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1985/04/03 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 地方行政委員会 第6号
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1985/04/03 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 地方行政委員会 第6号

#1
第104回国会 地方行政委員会 第6号
昭和六十一年四月三日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     稲村 稔夫君     丸谷 金保君
     神谷信之助君     佐藤 昭夫君
     三治 重信君     井上  計君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         増岡 康治君
    理 事
                松浦  功君
                吉川 芳男君
                佐藤 三吾君
    委 員
                上田  稔君
                加藤 武徳君
                金丸 三郎君
                上條 勝久君
                出口 廣光君
                上野 雄文君
                中野  明君
                佐藤 昭夫君
                井上  計君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    小沢 一郎君
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       工藤 敦夫君
       警察庁長官官房
       長        鈴木 良一君
       警察庁長官官房 
       審議官      小池 康雄君
       自治大臣官房長  津田  正君
       自治大臣官房審
       議官       持永 堯民君
       自治大臣官房審
       議官       渡辺  功君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
       自治省行政局公
       務員部長     柳  克樹君
       自治省財政局長  花岡 圭三君
       自治省税務局長  矢野浩一郎君
       消防庁次長    井上 孝男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       国土庁防災局震
       災対策課長    定道 成美君
       文部省教育助成
       局財務課長    逸見 博昌君
       文化庁文化部宗
       務課長      長谷川正明君
       文化庁文化財保
       護部伝統文化課
       長        石藤 守雄君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部水
       道整備課長    小林 康彦君
       資源エネルギー
       庁公益事業部技
       術課長      末廣 恵雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査
 (地方行財政、消防行政、警察行政等の基本施
 策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(増岡康治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨四月二日、下田京子君及び井上計君が委員を辞任され、その補欠として神谷信之助君及び三治重信君が選任されました。
 また、本日、神谷信之助君及び三治重信君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君及び井上計君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(増岡康治君) 地方行政の改革に関する調査のうち、地方行財政、消防行政、警察行政等の基本施策に関する件を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○中野明君 大臣の所信に対する質疑は、大変おくれましたが、改めて自治大臣にお考えをお聞きしたいと思うんです。
 今、地方公共団体にとりまして一番大きな問題は、何といいましても高率補助金の一律カット問題ではないかと思います。御承知のように、去年は一年限りという暫定措置で、参議院では補助金特別委員会をつくりまして大変な議論をしたわけです。地方も反対ではありましたけれども、一年限りの措置ということで泣く泣くのんだということであります。国会では必ずことしじゅうに決着をつけて、そして事務配分、職務の分担等もちゃんとしてやりますのでということで約束をいただいたわけですが、国会が始まりますと、結局、結論を出すと言うたその結論が、また三年間の暫定というような結果であります。国会での約束というものが一体これはどういうふうになるんかということで、先日来、私も総理あるいは大蔵大臣にもお尋ねしたところ、いや、去年とはちょっとだけ違うんだというような強弁をされておるわけです。まことに遺憾と言わざるを得ないわけですが、こういうやり方では私は納得できません。
 そこで、大臣は過去の経緯は、第三者的な立場で報告を聞かれたり、あるいは国会議員の立場で様子を見ておられたと思います。そういう冷静に判断できるお立場として、今回自治大臣に就任されたわけなんですが、この補助金の去年と同じ手法で、しかも結論を先送りして、暫定を三年にして地方の負担はまた倍になった、一兆二千億に及ぶ負担になったというこのことについて、大臣としてどうお感じになっているのか、その辺を最初にお聞かせいただきたい。
#5
○国務大臣(小沢一郎君) 私どもといたしましても、この補助負担率の国と地方のあり方の問題につきましては、本当に地方が事務の事業の問題でも、権限につきましても、地方と国とこの問題についてはどうあるべきか、そういった個々の具体的な議論の中から初めて補助負担率というものは出てくるべきものであろうと考えております。したがいまして、単に国の財政事情のみによって一律に行われるというのは、基本的に筋道として違っておる、そのように私は考えております。
 今回の御審議いただいております予算につきましては、そういった激しい議論の中で、現実の予算編成を行うにつきましていわゆる社会保障の関係の一部についての事務事業のあるいは権限の見直しを行ったという基本的な考え方が初めて具体化してきたところに私どもは従来の主張の線上の意義を見出しておるわけであります。
 しかし、いずれにいたしましても、こういったいわゆる予算編成の技術上の問題等で処理すべきようなことではないと思いますし、また、今後本当にどうあるべきかという議論の中で予算の編成そして補助負担率の負担のあり方、こういうものは考えていかなければならない、また、そういう時期に来ておるんではないかというふうな感じを
私としては強く持っておるところでございます。
#6
○中野明君 本来、この種のやり方というのはいわゆる行革特別委員会に例が見られますように、まず予算編成の前にとにかく法律をつくって、そして国会の審議を経てしかる後に予算編成をするというのが議会政治の建前だろうと思うんです。それで、去年はそのことで古屋自治大臣も残念ながらことしは順序が逆になりましたということを再三再四述べられまして、大蔵大臣もこの手法はよろしくない、だから再びこういうことはやらないと言いながらまた同じ手法になっているわけですね。いずれこれは補助金の連合審査になりますか、あるいは昨年のように特別委員会をつくってやるようになりますか、そこで議論をせなければならない問題ですけれども、こういうやり方ではまた地方が困るわけです。
 この補助金一括法が通らない限り、地方を人質にとって国会審議を制約されるといいますか、そういうことで去年も参考人を呼んで聞きましたら、最終的にはこの参考人は泣く子と地頭には勝てぬというような、そういう表現をする市長さんも出てきたり、あるいは本当にここまで来たらもうどうしようもないから早く通してもらわぬと地方がどうにもならぬ、こういうやり方はまことによろしくない、国会審議を制約するものだということで議論があるんです。
 それとともに、もう一つは、明らかに国の負担を地方に転嫁させる、地方に肩がわりさせるということに尽きると思いますが、大臣として去年に続く今回のこの措置というのは国の負担を地方へ肩がわりさせた、このように素直に認められるかどうか、その辺どうでしょうか。
#7
○国務大臣(小沢一郎君) 今回の補助負担率の引き下げに伴いまして、その補てん措置等々を通じ地方団体にはその財政運営に支障を来たさないように措置してきたということは従来申し上げておいたとおりであります。しかし、今までの負担率を引き下げるということに伴う地方のいろいろな御苦労やら問題があることは私も否定し得ないところであろうと思います。したがいまして、私ども特に自治省といたしましては、このことによりまして例えば地方債、借金で賄われるそういう部分につきましても将来財政運営に支障がないように交付税総額等も確保していくんだと、その決意は言葉どおりのものでございます。
 しかし、さきに申し上げましたように、本当に地方と国のいろんな権限とか事務事業の問題、そういった議論が今後これを契機に本当に真剣な議論がなされていかなければならない、また、そうしていくのが筋道であろうと思います。したがって、結果として先生御指摘のような、結局は地方債の増発ということは地方への負担の転嫁ではないかという御議論もあられると思いますけれども、私どもといたしましてはそういう結果にならないように今後とも相努めてまいるということに尽きるわけであります。
