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1985/05/13 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 地方行政委員会 第9号
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1985/05/13 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 地方行政委員会 第9号

#1
第104回国会 地方行政委員会 第9号
昭和六十一年五月十三日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月九日
    辞任         補欠選任
     小林 国司君     古賀雷四郎君
     青木 薪次君     上野 雄文君
     中野  明君     藤原 房雄君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     岩上 二郎君     福田 宏一君
     藤原 房雄君     中野  明君
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     古賀雷四郎君     松岡満寿男君
     福田 宏一君     曽根田郁夫君
     三治 重信君     井上  計君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         増岡 康治君
    理 事
                松浦  功君
                吉川 芳男君
                佐藤 三吾君
    委 員
                上田  稔君
                加藤 武徳君
                金丸 三郎君
                上條 勝久君
                嶋崎  均君
                曽根田郁夫君
                出口 廣光君
                松岡満寿男君
                上野 雄文君
                志苫  裕君
                丸谷 金保君
                中野  明君
                神谷信之助君
                井上  計君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    小沢 一郎君
   政府委員
       警察庁長官    山田 英雄君
       警察庁長官官房
       長        鈴木 良一君
       警察庁交通局長  八島 幸彦君
       自治政務次官   森   清君
       自治大臣官房長  津田  正君
       自治大臣官房審
       議官       持永 堯民君
       自治大臣官房審
       議官       小林  実君
       自治大臣官房審
       議官       渡辺  功君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
       自治省行政局公
       務員部長     柳  克樹君
       自治省行政局選
       挙部長      小笠原臣也君
       自治省財政局長  花岡 圭三君
       自治省税務局長  矢野浩一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計企画官     岡田 康彦君
       厚生省社会局更
       正課長      青木 行雄君
       厚生省児童家庭
       局母子福祉課長  伊原 正躬君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(増岡康治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五月九日、小林国司君が委員を辞任され、その補欠として古賀雷四郎君が選任されました。
 また、昨五月十二日、岩上二郎君が委員を辞任され、その補欠として福田宏一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(増岡康治君) 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○中野明君 本題に入ります前に大臣にお尋ねをしたいんです。
 衆議院の定数是正の問題で議長の調停が出たようなんですが、私聞きますところによりますと、和歌山、愛媛、大分、この三つのところは線引きをして定数三で残す、こういう方向になったようです。この線引きに当たる地方公共団体で、議会では反対の決議が次々行われておるようですし、同時に住民の皆さんも、住民の意思を無視してそれを強行するんならば投票をボイコットするというんですか、そういう強硬な意見も出ているように聞いているんです。まず議会の反対の議決ですね、これを自治省としてはどう受けとめておられるのか。それから、それを強行して主権者である住民の皆さんが選挙をボイコットするというんですか、投票に行かないというような事態が発生したときの取り扱いはどうなるのか、その辺を最初にちょっとお聞きしたいんです。
#5
○政府委員(小笠原臣也君) 衆議院の定数是正問題につきましては、さきの臨時国会で衆議院議長の見解が出され、また衆議院の本会議での決議が行われまして、それに基づきまして立法府の責任として各党間でずっと話し合いが続けられてまいって、その話し合いの積み重ねの上で、去る五月八日、議長の調停が出されるということになったように承知いたしておるわけでございます。
 その話し合いの過程の中で、ただいま御指摘がございましたように、三県の三選挙区につきまして、二人区を解消するという立場に立って隣接の選挙区から市町村を編入するといいますか、境界を変更するという考え方が出されているというふうに私ども理解をしておるわけでございます。そういうことに対しまして、地元の市町村からそういう編入には反対であるという意見が出されておることも私ども承知いたしておりまして、また、直接そういう要望あるいは陳情を承ったこともございます。ただ事柄が、これは先ほども申し上げましたように、立法府の責任で各党間で協議をされ、そういう過程の中でそういう考え方が出されてまいったわけでございまして、やはり定数是正を実現する上にはやむを得ない措置ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
 仮に、そういうことになった場合に、地元のお気持ちというのは、長い間ずっとつながっておった選挙区が変わるわけでございますから、理解できないわけではありませんけれども、そういう経緯の中で考えが出されていって、それが定数是正の実現につながるということになるわけでございますので、今非常に極端な御意見としてそういう投票ボイコットというような動きもあるように言われたわけでございますけれども、定数是正の重要性を御理解いただいて、一方、また選挙というのが国民参政の基本的な手続である非常に重要な行為であるということを御理解いただいて、そういうことがないように進めていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
#6
○中野明君 憲法違反、違憲状態を解消するということで、議長の調停の努力に対して我々は一応敬意は表しているんですけれども、ただ、線引きという点について、線引きをせずに合区をする方が住民の皆さん方としては納得しやすいんじゃないだろうか、こういうのが私どもの率直な考えです。結局、線引きをして区域を違うところに入れるというところに問題がありまして、特に愛媛県は私もよく承知しているんですけれども、東予、中予、南予と、もう全然県が違うというぐらいに県民性も全部違うんです。東予の人が中予へ来たらもう他の県の人が来たような感じを持つところなんです。その中予の一部を南予につけるというんですから、これはとても住民の納得が得られるような線引きじゃないんじゃないか、背の歴史から見てそう思うわけです。
 特に、今問題になっています参議院の比例区の問題にしても、私どもは当初大反対をしたわけなんですけれども、今ごろになって比例区はこれを見直さにゃいけぬというふうなことがあらゆるところから聞こえてくるんです。ですから、住民の意思を無視して選挙法を変えても長続きするわけがない、こういう感じでおるんですが、議会も議決をしている、そしてまた住民も何かよその県に投票をするような住民感情がある、そういうやり方、これはまだ公選法でどういう出し方になさるかわかりませんけれども、線引きよりも隣の、同じ県内ならば合区にした方が住民としては理解しやすいんじゃないか、問題も少ないんじゃないかと思うんです。そうしないと、例えばその地域だけだれも選挙に行かぬというような事態が発生したとしたら、これは本当に議会制民主主義のもとでとんでもない結果になれへんかという気がするんで、その辺、大臣はどうお考えになりますか。
#7
○国務大臣(小沢一郎君) 今回の議長さんの調停、各党間の話し合い等につきまして、これから具体案が公選特で示されて検討されるものと思いますけれども、その中にありまして、先生の御指摘された点につきましては私も一つの考え方として理解できるわけでございますけれども、何しろこの選挙法、なかんずく選挙区割りの問題につきましては、各政党それから各個人の議員の政治活動の基盤に関する問題でございますので、その点非常に各党も、また議長さんも御苦労されたところであろうと思います。
 今御指摘のように、いわゆる歴史的な地域形成の過程あるいは生活圏、経済圏、そういうものが単位になって今の選挙区割りもある程度できておるであろうと思います。ただ、そういう中にありまして、人口移動、産業の立地等々から人口のアンバランスが生じて定数是正をしなければならないという事態に今日立ち至っておるわけであります。そういう中で、全国的に見ますと、前国会の議長裁定の中には一対三という原則も一つ示されたわけであります。それを見てみますと、例えば各都道府県別に見ますと、全部これ一対三の中に人口からいえばおさまっておるわけであります。そういうような問題もあったと思いますし、それからもう一つは、戦後の定数是正はすべて増員のみによって行われてきた。今回は、議長調停では一名プラスということにはなっておりますが、実質的にかなりの、七つの選挙区で減員という状況になっておるわけでございますので、そういうような状況もありまして非常に難しい選択、調停だったろうと私は考えております。
 したがいまして、先生の御指摘のような、ある意味において地域の特性、地域性あるいは経済社会の活動の状況、そういった問題点に触れるところも今後具体案の中で出てくるかもしれませんけれども、例えば抜本的改正ということを考えてみれば、全国的にこれは線引きし直さないと、抜本改正はやるとすればできない状況、あるいは全然違ったシステムを考えるか、そういうようなこともございますし、そういったもろもろの状況の中での、とにかく違憲状態を脱しにゃいかぬということを、各党知恵を絞り、議長さんもその上に立って調停なさったことであろうと思います。したがいまして、具体的な状況の中で、地域の皆さんやなんかのいろいろな感情やあるいは日常の具体的な生活の問題で、長年親しんできた、長年生活してきたそのことを変えるわけでございますので、その意味においては、先生御指摘のような点は十分私どもも理解はできるのでありますけれども、この際やはり、そういった点も踏まえまして、住民の皆さんにできるだけ理解をしていただくということで進めていく以外にないのではないか、そのように私は考えておる次第であります。
#8
○中野明君 いや、これは各党が知恵を絞られたということは聞いておりますけれども、二人区をなくするということになると、やっぱり合区をしたらそれでもう一番簡単な方法じゃなかったかな、こういうふうに私思っております。いずれにしてもこれ暫定的なあれで、確定値が出たときに抜本改正という前提つきでありますので、議長の苦労は多とするわけですけれども、願わくは、この線引きによって特定の地域だけだれも投票しなかったというような不測の事態だけは防ぐようにしてもらいたいなということを私たちは今願っております。
 では、本題に入りたいと思います。
 まず、六十一年度の地方財政計画の伸び率、これを見てみますと四・六%、一般歳出の伸び率が四・七。国の一般会計の伸び率は三・〇、同一般歳出のマイナスがマイナス〇・〇ですね。ですから、これと比較しますと、地方財政のいい点だけが際立って見えるような気がするわけですけれども、地方財政の場合は、給与関係経費の伸び率が六・〇と計画の伸び率を上回っております。これは財政の硬直化の要因になっていると思うんですが、計画の構成比の推移で見ても、五十六年の二八・二%から三〇%に上昇しておるわけですが、やがては投資的経費と逆転するのではないかというふうに我々は心配をいたしますが、財政当局としてはどうこれを考えておられるのか。
#9
○政府委員(花岡圭三君) 昭和六十一年度の地方財政計画におきましては、給与関係経費の伸び率が、御指摘のように六%というふうに計画全体の伸び率を上回っておるために、給与関係経費の構成比が前年度の二九・六%から〇・四ポイント増の三〇%に上昇しております。一方、公債費は、前年度の一一・二%から一一・一%に低下しております。しかし、総体といたしまして、この義務的経費のウエートはやや高まっておりますし、歳出構造は昨年度に比べて硬直化しているという状況でございます。また、この傾向はここ数年続いておるところでございます。これは、地方歳出中に最も大きなウエートを占めております投資的経費が、国の公共事業抑制という方針を受けて、年年構成比が低下していることとの関係であるわけでございます。地方財政計画の策定に当たりましては、歳出の各項目につきまして所要の額を計上いたした上でそれを賄い得る地方財源を確保しておりますので、地方財政の運営には支障がないと考えておりますけれども、御指摘のような形で推移いたしますならば、地方財政の構造の健全化ということが非常に大きな問題になってこようと思います。
 ただ、今後投資的経費とそれから給与関係経費が逆転するかどうかということにつきましては、国の方の公共事業予算をどのように扱うかということと非常に大きな関連があるわけでございまして、国の方におかれましてもそのようにいつまでも公共投資を抑えていくということができるかどうかということもございますし、また、私ども地方財政の健全化の面から見ましても、そのような計画の組み方というものがいいのかどうかという点がございます。何と申しましてもこういった投資的経費というものは社会資本充実のためにも整備しなければなりませんし、財政の弾力性を回復する上でも必要なことであるというふうに考えておりますので、私ども今後ともこういった投資的経費の充実には十分努めてまいりたいと考えております。
#10
○中野明君 人件費を抑制する上で職員の定数管理というのは非常に大切なことだと思いますけれども、地財計画では、例えば一般職員の場合は六年連続で減、こういうことになっております。私たちこれ以上の減員ができるのかなという感じは受けておるわけですが、今後減員を進めていくとするならばどのような職種の減員が可能とお考えになっているのか、また増員やむなしと考えているのはどういう職種の職員か、具体的にお示しをいただいたらと思うんですが、いかがでしょうか。
#11
○政府委員(花岡圭三君) 地方財政計画におきまして定員の合理化を行っておりますけれども、これは御承知のように、国家公務員の第六次の定員削減計画がございまして、それとの関連におきまして地方財政計画におきましても五十七年度から六十一年度まで国と同じような形で実施しておるものでございます。そういう意味で定員の削減というものは地方だけほっておくというわけにもまいりませんものですからこのような計画の組み方をしておるわけでございます。
 現在、定員の削減を行っておりますのは、法令によって職員の配置基準が定められている警察官とか消防職員は除いております。それから、国がその数を定める補助職員、これも除いております。また、職員数が百五十人以下の小規模町村部、また清掃職員等の削減対象とすることが適当でない職種、こういったものを除いた職種の一%相当額、この数を削減しておるわけでございます。したがいまして、今後、どのような職種の増員が必要であり、どのような職種の人員が削減されるべきであるかというふうなことは、現在の考え方からまいりますと、できるだけ定員削減をして、その範囲内で内部の配置の適正化というふうなことで、絶対に増員を必要とするというふうな部面でも増員をしないで配置転換していただきたいというふうな指導をしておるわけでございますから、職種ごとにどれが必要でどれが必要でないかということは一概には申し上げられないと思います。各団体によりましていろいろ方針も異なっておると思います。それぞれの団体におかれましてその範囲内で適正な人員配置をしていただきたいというふうに考えております。
#12
○中野明君 参考までにお聞きしておきますけれども、六十一年度の場合、補助職員で五十四人、定員合理化で七千九百四人が減員となっております。この内訳をちょっと示していただきたいと思います。
#13
○政府委員(花岡圭三君) まず、補助職員の方でございますが、これは統計調査事務とか、あるいは外国人登録事務などの国が地方団体に委託をして行っておるもの、この事務に要する委託職員、それから麻薬取締員のような十分の十の交付金でございますが、そういったものにつきましては各事業ごとに国の方で定員を決めてまいりますものですから、この削減が行われております。
 一それから、七万九百四人のものでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、学校の職員とか消防の職員とか、あるいは清掃関係、こういったものを除きまして、全部について一%の削減ということでございます。だから、必要な職種、減員対象としない職種だけ先ほど申し上げましたようなものがございますが、それ以外のものは全部含めて一%という形になっております。
#14
○中野明君 詳しいことはまた後で資料でも出していただきたいと思うんです。
 義務教育の職員関係について見てみますと、地財計画の歳入の欄では同給与費負担金が〇・四%の伸び、これに対して歳出の欄にある同給与費の伸び率は五・二%、こうなっております。これは六十一年度において共済費の追加費用と恩給費の三分の一を一般財源化したこのことによるというふうに理解してよろしいんでしょうかどうか。その辺どうでしょうか。
#15
○政府委員(花岡圭三君) これは御指摘のように、恩給費及び共済組合負担金のうち追加費用に対する国庫負担率が今後三年間二分の一から三分の一に引き下げられたという結果によって補助金の伸びが、歳入が小さくなっているということでございます。
#16
○中野明君 そうしますと、残りの三分の二についても来年度以降一般財源化されることになるので同様の伸びの要因になるのかどうか、その辺はどう判断したらよろしいでしょうか。
#17
○政府委員(花岡圭三君) 今回の措置というのは、極めて厳しい国の財政事情のもとに恩給費及び追加費用に限って六十一年度から六十三年度まで暫定的に国庫補助負担率を三分の一に引き下げることにしたものでございますが、その間におきましてこれをさらに変更するという考えはございません。
#18
○中野明君 それから、一方、義務教育の関係職員については第五次の学級綱制及び教職員の定数改善計画に基づいて改善が進んでおるようですが、六十一年度における計画の達成状況、これはどうなっておりますか。
#19
○政府委員(花岡圭三君) 義務教育関係の学級編制及び定数改善計画の達成状況でございますが、学級編制の改善につきましては、達成率は一七・五%、教職員定数の改善は二一・七%でございます。
#20
○中野明君 これは私のいただいておる資料とちょっと違うようなんですが、編制の改善はもう一度おっしゃっていただけませんか。
#21
○政府委員(花岡圭三君) 五十五年から六十六年までの計画と対比いたしまして五十五年度から六十一年度までの数字で比率を出しますと、学級編制の改善が一七・五%、それから教職員定数等の改善が二一・七%となっております。
#22
○中野明君 そうしますと、六十一年度におけるこのための改善費用は地財計画ベースでどれぐらいになりますか。
#23
○政府委員(花岡圭三君) これは三百四十億円でございます。
#24
○中野明君 次の問題ですが、私学の助成費について国の予算では単価が高校については三万五千八百八十円、現在は三万四千五百三十円ですから少し上がっておりますが、小中学校は据え置かれております。幼稚園も同様に据え置かれました。これに対して地方交付税では何か措置をするというふうに伝えられているんですけれども、これはどういう措置をされますか。
#25
○政府委員(花岡圭三君) 六十一年度の国の予算におきましては、私立高校の経常費の補助につきましては大体前年度並み程度でございますが、地方財政計画の上では、私学におきます所要経費の増加状況を踏まえまして、地方費による私学助成費といたしまして総額五・二%増の二千五百四十五億円を計上いたしております。その結果、児童生徒一人当たりの単価も高校で五・六%というふうなことになっております。この私立高等学校の経常費助成の補助というのは、御承知のように奨励的な補助金でございまして、補助方式も定額補助とされておりまして、国費に対して一定の地方負担というふうなことが義務づけられているという性格ではございません。したがいまして、国費の減と地方負担の増とが制度上必ずしも結びつくものではないわけでございます、そのような算定をいたしております。
#26
○中野明君 私学助成費を引き上げること自体はこれはいいことで、我々もっと引き上げるべきだと思っておりますが、国が措置しない分を引き上げざるを得ないというのは、結果的には国の負担転嫁と、こういうことになってくるんじゃないかと思うんですが、どう理解したらよろしいでしょうか。
#27
○政府委員(花岡圭三君) 先ほどちょっと申し上げましたけれども、私立高校等の経常助成費といいますものは奨励的補助金でございます。補助方式も定額の補助ということになっております。そういう意味では国費に対応して地方負担というものが決まってくるという格好のものではございません。現在の地方のいわゆる私学に対する格差是正の要望が非常に強い、地方団体におかれましてもそのことにいろいろ苦心をされておるということもございまして、私ども私学助成についての増額ということを図る予定でございますけれども、確かに国費の減と地方負担の増とが制度上結びつくものではないとは申しましても、やはり国が伸ばさない、それを地方が伸ばすという意味では立てかえということが、言い回し方がいいかどうかということはありますけれども、やはりそういう御指摘もあろうかと思います。ただ、地方団体が私学経営の実態を踏まえて実態に即した助成を行い得るように、地方財政計画土地方費によって所要の措置を講じようというものでございますので、御理解いただきたいと存じます。
#28
○中野明君 また、今回小中学校分も交付税で単価が引き上げられる、こういうふうになっておりますけれども、高等学校との差がつくというのはこれは問題じゃないかと思うんですが、この辺はどう考えておられますか。
#29
○政府委員(花岡圭三君) 私学助成の単価は、六十年度におきましては御指摘のように小中学校と高校とは同額であったわけでございますが、六十一年度においては差がついております。これはいきさつを申し上げますと、六十年度の予算審議におきまして教育減税問題が取り上げられたわけでございます。それで与野党間で六十一年度予算の政府案決定までに結論を出すということの申し合わせがございました。そのため、政府といたしましてその経緯を踏まえて、六十一年度の予算編成時に私立高校の教育費の父母負担の軽減という観点から私立高校助成につきまして特に配慮するということとしたわけでございます。
 それで、交付税の単価について申し上げますと、私学におきます諸経費の増加状況を勘案しまして、基礎的には小中学校、高校ともすべて二千円の単価の引き上げを行うこととしたわけでございます。ただ、高等学校につきましては、教育減税問題に対処するため、さらにアップ額を三千七百円上乗せをして五千七百円引き上げることとなったものでございます。なお、小中学校につきましては、余り高校との単価の差が生ずるということは好ましくないという判断から、明年度児童生徒数の減少が見込まれ、学校経営も困難になるというふうなことも予想されましたために、児童生徒減少対策ということで臨時の加算措置を単価上八百円上積みをいたしているところでございます。
#30
○中野明君 できるだけこれはちゃんとしてあけないとおかしいなというふうに私ども感じますので、ぜひ手当てだけはやってあけたいと思います。
 それから、次に参りますが、公債費の問題です。
 歳出に占める構成比が〇・一ポイントながら低下をしております。その理由としては、今回、五十年度発行の財源対策債の償還を終えたためと、こういうふうに伝えられておるんですが、ただ、対前年度増加率というものは、低いといいながら三・六%増を示しているところであります。そこで、公債費の見通しは数年先をどのように見ておられるのか、構成比の減が本物になっていくのかどうか、こういう点をお伺いしたいんです。
