまた以前にこの委員会で私の方からスペインの方に何らかのこういった機関を設ける必要があるだろうと。と申しますのは、進出企業が非常に多くなったわけですね。ですから、そういう意味も含めて要望があったわけでありますが、今回これが設置をされることになってきたんですが、これについても、スペイン以外でこういう要望が出ているところはございますでしょうか。
#14
○政府委員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。
 その他にも現地からそういう要望が出ているところは幾つかございますけれども、現在、具体的にはまだ検討中という段階でございます。
#15
○松前達郎君 今後、恐らく日本の国際的な経済の関係からいろいろとそういった要望が出てくる可能性があると思うんですね。予算の都合があるかもしれませんけれども、できるだけそういう要望が強いところをひとつ検討対象にしていただければと、こういうふうに思います。
 そこで、きょうは、あと時間が二十分ちょっとですが、SDIの問題についてお伺いいたしたいと思うんですが、といいますのは、第三次の調査団も帰国をされて、二十三日から政府は閣議で外務、通産、内閣官房、防衛、科学技術の関係閣僚協議を発足させると。二十三日といいますと明日ですから、いよいよSDIに対する問題の討議に入るということになるわけでありますが、これに関して最近はいろいろと議論が行われておるんですね。アメリカとソ連、これはスーパーパワーがもしか戦争状態に入るとすれば、それは恐らく宇宙で開始されるであろうと。これは現実的にはもう既に冷たい戦争といっていいのかどうかわかりませんが、宇宙でのスターウオーズが始まっている、こういうふうに解釈していいと思うんですね。宇宙空間の軍事利用という点で最近非常に強力な推進が行われてきている。これが一つ問題の点であろうと私は思っているんです。
 例えば、衛星一つ捕獲をして、スペースシャトルは捕獲技術を完成しましたから、敵対国の衛星を捕獲することとかあるいは損傷させること、そういうことについてはそう難しいことではなくなってきている。そうしますと、当然この衛星そのものに頼らなければならない地上における戦闘等も、衛星を破壊させることによってこの戦闘ができなくなるようなそういう状況にもなろうと思いますから、宇宙における衛星というのは非常に重要な軍事的な意味を持ってきつつある、こういうふうに私は思っているんです。
 それで、スターウオーズ演説、これはもう御承知のとおり一九八三年のレーガンの演説なんですが、これは、本来そのときはスターウオーズとかそういうのは多少小説的な、未来小説的な意味で恐らく触れたような感じを持っているわけなんですが、米国の宇宙産業はこれを見逃さないわけですね。そして今日では、スターウオーズというのは余りにも言葉が適当じゃないから戦略防衛構想という名前に切りかえる、いわゆるSDIということになったわけですが、このSDIについて日本に対しても協力要請が来ている、こういうことで非常に重要な時期に差しかかったんじゃないかと私は思いますが、これについて各省庁間いろいろな考え方があると思うんですが、外務省としての本来のSDIに関する研究参加の問題について、基本的姿勢というのは一体どういうところに置いておられるのか、それについて外務大臣、お願いいたしたいと思います。
#16
○国務大臣(安倍晋太郎君) SDIにつきましては、外務省といいますか、政府全体と言ってもいいと思いますが、総理大臣、そして私からしばしばその基本的な考え方を申し上げております。
 これは昨年の一月にロサンゼルスで日米の首脳会談がありました。その際、SDIについてアメリカからの説明がございまして、我が国の協力というものを求められたわけでございます。その内容については、国会でも既に明らかにいたしておりますように、SDIが非核兵器である、また防御体系である、同時にまた弾道ミサイルを無力化して、結局SDIは核兵器を絶滅する、廃絶する、そういう方向に持っていくことのできる構想である、こういう説明がなされまして、我が国の総理大臣から、そうしたレーガン大統領の構想に対しましては、そしてその研究に対しては理解を示します、こういうことで理解を表明いたしたわけでございます。そして、今日に至るまで調査を続けておる。
 その後アメリカからは、ワインバーガー国防長官から私に対しまして、手紙をもって、六カ月以内にひとつ研究に参加するかどうか回答を求めたいという趣旨の要請があったわけでございますが、日本としましては、研究に対して理解はするけれど、しかし、これに参加するかどうかということは慎重に、自主的に判断をしていかなきゃならぬということで今日に至っております。
 その間、いろいろと研究もし、調査も続けて、第三次調査団もアメリカに送りまして、その結果報告がようやくまとまりつつある、こういう段階にあるわけでございます。この調査団等の報告を受けまして、あすから関係閣僚で協議会を開いて、調査団の報告を聞くと同時に、いろいろの問題点について検討を始めたい、こういうふうに思っておるところであります。
#17
○松前達郎君 SDIというのは、これは私の解釈ですが、先端技術を駆使した兵器の組み合わせなんですね。ですから、この研究開発にもしか参加することになるとすれば、SDIシステムそれ自身に参加することではないとはいいながら、やはり兵器の開発というものに手をかすということになるんじゃないか、こう思うんですね。その辺が非常に意見の大きく分かれるところじゃないかと思うんですが、今大臣おっしゃったような、非核であってしかも防衛目的だからと。しかし、それとはいえ、軍事の目的であることは明白である。こういうふうなことになりますと、SDIというのは、さっき申し上げたような、技術そのものは兵器開発の技術だということに、研究参加ですね、兵器開発の技術だ、こういうふうになるんですけれども、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
#18
○政府委員(藤井宏昭君) SDIの研究開発ということにつきまして、現在、累次御答弁申し上げているところで恐縮でございますけれども、いろいろな角度から研究中でございまして、明日、第三次の調査団の報告を受けるという段階でございます。その後もいろいろな角度から検討していくということでございますので、ただいまの先生の御質問に対しては、一般論としてはお答えが難しいかと存じます。
#19
○松前達郎君 一般論でなくてもいいですから、お考えがあればおっしゃっていただければと思うんですが。
#20
○政府委員(小和田恒君) 松前委員御指摘になりましたように、SDIは、戦略防衛構想という名前から当然判断されるとおり、これは武器に関連する構想であるということはそのとおりだと思います。
 ただ、先ほど外務大臣からお答えをいたしましたように、これは純粋に防衛的な構想であるということでございまして、御承知のとおり、我が国と米国との間におきましては、日米安保体制のもとで、防衛分野における我が国と米国との技術の相互交流ということは理論的には考え得る問題、それを具体的にどういうふうに処理をするかということは、日米間に締結されております武器技術の供与に関する取り決めによって行われることになるわけでございます。もちろん、SDIの構想とこの日米武器技術交流の問題とは一応別な問題ということで、私が今申し上げておりますのは、SDI構想が日米武器技術供与取り決めとの関連において処理をされるということを申し上げているわけではございません。
 ただ、松前委員の御質問が武器に関する問題であるということとの関連でどうであるのかという御質問でございますならば、日米間の協力というものにつきましては、そういうものは理論的な可能性としては考えられるところであるという意味で、武器に関する問題について日米間の協力ということが一切あり得ないということではないということだけは御理解いただきたいと思います。
#21
○松前達郎君 二つの考え方があるんですね。恐らく今おっしゃったような参加するしないというのは将来決まることでありましょうけれども、一つはSDIそのものの研究開発に参加する、いわゆる共同して研究を推進するという参加の問題ですね。それからもう一つは、現在ある日本の先端技術を供与するという問題。この二つはおのずから意味が違ってくるような気がするんですね。ですから、ここをはっきり分けて考えないとならないんじゃないかと僕は思うんですが、例えば戦略防衛構想局というのがありますね。SDIOというアメリカの機関がありますが、これがもう既にレーザー光線施設を建設する、ニューメキシコですか、建設することを決めているわけなんですが、これ自身も、SDIだとはいいながら、実際にはそこのレーザーがもしか完成して性能が十分発揮できれば直接衛星を撃ち落とすことができるから、これは攻撃兵器として使うことができますね。そういうふうに考えていきますと、兵器が防衛であるからあるいは攻撃であるからというのは境目がないような気がするんですが、その点いかがでしょうか。
#22
○政府委員(小和田恒君) 戦略論あるいは武器技術論の実態にわたるようなことについて、私が御答弁申し上げるのは必ずしも適切ではないかと思いますけれども、先ほど私が申し上げたこととの関連でお答えしたいと思います。
 確かに武器につきましては、攻撃的な武器とあるいは防御的な武器との区別というものは理論的にはなかなかつきがたいという面が多くの武器について存在していることは事実であると思います。ただ、政府が従来から申し上げておりますのは、米国が言っておりますところのSDIというものは、純粋に防衛的な兵器であって、そういうことに限定され、そういうことを目的として開発研究が行われる武器である、こういうことでございます。
 我が国がSDIに参加するかしないかということにつきましては先ほど来外務大臣あるいは北米局長が御答弁申し上げておりますように、いろいろな要素を勘案して慎重に検討されなければならない問題でございますけれども、一般的に申しまして日本と米国との間における武器技術の交流という一般問題をとらえて考えますならば、それは日米間においては完全に排除されている問題ではないということだけを申し上げたわけでございます。
#23
○松前達郎君 その辺の解釈、これからまたいろいろと論議があるんじゃないかと思いますが、それについてはこのぐらいにしておきますが、実際どうなんですか、安倍外務大臣、SDI構想というのは有効であって必ずこれができ上がるというふうに確信を持っておられますか。
#24
○政府委員(藤井宏昭君) SDI構想というものと、それから現段階におきましてSDI研究でございますが、若干この二つを区別して考えておく必要があると思います。SDI研究の目的はSDIの構想、すなわち委員御存じのとおりのシステムが現実に技術的にあるいは残存性を持ってかつ費用対効果という性質を持ちまして可能であるかどうかということを研究する、これを今後何年かわかりませんけれども、一九九〇年代に至るまで研究していくというのが現在の研究段階であるというふうに了解しております。したがいまして、これが現実にどのような形で可能になるかということにつきましては研究を行っているアメリカ自身、これはまさにそれが研究の目的であるということかと存じます。
#25
○松前達郎君 そうしますと、SDIに対する研究参加というのはシステムの研究に参加するんですか。
#26
○政府委員(藤井宏昭君) ただいま申し上げましたような研究にどのような形で参加するか、先ほどから御答弁申し上げましているとおり、まだ検討中でございますけれども、一般論として申し上げますれば、その研究に日本の企業なりがどのような形で参加し得るかということかと思いますが、その際には、先ほど委員御指摘のように研究というのは単一のものではございません。いろんな要素、技術の研究等あるわけでございますけれども、その個々についてどういう形でどういうふうに参加し得るかということの相対かと思います。
#27
○松前達郎君 その辺がまだ恐らく調査団の結論といいますか、調査結果というのをごらんにならないとわからないとおっしゃるわけですが、はっきりしておかなければならないのはSDIそのものに参加するのか、SDIそのものというのは構想である、構想であるんだったら構想の現実化のために日本がそれに手をかすということなのか、それともSDIに用いられる兵器ですね、そういう具体的な個々のものに対しての研究開発に参加をするのか、構想に参加するとなるとこれはそう簡単な問題じゃないと思うのですね。先端技術を例えばトランスファーしていってそれでもってそれがSDIに使われるとか、そういう問題だったら後から申し上げた部分に入る、こういうふうに思うのですけれども、その辺区別しておられますか。
#28
○政府委員(藤井宏昭君) まず第一に、現在アメリカが求めておりますこと、それから諸外国が行っておりますこと、例えばイギリスとかドイツとかでございますが、これらはあくまでSDIの研究に対する参加でございまして、SDIの構想そのものがこれをどうするとかこうするとかいうことは必ずしも明確にしないまま研究に参加しているという国が多いというふうに存じております。それでは、研究に対する参加とは何かということについて委員の御指摘かと思いますけれども、これは先ほど委員が御指摘になりましたように、研究と申しますと幾つかの大きな分野に分かれまして、三つぐらいの大きな分野に分かれますけれども、そのもとでさらに個々の詳細なるいろいろな研究、これを総合しましてSDI研究ということでございますので、外国がSDIの研究にいわゆる参加するかどうかということは、この個々の研究、それとどういうかかわり合いを持つかということを含めた相対の問題かと思います。
#29
○松前達郎君 非常にまだ漠然としていて対象がはっきり決まるようなことではないように思うんですけれども、研究参加というと非常に漠然たるものがあるんですね。諸外国の参加の状況、これが特徴があるわけですね、それぞれ、西ドイツとそれからイギリスではまた全然違う内容で参加をする。これについてはどういうふうにお考えでしょうか。例えば西ドイツ方式、これは民間の参加ということを推進する方式ですね。これをどういうふうにお考えですか。それと英国の方式ですね。
#30
○政府委員(藤井宏昭君) 委員、御存じのとおり英国は政府が参加いたしまして、政府、民間、両者でSDIの研究に参加しておるということでございます。西独につきましては政府は参加しないということでございますが、その主たる意味は政府は予算を支出しないという意味かと存じます。これは公表されておりませんけれども、西独とアメリカとの間に取り決めができまして、その取り決めは西独の民間がSDI研究に参加する際にその参加がしやすいようにいろいろな条項を述べておるというふうに了解しておるわけでございます。
#31
○松前達郎君 今大きく分けて二つの参加の仕方があるように思うんですが、もし日本が参加するようになった場合、私自身は参加する必要はないと思うんですが、もし参加するようになった場合に、例えば西独方式をとるとすれば、これは民間の参加ということになるわけですね。そうなりますと当然企業としての問題が出てくるわけですが、企業の利益の保護とかあるいは企業秘密等の確保とかいろんな面が新たに出てくるわけなんですが、その点についてはもしかそうなった場合にどういうふうになるだろうとお考えでしょうか。これは通産省の方お見えになっていれば、通産省の方に。
#32
○説明員(伊佐山建志君) お答え申し上げます。
