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1985/04/15 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 内閣委員会 第3号
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1985/04/15 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 内閣委員会 第3号

#1
第104回国会 内閣委員会 第3号
昭和六十一年四月十五日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月三日
    辞任        補欠選任
     田渕 哲也君    柳澤 錬造君
 四月七日
    辞任        補欠選任
     内藤  功君    小笠原貞子君
     柳澤 錬造君    中村 鋭一君
 四月八日
    辞任        補欠選任
     穐山  篤君    小柳  勇君
     太田 淳夫君    白木義一郎君
     小笠原貞子君    内藤  功君
     中村 鋭一君    柳澤 錬造君
 四月九日
    辞任        補欠選任
     板垣  正君    岡部 三郎君
     鈴木 省吾君    岩木 政光君
     小柳  勇君    穐山  篤君
     内藤  功君    小笠原貞子君
     柳澤 錬造君    藤井 恒男君
 四月十日
    辞任        補欠選任
     岩本 政光君    鈴木 省吾君
     白木義一郎君    太田 淳夫君
     小笠原貞子君    内藤  功君
     藤井 恒男君    柳澤 錬造君
 四月十二日
    辞任        補欠選任
     岡部 三郎君    板垣  正君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀長 友義君
    理 事
                曽根田郁夫君
                村上 正邦君
                野田  哲君
    委 員
                板垣  正君
                岡田  広君
                源田  実君
                沢田 一精君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                穐山  篤君
                小野  明君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                内藤  功君
                柳澤 錬造君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  江崎 真澄君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   的場 順三君
       内閣法制局第二
       部長       大森 政輔君
       人事院総裁    内海  倫君
       人事院事務総局
       給与局長     鹿兒島重治君
       人事院事務総局
       職員局長     中島 忠能君
       内閣総理大臣官
       房審議官     田中 宏樹君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    橋本 哲曙君
       総務庁長官官房
       長        藤江 弘一君
       総務庁人事局長  手塚 康夫君
       総務庁恩給局長  佐々木晴夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        林  利雄君
   説明員
       大蔵省主計局共
       済課長      坂本 導聰君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月三日、田渕哲也君が委員を辞任され、その補欠として柳澤錬造君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(亀長友義君) 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。江崎総務庁長官。
#4
○国務大臣(江崎真澄君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近の経済情勢にかんがみ、恩給年額を増額するとともに、普通扶助料の最低保障額及び傷病者遺族特別年金について特別の改善を加える等恩給受給者に対する処遇の充実を図ろうとするものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 この法律案による措置の第一点は、仮定俸給年額の増額であります。
 これは、昭和六十年度における公務員給与の改善を基礎として、昭和六十一年七月から、恩給年額計算の基礎となる仮定俸給年額を増額しようとするものであります。
 その第二点は、公務関係扶助料の最低保障額及び傷病恩給年額の増額であります。
 これは、公務関係扶助料の最低保障額及び傷病恩給年額を、昭和六十一年七月から、兵の仮定俸給のアップ率により増額しようとするものであります。
 その第三点は、普通恩給及び普通扶助料の最低保障額の増額であります。
 これは、普通恩給及び普通扶助料の最低保障額を、昭和六十一年七月から兵の仮定俸給のアップ率により増額するほか、同年八月から、他の公的年金の給付水準等を考慮して、普通扶助料の最低保障額をさらに引き上げようとするものであります。
 その第四点は、傷病者遺族特別年金の増額であります。
 これは、傷病者遺族特別年金の年額を、昭和六十一年七月から兵の仮定俸給のアップ率により増額するほか、同年八月から、普通扶助料の最低保障額の引き上げに準じさらに引き上げるとともに、同年金に係る遺族加算の年額を増額しようとするものであります。
 以上のほか、扶養加給の増額等所要の改善を行うことといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(亀長友義君) 以上で説明聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○野田哲君 まず、恩給の引き上げ措置の前提となる公務員給与の取り扱いの問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、その前に、この公務員給与とも極めてかかわりの深い問題について、とりわけ与党の中で国際経済問題について長く責任者を務めてこられ、そして閣内で重要なポストにある国務大臣としての総務庁長官にお伺いをいたしたいと思います。
 去る四月七日に、中曽根総理が特に設置をされた私的諮問機関である国際協調のための経済構造調整研究会、通称経構研と言われておりますが、この研究会が総理あてに報告書を提出をされています。この報告書は、単なる一私的諮問機関の報告書というよりも、国際的にも今非常に重要な位置づけを持つようになってきているわけでありますが、今回の訪米に当たっても、また五月上旬に開催をされる東京サミットにおいても、経済摩擦解消のための日本の立場をこの経済構造調整研究会の報告をベースにして対応する、こういう方向になってきております。またアメリカ側も、先般来のキャンプ・デービッドにおける、あるいはホワイトハウスにおけるレーガン大統領と中曽根総理の会談におきましても、この報告書の内容がどのように日本で具体化されるのか非常に注目をしている、こういうふうに報道をされているわけであります。すなわち、この報告書の内容が日本の経済政策の国際公約になろうとしているわけであります。
 政府としては、この報告書の内容についてどのように、受けとめておられるのか、国務大臣として、また重要な今まで国際経済を担当してこられた責任者としての江崎総務庁長官に見解を承りたいと思います。
#7
○国務大臣(江崎真澄君) 経構研、略称でございますが、経構研は、各界のそれぞれ有識者に総理の私的諮問機関として委嘱いたしまして、フリーディスカッションをお願いし、そして最終的にはあのような取りまとめがなされたものと。私もオブザーバーとして中途から加わりましたが、むしろ政府側の出席者、総理、私、それから内閣官房長官、副長官、これは全く聞き役で、御自由な立場からやはり現在の国際情勢を踏まえながら、とにかく今後の日本のあるべき中期的目標、当面する目標はともかくとして、中期目標として今後どういうふうに改善していくかということを中心に話し合っていただいたところであります。
 これは御承知のように、我が国の大幅な経常収支、ケイツネ収支と俗に呼びますが、これがGNPの三・六%に一国でなった。五百億ドルを超える。ことしは七百億ドルが予想されるのではないかと言われておりますが、これはちょうどあの油が最高のときにサウジアラビア一国の収入が約四百億ドルでございましたから、そのことと比較いたしますと大変大きな経常収支でありまして、これは世界各国から見れば、何とも日本というものは、特別な何というか立場で、いかにも自国中心主義の経済運営を図っておるというような観で見られる憂いもありましょう。したがって、これは我が国としても極めて憂慮する事態であるというふうに考えております。
 そこでこの際、とにかく従来の発想を転換して、我が国の経済構造の調整という画期的な施策に取り組んで、国際協調型の経済構造への変革を図っていく必要がある、こういう提案がなされておるわけであります。国際協調のための経済構造調整研究会は、こうした歴史的な転換期にある我が国の今後の経済社会の運営に関するただいま申し上げました中期的な施策のあり方について報告をしております。これは申し上げましたように、有識者が自由な立場から議論を積み重ねてこられた一つの成果といっていいと思います。私どもは、時宜を得た、また適切かつ貴重な報告であるというふうに評価をしておるものであります。
 政府としては、この報告を参考として、政党内閣でありますので当然与党とも十分な連携を図りながら、関係審議会等における調査、審議も含めて、早急にこの具体的な報告書の検討を行ってまいる考え方でおるというのが現状であります。
#8
○野田哲君 この報告書を参考として与党とも協議し、早急に検討するということですが、大筋この方向で具体化を図っていくと、こういうことでございましょうか。
#9
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほども申し上げましたように、この報告書についてはやはり相当評価すべき面も多うございます。いろいろ参考にすべき、日本が今後国際経済社会で生き残り、しかも世界の、特に先進諸国から何となく恨みを買うというか、つまはじきになるというような批判をかわしていくためにも相当有意義なリポートであるというふうに評価しております。
#10
○野田哲君 ワシントンからの報道を見聞きいたしますと、これは江崎総務庁長官というよりも、今の立場は国務大臣としての江崎さんということで、総理の臨時代理ということでの答弁では困るということだから、そういうふうに理解をしておきます。
 ワシントンでの総理や安倍外務大臣のアメリカとのやりとりを通じては、これはもうこれでやりますと、こういうふうに受けとめられているようでありますが、この研究会の報告の取り扱いについて、私は長年この委員会で行政改革問題を担当してきた立場からいえば一つの意見を持っているわけです。
 それは、総理の私的諮問機関の報告書がそのまま英文になってレーガン大統領やアメリカの要路の人たちに示されてこの実行を約束されると、これは取り扱い、位置づけとしていかがなものか。特に、同じ性格の経済審議会という法律に基づいて設置をされた審議会があって、しかも昨年の十二月に内需拡大に向けての今回の研究会の報告々同じ立場、同じ目的に沿った指針、見直しの報告が出されているわけであります。それについて政府としてはまず対応されることの方が大事なことなんじゃないか、私はこういうふうに思うわけです。
 きょうは、この場はその是非の問題を議論するところではありませんから、私は、法律に基づいて設置された審議会からも既に、ごく最近、日本の経済構造について見解が出されている、それをたなざらしにして、私的な研究会の方を重要視し、国際的にも公約的な扱いにするというのはいかがなものでしょうか、こういう意見だけ述べて、次に進めてまいりたいと思うわけでありますが……
#11
○国務大臣(江崎真澄君) それちょっとお答えしてよろしゅうございますか。
 これは、御要請については十分我々理解できるんです。御質問の趣旨もよくわかります。総理もこの経構研全部を今物申しておるわけではないのでございまして、今お示しのように、昨年十二月に閣議へ報告されました経済審議会報告では、現下の対外不均衡問題に適切に対処するよう、これまで決定したアクションプログラム、私も一生懸命努力したわけでありますが、それから内需拡大策、これを着実に実施することに加え、「経済体質を改善し、内需主導型経済成長と輸入の促進を図ること」等が必要であるとしておるわけです。ですから、これも略称前川リポートと非常にオーバーラップしたところがありますね。ですから、前川リポートそのものだけではなくて、この十二月の経済審議会報告というものがやっぱり下敷きにあることは念のために申し上げておきたいと思って、あえて御答弁するわけでございます。
 そんなわけで、国際協調のための経済構造調整研究会の報告については、これは政府としても非常に重要な参考として、関係審議会において調査、審議も含め、これも早急にあわせ前川リポートと一緒に検討をしていく。これは非常に重く見ておる点については御理解おきを願いとうございます。
#12
○野田哲君 その趣旨は承りました。
 そこで、問題を絞って総務庁長官の見解をお伺いいたしたいと思うんですが、この報告書の中で、四ページに「消費生活の充実」、こういう項目があります。
  経済成長の成果を賃金にも適切に配分するとともに、所得税減税により可処分所得の増加を図ることが個人消費の増加に有効である。また、労働時間の短縮により自由時間の増加を図るとともに有給休暇の集中的活用を促進する。労働時間については、公務・金融等の部門における速やかな実施を図りつつ、欧米先進国なみの年間総労働時間の実現と週休二日制の早期完全実施を図る。
こういう項があるわけです。
 そこで、私が今引き合いに出し、総務庁長官もそっちの方も重視するんだと言われた経済審議会が昨年の十二月に出された提起の中にも、ほとんどこれと文章の上でも同じような内容の項があるわけでありますが、この今申し上げた事柄につきましては、これは総務庁長官としてはどのようにお考えになっておられますか。
 特に、週休二日制の実現については「公務・金融等の部門における速やかな実施を図りつつ」、こういう形で、具体的に公務、金融機関、こういう形で政府が直接タッチする、あるいは政府みずからがやるべきことについて指定をして、こういう提起をされていることについては、これはどういうふうに受けとめておられるでしょうか。
#13
○国務大臣(江崎真澄君) まず第一点でありますが、中長期的にはもう経済発展の成果を賃金などに適切に配分する、これは仰せのとおり私も望ましいことだと認識をいたしております。ただ、個別の具体的な賃上げにつきましては、これは自由経済の建前から申しましても、労使が自主的な話し合いを通じて適切に解決することが基本である、かように認識をいたしておるものであります。で、経構研報告の趣旨を踏まえて労使間の良識ある話し合いで賃金が決定され、消費生活の充実と内需を中心とする経済成長に結びついていくことを私自身も期待いたしたいと思います。
 それから、労働時間の短縮は、これは勤労者の福祉に直接関係をいたします。消費機会の増大、これが内需振興にもつながりましょう。したがって、これは国民的なやはりコンセンサスを得ることが大切でありまして、先進国としてよりふさわしい労働条件の確保のために、週休二日制の普及、年次有給休暇の消化促進等に重点的に努力をしてまいりたいと考えます。
 なお、今後の労働時間法制のあり方につきましては、昨年の十二月、労働基準法研究会報告が出されたことは御承知のとおりでありますが、今後中央労働基準審議会における審議を踏まえ、労働基準法の改正について検討する余地があろうかと思います。
 なお、今経構研が指摘いたしました週休二日制についてどう考えるか。これは人事院の勧告を受けて昭和五十六年の三月より四週一回交代半休制のいわゆる四週五休制を導入いたしておりますですね。それからまた、昨年十二月からは、これも人事院の提案に従いまして四週六休制へ移行する場合の具体的問題点を検証する、こういう趣旨で、四分の二交代方式で現在実施をいたしておることは御承知のとおりでございます。政府としては、当分四分の二指定方式の実施に取り組んで、人事院その他関係方面の考え方も伺いつつ、民間の状況に応じ、これは中小企業の場合――まあ中小企業といっても九九・四%が日本の場合は中小企業ですね。これはもう定義は時間の関係で省略いたしますが、御存じのとおりでございます。その上の方は約五八%、五〇%を上回る四週六休制に踏み切っております。ただ、その下の方を平均しますと、まだ四週六休制はわずか二四%程度であるということを考えますと、官が先んずるということはいかがなものであろうか。
 しかし、御存じのように、これはやはり健康管理の上からも、また内需振興にも影響があることからも、また勤務の能率的合理化を図っていく上にも、何とかいわゆる四週六休制ぐらいはとれないものか。これはちょうど郵便局がこの八月から四週六休に踏み切る、こういうことで銀行と足並みをそろえることは御承知のとおりであります。したがって、人事院総裁もおられますが、そういう情勢なども踏まえながら今後十分検討されるに値する問題である、かように認識をしておる次第であります。
#14
○野田哲君 恩給の引き上げ措置の前提となる人事院勧告といいますか、公務員給与の問題について見解を伺いたいと思います。
 まず最初に人事院の方に伺いますが、先週で民間の八六春闘が山を越した、こういうふうに言われているわけですが、確かに相場形成に大きな影響力を持つ民間の業種はほぼ決着がついて、これから中小企業、そして残っているのは一公社四現業、公務員、この部門が今後に解決が残されているわけであります。来年の恩給の改善の前提となる公務員の給与の取り扱いについて人事院としての基本的な考え方をまず伺っておきたいと思うんですが、人事院はことしの春闘の状況、賃上げの傾向についてはおよそ把握をされておると思いますし、これから民間の給与の実態調査に具体的に取り組まれていくわけでありますが、ことしの公務員の給与改定のための人事院勧告については基本的にどのように考えておられるのか。四月二日の当委員会でもこのことについて総裁の見解を承ったわけでありますが、勧告の制度を積極的にと、こういうふうに述べておられるわけですが、つまりこれは民間との間で較差があればそれに基づいて勧告をする、こういう趣旨であるというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
#15
○政府委員(内海倫君) 今年におきます人事院勧告の取り扱いでございますが、ただいま御意見ございましたように、春闘も山を越えて大体春闘における民間給与の方向というものはわかりつつありますけれども、しかしながらさらに私どもとしましては詳細な民間給与の実態調査をただいま行っておるわけでございます。
   〔委員長退席、理事村上正邦君着席〕
これがいかような形になって出るか、その結果が官民の較差がどういうふうな状態であるか、今私どもそれを直ちに申し上げる、あるいは推定するということは適当でないと思いますので、そのことについては今後の調査にまちたいと思います。
 まあ、勧告問題につきましてはいろいろ意見が我々のところにも耳に入ってまいります。しかしながら、もう先刻御存じであり、またしばしば私も申し上げておりますように、公務員の給与というものは人事院の勧告というものをほとんど唯一の機会として改善されておるわけであり、またその人事院の勧告というものは労働基本権の制約されておるもとにおける代償措置でございますから、これはやはり私どもは慎重にかつ的確にとらえなければいけない。国家公務員法に定められておる精神というものは私は十分に考えなきゃいけない、そういうふうな基本的な考え方の上に立ち、そして今年における官民較差の実態、さらに同じ公務員でございますが、現業の人たちに対する仲裁裁定がどういうふうに処理されるか、あるいは公務員の生活の態様などを総合勘案いたして措置いたしていかなければならない、こういうふうに思っておりますが、私どもはその上で勧告というものに関しましては積極的な考え方で対応すべきもの、こういうふうに考えております。
#16
○野田哲君 ちょっと総務庁の方に伺いたいと思うんですが、一昨日のある有力新聞に人事院勧告の問題が二、三カ所報道されているのがあるんですが、それを見ると、八六春闘の妥結状況から政府筋が人勧の目安について試算を明らかにした、あるいは政府部内に勧告見送り論も根強くある、こういうような報道があるんですが、人事局長、あなたはなにですか、春闘状況を見ながら人勧の予測を、試算をしたりしているんですか、あるいはまた政府部内に見送り論が根強くあるというのは一体どこですか。
#17
○政府委員(手塚康夫君) 先生御指摘のとおり、ある新聞には御趣旨のような記事が載っていたということは私も拝見しております。ただ私自身、もちろん春闘の状況がどうだというのは人事局としても情報を集めますが、それによって人勧がどうであろうという予測をするというようなことは立場上いたしておりません。この政府筋というのがどちらの方面であるのか私は存じませんが、私の関知する限りではこのような事実は全く承知していないところでございます。
#18
○国務大臣(江崎真澄君) これは政治的な問題でもありますから私からも答弁いたしておきますが、御質問のような事実については全く承知いたしておりません、だれがそんなことを言ったのか。従来から政府は、人事院勧告制度は公務員の労働基本権制約の代償措置の一つとして憲法上の評価を受けておるものである、これを十分認識しておるつもりであります。この制度が実効を上げるよう最大限の努力を今までも尽くしてきたつもりでございます。念のために申し上げておきます。
#19
○野田哲君 今、内海総裁の方から、民間の状況について詳細に調査をしてそして公務員法に基づいて積極的に対応する、こういうお答えがあったわけでありますが、ここ数年来、人事院勧告が出されてもこれが凍結をされたりあるいは削減をされる。特に、率を切り下げたりあるいは実施時期をおくらしたり、年ごとにいろんな方法をもって削減が行われてきた経過が続いているわけでありますが、これによって現職の公務員は、この前の委員会でも数字をもって明らかにされたわけですが、一般の係員で四十数万円、係長クラスで七十万円近い金額、課長補佐で八十万円を超える、課長で百数十万円、局長クラスで三百万円近い被害が完全実施をされた場合と比較をするとあるという、犠牲を負っているということ。それだけではなくて、これから審議する恩給や年金の受給者にもこのことが非常に大きな影響をもたらしているわけであります。そういう点から、しかもそれがもう数年も続いているわけでありますから、人事院勧告の凍結やあるいは削減がこれ以上続くことは許されない状況になっていると思うんです。
 こういう状態について人事院としても、法に基づいて勧告をするのでありますから、これはやはり完全実施をされるように何らかの具体的な方策を考えなければならないときに来ているんじゃないか、こういうふうに思うわけですが、この点については総裁はどのようにお考えになっておられますか。
#20
○政府委員(内海倫君) ここ数年にわたる、ただいまも御指摘がありましたように、抑制措置がとられてきたわけであります。その間、政府におかれましてはしばしば、勧告については最大限の努力をして尊重をしていきたい、こういう御意見の表明がありました。事実また、昨年度の勧告におきましては、その実施時期のおくれはございましたけれども、在来いろいろ措置されておったそういう抑制をなくして完全に私どもの勧告を受け入れていただいたわけでございます。その後も政府におかれては、今後においてもそういうふうな考え方に立って完全実施に向けて努力する、とりわけ在来不完全実施ということできておりましたものは三年間の間にこれを解消するということでございますし、その点に向けて努力を十分するということでございまして、ただいま申しましたように昨年度においては実施時期を除いて完全実施になったわけでございます。
 そこで、今後の問題でございますが、ただいま総務庁長官からも政府の確たる御見解を表明されましたように、この私どもの行う勧告というものは法律に基づいて国会及び内閣に対して行うものであり、そして国会においてこの勧告に基づいて是正措置をとるという法の定めてございますから、私どもはそれを期待しておるわけでございます。
 さて、それじゃそれをさらに確保していくために何か特別な措置がとられるべきか、あるいはとるとしたらどんなことがあるのかということでございますが、これはやはり俸給等を含む公務員の勤務条件というものが法定主義をとっており、法律によって定められるということになっておるわけでございますから、それをさらに例えば人事院の勧告というものを、そういうふうなものを超えて拘束するというふうなことは、私どもそれを論ずる立場ではないかもしれませんが、やはり問題があるのではなかろうか。したがいまして、現在の国公法に基づく手順、手続を的確に実施していただくことによって、さらに具体的には国会及び内閣の特段の御配意と御努力によってこれを確保していただくということが大事なんではないか、またそういうことによってこの実現を期していくことを私どもは期待をいたしておる、こういうふうに御答弁を申し上げておきます。
#21
○野田哲君 人事院の総裁としては、政府の完全実施に向けての措置に期待をするということで、法的な拘束力を持った制度にということは今総裁としてはなかなか言いにくいことだと思うんですけれども、しかし人事院勧告の制度、これを振り返ってみると、私はこの問題にかかわってずっと今日に至っている。
   〔理事村上正邦君退席、委員長着席〕まあ佐藤内閣時代からかかわっているわけなんですね。佐藤内閣時代にずっと長年実施時期がおくれていたのを完全実施するに至った経過の中で、当時の保利官房長官、かなりしっかりしたかたい約束を完全実施でされた経過もあるんです。それから田中内閣の当時にも、そういうことで完全実施についてきちっとした約束をされた経過があるわけです。ところが、それがやはり時の移り変わりの中で財政主導型になって削減をされていく、こういう経過が繰り返されているわけでありますから、これはやはりもう一歩踏み込んで完全実施について公務員の諸君にも示す措置をとらなければ、ただ政府が完全実施をしてくれるだろうだけでは度制的な保障にならないんじゃないか、ここはやはり制度的な保障を考えるべき時期に来ているんじゃないかと私は思うんですが、そこまではなかなか今総裁としてはお考えになっておりませんか。
#22
○政府委員(内海倫君) 私の気持ちというものは先ほどお答え申し上げたところでございまして、それ以上の問題につきましていろいろ考える問題があるいはあると思いますけれども、そういう問題について今私が申し述べるということは適当でない、また私自身もそういうことの立場から考えましても慎重でありたいと考えますので、これ以上の御意見は差し控えさせていただきたいと思います。
#23
○野田哲君 次に、労働時間の短縮、週休二日制の問題についてでありますけれども、先ほど総務庁長官からも国民的なコンセンサスを得ながら重点的に努力をしていくんだということで、まずこの勧告を受けてということで、官が先んずることはいかがなものか、こういう見解が示されているわけですが、これは先ほど私が触れました経構研の提言、かなり思い切ったものがあるわけだし、人事院にこれはかなり応援団の声がかかっているわけであります。
