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1985/05/21 第104回国会 参議院 参議院会議録情報 第104回国会 本会議 第18号
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1985/05/21 第104回国会 参議院

参議院会議録情報 第104回国会 本会議 第18号

#1
第104回国会 本会議 第18号
昭和六十一年五月二十一日(水曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十八号
  昭和六十一年五月二十一日
   午前十時開議
 第一 原子力の平和的利用における協力のため
  の日本国政府と中華人民共和国政府との間の
  協定の締結について承認を求めるの件(衆議
  院送付)
 第二 地方自治法の一部を改正する法律案(衆
  議院提出)
 第三 有価証券に係る投資顧問業の規制等に関
  する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 預金保険法及び準備預金制度に関する法
  律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議
  院送付)
 第五 国有財産法の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第六 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規
  制に関する法律の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
 第七 日本国有鉄道の経営する事業の運営の改
  善のために昭和六十一年度において緊急に講
  ずべき特別措置に関する法律案(内閣提出、
  衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、運輸審議会委員に渡辺芳男君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#4
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(木村睦男君) 日程第一 原子力の平和的利用における協力のための日本国政府と中華人民共和国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長最上進君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔最上進君登壇、拍手〕
#6
○最上進君 ただいま議題となりました中国との原子力協定につきまして、外務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 この協定は、我が国と中国との間の原子力の平和的利用における協力を促進するため、専門家及び情報の交換、核物質等の供給等についての協力、核物質等を核爆発装置の開発、製造または軍事的目的のために使用することの禁止、国際原子力機関による保障措置の適用、核物質等の第三国移転に関する事前同意等について規定いたしております。
 委員会におきましては、中国が保障措置の適用に同意した理由、協定違反があった場合の原子力関連資器材等の返還請求、原子力発電の安全性の確保等の諸問題につきまして質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知を願います。
 質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本件は承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(木村睦男君) 日程第二 地方自治法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長増岡康治君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔増岡康治君登壇、拍手〕
#10
○増岡康治君 地方自治法の一部を改正する法律案について、委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
 本法律案は、地方公共団体の普通財産である土地及びその定着物に限り、普通地方公共団体を受益者として政令で定める目的により、議会の議決を経て信託をすることができること、不動産の信託の受益権を公有財産の範囲に加えること、信託制度の導入に伴い監査委員の職務権限、長の調査権・解除権等について所要の改正を行うこと等を主な内容とするものであります。