#31
○政府委員(花岡圭三君) 公債費の伸びにつきましては、五十年度の減収補てん債と五十一年度分の財対債の償還が終わりましたために、六十一年度は伸び率が鈍化しております。しかし、これは伸びが鈍化したというだけでございまして、何も減ったわけではございませんですから、今後ともこの高い水準に達した公債費というものがそのまま少し、若干の伸びを示しながら持続するということで、その意味ではその負担というものは地方財政を圧迫するものであることに変わりはないというふうに見ております。
#32
○中野明君 また、公債費の構成比が一一・一%、こういうふうになっております。国と比較したならば国の国債費は二〇・九%、ですから地方は二分の一にすぎない、こういうようなところから富裕論も出てきているんじゃないかと思われるんですが、自治省はこのことについてどのような見解を持っておられますか。
#33
○政府委員(花岡圭三君) 地方財政計画上の公債費の伸びでございますが、国と比べて確かに低いわけでございます。これがなぜ生ずるかと申しますと、これまで各年度の公債の発行の規模、それから公債の償還方式の違いによるというふうに考えられるわけでございます。過去におきまして、国の方では、例えば石油危機を乗り切るために国債を大量に発行したといういきさつもございましょうし、また、いわゆる五十三年ごろには機関車論ということで、日本の経済が世界を引っ張っていくべきだという議論のもとに公債の大量発行も行われたいきさつがございます。一方、地方の方では、二十年代の非常に財政が窮迫した時代でございますが、このために昭和三十年には地方財政再建促進特別措置法を制定いたしまして再建に乗り出したということがございまして、その後の高度成長の時代におきましても、地方財政におきましてはできるだけ公債の抑制と申しますか、地方債の発行をできるだけ抑えてきたいきさつがございます。
 確かに、内部の議論におきましては、こういう時代だからもう少し起債の充当率を上げてもいいではないかという議論もございましたけれども、やはり過去の苦い経験がございますから、できるだけ公債の発行は抑制して一般財源の増強に努めてまいってきたわけでございます。同時に、個々の地方団体につきましても、起債制限比率を設けまして、いわゆる起債制限比率が二〇%を超えるものあるいは三〇%を超えるもの、こういったものにはそれぞれ起債発行の抑制措置を講ずるということでこういった発行を抑制してきたという違いもあろうかと思います。
 そういう意味におきまして、国と地方との財政におきますいわゆる公債費のウエートというものが違ってきておると思います。とはいいましても、地方財政におきましても、この五十年代の財源不足を補てんするために起こしました財源対策債というものは非常に大きなウエートを占めておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、今後とも伸び率は鈍化いたしますものの、この公債費の圧力というものはやはりかなりなものであろうというふうに私ども見ておりますから、今後におきましても早急に借入全体質というものから脱却すべく、健全な財政運営に持っていくように一般財源の充実を図ってまいらなければならないというふうに考えております。
#34
○中野明君 とにかく、全体の数字で国の半分だからというようなことでやられると、地方としては大変危険ラインのところもたくさん出てきておる現状から見て、安易にそれを認めるわけにいかぬという感じがいたします。
 それからもう一つ、公債のことで、御承知のように昨日も円がまた百五十円台まで一遍行ったということで、これはもう恐らく百五十円台が定着するんじゃないかと言われているぐらい、これはサミット中からまた急激に上がり出しまして、そのためにこの円高に対応して公定歩合は相次いで改められてきて、また再度そういう事態も来るかもしれないというような状況なんですが、そうなりますと、当然地方債の発行金利も低くて済むのではないかと考えられるんですが、どのような見通しを持っておられますか。
#35
○政府委員(花岡圭三君) 最近におきます数次にわたる公定歩合の引き下げ等に伴いまして、政府資金あるいは民間資金ともにその金利水準は低下してきております。従来から地方公共団体におきましては、その時点におきます金融情勢に応じましてそれぞれ適切にそれに対応してまいってきたわけでございます。現在、六十一年の四月発行分の公募地方債の応募者利回りは五・三七六%という水準にまで落ちてきております。そういう意味におきまして、今後ともこの金利情勢というものは極めて流動的でございまして、どのように推移するかはわかりませんけれども、地方団体におかれましても、公募地方債の発行条件の変更等の状況を私ども随時提供いたしておりますので、それらに応じて、金利のそれぞれの情勢に適切に対応していただくように御連絡を申し上げ、また、地方団体におかれましてもそのような措置を講じておられるという状況でございます。
#36
○中野明君 どうなんでしょう、現時点で大体どれぐらい節約になると、このように見ておられますか。
#37
○政府委員(花岡圭三君) これは、年間を通して見なければわからない問題でございますし、それと政府資金が一応法律の関係もございまして、これは六・〇五%からとまっております。それと、最近のいわゆる公債の売買と申しますか、市場の状況というものは、国債の方はいろいろと売り買いが行われて非常にいわゆる高くなっておりますが、その他の債券というのは若干安くなりつつあるというふうな話もあるわけでございまして、一昨日の新聞でございましたか、事業債については利率の引き上げというふうなことも報じられておるような状況でございますので、これはもう少し長い目で見てみないと、どの程度軽減されるのかどうかということはちょっと計算いたしかねると思います。
#38
○中野明君 幾らか節約になることは間違いないと思います。
 それでは、もう一点お尋ねしましょう。地財計画の投資的経費の伸びが二・五%である中で、直轄事業の負担金の伸びが一一・一%と非常に高いんです。国庫補助負担率の見直しの際に、六十一年度の補助率は二分の一を超える事業について六十年度の補助率をさらに一段引き下げたわけですが、直轄事業については六十年度の負担割合に据え置いたはずであります。それにもかかわらないで直轄事業負担金の伸びが高くなった理由はどう見ておられますか。
#39
○政府委員(花岡圭三君) 直轄楽業のいわゆる負担率につきましては、御指摘のように前年度と同額でございますから変わったわけではございませんけれども、これはいわゆる直轄事業の事業量がふえたということに起因していると考えております。
#40
○中野明君 率の高いものから低いものへ事業を選択したのじゃないですか。その辺どう見ておられますか。
#41
○政府委員(花岡圭三君) むしろ直轄事業、いわゆる公共事業全体としましては率の高い直轄の方にシフトした、そして直轄事業費がふえたということが原因であると考えております。
#42
○中野明君 それで、直轄事業費の負担の内訳の推移をちょっと見てみますと、毎年国は負担割合を下げて地方は負担割合を上げてきておりますね。ところが、直轄事業というのは本来国の事業として実施するものですから、これに地方が負担金を支払うことさえ地方の反対がもともとあります。それにもかかわらないで、さらに地方の負担割合が高められていくというところは大変乱問題だと思うんですが、直轄事業の負担金というもの、これは基本的に負担金を出すこと自体がおかしいという考えが根強く地方にありますね。それに、逆に負担割合がまた高められていくというところに大変な問題を感ずるのですが、その辺はどうお考えになっていますか。
#43
○政府委員(花岡圭三君) 国の直轄事業につきましては、その実施が地方公共団体に受益があるということから負担金制度が設けられておるわけでございます。五十九年度から六十年度にかけましては公共事業補助率カットとのバランスでそのような措置が行われたわけでございます。しかし、この負担の問題につきましてはいろいろな議論もあるわけでございますけれども、やはり国と地方との財源配分のあり方とかあるいは公共事業制度の基本にかかわる大きな問題でございますから、いわゆる直轄事業の負担金というものを廃止するというのは非常に難しい問題ではなかろうかと思います。ただ、一番問題なのはこの負担金のうちの維持管理費にかかるものがございます。これにつきましては、地方団体が管理する場合の維持管理費につきましては補助制度がございません。そういうことから、直轄事業と補助事業との間で負担関係の均衡を欠いておるという指摘が行われていることは事実でございますし、私どももそういった点はかねがね主張してきておるところでございます。そういう見地からこの維持管理に関する直轄の負担金については廃止すべきものと考えておりまして、毎年度関係省庁に申し入れをしておるところでございます。
#44
○中野明君 今おっしゃった維持管理費はこれはもう当然のことでして、直轄事業そのものも私どもはこれは地方に負担させるのはいかがかという感じがある。その上に負担率が高くなっているということ、五十六年度から見ますと、五十六年度は国が七〇・八、地方が二四・九、こういう割合であったのが、六十一年度には国が六三・九、地方が三一・九、こういうふうに負担割合がもう随分地方にかぶってきていますね。これも問題だと私は思うわけです。そういう点も含めてもう一度お答えいただきたいのです。
#45
○政府委員(花岡圭三君) 直轄事業費が伸びてきておるのも事実でございますけれども、やはり何と申しましても国と地方との負担関係といいますか、財政秩序と申しますか、これは適正に守っていかなきゃならぬ問題でございますから、特に維持管理費にかかる直轄の負担金、しかも、これにつきましてはその内容が余りはっきりしないという問題もございます。あるいはその中に退職金までも含まれておるのではないかという議論もあるくらいでございますから、こういった維持管理費に関する直轄の負担金というものはやはり均衡上当然に廃止していただくべきものということで今後とも努力してまいりたいと存じております。
#46
○中野明君 大臣にそのことをお話しをして終わりたいと思いますが、今局長の答弁にもありましたように、直轄事業の維持管理、これまで地方に負担をさせるというのはいかがなものかということで前々から大変な議論になっております。これについて大臣としてぜひ格段の努力をしてもらいたい。このことをお答えいただいて、終わりたいと思います。
#47
○国務大臣(小沢一郎君) 維持管理費の負担につきましては前々から問題になっておったところだと聞いておりますけれども、私どもといたしましては、この点については補助の対象にもなっていないものでございますし、筋道からいっても維持管理は国でもってやっていくということを主張いたしまして、何とかそういう方向で実現できるように全力を挙げてまいりたいと思います。
#48
○神谷信之助君 二、三の問題で、時間の範囲内でお尋ねしたいと思うんですが、まず最初は補助金カット問題であります。法案はもう成立したのでありますけれども、これから三年間自治体の行財政に影響を与える問題ですから、特にお尋ねをいたします。この法案の本会議質問で、私が、これが地域住民なり自治体の財政に非常に大きな影響があるという指摘をしたわけですが、本会議答弁という点もあったかと思いますが、大臣の答弁は余り明確でなかったように思うんです。しかし、現実に地方債が増発されたし、それから基金の取り崩しが行われておるし、それから使用料、手数料など公共料金の大幅な値上げやあるいは地方の福祉など単独施策の切り捨てなど現実に影響が起こっているのではないのかというように思うんですが、この辺の認識についてまずお伺いしたいと思います。
#49
○政府委員(花岡圭三君) 今回の補助負担率の引き下げによる負担増につきましては、個々の地方団体に対しましては、基準財政需要額の算定とかあるいは地方債の配分によりまして財源措置を講ずることといたしております。また、補助負担率の引き下げにより財政運営に支障を生ずることはございませんし、それを原因として基金を取り崩したりあるいは使用料の引き上げを行ったり単独事業の抑制を行っておるというふうには考えていないところでございます。
 ただ、各地方団体におきまして税収の伸び率にいろいろ差がございます。平均的な税収入の伸びが期待できないということから、いろいろ各団体におかれまして苦労されているところもあるようでございます。特に当初予算の編成の段階では、税の見通しというのもこれはなかなか的確に行い得ないというふうな理由から基金の取り崩しを行っておる団体があることは事実でございます。これらの団体につきまして、今後地方交付税とかあるいは地方債の配分を通じまして適切に対処してまいりたいと存じます。
 個々の団体の財政運営というものは、常時その事情をお聞きしながら個々の団体の財政の運営におきましても支障のないように措置をしてまいりたいと考えております。
#50
○神谷信之助君 本会議のときにも私は指摘をしたんだけれども、例えば住民への直接的な負担の増の問題、例えばたばこ消費税値上げで、もう値上げになりましたね、たばこも。これは直接影響があるでしょう。そのほか見ますと、公立高校の授業料、保育料、下水道料、公営住宅の家賃、体育館、図書館等の使用料、動物園の入園料など大体三十数項目に及ぶ公共料金が一斉に値上げになっています。
 地財計画ですと使用料、手数料の値上げというのは四・九%という見込みでしたけれども、都道府県の実態を見ますと、実に三十四団体がこれを上回っておるし、それから全国平均で見ますと六・二%の値上げになっています。だから、地財計画を上回るこういった使用料、手数料の値上げといいますか、公共料金の値上げをやらざるを得ない状況が生まれてくることは事実じゃないかと思いますが、この辺はどういうように見られていますか。
#51
○政府委員(花岡圭三君) 使用料、手数料につきましては、受益者負担の原則に立脚いたしまして、社会、経済情勢の推移に即応して適時に見直しを行うべきものでございます。そういう意味で六十一年度の計画でも、人件費の上昇とか、国立高校の授業料の改定を踏まえまして公立高等学校の授業料を改定することにいたしております。これに対応いたしまして各団体におかれましても、授業料を初め各種の使用料とか手数料の引き上げを行った団体があるわけでございますが、基本的にはそのような考え方に基づいて行われておるという認識でございます。
 各団体におきます値上げが計画を上回ったかどうかということにつきましては、これは各年度において違っておりまして、例えば計画におきまして高校授業料を上げましても、地方団体では一年おくれておやりになるとかいろいろございます。したがいまして、いつ値上げをされるかというふうなことにつきましては各団体の判断によるものでございますから、たまたま六十一年度におきましてそのような状況が出たからといって、これは補助率引き下げによる影響というものじゃございませんで、いつ公共料金の見直しを行うかということに尽きるのではないかというふうに考えております。
#52
○神谷信之助君 大体、自治体の長はできるだけこんな値上げはしたくないんで、値上げをせずに済めばそれにこしたことはない。値上げをするということについては抵抗があるのは当たり前なんです。
 ただ、六十年度の一割カット、一年限りということでやられて、実際問題としてそれがどれだけの影響を与えるかというのは、六十年度中というのは過ごしてみないとわからぬ。これが大体の見きわめがついて、六十一年度の予算策定段階では、今申し上げたように地財計画を上回っての値上げを集中的にせざるを得ない。確かに計画上は、財源の措置はしてあるとか交付税措置はしてあるとか、こうおっしゃるけれども、それだけでは済まない実態というのが六十年度のカットの状況の中であらわれてきている。それを穴埋めをすると同時に、これから三年間さらに大幅なカットもやられるというふうになってくる、こういう措置をせざるを得なかったということが一つの問題としてある。だから、そういうカットがストレートにいっていると言っているんじゃないんですよ。
 そういった影響というのは当然出てくるんです。あるいは地方単独事業の切り捨て、これもずっと調べてみますと、一斉に二百数十項目から整理あるいは縮小、こういうふうにやっていますね。だから、本来やってきた事業を縮小せなきゃならぬ、あるいは喜ばれた仕事を自治体がやめなきゃならぬ、そういう状態が補助金カットも一つの契機になってきているし、もちろん、後で言いますけれども、地財計画そのものにも無理があるというところからそういう状態が起こってきておる。だから財源措置を全部してあるから全く影響はないというようなことは言い得ないと思うんだけれども、影響がなきゃ別にどうということはないんで今までカットする必要はないわけです。あるいは値上げをする必要はないわけです。影響があるからそういうものをいろいろやりくり算段をせなきゃならぬという状態が起きる。あるいは基金の取り崩しもやらなきゃならぬ。税収の見通しが不安だという面も確かに、したがって予算化する。決算まで見てみぬと実際に取り崩しをするのかし。ないのかわからぬ。
 これは運営上はそうでしょうけれども、しかし、現実にはそういう状態があちこち起こっているし、ほとんど取り崩しをしてしまうところも、ゼロになるところもありますから、そういう状態は六十一年度の自治体予算の策定状況というものを見ながら、これからの地方財政の展望をする場合に私は重要な要因ではないかというふうに思うのです。全くちゃんと全部財源措置はしていますから計算どおりいけばこうなりますというようにいかぬのです。あなたも言うように、自治体には三割ですから、そんな形にはいかない。だから、全部が全部そうなっているとは言いません。相当多くの自治体にそういう現象が既にあらわれているのではないか、この点は事実だからお認めになるべきだと思うが、それも否定されるわけですか。
#53
○政府委員(花岡圭三君) 最近におきます使用料、手数料の引き上げというものは、やはり先ほど申し上げましたような公共料金の見直しという考え方においてなされたものと考えております。また、補助率の引き下げによります影響額というものはそれぞれ財源措置を講じておるわけでございますから、その影響がそちらにストレートにいくというふうには考えられないと思います。
 ただ、この六十年度、六十一年度の税収の状況を見ておりますと、税の非常に伸びる団体と伸びない団体が非常にはっきりしております。財政調整基金の状況を見ておりましても、本来この財政調整基金というものは年度間の財政調整を行うために設けられておることでございますから、ゆとりのあるときにはこれを積み立てる、また財源の厳しいときにはこれを取り崩すということで各年度間の安定した財政運営に資するようにそれぞれの財政の状況に応じて運営されておるところでございます。
 この積立金の状況は、五十九年度も当初はかなり取り崩しておりますけれども、五十九年度は税収の状況がかなりよかったものですから、年度末には全部積み増しをいたしておりまして前年度よりもふえておるという形になっております。しかし、六十年度の状況を見ておりますと、税収の伸びが非常に悪い団体がございます。こういう団体におきましては財政調整基金を全額積み戻すというのが困難な状況になっている。六十一年度におきましてもやはりそういった状況は続くのではないか。現在の情勢を見ておりますと、六十年度の税収はほぼ計画を達成見込みでございます。
 というのが、ちょうど平均的な税収でございますから、これ以上かなり伸びているところもございますけれども、伸びていないところもかなりある。そういう団体におきましては財政運営というのは非常に厳しくなるであろうと私ども見ております。そういう団体につきまして個々の財政運営に支障のないように手当てをしていかなければならないと私ども考えておりまして、これはそういった税の状況というものがかなり響いているものとは思いますけれども、この補助率カットの影響というものではないのだろうというふうに私ども考えております。
#54
○神谷信之助君 大臣も今、局長の説明のように思っておられるんですか。大体もうカットについての財源は全部措置をしておるので、それぞれの自治体なり住民には一切迷惑はかけていないんだ、そういう見方をなさっているんですか。
#55
○国務大臣(小沢一郎君) この負担率の切り下げにつきましては、先生のお話の中にもございましたけれども、これがイコール使用料、手数料等の引き上げということではないだろうと思います。しかし、今、政府委員からも答弁申し上げましたように、個々の自治体で税収の問題とかいろいろございまして、その財政のやりくりが大変厳しい状況にあると思います。したがいまして、そういう中で、結果として地域住民の負担増あるいは行政水準の低下とか、そういう問題がもたらされることのないように、予定していたあるいは考えられていた通常の状況よりもさらに負担が多くなるというようなことのないように私どもとしては個個の自治体の状況等も的確に把握しながら本当に真剣に対処していかなければならない問題である、そのように認識いたしております。
#56
○神谷信之助君 今度のカット対象事業というのは自治体を通じてやる仕事ですから、具体的には、直接その対象になっておる人たちに出てくる影響というのはもうちょっと先にならないと出てこないんですよ。その辺がストレートにいきませんからね。したがって、今の段階ではそれは地方財政を通じて今言ったようないろんな迂回した形で影響が出てきますから、我々の方としてはその辺をあらかじめ十分考慮に入れてやらないといかぬというように思っているわけです。
 そこで、これからの問題として、補助金問題検討会の報告によると、これは補助金特でも大分議論されておりますけれども、国と地方が「等しく負担を分かち合う性格の事業の補助率は二分の一」と。それをベースにして、より高いところは三分の二、低いところは三分の一というような点が原則として提起をされておりますけれども、この国と地方が「等しく負担を分かち合う性格」といったら、等しくだったら半々というふうになるんだけれども、だからそれは二分の一になるのは当たり前みたいなものなんですけれども、この辺の意味は一体どういうようにお考えなのか。あるいは根拠をどういうように見ておられるか。片一方では、「もとより個別補助率の見直しに当たっては個々の補助金の目的、性格等の相違を考慮する必要があり、画一的に律しきれないものがあることはいうまでもない。」、こういって、財政上の理由だけでこの原則どおりはいきませんよという例外規定みたいなものが入っていますね。これとの関係について大臣はどういうようにお考えですか。
#57
○国務大臣(小沢一郎君) ただいまのいわゆる三分の二、二分の一、三分の一という御議論でございますけれども、これはいわゆる補助率の簡明化という議論、特に財政当局サイドからの議論としてはそのような意見も出されるであろうとは思います。しかしながら、私どもといたしましては、この負担率というのは、従来からも申し上げておりますように、個々の仕事の内容、それによって国と地方がどの程度ずつ負担したらいいのかということを決めていくべきである、そのように主張してきておるわけでございまして、単純に財政的な見地あるいは補助率の簡明化という議論だけでこの負担率を決めていくというのは必ずしも適当でない、そのように私どもは認識しております。
#58
○神谷信之助君 この点大蔵省はどういう見解ですか。
#59
○説明員(岡田康彦君) お答えいたします。
 補助金問題検討会における報告に御指摘のようなことが掲げられておるのは委員御指摘のとおりでございまして、それについての考え方でございますが、私どもは、これは一つ大きな議論としてここで議論がなされましたが、一方では、これについてのいろんな付随する意見、あるいはそれに対するまた異なる意見等もありましたところでございまして、これが検討会の報告でこれ一本になっておるという理解はいたしておりません。これは大きな考え方として示されたものであり、一つの考え方であるというふうに理解しています。
#60
○神谷信之助君 それでは、具体的に今後の問題ですが、これから三年間の間に、今、大臣おっしゃったように個別に、個々の補助金について本格的な検討をするといいますか、その中で補助率を検討していく、それも二分の一をベースにしてということは、これは今の大蔵省の一つの考え方という範囲というんですか。これが中心というようでもないようなニュアンスに聞こえたんだけれども、大体個別のそれぞれの性格なり何なり、経緯に応じて検討して、そしてそれに必要な負担割合を決めていく、これがこれから三年間の仕事になっていく、生活保護だけじゃなしにそのほかのものも含めてね。そういうふうに理解していいでしょうか。
#61
○政府委員(花岡圭三君) 御指摘のように、いわゆる補助率の簡明化の議論というのは一つの意見でございまして、補助金問題検討会におきましてもいろいろそれに対する反論といいますか、別の意見も付記されておるところでございます。また、財政審におきます答申はやはり簡明だろう。地方制度調査会におきます議論といいますものは、個々の事務事業の性格、役割をどう見直しをするかというふうにいろいろ違っておるわけでございます。したがいまして、今後三年間のうちに、この厳しい地方財政の状況も踏まえまして、国、地方の財源配分及び役割分担、こういったあり方とともに検討をしてまいらなければならないと思っております。特に、生活保護の問題については両論併記となっておりますから、これ一番大きな議論になるかと思います。