 先ほど来、大臣、皆さん方が御答弁しているところでございますが、まだ現在あらゆる角度からの研究参加問題につきまして、対応ぶりにつきまして慎重に検討している最中でございますので、参加問題について検討を下していない段階でコメントさせていただくことは控えさせていただきたいと思います。
#33
○松前達郎君 いや、検討の最中はわかっているんです。そして、恐らく参加するかしないかをそのうち打ち出さなきゃいけないと思うんですね。そのときに参加の仕方がいろいろある。西ドイツの方式であれば当然企業が何らかの保護を受けなきゃいけない。参加するなら、そういうことが言われているんですけれども、企業の利益とか秘密保護、これは今度は秘密保護になると企業だけの問題じゃなくてもっと大きな問題が出てまいりますが、こういうことについては通産省としては考えておられますか。
#34
○説明員(伊佐山建志君) 私どもから考えますとそういう問題というものは参加という全体の政策の決定があった後で検討しなければいけない問題で非常に重要な問題だという認識はございますが、どういう形で問題というものを解決しなければいけなくなるのかというようなことにつきましては、具体的にそういう方針が定められた後で検討を詳細にやっていきたいというふうに考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
#35
○松前達郎君 そうしますと、決定待ちということですね。決定したら仕方がないから考えよう、こういうことになるんだろうと思うんですが、それじゃその問題はそれでいいですが、もう一つの方式の政府参加ということになりますと、一体これはどこにメリットがあるのかという問題が出てくるわけですね。政府として、イギリスと同じようなやり方になった場合です。政府参加というのは非常にこれは民間と違った意味を持ってくると思うんですね。総合的な参加ということになってしまうかもしれません。これはもしか政府参加になったときのメリットは何かございますか、現時点での。
#36
○政府委員(藤井宏昭君) まことに申しわけございませんけれども、先ほどから御答弁申し上げておりますように、本件につきましては調査団の技術面に関する報告を聴取した上で慎重に検討していくということでございまして、その際にあらゆる状況を勘案して検討していくということでございます。ただいまの御指摘の点につきまして、特にこの段階でとやかく申すべき状況でないというふうに存じます。
#37
○松前達郎君 そうだろうと思いますが、時間も大体参りましたから、最後に大臣にお伺いしておきたいと思います。さっきもちょっと申されましたけれども、四十四年の五月の国会決議があるわけですね、我が国の宇宙開発に対してはこれは平和目的に限って行うんだと。確かにその筋で今日まで宇宙開発が行われてきたんですね。この精神、語句をいじくって解釈の仕方でもってどうにでもなるという問題じゃなくて、こういった一つの行き方といいますか、考え方というものに対して、これを今後尊重していくべきだとお考えでしょうか。
#38
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほどより政府委員から答弁しましたように、また私から基本的に日本政府の立場をお答えいたしましたように、今、理解はしておる、しかしこれからどうするかというのはまだこれからの問題でして、あしたから政府の関係閣僚で検討に入っていくわけでございます。調査団の詳しい報告も聞きたいと思っております。
 それから、今お話がございましたような、日本政府として立てておるいろいろの国内的な諸法制、そうした点との関連も十分これは考えなきゃならない。また、国会決議を政府として重んずることはこれは当然のことでございます。そういうあらゆる角度からこの問題については検討して、慎重の上にも慎重を期して、そして自主的に結論を出したい、こういうふうに考えておるところであります。
 なお、先ほど私の発言の中で、ワインバーガー長官からの要請で、半年間の期限つきでと申し上げましたが、半年じゃなくて六十日でございます。これははるかに通り過ぎたわけでございますが、訂正させていただきます。
#39
○久保田真苗君 大臣お帰りなさい、御苦労さまでした。
 きょうの議題であります三つの案件につきましては、松前委員と全く同じでございます。そして、扶養義務の準拠法に関する条約も適当なものと考えます。
 今SDIの問題がずっと出ておりましたので、私もこれについて一言だけ言わしていただきたいんです。大臣、大変慎重な方針をおとりになってやってきていただいているんですが、今や総理がこれについて非常にもう決断していらっしゃるというような報道も専らでございまして、今の段階では国会決議との関係がどうなるかとか、特許権の帰属がどうなるかとかという、そんなことが論じられ始めております。私は、松前委員の言われるように、これは非核だとか防御兵器だとかいろいろ言っていらっしゃるけれども、その境界はまだ一つも明らかになっていませんし、またこれが兵器体系であり、そして戦略的兵器体系であることはまぎれのない事実なんでございます。でございますから、国会決議を遵守していただくということはぜひとも必要だと思います。まずこれについての大臣の御見解を一つ。
 それからもう一点は、外務省も既にお認めになっていると思うんですけれども、これについては、SDIの開発に巨額の費用がかかるということが言われておるわけです。巨額の費用をかけてまで攻撃兵器を今までの上に積み重ねる必要はないというような議論もあるようでございます。しかし、私はこの巨額の費用がかかるものを特許権がどうのこうのというようなことで国民への負担に転嫁していく、しかも子々孫々へ財政負担を転嫁するというようなことは絶対にやっていただきたくない、こういうふうに思います。この二点につきまして大臣のお考えを伺いたいと思います。
#40
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほどから我が国政府の基本的なSDIについての方針は述べましたとおりであります。特に、御指摘の国会の決議についてはこれも政府としてしばしば申し上げましたように、これを遵守していく、尊重していくというのはこれは当然のことである、こういうふうに思っております。
 なお、その他いろいろの角度から検討していかなきゃならない、こういうことで、これからいよいよ本格的にそういった検討を始めたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
 なお、そうしたSDIの研究に参加することが我が国の予算を伴うものであるかどうかということについても、まだ我々としてはそこまで今予想してこの問題を考えてはおりません。とにかくそういう問題等もこれから一つの方向といいますか、いろいろと検討の結果、それをアメリカとの間で折衝するという段階になってそういう点が出てくる可能性はあるかと思いますけれども、しかし、今のところはまだ理解ということでありまして、これに参加するかどうかということは何も決めていないわけですから、いろいろの問題はあると思いますので、そういう問題は十分これからひとつ検討をして、その上に立って最終的な結論は下していかなきゃならない、こういうふうに思っております。
#41
○久保田真苗君 今予算を伴うものなどということは考えにないということはわかりましたけれども、私が申し上げたいのは、これは子々孫々へのつけ回しになる可能性があるということでございます。そういうことまでも、将来のことまでも考えて御対処いただきたい、こういうことでござい、ます。
 そして、今はまだ理解ということで、慎重に検討をしているということでございますけれども、一体これはいつどうなるのでしょうか。その辺についてのお見通しを伺いたいと思います。
#42
○国務大臣(安倍晋太郎君) このSDIの研究が今後どういう形で結実していくのか、これが例えば実験とかあるいはまた配備とかそういうところまでいくのかどうかということについては、まさにこれはアメリカ自身も研究しておるところであろうと思います。ソ連もSDIについては既に研究を始めておるということを聞いておるわけでございまして、これは全く非常に長期的な構想であろう、こういうふうに思うわけです。
 そういう中で我々が理解を示した一つのゆえんは、このSDIというのがあくまでも防御兵器体系であるということ、それからやはりこれが非核兵器であるということ、それからもう一つは弾道ミサイルを無力化する、これが結論的には核兵器の廃絶につながる、こういうアメリカ側の説明を受けましてそういうことになれば、核廃絶というのは日本の一つの悲願でありますし、そしてこれがあくまでも防御体系であるし、そして非核兵器であるということになれば、基本的考え方というものについては理解できるということで理解を示したわけでございますが、これがいよいよ具体的に現実化していくには、私は長い年月を要することであろう、こういうふうに思っておるわけでございます。これはアメリカの学者等もそういうことを言っておりますし、これからの課題だろうと思いますが、この研究に参加するかどうかということは、これは日本自体の問題としてこれからひとつ研究、検討を進めてまいらなきゃならぬ、こういうふうに考えております。基本的には、今申し上げたような基本的な思想のもとに今我々として検討を行っておる、こういうことであります。
#43
○久保田真苗君 時期的に見まして、日本がこの結論を出すというのは例えばサミット前とかサミット後とかあるいは参議院選挙の前とか彼とか、そういうことがあると思いますけれども、その点はどうでございますか。
#44
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私がしばしば申し上げましたように、既にワインバーガー長官からの六十日以内に何とか返事をしてもらいたいということも、我々としては大変これは日本にとっては重要な問題でそう簡単に返事ができることではないということで、今日まで一年以上経過してまだ返事も出していないという状況でありまして、これは日本の立場から当然のことであろうと思います。また、そういう基本的な立場で、サミット前だと言われてもサミット前にそれじゃ簡単に出せるかと言ってもそう出せるものでもない、それじゃいつ出せるかということも今ここで申し上げられるような状況にはないわけで、いずれにいたしましても、十分慎重に検討を重ねて、そして我が国がやはり納得のいく結論、政府自身が結論に達したときにこれは答えを出さなきゃならぬ、こういうふうに考えておりまして、時日については、したがって私としましては期限とか時日というものを明定して研究をする必要もないし、そうすべき問題ではない、こういうふうに思っております。
#45
○久保田真苗君 当分結論が出ないだろうというふうに一応お伺いしておきます。
 次に、リビア問題なんですが、ちょうど総理、大臣がいらっしゃった時期とかち合ってこういう事件が起こったわけです。そこで、日米首脳会談でリビア攻撃についてどういう説明を聞かれたのか、ひとつもう一度お聞かせください。
#46
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今次、中曽根総理とともに私も訪米いたしましたが、そのときキャンプ・デービッドでの食事の機会であったと思います。総理大臣はレーガン大統領と食事をされまして、私はブッシュ副大統領、シュルツ国務長官等々と食事をしたわけで、分かれて食事をしたわけですが、その際にレーガン大統領から中曽根総理に、そしてシュルツ国務長官から私に対しまして別個に一般的な形で、先般の西ベルリンにおけるディスコ爆破事件にリビアが関与しておる証拠をアメリカとしては持っておる、また将来同様の事件が再発する可能性もあることにつきまして説明がありまして、米国が近いうちに必要な措置をとる可能性、対リビア攻撃を行う可能性につきましてこれはいわば一般的な形ということで話があったわけでございます。
#47
○久保田真苗君 一連のテロ事件にリビアが関与していたということについて証拠があると盛んにアメリカが言っておりますけれども、それについてはお聞きになりましたか。もしお聞きになったとすればどういうことをお聞きになったんでしょうか。
#48
○国務大臣(安倍晋太郎君) この点については詳しい説明があったわけではありませんが、ディスコ爆破事件についてはアメリカとしてはリビアが関与しておる証拠というのははっきりしたものがあって、これは握っておる。同時にまた、その他リビアがいろいろと攻撃といいますか、テロを準備しているといいますか、そういう情況証拠もアメリカとしては握っておるんだということを言っておりました。日本としましては聞きおく程度であって、この状況が果たしてどういうものであるかということについて日本が知る立場にないわけでございますので、それはアメリカから聞いたということにとどめておいたわけであります。
#49
○久保田真苗君 ただ、私一国民の立場から見ますと、アメリカが証拠を持っていると言ってもそれを公表したということも聞きませんし、その攻撃した一方の側が証拠を持っていると言っても、なかなかそのとおりだけを受け取ることには抵抗があるんですね。これはやっぱり公表すべきだと思うし、アメリカのことですから大臣の御答弁は要りませんけれども、しかし、公表すべきだと思うし、それに対して相手方の言い分も公表さるべきだと思うんです、少なくとも首都を空爆するという事態が起こっているわけですから。
 ところで、対リビア空爆を国際法との関係でどのようにごらんになっていらっしゃいますか。また、どういう国際法が関係があるのか、簡単に御説明いただきたいと思います。
#50
○政府委員(小和田恒君) 委員御承知のように、この事件の当事者であります米国は、これを自衛権の行使であるというふうに説明をしておりますし、また国連憲章第五十一条に従って国連安保理事会に対する報告も行っていると承知しております。ただ、我が国としてはこの事件の当事者でもございませんし、この問題についてのアメリカ側の行動をめぐっての具体的な事実関係の詳細を必ずしも承知しておりませんので、そういう具体的な状況の中でどうであるのかということについての法的判断というものを行う立場にはないということでございます。
#51
○久保田真苗君 国際法との関係でどう見ているかというようなことを、そうなりますと、やっぱりもっと国際的な場で討議する必要もあるかと思うんです。それは必ずしもアメリカの空爆だけに限らず、国際テロというものが国際法の上でどういう立場にあるのか、そういうことを当然討議すべきだと思いますんですけれども、外務省としてはどういうふうにお考えになりますか、そういう場をどこに求めるべきだとお考えになりますか、このままではしようがないと思いますよ。
#52
○政府委員(三宅和助君) 現在安保理事会がちょうど開かれておりまして、実は終わったばかりでございますが、まず安保理事会におきましてこの問題が討議されていたわけでございます。今入りました電報によりますと、最初に非同盟決議案がアメリカ、フランス、イギリスの拒否権で否決されたということでございますが、今後どうするかは、安保理のメンバー、関係国との間でさらに国連においてどういう動きをするか、事務総長を含めた今後の動きについて協議が行われるということで、基本町にはやはり国連を舞台にしたところで十分協議されるべきであると考えております。
#53
○久保田真苗君 この問題についてかねてから問題になっております国連事務総長の権限とか機能、これについてどういうふうに、どういう役割があり得るとこの具体的ケースについてお考えになりますか。
