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1985/01/30 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 本会議 第3号
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1985/01/30 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 本会議 第3号

#1
第104回国会 本会議 第3号
昭和六十一年一月三十日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  昭和六十一年一月三十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十七日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。小野明君。
   〔小野明君登壇、拍手〕
#4
○小野明君 私は、日本社会党を代表し、中曽根総理並びに関係大臣に対し質問を行うものであります。
 我が国が無謀な侵略戦争に破れ、平和で民主的な社会の建設に廃墟の中から立ち上がってから四十年が経過いたしました。明治維新から言えば三つ目の四十年の節目であります。こうした歴史的転換点に立って今求められていることは、「戦後政治の総決算」と称して戦後改革の成果を否定し、経済大国から軍事大国への道を歩むのではなく、二十一世紀を前にして、進んで「宇宙船地球号」の平和と繁栄に寄与し、内には労働時間の短縮、社会資本の充実、安心して送れる老後など、生活の質を変える新たな福祉社会や文化の創造であり、あらゆる分野に国民一人一人が参加していく民主主義の発展であります。
 ところが、総理、あなたが事あるごとにうたいとげた「戦後政治の総決算」とは一体何であったでしょうか。政権を担当されて三年と二カ月、総理の言う「戦後政治の総決算」とは、司法のオーバーラン発言に見られる憲法体制のなし崩し、靖国神社の公式参拝、総理主導の教育臨調、そして防衛予算一%枠見直し、危険な軍拡であり、いわゆる新国家主義の路線ではありませんか。国民の一見高い支持率は、あなたのタカ派的地金をオブラートで包んだマイルド中曽根の演出的技巧と、遠くから見ればよく見える、中曽根厚化粧に起因するものであって、国民の多くは危険な戦後政治の総決算に共鳴したものではないと思います。
 総理、あなたは、この総決算路線を進めるために各種諮問機関の巧妙な多用を行ってまいりました。私は昨年、通常国会の冒頭において、諮問機関の多用やあるいはそれによって国会や政党の機能を代替させることは議会制民主主義を空洞化させるものだと厳しく指摘をいたしました。総理は、国民の意見を反映させるためなどの詭弁を弄されましたが、靖国懇に象徴されるように、国会バイパスというあなたの戦術は、靖国公式参拝では中国を初めとする諸国から強い批判の声が上がり、国際的にも深刻な影響を与えているではありませんか。あなたはこのことに対しどうお考えなのかお尋ねをいたします。同時に、これら近隣諸国の声に対しどう感じておられるか伺います。
 こうしたあなたの政治手法は、総理の指導力を最大限に発揮するトップダウン方式であります。総理の考えに沿って、危機管理に名をかり、内閣の調整機能の強化が図られようとしております。あなたのブレーンの一人は、「ねらいは単なる行革ではなくて国家改造だ」と述べておられますが、このことは、現在の政治形態を変え、憲法をなし崩しに変えるものと言わなければなりません。さらに、内閣の機能強化に関連して、国防と緊急事態への危機管理を構想しております。しかし、この二つの事柄は明確に分離さるべきであります。国家公安委員長、官房長官を加えることにより、危機管理の名において警察権力の強化をもくろみ、同時に、スパイ防止法の制定、有事法制の確定、民間防衛体制の整備等を着々と実施しようとするものではありませんか。このような危険な構想は放棄すべきであると考えますが、御見解をいただきたいのであります。
 次に、外交、防衛問題について伺います。
 昨年秋、全世界注視の中で開かれた米ソ首脳会談は、東西間の対話の復活と新たなデタントへの道を開くものであり、さらに、このたびゴルバチョフ書記長が今世紀中の核廃絶に向けて具体的な時間表を提示したことは画期的であります。このゴルバチョフ提案に対する総理の御所見を伺いたいのであります。
 また、シェワルナゼ外相は、極東における核兵器の相互削減と廃絶を提唱いたしました。今や核兵器の廃絶は究極の目標から現実の日程となりつつあることを認識し、核抑止力に依存する政策から脱却を図るべきであります。このことを単に米ソ両国に任せるのではなく、我が国が積極的、主体的に努力すべきであります。また、現在、米ソ軍縮交渉の進展を阻害している最大の要因はSDIをめぐる問題であります。政府はSDIへの研究参加についてこれを拒否すべきであると思いますが、あわせて総理の御所見を伺います。
 今般、シェワルナゼ外相が来日し、八年ぶりに日ソ外相定期協議が再開され、対話の継続が合意されたことはまことに有意義であります。政府は今回の共同声明によって領土問題は一歩前進したと評価しておりますが、領土問題は解決済みであるとのソ連の態度が不変であったことも事実であります。領土問題の真の解決は両国間の友好信頼関係を確立していく中で図られるものだと存じます。この見地から長期経済協力協定なども真剣に検討すべきであります。日ソ関係を包括的にとらえるという総理及び外務大臣は、今後、対ソ外交をどのように進められようとしておるのか、その積極的な対応策はいかがなものでしょうか。
 朝鮮半島における南北対話がチームスピリット86の強行によって中断に至ったことはまことに遺憾であります。政府は、対話促進のための環境づくりに努力するというのなら、チームスピリットの中止を米韓両国に求めるとともに、朝鮮民主主義人民共和国との間で定期航空路の開設、同国との友好樹立に関する具体的措置を講じ、関係改善を図るべきであります。総理並びに外務大臣の御見解をいただきたいのであります。
 この五月、東京サミットが開かれますが、総理は、これまでのサミットでINFの欧州配備の断行を強硬に主張するなど、アメリカの対ソ戦略推進の旗振りをしてきたのは紛れもない事実であります。東西間の対話の継続と軍縮交渉の行方を世界が注視している現在、東京サミットに期待されるのは、西側陣営の結束を図って対ソ戦略を練ることではないと存じます。サミットに臨む総理の姿勢を伺います。
 日ソのみならず、アジアの緊張緩和につながる日ソ外相会議が行われていたさなか、それに逆行するかのように日米安保ハワイ協議が開かれました。アメリカ側は、大綱の枠内での我が国の防衛努力を評価しながらも、米戦略の補完機能を一層強化するよう希望したと伝えられております。また、この二月早々、レーガン大統領が昨年夏の上下両院決議に基づいて日本の防衛努力について議会に報告するとのことですが、貿易摩擦との関連もこれあり、議会の反応が懸念されます。こうした動きは、アメリカが総理の不沈空母、三海峡封鎖発言などを一種の公約と受け取っているためと判断されます。私は総理の責任を厳しく追及するものであります。総理は、くだんの不沈空母発言からもうかがえるように、海空重視の新中期防衛力整備計画を決定しましたが、ここで改めて海空重視論の真意を伺いたいのであります。
 新計画がP3C百機、護衛艦六十二隻体制という世界有数の海軍力を持ち、また、F15戦闘機、新高性能対地攻撃機、空中給油機等の整備を目指して日米共同作戦計画を進展させようとしていることは、政府みずから専守防衛の理念すら否定するものであって、断じて容認できないところであります。新中期防衛計画第一年度の昭和六十一年度防衛予算の対GNP比は、六十年度のそれより一見低くなっておりますが、実質は給与改定費一%分を除いたまやかしのものであり、対前年比は六十年度を上回る突出ぶりで、一%とのすき間も約九十億円のみとなっております。総理は六十一年度決算ベースにおいても一%枠を堅持すべきでありますが、総理の御決意を伺いたいのであります。
 次に、経済、財政問題について伺います。
 六十一年度の我が国経済を取り巻く環境はまことに厳しいものがあります。国内的には、昨年夏ごろからの景気の変調に伴う経済活動の鈍化に加え、九月末のG5決定を受けて、この協調介入による円高不況の追い打ち、そして国際的には貿易黒字の縮小を図る等、課題は山積しております。昭和六十一年度の中曽根内閣の経済、財政運営はこの要請にこたえているでしょうか。答えは否であります。内外の期待に反する政策がとられようとしている一番の原因は、総理の経済、財政に対する認識が間違っているからではありませんか。
 昭和五十八年春から六十年夏ごろまでは、景気が回復、上昇、拡大期を走ってまいりました。そのとき、財政が緊縮型に運営されることは一つの方法であったかもしれません。しかし、さま変わりの経済が予想される来年度も節約一本やりしか考えないのでは、経済は生き物であることすら忘れられていると言わなければなりません。来年度もこの方法を踏襲することは、総理の主張する財政再建期間中の経済成長も財政再建も不可能ではありませんか。総理及び大蔵大臣の御見解を求めます。
 六十一年度の内外の経済の要請にこたえるには、何と申しましても内需の拡大であります。一つには、国際水準から見て問題にならない低水準に置かれてきた生活基盤重視の社会資本整備に国が重点的に金を使うことであります。二つには、GNPの六〇%を占める個人消費支出の拡大が絶対に必要であります。昨年十二月の国民生活白書及び消費実態調査は、個人消費支出の伸び率鈍化を指摘し、その原因が税金と社会保険料等の負担強化及び住宅ローン負担にあることを指摘しております。この点で内需振興に大幅減税が必須の条件であることは、だれよりも政府が承知しているはずであります。六十一年度に所得税を中心とした減税をなぜ実施しないのでしょうか。さらに総理は、昨年この席で大幅減税を公約されたことをよもやお忘れではないと思います。我が党は、六十一年度に総額二兆三千億円の減税を行うべきだという主張を明らかにしておりますが、責任ある答弁を求めるものであります。
 この二つの政策を欠いて民活の笛を吹いても、決して効果は上がりません。また、六十一年度政府経済見通しで実質四%の成長を見込んでおりますが、以上の措置を行わずに本当に四%達成の自信がおありになりますか。可能だと胸を張られるなら、その根拠を明らかにしていただきたいのであります。
 続いて、財政問題ですが、総理就任以来、あなたが最大の政治課題と主張してきた昭和六十五年度赤字国債脱却は不可能になったのではありませんか。六十一年度には一兆一千五百億円の減額が必要なのにわずか四千八百四十億円にとどまり、六十年は当初予算の削減額七千二百五十億円が補正で三千二百億円しかできなくなりました。六十二年度以降、毎年度一兆三千五百億円の赤字国債減額が可能ですか。もし不可能としたならば、この責任はだれがおとりになるのでしょうか。
 また、総理は、「増税なき財政再建」を公約されましたが、六十一年度は減税四百二十億円に対し、増税三千四百十億円と相なっております。さらに総理は、五十九年度一千五百七十億円、六十年度三千百六十億円と連続増税を繰り返しております。これを選択的増税などとごまかしてはなりません。公約をほごにした責任を明確にするよう強く求めるものであります。