 ただ、児童あるいは老人等の関係につきましてはかなり議論が行われまして、この結果、事務事業の見直しということも今回法案を御提出いたしておりますけれども、そのようなこともあってかなり議論のなされたものもございます。ところが、両論併記のものもあるわけでございますから、個々のもの全般につきまして、暫定的な措置というものもなされておることも踏まえまして、十分検討してまいらなければならないというふうに考えております。
#62
○神谷信之助君 それじゃ大蔵省ですが、これもう一遍確認的にしておきたいと思うんです。
 衆議院における補助金特での竹下大蔵大臣の答弁は、議事録をずっと見ますと、参議院の補助金特では少しあいまいだったものが明確にされたように議事録では思うんです。今審議会をつくるとか検討会をつくることを決めたわけではありませんが、何らかの形で各般の御意見をいただく必要があるということで、個別のいろんな問題についても生活保護関係だけじゃなしに検討するような答弁を見るんですが、この辺は間違いありませんか。
#63
○説明員(岡田康彦君) お答えいたします。
 基本的な私どもの考えといたしましては、今回の補助率の見直しにつきまして、昨年の経緯を踏まえました補助金問題検討会の意見を尊重し、事務事業の見直し等を行いながら行ったものでございまして、同じように暫定措置とは申しますが、昨年度の措置のようにいわば補助率のあり方を一年かけて検討するというための暫定措置というものとは性格が違うだろうというふうに考えております。したがいまして、六十四年度以降の取り扱いにつきましては、今回の措置の経緯や性格であるとか、あるいは今後の諸情勢の推移あるいはその段階時点における国の地方の財政状況等を勘案しながら、その時点において適切に対処していくというのが基本的な考え方でございます。
 ただ、先生御指摘の今の補助金特別委員会での大蔵大臣の答弁につきましても、基本的には今私が申し上げました考え方と違っているわけでございませんで、全く同じだと思っております。何点かございまして、例えば「具体的なことは今後検討していく、こういうことにしておりますが、何らかの形で各般の御意見をいただくことは必要であろうと思っておりますが、今審議会をつくるとかあるいは検討会をつくるとかいってとを決めたわけではございません。」、こういう答弁をいたしておるところでございます。
 先ほど申し上げましたようなことの繰り返しになりますが、昨年のように一年間かけて検討するための暫定措置と、ことしの三年間の暫定措置は性格が違うものだというふうに理解しております。
#64
○神谷信之助君 大蔵省、そうすると、これから三年間の間に検討するのは、何というか、従来の経緯は踏まえるけれども、補助制度の抜本的な改革というか、そういうものをつくり出そうという趣旨なんですか。
#65
○説明員(岡田康彦君) 先ほど私が御答弁申し上げましたのはいわば三年間の補助率の扱いについてのことでございまして、御質問がもし補助金全般についての考え方ということでありますれば、補助率も含めまして補助金等のあり方につきましては臨調答申あるいは行革審の意見あるいは財政審の報告であるとか、今回の補助金問題検討会の報告等でいろんな考え方が出されている、意見が出されているわけでございまして、こうした見直しの方向に沿いまして毎年各関係各省庁と協議しながら、今後とも不断の点検、見直しが必要だと考えておりまして、そういう意味であれば委員会、特別な審議会とか検討会を設けるとかいうことと関係なく、私ども毎年の予算編成に当たりましてきちんと対応していかなきゃならぬ課題だと思っております。
#66
○神谷信之助君 これは大臣、予算編成のときになれば補助金、補助制度そのものあるいは補助率をどうするか、そんなことでやっていられぬから、予算編成上もやむを得ぬとかどうとかということの話になってきますよね。去年はそれで一年間暫定的に六十年度予算組めないから一割カット一律やって辛抱してくれと。これは一年限りでございます。そのかわり検討会をつくってやりましょう。それで、これ一年間限りでやったけれども、そう簡単に結論が出るわけないから、あと三年間毎年やったのではかなわぬから三年間カットですよと、さらに大幅にカットされましたね。しかし、これはいずれにしたって、そういう補助金制度そのものの検討というのは、答申も出ているわけですからそれぞれ個別にわたってやらにゃいかぬと思う。そういう段階に来ているんだろうと。ただ、そのやり方をどうするか、どういう機関をつくるか、それはまだこれから検討される必要がある、そういう段階に来ているというようにお考えでしょうか。その辺はどうでしょうか。
#67
○国務大臣(小沢一郎君) 補助金と負担金については若干性格が違いますから一概には言えないと思いますが、補助金等につきましては、地方公共団体の実態等いろいろ意見を聞いてみましても、整理すべきものは整理してくれ、それで一般財源化してくれという要望が大変強いわけでありまして、国といたしましても政策目的を完了したものあるいはダブっておるもの等々についての補助金はこれは積極的に整理していかなければならぬと思います。ただ、負担金そして負担率につきましては、財政上金がないから云々というのはいわゆる結果の話でございまして、負担率、負担金というのは、先ほど来答弁しておりますように、国と地方、その仕事の内容によりましてきちんと分担されていくべき問題であって、金がない云々というのは実際の現実の予算編成の結果にしかすぎないのであろう。そういう観点で私どもとしては筋道とらえていかなければならない、そのように思っております。
 今、三年間の暫定期間中に特別に審議会とか検討会をつくるという状況にまだ至っていないようでありますけれども、これは負担率の問題あるいは国と地方の役割分担の問題、今その税財源配分の基本になります税制改正等も審議されておるところでございますので、この結論を待ちながら対処していかなきゃいかぬと思いますが、その意味ではそういった国と地方の全体の税制改正をベースとした役割分担あるいは配分の仕組み、割合、そういうものも基本的に検討されるような時期には来ておるのではないかなと考えております。
#68
○神谷信之助君 その問題また後でも触れます。
 そこで、自治省の方で機関委任事務から団体委任事務にとにかく権限の移譲があったんだから、その点で例えば保育所の関係とか老人福祉とかというようなものは二分の一にされてもやむを得ないという考え方があるようなんだけれども、原則的には自治権拡充という立場から言うたら権限移譲して自治体の選択の幅というものを広げるというのは賛成ですが、ただ、今もちょっと大臣も言ったけれども、財政上の必要から出てくると実際問題としてどうなのかという問題があるでしょう。国の方は金は出すけれども口は出さぬと言って、自治体の口山といいますか、地方自治に任せるというのが私は本来の筋だと思うんだけれども、出す方の金も減らすけれども、しかし口も出しますよと、こうなってくると大変だというように思うんですが、この辺の機関委任事務から今度団体委任事務になった、特に入所基準等の問題なんかについて自治省は自治権との関係ではどういうようにお考えなんですか。
#69
○政府委員(花岡圭三君) 今回の児童福祉あるいは老人福祉等に関する問題につきまして、機関委任事務から団体委任事務にされたわけでございます。その他、いろいろ細かい点につきましても地方の自主性というものもかなり高まってきたわけでございます。そういった意味でこれらの事務に係る負担率というものが二分の一になったわけでございます。
 先生のおっしゃいますように、それはもう金があればあるほど地方のいわゆる財政自治権というものが高まってくるわけでございまして、それが望ましいに違いないわけでございますけれども、現在の国、地方の財政の状況から見ましてなかなかそれが難しいということでございますので、現在の段階におきましてこのような事務の見直しが行われて地方の自主性が増した、それに応じて負担率が変えられるということもこれはまあやむを得ないというふうに私ども見ております。
#70
○神谷信之助君 そこで、厚生省に伺いますが、私は、内治体の裁量行為をできるだけ拡大するということは望ましいことというように思うんです。しかし問題は、今の国と地方との財源配分の状況のもとで言うと、国が財源をうんと持っておる、それで補助金なり交付税なり、とにかく自治体におろしてくるという形をとっている状況の中で、特に社会福祉関係の事業というものについて、単純に自治体に権限が移ったからということで喜んでいるわけにいかぬ、財源を伴わないで、それはそれぞれの基準が下がっていきますから。その点では憲法二十五条との関係で、最低生活の保障の義務を国が負っているその建前からいって、生活保護もそうだし、今の児童福祉なり老人福祉についても最低の基準というものは、地方自治体の財政力いかんにかかわらず確保されなければならぬということでいろんな今までの基準というものができてきたと思うんですけれども、そういう角度で、今度の変化が維持されるのかどうか、この辺の見通しは一体どういうふうにお考えですか。
#71
○説明員(伊原正躬君) お答えいたします。
 児童福祉の関係でございますが、特に先生例示にお挙げになった保育所関係につきまして申し上げますと、保育所への措置事務につきましては、従来から国の機関としての市町村長にお願いしてきた。ところが、この保育の事務と申しますのは住民に非常に身近なサービスでございます。したがいまして、今回、補助金問題検討会の中でも検討されましたように、一つには非常に地方に定着しておる、それから定着した事務についてはより住民に身近な団体において行うのが適当だということから団体委任事務化するということで今法案を出しておるわけでございます。
 そこで、先生今御指摘になりました、それでは団体委任事務化してしまうと最低の基準がより守られないというふうなことになるのではないか、そういう御懸念でございますけれども、これにつきましては、入所の基準自体は今度の法案では政令で定める基本的要件に従って地方が条例で定める、そういうことを予定しております。当然、議会の関与というのが出てまいります。ただ、そういうことで、条例を定めます際の基本的な要件というのは政令で書いてございまして、さらに、それが地方によってばらつきが出たり、より下がってしまうということがないように、そのあたりは条例準則のようなものを国の方からお示しして指導してまいるということを考えております。
 さらに、そのほかに施設の最低基準のようなものがございまして、これにつきましては従来と変わらず、国の方で法律に基づいた省令でございますが、そこに従来どおりその最低基準というのは定めている、これは変えない考えでございます。
#72
○神谷信之助君 これは、大臣もお考えであろうと思いますけれども、片一方では地方行革の推進ということで保育事業なんかの民間委託を奨励されるでしょう。現実に京都の条例集なんかを見てみますと、保育所の入所申請を出すと、まずその地域の民間の保育所へ全部入れて、それで残ったのを公立に入れるわけです。だから公立の方は定員を下回っています、民間は定員を一応確保している、こういうやり方をとっております。そうしなければ、また片一方では民間の保育所の経営が成り立ちませんからね、定員割れをしまして。そういうこととも相まって実際はやられています。
 しかし、民間の方も経営がありますから、長時間保育とかゼロ歳児の保育というのはこれはコストが高くなりますからできるだけ逃げる。そうすると、今度はちゃんと公立の保育所で面倒を見るのかというと、片一方はできるだけ保育所の経営は減らすといいますから、ここでもやっぱり制限をされて、ゼロ歳児なんかで入りたい人が入れないケースが現実に部分的に起こるわけですね。だから、四歳児、五歳児というようなところは大体入れますよ。これは保母さん一人で何人かを見ていますけれども、ゼロ歳児ですと三人に一人の保母さんを置かなきゃいかぬからこういう状況が起こるわけでしょう。
 さらに、それは認可保育所の場合であって、かつて当委員会でも問題になりましたけれども、無認可保育所の問題が出てきて、保育産業あるいは福祉産業というのが今出だしてきているわけですからね。そういうところでは今度は逆に、これは最近、東京都の調査で言っていましたけれども、消防施設の問題がある。逃げ口が二階から二つ以上ないといけない。それができていないところとかいうのがまだ半数ばかり残っています。これらに対する規制はますますできなくなってくる。
 だから、確かに設置基準は厚生省がきちっとやって、入所基準というものは片一方では原則を決めてあとは条例で自治体任せにする。そこは自治権があると言いながら、しかし、自治体としては財政的にはずっと十分の八であったものが十分の五になっちゃうわけですから、そうすると、足らぬ分はこれを府県、市町村で品さなきゃいかぬわけですから、そうするとできるだけ民間の方でも適当にやってくれということになってくるし、保育水準自身の低下や、今言った入所資格、入所基準も条例としては決めておっても実際上はそうはいかない危険というものがこれからどんどん広がっていくんではないかと思うのです。まだこれからですから顕著にだあっと出てはきません。徐々にそういう状態があらわれてくるんではないかというように思うのですよ。
 ですから、児童福祉法に基づく保育に欠ける子供に対する市町村の義務というのが明記されているけれども、実際確かに、この子は入所させる必要があるかないかという判断は自治体が決めるのが一番いいんです、一番よく知っているんだから。自治体の方がいいですよ。しかし、実態に応じてそういうことが必要なんだからちゃんと保育をするという、そのためにはそれに必要な財源というものがなかったらだめだと思う。この辺のところが、先ほど大臣も言ったけれども、今後、税源配分がどうなるかという問題も含めまして、それらがなかったらこれは抽象的な議論としては決して下げませんということになるけれども、実際上の現象としてあらわれてくる、そういう状態が起こる危険があるということを私は心配しているんですが、この辺はどういうふうにお考えですか。
#73
○国務大臣(小沢一郎君) 今度の児童あるいは老人等につきましては、負担率の切り下げ分については交付税によって地方の負担増については見ていくわけでございます。したがいまして、その意味においてはそのような水準の低下を来すというようなことにはならないと思っておりますが、先ほどお話し申し上げましたように、地方自治体も非常に財政的なやりくりが厳しいという状況の中で、結果としてそういうようなことが起きないように私どもとしては本当に実態を把握しながら真剣に対処していかなければならないであろう、そのように認識いたしております。
 ただ、基本的には、筋道としては地方自治体が独自の施策、考えに基づいてやるということ、これはある意味では、反面地方自治体によってやり方がいろいろ違う、そのでこぼこというのは当然認めるところに地方自治の本旨あるいは個人個人で言えば個人の生き方に基づくものでございますから、ただ、それがいわゆる基本的な水準も守れない、あるいは地域の負担が普通以上に大きくなるというような結果にならないように、行政として、あるいは国としてそれを十分注意深く見守って対処していかなければならない、そういうことではないかなと理解いたしております。
#74
○神谷信之助君 憲法九十二条の地方自治の本旨が貫徹できるようなそういう内治権を確立するとか、これはまあ財源問題も含めてせにゃいかぬと、こっちはなかなか難しい。片一方、憲法二十五条で最低の保障は国の責任としてせにゃいかぬ。この辺はちゃんと調和ができるように、あるいは両立できるように全体としての地方財政対策というものを私は考えなきゃならないというように思うんです。
 ついでにちょっと聞いておきますが、厚生省ですが、老人ホームで食費の受益者負担が入ってくるんです。今度障害者施設にもそれが導入されるような話を聞いているんですが、その辺のところはどういう状況になっていますか。
#75
○説明員(青木行雄君) お答え申し上げます。
 身体障害者更生援護施設にかかる費用徴収につきましては、先生御案内のとおり、五十九年の身体障害者福祉法の一部改正によりまして新たに本年度から行うことといたしたわけでございます。
#76
○神谷信之助君 これは、現実に障害者の施設での意見をいろいろ聞いていると非常に不満なんですね。これは大臣は直接の所管ではないけれども、政治家でもあるんだから理解をしておいてほしいんですが、老人ホームで負担能力のある者に対して食費の負担をしてもらうというのが入ってきた。老人ホームでやられたものは障害者の施設に大体その後すぐ遭いかけてなってくるというように障害者の担当施設としては言っているんです。食費がそうやってやられたらいよいよ今度はうちの方も来ると。ところが、老人の場合と障害者の場合とちょっと違うんではないかというのがその人たちの意見なんです。
 例えば、これは今京都の綾部でいこいの村というのをつくって、障害者が共回生活をしながら自立できる農業やらいろいろな作業を共同でやっているんですよ。それは障害者年金はもらえますから、できるだけそれを蓄えながらそこで技術を覚えて自立をしていくことを目指してやっているわけですよ。そうすると、年金をもらっていますから食費は負担せにゃいかぬ、あるいは家族が負担をするということになると、自立をする財政的基盤といいますか、そういう展望というものを、初めは大したことないけれどもだんだんこれはふえできますから、自立させないようになってしまうんですよ。
 だから、お年寄りの施設の場合、それから障害者の施設の場合とそういう点ではちょっと趣旨が違うでしょう。障害者の場合には、単に障害者を集めてそこで生活できればいいということじゃなしに、そこから自立していくそういう力をどう与えていくかということも含めてやりますからね、それで老人の施設と違うわけです。それを同じように同じ物差しでやっていくというのはいかがなものかというのが強い意見として出てきています。
 これはそういう点問題提起をしておきますから、大臣もひとつ研究してもらって、ぜひ生かしてもらいたいと思うんですが、よろしいですか。
#77
○説明員(青木行雄君) 我が国の社会福祉は、先生も御案内のとおり、一般に所得の多寡により対象を限定することなく広く全国民を対象としておるところでございまして、その費用につきましては負担能力に応じてその全部または一部を負担していただいているところでございます。身体障害者更生援護施設につきましても、本人の負担を原則としながらも、本人に十分な負担能力がない場合にはその不足分につきまして扶養義務者にも無理のない負担をお願いする、そういうふうな建前になっているわけでございます。
 今のいこいの村栗の木寮につきましては、重度の身体障害者の更生援護施設というふうなことでございますが、従来は、先生今お話しのように、食費につきまして原則自己負担であったものを、前回の法律改正によりまして措置に要する費用について老人その他と同じように本人または扶養義務者の負担とすることにいたしたわけでございまして、特に更生援護施設等につきましては、お説のとおり訓練等を行うものでございますから、それらにつきましては十分な配慮をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
#78
○国務大臣(小沢一郎君) 身体障害者ばかりでなくて、その他社会保障もろもろですが、基本的に先生の御指摘のように自助、自立してやっていく、その手助けを互いがしていく、そのことは当然のことでありまして、まあ社会保障で、言葉は悪いですがダミーをつくるためにやるわけではありませんし、お互いが生きていく、それをお互いがみんなで助け合うというところに社会保障の基本的な考え方があるんだろうと思います。したがいまして、障害者の場合も自立できるようにお互いがいろんな施策あるいは協力をしていく、そういうことであろうと思います。具体的措置の内容については僕詳しくわかりませんので、どういうようなことであるかわかりませんが、その妨げとならないように、ただ物すごく負担する能力がいっぱいあるということであればそれは当然出してしかるべきと思いますが、これは具体的な法の基準のとり方あるいは運用の仕方、それにかかわってくるものであると思います。筋道としては基本的にそのようにあるべきであろうと思います。
#79
○神谷信之助君 次に、六十一年度の地方財政対策あるいは今後の地方財政の展望などについてお伺いしたいと思います。
 一つ問題にしたいのは、交付税特会で義務的に支出をしなきゃいかぬというか、いわゆる元利償還に交付税特会が食われていくという状況がだんだん増大してきていますが、この問題で、例えば六十一年度でいいますと、交付税特会の借入金利子の二分の一の肩がわり分が三千五百四十七億円、それから財源対策債等の元利償還の交付税算入額が一兆四千七百七十億円、それから六十年度分の補助金カットの臨時財政特例債、調整債の利子償還の交付税算入額が二百三十一億円、この二百三十一億円は初年度だから極めて少ない。そういうことで合計しますと一兆八千五百四十八億円というものがもう自由にならぬ金になっているわけですね。だから、交付税が約十兆円とは言っておってもこれだけもう使えない、現実の地方財政の運営には使えない額として出てきます。
 これを引きますと、実質国税三税の二六・一%という状況になっているわけです。だから名目は三二%とこうなっていますけれども、しかし、実際は交付税率が二六%に下げられると同じような、そういう状況が生まれてきているというのが現状だと。さらにつけ加えますと、これから今度は各自治体に地方債で振りかえたりして地方債やっていますね。この分は交付税で算入するわけですから、交付税で見ている。だから、借金返しだけで二六・一%どころの騒ぎでない二五%台になってしまう、あるいはそれ以上になっているかもしれません。その辺まだ計算していませんが、とにかく実質上三二%をうんと下回っている状況が生まれてきている。
 こうなりますと、自治省の方は名をとって実を捨てているというか、大蔵省の方は名を捨てて実をとっている、こういう関係に実際上なっているんではないのかと思うんですが、この辺はどういうようにお考えでしょうか。
#80
○政府委員(花岡圭三君) 御指摘のように、交付税特会で借入金の利子を負担している、そのほかいろいろ元利償還費等について交付税で見なければならぬものがあるということで、交付税における基準財政需要額の算入を圧迫するのではないか、あるいは交付税率というものは実質下がっておるのではないかという御指摘でございます。御承知のように、六十一年度におきましても交付税法の附則によりまして交付税総額を千二百億円増額するということもしておりますし、また、今後の後年度負担の問題につきましても、交付税に加算する措置を講じておるというふうな措置によりましていろいろ今後の問題も考えておるわけでございます。現実問題として、各年度におきまして地方団体の財政運営に支障の生ずるような場合があるならば、私どもといたしましては、それぞれの年度で必要な交付税総額というものは地方財政計画の策定を通じて確保してまいる所存でございます。
 今回の、六十一年度における措置におきましても、これは補助金問題検討会の結果を踏まえて行われた措置でありまして、その影響額につきましては交付税の特例加算あるいはたばこ消費税の税率の引き上げ、こういった措置等によりまして地方財政の運営に支障が生じないようにいたしておるわけでございますから、今後におきましても必要な交付税総額というものは確保してまいるということで対処してまいりたいと考えております。
#81
○神谷信之助君 自治省の答弁とすればそう言わざるを得ないんだけれども、現実そういう状態があるし、しかも、それは六十一年度の地方財政の状況がそうであって、さらに後年度になるともっとふえできますね。例えば、六十六年度から交付税特会の借入金の元金償還が始まると大体毎年約一兆円ぐらいの返済をつくらにゃいかぬ、早目に返していかなければいかぬ、こうなってきますし、それから補助金カットの問題で、六十年度の財政需要算入額をいろいろ我々なりに試算をしてみますと、例えば一般会計分は据え置き三年、二十年償還、年利六・八%ということだし、その他会計分は三十年償還ですから、据置期間そのほか同じということでラフな試算をしても大体年間八千四百億円あたりの償還をしていかなければいかぬという問題が出てきます。それから六十一年度、これで見ますと、大体一兆四千六百億円になりますが、それがさらに六十二年、六十三年も生じていくとさらに二兆九千億円、こういうことになってきますね。
 だから、俗に言うたら、十兆円のサラリーをもらっていてもそこから天引きされる、いわゆる今までの交付税特会の分が約一兆円天引きされてきちゃう。その上に六十年度、六十一年、二年、三年と、カット分はまあ言うたらローンの借金返しをしていかなければならぬ、こういう状態に地方財政というのはなっている。これはあなたの方がおっしゃるように、しかし、その年その年で必要な財源はちゃんと国に補てんをしてもらう、それは繰り入れするか、あるいは起債にするかどうするかは別にしても、何らかの措置をして必要財源はちゃんと確保します、こういうふうにおっしゃるのだけれども、実際問題としてこれは交付税制度そのものがそれでいいのか、そういう硬直状態で。交付税制度の運用というものがそれでうまいこと効果を上げているのかどうか。ある意味では交付税制度そのものの崩壊といいますか、そういう状況に向かって進んでいっているのではないかというように思うんですけれども、この辺はどういう認識ですか。
#82
