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1985/05/13 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会 第3号
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1985/05/13 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会 第3号

#1
第104回国会 対フィリピン経済援助に関する調査特別委員会 第3号
昭和六十一年五月十三日(火曜日)
    午前十時三分開議
出席委員
  委員長 原田  憲君
   理事 小里 貞利君 理事 左藤  恵君
   理事 中島源太郎君 理事 松永  光君
   理事 上田  哲君 理事 大出  俊君
   理事 坂井 弘一君 理事 渡辺  朗君
      甘利  明君    伊藤 公介君
      石原慎太郎君   小此木彦三郎君
      吹田  ナ君    渡辺 秀央君
      稲葉 誠一君    河上 民雄君
      土井たか子君    水田  稔君
      神崎 武法君    中野 寛成君
      正森 成二君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      平泉  渉君
 出席政府委員
        警察庁刑事局長 仁平 圀雄君
        防衛庁装備局長 山田 勝久君
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        法務省刑事局長 岡村 泰孝君
        外務省アジア局
        長       後藤 利雄君
        外務省経済局長 国広 道彦君
        外務省経済協力
        局長      藤田 公郎君
        外務省条約局長 小和田 恒君
        外務省国際連合
        局長      中平  立君
        大蔵大臣官房審
        議官      亀井 敬之君
        大蔵省関税局長 佐藤 光夫君
        大蔵省国際金融
        局次長     橋本 貞夫君
        国税庁次長   塚越 則男君
        国税庁調査査察
        部長      日向  隆君
        通商産業省通商
        政策局長    黒田  真君
        通商産業省貿易
        局長      村岡 茂生君
        通商産業省機械
        情報産業局長  杉山  弘君
 委員外の出席者
        林野庁林政部林
        産課長     脇元 裕嗣君
        会計検査院事務
        総局第五局長  秋本 勝彦君
        参  考  人
        (海外経済協力
        基金総裁)   細見  卓君
        参  考  人
        (海外経済協力
        基金理事)   熊谷 和秀君
        特別委員会第一
        調査室長    木村 俊之君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十三日
 辞任        補欠選任
  伊藤 公介君    甘利  明君
同日
 辞任        補欠選任
  甘利  明君    伊藤 公介君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 フィリピンに対する経済援助等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○原田委員長 これより会議を開きます。
 フィリピンに対する経済援助等に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件について、本日、海外経済協力基金総裁細見草君及び同理事熊谷和秀君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○原田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
#4
○原田委員長 この際、通商産業省から発言を求められておりますので、これを許します。黒田通商政策局長。
#5
○黒田(真)政府委員 今般、円借款に関連いたします経済企画庁、外務省、大蔵省及び通商産業省の四省庁の共同によりまして、ソラーズ文書の分析等の事実関係確認作業の一環といたしまして、円借款に関し、我が国の関係企業に対する事情調査を行いましたので、便宜私より四省庁を代表いたしましてその概要につき御報告をさせていただきます。
 まず、調査の内容でございますが、ソラーズ文書におきまして円借款プロジェクトについてコミッションにつき言及のある事項について、主としてコミッションの支払いについての事実関係及びその後の資金の流れについての認識を中心に調査を実施いたしました。ソラーズ文書において円借款プロジェクトに関しフィリピン企業に対して手数料が支払われたと思われる記載について、その事実関係の確認を行ったものであります。
 その結果でありますが、まず手数料の支払いの事実関係について調べたわけでございますが、約半数近くのものにつきましては、ソラーズ文書記載どおりの手数料の支払いがあったとの報告を受けました。残余のものにつきましては、既に企業側の文書保存期間が過ぎて文書が廃棄されておりましたり、あるいは相当の年月がたっておりますことから当時の担当者からも確認がとることができないといった事情から、記載どおりの手数料の支払いがあったとの確認はできなかったわけでございます。
 次に、支払いがあった手数料に関してその資金の使途についての認識を調査いたしました。
 この点につきましては、すべての企業が代理店の活動に見合う代理店手数料として支払ったものであり、この資金が不明朗な使途に用いられるとの認識はなかった旨述べております。また、各企業は輸出に関するニーズや受注機会などについての現地情報の収集及び提供、専門知識の提供、納品検査の代行などの物品納入業務など、各種の役務に対し手数料を現地の代理店に支払うことは通常の商取引の一部を構成するものとの考えを述べております。さらに、これら企業のうち中小の商社からは、現地駐在員も極めて少なく、受注活動を展開する上で現地代理店への依存度が高くならざるを得ないとの指摘もございました。
 このほか、カガヤン電化プロジェクトに係る談合及び関係省庁への協力要請に関する記述につきましては、いずれの企業もそのような事実はないと述べていたことを申し添えます。
 なお、企業名及び個別の回答内容につきましては発表を差し控えさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
#6
○原田委員長 村岡貿易局長。
#7
○村岡政府委員 通産省におきましては、ただいま御報告申し上げました四省庁共同によりますいわゆるソラーズ文書に言及のある円借款プロジェクトに関する実態調査と並行いたしまして、同調査により海外への手数料支払いの事実が認められましたケースにつきまして、当該支払いの外為法上の手続に係る事実関係に関しまして調査を行いました。
 いわゆるソラーズ文書で記載されている内容につきましては、そのほぼ全体が昭和五十五年の外為法の大改正前の事柄であるという事情もありましたため、本件調査につきましては、公訴の時効の問題、さらには所管官庁におきます書類保存期間の問題などの制約がございました。したがいまして、外為法上の手続に関します本件調査に関しましては、関係の企業に対しまして当方から質問を発しまして企業に任意に回答していただくという形で行ったものでございます。
 以下、その概括的な結果を御報告申し上げます。
 第一に、海外への手数料支払いの事実が認められました支払いは、件数にいたしまして二十件でございます。そのうちソラーズ文書に記載されております支払いについて、改正前の外為法上の適法な手続をとっていたことが資料により確認されましたものは六件でございます。ソラーズ文書に記載されております支払いについて、改正前の外為法上の適法な手続をとっていたか否かということが現段階では確認できていないものが残りの十四件でございます。このような事実が今まで明らかになっております。
 調査の概要は以上のような状況でございますが、ただいま申し上げましたもののうち適法な手続をとっていたか否か現段階で確認ができていないという案件につきましては、改正前の外為法に照らし問題がなかったかどうかについてなお詳細に調べる必要があると私ども考えております。これらについてできるだけ早く結論を得、もし問題があったことが確認された場合には、適切な措置を講じたい、こう思っております。
 なお、輸出代理手数料の支払いにつきましては、現行外為法では原則自由とされておりますが、本件調査で問題となっております昭和五十五年の抜本改正前の外為法におきましては、原則として輸出額の一〇%以下のものは外国為替公認銀行の承認、一〇%超のものは通産大臣の許可を要するものとされていたという点を念のために申し添えておきます。
 以上でございます。
#8
○原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
#9
○稲葉(誠)委員 今御報告をいただいたわけですが、そこでお聞きをいたしたいのは、コミッションというものが具体的にどの程度のものなのかということが一つです。それから、一体だれからだれに払われたのか、そこら辺をどういうふうに調査をされたわけですか。
#10
○黒田(真)政府委員 この代理手数料というものは、日本側の輸出契約の当事者から、フィリピンにあります現地の代理店に対して支払われるという形をとっているものが多いようでございます。そして、その大きさと申しますか額につきましては、ソラーズ文書に記載がございますように一五%というものも見受けられますし、また、それより少ないレベルの手数料率が支払われているというケースも見受けられるわけでございます。
#11
○稲葉(誠)委員 外務大臣、あなたはことしの三月二十九日の参議院の予算委員会で、和田教美議員に対して答えておるわけですが、今の一五%という問題に関連しまして「一五%、一五%というようなものが例えばマルコスさんの方に渡ったということになれば、これはリベートとかなんとかいうことじゃなくて、贈賄といいますか、ストレートにそういうことになっていくんじゃないでしょうか。」こういうふうに答えておられるわけですね。これはどういう意味を言っておられるわけなんですか、一五%ということをほかのものと比較して、そして言われているに違いないと思うのですが。
#12
