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1985/05/07 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 本会議 第14号
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1985/05/07 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 本会議 第14号

#1
第104回国会 本会議 第14号
昭和六十一年五月七日(水曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十四号
  昭和六十一年五月七日
   午前十時開議
 第一 国の補助金等の臨時特例等に関する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善
  のために昭和六十一年度において緊急に講ず
  べき特別措置に関する法律案(趣旨説明)
 一、日程第一
 一、国家公務員等の任命に関する件
     ―――――・―――――
#3
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。三塚運輸大臣。
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(三塚博君) 日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 国鉄の経営は、昭和五十九年度末において繰越欠損金が十二兆円を超えたほか長期債務残高も二十一兆八千億円に達するなどまさに危機的状況にあります。
 このため、政府におきましては、昨年七月に提出された日本国有鉄道再建監理委員会の意見を最大限に尊重し、昭和六十二年四月一日から新経営形態へ移行することにより国鉄の経営する事業の抜本的改革を図ることといたしているところでありますが、これと並行して、日本国有鉄道の経営する事業の再建の推進に関する臨時措置法第三条の規定に基づき、国鉄の経営する事業の運営の改善のために緊急に講ずる必要があると認められる事項について所要の措置を講じ、国鉄の経営する事業の適切かつ健全な運営を実現するための体制整備に資するよう努めているところであります。
 本法律案は、昭和六十一年度において、このような緊急に講ずべき措置として、国鉄の長期債務に係る負担の軽減及び職員の退職の促進を図るための特別措置を定めることといたしたものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、国鉄の長期債務に係る負担の軽減を図るため、政府は、資金運用部が国鉄に貸し付けている資金に係る債務のうち、既に棚上げ措置を講じている特定債務五兆円余を一般会計に承継させることとし、一般会計は同額の資金を国鉄に対し無利子で貸し付けたものとすることといたしております。また、現在一般会計が国鉄に貸し付けている一定の無利子貸付金に係る債務の償還期限等の延長についても必要な措置を講ずることといたしております。
 第二に、国鉄の職員が著しく過剰である状態を緊急に解消するため、国鉄の行う退職希望職員の募集に応じて退職を申し出、認定を受けた職員が昭和六十一年度中に退職したときは、その者に対し俸給、扶養手当及び調整手当の合計額の十カ月分の額に相当する特別給付金を支給するなど所要の措置を講ずることといたしております。
 以上が日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(木村睦男君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。小柳勇君。
   〔小柳勇君登壇、拍手〕
#7
○小柳勇君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました法律案に対して質問をいたすものであります。
 本論に入ります前に、昨日終わりました東京サミットに関しまして、国民批判の厳しい二つの点について、総理にまず質問をいたします。
 一つは、円高対策であります。サミットにおける総理の各国首脳に対する対応と、これからどのくらい上昇するかの見通し及びこれに対する対策をまず伺います。二つ目は、リビア問題であります。米ソ間に立って中立外交を進めるべき我が国のこれからの対応について、総理の決意を伺います。
 次いで、本論の質問に入ります。
 国鉄は今、中曽根内閣の手によって解体され、一部資本に売り渡されようとしております。我が国の経済発展と国民生活にとって、異常事態とも言わなければなりません。私は、このような国鉄の分割・民営化という暴挙に対して反対し、これを阻止する立場から、総理並びに関係大臣に質問いたすものであります。
 ところで、本法案について、政府は国鉄改革関連法案とは別のものであると強調しておりますが、我が党は本法案こそ国鉄改革関連八法案の前提となる法案であると認識しており、この際、国鉄改革案全般にわたって質問することをまず冒頭申し上げておきたいと存じます。
 以下、五つに分けて端的に伺います。
 まず第一は、政府はなぜ国鉄の分割改革をこんなに急がなければならないのでしょうか。
 国鉄は、現在実施中の経営改善計画のもとで赤
字は年々縮減に向かっており、長期債務などの過分の負担を取り除きさえすれば、全国一社体制の現在においても国鉄収支は大幅に改善できることは確実であり、短兵急に分割を急ぐ必要は全くないのであります。政府はまた、分割の理由として、地域密着のサービスを行い、経営の自主責任を生かすためだと言っておりますが、地域に密着したサービスは、分割しなくても経営感覚を生かせば全国一社体制のもとでも十分行えます。要員規模を三万ないし四万人程度に分割することが経営管理上必要だとも言っております。それでは、三十万、四十万の要員を抱えておる大企業のあの整然たる経営実態をどう見ればいいのでしょう。
 さらに、経営の自主責任が今日の体制では発揮できないということも言っていますが、これも理由になりません。これは、ひとえに、不当なる政治介入によって国鉄に当事者能力を与えてこなかったことから起きているものであって、分割するしないには全く関係のないことであります。総理は、分割・民営は国民大多数の意見だと思い上がっておりますが、我々が行いました三千五百万人署名の盛り上がりは、国民の分割・民営に反対の意見が極めて強いことを明確に物語っているものであります。
 さらに政府は、国鉄改革が急務であることを盛んに宣伝し、臨調や国鉄再建監理委員会の密室討議の改革案に固執し、国民や国会審議を抑え込んでいこうとしております。これこそ議会制民主主義の軽視、国民の合意形成の拒否の中曽根ファッショ政治の実態だと言わなければなりません。中曽根総理、全国一社体制のもとでの国鉄改革こそ、国民の大多数が切実に求めている国鉄改革の真の姿であります。この立場から、我が党は、国民の共感を得る全国一社体制の具体的改革案を提出しております。総理、この際、今年中に九法案を可決して、来年四月一日から分割会社で鉄道経営をしようという性急な改革案を撤回して、我が党案や他党案も十分勘案し、国会において十分審議を尽くし、時間をかけて国民合意の道を探ろうではありませんか。総理の明確な回答を伺いたいと存じます。
 第二は、国鉄を破局に陥れた政府みずからの責任を放置して、他に責任を転嫁するやり方は許すわけにはまいりません。
 政府は、国鉄の経営破綻の責任は、公社と全国一元的運営の現行体制に問題があると一方的に決めつけ、みずからの責任は棚に上げ、債務を水膨れさせ、あまつさえ十六兆七千億円もの債務を国民負担に押しつけ、国鉄労働者に首切りという形で全責任を負わせてきているのであります。そもそも国鉄は、昭和三十八年度まで四十五万人の職員を抱えながら黒字経営を続けてまいりました。しかるに、昭和四十年代に入って、経済成長に名をかりて、自民党内閣は、国鉄の採算性を無視して、輸送力増強のために新幹線をつくり、貨物ヤードなどに巨額の設備投資を国鉄の負担で行わせ、借金の累積を繰り返してきたのであります。その結果が二十五兆円余の現在の長期債務であります。まさに自民党政府こそ国鉄破綻の大罪人ではないでしょうか。そうして、昭和四十四年度以来、五度も経営改善計画を公約し、二度の債務棚上げを行っても赤字体質を解消させることができなかった政府の責任はまことに重大と言わなければなりません。
