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1985/03/24 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 本会議 第7号
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1985/03/24 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 本会議 第7号

#1
第104回国会 本会議 第7号
昭和六十一年三月二十四日(月曜日)
   午前十時三十四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
○議事日程第七号
  昭和六十一年三月二十四日
   午前十時三十分開議
 第一 昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余
  金の処理の特例に関する法律案(内閣提出、
  衆議院送付)
 第二 国民年金特別会計法等の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 国際花と緑の博覧会の準備及び運営のた
  めに必要な特別措置に関する法律案(内閣提
  出)
 第四 消防法及び消防組織法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙
 一、中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、租税特別措置法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 一、国務大臣の報告に関する件(昭和六十一年
  度地方財政計画について)並びに地方税法及
  び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に
  関する法律の一部を改正する法律案(閣法第
  八号)及び地方交付税法等の一部を改正する
  法律案(趣旨説明)
 以下議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#2
○議長(木村睦男君) 御紹介いたします。
 本院の招待により来日されましたフィンランド
共和国国会議長エレキ・プュストネン閣下の御一
行がただいま貴賓席にお見えになっております。
 ここに、諸君とともに、心からなる歓迎の意を
表します。
   〔総員起立、拍手〕
     ―――――・―――――
#3
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 山内一郎君から裁判官弾劾裁判所裁判員を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(木村睦男君) つきましては、この際、裁判官弾劾裁判所裁判員一名の選挙を行います。
#6
○佐藤栄佐久君 裁判官弾劾裁判所裁判員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#7
○浜本万三君 私は、ただいまの佐藤君の動議に賛成いたします。
#8
○議長(木村睦男君) 佐藤君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に加藤武徳君を指名いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#10
○議長(木村睦男君) この際、来る三十一日に任期満了となる中央選挙管理会委員及び同予備委員各五名の指名を行います。
#11
○佐藤栄佐久君 中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名は、いずれも議長に一任することの動議を提出いたします。
#12
○浜本万三君 私は、ただいまの佐藤君の動議に賛成いたします。
#13
○議長(木村睦男君) 佐藤君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、中央選挙管理会委員に吉岡恵一君、堀家嘉郎君、沖崎利夫君、中尾辰義君、中沢伊登子君を、
 同予備委員に佐久間彊君、大谷操君、瀬尾忠博君、松尾信人君、岡本文君を、それぞれ指名いたします。
     ―――――・―――――
#15
○議長(木村睦男君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、人事官に石坂誠一君を、
 原子力委員会委員に門田正三君、藤波恒雄君を、
 原子力安全委員会委員に大山形君、御園生圭輔君を、
 中央更生保護審査会委員に本明寛君を、
 日本銀行政策委員会委員に川出千速君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、人事官の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#16
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
 次に、原子力委員会委員、原子力安全委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#17
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
 次に、中央更生保護審査会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#18
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
 次に、日本銀行政策委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#19
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#20
○議長(木村睦男君) この際、日程に追加して、
 租税特別措置法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。竹下大蔵大臣。
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 租税特別措置につきましては、現在進められている税制全般にわたる抜本的見直しとの関連に留意しつつ、住宅取得者の負担の軽減、民間活力の活用等を通じ内需の拡大等に資するため所要の措置を講ずるとともに、最近における社会経済情勢と現下の厳しい財政事情に顧み、税負担の公平化、適正化を一層推進する観点から租税特別措置の整理合理化等を行うほか、たばこ消費税の税率を臨時措置として引き上げる等所要の措置を講ずることといたしております。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、内需の拡大等に資する観点から、住宅取得者の負担の軽減を図るため、住宅取得控除制度を改め、二年間の措置として、新築または既存の居住用住宅の取得等のための公的資金を含む借入金等の残高を対象として、一定の要件のもとに、その一%相当額を三年間にわたって所得税額から控除する住宅取得促進税制を設ける等の措置を講ずることといたしております。
 また、民間活力を活用するため、東京湾横断道路の建設に関し、特定会社に対する出資について、一定の要件のもとに、出資額の一〇%相当額を所得控除する措置を講ずるとともに、民間事業者の能力の活用により整備される特定施設について特別償却を認める等の措置を講ずるほか、エネルギー基盤高度化設備投資促進税制を創設する等の措置を講ずることといたしております。
 第二に、企業関係の租税特別措置等につきましては、連年厳しい見直しを行ってきておりますが、昭和六十一年度におきましては、特定の資産の買いかえの場合の課税の特例の縮減等の整理合理化を行うほか、登録免許税の税率軽減措置につきましても所要の整理合理化を行うことといたしております。また、国外関連者との取引を通ずる所得の海外移転に対処するため、国外関連者との取引に係る課税の特例を設けることといたしております。
 第三に、法人税率の特例制度について、その適用期限を一年延長するほか、欠損金の繰越控除制度について、直近一年間に生じた欠損金に限り適用を停止する措置を講ずることといたしております。
 第四に、昭和六十一年度予算における補助金等の整理合理化に伴う地方財政対策の一環として、昭和六十一年五月一日から昭和六十二年三月三十一日までの間、たばこ消費税の従量割の税率を紙巻きたばこについて千本につき四百五十円引き上げる等の臨時措置を講ずることといたしております。
 その他、中小企業の貸倒引当金の特例制度等適用期限の到来する租税特別措置について、実情に応じその適用期限を延長する等の措置を講ずることといたしております。
 以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#23
○議長(木村睦男君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。赤桐操君。
   〔赤桐操君登壇、拍手〕
#24
○赤桐操君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質疑を行います。
 まず、不公平税制の改革についてただしたいと思います。中曽根総理は、昨年一月この議場で、所得税、法人税等の大幅減税と不公平税制の是正、改革を国民に公約をされました。しかし、その後、政府税制調査会に税制改正を諮問したことを理由に、六十一年度の税制改正では、税制全般にわたる抜本見直しとの関連に留意するとの理由で公約をほごにし、税負担の公平化、適正化を先送りしてしまったことは、重大な背信行為であるばかりか、納税者にとってまことに不幸であったと言わなければなりません。
 総理、今日の我が国税制の実態は、言い古されたトーゴーサンの税の不公平を初め、連日新聞に報じられる巨額に上る脱税の数々、さらに税制を巧みに利用した節税という名の金融商品のオンパレード等々は、多くの国民に縁がないばかりか、納税者には正直者がばかを見、まじめな納税者をあざ笑っている税制度と映るのでありますが、総理の見解を伺いたいと思います。
 さらに、一読難解、二読誤解、三読理解不能とまで酷評される税法によって、納税者の権利を守るよりも、逆に法の網の目をかいくぐり、難解である点を利用しての経理操作や税金操作、さらには税金を免れるための利殖といったことが横行し過ぎてはおりませんか。今や不公平な税制に対する国民の不満はその極に達しており、近代租税国家の基盤を揺るがす危険すらあるのではないでしょうか。自由世界第二位の経済大国と言われる我が国が逆に最悪の財政窮迫に追い込まれていることも、実は多年にわたる不公正で不公平な税制を放置し、一部の大企業や資産家の利益を擁護してきたからにほかならず、政府・与党の責任は大きいと思いますが、総理はどのようにお考えになられますか。
 不公正税制の改革は一日の延期も許されない緊急課題であり、六十二年度に先送りすべきではなく、税制全般の見直しの基本路線を踏まえつつ、抜本改革への礎石が打たれるべきであったと考えますが、御答弁を求めたいと思います。
 次に、本題である租税特別措置についてただしたいと思います。
 税制度に欠くことのできない公平と公正の機能をある程度犠牲にして政策減税を行おうとするものが租税特別措置であることは、今さら申し上げるまでもありません。こうした性格を持つ租税特別措置は必要最小限度にとどめなければならないことは当然であります。大蔵省発表の六十一年度の租税特別措置による減免額の総額は一兆五千六百二十億円に上り、六十年度より三百七十億円も増加することになっております。さらにまた、政策減税による各種優遇措置が多過ぎることが現行税制を複雑で難解なものにしていることは否めません。
 既存の租税特別措置の廃止、圧縮は、税制の簡素化、公平化にあわせ、減税財源づくりや財政再建にも役立つことになり、一石二鳥のはずでありますが、六十一年度の税制改正ではこの面がなお不徹底に終わったのではありませんか。現下の財政状況等を勘案すれば、最小限スクラップ・アンド・ビルド方式を基本に据えて、いやしくも租特による減免税額が前年度よりふえるようなことは防止すべきだと存じますが、政府の基本的な対応を伺いたいと思います。
 さらに、租税特別措置は資本蓄積と企業の競争力強化をねらって設けられたといっても過言ではありません。しかし、終戦直後から高度成長期までとはさま変わりで、現在の我が国は既に資本過剰の状況にあり、また企業の競争力は、最近の急激な円高に顕著にあらわれておりまするように、世界屈指の力を備えたことは間違いありません。こうした状況にかんがみ、租税特別措置の従来の二つの目標による減免税制度を見直し、整理を促進するとともに、新たに国民生活の安定や高齢化社会に対応する施策の面に移行すべきではないかと考えますが、いかがですか。
 六十一年度租特の改正で、まず赤字法人課税の強化策として打ち出された法人税の欠損金の繰越控除制度の停止についてであります。
 そもそもこの制度は、企業が営業体として長期的に経営戦略を立てることができるように配慮さ
れた制度であり、それを一年間に限って停止することは、租税政策の観点からも邪道であり、赤字法人課税に名をかりた増税以外の何ものでもありません。特定年度に限定しての欠損金繰越停止のやり方は、企業経営上も税負担の公平上も偶然に左右され過ぎるものであって、思いつきの改悪であり、それゆえに日本税理士連合会などもこのやり方に反対の意向を明らかにしているのではありませんか。
 特に、最近の円高で、この停止措置の影響を受ける中小企業は、その多くが経営上の困難を強いられており、それに追い打ちをかけるような欠損金繰越停止は決して許されるべきものではありません。むしろ是正すべきは、貸倒実績率と法定積立率の間に依然格差がある貸倒引当金の方でなければなりません。欠損金の繰越控除制度の停止措置の撤回を強く求めるものでありますが、総理並びに蔵相の見解を伺います。
 次に、法人税の暫定税率の延長措置であります。
 これは五十九年度の所得税減税財源として引き上げられたものでありますが、昨年度に引き続き二年連続して所得税減税が見送られている以上、期限到来時には従来の税率に戻すのは当然であります。一たん採用してしまえば税務当局のものであって、採用目的がどんなに変わろうとも税金だけは手放さないということでは、国民や企業の側の税を納める人々の納得が得られないとともに、税制度に対する信頼をも失うのではないでしょうか。蔵相の答弁をお聞きいたしたいと思います。
 六十一年度税制改正の中で際立って問題だと思うのは、たばこ消費税の引き上げであります。
 政府は、常日ごろ税制調査会を隠れみのに使い、我々が税制改革に対する政府の見解を求めますると、決まって、税調に予見を与えてはならないとして、政府みずからの見解を示すことを回避してきたのであります。にもかかわらず、今回の引き上げは政府税調に何ら諮ることなく、六十一年度税制改正答申決定後に、やみ討ち増税を政府レベルで決定するという常軌を逸した行動に出たのであります。全くこれまでの政府説明と矛盾していると言わざるを得ません。内容も手続も言語道断のこの税制改正は、政府の御都合主義で、到底我々が納得できるものではありません。このような御都合主義の税制改正案を認めることは悪例を後世に残すことになります。
 今回の引き上げは補助金削減による地方財源補てんのためとされておりまするけれども、一体いつからたばこ消費税を目的税化したのでありますか。一般税源の目的税化に一番反対してきたのは、ほかならない財政当局であったはずであります。議会が目的税を設けて特定政策を遂行しようとすると、真っ先に財政当局が反対をしながら、六十一年度予算編成の詰めの甘さを暴露した、最終段階での財源不足を補うためになら何をやっても構わないというやり方は、無責任きわまる態度であり、独善的であると言わなければなりません。撤回を要求いたします。
 また、たばこの消費は近年減退傾向にあり、外国たばことの競争激化のもとでの値上げは、民営移行後わずか一年しか経過していないたばこ産業株式会社の財務状況に重大な悪影響を及ぼすことも懸念されますが、その見通しを明らかにするとともに、勝手なたばこ消費税の引き上げによる民業圧迫の非難に大蔵大臣はどのようにお答えになられますか。また、このやり方は、中曽根内閣の民間企業最優先の経済財政政策にも矛盾しませんか、御答弁願います。
 一方、今回の減税の目玉であると言われる住宅取得促進税制でありますが、内需の拡大が内外からの要請であったにもかかわらず、減税額はわずか三百九十億円にとどまったことは、中曽根内閣の節約一本やりの財政運営の弊害で、力不足との指摘をせざるを得ません。また、国民の住宅取得動機は、税制上の措置もさることながら、将来の収入動向いかんによるところがむしろ大きいのであり、最近のように所得税減税は見送られる、賃金は抑制される、住宅建設に伴う関連公共費は挙げて受益者負担、こういう状況のもとで果たして住宅建設促進が期待できるのか疑問と言わざるを得ないのであります。今回の措置が住宅建設並びに経済成長に与える効果について明らかにしていただきたいと思います。