#54
○政府委員(三宅和助君) 一部の国からは国連事務総長がもう少し積極的な役割を果たすようにという動きも出ております。ただいま申し上げましたように、安保理事会がまず協議をしていまして、どうするか、現在これが終わったという格好になっておりますので、今後事務総長の役割を含めまして関係国で十分協議していきたいということでございます。
#55
○久保田真苗君 日本としてはどういう役割があるというふうにお考えになりますか、可能性としてで結構です。可能性としては何ができるんでしょう。
#56
○政府委員(三宅和助君) ただいま申し上げましたように、日本としては直接の関係当事国ではないし、必ずしも事態を十分詳細に把握する立場にないので、事態を重大な関心を持って見守りつつ、今後どういう形でやっていくか内部で検討していきたいということでございます。
#57
○久保田真苗君 確かに今理事国の立場ではないです。だけれども、どこの国でも国連加盟国は国連総会、安保理の注意を引くことができるはずなんですよね。そしてしかも、今こういう事態で非常にこれが衝撃的な事件が起こっているわけですから、私は日本としてはもう少し果たし得る役割があるんじゃないかということを考え、希望しておきます。
 先に進みまして、外務大臣、それでこの事件についてはECがアメリカとリビアの調停役を務める用意があるというようなスポークスマンの話があったり、それから、イギリスを除きますと西側諸国はこの事件につきまして危惧と遺憾の表明をしているという状態なんです。それで、日本としましては、こういうECの役割、調停役を務めると言っているようなことについてどういう所見をお持ちになるのか、それから日本としてはこの事件を一体どうごらんになるのか、そこのところをお聞かせくださいますか。
#58
○国務大臣(安倍晋太郎君) ECの外相理事会はリビアをめぐるところの情勢に関しまして累次検討を行ってきておりまして、これまでにこれら諸国におけるリビア人民事務所員数の縮小等の措置をとることに合意をするとともに、テロ防止のためのアラブ諸国等との接触を行うなどの政治・外交的措置をとることにも合意した由であります。我が国としては、こうしたECの努力が事態の正常化あるいはまた鎮静化及び国際テロの防止に資することになるように希望をいたしておるわけでございます。
 なお、本件についての我が国の見解としましては、「米国が今回の攻撃をリビアのテロに対する自衛のための措置であると説明していることについては、米国としての理由があるのであろうが、詳細については承知していないので事態の推移を重大な関心を持って見守る。」
 なお、我が国としては、国際テロ事件が頻発し、今後事態が一層悪化、拡大することを深く憂慮し、事態の正常化、鎮静化を強く希望する。同時に、我が国は、従来より理由のいかんを問わずいかなる形の国際テロにも断固反対をしており、今後とも国際社会全体の問題としてこれらテロ防止のための国際協力を積極的に推進していきたいと考えておる。
 これが我々の今日の事態に対する公式な見解でございます。
#59
○久保田真苗君 もう一つ、大臣の今お読みになった「重大な関心を持って」見守っているという言葉なんですが、非常にいろんなふうにとられるんじゃないでしょうか。初め、アメリカでスピークス報道官が、外務大臣のお話から、日本は支持なんだという発言をしておられるわけなんですけれども、どうもその後の訂正を見ますとそうでもなかったらしい。そこのところどうなんでしょうか。アメリカのいろんな発表がころころと変わるものですから、私には何が何だかよくわからない。少なくともそういうはっきりとした表現が必要なんじゃないかしらと思うんですが、その点大臣いかがでしょうか。
#60
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは十六日であったと思いますが、スピークス・ホワイトハウスの副報道官が記者団の質問に答えまして、攻撃の後安倍外相は、米国の説明では、今回の攻撃の意図は自衛であるということだと理解しておる旨述べたと、こういうふうな発言をしたと承知をしておりますが、この発言は実は私が十五日、ちょうどリビアをアメリカが攻撃をしたときにワシントンにおったわけですが、ワシントンにおきまして談話を発表いたしました。
 その談話は、既に御承知のように、「米国が今回の攻撃をリビアのテロに対する自衛のための措置であると説明していることについては、米国としての理由があるのであろうが、詳細については承知していないので事態の推移を重大な関心を持って見守る。」こういうふうに述べたことを踏まえた形でこの報道官の発表というものになったんだろうと思っております。
 私の発表は、ここに今申し上げたそのものが私の談話でございます。
#61
○久保田真苗君 まだわからないんです。
 そうしますと大臣は、アメリカのこういうリビアの領土に対する爆撃、こういうことを間接的ながら支持なさるんですか、それともこういうことは二度と起こらないようにしてもらいたいと、こうお思いになるんですか、どっちなんですか。
#62
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私も非常に注意深く実はこの事件に対しまして、日本の立場を踏まえて私を中心にしまして検討した結果、外務大臣談話としてはこれが日本政府として適切である、こういうふうに考えた末に発表しましたこの談話、これがすべてであって、これ以上のものでもないしこれ以下のものでもない、こういうことでございまして、談話そのものを素直にひとつ読んでいただいて御解釈をいただきたい、そのように思うわけであります。
#63
○久保田真苗君 どうもこれに時間がかかって困っちゃうんですが、素直に読むのは結構なんですけれども、そうしますとこれがサミットの議題にどうもなってきそうだと。そのことで合意なさいましたでしょう、アメリカとは。この問題をサミットにのせるという合意をなさったんでございましょう。
#64
○国務大臣(安倍晋太郎君) アメリカは、恐らくリビアの問題をアメリカ自身としてそれはサミットですから自由な発言の中で出してくるかもしれませんが、サミットで各国で大体合意に達しておるのは、国際テロという問題について協議をしようということまでは大体のコンセンサスができておる、こういうふうに聞いております。リビアそのものの問題については、これはアメリカとしては問題にするかもしれませんけれども、サミットで全体の一つの議題として合意に達しているのは国際テロの問題、こういうふうに私は理解しております。
#65
○久保田真苗君 国際テロの問題は結構なんでございますけれども、そうなりますとこういう何かが、テロがあったときに、もうそこにいるアメリカ人の安全のためには空爆をしようが軍隊が行動を起こしてそこへ上陸しようがいいというような、こういうことが積み重なると一体どうなんでしょう、これからの世界は。私はそのことを非常に危惧せざるを得ないんですね。これじゃもうアメリカ人はおっかなくて滞在していただけないということになるんじゃなかろうかと思うんです。
 ですから、サミットで国際テロとともにこういうことが出てくるとき、やはり私は日本の平和主義の立場としてはこういう軍事行動、しかも宣戦布告なき戦争が次々に始まるというようなことは何としても防いでいただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。
#66
○国務大臣(安倍晋太郎君) ですから、我が国としましては、国際テロ事件が頻発をして今後事態が一層悪化、拡大することを深く憂慮し、事態の正常化、鎮静化を強く希望するというのが我が国の考え方でございまして、これは私もOECD理事会に出席した際にも各国との外相の会談等において我が国のこうした立場を表明した次第であります。
#67
○久保田真苗君 それじゃ、経済協力の問題についてはんの一、二問お願いします。
 第十三次フィリピンへの円借款の契約案文がマニラで出回ったということなんですが、これについての調査はなさいましたでしょうか。調査なさった結果、この案文は本物だったんでしょうか。
#68
○政府委員(藤田公郎君) 御指摘の借款契約の案文は、御承知のとおり海外経済協力基金とフィリピン政府との間で行われます借款交渉にかかわるものでございまして、両当事者ともこのような文書は公表していないというふうに私どもは承知しております。したがいまして、御指摘の点については現在のところ確認し得る立場にございませんけれども、いずれにせよこのような文書が当事者の意図に反して公にされるということはあり得べからざることであるというふうに考えております。
#69
○久保田真苗君 でもこれが本物ならその影響はとめられないんですよ、幾らあり得べからざるとおっしゃっても。これは今後どういうふうに措置をなさるおつもりですか。
#70
○政府委員(藤田公郎君) 現在、事実の確認に努めております。
#71
○久保田真苗君 それじゃ外務大臣、日米会談でフィリピンへの協力をアメリカとともに合意なさったと、その点は一応飛ばしまして、またアジアのみならず、アジア太平洋地域にとどまらず中南米カリフ海について、重要地域での日米協力の必要性、これはアメリカから言われて、そしてそれに同意したということでございます。そうしますとアメリカから一体どういう要請がなされたんでしょうか、中南米カリブ海について。
#72
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今次の日米首脳会談では地域問題についての話し合いの中で、開発途上国の経済状況あるいは累積債務問題の改善に向けて日米がそれぞれ貢献を行っていく必要性が確認をされたわけですが、特に中南米カリブ地域に対する援助について米側から要請がなされたということはございません。我が国は相互依存と人道的考慮を基本的理念として開発途上国の経済社会開発、民生の安定、福祉の向上に貢献することを目的として援財を実施することとしておりまして、この点は中米カリブ諸国についても同様であります。以上でございます。
#73
○久保田真苗君 特に中米につきましては、ニカラグア問題をめぐる周辺諸国への援助、こういうのはいわゆる大臣のおっしゃるところの紛争地援助になると、こう思いますけれども、自重していただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
#74
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん紛争当事国につきましては、紛争当事国に対する経済技術協力についてはその紛争を助長するがごときものは行わない、こういう衆議院の外務委員会の決議の趣旨もありまして、そういう趣旨も踏まえて我々としては対応しておるわけでございますが、そういう基本的な立場は我々としてはきちっといたしておるわけでございます。
 ただ、やはり人道的な援助という点については、我々としてはそういう中でもあくまでも人道的なものについては、これを行っておるということは御理解いただけると思います。
#75
○久保田真苗君 国会決議の線でひとつよろしくお願いします。
 最後に、マルコス問題でもって援助実施の責任体制が非常にルーズだということを私どもこのたび見せつけられたわけなんです。この際やっぱり交換公文をお出しになる中心の外務省が責任体制の確立について、特に大臣が積極的に取り組んでいただきたいと思うんです。その中でもやはり今の四省庁体制、これについては不満もあることでございますから、十五省庁に及ぶ実務官庁に参加させるそういう体制、これを有償だけでなく外務省のやっていらっしゃる無償、こういうものを中心としまして、公文の適正運営条項を軸にしてひとつ外務省で頑張ってごらんになる気はありませんでしょうか。予算委員会なんかでも他の大臣の御答弁に比べますと私は外務大臣は非常に損な答弁をしていらっしゃると思う。これじゃ外務省が中心になっていると、このルーズさが抜け切れないんじゃないか、そんな気をどうしても持たないわけにいかないんです。そこで、この問題について一般的で結構ですから、外務大臣の取り組み姿勢をお願いしたいと思います。
#76
○国務大臣(安倍晋太郎君) 我が国は二国間ODAのうちの円借款については四省庁体制、外務省、経企庁、通産省、大蔵省、この四省庁のもとで外務省が対外的な窓口となって海外経済協力基金を通じて実施をしているわけです。円借款を初めとして外務省を中心とする現在の援助実施体制は全体としては順調に機能していると、こういうふうに思いますけれども、援助の一層の適正かつ効果的、効率的な実施のためにはやはり現行制度の運用面については改善すべき点があればこれは積極的に改善をしていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
 なお、我が国は援助の適正かつ効率的な実施を確保するために事前調査の充実であるとかあるいは交換公文における適正な使用、維持の義務づけ、公正な入札の確保、あるいは契約の審査、承認、評価活動の充実等の必要な措置を講じてきておりまして、今後ともこれらの措置の充実には努力をしていく考えでございます。
 いずれにしましてもこれまでマルコス文書を中心としまして我が国の援助の実施のあり方について国会等でもいろいろと批判も出ましたし、あるいはまた議論もいただいたわけでございます。私自身も外務大臣としてこれまでずっと援助を担当してまいりまして、そういう中でやはり改善をしなきゃならないなと思った点もあります。そういう点は例えばODAの研究会等も設けて改善に努めてまいったわけでございますが、ちょうどこういう時期でございますから、これからも援助は拡大していくわけですから、全体的にもこれが今までの援助のあり方が万全であったと私は決して言えないと思います。
 したがってこの隠そういう反省も踏まえていろいろの角度から改善する点は改善していく必要がある、こういうふうに思いますし、対外関係ということになりますと、外務省が窓口になっているわけですから、どうしても外務省が中心となってやはり問題を処理していく、援助を進めていくということでなければならない、それだけの責任感を持って当たっていかなきゃならない、こういうふうに思っております。
#77
○黒柳明君 私もあしたからフィリピンの特別委員会が行われますので、まずフィリピンの問題をお伺いしたいんですけれども、大臣、マルコス政権時代の我が国の借款、アキノ政権が継続するかどうかということ、私もアキノ大統領に直接聞きましたし、各閣僚に会っていろいろ話を聞きました。今のフィリピンの経済状況では利子の支払いすら滞っている、元本の棚上げまでもと、こういう雰囲気もあるわけであります。先般大臣が道義的に継承することは間違いない、当たり前だと、こんなこともおっしゃったんですが、これはどうも向こうに行って大統領初めいろいろな意見を聞きますと、必ずしも大臣が考えているような継承当たり前という考えではないような感じがするんですが、その点ひとつどのような把握を外務省はしているか、大臣は受けとめられているか、いかがでしょうか。
#78
○政府委員(藤田公郎君) 債務の継承の問題でございますけれども、国際法的に申しましても新政権が前政権の債務を継承するということはむしろ当然のことでございますし、その点について特に私ども疑義を持っているということはございません。
 ただし、第二点としまして、ただいま委員がおっしゃいましたように、現在のフィリピンの苦しい経済状況にかんがみまして、債務の返済については債権国の理解と同情を得たいという声が新政権のメンバーの方からいろいろ出されているということは事実でございます。
