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1985/04/17 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 内閣委員会 第4号
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1985/04/17 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 内閣委員会 第4号

#1
第104回国会 内閣委員会 第4号
昭和六十一年四月十七日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     原田  立君     峯山 昭範君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     鈴木 省吾君     海江田鶴造君
     矢田部 理君     安永 英雄君
     峯山 昭範君     服部 信吾君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         亀長 友義君
    理 事
                曽根田郁夫君
                村上 正邦君
                野田  哲君
                太田 淳夫君
    委 員
                板垣  正君
                岡田  広君
                海江田鶴造君
                源田  実君
                沢田 一精君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                穐山  篤君
                小野  明君
                安永 英雄君
                服部 信吾君
                内藤  功君
                柳澤 錬造君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  江崎 真澄君
   政府委員
       内閣参事官    荘司 晄夫君
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   的場 順三君
       人事院総裁    内海  倫君
       人事院事務総局
       給与局長     鹿兒島重治君
       人事院事務総局
       職員局長     中島 忠能君
       内閣総理大臣官
       房審議官     田中 宏樹君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    橋本 哲曙君
       総務庁長官官房
       長        藤江 弘一君
       総務庁人事局長  手塚 康夫君
       総務庁行政管理
       局長       古橋源六郎君
       総務庁行政監察
       局長       竹村  晟君
       総務庁恩給局長  佐々木晴夫君
   事務局側
       常任委員会専門  林  利雄君
       員
   説明員
       大蔵省主計局主
       計局       浅見 敏彦君
       厚生省援護局業
       務第一課長    水本 鉄二君
       郵政省貯金局第
       一業務課長    舘野 忠男君
       労働省労政局労
       働法規課長    廣見 和夫君
       労働省労働基準
       局補償課長    清水 尚武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨四月十六日、原田立君が委員を辞任され、その補欠として峯山昭範君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(亀長友義君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に太田淳夫君を指名いたします。
#5
○委員長(亀長友義君) 恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○穐山篤君 最初に人事院総裁に伺いますが、昨年の人事院勧告の実施については御案内のとおりであります。それから、ことしの人事院勧告のあり方の問題につきましても、前回の本委員会で各委員から質疑がされております。したがって、私はあえてその問題につきましては省略をさせていただきたいと思います。
 そこでお伺いしたいのは、昨年は二つの特徴的な問題がありました。一つは、給与体系の問題についての新しい勧告、それに伴います実施であります。それからもう一つは、公務員の休暇のあり方についてこれまた特別の勧告が行われ、本問題につきましても前回質疑が交わされているわけです。そこで、給与体系を変えたことについて、その後人事院としてはどういう点検をされているのか、あるいは各官庁なり職員の意見をどういうふうに取りまとめをして評価されているのか、その点からお伺いします。
#7
○政府委員(鹿兒島重治君) ただいまお話がございましたように、昨年の給与法の改正におきまして幾つかの大きな改定を行ったわけでございます。特に大きなものといたしましては、専門行政職俸給表を設置いたしましたこと、それからいわゆる級の増設を行いましたこと、いま一つは定年制を踏まえまして号俸の延長を行いましたこと、その他ございますけれども、かような改正をいたしたわけでございます。
 まず初めに申し上げておきたいことは、昨年の改正が年末かなり差し迫ってでございましたけれども、各省庁の多大な御協力によりましてこの切りかえ作業が大変スムーズにいったということで、その後格別の支障が起きてないというぐあいに、大変御協力いただきましたことをまず御報告申し上げておきたいと思います。
 この改定につきましては、その後折に触れまして職員団体なりあるいは当局からいろいろ話は承っておりますけれども、ごく一般的に申し上げますならば、まず号俸の延長につきましては、これはいわゆる定年制を踏まえたということで枠外者がほとんどいなくなったということで、大変歓迎されているやに私どもは承知いたしております。
 それから、専門行政職俸給表につきましては、特定の省庁に限られているわけでございますけれども、これは過去五年ほど各省庁あるいは組合とも意見を詰めながらやってまいった問題でございますので、これにつきましても私どもは一応大変有効に機能しているというぐあいに現在の段階では理解をいたしております。
 それから、級の増設でございますが、これは先ほど申しましたように切りかえ作業そのものは順調にいったわけでございますが、一部の省庁におきましてこの切りかえに当たりまして若干の問題もあったというような話も聞いております。
 いずれにいたしましても、まだ制度発足後わずか三カ月ちょっとたったばかりでございますので、これからの推移を見守る必要もございますし、また直接こういう制度自体を見るわけではございませんが、御承知のように国家公務員法の六十九条に基づきまして給与簿の監査というシステムがございます。今年度もこの規定に基づきまして監査を実施するわけでございまして、特に切りかえの関係につきまして重点的に監査をいたしたい、このように考えております。
#8
○穐山篤君 今申し上げた二つの点について政府側、これは官房長官ですか総務長官ですか、どういうふうに評価をされておりますか、その点をお伺いしておきたいと思います。
#9
○政府委員(手塚康夫君) ただいま人事院の方からもお話ございましたが、まだ実質は四カ月足らずという実績でございます。しかも、今度の給与制度の改正、大幅なものがございまして、切りかえは比較的スムーズにいったと思いますが、しかし例えば各省横並びでどうなっているかといったような問題があるのではないかといったようなことをあるいは組合の方からも伺っております。この辺さらに円滑に進められ、定着するようにしばらく様子を見守っていきたいと思っております。
 また、もう一つ休暇制度もございました。これも一月一日から新しい休暇制度ということで始まっておるわけでございます。特に、かつてはできませんでした結婚休暇といったものが新設されまして、聞くところによれば、昨年末に予定していた結婚を新年に繰り越して五日の休暇をとったというケースもあるやに聞いておりますし、この点は職員からも十分評価を得ているのではないかと考えております。
#10
○穐山篤君 公務員法、人事院規則にもありますように、給与体系の改正というのはなじむまでに若干の時間がかかると思います。それと同時に、職員団体の意見をこれから十分に聞いて、改善の余地があるとすれば大いに改善をしてもらいたいと思います。
 次に、春闘の状況について労働省に伺いますが、ことしの春闘割合に、ストなし春闘と言われているわけですが、民間の賃上げの状況はどんなものになっているのか、概況をひとつ御説明をいただきたいと思います。
#11
○説明員(廣見和夫君) お答え申し上げます。
 労働省といたしましては、本年も民間企業におきます賃上げ状況調査を行うことといたしておりますが、現在のところまだ取りまとめを行っておりませんので御了解いただきたいと存じますが、それぞれ関係者の方々が中間的に取りまとめを発表しておられます。これを御参考までにここで紹介させていただきたいと存じます。
 組合側の方といたしまして、春闘共闘会議、ここで十一日現在でまとめておられます状況でございますが、妥結に至りました組合百四十二組合でございますが、アップした額一万一千百八十七円、アップ率でございますが五・一%というふうに発表しておられます。それから同盟の方でございますが、四月十四日現在、これも妥結状況でございますが、三百三十六組合を見てみますと、九千六百四十五円のアップ、率にいたしまして四・五四%のアップ、このように発表しておられます。また、全民労協の方では百四十四組合、これは四月十二日現在でございますが、一万四百九十八円、率にいたしまして四・八七%というふうになっております。
 なお、使用者側といたしまして日経連の発表がございますが、これは妥結だけではなくてまだ交渉中、それに対する回答を含めた状況でございます。要するに、回答と妥結をまとめたものでございますが、四月十四日現在、百九十六社の取りまとめて九千九百五十円のアップ、率にいたしまして四・四九%というふうな状況になっておるようでございます。
#12
○穐山篤君 これは単純平均だろうと思うんですが、いわゆる人事院勧告だとかあるいは公労協賃金に影響を及ぼす一つの物差しとして規模別の賃金のアップというものがあると思うんですが、その点はいかがですか。
#13
○説明員(廣見和夫君) ただいま申し上げました率等は加重平均のものではございますが、規模別に調査されております状況をちょっと簡単に率だけで見てみますと、春闘共闘会議が発表しておられます先ほど申し上げました五・一%でございますが、これを千人以上と三百人から九百九十九人、それから三百人未満と三つに分けて見てみますと、千人以上では平均と同じく五・一となっております。三百人から九百九十九人の規模につきましては五・二%のアップとやや高くなっておりますし、三百人未満につきましては五・〇%とちょっと平均より低い、こういう形になっておるようでございます。
 それから同盟の発表でございますが、先ほど申し上げました四・五四%というのをやはり規模区分同じにして見てみますと、千人以上につきましては四・五〇%と平均よりちょっと低目、それから三百人から九百九十九人の規模につきましては五・〇一%、平均より高くなっておるようでございます。それから三百人未満は五・〇三%というふうになっております。
 以上のような状況でございます。
#14
○穐山篤君 そこで、官房長官あるいは総務庁長官にお伺いしますが、いわゆる春闘全体が妥結したわけではありませんけれども、傾向としては大きな山を越したという状況にあると判断していいと思うわけです。いずれ公務員賃金の場合には人事院が十分精査をして改めて勧告が行われるものと確信するわけですが、一社四現業の公労協の問題、賃金につきましてはほぼいい潮どきではないかなと、こういうふうに感ずるわけであります。前回野田委員からもその点について指摘がありましたけれども、もうこの辺でいわゆる公労協賃金の問題についてしかるべき態度を表明する時期にあるものと思いますけれども、その点いかがでしようか。
#15
○国務大臣(後藤田正晴君) 給与関係閣僚会議を開きまして、そして公企体関係の取り扱いをどうするかということを決めなきゃならぬわけですが、現時点ではまだ民間賃金の状況の推移を見守っておる段階でございます。ただ、今穐山さんおっしゃったようにだんだん煮詰まってきておりますから、もう早急に政府としての考え方を一応取りまとめていきたいと、かように考えておりますから、しばらく御猶予を願いたいと思います。
#16
○穐山篤君 今、官房長官の言われた真意は十分に承知をしているつもりであります。ぜひ公労協の賃金問題につきましても円満に解決の方向をとるように、格段の御努力を要請しておきたいと思います。
 次に、戦後処理問題につきまして幾つかお伺いをしておきたいと思います。
 最初は特別基金にかかわる問題であります。これは戦後処理問題懇談会の答申を受けて主として三項目に絞られております。今さら私が申し上げることもないと思いますけれども、財産の補償の問題、あるいは抑留者に対する措置、それからいわゆる軍人恩給欠格者の問題、こういうふうになっているわけであります。
 先日の答弁でも、それぞれ実態調査を行っていることの答弁はあったわけですが、この該当のそれぞれの団体あるいは関係者というのは、その調査に応ずるに当たりましても、精神的な処理だけでなくして、もっと直接的な待遇改善あるいは処遇ないしはその他の方法があろうと思いますけれども、そういうものを念頭に置きながら調査に応じているわけですね。ここが特別基金調査室が考えております基本的な考え方と調査の対象になった三団体との間にかなりずれがある、こういうふうに私は率直に見るわけですね。
 この調査室が関係者の意見も聞かれたと思うんですけれども、そこのところがあいまいになっておったり呼吸が合わないと、結局はせっかく努力をされても十分な合意を得られないままに新しいまた運動が起きる、こういうふうに考えられるわけですが、その点についての考え方はいかがでしよう。
#17
○政府委員(田中宏樹君) 確かに政府側の、五十九年の十二月に懇談会から報告をいただいたわけでございますが、この中身がいわゆる関係の方々に周知徹底という点でまだまだ理解されていないということはあろうかと思いまして、実は今回、先生御承知のとおり三つの問題、それぞれ対象の方が非常に膨大な数にわたるものですから、とても全数というふうにはまいりませんので、今の三問題それぞれに一万人ずつ、合計三万人を対象にしてアンケート調査という形で郵送調査でやらせていただいたんですが、つきましては、ややかたく申し上げれば誘導になりかねないという危険は冒しながら、私どもといいましょうか政府の考えております趣旨を「お願い」という形で、調査協力のお願いという形でごらんに入れた上で調査に応じていただいたと、こういうことで御理解を願いたいんでございますが、ちょっと長くなりますが、読まさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
#18
○穐山篤君 はい。
#19
○政府委員(田中宏樹君) このお願いには