 次に、中曽根内閣が鳴り物入りで宣伝してまいりました民間活力導入と税制、財政の関係についてただしたいと思います。
 民活を宣伝される中曽根内閣のこれまでの民間活力活用方策の推移を見ていると、ある新聞が指摘いたしておりまするように、民活の趣旨とは逆に、官の威をかりて民の事業が進むといった姿が浮かんでまいります。内需の振興をねらって民間の金と力を公共的な事業分野に導入し、欧米先進国に比較しおくれている生活関連社会資本の充実整備を促進するとのこの施策は、現在の我が国の財政経済状況のもとで一つの政策選択であろうと思います。
 しかしながら、最近は公共のためといった面が薄れ、専ら民間のための利益優先型に変質しつつあるのではないでしょうか。国公有地の無計画安値売却や民活特別措置法案に見られる産業振興、産業基盤整備偏重のあり方は大変問題だと思うのであります。民活の対象は高度成長下に取り残された生活関連社会資本の整備が主軸に据えられなければなりません。政府発表の事業では、大企業向けの都市再開発事業やテクノポリスのための技術開発施設等に拡大し過ぎで、これらは本来民間限りで行ってよく、これらに財政、税制、金融上の優遇措置を設けるのは行き過ぎではないでしょうか、御答弁願います。
 民活の目玉商品と言われている東京湾横断道路建設に関連して伺います。
 既に一月の総理の施政方針に対する代表質問において、私は、横断道路建設に当たっては、その経済効果や生活環境への影響等を十分に考慮した慎重な対応が大前提で座り、拙速に事を運ぶべきでないということを主張いたしました。その後の対応策をまず明らかにしていただきたいと思います。
 東京湾横断道路については、巨額の投資の割に採算の見通しが立たないため、最終的な経営責任や用地買収、漁業補償等をすべて日本道路公団に押しつけることにしておりますが、これでは民活の名に値しないのではないですか。また、総理は、この事業に免税債やその他の税制上の優遇措置を与えることに殊のほか熱心でしたけれども、私は、税制に頼るのではなく、公共投資による誘導効果を期待すべきではないかと思いますが、お考えはいかがでございますか。
 公共投資に当たって今日緊急を要するのは、下水道や住宅などの生活関連社会資本の充実であります。例えば、下水道の普及率はわずか三三%にすぎない実態を総理、蔵相はどのように認識しておられるか、今後どのように改善策をおとりになられるか、お尋ねしたいと思うのであります。
 また、政府の唱える民間活力がひとり歩きすることによって地価上昇に拍車をかけるおそれもあり、民間活力自体が停滞することを憂えざるを得ないのであります。総理の見解を伺いたいと思います。
 最後に、以上申し述べてまいりましたように、今次税制改正は、抜本改革に影響を与えないためにという理由で解決すべき問題点を先送りしたために、何ら国民の期待にこたえる内容になっておりません。円高デフレを回避し、内需拡大が喫緊の課題である今日、さらには国民の負担の実態を考えるなら、所得税減税の実施は一刻の猶予もあってはならないと思うのであります。そのためには、我々が要求する二兆三千億円の減税を実施し、国民の期待にこたえていくべきであると思いますが、総理のこれに対する見解を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(中曽根康弘君) 赤桐議員にお答えをいたします。
 まず、不公平税制と税制改革の問題でございます。
 不公平税制につきましては、臨調答申もございまして、これが改革に毎年度努力してきておるところでございます。税制改正につきましては、公平、公正、簡素、選択並びに民活という理念に立脚いたしまして、今、政府税調に諮問しておるところでございます。税制につきましては、やはり何といっても公平を確保するということが最大の眼目であると思い、今後ともその面について努力してまいりますが、執行面におきましても、適正かつ公平な課税を実現するために、税務調査の充実、青色申告者の育成、あるいは記帳制度の定着化等各般の対策を推進していく考えでございます。
 なお、租税特別措置につきましても、税負担の公平確保の観点から、社会経済情勢の推移に応じて必要な見直しを行い、今後も継続していくつもりであります。
 昭和六十一年度改正におきましては、租税特別措置等の整理合理化も行ってまいってきておりますが、税制の抜本的見直しにおきましても、税負担の公平確保に一層努力する所存でありまして、今、税調の答申を待っておる状態でございます。
 欠損金の繰越控除の問題でございますが、税制調査会の答申を踏まえまして厳しい財政事情を背景にとられたものであり、これはすべて停止するというものではなくして、大企業、中小企業を問わずその一部を停止するというものでありますので、御理解を願いたいと思うのであります。
 たばこ消費税の問題につきましては、地方財政対策の一環といたしまして、補助金等の整理合理化に伴いまして臨時異例的に講じられたものでございます。この点につきましては大蔵大臣からも御答弁があると思います。
 民活の対象の問題でございますが、市場経済を基本とする我が国におきましては、やはり民間部門の活力が経済社会発展の原動力であると考えております。したがいまして、そのための環境整備を行っておるわけでございますが、六十一年度予算及び税制改正におきましても、このような考え方のもとに公共的事業分野への民間活力の導入というものを図りまして、国民経済全般として活気を呈するように努力してきておるところであります。
 その一つが東京湾横断道路でございますが、首都圏の関連する地域への多大な経済効果が見込まれると思います。また、地域開発が適切に行われるように期待もし、監督もしてまいるつもりであり、特に環境影響評価につきましては慎重に対処していきたいと思っております。
 この横断道路事業は多大な経済効果が見込まれ、十分採算も可能であると思います。実施に当たりましては約一兆円に近い民間資金をこれで活用させていただき、さらに民間の経営能力及び技術的能力を活用することといたしておりまして、現下の厳しい財政状況のもとにおきましては内需促進の一つの大きな項目であると考えております。
 この建設の方式につきましては、やはり民間活力を引き出すという意味において、刺激的なあるいはインセンティブを与えるということを誘導的に考えたわけでございます。税制上の特別措置はこのような一つの方法であり、これによりまして内需の喚起、経済成長の促進に資すると考えておるわけであります。
 御指摘の下水道や住宅等の社会資本の整備は、国民生活の基盤形成のため極めて重要であり、欧米先進諸国に比しておくれていることもよく承知しております。昭和六十一年度予算におきましても、その着実な整備を促進するためにいろいろ工夫を行って努力しておるところであり、下水道、住宅等については、新たに五カ年計画を策定して努力する覚悟でございます。
 民間活力の推進と地価との関係でございますが、持続的な安定成長を達成していくために民間活力を最大限に利用するということでありますが、調和ある対外経済関係の形成にもこれは資すると考えております。このために、公的規制の見直し、東京湾横断道路、明石海峡大橋の建設、あるいは社会資本整備の分野における国有地の有効活用等を図っておりますが、これらの諸施策の推進に当たっては、地価にも十分配慮しつつ民間活力を活用するように持っていきたいと思います。
 所得税減税については、思い切った大幅減税策を今、政府税調に諮問して、努力していただいておるところであります。なお、政策減税等の問題につきましては、今後各党間での協議の推移を見守りたいと考える次第であります。
 残余の答弁は関係閣僚からいたします。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(竹下登君) 赤桐さんにお答えをいたします。
 まず、租税特別措置はスクラップ・アンド・ビルド方式を基本とすべしという御意見でございます。
 連年の厳しい見直しに加えまして、六十一年度においても、価格変動準備金制度を廃止いたしますほか、特別償却等適用期限の到来するものを中心に、全体として相当程度の縮減合理化を図ることとしたわけであります。ちなみに、昭和六十一年度税制改正におきます企業関係租税特別措置の初年度改正増減収額は差し引き三百七十億円の増収となっております。
 次は、租税特別措置についてのもう一つの御質問でございますが、総理からもお答えがございましたが、厳しい財政事情のもとで、社会経済の推移にも即応しながら、税負担の公平確保の観点から厳しい見直し及び整理合理化を進めてまいりました。今後ともこのような基本的考え方で対処すべきものでございます。ちなみに、昭和六十一年度税制改正においては、全体として租税特別措置の整理縮減を行いつつ、住宅取得者の負担の軽減、民間活力の活用等を通じての内需拡大等に資するための措置を講じてまいったというところであります。なお、特別措置のあり方につきましては、まさに今後税制調査会の審議の結果を待って適切に対応すべき課題であると思っております。
 それから欠損金の繰越控除の問題でございますが、欠損金の繰越控除制度については、直近一年間に生じた欠損金に限り適用を停止するというものであります。本措置は当該年度に黒字であります法人について適用されるものでありまして、当該年度において赤字である法人については課税を強化するものではないということ。それから当該黒字の法人は、二年前、三年前、四年前及び五年前に生じた欠損金については、当年度において繰越控除をできること。そして三つ目には、直近一年間に生じた欠損金は、全く繰越控除できなくなるわけではなく、翌朝以降は四年間繰越控除の機会が残っていること等で御理解を賜りたいと思います。
 次は、法人税の暫定税率の延長問題についてであります。
 財政が引き続き厳しい状態にあります中、現在、税調において税制の見直しの作業の中で、法人税の負担水準のあり方について審議が行われておる状況にあることを勘案し、上積み税率措置を一年延長することとしたわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
 次は、たばこ消費税の引き上げについてでございます。
 御説のとおり、六十一年度税制改正においては、去年十二月十七日の税調答申で述べられておりますとおり、抜本改正を前にして、基本的には現行税制の枠組みを動かさないという姿勢で対処すべきだと。したがって、今度の問題につきましては、地方財政対策としてたばこ消費税の引き上げが必要であるという観点から、十二月二十日夕刻ぎりぎりこの措置を決定したものであります。
したがって、御説のように、手続等において遺憾な点があるという御指摘については、私どももこの問題につきまして、税調に確かに間に合わなかったわけでありますが、十二月二十一日の税調総会にお諮りいたしまして、いわば追認を受けたということになっておりますし、そして各方面に対しても、事後ではございますが、御了承を得るべく今日もなお鋭意努力をしておるさなかであります。
 それから、言ってみればたばこ消費税を目的税という考え方でこれをとったではないかという御批判を交えての御質問であります。
 確かに、地方財政対策の一環として、まさに臨時異例的な措置という考え方でこれを行ったわけでありますので、税制の抜本改革の妨げにならないように一年限りの臨時異例の措置といたしますとともに、まさに千二百億円につきましても地方交付税に上乗せする。いわばこのことは一年間の措置でありますから、国のたばこ消費税を目的税化するという考え方で行ったものではございません。
 次は、外国たばことの競争激化の問題等についての御質問でございます。
 最近、喫煙と健康に関する関心が高まっておりますのでたばこ需要は停滞しておりますが、外国たばことの競争激化の影響もあって、国産たばこの販売数量は若干減少ぎみであります。たばこ消費税が引き上げられ、定価改定が行われた場合には、過去の値上げ時の動向から見て、ある程度の販売数量の減少が生ずるおそれがございます。そのことが日本たばこ産業株式会社の収益等に何らかの影響を及ぼすということは避けられないことだと私も思います。しかし、日本たばこ産業株式会社は、従来から経営の合理化、効率化に努めてきておられます。そして、制度改革後は経営の多角化にも意を注いでおられます。政府としては、日本たばこ産業株式会社が従来にも増して経営の効率化や多角化を推進することによって、今回の引き上げの影響が可能な限り吸収されることを期待いたしておるわけであります。この点につきましても、たばこ産業株式会社の経営者、労働組合ともどもに、事後において御理解を得るべく努力をいたしておるところでございます。
 それから今回のたばこ消費税の引き上げは、補助金の整理合理化に伴う地方財政対策の一環としての臨時異例的な措置であって、したがって国産品と輸入品を問わず、一律に負担をお願いするものであるということは御理解をいただきたいと思います。
 それから住宅取得促進税制についてもっとしっかりやれと、こういう御趣旨の御質問でありました。
 借入金等の範囲につきましては、住宅金融公庫等公的機関からの借入金をも含む広いものに拡大するほか、足切り限度を廃止する、そしてそれによって少額の借入者にも効果が及ぶように配慮するなどの措置を講じておることから見ましても、住宅金融公庫融資の拡充等の措置と相まって、住宅取得者の初期負担を軽減し、住宅建設の促進について相当の効果が期待できると考えております。
 次は、下水道等の生活関連社会資本の問題についての御意見を交えての御質疑でありました。
 国民生活充実の基盤となる社会資本の整備につきましては、従来からも配慮してまいっておりますが、六十一年度予算においても、制度の充実を含め、きめ細かく対処をいたしております。特に、下水道整備について申し上げますならば、厳しい財政事情のもとで補助対象事業費を九・二%増としたほか、制度面についても種々拡充を図ったところであります。したがって、今後とも着実に進めていかなければならない課題であるという問題意識は十分持っておるつもりであります。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(木村睦男君) 桑名義治君。
   〔桑名義治君登壇、拍手〕
#28
○桑名義治君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 現在、我が国経済が直面している課題は、対外的には貿易摩擦を解消するための数々の問題が山積し、対内的には急激な円高デフレによる経済の失速にどう対応するか、また、依然として悪化の一途をたどっている財政をどのようにして再建するのか等々、難問が横たわっております。しかし、昭和六十一年度予算、そして今回の税制改正におきましては、これらの山積する課題に対して、共通して有効な政策手段である内需拡大のための施策が余りにも消極的過ぎることを指摘せざるを得ません。
 特にここで強調しておきたいことは、財政再建について政府は何ら具体的な計画を持ち合わせているわけではなく、単に特例公債からの脱却目標年次を六十五年度としているだけにすぎませんが、多年にわたっての我が党の指摘にかかわらず無為無策を続け、収支を合わせるだけの予算編成を重ねてきた結果、六十五年度脱却の目標はおろか、少なくとも数年は延長せざるを得ない事態に追い込まれていることであります。
 六十年度の補正予算編成の段階で税収不足は四千億円強に達し、現在ではさらにこれが拡大する懸念が深まっているのでありますが、六十一年度においては、民間の各調査機関の予測をはるかに超えた高い経済成長率をもとに税収が算出されており、これが急激な円高デフレの到来によってさらに巨額の税収不足が生じることは火を見るより明らかであります。それでもなお六十五年度脱却を唱え続けられるのでしょうか、総理の胸の内を明らかにされたいのであります。
 私は、五十九年度脱却を公約し、その実現が夢に終わったことで引責辞職せざるを得なかった鈴木前内閣の前夜と、中曽根内閣の現在とが余りにも酷似していることに思い至るのでありますが、目標達成が困難ならばこれまでの失政を謙虚に認め、内需拡大へ向けた政策転換を含めての善後策を講ずべきではないでしょうか。実現の可能性がまるで期待できない脱却目標を唱え続け、財政からの内需拡大への出番をみずから封じ込んでいることにより、財政政策のスタンスは異常なまでに萎縮し切っているのでありますが、これは今回の税制改正にもそのままあらわれております。
 国民各層がこぞって要求してきた減税要求を昨年に引き続いて見送り、実質上の増税が着々と進行している事実を顧みないだけでなく、内需拡大策の観点からの減税の要請にも耳を傾けようとしないではありませんか。今回の税制改正の目玉だと言われる住宅減税にしても、どの程度の効果がもたらされるのか極めて疑問のあるところであり、民活の名称で措置しようとしている東京湾横断道路建設に関しての小手先の改正で幾ばくの内需拡大が図られるのか、経企庁長官にお尋ねしたいのであります。