 委員会におきましては、衆議院地方行政委員長福島譲二君より趣旨説明を聴取し、討論の後、採決を行いましたところ、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対しましては、信託制度が地域の健全な発展に資する目的で活用されるよう求める等の附帯決議が行われました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#12
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#13
○議長(木村睦男君) 日程第三 有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律案
 日程第四 預金保険法及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案
 日程第五 国有財産法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長山本富雄君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔山本富雄君登壇、拍手〕
#14
○山本富雄君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律案は、我が国の有価証券に係る投資顧問業の現状にかんがみ、投資者の保護を図るため、有価証券に係る投資顧問業を営む者について登録制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営を確保しようとするものであります。
 預金保険法及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案は、最近における我が国の金融環境の変化に対応し、金融自由化の円滑な進展を図るための環境整備として、預金保険制度の拡充を行い預金者等の保護の充実を図るとともに、金融政策を効果的に運営するため、準備預金制度を整備しようとするものであります。
 委員会におきましては、両法律案を便宜一括して質疑に入りましたところ、投資家保護の観点からの投資顧問業に対する行為規制のあり方、投資一任業務認可の具体的基準明示の必要性、金融自由化の進展度の評価と今後の信用秩序維持のあり方、保険限度額等決定の経緯と金融機関の健全経営の確保策等の質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、両法律案のうち、まず、投資顧問業法案については、討論なく、採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次いで、預金保険法等改正案について討論に入りましたところ、日本共産党を代表して近藤忠孝委員より反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、国有財産法の一部を改正する法律案は、国有地の一層の有効活用及び処分の促進等に資するため、国有地に土地信託制度を導入し、国有地の管理・処分の手段の多様化を図ろうとするものであります。
 委員会におきましては、大都市圏における地価高騰の現況とその対応策、国有地への土地信託制度導入の必要性と制度活用の構想等の質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して近藤忠孝委員より反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 まず、有価証券に係る投資顧問業の規制等に関する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#16
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 次に、預金保険法及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案及び国有財産法の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#17
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、両案は可決されました。
     ―――――・―――――
#18
○議長(木村睦男君) 日程第六 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。科学技術特別委員長馬場富君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔馬場富君登壇、拍手〕
#19