  先の大戦においては、すべての国民が程度の差こそあれ何らかの犠牲を被ったものであるから、国民一人一人がそれぞれの立場で受け止めざるを得ないものであり、他の戦争犠牲者との公平という観点からも、これら関係者に対し、これまでの措置に加え、これ以上国が措置するものはない。
 しかしながら、戦争による労苦や損害が関係者にとって、心の痛みとして償われることなく残っているということを踏まえるならば、政府において相当額を出損し、関係者の尊い戦争犠牲が風化することを防ぎ、さらに、後世の国民に語り継がれ、国民が戦争により損害を受けた関係者に心より慰藉の念を示すための何らかの事業を行う特別の基金を創設することを提唱する。
という中身そのものを紹介しながら、つぎましてはこういう趣旨の特別基金の事業の中身としてどのようなことを期待するかという形で質問書をつくらせていただきました。
#20
○穐山篤君 質問書あるいは調査の項目ですが、大きな項目はたしか三つだったと記憶をするわけなんです。第二次世界大戦でどういう状況下に軍務についていたのか、あるいはその当時、今日の健康の状況であるとか、あるいは仕事、収入の問題、これらにつきましてはそのとおり挙げてくると思うんですね。
 問題は、特別基金が行うべき事業内容というものについて団体なり個人から意見を求めているわけですね。ここが問題の所在になるわけです。今まで集められた調査票の中で、あるいは三つの団体からもらった意見ではどういうものが一番大きなポイントになっていたのか。仮に解決するしないにかかわらず、国民的な合意を得る必要があるわけですから、そのことは十分明らかにしておかなければいかぬと思うんですが、その点はいかがですか。
#21
○政府委員(田中宏樹君) この二月から三月の初めにかけまして調査票をお送りして、これを郵送で返してもらいまして、目下集計中でございますので、お話の点はもうしばらく御猶予いただきたい。目下、結果を集めて集計、分析をしているところでございます。
 なお、念のため申し上げますが、この種の郵送法による調査にしましては非常に回答率が商うございまして、七割を超えるという状況にあるということだけしか御報告できません。もうしばらく御猶予いただきたいと思います。
#22
○穐山篤君 私を含めて、与党の諸君もそうでありますが、請願、陳情がたくさん議長あてに出ているわけです。軍人恩給欠格者の問題でもしかり、抑留者の問題、在外財産の補償の問題でも。これらの陳情、請願というのは、何か記念碑をつくったりあるいは資料のための書庫をつくってもらいたいという希望もないわけではありませんけれども、請願、陳情の主要なものは個人に対する補償といいますか対応といいますか、そういうものを非常に強調しているわけです。それにこたえられるかどうかということが問題のかぎだと思うわけです。
 まだ調査の段階ですから、最終的に関係者全体の意見がどういうものであるかを取りまとめて発表することは無理にいたしましても、先ほどから私が指摘をしておりますように、三つの団体並びに関係個人というのは、それぞれの個人を対象にして、あるいは場合によればその家庭を対象にして問題の解決を図ってくれ、こういうものだと思うんです。
 現に、二、三日前から公報を私も慎重に見ているわけですが、ほとんど自民党の皆さん方、我々野党の議員も議長に対して請願、陳情しているわけです。その意味では各党各会派挙げての要求、あるいは請願というふうに見てもらいたいと思うんです。その点についての皆さん方の理解度はいかがなものでしょうか。
#23
○国務大臣(江崎真澄君) 本来これは官房長官が答える筋合いですし、官房にそういう審議機関を設けたわけでございますが、仰せのように戦後四十年たっております今日、例えば当時二十歳代の人が六十歳代、三十歳代の働き盛りの人がもう七十歳代になっておるということであって、これは特別の給付を期待するというよりも、やはり国家に本当に尽くした、そして非常に国家のために貢献をし、一番働き盛りの重要なときに犠牲を払われた、この努力、功績、こういったものに対して感謝の真心をどう表現するのか、これは今検討をしておる最中でありますが、仰せのようにやはり国家としてこれらの人の国家に奉仕された御努力を顕彰し感謝の誠をささげる、こういった形になってあらわれようかと。
 これもまだこれからの審議段階でございますから一つの推測の域を出ませんが、そういう形で最も有効適切な方法が審議されておると、こういうふうに理解をいたしておるものであります。
#24
○穐山篤君 この三つの大きな問題については、いずれ政府側としての最終的な考え方が取りまとめられると思うわけですけれども、問題は、私が先ほど申し上げましたように、精神的なあるいは精神的に近いもので処理をして終わりということになりますと、これはさらに要求、請願というものがずっと続くと思うんです。もちろん関係団体につきましては、基本的な要求というのは前から明らかであります。それを取り下げるような気持ちはさらさらないとは思いますけれども、戦後処理問題というのも、このまま十年、二十年放置をしておきますと、関係者、関係団体も消滅をしてしまう、そういう時間的な問題もあるわけです。
 したがって、関係者の強い要求は要求にしてみても、お互いに十分話し合って納得できる道を模索をする、その努力が必要だと思うんです。もはやこれは過去の話だから終わりというふうなものであってはならぬと思うんですね。私はそういうふうに思うわけですけれども、その模索の努力というものが、あるいは誠意というものが関係団体、あるいは関係者に大いなる認識を与えると思うんです。したがって、私は強くその点を指摘をしておきたいと思うんですけれども、長官いかがでしょうか。
#25
○国務大臣(江崎真澄君) これは、私もさっき申し上げましたとおり、四十年を経た今日、恩給制度の中に組み入れるということは困難性がある。しかし、やはり国家として十分お説のように要請者の皆様の御意向を十分体して、これはよくわかっておることですから、したがってその御期待に真心をもって誠心誠意どういうこたえ方をしたらいいのか。やはり真心のあり方というものが非常に大事だという認識でございます。十分意見を体して対処していきたいと考えております。
#26
○穐山篤君 いずれ、この問題はずっと続くと思いますんで、私も関係者の一人でありますので、後日また機会を改めて問題を指摘していきたいと思います。
 次に、恩給にかかわる外国政府職員などの職員期間の通算の問題、言いかえてみますと、法人あるいは機関の指定の問題についてお伺いをしておきたいと思います。
 政府側から一応昭和十八年以降の資料をいただいておりますから余り重複するつもりはありません。ただし、歴史的にさかのぼってみますと、昭和四十七年の山中総理府総務長官の時代に、最終処理を行いたい、したがって今まで研究してきたものと、その当時、好意的に見ればこれが最後であるから可能な限り理屈がつくものがあるとするならば指定をしよう、そういう意味で御努力をいただいたふうに私も資料の上では見ることができるわけです。
 そこで、その当時の指定をするに当たって何を根拠にするか、あるいはその根拠になっております背景をどう見るかというものが指定のかぎを握るというふうに思うわけです。そこで、この昭和四十七年当時の資料によりますと、恩給通算の理念として事務当局は、当該機関が外国政府の行政代行機関としての性格を有するかどうか、それから二つ目には当該機関と日本政府あるいは外国政府との間に制度的な人事交流があったかどうか、こういうものを基準にしたやに思います。また、それを基準にいたしまして最終的な指定をしたと思うわけです。
 この考え方は今日も依然として変わっていない、こういうふうに理解をしていいんですか、それともまた、新たな考え方を持つに至っているというのならば、その考え方もひとつ明示をしてもらいたい。
#27
○政府委員(佐々木晴夫君) この外国政府職員、それから外国の特殊法人並びに特殊機関の指定の問題につきましては、今先生御指摘のような経過をたどったわけでございます。
 また、物の考え方といたしまして、恩給法というのはもともと日本国の官吏並びに軍人を対象とするものである。ただ満州国というのは、これは我が国との関係において大変関係の深い機関であった、相互に人事交流が行われておったというふうなことから、種々これらにつきましての陳情があり、三十六年には外国政府の職員の通算、それから三十八年には外国の特殊法人の、つまり三公社同様の機関の指定ということで、その後も種々陳情がありましたけれども、御説のとおり山中総理府総務長官の時代におきまして、昭和四十七年、公社という名称に着目をいたしました七法人の指定を行ったわけであります。
 そのときの考え方は今おっしゃったとおりでありまして、機関の沿革なり、これは行政官庁から移ったのかどうか、あるいは行政代行型の業務をやっていたのかというその業務の内容、それから日本との間の、あるいは政府との間のいわば組織的な人事交流があったかどうかというふうなことに着目してこうした指定を行った、その際の一つのメルクマールが公社という名称であった、こういうことであります。
 現在、新たな視点を持っているかどうかという御質問でありますけれども、これについては当時の考え方は現在もなお生きておるものでありまして、私ども物を検討いたします場合には、そうしたような視点でもって物を考えておるということが申し上げられようかと思います。
#28
○穐山篤君 基準は変えていない。その四十七年の検討に基づいて四十八年と四十九年に若干の指定をして改善したわけです。そこで、政府側とすればそれをもって完結をした、こういうことに一応整理がされているわけですね。
 そこで、私は昨年も指摘をしましたのは、満州棉花協会、それから中華航空株式会社、満州航空株式会社、興農合作社、満州電業株式会社、あえてそれに昨年はつけ加えて問題を提起しましたのは旧国際電気通信株式会社の解散前に退職をした人たちの問題、こういうふうに六つ、具体的な例を申し上げたわけです。
 昨年も、私は参考までに申し上げましたのは、満蒙開拓青少年義勇隊の問題について、これは援護法の対象ではありますけれども、国との使用関係、あるいは軍との雇用関係、そういうものが理論的にもあるいは実際的にも立証されるならば、これは援護法の対象にそれをしないという長年の議論がありました。私も多少の勉強をした結果、雇用関係あり、そういう認定をして改善した過去の例があるわけです。
 そこで、そういう観点からいいますと、今申し上げました七つのものが、関係者は、おれたちは使用関係、雇用関係がありと皆判断しているわけです。ところが政府側は、いや基準に照らしてみてこれは該当しないということで、そこで意見が分かれているわけです。
 そこで、簡単で結構ですから、棉花協会の問題につきましては去年の席上で明らかにされましたので、今私が申し上げました、以下、中華航空、満州航空、興農合作社、満州電業株式会社の問題について若干のコメントをもらいたい、こう思うんです。
#29
○政府委員(佐々木晴夫君) 今具体的に七つの法人についてお話があったわけであります。これは昨年も穐山先生からこの委員会において諸般の御質問あるいは御指摘のあった問題であります。これ、一つ一つの機関の性格なり業務の内容を申し上げるのはいささか時間をとるわけでありますけれども、お話してございますので簡単に申し上げたいと存じます。
 満州棉花協会につきましては、これは要するに綿花の普及改良を図り、それから栽培者の福利を増進するために、まず昭和八年に満州棉花協会、それから十四年二月に華北相産改進会、それからまた華中綿産改進会が設立されたわけであります。主として華南政府とそれから日清棉花協会、それから満鉄等の出資によって運営されて、綿花栽培の指導奨励、それから綿花に関する調査研究等をその業務としたわけであります。
 同様の性格なものに今御指摘の興農合作社がございます。これは満州国政府の監督助成のもとに、農家が加入しました社員の共同の福利を増進し、農事の改良普及を図ることを目的として、十五年に満州国の立法によって設立されたものであり、農業共営それから信用、共同販売、共同購買、利用共済その他の共同事業を行ったわけであります。
 いわばこれは、例えば機関の性格、業務の内容と申しましたけれども、このあたりにつきましては大体連想されるものがおありになろうと思います、我が国の業務につきましても。ちょっと私どもとしては、これは大分国の事業とは離れておるなと、むしろいわば農民が自主的にこうしたものをいろいろと活動をやっておられた。当時の記録を拝見いたしますと、日清の技術者が大変熱心に例えば綿花について普及活動をおやりになって、その結果として綿花の栽培量が驚異的に躍進をしたというふうな記録がございます。ありますけれども、事柄の性質はそうしたように、いわば農家に対する指導は確かにやりましたけれども、国の業務の代行と言うにはいささかどうであろうか、こういうふうな感じを持つわけであります。
 それからまた、別途の系列といたしまして航空会社の系統がございます。中華航空株式会社、それから満州航空株式会社でありますけれども、長々しくなりますのでこれ逐一業務の内容を申し上げませんけれども、ちょうど日本で言えば今のJALつまり日航みたいなものなんですね。あるいはその委託会社みたいなものなんです。そうしたような例えば日本の国内の当時のいわば統制会社、こうしたもの等の通算は日本の恩給ではやっておりません。そうしたものの内容、それから沿革を考えますときに、いささかこれらにつきましてもどうであろうかという感じがいたすわけであります。
 それから、満州電業株式会社についての御指摘がございますけれども、これはいわば電力一元化の政策に従いまして十九年に設立されたものでありまして、発電、配電を統一的に作業したわけでありますが、昔九電力分割前にありました大日本発送電にいささかこれは類似をした機関であります。もちろん満州と我が国との性格の違いがございますから、一概に申し上げられる限りではございませんけれども、そうしたようなものについては、我が国にあっては通算はいたしていない。
 それから、先生のお話しのありました国際電気通信株式会社でありますけれども、これは当時国策でありました東亜における通信自主権の確立を目指しまして、国際電気通信の業務を行うための設備とその附属設備を建設して、これを政府の用に供することを目的として行われたものでありますけれども、これにつきましてもやっている内容は電気通信業務の経営であり、あるいは電気通信の設備、その附属設備、それから保守の請負であり、あるいは電気通信用品の製造販売というふうなことでありまして、やはり政府の行政代行という点からいうならば、これは一線を画する部分があるというふうに私どもとしては今のところ判断をいたしておるわけであります。
 もちろん、なお国会の附帯決議もありますし、私ども検討を怠るものではありませんけれども、今の段階で申し上げれば、当時申し上げたあるいはその後政府として申し上げておる基準から考えましていささかどうであろうかというふうに考えている機関であると申し上げたいと思います。
#30
○穐山篤君 長官、少し私の話を聞いておいてもらいたいのですが、過去の指定の問題について非常に苦慮をしながらなおかつ配慮をしたという点は、私は評価をしているわけです。しかしながら、まだ依然としてそれに準ずるのではないかと思う問題だけが最後に残っているわけです。
 当時のものを歴史的に調べてみますと、日本国の国策としてつくられた、そのつくり方につきましても政府が一定の指示を与えている。それから、当時満州国は日本と満州国との間に協定ができて、満州国の自立、独立というものを認めているわけです。日清の政府間協議によりまして満州国の法律で設立をされた会社もあるわけであります。その場合に、この公社という名前を割合に使っていないところに特徴があるわけですね。