 次に、税負担に関して、「増税なき財政再建」もまた単なるスローガンにすぎなかったことを指摘せねばなりません。さきの五十九年度の所得税減税も間接税等の増税がこれを上回り、五十三年度以降は一貫して増税が行われてきた結果、六十一年度の租税負担率は二五・一%に達し、シャウプ税制以来最も高い水準となっているのであります。しかも、この高水準の税負担が、内に大きな不公平を抱えつつ国民に課せられていることを重視せざるを得ません。昨年三月二十七日のサラリーマン税金訴訟の最高裁判決では、補足意見において税務当局に対しクロヨンの実態の是正を強く要求しております。それから一年を経過した今日、税務当局はその是正のためいかなる方針をもってこれに対処されようとしているのか、お伺いいたします。
 今回の増税のうち、赤字法人への課税強化のための欠損金の繰越控除制度の一部停止は、課税理
論上からも全く不合理きわまるものと言わざるを得ません。この控除制度は、法人企業の継続性を維持強化するために当然の制度として認められているものであります。赤字法人といえども、行政サービスを享受している以上、何らかの税負担を求めることを全面的に否定するものではありません。しかし、何の理論的根拠もなく、突如として五十九事業年度に生じた欠損金についてはその控除を認めないとする挙に出た今回の措置は、断固として容認できるものではありません。
 時あたかも、急激な円高によって輸出関連の中小企業はその存立さえ危ぶまれております。今回の円高はまさに政策的に形成された円高であり、政府はその対策に全責任を負うべきであります。その具体策をここに明確にしていただきたい。そして、これに追い打ちをかけるがごとき課税強化策は直ちに撤回すべきであります。総理並びに通産大臣の答弁を求めます。
 加えて、今後の円高に対する逆介入並びに公定歩合の第三次引き下げがなされるべきだと考えますが、大蔵大臣の所見を求めます。
 理解に苦しむ増税はそればかりではありません。税調答申に見られなかったたばこ消費税の増税が、これまた突如として打ち出されていることであります。これはいかなる理由が。私は、このことにより、今後政府としては税調の答申は尊重するが、政府は政府として信ずるところを断固として実行するとの意思表明を行ったものと解釈せざるを得ません。したがって、税制改正の方向をただした場合、税調に諮って云々というこれまでのような逃げ口上は今後あり得ないものと考えざるを得ません。
 そこでお尋ねいたしますが、六十二年度の抜本改革では所得税の減税規模はどの程度のものであり、何によってその財源を調達しようというのか、その基本方針を伺いたいのであります。
 総理は、春に減税案を、そして秋に増税案をどの日程に固執しておられるようでありますが、さきにも述べましたように、減税案が発表された後、秋口には大幅な税収欠陥が露呈されるころであります。減税案と巨額な税収不足を両手に掲げて、減税を行うにはこれだけの税収不足を何とか埋め合わせる必要があり、それには大型間接税なしては減税も実行不可能ですよと迫る中曽根総理の表情が今から思い浮かぶのでありますが、総理、そのようなことは絶対にないと断言できますか。もしそのとおりになったとすれば、あなたは国民を愚弄することになるのであります。明確な答弁を求めます。
 次に、税制改革は六十二年度にということが言われているのでありますが、国民の重税感や不公平の解消は六十二年度でよいという政府の考え方についてであります。
 我々は、事国民の負担という重要な課題については、その是正は一刻も猶予すべきではないということを確信しているからこそ野党共同の二兆三千億円の減税要求を行ったのであります。六十一年中に減税を実行すべきであります。大蔵大臣のこれに対する明確な答弁を求めます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 また、所得税の抜本改革に当たって、政府税調は四百万ないし八百万円の所得層を中心に減税するとの考え方から、課税最低限を引き下げて税率を軽減するとの方向を検討しているとのことでありますが、これでは低所得層の負担軽減はなおざりにされることとなり、国民の求める税制改革とはなり得ないと思いますが、総理、大蔵大臣の所見を求めます。
 最後に、我が国はフィリピンに対しては最大の援助国となっているのでありますが、言うまでもなく、その原資は国民の負担する租税等に依存しているのであります。ところが、伝えられるところによりますと、フィリピンの政変をきっかけに、我が国の対比援助のかなりの部分がマルコス一族の資産形成の役割をしてきたことが明らかになってきたのであります。関連企業がリベートを支払ってきたという事実関係を明らかにされたい。また、このような実態をなぜこれまでに把握できなかったのか、今後における対外援助全般について具体的な対応策はいかにあるべきかお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(中曽根康弘君) 桑名議員にお答えをいたします。
 まず、六十五年度特例公債脱却の問題でございますが、この努力目標の達成は容易ならざることであるということはよく承知しております。しかし、財政改革の推進はぜひともやり遂げなければならない国民的課題であると思いまして、今後とも全力を注いでまいるつもりであり、この旗をおろす考えはございません。この間におきまして、あるいは景気政策、内需の振興あるいは弾力的な金融政策、あるいは国有財産の売却その他あらゆる手段を講じまして、所期の目的を達するように努力してまいるつもりでございます。
 内需拡大の善後策でございますが、六十一年度予算におきましても、厳しい財政事情のもとにおきまして、景気の問題についてはやはり相当配慮しておるわけでございます。公共事業費の事業量にいたしましても、昨年の三・七%増に対してことしは四・三%増というふうに実質的にはふやしております。また、先般の公定歩合の再引き下げに伴いまして、金利水準全般の低下が促進もされております。今後とも、景気の動向等を見守りながら、適切な機動的な経済金融運営に努めながら、財政改革の努力が水泡に帰さないように全力を注いでまいるつもりでおります。
 円高に対する中小企業対策でございますが、まず、円高により影響を受けている中小企業者に対しては金利五・五%の特別貸し付けを実施いたしております。なお、事業転換の円滑化及び緊急経営安定のための信用補完の特例、税制上の措置等を盛り込んだ特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法を二月二十五日に公布、施行したところでございます。下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用に加え、本年二月に通産省に下請等中小企業対策推進本部を設置いたしまして、親事業者に対する下請取引適正化に関する指導を強化するとともに、下請事業者からの苦情等の受け付け、処理の円滑化等を図っております。今後とも、このような対策の活用によりまして、円高で影響を受けている中小企業者について万全を期してまいるつもりでおります。
 税制改革の基本方針につきましては、シャウプ以来の抜本的見直しを行いまして、そして今までの税のゆがみ、ひずみ、重税感というようなものを解消して合理化しよう、そう考えておるところでございます。税調の答申を待って実現いたしたいと思っております。
 なお、六十一年度税収については、経済動向も踏まえて適正に見積もっております。税制改革につきましては、これは増収を目途に行っているものではございません。ひずみや重税感とかそういう合理化を目的に行っている、そういうことで御理解願いたいと思います。
 低所得者層に対する課税の取り扱いの問題でありますが、所得税の負担のあり方についてはいろいろな御議論がございます。税調では、特にゆがみやひずみや重圧感を是正するように御審議願っておりますが、今後望ましい所得税制のあり方を確立するという観点からもその審議が深められると考えており、検討結果を待っておるところでございます。
 マルコス前大統領の資産問題につきましては、現段階では文書の内容等を十分検討する必要がありまして、真相、実態が完全に究明される前に同文書の記述を前提として議論することは差し控えたい。ともかく真相の究明に政府としては全力を尽くしておるところでございます。
 対外援助の適正かつ効果的な実施については、事前調査の充実、交換公文における援助資金の適
正使用及び施設、機材等の適正な使用、維持の義務づけ、評価活動の充実等の措置を実行しておるところであります。これによりまして、我が国の援助は、全体として開発途上国の経済社会開発、民生の安定、福祉の向上という所期の目的を達成しつつあると認識しております。今後とも、一層適正かつ効果的な効率的な援助を行うように努力してまいりたいと思います。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(竹下登君) まず、私に対する質問は、いわゆる為替相場の問題であります。
 基本的には相場の安定が重要でありまして、その変化もできるだけなだらかなことが望ましいと考えます。ただ、介入ということにつきましては、基本的には、相場の動きが急に過ぎたり、乱高下と判断される場合は適時適切に介入することとしておりますが、具体的にどのような場合に介入するかについて述べるということは、為替市場への影響もございますのでお答えをお許しいただきたいと思います。いずれにせよ、いつも申し上げておりますように、為替市場の動向には十分注意を払っておるところでございます。
 次は、金利の問題でございます。
 公定歩合は、一月三十日、それから三月十日にさらに〇・五%の引き下げが行われたところであります。預貯金金利及び短期プライムレートにつきましても、今月の三十一日から同幅引き下げられることになっております。これらの措置によって金利水準全般の低下が一層促進されて、景気の維持拡大に資することが期待されております。今後とも、金融政策の運営については、景気、物価、為替相場、これらの動向や内外の金融情勢等を総合的に勘案して、適切かつ機動的に対処していくことは言うまでもございません。
 それから税務当局のいわゆるクロヨン実態の是正ということについての御質問でございます。
 そもそも国会で議了していただきました税制制度そのものに、クロヨンということで十把一からげに議論するというのは必ずしも適当ではないと思いますが、このような言葉に象徴されるような不公平感、不満感があることも社会的な大きな関心を呼んでおる、このことについては注視していなければなりません。課税の公平確保は税務行政における最大の重要な課題でありますので、従来から、限られた人員のもとで適正かつ公平な課税を実現するため可能な限りの努力を重ねておりますが、今後とも、税務調査の充実、それから青色申告者の育成、記帳制度の定着化等、それから地方税当局、税理士会等民間団体との協力関係、あるいは内部体制の整備、これらを行いまして、一層の努力を重ねてまいる所存でございます。
 それから赤字法人への課税強化のための欠損金繰越控除一部停止の問題でございますが、欠損金の繰越控除制度については直近一年間に生じた欠損金に限り適用を停止すること、本措置は当該年度に黒字である法人について適用されるもので、当該年度において赤字である法人について課税強化をするものではないということ、それから二年前、三年前、四年前及び五年前に生じた欠損金については当年度においても繰越控除できること、それから直近一年間に生じた欠損金は翌朝以降は四年間繰越控除の機会が残っていること、これらを御理解賜りたいことであると思っております。
 それから、たばこ消費税の問題でございます。
 確かに、御指摘のありましたように、十二月二十日夕刻、今回の措置を決断いたしました。したがって、今回の措置は翌二十一日の税調総会にお諮りして御理解をいただいた、そして各方面に対してもいわば事後に御説明申し上げておるという点につきましては、私も遺憾に存じております。
 次は、なぜいわゆる所得減税を今年度やらないかということでございます。
 税制調査会で今シャウプ以来の抜本論議が行われておる。考えてみますと、昨年の今ごろ、幹事長・書記長会談等がございまして、それを受けて税制調査会へ諮問をした、そして税制調査会の御答申が秋ごろにはちょうだいできるというときに、また三月四日与野党幹事長・書記長会談の合意がございました。今後、各党間で合意を得るよう協議することとされておりますので、その協議の推移も見なければならないというところでございます。
 次は、課税最低限を引き下げ、納税者割合をふやし税率を引き下げる、こういう御意見に基づくところの御質問でございます。
 所得税負担のあり方の問題については、確かに各界各層からさまざまな意見が出ておることは私も承知しております。具体的にどのような階層にどの程度の負担を求めるのが適当かという問題等を含めて、納税者の理解と協力が得られるような望ましい所得税制のあり方という観点から今まさに審議が行われておるさなかでございますので、その検討結果を踏まえて対処すべき課題である、このように考えておるところであります。
 以上で私に対する御質問のお答えを終わります。(拍手)
   〔国務大臣平泉渉君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(平泉渉君) ただいま御審議をいただいております六十一年度の税制改正におきましては、住宅に関する措置として、住宅取得促進税制を創設するほか、住宅取得資金に係る贈与税の特例を拡充することといたしておるわけでございます。こうしたことは、住宅取得者の負担を軽減し、住宅建設の促進について相当の効果が期待できるものと考えております。
 また、六十一年度においては、民間活力が最大限発揮されるよう税制、法制度を含めて環境の整備を行うこととし、民間活力を導入した東京湾横断道路等の大規模プロジェクトの推進、民間活力活用による特定施設の整備事業の促進等の措置を講ずることといたしております。こうしたことによって民間活力の活用が図られ、また大規模プロジェクトの建設も本格化すれば、内需拡大について相当の効果が期待できるものと考えております。
 こうした措置を含め、昨年十二月二十八日に決定いたしました内需拡大に関する対策全体の効果について一定の前提のもとに試算を行いますと、波及効果を含めて、六十一年度の名目GNPが約一兆六千億円増加するものと見込んでおる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣渡辺美智雄君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御質問のいわゆる赤字法人課税の問題でございますが、通産大臣の所見を求められておりますけれども、これは厳しい財政事情のもとで暫定的にやむを得ない措置である、こう考えております。
 それから円高による輸出入面で影響を受けておる中小企業者に対する対応策でありますが、総理がお答えをいたしましたので、ちょっと補足をいたしますと、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法を二月二十五日に、実は皆様の御協力を得て成立をさせ、公布をし、施行をいたしました。三月四日には業種指定を行いました。したがって、この法案の活用により、円高で影響を受けている中小企業者に対しては最大、万全の措置を講じてまいりたい、さように考えております。
 また、下請企業の問題について、これも総理から答弁があったとおりでございますが、そのほか、先般、中小企業担当の政務次官を本部長といたしまして、通産省の中に下請中小企業対策推進本部、こういうものを設置して、下請業者等からの苦情、それから相談、こういうものの受け付け、処理を的確に行うようにいたしておるわけであります。それと同時に、親事業者に対しては下請取引適正化についての指導を厳重にいたしまして、いわゆる下請いじめ、そういうものが起きないようにやってまいりたい、そう考えております。
 今後とも、円相場の動向、中小企業への影響等を注視しながら、必要に応じて対策を拡充してま
いりたい、そう考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○副議長(阿具根登君) 近藤忠孝君。
   〔近藤忠孝君登壇、拍手〕
#34
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表いたしまして、租税特別措置法の一部改正案について総理並びに関係大臣に質問いたします。
 歴代自民党・政府は、大企業が主に利用する受取配当益金不算入、株式時価発行差益非課税、配当軽課措置、海外投資損失準備金など、各種特権的減免税の相次ぐ創設によって大企業の税を減免し、その資本蓄積を促進するとともに、所得税の面でも利子配当課税の総合課税見送りや株式売買益に対する非課税など、資産家優遇を強め、その総額は年額四兆円以上にも達する状況であります。
