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1985/04/02 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 内閣委員会 第2号
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1985/04/02 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 内閣委員会 第2号

#1
第104回国会 内閣委員会 第2号
昭和六十一年四月二日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月六日
    辞任         補欠選任
     内藤  功君     神谷信之助君
     柳澤 錬造君     伊藤 郁男君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     神谷信之助君     内藤  功君
     伊藤 郁男君     柳澤 錬造君
 三月十八日
    辞任         補欠選任
     内藤  功君     小笠原貞子君
 三月十九日
    辞任         補欠選任
     鈴木 省吾君     加藤 武徳君
     小笠原貞子君     内藤  功君
     柳澤 錬造君     伊藤 郁男君
 三月二十日
    辞任         補欠選任
     加藤 武徳君     鈴木 省吾君
     穐山  篤君    目黒今朝次郎君
     太田 淳夫君     桑名 義治君
     内藤  功君     小笠原貞子君
     伊藤 郁男君     柳澤 錬造君
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
    目黒今朝次郎君     穐山  篤君
     小笠原貞子君     内藤  功君
 三月二十四日
    辞任         補欠選任
     鈴木 省吾君     志村 愛子君
     桑名 義治君     太田 淳夫君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     志村 愛子君     亀井 久興君
     板垣  正君     後藤 正夫君
     太田 淳夫君     高木健太郎君
     内藤  功君     神谷信之助君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     亀井 久興君     鈴木 省吾君
     神谷信之助君     内藤  功君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     高木健太郎君     太田 淳夫君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     後藤 正夫君     板垣  正君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     柳澤 錬造君     中村 鋭一君
 四月二日
    辞任         補欠選任
     中村 鋭一君     田渕 哲也君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀長 友義君
    理 事
                曽根田郁夫君
                村上 正邦君
                野田  哲君
    委 員
                板垣  正君
                源田  実君
                沢田 一精君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                穐山  篤君
                太田 淳夫君
                内藤  功君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  江崎 真澄君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  加藤 紘一君
        ―――――
       会計検査院長   大久保 孟君
        ―――――
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房会計課長   中嶋 計廣君
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   的場 順三君
       人事院総裁    内海  倫君
       人事院事務総局
       管理局長     網谷 重男君
       人事院事務総局
       給与局長     鹿兒島重治君
       人事院事務総局
       職員局長     中島 忠能君
       内閣総理大臣官
       房審議官     田中 宏樹君
       宮内庁次長    山本  悟君
       皇室経済主管   勝山  亮君
       総務庁長官官房
       長        藤江 弘一君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   本多 秀司君
       総務庁長官官房
       会計課長     塩路 耕次君
       総務庁長官官房
       交通安全対策室
       長        矢部 昭治君
       総務庁人事局長  手塚 康夫君
       総務庁行政管理
       局長      古橋 源六郎君
       総務庁行政監察
       局長       竹村  晟君
       総務庁統計局長  北山 直樹君
       青少年対策本部
       次長       倉地 克次君
       北方対策本部審
       議官       稲橋 一正君
       防衛庁参事官   瀬木 博基君
       防衛庁参事官   古川 武温君
       防衛庁参事官   千秋  健君
       防衛庁長官官房
       長        宍倉 宗夫君
       防衛庁防衛局長  西廣 整輝君
       防衛庁教育訓練
       局長       大高 時男君
       防衛庁人事局長  友藤 一隆君
       防衛庁経理局長  池田 久克君
       防衛庁装備局長  山田 勝久君
       防衛施設庁長官  佐々 淳行君
       防衛施設庁総務
       部長       平   晃君
       防衛施設庁施設
       部長       宇都 信義君
       防衛施設庁建設
       部長       大原 舜世君
       防衛施設庁労務
       部長       岩見 秀男君
       外務大臣官房審
       議官       福田  博君
       大蔵省主計局次
       長        角谷 正彦君
   事務局側
       事 務 総 長  加藤木理勝君
       常任委員会専門
       員        林  利雄君
   衆議院事務局側
       事 務 総 長  弥富啓之助君
   裁判官弾劾裁判所事務局側
       事 務 局 長  金村 博晴君
   裁判官訴追委員会事務局側
       事 務 局 長  龍前 三郎君
   国立国会図書館側
       館     長  荒尾 正浩君
       副  館  長  高橋徳太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和六十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)、昭和六十一年度特別会計予算(内閣提
 出、衆議院送付)、昭和六十一年度政府関係機
 関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所
 管及び総理府所管(総理本府、日本学術会議、
 宮内庁、総務庁(北方対策本部を除く)、防衛本
 庁、防衛施設庁))
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨四月一日、柳澤錬造君が委員を辞任され、その補欠として中村鋭一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(亀長友義君) 去る三月二十八日、予算委員会から、四月二日一日間、昭和六十一年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁、防衛本庁、防衛施設庁について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題とし、順次予算の説明を聴取いたします。
 まず、皇室費について政府委員から説明を求めます。山本宮内庁次長。
#4
○政府委員(山本悟君) 昭和六十一年度における皇室費の歳出予算についてその概要を御説明いたします。
 皇室費の昭和六十一年度における歳出予算要求額は二十九億八千五百五十一万八千円でありまして、これを前年度予算額二十九億五千九百二十六万六千円に比較いたしますと二千六百二十五万二千円の増加となっております。
 皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。
 以下、予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億五千七百万円、宮廷に必要な経費二十五億一千五百八十八万二千円、皇族に必要な経費二億一千二百六十三万六千円であります。
 次に、その概要を御説明いたします。
 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。
 宮廷に必要な経費は内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三億八千七百八十二万四千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十一億二千八百五万八千円でありまして、前年度に比較して二千四百六十万円の増加となっております。
 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して百六十五万二千円の増加となっております。これは憲仁親王第一子の御誕生を見込んだものであります。一
 以上をもちまして、昭和六十一年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。
 よろしく御審議くださるようお願いいたします。
#5
○委員長(亀長友義君) 次に、国会所管のうち衆議院関係予算の説明を求めます。弥富衆議院事務総長。
#6
○衆議院事務総長(弥富啓之助君) 昭和六十一年度衆議院関係歳出予算について御説明を申し上げます。
 昭和六十一年度国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は四百三十一億八千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと十八億九千三百万円余の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げますと、第一は国会の運営に必要な経費でございまして、四百二十億七千万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でありまして、前年度に比し十七億六百万円余の増加となっておりますが、その主なものは、立法事務費を月額六十万円から六十五万円に増額計上したこと、招聘外国人滞在費の増額、議員秘書の勤続特別手当の改善及び二十五年以上の長期勤続秘書に対する永年勤続特別手当の新設のほか、昨年における給与改定に伴う議員歳費並びに議員秘書及び職員の人件費等の増加によるものでございます。
 第二は、本院の施設整備に必要な経費といたしまして、十一億五百万円余を計上いたしております。これは議員会館その他庁舎の諸整備に要する経費でございます。
 また、国会周辺等整備に必要な土地購入費は、引き続き一億円計上することといたしております。
 第三は、国会予備金に必要な経費といたしまして、前年度同額の七百万円を計上いたしております。
 以上簡単でございますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#7
○委員長(亀長友義君) 次に、参議院関係予算の説明を求めます。加藤木参議院事務総長。
#8
○事務総長(加藤木理勝君) 昭和六十一年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和六十一年度国会所管参議院関係の歳出予算要求額は二百五十三億九千二百万円余でございまして、これを前年度予算額と比較いたしますと約八億二百万円の増加となっております。
 次に、その概略を御説明申し上げます。
 第一は、国会の運営に必要な経費でございまして、二百四十五億六千百万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費でございまして、前年度に比しまして約十二億五千四百万円の増加になっております。これは主として、第十四回参議院議員通常選挙に伴う改選関係経費の計上、立法事務費の月額六十万円から六十五万円への増額、招聘外国人滞在費の増額、議員秘書の勤続特別手当の改善及び二十五年以上の長期勤続秘書に対する永年勤続特別手当の新設のほか、昨年における給与改定に伴う議員歳費並びに議員秘書及び職員の人件費の増加等によるものでございます。
 第二は、参議院の施設整備に必要な経費でございまして、八億二千六百万円余を計上いたしております。これは本館その他庁舎等の整備に要する経費でございます。
 第三は、国会予備金に必要な経費でございまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。
 以上簡単でございますが、参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
#9
○委員長(亀長友義君) 次に、国立国会図書館関係予算の説明を求めます。荒尾国立国会図書館長。
#10
○国立国会図書館長(荒尾正浩君) 昭和六十一年度国立国会図書館歳田予算について御説明申し上げます。
 昭和六十一年度国会所管国立国会図書館関係の歳出予算要求額は百四十九億七千八百万円余でありまして、これを前年度予算額百四十七億三千四百万円余と比較いたしますと二億四千三百万円余の増額となっております。
 要求額の主なものについてその概略を御説明申し上げます。
 第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は九十八億七千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと十七億六千九百万円余の増額となっております。
 増額の主なものは、職員の給与等に関する経費、納入出版物代償交付金、図書館業務の機械化に伴う経費でございます。
 また、新規要求といたしまして、昭和六十一年五月末に地下五階から同八階までの書庫を除いて完成する新館の運営経費、資料保存対策に必要な経費、ポルトガル等における日本関係資料の調査に必要な経費、国際図書館連盟東京大会等に必要な経費を要求いたしております。
 第二は、科学技術関係資料購入に必要な経費でありまして、要求額は前年度と同額の五億一千七百万円余であります。
 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、新館の新営、本館の改修及びその他庁舎の整備に必要な経費四十五億八千七百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと十五億二千五百万円余の減額となっております。
 なお、本館改修に関しましては、昭和六十一年度を初年度とする二カ年の国庫債務負担行為八億七千四百万円余を要求いたしております。
 以上簡単でありますが、国立国会図書館歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#11
○委員長(亀長友義君) 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を求めます。龍前裁判官訴追委員会事務局長。
#12
○裁判官訴追委員会参事(龍前三郎君) 昭和六十一年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和六十一年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は九千八百六十九万二千円でありまして、これを前年度予算額九千三百四万円に比較いたしますと五百六十五万二千円の増加となっております。
 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは職員給与関係経費の増加によるものであります。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#13
○委員長(亀長友義君) 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を求めます。金村裁判官弾劾裁判所事務局長。
#14
○裁判官弾劾裁判所参事(金村博晴君) 昭和六十一年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。
 昭和六十一年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は八千七百二十万五千円でありまして、これを前年度予算額八千六百三万六千円に比較いたしますと百十六万九千円の増加となっております。
 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、裁判員の旅費、事務局職員の給与に関する経費その他の経常事務費及び裁判官弾劾法に基づく裁判に必要な事務費でありまして、前年度に比し増加となっておりますのは職員給与関係経費の増加によるものであります。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#15
○委員長(亀長友義君) 次に、会計検査院所管の予算の説明を求めます。大久保会計検査院長。
#16
○会計検査院長(大久保孟君) 昭和六十一年度会計検査院所管の歳出予算案について御説明いたします。
 会計検査院の昭和六十一年度予定経費要求額は百五億四千八百六十三万七千円でありまして、これは日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく、本院の一般事務処理及び検査業務を行うために必要な経費であります。
 今、要求額の主なものについて申し上げますと、人件費として九十四億七千八十四万九千円を計上いたしましたが、これは総額の九〇%に当たっております。これらのうちには、会計検査の充実を図るため一般職員十一名を増置する経費も含まれております。
 旅費として六億二千四百六十七万七千円を計上いたしましたが、このうち主なものは、会計実地検査旅費が六億三百五十一万二千円、外国旅費が千二百三十九万八千円であります。
 施設整備費として二千四十二万三千円を計上いたしましたが、これは庁舎本館書庫棟窓枠改修工事費であります。
 その他の経費として四億三千二百六十八万八千円を計上いたしましたが、これらのうちには、検査の円滑な実施を図るための会計検査活動費五千二十万四千円、検査業務の効率化を図るための会計検査情報処理業務庁費四千六百十七万四千円及び電子計算機等借料五千三百八万二千円並びに新たな検査手法開発のための経費八百二十九万六千円が含まれております。
 次に、ただいま申し上げました昭和六十一年度予定経費要求額百五億四千八百六十三万七千円を前年度予算額百億二千二百五十二万円に比較いたしますと五億二千六百十一万七千円の増加となっておりますが、これは人件費において五億二千三百十七万六千円、検査業務に必要な経費において千五百二十二万八千円増加したことなどによるものでございます。
 以上甚だ簡単でありますが、本院の昭和六十一年度予定経費要求額の概要を御説明いたしました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#17
○委員長(亀長友義君) 次に、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁関係予算の説明を求めます。後藤田官房長官。
#18
○国務大臣(後藤田正晴君) 昭和六十一年度における内閣及び総理府所管の歳出予算要求額についてその概要を御説明いたします。
 内閣所管の昭和六十一年度における歳出予算要求額は百十六億四千五百万円でありまして、これを前年度歳出予算額百八億三千八百万円に比較いたしますと八億七百万円の増額となっております。
 以下順を追って申し上げますと、内閣官房に必要な経費五十億七千八百万円、内閣法制局に必要な経費六億一千三百万円、人事院に必要な経費五十九億一千四百万円、国防会議に必要な経費四千万円であります。
 次に、総理府所管の昭和六十一年度における歳出予算要求額は六兆八千三百四十九億七千三百万円でありまして、これを前年度歳出予算額六兆六千七百四十四億六千八百万円に比較いたしますと一千六百五億五百万円の増額となっております。
 このうち、当委員会において御審議を願っております総理本府、日本学術会議、宮内庁及び総務庁の歳出予算要求額は一兆七千七百三十五億六千四百万円でありまして、これを前年度歳出予算額一兆八千百八十七億七千六百万円に比較いたしますと四百五十二億一千二百万円の減額となっております。
 以下順を追って申し上げますと、総理本府に必要な経費百九十七億六千五百万円、日本学術会議に必要な経費八億六千三百万円、宮内庁に必要な経費七十七億五千四百万円、総務庁に必要な経費一兆七千四百五十一億八千二百万円であります。
 次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。
 総理本府に必要な経費は、政府広報、栄典関係及び婦人問題の総合推進等のための経費でありまして、前年度に比較して二億四千七百万円の減額となっております。
 日本学術会議に必要な経費は、科学に関する重要事項の審議、内外の研究、連絡、調査と国際共同事業の協力に関する業務等に必要な経費でありまして、前年度に比較して二千五百万円の減額となっております。
 宮内庁に必要な経費は、皇室の公的御活動、皇室用財産の維持管理に附帯して必要となる経費等でありまして、前年度に比較して二億五千三百万円の増額となっております。
 総務庁に必要な経費は、総務庁一般行政、恩給の支給、統計調査等のための経費でありまして、前年度に比較して四百五十一億九千三百万円の減額となっております。
 また、以上のほか国庫債務負担行為として総務庁において二百万円を計上いたしております。
 以上をもって、昭和六十一年度内閣及び総理府所管の歳出予算要求額の概要の説明を終わります。
 よろしく御審議くださるようお願いを申し上げます。
#19
○委員長(亀長友義君) 次に、総理府所管のうち防衛本庁、防衛施設庁関係予算の説明を求めます。加藤防衛庁長官。
#20
○国務大臣(加藤紘一君) 昭和六十一年度防衛庁予算についてその概要を御説明いたします。
 昭和六十一年度の防衛庁歳出予算額は、防衛本庁三兆百五十一億一千万円、防衛施設庁三千二百八十二億八千五百万円、総額三兆三千四百三十二億九千五百万円で、対前年度二千六十三億七千九百万円の増加となっております。この防衛庁予算に国防会議予算を加えた昭和六十一年度の防衛関係費は三兆三千四百三十五億四千九百万円となり、対前年度二千六十四億百万円、六・五八パーセントの増加となっております。また、艦艇建造のため、新規継続費は一千三百三十五億八千八百万円、武器、航空機購入、艦船建造等のため、国庫債務負担行為は一兆一千四百七十三億八千七百万円となっております。
 昭和六十一年度予算は、厳しい財政事情のもと、国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標とする中期防衛力整備計画の着実な実施に努めることとし、正面と後方のバランスに配意しつつ、装備の更新近代化、継戦能力、即応態勢、抗堪性の向上、練度の維持向上、隊員の処遇改善、基地周辺対策及び提供施設整備の推進等に重点を置いて必要最小限の経費を計上したものであります。
 詳細につきましては経理局長より説明させます。
#21
○政府委員(池田久克君) 昭和六十一年度防衛庁予算についてその概要を御説明いたします。
 まず防衛本庁について申し上げます。
 昭和六十一年度の防衛本庁の歳出予算額は三兆百五十一億一千万円で、前年度の当初予算額に比べて二千四億五千百万円の増加となっております。
 次に、新規継続費は、昭和六十一年度甲型警備艦建造費等で一千三百三十五億八千八百万円、国庫債務負担行為は、武器購入、航空機購入、艦船建造、装備品等整備等で一兆一千四百七十三億八千七百万円となっております。
 次に、防衛本庁の予算の内容について申し上げます。
 昭和六十一年度予算は、厳しい財政事情のもと、国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標とする中期防衛力整備計画の着実な実施に努めることとし、正面と後方のバランスに配意しつつ、装備の更新近代化、継戦能力、即応態勢、抗堪性の向上、要員の確保、練度の維持向上、隊員の処遇改善等に重点を置いて、必要最小限の経費を計上したものであります。
 特に重点を置いた事項について申し上げると次のとおりであります。
 第一に、陸上装備、航空機、艦船等の主要装備については、更新近代化を中心としてその整備を進めることとし、特に対潜哨戒機P3C、要撃戦闘機F15及び地対空誘導弾ペトリオットの調達を行うこととしております。
 第二に、防衛力を効果的に発揮させるため、弾薬の備蓄、魚雷・機雷の管理運用態勢の改善を始めとする継戦能力・即応態勢の着実な充実に努め、航空機用掩体の建設等抗堪性の向上のための諸施策を引き続き進めるとともに、防衛力の維持運営に最小限必要とする要員を確保することとしております。
 第三に、練度の維持向上を図るため、油購入費、修理費、教育訓練経費等について、所要の経費を計上しております。
 第四に、隊員施策については、曹クラスの二段ベッド、老朽木造の九・五坪宿舎の段階的解消等を図ることとしております。
 第五に、研究開発を推進し、防衛力の質的水準の維持向上に努めるため、引き続き新戦車等の研究開発を実施するとともに、新たに、艦・空対艦誘導弾、格闘戦用ミサイル等の研究開発に着手することとしております。
 以下、機関別の主な内容について申し上げます。
 陸上自衛隊の歳出予算額は一兆二千四百九十五億一千七百万円、国庫債務負担行為は二千五百二十七億七千三百万円となっております。
 陸上装備については、七四式戦車五十六両、七三式装甲車二十三両、二百三ミリ自走りゅう弾砲十二門、百五十五ミリりゅう弾砲FH70四十三門等の調達を予定しております。
 地対空誘導弾については、〇・五個高射特科群の改良ホークの改善を予定するとともに、八一式短距離地対空誘導弾八セット等の調達を予定しております。
 航空機については、対戦車ヘリコプター八機、観測ヘリコプター十二機、多用途ヘリコプター五機、輸送ヘリコプター四機、合わせて二十九機の調達を予定しております。
 また、予備自衛官の員数を一千人増加することとしております。
 海上自衛隊の歳出予算額は七千九百三十二億八千六百万円、新規継続費は一千三百三十五億八千八百万円、国庫債務負担行為は三千二百六十一億八千五百万円となっております。
 艦艇については、護衛艦三千四百トン型一隻、一千九百トン型二隻、潜水艦二千四百トン型一隻、掃海艇四百四十トン型二隻、輸送艇四百二十トン型一隻、訓練支援艦二千二百トン型一隻、合わせて八隻の建造に着手することとしております。
 航空機については、対潜哨戒機十機、救難飛行艇一機、初級操縦練習機一機、計器飛行練習機一機、対潜ヘリコプター十二機、掃海ヘリコプター四機、合わせて三十機の調達を予定しております。
 また、自衛官の定数については、艦艇、航空機の就役等に伴い三百五十二人の増加を図ることとしております。
 航空自衛隊の歳出予算額は八千七百五億六千万円、国庫債務負担行為は五千二百五億五千七百万円となっております。
 航空機については、要撃戦闘機十二機、輸送機二機、中等練習機十二機、輸送ヘリコプター三機、救難ヘリコプター四機、合わせて三十三機の調達を予定しております。
 地対空誘導弾については、ペトリオット一個高射群分、八一式短距離地対空誘導弾四セット等の調達を予定しております。
 また、自衛官の定数については、航空機の就役等に伴い二百三十一人の増加を図ることとし、新たに予備自衛官三百人の員数化を行うこととしております。
 内部部局、統合幕僚会議及び施設等機関等の歳出予算額は一千十七億四千七百万円、国庫債務負担行為は四百七十八億七千百万円となっております。これは各種装備品等の研究開発費、その他各機関の維持運営に必要な経費であります。
 また、統合幕僚会議における自衛官の定数については、中央指揮所の管理運用態勢の強化のため二十二人の増加を図ることとしております。
 以上のうち、昭和五十一年十一月五日に閣議決定された「防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」に基づき、国防会議に諮り決定されたものは、七四式戦車等主要陸上装備の調達、地対空誘導弾ホークの改善、ペトリオット及び八一式短距離地対空誘導弾の調達、対戦車ヘリコプター、輸送ヘリコプター、掃海ヘリコプター、対潜哨戒機、要撃戦闘機等航空機八十五機の調達及び護衛艦三千四百トン型等艦艇七隻の建造のほか、自衛官の定数及び予備自衛官の員数の変更であります。
 続いて、防衛施設庁について申し上げます。
 昭和六十一年度の防衛施設庁の歳出予算額は三千二百八十二億八千五百万円で、前年度の当初予算額に比べて五十九億二千八百万円の増加となっております。
 また、国庫債務負担行為は、提供施設整備及び提供施設移設整備で六百二十三億七千三百万円となっております。
 次に、防衛施設庁の予算の内容について申し上げます。
 昭和六十一年度予算において、特に重点を置いた事項は次のとおりであります。