 次に、国鉄の問題について伺います。
 国鉄再建のための重要課題は、一つには雇用の確保、そして財政の措置、さらに住民の足をいかに安全便利に拡充していくかということであります。しかるに、再建監理委員会は、一部の人々が秘密裏に審議を進め、独断的な分割・民営化の答申を行い、重要課題について必要かつ十分な指標さえ明らかにせず、国会の審議を待たずに国の方針が決まったかのような独断専行の振る舞いをいたしております。こうした議会無視の行為はまことに遺憾であり、許すべからざることであります。一歩誤ると国鉄解体となり、利権争奪の場にもなりかねないと考える国民は多数おられると思います。この数十日の間に、国鉄の分割・民営化に反対するという三千数百万名にも及ぶ署名が寄せられ、今後ますます増加していく情勢にあります。これをどうごらんになりますか。膨大な赤字の財政処理についても、また国民の足をいかに確保していくかということについても、国民全体の心からの納得と理解が必要なのであります。
 また、重要課題である雇用の確保については、働く人たちの十分な納得と積極的な協力とが必須条件であり、その多数を組織している中心組合を排除してなし得るものではありません。さきの日本航空の大事に対して政府が過剰介入したことは問題でありますが、その日航の副会長になられた伊藤さんが、旧来の組合分割の方針を誤りとして、すべての働く人たちの一体化を図っている点を見習うべきであります。
 総理並びに運輸大臣、ここであのむちゃくちゃな分割・民営の答申を離れて、国鉄の再建をどうするのか、国民の前に真摯に語っていただきたいのであります。まず前提として、雇用の確保をどうするのか、政府責任とも言うべき財政の処理をどうするか、そうして国民の足である公共交通たる国鉄の便益をどう拡充していくのか、責任ある答弁を求めるものであります。
 総理、先日もいじめを苦にして高校生が自殺をいたしました。いじめられたくらいでどうして死ぬのか、大人社会では理解に苦しむと言うことは簡単であります。しかし、それくらいに、青少年を取り巻く状況は、一人一人の人格と個性を大切にし、尊重し合うこととは正反対のものであると存じます。
 総理は、「戦後政治の総決算」の一環として、戦後教育の見直し、教育改革を主張しておられます。しかし、国民が総理に求めたものの一つは、教育の荒廃をなくしてほしいということであります。なぜ教育の荒廃、とりわけいじめのような陰湿な問題が社会問題になっているのでしょうか。それは決して学校だけの責任ではないと存じます。教育基本法を無視し、経済成長と企業の発展、金万能主義を横行させ、これに役立つ人づくりを自民党政治は教育や社会に求めたからではないでしょうか。自分だけがよければよいという社会風潮の中で、子供だけが伸び伸びと個性豊かにはぐくまれることはあり得ません。
 総理、あなたは、我々の強い危惧を押し切って直属の臨時教育審議会を発足させました。しかし、総理府の調査によっても、臨教審の教育改革に寄せる期待は大幅にダウンしております。それは今日の教育荒廃の真の原因を示せない点にあると思うのであります。今日、臨教審はまるで海図なき航海を続ける船の姿になっているではありませんか。
 昨年六月の第一次答申は、目玉として中高一貫の六年制中等学校を別につくることを答申しています。しかし、これで教育の荒廃は救えますか。むしろ受験競争が低年齢化することは必至であります。今月二十二日に明らかにされました臨教審の審議経過の概要は、依然として父母、国民の切実な要求と疑問にこたえておりません。それどころか、教育が悪いのは教師にのみ責任があるかのような議論を展開していることは極めて遺憾であります。しかし私は、教師に全然責任がないと言っておるのではありません。対症療法ではなく、偏差値教育、点数序列主義の教育と、子供の自主性を押し殺す管理主義の教育の是正こそが今最も求められていると考えますが、総理及び文部大臣の御見解を求めます。
 次に、地方自治についてお尋ねいたします。
 現在、地方自治は二つの重大な危機に直面しております。
 第一は、国庫負担金削減問題です。政府は六十年度予算で当該年度限りの暫定措置として地方転嫁を提案しました。ところが、六十一年度予算案は、六十年度に倍する一兆一千七百億円を地方財政に転嫁し、しかもそれを今後三年間継続しようとしております。さらに、交付税や義務教育費国庫負担金の切り下げを恫喝の手段とし、高率補助金だけでなく、二分の一負担であった恩給費、共済追加費用負担金まで三分の一に削減しているではありませんか。総理は一年限りの暫定措置という参議院の決議に違反する責任をどうお感じになりますか。また、一兆円を超える地方への負担転嫁を三年間行うということについて、地方財政への影響とその穴埋めをどうするのか、明確な答弁を要求いたします。
 第二は、行政面で、地方行革大綱の押しつけによって、国と地方の信頼関係を大きく揺るがしていることであります。政府は、わずかな機関委任事務の整理と引きかえに、地方自治を根幹から否定しようとしていることは断じて許せません。それは職務執行命令訴訟制度の見直しによる国の代執行権の強化であります。自治体首長の罷免権をちらつかせて国の都合のよいように訴訟制度の骨抜きを図るこの地方自治法の改悪は、自治体の総反撃を受けているではありませんか。一体なぜこのような改悪を行わなければならないのか。一部には政府部内の縄張りと保身のためという声も聞かれますが、本末転倒も甚だしいと言わなければなりません。総理の御所見を承ります。
 総理は、口を開けば、食糧自給は重要な課題と言われますが、六十一年度予算を見る限りでは、突出する防衛費を下回る戦後最低の農林予算ではありませんか。貿易摩擦が激化し、農産物の輸入圧力が強まる中で、我が国農業を守り、国民の食糧を安定確保するためにいかなる見解をお持ちであるか、伺いたいのであります。
 次に、定数是正について伺います。
 議会は民意の鏡であります。しかし、この鏡がでこぼこになっていることは最高裁の判決を待つまでもないではありませんか。ところが総理は、定数是正について与党への指導力を発揮できず、その結果、解散権を縛られている腹いせに司法に対していわれなき中傷をするに至っては、言語道断、語るに落ちたと言わなければなりません。小選挙区制に通ずる二人区にこだわらず、我が党を初めとする野党共同の正論に耳を傾け、自民党を指導され、早急に定数是正を図るべきだと考えますが、総理・総裁としての御決意を伺いたいのであります。
 最後に、総理、今あなたは総裁三選への展望も見えない政局にいら立ちを覚え、天上天下唯我独尊、大義名分なき解散、同時選挙を考えておられるのではありませんか。あなたは戦後政治の総決算路線の仕上げを強調されていますが、むしろ決算すべきは中曽根政治ではありませんか。あなたは多くの戦友を戦争で失った四十年前に思いをはせ、平和で豊かな日本、そして世界の二十一世紀への明るい展望を切り開くため、残された任期を謙虚に果たされんことを期待して、私の質問を終わります。(拍手)
     ―――――・―――――
#5
○議長(木村睦男君) ただいま徳仁親王殿下が御傍聴のためお見えになりました。
   〔起立、拍手〕
     ―――――・―――――
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(中曽根康弘君) 小野議員の御質問にお答えをいたします。
 まず第一問は、戦後政治の総決算にかかわるものでございます。
 私は、この施政方針演説でも申し上げましたが、戦後四十年の日本の民主政治というものについては非常に高く評価しておるものであり、このいいところをますます伸ばしていこう、しかし、ひずみや悪いところも出てきておるからこれは直しておこう、そして二十一世紀へ向かっての軌道を正しく設定しよう、こういう意味で申し上げまして、国際国家への前進、あるいは行財政改革、あるいは教育、あるいは税制の改革、そのほかの改革に邁進する、これは二十一世紀への準備であり、国際国家への準備でありますと、こういうふうに申し上げたのであります。
 我々自民党はよく保守主義と言われますが、英国のバークという政治家がリフォーム・ツー・プリザーブという言葉を言っております。つまり、保持せんがために改革する、改革が目的である、しかしそれはいいものを残して保持しようとするために改革するのだと、こういうことを言っておりますが、我々はこういうような基本的な態度をとっておるのでございます。社会党も先般新宣言に移行されましたが、これもやはり保持せんがために改革するというお考えであって、一種のこれも総決算ではないかと私は拝察しておるのでございます。
 次に、靖国神社の公式参拝の問題でございます。
 私がやりました公式参拝は、戦没者の追悼を行うことを目的としたものでありまして、過去の我が国の戦争行為を正当化しようなどと思ってやったことでは絶対にございません。追悼を中心にして、平和と不戦の誓いを新たにしようという意味で私は参ったのであります。関係方面については理解をいただくように一生懸命努力いたしまして、最近におきましては理解が極めて深まっていい状態になっておる、このように考えております。
 安全保障会議の設置の問題でございますが、これは、従来の国防会議の任務に加えまして、例えば大韓航空機の緊急事件のようなもの、あるいはダッカにおけるハイジャックのように国際関係に重大関係を及ぼす問題をも所掌させようと、今までそのような問題に対する内閣の仕組みというものがなかったのでございます。そういう意味において、ふだんからそのような仕組みをつくっておこうというので、今回、安全保障会議設置ということに決まったのでございまして、いずれ法案を提出いたしますので、よろしくお願い申し上げる次第であります。
 ゴルバチョフ軍縮提案につきましては、私は今回このような提案をいたしたこと自体については評価をいたしております。そして、三段階に分けまして二〇〇〇年に至るまでの考え方を示されたことについては、私はその積極的意図については評価しておるものであります。
 その中でも、例えばINFの問題、これは従前とは若干微妙なニュアンスの差があります。あるいは検証についてさらに積極的に前進してきたようなしるしもございます。あるいはさらに化学兵器の廃絶に向かって一段と強く主張してきたような様相もございます。これらの点やあるいはいわゆる大型のICBM等の処理、大体二分の一に減らそうとか、六千発以内にしようとか、そういうことも言っておられますが、内容についてまだ不明確の点が非常に多うございます。しかし、これらを取っかかりにいたしまして、アメリカとの間でさらに合理的な前進が行われるように期待をしたいのであります。我々は側面的にもそれが実るように協力してまいりたい、このように考えております。
 特に検証の問題は、現実的、具体的に軍縮やあるいは核兵器の廃絶を進めていくために大事な一つの手段でございまして、これらにつきましては、日本も地震探知その他でかなりの実績を持っておる国でございますから、積極的にも貢献してまいりたい、このように考えております。
 次に、日本の防衛に関しまして、いわゆる抑止論から脱却すべきではないかという御質問でございますけれども、遺憾ながら現在の国際情勢は核の抑止と均衡によりまして維持されている、まことに残念ではありますがそうであります。私は、前から核兵器というものは業の兵器である、一たん相手が持ったらこっちも持たざるを得ない、そしてそれが増殖していく傾向にある、これはまさに業の兵器と言うべきで、日本はかかる中に埋没し、入るべきではないと、このように申し上げているとおりなのでございます。