○政府委員(花岡圭三君) 今回の補助率の引き下げが三年間続くということでございますので、六十二年度、六十三年度におきましても何らかの補てん措置が必要であると考えておりますけれども、先ほど申し上げましたように、各年度の財政運営はもとより、後年度の財政運営にも配慮いたしまして適切に対処してまいらなければならないと考えておるところでございます。
 六十六年度以降、交付税特会の借入金の償還が始まってくるわけでございまして、地方財政の先行きというものは極めて厳しいものになろうというふうに考えるわけでございますけれども、今後、各年度におきまして借入金の償還及び六十一年度の地方財政対策におきます後年度の交付税の加算措置等を考慮した上で、なお、地方財政の円滑な運営を図る上で交付税の総額が足りないというふうな場合には、先ほど申し上げましたように、地方財政計画の策定を通じて所要の財源措置を講じて、全体として必要な交付税総額は確保しなければならないわけでございます。
 ただ、後年度の元利償還が増大するのは事実ではございますけれども、各年度ごとの償還、例えば六十一年度借入金全体から見ますと九千三百億円ということでございますが、各年度の元利償還というふうなものを計算いたしますと、交付税制度が崩壊するほど多額なものには上らないというふうに考えております。
#83
○神谷信之助君 その問題は後でまた言います。
 大臣、そういう状況であるにもかかわらず、行革審の推進状況調査小委員会が出しました「今後の行革と財政再建のあり方」を見ますと、国の方は今後とも長期にわたり財政的危機状態が続く、したがって、地方財政について交付税率の見直しとか、あるいは現行の国税三税にかえて総税収基準とすることとか、保留財源の問題とかいろいろな問題が出だしてきています。
 それは、現実に毎年毎年地財計画策定のところでちゃんとしますなんておっしゃるんだけれども、その問題はその次議論したいと思うんだけれども、現実に三二%自身がそういう借金返して硬直状態になって、自由に配分できるものがうんと圧縮されているという状態のところで、さらに交付税率の引き下げとか、その他こういった見直し案というのが出てきているわけだ。そのことは承知の上で言ってはるわけですか。自治省いろいろ説明しても、まだそういうことを言っているということですからね。これからの地方財政の制度より確保し、より発展をさせる上では、自治大臣の格段の努力が私は必要だろうと思うのだが、この辺についての基本姿勢をこの際大臣から聞いておきたいと思います。
#84
○国務大臣(小沢一郎君) 交付税の問題につきましては、実質として、先生のお考えのような前提に立ては三二%を割っているということも事実でございます。そして、交付税の中に占める公債費の負担の割合が多くなっておることも事実であります。しかし、今日の段階におきましては、局長も答弁いたしましたように、交付税総額の加算等いろいろ手段を講じて、交付税全体の中で飲み込んでいけるという状況であるという答弁をいたしましたが、今後さらにどんどん割合がふえてくるということになれば、何とかして交付税全体の総額を確保しなきゃならぬという私どもの使命があるわけですけれども、その交付税の制度の問題あるいは全体の税制を含めて財源配分の仕組みの問題、そういったことまで考えていかなければならないということももちろん状況次第によっては考えられることであろうと思います。
 私どもとしては、当面とにかく交付税の総額を確保いたしまして、財政需要額を満たしていくということで最大の努力をいたしておるわけであります。そういうような状況の中で、行革審で交付税の引き下げとか、何かいろいろ聞いてみますと、余り基本的理念を打ち出さずに、個々の末端の話、何だかんだといろんなことを言っているようにも思えます。別にそれを批判するわけではありませんが、そういう交付税の問題につきまして、あるいは留保財源等の問題につきましても、間違った議論もなされて、それがいろいろと巷間伝わるということもあるようでございます。そういった点につきましては、自治省としても十分行革審にも説明をして理解をしてもらっておるわけでございます。いずれにいたしましても、現在交付税率を引き下げるとかいうような状況に地方財政がないということは私どもも強く主張し、それも大方認められておると思います。
 今後、非常に厳しい状況がまだ続くわけでありますが、私どもといたしましては、地方交付税の総額を確保する、あるいは先ほどもお話ししましたように、税制調査会でいろいろ議論されておりますから、その中で新しいものがもし出てくるとすれば、地方の税源を充実させる、そういうような税制全体の中でも仕組みをとっていかなければならないだろう、そのように考えておるところでありまして、いずれにいたしましても、地方の財政がこれ以上悪化することのないように努力していかなければならない、そのように認識いたしております。
#85
○神谷信之助君 最後のテーマですが、今、大臣も盛んにおっしゃったように、地方交付税で飲み込むことができるとか、あるいは地財計画の策定の段階でそれに必要な財源はちゃんと確保するというように言われてきているんですけれども、この地方財政計画の規模といいますか、ここが今問題ではないのかというように思うんですよ。だから給与関係費、これは相当の構成比占めます。これはもう国に右へ倣えではちっと決まっちゃう。それから、一般行政経費は、国が補助金カットを一方的に決めたら、それにもうとにかく従っていく、こうなるでしょう。それから単独事業もできるだけ抑える運営をしていく、あるいは公債費もおのずから決まってくるし、投資的経費といっても、これも国の補助事業に対する裏負担ということで、大体国がどれだけの事業をやるかということに応じて決まってくる。というように、歳出の大綱というのは大体国が決まったら、もうそれですうっと決まってくる。
 歳入の方もそうですね。地方税も法律で、国会で決めているんだから、若干の超過課税があったにしたって知れたものですからね、あとは国庫支出金にしろ起債にしろ政府が認可しなかったらとにかくもう全部できないんです。
 ですから、地財計画というのは国が、例えば公共事業を抑えるんやと、あるいは経費節減するとそれと同じように右へ倣えである、こういう状況になっておりますね。国の都合に基づいて地方財政計画がつくられている。地方自治というのはそうじゃなしに、住民のニーズに応じて、そしてその中で選択もしながら行政の規模、内容というのを決め、それに必要な経費をつくっていくわけだ。全部財源が、ほとんど大部分が国に吸い上げられるから、こういう形態になっている。したがって、国が決めたとおりの枠しか決めない、その規模に必要な財源だけは確保しましょう。だから、住民のニーズに応ずるようなそういう地方財政計画にはなっていない、私はそういうように思うんだけれども、この辺はいかがでしょうか。
#86
○政府委員(花岡圭三君) 地方財政計画は、御承知のように、地方団体が標準的な行政水準を確保できるように地方財源を保障するものでございまして、また、地方団体に対して地方財政のあるべき姿を示す、同時に、地方財政と国家財政、国民経済等との整合性を確保する必要があるわけでございます。そういう意味で、この地方財政計画を策定いたしますときに国と違った方針を設けるということはできないのが基本でございます。
 そういうことで、個々の問題につきましても、給与問題につきましては、法律の建前からいたしまして、国家公務員の給与水準というものを酌むのは当然でございます。しかし、一般行政費等におきましては、今回の計画におきましても、国の伸び率を上回るような計画を組んでおります。また、単独事業におきましても三・七%の増加ということで計画掲上いたしておるわけでございまして、まあ国の都合に合わせて圧縮しているというふうなものではないというふうに考えておるところでございます。
 したがいまして、厳しい中ではありますけれども、私ども地方団体が自主的に財政運営ができるようにこの財源をできるだけ確保していかなければならないと考えておるところでございまして、先生御指摘のような御心配はないものと私ども考えております。
#87
○神谷信之助君 ちょっと違うんですよ。本来、例えば住民はいろいろ行政サービスを受ける、そしてそのサービスを受けた相手がその負担をするという極めてラフな単純な論理でいくと、実際の国民生活の大部分の行政サービスというのは直接自治体から受けるんですからね。だから本来、例えば地方税が七割なり八割で、そして国の仕事というのは、例えば外交とかそういった、いわゆる国家事業というものにしてしまえば十分地方財源というのもあるわけでしょう。そういう中で国が全体としてのコントロールをしながらやっていくという方法もある、極端な言い方をすればね。ところが、そうじゃなしに、今は全部吸い上げられて今度は国から自治体へおりてくるんですね。そういう状況のもとで地方財政計画が策定されて、国と地方との整合性ということが強調されてくるとすればするほど、まさに国の都合に基づいた地財計画にならざるを得ない、今の制度がそうなっていますからね。これは局長もそういう答弁をせざるを得ぬと思うんだけれども、それでいいのかどうかということを含めて我々は考えていかないと、これからの国と地方との関係というものを根本的に検討していく上で重要な問題だと、大事な問題だというように思っておりますが、これは今まで何遍も主張はしていますけれども、根本的な転換になりますからなかなか難しいんだと思うんですが……。
 そこで、この十年間の地財計画でずっと構成比を見てみますと、そこにやっぱり政府の政策的指導の方向というんですか、そういうものが感じられるんです。
 例えば、給与関係費は五十一年度で三四・五%ですが、六十一年度は三〇%にまでマイナス四・五%ぐらい下がっています。それから、一般行政経費も二一・九が二〇・九ということで一%ぐらい下がっています。公債費は五・五%から一一・一%と倍に上がっています。投資的経費も三三・六だったのが三二・三と一・三%ほど減ってきています。その中で、直轄補助事業が二・七%減で、地方単独事業は一・四%の増、こうなっています。この中で、特に顕著な変化というのは公債費と給与関係費ですけれども、公債費の問題は先ほどから論じていますのであれしまして、給与関係費の問題です。
 行革審の地方行革推進分科会の出した「地方行革の推進と広域行政への対応」という報告の中で、地方行車の今後の課題として、「給与関係費の決算額が毎年度地方財政計画を一兆数千億円も上回っている実態は、給与の適正化等により計画的かつ早急に改善を要する基本的な点である。」ということで、給与関係費をやり玉に上げているんですけれども、この乖離、これについて自治省はどう考えておられるか。地財計画そのものが実態からかけ離れているからではないのか。あるいはその乖離している理由についてどうお考えなのか、この辺をまず聞きたいと思います。
#88
○政府委員(花岡圭三君) 地方財政計画と決算とが乖離しておりますのは、地方財政計画は、地方団体の標準的な財政収支というものを理論値に基づいて算定するものであるわけでございます。また、地方財政計画は、現実の地方財政の姿を追認するものではございませんで、地方財政のあるべき姿を織り込んで作成すべきものである。それから、計画と決算とは、経費の区分とか積算方法等に差異があることから、計画と現実の地方財政の運営の結果である決算との間にはある程度の乖離は避けられないというふうに考えておりますが、必然的に生じます乖離を除きましてはその差はできるだけ小さい方が望ましいので、計画策定の際には規模是正を図ること等によりましてその差が縮小するように努めておるところでございます。
 また、地方団体に対しましても、この決算との乖離のよく指摘されていますのが給与関係経費といわゆる投資の地方単独事業でございます。この地方単独事業につきましても適切に実施していただくよう地方団体を指導しておるところでございます。
#89
○神谷信之助君 それは余り理由にならぬのですよ。地財計画は何も実態に基づいてつくったものじゃない、理論的にはじき出したものである、こう言ったって、実態抜きにしたら、その数字何は並べても役にも立たない。したがって、今までも例えば職員の数なり、それから給与の実態調査もやって、改善をするなりとい。努力はしてきたわけでしょう。しかし、職員数が実態より少なく見積もられておるということも事実だし、あるいは保母さんとか社会福祉施設職員なんかでは、一応何等級何号俸基準というようなことで計算の単価は出していますけれども、実際上は最近はずっと経験年数が高くなっていますから、そういう職員がふえてきているので、それを上回っているから持ち出しが多くなってくる。給与の問題でもそういう状況があるし、ラスとの関係もあるでしょうし、あるいは退職金の問題もあるだろうし、特別職の人たちの給与水準の高いところも非常に多いという問題もあるでしょう。
 いろいろな問題があるんだけれども、この辺は当委員会でも何遍も今まで問題になっていますが、例えば公共事業閥係の人件費の計算とか、それから義務教育の国庫負担の人件費の計算、これはみんな実態に基づいて計算、積算しますね。だから、これらの乖離というものは出てこないか、それでもちょいちょい出ている、問題になっているところもありますけれども、全体そう大きい乖離はない。その辺を踏まえてやらないと、この実態を抜きにした地財計画そのものだけで乖離が大きいというようないわれなき非難を受けるというのはばかげたことではないかと思うんだけれども、この辺はいかがですか。
#90
○政府委員(花岡圭三君) 例えば、先ほど御指摘ございましたいわゆる給与関係の問題でございますけれども、給与の実態調査を五年ごとにやっておりまして、これに基づく人員の規模是正等は行っておるわけでございます。このいわゆる給与関係経費におきます実態との乖離というものを分析して見ておりますと、御指摘のように職員数の差によるもの、あるいは退職手当が実績と違っておるとか、あるいは給与水準が国よりも高いとかいろいろ要因が出てまいります。
 私ども毎年この実態、人員につきましての分析もいたしておりますけれども、例えば義務教育関係におきましても、単独で措置をしている団体というものもかなりございます。こういった職員数は計画には算入できないものでございますから、そういったものもある。あるいは地方団体におきまして定数の改善と申しますか、いわゆる削減計画を完全に実施されていない部分が若干残っているとか、そういったふうなものもございますが、私どもこの人員につきましても全部分析をしながら、五年に一度の規模是正で是正すべきものにつきましては算入しておるわけでございます。昨年度におきましては一万二千人の規模是正を行っております。
 そういうことで、理由のつくものにつきましてはできるだけこれを計画に掲上いたしまして、実態との乖離をなくするように努めておるところでございますけれども、何分にもやはり給与水準の違いというものが計算上出てくるわけでございますので、この辺は地方団体の方でも是正の努力をしていただかなければ計画と決算との乖離というものはなかなか埋まってこないではないか。しかし、非常に努力していただきまして、先ほど御指摘のありましたように、これらにつきましてもだんだんと是正されてきておるものと私ども見ておりますけれども、この計画というものの性格上、こういった乖離といいますか、実態と全く同じになるという形にはできない。私どもも地方団体に対してはそういった指導をしていかなければならないというふうに考えております。
#91
○神谷信之助君 これで最後にします。
 今の、乖離のラス、いわゆる給与水準による差というのは、全体の乖離のうちの大体三分の一ないし四分の一ぐらいでしょう。だから、そのほかの部分というものは割合もっと大きいわけで、これは指摘だけしておきます。
 そこで、先ほど言いました報告では、さらに「地方公務員に係る職員配置基準については、廃止又は緩和の方向で全面的な見直しを行うこと」と、こういうことでありますけれども、この配置基準で保育所とか障害者の施設は、基準が緩和されたりあるいは下げられるということになってくるとサービスの低下を免れないというように思います。最低の行政水準の維持が困難になる。従来は、大体ここの部分は超過負担になっているという指摘は何回もやり、自治、大蔵、厚生三省の実態調査なんかやって、そしてずっと改善をしてきたと思うんですが、それを逆戻りさせるかのようなことがあってはならないと思うので、この点についての自治省及び厚生省の見解を聞かせてもらって、終わりにしたいと思います。
#92
○政府委員(花岡圭三君) 社会福祉関係に係るこの人員の配置基準でございますけれども、今回の権限移譲によりまして措置する人員と申しますのは、私どもは標準的な人員というものを計画に算入してまいるわけでございますから、これが今後下がるというふうなことにはならぬだろうと。地方団体におかれましていわゆる目主性が増したということでいろいろ差は出てくるかもしれませんけれども、こういった性格の仕事でございますから私どもが標準的に算入いたしますものは従前とも変わらない、あるいは厚生省の基準とも変わるわけじゃございませんものですから、この点で水準が下がるようなことはないと私どもは考えております。
#93
○説明員(伊原正躬君) 社会福祉関係の職員の配置、特に保育所関係でございますけれども、これにつきましては国の定めております最低基準によりまして児童一定数に対して一定数の保母を配置するという形になっております。この考え方というものは従来からずっと変わっておりませんで、なお職員の処遇の点につきましては措置費上毎年改善等を行っておりまして、先ほどの格付の問題等につきましても必要な見直しをやってきておるところでございます。
#94
○委員長(増岡康治君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十一分開会
#95
○委員長(増岡康治君) 地方行政委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、三治重信君が委員を辞任され、その補欠として井上計君が選任されました。
    ―――――――――――――
#96
○委員長(増岡康治君) 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#97
○井上計君 私、臨時にこちらの委員会に入りましたので、同僚議員からいろいろと質疑が行われておりますこと実は承知いたしておりません。したがいまして、あるいは重複する質問があろうかと思いますが、あらかじめお許しをいただくようにお願いを申し上げておきます。
 自治省にお伺いしたいんでありますけれども、国の財政は既に倒産寸前と、このように言われております。したがって、財政再建計画を実施するためには、絶対的に行財政改革を強力に推進しなくてはいかぬわけであります。ところが、当然十分な努力を行わないで国民にしわ寄せをする、あるいは国民に転嫁をするということがあってはいけないと思いますけれども、しかし、実際には六十一年度の地方財政計画を見ましても、国の財政再建のためにいわば十分なる努力をしないで地方へ転嫁をしておる、さらにそれがまた国民に転嫁がなされておる、いわばそのようなことが十分うかがえるということは大変残念に思うわけであります。
 さて、それは今後とも国も地方も十分努力をしていかなくちゃいけませんけれども、国の行財政改革と同様に地方の行財政改革をもっと進めていかなくてはいけない。そうしなければますます国民への負担転嫁、国民への重圧というものが加わってくるであろう、こう懸念するわけでありますが、自治省の立場としては、地方自治体に対する行財政改革等についてはどのように指導をし、どのように進められておりますか、まずそれをお伺いいたしたいと思います。
#98
○政府委員(大林勝臣君) 仰せのとおり、現在地方行革を一生懸命やっていっていただいておるわけでありますが、その際、私どもの立場といたしまして、地方行革を進める場合に、第一は国が反省すべき点、第二に地方が反省、努力をすべき点、この二つを強調しておるところであります。国側としまして地方行革に協力する場合には、地方団体に余分な負担を負わせないこと、さらには、地方団体の行革努力を阻害するような制度的な要因を速やかに除去してもらうこと、必置規制とか、許認可、その他の機関委任事務の問題すべてその問題であります。
 もう一点、地方団体自体が自主的に行革を進める問題につきましては、昨年来、地方行革大綱の作成を全地方団体にお願いをいたしておるところでありまして、現在ほぼ大体足並みがそろったと承知いたしております。今後ともそういった方向で行革の推進に努力をしてまいりたい、こう考えております。
#99
○井上計君 自治省も地方行革を進めるについて努力しておられることについては了承いたしますけれども、ただしかし、率直に言って余り目に見えた、表にあらわれた成果がなかなかないんではないか、このような感じもするわけであります。何しろ三千数百という地方自治体でありますから、したがって、その自治体の性格も異なります。あるいはまた、地域格差というものも非常に多いわけであります。さらには、歴史やあるいは環境も随分と違います。また、それぞれ地方自治体の首長の政治信念といいますか、政治哲学も変わっておるでありましょうし、また議会の性格も違っておる。
 これらを考えると、画一的な、統一的な地方行政改革といってもなかなか進まぬであろう、こう思います。また、好ましいことじゃないかしりませんけれども、それぞれ地域の国会議員のいわば力関係によっても、またこれが進むあるいは進んでいないというふうなことの分かれもあるでありましょう。いわば千差万別の地方自治体の状況からして画一的にはなかなかそれが進まぬではなかろうか。また逆に、今のような状態でいくと、地方自治体の財政格差がますます広がっていくんではなかろうか、このようなことも懸念をされるわけであります。
 ところが、地方自治体が行政改革と同時に今問題になっておりますのは、住民に対する過剰サービスというのが問題になっておるわけですね。住民の声をもちろん聞かなくちゃいけません。住民の希望を入れなくちゃいけませんけれども、首長なり地方議会が必要以上にいわば過剰なまでに住民のサービス、住民め機嫌取りというふうな言い方は適当でないかしりませんけれども、そのために過剰サービスが非常に多くなっておるというふうなこと、これについても自治省がやはり今後とも指導をしていかなくちゃいかぬじゃろう、ここ考えます。
 もう一つは、地方自治体が自治省やあるいは県、あるいは隣の市町村等々に対して大変気兼ねをし過ぎて独自の行動をとらない。自分たちがやりたいと思ってもなかなか気兼ねと遠慮があって行財政改革をとりにくい、とっていないというふうな自治体もおるんではなかろうかというふうに思うわけであります。さらにまた、中央の各省庁の法令や通達が余りにも厳し過ぎて、地方の行革を阻害しておるというふうなことがあるんではないか、こう考えるわけでありますが、例えば民間委託へ移行をする場合の障害となっていることも多い、このように考えます。
 今申し上げましたように、民間委託移行への障害となっていること等は、学校給食あるいは各種施設の管理運営、公民館であるとか、美術館であるとか、このような文部省の通達等が非常に厳しいというふうなことがあります。それから保育所についても、厚生省がもっと地方自治体に対して緩やかな指導というふうにしてもいいんではないかという面もありますし、あるいは病院給食におきましても、あるいは建設省の都市公園の管理であるとか、学校用務員の問題であるとか、あるいは労働省の職安法の問題であるとかというふうに、余りにも中央省庁が従来と同じような地方に対する権限を行使をしていることによって、地方自治体の民間委託への移行がなかなかうまくいかない、そのような障害が多いんではないか、こう考えられるんですが、この点についてはどのようにお考えになりますか。
#100
○政府委員(大林勝臣君) 確かに、行革の一つの大きな問題としまして、それぞれの地方公共団体の仕事の限界というものを見直す時期になっております。長年の間、高度成長期以来できるだけ住民の要望をそれぞれの団体がやってきたのは間違いないところでありますけれども、こういった時代になりますと、むしろ民間の知恵なり力なり、そういったものを十分に利用するということがまた行革の一つの使命ということにもなっておるわけであります。そういう意味で、行政の限界ということを見直す場合に、御指摘のような民間委託という問題が浮かび上がってくるわけであります。
 年来、それぞれの分野で民間委託が着実には進んでおると思いますけれども、庁内の事務的な計算でありますとか、あるいは設計でありますとか、測量でありますとか、そういったものにつきましては非常に民間委託がやりやすいと申しますか、進んでおるんでありますけれども、まさに御指摘のようにいわゆる公の施設、あるいは図書館、博物館、あるいは御指摘のような保育所を初めといたしますいろんな施設の管理運営につきましては、民間委託の進捗率というものがなかなか思わしくないのもまた事実であります。その一番大きな原因というのは、それぞれの施設について所管をする各省庁におきまして、法律なりあるいは政令あるいは通達によりましてこの施設の管理のためには何人の職員が必要であるとか、あるいはどういう専門的な職種の職を必ず置かなければならぬとか、あるいは委託をする際にも委託先はこういうところにというふうな限定を加えるようなケースもいろいろございます。これを一括しまして必置規制という名前で呼んでおるわけでありますが、これが民間委託の進捗に一つの大きな障害をなしておるところであります。
 行革審あるいは地方制度調査会におきましても、年来この点を指摘しておるところであります。自治省といたしましても、折に触れて各省庁にそういった面の反省をお願いをしてきておるわけでありまして、今後とも民間委託の障害となる少なくとも法令なり通達というものについては十分各省庁の責任において見直していただくよう努力してまいるつもりであります。