 中曽根総理、あなたは十八年前に運輸大臣でございました。あなたにも責任の一端があるはずです。為政者としてみずからの責任を回避し、そのツケを国民や国鉄労働者に押しつけるやり方は盗人だけだけしいと言わなければなりません。国民に多額の債務返済を押しつけ、国鉄労働者と家族に生活の不安を与える前に、総理は国民に対して深く謝罪し、政府の責任を明らかにすべきであると存ずるのでありますが、総理の答弁を求めます。
 第三は、不当な要員合理化についてであります。
 政府並びに国鉄再建監理委員会は九万三千人の余剰人員を算定し、国鉄職員に一方的首切り強行を進めております。一体政府は、九万三千人の余剰人員という名の人員整理の数について、憲法で保障された労働基本権に基づいて労働組合と労使交渉を行ったでありますか。否、行っていないのであります。また、九万三千人の余剰人員の算定に関連し、政府の適正要員規模なるものが理解できません。
 政府並びに監理委員会答申は、民鉄並みということを算定の根拠にしております。しかるに、民鉄と国鉄の営業一キロ当たりの要員数は、民鉄が十八名に対し、国鉄はもはや十二名になっております。政府の昭和六十二年度予定の要員で勘定すると、国鉄は十名を切ってしまうのであります。経営規模が類似する国鉄千葉鉄道管理局と近畿日本鉄道の要員数を比べても、既に千葉鉄道管理局の方が少なくなっているのであります。政府の適正要員規模の根拠は欺瞞というほかありません。この結果は、駅無人化の増大や安全輸送面において既に国民の間から不安が高まっていることは、私があえて指摘するまでもないところであります。
 ここ数年来、国鉄の労使は、政府の国鉄改善計画に沿って毎年二万人ないし三万人の合理化減員を実施してきております。本年四月現在の職員数も既に二十七万七千人となり、政府の予定よりも一万一千人も少なくなっているのであります。しかも、国鉄職員はきようも職務を忠実に実践し、一日千九百万人の旅客を安全に、定時に輸送しております。しかるに、ある日突然外部から九万三千人が余剰人員であると宣告されて、はい、そうですかとだれが一体納得するのでしょうか。国鉄再建監理委員会の九万三千人の余剰人員、その前提に立って二万人の希望退職者をこの法律で募集しようとしておりますこと、また、四万一千人を旧国鉄に残し、三年間で一方的に解雇することを我々は断じて承認できません。総理、運輸、労働大臣の答弁を求めます。
 第四は、長期債務の具体的な処理方法が全く明らかにされていないことであります。
 この長期債務の処理については、国鉄再建監理委員会がその具体的方法を政府にげたを預けていたものですが、既に九カ月たっているにもかかわらず、何ら具体的方策が示されておりません。この法案のように、債務の一部について一般会計承継という効果のない措置しか行えないのは、政府みずから長期債務の処理について打つ手がないという意思表示ではありませんか。長期債務の処理は、国鉄改革法を国会に提出する前に明らかにしておく責任が政府にあるはずです。また、新事業体が用地等資産をどう承継していくのか、これも
まだ明らかでありません。その詳細な公表はいつになるのか、明らかにしていただくと同時に、長期債務全体の償還計画を説明すべきであります。このままでは国鉄改革法は一切審議できないのでございます。総理、運輸大臣及び大蔵大臣の答弁を求めます。
 第五は、政府の国鉄改革が国鉄の公共的役割無視、経済性偏重になっている点であります。
 政府は、旅客鉄道部門を六分割するなど、国鉄を二十四分割に解体しようとしております。そうして、その前提に特定地方交通線の一斉廃止を先行させており、既に地域住民のかけがえのない足を奪い去ってきております。鉄道の廃止は特定地方交通線だけではありません。六分割旅客会社の中で北海道、九州、四国の経営が成り立つことは不可能だと思います。それは地元経済団体すら認めているところであります。その結果は言うまでもありません。経営維持のために、政府が廃止しないと言っている地方交通線の廃止にも手をつけることは明らかではありますまいか。鉄道は経済性だけの物差しでははかれず、公共性を無視できないがゆえに、国民の鉄道存続に対する声が強いのであります。
 先般来、当院運輸委員会で数名の県知事から参考意見を聞いておりますが、各県知事とも、後進地域発展のために、全国ネットワークの鉄道の必要性、地方交通線の存続を強く訴えておられます。我が党は、全国一社体制の日本鉄道株式会社法案を提案し、その中で地方交通線に対しては、公共性を重んじて政府において一定限度の助成を行うよう定めております。先進西欧諸国もこの方策をとっておるのは皆さん御存じのとおりであります。この我が党案に対する総理並びに運輸大臣の見解を求めます。
 最後に訴えます。
 私もかつて鉄道局の技手として、みずから列車を運転し、速度を決め、ダイヤをつくった運転計画のメンバーでした。国会に出てからも運輸、交通の部門に身を寄せ、特に国鉄問題と取り組んでまいりましたが、私の少ない経験からも、今回の政府の国鉄改革案はデメリットが多過ぎます。日本の将来にとって、国鉄はもっと大事にして、国民の側に立って再建すべきではないでしょうか。産業構造の地方分散が今強く求められておりますが、それには皆さんの田舎に、開発のおくれた地域に快速電車が必要です。また、自動車洪水による朝晩の交通渋滞を解消するためには、地方交通線を強化しなければなりません。
 中曽根総理、あなたは、我が国二十一世紀の国土交通のあるべき方向に逆行する政策をとろうとしておられるのではないでしょうか。目を覚ますべきときです。国民共有のかけがえのない財産である国鉄を解体して財界に売り渡せば、数年を待たずして、何ということをしてくれたかという激しい恨みの声が、あらしとなって中曽根総理の身辺を襲うことでありましょう。今こそ勇気を出して国鉄の分割・民営化案を撤回すべきだと思います。総理に衷心から訴えまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) 小柳議員にお答えをいたします。
 まず、サミットにつきまして、国民の皆様方から多大の御協力をいただきまして心からお礼申し上げる次第でございます。特に、東京都民等の皆様方には、過激派の事故を防止するために交通規制その他で大変御迷惑をおかけいたしまして、おわびを申し上げると同時に、御協力を感謝申し上げる次第でございます。
 円高対策の問題でございますが、円の急上昇、これに関しましては、日本経済に対する現状、被害についてはサミットにおきましても強く説明をし、適当な対応を強調してきたところでございます。しかし、サミットは個別通貨対策をやる場所ではございません。しかし、今回の声明におきましてサミット構成七カ国、いわゆるG7、それから日本、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、この五カ国とこれで諸般の経済指標を多角的に監視する、そして当初の意図より著しく逸脱する場合は、大蔵大臣、中央銀行総裁が適切な是正措置について了解に達するよう最善の努力を慫慂する、そういう文章を入れたわけでございます。そしてなお、有用の際は市場に介入するとの一九八三年ウィリアムズバーグ・サミットの約束を再確認しつつ、是正努力は、何よりも基礎となる政策要因に焦点を当てるよう勧告する、こういう文章を入れたのでございます。これは、指標を点検して是正を行うというようなことは、今までアメリカは大体自由放任を言ってきまして手をつけないというのが考え方でありましたが、かなり大きな変化であります。我々は、このポイントを大いに活用いたしまして、不適切な円高というものの是正について今後とも大いに努力してまいりたいと思っておるのでございます。