 先ほど局長言われましたように、今までの指定というのは、日本銀行というような話は別ですけれども、そうでない指定はおおむね名称が公社というものに非常に偏っていたといえば語弊がありますけれども、そういう指定が非常に多かったわけです。ところが、最後に残りましたこれらは、協会とか会社とか、公社でない名称を使っているところに特徴があるわりです。したがって私は、もはやこれは最終的な判断の時期に来ているだろうと思いますので、もう一遍関係者とひとつ事務的に折衝をしてもらいたいと思うんです。なおかつ、私どもが持っております資料も提出をしろ、そこで相談をしようということになれば私も協力をいたしますが、まず関係者との間の話し合いというものをひとつ促進してもらいたいと思うんです。
 もちろん、先ほども申し上げましたように、指定をするということが最終的な要求ではありますけれども、その話し合いの過程の中ではいろんな解決の道があろうと、こういうふうに思うわけです。その点長官、いかがなものでしょうかね。
#31
○国務大臣(江崎真澄君) これは今恩給局長が御答弁しましたように、非常に難しい問題も抱えております。
 そこで、恩給通算措置が認められた法人、それから特殊機関ということで十二が既に指定されているんですね。しかし、おっしゃる意味はよくわかりますので、これをやっぱり聞くということは大事なことですね。ただ、聞くことによって余り大きな期待感を持たせても、後何だということでむしろ怒りを買うような、失望感を持たれるということについても、これは政府としては配慮しなければならぬかと思います。聞くことについては、現に陳情があるわけでありますからよく事情を聞くことにやぶさかではございません。
 ただ、過去の経緯からいいますと、非常に余り期待をされても難しい問題ではないかというふうにお答えしておいた方が現段階においては正確だというふうに考えます。
#32
○穐山篤君 話し合いをするときに、先に壁をつくったんでは話し合いの余地というのは非常に難しいと思います。これは政府側が考えております基準から見て要求については少し無理があるよと、お互いに話し合いの中で合意点を探し出すということにいたしませんと、この種問題というのはそう竹を割ったようなわけにいかない。特に、ほとんど今私が申し上げました諸団体あるいは会社は、今まで指定について漏れたと言えば語弊がありましょうけれども、逐次それがおくれて最終的に残ったところであります。衆参両院の附帯決議を盾にとるつもりはありませんけれども、やっぱりその附帯決議の精神を生かして引き続き御努力をいただきますようにお願いしておきたいと思います。私も協力する範囲があれば十分協力をしたいと思っています。
#33
○国務大臣(江崎真澄君) その御趣旨の点は十分承って対処したいと思います。
#34
○穐山篤君 次に、旧日赤救護看護婦、陸海軍の看護婦さんの慰労金の問題であります。
 昭和五十四年発足をした経緯についてはお互いに承知をしているわけですけれども、問題は二つあると思うんです。一つは、毎年毎年恩給にしろあるいは援護法にしろ、年金にいたしましても、それぞれの基準を適用して改善しているわけです。ところが、この慰労金につきましては、その都度政治的な決断をしながら一応のローテーションで引き上げを行っているわけです。扱いが日赤で慰労金という特殊な方法をとっていることについても、私どもも十分承知はしますけれども、まずは他との均衡あるいは生活上のことを考えまして、内容の充実というこの点がまず第一に指摘をしなきゃならぬ問題だと思うんですが、今日どういうふうにこの慰労金の改善の問題について考えているのか、お伺いしておきたいと思います。
#35
○政府委員(橋本哲曙君) 先生御承知のとおり、慰労給付金につきましては戦時中の特段の御苦労に報いるという御趣旨で措置されたわけでございますが、これによって所得を保障するというそういう年金的な性格のものではないということで、従来から増額は困難であるということでしてきたところでございますが、ただ昭和六十年度におきまして、期間も五十四年度以来相当たったということと、さらに消費物価等も値上がりしたということで、慰労給付金の実質価値を維持するということで、過去五年間にさかのぼりまして一二・三%の増額改善を図ったところでございます。一なお、今後の取り扱いにつきましては、六十年度の予算の増額の経緯を踏まえて十分慎重に対処をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#36
○穐山篤君 この慰労金の給付の水準を何と比較したらいいかというのはなかなか難しい問題だと思うんです。しかし、一般的に言いますと、軍との雇用関係は直接はありませんでしたね。職員ということで雇用されているわけですから、身分上なかなかあいまいなところもあって、処理の仕方が通常の恩給とは違っているということをまず念頭に置かなきゃならぬと思いますけれども、例えば実勤務期間十二年未満の音あるいは十二年以上の看護婦さんたちと恩給で言う兵の位の人たちを給付水準で比較してみますと、看護婦の方を一にしますと恩給適用の兵の位の方々は二倍から三・八倍までになっているわけであります。私は単純に比較をするとは言いませんけれども、しかし倍とか三・八倍、四倍に近いというのは余りにも給付水準で格差があり過ぎる、こういうふうに私は考えるわけであります。
 いずれの制度でも、最初つくりますときには金額は少ない、しかし制度がかたまることによって内容を充実するというのは、いかなるものでもそういう性質を持っているわけですね。この慰労給付金につきましても、過去衆参両院の内閣委員会の議論を通しまして、内容を充実するという点と、もう一つは慰労給付金というふうな便宜的なものでなくして何らか一定の制度を図ったらどうか、そういう提案をそれぞれ質問者はしておりまして、政府側の答弁についても、可能な限り勉強させてもらいますと、ある意味で言うと期待感を持つような答弁が去年もされているわけです。
 したがって、今私が申し上げましたように二つ、中身の改善とこの制度化について長官、どういうふうに検討をされているんでしょうか。
#37
○政府委員(橋本哲曙君) 慰労給付金につきましては、当初五十四年度の際に、旧軍人の恩給における普通恩給の額を考慮しながら、実勤務期間の長短に応じて算定したわけでございますが、それを根拠に現在支給しているところでございます。
 なお、昨年来制度あるいはまた増額等につきましても部内で検討するとともに、また旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍の看護婦の代表の方々とも再三御相談をしながら進めてまいっておるわけでございますが、御承知のとおり慰労給付金につきましては、やはり所得の保障を図るという性格のものではございませんので、毎年増額をするということは非常に困難であろうか、こういうふうに考えておる次第でございますが、なお先ほどもお答え申しましたとおり、六十年度の予算の増額の経緯を踏まえて今後とも慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#38
○穐山篤君 去年の四月十六日、衆議院の内閣委員会でこの問題が議論をされておりました。その議事録を読んでみまして、同僚委員から制度的に見ますと慰労給付金でなくして年金的な制度化を提案しているわけです。これは同僚の意見の中には多少ニュアンスの違った意見もありましたけれども、最終的に田中委員の提案に対して当時後藤田長官は、「貴重な御提言だと思います」というくだりがあるわけです。もちろん政府側の基本的な態度というのは、御苦労には感謝したいけれども恩給というものにするつもりはありません。あるいは年金の通算というものにするつもりはありませんということは言いながらも、野党の提案は非常に貴重な考え方であるというふうに受けとめているわけです。したがって、私はきょう結論を求めませんけれども、ここ数年の間の議論を通して、機が熟してきたのではないか、こういうふうに考えるわけです。ぜひ御検討をいただきたいということを申し上げて、本問題は終わりたいと思います。
 それから次に、台湾人元日本兵の問題についてお伺いしましょう。
 前回、堀江先生からも問題の指摘がされましたが、少しまだ抽象的なような感じがしますので、きょうは事務的に少し詰めていきたいと思っております。
 台湾人元日本兵というふうに一般論としては言っているわけですけれども、この定義ですね、皆さん方が研究をしている対象のものは何であるのか、この点がまだあいまいではないかなというので、まずそこから明らかにしてもらいたいと思います。
#39
○政府委員(的場順三君) 台湾人元日本兵という定義の問題でございますが、これは台湾籍の旧日本軍人軍属であった方々というふうに考えております。
 その総数でございますが、これは厚生省の把握しているところによりますと、軍人につきましては約八万人、軍属が約十二万七千人で、合計が二十万七千人ということでございます。そして、これらの方々のうちで、戦争で亡くなられた方が約三万人でございまして、復員された方々が十七万七千人だというふうに厚生省の調査では把握しております。
 このうち、いわゆる政策というか、現在問題になっております補償の対象にすべきではないかということについて、政府としてどういう人をそういうものの対象にするかということを具体的に決めているわけではございませんが、超党派の議員懇談会がございますが、そこにおいて考えられておられる弔慰金、見舞金の支給の対象者というのは、台湾籍の旧日本軍人軍属であった方々のうち、戦死をされたり戦没をされたりした方々約三万人というものを中心に考えていくべきではないかというふうな御意向であるというふうに承知しております。
#40
○穐山篤君 経過的におっしゃられてみますと、日本から行きました台湾総督府が戦争遂行のためにいろんな方法をとられたわけですね。
 一番最初にとったのが総督府の権力、威力でしょうかね、徴用というものがまず始まったわけです。この徴用の主たるものは、力役関係のものもありましたけれども、広東語あるいは北京語を日本の軍隊が余り話せないという意味で、通訳的なものとして徴用を始めたわけですね。これが第一段階です。第二段階は、これまた総督府の誘いによって、志願制度をおまえたちもつくりなさいと言って二つ目には志願をさせたわけです。それから三つ目は、少しそれが、志願制度という意味で、例えば少年飛行隊あるいは少年戦車隊、そういう意味で、日本本土でやっておりましたような身体検査、学力検査、語学、そういうものもほとんど同じ方法でいわゆる志願制度というものが出てきたわけです。一番最後に出てきましたのが徴兵であります。これは法律をもって徴兵ということになったわけです。
 そこで、先ほどお話がありました軍人八万人、軍属十二万七千名というのは、今私が申し上げたいろんなケースの人たち全部を網羅したものであると、こういうふうに理解をしていいんですか。
#41
○説明員(水本鉄二君) ただいま御質問の件でございますが、厚生省が把握しております軍人につきましての八万、それから軍属は十二万七千人でございますが、ただいまの件で、直接軍との関係を持っている方々ということで把握しております。
#42
○穐山篤君 またそこが問題になるんですが、例えば志願のといいますか、三通りあるんですよ。いわゆる台湾総督府の誘い、呼びかけによって、おまえさんたち自主的に志願をして出てこいといって編制した部隊があったわけですね。それから、先ほども指摘をしましたように、非常に厳しい試験を行って少年飛行兵、少年戦車隊、予備学生に志願した者のうち正規に部隊に配属された者、それから別口で高砂義勇隊というのと高砂挺身報国隊、これも志願という方法をとって編制させて部隊に編入している者があるわけです。ですから、こういうものも含まれているかどうか。
 私があえてここを突っ込んで聞きますのは、必ず最後に問題になりますのは、日本国との雇用関係があったかどうか、あるいは台湾総督府との雇用関係、人事交流があったかどうか、それからそこには幾つか師団があったわけですけれども、軍とのかかわり合いがどうかということが最後にもめる原因になるわけですね。解決をしようと思いますとそこまで議論しないと話がつかないわけです。
 そこで、私がくどくも辛くも聞いているのは、この約二十万七千名というのは私が今一つ一つ分析をした者であるかどうか。
 それから、追加して申し上げておきますと、終戦になった後でシンガポール、ボルネオ、その他に、改名しておりますから日本名の台湾人が残っていて、抑留をされておったり、あるいは発見をされて日本本国あるいは台湾に送還されたという者も幾人かいるわけです。そういう者も全部入っているかどうか。
 それから、もう一つ厚生省に伺いますが、台湾人で日本兵の中に戦犯として指定をされた者もあるわけです。処刑をされた者もあるわけです。これらも今の数字、勉強している範囲の中にきちっと入っているかどうか。その点いかがでしょう。
#43
○説明員(水本鉄二君) 軍人につきましては陸軍特別志願兵令それから海軍特別志願兵令、これらによりまして入隊いたしているわけでございますが、軍属につきましては陸軍工務規程それから海軍工員規則、そういったもので採用されているということでございます。
 なお、高砂義勇隊などにつきましても、徴用されまして陸軍部隊に配属されている者につきましては含まれております。また、南方方面で日本名で部隊にいらっしゃった方、こういう方につきましても把握いたしております。入っているということです。それから、戦犯の方々につきましても含まれております。
 以上です。
#44
○穐山篤君 そうしますと、私が概括的に指摘をした範囲の者はすべてこの数字の中に入っている。もちろん、一、二それは不明であるとかそういう者はあるだろうと思いますが、概括的に言えば全部それが対象になっていると。
 そこで、まだ結論が出ていないという話でありますので、考え方だけお伺いをしておきたいと思いますが、この問題の処理いかんによりましては、ある意味では外交上の問題も出てくるでありましょう。あるいは、その他千波万波を呼ぶ可能性も秘めているわけです。ですから、非常に慎重に取り扱わなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、政府側が大いに勉強、研究をするけれども、やっぱりこの問題の解決の方法の一つとして議員懇という名前が上がってきた政治的な背景も私は十分に承知をするわけであります。で、物には順番というものがあるわけですから、すべてなべて何でもかでもこの際解決するということもあるだろうと思いますけれども、何といいましても研究の対象の第一は亡くなった方、それからその次には亡くなった方の遺家族の問題。生存をしている方々の問題につきましてはまた別な問題の提起をいたしますけれども、そこが当面本問題の解決しなければならない大きな話題であろうというふうに私も思いますけれども、そういう方向でいいんでしょうか。
#45
○政府委員(的場順三君) 先ほど申し上げましたように、政府としてどう対応するかという方針を決めているわけではございません。
 この問題につきましては、政府が正式にいろいろ考える前に、大変重要でかつ解決の困難な問題が幾つかございます。その一つはまさしく外交問題でございまして、これはいわゆる日台、日中の問題でございますので、日台間の全般的な請求権問題をどうするか。これはサンフランシスコ平和条約あるいは日華平和条約に基づく請求権問題の取り扱い方、それと日中間の国交回復に基づく日華平和条約の終結というふうな、非常に難しい外交問題が絡んでいるわけでございます。それともう一つは、それとの関連において他の分離地域等にどういうふうに波及するかということも見きわめる必要があると思います。