 いずれにいたしましても、いろいろな仕組みあるいは税源、地方の財政が国家的な制度、仕組みの中で十分機能することができるような措置を真剣になって本当に真っ正面から取り組んでいかなければならない、そのように考えておるところでございます。
#8
○中野明君 大臣としてはそういう御答弁が精いっぱいだろうと私は思いますけれども、いずれにしても国の方は一兆二千億という負担を何らかの形で手当てはしていますけれども、大きな部分は地方債ということですから、国債を地方債にかえただけということにもなりますし、そういうことになりますと完全にこれは地方に肩がわりさしているというふうにしか我々としてはとれないわけです。
 そこで、大臣の所信の中にも、地方公共団体を取り巻く環境は依然厳しい、引き続いて行政の簡素効率化を推進して地方財政の健全化に努めることが必要だと、こう述べておられるんですが、もっともなお話で、今回のこの措置というのはまず行政の簡素効率化ということに逆行しているということ、これ一つ言えます。負担が肩がわりされただけで地方の手数、手間というものは同じなんですから、それだけ負担は重たくなっていると言わざるを得ません。そういうことで簡素効率化にも逆行しておりますし、地方財政の健全化にも逆に働いている。
 こういうことですのでぜひこれは自治大臣として今後の地方財政のあり方、きのうも議論が出ておりましたように、恐らくこの急激な円高でデフレ面だけがさっと先に出てきますからことしの税収というのは恐らく大変な落ち込みだろうと、その影響も心配しなきゃなりません。そういうことを含めて注意深く見守っていただいて、地方財政に支障がないようにぜひやっていただきゃならぬ、このように考えております。
 それからもう一点は、一律カット方式というのは一面公平なように見えて逆に不公平を助長さす、こういうことをぜひ知ってもらわなければなりません。それは一律カットですから恨みつらみなしで非常に公平じゃないかと見えますけれども、地方公共団体というのは三千三百、そして財政の規模から公共団体には強いところと弱いところと大変な格差があるわけです。この格差を是正するということが一番の我々の願いなんですけれども、それが一律カットされることによっていわゆる財政規模の小さいところほどこたえますね。ですから、さらに格差が広がり不公平になってくる、こういうことでございます。
 その点大臣はどう見ておられますか。
#9
○国務大臣(小沢一郎君) その点につきましては、基本的に先生の御指摘のように考えております。
 したがって、まあ国の現実のいろいろな諸制度あるいは政策を実行するときに、全地域に個々の問題に具体的に対応して施策をやるというのは言うべくしてなかなか難しい問題で、どうしてもそういった一律的な画一的なやり方に、この補助金の問題だけではなくていろんな行政全般を通じてなりがちな面は否定できないと思います。しかし、私ども特に自治省といたしましては、地方自治体の現実を把握しながらそれに対応できるようにするのが役目でございますので、今後国のいろいろな施策の中で、できる限りそういった点につきましては実態を把握して措置、対応していかなければならない、そのように考えております。
#10
○中野明君 私の申し上げたいのは、結局今でも地方公共団体間の格差はあるわけですね、強いところと弱いところ。この弱いところを何とかてこ入れをしてあげなきゃならぬ、これは国全体としての地方行政に対する態度だろうと思うんですけれども、その格差を国が施策をすることによってまた逆に助長させるようなことはおかしいじゃないか。ですから、補助金の問題につきましては、高率補助を一律カットするというような発想じゃなしに、前々から言われているように、行政改革というのは補助金の整理で、なくすることなんですよね。それが一番行政改革であって、国が地方の肩がわりするとか、国の持ち分を地方にやるという、これが行政改革だと思われたらもう大変なことです。
 そういうことで、国の施策によって格差が助長されたんですから、この格差に対する対応策をぜひ考えないと、政策というものは私は百点満点はないと思います、だれがやろうと。だから、必ずその実行したあるいはでき上がった政策の欠点といいますか、マイナス面ですね、これをカバーするような対応というものがないと、それを押しつけられた地方はたまらぬということです。ですから、前々から言われているように、交付税なら交付税の傾斜配分とか、いろいろ何かそういう知恵を出してしないと恐らくもたぬのじゃないか、こうやられるとね。一律でがっときますと財政規模の小さいところはもう行政の体をなさぬようになるんじゃないかと心配し、そういう面から広域行政というような、広域圏行政というような話も出てきているんじゃないかと思いますけれども、ぜひその点は頭の中に置きながらやっていただきたいということを要望しておきます。
 それから、大臣の所信にも述べておりますよう
に、「「地方公共団体における行政改革推進の方針」(地方行革大綱)」これは自治省の指導で、各自治体も言われるまでもなく以前から行政改革というのは住民の身近にあるだけに、国よりも地方は進んでいると私たちは理解をしております。さらに、それに追い打ちをかけるように、こういう時代ですから地方行革ということで自治省も音頭をとっておられるんでしょうけれども、行革によって上がった成果というもの、経費が節減できたことは、大臣の所信にもありますように、住民にそれだけサービスをよくしていって、いわゆる活力ある地域づくりの推進に向けなければならぬというのが行革の一つの大きなねらいだろうと思うんです。
 ところが、今度のようにせっかく片方で行革を推進してやっている、その成果が上がった。そうすると、その成果を国の方が横取りするというんですか、言葉は適切かどうか知りませんが、一生懸命地方が苦労して行政改革をやって成果が上がった、その成果を、おまえのところ大分楽になったのだからといって横取りする。こういうことになると、まじめに行革をやった地方がばかを見るということにもなりかねないんですね。それはいろいろ理由はあるでしょう、あるんですけれども、結果から見ればそういうことにも通じるわけです。こういうことをしたら、自治省のやっておられる行政改革推進ということと今回の負担の転嫁ということとの関係性を私たちはどうしても理解できなくなってくるわけです。その辺の御見解はどうでしょうか。
#11
○国務大臣(小沢一郎君) 先生のただいまの御意見は、私も全く同感であります。
 地方におきましては、国でかけ声をかける以前から既に住民みずから、地方自治体みずから積極的に行革に取り組んでおるわけでございまして、昨日もお話がありましたが、その成果を着々と上げておられるわけでございまして、その実った果実は当然住民に還元されるべきものであろうと思います。
 したがいまして、自治省といたしましては、一生懸命やったところはそれだけ報いられるように、特にいろいろな施策については十分配慮していかなければならない、そのように考えております。
#12
○中野明君 次の問題なんですが、これは衆議院で問題になりまして、衆議院議長のもとであっせん案といいますか調停がなされて、そのときには大臣も衆議院で重要な位置におられましたのでよくその間の事情は御存じだろうと思うんですが、いわゆる衆議院定数是正の問題なんです。
 これは、常識的に受け取って、各党党首がお約束をなさっているわけですから、この国会のうちに話し合いがまとまって定数是正が成立するというのが建前でありますし、当然そうあるべきであると思います。まだ中身についてはいろいろ議論されているようでございますが、いずれにしても公党間の約束ですから、この国会で定数是正ができ上がったといたしまして、さあこれで実際に選挙ということになりますと、自治省が選挙の担当の省でその大臣ですから、でき上がったこの定数是正のやり方が、今までの選挙区が変わったりいろいろするわけでしょうから、それに対して住民に告知といいますか、周知徹底する時間というものは必要だと私どもは思いますが、大臣はどうお考えですか。
#13
○国務大臣(小沢一郎君) ただいまのいわゆる周知徹底する期間、これは何日なければならないという定めがあるわけではございませんが、常識的に考えて判断する以外ないであろうと思います。
 ただ、今日のようにマスコミも発達いたしまして、すべてのほとんどの国民がそういった日々の国政上の動きやらの問題については承知、周知できる段階にありますので、その意味では、このための特別の期間を何カ月とか何日とかいうふうに設けるまでの必要性はないのではないだろうか、それは常識的に考えて判断してよろしいのではないだろうかというふうに私は考えております。
 もちろん、選挙の実際の執行管理等につきましてはこれはまた別問題で、一定の期間があれば対処できるわけでありますが、一般の住民、国民の問題としてはそのように考えております。
#14
○中野明君 大臣、非常に情報化時代でマスコミ、電波、それが発達しているからと考えておられるようですけれども、御承知のように、一例を挙げますと、三洋のファンヒーターというのがございましたね。あれで一酸化炭素中毒で亡くなった人が出て大騒ぎになりました。そして、会社は全精魂を傾けてテレビ、新聞で連日ですよ、もう何カ月になりますか、まだやっているんです。これは間違ったら本人の命にかかわるんですよ。命にかかわるということほどお互いに気になり、神経を使うことはないんですね。そのような問題でも三月たってもまだ半分も回収できていないとか、あと何万台残っているとか、これぐらい徹底しにくいものなんですよ。
 そういうことを考えますと、マスコミが発達して新聞に出るんだからいいだろう、こういうふうにただのんきに構えておったらこれは大変なことでして、住民にとりましては自分の主権を行使するわけですから、それが全然知らぬ間にそんなことになっておるというようなことになるとこれは大変なことですので、これについては、告知して周知徹底するのにかなり私は時間がかかるんじゃないかという考え方を持っている一人であります。その辺は、マスコミが発達しているからテレビで二、三回宣伝しておいたら、あるいは新聞に発表しておいたらそれでわかるのが普通だというお考えでは済ませられない問題だろうと私は思うんですね。それで、今一例を挙げたわけですけれども、何人も亡くなって、欠陥だということで会社までもう総力を挙げて、マスコミも協力をしてやっておっていまだにまだ続いているんですよ。
