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1985/04/24 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 法務委員会 第8号
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1985/04/24 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 法務委員会 第8号

#1
第104回国会 法務委員会 第8号
昭和六十一年四月二十四日(木曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     吉村 真事君     林  ゆう君
     安永 英雄君     久保田真苗君
     立木  洋君     橋本  敦君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     藤田 正明君     水谷  力君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         二宮 文造君
    理 事
                海江田鶴造君
                小島 静馬君
                寺田 熊雄君
                飯田 忠雄君
    委 員
                大坪健一郎君
                土屋 義彦君
                中西 一郎君
                秦野  章君
                水谷  力君
                久保田真苗君
                橋本  敦君
                抜山 映子君
                中山 千夏君
   国務大臣
       法 務 大 臣  鈴木 省吾君
   政府委員
       法務大臣官房長  根來 泰周君
       法務大臣官房審
       議官       稲葉 威雄君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  井嶋 一友君
       法務省民事局長  枇杷田泰助君
       法務省刑事局長  岡村 泰孝君
       法務省矯正局長  石山  陽君
       法務省人権擁護
       局長       野崎 幸雄君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総長       草場 良八君
       最高裁判所事務
       総局総務局長   山口  繁君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   櫻井 文夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        片岡 定彦君
   説明員
       警察庁警備局審
       議官       鳴海 国博君
       警察庁警備局公
       安第三課長    鏡山 昭典君
       総務庁長官官房
       地域改善対策室
       長        熊代 昭彦君
       厚生省社会局保
       護課長      萩原  昇君
       労働省婦人局婦
       人政策課長    松原 亘子君
       労働省婦人局婦
       人労働課長    粟野 賢一君
       自治省行政局選
       挙部選挙課長   吉田 弘正君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○扶養義務の準拠法に関する法律案(内閣提出)
○外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特
 別措置法案(内閣提出、衆議院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (死刑確定者に対する信書発受及び接見の制限
 に関する件)
 (裁判官の憲法感覚と厚木基地訴訟に関する件
 )
 (新左翼に対する右翼民族派団体の実力行動に
 関する件)
 (夫婦別氏制導入問題等に関する件)
 (簡易裁判所の制度見直し等に関する件)
 (ウタリ保護施策等に関する件)
 (日本撚糸工業連合会汚職事件と国会議員の職
 務権限等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(二宮文造君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十三日、安永英雄君が委員を辞任され、その補欠として久保田真苗君が選任されました。
 また、本日、藤田正明君が委員を辞任され、その補欠として水谷力君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(二宮文造君) 扶養義務の準拠法に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○寺田熊雄君 法例の十四条婚姻の効力、十五条夫婦財産制、十六条離婚、二十条親子間の法律関係、この一連の規定の夫の権利、夫権、それから父の権利、父権、この主義と我が憲法十四条、男女差別撤廃条約あるいは国際人権規約等の男女平等原則との関係についてちょっと説明していただけますか。
#5
○政府委員(枇杷田泰助君) ただいま御指摘ありました法例の各条文では、夫婦間につきましての夫の本国法とか、あるいは親子関係については父の本国法とかという規定がございます。その点につきまして例えば夫婦の場合には夫というふうに決めているのは男女平等に反するのではないか、あるいは婦人差別ではないかというふうな意見があるわけでございますが、私どもは憲法なりあるいは婦人差別撤廃条約なりの趣旨は、実質的に男女の不平等を来すあるいは婦人の差別を来すというようなことがあってはいけないということの禁止規定だろうというふうに理解をいたしておりますが、この法例で定められておりますのは準拠法をどういう基準で決めるかということでございまして、その結果適用された夫の本国法なり父の本国法なりが何か差別だとか平等に反するようなことであれば、それは憲法上の問題になるだろうけれども、この法例自体は準拠法を決めるだけのことであるから、直ちに憲法違反になるとかあるいは婦人差別撤廃条約に違反するものであるというふうな考え方はとってはおりません。
 しかしながら、そういう問題があるというふうな御指摘もございますし、それからまた準拠法を指定するという場合、このような方式が妥当するものかどうか、適当なものであるかどうかについても見直す必要があるだろうということはございますので、現在、法例の身分法関係につきまして全面的な見直しをいたしておりますが、その点につきましても、その際にただいまのような問題も頭に入れながら改正を考えるという方向で今検討いたしておるところでございます。
#6
○寺田熊雄君 どうもちょっとそこのところが私どもに納得いかないのは、どちらの準拠法によるかということを決定するだけで、結果がどちらに有利かどうかということが実質的な平等をもたらすゆえんだと、そういう説明のように聞いたんですが、しかしまずその前面において、準拠法を決めるのに男性を優先するということは、結果のいかんにかかわらず、やっぱり男性を尊重するという点では間違いないように思いますね。結果は、なるほど夫婦関係の場合、妻の本国法を優先した場合にその方が有利な場合があるかもしれません。それから、夫の本国法を準拠法とした方が妻にあるいは有利な場合があるかもしれない。それはしかし結果論であって、その前提として、準拠法を決める基準として男性を優先するというのはやっぱり性の差別ではなかろうか。やはり男女不平等撤廃条約なり憲法十四条の両性の平等の原則に正面からぶつかるのじゃなかろうかと私は考えるんです。
 それに、今直ちに憲法違反だということになると無効になってしまうから、あなたの方では憲法違反であるということまで今断言なさるのはちょっとしにくいことは、私よくわかるんですよ。だけれども、やはり基準だから構わないんです、結果が問題なんですと言って理論的に糊塗するのは、どうも適切でないように思う。
 それから、法例の改正で、昭和三十六年に「法例改正要綱試案」が出ていますね。この「五 婚姻の効力」とある項目の中の「第九 婚姻の効力の準拠法については、両性平等の原則にそうよう法例第十四条の規定を改めること。」、これはあなた方御自身がもう既に問題点のあることを十分認識して、そしてこういう要綱試案を発表しておられるわけです。だから、やはりみずからもう既に問題があって、両性平等の原則に沿って改正しなきゃいかぬということはあなた方御自身が認められておられるのだから、これはやはりこういう男女両性平等の原則に従って法例を改正していく、そういう基本的な態度が望ましいと私は思うんですが、民事局長、どうだろう、もう一度。
#7
○政府委員(枇杷田泰助君) 憲法違反かどうかあるいは条約違反かどうかということにつきましては先ほど申し上げましたような見解を持っておりますけれども、現在の法例、それからただいまお示しになりましたのが昭和三十六年に私どもの方で考えた一応の方向みたいなものを示しておるわけでございますが、その時点では、身分関係の準拠法としては国籍を中心に見る、いわば本国方式といいましょうか、そういうふうな考え方が非常に基礎的にあったわけでございます。
 そうしますと、夫婦の場合にはどちらかの本因法というものをとらなければいけない、その場合に夫の本国法をとるか妻の本国法をとるかあるいは共通本国法をとるかという問題になるわけです。その選択の場合に、ただいま御指摘ありましたように、昔からの夫優先とかあるいは父優先とか、そういうふうな考え方があって、ヨーロッパの諸国もそうでございますけれども、夫の本国法というものをとることに法例も決めておる。当時はヨーロッパ諸国でもそういうふうな傾向があったわけです。
 そういうふうなことからいいますと、結果は憲法違反ではないけれども、男女平等の原則の立場に立ったときに、夫の本国法というふうに決めつけてしまうというのは、これは考え方としては問題ではないかという意識は十分にあるわけです。当時からもあったわけです。そういう観点から、何かいい方法がないだろうかということで、三十六年の段階では、共通の本国法というものを取り上げたらどうだろうかということを案として示しておるわけです。
 ところが、渉外事件の中で日本の裁判所が裁判する場合に、同じ国籍を持った夫婦間の裁判というのだけはこれで済むわけでございますが、渉外の場合には、国籍の違う者同士が婚姻をして、そしてその婚姻の効力がどうかということが問題になるケースが多いわけでございます。その場合には共通本国法ということでは賄えないものが出てくる、そのときに一体どういう基準を設けたらいいのかということになりますと、いわば国籍主義と申しましょうか、本国法主義の考え方では行き詰まってしまうわけです。そこで、欧米の風潮、立法の傾向でもそうでございますが、現在私どもが考えておるものでも、もっと別の要素を取り入れる必要があるだろう。例えば夫婦が共通の生活をしている常居所地とか、そういうふうなことを取り上げていくというふうに、いわば本国法主義というようなものを転換して考えるというふうなことで解決をすべきじゃないかということが現在検討されておるわけでございます。
 そういう意味で、繰り返しになりますけれども、実質的に憲法違反になるかどうかという点については、ならないけれども、夫というふうに決めたその沿革的な考え方というものの中には男女平等に反するような考え方もあるから、そうでない方式をとることで法例を見直すべきではないかということは御指摘のとおりでございまして、その線に従って現在改正作業の中で検討いたしておるわけでございます。
#8
○寺田熊雄君 今、民事局長の苦衷というか、そのお気持ちはよくわかるのです。両性平等の原則に違反する、憲法十四条に抵触するということになるとこれが無効になってしまうから、そうなった場合の結果はどうなるかということになるとやっぱり困る事態が生ずる、そこであなたのような解釈が生まれる、あるいは生まれざるを得ないと私は考えるわけですけれども、改正試案のように両方の共通の本国法というのが、今局長がおっしゃったように、渉外事件で両方に共通の本国法がない場合どうするんだと、その場合は、私は前回の法務委員会で参考人の方にちょっと私の意見をお話ししたんですが、もうそれはどちらの常居所地というか、その法律を適用しても構わない、それは裁判所に選択させるのだというのが、あなたのおっしゃったように、結果がどちらに有利か、女性にむしろ有利である、その方が正義の要求にかなうあるいは公平の原則から見てそれが適当だという場合には、裁判所がもう遠慮しないでそっちの方をとると。
 仮にそれが男性の常居所地の法律であろうとも、それを採用することによって結果が正義の要求にかなう、あるいは平等の原則にかなう、公序良俗の原則を満たす、信義誠実の原則を満たす、だから制定の法の理想にかなうというならば、それは裁判所に選択させてもいいじゃないか、それ以外にどっちかに決めてしまうとかえって不公平な結果を生ずるのじゃないか、あるいは男女平等の原則に真正面から抵触するのじゃないかというふうに私は考えるんですが、これはどうでしょうか、民事局長、あなたの御意見をちょっとお伺いしておきます。
#9
○政府委員(枇杷田泰助君) 法例を適用いたしまして、夫の本国法を適用して考えると非常に男女差別の結果が生ずるというような場合には、これはむしろ三十条の公序則に照らしてそれは適用できないということになる。その場合に、日本法でやるかとか、あるいは今おっしゃったような、逆に妻の本国法でやるようにするとかというふうな、いろんな見解があり得ようかと思いますけれども、裁判所でただいま寺田委員がおっしゃったような見解をとってやるということもあり得るかと思いますけれども、裁判所でやる場合には検討がなされて判例で一つの方向が定められるということが期待できますけれども、婚姻の効力ばかりじゃございませんが、身分関係の渉外事件につきましては裁判所だけが取り扱うものではございませんで、行政機関、私どもの所管で申しますと戸籍事務等にも出てくるわけでございます。それからまた、社会福祉の関係でも、婚姻がどうなっているのかというふうなことを判断しながら社会福祉の何か適用をしていくということもあり得ようかと思います。
 そういうときに、ただいまおっしゃったような事柄ですとなかなかうまくいかないという面が出てくる。ですから、このような問題については、私どもの立場とすればもちろん判例で処理されるということを全く期待しないわけではございませんけれども、なるべく画一的に、どの部門でもわかるようなそういう法制をつくっておく必要があるだろうというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、法例の改正ができるまでの間はこの十四条等の規定がおかしいと考えられる方の立場からすれば空白だというふうに言われるかもしれませんけれども、私どもとしてはなるべく早く法例を改正して、そして一つの基準、その基準も先ほど申し上げましたように一つの基準だけで済ませるというふうなわけには今後まいらなくなると思いますけれども、ともかく基準が客観的に示されるというふうなことにしなければいけないというふうに考えております。
 現段階では、先ほど申し上げましたように、夫の本国法を適用した場合に男女の平等がおかしくなるというふうなことになるか、妻の本国法を適用した場合の方がむしろおかしくなるかということはわからないわけだからこの規定自体は憲法違反じゃないんで、むしろ法例十四条適用によって決められたその準拠法が適用された結果がどうなるかということで考えていくほかはないのじゃないかというふうな考え方でおるわけでございます。
#10
○寺田熊雄君 しかし、どうも局長のおっしゃるのだと、それじゃ仮に父と決めた場合に、裁判所が判決をする場合にその結果が両性の平等を損なう、だからその場合も公序良俗で父の方の準拠法を切って捨てて母の方、あるいは夫の準拠法を捨てて妻の方を選ぶということがなし得ればもうそれでいいけれども、あなたが最初におっしゃったように、戸籍吏の関係もありますよ、行政官も関係ありますよということになると、父とあるいは夫と書くと、それがそのまままかり通ってしまうわけですね。
 それは、私がさっき言ったことに対して、あなたが、いや裁判官なら構いませんけれども、戸籍吏もあります、行政官の認定にゆだねる場合もありますというと、あなたが今おっしゃったようなことにやはり同じことが起きてくるわけです。むしろ、裁判所に出るというまでに、戸籍まとか行政官の段階というのは当事者の合意が先行するのじゃなかろうか。当事者の合意で戸籍吏に届け出ればそれで通るわけだし、両方が合意しているのだから、それはやっぱり規定としては、裁判所が適用をするということを前提にして法の規定をすればそれで足りるのじゃなかろうか。
 でないと、どっちか一方に決めてしまうと、やはり準拠法が決定するのは夫の方なんですよと、あるいは父の方なんですよということに、準拠法決定の基準としては、頭からやはり結果のいかんを問わず男性の基準によるということになってしまうので、そこは立法の技術としては非常に苦心を要するけれども、何とかその基準決定の原則それ自体が両性の平等にかなうようにあなた方が工夫なさるのがやっぱり至当じゃなかろうかと私は考えるんだが、どうでしょうか。
#11
○政府委員(稲葉威雄君) 先生の御指摘はまことにごもっともでございます。そういう方向で私どもとしては検討していきたいと思っております。
 ただ、準拠法と申しますのは一つの法律をやはり決めるということが、先ほども局長が申し上げましたように、法律関係の安定という面からいうと非常に好ましいわけでございます。その場合に、どういう基準で決めるかという場合には、このどちらか一方に加担するというと非常に問題が起こりますので、なるべく共摘要素を見つけていって、そしてさらにその共摘要素がなくなった場合には、御指摘のように、最も当事者のそういう法律関係を規律するのにふさわしい法律を裁判所が見つけるというような形で最終的には解決せざるを得ないのではないかというふうに考えております。
#12
○寺田熊雄君 ただいまの答弁で、私は一応これで納得することにします。
 それで、まだほかにもいろいろこの問題では聞きたいことが多いんですが、例えば未批准の各条約に対する対応としてはどういうふうに考えているのかということをお聞きしたいと思ったんです。これら未批准の条約が非常にたくさんまだ残りていますが、これを一つ一つ聞いていくと、これだけで一時間ぐらいかかってしまうので、それではちょっと困るから、未批准の条約に対する対応、これは局長、一言で答弁していただけますか。ちょっと最後にこれを聞きたいと思います。
#13
○政府委員(枇杷田泰助君) ハーグ条約で戦後できましたのが三十あるわけでございますが、その中で日本が批准いたしておりますものは少ないわけです。残りのものにつきましてはそれぞれ検討いたしておりますけれども、大ざっぱなことで申し上げますと、加盟国が少なくて未発効のようなものはもう少し世界の各国の動きを見たいというふうな気持ちが一つございます。それから、単純な準拠法の問題だけではなくて、制度論に関係するような条約がかなりございます。そのようなものにつきましては、我が国のいろんな機関などがどうやって対応していくかというふうな問題が出てまいりますので、これはちょっとにわかに批准するというわけにはいかないだろうという感じを持っております。
 そういうことでございますけれども、準拠法だけを決めるようなものについては、これは内容を見まして、批准の方向で考えると同時に、その条約に盛られております考え方をまず先ほど申しました法例の改正の中で取り入れて、その方向で我が国の法例を整備していくというふうなことでまず考えていきたいというふうに思います。
 それから、これは準拠法ではありませんで、外国判決の執行承認のような関係とか裁判手続に関するものがございます。そのようなものにつきましては幾つか批准したものがございますけれども、特に証拠収集の関係につきましては、これはかなり需要もございますので、この資料で申しますと十九番にありますけれども、外国における民事又は商事に関する証拠の収集に関する条約、これはこの次の機会に検討して、批准の方向でまた国会の御審議を仰ぎたいというふうに考えておるわけでございます。
 以上でございます。
#14
○寺田熊雄君 終わります。
#15
○委員長(二宮文造君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 扶養義務の準拠法に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#17
○委員長(二宮文造君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(二宮文造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#19
○委員長(二宮文造君) 次に、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。鈴木法務大臣。
#20
○国務大臣(鈴木省吾君) 外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 近年、我が国と諸外国との人的、物的交流は活発化の一途をたどっており、これに伴い、国際的法律事務もますます増大する傾向にあります。しかしながら、我が国の現行制度は、外国法について専門的知識を有する外国の弁護士が我が国において事務所を開設して法律事務を行う道を閉ざしており、増大する国際的法律事務に的確に対処するには不十分なものとなってきていると言わざるを得ず、他方、我が国の弁護士が外国において日本法に関する法律事務を行うことも必ずしも十分に保証されているとは言いがたい状況にあります。