 第一に、基地周辺対策事業については、住宅防音工事の助成に重点を置き、基地周辺地域の生活環境の整備等を図ることとしております。
 第二に、在日米軍駐留経費の負担については、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、特に提供施設の整備に重点を置いて推進することとしております。
 以下、各項別の主な内容について申し上げます。
 施設運営等関連諸費は、二千七百八十九億八千三百万円となっております。このうち、基地周辺整備事業については、基地問題の実態に有効に対処し得るように、個人住宅の防音工事費五百五十九億円を含め、一千四百八十三億二千三百万円を計上しております。このほか、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の整備として歳出予算に六百二十六億八千三百万円、国庫債務負担行為で六百十六億九千五百万円をそれぞれ計上しております。
 調達労務管理費については、駐留軍従業員の離職者対策及び福祉対策等に要する経費として二百十五億七千五百万円を計上しております。
 提供施設移設整備費については、提供施設の整理統合の計画的処理を図るため、歳出予算に三十八億四千三百万円、国庫債務負担行為で六億七千七百万円をそれぞれ計上しております。
 その他、相互防衛援助協定交付金一億五千百万円、一般行政事務に必要な防衛施設庁費二百三十七億三千三百万円を計上しております。
 以上申し述べました防衛本庁及び防衛施設庁予算に国防会議予算を加えた昭和六十一年度防衛関係費は三兆三千四百三十五億四千九百万円となり、前年度の当初予算額に比べて二千六十四億百万円、六・五八%の増加となっております。
 以上をもちまして、防衛本庁及び防衛施設庁の予算の概要説明を終わります。
#22
○委員長(亀長友義君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#23
○野田哲君 まず、官房長官にお伺いをいたします。
 総理官邸の方は、最近は皇室外交を進めることに殊のほか熱心なようでありますが、皇太子夫妻の訪韓について現在どのような協議が両国間で行われているのか、この説明をいただきたいと思います。
#24
○政府委員(福田博君) 皇太子の御訪韓につきましては、現在、日韓間の関係が非常に良好であることを踏まえまして、皇太子殿下の御訪韓を推進するということで両国間で一応の合意があるわけでございますが、具体的な内容についてはまだ一切進んでおりません。
#25
○野田哲君 今、外務省の方から答弁があったんですが、後藤田長官、あなたの方ではどういうふうにこの問題協議されているんですか。
#26
○国務大臣(後藤田正晴君) 政府としましては、皇太子殿下の御訪韓を推進する、こういう方向で検討をしておるわけでございます。この御訪韓は、野田さんのさっきの御質問の中にありましたようなことではもちろんなくて、全斗煥大統領は訪日をせられたわけでございます、元首としてですね。やはりその答礼の意味も一方であるわけでございます。それと同時に、両国間の友好親善、相互理解、こういった関係を深めていくということが大切である、こういう意味合いから御訪韓を推進をする、こういうことで両国間で話し合いを進めておるというのが実情でございます。
 もちろん、事は皇室の関係することでございますから、私どもとしてはあくまでも慎重に運ばなければならないし、同階に御訪韓せられる以上は、韓国の政府また国民の皆さん方がこぞってやはり御歓迎をしていただける、こういった雰囲気の中で両国親善のために皇太子殿下が韓国を御訪問なさるということは大変いいことではないか、こういう意味合いで話し合いを進めておると、かように御理解を願いたいと思います。
#27
○野田哲君 今、外務省の審議官は、具体的なことは何ら進んでいないと、こういう答弁があったわけですが、これは外務大臣の記者会見の報道やあるいは予算委員会での安倍外務大臣の答弁とはかなり違うんじゃないですか。
 外務大臣の記者会見での発表を新聞報道で見ると、まず名代ということまで替っておられるわけです、天皇の名代。どういう資格で訪韓をされるのか、皇太子としての資格であるのかあるいは天皇の名代であるのか、その辺のことはどうなんですか。
#28
○政府委員(福田博君) 先ほど大変簡略に申し上げて誤解を招きましたのは大変申しわけありませんが、三月十一日に安倍大臣から申し上げましたことは、全斗煥大統領の訪日を契機として新時代に入った現在の良好な日韓関係にかんがみ、同大統領の訪日に対する答礼の意味も含め、日本皇室の御訪韓が実現できれば両国関係の一層の発展に望ましいとの見地から、今般、天皇陛下の御名代として皇太子殿下御夫妻の御訪韓を推進する方向で検討することとしたと発言いたしました。
 私、先ほどちょっと御質問を取り違えたかと思いますが、要するに今後の例えば日程とか時期とか、そういうような詳細について決まっているのかという御質問かと思いましたが、その点につきましてはまだこれから決めていく話であるということで申し上げたものであります。
#29
○野田哲君 天皇陛下の名代というのは、これはどういうことなんですか。憲法でも皇室典範でも、これはひっくり返してみてもそういう言葉は出ていないんですが、これはどういうことなんですか。
#30
○政府委員(山本悟君) 天皇のいろいろな御行為のうちで、いわゆる憲法に基づきます国事行為、法律効果の伴います国事行為であれば、これは当然御承知のとおりに国事行為の臨時代行に関する法律ということによって代行ということが行われるわけでございますが、事実行為につきましてはさようなことがないわけでございます。したがいまして、天皇が天皇として公的な御行為をなさいます場合に、御自分がいろいろな事情で御出席できないといったようなときに、かわりに御命令になりまして台下皇族に行かさせるというようなことを通常御名代ということで言っているわけでございまして、辞書等におきましても、目上の者のかわりにある行為をするのを名代というように言っているようでございまして、まさに同じような意味合いであろうと存じます。
#31
○野田哲君 そうすると、これは本意としては天皇陛下に行ってもらいたい、しかし天皇は行けないから皇太子に行ってもらうと、こういうのが本意だということなんですか、今の宮内庁次長の答弁では。官房長官、そういうことでいいんですか。
#32
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほど御訪韓の目的を申し上げましたように、韓国からは全斗煥大統領閣下が訪日されておりますから、これは元首としてお見えになっておる、やはり日本も陛下が御答礼ということであればおいでになられるというのが私はベターだと思います。しかしながら、御案内のように陛下は御高齢でございますから、事実問題として皇太子殿下に御名代として韓国に行っていただくと、まあこういうように理解をしていただければいいのではないか。事実問題として御名代であると、こういうことでございます。
#33
○野田哲君 宮内庁の方としては、名代として皇太子夫妻の訪韓ということになると、いろいろ日程の調整とか、新聞の報道を見ると妃殿下は何か最近体の御不調で手術をなさる、こういうような報道もあるわけでありますけれども、夫妻で行かれるということになると日程的にもかなり前もって協議を受けていなければならないと思うんですが、外務省なりあるいは関係の方から具体的にどのような協議を今受けているわけですか。
#34
○政府委員(山本悟君) この関係の宮内庁として承知いたしておりますのは、先ほど外務省から御答弁がありましたような公表が行われたと、このことは十分に承知をいたしているわけでございます。その際にも、外務省から御答弁がございましたように、私の承知いたしておりますところでは、この御訪韓に伴う時期等の詳細については今後外交ルートで詰めていく、調整をしていくというように公表されたと承知いたしているところでございまして、現時点におきましてはさような調整が具体的に進んでいるというようには承知をいたしておりません。
#35
○野田哲君 そうすると、時期はまだ相談受けていない、こういうことですが、報道などではもう十月中旬と、こういうことが具体的に発表されているわけでありますけれども、これはどの程度詰まっていることなんですか。
#36
○政府委員(福田博君) 確かにその報道等につきまして、十月であるとかあるいは九月であるとか、いろいろな報道がされたわけでございます。で、皇太子殿下御夫妻が例外遊になられる際は、例えば気候が余り厳しくないときなんかができれば望ましいということは一般論としてあるわけでございますが、そういうことを踏まえていろいろ新聞に報道が行われましたこともありまして、実は韓国側とも調整の上、三月十一日に先ほど申し上げました大臣の発言をすると、それまで決まっていることについてはきちっと正確なところを申し上げるということで公表をいたしたわけでございます。
 それ以上の時期とか御日程につきましては、今後両国政府間で外交ルートを通じて決めていくべきものと考えておりますが、まだ具体的な時期とかそういうことについては決まる段階には至っておりません。したがいまして、宮内庁の方に御相談をしていることもございません。
#37
○野田哲君 まあ、気候の余り厳しくないときということを言われたわけですね。そこからずっと前へ持ってくると、五月には訪米ということが予定されているやに伺っているわけですが、それから向こうの方ではアジア大会がありますね、九月に。そうすると、それやこれやの事情を考えれば十月中旬に大体固まっているんですか、どうなんですか。やはりそれしかないんじゃないかと思うんですが、どうなんですか。
#38
○政府委員(福田博君) 今御質問にございました十月中旬というのは、確かに気候のいいころの一つではあろうと思います。ただし、先ほど申し上げましたとおり、できれば気候が穏やかな方がやはりこういう御訪問には一番望ましいということを我々常日ごろ考えるわけでございます。しかし、今先生がおっしゃいましたいろいろな事情ももちろん私ども承知しておるつもりではございますが、これまでのところ、その時期に確定したとかその方向でなるであろうというところまでは実はいっていない状況でございます、
#39
○野田哲君 今回の皇太子訪韓ということですけれども、先ほど来の官房長官やそれから外務省のお話では全斗煥大統領の訪日に対する答礼、こういうことをおっしゃっているわけですが、一体この訪韓の話というのは日本側から持ちかけられたものなんですか。それとも向こうからの話があって応じられたものなんですか。それとも初めから全斗煥大統領が日本に来るときにワンセットでこのことが考えられていたのか。その辺はどうなんですか。
#40
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほどお答えしましたように、全斗煥大統領の訪日に対する答礼の意味も含めて皇太子殿下の御訪韓を推進する、こういう方向で検討をしたわけでございますが、このことは韓国政府の招請をも踏まえたものでございます。
 中曽根総理が持ちかけたのではないかといった御質問でございますが、その御質問の意味が必ずしも私はよくわからないんですけれども、総理が韓国側に何らかの働きかけを直接行われたのかと、こういう意味合いでの御質問であるとするならば、さようなことは私は承知をいたしておりませんと、こういうお答えをせざるを得ません。
#41
○野田哲君 新聞報道にもありますね。これは総理が殊のほか熱心で、招請という形を向こうにとってもらうように持ちかけたと、こういう報道もあるわけでありますし、それから韓国側の外務長官などの記者会見での発言などを丹念に見ても、韓国側には招待という形は言葉としては出ておりませんね、韓国側から招待するという形は。どうもここのところがはっきりしないわけですけれども、これは余りせんさくしてもしようがないんですが、向こうに行かれるとすれば、公式の席で天皇の名代ということで何か発言があるんだろうと思うんですが、これは一体どういう趣旨の発言が考えられているわけですか。
#42
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほど事務当局からお答えをいたしましたように、時期とか日程等はまだ詰めていない、これからの問題である、こうお答えをしたんですが、そのとおりでございます。もちろんお行きになるということになれば何らかの会合の際にごあいさつその他当然ありましょうから、その際にどういう御発言をなさるかというようなことは、これはこれから詰めていかなきゃならぬ問題であって、今日この段階でどうこうだということは今考えているわけではございません。
#43
○野田哲君 全斗煥大統領が来られたときに天皇がお言葉というんですか、発言をされているわけですが、今世紀の一時期において両国の間に不幸な過去が存在したことはまことに遺憾であり、繰り返されてはならないと思います、こういう趣旨の発言をされているわけですが、天皇の名代ということになれば大体そういう趣旨の言葉をまた向こうに行って発言をされる、こういうふうに大筋理解をしておいていいんですか。
#44
○国務大臣(後藤田正晴君) これは先ほど来申し上げておりますように、全斗煥大統領が日本にお見えになった、それに対する答礼の意味がある。と同時に、何よりもやはり韓国と日本は友好親善を深めていかなければならぬ、こういう意味合いで御訪韓をなさるわけでございますから、そういう意味合いでのことを頭に置きながらの何らかのごあいさつはあろうかと思いますが、今あなたのおっしゃったようなことを今考えているわけではございません。これは今後政府の中で十分論議が行われると思いますけれども、今あなたのおっしゃったようなことを今考えておるというわけじゃありませんから、そこらは御理解を願いたい。いずれにせよ日韓両国の友好親善に役立つということが基本である、かように御理解をいただきたいと思います。
#45
○野田哲君 全斗煥大統領が来られたときの天皇の先ほど述べた言葉は、これは韓国の報道では、三十六年にわたる日本の植民地支配に対する謝罪として受けとめているというのが一般的な韓国の認識になっているようであります。今回の皇太子訪韓に際しても、韓国側は同じ趣旨の謝罪を期待しているというふうな報道があるわけでありますが、こういう状況について、いきさつについて政府は一体どう考えておられるのか。
#46
○国務大臣(後藤田正晴君) いずれにいたしましても、御訪韓が日韓両国の友好親善に役立つということを基本に考えなければならぬと思います。先般お見えになったときの陛下のお言葉等について韓国でいろいろな受けとめ方、これはもうあり得るわけでございますけれども、いずれにいたしましても政府としては、これらについて韓国側がどう受けとめるべきであるかといったようなことは、これは日本側で論議する筋合いのものじゃありませんし、これは韓国側でいろいろな受けとめ方があるであろうと思います。しかし、いずれにいたしましても日韓友好という観点で我々は対処していきたい、かように考えております。
#47
○野田哲君 今、官房長官、日韓友好第一に、こういうことでありましたけれども、日韓友好ということは、これは中曽根康弘総理と全斗煥大統領の友好ではないんでありまして、両国の人民の友好でなければならないと思うんです。
 そういう点から考えれば、今朝鮮半島、もう私が言うまでもない、北と南に分裂国家の状態であるわけです。そして南北の対立というものが非常に激化をしている、政治的な緊張の度合いも強まっているわけです。その背景としては、やはり何といいましてもこのチームスピリット86、それから南に対するアメリカの軍事的なてこ入れ、こういうものが直接の背景になっていると思うんです。
 そういう緊張が南北の間で激化していると同時に、南の韓国では今改憲をめぐって国論が二分をしている、こういう状態にあるわけであります。この間の光州、大変な人が集まって改憲の要求のデモンストレーションが行われているわけですが、向こうの報道、向こうからの新聞などを取り寄せてみると、これは光州だけではない、釜山でも、そして韓国全域にわたって今ああいうふうなデモンストレーションが広がりつつある。こういう状況は報道余りされていないんですけれども、情報としてはもう間違いない情報になっているわけであります。こういうふうな改憲を求める野党第一党の新民党、それから在野団体、これが今改憲の要求とあわせて今回の塾太子訪韓反対、これで共同歩調をとるということが最大の課題になっているわけであります。そういう状況のもとで、光州市での五万人集会などが行われているわけであります。
 こういう状況について外務省は一体どういうふうに把握をしているのか、韓国の情勢の今後は一体どうなるのか。この見通し、どう持っておられるわけですか。
#48
○政府委員(福田博君) 先生からいろいろ御発言ありまして、大変なかなか難しい問題も含まれておりますので、全部つまびらかにお答えはできないと思いますが、いずれにしましてもほかの国の国内情勢につきまして意見を述べるというのは、常に外務省当局として慎重でなければいけないんですが、事実の問題として申し上げれば、先ほど先生も御指摘のような話がございまして、具体的には大統領の選挙制度をめぐって、それをめぐる憲法改正問題ということになるわけですが、それについて与野党を初め韓国内でいろいろな動きがあるということは十分承知をしておるつもりでございます。現在、改憲署名運動というものが一方で行われておりまして、他方三月二十一日から臨時国会が開かれておって、そこでもいろいろな議論が行われているようでございます。
 私どもといたしましては、その将来がどういうふうに発展していくかということにつきましては、今後とも事態を十分注視していきたいということを申し上げるのが一番適切なのではないかと思っております。
#49
○野田哲君 きのうですか、おとついですか、予算委員会で安倍外務大臣が発言されたことを報道されているわけですが、訪問される以上、韓国国民がこぞって歓迎してくれるよう期待をしている、こういう発言が載っているわけですが、このことは裏返して言えば、今のような国論が二分したような状態の中で、特に改憲を要求している野党やあるいは在野の団体の運動がもっとエスカレートしていくような状態になったときには、これは訪韓中止ということもあり得るということが、この安倍外務大臣の発言の裏には含まれているんですかどうですか。
#50
○国務大臣(後藤田正晴君) 野田さんの御質問の中にあることは、いずれにしましても日本としては韓国の内政問題に政府の立場としてとやかく申すべき事柄ではない、かように理解をしておりますので、御了承願いたいと思います。
 いずれにいたしましても、安倍外務大臣が言いましたように、やはり韓国朝野の方々が皇太子殿下の御訪韓を心から歓迎していただくといったような雰囲気の中で御訪韓が実行せられることが望ましい、こういうことを日本側としては期待しておる、こういうことを申し上げているわけでございます。さらに野田さんは、それじゃそうでなければやめるのかと、やめるようなことは考えておりません。そういう雰囲気を日本側としては期待しておると、こういうことで御理解願いたい、かように思います。
#51
○野田哲君 これは長官、外国の内政問題にとやかく言うべきではないと、確かにそうであろうと思います。思いますけれども、今韓国における内政上の最大の争点、国論の二分の一つの大きな要素は、日本の皇太子の訪韓ということが向こうの内政の国論を二分した状態にさらに油に火をつけるような形になっているんじゃないですか、長官首振っておられるが。これは新民党の幹部の方は、皇太子が来られれば歓迎するということを一遍は表明していますね。それが途中で新民党は訪韓反対という態度に変わった。そして、改憲の要求ともう一つは皇太子訪韓反対、この二つが課題となってずっと民衆のデモンストレーションが広がっているわけですから、これは内政でとやかく言うべきではないとおっしゃっても、訪韓そのものが向こうの内政に、国論を二分した状態に火をつけているんだと、こういう認識を持たなければいけないんじゃないでしょうか。そういう認識じゃだめなんですか。
#52
○国務大臣(後藤田正晴君) 最初から申し上げているように、日韓両国の友好親善を深めていくという目的を持って行かれるわけです。それと同時に、全斗煥大統領がお見えになったことに対する答礼、こういうことで今回の訪韓を実行しよう、こう考えているわけでございまして、別段政治的な目的があるわけじゃありません。そこらはひとつはっきりと区別をしておいていただきたい。政治目的はありません。こういった野田さんのような議論、私も耳にはするんですけれども、余り、どうでしょうかね、そういうのは。もう少し素直な両国民の考え方というものを背景にして考えていくのが私はいいのではないだろうか、かように理解をしておるわけでございます。
#53
○野田哲君 いや、私は素直ですよ。素直に考えて、そういう沸騰しているところへ何も皇室を差し向けることはないんじゃないですかと。これは素直な議論ですよ。まあ、ここで終わりますわ。
 防衛の問題に入ってまいりたいと思います。
 まず、加藤長官に伺いたいんですが、宇宙の平和利用という国会決議、この受けとめ方をめぐって、国会決議の有権的な解釈は国会にあるんだと、これはこのとおりなんですが、受けとめ方をめぐって昨年からいろんな議論が国会で起こっているわけです、政府のとった措置に対して。加藤長官は、宇宙の平和利用という国会決議に対していろんな議論があったわけですが、整理をして今どういう受けとめ方を政府としてはされているわけですか。
#54
○国務大臣(加藤紘一君) 宇宙の開発、利用に関しましては、昭和四十四年に衆議院において国会決議がされております。そこにおいて我が国における宇宙の開発、利用は平和の目的に限るというふうに規定されております。この国会決議の方針を我々も守っていきたい、こんなふうに考えております。
#55
○野田哲君 平和目的に限るということですが、その平和目的というのが、私どもの平和利用という受けとめ方とあなた方の平和利用という受けとめ方、随分隔たりがあるわけですね。極端に言えば、自衛隊は平和を守るために存在しているんだから自由に衛星を使っていいんだと、極端に言えばそういう考え方さえあるんじゃないかと私どもは受けとめているわけです。長官は、今までのいろんな議論の中で、平和利用ということについて、衛星を直接殺傷力、破壊力として利用することは認められない、それから衛星の利用が一般化しない段階における自衛隊による衛星の利用は制約されるが、汎用化したものについては許されていいんじゃないか、こういう趣旨を述べておられるわけですが、大体そういうことなんですか、具体的に私の方から例えば。
#56
○国務大臣(加藤紘一君) 宇宙の開発、利用に関しての先ほどの国会決議の有権的な解釈はもちろん立法府にあるわけでございますけれども、昨年衛星の利用に関しまして国会でいろいろ御議論いただいたとき、政府のこの解釈というものは、先ほど先生が御指摘になりましたような三点ということがその中心になっております。
#57
○野田哲君 私から申し上げたから私がそれで了承しているというわけじゃないんで、あなたの方が国会で、総理も含めて述べた言葉を私が逆にそうなんですかと伺ったわけなんです。
 そこで、重ねてもうちょっと突っ込んで伺いたいんですが、衛星を直接殺傷力、破壊力として利用することは認められないと。衛星そのものが殺傷力を持っているわけではないし、衛星からミサイルが発射されるわけでもないんだから。衛星を直接殺傷力、破壊力として利用することは認められないという意味は、つまり衛星を利用した通信でミサイルの発射とかあるいは殺傷力を持った兵器に対するその発動を指令するような通信は認められない、こういうことなんでしょうか。
#58
○政府委員(山田勝久君) この国会決議が昭和四十四年に決議されましたときにはいろいろな状況下でございました。例えば弾道弾ミサイルですとかそういったいわゆるミサイル関係を宇宙にまで広げようということをよくないことだとした経緯もございました。そういうことから考えまして、直接でございますので、直接殺傷力、破壊力ということはこの平和目的に反することだというふうに私ども考えている次第でございます。
 衛星との関係でございますが、直接殺傷力、破壊力ということでございますので、通信あるいは指揮、そういった関係で通信衛星を使うということは、私どもはここで言うところの反すると直ちに言えるとは考えておりません。
#59
○野田哲君 もう一つよくわからないんですが、衛星を直接殺傷力、破壊力として利用することは認められないとりそれではあなた方の方でこれに該当する形というのは具体的にどういうことがあり得るんですか。衛星そのものが別に相手国に飛んでいったりして人を殺傷したり、あるいは相手の軍事力を破壊をするというようなことはあり得ないんで、衛星を通じての通信でそういう戦闘行為を行うことは許されない、こういうことじゃないんでしょうか。具体的にはどうなんですか。
#60
○政府委員(山田勝久君) ちょうど原子力基本法に平和の目的に限るという表現がございました。同じ表現でございますので、ちょうど原子力ということを想定いたしますと、直接破壊力ということが平和目的というものとの関係でわかりやすいんではないか、そういうことでございました。直ちにそういった直接破壊力、殺傷力という意味で私どもは今考えられている範囲内における衛星利用というものは特段想定をいたしているわけではございませんでした。昨年来御議論いただきまして、国会決議に対する私どもの考え方と申し上げましたのは、昨年度の御議論は宇宙の中で特に通信衛星の利用ということでございましたので、私どもの考え方も衛星利用との関係において限定をいたしました考え方でございます。
#61
○野田哲君 だから、私が端的に聞いているのは、衛星を直接殺傷力、破壊力として利用するというのは、つまり衛星を利用した通信によってミサイルを発射させるとかあるいは戦闘行為を起こすとか、そういう目的を持った通信に使ってはいけないということじゃないんですかと、こういうふうに聞いているんです。
#62
○政府委員(山田勝久君) 御指摘のような、ミサイルを誘導するような例えば衛星というものが具体的にどういうものであるか、私ども現在まだわかっていないわけでございますけれども、先生のおっしゃる意味もまた具体的にどうかということはわかりませんが、仮に将来でございますけれども、具体的問題として出てくるようでございますれば、そのときに平和の目的というものの趣旨に照らしまして慎重に判断すべきであろうかと存じております。
#63
○野田哲君 私は衛星が直接ミサイルを誘導するようなことを言っているんじゃないんです。例えば太平洋上なり日本海に展開をしている護衛艦に対して衛星通信を使って相手を殺傷する、あるいは破壊をするようなそういう指示を出すとか、戦闘作戦上の通信に使うとか、そういうことがやはりこの衛星を直接殺傷力、破壊力として利用するということになるじゃないかと、こういうことを聞いているわけです。
#64
○政府委員(山田勝久君) 私どもは、専守防衛というものに徹しまして、万が一の状況に備えているわけでございます。その際に、情報、偵察あるいは指揮通信能力というものは非常に重要なものでございます。したがいまして、この防衛通信というものの一環として、今後検討の結果でございますけれども、通信衛星というものを使用する場合には、当然それは専守防衛ということで私どもの自衛隊の役割というものを達成するための一つの手段でございますので、それも直接ではございません、間接的になろうかと思いますが、通信というものを通信衛星によって使う、それが情報あるいは偵察あるいは指揮通信能力の一環であるというふうに私ども考えております。
#65
○野田哲君 加藤長官、大分今の装備局長の答えは、あなたが先ほど答えたことからオーバーランしているんじゃないですか。まず二つ述べておられるわけですよ。衛星を直接殺傷力、破壊力として利用することは認められない。もう一つは、衛星の利用が一般化しない段階における自衛隊による衛星の利用は制約をされる、そして汎用化したものは許されていいのではないか。この汎用化されたものは許されていいのではないか、こういう点からすれば、軍事用の衛星、今言われたような衛星、防衛用の衛星を打ち上げて、それによって情報、偵察、軍事用、防衛用の通信に使うことはいいんじゃないかと言われたことからかなりこれははみ出しているんじゃないですか。
#66
○国務大臣(加藤紘一君) 宇宙の利用というものは、衛星もありましょうし、その他いろんな兵器体系があろうかと思います。その全般につきまして私たちはいわゆる国会決議の解釈をいたしておるわけでございますが、その中の衛星に限って昨年度は議論されたわけでございます。そして、私たちが申しているのは、その衛星というものを直接殺傷力、破壊力として利用するケースはいろいろ疑問があるだろうなと申しておりまして、具体的なケースとしてはキラー衛星というものがあるわけでございます、これはどうかなと。しかし、例えば衛星を通信に利用するような場合は、その機能が一般社会でもう広く使われているわけですから、そういう段階では自衛隊が利用することも国会決議の解釈としては許される範囲なのではないかな、こう申しているわけでございます。と申しますのは、例えばアメリカで行われておりますゴルフトーナメントが衛星を通じて私たちの茶の間の中にリアルタイムといいますかその場で入ってきますし、バレーボール大会の緊張した場面もずく画面になってくるわけですから、それを自衛隊が使って悪いということではないんじゃないかというふうに私たちは考えるわけです。それほど一般化しているんではないだろうか。
 そうすると、今委員の御指摘は、それを使って例えば通信で私たちが護衛艦に連絡をしたとか、それから陸上部隊との間の連絡をした場合に、その陸上部隊は現実に戦車も持っておりますし、護衛艦は小型のハープーンも持っていますから、その指揮に従って動いたとするならば、戦車もハープーンも破壊力、殺傷力を持っているわけですから、それは違反になるんじゃないだろうかという御指摘でなかろうかと思うんですけれども、私たちはそういった通信というものについては、その面はいいんではないだろうかなというふうに思っているわけです、その機能ということを考えるならば。そういう解釈でございまして、その情報の中身を論ずるのではなくて、その衛星そのものが殺傷力、破壊力として直接使われるかどうかに着目して考えるべきではないだろうかなというふうに申し上げておるわけでございます。
#67
○野田哲君 それじゃ、その衛星そのものが直接殺傷力、破壊力として使われる、こういうことがあり得るんですか。
#68
○政府委員(山田勝久君) これは将来の問題かと存じますが、衛星に衛星がぶつかっていって、それをキラー衛星と大臣申し上げましたけれども、そういったものが将来一つの衛星の軍事面における利用形態として可能性としてはあるものと考えております。
#69
○野田哲君 宇宙の平和利用という国会決議は、そんな将来のどうなるかわからないようなことを想定して決議されたものじゃないのであって、要するに端的に言えば宇宙を軍事用に使っちゃいけない、こういうことなんでありまして、長官の言葉もだんだん衆議院の議論などから言えばはみ出してきているんじゃないですか。