 しかし、このような抑止と均衡によって、いわば、悪い言葉でございますが、恐怖の均衡によって平和が維持されていることは冷厳な事実であります。この事実に基づいて、このレベルダウンを次第次第に行っていって廃絶まで持っていく、そういう具体的、現実的方法が必要であります。ゴルバチョフ提案におきましても、二〇〇〇年までかかって三段階というふうに分けた構想を示しているというのは、一挙にいかないということを知っているからでありまして、そのためには具体的、現実的にそれを有効に実現する道を見つけようと、そういう考え方から三段階にも分けておるのでありまして、私はこれも均衡と抑止に基づいて言われていると、そう考えておるのでございます。
 次に、SDIの問題でございますが、私はレーガン大統領から直接説明を受けまして、これは非核兵器であり防衛兵器である、そして核兵器の廃絶を目的とするということを聞きまして、それはよく理解すると、そういうふうに申し上げたのでございます。しかし、この参加の問題につきましては、SDIというものが今後どういうふうに発展していくか、その内容がどういうものであるか、その他について慎重によく検討する必要がありますので、目下、調査検討を続けているという状態でございます。
 次に、ソ連との間の長期経済協力協定の締結という御質問でございますが、やはり日ソ間の最大の我々側の問題は、領土問題を解決して平和条約を締結して長期的安定関係を樹立するということでございます。それがやはり一番の基本でございまして、これが妨害されるようなことがあってはならない、そう考えております。
 日ソ間におきましては、経済問題あるいは文化問題、人材交流問題、さまざまな問題がありまして、これらも我々はもちろん考えていかなければならぬと思っております。しかし、一番基本にあるこの問題を回避してそれらはできないのであります。そういう意味において、私は、包括的に、基本をわきまえつつやろうと、そういうふうに申し上げておるのでございます。両方においてそういう政治的な安定、安心感というものが出てきて、初めて経済的にも長期的なそういう問題が芽生えてくる。現在の状態におきましては、やはり経済は経済で、一つ一つケース・バイ・ケースで話し合いをしていく、しかし我々としては友好関係を増進したいと。漁業問題もございますし、さまざまな文化問題もございますし、そういう考えにおきましては対話を積極的に強化していきたい、そのように考えておるところでございます。
 次に、東京サミットの問題でございますが、これはアジアで開かれるサミットでございますから、しかも世界経済全般が、昨年の五カ国蔵相会議の通貨調整の結果、微妙に将来が心配されている面もなきにしもあらずでございます。また、米ソの首脳会談も行われ、第二回会談が次に行われるという状態でもございます。そういう意味におきまして、世界が異常な関心を持って眺めておるやさきの東京サミットでございますから、この七カ国の首脳はこれらの問題について忌憚なき話し合いをして、世界経済の安定、特に発展途上国や債務国に対する措置の問題、あるいは日本側からすれば、アジアにおいて開かれるものでございますから、太平洋、大西洋協力関係を設定する第一歩にいたしたい、そういうようなさまざまな意味を持った有益なサミットにいたしたい、そう考えており、また平和と軍縮の問題につきましては、ジュネーブ会談が開かれたこと、そもそもその一つの理由としては、やはり西側が結束しておったということがございます。
 ヨーロッパにおきましてもいろいろ平和攻勢や何かがあったようでございますが、オランダにおいてもドイツにおいても、やはり国家としてまとまり、あるいは西欧の一員としての立場をしっかりとってきた。そういう意味において、自由主義陣営が結束、連帯を維持していくということは、平和を確保し、軍縮を推進していくときにも役立ってきていると、ジュネーブ会談が証明していると私は思うのです。そういう意味におきまして、東京サミットにおきましてもこれらの自由主義陣営の連帯と結束というものを私たちはさらに進めていくよすがにいたしたい、こう考えております。
 次に、防衛努力と対米関係でございますけれども、アメリカの議会が日本の防衛について関心を持っておることは当然でございます。日米安保条約によりまして、アメリカもいざという場合には日本を守る責任を持っております。相当の負担もかかります。そういう意味において、アメリカの税金を支払っている方々に議員の皆さんが非常に注意しているということは当然考えられることでございます。しかし、日本の防衛はあくまで日本の憲法のもとに日本の国策に基づいて自主的に決められるべきものでありまして、アメリカの決議やアメリカの意向というものは我々が施策を推進していく上の一つの参考として我々は考える、このように考えておるところでございます。
 次に、中期防衛力整備計画と海空重視論の問題でございます。
 防衛計画の大綱の基本的枠組みのもとに、我が国の地理的特性あるいは諸外国の技術的水準、あるいは周辺の軍事力の情勢、そういうものをすべて総合的に勘案いたしつつ、日本の防衛力を効率的に節度のあるものにして自主的に整備していく、かかる観点から中期防衛力整備計画は編成されました。その中におきましても、本土の防空あるいは海上交通の安全確保、あるいは洋上や水際撃破能力の強化、あるいは陸上における対処能力の向上、こういう点を中心に今回の中期防衛力整備計画はつくらせた次第でございます。もとより、平和憲法のもとに我が国の国策に従って推進していくということは論をまたないところであります。
 いわゆるGNP一%の問題につきましては、これはGNPというものがどういうふうに今後変化するか、給与の改定がどういうふうに行われるか、景気の動向がどうであるか、そういう問題にすべてかかっております。しかし、いずれにせよ、三木内閣が防衛関係費に関係いたしましてつくりました閣議決定につきましては、これを尊重し、守りたいと念願しておる次第でございます。
 次に、財政運営の問題でございます。
 昭和六十一年度予算におきましても、この六十一年度の景気の動向については深甚の注意を払いまして、景気の維持拡大に積極的に努力してまいる予算を編成した次第でございます。現在の景気の状況自体は内需中心の緩やかな拡大局面にございます。もちろん円高によりまして一部の中小企業等に苦難が来ていることは事実でございます。それらにつきましては、我々は最大限注意深く手当てをしていかなければならぬと思いますが、昨年の十月及び十二月の二度の内需振興政策等、あるいはさらに今回の公定歩合の引き下げ等によりまして、六十一年度につきましては四%程度の成長はできる見込みでございます。
 公共投資につきましては、財政運営の関係から見まして、赤字国債に頼るとかあるいは建設国債をやたら増大するという点は考えものであります。我々は現在百三十三兆の国債を抱えており、来年三月にはこれが百四十三兆になる予定でございます。そうして、六十一年度予算において国債費だけでも十一兆三千億円を先取りされるという状態で、財政の運営が極めて弾力性を失いつつあります。そういう面からいたしましても、できるだけ公債の元利払いの負担から解放される、そういうことが大事でございまして、そういう面に注意しつつ公債を増大させないように、減らすように、六十五年度赤字依存体質から脱却するというこの目標はあくまで貫徹するように今後とも努力してまいるつもりであります。
 社会資本の整備につきましては、厳しい財政事情でございますが、公共事業関係については、総額として前年度を多少下回りますけれども、一般公共事業の事業費は、民間資金の活用、財投の活用等によりまして、昨年が約三・七%増でございますが、ことしは四・三%増、住宅関係の資金まで入れますとこれが六・四%でございましたか、その程度の増になるように取り計らっておるところでございます。社会資本の整備は非常に重要でございまして、特に日本はストックがおくれておりますから、住宅対策あるいは防災安全対策、あるいは下水道対策、そういう問題についても力を入れてまいりたいと思っております。
 減税につきましては、シャウプ税制以来の三十数年の経過から見まして、このゆがみ、ひずみ、あるいは特にサラリーマンに対する重税感、こういう問題を直す必要はある、そういう意味において今、政府税調に諮問しておるところでございます。大体、春のうちに減税政策を出していただこう、そして秋までにこの財源措置まで含めた一体とした案をつくりまして、そして法案を準備したい、そういう関係で今進めております。今回、所得税の減税を行わなかったのは、このような抜本的な大規模の減税案を今諮問しているところでございまして、六十一年度は、今その中途の段階でもございますので、減税は行わないということにいたしたのでございます。
 実質四%成長達成のための政策いかんということでございますが、ただいま申し上げましたような諸施策、さらに本年度の経済の動向も見据えまして、適切かつ機動的な財政と金融の運営を行っていきたい、さらに民間活力を最大限に発揮するように法的準備もひとつ検討したい、このように考えておる次第でございます。
 先ほど来申し上げましたように、来年三月には百四十三兆の公債累積になり、たしか昭和六十五年度になりますと、今のような情勢で公債を減額していったとしても、公債費というものは十五、六兆以上になる危険性がございます。そういう点を考えますと、やはり財政が出動することは将来においてもかなり厳しい、増税ということをやるということは国民は歓迎しない。そういういろいろな面を考えてみますと、民活を思い切ってやる以外にはない、民間には膨大な貯蓄がございます。そういう意味においてデレギュレーション、これをさらにもう一段前進させまして、全国におきまして民間活動が活発に行われるように法的規制を緩和して、民間の力を十分に発揮するようにさらに進めたい。そう考えまして、江崎国務大臣等にも特にその検討をお願いしておるところでございます。
 さらに、増税なき財政再建という考え方は一貫して今後も進めていきます。今回、若干の増税と見られるものがございますが、これは大体毎年行われている調整限度にとどめておるのでございます。臨調答申はあくまでも尊重してまいりたい、こう考えております。
 国鉄再建監理委員会の職務についてでございますが、関係各方面の意見を約二年間にわたりまして再建監理委員会は聴取して、「国鉄改革に関する意見」を作成したと考えております。やはり委員が議論を自由に行いまして外部から拘束を受けないようにするためには審議を非公開にするということが適切である、そう考えており、そして定期的にこの審議会の会長が記者会見等を行いまして経過報告をやっておりますが、私はこのようなやり方が適切であると考えております。
 国鉄再建にとって一番重要なことは、一つはこの雇用問題と、もう一つは長期債務の処理でございました。この点につきましては、政府は責任を持って行わなければならないというので、雇用対策につきましては、全内閣を挙げて今手分けをして進めておるところでございます。政府自体がやること、あるいは公社公団等にも協力を頼むこと、地方公共団体等についてもお願いすること、それから財界にお願いすること、こういう点で今懸命の努力を運輸大臣も行って、着々と雇用対策については進められ、私は明るい方向に向かっていると確信しておるものでございます。