 そこで、この法律案は、このような状況にかんがみ、渉外的法律関係の安定を図り、あわせて、外国における日本法に関する法律事務の取り扱いの充実に資するため、相互の保証のもとに、外国の弁護士となる資格を有する者が国内において外国法に関する法律事務を取り扱うことができる道を開き、かつ、その法律事務の取り扱いを弁護士の例に準じて規律する等の特別の措置を講じようとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、外国法事務弁護士となるには、法務大臣の承認を受け、かつ、日本弁護士連合会の登録を受けなければならないものとし、その要件及び手続を定めるものとしていることであります。すなわち、まず、相互主義の要件を満たす外国の弁護士となる資格を有し、かつ、五年以上当該外国において実務を行った経験を有すること等の一定の基準に適合する者は、法務大臣の承認を受けることができるものとするとともに、その承認申請手続等について所要の規定を設けることといたしております。次に、法務大臣の承認を受けた者が外国法事務弁護士となるには、日本弁護士連合会に備える外国法事務弁護士名簿への登録を受けなければならないものとするとともに、我が国の弁護士の例に準じた登録請求手続等を定めることといたしております。
 第二は、外国法事務弁護士の職責及び業務の範囲を定めるものとしていることであります。すなわち、外国法事務弁護士は、我が国の弁護士と同様の使命及び職責を有するものとするとともに、我が国の裁判所における訴訟手続の代理等一定の法律事務を除き、原資格を取得した外国の法に関する法律事務を行うことを職務とするものといたしております。また、他の外国の弁護士となる資格を有する等一定の要件を備える外国法事務弁護士は、当該外国の法につき法務大臣の指定を受け、かつ、外国法事務弁護士名簿の登録に指定法の付記を受けたときは、原資格を取得した外国の法に関する法律事務のほか、指定法に関する法律事務を行うことができることといたしております。
 第三は、外国法事務弁護士の権利及び義務を定め、その業務の適正を図るものとしていることであります。すなわち、外国法事務弁護士の権利及び義務は我が国の弁護士の例に準ずるものとするほか、外国法事務弁護士の名称、事務所、我が国の弁護士との関係等について、外国法事務弁護士の特性に応じた規律をすることといたしております。
 第四は、外国法事務弁護士は弁護士会及び日本弁護士連合会に入会するものとし、弁護士会及び日本弁護士連合会が、その指導、連絡及び監督に関する事務を行うものとしていることであります。なお、弁護士会及び日本弁護士連合会は、外国法事務弁護士に関し会則を定めるものとし、外国法事務弁護士は、その制定または改廃の議決に加わることができるものといたしております。
 第五は、外国法事務弁護士の登録及び懲戒に関する処分の適正を図るため、日本弁護士連合会に特別の機関を置くものとしていることであります。すなわち、登録に関する審査を行う外国法事務弁護士登録審査会、懲戒に関する調査を行う外国法事務弁護士綱紀委員会及び懲戒に関する審査を行う外国法事務弁護士懲戒委員会を置くものとし、弁護士、裁判官、検察官、政府職員及び学識経験者がその委員となることといたしております。
 以上が外国弁護士による法律事務の取り扱いに関する特別措置法案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#21
○委員長(二宮文造君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#22
○委員長(二宮文造君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#23
○寺田熊雄君 刑事局長にお尋ねをします。
 撚糸業界に関連する犯罪で、大変私どもにとって驚くべき事実がいろいろと出てまいっておるのであります。財政投融資資金なり税金の使い道とも関連を持っておりますし、それがいとも簡単に政治家の方に回っていくということも私どもにとっては極めて意外なのでありますけれども、こんなにも腐敗が現実に存在するということと、それから国会議員が質問をするのに官僚に原稿をつくってもらうというようなことが公然と行われていると、これも国会議員の信頼を損なう問題でもありますし、それから業界からレクチャーを受けるというのも、何か私どもにとってはなかなか納得ができない。いろいろなことが撚糸工業連合会の事件に関連して出てまいったわけであります。
 それはともあれ、調べてみますと、国会でもこの問題に関して昨年の初めから現在まで、参議院決算委員会、予算委員会、衆議院の内閣委員会、法務委員会、衆議院の商工委員会あるいは参議院の大蔵委員会、衆議院の決算委員会、そういうところで何回もこれが論議されておるようであります。そして、最終的に今問題になっておるのが民社党の横手文雄代議士、それから自民党の稻村佐近四郎代議士、この二人の汚職絡みの問題が国民の関心の的になっておるようであります。ある意味ではマスコミの方が結論を出してしまっているようなことで、我々政治に携わる者として、それが一体本当なのかどうか、我々の知らない間にマスコミがもう事実を知って報道しているということで意外の感に打たれるのであります。
 まず、そこでお尋ねをするのですが、横手文雄代議士がもう起訴されるということは間違いないという新聞の報道、これは大体そういう方向でもう検察の方の意思が固まっているというふうに我我は受けとめていいのでしょうか、それをまず伺いたいと思います。
#24
○政府委員(岡村泰孝君) 現在、東京地検におきまして捜査中でございますので、最終処分をどうするかということは今の段階では申し上げられないのでございます。
#25
○寺田熊雄君 ただ、あなたも御存じのように、マスコミがもう間違いないというふうに報道しているでしょう。それを大体我々がそういうふうに理解しても間違いないかどうかと、大体の方向をあなたにお伺いするわけです。
#26
○政府委員(岡村泰孝君) マスコミがいろいろ報道しておりますことは承知いたしておるわけでございますが、現にまだ東京地検として処分もいたしておらないわけでございまして、今後の見通しにつきまして私から申し上げることはひとつ御容赦いただきたいのでございます。
#27
○寺田熊雄君 刑事局長のお気持ちなりお立場というものはわかるけれども、大体マスコミの報道が間違った方向に行っているのじゃないということは確かなんでしょう。
#28
○政府委員(岡村泰孝君) そういうふうに申し上げるならば、まあマスコミの報道が事実であるということになるわけでございまして、先ほど来繰り返しておりますように、現に東京地検が捜査中でございまして、最終処分をいたしておらないわけでございますので、今の段階でどういう状況になるかということは申し上げられないのでございます。
#29
○寺田熊雄君 それじゃ、局長のおっしゃる最終的な結論というのは大体めどがあるのでしょう。いつごろまでに出されるのですか。
#30
○政府委員(岡村泰孝君) これにつきましても東京地検におきましていつごろというふうにまだ確定いたしておらないところでございまして、今の時点でいつごろ処分になるかということも申し上げられないのでございます。
#31
○寺田熊雄君 そう遠くない時期にというふうにそれは理解できるでしょうか。
#32
○政府委員(岡村泰孝君) 撚糸工連の事件は昨年末から捜査を継続しているわけでございます。相当期間たっているということで御推察をいただくほかないのではないかと思います。
#33
○寺田熊雄君 それから、今まで新聞に出てきました自民党の代議士が、横手代議士に質問をするように慫慂をしたというその代議士が多額な金銭を収受している、その代議士が稻村佐近四郎氏であるということがきのう新聞に大きく報道されましたね。これはもうその名前は確認してもいいんでしょう。今さら検察当局がその名前をあえて秘匿なさる必要はないんでしょう。
#34
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局といたしましては、ただいま御質問のありました議員のことに関しまして何らかの公表をしているわけではございません。したがいまして、現時点におきまして御質問の点につきましては何とも申し上げられないと、こういうことでございます。
#35
○寺田熊雄君 では、稻村佐近四郎氏に対する容疑事実について捜査をしている点は間違いないですか。
#36
○政府委員(岡村泰孝君) 撚糸工連の一連の事件につきまして現在捜査中でございまして、どういう方について捜査をしているとかしていないとかということにつきましては申し上げられないのでございます。
#37
○寺田熊雄君 これは局長、ロッキード事件のときでも当時の局長が私どもの質問に対して、特定の個人のあれについて答えられたことがあるんですよ。例えば今の中曽根総理について私がロッキード委員会で質問をしましたときに、はっきりと当時の刑事局長が答えられたんです。それは、中曽根氏については被疑者としては調べておりませんということをはっきり答弁をした事実があるんですよ。だから、余りそう秘密主義で局長が臨まれるのはどうでしょうかね。もういわば公知の事実になっているのだから、そこまで秘匿なさる必要はないと思うんですがね。
#38
○政府委員(岡村泰孝君) 現在捜査中でございますので、そういう段階で捜査の中身にわたるようなことは申し上げられないと、こういうことでございます。
#39
○寺田熊雄君 これは刑事局長が頑固にそれを言い張られることが理解できないではないんで、余りあなたに無理を言ってもいかぬから、これであなたに対する質問は終わります。
 大臣にちょっとお尋ねをするんですけれども、この事件は今やっぱり国民の注視の的ですね。マルコス疑惑と同時に、この事件がどういうふうに発展していくだろうかという点は国民がみんな注目して見ておるわけです。今までにも、造船疑獄のときの犬養法務大臣、これは現実に指揮権を発動された。それから、秦野さんが法務大臣のときに、指揮権発動というようなことはおっしゃらぬけれども、発動しないというようなことを言うべきでないということを盛んに主張されて、私も予算委員会で、そういうことがあってはならぬということで質問をいたしました。そうしたところが秦野さんは、私の質問に対して、私は決して非常識なことはいたしませんということを答弁されて、それで言外に指揮権発動なんてことはしないということをおっしゃったので私も矛をおさめたのですが、あなたも法務大臣として、こういう政治家絡みの汚職事件について東京地検特捜部が一生懸命捜査をしているそういうことに対しては一切干渉なさらずに、むしろそういう事実を徹底的にやるべきであると、そういうお考えを持っていらっしゃいますか。それとも法務大臣としてどういうお気持ちでいらっしゃるか、その辺、あなたのお考えを伺いたいんです。
#40
○国務大臣(鈴木省吾君) 私は、検察当局が刑罰法令等に触れるものがあれば適正に捜査をし、あるいは適正に処置をしているというふうに信じておりますから、格別私がどうこうすることはない、する必要もないというふうに考えております。
#41
○寺田熊雄君 そうしますと、検察当局を全面的に信頼してその処置に任すと、こういうふうに理解してよろしいですな。
#42
○国務大臣(鈴木省吾君) さようでございます。
#43
○寺田熊雄君 刑事局長、あなたはお忙しいそうだから結構です。
 それから、最高裁の事務総長、これは特定の事件に関連して余力総長の御意見をたたくということは、総長としてもお困りになるでしょうし、質問としても適切でないかもしれません。もっとも、御承知のように浦和充子事件が戦後間もなくありまして、国政調査権が確定判決の批判に及び得るかどうかというようなことで大変議論がありましたね。それで、参議院の法務委員会、あれは伊藤委員長でしたか、国政調査権はもう確定判決の調査、批判に及び得るのだということで最高裁と大変真っ向から対立なさいました。
 そういうことはありますけれども、私は今総長にそういう点をお尋ねするのではないのですが、御承知のように裁判官は、憲法七十六条で、「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」ということで、憲法の支配といいますか、これは第一に裁判官を拘束するというのは適切でないかもしれませんが、裁判官は憲法にいわば縛られるわけであります。それから、九十九条を見ますと、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」、こういう規定があります。そして、御承知のように第八十一条に、最高裁が違憲立法審査権を持っている終審の裁判所だという規定があります。
 こういう規定にかんがみて、裁判官はやはり憲法を尊重するという義務があることはもう申すまでもないわけでありますが、私どもとしましては、憲法の三大原則として普通言われておるのは民主主義と絶対平和主義、それから基本的人権の尊重、この三原則であることもほぼ間違いがないことだと思います。そういう意味で、裁判官はやはりその憲法の原則について非常に鋭い感覚を持っていくべきじゃないだろうか。これを学者は憲法感覚と言いますね。憲法感覚をやっぱり持ってほしい。同時に、基本的人権に対する尊重という人権感覚もやはり私は身につけることが必要ではないかと、こういうふうに考えるわけであります。
 殊に、憲法第十三条を見ますと、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」とあります。第十一条の、この基本的人権は侵すことのできない永久の権利であるという規定もあるわけであります。そういう意味で私は、裁判官というのはやっぱり鋭い憲法感覚と基本的人権の尊重という点の人権感覚ですか、それを十分身につけてほしい、こういうふうに考えるのでありますけれども、総長の御意見いかがでしょうか。
#44
○最高裁判所長官代理者(草場良八君) 御質問の御趣旨が一般論ということでございますので、一般論としてお答え申し上げたいと思います。
 裁判官には、単なる法律知識やあるいは実務能力にとどまらず、いわゆる委員ただいま御指摘のような人権感覚と申しますか、あるいは憲法感覚と申しますか、そういったものをあわせ含みました高い識見あるいは幅広い視野というものを身につけているということが要請されるものと存じます。したがいまして、これまでにも裁判官の養成につきましてはその点十分配慮をしてきたつもりでございます。
#45
○寺田熊雄君 一般論として裁判官が憲法感覚なり人権感覚というものを十分身につけるべきであるという点、これは総長も是認されたわけであります。
 私がなぜこういうことをあえて総長にお伺いをしたかといいますと、これは具体的な論議に入るわけですが、最近の厚木基地訴訟判決ですね。この判決は、公共性の強い国家の行為の場合は国民はこれを受忍する義務があるということで一貫していらっしゃるわけです。損害賠償の請求権も認めない、こういう判決であったわけです。これは総長に判決の批判をお伺いするんじゃないです。そういうわけじゃありません。
 ただ、こういう判決がありますと、戦前、御承知のように国防が国家の一番大切な任務なんだ、だから国防に対して陸軍が主張することは国民はすべてこれを是認しなければいけない、だから国会でもそれに対してちょっとでも批判的な言動をいたしますと、当時の軍務課長が黙れと言って国会議員を一喝したことはよく御記憶だと思うんですけれども、これは要するに国防なんだ、防衛なんだ、そこのけ、黙っておれ、一切文句言うなという戦前の思想を私は厚木基地判決で思い起こしたわけであります。
 その前に、御承知のように大阪国際空港の公害訴訟の判決がなされました。このときはいろんな条件をつけて最高裁も損害賠償の請求権というのは認められた。私どもは、公共の福祉という憲法が守ろうとする一つの原則と、それから基本的人権の尊重という憲法の大原則との間の調和点として、差しとめは別として、損害賠償請求権を認めることによって両方の調和を保とうとする最高裁の努力、そういうものがやっぱり大変尊敬に値するというふうに私どもは眺めてきたわけですが、防衛に関しては黙っておれ、そこのけ、一切文句を言わせぬのだということにまで裁判官が踏み切ってしまうと、一体裁判官の憲法感覚なり人権感覚というものはどこへ行ったのだろうか、そういう疑問を私どもは感じたわけです。
 これもやはり大変だ、ちょうど戦前に裁判官がその意図に反してかあるいは知らず知らずのうちにか戦争に協力して、ああいう無益な第二次大戦を引き起こすのに実質上協力するようなことになったわけですが、今裁判官がやはり第三次大戦を前にして同じようなことをやりつつあるのじゃないだろうかという心配を持ったわけであります。
 これは、我々が裁判官にこの国会の場でいろいろ注文をしたりあるいは意見を述べたりする機会は今の憲法下では持ち得ませんから、どうしてもやはり事務総長を媒介にして、そうして何らかの意味で国民の危惧というものを裁判官にわかってもらえないものだろうかということできょうは事務総長においでをいただいたわけであります。
 殊に、防衛といいましても、今の防衛というのは日本だけの防衛ということはあり得ないことはもう軍事専門家は皆認めているわけでしょう。これはアメリカの世界戦略の中の一環として組み込まれてしまっている。米ソが戦うときには、日本はアメリカの押しつけてきた一定の任務を担わされている。それは日本にとって防衛になるのか戦争に対して加担することになるのか非常に疑問だという考え方が今最近起きてきているわけです。そういうことに対して裁判官が余り政治に関心を持って考えるということがいけないことなのだろうか、それともやっぱり裁判官はそういう説もあるというようなこともその見識の中に含ましめていくべきなのだろうか、そういう点でもう少し裁判官が高い見識といいますか、政治についてもある程度やはり理解というか、持っておらないと誤ってしまうのじゃないか。殊に憲法九条の絶対的な平和主義の原則なんというものをすっかりどこかへ置いてしまって、ただ政府の主張する防衛理論というものに埋没してしまうということは非常に危険じゃないだろうか、こんなふうに考えるんです。
 それで、判決の批判は一切これは事務総長にお伺いするわけじゃありませんけれども、今お話ししたような政治的な問題に対して全く盲目であっていいのか、それともやっぱり裁判官の見識の中には、そういう防衛に関する理論であるとかアメリカの戦略の存在であるとか、そういうものについてもある程度の理解を持っておった方がいいのか、一般論として総長はどういうふうにお考えになりますか。
#46
○最高裁判所長官代理者(草場良八君) 裁判官といたしましては、具体的な事件を通しまして憲法及び法律に従って誠実に審理、判断をする義務と申しますか、職責があるわけでございます。先ほど御指摘のような憲法の条項もそのような意味合いであろうかと思います。したがいまして、そういう憲法及び法律の解釈、適用の場面で必要な限り、そういう意味での識見と申しますか、幅広い視野と申しますか、そういうものは日常培っていくべきものであろうかと、かように存じております。
#47
○寺田熊雄君 じゃ、私もそれ以上聞くのは無理だと思いますので、総長、これで結構でございます。
 警察庁の警備局審議官にお尋ねいたします。
 これは私は朝日新聞で見たのですが、ほかの新聞もきっと同じようなことを報道しておるのじゃなかろうかと思いますが、四月二十一日の朝日新聞を見ますと、新左翼過激派がいろいろなロケットなどを使って、天皇在位六十年記念式典あるいは東京サミットに向けて反対闘争を展開している。一方、天皇制擁護をその主張の柱としている右翼団体、ここでは右翼民族派団体でありますが、右翼団体が非常にこの点で強い怒りを示して、新左翼に対する襲撃を開始した。「左右対立に警備陣緊張」と、そういうふうな見出しての報道があるわけであります。
 いずれにせよ、民主主議を私どもが守っていく場合には、こういう左右を問わず実力行動というものはできるだけこれを除いていくということが望ましいことは言うまでもない。今警察当局がこういう過激派の行動を抑え込むためにいろいろ努力しておられることもよく知っておる。しかし、右翼が自己の好まざる団体に対して実力でそれに攻撃をかけるということも、またこれは極めて望ましからざることであることは言うまでもない。これは警察が抑えればいいことであって、右翼がそんなところへ乗り出してきて暴力を振るうというようなことは、これは厳に慎んでもらわなきゃいかぬ、私はそういう考えです。こういう行動について最近どんな具体的な事例があったのか。それに対して警察当局はどういう態度をとられたのか。これをひとつ説明していただけませんか。
#48
○説明員(鳴海国博君) ただいま御質問のありました点につきましてお答え申し上げます。
 まず、極左暴力集団による暴力犯罪、これは言うまでもなく国民の平穏な生活を破壊するものでございまして、民主主義に対する明白重大な挑戦でございます。治安の維持の任に当たっております警察としてましては、御承知のごとく、国民各位の協力を得ながら、警察の総力を挙げて厳正な取り締まりを推進しているところでございます。
 さて、右翼の方面でございますが、これは、去る三月二十五日に発生いたしました極左暴力集団による皇居半蔵門付近火炎物発射事件の後、この極左暴力集団に対する対決意識を強めておりまして、例えば四月十八日でございますが、午前八時ごろ、埼玉県蕨市内所在の戦旗社、これは極左暴力集団の一つの派でございますが、この戦旗社ビルの前で四トンダンプカーをバックさせまして建物に衝突させ、ブロック塀であるとかコンクリート外壁、そして窓ガラス二枚を破損する、こういうような行為をしております。これを含めまして同様の事案が三件ほど発生いたしたわけでございます。警察は、これら犯罪につきましては当然のことでございますが、関係被疑者六人を建造物等損壊罪などによりまして現行犯逮捕いたしております。こういったふうに鋭意取り締まりを推進しておるわけでございますが、今後ともこの種不法事案の未然防止については遺憾なきを期してまいりたい、かように考えておるところでございます。
 警察としては、いかなる立場からするものでございましても、違法行為というものについてはこれを看過しない、こういう基本方針のもとに今後とも厳正に所要の取り締まりを推進してまいる、かような所存でおるところでございます。
#49
○寺田熊雄君 矯正局長にお尋ねをしますけれども、私どものところに、最近、東京拘置所に拘置されております死刑囚の小山幸雄という人のことでいろいろと訴えがあったわけであります。その訴えの趣旨は、法律上の親族であり唯一の身寄りである者との接見交通すら禁止しておる、その措置の根拠になっておるのは一九六三年三月十五日通達、昭和三十八年の三月十五日法務省矯正局長依命通達矯正甲第九六号であるということのようであります。
 そこで、おたくの方から法務省矯正甲第九六号という通達を御提出願って、これを拝見をいたしますと、なるほどこれはちょっとどうかなという感じを抱かざるを得ないわけであります。これについては局長としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
#50
○政府委員(石山陽君) ただいま委員御指摘の通達は、接見に関します監獄法の四十五条一項及び信書の発受に関しまする同法第四十六条の一項に規定します「在監者」という言葉の中に死刑の確定者も含まれておりますので、その死刑確定者の法的地位にかんがみましてその運用の細則をより明確にしたいということで、今から二十数年前になりまするが、ただいま御指摘の時期に信書の発受、面会の基準等についての内容を示した基準通達でございます。