 中小企業その他の企業に対する対策を早急に出すように、私はサミット前に既に経企庁長官、通産大臣、大蔵大臣、官房長官に指示してきております。目下、今その政策を検討しておる最中でございますが、これらの対策を実施する考えでございます。
 また、公共事業等の繰り上げの結果、必要な場合には補正予算による公共事業あるいは中小企業対策その他経済対策を実行したいと考えております。しかし、最近の物価や利子の下落等、あるいはこれらの緊急対策等によりまして、ある一定の時間の経過後におきましては経済状態は私はよくなってくると確信しておるものでございます。この円高とか相場の変動というものはそのときのいろいろな思惑や何かによって流動しているものでございまして、やはり経済の基礎条件というものには終局的に合致せざるを得ないし、我々はそういう方向に向いて努力しておるものであり、円のオーバーシューティングと言ってまいりましたけれども、急激な円高上昇については、我々としても適当な対策をとる考え方でおるのであります。
 リビア問題につきましては、国際テロが悪化し、拡大してきております。これは毅然として、断固として糾弾しなければならぬということは前から申し上げ、これが防圧について全力を尽くさなければならぬと思っておるのであります。
 リビアにつきましては、米国がその後その情報を詳細に我々に説明してくれまして、証拠も示しました。そして、我々としては、その認識を深めた次第であります。
 サミットにおきましては、外交特権を利用する等の悪質な国家関与のテロも放置すべきではない、サミット各国は一致してリビアを明示して声明に入れることを強調いたしました。今まで消極
的であると思われていたヨーロッパの数国も、むしろ強くそれを訴えてまいりまして、全員一致のような状況でそういう議論がまとまっておりました。議長国といたしましては、この一致した意見に従ったものなのであります。しかし、この措置は、制裁措置ではないのであります。具体的な防御措置であり、武器を売ってはいけないとか、あるいは外交特権を利用させないとかというような具体的措置を決めておるものなのであります。
 私は、悪質なこのようなテロに対しては中立はないと思っております。協力して防御して根絶させることが、国際社会に名誉ある地位を占めようとする日本の憲法の明示するところではないかと考えておるのであります。我々は、この措置によってアラブの諸国に対決しようなどとは毛頭考えておりません。問題は、テロそのものなのであります。中東に平和をもたらし、経済協力等をもって平和と福祉と安定に貢献しようとする対アラブ外交あるいは中東外交は不変であるということを重ねて申し上げる次第であります。
 次に、国鉄の問題でございますが、国鉄の収支の傾向には、若干の変動はありますが、大幅赤字が累積していくという実態には変化はない、速急な抜本的改革が不可欠であるという認識は国民的にあると私は考えております。国鉄の改革を一日も早く実現することが、最終的に国民負担を軽減して、国民の利益にかなうものであると考えております。現状を放置することは、いわゆる皆さん方から指摘された親方日の丸主義であるとか赤字垂れ流しがそのまま続くということになりかねないのであります。政府としては、改革の実施に当たりましては、民営化とあわせて経営の分割を行い、効率的な利用者の期待にこたえられお鉄道として再出発する必要があると考えました。改革関係法案については、速やかに御審議をお願い申し上げたいと思うのであります。
 経営破綻の責任については、設備投資に伴う資本費負担の増加などによる面もあることは否定しませんが、基本的には、モータリゼーション等の輸送構造の変化に対応した業務運営の効率化が適切に行われなかったことなど公社制度及び全国一元の巨大な組織による運営という現行形態、この経営形態そのものに内在しているのではないかと考えた次第であります。このような見地から、国鉄をむだのない効率的な経営形態に改革して、真に利用者の利便に応ぜられるような鉄道として再生するために分割・民営化が適当であると考えた次第であります。
 いわゆる過剰人員の問題については、本年度において、希望退職の募集を実施することはぜひとも必要と考えております。これは、その人たちの自由意思というものを考えなければならぬと考えておるからであります。なお、国鉄改革の抜本的方策については、既に国会に提出をしております国鉄改革関連法案において定めておりますので、その速急な御審議を期待しておる次第でございます。
 長期債務の処理につきましては、去る一月二十八日の閣議決定において明らかにいたしました。国鉄の膨大な長期債務等の処理については、新会社の健全な経営に支障が生じない範囲内で旅客会社等に移して、残るものについては国鉄清算事業団に帰属させ、自主財源を充てる。なお残るものについては、最終的には国において処理するという方針を決めたところです。そのために必要な新たな財源措置については、雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階におきまして歳入歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する所存でございます。
 地方交通線の問題については、各種交通機関が発達した今日においては、公共輸送も各交通機関がそれぞれその特性に応じて分担することが適切であると考えております。地方交通線についても、政府助成に安易に依存することなく、経営の活性化と効率化により鉄道としての特性を最大限発揮する中でその維持存続が図られていくことが基本的に大事であると認識しております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(三塚博君) 御答弁を申し上げます。
 まず、国鉄の抜本的改革によって生じます余剰人員についてということの御質問でございますが、この余剰人員九万三千人につきましては、国鉄において事業の実態を十二分に分析検討、把握した上で行われたものでございまして、これのあり方につきましては、ただいま提出をいたしております国鉄改革関連法案の中で御十分に御審議を賜りたいと思っておるところであります。
 さらに、希望退職募集を撤回せしめよという御意見でございますが、当面六十一年度において緊急に講ずべき措置を定めたものでございまして、昭和六十一年度首におきましても既に三万八千人に上る大量の余剰人員を抱えておる国鉄の現状から見まして、希望退職の募集によりまして退職の促進を図ることは、経営の合理化の上から、また効率化の上から必要なものであると考えておるところであります。なお、国鉄改革に伴う六十二年度以降の余剰人員対策につきましては、既にこれも国会に提出をいたしております国鉄改革関連法案の中で具体的に定めておるところでございまして、本法案の一日も早い御審議を心からお願いを申し上げるものでございます。
 さらに、長期債務の具体的な処理方針につきましては、総理から具体的に御答弁がありましたところで、つけ加えることはございません。
 さらに、新事業体の用地をどう承継していくかというお尋ねでございますが、政府といたしましては、既に最小限必要となる事業用用地以外の国鉄所有地は清算事業団に移し、債務の処理に充てるという基本方針を明らかにいたしたところでございます。その具体的な決定手順等につきましては、国鉄改革法案に明示をいたしておるところでございますが、改革法案の御審議が始まりますまでにしっかりとその方向を示し、御審議の用に供してまいるということでございます。
 次に、国鉄の公共性と地方交通線の維持についてでございますが、各種交通機関が発達いたしております今日におきましては、公共の輸送も各交通機関がそれぞれその特性に応じて分担することが適切であると考えておるところでございます。今回の改革は、係国鉄の事業について輸送需要の動向に適合した効率的な輸送を提供し得る体制を確立することをねらいといたしたものでございまして、これによって地方交通線もより多くの路線が鉄道としての特性を発揮しつつ、公共の輸送を担っていくことができるようになるものと考えております。国民の鉄道存続に対する声にこたえますためにも、この改革を一日も早く実施し、