 また、長期債務の問題については、これはいわゆる国鉄、旧国鉄と申しますか、これがいろいろ土地を売るとかあるいは節約するとか諸般の政策を行い、最終的に残ったものにつきましては、新会社が負担すべきものと、それから最終的には国がやはり面倒を見なければならぬ分もある。こういうふうに区分けをいたしまして、その区分けに基づいて国において処理すべきものは処理しよう、こういう考えに立脚しておるところでございます。具体的な処理につきましては、さらにその展開の状況を見据えまして、財政の歳入歳出全般との見合わせでこれを最終的に検討し、決定していきたいと考えております。
 国鉄分割に伴いまして国民の便益の確保の問題でございますが、やはりある程度の競争原理が働きませんと国民の便益は確保されない、サービスはよくならない、そういうことであります。私鉄と国鉄の能率性やサービス性等を見ますと、今までいろいろ言われて、国鉄に弱点があると指摘されております。そういう面から見ましても、競争原理を活用する、あるいは民間の手法を導入するということは必要である。現在、当面することは、いかにして鉄道の機能を存続させて、そして従業員に心配のないような始末を行っていくかということなのであります。既に国鉄の年金財政はパンク状態に陥らんとしております。これだけを救うだけでも大変なことで、関係労働組合にもいろいろ御迷惑をお願いしておるところでございます。
 そういうような諸般の面を考えてみますと、やはり国民全体が納得のいく処理が行われなければ国鉄の改革は推進できないということでございます。国民全体が納得がいくということは、サービスの向上であるとかあるいは経営の能率化であるとか、そういういろいろな面がございまして、我々は、そういう点に十分対応できるような案をつくって国会に提出したいと考えているわけであります。
 教育の問題で、いじめの問題についての御質問でございますが、これはやはり社会的背景あるいは家庭や学校の問題等も複雑に絡み合っていると思います。何といっても学校で起こる問題ですから、先生と学校がまずしっかりしていただかなければいけない。数年前に東京都下で不幸な事件が中学に起きましたが、校長先生以下が一体になって懸命な努力をして、一年間で解消したという例がございます。そういうことも見まして、やはり先生と学校がまず第一である、それから家庭の父母が次である、それから教育委員会やそれを取り巻く社会環境が協力しなければならない、そういう考えに立ちまして、真剣に政府としても協力してまいりたいと考えておるところであります。
 教育の荒廃に関する御質問でございますが、今、臨教審におきましては第二次答申に向けて懸命な努力をいたしております。教育改革に寄せる国民の期待は非常に大きいものがございまして、臨教審も深く広く掘り下げてこれを行っていかなければならないと思いますし、今そのようにやっていただきまして、いずれ第二次答申がこの春のうちに提出される、これが大体基幹部分をなすものであると推察いたしておりますが、提出されましたら、検討いたしまして最大限に尊重して実行する考えでおります。
 特に、御指摘の偏差値教育という問題については、これはやはり社会的な背景、特に学歴偏重の社会的風潮、あるいは学校や教師の指導のあり方、あるいは過度の受験競争、こういういろいろな問題が絡み合っております。この問題の解決には、学校における指導体制の改革と同時に、入学者の選抜制度の改革とか教育内容の改革とか、さらにひいては、このバックグラウンドをなしているのは学歴社会という日本の社会の風潮でございます。そういう面についてメスを入れていかなければこの抜本的改革はできません。そういうあらゆる面について、我々は強い改革を行わんとしておるところでございます。
 学校の内部において適切な規則を定めて生徒を誘導しているということは、私は当然であると思います。特に小学校や中学校という場合には、人間として生きていく基本の型を教えることが大事であります。礼儀であるとか、あるいは弱い者をいじめないとか、そういう基本の型を教える。そういうためには、学校に校則があるということは私は必要であると思っておるのであります。しかし、その校則が余りにも章条的な細か過ぎる煩瑣なものであってはならない。生徒を伸び伸びと自由に伸ばしてあげる、そういうていのものでなければならない。それらは学校と教育委員会が独自に御判断なさってやっていただくことである、そのように考えております。
 国庫補助負担率の引き下げと地方財政の問題でございますが、この問題については、地方に御迷惑をおかけして非常に恐縮に存じておるところでございます。六十一年度予算においては、補助金問題関係閣僚会議の決定に基づいて、補助金問題検討会の報告の趣旨を踏まえまして、今回、社会経済情勢の推移等も勘案して補助金の全般的な見直しを行ったところでございまして、御理解をいただきたいと思う次第でございます。六十二年度以降についても、各年度の地方財政収支見通しに基づき所要の地方財政対策を講じつつ、地方団体の財政運営に支障が生じないように対処していくつもりでございます。
 職務執行命令訴訟制度の見直しの問題でございますが、機関委任事務の整理合理化は、国と地方との関係に係る長年の議題でありました。あわせて、機関委任事務の適正な執行の確保もまた大事な点でもございます。行革審は、機関委任事務の整理合理化とともに、職務執行命令訴訟制度の見直し、あるいは首長の罷免制度の廃止を提言しておりました。しかし、事柄は国と地方との関係の基本にかかわる重大な問題であり、地方制度調査会等の意見も十分に聴取しながら調整を進めまして、今回所要の法律案を提出する予定でございます。
 食糧の安定確保については、前から申し上げますように、農は国のもとであり、農業は生命産業であると申し上げているとおりで、厳しい財政事情の中におきましても食糧の安定供給に必要な予算は確保した次第であります。特に、生産性の向上とバイオテクノロジー、そのほかの科学技術の新しい前進、こういう面については力を入れようと考えておるところでございます。
 最後に、私の施政方針演説についての御質問、お言葉がございましたが、「天上天下唯我独尊」という言葉は、人間の尊厳を知れ、人間はみんな平等であってお互いに尊厳性を持っている、そういう釈迦の言葉を引用したものなのでございます。私は、今後は公約を実行して、謙虚に国民の御期待に沿うように努力するつもりであります。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(安倍晋太郎君) 小野議員にお答え申し上げます。
 まず、対ソ外交についてお答えいたします。
 日ソ間の最大の懸案であります北方領土問題を解決して平和条約を結ぶということによりまして、我が国の重要な隣国であるソ連との間に真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することが、従来よりの一貫した我が国の対ソ外交の基本であります。政府としましては、こうした基本方針を柱として、その上でソ連との経済関係を初めとする実務関係をも増進していく考えでございます。したがって、長期にわたる日ソ間の経済協力関係の発展には両国間の長期安定的な政治関係こそが前提でありまして、現状では、御質問がございました長期経済協力協定を締結し得るような状況にはないと考えております。先ほど総理も答弁をいたしましたようにケース・バイ・ケースで進めていきたい、こういうふうに思います。我が方のこのような考え方は、既に日ソ外相間定期協議の際に、私から、昨年三月の中曽根・ゴルバチョフ会談の際の総理発言にも言及しながら、シェワルナゼ外相に対して明確に表明をいたした次第でございます。
 次に、朝鮮半島の問題につきましてお答えをいたします。
 米韓両国は、毎年チームスピリット等の共同訓練ないし演習を行っておりますが、いずれも防衛的な性格のものであると承知をいたしております。また、米韓両国は、本年もチームスピリット演習の実施に当たり、南北対話に影響を及ぼさないように、こういう配慮から演習の実施を事前通告するとともに、韓国政府より北朝鮮側に対して同演習の参観招請を行ったものと承知をいたしております。北朝鮮側がこれを受け入れることなく、また同演習を理由として、昨年来進展してきた各種分野における南北対話を中断したことはまことに残念なことと考えております。政府としましては、朝鮮半島の緊張緩和と永続的な平和実現のために右対話が早急に再開されることを心から期待しております。
 なお、北朝鮮との関係につきましては、現在外交関係はありませんが、経済、文化等の分野における民間レベルの交流を積み重ねていくとの方針には変わりはございません。いずれにいたしましても、今御指摘がございましたいろいろの諸点を含めまして、北朝鮮との関係につきましては、今後とも朝鮮半島をめぐる国際情勢、あるいは我が国と友好国との関係、南北対話の推移等を総合的に勘案して対処してまいる考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(竹下登君) 私に対する経済、財政の御質問でございますが、総理から大筋のお答えがございましたので、少しく細かくなりますが、補足してお答えをさしていただきます。
 六十一年度予算におきましては、厳しい財政事情のもとではありますが、インフレなき持続的成長、これを基本といたしまして、景気の維持拡大には可能な限りの配慮を行ってまいりました。御意見にもございました、いわゆる生活基盤の充実を念頭に置きましたところの一般公共事業の事業費、これを昨年度を上回る増加で確保するということが一つの大きな重点でございました。すなわち、都市開発事業への重点配分三〇%増、あるいは農業集落排水事業への重点配分四二・五%増、漁港集落環境整備事業への重点配分一九・四%増等々でございます。さらに、住宅対策といたしまして、まず貸付対象住宅の規模区分の見直し、それから貸付限度額の引き上げ、これらを行いまして、住宅公庫の融資条件の改善ということに資したわけであります。さらには、防災安全対策等についても傾斜的な予算づけを行ってまいっております。
 このようなことでございますが、今後、昨年十月十五日の「内需拡大に関する対策」、これはいわば地方自治体の単独事業にお願いをしましたり、また、先ほど申し上げました住宅対策等の施策であります。さらにその上に、十二月に、御案内のように財政あるいは税制を伴ういわば内需拡大に関する第二弾の対策を発表したわけであります。したがいまして、これらをあわせて着実に実行に移していかなければならぬ。そのためには、予算を可能な限り早期に成立さしていただきたいという気持ちを持っておることはもとよりのことでございます。
 現在の我が国経済は、全体として見ますならば内需中心の緩やかな拡大局面にあります。さらに、本日より実行されました公定歩合の引き下げの効果というようなものが、私は、実質四%程度の成長というものの、また、より可能性を確実にする一つの要因になるではなかろうかということを心から期待しておるところであります。