 それによりますると、基準の項目といたしましては、やはり死刑囚というのはいわゆる懲役刑の受刑者ではない、また未決という段階で裁判が確定する以前の段階の者とも言えない特別な法的地位を有するものでございますので、その刑を執行されるまでの間刑務所等に身柄を拘置されるという期間の取り扱いを第一義に考えなきゃいかぬわけであります。そこで、それにつきましては、通常我々が社会的に考えておりますように、死刑が確定した以上、法律的に死刑制度の可否ということは別といたしまして、死刑執行に至るまでの間その心情を安定させ、罪の償いを遺族あるいは被害者に対し求めるという情操を起こさせ、安定した気持ちの中で刑の執行が受けられることができるようにという観点から、その信書の発受あるいは面会につきまして、それを損なうおそれのある行為についてはこれは許さないという基準を定めてあるわけであります。
 例えばその例示の中には、委員も御承知のとおり、身柄の確保を阻害するおそれのあるもの、あるいは社会一般に不安を抱かせるおそれのあるもの、あるいは心情の安定を阻害するおそれのあるもの、あるいは施設側の管理運営上支障のあるもの、こういったような形での面会あるいは信書の発受はお断りするという形でございまするが、私どもこれまでの経験にかんがみまして、この基準につきましては、ただいま委員御指摘ではございまするけれども、実務の運営上、現在これを特段に、直ちに運用を変えるというところまでの考えは持っておらないところでございます。
#51
○寺田熊雄君 局長はそういうふうに頑張られるけれども、この通達は原則として接見交通権はないのだという立場に立っておるのじゃないんでしょうか。だから、いわば例外的に恩恵として面会もさせるし手紙の発受を認めるという立場じゃないでしょうか。
#52
○政府委員(石山陽君) 現行の監獄法の四十五条で申しますると、「在監者ニ接見センコトヲ請フ者アルトキハ之ヲ許ス」という形で許認可にかかわらしめておりますので、裁量行為だというふうに考えております。
#53
○寺田熊雄君 「之ヲ許ス」というのを何か許さないものなんだという原則はどこから出てきますか。「之ヲ許ス」というのは、むしろ許すことが原則じゃないんでしょうか。
#54
○政府委員(石山陽君) これはこの法律ができましたときからの解釈で、「之ヲ許ス」というのは必要的許可を示す意味ではなくて、裁量的許可基準を示したもので、許すことができるというふうに読むという解釈であります。
#55
○寺田熊雄君 それは人道的な見地というものを全く無視している、局長に似合わない考え方じゃないだろうか。これはあなたも御承知でしょう、国際人権規約などをよく読まれればわかるけれども、在監者といえどもやはり人間としての処遇を受ける権利があるのだ、人格を尊重して人間としてのふさわしい処遇を与えなさいということが、もう既に私どもが批准をした人権規約の精神でしょう。
 だから局長も、我々にかつて提案をしました刑事施設法案の中で「死刑確定者は、次に掲げる者と面会し、並びにその者に信書を発し、及びその者から信書を受けることができる。」という第百十八条、これをあなたがみずから提案なさったでしょう。これは親族とは面会ができるのだ。それから、婚姻関係の調整であるとか訴訟の遂行であるとか家計の維持、その他身分上、法律上または業務上の重大な利害に係る用務の処理のために面談をすることもできる。それから第三番目に、刑事施設の長が相当と認めるという者、これを書いていらっしゃる。これはやはりそういう人道的な処遇が望ましいと考えるから、あなたはそういう立法的な修正を我々に提案なさったわけでしょう。
 だから、現行法の解釈で「許ス」というのは許すことができるということなんだ。だから、恩恵にすぎない、もともと許さないのが原則であるというような非常に官僚的な発想で行刑をなさるということはどうだろうか。これはよほど考えてもらいたいと思いますよ。余り官僚的な発想に固執して頑張るということは今の近代的な行刑の理念に真っ向から抵触するのじゃないだろうか、どうですか。
#56
○政府委員(石山陽君) ただいま委員おっしゃるとおり別に官僚的に発想をして頑張るというつもりは毛頭ございません。私は現行法の解釈論として申し上げているわけでございまして、例えば今私四十五条の一項を申し上げましたが、「之ヲ許ス」という一項の規定が必要的許可の規定でございますならば、二項に「受刑者及ビ監置ニ処セラレタル者ニハ其親族ニ非サル者ト接見ヲ為サシムルコトヲ得ス」という規定はないはずであります。つまり、だれでも接見を請うたときは必要的に許さなきゃならないというならば、この二項は一項と二律背反するわけであります。
 したがいまして、現行法の解釈はそうなっておる、ただし現在の国際的な監獄に関します諸法令の近代化、国際化の空気からいいまするとこのような監獄法ではだめだ、したがって次の機会には新しい監獄法で接見交通権をいわゆる被収容者の権利としてこれを認める規定に改正いたしたい、これが前回私どもが、未成立に終わりましてまことに残念でありますが、刑事施設法案を提出したときの理由なのであります。ですから、私どもはそういう新しい方向に向けてもちろん考慮いたしまするけれども、現行法の解釈論をお尋ねでございましたからそう申し上げたという次第なわけでありまして、御了承いただきたいと思います。
#57
○寺田熊雄君 解釈論としてもどうだろうかね。
 今局長は、これが恩恵的措置というか、「許ス」というのは許すことができるということなんだ、第二項があるじゃないか、第二項があるのはまさにそれを証明していると言うけれども、私は第二項はまさにその逆な解釈を導くものだと考える。というのは、第一項は許すんだ、第二項は親族にあらざる者との信書の発受はなさしむことはできないんだ、できるという一項に対して、むしろこれは、できないんだという例外規定なんだ。だから、これは一項の許すという原則を否定する論拠になるはずがないんです。一項は許すのであって、しかし許すと言うとすべて許してしまうから、すべて許すのじゃありませんよと、つまり親族にあらざる者との信書の発受はできませんよという例外的な禁止をむしろ第二項はやっているという意味の方が法律家としては適切な解釈だと私は思いますよ。どうですか。
#58
○政府委員(石山陽君) お言葉を返して恐縮でございますが、そうしますと、その二項にまたただし書きがついておりまして、「特ニ必要アリト認ムル場合ハ此限ニ在ラス」と、ここにまた裁量の根拠を置いているわけでございます。したがいまして、やはりこれは私どもは、現行法の解釈によりますれば、施設長が在監者の接見交通については裁量的な許可権を持っておる、しかし、その中でこういった基準としてあらかじめ決めておくべきものはこうやって明文をもって規定しておるというふうに読んでおる次第でございます。
#59
○寺田熊雄君 これもまた法律論としては成り立たぬと私は思います。つまり、ただし書きは第二項の本文のただし書きなんであって、第一項のただし書きじゃないですよ。あなたは、このただし書きでもって第一項の原則が否定されるようにおっしゃるが、この「但特ニ必要アリト認ムル場合ハ此限ニ在ラス」というのは、その本文が親族にあらざる者と信書の発受をしてはいけない、しかし特に必要があったときはいいのだという第二項本文のただし書きなんだから、第一項のただし書きにあなたは利用して解釈されては困る。
#60
○政府委員(石山陽君) 確かに、委員仰せのように一項と二項の関係を委員のような御解釈によって理由づけることもできるということはわかります。
 私が申し上げておりますのは、一項が裁量行為であって許すことができるという規定として読みたい、しかし二項において接見をなさしむことを得ない場合を特に明示して書いてある、その中でももう一度裁量の原則へ戻ってただし書きで運用上認める場合を書いてある、こういうのが現行法の解釈だというように申し上げたので、委員のおっしゃっているのは、まさに許すのが必要的であって、許しちゃいかぬのを書き、またそれを最後にただし書きで許している、こういうふうにお読みになっているという差だけであろうかと思います。
#61
○寺田熊雄君 どうも、やっぱり何か囚人は悪い者だ、できるだけ許さない方向で厳しくやるのだという、何かジャン・バルジャン時代の刑務官のような思想でこれを運用されてもらっちゃ困るんだな。これは、もうちょっと温かい気持ちで、できるだけ差し支えない限りは人間としての処遇を与えるべきであるという、そういう近代的なやっぱり発想で条文を解釈していただくということの方が望ましいと思いますね。現実の運用も局長のような、何か非常に厳しい、一切許さないのだと、ただし恩恵的に特別の場合だけ認めるのだという発想で運用しておられるわけですか。
#62
○政府委員(石山陽君) 現行の監獄法四十五条はこのような規定になっているということを私は御説明したわけでありまするが、実際の運用といたしましては、例えばその後、昭和八年にできました行刑累進処遇令によりますれば、いわゆる累進処遇という方法をとっておりますので、監獄に入りたてで例えば四級という格付の段階の受刑者につきましては、月に一回面会をし、あるいは信書の発受ができると、こういうふうになりますが、それが行刑成績によりまして逐次進級してまいります。最終的に例えば一級になりますれば、随時面会、随時発信の許可が出るというふうにして緩和された運用がなされておるところでございます。
#63
○寺田熊雄君 いや、今問題になっているのは死刑囚についてです。
#64
○政府委員(石山陽君) 失礼いたしました。死刑囚につきましては昭和三十八年の先ほど申しました通達でございますね、それに従った運用ということで行われておるところでございます。
#65
○寺田熊雄君 そうすると、この百十八条など、人権規約と真っ向からこれは抵触するように思いますね。できるだけ人間としてふさわしい処遇を与えろと――親族と面会をする、それが月に一回か二回かあるいは二カ月に一回かということはあるでしょう。しかし、親族と面会をする、あるいは夫が妻と面会をする、あるいは夫が妻との書簡を取り交わすというようなことは、もう人間として全くこれは極めて自然の行為で、人間としてそれはふさわしい行為だと思うんですよ。だから、あなたのように死刑囚はもう許さないのだというようなかた苦しい考え方でやるということは、これは人権規約と真っ向から抵触する非人道的な考え方だと考えざるを得ないんですが、これはもう一遍考え直してもらえませんか。
#66
○政府委員(石山陽君) 死刑囚の面接につきまして親族といえども一切許さないというような原則で今運用しているという事実は全くございません。むしろ親族は通常、親族の情をもちまして、身内にこういう不幸な法的地位に立つ者が出た、もう何とか慰めたい、あるいは自分がかわって被害者に対しその慰謝の念を述べてあげたい、これはもう親族共通の情だと思います。ですから、こういう人たちが、通常の場合でございますれば、お会いになりたいということでお見えになったときは、心情安定にも、先ほど申しました通達の基準に沿うものでございますから、積極的に合わせて差し上げるという場合の方がむしろ多いと思います。
 ただ、本件は特別な事情がありまして、これを親族として直ちにお会わせすべき案件であるかどうか、これについて東京拘置所の方が違う考えを持っておりましたので、お金わせできないという措置をとっている次第でございます。
#67
○寺田熊雄君 面会の点は局長の御見解わかりましたが、信書はどうなんですか。
#68
○政府委員(石山陽君) 信書につきましての基準も大体三十八年の通達で、同様な解釈基準で運用されております。したがいまして、親族に対しまする接見交通のうちの信書の発受の分も、大体親族等につきましては通常許されている例が多くございます。
 本件は、先ほど申しました理由で面会も許しておりませんので、信書の発受につきましても制約していることは事実でございます。
#69
○寺田熊雄君 それは何か特段の合理的な理由があるんでしょうか。
#70
○政府委員(石山陽君) 具体的な案件についてのお答えでございますし本人のプライバシー等もありますものですから、ごく抽象的に申し上げることをお許しいただきたいと思います。
 先ほど委員御指摘のケースにつきましては、私どもの基準から申しまして、その面会なり文書の発受の拒否を当然施設長が裁量で判断しなきゃいかぬわけでございますが、その中で、本人に関しましてこれまで面会の申し出をしたのは弁護士さんとそれから問題の養子縁組をしました養父母、このケースだけでございまして、弁護士さんにつきましては再審等につきまして訴訟準備の必要性があるということで、これは会わせております。
 ただ、本件の場合の養子縁組は、実は本刑が確定します前に支援者グループのある人に対して、死刑囚になってしまうと現在の運用では接見交通権が制約されるという法的地位になるので、面会や通信を確保したいから、あんた養父母になってほしいと、こういう約束のもとに養父母の手続をしたというわけであります。年は五つしか違いません。こういう養親子関係で接見交通権を確保するような養親子が親族として心情の安定に寄与できるかと、こういう形から東京拘置所長がそのような判断をし、接見交通をとめたのだというふうに私どもは理解しておる次第でございます。
#71
○寺田熊雄君 具体的な案件は、私も余りそう詳しくないです。それでは、その点はよく調べた上でまたお尋ねすることにして、この通達というのが、どうも何か面会させることが特段の恩恵のように、むしろ面会させないことが原則であるというように余りにも厳し過ぎる。国際人権規約その他の新しい近代的な考え方とどうも合わないのじゃないかと私は考えるので、これは局長、余り感情的にならずに、ひとつもう一遍再検討をするという、そこまではやっぱりしていただきたいと思いますが、これはどうでしょうね。
#72
○政府委員(石山陽君) 先ほどもお尋ねで申し上げましたように、私どもは監獄法の改正を既に一度提案しておりますし、監獄法改正の必要性と緊急性はいささかも変わっていないというふうに考えております。その監獄法が改正された新しい刑事施設法案におきましては、死刑の確定者に対しましても接見交通権は、現行と違いまして、ある程度権利化あるいは官側で申せば義務化という方向がより明確に打ち出すことができます。それとともに、その運用等につきましても現状よりもさらに検討を加え、より進歩的なものに進めることができるだろうというふうに考えておりますので、法改正を速やかに実現さしていただきたいと、これをお願い申し上げます。
#73
○寺田熊雄君 今あなたのおっしゃるように、刑事施設法が今の監獄法の非常に古い規定を改めて人道的な処遇を実現しようとする進歩的な要素を含むことは私も認めておるんですよ。それを認めるにやぶさかでありません。ただそれは、あなたもよく知っていらっしゃるように、別個な理由があるのだから、代用監獄制度というガンがあるからそれは通らないので、通らないから今のは改めることはできませんと言って何か感情的になっちゃ困るんだ。あなたは、それが通らなくてもできるだけ人道的な処遇というものはやっぱり可能な限り実現していくという、そういう気持ちを持っていただかないと、この法律を認めないからこれ直しませんという頑固な態度じゃ困るんです。だから局長ももう一遍考えてください。
#74
○政府委員(石山陽君) 私が申し上げましたのは、法的制度としての整備については法改正を必要とするという趣旨で申し上げたので、現在の運用の実際から申しますと、三十八年の運用基準といいましても、先ほど委員から非常にアナクロニズム的だというおしかりを受けましたけれども、私どもの立場から申しますれば必要最小限度やむを得ない実は制限基準でありまして、できるだけ運用上は弾力的に、現行監獄法の欠陥をできるだけ新しい時代に沿う運用なり通達によって補充していきたいという精神は現在も変わっておりませんので、現在でもその辺は心がけておりますし、さらにそういう運用を通じまして次の法改正に進みたいというふうに思っております。
#75
○寺田熊雄君 終わります。
#76
○委員長(二宮文造君) 午前は質疑をこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#77
○委員長(二宮文造君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#78
○久保田真苗君 私はきょう、民法の夫婦同氏、別氏の問題について質問をしたいと思いますが、その前にちょっと先ほど寺田委員の質問された法例につきまして一言だけ加えさせていただきたいんです。
 それは、まず寺田委員の御主張を全面的に支持するということと、もう一つ、一つの事実について御注意を一応喚起しておきたい。それは、今回日本も批准いたしました女子差別撤廃条約の十六条、つまり婚姻家族関係の部分につきまして、これを留保した国がございます。それは、お隣の韓国もそれに含まれているということです。
 私は、このような実質的な留保についてはまだ議論の余地があると思うんですけれども、留保したということになりますと、当面これが条約に沿って改められるめどは立っていないと、こういうことになると思います。日本の婦人で在日韓国人の男性と結婚される方は多いと思います。しかも、その方々は事実上日本に世代にわたって常住している方でございまして、そのような意味から、先ほど民事局長が言われました実質的な不平等と不利益が現にはっきりとあるということを指摘いたしまして、早期の法例の改正をお願いしたい。これはお願いにしておきますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、民法でございますが、七百五十条に夫婦同性を規定してございます。これが余りに硬直的で泣かされている人が大分多いのでございます。そのことをきょうはちょっとくどいかもしれないんですが、例を挙げまして幾つか聞いていただいて、そして見直しをお願いしたいのでございます。
 まず、その一つでございますけれども、これは議員会館の全議員に配付されたものですから、皆様御存じと思うんですが、昨年、陳情書がございました。これは、ある小規模の食品製造業の業種の方で、ライオンズクラブの会員の方なんです。もちろん男性で岡山県の方でございますけれども、お子さんがお嬢さんだけ二人なんでございます。最高学府を出ているので、一人は仕事とそれから自分の家名を継いでもらいたいということのために婿養子を約束した、しかし結婚後、そんなことは聞いていないと言われて唖然となった。まさに娘を奪われたというショックで大変なものがあったと。そして、苦労した家業の方は本人が嫌ならともかくとして、やっぱり家名とかお墓とかを守ってもらう、そういう意味からいっても、ぜひ自分の姓を子供に伝えていきたいんだと。それで、乏しい私財の中から戸籍法の改正を唱えていると、こういう趣旨の内容でございました。
 それで私、この方はかなり伝統的な考え方の方だとは思いますけれども、しかし非常に一生懸命になられただけポイントを突いていると思いますので、原文を、その一部だけでございますけれども、ちょっと御紹介させていただきます。
  苦労して育てた私共娘の親としては、娘を奪われた心情です。それで私達が亡くなれば財産まで持っていかれ、私達と御先祖様は無縁仏となるは必定です。誠に寂しい限りです。日本では結婚届を出す時どちらかの姓を記入する事になっています。選択は自由の様ですが、これが間違いの元だと思います。中国の蒋介石の夫人は宋美齢、毛沢東は江青、韓国の金大中の夫人は李姫鎬、アメリカ、カナダ、ソビエトに至るまで浅学の私の知っている範囲では実家の姓を名乗るのは自由です。日本のような何づれかの姓にしなければ結婚届を受理してもらえないのは如何なものでしょうか。
  日本でも昔、法然上人の父漆間時国の嫁は奏氏(当時は実家の姓を呼んでいた)
 こういうことが書いてあります。そして最後に、「古今東西を問わず現在の日本国戸籍法は国際的ではないと思います。」、で、「私の御願いしたい事」は、その一は「結婚届は本人の意志で旧姓を使用してもよいように」、その二が「出生の子供も両親の希望により母方の姓を使ってもよいように改正して戴き度い」、「又、新しい提案ですが、諸般の事情により」、三つ目、「子供が成人に達した時は本人の意志により選択の自由も可能な様にして置く事も必要かと思います。」と、こういうふうになっております。
 そして、この中で非常に熱意を込めまして、
  必死の思いでこれを御願いをする次第であります。何卒私の熱意御斟酌下さいまして、私同様娘しか出来なかったものに一日も早く法案が出来ます様に、多くの先生方の御協力を得て超党内に戸籍法改正について御尽力下さいます様お願いする次第であります。
 こういう内容なんでございます。これをお聞きくださいまして、大臣はどういう御感想をお持ちになりますでしょうか。
#79
○政府委員(枇杷田泰助君) 私からちょっとただいまの問題について考え方を申し述べたいと思います。
 夫婦同姓主義を日本の民法はとっておるわけでございますが、これに対しまして、別姓でもいいではないかと、そういうふうに改めるべきであるというふうな御意見がございます。ただいまも御紹介があったような御意見があるわけでございます。
 その別姓をすべきであるという論の根拠に二つの方向がある、結果は同じなんでございますけれども、考え方としては二つある。一つは、ただいまおっしゃいましたように家名の継承という問題でそれを取り上げる立場があろうかと思います。これは、最近子供の数が非常に少なくなってきた、一人っ子というのが多いわけです。その場合に、女の子である場合には結局家名がなくなってしまう公算が多い、それが困る、そういう立場からの立論と、もう一つは、氏というのは個人の呼称ではないか、それを結婚するまでずっと使ってきた個人の呼称が結婚すると同時に別の呼称になるということはおかしいんじゃないか、むしろその呼称は呼称として結婚後も長く続けるというふうなことを認めるべきではないかという、いわば個人の呼称、姓というものを強めるという形での別姓の主張と、二つの私は流れがあると思います。
 第一番目の家名の問題は、これは実際の日本の社会におきましては非常に強い観念として残っておるわけであります。私どもとしては、旧民法のときには、これは確かに家の呼称として氏というものがあったわけですが、そういうふうなことは新憲法下におきましてはとるべきではないと、個人の呼称であるという立場に転換をいたしておりますので、家名を残すというふうな形でのその立論については、私どもはいささかちょっと受け入れがたいという気持ちを持っています。
 しかしながら、個人の呼称という立場に立ちまして、そして結婚後もなお従来どおりの呼称が続けていけるようにしなければ社会生活上も困るではないかというふうな観点については、私はそれなりの理由があろうかと思います。