○馬場富君 ただいま議題となりました法律案につきまして、科学技術特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、原子力の研究、開発及び利用の進展に伴って生ずる核燃料物質または核燃料物質によって汚染された物の廃棄に関し十分な安全確保を図りつつこれを計画的に進めるため、廃棄物埋設及び廃棄物管理の事業について許可制度を設けるなど、その規制に関し所要の規定の整備を図り、また原子力施設の検査、核燃料物質の運搬の確認等の規制を円滑に実施するため、指定機関に溶接検査等を行わせることができるようにするなど所要の規定の整備を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、電気事業者等の発生者責任の担保、低レベル放射性廃棄物の陸地処分の安全性、高レベル放射性廃棄物の処理処分技術の開発、海外への再処理委託に伴う返還廃棄物対策、青森県の核燃料サイクル施設の立地問題及び原子炉の安全確保対策等広範にわたり質疑が行われ、さらに学識経験者及び地元関係者による参考人の意見聴取を行うなど、長時間にわたる熱心な審議が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して稲村理事、日本共産党を代表して佐藤委員から、それぞれ反対、また、自由民主党・自由国民会議を代表して志村理事、公明党・国民会議を代表して塩出理事、民社党・国民連合を代表して山田委員から、それぞれ賛成する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、放射性廃棄物の処理処分が適切かつ確実に行われるための七項目にわたる附帯決議案が提出され、賛成多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(木村睦男君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。菅野久光君。
   〔菅野久光君登壇、拍手〕
#21
○菅野久光君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
 以下、反対理由を要約して申し述べます。
 まず第一の理由は、放射性廃棄物について発生者責任の原則を放棄していることであります。
 現行法では、原子力発電所等で発生する放射性廃棄物の安全確保に関する責任は、その廃棄物の発生者、すなわち原子力発電所の場合は電気事業者にあります。しかるに、本法律案は廃棄の事業を新設し、埋設と管理の事業に分け、原子力賠償責任を廃棄事業者に一元的に負わせようとするものであります。すなわち、廃棄事業者を法的に公認し、放射性廃棄物の保管及び処分の委託を認め、事故時の損害賠償責任までを廃棄事業者にゆだねてしまうというものであります。これでは、発生者である電気事業者は一定の費用を払いさえすれば、その負担すべき不確定かつ長期の費用負担から解放されるとともに、経済的、技術的基盤の弱い廃棄事業者に安全管理の責任を押しつけ、その発生者責任を逃れることになり、責任はあいまいになってしまいます。さらに、廃棄事業者は、採算性を追求する余り、安全性を無視するおそれが出てくる可能性があります。
 発生者責任の原則は、公害対策基本法や現行の廃棄物処理法の公害法制を貫く基本原理であります。現在、この原則を放棄する理由は全くなく、このことはまた放射性廃棄物の発生を可能な限り少なくしようとする事前抑制の効果をなくさせてしまいかねないものとなるのであります。原子炉や核燃料廃棄物に対する国民の不安はますます増大しております。したがって、発生者責任の原則はあくまでこれを貫くとともに、国による厳重な監督制度の法制化が望まれるのであります。
 第二は、廃棄の事業として、低レベル放射性廃棄物の埋設が認められるということであります。
 これは、今まで原子力発電所の敷地内での保管だけが許されてきたドラム缶詰めの低レベル放射性廃棄物を、地下の浅いところに埋め捨ての処分を認めるということを意味しており、極めて重大な問題であります。このような処分は、現在のところ、科学的にも技術的にも十分にその安全性が保障されておらず、地下水汚染が生じたら取り返しがつきません。また、本法律案では、埋設については、単に埋設物と埋設施設の確認行為を規定するだけであり、施設の設計、工事の認可、使用前の検査及び埋設後の定期検査等の規定がなく、埋めっ放しにすることは許されないのであります。
 政府は、この埋設処分に関して、低レベル放射性廃棄物を区分けする方針を明らかにしておりますが、最大の問題点は、無拘束限界値という区分けを導入し、大量の放射性廃棄物を一般産業廃棄物並みに処分できるようにする、いわゆるすそ切りが含まれることであります。まだこの基準値をどうするかは国際的にも緒論は出されておらず、今後、原子力安全委員会等で検討し、決定するものとされております。結論が出ていないのに何ゆえ今法制化を急ぐのか、どうしても納得できないのであります。
 第三は、放射性廃棄物の管理の事業を認めていることであります。
 管理する廃棄物には、高レベル放射性廃棄物及び超ウラン元素が入ることになります。しかし、本法律案では高レベル放射性廃棄物のガラス固化体の健全性や内容物の健全性をチェックする条項は一切ありませんし、キャニスターに廃棄物封入後の溶接部分についての完全性の検査が不可能であることも法案審議の過程で明らかになっております。また、英仏からの返還廃棄物の仕様も発表されていないのに、今法制化を急ぐ必要は全くないのであります。こうした点からも危険な法律案と言わざるを得ません。