 また、我が国経済の安定成長を確保していきますためには、中長期的に申しますと、一刻も早く財政の対応力を回復することが必要でございます。したがって、なお公共投資の拡大等で積極的な財政運営、これを行ったといたしますならば、よく私どもが申しておりますように、公共投資の一兆円追加というのは、税の税収増として三年間で四千億程度にははね返ってくるであろう、しかしながら、やはり一兆円は三兆七千億という後世代への負担転嫁になる。こういうことを考えますならば、財政改革路線というものを堅持しながら、その中で適時適切な財政、金融、税制等の施策をもって国民の期待にこたえるというのが本筋の考え方ではなかろうか、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(三塚博君) このたび中曽根内閣におきまして運輸大臣を拝命いたしました三塚博であります。今後ともよろしく御鞭撻のほどお願いを申し上げます。
 それでは、小野議員から御質疑がございました国鉄問題の三点について申し上げます。
 総理大臣から哲学、基本的な構想、これの取り組む姿勢については詳細にお話がございました。若干詳しく申し上げさしていただきますならば、雇用安定、雇用の場の確保、これはまさに国鉄改革の最大重要事でございます。政治、政府の責任におきまして改革が断行されるわけでありますから、国鉄に職を奉じた各位が他に御転職をいただく、その職場の確保、御家族も抱えておられることでありますから、これに政治が集中して当たりますことは議会制民主主義の根幹であろうかと存じます。さような点におきまして、総理が申されましたとおり、内閣が全力を挙げてこれに取り組まさしていただくということであります。
 さらに、中心的な組合というお話がございました。労使ともに共通の認識をお持ちいただき、ともに忌憚のない意見交換をいたしますならば、必ず共通点を見出せるものと期待をいたしておるところであります。
 さらに、財政の赤字の問題につきましては、総理御指摘のとおり、本改革の最大のポイント、第二点がこの長期債務の処理であります。
 監理委員会は、十六兆七千億円の国民による解決を答申いたしました。これを政府として最大限に尊重しながら、その処理方式につきましては、国民、政府全体として取り組んでまいるわけでありまして、総理御指摘のとおり、国鉄みずからの自主努力を行使しつつ、その中において全体を展望しつつ、十六兆七千億の処理につきましては、政府の責任においてこれを処理してまいるということに相なります。
 さらに、分割・民営化の便益確保の問題でありますが、総理の指摘のとおりでございます。
 鉄道は、その地域と一体でなければなりません。鉄道は、その地域の利用者のニーズにこたえるものでなければなりません。そういう意味で、機動的に、また生活態様に合った形のダイヤ編成、さらに地域の鉄道として血も身もある運営が行われるということで地域の便益が確保されてまいると信じております。
 以上で終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(海部俊樹君) 文教に関する御質問を四点に分けましてお答えをさせていただきます。
 御指摘のように、いじめの問題については文部省といたしましてもこれを重大に考えて、ただ、原因は学校、家庭、社会、それぞれ複雑に絡み合った要因がたくさんあろうと思います。例えば学歴偏重の社会の風潮とか、点数に頼り過ぎる入学者の選抜とか、あるいは豊かな心とか、人間的情操をはぐくむ徳育教育が不十分ではないかとか、あるいは兄弟の数の変化による家庭における切磋琢磨、思いやりの心を大切に育てる、そういった環境条件が希薄になっておるのではないかなどなど、複雑に絡み合っておりますし、また、直接児童生徒に触れていただく学校現場においても、教師自身の発言として、常日ごろ、接する児童生徒と心の通いを持って、何事も打ち明けられるような状況を醸し出しておくことが大切なのではないかという言に見られるように、主として起こる学校の場でまず一致協力して取り組んでいただく。同時に、御家庭や地域にも御協力をいただきながらこの問題の解消には対処をしてまいりたいと思っております。
 二つ目の、臨教審の審議がこの荒廃の真の原因を示していないのではないかという御指摘でございますが、今まで出ました「審議経過の概要」を先生も詳しくお目通しいただいておると思いますが、教育の歴史、現状、荒廃の原因等について詳しく掘り下げた議論をしておりますことが、あの「経過」を読みますと明らかに出ておりますし、また、いじめの問題を中心にした緊急の審議や対応をとっておりますことも「経過」の中に出ております。近く第二次答申が出てまいりますが、その中には教育荒廃の諸要因として、掘り下げた論議のもとに答申が出てくると思いますから、国民の皆さんの御期待に沿うことができるものと私は信じております。
 三番目の、偏差値教育の解消、管理教育の是正についての御意見でありますが、偏差値教育につきましては、やはり個性を尊重し、一人一人の児童生徒の個性を伸ばしながら、入学者選抜のときに偏差値だけに必要以上に頼り過ぎておるという現状を改革しなければなりませんから、これはその改革に向けて今取り組んでおる最中でありますし、また、管理教育とおっしゃいますが、学校は児童生徒が集団生活を通じて、将来社会人として世に出る前に、徳育、知育、体育の調和のとれた人間形成を図る場であります。その教育目的を達成するために、適切な校則や規則等を設けて、これを守っていくように指導するということも学校教育の重要な役割と私は考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
 最後に、六年制の中学校についての御指摘でございますが、これは御承知のように、第一次答申で、個性を伸ばし選択の機会を広くしていく、こういう趣旨から単位制高等学校の制度とともに六年制中学校の発想は提案されたものでありまして、例えば体育系の中学校とか、あるいは芸術系の中学校とか、選択の幅が広くなるわけでありますし、また、人生の重要な青春の時期に、三年ごとに小刻みの入学試験が芸術科とか体育系なんかのところで一段階抜けるということは、ゆとりと個性を尊重することに、また教育課程の一貫性に役立つのではないかと私は判断しますので、これは有意義な提言であったと受けとめております。(拍手)
#11
○議長(木村睦男君) 答弁の補足があります。中曽根内閣総理大臣。
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(中曽根康弘君) 定数問題に関する答弁漏れがございまして、失礼をいたしました。
 衆議院の定数問題につきましては、先般の臨時国会におきましても、各党とも真剣な御努力をいただきまして、自由民主党も各野党もそれぞれの法律案を提出したのでございますけれども、遺憾ながら意見の一致するところがなく、審議未了になりました。この問題につきましては、前国会において衆議院議長の所見の公開が行われ、また衆議院の本会議においてもこれを早期に実行するという決議がなされたところであります。今後、その趣旨に沿いまして、定数の早期の是正に向けて各党間の協議が行われるものと考えておりますが、自由民主党におきましても、政府におきましても、できるだけ早期実現が行われるように協力してまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(木村睦男君) 上田稔君。
   〔上田稔君登壇、拍手〕
#14
○上田稔君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、当面の内外の重要課題につきまして、総理ほか関係閣僚に対し若干の質問を行うものであります。
 本日は、浩宮徳仁親王殿下の本会議御傍聴をいただきまして、心より御歓迎申し上げます。私にとりまして、この上もない光栄に存じます。
 本年は天皇陛下御在位六十年の記念すべき年であり、天皇陛下の御長寿を心からお祝い申し上げるとともに、皇室の弥栄を祈念いたします。
 質問に先立ち、まず国内では、去る二十六日、新潟県能生町において発生した雪崩により、不幸にしてとうとい人命を失われました御遺族の方々及び被災者の皆様方に対し衷心より御冥福を祈り、お見舞い申し上げます。一日も早い復旧を心からお祈りいたします。
 一方、アメリカでは、去る二十八日、スペースシャトル「チャレンジャー」の爆発により犠牲になられました乗組員並びにアメリカ国民に対し心から哀悼の意を表するとともに、これにくじけず、全人類のために勇気を持って一層宇宙開発の推進を図られたいと存じます。
 さて、中曽根総理、これまで三年有余に及ぶ総理の政治は、世界の日本として我が国を大きく飛躍せしめたのであり、また、行財政改革などを着実に進展させ、数々の実績を上げられましたことは、さすがに仕事師内閣として国民から高い支持を受けて、歓迎、評価されておられるのであり、まことに喜ばしき次第でございます。しかしながら、今日、我が国は、世界外交、安全保障、貿易摩擦、行財政改革、教育改革、高齢化対策など、内外ともに厳しい課題を抱えておりますが、今期国会は、これらに対処するとともに、議会制民主政治の根幹である衆議院議員の定数是正について合意を得、早急に法改正を行うべきことが要請されております。まず、これらの課題に取り組む決意をお伺い申し上げます。
 次に、外交問題について伺います。
 まず、米ソ関係であります。
 昨年十一月の米ソ首脳会談に引き続き、本年はゴルバチョフ書記長の訪米による第二回首脳会談が予定されておりますが、我が国としても、同会談が平和と軍縮実現の契機となるように側面的に米ソ両国に働きかけが必要と考えますが、いかがでございましょうか。
 御案内のように、昨年の米ソ首脳会談では、軍備管理、軍縮問題に関しては具体的な合意を得るに至らなかったものの、若干の考え方の一致が見られ、今後の米ソ両国の交渉に弾みを与えることが期待されました。その後、特に昨年十一月のアメリカの核兵器大幅削減案に対するソ連の対応が注目されておりましたが、去る十五日、ゴルバチョフ書記長は、二十一世紀に向けての核兵器全廃プログラム等を含む広範囲にわたる軍縮新提案を発表いたしております。
 なるほどこの提案は、核兵器の全廃という思い切った目標を掲げてはいるものの、多くの点でこれまでのソ連の立場と変わっておらないようでありまして、依然として種々の問題点を含んでおるのであります。特に、中距離核戦力の分野で欧州にのみ重点が置かれておりまして、アジアは二の次にされておりますことは我が国として容認しがたいところであります。このゴルバチョフ新軍縮提案を政府はどのように受けとめておられるのか、総理の見解をお伺いいたします。
 こうしたソ連の新提案はありましても、現実にソ連は空前の軍備増強を極東、北方領土を中心に行っております。さきにハワイにおける日米安全保障事務レベル協議においては、極東の軍事情勢についてソ連の脅威を認識したとのことでありますが、説明を承りたいと存じます。
 私は、最近における軍備管理、軍縮に関する東西の対話を歓迎し、進展を期待いたしておりますが、先行きは甘くないと思います。なぜなら、ソ連は七〇年代のデタント期に大幅に戦略核兵器を増強し、世界的に優位に立った経緯があるがゆえに、そのソ連の意図する世界戦略が忘れられないからであります。我が国の安全保障は、国際軍事情勢を的確に踏まえ、西側の一員として、国力、国情に応じ適切な規模の自衛力を整備し、質の高い防衛体制を目指すべきであります。これがあって初めて日米安保体制の効果的な運用が図れるものと信ずるのでありますが、総理の所見を承りたいと存じます。
 さて、外交問題の最大の課題であります北方領土返還を含む日ソ関係が、ソ連のシェワルナゼ外相の来日によって八年ぶりに日ソ外相間定期協議が再開し、共同コミュニケが発表され、ここに両国関係は新しい段階に入りました。ここに至るまでの総理、外務大臣を中心とした関係各位のこれまでの御尽力に深く敬意を表するものであります。