 東京サミットで世界の先進国に向かって中曽根総理があの経構研の報告書を配って、これが日本の立場だと、ベースだと、こういうことで考えておられるようでありますけれども、同時にこれは、きょうも私ある朝の会合で出会ったんですが、国際的な労働組合の代表が集まって労働サミットということで東京サミットの前に労働者側の会議をやって、特に日本の労働時間の短縮等の問題についてサミットに集まってこられる各国首脳にアピールをされるような計画も持っておられるようでありますが、やはり経済構造、経済摩擦の問題を国際的に論じていけば、一番やはり問題になってくるのは日本の長時間労働、これが問題になってくるんじゃないかと思うんです。特にそういう点から、確かに賃金の問題などについては官が先走って民が後を追うという形は政府としてもとるべき道ではないというふうにお考えになると思うんですけれども、労働時間の問題については、これはやはり経構研でも指摘をされているように、公務部門とそれから金融部門がある程度先走るということではなくて主導力を持つ、こういう役割を果たしていかなければなかなか進まないんじゃないか、こういうふうに考えられるわけです。特に、八月から金融機関が月に二回は閉店をする、これに合わせて郵便局の窓口も閉まる、こういう形で新しい段階を迎えようとしているわけです。
 そこで総務庁長官、こういう話があるんです。田舎の方の町村役場へ行きますと、銀行も閉まる郵便局も閉まる、ところが役場は土曜日も窓口を開いて税金の督促なんかも土曜日であろうといつであろうとお構いなしに催促をする。ところが、催促を受けた方の側は、金融機関が閉まっておればこれ納めようがないじゃないかというトラブルが起こったり、あるいはまた土曜日にある程度まとまった金が役場へ入ったときには、役場の収入役さんはそれをふろしきへ包んで翌週の月曜に銀行の窓口が開くまでじっとそれを家で抱いて外出もままならぬ、こういう状態があるんだということなんです。特にこれがこれから八月以降、金融機関がそういう状態になってきたときには、これ役場の窓口だけ開いている、そういう不都合がかなり広がってくるんじゃないかという懸念が起きているわけなんです。
 そこで、人事院の方に伺いたいんですが、昨年の勧告の経過から見ても、ことしは新しい段階に踏み込むべき時期に来ているんじゃないか。特に完全週休二日を今すぐやれと言っているわけじゃないんで、四週六休が当面の目標なんですから、これはもう実現に向けてことしの勧告の中で具体的に踏み込むべきではないか、こういうふうに考えるんですが、この点はいかがですか。
#24
○政府委員(内海倫君) ただいまの検討しております経過につきましては主管局長からも補足答弁をさせたいと思いますが、まあ私の考え方と申しますか、四週六休というものは、私はやはりできることなら早く実現を期したい。これはもう昨年の勧告において踏み切って、勧告を申し上げたわけでございます。
 ただ、公務員の場合一般民間とまた違いましたいろいろな職種を持っておるわけであります。さらにまた、一般国民と公務の間の窓口業務というふうなものも多々あるわけでございます。したがいまして、ただ一概に、例えば土曜の勤務を半減してしまうとかというふうな問題になりますとやはり問題が起きないわけではない。そういうふうなことで、現在四週五休という中で四分の二方式というものをとって、これが国民の皆さんへのサービスあるいは公務そのものの執行の上でどういうふうに影響が出てくるかということの実験といいますか、あるいはそういうことによるデータを今収集しておるところでございます。
 また同時に、確かにおっしゃるように休暇という問題につきましては、給与と違いまして民間との関係はもう少し別途考えてもいい点があることは間違いございませんが、同時にやはり社会一般の情勢に順応しながらこれに対応していくという公務の立場というものを考えますと、余り民間に先走るということもどうか。そういうことで、今民間の調査を通じてどういうふうに民間の方の動向が出ておるか、こういうことも考えて、合わせていきたい。
 したがいまして、今年の勧告で一体どうするのかというもし御質問であるとするならば、今現時点で私は積極的にどうするというお答えを申し上げることはいたしかねますけれども、少なくともさらに一歩進める前向きな考え方で検討をするということははっきり申し上げておいてよかろうかと思います。
#25
○政府委員(中島忠能君) 今、総裁から詳しく御説明申し上げましたけれども、若干補足して御答弁申し上げますと、一つは現在民間における普及状況がどのようになっておるかということの調査を進めておるわけでございますけれども、私たちも今総裁が申し上げましたように四週六休制というものをできるだけ早く実現したいという気持ちでおりますので、その調査結果というものにつきまして大きな期待を寄せておるわけでございます。
 もう一つは、四分の二指定方式ということで実施しておりますけれども、その四分の二指定方式に乗れない職員がおおむね四分の一ぐらいおるということでございますので、そういう職種の職員を多く抱えておる関係省庁の課長にお集まりいただきまして、私たちと人事局の方で、そういう課長とともに、そういう職員につきましての四週六休制の実現の方途につきまして研究をしておるところでございます。そういう議論を煮詰めながら、ことしの勧告に向けて前向きに考えていかなきゃならない、こういう気持ちでおります。
#26
○野田哲君 今までの人事院の見解を受けて総務庁長官にお伺いしたいと思うんですが、まず総務庁長官としては人事院勧告制度に対して基本的にどのようにお考えになっているのか。尊重するんだということを今まで歴代の総務庁長官や官房長官などは述べられたんですけれども、経過を振り返ってみると尊重されていない、こういう経過が長く続いているわけでありますから、ことしの問題はまず後で伺いますが、基本的に今の人事院の勧告制度、労働基本権の代償措置である人事院の勧告制度というものについてどういうふうにお考えになっておられるか、まずそこの点を伺いたいと思うわけです。
#27
○国務大臣(江崎真澄君) これは御指摘のように労働基本権の代償として憲法上も認められた勧告であります。ただ、国家財政事情というものも大変苦しいことは御承知のとおりでございますが、これは労働の基本的条件をなすいわゆる報酬に関する問題でありますから、これはやはり我々の立場からすれば完全実施が望ましい、こういう考え方を持っておるつもりであります。
#28
○野田哲君 そこで、ことしの人事院の勧告でありますが、またこれは未確定でありますけれども、ことしの春闘の結果を受けて人事院が実態調査を行って、官民格差解消のための人事院勧告、総裁は勧告制度というものに積極的に対応されると、こういうことでありましたから、いずれ勧告が出されると思うわけです。
 そこで、私も昨年、一昨年ずっとこの問題についてはここで議論を毎年やっていると同時に、労働団体、職員団体と政府との関係のプローブの役をずっとやってきておりますから、いろいろその経過を承知をしているわけでありまして、その経過からすれば、あるいはまた昨年、一昨年と閣議決定のときに官房長官や総務庁長官の談話が出されているその経緯からしても、ことしは当然完全実施を確認していいと思うんですが、いかがなものだろうか。きのうも労働団体と会われたようでありますが、やはり労働団体、職員団体の方が一抹の不安を持っているのは、当初予算にことしは給与改善費が計上されなかった、このことがやはり一抹の不安となって残っておりますので、そういう点からこのことしの取り扱いはどうなのか、こういう点について総務庁長官の見解を承っておきたいと思います。
#29
○国務大臣(江崎真澄君) 本年度の人事院勧告の取り扱いについてのお尋ねでありますが、財政事情はいいとは到底思えません。むしろだんだん悪くなっておるというのが実情でありますが、これは官房長官の昨年の十一月八日の談話にもありますように、給与が勤務条件の基本にかかわる重要な事項である、それにかんがみて勧告を完全実施するということにまで言及をしておりますことから見ても、私ども総務庁としては完全実施をする方針で臨んでまいりたいと考えております。
#30
○野田哲君 もう一つ人事院に承っておきたいと思うんですが、公務員の共済年金の問題でありますけれども、職域部分の加算に係る問題でありますが、百三臨時国会で審議をし改正された共済四法の中で、職域加算分の乗率の引き上げについては、今国会における審議の経過にかんがみ、職域相当部分の水準等のあり方については、人事院の意見などを踏まえ一両年中に検討を行い結論を出す、こういう確認がされているわけであります。この一両年とは六十二年度中に結論を出す、こういうことがあわせて確認をされていることは、人事院の方でも担当の局長十分承知だろうと思うのです。同じ趣旨は竹下大蔵大臣も、当委員会においてもあるいは連合審査のときにも答弁をされているわけであります。
 私自身がその答弁がされた質問に当たっているわけでありますから今でも明確に記憶をしているわけですが、六十二年度中に結論を出すということであれば、ことしはまず調査を行って資料を整えることが必要だと思うわけですが、人事院としてはこのような問題についてどのような段取りを考えておられるのか、あわせて伺っておきたいと思います。
#31
○政府委員(鹿兒島重治君) ただいまお話がございました衆参両院におきます附帯決議、十分承知をいたしておりまして、これに基づきまして今年度から調査にかかりたいということで、多角的な調査が必要でございますが、まずこの職域部分につきましては企業年金との関係が非常に密接な問題がございます。したがいまして、ことしの給与の実態調査、いわゆる民調の際におきまして、まず民間企業におきます企業年金の制度というものを一応把握いたしまして、さらにその把握した結果に基づきましてより具体的な調査というものを、ことしの秋以降になろうかと思いますが、実施いたしたいというぐあいに考えております。
 また、これはまだ具体的な内容を詰めておりませんけれども、この職域年金部分ということになりますと御承知のように公務員独自の部分でございますので、やはり公務員の退職の実態等につきましても、これはちょっと悉皆調査は難しいと思いますが、調査をいたさなければいけないというぐあいに考えております。
 それからさらには、これは一つの参考でございますけれども、できますれば諸外国におきましても公務員につきましては公務員なりのやはり年金制度というものを持っている国もあるやに聞いておりますし、その制度自体はわかっておりますので、その内容につきましてさらにできれば調査をいたしたい、かように考えております。
#32
○野田哲君 江崎総務庁長官というよりも、給与関係閣僚会議のメンバーでもあり、かつまた中曽根内閣のナンバーツーの立場にある国務大臣に対して要望をしておきたいと思うのですが、今公務員の給与の取り扱いの問題について人事院と総務庁の考え方をずっと承ってきたわけでありますし、また年金の問題で残されていることについての今後の取り組みの問題について伺ったわけでありますが、この際要望をしておきたいのは、冒頭にも申し上げましたように、春闘は山を越した、残っているのは中小企業、零細企業を含めて、それから公務員と一公社四現業、これが残っているわけであります。
 問題は、公務員については人事院の勧告を待って完全実施する、こういう趣旨のお答えを受けたわけでありますけれども、一公社四現業の賃金問題については、政府がことしの当初予算で例年計上していた給与改善費をゼロにしてしまったものだから、一公四現の当局側が有額回答が出せないということで全くこれは解決に向かっての手順さえも見当がつかない、こういう状態になっているわけでありますから、これはぜひ今週中にも協議をされて、そして企業間に格差をつけない形でぜひ有額回答を早急に示してもらいたい、そのためにひとつ閣内でもぜひ努力をお願いしたい、このことをお願いしておきます。何かあれば承りますが。
#33
○国務大臣(江崎真澄君) 私、公共企業体等の給与関係閣僚会議の一員であること間違いございません。今の御要請については十分承っておきたいと思います。
#34
○野田哲君 引き続いて恩給制度の問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、今回の恩給年額の引き上げは昭和六十一年七月からとなっているわけでありますが、これはことしはどうしてこの七月からの引き上げと、こういうことになったわけでしょうか。
#35
○政府委員(佐々木晴夫君) 御承知のとおり、恩給の年額の改定につきましては公務員給与に準拠をいたしておるわけであります。基本的に公務員給与のいえば改善率をもって翌年のペースアップを行っておるという構図でございますけれども、六十一年度の場合に、御承知のとおり六十年に公務員給与が七月実施とされた、これは厳しい財源難の折そうした措置をやむを得ず政府としてはとったわけでありますけれども、そうしたような厳しい財政状況のもとで、恩給につきましても六十一年度、これはやむを得ずでありますけれども財政上七月実施とせざるを得なかった、こういう事情でございます。
#36
○野田哲君 今、佐々木局長は公務員給与の取り扱いに準じて七月からということにせざるを得なかった、こういうことですが、昭和五十九年の恩給の引き上げについては、その基準となる公務員の給与の引き上げが人事院勧告の率を引き下げて四月から実施された、ところが恩給の引き上げについては公務員給与よりも一カ月早い三月から実施をされているわけであります。これはここの当委員会でも大変議論になったわけでありまして、恩給が三月、共済年金が四月というのはおかしいじゃないかということで大変議論になって、私どもは恩給が三月ならば共済年金もその横並びで三月だという修正案を出した経緯があるわけですが、五十九年はどうして三月ということであったんですか。
#37
○政府委員(佐々木晴夫君) これはもう先生大変よく御承知の話でございますけれども、国家公務員の給与につきまして、財政難を反映いたしまして五十七年度には公務員給与の改定が行われなかったわけであります。それを受けまして恩給につきましては五十八年は引き上げが行われなかったということであります。五十九年に御承知の抑制した率によりまして公務員給与は四月から実施されたわけでありますけれども、恩給の場合に、今の五十八年にこれが全然引き上げられなかったということに対してやはり同情論がございまして、せめて一カ月でもこれを繰り上げて実施しようではないかということで、原則四月実施でありますけれども、五十九年には三月実施ということになったという経緯でございます。
#38
○野田哲君 まあ、局長としては答えにくい事柄だろうと思うんですよ。いろいろあることは私も承知しておりますし、だれか何人かが乱雑にメモを書いて署名している経過も私も承知しておりますが、問題は、昨年の暮れの共済年金の法案審議のときに中曽根総理と直接恩給制度の問題について議論をしたわけであります。
 総理とこの恩給制度の問題で直接議論をするというのはなかなか数少ない機会であったんですが、私はそのときに、恩給が今局長が説明されたように公務員給与の引き上げにスライドして引き上げられるのであれば、なぜ恩給制度から発足をした共済年金はストップをさせるのか、特に現在の共済年金の受給者の大部分は恩給と共済年金を通算して受給している人たちであるんだから、せめて通算している中の恩給部分だけでもスライドさせることを考えたらどうなのか、こういうふうにただしたわけですが、総理はそのときに、恩給と共済年金の違い、そして恩給の理念について次のように答えているわけです。恩給制度というものは年金制度と本質的に性格を異にしているものであるが、「恩給ヲ受クルノ権利」、これを国家が約束したことでもあり、この約束を履行することは国家としての責任である、こういうふうに述べておられるわけです。
 私は、恩給だけが国家の責任で、共済年金の対象者で国鉄など今余剰人員扱いということでやめていった人たちがストップを受けるというようなことに対して、政府が責任はないと言えないと思うんですが、いずれにしても私がここで問題にいたしたいと思いますのは、それほどまでに総理が国家の責任だと言われる恩給の取り扱いが、その前提となる公務員の給与、これによっていつも左右される。そして、あるときはこれが今のように七月から引き上げられたり、あるときは年度をさかのぼって三月から実施をされるというようなことがあったり、それでもやはり公務員の給与に準ずるということであれば、一年おくれているわけですね。要するに、そのときどきの財政主導型の非常に政治的な扱いを受け過ぎているのではないんでしょうか。
 そこで、ここ数年来の公務員給与の取り扱いと恩給の取り扱いを見ても、私が非常に強く感じているのは、財政的な観点から見ると、公務員給与について人事院の勧告を完全実施するとその翌年それが恩給にスライドされて恩給費がかさみ過ぎるので、恩給費の膨張を抑制をするために人事院勧告に基づく公務員の給与の完全実施もできないんだ、削減せざるを得ないんだ、こういう悪循環が繰り返されているというのが現在の公務員給与と恩給との取り扱いの状況だと思うんですよ。
 そういう点で、先ほど言いましたように、私も随分意地の悪い質問をするわけですけれども、毎年予算編成期になると恩給受給者の団体からの非常に強い要望が出て、最後までこれが政府と与党の協議にゆだねられる。そこで何か変なメモが書かれて、与党自民党の幹事長や政調会長の署名入りの文書がひそかに取り交わされる、こういう形で非常に政治的に扱われている。その一番端的なあらわれがこの五十九年の三月実施というような変な形になったわけだと思うんです。
 だから、本当に総理の言われるように国家としての補償責任、これを果たすのであれば、恩給独自の改善方式、公務員の給与の取り扱いとは離した恩給独自の取扱方式というものがあってもいいんじゃないか、こういうふうに考えられるわけですが、特に今のように毎年毎年政治問題になって、公務員給与がこれからずっと完全実施されるのであれば、そういう保証があるんであればいいわけですけれども、毎年財政主導型、そして非常に最後は政治的に手かげんが加えられる、こういう状態は国家補償の責任があると総理が言われる恩給制度では余りいい形じゃない、私はこういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#39
○政府委員(佐々木晴夫君) 今、野田先生の、去年の秋の国会の御様子につきましては、私もその席におりまして大変傾聴すべき御意見として承ったわけでございます。
 それはそれといたしまして、恩給のベースアップの仕方につきましては、これは恩給も公的年金の一つでございます。他の公的年金のベースアップの仕方を考えてみました場合に、それぞれの年金はやはり実質価値の維持ということがこれはもう現在では最も必要なことでありまして、そういう観点からの改善、ベースアップをそれぞれやっておられるわけでありますけれども、その改善の仕方として実質価値の指標を何に求めるかということにつきましては、どうも各年金の現在あるいは過去の形態ないし諸外国の様子を見ました場合に、結局、物価をその指標とするかあるいは賃金をその指標とするか、そのいずれかだという状況があるわけでございます。恩給の場合には、御承知のとおり公務員給与の改善率を指標としまして、これを翌年にその改善率によってベースアップを行っておる。
 ところで、他の年金につきましては、共済が昨年秋に新しい体系に移行しましたような関係でもって、共済を含めましてすべてが今後は物価スライドでもって年金価値を維持するという仕組みに変わったわけであります。仰せのとおり恩給が、他の年金がそうしたように物価スライドということに一斉に移行した場合において、恩給が、これはもともとはやはり元公務員であるということで、公務員のベースアップ率で改善をして実質価値を維持するのが一番適当であろうと、こういう思想でまいったわけでありますけれども、そうした状況のもとで果たして公務員給与のスライド率をいつまでも維持することが適当であるかどうかということについては、これは十分今後検討を要するものであろう、このように思っております。
 御承知のとおり、昨年の秋の共済に関連する当委員会の御審議でも、附帯決議の中に恩給についても公的年金制度の改革の方向に沿って検討を加えることという御指摘がございました。そのあたりも踏まえまして、私どもとしては、これからこうした実質価値維持の方法につきまして、先生の御意見も参考としながらさらに検討をしてまいりたい、このように考えているわけであります。
#40
○野田哲君 今ちょっと恩給局長が触れられたわけですが、昨年国民年金、厚生年金、共済年金の制度改正が行われました。そして、恩給制度と非常に関係の深い共済年金も四月一日から新制度がスタートすることになったわけですが、この恩給制度について今ちょっと触れられましたけれども、臨時行政調査会の第三次答申で五十七年七月三十日に触れられているわけですが、「年金制度とのバランスをとるために必要な見直しを行う。」、こういう答申がある。そして、その前提となっている五十七年五月三十一日に発表された臨調第二部会の報告では、「恩給制度は、現在年金制度と別個の体系のものとされているが、実際には、年金制度とのバランスをとる必要があるので、前述(3)の年金制度の改革と同時にこれについても改革を行う。」、こういう部会の報告もあるわけでありますが、行革を担当されまた恩給問題を担当されている総務庁長官としては、この臨調答申の恩給制度への改革の提言をどのように考えておられるか。
#41
○国務大臣(江崎真澄君) 恩給も年金として果たしておる機能という点から考えますと、公的年金と類似する面もあります。臨調答申、国会の附帯決議、特に年金制度改正とのバランスを考慮した見直しをする必要があると、こう指摘しておりますね。この点については私どもも鋭意検討を行っておるところであります。しかし、今までの長い歴史を有する制度でもありますし、制度的にも恩給そのものの持っておる性格、これは新たにふえませんですね。総理も申しますように、恩給そのものはさっき局長も言いましたように今の国家補償を基本とする制度であることに変わりはありません。相互扶助の精神に基づいて保険数理の原則から運営されておる公的年金とは性格を異にする、それで長い間過ごしてきたわけであります。しかも、今申し上げたように新規参入者がないということ、対象者はほとんど旧軍人であるということなど過去の歴史、それからその遺族ですね、こういった人が対象でございます。
 そこで、この枠組みをどうするのか。仰せの趣旨はよく理解できますが、今検討いたしておる最中でありまして、まだ結論に至っていないというのが現状であります。この辺については専門家であられる野田委員においても御理解いただけるものと思いますが、なお努力をしてまいりたいと考えます。
#42
○野田哲君 ちょっと角度を変えて古い話をこれから恩給問題でしばらく政府委員の方とやりとりをいたしますので、そのやりとりを聞きながら総務長官には後ほど御見解を承りたいと思うんです。
 いわゆるサンフランシスコ平和条約、この第十一条によって「連合国戦争犯罪法廷の裁判を受諾し、且つ、日本国で拘禁されている日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。」、こういうふうに規定をされまして、この該当者に対する刑の執行が日本側に引き継がれたわけであります。その後昭和三十三年にこの刑の執行は赦免ということになりまして、そこで終結をしているわけであります。記録を見ると、一九五八年四月十一日、外務省は、四月七日付仮釈放中のA級戦犯十名はこの日までを刑期とする刑に減刑し、残刑を赦免して釈放する旨関係国よりの通知に接した、こういうふうに発表して、このときをもって戦後十三年のいわゆる戦争犯罪人としての問題は完全解消を見ているわけでありますが、その前の昭和二十七年の十一月二十二日に恩給法特例審議会の建議というのが出されているわけであります。
 これは連合国の指令に基づく勅令第六十八号によって停止されていた軍人恩給の復活の根拠となった建議であると考えられるわけですが、この建議の中の最後に「第三 関連事項」の(ニ)として「戦犯者の恩給に関する措置」というのがあるわけであります。「連合国最高司令官により有罪の刑に処せられた者及びその遺族の恩給については、適当の時期において、一般旧軍人軍属その他一般公務員及びこれらの者の遺族の例に準じ適当に措置すること。」と、こういうふうになっていると思うんですが、恩給局での扱いはこのとおりに確認をしていいのかどうか、恩給法特例審議会の建議の内容がこのとおりであるのかどうか、まずお伺いします。
#43
○政府委員(佐々木晴夫君) おっしゃるとおりであります。
#44
○野田哲君 この恩給法特例審議会の建議が出された昭和二十七年、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正、これは審議会の建議の前ですね、この改正が行われた。それから、翌年の二十八年に恩給法の改正が行われた。これによって、旧勅令六十八号八条の一項ですか、この規定で恩給を受ける権利または資格を失った者の権利、資格が復活をしたことになっていると思うんですが、この経過はこのとおりなんですか。
#45
○政府委員(佐々木晴夫君) 厚生省からも見えておりますけれども、まとめて申し上げますと、これは今野田先生のおっしゃったとおりであります。二十一年に御承知の勅令六十八号ということによりまして軍人恩給そのものが支給されなくなった。あわせましておっしゃるとおり第八条によりまして戦犯につきましてはその資格及び受給権を失うというふうなことがされたわけであります。
 これにつきまして、ようやく独立の機運の高まりました二十六年から検討がすぐ加えられて、二十七年には今おっしゃいました審議会が設けられた。特に、サンフランシスコ平和条約によりまして二十七年の四月に独立を回復したわけでありますけれども、戦傷病者戦没者遺族等援護法、これが二十七年の四月三十日から施行されまして、公務による傷病を受けた方あるいは公務死亡なさった方につきましては、これについて国として援助をするということが定まりましたわけでありますけれども、恩給につきましてはさらに検討を加えまして、二十八年の段階でもって御承知のように八月一日から軍人恩給が復活をした。その際にあって、この審議会の答申に基づきまして、おっしゃるようにいわゆる戦犯につきましての受給権を回復させたということであります。
 この趣旨は、要するに東京裁判その他の戦犯裁判なるものは、これは日本の国内法によって恩給法の第九条に犯罪を犯した場合につきましての失権条項がありますけれども、これに該当するものではないと、したがいましてこれにつきましては恩給を復活をさせた、こういう経緯でございます。
#46
○野田哲君 法制局、いらっしゃいますか。
 突然のことですが、法律用語で赦免というのは一般のしゃばで使う言葉で言えばどういう意味なんですか。
#47
○政府委員(大森政輔君) 突然のお尋ねでございまして、まあ法制上の用語としてどういう意味がということをちょっと正確に申し上げる自信はございませんが、いわゆるしゃばでどういう意味で使われているかという点に限ってお答えいたしますと、一定の刑罰その他の制裁を科せられた者に対してそれを免除するというような趣旨で使われているのではなかろうかというふうに考えております。
#48
○野田哲君 私が特にこの古い問題を取り上げたのは、これは実は古くて新しい問題が提起をされているんです。
 それは、この「靖國」という靖国神社が発行されている小冊子があるわけです。ことしの三月一日付の発行なんですが、「三月(弥生)暦」と、こうなっているわけですが、この中に論文が掲載をされているんです。「昭和殉難者靖國神社合祀の根拠」、こういう表題で宮司が論文を載せておられるんです。その中でこういうくだりがあるんです。
 昭和二十七年四月二十八日、講和条約発効翌年の第十六国会の議決により援護法が改正され、連合国側が定めたA・B・C級等の区分には全く関係なく、法務関係死亡者(所謂戦犯刑死者)、当神社の呼称する昭和殉難者(刑死)とその御遺族が、一様に戦没者、戦没御遺族と全く同様の処遇を国家から受けられる事になったと言ふ事実を篤と認識されたい。援護の実施は、さかのぼって二十八年四月一日からと決った。従って、所謂A・B・C級戦犯刑死の方々は、その時点を以て法的に復権され、これを受けて、靖國神社は当然のことながら合祀申し上げねばならぬ責務を負ふこととなった。
 右の如き次第にも拘らず、立法、行政に関与の現職国会議員等が、私も靖国神社の問題をよく取り上げるからこの「等」のうちに入っているんだろうと思います。
 現職国会議員等が、その一部にせよ過去の経過、事実を認識されずにA級に関して当を得ぬ発言を以て国民を惑はされてゐることは、遺憾の極みである。こう述べておられるわけであります。
 つまり、援護法や恩給法を昭和二十七年、二十八年に改正されることによって復権をした。確かに遺族援護や恩給については、法律改正があったんだから復権をしたわけであります。問題は、この復権を受けて、「靖國神社は当然のことながら合祀申し上げねばならぬ責務を負ふこととなった。」、こういうふうに神社側が言っておられるわけであります。私は援護法、恩給法、当時の改正の議事録だけは一応目を通してみましたが、議員立法でありますから、これは直接政府にかかわりはないわけでありますけれども、しかし恩給特例審議会の建議という形が政府の諮問機関から出されている。それを受けた形で恩給法の改正が行われたわけであります。
 問題は、恩給法や援護法を改正して援護や恩給の対象にしたことが靖国神社へ合祀の責務を課すという意味まで含めていたのかということになると、私どもは当時は直接の審議に当たったわけじゃないんだけれども、今、国会で恩給法の審議に当たる者としては、やはりこういう問題が神社側から提起をされているとすれば問題にせざるを得ないわけですが、当時の記録で一体そこまでのことを恩給法や援護法の改正は考えていたのかどうか、事情がわかれば説明をしていただきたいと思います。