#101
○井上計君 今、局長がおっしゃったように、私が今指摘をいたしましたけれども、自治省これはお認めになったということでありますが、このほかにも、いわば各省庁の縄張りという言い方は悪いですけれども、縄張りを守るためにとにかく微に入り細に入ったことまで通達を出してがんじがらめにしておる。そのために、地方が幾ら行政改革をやろうとしても、あるいは歳出の節減をしようとしてもなかなかできない。それどころか、逆に今度はむだな経費の支出をしておるというふうなケースがたくさんあるんですね。
 これは、大臣はお見えじゃありませんが、政務次官お見えでありますから、従来のように、ただ単に各省庁間の事務レベルでそのような話し合い、申し合わせをされるんでなくて、大臣の間で強力にこのことを話し合っていただいて、やはりもっと積極的に自治省が主導権を握って各省庁に対していわば行き過ぎた通達、あるいは取り締まりといいますか、指導をもっと早急に緩和して、本当に地方がやりやすいような、地方が行革をやりたくてもできないというふうなことのないように早急にしていただきたい、こう考えますけれども、大臣にかわって次官、いかがですか。
#102
○政府委員(森清君) 地方の行革を阻害するというか足を引っ張っている状況が、中央各省庁の無理解といいますか、そういう点にもあるということは井上委員の御指摘のとおりであろうと思いますので、大臣にもよく話をいたしまして、そういう点について中央政府の十二分な理解を得られるように努力をしたいというふうに思っております。
#103
○井上計君 次に、行革を積極的に進めていく、それによって地方自治体、余裕の財源といいますか、節減の効果があらわれてきた、それをどうするかという問題について払お尋ねをいたしたいわけであります。行革によって生じた財源、それは住民にやはり還元すべきである、こう考えるんです。当然であろうと思いますが、住民に還元する場合の方法としては二つあろうと思います。
 一つは、先ほど過剰なサービスと申し上げましたけれども、必要な住民サービス、特にその地域環境をよくするために地域の開発、改善であるとか、あるいは公園、その他憩いの場等々いろいろな環境の整備、あるいは建設であるとか、あるいは特に最近は著しい急激な円高によって非常に困っておる中小企業がどの地域にも大変多くあるわけです。国ではなかなか目の届かない、国の施策だけでは十分でないというふうな面があります。地方自治体によっては積極的に円高対策、円高融資等々の利子補給をしてもらっているところもふえておりますけれども、あるいは住宅建設、住宅購入等についての融資あるいは利子補給等たくさんあるわけですが、そういうふうなものを積極的にやって住民への還元を当然これからも心がけていかなくちゃいけません。努力しなくちゃいけません。
 もう一つは、地方税の減税というふうなことを考えていかなくてはいけない、こう思うんです。この問題について私、去る四月二日でありますが、当委員会で地方税の減税についての提言、質問をしたわけであります。すなわち、普通税がなかなか減税されないという理由です。されない理由はいろいろあると思いますけれども、まず、標準税率以下の市町村は全くない。標準税率を超えて超過税率を適用している市町村はかなりありますけれども、あとは全部標準税率であって、標準以下のところは全くないという事実があるわけですね。なぜそういうふうな標準税率を下回るところは全くないのか。自治省はどのように受けとめておられるんですか、まずお伺いをいたします。
#104
○政府委員(渡辺功君) ただいま御指摘がありましたように、地方税法では標準税率という制度を定めている税目が多いわけでございます。これは地方団体が課税する場合通常よるべき税率ということで定められておりまして、これは地方団体が提供するサービスであるとか、あるいは一定の行政の水準を維持するために必要な住民の標準的負担の水準を示すものであるというふうに考えられます。
 そういう性質のものでありますので、地方団体といたしましてはこれによって通常課税する、そういうことになっているわけでございます。それを下回る税率を適用することはもちろん法律上できるわけでございますが、ただいま申し上げましたような標準税率の地方税法上の性質からいいましても、地方団体におきましてはそれぞれ財政事情やあるいはいろんな事情を総合的に勘案の上、ただいま委員御指摘のような状況になっているものと考えております。
#105
○井上計君 審議官のお答えはわかるんです。ただ、現在標準税率と言っていますが、実際は規制最低税率である、こういうことになっておるわけですね。地方自治が叫ばれて久しいわけでありますけれども、いわば一番もとになる税率を自治省が依然として地方税法によって標準税率という名のもとに最低税率を設けて縛っておることが、地方行革あるいは地方の努力、意欲というふうなものを阻害していることになっておるんではなかろうか、私はこういう感じがしまして、先ほど申し上げましたように、去る四月二日に地方税の標準税率を変えるといいますか、これを撤廃すべきであるということを提言したわけであります。
 そのときには、頭からもうとてもそれは考える余地がないというふうなお答えがあったかと思いましたので、きょう再度このことをお伺いをするわけでありますけれども、要するに、標準税率を下回ったら起債の認可が得られないということが最大の問題点であろう、こう考えます。どうなんでしょうか、非常に努力をして多少財源に余裕ができた、したがって、標準税率を若干でも下回ろう、また下回ってもやっていけるという自治体があると仮定した場合、私はあると思っていますけれども、あると仮定した場合に、自治省にもちろん申請しないと思いますけれども、それでもなおかつ下げない理由は、下げると起債が全く認められない、こういうことが原因であろうと思いますが、自治省はどうお考えでしょうか。
#106
○政府委員(花岡圭三君) 前にもお答えいたしましたけれども、地方財政法第五条におきまして、普通税の税率が地方税法に定める標準税率以上である団体に限って、公共施設または公用施設の建設費、事業費等の財源として地方債を起こすことができる旨を規定しておるわけでございます。これは、地方団体が地方債を起こします場合に、自主財源である税収入について標準的な水準まではまず確保すべきであるという趣旨に基づくものでございまして、これを確保しないで地方債に依存するということは、現在の住民の負担を軽減して、むしろ後世の住民に必要以上の負担を求める結果になるおそれもあると考えられるわけでございます。
 したがいまして、世代間の負担の公平を図るとともに、地方団体の財政運営の健全化を確保するという見地から、このような地方債の制限を行っているものでございます。現在、地方財政全体としても非常に厳しい立場に置かれておりますし、また、個々の地方団体におきましても公債費負担比率は相当程度まで上っておるわけでございます。このような状況のもとにおきまして、まず地方財政の健全化を図っていきますためには、一般財源である税の確保が必要であるというふうに考えておるところでございます。
#107
○井上計君 そのお答えも先般聞きましたからわかっております。ただ、それは現在の地方財政法の地方債の制限、第五条がそうなっておるから当然だと。もし標準税率を下回った自治体についても起債を認めれば地方自治体自体の格差がますます増大をして、そしていわば不公平が生じる、こういうお答えでありますけれども、私はこの地方債、第五条ができた当時と現在とはもう全くさま変わりをしておるということですね。じゃ、国が建設国債を発行しているのと、起債の中でも国の建設国債と全く同じ性格のものがあるわけですね、それを認めることと、今言われるお答えと矛盾がありませんか、どうでしょうか。
 もちろん、国の特例公債のような起債はこれは絶対認めるべきではなかろう、こう思います。標準税率を下回って、なおかつ通常経費等赤字であるから、したがって借金をする、こんな地方財政は認めることはできない、これは当たり前でありますけれども、しかし、将来に向かって、子孫に残していく資産、地方自治体でもそういうものをたくさんつくりたいわけでしょう。そのような資産を建設するあるいは購入する場合に起債を認めるということについては、標準税率を下回る努力をしておる自治体にむしろ積極的に認めた方がある意味では信賞必罰的な行政改革ということにおいて効果があるんではないか、こんなふうに考えるんです。
 もう一つ伺いますけれども、不交付団体に対しては、事業遂行のために必要とあらば起債を認めていますね。それとこの標準税率を下回った、仮に富裕団体としましょう、富裕団体に認めないということ、これの矛盾はありませんか、どうでしょうか。これは事業によっては不交付団体も認めたでしょう、東京、愛知、神奈川等については起債を認めていますね、事業の性質によっては。だからそれと同じように、標準税率を下回っておる自治体に対しても、事業の性格によっては起債を認めてもおっしゃるようなそういう問題は何ら起きないというふうに思うんですが、どうでしょうか。
#108
○政府委員(花岡圭三君) 地方団体が起債を起こしますのは、他の特別の法律がある場合を除きましては従前から全部建設地方債しか認めておらないところでございます。この地方債につきましては、もちろん富裕団体と言われるかもしれませんが、いわゆる不交付団体であれ、交付何体であれ、これは全然変わりなくそれぞれの必要に応じて起債の許可をいたしておるところでございます。いずれにいたしましても、発行した地方債の元利償還費は、最終的には地方団体の一般財源で償還することになるわけでございまして、起債の許可に当たりましては一般財源を確保する努力を十分に行っておるかどうかということが必要であろうかと思うわけでございまして、普通税の標準税率以上というのはその目安であろうと考えておるところでございます。
#109
○井上計君 ここで押し問答をいつまでもするつもりはありませんが、現実に地方自治体の中に、標準税率を下げられるんだ、しかし、下げたら起債を認めてくれぬから下げられないんだという自治体があるんですね。私は、その点かたくなに法律があるからだめです、下げたら絶対やっていけません、下げるような余力があるのなら起債をしなくても、いや自主財源で全部やるべきだと、こういう考え方というのはどうかなという気がするんですよ。これについても押し問答いつまでもしません。しかし、これは局長のお立場で今そうおっしゃることはまあまあというふうな感じがしますけれども、自治省として地方自治というものについてもう少しお考えになる必要があると思うんですが、次官、どうでしょうか。
#110
○政府委員(森清君) 標準税率と起債のことについては、ただいま財政局長がお答えしたとおりでございますが、考えなきゃならぬことは、地方団体が一つの財政をやっておって、それで非常に極端に高い税負担が強いられている、あるいは極端に不公平な税制がその団体で行われている。一方、建設公債的な地方債を出している。こういう財政状況のある地方団体が、地方債の発行を認めてもらいながら極端に高いあるいは不公平になった税制のひずみを直していく、これは私は財政運営として当然考えていけるところだと思うんです。
 標準税率というのは、先ほど審議官から御答弁をしましたとおり、どの地方団体でも通常の財政運営をしておれば大体この程度の税金は取るのが普通ですよ、また、国民の税負担の全体の公平からいっても、それで取るのがいいですよ、こういうものを法定しておる、これが標準税率なもんでございますから、その標準税率をさらに引き下げて減税をしようという地方団体がありとすれば、それは全体の財政運営からいえばまず起債などはもうしなくてもいいような団体というふうに考えられるんじゃないか。地方団体自身にとっても、標準税率を下げるのを優先するか、あるいは起債をどうするか、どちらの優先度を財政運営としても考えなきゃいかぬ。それが先ほど来局長も御答弁しましたように、現在の住民の負担と将来の住民の負担という問題にもかかってくる。こういうことからできておる制度でございますが、井上委員御指摘のこともありますので、なお我々も十二分に勉強してみたいと思っております。
#111
○井上計君 私もまだ十分な勉強が足りませんから、自治省のおっしゃることについて、この壁を破るまた十分資料を持っておりませんけれども、さらに勉強して、自治省のそのお考えを変えていただけるような、こういう諭旨を少しまた勉強します。
 そこで、やはり同じく地方税制の問題でありますけれども、地方税の増税が国民の税に対する一層の重圧感、負担感というふうなものが高まっておるのは事実だと思うんです。今回のこの地方財政計画を見ましても、地方税収入が二十四兆七百二十億円、六十一年度見込みですね。これは前年度に比べますと六・九%増、事実上の増税になっておるわけですね。それから、このほかに地方譲与税を入れますと、これがやはり四千八百億円程度になっておるわけです。国の税収見込み四十兆五千六百億円でありますから、国の税収見込みの約六〇%強が地方税収入であるということですね。国の税収の見込みは対前年度比約五%弱増でありますから、国税よりもやはり地方税の方が増税になっていると、増税感が強いわけですね。
 これをとやかく今言いませんけれども、このようなことから地方税をできるだけ下げていく。これは国税の減税を我々各党強く要求しておりますが、あわせて国税の減税に伴って自動的に連動する地方税の減税ということだけでなしに、地方税自体を積極的に下げていくということを考えていかなくちゃいかぬと思うんです。六十一年度のGNPの見込みは約三百三十六兆七千億円でありますが、そうすると、このようなGNP三百三十六兆円に対して地方税、国税合わすと約六十五兆円という税の負担があるということになってくる。国民はこのほかにももちろん保険料、年金等との公的負担がありますから、確かに現在公的負担率は高いという不平が起きることは当然だなと、こんな感じがするわけであります。
 そこで、地方税をできるだけ下げる、地方の歳出をできるだけ引き下げるという努力をもっとしてもらわなくちゃいかぬわけでありますが、その理由、その一つの方法として例の臨調が最終答申で検討すべきである、こう提言をしておりますけれども、国税と地方税の税徴収の一元化を考えるべきではないか、こう考えるんですが、自治省はどのような検討をしておられますか。
 というのは、地方税の徴収義務者が非常に多くなっていますね。大変なコスト高になっておる、こう考えます。それからもう一つは、払う側から言うと所得税はいわば次年度すぐ来ます。ところが、地方税は一年おくれて来るわけですね。だから、もう大体去年の所得に対して税金は払ったとみんな思っているのに、そこへまた翌年ぽかっと地方税が来るものだからとてもこんな地方税は払えない、それが非常に余計に重圧感になっている、こういうふうなことも原因になっておる、こう考えますけれども、これについては自治省はどのような検討を進めておられますか、お伺いをいたします。
#112
○政府委員(渡辺功君) 徴収一元化につきまして御質問でございますが、地方団体が独立税としての地方税をみずから賦課し、徴収するというところにこれは地方自治の一つの原点があると考えております。国税、地方税の徴収を一元化するということにつきましては、まず地方自治の本質から見てどう考えるかという問題がまずあると思います。しかし、同時に現実の問題として国税、地方税の徴収一元化の問題を仮にただいまも委員御指摘の点から考えますと、所得税、個人住民税の問題を念頭に置かれて御質問のようでございますが、そういう個人住民税の場合を例にとりますというと、納税者の側から見て徴収一元化という言葉であらわれているものがどの程度の簡素化になるかということは非常に問題があります。
 現在、所得税は源泉徴収の制度をとっておりますから、会社の経理の係の方はそれぞれ税額を計算して徴収する。住民税はそれぞれ市町村が計算をいたしまして、計算したものをこれだけ取ってくださいという形でお願いをする、こういう仕掛けになってございます。そこで源泉徴収ということをそれぞれのところで住民税についても始めるということになりますというと源泉徴収義務者の手間が大変なことになるということになります。同時に、地方団体に税額を帰属させるという作業が生ずると思います。そのためには基礎となる団体ごとの従業員についての明細をそれぞれの特別徴収義務者あるいは源泉徴収義務者になるかもわかりませんが、そういうところから出してもらうということが必要になる。また、一元化ということになりますので、その徴収機関はどういうところが徴収機関になるかわかりませんが、徴収機関はそれぞれの市町村にこれを配るための作業が付加されるということになりますというと国民経済全体として一体どうなるかというような難しい問題がございます。
 ただいま、そういったような問題について考えたことがあるのかというお話でございますが、私自身もそういうことについていろんなことをああもこうも考えてみたこともございますが、そういった難しい問題がたくさんございます。そこで、それを非常に簡略化しようといたしますとどうもやはり住民税を所得税に一元化する、つまり、徴収の一元化ではなくて、そういう議論にだんだんなっていくようなふうに思われます。そうなりますというと、税金ということを通しまして要求とサービスあるいは権利と義務、そういったものの対応関係の中から、本当に地方自治というものをそこの礎の上に置いていくんだという地方税の独立の原則というようなことをもう一回想起してよく考えないと、本当の意味の効率化から今度は外れていくんじゃないかというふうな問題もございます。そういったような問題があるものですから私どもとしてはその問題については慎重な態度で検討をしてきたところでございます。
 しかし、委員も御指摘のように、賦課徴収あるいは納税の簡素化、これはもう大事なことでございます。これは私どももそのとおりだということで国税当局ともいろいろ相談をいたしまして、納税相談とかあるいは申告、受け付け等を一緒に行う、あるいは情報交換をするというようなことで協力をして進めているところでございます。そういう意味におきまして実質的な面で地方税務行政の一層の効率化を図るように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
#113
○井上計君 おっしゃることよくわかりました。もちろん難しい問題がいっぱいあると思いますけれども、できる点とできない点と両方あろうと思いますが、できるだけできる点については積極的な検討を進めていただいて、コストを安くするということはもう重要でありますから、さらに検討を続けていただきたいと、こう思います。
 それからもう一つは、これも大分前からいろいろと問題になって論議され、あるいは全国知事会議等でも賛否両論もあったと、こう聞いておりますし、いろいろと問題もあることも承知しておりますけれども、例の法人事業税の外形課税については現在の自治省としてはどのような見解をお持ちであるのかをお伺いしたい々思います。
#114
○政府委員(渡辺功君) 事業税の外形標準課税につきましては委員御指摘のとおりでございまして、地方団体から非常に強い要望がかねてからございます。事業税の性格あるいは地方税源の安定的確保という観点から考えますというと、できるだけ早期にこれを導入するということが適切であるというふうに考えられます。ただ、この問題は御指摘になりましたような意味で非常に重要な問題でありまして、またそれだけに関連する事柄が大きな問題でございます。企業関係税あるいは間接税等税制全般に関連するものでございます。昭和五十八年の十一月の税制調査会の中期答申におきましても、「課税ベースの広い間接税との関連も考慮して、検討すべきである。」というふうにされているのはその意味でございます。今後、税制調査会におきます税制の抜本的な見直しについての審議の状況を見きわめながら、なお検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#115
○井上計君 外形課税についてはいろいろと問題のあることもこれまた私も聞いております。ただ、現在のような法人に対する事業税の課税のあり方が、一部といいますか、地域住民の大きな不満の的になっていることも確かなんですね。経済状況が非常に厳しい中でありますから赤字法人がどんどんふえていく。ところが、法人は赤字であっても依然として多くの従業員、社員を抱えておる、そのための学校あるいはその他のいろんな社会資本等々の施設を自治体は積極的にやっていかなくちゃいかぬ、住民に対するサービス上当然必要である。ところが、そのような事業所からは事業税が文字どおり均等割しか入ってこない。こういうふうな矛盾、ある意味では不公平が大きくなっておる地域については大変な不満があることは事実なんですね。
 どちらが正しいのかということはよくわかりませんけれども、当然これは税調の答申等々もありますけれども、これは現実に即した考え方ということで自治省としてもさらに積極的な検討を進めていただく必要があるであろう、こう思いますから、提言をして、さらに検討を続けられるように要望をしておきます。
 それから次に、やはり地方税制の問題でありますけれども、青色申告を行っている人に対する事業税にみなし法人課税を認めるべきであると、こう私は考えるわけであります。現在この事業税についてはみなし法人課税が認められていない。しかし、これは税の性格からいって現在住民税に認められておるわけでありますから、事業税に認めないというのはいささか一貫性を欠くではないか、こんなふうな、これはもう早くから、随分前から全国青色申告会を通じての要望が各方面に出されておるわけでありますが、依然としてこれは実現をしないということであります。これについてはどのようなお考えでおられますか、お伺いいたします。
#116
○政府委員(矢野浩一郎君) 事業税につきまして、いわゆる毒なし法人課税を適用すべきではないかと、こういうお尋ねでございます。
 事業税、申し上げるまでもないところでございますけれども、地方団体と当該事業の受益関係に着目をいたしまして、事業の規模に応じまして地方団体の行政経費の負担を求める、こういう性格のものでいわゆる物税と称せられるものでございます。そういう意味では人税、人的な総合能力に着目をして課税をする所得税や住民税のような人税と基本的に性格を異にするわけでございまして、そういう観点から所得税や住民税において認めておりますみなし法人課税制度につきましては、政府税制調査会の御答申にございますように、事業税には基本的になじまない、こういうことで事業税にはこの制度を適用していないところでございます。
 青色申告者に対してみなし法人課税が住民税は認められるわけでございますが、事業税につきましてこのような制度を仮に入れる、こういうことになりますと、一つは白色申告者との不均衡もございます。それから、事業所得というものを課税の標準にするわけでございますが、みなし法人課税を適用いたしますと、住民税の場合にはみなし法人課税を適用いたしましてもその給与、いわば何といいますか、社長としての給与相当部分は課税をされるわけでございますが、事業税になりますと、それが全部課税対象から外れてしまうというような問題がございます。したがいまして、事業税においては、現在、一律の事業主控除を行う、現行制度で二百四十万円でございますが、こういう制度をとっておるところでございます。これによりまして比較的零細な個人事業者の税負担の軽減を図っておるところでございます。そういう観点から、事業税にみなし法人課税を導入するという考え方は私どもとしては持っていないところでございます。
#117
○井上計君 現在のお考えはわかります。ただ、同族会社の社長報酬は全額損金算入が認められておるわけでありますから、したがって、現在の個人の事業主の控除二百四十万円とのバランスは全く違うわけですね。
 それからもう一つ、これは今後の問題でありますが、今検討されておる大法人と小法人の問題、これがどの辺で小法人というふうな限界ができるのか、いろいろ問題がまだ煮詰まっていませんけれども、戦後いわゆるシャウプ税制によってその辺の町中の商店等々まで法人成りをしたわけですね。そこに個人と法人とのいろんな意味、特に税制の面でのアンバランスが生じ、いろんな格差が起きて非常に問題になってきたわけです。
 今後は逆に、いわば同族の小法人が個人企業に変わっていく傾向になると思うんです。そうなってくると、改めてこの問題を検討し直さなくてはいかぬ時期が来るんではないかなと、こんな感じがするんです、将来の問題でありますが。だから、今、局長は全く色気のないような、もう少し何かいろいろ御答弁がいただけるかなと思っておったんですが、大臣が来られたから、何かきちっとした答弁をしなくちゃというふうに思われたんだろうと思うんですけれども、これはもちろんきょうの問題というより、今後の問題として新しく総合的に御検討をいただくように要望をしておきます。
 以上で、みなし法人課税の問題についてはとめておきますが、多くの人がこれについては長年要望しておる、また要望するだけの根拠がある、こう考えますので、ぜひお考えを、御検討いただきたい、こう思います。
 大臣、お疲れでありましょうから、特に大臣から御答弁いただく予定はしておりませんが、政府委員から御答弁をいただきながら、時に大臣のまた御見解をお伺いすることがありますからお聞きいただく程度で結構であります。
 次に、地方単独事業についてお伺いしたいと思いますが、例の経構研の内需拡大策の一つとして、地方債の活用により地方単独事業を拡大して社会資本の整備を図る、このように提言をされておるわけでありますけれども、現在地方単独事業拡大の余地があるのかどうか、自治省はどのようにお考えでありますか。