○安倍国務大臣 私は、一種の常識的な立場でお答えしたのですが、フィリピンの国内法があるのじゃないか、日本にもあるように。これは国内法において処理されるわけですから、フィリピンの国内法で、いわゆる政府が発注した事業に伴ってその政権がリベートを受ける、マルコスさんあるいはその周辺がリベートを受けるということになれば、それは日本の法律の常識からすれば、稲葉先生は専門家ですけれども、我々の常識からすれば、フィリピンにおいてもそれは贈収賄ということになるのじゃないだろうか、そういうふうな意味でお答えしたわけです。
#13
○稲葉(誠)委員 今の黒田局長ですか、一五%の手数料があるというのは全体の中の何社ぐらいなんですか。
#14
○黒田(真)政府委員 確認されましたもののうちの約半数程度が一五%の支払いを行っているというふうに述べております。
#15
○稲葉(誠)委員 今外務大臣は、一五%というのは、法律的な概念は別として常識的に非常におかしいし、贈賄というか収賄になるのじゃないかというような意味のことを言われたわけですが、そうすると、一五%のものはどういう経過でだれからどこに支払われたのかということを明確にこの委員会に報告をしてもらわないというと、この委員会をやった意味がないわけですね。それを明確にお答えを願いたいというふうに思います。
#16
○黒田(真)政府委員 個別の企業名の公表は差し控えさせていただいておるわけでございますけれども、先ほども申し上げておりますように、ソラーズ文書に記載されております関係企業について調査を行ったわけでございまして、これらの企業がその一部について確認されたケースにつきましては、フィリピンにございます代理店に対しその活動に見合う代理店手数料として支払った、こういう説明を受けておるわけでございます。
#17
○稲葉(誠)委員 そこで、今言った一五%というのはほかと比べて異常に高いというか常識を超えておるということになってきておるわけですが、質問は、そうすると、一五%の手数料というのはこれは借款の中に含まれているということなんですか、どうなんですか。これはもう全然それと別枠なんですか、国民の税金とは全く関係ないのだ、こういうことなんですか、あるいはそれに含まれているということなんですか。そこはどうなんですか。
#18
○黒田(真)政府委員 これら関係企業の説明は、各企業が輸出に関し現地情報の収集あるいは納品検査の代行等の具体的に現地で発生した役務に対して手数料を払うという通常の形態であるというふうに述べているわけでございます。
#19
○稲葉(誠)委員 そんなこと聞いてないですよ。そんなことはわかっているので、私の聞いているのは、日本から金が出る、借款という形で出るわけでしょう、それの中に一体この一五%というのは含まれているのか含まれていないのか、それが単なる商社の、自分の方の金を使っているなら何も我々関係ないので、そこはどうなっているのかと聞いているわけです。
#20
○黒田(真)政府委員 関係企業がいわばコストの一部として認識をしているということでございますから、この支払いの中に含まれているということだと思います。
#21
○稲葉(誠)委員 だから、これはそこが問題なんですよ。コストの中に含まれているということは、日本から金が出ていれば我々の税金の中から出ているということでしょう、それは後で返ってくるのかわからぬけれども。これは後で聞きますけれども……。しかし、そのことを考えれば、我我としてはその一五%出ている資料というものをはっきりここへ出してもらって、それらの商社から一々どういうわけでそういうものが必要になったのか、その金がどこへ行ったのかということ全体を含めて我々は説明を求める義務がある、私はこういうふうに考える。(「常識じゃないか」「当然だ」と呼ぶ者あり)今常識じゃないかとか当然だという話がありましたが、私もそのとおりだと思うのですよ。これは何も隠す必要はないので、別の機会でというか、理事会でやるのか何でやるのかは別にして、資料としては、今私は、一五%のものを手数料を出しておる、それはコストの一部だというのだから、その会社名と、どういうプロジェクトなりどういう借款に関連してそれが出ているのかということをこの委員会に出してほしいということを要求いたします。お答えください。
#22
○黒田(真)政府委員 今回の企業の事情調査は法令に基づきます強制的な調査ではございませんで、関係企業の協力を求めて行うという任意の調査でございます。そして、その際は企業名あるいは個別の調査内容というものは発表しないということを前提として実施をさせていただきましたので、こういった調査の性格からいたしまして、個別の内容について答弁を差し控えさせていただいておることを御了承願いたいと思います。
#23
○稲葉(誠)委員 今のあなたの答弁では国民は納得しないというふうに私は考えるので、これは理事会の中で十分、何といいますか、論議といいますか、それを深めて、そして結論を得るように努力をお願いをいたしたいと思うわけです。委員長、どうしますか、それは。
#24
○原田委員長 今のお申し入れに関しましては、理事会において御相談をいたします。
#25
○稲葉(誠)委員 本当は、これは法案がかかっているといいんですよね。法案がかかっていると法案を人質にとれるのだけれども、これは法案がないから……(発言する者あり)それはそうだ。いろいろな意見がありますから。余り正直に言い過ぎちゃってまずかったかもわかりませんが、そこで私が疑問に思いますことは、そのコストの中に一五%の手数料が含まれているということならば、それを日本の政府は、あるいは事業団といいますか、一体どこまで調査ができるのか、どこまでフォローできるのか、トレースできるのか、そういうことですね。それの限界というものが私はあると思うのですよ。それは、だからそこをどうするかの問題があるのですね。だから、どこまでの線までは内政干渉にならない、どこまでの線を超えたら内政干渉かということ、これは平泉さん、専門かもわからぬけれども、そこら辺のところですよ、問題は。(「あなたの方が専門家だ」と呼ぶ者あり)いやいや、それが問題なんですよ、これは。だから、ここからこっちは内政干渉だというのなら、それは私もそこまでは質問しませんよ。それは良識なんでね、我々の。外務大臣、一体そこはどういうふうにお考えになっているのか。どこからどこまでなんですかね、内政干渉の線というのは。これははっきりさせなければだめです。
#26
○安倍国務大臣 いや、その辺のところは私、よくわかりませんが、いずれにしましても、フィリピン政府とそれからやはり発注した企業との関係だろうと思いますね。どこの国に対するいわゆる円借なんかでも、日本の企業なんか参加している場合においては手数料とかそういうものを払っておりますから、その手数料がどういう形で払われているかということは、それはそれなりのやはり合法的な形の中で利潤という中で払われている。これは商行為としてはある程度は一般的なものじゃないか、私はこういうふうに思っております。
 ただ、その手数料が例えばマルコスの方へ渡ったということになれば、これはフィリピンの中の法律の問題として、それこそまさに贈賄とかそういうことにつながっていくのだろう、それは当然その国にはその国なりの法律があるのでしょうけれども、常識的に見ればそういうことになるのじゃないだろうか。しかし、渡ったか渡らないかというのは、それはその辺の問題が今まさにいろいろと議論されていることはそのとおりであります。
#27
○稲葉(誠)委員 いや、私が聞いているのは、借款にもいろいろな種類があるわけですね。だから借款ごとに国と国との間のものもあるだろうし、向こうの国と企業の問題等もあるだろうし、いろいろな形のものがあるわけですから、そしてこの外務省の告示というのか、これを見ましても、例えばこういうふうになっているわけでしょう、これは。例えば昭和六十一年一月二十四日外務省告示第十三号、円借款の供与に関するものですね、これは一番新しい告示だと思いますけれども、これは交換公文というのですか、日本側の書面の中でも、これはパラグラフVの6のところを見ますと、「フィリピン共和国政府は、次のことを確保するために必要な措置をとる。 (a) 事業計画借款及び商品借款が、適正にかつ専ら」云々ということで、適正に行われるということが条件になっているわけですよ。
 そうすると日本の政府としては、それが適正に行われたか行われないかということについてはあれですか、さあそこで問題になるわけですよ、どうするのだということ。どこまでが入れるのかどこまでが入れないのか。これはやはり借款別ごとというか何とかではっきりとした見解を示されないと、我々としてもその後の対応の仕方が変わってくるわけですから、これは。はっきりしたものを示してくれなくては困るんじゃないですか。どうなんですか、これは。
#28
○小和田政府委員 円借款取り決めのいわゆる適正使用条項についてのお尋ねでございますので、それに関連して今の問題についてお答え申し上げたいと思います。
 これは実は一般論として申し上げるのはなかなか難しいと思いますが、とりあえず円借款取り決めにあります適正使用条項というものはどういう趣旨で入っているかと申しますと、我が国が供与する円借款が所定の使用目的あるいは実施手続に従って使用されるということを確保するのが目的でございます。したがいまして、特定の行為がその適正使用条項違反に当たるかどうかということは、もちろん具体的な事例に従って判断する必要がございますけれども、円借款が使用目的以外の目的に使用されたあるいは所定の手続を経ないで使用されたというような場合には当然この条項との関連が問題になるわけでございます。
 ただ、いわゆるリベート問題との関連について申しますと、リベートが受注企業から発注政府の高官に対して支払われたというような場合でございますと、そのこと自体が直ちに円借款の資金を流用したということになるかどうかということについては非常に疑問があると思います。と申しますのは、御承知のように円借款は限度額を定めましてその範囲において相手国政府に使用を許可する、こういう形でございますから、そういう形で相手国政府がその円借款の使用について借款契約に基づきまして処理をするということになってまいりますと、リベートはその結果行われた実際の供与、物の供与に当たって相手国政府と関係企業との間で出てくる、こういう問題でございますから、適正使用条項そのものに触れてくるかどうかというのは、個々の具体的ケースに当たる必要はございますけれども、一般的にいって当然にそれに当たるということにはならないのだろうと思います。
 ただ、それに関連いたしまして、相手国の国内法令に違反するような不正なリベートが行われるとかあるいは相手国の商慣行に反する不当なリベートの支払いが行われたというような場合には、これは相手国政府が行政あるいは司法上の手続に従って必要な措置を講ずるとかあるいはそのことを問題にするというようなことはあるだろうと思います。
 そのことの関連で申し上げますと、それが例えばフィリピンの法律に基づく贈収賄罪の適用の対象になるかならないかという問題は出てくると思いますけれども、これは基本的に第一義的にはフィリピンの法律の問題であるというふうに私どもも理解しているわけでございます。
#29
○稲葉(誠)委員 さっきの問題に返りますけれども、一五%がコストに乗っけられているのが半数以上あるというのですね。そういうふうなことは、これは通産省なり外務省はずっと前から知っていたのですか。知っていたとすれば、いつごろから知っていたのですか。