 それからまた、議員懇談会の方で研究しておられます内容を伺いますと、大体戦死傷された方々及びその遺族の方を中心に考えておられますが、財政負担がかなり必要なように伺っております。これにつきましては、御承知のように既定経費についても節減合理化をするような厳しい財政状況でございまして、その財源の捻出の方法が立たないということもございます。これは鶏が先か卵が先かということがございますが、政府としてその意思を固め、仮に外交交渉をするにいたしましてもある程度財源の見通しがなければいかぬ。財源の見通しを立てるためには、ある程度外交交渉においてそういうことが実現できるというふうな一般的な状況であるということが前提にならなければいかぬというふうなことで、大変難しい問題が相互に絡んでおりまして、政府としてはなかなか態度が決定できないという状況でございます。
 それともう一つ、ちょっと別の話になりますけれども、これは長い経緯のある話でございます。昭和五十二年の八月十三日に、東京地裁に戦死傷の補償につきまして合計十三名の方々から訴えの提起がございまして、一審、二審が終わりまして、現在最高裁で訴訟が係属中である。国は被告の立場でこの訴訟の当事者の一方として深く関与しているということがございます。これは最高裁の判断をまつ必要が当然ございます。
 そういうこともございまして、この問題、大変重要な問題であると思いますけれども、難しい問題があり、政府としていまだ、かくかくしかじかの人たちを対象にかくかくしかじかの方法で何かをやるということが決められない状況は御理解いただきたいと思います。
#46
○穐山篤君 きょうは連絡会議の一員であります大蔵省と外務省に来ていただいておりますけれども、何かコメントすることがありましたならばおっしゃってもらいたいと思います。
#47
○説明員(浅見敏彦君) この台湾人元日本兵の問題につきましては、穐山先生、十分問題点御高承のとおりでございますし、ただいま内閣審議室長からその問題点について御説明がございましたが、単に財政上の問題のみならず、外交上あるいは国内上大変な困難な問題を抱えているわけでございます。
 しかし他方、ただいま最高裁で係争中という話が審議室長からございましたが、先生御承知のように昨年八月に東京高等裁判所におきまして判決がございました。これは台湾人元日本兵等に対する補償請求についていわゆる控訴棄却の判決をしたわけでございまして、ちょっとコメントさせていただきますと、戦争被害については国がどういう補償、救済を行うか、それは戦争放棄を定めている憲法の全く予想していないところであり、いかなる補償、救済措置を講ずるか否かは国の政策にゆだねられた事項であるということで、法律上の補償義務はないとしたわけでございますが、他方この判決では、これも御承知のように、予測される外交上、財政上、法技術上の困難を超克して、早急にこの不利益を払拭し、国際信用を高めるよう尽力することが国政関与者に対する期待であると、いわゆる付言があったわけでございます。
 こういったこともございましたので、昨年暮れの予算編成の最終段階におきまして政府、与党等でいろいろ議論がございました。そして、ただいま内閣の方からございましたように、最高裁判所において係争中であるのでこの最高裁判所の最終的な判断をまつ必要があろうというのが一つと、他方、本問題の処理は穐山先生の御指摘のように超党派の大変強い御要望でございますので、この検討は六十年度よりも度合いをさらに強める必要があるのではないか、こういう御議論がございまして、それを踏まえまして、厳しい財政事情でございますが、六十一年度におきましては総理府に検討経費、台湾人元日本兵問題企画検討経費という名称でございますが、二千万円を計上いたしまして、六十年度に初めて計上されました五百万円を若干さらに深めた検討をしようということになったわけでございます。
 そして、この六十一年度の予算におきまして、政府部内におきます問題点の整理検討等を引き続き行うことはもとよりでございますが、台湾側の事情が許しますならば、民間団体あるいは真に必要な場合には与野党の関係議員の方の御参加も考慮しよう、こういったことによりまして台湾紅十字会の実情でございますとか一般的な生活状況等の調査等を行おう、こういった予算措置を講じたところでございます。よろしく御理解を賜りたいと思います。
#48
○穐山篤君 非常に配慮しなければならぬ問題がたくさんあるということにつきましては承知をしておりますが、ただ関係者に十分納得してもらうためには物事に節目をつけておかなければならぬ。そういう意味で、以下二つほど問題を明らかにしてもらいたいと思うんです。
 八月十五日に終戦になり、それから降伏文書に署名をしたのは、たしか昭和二十年の九月二日であります。その後、台湾を当時は中華民国にお返しをする、そういう授受式が行われたのが昭和二十年の十月五日に記録上はなっているわけです。
 さて、そこで問題が二つある。一つは、財産の問題と兵隊に行きました台湾人の貯金の凍結の問題がある。きょう郵政省がおいでになっていると思うんですが、強制的にさせられました貯金の凍結は今日どういうふうに扱われているのか、その凍結をした法律あるいは根拠というものはどういうものであったのか、その点を明らかにしてもらいたい。
#49
○説明員(舘野忠男君) 台湾の軍事郵便貯金でございますが、これはまず現在高から申し上げます。昭和六十年三月末現在でございますが、口座数が約六万口座、現在高が約二億一千百四十万円となっております。この台湾住民の有する郵便貯金でありますが、他の財産請求権の問題と実は同様に、日華平和条約に基づきます特別取り決めを結んで処理する、こうなっておったわけでありますが、先生御案内のとおり、昭和四十七年日中国交正常化に伴いまして、この特別取り決めが締結をされないままにこの条約が終了したということから、これは未解決になっているわけでございます。
 台湾の郵便貯金の問題でありますが、これにつきましては他の財産請求権問題との関連がありますために、関係各省庁間で従来意見の調整を図ってきたわけでございますけれども、いまだ解決に至っていないというために、その支払いを保留してきているところでございます。しかし、郵政省としましては、台湾の郵便貯金の債務、これは履行すべきであると考えておりまして、引き続き関係各省庁間で意見の調整を図り、この問題の解決のために努力をしてまいりたいと考えております。
#50
○穐山篤君 今日、日本は中国と国交樹立をしておりますが、この日華平和条約が発効になりました昭和二十七年は、蒋介石主席の政権と条約を締結しているわけですね。この条約の第三条に財産及び請求権という項が残っているわけです。いずれ問題になると思いますから読み上げておきたいと思いますが、
 日本国及びその国民の財産で台湾及び膨湖諸島にあるもの並びに日本国及びその国民の請求権(債権を含む。)で台湾及び膨湖諸島における中華民国の当局及びそこの住民に対するものの処理並びに日本国におけるこれらの当局及び住民の財産並びに日本国及びその国民に対するこれらの当局及び住民の請求権(債権を含む。)の処理は、日本国政府と中華民国政府との間の特別取極の主題とする。国民及び住民という話は、この条約で用ときはいつでも、法人を含む。
こういうふうに文書には残っているわけです。
 これが少しややこしいと思いますのは、当時は旧台湾総督府の責任者、長谷川大将でしたか、との関係を見ますと、台湾を中華民国にお返しした。その意味では日本と台湾または台湾人との従来の関係はそこで切れてしまう。そこで、財産の問題や軍事郵便貯金という問題がややこしくなるわけですね。
 この点について、佐藤総理大臣の国会におきます答弁、それから宮澤外務大臣が昭和五十年二月二十八日に外務委員会で答弁したものを見ますと、政府が努力しなければならぬことにはなっているけれどもというところで全部話が切れているわけです。そこに問題をややこしくしている状況があるわけですね。
 歴史的に言えば、その請求権問題を含めて平和条約が結ばれた直後に、直後にですよ、全部解決しておりさえすれば問題がなかった。今日は中国との間に国交が回復して平和条約も結んでいるために問題を非常に複雑にしているという歴史的な経過があるわけです。
 最終的にこれは連絡会議で御相談をすることになると思いますが、今の郵便貯金の凍結の問題も、これも何らかの配慮をしながらも解決を図っていきませんと問題をまた複雑に後まで残してしまう、こういう気持ちがするわけです。
 それを今訴訟に保っております財産問題と同じ枠の中で考えるのか、あるいはその訴訟に保っているものと軍事郵便貯金の凍結の問題とは別にして問題を処理しようとするのか、その点を明確にしておきませんと、みそもくそも一緒にしておきますと問題をまた後に残してしまう、こういうふうに思うんです。
 きょうはきちっとした答弁にはならないと思いますけれども、長官どんなもんでしょうかね、ひとつ御見解を。
#51
○国務大臣(江崎真澄君) この問題は、本当に私も重要な問題であると認識しております。それからまた、国際信義の上からいいましても、未解決でほっておくことについての一体それでいいのかという大変難しい問題でもあります。
 それから、今お話しのように、郵便貯金の凍結、これも二億円余ですが、現在に換算すれば一千億円以上になりましょうし、こういう問題もはらんでおる。それから、係争中の財産の問題はどうするんだ。それから、現実に日中国交正常化がなされ平和条約も締結されたと、非常に細かい分析での御質問のとおりでございまして、一層問題を複雑にしております。したがって、今私が責任のある答弁をここで本当に申し上げかねることも御推察願えると思うんです。
 なるがゆえに、総理大臣の官房審議室長を議長として、そして台湾人の元日本兵の問題を、関係各省庁にまたがります、今いろいろ各省庁から答弁がありましたようにですね、これはやはり十分国際的信義を踏まえ、また二つに分かれておるというこの複雑な状況も考慮しながら、そうかといってじんぜんほっておける問題ではありますまい。しかし、今ここでの答弁はちょっと私自身にも、まあそのための審議会でございますから、今しばらく時間をおかりすることによって、御指摘の点などを踏まえ、また今私もお答えしながら、非常に問題は複雑であり、なかなか解きほぐすことの困難な問題である。しかし、じんぜんほうっておけることでもなかろうということを思いながらお答えしておる次第でございますが、もうしばらく時間をおかりいたしたいと考えます。
#52
○政府委員(的場順三君) 取りまとめの衝に当たる者としてちょっと補足をさせていただきますと、台湾人元日本兵に対するいわゆる請求権の問題とそれから軍事郵便の問題と両方あわせて検討しているのは事実でございます。この問題二つを考えますと、いずれも全般的な日台間の請求権の問題にかかわるという意味においては、外交上同じような共通の問題があるということは事実でございます。もう一つの方の財政上の問題になりますと、これはもともと債券はこちらでお預かりしているわけでございますから、補償の問題とは若干異なるという点はあろうかと思います。
 しかし、政府として、いずれにしろいろいろな問題とのかかわり合いがございますので、これからはよく諸先生方の意見も伺いながら検討していく問題であるということでございます。
#53
○穐山篤君 それぞれ難しいという分析もあるし、道義的な見地から早急にやるべきである、しかし外交上の配慮もしっかりやらなければならぬ。それから、千波万波を呼ぶこともこれは間違いないものだと思う。どういう千波万波があるかということも、私も多少の研究をさせていただいています。ですから、慎重に扱わなければいけませんけれども、我が日本国政府あるいは日本の議会としてそこに誠意を持つとするならば、この問題の解決の促進に当たる必要があるだろう、こういうふうに思います。
 この問題につきましては、また改めて別な機会に、党としても研究をしておりますので改めて問題の提起をしておきたいというふうに思います。最終的に官房長官見えると思いますんで、官房長官の意見も後ほどお伺いをしておきたいと思っております。
 さて、次に恩給本来の問題であります。
 恩給の位置づけ、性格ですね、これは毎回議論があるところでありますけれども、やはりこれは確かめておかなければならぬ問題だと思うんです。これは国会の中でも恩給とそれから年金というものが性格の面でも議論がされました。それから、給付の水準についても議論がされているわけであります。それから、例えば最低保障額を引き上げるという場合に、常に片側に年金の最低保障というものをにらんで議論がされ、最終的な金額が決まる、こういういきさつを持っているわけです。それと同時に、この恩給というのは将来的に見ますと該当者が消滅をするという特別の事情もありますから、これは時間が来れば解決するというふうに言う人もあろうかと思いますけれども、今私が申し上げましたような幾つかの要素でどうしてももう一遍確かめておかなければならぬと思っています。
 それをあえて補強するという意味で言うならば、ことし四月一日から全面的に改正になりました各種年金、国民年金、厚生年金あるいは共済組合年金というものをつくり上げる過程で、社会保障制度審議会なりそれぞれの審議会が恩給と年金とのこともしっかり考えたらどうか、その中には性格の問題も含まれているし、水準の問題も入っているやに私は考えるわけです。そういう意味でこの恩給というのは何だろうかということについて改めて質問します。
#54
○国務大臣(江崎真澄君) 御承知のように、恩給の性格とか定義というものは一定しておりません。これは恩給法で別段に格別規定はされておりませんが、一番重要な点は国家に奉仕されたその労苦に対する国家的補償の意味、これが一番大きく他の年金その他と変わっておる点であるというふうに思います。
 したがって、公務員が相当年限忠実に勤務して退職した場合、公務による傷病のために退職した場合、または公務のために死亡した場合において国がその者との特殊な関係に基づいて使用者としてその公務員またはその遺族に給付する、これも詳しく言えばそういうことになりましょう。そしてまた、死亡後における生活の支えとなるものである、これは一つの大きな理由だと思います。
 したがって、相互扶助の精神に基づいて一定の拠出を行う、保険数理の原則によって運営されているいわゆる社会保険、それから資産その他あらゆるものを活用してもなお生活に困窮する国民に対して最低生活を保障する公的扶助、そういう考え方においては全く相違があるわけであります。これは冒頭申し上げた国家の補償的意味が非常に強い、この点が一番特徴であるというふうに考えております。
#55
○穐山篤君 時間の関係もありますので、それでは給付の水準という意味でお伺いしますが、去年八月、概算要求をされたわけですね。それから最終的に予算の確定というのは年末に決まった。
   〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕
そこで、概算要求のときの物の考え方あるいは恩給の予算の組み立てと今出されておりますこの法律案との間に考え方の相違はなかったかどうか、その点いかがでしょうか。
#56
○政府委員(佐々木晴夫君) これは全くございません。去年の国会で先生から五十五年のときの思想とその後変わっているのではないかという御指摘をいただいたことも承知をいたしております。
 恩給の最低保障というのは、四十一年に発足をいたしまして、大体他の年金のバランスを見ながらいろいろと検討してまいったわけでありますけれども、五十五年の段階で実は厚生年金が五年後の例の財政再計算によるところの見直しということでぼんと上がったものですから、そこで恩給独自の方式をとった時期が一時あるわけであります。
 ただ、仮定俸給は、これは御承知の賃金の要素でもって直してまいるということとそれから最低保障の上げ方が隔離しますとどうも大変難しいと、いろいろと御批判もありましたものですから、五十七年以降は御承知の回帰分析方式によるところの仮定俸給の引き上げ、そのうちで一番率のいいところ、つまり下位号俸の俸給の引き上げ率をもって最低保障を上げるということにいたしまして、その以後はそれを踏襲いたしておりますものですから、去年の概算要求の段階でもこれは五・三%アップということを考えておったわけでありまして、最終的な予算の決着も同様なことで決着をいたしたわけでございます。
   〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
#57
○穐山篤君 さてそこで、恩給というのは性格的にいうと国家補償である、片方の年金というのは保険の原則なり相互扶助の原則というものが入っていますから違いがあると。そのことはまあいいとしても、給付の水準あるいは最低保障を決める場合にどうしても問題になってきますのは、片方は物価スライドである、片方は賃金スライドである、こういう問題がこれからも発生をしていくわけですね。
 今まではどちらかといいますと、恩給の例えば長期者の場合でもそうでありますけれども、従来、まあ今回もそうですけれども、厚生年金の方の最低保障額の上げぐあいを考えて、こちらが恩給の方に持ち込んで今回も提案されておるわけですね。これはもうそのとおりなんです。で、将来を考えるとどうなるのか。片方は賃金スライドで、片方は生活を考えるにしてみても物価スライドというものがほぼ中心的な考え方になる。そうすると、従来使っておりました厚生年金の方の最低保障の上がりぐあいをかりてくるという作業はなかなか難しくなる。逆に言いますと、この際政策的な見地から、恩給の方で上がる最低保障額というものを年金の方に引用したらどうかと、こういう仮説が成立をするわけです。
 そこで長官なりにお伺いするわけですが、将来今の私のような物の考え方が現実に発生するわけですね。そこで、将来をどういうふうに考えるのか、その点いかがですか。
#58
○政府委員(佐々木晴夫君) 今おっしゃいましたように、他の公的年金にありましては、昨年末に成立いたしました共済年金が物価スライドになることになったということをもって、すべてがこれ物価スライドという体系に移っていったわけであります。そこで、恩給だけが公務員給与の改善率に準拠をするといういわゆる賃金スライドの方式をとっていると、それが果たして適当であるかどうかという御論議は、これは御承知のように臨調あるいは行革審、さらには昨年の当委員会を初めとする国会の附帯決議、こうしたものによっていろいろと指摘をされてまいっておるわけであります。先生がおっしゃいますような、このバランスをどう考えていくのか、スライドの仕方をどう考えていくのか、これは私ども非常に重要な検討課題であるということで、国会の附帯決議を受けましてただいま検討いたしているところなんであります。
 ただ、今給付水準がどうなるかという、まあ仮に恩給が賃金スライドを続け、それから他の年金が物価スライドを続けた場合にどうなるかというお話につきまして一言だけちょっと申し上げさせていただきますと、ほかの年金にあっても例の少なくとも五年に一遍はこれ財政再計算があるわけですね。そこで賃金なりその他の要素も一応考慮しましてこれを調整するわけなんです。したがいまして、それ自体として大きく乖離をするということではないんだと思いますけれども、ただ先ほども申しましたように、やはりどうも恩給だけが賃金スライドということについては理屈の面としていろいろと詰めてみる必要があると。私どもそういう観点から、ただいま懸命になりましてこのあたりの問題につきまして内部的にも論議し、それから関係者の方々とも御相談を申し上げるということで、検討作業を続けておるところでございます。
#59
○穐山篤君 非常に示唆に富んだ答弁でしたね。ことしの例でいきますと、年金の方は三・八%のスライドで四月一日からいろんな政令が決まっている。それでこちらの恩給の方は平均五・三%。そこで少しずつ給付の水準において格差が生じる。で、これをしばらくそのままやっていきますと、仮にこの方法でとっていきますと格差というのは拡大をする要素になる。そこで、今お話がありましたのは、単純に国家公務員の賃上げ率をそのまま適用することの可否についてまあ検討に値するということを言われました。これはもし仮にそういうものが採用されるということになりますと、今度は恩給というのはそもそもどういう性格がという性格の問題にもう一遍戻る可能性を持っているわけです。私はそれ以上申し上げるつもりはありませんけれども、十分にその辺を考えて来年に対処をしてもらいたいと、こういうふうに思っております。
 官房長官、せっかくおいでいただきましたんで二、三申し上げておきたいと思います。時間の関係がありますから台湾の元日本兵の問題だけ申し上げます。
 先ほどからこの場で細かく詰めたわけですが、この問題の解決のためには配慮しなければならない数々の問題がある。それは外交上の問題もあるだろうし、財政上の問題もあるだろうし、あるいはその他の配慮すべき問題もあるということはもうお互いに共通になったわけです。しかし、これだけの政治的な課題を何とか改善しよう、解決しようといって腰を切った問題です。したがって、もうここは日本政府なりあるいは日本の国会が十分なし得る範囲において誠意を示すべき段階に来ていると、いろいろ質疑応答の来そういうことを申し上げているわけです。じんぜん日を送りますと問題をなおかつ複雑にしますよということを申し上げたわけです。
 そこで官房長官、このいわゆる台湾元日本兵問題というのには、大別して言えば、いわゆる軍人軍属の問題があります。それから財産の補償の問題があります。それから軍人郵便貯金が凍結をされている問題があります。この三つを問題にしたわけです。まあ十分状況はのみ込んでおられると思いますけれども、全力を挙げて解決の道を探す、誠意を持って改善に当たるということが何といってみてもこの問題のポイントになるだろう、こう思うわけですけれども、取りまとめとして官房長官の見解を伺っておきたいと思います。
#60
○国務大臣(後藤田正晴君) この問題は、かねてから与野党の皆さん方からも一刻も早く解決をすべき課題ではないかという御指摘があり、そしてまた、実際問題として戦後の問題でこれは未処理になっているわけでございますね。したがって、それらを踏まえまして政府としても何とかこれは解決しなきゃなるまいと。ただ、一方では今御承知のように極めて機微な外交問題が絡んでおりますし、それから同時に、今裁判所の判決待ちの状況でもあるわけですね。私は、財政問題はこれは踏み切るべき筋合いのものだろうと思います、これだけならば。しかしながら、なかなか厄介な問題があるわけでございますが、いずれにせよこの日台間の全般的な請求権問題がこれそのままになっておるわけですね。
 こういったような課題がありますので、穐山さんのおっしゃるように何らかの解決をする時期ではないかというお気持ちはよくわかるのです。わかるのだけれども、また私どもも台湾に関するこの問題だけは、私は前向きにこれはやっぱり政府としては対応すべき大きな課題であるという認識のもとに、しかし一方、今言ったようななかなか踏み切れない事情もあるのだということも申し上げさせていただいて、政府としては何らかの形で誠意を持って解決したい、こういうつもりであるという程度でひとつお許しをいただきたいと、こう思うわけでございます。
#61
○穐山篤君 今御答弁がありましたからそれ以上言うことはないと思いますけれども、いろいろなことを考えて、政府が口も出せば金も出す、そういう扱いがいいのか、あるいはその他の方法がいいのか、いろんな解決の方法があると思うのです。私は、一々きょうは提案をしませんけれども、賢明な方策をとることが必要であろうということを申し上げておきたいと思うのです。
 それから、最後になりましたけれども、特殊法人の問題について若干指摘をしておきます。
 この行革で、特殊法人の問題につきましては閣議の決定も幾つかありました。それと同時に、政府の指導監督も行われております。あるいは行監の立場から言えば点検もしておりますし、国会でも議論がされている。ところが、依然として言われている天下りというものが後を絶たない。渡り鳥、都鳥というのが、調べてみますと、もう何回以上はいけませんぞという指導があるにもかかわらず、それからもなおかつ渡り鳥が続いているわけですね。資料はきょう持ってきておりますけれども、申し上げません。
 それから賃金の問題、退職金の問題についても一応の閣議決定、指導が行われております。しかし、退職金を調べてみますと、びっくりするようなものもまだ残っているのです。数字は申し上げません。これはもう何とかしないと、特殊法人に天下っていれば生活は楽だというふうな風潮が出るとすれば、これは好ましいことではないというふうに思うのです。その都度退職金をもらって、合算しますと一億円に近い金をもらっている人もあるのですよ。これは政労協の発表でもしかりであります。
 それから、これらの問題についての官房長官なり総務長官の考え方を聞かしてもらいたいことと、それから会計の問題について、会計基準について従来まちまちであったわけです。特殊法人、公社、公団、事業団など過去のいきさつがあるわけですが、いろんな会計制度をつくっていた。そこで、企業会計制度を採用するようにということで指導が行われ、最近行政監察という意味でこれの点検が行われたわけです。
 その報告書もいただいておりますのでこの中身は申し上げることもないと思いますけれども、さてそこで抽出調査をされた結果、全体的にもっと指導をすべきものも若干あるやに私も思うわけですけれども、この人事、賃金、退職金、会計というものについて、再三再四国会で指摘をされた問題でありますので、まとめてひとつお考えをお伺いしたい、こういうふうに思います。
#62
○国務大臣(後藤田正晴君) 特殊法人の役職員の人事の問題は、かねてから非常にこれはやかましい問題で、政府は過去何回か是正措置を講ずべしということでやっておるわけです。例えば、特殊法人の役員の半分は役人上がりでない者、つまり半々ですね、人数をそれに抑えるとか、あるいは年齢を何歳で抑えるとか、あるいはいわゆる渡り鳥ですね、俗称渡り鳥、これも、あれたしか二回まででしたかね、何かそういう制限をつけるとかいうことで、実は私きょう御質問あるとは思わなかったのです。
 しかし、ついせんだってこの御質問が国会であるということで、私副長官から説明聞きました。そうしましたら、いやそれほどになっておりません、きちんとだんだんよくなっておりますから御安心いただきたい、こういう報告を聞いているのです。実は特殊法人の役員人事というのは、内閣の了解大事になっていますから、全部私のところでチェックするわけでございます。したがって、大体は私は今までの閣議決定の線に沿って扱っているのだと理解をいたしておりますが、きょうは来ておりますから、具体的にまた私の後でお答えをさせたいと思います。
 なお、退職金等の額についても是正措置をいたしておりますので、そういった内容は事務当局からお答えをいただきたい。
 いずれにせよ、御指摘のような非難がいつまでもあるということは、これは非常に残念なことでございますから、閣議で決定した線はぜひ守らせていきたい、かように思っておるわけでございます。
#63
○政府委員(荘司晄夫君) ただいま御指摘の、いわゆる渡り鳥と言われております、私どもは転任役員というふうに言っておりますけれども、内閣での調査でございますが、これは五十四年十二月の閣議了解の規定に基づきまして、二回以上は厳に禁止をする、それから適材を選任するという見地から真にやむを得ないものであっても一回限りというふうな基準で運用しておるわけでございまして、私どもでの調査でございますと、従来見られました特殊法人を二回以上といいますか、いわゆる三つのポスト以上を転任するという方は現在は全くなくなっておるわけでございまして、例外的にやむを得ない場合に認めるという一回限りの転任者、これも現在では従来に比べまして相当少なくなってきておるわけでございまして、五十三年一月一日現在、いわゆる渡り鳥の役員三十九名でございましたけれども、本年の四月一日現在では十九名というふうな状況になっておるわけでございます。
#64
○政府委員(竹村晟君) 特殊法人の会計処理の問題でございますが、これにつきましては特殊法人の活性化を図る、その方策の一つといたしまして昭和五十九年の十一月に勧告をしております。それから約一年たちました昨年の秋の段階で、その勧告の改善状況の回答を求めております。関係省庁あるいは特殊法人におきましては、大体この勧告の線に沿いまして改善が進められております。
 ただいま御質問にありましたように、調査した法人、これは二十四法人でありますが、それ以外を含めまして類似事項は改善する、そういうことになっておりまして、大体指摘事項の約八割、これが六十一年度の決算までには改善される、そういう予定になっております。こういったことを通じまして会計処理の標準化を進めていくというふうに考えております。
    ―――――――――――――
#65
○委員長(亀長友義君) この際委員の異動について御報告いたします。
 本日、峯山昭範君が委員を辞任され、その補欠として服部信吾君が選任されました。
    ―――――――――――――
#66
○委員長(亀長友義君) 引き続き質疑を行います。
#67
○太田淳夫君 それでは、恩給に関する質問を昨日に引き続いて行わせていただきますが、その前に、今同僚委員から特殊法人の問題について質問がございましたので、それに関連しまして私もお聞きしたいと思うのですが、この特殊法人の活性化ということで今会計基準の統一のお話もございました。特殊法人につきましては、十分その役割というものを見直しながら、これからの日本経済の作勢のためにもそれぞれが持っているところの特色を発揮できるようにこれはしていかなきゃならない、私たちもかねがねからそういった意味の改革を提案申し上げてまいりました。
 きょうのいろんな新聞報道を見ますと、この臨時行政改革推進審議会の特殊法人問題等小委員会、ここで一応今月の末に公表する報告書の中心の部分となる十二の特殊法人の改革案をまとめた、こういうことが各紙に一斉に報道されているわけでございますが、これについては長官は御承知でいらっしゃいますか。
#68
○国務大臣(江崎真澄君) ここに私もその写しを持っておりますが、日本の新聞というのは非常に競争が激しいものですからそれぞれ取材をしておるようであります。当然これは基本的な見直しが必要な個別法人の活性化のための方策を小委員会が見直しを行ってきたわけですね。そこで、この活性化をどうするのかという点については非常に重要な問題だと思います。統廃合とりやめ、統廃合はゼロだとか、大変具体的な問題が提起されております。しかし、既に十月以来数十回にわたって検討を行ってこられた、その結論でありまするので、四月末に一応の報告が出るというふうに私ども承知をいたしております。
 これは小委員会の報告ですね。したがって、まだ検討中のもので、しかしそうでたらめが出ておるわけでもないでしょうから、相当な根拠に基づいたものであろうと思いますが、正式に報告は受けていないわけであります。したがって、小委員会の報告、そしてその集大成をした五月末の総合報告と最終的なとりまとめ、こういう段取りで進められておりますので、この新聞記事等は私も十分見ておりますので、我々の側の意見は意見としてこれまた話をしながら、いい結論が得られるような努力を私どもも続けなければならぬというふうに考えております。
#69
○太田淳夫君 当然そうなるべきだと私たちも思います。ただし、ここにもいろいろと報道されておりますように、各省庁とかあるいはいろいろな部分の抵抗が非常に強いということがありますように、大体ここに報道されているような方向になってしまうんじゃないか。こうなりますと行政改革も前進どころか後退をするんじゃないか、こういう感じが私はしてなりません。