 領土問題については、一九五六年の日ソ国交正常化以来、我が国は四島一括返還であるのに対し、ソ連の主張は、当初の二島返還主張から解決済みへ、さらには七三年の未解決の諸問題に領土問題も含まれていると言い、最近は、領土問題は存在しないと、このようにかたくなな態度に終始していたのでありますが、今回ソ連が日ソ両国の改善へ向けて十三年ぶりに再出発に応じたのは、一体背景に何があるのでしょうか。ソ連の変化は何を意味するのでしょうか。政府はこれをどう受けとめ、今回の交渉結果をどう評価しておられるのですか、まず承っておきたいと存じます。
 そこで、今回の共同声明では、一九七三年の田中・ブレジネフ日ソ共同声明の原点に立ち返り、平和条約交渉を再開、継続し、その交渉の中で領土問題を話し合っていくことで日ソ間の合意を見たとの日本側解釈であります。しかし、これに対しては、シェワルナゼ外相は日本記者クラブで、領土問題についてのソ連の法的、歴史的根拠は一切変わっていないと発言し、ソ連国営テレビも領土問題を再協議する根拠はないと報じておりますが、領土問題について外務大臣の見解を明確に示していただきたいと存じます。
 また、今回、シベリア開発を含む両国間の経済問題に関し、いかなる話し合いが行われたのか、お伺いいたします。
 とにかく、今後、日ソ両国は今回の外相会議を契機として実質的進展が図られるものと思われます。しかしながら、領土問題は国家にとって基本的問題であり、我が民族の悲願でありますので、何とぞ毅然たる態度で、長期的視野と知恵と粘りで交渉を継続していただきたいと存じます。以上について総理及び外務大臣の所見を求めます。
 次に、サミットについてでありますが、この五月にはいよいよ東京で主要国首脳会議が開催をされます。今日、世界経済の相互依存関係が高まっている中で、主要国が一堂に会して世界経済の抱える諸問題について一致した協調行動をとることになれば、世界経済の活性化にとって大いに役立つものと存じます。我が国はあくまでもアジア・太平洋の一員であること、また、我が国の存立そのものが自由貿易体制の中にのみあることを十分に踏まえていただいて、今日の貿易不均衡問題是正のための対策や累積債務問題などに率先して協力する必要があろうかと存じます。議長国としてこのサミットに臨む決意を総理にお伺いをいたします。
 関連して、この際、サミット開催地について伺います。私は、常に東京で開催するのではなくて、将来は、日本の歴史、文化豊かなる地、または頭脳、技術の集積地等も当然その候補地として選定すべきものと考えますが、いかがでありましょうか、お伺いをいたします。
 次に、経済問題について伺います。
 まず、景気の見通しでありますが、輸出と設備投資を中心に拡大を続けてきた我が国経済は、昨年の夏を境に鈍化の兆しを見せ始めておるのであります。なかんずく、九月の急激な円高移行により、一段と先行きの不透明感を強めております。今まで景気を牽引してきた輸出は伸び悩み、民間設備投資は低下しておりますほか、家計の消費と住宅投資が思ったほど盛り上がりを見せておりません。景気は次第に下降線をたどっていると思われますが、景気の先行きに不安はないのか、政府の見解を伺います。
 次いで、昭和六十一年度政府経済見通しが実質成長率四%を見込んでいることに対し、民間の予測機関との比較や現状の景気動向から、目標達成に極めて厳しい批判がなされております。四%成長達成のため、政府がどのような政策を準備し、今後打ち出していくかが問題であります。そこで、今年度と比較し、総事業量を五%ふやした公共投資を経済に最も有効に働かせるために、思い切って来年度上期にその八割程度を集中発注し、当面危惧されている経済のデフレ現象を一掃すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 また、東京湾横断道路や明石海峡大橋の巨大プロジェクトは約十年以上の長期計画で想定されておりますが、工期の短縮を図ることを念頭に初年度の事業促進を図るべきだと思いますが、総理及び大蔵大臣より明確な答弁をお願いいたします。
 次に、財政問題であります。
 極めて厳しい状況にある我が国財政の対応力を回復するために、ここ数年、社会保障を中心に制度改革が実行され、高齢化社会に対応した適正な給付と負担の措置が講ぜられてまいりました。また、高度成長時代の水膨れした歳出も徹底して見直され、削減されました。財政改革は着実にその歩みを進めてきております。六十一年度では、昨年以来懸案であった補助金について、事務事業の見直しを行いながら補助率の総合的見直し等を行い、歳出の節減合理化に努めております。その結果、一般歳出は前年度比十二億円減少し、四年連続の減額となり、公債依存度は二〇・二%と、財政再建開始以来、最低の水準に改善されております。大蔵大臣の御苦労に対し、敬意を表するものであります。
 しかし、赤字公債の減額は前年度比四千八百四十億円の減額にとどまっております。六十五年度赤字公債脱却の目標達成には今後毎年一兆三千億円以上の削減をしなくてはなりませんが、政府は今後とも財政再建の目標を堅持されるかどうか。もし堅持されるとするなら、どのような手段で目標を実現されるのか、お伺いいたします。
 赤字公債の償還も、建設公債同様、一部を借換債の発行で賄う方式に変更された今日、私は、公債を区別する意味がなく、まして財政再建目標を六十五年度に固定するということに疑問を感じておるのであります。今後は公債全体を着実に減少させていく努力が無理のない財政再建策と信じますが。いかがでございましょうか。現時点で目標水準を無理に固定し、すべての政策を赤字公債脱却にこだわることは、逆に財政上も経済上もひずみをつくると思いますが、政府の率直な意見を期待するものであります。総理及び大蔵大臣の答弁をお願いいたします。
 続いて、財政再建のための税制改革について伺います。
 土光臨調による増税なき財政再建の提言は、現在の財政再建に大きな貢献をしたことは今さら申すまでもありませんし、それを実現した鈴木、中曽根二代の内閣の努力も高く評価されると思います。しかし、今日、大きく情勢が変化している中で同じ方策を続けていくことはいかがかと存じます。臨調答申自身、財政規模の圧縮については適度の経済成長を前提とする提言である旨述べられておりますし、経済がデフレ化する中で歳出削減に偏った財政再建を進めますと、逆に経済が縮小し、先細りが心配されるのであります。
 財政再建は、適度な経済成長の確保のもとに、歳出面の見直しに加え、歳入面の合理化があってこそ展望が開かれると思います。私は、党政調の副会長として二年度にわたり予算編成に参画させていただきましたが、従来、税制面の抜本改革が取り残されてきた嫌いがあると存ずるのであります。今日、新たな視点に立った政府の抜本的な税制改革に対する取り組み方を伺いますとともに、サラリーマンを中心とした減税についていかがお考えでしょうか、総理及び大蔵大臣の所見を求めたいのであります。
 次に、教育問題について伺います。
 臨時教育審議会は、昨年六月の第一次答申に引き続き、この二十二日には第二次答申の基礎となる第三回目の「審議経過の概要」を発表しております。その精力的な審議に基づく卓見に対して敬意を表するものであります。政府はこれまでの同審議会の答申及び審議経過の概要をどう受けとめ、教育改革を行う決意であるのか、お伺いいたします。
 御案内のとおり、明治以降今日までの我が国は、欧米先進工業国に急速に追いつくことを国家目標の一つとして、教育においてもその目標を実現するためのたゆみない努力を行ってまいりました。その結果、今日、その普及度と水準は特に初等中等教育において世界に誇り得るものとなっております。しかしながら、最近における家庭教育の低下や子供を取り巻く社会の急激な変化、さらには、いわゆる有名校への進学を求めての激しい入試競争は、子供の心身の健全な発達を妨げ、学力偏重の風潮を生んでおります。これでは、我が国の二十一世紀を託するに足る、創造力に富む、たくましい、思いやりのある青少年の育成ができるのか、まことに不安に思わざるを得ません。
 そこで、臨教審に改革のためのガイドラインを求め、政府に早急に着手していただきたい三つの課題を述べさせていただきます。
 その第一は、大学入試制度の改革についてであります。大学入学者の選抜については、瑣末な知識偏重のテストによる受験生の振り分けではなく、各大学が多様で個性的な入学者選抜を行うことにより、受験生がその個性、適性、能力を生かした進学が容易になるように選抜方法の改善を図ることは極めて肝要であります。この観点から、臨時教育審議会の第一次答申においても、新しいテストの創設等を提言しているほか、大学関係者の地道な改善努力を求めておるのであります。大学入学者選抜制度の社会への影響の大きさにかんがみ、関係者が英知を結集して、速やかに入試改善の実現が図られることを希望するものであります。
 第二は、教員の問題であります。「教育は人なり」と言われておりますように、教師に立派な人材を得ることは国の教育政策のかなめであります。初任者研修制度が検討されているのもかかるゆえんであろうと思うのであります。教職に真に適した人を選び、大事に育成していく制度を整えることが現下の急務であると考えておるのであります。
 第三は、道徳教育の強化であります。今の教育に最も欠けているのは、他人に対する思いやりの心ではないかと思います。最近の学校におけるいじめ、暴力の横行が何よりもそのことを物語っております。また、日本人としての自覚も足りないようであります。今日、我が国はかつてない豊かさの中にありますが、これからの課題は、いかにして心豊かな、たくましい、思いやりのある人間を育成するかではないでしょうか。学校における道徳教育を充実強化し、そのあり方を考え直す必要、今まさに大であります。
 これらについて総理及び文部大臣の所見を求めます。
 次に、国鉄改革問題について伺います。
 この国鉄の改革は行政改革の中でも最大の課題であります。年間二兆三千億円もの赤字を生み、二十五兆円にも及ぶ長期債務が累積する国鉄を抜本的に改革することは一刻の猶予も許せません。昨年七月提出されました国鉄再建監理委員会の分割・民営化の改革意見は、新事業体の経営責任と独立採算の維持を明確にするなど、苦心の中で練り上げられており、同委員会の御労苦に深く敬意を表するものであります。
 まず、政府はこの改革意見をどう受けとめておられるのか、国鉄改革の大胆な推進を実施していくための総理の決意を伺いますとともに、今後の具体的な対応策をどう講ずるか、運輸大臣の所見もあわせて承りたいのであります。
 現行の国鉄の経営形態において大幅赤字を出しているものが、単に形態を分割・民営化すれば一変して収支採算がいかにしてとれ得るようになるのか、国民の間には素朴な疑問があります。政府はこれをわかりやすく国民に説明することが、国鉄改革に対する国民の理解を得る上で必要であります。とりわけ地方においては、分割・民営化によって地方交通線の存続維持への心配や、北海道、四国、九州の三島の新事業体においては電化などの鉄道近代化投資を行っていけるのかどうか、地域開発の推進とも関連して心配されるのでありますが、いかがなるのでありましょうか。