#30
○村岡政府委員 昭和五十五年の外為法の改正以後は全く自由でございますから、これはわからないわけでございますけれども、それ以前につきましては、一〇%を超える手数料を支払う場合は地方の通産局などの許可を要していたわけでございますので、知り得る立場にあったわけでございます。具体的の本ケースにおきましては、知り得る立場にあったとお答えを申し上げたいと思います。
#31
○稲葉(誠)委員 私がいろいろ疑問に思いますことの一つは、こういうことです。これは借款ですね。すると返済義務があるわけですね、もちろん期間が違ったり何かしていますけれども。そうすると、マルコス政権というものとアキノ政権というものとの関連において、いいですか、これが革命によってアキノ政権が樹立されたというならばこれは今までの支払い債務がなくなっちゃうのかもわからない。私、よくわからないですよ。あるいはそうじゃない普通の交代だということになれば、これは支払い義務がある。そうすると、マルコス政権というものが負っていた借款というものは、これはアキノ政権も日本に対してそのまま返還の義務がある、こういうふうに考えてよろしいですか。
#32
○安倍国務大臣 これはアキノ政権が生まれたとき、アキノ政権の責任者から、国際的な条約責任は今後とも果たしていく、日本とのいわゆる円借款等についてもこれはきちっと返還の履行は行うという表明がありましたから、この返還という点に関しては継続して行われる、こういうふうに理解しております。
#33
○稲葉(誠)委員 そうすると、マルコスさんが勝手に使っちゃったようなものまでも全部支払い義務があるわけですか。
#34
○安倍国務大臣 マルコスさんが勝手に使ったかどうかというのは我々はわかりません。とにかく日本が援助しているわけですから、その援助は、アキノ政権としてはマルコス政権から受け継いで、それは約束どおりちゃんと払います、こういうことになっていますから。これは私はどういう政府でも同じことだと思いますね、革命政権ができたとしても、大体そういうことになっています。
#35
○稲葉(誠)委員 それは政権の交代の仕方によって変わるんじゃないかと私は思いますがね。ちょっとその点議論があるかもわかりませんけれども、それは別として。
 前の話に戻っちゃって恐縮なんですけれども、一五%の手数料というもの、コミッションというのか、それがコストに乗っかっている。そうすると、普通こういう東南アジア地区との貿易なんかの場合のマージンというのは、私どもの調査では大体一%から五%だ。延べ払いでも、分割分を入れると高くなりますが、結局七%ぐらいが最高だというのが私どもの聞いている範囲なんですよね。一五%というのは非常に異常なので、だからこの分についてはそれがどこかへ不正に流れていくんだろうということが当然わかっていたんじゃないですか。だから、まず一般的な商社のマージンというのはどの程度だというふうにこれは認識されておられるんですか、そこはどうですか。
#36
○村岡政府委員 コミッションの比率、大体どの辺が中心かというお尋ねでございましたけれども、私どもそのような統計は実はとったことがなくて、つまびらかにしないのでございますが、一〇%を超えるコミッションの支払いというのは、不正確ではございますが、大体年間数千件の単位だったと思います。そのベースになります総輸出件数というのが二百八十万件ぐらい。十年ぐらい前の時点での話でございます。
#37
○稲葉(誠)委員 これは外務省、この前テレビを見ていたんですがね、フィリピンのサロンガさんが、何かさっぱり日本政府から自分にお呼びがかからないというようなことをテレビで言っていましたね。二、三日前ですか、新聞に、自民党の武藤嘉文さんが向こうへ行っておられて、これは間接的なだれかからの話のようですけれども、公式にか非公式にか違いはわかりませんけれども、サロンガさんたちが日本へ来たいという、それはあなたの方ではどの程度の接触が今まであったんですか。あるいは接触と言わないまでも、感触があった、それはどうなんですか。
#38
○後藤(利)政府委員 お答えいたします。
 政府に対してサロンガ委員長から特に積極的に日本に訪問したいというような接触はこれまでございません。角谷大使ともお話しされたことがございますけれども、自分から積極的に日本に参りたいというような接触はございません。
#39
○稲葉(誠)委員 この前は、僕はテレビを見ていたんだけれども、そうは言ってなかったですよ。日本もさっぱりその後の追及に熱がなくなっちゃって、ちっともお呼びがかからない、こういうふうな話であったのですが、すると、武藤嘉文さんのあれを、これは間接的なあれになるわけですけれども、見るというと、サロンガ委員長がこっちへ来るのについては、外務省当局から非公式にか、六月二十二日以降にしてくれ、そういうような話があったということが報ぜられているのですけれども、そういう意味のことを、はっきり言ったかどうか別としてそういう意味のことを言われておるんじゃないんですか。
#40
○後藤(利)政府委員 日本側に参議院選挙があるということはもちろん知っておりますけれども、私どもの方から何か選挙の後にしてくれとか、そういうようなことをお願いしたという事実は全くございません。
#41
○稲葉(誠)委員 何かサロンガさんがこっちへ来られると困ることができてくるんですか。
#42
○安倍国務大臣 角谷フィリピン大使がサロンガさんに会ったことも事実ですが、いろいろと電報も入ってきておりますが、同委員長に訪日についての考え方を打診したところ、同委員長の意向としては必ずしも同委員長の方から進んで訪日したいというものではなかったということでございます。
 なお、サロンガさんが日本に来られたといって、政府として別に困ることはございません。また同時に、政府としてサロンガ委員長の訪日を要請する考え方もありません。
#43
○稲葉(誠)委員 これは通産省にお聞きするのですけれども、昭和五十七年の夏に経済協力効果研究というのをやって、その報告書を出したことがあるのですか。その調査の対象になったのは、日比友好道路、パターンの輸出加工区、発電プラントバージ、この三件だ、こういうのですが、そういう報告書を出したことがあるのか、そして、その結果というものはどうだったのか、そこら辺のところをお聞かせ願いたい、こう思うのですが。
#44
○黒田(真)政府委員 通商産業省といたしましては、アジア経済研究所に対します委託調査といたしまして経済協力効果の研究を委託しておるわけでございます。その五十七年度の報告の中で、ただいま御指摘のようにフィリピン関連ということで日比友好道路あるいはバターン輸出加工区、プラントバージというものについての報告書を取りまとめているということでございます。これは、本来私ども内部資料という建前で、内部執務参考用ということにいたしておりましたので、ある意味で内部資料等も利用しておりましたので、従来発表を差し控えさせていただいておりましたが、既に相当広く世の中に出ておりまして、お問い合わせもあるということで、現在これは御要望に応じて差し上げるということにしておるわけでございます。
 その結論は、いろいろな問題点を指摘しつつも、結果的には、例えば日比友好道路等については、これがフィリピンの国内の域内間の交通が短縮されたというようなことで、その経済効果は大変大きいものだ、フィリピンの経済社会の発展に役立っているんだというような積極的な評価も行っておるということでございまして、こういったような効果分析を通じてその後の借款供与に当たっての参考にしているということでございます。
#45
○稲葉(誠)委員 あなたの方は積極的な効果のところはかり言うのだけれども、それではなくて逆に、否定的な部分についてというか、そういうふうなものの指摘もされているんじゃありませんか。
#46
○黒田(真)政府委員 確かにいろいろな問題点は指摘されているわけでございまして、自動車道路等につきましては、非常に高地、傾斜地において、かつ雨が大量に降るというような状況に果たしてふさわしい工法であったかどうか、そのために暴風雨等の後においては道路の決壊が非常に生じておって使えない状況にある、これらについてはどうも当初の工法の設計において問題があったかもしれないというような指摘があったわけでございます。そういう点につきましては、その後の補修工事あるいはその後の延長工事等においては十分に生かされているという形で、御指摘のように幾つかの問題点の指摘はありましたが、私どもは、そういうものをできるだけ生かして、その後の援助が効果を持つように努めているつもりでございます。
#47
○稲葉(誠)委員 今の資料というふうなものは、これは理事会の中で取り計らってもらって出していただいて、今あなたが答弁されたようなことなのかどうか、そして、そこで欠陥なりなんなりとして指摘されたものがどういうふうにその後是正されてきているか、こういうふうなことは十分進めていただきたいと思います。
 そこで、もう一つお聞きをしたいのは、これは国税の関係ですが、東京の神田佐久間町にシーランド・エンタープライズ・ジャパンという会社があるのですか。あるとすれば、これはどういう会社なんですか。
#48
○塚越政府委員 シーランド・エンタープライズ・ジャパンという会社でございますが、千代田区神田佐久間町にございまして、輸送機器等の輸出に携わっている資本金九百万円の会社であるというふうに承知をいたしております。
#49
○稲葉(誠)委員 そこの社長は、米山敏男という。人ですか。
#50
○塚越政府委員 代表者は、米山敏男という方であるというふうに聞いております。
#51
○稲葉(誠)委員 これは報道されておることに基づいて聞くわけですが、これは六十一年三月二十五日のサンケイ新聞が中心ですが、その会社はフィリピンとの関係に、何か中へ立っておるようなことがあるのですか。
#52
○塚越政府委員 先ほど申しましたように輸送機器の輸出に携わっているということ庫ございますが、取引内容等につきましては個別にわたる事項でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
#53
○稲葉(誠)委員 答弁を差し控えるのはあなた方の自由かもわかりませんけれども、その会社が国税当局から、調査と査察とがありますが調査の段階ですか、調査をされたということが報ぜられておって、そこで金額までもいろいろ出ておるわけですね。一億五千万円、ちょっと端数があるようですが、申告漏れがあって、「うち約七千万円について重加算税を課し更正処分を行っている。」ということが報ぜられておるのですが、この点についてはお気づきですか。
#54
○塚越政府委員 御指摘のような新聞報道がなされたことについては承知をいたしておりますけれども、何分にも個別にわたる事柄でございますので、答弁を差し控えさせていただきます。
#55
○稲葉(誠)委員 報ぜられるところによると、これは大型トラックなど二百台ですか、約十五億であれしたりなんかしておって、「丸紅が契約者となって、十五億円ほどトラックを納入したのを仲介したが、うち七千万円を帳簿外から支出したのを指摘された」んだ、この米山という人との一問一答が報ぜられておるわけですね。そういうふうになっておって、「その金はだれに渡ったのか。」ということを聞かれて、「しきりに日本の要人に支払ったのだろう=vというふうに追及されたんだ、こういうことが談話として一問一答で出ているわけです。