#118
○政府委員(花岡圭三君) 昭和六十一年度の地方財政計画の上で、内需拡大の観点を踏まえまして地方単独事業につきましては前年度に比べまして三・七%増の事業費を計上いたしておるところでございます。また、この経構研の提言につきまして各地方団体が地域の実情において積極的かつ効果的な事業実施を行い得るように指導いたしておるという状況でございます。ただ、この経構研の報告そのものを見ますと、地方債を活用して地方単独事業を積極的にやれということでございまして、現在、計画に組んでおりますのは何も全額地方債ということではございません。
 この提案というものが地方債だけを活用してやれということであるのかどうか、そこははっきりいたしませんけれども、もしそういうことである場合には、一体、地方債だけでこの地方単独事業が伸ばし得るかということになりますと、そういった各個々の地方団体のいわゆる置かれている状況、どれだけ内需拡大を実施しなければならないかということ、あるいは経済の活性化をしなければならないか。と同時に、その地方団体の公債費比率がどのようになっていくか、将来の公債償還費がどうなっていくかというふうなことも十分考えられなければならぬわけでございますので、現在、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、地方財政計画に掲上しております単独事業を十分に効果的に実施していただきたいということをお願いいたしておるところでございます。
#119
○井上計君 はい、わかりました。
 ところで、その地方単独事業は地方財政計画上の事業量と決算額との間では相当な乖離がありますね。いただいた資料を見ますと、この約十年の間に毎年かなりの乖離がある、こういうふうな数字が出ております。特に給与関係経費は事業とは逆に決算額が大きく上回っておるということです。事業量については、決算額は全部毎年マイナスである、給与関係の経費は毎年大幅なプラスであるという資料をいただいておりますけれども、この原因は何だとお考えでしょうか。
#120
○政府委員(花岡圭三君) 地方財政計画と申しますものは、地方団体の標準的な財政収支を理論値に基づいて算定するものでございます。また、地方財政計画は現実の地方財政の姿を追認するというものではなくて、地方財政のあるべき姿を織り込んで作成するということにしております。このようなことから地方財政計画と現実の地方財政の運営の結果であります決算との間にはある程度の乖離が生ずることは避けられないわけでございます。
 ただ、御指摘のように、この地方単独事業の実施量が非常に少ないという結果が出ておる。これは一つには決算処理上、補助事業と単独事業との間に入り込みがあるということがございます。それから大きな理由といたしまして東京都とか大阪府とかあるいはその他の大都市、こういった歳入中に占める税収のウエートの高い団体におきまして、五十年代前半において税収の停滞によりまして事業量が大幅に抑制されたということでございまして、それがなかなかもとへ戻らなかったというふうなこともその原因となっておるわけでございます。また、失業対策事業として行われております単独事業もあるというふうなことも分析しますと出てまいるわけでございます。
 一方、給与関係につきましては、御承知のように、いわゆる給与水準が国家公務員を上回っているものがかなりございます。あるいは退職手当と実績との差がある。また職員数の差がある。職員数の差の中には、例えば義務教育の単独の措置分の職員数等も実際地方団体が置いているものもございます。いろんな要素の人員があるわけでございますが、そのようなことから、単独事業につきまして実施、決算の方が少ない、給与関係については決算の方が上回っていると、このような結果が出ておるわけでございます。
#121
○井上計君 計画と決算とが違ってくるということについてはある程度はやむを得ないと思いますけれども、給与関係経費については過去十年間年年増加率が、要するにマイナス率が年々高くなっているということであります。ある程度はやむを得ないとは思いますけれども、これらについても自治省としては地方自治体に対する指導をもっと厳格にされるべきであろう、このように考えますので、これはそのようなことを提言しておきます。
 次に、地方自治体の行うそれぞれの事業等についての補正の問題であります。特に東京サミットにおいては円高対策が失敗したと、これはいろんな見方がありますけれども、現状ではもう完全に失敗したと、そのためにさらに一層急激な円高に入った、こういうふうな見方が圧倒的にあるわけであります。私もそういう感じがいたします。特にきのうあたりついに百五十九円台に突入をいたしました。もう既にけさあたりの新聞によりますと、専門家が百五十円程度は必至だというふうなことを言っておる人もありまして、各輸出産地においては倒産が相次いておりますし、悲鳴を上げておる業者が非常に多くなってきたわけでありまして、これについては国の政策だけじゃ十分でないという面もあります。また、国が幾ら政策を立てても、実際には各自治体がそれについてのフォローをしていかなければ、このような大変な問題についての対応策はなかなかできないであろう、こう思います。
 そこで、私は国が積極的に地方のそういうふうなことについて支援対策を考えていかなくちゃいけないと思いますが、前回の円高、五十一年から五十三年にかけて景気対策あるいは補正予算のために補正予算債を発行しておるわけでありますが、具体的にはどういう内容であったのか、それらについてお聞かせをいただきたいと思います。
#122
○政府委員(花岡圭三君) 昭和五十年度の国の補正予算におきまして、不況対策として公共事業の追加が行われました。この追加された事業に係る地方負担額につきましては、当初の地方財政計画におきまして財源措置がなされていないということでございますので、これを賄うために発行することとされたのがいわゆる補正予算債でございます。
 補正予算債はその後五十一年度から五十三年度までの各年度におきましても国の補正予算における公共事業の追加に応じまして発行されておるということでございまして、この公共事業の裏負担分につきまして起債を認めておるものでございます。その規模は五十年度で千三十八億円、五十一年度では七百八十五億円、五十二年度二千四百十六億円、五十三年度千四百二十三億円となっておるものでございます。
#123
○井上計君 今後、円高がどのように進展するかわかりません。しかし、いずれにしても円高デフレはもう現実に起きておりますし、五十一年あるいは五十三年当時よりかもっともっと深刻な事態に落ち込むであろうということで憂慮されておるわけであります。政府も、先般中曽根総理が本会議でも述べられましたけれども、若干後で訂正があったようでありますが、補正予算を組んでさらに一層公共事業の拡大、内需拡大、景気振興ということをお考えだということであります。いずれにしても国の補正予算の編成は必至であろう、こう考えますが、とすると、そのときにやはり前回と同じように補正予算債のような特別な起債の発行を認めるべきである、また行うべきである、こう考えますが、現状ではどのようにお考えになりますか。
#124
○政府委員(花岡圭三君) 国の予算におきまして補正が行われまして公共事業が追加されるということになりますれば、現在の段階で今後地方税収の見通し等もはっきりわかりませんけれども、現段階で見る限り全額起債財源とせざるを得ないのではないかというふうに考えております。
#125
○井上計君 これはぜひ具体的に当然検討がされるべきだと、このように思うわけであります。
 これは、最後の質問というより提言にいたしますけれども、大臣はこの前の予算委員会あるいは補助金の特別委員会でもお聞きいただいておると思いますが、私が医療費は今後ますます増高するであろう、むだな医療費の節減を実行するために健康保険の問題について厚生省に対しまして提言をしたわけです。現在は政府管掌の健康保険がありますけれども、この健康保険については組合は薬種別の組合しか認められていないわけであります。これを地域に健康保険組合をつくって、経営努力を行うことによって節減が十分可能である。私自身が関係している全国印刷健康保険組合の経営努力、この数字と政管とを対比した資料をお配りをして、厚生大臣に、さらに行革担当の江崎総務庁長官に、あるいは総理大臣にも提言をしました。
 非常に貴重な資料として評価を受けまして、これは昨年の九月から私決算委員会でも厚生省にも提言しておった関係もありますけれども、積極的に具体的な方法を今検討しておるということであるわけであります。私はその提言のときに、将来、国保についても考えるべきだということを言ったわけでありますが、厚生省ともその後いろいろと話し合いをいたしました。健保と違って国保については地域の組合を認めることについて非常な問題点がある。これはよくわかっております。だからといってこのまま放置しておくと、今後ますます医療費が増大をして、国保に対する国の補助金、あるいは地方自治体の分担金、これがもっともっとふえていくことはもう間違いがない、こう考えるのです。
 それで、新聞にもここ二、三日前から出ておりますけれども、六十年度でついに国民総医療費は十六兆円を突破して、六十一年度は十七兆円近くになるであろう、そう予想されておるわけです。これはもうこれからますます大きな問題、特に財政再建を考えていくときに、国の財政あるいは地方財政を考えていくときに、医療費の問題を避けて通っておったらもう元も子もなくなる、こんな感じが改めて強くするわけであります。
 現在、国保の状況がどうなっておるかということは御承知でありましょうけれども、きょうは厚生省は特に来てもらっておりませんが、厚生省の資料でずっと見ますと、六十一年度は国民健康保険に対する国の補助金は一兆九千九百三十億円、約二兆円になるわけですね。実際には二兆円をちょっと超えるようであります。地方自治体の分担金が支出金を合わせますと大体千六百億円程度あるということであります。それから、医療給付費の六十一年度の見込み、予想は約四兆円でありますから、四兆円の医療費に対して保険料の収納予定は一兆五千六百億円程度でありますから、半分にも満たないということで、国の補助と地方自治体の負担金がますます今後ふえていくということになるわけであります。
 したがって、しからばこれを節減することをどうするか。ただ単に節減といいますとすぐ保険料を値上げしたり、あるいは本人負担、家族負担をうんとふやしたり、今度問題になっておりますけれども、老人保健法の改正をしてさらに本人負担を大幅にふやす、そういうことで帳じりを合わせ、できるだけ国の負担を少なくするということが考えられておりますが、私はもう全部それがけしからぬというわけではありませんけれども、そんなことをしておったら、これからますます高齢化社会が進んで老人医療の問題あるいはその他健康保持の問題、これは大変重要な問題が後退していく、こういう懸念をするんですね。だから厚生省、国保についていろんな改善策を考えなくちゃいかぬ、今のようなただ単に負担金をふやすとか、あるいはそのような改悪ばかりやっておったら大変なことになるのではないか、もっと前向きに、医療の後退をしないで医療費の節減を図る方法を考えなさいということを私は強く言っております。
 さっき申し上げたんですが、幸い健康保険組合については地域別の組合の設立を認めるということで今具体的な対策に入っておりますが、国保にも私はそういうものを認めることがいいのではないかということを厚生省に強く進言をしております。厚生省は、その場合に問題になるいろんな問題点がありますが、その問題点の一つは法律を改正しなくてはいけない、こう言うんですね。すなわち、国民健康保険法の十三条でありますけれども、「国民健康保険組合は、同種の事業又は業務に従事する者で当該組合の地区内に住所を有するものを組合員として組織する。」、こういう条文がありますから、したがって、同種の事業でなくてもいい、地域でも組合を認めるということに変えればいいわけで、これは変えるのはそれほど難しいことではなかろう、こう思います。
 しかし、じゃ、これを変えても実際に実現できるかどうかという問題点いろいろありますが、実現をするためには自治省が積極的に協力をして、そして地方自治体に対する指導をしていかなければこれを実現することは不可能である、こう考えましたので、きょうあえてこの委員会で大臣にもお聞きをいただきながら、自治省として今後お考えをいただきたい、このように実は思ったわけであります。したがって、きょうは結論が云々ということではありません。
 今、参考までに申し上げますと、御承知かと思いますけれども、現在国保の加入者が四千百五十四万人おります。国民の三分の一は国保加入者ですね。だから、当然さっきのような大幅な負担金、補助金が要るのは当たり前だと言えますけれども、これがこのままの推移でいくとあと五年後には国の補助金、地方自治体の負担金が三兆円超えるというふうなことで大変なことになる、こう考えます。その国保の加入者、これは市町村国保の加入者総数すなわち四千百五十四万人、大体年々若干ずつふえていますがそう大きな変動はありません。ところが、現在国保で認められている国保組合というのは、先ほども申し上げました同業種、同一地域というのは、百六十八組合しかないんです。それが三百四十九万人しかないわけですね。だから、市町村の国保加入者の一〇%にもならないわけです。
 だから、この組合加入者をもっとふやす、すなわち組合をもっと多くつくれば健保と同じような経営努力がなされるんじゃないか、こんなふうに考えるんですが、自治省何かこのことについてお考えになったことがありますか。それとも全く今までお考えになっていないということでありますか。また、あわせて国保の問題等については自治省としてはどのようにお考えでありますか、お伺いをしたいんですが、どうでしょうか。
#126
○政府委員(花岡圭三君) 現在、国保財政というのは大変厳しい状況に置かれておるわけでございます。国の補助金が大きいということも問題でございましょうけれども、地方の国保の運営そのものも大変難しくなっておるところでございます。この点につきまして国保制度をどうするかという問題はかねてから議論されておるところでございまして、私ども考えておりますのは、国保といえどもこれは国民皆保険の一つであるということからしますと、やはり国庫負担金、それから使用者の負担金、それから加入者の負担金というふうなことになってくるのではないか、そういう考え方からいきますと国保の場合には、国といわゆる保険税あるいは料、こういったもので賄っていかなければならないということになるわけでございます。
 先ほど御意見のございましたいわゆる地域保険というふうなもの、あるいは現在あります組合の保険、こういうふうなものを拡大していくということも一つの方法かと思いますけれども、その場合にどういうふうな組合が独立していくのか、割と資産のある方々が全部抜けられていきますと残った国保というのがまた大変なことになってくるというふうなことで、市町村国保の財政基盤が弱まっても困るというふうなことも検討しなければならないということで、私どもこの国保の問題につきましてはかねがね効率的な運営の努力、あるいは医療費の適正化の徹底ということの指導はいたしておりますけれども、この制度をどのようにしていくかというのは非常に難しい問題である、かねがね検討はいたしておりますけれども、先生が先ほど御指摘の問題もございますので、そういう点も含めまして研究を続けてまいりたいと存じます。
#127
○井上計君 今、局長おっしゃった問題点は厚生省も同じことを言っているわけですね。ただ、今おっしゃったように国民皆保険だから国の負担、自治体の負担、それから本人負担、これは当然です。だからといって、ふえるものは仕方がないんだ、ふえた分は当然それぞれの三者がそれに応じて負担増でいけばいいんだという考え方は私はこの際改めなくちゃいかぬ、こう思うんですね。ふえるものをできるだけ抑制をしていく。しかし、その抑制をするためにこれが医療の後退につながってはいかぬということを私は言っているわけです。医療については今後ますます大事です。新しい医療技術、あるいは医学の進歩等についても即応していかなくちゃなりません。それには常々疾病予防等の健康保持ということも考えていかなくちゃなりません。
 同時に、医療費の節減、率直に申し上げて相当なむだがあると思うんですね。国保についてはまだ細かい資料を私全く持っておりませんし、また、調査できませんけれども、健康保険から見ると、健康保険組合の医療費、本当に企業努力、そのような努力をしておれば、保険料収入の六一%程度しか払っていないのに政管は八三%払っておるわけですよ。この国保の医療費はもう政管の健保よりももっと医療費の率が高い、数字が大体高いですね。
 一つは、市町村単位という膨大な保険組合であるからどうしてもむだがある、あるいは目が届かないところがある、こう思うんです。これが一つ。東京都は区が分かれていますが、地方の都市で何しろ二百万人、百万人というふうな大国保組合にそんな目が届きゃしません。それからもう一つは、地方の国保組合が、中にベテランもおられますが、大体二年か三年ぐらいでかわる。要するに、市だとか何かの一般職員でしょう。だから腰かけが多いです。本当に国保の問題について専念するという方はまあ少ないですね。そのときそのときの事なかれ主義というのが非常に多いですから、そういうふうな面で随分とむだがあるんではないか。
 そのむだをなくして、さらに適切な、的確な医療行政、国保運営をしていくためにどうするかということをこの際根本的に見直す時期に来ておる、こういうことで提言をしておるわけですから、最初から、頭から問題があって難しい、なかなかできない、やった場合には今度は裕福な人ばかり、保険料の高い人ばかりが組合をつくって、かすばかり残ってますます地方自治体の国保組合が赤字になるというふうなことでなしに、最終的に無所得者だとか、そういう人たちに対するものはどうするかというのは、これは保険というよりも社会保障で考えるべきなんです。そういうふうなことを根本的に検討すべき時期に来ておる、このように思います。
 委員の中には、地方の知事等をおやりになった大先輩がおられますから、どういうふうなお考えを持っておられるか知りませんが、私は第三者から見て、健康保険の問題から見ても、国保問題こそもっと運営を改善して、そうして一般国民の健康保持、医療ということについてもっと前向きに効果のある施策を進めていかなくちゃいかぬ、こう考えて、あえてきょうは問題の提起という程度でありますが、今後私もさらに勉強して、もっと具体的に地域組合をつくることについてのメリットあるいは地域組合をつくった場合のデメリット、それについての解決策をどうするかということについて検討したいと思います。自治省もぜひひとつこれを御検討いただきたい、本格的に取り組んでいただきたい、こう考えますが、この問題について大臣、どうお考えでありましょうか、お伺いいして、私の質問を終わります。
#128
○国務大臣(小沢一郎君) 医療制度の問題等につきまして、私は不勉強で余りその仕組み等について詳しくはわかりませんけれども、先生の先般の委員会の質疑をお聞きいたしておりまして、また今日、日本の社会がますます高齢化社会に移行していくわけでありまして、その意味において医療制度は非常に大きな問題であると私も考えております。したがいまして、ただ単に既存の仕組み、制度を守っていくということだけではなくして、先生の御指摘のような観点、あるいはいろいろな観点からこの医療制度というものはとらえて考えていかなければならないというふうに私個人的には考えて知るところでございます。今後、今の先生のお考えも念頭に置きまして、また勉強させていただきたいと思います。
#129
○上野雄文君 私からは、今山形県の寒河江という市で起こっている生々しい問題について、地方自治法だの財政法だのいろいろ教えられたんですけれども、
   〔委員長退席、理事松浦功新着席〕
私が教えられたのと随分違うやり方が行われているものですから、私の不勉強の点もたくさんあるんだろうと思いますけれども、権威ある考えを自治省の皆さんから教えていただきたいということでちょっと御質問申し上げたいと思うんです。
 最初に、簡単な状況を申し上げますと、寒河江では、世の中挙げて臨調行革だから我が市でもやらなきゃいけないという、そういう気持ちになったようですね。それで、行政改革審議会みたいなものをつくりまして、去年の十一月に答申がなされたようであります。七項目出たそうでありますけれども、その中の一つに学校給食業務について民間委託しろというのがあったので、これをやろうというようにかたい決意をしたようなんですね。
 日程表をずっと見せていただきますと、ことしに入ってから、二月の二十四日に教育委員会を開いて、そこでその方針を説明して、民間委託やりましょうということを決めて、教育長一任を取りつけたんですね。それからずっと準備に入っていったようであります。その間、もちろん民間委託をする学校であるとか、その学校を取り巻いている結社の地域の皆さんの御了解をもらわないとなかなかできませんから、そういうような手も打ってきたようであります。二月の下旬、二十七日になってから当該学校の校長さんに申し渡しを、あなたのところの学校の給食を民間委託にするからということをやったようです。
 一方、いろいろ条例案件やら予算の問題が絡みますから、市の議会が三月の二日から三月の二十二日ごろまで開かれたようでありますけれども、そういう方針が決められておりながら、その議会には予算もそれから条例の案件なども一切提案されずに、民間委保証に関しては、当初予算の中でも、それから条例の問題でも全く触れられずにそのまま流れていった。ただ、一つあったのが、学校給食を民間委託にするわけですから当然いろんな議論があります。そこで、賛成、反対の運動などもあったりしまして、その地域では約三千名の有権者がいるようでありますが、そのうち二千名近い人たちの署名を持って議会に請願をしている。その請願をめぐって、最終庁に採択するか不採択とするかという議論をやって、不採択と決めたようであります。ただ、その一件だけが議会で議論をされただけでずっと流れていったわけですね。
 新年度がスタートをしまして、四月一日に突如、市の行政財産である学校の給食施設を民間業者に貸しますから、条例改正をして、貸して使用料を取るというように直さなきゃいけないというんで、四月一日にぽんと条例の改正の専決処分をやったんですよ。そして予算上は全く計上されていないものを、四月の七日から給食を開始するために、前の日の日曜日の六日に競争入札をやって、急いで契約をして、総額六百七十七万円かの契約で業者と契約が成り立ったわけですね。これも予算を決めていないわけですから、予備費から出すという話になったんですね。そういう一連の経過なんですよ。
 そこで最初の、自治法の二百十条を読みますと、総計予算主義というんですか、全部見込めるものはみんな見込んで予算に組みなさい、こういう条文になっているんですね。
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
問題は、もう去年の十一月からそのことが議論をされ、三月の議会前にそういう方針を決めて、ほぼそれなりの準備に入っているのに、条例改正の提案もしない、そればかりか予算も組まないという、こういうやり方というのはこの二百十条違反なんじゃないかなと、こう思うんですよ。しかし、この規定の仕方からいって、これは我々訓示規定というふうに理解をした方がいいのか、決めた基本方針というのは一体どういうんだろうと、そこのところをお聞かせいただきたいなと、まずこう思うんです。
#130
○政府委員(大林勝臣君) お話を伺っておりますと、学校給食問題が論議をされながら予算に計上されていない、新年度になって急遽条例の専決処分なりあるいは契約行為が行われたと、予備費を使って行われたというようなことと伺いました。
 御案内のように、内治法で総計予算主強というものを決めておりますのは、その地方団体の一会計年度の一切の収入、支出を予算に計上して十分に論議をしながら適正に執行するという趣旨から決められておるものでありまして、およそ予算編成時におきまして予見される経費あるいは積算可能な経費というのは最初から予算に計上するというのが原理原則であります。また予備費につきましては、およそ予算計上時におきましては不明確な見込みであったもの、あるいはその後の事情によって臨時急施に必要ができたというようなものについて予備費の規定をいたしておるわけでありまして、そういったお話のような予算の計上の仕方については、どうしてそういう話になったのかなと私どもまことに不審に思うわけでありまして、お話からお伺いする限り感心できる話ではないなという感じを持っております。
#131
○上野雄文君 そうだと思うんですよね。
 それからもう一つ、条例の専決処分そのものの性格についても教えてもらいたいと思うんですが、何でもかんでも専決処分できるという話じゃないと私の方は理解しておるんです。本来、議会の議決を経なければならない案件について、客観的になるほど議会を招集するいとまがない、あるいは災害や何か突発的な事故があって、これはもう早急にやらなきゃいけないというようなこと以外の場合で、今度のような行政財産を業者に貸すについて、そのことを四月一日付でぽかっとやるというのは何としても理解しかねるやり方なんですが、こういうような専決処分というのは、法律でこんなことは予想していなかったんではないかなと思うんですが、その辺についての見解はいかがでしょうか。
#132