 第三点といたしまして、このような状況下で、御承知のとおり、本年の六月三十日までの債務の支払いにつきましては繰り延べ交渉ということでもう既に合意を見ております。
 そのような状況で、今後その後のことについてはフィリピン側がいろいろのお考えを持っているということは推察されますけれども、今までのところ具体的な形でどうこうしてくれという御要望があるというふうには承知いたしておりません、
#79
○黒柳明君 アキノ政権の中でも閣僚が、今おっしゃったように閣内不統一というんですか、この継承問題につきまして。ですからもうそろそろどうなんでしょう、アキノ政権が誕生して、安定したとは言えませんけれども、まあ一応政権として革命じゃなくて暫定政権だと、こういうようなことで、国会の機能の停止も打ち出しておりますし、もうこの第十三次を促進し、あるいは外務大臣のおっしゃったようにこれから拡大する方向もあるいはしなきゃならないのか。
   〔委員長退席、理事石井一二君着席〕そうなりますと、あくまでも今、局長のおっしゃった三つの中でもう一つ欠けているのは、やはりマルコス疑惑に伴っての問題が向こうの閣僚の中でもあるわけでありまして、いわゆる不正分までも新政権が継承すべきかと、すべきじゃないと、こういうような意見を踏まえてのあれがあるわけなんですが、そうなりますと、今のその四千七百七十六億、実際にはそうじゃありませんね、十三次まで含めて実際にはまだまだ半分ぐらい、実行したものは。こういうものについてアキノ政権からどうこうするという意思表示を待つまでもなく、こちらが貸し方でありますから、結果的には、私どもは国民の税金がマルコス不正蓄財に使われたという見方をしているわけです。ですからそうなりますと、こちらからむしろ向こうの政権に、アキノさんに対して、どうなんですかと、もう向こうの意思統一を求めるか、あるいはしっかりした意思を聞くという段階に来ているんではなかろうか、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#80
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、基本的にはアキノ政権も国際条約とか国際協定は守っていくということを言っておりますし、これは日比間においても当然それでなきゃならないと、こういうふうに思っております。
 ただ、フィリピンの経済は非常に悪い。そういう中でアキノ政権が大変苦労しておられるということは、日本政府としても十分同情もし理解もしておるわけでありますし、これは日本だけじゃなくて国際機関、IMF等もそういう判断を持っておりますし、国際協力のもとに金利の棚上げたとかそういう措置が講ぜられる、また今後ともそうした措置はいろいろと配慮していかなければならぬということは当然だと思うわけなんです。しかし、これまでの円借款、そうした問題については、これは二国間の約束ごとでありますし、いろいろと猶予だとか、あるいは金利の繰り延べだとか、そういうことがあるとしても、これは基本的にはやっぱりきちっとしていただかなきゃならない、こういうふうに思います。まあ恐らくアキノ政権としても基本的にはそうだろうと、こういうふうに思っておるわけですが、いずれにしましても、正式なまだ話し合いはしておりません。
 そこで、オンピン大蔵大臣が日本に近々お見えになりますから、オンピンさんとも話し合って、十三次についても向こう側がこれをそのまま実行するかどうかについてはいろいろとまたお考えがあるようですから、そういうお考えも聞いてみなきゃならぬと思います。それから、十二次でまだ商品借款の分も残っておりますし、こういう問題も話し合う、あるいは今後フィリピンの経済を再建するために日本に対してどういうフィリピン政府としての期待を持っておるのか、あるいはまた要請があるのか、そういうこともお聞きしたい、こういうふうに考えておるところです。
#81
○黒柳明君 あれですか、十三次の借款の十一件のうちの四件が何か変更したいとかというのは、あれはもう正式に意思表示があったわけですか。
#82
○政府委員(藤田公郎君) 先方側は十一件のプロジェクトのうち数件につきましては、二件という考えと四件という考えとかいろいろあるらしゅうございますが、緊急性等を新政府としてレビューをしました結果、若干後に延ばすということを考えたいということを内々伝えてきておりますので、今後先方のお話をよく聞きまして我が国の対応を考えたいという状況でございます。
#83
○黒柳明君 二件ないし四件についてですね。
 先ほど大臣から、今までも援助の問題について改善すべき点があったし、それはまあ審議会でいろいろ申し入れてきたし、今回の問題についても改善すべき点があれば改善すると、こうたびたび発言されて、今も発言されておりますが、事務当局の最高責任者として局長ですね、これは全貌が解明されたわけじゃありません。私どももあしたからの委員会でできるだけマルコス文書にあったああいう疑惑を解明していかなきゃならないとこう思うんですが、今の時点において事務当局の責任者としてこういう点を改善すべきだ、あるいは改善した方がよかろうと、こういう感触をお持ちな点がありますでしょうか。
#84
○政府委員(藤田公郎君) 経済協力は御承知のとおり、世界全体としましても二十五年の歴史しかない事業でございますし、日々改善の過程にあるものだということが申せるんではないかと思います。そういう点からも、特にこのフィリピンの状況が起こります前からも、いろいろこういう点は改善すべきだという点は各方面から、例えば臨調でございますとか、そういうところからの御指摘もあり、内部でも改善の努力を払ってきているというのが今の状況かと思います。
 特にフィリピン関係につきましては、今までの国会の御審議、それから明日からの特別調査委員会の御審議等を通じてまたいろいろと御示唆等がいただけるものと思っておりますけれども、ただいままでのところ、大臣の御指示でこの点は特に早急に改善せよということで取りかかっております具体的な点は事後評価の徹底改善ということでございまして、経済協力を行いましたものの後追い調査でございますけれども、評価作業、評価作業につきまして第三者的な視点を導入して手法も改善するということと、それから、本会計年度におきましてはフィリピンを重点的に取り上げて、各分野の専門の方にお願いをいたしまして、四つの分野にまたがりましてエネルギーとか農業、それから社会福祉等々、その四つの分野につきまして専門の方にフィリピンに赴いていただいてセクター別の評価活動を行うということ。それから、先ほど申し上げました評価の手法をもう少し第三者的手法の観点の導入によって改善をするということが、現在取りかかっており、かつその実施に移している改善点でございます。
#85
○黒柳明君 円借款のプロジェクトで完了したもの、あるいはオンゴーイングのもの、いろいろもりますが、それが向こうのメンテナンスの不備もありましょう、あるいは完全に事業に手がつかないということも、あるいは疑惑で、日比道路みたいにセメントが少なかったとか何とか、破壊したとかいろんな報道がされておりますし、私自身もその現場へ行って状況を見てまいりました。マニラの首都圏の排水ポンプなんかもメンテナンスで、あれじゃメンテナンスのための借款をやらなきゃならないとかいろんな問題があります。これは必ずしも日本の評価とか、あるいはフィージビリティースタディーが不満足だとか、こういうことではないにせよ、向こう側の責任が多分にある、こういうような感じがするにせよ、現状について、やっぱり基金等がそれを把握もしている、あるいは政府もそれを知っているわけであります。まして、こういうマルコス疑惑が起きた中においては、こういうものについて当然、システム的な手続じゃないにせよ、効果的な円借款の活動といいますか、実行がなされていない部分が幾多あるわけであります。そういうものも、あるいは間接的にせよ、政府の反省材料になっているんではなかろうか、あるいはこれもひとつどうかしなきゃならないという改善のポイントになっているんではないか、こういうふうに私は思うんですが、そのあたりの把握、あるいは今後の対処の仕方についてはどう感じて、どうされますか。
#86
○政府委員(藤田公郎君) まさに御指摘のとおりでございまして、経済協力の効果的、効率的な推進ということから申しますと、後追い調査をできるだけ幅広くかつ綿密に行いまして、例えばスペアパーツの不備によって、活動が十分でないプロジェクトについては、先方の自助努力で補い切れないものについて再度の後追いの援助も検討するとかいうことによって、過去における経済協力の事業が十分に稼働するような体制に持っていくということが、やはり評価活動の一番大きな目的及び効果かと考えております。
#87
○黒柳明君 それを踏まえて、基金はこういう評価について、当然マスコミに書かれるまでもなく現地にいらっしゃる方も一生懸命いろんな方面から御苦労もされていることは、私は接触をして知っているわけでありますが、こういう問題については当然、既に現状を把握されているかと思いますが、そこらあたりは何件ぐらいそういう評価の対象になっているか。今は何件ぐらいそれがあるんですか、件数的に。
#88
○参考人(熊谷和秀君) 今まで工事が完了しましたのが三十二件ありまして、そのうち十二件につきましては事後評価を行っております。先ほど先生おっしゃいましたように、また工事の途中でいろいろ問題がありまして、その点につきましては先ほど経済協力局長が申し上げましたように、今後案件管理をもっと充実してやっていきたい、こういうふうに考えております。
#89
○黒柳明君 今の中で、いわゆる何回も申しますようにマスコミ的な問題指摘をされ、私も現に行って問題がある、こういうふうに思った。その問題があるというのは、何件ぐらい評価の対象としてつかんでおられますか。
#90
○参考人(熊谷和秀君) 実は私、きょう資料を持ってきておりませんので、また後で調べまして、先生の方に御報告をいたしたいと思います。
#91
○黒柳明君 そうですか。それはまたお願いいたします。
 それから、ちょっと時間がありませんので、要するに大臣、文書のことですが、これは一切というか、契約した企業名は出さない、こういうことになっていますけれども、今も野党あるいはマスコミの皆さん方もその資料は全部持っちゃっているわけですから、この姿勢というのは大臣変わらないですか。資料は出さない、契約者の名前とか金額なんか含めての、これは出さないというのはもう変わらないんでしょうか。あるいは秘密理事会とかしかるべきところだったら、もう出してもいいんだ、こういうお考えなんでしょうか。
#92
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、私も実はいつも各委員会で責められて困っているんですけれども、まず第一にフィリピン政府が各企業との契約当事者なんですね、そのフィリピンがそれを公表していない。しかし実際は入手されておる方も随分あるわけで、それはマスコミあるいはまた国会の皆さん方も既に入手されている方もおりますけれども、しかしフィリピンは正式にはこれは公表していない。ですから日本政府としては、日本政府は当事者でないわけですから、フィリピン政府が公表していないものを日本政府が公表するというわけにはいかない、立場にはない、こういうことで公表について我々としてはこれをお断りいたしておる、こういうことでございます。
#93
○黒柳明君 そうすると、この前の参議院の予算の総括の最後にも、ある委員がちょっとその問題に触れられたんですけれども、しかるべき秘密理事会とかそういうところだったら、一覧なんかもう公表されているわけですから、出回っているわけですから、そういうものについて検討して出すという考えも今現在はお持ちになっていない。
#94
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはあくまでもフィリピン政府が当事者ですから、フィリピン政府が今後どういうふうな姿勢で対応されるのか、我々もフィリピン政府の姿勢というものを慎重に見守っていきたいと思っておりますが、
   〔理事石井一二君退席、委員長着席〕
フィリピン政府に先立って日本政府が公表するということは、やはり外交的にはよろしくない、こういう考えでおるわけであります。
#95
○黒柳明君 局長、今その基金の理事さんのおっしゃった評価の件数とか状態は公表してもいいんですかどうなんですか。
#96
○政府委員(藤田公郎君) 外務省が行いました評価活動は、もう御高承のとおり、すべて公表いたしまして出版をいたしております。
#97
○黒柳明君 基金としてはどの程度、そのお持ちの資料を公表できるものでしょうか。あるいはもう外務省が全くしないから基金もしないという姿勢なんでしょうか。
#98
○参考人(熊谷和秀君) いえ、外務省さんの方で公表しました件については、私の方も一緒に公表しております。ただ、相手国政府のいろいろな資料をもらいましてやっておりますんで、外務省さんで公表しない分について、うちが独自に公表すると、これは相手国政府の了解を得ないと公表できない、こういうことになっております。
#99
○黒柳明君 お忙しいところを済みません。
 サロンガ委員長が十二日に来るとか、こういわれておりますが、これは正式に外務省の方に意思表示があったんでしょうか。もし来られた場合の協力態勢というのはどういうふうに考えておりますか。
#100
○政府委員(藤田公郎君) 正式には政府ベースでは伺っておりません。
#101
○黒柳明君 もし来られた場合には、どういう考えをお持ちですか。
#102
○政府委員(後藤利雄君) もし、仮定の問題でございますけれども、サロンガ委員長が来られるということになりますれば、当然そのときに、こういうようなことをしたいとか、こういう方に会いたいというような希望が出てくると思います。それを踏まえまして私どもとしては検討いたしたい、かように考えております。
#103
○黒柳明君 結構です。
#104
○和田教美君 私も、このフィリピン円借款プロジェクトをめぐるいわゆるマルコス疑惑の問題について二、三、お尋ねしたいと思います。
 実は今、黒柳委員からも指摘がございましたように、特別委員会が始まりますし、私も特別委員会のメンバーですから、各プロジェクトの具体的な問題についてはその席に譲ることにいたしまして、きょうはそのベースになる一、二の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 私は、予算委員会の集中審議だとか、あるいは外務委員会などでこの問題は何回か取り上げてまいりましたけれども、その都度、今黒柳委員が指摘しました第一次円借款から、第十二次に至るまでの日本の受注企業の全部のリストを出しなさいということを要求し続けたわけでございますが、今も外務大臣から答弁がございましたように、フィリピンが出さないんだから出すわけにはいかないというふうな態度を依然としてとっておられるわけです。しかし私は、この問題については状況は相当変わってきているんではないかというふうに思います。