 そういうことを考えられたら、常識的な線と今大臣もおっしゃっておりますけれども、法律ができ上がったからといってすぐにというわけにはいかぬのじゃないかなという感じを持っております。そのことだけ申し上げておきます。
 次の問題に移らしていただきます。昨日もお話が出ておりまして、中国の話も出ておりましたが、ことしはハレーすい星が接近するということです。昔からハレーすい星の来る年はいろいろと天変地妖があるとか言われておりますし、そのハレーすい星の年に加えてことしは五黄のとらというんですか、何かそんなことを年寄りからよく聞かされますが、これは中国四千年の歴史の教訓だそうでして、ハレーすい星が来る年と五黄のとらが重なっているのでことしは天下大乱の年で、天変地妖が起こる、こういうことを言う人もおりまして、学者の中には東海大地震も早まってくるんじゃないかという説まで唱える人も出てきているような状態です。それがどうか知りませんけれども、国際テロも横行しているようですし、去年あたりから火山はあっちこっちで爆発する。地震が起こる。アラスカの火山が爆発して飛行機も航路を変えたりするようなことで、非常に騒然としているような気もしないでもありません。
 そういうことで、地域防災ということについてきょうはちょっとお尋ねしてみたいと思うんですが、三月二十三日に、思わない春の大雪になりまして、首都圏は大変な混乱をいたしました。私どもも、ちょうど前の日が日曜でございましたので、東京へ帰ってくるのにみんな大騒ぎで、皆さんに聞いてみると、東京の駅に着いたのが二時の人がおる、三時の人がおる、五時の人がおる、五時半の人がおるというように、まあそれは陸も海もとにかく交通機関まで麻痺するというような大変な被害を受けたわけです。そういう点について、まず停電の被害と上水道の被害が直接住民に影響を与えて、地方公共団体も頭を抱えた問題だろうと思うんです。
 停電と上水道の被害状況がもしわかっておれば、通産と厚生でしょうか、教えてください。
#15
○説明員(末廣恵雄君) 三月二十三日の降雪によりまして、電力設備につきましては、送電鉄塔の倒壊を初めといたしまして、いろいろ被害が生じまして各地で停電が発生しております。東京電力
管内におきましては、電力設備の被害といたしまして、送電鉄塔の倒壊十一基、損傷四基、それから送電線の断線三十一カ所等でございました。また、停電につきましては、東京電力管内では静岡県の東部、神奈川県を中心といたしまして合計約百三十三万戸が停電しております。停電の大部分につきましては翌三月二十四日の朝までに回復いたしましたが、神奈川県の一部におきましては復旧が二十五日の未明になっております。
#16
○説明員(小林康彦君) 水道について申し上げます。
 神奈川県を初め一都三県におきまして、地域的な停電によりまして、河川からの取水、上水場からの送水、あるいは配水池からの配水等のポンプが動かせない水道が発生いたしまして、二十四の上水道、二つの簡易水道の給水区域で断減水を生じました。影響は合計約三百万人に及び、すべて復旧いたしましたのは三月二十五日十六時と報告を受けております。
#17
○中野明君 それで、私気になりますのは、この静岡県の今示された被害を受けた地域は、大規模地震対策特別措置法に基づいて地震防災対策強化地域に指定されている地域がかなり入っているわけですね。ですから、これはいわゆる東海地震がきたらいかぬということで、それに対しての準備といいますか、予防をしよう、あるいは対策をしようということでこの法律ができているわけなんですが、この地震防災対策強化地域に指定されている地域は、今回被害を受けられたこの範囲で、指定されている地域は何町村ぐらい含まれておりますか。
#18
○説明員(定道成美君) 今回の関東地方での降雪によりまして、地震防災対策強化地域において、まず、神奈川県厚木市など十市町村で断水が生じております。それから停電につきましては、平塚市及びその周辺市町村で発生したと私たちは聞いております。
#19
○中野明君 ですから、地震と雲とどっちが怖いかということになりますと、地震の方がもっと怖いわけですね。その地震よりも被害は大したことはないと思われている雪でこれだけの被害が出て、しかも、その防災対策強化地域で対応がこんなにもできなかったということで私非常に心配するわけです。昔は、災害というのは忘れたころにやってくると偉い先生も言われたようですけれども、今ごろはもう忘れるどころかたびたび来るようなことなんですね。
 そういう状況の中で、地震防災対策強化地域に指定されたその中で、例えて言えば水道がとまった、住民は一番困るんですよ。あるいは停電した。冬の寒いときですから、電気しか暖房のない人は二晩も停電したらそれこそ大変なことです。そういうことについて、例えて言えば、氷ならば上水道のもとで、地震のときでもまず停電ということは僕は想定できると思うのです。停電したときには自家発電で補うということは常識であろうと思うのですが、報じられるところによりますと、自家発電の用意がなかったので、電気がとまったらお手上げたということで住民の生活に大変な影響が出た、こういうことなんです。
 この上水道の停電の場合のいわゆる自家発電というものは、義務づけられておるのかおらぬのか、その辺はどうでしょう。
#20
○説明員(小林康彦君) 水道施設の整備につきまして、それぞれの地域の状況に応じまして非常時のための設備を考えるということにしております。お話のように、自家発電も大きな手段でございますし、受電系統を二回線にするというような形のこともございます。いずれの方法によって安全性を高めるかということはそれぞれの地域ごとに判断するということにしてございまして、現在、自家発電を義務づけるという基準にはしておりません。
#21
○中野明君 これは、防災対策強化地域なんですから、今回の雪の災害は一つの教訓として、教訓を次の災害の防災対策に生かさなきゃなりません。その点についてはこれはするのが常識的に本当でしょうけれども、義務づけるとか何とかいう方法、余りこれを言いますと、また水道代が上がりますよと言ってすぐおどかすものですから、なかなか私も強く言いにくいのですけれども、しかしながら、いざというときのことを考えるとそれは当たり前だろうと思うのですね。病院なんかは手術中に停電したときには、絶対自家発電を持っていなければその患者を見殺しになりますから、全部用意しておりますね。それぐらいにして皆それぞれの対応をしているわけですので、今後の指導に当たってもそういう点はぜひ今回の教訓を生かしてもらいたいと思います。
 私は、大臣御承知のように、四国の高知県というところに住んでいるのですが、あそこは災害の常襲地帯で、台風が来たら大変な目に遭って、そのたびに新しい教訓を一つ一つ学んできて、今ではかなりの防災対策はできていると私は思うのです。
 もう一つの例を挙げますと、病院のいわゆる自家発電の機械類は全部地下室にあったわけです。ところが、津波で地下室が皆水につかってしまったら停電、自家発電も水の中に入ってしまって全然だめなんですよ。それで、ああこれは地下に何ぼ置いておいてもいかぬなという一つの教訓が出て、それから上の方に機械室をつくるようになったり、あるいは浸水のくみ上げのポンプもポンプ場が浸水してだめになっちゃうとか、そういう苦い経験の中から次々に対策が生まれてきたわけです。
 雪の多いところでは、ちゃんとそれだけの過去に苦い経験をして、何か聞いてみますと、北海道や東北地方では鉄塔が雪で百基も倒れたという過去の苦い経験があって、そして今ではもうそんなことは絶対にないようになった。ところが首都圏地域はそんな雪なんか大したことないと言って手を抜いているとこういうことが起こってきたわけです。今回の東京電力もそうなんですが、そういう点について、災害対策ということになりますと自治省の関係の消防庁が指導もし、ある程度相談にもあずかるという立場でありますので、どうか今回のこの災害を一つの教訓として、大地震も来ぬほどよろしいのですが、わかりません。それに備える一つの大きな防災対策の参考にしてもらうように自治大臣からもよく指導をお願いしたい、このように思うのですが、いかがでしょうか。
#22
○国務大臣(小沢一郎君) 災害は、特に天然自然の災害につきましては、どのような地域にどのような形をとってくるか予測のつかない要素が多分にあるわけでございまして、先生御指摘のように、その一つ一つを今後の施策の中に生かしていかなければならない、そのように考えております。
 今後、消防庁も十分そういった面を考慮に入れて災害防災の対策をするようにいたしたいと考えております。
#23
○中野明君 もう一点、これは消防、救急車の問題なんですね。
 ちょうど、この雪の最中に田無で電車の衝突事故があって、大勢の人がけがをしたのですが、そのときにはけが人を病院に運ぶのに通常の三倍ぐらい時間がかかって大変だったということなんです。こういうときの消防の救急車も雪に対する教訓が出たのじゃないかと思うのですが、消防庁はその辺の状況と、今後の雪に対する対応というのはお考えになっておりますか。
#24
○政府委員(井上孝男君) ただいまお話がございましたように、三月の二十三日に東京では異例の大雪が降ったわけでございます。このとき西武新宿線田無駅二電車事故が発生いたしました。その状況を簡単に御報告申し上げますと、事故は三月二十三日の十二時十一分ごろに発生いたしまして、十二時十七分に一一九番通報によりまして東京消防庁はこれを確知いたしました。直ちに救急隊二十一隊、救助隊十三隊、指揮隊等十隊に出動を命じまして、負傷者百四十一名を十一の医療機関へ搬送いたしました。このほか、現場で三十五名に対して救急隊員により応急処置を行っております。
 お話にもございましたように、当日は異例の積