#49
○国務大臣(江崎真澄君) 私は当時内閣委員でございまして、まあ古い話になりますが、今お話を承りながら思い出したわけで、私も生き残りの一人でございますから、軍人恩給、特に遺族の困窮状況などを見まして発議に加わった一人でございます。で、その当時、やはり二十七年の恩給特例審議会、これが「連合国最高司令官により有罪の刑に処せられた者及びその遺族の恩給については、適当の時期において、一般旧軍人軍属その他一般公務員及びこれらの者の遺族の例に準じ適当に措置すること。」、これはもう仰せのとおりですね。そういうものがあって、あの議員立法がこれを受け、そしてこれは二十八年の法改正によって、刑の確定時に最短恩給年限に達しておる戦犯者またはその遺族に普通恩給または普通扶助料を給するように改めた。このことは恩給法の第九条に規定する国内法による一般の刑事犯とは全く別なものだと、こういう判断で各党一致したことを今思い出します。
 そして、遺族についても、この法律案を審議するときに、戦犯として一方的に刑死あるいは獄死した、中には随分言いたいことも通らなくてまあ一方的な戦勝者側の判決もあったと、その遺族というものは非常に生活に困窮して気の毒であるというような気持ちが各党各派の中にやっぱりありまして、そしてそういう議論からこの議員立法が提出された、こういう経緯がございます。そのときに、一体諸外国の反応がどうであろうか、これがやはり問題になって外務大臣から関係国に問い合わせをしたところが、もうそれは問題にはしない、こういう当時の回答がありまして、それで踏み切ったことを今思い出しておる次第でございます。
 そのことと、戦犯者として刑死、獄死した方々の靖国神社の合祀問題とは、当時のやりとりを今から思い出してみますと、今宮司のお読み上げになったそのような趣旨については、全会一致ですから、これは深く議論はされておらなかった、別問題であるというふうに考えられます。
#50
○野田哲君 終わります。
#51
○矢田部理君 私は、人事院勧告、そして恩給、さらには筑波手当、三つのテーマについて質疑をしたいと思いますが、何か官房長官の出席の時間の都合があるそうでありますので、恩給から入らせていただきたいと思います。
 先ほどもちょっと触れておりましたが、恩給の実施時期をできるだけ早めるべしというのが衆参の内閣委員会等における附帯決議でも再三言われてきたことでありますが、今回もまた七月実施ということになるわけですね。これは私どもの院の意思をどうも尊重していないのではないかというふうに懸念をしているのであります。もともと恩給の実施時期は公務員賃金の値上げ時期から一年おくれているわけであります。それをできるだけ早目にやるべしということがかねてからの主張としてあったし、衆参でも今申し上げたように附帯決議までつけている、そしてまた共済年金などはちょっと制度が少し変わりましたが、四月から今度も実施をしているわけでありますが、どうして七月からしか上げられないのでしょうか、その点をまず伺っておきたいと思うのです。
#52
○政府委員(佐々木晴夫君) 今お話のありました国会の附帯決議で、恩給がいわば実施時期が一年おくれであるというふうな問題意識のもとに毎年御指摘をいただいているということは、私どもよくこれは記憶をいたしておるわけでありますけれども、そちらの方の話から先に申し上げますと、恩給のいわゆるベースアップ、恩給の改善につきましては、これはいわば年金としての実質価値を維持することを毎年その目的として行っているわけでありますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、これについてその指標を物価に求めるかあるいは賃金に求めるか、この二つの傾向があります。
 例えば厚生年金、これから新たに行われます共済年金の新制度にありましてはこれを物価として考えておる。そこで、例えば六十年十二月までの六十年中の物価によりまして六十一年の四月からこれを引き上げる、このような扱いをいたしておるわけであります。これに対しまして恩給につきましては、そうしたような指標を、人事院勧告の取り扱いというのが決まりました後の政府で決定した公務員給与の改善率、いわば賃金スライドと言いますけれども、その賃金、公務員給与の決定率で求めているわけなのです。
 したがいまして、例えば六十年に公務員給与の改善率が決まりましたものにつきまして、それに即しまして原則的に翌年四月から、六十一年の四月からこれをするというふうなことに一応いたしているわけでありますけれども、ことしの場合には御承知のように大変な財源難でありまして、大変そのあたりの交渉が難航したわけでありますけれども、公務員の給与の実施時期が七月からであった、三カ月おくれた、これに即して恩給につきましても三カ月おくらさざるを得なかった、こういうことで、その点は大変申しわけない、このように存じております。
#53
○矢田部理君 内容わからないで聞いているわけじゃないので、端的に答えてください。
 これは何度も衆参の内閣委員会等で附帯決議をつけているわけですね。したがって、財源がないとか公務員賃金の引き上げの実施時期がおくれたからこちらも右へならえだということでは説明がつかないのでありまして、少なくとも公務員の人事院勧告があるからやりますけれども、これはやっぱりもっと早くやるような最大限の努力をしてほしい。総務長官に答弁をいただきたいと思います。
#54
○国務大臣(江崎真澄君) 御趣旨はまことにごもっともでございますが、国家財政の状況も苦しいことは御存じのとおりでございます。今、局長が申したような理由でいわゆる公務員に準ずる従来の習慣に従ったわけでありますが、本年度におきましては、昨年十一月八日の官房長官声明にもありますように、これははっきり完全実施をします、こう約束しております。これを受け継ぐ私としては、人事院勧告があれば当然完全実施をいたしたい、かように考えております。
#55
○矢田部理君 もともと一年おくれという問題があるわけですから、人事院勧告、そして公務員給与ということにならえばそれでいいというふうには私ども受けとめていない。やはりできるだけ早目に実施する努力を今後ともしていくべきだということが第一点であります。
 それから、二番目には増額の中身でありますが、私どもはかねてから上薄下厚型の内容にすべしということで再三にわたって要求もしておるわけでありますが、特に最低保障額が非常に水準が低い、そのことをしばしば問題にしてきております。その点で引き上げ等の努力はいかがなされておるのか、説明をいただきたいのであります。特に、国民年金とか厚生年金の給付の状況等十分にらみながら、最低保障額の引き上げを行うべきだと言っているのでありますが、その点はどういう考えになっているでしょうか。
#56
○政府委員(佐々木晴夫君) 他の公的年金の給付水準とそれから恩給のバランスをとるというのは、私ども恩給の改善のいわば一つの基本的な物の考え方、このように思っております。例えば、六十一年度の場合にも、長期老齢の方の普通扶助料につきましては、これを厚生年金の遺族年金とのバランスを回復するために、六十年から、当時四万一千二百円の格差があったわけでありますけれども、これを三つに分けまして、六十年にその三分の一の一万三千七百円を向上させた。今年度も一万三千七百円ということで、何とかそれに近づけるべくできるだけの努力をいたしておるところであります。
#57
○矢田部理君 まだまだ下厚型の保障ということになると少しく弱いというふうに言わざるを得ないのでありまして、なお一層の努力をしてほしいというふうに私は考えております。
 それからもう一つは、先ほどお話がありましたように、恩給については賃金スライド方式をとっている。ところが、最近共済年金等が改悪をされまして、物価スライド論を基調としている。我々はそれではいかぬということで、賃金スライドの思想も織り込んで十分見直すべしということを言ってきたのでありますが、その点で恩給の賃金スライド方式について私たちは支持をしているわけです。今後いろいろな見直し論が出てきたとしましても、この基本線は維持してほしい、維持すべきだと考えておりますが、この点はいかがですか。
#58
○政府委員(佐々木晴夫君) 先ほどもお話の中に出てまいったわけでありますけれども、臨調それから行革審、それから昨年の暮れには、この当内閣委員会その他の各委員会の附帯決議によりまして、恩給につきましても他の公的年金の一元化の方向を展望しつつ見直しを行うということが必要と御指摘を受けておるわけであります。
 その一番大きな問題は、これはやはりスライドのやり方の問題なんだろうと思います。それと、もう一つには、私ども問題意識を持っておりますのは、多額所得者に対する恩給の支給の停止の問題、このあたりの二つの問題が一番大きな他の年金制度との差異であろう、このように思っておるわけであります。
 今、矢田部先生から御指摘のお考え、これは私どもも従来そうしたような考え方でやってまいったわけでありますけれども、他の公的年金が恩給を除きましてすべて物価スライドになった段階において恩給だけが果たして賃金スライドで理屈が通るか通らないのか、このあたりにつきましてなお十分に私どもは検討しなければならないというふうに考えまして、今部内的にではありますけれども鋭意検討をいたしておるところであります。
#59
○矢田部理君 言わずもがなでありますが、物価スライドだということになりますと物価だけが反映する、しかし賃金スライドだということになりますと物価プラス生活改善論ということが思想的に盛り込まれているわけでありますが、これから高齢者に対しては生活改善は要らぬものだという思想は、いかにも当たりが冷酷に過ぎるというふうに私は思っているわけでありまして、したがって共済年金その他の年金についても、やはり賃金等々を十分勘案してやるべきだという主張でありますから、そこで整合性をやっぱりとり、むしろいい制度は残すということが基本ではないかと思うのですが、長官いかがでしょう。
#60
○国務大臣(江崎真澄君) この問題についてはしばしば御議論の存するところでありますので、今検討をいたしておるところであります。
#61
○矢田部理君 それから、これまた附帯決議でしばしば指摘をしているのでありますが、恩給欠格者等がまだまだ相当程度いるわけでありますし、それから例えば抑留者、とりわけ長期の方々に対する対応、対策等についてもしばしば当委員会等でも問題になっているのでありますが、これらに対する実態把握なり対策の立て方が遅きに失しているのではないかというふうにすら思っているのでありますが、この点は対策を急ぐべきだというふうに考えますが、いかがでしょう。
#62
○政府委員(佐々木晴夫君) これは総理府の方からお話がいただけるものと、こう思ったわけでありますけれども、いわゆる恩給欠格者の問題というのは、これは御承知のように、例えば兵の場合にあって恩給法の最短恩給年限、つまり必要在職年限が十二年ということがこれは昭和八年以来一つの定めになっておるわけであります。その必要在職年の中にはこれは実在職年のほかに加算年も一応加えておる。その加算年というのはこれは戦時中特に相当拡大されたものである。そうしたものを含めましてやはり十二年なければ、昭和八年以来これは定着した制度でありますから恩給は差し上げられない。これに足らざる者について、例えば恩給法を改正することによってそのあたりの仕組みを改めたらどうだろうと、こういうふうな問題提起があるわけであります。
 しかし、恩給も年金としてそうしたような制度というのはもう基本的にこれは定めておるわけでありまして、かつまた戦後四十年、その部分だけについてこれを改めるということは私どもはまことに適当ではないと、このように思っておるわけであります。
#63
○国務大臣(江崎真澄君) いいですか、ちょっと補足しましょうか。これは本来官房長官が来て御答弁するところですが、今官房からだれも来ていないようでございますから。
 今、恩給局長が答えたとおりです。問題は、五十九年十二月二十一日に戦後処理問題懇談会報告がありますが、その報告の趣旨を踏まえて、シベリア抑留者に対する問題等も含め、特別基金検討調査室を内閣に設けて今検討しておる、こういう結論でございますから、申し上げておきます。
#64
○矢田部理君 今の話は私にはわかりますが、局長の方の話は、事務屋の話じゃなくて、国会の決議として正式に政府に要請をし、政府としてもその意を体して十分努力しますという答弁をしているわけでありますから、そうでない弁解がましい話は余り必要でないのでありまして、その努力をやっぱり促進してほしいという趣旨でございますので、十分意のあるところを酌んで急いでほしいということであります。
 恩給の話は以上で終わります。
 それから、賃金の問題に入りますが、先ほど野田委員からもお話がありましたが、人事院総裁、もともと人事院勧告は五%以上の官民格差が出たときは当然行うべきだというふうに制度上なっているわけでありますが、五%以下の場合であっても従来人事院勧告を行ってきましたね。したがって、ことしもまた仮に、まだ春闘が全体的には決着がついておりませんから正確な数値は出ないと思いますが、仮に五%以下の民間の賃上げ状況であったとしても勧告は出す、出しますということは言明できますね。
#65
○政府委員(内海倫君) この点につきましては、たびたび私から御答弁申し上げておりますように、官民格差を調査いたしました結果、諸般のその他参考になすべき問題がありますから、そういうものをあわせて慎重に検討をいたしまして私は積極的な考え方でこれに対処する、こういう考え方でおります。
#66
○矢田部理君 諸般の状況を勘案して積極的な考え方で対処をするということの意味は、以下であっても勧告をするつもりであるというふうに受けとめてよろしゅうございますね。
#67
○政府委員(内海倫君) 私の答えは今申し上げましたとおりで、積極的に対応していく、こういうことでございます。
#68
○矢田部理君 積極的に対処をするという意味は、人事院勧告を行いますというふうに受けとめてよろしゅうございますねと言っている。問いに対して答えてください。
#69
○政府委員(内海倫君) 大変くどいようですが、私の答弁というものは十分御理解をいただいておると思いますから、私はあえて積極的に対応する、こう申し上げております。
#70
○矢田部理君 私はくどい方でありますが、そういう積極的に対処するという別の言い方じゃなくて、端的に答えてください。そんな難しいことじゃない、人事院として当たり前のことなんです。だめですよ、今の答弁じゃ。いや総裁に、補強する必要はない、ほかの人は。
#71
○政府委員(内海倫君) 答えを改めるつもりはございませんので、在来私がきちっと申し上げておるところであります。今日まだその格差その他も出ておるわけではございませんので、そういう点から私は明快に勧告するというふうなことを申し上げておりませんけれども、一たびそういうふうなものに対応する限りにおいては、私は国公法の精神あるいは人事院勧告というものの意味を体して積極的に対応する、こう申し上げておるわけです。
#72
○矢田部理君 そういう何というか妙な表現というか、ニュアンスで聞き取れるような節を出しているものだから、何となくさわやかでないんです。もうちょっとびしっと言ったらどうですか。これはあなた、その任務のために総裁になったんだ。最大の任務でしょう。まさに人事院の存在理由そのものが問われる。その立場で少なくとも毅然たる態度をとる、当たり前の話じゃありませんか。少なくとも歴代総裁はそういう態度をとってきたのであります。もう一回だけきちっと言ってください。
#73
○政府委員(内海倫君) 今、歴代総裁ということが出ましたが、そういうふうな毅然たる人事院の立場というものの堅持に関しましては、私は歴代総裁と比較して決してその考え方に劣っておるとは思っておりません。
#74
○矢田部理君 ということは当然勧告を出すというふうに受けとめて、次の質問に入りますが、そこで、勧告があれば、当然のことでありますが、政府はこれを完全に実施すべき立場にあるというふうに思うのでありますが、特にことし問題にされておりますのは、従前ですと一%程度でありますが予算措置を講じておりましたね。これをことしは講じていないことから、何か政府筋はいまひとつこの問題に対する取り組みが弱いのではないか、後退しているのではないかという懸念があるんですが、その点、長官いかがでしょうか。
#75
○国務大臣(江崎真澄君) これは予算委員会等でも大蔵大臣が答えておりましたように、予算の編成上の都合で従来はこれもわずかですが計上しておったものを今回は計上しなかったと、しかしそのことと人事院勧告の実施とは別問題であります、こういうふうに私ども答弁を聞いておりました。さように御了解を願いたいと思います。
#76
○矢田部理君 従前たしか五%ぐらいとってきたこともある。それが三%になり一%になりゼロになった。この流れは、単なる技術的な問題とかいうことを超えて、やっぱり政府のこの給与問題に対する姿勢をあらわしているのではないかと心配をしておるんですが、そういうことありませんか。
#77
○国務大臣(江崎真澄君) これは、予算の委員会はずっと総括の間みんなおりますから、大蔵大臣の答弁に関する限りそういう意図に出たものではないと。今度の財政事情の非常に苦しい状況から、どれだけを計上するかしないかというのは最後まで問題にしたがゼロにしてまことに残念であった、しかし人事院勧告があればこれはやはり対策をすることに変わりはありませんと、このような趣旨を答えておったことを申し上げたいと思います。
#78
○矢田部理君 そこで総務長官、今度は実力者大臣でありますから大変期待をしているわけでありますが、いよいよことしは三年目ということになるわけですね。ずっと不完全実施、抑制基調できたものが、少なくともことしは四月から勧告どおりの引き上げに踏み切るという時期に来ているかと思うんですが、長官としての決意のほどをひとつお伺いしたいと思います。
#79
○国務大臣(江崎真澄君) これは先ほどもお答えいたしましたように、ことしの財政事情、それこそ本当に苦しい状況にあることはもうおわかりのとおりでございますが、給与というものが勤務条件の基本をなすものである。しかも、昨年の十一月八日、官房長官が完全実施をいたします、こういう談話を発表しておりますね。その趣旨に沿って、人事院勧告があれば私ども総務庁としては完全実施の方向で進みたいと考えております。
#80
○矢田部理君 完全実施ということの意味は、給与の内容そのものが完全に実施されるということ、時期も当然四月からというふうに伺ってよろしゅうございますね。
#81
○国務大臣(江崎真澄君) そのとおりでございます。
#82
○委員長(亀長友義君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#83
○委員長(亀長友義君) 速記を起こして。
#84
○矢田部理君 官房長官が見えませんのでテーマを別のテーマにしたいと思いますが、筑波研究学園都市というのがありまして、そこに研究機関が移るに当たって職員の方々に移転手当というのを出してきました。それが延長されたりしてきておるのでありますが、今年末で期限が来ることになるようであります。筑波に勤務する職員の方々の全員の一致の意向でありますが、これを今後どのようにすべきかということについて幾つかの考え方が整理をされております。
 一つは、従来のこの移転手当という性格ではなく都市手当というようなものとして恒久化してほしい、制度として固めてほしいという要求が一つであります。
 それからまた、筑波に勤める職員の方々では幾つかの差別がございまして、一〇%の移転手当を支給されている人とゼロの方、あるいは三%程度の人々というような三段階ぐらいに分かれるのでありますが、研究の状況から見ますと、ある特定の研究者が突出して研究をするということではありませんで、それを支えるスタッフとかサポートする人々というようなことが総合的に仕事をして初めてこの研究というのは成果が出るわけであります。ところが、同じように机を並べておりながら、ある人はこの移転手当が出、他の人は出ないというようなことで職場に非常に差別感がみなぎっている。管理者側からしましても非常に人事管理上やりにくいというような声を実は聞いておるのでありますが、その点でこの都市手当ということで制度を恒久化すると同時に、全員に一〇%支給をしてほしいという強い要望であります。
 そして三番目には、例えば東京に勤めておりますと御承知のように調整手当が一〇%つくわけでありますが、他に移転をした場合には三年間に限って異動保障というのがついております。ところが、筑波から他に異動する場合にはこれがつかない。そのために、研究者相互間の交流というようなことが研究上は非常に大切なのでありますが、非常にこの人事が停滞をしてしまう、研究の流れが活力を失ってしまうというようなこともございまして、調整手当と同じように異動保障三年というのをやっぱりつけるべきだというようなことなどを含めて、その他いろんな個別の要求はあるのでありますが、少なくとも以上三点については労働組合や研究者側からだけではなしに所側の方でも一致した見解として総務庁などにも要望していると思うのでありますが、人事院、さていかがするかということをまず伺っておきたいと思います。
#85
○政府委員(鹿兒島重治君) 御承知のように、筑波研究学園都市手当につきましては、本年末をもちましてその期限が切れるということになっておるわけでございまして、私ども鋭意検討中でございまして、今お話がございましたような御意見が当局あるいは職員団体の方から種々寄せられているところでございます。
 今三点ほどお話がございましたけれども、一つは御承知のようにこの手当が支給されましたそもそものいきさつというものが、筑波研究学園都市に東京から移転をする移転自体を対象として支給したということがございます。したがって、移転に着目しておりますので、都市手当――都市手当といいますとかつて人事院も都市手当という名前の勧告をしたことがございますが、それが現在の調整手当になっているわけでございまして、各地域の生計費、物価等を配慮いたしまして現在調整手当がついているわけでございますが、率直に申し上げまして、そういう調整手当的な考え方をとるということになりますと、現在の筑波学園都市の生計費、物価、近辺の状況等から見ますとちょっとこれは都市手当に移行しがたいという問題も実はございます。
 それからまた、お話がございました職員によりまして一〇%、三%、〇%、三段階あることは事実でございますが、一〇%につきましては、基本的には東京の一〇%地域から筑波に移転をしたということで一〇%をつけた。それから、権衡をはかりつつ一部の研究員については一〇%、他の事務職員につきましてはこれは一定の等級を限りまして三%をつけ、現地で採用可能な職員につきましてはこれがついていないということで、三つの段階がございます。
 それぞれ沿革、いきさつがあってつけたということは事実でございまして、いま一つ異動保障的ということになりますけれども、これもそもそもが異動をしたためにつけた手当でございまして、再異動のための手当というものはこれまでも実は例がないわけでございます。しかしながら、現在筑波研究学園都市につきましてはおおむね昭和五十五年で移転は終わっております。その後こういう形で手当が推移してきているという実情がございますし、私どもも現在おります職員に激変を与えるということは好ましいことだとは思っておりません。
 したがいまして、どのような考え方でこの手当というものを今後処理するかということ、先ほど申しましたように、職員の例あるいは当局の側、現在意見を詰めながら、ことしの勧告に向けて鋭意検討中でございます。
#86
○矢田部理君 当面人事院が中心になるのでありますが、総務庁としてもぜひ御配意いただきたいと思いますのは、都市手当という議論の根拠であります。
 筑波学園都市というのはもともと政府の方針、国の政策であそこに移ったわけですね。そして、全部研究機関は東京にあったんです。当時はこの都市手当というか調整手当一〇%が皆さんについておるわけです。その研究機関がたまたま東京にあればついておる、筑波に行ったためにつかなくなる、制度上は。これは大変不本意だというふうに思っているわけですね。現にそのために過渡的な措置としてたしか移転手当という名目でつけたんだろうと思いますが、実際にあそこに行ってみますと、やはり東京の延長線上で皆さん生活をしておられるわけです。飛び地論などという議論もあるわけでありますが、その点でこの都市手当あるいは調整手当的なものを制度化して恒久化すべきだといってとは無理からぬところだと私は思っているのであります。
 少しく実質論から申しますと、筑波移転に際しては筑波研究学園都市建設法という法律ができたときに附帯決議がございました。職員の生活条件の低下を来さないという附帯条件がついて移転が比較的スムーズにいったという経過もあるわけでありまして、一〇%ということになりますとかなり大きな金額になるわけでありまして、その決議の立場から見てもここで打ち切るべきではないというふうに思うだけではありませんで、生活条件も非常に悪いのであります。もともと二十万都市を想定した筑波が実際には十万ちょっとしかあそこに実着をしなかった。そのために地域における諸費用などの負担が、例えば上下水道などがそうでありますが、その人たちに転嫁をして比較的高めの負担になっているということなどもありますし、それから一番ポイントとして言われておりますのが、交通手段がほとんどないのであります。
 公務員の住宅が何カ所かございますが、研究所までバスが確かにあります。しかし、朝一、二回、夕方二、三回というのが平均的なバスの回数でありまして、到底マイカーなしにはあそこでは生活できない、仕事もスムーズにできないというのが実態なのであります。特に研究者の場合には、いろんな実験などを繰り返すわけでありますから、五時に終わったら早速終バスに乗って帰るというわけにはいきませんのでありまして、さらには生活条件で、家族の人たちも役場に行くのにもあるいはお医者にかかるのにも全部バスの便が非常に悪うございます。昼間はほとんど走っていないと言ってもいいぐらいの状況なのであります。もう一台ぐらい場合によっては車を買わざるを得ないというようなことを含めて考えてみますと、非常に交通手段が限られているために不便でありまして、したがってまた負担が大きくなってきているわけです。交通費はどんなふうに支給されておるかというと、今建前上は公務員はマイカーでの通勤は認められておりません。二千円ないし三千円の支給しかされていないというような実態なのでありまして、生活条件は極めて劣悪だと言わなきゃならぬ。負担が非常に大きいのであります。
 物価はそれなら安いのかというとそうではございません。最近スーパーなどが、あるいは大手のデパート的なものが二、三あそこに進出をしておりますが、むしろ東京並み、あるいは選択の幅は東京よりもはるかに狭いわけでありますから、非常に物価としても高いというような実質論から考えてみましても、これは恒久的な制度として調整手当、都市手当的なものとして制度を確立すべきだ、そういう時期に来ていると思うのですが、総裁そしてまた長官、それぞれに御見解を承って、ひとつきちっとこの際方向性を出してほしいと思うのでありますが、いかがでしょう。
#87
○政府委員(内海倫君) 筑波学園都市につきましてはもう私どももいろいろ検討いたしておりますが、ただいま御意見として申されました点は十分私どもも考慮して考えたいと思っております。
#88
○矢田部理君 成田で同じような手当がついているわけですね。東京にあった羽田空港が成田に移転をした。民間会社も行き、各政府関係の職員も行った。そこで成田手当というのが同じような趣旨でついているわけでありますが、これは比較的当分の間ということで、時限を定めず、切らずに、時限を切らずにというか、時を切らずに行っているわけでありますが、その点で、この筑波はもう移転が終わったんだからいいんだということではなくて、これから科学立国とか技術立国を目指すという場合に、あそこの研究者の人々、それを支える多くの人々たちの生活条件というのは非常に大事なんだ、科学政策の面から見ても重要なんだということの認識の上に、この問題をひとつ扱っていただきたいというふうに思います。
 もともと政府が先行型であそこには研究機関がたくさんできましたが、最近は民間の研究機関などもずっとこの周辺に張りついてきております。この民間の人々の待遇、条件を調べてみましても、東京で支給されていた賃金があそこに行ったら今度は安くなる、田舎だから安くていいんだという考え方には民間でも立っておりません。むしろ東京並みの生活を保障してやっていくというのが民間の傾向にもなっておりますし、特に研究者の人たちはあそこでだけ研究ができるわけではございません。東京の図書館に通ったり東京の人々との研究交流をやっぱり積極的にやらなきゃならぬというような点では、それが必ずしも出張旅費等で保障されているわけではありませんので、非常に個人負担も多いし、またそのために別居生活といいますか、単身赴任者なども非常に多いわけでありまして、もろもろの条件を考えてみますと非常に負担がかさんでおるわけでありまして、研究する人々やスタッフたちに余りそういう生活面での苦労をさせずに、立派に研究に打ち込んでもらうというのがあそこにつくった趣旨でもあろうかと思いますので、そこら辺を込めてひとつ人事院、しかとした勧告、考え方をやっぱり出していただきたいと特に要望しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#89