 さて、国鉄改革を進めるには、長期債務の処理と余剰人員対策が最大の課題でありますことは申すまでもありません。長期債務の処理は一般会計の財源難が一方にありますが、これをどう進めていこうとされているのか。また、余剰人員対策については、目下、鋭意その推進に努力されているところでありますが、雇用吸収力の弱い地域については相当の困難も心配される状況にあります。この対応策をどう進めるお考えなのか、運輸大臣及び大蔵大臣の所見を承りたいと存じます。
 整備新幹線は、二十一世紀における我が国の基幹的交通機関としてぜひとも必要であることは疑いのないところであります。本格的着工は国鉄再建監理委員会の「意見」に基づき凍結されたままでありますが、過去の反省を踏まえて、早急に財源調達の基盤を確立し、新事業体の運営に支障のない条件をつくり上げて推進すべきであります。運輸大臣及び大蔵大臣の考え方を示されたいのであります。
 終わりに、我が自由民主党は、昨年十一月、立党三十周年を迎えました。特別宣言と政策綱領を採択し、新たな政治目標を掲げました。中曽根内閣がその先頭に立ってその目標達成に努め、国民のための健全な民主政治の確立を図られることを期待し、我々はそのもとに一致団結して日本国の発展と国会の権威高揚に全力を傾注することを誓い、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(中曽根康弘君) 上田議員にお答えをいたします。
 まず、最初にお話しになりました新潟県下の雪崩の遭難者に対しまして、政府といたしましても心から哀悼の意を表し、国土庁長官を早速現地に派遣いたしまして、関係各省挙げて今対策に万全を期しておる次第でございます。
 なお、私の姿勢につきまして温かい御指導をいただきまして、謹んでお礼申し上げる次第でございます。
 まず、定数是正の問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたとおり、前国会におきまして各党の努力にかかわらず成立を見なかったことは遺憾でございます。この問題につきましては、衆議院議長の御見解が示され、かつ衆議院本会議の決議もなされたところでありまして、各党間の協議、協調により、今国会において速やかに定数是正が実現できるように努力してまいるつもりでおります。
 米ソ首脳会談及び両国への働きかけでございますが、ともかく、大きな相違点は残しつつも軍備管理交渉の促進について合意を見たということは慶賀すべきことでございます。新たな出発点と、そう申しておるようでございますが、私もこれが真に新たな出発点として実りある結論を得るように深く期待をしております。我が国といたしましても、従来同様、側面的にもこれが実るように積極的に協力してまいりたいと思います。
 ゴルバチョフ書記長の提案につきましては、先ほど申し上げましたように、二〇〇〇年に至るまでの三段階に分けて、究極的には核廃絶を行うという目標で提案がなされております。そして、検証の問題、INFの問題あるいは化学兵器の禁止の問題等について若干我々が注目すべき提案もあるように思います。しかし、我々といたしましては、アジアにおけるSS20がどういう処理を受けるか、この点についても重大な関心を持っておるのでございまして、先般のシェワルナゼ外務大臣との会談におきましても、私は極東における、最近におけるソ連軍の増強問題、北方四島における軍事的強化の問題、あるいはアジアにおけるSS20の展開問題について重大な憂慮を示しまして、それに対して我々の国民が納得するような措置を行わんことを切に要望した次第なのでございます。ヨーロッパにおいてINF、SS20が削減されるという場合には、アジアにおきましてもそれに比例してこの削減が行われるように強く望んでおる次第なのでございます。
 次に、安全保障条約の事務レベルの協議の問題でございますが、さきの日米安保事務レベル協議におきましては、ソ連の軍事力増強の情勢、特に極東への配備の情勢等について説明もあり、両国の防衛努力について具体的にいろいろ協議をし、そして意見の一致を見た点もあるのでございます。国際情勢は依然として事実上厳しい状況にあると思います。我々はいたずらに幻想を抱くものではございません。しかし、現実の立場に立って、一歩一歩事態が打開するように善意を持って努力していくことが大事である、そう考えております。我が国としては、日米安保体制を基本的に堅持するとともに、自衛のために必要な範囲内の防衛力を憲法に従って整備していく、防衛計画の大綱の水準達成に向かって努力していく、こういう考えで今後とも努力してまいるつもりでおります。
 外相間の定期協議がソ連との間に行われます。この約束は評価するものであり、かつ、私とゴルバチョフ両首脳の会談について約束が行われましたことも評価しておる次第でございます。前から申し上げますように、手ごわい相手に対してはできるだけ対話の機会を多くし、相互理解を進めるという努力が必要であると、そう考えております。今後とも、領土問題を解決して平和条約を締結するために粘り強く交渉もし、対話を深めていきたいと考えておるところであります。
 領土問題につきましては、先般来申し上げているとおり、これは我が国の最大の重要事項でございまして、避けて通ることはできない問題であり、不退転の決意を持って全国民とともに北方領土を我々の手元に返す努力を継続していくつもりでおります。
 今回のサミットにつきましては、昨年の秋のレーガン・ゴルバチョフ会談あるいはG5の経済調整等々の結果にかんがみまして、国際的にも非常に注目されているサミットであると思います。まず、経済の持続的成長をいかに確保するか、国際的な通貨の安定措置をいかに協議するか、自由貿易体制、特にガットの九月における閣僚会議に向けていかに準備を進めていくか、あるいは発展途上国の問題や累積債務国の問題、さらに太平洋、大西洋両洋協力の問題をいかに具体的に進めていくか等々の問題について、明るい展望をもたらすようなサミットにしていきたいと考えておる次第でございます。
 このサミットの開催都市の問題でございましたが、京都も、また宮崎も点検したところでございます。しかし、何といっても一つは交通問題がございます。それから安全保障、警備の問題等があり、特に京都の場合には、市民に対して交通途絶その他でかなり迷惑を及ぼすという危険性もございました。また、最後に宮中におきまして天皇陛下の晩さん会が行われることもございまして、場所を移動することはいかがであるかと、そういうような諸般の点を考えまして東京に決めた次第でありまして、御理解をいただきたいと思う次第でございます。
 景気の先行き等については、鉱工業生産は今のところ一進一退でございますが、しかし全般的には緩やかにまだ成長拡大を続けていると、こう考えておりまして、今後も景気の動向については深甚なる注意を行いまして、財政的にあるいは金融的にできるだけ機動的な措置を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
 公共事業の上半期への集中の問題でございますが、現在の状態では、全体としては緩やかな拡大傾向を続けております。六十一年度のこの施策につきましては、経済の実態、情勢をよく見きわめつつ、与党とも相談をしてまいりたい、そう考えております。五十九年度、六十年度においては自然体で執行をいたしました。六十一年度につきましても、今申し上げたような情勢を踏まえつつ、与党とも相談してまいりたいと考えておるところでございます。
 東京湾横断道路、明石海峡大橋の事業につきましては、いよいよこれを実行するということを決定いたしまして、所要の予算並びに法律的措置を講じていくつもりでございます。漁業調査とか地質調査とか、環境アセスメント等からまず始めるということになると思います。
 六十五年度赤字公債依存体質からの脱却、これはあくまで貫徹する決心で努力してまいるつもりでございます。なかなか厳しい状況になってきていることは私も承知しておりますが、しかしこれを一たん崩すということになると、やはり相当な行政需要や予算要求等が出てまいりまして今までの努力が水泡に帰する危険性もございますし、現在の国債の累積状況を見ますというと、決して財政を緩めるような状況にはないのでございます。何としても財政の対応力を回復して、自由な政策が展開できるような基礎をつくることが今重大でございまして、我々としては、懸命の努力を国民の御理解をいただいてやりたいと思っております。
 なお、中期的な展望については、中期展望及び仮定計算例を国会にお示しすべく準備しているところでございます。
 次に、税制改革の問題でございますが、これらにつきましては、先般来申し上げましたとおり、この春に税調より、まず税の重圧感、ひずみ、減税、これらに関する答申をいただきまして、秋に財源措置も講じた一体としたものをつくりまして、法制の準備をいたしたいと考えております。
 教育改革につきましては、第二次答申の基礎となる「審議経過の概要」が先般公表されました。第二次答申の提出については重大な関心を持って今見守っておるところでございますが、この答申を得ましたら、最大限に尊重して実行していきたいと思います。
 国鉄改革につきましても、今やじんぜん日を送ることは許されない喫緊の課題になってきております。従業員の皆様方にもいろいろ御心配をおかけしていますが、御心配のないようにやることが政府の仕事であり、かつ国民の皆さんの御協力を得られるようなやり方で推進することが大事であります。今回、三塚大臣を運輸大臣に任命いたしましたのも、そういう点についてそごのないように十分腕前を発揮してもらいたいと思ってやったところでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(安倍晋太郎君) 上田議員にお答えをいたします。
 まず、領土問題でございますが、これはしばしばこの席で申し上げましたように、北方領土問題を解決して平和条約を結び、真の相互理解に基づく安定関係を確立するということが我が国の対ソ外交の基本でございます。今般、ほぼ八年ぶりに日ソ外相間の定期協議が行われまして、領土問題を含む平和条約交渉が再開をされ、これを継続することが合意されたことは、今後の対ソ外交を進める上におきまして重要な第一歩であったと考えております。領土問題についてのソ連の立場には依然として非常に厳しいものがございますが、今後とも、国民の総意に基づきまして、領土問題を解決して平和条約を結ぶという我が国の不動の方針を貫くべく、粘り強く交渉を続けていく決意であります。
 次に、日ソ経済問題についてお答えをいたします。
 日ソ間の経済問題につきましては、日ソ貿易経済関係の互恵の原則に基づく一層の拡大を促進したいと、こういう一般的な意向を双方が表明いたしましたほかに、ソ連の四大化学プロジェクト、サハリン石油・天然ガスプロジェクトについての有益な意見交換を行いました。また、次官級に格上げをいたしました日ソ貿易年次協議を三月十一日、十二日の両日、モスクワにおいて開催することで意見の一致を見た次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問の大部分は総理からお答えがございました。