経営の一層の悪化を防ぎ、事業運営の効率化によって生かせる路線までも廃止に追い込まれることのありませんようにしてまいることがぜひとも必要であると考えておるものでございます。
 次に、社会党案では地方交通線に政府助成を行うべきであるという御見解の御質問でございますが、政府といたしましては、地方交通線も安易に政府助成に依存することなくその経営の活性化と効率化を行い、鉄道特性を最大限に発揮し得る体制を確立することにより維持存続を図ることが基本であると考えておるところでございます。今回の改革では、このような考え方のもとに、御指摘のありました三島の会社を含め、各会社ともに健全経営の基盤を確保した上で、特定地方交通線以外の地方交通線は会社に引き継がせ、その営業努力のもとでこれらの線区の再生を図ることが鉄道の新生と再生につながり、国民各位の御期待におこたえすることができるものと信じておるところであります。(拍手)
   〔国務大臣林ゆう君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(林ゆう君) 小柳先生に御答弁申し上げます。
 国鉄再建監理委員会の意見において示された適正要員数と余剰人員数につきましては、それなりの根拠に基づいて算出されたものと理解をいたしておりまして、政府といたしましては、この監理委員会の意見を最大限尊重することを既に明らかにしているところでございます。今後、国鉄改革関連法案の成立を待って国鉄改革の実現が図られていくことになりますが、新会社の職員数につきましては、国鉄改革法に基づき事業の引き継ぎなどに関する基本計画で定めることとなっており、さらに精査されることになると考えております。いずれにいたしましても、労使双方が、国鉄の置かれた厳しい現状を十分に認識して、意思疎通を図りながら、余剰人員対策が円滑に実施されることを期待いたしておるものでございます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(竹下登君) 小柳先生の私に対する御質問は、長期債務処理の具体的方策についてであります。
 総理からも大筋お答えがありましたが、政府としては、去る一月二十八日に国鉄長期債務等の処理についての基本方針を閣議決定したところであります。国鉄改革に伴って最終的に国民負担を求めざるを得ない長期債務等の額は、国鉄再建監理委員会の意見によれば十六・七兆円程度とされておりますが、用地売却の上乗せ等によりましてその額を極力圧縮することとして、最終的な要処理額の見通しが得られるまでの間は、当面、旧国鉄において用地売却、借り入れ等を行い、債務の償還、雇用対策等を実施するものといたしておるところであります。旧国鉄において自主財源を充ててもなお残る長期債務等、これにつきましては最終的には国において処理することとなるのでありますが、本格的な処理のために必要な新たな財源措置、これらにつきましては、雇用対策そして用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられます段階で歳入歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定することといたしておる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(木村睦男君) 矢原秀男君。
   〔矢原秀男君登壇、拍手〕
#13
○矢原秀男君 公明党・国民会議を代表して質疑を行います。
 本題に先立ち、緊急議題として、四月末発生したソ連のチェルノブイリ原子力発電所の事故についてであります。
 被害規模は明らかではないが、死傷者及び放射能汚染は甚大であることは推定されます。世界人類の安全を希求する立場からもお尋ねをしたい。
 一、東京サミットにおける原発事故声明が出されたが、我が国としてはどう対応策を講ずるのか。二、国内の原子力発電の施設の安全性再点検はどうされるのか。この二点について中曽根総理の御所見を伺います。
 次に、日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案に対する質疑を行います。
 本法案の提案理由のとおり、国鉄の経営は、昭和五十九年度末において繰越欠損金が十二兆を超えるとともに、長期債務残高も二十一兆八千億円に達するなど、まさに危機的状況にあり、国鉄改革は緊急に解決しなければならないのであります。このような危機的な状況に陥った歴史的原因と責任を冷静に分析をして、抜本的改革に取り組むことであります。政府及び国鉄再建監理委員会は経営破綻の原因について、一、全国一元の巨大組織による経営という公社制度、二、モータリゼーション等の大きな変化に対応できなかったことなど考察されるとし、その責任も政府、国鉄関係者等々複合的と述べておりますが、政府の責任が最たるものであります。
 そこで、総理にお尋ねをいたします。
 一、二十一世紀に向けて公共輸送の鉄道が果たすべき役割と、総合交通体系の確立を怠った理由についてであります。二、鉄道事業に対する助成制度や国鉄の事業範囲の拡大等の諸課題を放置したこと。三、そして国鉄経営破綻の原因と政府の責任をどのように認識しておられるのか、伺いたい。
 次に、本法案について政府は、国鉄改革に関係なく、経営改善のためにとられる緊急措置、すなわち国鉄改革関連法とは別体系の法案であると説明をされております。しかし、本法案により措置されることとなる特定債務五兆円余の一般会計への承継は、国鉄の長期債務全体の中で、あるいは再建監理委員会が指摘する、最終的に国民負担とせざるを得ない十六兆七千億円の処理との関連で論議をされるべきであります。また、退職時における特別給付金の支給についても、現在生じている国鉄余剰人員対策というよりは、新経営形態移行に伴い生じる六万一千人の余剰人員に対する施策として見る方が率直な見方でありましょう。そこで、まず本法案の目的及び国鉄改革関連法案との関係、位置づけについて的確な御答弁をお願いしたいのであります。
 次に、具体的な問題を数点伺います。
 まず、特定債務五兆円余を一般会計に承継させる措置について。
 昭和六十一年度末において国鉄の繰越欠損金の合計は約十五兆六千億円、長期債務残高は約二十五兆一千億円と見込まれており、国鉄改革を進める政府としては、五兆円余の特定債務の処理にとどまらず、国鉄長期債務全体の処理方針あるいは国鉄再建監理委員会が指摘する国民負担とせざる
を得ない十六兆七千億円の具体的処理方針、財源措置について明確な答弁をお願いしたいのであります。また、一般会計に承継される五兆円余については、利子負担の軽減措置でありますが、その利子については、今までも一般会計から全額助成されてきたものであって、実質的な効果がいずこにあるのか理解しがたいのであります。しかも、その五兆円余の債務は最終的には国民の負担とならざるを得ないため、当面の糊塗策、すなわち財政当局の都合のみによると思うが、本法案の措置の意図について伺いたいのであります。
 なお、この債務の償還方法等は政令で定めることとされておりますが、この償還条件、方法等は今後の国鉄経営に影響する重要な問題であり、どのような償還方法を計画、実施されるのか、伺っておきたい。
 次に、六十一年度の希望退職者に給付される特別給付金の支給の問題についてであります。
 政府の余剰人員対策の方針によりますと、国鉄再建監理委員会の意見に基づき六十一年度中に二万人の希望退職者を募ることとしており、また、本法案に基づく特別給付金の支給に要する経費についても二万人分が措置されているのであります。しかし、その二万人分の受け皿、すなわち六十一年度中に国鉄職員を受け入れる自治体と関連企業及び民間企業の採用申し入れ状況は非常に厳しいものがあります。