○政府委員(鹿兒島重治君) 端的に金額を申し上げますと、たしか私の記憶では現在筑波手当の一人当たりの支給額が二万七千円ぐらいになっていると思います。
 地元の事情につきましては先生の方がよく御存じでございますけれども、今お話がありましたようなもろもろの事情がございます。成田の場合には、御承知のように羽田空港の移転に伴いまして周辺の企業も移転したというふうな事情がございました。筑波の場合にはむしろ逆でございまして、研究機関が移転して現在さまざまな民間企業が入りつつあるというような状況でもございますし、昨年御案内のように例の科学博があったというような事情もございます。その辺の事情も十分踏まえまして、先ほど申し上げましたように、激変が生じないような配慮をぜひいたしたい、かように考えております。
#90
○矢田部理君 激変しなきゃいいということではありませんで、今私が申し上げたような趣旨をよく含んでいただきまして、生活実態や研究の条件等も十分調査していただきまして、それに見合った対応をすべきだと。特に、同じ研究に参加しておりながら、補助職のためにそういう手当がもらえないとか、非常に賃金差別みたいなものが実態として出てきておりまして、これがまた問題なのでありまして、やはり全員支給という方向で、また制度として恒久化する観点でひとつ取り組んでいただきたいということを特に御要望申し上げておきたいと思います。
 そろそろ時間が参りまして、官房長官おいでになりましたので、順序が逆になりますが、先ほどからの人事院勧告の話をしておきました。人事院総裁は、五%以下でもことしは勧告をいたしますというふうに約束したものというふうに私は受けとめているのでありますが、そうしますと、勧告を受ける側の立場で先ほど江崎長官からお話がございましたが、給与問題担当閣僚会議の座長であります官房長官の一言がありませんと安心してきょうは帰れませんので、特に官房長官が我々の反対を押し切って三年待ってくれと、三年後には必ずやるからというふうにずっと言ってこられた経過もございますので、ここで一言ぴしゃっとことしはやりますということをひとつ述べていただければ大変ありがたいと思っております。
#91
○国務大臣(後藤田正晴君) 六十一年度の給与の勧告の取り扱いがどうなりますかは、これは人事院当局がどういう御勧告を出されるのか出されないのか、出されるとすれば内容はどうなるのか、これはもう人事院御当局の御判断ひとつでございますが、仮に人事院当局から給与改善についての勧告が出れば、政府としてはそれを最大限に尊重して、そして完全実施に向けて努力をいたしたい、かように考えているわけでございます。
#92
○矢田部理君 最大限の努力とか完全実施に向けてという話は昔も大分聞かされたような気が実はしているのであります。その例年の状況とは違ってことしはいよいよ完全実施と、これは当たり前の話なんでありますが、ということで決断をするときです。官房長官、政府側から、ずっと今日まで待たせたときがいよいよ来ました、したがってことしはやりますというふうにはならぬでしょうか。
#93
○国務大臣(後藤田正晴君) これは過去二回でございましたが官房長官談話が出ておりますから、その談話の趣旨に沿って完全実施に向けて最大限の努力をいたします、官房長官談話を踏まえての発言であると、かように御理解をしていただきたい、かように思います。
#94
○矢田部理君 三年間で完全実施に持っていきますという話が経過としてあったことは篤と御記憶だと思いますが、その点を十分に念頭に置いておやりになるというふうに承ってよろしゅうございますか。
#95
○国務大臣(後藤田正晴君) 官房長官談話を踏まえての答弁であると、かように御理解をしていただきたい、こう思います。
#96
○矢田部理君 三年後にはやると言ったのですから、これはやらなかったら大変なことになる。政治の責任といいますか、行政のやっぱり根幹にかかわる問題ですから、その点はしかと受けとめていただきたいということを特に要望しておきたいと思います。
 それからもう一点、人事院に伺っておきたいのでありますが、最近各省庁の勤務状況を見てみますと、夜中じゅうというか、相当遅くなっても各官公庁の灯がともっているんですね。ある組織の調査によりますと、一カ月百時間ぐらい残業しているんじゃないかというような調査もあるわけでありまして、各官公庁のこの残業の状態が非常に慢性化をしておる。健康管理面から見ても、それから家庭生活から見てもゆゆしき事態になりかねないというような指摘までなされているんですが、人事院はその実態について調査をされているでしょうか、また改善措置などについて指導策を考えているんでしょうか、その点伺っておきたいと思います。
#97
○政府委員(中島忠能君) 中央省庁、霞ケ関を中心といたしまして、御指摘のように超過勤務というのが多く行われておる。国会関係とかあるいはまた予算編成作業中というのが多いというふうに言われております。
 先生がお話になりますように、超過勤務が多い、これが多過ぎるということは、職員の健康とか福祉というものに害を及ぼしかねないという認識を私たちも持っておりまして、関係各省の人事管理責任者あるいはその担当者に対しまして超過勤務が過度にわならないように今まで要請してまいりましたけれども、今先生がお話しになりましたように、そういうことが慢性化するということになりますと、これは職員の健康管理の面でゆゆしき問題でございますので、改めて機会を見てそういう要請もしてまいらなければならないというふうに考えております。
#98
○矢田部理君 その点はしかと実態を調査をし、しかるべき指導を早急にやってほしいということを特にこれまた希望しておきたいと思います。
 最後に官房長官、少し話題が変わりますが、ついせんだっての情報で、アメリカがリビアの首都トリポリを攻撃しているというふうな報道が入ってまいりました。前からリビアとアメリカとの関係は大変険しい状況にありまして、アメリカ自身もあのすぐ近くで空海軍の大演習をやっている。その点では砲艦外交といいますか、極めて威嚇的、挑発的な動きなどもあり、私どもは心配をしているのでありますが、やはりこういう問題は平和的な手段、外交的な手段で問題を解決すべきなのでありまして、力ずくでやるというのはいかがなものかとも考えているのでありますが、そのリビアに対するアメリカの攻撃の状況、トリポリが砲声に包まれているというような報道もあるわけでありますが、情報をキャッチしているでしょうか。また、それに対する日本政府の対応策としてはどんなことを考えておられるでしょうか。
 以上の点を伺って、質問を終わりたいと思います。
#99
○国務大臣(後藤田正晴君) 今私は外務大臣臨時代理を命ぜられておるんですが、矢田部さんの御意見は御意見として拝聴させていただきます。現在まだ詳細判明しておりませんし、事務当局に情報を早急に収集するようにということを指示しておる段階でございますので、今はそういう時点であるということでお答えをいたしておきたい、こう思います。
#100
○矢田部理君 正確な情報はまだ十分に入っていないのかもしれませんが、そういう報道なり連絡なりはあったんでしょうか。知っておられる程度で結構ですから、お伺いいたします。
#101
○国務大臣(後藤田正晴君) スピークス副報道官の発表がありましたね。これは承知しておりますし、駐米大使からの連絡は一応受けております。しかし、それだけでは不十分でございますから、もう少し詳細な情報をとるようにということを下命してあるわけでございます。
#102
○矢田部理君 わかりました。不十分さはわかるんですが、概括的にというか、どんな状況なのかということはそれ以上述べるわけにいかないでしょうか、少しコメントするわけにいかないでしょうか。
#103
○国務大臣(後藤田正晴君) まだもう少し事態の推移を、情報を集めまして、見させていただきたい、かように思います。
#104
○委員長(亀長友義君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十分開会
#105
○委員長(亀長友義君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#106
○堀江正夫君 私はまず恩給に関連した問題について三点ほど御質問したいと思います。
 その第一点は、昭和六十一年度の恩給等の国家補償にかかわる改善措置が従来の慣例を破って当初の大蔵原案で計上されたことを多として、政府の国家補償としての認識に基づく姿勢を明確にされたものと、これを高く評価するわけでございます。そして、このことは来年度以降もぜひ慣例化されることを願うわけでございますが、まずこれについての長官の御決意を伺いたい、このように思います。
#107
○国務大臣(江崎真澄君) 昭和六十一年度の恩給予算につきましては、関係議員を初めとする関係者及び財政当局の深い理解のもとに極めてスムーズな形で予算編成ができ、受給者の皆様方にも大変喜んでおっていただくところであります。総務庁としては、昭和六十二年度以降も、恩給が二百二十万受給者の重要な生活の支えである、このことに思いをいたしまして、誠意を持ってスムーズに事が処理されるように努力するつもりでございます。
#108
○堀江正夫君 来年度以降もことしの慣例を踏襲する御決意と、このように拝聴したわけでございまして、ぜひそのように来年度以降もしていただきたい、重ねて申し上げておきます。
 次は、恩給と公的年金のバランスの問題でございます。これにつきましては、午前野田委員からも御質問がありまして、政府から恩給制度についての基本的な姿勢を述べられました。これではっきりしていると思うわけでございますが、もちろん私は、国家補償の基本理念を貫いて、この理念に基づいて今後改善が行われる、そしてその改善の中で両者についての必要なバランスを考えて検討を行うんだと、こういうことでなければならない、このように思うわけでございます。幸いに六十一年度はこの線が一応確保され、人勧、公務員給与アップに準じた増額措置がとられたわけでございます。私は、六十二年度以降もこれが貫かれるであろうということを期待し、また貫かなければならない、こう思っておるわけでございますが、今後これらについてどのような姿勢で、どのような具体的な内容について検討をされようとしておるのかお伺いしたい、こう思います。
#109
○政府委員(佐々木晴夫君) 恩給につきまして臨時行政調査会それから行革審、それから昨年末の国会の附帯決議でもって諸般の御指摘をいただいておるというのは先生御承知のとおりでございます。公的年金制度との関連において恩給を見直しすべきであるという御議論がございますけれども、この点につきましては、私どもとしては恩給制度はおっしゃいますように国家補償を基本とした制度であって、相互扶助の精神に基づいて行われるところの公的年金とは異なるものであるという点が一点。
 それから、その対象者がすべて既裁定であって新規参入がない。また、対象者の大部分が旧軍人という特殊な職務に服した者やその遺族であって極めて御高齢であるということから、制度の基本的な枠組みの変更というのはこれは極めて困難である、このように思っているわけであります。ただしかしながら、恩給につきましても、年金として果たしている機能、役割、こうした点からいいますと、公的年金と類似する面もあるのはこれも先生御承知のとおりでございまして、そういう趣旨から種々の検討を行う必要がある、このように考えているわけであります。
 その主題といたしまして特に私ども意識をいたしておりますのは、一つはベースアップの手法をどうするかと、今御指摘のありましたような公務員給与に即して行うという考え方もありますけれども、他の公的年金はすべてこれは物価になったと、そこのところの議論の詰めを十分行う必要があるという点が一点と、それから多額所得者に対する恩給の一部停止制度のあり方につきましてこれを見直す必要がある、このように考えているわけであります。
 先生のお話の御趣旨は十分体しながらも、これからさらに他の公的年金制度とのバランスその他につきまして十分検討をしてまいりたい、このように考えている次第でございます。
#110
○堀江正夫君 今、今後の検討の具体的な方向というものについて一部お話しいただいたわけでありますが、今後の具体的なそういった検討の中で、恩給等についての国家補償の基本を絶対に崩すことのないように重ねて強く要望させていただきます。
 次に、湘桂作戦等の戦務加算の問題についてお尋ねをいたします。
 これにつきましては、第百国会で請願が採択をされて、当委員会においても私を含め何人かの同僚委員から質問が繰り返されてきたわけでございます。これらの議論を通じて、湘桂作戦はいわゆる治案件戦を主体とする戦務乙地域では全く例がないような、そして戦務甲地域でも珍しいほどの激戦が行われて多数の戦傷者を出した、天皇陛下から特に御嘉賞の言葉までも賜っておる、こういう事実については政府当局と私どもが認識を一にしたところでございます。
 そこできょうは、制度内部の均衡の点から問題が多く困難ではあるが慎重に検討すると、こういった請願に対する政府回答に関連をして少しお尋ねをしてみたい、こう思います。
 この制度内部の均衡上の問題につきましては、従来政府は、直接的には戦時中軍が決めた基準は変えられない、戦後一部改正したのは改正草案があったとか改正の上申中であったとか、すなわち軍の意思を示す明確な資料があったからだと、それ以外は四十年もたった今日新たに認めるということは非常に難しい、こういう見解を主張しておられるわけでございます。確かに政府の主張も一応も二応も私にはわからないわけではございません。しかし、先ほど申し上げました認識をともにするに至りました湘桂作戦を考えてみますと、あれだけの激戦が行われた大規模な作戦について陸軍が戦務加算の改定を検討していなかったということは、常識的にはどうしても私には考えられないわけです、これは。恐らく皆さんも実態を御承知の方はそう思われるんじゃないか、こう思います。
 そこで、私自身も実は公文書館等でいろいろと調査をしてみたわけでございますが、残念ながら湘桂作戦に関する上申中あるいはその草案等の資料は今日まで発見することができませんでした。この資料がないということについて、私はあの終戦のどさくさ紛れのときに軍が関係書類を一括して大慌てで焼却をしたという事実を思い出すわけでございます。その中にあるいはこれに関連した書類もまじっておったんじゃないか、その可能性は極めて大きいんじゃないかと私自身は考えているわけでございます。このように考えますと、はっきりした資料がなければ一切シャットアウトだ、これは率直に言うと余りにもしゃくし定規じゃないか、このように思われてならないわけです。
 御承知のように、この問題は新しく対象範囲を拡大をしようとか、こういった新しい制度をつくろうというものじゃないわけであります。従来ありますところの制度の適用について、実態に即するようにひとつ見直してくれということなんでございます。そのように考えてみますと、この問題は単に事務的で処理するということじゃなくて、戦務加算の本質から大所高所に立って客観的にそして政治的に判断をすべき問題じゃないかと、このように思うわけでございます。またそれを熱望するわけであります。長官の率直なお気持ちを伺わせていただきたい、このように思います。
#111
○国務大臣(江崎真澄君) 事実関係を局長から。
#112
○政府委員(佐々木晴夫君) 湘桂作戦につきまして当委員会で諸般の御論議があったということについては私もよく承知をいたしておるわけであります。昨年の当内閣委員会において湘桂作戦について御論議が行われまして、その際堀江先生から御提案として、事実関係についてもう少し調べたらどうかという点が一点と、それから今お話のございましたように、当時加算について上申があったはずである、だからそのあたりの資料について調べるべきではないかと、このような御指摘があったわけでございます。
 私どもその後厚生省と協力をいたしましていろいろと調査もいたしてみたわけでありますけれども、湘桂作戦の内容そのものが十九年六月から十九年十一月に至る大変大規模な作戦であり、それには約三十六万数千の兵員が動員されたと、このように言われておりますけれども、その全容をつかむことについてはとてもこれはできないのが実は率直なところでありまして、約四万五千程度まで一応私ども当たってみたんですけれども、そこで大変な激戦であったことについては改めて事実を確認いたしたわけであります。その点が一つ。
 それから、今加算について当時の陸軍から上申ないしその試みがあったはずであると、こういうお話でございますけれども、当時御承知のように陸軍省ないし海軍省から当時の内閣恩給局に対してこれについて上申があって、これが内閣総理大臣にさらに上申されると、こういう手続をとってあるわけであります。私どもも恩給局の昔の資料並びに厚生省とも協議をいたしましたけれども、このことについては実は把握ができなかった。私ども、もし陸軍からこのあたりの上申がありますればそのあたりの資料は当然残っているわけであります。現に沖縄につきましては二十年四月十二日付でもってこの上奏文があるわけであります。その前の段階の上奏ありやなしやと、こういうことでありますけれども、これについてはなかったと実は言わざるを得ないんであります。
 以上、昨年これについてさらに検討すべきではないかと、こういう堀江先生の御指摘につきましては私どもとして誠意を持って調査をしましたけれども、残念ながらその今の加算についての上申はなかったということにつきましては御報告を申し上げておきたいと存じます。
#113
○国務大臣(江崎真澄君) 今お聞きのとおりでありますが、湘桂作戦がいかに厳しくいかに険しかったか、これは戦中派の私どもにとってもよく記憶にあるところであります。
 この加算の問題については今恩給局長がお答えしたとおりでございまして、その枠組みについて、やはり加算制度全体のバランスを考慮していろいろきめ細かく決められたのが現在の制度であることは御存じのとおりであります。そこで、特定のものを、これはもう厳しく険しい大作戦であったことはわかりますが、今四十年たった今日見直しをする、それが現実の政治じゃないかといえばそういうことだと思いますが、これは今までの加算制度全体のバランスを崩すということになる点を考慮いたしますと、残念ながら非常に難しい問題ではなかろうかというふうにお答えしなければならぬのが現在の状況でございます。
 既に御存じのとおり、戦後南西諸島などの地域におけるいわゆる戦務加算を認めたものもありますが、これは内閣告示の上奏手続中に終戦となった、そのために公示ができなかったという特殊事情のものに限って考慮したという経緯もございますので、なお今恩給局長が言いましたように十分の検討の必要は認めますものの、現段階においてこの見直しをすることは非常に困難である、こうお答えしなければならぬと思います。
#114
○堀江正夫君 今、長官及び恩給局長から大変難しい状況をいろいろとお話しいただきました。それはそれなりに私も十分わかった上で何度もいろいろとお願いをしておるわけであります。
 こんなことを申し上げるのは釈迦に説法でございますが、戦後の自由民主主義社会の中で政治が特に国民の意思を重んじ国民のために行う、これが大きな基本になっている、こういうことはもう今さら申し上げるまでもございませんが、この作戦の関係の生存者というのは確実なところは先ほどもお話ございましたようにわからないわけであります。人によりましては、恐らく多くても現在三万人ぐらいじゃないか、いやいや十万人、十数万人になるかもしれない、いろいろ言われております。またその多くは、私聞きますところではもう既に恩給受給者が皆無でございます。いろいろとこの関係者と話してみますと、彼らはこの改定によって必ずしも物的な給付を国に期待しているというわけじゃないんですね。むしろ若い日の自分たちが命を投げ出してあれだけの作戦を行った、それを国が戦務加算を乙としか評価をしておらない、こういうことを戦後知って、率直に言いますとやり場のないようなむなしさと憤りを訴えておる、これが実態でございます。
 それで、この問題はいろんなケースがあるわけでありますが、一人二人の特異なケースとは基本的に違うわけでございます。先ほど言いましたように、決して全般的から見ますとそう多い数とは言えないわけでございますが、数万といいあるいは十万ぐらいというような人の訴えでもあるわけでございます。私の知る限りでは、いろいろ調べてみましたが、戦務乙地域でこれだけの規模のこれだけの激しい、そしてこれだけの大きな損害を出した作戦というのはほかに中国大陸じゃございません。したがって、これがそのまま他に波及するというようなことは考えられないわけです。財政上も、私が先ほど申し上げましたようなことからそう大きな財源を要する問題でもないと、こう思うわけでございます。
 したがいまして、先ほども申し上げましたが、ぜひとも従来の枠にとらわれないで、大所高所に立って今までの見解から一歩踏み出して、長官の特に豊富な卓越した御見識と決断に基づいて改善を目途とした検討に真剣に取りかかっていただきたい。これはもう関係者の声を代表した私のお願いでございまして、最後にもう一度長官から御見解を伺わせていただきたいと思います。
#115
○国務大臣(江崎真澄君) これは御要請により、また国会請願の通過ということなどもあって十分検討をいたしたと、こういう恩給局長から御答弁申し上げましたですね。そして、厚生省ともいろんな状況調査をして、そしてその上で結論づけた。私どもも堀江先生のおっしゃる意味は十分わかります。また、当時の湘桂作戦がいかに険しく厳しいものであったかということも記憶に残っております。おっしゃる意味はわかりますが、全体の恩給バランスをさてここで崩していいのかどうか、これが問題なわけでありまして、なお検討をしろ、こういう御要請でありますからなお検討はいたしますものの、非常に困難である、これはひとつお察しを願いたいと思うんです。恐らくこのことによっていろいろまた後問題が提起されることも考えられましょうし、事務当局としても精いっぱいの検討をした結論を先ほどお答えしたものと、かように考えます。大変御不満な点はよく拝察できますが、御了解を得たいと思います。
#116
○堀江正夫君 単に事務的じゃなくて、ぜひとも政治的に大所高所から御判断いただいて御処理いただ老たいということを重ねてお願いしまして、次は総理府、内閣に主として関連する問題についてお尋ねしたいと思います。
 その第一は、いわゆる台湾兵の問題でございます。これについては今年度検討費として二千万円が計上されておりますね。これによって今年度どのような検討をどのような手段でいつまでに行おうとしておられるのか、これを簡単にひとつお答えいただきたいと思います。
#117
○政府委員(的場順三君) 御指摘のとおり、この台湾人元日本兵問題というのは長い経緯のある問題でございますし、かつ今最高裁判所において国が裁判の当事者として関与して係争中の問題であるという事実がございます。一方、御指摘のとおり六十一年度予算には約二千万円の台湾人元日本兵問題企画検討費というのが計上されておりまして、その二千万円の内訳は約一千万円がいわゆる事務費でございます。それから残りの約一千万円でございますが、これがいわゆる委託費でございます。それから、これを二千万円としてそういう費目に決める際に、これは政治折衝でございまして、自由民主党の政調会長が特に発言をされまして、その発言に大蔵大臣と官房長官が合意したという経緯がございます。
 これが六十一年度の予算を使います際の基本事項でございますのでちょっと申し上げますと、一つは、「本問題については、現在最高裁判所において係争中であるので、最高裁判所の最終的な判断をまつ必要がある。」。「他方、本問題の処理は、超党派の強い要望であり、六十年度より検討の度合を更に深める必要がある。」ということで、この二つの点を踏まえまして二千万円に増額する。
 そして、その使い方については、「政府部内における問題点の整理、検討等は」六十年度に続いて「引き続き行うこととするが、別途、与野党の関係議員が本問題を検討する場をもうける。」というふうなことが一つでございます。それからもう一つは、「台湾側の事情が許せば、民間団体等による(真に必要な場合には、与野党の関係議員が参加することも考慮する。)台湾紅十字会の実情、一般的な生活状況等の調査等を行うことを考慮する。」、こういうふうな基本的な考え方が述べられておりまして、繰り返しになりますが、政調会長がこのような発言をなさって大蔵大臣と官房長官が了承したという経緯がございます。
 一方、従来この問題に関する先生方の懇談会として台湾人元日本兵等の問題懇談会という超党派の会合がございます。この会合とのお話し合いも従来から種々行ってきておりますけれども、六十一年度の予算を実行するに当たりましては、こういった先生方との会話あるいは与党、野党の正式の機関とのお話し合いも含めながら、これから検討していくことにしたいと思っております。関係省庁の連絡会議をまず早急に進めたいという段取りでございます。
#118
○堀江正夫君 今、本年度のこれからの検討につきまして、三者合意に基づく今後の進め方について具体的にお話しをいただいたわけでございますが、もう言うまでもございませんが、この問題、提起されて本当に長い問題でございまして、しかもこの問題は日本人の道義心が問われている問題でございます。実は四月二日の予算審査の当内閣委員会で、太田委員の質問だったと思います。官房長官が、実際には外交問題が絡んで苦慮しておる、しかし人道上急いで措置すべき問題と認識をしておる、何らかの形で解決しなければならない、このように申しておられました。
 私はこの問題には随分長い間かかわり合ってきておりますが、外交的問題と言われる問題は既に大局的には解決をしておるじゃないか。また北鮮についての問題も残っておるわけでありますが、これは今国交がないわけでありまして、国交が樹立されるときに考慮さるべき問題であって今すぐの問題ではない。むしろこういった問題じゃなくて、問題の本質は財源措置にあるんじゃないか、このように思っております。しかし、この財源措置についても、今日の日本が財政上の問題でできないということは国際的にはとても納得されるはずのないことも明瞭でございます。要は政治決断の問題じゃないか。日本としては少なくも六十二年度は何らかの立法措置をとらざるを得ないんじゃないか、そういうぎりぎりのときになっておる、これが政府を含む与野党関係者の一致した見解ではないか、こう思っております。
 そうなりますと、今いろいろと具体的な検討についてお話がございましたが、この検討の日程等について、今言ったようなことを踏まえながら六十二年度に実行だと、これに沿うようにぜひやってもらいたい、このように思うわけであります。もうこれは答えは要りません。答えは要りませんが、そのような線で今後ぜひとも御検討していただきたいと強く要望するわけでございまして、特に江崎長官にもこの問題については御理解をいただいて御推進を賜りたい、きょうは特に官房長官おいでいただいてませんので、お願いを申し上げておきます。
#119
○国務大臣(江崎真澄君) 非常に御熱意のある御要請であります。私も前からこのことは認識をいたしております。十分検討いたします。
#120
○堀江正夫君 それじゃ次は靖国神社の公式参拝の問題に移らせていただきます。
 これについては午前野田委員からも問題提起があったわけでございますが、A級からC級までのいわゆる戦犯処刑者、これは国内犯とは違うという認識に立って寸昭和二十八年から三十年にかけて、国会で議員立法によってこの人たちに援護法、恩給法の適用を決め、さらに戦後抑留期間の通算も決めたわけでございます。そして、政府はこれに基づいて恩給、公務扶助料等を自来ずっと支給しておるわけです。この現実を考えた場合に、政府はこれらのいわゆる戦犯処刑者というものを今日現在どのように位置づけて考えておられるんだろうか。と申しますのは、恩給等の支給について、まさかそんなことはないとは思いますけれども、万々が一中国からこれについてしかるべき申し入れがあったというような場合に政府はどう対応されるのかという問題がやはり問題としてはあるんじゃないか、こう思うわけでございます。したがって、まずこの点を念のために総務庁と内閣から御返答を賜りたいと思います。
#121
○政府委員(佐々木晴夫君) 恩給法上の戦犯者につきましての取り扱いについては、今先生のお話のとおり二十八年に、これは国内犯とは違うんだということでもって、これについて復権をいたしたわけであります。それに先立ちまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法におきましても諸般の論議がございました。特に二十八年における援護法の改正は、私こういうことを申し上げるのも何ですけれども、大変感動的な場面でありまして、外交上の配慮を思料しながら、先ほど大臣がお答えしましたように、各会派一致でもってこれについて公務扶助料相当の遺族年金を差し上げる、こういうことが定まりまして、これを受けまして二十九年に恩給法でもそのような措置をとったわけであります。今先生言われましたように国内犯ではないんでありまして、今中国政府云々というお話がありましたけれども、そういうこととは関係なく私どもとしては現在の恩給の仕組みは当然の帰結である、このように認識をいたしておるわけであります。