 ただ、そのようなことがまた一方では、家族、これは社会生活の基本的な一単位としての家族が一つの名前のもとで生活をするということが日本の社会の中で定着しておりますので、それが部分的に別姓のものがその単位の中に入るということについて社会的にみんなが許容するという状況下に現在あるだろうかという問題がありますので、その点については民法の改正につきまして慎重に検討しなければなりませんけれども、そのような問題があり得るということは受けとめておるわけでございます。
#80
○久保田真苗君 家名というふうに集約されるんですけれども、必ずしも家名だけではないと思うんです。やっぱりそのような雰囲気の中にあって、娘の姓が変わり、新戸籍を編製している、こういうことから、自分の妻が老後残されたとき非常に孤独な感じを味わうだろうとか、あるいは老後の面倒見が今までの伝統的な感情から怠られるのではないかとか、こういったいろいろなことがございまして、その実感については、私はやっぱり今の社会の様相もあわせて非常に理解できるところじゃないか、こう思うわけでございます。
 大臣のお考えも、それじゃ後でまとめて伺わせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、今のは男性の方ですけれども、今度は主として個人の名称の方で主張している女性の立場からのものが幾つかございます。
 一つは、最近の新聞の投書に出ましたもので、三十八歳の主婦の方なんです。これですと、非常にこれは心情的なもので、法律論を言っているわけではございません。しかし、こういうふうに言っています。「姓が変わるこの気持ち」というのです。
  「安藤サン」と主人方の姓で呼ばれて十年になりますが、まだ百パーセント自分が呼ばれている気がしません。完全に「安藤サン」になれるのはいつなんだろう。こんなこと思うのは主人に失礼なのだろうか、などと考えることもあります。
  結婚すればどちらかの姓に急に変わるわけで、それまで自分を形成してきた元を捨て去るようでさびしさもあります。そこで一般にはどちらかの姓を名のり、何か正式な名のりをする時には自分の元の姓、新しい姓そして名前と続けても良いのではないでしょうか。特別な事情がない限り男性側の姓を名のる人がほとんどですが、自分の結婚以前の歴史まで消し去ることはない。わが家の女の子たちも自分の姓に愛着を持って育ち、またいつかこの姓と別れる日が来るのでしょうか。悲しいことです。
こういうのがございます。
 それから、多少省略いたしますけれども、今度は「法学セミナー」という雑誌への執筆、これは「夫婦別姓をすすめる会」をつくった弁護士さんのものでございます。「いざ自分自身が結婚となった時、夫の姓と自分の名前を組み合わせてみてもなんともしっくりせず、自分の顔を無理矢理整形手術させられるかのように感じ、どうしても素直に名のることができなかった。」、そして「戸籍上の姓を変えたくなければ、夫に自分の籍に入ってもらうか、婚姻周を出さないか、いずれかの方法しかない。前者の方法は、男のメンツがあり、どうしても夫は承諾しない。ジャンケンでさえ同意してくれない。」と、こういうわけですね。そして、結局挫折して、婚姻外の結婚ということも子供のことなんか考えると長続きはしなかったと。「しかし、その後、この三、四年の間に、私の周囲には、法律家か否かを問わず結婚後も旧姓で通す、あるいは婚姻届を出さないという人が、急に増えはじめた。」というようなことが出ております。
 また、私がいただきました手紙で、ある弁護士さんですけれども、この方は結婚前の姓で弁護士活動をやっている。戸籍上は夫の姓になっている。ところが、海外で何かをするときに、パスポートの関係で、ホテルに泊まるのも弁護士活動の名前でない婚氏でサインしなきゃならない。これは相手が依頼人でもあった場合にはなかなか面倒なことだ、こういうことでございまして、姓を変えたくない女性は結婚しなければよいと言う男性もあるのですけれども、まだまだ大変ですというようなことでございます。
 大臣はいかがでございましょうか、姓を変えたくない女性は結婚しなければよい、こうお思いでしょうか。
#81
○国務大臣(鈴木省吾君) 私は古い人間でございまして、明治生まれなものですから、どうも古い観念に実はとらわれて、本当に今先生御指摘いただいて、なるほど国民の意識あるいはその基礎になる各般の経済あるいは社会のいろんな問題が確かに変わってきて、昔のままでいいのかなというような今感じを持ちました。しかもまだ、諸外国の例も挙げられまして、なるほどそういう国も多いのだから日本でもそういうことはできないのかなという感じも持ちましたけれども、何しろ私は、率直に申し上げまして、こういう問題は非常に不勉強でございますので、確かにこれから国民生活の実態、意識というものを考えながら慎重に検討していかなければならない問題であろうということは感じた次第でございます。
#82
○久保田真苗君 徐々に徐々におわかりいただけると思うのでございます。
 それで、民事局長、法律家の中には、この夫婦同氏の強制につきましては憲法の二十四条を引っ張りまして、「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、」とあるところをとりまして、姓を改めるということを結婚の条件にするということは違憲の疑いがある、こう言う人もあるわけでございます。まあ戦後四十年近く使われた民法が違憲では甚だ困るのでございますけれども、社会の様相が変わってまいりますと次第に実害の出量がふえてまいりまして、だんだん違憲の状態も生まれてくることはどうも事実じゃないか、こう思うのでございます。
 きょうは労働省の婦人政策課長さんにおいでいただきましたので、最近均等法が成立し、この四月一日から施行されました。そこにあるねらいと、それから最近の女子の社会的進出の状況についてちょっと御発言をお願いいたします。
#83
○説明員(松原亘子君) お答えいたします。
 先生今おっしゃいましたように、男女雇用機会均等法は昨年の五月に成立いたしまして、この四月一日から施行されております。この法律のねらいは、その法律の「目的」第一条にも書いてございますように、雇用の分野での男女の機会の均等、待遇の確保を実現するということを目指しているわけでございまして、労働省の婦人行政におきましては、この法律を円滑に施行することにより、法の目的が実現されるように最大の努力を払っているというところでございます。
 なお、おっしゃいました社会進出の実情につきましては担当の婦人労働課長の方からお答えさせていただきたいと思います。
#84
○説明員(粟野賢一君) 総理府の労働力調査によりまして最近の状況を見てまいりますと、六十年現在ですが、全労働力人口のうちで特に女子の方の比率というのが三九・七%、二千三百六十七万人ということに相なっていまして年々増加をしているわけでございます。その中で特に雇用者だけをとってまいりますと、六十年度でございますが、三五・九%ということで、これも毎年毎年増加をしている、こういう状態でございます。
#85
○久保田真苗君 最近の特徴としまして、女子の労働力が量的に非常にふえたということのほかに、質的にもいろいろ専門職とか管理職がふえてきておるわけでございまして、そういう意味からは、いろいろな意味で自分の名前で活躍するという分野が非常に多い。これはもう申し上げる必要もないことだと思うんです。
 ただ、女性の約六割は既婚者で、現に夫がいる有配偶者だということを申し上げておいて、相当の数の方たちがやっぱり結婚後も働き続け、氏の変更の問題に直面しているのだということを申し上げておきたいと思います。どうも労働省ありがとうございました。
 それから、婦人の社会的進出だけが要因ではございませんで、先ほど局長も御指摘になりましたように、子供の数が平均二人ということになりますと、娘だけというケースが確率としては四分の一になるわけでございます。日本の世帯約三千万世帯の四分の一が娘だけしかいない家庭じゃないか。そういう方たちの心情というのはやはりお察しができるだろうと思うんです。それで、大体もううなずいていただいていて、特にこのことを詳しく申し上げる必要はないのでございますけれども、ちょっとこの七百五十条につきましてこれを改めるということになりますとどういう可能性があるのか、それをお聞かせいただけますか。
#86
○政府委員(枇杷田泰助君) 七百五十条につきましては、先ほど来出ております別氏制度を導入することができないだろうかということで、法制審議会の民法部会におきましても何回か話題に上ったことがございます。その場合に、別氏強制はとれないだろう、同姓でありたい者は同姓でいい、ただ、別姓でありたいという者がそれを許容されるという形で認めるべきではないかというふうな方向の議論でございます。
 その場合に、別姓をとった場合にその子供の氏をどういうふうにして決めるかという問題が次に出てまいります。この場合に父の方の氏をとるというのでは、これまた両性平等の問題になるわけです。そうすると、どうやって決めるのだ、夫婦の協議で決める、これは外国の立法例にもございますけれども、例えばドイツなどでは夫婦の協議で決めるのだけれども、決まらない場合にどうするか。ドイツでは、決まらない場合には父の姓だ、こうなるわけです。これもまた問題でございます。そういうふうなときの手当てをどうするかというふうな技術的な、技術的なと申しますか、考え方が非常に問題でございまして、立法の形式としてはどうなるかということはまだはっきりいたしません。もし改正するとすれば、選択的に別氏を認める、子供の姓についての決定方式というものを何か決めなきゃいけないという問題があろうかというふうに考えております。
#87
○久保田真苗君 今局長が外国の立法例についてお挙げになったんですが、ついでに、一九七〇年代から非常な勢いで欧米におきまして家族法の大改正が行われているのでございます。私もその一部の情報は持ってはおるんですが、必ずしも最新とも言えませんので、恐縮ですが、おわかりになっている範囲で、どういうふうに変わったかというようなことをお聞かせいただけますか。
#88
○政府委員(枇杷田泰助君) 私どもも必ずしも完全には把握いたしておりませんけれども、ここ十年ないし十数年の間に欧米諸国で家族法についての改正がなされておりますけれども、その大きな方向といたしますと、まず離婚について、これは日本は協議離婚が認められておりまして非常に離婚自由国と言われておりますが、キリスト教国を初めといたしまして、離婚がかなり制限されている国がございます。そういうところでは、日本の協議離婚というところまでは踏み切っておりませんけれども、離婚の要件についてだんだん緩和していくというような方向が一つ見受けられようかと思います。
 それからもう一つは養子の関係でございますけれども、これにつきましては完全養子、実親との関係を切り離したそういう形での養子、殊にこれは未成年養子の場合でございますけれども、そういうような方向への立法がなされておるわけであります。
 それからなお、非嫡出子の地位につきまして、日本ではまだその相続権等について嫡出との間に相違がございますけれども、これをだんだんとなくしていこう。で、認知請求権などもはっきりと確立させると同時に、相続権等についても嫡出、非嫡の別はなくそうというような方向が一つあります。
 それからもう一つは、先ほど来問題になっております婚姻の際の氏をどうするかというような関係で、これは大きな傾向とまでは申し上げられるかどうかわかりませんけれども、従来よりは別氏制というものが認められるような方向がだんだんとあらわれてきているというような印象を持っております。
#89
○久保田真苗君 ありがとうございました。
 私の調べました範囲でも、最新の状況がわからないのもありますけれども、日本のように同氏しか認めないということは、今や非常に例外的だと思います。
 せっかくちょっと書き抜きましたので申し上げさしていただきますと、オランダは別氏、同氏選択の自由。フランスは、やはりこれが結婚した人の法律上の唯一の姓は出生時の姓であって、それを慣習的に夫の姓を使うという方が、通称なんでございますけれども、それも認める、こういうふうな立場でございます。イギリス法も大体似たような考えのようでございまして、同氏を強制するとか、そのような法律は何もないということでございます。
 それから、例えばアメリカ・マサチューセッツ州の法のように、同氏、別氏それから結合氏を選択させる、さらに全く別の氏を称してもかまわないというようなものもございます。それから、西独が七六年の改正で複合氏が認められ、婚氏を省略できるというようなのがございます。
 カナダのケベック州の法はちょっと特殊でございまして、結婚後もそれぞれ夫婦が自分の姓を名乗らねばならぬと、これは別氏の強制みたいになっておりまして、もしこれが正確だとすると、ここまで主張するつもりはございません。
 それからスウェーデンなんかは、八一年に非常にいろいろな選択の自由を考えたものを提出いたしまして、私は結果がどうなったかを知らないんですが、考え方としまして、その法案では、まず同氏、別氏の選択の自由があります。それから、結合氏ではなくて、相手方の姓を自分のミドルネームとして記号的に入れるという自由も双方にあるということ。それから三番目に、子供の出生のときに、子供のための家族名を出生の際決めることができる。決めない場合、子供が生まれると自動的にスウェーデンの場合は母親の姓をとる。それから、子供の場合にも選択の自由がありまして、子はもう一方の親の姓をミドルネームとして使うことができるとか、子供は夫婦のいずれかの姓を将来選択する権利を留保するとか、そんなようないろいろなことがございます。
 大変厄介なんですけれども、やっぱり今の世の中に適合するためにはある程度のどうもエネルギーが要るらしい、こう思うわけでございます。
 ちなみにフランスでは、母親の姓を子供が優先的にとるのではなくて、この場合は父親の姓をとるというふうになっていることも申し上げた方が正直だと思います。この場合は恐らく認知というような意味合いもあるのではなかろうかと推測いたします。そういうことでございます。
 それから、社会主義国では、ソ連もそれから中国も全く同氏、別氏は選択の自由、二重姓も夫婦とも権利として持つということでございます。
 韓国が例外的に別氏でなければならないというふうになっている、こんなようなことでございます。
 また、子供の問題はいろいろあると思うんですけれども、これで見ますと幾つかの選択肢があるように思うわけでございます。それは、父の姓を優先すること、母の姓を優先すること、そして最も理想的に言えば夫婦の協議によって決めること、そして決まらない場合に、例えばどこかの調停機関を用意すること、それから子供の将来的な選択を自由にすること、いろいろな選択肢があると思うんですが、日本の場合非常に特殊な戸籍制度というものがございまして、この戸籍制度との関係で非常に難しい問題があると世上伺うんですが、局長はこの点はどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。それほど難しい問題はないというふうにお考えでしょうか。
#90
○政府委員(枇杷田泰助君) 夫婦別姓ということになりますと、戸籍の編製をどうするかという問題が戸籍制度の上に出てくることは間違いないところでございます。
 御承知のとおり、現在は夫婦同姓であるということを前提にいたしまして、そして筆頭者のところで姓をあらわして、配偶者、それから子供については双方同じ姓だという前提で戸籍が編製されておるわけです。これが別姓になりますと、そういうような編製方式ではちょっと混乱を生ずる可能性もありますので、戸籍制度をまたひとつ工夫をしてわかりやすいものを考案していかなければならないという課題をしょい込むことにはなります。しかしながら、それは実体法としての民法が別姓だということに決まれば、それに合うような戸籍制度を工夫するということになるわけでございまして、戸籍の方が現在と違うやり方を強いられるから、だから別姓はいけないということには私はならないと思います。
 問題は、やはり実体的に別姓制度というものを日本の現在の状況で導入することが適当なのかどうかというところに私は問題の中心があるように思います。
#91
○久保田真苗君 おっしゃるとおりだと思いますが、民法の方に別氏の可能性を導入する選択性といいますか、別氏の道を開く、そういう条項を導入するということについて、そこが問題だとおっしゃるんですが、一体何が問題なんでしょうか。
#92
○政府委員(枇杷田泰助君) 氏というものが、先ほど申し上げましたように、旧民法の時代と違いまして個人を表現する呼称であるという観点に立ちますと、夫婦が同姓でなければならないということにはならない、別姓であるということは氏の本質からいっても可能な考え方であろうということではありますけれども、ただ、この氏の問題というものは、国民の意識、社会的な習慣、そういうものに非常に根強くあるわけです。
 先ほど例としてお挙げになりましたように、一人娘を嫁にやって姓が変わってしまうと何か自分と縁が遠くなるのじゃないかというふうな、そういうふうな観念で受け取られる面があるわけでございます。ということは、氏が同じであるということが一つの親族としてのきずなをあらわす、それがなくなってしまうときずなが弱まるという、そういう受け取り方があるわけです。したがいまして、親子の間でもお嫁に行って氏が変わればきずながなくなるという観念は、同時に、夫婦、親子のその家族の中で別氏の者があるということでは、そういう家族のきずな的な考え方からするとなじまないのではないかという抵抗感があろうかと思います。
 それからもう一つは、明治以来、いわゆる婿に行くということでない限りは妻の方が夫の氏を称するということで、長年そのようなことが定着してきておりますので、男性側としますと、どうも結婚するときには男の氏になるのは当たり前ではないかという観念が、私は現在では強いだろうと思います。そういう強い観念を打ち破るということになりますと、だからそれは別姓を強制するのじゃなくて選択だからいいではないかといいましても、そのような夫婦でありながら別姓であるなんという、そんなことは日本の社会ではそれはおかしいというふうな、これは私がそう考えているわけではありませんけれども、そういう観念が非常に強い。そういう中で別姓を導入するということがいいかどうかということが私は最大の問題であろうと思います。
 これが、先ほどもお話しになりましたように、女性の方が社会にどんどん進出をされて、しかもそれが補助的な仕事ではなくて、むしろ主体的に自分の名前と信用と能力というふうなことで社会的な活動をされますと、やはり氏というものは結婚前からの氏を名のっていなければ大変なことだというふうなことの意識がだんだん強まってくれば、私は夫婦別姓というものが社会でもだんだん受け入れられていくようになると思いますが、現在のところそこまで熟しているかどうかということが一つの最大の問題だ。それからもう一つは、別氏の場合に子供の氏をどうするかということは諸外国でもいろいろな例があるわけでございますが、日本でどういうふうなことの選択肢を選ぶかということになりますと、これまたいろいろ難しい問題がある。
 そういうふうなことがあわせて社会全体のコンセンサスが得られるというようなことになれば私は夫婦別氏導入も可能だと思いますし、またそれが妥当するような社会も将来できてくるのではないかと思いますが、現在はただいま申し上げましたようなことが問題で、にわかに踏み切るということはどうだろうかという立場におるわけでございます。
#93
○久保田真苗君 局長のおっしゃることはちょっと矛盾していると思うんです。それは、局長がそうお考えになるわけじゃないんですけれども、一方にそういう別氏になることについての国民感情がある、特に男性の感情もあると、そちらの方をおっしゃりながら、こっちでこれの投影みたいな形で、だからさびしいのだという人のことは支持していらっしゃらないんですね。これは一つの同じ根だと思うんですよ。その人の置かれた境遇によって非常に異なる方向へ行きたいという願望になっていると思うんです。
 ただ、私が思いますのは、仮に選択が可能になるように改正されたとしまして、その場合もそれを選択する人はふえているとはいえ比較的少数かもしれない。しかし、その少数の人が非常に強い願望を持っている、そしてそれによって得るところの利益、逆に言えばそうならないための不利益というものも非常に大きい、こういうことになりますと、少数の人の権利や利益も最大限に守らなければならないというのがやっぱり民主主義の世の中じゃなかろうか、こう思うわけです。コンセンサスということはこういう問題についてはほとんどあり得ないでしょう。いわゆるただの一票も背かないという意味のコンセンサスはない。しかし、大多数の人がそのように考えるとしましても、少数の人の願望を踏みにじるということであれば、それは圧制だというふうに思うわけです。
 理屈をこねましたけれども、大臣はその辺どういうふうにお考えですか。
#94
○国務大臣(鈴木省吾君) なかなか難しい問題で、これは先ほども申し上げましたように、国民の意識それから社会のいろんな制度等も関連してまいります。大多数の者があれでなくとも踏み切ったらどうだという御意見かと思います。これも私申しわけありませんけれども、この法律そのものについてもそれほど十分勉強もいたしておりませんので、これから先生の御意見等を聞いて勉強させていただきたいと思っております。
#95
○久保田真苗君 どうぞいろいろ御検討ください。
 ここでちょっとアンケートの結果を紹介させていただきたいんです。それは、さっき夫婦別姓をすすめる会というのをちょっとメンションしましたけれども、その会がとったアンケートでして、回答者が千七百八十一人、これは未婚、既婚、全部マリタルステータスをあわせてとっているわけでございます。去年の実施なんでございます。
 それで、もうポイントだけを簡単に申し上げますが、この方たちの結婚で夫の姓に変わったのは九六%なんでございます。一般的には九八%ちょっとだと言われておりまして、少数ですが、男性が変わる場合もあるわけでございます。それで、結婚して姓が変わったときどう思いましたかと聞いたときに、この回答者、これ郵送なんですけれども、嫌だと思った人というのが三九%、約四割なんです。
 それから次に、姓が変わったことで不都合があったかという問いに対して、はいと答えた人が四九%なんです。その内容としては、やっぱり仕事上の信用、実績、それから夫と自分の関係が本当に対等になった気がしないとか夫の家族からいわゆる古い嫁の立場というものを押しつけられるとか、そんなようなことがございます。
 それからまた、旧姓を使っている人があるんです。婚姻届は出して夫の姓になったけれども、通称として使っている、その人はこの中に一六%いたんですね。
 ただし、この一六%の人は通称を使い続けているうちにいろんな問題にぶつかってしまったんです。そのぶつかったというのが、一つは職場で戸籍名を要求された、そこで挫折する。それから、公的機関の書類というものがどうも戸籍名じゃないとだめだ、さっき申し上げましたパスポート、保険証、不動産の名義、そういったようなものがいろいろございます。それから、対人関係でいろんな不都合が出てくる、こういうことなんです。