雪下でございましたので、すべての救急を終えるに至りますに約三時間の時間を要しております。対象人数が大変多かったということもございましてこれだけの時間を要したわけでございます。ただ、田無駅周辺の道路が非常に狭隘でございまして大量の輸送が困難である、バス等による輸送が困難であった、あるいはまた救急自動車の出入りが困難であったというような事情もございまして、約三時間を要したわけでございます。しかしながら、現場では負傷者を傷病者カードによりまして負傷の程度別に振り分けまして効率的に搬送いたしますほか、緊急を要する対象者から入院のための搬送をしていったというような臨機の措置もとっておるところでございます。
 なお、このような積雪時におきます救急業務を円滑、適切に遂行いたしますために、消防機関といたしましても、常に自然条件の変化等によります出動態勢を適切に整えておく必要があるわけでございまして、今回の事例につきましても東京消防庁本庁におきまして事前に指令を出しておった状況でございます。具体的には乗車隊員の増強あるいは滑りどめのチェーンの着装等の措置をあらかじめ講ずるよう指導しておったところでございます。今後とも私どもはいかなる事態になりましても救急業務が適切に遂行されますように、所要の指導を消防機関に対して行ってまいりたいと存じております。
#25
○中野明君 ほかにも理由があったようですけれども、やはり一番大きな理由は雪が降って混乱したということだろうと思います。ですから、それに対する対応策もお考えになっておく必要があると思いますし、私、先ほど教訓ということを言いましたけれども、町に浸水しても普通の床下浸水みたいなものは問題ないんですけれども、大きな災害になりますと軒下浸水というんですか、二階から出入りをしなきゃならない。
 そのときに、私一つ苦い経験があるんですけれども、最近は約とかなんとかのレジャー用にゴムボートが割合によく市販されておって、便利なものがあるということでそれで救援に行ったことがあるんですけれども、ゴムボートは非常に危険ですね。ちょっとどこか当たったらフシュフシュとなって、助けに行った者が今度助けてもらわなきゃいかぬような、ですから、便利なものがあるように見えて、災害のときにはあれは間に合わぬということです。やはり木の船か鉄の船が、あるいはプラスチックか、そういうものでないと、もうちょっとどこか当たった、ちょっとくぎが出ておったらそれで終わりなんです。助けに行った人がもう助けられなきゃならぬような、そういうことがもう何遍もありました。
 これは消防庁が中心になるかどうか知りませんが、今回の大雪というのは何かの警告だろうと私も思います。ですから最初に物騒な話を出したわけですけれども、備えあれば憂いなしですから、今回の異例な大雪でございましたがこの教訓をぜひ生かしてもらいたい、このように思います。これはだれを責めるわけにもいかぬこともありますけれども、やはり油断もあったんじゃないかと指摘せざるを得ぬ面もあります。そういうことで、今後の防災対策にぜひ万全を期していただきたいなということを強く要望して、終わりたいと思います。
    ―――――――――――――
#26
○委員長(増岡康治君) 委員の異動について御報告いたします。
 稲村稔夫君が委員を辞任され、その補欠として丸谷金保君が選任されました。
    ―――――――――――――
#27
○佐藤昭夫君 実は、去る三月三十一日の予算委員会で御質問したいということで、既に自治大臣や自治省に通告をいたしておった問題でありますけれども、
   〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
ほかの問題で時間を手間取りまして質問ができずじまいになりましたので、きょうの地方行政委員会の場を通して御質問をするわけであります。
 問題は、私の地元京都における自民党市会議員団のいささか異常ではないかと思わざるを得ないような行動が起こっておりますので、そのことをめぐって少しく当局に質問をしたいわけであります。
 まず、法制局にお尋ねをいたしますが、憲法第十四条はいわゆる法のもとの平等の原則を定めておりますが、その趣旨、内容を御説明いただきたい。
#28
○政府委員(工藤敦夫君) お答えいたします。
 憲法第十四条でございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、法のもとの平等ということで規定がしてございます。「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、」云々、これこれにより「政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」、こういうのが十四条一項でございます。その趣旨でございますが、まさに書いてございますように、人格の価値がすべての人間について平等である、したがって人種、宗教、男女の性、職業あるいは社会的身分、それ以外にもございますでしょうが、そういった差異に基づいて特権を有したり、あるいは特別に不利益な待遇を与えられてはならない、こういう原則を示したものと考えております。
#29
○佐藤昭夫君 重ねてお尋ねしますが、今第十四条の主要な部分を引用されて、人種、宗教、男女の性別云々、こうおっしゃいましたけれども、一番私がお尋ねをしたいポイント、信条による差別、これもあってはならないということですね。
#30
○政府委員(工藤敦夫君) 今私読み上げるのを省略いたしましたが、この十四条一項には人種の次に信条というのが書いてございます。「人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、」、こういうふうに書いてございます。
#31
○佐藤昭夫君 それでは、仮にある地方自治体においてその職員が例えば自民党員である、こういうことを理由に当局が処分したとしたら、これは当然憲法十四条、憲法違反になるということになりますね。これは法制局でも自治省でもどちらからでもお答えをいただきます。
#32
○政府委員(柳克樹君) 私どもの方は地方公務員法の所管でございますので、地方公務員法の観点から御説明申し上げますが、地方公務員法の十三条で「この法律の適用について、平等に取り扱われなければならず、人種、信条、性別、社会的身分若しくは門地によって、」特別の「場合を除く外、政治的意見若しくは政治的所属関係によって差別されてはならない。」ということになっておりまして、具体の場合でございますが、一般論として申し上げますと、特定の政党に所属しているという場合は特別の場合を除きましてそういうことはしてはいけないということになっております。
#33
○佐藤昭夫君 それなら、憲法に照らして、今、私が言っております特定の政党に所属しておるということを理由にして処分するということは許されないと思うんですけれども、その点の見解、法制局どうでしょうか。
#34
○政府委員(工藤敦夫君) ただいま自治省の方から地方公務員法についてお答えがございましたが、私どもといたしましても一般論でございますけれども、特別の事情もないのに、単に特定の政党の党員である、こういうことのみを理由として公務員を免職するということは、ただいま申し上げた憲法第十四条との関係で問題ではないか、かように考えます。
#35
○佐藤昭夫君 今、確認をされましたように、憲法に照らしても、地方公務員法に照らしても特定の政党に所属するということを理由に処分するということは許されない、憲法違反、法律違反である、このことは聞くまでもないと思いますけれども、共産党員であるということを理由に処分するというこの場合も、同様の法理に照らして許されることではないということになりますね。どちらでもいいんですけれども。
#36
○政府委員(柳克樹君) ただいま申し上げましたことの繰り返しになりますが、地方公務員法の場合には「日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団
体」に加入している、そういう特別の場合を除きまして、特定の政党に所属していることを理由として職員の処分を行うことはいけないということになっておるわけでございます。
#37
○佐藤昭夫君 ちょっと答弁は何を言わんとされておるのかよくわからないんですけれども、私は、共産党に所属しているというこのことを理由に自治体当局が処分することは許されるのかどうか、こう聞いて、これこれこれこれ憲法、暴力をもって破壊する云々というこれを挙げられたんですけれども、その意味はどういうことなんでしょうか。共産党員あるいは日本共産党、あるいはその共産党員が今挙げられたこれこれを除くといういわゆる欠格条項に該当する、こういう考え方で今のことを述べられたのか、あるいは地方公務員法の十六条に欠格条項を書いておる、それを一般論としてここに述べた。共産党員はそれに該当するという意味で述べられたとすれば重大でありますから、一般論として法律を盾に述べたということなのかどうなのか、そこをはっきりしてください。
#38
○政府委員(柳克樹君) 先ほど特別の場合というふうに申し上げましたものですから、そこを補足する意味で一般論として申し上げたわけでございます。
#39
○佐藤昭夫君 私も非常にゆっくりとお聞きをしていますので、議論で無用の混乱が起きないように、不要なことは申されないようにしていただきたい。
 さて、そこで具体的にお聞きするのでありますが、昨年の十二月二十八日に自民党の京都市会議員団が、今川京都市長に次のような要望書を提出いたしました。同席されております自民党の国会議員の先生方は良識のある方ばかりでありますので、まさかそんなことがやられたのかということでびっくりなさるかもわかりませんけれども、これは予算委員会に資料として配付しましたのでごらんになった方もあると思います。また、当局には、大臣のもとへも行っていることと思いますけれども、実際の出された文書、写しということではありますけれどもきちっと前もって御提示しております。
 その中に、市長選挙の際の共産党排除を実施に移せ、選挙のときだけじゃなく具体的な行政面で実施に移せ、こういうことでその第二項、「職員中の共産党員を特に優秀職員以外は、全部処分すること。」それから第三項は、「市職員組合の幹部を共産党に独占されているのを根本的に粛正すること。」等々幾つかの項目をずっと列記した要望書でありますが、特に私が重大だと思いますのは、今挙げました二つの項目であります。