#122
○政府委員(的場順三君) 恩給の問題に関しましてはただいま総務庁からお答えのあったとおりでございます。
 先生の御質問の趣旨が、いわゆるA級戦犯との関連で中国政府からいろんな問題がある、それと公式参拝とのかかわり合いについてどう考えるかということでございますでしょうか。といたしますと、これは御承知のとおり靖国神社に昨年の八月十五日、総理……
#123
○堀江正夫君 それはもう後から質問しますから、そういうことであれば。
#124
○政府委員(的場順三君) そうですか、はい。
#125
○堀江正夫君 今、恩給局長から政府の見解として、少なくもこの人たちは旧軍人として復権をしたんだ、刑死者も公務死として認定をされたんだ、そしてもう既に三十年それによって措置されてきておるわけですね。こういう事実の上に立って靖国神社は、国会の決定、政府の関係法令の適用実施、これを見届けた上で宗教法人たる神社のみずからの意思で、だれからも拘束されたわけじゃありません、みずからの意思でいわゆる戦犯刑死者を戦死に準ずる公務死として合祀をして、そして今日まで三十年以上にわたって祭祀を続けてきたという事実、これはもう厳に存在しておるわけでございます。
 私は、言うまでもなく日中の良好な関係を保持するということは、これはもう日本にとってもでありますが、中国自身にとってもまたアジアにとっても、さらに世界にとっても大変大切な問題だ、このように認識をしております。また我々は、戦争中に中国及び中国国民に与えたいろいろな問題について、外交的には解決済みではありますけれども道義的な負い目を今日も負っておる、このように認識をしておるわけであります。
 しかし、いわゆる戦犯者をどう扱うかということは、今までもそうでありましたように、純然たる国内問題じゃないか。さらに、靖国神社の合祀の問題は、日本の習俗に根差したところの日本国民の純粋な精神的な、そしてまたは宗教的な事項であって、政治もこれに一切関与できることじゃないじゃないか、同時に外交上の問題とするような問題じゃないんじゃないか、これはもう国際的な常識じゃないか、こう思うわけでございます。ましてこの神社に政府や国民がどのようにしてどのような形で参拝するか、これが外国からとやかく言われる筋合いのものでないことは明瞭じゃないかと私は信じております。
 それで、一部これが軍国主義、軍事大国への道を開くことに通ずるといったような国民の主張もないわけではありませんが、こういった議論というものが日本の実態とはおよそ遊離した現実無視の議論であるということについては、大多数の国民がはっきりと認めておるところだと思います。まさか中国が本気で今言ったような議論を信じておるというようなことは考えられないことだと思います。私は、中国がこの問題についていろいろ言っておるわけであります。その真意をまずよく洞察する必要があるんじゃないか。政府はこれが解決についていろいろと努力をされておる、このことはよく承知しておりますが、さらにさらに我が国民の心情を踏んまえて積極的に中国側を説得する必要も痛感されるような気がいたします。
 しかし、要は政府が本問題の本質をわきまえて、しっかりとした態度でこれに処することが基本じゃないか、このようにも思うわけでございます。国民の中には、率直に言いますと、どうして中国にこんなに御無理ごもっともの姿勢を示さなけりゃいけないんだといったような声もあることは事実でございます。私は、日中百年の友好関係を保持、発展させるためにも、この問題は、昨年の八月の十四日、この公式参拝を決められました官房長官の談話で言っておられますが、戦没者慰霊の中心的施設である靖国神社に対し神社公式参拝を行ってほしいという全国の遺族及び国民多数の要望にこたえ、戦没者を追悼し平和を祈念するために公式参拝を行うと、こういった原点に立って、国民の意思に基づいて大多数の国民が納得できる方向で、早急にそして自主性を持って明快に解決、処理されるように心から要望しておるわけであります。
 なお、今回中国の県外相が訪日されました。いろいろな方と会談をしておられます。その中で、新聞では総理の意向というようなものが一部報ぜられておるわけでありますが、重ねて申し上げますけれども、靖国神社は戦没者慰霊の中心的存在だと、この靖国神社を離れて戦没者の慰霊というものはあり得ないんだ、こうした問題は特に遺族等の希望、意思を中心に慎重に取り扱われるべき問題だと、私はこのように思うわけでありまして、このことを強く申し上げて、これについて江崎長官の総理臨時代理としての御見解をお伺いしたいと思います。
#126
○国務大臣(江崎真澄君) この問題につきましては、今御指摘のあった点は私も同感の点が多うございます。ただ問題は、中国でも指摘しておりますのは、A級戦犯、特に時のリーダーであった東条総理などを合祀しておるのはいかがなものであろうかと、この点を問題にしておるわけですね。
 そこで、それは一面には内政干渉ではないかという説があることも承知いたしておりますが、その説明といいますか一つの解説に、ドイツでは一体ヒットラーの残党というものがあるかもしれぬが、本当にヒットラーは当時の戦争責任者として国民の追悼の場に祭られておるのかとか、あるいはムッソリーニはどうであったかとか、特に中国と日本の間の戦争で被害が多かった中国側としての率直な意見を述べたものがA級戦犯合祀の問題だと思います。しかし、A級戦犯が合祀されたことについてそれはどうも困ると、あるいは政府としてはどうであるとかこうであるとか意見を差し挟むとすれば、これはまた特定な宗教に対して国が物を言う、干渉することになりますね、関与することになりますね。したがって、このことについて今言及する場面にはないと思います。
 仰せのように、靖国神社の公式参拝を決めますまでには、靖国懇というものの意見も聞きながら、そして国民や遺族の方々が靖国神社というものが我が国における戦没者追悼の中心的施設であると、そしてまたこの神社に公式に参拝をすることを強く望んでおるという国民感情なども踏まえ、祖国や同胞のためにとうとい一命を捧げられた戦没者の追悼を行う、あわせて我が国と世界の平和をこれからも過ちなきように確保していきたい、こういった念願に発して御承知のように公式参拝が行われたことでございます。したがって、その場合も、これは総理の判断にゆだねられ、そして各閣僚の、何もそれは強制するわけではない、自由意思も尊重したところであります。
 問題は、そのA級戦犯をめぐっての合祀の問題であろうかというふうに察します。この問題については、今政治的に靖国神社に関与をする立場にはない、こういうふうにお答えするのが現状かと思います。
#127
○太田淳夫君 それでは最初に、今回の恩給の問題に関連いたします人勧の問題につきまして、先ほども同僚委員から相次いで質疑がなされておりましたけれども、これは何回も繰り返して私どもとしましては政府に要求もしていかなきゃならない重要問題だと思いますので、私も質疑を行わせていただきたいと思います。
 最初に、やはり私ども問題として取り上げておりますことは、六十一年度予算に今まで例年計上されていました給与改善費が計上されなかった、これが一つ大きな、政府の人事院勧告あるいは公務員の皆さん方の給与改善に対する姿勢が非常に後退をしているんじゃないか、こういう危惧感を持たざるを得ないと思うわけですね。これはいろいろと新聞報道もされておりましたけれども、そういういろんな報道を見てみますと、昨年の予算の編成のときもこの問題が提起されまして、来年度、今年度のことでございますけれども、今年度はそういう勧告が実施をされないんじゃないか、その程度の勧告がされないで済むような公務員のベースアップしかできないんじゃないかという、何となく抑えていくような陰の発言等もいろいろありました。
 昨年の暮れもそうでございますが、これだけ一生懸命頑張ってみえる公務員の皆さん方、先ほど同僚委員からも残業手当の問題が出ましたけれども、非常に民間に比べても、一生懸命働いても少しも手当がない、ほとんどただ働きをしているようなそういう状態の中で頑張ってみえても、年末のぎりぎりになるまではどの程度自分たちの年間のベースアップがされるのかもわからないという状態、これをまたことしも繰り返していくんじゃないか、そういう私たちは懸念を持ち、これは何としても改善をしてもらわなきゃならない、こう思うわけですが、まず総務庁長官、どのようにお考えでしょうか。
#128
○国務大臣(江崎真澄君) これは午前中にもお答えいたしましたように、単なる財源措置として五%、三%、一%、これは一%というのも一種の腰だめみたいなものでありますね。そうかといって、これが一%で、それが改定の目安であるとしたら、それこそ予算編成の段階でも問題になったことと思います。しかし、ゼロはひどいじゃないかと、この政治的な御質問はよくわかるような気がいたしますが、もともと給与改定の目安としてではなく、財政事情の苦しい中でわずか乗せてきた。今度はそれを計上しなかった。それだけの理由でありまして、これはもう繰り返し大蔵大臣が予算委員会でも申し上げておりますし、先ほど私もそれを繰り返し追認して申し上げたところであります。
 したがって、人事院勧告を今の段階ではどうするかということは、なかなか、やっぱりさすがに人事院総裁慎重で、まだ計算もしていない、資料も集まっていないというんでさっきは抽象的なお答えになったようですが、しかし積極的に人事院勧告については考慮しておるという御答弁はありましたね。したがって、人事院勧告があれば、これはやはり昨年十一月八日の官房長官談話にもありますように、私どもはぜひ完全実施の方向で進めていきたいということを考えております。
#129
○太田淳夫君 それでは総裁にも、先ほども御答弁ありましたけれども、再度、勧告に対する基本的な姿勢というものはいささかも変更ない、そういう点でお聞きしたいと思います。
#130
○政府委員(内海倫君) 私の勧告に対する考え方は、今までも申し上げておりますし、また本日も御質問いただきました際にお答えを申し上げたとおりでございまして、積極的な考え方で対処したい。したがって、予算に計上されておらないという問題は、ただいま総務庁長官から御答弁されましたような事情でございまして、私どもの受け取りとしては、これはもう勧告制度の運用あるいは勧告制度の精神から考えて、勧告実施のための財源措置が予算編成時にとられなかったからといって、それが影響を受けるものではないと確信をいたしております。
#131
○太田淳夫君 今度は事務的になりますけれども、ことしの人事院勧告の作業日程はどのようになっておりますか。あるいは昨年末に給与制度の改定がありましたけれども、例年と同じような作業ペースと考えていいんでしょうか。その点どうでしょうか、事務的に。
#132
○政府委員(鹿兒島重治君) 基本的には昨年とほぼ同様のペースで進めておるわけでございます。
 まず、官の側につきましては、昨年と同じ一月十五日現在の国家公務員の実態を調査いたしている最中でございますが、昨年は、御承知のように定年退職者がございましたので、三月三十一日現在でこれを若干修正いたしました。ことしも年度末の退職者につきまして若干の微調整をいたしまして集計するということで、目下集計も最終の段階に立ち至っております。
 それからまた、一方民の側でございますけれども、民間の実態につきましては、これもほぼ昨年と同様、来月の連休明けに調査に入りまして、大体六月中旬ごろに積み残しも含めまして調査を終えたい。それから集計に入るわけでございますので、順調にまいりますと、もし勧告をするということになりますと、例年同様に八月の上旬あるいは中旬までには勧告ができる、こういう段取りで現在作業を進めているところでございます。
#133
○太田淳夫君 今、民間のいろんな様子もお話ございましたけれども、ことしの春闘というのを見てみますと、昨年の五・〇%を大きく割りまして、同盟など各労組の調べなどを見ましても、円高のメリット・デメリット、いろいろございますけれども、大体四%台半ばぐらいになる可能性が高いんじゃないかと言われております。そうなりますと、報道によりますと、その中で定期昇給分二・四%ぐらい引きまずと、最終酌な民間ベアというのは二%前半だとするような報道もあるわけでございますけれども、このような見分に対しては、人事院としてはどのように把握されますか。
#134
○政府委員(鹿兒島重治君) 本年の春闘の状況につきましては、私どもも新聞その他の報道によって承知をいたしているわけでございますが、五十九年あるいは六十年と比べまして、各主要業種ごとに若干従来よりもアップ率が下がっているというような状況でございます。そういうような状況は一応私どもは頭に置いておるわけでございますが、私どもの調査は、あくまでもこういうすべてのアップ率を基本にするわけではございませんで、対象職種の個々の労働者の賃金をそれぞれ細かく精査した上で比較をするわけでございますから、傾向としてはお話しのような方向であろうと思いますが、これが具体的にどのような形で反映するかということは、今の段階では把握いたしかねております。
#135
○太田淳夫君 先ほど政府ではいろんなことはまだ考えておらぬしいろんな発言はしていないということでございますけれども、いろんな報道には政府の試算としての報道がされているわけです。それを見ましても、人勧二%前半というような報道も中にはございますけれども、藤井前人事院総裁が国会で答弁しておりましたように、たとえ一%といえども公務員の平均給与からいいますとその額というのは大きいこと、あるいは現業部門が完全実施される、そうするとまたその差が開いていく、そういった点から見ますと、やはり情勢適応の原則があるわけでございますから、官民較差が低い結果になっても勧告を出すのは当然である、こう私は思うんですが、総裁はどのようにお考えでしょうか。
#136
○政府委員(内海倫君) 御意見のような御答弁を藤井総裁時代に申し上げたことはございます。その概要でございますけれども、国公法に規定されておる五%を超える云々の問題でございますが、これは勧告してはならないという規定ではなくて、情勢適応ということから考えて、公務員の給与というものは人事院の厳密な調査の結果に基づいてその結果を勧告していく、そして積極的にこれに対応するということが基本的な姿勢として正しいんだと。次の問題は公企体の仲裁裁定の取り扱いの問題ですが、これを当然に、その結果との見合いを考えなければいけないと。要するに、言うなれば仲裁裁定に基づき公企体の現業職員がそういうふうに改善されておるのに、他の非現業一般公務員がそういうことの恩恵を受けないということは両者の均衡を逸する、こういう意味だろうと思います。それから、今おっしゃったように一%といえどもこれは無視できる数字ではないと、こういうふうな意見をあわせて申しておりますが、私もまたそういうふうな見解を変更する理由は何もない、こういうふうに思っております。
#137
○太田淳夫君 総裁としては、人事院勧告を出してその完全実施に最大限努力するという決意であると受けとめますが、やはり本年は考えてみましてもそういう低いベースアップが予想されますし、あるいは五十四年度以降の不完全実施分をどう実現するか、あるいは予算の中への給与改善費の計上がないという問題、さらに防衛費の一%枠の問題、こういういろんな絡みを考えますと、人事院勧告にとってもことしは例年と違った非常に重要な年になってくるんじゃないか。そういう意味で、私どもも人事院総裁の決意というのは重く受けとめておきたい、このように思います。
 そういう中で、やはり政府として人事院勧告が出れば完全実施をするという今総務庁長官の見解も聞いておりますのぞ、そのためには、いろいろとサミット等もございますが、内需拡大に向かっていろいろと施策も行われると思います。そこで、大型な補正予算を組んででもこの完全実施はするぞと、そういう決意でいらっしゃる、そのように受けとめてよろしいですね。
#138
○国務大臣(江崎真澄君) 予算は通りましたが、今まだ予算関連法案を御審議願っております。その段階で補正がどうとかこうとかいうことはいささか行き過ぎだと思います。人事院勧告が一体どの程度になりますか、これは官房長官の談話もありますので、やはりその線に沿って完全実施の方向で検討をしてまいりたい、これは率直に申し上げておきます。
#139
○太田淳夫君 じゃ、人事院総裁結構です。後、恩給に入りますから。
 恩給法につきましても、先ほどから同僚委員から質疑が行われておりますが、多少重複する点が移ろうかと思いますけれども、我が党としても恩給法の改正につきましては関心を持っておりますので、何点かお尋ねしたいと思います。
 まず、今回の恩給法の改正案についてでございますけれども、これは六十年度と同じように前年度の公務員給与スライドによる恩給の改善が行われているわけでございますが、六十一年度の恩給改善の内容は前年度と比較してどのような点において特徴としてとらえることができるのか、その点お伺いしたいと思うんです。
#140
○政府委員(佐々木晴夫君) 私ども恩給改善の基本的な考えといたしまして特に考えておりますのは、経済変動に伴って年金、恩給の実質的価値を維持するということ、これが第一点であります。それから、他の年金との関連等におきまして恩給給付の適正な水準を確保すること、これが第二点であります。
 そういう意味におきまして、昭和六十一年度におきましても、今お話しのように昭和六十年度の公務員給与の改善を基礎として恩給年額を増額する、大体五・三%ということ、これがまず第一点であります。第二に、普通扶助料の最低保障額を厚生金年保険における遺族年金とのバランスを考慮いたしまして、昭和六十年度に引き続きまして所要の増額を図る、一万三千七百円の増額を図るという点が第二点であります。第三に、傷病者遺族特別年金につきまして、普通扶助料の最低保障額との均衡等を勘案してその基本額及び遺族加算額を引き上げる。この三つが今回の重立った柱である、このように考えております。
#141
○太田淳夫君 恩給の改善につきましては、毎年、関係団体からの要望によりまして、できるだけその要望の趣旨に沿って改善可能なものについてその充実が図られていることは大変結構だと思うんです。しかし一方では、臨調あるいは行革審答申に基づきまして、国の財政事情を理由にして新規の個別改善を含めた恩給費の抑制をするといったことが行われているように思うわけですが、今回の提案されました恩給法案についてもこういった二面性を持った改正がなされていると思うんです。恩給受給者にとってみますと、今回の改正が一つの節目と見ているのではないかと推測されるわけですが、この点について、恩給の今後のあり方について長官はどのような見解を持たれておりましょうか。
#142
○政府委員(佐々木晴夫君) 事実問題もございますものですから、私から当面お答えを申し上げさせていただきたいと思います。
 先生御指摘のとおり、臨調それから行革審その他によりまして恩給につきましての諸般の御批判があるわけであります。ただ、一方考えてみました場合に、これは強弁するわけではありませんけれども、確かに今まで政策改定を諸般進めてまいった部分がございますけれども、これは他の公的年金とのバランスの回復ということをある程度意識して各受給団体がそうしたような御要望をなさったものだ、このように思います。今、先生御指摘のように、ある程度の水準に来たとまで言い切れないと思いますけれども、おおむねまあ私ども今までできますことについては誠意を持ってやってまいったということであろうかと思います。
 そういう意味におきまして、先ほど特徴点について申し上げましたように、ベースアップは他の年金と同様年金価値を維持するためにやる、それから他の年金とのバランスを回復するための普通扶助料の引き上げその他についてやる、こういうことでもって今回やったわけでございまして、大体他のこうしたような恩給受給団体の御意見、受給者の御意見につきまして私ども吸収をいたしながら、かつまた整々と今回予算の作成を行えた、このように考えているわけでございます。
#143
○国務大臣(江崎真澄君) 今の答弁で尽きるわけでありますが、この対象者がすべて既裁定者であり新規参入者はないと、これは年金とは大きく違った点でありますね。したがって、対象者の大部分が旧軍人であるということ、それからその遺族であるということ、そういう特殊性を考慮することもその根本の思想にあると思います。したがって、臨調の答申もありますが、やはり国家の一種の補償である、言うならば公務員に準ずるやり方の方が実情にそぐうのではないか、しかもこれからふえていくものではない。この現実面からいって恩給局長が答えたとおりだと御理解を願います。
#144
○太田淳夫君 恩給のベースアップにつきましては、これは前年度における公務員給与の改善傾向を分析した結果に基づいて、仮定俸給年額を引き上げることによって恩給を改善してきているということでございますが、現行におけるスライド方式、方法は五十一年から導入された方法でありますし、既にこれは十年の年月を経てきておるわけでございますが、恩給局としてはこれは既に定着をしたやり方として認識されているようですが、ここで恩給ベアのあり方については今次どのような認識を持たれておりましょうか。
#145
○政府委員(佐々木晴夫君) おっしゃるとおりに、恩給の場合の年金改定のやり方につきましては、例えば厚生年金がこれは物価でもってスライドを行うわけでありますけれども、恩給は昭和四十八年から公務員給与に準拠してこれを改善することにいたしたわけであります。さらに、今御指摘のとおり、五十一年から回帰分析方式と申しまして、人事院勧告の本俸繰り入れ率のいわば改善の傾向をとりまして、今おっしゃるように上薄下厚ということでもってやってまいったということでございます。例えば六十一年度の場合で申しますと、六十年度の改善率によりまして、上の方は大体五・一%、下の方は五・三%アップ、平均五・二%ということでもって上薄下厚を特徴としてやってまいったわけであります。この点につきましては、おっしゃるようにこれは私どもとして大変望ましいやり方であった、このように思っているわけであります。
 ただ、午前中もいろいろと御議論がございましたけれども、恩給につきましても公的年金制度の改革とある程度歩調を合わせた見直しが要望されているわけであります。その観点から特に異なります点は第一にスライドのあり方でありまして、先ほども申しましたように、他の公的年金にあっては共済を含めまして今回物価スライドになったと、恩給だけがこういう給与改善方式でもって果たしていいものかどうか。同じ公的年金であることには間違いがないわけでありますから、そのあたりのバランス、それからこれからのあり方というのは、私どもとしては十分慎重かつまた真剣にこれにつきまして検討を進めていかなきゃならぬ、このように思っている次第でございます。
#146
○太田淳夫君 先ほどのお話の中にございましたけれども、やはり公務員給与スライド方式であればこそこの恩給受給者の下位号俸の人たちと上位号俸の人たちとの仮定俸給年額の格差が五十一年以来いわゆる上薄下厚によって縮まってきた、このように理解をしておりますが、これを一律的に物価スライドを指標としてやった場合には、率は同じになるんだから不公平さはないかもしれませんけれども、金額的な面から見ますと、同率だった場合には下位号俸の人と上位号俸の人との格差は拡大していくことになると思うんですね。したがって、必然的にその上下間のアンバランスを生むことになる、このように言わざるを得ないと思うんですが、これは上薄下厚ということで今までやってきたその方針というものを公的年金制度として一つのものに合わせなきゃならないということの中から見直しをしてもいいんだ、そういうお考えになっていらっしゃるんですか。
#147
○政府委員(佐々木晴夫君) 恩給を物価スライドにもしした場合には、おっしゃるようにこれは率は一定でありますから高い低いかないということではありますけれども、金額面から見ますならば、これはおっしゃるように当然上下の格差が開くわけであります。そういう問題を持つということについては重々承知をいたしております。他の公的年金とのバランスを回復するためにもスライドのあり方ということについて真剣に検討をいたしておる、その中の問題点の一つがそれなんであります。
 ただ、他の公的年金にありましても、先般共済について御審議をしたときに十分御論議いただきましたように、五年ごとに少なくとも財政再計算が行われる、その際には賃金の要素を含めて見直しを行う、こういうふうなことになっておるわけでございまして、たとえ物価スライドに恩給が移行するとしても、例えばそういうふうな方式を考えるとか、諸般の今御指摘の問題につきましては十分検討、対策を講じてまいりたい、このように考えておるわけであります。
#148
○国務大臣(江崎真澄君) ちょっと補足しますと、これはやはり私先ほども申し上げたように、ふえる可能性のない人たちに対する処遇ですね。ですから、上薄下厚というこの線は、例えば物価スライドにするという見直しが行われる場合でも何らかの方法でこれを残さなければ意味がありませんね。これはぜひ、やはり基本の問題として政治的に配慮しなければならぬ問題であるということをつけ加えておきます。
#149
○太田淳夫君 今、長官からも御答弁、お話がございましたが、全くそのとおりだと思うんですね。やはり物価スライド方式を採用されますればそういった上薄下厚がなくなる、そこに恩給を受けられる方々の心情的な面にいろんな影響を与え、不安を与えることになりますから、当然それは政府として払拭することが一つの責任になってくるんじゃないかと思います。
 先ほども恩給局長の方からお話がありましたが、いろいろと検討をされている、総務庁の中でこの問題についても検討されているということでございますが、やはりこれは早急に結論を出さなきゃならない。ですから、財政再計算の折に再検討をするというお話でございますが、やはり恩給独自の方法によってその結論というものを早急に出していかなきゃならない。大臣も今政治的に決着とおっしゃいましたけれども、これはぜひとも早急に検討し実現をしてもらいたい、このように思います。再度お伺いします。
#150
○政府委員(佐々木晴夫君) 臨時行政調査会あるいは行革審、それから先般の国会の附帯決議、ここで諸般の恩給についての御指摘があるわけであります。それにつきましては、これはやはり重大な問題として私ども恩給局としては受けとめておるわけであります。ただ、先般来申し上げておりますように、恩給というのは固有の歴史を有する、そしてまた国家補償としての大変特異な事情にある年金でございます関係でもって、なかなかこのあたりの検討につきましては率直にいって難しい問題が多うございます。
 しかしながら、これについてないがしろにするわけにはまいらないわけでありまして、私どもとしても今部内的に懸命に勉強をいたしておる、また今後関係者の皆さん方ともいろいろと議論を詰めてまいりたい、このように考えておるわけでありまして、今それじゃ早急に一応やるんだなと、こういう御指摘でございますけれども、少なくともこの問題、それぞれの御指摘をいただいてからもう結構時間がかかっておりますものですから、私どもとしても検討をできるだけ急ぎたい、このように思っておりますものですから、またその節はいろいろと御指導を願いたい、このように存じております。
#151
○太田淳夫君 それでは、次はちょっと細かい問題になりますけれども、恩給費のいろんな推移を調べてみますと、昭和五十八年度の一兆七千五十八億円を最高にその後減少をしているわけでございます。また、恩給費の一般会計予算に占める割合も昭和二十九年度の九・四九%、これを記録した後は徐々に減少している。最近五年間の恩給費と一般会計に占める割合、これはどのように推移しているか、減少している要因は何でしょうか。
#152
○政府委員(佐々木晴夫君) おっしゃいますように、恩給費この五年間徐々に一般会計に占める割合が減っておる、かつまた恩給額そのものもこれはこの二、三年若干減に転じておるわけであります。ちょっと数字を申し上げますと、過去五年間における恩給費予算の一般会計歳出予算に占める割合は、五十六年度で三・五%、それから五十七年度も三・五%、五十八年度は三・四%、五十九年度も三・四%、六十年度三・二%、六十一年度は三・一%に低下をいたしております。また、予算の実額としてもこのところ若干減っておりまして、六十一年度は百九十六億円の減を見るはずであります。
 その理由は、端的に申しまして大変もう受給者の方々が御高齢になっていらっしゃる。何分にも戦後四十年、旧軍人の方を中心といたします関係、それからまた共済に移行する前の公務員の方方でありますので大変御高齢に在っておられまして、平均年齢大体七十一歳程度のところまでいっておりまして、やはり死亡失権の方がわりかた多い。大体来年度も五万六千人を予定しておりますけれども、大体五万人程度の方が毎年失権していかれる。こういう実情であるためにこのように減少をいたしておる、こういうことが申し上げられようかと思います。