 そうすると、使途不明金なりなんなりというものが日本人に渡った場合と、外国人というかフィリピン人というかそれに渡った場合と、税法上の効果というかそういうふうなものは違うわけですか。
#56
○塚越政府委員 先ほどから申し上げておりますように、個別の調査に関する内容等につきましてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げますが、要するに真実を把握してそれについて課税をする建前から、私ども、いろいろな資金の流れ等につきましてはいろいろな機会に調査をするということはあるわけでございます。
#57
○稲葉(誠)委員 あなた方の立場もあるし、これは質問も難しいし答えも難しいので、質問のテクニックがなかなか難しいですね、こういうのは。
 問題は、これは太陽神戸銀行の日本の支店からその金が払われておるということが言われておるのですね。台東区内の太陽神戸銀行の支店の口座から日本で払われておるんだ、こういうことになっておるのですが、そのことと同時に大きな問題は、この人が、フィリピンとのリベートコネクションの中で二つのルートがあるというふうに、常識的というか一般的に言われておるわけですね。一つは、いわゆる東商ルートというのですか、亡くなられた小竹喜雄さんのルートですか、もう一つはシーランド社のルートだ、こういうふうに一応言われておるわけです。もちろん、こういう人たちと言っては失礼ですけれども、自分のことを誇大に言う可能性があるいはあるかもわかりませんからそのまま信用するわけではありませんけれども、そういうふうなことも言われておる。
 そうすると、そこで一番大きな問題として出てくるのは、この人が、これは新聞社との間と思いますが、ずっと一問一答をしているわけですね、このことについては国税庁は関心を持っておられるわけですか。
#58
○塚越政府委員 繰り返して申しわけございませんが、個別の問題については別といたしまして、一般論を申し上げますが、国会で御論議をいただいているような事柄あるいは新聞、雑誌等で報ぜられている事柄等につきましては、私どもとしても関心を持ちまして、課税上必要な資料の収集あるいは場合によっては調査というような形で適正な課税に努めている所存でございます。
#59
○稲葉(誠)委員 そうすると、通産省なり外務省は、このフィリピンとの借款に関連をしてこういうような商社が、どの商社ということは別として、こういうような商社が中に入って、そしてコネクションをつけて現実に借款が行われたりなんかしておる、こういうことについてはどの程度知っておるわけですか。
#60
○黒田(真)政府委員 私どもといたしまして、フィリピンとの商売に当たって、どういう商社が具体的にどう介在しているかというようなことについては必ずしも個々には把握をいたしておりません。
#61
○稲葉(誠)委員 いや、必ずしも把握してないと言ったって、じゃ把握している部分があるのでしょうから、その点についてはある程度答えられるんじゃないですか。
#62
○黒田(真)政府委員 先ほど来お話しの点につきましては、今回の私どもの行いました四省庁の調査対象とはいたしておりません。なぜならば、これはソラーズ文書の中の記載ではないからであります。したがいまして、その特定の社がどういうふうな関与を持っているかということについては承知していないということでございます。
#63
○稲葉(誠)委員 あなたは四省庁が調査をしたということを盛んに言われるわけですね。そうすると、四省庁がそういう調査をしてその目的を達した、こういうことなんですか。
#64
○黒田(真)政府委員 先ほど御報告申しましたとおり、私どもが行いましたのは、ソラーズ文書に関しましてコミッションの支払いという記載がございました。そこで、その支払いの事実関係を調査をいたしたわけでございます。
 その結果、約半数近くのものについては文書記載どおりの支払いがあったという報告を受けたわけでございまして、残余のものは、残念ながら、文書が破棄されているなどの事情から記載どおりの手数料の支払いがあったという確認はできなかったわけでございます。そのような点につきましての調査の目的というものは一応達成されたというふうに考えております。
#65
○稲葉(誠)委員 この一五%のコミッションを払っておる商社というものについては、これは本委員会でもっと内容を詰めて、なぜこういうような一五%もの異常なコミッションというものが払われるのか、払わざるを得ないのか、そしてまたそれが、全部がどこへ行ったのか、あるいは行かない部分もあって、あるいは日本に還流してきたのか、あるいは最初から日本の中でカットをされているのかとか、こういうふうな問題は非常に重要な問題だ、こういうふうに私は考えておるのですが、そういう点についてはどうなんですか。別に重要じゃないと、そんなことは。どういうふうにお考えなんですか。
#66
○黒田(真)政府委員 この手数料というものがどういう性格なものであるかという点につきましては、現地の情報収集あるいは納品検査の代行というような物品納入にかかわります各種の役務に対して支払うものだということが一般的に言われておりますが、特に中小商社等の場合には、現地に多くの駐在員を置いていない、極めて限られた数の駐在員しかいないというようなケースになりますと、実は受注活動を展開する上で現地代理店への依存度がそれだけ高くならざるを得ない、すなわちそれに見合った役務の量もふえて、手数料も高率になる、そういう関係にあるものである、かような説明を得ているわけでございます。
#67
○稲葉(誠)委員 説明は来ているのはいいのですが、ではその一五%のコミッションが、今あなたの言われたこういうふうなこういうふうな、いろいろ項目を言われましたね、いろいろ役務のことを話された、それのあるA社ならA社というものが、どういうふうにそれが払われたのか、そのコミッションが、ということをあなたの方では確認しているわけですか、していないんですか。
#68
○村岡政府委員 外為法に違反しているかどうかという関連から私ども調べておるわけでございますが、その場合、御存じのとおり、相手国に払ったかどうかという事実を究明する努力は継続しております。
#69
○稲葉(誠)委員 外務省は、この一五%ものコミッションが支払われているということは現地の大使館では知っていたのですか、知っていなかったのですか。どうなんですか。それで、本省の方には報告が来ていたのですか、来ていなかったのですか。
#70
○藤田(公)政府委員 先ほど来通産省から御答弁ございましたように、経済協力で、円借款で供与されました資金が適正に効果的に使用されているかどうかということを、私どもとしてはできる限りの努力でもって見守り、かつその効果の評価等を行っているのが今の状況でございます。
 別途、その今御質問のコミッションのお話は、受注をいたしました企業が現地の代理店に対していろいろな、恐らくは契約等に基づいてのことかと思いますけれども、支払いを行っているという問題でございまして、これは円借款の契約での、私どもの見守っております次元とはちょっと違う次元のお話じゃないかと思います。
 それから、支払いが何%のコミッションが支払われていたか云々ということにつきましては、先ほど通産省当局からの御答弁がございましたけれども、基本的に、例えば受注企業のうち、メーカーがどのくらいの利益を上げ、その商社がどのくらいの利益を上げ、コミッションがどこに支払われというのは、これは全く商契約、商行為の次元の話でございますので、援助の有効、効果的な遂行を図るというのとはちょっと違う次元の問題じゃないかと思います。
#71
○稲葉(誠)委員 今の点につきましては恐らく同僚議員から質問があるというふうに思うのですが、外務省の向こうの大使館の人たちは、知っていても知らぬ顔していたのかあるいは知らなかったのかわかりませんけれども、そこら辺のところはタッチしなかったのではないですか。私の言うのは、それがコストの上に乗っけられているというから問題なので、全然別のことなら、これはノータッチでいいと思うのですよ。そうじゃないから、コストの上に乗っかっているというから、だからこれは問題があるというふうに私は考える。そこで当然、外務省なりなんなりは現地においてもある程度のものはキャッチしなければいけない義務が生じてくるのではないか、こう私は言っているわけなんですよ。そこで聞いているわけなんです。
 そこで、この米山という人はその一問一答の中でこういうふうに言っているのですよ。「リベートは国民の税金のムダ遣いではないのか。」これは「利子をとって貸しているのだ。いずれ返ってくる。」のだが、そうじゃないんだということを言っているのです。それは別として、こういうことを言っているのです。「日本政府も、実際の事業費より、二〇%も三〇%も上乗せされて、借款要請が来るのを知っているはずだ。」こう言っているのですよ、この人は一問一答の中で。
 だから私が聞くのは、こういうことを一体、外務省なり通産省は知っていたのか知っていないのか、あるいはそういうことの内容まで調査をしていたのかしていないのか。もう一つ言うと、その調査をする権限があるのかないのか。そこですよね、問題は。それがはっきりしないとどうも話がわからなくなっちゃうから、そういうふうに分けて答えてくれませんか。
#72
○藤田(公)政府委員 円借款の供与を行います際には、もう委員御高承のとおりだと存じますけれども、先方からの要請がございまして、その要請に際しましては、どのような事業につきましてどういう積算と申しますか根拠で我が国からの援助を要望するかということで、通常、事業、プロジェクトの場合には、企業化調査と申しますかFSというのがついてまいります。その要請を受けまして関係四省庁でこれを協議いたしまして、要すれば先方に参りまして、先方の関係当局と協議をし、詰めて、借款の供与限度額というものを定めまして供与いたします。この借款の供与限度額の中で、今度は相手国の政府がその借款を有効に使ってもらうために、通常は競争入札を行ってもらうということになっております。したがって、その限度額の中で相手国政府が一番いいものを一番安い値段で入札で獲得するという道を、システムを、スキームをつくってあるというのが今の制度でございまして、それが借款の目的とするものに合致していれば、そのコストが、一体メーカーがどのくらいの利益を上げてどうなっているかというのは、むしろ企業がいろいろと工夫をされて行われる内容の話でございますから、その内容に立ち入って調べるということは本来できないことですし、すべきことでもないのじゃないかと思われます。
#73