 あなたが言われたことは、確かにゴルフやバレーもリアルタイムで茶の間に飛び込んでくるような時代だというようなことを言っているわけですが、その議論の中で結局最後に言われているのは、繰り返しているようですが、直接殺傷力、破壊力云々ということと、もう一つはフリートサットの受信ぐらいは使わせてもらってもいいんじゃないですかと、受信装置を取りつけるんだから受信ぐらいは取りつけさせてもらっていいんじゃないですかということと、それからもう一つは、電電公社がもう一般に使わせている電話ぐらいは硫黄島との連絡用に、ほかには通信施設がないんですから、手段がないんですから使わせてもらっていいじゃないですか、そういうふうに言っておられるわけで、そんな今装備局長が言ったように、将来この衛星が直衛殺傷力、破壊力として使われるような未来のまだ未知の分野を想定しての国会決議じゃないですよ、これは。そうでしょう。
#70
○政府委員(山田勝久君) ただいまキラー衛星について申し上げましたのは、これは直ちに現在あるいは近き将来ということで申し上げたんでございまして、理論的な一つの概念として申し上げたわけでございます。
 数年前から具体的に私ども防衛庁、自衛隊が通信衛星を、いろんな形がございますけれども、技術進歩あるいは民間におけるその利用が進んでまいりましたので、私どももお許しいただけるんではないか、その実需というものが実はございます。そういうことで御説明を申し上げてきたわけでございます。ちょうど昨年の六十年度予算では、フリートサット衛星を活用した受信装置、これがリムパックの際にどうしても必要だということでお認めをいただいたわけでございます。その御議論の中で、受信装置だけではアメリカ追随ではないか、やはり日本側からも連絡のとれるような双方通行の装置も必要ではないかという御議論もございました。私どもちょうどタイミングとしてはまだその能力ございませんでしたけれども、やはりアメリカ側と連絡をとり合ってみますと、そろそろそれも使えるんではないかということで、実はその予算も今回御審議いただいております六十一年度予算の中で計上させていただいているわけでございます。
 それから、中期防衛力整備計画の中でも情報、通信の重要性ということを認識しておりまして、例えば「情報・偵察・指揮通信能力」という項目におきまして次のように述べられているわけでございます。「指摘通信能力の向上を図るため、防衛通信網の近代化を推進するとともに、通信衛星の利用等各種施策を推進する。」、そのため私ども今検討を行っているところでございます。
 その内容も、実は民間が一般にテレビ放送会社でございますとかNTTでございますとか利用している、そして大臣が申し上げましたような茶の間に出てくるような、そういうものの機能を私どもも使わせていただけるのではないか、そういうことで考えておるわけでございます。
#71
○野田哲君 これは私どもとしてはどうしても納得できない。国会決議の解釈がそんなに次から次からはみ出してくる。昭和四十四年の決議は今の装備局長が言ったようなことを想定しての決議ではないんです。これはもういかにこの中期防衛力整備計画に予定されていようとも了解できない。これは国会としていずれ明確な判断をしなければならぬと思うんです。国会決議の趣旨は、要するに軍事用に使ってはいけない、そういう端的な趣旨だと私たちは理解をしているわけであります。
 そこで、今装備局長が触れられたことですけれども、具体的にこれからの課題として、一週間ばかり前の日経新聞が報道しておりますね、「自衛隊指揮通信網 三菱系の通信衛星利用 日本海側にも回線」云々ということですが、「通信衛星「スーパーバード」を利用し、全国の主要基地と駐とん地とを結ぶ通信体系を作り上げる」、これが今装備局長が言った具体的な計画ということなんですか。
#72
○政府委員(山田勝久君) 防衛庁といたしまして、先ほど私申し上げましたように、中期防衛力整備計画というものにのっとりまして自衛隊の指揮通信能力の改善を図るためにどうしたものを装備したらいいか検討を行っているところでございます。
 特に最近、私先ほど申し上げましたように、日本電信電話株式会社によるINS計画、これは高度情報ネットワークシステムと言われているものでございますけれども、そういったようなものを初めといたしまして民間における情報通信の高度化というものは著しいものがございます。私ども防衛庁といたしましても、自衛隊の通信の骨幹をなします防衛マイクロ回線、これは現在太平洋岸を通りまして縦断をするものがちょうど一年前に完成をいたしております。そういったものをディジタル化したい。現在はアナログでございます。ディジタル化いたしますと高品質のものが大量に高速度で通信できますので新しい需要に応ずることができる。それからただいま先生御指摘の日本海岸、これは通信衛星を活用するものではございませんで、地上の防衛マイクロ回線の太平洋岸を補完する意味で、複線化するという意味で日本海側に設置したい。それが今検討を行っていることでございます。
 そういったことで抗堪性を持たせたいということでございますけれども、最近の民間における利用というものを見てみますと、通信衛星もこれを補完として使うことができるのではないか、そういうことで検討をいたしているわけでございます。なお、どんな通信衛星を、CS3とかいろいろ民間の通信衛星が今名のりを上げておりますけれども、どんなものをリースあるいはレンタルで借りていくか、そういったことはまだ決まっておりません。
#73
○野田哲君 最近、元陸幕長の永野さんが「宇宙時代の防衛」という本を出しておられるわけですが、これをざっと読んでみますと、防衛庁側が宇宙の軍事利用についていかに強い要求を持っているかということがうかがえるわけです。退官をされているとはいえ、やはり防衛庁の周辺におられていろんなアドバイスをされている方ですから相当影響力を持っておられるわけですが、こういうふうに書いておられるんですね。「今や「宇宙」は世界にとっても、自由陣営にとっても、そして日本にとっても重要な「国防空間」であり、「安全保障のための空間」である。」そして結びの方では、「国連を左右する脅威や脅迫は宇宙からやってくる。これを排除し、抑止するために、われわれは宇宙の使用を慎重に研究し、断乎として進めねばならない。」こういうふうに述べておられるわけですが、こういう考え方は長官としてはどう受けとめられますか。
#74
○国務大臣(加藤紘一君) 防衛庁OBの方が機会を得まして防衛問題についていろいろ見解を述べられることにつきまして、私たち防衛庁としていろいろ個々のケースについてコメントすることは差し控えたい、こう考えております。
 いずれにいたしましても、私たちが衛星を使わせていただくことが許されるのではないかと考えましたことは、宇宙を利用することによってこれを直接殺傷力、破壊力に結びつけることはしないという立場でございまして、そしてその利用がごく一般市民の間でも一般化しているようなものであるならば、その機能を防衛庁としても利用することは許されるのではないかという観点で考えておりますことを御理解いただきたいと思います。
#75
○野田哲君 いや、私も防衛庁のOBの人がいろんな文章や本を書いたからといって、そのことをかれこれ言っているのじゃないんです。そこの中で、前書きのところや結びのところで書かれている、もう宇宙をフルに、ここでは「国防空間」という言葉を使ってありますが、宇宙をフルに軍事用に使う時代になっているんだ、使わなければいけないんだ、これを断固として進めねばならないんだと、こういう考え方に対して一体長官としてはどう考えておられますかと、こういうことを伺ったわけで、永野さんの書いたものがどうだこうだと言っているのじゃないんです。
 そこで、もう一遍もとへ返るんですけれども、宇宙を利用することについて、それが直接殺傷力、破壊力に結びつけることはいけない。こういうことは、やはり作戦上の通信に使うということは宇宙を殺傷、破壊に結びつけることになるのじゃないですか、私どもはそう考えているんです。重ねてこの点を伺いたいと思うんです。
#76
○国務大臣(加藤紘一君) 例えば、私たち自衛隊の通信機能はまだまだいろんなところで後発の部分がございます。いろんなところで電電公社のマイクロ回線を使ったりいたしておりますし、それからいろんな通信機能も一般の民間の報道機関や警察なんかと比べても弱いところがございます。例えば最近、私たち自衛隊が一番大きく運用されたケース、出動したケースというのは、昨年八月のJAL事故のときでございました。延べで五万二千人ぐらいの人間が活動したと思います。その初動のときに、例えばあそこの御巣鷹山の斜面がどういう状況になっているかを最初的確に把握しなければなりませんでしたけれども、御巣鷹山に行きまして我が方のヘリがビデオで現場の状況を撮りまして、それを我が自衛隊の本部まで電波で飛ばすことができなかったわけでございます。民間のテレビ会社ではそれが全部できたわけでございます。
 そういった意味で、私たちも通信機能はしっかり持たなければ、そういった災害派遣のときにいたしましても、仮に万が一のときがあっても、私たちの機能を十分に発揮できないということは問題があるんではないかなと思っております。そして、その通信機能を整備することを考えますと、最近どうしてもほとんどのところは衛星を利用するのが一般の民間社会の常識みたいになってきておるわけでございまして、そういった意味で私たちも使わせてもらってもいいのではないだろうかな、こう考えているわけでございまして、宇宙の中で我が方がいろんな兵器を飛ばし合って、そしてそれを殺傷力、破壊力に使うということを私たちは考えているわけではございません。
#77
○野田哲君 防衛庁内のレポートですが、「新しい衛星通信系のシステム的研究」というレポートがあるわけですね。これは(I)と(II)があるわけですが、一九八一年ごろの文書です。
 これを見ると、まず序言で「防衛通信にスポットライトをあてて衛星通信系をシステムデザイン」した。二番目に「運用上のニーズの予測」、「通信手段について制約が全くないと仮定し、近い将来発生すると思われる新しい運用上のニーズについて想像」した。そして三番目に「衛星通信技術」。四番目に「基礎的システム設計」。その基礎的システムの設計として、一番は「マイクロバックアップシステム」、二番目に「師団通信」、「ある地域で数個師団が作戦行動をとるさい上級司令部との間の通信は可搬又は車載型地球局によって容易に確保できる。」、こういうことで北海道の図面をここに載せてあるわけですね。それから三番目に「艦隊通信」、四番目に「艦艇通信」、五番目に「商船通信」、六番目に「ASW通信」、いわゆる対潜水艦作戦ですね。七番目に「AC&Wバックアップ通信」ですか、航空警戒管制組織、それから八番目に「AEW通信」、早期警戒通信、九番目に「潜入斥候通信」、十番目に「警報、気象放送」、十一番目「核ミサイル警報放送」、十二番目「航路警報放送」、こういう形で衛星通信の具体的なシステムがレポートとして述べられている。かなり図面もあるわけです。具体的な図面といいますか、図表。
 そして、大きい五番で「システム評価」。まず一つは「通信衛星の坑堪性」、二つ目には「経費」、三つ目に「実現のための問題点」、こういうふうにかなり長文の内容的にも詳しいレポートが防衛庁内の資料の中にあるわけですけれども、これはもうまさに軍事衛星そのものの研究ということです。
 しかも、この中では核戦争の場合も想定をされているわけでありますが、一九八一年ごろに防衛庁内でこのような研究が行われているということについて、今私が口頭で述べただけですけれども、部内に資料としてあるわけですから、検討する機会は長官にもあるはずなんです。どういうふうにこれは感じられますか。
#78
○政府委員(山田勝久君) ただいま先生御指摘の資料は、恐らく非常に技術的な、理論的と言ってもいいかと思いますが、技術的ないろいろな可能性、技術的には今どういう水準に世界はあるのか、あるいは世界で考えられるいろいろな衛星の利用の技術的側面はどういうものがあるんだろうかということを勉強をした資料だと思います。したがいまして、直ちにこの技術的な勉強をしたことが、いろいろなただいま私ども勉強いたしておりますようなネットワークシステムと同様なものではございませんで、全く技術的な研究であろうかと存じております。
#79
○野田哲君 長官、答えてください。
#80
○国務大臣(加藤紘一君) 今、局長が申しましたように、技術的ないろんな世界の情勢を研究しているものだろうと思います。もちろん、私たち例えば非核三原則を堅持いたしておりますから、核について私たちがつくるつもりも持ち込ませるつもりも、またそれを使用するつもりもないわけですけれども、米ソが核についてどのような動きをしているかということはいろいろ研究しているわけでございますから、そういったいろんな研究は、もちろん情報収集はいたしますけれども、それを私たちが防衛力整備にどのように結びつけるかということは全く別個のことでございます。
#81
○野田哲君 技術的な研究だと言われるわけですけれども、防衛庁長官、かつて三矢研究というのが国会で大問題になった経過があるわけですね。これは結局、法律やあるいは憲法を踏み超えた研究だということで廃棄をする、こういう決定がされたわけです。もっともこれは廃棄されてないで、また有事法制の研究の中で生かされているようですがね。
 それから今長官は、ソ連やアメリカが核の開発とか核戦略についてどういう動きをしているかということを研究することはそれはあるでしょう。しかし、みずからが核を持つということになるとこれは許されないことです。しかし、これも防衛庁の中にある資料に研究されたレポートがあったことを私はここで指摘したことがあるんですよ。「わが国における自主防衛とその潜在能力について」と、こういう形でかなり具体的な日本として核兵器を持つ、製造する能力があるかどうかということを研究されたレポートを指摘したことがあるんです。
 今度の場合も、国会決議があっても技術的な研究ならば幾らやってもいいじゃないか、そういうことにはならないんじゃないでしょうか。やはり法律や国是というものがある以上は、それを踏み越えた研究というものは私は許されるべきじゃないと思うんです。今私がざっと述べたようなシステムの研究をやっているとすれば、このシステムは国会決議の枠内だとお考えになりますか、踏み越えているとお考えになりますか、どうですか。
#82
○政府委員(山田勝久君) ただいま先生御指摘の一九八一年の文書でございますけれども、ただいまちょっと確かめましたところによりますと、私どもの技術研究本部が発行いたしております雑誌の中の論文でございますが、民間技術者の寄稿文とのことでございます。
#83
○野田哲君 いや、私は民間の技術者であろうと何であろうと、防衛庁がそういう研究をやっていたことを問題にしているんですよ。しかも内容を見ると、これは民間の技術者が一人でとてもできるようなものじゃないですよ。具体的に実際の作戦行動のときのことまで対応がずっと述べてあるわけです。その中で衛星通信システムをどう使うか、これが述べてあるわけですから、これを書いた人が民間であろうと、防衛庁の中でそれを研究のために論文を依頼した、こういう形になっている限りは、これは防衛庁の研究なんですよ。
 問題は、長官に私聞いているのは、この研究は国会決議の枠内の研究ですか、それともはみ出した研究だと思われますか、どうなんですかということですけれども、今私が指摘したわけですから、後でよく検討してみてください。今答えられるのであれば答えていただきたいと思います。
#84
○国務大臣(加藤紘一君) いろいろ技術的な研究は自由に行っていると思います。それからまた、諸外国の技術水準の動向というものは、私たちは当然のことながら研究していかなければならないことであろうと思います。そして、それは防衛庁の中でやる場合もありますし、民間の方の意見を自由に言ってもらってそれを参考にするときもあろうと思います。
 しかし、いろんな研究が行われておりますけれども、そういう中から仮に我が国が防衛力整備とか防衛政策の中に取り入れるときには、国会の決議とか憲法の精神とか、従来から私たちが表明しております防衛の基本政策とかに合致するかどうかということを綿密にチェックいたして我が省の政策にするわけでございます。その第一次的な政策判断が内局にありまして、そしてそれから国防会議、閣議、そして最終的にはこの国会の場での厳しいシビリアンコントロールの目にさらされるわけでございますので、その辺につきましては、私たちは万全の自信を持って、いわゆる我が国の基本政策及び国会等の決議に反しないで政策を推し進めているという自信がございます。
#85
○野田哲君 長官、あなたはシビリアンコントロールの直接の責任者なんですから、国会決議とか法律とかある、それを国会の意思にかかわりなく勝手に解釈してどんどん広げていく、解釈を変えていく、そういうことはシビリアンコントロールの衝に当たる防衛庁長官としては私はよくないと思うんですよ。必要があることなら、ここまで広げてもらいたいという相談をすべきじゃないですか、国会決議があるんだったら、その中で。これはもうこうしてもらいたい、私どもがそれにすぐオーケーするかどうかは別にしてね、僕はそういう態度が必要なんじゃないかと思うんですよ。だから、防衛の問題は、今国会は割に機会が後にもありますから、また引き続いて議論し、取り上げてまいりたいと思うんです。
 もう一つ、私は防衛庁が既成事実をどんどんつくっていってるんじゃないかという問題を感じているので後ほど指摘したいと思うんですが、ひとつ端的に伺っておきたいのは、野外令というのがあることは長官も承知だと思うんですが、十年ばかり前、今の金丸自民党幹事長が長官のときには、野外令なんというのは防衛庁に行けば幾らでもあるんだからどうぞ自由に見てくださいと、こう言って開き直られたことがあるんですが、いつからこの野外令というのは秘密扱いになったんですか。
#86
○政府委員(大高時男君) ただいま先生御指摘の金丸防衛庁長官が防衛庁で購入できるというような趣旨の答弁を行っておられるわけでございますが、実はその後当庁におきまして昭和五十五年に宮永事件というのが発生いたしたわけでございますけれども、この機会に教育訓練関係の部内資料の取り扱いにつきまして見直しを行いまして、その際に野外令につきましては、自衛隊の行動、それから教育訓練、これを適切に実施するために部隊の指揮・運用あるいは隊員の動作等についての教育訓練の準拠を示しておるわけでございますけれども、これを公表することによりまして自衛隊の能力あるいは行動要領、こういったことを明らかにするという判断から、五十五年以降その提出を差し控えさせていただいておるわけでございます。この点につきましては、去る五十九年の四月二十四日参議院の内閣委員会におきまして先生からもお尋ねがございまして、この趣旨でお答えをいたしております。
 それからなお、自衛隊内においての教範類の取得でございますが、これは中隊単位でその長の許可を得まして、一括予約申し込み制度というようなものをもって販売をいたしておるわけでございまして、防衛庁内の売店には単に見本品を展示いたしておるだけでございます。さらに、この趣旨を徹底いたしますために、現在出しております教範類でございますが、これにはこれは教育訓練の準拠である部内資料であると、これは用済み後は廃棄すべしという趣旨のことを現在書いておるわけでございまして、さらにまた本年改めて、自衛隊の部隊等において売店がございますが、これを統括しておりますのが防衛庁の共済組合でございますが、これを通じて趣旨の徹底を図っておる、こういうことで、現在のところ御提出については差し控えさせていただいておるということでございます。
#87
○野田哲君 この野外令の中の一部、二部、今でもそうなっているんだろうと思うんですが、ここにもあるんですが、どの程度変わっているか。鉄道輸送に依存している部分が相当あるんです。私の持っているもので確認をいたしますと、この第一部の中では、第三節で「部隊移動」という中にかなり鉄道に依存した部分がある。それから第二部の第四章で「交通」、その中に第二項で「鉄道」というのがあるわけです。それから第五節で「輸送」、こういうふうに鉄道利用の項がかなりあちこちにあるわけですが、これは今も大体変わっていないわけでしょう。
#88
○政府委員(大高時男君) 実は、先生今御指摘の野外令でございますが、従来は野外令第一部作戦関係、それから野外令の第二部後方関係ということで、二部の構成になっておったわけでございますが、昨年の十二月に、自衛隊を取り巻きます環境の変化あるいは将来を見通しましてこれを改定し、本年四月以降新しく使用することにいたしました。したがいまして、旧野外令については三月の末日をもって廃止いたしておるわけでございます。
 新しい野外令でございますが、これにつきましては、作戦と後方、これを従来のように分離せずに一体といたしまして記述をいたしております。
 鉄道輸送に関する分野でございますが、これにつきましては、分量の差はございますけれども、旧野外令における考え方を基本的に踏襲をいたしておるという状況でございます。
#89
○野田哲君 ここに取り上げられている鉄道というのは、これは全国ネットワークを持った今の形態の日本国有鉄道を想定されて記述されているわけですが、これは今度分割・民営、こういうふうになった場合には、この野外令に規定している部隊の指揮・運用の基本原則、教育訓練の一般的準拠、人事、兵たん及び部外連絡協力、こういう中で、この鉄道輸送が占めている分野が各所にあるわけですが、これはかなり影響を受けることになるわけです、細切れになるわけだから。それから人は人、貨物は貨物で別会社になる。それから全国が細切れになる。こういう状態について防衛庁としては、この国鉄の分割・民営が実現をしたときには、この野外令の中で規定をしている国鉄輸送に依存をしている部分というのはかなり改定をしなければならないと思うんですけれども、この鉄道輸送に依存している分野についてはどういうふうに対応されるわけですか。
#90
○政府委員(大高時男君) 全国規模の長距離輸送網を持っております国鉄でございますが、この輸送力というのは自衛隊にとりまして、例えば戦車とか大砲といったような重量の重いあるいは容量の大きい貨物輸送、これにとっては重要である。特にトラックでは代替ができないというような形になるわけでございます。それからまた、自然条件に影響されることが少ない、安定した輸送力がある、長距離にわたって連続する大量の輸送ができるという点から重視をいたしておるわけでございます。
 ただ、国鉄が分割・民営化されました後におきましても、このような機能とか体制、すなわち国鉄が有します全国規模のネットワークでございますが、これは機能、体制としては実体は存続するというふうに考えております。したがいまして、分割・民営化によりましても新野外令を基本的に改正するという必要はないのではないかというふうに考えております。
#91
○野田哲君 これは機能が存続するかどうかは保証の限りじゃないんですよ、分割・民営になったときには。どうしてあなたは分割・民営になったとき機能が存続されるということを言われるんですか。
 それから、国鉄利用の場合を含めて部外者との協議というのが随所に出てきますね、この野外令の中で、部外協議という。国鉄が全国ネットの体系を持っていれば、部外協議というのは恐らく運輸省と日本国有鉄道とやることになるんだろうと思うんですが、分割・民営になったときの部外協議というのは一体どういうふうに対応をされるか。そういう問題も含めて、あなたは機能が存続されると言われるけれども機能は存続しませんよ、そうじゃないですか。
#92
○国務大臣(加藤紘一君) 国鉄の輸送の問題でございますが、先ほど局長が答弁申しましたように、かなり大きなもの、それから重量のかさむもの、やはり国鉄にお願いしなければならないものが自衛隊の中にあるということは事実でございます。
 したがって、私たちもその機能がいつまでも有効であってほしい、こう思うわけでございますが、ただ最近のデータをちょっと見ますと、貨物輸送の部外委託の比率でございますが、昭和五十五年には三〇%あったものが、五十六年は同じく三〇%ですが、五十七年に二四%、五十八年に一七%、五十九年では実に九・八%、ぐいぐいと落ちておるわけでございます。
 したがいまして、この数字は私も一、二カ月前ちょっと見て驚いたんでございますけれども、やはり従来から、旧軍時代から軍と言えば国鉄、輸送は国鉄みたいな感じになっておって、一つの同じような意識みたいな部分があったと思うんですが、最近は自衛隊の方でも、やはり効率的・有効な輸送手段を使わなければならない、予算を的確に使わなければならぬという問題もありまして、いろんなところに仕事が逆に打っちゃっている。そういう意味で私は国鉄の機能が本当に活性化されるということを願うものでありまして、このままの状態ではこの比率の低下というのがいつまでも続いていくのではないか。ではいかにしたら有効な、立派な国鉄になるのかというのは、私たちの申し上げることではなくて、今はかの委員会で討議されることなんではないかなと、こう思います。
#93
○委員長(亀長友義君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   年前十一時五十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
#94
○委員長(亀長友義君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和六十一年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁、防衛本庁、防衛施設庁を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#95
○野田哲君 防衛の問題、ちょっと時間がかかりますので後回しにいたしまして、別の問題で官房長官と総務庁長官に伺いたいと思います。
 まず官房長官に伺いますが、天皇在位六十年、四月二十九日に式典を行われると、こういうことですけれども、まだ八カ月も早いわけですね、正式に六十年に達するまでには。それで、五十年の式典のときの政府の決定を見ると、式典の挙行日については天皇陛下の御即位の大礼が行われた日に当たる十一月十日としたい、こういう閣議決定がされているわけであります。この決定を行うまでには、国会での論議では、天皇誕生日の四月二十九日に五十年の式典をやったらどうか、こういう議論も内閣委員会などで行われているわけですが、それを退けて十一月十日、こういう決定をされているわけでありまして、それについての四月二十九日説を退ける政府の考え方としては、種々の角度から検討が加えられたが結局天皇陛下御即位の大礼が行われた日に当たる十一月十日が最もふさわしいと、こういうふうに答えておられるわけです。五十年の式典のときには、種々検討を加えたが十一月十日が一番ふさわしい、こういう決定をされて、六十年はなぜ四月二十九日になるのか、この理由をまず伺いたいんです。
#96
○国務大臣(後藤田正晴君) 五十年のときは、文字どおり御在位五十年を政府、国民一体となってお祝いを申し上げると、こういうことでございますから、御即位になった日を考えましてやはり十一月と、こういうことになったわけでございます。今回の六十年の、ことしの四月二十九日にお祝いを申し上げようと、こういうことで準備を進めておりますのは、御在位も六十年というのは歴代天皇の中で最長期間の御在位期間となりますが、同時に昨年の七月十三日で、歴史上確認し得る限度においては後水尾天皇以来御在世の一番長い日に入ってきたわけでございます、昨年の七月十三日以後。そういうことでございますので、今回は、御在位が六十年という最長期間であるということのほかに、御在世が一番長いという最御長寿もあわせてお祝いを申し上げるということになりますと、やはり四月二十九日の天皇誕生日が最適の日になるのではないかといったようなことで、今回は、御即位の日の年末にしないで、御誕生日の四月二十九日をもってお祝いを申し上げるのに最適の日である、こういうことで選定をしたわけでございます。
#97
○野田哲君 どうも余り説得力がないですね、官房長官。
#98
○国務大臣(後藤田正晴君) いや、そんなことはない。
#99
○野田哲君 五十体のときには十一月十日に非常にこだわって、今度は四月二十九日にこだわる。これは何か別の説明できがたい要因があるような気がしてなりませんね。
 まあ、別の角度から考えますと、天皇在位六十年といっても、明治憲法のもとでの在位が二十一年あるわけですね、それから今の憲法のもとでの在位が三十九年。憲法上の位置づけは、これは二つに分かれているわけでありまして、天皇制についての憲法上の位置づけ、地位が前の憲法と現在の憲法とでは大きく異なっているわけであります。その旧憲法の時代と新憲法の時代とを通算して祝う。戦前戦後を通算するというのは、これは恩給や年金じゃないんですからね。やっぱり天皇というのは憲法に規定されている地位なんですから、私はこれは両方合わせて通算する、それで祝うというのはどうも納得できない。これはやはり肝憲法体制のもとでの天皇の時代を肯定することに通じるのじゃないか。私どもがそういう見解を出すと中曽根総理は随分むきになるようですが、そういう考え方も私は当然出てくると思うんです。
 特に、旧憲法の時代に天皇の名において行われた侵略行為、宣戦の布告があるわけでありますから、これを肯定することになるのではないか。例えば一九四一年十二月八日、太平洋戦争に突入する宣戦布告は天皇の名で発せられているわけであります。その時代の在位期間まで通算をしてなぜ今お祝いをしなければならないのか、この考え方を説明してもらいたい。
#100
○国務大臣(後藤田正晴君) 四月二十九日に決めたのはどうも説明がわかりにくいなと、こういう再度の御質問でございますが、これは私の口が下手でわかりにくかったのかもしれませんが、これ図面がありますから図面を御参考にお見せ申し上げたいと思います。これが一番合理的でございますから。まず日取りの方はそういうことでございます。
 ただいまの御質問は、昭和二十年までの旧憲法下における天皇の地位と新憲法下における天皇の地位が違うじゃないか、それを通算して祝うのはどうだと、こういうお話でございますが、これは衆議院でございましたか参議院でございましたか、共産党の方からもその点についての御質疑がございました。そういうことをおっしゃる方はおります。しかし私は、これはやはり旧憲法下においても、なるほど統帥権は天皇が持っていらっしゃいましたけれども、これは統帥府の輔弼のもとに統帥権が行使せられた。同時にまた、国政についても、なるほど統治権者ではありましたけれども陛下御自身の御判断でいきなりこうしろというようなことはなかったわけでございますね。これはそれぞれのやはり輔弼の機関の輔弼のもとに行われたのであって、私はやはりそういった旧憲法のもとにおいても、なるほど法律的には確かに現憲法と違いますけれども、実態は陛下の地位についてそれほど変わったとは私は思わない、やはり国民統合の象徴であられたと。そして同時に、陛下が終始平和主義者であられたということもこれはもう極めて明瞭なことだろうと思うんです。