 そこで、まず自治省にお尋ねいたしますが、この問題の要望書、こういったものが昨年の暮れに市長のもとに提出されたということについて承知されておりますでしょうか。
#40
○政府委員(柳克樹君) 先生からいただきまして、京都市の当局に問い合わせましたところ、この文書は昨年十二月に市長のところに持参されているというふうに確認いたしております。
#41
○佐藤昭夫君 そうしますと、もし市長がこの要望書どおりに実行したとしますと、すなわち、さっき挙げました「職員の中の共産党員を特に優秀な職員以外は、全部処分する」とか等々、こういうことを実行したとしますと憲法違反、地公法違反の行為になるということは明瞭でしょうね。
#42
○政府委員(柳克樹君) この文書の作成の事情でありますとか、持参された経緯、それから市長がどういうふうに対応されているのか、詳細を承知いたしておりませんので、やはり一般論にならざるを得ないんでございますが、先ほど来申し上げておりますように、職員がその特別の場合を除きまして、単に特定の政党に所属しているということの理由で職員の処分を行うということは、地方公務員法十二条の規定に違反すると存じます。
#43
○佐藤昭夫君 そこで、法制局にもう一つ一般論としてお尋ねいたします。
 憲法九十九条に、公務員は憲法の尊重擁護の義務、これを定めておるかと思いますが、そこで一般論として公務員たる者が行政執行の権限を持った市長などそういう人たちに対して明白に憲法違反の行為をやれと要求することは、憲法九十九条の公務員たる者がそういうことを要求するということは、憲法九十九条の憲法擁護義務に反するというふうに解して至当でしょうね。
#44
○政府委員(工藤敦夫君) 憲法九十九条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」、かように規定してございます。これは日本国憲法がこの「第十章 最高法規」という章に入っておりまして最高法規である、こういうことにかんがみまして公務員、これは地方公務員も含むと解されますが、公務員は憲法の規定を遵守するとともにその完全な実施に努力しなければならない、こういう趣旨を定めたものと解しております。
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
 ただ、私どもの立場から、今一般論というお話でございましたが、一般論として申し上げるといたしましても、ただいま自治省の方からも若干お話がございましたが、どういう事情で今の先生の御質問のようなことが行われたのか。申し上げますれば、公務員がどういう立場で、どういう意図でされたのか、あるいはその内容がどういった趣旨のものであるか、そういう具体的な背景なり事情というものを含めていきさつを勘案しませんと一概には申し上げかねる、かように存じます。
#45
○佐藤昭夫君 この憲法九十九条というのは、そういう意図あるいは事情、背景によって九十九条の解釈がいろいろ変わるというものではなかろうと思うんですね。だから、私は一般論としてということで、公務員たる者が憲法違反の行為をやりなさいということでそのことをどんどん要求するということは許されないことではないか。何を言わんとされているのか。例えば、職員が違法行為ばかりやっているということを理由にという文章じゃないでしょう。優秀な者を除いては全部処分しなさい、共産党員である限り全部処分しなさいという文面を見る限りは、それ以上でもないし以下でもない、こういう内容の文面になっておる要望が出されておるということであります。
 そこで、私が聞いておるのは、自民党の京都市会議員団がこういう要望を出しておることの憲法九十九条との関係での解釈というよりは、一般論として公務員たる者が明らかに憲法違反だと考えられる行為を知事や市長や町長、こういう人たちに対してやりなさいと、公務員たる者がですよ、こういうことを要求するというのは一般論として許されないことじゃないか。これは答えは明瞭じゃありませんか。憲法九十九条に勝手に尾ひれをつけて答弁なさるということはいかがかと思いますね。
#46
○政府委員(工藤敦夫君) お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、九十九条の判断を行うに当たりましての例えば公務員たる者がというふうに先生おっしゃられましたが、例えばその公務員たる者の公私の別と申しますか、職務であるのか、職務に関連しているのか、あるいは全く私的であるのかといったようないろいろの事情、あるいは状況と申し上げた方がいいのかもしれませんが、そういったものを十分勘案する必要がございます。一概には申し上げられないというのはそういう意味でございます。
#47
○佐藤昭夫君 具体的に、ある政党の市会議員を公務員という身分との関係でどういうふうに理解をするか、今そこに立ち入って聞いているんじゃないんですよ。公務員たる者が憲法違反行為を知事なり市長なり町長なりそういう人たちに要求するということはどうなんでしょうか、こう聞いているんです。
#48
○政府委員(工藤敦夫君) 繰り返してのお答えで恐縮でございますが、私の方から、例えばこういう要求をした、こういうふうにおっしゃられますが、こういう要求に立ち至ったいきさつ、あるいは背景、あるいはその真意、そういったものをいろいろと勘案しなければいけない。具体のケースについて個々の状況に即して総合的に判断すべき
ことである、かように存じますので、一概に言えないと申し上げているわけでございます。
#49
○佐藤昭夫君 とにかく、大臣お聞きになっておって、大分苦しい答弁の仕方だなということをお感じになると思うんですよ。とにかく、憲法九十九条をもう一遍読んでください。
#50
○政府委員(工藤敦夫君) 第九十九条を読み上げますが、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」、以上でございます。
#51
○佐藤昭夫君 ですから、「天皇又は摂政」、そこのところはいいです。要するに、国会議員またはその他公務員、これは憲法を尊重し擁護しなくちゃならぬという義務を負う、こう書いているんですから、この義務に反するようなことをしたらよろしくないというのは九十九条の解釈として当然だというふうに大臣お思いになりませんか。
#52
○国務大臣(小沢一郎君) 私が憲法解釈につきまして申し上げる立場にはありませんけれども、憲法九十九条の解釈、規定の存するところのいろいろな解釈の仕方等々あると思います。法制局から今申し上げたとおりであります。一般的に、それは九十九条で定めておるわけですから、お互い尊重しなければ、擁護しなければならない、それはその文章を読んで字のとおりであると思います。
 ただ、先生が例をお引きになりながらの具体的なお話でございますが、特に議員、政党間のいろいろな政治活動ということになりますと、まさに一般の公務員よりさらに具体的な個別ないろいろな状況等、お互い政治の中であるわけですから、そういう意味におきましてはいわゆる一般論として議していくのはなかなか難しいんじゃないか、そういう意味で法制局としても憲法解釈論を申し上げておるのであろう、そう思います。
#53
○佐藤昭夫君 それでは、自治省に念のために聞きますけれども、こういうようないわば常軌を逸したような憲法じゅうりんとも言うべき要望書が首長、こういう人たちに出されているという例が全国でどこかほかにあるでしょうか。
#54
○政府委員(柳克樹君) 私どもは、そういうものが入ってくるルートを持っておりませんので、そういうことがあるのかどうか存じません。
#55
○佐藤昭夫君 私は、質問通告の段階で調べておいてほしいということを要望しておきましたけれども、調べられましたか。
#56
○政府委員(柳克樹君) ただいま御指摘でございますけれども、私どもの方としては、特に首長あてということになりますものですから、この文書の場合につきましても首長のところへ個別に、要するに、役所のルートを通さないで行っておるものでございます。そういうものについてはなかなか調べられないということで調べておりません。
#57
○佐藤昭夫君 それは怠慢じゃありませんか。私のところへ来られたのは公務員部の公務員第一課課長補佐の朝日さんです。私ははっきりそのことを要望した。それは全国の町や村の隅々に至るまで全部調べようと思えば相当の時間かかるかわからない。しかし、少なくとも四十七都道府県とか、京都市のような指定都市とか、こんなようなところは少し調べてみたらわかる話じゃありませんか。そして、役所の機構を素通りして市長のところへ直接出ているといったって、市長のところへ出た文書というようなものは、少くとも役所の中では文書課とか総務課とか秘書課とか、そういうところが必ず管理していますよ。だから調べる気になったらわかる。本当のところは、調べるまでもなくこんなような例は全国聞いたことがない、承知していないと。私のところへ朝日さんが来たときには、承知していません、こんな例は、というふうに言っていたじゃありませんか。本当のところそうでしょう。
#58
○政府委員(柳克樹君) 先ほど申し上げましたように、こういうものがよその団体に出ているかどうかについては承知いたしておりません。
#59
○佐藤昭夫君 役所の用語で承知いたしておりませんという用語があるらしいですけれども、それはそういう例はないという大体の役所用語ですね。それは、こんなひどい例というのはあるはずない、あったら、そんなものがどこかのところで出たらそこで大問題になっておったはずですよ。だから、今京都市ではこれが大問題になっているということなんですね。
 もう一つ、念のために聞いておきます。この自民党市会議員団の要望書の大きな第二項、「共産党排除の具体的方策(2)」ということで、「(1) 福祉事務所のケースワーカーを粛正すること。」「(2)保育所、昼間里親、児童館、学童保育所等の職場の主導権を自民党が奪取すること。」というようなことを挙げているんです。これも国民主権の原則、全体の奉仕者である公務員の中立性の乱暴な侵害以外の何物でもないというふうに私は思うんですが、特定の職場や事業所の名前を挙げて、それを粛正せいとか、あるいはその主導権を自民党が奪取せよということを市長さんに要望するというのも、これまた随分筋違いな文書だと思いますね。筋違いな文書だと言わざるを得ないくらい異常な文書だと、異常な要望書だと思うんですが、これまたこんな例を御承知でありますか。