 ところが一方、勤労国民に対しては連続所得減税を見送るなど、生活費に食い込む過酷な課税を続けてまいりました。夫婦子供二人の標準家族の課税最低限が、大蔵省の計算によりましても、額に汗して働く事業所得者の場合百五十四万円と異常に低く抑えられているのに対し、配当所得者は五百十三万円まで非課税と優遇されている事実が端的に示しているのであります。これら大企業、大資産家優遇にこそ日本における不公平税制の中心問題があり、ここにこそメスを入れるべきではありませんか。特にこの八年間、実質的な所得減税がないため、国民の負担は耐えがたいところにきているのであります。加えて、対米追随、国民犠牲の日米貿易摩擦対策による円高不況は中小企業を直撃し、倒産が相次いでおります。そのため今日、真の内需拡大、すなわち国民総支出の六割を占める個人消費の拡大こそ最重要の緊急課題であります。
 政府は六十一年度予算の最大の柱を内需拡大に置くとしておりますが、そのための最も効果的な措置である国民の消費購買力を高める方策は何らとっておりません。それどころか、逆に老人保健の改悪など、福祉、文教予算の削減、所得減税の見送りによる勤労者への実質的大増税によって、消費購買力抑制の予算となっているではありませんか。それに対し我が党は、六十一年度予算に対する組み替え要求で、社会保障関係費八千億円、文教費三千億円の増額などとともに、所得税、住民税合わせて二兆五千億円の大幅減税を軍事費の大幅削減など具体的財源を示して要求いたしましたが、政府はこの提案、とりわけ大幅減税に対する国民の強い要望に改めて謙虚に耳を傾けるべきではありませんか、答弁を求めます。
 総理は、六十二年度について、「春に減税案」を口にしております。しかし、それは専ら参議院選挙への思惑から出たもので、春の減税はにおいだけ、選挙後には財源額をはるかに超える大増税を用意しているのではありませんか、正直にお答えいただきたいのであります。
 政府は、さきの予算委員会で、社会保障費の特別会計の創設に意欲を示しました。これは、社会保障関係の収支をすべてバランスシートに計上し、一般会計の負担を減らしていく一方、不足する資金を大型間接税の導入によって帳じりを合わせようという計画でありますが、政府はこのようなことを考えているのでありますか。たとえ名称が変わり、使途が福祉に限られようと、財源として低所得者ほど負担が大きい大型間接税を導入することは社会福祉の理念に反するのであります。社会保障は、憲法第二十五条に定めるとおり、本来、国の基本的責務であり、一般会計で最も優先的に確保すべき歳出であって、先進主要国で特別会計制をとっている国が一体どこにありますか、答弁されたい。そしてまた、この構想は財政の果たすべき所得再配分の役割を全く否定するものだと思いますが、総理並びに大蔵大臣、厚生大臣の見解を求めます。
 以下、具体的に法案の内容について質問いたします。
 第一は、政府が民間活力の最大の柱として打ち出した東京湾横断道路建設についてであります。
 当初、総理は、これについて免税債の発行に強い執念を燃やしましたが、これは余りに無謀ということで退けられ、割引債の発行となったものであります。しかし、通常三五%の税率に対し、一六%という低率であり、主として高所得者が恩恵を受ける金持ち減税という点では同じではありませんか。勤労者に対する減税を見送りながら、なぜ特定民間企業の資金調達のために優遇措置を認めたのか、答弁を求めるものであります。
 この横断道路の建設に当たりましては、割引債を含む政府保証事業債三千八百億円、国からの無利子の資金一千二百五十億円を含む道路開発資金二千五百億円など、税、財政、金融の面で至れり尽くせりの手厚い措置が講じられる一方で、完成後には、採算のめどが立たないことから公団に引き渡すことになっているのであります。うまみのあるところだけを民間大企業が吸い上げ、その危険負担の面を国や公団が引き受けるという実態が歴然としているのであります。これが中曽根流の民活なのでありますか。総理はこれをモデルにして今後このような方式をさらに推し進めようとしているのか、答弁を求めるものであります。
 第二に、本法案は、このほか、民間活力の名のもとに数多くの大企業向け特別措置を新たに設けております。民活促進のための特別償却制度、エネルギー基盤高度化税制、テレコム減税、民間鉄道整備準備金等、数え切れないほどであります。これは税制の不公平を一層拡大するものではありませんか。また、政府の特別措置整理という方向に逆行するのではありませんか。
 第三に、政府は、法人の欠損金の繰越控除制度の適用停止措置をとり、いわゆる赤字法人課税に一歩乗り出しましたが、一体、政府は赤字法人をどう把握しておりますか。赤字法人の大半は中小企業であり、とりわけ今日、政府がつくり上げた円高不況のもとで苦しい経営を強いられております。赤字で苦しむ中小企業を黒字にする施策こそ政府は実施すべきであるにもかかわらず、中小企業予算を減らし、その上逆に課税強化で追い詰めるというのは、冷酷な中小企業見殺しと言うべきではありませんか。
 第四に、政府は、地方財政への犠牲の押しつけのつじつま合わせの財源策として、大衆負担のたばこ消費税の増税を強行しましたが、これは税制改正のルールを無視したものであり、政府が間接税を安易な増税の手段と考えていると言わざるを得ないではありませんか。政府の当初の方針であった退職給与引当金や貸倒引当金の是正が財界や金融機関の強い反対によって見送られましたが、赤字法人課税やたばこ消費税引き上げと比較して、これは余りにも不公平ではありませんか。なぜこういうことになったのか、責任ある政府の答弁を求めるものであります。
 最後に、住宅減税についてであります。
 この措置によって住宅取得者のローン負担が幾ばくか軽減されることはあっても、我が国の住宅政策の基本問題、とりわけ土地問題の解決なしにはしょせん快適な住宅の取得は庶民の夢にすぎません。特に総理の民活や都市再開発、国有地の払い下げなどによって、既に都心部の商業地を中心に地価はウナギ登りに高騰しております。また、この土地投機の裏には、銀行の土地融資の拡大、財テク大企業による土地買い占めがあります。国民のための住宅政策の根本は、これら投機的土地買い占めに対する規制を強化すると同時に、質の高い公共住宅の大量建設、公団、公社、自治体による良質で低価格の宅地開発などの施策を進めることこそが重要ではありませんか。総理、国土庁長官、大蔵大臣の明快な答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(中曽根康弘君) 近藤議員にお答えいたします。
 まず第一に、内需拡大のための方策でございますが、六十一年度予算におきましては、厳しい財
政事情のもとで、一般公共事業の事業費の確保、住宅減税の実施、住宅金融公庫の貸付戸数の増加、あるいは民間活力の導入による東京湾横断道路、明石海峡大橋の建設着手等、予算、税制等に係る内需拡大のための措置を講じて実施しているところであります。
 所得税の問題については、現在、政府税調に諮問しており、精力的な作業をしていただいております。政策減税等の問題につきましては、今後の各党間での協議の推移を見守りたいと思います。
 次に、税収の問題でございますが、今回の税制の抜本的見直しは税収増を目的とするものではない。これは、重税感とかあるいは長い間の不合理性を是正するために主として行っておるものであります。
 次に、社会保障特別会計の構想でございますが、一つの示唆に富んだお考えであるとは思います。しかし、国の財政構造全体にもかかわる問題でもありますので、慎重な検討が必要であると思います。
 その財源につきましては、いろいろ考え方はあるようでございますが、政府等におきましても、関係方面の御意見について慎重に検討すべきものと思います。
 次に、社会保障の財源と所得再配分機能の問題でございますが、今後経費の増大が見込まれる社会保障の財源をどういう形で賄うかは幅広い角度から検討すべき問題であり、その際に所得再配分機能の問題も含めて検討すべきであると考えております。
 東京湾横断道路につきましての御質問でございますが、これは資金と技術は民間活力を大いに活用する。しかし、このためにある程度のインセンティブを与え、誘導政策を加味しまして、民間が十分力を発揮するような環境を造成するという考えに立ちまして諸般の政策を実施した次第であります。
 割引債の問題もその一つでございます。公団を活用しましたのは、やはり今のような立場に立ちまして、漁業権の問題であるとか、あるいは公共団体、地方団体との話し合いの問題であるとか、こういう公共的仕事については公団を活用するのが合理的である、それによって円滑に推進することができる、こういう考えに立ちまして、公団の機能も十分活用することを考えておったわけでございます。
 建設の方式につきましては、民間の資金、民間の経営能力及び技術能力を十分活用する効率的な事業実施を期待しておる次第であります。本方式を他にも適用するかどうかについては、今後の検討課題であります。
 欠損金の繰越控除の一部停止の問題につきましては、既に御答弁申し上げたとおり、これは全部停止するものではなく、大企業、中小企業を問わずその一部を停止するものであります。
 中小企業対策につきましては、先ほど来申し上げましたように、六十一年度の一般会計中小企業対策費については精いっぱいの配慮を加えてきたところであり、今後、円高等国際的な環境変化への的確な対応あるいは情報化時代への総合的対応等についてもきめ細かく配慮してまいるつもりでおります。
 たばこ消費税につきましては、これは補助金等の整理合理化に伴う地方財政対策の一環として臨時異例的に行うものであります。
 さらに、法人税の繰越欠損控除制度の一部停止及びたばこ消費税の臨時的引き上げ等は、それぞれ税調答申の考え方を踏まえまして、あるいは地方財政対策を踏まえて、事前にあるいは事後に税調の御了承をいただいて行ったものであり、適切な考えであると今は思っております。
 住宅問題を解決するための措置といたしましては、総合的な住宅政策を今までも推進してまいりましたが、六十一年度におきましても、住宅減税、公共賃貸住宅の的確な供給、住宅金融公庫の融資条件の改善等を図るとともに、第五期住宅建設五カ年計画に基づきまして、住宅建設の促進を図り、国民の居住水準の一層の向上に努めていく所存であります。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(竹下登君) まず、私に対する御質問の社会保障特別会計をつくる問題につきましては、総理から考え方をそれぞれお述べになったところでございます。いずれにせよ、そのときの御意見としてございました、いわば課税ベースの広い間接税、こういう問題の逆進性とかいろいろな御意見がございましたが、課税ペースの広い間接税について、この税のみを取り上げて逆進性の問題を議論するということは適当ではないと考えております。やはり税体系全体、さらには歳出面をも含めた財政全体としてどうなるか、このようなことを総合的な観点から判断すべき性格のものであろうというふうに考えております。
 ただ、主要先進国で特別会計制度をとっておる国はあるか、こういう御質問でございましたが、厚年や健康保険といった個別の制度については、我が国でも特別会計を設置して運営を行っておるところでございますが、アメリカ、イギリスにおきましても、社会保険に関する基金を設置して独立の勘定で制度の運営を行っておるというところはございます。しかし、最近なされておる提言のように、社会保障全般に係る広範な経費について、一括して一般会計から区分して特別会計を設置している例というものは今日のところまだ見受けておりません。
 それから東京湾横断道路建設事業の問題、これは総理からもお答えがありましたが、今日一番大事なことは、いわゆる民間の貯蓄というものを活用するということが民間活力のやはり基本に行われるべき考え方だと思っております。
 それからさらに、民間活力によって整備される特定施設の特別償却等は、租税特別措置の整理合理化を念頭に置きながら、民間活力の導入、内需拡大等の政策目的に資するために講じたものでございます。原則として、租税特別措置については連年厳しい見直しを行っておるところであります。
 次のたばこ消費税の引き上げにつきましては、これは手続上の問題よりも、近藤さんのおっしゃいましたのは、言ってみれば、とかく間接税というものには痛税感が伴わないから手をつけやすい性格を持つのではないか、こういうような御意見もあったかと思いますが、今回の措置はまさに臨時異例的に行うものでありまして、実際問題として、手続等におきましては、前回も申し上げておりますとおり、いささか税調答申の後であったという点については、後に追認していただきましたとはいえ、私どもも遺憾に考えておるところであります。ただ、間接税の増税に際しても国会のチェックというものがございますので、いわば安易に流れやすいということを日本の仕組みの中で必ずしも一概に言うべきものではないではなかろうかとも思います。
 それから都心部の地価の問題についてでございますが、不動産融資につきましては、その公共性、社会性にも十分配慮するよう、かねてから指導をいたしております。昨年八月、国土庁からの要請もございまして、土地取引に投機的なものを助長するようなことがないよう、金融機関に対して絶えず注意を促しておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣今井勇君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(今井勇君) 社会保障特別会計についてのお尋ねでございますが、先ほど総理からも御答弁がございましたが、社会保障の予算は、高齢化の進展や年金の成熟化等によりまして、毎年相当規模の当然増が避けられないという性格を持っております。このような社会保障予算につきまして、一般会計から切り離して、社会保障に関する給付と負担の関係を明確に示すということは示唆に富んだ考え方であると思います。しかしなが
ら、この問題は、国の財政構造全体にも、また、今後の社会保障の進め方にも極めて大きくか小わり合う問題でありますので、この考え方を含めまして、幅広い角度から検討を十分行ってまいりたい、こう考えておるものでございます。(拍手)
   〔国務大臣山崎平八郎君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(山崎平八郎君) 近藤議員にお答え申し上げます。
 ただいま大蔵大臣からも地価規制につきまして取引上のお話がございましたが、地価は全国的には大変安定しているわけでございますが、東京都心三区の商業地等一部の地域におきまして高い地価上昇が見られまして、これが住宅地等他地域へ波及することが懸念されておるところでございます。このため、国土庁におきましては、東京都と地価高騰対策についての検討を鋭意進めているところでございます。今後とも、土地取引動向の監視の徹底等に努めますとともに、国土利用計画法の運用に万全を期してまいりたいと存じます。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#39
○副議長(阿具根登君) 柳澤錬造君。
   〔柳澤錬造君登壇、拍手〕
#40
○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、中曽根内閣総理大臣を初め、関係各大臣に御質問をいたします。
 まず第一に、大型消費税についてであります。
 総理は、さきの施政方針演説において、税制については、社会経済情勢の著しい変化から生じたさまざまなゆがみ、ひずみ、重税感等を解決すべく、抜本的見直しが必要だと述べておられましたが、総理は具体的にどのような点を指してゆがみ、ひずみと言い、抜本的見直しが必要であると言われたのでありましょうか。さらに総理は、昨年の国会審議において、製造から小売に至る各段階に投網をかけるような大型消費税は行わないと答弁されておりましたが、この考え方は今も変わっていないと理解してよろしいでしょうか。
 このごろ総理が、EC型付加価値税にもいろいろあり、すべて否定されるものではないと発言されているようで、いささか気になります。この際、仮に税調がEC型付加価値税を答申してきても、そのような大型消費税は採用しないと断言し、昨年の御見解を堅持していることを表明していただきたいと思います。
 第二としては、所得減税についてであります。
 我が民社党は、昨年度も所得減税を実施しませんでしたので、六十一年度は何としてもこれを実現させなければとして、約二兆円の所得減税を要求しましたが、政府はこれを無視しました。これでどうやって国民の税からの重圧感を取り除くことができるのか、全く理解に苦しむものであり、どう考えても国民は納得できません。税制の抜本的改正を唱える以上、この機会にサラリーマンの税金に対する不満、クロヨンという言葉に代表される不公平感を解消して、総理の言う公平、公正を実現させるため、サラリーマンにも確定申告を認め、源泉徴収にするか確定申告にするかの選択をさせるべきであります。あわせて、家庭で働く主婦の夫への貢献を評価して、いわゆる二分二乗方式を採用するよう、この二点を提言しますが、総理並びに大蔵大臣の御所見を求めます。