 そこで、まず第一に、国鉄職員の雇用の場として確保された数を、公的部門、関連及び民間企業別に明確にしていただきたい。また、六十一年度中の達成されようとする数、六十五年度初までの目標数を示していただきたい。いずれにしても、厳しい今後の雇用の場の確保に向けどのような努力をされるのか、具体策を伺いたいのであります。
 第二に、そうした状況のもとでは六十一年度中における二万人の希望退職者を募ることができるのか、その見込みと、そのうち本法案による特別給付金の支給対象となる民間部門の就職者数の見込みについても伺いたいのであります。
 第三に、本法案では特別給付金の額を基準内賃金の十カ月分としておりますが、その根拠及び十カ月の上乗せ給付がどの程度希望退職へのインセンチブとなるか、もう少し手厚い給付の必要性はないのか、伺いたいのであります。
 第四に、本法案は「公布の日から施行する。」とあります。成立前に希望退職をした者には上乗せ給付が支給されない。これは遡及適用するなどにより、六十一年度中の退職者全員に支給する等の方途は考えられないのか、伺いたい。また、国家公務員に転身する場合は退職手当は通算されますが、地方公務員になる場合は通算されず、不利な扱いが予想されております。民間に限らず、地方公務員になる場合も、本法案による特別給付金の支給対象に加えることを検討すべきではないのか、お尋ねをしたいのであります。
 最後に、職員の広域異動の問題についてであります。
 その募集は、当初、北海道と九州を対象に行われましたが、不調なため、四国、盛岡、秋田、長野等々に範囲を広げるとともに募集期間の延長もしましたが、目標数の三千四百人の達成は微妙でございます。この問題は、雇用が職員ひとりでなく家族全体の問題であることを物語っております。したがって、現住地を離れることにより生ずる諸問題についても、政府は可能な限り対策を講ずべきでございます。
 そこで、子弟の就職問題、とりわけ高校生の転編入学を内申書で検討する緩和措置等検討すべきではないか、伺いたい。また、住宅の確保、異動や転職による移転に伴う諸経費に対する援助の配慮が必要と思いますが、その具体策を伺い、本法案に対する質疑を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(中曽根康弘君) 矢原議員にお答えいたします。
 まず、ソ連のチェルノブイル原子力発電所の事故に関する声明でございますが、この声明は、我が国が実は発想いたしまして、関係各国に根回しを行いまして成立さしていただいたという経過を持つ声明なのでございます。各国は、チェルノブイル原子力発電所の事故に関しまして、対ソ批判という観点ではなく、かかる事故が全世界に与える影響に重大な懸念を有するという観点から、安全性の確保、迅速な情報提供に関する国の責任、国際的通報制度、相互緊急援助等について活発な意見の交換も行い、そして意見の一致を見たということでございます。
 今のIAEAの条約には欠陥がありまして、それは、まず第一に通報は責任義務になっていない。それから通報は事故が起きても四カ月以内ならばいいということになっておる。それから通報の基準、スタンダードはない。その中身は各国が自分で決めていい。そういうふうなものになっておりまして、国境を越えてこのような大きな事故が起きるということは余り想定されていない。むしろ軍事転用の危険性のための査察が中心に行われておるのであります。そういう欠陥を私自体が各国首脳に事前会談のときに申し上げまして、そして新しい声明を独立につくろうということを提議して協調をいただいたという経過があるのであります。今後は、国際原子力機関における事故時通報制度の改善等のために国際協定の早期考案も含めた国際的努力に我々は積極的に努力していく考えてあります。
 次に、施設の点検の問題でございますが、我が国の原子力発電所については、関連法令に基づき、設計、建設、運転、いずれの段階においても厳しい安全規制を実施し、十分に良好な運転実績を既に上げております。ソ連の黒鉛あるいは軽水等によるあの型と、我が国がやっておるボイリングウオーターとかプレッシャーライズドウオーターというこの二つの軽水炉型とはまるっきり構造が違っておりまして、心配はないのでございます。現在の発電所については、毎年入念な定期検査を行う等、十分な点検を実施しております。また、現段階においては、我が国の原子力発電所の再点検を行うことは考えておりません。しかし、我が国としては、今回の事故の重大性にかんがみ、引き続き関連情報の入手に最善を尽くすとともに、今後とも原子力発電の安全確保には万全を期してまいる所存であります。我が国の構造は地震国でございますから、地震が起きた場合の緊急冷却装置とか緊急停止装置等も外国以上に特に入念につくり上げてあります。そして、外国以上にさらに追加した安全装置も加えるように努力しておるのでございます。
 次に、二十一世紀の鉄道の役割の問題でござい
ますが、各種交通機関が発達した今日、交通体系は、各交通機関がその特性を発揮しつつ相互補完的に形成されることが望ましいと考えております。鉄道についても、中距離都市間輸送あるいは都市圏輸送などの分野で重要な役割を持つものと考えます。しかし、モータリゼーションの進展等輸送構造の変革に的確に対応できずに今日の状態を招きましたが、分割・民営化を基本とする国鉄事業の抜本的改革を実施することが望ましい交通体系の形成にも資すると認識しております。
 次に、本法案の目的、意義でございますが、これは分割・民営化による抜本的改革を図るために、改革関連八法案を提出して御審議をお願いしておるところです。本法案は、国鉄の経営が危機的な状況にあることにかんがみまして、抜本的な改革を行うまでの間、国鉄の事業の運営の改善に必要な事項に関して六十一年度に緊急に講ずべき措置を定めたものでございます。もちろん本法律によりとられる措置が国鉄の改革の円滑な実施に資するものであるということは当然であります。
 長期債務の処理につきましては、一月二十八日の閣議決定において行いまして、新会社の健全な経営に支障が生じない範囲内で旅客会社等に債務は移す、残るものについては国鉄清算事業団に帰属さして、自主財源を充ててもなお残るものについては最終的には国において処理する、こういう方針を決めたわけです。新たな財源措置については雇用対策、用地売却等の見通しもおおよそつくと考えられる段階で歳入歳出の全般的見直しともあわせまして検討、決定する所存でございます。
 一般会計への五兆円の移行の問題でございますが、五兆円余に上るいわゆる特定債務については、従来から一般会計が利子補給を行う等の特別の取り扱いをしてきたことにかんがみ、事業の運営の改善に資するよう六十一年度における緊急措置として、この五兆円余の債務を一般会計へ承継させる等の措置を講じ、負担の軽減を図ることといたしました。
 余剰人員につきましては、昨年末に決めた基本方針に沿いまして、全力を挙げて今も取りかかっているところでございまして、現在までに約三万六千人の雇用の場を確保したところでございます。今後ともきめ細かい努力を積み重ねて、万全を期する考えております。
 今後の国鉄の改革の進め方でございますが、既に閣議決定その他で大筋を明らかにしているとおりでございます。既に提出している国鉄改革法案など関係法案の審議の中でその具体的進め方についても御討議をいただくことを期待しております。いずれにせよ、一日も早くこれらの法案の御審議を願い、六十二年四月一日に改革を実施できるよう努めることが、最終的な国民負担を軽減し、国民の利益にかなうものと認識しておりまして、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣三塚博君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(三塚博君) 矢原議員にお答えを申し上げます。
 鉄道事業に対する助成制度、国鉄の事業範囲の拡大等の諸課題を放置したことに対する政府の責任についていかんということであります。
 国鉄に対する助成につきましては、国鉄自身の徹底した経営改善努力を前提といたしまして、幾たびか国鉄の経営努力のみでは解決しがたいいわゆる構造的問題を中心に債務の棚上げ、工事費助成等を講じてまいったところでございます。また、国鉄が行う関連事業についても、公社としての設立目的及び性格に照らしまして、許される範囲内で、投資し得る事業範囲の拡大、直営店舗の開設等によりその積極的な展開を図ってきたところでございます。