○稲葉(誠)委員 そんなことはないので、私の言うのは、最初の段階でいろいろなプロジェクトといいますか何といいますか、計画を練って出すわけでしょう。出すときに既にもう上乗せしてあると言っているのです、この人は。実際にやっているのです、この人は自分で。だから、体験に基づいて言っているわけですから、これは二〇%も三〇%も上乗せされて借款要請をやっているというのですよ。日本政府はそのことは十分承知の上で、その金額をのんで出しているんだということをはっきり言っているのですよ、この人は。だから私は問題だということを言っているので、あなたの言われるのはその後の話なんだよ。公開入札だとかなんとか後の話をしているので、私の言うのは、最初の段階でもう既に上乗せされているのだ。日本政府もそれを知っているのだ、あるいは知り得べき状況にあったんだ。だけれども、それをどういうふうにしてか、怠慢であったのか、知っていて知らぬ瀕したのかどうかわかりませんけれども、それをそのままのんでやっているんだ。だから過大に日本の国民の税金というものが支払われておるんだ。こういうことを私は指摘しておるわけです。この人は、それは後で返ってくるんだからいいじゃないかと言うけれども、返ってくるといったって、ずっと後の話ですね。私はそのことを言っているので、だから、こういうふうにはっきり一問一答でずっと言っているわけですから、そういう点を、実際のフィリピンとの間の借款関係がどういうふうに政府との間で行われて、それがどういうルートを通じて、いろいろなルートがあるらしいですけれども、ルートを通じてフィリピン側に渡って、そして借款の実現という形になるのか。こういうことを明らかにするためには、本委員会におきまして、この米山敏男という人を証人として喚問して事実関係を明らかにしていただきたい。それでないと、この委員会を何のために開いたのかわからなくなってしまう。それだけのことをやはりやらなければいかぬですよ。私は、それは当然過ぎるぐらい当然だと思いますので、この米山敏男というシーランドの社長を証人として喚問することを要請いたしておきます。
#74
○原田委員長 今の稲葉委員の御提案については、理事会で相談をいたします。
#75
○稲葉(誠)委員 じゃ、終わります。
#76
○原田委員長 次に、河上民雄君。
#77
○河上委員 今稲葉委員からの御質問がある中で、もう既に明らかになっていると思うのですけれども、政府の姿勢というのは、証人喚問の要求に対しても、企業名の公表、その一切の経緯について十分承知しながら、政府、与党一体となって真相究明を拒む逃げの姿勢に徹しているような感じがするのです。これでは、今稲葉委員も言われましたように国民の期待に反することは言うまでもありません。この特別委員会を設置した意味さえないのではないか、こんなふうに思うのでありますが、もう一度外務大臣、当初外務大臣は非常に積極的に疑惑を晴らす、こういうふうに言われたのでありますが、今日一体どういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
#78
○安倍国務大臣 これは、我が国としてもマルコス文書でいろいろと問題が出てきた、そういうことで日本の援助について疑問が持たれるということになって、日本の援助そのものが適正かどうかということすら問われるような事態になったわけですから、これでは、せっかく日本がこれまで努力を続けてきました援助、これからも拡大しなければならない援助というものに大きな傷がつくことになりかねない。私も非常に心配して、やはりこうした疑惑というのは明らかにする必要がある、解明する必要があるということで、政府は政府なりにできるだけのことをしなければならぬということで、これまでも調査を進めてきておるわけでございますが、問題は、だんだんと煮詰まってくると疑惑の焦点といいますか、フィリピン政府とそしてフィリピン政府が発注した事業の受注者、その企業が日本の企業、それとの関係ということになってきている。そして、その手数料がマルコス政権に渡っているかどうかということに絞られてきておる。それはまさにフィリピンの問題、第一義的にはフィリピン政府の問題であるということでございますので、我々はやはりそういう意味においてはその第一義的なものがただされなければならない。そこで違反があれば、違法があれば、これはフィリピン政府なりにおいて処理されるわけでありましょうし、そうして、それに関連して日本の企業が日本の政府、日本の法令等に違反するというようなことになれば、これは日本の法令に基づいて処理されなければならない、こういうふうに思っておるわけですが、今そういう意味でいろいろの面で関係者も、政府も、四省庁で合同して話を聞いておるわけですし、解明については政府なりに努力を続けておることは今、私が申し上げたとおりでございます。
#79
○河上委員 今外務大臣は、この問題は日本側にもいろいろただすべき点があるが、フィリピン側にこそいろいろただすべき点が多い、そういう理解のようでございますが、それであればあるほど、先般自民党の、与党の武藤嘉文氏がフィリピンに行かれまして、フィリピン政府要路の人から打ち明けられた、日本政府と与党がいわば一体となって情報のリークの防止を要請されたということ、また、六月二十二日、参議院選挙まではサロンガ委員長またはダサ委員等の訪日はちょっと好ましくない、また、調査結果は外交ルートでやってほしいというようなことが日本側から要請されている、こういうふうに言われておるのでございますが、こういうことを先ほども外務大臣、それはうわさとして否定されました。このうわさを打ち消すために、この際まず政府はもう少しはっきりとした態度をとるべきだと思うのでありますけれども、先般オンピン大蔵大臣が日本に来られましたとき、だれとだれに会って帰られましたか。
#80
○安倍国務大臣 オンピン大蔵大臣がお見えになったときは、私はもちろん会いましたし、大蔵大臣あるいは経企庁長官、通産大臣、その他基金の総裁、そうした関係者にはほとんど会われたのではないだろうか、非常に精力的に会われていかれたわけであります。
#81
○河上委員 そうすると、平泉さんもお会いになったわけでございますね。
#82
○平泉国務大臣 面会の申し入れはございませんでした。
#83
○河上委員 電話等でお話しになったこともありませんか。
#84
○平泉国務大臣 ございませんです。
#85
○河上委員 恐らくフィリピンでもいわゆる女房論というので大変有名なはずなので、向こうでも注目しているのではないかと思うのですが、全然無視されたわけですか。
#86
○平泉国務大臣 接触はございませんでした。
#87
○河上委員 あるいは後でわかるようになるかもしれませんけれども、いずれにせよ、そういう政府、与党が一体となって、むしろフィリピン政府を抑えている、あなた方に来てもらっちゃ困る、また何か調査結果があっても、これを新聞記者とかあるいはフィリピン国内で、あるいは日本の新聞記者あるいは日本の他の政党にリークされては困るというようなことを言っているというふうにオンピン蔵相は受け取って、帰ったわけですね。
 このうわさを打ち消すために、ひとつ六月二十二日までにサロンガさんもしくはダサさんあるいはそれにかわるような人を招請、招致したらいかがでございますか、先ほど、それで困らないとおっしゃっているわけですから。外務大臣。
#88
○安倍国務大臣 サロンガ委員長についても、大使がいろいろとお話ししたわけです。サロンガ委員長も特に日本に来たいということは申し入れられておりませんし、我が国としても、今我が国独自の立場で調査も進めておるわけでございますし、サロンガ委員長は委員長という立場がフィリピンの中であるわけでしょうが、そういう中で日本が特別お呼びしなければならぬという状況にもないということで、政府としてサロンガ委員長の訪日を求めるとか要請するということは考えておりません。これは、ずっとお答えしておるとおりであります。
#89
○河上委員 そうすると、六月二十二日以降も必要があればお呼びするという考え方は、まだ残っているわけですか。
#90
○安倍国務大臣 別に今、日本政府としてフィリピン政府に圧力をかけるとか、日本とフィリピンの関係はそういう関係ではないわけですから、お互いに尊重し合わなければならない主権国家でありますし、そうした圧力的なものと言われるようなことをかけたことはございません。いろいろと話はオンピンさんとの間で我々も、これからの援助のあり方等についていたしましたし、それから援助を大いに日本も行いたいという意図の表明もしたわけですし、早く話し合いに入ろうということ等についても話をいたしておるわけです。そうした何か日本が圧力的なものをかけるという立場ではないわけですし、かけたこともありません。そういう中で、またオンピンさんもおいでになるわけですし、また近くラウレル副大統領もお見えになるという話も聞いておりますし、そういう意向であるということも承っておりますし、外交当局間の折衝といいますか話し合いも始まっております。今そういう中でサロンガ委員長を特に日本にお呼びしなければならぬという理由はないわけですから、二十二日という日にちはどういうことかよくわかりませんが、それに絡んで、それを踏まえて何か呼ぶとか呼ばぬとかいうことは、これは何も考えておりません。
#91
○河上委員 それでは、きょうは四省庁でソラーズ文書に出てくる関係企業の事情聴取をやった、その結果の報告があったわけでございますけれども、先ほど来、どうも何を聞いても、それは差し控えさせていただきますというようなことでございますが、少なくともこれは何社取り調べたか、取り調べておるという言葉はいかぬらしいですが、事情聴取をしたかぐらいは言えると思うのですけれども、何社でございますか。
#92
○黒田(真)政府委員 十二社に対して聴取を行いました。
#93
○河上委員 そうですか。
 外務大臣、これは最近発行されました週刊誌、週刊文春に出ておることでございますけれども、マルコス前フィリピン大統領がハワイでインタビューに応じておりまして、中曽根総理との間に自分はホットラインを常設しておった、必要に応じていつも話しておったということでございます。なお、この記事によりますと、いわゆるニューリーダーの人物評も出ておりまして、安倍は冷たいと感じたとイメルダは言っていた、こうなっているので、どうも安倍外務大臣はイメルダ夫人に大分嫌われておるようです。もちろん、余り好かれても今日となっては困ることかもしれませんが……。
 最近は、東京サミットを例に挙げましても、いわゆる首脳外交というのは非常に盛んでございます。そして、総理大臣のイニシアチブというのが外交の分野で非常に大きくなっておりますことは外務大臣自身よく御承知だろうと思いますが、外務大臣として、総理大臣と外務大臣と、外交における主導権、役割というものはどういうふうにあるべきだとお考えでいらっしゃいますか。
#94
○安倍国務大臣 やはり総理大臣が一番偉いですから、総理大臣を助けて外交に誤りなきを期するということが日本のために大事であろうと思って、一生懸命頑張っております。
#95
○河上委員 それでは、今一番問題になっております第十二次対フィリピン円借款の決定に際しましても総理大臣のイニシアチブというものはやはりあったというふうにお考えであろうと思うのでございますけれども、いかがでございますか。
#96
○安倍国務大臣 十二次が終わりまして、十三次にいよいよ本格的に入っておるわけでございますが、これはずっと事務的に詰めて、日本の場合はそういう行き方で積み上げ方式で援助しておりますから、特に総理大臣がイニシアチブを発揮してやった、そういうふうなことは承知しておりません。もちろん首脳会談等がございまして、そういう中でいろいろと議題になることは事実ですが、これについてもいろいろと積み上げてきておる。私は、これが日本の援助というものをある意味においては非常に確実といいますか、きちっとしたものにする大きな要因じゃないだろうか、こういうふうに思っております。