 第四は、本法律案は、政令や府令への委任事項が多いことであります。
 例えば、放射性廃棄物の埋設及び管理の具体的内容はすべて政令で定めるとされています。しか
し、これではどのような種類の廃棄物が処理処分されるのか、国民は全くわからないのであります。政令は法律案と一緒にその内容が示されるべきであり、中身が明確にされないままの法案審査は国会審議を空洞化させてしまうことになります。また、このことは、原子力基本法の自主、民主、公開の精神に反するものであり、少なくとも本法案の性格上、安全審査の基準、手続等は法制化することが絶対的条件と考えます。このように重要な点が政令の委任事項になっていることは本法律案の重大な欠陥であると指摘せざるを得ません。
 第五は、現行法では、国の原子力検査官に行わせている検査のうち、再処理や廃棄物管理等の施設の溶接検査業務及び廃棄物埋設や運搬物の確認等についても民間の指定機関に代行させようとしていることであります。
 原子力施設や廃棄物の埋設、運搬は、国が時間と費用をかけて、みずからが厳重に検査、確認することが安全管理には必要なのであります。これまでにも再処理工場では、溶接部分の欠陥による重大な事故、故障が相次いたこともあり、検査代行制度は安全確保に逆行するものと言わざるを得ません。
 第六は、放射性廃棄物の処理処分の目途もないまま、原子力産業は巨大化し、トイレなきマンションと言われる原子力発電の放射性廃棄物が住民の意思を無視して青森県六ケ所村や北海道幌延町に押しつけられようとしていることであります。
 電気事業連合会は、本法律の制定を待たずに、青森県六ケ所村に核燃料サイクル施設を建設して放射性廃棄物の集中保管や処分を行うことにしており、既に日本原燃サービス株式会社及び日本原燃産業株式会社の二社が設立されて活動を開始しているのであります。政府は先にできたこれらの事業者に合わせて後から法律をつくり、電気事業者の先走りを追認しようとするものであって、このような既成事実を先行させ、追従、後追いをする姿勢は断じて許されません。また、一たん誤ったら重大な結果を招きかねない核廃棄物の処理処分であるだけに、決して急ぐことなく、まず案を示して国民的なコンセンサスを得てから法改正をすべきだと思うのであります。
 スリーマイル島原発事故、日航ジャンボ機事故、スペースシャトル・チャレンジャー事故、そしてチェルノブイリ原発事故等、巨大事故が相次ぎ、科学の粋を集めたものであっても事故が起こり得ることが実証され、安全神話は崩れ去りました。特に、原発による事故は、チェルノブイリ事故に見られるように広範囲にわたって影響を及ぼすものであります。人口稠密な日本では、どこの原発でも目と鼻の先に何万人もの人々が生活しており、一たび類似の事故が起これば、もたらされる被害の深刻さは比ぶべくもありません。
 私は、人類の一員として、日本人の一人として、また子を持つ一人の親として、我々の世代がその子々孫々に影響を及ぼす負の遺産としての放射性廃棄物の処理処分の方法を誤ってはならないと憂慮の念を禁じ得ません。かかる重大な法案について、まだ幾多の論点について審議を残したまま委員会の採決に至ったことは極めて残念であったことを付言させていただきます。
 以上、申し述べました点から本法律案に反対いたします。
 終わりに、日本社会党としては、使用済み核燃料物質及びその他の放射性廃棄物は、最も厳格な管理を要する有害で処分困難な廃棄物であるため、放射性廃棄物についての発生者の保管責任を明確にするとともに、放射性廃棄物の搬出及び再処理を規制し、放射性廃棄物による環境汚染及び健康被害を防ぐ措置を講ずる必要があると考えており、本法律案に対する対案を提出しているところであります。
 以上のような立場から、政府に本法律案の撤回を強く促しまして、反対討論を終わります。(拍手)
#22
○議長(木村睦男君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#23
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#24
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#25
○議長(木村睦男君) 日程第七 日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長鶴岡洋君。
    ━━━━━━━━━━━━━
   〔鶴岡洋君登壇、拍手〕
#26