 国鉄経営破綻の原因と責任の問題についてでありますが、国鉄につきましては、過去数次にわたる再建対策がいずれも所期の目的を達することができ得ませんでした。これは国鉄が事業経営を特性ある分野に特化することができ得ませんことがその原因であるわけでございますが、特に運賃改定のおくれ、あるいは業務運営の効率化が適切に行われませんでしたこと、もちろん設備投資に伴う資本費負担が増加いたし経営を圧迫いたしたということも御指摘のとおりでございます。基本的には、公社制度と全国一元的運営という体制のもとで、モータリゼーションの進展など経済社会の変革に適切に対応した効率的な経営を行うことができ得ないということが最大の問題であろうと認識をいたしております。
 次に、五兆円余の債務の一般会計への承継の意図についてでございますが、総理からも答弁がございましたとおり、五兆五百九十九億円のいわゆる特定債務につきまして、従来より一般会計が利子補給を行うなどの特別の措置を講じてきたことにかんがみまして、国鉄の事業の適切かつ健全な運営の実現に資しますよう国鉄の債務負担の軽減を図るため、六十一年度におきまして特別に一般会計に承継させるとともに、国鉄に同額の資金を無利子で一般会計から借り受けさせるものといたしたところでございます。このことにより本年度の経営が効率的、軽減化されていくことを期待いたしておるところでございます。
 次に、国鉄余剰人員の雇用の場の確保についてでございますが、現在までに確保の見通しがついておりますのは、公的部門につきまして約七千百五十人、国鉄関連企業につきまして約二万一千人、一般民間企業につきまして約九千人でありまして、重複分を除きまして合計三万六千人ということに相なっております。六十五年度当初までの目標は、公的部門約三万人、国鉄関連企業約二万一千人、一般民間企業一万人以上ということにいたしております。六十一年度中の目標数は、公的部門約二千六百人、国鉄関連企業約二千人といたしておりますが、一般民間企業につきましては、今後、分野別の採用計画において明らかにする予定でございます。国鉄職員の雇用の場の確保につきましては、昨年末に定めました基本方針に基づきまして、政府全体が一丸となって、広く関係者に協力を呼びかけ、国鉄職員に不安を抱かせませんように全力を尽くしてこれに対応してまいる所存でございます。
 次に、二万人の希望退職募集についてでございますが、本法案成立後、直ちに国鉄において希望退職者の募集を開始し、年度内に希望退職者数の目標を達成すべく最大の努力をいたしてまいる所存であります。希望退職者二万人の雇用の場といたしましては、六十一年度と六十二年度当初の各分野の採用分の中から充てられることになりますが、今後、希望退職募集の具体的進展状況に応じまして所要の再就職先の確保に努めてまいる所
存でございます。現段階におきましては、既に国鉄関連企業においては約八千人の受け入れが可能となっておりまして、一般の民間企業におきましても運輸関係業界を初め各業界との間で具体的な詰めを行っているところであり、特別給付金の支給対象となる民間部門就職者数の見込みを出すに至っておりませんが、所要の再就職先は十分に確保できるものと考えておるところでございます。
 次に、特別給付金の額についてでございますが、特別給付金といたしましては、国鉄職員の従事いたしております業務の内容、在職期間、家族構成等が反映した基準内給与の十カ月分を支給することといたしておりまして、これにつきましては、旧電電、さらに民間企業等における例も十二分に考慮をいたし、配慮いたしたものと考えておるところでございます。
 次に、本法案成立前の退職に対する特別給付金の支給についてでございますが、本法案成立後、直ちに国鉄におきまして希望退職者の募集を開始いたしまして、年度内に希望退職目標数を達成すべく努力をいたしておりますので、議員御指摘のとおり、遡及適用するということの御趣旨もわからぬわけではございませんが、さようなことのありませんような完璧を期してまいりたい、このように考えておるところであります。
 次に、地方公務員になる場合の特別給付金の支給についてでございますが、希望退職者が地方公務員になる場合には、雇用関係も安定をいたしておりまして、かつ労働条件等も国鉄時代勤務条件に類似をいたしておりますものですから特別給付金を支給することをいたさないわけでございます。
 次に、異動や転職による移転に対する援助措置については、国鉄当局が十二分に現行制度の中で対応するように努力をいたしておるところでございまして、そのように運輸省といたしましても期待をいたしておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(竹下登君) まず第一の質問は、いわゆる国鉄長期債務の処理問題であります。
 国鉄再建監理委員会の意見による十六・七兆円、これは用地売却のまず上乗せを行う、そしてそういうことによって極力圧縮をする、こういうことに今後とも努力をしなければなりません。しかし、自主財源を充ててもなお残る長期債務、これは国において処理することといたしております。しかし、本格的な処理のための財源、これにつきましては、雇用対策、用地売却等の見通しのおおよそつくと考えられる段階でまさに歳入歳出の全般的な見直しとあわせて検討すべき課題である、このように考えております。
 それからいま一つのいわゆる五兆円問題でございます。
 この趣旨につきましては、運輸大臣からもお答えがあったとおりであります。六十一年度における緊急措置の一環として特別に措置することとしたものであります。そこで、まずこれの一般会計が資金運用部に対して負う債務の償還条件と、それからもう一つは、御指摘のありました国鉄の一般会計に対する債務の償還条件、この二つのことが政令で定めることになるわけであります。現在、政府部内で検討を進めておりますが、現段階で一般会計が資金運用部に対して負う債務の償還条件は、四年据え置きの後二十一年の償還とするという方向で調整中でございます。それから御指摘のありましたところの国鉄の一般会計に対する債務の償還条件、これも現段階におきましては五年据え置き後二十年程度で償還する方向でなお政府部内で調整中であるという段階でございます。(拍手)
   〔国務大臣海部俊樹君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(海部俊樹君) 保護者の転勤に伴う高校生の転入学の問題でありますが、転入学試験の実施回数をふやすこと、及び今日までは定員の枠を設けておりましたが、定員を超えても教育上支障のない場合には転入学を認めるようにすること、こういった規則の改正等をいたしまして各都道府県教育委員会の指導をいたしておりますけれども、ただいま具体的に御指摘のあった問題についてのみ考えますと、他の制度との公平、公正の観点からいささか研究をする必要もございますが、事は国鉄の広域異動に伴う、多くの高校生のそれに伴う移動でありますから、この状況に応じて再入学、転入学が円滑に行われますように必要な措置を講じて地方を指導してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣江藤隆美君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(江藤隆美君) 国鉄職員の転勤に伴う住宅の確保につきましては、本来、雇用主がこれを行うことが第一次的なものだと考えます。しかしながら、今回の国鉄問題は国家的な観点から考えることでございますので、これらの問題が発生いたしました暁におきましては、私どもは誠心誠意この問題について心配がないように取り組んでまいる所存でございます。(拍手)
#19
○議長(木村睦男君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#20