#153
○太田淳夫君 今お話しのように、戦後四十余年を経まして恩給を受給される方々も高齢化が進んでみえるということで、亡くなられる方が多くなっていくのも原因だと思います。今平均的な年齢というのは御調査されていると思いますが、どのようになっておりますか。あるいは文官、旧軍人別でもそれはわかるんでしょうか。あるいは過去五年間の死亡失権者率はどのように推移されているんですか。
#154
○政府委員(佐々木晴夫君) まず過去五年間の死亡失権者の数について申し上げます。五十五年が六万八千人、それから五十六年が八万二千人、五十七年が七万六千人、五十八年が七万八千人、それから五十九年が七万五千人というふうな死亡失権の数になっておるわけであります。ただし、例えば現在普通恩給を受給されておられる方が亡くなられた場合にあって、配偶者に対して今度は普通扶助料に転給されるわけでありまして、そういう方々がまた別途ありますから実数ではここまで減ってはいないわけでありますけれども、例えば大体二万人程度そういう方がいらっしゃるわけでありますから実数ではそこまで減っておられないんですけれども、大体五万人見当で毎年亡くなっていらっしゃる、こういうことがまず言えると思います。
 それから、平均年齢でありますけれども、六十年三月末の恩給統計では文官とそれから旧軍人受給者の総平均年齢が七十・二歳ということであります。それで、文官、旧軍人、それぞれの平均年齢は、文官が七十七・九歳、それから旧軍人が六十九・八歳、大体七十歳、ただしこれは今申しましたように六十年三月末のちょっと古い恩給統計でありまして、それからほぼもう既に一年たっているわけでありますから、今の七十・二歳というのは大体七十一歳程度まで上昇しておられるんではないか、このように考えております。
#155
○太田淳夫君 そうなりますと、六十年度と六十一年度ですか、恩給受給者人員金額統計表というの見ましても、恩給の額は金額的には六十年に比べますと六十一年度減少してきているわけですが、やはり恩給受給者数あるいは金額の面でもこれからだんだんと傾向的には減少していく、このようにとらえておみえになるんでしょうか。
#156
○政府委員(佐々木晴夫君) 一般的に言いまして、今先生おっしゃるように、これは恩給受給者の方々の高齢化に伴いまして失権の数がふえてまいる、したがって受給者数が順次これは減少してまいる、このようなことは当然言えようかと思います。
 ただ、予算額の問題につきましては、これはそれこそ例えばスライドがどの程度になるかとかそういうことがいろいろとございまして、今直ちには言えませんけれども、今彼に恩給受給者の数だけで申しますと、例えばこれは六十一年が二百十六万人になるわけでありますけれども、これが四年後六十五年にはもう二百万を切りまして百九十七万人、それからさらに十年を経ました七十五年度には百三十万人、これは六〇・一%になります。こんなふうにだんだんと減少してこられることは目に見えておる、このように思います。
#157
○太田淳夫君 金額的に減ってまいりますと、一般会計予算の金額は減ることはないんでだんだんふえてまいりますので、恩給の受けられます額というものは、一般会計予算に対する割合としてどんどんこれから減少をしていくんじゃないか、こう思うわけですね。
 そこで、これは先ほどもお話がありましたけれども国家補償である、こういう立場に立ちますと、ある程度の率というものは確保しておいて、実際に恩給受給者の中で、これからまだ申し上げますけれども、いろんな恩給関係でまだまだ待遇改善されなきゃならない方々もいろいろとおみえになるわけですけれども、私案ですけれども、そういう方々に対する一つのこれから国としても対応しなきゃならないようなそういう施策に充てられるのじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか、ちょっと飛躍し過ぎますかな。
#158
○政府委員(佐々木晴夫君) なかなか難しい問題でありますけれども、恩給というのは、これはやはり戦前あるいは戦時、まさしく戦地に赴かれる例えば兵隊さんに対しまして国としてお約束をしたことなんであります。したがいまして、これにつきまして国が行った約束についてはこれを果たさなければならない、このように思うわけであります。私どもしばしば国家補償的性格を有する、このように、申し上げますけれども、やはり基本は、国が戦前あるいは戦時、国民、兵役につかれる方に対して報酬をお約束をしておる、それを誠実に実行する必要がある、こういう認識なんであります。
 若干余談になるかもしれませんけれども、たまたま三十六年に先ほどお話のありました加算年の話が復活をしたんですけれども、その節若干加算をこれから見直したらどうだ、こういうお話があったわけでありますが、その当時の政府、恩給局長は、これはやはり旧秩序を十分完成させるというのが今恩給制度にあって一番必要なことである、それを改めてまた見直しをするということになると非常にバランスを崩す、それによって戦前の裁定をされた恩給と戦後の恩給ともバランスをとるんだ、こういう答弁をいたしておりますけれども、そういうのが政府の今までの基本的な認識であり態度であります。お約束したものについては誠実に実行する、ただ新しい要素につきましては、戦後四十年でありますから、これはやはりいろいろと問題があろうかと、このように考えるわけであります。
#159
○太田淳夫君 その中の一つでございますけれども、これは五十三年にも当委員会でいろいろと論議をされておりますのを拝見したことがございますが、恩給資格を満たしていない軍歴の方々に対して、これは昭和二十八年の軍人恩給復活以来今日までやはり過去数回にわたっていろいろと緩和策がとられました、おっしゃったとおり。昭和五十年改正によって引き続きその実在職年が三年以上の兵の方に対しては一時恩給がある。また、昭和五十三年改正において断続した実在職年が三年以上の旧軍人の方に対して一時金が支給されるように改善されてきているわけですね。昭和六十一年度におけるその一時金、一時恩給それぞれの予算計上額と人員数、そして支給額はどのようになっておりましょうか。それはどうでしょうか。
#160
○政府委員(佐々木晴夫君) 今おっしゃいましたように、五十年に一時恩給の資格が緩和されまして、五十三年にさらに一時金ということで断続一時金の制度が設けられたということがあります。その後、一時期相当これにつきましても請求があったわけでありますけれども、最近はもう落ちついておりまして、両者合わせまして大体二万人というのが今の受け付けの件数でございます。
 ちょっと予算的に申し上げますと、一時恩給につきましては、六十一年度支給対象人員は大体一万四千人、予算額が二億五千万円、それから一時金につきましては支給対象人員が六千人、予算額が九千万円、こういうのが予算上の数字でございます。
#161
○太田淳夫君 五十三年の改正のときにもこの委員会でいろいろと論議をされました。二つには、昭和二十八年に旧軍人恩給が復活をしたときの俸給が五千五百円であった、それを基準として三倍して一万五千円にしたんじゃないか。あるいは二番目には、二十五年前の金銭単価で計算をしてこれを支給してよろしいのかどうか、当然物価スライド等も考えられるべきじゃないかという論議がありましたね。また三番目には、こんな、こんなと言うと申しわけないんですが、一時金一万五千円という金額では軍歴証明の手数料にもならないんではないか。あるいは四番目には、それらの方方がいろいろと手続をするときに、仕事を持っておられる方は仕事を休んで行かれるわけですから、そういう日当にも当たらないんじゃないかという主張がそれぞれされてきたわけでございますけれども、この一時金の見直しについても、そのときにいろいろと要求はされておりますが、その後どのようにこれは進んでおりますか。
#162
○政府委員(佐々木晴夫君) この一時恩給及び一時金の当時の根拠でありますけれども、これはもう先生御承知のように、昭和二十八年に軍人恩給が復活しましたときにこの一時恩給という制度が復活したわけですね。その際に、これは御承知のように実在職七年以上の方に対して一時恩給をその年限に応じて差し上げる、こういうことでもって措置をされたわけでありますけれども、その後この条件が緩和されたと。四十六年には下士官に対して三年以上となり、それから五十年には兵についても三年以上ということで一時恩給が支給されることになったと、こういう経緯があるわけであります。
 ところで、二十八年の一時恩給というのは、やはり二十八年の仮定俸給によらざるを得なかったわけであります。それで、一時金でありますから、これを条件緩和したときにも、その二十八年の仮定俸給、これを前提にせざるを得なかった。さらにまた、五十三年に断続一時金ができたわけでありますけれども、同様に二十八年の仮定俸給を基礎とせざるを得なかった。これは一時金というのはスライドするわけではありませんから、また二十八年の軍人恩給復活ということを起点にいたしておりますものですから、そういうことにならざるを得なかったということでありまして、その結果としまして、五十年に三年以上として緩和されましたときの仮定俸給を前提としまして、三年の兵の一時恩給というのが、これは一万五千百五十円程度だったわけです。これとのバランスで五十三年にも一万五千円ということになったわけでありますが、確かに当時から低いという御指摘はございました。
 ただ、今申しましたような経緯であり、かつまた一時恩給並びに一時金のそもそもの性質が、これは国としての微意を表明する、大変御苦労願ったということについて国としての微意を表明するという性格のものであるというふうなことで、これはひとつ御理解をいただきたいというのが率直な感じなんでございます。
#163
○太田淳夫君 国としてもそれはいろいろな感謝の気持ちのあらわれであるということでございますけれども、それにしてもやはり対象とされた人員の一時恩給ですと五八一七%、あるいは一時金ですと三八・六%、そのように裁定実績というのが低い数字になってきているのが現状です。ということは、この支給の金額が非常に低いからという問題、あるいは請求手続が非常に複雑であって一日休まなきゃならないとか、あるいはPRが不足しているとかいろいろな原因があろうと思うんですが、そういう原因についてどのように考えておられるのか。この裁定実績の低さの原因を把握しなければ、次へのいろいろな対策というのが立てられないのじゃないかと思うんです。今お話しのように非常に難しいということじゃなくて、やはりこの問題についてもきちんと対応されて、あるいは増額されることになれば、やはりたくさんの方がいろいろと申告されてこの実績がさらに上がってくるのじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
#164
○政府委員(佐々木晴夫君) 一時恩給、一時金の請求者が少ない理由をどう考えるかという点が第一点である、このように思います。これはいろいろの原因があるんだと思います。そのうちで、手続的に改めて面倒だというふうな方はあるいはいらっしゃるかもしれませんけれども、これは手続としてはわりと簡単なんであります。ただしかしながら、一時恩給、一時金というのが確かに私どもの努力不十分でもって十分PRをしなかったという話はあるのだろうと思います。
 それからもう一つ、おっしゃいますように、今申しました国としてのこの当時の御苦労に対しての微意を表明する程度の金額であり、確かに低いと言われれば低いというふうなこともおっしゃるようにその請求が少ない理由の一つになっているのだろうと思います。
 ただ、私どもこのPRにつきましては今後ともこれはさらに一応努力を続けたい、このように思いますけれども、ただ、今の金額を改めるという点につきましては、今申しました二十八年の一時恩給復活以来の一つの経緯のある話でありますので、これはなかなか率直に言って困難な問題である、このように考えるわけでございます。
#165
○太田淳夫君 局長ではなかなか困難でしょうね。長官はいかがですか。
#166
○国務大臣(江崎真澄君) これも長い歴史を持っておりますし、一万五千円、本当に少な過ぎますよ。ちょっと常識では考えられない数値ですが、これも石油ショックなどでインフレがあったり、いろいろな物価の変動もあったわけです。そういうことが考慮できるといいんですが、何せ今の財政事情も御承知のとおりでございますし、まあこれは長い経緯の問題であるから、金額の多寡よりも、国がその人の国のためにお尽くしになった、国民のために犠牲を払っていただいた、この感謝のあらわれであるという意味で、金額の問題よりも国としての心の問題として受け取っていただくということで、まあ改めることは相当困難性があるというのが正直な答弁だと思います。
#167
○太田淳夫君 終わります。
#168
○柳澤錬造君 今回の恩給法改正というのは、言うならば国家公務員のベアに準じてアップさせようというんですから、そういう点では問題ないわけなんです。私も賛成をいたします。
 しかし、せっかくの機会ですから、いろいろ恩給の問題について、長い歴史の中でたくさん問題を持っておりますので、そういうことについて解明をさせていただきたいと思うんです。
 今、長官のお話をじっと、太田委員のときも答弁なさっておったんですが、私が最初にお聞きしたいのもそこなんです。恩給の性格というものをどういうふうに理解をなさっているのか。言うならば、国から支給されるんですからもらう方が国に感謝をしてもらうべきものなのか、それとも、長い間御苦労なさったんだから、そういう点でもって国が感謝の気持ちで差し上げるというそういう性格を持っているのか、その基本的な理念というか、その辺どういう御判断を政府はなさっているのかということからまずお聞きしたいんです。
#169
○国務大臣(江崎真澄君) これは、やはり長い間国家の犠牲を強いたわけでございまして、国家補償の意味を持った感謝の気持ちを込めて恩給を出すというのがその根本精神だと認識いたしております。
#170
○柳澤錬造君 そういう大変ありがたい御見解をお示しいただいたんですから、大蔵省来てないということですから、次にこの六十一年度の恩給予算。
 受給者の数は二百十六万六千人ということもわかっておりますし、予算額も一兆六千八百十三億というのも資料で拝見しております。この恩給の種別の内訳ですね、受給者の数と金額はどういうふうになっているのかというその辺の内訳を御説明いただきたいと思うんです。
#171
○政府委員(佐々木晴夫君) トータルにおきましては今先生お話しのとおりであります。
 内訳を申し上げます。普通恩給につきましては受給者が百八万三千人、これが全体の五〇%を占めております。その金額は五千五百十一億円、これが予算総額の三三%であります。それから傷病恩給が十一万三千人、人員で五%、金額が千八百五十六億、これが割合で一一%。それから普通扶助料が四十八万七千人、これが受給者の割合で二二%、金額で二千五百十億円、これが一五%。それから公務関係の扶助料が四十七万人、割合で二二%、それから金額で六千八百八十七億円、割合で四一%。それから傷病者遺族特別年金が一万三千人、一%、それから金額で四十四億円、これは割合では一%に達しないわけであります。
 以上であります。
#172
○柳澤錬造君 その中で普通恩給の最低保障額というんですか、長期在職者、短期、こう区分があると思うんで、その区分にしてその一番低いところが幾らになるかということをお示しいただきたいし、あわせて傷病年金の方も、恩給の方もいろいろランクがあると思うが、一番下が幾らかという、その辺お示しいただきたい。
#173
○政府委員(佐々木晴夫君) 普通恩給の場合には、御承知のように長期在職者つまり実在職それぞれ恩給の年限以上の方と、それから短期在職者、これは例の加算年を入れましての十二年というのと、その両方あるわけであります。両方についてそれを申し上げますと、普通恩給の長期在職者、これは六十五歳以上が優遇をされておるわけでありますけれども、六十五歳未満について申し上げますと、昭和六十一年七月から、六十五歳未満の長期在職者にありましては最低保障額六十五万九千五百円、それから一番短期在職の低い方、つまり実在職年六年未満の短期在職者にありましては四十三万九千七百円となります。それから、傷病恩給の場合に一番低い第四款症の傷病年金の年額は、六十一年七月から七十五万円ということになるわけでございます。
#174
○柳澤錬造君 大蔵省の方にお聞きしたいのは、昭和四十八年以降は国家公務員のベアに準じて今恩給法を改正しているんですから、私はそこは問題ないと思うんです、右へ倣えですので。それで、三十一年に国鉄や電電、専売の共済年金制度ができた。それから三十四年に今度は国家公務員の共済年金制度もできた。三十七年に地方公務員の共済年金制度ができて発足しているわけですから、その中の国家公務員のところだけでよろしいですから、三十四年の国家公務員の共済年金制度をつくるときに、この恩給制度から変わるについてどういうバランスのとり方をしてお決めになったか、恐らくバランスをとられたと思うんですが、そのバランスをどういうやり方でとって、それがそのままずっと今日まで続いているのかどうか、その辺を御説明いただきたいんです。
#175
○説明員(坂本導聰君) ただいま御指摘のように、昭和三十四年十月から国家公務員のいわゆる官吏につきましても国家公務員共済組合法が新規に適用されることになったわけでございます。これをめぐって当時大分議論がございました。
 実は、それに先立ちまして、戦後昭和二十二年に国家公務員法ができまして、昔のいわゆる官吏と雇用人という差が国家公務員法上はなくなったわけでございますが、しかし年金上は、官吏については恩給、それから雇用人についてはいわゆる旧国家公務員共済組合法という、適用が分かれていたわけでございます。その結果、雇用人につきましては社会保険方式をとり、保険数理に基づいて保険料を納めるという方式、一方官吏につきましては二%の国庫納付金があるとはいえ全額国庫負担による恩給制度が適用されるという不均衡があったということが一点ございます。
 それから、同じような身分になりながら、雇用人と官まで恩給と共済年金の給付条件等に違いがあったと、したがってこういう点を直すべきであるという議論が一方にございました。他方で官吏につきましては退職手当が民間あるいは雇用人に比べて低いという議論がございました。これは恩給の中に給与的な性格が入っているので、退職金を引き上げるということは困難であるという状況にあったようでございます。
 そこで、そういった議論を踏まえまして三十四年十月から全公務員につきまして新しい共済年金法を適用するということにいたしまして、あわせて低い退職金につきまして引き上げを行う、これは当時平均二五%ぐらいの引き上げを行っているということでございます。これによりましていわゆる恩給と新しい共済法との均衡を図ったということでございます。
 以後、新しい共済法のもとに、社会保険方式に基づきまして保険料を徴収し、年金給付を決定しているというのが今日までの状況でございます。
#176
○柳澤錬造君 五十九年の十二月二十一日に戦後処理問題懇談会の報告を受けて、昨年の四月十日に総理府の中に特別基金検討調査室というものが設置されたと聞いているのですが、一億五千七百万円からの予算の中で一億円ほど使って、恩給欠格者とか強制抑留者とか、対外財産問題だとかそういう人たち、関係者一万人ずつ選んでアンケートというかいろいろ御調査なさったはずなんですけれども、これはどういうふうな内容の御趣旨の御調査をなさったのか。それから、三月三十一日締め切りだというのですからまだ全部まとめ上がっていないかもわからないけれども、結論が出ているならば出た状態の、出ていなければ現状における状況についてお聞きをしたいんです。
#177
○政府委員(田中宏樹君) 先生御案内のとおりでございまして、おっしゃっていただきましたとおり六十年の四月に総理府に特別基金検討調査室というのを設けまして、報告書で御提案のありました特別基金の内容を検討したいということで鋭意検討を進めているところでございますが、関連をいたしまして先生御承知のとおり恩給欠格者の問題あるいは強制抑留者の問題あるいは在外財産というふうに、非常に問題の角度の違う、三問題それぞれ非常な対象者が多い問題でございます。しかも、四十年前というのが実際に把握できている基礎の形なものですから、そこから現在の対象者を抽出すると申しましょうか、先生御案内のとおりでございまして、各問題一万人ずつの対象者を抽出する作業、これがえらい大変でございまして、大変でございましたが三万人を抽出いたしまして、郵送法のアンケート調査という形で調査を実施いたしました。
 その中身としましては、一つは関係者の実情と申しましょうか、現在の状況、それからもう一つは関係者がそれぞれ三つの問題、戦争とのかかわり方というのがそれぞれに違います。例えば恩給欠格者でありましたら主として軍歴の関係ということが主な中身になるわけでございますが、三問題それぞれの戦争とのかかわり方、それからもう一つは、それが本元でございますが、特別基金で行います事業は報告書の中ではトータルとしての方向だけ示してあるだけでございまして、具体的中身はこうこうというのはないものですから、それぞれの関係者の方がその基金に寄せる期待、意向、どういう心持ちでこういうものに期待を寄せているかという点を中心にいたしまして調査したところでございます。
 御案内のように、三月末で年度内の調査として完了しておりますが、目下集計をやっているところでございます。まだ中身につきまして具体的に御報告申し上げるところまでできておりませんが、なお念のため申し上げますと、三問題非常に関心が深いということがございまして、私どもは郵送法の普通の調査ではとても期待のできないと割という回収率を上げたことだけ御報告申し上げたいと思っております。
#178
○柳澤錬造君 確かに数が多いですから、それからいろいろみんな背景が違うのでいろいろなことをそれはお書きになってきていると思うんで、それで今の見通しからいくと、いつごろその集計ができ上がってこういう結果ですということをお示しいただけるのか、それをお聞きしたいんですが。
#179
○政府委員(田中宏樹君) まだ明確にいつというのは。といいますのは、私どもの調査も、何といいましょうかせっかくの機会ということで非常に質問事項も多岐にわたりまして、いずれにしましてもクロス集計その他分析をしてみませんとと思っておりますので、今ちょっと時期は申し上げかねますが、もう二、三カ月は時間的にいただきたい、こういうふうに思っております。
#180
○柳澤錬造君 これは長官にもお聞きになっていただきたいと思うんですけれども、具体的に今度は恩給の問題に触れていろいろお聞きをしていくわけですが、私も随分恩給頼まれて扱ってきたんです。それで、一番恩給の問題を扱ってつくづく私が思うのは、戦争の体験のない、そういうことを言っちゃなんですけれども、戦争の体験のない人たちが出された書類を見て、それが恩給を支給するに該当するのかしないのかといって、そこに佐々木局長もいらっしゃるけれども、御判断をなさっているそのやり方に私は非常に問題があるんですと言いたいんです。
 地震だとか水害とかになれば、そんなこと言っちゃいけないけれども、今でもしょっちゅう毎年のようにどっかで起きる、ニュースではあっと報道される。そうすると、その水害というものがどういう程度のものか、あるいは地震でもって災害が起きたというものがどういうものなんだということがみんな感じられるわけですよ。ところが、自分が戦争に参加をしてなければ、戦争というものがどういうものかといって、書かれてきた書類を見て判断するといっても、私はそれは無理があると思う。
 私も現実に戦争に行っていた方ですから、例えば一、二長官申し上げますと、トラックに五、六人乗っているところを敵の戦闘機の機銃掃射を受けまして、慌ててトラック飛びおりてそれは逃げますわ。それで、その中の一人は戦死をしてしまうわけだけれども、心臓を抜かれているんです、後で部隊へ持ってきて調べてみると。それで聞いてみると、その打ち抜かれたその地点から必死になって逃げて走っていって、そしてバタンと倒れてなにするまでの距離が百五十メートルもあるんです。常識的に考えて機関銃の弾で心臓を抜かれた者がどうして百五十メートルも駆けられるのかという、そんなもの常識で判断しようったってできないわけですよ。
 そういうことが戦争の中では起きているし、それからまた、これはけがをしたわけでも何でもないけれども、私の同級生ですけれども、これなんかは戦争に行っておってその留守に、留守という言い方はおかしいけれども、両親は東京におったから空襲で家も焼かれれば両親も死んじゃった。たまたま弟たちがまだ小学生だったから田舎に疎開させられていて、子供たちの方は二人とも生き残っておったわけです。私の同級生が帰ってきたときに、だから普通ならばみんな親が生きて帰ってきたって喜んで迎えて、そしてたくさんごちそうするとかしないとかはさておいて、それは親が喜んで歓迎して迎え入れる、よかったなと言って喜んでくれる。
 ところが、私のこれも同級生ですけれども、彼はそんなことをするどころではない、あの戦後のときでしょう、だれもそんな子供二人引き取ってくれる人はいやせぬのですから、もう帰ってきたその日のうちに、言うならば私たちの仲間が作業服とそれこそ三人分のはしと茶わんと、当時ですから米なんか手に入りゃせぬわね、メリケン粉を一キロか二キロの袋を一つなにして、それでともかく会社の寮に入って、兄弟三人一緒になって生きるためにあしたから会社へ出て働けと言って、働かざるを得ないから働いたというんだ。
 ですから、戦争というものはいろいろのそういう悲喜こもごものことを起こしているんですけれども、私がさっきから言っているように、いろいろ恩給を申請してくる人たちというもの、私はこの人たちはみんな戦争の被害者だと思うんです。そういう人たち、その戦争の被害者に対して国としてどういう応対を今日までなさってきたんだろうか。余りにも冷たい態度で、申請された書類の紙切れ一枚を見てああこれはいいとか悪いとかという、そういう判断をお下しになるようなことをしてきたのと違いますか。
 本当に、冒頭にもですからお聞きしたんですけれども、自分が好きこのんで行ったわけではない。その戦争に言うならば駆り出されて行ってきて、それでけがをして帰ってきた。それが、おまえさんはそんな傷病恩給に該当はしないんだと言って簡単に局長名でもって突き返すような、それが戦争に行ってけがをしてきた人たち、言うならば犠牲者に対する政府の姿勢なんですか。その辺の基本的な態度はどういうお考えなのかということをもう一度ここでお聞きしたいんです。
#181
○国務大臣(江崎真澄君) これは実例を交えての深刻なお話だと私も傾聴しました。私自身も戦中派ですからいろんな経験をいたしております。戦友が死んで、そのまた母親が死んで子供だけが残された、まだ小さい子供でした。私も娘を一人預かり、男の子は他の戦友が預かるとか、そういう経験も持っております。仰せこれ四十年たってきますと、そのときは何でもなかったものが後遺症の形であらわれる、これが再審査請求という形になって行われておるわけですね。それが本当に戦争の障害なのか、その後四十年といえば二十歳の人は六十歳ですし三十歳の人は七十歳でございますから、それはその後の体調の異常によって生じた病気なのか、この辺は専門医も配して温情ある態度で誠心誠意対応しておるというのが私恩給局のあり方だと思っております。
 私もいろいろ頼まれて陳情をすることがあります。これはやはりまあよくやってくれるなという感じで、しかし手間はかかりますな、実際は。随分手間のかかることでありますが、それでも再度となく秘書を出したりみずからも電話でお願いしたりというようなことでお願いをする場面に立ったこともありますが、やはり親切に取り扱うということが大事ですね。その因果関係がどのようであるかということは、これは国費を扱う立場ですから、ないがしろにできるものじゃございますまい。しかし、やはり過去の犠牲者である人のその言い分というものは、やはり温情ある態度で接する、この接し方の問題が非常に重要であるというふうに押しなべて考えておるところです。
 これは、恩給局長などが私に事務報告のときにも、いろいろ窓口の対応が悪いために誤解を生じたりまた不愉快な感じを与えて失礼になってはいけないので特に注意をしておるところだ、かように局長も申しておりますので、今後とも十分御趣旨の点については配意をしてまいりたいと考えます。
#182
○柳澤錬造君 長官からそういうふうに言っていただければありがたいんですけれども、それは本当に、別に私局長にとやかく言うつもりないけれども、これ何回も何回もなにして、ここに何て書いてあるかと言いたくなるんですよ。それで、今も長官そういうふうに言われたんですけれども、国家のために犠牲になったこの人たちを国として少しでも救済しようという気持ちがあるのか、それからこれも余り言葉はよくないと思うんだけれども、邪魔者扱いにしてなるべくそういう者はもうはじき飛ばしていくんだというふうに考えているのか、どちらなんですかと言いたくなるんです。