○鶴岡洋君 ただいま議題となりました日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、国鉄の経営の現状にかんがみ、昭和六十一年度において、その経営する事業の運営の改善のために緊急に講ずべき措置として、国鉄の長期債務に係る負担の軽減及び国鉄職員の退職の促進を図ろうとするものであります。その主な内容は、第一に、国鉄の長期債務に係る負担の軽減を図るため、政府は、資金運用部が国鉄に貸し付けている資金に係る債務のうち、既に棚上げ措置を講じている特定債務五兆円余を一般会計に承継させることとし、一般会計は同額の資金を国鉄に対し無利子で貸し付けたものとするほか、現在国鉄に貸し付けている一定の無利子貸付金に係る債務の償還期限等の延長について必要な措置を講ずること。第二に、国鉄職員の退職の促進を図るため、国鉄の行う退職希望職員の募集に応じて退職を申し出、認定を受けた職員が昭和六十一年度中に退職したときは、その者に対し基準内賃金の十カ月分相当額の特別給付金を支給する等所要の措置を講じようとするものであります。
 委員会における質疑の詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党安恒理事より反対、自由民主党・自由国民会議吉村理事より賛成、日本共産党橋本委員より反対の意見が述べられ、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、安恒理事より、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合の共同提案に係る退職希望職員に対する特別給付金の給付、再就職の確保等に一層配慮することなど四項目から成る附帯決議案が提出され、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(木村睦男君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。安恒良一君。
   〔安恒良一君登壇、拍手〕
#28
○安恒良一君 私は、日本社会党を代表し、ただいま議題となりました法案に対し、反対の討論を行うものであります。
 冒頭、私は、現在政府が進めようとしております国鉄改革の基本的なあり方について、議会制民主主義の根幹に抵触する極めて重大な誤りがあることを指摘せざるを得ません。
 現在の国鉄が鉄道としての機能そしてその経営、さらに国鉄及び国鉄関連産業に働く労働者の雇用までもが危機的な状況にあることはもはや疑うべくもありません。したがって、今こそ過去の再建計画の失敗の原因を十分に反省し、国鉄をここまで危機的な状況に陥れた原因を探り、その改善を図らなければなりません。政府及び国鉄当局は、広く国民に国鉄改革の基本的な方向を問い、より多くの国民の英知を結集して国鉄再建のための改革に真筆に取り組まなければならないことは自明の理であります。
 しかるに政府は、国鉄改革は一刻の猶予も許されないということのみを強調し、国民からかけ離れた密室審議ですべてを決定し、しかも国会審議の始まる前から大々的に宣伝し、既成事実をつくり上げていくやり方、国民には何も具体的な判断材料を提供せずに結論だけを押しつけるやり方、これこそ国民の合意形成のルールを踏みにじる行為であり、民主主義の否定と言わざるを得ません。
 国鉄改革に対する国民の合意を拒絶する中曽根内閣の姿勢に強く反対をし、以下、数点にわたり反対の理由を述べます。
 第一に、今回提案をされました国鉄改革の基調は、鉄道事業における経済的効率性追求一辺倒、つまり何が何でももうかればよいに流されており、そこには鉄道の果たすべき公共的な役割や、総合交通政策への配慮が全く欠落しているという点であります。
 鉄道は通勤、通学、通院などの日常生活の基盤であり、生産物の輸送手段あるいは災害発生時の緊急対処の手段としても重要な役割を果たしていることはだれもが認めるところであります。国鉄はいろいろな問題を抱えながらも、現在においてこれらの鉄道輸送サービスを提供しています。ところが政府は、交通市場競争に勝てる見込みのある部分だけを残して、それを民営会社にすればよいとしているのであります。この方法ではすべての国民に福利を与える鉄道として国鉄を再建することは望めません。高齢者、病弱者、低所得者、自家用自動車を持たない人々の交通手段を確保しつつ、すべての国民の移動の手段を確保するためにも、また大量、安全、クリーン、省エネルギー型の輸送手段としての鉄道を将来に向け発展させるためにも、あるいはまた全国の鉄道輸送網の計画的維持、整備、地域の開発を進めるためにも、経済的効率性追求一辺倒の考え方は根本的に誤りと言わなければなりません。
 第二に、国鉄再建に当たって解決しておかなければならない国鉄の長期債務等の処理について、政府が全くの糊塗策でごまかそうとしている点であります。
 我が党は、本法案の審議に当たって、長期債務の処理の仕方や国民負担に係る財源措置の具体的方法を明らかにすべきことを政府に訴えてまいりましたが、政府は、ことしの一月二十八日の閣議
決定において解決済みであるとの答弁を繰り返すばかりであります。一月二十八日の閣議決定のうち具体的な措置と言えるものは、本法案に規定する棚上げ債務の一般会計承継だけであります。国民が最も知りたい長期債務全体の処理、財源対策を将来に先送りし、全くその場限りの対応で通り過ぎようとしているのがその主な内容であります。ここに、政府の進める分割・民営の国鉄改革案がその第一歩において破綻を来していることが明らかであると言わなければなりません。私は、そうした政府の対応には反対せざるを得ません。