#60
○政府委員(柳克樹君) 先ほど来再々申し上げておりますように、こういう要望書が出た例ということがあるのかないのか承知いたしておりません。
#61
○佐藤昭夫君 こんな例はあるはずはないと思うんです。あったら、そんなものが出たところで大問題になっておるはずです。
 こういうことで、以上申し上げましたように、地方組織とはいえ、自由民主党の末端においてこういう本当に異常とも言うべき、しかしこれを本当に市長が真に受けて、京都市会の中では自由民主党が与党第一党でありますから、そこの発言なり要望なりというものは市長の行政に対してそれなりの重みを持つ、影響を持つ。市長がこれをうのみにして実施に移すというようなことになればもう本当に大変なことになる、そういう恐るべき体質の一端がここに明るみに出たんじゃないかというふうに私は思うんです。
 こうした点で大臣にお尋ねいたしますけれども、自由民主党の幹部の重要な一員でもあって大臣に就任なさったことと思います。そういう位置で、そういう立場から小沢自治大臣の、以上いろいろ私申し上げましたこの問題についての所見はどういうことでしょうか。
#62
○国務大臣(小沢一郎君) 地方公共団体の人事行政等につきましては、それぞれ地域の皆さんの良識によって選ばれた首長さんがその行政を行っていくわけでありますから、当然憲法あるいは地方公務員法、そういった法の趣旨にのっとった行政が行われているし、また今後もそうであろうと思います。しかし、今、先生が御指摘された京都の問題につきましては、先生ずっとそれこそいろんないきさつを御承知の上での御発言だろうと思います。各政党間、いろいろ政治家同士、そういった次元でのいろんな、私もよく前後の事情はわかりませんけれども、そういう中での問題であって、いわゆる法律、憲法云々という次元でのことではないのではないだろうか、私はそのように考えております。もちろん、最初に申し上げたとおり、地方の行政というものは厳正に行われるものと考えております。
#63
○佐藤昭夫君 大臣が前段で申されました地方自治体の行う人事行政などは、憲法や地方自治法に照らして厳正に行われなくちゃならない、行われてきていることと思うし、今後もそうでなくちゃならないというふうに言われましたことは、私も全くそのとおりだと、そのとおりでなくちゃいかぬというふうに思うんでありますが、後段で、いろいろこのいきさつもあろうかと思うけれどもということをおっしゃったので、なおもう一言お尋ねしたいんです。
 確かに、私から言うまでもないことでありますけれども、京都市では長年にわたってオール与党といいますか、こういう形で市の行政が、また市会運営などが進められてきました。それが去年の夏の選挙で共産党だけが独自候補を出すという形になって、選挙で対抗し合った、しかし、仮にそういうことがあったからといって、選挙のときに
共産党とたもとを分かったから、切ったから、したがって、その後の行政の上で、ここにありますような職場の中で優秀な者を除いては共産党員を全部処分するというようなことが、選挙でそういういきさつがあったからということでやられたとしたら、これこそ法に照らして大問題だというのはもう言うまでもないことなんですね。
 ですから、いきさつのいかんにかかわらず、人事行政は憲法、教育基本法に照らして厳正でなくちゃいかぬのだということをもう一遍念のために確かめておきたいので、大臣の再答弁をお願いします。
#64
○国務大臣(小沢一郎君) 先ほど来、法制局また公務員部長の方からお話しのとおり、一般論といたしまして特定の政党に属しておる、そのことのみを理由といたしまして不利益な扱いをしてはいかぬ、それはそのとおりであろうと思います。
#65
○佐藤昭夫君 いろいろ申し上げましたが、大臣にお願いをしておきたいと思います。
 本日、あえてこの問題をこの委員会の場で取り上げましたのは、京都市といえば地方都市の重要な一つだと思うんですけれども、将来、大変なことが起これば京都だけの問題じゃない、全国的視野から見ても自治体行政のあるべき姿にとってのゆゆしき問題になるからということで申し上げましたので、ぜひきょうの問題の提起、そしてこの議論の中心部分を、大臣にお願いするのが一番適当だろうと思いますのでお願いするのでありますけれども、中曽根総裁にお伝えいただいて、自民党の下部組織でこんなことが起こっているよと、よく目を配っていく必要があるんじゃないですかというようなこともお伝え願いたいということを要望するものですが、お願いします。大分これで時間がたちましたので、あともう少しほかの問題でお尋ねいたします。
 中野委員もお聞きになっていましたけれども、昭和六十一年度の地方財政対策に関係して、昨年古屋自治大臣は、六十年度の補助金一律カットについては一年限りだということを繰り返し答弁されてきた。ところが、この六十一年度は一年限りどころか、自治省の確認でも地方負担額は五千八百億から一兆一千七百億円とふえている。そしてカット自体も三年間続く、内容も拡大されて三年間続くということになってきて、こういう点で昨年の約束確認、これと違うじゃないかというここの問題です。これについて小沢自治大臣はどういうふうに考えておられるでしょうか。
#66
○国務大臣(小沢一郎君) 補助負担率の問題につきましては、六十年度の予算編成をする際に、これは一年間の暫定措置とする、六十二年度以降につきましては国と地方の役割分担等々の検討の上でこれを決めていくという形の覚書も出されたわけであります。それ以後、いわゆる閣僚会議や検討会において私どもも従来主張しておりましたとおり、役割分担、事務事業の見直し等々の議論の中で負担の割合を決めていくべきであるという趣旨の報告がなされまして、その基本的な考え方にのっとって今回の編成におきましても、それで十分ということを言っているのではありませんが、社会保障関係を中心としてそのような考え方に立って予算編成もなされた、そしてまた補てん措置も行われたということでございます。
 もちろん、今後とも本当にどの部分を地方が負担し、役割を果たすのか、国はどこまでどういう形で果たすのか、そういう議論を今後もさらに煮詰めていかなければならない、そのように考えておりますが、今回御審議いただいております予算につきましては、そういう基本的な考え方にのっとって行われたわけでございますので、その意味で私どもも理解し、承知いたしたわけであります。
#67
○佐藤昭夫君 今の説明では納得しかねますけれども、一年限りの措置だというこの言い方とあわせて、地方には、すなわち国民には直接の影響は及ぼさない、犠牲は与えないということもしきりに言われてきた。しかし、事実はそうなっていないという一つの例として、六十年度やられました義務教育費の国庫負担金の制度から教材費や旅費を外して一般財源化したんですが、例えば、教材費の関係について、各地方の現状を見た場合に明らかに予算措置の上で減額が起こっていると私は思うんでありますけれども、文部省、どうでしょうか。
#68
○説明員(逸見博昌君) お答えいたします。
 昭和五十九年度と六十年度を比較するために調査いたしたところでございますが、その結果、例えば、都道府県によりまして増加いたしておるところもございます。あるいは逆に減少いたしておるところもございます。そういうことで、私も、教材費の地方一般財源化に当たりましては関係当局とも十分協議いたしまして、前年度と同様の予算措置ができるよう十分配慮したところでございますので、この地方一般財源化そのものが地方におきます教材費の整備に悪影響を及ぼすというふうには考えていないところでございます。
#69
○佐藤昭夫君 しかし、そのように言われましても、これは文部省が出されておる数字じゃありませんか。全国的集計として教材費の措置状況、六十年度が対前年でふえたのが十四県、減ったのが三十三県、こういう数字が文部省の統計でも出ているじゃありませんか。
 それから、三月の二十四日付で日本教育新聞、全国連合小学校校長会の調査ということで、全国四百四十一校を調査しているんですけれども、前年度より減ったのが六八・三%、ふえたのは二〇・四%、ほぼ同額というのが一一・三%という数字になっている。どっちから見ても減ったというところの方が多いわけですね。この事実は紛れもないシビアな現実としてあらわれてきている。その結果がどこへいくかといえば、父母負担に転嫁するということにならざるを得ないと思うんですよ。こうした点で、今後こういうことが拡大していかないように文部省としてもぜひしっかりとした方策を立ててもらいたい。
 そして、自治大臣としても、地方財政の重要な部分を占める教育費、教材費の関係でありますので、この点について文部省と協力してこれを守っていくという方向で努力をお願いしたいということで、もし御答弁あれば簡単にそれぞれお願いいたします。
#70
○説明員(逸見博昌君) 先生今おっしゃいました数字でございますが、実は、私ども文部省の調査いたしましたものも九月補正後の状況でございます。その後に予算措置をしております市町村も相当あるというふうに伺っておりますので、その後若干動いているということを御承知おきいただきたいと思います。
 それから、小学校長会が行いました調査も八月現在でございまして、その後大幅に動いているはずでございます。
 それから、教材費が充実したかどうかということは、個々の学校ごとにとらえていただきますよりも、整備していただく責任者でございます市町村の単位ごとに見ていただくのが正しいやり方ではないか、そのことが一つ。
 それから、もう一つでございますが、ある年度と翌年度とを比べて減少したではないか、こういうとらえ方じゃなくて、むしろ、一定の期間をとらえていただきまして、その間どうであったかということで見ていただきたい。と申しますのは、児童数が減れば当然学級数も減ってまいる、そうすれば当然予算措置も減るわけでございます。減る理由があれば減るわけでございますので、一般財源化したから減ったということには必ずしもなっていない、私どもかように考えておるところでございます。
#71