#97
○河上委員 今のお話でございますが、ちょうど第十二次を決定するときは、その前の年の八月、アキノ上院議員暗殺事件後、アメリカの資本が引き揚げたりいろいろしましてフィリピンの経済事情が非常に悪くなった、そういう中でフィリピンから日本の経済援助に対する要請が非常に強くなってきたことは御記憶だと思うのであります。
 ちょっと暦を振り返ってみますと、八三年の十一月、いわゆる日の出山荘における日米首脳会談というのがございまして、そのときの会談のまとめの発表が当時新聞にも出ておりますが、その中で既にはっきりとレーガン大統領からも対フィリピン経済援助について日本が積極的に取り組んでほしいという要請があったのに対して、中曽根総理がこれに合意をしたということになっております。
 さらにその直後、フィリピンの首相のビラタ氏でありますか、この人は、来日したときの単独記者会見でも中曽根首相は約束したと述べておりますし、それを打ち消したという日本政府側の発表もなかったのでございます。
 また、これは少し前の本でありますけれども「援助途上国ニッポン」、これは朝日新聞の取材班がまとめた本でありまして、今日の事態を予想して書いたものではありませんが、その五十九ページには、「一九八四年一月。正月気分も抜けきらぬ首相官邸の中曽根首相のもとに、一本の国際電話が入った。電話の主はマルコス・フィリピン大統領である。」云々ということで、いわゆるホットラインで、前から問題になっておる円借款を早く決めてくれ、こう言ったということになっておるのでございます。当時の新聞をいろいろひっくり返しますと、中曽根氏がしきりとあちこちで、フィリピンの経済援助を早くやらなければいかぬということを一月から二月にかけまして随所で話しておられるのであります。
 そういう経緯から見まして、中曽根総理のイニシアチブというものは非常に大きかったというふうに私は考えるのでありますけれども、もう一度そのころを思い起こして安倍外務大臣、少なくとも中曽根総理は非常に熱心に主張しておられたということについては十分同意されると思いますが、いかがですか。
#98
○安倍国務大臣 当時のことをいろいろと今振り返ってのお話でございますが、確かに状況としてはフィリピンの経済が非常に悪くなっておりまして、当時対外収支が大変厳しい状況に追い込まれておりました。そういう中でIMFが調査を始めるということにもなりまして、政治ももちろんアキノ暗殺ということを契機として不安定になっておる。それが経済にまでそういう状況になってくると、これはフィリピンも大変なことになるという心配を我々もいたしておりました。中曽根総理も、隣国のフィリピンがそういう事態になることは何とか避けなければならぬ、特に経済の面でフィリピン民衆に対して混乱を避けるように協力をしなければならぬというふうに考えられたことは私は当然だと思いますし、確かに総理もそういう意欲的なものは持っておられたように思います。そういう中で、私自身も国会でも何回か答弁をいたしましたが、やはりIMFの調査と並行して、このフィリピンに対する援助は行う。これはマルコス政権を助けるということではなくて、フィリピンの混乱した経済を救うといいますか国民生活に協力していくということでやらなければならぬということを強調した思い出があるわけでございますが、そういう立場で十二次援助というものも実行したことはそのとおりでございます。
#99
○河上委員 当時安倍外務大臣、外務委員会では、これは社会党を初め野党からいろいろ質問がありまして、また当時、殺されたアキノ氏の弟さんが日本に来られたりしまして、借款には感謝するが独裁主義を支えるのはやめてほしい、こういうような長期供与に対する反対の意向が日本の国内で示されたりいたしましたのを受けまして、安倍外務大臣は当時は割と慎重論であったような気がするのであります。そのためでございますけれども、当初五百五十億円余の商品借款をフィリピン側が希望いたしましたのに対しまして、全体の額は減ったということですね。それから。従来一次から数次にわたりまして対フィリピン援助につきましてはリインバース方式で来たのを、第十二次以降はLC方式を中心にというふうに変えられたと思うのであります。さらに、交換公文におきましては第十二次、第十三次ともに、フィリピン共和国政府は要請に応じ、いわゆる見返り資金の使用についての報告を提出するという項目を特に入れまして、フィリピン側が随時報告する義務を負う、こういうふうにされたことは私ども非常に強く記憶しておるわけでございますが、そのことは間違いありませんね。
#100
○安倍国務大臣 これは国会での御指摘もありましたし、やはり日本にとりましても大事な資金でございますから、したがってフィリピンに援助する場合においても、フィリピンでこれはちゃんと、きちっと使っていただかなければならぬ。特にフィリピンの場合においては政局等もいろいろと不安な要素があるので、その点は契約、取り決め等はちゃんとする必要がある。それでまた、これを実施する場合においても、本当にフィリピンの経済というものに直結する形で持っていく必要があるということで、私もいろいろと注意もいたしまして、いろいろな面でその点は事務当局としても、関係当局としても慎重に対応された、こういうふうに思っております。
#101
○河上委員 イメルダ夫人が安倍は冷たいと言ったのとそういうことと関係があるというふうに思われませんか。
#102
○安倍国務大臣 昨年のたしか十一月と思いますが、ソ連の帰りに日本に寄られまして、私は会談をしたわけですが、そのときにちょうど国会でいろいろとフィリピンの援助に対して指摘、批判等もあったわけでございます。したがって私は、そうした国会での率直な論議を踏まえまして、日本政府としても、フィリピンに援助する場合においてはこういう批判もある、そういう中であえてフィリピンの経済の困難というものを何とか切り抜けてもらいたいということで行うのであるから、十分日本政府の意図というものを踏まえてひとつきちっとやっていただきたいというふうな趣旨のことを申し上げたわけでございます。
 これが気にさわったかどうか知りませんけれども、後でそういう趣旨のお話もあったように漏れ聞いてはおるわけでございますが、しかしそういうことは別にいたしましても、当時としてはフィリピンの経済が非常に悪くなっておりましたし、国際収支も悪くなっておりましたし、私は政府として行いました十二次借款、それからまたそれに引き続いて行おうとしておる十三次借款、これはこれまでの日比関係から考えれば、日本政府のやらなければならないフィリピンに対する国際的な一つの役割である、責務である、こういうふうに思っておるわけです。
#103
○河上委員 十二次借款は、そういうようなことで総理の非常な、マルコス・中曽根のホットラインというのもあって、IMFの決定を待たず、相前後してでありますが、日本政府側としての決定がなされた経緯は大臣も御承知のとおりだと思うのでありますけれども、私は、十二次借款がこれまでの対フィリピン借款と違う一つの要素は額が物すごく多いということと、もう一つは、従来リインバースプロシーデュア、リインバース方式でまいりましたのに対しまして、この前細見総裁が言われておりましたが、LCを原則とするというふうになったところが非常に特徴だと思うのであります。しかも、今回こういうような疑惑を生じたというところに一つ大きな問題があろうと思うのでありまして、少しLCとリインバースの違いにつきましてまず伺ってから、十二次のLC方式、原則的にではありますがなぜLC方式にしたかという理由を伺いたいと思います。
#104
○藤田(公)政府委員 若干技術的なお話になって恐縮でございますけれども、商品借款供与をいたします場合に、今御指摘のようにリインバースメント方式、立てかえ払い方式と申しましょうか、リインバースメントの方式とLCスイッチ、信用状スイッチ方式と申しますが、両方の方式がございまして、我が国が供与しております商品借款は大体半分半分ぐらいの使い方になっております。
 現在商品借款供与をしております国について見ますと、例えばバングラデシュの場合にはLCスイッチとリインバースメント両方併用ということでやっておりますし、中国の場合にはリインバースメント方式を採用しておる、ビルマはLCスイッチである、スリランカは両方の併用、こういうような感じで、概括して申しますと大体半分半分でございます。
 それから、フィリピンの場合だけについて見ますと、今、委員が御指摘になりましたように、第一次から第七次までの間はリインバースメント方式という方式で商品借款を供与しておりました。十二次円借款になりまして今までのリインバースメントの方式をLCスイッチを原則にするということになった理由はなぜかという御質問でございます。
 リインバースメントの場合には、一応短期間ではございますけれども先に先方の中央銀行が立てかえ払いを行いますものですから、借入人に立てかえ払いにかかわる外貨負担が発生するという問題がございます。したがいまして、第十二次円借款のうちの商品借款供与に際しましては、フィリピンの国際収支の急激な悪化ということでこの商品借款の供与ということを行ったことにもかんがみまして、フィリピン側と協議いたしました上で支払い方式は借入人にとって資金負担が生じないLCスイッチ方式を原則とする、しかしながら、輸入契約額が二万ドル未満という小口の契約につきましてはリインバースメント方式も採用する、こういうことで出発をいたしまして、一九八四年五月七日に貸付契約が結ばれております。
 その後、しかしながら累次にわたりまして国会でも御注意を受けましたように、商品借款の消化状況が思わしくないという状況を踏まえまして、昨年の九月末をとってみますと三百五十二億円のうち三六%程度しか消化されていなかったというような状況も踏まえまして、我が方といたしましてはフィリピン側とも鋭意協議をいたしまして、いかにしてこの商品借款の消化促進を図るかということでいろいろな方策を講じてきたわけでございますが、その一環としまして、昨年の九月にリインバースメント方式についての制限も緩和をいたしまして、今まで一口二万ドルだったものを十万ドル未満ということに引き上げるという形で、手続の簡素化と申しますか手続の緩和を図ったということでございます。
 先ほど申し上げましたように、リインバースメントの場合には外貨の負担というものが確かに一時的には生じますが、LCスイッチと比べますと、銀行による信用状開設という必要がないものでございますから、相対的に、比較の問題として申しますと輸出入手続が簡素化されて消化の促進につながる効果があるということでございます。
#105
○河上委員 私も余りこういう取引の経験がないのでよくわからない。極めて素人的に解釈するわけでございますが、LC方式でいきますと、円借款ではありますけれどもどうも日本の円がフィリピン側に渡らぬで、しかも信用状開設というような手続も必要であるということである。それだけに使う側としては使いにくいという面があるのではないか。それに対しましてリインバースメント方式の方は、現金が直接向こうに行って、しかもレシート――この前の総裁の御説明では、購入の事実を証明するものがあれば金を出す、一片の紙だけでいいということで、もちろんこれは相手の信義を信頼するほかないのでしょうけれども、いわば金が勝手に使えるという仕組みになっておるというふうに理解してよろしゅうございますね。