 第三は、長期債務の根本原因は、政府・自民党が国鉄の財政状態とは無関係に、大企業の景気回復策として膨大な設備投資を押しつけ、しかもすべて国鉄の借金で賄い、赤字を単年度で処理をせず、毎年度累積させてきたためであります。したがって、国民の負担を求める前に政府の責任を明確にすることこそが先決であります。国民に負担を押しつける本法案には賛成ができません。
 第四は、余剰人員なるものの積算根拠が全くでたらめな点であります。
 政府の改革案では、余剰人員九万三千人のうち、二万人を本法案について希望退職を募り、十カ月の割り増し手当を支給しようとしておりますが、そもそも九万三千人を余剰人員とする根拠は全く納得できないものであります。しかも、余剰人員が九万三千人も発生するという重大な事態にもかかわらず、政府や国鉄当局は一方的にこれを決定し、当該労働組合との交渉を一切否定しているのであります。正常な労使関係を故意に妨げているとしか思われません。まず政府は、余剰人員の積算根拠につき、国民が納得できる説明をすべきであります。同時に、労働側に十分な意見を聞くことから再出発すべきであります。政府が今行おうとしている国鉄改革は、雇用主たる国の都合により一方的に労働者にしわ寄せを行っているものにほかなりません。私は、これらの違法な人員整理の強行を断じて許せません。
 第五は、希望退職の募集を進めながら再就職先の確保が極めて不十分な点であります。
 六十一年度において政府は二万人の希望退職を募ることを予定しておりますが、再就職受け入れ先の確保は、六十一年度だけを限ってみると一万人分程度しかありません。残りの一万人は民間で対応することになりますが、円高等の経済情勢からその確保は非常に困難な状態にあるのであります。実は職員の受け入れ先はないというのが政府の進めている余剰人員対策の実態であります。政府は国鉄職員を路頭に迷わせないと言いますが、言行不一致そのものと言わざるを得ません。
 最後に、明治時代から巨額な国の予算を投入し、地域住民などの協力によって今日まで営々と築かれてきた国鉄を、真に国民生活の福利に資するものとして再生させるための改革を目指すためには、幅広い国民の合意を形成した上で、納得のいく形でこれを行う必要があることを重ねて強く訴えます。我が党は、国鉄のあり方をめぐって、これまで全国各地において多くの国民とともに真剣な討論を行い、意見を集約し、国鉄を再建するための具体的な国鉄改革法案を既に提出しております。政府は独善的な態度を改め、我が党の改革案を含め、あらゆる意見に真剣に耳を傾けることこそ今最も必要であるということを指摘し、私の反対討論を終わりたいと思います。(拍手)
#29
○議長(木村睦男君) 近藤忠孝君。
   〔近藤忠孝君登壇、拍手〕
#30
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、日本国有鉄道の経営する事業の運営の改善のために昭和六十一年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案に対し、反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、本法案が、無謀な投資計画を国鉄に押しつけ、その経営を危機に陥れてきた歴代自民党政府の責任を一切棚上げし、専ら分割・民営に向けて国鉄解体を強行するための地ならし法案であるという点であります。
 百十四年という国鉄の長い歴史の中で、国鉄が赤字に陥ったのは一九七一年に至ってのことであります。当時二兆六千億円程度であった国鉄の長期債務は今日二十兆円をはるかに超え、経営危機の最大の原因になっておるのであります。この巨額の長期債務の原因となった過大な設備投資については、そもそも中曽根総理自身、一九六九年九月、第二次佐藤内閣の運輸大臣として、みずから主宰した国鉄財政再建推進会議の意見書に基づいて、十年間の国鉄の設備投資枠を三兆七千億円に抑制するとの閣議決定がなされていたのであります。ところが一九七三年、中曽根総理自身が今度は通産大臣として入閣していた田中内閣になると、この投資抑制方針を投げ捨て、日本列島改造論に基づき設備投資の規模を十兆五千億円へと一挙に三倍化する暴挙を行ったのであります。
 それ以来国鉄は、政府・自民党から、乱脈経理で工事費を当初予定の三倍にも膨張させてきた上越新幹線や東北新幹線、いまだに使い道も決まらない青函トンネル工事など、採算無視の莫大な投資計画を次々と押しつけられ、ついに今日の財政破局にまで突き進んできたのであります。それにもかかわらず、中曽根内閣が、総理みずからが直接かかわってきた国鉄の財政破綻の政府の責任を棚に上げ、分割・民営化のための国鉄再建監理委員会の答申をにしきの御旗として、国鉄解体のための一連の法案を提出し、国鉄の解体と地方ローカル線の切り捨てなどを強行することは断じて許せないのであります。本法案はまさにそのための地ならしにすぎず、到底認めることはできないものであります。