 それはどういうことかというと、今も、黒柳団長以下の公明党の調査団も参りましたし、野党の各党の調査団が一斉にマニラに参りましていろいろな資料を入手いたしました。で、公明党の資料などは、この今の問題の十二次に至るまでの受注企業の一覧というふうなものが全部入っておるものでございまして、社会党が手に入れられたのも同様のもののようでございます。一部には電力関係なんかで多少入っていないものもあるようですけれども、全体として見れば十二次に至るまでの日本の受注企業のほとんど全容がもう既にはっきりしている、それもマスコミで既に詳しく報道されているというふうな状況でございます。これ以上、フィリピンが出さないのだからということで日本政府が隠しに隠すというふうなことでは、かえって国民の新しい疑惑を呼ぶのではないかというふうなことを心配するわけでございます。
 私は、フィリピンが出したのは非公式なものであっても半ばオフィシャルなものであって、そこにフィリピン政府の出した方がいいという意思が働いているのではないかというふうにも思うわけでございますが、そういう状況の変化ということを踏まえて、なおかつ外務大臣は依然として出すわけにはいかぬというお考えなのか、その点をまず確かめておきたいと思います。
#105
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今いろいろとお話がありましたが、我が国経済協力にかかわる実施企業名を公表するか否かは、これはあくまでもフィリピン政府を含む当事者が判断すべき問題であると私は思っております。したがって、フィリピン政府より我が国野党の皆さん方が企業名等を入手されたということも聞いておるわけでございますが、そうであったとしても、契約の当事者でない我が国政府として、フィリピン政府が正式に公表しないという状況にあっては契約の内容を我が国政府が公表する立場にないことは、これはもう従来より説明しているとおりで、この点についてはあくまでもフィリピン政府の公表が大前提であるということを申し上げる以外にはないわけであります。
#106
○和田教美君 私は前回の外務委員会で、フィリピンのラウレル副大統領が日本政府が必要とすればフィリピン側の資料を引き渡す用意があるというふうに新聞記者のインタビューで答えている問題をとらえて、フィリピン側の意向を確かめたらどうかということを求めたわけでございますけれども、その後外務省としてその点は確かめられたかどうか、確認をしたいと思います。
#107
○政府委員(藤田公郎君) 前回の委員の御質問に対しまして外務大臣がお答えになりました御答弁は、「フィリピンの要人がこうした発言を行ったということは承知をしておりますが、その詳細につきましてはまだキャッチしておりませんので直接今ストレートにお答えするのは差し控えたいと思います。」いずれにせよ「我が国としても事実関係の把握に努めておるところでありまして、」云々と、こういう御答弁でございます。結論といたしまして、この詳細な把握はいたしておりませんので、コメントを差し控えたいという立場は今のところまだ変わっておりません。
 我が国の援助に関連してのいろいろの事実関係等の把握に現在努めておりまして、フィリピン側から関係資料が公表されるというような場合がございましたら、我が方としてもこれを入手して、我が方による事実関係の把握にも活用したいと思いますが、ただいま外務大臣の御答弁がございましたように、先方がまだ公表していないという状況でございますので、我が方としましては公表された資料の解析等に努力をしているというのが現状でございます。
 それから、委員がおっしゃいましたように、隠すということはございませんので、別に公表する立場にはないということを申し上げているだけでございまして、フィリピン側に公表しないでくれと頼んだこともございませんし、日本の政府が隠す努力をしているということは全くございません。
#108
○和田教美君 それでは、この問題はこれ以上追及しても水かけ論になりますからいいでしょうが、そこで、この問題と関連して政府・外務省は、公表しない理由として外交関係という問題ともう一つは企業秘密というこの二つの点を今まで主張されてきたわけですけれども、憲法上の新しい人権として私は定着しつつあると思うんですけれども、いわゆる国民の知る権利ですね、これとの関係が一体どうなるのかという問題について質問をしてみたいと思います。
 知る権利というのは、環境権だとかプライバシーだとか、あるいはそういうふうな社会環境の新しい変化に応じて憲法上定着してきた新しい人権だというふうに私は思います。そして、行政による情報独占が非常に進んでいるという状況に対して、国民がそれを監視するためにはぜひともこの権利は尊重されなければならないというふうに考えるわけです。知る権利は新しい人権だということですから憲法上これだという規定はあるいはないかもしれませんけれども、しかし第十三条の自由、幸福の追求権、あるいは憲法二十一条の表現の自由、憲法二十三条の学問の自由などいろいろ関連があって、それを踏まえて出てきた新しい人権概念だというふうに私は思っておるわけです。特に二十一条の表現の自由保障の中に知る権利を含めるべきだという流れを、多くの学者が指摘いたしておりますし、これは世界的な傾向だというふうに私は考えております。
 日本にはこの知る権利を具体化する手段として情報公開法の制定がまだないわけですけれども、しかし、アメリカその他ヨーロッパではもう情報公開法はどんどんできておるわけでございますが、その内容を見ると、確かに国防とかあるいは外交に関する秘密、プライバシー、営業上の秘密ですね、これはいわゆる企業秘密でございますが、これは一応公開を適用除外するというふうなところが一般的でございます。しかし、欧米の情報公開の考え方は、原則は公開であって、外交、企業秘密などに対する制限も例外措置であって、まあ一定の条件をつけているというところが多いようでございます。
 そこで、まず企業秘密の保護という問題についてお聞きしたいんですけれども、こういう営業上の秘密というものを、行政府が全部自分の握っている情報を見せていけないということでは私は断じてないというふうに思うわけです。憲法第二十九条にも財産権の規定がございますけれども、この財産権の内容は、公共の福祉に適合するように法律で定めるというふうになっております。つまり公共の福祉という縛りが一つついておるわけでございます。だから国家的利益だとか社会的利益に反するようなものは、これは私は企業秘密というふうなものには当たらない、行政府が守るべき企業秘密には当たらないというふうに思うわけでございます。
 そこで、今度のフィリピン円借款プロジェクトをめぐる一五%あるいはそれ以上の莫大なリベートを出しているというふうな問題は、外務大臣もいつか予算委員会で、これはリベートというよりも直接わいろにつながるものだというふうなことを答弁されたこともございましたけれども、そういう契約関係というものは普通の商慣習ではなくて一種の反社会的な行為、反社会的な商慣習だ、商行為だというふうに決めつけていいんではないか、だから企業がそういうものをやった場合に行政府が情報公開を拒むということは理由がないというふうに思うわけです。殊に円借款は国民の税金を使っておるわけでございますから、国民的利益との兼ね合いということを重視しなければならない。そういう意味で、国民的利益に反することについてその情報を公開しろということを国民が要求するのはこれは当然のことだというふうに思うわけですけれども、その点についての外務省の基本的な考え方はどうお考えですか。
#109
○政府委員(小和田恒君) 冒頭にお断りした方がよろしいと思いますが、憲法について外務省として政府の有権的な立場というものを申し上げるわけにはまいりませんので、そういう前提で申し上げますけれども、お許しいただきたいと思います。
 和田委員が御指摘になりましたように、知る権利というものが憲法との関係でどういうことになるかということについては、憲法に明文の規定があるわけではございませんで、一般に言われておりますのは表現の自由ということが憲法二十一条で保障されておりますので、それとの関連においてその表現を受け取る自由というものもまた保障されているのではないか、こういうふうな考え方が普通中核的な考え方になっていると思います。したがって、いわゆる知る権利というのは、当然の帰結として表現の自由というものと表裏一体の関係をなしているというふうに考えられますので、そうなってまいりますと、結局、表現の自由の限界というような形で論ぜられるようなものが、また知る権利の限界というようなことで論ぜられる。具体的に申しますと、結局憲法十二条、十三条あたりに規定しておりますような公共の福祉ということが考慮されなければならない、こういう形になるわけだろうと思います。
 そこで、今具体的に企業秘密との関連についてのお尋ねでございますけれども、行政府の立場といたしましては、行政府は当然のことながら憲法六十五条の行政権を行使するわけですけれども、その場合に、行政権に属する公務の民主的かつ能率的な運営を確保するということが行政府の責任になるわけでございます。そこで、そういう見地から申しますと、結局、行政権が職務執行に当たって職務上知り得た個人であるとか企業であるとかというものの秘密というものを公にすることが、その個人、企業の不利益であるとか、あるいは、さらに場合によっては基本的人権の侵害を招くというようなことになってまいりますと、行政権としての適切な対応ということではなくなってしまう、あるいはさらに、行政運営に具体的に重大な支障を及ぼす、こういう問題が出てくるわけでございます。そういう一般論の中において、結局企業秘密というものをどういうふうに考えていかなければならないかという限界を総合的に判断をして決めていく、こういう形になるだろうと思います。
 以上は憲法との関係における一般論でございますけれども、それでは今度の具体的なフィリピンのケースについてそれはどうなのかということになってまいりますと、先ほど来申し上げておりますように、企業とフィリピン政府、あるいはフィリピンの関係当局との間に結ばれた契約というものは、政府は直接契約の当事者ではないわけであって、それに関する資料を仮に持っておるといたしましても、その持っておる資料というのは、先ほど来申し上げておりますような行政権の行使の一環として職務上そういうものをたまたま持っておる、こういうことでございますので、もしこれについて、例えば犯罪の容疑があって、司法当局等がこれを調査する、あるいは捜査をするというようなことになってまいりますれば、これは当然職権の行使ができるわけでございますけれども、現在のような状況におきまして、その契約それ自体が単なる私契約であって、それそのものについて政府あるいは行政府あるいは外務省の立場といたしまして、例えば先ほど来申し上げておりますような司法当局としての介入をしなければならないような容疑があるというような状況でない状況で、外務省として通常の行政権の行使の枠内においてやり得ることには限界がある、こういうことを申し上げておるわけでございます。
#110
○和田教美君 次に、いわゆる外交権、憲法第七十三条の内閣が持つ外交関係処理の事務を行う権限ですね。これとの関係についてお聞きしたい。
 各国とも外交関係に関する情報は情報公開しない範疇に入っております。しかし、アメリカなどは外交関係についてもできるだけ公開することが可能なものは見せるという原則のようですし、これに対して日本はどうもできるだけ見せないという立場に固執しているような、そういう感じを私は受けるわけで、今まで外務委員会でずっと指摘をしてきた問題でございます。もちろん外交相手があることですから、相手国の利益を害するようなことをしてはいけないということは言うまでもございません。したがって、公表に当たって相手国の同意を必要とするという場合も多いだろうと思います。しかし、フィリピン円借款に関する限りはアキノ政権の態度は、私がさきにも言いましたように、出してもいいという態度が非常に明確に出ておるというふうに思うわけで、フィリピン政府の同意を取りつけることも非常に簡単じゃないかというふうに思うわけです。なぜ同意を取りつけないのかというのが非常に疑問であります。
 そういう意味で、納税者、国民が税金を払った金で運用しておる円借款というものを考える場合に、その観点が非常に重視されなければならない、こう思うわけで、その外交権との関係というものをどういうふうに基本的に考えておるか、お答え願いたい。
#111
○政府委員(小和田恒君) これも先ほどお答えいたしました一般論の枠内のお答えになると思いますが、外交に関する事務を取り扱うことは、これは憲法七十二条との関係で行政府の権限、行政権の行使、こういう形になるわけでございます。したがいまして、先ほど来問題になっておりますようなこととの関連において申し上げますと、結局、行政権の行使というものが民主的かつ能率的な運営ということを義務づけられておる行政府としてどういう形でそれを行うことが一番妥当であるか、こういうことになってくるわけで、その場合の公共の福祉的な観点としては、結局、職務執行の過程で知ったようなものというものが、それを公にすることが国の利益を損なうことになるかどうかということが外交権プロパーの問題として知る権利との関係では問題になるんだろうと思います。
 先ほど和田委員が御指摘になりましたフィリピン政府がそれを公開することについて、それは先ほどから申し上げておるような意味での国の利益を損なうということにはならないのではないかという点につきましては、これも従来から外務大臣がお答えをしておりますように、あるいは先ほど私自身が申し上げましたように、今問題になっております文書はそれ自体は外交文書ではないわけでございまして、フィリピンの当局と私企業との間で結ばれた私契約に属する、あるいはそれに関連する文書ということでございますので、むしろ当事者であるフィリピン政府の立場というものを日本政府としては外交上の配慮として配慮していくことが当然である。したがって、フィリピン政府が自主的にそういうものを出しましょうということを、当事者間の関係としてお出しになるのであればともかく、日本政府としてそういうものをフィリピン政府に対して求めていくということは妥当な姿勢ではないのではないか、こういうことを申し上げておるわけでございます。
#112
○和田教美君 次に、憲法第六十二条が保障している両院の国政調査権との関連について聞きたいわけですが、外交も内閣の行政の一部でありますから、この国政調査権というものは、当然外交も含める行政のすべてに関与できるということだというふうに私は思います。したがって、外交も国政調査の対象になるということは言うまでもないと思うんですけれども、そこで特別委員会ができるわけでございますが、いろんな資料要求をする。そこで、特別委員会の決定によって資料要求をしてくるというふうな場合に、先ほどもちょっと黒柳委員が質問をしておりましたけれども、外務大臣は特別委員会で、もしそういう資料要求があった場合には、全体のリストというようなものはなかなか出せないけれども、個々の問題については、企業名も名前も出して、そして説明した方がすっきりするというふうなことも答えられたことがあるんですが、そういうお考えなんですか。国政調査に対する協力ということを基本的に外務大臣はどうお考えですか。
#113
○委員長(最上進君) 時間がございませんので、簡略に御答弁願いたいと思います。
#114
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに六十二条「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」とあります。私も国会議員ですし、国会の調査権というのは重んじなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