 第三としては、住宅減税であります。
 世界のGNPの一〇%を占めるという先進国日本の国民の住宅が欧米各国に比べて余りにも劣っております。今、最も住宅を求めている三十五歳前後の人々の収入から考えるならば、せいぜい二千万円が限度であります。しかし、その程度の金額で入手できる家がこの東京のどこにありましょうか。
 今回の政府案は、総理もみみっちいと発言されたようですが、全くそのとおりであり、内需拡大のためにも住宅建設を積極的に推進すべきであり、そのため次の具体策を提言いたします。
 一、建築の容積率を改めること。二、借入金残高の一%控除を二%とすること。三、控除期間の三年を五年に延長すること。四、減税対象を住宅取得金額とすること等々、思い切った対策をとるべきであり、大蔵、建設両大臣の御所見を求めます。
 第四としては、法人税についてであります。
 昭和五十九年度から、特例として法人税に一・三%の上乗せ課税をしてきました。これも本年度で終わるはずでありましたのに、さらに一年延長するというのはどういう発想なのでありましょうか。あわせて、法人の繰越欠損金の控除もことし一年間は停止するというのです。何というみみっちいことをするのですか。今、多くの企業が円高不況で四苦八苦の苦しみをしており、この現実を直視したならば、むしろ先進国の中でも極めて重い企業の税負担を引き下げて、企業基盤の強化を可能にしてあげることこそが血の通った政治のあり方ではないでしょうか。このようなことをしておれば、民間企業は、総理の言う活性化ところか、窒息してしまうでしょう。それは日本経済の崩壊に通じるものであり、それでもよろしいのか、大蔵大臣の責任ある答弁を求めます。
 第五としては、政府と税調の関係についてであります。
 税制に関しては、国会審議の場において、総理も大蔵大臣も、よく、税調で検討していますからと発言しますが、これは税制調査会を隠れみのにしている態度であり、一国の総理として、また税制の最高責任者大蔵大臣としてとるべき態度ではありません。まことに遺憾のきわみと言わざるを得ません。それでいて、たばこについては税調の答申後に政府だけで勝手に値上げを決めて提案しています。これはどう理解したらよろしいのか、全くわかりません。また、昨年秋、自民党の村上調査会が、非課税貯蓄制度を廃止して、低率分離課税の導入によって課税対象の拡大を図るよう検討したようですが、これと税調の関係はどうなるのでありましょうか。この非課税貯蓄制度は絶対に廃止すべきではありません。これら一連の関係について明快な御答弁を求めます。
 最後に、税金に対する政府の姿勢についてであります。
 国民は税金を納めるべきであります。だが、その国民の納めた税金に対して政府は感謝の気持ちを持っているのでしょうか。特に大蔵省は、税収の三割を占める所得税の源泉徴収十三兆円余の膨大な事務手続を各企業にさせていながら、一銭の手数料も払っていません。銀行振り込みにしてもしかりで、国民は手数料を払って銀行振り込みを利用しているのに、政府はただで利用しています。電力やガス会社も銀行振り込みを利用していますが手数料を払っておりますし、赤字で苦しお
国鉄ですら交通公社に対して切符代金の五%を手数料として払っているのです。政府がこのようなお上意識の感覚でいる限り、税金を納める者の苦しみなどわかるはずがありません。
 総理並びに大蔵大臣、国民の税金に対する不満は今や爆発寸前にあると言っても過言ではありません。国民の税金に対する不満に対し謙虚に耳を傾け、国民がクロヨンという言葉を口にしないで済むようお抜本的税制改革を断行すべきであり、そのことを実行する勇気ある決断と強い決意表明を求め、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(中曽根康弘君) 柳澤議員にお答えいたします。
 まず、抜本的見直しの必要性の問題でございますが、我が国の税制については、産業就業構造の変化、所得水準の上昇、平準化、そのさまざまな社会経済の著しい変化を背景といたしまして、最近ではクロヨンとかトーゴーサンとか、あるいは必要経費の問題であるとか、さまざまな論議がなされて、重税感あるいはゆがみ、ひずみ、こういうことが論ぜられておる、政府もこれを無視することはできない、そういう意味におきまして、今慎重に検討していただいておるところでございます。
 大型間接税の問題については、政府は全く白紙でありまして、ただ、税制調査会がその検討領域に入れているということは私たちも承知しております。しかし、税制というものは、やはり国民性になじむ社会経済体質に合ったものでないと長続きはしない。そういう意味におきまして、前に取引高税をやりまして非常に失敗をいたしました、そういう経験もよく反省をいたしまして、慎重に行うべきものであると考えております。
 次に、サラリーマンの確定申告の問題であり、そういう御議論も一つの御議論であると考えております。しかし、現行の源泉徴収というやり方は、昭和三十七年二月二十八日の最高裁の判例でも述べられておりますように、能率的かつ合理的と、そう言われており、サラリーマンの方からは便利であるという声もなきにしもあらずであります。これらにつきましては、税調の検討結果を踏まえまして適切に処理したいと思います。
 二分二乗の問題につきましても、同じように税調で今検討しておる最中であると承知しております。ただ、このやり方は、やり方によりましては家庭の主婦に非常に有利であるが職業婦人には不利になる、そういうことが一般的にも言われておりまして、実施については相当注意を要する点もあると思うのであります。
 税調を隠れみのにしているのではないかという御質問でございますが、法律で正規に決められた機関に正規の諮問をしておりまして、その検討結果を待って我々が政策をつくり上げているのでありまして、決してそういうものではございません。
 たばこ消費税につきましては、補助金等の整理合理化に伴う地方財政対策の一環としての臨時異例のものでございまして、大蔵大臣が随時御説明申し上げているとおり、時間的都合で十二月二十一日の税調の総会に事後で追認していただいたという経緯を持っておるものなのでございます。
 税制改革は、今国民が全般的に強く望んでおることをよく承知しております。その不合理の是正を目指しまして、国民の喜ばれるような大きな基本的な税制改革に取り組むべく、かたい決意で臨む考えでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問、まず第一が、サラリーマンにも確定申告の道を認めるべきではないか。
 これは、総理からもお答えがありましたように、手間を省くことができるなど便宜で合理的な制度であるということは事実でありますが、過日、税制調査会の専門小委員会から報告が提出されまして、その中では給与所得の実額選択控除が示唆されており、その場合には、サラリーマンにとっても確定申告の道が開かれるということになります。今後、税調におきましてさらに掘り下げた検討が行われるというふうに考えております。
 それから二分二乗方式、これも総理からお答えがございましたが、これもさきの税制調査会における専門小委員会からの報告が行われまして、合算分割制の導入は多くの問題を内包しているので極めて慎重な対応を要する、妻の就労状況の差異による負担の調整等については、個人単位課税を維持しながら控除の枠組みの中での工夫による対応が考えられるなどなど、これは専門小委員会からの報告でございますので、これらが土台となってさらに掘り下げた検討が行われる課題であろうと思っております。
 それから住宅減税につきましてはもっと拡充せよ、こういう御趣旨でございます。
 仰せ、控除限度額を二十万円に引き上げる。このことは、年収四百七十五万円の夫婦子二人の給与所得者の年間所得税額に匹敵するものでございますので、かなり大きな規模であると言わざるを得ません。それから控除期間の三年間を通ずる住宅取得促進税制の改正減収額は約一千億にも及びますので、現下の厳しい財政事情のもとでぎりぎりの措置であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
 ただ、三月四日の与野党幹事長・書記長会談の合意におきまして、今後、各党間における実務者間で結論を得るとされております。それについては、その検討の推移を十分見守っておるところでございます。
 それから法人税率の上乗せ分の問題でございますが、これは法人税の負担水準のあり方について審議が行われておる、今日抜本的な。したがって、上積み税率措置を一年延長するということにいたしたものでございますので、財政事情のあること等御勘案をいただきたいと思っております。
 それから欠損金の繰越控除の一部停止の措置は、これはまさに直近一年間に生じた欠損金に限り適用を停止する。当該年度において赤字である法人については、課税強化ということにはならない。当該黒字の法人は、二年、三年、四年及び五年前に生じた欠損金につきましては、当年度における繰越控除ができる。それから直近一年間に生じた欠損金は、全く繰越控除できなくなるわけではなく、翌朝以降四年間繰越控除の機会が残っておる。そういうようなことで御理解を賜りたいというふうに考えております。
 それから税調答申後にたばこ消費税を引き上げた問題につきましては、総理からお答えがございました。まさに十二月二十日夕刻、今回の措置を
決定し、二十一日、税調総会にお諮りして追認をいただいた。そして、各方面へもその後それぞれ理解を求めるための努力を今日もいたしておるということであります。
 それから利子非課税貯蓄制度の問題につきましては、税制の全般的な見直し作業の中におきまして、それぞれのあり方について、さらに金融の国際化、自由化の進展といったさまざまの事情に配意しながら検討が進められる課題であろうというふうに思います。
 それから最後に、源泉徴収事務に対して手数料を払うべきではないか、こういう御議論でございます。
 この議論は絶えずちょうだいいたしておる議論でありますが、一つには、源泉徴収の制度は徴収方法として能率的かつ合理的である。二番目には、この徴収義務者の徴税義務は公共の福祉によって要請されたものである。これらの理由から補償を要するものではないというふうに最高裁においても判示されたところでございますので、したがって手数料を交付するというふうなことはこれらの理由により考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣江藤隆美君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(江藤隆美君) 住宅減税につきましては、大蔵大臣からもお答えがありましたから重複することは避けたいと思いますけれども、今年度の、六十一年度の財政の厳しい中で、減税の大部分は実は住宅減税であったということは御承知おきいただいておることだと思います。
 先般来、公定歩合の引き下げに伴いまして金利の引き下げを行いました。五・五%のものを五・四、六・四%の分を五・九、六・八五%を六・四。こうしますというと、マンションを購入した人が払い上がるまでに、大体金利だけで百三十万程度その利益をこうむるということになるのではないかと思います。
 したがいまして、そうしたいわゆる金利の問題、それから融資条件の緩和、面積あるいは所得、そういうものの緩和、それからもう一つ減税と、三つがやはり柱になると思います。したがいまして、総理も、さらに今後の税制改正で抜本的に住宅減税は見直したいとしばしば予算委員会でも表明しておられますし、また、今大蔵大臣から申し上げられましたように、与野党の間でこれから住宅減税はもっと詰めていくということでございますから、そのよりよき成果を実は見守らしていただきたい、こういうふうに考えております。
 それからもう一つは、土地の有効利用、それから高層住宅の時代に来たのだからもっと容積率を見直したらどうかということでありますが、まさにそのとおりであろうと思います。しかし、なかなかもって無条件にというふうにもまいりませんで、一例を東京都に当てはめてみますというと、東京二十三区内の土地所有者の実態というのは百平米未満が四四・五%あるのです。三十坪足らずの所有者というのが四四%、半分近くある。それからもう一つ、住宅を建てますときに道がなければいけないわけでありますが、本当は四メーター以上なければ今の基準に合わないのですけれども、既に家が建っておりまして、四メーター以下の道路に面して建っておる住宅というのが東京都内で実は四割あるわけです。
 ですから、そういうところはやたらと、その人だけ容積率を見直してやって、高いものをしゅっと建てさせるというふうにはなかなかまいりませんわけでございまして、しかしこれほどのビルの需要があるわけでありますから、先般来もしばしば東京都と相談もいたし、私自身も都知事さんとお会いして、また今後も御相談するわけでありますが、良好ないわゆる区画整理をやっていく、それから都市の再開発をやっていく、それで道路をよくする、下水道を整備する、しばしば国会で問題になっておる都市公園の整備をする。そういう社会資本の整備をすることによっていわゆるビルの高層化を図っていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。(拍手)
#44
○副議長(阿具根登君) これにて質疑は終了いたしました。
 これにて午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時三十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十二分開議
#45
○議長(木村睦男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 昭和六十一年度地方財政計画についての国務大臣の報告並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第八号)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案についての趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。小沢自治大臣。
   〔国務大臣小沢一郎君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(小沢一郎君) 昭和六十一年度の地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 昭和六十一年度の地方財政は、累積した巨額の借入金を抱え、引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方税負担の公平適正化を推進しつつ地方税源の充実と地方交付税の所要額の確保を図り、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、節度ある行財政運営を行うことを基本としております。
 昭和六十一年度の地方財政計画は、このような考え方により策定しておりますが、以下、その策定方針について御説明申し上げます。
 第一に、地方税負担の現状と地方財政の実情にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化を図るため、個人住民税所得割について非課税限度額等の引き上げ及び同居の特別障害者に係る配偶者控除額及び扶養控除額の引き上げを行い、不動産取得税について住宅及び住宅用土地に係る税率等の特例措置の適用期限を延長する等の措置を講ずるとともに、地方税負担の公平適正化を図るため、事業所税の資産割の税率の見直し及び固定資産税等に係る非課税等特別措置の整理合理化を行うほか、昭和六十一年度における臨時措置として道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の従量制の税率を引き上げることとしております。
 第二に、現下の厳しい財政環境のもとで、今後
三年間の暫定措置として国庫補助負担率の引き下げが行われることとなりましたが、これに伴う地方財政への影響額一兆一千七百億円に相当する額について財源の補てんを行うことが必要となりましたので、地方たばこ消費税の税率引き上げ、地方交付税の増額及び建設地方債の増発により補てんすることとし、地方財政の運営に支障が生ずることのないよう措置しております。
 第三に、抑制的基調のもとにおいても、財源の重点配分に努め、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、その特性を生かした地域社会の形成を進めるとともに、住民生活に直結する施策の推進、住民生活の安全の確保等を図ることとしております。