○議長(木村睦男君) 日程第一 国の補助金等の臨時特例等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。補助金等に関する特別委員長嶋崎均君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔嶋崎均君登壇、拍手〕
#21
○嶋崎均君 ただいま議題となりました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案につきまして、補助金等に関する特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における財政状況、社会経済情勢の推移及び累次の臨時行政調査会の答申等の趣旨を踏まえ、財政資金の効率的使用を図るため、国の負担金、補助金等に関する臨時特例等の措置を定めたものであります。
 その内容は、第一に、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度における地方公共団体に対する国の負担または補助の割合を引き下げるとともに、その対象となる地方公共団体の運営に支障を生じないよう財政金融上の措置を講ずること。第二に、地方公共団体の事務または事業として同化定着している補助金及び負担金を整理し、地方公共団体の一般財源措置に振りかえること。第三に、昭和六十一年度から昭和六十三年度までの各年度における厚生年金保険事務等に対する国庫負担の繰り入れの特例を定めること等、四十九項目、四十八本の法律に係る改正を行うものであります。
 本法律案は、去る一月二十四日、国会に提出され、四月十七日に衆議院から送付されました。
 本院においては、補助金等に関する特別委員会を設置し、四月十八日、竹下大蔵大臣から趣旨説明を聴取し、四月二十一日より中曽根総理大臣並びに関係大臣等の出席を求め、総括質疑を行ったのを初め、一般質疑、締めくくり総括質疑を行う等慎重かつ熱心に審議を行ってまいりました。その間、四月二十三日、地方自治体関係者、学識経験者等六名の参考人の出席を求めて意見聴取と質疑を行いました。
 質疑のうち主なものを申し上げますと、まず、本法律案に関する質疑として、法案成立のおくれによる地方自治体への影響と対策、法案の提出時期及び一括化の妥当性と国会審議権の関係、補助金問題検討会報告の問題点、今回引き下げた補助率の暫定期間経過後の取り扱い、補助率引き下げによる地方自治体への負担転嫁と住民福祉への影響、暫定期間中に見合う財源補てん策、国と地方自治体の役割分担の見直し、年金事業への国庫負担繰り入れ停止と返済計画の策定等の質疑がありました。
 次に、財政問題に関する質疑として、昭和六十五年度赤字公債脱却の可能性、財政支出の後年度先送り、補正予算の編成、零細補助金の整理、低金利時代に見合った資金運用部資金の見直し、社会保障特別会計の創設、退職者医療制度による国民健康保険の赤字補てん等について質疑がありました。
 さらに、経済問題に関する質疑として、総合経済対策の効果、実質経済成長率四%達成の可能性と根拠、公共事業前倒しと下期事業の確保、経済構造調整研究会報告の性格と政府施策との関連性、経済構造調整による国内への影響、行き過ぎた円高防止策、適正な為替レート実現のための協調介入のあり方、米国経済の動向とドル暴落の可能性等の質疑がありました。
 その他、質疑は広範多岐にわたって行われまし
たが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 四月二十六日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して穐山委員が反対、自由民主党・自由国民会議を代表して倉田委員が賛成、公明党・国民会議を代表して中野委員が反対、日本共産党を代表して吉川委員が反対、民社党・国民連合を代表して井上委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
 討論を終局し、採決の結果、本法律案は賛成多数で原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び二院クラブ・革新共闘の各派共同提案による附帯決議案が提出され、多数をもって当委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(木村睦男君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。粕谷照美君。
   〔粕谷照美君登壇、拍手〕
#23
○粕谷照美君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました国の補助金等の臨時特例等に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
 今日、我が国をめぐる諸情勢は極めて厳しい状況にあります。増大を続ける我が国の貿易黒字への批判は一向に鳴りやまず、G5以降もたらされた急激かつ行き過ぎの円高によって、国内経済は甚大な悪影響をこうむりつつあります。こうした状況にあって、適切な市場開放策をとり、大幅な所得税減税や公共事業の追加によって内需拡大を図ることが緊急不可欠であることは、もはや論をまたないのであります。政府は四月八日に総合経済対策を決定しましたが、公共事業の前倒しによる景気浮揚効果は極めて乏しく、補正予算での公共事業の追加が行われない限り、年度後半の景気は失速してしまうおそれさえ出てきております。
 また、電力、ガス料金の引き下げを初めとする円高差益の還元についても、極めて限定的なものであり、この程度の差益還元では国民は到底納得しないでありましょう。加えて、百六十円台に突入した最近の円相場の急騰は異常とも言うべきもので、協調介入を欧米に拒否されるなど、総理が主張するところの一連の政策協調策は失敗ではなかったかと指摘せざるを得ないのであります。私は、この際、政府、日銀が適正水準での円相場の安定を図ることを強く求め、どこまで上昇するかもしれない円高に対して、国民が抱いている大きな不安を早急に解消することを要求するものであります。
 他方、総理は危険きわまりないSDI構想にいち早く理解を示し、最近では研究参加の方針すら打ち出して、米国の世界戦略に加担させられております。しかも、中期防衛力整備計画によって防衛費の対GNP一%枠を実質的に形骸化させている点は断じて容認できません。際限なき軍拡と財界主導による臨調答申に名をかりた弱者切り捨ての政策を推し進めようとする政府に対し、議会制民主主義の立場から強く警告し、以下、本法律案に反対する具体的な理由を申し上げます。
 反対理由の第一は、本法律案を提出するに至った経緯を見れば明らかなとおり、中曽根内閣が議会無視、反民主主義的な政治手法を相も変わらずとり続けていることであります。
 政府は、補助金問題検討会の報告を最大限尊重するとしている一方で、検討会の議事録等内客の公表はこれを拒否し、しかもメンバーに加わっている地方自治体関係者の意見に耳を傾けようともせず、あまつさえ総理の諮問機関でもある地方制度調査会の答申を無視する等々、御都合主義で独善的なやり方は断じて許されないのであります。とりわけ、生活保護費の補助率については地方側が、また政府部内にあっては自治省が十分の八を主張してきたにもかかわらず、強引に十分の七で押し切った態度は、憲法第二十五条が規定するナショナルミニマムの保障を踏みにじるもので、生活保護法に違反する暴挙であります。
 反対理由の第二は、六十年度限りという昨年度の提案が三年間延長という形で再び提出され、国民に対する重大な公約違反を犯していることであります。
 昨年度の提案に対しては、衆議院では大蔵委員会において、また本院においては補助金等に関する特別委員会においてわざわざ附帯決議をつけ、六十年度限りの暫定的措置であることに強く念を押し、政府に対し注文をつけてきたところであります。その意味するところは、六十年度限りでもとの補助率に戻るということであり、それが地方との約束でもあったはずであります。こうした経緯を十分に承知しながら、補助率引き下げの対象を拡大し、しかも質疑を通じ明らかなとおり、明確な根拠なしの三年間の暫定措置という提案をしていることは到底容認できないのであります。