 こういう三つぐらいの状況がございますけれども、通称を使うというのは非常に現実的な、今の制度がある限りにおいては一番賢明なやり方かもしれない。ただ、いろいろな問題がぶつかってきまして、実際問題として大変煩雑で困っているという事実があるんです。だから、何とか少なくともこの通称というものが社会にこれで十分受け入れられるという法律的な措置を整える必要はあるのじゃないかと、こんなふうに思うんですが、大臣もこういう方には同情していただけると思うんですけれども、いかがでしょうか。
#96
○政府委員(枇杷田泰助君) ただいまお話ございましたように、通称といいましょうか、結婚前の姓をなお実際上の社会生活の中では使っておるという方がおられることは私どもも承知いたしております。そういうふうなことも夫婦別姓というものが一つの問題として私どもが時々取り上げるということの理由になるわけでございます。
 これを法律的に通称もいいという法律というのが一体どういう意味を持つのか、純粋な法律でいいますと、ちょっと法律の効果といいましょうか、それは事実問題ではないかということにもなりますので、法律で手当てをすべき事柄であるかどうかについては、私はちょっとにわかに御返事できない面がございます。
 ただ、実際上いろんなところで結婚前の名前、あるいはペンネームといいましょうか、それ以外でも特殊の業界で使う名前をお使いになっている方もおられますので、それは事実問題としていいのじゃないか。それが社会の中で実際はその人をあらわすものとして周知されていれば、それはそれで足ることではないかというふうに思います。
 法律で許容するということが、ただいまおっしゃったようにパスポートにもその名前を書けというふうに、通称を書けということになるのかもしれませんが、ただ日本の場合には個人の同一性を識別するためにいろんな方法がございますけれども、最終のところは戸籍に帰着する面があろうかと思います。戸籍に書いてある名前と違う名前で同一性を把握するということは一つ問題があろうかと思いますので、法律で決めるというその御提言が具体的にどういうことをおっしゃっているのかわかりませんが、私どもは法律で決める事柄とは少し次元が違うような印象を持っておるわけでございます。
#97
○久保田真苗君 これはすべて結局民法で根本的に解決されるべきことなんですけれども、通称で使っている名が法律的な効果を持つように、つまり選択制にするということが一つと、例えば諸外国でやっておるような二重姓で登録する、あるいはどちらの姓でも構わないということにするか、そういった公式の場で戸籍名以外には通用しないということが一つ困るわけです。だから、戸籍名を二重姓にするという方法も方法論としては一つはあると思うんです。そして、実際にはそのうちどちらかを省略しても構わないというような方法が諸外国でとられているわけでございます。
 例えば、前に国会議員で藤原道子さんという方がいらっしゃいました。山崎道子さん、離婚なすって、どうしても復氏しなければならなくてという時代はもう過ぎたんですけれども、やはり戸籍名でしか国会では活動できない、こういうことになるわけでございます。
 ですから、もし一定の実績を積んだ方が名前を変えるということになりますと、いろんな活動上不自由を来す。ですから、戸籍の上での考慮を払う余地が一つあるのじゃないかということを私は申し上げているわけです。戸籍の方法で効力の範囲を広げるという、こういうことでございます。
 アンケートに戻りまして、未婚の女性だけに聞いたんです。結婚したらどっちの姓を選ぶかというときに、自分の姓を選びたいといった人は確かに一二・三%だったんです、この結果では。しかし、そのほかに、この一二・三%の相当部分は、これは挫折するでしょう、結局実際の問題に遭遇した場合に。で、そういうことを予想しまして、どうせだめなんだから婚姻届を出さずに結婚したい、こういう人が一二・六%あるんです。これは局長どう思われますでしょうか。やっぱりこういう方法も当然あってしかるべきだと、そして事実婚がふえていってもいいじゃないかというふうに思っていらっしゃいますか。
#98
○政府委員(枇杷田泰助君) まさにその男性と女性とがいわゆる社会で言う結婚の意思があり、そして共回生活を営んで子供をつくっていくという、そういう関係にありながら、なお夫婦同姓の原則があるために結婚届を出さないということは、これは非常に不幸なことでありまして、そういうふうなことがふえてもいいというふうには私は考えません。
 また、そのことは子供にとりましても問題が生ずるわけでございますので、現行の民法で言えばどちらかに決めて婚姻届を出してきちんとしていただくということをお願いするほかはないのでありますけれども、そういうふうなことが社会の現象として非常に多くなるということになれば、先ほど来御主張の夫婦別姓制度の導入ということがだんだんと現実の問題として浮かび上がってくるだろうとは思いますけれども、私は今おっしゃったようなことを好ましいと思うかどうかということで言いますと、それは私は不幸なことであるというふうには考えます。
#99
○久保田真苗君 しかし、若い方の中ではこういう現象は確かにふえていると思うんです。私、法務省も一定の時期にこういう調査をしていただけないものだろうかと、こういうことを思いますけれども、どうでしょうか。
#100
○政府委員(枇杷田泰助君) いずれまた夫婦別氏問題が検討の対象になる時期があろうかと思いますので、そういう世間一般の声の大きさといいますか、広がりと申しましょうか、そういうものを見ながら立法を考えなきゃならぬと思いますけれども、その際にはひとつ世論調査的なこともしなきゃならぬと思いますけれども、現在まだ一つの方向性を持つという段階まで来ていないと思いますので、現在そういう調査をするという計画は持ち合わせておりません。
#101
○久保田真苗君 現在まだ方向性がとおっしゃるけれども、まさに他の先進国ではその方向性はもうはっきりしているわけです。日本の場合もやっぱりそういうことを望む人が非常にふえているし、それは局長、あえて調査までなさらなくても、婦人の職業活動、社会活動がふえるということにおいていろんなつまずきが出ているということ、それは御認識いただけますですね。
 そういたしますと、この事実婚というのは、それも一つの考え方かもしれないんですが、私の考え方からしますと、今度の女子差別撤廃条約の中にも結婚の法的登録ということは一項目出しているわけでございます。それはやっぱり結婚した当事者の結婚における権利を保護されるという意味からいえば、登録が明らかに望ましいわけでございます。ところが、日本の民法は、その意味では次第次第に登録を奨励しない法律になりつつあると私は思うんです。事実婚は局長が不幸だとおっしゃるのはまさにそのとおりでして、特にいろんな問題がございます。
 内縁関係というものも日本ではかなり認められております。社会保障の権利とか、そういうときには一定の認定をする。例えば内縁関係を民生委員に証明してもらうとか近所の人の証言を得るとが、あるいは結婚式や披露宴の写真を役所へ持っていくとか、いろんなことをして一生懸命認定してもらう。だから、それはある程度保護されるようにはなったけれども、しかしそれは絶対に同じとは言えないわけです。
 そういたしますと、それは社会保障だけじゃなくて、税法上の問題、それから相続上の問題、それからさっきおっしゃいました子供の籍の問題、それから嫡出子か否かという問題、ここまでいきますと、それはもう非常に同氏の強制というのは甚だしいものがあるわけです。やっぱり子供の利益ということ、これに勝てる人というのはなかなかないです。それでもなおかつ種々の不都合を忍んで自分の姓でやっていくという人が、例えばこの間の東京弁護士会のシンポジウムにもそういう方の例がございました。その娘さんもそれを自分はやっていくと、こういう決意を固めているんですね。
 そうなりますと、それなりの主張があるわけでございまして、職業上の利益というだけでなく、やっぱり個人の人格権、そして自分の同一性、アイデンティティーの問題、こういったものを一生貫きたいという希望が強いわけでございます。ひとつこういうところをぜひお酌み取りいただいて、今の氏の変更を強制する制度を改めていただきたいと、こう思うわけです。ひとつ御検討をいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
#102
○政府委員(枇杷田泰助君) 夫婦同姓が強制されるというために婚姻届を出さないでいるというようなケースは、それは昔から多かったというわけでなく、最近ふえてきたといいましょうか、最近生じてきた事柄であろうと思いますが、私どもは既に、御承知だと思いますけれども、昭和三十年ごろから夫婦別姓というものが導入できないだろうかという問題意識は持っておりまして、そして時々そのことをまた持ち出しては検討を加えておるわけでありますが、現在のところ、まだ社会一般の意識からしてそこまでは熟してないのではないかという考え方でおるわけでございます。
 この氏の問題は非常に難しい問題をはらんでおりまして、一昨年でございましたか、国籍法の改正をする際に戸籍法の改正を一部いたしましたが、その中に、外国人と結婚をした日本人が、これは民法の適用はございませんから別姓になるわけですが、別姓のままでは非常にぐあいが悪いから、むしろ同じ呼称に簡単にできるようにしてほしいということが、ヨーロッパに住んでおられる、ヨーロッパの男性と結婚された日本女性の間に非常に声が強かった。それを受けまして、婚姻後六カ月以内ならば外国の夫の姓に変えられる、要するに片仮名文字の姓に変えられるという措置をとったわけでございます。そのように夫婦別姓を認めているようなヨーロッパにおきましても、なおかつ夫婦が同じ呼称でないと非常に奇異な感で見られるというふうなことがあって外国に在住しておられる日本女性が非常に困っておられるということ、その背景があるわけでございます。
 ですから、夫婦別姓を認めているところでもそのような背景がございますので、日本でまだなかなかそういう夫婦別姓を選択的にしろ導入するという意識が許容されるというようなことが熟していない。これから、先ほど御指摘ありましたような女性の社会進出がどんどん広がっていく、あるいはまたそういうふうな女性の意見というものがだんだんと声が大きくなり、広がっていくというふうなことを見定めませんと、踏み切ることはちょっと問題かと思いますけれども、私どもはもう既に昭和三十年ごろからそのような問題意識は持っておりまして、そういう意味での社会意識の変革であるとか動向であるとかというものは注視いたしておるわけでございます。
#103
○久保田真苗君 局長がおっしゃるように、確かに外国人と結婚した人の場合に同姓になることを希望する人がいる。それは、同姓になることを希望する人がいるということは私は一度も否定したことはないんですよ。ただ、今のある法律規則によって当てはまらない人の側にも、どちらの側にも不満がありますと、こういうことなんです。そのときに、どうして外国人と結婚した人は同姓になれないか。日本人と結婚すると異姓になれないか、そういう非常におかしな矛盾だらけの状態が今の法規にあるわけでございます。そこをぜひやり直していただきたいということなんです。
 そして、私今のアンケートからもう一つ最後に数字を挙げさせていただきますけれども、婚姻の際自分の姓をあくまで守りたいという人は一二・三%、婚姻届を出さずにもう自分の姓でいくという人が一二・六%、四分の一ぐらいなんですけれども、それじゃ全体として今の制度にそれほどはっきりした抵抗感を示していない人が夫婦は同姓がいいと言っているかといいますと、婚姻の際、夫婦が同姓、別姓どちらでも選択できるように改正しようという意見があるけれどもどうかというのには、賛成七二%と、こうなります。反対は七%、勉強してないからわからないというのがその他なんですね。ですから、積極的反対というのは非常に少ないということです。少なくとも女性の間では、選択制を支持するという考えが圧倒的だと、こういうことを申し上げておきたいんです。
 それから最後に、法制審議会の方ですけれども、三十年ごろ問題意識をお持ちになっておやりになったこの件は留保になっているのでございます。留保になっている議論を、今ここまで世の中が進んでもう男女平均の手配が大方基礎はできたわけですから、ここでもってその議論をもう一回再開していただく、そういう方向にエンジンをかけていただきたいと私は思うんですけれども、これは大臣いかがでしょうか。そういう方向へ進めていただけないでしょうか。
#104
○政府委員(枇杷田泰助君) 夫婦別姓の問題は、三十年に検討を加えまして留保したわけでございますが、その後昭和五十年にもまた取り上げて議論をいたしまして、その場合でもまだちょっと時期尚早であろうというふうなことで見送られております。私どもは、先ほど来申し上げておるように、問題意識を持っております。現在のところは養子制度の改正に今は集中をいたしておりますので、今すぐまたその検討に入るということは申し上げられませんけれども、養子制度についての改正が終われば、次の身分法の改正については何を取り上げていくべきかということの問題を選択する検討が始まると思いますが、その際には一つの候補として上るということは十分考えられると思います。
#105
○久保田真苗君 ぜひ候補に上せて御議論いただきたいとお願いしておきます。よろしくお願いします。
#106
○飯田忠雄君 最初に、最近たくさんの警察官がお集まりになって警備体制をしいておいでですが、こういうことについての立法措置が十分でないのではないかという気もするのですが、その点について警察当局はどのようにお考えでしょうか。
#107
○説明員(鏡山昭典君) この四月二十九日に天皇陛下の在位六十年記念式典がございますし、さらに五月に入りますとサミットが行われるわけでございます。これに対しまして極左暴力集団が過激なゲリラ闘争などを実施しましてこれを爆砕するというようなことを主張しているわけでございまして、これに対して警察全力を挙げて、行事の平穏な開催と出席関係者の方々の身辺の安全ということを前提にいたしまして、警備を実施しているわけでございます。それに関しまして、極左暴力集団が現在爆発物も含めましてゲリラ闘争、テロ行為をやっているわけでございますけれども、警寮といたしましては、爆発物取締罰則を初めといたしまして、あらゆる活用できる現行法令を活用いたしましてゲリラ事件の取り締まりに全力を挙げているところでございまして、今後も現行法令をフルに活用して防圧に努めてまいりたい、このように考えております。
#108
○飯田忠雄君 最近革マル活動家の事件が無罪になった件がございますが、この無罪になりました理由は結局、証拠収集が違法であったということのようです。無線機押収をしたのだけれども、無線機押収の仕方が違法なので、したがってそれを証拠にすることができないので無罪だ、こういうわけでございます。実際には革マル派の活動家だということは証明されており、ほかのもので見ればはっきりしているのだが、この事件に関する限り無線機を持っておったことも事実だ、しかし警察がそれを押さえる押さえ方がだめだからこれを証拠にしないで無罪にする、こういうことですが、実体があるのに形式でもって実体を否定するという裁判が行われておるわけでございます。
 こういう裁判を行わなければならないような法体制であるならば、警察でどんなに頑張っておやりになってもだめではないかという気もするわけです。現に車に積んでおるものを押さえてもそれは証拠にできない、押さえ方が下手だからと、こういうわけなんですね。そこで、押さえ方が下手でも証拠にすることができるような法体制が必要というふうに考えておいでになるのかいないのかということをお尋ねしたんです。
 それで、その答えの前に、過激派のゲリラ事件についての検挙率ですが、どのくらいの検挙率がありますか、お尋ねします。
#109
○説明員(鏡山昭典君) 極左暴力集団の行うゲリラ事件の特質性もございまして、御指摘のようにゲリラ事件の検挙率は一般刑法犯に比べて非常に低うございまして、一般刑法犯が大体昨年度でも六四・数%ございますけれども、ゲリラ事件につきましては五%を割っているというような実情でございます。
#110
○飯田忠雄君 そのように非常に低い検挙率になっておる理由がどこにあるかという点ですが、どう考えますか。
#111
○説明員(鏡山昭典君) 私どもとしましては、ゲリラ事件につきましても全力を挙げてあらゆる法令を駆使して捜査を進めておるわけでございますけれども、ゲリラ事件といいますか、ゲリラのゲリラたるゆえんといいますか、それに伴う特殊な犯行形態というようなものがございます。例えば一つはゲリラをやっている組織といいますか、やっている連中というのが非公然化、軍事化と言っておりますが、非公然組織のもとに数名のメンバー、ごく少数のメンバーで構成されておりまして、これらのものが非常に厳しい規律のもとで訓練されてゲリラをやるだけに、年がら年じゅう訓練をやり、そして実行しているわけでございます。そういうことでお互い同士名前もわからないというような連中がやっている、そういう防衛体制をとっていることが一つございます。
 それからもう一つは、ゲリラというのは、犯行、ゲリラをやるときに、警察が守っておればもうきょうはその場所はやめたということで別の場所をやるというようなことで、警察のいないところ、動きを綿密に調査しまして、現場でここなら逮捕されないというようなところでゲリラをやるということがまた一つ特徴としてございます。それから、多くの場合、ゲリラがやっているのは時限式の装置を使っているわけでございまして、事件が発生したときにはもう既に彼らは現場にいない。だから、目撃者もなかなかいないというような事件の特質性がございます。それから、事件が発生しますと、爆弾事件ですともう証拠品が粉々になってしまう、あるいは普通の時限式でございましても、事件が起こった後、車とかそれから時限式の証拠品を燃やしてしまうというようなことで証拠を残さない、こういうようなことがございまして、警察といたしましては、捜査の常道でございます地取り捜査といいますか、現場から捜査していくというようなことが非常に難しいということでございまして、そのために捜査が非常に困難をきわめ、時間がかかるという状況でございます。
 検挙率が悪くてほとんど立件ができないのじゃないかということでございますけれども、例えば一昨年九月十九日に自民党本部に対する放火事件をやりました犯人につきましても、七カ月かかりましたけれども、犯人逮捕にこぎつけておりますし、それから昨年の四月に成田、羽田に対する爆発物発射をやりました事件につきましても、やはりこれは十一カ月かかりましたけれども、ようやく犯人を割り出して今指名手配をやっているということで、非常に捜査に困難は伴っておりますけれども、警察全力を挙げて、時間をかけてもこれを解明していくというような決意でやっている状況でございます。
#112
○飯田忠雄君 これは先ほど例を引きましたが、もう少し詳しく申しますと、この事件につきまして警察が自動車をとめて職務質問をした際に、その車内に無線機が積んであったので、革マル派の活動家と考えたのでそれを差し押さえたというわけなんです。ところが、それに対して裁判所は、令状なしに差し押さえたというような違法行為がある。したがって、革マル派だというふうに考えられたから押さえたことはそのとおりだということは認定をするが、令状主義に反するので、今後の見せしめのためにそういうことは証拠能力を否定するのだと、こういう判決なんですよ。こういう判決は、これは空理空論をもてあそぶ議論を裁判所においてやっているにすぎないじゃないか。
 つまり、普通の人の場合と、このような過激派のように逮捕しても黙秘権を行使して口を割らない、証拠物は全部証拠隠滅をしてしまう、そういう状態にある人と普通の人との区別もつかぬのかというふうに私は考えざるを得ないのです。法の運用というものは、その事件その事件によって相手を見て法の運用をしていただかないと、こういうようなことであれば過激派の検挙率はいつまでたっても上がらないということと、無用な国の金を使い、無用な能力を使って大変な迷惑を国民に及ぼしておるという事実です。
 今日、東京都内においてどれだけの人が迷惑しておるかわからぬ。それはほんの少数の一握りの過激派の人たちの無法な行動が原因であるわけです。こういうふうなことは、憲法が保障する人権保障を極めて大きく侵害いたしておる。その原因は過激派にあるということにならざるを得ないわけです。そういう者を排除するための法体制が現在できていないのではないかということを私は尋ねたんです。一般のおとなしい犯罪人とこのような凶悪な犯罪人とをごっちゃにされたのじゃ困る。もっと細かい対象を考えた法体制がなければ具体的な人権保障はできないということを申し上げるために質問したわけです。
 そこで、ついでにお尋ねしますが、現在の爆発物取締罰則によりますと、いろいろのことが書いてあります。この法律が違法かどうかというのは別ですよ。違法ではないとして、合法な法律だとしてお尋ねするわけですが、その中に、製造をしたり輸入をしたり所持したり注文をしたりする者を罰する規定がございます。それから、補助のための製造、輸入などをした者を罰する規定もあるわけです。こういう規定があるんですが、こういう規定をどのように警察では運用されておるのか、あるいはこれは警察ではこういう規定があってもどうにもならないのか、そういう点についてどのように解釈しておられますか、お伺いします。
#113
○説明員(鏡山昭典君) 私ども警察といたしましては、そうした爆発物取締罰則に規定されました構成要件に該当するような事案がございますれば、それに基づいて厳正、的確に取り締まりをしていくということでございまして、そういう事実を認知した段階で今後とも厳正に取り締まっていく方針でございます。
#114
○飯田忠雄君 つまり、この規定を実行するために今日のたくさんの警察官を動員しての行動だと思いますが、そういうたくさんの人を動因しての行動にもかかわらず、なかなか検挙されないということでありますと、それはやはり問題であろうと思います。やり方が悪いのか、法体制が悪いのか、どちらかだと思いますが、そういう点についての御研究をぜひしていただかなきゃならぬと思います。法の個別的運用主義をもう少し勉強していただかないととんでもないことになると私は考えるわけであります。それから、憲法が保障しておる人権保障というものはあくまでも公共の福祉に反しない限りである、公共の福祉に反する人に対する人権保障は憲法上はあり得ない。日本の憲法はそうなっておる。そういう点についての正確な理解をしていただかないと困ると考えるわけです。
 それでは、次の問題に入りますが、心神喪失者の問題についてお伺いをいたしたいと思うものであります。