 それで、今日までずっと、また終戦後の新憲法のもとでは、これは憲法上ももちろん陛下は平和の愛好者、そして国民統合の象徴として天皇たるの地位でお務めをなさっていらっしゃる。これは国民の大部分の人が、素直な気持ちでお祝いを申し上げたいというのが大多数じゃないでしょうかね。あなたの議論の方が少数であると、私はそう思いますね、これは私の独断だとあなたはおっしゃるかも知らぬが。私はこういうようなおめでたいことは、あんまりあなたのようなことをおっしゃらないで、本当にあなた、八十五歳の最御長寿をお迎えなさる陛下なんだ、しかもこの天皇の御在位期間というのが六十年、歴史上初めてなんですよ。国民みんなが素直な気持ちで私はお祝いをしていただきたいし、またそれが国民の気持ちであろう。
 その国民の気持ちを受けて、政府としましては四月二十九日に御在位六十年のお祝いを申し上げよう、こういうことでございますから、こういう点については野田さんもひとつ国民の一人として素直なお気持ちで御賛同願えればありがたい、こう思います。
#101
○野田哲君 長寿をお祝いするんであればそれは四月二十九日に長寿としてお祝いをすればいいんであって、今までの例が四月二十九日であればともかくとして、前回はやはり四月二十九日説を退けて十一月十日にやられているわけです。しかも、それは即位の式典をやった日が一番ふさわしい、こういうふうに言われているわけです。私どもは五十年のときも別に賛成をしたわけじゃないんです。素直にという話が官房長官からありましたが、素直に私が感じるのは、五十年の前までは四十年のときも三十年のときも何にもやってないんですよ。五十年は一つの区切りとして考えてもいいんでしょうけれども、三十年も四十年もやってない。五十年はやられた。それをまた六十年をやるというのは殊さらにと、こういう感じがする。
 もう一つは、素直にといえば素直に言えば、今回の在位六十年の式典をしかも四月二十九日にやろうということ、あるいは午前中議論した皇太子の訪韓といい、中曽根総理の最近の政治手法というのは少し天皇や皇族を政治の場に使い過ぎるんじゃないか、こういう感じを持っているのもこれは素直な感覚なんです、私どもが受けているところでは。しかも、そういう形で天皇を一つの元首の方向にイメージアップしていく、もう一つは中曽根総理自身の政治日程絡みで天皇や皇室を利用しようとしている、こういう印象を持たれているんですよ。官房長官、もっと素直になれと言われてもそういう感情があるんですよ。
 そういう点から、私どもとしては、こういう天皇や皇太子を政治絡みの場に引き出す、こういうやり方はやめられた方がいいんじゃないか。これは私どもの素直な感情として申し上げるわけですが、いかがですか。
#102
○国務大臣(後藤田正晴君) もちろん事は皇室のことでございますから、すべての面について政府としては慎重な配慮をしなければならないということは当然でございますし、また政治からは隔絶をせられた方である、ここらは十分心得て政府としては対処するつもりでございますが、あなたのお気持ちの方が私は素直な気持ちとは一般国民は理解はしておりませんよということを申し上げておきたいと思います。もう少しやはり素直な気持ちで、本当にですよ。それであなたのような御議論の方がむしろ皇室というものを政治の場に引っ張り出してそれを論議の中に巻き込んでいくおそれもありはしないのかということすら、これは私の邪推かもしれませんよ、邪推かもしれません。しかし、私はさような感じさえ受けるんですから、もう少しやはりすらっとしたお考えでぜひひとつ御賛同をいただきたい、かように思うわけでございます。
#103
○野田哲君 それは政府の方が殊さらにそんなことをされようとするから私ども議論の対象にせざるを得ないということでお返しをしておきたいと思います。
 ところで、靖国神社の春の例大祭が近づいているんですが、総理はことしはこの例大祭にはどうされますか。
#104
○国務大臣(後藤田正晴君) 靖国神社のいわゆる公式参拝は、かねがね申し上げておりますように、制度化したものではございませんので、その時期その時期でその都度判断をしてまいりたい、かように考えております。
#105
○野田哲君 この四月の例大祭についてはまだ未定ですか。
#106
○国務大臣(後藤田正晴君) まだ決定はいたしておりません。
#107
○野田哲君 公務員給与の問題について人事院の総裁とそれから官房長官、総務長官に伺いたいと思います。
 昨年、人事院勧告の取り扱いにつきまして、官房長官、前の総務庁長官後藤田長官、非常に努力をされた経過につきましては敬意を表したいと思うんです。
 残念なことに三カ月の削減という形が残ったわけでありますけれども、これによって今まで数年続いていた積み残しという形がなくなった。しかし、今までずっと数年間の凍結あるいは率の削減によって公務員は相当な犠牲を受けているわけでありますが、概算してこれは公務員にどのくらいの犠牲を受けさせたことになるのか、公務員の各クラスに応じた概算、ちょっと説明してもらいたいと思うんです。
#108
○政府委員(鹿兒島重治君) 昭和五十四年以来見送りあるいは抑制という形で、それぞれの職位に従いまして額は違いますが、いわゆる人事院勧告と実際実施された額との間に差があるわけでございます。
 それを一応本省勤務ということを前提に置きまして試算をいたしてみますと、職位ごとにということでございますので各職位についての試算を、一般の職員の場合でございますと五十六年から六十年までということになりますが、それぞれ申し上げてみたいと思いますが、まず課長クラスの場合、現行の十一級の六号俸ということで、妻のほか子供二人いるという前提で計算をいたしますと、約百六十七万三千円ということになります。
 次に、課長補佐クラスでございますが、六級の十号俸、扶養家族は課長の場合と同様で計算をいたしますと八十二万四千円。それから係長クラスということで、四級の六号俸、これも家族構成は同様の前提で計算をいたしますと六十八万一千円。それから係員でございますが、二級の五号俸ということで、これは妻のみということで計算いたしますと、四十四万四千円という一応の計算が出てまいります。
#109
○野田哲君 これは大変な金額的に大きな犠牲を強要したことになるわけでありますけれども、現行制度では残念ながら補償といいますか救済といいますか、これはないわけですね。例えば民間の企業であれば、景気の悪いときに賃金を切り下げたりあるいは据え置いたりしたその分については、ある程度景気が回復した、こういうときにはそれなりの配慮をする、こういう措置がとられるわけですが、公務員の場合にはこれは全く救済、補償の道はないということですか、どうなんですか。
#110
○政府委員(鹿兒島重治君) 勧告をいたしました人事院の立場といたしましてはまことに残念ではございますが、御承知のように勧告自体は国会及び内閣に勧告を申し上げまして、その結果各年ごとに法律によってそれぞれ決定をされているわけでございますので、それ以上のことにつきましては人事院といたしましてはいかんともしがたいというぐあいに考えております。
#111
○野田哲君 間もなくことしのいわゆる春闘の山場を迎えることになるわけですが、ことしの春闘について、内需拡大による経済の活性化のためにも賃金要求についてある程度の引き上げを図って可処分所得の増大を図るべきだ、こういう声も賃上げを要求している労働者側だけでなくて経済界の中にも有識者の中にもある。しかし、その反面また円高・ドル安ということを口実にして経営者団体は非常に厳しい態度をとっているわけです。
 そういう状況の中で今一部で観測されているのは、あるいは懸念をされているのは、官民格差が非常に少なければ、特に民間の春闘は定期昇給込みで五%とか何%と、こういう決定をするわけですけれども、公務員の場合には私が申し上げるまでもなく給料表の中で定期昇給は取り扱われておりますから、官民格差というのは民間の春闘から定期昇給率を差し引いた形になると思うんですね。それが二%とかあるいは三%とか、こういう形で五%以下の数字が出たときには人事院勧告が見送りになるんじゃないか、こういう懸念が私どもの耳にも入ってくるわけであります。
 確かに国公法の二十八条では、勧告を義務づけているのは百分の五以上の格差が生じたとき、これは義務づけているわけでありますけれども、先ほど人事院の説明もありましたように、公務員にはこの数年来非常に大きな犠牲を受けさせているわけでありますから、五%以下の格差であってもこれは必ず勧告をすべきではないか、二%であろうと三%であろうとも。これは仮定の数字ですよ。それでなければ、これまた五%以下で義務づけられた格差ではないからということで勧告を見送れば、今度また来年の勧告の格差が大きなものになって、また政府は扱いにくいものになっていくんじゃないか。そういう点から、人事院としてぜひ勧告を何%であろうともやるべきだと、こういうふうに考えるわけです。
 もう一つ、人事院は勧告を見送るんじゃないか、こういう懸念が出るのは、ことしは当初予算に今までずっと計上されていた給与改善費、これがゼロになっている。これがやはり一つの懸念、憶測を生んでいると思うんです。この点についても、私どもとしては六十一年は人事院勧告が出れば完全実施を確認をされているところであるから、当初予算の一%には問題あると感じながらもそう大きなせんさくをしないといいますかこだわらなかった、こういう経過もあるわけでありますから、まずそういう点で人事院の総裁としてことしの勧告の取り扱い、基本的な考え方はどうなんですか、その点を伺っておきたいと思います。
#112
○政府委員(内海倫君) 勧告の問題でございますけれども、現在私どもは官及び民の給与の調査を既に着手いたしております。まだその調査結果が出ておるわけではございませんので、いわゆる官民格差というものがどういうふうになって出るか、これは今日においては私どもは何とも予測はいたしかねるところでございます。
 さて、そこで公務員の給与の問題ですけれども、公務員給与を私どもが勧告いたしますに対しては、やはり官民格差というものを前提にして、その他生計費とかあるいは物価等の諸条件を彼此勘案して判断して勧告いたしておるわけでございます。私どもは公務員給与というものの意味合い、これは公務員もその給与によって生計を維持しておるわけでございますから、やはり必要な条件の改善というものは私は行わなければならない。そういうふうな改善というふうな面で人事院が負わされておる任務、責任という観点から、その間における取り扱いをどうするかということは極めて慎重に真剣に考えなければいけない。それに対しましては、私は積極的な考え方を持ってこれに対応すべきであると考えております。
 その場合に、国公法にある勧告の問題でございますが、この点については既に昭和五十四年以来前任の人事院総裁からも意見を国会において答弁として申し上げておりますが、五%でなければ勧告をしてはならないというふうには理解いたしておりませんで、私どもはやはり基本的な国公法における給与というものの定め方あるいはその意味というものの趣旨を的確に考えていくべきであろう。そういう点から考えまして、必ずしも私どもは五%というものにこだわって、あるいはそれにかかわって勧告をするあるいはしないということの判断はいたしたくない、こういうふうに考えております。
#113
○野田哲君 後藤田官房長官、素直に伺いますが、後で江崎総務庁長官にも伺いますが、まず後藤田官房長官、去年のいきさつ承知でありますし、また官房長官としてこの問題にもかかわることになるわけでありますから、ことしは完全実施、こういうことなんでしょうね、勧告が出た場合には。
#114
○国務大臣(後藤田正晴君) これはもうかねがねお答えをしておりますように、人事院がどんな勧告をなさるかは別として、勧告が出れば最大限これを尊重して完全実施いたしたい、かように考えておるわけでございます。なおまた、どういう勧告が出るかはこれはもう政府としてはわかりかねるわけでございますが、私は法の趣旨に従って人事院は適切にお取り扱いになられるものであろう、かように期待をいたしております。
#115
○野田哲君 江崎総務庁長官、伺います。
#116
○国務大臣(江崎真澄君) これは今お答えのとおりでございまして、特に給与は勤労条件の基本的な問題でございます。したがって、昨年官房長官も完全実施をいたしたい、こういう談話を発表しておる経緯から申しましても、今官房長官の申しましたように、人事院の勧告があればそれに従って完全実施の方向をとっていきたいと考えております。
#117
○野田哲君 あと時間が残り少ないのですが、防衛の問題について伺います。有事法制の研究でありますが、昭和五十三年九月二十一日、昭和五十六年四月二十二日、昭和五十九年十月十六日と三回にわたって当委員会に報告がされているわけでありますが、今までの報告があった内容を検討いたしますと、やはり国民の権利に非常にかかわるもの、抑圧の厳しい内容でありますから、私どもとしてはもうこれは憲法の理念からいっても研究はやめるべきである、こういうふうに考えるわけですが、防衛庁としては今までの報告されたことに続いてその後ほどのような検討作業を行っておられるか、まずお伺いいたします。
#118
○政府委員(宍倉宗夫君) ただいま先生おっしゃいましたように、第一分類つまり防衛庁の所管する法令に関する事項及び第二分類、これは他省庁との所管の合意に関する部分、これにつきましては当委員会に対しまして既に御報告をしたとおりでございます。で、残っておりますのが第三分類といっております所管省庁が明確でない事項に関する法令についてでございますが、これにつきましては、防衛庁が直接担当するものではなくて、政府全体として研究が進められる性質のものと考えております。
 私どもといたしましては、内部作業としまして防衛庁、自衛隊の行動との関係という観点からの勉強はいたしておりますけれども、ただいまのところその勉強の中身についてまで御報告を申し上げられる段階まで至っておりません。
#119
○野田哲君 第一分類ですが、自衛隊法百三条、この「政令」はもう政令としての文書はできているんですか。今までの報告ではこういう点こういう点という項目は挙がっておりましたが、政令としての文書の形態になっているんですか。
#120
○政府委員(宍倉宗夫君) そのような文書の形態にはいたしておりません。
#121
○野田哲君 第二分類については、前回までの報告で道路法とかいろいろ法律の名前を挙げて数十項目が挙がっているわけでありますけれども、これは現状としてはどうなんですか。防衛庁が提起をしただけで所管省との協議はまだ進んでいないと、こういうことなんですか。
#122
○政府委員(宍倉宗夫君) 防衛庁が所管庁と相談をいたしましてそのような報告になっておるわけでございますが、あれ以上のこととしては進んでおりません。
#123
○野田哲君 第三分類の所管省庁が明確でない事項に関する法令について「今後より広い立場において研究を進めることが必要であると考えている。」、こういうふうな報告がされているわけですが、これもまた前回の報告の程度、こういう理解でいいわけですか。
#124
○政府委員(宍倉宗夫君) 先ほど申し上げましたように、第三分類に属する事項につきましては、防衛庁が直接担当するものでない、こういう認識でございます。でございますから、防衛庁といたしましては自衛隊の行動との関係でどういう問題点があるだろうかという勉強はいたしておりますが、それ以上のものではない、先ほど申し上げたとおりでございます。
#125
○野田哲君 第三分類の中で「人道に関する国際条約(いわゆるジュネーブ四条約)に基づく捕虜収容所の設置等捕虜の取扱いの国内法制化など所管省庁が明確でない事項が考えられ、これらについては、今後より広い立場において研究を進めることが必要である」、これは今答えられたわけですが、この野外令、午前中にもちょっと触れましたが、野外令によるとこれはかなり具体的に記載されているわけですね。明確にこれはもう「捕虜」という項目が挙げてあるわけですね。これは今の私のよりも、最近また新しくつくり直したと言われるわけですが、今防衛庁の扱っている野外令でも捕虜という項目があるわけですか。
#126
○政府委員(大高時男君) 先生御指摘のとおり、捕虜の取り扱いということで、捕虜の取り扱い一般の要領について述べておりますが、従来のものとおおむね同様でございます。
#127
○野田哲君 恐らくここは変わっていないと思うんですが、防衛庁長官、「第7章 捕虜」という項目があるんですよ、おたくの方のこの野外令の中には。ずっと連番でいけば「52」となっているんですが、連番は今変わっているかもわかりませんが、
  捕虜の取扱いは、陸戦の法規慣例に関する条約及び捕虜の待遇に関するジュネーブ条約並びにこれに基づき制定される捕虜取扱いに関する法規を遵守し、適正に行わなければならない。
  捕虜は、直接これを捕えた個人又は部隊の権限に属するものでなく、国の権限に属する。また、捕虜の後送間においては、部隊に対して適用される法律、規則及び命令は、捕虜に対しても通常適用される。
  各級指揮官は、部下隊員に対し、捕虜取扱いに関する関係諸法規等を十分徹底させなければならない。
そして、
 第53 捕虜取扱い一般の要領
  捕虜は、人道的に取り扱い、侮辱等から保護し、また捕虜の人格、階級、地位等は、これを尊重しなければならない。
  1 各部隊は、捕虜を白隊の捕虜収集所を経出して、なるべく速やかに師団等の捕虜収集所に後送する。
  2 師団等は、必要な処置及び尋問を行った後、通常、方面隊の捕虜管理隊等によって、捕虜を方面隊捕虜収集所に後送する。大量の捕虜を獲得した場合は、普通科部隊等をもつて後送、警護を担任させることがある。
  3 方面隊は、通常、方面兵站基地に捕虜収集所を、必要に応じ前方支援地域等に捕虜中継所を開設して、師団等からの捕虜の後送を行うとともに、必要な処置及び尋問を行った後、陸上最高司令部に引き継ぐ。
  4 担送を要する捕虜の治療・後送は、衛生系統により行われる。
 こういうふうに具体的に捕虜の取り扱いが規定をされているわけですね。特に「大量の捕虜を獲得した場合は、」と、こうなっているわけですがね。これは長官、有事法制の先取りではないんですか。この有事法制の中ではまだどこの省が扱うかも決まってない、こういう状態の中で捕虜のことをこれだけ詳しく規定をする。これはもう明らかに有事法制の先取りだと思うんですが、いかがですか。
#128
○政府委員(宍倉宗夫君) ただいま先生がお話しになりましたように、これらの記載は捕虜取り扱いに関する諸法規が制定されればそれを遵守した上でということでございまして、このこと自体は事実上の問題について記述があるわけでございまして、何度もその記述そのものの中に制定された場合の法規を遵守するというふうになっておりまして、現にその捕虜に関する法規については、先ほども申し上げましたように制定されていないわけでありますし、その研究自体が先ほど来申し上げておりますようにまだできておらないと、こういうのが現状でございます。
#129
○野田哲君 だから結局、この条約の批准もされていない、取り扱いの省庁も決まっていない、法律もまだどこの省でどう扱うか全く取り扱いが決まっていない、そういう状態の中ではこれは余りにも先走り過ぎではないですかと、このことを聞いている。長官、どうですか。
#130
○政府委員(宍倉宗夫君) 先ほども申し上げましたように、その法規そのものをつくっているわけではございませんで、また法規そのものの先取りということではございませんで、句と申しましょうか、一般的な捕虜というものについての概念を常識的に教育的に述べておるというに過ぎないというふうに御理解賜りたいと思います。
#131
○野田哲君 もう時間がないですからね、長官の考えを聞かせてください。
#132
○国務大臣(加藤紘一君) 今、官房長が申しましたように、そういうまだ制定されてないわけでございますが、一般的に例えば仮にそういう捕虜という事態が生じた場合に、それぞれの現場の部隊で恣意的にそれの取り扱いをやっちゃいけないよと、そういう意味で、将来制定される場合が予想されるそういう法規に従ってちゃんと規律正しくやりなさいよという事実上の精神論を述べたものだと思います。
 そういう意味で、いろんなところで現実に不備があるということは、戦後の自衛隊の法制の中ではこういう部分が幾つかあるんではないでしょうか。で、先取りとおっしゃられれば先取りではなくて、「これに基づき制定される」と、こう未来形で書いてあるわけでありますが、仮にでも勝手にやっていいよということを書いたら、これもまた人道上に基づくものであって、やっぱりこの辺は少し研究しておかなきゃならぬ部分であります。決して有事法制を先取りして我々が勝手に書いているというものではなくて、今御指摘されたように、問題点がここにあらわれているということなんではないかなと、こう思います。
#133
○野田哲君 私は極めて明確だから「捕虜」の項を取り上げたわけで、時間があればもっと取り上げるんですが、野外令の中に書いてあることは、これは陣地の構築のときにああしろこうしろとか、輸送のときにどうしろこうしろとか、これはもうまず野外令はいっぱい有事法制を先取りしているんじゃないか、こういう指摘をせざるを得ないようなところがあるわけ。だから有事法制を急げと言うんじゃないんですよ。こういう既成事実をこういう形で隊員の中に認識させる、ここに一番私は問題があるということを指摘しておきたいと思います。
 終わります。
#134
○太田淳夫君 それでは、最初に防衛庁長官、アメリカのワインバーガー国防長官が昨日から韓国へ訪問されておりまして、報道するところによりますと、昨日金浦空港に到着をされて、「ソ連と北朝鮮の密着が朝鮮半島の安定に脅威になっている。八八年までの軍事的不安定な時期に向けて、韓米両国の同伴者的協調が重要だ」と、こういうステートメントを発表されたと。そして、三日まで韓国におられて、休戦ライン一帯をきょうは視察をされて、その後日本、フィリピンなどを歴訪し、アジア・太平洋地域の安全保障ラインの強化を図る、そういうスケジュールになっているそうでございますが、あした日本に来られて防衛庁といろいろとこれから会談をされるんだと思うんですけれども、どのようなことが今回議題になっておりますか。
#135
○国務大臣(加藤紘一君) 我が国と非常に密接な関係のある米国の国防長官が来られるわけですから、私たちとしては、我が方の国際情勢認識を述べ、また先方の国際情勢認識及び国際軍事情勢認識についていろいろ聞き、そして意見を交換したい、こう思っております。
 それから、現在日米の間には防衛協力関係では非常にスムーズにいっておって、過去の日米防衛関係の中では最もいい時期の一つじゃないかと思いますが、そういった問題が比較的ないときだからこそ常に話し合って、問題が生じたときに処理ができるような良好な関係を維持していく基礎をつくって固めておきたい、こんなふうに思っております。
 先ほど申された北東アジアにおける状況等についても当然のことながら双方の議題になるだろうと、一般的な国際情勢分析の中の一つの話題にはなるだろうと思っております。
#136
○太田淳夫君 当然今お話のあった北東アジア、そしてフィリピンの方にもワインバーガー国防長官は訪問される予定になっておりますね。フィリピン情勢等についてもいろいろと情報交換等が当然なされるんじゃないかと思うんです。フィリピンには重要な拠点としてのアメリカ軍基地もございますから、そういったことを含めていろんな討議になろうと思いますが、その点はどうでしょうか。
#137
○国務大臣(加藤紘一君) 先ほど言いましたように、アジアにおける情勢につきまして双方は当然のことながら関心を持っておりますので、そういうテーマも出るかもしれません。そういった場合には我が方の意見も申しますけれども、向こう側からの意見を聞くことが、情勢判断は向こう側の方が比較的的確に多くの情報を持っていると思いますので、そういうことを聞く場合もあるかなと思っております。
#138
○太田淳夫君 昨年もちょうど防衛庁長官は訪問されてワインバーガー国防長官とアメリカで会談をされているわけですけれども、そのときにいろいろと懸案事項として残っている問題もあろうかと思うんですが、その点のいろんな詰め等も今回あるんでしょうか。例えば空母艦載機の着陸訓練場確保の問題等についても昨年いろいろとお話しされてきましたね。そのことについてもいろんな要望が出てくるんじゃないでしょうか。
#139
○国務大臣(加藤紘一君) 先ほど我が国と米国との間の防衛関係は非常に良好にいっていると申しましなけれども、若干の懸案があることも事実でございます。それは、例えば空母艦載機の夜間着陸訓練の場所として現在厚木で行われているわけですけれども、この場所には幾つかの制約がございますので、米側としてはもっと適当な場所がないかということは常々、我が方の総理大臣が行ったときも話題になっているぐらいでございますし、昨年の私の訪米のときにも議題になりました。今回米側はどこの場所ということは一切言いませんけれども、現在厚木で騒音で迷惑をかけていることもあり、米側としてははもっとほかの場所というものが考えられないかという従来からのこの問題点は議題の一つに当然なってくるのではないかと、こう思っております。
#140
○太田淳夫君 昨年でしたか、夏目次官が訪中されましたのは。
#141
○国務大臣(加藤紘一君) 昨年の五月ごろだったと思いますが、当時の夏目事務次官が訪中いたしました。
#142
○太田淳夫君 その後中国側からも日本に幹部が訪問されるようなお話もありましたけれども、その後ちょっと中絶しているようですね。長官も何か訪中されるような予定ちょっと報道されたような記憶もあるんですけれども、その後のそういう予定はもうないわけですか、中国には。
#143
○国務大臣(加藤紘一君) 中国側の軍部の要人が我が国を、三月と申しますと先月でございますが、訪日する計画はございました。ただ向こう側の内部事情でその日程が今延期になりまして、その実現には至っておりません。日中関係から来るものではなく向こう側の内部事情であるというふうに向こう側は強く申しております。
 私自身の訪中につきましては現在のところ考えておりません。
#144
○太田淳夫君 それでは行革関連でちょっとお尋ねいたしますけれども、ことしの一月に防衛庁の業務・運営自主監査委員会から長官に提出をされましたいわゆる防衛行革と申しますか、「業務運営に関する改善検討事項について」現在防衛庁としてどのような検討を進めておみえになりますか。
#145
○政府委員(宍倉宗夫君) 今お尋ねのように、ことしの一月に業務・運営自主監査委員会で改善検討事項につきまして、こういった事項につきましてこういった方向でそれぞれ検討してみると、こういう報告を出しました。それに基づきましてその後各担当部局で検討を続けておりますが、現在の段階は資料の収集でございますとか実態調査などを行っておりまして、そろそろそれぞれの担当におきましては、一回目の目標スケジュールというのがことしの四月の下旬ぐらいに取りまとめるということになっておりますので、その取りまとめのための具体的な作業を急いでいるというような状況でございます。
#146
○太田淳夫君 今六十一年の四月末までに実態調査完了とか実施計画の作成とか、あるいは六十二年四月までに基本的な考え方について検討完了とか、いろいろな項目がそれぞれ分かれておりますけれども、その中の「統合の強化・業務の一元化」というところがございますが、その中にアイウエオのエですか、「各自衛隊担当の警備区域、防衛区域のあり方の検討」、こういうことがございますけれども、この問題につきましてはかなり根本的かつ広範囲な問題になるのじゃないかと思うんですけれども、仮に検討の結果この事項について見直しが必要となった場合には、いわゆる防衛計画の大綱の見直しにもこれは結びつきかねないとこのように思うんですけれども、長官はどのような認識を持っておられますか。
#147
○政府委員(宍倉宗夫君) この業務・運営自主監査委員会におきましては、検討いたします場合の大きな前提の一つといたしまして、防衛計画の大綱の枠組みというものは変更するということを一切考えないで、現在の枠組みのもとでいかに効率的あるいは合理的に自衛隊、防衛庁の業務が運営できるかということを考えているものでございます。したがいまして、今先生がおっしゃいましたことにつきましては、来年の四月までに基本的な考え方について検討を完了するという目標スケジュールになっておりまして、まだ大分先の話になるわけでございますが、そうした枠組みの中であくまでも検討されていく限りにおいて私どもどういったことができるかということを勉強しているところでございます。したがいまして、先生おっしゃいますような御心配というのは直ちには出てこないというふうに考えております。
#148
○太田淳夫君 今お話がありましたけれども、この防衛行革は大綱の枠組みの中で行われるものだ、すなわち大綱の本文はもちろん別表の変更にもつながらないものだ、このように認識してよろしいですね。
#149
○政府委員(宍倉宗夫君) この業務・運営自主監査委員会の検討の前提は今先生がおっしゃったようなことで出発しておりますので、この委員会に関する限りにおきまして先生のおっしゃることはまさにそのとおりだと思います。
#150
○太田淳夫君 そこで、去る二月十八日の衆議院の予算委員会で、長官は大綱の本文と別表を分けて別表の間仕切りを動かすことは大綱の見直しには当たらない、このように答弁されておりますけれども、別表に掲げられました数量の変更は当然大綱の見直しに続いてくるんじゃないか、こう思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
#151
○政府委員(西廣整輝君) 先般衆議院の予算委員会におきまして大綱の見直しといいますか、について御質疑がございましたけれども、これは現在政府が見直しを考えているとかあるいはそういう研究をしているとかという前提のお話ではなくて、大綱そのものの仕組みがどうなっておるかといったたぐいの御質問がありまして御説明したことでありますが、従来巷間いろいろ大綱見直しというようなことが言われますが、その際それがどういうものであるかということについては必ずしも定義がないわけでございますが、政府としては、大綱というものには、大綱そのもの、大綱の基本的な考え方である例えば限定的小規模事態に対応するとか、そういった問題を含めて見直してしまうといういわゆる見直しと、それから大綱の基本的な考え方に基づきまして、その情勢の変化、科学技術の進歩であるとかあるいはその他の軍事動向等の変化に伴って、大綱の考え方を進めていくとある程度手直しせざるを得ないといったような、いわば大綱が予想しておったような変更といった幾つかのものがあろうと。その際、政府がいわゆる大綱見直しというのは大綱そのもの、大綱の基本的な考え方を直すものを大綱見直しと政府としては考えておりますというような御答弁をしたことがあると思います。
 なお、今先生のおっしゃられた、例えば科学技術が変化して装備体系がある程度変わっていくとか、あるいは効率化のために従来の部隊の編成なりあるいは持ち方というものをより合理化していくと、そのために別表が変わるといったものが大綱の本来の考え方の枠内というか、それをきちっと守るがこそそういうことになるといった場合には我々としては大綱の見直しにはならないといった御答弁をしたことがございますが、いずれにいたしましても最初にお断りしたように、現在その種の研究をしているとかということではなくて、大綱の仕組み、性格そのものについての御説明としてお答えしたわけであります。