 それで、今いみじくも長官も言われたように、私も同じように戦中派、戦中派の諸君というのは国からもらえるからじゃあもらい得でもってもらってなにしようというふうなことで恩給の請求とか何かをしているわけじゃないわけです。どっちかといえば、まあ何とか働けるならばそのまま済ましてきたという人たち、それが今も長官お話しのように、年をとってきて戦争中のそういう後遺症が出たために、何とはなしにこのままもしものことがあったら家族や家内を残して不安だというので申請してくる。そうすると、まあ言うならば今恩給局の皆さん、それは数が多いから一生懸命私おやりになっているんだと思うんですけれども、いともつっけんどんに却下をなさるわけなんです、やれ現認証明書がどうだとかやれ何だということでね。
 それで、私は甲板下士官で人事もやっていましかたらあれだけれども、私の部隊におったのが飛行機に乗っておって、これもそういうふうに年がなにしてきたから心配になって申請をしたわけです。そうしたらいともあっさり却下。そのときは私は恩給局の方をお呼びして、それでさっきも言ったように、あんたは戦争ってどんなものか知っているかと言ったんです。戦争というものがどんなものかも知らないで、それで戦争でけがをして帰ってきた人がそうやってやってきたものを、紙切れ一枚見て、こんなものはといって却下をする、そういう扱い方がありますかと言った。この人はこうこうしかじかのこういう経過をたどった人なんだよと言ったら、その恩給局の方は、それは大変失礼しました、すぐ再審請求を出してください、もう一回やりかえてあれいたしますと言ったんです。それで、御本人に私は再審請求すぐ出せと言った。しかし、そのときは本人の方が、いや家内ども話をしたんだけれども、これ以上やるとまた柳澤先生に御迷惑をかけるから、それはお父さんやめなさいといって私は家内にとめられたと言う。だからもうこれ以上また先生に御迷惑かけていかぬから私は再審請求をしないと言って、この男はとうとうそのままやめちゃった。
 したがって、ここでもって若干数字的にお聞きしたいんだけれども、昭和四十六年から五十年の五年間のところで申請された件数、それに裁定した件数、恩給を認めた件数がどのくらいになるのか。それから今度は、五十六年から六十年の五年間で今言ったのと同じその件数がどういうふうな数字になってあらわれているか。これはもう事実関係で、数字でお示しいただきたいと思うんです。
#183
○政府委員(佐々木晴夫君) 柳澤先生から傷病恩給につきまして大変厳しい御指摘をいただくということについては、大変私申しわけないと思います。まあこれにつきまして数字をお示しする前に、一言ちょっと私どもの立場を申し述べさせていただきたいと思いますけれども、何分にも四十年昔の戦争の状況であります。その段階でまさしく公務に従事して受傷したかどうかということにつきまして、これを判断するのが非常に難しいという場合がしばしばございます。これは公金を扱うわけでありますから、やはりそうしたものは必要であり、これは現認証明なり、そのときの、例えば兵営の中での写真でもいいと、あるいは軍隊手帳があればもちろんいいわけでありますけれども、いろいろとそのあたりにつきましては何でもいいからそうしたような証明をいただきたい、これが一つであります。ただこれがなかなか難しい場合があります。
 それからもう一つ、何分にも受傷によるところの程度であり、それからその後遺症が、現在やはり年相応にあちこち痛まれる方もいらっしゃるわけで、その受傷との関係いかんということについて、これはもう率直に言いまして、今私どもが事務的に判断するよりは、実は専門医にいろいろと御判断を願いまして、私どもとしてはそのあたりの御判断を最大限尊重してやっておるということでありまして、たまたま文章がこれはつっけんどんだと、こういうお話、おしかりでございますけれども、それは私どもとしては誠意を持ってこれについて審査をいたしておる、こういうことはちょっと念のためでありますけれども申し上げさせていただきたいと思います。
 それから、今数字をもって示せと、こういうお話であります。
 傷病恩給につきましては、御承知のように初度請求、あるいは前には大したことなかったけれども後で重くなったというその後重症、こうしたものがあります。それから、有期の恩給につきまして五年後に再審査請求というのがあります。今先生が特に言っていらっしゃるのは最初の初度請求ないしその後請求だろうと思いますので、そのあたりの数字についてちょっと申し上げさせていただきますけれども、昭和四十六年度、これは申請件数が三千八百八十四。それから繰り越しその他一応省きますけれども、そのうちで給与したのが千六百四ということで、これが実は全体の処理の中の四七・三%になります。それから棄却が千四百五十八で、これが四三・〇%。返戻したもの三百二十九、九・七%。これは前からの繰り越しを含めまして、全体で三千三百九十一の処理をいたしておる。そのころは大体こうしたような四七%。
 それから、逐年申し上げるのは大変恐縮でありますので、例えば五年飛びまして五十年度で申し上げますと、このときの申請が四千三百九十一。それから繰り越しがありまして、処理をしましたのが三千六百八十六。給与をいたしましたのが千九百七十、これは五三・四%。それから棄却をしたのが千六百三、四三・五%。処理を返戻したのが百十三、三・一%。このころはわりかし給与の率が高いのであります。四七、八%ないし五〇%に達しているものがあります。
 ところで、それから十年たちました五十六年度の数字を申し上げますと、当時の申請が四千三十二。それから処理件数が、その年は繰り越し等も処理いたしておりまして四千八百八十九。その中で給与は千二百三十六ということで二五・三%。棄却が三千六百六、七三・八%。返戻が四十七、〇・九%。
 それから、さらにまた五年飛びまして六十年度、これにつきまして申請が千七百八十五。それから処理をいたしましたのが三千百七十四。そのうちで給与が七百三十八で、二三・二%。それから棄却が二千三百九十八、これが七五・六%。それから返戻が三十八、一・二%。だんだん給与の率が低くなっておるんです。これはそれだけやはり戦後四十年、これが三十年から四十年、なかなかそのあたりの判断が難しいという要素がありましょうけれども、なかなか難しい事案が最近ふえてきておる、こういうことがお示しできようかと思うのであります。
 有期の再審査につきましては、これはもう大体その前に査定をして五年後にまた再度審査するわけですから、大体給与率は九四、五%。これは十年前もそれから現在もほとんど同じであります。
 大体数字として今申したようなことで、初度ないしその後重症の場合には、大体四分の一はこれは容認をいたしておりますけれども、あとは残念ながらこれは医者の判断を求めまして棄却せざるを得ないという場合が多い、こういうことを申し上げられるかと思います。
#184
○柳澤錬造君 今のはあれですか、異議申請も入ってない。
#185
○政府委員(佐々木晴夫君) 初度だけです。
#186
○柳澤錬造君 そうすると、今度は異議申請出して、それの方は各年度大変ですけれども、どこか二カ所ぐらい比較して説明していただけませんか。
#187
○政府委員(佐々木晴夫君) 今先生おっしゃいました不服の申し立て関係、異議申し立ての関係というものは、これは実は容認の比率がぐんと低くなるんであります。これは事柄の性質でどうしてもそういうことにならざるを得ないんですけれども、四十六年で異議申し立ての関係について申し上げますと、これは申請件数五百三十二。それから処理をしましたのが五百八。そのうちで容認をしましたのが五十一、したがって一〇%。それから棄却が四百二十九、これは八四・五%。取り下げ、これは御本人が取り下げたものが二十八、五・五%。
 それから五十年について申し上げますと、これは申請が五百八十三。処理をしましたのが、これは繰り越しがありますので九百三十九でありまして、そのうちの容認が百三十一、一四・〇%。棄却が七百八十九、八四・〇%。それから取り下げが十九、二・〇%。
 それから、最近の例でありますけれども、六十年度について申し上げますと、申請が八百九十四。それから処理が千百四十七。そのうちの容認が六十六、五・八%。それから棄却が千四十六、九一・二%。取り下げが三十五、三・〇%ということで、これはやはり最初に棄却をした、新しい資料が出てきませんと、これはどうしてもこれにつきまして容認というところまでいかないというふうなことがありまして、異議申し立てにつきましてはこの棄却の率が非常に高くなっております。
 なお、さらに総務庁長官に対する審査請求というのがあるわけでありますけれども、これについてもその数字を申し上げますと、これは三審目になるわけでありますけれども、四十六年には申請件数が――失礼しました。これは異議申し立てとそれから総務庁長官に対する審査請求と、両方あわせまして今数字を申し上げたわけでございます。
#188
○柳澤錬造君 後の方。
#189
○政府委員(佐々木晴夫君) 後、不服申し立て関係を先ほど数字を申し上げましたけれども、これは恩給局長に対する異議申し立て、つまり二審目とそれから三審目の総務庁長官に対する審査請求、これをあわせまして数字を申し上げた次第でございます。
#190
○柳澤錬造君 だから局長、例えばこういう例もあるんです。これも私の同級生で、ビルマでもって地雷で吹っ飛ばされまして、その後もなにで三回けがしているわけだけれども、地雷でやられたときもその後一カ月から入院もしておるわけだけれども、たまたま帰ってきて、自分の家が事業をしておりまして、いわば億からの商売をやっているぐらいなものですから、自分でもっていろいろの治療器具は買う、時々温泉に行っては体をなにするというふうな形でもって、自分の体の中に破片が入っておるわけですから。
 ところが、当初は事業をやっていていろいろお金が使えてやっておれたからよろしいんだけれども、五十一年の七月に会社が倒産しちゃった。それでもうどうにもこうにもならない。だからといって、じゃどこかへ行ってサラリーマンになって勤めようかといったって、もう体に破片が入っている形だしそういうことができない。それで、五十二年に初めて申請していくわけですけれども、申請して翌年の九月に棄却をさせられちゃう。またその後、また申請して却下されるといって、とうとうこの人は――長官申請というの、三度目は。その三度目のを六十年の五月に出して、十月に却下されまして、それで自分の体も思うように動かぬし、もうこれ以上労力使って何だかんだするのも大変だしといって、今のところ半ばあきらめている状態なんです。
 これなんかも、一番最後のが六十年の十月二十九日ですから、もしもう一度出すならばこの四月のうちに出さなければもう全然失効してしまうんで、御本人はもうあきらめようかと思っているんだというふうなこともあるんで、ですからその辺局長の方にもお考えいただきたいのは、こんな事業でもしてなければ、帰ってきてもう体の全然そんな勤めもできないような状態にあるんだからすぐ出したと思う。そのころだったらまだいろいろのなにで皆さんの方でももうすぐオーケー出せたと思う。もう戦争終わって三十年もたってから、ですから何かいなという形になって、いろいろ何だかんだということになったと思うんですけれども、そういう人もいるんだということをお考えになって、そしてもう少しやっぱり温かくといいましょうか、人間味のある扱いをしていただきたいと思うんです。
 それからもう一つ、これももうあわせてお話をするんですけれども、これも戦争中に爆風でやられまして耳が片方全然聞こえない。ところが片方の方が聞こえますから、しかも終戦直後の食うや食わずのときですから、帰ってきてすぐ病院に行って、それでそれをこうだああだと言って、今だったらば長官、それはそうでしょう。交通事故に遭ったって、ちょっとなにしたならば病院に行ってレントゲン撮ってもらっておくぐらいのことは、もう常識的に後々のこともあるからということでやるけれども、戦争から帰ってきたってあの食うや食わずのときですからそんなこともできないわけです。それで生きるために何とかしなきゃいかぬということでやっているうちに、そういうことについて片方が聞こえるからといってやってそのままずっと過ぎちゃって、そのうちに六十ぐらいになるとよかった方の耳も悪くなるからとかといって、戦友会で話が出てきて申請していった。ところが却下されちゃう。また出していったらまた却下されて、書類がどうのこうのとなっちゃう。
 それで、局長にお願いしたいのは、今もここにも当局の顧問医の鑑定による云々とあるんですけれども、そういう医師がどの程度の診察をなさっておるか御存じですか。ある一人の私の友達が言ってきたのは、言ってきたというか、あれは手紙を書いてよこした。十分か十五分見ただけだというんです。それで何だかんだ、それはおまえのはそんな戦争のあれではないんだと。私それは長官、今日これだけ医学が進歩しているんですから、四十年前のその戦争中の傷跡だったのか、最近五年か十年かの間に何かの事故でもってなにした傷なのか、そのくらいの判断がつくくらい今医学が進んでいるわけなんです。それで、それはそうではないんだというならば、本人はこれこれのと言って細々と書いて出しているんだから。
 ある一人なんというのは、もうともかく航空母艦に乗って自分らの仲間沈んじゃったし、それで千葉にいたあれはといって捜しあぐねたら北海道にいるという。やっとその行き先にたどりついて、そして自分の上官に現認証明書を書いてもらおうと思って行ったら、もうそのときはそれが死んでおって、もうなくなりましたということを奥さんに言われて、もう万策尽きたというのもいるわけです。
 ですから、そういういろいろの最終的には医者の御判断というものが必要だとも私は思うんですよ。しかし、それならばそこまで本人たちが次から次から却下しても言ってくるんだったら、それも国費を使う一部かもわからぬけれども、権威のあるそういう病院なり何なりにお願いをして、それは私は、その四十年前の戦争のときの後遺症からきたものなのか、最近の五年、十年のものなのかということぐらいのあれはわかると思うんですよ。だから、そういう形をして、そして本人たちにも、あなたの場合はこうこうしかじかですからと言って納得させる方法をとっていただきたいと思うんですけれども、その辺長官どうお考えになりますか。
#191
○国務大臣(江崎真澄君) 非常に重要な御指摘だと思います。これはやはり医学的におっしゃるようにはっきりできるわけでしょう。それは可能だと思いますね。ただ件数が多いということでずさんになりがちだということであってはならぬ。十分今後とも配慮をしてもらいたいと思いますし、よく我々も陳情を受けますが、本当に随分手間がかかり過ぎますね。それは精査しているということかもしれませんし、件数が多いということかもしれませんが、この程度の件数ならこれはやり方はあるわけですから、ですからもっと能率的に、しかも本当に親切心を持って、やはり国のために尽くした人、犠牲者を扱う扱い方というものはおのずから常識があっていいと思います。特に戦後の若い人たちが窓口におりますと、どうしても、よく戦争の実態というものがわかりませんし、あの厳しさというようなものはもうあれは異常事態ですから、そういうことがわからないだけに随分不愉快な思いをしたりする面もあろうかと思います。
 それからまた、中には全く善意でない人がまじっておるという例外的な面もあるでしょう。しかしそれは、やはりおっしゃったようにあの年齢層というものは、そんなに自分が困らなければうそまで言って国家補償を求めようなんというようなことは言わない当時の教育傾向のもとに育った諸君ですから、やっぱりもっと親切心を持って扱うように、これはよく局長とも相談して今後の対策に万全を期していきたいと思います。
#192
○政府委員(佐々木晴夫君) ちょっと一言。
 今、柳澤先生のおっしゃること、これは確かに私どももわかるわけなんでありますけれども、業務の実態といたしまして確かにつっけんどんなところがあるというのはわかります、それは。しかし、私どもの職員の説明をいつも聞いているわけでありますけれども、これは本当にある意味では懸命になって、まさしく公務でやったんだということを証明しようとして努力しておりますね。それで、中には実査をしまして、田舎のことですから、あの方は帰ったときには目が悪かったかとかといったようなことも聞きまして、それでそのあたりの心証を得て、かつまた、今医者の判断ということを言われましたけれども、十分、二十分と言われましたけれども、それはちょっと征しい場合にはお二人なり三人なりのお医者さんに相互に診ていただくといったようなことも実はやっておるんです、これは。ただし、おっしゃるような心構えがまだ足りないじゃないかというふうなことについては、確かにそういうことが言えるかと思います。
 私ども謙虚にそのあたりについてはお話を承りまして、今後とも傷病恩給の適正かつ親切な審査につきまして努力をいたしたい、このように思います。
#193
○柳澤錬造君 もう長官のお言葉を聞いて、それは同じ戦中派なんと言うと失礼になるけれども、年齢的にいって御体験もお持ちだし、先ほどの御答弁を聞いて私も涙が出るほどうれしくなるし、そういう気持ちでぜひ恩給局長にやってほしいと思う。
 それで局長、決して私は責めようというんじゃなくて、今もいみじくも簡単に、それはにせものもあるいは来るかもわからない、だからその証拠書類をと簡単に言うでしょう。それが私は戦争を知らない人の言うことだと。一たん爆撃受けて何もかもみんな吹っ飛んでいっちゃう、そのときにどうやってその証拠書類を、またこれも恐らくまだなにしておると思うんだけれども、何回やっても何度も今言うとおり証拠のものを持ってこい持ってこいと言って、そして何度目かにとうとうなにしたら、その後私のところへを言ってこないからあれだけれども、たまたまいみじくもお守り袋が出てきて、そのお守り袋をあけたら戦地でいわゆる現認証明書を書いてくれたのがあったというので、もうくしゃくしゃのあれだけれどもすぐ出したらいいじゃないかと言って、後なにしたかわからぬけれども。ですから、その証明書の手に入るような状態のと、もうそうではない、生きるのが精いっぱいの状態で生きて帰ってきたのといるんですから、その辺の点を本当にやっぱり温かくやっていただきたいと思うんです。
 それから次には、これはさっき太田先生も言っておった中にも関係するんだけれども、私も一言申し上げたいなと思うのは、いわゆる恩給欠格者。それで、戦友会へ行ったらみんな恩給をもらっていると言って、もらってないのが自分と二人だけだと言って、それで私の手元に持ち込まれてきて、そしてそちらの方に出したら、その私のところへ持ってきた方は三カ月足りないといってだめになった。もう一人の方は言うならばパスしておくればせながらもらえるようになったわけなんだけれども、確かに五十三年ですか、法改正で一時金一万五千円。それでわずか三カ月、それはどこかで線を引かなければしようがないからそう言ってしまえばそれでもう割り切るしかないんだけれども、なかなか納得のいかない、そういうふうな気持ちのことも理解をしていただいて、それで何らかの救済の方法はないものかどうか。
#194
○政府委員(佐々木晴夫君) 先ほども今の恩給欠格者につきましてお答えを申し上げたわけでありますけれども、これは恩給制度の中ではちょっといかんともしがたい、ただし今総理府でもって戦後処理問題としていろいろと御検討中であるというふうなことを承っております。私どもとしてもそのあたりのことは今後十分見守ってまいりたい、このように思うわけであります。
#195
○国務大臣(江崎真澄君) これは今おっしゃるように、非常に欠格者の問題、それからシベリア抑留の問題、そして在外財産の問題、まあその三点を中心にさっき審議官が答えておりましたように内閣官房に調査室を設けたわけでございます。したがって、やはりこれなどについても非常に不明確な点が四十年たてば当然あると思いますが、誠心誠意努力をしていく問題である。これは言葉じゃいけませんね。本当に誠心誠意どうこれに対処するか、そういうことだと思います。私はさっき一万五千円の問題についても、それじゃ五万円なら多いのか、十万円なら多いのか、それ以上、一体百万円出せるのかということになると、これは国家財政の上からいって何とも処置がつきそうにない。そこで、国家が感謝の意味を込めて、まことに僅少ではあるが真心をそこにあらわしたのだということを申し上げたわけでありまして、やはり今後のこういった処理についても、多くを期待することは私はなかなか言うべくしてそう簡単なことではないと思います。
 しかしそこに、例えばさっきから御熱心に御質問がありますように、本当に戦傷を受けた生きる苦しみを苦しんで、そして後遺症が出てきた者が不親切に扱われたときの悔しさ、情けなさ、これはわからなければいけませんね。そうなりますと、そういったシベリア抑留その他の恩給欠格者の問題等々をひっくるめて、国家が本当に真心を込めて感謝するというやはり形、心の問題が一番大切だ。もう四十年たちますと、やはりそれが一番大事ではないか。どう遇するかということは今後の検討にまつところですが、そのあたりを十分心得て対処していきたいと考えます。
#196
○柳澤錬造君 まだほかにあるけれども、今の長官の言葉に本当に感謝して、それを私も受けとめたいと思います。局長にもお願いしておきます。
 私もそう思うんですよ。お金の損得ならばとうの昔に何とかして金をもらえる方法をみんな考えたのだけれども、戦中派というのはそういうふうなことをしてというところは考えないで来たんですから。そこで、もう一回私申し上げますけれども、この人たちというのは自分が好きで戦争に行ったんじゃないんです。国家のために行かされたんです。もちろん、たくさんの人は戦死をしちゃったんですから、それから見ればまだ今日の社会に生きていられるだけでもありがたいじゃないかというふうに思わなくっちゃいけない面も私あると思うんですよ。だから、私なんかよく戦友会に行ってもそういうことを言うわけだけれども。
 しかし、やっぱり政府の側とするならば、そういう人たちを応待するについて、先ほどから長官が言われているように、若い青春の時代を全部お国のためにささげて犠牲者になっているんですから、そういう人たちが納得するように扱ってやってください。病院に行ったって十分か十五分だと。これはもう私は本当にこれだけ何していると言ったって、そんなもの簡単に、もうおまえよろしい、わかった、帰れと言って、それから後で来る書類は棄却としか言ってこない。ですから、どうか戦争犠牲者の人たちを少しでも救ってやるんだというそのお気持ちを持って、本当に心でもってその人たちに応待してあげていただきたいということを申し上げて、それでこれはもう先ほどの長官の御答弁で私も受けとめたいと思いますので、終わりたいと思います。
 それで、これは総理府に中華民国の、台湾の旧日本軍人軍属の問題で若干聞いておきたいのですが、堀江先生の方からもさっきもう言われておったですからダブらないようにして聞いてまいりたいのは、さっきの御答弁の中にも、最高裁でこれが扱われているからと。その辺の受けとめ方が、私にするならば、最高裁まで持っていかれるまで結論を出さなかったことについて何か恥ずかしくないのかという気がするわけですよ、もう四十年たっているんだから。ですから、そういう点で、総理も何かというとすぐ戦後政治の総決算と言われるんだけれども、二千万の調査費で今さら何を調査しようとするのですか、その辺のお取り組みの姿勢をお聞かせいただきたいと思うんです。
#197
○政府委員(的場順三君) これは長い経緯がございます。それからもう一つは、関係各省多岐にわたっておりまして、各省それぞれの立場から従来からも検討しておりますが、いろいろな難しい問題がございます。したがいまして、どういうふうにこれから取り組んでいくかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、与党の政調会長と大蔵大臣、官房長官の間で合意を見た基本ラインがございます、一歩進めるという形で。もちろんこれは国が訴訟の当事者の一方でございますから、最高裁において争われていることについては、これは最高裁の判断をまつ必要がございますけれども、その周辺の問題については、これは先ほども申し上げましたように、超党派の議員の先生方の懇談会がございますから、そこともよく相談をし、また党ともよく相談をしながら、各党とも相談をしながらこれから手順、段取りを考えて進めてまいりたいと思います。
 従来と異なる点は、二千万のうちに委託費というのがあるというふうに申し上げましたが、その委託費を使うことによって^現地の実情も調べたことはございませんし、調べることが可能なのかどうか、それから手続で言いますとどこを窓口にするのかということについてもいろいろ難しい問題があるようでございますので、それらの点も含めまして真剣に検討したいと思っております。
#198
○柳澤錬造君 真剣に御検討いただきたいと思うんだけれども、私が一番今お聞きしているのは、最高裁まで持ち込まれたということが恥ずかしくないんですかということです。かつて私たち同じ日本国民として戦争に、あるいけ兵隊なり軍属なりいろいろそれはあったかもわからぬけれども、行って何しておったわけです。たまたまサンフランシスコ講和条約ができ上がって、それであそこは日本の国から切り離されたから日本人でなくなった。しかし、日本の国でもってだんだん経済が復興してきて、そしてそういう戦争に行った人たちを救済するということを考えるというときに、どうしてこの人たちのことも考えなかったんだろうか。
 それで、何がそんな難しい問題かと。また今現地調査と言っているけれども、私の手元に来ているだけでも人数は、復員した人が陸軍で十一万五千百五十三名、海軍は六万一千七百二十四名、合計十七万六千八百七十七名、それからもう戦死なり何なり死亡した人というのが陸軍は一万八千三百七十一名、海軍が一万一千九百三十五名、両方で三万三百六名、合計すると二十万七千百八十三名という数字までこれわかっているわけです。
 ですから、その辺の補償をするとかしないとかという議論をする問題じゃないと思う。同じ日本人として同じように戦争に参加をさせてきた人たちなんであって、そういう点からいくならば、とうにこの人たちについても、どういう方法をとるかはこれは国が違うから何ですけれども、今までやっておかなくちゃいけなかったことであって、四十年たった今になってもこの人たちの補償ということもやらないで、そうして裁判に持ち込まされちゃった。まことにもって日本の政府として、私だったら日本人としても恥ずかしいなと思うんだけれども、そういう点についてどういうふうにお考えになりますか。
#199
○政府委員(的場順三君) これは私が日本政府を代表してそういう点についてお答えする能力にいささか欠けていると思います。正直な話申し上げますと、総理府は関係各省に密接に関係する、しかも関係各省間で十分に連絡をとらなければいけないことの連絡調整のためにこの問題をお手伝いしているわけでございまして、考えてみますと、これは外交当局なりあるいは法務省から直接その事件の問題を深く理解していただいてお答えいただくということかと思いますが、かかわり合っている限度で申し上げますと、元日本人であった方方が戦後独立され国籍が違うようになった、しかもこの問題について言いますと、まず台湾との間に国交があった、そして日台間の全般的在請求権問題というものの中で話し合いをしようということでテーブルにのっていたという経緯が一つございます。それが、日中の国交復興がなりまして台湾との関係では外交関係がなくなったというふうな経緯が一つございます。それから、国籍のない人について、国家補償というふうなことについての争いでございますから、そういう問題について法律上の黒白はつける必要があったということで訴訟の当事者の一方として今日まで来たわけでございます。
 柳澤委員のおっしゃいますように、全体としてこういう問題を今まで放置し、かつ訴訟の形とは別の形で解決すべきではなかったかという点については、これは東京高裁の判決にも、特に判決には関係はないけれども、この問題についてはいろんな問題があるけれども、ひとつそういった困難な問題を超克して一日も早く解決することが望ましいというふうな裁判官の付言がございました。その辺を踏まえましてこの六十一年度予算の編成に至ったという経緯がございます。
 それで、昨年の五月以来関係省庁間でいろんな検討を行っておりますけれども、事務的には難しい問題がございます。繰り返しになりますけれども、この日台間の全般的な請求権問題が未解決であるというふうなこと、それから他の分離地域との衡平及び波及の問題、それから事実関係の認定等、実行するとした場合の非常に実務上の困難性もございます。それから、何よりも現在の財政状況でございますので、大蔵省財政当局から新しい財政負担を伴うような新規の施策についてはという強い意見もございます。そういったもろもろの点はございますけれども、年末に六十一年度予算が編成される際の与党と政府との申し合わせというのもございますので、その線に沿ってよく政府部内で検討いたしたいということでございます。
#200
○柳澤錬造君 時間もないからもう最後に長官にお聞きして、長官から御答弁をいただかないと、政府を代表して答弁できないと言ってたんじゃしようがない。