 それで、赤字公債の減額の問題からいろいろな御意見がございましたが、確かに六十五年度までに特例公債依存体質から脱却するという努力目標の達成、これは容易ならざるものがあります。しかしながら、財政改革の推進は、今我が国経済社会の安定と発展を図るためにぜひともなし遂げなければならない国民的課題である、このような認識のもとに目標の達成に向けて今後とも全力を挙げて取り組む所存であります。したがって、具体的にどういう施策の組み合わせによるか、こういうことになりますと、結局は、経済情勢等を踏まえながら、毎年度毎年度の予算編成過程において一つ一つを着実に検討、解決していく課題であろうかと思うわけであります。しかし、だんだん、だんだん、例えば電電株の放出の問題でありますとか、そうした従来の仮定計算等にはなかった要因がいろいろ加わってまいります。それらを総合的に勘案しながら、具体的な手順に対しては、年々の予算編成を通じながら国民の前に明らかにしていくということが必要であろうと考えます。
 それから次に、赤字公債と建設公債を区別する意味がなくなったではないかという御趣旨のお尋ねでありました。
 確かに、財政法で建設国債といわば赤字国債を区分した考え方の基礎の上に立っておりますのが、我が国と、やや西ドイツがそういう考え方であります。そして、他の多くの国は、いわば区分をしない一般的な財政赤字としてこれを位置づけておるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、この六十五年度脱却という財政改革の努力目標の達成にこれから全力を挙げていく、そしてそのためには、最終的にはやはり公債残高のGNP比の上昇テンポを落としていく、そしてその後には、今度はGNP比に対して引き下げていくという段階が続いていくというふうに理解をいたしておるところであります。やはり目標を先送りいたしますと、その瞬間からいわば安易な財政運営になりがちである、そして歳出増加圧力が強まってくる。そうすると、今まで一体何をしておったか、こういうことにもなりますので、ここは慎重に、また窮屈に対応していかなければならないではなかろうかと思っております。
 それから次は、税制の問題でございます。
 これはまさに総理からお答えがたびたびあっておりますように、税調に対して今諮問しておるさなかでございます。そして、これからは国民の意見、要望を広く承りながら、なかんずく国会における議論等を十分税調に伝え、そこでいろいろ議論をしてもらい、そして政府としてもかれこれ勘案いたしまして、安定的な歳入構造を確保するということを前提に置きつつも、ゆがみ、ひずみ、そしていわば不公平感、重圧感というものを念頭に置きながら対応していくべきものであろうと考えます。
 その中に、意見として、サラリーマンの方に対する、いわば重圧感に対する減税問題についての御意見もございました。
 これはあくまでも、抜本的見直しというところでも、総理から税制調査会に諮問された中にもいわゆる重圧感、サラリーマンを中核とするいわゆる中堅所得者層を中心とした負担の軽減合理化という声が高まってきておるということを背景に今議論が進められておりますので、その検討結果を踏まえて対処すべきものであるというふうに考えております。
 それから国鉄改革を進めるに当たりましての問題が二つございました。
 一つはいわば長期債務の処理問題、それからいま一つは今後の整備新幹線の取り扱いでありますが、これはたびたび運輸大臣と協議いたしておりますし、先般もまた閣議決定のあったところでもございますので、専門家であります運輸大臣の方からお答えをした方がより正確であろうというふうに考えます。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(海部俊樹君) 上田先生の教育に関する御質問三点についてお答えいたします。
 最初の、大学入学者選抜制度を改善する気持ちはないかということでありますが、御承知のように、既に臨教審の第一次答申で御指摘を受けまして、直ちに大学関係者、高校関係者などにお集まりをいただき、改革協議会を設置して問題点をいろいろ整理検討を始めております。なお、このほかに国立大学協会自身も、当面できることとして、来年度からは二科目の削減を既に決めておっていただきますし、同時にまた、その他のレベルの入学試験、高校についても都道府県の教育委員会を通じて御指摘のような線に沿った改革の努力をいたしておるところであります。
 二番目の教員の問題についての御指摘は私も全く同感でありまして、教育改革が究極のところ成功するかどうかの大きなポイントの一つに教師の資質があると私は考えております。今日までも文部省は、採用、研修その他の段階において資質の向上には努力を続けてきたところでありますが、世論調査等によれば、国民の皆さんからもなお一層の資質の向上が強く求められており、私どももその必要を痛感いたしております。臨教審の「審議経過の概要」にも資質の向上の問題についていろいろの御議論がなされておりますが、答申はまだ春に出てまいるわけでありますから、この審議を見守りながら、答申をいただきました段階で、御趣旨に沿って、いい先生がいい教育をしていただけるように期待をしながら、その対策に取り組んでいきたい、こう考えております。
 最後の、道徳教育の充実の問題につきましては、先ほど来ここで御議論のありましたいじめの問題との関連などで、その一層の充実を図るように国民の皆さんからも大きな期待が寄せられ、文部省としましても、現代の児童生徒に欠けていると言われるしつけの問題などを通じて、道徳教育の時間の整備や、あるいは資料の作成、配布とか、時間を決めた以上はしっかりとそれを身につけさせるように指導してもらうように教えておりますが、現在行われておる教育課程審議会におきましても、学習指導要領の根底になるものでありますから、他人に対する思いやり、あるいは日本人としての自覚、そういったことをもっと身につけられることができるように御検討を願っておるところであります。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(三塚博君) 上田議員にお答えを申し上げます。
 まず、国鉄問題についての具体的な取り組み、対応はということでありますが、既に昨年十月、閣議決定をいたしました基本方針に従いまして、ただいま政府挙げて法案の作成準備にかかっておるところであります。御案内のように、日本国有鉄道改革法、仮称でありますけれども、さらに旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律など、九本ほどございますが、今国会に提出をさせていただき、速やかにその成立を期してまいりたいと考えており、国会の御協力、御審議をお願いするところであります。あわせまして、改革実現のための条件を整備して、新経営形態への移行を円滑にさせてまいりますための諸準備を着実に進めてまいらなければなりません。そういう意味で余剰人員対策はまことに重大事でございます。さらに、長期債務の処理についての基本的な方向を明確に先般いたしたわけでありますが、この二つのポイントを踏まえてしっかりと対応してまいりたいと考えます。
 次に、分割・民営化をいたしますと、なぜ直ちによくなるのかという基本的な御質問でございます。
 これは、従前、国有鉄道という公企体の中で運営をしてまいりましたものが、今日、毎年二兆円余にわたる赤字を出すに至りました現実を直視することによりまして、これを変えることにより効率的経営をいたす形態に改組いたしてまいる、そして地域鉄道として、さらに利用者の利便に十二分に応じられるような鉄道として再生をせしめるということが、まずその第一のポイントでございます。具体的には、これらの諸会社の運営について、要員体制、業務運営の最大限の合理化、効率化を図り、過剰な要員体制を改める。いわゆる二十一万体制から最終的に十九万体制へと、このことを行うことによりまして健全経営に移行できると確信をいたしております。さらに、長期債務等につきましては、新会社の健全な経営に支障を来しませんように、監理委員会の答申では十六兆七千億円、国家の責任、政府の責任において御処理をいただきますならば健全経営ができるという試算が出ております。十分な御審議をいただきながら御理解を得たいところであり、特に北海道、四国、九州は、大変その収支の状態におきまして不安が持たれております。よって、この三島につきましては、長期債務を免除いたしますと同時に、公共性という意味合いの中で生じますロスを、一兆円余のファンドを積むことにより、その果実を収入として得ることにより、採算の合理性を期するということにいたしております。
 さらに、第三問でございますが、新事業体、特に三島における老朽化した施設あるいは電化等の設備はどうなるのか、こういうことでございますが、六十一年度予算におきまして既に四国の電化事業についての予算化を期しました。さらに、北海道及び四国、九州の旧車両の更新についてもできるだけの予算措置を講じたところであり、経営形態が変わり得ました場合におきましても、その老朽施設の交代に必要な投資ができるような経営形態ということで措置をいたしたいと考えておるところであります。
 第四点でありますが、長期債務の処理、運輸大臣の所感ということでありますが、先ほど申し上げておりますことで御理解がいただけると存じます。
 第五点でございますが、雇用吸収力の弱い北海道、四国、九州において果たして余剰人員の対応ができるのかというごもっともな御指摘でございます。
 国鉄を離れる皆さんの意向は、やはり自分のこの土地で就職を求めたいというのが大方の意向でございます。その意向に沿い、政府として全力を尽くしてまいりますことは当然であり、総理の命により、北海道、四国、九州と、既にそのお願いを申し上げてまいったところでございますけれども、しかしその地域において吸収でき得ません場合は、さらに万全の策として、全国的な規模で就職のあっせんを行ってまいりますことが雇用対策の観点から極めて重要でありますので、関係者で緊密な連携を図りつつ、再就職について十分な措置を講じてまいりたいと考えております。
 最後に、整備新幹線についてでございます。
 かねがわ大蔵大臣からもお話がありましたとおり、この件については政府ぐるみで真剣な協議をいたしてきたところであり、整備新幹線につきましては、長期的に見て、国土の均衡ある発展、地域格差の是正等に資する国家プロジェクトとして、その推進について御要望がありますことは十二分に承知をいたしております。同時に、財政再建下という今日の状況、さらに国鉄の財政状況から見て、慎重な対応も要望をされておるわけでありまして、このような状況下において、昨年八月の政府・与党間の申し合わせにより、昨年十二月、東北及び北陸新幹線の工事実施計画の認可申請がなされたところでありますが、その認可については、政府・与党間に設置をされました整備新幹線財源問題等検討委員会において、財源問題、さらに国鉄分割・民営化後における建設主体はどうあるべきか、また運営主体はどうあるべきかという点、並行在来線の廃止の具体的内容等の検討を行っておるところでございまして、その結論が得られました段階で、五十七年の凍結を決めました閣議決定を変更した上で行うことといたしておるところであります。今後、精力的にこの検討を進め、早期に適切な結論が得られますように努力をしてまいります。(拍手)
     ―――――・―――――
#20
○議長(木村睦男君) ただいま徳仁親王殿下が御退席になられます。
   〔起立、拍手〕
     ―――――・―――――
#21
○議長(木村睦男君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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