#152
○太田淳夫君 同じ日に中曽根総理も「大綱自体に間仕切りを変えたりあるいは別表の一部の内容を装備の変化として変えられる余地は認めておる」と、こうおっしゃっていますけれども、それは今おっしゃったことのことですね。
#153
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど申し上げたように、私申し上げたと同じように総理もいわゆる大綱の本来の性格であります限定的小規模独力対処といったような基本的な考え方の枠内において別表の内容等を科学技術の進歩等によって修正する、そういった仕組みになっておるという趣旨の御答弁をされておるというように思っております。
#154
○太田淳夫君 六十一年度予算案を見ますと、国庫債務負担行為、継続費の歳出化分の防衛費に占める割合がこれは三五%に達していて、ここ十年以上毎年ふえ続けているわけですけれども、このような後年度負担の増加というのは、これは常に論議されておりますけれども、防衛費予算の硬直化を招きますし、毎年の防衛費突出の原因となっている。このような現状を長官としてはどのようにお考えになりますか。
#155
○政府委員(池田久克君) 先生篤と御承知と存じますけれども、艦艇とか航空機とかあるいは大きな施設工事、こういうものは数年を要します。したがいまして、どうしても一年間でこれを完了するわけにいかない。当然後年度負担が伴ってまいります。さらに最近は、御承知のように人件費の比率を減らしましてできるだけ装備化の比率を高めるということから、どうしてもこういう分野がふえてまいります。その結果、やむを得ず後年度負担はふえてきております。しかし、我々としても後年度負担にはおのずから限度があると考えておりまして、各年度の予算編成に当たりましては、現下の財政事情を勘案し、後年度負担につきましても、それが翌年度以降の予算を過度に圧迫することのないように十分配慮してお願いしているところでございます。
#156
○太田淳夫君 先ほども申し上げましたように、毎年ふえ続けていきましてもう三五%、それだけの予算というのが硬直化するわけです。今限度とあなたはおっしゃいました。予算を過度に圧迫することのないように限度を考えていくということでございますけれども、三五%もこの後年度負担が占めるということはもう既に限界に来ているんじゃないか、このように思います。その点どうでしょうか。
#157
○政府委員(池田久克君) 防衛費の内容を概括的に申し上げますと、人件・糧食費と歳出化それから一般の物件費がございます。問題は、この一般の物件費をどう確保するかという点でございますけれども、六十一年度予算ではこれを増額しておりまして、教育訓練とか装備の維持とか施設庁の経費とか、そういう点についても十分配慮をお願いしております。もちろん必要最小限度のものでございます。
 一方、歳出化経費につきましても、六十一年度の場合は歳出と比較する比率からいいますと前年度よりも下回っております。それはなぜかといいますと、後年度負担の伸びが全体で四・九%程度になっている、したがってそれに含めて今後とも生ずるであろう歳出化というものも過度に至らないようにそういう配慮をしているわけでございます。
#158
○太田淳夫君 この防衛施設庁の方の予算を見てみますと、施設庁の方は、国庫債務負担行為の年割り額が、六十年度までは初年度二〇%、後年度八〇%という割合だったんですけれども、六十一年度は初年度一六%としているわけです。これは、いろいろと努力をされたのか、あるいは予算を小さく見せるための便法にいろいろとやりくりをされたのか、その点はどうでしょうか。
#159
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 会計制度上におきましては確定払い、これが原則でございまして、契約に当たりまして一般慣行上あるいは工期の関係とか経費の必要上前金払いをしなければ事務に支障を生ずるおそれがある、こういう場合、特例として前金払い制度が認められておるわけでございます。
 ただいま御指摘の初年度二〇%、二年度目八〇%という国庫債務負担行為限度額の割合というのは、そのようないわば慣行、契約をスムーズにやらせると同時に確定払い制度という原則は守ると、この調和の上に成立しておる措置でございます。個々の工事ごとの工期であるとか工程であるとか、いろいろなそういうことから、支払い額の算定に当たりましては、円滑な契約の履行の確保という要請と会計制度上の確定払いという制度の調和を保って個々に検討をしていくものでございまして、それぞれの事案の実態に即して見積もった必要最小限の金額が、昨年二〇%だったものが六十一年度は一六%になった、こういうことでございます。
 なお、後年度負担が多くなるとますます硬直化するという御指摘でございますので、この点につきましては、厳しい財政事情も踏まえながら六十一年度の各時限ごとに着工時期だとか工事過程とがよく考えまして、防衛関係費全体の後年度負担の範囲内でそれが翌年度以降の予算に過度の負担をかけて圧迫することのないよう、全体の工事量という面でもって必要最小限度にやってまいりたい、かように考えております。
#160
○太田淳夫君 次は、せんだっての予算委員会等でも問題が出ておりましたが、次期支援戦闘機いわゆるFSXについては、国産があるいは輸入かについて結論がいつまでたっても出ておりませんけれども、ことしの夏には決定するつもりなんでしょうか。その選定の進捗状況はどうですか。
#161
○政府委員(西廣整輝君) 支援戦闘機につきましては、昨年九月に政府で決定されました防衛力整備五カ年計画におきまして、この五カ年の期間中に後継機について「別途検討の上、必要な措置を講ずる。」というように定められておりまして、現在選定作業を進めておるわけでございます。昨年末外国機の導入につきまして三つの候補を決めまして、それぞれ外務省を通じて資料の提供方をお願いして、すべて一応最初の質問に対する答えが届きました。現在、それを分析し解析しているという状況でございまして、そういった資料が整い次第・前々から申し上げておりますように、国内開発をする場合、あるいは現有機を転用する場合、そしてまた外国機を導入する場合、それぞれのケースについて技術的な問題あるいは運用上の問題さらには費用対効果といった点について検討を進めていきたい、できるだけ早く結論を得たいというように考えております。
#162
○太田淳夫君 これは予定どおり夏までには決定するという見込みがないんでしょうか。この機種の選定のおくれというのは、やはり我が国の防衛計画そのものの根幹に支障を与えるようなことにならないでしょうか、大丈夫ですか。
#163
○政府委員(西廣整輝君) 先生御案内のように、現在私どもが使用しております支援戦闘機と申しますのは国産のF1という戦闘機でございますが、それ自身数が大綱水準より下回っておる、数が現在でも足りないということもございます。もう一方、今後の各国の航空機等の趨勢から見ますと、現在使用しておりますF1というものであっては対地支援能力あるいは対艦戦闘能力といったような面で能力不足ではないか、あるいは航続距離等においても現在のものでは不満足ではないかといったような、将来の我が国が持つべき戦闘機として現在のものをそのまま使っていくということでは間に合わないんではないかというようなことを考えております。
 そういった性能面について言えば、逐年そういった相対的な能力格差というものが生じる傾向にありますので、先生おっしゃるように、できるだけ我々としては早い機会に次の機種というものを選定して整備にかかりたいということはございますが、一方これはかなりのお金のかかる事業でもありますし、また相当長い将来にわたってこれを使用していくということでありますので、やはりこの機種を決めますには、それなりの諸外国の技術的な水準、そういったものの動向等も十分踏まえた上で、我が国防衛のためにどんなのが一番いいんだということについては、慎重の上にも慎重に検討して総論を出さざるを得ないというように考えております。先ほど申したように、できるだけ早くということはございますけれども、といって何が何でもこの七月までに決めるとか、そういったタイムリミットを設けて作業をしておるということではないので、その点は御理解をいただきたいと思います。
#164
○太田淳夫君 ある報道によりますと、防衛庁としては、FSX選定時期をさらに一、二年延期して、新機種導入までのつなぎとしてF4の改修機を暫定使用するのが防衛庁の意向だと、こういうような報道もされておりましたけれども、その点については防衛庁の中にそういう考えがあるんですか。
#165
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど申し上げましたように、大きく分けて三つの選択肢の中には、現在用いている航空機をFSに転用してはどうかという考え方は初めからあるわけでございまして、それも一つの選択肢であることは間違いありませんけれども、作業がおくれているという認識のもとにつなぎに現在持っているものを使うといったような考え方は今出ておりません。
#166
○太田淳夫君 これまた新聞報道ではございましたけれども、ワインバーガー国防長官が三月二十六日ですか、ある報道関係の方と単独会見をされまして、その中で、FSXの日本との共同開発を歓迎する、こういう発言をされたかに報道されているわけでございますけれども、防衛庁長官としてはこれをどのように受けとめておいでになりますか。
#167
○政府委員(西廣整輝君) 今御質問の件は私どもも報道で読みましたけれども、インタビューの質問に答えてワインバーガー国防長官が、一つの可能性として日米間での共同開発といったようなものもあり得るかもしれないし、それは同盟国として一般的に結構なことだというような向きのお答えをされたということは十分承知いたしております。ただ、現在アメリカの方から私どもの方にこのFSXについて共同開発をしないかといったような具体的な提案が来ておるわけではございませんので、我々としてはこの点について特に検討はいたしておりません。
#168
○太田淳夫君 先だっての予算委員会で、同僚委員の質問に対して防衛庁側としては、外国との共同開発は国産開発というものの一つの変形ではないか、このように答弁されておりましたけれども、その点はどうなんでしょうか。
#169
○政府委員(西廣整輝君) ただいまの件は実は私がその旨お答えしたわけですが、これは私の個人の認識で恐縮でございますが、今申し上げたように、現在アメリカの方から具体的な提案があるわけでもございませんし、私ども共同開発ということについて特段の研究をいたしておるわけではございませんけれども、国内開発と申しましても、例えばエンジンについてはアメリカのものを導入してくる、その場合にはアメリカの技術的ないろいろの支援を受けるといったようなことでありますので、私ども開発というものが必ずしも純粋に我が国だけでやるものというようにはとらえておりませんので、共同開発ということになればまたその程度の差はあろうかと思いますけれども、いずれにしましても我々の検討対象としては、国内開発とあと二つの選択肢の中の国内開発という選択肢の一つの考え方の変形ではないかというようにお答えをしたわけでございます。
#170
○太田淳夫君 どうでしょうね、今の段階で、国内開発あるいは先ほどもおっしゃった三つの選択肢がございますけれども、それぞれ防衛庁として考えられるメリット・デメリットということはこうなんだということは発言できますか。
#171
○政府委員(西廣整輝君) 私必ずしもまだそこまで詰まっておりませんのでお答えしにくいわけですが、非常に簡単な点だけ申し上げますと、例えば国内開発でございますと、これから開発にかかって仕上げていくということですから、どうしても時間がかかるという問題が一つございます。そのかわり、自分の目的に合ったものをつくるわけでございますから、できてくるもの自身は私どもが最も欲しいというものに最も近いものができてくるということは間違いないだろうと思います。その点、現に諸外国で使っている航空機というものは、それなりに使用目的も必ずしも我が国のためにつくったというものではございませんので、我が国の要求しておる性能にすべてがマッチをするというわけではないんではないかというように考えております。
 さらに申しますれば、アメリカとのインターオペラビリティー等については、国産についてはそれなりの配慮もいたしますし、アメリカのものであればまたそれなりにインターオペラビリティーも非常に有効に働くであろうというようなことも考えられますし、その他経費等の点について、どちらが高くつくか安くつくかというような点については、個別に今後検討してみないとわからないというのが実情でございます。
#172
○太田淳夫君 先ほどワインバーガー長官の来日のお話も出ましたけれども、五日に会談が行われるということでございますけれども、やはりこの問題あるいはSDIについて昨年も要望を出された、そういった問題についてもいろいろと議題になってくるんじゃないかと思うんですけれども、こういうような問題についてはどのように長官としては対応されますか。
#173
○国務大臣(加藤紘一君) FSの問題につきましては、向こう側からテーマとして出てくるかどうか、それはまだわからないところでございます。仮に出てきましても、まだ我が方は検討の途中でございますので、先ほど防衛局長がお答え申し上げたような我が方の考え方を丁寧に、かなり詳細にわたって述べていくということになろうかと思います。
 それからSDIの問題でございますが、これがテーマになるかどうかはわかりませんが、仮にテーマになりましても、この問題の一義的な所管と申しますか、我が政府内における責任者は外務大臣でございますので、どちらかといいますと、外務大臣それからワインバーガー氏の会談も予定されておりますので、その場での討議の方が主要なものになっていくんではないだろうか、こう思っております。
#174
○太田淳夫君 次に、この改善検討事項の中に「各自衛隊作戦部隊間の作戦通信の円滑化の推進」ということがありまして、これも六十一年四月までに実態調査を完了して検討計画の作成に入るとありますけれども、これはどの程度進んでいるんですか。
#175
○政府委員(山田勝久君) 自衛隊のただいまの指揮通信系統でございますけれども、ハードウェアとソフトウエア、この二つに分けてちょっと御説明をさせていただきます。
 ハードウエアでございますが、指揮通信網の骨格をなすものといたしまして、日本列島の太平洋岸を縦断するいわゆる防衛マイクロ回線というものがございます。これが自衛隊の主要な通信システムになっておりますが、しかし防衛マイクロ回線は単一のルートであります。そういう意味でいろいろな障害に対する強靱さに欠けておるわけでございます。それからアナログ方式でございますので、今後予想される通信の高度化に対応していくことがなかなか難しいと考えられるわけでございます。
 したがいまして、午前中の質疑にもございましたが、自衛隊の通信網につきまして通信能力の向上ということのための近代化を行っております。一つが防衛マイクロ回線を複ルート化する、日本列島の北の分、日本海側に沿ってこれをつくっていく。あるいはディジタル化をする。あるいは御議論の通信衛星の利用などが考えられるわけでございます。こうした通信網の複ルート化、あるいは強靱性、ネットワーク化というものの考え方として、ただいま先生御指摘の各自衛隊相互間の問題もまた考えられておりまして、ハードウエア面での一つの措置を勉強いたしておるところでございます。
 それから、ソフトウエア面ということになりますと、やや制度的な面に相なります。各自衛隊の通信のやり方、それぞれ若干異なるところもございますので、相互間の関係をこの業務監査委員会におきまして検討をしていく、こういう今スケジュールでやっておるところでございます。
#176
○太田淳夫君 そうしますと、三月二十三日にこれまたいろいろと報道されているわけでございますが、ここにある計画はすべて正しい、このとおりだ、こういうことでございますね。
#177
○政府委員(山田勝久君) 午前中の御質疑にもございましたが、その新聞に報道されております内容を大きく分けますと二つございまして、一つが今私申し上げました、これからの自衛隊の通信の需要の増大に対しまして自衛隊全体としてどういう通信網の改善を図っていくか、近代化を図っていくか、そのための複ルート化、日本海側にもう一本つくる。あるいはディジタル化あるいは通信衛星の活用ということが一つの新聞報道の内容であったかと思います。それはただいま研究をいたしておるところでございます。
 それから、もう一つの新聞報道の内容はその中の一部のことでございまして、通信衛星を利用することについてでございます。これもこの一環として研究をいたしておりますが、どの衛星、例えばCS3を使いますとか、あるいはその他民間の通信衛星のどの部分をレンタルあるいはリースするかにつきましてはまだ決まっておりません、現在検討中でございます。
#178
○太田淳夫君 いろいろと午前中にもこの問題について同僚委員からも取り上げて問題提起がございました。今お話しのとおり最近は高度情報化社会と申しますか、いろんな通信情報についてのソフト、ハード両面からの非常な近代化が進んでおるわけでございますから、そういったものも当然これは自衛隊といえどもそういった面で利用していく、採用していろんな状況に備えていくことは当然だと思いますけれども、この中に先ほどおっしゃったように通信衛星の利用が含まれているというわけでございますし、この報道どおりだとしますと、従来の硫黄島との通信利用とかあるいはリムパック演習などそういうものに加えて、先ほどおっしゃったような通信、あるいはこれは軍事的にだんだんとそれが利用されていくんじゃないか。
 午前中もお話がありましたけれども、一たん枠が広がり始めますとどこまでも広がってしまう。そうなりますと、私たちは宇宙の平和利用の国会決議ということを思い出さざるを得ませんし、そういった宇宙の平和利用の国会決議に反することのないように、この問題はいわゆる専守防衛と申しますか、そういう点で十分防衛庁長官として監視をしながらこれに取り組んでいただきたい、こう思うんですが、その点どうでしょうか。
#179
○国務大臣(加藤紘一君) 先ほども申しましたように、私たちは国会決議の精神を十分わきまえまして、そして仮に衛星が使用されるようなことがありましても、それ自体が殺傷力、破壊力として直接利用されるような計画には問題があろうと思いますので、その辺はケース・バイ・ケース、しっかりと我が国の防衛の基本政策、憲法の精神、そして国会決議等を踏まえて対処してまいりたい、こう思っております。
 それで、何となくなし崩しに防衛庁の方が拡大解釈して使用できる範囲を固めていくのではないかという御指摘を時々いただきますけれども、私たちとしては、先ほども申しましたように、衛星の利用、その機能の利用というものが、国民一般から見てああ自衛隊が使ってもそれはまあ常識の範囲内だなと言われるようなところはどういうところなんだろうということを正確に見きわめながら対処していきたい、こう思っております。
#180
○太田淳夫君 次に総務庁長官、いわゆる行革審ですね、臨時行政改革推進審議会、これが本年六月の末に設置期限が来るわけでございますけれども、その延長のための法案というものが提出されてない、またその見込みがない、こういうふうに今言われていますけれども、この行革審がもしも延長になりませんと、後どのようにして行革を進められる所存でございますか。
#181
○国務大臣(江崎真澄君) 大変重要な御質問だと思います。これは御承知のようにまだ行革審が最終的な取りまとめ、結論の目下作業中でございまして、さてこの後をどうするかということについては、首相と私の間でも議論をしたことはございません。先ごろ、中曽根総理と民社党の塚本委員長との話で、何かこの問題についての新聞やマスコミの報道等がなされておりましたが、これも総理自身が申しておりますように、まだこの先行きについては決めておらない、こう申しておることは御承知のとおりでございます。
 したがって、法案は出てわりませんが、行政改革ということは、やはり法案のあるなしにかかわらず、まだ、お世辞も含めてでございましょうが、行革の実は五合目までという激励の意味も含めての御批評もあります。そして事実、国鉄の分割・民営化という問題もいよいよ来年に控えて今法案審議をお願いしておる、こういうことから考えましても、絶えざる行政改革への関心というものはやはり総務庁として十分持って、各省庁の協力を得ていくことは当然なことだと思います。特に、民主主義時代というものはどうしてもサービス業務が多くなりますし、それから放置しておきますといたずらに行政機構が膨張する、こういう傾向がなくもありませんので、絶えず今後とも行政改革については十分配意をしていくつもりでおります。
 ただ、今後どうするかということについては、現在結論待ちというのが現況でございます。
#182
○太田淳夫君 報道されるところによりますと、今後総務庁長官の諮問機関として新たな監視機関を設置するための法案を秋の臨時国会に提出するのではないか、まあこういうようなこともあるわけでございますけれども、従前行政管理庁に行政監理委員会を設置しましたけれども、この委員会の提言はほとんど何と申しますか実行されなかったんですね。ですから、その反省に立ってこの行革審というものが設けられて今まで進めてきたわけですね。それで、日本たばこ会社、電電公社、それから今回の国鉄と、それだけで行革が終わってしまったということになってしまっては、これは本当の国民の皆さんが望んでみえる行政改革は中曽根内閣ではされなかったと、こう悪評されても仕方ないと思うんですね。その点今後、これは報道されているだけでございますけれども、総務庁長官としてはそういった意味での監視機関をつくっていくと、そういうような御意向はあるんでございますか。
#183
○国務大臣(江崎真澄君) 今も申し上げましたように、これは法律のあるなしにかかわらず総務庁としては行政改革と絶えず前向きに取り組んでいく、これはもう当然なことでございます。しかし、これを法的にどうするかという取り決めについては、今最終取りまとめの作業をしておられる行革審のメンバーの皆さんに対しても大変失礼な話でございますし、後どう対処するかというのは、その答申の結論を待って、そうして今ここですぐこういたしますということはお答えしにくいわけでありますが、作業そのものについては太いに熱意を傾けて努力してまいるつもりでございます。
#184
○太田淳夫君 総務庁長官は、昨年この委員会で規制緩和一括法案、これが審議されましたときに、各省庁にわたる許認可事務の実態を総ざらいして、許認可といわれるものが総件数で幾らあるか現在調べさせている、来年四月ごろにはお答えできる、こういう答弁されたんですが、その後調査はどのようになっていらっしゃいますか。
#185
○国務大臣(江崎真澄君) この問題は大変重要な問題で、私もその当時、規格、基準・認証などの簡素化について党側の責任者でございましたから心得ておるつもりでございますが、今各省庁に向けて昨年の十月から十二月にかけてチェックいたしたわけでございます、総務庁として。したがって、それらの今取りまとめを急いでおるところでありますが、詳細につきましては事務当局から必要があればお答えをいたさせます。
#186
○政府委員(竹村晟君) 補足して答弁を申し上げます。
 許認可の実態把握につきましては、御承知のように昨年末の昭和六十一年行革大綱、ここで方針を決めております。これに従いまして現在作業をしております。それで総務庁といたしましては、許認可の洗い出し作業を行っておりまして、今その結果をもとに各省と調整しております。できるだけ早く取りまとめをしたいというふうに考えております。
#187
○太田淳夫君 長官は民活担当大臣でいらっしゃいますからあれですが、前回も予算委員会で規制緩和のお話もございましたけれども、やはり規制緩和ということは、アメリカの例を見ますと、これは二十年ぐらいかかってやって経済の活性化に大きく役立って今来ているわけですけれども、GNPの〇・五%ぐらいのあれがあるということでございますけれども、日本もこれから内需主導型の経済に転換させていかなければならないし、経済もある面ではもっと活性化させていかなければならない。そのとき規制緩和というのは非常に大事になってくるわけでございますが、党内でもいろいろ議論があるようでございまして、特に各省庁のこれまでのいろんな規制の特権と申しますか、そういうものを守るための抵抗が非常に強いんじゃないかと思うんですね。しかし、規制緩和については対外的にも今求められてきているところでございますし、長官としてはどのような決意でこれに臨もうとされていますか。
#188
○国務大臣(江崎真澄君) これも私非常に重要な問題だと思うんです。規制の緩和、特に公的規制の緩和、これは内需振興にも影響がありますので、私特命相という立場で、一昨日もちょうどお呼び出しがございませんでしたので各省の事務次官を呼びまして、その前は局長を呼んで関係省庁に厳しく実は内示をし、交渉を特命室でさせてその結論を求めたというような経緯がございます。
 この問題は、アメリカは、御承知のようにノーベル賞をもらいました経済学者のフリードマンの、官が余り民間の自由な経済に介入し過ぎることはよくない、やはり簡素にして能率的な行政府づくりのためには極力介入しないことがよろしいと、このあたりの学説を実行に移して、そして最近の経済政策、特に基準・認証等の簡素化を図っておるというふうに理解をいたしております。
 我が国においても、許認可手続に時間をとり過ぎるとかいろいろなことが言われております。それが貿易の障害にもなるし、国内のいろんな地方自治の発展のブレーキにもなっておるということはよく承知いたしておりますので、今後とも簡素化には大いに努力をし、これを推進したいと考えております。
#189
○太田淳夫君 人事院総裁もお見えになっておりますのでお尋ねしますけれども、内需拡大、内需の振興ということに関連をしまして、急激な円高で円高デフレが進行しているということでございますし、行政改革も何かこの辺で足踏みというような感じもするわけでございますけれども、政府は週休二日制を内需振興としてこれを打ち出しているわけですけれども、朝日生命の経済月報三月号を見ますと、日本のサラリーマンは六日以上の年次有給休暇を残しており、これを消化すれば余暇関連の支出は年間一兆二千四百億もふえる、こういうことも報道されているぐらいでございますけれども、国家公務員の場合の年休の消化の状況、あるいは年休の消化促進のための対策はどのようになっておりますか。
 あるいは、いわゆる四週五休制で四分の二指定制を今試行しておりますけれども、四週六休制に一日も早く移行する必要があると思うんですけれども、その点の検討、あるいはこれからの実施についてのお考え、その点はどうでしょうか。
#190
○国務大臣(江崎真澄君) 今四週六休制の試行中でございます。これは御承知のように四分の二体制でございます。ことしの一月から実行に移しておるわけです。現在、日本は中小企業が九九・四%と言われておりますが、四週六休が約五八%、半ばを上回ったことは大変望ましいことでございまして、ようやく中小企業にもそういった四週六休の制度が普及しておることが認められます。したがって、ことしの八月から銀行に歩調を合わせまして郵政の窓口、郵便局の特定局などを含めまして窓口の合理化がやはり四週六休制で実行に移されていくということになりますと、これは中小企業も実行されていくということですから、どうしても官側というものは後追いにならざるを得ませんが、だんだん四週六休の時期は近づいてきた、このことは言えると思います。
 そして、週休二日制について果たしてどう対策するのか。これなどについても、やはり国際情勢に照らしましても、また日本の置かれた経済的な力、立場、今の摩擦回避、特に内需型の経済振興、経済志向、こういった点からいいましても、これは近い将来やっぱり実行に移していくべき問題だと思います。
 そしてまた、御質問の今の有給休暇についての消化については、事務次官会議などでもつとに協議をいたしまして、本人の健康管理のためにも、また能率化のためにも奨励する方向で進めておるところでございます。
#191
○政府委員(内海倫君) 有給休暇の実態につきましては主管局長から答弁させますが、四週六休の問題につきましては、ただいま総務庁長官からも御答弁ございましたが、私どもも昨年の勧告におきもしてなるたけ近い時期に四週六休というものの実現に向かうべきであるという認識を示しておいたわけでございますが、そのための一つのステップとして先ほどお話のありましたように四週五休のもとにおいて四分の二方式というものを取り上げまして、将来四週六休が実現した場合における土曜日の勤務体制がどういうことになろうかということを見ておるということでございます。今のところ、各省庁において四分の二方式がどういうふうに実現し、あるいはどういうふうな状態であるかというふうなことを我々としても見続けておるわけであります。この次の勧告でどうするかということをときに御質問受けることもあるんですが、今直ちに私はこの点についてまだどうこうということを申し上げるのには少し早過ぎるように思いますので、今後さらに民間の動向、あるいはただいま申しましたような四分の二方式の実績というふうなものを十分見きわめていきたい、かように考えております。
 なお、詳細、有給休暇等の点につきましては主管局長からお答えいたします。
#192
○政府委員(中島忠能君) 国家公務員の年次有給休暇の取得状況でございますけれども、平均いたしますと十二・四日という状況でございます。少し分析いたしますと、若年層の方が有給休暇の利用率が高い、出先機関よりも本省の方がやや高いというようなことが申し上げられるかと思います。
 今後の利用促進の話でございますが、ただいま総務庁長官からお話がございましたように、昨年の六月に事務次官会議等において申し合わせを行いまして、それぞれの省庁において計画的に有給休暇が利用されるように指導していこうじゃないかということ、また事務の簡素合理化を図りながら、有給休暇の利用ができるように環境を整えていこうということが申し合わされておりますけれども、そういう趣旨に沿って、それぞれの省庁において有給休暇がこれからぜひとも利用されるように努めていかなきゃならないというふうに考えております。
#193
○太田淳夫君 最後になりますけれども、官房長官がお見えになりましたので、台湾人元日本兵の問題についてお伺いしたいと思うんです。
 この問題につきましては、この委員会ではかねてからも何回も取り上げられてまいりました。また、せんだっての予算委員会でもこの問題について質問もありました。この台湾人元日本兵訴訟は、現在最高裁に係属しておりますけれども、一審判決後、控訴審判決までの三年半の間に、十三人の原告のうち原告団長を含めて二人が死亡されている事実がございます。このように元軍人軍属の方はかなり高齢化しているわけでございますが、もはや戦後四十年を経て、これ以上この問題を先送りすることは人道的に見てもこれは許されないんじゃないかと思うんですが、その点についての官房長官の認識をまずお伺いしたいと思います。
#194