 反対理由の第三は、国と地方の役割分担、財源配分等をおろそかにしたまま、国の一方的な財政事情によって地方への負担転嫁を行っていることであります。
 この際既に役割の終わった補助金等の整理を優先すべきであるとの地方の主張を無視し、現在の補助金を整理ではなく存続せしめることによって中央の影響力を温存しようとするこそくな手段は、地方の自主性を踏みにじるもので、中央政府の許しがたいエゴと断ぜざるを得ません。国と地方との役割分担の見直しを意図的におくらせ、補助率の引き下げを先行していくやり方は本末転倒であります。ただ単に、国の一方的な財政事情を口実に地方財政富裕論をまき散らし、地方への負担転嫁を強化させていることは、憲法の地方自治の精神にもとるもので、地方財政法に抵触する不当なものであります。
 一兆一千七百億円にも達する六十一年度の地方財政への影響額に対しては財政上の措置を講じたと言っておりますが、その実態は、たばこ消費税の引き上げ二千四百億円の大衆増税を、税調にもかけないというルール違反を犯してさえ抜き打ち的に断行し、一方的な負担を国民に押しつけようとしているのであります。また、建設地方債の増発九千三百億円については、地方財政の危機に一層拍車をかける以外の何物でもありません。
 地方財政の状況は、六十一年度末で五十八兆八千億円にも達する巨額の借入金残高を抱え、三千三百と言われる地方団体のうち、公債費負担率が二〇%を超える団体が四分の一以上にも膨れ上がっている厳しい現状をどう理解しているのか疑問なのであります。しかも、補助率引き下げの影響は地方団体の予算編成にも大きなひずみをもたらしており、各種手数料、公共料金の引き上げや調整資金の取り崩しを余儀なくされているのが現実なのであります。政府は、地方財政の運営には支障はない、万全の財政的措置を講じたとしておりますがいこのような脆弁を弄することは断じて許されないのであります。
 反対理由の第四は、本法律案の提出時期を誤った政府の責任が極めて重大であることです。
 昨年度も同様の指摘を行ったところではございますが、本法律案の内容は、国と地方のあり方をめぐる行財政の基本的かつ制度上の重要な問題を提起しているのであり、まずもって国会での論議を踏まえ、その上で六十一年度の予算編成を行うことが常道であったはずではないでしょうか。現に五十六年度の行革特例法案の審査に際しては、予算編成の臨時国会において法案審査が行われ、法案の賛否は別といたしましても、その結果に基づいて五十七年度の予算編成が行われた経緯があるのであります。しかも昨年度、補助金等に関する特別委員会においては、「制度施策の根幹にかかわり、かつ予算執行に関連する法案については、参議院の審議が制約を受けることのないよう国会提出の時期等の問題点に留意すること。」の附帯決議を行い、政府の猛省を促しているのであります。
 しかし、政府は、補助金問題検討会の結論を予算編成直前まで引き延ばし、本法律案を国会に提出したのは予算編成後の本年一月二十四日であり、本院に送付されたのは既に新年度へずれ込んだ四月十七日なのであります。しかも一方的に財政負担を転嫁しておきながら、地方の弱みにつけ込んで法案の早期成立を強要するという政府の態度は、さきの附帯決議や同様趣旨の問題点を政府に警告した委員長見解に背くものであり、本院の審議権を無視した議会制民主主義に対する重大な挑戦であります。
 反対理由の第五は、厚生年金等特別会計等への国庫負担の繰り延べ措置が行われるなど、政府が財政の帳じり合わせに終始し、財政再建を後退させていることであります。
 五十七年度から六十一年度までの厚生年金国庫負担繰り延べ額は運用収入分を含めて一兆四千億円余にも達し、厚生年金以外においても国民年金平準化措置、政管健保への国庫負担繰り延べ策など、後年度への負担先送り策が目立ち過ぎるのであります。本来予算に計上しなければならない経費を先送りすることは、いわば隠れた財政赤字を増大させるもので、財政再建を大きく後退させる以外の何物でもありません。しかも、厚生年金の国庫負担繰り延べ分の返済計画を示せとの指摘に対しては、これも拒否し、一般会計が特例公債依存体質から脱却した後において、できる限り速やかに繰り戻しを行うとの答弁に終始していることは到底容認できるものではありません。
 六十五年度特例公債脱却の中曽根内閣の財政再建目標は既に破綻を来しているのであり、財政再建のめどすらついていないのが現状なのであります。高齢化社会を目前に控え、しかも勤労世代の年金に対する信頼が揺らいでいる今日、政府がこのような不誠実な態度に出ることは大きな政治不信を招くものであることを指摘し、強く抗議するものであります。
 最後に、暫定期間三年経過後の補助率について、もとに戻すと政府が言明していないこと、長期にわたる公共事業の削減が地域経済の格差を一段と助長していること、本法律案の内容が四十八法律にわたる異なる内容のものを一括法案化させ、議会制民主主義に違反している等の問題点を指摘し、反対討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(木村睦男君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#25
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#26
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#27
○議長(木村睦男君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、科学技術会議議員に岡本道雄君、山下男君を、
 公害等調整委員会委員に小玉正任君、綿貫芳源君、和田善一君を、
 社会保険審査会委員に岡田達雄君を、
 漁港審議会委員に佐々木隆人君、鮫島泰佑君、柴田章君、吹田安兵衛君、田代清英君、宮原九一君、矢野照重君、矢野辨介君、横山信立君を、
 日本放送協会経営委員会委員に浅尾宏君、磯田一郎君、岩村精一洋君、熊平肇君、冨谷晴一君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、科学技術会議議員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#28
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
 次に、公害等調整委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#29
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
 次に、社会保険審査会委員、漁港審議会委員、日本放送協会経営委員会委員のうち冨谷晴一君の任命について採決をいたします。
 内閣出し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#30
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもっていずれも同意することに決しました。
 次に、日本放送協会経営委員会委員のうち浅尾宏君、磯田一郎君、岩村精一洋君、熊平肇君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#31
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。よって、これに同意することに決しました。本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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