 しかし、また、政府は政府としての、先ほどから局長も答弁いたしました行政権に基づくところのいろいろの制約もありますし、また外交という立場の制約もあるわけでございます。そういう中で、我々としては協力すべき点はできるだけ今回の問題等については協力をしていきたい、こういうのが我々の立場でございます。そういう中で今の資料については、基本的には何といいましてもフィリピン政府の問題ですから、フィリピン政府がこの資料を公開しない限りは、やはり日本政府がそれに先んじて発表するということは、いかに何でもできないというのが我が政府の一貫した考えで、その点については国会についても御理解を今求めておるというところであります。
#115
○委員長(最上進君) 時間がまいりましたので
#116
○和田教美君 まだまだ質問したいことがあるんですけれども、準備していただいた方もおるんですけれども、時間が来ましたからこれで終わります。
#117
○委員長(最上進君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時四十分まで休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四十一分開会
#118
○委員長(最上進君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 まず委員の異動について御報告をいたします。
 ただいま板垣正君、大鷹淑子君、杉山令肇君、夏目忠雄君及び立木洋君が委員を辞任され、その補欠として曽根田郁夫君、水谷力君、浦田勝君、宮島滉君及び橋本敦君が選任されました。
    ―――――――――――――
#119
○委員長(最上進君) 休憩前に引き続き扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、以上三件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#120
○関嘉彦君 私は、本日議題になっております扶養義務の準拠法に関する条約、日ソ租税条約及び在外公館の名称、位置法の一部改正案については賛成でございますけれども、後学のために扶養義務の準拠法に関する条約について若干質問をして、その後一般情勢について質問したいと思っております。
 まず、扶養義務の準拠法に関する条約でございますが、この第四条、「第一条の扶養義務は、扶養権利者の常居所地の国内法によって規律する。」、これがこの条約の一番重要な点ではないかと思うんです。それで、常居所というのは大体住所と考えてよろしいわけですね。
#121
○政府委員(斉藤邦彦君) 我が国の民法において言われております住所と類似の観念だというふうに観念しております。
#122
○関嘉彦君 こういうことが実際に起こるかどうかは別問題といたしまして、あり得るケースを想定して質問いたしますけれども、例えばフランスにおきましては、ああいう個人主義の国ですから兄弟の間の扶養義務はないわけですね。ところが、日本の場合は、民法八百七十七条、「直系血族及び兄弟姉妹は、互に扶養をする義務がある。」ということになっているんですけれども、フランスで例えば兄弟のどちらか一人が扶養義務を要求したいけれどもフランスではできないから、日本に移住してきて住所を定めて、それで日本の法律に従って扶養義務を請求する、要求するというケースが理論的には考えられるわけですね。実際に義務者に対して扶養権利者の方から権利の執行を求めるということは、これは実際問題として果たしてできるかどうかわかりませんけれども、そういうことは理論的には可能ですね、この条約によりますと。
#123
○政府委員(斉藤邦彦君) 我が国の裁判所が具体的にそのような訴えを受理するかどうかという点は別にいたしまして、理論上は可能でございます。
#124
○関嘉彦君 これは従来は義務者の国の法律によってやっていたのが、今度権利者の国の法律になった。これが一番大きな変更のポイントですね。
#125
○政府委員(斉藤邦彦君) そのとおりでございます。
#126
○関嘉彦君 としますと、こういった義務者の国の法律によらずに権利者の国の法律によるということは、国際的にも一般的に考えた方が変わってきたと見ていいわけですか。殊に、この条約の署名をしている国を見ますと大体先進国が多いようで、後進国はちょっと入っていないようですけれども、先進国における一般的な考え方がそういうふうに変わってきたと見ていいわけですか。
#127
○政府委員(斉藤邦彦君) この条約が採択される前からも自国の国際私法によりまして扶養権利者の常居所地法によるという規則を持っていた国もございましたけれども、一般的な傾向といたしまして扶養権利者の保護を手厚くするという観点から今度の条約で定めておりますような原則、これが妥当なものではないかという考え方が広まってきているということは言えるかと存じます。
#128
○関嘉彦君 実際問題としては、その権利の執行は非常に難しいとは思いますけれども、そういったふうな国際的な考え方の変化に応じて日本がこの条約に署名する、参加するということは私も賛成いたします。
 それから、もう一つお伺いしたいんですけれども、第五条に「扶養権利者が前条の国内法により扶養義務者から扶養を受けることができない場合には、これらの者の共通本国法を適用する。」、共通本国法というのがどうもよくわからない。英文の方を見ますと大体の趣旨はわかるんですけれども、これは法律上しばしばこういう言葉は一般に使われている言葉ですか。
#129
○政府委員(斉藤邦彦君) 我が国の従来の法律におきまして、本国法という用語は例えば法例等に使われておりますけれども、共通本国法という言葉が使われるのは今回が初めてでございます。
#130
○関嘉彦君 ちょっと読んだだけでは何か意味がわからない。外務大臣おわかりでございましょうか。恐らくおわかりにならないかと思いますけれども。その意味をまず説明してください。
#131
○政府委員(斉藤邦彦君) 意味はこの場合、扶養権利者と扶養義務者の関係を定めているわけでございますけれども、扶養権利者の本国法と扶養義務者の本国法、これが一致する場合、これをもって共通本国法という言葉であらわしているわけでございます。
#132
○関嘉彦君 つまり具体的に言うと、日本人の子供がアメリカに行っていて、そしてアメリカの法律によって、アメリカはできると思いますけれども、仮にアメリカの法律によって扶養義務者から扶養を受けることができない場合には、その子供は日本人であるから、日本の国籍を持っているわけですから日本の法律を適用する、そういう趣旨ですね。
#133
○政府委員(斉藤邦彦君) ただいま扶養義務者の法律によってはとおっしゃったと思いますが、扶養権利者の常居所地法によれば扶養を受けられないときは、両方の本国法が一致している場合はそれによるということでございます。
#134
○関嘉彦君 何かもう少しわかりやすい言葉はないものか。私もなかなかそれではどういうふうに訳したらいいかと言われてもちょっと困るんですが、何かこういった法律の言葉というのは今までずっと慣用的に使われている言葉であれば別ですけれども、新しく使う場合にはもう少しわかりやすい言葉を使われた方がどうかというふうに私は考えるんですけれども、いろいろ苦心されたと思いますけれども、いかがですか。
#135
○政府委員(斉藤邦彦君) 御指摘のとおり、新しい概念を法令用語に直すときはいろいろ苦心をするわけで、その際なるべくわかりやすいようにというふうに努力はしておりますし、その点につきまして十分法制局、それから関係省庁、この場合法務省でございますが、とも協議したところでございますけれども、今回はこれが一番妥当なのではないかということで、こういう訳にした次第でございます。
#136
○関嘉彦君 条約関係はそれで終わります。
 次は、日本とソ連との関係、国際関係について二、三お伺いしたいと思っておりますけれども、まず外務大臣にお伺いいたします。
 ソ連のシェワルナゼ外相が訪日したころ、何か日ソ間において明るい面があるような印象を与えたように思うんですが、その後、大臣がアメリカにも行かれましたし、あるいはOECDの会議なんかにも出られたわけですけれども、ソ連の外交が、シェワルナゼ外相あるいはゴルバチョフ体制になって前と変わった点があるというふうに評価されておりますか。それが第一点。
 それから、アメリカではその問題についてどういう見方をしているか、それが第二点。
 それから第三点は、米ソの首脳会談の見通しについてアメリカはどういう観測をしているか、そのことをまずお伺いしたいと思います。
#137
○国務大臣(安倍晋太郎君) ゴルバチョフ政権につきましては、国内的には最大の課題であるところの経済の活性化を行うためには抜本的な解決が不可欠である、こういうことで、これを積極的に進めるという強い意欲を示して、その具体的な方策として、現在、の規律の強化であるとか、あるいは科学技術導入の促進であるとか、経済計画、管理システムの改善であるとか強化等を挙げておりまして、これらの方策による二千年までの所得倍増を打ち出しているのがその特徴でございますが、しかしその達成については客観的に見でなかなか困難といいますか、至難のわざではないか、こういうふうに思わざるを得ません。
 また、ゴルバチョフ政権は発足以来の大事によりおおむね権力基盤を確立してきておりますが、ゴルバチョフ書記長に相対する旧勢力が依然として隠然たる力を持っているということも見られまするし、今後時間をかけて一層の権力基盤の確立に努めることとなるのではないか。中央委員会、政治局、書記局等の人事の更新等を見ますと、我々が一応事前に予想したほどの思い切った人事一新というのは行われなかったように思います。しかし、相当の成果は、ゴルバチョフ色は出したと思いますけれども、そういうところにやはり問題がまだ残っている、こういうふうに思うわけであります。
 外交面では、軍縮・軍備管理交渉を中心とする対米関係の調整が従来同様最重点でありまして、右の観点からも日米を分断していく、あるいは米欧を分断していく、こういう考え方を、スタイルを変えた形で引き続きねらっている、こういうふうに見られるわけでありますが、西側との経済協力関係の改善につきましては国内の経済改革との関連で従来以上に意欲的となっている、こういうふうに見られます。
 今般、私が訪米をいたしました際に、シュルツ長官との間でゴルバチョフ政権についての評価、お互いに意見の交換もしましたし、また、訪仏の際にもレモン外務大臣との間でソ連政権についての意見の交換をしたわけでございますが、両国首脳との意見交換を通じまして、これら各国ともこうした対ソ認識では大体一致しているという感触を得たような次第でございます。
 特に、私がアメリカに行く前に、中国の呉学謙外相が日本にお見えになりまして、中ソ関係、そういう中でのゴルバチョフ政権に対して中国がどういう見方をしているかということについても相当詳しく話を聞きましたけれども、大体今申し上げましたような骨子が中心でありまして、中ソ関係にも大きな変化というものを期待はできない。これまでのやはりソ連の政権と、スタイルは変わるし、一種のプレゼンテーションといいますか、そういうものは変わったとしても、何か本質的なものは変わっていないというふうな見方を中国もしているような感じを受けたわけでございます。
 そういう中で、第二回の米ソ首脳会談がどうなるか、これはリビアに対するアメリカの爆撃が起こりまして、せっかくそのために行われる予定でありました米ソの外相会談が延期されるということになったわけでございますが、これについては私はいわば一時的な現象じゃないかと思います。これはフランスでフランスの外務大臣ともちょうど当時米ソの外相会談が延期されるということで意見の交換をしたのですが、そのときも暫定的なものだろうというふうにお互いに意見が一致したわけですが、大体その意見は当を得ておるのじゃないか。きょうのレーガン大統領の記者会見等を見ますと、あるいはまたゴルバチョフ書記長の演説等を見ますと、米ソ首脳会談は行うということでございますし、大体ごとしじゅうには行われる見通しが非常に強い、こういうふうに判断をしておるわけであります。
#138
○関嘉彦君 私も、ゴルバチョフ政権になって、やはりソ連の国内的な経済問題の解決が至上命令になっていて、そのために外交姿勢の方についても変化の兆しが見られる。少なくとも今までより悪くなることはない、多分いい方に動くんじゃないか。日本としてもそれを助長するような政策をとるべきであると思いますけれども、ああいったふうな国でございますし、どこの国でもそうだと思いますけれども、オールドゼネレーションといいますか、古い考え方の人が新しい考え方の人をいろいろ邪魔をする。どこの国でも見られることですけれども、そういう古い考えの人たちがソ連にはまだかなり残っているのじゃないかと思いますので、その抵抗があって簡単には変わらないんじゃないか。ことに日ソ間においては領土問題というふうな問題もありますので、余り甘い観測を持つ、希望的な観測を持つことは、私はかえってよくないというふうに考えております。
 ソ連がどういうふうに変わっていくかということを見る一つのインデックスになるんじゃないかと思いますけれども、リビアに対するソ連の協力関係、ことに今度のアメリカの爆撃以後の協力、これをどういうふうに外務省としては判断しておられますか。
#139
○国務大臣(安倍晋太郎君) アメリカのリビアに対する攻撃が起こりました。これに対してソ連が猛烈な非難を繰り返して、そしてリビアを支持いたしました。これは今国連でいろいろと議論が行われておりますが、国連においてもそのソ連の態度は一貫をしておる、リビア支持と。そしてアメリカ非難ということになっておるわけでございますし、この基本は変わらないと思うわけでございますが、じゃソ連がどの程度リビアにこれから力を入れていくかということになりますと、この辺はちょっと今後の状況を見ないと判断がつかないわけですが、これまでにもうソ連とリビアの関係は深いものがありましたから、こうした爆撃を機にリビアは相当苦境に立っておる、そういう中でのソ連のいろいろのてこ入れは当然考えられると私は思っておるわけであります。
#140
○関嘉彦君 ソ連自身も国際テロには反対しているわけですから、ソ連がリビアに対してどういう態度に出てくるかということがやはり今後のソ連の外交姿勢を判断する一つのメルクマールになるのではないかと私は考えております。
 その前提に立ちまして今後の日ソ関係の問題につきまして若干質問いたしますけれども、日ソ文化協定、これはもう長い間の懸案だと思うんですけれども、なかなか進展していないようですが、どういう点が一番の問題点になっているのか、交渉中でしょうから細かなことまでは要求いたしませんけれども、どういう点が問題になっているのか、そのことをお伺いしたいと思います。
#141
○政府委員(波多野敬雄君) 交渉中でございますので細目に立ち入ることは差し控えさせていただきますけれども、一番の問題は文化交流の機会と申しますか、ソ連において日本が日本を紹介する機会、そしてソ連が日本を知る機会、これが日本サイドにおいては十分にソ連に与えているにもかかわらず、ソ連側にはそういう機会を日本に十分に与える措置がとられていないという、この文化交流の機会が必ずしも相互主義に基づいて行われていないというところにあるわけでございまして、我が方としてはこれを相互主義の原則に基づいて拡大均衡の方向へ持っていきたい。同じ相互主義に基づいてもソ連の既に得ている権利、環境を減少せしめるということでなくて、日本もソ連においてソ連が日本において与えられていると同じような機会を得たいという、そういう機会を、日本側において文化交流の機会をふやしていく、この機会をどの程度まで達成できるかというのが一番の大きな問題だと思います。