○国務大臣(後藤田正晴君) おっしゃるように、この台湾人の元日本兵の問題は、人道的な見地に立っても、日本としてはまだ解決のできていない課題でございますから、これは政府としては結論を急ぐべき重大な課題である、私はかような認識でございます。
 ただ、御質問の中にありましたように、今裁判に係属中という一方の事情がございますし、それからもう一方は、やはり何といいましてもこれは外交問題が絡んでおりますから、そういったことで政府が解決に非常に苦慮しておるということは御理解をいただかなければならぬと思います。しかし、そうは言いながらも、やはり基本的な政府のスタンスとしては、これは私はできる限り早く解決をすべき重大な政府の課題である、かような認識でございます。
#195
○太田淳夫君 確かにいろいろな困難な問題があろうかと思いますが、今お話がありましたようなスタンスでぜひとも早期解決に取り組んでいただきたいと思います。せんだって同僚委員から話はいろいろございましたけれども、そういう軍人軍属の皆さん方のお集まりに参加した議員の話によりますと、軍歌を歌われて皆さん涙を流しておみえになる。いまだ台湾に帰られたとしても日本人としての気持ちは変わりない、こういうことでお話を聞いたことがございます。
 また、外交問題でございますけれども、外務省アジア局の調査によりましても、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、西ドイツ、こういう各国は外国人元兵士に年金を支給してもおりますし、やはり白国以外の者であっても兵士としてこれを雇って戦場に送った以上、自国の兵士と同様に何らかの補償をするのは当然だ、こういう考えておるわけでございます。台湾の皆さん方が日本の軍人軍属になったときは日本人と同じ扱いをしておきながら、戦後何の補償もしないということは日本の国家としての国際的な信義に反することになるんじゃないか、こういうふうに思います。
 また、今お話がありましたように裁判の係争中の問題でございますけれども、昨年の東京高裁の判決はそういうような困難を超克して早急にこの不利益を払拭することが国に対する期待であると特に付言をしておりますし、藤波官房長官もこの付言を念頭に置いて誠意を持って検討する、こういうふうに述べられておるわけでございます。結局、この問題は政治的な決断、政府の決断の問題じゃないか、こう思いますので、再度この問題解決に向けての官房長官の認識をお伺いして質問を終わりたいと思います。
#196
○国務大臣(後藤田正晴君) 昨年の高裁の判決も、おっしゃるように、政府が非常にこれは苦慮している困難な問題であるということはよくわかるけれども、やはりそういった困難を克服して解決を何らかの形でやるべきである、こういう判決になっているわけですね。まさに政府もそういうつもりでございますが、一番これ難しいのは、やはり今よその国の例を挙げられましたが、本来この請求権問題は解決するはずだったんですね。ところが、御案内のような中国の事情で政府がかわっちゃったわけです。そういったようなことが背景にあるものですから、なかなか外交問題として処理が非常に難しいんだと、ここをどう乗り切っていくのかということが最大の課題じゃなかろうかな、私はさような理解でございますが、いずれにいたしましても余りこの問題は放置すべき問題ではない、何らかの形で結末をつけなきゃならぬ、かように考えております。
#197
○柄谷道一君 まず行政改革、特に補助金問題について官房長官及び総務庁長官に御質問いたします。
 五十九年十月に発表いたしました地方自治経営学会の調査によりますと、現在地方自治体で最も忙殺されている事務として掲げておりますのは、都道府県では国庫補助金関係事務、すなわち申請書づくり、陳情、監査書類づくり等が四四・六%、国等からの調査依頼が一九・三%を占めております。そして、住民への対応は一一%、みずからの町づくりのための企画、勉強等が一四・九%と、事務量の増大が大きくこれを引き離しているわけでございます。一方、市町村では国庫補助金関係事務二四・九%、国等からの調査依頼が一六・四%、合わせまして四割もの時間をこれらの問題に費やしております。これは住民サービスに直接つながらない国と地方との間の内部事務処理に多くの公務員が張りつき、多額の公費がそこで消費されていることを立証いたしております。また、この調査では、それらを仮に二、三割程度簡素化すれば一、二割程度の減量もしくは新しい行政部門への転身が可能であると指摘いたしております。
   〔委員長退席、理事村上正邦君着席〕
 これを現在の公務員数に実務的に当てはめてみますと、国家公務員で五ないし十万人、地方公務員で三十ないし六十万人、計三十五万人から七十万人縮小する可能性がある。一人当たり人件費を年五百五十万円といたしますと、国で二千五百億円から五千五百億円、地方では一兆五千億円から三兆円の節約効果があるということを示唆したものと受けとめられます。もちろん、これらは機械的に算出できないいろいろの要因があることは十分承知いたしておりますが、いずれにしても国と地方との内部事務処理にかかわる問題で多くの公務員の精力が割かれているということは、この学会の発表によっても明らかであると思うのでございます。
 また、この調査によりますと、零細補助金で所要経費に比べて効果の薄いものを十三項目列記いたしております。これは例記でございます。その中には、例えば外国人登録事務交付金四万四千円の交付を受けるのに対して経費が二十二万円、土地利用規制等対策費補助金七万円に対して十一万円、農業振興地域整備促進事業補助金は八万四千円に対して四十二万円、補助金対経費の関係において多くの問題点が実在することを物語っております。
 そこで両大臣は、この地方自治経営学会の調査に対してどのような認識をお持ちか、まずお伺いします。
#198
○国務大臣(江崎真澄君) 私の方が担当ですから私から先にお答えをさせていただきます。
 今御指摘の地方自治経営学会の指摘、五十九年十月のこの指摘については十分私も承知いたしております。補助金事務手続の簡素合理化、これはやはり地方の行政簡素化もやっておる建前からいいましても、国と地方とはこれはもう車の両輪のようなわけですから、やはり極めて重要な問題というふうに取り上げております。従来も事務次官会議の申し合わせで総点検を実施するなど改善に努めてまいりました。また、臨時行政調査会、臨時行政改革推進審議会等においてさらにその改善の推進が強く提言されておるわけであります。
 当庁では、こういった状況を踏まえまして、補助金の事務の手続の簡素合理化を一層進めるために、これは昨年の十月から十二月、監査をいたしております。したがって、その行政監察の結果はまだ取りまとめ中でありますが、いずれ近い機会に御報告できる。それから、今例示のありましたものについては、これはもう全く不合理な、補助金よりも経費の方が余計かかる、これは人件費まで入れればもっと大変だという御指摘、もっともだと思います。中には、地方自治体がわずかでも補助金を取ることによって公共自治体としての経費が出しやすいというために求める補助金というものもあるようでありますから、そういったものをひっくるめてやはり簡素化、合理化を進めなければならぬ、こういうふうに考えております。
#199
○国務大臣(後藤田正晴君) 柄谷さん御指摘の、補助金の交付事務手続が余りにも複雑過ぎて補助金の経済効果から見て大変むだが多いじゃないか、あるいはまた零細補助金等はこの際やっぱり整理しないといかんのじゃないか、
   〔理事村上正邦君退席、委員長着席〕
あるいはまたほとんど効果が済んでおってもなおかつ出ている補助金もあるといったような点で、これらを整理合理化するということはもう当然の話でございまして、従来からその点については、今総務庁長官おっしゃったように、政府として一体になって取り組んでおるところでございます。
 ただ問題は、補助金の問題について私はこの際申し上げておきたいのは、とかく最近のように経済効率一本の議論が強くなりますと、補助金というものは性が悪なるものであるという議論がややともすればございます。これは基本的に間違いである。やはり今日の国と地方の仕事の分配、それらの中において補助金というものはそれなりの有効な手段であって、役割を果たしておるわけですね。
 そこで、補助金をけしからぬといったことで削っちまえということになるとどういうことになるかといいますと、今申し上げましたように事務手続に金がかかり過ぎるとか零細補助金を整理するとか、あるいは要らざる大事に介入するための人件費補助、こういうものを私はどんどんなくしていいと思います。しかしながら、補助金の大宗は何かということを考えますと、一つは社会福祉の経費はほとんど補助金でございます。それからもう一つは教育、もう一つは公共事業、これで大体八割以上なんですから、これは余り補助金はけしからぬというんで十把一からげの議論で私はこれをどうこうするということはお互いよほど注意をしないと大変なことになる。
 だから、総論で補助金けしからぬ、削っちまえ、こういう議論がよくあります。それじゃやりまっせと言ってやったら今度は弱者しわ寄せじゃないかと、こういう議論が当然出てきますから、そこらは補助金の中身をよく見、それから同時に、日本の統治機構はそもそも基本がどうなっているんだというようなこともよく見るし、同時に補助金といいましても、例えば社会保障の補助金のようないわば一種の負担金というものとあるいは奨励的な補助金というのは補助金の性格が違うわけですから、そこらはやはり区分けをして論議して進めていかないとぐあいが悪いのではないか。この点、私はあえてこういう機会にお答えをさせていただきたい、かように思います。
#200
○柄谷道一君 私は今官房長官が申されましたように十把一からげに補助金制度不要論を唱えているものではございません。私の申し上げておりますのは、補助金のうちいわゆる奨励的、財政援助的補助金、いわゆる二兆三千八百十三億円に対してその合理化を求めているわけでございます。私たちはこれまで例えば第二交付税制度の創設という提言もいたしました。また、比較的局地的事業にかかわる公共事業関係補助金の交付金化ということも提言いたしました。さらには、類似施設補助金の統合補助金化という提言もいたしております。御努力はされているわけでございますけれども、我々の提言と対比いたしますと、財政的、奨励的補助金の合理化はまだ遅々として進んでいないというのが政治の現状である、私はこう理解いたしておるわけでございます。
 そこで、まあ技術的なことは大蔵省ないしは自治省に聞かなきゃなりませんが、官房長官、今後基本的な考え方として、奨励的ないしは財政援助的補助金、これは我々の提言も踏まえて合理化という大道に向かって進んでいくという政府としての決意はやはりこの際明らかにしていただきたいと思うんですが、いかがでございますか。
#201
○国務大臣(後藤田正晴君) その点はもう仰せのとおりでございます。
#202
○柄谷道一君 そこで、行革審でございますが、本年六月で期限切れになります。しかし、行政改革はまだ緒についたばかりでございますし、今官房長官も肯定されましたように、補助金問題についてはこれから広範な角度からの検討を加えてその合理化を図っていかなければならない。とすれば、私はこの際審議会を引き続き存続させて、これらの問題について有識者の意見を十分集約しながら、そのあるべき方向に対して政府に対して答申をしてもらう、これが内閣のとるべき政治姿勢ではないか、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#203
○国務大臣(後藤田正晴君) 行革審はことしの六月下旬までの時限の法律による存在でございますから、期日が来れば一応これで終わるということになるわけでございますが、この行政改革という仕事は、かねがね私申し上げますように、何も第二臨調のあの答申でそのまま行政改革終わりというものではございません。これはやはりずっと絶えず政府としては注意しなきゃならぬ課題でございますから、一応のお役目は終わるわけでございますけれども、やはり今後どうするかという課題は当然残るわけでございます。行革審は最終のいわば卒業論文のような御答申を今まとめつつある段階でございますから、やはりそういった取りまとめの段階の中で今後についてどうなさるのか、ここらはやはり行革審御自身の御意見も承らなければならない。したがって、今政府としてこれをどうするということは現時点においては決めてない、御意見を十分承りたい、かように考えておるわけでございます。
#204
○柄谷道一君 当該者の意見を十分聴取し、これを尊重することも必要だと思いますけれども、私はきょうは短い時間ではしょりましたけれども、やはり補助金問題の抱えておる諸問題、これはまだまだこれから行政改革の中で手をつけていかねばならぬ問題である。したがって、行革審の改めての継続設置がまたは他にこれにかわるべき方法をとるかは別として、私たちは政府みずからも、この問題について識者の意見を十分に集約しつつ、この問題に積極的に継続して取り組んでもらいたいということだけを意見として申し上げておきます。両大臣、御苦労様でした。
 次に、防衛庁長官にお伺いをいたします。
 私は去る三月十二日の予算委員会でも触れたところでございますが、当目はもう時間が迫っておりまして十分の御意見が拝聴できませんでした。改めて再確認をいたしたいと存じます。
 自衛官の年金につきましては、先般の共済年金制度の改正におきましても若年定年制が考慮されまして、五十五歳支給開始年齢の特例ということで定年退職後の生活の対応がなされております。特に自衛官につきましては、他の公務員に比べて掛金を納める期間が短く、長い期間年金を受給するということから掛金が高くなっております。私の調査いたしておるところによりますと、一般公務員の掛金は千分の七十六・五、これに対しまして自衛官は千分の八十八・七、すなわち千分の十二・二も高くなっているわけでございます。私はこのような状況を続けていくとするならば、将来年金受給者が増加していくに従うてますます掛金の負担は高くなり、特例の維持そのものが困難になると思われます。また、現在の特例は当分の間の措置でございまして、いずれ本則の六十五歳になることも考えられます。
 そこで、その場合、若年定年という国家の要請に基づいて定年をしいている自衛官は、本則移行を行った場合、無年金の期間が七年から十五年と長期化いたします。これに比べて一般公務員は、六十歳定年のために無年金期間は五年間と自衛官の約三分の一短いわけでございます。「当分の間」という共済年金法第十二条の三の特例条項が廃止されるとき、政府は自衛官の長期無年金の発生という問題について真剣に対処しなければならない問題であろうと、こう思うのでございます。
 公的年金制度の骨格は、私が今さら申し上げるまでもなく、相互扶助の制度化でございますから、自衛宵の若年退職という特殊事情による長期無年金化をこの制度の中で解決することには無理がございます。なじまないと思うのでございます。したがって、政府は自衛官の精強性の維持という本質的な要請から発生する若年定年制による無年金長期期間の発生というものについては、私は当然特別立法をもって補完するという手法をとる必要があると、このように考えます。
 私は、自衛官は若年定年制のためにライフサイクルの上からも子弟等の教育費、出費等が多い時期に退職をするわけでございますから、現状は定年退職後の再就職賃金と共済年金の早期受給に大きく依存しているというのが現状であると、このように認識するのでございます。私は退職手当金もこの国会で取り上げましたけれども、一般公務員に比べて、同年齢で退職をしても、片方は加算があり自衛官は加算がございません。ここにも矛盾がございます。自衛官の年金、給与、退職手当、居住等の問題の処遇において、私は他の公務員と比較して劣後に置くということでは、我が国の防衛にも支障を来し、士気にもかかわってくる問題ではないかと思います。
 前回もお伺いいたしましたけれども、再度防衛庁長官の自衛官の処遇問題に関する基本的な姿勢と対応の方針をお聞かせいただきたい。
#205
○国務大臣(加藤紘一君) 柄谷委員御指摘のとおり、現在五十五歳からの特例ということにしていただいているわけですけれども、これは自衛官の若年定年制を特別に考慮した制度であろうと思っております。防衛庁としてはこの特例期間をできるだけ長く維持してもらいたい、こう思っておりますけれども、まあそこには幾つかの問題点が将来出てくるのでないかなと思っております。それは、一つにはその掛金がどうなるかという問題と、それからほかの公務員とのバランスであろうかなと思っております。
 しかし、私たちとしては、委員御指摘のとおりこの若年定年制というのはあくまでも自衛官の強靱性を維持するために必要な措置であろうと思っております。従来、大分定年を延ばしてもらいましたけれども、現実に部隊の一線の人たちから、その配慮は非常に自分たちも希望しありがたいことであるという声が出てくると同時に、これ以上はやっぱり体力的に問題ではないかというぎりぎりのところにもう来ていると思いますので、この若年定年制という問題はやはりいつまでも自衛官である限り残っていく問題ではないかと思います。
 そこで、それならば先ほど先生がおっしゃいましたように、いわゆる自衛官相互の間の助け合いの制度化としてのこの保険数理、保険計算だけの世界でいつまでもつかという点については、私たちもかなり問題があろうと思います。単に保険計算だけでやっていって、そして受給者、既裁定者がだんだん多くなっていく中で計算が維持できるのかな、それからまたその負担に耐えられるのかなという問題は今後とも強く出てまいりますと思いますので、防衛庁内におきましてもその点については網羅的に今検討させております。今後関係省庁と十分協議の上、何らかの適切な措置がとれるように、本当にこれは重大問題として鋭意検討していかなきゃならぬのではないかなと思っております。老後の問題につきましてそういった不安がありますと、やはり仕事にも影響いたしますし、士気の高揚という面にも大きな支障を来すと思いますので、真剣に部内で考えていき、また財政当局とも相談していきたい、こう思っております。
 それから、仮にそうなった場合に、無年金状態というのが例えば六十五歳支給となりますと続くので、その点についてはどうするかという問題がありますが、これは六十五歳支給開始ということになりますと、公務員の六十歳定年との間で他の公務員にも生じる問題でございますので、その全体の中で論議をしていきたいと思いますけれども、自衛隊の場合にはその期間がそういった場合でもより長いわけでございますので、より真剣な討議をさせていただきたい、こう思っております。
 退職金の問題については局長から答弁させます。
#206
○柄谷道一君 私ここで強調しておきたいことは、若年定年は国家要請だという事実です。これは自衛官といえども国家公務員であり、かつ人間でございます。国が要請して若年定年制をしくわけでございますから、少なくともその処遇については、一般公務員より高いものを出せと私言っているわけではございません、やはり公平な年金、公平な退職手当、バランスのとれた負担こういうものを国が特別立法をもって保障していくということの見返りがあって、初めて私は若年定年をしくという国家の要請と人間としての保障体制の整備というものが整合すると思うわけでございます。これを大蔵省的発想で、ただ共済なんだ、保険数理の中で考えていくんだというだけでは私は今後大きな問題が発生する。このことだけはよくよく防衛庁長官も、認識をされていると思いますけれども、再度深く御認識を願いまして、私の質問のときどうも総理がちょっと十分な答弁をしていただけませんでしたので、これは総理ともひざを突き合わせて、ひとつ防衛庁長官、内部検討も必要でございますけれども、内閣としての意思が今長官の言われたような意思に統一されますように御努力をお願いしておきたい、こう思います。
 次に、去る一月、我が党の塚本委員長が衆議院の本会議の代表質問で次のように論じております。
 予算委員会で何回も陣上自衛隊の欠員の現状を指摘し、兵器はあっても隊員が欠員でそれが動かないという事態を是正するよう求めたのに対し、総理はできるだけ速やかに欠員を補充する努力を払うと言いながら、六十一年度予算案では陸上の欠員補充はゼロ、海空定員の増加という予算をつ
け、防衛二法改正案を国会に提出した、これは海空重視であり、専守防衛を堅持するためにも陸海空のバランスは崩すべきでない、こういう趣旨でございます。これに対して総理は、陸海空のバランスについては同感であるが、従来海空が手薄であり、日本の地理的状況からも海空に力を入れるのは当然であると、このように答えております。一方、昨年三月の予算委員会で我が党の伊藤郁男委員の質問に対しましては、総理はいわゆる洋上撃滅論を展開されました。明らかに海空重視でございます。
 そこで、いろいろ総理の答弁を聞いておりますと、一体バランス論なのか海空重視なのか国民にはよくわかりません。この際改めて長官から、陸海空バランス論、これは私の質問に対してたしか長官は、洋上で要撃をする、これで漏れるところは水際で要撃をする、さらに入ってくるものに対しては内陸部で挑戦をする、こういうバランス論というものが基本だということを答弁されたと聞いておるのですけれども、それは内閣の方針でございますか。
#207
○国務大臣(加藤紘一君) 我が国の防衛の生きを期するためには、我が国の地理的な特性に適合した陸海空のそれぞれのバランスのとれた防衛体制というものが重要であろうと思います。よく言われますように、陸というものはこのような高度な航空機だとか誘導兵器の世界の中でもう不必要ではないかという極端な議論がありますが、私たちはそうは思いません。確かに私たちも、水際における防御、洋上における防御というものが第一義的に重要であろうと思いますが、そこを突破したならばあとは陸地に入って一切の抵抗がないというような状況が本当の抑止力になるのだろうかといったら、大きな疑問であろうと思います。仮にそこを打破されましても、侵略側から見て非常に強靱な抵抗力が陸上にあるということがまた大きな抑止力になると思いますので、私たちは陸海空の三つのバランスのとれた存在というものが必要であろうと思います。
 また、海空重視ということがよく言われますけれども、洋上においての防御、それから水際においての防御というものは先ほど言いましたように非常に重要でございますが、それが必ずしも陸上自衛隊が不必要で海上自衛隊及び航空自衛隊のみが必要であるという議論にはならないと思います。例えば、陸上自衛隊におきましては対艦ミサイル等の部隊を擁し、それによって洋上における防御、水際における防御の任務を果たすことということも私たちは考えているわけで、必ずしも海空重視、洋上ないし水際というものが海上自衛隊、陸上自衛隊の重視というふうにはつながらない、こう考えております。
#208
○柄谷道一君 我々は限られた防衛予算の中で陸海空のバランスをとることが抑止力として有効である、こういう建前に立っております。
 そこで、今のような長官の御答弁であるとすれば、六十一年度防衛予算の編成のときに陸上自衛隊は欠員補充六百八十九名を要求したと私は承知しておりますけれども、その内容はどういうものであったですか。
#209
○政府委員(西廣整輝君) 北部方面隊、北海道におきます戦車大隊であるとか特科連隊であるとかの充足率を上げたいというものでございます。
#210
○柄谷道一君 非常に簡単な答弁であったのですけれども、私の承知しておるところでは、道北名寄の第二師団第三普通科連隊の欠員七十一名、道東帯広の第五師団の欠員、これは兵器はあっても欠員で動かないという理由をもって五百十三名、道央札幌の第十一師団第十一戦車隊の欠員百五名、合わせて六百八十九名、所要額は十五億円、こう承知いたしております。
 陸海空のバランスをとるというのであれば、どうしてこの十五億円の支出を削り他の費目に充てたのでございますか、これは陸の軽視という私の指摘とつながりませんか。
#211
○政府委員(西廣整輝君) まず一般論を申し上げますが、いわゆる陸上防衛力、各国で言えば陸軍、我が国で言えば陸上自衛隊というものは非常に多数の人員を要するわけでございますが、この維持をどうするかということは各国ともいろいろ工夫をしているところであります。と申しますのは、やはり人件費というのは装備品と違いまして、例えば陸の充足率を一%上げるためには恐らく三十億以上の金がかかると思いますけれども、戦車等であればそれは十台買える、買えば翌年から金は要らないわけでありますけれども、人員の場合は、今先生申されましたけれども、十五億なら十五億の人件費が初年度かかる、それが以後毎年かかることになりますので、そういう点で人員をふやすことについては財政当局も含めて非常に慎重な態度をとられておるということは間違いないことだと思います。
 そこで、今年度の要求に際しましては、私どもとしては、北部方面隊の即応態勢を少しでも上げたいということを含めまして、陸の充足率をわずかでございますがぜひ上げてほしいという要求をいたしましたけれども、限られた財源の中でどう配分するかという際に、我々としては最後まで陸上自衛隊の充足も重要であるということで主張はいたしましたけれども、政府等全部含めまして全体の総体的な優先順位の中で、今回は陸上自衛隊の充足向上については見送ろうということになったわけでございます。
#212
○柄谷道一君 それでは逆の立場からお伺いいたしますが、自衛隊の定員は純防衛上の見地から定められ、その定数は十八万人となっております。十八万人の根拠はどういう根拠ですか。
#213
○政府委員(西廣整輝君) 御承知のように、陸上防衛力につきましては、海空の防衛力が艦船の数であるとか航空機の数とかそういったものを中心にして兵力構成といいますか防衛力の規模なり考え方を定めていくのに対して、陸上防衛力については、各国ともそうでございますが、人員というものを基本にしてそれぞれの部隊編成を考え、どのような防衛力を持つかということを考える際の最も基本になるものが私は定員であろうというふうに考えております。
 そこで、十八万定員、十三個師団体制というのは、我が国におきましてそれぞれの地域に最小限の戦術単位のものを置く、例えば師団がそれぞれの地域にどこも全く陸上部隊がないというようなことのないような形でまんべんなく配置をする、あるいは機動的に用いられる機甲師団のようなものを一つは別に持ちたいとか、そういったもろもろの現在の日本の地勢等を考慮して陸上部隊を平時から配備しておく、そうして小規模限定的な侵略に対して立ち上がりから即応できるような態勢をとっておくためには、十八万の体制というものが最小限必要であると骨組みとしては私ども考えておるわけでございます。
#214
○柄谷道一君 一言で言うならば、限定的小規模侵攻に対して独力で排除し得る能力として十八万人という定員が必要であるというのが基本でしょう。としますと、ここでお伺いしますけれども、限定的小規模侵攻、これに対してどの程度の規模をお考えになっているんですか。
#215
○政府委員(西廣整輝君) 限定的小規模侵攻といってもいろいろございますが、私ども特定の国の特定のどれだけの兵力が来るということは、お答えすることは差し控えさせていただきたいわけでございますが、我が方の対応手段としては、先ほど来申し上げているように、定員である十八万とプラス予備自衛官を加えた我が方の防衛力で対応しようと思っておるわけでございます。
#216
○柄谷道一君 どうもわからないんですけれども、やはりその基礎を十八万と算定するにはその侵攻兵力の想定というものが前提にあって、これに対して独力で排除し得る最小限度の陸上の兵力はどれくらいが必要か、こういうものがないとこれは極めて非科学的であり、国民は理解できないと思うんでございます。
 これは逆の立場から御質問しましょう。軍事専門家は、その限定的小規模侵攻兵力は作戦機七ないし八百機、艦艇約八十隻、陸上兵力五ないし六個師団約十一万人と想定して十八万人の定員の基礎はつくられていると、このように見ておりますけれども、私の申し上げました軍事専門家の数字は全く根拠のない数字でございますか。
#217
○政府委員(西廣整輝君) 今御主張になられました数の中で、特に陸上自衛隊の充足と関係のある陸上部隊について申し上げれば、必ずしもそれは時点をとらえて申しませんと言えないと思うんです。例えば小規模限定といえども、第一波といいますか、ほとんど準備をしない段階で来れるのがどれくらいであるかということになりますと、私どもが周辺の軍事の動向等を見ますと、やはり来れる数というものは、例えば空挺であるとか海軍歩兵であるとか、あるいは一ないし二個師団とかごく限られたものがまず来れるだろうと。仮に相手方が橋頭壁といいますか船舶による輸送、そういったものが可能になって、ショア・ツー・ショアでなくてシップ・ツー・ショアというような格好で正々と援軍を送り込めるというような状況になれば、それは決して今先生の申された数字でとどまるものでもないというようなことで、これは時間の経過を追って非常に変わってくるものでございますので、一概に何個師団程度ということは言えない性格のものではないかというように考えております。
#218
○柄谷道一君 政府はしばしば北方に潜在的脅威が存在すると国会で答弁いたしております。一体我が国はこの北方に対しまして、この潜在的脅威に対しまして、現在の陸上自衛隊の実数をもってして独力で対応できるという確信がおありでございますか。
#219
○政府委員(西廣整輝君) 御質問は有事所要の部隊なり人間と現在置かれておる現員ということを若干一緒に論ぜられておるように私ども思うわけでありますが、例えばもう既に逼迫した状況にあるということであれば、我々としては北海道に現在四個師団あるところに五個師団、六個師団置くということも、それは必要になれば必要だろうと思います。しかしながら、現状で果たしてそこまで状況が切迫しているかということでいえば、そういうことではない。
 したがいまして、我々としては、当然のことながら防衛計画を立てる際に、これは作戦計画の方の防衛計画ですが、立てる際に、現在の充足というものを前提にし、もし状況が切迫すればまずもって北海道地域の部隊の充足を内地部隊から急速に人員を移動させることによって満杯にする。そこでとりあえず北海道部隊については一〇〇%充足の状況にして戦う。しかる後、当然のことながら内地部隊からそちらに移った分だけ本土の方の各部隊の充足が下がるわけでございますから、それを急速に補充するなり予備自衛官をもって埋めるといったような細部の計画を持っておりまして、状況によってそれらを発動していくということになろうと思っております。したがって、今先生が御質問のように、現員のまま小規模限定を戦うというようなことでは必ずしもないというように御理解をいただきたいと思います。
#220
○柄谷道一君 防衛庁長官、今私いろいろ御質問しておりますけれども、私は何も今一挙に財政上の負担も度外視して十八万人の陸上自衛隊の定員一〇〇%充足せよということを言ってるわけでもないんですよね。そんなことをやれば防衛費一%の枠ははるかに突破しますから、それは実現不可能でしょう。しかし、陸上の最小限の要求六百余名、これもやはり海空重視という姿勢のもとでゼロですからね、査定。こういうことで果たして今長官の言われた陸海空バランス論というのが実際に生きているのかどうか。それをただしているわけでございます。