 このため、内需拡大の要請にこたえつつ、住民生活に身近な生活関連施設等の計画的な整備を図るため地方単独事業費の確保に配意するとともに、福祉施策、教育、文化振興対策等の推進を図ることとし、これに必要な財源を確保し、また、過疎地域等に対する財政措置を引き続き講ずることとしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化及び一般行政経費等の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について補助単価の適正化等の改善合理化を進め、さらに年度途中における事情の変化に弾力的に対応できるよう必要な財源をあらかじめ確保することとしております。
 以上の方針のもとに、昭和六十一年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は五十二兆八千四百五十八億円となり、前年度に対し二兆三千百八十七億円、四・六%の増加となっております。
 次に、地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 昭和六十一年度の地方税制の改正に当たりましては、最近における地方税負担の現状及び地方財政の実情にかんがみ、住民負担の軽減及び合理化を図るとともに、地方税負担の公平適正化の推進に努めることを基本としております。
 以下、その概要について御説明申し上げます。
 まず、第一に、地方税法の改正であります。住民負担の軽減及び合理化を図るため、個人住民税について、低所得者層の税負担の実情を勘案の上、所得割の非課税限度額を引き上げるとともに、居宅における特別障害者の介護等に配慮して、同居の特別障害者に係る配偶者控除額及び扶養控除額の引き上げを行うほか、不動産取得税について住宅及び住宅用土地に係る税率等の特例措置の適用期限を延長することとしております。
 また、地方税負担の公平適正化を図るため、事業所税の資産割の税率を見直すとともに、固定資産税等の非課税等特別措置の整理合理化を行うこととしております。
 さらに、昭和六十一年度における地方財政対策の一環として、昭和六十一年五月一日から昭和六十二年三月三十一日までの間に限り、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の従量割の税率を引き上げることとしております。
 第二に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正でありますが、国有林野に係る市町村交付金の特例措置の整理合理化を図る等の改正を行うこととしております。
 そのほか、所要の規定の整備を図ることとしております。
 これらの改正により、昭和六十一年度におきましては千八百四十四億円の増収となる見込みであります。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 第一に、昭和六十一年度分の地方交付税の総額につきましては、地方財政対策の一環として千二百億円を加算することとした結果、九兆八千三百九億円となり、前年度当初に対し、三千八百十億円、四・〇%の増となっております。
 また、地方財政対策において、後年度の地方交付税の総額に新たに加算することとした千七百五十七億円については、昭和六十六年度から昭和六十八年度までの各年度分の地方交付税の総額に加算することとしております。
 さらに、昭和六十一年度の普通交付税の算定につきましては、経常経費に係る国庫補助負担率の引き下げ等に伴い増加する経費、生活保護基準の引き上げに要する経費等の財源を措置することとするほか、投資的経費について地方債振りかえ後の所要経費を基準財政需要額に算入する等のため単位費用を改定することとしております。
 第二に、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置並びに首都圏、近畿圏及び中部圏の近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置につきましては、都道府県分の利子補給措置及び市町村分の国庫補助負担率のかさ上げ措置について見直しを行った上、それぞれの適用期間を五年間延長することとしております。
 以上が、昭和六十一年度の地方財政計画の概要並びに地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#48
○議長(木村睦男君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。志苫裕君。
   〔志苫裕君登壇、拍手〕
#49
○志苫裕君 日本社会党を代表して、地方税法と地方交付税法等の一部改正案及び六十一年度地方財政計画に関して若干の質問を行います。
 まず、質問通告になくて大変恐縮でありますが、神奈川県逗子市では、池子弾薬庫跡に米軍住宅を建てたいという国の政策とのかかわりにおいて住民のリコール運動が展開され、これを推進する議会のリコールが成立し、反対の立場に立つ市長のリコールは不成立となりました。地方自治の本旨にかんがみ、住民の意思はあくまでも尊重さるべきであるが、まず総理の見解を求めます。
 さて、昭和六十一年度の地方財政は、六十年度に続き、国庫補助負担率の引き下げがなければ収支が均衡するとされております。しかし、さまざまな事情を抱えた全国三千三百の自治体の収支見積もりが差し引きゼロになることが現実問題としてあり得るでしょうか。実態は、このような奇跡が二年も続いたのではなく、自治省が作為を加えて収支とんとんの奇跡をつくり出したのであります。紛れもなく地方財政計画の策定作業の中で歳出削減が行われた結果なのであります。
 そもそも地方財政計画とは何のために策定されるのかといえば、地方財源を保障する目安を政府に与えるためのものであり、その収支見積もりにおいて財源不足が生ずるときは、原則として政府が補てん措置をとるべきものとされております。措置をとるべき政府が意図的に歳出をあらかじめ削減抑制してしまったのでは、財源保障の目安という計画の持つ使命は果たされようはずもありません。地方財政計画は政府による財源保障の目安ではなくして歳出削減の目安となったのか、地方財政計画は、地方ではなくして国の、いや分権ではなくして集権のための計画に変質、堕落してしまったのか、まさに地方自治にとって重要な転換点と考えます。総理並びに自治大臣の所見を求めます。
 ところで、高率補助負担金の一律引き下げによる地方自治体財政への転嫁は、一年限りの措置であったはずであります。一律という手法に政策理念の入り込む余地はなく、かつ生活保護のように特定地域に影響が大きくあらわれるといった不公平があります。一年限りという意味には、理不尽な自治体への負担転嫁を正すとともに、補助負担制度のあり方の見直しを含んでいたはずなのに、政府の検討はこの合意には全くこたえず、三年間という一律削減を継続して行う道を開いたばかりか、行きがけの駄賃のように六十年度の倍額の負担転嫁を行うとは何事であるか。
 その穴埋めに抜き打ち的なたばこ消費税の値上げが決定されたが、自治省や地方団体がこれにより反対の矛先をおさめたことも問題である。このような対応からは、国による地方への負担のツケ回しを正すことはできない。とまれ、六十一年度の引き下げは今後三年間の措置となったが、六十年度の約束がほごにされたことを勘案をすれば、三年限りという保証もまだない。なぜ三年であるのか。逆に言えば、三年間は補助負担制度の見直しはできないということにもなるが、それでよいのか。総理大臣並びに大蔵大臣、自治大臣の所見を伺います。
 総理は、来年度に向けて大幅な税制改正を行いたい旨表明されておりますが、その中に法人税の減税を含めたい意向があると聞いております。常々の例であるが、政府は、勝手に税制をいじくって、その結果発生する地方税の減収についてはとんとむとんちゃくであります。私は、もはや国と地方間における税源の再配分、すなわち国税の一部地方税への移譲が必要な時期に来ていると考える。そこでこの際、法人税減税を実施される場合の地方税の手当て、税源再配分について総理の所見を伺っておきたい。
 また、大蔵大臣に対しては、税制改正における法人税問題について現時点においてどのような検討課題があるのかをお示し願いたい。
 さらに、自治大臣には、国と地方の税配分についての自治省としての考え方を示していただきたいと存じます。
 さて、中曽根総理は、軍事力による国家の防衛と、人が国に命をささげる国家の形成を目指して戦後政治の総決算を提唱し、国家行政組織の再編成を政権の存在理由にも位置づけておられる。総理は、かつてこの行革について、突き詰めて言えば、官から民へ、中央から地方へ仕事の流れを変えるものだと表現をし、地域の自立自助をうたいとげました。しかし、せっかくだが、総理のやろうとしていることは、ことごとく自立にも自助にも反するものばかりであります。政府が法案として用意しており、今大問題となっておる職務執行命令訴訟制度の見直し、いわゆる実質的な裁判抜き代執行制度のどこが自立自助につながるのでありますか。確かに首長の罷免制度は廃止になりますが、これはかねてから公選首長の罷免などは違憲ではないかという疑問が呈せられていたほどのものであり、遅きに失したものにようやく手がついたにすぎず、評価になど値しません。
 自治体がみずからの住民福祉と行政秩序維持のために判断を下すときに、国が慎重に検討を重ね、これに対し訴訟で対抗するというのが定着した理解である。言うことを聞かなければ強権発動、文句があるなら自治体が訴訟を起こせというのは本末転倒であります。訴訟に持ち込まれるケースは国と地方士の力関係からいって希少でありましょうから、裁判抜きと言われるのは至極もっともであります。一体この条項の改正意図はどこにありますか。地方自治法施行後四十年近い歳月においてとりたてて問題となったこともないにもかかわらず、突如の改正は、総理の脳裏に有事に備える危機管理体制の構想があるのではないか。改めて総理の存念を伺うところであります。
 また、自治大臣には、改正を予定している地方自治法の改正条文第百五十一条の二における「放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、」云々という、この「著しく公益を害する」とは具体的にどのようなことを指しておるのか、お示しを願いたい。
 今国会において、福祉四法のように、補助率を引き下げるから機関委任事務から団体委任事務に変更するというものもあり、この限りにおいて自治権は強化されたように見えますが、負担金の削減と取引材料にされる性格のものでは断じてない。また、機関委任事務を監査対象に加えると言いながら、ふたをあけてみたら対象除外があって、その内容は今後各省と相談をして政令で定めるとしておりますが、これは、各省がみずからの所管事業を監査対象にされるなどとんでもないと抵抗した結果だと聞く。
 地方六団体の国に対する意見提出権の問題も、いかにも実現するような説明をしておいて、いざとなったら国の施策推進の邪魔になると言わんばかりに葬られました。総理の言う国から地方へ、地方の自立自助の実態はことごとくこのようなものであります。監査対象に除外を設けるべきではない。そして総理は、先ごろ国鉄の雇用問題などについて地方六団体に改めて協力要請を行ったりしておりますが、地方六団体とそれだけ協力関係をつくりたいというのであれば、何ゆえに地方六団体の国に対する意見提出権を認めないのか、総理並びに自治大臣の見解を問います。
 次に、国鉄問題について伺います。
 総理は、自治体に国鉄職員の再就職に協力しろと言われます。この問題についての我が党の基本的見解は既に明らかにされておりますが、そのことはひとまずおくとして、六十一年度の採用については千人を期待すると言っておるようであります。ところで、何か忘れてはいませんか。去年の国会でも大激論となった年金の問題。いつ、どのような方法で当該職員分の積立金及び共済追加費用を補てんするのでありますか。既に問題が発生
していることでありますから、この場ではっきりと方法と時期についてお示しをいただきたい。また、自治省事務次官通達においては、さんざん自治体に協力を要請しておいて、最後に、この要請は従来の行革による定数適正化と同時並行でやれとも言っています。一体、やれというのか、やらぬでいいというのか、適当につき合えというのか、これでは実質的に国鉄労働者の雇用安定は図れない。私は、もしこういう方法で雇用対策をとろうというのであれば、定数については特別枠で処理し、必要な地方財政計画上の措置も講ずるというのが前提である、政府がそうした決意を持って初めて雇用不安の解消が図れると考えるが、総理並びに自治大臣の所見を伺います。
 最後に、少し本題をそれるが、今、内外の注目を集めているフィリピンのマルコス前大統領の不正蓄財に関連する問題についてぜひ総理の所見を伺っておきたい。
 私は、去年の七月、同僚議員とともに、民衆の側から見たODAのあり方についてフィリピンの現地調査を行いました。そのレポートは若干の提言とともに政府筋にも届けてあるから、あるいは総理の目にとまったかもしれないが、その際予見したことの多くがフィリピンの政変に伴ってあらわれたことにいささかの自負を感じています。
 政府は、予算上特別待遇を与えられておるODAについて多くの批判や疑惑が寄せられておることにもかかわらず、一切問題はない、相手国の国民生活や経済再建に役立っておると言い張ってきましたが、マルコス政権の崩壊によって、ODAが独裁者を太らすという仕組みの存在が証明されました。報道によると、日本の円借款の使途、受注をめぐり契約額の一五%のリベートが不正蓄財の相場になっていたようだが、これによれば、第十二次円借款までに日本国民の血税は六百億円を下らない額が独裁者とその週辺につき込まれたことになる。こうしたことについて、政府は国民にどのような説明をし、どのような責任をとるのか。日本の政財界へのはね返りもないとは言い切れないようだが、身を切るような徹底究明を政府はみずから行うべきである。
 また、こうした円借款は、つまるところフィリピン国民の負債でもあります。日本のODAは、独裁政権を支え、延命に手をかして民衆を苦しめ、その上、返済の負担をも同国民に強いることになったわけだが、フィリピンの国民に対しても日本政府の反省が示されてしかるべきである。私は、従来の円借款について、贈与への切りかえ、金利等の減免などの措置を講じてフィリピン経済の再建に寄与するとともに、現在進行中または計画中の円借款については抜本的な見直しと再協議を行うべきであると思う。特に、マルコス政権末期に供与された政治的色彩の強い第十二次、第十三次円借款は、新政府の希望を十分に聞いて、また、国民、住民の参加と協力が得られるものに再編成すべきであります。
 以上、適切な対処を求めて私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(中曽根康弘君) 志苫議員にお答えをいたします。
 まず、地方財政計画、それに先立ちまして、逗子のリコールの御質問がございましたが、地方自治のもとに住民の自主的行為として行われましたリコールでございますので、その結果について中央政府として論評することは適当でないと思いますので、差し控えたいと思います。
 地方財政計画につきましては、昭和六十一年度の地方財政計画の策定に当たっては、地方財政の運営に支障が生ずることのないよう、歳入歳出の各項目について適切な見積もりを行ってあります。
 補助率の問題につきましては、国と地方との財政関係の安定、国と地方の役割分担、費用負担の見直しの必要性等を総合的に勘案しました結果、今回このような暫定措置をいたしたものでございます。この期間内においては、国、地方間の財政関係を基本的に変更するような補助率の変更は考えていませんが、補助金等の整理合理化を推進するため、既存の補助金のあり方について点検し、見直しは行っていく考えであります。
 次に、六十一年度税収落ち込みへの対処でございますが、六十一年度の国税、地方税の税収見積もりは、現段階においては適正なものと考えられまして、今後とも、地方の行財政運営に支障が生じないように対処してまいるつもりでおります。
 次に、国、地方の税源の再配分の問題でございますが、単に地方税だけでなく、地方交付税、地方譲与税、補助金等のあり方、さらには国と地方との行政事務配分のあり方等をも考えまして、総合的に勘案の上、慎重に検討していくべきものであると考えます。
 なお、法人税の負担水準のあり方については、税制の抜本的見直し作業の中で税調において検討されておるところであり、地方財政に対する影響等については、今後その審議の結果を待って適切に対処する考えであります。
 代行制度の問題につきましては、地方制度調査会は、機関委任事務の基本的なあり方を論議する中で、現行の職務執行命令訴訟制度が現実に制度として動かない、公選された知事を内閣総理大臣が罷免するのはおかしいという批判に制度論としては応ぜざるを得ないと判断をして、議論に議論を重ねた結果、見直しを提言したものであります。政府としても、制度のあり方としては答申に即した改正が必要と考え、機関委任事務制度の改革の一環として、今般、改正法案を国会に提出したものであり、特定具体の事件、事例を念頭に置いて行ったものではございません。
 地方団体の意見提出権等機関委任事務の監査の問題でございますが、地方公共団体の意見は従来からいろいろな機会を通じて十分に聴取し、検討いたしております。今後とも、地方の意見は国政によく反映させるようにできる限りの努力をいたしたいと思います。監査の対象からの除外については、国の事務の適正な執行の確保の観点から必要最小限のものに限定いたしたいと思います。