 もちろん社会体制の違い等困難な問題がございますので、一〇〇%相互主義に基づいた解決が図られるかどうかについては今後の交渉、一生懸命進めてはおりますけれども、なかなか難しいところではございますけれども、当方といたしましてはこのような相互主義の原則を達成するためにできる限りの努力を尽くしてまいりたいということで、安易な妥協は避けるつもりでおります。
#142
○関嘉彦君 私もその基本的な姿勢に賛成でございます。社会体制が違う。日本はオープンな社会ですけれども、ソ連はいわば秘密主義のクローズ、閉鎖された社会ですので、一挙にそれを変えると言ってもそれは無理な話であるということはよくわかっておりますけれども、少しでもソ連の普通の人たちに日本の実情を十分知らせるということが私は非常に大事ではないか。例えば日本の文化センターといったふうなものをモスコーにやはり設置した方がいいと思うんですけれども、日本の大使館の中に文化センターをつくっても、大使館の前にはお巡りさんが番をしておりまして、なかなか普通の人はちょっと入れない。その大使館の中に文化センターをつくってもこれは余り意味がないんじゃないかと思う。やはりできればその中心街のだれでも入れるようなところにそういった文化センターをつくる。そういう点でありますとか、あるいは日本で刊行しております日本紹介の資料なんかを自由に配布できる。向こうで配布しています「今日のソ連邦」というのは金さえ出せばだれでも買えるわけですね、日本人は。そういった配布なんかについてできるだけその制限を外していく、それによってやはりソ連の人たちに、普通の人たちに日本のことを十分知ってもらうということが両国の真の友好関係に役立つと思いますので、決して急がずに、できるだけ日本の主張が通るように努力していただきたいと思います。大臣いかがでしょうか。
#143
○政府委員(波多野敬雄君) ただいま申し上げましたようにいろいろ難しい問題がございまして、社会体制の相違というようなある意味では乗り越えがたいような問題があることは事実でございます。そして、諸外国がソ連と結んでおります取り決めにおきましても、必ずしも十分な相互主義が達成されていないということも事実でございますが、それらの問題にもかかわらず日本としてはできる限りの相互主義を達成する、日本として日本を紹介する機会をなるべく十分に得るように努力するということで、安易な妥協は排していきたいと思います。
#144
○国務大臣(安倍晋太郎君) ソ連と交渉しまして、この文化交渉にしてもどの交渉についてもそうですが、なかなか体制が違うものですから非常に難しい面が多いわけで、私もそれを痛感しております。
   〔委員長退席、理事石井一二君着席〕
特に文化交渉はそういう面が強いような感じがいたすわけですが、しかしそういう中で、今局長も答弁をいたしましたようにお互いにやっぱり相互主義をできるだけ貫いていく、そして拡大均衡といいますか、そういう方向へできるだけ持っていくように努力は続けていかなければならない。しかし、なかなかそうはいいましても、アメリカとの間の文化協定等を見ましても、そう完全にそれじゃ相互主義的なものになっているかというと、必ずしもそうも見えないわけでございますが、その辺のところはやはり体制の違いというものをお互いにある程度は理解をしながら交渉を進めて、できればひとつ解決、妥結の方向へ進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
#145
○関嘉彦君 その方針でやっていただきたいと思います。
 次に、この四月に民間の日ソ経済合同委員会が行われましたですね。それを新聞で見た範囲内での知識ですけれども、ソ連の方から日ソの合弁企業をつくることを提案してきた。これは非常に新しい点ではないかというふうに考えるんですけれども、この新聞の報道は間違っていないかどうか。それで、もし間違っていないとするならば、何がソ連をそういうふうに変えてきたのか。その点について外務省はどういうふうに把握しておられますか。
#146
○政府委員(西山健彦君) この第十回の日ソ・ソ日経済委員会合同会議、これは民間の会議でございますので、私どもが政府の立場からいろいろコメントをすることはなるべく差し控えたいと思います。しかしながら、私自身もこの会議にはいわばオブザーバーの形で出席しておりましたので、そういうことで印象を申し上げれば次のようなことかと存じます。
 御指摘のとおり、ソ連側は、ソ連国内における我が国の企業との合弁企業、ジョイントベンチャー、英語では何というかというとジョイントベンチャーと答えておりましたけれども、そういうものの設立を考えてもよい。ただし、具体的にどういうものにするかについては、ソ連側には経験がないのでよくわからない、したがって日本側から具体的な案を出してほしい、それに基づいて考えていきたい、そういう言い方でございました。初めは非常に小規模なものから、しかも非常に限られた数のものから出発して、状況を見てさらにその後の運営を考えていきたい、かような発言ぶりでございました。
 その背景といたしましてはいろいろな点が考えられるわけでございますけれども、私といたしましては、やはりソ連が現在直面しておりますさまざまな経済問題、それに対応いたしまして、ゴルバチョフ政権は経済の活性化ということを、あるいは加速化ということに第一義の重みを、優先度を置いておりますので、その一環として新しい形態での外国との経済関係のあり方、それを現在模索しており、その一環としてこういうものが出てきたというふうに考えております。
#147
○関嘉彦君 やはり石油の値下がりなんかによるソ連における外資の不足、それも一つの大きな問題、原因じゃないかと思うんですけれども、私の観測は間違っているでしょうか。
#148
○政府委員(西山健彦君) 御指摘のように、石油の輸出がソ連の外貨収入の約六〇%を占めているという現状を見ますと、現在のように石油の価格が低迷し、かつまた石油の産出量が低減しつつある、そういう状況下におきましてはソ連がそういう新しい形態を考えるに至ったのも理解できるかと思います。したがいまして、先生の御指摘も大きな理由の一つであろうと思います。
#149
○関嘉彦君 これは今言われましたように、まだ日本以外の自由主義諸国との間の合弁事業というのはないわけですね。
#150
○政府委員(西山健彦君) 第三国において協力するという形は二、三あったようでございますけれども、ソ連の中で合弁の形を考えるというのは今回が、我が国に対してが初めて行うものであるという説明でございました。
#151
○関嘉彦君 例えば同じ自由主義諸国と合弁事業をつくるにしても、西ドイツあたりが一番の対象国になるんじゃないかと思うんですけれども、特に日本に対して申し出があったということは、何か特別の背景があるというふうにお考えでしょうか。
#152
○政府委員(西山健彦君) 先方が具体的に言っております産業の種類、
   〔理事石井一二君退席、委員長着席〕
例えば米の加工であるとかあるいは木材の加工であるとか、主としてその内容が日本と非常に関係のある分野であるということがさしあたって第一の理由ではないかと思われます。
#153
○関嘉彦君 これはどこまで行けるかわかりませんけれども、実際にやるとすると、また法律上の問題、ソ連の国内法の問題とかいろいろあって簡単にはいかないと思いますけれども、外務省としては、こういったふうな民間における合弁事業をエンカレッジするお立場ですか、それともブレーキをかけていくというお考えですか、それともケ・セラ・セラで成り行きに任せるというお考えですか。
#154
○政府委員(西山健彦君) ソ連との関係では、たびたび政府の側から申し上げておりますとおり、第一に重要なことは政治関係を安定させることである、これはもう御承知のとおりでございます。しかし、経済関係につきましても、これがいわば自然の形で、自然体のままで進展、発展していくのであれば、それは決して好ましくないことではないというふうに考えております。したがいまして、そういう形での経済関係が日本側の民間と先方との間で進んでいく、それ自体は結構なことだと思います。ただ、御指摘のとおり、いろいろとまだまだ克服すべき問題が出てくるのではないかと思います。
#155
○関嘉彦君 あと五分になりましたので最後の質問に入りたいと思います。
 大臣、今度、OECDの閣僚理事会に出席されたわけで、そこで議題になったとして伝えられていますのは、ODAの問題で、グラントエレメントの見直しがEC及びアメリカあたりから提案されたというふうに新聞で拝見したんですけれども、その内容は一体どういうものでございましたでしょうか。
#156
○政府委員(国広道彦君) 今回のOECD閣僚理事会におきましても、援助金融の規制の強化の具体的方法としまして、最低限供与限度、グラントエレメントの引き上げや、そのグラントエレメントの計算方法の改定等の適否につきまして、種々の議論が行われました。各国、なかんずく日本、米国、それからECの援助政策の違い等を反映しまして、具体案につきましては合意が得られませんでした。
 我が国としましては、タイド援助信用の規制強化に前向きに取り組んでいるというところでございますけれども、グラントエレメントの計算方法を改めるということは、このままいきますと、今の提案どおりですと、高金利国に大変有利になりまして、低金利国に不利に作用するものでありまして、また累積債務問題に配慮した国際的低金利化の流れに逆行するというような問題があります。それと同時に、援助政策に与えるインパクト等も極めて大きいために、我が国としては今提案されているグラントエレメント計算方法の改定は不適当だと考えておりまして、したがいまして、今回の閣僚理事会におきましては、最低グラントエレメントを相当大幅に引き上げるという、そういうことを主体とします積極的な提案を行って合意を見るように努力をいたしましたけれども、結局コンセンサスは得られなかったというのが実情でございます。
#157
○関嘉彦君 これは急激に変えるということはいろいろ問題があるかもしれませんけれども、日本の援助を見ておりますと、やはり質的にもっとグラントエレメントのパーセンテージを高めていくということが私は必要じゃないか、単なる量だけの問題ではなしに質の問題があるので、外国から指摘されるまでもなくこれを高めていく、そういう努力をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
#158
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは全くおっしゃるとおりであります。これから、日本はますます援助大国になっていくわけですし、それだけの責任を持たなきゃなりません。それには質の改善も当然行っていかなきゃならない。ですから今回も、タイド援助の規制を強化するという基本姿勢は、日本としては貫いたと思っております。
 グラントエレメントをこれまで二五%で抑えておったのを、これを四〇%というところへ持っていったわけですね、レベルを。ですから、これはヨーロッパですら三〇%と言っておるところで、アメリカは五〇%まで上げろと言っておりますから、その中間といいますか、日本は二五%から四〇%までと、なかなか政府案をまとめるだけでも大変でしたけれども、これだけ規制を強化しないと世界の納得が得られないということで、そういうところまで持っていって提案をしたわけでありますが、残念ながらアメリカとヨーロッパがいわば組んだ形で、金利に応じてグラントエレメントの援助の態様を決めていくという、ですから、ヨーロッパのような高金利が非常に有利になる、日本のような低金利国が非常に不利になる、そういう三〇%のレベルと一緒にした形で提案をされまして、これは日本としては到底認めるわけにはいかぬ。今累積債務国に援助を行うために金利はむしろ安くしなきゃならぬという時代において、援助で高金利国が有利で、低金利国がヒットされる、攻撃されるというようなことでは到底これは認めるわけにはいかない。それよりは日本のようにすっきり四〇%でいこうじゃないかということで主張しまして、残念ながら意見が合わないで今回は何ら結論には達せなかったわけですが、これからの課題としてそうしたタイド援助はやっぱり規制を強化していくという方向にこれはいかざるを得ない。日本としてもできるだけ協力してまいりたい、こういうふうに思っております。
#159
○橋本敦君 条約案はいずれも賛成でございますので、質問の時間が少ないこともございまして当面の一般的な課題について質問をさしていただきたいと思います。
 まず、きのう、きょうの円高問題ですけれども、昨日は百七十一円、きょうは百六十九円、一年前から一挙に百円以上も円が高騰するという状況で実に深刻な事態ですが、この問題は財政当局のみならず大臣も重大な関心をお持ちだと思うんですが、現状をどうお考えでしょうか。
#160
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはどの辺がいいんだということを私の立場から言えるわけでもないんですけれども、しかしとにかく円相場が急激な変化をする、乱高下が行われる、一月もたたないうちに十円とか二十円上がったり下がったりするというようなことは、これはやはりちょっと問題があるんじゃないか、こういうふうに思います。
 日本もG5で円高傾向が進んで、いわゆる為替の調整が行われた。これは私は国際的な日本の大幅黒字という状況から見れば一つのいい傾向であったと思います。しかしこれがやっぱり急激に進み過ぎた、これがまた果たして日本のファンダメンタルズをそのまま反映しておるかという面を見ますと、またさらに急激に進むことによるところのいろいろの影響といいますか、中小企業等に対する打撃というものが出てくる状況を見ますと、調整が行われたことは基本的には私は正しいといいますか、いい傾向だと思いますけれども、これ以上円高が急激に進むというようなことはこれはかえって世界経済を混乱させることになるんじゃないか。ですからやはり為替相場が安定をしていくということが基本的には大事じゃないだろうか、こういうふうに思います。
#161
○橋本敦君 今大臣もおっしゃいましたが、中小企業の打撃というのは大変なもので、経企庁、通産省が調査したところでも一ドル二百円以上高くなればもうやっていけないというところもかなりあるわけですね。ですからその危機ラインをはるかに突破しておる。
 今私はこの点でもう一つ大臣の見解を伺いたいのは、連邦準備制度理事会の対応がちょっと手ぬるいということもあって、アメリカの側はさらに円高が望ましいというような考えを持っているんじゃないかということを私は危惧するんですが、大臣どうごらんになっていらっしゃいますか。
#162
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは竹下大蔵大臣とベーカー財務長官との間でいろいろと話し合いが行われたというふうに聞いておりますし、両国で協調してやはり安定をさせなきゃならぬという基本的なラインでは一致したようにも承っておるわけでございますけれども、しかし、アメリカとしての本当の腹は、日本もアメリカに対して五百億ドルとかこれだけまだ依然として黒字を持っていますし、また私もOECDの閣僚理事会に参りましてECの意見等もいろいろと聞いてみたわけですが、EC側としましてもやはり大きな黒字を日本が持っておるということもあって、期待感としてはもっと日本の円が高くなってもいいんじゃないか、そういうような感じは率直に言ってまだ持っておるんじゃないだろうかと、そう受けとめたわけでございます。日本としてはそろそろ安定してもらわなきゃ困るという感じを我々としては強く持っておるわけですが、EC、アメリカもいろいろと意見はあるようですが、アメリカのヤイターとかその他のボルドリッジなんという人は日本の円はもっともっと強くなるべきだということを相当放言をしておるというふうにも聞いておるわけでございます。