 それでは、今後この北方配置の最小限の欠員というものに対してどういう形で対応されるんですか。
#221
○国務大臣(加藤紘一君) できるならば充足率は高い方がいいということであろうかと思いますけれども、その際に我が自衛隊の中の限られた予算の配分として、例えばただいま局長が申したようないろんな優先順位をつけたり、それから隊員の処遇の問題もありますし、また抗堪性の向上という問題がありますので、そういう中で今回の予算は作成されたわけでございます。今後ともできるだけ充足率の向上には努めてまいりたいと思っておりますけれども、自衛隊の中の種々の資源の配分というものでなかなか壁があるわけでございますが、今後とも努力してまいりたいと思っております。
#222
○柄谷道一君 私は防衛費の配分で、どのように防衛庁が説明されようとも、現実はその配分の重点は海空に置かれておる、陸は軽視とは申し上げませんけれども、やはり順位としてはその下に置かれておるということは、ことしの予算編成の経過を見ても明らかであると思うわけでございます。文字どおりのバランスを考えるという視点に立つならば、限られた防衛費の配分については、防衛庁長官が私に対して御答弁願ったような趣旨を踏まえて、もっともっとやはり努力されるべきが当然ではないか、このように思います。これは指摘にとどめておきます。
 そこで、自衛隊法第三条には、「自衛隊の任務」として「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」と、こううたわれております。直接侵略につきましては北方の脅威論等である程度わかりますが、「間接侵略」、「公共の秩序の維持」、これは一体何を指しているのでございますか。
#223
○政府委員(西廣整輝君) 御承知のように自衛隊には治安出動という任務が課せられておるわけでございます。そのほか海上における警備活動といったようないわゆる秩序維持のための任務が加えられておるわけでございます。
#224
○柄谷道一君 それでは、自衛隊は現在間接侵略についての訓練は実施されておりますか。
#225
○政府委員(西廣整輝君) 個々の訓練については担当の局長からお答えすると思いますけれども、間接侵略と申しますか、そういった事態における対応についての計画というものは、各年度それなりにつくって対応するべく準備はいたしております。
#226
○政府委員(大高時男君) 治安行動に関する教育訓練でございますけれども、学校における教育と部隊における教育訓練がございますが、学校におきましては陸士あるいは陸曹に対する訓練は行っておりません。幹部につきましては、治安行動関係法規あるいは部隊の指揮・運用といったようなものにつきまして教育を行っております。それから訓練の方でございますが、治安行動に関する特別な教育は、これは部隊においてはやっておりません。ただ、部隊訓練といたしまして陸上自衛隊の普通科部隊、これを主体に施設の警備、これを中心とした駐屯地等の警備訓練を実施しておるということでございます。
#227
○柄谷道一君 きょうは質問の時間が余りありませんので、後ほど私に対してその内容等についてもう少し詳しい御説明を要求いたしておきます。
 人口五百六十万の北海道に現在約五万人の陸上自衛隊が配置されております。しかし、三千二百八十万人もの人口を擁します首都圏、これには二万二千の陸上自衛隊しか配置されておりませんし、またその充足率は極めて低いものでございます。これは自衛隊の法的使命であります間接侵略への対応というものがやはりどうしても後回しにされているということではないかと私は思うんでございますけれども、この点はいかがですか。
#228
○政府委員(西廣整輝君) 御案内のように、治安の維持、公共の秩序の維持というものは、第一義的には警察当局なりその種の海上保安庁なりといったところが担当しておるわけでございまして、我が自衛隊の任務というのは、その支援後拠と申しますか、状況がさらに悪くなった場合の後拠としての役割というように理解をいたしております。また、自衛隊がその種の状況においてどういうことができるか、どういう対応をするかということについてはいろいろあろうかと思いますけれども、我々としてはやはり直接侵略に対応するということが自衛隊に与えられた第一の任務であるという考え方から、装備なり編成あるいは部隊配置というものを考えておるので、その点は御理解をいただきたいと思います。
#229
○柄谷道一君 この問題質問すれば限りはございませんけれども、長官、やはり我が国の抑止力、これはやっぱり陸海空のバランスであると自衛隊法にも書かれているわけでございますけれども、これは直接侵略と同時に間接侵略へも対応する、法の目的を生かすための整備が行われなければならない、これは当然のことであると思うのでございます。本年度の予算を眺めますと、どうも正面装備に重点が置かれ過ぎ、他の面が予算上の制約という理由のもとにバランスが崩れている、私はそう思えて仕方がございません。この点は今後のまた善処を期待し、かつ今後機会を見て質問を続けたいと、このように思います。
 そこで、次に問題を移しますが、陸上自衛隊東部総監の増岡陸将が週刊誌上での対談内容を理由といたしまして訓戒処分を受けました。私なりにこの対談内容を読んでみますと、増岡さんは自衛隊の実情、実態をありのままに話し、抱えている問題点を指摘し、改善への努力を国民や政治に訴えている趣旨と私は受けとめます。加藤防衛庁長官が記者会見で述べられましたように、統率者として部下への思いやり、愛情の欠けた発言とは私は全文を見て受けとめられないわけでございます。
 私は、この対談を片言隻句ではなくて通読をいたしますと、その真意は自衛隊の向上を希求する心情と受けとめられるわけでございますけれども、ここでお伺いいたしますのは、その対談に書かれている増岡さんの発言は事実なんですか、事実と異なることを言ってるんですか。もし事実であるとすれば、これは寒心にたえないことでございますし、また制服の、自衛官の改善の提言、要求に対し、国防会議等で正規のルートに乗せて、これらの問題が真剣に政府の中で論議された事実があるんですか、これをお伺いします。
#230
○国務大臣(加藤紘一君) 増岡東部方面総監の「月曜評論」の中には、例えば自衛隊の現状について言った部分につきましては、かなり我々防衛白書なんかにも書いてある部分と同じところがございます。例えば訓練地が足りないとか、それからいろいろ訓練のための施設が足りないとか、そういうことは事実でございまして、私たちも国会等でも申し上げ、その改善のために御努力をいろいろな方にお願いし、また予算要求もしているわけでございますから、その点については事実であり、また私たちも累次述べていることであり、部内でもよく議論していることでございます。
#231
○柄谷道一君 事実を述べたとするならば、処分に該当するのはどの箇所でございますか。
#232
○政府委員(友藤一隆君) 先生がおっしゃいましたように、週刊誌上で増岡東部方面総監の自衛隊の実情を紹介する対談につきまして陸上幕僚長が訓戒を行ったわけでございますが、その理由といたしましては、部隊及び隊員の現状を御紹介されたわけでございます用意図は先ほど申されたような点もちろんあったかと思いますが、一部その表現等に適切さを欠きまして、特に方面総監として統率及び士気に及ぼす影響等について配慮が不十分な点がございまして、最高級幹部としての言動として遺憾であったということで訓戒を行っております。
 具体的に適切さを欠いたということで陸幕がいろいろ判断されました事例を若干申し上げますと、総監がかつて九師団長に在任をされました当時隷下の部隊を見た感じを述べたところがございますが、「人間も少ないし装備も古いけれども、まず何よりも訓練ができていない」というようなところがございます。この「訓練ができていない」と、こういう点でございますが、みずからその部隊の訓練の責務を負っていらっしゃる師団長としての立場や、限られた装備や、制約された訓練環境等のもとでいろいろ創意工夫をこらしまして黙々と訓練に励んでおります隊員のことを考えますと、表現では若干配慮が足りないのではないかというふうに考えられたわけでございます。
 また、どこの国でも国防は国民の神聖な義務だと教えて軍隊にはいい人間が入ってくる、ところが我が国では自衛隊に反対する人たちの表現をかりれば落ちこぼれが自衛隊に来る、こういったくだりもございますが、これは入隊者のほとんどが落ちこぼれではないかというような誤解を受けかねないわけでございます。なるほど引用という点はございますが、よその国との対比で見ますとそういった誤解が出る可能性が強いわけでございまして、隊員募集の任務を持っております地方連絡部を指揮監督する立場にございます方面総監としても配慮が不十分ではなかったかと思うわけでございます。
 こういった点、若干申し上げましたが、そういった現状紹介と、こういった点大変不備がありますよというようなことで当たっておる点もあるわけでございますが、その表現等に適切さを欠いた。特に指揮統率という面、あるいは隊員の士気に及ぼす面、こういった点でやはり配慮をされるべきではなかったのではないか、こういうことで訓戒が行われたというふうに聞いております。
#233
○柄谷道一君 これは片言隻句、その部分だけとらまえればそういう読み方ができるかと思いますけれども、第九師団の問題も、やはり訓練を怠っているというんじゃなくて、訓練を制約する演習場の狭隘、訓練用弾薬の不足、やはりこういった環境というもので十分な訓練ができないんだということを訴えている、それが真意ですね。それから、落ちこぼれ云々もやはりそういう教育に対して再考を願いたいというこれは注文であろうと思うんでございまして、私はここで一項、一項取り上げて論争しようとは思いませんけれども、私は今局長の言われた答弁はやはり片言隻句にとらわれた物の認識である、このように受け取らざるを得ないわけです。
 この問題は公務員、特に制服自衛官の外部発言という問題について極めて重要な問題でございますから、私は私なりにいろいろ関係者に聞いてみました。そうすると幾つかの腑に落ちない点がございます。
 増岡前総監は、週刊誌の対談に際しまして一月上旬当時の中村陸幕長に事前の了解を取りつけた上で行っておられます。ところが、二十二日新潟県下の演習場におります増岡さんに電話がございまして、対談内容は一部不適切な部分がある、不適切とは落ちこぼれが自衛隊に来る、三十分もたつとばたんばたんとひっくり返る隊員がたくさんいる、こういう箇所であると陸幕長は説明をした。後で判明いたしたことでございますが、この不適切箇所はくしくも加藤長官が記者会見で説明した点と一致いたしております。中村陸幕長はこの電話で、加藤長官は今回一切君をかばわないと言っている、外からの攻撃はかばえるが、内部からの火の手はかばうことが難しい、消せないかもしれない、消せなかったら君も覚悟してくれと苦衷を増岡さんに述べたと私は聞いております。
 さらに、同二十四日に増岡氏が防衛庁に中村幕僚長を訪ねると、君もこれだけのことで問題にされるということは長官に信用されていないということになる、信用されていない長官のもとでいることは君も不愉快だろうから、三月に僕と一緒に身を引いてくれと辞任を求められたとも聞いております。
 一方、加藤長官は増岡処分につきまして、三月五日の衆議院予算委員会において我が党の吉田之久委員の質問に対して次のように答弁されております。私は、当人が司令宮であるという意識というものを十分に持っていないという部分について問題があると思っておりましたし、陸幕長も私が言う前にこれは問題であるといって持ってこられましたので、私はその処分でいいだろうということを言いました。この答弁によりますと、陸幕長が問題だと持ってきたことになっております。しかし、陸幕長は増岡氏に長官が一切君をかばわないと言っていると、処分は長官の強い意思であることを示唆いたしております。陸幕長の処分報告を了承したという建前を表面とっておりますけれども、実は長官主導型の処分であるということを私は感ぜざるを得ません。
 このことは、今回の処分についてその必要性はないと申し入れた我が党の永末副委員長に対し長官は、増岡総監とはかつて外務省中国訳在勤時代から机を並べた中でその人柄は承知しておる、増岡総監は非常に変わった人物であると評したと私は漏れ聞いております。長官が部下をこのように批評すること自体異常なことではないか。これでは、部下に愛情がないと職責を受けましたけれども、長官自体も部下に愛情があると言う資格はないということになるだろうと私は思うのでございます。もし増岡さんが指揮官として適性に問題があるとするならば、そのような不適性な指揮官をなぜ首都防衛の最高責任者に任命したのか、これは長官の責任でございます。また、処分以前に、長官がその人柄について問題があるということを知っておるならば、増岡さんに会って十分な指導を行うというのが長官としてのあるべき姿ではないか。
 大分大演説になりましたけれども、長官いかがですか。
#234
○国務大臣(加藤紘一君) いろいろ私の知らないような事実もありますけれども、大分いろんな事実誤認もありますし、私と増岡さんはたしか机は並べてなかったんじゃないかと思います。中国課に勤務されたことはあったけれども、それはなかったと思います。あっても一、二カ月か何かで余り覚えておりません。したがって、ちょっといろいろ事実誤認もありますし、変わった人柄だというようなことを私が申し上げたこともこざいません。
 そういう細かなことはあえていろいろ申しませんけれども、私は我が自衛隊員はしっかりやっておると思っています。確かに学校でトップクラスの成績の人間が入ってくるとは申しません。それは学校の成績が中くらいかもしれません。しかし、自衛隊に入ってきたら武山の学校で十週間非常に厳しい訓練を受けて、そしてしっかりとした隊員になります。そして、恐らく学校時代はあいつ成績悪かったなと言われたやつもいたかもしれない。しかし、その訓練を受けた後、例えばJALの事故があれば、あの炎天下大変な凄惨な場面で彼らは黙々と働きました。私はその隊員たちが訓練できてないとは思っておりません。しっかりやったと思っております。
 そういった隊員に対し、やはりそれを指揮した人たちは愛情を持ってあげるべきではないでしょうか。また、私がこれ問題だと思いましたのは、訓練の最高責任者が我が隊員は訓練できてないと言ったら、最高の責任を持つ私はほかの人を統率できるでしょうか。ほかの人が、例えば一隊員が我が隊員は訓練できてないと言うのであるならばそれは私も納得します。しかし、事実その訓練を担当する方が我が訓練ができてないと言うのは、大蔵大臣が我が国の財政政策は全くだめだと言うのと似ているもので、総理大臣は困ってしまうと私は思います。
 そういった意味で、自分の職責の責任感を若干欠落しているおそれがあるなという部分を私が感じておりましたときに、あの発言どう思うと言ったときに、幕の方から、あれは問題だと思いますということが来まして、それが一致してその方針になりましたんで、私はそれに基づきまして記者会見で聞かれたから申し上げました。そういうことでございまして、訓練場の敷地が足りないとか弾薬が足りないとか、そういったことで私たちがその発言をとやかく言ったものではないということを御理解いただきたいと思います。
#235
○柄谷道一君 これは論議してもしようがありませんが、増岡さんの「訓練ができていない」というのは、師団長着任のときにそういう実感を得た、そしてその後訓練に困難を排除しながら取り組んでいるという結びの流れでございます。総監になってからの発言じゃないんですよね。
 それで私は、これは陸幕長が処分決定しましたのは二十七日でしょう、その前々日の二十五日の記者会見で長官はそのことに触れておられるわけですね。これは処分決定までに、外部の記者に対して処分は間近いということを言われるということは、私は陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の自衛隊全体を見て、これは異例のことだったと思うんですよ。もっと処分というものは、建前は陸幕長が処分を決定して、その報告を受けて長官が決定、承認をされるわけでございますから、まだ処分の決まっていないときに軽々に、幾ら記者からの誘導質問があったとはいえ、これに対して答えるということは私は軽率のそしりを免れないと思う。
 時間がありませんので、私は最後にもう一問聞きますけれども、これに関連して、早稲田大学教授松原正さんに対して、今まで献身的な講演をしておられました方に、その後全部講演が取り消されておりますね。また、一部新聞には、陸上自衛隊は松原教授の講演の中にクーデターやテロを教唆するようなことがなかったかを警務隊等を通じて調査したが云々とございます。警務隊を通じて身上の調査をやられたんですか。もしやられてないとすれば誤報ですから、これは学者の個人の名誉にかけても、この記事の誤りに対してはただすことが防衛庁としての仕事ではありませんか。誤報をそのまま見逃すということは、これは国民に対する重大な嫌疑をそのままに残すということになりませんか。そこにこの問題のもう一つの問題点がある。このことを強く指摘しまして、私の納得のいく答弁をこの際していただきたい。
#236
○政府委員(宍倉宗夫君) 三月二十八日の某新聞に、今御指摘にありましたような記事があったかと思います。陸上自衛隊の警務隊が、そこに出ております教授の部隊における講演に関しまして調査を行ったという事実はございません。事実はございませんので、私どもといたしましては、特に部外の方にかかわることでございますので、翌三月の一日に口頭で事実そのようなことはないということを担当の記者の方に申し上げておきましたが、その後何ら納得し得るような措置がとられておりませんでしたものですから、三月の十八日になりまして、長官官房の広報課長名で報道に対して訂正の申し入れをいたしてございます。
#237
○柄谷道一君 もう一点最後にお伺いしますが、三月二十六日、我が国のこれはいずれも著名な方でございますが、十一人の学者、文化人が、今回の問題に対して防衛庁長官に公開質問状を提出いたしております。これはまことに重要な内容を含む公開質問状であると思うんですが、長官はこれに対して責任を持って答弁されますか、回答文を寄せられますか。それだけをお伺いしておきます。長官に聞きます。
#238
○政府委員(宍倉宗夫君) その公開質問状を持ってお二人の方がお見えになられまして、私がお会いいたしまして、その公開質問状をいただきました。
 そのときに申し上げたわけでございますが、こうした公開質問状に対しまして書面をもってお答えするということは通常いたしてございませんので、それは私どもとして、今回せっかくのお申し越しでありますけれども、いたしかねると思いますが、いかがでございましょうと。私はそこに書いてありますことをいろいろ拝見いたしましたが、短い時間ではございましたので、しっかりと読んだわけでもないわけではございますけれども、事実誤認といいますか、誤認された事実に基づきましての御議論というものもかなりあるようにお見受けしますので、その辺のところについては御説明を口頭で申し上げましょうということで御説明をいたしまして、そのお二人の方々は、その説明に対しまして全部釈然としてお帰りになったかどうかということまでは申し上げられませんけれども、ある程度の弁明としての話としては聞いてお帰りいただいたかと存じます。
#239
○柄谷道一君 認識が違うね。
 終わります。
    ―――――――――――――
#240
○委員長(亀長友義君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、中村鋭一君が委員を辞任され、その補欠として田渕哲也君が選任されました。
    ―――――――――――――
#241
○内藤功君 シーレーン防衛に関する共同研究について御質問をしたい。
 このシーレーン研究というのは、日米防衛協力カイドラインに基づく共同作戦計画の研究の中の一つとして実施されてきたものだと、かように承ってよろしいですか。
#242
○政府委員(西廣整輝君) 共同作戦計画の一環ということではございませんで、別途の研究というふうに御理解をいただきたいと思います。
#243
○内藤功君 もう一回正確に僕の質問を聞いていただきたい。
 シーレーン研究は、日米防衛協力カイドラインに基づく共同作戦計画の研究の中の一つとして実施されているものですか。
#244
○政府委員(西廣整輝君) ガイドラインの枠組みの中ではございますが、ガイドラインで言う日米共同作戦計画の研究ではございませんで、独立した研究として実施しておるものでございます。
#245
○内藤功君 この独立した研究なんですけれども、その研究は、いわゆる昭和五十九年の十二月に総理に報告をされた共同作戦計画の研究、これとどういう関係にありますか。
#246
○政府委員(西廣整輝君) 全く関係ございません。
#247
○内藤功君 このシーレーン研究の作業の進行状況はどうですか。
#248
○政府委員(西廣整輝君) 現在各種の想定等が終わりまして、ごく一部のものを除きまして一つのシナリオについての想定等の協議が終わりまして、それについてコンピューターを用いて解析しているという状況であります。
#249
○内藤功君 これが一応の区切りといいますか、それを見るのはいつごろの予定ですか。
#250
○政府委員(西廣整輝君) 特にタイムリミットを決めておるわけではございませんが、私どもそのうちの一つのシナリオについては、できるだけ早い時期にということで年内にもお答えを得たいなというふうに考えております。
#251
○内藤功君 シーレーン研究について、ことしの一月十七日の新聞ですが、「シーレーン防衛に関する有事のシナリオとして四つのケースが想定され、この中には、米軍が核巡航ミサイル「トマホーク」を使用することを想定したケースも含まれている」、こういう報道がなされておりますが、有事シナリオの四つのケースというのは大体どんな分け方をしたケースなのか、どういう次元での分け方をしたケースなのか、これを伺いたいと思います。
#252
○政府委員(西廣整輝君) シナリオについていろいろな機会に御質問を受けておりますが、その都度お断り申し上げておりますが、この種シナリオはやはり我が方の作戦そのものの手のうちを示すということになりますので、それ自身どういうものであるかということについての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#253
○内藤功君 ところが、三月五日の衆議院予算委員会で西廣防衛局長、あなたは質問に立った大出委員に対しては、いずれにしましても洋上だけでいろいろ問題が起きる場合も考えているという答弁をしております。御記憶でございましょう。洋上だけで、つまり海の上だけで起きる場合も、いろいろ問題が起きる場合も考えているんだと、こういう答弁です。全部読んでもいいけれども、時間がありませんのでそのポイントの部分、洋上だけで起きる問題もシーレーン研究の中ではやっているんですか。何なら議事録ここにございますけれども。
#254
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど来申し上げておりますように、幾つかのシナリオがあって、それの個々について具体的にどのようなものであるかということを申し上げることは差し控えさせていただきたいわけであります。
 なお、大出委員に私申し上げたのは、シーレーンの防衛でございますので、当然のことながらシーレーンの防衛というのは洋上における我が国船舶の安全を確保するための作戦であることは間違いございませんので、その種のもの、その際にかねがね申し上げておりますように、シーレーン防衛というのは海峡の防備から港湾等の防備、哨戒、護衛、各種の作戦の累積によって行うわけでございますので、必ずしも洋上におけるもの一つの行動だけではないという旨のことを申し添えただけであります。
#255
○内藤功君 そうすると、このときの答弁の趣旨は、洋上だけで起きる場合を研究対象にしていない、洋上だけということでそれを研究対象にしていない、そういう意味でございますか。
#256
○政府委員(西廣整輝君) 余り御質問にお答えしていますと先ほどの私差し控えたいというところにだんだん入り込んでくるんで困るんですが、例えば海峡防備というような場合に、相手方の海峡に対するいろいろの攻撃というものは、必ずしも洋上だけで起きる問題ではないということもあろうかということを申し上げておきたいと思います。
#257
○内藤功君 そうすると、この答弁の趣旨としては、洋上だけで起きるものじゃないというところにあなたの力点があったんですか。
#258
○政府委員(西廣整輝君) いろいろなシナリオがあるというところに力点がございます。
#259
○内藤功君 もう一遍確認しておきますが、洋上だけでいろいろ問題が起きる場合、つまり洋上だけで問題が起きる場合をもシーレーン研究の中ではやっているということなのか、あるいは洋上だけということを取り上げてシーレーン研究の中でやっているということはないんだと、どっちに力点があるのかと、こういう質問です。
#260
○政府委員(西廣整輝君) 御質問の趣旨必ずしも十分理解できないんですが、私が申し上げておるのは、我が国海上交通保護のための研究でございますから、そのための研究というものはいろいろなシナリオがある、一場面というか、そういうものではないということを申し上げているだけであります。
#261
○内藤功君 それじゃ端的に聞きますと、ことしの二月六日の衆議院予算委員会総括質疑の中で提起されたこういう問題があります。幾つかたくさんあるんですけれども、そのうちの一つだけ。公海上で日本船舶が意図的、組織的、計画的、多発的に攻撃され、かつまた引き続き攻撃され得る状況、この状況での日米共同対処というのをシーレ一ン研究において研究しているということがありますか、あるいは研究していないということですか、どっちですか。
#262
○政府委員(西廣整輝君) 御質問のように、こういうことがありますか、ありませんかという御質問に対してイエス、ノーを言っておりますと、だんだん先ほど来申し上げているように中身そのものの御説明になるので控えさせていただきたいわけですが、この研究は先般いわゆるシーレーン有事といいますか、そういったところで論議されました我が国の置かれております憲法上あるいは法律上の限界がどこにあるかというようなことを見きわめるための研究ということじゃございませんで、我が国有事の際ということがもう既に大前提になっておる。これはガイドラインそのものが日本有事の際の問題でございますので、そういうことはもう当然クリアされた問題の中で相手方がどういう作戦行動をとるかという意味の各種のシナリオがあるということでありまして、今御質問の点とは余り関係がないと申し上げるべきだろうと思います。
#263
○内藤功君 そうすると、このシーレーン研究というのは我が国有事、つまり日米安保条約第五条に定める施政権下における武力攻撃、いずれか一方に対する武力攻撃、これに共通の危険に対処する、こういう事態における研究であると、まず答えの前半のお答えはそういうことですね。
#264
○政府委員(西廣整輝君) 施政権下有事であるかどうか、そういう細かい細分はガイドラインではいたしておりませんが、ガイドラインでは御承知のように日本に対する武力攻撃がなされた場合に自衛隊及び米軍が日本防衛のための整合のとれた作戦を実施するためのガイドラインということになっておりますから、この辺は誤解が全く生じてこないんではないかというふうに思っております。
#265
○内藤功君 そうしますと、もう一回さっきの質問ですが、公海上で日本船舶が意図的、組織的、計画的、多発的に攻撃され、かつまた引き続き攻撃され得る状況での共同対処、これは五条だけからいきますと研究対象になり得ない、ならないものなんですか、それともいややっぱりなるというものなんですか、どっちかということなんですよ。一般論で結構です、私はその中身を聞こうというやぼな聞き方しているわけじゃないから。
#266
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど読み上げましたのと同じようなお答えになると思いますが、日本に対する武力攻撃がなされた場合ということになりますと、従来の政府答弁でいえば、それは我が領域に対する攻撃の場合もありますし、洋上だけでそういうように我が方が判断せざるを得ないような状況というものがあろうかと思いますけれども、そのどちらであるかとか、そういったボーダーラインについて研究をしようとか、そういうねらいのものでないということを先ほどから申し上げているわけであります。
#267
○内藤功君 私の聞いているのは、あくまでシーレーン研究というものの性格を明らかにするということが一つなんですね。ですから、このシーレーン研究の中では、こういう今私が読み上げた公海上で云々、こういう事態での日米共同対処は研究の対象にはならないんでしょう、なるんですか、どっちなんですか。一般論です、これは。余り頭をひねる問題じゃないと思うんですけれども。
#268
○政府委員(西廣整輝君) どうも頭が悪いのかよく理解できないわけですが、今先生が言われたような事態、これは私も先般の予算委員会でそういう質疑を受けたことがございますけれども、私どもやっておるシーレーン研究というのは、もう既に自衛隊及び米軍が日本防衛のために作戦行動している、そのときに相手方がいろいろな向こうに有利な戦法というものを考えて攻撃を加えてくるわけですが、それにどう有効に対応するかということをやっておるわけでございまして、余り今先生が言ったようなことが研究の対象になるかならないかということを考えたこともないものですから、なかなかお答えができないわけでございます。
#269
○内藤功君 そうすと、余りそういう憲法論とか法律論に質疑者が言うようにこだわらないで、そういう今、公海上で多発的、計画的、組織的、意図的か、にやられたような場合も含めて別にこだわりなく研究していると、別に研究の妨げにはなってないと、そういうのはやらぬとかということはなくてやっていると、こういうふうに承っていいですか。
#270
○政府委員(西廣整輝君) これまたガイドラインについてたびたび御説明申し上げておりますけれども、ガイドラインに基づく各種の研究その他は憲法上あるいは現行法規の中でやるということでありますので、それを考えずに踏み外しても構わないというようなことでやっておるわけではないということは十分御承知のところと思います。
#271
○内藤功君 答えになってないですね。
 第五条に基づく我が国施政権下有事ということが出発点になって、そしてその中でシーレーン研究が始まったんですよ。例えば答弁いっぱいありますわね。去年三月二十九日の矢崎前局長の答弁もありますし、もうはっきりしているんです。
 そうなると、まだ日本に攻撃が加えられてないという場合です。もう少しはっきりさせます。日本の領域には攻撃が加えられてない、公海上で今言ったような攻撃が加えられた、こういう場合どうです、一歩進めて。日本の領域には武力攻撃はない、しかし公海上で攻撃があると、こういう場合どうですか。これはやりますか、そういう研究は。やれますか。
#272