 せんだっての予算委員会におきましても、行革審から御答申ありました公益法人の問題につきましても私から御提案を申し上げました。これも、公益法人もたくさん各省庁ございますが、それぞれが今委員会で問題になったような休眠法人をつくり出したりなんかしておりますけれども、それぞれ何か一つ一つ役割があってそれができているのだと思いますし、そういう適正なものか不適正なものかチェックを進めながら、そして適正なものについては税制等、いろんなこれは機能を加えながら民活推進のために大きな役割を担ってもらうように進めていくべきじゃないかということで御提案申し上げた。
 この特殊法人についても、私たちはずっとかねてから言ってきたわけでございまして、民活担当大臣としての大臣の、これらの特殊法人が今までのような親方日の丸的な存在じゃなくて、あるいは財投計画にしましてもこれから大きな見直しをしていかなきゃならない、そういう時点に立ちまして、こういうものがさらに各省庁の縄張り争いの中でいろいろと改革がおくれていくということじゃなくて、さらに力を発揮できるようにしていくべきじゃないかと思うんですね。確かにこういう特殊法人の中にも、民間の資金を活用しながら、民間資金と力と手を携えながら、これは民営化されるものもまだまだこの中にはあると思うんですね、持っていきようによりましては。
 そういった意味で、大臣としても先ほどお話しありましたけれども、さらにこの答申が出たときにはしっかりとした討議をして、国民の期待されるような行革の方向に、いろいろと批判されないように、そしてそれぞれの特殊法人がさらに機能を発揮できるような方向にぜひとも持っていっていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
#70
○国務大臣(江崎真澄君) 全く私は同感でございまして、今まで臨調、行革審以来、これ随分思い切った措置をとっておってもらいます。ただ、こういう特殊法人などの見直しになりますと、総論ではわかっておっても、各論になるといろいろ利害が絡んで、各省庁というよりも議員の間でも各論については意見が分かれるというようなことで、非常に答申をする側においても苦労しておられると思うんです。
 したがって、私どもも十分そのあたりを踏まえまして、御趣旨の存するところは極めて重要でありますので、審議会にもちろん委託をしておることでありますが、やはり意を通じながら、本当に合理化努力がなされ能率的ないい特殊法人の結果が得られるような答申を期待するものであります。御趣旨はよくわかりました。
#71
○太田淳夫君 それでは、恩給の問題につきましては、これも当委員会で既に問題点として指摘されておりますが、一点だけ私たちも納得がどうしてもいきませんものですから、再度我が党として主張しておきたいと思いますが、公務員給与の勧告が四月実施であったのが完全実施をされないで七月実施となった。それを受けて恩給も七月実施ということになったわけでございますが、これは五十九年度は三月実施ということで、いろんな政治的な御配慮もあったと思うんですけれども、やはりこういう七月実施になったから恩給もそれに倣って七月実施ということではなくて、やはり四月実施なら四月実施ということでこれはやる。私は実施時期はそうだと思いますし、あるいはさらにもう一歩考えますと、公務員給与が決定したときに同時に恩給も改正されるようにこれはすべきじゃないか、こう思うわけです。
 特に公務員の方々も、完全実施をしないために今までもいろんな生活の面でいつでもマイナス面があったことは、一昨日も同僚の委員からも指摘があったわけですね。それと同じように、やはり恩給を受けてみえる皆さん方の大部分も、やはり恩給の額が低いために、一つにはその引き上げということを期待されておりますし、またいろんなそういった抑制の面であるとかあるいは実施時期がおくれるということによりまして、生活面のダメージも大きくなっているわけでございますから、ぜひとも恩給の問題につきましては、そういう人勧が七月になったから、あるいは九月になればまた九月というようになってしまうんでしょうけれども、そういうことじゃなくて、四月なら四月実施にする、あるいはもう一歩進めば、さっき申し上げましたように人勧実施と合わせてこれが法改正できるように、あるいはさかのぼってやるとか、そういうこともやはり恩給を受けられる皆さんの生活を守るという観点からぜひともこの見直しをしていただきたい、そう思うんですがどうでしょう。
#72
○政府委員(佐々木晴夫君) 太田先生のお話はまことに私ごもっともだと思うわけであります。恩給の場合、公務員給与と若干違いますのは、これは実質価値を維持するために前年度の給与の改善率によりまして当該年これを引き上げているわけですね。実質価値維持であると、一年おくれという御批判はありますけれども、要するにそういう指標であるということで私どもその運用をしておる。したがいまして、できることならばこれは六十年度公務員給与の改定率によりまして六十一年四月から実施をしたいというのが本音のところであります。それがまた筋だと思います。
 ただ、本年度の場合には、これ御承知のように大変な財源難でありまして、六十年度、現職公務員のベースアップすらこれ三カ月おくれになった。それほどの財源難の時代に、やはり恩給につきましても三カ月おくらさざるを得なかったということでありまして、その意味では大変申しわけなく思いますけれども、できるだけ私どもとしては四月実施に持っていきたいということは希望いたしておるわけであります。今回はそれが残念ながらできなかった、こういうことであります。
#73
○太田淳夫君 次に、旧日赤看護婦さんの皆さん方の慰労給付金についてでございますが、昨年は慰労給付金の制度が設けられまして初めて一二・三%増額が図られたわけですが、こういった受給者の皆さんからすれば、当然これは恩給の増額と同様に毎年その額が増額されていくことを切に望んでみえると思うんです。昨年の恩給法の審議の中でも、藤波官房長官は、実質価値を維持していくことは十分に心得ており、今回増額した経緯を踏まえ将来の問題として受けとめたい、こう述べられているんですけれども、今回、昨年の経緯を踏まえられて、政府部内で実質的価値の維持のためにどのような検討がされてきたのか、それをちょっとお答えいただきたいと思います。
#74
○政府委員(橋本哲曙君) 慰労給付金につきましては、戦時中における特段の御苦労を慰労するという特別な措置でございまして、これによって所得の保障を図るという年金的な性格を有してないということで、従来から増額が困難であるという考えに立ってまいったわけでございますが、ただいま御指摘の点につきましては、昨年から慰労給付金の内容あるいはまた改善等につきまして部内で検討するとともに、かつ旧日赤救護看護婦及び旧陸海軍従軍看護婦の代表の方々と数度にわたりまして懇談を開きまして、会員の方々の御要望とかあるいはまた代表の方々の御意見等をお聞きいたしたわけでございますけれども、いずれにいたしましても先ほども申し上げましたように、五十四年度の措置を講ずる際に、御苦労に対して御慰労するということでございまして、所得の保障を図るという年金的な性格でないということで、なかなか、内容の改善あるいはまた増額等については、現在検討中でございますが困難であるというような考えに立っている次第でございます。
#75
○太田淳夫君 最後に、先ほど御答弁がございましたが、戦後処理の問題で、六十年度の調査で、恩給欠格者など三万人を対象にしてアンケート調査が行われたと、そしてそのアンケートを今集計中であるけれども、こういうようなアンケートにしては非常に成績がよかったという御答弁がありましたけれども、このアンケートの対象者の中ににやはり非常に高齢者の方もおみえになりますし、あるいは恩給欠格者の方だったとしますと恩給を何とかもらえるんじゃないかという期待を持たれてこのアンケートにお答えになっている、あるいはというような感じもしないわけではないんですけれども、要するにアンケートの内容を十分に理解できずに、個人補償がなされるんじゃないかという期待を持ってお答えをされている方もおみえになるんじゃないか。
 これは前回もちょっと申し上げたと思うんですけれども、そういうような感じもするわけですが、もしもそういうような感じをこのアンケートの中で持たせたということになりますと、政府としても責任を感じられる、あるいはぜひともそれは実現に向かって調査の結果をもとにしながらやっていくんだと、その点の決意はどうでしょうか。
#76
○政府委員(田中宏樹君) 先ほどもちょっと申し上げたんですが、多少誘導にわたるんではないかという批判を招きかねないとは思いましたが、私どもの政府の立場といいましょうか、懇談会の報告そのものも、広く一般の方といいましょうか、対象の方でございますが、御理解いただいているというふうにも思えませんので、こういう報告書の内容でございますよと。それから、総理府としては、この報告書の趣旨を尊重し、特別基金の事業としていかなるものが適切であるかについて検討しているところであります。つきましては、皆様方に対して、項目的には三項目、現在の生活状況、さきの大戦とのかかわりぐあい、それからもう一つは特別基金が行うべき事業内容につきましての御意向、期待というもの、こういう三点につきまして調査させていただきますという断り書き、お願いを入れまして調査したところでございます。
#77
○国務大臣(江崎真澄君) この問題は今総理府から御答弁したとおりですが、総務庁としても十分御趣旨を体して、協調しながら検討を続けてまいりたいと思っております。
#78
○太田淳夫君 終わります。
#79
○柳澤錬造君 最初にお聞きをしていくのは、恩給局の職員というのは何人いらっしゃるのかということなんです。なぜそういうことを聞くかということは、どうも職員の数が足りないからなかなか処理が大変なんではないだろうかという感じを持ちますんで、もう大分たって今ごろになってそんなこと言っても遅いかわかりませんけれども、手が足りないならば、ふやすというわけにもいかぬだろうけれども、他から応援求めるなり何なりして迅速にやはり処理をしていただきたいと思うんでお聞きするんですが、その点はいかがですか。
#80
○政府委員(佐々木晴夫君) 六十一年度の恩給局の定員は五百二十名でございます。今、先生の御指摘は、傷病恩給の裁定事務に関係する職員の数はどの程度かというお話であろうと思いますけれども、これは一昨日も申しましたように、最初の初度審査、それから総務庁長官に対する異議申し立て、このあたり全部合わせますと九十五名を配しております。恩給は御承知のようにもろもろの種類があるわけでありますけれども、ウエートとしては相当高くこれを配置いたしておると思います。
 ただし、私どももしばしば恩給の裁定事務のおくれということの御批判を受けることがございますんで、私どもとしてはその時期に応じまして、これは業務量の繁閑がやっぱり相当あるんです、時期に応じまして私どもとしては職員を機動的に配置して、これからも迅速、的確な処理を進めたいと、このように考えておるわけでございます。
#81
○柳澤錬造君 これは一昨日もちょっと触れたことなんですが、恩給局長名で却下をした人の、昨年の十月二十九日に却下をしたのですけれども、その中に「当局顧問医の鑑定によりまして」という言葉があるわけなんです。私はこの本人にどこの医者に診てもらったのかと言って聞きましたら、だれにも診てもらっていないと言うんです。それで、最初のときに、あすこの昔の第一陸軍病院、今は医療センターですか、あすこへ行ったときに、レントゲンを撮って、あとはわずか数分間診てもらっただけだと言うんです。それで、ここもあすこもってこういうふうにもっと診てくださいと言ったら、おれはプロなんだからおまえにそんなこと言われなくたって一日診ればわかるんだといって、五分あっかなかったぐらいの時間しか最初のときに診てもらっていないんです。それで異議申請して、今度は恩給局長名でこうやって「当局顧問医の鑑定により」と言って、御本人はだれにも見てもらっておりませんと言うんだけれども、そこは局長、どういうことになっておるんですか。
#82
○政府委員(佐々木晴夫君) これは率直に言いまして私どもの言葉遣いも余り一般的でない言葉を使っておるという反省点は確かにあるんだろうと思いますけれども、私どもの仕組みについてちょっと誤解をしていらっしゃる様子があるんです。と申しますのは、傷病恩給の請求に当たりましては、恩給給与規則というのがございまして必要な書類を書いておるわけでございますけれども、請求書のほかに、在職中の履歴書、それから罹傷病についての現認証明書、それから症状経過書、それから請求当時における診断書といったようなものの添付をお願いすることになっておるんです。それが今おっしゃいました国立病院医療センターでもって恩給診断を受けたという、そういうことなんであります。
 そこで、これをもとにしまして私どもは、これは全体で専門分野別に十五人の顧問医というのを委嘱いたしまして、本当にこれは公務によって罹傷したものか、それからその公務傷病の現症に占める割合はどの程度のものか、それからその障害の程度はどの程度のものかというのを逐一御判断を願っておるんです。主としてこれはレントゲンをもって顧問医に御判断願うというふうなことであります。元軍医の経験者の方もいらっしゃるわけであります。で、それは今申しましたようにその請求される方を直接見るんじゃございませんで、恩給診断書に添付されました恩給診断書の内容並びにレントゲン写真を中心として御判断願う。要するに、私どもの恩給局において、こうしたものの傷害の程度なりそれから公務との関係ですね、こうしたものを判断するために顧問医に御鑑定を願っておるということでありまして、これは一切御本人をお呼びしてやっているわけじゃございませんということであります。
#83
○国務大臣(江崎真澄君) これは私は非常に重要な問題だと思いますよ、御指摘はね。ですから、顧問医に特にかかった場合に、顧問医はやっぱりこっちが委嘱しているんですからね、余り応対が横柄ですと、それは本当に戦争による傷病関係の人というのは非常に不愉快になりますね。この応対の問題については、今局長の答弁はよくわかりますが、これはやっぱり配慮すべきだと思いますね。私ども聞いておりまして、長官としては、顧問医も恩給局の顧問としてやはり禄をはんでおる以上は、そういたけだかにならないでやっぱり国家の功労者に対するそれなりの、専門家ではあろうけれども、専門家の権威を言われることは結構だが、丁寧に応対する。やっぱりよく役所の窓口の応対が許認可の問題でもいろいろトラブルを生むように、特に私、問題の性格上これは今後気をつけるようによく局長とも相談いたします。
#84
○政府委員(佐々木晴夫君) 委員長、ちょっと補足させていただけませんか、恐縮であります。
 今、長官の御発言ございましたんですけれども、顧問医と接触するのは実は私どもだけなんです。それで今、先生やっぱりちょっと誤解をしていらっしゃるのは、これは今恩給診断を受けますときにお医者さんがこれは検診をなさいますよね。そのときにその応対がぶっきらぼうだというお話があるんです、実は。ただしこれは、私どもは例えば病院とその委託の契約をいたしておりますけれども、これは実は私どもでその統制がなかなかつかない、そのあたりが誤解を受けている要素ではないかと、これはまあ大変恐縮でありますけれども。
#85
○柳澤錬造君 その人は恩給局の方に、出向いていって十分説明しますから聞いていただきたいんですということを申し上げたそうです。しかし、とうとうお呼びもなしで、それで恩給局長名でさっき言った却下がされているわけです。
 だからその辺が、異議申請を出されてきた人ぐらいせめて、大変だろうけれども、皆さん方が呼んでいろいろ話を聞いて、何だかんだね、そしてそういう中でもってどうなんだという判断を下すぐらいの配慮があってほしいと私思うけれども、私が何人かなにした中でだれも恩給局から呼び出しを受けた人はいないんだけれども、どうしてそういうふうに聞いてやるという気になれないんですか。それで、レントゲンの写真一枚なんかでもって判断ができるはずないんですよ、そんな四十年も前の。動脈瘤だって見つからないでしょう。それだから往々にして、この間もどなたかの例もあるけれども、動脈瘤が破裂してしまってからもう病院へ担ぎ込むような形であって。