 反対理由の第二は、本法案は、二万人に上るいわゆる希望退職という名の首切りを強行し、労働者に重大な犠牲を強いることであります。
 そもそもその理由とされている余剰人員なるものは、国鉄の解体、分割・民営化を進めるため当局によってつくり出されたものであり、国民本位の真の国鉄再建を図るならば全く必要がなくなるものであることであります。国鉄は、一九八一年以来、動力車の一人乗務、列車係の廃止、無人駅や無人ホーム、線路見回りの間引きや保守の手抜き、車両検修周期の延伸、出改札、検修の部外委託、下請化、過密ダイヤの超過勤務労働などの押しつけによって意図的に余剰人員をつくり出すとともに、この五年間でも既に十五万四千人の人減らし合理化を強行しておるのであります。
 国鉄再建監理委員会の答申ではさらに九万三千人の首切りが計画されており、本法案はその先駆けとして緊急に二万人もの退職を強要しようとするものであります。このような短期間における大量の人減らし合理化が、国鉄労働者の人権と誇りを著しく傷つけ、大量公共輸送機関の安全とサービスの確保に重大な支障を来すものであることは
明白であります。昨年八月の日航機墜落事故を想起するまでもなく、国鉄の人減らし合理化が重大な事故の発生につながる危険をはらむものであることをこの際厳しく警告するものであります。
 今、国鉄の職場では、分割・民営化による新会社への移行を前提として、進路調査や広域配転、勤務評定による選別作業など、いわゆる余剰人員対策が既成事実として進められております。そのやり方がいかに過酷なものであるか、国鉄労働者の自殺が多発している事実が如実に物語っているのであります。しかも、国鉄当局はこれに対し、「職員自殺の報告方について」という統一書式の報告書作成まで指示しており、自殺を当然視して、これを前提とするという驚くべきことが起きているのであります。我が党は、このように非情で人道に反する人減らし策の強行に厳しく抗議するものであります。
 本法案は、このような事態を一層促進するため、危険なホーム要員の廃止など必要な要員配置までを机上計算で一方的に削減し、それを余剰人員と称して希望退職という名目で首切りを行うものであり、絶対に認められないのであります。しかも、希望退職を募るといいながら、労働条件の根幹にかかわる首切り雇用問題や広域配転という労働条件の重大な変更について労働組合との団体交渉さえ認めず、職場では差別や処分の乱発で専制的支配をつくり出し、問答無用式に合理化を強行しようとしておるのであります。このような事態は、一九四九年、アメリカ軍占領下の悪名高い定員法首切り以上に労働者の権利を侵害し、憲法二十八条、公労法八条を真っ向からじゅうりんし、団結権を破壊する違法な不当労働行為であって、断じて許せないのであります。
 反対理由の第三は、本法律案に盛り込まれた長期債務対策が、国民の求める真の国鉄再建のためでなく、分割・民営化という名の国鉄解体のためのものにすぎず、必要な抜本的解決策が全くないということであります。
 国鉄財政再建の基本は、今日の経営危機をもたらした過大な設備投資による長期累積債務の巨大化と、それを引き起こした歴代自民党政府と財界の責任をまず国民の前に明確にし、その上に立って、政府の責任で長期債務の抜本的解決策を示すことであります。十六兆円を超える巨額の長期債務を国民の負担に回すなど、もってのほかでありますが、言われているように、このため毎年国の予算で一兆数千億円を今後二十五年間にもわたって支出するというのであれば、これを必要な国の助成として現在の国鉄に対して行うなら、国鉄当局の試算でも国鉄経営は大きく健全経営に向かって前進することは明らかであります。分割・民営化による国鉄解体の方向ではなく、まさに現在の国有鉄道のままで再建することは十分可能なのであります。
 ところが、今回の措置は、国鉄が資金運用部から借り入れた長期債務のうち、元利償還を棚上げされている五兆五百九十九億円を一般会計からの借り入れに切りかえ、将来とも無利子化するものであって、結局は国民に十六兆七千億円の負担を押しつける国鉄再建監理委員会の計画を既成事実化する以外の何物でもありません。
 以上、本法案は、真の国鉄再建とは無縁の国鉄解体を促進するためのものであり、国鉄労働者に耐えがたい苦痛を与える首切り法案にほかならないのであります。かかる重要法案を委員会で十分な審議を尽くすことなく強行したやり方に断固抗議し、反対討論を終わります。(拍手)
#31
○議長(木村睦男君) これにて討論は終局いたしました。
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#32
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#33
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十一分散会
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ソース: 国立国会図書館
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