#106
○細見参考人 非常に技術的なことですからお答え申し上げます。
 リインバース方式と申しましても、あるいはLC方式といいましても、基本的に、この場合でありますとフィリピンの外貨不足を援助する、いわゆる外貨援助、BP援助と称するものでありまして、フィリピン政府に必要な外貨を同本政府が貸し付ける。その場合に、LCであれ、リインバースであれ、実際に輸入されたものであり、しかもそれは、こういうものがふさわしいというあらかじめ取り交わしました約束に従ったものであるということでありまして、いずれにしてもフィリピン中央銀行に外貨である円が支払われることにおいては同じことでございます。
 いずれにしてもフィリピンに日本円というものは入る。ただその前に、フィリピンがもし外貨割り当てのようなことをやっておりますと、外貨割り当ての中へ食い込んでいくためにはLC方式の方がやりいい、つまり外貨割り当てを割り当ててくださいというスタイルをとった方がやりやすいし、それがIMFの指導もありまして外貨制限、為替管理はいかぬということになりましたら、必要な品目であればだれでもが輸入できるスタイルになりましたので、リインバースの方が先ほど藤田局長からお答えいたしましたように進捗が速くなるだろう。
 いずれにいたしましても、急激に起こった外貨不足を助けて、フィリピン経済にとって大事な、必要不可欠な――フィリピンの場合は、誤解もございますのでこの際あわせて申し上げておきますと、主として生産財及び生産に必要な機械類というものがこの商品借款に入っておるわけで、一部に言われておりますようなぜいたく品が入っているとかなんとかいうことは全く関係のないことでございます。いずれにしましてもフィリピンが産業をやっていく上にどうしても必要な素材を円を貸してあげることによって輸入できるようにする。ところが思うように消化できなかったのは、一つは手続も難しゅうございましたけれども、それにも増して基本的におくれましたのは、やはりフィリピン経済が非常に停滞いたしまして生産活動が進まなくなった、だから、原材料だとか機械だとかいうのは要らなくなってしまった、なかなか思うようにいかない、輸入してやってみてもうまくいかないということでおくれたというのが、私どもが考えておる真相でございます。
#107
○河上委員 今のような御説明でございますが、では、LCとリインバースメントの方式によるものと、割合で言えばどういうことになりますか。
 先般、上田委員の質問に対し、参考人として細見総裁がお答えになりましたのによりますと、「リインバースはむしろ例外、」でというか、LCの方が原則ということで、「つまり割合で申せば四割ぐらいがマキシマムぐらいに考えております。」という御答弁でございます。その四割というのが例外がどうか、これは大変日本語としてはおかしいと思うのでありますけれども、いずれにせよLCの方が、六、四ということの御説明でございました。そのように理解してよろしいですか。
#108
○細見参考人 お答え申し上げます。
 先ほど藤田局長からもお答えがありましたように、初めLC方式でやっておりましたので、ですから、私が覚えておった数字はLCが中心のときの数字でございましたが、その後リインバース方式になりまして、現在で申し上げますと、それが逆転してむしろリインバースが六割になり、LCが四割に変わっております。それはリインバースを導入してからぐっと変わったというわけでございます。
#109
○河上委員 そうなりますと、衆議院の特別委員会で総裁がお答えになりましたのは間違っておった、こういうことになりますね。これは、質問された上田委員に対してその点ははっきりとわびを言っておいてもらわないと困りますね。
#110
○細見参考人 不正確な記憶に基づきまして申し上げ、あるときの真実でございましたけれども、お答えしたときの真実ではなかったというわけでございます。
#111
○河上委員 そうしますと、これは私、対フィリピンの調査特別委員会の議事録を見ておりましておかしいなと思ったのでありますが、細見総裁は、いわゆる六、四である、LCが六でリインバースメントが四である、こう言われたのに対しまして、参議院の同じ特別委員会では、藤田局長は、六対十一というようなことでリインバースメント方式の方が上回っておる、こういうふうにお答えですが、そうなりますと、これは参議院の藤田局長の答弁が正しい、こういうふうに言ってよろしいわけですか。
#112
○細見参考人 フィリピンに例をとりますと、そのとおりでございます。
 ただ、私が間違って印象を申し上げましたのは、先ほど藤田局長も申し上げましたように、いろいろの国によっていろいろな方式をやっておりまして、どちらかといえばLCの方が多いというのは事実でございます。
#113
○河上委員 どうもこういう第十二次の対フィリピン円借款の中で、このLC方式とリインバースメント方式との関係というのは極めて技術的な問題であるかのごとく見えて、実は今回疑惑を生ずる一つの温床になっているわけでございますので、そういう御答弁、御報告は正確にしてもらわないと、これは大変困ったことだと思うのです。
 それで、この点は藤田局長の答弁が正しいというようにひとつ御確認をいただきました上で伺いますが、このリインバースメント方式が上回るようになりました時期はいつであり、またその理由はどこなんであり、また、そのことに関してだれがどの窓口に対してそういうふうにしてほしいと要求があったのか、その辺のことについてお答えいただきたい。
#114
○藤田(公)政府委員 円ドルレートみたいなものでございまして、実は時々刻々この数字が変わっておりますので、一番新しい数字を今御報告させていただきますが、四月末現在でこの商品借款の消化率を見ますと、二百二・四億円。総額が三百五十二億円でございますから、そのうちの二百二・四億円が消化されまして、これは消化率では五七・五%になります。
 この内訳を見ますと、リインバースメント方式が百三十三・八億円ということで六六・一%、それからLCスイッチが三三・九%、六十八・六億円でございます。
 先般参議院の委員会で御報告いたしましたときには、このリインバースの方が百十億円程度じゃなかったかと思います。(河上委員「百六億」と呼ぶ)はい。そこで、千一対六というお答えをいたしましたが、ここでもごらんのように、LCスイッチの方が実は、先ほど来の細見総裁の御答弁のように原則として出発しておりましたものでございますから、LCスイッチの方が多いままで推移しておりましたところ、昨年九月の規制緩和ということにも伴いまして、リインバースメント方式が現在専ら用いられているということの結果、ここ最近のこの増加分というのはほとんどがリインバースメントを用いて増加しているんだという結果であらわれていると思います。
 いつの段階で逆転したかというのはちょっと今、資料を調べてみなければわかりませんので、後刻正確なところをお答えさせていただきます。
#115
○河上委員 今のお話で見ますと、消化率五七%というようなことでございまして、総体としての円借款の約束というのは政府間で決まるわけですが、これを実際に実行する過程でなかなかそのとおり進まないことがあるということは今の御答弁でもはっきりしたと思うのであります。
 先日来、対フィリピン円借款の全客を知る上で非常に有力な資料というものが、フィリピン政府内部の資料でありますけれども、これにつきまして、ソラーズ文書のほかに社会党の調査団も入手して帰ってきているわけでございます。また、先般読売新聞にもそれが大きくスクープされておるわけでありますが、そこで非常に目立ちますのは、余った金を勝手に流用する、交換公文の目的以外に使用せられるということが随所に出ているのであります。また、この点につきましては、藤田局長も、限度額に達しない場合もある、限度額を超えることはあり得ないかもしれませんが、限度額に達しない場合もある、こういうことは認めておられるわけですね、日本側として。
 ところが一方、フィリピン側のいろいろな資料によりますと、余った金ができた場合にそれを目的外に流用しているという証拠が幾つも挙がっておるのでございます。ちょっともう時間がありませんので例を挙げませんけれども、これはいつでも提示することができるわけですが、この点について当のロドリゲス調達官は、先般、朝日のインタビューに答えまして、「追加注文や入札のことなど、いつも問題なく承認してくれた。この承認があったからこそ、仕事が進められたのだ」と言って、OECFがこれを十分承知しておったということを言っているのでございますけれども、OECFとしては、この点についてどのようにお考えですか。
#116
○細見参考人 OECFが追加的な部品とかあるいは追加的な機械のようなものについて追加購入を承認した事例は幾つかございますけれども、これは交換公文の精神の範囲内で、例えば洪水防止のための措置でありますと、ポンプの部品を少し買っておく、なかなか途上国で自給できるものではございませんから、その範囲で買っておくとかいうようなことで、交換公文の精神の範囲内でやっておると私どもは信じております。
#117
○河上委員 それじゃ、もしそれと違うことに、目的外に使用せられた場合、限度を超えているというふうに判断される場合はどういうふうにされるおつもりですか。
#118
○細見参考人 そのような事例は私はないと思いますけれども、先ほど来のお話のように、これは貸し付けの限度額でございますし、支払いは実際に購入された証拠書類、つまり船積み証券とかあるいはインボイスとかいうものに対して銀行が支払うわけでございますから、不必要なものに金が支払われることはないと私は思っております。
#119
○河上委員 ロドリゲスさんのいろんな証言やら、いわゆるロドリゲス文書と言ってもいいですね、フィリピン政府内部の資料ですね、これは社会党も入手しているわけですが、そこにはもう随所に、まあその辺は適当にやったらいいんだと言わんばかりの証拠が挙がっているわけです。ないと信ずると言うだけでは現在の疑惑を晴らすことはできないと思うのですが、またこれは後に、他の同僚委員から詰めていただきますけれども、そこが一番大きな問題だと思うのです。
 そこで、外務省にもちょっと伺いますけれども、外務省から我々委員にいろいろ資料、まことに不満足な資料でありますが、「フィリピンに対する円借款案件リスト」というのが我々に与えられておりまして、第一次円借款から十三次円借款までずっとこうございます。プロジェクトと商品借款、それを見ますと、古いところはどんどん完了しているわけです。ところがその金額が、例えば第一次円借款の場合は三十億二千八百万円というようなことでございますけれども、この金額はどれもこれも交換公文で約束された額でありまして、今のお話ですと、実行額との違いというのが随所に起きているわけですね。実行額の資料というのが我々にどうしても欲しい。これを提出していただけますか。
#120