 ですから、一昨日も長官から非常に心のこもった御答弁をいただいたんですけれども、その辺がやっぱり大事なところなんですけれども、どうしてもと言う人はお呼びになって当時の状況も聞く、それでそういうものを直接会って聞いておれば、局長だってうそを言っているか本当のことを言っているかぐらいの判断もつくと思うし、そういうことをおやりになるお気持ちにはなれないんですか。
#86
○政府委員(佐々木晴夫君) 今おっしゃることは、それは私にもわかるわけであります。そこで、私自身お越しになった方と応対をいたしたことがございます。何分にも全国的に多数の方でありますから逐一お呼びするわけにはまいらないわけでありますけれども、御照会がありましたものにつきましては、これは事務屋の話でありますけれども、できるだけこれはお答えするようにいたしておるわけなんであります。
 今先生、恩給局に行きたいと言ったけれどもそれを許してもらえなかった、呼び寄せなかったと、こういうお話ありますけれども、それはその方の訴えによりますと、実はこれまたちょっと誤解があるんですけれども、そこの恩給診断を受けた病院でもってそういうことをおっしゃったそうですね。でありますけれども、私どもとしては、その書類でもって一応見て、もし御照会があればいつでもできるだけのお答えはするということで今まで事務を運営しているわけでございます。
 なお、今後とも親切な、きのう長官からもおしかりがありましたけれども、できるだけ温かい気持ちでもってこれからもやっていきたい、このように思います。
#87
○柳澤錬造君 局長も自分の役柄いろいろそれはわかりますですよ。しかし、裁判官が犯罪人を裁くような気持ちでもって見ないでほしいと。一昨日も言ったように、この人たちはみんな自分の意思で行ったんじゃないんですよ。国家から召集かかって、兵役に服して戦争に行って、そしてけがをした人たちでしょう。だったら、もう少し思いやりの心を持って、それとあらゆるベストを尽くして、もうこれ以上やる方法がない、レントゲンも撮って医者もやった、何もやった、あらゆる手を尽くしてもうこれ以上あなたにはやる方法がないけれども、残念ですが申しわけない、もう傷病恩給の支給対象にならないから御勘弁いただきたいと言うならば、何もこれは私はみんな言わぬと思うんですよ。
 それは一昨日の長官の話があるように、金のことでこの人たちはみんななにしているわけじゃないんだ。それで、だからこそ若いときはみんなそうやって恩給なんかの請求はしないできたのが、年をとってくる、体がどこか痛くなってくる、後に残った家族のことを考えてと言ってこれをやっているんですからね。しかも現実に、今あなたはそう言われるけれども、名前言いませんけれども、この人というのは、病院でわずか数分間しかという人は、そちらへちゃんと言っているはずなんですよ。出て行くから私の話を聞いてください、そして説明を聞いていただきたいと言ったけれども、とうとう恩給局からは呼び出しがなかったと言っているんです。
 ですから、頼むからもう少しやっぱり人間味のある思いやりのある心を持って、そして対応して扱っていただきたいと思うんです。
#88
○国務大臣(江崎真澄君) これは何遍も御答弁しておるように、恩給局長できのいい方です、この局長は。ところが、窓口の対応に当たる者は戦争の実態を知らぬ連中です。そうなみと、やっぱり官尊民卑というか、役所の通弊として何か物ごいにでも来たような扱いをする者がないとは言えない。だからこれは注意せにゃいかぬのです、局長たる者が責任を持って。その辺が御趣旨の存するところでしょう。これは私も十分心得て、今後恩給局の対応というものが間違わないように、今おっしゃるように、国から強制されて、そして異常な中で国のために、また国民のために大変な犠牲を払ったその人たちだということを念頭に置いての対応と、そういうことでなしに、何か文句を言いに来た者の取り扱いというような応対とではこれは大変な違いですから、やっぱり窓口としては懇切丁寧、これは大事なことですね。これはよく局長も聞いておりますし、十分配慮をしたいというふうに考えます。
#89
○柳澤錬造君 終わります。
    ―――――――――――――
#90
○委員長(亀長友義君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、鈴木省吾君及び矢田部理君が委員を辞任され、その補欠として海江田鶴造君及び安永英雄君が選任されました。
    ―――――――――――――
#91
○委員長(亀長友義君) 引き続き質疑を行います。
#92
○内藤功君 恩給局にお尋ねいたしますが、昭和六十年度で恩給を請求する申請人の数、申請件数ですね。それから異議申し立ての件数、それから総務長官に対して審査請求をする件数、これらはどのくらいか。
 また、もう一つはそれぞれの手続の平均月数あるいは年数ですか、それはどのぐらいというふうに把握されておるのか。
#93
○政府委員(佐々木晴夫君) 今六十年度の恩給の請求件数についてのお問い合わせがございましたけれども、これは傷病恩給の関係であろうと推察をいたします。
 傷病恩給の関係で申しますと、初度請求並びにその後重症の請求が六十年度で千七百八十五件、それから再審査請求、これは五年ごとの有期の傷病恩給につきまして、五年ごとに再審査を出してくるものでありますけれども、これが二千四十九、それから異議申し立てが行われたものが六百十五、それから審査請求件数というのが、これは総務庁長官に対するものでありますけれども、二百七十九件というのがこれが件数であります。
 それから、大体どの程度の処理期間を要するかということにつきましては、これは事柄がいろいろなものがござい良して、例えば実査をするとか、国立病院で改めて検診をするとかいったようなものもありますものですから一概には申し上げられないんですけれども、私どもは原則的に初度請求並びにその後重症の請求につきましてはほぼ六カ月程度、それから異議申し立て並びに不服審査関係といいますか、総務庁長官に対する審査請求については大体三カ月程度をめどに私どもとしては努力をいたしておるということであります。
 なお、平均的な今の手持ちに対してどの程度に一応なるかというふうなことになりますと、大分六十年度処理をいたしてまいりまして、それよりもやや少な目の平均処理日数でもって処理をすることができるようになっておるということを申し上げておきたいと存じます。
#94
○内藤功君 窓口の人は一生懸命やっているんだろうと思うんですけれども、また総務庁の発行した文献を拝見しますと、総務庁が国民向けPR用につくった「わかりやすい恩給のしくみ」というのを読んでみますと、「恩給局に請求書類が提出されると、直ちに内容の審査に入ります。審査は原則として提出された書類について行われます」と、建前はあなたのおっしゃるようにそうなっているんだけれども、私のところにこの一年間の間に、いろいろスピーディーでないと、何でこんな待たせるのかというのが幾つか来ております。
 ここに手元に持ってきたのは京都のある方ですが、六十年一月三十日の申請で六十一年三月五日、これはまあ結果として棄却と。これは陸傷第何号というふうに書いてありますね。もう一つは福岡県の方でありまして、五十九年八月十七日に出されて六十年十二月に棄却と。まあ手元にこういうのがありまして、私どもこれは具体的に恩給局にいろいろ陳情申し上げ、いろいろきつく申し上げたような案件ですけれども、こういうのが実態として非常に多い感じがするわけですよ。
 さっき柳澤議員の質問では、人間はかなりいるように言ってますが、人間がもし足りないならこれはきちんと要求しなきゃならぬ問題でありますので、ここらあたり実態と現実というものが非常に違っているというのが私どもこの何件か取り扱った人間の感想としてあるんです。ここらあたりはもう少し、案件にもよりましょうけれども、スピーディーにやるという面ではいかがなんでしょうか、お考えは。
#95
○政府委員(佐々木晴夫君) おしかりの点につきましては、私どももこれから重々心がけてさらにその努力をいたしたいとは思います。
 恩給診断で先ほど仕組みをちょっと申し上げましたけれども、よくわからない場合に検診をすることがあるんです、改めて御本人に検診をしていただく。それから、あるいは実査をすることがあるんです、公務傷病について本当にそうであったかどうかという点。そうしたようないろんな特異なケースもありまして一概には申せないんですけれども、私ども努力目標としてそうしたようなことをやっておりまして、それともう一つは、有期の審査が五十九年から六十年にかけて大変多かったんです。そういうことで若干時間をとらせた部分が一応あると思いますけれども、私ども今後ともこれはできるだけ迅速に処理をいたしたい、そのような努力を続けるつもりでございます。
#96
○内藤功君 この点の長官のお考えをお聞きしたいと思うんですが。
#97
○国務大臣(江崎真澄君) これは私どももいろいろ頼まれて今まで実際にお願いをしてきたことがありますが、長いですな、実際。もっと本当に迅速にやれないものか。それは、問題を指摘するというとなかなか難しいんだと。まあそれはやっぱり戦後四十年たってますからね、それが一体どういう原因に発するものかということもよく調べなければならぬ。今ここに書類を私にも見せてくれておるところなんですが、そこで手間暇もかかるということですが、少なくとも三カ月以内には処理し、幾ら長くても五カ月内には何とか回答をする、まあこう言っておりますから、今後そういう線で十分御納得のいくような対応をするように、これはやっぱり簡素にして能率的な官庁づくりをするのが総務庁ですから、その恩給局がどうも遅滞を続けるということじゃこれはよその省に対しても示しがつきませんから、御趣旨を体して十分局長とも相談してまいりたいと思います。
#98
○内藤功君 そこで関連しまして、公務上災害の問題についてお伺いをしたいと思うんです。
 私は、昨年の四月二十三日、十二月十七日、二回の当委員会で質問した問題なんですが、いわゆる脳心と呼んでおります脳卒中、急性心臓死などの公務に起因することが明らかな疾病、これは人事院規則一六−〇、別表第一第八号ですね、これに認定するための基準についての見直し作業、これ人事院今お進めになっているわけですが、人事院としては本年に入ってからどのようにこの作業をお進めになっておるか。また、一応の結論を得る時期の見通しはいかがでございましょうか。
#99
○政府委員(中島忠能君) 昨年の末に御質問がございましまして、総裁から特にその問題については急ぐようにという指示がございまして、私たちも年度末、年度の初めの忙しいときに、できるだけ時間をつくりまして実は検討しておるわけでございますけれども、その検討の内容と申しますのは、一つは現在までにいろいろ認定された事例がございます。その設定された事例につきまして一つ一つこれを詳細に分析するということが一つでございます。もう一つは、裁判例がございますので、その裁判例というものを現在の私たちが既にお示ししております指針と突き合わせまして、私たちの指針というものにつきましての検討材料にさせていただくということを現在やっておるわけでございます。
#100
○内藤功君 時期の見通しは。
#101
○政府委員(中島忠能君) この検討につきましては、実は労働省の方でも同じような検討をしておられますので、労働省と密接な連絡をとりながら検討しておるわけでございますけれども、一昨日も同僚議員の方から社会労働委員会で御質問があったようでございますけれども、まあ一年以内にはひとつ結論を出そうじゃないかということで現在やっておるわけでございます。
#102
○内藤功君 労働省に伺いますが、労働省では、昭和三十六年二月十三日、基発一一六号業務上外認定基準、この見直し作業はどういうふうに進んでいて、見通しはどんなふうになっておりますか。
#103
○説明員(清水尚武君) お答えいたします。
 今、先生御指摘の急性循環器系の疾患の業務上外の認定基準でございますけれども、今おっしゃいましたように、三十六年に策定をいたしまして相当期間も経過しておるわけでございます。現在、専門家による見直し検討を行っておりまして、これまでに医学面からの問題点等の検討がなされてきたところでございます。
 現在、具体的な認定の要件を設定する段階に入っておりますけれども、そのために参考となる事項、つまり脳血管疾患及び虚血性心疾患ごとに、疾患の分類でございますとか病態の分類でございますとか、危険因子つまりリスクファクターの問題でございますとか、発症原因、さらには発症の機序でございますとか、診断基準並びに労働が及ぼす影響等について鋭意御検討を専門家による検討会議でいただいておるところでございます。
 検討項目が今申し上げましたように大変広範囲にわたっております。したがいまして、できるだけ早く結論を出すようにお願いをしておりますけれども、おおむね一年ぐらいの時日を要するんじゃないだろうかというふうに見通しておるところでございます。
#104
○内藤功君 今後一年ですか。
#105
○説明員(清水尚武君) はい。
#106
○内藤功君 労働省の部内誌の「労働基準広報」という雑誌の四月十一日号を拝見しますと、労働省補償課の談として、「災害主義に固執しているわけではない」と、「認定基準全般について大幅な書き換えが行われることは間違いなさそうだ。」というふうな記事も見られるわけです。大体間違いないですか。
#107
○説明員(清水尚武君) この点につきましては、多少その誌は書き過ぎの部分がございますけれども、脳卒中、急性心臓死等の疾患につきましては、その素因または基礎疾病が原因で発症することが多うございます。業務と発症との因果関係を判断するに当たりまして、業務による負担が相当程度に明確になし得るものとして、現在の認定基準においてはいわゆる災害的な要件を掲げて斉一的に認定を図るということにいたしておりまして、このことにつきましては今後とも踏襲することになろうと思いますけれども、しかしながらかねてから先生御指摘のとおり、昨今の労働環境が変わっております状況でありますとか、あるいは三十六年に設定をいたしました認定基準、その後の医学的知見の進歩、積み重ね等がございますので、災害的要因以外にも敷衍化できるものがないだろうか、全国斉一的な認定が確保し得る認定要件の設定が可能かどうかということも含めまして、現在専門家の先生方に御検討をいただいておるところでございます。
#108
○内藤功君 私は、昨年の四月二十三日当委員会で、今お話しの最近の行政解釈に批判あるいは反対の判例約七十四件の一覧表を人事院にお渡しをしたところであります。私はこれが大勢だと思うんですね。その上、本年の二月二十八日に大阪地裁の民事第二部の判決が出たんです。これは、夜間警備員の方が勤務中脳幹部出血で死亡された事案であります。これは業務上災害と認定されたわけですね。労働基準監督署長は本件疾病は業務上じゃないと言ったんだが、裁判所で取り消されたという事案なんですよ。
 それで、この判決の中では特に、長時間継続的な深夜業、仮眠場所が不完全、連続十五時間以上の勤務、一夜に八十回以上車を乗りおりして工場、倉庫の点検を行うというような「相当過酷な勤務条件の下で長期間就労した結果、本件疾病の発症当時、睡眠不足と精神的ストレスによる肉体的、精神的疲労が蓄積していた」という、こういう事実認定の前提のもとに、「本件疾病を発症したのは、同人の基礎疾病がその一因をなしているとはいえ、これに同人の右業務が共同して、」「その症状を急激に増悪させ、症状の進行をはやめた結果によるものと認めるのが相当である。」と。それで、いわゆるアクシデントの存在は因果関係の判定の上に一つの要素だが、「アクシデントの存在が不可欠なものとまでいうことはできない。」と、こういう立場に立っておるわけです。七十四件のこの批判的判例の流れに沿うものなんですね。これがつい二月二十八日にも出ておる。これは一番新しい事例であります。