 新聞によりますと、心神喪失をした医者が保釈中に長野市で病院勤務をしていた、こういうことが載っております。この医者は医療費の不正受給から詐欺罪で起訴されたんですが、浦和地裁で心神喪失であるという判断を受けて、そして公判手続は停止ということになって保釈になっている、それが医者の仕事をやっていた、こういうことなんです。こういうことが生ずるのは、この新聞によると、法体制が完備されていないから法の空白のもとでやったのだと、こうなっておりますが、この点についてどのようにお考えになりますか。法務省お願いします。
#115
○政府委員(岡村泰孝君) ただいま御指摘のございましたように、精神の障害者によります犯罪から国民を守る、国民の安全を確保するということは重要なことであるわけでございます。ただ、現行刑法はやはり責任主義というものをとっているところでございますので、心神喪失の状態で犯罪行為を行った者には刑罰を科することができないわけであります。
 そこで、法務省といたしましては、これら心神喪失者の犯行であって再び同様の犯行を繰り返すおそれがある者に対しましてはこれに適切な治療を加えて再犯を防止する制度といたしまして治療処分制度というものを新たに設けたい、こういうことでいろいろ作業をやっておるところでございます。
 ただ、現在精神衛生法の改正が検討されている段階でございますので、その推移も見守りつつ今後とも治療処分制度の実現に向けていろいろ作業を続けてまいりたい、かように思っておるところでございます。
#116
○飯田忠雄君 治療処分制度は大変いいと思いますが、私が今御質問申し上げましたのは、結局心神喪失のために保釈になったそういう人の管理が十分でない、心神喪失者のお医者さんに治療を受けた人こそえらい迷惑になると、こう思うんですが、そういう問題があるので、これは法の落ち度ではないかということをお尋ねいたしたわけでございます。それで将来、局長のおっしゃったように、新しい制度ができればこういう問題はなくなるであろうと考えますが、現実においてはそうではありませんので、裁判所においても、あるいは法務省においてもこういう問題についてもう少し落ち度のない処置ができるような制度を考えていただきたいと思うわけであります。
 それから、心神喪失者処罰の現行刑法の規定ですが、現在の刑法は心神喪失者は処罰しない、こうなっておるんです。そのためにいろいろ問題が生じてきております。今言った問題もそうでしょうが、そのほか、人を殺しても無罪になる。ところが、人を殺した段階で本当に心神喪失であったかなんということはまず証明不可能。不可能な場合にはあったということになるわけですね。そういう隠れみのにされるということもあります。同時に、今日の憲法の建前からいきますと、心神喪失者であっても、人の命をとったり傷害を加えたり、基本的人権を侵害するような人を排除するのが国の義務であるというふうに解釈されるわけです。心神喪失者が排除されないのは公共の福祉に合致しておる場合であって、公共の福祉に反するような行為をする人は当然社会から隔離すべきものである。そうでなければ、国民の生命、自由、幸福追求の権利は守れないわけなんでございます。これは、憲法十三条の問題として、明確な問題であるわけです。
 そこで、刑法を考える場合に、従来の刑法は主観主義刑法でございまして、犯人の精神状態その他を考慮に入れた刑法をつくっておるわけです。そうしますと、そういう刑法であるならば、憲法が保障しておる国民の自由権、生命権、財産権というものよりも犯人の権利の保護を重視するということになってしまうわけです。主観主義刑法というものは本来刑法ではなくて行刑法であるべき、つまり刑法で刑罰を受けた者に対してその処遇の問題として考えるべき問題であるわけですね。心神喪失者は、例えば人を殺せば場合によっては十年の刑を受けるわけだけれども、監獄に入れないで十年間病院に入れて治療させる、そういう方法をとるというのは、これは刑法の問題ではなしに行刑の問題だというわけであります。従来の主観主義刑法の一番の欠陥は、行刑の原則をもって刑法の原則として刑法規定をつくっておる、そこに過ちがあると私は考える次第です。
 殊に今日の日本国憲法の建前からいきますと、刑法というものはあくまでも客観主義に基づくものでなければならないはずなんです。主観主義というのは、これは行刑の理論であって刑法の理論ではない。そういう点を明確にして今後の処置をされたいと私は思うものであります。
 殊に刑法改正に当たりましては、刑法総則の改正は明確に現在の憲法の精神を貫くということでやっていただかないとならないのではないか。法律は憲法に基づいてつくると言っておきながら、刑法だけは憲法とは別だよといったような考え方が一部の刑法学者の中にあります。そういう考えは大変間違いだと私は考えるものでありますので、そういう点について法務当局はどのようにお考えになっておるかお尋ねをいたします。
#117
○政府委員(岡村泰孝君) 委員御指摘のように、責任能力を犯罪の成否の問題としてとらえないという考え方のあることは承知いたしておるところでございます。
 しかしながら、近代刑法の最も基本的な考え方の一つといいますものは、やはり犯罪者に対しまして非難可能性が必要であるということ、いわゆる責任主義という立場に立っている考え方、これが主流であろうかと思うのであります。また、非難可能性のあるそういった犯罪者に対し非難としての刑罰を科するわけでありまして、非難可能性のないような精神の障害によりまして判断能力を欠いて行為をした者に刑罰を科しましても更生にも役立たないというような面もあろうかと思うのでございまして、委員御指摘の御見解は一つの御見解であろうかと思いますが、近代刑法の立場といたしましてはやはり非難可能性が必要である、こういうことではなかろうかと思っておる次第でございます。
#118
○飯田忠雄君 非難可能性ということ、それは抽象的な言葉じゃなくて、中身がある問題だと私は思うんですよ。非難可能性ということは、何を一体根拠に非難するかという問題がまずあるわけです。従来、主観主義刑法においては、非難の根拠を道義に置いたり、あるいは規範に置いたり判断能力に置いたりしております。しかし、客観主義刑法理論を唱える人の場合は社会防衛ということに非難の根拠を置く説もあったわけです。
 端的に申しますと、例えばスパイの事件について一体これは非難可能性は何かということを考えていただくとわかると思いますが、スパイというものは、そのスパイの属する国にとっては忠臣であり功績者なんです。スパイは決して自分が悪いということを思っていないんです。ただ、情報をとられる、侵害される国にとって害悪を及ぼすんですね。そうなりますと、その非難可能性の根拠は国家保安ということである。国家保安ということが根拠になって非難する。日本の国の情報をとった、けしからぬと、こういう非難でしょう。例えばアメリカ人が日本の情報をとったという場合に、情報をとったアメリカ人に対して、アメリカはこれを褒めこそすれ非難はしない。非難可能性というものはそういうものなんです。
 それで、殺人の場合には、どの国でも人を殺すということは非難する。それはなぜ非難するかというと、社会防衛とかあるいは個人の命の尊重とか生命権といったものを根拠に置いて、日本国の場合でしたら日本国憲法の十三条を根拠に置いて、生命権の保障という問題から非難するんですよ。おまえ人を殺したのはけしからぬと、非難でしょう。戦争の場合は人を殺すと褒められるんです。勲章もらえる。戦争の場合にはなぜ殺人罪にならぬかというと、非難可能性の非難すべき根拠がないからです。それが国の功績だから、日本の国に対して功績を与えたからということでしょう。敵国にとったら非難されますね。おまえけしからぬと、捕虜にして捕虜を処罰しましょう。そういうように、非難可能性といったって、非難のもとが何を根拠にして非難するかということ、これは刑法の根本問題なんですよ。
 それで、一つ一つの犯罪によりまして非難するもとが違う。元来、責任非難というものはそういうものだということになると、ここで我々が考えなきゃならぬのは、従来の刑法理論というもの、これは必ずしも正しくないと言わざるを得ない。統一的な非難可能性なんというものはあり得ないんです。例えば規範的責任だとか道義責任だとか人格責任と言いますけれども、人格とか道義だとか、そういうものを一つに固定して非難可能性というものを考えるということは、これは大変誤りで実相を外れておると私は考えるわけです。
 これは、私は刑法学者としての立場からそういうはっきりとした考え方を申し述べておきますが、いろいろ法律を考える場合には、言葉だけでなくて、掘り下げて、一体それはどういうことに意味があるかという点で考えていただくことが必要だということ、それからもう一つは、今日の日本の法律は全部憲法の精神、憲法の規定を根拠に置いたものでなければならないはずだ、刑法だってその原則から外れるものではない、こういうことを私は申し上げておきたいので、刑法改正に当たりましてこういう問題もぜひ取り上げて、いつまでたっても非難されない立派な刑法だと言われるものをつくっていただきたい、私はこう考えるわけでございます。
 こういう点につきましてもう一回ちょっと御答弁を願います。
#119
○政府委員(岡村泰孝君) 刑法の基本にわたります非常に難しい議論でございまして、私今ここで十分なお答えいたしかねるのでございますが、先ほど来申し上げましたように、やはり近代刑法の基本として非難可能性というもの、こういったものが要求されておるという、そういう現実にあろうかと思うのでございます。現在法務省におきまして刑法の改正作業を引き続き作業中でございますので、そういう中でまずもって事務当局の中でいろいろ議論もしてみたいと、かように考えておるところでございます。
#120
○飯田忠雄君 それじゃ、これは御研究いただくことにしまして、これも心神喪失者の問題につきまして、現在精神病院に入院をさしておるのが多いんですが、殊に同意入院というのが一番多いというふうに新聞では書いております。同意入院、家族の同意を得て入院させる。そうしますと、家族は邪魔になる者を精神病だということで精神病院にほうり込むことができることに実質上なるわけです。
 それで、新聞記事によりますと、同意入院の患者数は東京都で百十五の病院の全入院患者二万五千七百二十二人、これは六十年の六月末の統計だといいますが、それのうち九四・九%の二万四千四百十七人というものが同意入院である、こうなっております。
 それで、この同意入院については人権保障のあり方について大変問題があるのではないかと言われておるわけですが、去年十月に事実上倒産したところの青梅市の青梅成木台病院では、百六十四人の同意入院患者のうち二〇%の三十三人が入院不要であると、こういう判定を別の機関によって受けておるわけです。病院入院しておるのを検査した結果、三十三人は入院不要の者を入れておったと、こういうことが明らかになりまして問題になりました。それから、例の報徳会宇都宮病院でも、入院患者の三百八十二人、これは同意入院ですが、これのうちの二五%の九十八人が入院不要だと判定をされたと、こういうわけです。
 このように、同意入院というのは、どうも正確に病人でない者を病人にしてしまう可能性が強いと言われております。こういう問題についてどのようにお考えでしょうか、お尋ねします。これは厚生省ですか、法務省ですかね。
#121
○政府委員(岡村泰孝君) これは精神衛生行政上の問題でございますので、厚生省であろうかと思います。
#122
○飯田忠雄君 それでは、この問題は後日またお尋ねすることにしまして、これも新聞に載っておりますが、「染色体異常で異例の弁論」、こういうことで、つまり男の子ばかり襲って殺す事件が起こりまして、それに対して弁護人が、これはクラインフェルター症候群と言われるのに属するそういう病気にかかっているので、刑罰を科しても、また精神病院に入れてもどうにもならぬ人ですよと、こういう弁論をした事件ですが、クラインフェルター症候群というのは先天的な性器の発育異常の病気でございまして、それに伴う内分泌系に障害がある、こういうことのようです。それで、こういう病気にかかっておる人間は、これはもう刑罰を科そうが病院へ入れようが、どうにもならぬ。それで、こういう人に対しては特別の制度をつくって、そこの場所に入れておくしかないではないかと、こういう意見が、小田晋という筑波大学の教授、これは精神医学の先生ですが、それの話として新聞に載っております。
 こういうような問題がありますと、心神喪失者不処罰の規定でこういう問題をどういうように救うかということが起こってくるのですが、どのようにお考えでしょうか。
 これは、こういう問題もあるのだが、現在の制度じゃどうにもならぬ問題だが、法務省で何かほかに制度をつくる必要がないかと、こういう質問なんです。
#123
○政府委員(岡村泰孝君) 非常に難しい問題でございますが、その者が犯罪を犯した場合に要するに責任能力があるのかどうかという問題であろうかと思います。
 責任能力が認められない場合は、あとは精神衛生法によります措置入院等が必要な事態になるのかどうか、その辺の検討であろうかと思いますが、そこは私、精神衛生関係の余り権威もございませんので、今のところお答えいたしかねるのでございます。
#124
○飯田忠雄君 こういう人は、心神喪失、心神耗弱ということで全部無罪になってしまうんですが、この病気は先天性のもので、無罪にして病院に入れても治らないというんです。そうなると、社会に出せば男の子供を見つけ次第首を絞めて歩くんです。そういう病気なんです。そういうことになると、社会に出すことも困るし病院に入れたって治らないものなんだということだし、それから裁判所はこれを無罪にしてしまう、こういうことなんですが、こういう特殊の病気があるという現実から、こういう人たちに対する社会防衛上何らかの処置を講ずる必要がないかと、こういう問題に当たりまして、筑波大学の精神医学の先生は、保安処分制度をつくって、何かこれは病気治す保安処分じゃなくて、こういう人たちを隔離する保安施設をつくる必要があるということを言っておりますが、そういうことについて法務省はどうお考えになるのか、お尋ねするわけです。
#125
○政府委員(岡村泰孝君) 非常に難しい問題でございまして、現在、治療処分制度の新設ということで法務省といたしましてはいろいろ作業を進めているわけでございます。もちろんこれは、そういった者が一定の犯罪を犯して、しかも今後また同じような犯罪を犯す危険があるような、そういった要件がある場合に治療処分を施すということになるわけでございまして、そういう要件の中に入って、この治療処分の制度が新設され、かつ治療処分の要件に合致するような場合にはその治療処分によって一つの処遇を行うと、こういうことになろうかと思うのでございますが、非常に難しい問題でございますので、なお検討させていただきたいと思っております。
#126
○飯田忠雄君 今の問題は治療処分にしてもだめな人をどうするかという問題なので、御研究を願いたいと思います。
 次は、失火免責に関する法律がございますが、この失火免責に関する法律についてお尋ねをいたしたいと思います。
 この法律によりますと、重過失の場合は民事責任を負うけれども、普通の失火の場合には民事責任は免除するという法律でございます。これは、明治三十二年の三月二十八日に施行された法律ですが、この規定を見ますと、普通の過失の場合は適用にならない。つまり、民法の七百九条を適用しない、こうなっています。
 最近、非常にいろいろなホテルとかそれから旅館の火事がございまして、たくさんの人が亡くなっておるわけですが、例えば東伊豆の河津町のものが最近起こりました。この事件におきまして、この宿屋は消防署から消防法によるところの「適」マークを受けておる。消防法の基準に合致しておる、こういう宿屋なんです。その場合に、この宿屋が宿屋の従業員の過失によって火事が起こった、こういう場合に過失責任を負わねばならぬかどうかという問題があるわけです。この旅館業者には過失はあるいはあったかもしれぬが、重大なる過失はない、なぜならば、消防法の基準によって設備が完備しておるのだから、こういうことになりますと、焼け死んだ人は支払い能力のないところの従業員に関してだけしか損害賠償請求ができないのかどうか。こういうことが起こってくるわけなんです。
 それで、この失火の免責に関する法律というものについては、旅館とか、公衆に危害を及ぼすような、そういう施設の経営者にはこの法律を適用しないという規定でもつくらない限り、結局、道義的な責任において賠償をするということになってしまうのではないか、非常に弱いものになりはしないかという心配があるわけです。この点につきましてどのようにお考えでしょうかお尋ねします。
#127
○政府委員(枇杷田泰助君) 失火責任につきましてはただいま御指摘のとおりでございますけれども、ただ、この法律は債務不履行による損害賠償については適用がないということが大審院以来確立した判例でございますし、また学説上もそれを既に承認をいたしております。
 したがいまして、ただいま御例示の当該旅館に宿泊している人たちに対する損害賠償責任というのは、契約法上の責任としては十分に問い得るわけでございまして、そういう面で旅館も従来から損害賠償をいたしておりますし、今度のケースについてもその契約上の責任は当然問われることになろうかと思います。
#128
○飯田忠雄君 ただいま局長の御答弁がございましたが、「失火ノ責任ニ関スル法律」というのには、「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス」とはっきり書いてあるんです。そうしますと、こんなにはっきり書かれてしまっておるものを、類焼したものだけの問題なんだ、自分の旅館に泊まっておるものについては別だという、そういう解釈が果たしてとれるかどうか大変疑問なんですね。裁判所で従来どういう判例があったか知りませんが、裁判所の判例でこういう法律の明文を規制できるか、こういうことになるわけですが、どうでしょう。
#129
○政府委員(枇杷田泰助君) 旅館の場合には、宿泊客に対しましては、安全にそこで宿泊をいたしまして、そして旅館としてのサービスを受けるという契約関係があるわけでございます。それを旅館側の方の過失で要するに債務不履行という現象が生ずるわけでございますから、したがいまして七百九条の不法行為の問題ではなくて、債務不履行としての問題が同時にあるわけでございます。その面をとらえまして、その場合には「失火ノ責任ニ関スル法律」の適用は当然ないわけでございますから、先ほど申し上げましたように、契約法上の損害賠償責任をこの失火に関する法律によって免れることはできないということが判例で確立いたしておるわけでございます。
#130
○飯田忠雄君 その点は了解しました。旅館に泊まっておる者に対しては不法行為はなかったと、こうみなす、こういうわけですね。不法行為があっても、不法行為がなかったものとして賠償させる、こういう御見解だというふうに受け取っていいでしょうか。
#131
○政府委員(枇杷田泰助君) この場合には、競合と申しましょうか、七百九条の責任も発生する余地は多分にあると思いますが、同時に契約法上の責任もあるわけでございます。そういう二つの責任が競合する場合に、両方とも成立するとかあるいは契約法上の責任の方が優先するとかという考え方は、それはあろうかと思いますけれども、少なくともこの関係につきましては七百九条だけを問題にいたしておる法律でございますから、契約法上の責任をこの失火に関する法律で否定するものではない。したがって、その責任だけは当然問われることになるという考え方でございます。
#132
○飯田忠雄君 それはそのとおりですが、問題は、契約不履行の場合の損失の補償というものが民法七百九条の場合に比べますと少ないのではないか、契約した内容を履行しなかったからというだけですからね。
 それで、私が申し上げたいのは、失火の免責に関する法律というものの例外規定を旅館業その他ホテル業などにはっくる必要があるのではないか。つまり、契約不履行のほかに、失火の場合でも損害賠償、いわゆる民法七百九条は適用するぞという法律をつくるのでなければ十分な補償はできないではないかということなんですが、いかがでしょうか。
#133
○政府委員(枇杷田泰助君) 不法行為の場合と債務不履行の場合の損害賠償の範囲が違うかどうかというのは、個々の事例で考えるべき面があるのかもしれませんけれども、大体私は結論的には違いがないというふうに考えております。殊に、旅館に宿泊しているお客さんに対する関係では、先ほども申し上げましたように、ともかくそこで安全に休むことができる、そういうサービスを提供するということでございますから、そこで生命、身体に影響を及ぼすようなことがあれば、まさに債務不履行でございます。したがいまして、その死亡につきましては、不法行為の交通事故等で死亡に至らしめた場合と全く同じように損害賠償が請求されてしかるべきものであるというふうに考えます。
#134
○飯田忠雄君 これは、私は残念ながら局長の見解そのもの全部を受け取るわけにはいかぬのですが、少なくともこういう問題について疑問を持つ者があるということは御認識願って、御研究を願いたい、こう思うわけです。これはもう御研究に任せることにして次の問題に入ります。
 次は、アイヌ民族の人権保障の問題についてお尋ねをいたしたいわけです。現在、北海道旧土人保護法という法律がございます。この北海道旧土人保護法という法律、この名前も非常にこれはおかしな名前ですが、この保護法の内容を見ますと、どうもアイヌ民族という少数民族を保護する法律にしては余りにもお粗末で、現在もう役に立たぬのではないかと思われるわけです。アイヌ民族という民族は我が国における少数民族の一つでございまして、当然こういう人たちの少数民族性を尊重して、福祉の問題とかあるいは生業の問題とかあるいは参政権の問題とか、いろいろの要求が現在あるのですから、そういうものを満たすような法律につくりかえる必要があるのではないかと考えるわけでございます。そこで、このアイヌ民族の人権保障法についてどのように考えられるか、所管する官庁の御答弁をお願いいたします。これは厚生省ですか。
#135
○説明員(萩原昇君) 厚生省におきまして生活保護を担当しておる部局でございます保護課の保護課長萩原でございます。
 現在保護課におきまして北海道旧土人保護法というものを所管しておりますが、現在ではこの法律の内容は明治三十二年の制定以後大きく変わっておりまして、実際には実効性ある規定と申しますのは、給与された土地の処分制限に関する規定、それから共有財産の管理に関する規定、この二つの規定が実効性を持っておるという状況で、法律の所管のみ生活保護を担当する私どもの方にあるということでございます。
 この法律に関しまして今まで議論されておりました問題は、一つは旧土人という名称について不適当ではないかという御意見と、それからこの法律自体についてもはやそういう状況であれば必要がないのではないか、こういう二つの御意見でございました。