○政府委員(大林勝臣君) 専決処分というのも、議会が開かれていない場合、急に必要な処分をする場合に議決を経ずして専決処分をして後で了解を得る、こういう仕組みでありますので、三月議会が開かれて、その間に条例を当然に準備しておかなければならないものだというにもかかわらず、うっかりしておったということであればまことに格好の悪い話だろうと思います。
#133
○上野雄文君 私は、地方自治法は自治体の一つの憲法だと思っているんですよ。その中で二百十条の問題もそうでありますけれども、これは別に罰則があるわけではなし、例えば、専決処分をやったものについて後から議会がその専決処分は認めないという結論を出してもその専決処分そのものは有効だ、こういう行政実例も出ておりますね。だから、自治体の場合に首長がこういう横暴なことを仮にやられても、後から直すなんということはできないような仕組みになっているんですね。でも、やはりあるべき姿としてはこういうことはやるべきではないし、避けるようなことで、その気持ちが自治体の執行の責任者の間になければこれは自治体のいわゆる長としての資格が問われるような問題ではないかなと、こう思うんです。その辺の見解はいかがでしょう。
#134
○政府委員(大林勝臣君) 地方行政何事でございますにかかわらず、やはり一つの仕事をやりますためにはいろんな論議があるわけでありまして、それを解決するためにはいろんな関係方面の理解なり、的確な準備をして行うのが本来であります。余り性急にやりますと後にしこりも残るということでもございますし、お話しのようなことで混乱をしておるとすれば私ども大変残念に思います。一度県にも事情を聞いてみたいと思いますけれども、お話の限りにおきましては私ども余り感心する話ではないなというような感じを持っております。
#135
○上野雄文君 さっき、局長から予備費の問題について言及されましたけれども、私も前に触れたからお答えになっていただいたんだと思うんでありますが、この条文を読む限り、「予算外の支出又は予算超過の支出に充てるため」「予備費を計上しなければならない。」というふうになっています。さらに「予備費は、議会の否決した費途に充てることができない。」、これでいってみて普通予備費の場合、これまた専決処分の問題と同じように、突発的なものや何かだったらもうそれに充てるためにということになるかもしれませんけれども、ずっと前々からやろうといって計画していたものについて新年度が始まって七日目にそういうことを決めるというのはこれも感心しない部類に入るんじゃないかと思うんですが、どうもこんなことが平気で行われるという感覚は私にはもうどうしても理解できなかったんです。これは私が申し上げたように、感心しないというよりもそんなことはすべきでないということに入ると思うんですが、いかがでしょう。
#136
○政府委員(大林勝臣君) 現地の事情を私どももきょう初めてお伺いしておりますのではっきりしたことを申し上げかねるわけでありますが、少なくとも今おっしゃるような予備費の使い方は通常正常な使い方ということではないであろうと思います。
#137
○上野雄文君 現にこんなことがあるわけです。
 当日、きのうのことですけれども、山形県の地方課長さんにもおいでをいただいていろいろ質疑をやったんですよ。私からこの問題についていろいろお尋ねをしたら、違法な措置でありませんので私ども何とも言うことができませんと、こういう御返事なんです。違法であるか違法でないかという論争になってくると、現に行われている案件であるだけにこれは大変な、もし違法だなんということになってしまったら大変なことになるというふうに思いますから私も詰めはしませんでしたけれども、こういうようなやり方が仮に山形県下の市町村で行われることが平常のようになったら一体どうするんですか。
 違法ではないということはあるいは言えるかもしれませんが、どうも少なくとも正常ではないこのやり方について、私に言わせればペテンにかけるようなやり方ですよね、議会や何か。仮に学校給食を民間委託にするにしてみても反対があるなんというのはこれは当然予想できることですよ。そんなことがあるからこうするんだなんということになったら大変なことだと思うんだけれども、議会が開かれておったところに提案もしないでおって、予想もしていなかった、言うならば議会の議員さんも予想もしていなかったものがぱかっと専決処分され、請負契約が行われるというようなことが全般的に行われるなんていうことになったらこれは大変なことだと私は思っているんですけれども、自治省とすれば正常でないやり方で、私の話していることが事実ならばこれはとんでもない部類に入りますよという、そういう理解でよろしゅうございますね。
#138
○政府委員(大林勝臣君) それぞれの事情を背景にして、よく違法ではないがというような日本語を役所が使いますけれども、それは半分少しおかしいなというような話にもなるわけであります。お話を伺いながら、一体、山形県でどう指導し、対応しておるのか、一度よく聞いてみたいと考えております。
#139
○上野雄文君 それから、私は学校まで行ってみたりなんかして実態を見てきたんですけれども、去年から地方行革ということで全体的に地方行革を進めていこうという指導をされているわけですが、今私が申し上げたようなやり方でやってもいいんだという指導を自治省はされているわけじゃないでしょうね。いかがでしょうか。
#140
○政府委員(大林勝臣君) そういうことはございませんし、恐らく県としてもそういう指導をしておるとは私ども思っておりません。
#141
○上野雄文君 そうあってほしいと思います。地方行革ですから、そう手とり足とり自治省が物を言うというのも変でしょうし、自治体が自主的にやるところに意味があるはずですし、また、ずうっと去年から地方行革の問題をめぐって我々いろいろ意見を申し上げてきたんで、余りいいかげんなやり方をしないような注意だけはしていただきたい、こう思うんです。
 そこでもう一つ、私気がついたのは、学校給食費の扱いというのは一体どういう扱いになるんでしょうか。予算の中に入っていないわけですね。ところが、学校では集めて学校の先生に経理をさせ、そして給食に必要な物資の購入についての契約なんかも学校の校長さんがやっていたりするんですね。そして、学校の先生が経理をやって、薬者への支払いなどもやるというやり方なんですが、通常の自治体のお金の扱いの仕組みから見ると、どうも私なんかちょっと理解に苦しむようなやり方なんです。ただ、学校ですから、校友会費であるとか、あるいは旅行の積立金であるとか、そういうものの扱いは我々も経験をし、自分の子供のころもそうであったろうと思いますし、私の子供たちのものもそうだったろうと思うんです。
 ただ学校給食となると、給食調理員の皆さんは今のところ大部分が自治体の職員がやっておるわけであります。それから、施設も自治体の施設になっておるという状態の中で、材料費だけを別途の会計でやっているというのはちょっと何かその存在が変だなという感じを持っているんですけれども、学校給食費、父兄から出してもらったお金の扱いについて、自治省としてこうあるべきだというような議論をされたことがありますか。
#142
○政府委員(大林勝臣君) 特にその問題を取り上げて議論をしたという記憶はございませんけれども、一般的な通常の経理の仕方としましては、学校給食というものは地方団体の責任で一つのサービスとして行うものだということでありますから、その経費は地方団体が支出をし、その一部の負担については地方団体が負担金としてこれを受け入れて、予算に計上して支出をするというのが本来のやり方であろうと私ども思っております。
#143
○上野雄文君 そうなってくると、これ全国的な問題ですから、私もすぐそうしてくれなんて言ったら今度はどこからか文句を言って怒ってくるところが出てくるかもしれません。ただしかし、私も現場で見て、これはちょっとおかしいなと、今、局長が答弁されたような格好で予算に盛られて、それなりに納入の手続がとられて、そして市町村の仕事として業者との契約の中で流れていくというものでなきゃ変だなと、こう思うんですね。
 ところが、私も学校給食の民間委託という問題にぶつかって、その辺のことは、文部省が「学校給食業務の運営の合理化について」というんで、去年の一月二十一日に通知を出しているんですね。通知を出していますが、その辺のところが明確でありませんから、実際問題としては非常に困った問題が出てくる。じゃ、今度の寒河江の民間委託の契約は一体どうなんだろうと言ったら、人件費分だけを、それからその学校の持っている什器、備品、設備の貸与の関係だけで、あとの材料費の購入、契約の状況なんというのは今までどおりなんですよ。そして、今度新たに配置された従業員に聞いてみると、今までの臨時職員時代よりも給料はぐっといいし、身分も安定したし、大したものですと、こう言うんですね。
 そうすると、学校給食というのは民間委託にして一体何のメリットがあるのかなというのが私には実はわからなくなってしまいまして、その辺のお金の取り方の問題から整理をした話になっていかないとなかなか難しい問題ではないかなということを感じたものですから、その辺について、これは局長御存じの上で答弁されたんでしょうから、今後研究されて、給食費のあり方の問題についてそれなりのきちっとした方向を出していただいた方がいいんじゃないかと、こう思うんで、その点を申し上げて、私の質問を終わりたいと思うんです。
 最後に、大臣、こういう行革というものについて、私はうそを言っているつもりはないんですよ。お話のとおりであるならばという前提がついての局長答弁なんですけれども、こういう自治体が現にあるということについてどういうふうにお感じになりましたか。ちょっと所感を述べてもらいたい。
#144
○国務大臣(小沢一郎君) 本来、こうあるべきであるという姿と現実にあるという実態とが乖離、遊離しておるケースが間々あるわけでございますが、寒河江の場合は具体的にどういう事情があったかわかりませんけれども、先ほど来局長が答弁いたしておりますように、本来その地方自治、そして地方のそれぞれが認められておるその仕組みの本来の目的に従って、少なくとも為政者たる者はきちんとやっていくべきであると、そのように考えておるわけでございますが、私ども国政にある者も含めまして、今後そのような問題点につきましても十分みずから律しながら各地方に対しても指導していかなければならない、そのように考えております。
#145
○佐藤三吾君 きょうは交付税の締めくくりですから一応予定しておったんですが、見ると財政局長も風邪ぎみのようですから、そこら辺も配慮して、同時に、火急な問題が起こったものですから、この問題についてひとつ大臣にも、随分走り回ってお願いしておるわけですけれども、この問題で二、三絞って質問をしたいと思います。
 それは、衆議院の定数是正の問題です。この問題が三カ月ぶりに五月八日に議長裁定が出されたわけですが、これから衆議院の公選特の審議に移ろうとしております。自治省はこの問題について、担当省としてどの程度関与してきたのか、まずそこら辺を聞きたいと思います。
#146
○政府委員(小笠原臣也君) 衆議院の定数是正の問題は、本来立法府の構成に係る基本的な問題でございますので、その性質上各党間でまず協議をしていただくことが一番重要ではないかという立場をとっておるわけでございます。とりわけ、当面の定数是正問題は、さきの臨時国会におきまして議長見解が出され、また、衆議院の本会議で決議がなされまして、それを受けて立法府の責任として各党間で話し合いを進めていくということになったわけでございます。いろいろな各段階における与野党間の協議が積み重ねられまして、先ほど御指摘のありましたように、去る五月八日に議長調停というところまでこぎつけたわけでございます。
 そういうことでございますので、私どもといたしましては、そのいろいろな各党の話し合いの過程の中において、資料提供を求められた場合におきましては必要な資料の提供もいたしてまいりましたし、説明を求められた場合には説明もいたし、また考え方を述べてまいって、できるだけ速やかに、円滑にこの定数是正が実現するように自治省として協力をしてまいったつもりでございます。
#147
○佐藤三吾君 私は、八日のこの委員会の中でも大臣に申し上げたように、選ばれる者が選ばれる選挙区を決めるという論理は、基本的に間違っていると私は思うんですよね、やはり選ぶ者の権利なんですから。そういう意味で、逆さまじゃないかということが一つ。
 それから、同時にまた、自治省は公選法の担当省ですから、責任を持ってきちっと問題提起をして、間違いのない決定をするような環境をつくっていく、この努力は私は必要ではないかと思うんです。そういう意味で先日それを申し上げたんですが、議長裁定は、最高裁判決のいわゆる三分の一以内、それから五百十一の現定数内、二人区についてはできるだけつくらない、こういう昨年の議長見解を出して、そうしてその結果、ふたをあけてみたところが一名増で五百十二になったでしょう。それから二人区も生まれると。暫定とはいえ、昨年の議長見解そのものがもう破れてしまった、こういうことになっておるわけなんですね。
 担当大臣として、この点についてどういう見解を持っておられるでしょうか。
#148
○国務大臣(小沢一郎君) 昨年の議長見解につきましては、先生御指摘のように、一対三以内の是正とする、五百十一名の総定数はふやさない、小選挙区制はとらない、また選挙制度等については従来からの各党の経過を踏まえて論議をする。そういうことで各党党首が集まってそれを了解いたしたわけでありますが、与野党間の現実の問題としては二人区をどうするかということが最大のあの焦点になったと思います。自民党の方では二人区以上は大選挙区である、野党各党は二人区は小選挙区制に極めて近いというような、大まかに言えば感じの中で議論が最後まで合わなくてあのような形になったと思います。
 今回、また議長の調停が出たわけでございます。五百十一名の総定数が結果として一名ふえることになるわけでございますが、いわゆる選挙法は、各政党、各議員個人の政治活動の基盤に関することでありまして、各党、各人のいろいろな利害を調整し、その結果、議長見解というものが出されたものであろうと思いまして、その点につきましては各党、議長さんの大変な御苦労の存するところであろうと思います。今回は暫定的な形で、いずれ抜本的是正を図るということも同時に示されておりまして、その意味におきましては、各党、そして議長さんの御苦労に対して敬意を表するわけでございます。
 いずれ、その調停に基づく具体的な案につきましては、これからまた、定数協になるのか、あるいは公選特になるのかわかりませんけれども、その中で具体的な立法作業というものが行われるものであるというふうに考えておりますが、現状の暫定的な違憲状態を脱するとしての調停案といたしましては、ぎりぎりの各党の努力と議長の調停がなされたものではないかと考えております。
#149
○佐藤三吾君 ぎりぎりの調停案とおっしゃいますが、そこで聞きます。
 公選法十三条のいわゆる選挙区の単位というのはこれは主文になっていますね。ただし書きの二、三項については、これは市町村合併の特例であって今回の場合に当てはまるものではない。どうですか、そういう意味では。
#150
○政府委員(小笠原臣也君) お答えを申し上げます。
 ただいま御指摘がありましたように、公職選挙法十三条は衆議院の選挙区のあり方について規定をしておるわけでございまして、具体的には別表第一及びその後の定数是正、三十九年、五十年に係るものにつきましては附則の表の方で定めておるわけでございますが、いずれも基本的に郡市の区域を単位として決めることとされておりますし、現実にもそういうふうに規定をされておるわけでございます。
#151
○佐藤三吾君 ところが、今度の裁定の中で区割り変更が三県ございますね、愛媛、和歌山、大分。愛媛、和歌山の場合には郡市単位になっております。ところが、大分一区では大分郡四町のうち挾間町のみが二区に編入する、こういうゲリマンダーがあるわけですね。これは私は現行公選法からいえば当然違反になる、反する、あり得ない。これはどうですか。このような例が市町村合併という問題を抜きに今までございましたか。
#152
○政府委員(小笠原臣也君) 議長調停の中で、愛媛三区、それから和歌山二区及び大分二区につきまして境界変更により調整をするということはございますけれども、具体的にいかなる郡市の境界変更になるのかという点については各党間の話し合いでお進めになる事項でございまして、私どもが行政府の立場で確定的にお答えする問題ではないと思うのでございますが、先ほど申し上げましたように、各党間の一連の話し合いの中で、大分二区を初めとしていろいろな境界変更の考え方が示されておるわけでございます。仮に、今御指摘のように、郡の中の郡を構成する一町だけを取り出して一区から二区へ移すというようなことがあるといたすならば、それは先ほど申し上げましたように、公職選挙法の衆議院議員の選挙区割りの原則から見ますと、特例的な扱いということになろうかと考えております。
#153
○佐藤三吾君 私が挾間町出身だから言うんじゃないですが、こういう現行法にないものをそこはこうするんだという論理で今回つくろうという、こういうようなことは私はやっぱりあってはならない。特に行政単位として郡というものは大体今定着しておるというか、郡の中でどうするということまで起こっておる。例えば広域圏、広域行政、ここの場合でもそうですが、何といっても大分郡が、中心が挾間ですから。ですから、そこに消防も広域消防がある、郡全体のですね。清掃もある。さらに、今度は農協合併が今進められておる、これも郡単位で一木にしようと。
 こういう単位をぶち壊して二区に編入する、一町だけ、中心を抜き取って。こういうやり方が果たして良識の府である立法府として、良識のある議長裁定と言えるのか。これは私は、立法府だからといって、男を女に変えるとか女を男に変える以外のことは何でもできるんだ、こういう論理が僕はその中に潜在しておると思うんだ、思い上がった思想が。そこら辺に対して行政混乱が必ず起こってきますよ。その地方行政に責任を持つ自治大臣として、一体これにどう対応しようとするのか。責任を持たされるのは自治大臣ですよ、地方行政に混乱が起こる原因を一体どうするのか、大臣、この点いかがですか。
#154
○国務大臣(小沢一郎君) 大分、愛媛、和歌山等については、議長見解では線引きをし直して二人区を解消するということになっております。しかし、その中身につきましては、これから各党あるいは公選特等で立法作業が行われるものと思います。仮に大分の場合、一つの町村だけを抜き出して、あるいはほかの場合でも同じでございますが、やるということになるとしますれば、現行公選法の原則は、今選挙部長からもお話いたしましたように、郡市単位に選挙区割りは行う。この郡という概念は、先生御指摘のように、長い年月の中において一つの地域社会としていろいろ人的、経済的、物的等々のつながりの中に形成されてきておる、そういうような背景があるのだと思いますが、いずれにしても、郡市単位で行うという現行公選法の原則上からは好ましくないものと私は考えております。
 しかし、この選挙法は各政党の基盤にかかわるものでありまして、前国会から議長あるいは各政党間の議論の中で積み重ねられてきたものでございまして、最終的に立法府の、国権の最高機関たる良識の府たる立法府においてどう判断されていくかということは、これは立法府それ自身の判断にかかる問題でございますが、私自身といたしましては、この点につきましては、ただいま申し上げましたように、公選法の原則上からは好ましくない、そのように考えておりますし、この公式の委員会でもそのようにお答えをいたしておるわけであります。
#155
○佐藤三吾君 私は、きのうきょう、地元の皆さんも参りましたので、一緒になって、衆議院議長、副議長、それから藤波自民党国対委員長、山口社会党国対委員長、それから定数協座長の渡部さん、衆議院の公選特の委員長である三原さん、全部当たってきました。ところが、この人たちに当たってみてびっくりしたのは、大分のここの問題の地域についてはほとんど知らない。ただ地図を見た、地図を見たら陸続きじゃないか――冗談じゃないよと言ったんだ。これは、別府と挾間の間は確かにこれは山の峰ですよ。ここにおるのは猿とウサギしかおりませんよ。だから、ウサギ道か猿道はありますよ。こんなことが全然わかってない。ですから、交通ですね、交通網、それから地形、さらに歴史的な経緯、経済的な関係、行政、こういうものが総合的に判断された決定ではないことはほとんどの人が認めている、知らないと言うんですから。
 ただ、三原さんは比較的にそこを詳しく知っておったです。だから、私どもの言い分についてはよくわかる、確かにそのとおりだ、しかしこれはもう率直に言って一存では決められぬ、こういうふうにまあ逃げているんですね。まるで、徳川幕府が領民や領主の意向を無視して、いわゆる報復的に領地がえをするようなもので、民主主義も地方自治もへったくれもあったものじゃない。こんなことが、良識の府の議長調停としてあり得るかと私は言うんです。それをなぜそうさせたか。今、選挙部長のお話を聞きますと、資料を提供して、そして考え方も伝えて、こう言っておる。何の資料を提供したんですか。これはウサギ道だという、猿がおりますけれども人間はおりませんということを言うたんだろうかどうか。こういう誤った判断をさせて、地方行政に責任を持つ省として、また公選法の担当省として、これは大臣、私はやっぱり責任は免れぬと思うんですよ。
 幸い、きょう議長なりこれらの人に会いますと、まだそれをどうするか、議長裁定は地域変更ということであって、中身をどうするかについてはまだ具体的に決めていないと、きょうの衆議院の公選特の理事会も十六日になって朝に看板を出すけれども、なお調整が残っておると。こういうことですから、少なくともこんな誤った方向だけは立法府の良識にあるだけにさせちゃならぬと私は思うんです。それが自治大臣の責務じゃないですか、担当大臣としていかがですか。
#156
○国務大臣(小沢一郎君) 先ほど申し上げましたように、また先生のお話にもありますように、これから議長見解に基づいて具体的な線引きの作業をすると聞いております。
 私の見解は先ほども申し上げましたように、そのように考えておりますし、また、自治省といたしまして、自治大臣といたしまして、具体的な立法の作業の過程で私の発言する機会があれば同じように見解は申し上げるつもりでございますし、また、これは個人的ないろいろなお話し合いの中で、話につきましても同じように私としては見解を申し上げて、この問題についてはそのように対処してまいるつもりであります。しかしながら、何といいましても、各党間の合意の中で、立法府においてそのような立法がなされるということになりますと、私としてはそれを拒否し、あるいはやめさせる有効な手だてはないのでございまして、私自身の見解としてはどのような席で、どのように意見を求められても、ただいま、先ほど申し上げたようにきちんと筋道は申し上げる決意でおります。
#157
○佐藤三吾君 ほかの人ならともかく、あなたは大臣になる前は事実上の議運委員長として六増六減をつくって、この定数の問題を手がけた人ですよ。そうして、今は担当大臣の自治大臣であり、こういう立場で、その議長の見解、議長の調停というものは権威があるべきだし、良識があるべきだし、それだけに今まさに誤った方向に、今言うようにほとんど知らないというのですから、現状を聞いてびっくりしたという状況なんですから。それにやっぱり手助けをするとか、今、選挙部長が言ったように、資料を提供するとか考え方を伝えるとかいうようなことではなくて、ここはきちっとしてもらわなきゃ困るという、その意見具申は私は当然やらなきゃいかぬと思うんです。
 ここでひとり言をぶつぶつ言っておるだけが能じゃないと思う。各省に当たって誤った方向だけはすべきじゃないと。これが私は国務大臣としても、あなたの議運委員長としてやってきた、定数問題を手がけた経緯からいってもぜひやってもらいたい。それをやらずして、私は言いましたけれども結果的にだめでした、と、こういう論理はまかり通らない。いかがですか。
#158
○国務大臣(小沢一郎君) この席は国会の地方行政委員会という公の席でございまして、私も公の責任を持って発言をいたしておるつもりであります。したがいまして、今後、自治大臣としてもまた議運委員長として前官礼遇が許されるとすれば、その立場に立ちましても私自身の考え方、見解は明確に担当の皆様に申し上げるつもりであります。
#159
○佐藤三吾君 もう一つつけ加えておきますが、もともとこの間違いの発想はどういう点かといいますと、今度ずっと回ってわかったことは、言うならば二区を何とか三名救済したい、そのために一区をとこか削り取らなければいかぬ。そういうときに大分郡の湯布院町が前々から二区だったわけです。ただ、湯平と合併したときに一区の方に編入された、こういう経緯があるものだから、したがって、湯布院がどうかということになったらしいんです。
 ところが、あそこの選挙区四人おります。自民党二人、社会党と民社が一人ずつおります。その自民党の皆さんが裏から行ってひっくり返したわけなんです。こうなるとこれは政略ですよ。そういうのが、だんだん今度当たってみると真相のようです。そんな政略をやって、そして地域の行政を混乱に陥れて、そして地理的にも経済的にも、道路網の面からいっても全然別のものをやる、こういうようなやり方を私は許すべきじゃないと思う。そしてまた、それは議長の権威にも、立法府の良識にも反する。こういう意味で、あなたが今言いましたきょう、あすです。もう二日間しかない。全力を挙げて良識を取り戻すように、立派な議長裁定になるようにぜひ努力してもらう、よろしいですか。
#160
○国務大臣(小沢一郎君) 各党の裏話でどういう形になったかは私は存じて……