 国鉄職員の再就職の問題でございますが、地方公務員となった場合には、これに伴う共済年金の積立金の移換については、共済年金の受給権が発生した時点で給付額等を基礎として行うことを考えているところであります。共済年金のいわゆる追加費用については、地方公共団体の負担とならないよう措置する所存であります。
 なお、地方公共団体での国鉄余剰人員の採用は、毎年の採用者の一部を国鉄職員の受け入れに充ててもらおうとしているものであり、その趣旨で地方公共団体に対して事情の許す限りの協力を
要請しているところであります。
 対比援助の問題でございますが、対比援助の適正な実施については、従来よりも可能な限りの措置をとって努力しているところであります。現在、入手した資料を調べている段階でございまして、その真相の究明を待ちまして、本件に対する取り扱いは慎重に検討してまいりたいと思っております。本日も外務省におきまして援助評価検討部会を開きまして、鎌田前会計検査院長を部会長とするこの部会におきまして種々検討いたす予定でございます。
 円借款の問題でございますが、対比円借款については、フィリピンとの国際約束に基づくものであり、その円滑な実施が行われることを希望しております。十三次円借款についても、昨年十二月、既に交換公文署名済みでありまして、双方の準備が整い次第実施に移す予定であり、それに際してはアキノ新政権の意見も十分徴しまして協力する考え方であります。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣小沢一郎君登壇、拍手〕
#51
○国務大臣(小沢一郎君) 志苫先生にお答え申し上げます。
 ほとんどの点につきましては総理から御答弁ございましたので、私から補足的に申し上げます。
 まず、地方財政の問題でございますが、六十一年度の地方財政の収支見通しにつきましては、国の予算編成作業と並行して作業を進めたわけでございますが、御指摘のように、国庫補助負担率の引き下げは行わない前提では、地方財政の収支は均衡するものと見込まれたわけです。しかし、国庫補助負担率の引き下げが行われることになったために、その影響額一兆一千七百億円につきましては財源が不足することとなりました。これに対しまして、地方たばこ消費税の税率引き上げ等によりまして補てん措置を講じたところでございます。このように、昭和六十一年度の地方財政計画につきましては、歳入歳出の各項目ともに適切な見積もりをいたしまして、地方財政の運営に支障を来さないように措置いたしたところでございます。
 それから補助負担率の問題でございますが、これは総理の御答弁にもございましたが、さらにつけ加えますと、地方団体におきましては制度の安定を望む声が強く、そういう点を総合的に勘案いたしまして三年間の暫定措置としたものであります。したがいまして、この間は六十年度や六十一年度のような補助負担率の変更は行わないこととしております。これまで地方制度調査会答申等で指摘されている国庫補助金等の整理合理化につきましては、引き続きこの間におきましても積極的に進めたいと考えております。
 それから税源配分につきましての自治省の考え方でございますが、地方公共団体が、現在大変厳しい地方財政の状況に対処をしながら、その健全性の回復を図るとともに、その自主性、自律性を高めながら充実した地域社会を形成していくためには、さらに地方税の税源の充実を図っていくことが必要であると考えております。国、地方を通ずる事務配分等行財政制度全般のあり方とも関連する問題でありますけれども、自治省といたしましては、このような基本的な考え方に立ちまして、税制調査会等の御審議を煩わしながら、地方税源の充実に積極的に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地方自治法改正の問題でございますが、「著しく公益を害する」とはどういうことかという御質問でございますが、このことにつきましては、こういう限定を置きましたのは、代行につきましてはできるだけ慎重であるべきであるという見地から設けられたものでございまして、代行が行われる場合を、社会公共の利益に対する侵害の程度が甚だしいと、そういう場合にのみ限定しようとする趣旨でございます。総理からも御答弁ございましたように、特定の事件、事例を念頭に置いて、それを解決するための制度改革を行う、そういうものではございません。
 それから意見提出権の問題でございますが、これについても総理から答弁ありました。自治省といたしましては、いずれにいたしましても、今後とも引き続き地方公共団体の意向が適切に反映されるよう努力してまいりたいと思います。また、今回の監査委員の職務権限の拡大につきましては、従来のような財務事務の処理に係る監査とは異なりまして、行政事務そのものを取り上げて、その執行のあり方を監査するものでございます。したがいまして、それぞれの事務の性格によっては、例えば準司法的な機関による専門的な立場からの裁決、あるいは特に秘密性が強い事務等、監査の対象とするには適しないものもあるわけでございまして、こういった必要最小限度の除外措置を設ける考えであります。
 それから国鉄職員の自治体への再就職の問題でございますが、自治省におきましては各地方公共団体に対しまして国鉄職員の受け入れを要請しておりますけれども、これは、国の措置に準じまして、職員の新陳代謝による新規採用の一部を国鉄職員の雇用の場として自主的に提供するよう求める趣旨のものでございます。したがいまして、鉄道公安業務の都道府県警察への移管に関連するものを除けば、特別の定員措置や財政措置を新たに講ずる必要はないものと考えております。
 なお、国鉄職員の採用に伴う共済年金の取り扱いについて御指摘ございましたけれども、これは地方に負担をもたらすことのないよう閣議決定されているところでございまして、この基本方針に沿って対処してまいる所存であります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#52
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は三点でございます。
 まず、補助金特例法案はなぜ三年か、そして三年間は補助負担制度の見直しを行わないとの趣旨かと。これにつきましては総理、自治大臣からそれぞれお答えがございました。
 見直し適用期間につきましては、まず一つには、見直しが社会保障を中心に事務事業の見直しを行いつつ行われたものであること。二番目には、国と地方との財政関係を事情の許す限り極力安定的なものとすること。ところが、他方また、国及び地方の役割分担及び費用負担のあり方の見直し等につきましては、それぞれの財政事情等を踏まえ、今後ともさらに検討する必要があること。これらの三つのことを総合的に勘案いたしまして三年間の暫定措置とした、こういうことでございます。
 それから次が六十一年度における国税、地方税
に落ち込みが生じた場合の措置についてであります。
 これも総理からお答えがございましたが、六十年度においては、国税三税の補正減四千三百九十億円に対し、地方財政の状況等を勘案し、昭和六十年度分の地方交付税の総額の特例等に関する法律に基づいて交付税の減額を行わないこととしております。したがって、六十一年度のこの国税三税の税収見積もりはもとより適正なものであると考えておりますので、言ってみればそういう自後の措置等を考える段階にはなかろうかと思います。いずれにせよ、今後とも地方の行財政運営に支障が生ずることのないようきちんと対処すべき問題であると心得ております。
 それから法人税制についての検討経過でございます。
 今日、税制全般についての見直し作業が行われておりますが、法人税につきましては、第三特別部会において一わたりの議論が行われたところであります。その中で理論的、専門的な検討が必要とされた一つには、法人税の負担水準、二つ目は所得税、法人税の負担調整に関する基本的仕組み、これらにつきましては学者先生で構成します専門小委員会の中で検討が行われまして、三月二十日にその検討結果が第三特別部会に報告されたという今段階でございます。法人税負担水準のあり方でございますとか、それを示す指標でございますとか、実質負担率でございますとか、実効税率でございますとか、あるいは投資行動等経済に与える影響の問題、それらのことが学者先生のところで議論をされ、第三特別部会に報告されたから、本格的な論議はこれから詰めていくことになろう、このように考えます。(拍手)
    ―――――――――――――
#53
○議長(木村睦男君) 中野明君。
   〔中野明君登壇、拍手〕
#54
○中野明君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま報告並びに趣旨説明のありました昭和六十一年度地方財政計画、地方税法など三案件につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 総理は施政方針の中で、「心の触れ合う、豊かで美しい地域社会、誇りと愛着の持てる郷土の建設」等と、言葉は出てくるのですが、その方策はと見てみますと、地方行革を推進し、地方財政については所要の措置を講じたと述べるのみで、豊かな地域社会をつくるような具体的方策は何ら見られないのであります。再三指摘しているように、今や地方財政は五十八兆八千億円を上回る巨額の借入金を抱えており、財政の硬直化がさらに進展し、容易ならざる状況にあります。まず、このような地方の現状をどう認識され、総理の考えでおられる地方自治のあるべき姿とは何なのか、お示しをいただきたいと思います。
 本年は、地方自治が発足して四十年、地方の時代とは名ばかりでありまして、現実には、権限、財源ともに大きく国に依存しており、三割自治の実態は何ら変わらないのであります。臨調や地方制度調査会等では地方分権化を再三提言しておりますが、現在に至るまで見るべき対応はありません。国、地方間の役割分担と財源配分を含め、どのように改革しようと考えておられるのか、総理及び大蔵、自治、両大臣にお尋ねをいたします。
 次に、最大の課題である国庫補助、負担金の削減の問題でありますが、政府は、本年度に引き続き、六十一年度においても補助負担率カットの継続、拡大を図っております。これによる地方の負担は六十年度の倍以上の一兆一千七百億円にもなります。昨年はこの点について、昭和六十年度限りの措置であることを繰り返し繰り返し答弁をしましたが、あの約束はどうなったのですか。今までの政府の答弁は納得いきません。改めて説明をしてください。しかも、この補助負担率カットは、地方に負担転嫁を禁じておる地方財政法第二条に反するばかりか、地方自治体が住民サービスに回すべく経費節減などの行財政改革を行った努力の成果を奪い取るものでありまして、地方行革に水を差すものであります。政府は、このような国、地方間の原則に反する補助負担率のカットの拡大、延長をどのような根拠に基づいて行おうとなさっておるのか、その理由を明らかにしていただきたい。
 また、今回は補助負担率カットについては三年間とされておりますが、暫定措置とされた問題について、その間、関係者の間でどのような検討を行うのか、総理及び大蔵、自治両大臣の答弁を求めます。
 なお、政府は補助負担率削減のかなりの部分に地方債を充てようとしておりますが、地方自治体の公債費負担比率を見ると、危険ラインと言われる二〇%を超える団体は既に全体の三分の一に達しております。地方財政は、その負担に耐え得るとは到底言えない状況であります。国より地方の方が借金が少ないからというのでは、地方は国の赤字を無理に押しつけられただけではありませんか。すなわち、無理やり国債を地方債に振りかえただけではありませんか。政府の答弁をお聞きしたいものであります。
 次に、機関委任事務の整理合理化についてお伺いいたします。
 総理は、かつて、補助負担率カットと引きかえに国の権限の大幅な地方移譲を約束されたのであります。ところが、今国会に予定されている機関委任事務の整理は、その件数、内容ともほんのわずかであり、地方自治体の要望とはほど遠いものとなっております。総理はこれで十分であると考えておられるのか、見解をお伺いします。
 さらに、行革審答申に基づき、政府の代執行制度の改正が機関委任事務の整理と引きかえに行われようとしております。すなわち、機関委任事務を地方自治体が実施しなかった場合、政府は裁判抜きで代執行できる措置を講じようとしているのでありますが、これでは、権限や補助金などに加え、地方自治体を強力にコントロールする権限をいま一つ国が持つことになり、中央集権化がさらに強まることになるのではないかと懸念をされます。総理及び自治大臣の見解を伺いたいのであります。
 なお、最近、行革審が市町村合併の推進についての提言を検討していると伝えられておりますが、広域行政に対しても政府の見解をお示し願いたい。
 次に、税制改正について伺います。
 昭和六十一年度の政府の税制改正案によると、国民が最も期待しておりました所得税減税がないばかりか、公共料金の値上げを初め、たばこ消費税の引き上げ等のため、国民の税負担は一層強化されようとしております。これでは国民の可処分所
得はますます減少して、政府が目指している内需拡大は困難であると断言せざるを得ません。そこで、六十一年度における所得税、住民税減税については、去る三月四日の与野党書記長・幹事長会談で合意されたとおり、その結論が出れば六十一年中に早急に実施すべきであります。総理の確たる答弁を求めます。
 総理は、税調の答申についても二段構えで臨むのではないかと言われております。すなわち、春にまず減税案の答申、秋に増税案の答申を求めているのではないかということでありますが、これは本年の参議院選を意識したものとしか考えられず、しかもこうした税調への諮問の仕方では、六十一年中に減税を実施することが危ぶまれるのではないかと思います。総理は誠意を持って与野党合意の結論を実行されるよう、明確な答弁を求めます。
 また、補助負担率カット補てんのためのたばこ消費税の突然の引き上げは、明らかに国の財政再建のための大衆課税の強化であり、増税なき財政再建の公約に反するものであります。総理及び大蔵大臣の答弁を求めます。
 最後に、国民健康保険財政についてであります。
 国保財政の五十九年度決算によると、新規の赤字市町村が三百十三団体と、前年度の八倍近くに急増をし、全体では前年の三倍以上の四百二団体が赤字を示すに至っております。異常とも言うべき事態の一因は、五十九年度に新設された退職者医療制度に伴う政府による加入者割合の過大見積もりと国庫負担の過度の削減という二重の過ちを犯したことにあることは、言をまたないところであります。さらに、政府による十分な財源補てん策が行われないため、六十年度においては全市町村平均一〇%を超える大幅な国民健康保険税の引き上げを余儀なくされ、保険税の平均は四万三千円にも上っているのであります。その上、国保の医療費負担は限界に達しており、制度そのものの存立が危ぶまれている現状であります。政府は今回の事態をどのように反省し、どう対応されるのか、総理及び厚生大臣の見解をお伺いいたします。
 また、現行の市町村を単位とする体制のもとでは、小規模団体が高額な負担に耐えられず、年度予算が組めないといった事態も生じているのであります。この点についてどのような対策を考えているのか、お伺いしたいのであります。このままでは、現行の窮迫している国保制度の抜本改正を余儀なくされるのではないかと思いますが、政府の考えをお示しいただきたいと思います。
 以上、地方行財政等に関する緊急かつ重要課題について要点を絞り質問をいたしましたが、政府の答弁を求め、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#55
○国務大臣(中曽根康弘君) 中野議員にお答えをいたします。
 まず、地方自治のあるべき姿の御質問でございますが、地方自治は民主政治の基盤であり、内政のかなめであると考えております。戦後四十年を経て、新しい地方自治制度はおおむね定着していると思います。人口の高齢化あるいは安定経済成長への移行等を迎えまして、地域の特性や創意を尊重した地域づくりが重視されておる折から、地方公共団体の果たすべき役割はますます重要になっております。「地方自治の本旨」と憲法に書いてありますように、地方のことはみずから自分で行う、そういう精神を制度的にもさらに保障、強化していく方向で処理してまいりたいと思います。
 地方分権に対する御質問についても同じでございまして、地方の役割分担、費用負担等のあり方についても、地方との間で慎重に検討してまいるつもりでおります。政府としては、臨時行政改革推進審議会の答申を踏まえまして、機関委任事務及び国、地方を通ずる許認可権限等の整理合理化を行うための法律案を今国会に提出予定であります。今後とも国、地方の役割分担等については、臨調答申あるいは臨時行政改革推進審議会、地方制度調査会等の御意見を踏まえまして対処してまいります。