 旧土人という名称につきましては、確かにこういう明治三十二年制定の法律であるとはいえ不適当ではないか、いかがなものかということで考えております。それから、法律の存続自体につきましては、こういう現在の状況を踏まえまして、北海道庁にウタリ問題懇話会というものが設けられまして、この法律の存続を含めまして検討が行われているというふうに聞いておりますので、その結論なども聞きつつその存廃について検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#136
○飯田忠雄君 これはことしの三月二十三日の朝日新聞ですが、「わたしの言い分」というところで「アイヌのために新法を」という記事がございます。この中で、アイヌのウタリ協会の会長などもやっておられる方が述べておるのは、自分たちの要求として、まず例えば参政権をもらいたい。現在、一般的には参政権があるというふうに言われるけれども、アイヌ民族は少数民族で人数が少ないので、選挙権を持っておる者が少ないので、結果において国会議員にもなれないし道会議員にもなれない。結局、参政権がないと同じではないかというふうに考えておる。だから、少数民族に対しての特別保護という観点からいきますならば、例えば現在、中国が数百人の少数民族であっても少なくとも一議席は確保しておる、そういう少数民族に対する言い分を正しく取り上げるための制度として国会議員、例えば参議院議員に一人置くとかあるいは道会議員には二、三名出ることができるとか、ぜひそういう議席を特別に与える法律をつくってくれないかと、こういう要求があるわけです。
 それから、教育とか文化政策におきましても、アイヌの子弟にアイヌ語の学習をぜひやらせたい。従来アイヌにあるところのアイヌ文化というものを消滅させてしまうのではなしに、保存して将来も伝えていきたいので、それが可能な方法をとっていただきたい、こういう教育における要求です。
 それから、農業とか漁業でも先住者の権利が認められておるように見えるけれども、実際には職場から追われてしまっていく現状だ、こういうような問題についてひとつぜひ考慮してほしいと、こういう要求があるわけです。
 私は、こういう問題を取り上げることは別に憲法の十四条には関係ないと考えるわけなので、ぜひこの問題については取り上げていただきたい。憲法の十四条に違反しないという点について、例えば今日同和関係の特別立法がなされておりますが、これについても憲法十四条には関係ないということであれば、当然アイヌの問題についても憲法十四条には関係ないということでいいのではないかと、こういうことになるわけであります。こういう点につきまして、参政権の問題で自治省の方、それから一般的な保護の問題で厚生省の方、その他人権保障という点から法務省の方の御答弁を求めます。
#137
○説明員(吉田弘正君) 代表選出方法の御質問でございますが、国民の意思を適正に議会に反映するためにはどのような代表選出方法をとるのが適当であるかというようなことは選挙制度の基本に関する問題であると考えているのでございます。御指摘のような方法によりまして代表の選出を行うということにつきましては、先生御承知のとおり、憲法四十三条の「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」というような国民代表の規定でございますとか、憲法四十四条の選挙権の平等の規定もございまして、これらの規定との関連で問題がないかどうか、よく研究してみる必要があるというふうに考えております。
#138
○委員長(二宮文造君) ちょっと速記とめて。
   〔速記中止〕
#139
○委員長(二宮文造君) 速記起こして。
#140
○説明員(熊代昭彦君) 総務庁は実は同和問題を総合調整いたしておるわけでございますが、人権問題と絡みましてどのように考えるかという御質問でしたら法務省の方が所管でございます。同和問題の地域改善対策特別措置法が憲法第十四条に定める「法の下に平等」という精神に反しないかという御質問と解すれば我々の所管になるわけでございます。そういう意味に解きせていただきまして申しますと、地域改善対策特別措置法の第一条にも定めてありますとおりに、日本国憲法の理念にのっとりまして行われておるものでございますので、当然憲法十四条に反するものではなくて、むしろその趣旨を尊重した法律である、かように考えます。
 人権問題その他につきましては法務省の方からお願いいたします。
#141
○政府委員(野崎幸雄君) ウタリ出身者につきましても日本国民といたしましてその基本的人権がひとしく尊重されるべきことは当然のことでございまして、ウタリ出身者であるということをもって差別その他の人権問題が生ずることのないように、これまでも法務局及び人権擁護委員連合会では啓発を行ってきたところでございます。また、不幸にして差別事件が発生しました場合には人権侵犯事件として調査し、関係者の啓発活動に努めるなど適正な措置をとってまいっておるところでございます。今後ともウタリ問題に関しましては人権擁護の見地から関係各省と緊密な連絡をとってその実を上げていきたい、かように考えているところでございます。
 先ほど御指摘のございました選挙権等の問題につきましては、啓発機関である私どものいささか守備範囲から離れた問題であるかと存じますが、関係官庁におきましていろいろ御検討になることがありますれば、私どもも人権擁護の見地からそれを見守っていきたい、かように考えているところでございます。
#142
○飯田忠雄君 きょうは文部省の方の御出席を求めなかったので、教育の点は遠慮しましょう。
 それで、次は簡易裁判所の配置基準の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
 これは簡裁の統廃合に関する問題としていろいろの新聞が社説等で取り上げております。時間がありませんので簡単に御質問申し上げますと、簡易裁判所は、今日大変交通が便利になりましたので、そんなに田舎の方まで置かなくても、都市の場合はどこか地裁か地裁の支部に併置すれば事足りるのではないか。併置をするのであれば、簡裁よりもむしろ地裁の中へ統合してしまっても構わないではないかというふうに考えられるわけであります。
 簡裁の意義は結局、大変田舎の方の不便なところでの裁判ということになるわけですが、事件によりまして地裁でなければならないような事件はもちろん地裁へ来なきゃいかぬし、簡裁でできるような事件につきましては、非常に田舎で余り事件がないところでは役所を設けておく必要もない。そうであるならば、巡回裁判というのが前に言われたことがありますが、巡回裁判で回ればいいのではないか。そういうものだけを簡裁と名づけてもいいし、あるいは地裁の巡回裁判で構わぬではないか、こういうことになるわけであります。簡裁と地裁では裁判官の任用資格が違うんだと、こういう御意見もあると思いますが、任用資格が違うということはこれは反対理由にならないので、むしろ地裁の方は条件が高いのですからそういう裁判官でやっていただきたい。こういうことを思うわけでありますが、こういう点につきまして最高裁及び法務省はどのようにお考えになっておるでしょうか、お尋ねいたします。
#143
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) ただいまの御指摘の中に三つの問題点が含まれていようかと思います。
 一つは、簡易裁判所制度をもう廃止してしまって地方裁判所にその機能をゆだねてしまえばいいのではないかという御指摘でございます。御承知のように、昭和二十二年に簡易裁判所が発足いたしましてから四十年たっておりますけれども、比較的小額軽微な事件を簡易迅速に処理する国民に親しみやすい簡易裁判所というのは相応の機能をこれまで発揮してまいっておりまして、現在におきましては民事訴訟事件は約二十三万件、調停事件は約九万件、支払い命令事件になりますと六十七万件ぐらいを処理しておりまして、現在やはり国民の間に定着しているのではないかというように私ども認識しておりまして、現在簡易裁判所制度を廃止するという考え方は持っていないわけでございます。
 次に、それならば田舎における比較的事件の少ない簡易裁判所を集約してはどうかという御指摘でございます。しかも、それは本庁あるいは支部の所在地に全部集約してしまって、独立に存在する簡易裁判所は全部廃止してしまってはどうかという御意見であろうかと思いますが、そのような御意見もあることは十分に承知いたしております。委員御指摘のように、四十年間の社会事情の変化からいたしますと、現在非常に交通事情はよくなっておりまして、国民の日常生活圏域というものも広がっております今日、非常に事件が少ない簡易裁判所の再配置と申しますか、適正配置を考えなければならないということで私ども問題提起をいたしておりまして、現在法制審議会で御審議いただいているさなかでございます。その適正配置の規模につきましては、その裁判所がなくなりますとほとんどの方々が日帰りで別の本庁あるいは支部の併設簡裁を利用することができないというような、例えて申しますと離島にあるような簡裁あるいは陸の孤島的なところにある簡易裁判所、さらには今後事件増、人口増が見込まれますような簡易裁判所につきましては、これを一律に廃止してしまって本庁、支部の併設簡裁の方に集約するということもいささかドラスチック過ぎるのではないかというふうに考えておりまして、私どもとしては、今後のそれぞれの簡裁の利用状況がどういうぐあいであるか、それから集約いたしました場合最寄りの簡裁までお出かけになるのにどの程度不便さがあるか、その辺のところをにらみ合わせながら適正な規模の再配置を考えていかなければならない、こういうように考えているわけでございます。
 最後の、巡回裁判所的なものの考え方でございますが、御承知のように我が国の現在の訴訟手続では集中審理方式をとっておりませんので、一定期間あるところに滞在して裁判事務を処理するというような英米の巡回裁判所的な考え方はなかなか取り入れがたいわけでございます。ただ、簡裁の場合は調停というのがいわば表看板になっておりますので、現地調停で遠方のところへ出向きまして現地で事件を処理するその際に、できますならば事件の受け付けとか窓口相談もあわせてできるような方策をとり得ないものかどうか今後検討してまいりたいと、かように考えているところでございます。
#144
○政府委員(岡村泰孝君) 法務省といたしましては、簡易裁判所に対応いたしておりますところの区検の制度をどうするか、また区検の適正配置という面から見まして簡易裁判所の適正配置問題についてどういう意見を持っているかということになろうかと思いますが、要するに現在の社会情勢の変化に対応いたしまして、やはり適正な配置をなすべきであるという考えでございまして、具体的な事柄につきましては、ただいま最高裁判所の方から御説明されましたところと大体同じようなことでございます。
#145
○飯田忠雄君 ただいまの御答弁で大体わかりましたけれども、それでは簡裁を地裁の支部に格上げするということは困難でございましょうか。
#146
○最高裁判所長官代理者(山口繁君) 現在、簡易裁判所は独立に存在いたしますのが二百六十二ございます。これが全国各地に散在しておりますところから、御利用上の不便あるいは裁判所運営上の不便がございますので、適正な範囲で再配置を考えたいと考えているところでございますが、適正配置が実現しました後に、置かれております簡易裁判所を支部まで格上げするかどうかという問題になりますと、現在の支部の利用状況ですら非常に事件の少ない支部も多々ございまして、裁判所運営上もあるいは国民サイドから見まして支部を御利用になる観点からいたしましても、支部の配置につきましても簡易裁判所におけると同様な問題がございますので、その辺のところから改めて見直してみなければならない問題ではないだろうかというふうに考えております。
#147
○飯田忠雄君 終わります。
#148
○橋本敦君 私は、撚糸工連事件について前回三月二十七日に引き続いて質問をしたいと思います。
 今、終盤国会が近づきつつあるわけですが、大きな政治課題ということになりますと円高の問題、これは大変な急激な円高で日米あるいはグローバルな問題にもなってきているわけです。さらに定数是正の問題もある。そして、きょう参議院でやっておりますマルコス疑惑解明の問題もある。それに続いて、撚糸工連事件というのは我が国の当面の国会と政治について重大な問題になってきたと、こう思うわけであります。
 三月二十七日の質問のときに私は、この撚糸工連事件の汚職構造の解明のかぎは、いわゆる一つは登録制度を維持しこの関係で問題となっておりますところの廃棄事業の継続をするかどうかということをめぐる問題、同時に繊維工業構造改善臨時措置法の五年延長、これをするのかどうかという問題をめぐって業界からは非常に強い要求がある、ところが、この登録制度、不況カルテルの問題は通産省の正式の繊維工業審議会や産業構造審議会がもう既に五十一年ごろからこれは早くやめる方がよろしいという答申を出しておったわけでありますから、正式の八条機関の審議会がそういう答申を出しているのにその答申と反対の方向を事実やってきているわけですから、なぜそうなったか、そこに政治的な圧力の介在の余地はあったのかなかったのか、業界の贈収賄攻勢、これがあったのかなかったのか、これに的を当てて調べていくことが非常に大事だということを私は指摘をいたしました。
 それについて岡村刑事局長も、私の指摘の点はよく承ったと、検察当局も現在鋭意調査中であって、犯罪の容疑がある限りその事実については調べると、こう思いますということをおっしゃっておられたわけでありますが、最近、横手代議士の問題ということが具体的に問題になってまいりました。私の指摘したことがおいおいそういう方向で明るみに出つつある大事な段階に差しかかってきたと思うわけであります。
 まず聞きたいのですが、いよいよ政界に波及してきたという今日の段階において、伊藤検事総長は、ロッキード事件の際ではありましたが、「巨悪は眠らせない」という名言を吐かれた。今も検察は、「巨悪は眠らせない」という、そういう決意で鋭意捜査を遂げておられると私は思うんです。前回私はこの点も指摘をして、収賄罪で逮捕、起訴された高沢あるいは高萩、こういう人たちは当時は通産省生活産業局原料紡績課の課長補佐あるいは原料紡績課化繊班化繊係長兼同班の加工糸係長、こういう職責でありましたから、したがって業界から設備共同廃棄事業等で好意ある取り扱いをしてもらいたい、そしてまたそういう趣旨でその取り扱いをしたことに対する謝礼としてもてなしを受けたということで収賄罪ということになっているけれども、私が指摘した設備共同廃棄事業そのものの存続や買い取り価格の引き上げやあるいは繊維工業構造改善臨時措置法の延長という、こういう問題について通産や政府の態度を決めていくということのためにはもっと上部を調べなくちゃならぬ、政治的な介入の有無を調べなくちゃならぬと指摘しておったわけでありますが、その一端が出てきたわけであります。
 そこで、まず法務大臣に御決意を伺いたいのでありますけれども、法務大臣も私どもと同じ政治家であります。事故界波及ということに撚糸工連事件がなった以上、これは最後まで徹底的に、「巨悪は眠らせない」という検事総長の名言ではございませんが、検察当局が勇気を持って犯罪を徹底的に捜査する、そのことについて法務大臣は激励をし、そしてしっかりこれをやるように政界腐敗をただしていく立場でやっていただきたいと思うのですが、御決意はいかがでしょうか。
#149
○国務大臣(鈴木省吾君) 政界にまで及んだことを私もまことに残念に思っております。
 私は、もともと政治というものは本当に最高の道徳でなきゃならぬという信念を持っております。そういう観点からして、さような事件が起きたことは、私も国会議員の一人としてあるいは閣僚として本当に遺憾に思っております。
 検察当局におきましては、そういう事件に対しましては、たびたび私も申し上げておりますように、刑罰法令等に触れるものがあれば、いかなる人であろうと、これは厳正、適正に捜査をし、また適正な処置をするものと私は信じておるわけでございます。
#150
○橋本敦君 聞くまでもないと思いますが、念のために大臣に一言伺っておきます。
 汚職事件が起こるたびに、いわゆる指揮権発動はしないということを法務大臣として明言をしていただきたい、徹底的解明調査を遂げていただきたいということを言ってまいりましたが、この件についても、いかに政界波及しようとも、大臣おっしゃったいかなる人であろうとも犯罪がある限りはただすのは当然ですから、当然指揮権発動なども頭お考えでないと思いますが、いかがでございますか。
#151
○国務大臣(鈴木省吾君) そのとおりでございます。
#152
○橋本敦君 私は、この問題について次第に汚職の構造的なものが明らかになってきたというように思うのであります。
 一つは、既に検察が通産省の今お話しした高沢、高萩、この二人を収賄で起訴されたわけですが、一つのルートはこれであります。つまり、業界は自分の要求を通すために直接に通産省の役人に働きかけて、飲み食い接待を含めて、わいろを贈る、この道であります。このルートはもう既に二人が起訴をされております。これが一つであります。しかし、この高萩あるいは高沢という二人だけにとどまるのかどうか、そのさらに上司に関連をしてもっと徹底的に調べていく必要があるのではないかと私は指摘をしたのですが、その辺の通産省の業界からの要求や圧力に対する対応について当然調べられておられると思うんですが、いかがですか。
#153
○政府委員(岡村泰孝君) 撚糸工連の一連の事件につきまして現在捜査中でございますので、ただいま御質問のありましたような点につきましては、今の段階ではお答えいたしがたいのであります。
#154
○橋本敦君 この二人だけにとどまらず、通産省の関係で事情聴取は進められておられますか。
#155
○政府委員(岡村泰孝君) 一連の事件を捜査する上におきまして必要な方々につきましては取り調べを進めているものと思うのでございますが、具体的にどういう方々を取り調べたと、こういうことにつきましてはお答えいたしかねるのでございます。
#156
○橋本敦君 捜査の関係で具体的にということになればそうですが、道筋としては、当然この二人の上司ということになれば生活産業局が中心の問題になってくるし、それから共同廃棄事業や繊維工業構造改善臨時措置法の関係についても生活産業局が当然問題になってきますから、関係のないところを調べる必要はないんで、当然この生活産業局、当時の局長やあるいは課長からもしっかり事情を聞いて調べるのが当然だと思いますが、一般的に言って、役所の機構からいって、そうではありませんか。
#157
○政府委員(岡村泰孝君) 通産省の高沢課長外一名に対します収賄容疑につきまして捜査を遂げて起訴をいたしたわけでございまして、その間、職務関係その他必要な事項については捜査を遂げたものと思っております。
#158
○橋本敦君 飲み食いしたのはこの二人だけじゃなくて、その他にも、さらに局長クラスの人もあったのではないかという話もかなり前からありますが、そういう点について調査はしておりますか。
#159
○政府委員(岡村泰孝君) ただいま御質問のございました点につきましては、いかんともお答えいたしがたいのでございます。
#160
○橋本敦君 役所の機構や権限からいって当然調べるべきであります。これが一つの道であります。
 もう一つは、国会議員を使って要求を実現するということで金を使い、政治献金を行い、あるいは働きかけるというルートであります。これが横手代議士の問題として一つは具体的になってきておる。この点について言いますと、まず国会議員を使っての撚糸工連の働きかけは、一つは商工委員会において具体的質問を議員にしてもらうことによって要求を実現するという、このことをやったということが一つあります。それからもう一つは、通産省に顔のきく国会議員を使って通産省に直接働きかけをする、こういうルートがあります。
 そこで、この問題について法律の適用の問題として刑事局長にまず確かめておきたいのでありますが、国会議員の職務権限という点について言うならば、その国会議員は立法府の構成員であります。特に委員会中心主義の国会においては、法案あるいは問題としてかかる当該委員会、その委員会に所属する議員がそれに関してその委員会で質問をするということは職務権限そのものに属する行為だというのが法解釈上当然だと思いますが、これは問題ありませんね。
#161
○政府委員(岡村泰孝君) 議員がその所属いたします委員会におきまして法案あるいは国政調査案件等につきまして質問等を行うということは議員の本来の職務権限である、かように思っております。
#162
○橋本敦君 したがって、そういう本来の職務権限あるいは国政調査権を行使して撚糸工連の要求どおりに問題を取り上げ、政府に迫るという行為をやって、それに関連をして金を受け取るということになれば、それは贈収賄罪を構成するということについては法律上全く問題はないというケースですね。
#163
○政府委員(岡村泰孝君) 職務権限に関してその対価関係にあります全員を受領するということは法律上いわゆる収賄罪に当たる、こういうことになろうかと思います。
#164
○橋本敦君 そういう点では、報ぜられている横手代議士が問題の商工委員会における質問をやり、そしてそれに関連して金を受け取ったという事実が明白であれば、これは当然私は法律上明白に受託収賄罪が成立するとして起訴するのが相当だというように思いますが、捜査を遂げた上起訴するという方針はもう当然あるのではないかと思いますが、いかがですか。
#165
○政府委員(岡村泰孝君) ただいま御質問の具体的事件につきましては現在まだ捜査中でございまして、いずれ捜査を遂げましたときに何らかの処分はいたすものと思っておりますが、今の段階でどういう処分をするかということにつきましてはお答えいたしがたいのであります。
#166
○橋本敦君 新聞報道では、検察はもう捜査をかなり進めて、この件についてはきょう、あすじゅうにも起訴にというような報道もありますが、結論を出すのは近いという状況は間違いありませんか。
#167
○政府委員(岡村泰孝君) 結論を出すのが近いとか遠いということも含めましてお答えいたしがたいところでございます。
#168
○橋本敦君 贈収賄罪が成立するということを証拠によってまた公判維持が十分できるという確証を得た場合、検察官が起訴をするというのは当然の検察官としての社会正義を守る責務である、私はこう思いますが、そういう方向で厳しい処置をするということで検討されるのが当たり前だと思いますが、間違いありませんか。
#169
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局といたしましては、犯罪を構成する事実が認められ、かつ証拠が十分であり、公判請求する必要性があると判断いたしましたときは、起訴いたしまして公訴の維持に当たるという方針でやっておるところでございます。
#170
○橋本敦君 それは一般論として当然ですが、この撚糸工連の事件について見た場合に、自分の職務権限を行使し、商工委員会で業界の要求する方向で問題を取り上げ、それで金をもらったという、そういう事実がもし証拠によって明白であれば公判請求をする必要は当然ある。しない方が妥当だというような事情は、これは考えられないのじゃありませんか。