#163
○橋本敦君 したがって、国内の円高対策も緊急ですが、そういった国際的な状況での通貨の安定ということについての環境整備、これはやっぱり外務省としても重大な課題としてとらえて検討していただきたいと思うんですね。
 次の問題ですけれども、いわゆるマルコス疑惑問題について、大臣も調査はやるべきはやるという姿勢を何度もお話しになっていらっしゃる。ところが実際はフィリピンと日本との調査協力というステップになかなかいかないということで、私は問題だと思っているんですが、近々サロンガ委員長が来日されるという報道がございますね。これは正式に大臣、情報としてもうつかんでいらっしゃる問題ですか。
#164
○国務大臣(安倍晋太郎君) 政府としてはまだ何も聞いておりません。
#165
○橋本敦君 そういう情報があることは御承知ですね。
#166
○国務大臣(安倍晋太郎君) 新聞等では承知しています。
#167
○橋本敦君 私は一つの機会だと思うんですが、お越しになれば外務大臣はやっぱり積極的にサロンガ委員長の会いたいという要望もあればこれにこたえられて、こうした疑惑解明問題、経済援助の見直し、どうやっていくかという問題も含めて積極的な協議あるいは意見交換をなさってよいのではないかと私は思っておるんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
#168
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだ、サロンガ委員長が日本に来られるという、新聞報道等はありますけれども、政府間では正式な何も連絡がないわけですから、今の段階で来られることを前提にしてああするこうするということをお答えするのはちょっと早計ではないかと、そういうふうに思います。
#169
○橋本敦君 しかし、お越しになって会う機会があれば拒否される理由もこれまたないと思うんですが、どうですか。
#170
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだおいでになるということがはっきりしていないものですから。しかし、私はどこの国の要人でも時間があればできるだけ会うようにしております。
#171
○橋本敦君 事は国会で論議になっている経済援助問題の調査、疑惑解明ということにもかかわりますので、積極的に会うという姿勢を持って臨まれるということを、私は大臣が国会に対して調査すべきはするということをおっしゃった一環としてそういう態度であるべきだと、こう思うんですが、重ねて御意見いただけませんでしょうか。
#172
○国務大臣(安倍晋太郎君) 政府としてのもちろん限界はありますけれども、ああいうマルコス文書等が出て疑惑が云々されるという事態になったわけですし、特に日本の援助に絡んでいろいろと言われたわけですから、それはやっぱりできるだけの調査をして、そしてこれからの援助のあり方について改善すべき点は改善していくという姿勢は持たなきゃならぬ、こういうふうに思っています。
#173
○橋本敦君 大臣くどいようですが、そういう姿勢をお持ちなんですから、だからサロンガ委員長は行政規律委員会の委員長としてそれなりの向こう側も仕事をなさっているので、一つの機会として今後の調査問題ということだけに限らず、経済援助見直しも含めてお会いになるという一つの機会としてこれは前向きに検討されていいのではないか、また疑惑の徹底解明に向けてそうすべきじゃないかという私の意見なんですが、重ねてその点は一般論としてどうなんですか。
#174
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだおいでになるということを聞いていないものですからね。直接政府のルートで聞かないとやはりこちらの態度も決めかねるわけですね。しかし、日比間ではいろいろと協力関係は保っていかなきゃならぬ、こういうふうに思います。
#175
○橋本敦君 政府の正式ルートがあれば検討に値する問題だということですね。
#176
○国務大臣(安倍晋太郎君) そのときに十分検討しなきゃならぬと思います。
#177
○橋本敦君 次に、いわゆるリビアの問題なんですが、私どもも共産党としてテロは絶対に容認できないという立場を貫いておるわけですが、今度のアメリカのリビアに対する爆撃が、空軍、海軍、近代的な戦力を大々的に行使して空母から発進をするあるいはイギリスの基地から発進をするということで、まさに宣戦布告なき戦争という状況を事実上呈しておる。これが第三次世界大戦の火種になっては大変だという思いもございますけれども、この問題についていろいろ国会でも議論され、大臣も答弁されておるんですが、アメリカの側は、アメリカのリビアに対するテロ対策を理由とする今回の行為についてこれが自衛の措置だ、こう言っていることについて日本側は了解をしている、支持をしているというようにアメリカ側はとっているんじゃないかという幾つかの報道があるんですね。そうではないということならばそうではないということをはっきりおっしゃる方が政治的には明確に正しいのではないかと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
#178
○国務大臣(安倍晋太郎君) この点につきましては、日本としては私の談話をはっきりアメリカ側に伝えております。今おっしゃった件は、十六日、スピークス・ホワイトハウス副報道官が記者の質問に答えて、攻撃の後に安倍外相は、米国の説明では今回の攻撃の意図は自衛にあるということだと理解している旨述べた、こういう発言をしたというのは承知しているわけですが、これは私が、十五日ワシントンにおきまして、「米国が今回の攻撃をリビアのテロに対する自衛のための措置であると説明していることについては、米国としての理由があるのであろうが、詳細については承知していないので事態の推移を重大な関心を持って見守る。」こういうふうに述べたことを踏まえたものと思われるわけでございまして、この私の発言についてはアメリカ側にもう既に伝えておるわけです。
#179
○橋本敦君 その大臣の発言は、それを伝えられたということはわかりますが、「重大な関心を持って見守る。」というところがアメリカから見ればノーとは言っていない、サポートだというようにとるという条件あるいは空気があるのじゃないか。だからこの際、日本としてアメリカの今回の行動は支持しないというのであれば支持しないとはっきり言う、あるいは私どもは、これは明らかに重大な領土主権に対する、民族主権に対する侵害ですから、直ちにその戦争行為は停止すべきだ、中止すべきだ、こう思っておりますのですが、そういう中止すべきだということは言えないのでしょうか。
#180
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私のこの談話はそのまま素直にとっていただきたいと思います。それ以上のものでもありませんし、あるいはそれ以下のものでもないわけでありまして、あえてここでもう一回申し上げますと、「米国が今回の攻撃をリビアのテロに対する自衛のための措置であると説明していることについては、米国としての理由があるのであろうが、詳細については承知していないので事態の推移を重大な関心を持って見守る。」こういうことであります。同時にまた私は、我が国としては、国際テロ事件が頻発し、今後事態が一層悪化、拡大することを深く憂慮し、事態の正常化、鎮静化を強く要望する、希望するということも述べておる次第でございまして、これが我が国政府としての正式な外務大臣としての見解でございます。
#181
○橋本敦君 それが国際的に見てはっきりしない立場だと思う。我々国民から見ても、外務大臣も政府もサポートしているのかノーと言っているのかはっきりしないということなんですよね。近くサミットが行われまして、アメリカの方はかねてからこのサミットでテロ対策問題を重要議題にするということが言われておるわけでございますけれども、サミットに出ていって、日本の政府として今回のリビア問題についてはどういう態度をとるかがこれは注目されるわけですが、サミットに出ていった場合も、今大臣が談話でおっしゃったそういう立場でお行きになるということでしょうか。
#182
○国務大臣(安倍晋太郎君) サミットでどういう議題が取り上げられるか、今最後の詰めを行っておりますが、恐らく国際テロの問題は取り上げられると思います。そういう中でリビア問題に限定した形で議論が行われるかどうか、これはわかりません。アメリカはあるいは議題にするかもしれません。しかし、一般的な形で、最近頻発している国際テロについては各国で重大な関心を持たれておりますから、これは恐らく議題になるんじゃないか、こういうふうに思いますし、この国際テロに対して我が国は従来より、理由のいかんを問わずいかなる形の国際テロにも断固反対をしており、今後とも国際社会全体の問題としてこれらテロ防止のための国際協力を積極的に推進していきたいと考えておる、これが我が国の国際テロに対する姿勢でございまして、こうした姿勢を我が国は貫いた形でこの問題が議論されれば参加しなきゃならぬ、こういうふうに思っています。
#183
○橋本敦君 大臣、この問題についてはまさに国論じゃなくて、もう世界の世論を二分している関係にありますね。アラブ諸国は一致してアメリカに対する批判を強めている、非同盟諸国も強めている、イギリスはこれを支持して軍事基地の使用も認めている、しかし、ヨーロッパ諸国ではやっぱり批判するという空気もあるということですね、だから、私は大臣にお尋ねしたのは、このサミットでテロ対策をどうするかという議論が出てきたら一般的にテロはよくないということを言うということはいいんですよ、それを聞いているんじゃない。具体的に大臣もおっしゃるように、リビアの問題、アメリカのリビアに対する今度の行動の問題、これが出てきたときに日本はどういう態度を表明するのか、この具体的な問題については大臣談話であるように、重大な関心を持っているというだけでいくという方針なのか、あるいはもっと踏み込んでいくのか、そこらあたりどうなんですか、こういう質問なんですが、いかがでしょうか。
#184
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはサミットを行わなきゃわからぬことでして、それはいろいろと各国の立場がありますから、今までのサミットでもそうですが、各国それぞれの主張、独自の外交政策、考え方がありますから、それはそれぞれの主張が行われて議論が合わない面もあるわけです。それは当然それでしかるべきだと思いますが、しかし、各国で議論が一致する点はこれはコンセンサスとして一致した声明を出すということになっていくわけで、国際テロという問題についてはこれはもう基本的には一致していますから、これに対しては出てくるだろうと思うんですね。そういう中で具体的にいろいろな問題が出てくるでしょうけれども、それは各国の立場というものが出てきてコンセンサスが生まれなきゃ、これは声明とかあるいはコミュニケとかいうものにはならないわけですね、これは当然のことだと思います。
#185
○橋本敦君 今度の場合はそういうサミット諸国でコンセンサスが得られない可能性や条件というのもあり得るんじゃないかというように私は思うんですが、どう観測されていますか。
#186
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は国際テロという
#187
○橋本敦君 いや、具体的な問題。
#188
○国務大臣(安倍晋太郎君) いや、国際テロは具体的ですよ。国際テロという問題についてはいろいろと頻発しておりますから、これは今度もヨーロッパで各国からいろいろとそういう話を聞きましたけれども、これに対してはやっぱり一つのコンセンサスを得られる可能性はあると思うんですね。
#189
○橋本敦君 違うんです、私が聞いているのはリビア問題。アメリカの行動については意見が分かれているからコンセンサスは得られない、これは無理しちゃいかぬということで臨むべきじゃないですか、こう聞いている。
#190
○国務大臣(安倍晋太郎君) 何も無理して臨むという感じは持っていません、日本は主宰者ですから、まとめる方ですから。
#191
○橋本敦君 したがって、私は今度の問題については、政府としてはアメリカに対して具体的なリビアヘの今度の行動についてはやっぱりこれは中止するということを明確に言うとか、あるいは今度のサミットでアメリカの行動を、西側は結束を理由に、一致して支持をする方向で日本があれこれするというような行動はとらないということは、やっぱり大事なことだと思いますが、いかがですか。
#192
○国務大臣(安倍晋太郎君) それは既にいろいろと各国ともそれぞれ対応が出ていますね、フランスはフランス、イギリスはイギリス、それぞれの対応が出ている。国連の安保理事会でもいろいろと言われておるわけですから、そういう各国の考え方がサミットだからといって変わるわけじゃないわけですね。そういう中で我が国としては、議長国ですからやはりまとめられるものはまとめていきたいということですが、しかしまとまらない問題もありますし主張もあるわけですから、それはそれなりに当然活発な議論の中でお互いに主張し合うということになるだろうと思います。
#193
○橋本敦君 今度の問題については、やっぱり世界平和の基礎としての民族主権の擁護なり国連憲章の精神である国際紛争の武力による解決じゃなくて話し合い解決、こういったことも日本政府としては主宰国としてしっかり踏まえた上で対応すべきだというように思っておりますので、時間が参りましたのでそういう意見を申し上げて、質問を終わります。
#194
○委員長(最上進君) 他に御発言もなければ、三件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#195
○委員長(最上進君) 御異議ないと認めます。
 これより三件を一括して討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより順次採決に入ります。
 まず、扶養義務の準拠法に関する条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#196
○委員長(最上進君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#197
○委員長(最上進君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#198
○委員長(最上進君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#199
○委員長(最上進君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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