 それから、これも今あなたが御答弁なさっているような、私に言わせればそういう考え方が今問題になっている貿易摩擦を起こしているんです。それはさっき長官も言いましたように心の問題、そのとおりなんですよ。何も日本だけじゃない、カナダなんかの方がもっと日本よりかもアメリカへ輸出しているわけですよ。何で日本ばかり文句を食うかというのは、余りにも日本が自分の国のことばかり考えているんじゃないかというところが貿易摩擦に発展するんです。
 それで長官、道義的責任を感じて人道上の立場に立ってこの問題解決しなきゃいかぬし、私の気持ちからいくならば、議員懇はだれも知っておりますし、私も参加をしている一人ですし、そういう中でむしろ今、最高裁が判決出される前に解決をすることこそがこれは大事なことです。
 それから、えてして今台湾とは外交関係が云々と言うけれども、私が調べたら、これは五十九年の数字ですよ、日本から台湾を訪ねた人が六十三万二千四百八十一人、台湾から日本に来た人が三十五万千二百九十四人もいる。約百万の人が一年間に行き来している。これは外交関係がないんですということでは解決のしないような状態にあるわけだ、事実的には。したがって、そういう点でもって、この四十年間解決しなかったことが本当に申しわけなかったことであって、やっぱり日本人の良心を示す意味に立ってこの問題をお考えいただき、そうして速やかに解決をしてあげるようによろしく長官にお願いをして、長官の御答弁を聞いて終わりたいと思います。
#201
○国務大臣(江崎真澄君) この問題は非常に重要、しかも複雑な要素を持った問題だと思います。的場審議室長の答弁を聞いておりましても、一生懸命まじめに答えておるというふうに思います。私もできるだけ本問題の解決に向けて最善の努力を傾けますが、随分これは難しい問題もやはりある。これは政治家段階でどう解決するかというやはり問題であろうかと。
 政府で調査費を持っておるわけでありますが、政府もさることながら、現実論で言うならば、本当に行き来もありますし、今往復でどうでしょう、百億ドルぐらいの貿易、もうちょっとですかね、今空で覚えておりませんが。私も、日本とのインバランスが大きいので同本商品を千二百五十品目ぐらいボイコットするというんで、三年ほど前に、私は大陸と仲よくしようといういわば井戸掘りの一人だったつもりですけれども、初めて実は台湾に戦後足を踏み入れて、そのボイコットを何とか了解願うという特使で行った、ミッションで行った経験もございますから、特に台湾に好意を持っておる議員の諸君もおられることですし、いろいろ政治的にこれはやはり追分けをしませんと、ただ政府だけではなかなか解決しにくい問題もあるし、そうかといって政治判断だけでやりますと、これはまた外交上の問題でいろいろ派生的な予測しないような問題に突き当たらないとも言えません。
 十分御趣旨を体して、誠意を持ってこれは検討させていただきたいと考えます。
#202
○柳澤錬造君 終わります。
#203
○内藤功君 今回の恩給法の改正は「最近の経済情勢にかんがみ、恩給年額を増額する」ためのものであると、こういうふうに説明されております。ところが、その実施時期につきましては、四月実施ではなく三カ月おくれの七月実施ということになっております。
 これは昨年の公務員給与改定の実施時期に合わせたんだ、こういうふうに説明されておりますが、恩給法の二条ノ二というのを見ますと、「年金タル恩給ノ額ニ付テハ国民ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価共ノ値ノ諸事情ニ著シキ変動ガ生ジタル場合ニ於テハ変動後ノ諸事情ヲ総合勘案シ速ニ改定ノ措置ヲ講スルモノトス」、こういう定めになっております。人事院勧告というものを尊重するという趣旨からいいましても、またこの法律に言う「速ニ改定ノ措置ヲ講ズル」という規定の趣旨から見ましても、当然これは四月に実施をすべきであると私は思うんです。まず、なぜ四月から実施をしないのかという点をお聞きしたいと思います。
#204
○政府委員(佐々木晴夫君) 恩給のベースアップにつきましては、年金価値を維持する観点から、従来から前年度における公務員の給与の改善をそのベースにいたしまして、原則これは四月実施をやってまいったわけであります。しかしながら、昭和六十一年度の事情といたしまして、六十年度における公務員給与の改定を三カ月おくらさぜるを得ないような厳しい財政事情のもと、やむを得ない措置といたしまして恩給につきましても三カ月繰り下げまして七月実施とせざるを得なかったということでございます。
#205
○内藤功君 財政事情が厳しいという御答弁ですが、受給者とその家族のことを考え、また人事院勧告というものが国政の上で最大にやはり尊重されなければならぬ、こういうこと、それからさきに言った立法の趣旨から私は四月実施をすべきだ、こういうことを強く思うわけであります。この点につきましては、後に四月実施の修正案を私は本委員会に提案をしたいと思っております。
 次に、今回の改正案では、恩給額の引き上げはやられておりますが、それ以外の改善がなされていない。今国会でも、例えばシベリア抑留者の恩給加算、これを一年につき三年に改定をしていただきたいという請願が多数出されておりまして、不肖私も紹介議員の一員になっております。政府はシベリア抑留者の方に対して新たな補償はできない、こう言っておりますが、この加算年の改定というのは言うまでもなく現行制度を手直しすればできることであります。政府がその気になればすぐ実現できる性質のものでございます。これは私は前向きに検討すべきである。各会派でもこの点はもう一致しておるわけだと思いますし、私どもの方の党もこの運動には微力ですが一翼を担っておると思っております。この点の御検討、前向きの御検討についてのお考えはいかがでございますか。
#206
○政府委員(佐々木晴夫君) 加算制度といいますのは、御承知のとおり恩給に特有の制度であります。で、この恩給法上の加算制度はいずれも戦務あるいは職務に関連をいたしまして戦時中においてこれは設けられた制度なんでありますけれども、今御指摘のシベリアの抑留加算につきましては、いわば戦後唯一の例外としましてこの加算制度が四十年に設けられたという経緯があるわけであります。
 その当時、昭和三十六年に、先ほどもちょっと触れましたけれども、戦務加算につきましてこれが復元をいたしたわけであります。さらに昭和三十八年に、シベリアの抑留の方々については、これは大変な御苦労を願ったことでもあるし、従来その加算についての定めがないわけであるけれども、ぜひともこれを設けるべきである。その場合のバランスとしては、従来から不健康地・辺陬地加算というのがあるわけであります。これは最高一カ月以内ということでありまして、通常は三分の二カ月あるいは二分の一カ月ということで定められておるわけでありますけれども、そういう例もあり、シベリア抑留については大変御苦労願ったんだから、かつまたシベリア抑留をした時期というのはこれは戦後のことであるから、これについて改めてそのあたりのバランスを考慮して一カ月程度の加算を設けるべきであるということが昭和三十八年の内閣委員会において大変強調されたわけであります。
 政府といたしましては、それを受けまして、昭和四十年にシベリアの抑留加算を、大変特殊な例外事項でありますけれども一カ月について一カ月ということでもって設けたというふうな経緯があるわけであります。その当時、昭和三十八年にもそうしたような御論議が行われましたように、やはり加算というのは恩給制度の中における大変特殊な制度でありますけれども、恩給制度の中にありましてある程度のバランスを持ってこれは定められてまいったものであります。そのうちの今申しました辺陬それから不健康地加算ということとのバランスをとってこのシベリア抑留加算を設けたという経緯がありまして、その後もう既に二十年になるわけでありますけれども、まあいろいろとこのシベリア抑留加算についてさらに増額をすべきである、こういうふうな御指摘があること、もちろん私ども承知はいたしておりますけれども、そういう恩給制度の中の加算のバランスの問題が一つ。
 それからまたもう一つは、シベリアの抑留というのはこれは旧軍人さんだけではなかったわけであります。当時、例えば軍に徴用されていた方々がしばしば抑留をされておる、この方々については、この加算といったようなことは何も実はないわけであります。そのあたりのバランス、このあたりを十分考慮する必要があるわけでありますけれども、そういうことを考える場合に、このシベリア抑留加算の今になっての増率といいますものは私どもとしては大変困難な課題であろう、このように思うわけであります。
#207
○内藤功君 先ほど江崎大臣からも温情を持ってという基本姿勢が打ち出されまして、私も深くこれを傾聴させていただいたわけであります。ぜひこれは、困難な問題はありましょうが、前向きに御検討を要望しておきたい。
 さらに、これに関連しまして旧日赤及び旧陸海軍の従軍看護婦の方々の慰労給付金の問題であります。
 これは総理府本府にお伺いをしたいわけですが、これが支給されるようになりましてから五年から七年、旧日赤の方は五十四年度から、陸海軍の方は五十六年度から支給されておる、これは大きなやはり前進だと思うんです。また、この間昨年に一回の増額がなされた、こういう前進面は我我認めます。しかし、軍人恩給と比較をした場合に、片や年々引き上げられる、片一方は同じく戦地で弾の下をくぐってこられた方々であるのに慰労給付金は今までに一回の引き上げにとどまっている、毎年の物価上昇に見合う増額の御要求は非常に切実だと思うんです。
 なお、この問題と、さらに朝鮮、台湾に派遣をされた従軍看護婦の方々にも適用すべきである、あるいは期間がわずかばかり不足である方の未受給者の救済措置を講じていただきたい、かような切実な要求がございます。ぜひこれらの問題についての前向きの御検討をしていただく必要がある、かように思うんですが、御見解いかがでございますか。
#208
○政府委員(橋本哲曙君) 旧日赤救護看護婦等に対する慰労給付金でございますけれども、戦地または事変地におきまして長年御苦労されたその御苦労を御慰労するという趣旨からとられた措置でございまして、所得を補償するというような年金的な性格ではなくしたがって増額は困難であるということでやってきたところでございますけれども、昭和六十年度予算におきまして、先生先ほど御指摘の措置がとられて四年ないし六年を経過しているということもございまして、その間がないの物価の上昇、また慰労給付金の実質的価値を維持するという観点から、財政事情の非常に厳しいときでございましたですけれども、特別に過去五カ年間の消費者物価指数の一二・三%の改善を図ってきたところでございます。
 今後の取り扱いにつきましては、先生の御指摘の趣旨も踏まえまして、かつまた昭和六十年度の予算の増額等の経緯等を十分考慮しながら慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 また、朝鮮、台湾につきましては、五十四年度の措置を講ずる際に恩給に準じて行うということになっておりまして、恩給法等においても朝鮮、台湾につきましては戦地、事変地として扱われてないということも考慮しまして、慰労給付金についても考えてないというところでございます。
 さらに、一年未満でございますか、短期の関係でございますが、これにつきましても、五十四年度の措置を講ずる際に恩給の受給資格年数を考慮しながらやるということでございまして、旧看護婦につきましても、実勤務年数に加算年を追加しまして、それで十二年以上の者というふうに準じて行ったということで、十二年未満につきましては行ってないというのが現状でございます。
#209
○内藤功君 ぜひとも今指摘した諸点についてさらに一層の御検討をお願いしておきたいと思います。
 恩給算定の基礎の一つである人事院勧告についてお伺いしたいと思います。
 今年度の人事院勧告自体が見送られるのではないかという報道が幾つかなされております。その理由としては、一つはいわゆる防衛費一%枠との関連、もう一つは今年の民間賃金上昇率が五%を下回ることが予想されるという情勢が挙げられておるわけでございます。しかし、国家公務員の、特に一線職員の現状は、政府の国民生活白書、あるいは職員団体である労働組合の調査結果等を見ますと、特に家計費の中での医療費、それから教育費、交通費の支出増大、共済掛金などの社会保険料の負担の増加、住宅のローン返済などの増大というのが数字で非常に顕著に見られるというのが私の印象であります。
 こういう生活実態の上に立ってお伺いするんですが、人事院総裁、このGNP一%枠という問題は次元の違う別個の政治問題でありますからさておきまして、たとえ民間賃金上昇率が例年を下回って五%以内である、法二十八条二項のいわゆる義務的な場合に当たらない場合であっても、この一%、二%、三%というのは非常に金額にすると切実な金額であります。そういう場合であっても、ここ数年の人事院勧告の不実施、不完全実施というもとで公務員の生活も今私が指摘したような状態である。きちんとやはり勧告は出す、こういう姿勢でお臨みになると私は思うし、またそのように考えざるを得ないと思うんですが、この基本的なお立場を私の方からもお伺いしておきたいと思うんです。
#210
○政府委員(内海倫君) 公務員の給与に関しましては、在来からたびたび私の見解を申し述べておりますように、これは労働基本権の制約に伴う代償措置としての人事院の機能があるわけでございますから、そういう意味で私どもは公務員の給与の改善というものに対しては極めて真剣でなければならないのは当然のことでございます。したがいまして、今年ももとよりそういうふうな観点に立って事務を進めたいと考えておりますが、けさほど来も御説明申し上げておりますように、民間給与の実態を今調査しておるところであり、その結果がいかように出るかはまだ私どもの予測するところではございません。
 しかしながら、もしその結果が例えば五%を切ったからといって、それを理由にして勧告をしないとかいうふうなことは私は考えるつもりは持っておりません。この二十八条の解釈からいたしましても、基本的なあの規定は、今申し述べておりますように、公務員の給与の改善というものはやはりぜひ必要な考え方として我々は取り上げなきゃいかぬ。五%云々の問題は、まあいわばこれだけになれば義務的に勧告が出てくる、しかしそれ以下の場合であっても勧告してならないという反対解釈は成立しない。したがって、そういう観点からは私は私どもの行う勧告というものについて制約を加えておるものとは考えておりません。
 ただ、たびたび申し上げておりますが、今年の勧告の問題につきましては、慎重な調査を実施し、さらにその結果を十分に考え、これに対しては私は積極的な考え方を持ってこの問題に対処していくということを繰り返し申し上げておるところでございます。私の基本的な考え方でございます。
#211
○内藤功君 江崎総務庁長官にお伺いしたいと思いますが、人事院より勧告が出された場合に完全に実施をする、完全実施というのは言うまでもなく金額、率、そして実施時期、これが三つの中心要素だと思いますが、これも含め完全実施をする、こういう方針で臨まれると私は思いますし、そのようにしか考えられないと思うんですが、この点の基本的な姿勢をまずお伺いしたいと思う。
#212
○国務大臣(江崎真澄君) 人事院の六十一年度の勧告があれば、これは昨年の官房長官談話でも完全実施を強く打ち出しております。そういう経緯もありますので、財政事情は大変苦しゅうございますが、やはり給与が勤務条件の基本であるという注釈つきで昨年の十一月八日に官房長官談話が出ておりますね。その線に沿いまして、非常に重要な事項と心得て勧告を完全実施する方針で臨んでまいりたい。と考えております。
#213
○内藤功君 この給与の問題と密接にかかわりがあるのが勤務時間の問題であります。最近、筑波研究学園都市の研究員など国家公務員の方の自殺の報道を非常に頻繁に見るのでございます。
 人事院に聞きますが、ここ五年間ぐらいの国家公務員の方の自殺者の数、これはどんなふうに推移しておりますか。
#214
○政府委員(中島忠能君) 国家公務員の自殺者でございますが、四現業を含む職員約八十五万人ですが、昭和五十五年度は百十二人、五十六年度が百八人、五十七年度が百三十人、五十八年度が百四十九人、五十九年度が百三十二人というふうになっております。
#215
○内藤功君 このようにここ五年来で増加の傾向であるということは認めざるを得ないと思うんです。原因はいろいろあると思うんですが、職場の仕事が非常に多くきつくなっているということからくる肉体的、精神的な疲労等も大きく原因となっていると思いますが、人事院としてはこの問題、原因、背景等についてどういう御認識であるのか、まず伺いたいと思います。
#216
○政府委員(中島忠能君) 調査をいたしました際に原因についても聞いております。その原因として一番多いのが病気を苦にしたということ、あるいはまた金銭問題など個人的な問題が非常に多いということでございますが、そういう病気とか金銭問題、それから多いのが夫婦関係など家庭的な問題というのが多うございまして、今御指摘の勤務時間が長いということとこの自殺というものを直接結びつけて論ずるというには若干無理があるかというふうに思います。
#217
○内藤功君 この原因を深く私はこの場でせんさくするということは適当でないと思うんですが、やはりその背景の一つとしてこの勤務時間の問題を全く無関係というふうに切り離すわけにはいかないだろうと思います。
 昨年、労働省が五十九年賃金労働時間制度等統合調査というものをやりまして発表したところによると、我が国の労働者は欧米諸国と比べて格段に長い年間二千二十二時間という長時間労働を強いらられておる、これが健康にも重大な影響を与えているということが発表されております。江崎総務庁長官は多くの大臣経験を持たれる方であります。大臣は、中央各省庁で特に第一線の職員の方が超過勤務、残業をどのぐらいやっておるのか、例えば失礼ですが、通商産業省という名前は別のある名前で霞ケ関内で言われていると私は聞いておりますし、新聞にもそんな記事がございました、そういう実態についてどの程度御存じでございますか、自由にひとつお話しをしていただきたい。
#218
○国務大臣(江崎真澄君) やはり超過勤務というのは各省庁によってばらつきはありますが、それからまたその省庁によっても担当部局によって大変なこれまた格差がありますですね。しかし、押しなべてやはり残業の問題というのは多うございます。エネルギー節約のときに、なるべく早く帰るようにと言っても、官庁街を見ますと、どのフロアにも灯がともっておるというような状況で、私ども一体その部局で残業するのに全フロアにつける必要があるのかなと言って尋ねたことがございます。いやいやこれはその部局だけでなしに相当そのフロアにまたがって広い意味で残業がありますと、こういう答弁が返ってきました。
 今、通産省の場合、私も通産大臣経験いたしましたが、通常残業省なんて言われますね。ですから、これはごろ合わせみたいな話でございますが、参議院の全国区が残酷区と言われるごろ合わせによく似ておりますが、これはやはり公務員の健康管理、それから公務能率の上から言いましても決まった時間にはきっちり出る。私は、特に自由にとおっしゃるならば、管理職の諸君でも、局長クラスは特に車を持っておりますね。あの車を持っておるということは、定刻に出勤しろという意味であれ車が与えられておるんでしてね、ゆっくり来ていいというものじゃないと思うんですよ。だから、そういう意味で、やはり定刻に出勤をしてできれば定刻に引き上げる、これが一番理想的だと思います。しかし、なかなかそういうわけにまいらない。特に、人員整理なども行革によって厳しく律しておるところでありますし、なかなか思うようにまいりませんが、しかし行政運営上それが直ちにさっきの御質問の自殺者につながるということはいかがなものでしょう。
 私、先ほどの人事院からの説明例にもあるように、いろいろ原因はあるように思います。しかし、少なくとも能率的でしかも最も健康的で勤務が永続されるためにも、これはやはり残業というものも、もちろんそのときどきによってどうしてもやっていただかなければならぬ事情もありましょうが、それが日常化するということはどこかに何らかの合理性を欠く点がある。やはり能率的で合理的ないわゆる官庁形成というならば、この残業制度が日常化しておるということはやはり改めていくべき重要な問題であり、特に生活、そして本人の健康、そしてもっと言うならば、さっき申し上げましたような事務能率の向上のためにも不可欠の問題だととらえております。
#219
○内藤功君 大臣の御見識は承りました。
 人事院に伺いますが、これは解釈論になりますが、人事院規則十五−一の第十条一項、二項で超過勤務について規定されておりますが、その十条一項では、臨時または緊急の必要がある場合に限り命ずることができる、第二項では、職員の健康と福祉に留意しなくてはならない、こういう組み立てになっております。これらは厳格なやはり解釈基準、例えば臨時または緊急とは何ぞと、こういうのが臨時でこういうのが緊急と、あるいは健康と福祉というのはこういう場合だと、解釈運用上の基準のようなものはございますか。
#220
○政府委員(中島忠能君) 今、先生がお挙げになりました条文、臨時または緊急の必要がある場合に各省庁の長は超過勤務を命ずることができる、こういうことになっておりまして、臨時または緊急の必要がある場合に時間外勤務ができる、こういうことでございます。
 そのいかなる場合が臨時または緊急の場合なのかというお尋ねだというふうに思いますが、公務というのは非常に複雑多岐といいますか、国の行政機関というのが非常にたくさんございます。そのたくさんございます行政機関それぞれにつきまして、こういう場合が臨時でこういう場合が緊急の必要がある場合だと、こういうふうに私たちが多くの機関に適用される基準というのを申し上げるというか、そういうものを定めるというのは技術的に非常に困難でございます。ただ、時間外勤務というものを各省各庁の長が命ぜられるわけでございますから、それぞれの職場の実態に応じて、そして今先生が御指摘になりました職員の健康とか福祉というものをよく把握しながら、時間外勤務を命じていただくというのが各省各庁の私は立場だろうというふうに思います。
#221
○内藤功君 この実態把握をぜひ人事院において、いろいろ困難のあることは私認めますけれども、とにかくこの現状の実態把握をする方法、その実態把握をやると、実態調査をやると、把握でもいいです調査でもいいですが、それをまず御検討いただけないでしょうか、これは総裁いかがですか。
#222
○政府委員(中島忠能君) 総裁からお答えいただきます前に事務的に御説明申し上げますが、私たちの方でもこの問題というものは、今総務庁長官がお話しになりましたように、非常に重要な問題だという認識を持っております。したがいまして、人事院は人事院なりにその役割を果たしていくためには、今お話しになりましたように、それなりの実態を把握するということが出発点になるだろうと思いますが、この問題につきましては労働団体の方も関心を持っておられますし、それなりの知恵を出してやろうというような話もございますので、そういうような話がございましたらそれを伺いまして、それなりの私たちは取り組みというものについて内部で相談してみたいというふうに考えております。
#223
○政府委員(内海倫君) 今、主管局長から申しましたが、いわゆる残業、超過勤務というものの実態につきましては、私も痛切にその問題は感じております。したがいまして、どういうふうな方法でどういうふうな内容をもってこれを調査するかということはもう少し考えなければならないとは思いますが、ともあれ、とりわけ霞が関あたりに集中する中央官庁に勤務しておる諸君の残業の実態というものはやはりできるだけ把握をして、その上でどういう対応をすべきかということもまた政府においてお考えを願わなければならぬ、こういうことで、私もそういうふうな気持ちを持っておるということを申し上げておきます。
#224
○内藤功君 最後の質問になりますが、今局長の方から、職員団体の方からもそういう申し出がある、職員団体の方からもしかるべきいろんな意見が出されているということもありました。人事院の実態調査に先立ってと申していいでしょうか、職員団体の方で調査した一つの例を私ここに持っておりますが、これは昨年の十一月に十四の中央の省庁で実施された実態調査ですが、半数以上の人が残業しなければ通常業務を処理できない、さっき江崎大臣の言われたと同じ認識ですね、これを持っておる。昨年十月現在、月五十時間以上残業している人が三割以上、月百時間以上が全体の一割、月二百時間以上の残業をしている人が二十八人、こういう数字が出ております。これが健康それから家庭生活、いわゆる規則に言う健康と福祉というものを害する状況に私は至っているんじゃないかということを思うわけなんですね。これは国公労調査時報というのの三月号に出ている数字で、人事院の方でもあるいはごらんになっているかもしれない。
 私は最後に総務庁長官、江崎大臣にもう一回お伺いしたいんですが、人事院の方としてはこの実態把握を職員団体の意見も聞きながらやりたい、こう言っておられる。私は総務庁長官のお立場で各省庁に今のお考えを、こういうことを徹底させることを具体的にひとつお考えいただけないかと思いますね。
 私の意見を最後ですから申しますと、さっき言った人事院規則一五−一の十条一、二項の臨時、緊急とはどのような場合を言うのか。どのようにでも解釈できるというふうないい面もありますが、非常にこれは締まりのないことなんです。ここをやっぱりきちんとする必要がないか。それから超過勤務時間の上限、上の限界を例えば総量で月五十時間というふうな、もっと短いのがいいかもしれませんが、月五十時間というふうな上限を定めるとか、あるいは健康と福祉の問題について現場でなるべく職員の意向が聞けるようなそういう風通しのいい仕組みをつくることを考慮するとか、今すぐにでもできる具体策があると思いますね。こういうものを総務庁としてもやっぱり研究をしていく、人事院はああいうふうに言っているわけですから、これを一つ提起をしたいと思いますが、いかがでございましょう。
#225
○政府委員(手塚康夫君) 超勤の実態、我々生身で肌で感じている点もございます。正直、大臣からも御答弁ありましたようにすべて一律ではございません。部局、その時期、いろんな態様で違っております。まあ極端な話、予算時期、あるいは国会の時期、一種空き時間的な待機時間といったものもあったりするわけです。この辺も一律に考えてどうしていくかというのはなかなか難しい問題ですが、ただ一部にかなり過度な超勤が行われているというのは私どももいろんな方面から伺っております。
 それで、特に福利厚生関係は我が方の人事局も担当しているところでございまして、こういった点で職員の健康破壊にすぐつながるようなことはやはり問題であるというふうに考えまして、三月二十六日でございましたか、昨年度末の人事管理官会議総会、五十省庁の人事担当官を集めての会合でございますが、その席上におきましても私から、職員の健康に著しく悪影響を及ぼすような超勤がなされてはいけないので、やはり各省庁の人事担当、責任を負っている方は十分そういった点は把握していただきたいというお願いを申し上げたところでございます。
 一律の規制はなかなか難しいとは思いますが、そういった機会をつかまえ、各省庁にもそういった認識を持っていただく。さらには、人事院等と協議をいたしまして、いい知恵がありましたらこういった過度な超勤はなるべくなくなるような方策は今後検討していきたいというふうに考えております。
#226
○国務大臣(江崎真澄君) これはやはり私ども重要にとらえております。したがって、人事院と協議をしながら実態把握にも努めますし、それから先ほど申し上げましたように、やはり上層部、中堅以上の方が忙しい傾向が多いんですね。これはもうどこの社会でも同じようなことが言えると思いますが、しかしこれをどう能率化するかという点では私は本当に研究の余地があると思うんです。自動車のある人はやっぱり定刻に出てくる、それだけが一つ行われてもよほど事務は能率的になるし、簡素化するでしょうね。いつまでも幹部の電気がずっとついておるということになると、早く帰りたいと思っても、つい人間の世界ですから、特に役所の場合、遠慮をしてついつい仕事はなくてもおつき合いで残ってしまうというようなこともないわけではない。これもやっぱり例外ではないと思うんですね。
 ですから、そういうことなどを考えまして、やはり管理者たる者はよくそのあたり気をつけて、どうしても残るときには灯を消しておくとか、それくらいの配慮も時には必要であろう、そんなことを私思います。大臣になっても同じことが言えますね。案外遅くなることが多いですよ。けれども、やっぱりそういうときには秘書官が気をきかして灯を消してくれるといいようですな。やっぱり大事なことだと思います。よく御趣旨は承りました。
#227
○委員長(亀長友義君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時五十分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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