 補助率の引き下げの問題でございますが、これは、一年間の暫定措置として昨年度の引き下げを行い、六十一年度以降の補助率のあり方については、国と地方の間の役割分担、費用負担の見直しを考えまして検討を行ってきたとところであります。六十一年度予算においては、補助金問題検討会の報告の趣旨等を踏まえましてこのような措置を行ったところであり、今後、補助率の見直しに当たりましては、所要の地方財政対策等を講じ、地方行財政の運営に支障が生じないように対処してまいります。
 さらに、六十四年度以降の取り扱いについては、今までの経緯や今回の措置の性格を踏まえまして、諸般の情勢の推移、国、地方の財源配分及び役割分担のあり方等を勘案しながら、その時点において適切に対処する予定であります。
 地方債への振りかえにつきましては、たばこ消費税の税率を引き上げまして、地方交付税、地方債の増額により補てんをいたしたところでございます。地方債の元利償還などの後年度の地方財政負担につきましても、国として必要な措置を講じ、地方行財政の円滑な運営に支障を生じないように適切に対処してまいります。
 機関委任事務の問題でございますが、政府は、昨年七月の行革審答申を踏まえ、機関委任事務及び国、地方を通ずる許認可権限等の整理合理化を行うため、十一省庁四十三法律六十一事項にわたる改正を一括して行うことを内容とする法案を今国会に提出する予定であります。国、地方を通ずる行政の簡素化、効率化及び地方自治の尊重の観点から、この法案を初めとして、さらに今後とも機関委任事務の整理合理化に努力してまいります。
 代行制度の問題でございますが、この代行制度について、その発動は著しく公益を害することが明らかである場合に限られるとともに、知事の不服の申し出を含む慎重な手続を経て、最終的には執行停止を含めた裁判所の公正な判断を仰ぐ慎重な措置を講じております。同時に一方、罷免制度の廃止、機関委任事務に係る議会、監査委員の権限の拡充等、今回の改正は地方の立場にも十分配慮したものであります。
 市町村合併につきましては、五十七年の臨調答申では、広域行政に対応する地方行政体制の整備等について指摘しております。現在、臨時行政改革審議会においてもその具体的推進方策について検討しておると承知しております。現在の市町村の規模については、市町村の間の格差の存在、住
民の日常生活圏との乖離等の問題があることも承知しております。しかし、市町村の合併は市町村の自主的判断を尊重すべきものであり、条件の整った地域において自主的に合併を進めることが望ましいと考えて、国で強制すべき問題ではありません。
 次に、所得税問題については、シャウプ税制以来の抜本的見直しについて現在臨調に諮問しているところであり、途中でいろいろ大規模なことをやることは不適当であると思っております。所得税減税等の問題については、今後の各党間での協議の推移を見守ってまいりたいと思います。
 たばこ消費税については、既に御答弁申し上げておりますとおり、六十一年度の税制改正による増収額はここ数年とられてきた調整措置と大体同程度のものでありまして、それは臨調答申における増税なき財政再建の趣旨に反するものではないと考えております。
 退職者医療制度による国保の財政問題でありますが、この実施に伴う国民健康保険財政の問題については、本年度の補正予算において特別の財政措置を講じてまいりました。今後とも、市町村国保の運営の安定化に配慮してまいりますし、地域保健医療において市町村が果たしている役割は極めて大きなものがあり、その役割を十分尊重してまいりたいと思いますし、また、健康保険制度のあり方についても、今後の高齢化の進展等に対応して、その長期的な安定を図る観点から幅広く検討すべき課題であると考えております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣小沢一郎君登壇、拍手〕
#56
○国務大臣(小沢一郎君) 中野先生にお答え申し上げます。
 私に対しては四つの質問がございましたが、総理からすべて答弁がなされておりますので、自治省の立場から補足的に申し上げます。
 まず第一に、地方分権化の問題でございますけれども、自治省といたしましては、事務権限の配分につきましては、国、地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方分権の推進という観点から、今後も事務の見直しにつきましては積極的に行っていかなければならないものと考えております。そして、そういう見直しの議論の中から、これに応じた財源の適切な配分を行う必要がある、そのように考えております。
 次に、補助負担率の問題でございますが、これはあくまでも国、地方の税財源配分のあり方、事務配分のあり方等を総合的に勘案の上、この補助負担率というものは決められていくべきものと考えております。具体的な検討の進め方等につきましては、今後関係各省庁と協議することとなりますが、検討に当たりましては、自治省といたしまして、地方の自主性、自律性の向上、行政の簡素効率化等の観点から必要な意見を積極的に述べ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 それから代執行の問題でございますが、今度の御審議をいただく法案の中身につきましては総理から詳しく答弁がございました。私どもも、地方の立場を十分に尊重しながら、国と地方との関係改善に資する内容になっているものと考えております。
 それから市町村合併の問題でございますが、基本的には、あくまでも市町村の自主的判断に基づいて合併を進めることが望ましいと私どもは考えております。現時点におきましては、全国一律的に合併を促進するということよりも、広域市町村圏施策の充実を図るなど、広域行政の推進に努めていくことが先決であると考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#57
○国務大臣(竹下登君) まず、中野さんの私に対する問題の第一点は、国、地方間の役割分担と財源配分を含め地方自治の現状をいかに認識するか、こういう基本的な認識のお尋ねでございます。
 国と地方は共通の行政目的の実現を分担し、責任を分かち合う関係にあります。行政が総合的、効率的に行われるためには、国と地方がそれぞれの機能と責任を分かちながら相互に協力していくことが必要である、このように考えます。国と地方の役割分担につきましては、国、地方を通ずる行財政改革の重要な課題でありまして、臨調答申の趣旨等に沿って、行財政の簡素合理化、地方公共団体の自主性、自律性の尊重、これらの観点に立ってその見直しを図ってきたところであります。また、国と地方の財政は、税源配分、交付税交付金、補助金等により密接な関係を有しているところでございますが、このような国と地方の間の税源配分の問題につきましては、国と地方の役割分担の問題や国と地方の財政状況等を踏まえつつ幅広い角度から検討を行っていくべき課題である、このように考えております。
 次は、六十一年度も国、地方間の原則に反するような補助率カットの継続、拡大を行おうとしているのではないか、あるいは三年間の措置とされているがさらに継続されることはないか、あるいは三年間の間に、暫定措置としておるが、どういう検討を行うか、こういう御趣旨の一連した御質問であります。
 この問題は、まず、六十年度におきます高率補助率の引き下げは一年間の暫定措置である、六十一年度以降の補助率のあり方については、国と地方の間の役割分担、費用負担の見直し等とともに、政府部内において検討を進めて一年以内に結論を得る、このことを第百二国会で申し述べてきたところであります。その上に立って去年の十二月二十一日に結論が出たのが、補助金問題関係閣僚会議というものの決定に基づくものであります。これは検討会の趣旨にのっとったものであるというような経過を経ております。したがって、六十年度の措置のように、補助率のあり方を一年かけて検討するための暫定措置といった性格のものとは基本的に今回は性格を異にしております。したがって、六十四年度以降の取り扱いについては、今後の諸情勢の推移、国と地方の財政状況等を勘案しながら、その時点において適切に対処すべき問題であるというふうに考えております。
 それから次の問題は、いわゆる地方債への振りかえではないか、こういう御趣旨の御質問でございました。
 補助率の見直しによる影響等を織り込んだ上で生じますところの地方財源不足につきましては、地方行財政運営に支障を来すことのないよう地方財政対策を講ずることとしているところでありますから、単に地方への負担転嫁ということではありません。六十一年度の地方財政は、建設地方債の発行額は六十年度より増加しております。しかし、一般財源比率は六十年度の水準をさらに上
回っておるなど、地方の自主財源の充実という観点から見ましても、今回の補助率の見直しによって地方財政の健全性が損なわれるということはないというふうに考えておるところであります。
 それから次は、たばこ消費税の問題でありますが、増税なき財政再建に反するのではないかということにつきましては、総理から、ここ数年行われてきた調整措置とおよそ同程度のものであるという御趣旨の発言がございました。私どもも、一年限りの臨時措置であり、いわゆる増税なき財政再建の基本に反するものではない、このように考えております。ただ、手続上の問題については、何回も機会をかりて申し述べておりますように、税制調査会の答申後に行ったということにつきましては、事後に万やむを得ざる措置として関係方面に理解をこれからもお願いをして歩こう、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣今井勇君登壇、拍手〕
#58
○国務大臣(今井勇君) 中野先生にお答え申し上げます。
 退職者医療の実施に伴います国民健康保険財政の問題につきましては、現在の極めて厳しい財政状況の中で政府といたしまして最大限の努力を払いまして、本年度の補正予算に国保特別交付金千三百六十七億円を計上したところでございますが、今後とも、市町村国保の財政状況の推移を見ながら、その安定的な運営ができますように十分配慮いたしたいと考えております。
 次に、国保制度のあり方につきましては、高齢化の進展を初めとする今後の社会経済情勢の変化に対応いたしまして、財政基盤を強化し、その長期的な安定を図るという観点から幅広く検討をいたしているところであります。その場合、市町村が地域の保健医療に果たしております役割を十分尊重しながら、小規模保険者の財政安定化の方策を含めまして検討を進めていく考えでございます。
 以上でございます。(拍手)
#59
○議長(木村睦男君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#60
○議長(木村睦男君) 日程第一 昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案
 日程第二 国民年金特別会計法等の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長山本富雄君。
   〔山本富雄君登壇、拍手〕
#61
○山本富雄君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案は、歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一以上を公債等の償還財源に充てなければならないこととしている財政法第六条第一項の規定を、五十九年度の剰余金については適用しないこととしようとするものであります。
 委員会におきましては、今回の措置は臨時異例であり、今後においては剰余金の全額を公債償還財源に充当することの必要性、六十年度の税収不足の状況から見た中期展望における税収見込みの当否、電電株の売却収入が生じた場合における公
債の繰り上げ償還の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論なく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、国民年金特別会計法等の一部を改正する法律案は、基礎年金制度が昭和六十一年四月から実施されることに伴い、基礎年金に関する政府の経理を明確にするため、国民年金特別会計に基礎年金勘定を設けるとともに、関係法律について所要の規定を整備しようとするものであります。
 委員会におきましては、基礎年金の水準、費用負担及び年金積立金運用のあり方、福祉目的税としての大型間接税導入の当否、保険料免除適用者及び保険料滞納者の増大傾向とその対応策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論なく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#62
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 まず、昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#63
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 次に、国民年金特別会計法等の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#64
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#65
○議長(木村睦男君) 日程第三 国際花と緑の博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。建設委員長小山一平君。
   〔小山一平君登壇、拍手〕
#66
○小山一平君 ただいま議題となりました国際花と緑の博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、昭和六十五年に大阪府下において開催されることとなっております国際花と緑の博覧会の円滑な準備及び運営に資するため、財団法人国際花と緑の博覧会協会に対し、資金調達、人材確保等について特別措置を講じようとするものでありますが、その主な内容は、第一に、国は、博覧会協会に対し、経費の一部を補助することができること。第二に、郵政省は、博覧会の準備及び運営に必要な資金に充てるため、寄附金付郵便はがき等を発行することができること。第三に、住宅・都市整備公団は、博覧会に参加する外国政府職員等のための住宅を博覧会協会に賃貸することができること。第四に、博覧会協会に出向した国家公務員等に係る共済組合員資格等について特例を設けること等であります。
 委員会における質疑の詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#67
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#68
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#69
○議長(木村睦男君) 日程第四 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長増岡康治君。
   〔増岡康治君登壇、拍手〕
#70
○増岡康治君 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 本法律案は、日本消防検定協会及び危険物保安技術協会について、政府の関与を縮小する等所要の措置を講ずること、消防検定業務を行うことができるものとして、新たに指定検定機関制度を設けること、救急業務の実態にかんがみ関係規定を整備すること、人命救助に必要な器具を装備する救助隊の配置について規定すること、タンクローリーに対する危険物規制の改善を図ること等を主な内容とするものであります。
 委員会におきましては、政府より趣旨説明を聴取した後、質疑を行い、参考人の出席を求め、協会のあり方、救急医療体制の充実等の問題について熱心な論議を行いました。
 質疑を終局し、討論の後、採決を行いましたところ、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可
決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対しましては、救急体制の充実を図ること等を内容とする附帯決議を行いました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
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#71
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#72
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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