#171
○政府委員(岡村泰孝君) 具体的事件をどう処分するかということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように現在まだ捜査中でございますので、今の時点で申し上げることができないわけでございます。
#172
○橋本敦君 だから私は、法律論的に問題がない、証拠はある、こう確信をしたら起訴するのが当然ではないか、こういう結論を聞いているんです。それは普通でしょう。
#173
○政府委員(岡村泰孝君) その点は、先ほど申し上げましたように、一般論としてはそういうことになろうかと思います。
#174
○橋本敦君 もう一つの問題は、こういう委員会で質問をすることに対してある議員があっせん、仲介をするという行為をすることがあるわけですね。
 例えば、古い判例で恐縮ですが、昭和十一年八月五日大審院判例というのがありまして、私ちょっと見てみますと、こういうことなんです。これは、東京市会議長選挙に関連をして贈収賄が行われた、その中でこう言っているんです。
 市会は議長を選挙する職務権限があります。これは当然ですね。したがって、その市会を組織する市会議員はその職務権限に属する事項を執行する、これは当然です。ところが、市会議長になりたい、こう思う人が同僚の議員に、議長に当選するようにあっせんをしてくれ、奔走してくれ、こういうことで金を渡したりする、そうすると、あの議長に投票してやってくれ、議長選挙はこうしてやってくれということを人に頼んだりあっせんすることは、それは自分が選挙をするという職務権限と直接何の関係もないというように見えるけれども、それはその職務に密接に関連した行為であるということで、直接自分の職務権限そのものに属さなくてもそういう場合は贈収賄罪が成立するということを大審院は言っております。こういうことから職務に密接に関連した行為という難しい法律論も出てくるわけですね。
 そこで、構造改善事業の問題、共同廃棄事業の問題、これについて委員会で論議をする直接の職務権限を持つ商工委員会所属の議員が、自分が質問をやったら直接の職務権限の行使です。しかし、自分が質問をしないで、業界の要求に応じて質問をしてやってくれと仲介をしたりあっせんをしたりして質問をしてもらう。で、業界の要求はその人によって質問ということになっていく、そういう仲介やあっせんをする行為は、本人が自分でやったら直接職務権限あるんです。しかし、人に頼んだりあっせんする行為は形の上では職務権限外の行為というように見えるけれども、この大審院の判例等の見解からいっても、自分が所属する同じ委員会の論議をやってくれと、こう頼むことは、直接自分が持っている職務権限と密接に関連する職務行為だ、こう判断される余地が法理論上は当然あると私は思うのですが、法務省はどうお考えですか。
#175
○政府委員(岡村泰孝君) 委員御指摘のような判例のあることはそのとおりでございますが、ただいま御指摘のような事実関係を前提としてどうかということでございますが、やはりこれは具体的に事実関係を明らかにしてこの判例等に合致するものかどうかが判断されるべき事柄であろうかと思うのでございまして、ただいまの時点におきまして結論めいたことは申し上げかねるのでございます。
#176
○橋本敦君 というと、局長のおっしゃる趣旨は、私が指摘した法律論は大審院判例の適用の問題としても法律論としても全然考える余地はないということじゃなくて、実際にそういう行為があったとすれば、その事実を調べて、どういう仲介か、どういうあっせんか、どういう趣旨でやったか、そしてまた、それに金が動いているとすればどういうことで動いたかは、これはよく調べてみないと、一般法律論だけでは、これは今の段階で何とも言えないと、こういう意味でしょうか。
#177
○政府委員(岡村泰孝君) 一般論といたしまして、そういうことでございます。
#178
○橋本敦君 そうすると、新聞で伝えられるA代議士の問題は調べておられると思うんですが、やっぱり調べなくちゃならない。調べて、いわゆるA代議士、きょう朝日新聞ではもう大々的に名前まで大きく出て、稻村元国土庁長官という名前が出ておりますけれども、このA代議士なる稻村元国土庁長官と言われている人がどういう方法で横手代議士にあっせんをし、仲介をしたのかは、これは調べた結果、職務権限に密接に関連する行為という範囲内だと認定すれば犯罪を構成することになるわけですから、これは徹底的に調べてもらわなくちゃならないと、こう思うんです。現にお調べだと思うんですが、この事実については徹底的にお調べをいただく問題として考えてよろしいですか。
#179
○政府委員(岡村泰孝君) いろいろ報道されていること自体は承知いたしておりますが、東京地検におきまして撚糸工連の一連の事件を捜査いたしておるところでございまして、具体的にどういう方々を調べたかというようなことは今の段階では申し上げられないところでございます。
 ただ、一般的に申し上げまして、これら一連の捜査を行いまして事案を解明し、法律に従いまして厳正な処理を検察当局において行うものと思っております。
#180
○橋本敦君 この稻村さんなるA代議士の秘書が既に事情聴取されたというような新聞の報道もありますが、秘書から事情聴取するというだけでなくて、やっぱり直接代議士本人から事実を確認をして、その上に立って法の適用がどうなるかということは、これはもう早急にやっていただかなくちゃならぬ問題です。なぜなら、こんなに新聞にも大きく報道され、重大な国民の関心を呼び、撚糸工連事件での政界工作を解明してほしいという国民世論に早くこたえなくちゃならぬし、もし朝日新聞にこのように名前が大きく一面トップで報道されているという事実について、事実でないならないということではっきりしてあげなければ、本人の名誉にも重大な問題としてかかわることであります。稻村元国土庁長官がこういうことで問題の人として報道されているということについて、全くこれは事実無根だというように検察庁はおっしゃいますか。
#181
○政府委員(岡村泰孝君) 検察当局が捜査中でございまして、その中身にわたる事柄につきまして個々具体的に申し上げられないのでございます。したがいまして、ただいまの御質問に対しましては何ともお答えいたしがたいのでございます。
#182
○橋本敦君 それじゃ伺いますが、きょう時点で稻村元国土庁長官から名誉棄損での告訴とかそういったことの手続がありましたか、ありませんか。
#183
○政府委員(岡村泰孝君) そういう告訴があったということは、私は聞いておりません。
#184
○橋本敦君 もう一つ、法律論として局長の御見解を伺いたいことがあるんです。
 つまり、私が指摘したように法律的に職務に密接に関連した行為としてこの質問者への仲介、あっせんということを事実としてとらえるのが法律論として難しい場合がある。局長おっしゃったように、事実をよく調べてみたらあるかもしれませんが、そうだとしてもう一つの問題は、今度は、撚工連からお金をもらって、こういう質問をしてやってもらいたい、あるいは後で金が行ったかもしれません、前後で金をもらっているという報道もあるので言うのですけれども、要するに、質問をしてやってもらいたいということを申し向けるということは、これは受託収賄を行うことについていわゆる教唆犯ということが成立する可能性は理論上あるのではありませんか。
#185
○政府委員(岡村泰孝君) 収賄の教唆ということになりますと、職務に関して全員を受領する、そういう事実を教唆した場合であるわけでございます。したがいまして、理屈の上でそういうことになりますので、そういう事実関係が認められるかどうかということになろうかと思います。
#186
○橋本敦君 だから、これもまた厳密に、横手代議士の質問をした経過、だれがどういう話をしたか調べなくちゃいけませんね、犯罪成立の可能性があるんですから。
 もう一つのルートは、国会議員が直接役所に働きかけをして業界に有利になるようにしてやるということを通じて金をもらう場合、これは職務権限との関係で贈収賄罪が成立するかどうかというもう一つの問題がある。伝えられる稻村代議士、A代議士は商工委員としてだけでなく、閣僚にもなった人でありますから、まさに有力な政治家です。そういう力を背景にして通産省へ働きかけて業界が有利になるようにやるということになると、この行為は法律的にどう評価されるのであろうか、この問題があるわけです。
 私は端的に言って、一般的に言うならば国会議員というものは立法府の構成員ですから、行政府の構成員ではありませんから、行政府そのものに属する事項について職務権限がありません。したがって、一般的に言えば、通産省やその他へ働きかけて、そこでいろんな問題についてどうこうというように意見を述べたりあるいはお願いをしたりというようなことについては、そのこと自体は職務権限と関連のある行為ではないというのは、これは明白だというふうに解せられていると思いますが、どうですか。
#187
○政府委員(岡村泰孝君) ただいま御質問のありましたような点も、要するにどういう具体的事実関係にあるのかということが判明いたしませんと、法律の適用ということにつきまして結論めいたことを申し上げかねるのでございます。
#188
○橋本敦君 それはそのとおりでしょう。だけど、一般的に言えば、国会議員が役所に対してああしてくれ、こうしてくれという意見を言ったりするそのこと自体は、国会議員の職務権限そのものだというようには法律的にはとらえられていないでしょう、そういうことを聞いているんです。
#189
○政府委員(岡村泰孝君) 一般的に働きかけることは恐らく職務権限とは言えないであろうと思います。
#190
○橋本敦君 そこで、局長もおっしゃったように、具体的な働きかけの趣旨、目的、態様、これが問題になるんですね。
 撚糸工連が政治家にたくさんの金を政治献金したというのは自分の要求を実現してほしいという意図があるということが推測されるんですが、とりわけその政治献金をもらった政治家が、自分が商工委員であるという地位を利用し、直接所管庁である通産省に業界のために働きかけるという、そういう行為をした場合に法律的にどうなるかですが、その場合に、局長がおっしゃったように具体的事実を調べるのも大事ですが、その具体的事実の内容として、このことをやってもらいたい、このことを早くやってもらうようにならないと商工委員会で質問で取り上げるよと、国政調査権を発動して委員会の一般審議でも問題にするよ、あるいはそういうことを委員会で質問するように自分がやらなくても人に頼むよと、こういうような具体的な状況で役所に働きかけをしたというようなことになりますと、それは職務と密接な関連ある行為ということに法律的にもなって、そして贈収賄罪が成立する具体的要件がその事実いかんでは明白になってくるということになってくるのは私は当然だと思う。
 私が調べた本でもこう書いてあります。現実に国会の「法案審議の際に委員会において問題点としてとり上げ、あるいは国政調査権を発動する等して自己の議員としての職権行使によって圧力をかけることを含みとして働きかける場合においては、その影響力を行使することは職務と密接な関連性のある行為とする余地がある。」というように講学の本にも書いてある。したがって、A代議士あるいはその他の政治家が直接通産省に働きかけた事実があるとすれば、その具体的態様、内容、どういうことで働きかけたかということ、これもまた調べることが犯罪成否の余地があるかないかを調べる上で一つの大事な課題になっておると私は思うんです。いかがですか。
#191
○政府委員(岡村泰孝君) 先ほど来申し上げておりますように、捜査の中身にわたること、どういう点について捜査をしているかあるいは今後するか、こういったことにつきましてはお答えいたしがたいのであります。
#192
○橋本敦君 局長に聞きたいのは、具体的にというようにあなたおっしゃいましたけれども、政治家、つまり国会議員が直接役所に働きかけるという行為も、事実いかんによっては贈収賄罪を成立させる職務権限の行使あるいは職務権限に密接に関連した行為だというようになる法律上の余地はあるというようにこの本に書いてあるが、こういう見解は間違っていないですねということを私聞いているんです。
#193
○政府委員(岡村泰孝君) そういう見解のあることは承知いたしておるところでございます。ただ何分、現在捜査中という段階でございますので、そういった問題に関連いたしまして具体的なことは申し上げかねるところでございます。
#194
○橋本敦君 ですから、理論的に贈収賄罪が成立する余地があるということですから、直接撚糸工連事件で通産省に働きかけをしたという事実がある政治家について、あるなら、それは調べなくちゃならぬということが明白になったと思うんですね。
 もう一つは、今度は、直接商工委員だとか直接共同廃棄事業等に職務権限を持っている委員会に属さないその他の国会議員に政治献金をした場合どうなるかという問題があります。これが第三のルートです。第一のルートは、撚工連から直接役所に働きかける、わいろ攻勢をかける。第二は、権限を持っている商工委員の国会議員を使って委員会質問をするか通産省に直接働きかけをしていく。第三のルートは、そういう直接の委員会職務権限はないけれども、国会議員という一般的職務権限を持っている国会議員に政治献金を行って自己の要求を貫徹するように働きかける。この第三の問題が職務権限との関係で非常に難しくなるわけですね。
 しかし、大阪タクシー汚職事件では、これは裁判所の判断として、タクシーの料金問題は運輸委員会が当然権限を持つんですが、運輸委員であれば直接その問題で職務権限があることは明白だが、運輸委員以外、この場合は大蔵委員、そういう人であってもいろいろ働きかけをするということで金をもらって動いた場合は、国会議員は一般に本会議を通じても法案の審議あるいは立法その他に権限を持っているので、一般的には職務権限がないとは言えないという判断を示していると思うんですが、間違いありませんか。
#195
○政府委員(岡村泰孝君) タクシー汚職の事件の大阪高裁判例によりますと、自己の所属しない委員会の所管事項に限定された範囲において干渉し得る権限がある、こういう判断を示しておるところでございます。
#196
○橋本敦君 そこで私が指摘したいのは、この判例から見ても、どの政治家にどれだけの政治献金
がなされたかということについては検察はやっぱり徹底的に調査をする必要があるということであります。
 この問題について前の私の質問でも、撚糸工連から詐欺及び横領によって取得された不正な金がどのように使われたか、あるいはわいろとしてだけではなくして、一般的に政治献金として政治家へ経理上どのような金がどういう方法で渡されたかについて、金の流れと使途についても徹底的に調べる必要があることを指摘して調査を求めておいたわけでありますが、一般的に金の使途、流れを調査するというだけでなくて、犯罪の可能性の有無を持っている政治献金の流れという、そういう観点で捜査をやってもらいたい、やるべきだというのが第三の私の問題意識なんです。
 タクシー汚職事件の判例からいっても、あるいは先ほどの大審院の判例からいっても、直接自己の所管する委員会以外の問題であっても事情によっては職務権限と密接に関連する行為という範囲で贈収賄罪の成立する余地がないわけじゃないということですから、金の流れの問題はそういう意味で厳しく調べていただかなくちゃいけないと思うんですが、いかがですか。
#197
○政府委員(岡村泰孝君) 先ほど来申し上げておりますように、検察当局としましては鋭意事案の解明に努めているところでございまして、その過程において刑罰法令に触れる行為があるならば、これに対しましては厳正に対処するものと思っております。
#198
○橋本敦君 刑罰法令に触れる行為があるならばということでありますから、触れるかどうかやっぱり調べていただかなくちゃならぬのですが、その刑罰法令に触れるという問題でもう一つ別の観点から局長に御意見をお聞きしたい。
 今私は贈収賄罪と国会議員との職務権限という観点で聞きましたが、もう一つは、私は今度の撚糸工連事件で実に異様だと思っていますことは、この稻村元国土庁長官も横手代議士もそうですけれども、多額の金、つまり数百万あるいは一千万、こういう金をもらっているというように言われ、それが調べられているという報道もあるんですが、我が党の中川議員が政治資金規正法の関係での届け出を調べてみますと本当に出てこないんですね。八〇年衆議院選挙あるいは八三年衆議院選挙がありましたので、そのころはよく出ているかということで調べてみたのですが、結局この二つの選挙を通じて寄附がどれだけ届け出られているかといいますと、宮澤喜一代議士が二十五万円、瓦力氏が二十万円、久保田円次氏が二十万円、平泉現経企庁長官が十万円、選管その他で調べてもこれだけしか届け出がないんです。
 だから、撚工連事件の一つの特色は、政界へ三十人、四十人、あるいは金額にして多額の何千万とか何百万、これだけの金が動いたということが、撚工連側の逮捕された小田その他の供述がテープその他でいろいろあると言われていながら、正式の届け出がわずか十万とか二十万とか、しかも今お話ししたように問題の人は出てこない、稻村元国土庁長官も出てこない、こういう状況なんですね。これはもう実に今度の事件の一つの暗い特色であります。
 そこで私は、もう一つの問題として、政治家が多額の金を受け取っておいて、たとえそれがわいろでないとしても、政治資金規正法によって、この十二条によれば収入について報告書の届け出をしなくちゃならぬ、そして、この十二条に違反して金を受け取っていながら、政治的寄附として、政治献金として届け出をしない、それをないものということで虚偽の報告をするなどということになりますと政治資金規正法二十五条一項によって明白に五年以下の禁錮、こういう重罰が予定されておるんですね。犯罪行為であります。
 したがって、この点について刑事局長いかがですか。金が動いたと、もらった事実も証拠で出てきた、ところがその政治家がこの政治資金規正法で定められたとおりの報告をしていないとなりますと、政治資金規正法違反という犯罪容疑が同時に捜査の対象として出てくるのは当然じゃありませんか、いかがですか。
#199
○政府委員(岡村泰孝君) そういう点も含めまして、検察当局におきまして必要と認めるならば捜査はいたすものと思っております。
#200
○橋本敦君 非常に重大な御答弁をいただきました。今度の問題はそうしなきゃいかぬのです。本当に不思議に、正式に届け出た人は今言ったわずかな人で、しかもわずかの金額ですね。圧倒的な多数の不明朗な金が動いている。したがって、仮に贈収賄罪ということに職務権限との関係でならなくても、政治資金規正法違反という多大の金額を届け出ないということは、これが事実とすれば厳しく処断しなきゃいけませんよね。わずかな金、五万や十万を届け出なかったというならいいですが、何百万ももらいながら届け出もしていない、こうなりますと、たとえ贈収賄罪が成立しなくても政治資金規正法違反という問題で、これは厳しく違法行為は処断する必要がある。今局長がおっしゃった方向で検察当局はこの点にも深く留意をして捜査を遂げて、全面的にこの撚糸工連事件は今後解明をするという方向でやっていただきたいのであります。
 そこで、もう一つ私は心配するのでありますが、時効の問題であります。禁錮五年以下の政治資金規正法違反、それから受託収賄は七年以下の懲役ですが、単純収賄になると五年以下の懲役と、こうなる。問題は五十七年、五十八年のころですから、日はたっている。時効の関係ではどうなるのでしょうか。心配ありませんか。
#201
○政府委員(岡村泰孝君) 今、時効の問題という御指摘ございましたが、確かにこれは各法定刑に従いまして時効が決められておるわけでございまして、もちろん時効が徒過した場合はもう刑罰権が行使し得ないということになるわけでございます。
#202
○橋本敦君 例えば今の禁錮五年以下の刑ということになりますと、これは時効が、ちょっと私今調べなかったんですが、すぐわかりますか。時効は何年になりますか。ちょっとここに刑訴がありませんので……。
#203
○政府委員(岡村泰孝君) 政治資金規正法につきましては、時効は三年であると思います。
#204
○橋本敦君 単純贈収賄も三年じゃないですか。
#205
○政府委員(岡村泰孝君) 単純収賄、受託収賄、いずれも五年でございます。
#206
○橋本敦君 だから、受託収賄あるいは単純収賄ということになりますと時効は五年ありますから、五十七年、五十八年に問題が起こったとしても、五年という時効ではまだ捜査の余地はある。ところが、今私が指摘したように、収賄罪で処断できないが政治資金規正法違反で違法行為が明白であっても三年という時効の壁にかかってしまう、こういう問題がある。
 そこで、調べた結果時効であった場合には、これはもう起訴できませんが、その場合は、国会の要求があればロッキード事件で法務省がいわゆる灰色高官、時効で起訴できなかった者を御報告なさったように、要求があれば、これは国会に報告をされるという態度を検討してもらいたいと思いますが、これは政治的判断ですから法務大臣のお答えをいただかないといけないかと思いますが、法務省当局の御見解どうですか。
#207
○政府委員(岡村泰孝君) 捜査いたしました結果でございますが、公判請求をいたしまして、公判におきまして立証の必要上証拠として提出いたした分につきましてはいわゆる公開と、こういうことになるわけでございますが、それ以外のものにつきましては公開しない、これが建前でございます。
#208
○橋本敦君 いや、その建前わかった上でロッキード事件は時効等の関係で公訴を提起しなかった分についても国会の要求があって国会に報告をされたという前例があるので、国会が要求すれば、法務省としてはロッキード事件の先例もあり、対応は検討すべきではありませんかと、こう言っているわけです。それはまだ先のことですから、今何とも答えられませんか。
#209
○政府委員(岡村泰孝君) 先ほど来申し上げましたように、公訴を提起いたさない場合は非公開ということ、公表しないということが建前であるわけでございます。したがいまして、今の段階で御質問のように、公開といいますか、公表してはどうかということになりますと、これはやはり公表できないというふうに答えざるを得ないと思っております。
#210
○橋本敦君 私も今すぐ言ってもらおうとは思いません。御見解伺いましたが、今大事なことは、先ほどから私が指摘した幾つかの問題がありますが、鋭意、「巨悪は眠らせない」という、そういう決意で検察当局はまさに正義の立場を貫いて捜査を徹底的に遂げていただくことであろうと思います。そのことを要求をして、時間が参りましたので、きょうは質問を終わります。
#211
○委員長(二宮文造君) 本日の調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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