○国務大臣(小沢一郎君) 教育関係教材費等につきましては、交付税におきましても措置しておるわけでございます。今後、個々の地方公共団体におきましても、十分予算上に措置されていくように指導してまいりたいと考えております。
#72
○佐藤昭夫君 終わります。
#73
○井上計君 佐藤委員から京都市の問題についていろいろと質疑が行われました。私も京都市の問題について質問をいたしたいと考えます。
 私は京都選挙区じゃありませんから、全く関係
がないような地域の問題ではありますけれども、しかし、重大な関心を持たざるを得ないということで、京都の俗にいう古都税の問題、古都保存協力税の問題についてまずお伺いしたいわけであります。
 この地方税は、昨年の四月に自治省が法定外普通税として認可した、こう承知しております。それは、京都市議会において正規の手続を経て自治省に申請したから当然自治省としては認可された、こう考えるわけであります。その間、聞くところによると市議会での議決等について若干のというか、多少疑義があったというふうな批判はあるようでありますけれども、しかしいずれにしても、市民の大多数から選任された市会議員が市議会において大多数で議決したということのようであります。ただ、その際、共産党の議員の方は議決に参加されなかった、こう聞いておりますけれども、民主主義のルールにのっとって議決したことは間違いないということであります。
 したがって、当然自治省は認可されたんだ、こう考えるわけでありますが、そうすると、憲法第三十条の納税の義務とこの問題、まず、納税の義務が生じておるんではなかろうか、このように私は理解しておりますけれども、自治省はどのようにお考えでありますか、まずそれをお伺いいたします。
#74
○政府委員(矢野浩一郎君) 納税の義務に関してのお尋ねでございますが、ただいま御指摘のように、憲法第三十条に定められました納税の義務に関する規定、さらに地方税法に基づいて定められました条例も同様にこの「法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」という「法律」の中に含まれるということでございますから、条例をもって定められましたことにつきましては当然に義務を負うわけでございます。
#75
○井上計君 当然、憲法第三十条の「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」と、これは当然生じておる、このように御答弁いただきました。
 さてそこで、自治省はもう十分御承知だと思いますけれども、京都市の古都税徴収についての紛争、これについてはどのような認識と、どのように現状を把握をしておられますか、簡単にお伺いしたいと思うのであります。
 私どもは新聞報道等によって承知しておるわけでありますけれども、風聞ではありますけれども、現在に至っても依然として強い反対態度に出ている十の寺院は、古都税徴収によっていわば拝観料の実態が明らかになることを恐れておるから反対しておるんだ、こういう風聞もあるわけですね。それからさらに、もっとけしからぬといいますか、風聞では、古都税の紛争が起きてから以降、京都の高級料亭や高級クラブなんかはもう途端に暇になった、それはこれらの関係するお坊さんが来なくなったからだ、こういうふうなことを京都でもっぱら言われておりますね。これはもうタクシー業界なんか盛んにそれを言っております。私も実は、ある料亭の関係者からこういうことを聞いたことがありますから、まあまんざらうそでもなかろう、こんなふうにも思うんです。
 これらの風聞は別として、自治省は、この古都税問題について現状どのように把握しておられますか、まずお伺いいたします。簡単で結構です。
#76
○政府委員(矢野浩一郎君) 昨年四月十日に許可いたしまして、昨年の七月十日からこの条例が実施されたわけでございます。現時点におきましては、当時特別徴収義務者として指定する予定であった四十の社寺の中で無料拝観等を行っておる、あるいは純粋のいわゆる志を納めるというだけの方式をとっておるというようなものを除きまして、実質的には三十七の社寺がこの特別徴収義務者に指定されたわけでございます。その中で当初から、条例施行時から納税をいたしております者が十九社寺、それから六十年十二月、昨年十二月以降納税しておりますのが四寺院、合計二十三。残り十四寺院につきましては古都税に対して反対の姿勢を示しまして、あるいは特別徴収義務者でありながら税を納めていない者、あるいは拝観停止等によって古都税に対して強い反対の姿勢を示す等の事態が続いており、当初京都市が定めました条例の実施状況としては必ずしも円滑な状態にいっていないということは事実でございます。
 私どもといたしましては、このような事態につきましては、この税の性格がいわば地域におきまして課する法定外普通税ということでございます。京都市当局としてなお十分その辺については努力して、この条例の円滑な実施を期することが望ましい、このように考えておるところでございます。
#77
○井上計君 去る三十日から、新聞報道でありますけれども、志納袋というふうなお布施袋をつくって、特定の観光業者あるいはタクシー等々の業者にこれをまず配って、そして拝観を希望する人にはその袋を渡して何がしかの、幾ばくかの拝観料をもらうというか、お布施を入れたものを持ってきた人に限って拝観券を出す、拝観を許可するなんてある寺院の僧侶がテレビで言っておりましたが、拝観を許可するなんてとんでもないことを言う坊主だという感じを私そのとき受けたわけでありますが、このやり方が大変な問題をはらんでおると私は考えるんですね。しかも、その志納袋を寺院からもらえる業者というのは、古都税をなくす会という会があるそうでありますが、それの会員にまずなること、つまり踏み絵ですね。
 それから同時に、この古都税問題が解決しない場合、三カ月間と言っておるようでありますが、そうすると再びまた拝観停止を行う。同時に市議会のリコール運動を行う。したがって、積極的にこのリコール運動という政治運動に参加するという約束をした業者のみにこれを渡しておるということですね。これは新聞報道でありますけれども、私現地へ問い合わせてみるとどうも事実のようであるわけであります。とするとこれは大変なことだなあと、こういう感じがするわけです。しかも、これらを提案して、それらの観光業者等々を集めて会員にした、あるいはリコール運動に参加を強制した人は十の寺院側から全権を委任をされておる人、しかもこれはとかく以前から風評のある一介の不動産業者である、こういうことも新聞報道されておるんですが、これらのことについて自治省は承知しておられますか。
#78
○政府委員(矢野浩一郎君) 三月の末ごろまで古都税に反対という姿勢を示して拝観停止をしておりました十の寺院が門を開いて、ただいまお示しのような志納袋と称するものを持ってきた人について拝観させるというような事態になってきておることは新聞報道等を通じ承知いたしております。ただ、この詳細につきましては、私の方としても把握するだけのことはいたしておりません。
#79
○井上計君 いずれにしても、今私が申し上げなようなことが事実であろう、こう私は確認しているんです。そうすると、この十寺院がやっておる方法、いわば志納袋制度ではありますけれども、それを交付するために、まあ心ならずもと言っていいと思います、自分が店を開くために、あるいはまた生活をするためにやむを得ず、心ならずもこれに同意せざるを得なかった業者が相当多い、こう聞いておるんです。極端なことを言いますと、同じ門前町で並んでおっても、やはり信念としてそれには従うわけにはいかないといって拒否した業者には志納袋は行かぬわけですね。Aという店には志納袋がある。Bという店には志納袋がないというふうな事実も既に発生しておる、こう聞いておるんですが、これらの寺院側の行為は、これまた憲法第二十条の信教の自由、これの「政治上の権力を行使してはならない。」、これに抵触するとこう考えるんですが、きょうは法制局にお願いしておりませんけれども、自治省どうお考えでしょうか。
#80
○政府委員(矢野浩一郎君) 寺院側がそのような行動をとるということについての憲法との関係についてのお尋ねでございますけれども、率直に申し上げまして、私はこの点に関してお答えを申し上げるだけの知識、見解を持ち合わせておりませんので、まことに恐縮でございますが、具体的な答弁は差し控えさせていただきたいと存じます。
#81
○井上計君 わかります。これはごもっともであろう、こう思います。
 この憲法上の問題は、明日、私予算委員会の総括締めくくりで行うことになっておりますので、このことについては法制局長官から的確なお答えをいただきたい、こう考えております。
 しかし、いずれにしても私の解釈では、第二十条の信教の自由の中にはっきりうたわれておる「政治上の権力を行使してはならない。」ということに十二分にこれは該当しておる、こう考えるわけであります。
 そこで、続いて文部省にお伺いいたしますけれども、文化財保護法についてであります。
 この中に、文化財の活用ということが出ております。第一条の目的、それから第四条の公開の義務等々があるわけでありますが、この十寺院の中には相当多くの国宝あるいは重要美術品、重要建物等々を持っておるわけであります。したがって、従来、国あるいは京都府、京都市から多額の補助金が交付されておるということ、これはまあ当然であろうと思いますけれども、そのようなこと等から考えて、先ほど憲法に違反しておる行為、これは明らかに自治省もおっしゃったわけでありますから、これは間違いなかろうとこう思います。同時にまた、信教の自由にも違反しておる。そういう私の解釈等々からすると、こういう行動をしておる寺院はもう宗教法人としての資格を喪失しておる、このように考えざるを得ないわけでありますけれども、文部省、この文化財保護の立場から公開の義務等々についてはどのようにお考えでありますか、お伺いいたします。
#82