#161
○佐藤三吾君 裏話じゃない、今表を回っておるわけだ。
#162
○国務大臣(小沢一郎君) 湯布院か挾間かということ、その点についてはわかりません。しかしながら、挾間にしろ湯布院にいたしましても、自治省の立場としては先ほど申し上げましたように、一町村だけを取り出すということは現行公選法上の原則からは好ましくないという考え方でございます。
 したがいまして、そういう意味において、私も担当の皆さんについては私どもの真意が理解していただけるようにお話をいたしたいと思います。
#163
○佐藤三吾君 まだ二分三十秒ほど残っていますが、大臣の熱意と決意ときょうあすの行動を期待して、私はこれでやめます。
#164
○委員長(増岡康治君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#165
○委員長(増岡康治君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
#166
○委員長(増岡康治君) 委員の異動について御報告をいたします。
 福田宏一石及び古賀雷四郎君が委員を辞任され、その補欠として曽根田郁夫君及び松岡満寿男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#167
○委員長(増岡康治君) これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#168
○志苫裕君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、反対の討論を行います。
 日本国憲法がかつての明治憲法と大きく異なるのは、「戦争の放棄」と「地方自治」の章が設けられたことであります。辻清明氏はその著書の中で、憲法は第九十二条以下の四カ条の規定を新設することによって、地方自治の原理を保障するだけではなく、逆に地方自治が憲法の原理を保障する関係にあることを身をもって証明した。言うならば、地方自治の原理は、憲法規範としての地位を持つに至ったと言ってよいとまで評価していることは御案内のとおりであり、私は、平和主義と民主主義の基盤こそ地方自治であると考えております。
 そして、この地方自治を具体的に担保するものこそ地方財政であり、その財政調整制度としての主たるものが地方交付税制度であります。交付税制度は、本来シャウプ勧告の趣旨にあるとおり、基準財政需要額、基準財政収入額という考え方を取り入れており、後者が前者に不足する額を完全に補てんするという考え方をとっており、地方財政平衡交付金制度から現行の交付税制度に移行してからもこの思想は厳然として生きており、地方財政計画も地方財政の財源不足額を把握するということにその意識があります。
 しかるに、近年、とりわけ昭和五十年度以降においては、巨額の財源不足が発生しながらも、交付税率の引き上げ等の適切な措置をとらず、交付税会計の借り入れや起債という財政調整機能を喪失させるがごとき手法がまかり通ってまいりました。そして、このような状態を脱却するため、我が党は交付税率の引き上げを主張したにもかかわらず、政府、自治省は、制度改正と強弁して昭和五十九年度に既往の借入金を国と地方で折半し、以後は借り入れは行わないとする交付税法の改正を行いました。
 しかし、その後の実態はどうでしょうか。六十年度においては、五千八百億円、六十一年度においては一兆一千七百億円もの財政転嫁が国庫補助支出金のカットという形で行われております。しかも、その有力な根拠が、六十年度、六十一年度の地方財政が収支均衡するとされていることであります。さまざまな事情を抱えた全国三千三百の自治体の収支見積もりが差し引きゼロになることが現実問題としてあり得るでしょうか。実態は、このような奇跡が二年も続いたのではなく、自治省が作為を加えて収支とんとんの奇跡をつくり出したのであります。第二臨調や行革審のいう地方財政計画における歳出を国に準じて抑制する方向で行われた歳出削減の結果なのであります。
 地方財政計画は、政府による財源保障の目安ではなくして、歳出削減の目安となり、地財計画は地方ではなくして国の、分権ではなくして集権のための計画に変質、堕落したと言えましょう。そして、交付税は、単年度の措置を見ても全体像が全くわからないほどに複雑化しております。
 高率補助負担金の一律引き下げによる自治体財政への転嫁は、一年限りの措置であったはずであります。一律という手法に政策理念の入り込む余地はなく、かつ生活保護のように特定地域に影響が大きくあらわれるといった不公平があります。一年限りという意味には、理不尽な自治体への負担転嫁を正すとともに、補助負担制度のあり方の見直しを含んでいたはずなのに、政府の検討はこの合意に全くこたえず、三年間という一律削減を継続して行う道を開いたばかりか、行きがけの駄賃のように、六十年度の倍額の負担転嫁を行うとは何ごとでありますか。しかも、行革審は、厚顔無恥にもさらなる補助率の見直しを初め、留保財源率の引き下げすら検討しております。
 さらに、六十年度においては地方財政は収支均衡といわれたが、結果は国税、地方税の落ち込みにより歳入に欠損が生じ、後年度精算と地方債の発行ということで欠損分がさらに地方の借金として残りました。六十一年度も収支均衡としていますが、円高や政府のデフレ放置予算によって経済成長率は二%にもいかないのではとも予測されております。地方財政は、四面楚歌の状況となり、憲法に定められた理念はまさに風化されていると言えましょう。
 加えて、地方自治法改正においては、国の代執行権を強め、国による自治体の管理、監督を強化しようとする職務執行命令訴訟制度の大改悪、行政サービスの切り下げを一方的に求める地方行革大綱の押しつけ、町村の合併の強要等、政府は地方自治の本旨にのっとり、その発展を図るどころか、地方自治を敵視するかのごとくの姿勢をとっております。
 日本社会党は、かかる姿勢に基づく地方交付税法改正に対して、真っ向から反対いたします。我が党は、地方自治の理念にのっとり、自立と連帯を保障し得る地方財政の確立を要求し、あくまでその実現を追及することを表明し、反対討論を終わります。
#169
○吉川芳男君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。
 本法律案は、昭和六十一年度分の地方交付税の総額について、国のたばこ消費税の税率の引き上げに伴う増収の相当額を加算すること、各自治体の地方財政運営が円滑に実施できるよう基準財政需要額の算定方法を改正すること、あわせて新産業都市の建設、首都圏等の整備のための財政上の特別措置を延長すること等を主な内容とするものであります。
 先般成立した昭和六十一年度の国の予算は、今日の厳しい財政状況に対処し、経費の節減、適正化を図る一方、国民生活の安定向上と内需の振興に必要な施策などを織り込み、また、歳入面では地方財政対策に必要な財源の確保を図りました。政府原案は、我が党が要請した国の予算と密接な関連を有し、また、その前提となっている地方財政対策の一環をなすものであることは申し上げるまでもありません。
 経済の構造的変革の時期を迎え、現在各地方団体においては、自主的、計画的なまちづくりに取り組み、円高不況対策などを含め地域社会の振興のため全力を尽くしております。したがいまして、新たな財政需要は増大しておりますが、反面、公債費は累増し、また、交付税特別会計の借入金なども巨額に達しております。将来にわたり地方財政の展望は容易ならざるものがありまして、一部にある地方財政余裕論など全く容認できないところであります。しかしながら、翻って国の財政を見ますると、これまた地方にまさる極めて困難な事情にあることも否定できません。この際、主張すべきことは主張しながら、節度ある対応が必要となっております。
 政府原案は、国、地方を覆う厳しい財政状況に配慮しながら、当面する課題に対処し、地方行政の円滑な実施を果たすため所要の措置を講じようとするもので、昭和六十一年度の措置としては妥当なものと考えるのであります。
 政府においては、既に税制の抜本的改革を決意されておりますが、その検討に当たりましては、地方交付税制度の安定充実に真剣に取り組んでいただくことを要望し、賛成の討論を終わります。
#170
○中野明君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
 本法律案は、さきに審議した補助金等臨時特例法案と機を一にし、国庫補助負担率の削減を前提とした地方財政対策を裏づけるものであります。国庫補助負担率削減の問題点はこれまでも国会の論議を通じてしばしば主張してきたところでありますが、ここに重ねて明らかにし、本法律案に対する反対の理一由といたします。
 第一は、六十一年度の地方財政対策が、昨年度に引き続き、国庫補助負担率を一方的に削減し、地方財政への負担転嫁を容認しているのであります。昨年の審議の際、財政当局はこうした措置が単年度限りであることを再三明言してきたのでありますが、その約束を放てきしたばかりか、地方に対する影響額が昨年度の五千八百億円の倍の一兆一千七百億円に相当する削減を押しつけたのであります。しかも、国庫補助負担率の削減措置は単年度から三年度間に延長されております。しかし、この三年間は暫定措置と説明されておりますが、三年後に終了できるような財政的準備をしている形跡は見られず、むしろ、地方交付税率の引き下げや留保財源率の引き下げなど地方財政に対するしわ寄せを強めようとする意図が感じられるのであります。
 第二は、この一年間、国庫補助負担率のあり方を検討するため関係閣僚会議の下に補助金問題検討会を設置いたしました。国庫補助負担率の削減は、その報告に沿って行われたのであります。しかし、同検討会の検討は、関係省庁の意見を代弁したにすぎず、主体的な検討をしたとは思えないのであります。当該事務事業に対する責任の所在や財源配分のあり方など根本にわたった検討を怠り、国の財政の都合だけを優先した大蔵省の削減方針を予算編成の直前に追認しただけのものであります。
 第三に、生活保護の負担率のあり方について同検討会は意見をまとめることができず、両論併記となりました。こうした場合、本来の十分の八の負担率に戻すべきでありますが、理由のない十分の七を継続することとし、国の責任を果たそうとしておりません。
 また、こうした負担率削減による影響に対しては財政上の補てん措置を万全にし、地域住民への支給基準等迷惑を及ぼさないとしてきたのであります。しかし現実には、この一年間の生活保護者数の減少となってあらわれており、弱者に対するしわ寄せがなされざるを得なかったことを示しております。
 第四に、経常経費系統の削減分を補てんするため、税調の論議を無視して突然たばこ消費税の税率を引き上げました。これもまた住民に対する負担転嫁であります。
 また、残る削減部分についても、投資的経費の基準財政需要額を圧縮した分で補てんし、投資的経費に大量の地方債を充当する操作を行っておりますが、経常経費のために地方債を充当するという考え方は、赤字地方債の発行を禁じている地方財政法第五条の精神に反するものであります。
 第五に、これまでの地方債残高が高まっているところに大量の地方債が発行されることになりましたが、既に地方公共団体の公債費負担比率は上昇しており、五十九年度では、危険ラインとされる二〇%以上の団体が一千三十三団体に達していると伝えられるところであります。国庫補助負担率は少なくとも三年間継続されることとなっておりますので、今後も地方債の増発が予想されるところであります。給与関係費の増高とあわせ、地方財政の硬直化が進むのではないかと心配されるのであります。
 最後に、地方公共団体は現在地方行革に真剣に取り組んでおります。しかし、地方の努力の成果がこうした国庫補助負担の地方転嫁に向けられることになっては地方の意欲をそぐことになるとともに、また、地域住民の理解が得られないことは明らかであります。このことを警告して、反対の討論といたします。
#171
○神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、引き続き臨調行革路線を基調とした六十一年度の地方財政対策により、地方財源不足が意図的に圧縮され、その結果、地方交付税の総額が抑制されていることであります。
 六十一年度の地方財政対策は、国庫補助負担金の一括削減の受け入れを前提とし、それがなければ地方財政の収支は均衡するとされました。
 しかし、これは住民の行政需要とは関係なく、国の財政事情を優先して、国に準じて給与関係費や国庫補助事業など地方の行政需要を低く抑える一方、住民税減税の見送りや手数料、使用料の大幅引き上げなど、住民負担の増大により殊さら地方財源不足を圧縮したことによるものにほかなりません。そして、このようにしてつくられた収支均衡があたかも国と対比して地方財政に余裕があるかのように見られ、交付税総額の抑制、さらに昨年に引き続く国庫補助負担金一括カットの条件づくりとなっていることは重大な問題であります。
 反対理由の第二は、国庫補助負担金の一括カットによる一兆千七百億円もの地方負担増の穴埋めを交付税の増額ではなくほとんど地方債の増発によって行い、結果として将来の交付税の先食いを行っていることであります。
 政府によるこのような石油ショック以来の借金押しつけの地財対策は年々交付税の真の姿をゆがめ、既に六十一年度の実質交付税率は、交付税特会借入金利子の天引き、これまでの財源対策債等の元利償還費の交付税算入、さらに今回の補助金カットによる臨時財政特例債、調整債の利子償還の交付税算入を差し引くと、わずか二六・一%となっているのであります。
 さらに、数年後には交付税特会借入金の元金償還も始まり、将来の交付税の実質総額の確保にとって大きな障害となる結果となっており、交付税制度そのものが危機的状態に陥っていることを指摘せざるを得ません。
 反対理由の第三は、このような地方への負担転嫁と借金押しつけ政策が、地方自治体の財政運営をますます困難にし、住民への犠牲を一層強めることになるからであります。
 六十一年度末の交付税特会借入金残高、地方債残高を合わせた地方の借金は五十八兆八千億円に上り、公債費負担比率二〇%以上の団体は千三十三団体、全体の三一・三%に上っています。このため財政硬直化の度合いを示す経常収支比率も年年悪化しています。
 さらに、二年連続の補助金カットがこのような事態に拍車をかけ、六十一年度の地方自治体当初予算では、地方債の増発にとどまらず、財政調整基金等積立金の一斉取り崩し、使用料、手数料の大幅引き上げ、地方単独施策の切り捨て等の特徴が明白にあらわれているのであります。
 反対理由の第四は、新産・工特財特法は、その実績から見て生活基盤より大企業産業基盤づくりが重点となっており、延長には反対であります。
 以上が反対の理由でありますが、今日ほど地方自治を守り発展をさせるために地方の財源保障と拡充が求められているときはありません。国庫補助負担金の一括削減をやめ直ちにもとに戻すこと、国の機関委任事務の原則廃止など財源と事務権限の民主的再配分を行うこと、実質的な地方交付税率の引き下げ状態をもとに回復させるとともに、交付税率の引き上げなどにより必要な地方交付税総額を確保すること、大企業優遇税制など不公平税制を改革し、地方財源を拡充することが必要であり、これらの道こそ住民本位の地方自治発展につながるものであり、政府に速やかな実施を求めて、私の反対討論を終わります。
#172
○井上計君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、今回の法改正の中心が国の補助率カットに伴う地方財政対策に置かれているということであります。
 政府は、昨年度の高率補助金の原則一割カットに引き続き、今年度は補助率カットの対象を拡大し、期間も三年間の暫定措置として補助率のカットを強行いたしました。これは、国が本来一般会計で負担すべきものを地方財政の負担に転嫁するものであって、それは国の財政政策の失敗を地方財政にしわ寄せするものであり、極めて遺憾であります。今回の法改正は、かかる国の補助率カットを前提として地方財政上の補てんを図る内容のものとなっているのであります。
 第二は、地方交付税が国の財政政策の手段として利用される性格を強めつっあることであります。
 言うまでもなく、地方交付税は地方団体固有の一般財源であり、それは地方自治体の自主的な施策に充てられるべきであります。国の補助金についても、地方に同化定着しているものを中心に整理縮小し、地方交付税などの地方一般財源に振りかえるべきであります。国の補助金カットの補てんとして地方交付税措置が講じられるということは、地方交付税の国庫補助金的傾向を強め、それだけ地方独自の施策の展開を狭めてしまうことになります。
 第三は、たばこ消費税の増税という形で国民にも負担を転嫁していることであります。
 政府は、今回の補助率カットに対応し、国のたばこ消費税を増税し、その増収分一千二百億円を地方交付税に特例加算する措置を講じました。
 行財政改革の趣旨に沿った補助金の整理合理化を行わず、補助率カットという形で、負担を地方のみならず、国民にも転嫁することは言語道断であり、我々はこれを断じて認めるわけにはいかないのであります。
 第四は、地方交付税特別会計の借入金の償還を六十六年以降に先送りしたままで、利子負担を毎年減額し続けなければならないということになっていることであります。地方財政に仮にゆとりがあるとするなら、借入金の元本の償還を早め、地方財政の負担を少しでも軽減すべきであります。
 その他、補助率カットに伴う来年度以降の措置が不明瞭なことなど、今回の改正には多くの問題があります。
 私は、政府に対し、今回の措置に対する強い反省を求めるとともに、地方財政健全化のための抜本的改革を行うことを求めて、討論を終わります。
#173
○委員長(増岡康治君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#174
○委員長(増岡康治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#175
○委員長(増岡康治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、佐藤君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤君。
#176
○佐藤三吾君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
     地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、左の事項について善処すべきである。
 一、地方財政の自立化、健全化を図るため、税制の抜本的見直しに当たっては、地方税源の強化、地方交付税対象税目の拡大等による地方交付税制度の安定充実に努めること。
 二、国庫補助金等の整理合理化に当たっては、国の行政責任を明確にし、一般財源化の際は、地方税源の確保等による十分な財源措置を講ずるとともに超過負担についても引き続きその解消に努めること。
 三、地方財政の厳しい現状にかんがみ、国の財政の都合のみによって、地方交付税率の引下げ、義務教育費国庫負担率の引下げ等国・地方間の財源配分の基本に係る変更は行わないこと。
   なお、地方公共団体に対する国庫補助負担金については、地方財政法の規定に基づき、予算科目上その区分の明確化に努めること。
 四、国庫補助金等に係る特例措置は三年間の暫定措置であることにかんがみ、六十二年度以隆も地方の行財政改革運営に支障が生じないよう万全の措置を講ずるとともに、具体的な措置内容を予算編成時ごとに明示すること。
 五、基準財政需要額については、公債費比率の上昇、一般行政費の増大等に適切に対処できるよう、その算定の適正化を図り、特例措置に伴い発行する調整債の元利の償還については、その発行の経緯にかんがみ、基準財政需要額に適切に算入すること。
 六、共済年金の公的負担の繰り延べについては、返済計画を策定するとともに、速やかに返済すること。
 七、退職者医療制度の加入者等の見込み違いによる市町村国民健康保険事業会計の負担の増加額については、国の責任において補てんし、国保財政の確立を図ること。
 八、消防職員の確保に努めるとともに、職員の勤務条件の改善、公務災害の防止、消防施設安全基準の適正化等消防職員の勤務環境の向上に特段の配慮を払うこと。
 九、公営交通特に中小交通事業の交通環境の整備を促進するとともに、地方公営企業と一般会計との負担区分の適正化等を推進し、その経営基盤の強化を図ること。
 十、地方公共団体が実施する行政改革の推進に当たっては、その内主性を尊重するとともに、地方六団体の意見を尊重し、機関委任事務の廃止等地方の行政改革の障害となっている事項の解消に努めること。
 十一、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための財政上の特別措置その他地域開発のための各種対策措置については、その実効性を確保するため、公共事業の配分等について配慮すること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ満場一致御賛同いただきますようお願い申し上げます。
#177
○委員長(増岡康治君) ただいま佐藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#178
○委員長(増岡康治君) 多数と認めます。よって、佐藤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、小沢自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小沢自治大臣。
#179
○国務大臣(小沢一郎君) ただいま決議されました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重して善処してまいりたいと存じます。
#180
○委員長(増岡康治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#181
○委員長(増岡康治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#182
○委員長(増岡康治君) 次に、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。小沢国家公安委員会委員長。
#183
○国務大臣(小沢一郎君) ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
 この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路交通に起因する障害の防止に資するため、新たに時間制限駐車区間に関する制度を設けるほか、違法駐車車両に対する標章の取りつけ措置及び指定車両移動保管機関制度を導入し、駐車に関する規定を整備するとともに、道路使用適正化センターの指定に関する制度を新設し、あわせて、罰金の額及び反則金の限度額を引き上げ、並びに反則通告制度の適用範囲を拡大すること等をその内容としております。
 以下、各項目ごとにその概要を説明いたします。
 まず第一に、駐車に関する規定等の整備であります。
 これは、最近の都市部における駐車問題の深刻化にかんがみ、時間制限駐車区間に関する制度を新設するとともに、駐車違反車両に適正に対処する措置を講じ、あわせて、駐車に関する相談、照会等に関する業務を有効に行おうとするものであります。
 その一は、公安委員会は、時間を制限して駐車できる区間を指定して、従来のパーキングメーターのほか、パーキングチケット発給設備を設置、管理することができることとし、その区間において駐車する場合は車両にパーキングチケットを掲示しなければならないこととする等、その区間における駐車の方法等について定めるものであります。
 その二は、違法駐車車両に対する措置として、現場に当該車両の運転者等がいないときは、違法駐車車両を移動させるべき旨及び移動した場合は警察官等または警察署長にその事実を申告すべき旨を記載した標章を車両に取りつけることができることとし、あわせて、これを破損し、汚損し、または取り除いてはならないこととするものであります。
 その三は、違法駐車車両の移動保管を効果的に行うため、警察署長の行うこれらの事務の全部または一部を指定法人に行わせることができることとするものであります。
 その四は、駐車及び道路の使用等に関する相談、照会及び広報活動等の事業を行うものとして全国及び都道府県ごとに道路使用適正化センターを指定することとするものであります。
 第二に、罰金の額及び反則金の限度額を、それぞれおおむね二倍に引き上げることとするものであります。
 第三に、速度超過について反則行為とされる範囲を拡大する等、反則通告制度の適用範囲を一定の範囲で拡大しようとするものであります。
 その他本法の改正に伴う所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律の施行日は、昭和六十二年四月一日としております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同を賜らんことをお願いいたします。
#184
○委員長(増岡康治君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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