○政府委員(西廣整輝君) 何度もお断りしておりますが、やっておるかと言われる点についてお答えすれば一番わかりやすいんだと思いますが、そうしますと、やっておるやってないで全部詰めていきますと、やっておることがみんなわかってしまうんで私大変答えにくいわけですが、やれないかやれるかということになりますと、そういう際どいといいますか、どうも先生の御質問は、我が国有事になりそうでなりそうでないようなところを言っておられるんだと思うんですが、そういうものはもともと対象にならない。もう既に我が国有事になっておって、そこで我が国と米側とが共同対処行動するときの状況をやっておるわけでございますから、制服の人にその辺の憲法上どこまでできるかとかそういう研究を私どもさせるわけございませんので、彼らが中心になってやっておる研究というのはあくまで純軍事的な研究でございますから、そういった感覚、観点の研究をさせておるわけじゃないということを先ほどから申し上げておるわけであります。
#273
○内藤功君 そうすると、だんだんわかってきたんですけれども、シーレーン研究では、そういう今僕の言ったような我が国の領域下では攻撃がない、公海上の船舶にさっき言ったような攻撃があるという場合は、これはやらないと、我が国の領域に攻撃があった場合、それで公海上で攻撃があった場合、これを研究しているんだと、こういうことでまとめていいんですか。これまた逃げますか、これも。
#274
○政府委員(西廣整輝君) やっているかやってないかは別にしまして、先生が例に挙げられるような非常に極端な状況といいますか、余り通常想定されないような状況をわざわざ設定して、それで特段に我が方の研究に変化があるというように思っておるわけじゃございませんので、余り変わった想定はしてないということだけ申し上げておきたいと思います。
#275
○内藤功君 もう論争は、あなた方の非常に不明確な答弁によってこれは時間の浪費ですよ、こういうのはね。私は重大問題だと思うんです。国会でやはり議員から正面切っての質問ですから、私は、これは政府の答弁としては、論理的には今までの答弁からの延長線上で当然そういうケースについての共同対処の研究はやれないし、またやらないと、こういうふうに明確に答えればそれで済むわけなんです。それを今のようにいろいろとのたうち回っている。それとも、はっきりこれはやれない、やらないとは明確に言えない、つまりやる余地、やれる余地を残しているんですか。
#276
○政府委員(西廣整輝君) 日米が共同対処するといいますか、我が方がまず防衛行動をとるというのは、日本に対する武力攻撃がなされたという判断がなされた場合ということがまず大前提でございます。その際に、日米が共同対処をするかしないかということは、領域に対する攻撃であれば条約上当然のことながらそういうことになりますが、これまた御承知のように、公海上日本領域外で日本に対するいろいろな攻撃があって、それが日本にとっては明白に組織的、計画的な攻撃で日本に対する武力攻撃というように我々が判断いたしたとしても、それに対して米側が必ず日本と共同対処をとるということは条約上彼らの義務でないわけでありますから、実際そういうことが起こるか起こらないかはあくまで日本側の要請に対する米側の判断によるわけであります。したがって、判断によって仮に日米共同の対処がなされたとすれば、それについての研究を特にする必要があるのであれば、それをすることは何ら問題はないというふうに私は考えております。
#277
○内藤功君 そうすると、今度はまたやることがあり得る、共同対処の研究があり得るという方向になりましたが、長官ここでどうですか。
#278
○国務大臣(加藤紘一君) 日本有事という言葉には二つありまして、一つは施政権下有事、これは安保条約第五条が想定する場合であり、この場合にはアメリカは条約上の義務として日本に来援し、共同対処をするわけでございますね。
 それからもう一つ、我が国の有事というのが、例えば我が国に攻撃を加えられるというケースが施政権下以外の場合、例えば公海上の場合ですね。公海上といいましても十二マイル先がもう公海でございますから、したがってそこにちょっと見える沖先で我が国の船舶が組織的、計画的、多発的に攻撃されて、それが我が国が防衛出動をしなければならないことと判断いたしますれば、それも我が国の有事であろうと思います。そしてその際に、アメリカが来援するかどうかというものは義務ではありませんけれども、安保条約第四条によりまして防衛協議をいたすわけでございまして、仮に我が国が来援を要請してアメリカがそれを受け入れた場合には共同対処があり得るわけでございます。
 したがって、有事における日米共同対処というのはその二つのケースがあって、その日米有事につき、シーレーンの防衛につき研究しているという、そういう制度であろうと思います。
#279
○内藤功君 そうすると長官、共同対処というのは、安保五条の共通の危険に対処する、あれと、それからこの間二月の衆議院予算委員会であなたが答弁された、四条の防衛出動を下命された部隊が出ておる、さらに日米間で協議をする、随時協議といいますかね、随時協議をやって、アメリカが随時協議に基づいて出兵してくる、部隊を出動させてくる、そういう四条随時協議に基づく対処と、両方の意味であなたは言われたわけですか。そうですね。言葉で言ってください。議事録にちょっと。
#280
○国務大臣(加藤紘一君) 我が国有事というものは二つあって、そして……
#281
○内藤功君 いや、共同対処には二つあるという意味で使ったのかどうかです。
#282
○国務大臣(加藤紘一君) はい、そうです。もちろん、この辺の有権的な解釈は外務省でございますから、法律的、条約的な問題があろうかと思いますが、少なくともこの間私が答弁申し上げたこと、そして私が今申し上げていることは、外務省の解釈としても差がないことだと思っております。
#283
○内藤功君 これは重大な答弁なんですね。シーレーンの研究というのは、従来安保五条の枠の中で、ガイドラインの枠がなかった安保五条の枠の中で進められているんですね。いろいろの答弁もみんなそうですよ。ところが、二月の衆議院予算委員会で加藤防衛庁長官が四条の随時協議を言い出した。これも今度は日米のシーレーンの研究の中でやっても差し支えないと、こういう問題です。これなぜ私が大事かと。
 これは、一つはアメリカの、詳しくは言いません、海軍戦略、ワトキンスの論文、ケリー海兵隊司令官の論文、明らかにこれは千島、樺太、サハリンの占領、原子力潜水艦に対する攻撃、同盟国海軍への依拠、こういうものを前提にしておる。それを実動演習で裏づけたのが八四年の十月のフリーテックス演習でしょう。これは教訓局長に前にも聞きました。これは空母の三つの機動部隊が太平洋及びインド洋方面から日本の周辺に来て、それに日本の海上自衛隊が事実上のこれどのタイアップした共同訓練をやると。
 私は、こういう事態を背景に見て明らかな大きな防衛庁の見解の変化がここでなされたと、こう見ておるわけです。これは、かねがね防衛庁の方は、特に念願というか宿願として、安保五条適用でない事態においても防衛出動を下命された部隊についてはもう共同作戦をそこでやれるようにしようと、こういうことを法制的に何とか方法はないかということを私は考えていたと思うんですね。そういうものがここに出てきていると思うんです。
 しかし、今までの議事録をよく調べてみなさい。今までの議事録に出てきている防衛庁長官あるいは防衛局長の答弁は、シーレーン研究の中では、そういう日本の領域に対しては武力攻撃はないと、しかし公海上の船舶が攻撃されると日米共同対処をすると、こういう研究はシーレーン研究の中でやるという見解はないんですね、やれないんですよ、論理的には。これよく調べてみなさい。これは答弁のやはり間違いですね、今までの見解に反するものです。反するならやっぱり取り消してもとの答弁にすべきだと私は思うんです。明らかに前の答弁とは違うということを私は指摘しておきたいんです、どうですか。
#284
○政府委員(西廣整輝君) 従来、日本有事、日本に対する武力攻撃がなされた場合というものについて、五条事態とそうでない事態というような細かく分けた論議がこのシーレーン研究についてなされてないというように私は理解しております。したがって、従来と言ってきたことが変わったというようには考えておりません。
 なお、先ほど来の先生の御質問は、いわゆる日本領域に対する攻撃がなされない場合でもできるかどうか、共同の対処行動の研究ができるかどうかという御質問があったので、私はできるというふうに申し上げましたが、できるということと現在シーレーンでしているということと必ずしもイコールでないということもあわせて申し上げておきたいんですが、たびたび申し上げておりますように、シーレーン防衛の共同研究というのは、我が国の船舶の安全を図るための各種の戦闘行為についての研究をやっておるわけでございますが、その際に本土も攻撃されているかどうかということ、されておる場合とされていない場合とについて、非常に変わった様相がそこで出現して、そういった別の研究をする価値があるかないかということもあろうかと思います。そういったことも含めてお考えいただきたいので、倫理上できるということとしているということとはまた話が違うということも十分御理解いただきたいと思います。
#285
○国務大臣(加藤紘一君) それから、ただいまの御質問に大分ちょっと拡大解釈があるように思うんですけれども……
#286
○内藤功君 どこが拡大解釈。
#287
○国務大臣(加藤紘一君) 例えばオホーツク海で米ソがやっているときに我々が共同対処できるような、どこか全然……
#288
○内藤功君 オホーツク海なんて言いませんよ、速記調べてみなさい。
#289
○委員長(亀長友義君) 委員長に無断で発言はやめてください。加藤防衛庁長官の発言を続けてください。
#290
○国務大臣(加藤紘一君) どこかの全然関係のないようなところに我々が田動していくというような、そういうようなことに道を開くとおっしゃいましたけれども、私たちは極めて理論的な質問を受けたから、理論的な可能性として我が国の船舶が組織的、多発的、計画的に、継続的に、意図的にという、そういう状況がある場合は我が国にとって日本の有事になるだろうと、そういう前提があった場合に我が国は対処するし、米側にも対処することを要請する場合があって、そしてそのときに来援になったら共同対処になるだろうと、こういうことを申し上げたのでございまして、その前提を飛ばした解釈はちょっとどうかなと思うんです。
#291
○内藤功君 あくまで理論的なきょうは質問をしたつもりですね。それで、ただ私は、きょうの問答で今までの議事録にない新しいやはり考え方が出てきたということ、それからシーレーン研究というものについて今までの防衛庁の答弁の線というものと違った線がそこに出てきている。ただ、中で何やっているか言わないものですから、私の疑問は疑問のまま残っているわけです。そういう点が非常に歯がゆいんですね。そのことを指摘しておきたいんです。そして私は、これは引き続き重要な理論上の問題と政策上の問題両方ありますので明らかにしていきたいと、追及をさらにしていきたいと思っております。
 もっとこれはやりたいんですけれども、三宅島の問題についても私質問通告してありますから。これまた大きな問題です。
 現在、防衛庁と施設庁から三宅島へ出張、常駐しておる職員の数、これは何名ですか。
#292
○政府委員(平晃君) 三宅島に計画的に職員を派遣いたしておりますのは、東京防衛施設局に艦載機訓練場対策本部を設置して以来でございますが、現在までに延べ六十三人派遣しております。
#293
○内藤功君 現在は。
#294
○政府委員(平晃君) 現在は三十一日で引き揚げてきております。
#295
○内藤功君 昭和六十一年三月十一日付東京新聞ですか、ほかの新聞にもありましたが、私この新聞を今とりあえず持っていますが、これには自民党の政策担当首脳の談として、NLP、夜間離着陸訓練飛行場建設問題について三宅島阿古地区の予定地を当初より海岸寄りに変更する方法を新たに考えていることを明らかにしたと、「具体的には今後、防衛施設庁で検討するが、噴火の溶岩を使って海岸線を埋め立て、飛行場用地とする構想だ。」と、こういう報道をしておるのですね。防衛施設庁の名前が出ておりますが、どういう構想であるかお伺いしたい。
#296
○政府委員(平晃君) 飛行場の位置は阿古の粟辺、薄木地区を考えております。しかし、具体的な位置だとかあるいはその範囲、これらはまた現地の調査を行っておりません。今後現地の調査を行い、また地元の御意見、御希望等も考慮して技術的に検討した上で決定したいと考えております。いろいろ数案考えておりますけれども、まだ机上の案でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
#297
○内藤功君 海岸寄りに変更するということ、これも含めて答弁を差し控えるんですね。もうここは、私も行ってきましたけれども、黒潮が流れていて魚の宝庫ですね。もう海岸寄りにやったら大変だと。私この間三宅島へ行ってきたんですが、村長は特にこの点を言っておりましたがね、それも含めて答弁を今差し控えると、こういうことですか。
#298
○政府委員(平晃君) まだ現地調査前の段階でございますので、具体的に決めておるわけでもございません。したがいまして、答弁は申し上げる段階には至っておらないということでございます。
#299
○内藤功君 もうこれについても質問したいこといっぱいありますが、絞って私申し上げたいんですが、長官、この村長の意思は非常に明確だということが、私は三月二十一日から二十三日まで現地へ行って村長初め皆さんとお会いしてきたんですが、明確ですね。
 三月四日付の東京防衛施設局長あての公文書をもって、「1、米軍艦載機着陸訓練場を三宅島に新設することの協力についてはお断りいたします。 2、同施設の概要及び周辺対策等について、現地説明会の開催、協力についてはお断りいたします。」、こういう公文書を明確に出しておるのですね。二十一日の日に私島民との対話集会という席上で村長の話を聞いたんですが、村長が特に発言しまして、政府は島民に誤解があるから説明会を開くと言っておりますが、我々住民の方には誤解はないんだ、住民はよく理解している、説明会を開く必要はありません、国会の皆さんからも政府に強力に申し上げてくれと、私預かってきましたので、これはあなたにそのままお伝えしておきたいと思うんです。
 いろいろありますが、加藤長官の国会での御答弁を私聞きまして、大体こういう御趣旨で言っておられるんでしょう。いろんな候補地の中で御迷惑をおかけする程度は三宅島が一番少ない、御迷惑をかける分だけお返ししなくちゃいけない、ヨットハーバーとか施設をいろいろつくるのはそういうことから当然だ、大体こういう論法でやっておられますね。(「ヨットハーバなんて言ってないよ」と呼ぶ者あり)そうですか、じゃあとでそう答えてください。
 私は、三宅島が一番御迷惑の程度が少ないということが言えるかどうか。それは人口四千人ですね、こういう人口が少ないということから迷惑をかける程度が三宅島は少ない、こういうふうに思われている、あるいは考えておられるとするなら、これはやっぱり大きな間違いだと思いますね。どうしてそういう人口の少ないところが犠牲にならなければならないか。三宅であろうとどこであろうと、その迷惑というものはみんな人間としては平等なはずだということを私は思うんですよ。これはもう村長初めとする多くの人の意見ですね。ですから、御迷惑をかけることが少ない、こういうおっしゃり方では決してやはりこの村の人たちの同意というか了解というか、納得を得ることができない、面と向かって大変率直な言い方ですが、私はあなたにこれを申し上げておきたいと思うんですね。ヨットハーバーおっしゃってないならそれは結構です。私はそういうふうに今まであなたの発言で理解をしております。それは言っていらっしゃらないなら結構です。
 それから、説明会の必要がないという意見が強いんです。これは長官は意外に思われ、あるいは内心心外に思われるかもしれませんね。しかし、例えば飛行機があそこでもって離着陸訓練をやったら漁業がどういうふうな影響を受けるか、魚の特性みんな知っている人がいっぱいいるわけですから。キヌサヤエンドウ、それを栽培しているところも行きました。花卉栽培、花をやっているところも行きましたよ。花とかキヌサヤについても専門家いっぱいいます。どういう影響を与えるか。特に飛行場の造成をやるときに山を削った場合に、その風というのはこれは噴火よりこわいということを地元の人は言ってましたね。観光への影響も、これはもう実際問題として観光地としての意味が基地のためになくなるだろうという意見もありますよ。やはり実によく知っています、自分の島ですからね。
 そうして、テレビ、ラジオあるいは新聞というもので情報は十分村の住民の人は知っておりまして、私は十分に判断できると思うんです。何よりも村長選挙で示された民意、それからリコール署名の進みぐあい、それから反対同盟の同盟員の増加というものを私見まして、これはいろいろ推進派の方々の言動というものがかえって逆効果になっているという感を深くしたんです。説明会やっても何も新しいことは出てこないだろう。懇談したときの村長の話ですが、これは混乱が予想されるし、混乱の中で説明を聞いても意味がないんじゃないか、説明を聞いても新しいことは出てこないんじゃないか、こういうことも言っておられましたね。
 対話集会で私いろいろ話をしたんですが、その中で出た意見としては、どうしても事柄の性質上説明を聞かないということも自由なんじゃないか、聞かないというのも一つの民主主義じゃないか、こういう意見もありましたよ。私は、ちょっと奇想天外の意見ですが、なるほどそういうこともあるかと思いました。
 これは長官、私は、あなたはこの問題の最高責任者だから全部お話ししておいた方がいいと思うんです。耳が痛いだろうしお聞き苦しいことだろうけれども、全部申し上げます。どうしてアメリカの空母のパイロット、第七艦隊の人たちの腕前を落とさないための訓練の犠牲に自分たちがならなきゃならないか、どうして三宅がならなきゃならないか、この説明が今までの推進派の方々の話では胸に全く落ちてないという状況ですね。
 私はそういう状況から見て、長官は五日にワインバーガー長官とお会いになるそうであります、さっきのお話だと。早期解決というのを向こうさんは言ってこられるわけでありましょう。ワインバーガーの立場から言ってくるでありましょう。しかし、日本の大臣でいらっしゃる加藤長官はこれにどういうふうにお答えになるおつもりですか。今のこの状況、特にいろんな有力な政治家の方も含めた方が行っていろいろやっておられるけれども、反対の運動というのは、そういう方が行っていろいろしゃべったり行動したりすると、やはり逆に反対の方の力を固めているという、そういう面がありますよ。
 私は率直に言いまして、このワインバーガー長官にお会いになったときに、日本の大臣として島民の意思、要求、それから生活を脅かされるというこの懸念、そしてこれはなかなか難しい、容易ではないと、これはもう三宅島については断念されるべきであるということを――私はやはり見切りというのが人間は大事だと思うんですね。アメリカの政府と日本の島民との板挟みになってのっぴきならなくなるという時期じゃなくて、やっぱり見切りをつけてこれは断念するということをワインバーガー長官にもお話しになるべきだと私は思うんです。
 あなたの答えは、大体私も大方予想はつくんです。つくんですが、ここでの答えと別に、あなたは役所に帰り、お宅に帰り一人で反省される、お考えになる時間があると思うんです。そのときにやはりこれを十分考えていただきたい。私はこのことを強く要望したいと思う。
 私、大変長い演説をふって失礼になりましたけれども、最後にいかがでございましょうか。
#300
○国務大臣(加藤紘一君) 先生のお話を聞いてやはり対話が必要だという感じがいたします。
 それで、まず第一、先生が誤解なさっております。私が、三宅が人口が少ないから一番御迷惑をかけない、だからお願いしたいという発言をどこでいたしましたでしょうか。国会でそういう発言は、また新聞に対しても一切いたしておりません。少人数の人間だから迷惑は我慢しろというような発言は我々慎むべきことだと思っておりますし、それが民主主義というものだと思います。そんなばかな発言は払いたしておりません。だから、村長さんが、また多くの人たちがそういうことだという今の情報は非常に重要なことでございまして、私たちはだからこそ対話しなきゃいかぬと思っております。民主主義の中では対話しないことも民主主義じゃないかと、私はそんな民主主義聞いたことございません。お互いに意見が違うんだから対話をするというのが民主主義のスタートではないでしょうか。それがあなたの党の党是ではないでしょうか。
 それから、キヌサヤエンドウが風になびいてだめになるというような話がありましたけれども、どのような風が出るかということは、我々防衛庁でもまだ全然わからないことでございまして、科学的にこれは風洞実験がなんかしなければわからないことでございます。そういう前提でキヌサヤエンドウがそよぐというようなことであるならば、お互いにそれは対話しなきゃいかぬことじゃないでしょうか、科学的、技術的に。
 私たちが申しておりますのは、全国至るところ探してみても、やはり発進後海上に行けるところ、夜間の照明が少ないところとか、その他のいろんなことを申し上げているんでございまして、それは私たちは十分に御説明申し上げられるし、人口が少ないからそんなふうに思っているということは、我々施設庁長官初め政府委員だれも言ったことはございません。ぜひ対話をお願いしたい。
 それから、三宅島についてアメリカにあきらめさせろという言葉でございますが、アメリカは三宅島とは言っておりません。私たちに、今厚木では米軍としても大変な御迷惑をかけ過ぎるし、自分らとしても訓練に支障があるからどっかほかの場所を探してくださいというのでありまして、これはアメリカとしてもあれだけの密集地で騒音を出すということについてのいわゆる神経の配りはあるわけでございます。そこで、私たちは日本政府としていろいろ考えていろんな島を研究しました。あえてここでは申しませんけれども、いろんな地域について風洞実験までやってみました。しかし、限られた財政の中で、技術力でありますので、やはり三宅というのが私たちとしては御迷惑をかける分野が一番少ないのではないか、こういうことでございます。
 それ以外に私は誤解が幾つかあると思います。特に、女性の方が風紀が乱れるとおっしゃいます、米兵が来ると風紀が乱れると。しかし、ほとんどあそこには米兵は駐在いたしません、飛行機ですぐ帰っていきます。なぜならば、彼らはミッドウェーに乗っていて海上に何カ月かいる、やはり家族に会いたい。そして、横須賀にいる家族に会いに来るためにミッドウェーが寄港するわけでございます。ですから、彼らは言うなれば、訓練が終わったら一日散に横須賀の家族の、妻のところに、娘のところに帰るわけでございます。
 先生が大分長くお話しになりましたから、私もちょっと長くなります。
 そういう意味で、ぜひ先生のお話聞いて、これは対話が必要だとつくづくそう思いましたので、どうぞ対話の場を設けることに先生からも御協力お願いしたい、このメッセージを率直にお伝えいただきたいと思います。
#301
○内藤功君 今のお話を聞いて、やはりこれでは説明会を開いても島民の納得を得られないと思います。それはなぜかというと、なぜこの三宅の島民がアメリカの艦載機の犠牲にならなきゃならないのか、そこが今のお話、いろいろ弁舌さわやかでまた論理は明快なところもございましたけれども、その心がないんですよ。ここが問題だと思いますね。ですから私は、その村長のメッセージ及び反対同盟のメッセージを長官にもう一遍繰り返して、説明会を開いても事態は決して前進しないと。それから、いろいろ誤解があるのを解きたいというのであれば、この議事録を、あなたのおっしったことをそっくり僕はみんなに持っていってあげようと思います。それでいいんです。
 それで、時間が来て委員長が私のことをにらんでいますので、私はこの点は残念ながら、次の最後の問題に移ります。これは、国会図書館の非常に大きな問題があるからであります。
 国会図書館長、お伺いいたしますが、現在国会図書館では図書の出納業務民間委託、特に新聞、雑誌については九月から行う方針というふうに承っておりますが、私考えますに、この出納業務というのはやはり図書館の中心的な業務であると、そして国会図書館は唯一の国立図書館であって、収集された膨大な図書、資料を貴重な文化財として後世に保存するという使命を持っておるところでございます。この民間委託に対する非常な危惧が多くの公共図書館あるいは学者、研究者などから起きておるのでございます。例えば、東京都の足立区の区立図書館あるいは京都市の中央図書館などで一部に今業務の外部委託が問題になっておりますが、もう図書館中の図書館である国会図書館がこういうことになりますと、全国のやはり公立図書館に及ぼす影響ははかり知れないというふうに思うんです。
 先日、文教委員会で、海部文部大臣が我が党の佐藤議員の質問に対しましてこういうふうに答えております。図書館の基幹的業務については民間委託にはなじまないと、こういうことを答弁しております。また、あなたの補佐役である副館長さんはたしか日本図書館協会の理事長さんを務めておられますが、この図書館協会も反対していると聞いております。私が一番問題にするのは図書館利用者の自由ですね。これは学問、研究の自由、思想の自由につながる大事な問題なんです。
 例えば、私特高月報というのをこの間見たんですが、昭和十六年の項に、図書館の利用者が貸し出しを受けた本に天皇の名前を書いて落書きをした。これは判決文に書いてあるとおり読みますと、「特権階級の親玉、天皇、その下にある一部の不正階級を倒せ」、これはそのまま読みました。そういうことを書いたのが特高の検閲で見つかって、これが何と懲役二年ですね。昔はすごいもので、これは不敬罪で懲役二年、こういうのが特高月報に記されている。
 現在はこういうことはないけれども、最近でも私いろいろ聞きますと、国会図書館に警察官の人が来て、今の人はどんな本を利用していったかと聞いたりなんかする例がある。けさの新聞報道によりますと、グリコ・森永事件に関連して、指紋採取の口実で昭和五十九年分の利用者の複写申込書を警察がみんな持っていったということが、図書館の了解を得てこれを全部閲覧したということがあります。
 私は、この図書館の自由に関する宣言というのを見ると、図書館は利用者の読書事実を外部に漏らさない、この守秘義務の宣言がやられておる。こういう点から見て、民間委託ということはこういう点が一層薄らぐという危険がないであろうか。いろいろ問題がありますけれども、そのような問題も指摘されておるわけでございます。
 最後に、私が館長に御質問したいのは二点あります。一つは、やはりこういう図書館の自由の問題、それから利用者の問題というものを考えた場合に、今のような身分がきちんと保障されている国会図書館職員にかわって民間委託でやるということは、そういう面で大きな危惧を私は感ぜざるを得ないわけなんですが、この点についてはどういう御見解を、図書館の職員というのはやっぱり文化的な水準の高い方がいっぱいおるわけですが、どういうふうにこれをお考えになっていらっしゃるかという点が一つ。これはやっぱりできれば再検討をしていただく必要があるんじゃないか。
 二点目は、もう時間がないんでまとめて言いますが、国立国会図書館の職員の方々の中にも、特に現場の方の中にもこれに非常に批判的な方がおられるようであります。また、特に職員団体もこれについて異論を唱えておられると私聞いておりますが、そういう方々とのやっぱり交渉を、話し合いというようなものを尽くすということが必要でなかろうか。この点について、どういう姿勢でお臨みになるか。
 まとめて聞きましたが、この二点について館長側のお考えを承っておきたい、こういうように思います。
#302
○国立国会図書館長(荒尾正浩君) お答えいたします。
 私どもは、図書館の自由、とりわけ利用者のプライバシーを尊重してこれを守らなければならないということを十分認識しております。先ほど御指摘になりましたのはちょっと事実と違うのでございますが、その利用者はどんな人が利用したとか、それから何というんですか、資料を全部外に持ち出したとかという事実はございませんのですが、新聞報道に、こういった特殊な事件で来ましてちょっと見たいということで、これはやむを得ない処置として、例外としてそういうことはあったんでございますけれども、しかしそれがすなわち図書館の自由を侵したり利用者のプライバシーを侵害したりと、そういうことじゃございませんので、ちょっと申し上げておきます。
 それから、図書館の自由を守ってプライバシーを尊重するということは、我々堅持しておりますし、従来からもこのことは職員にも周知徹底を図っておるところでございます。ただいま検討しております資料の出納業務委託の導入につきましても、特にこの点を留意して慎重に進めてまいる所存でございます。
 今回導入いたします予定にしております資料の出納業務の委託の範囲は、当館の資料出納業務の全面的なものではなくて、書庫内の資料を出し入れする作業にのみ限られておりまして、利用者と直接に接するような業務は全く含まれておりませんので、利用者のプライバシーを侵すようなことはないと存じております。しかしながら、受託業者の責任を明確にして、使用済みの資料請求票は館自身が管理するなどいたしまして、利用者のプライバシーが守られるような体制を具体的に検討しておるところでございます。
 当館の資料の利用は、一般の公共図書館と異なりまして、開架式の利用ではなくて閉架式の利用形態をとっておりますので、したがって新館の開館に伴う資料の出納業務の増大に対しまして、職員の増員が望ましいのではありますが、現下の厳しい財政状況のもとで大幅な人員増は不可能でございますので、この業務の一部を民間に委託せざるを得ないわけでございます。このことによって利用者に対するサービスが低下することのないよう極力努力いたしたいと存じております。
 なお、質問の第二番目でございますが、当館にとって長年続けてまいりました出納業務体制を変更するわけでありますので、現場の職員や職員組合に不安や危惧のあることは十分理解いたしております。しかしながら、今回の措置はやむを得ない措置でありまして、現場や職員組合にもよく事情を説明いたしておるところでございます。なお十分に話し合って対処してまいりたいと存じております。
 以上でございます。
#303
○委員長(亀長友義君) 他に御発言もないようですから、これをもって昭和六十一年度総予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所管及び総理府所管のうち総理本府、日本学術会議、宮内庁、北方対策本部を除く総務庁、防衛本庁、防衛施設庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#304
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時一分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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