○説明員(石藤守雄君) 先生御指摘のとおり、文化財保護法の第四条では、「文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、」、「できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。」というふうに規定されているわけでございます。そういった意味から、今回のようにかなりの期間にわたりまして公開が停止されたということにつきましては、文化財の公開、活用という観点からは大変遺憾なことであるというふうに私ども考えているわけでございます。
 ただ、今回、志納金方式という非常に異例の形ではございますが、一応反対寺院が門を開いたということでございますので、しばらくこの推移を見守ってまいりたいというふうに考えております。ただ、先ほど先生のお話にもございましたように、これは三カ月の期間を限ってであるというふうな話も聞こえておりますので、将来再びこのような事態がもし起こった場合には、文化財の公開、活用という観点から、文化庁といたしましても調査の上何らかの対応を考えざるを得ないというふうに考えている次第でございます。
#83
○井上計君 十分対応を考えていただきたいわけであります。
 きょうは、修学旅行のことについては質問通告しておりませんからお答え要りませんけれども、市条例からいうと、小中学校の生徒については教師の引率があれば古都税を徴収しなくてもいいという条例がありますね。だから、古都税に反対して拝観停止なんて言っているときでも、少なくとも修学旅行者には開放しても一向に差し支えなかったわけです。それも全部締め出したというふうなこと、あくまでもひとりよがりの全くもってけしからぬ行動である、私はこのように考えております。
 また、先ほど明らかに納税の義務を怠っておる、事実上の反税闘争をやっておるということでありますから、憲法第三十条には明らかに違反しておる。それから、自治省からはお答えがありませんでしたけれども、宗教法人法の第八十一条に該当する行為である。八十一条というのは「解散命令」であります。宗教法人上の寺院ではなくてもう完全に観光寺院、すなわち観光産業に転落しているわけですから、私は明らかに宗教法人の解散命令に該当するんではないかと、こう考えるわけであります。解散命令については文部省の所管ではありませんけれども、いわば監督官庁としてこのようなことについて文部省はどうお考えでありますか、お答えをいただきたいと思います。
#84
○説明員(長谷川正明君) ただいまの先生御指摘の宗教法人法八十一条には、解散命令について規定されております。宗教法人法は、御承知のとおり、信教の自由あるいは政教分離、そしてまた宗教法人の自主性というものを最大限尊重するという角度からつくられた法律でございまして、その八十一条におきます解散命令につきましても、行政上の判断とかあるいは裁量によって所轄庁が宗教法人に対して解散命令を下す権限を与えておりませんで、解散命令に至るその法律的な要件を厳密に定めまして裁判所にその判断をゆだねる、こういう仕組みになっております。
 それで、八十一条の第一項第一号には、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」ということを一つの事由という形で定めておりますけれども、ただいま冒頭に申し上げましたような信教の自由あるいは政教分離というような宗教法人法の考え方もございまして極めて厳密に運用されておるということでございます。その場合、現在起こっておる問題というのは私どもも大変心配しておりますし、残念なことだと考えておりますけれども、この宗教法人法第八十一条に直ちに現在の状況で触れているというふうな認識に至るまでには現在のところ至っておりません。
 ただ、非常に大きな問題であるということはそのとおりでございまして、私どもといたしましても、宗教法人が本来の公益法人としての社会的な立場というものを踏まえて、適切に判断して問題を解決していくように心から願っているという次第でございます。
#85
○井上計君 わかりました。
 ただ、今お答えの中にありましたが、今直ちにこの八十一条に該当するような行為を行っているとは思わない、こういうお答えでありますけれども、先ほどから、自治省の見解でありますが、明らかに国民の義務である納税に相反する行動をしていること、これはもう明らかですね。ということは、私は第八十一条に、今おっしゃった「一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」をしておるということになると思うんですね。だから、解散命令を出すかどうかというのはこれは文部省の権限ではありませんけれども、少なくともこのようなことからすると解散命令に当然該当する。だから、解散命令を出すかどうかという問題の前に、やはり当然こういうふうな寺院に対して監督官庁としての文部省から勧告なりあるいは忠告なりというふうなものがあってしかるべきだと思うんですが、今までまだおやりになっていませんね。これからおやりになる意思はありますか、どうですか。
#86
○説明員(長谷川正明君) ただいま先生の御指摘になった問題でございますけれども、先ほど、宗教法人法という法律の体系といいますか、御説明いたしましたとおり、宗教法人法から私ども所轄庁に与えられておる権限というのは非常に制限されたものになっております。したがいまして、法律上の措置として何かをするということは極めて困難ではございますけれども、私どもとしてこの問題の解決にお役に立てるようなことがあれば、これは京都府あるいは関係者等の連絡も待って、できることがあればこの問題の解決のためにはできるだけのことをしてまいりたいというふうに考えております。
#87
○井上計君 この問題を当委員会で取り上げたのは、ただ単に、京都のこのようなけしからぬ行為、行動を行っておる寺院という問題だけに限らないで、この問題は大きな社会問題になっております。いえば、小中学校の修学旅行者が、閉門された間は京都へ行っても全くそれらが拝観できなかった、あるいは外国からの観光客が京都へ来て、一体日本という国は何をやっておるんだという非常に奇異な感じを持ったといろいろ新聞報道されております。非常にいろんな面で多くの影響を与えておると思うんですね。いえば、寺院が持っておるところの建造物等々を僧侶個人の専有物がの
ように、実は誤った考え方によって、いえば、自分個人の欲得のために主張しておる、このように断ぜざるを得ないわけです。
 したがって、このようなことがまかり通るとすると、憲法に違反したっていいじゃないか、あるいは何をやったって自分の利益のためにやるのは勝手であるというふうな風潮が広がってくると、私はただ単にこの問題は寺院だけの、京都だけの問題ではなくて、与える影響がすこぶる大きい、こう考えておるわけです。それであえてこの問題を実は取り上げたということであります。文部省はいろんな監督権限等、宗教法人に対しては非常に薄いようです。しかし、明らかにこういうことになっておりますから、せめてその実態を調査して、そうして事実このような行動を行っておるということが判明すれば、私は、文部省としても、当然ながらこれらの寺院に対しての勧告、忠告を、どういうふうな方法があるか知りませんが、おやりになってしかるべきだ、こう思うんですね。
 それから、自治省も過去の経緯はいろいろあったようです。しかし、だからといってこういうふうな行為が許されたんでは、これはもう地方自治はめちゃめちゃになるわけでありますから、こういうことについても十分やはり指導されなくちゃいけない、こう思います。いずれにしても、今申し上げたようにこの問題は非常に多くの問題をはらんでおるし、これから事の推移いかんではさらに大きな問題に波及するおそれがあるわけであります。我々の考え方では、宗教というのは、国民、要するに、人間に心の糧を与えて、お互いが仲よく幸せにこの世の中を暮らしていけるような指導をするのが宗教だと、こういう理解の上に立つとどうしてもこの問題についてはほっておけない、こういう感じがします。
 自治大臣が所管ではないんでしょうけれども、やはり何らかの監督責任、指導責任があるわけでありますから、文部大臣とも御協議いただいて、この問題が早く円満に解決できるように一層の御努力を、今まで御努力されていたかどうか知りませんけれども、御努力を願わなくちゃいかぬ、こう考えます。
 これで質問を終わりますけれども、先ほどの憲法違反の問題等については自治省からお答えがありませんでしたから、あした、総括締めくくり質問の中で時間があれば若干この問題に触れてお尋ねいたしたい、こう思っております。
 最後に、大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
#88
○国務大臣(小沢一郎君) 先生の御指摘になりました点につきましては、一々ごもっともなことだと思いますし、私もそのように考えております。京都の議会で議決して、正当にこれを自治省においても許可し、そして公布、施行された条例でありますから、そういうことがきちんと守られていかなければならないということは当然のことであろうと思っております。私も京都の市民の皆さんの良識を期待しておるわけであります。
 余談になりますけれども、古都税と同じようなことが私の郷里の藤原三代の都であります平泉においても起こりました。これはすぐお寺の方と町の方でうまく話をいたしまして解決いたしたのであります。私ども東北は、歴史の上でも化外の民として京都を中心とする勢力に常に虐げられてきたのでありますけれども、その野蛮な地域の者がうまくお互い話し合って解決いたしたのに、なぜ千数百年の歴史を持つ京都においてこんな問題が起きるのか、まことに不可解に思っておるわけであります。
 しかし、いずれにしても、先生御指摘のように、これは単なる京都の条例だ、寺院だという問題だけでなくて、全体の社会的な大きな問題になっております。したがいまして、御指摘のように、文部大臣とももちろん十分連絡をとりながら、また私どもといたしましても円満な解決のためにできる限りの努力はいたしたい、そのように考えております。
#89
○井上計君 ありがとうございました。終わります。
#90
○委員長(増岡康治君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時一分散会
ソース: 国立国会図書館
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