 本判決に対して労働省としては、被告の立場にある労働基準監督署長としては、控訴期間内に控訴はなさいましたですか。
#109
○説明員(清水尚武君) お答えいたします。
 この件については控訴いたしておりません。
#110
○内藤功君 控訴断念の理由は何かということと、当然これは本省の御判断、御指示によるものと思いますが、その点いかがですか。
#111
○説明員(清水尚武君) お答えいたします。
 この判決では、業務上の事由の認定につきまして相当因果関係を前提として認めておると私ども判断しておりますし、また本件事実について、基礎疾病と業務との間に共働原因があると認定されておるというふうなことも同時に私ども読んでおるわけでございますが、控訴した場合には、判決の中で認定をしました事実についての評価が私どもの評価と違っておるということがございます。ところが、何せ相当時日も経過しております事案でございまして、私どもこれをさらに控訴して新しい事実をつかむということは極めて困難であろうという立場から、控訴いたしておりません。
#112
○内藤功君 私は、本件について控訴断念の措置は結論において正しいと思うんですよ。これはいいと思うんです。今後とも同種事案の判決に対しては、基本的にこのような態度で臨んで、災害を受けて死傷した人と家族が、長期裁判で財産上、精神上の苦痛を重ねることがないようにするという態度をとることを要望したいと思うんですが、いかがですか。
#113
○説明員(清水尚武君) この業務上外の認定につきましては、現在の認定基準でも言っておりますように、業務と災害との間の相当因果関係を精査に調査いたしまして判断いたしていきたい、このように考えております。
#114
○内藤功君 ところで、労働省の労働基準局は、昨年の十月二十二日に出版された労働基準局編著の「労災保険 業務災害及び通勤災害認定の理論と実際」の下巻の中で、最近行政解釈に対する批判が強く出されていること、判例の中にも行政解釈に批判的なものが出されていることをお認めになっておる。これは二百三十三ページです、ここにコピーがあります。それから「たしかに、このような場合の業務上とは業務と疾病との間に相当因果関係が存在することであるということからすると、業務上の災害的事実の存在が相当因果関係成立のために理論上不可欠な要件であるとは必ずしもいえないであろう」、これは二百三十四ページ。
 非常に私はこの二つの部分を、新しい本ですが、注目しているんです。ということは、労働省自身の編著でもってこれだけ認定基準をかたくなにできないということをここで示しているものと思います。もちろん言い方は非常に控え目ですが、私はこれは非常に注目している。そして今度、大阪地裁のあの判決への控訴を、理由はいろいろ言われたけれども、しかし結論において控訴しなかった。これは私は正しいことだ。こういう点からいけば、速やかにこの認定基準を見直すように私は再度強く要望したいと思うんです。
 これは特に国家公務員にこういう事故が非常に多いんです。きょうは時間がないから言えませんが、非常に多くて、裁判を起こせば救われる、裁判をいろんな関係で断念した人はそのままいわば泣き寝入りというケースが多くて、裁判を起こさなきゃ救えないというのはいかにもこれは気の毒なんですね。裁判所へ行けば勝てる、認定基準が狭いから現場の実施機関では勝てない、これが国家公務員の場合にあるんです。それは国家公務員は、人事院はあなたの方のあれと協力してやっていると言うんだから、密接に連絡しながらやっていると言うんだから、これは特に速やかに結論を、しかもより柔軟な結論を出すことを要望したいと思うんです。
 それで、人事院に再度伺いますが、以上のような労働省の今の状態でございますが、人事院としては私は決してそうじゃないと思うが、労働省の立場にただ追随するだけじゃなくて、何十万、何百万の国家公務員の命を預かっているところでもありますから、自主的な立場で積極的に公務員独自のやはり今の作業を進めて、基準の見直しをされることを要望したい。国家公務員のこの問題についてむしろ範をまず示すというような気持ちも必要なんじゃないかと思うんですが、その点、総裁なり局長なり、いかがですか。
#115
○政府委員(中島忠能君) いろいろ御議論がございまして、労働省の方のお考えも聞かせていただきました、先生のお話もよくお聞きいたしました。私たちも現在勉強しておるわけでございますけれども、先生がおっしゃいますように、人事院というものは中立、独立の機関でございますから、それなりの自主性を持って仕事をしていかなきゃならないというふうに思います。ただ、問題が理論的に労災の場合とそれほど異なるものではない、むしろ理論的には同一視すべきものだと思いますので、仕事の仕方といたしましては、労働省の方とよく連絡をとりながら、できるだけこの仕事が速やかに達成できるように私たちも努めてまいりたいというふうに思います。
#116
○内藤功君 総務庁長官に最後に御所見を伺いたいと思うんですが、余計なことを言うようですが、前長官の後藤田さんは、昨年の四月二十三日の答弁で、この種の認定が乱に流れてはいけないが大変厳しい、もう少しゆとりというか、思いやりのある処置をとることが望ましいのではないかと、かような考えでございます、要旨こういう答弁を前長官はしておるわけなんです。
 江崎大臣は、与党の有力な政治家であるとともに豊富な大臣経歴を持っている、公務員の現場の方の仕事ぶり、健康問題というのはおとといの答弁でもよく御存じの方だと私は思うんですが、裁判をしなければとれない、裁判をすればとれる。しかし、裁判がいろんな条件でできない人はもう実施機関で非常に狭い認定基準で棄却されておる。この実態があるので、基準そのものを見直すというのは、これはもう当然の今の流れだと思うんですが、これに臨む長官のお考え、基本的な御決意というものをお伺いしたいと思うんです。
#117
○政府委員(手塚康夫君) これは技術的な面もございますので、多少政府サイドとしての観点を申し上げたいと思うんですが、確かに今伺っておりまして、現在の国家公務員災害補償法、これを見ましても必ずしもはっきりしない点がございます。アクシデントが法律上完全に必要になっているかというと必ずしもそうではございません。公務上の負傷あるいは疾病というふうに言い切っている規定もございます。
 ただ、理論的に第一条で公務上の災害は負傷、疾病、または死亡をいうというこの辺がおかしいんだという理論がございます。災害の「害」が負傷、疾病、死亡に当たるんであって、その前に「災」、アクシデントがあるべきであると、そういう理論で大体三十年代からずっと来ているとは思います。ただ、こういう考え方は欧米の災害補償理論も参考にしながら打ち立てられたものでございます。それで、当時の医学的な観点から言いますと、公務とあるいは負傷、疾病、死亡との関係を直接に結びつけるのがなかなか医学的に難しい面もあったんではないかというふうに私は考えます。
 三十年代に比べますと、アクシデントに対しましても、当時は種かで短時日のものでなければいけないということを言っていたわけですが、最近はかなり長期間のものも認めてきているわけでございまして、確かに裁判所との関係においてはまだ乖離があると私も思いますが、実際上の発想としては、考え方としては一つの理論としてアクシデントを置く、そうするとそのアクシデントをどう理解するか、それと公務との関係、疾病との関係、それをどう理解するかという点が一つ問題ではないか。
 そうなりますと、やはりこれはかなり専門的な問題になりますので、人事院並びに労働省の検討を待って政府としても対処していかざるを得ない、そういうふうに考えているところでございます。
#118
○国務大臣(江崎真澄君) この災害補償制度というものは、公務員が安んじて公務に従事することができるような環境づくり、そういう意味合いにおいて大変重要な御指摘だと思い壊す。後藤田長官がお答えしておる趣旨もそんなに間違ったことを言ってないんで、やはり認定は確かに難しいでしょうが、ゆとりのあるという表現でしたかな、何か少し幅を持ちながら温情のあるやはり対策も必要ではないか。それから速やかな結論を得ること、これはやっぱり遺家族の立場などを考えれば、なるほど心臓疾患であるとか脳血管障害であるとかという問題での死亡等はなかなか難しい面もあると思いますが、温情ある幅のあるやり方で現実的に対応する。
 これは人事院においても近代医学を駆使しながら判断される最終的な事項になりますが、裁判をすればそれが成就する、立場を考えて黙って引っ込めばそのままになってしまう、そういう不公平のないように、これはやはり幅のある判断、やはり後藤田前長官の言っておることは私は正しいと思います。
#119
○委員長(亀長友義君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。
 本案の修正について内藤君から発言を求められておりますので、この際これを許します。
#120
○内藤功君 私は、本案に対し修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。これからその趣旨について御説明をいたします。
 政府原案は、恩給年額等の改定を人事院勧告の実施時期を四月から七月におくらせた公務員給与改定に連動させるという不当なもので、恩給受給者に一方的犠牲を強いるものであります。恩給額の改定については、公務員給与の水準だけでなく、国民の生活水準や物価その他の諸事情の変動に対応して改定すると定められており、この趣旨に沿えば恩給額の改善は人事院勧告を基礎にするのが当然であります。これが本修正案を提出する理由であります。
 次に、修正案の概要を説明いたします。
 一般文官及び旧軍人のすべての仮定俸給額、普通恩給等の最低保障額、公務関係扶助料の最低保障額、傷病恩給の基本年額、傷病者遺族特別年金の増額を昭和六十一年四月から実施することとしております。扶養加給の増額及び恩給外所得による普通恩給の停止基準額の引き上げも同様の措置としております。それぞれの増額引き上げ幅は政府原案どおりであります。
 なお、本修正に伴う必要経費は二百十億円と見込んでおります。
 委員各位の御賛同をいただき、恩給生活者の切実な願いにこたえるため、本修正案を可決されんことを要望いたしまして、趣旨の説明を終わります。
#121
○委員長(亀長友義君) ただいまの内藤君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。江崎総務庁長官。
#122
○国務大臣(江崎真澄君) 本修正案につきましては、政府として反対であります。
#123
○委員長(亀長友義君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#124
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、恩給法等の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成、原案に反対の討論を行います。
 その理由は、恩給の改定を人事院勧告の実施時期を三カ月値切った公務員給与に連動させたことであります。恩給法二条ノ二では、国民の生活水準、国家公務員の給与、物価その他の諸事情に著しき変動が生じた場合には変動後の諸事情を総合勘案して速やかに恩給額を改定すると規定しております。この規定からも明らかなように、恩給額の改定指標を公務員給与の改定だけに限定していないのであります。人事院勧告の値切りを理由に恩給額の改定時期をおくらせるという根拠は全くありません。人勧値切りの公務員給与に恩給の改定を連動させた政府の措置は、明らかにこの法の趣旨に反するものであります。
 政府原案は、老後の生活を支える重要な施策の一つである恩給の改定を不当に値切り、二百二十万余の恩給受給者の切実な願いを踏みにじるものであり、到底賛成できないのであります。
 修正案は、人事院勧告に従い四月実施とするものであり、賛成であります。
 以上、修正案に賛成し原案に反対する理由を述べて、討論を終わります。
#125
○委員長(亀長友義君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより恩給法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、内藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#126
○委員長(亀長友義君) 少数と認めます。よって、内藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#127
○委員長(亀長友義君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 野田君から発言を求められておりますので、これを許します。野田哲君。
#128
○野田哲君 私は、ただいま可決されました恩給法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党、各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について速やかに検討のうえ善処すべきである。
 一、恩給の改定実施時期については、現職公務員の給与改定時期を考慮し、均衡を失し  ないよう配慮するとともに、各種改善を同時期に一体化して実施するよう努めること。
 一、恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等を図るとともに扶助料の給付  水準については、さらにその実質的改善を図ること。
 一、恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。
 一、外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定
  分の件について再検討を加え適切な措置を講ずること。
 一、恩給欠格者等の処遇について検討すること。
 一、かつて日本国籍を有していた旧軍人軍属等に係る戦後処理の未解決の諸問題につい   ては、人道的見地に立って速やかに検討すること。
 一、旧満洲国軍内の日本人軍官の処遇問題について検討すること。
  右決議する。
 以上であります。
#129
○委員長(亀長友義君) ただいま野田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#130
○委員長(亀長友義君) 全会一致と認めます。よって、野田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、江崎総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。江崎長官。
#131
○国務大臣(江崎真澄君) ただいまの附帯決議につきましては、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。
#132
○委員長(亀長友義君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#133
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時七分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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