○藤田(公)政府委員 ただいままで御提出申し上げております数字は、交換公文で公表されました限度額ということで、それ以降の数字は、契約の内容になるということで、御提出は申し上げてない状況でございます。
 それから、ちょっと一言つけ加えさせていただきます。先ほど御質問ございまして、後ほど記録を見てと申し上げましたが、商品借款のリインバース分とLC分の比率でございますけれども、昨年の一月末、ちょうど一年くらい前です、昨年の一月末の時点では、細見総裁が言われましたように、LC分が六〇%、リインバース分が四〇%という状況でございました。それで、だんだんリインバース分がふえてまいりまして、逆転しまして、逆転と申しますか、ちょうど同じくらいになりましたのが去年の七月末くらいでございまして、八月末からはリインバースがふえてきた、こういう状況でございます。補足させていただきます。
#121
○河上委員 それから、第一次から今日まで完了分について、プロジェクトと商品借款につきまして、私どもが承知いたしておりますのは交換公文で約束された金額だけでありまして、実行額につきまして、これは簡単なことでありますから、当然御報告があってしかるべきだと思いますけれども、ぜひそれをお願いいたします。いかがですか。
#122
○藤田(公)政府委員 これも、ただいま御答弁申し上げましたように、契約の内容にかかわる金額であるということで、今まで御提出いたしかねますというのが政府側の立場でございます。
#123
○河上委員 今お聞きになっておわかりかと思いますけれども、一番疑惑を生じやすい部分につきましての資料の提供を政府側は拒んでおるのでありますが、これはぜひ委員長において提出するように御努力いただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
#124
○原田委員長 ただいまの河上委員の申し入れにつきましては、理事会において相談をさせていただきます。
#125
○河上委員 それじゃ質問を終わります。
#126
○原田委員長 次に、水田稔君。
#127
○水田委員 マルコス疑惑の問題について外務大臣は、参議院の予算委員会でも、また四月の二十三日の本委員会、さらにきょうの稲葉委員の質問に対しても、こういう問題が起こったことについては率直に反省して、真相究明に努力する、こういうぐあいに言われるわけです。しかし、実際には資料は国会に出さない、これは委員長の責任ですが、証人もきょう現在まだ呼ばない、そういうことでは実際のこの疑惑の解明はできないと思うわけです。ですから、答弁されておることと実際この委員会で進んでいることと全然違うわけですね。本気で外務大臣がこの解明をやろうとしておられるのかどうか、私はまず冒頭お伺いしたいと思います。
#128
○安倍国務大臣 これはやっぱり、これからの日本全体の援助政策にもかかわることですから、私としましては、このマルコス疑惑ということで、日本の援助のあり方についていろいろと疑惑が持たれておるということは非常に残念でありますし、これを解明をしなきゃならぬ、こういうことで政府は政府なりに調査を進め、解明の努力をいたしておるわけであります。
#129
○水田委員 そこで政府からこの委員会には、ソラーズ委員会に出た、名前の挙がった十二社について事情聴取をした、これは強制力のない、いわゆる任意の調査ですから、真実かどうか私どもわからぬと思うのです。そこで、責任持って政府は政府として調査をするというのであれば、どういう資料をお使いになって事実を究明されるのか、その点をお伺いしたいと思うのです。
#130
○安倍国務大臣 マルコス文書とかあるいはまた政府がいろいろの政府という立場で得た情報あるいはまた関係者を招致して聞いたその説明の資料、そういうものをすべて集めまして、そういう中で真相の究明ということを進めておるわけであります。
#131
○水田委員 この前、二十三日の委員会で質問しましたところ、大体三年とか五年で、それ以前の資料はない。ということは、それらの資料がないのにどうやって調べるのですか。先ほどの報告の中にも、我が社における資料は古いものは捨てておるから答えられぬと言った会社が出ている。そういう調査で、この根深い長期にわたる疑惑が解明できると思いますか。それ以外にどういうことをやられるのですか。国民は、そういう御答弁で、そういう資料で、先ほど御報告のあったようなことで、まあ調べたけれどもそれ以上のものはなかったということでは理解できないと思う。あらゆる手を尽くして、いろいろな資料を集めて、その中で政府は政府なりにやっていく、国会は国会でやっていく、そういう中で初めてこの疑惑の解明ができるのじゃないですか。疑惑の解明というのは、大臣がもう何回となく言われるのは、第一義的にはフィリピンの問題だと。マルコスが懐に入れたことはフィリピンの問題で、我々はそれはどうこう言いません。国民の納めた税金がそのようなことに使われた疑いがある、なぜ日本でそれをとめることができなかったのか、それはどこに問題があったのかということを明らかにすることが我々の責任だ。だから、第一義的には国民の税金がどう使われたかということを、今の答弁では政府は明らかにできぬでしょう。どういう資料でやられるのですか。OECF、基金の方はどうですか。基金も答えてください。
#132
○細見参考人 交換公文に基づきまして借款が約束されまして、幾ら幾らの金額をこれこれのプロジェクトに借款として供与するということに決まりますと、私どもはその具体化に当たりましてその事業計画に従って、本来でございますと借款というのは、それこそ昔の借款のようなものでありますと、その場で一括、金を渡すというようなことが往々行われたわけでありますが、最近は必ずしもそういうわけではなく、行政能力その他に問題がある途上風との関係では、むしろその事業が進捗の過程において、その都度その都度支払いが必要になった段階で借款を実行するのがいいだろうということで、今やっておりますような入札の段階、契約の段階あるいは船積みの段階、それぞれの段階に応じて金融機関から支払いが行われるような、そういう仕組みをやっておるわけでございます。
#133
○水田委員 総裁、私はそんなことを聞いてないのです。今これだけの疑惑が持たれておる。そしてフィリピンで懐に入れたという話は全然別の話。OECFは出す場合、国民の税金を使っておるという気持ちがあるのなら、それがチェックできないでそういう不正な蓄財に使われた疑いが今持たれている、それに対してチェックできてないのですね。それは調査をして、今後はそういうことが起こらないようにしなければならぬ。では、どういう調査をやるのですか。基金も部内に調査委員会をつくって調査をする、こういうぐあいに報道されておりますね。じゃ何を調査するのですか。資料は、この前の委員会で、ないと言われた。ない資料で何を調査するのですか。今後そういうことが行われないという本当の保証のある制度をつくることができるのですか。何をもとに調べるのか、調査をするのか、その点を聞かせてください、そういう質問ですから。
#134
○細見参考人 借款に限りませず、対外関係というのはできるだけ正確な情報を入手するということが大事なことは、これは申し上げるまでもないことでございまして、そういう意味で、被借款国における国内事情というものを、できるだけ経済、政治全般にわたって情報を収集する。それから、場合によっては行政能力とかあるいは事業施行能力とかいうようなものについてできるだけ知識を積み上げていって、間違いのないようにやっていく、そういう情報収集ということが一つございます。
 それからもう一つは、いろいろな過程で、なかなか眼光紙背に徹することは難しいとは思いますけれども、できるだけの努力をし、識者の意見も聞いて、その過程で事柄が適正に行われておるかどうかということ、内部の資料でできることももちろんございましょうけれども、主としてやはりいろいろな実地についての情報というものを、極力外交ルートその他を通じて外務当局の御支援を得てプロジェクトの実情の把握というものに努めていき、さらに、でき上がりましたことにつきまして本当に相手国政府が要請しておったような効果が上がったプロジェクトになったかどうか、そういうものにつきましてできるだけ大勢の方にも参加をいただいて評価をやっていきたい、こういうふうに考えております。
#135
○水田委員 時間を限られておりますから、長々とわけのわからぬ答弁をしていただきたくないのです。何をもとに調べるのですか。いいですか、三年以上の前の資料はOECFにはない、だけれどもこういうことが起こらないようにどうするのかといったら、何の資料で調べるのですか。これは外務省も、局長答えてください。外務省もないと言っておる。ないものをどうやって調べるのかですね。国内にないんでしょう。どうやって調べるのですか。簡単でいいです。
#136
○藤田(公)政府委員 いわゆるマルコス文書と申しますか、ソラーズ小委員会から発表されました文書、これが公表文書としてございます。この分析等を関係四省庁で行いまして、先ほど来通産省から御答弁申し上げておりますように、それに基づきまして関係企業の方からのお話も伺っている、こういう状況でございます。こういう二つ資料がございます。それと、それから我が方が手持ちで持っている資料、これをも突き合わせでいろいろ照合、検討を行っている、こういうことでございます。
#137
○水田委員 ソラーズ委員会の資料というのは我我も党としてもらって翻訳しておりますけれども、それが全部の資料かというと、この資料はマルコス前大統領がフィリピンからハワイへ行くときにたまたま入れて行った資料、どういう意味か知りませんけれども。しかし、トラック何杯という資料がいわゆるマラカニアン宮殿にあった。そういうものはサロンガ委員会が全部今押収しておるわけですね。ですから、今持っておる資料でというのは、この膨大な資料の中のごくごくわずかなものですね。それで真相が、問題がどこにあったかということはわかるとお考えですか。
 それから、企業から聞いても、これは強制捜査権がない立場で聞くのですから、うそを言われても仕方がないわけですから。しかも前の資料はない。前の資料はないけれども、そこまで調べてみる必要はあるのじゃないですか。その点はどうですか。
#138
○藤田(公)政府委員 御質問を正しく把握しているかどうかちょっと自信がございませんけれども、確かにソラーズ委員会が公表されました資料というものがすべての資料なのかどうかということは、私どもも知っている立場にございません。またサロンガ委員会でいろいろ前政府の時代のことについての検討を始めておられるということは私どもも伺っておりますので、サロンガ委員会がいろいろの資料をお持ちになって検討をしておられるということは、あるいは事実かもしれません。基本的には、フィリピン側が前政府の時代のことを調査をしておられるというフィリピン側の問題でございますので、私どもはそうかなということで、それを見守っていると申しますか伺っているというのが今の状況でございます。
 私どもにつきましては、先ほど申し上げましたように、公表されました資料の分析を行い、かつ関係の方からのお話を伺うということを通しまして、その間もし我が国の国内の法律に触れるようなことが出てくるということでございましたら、関係の当局でしかるべき措置をおとりになるものと考えますし、私どもも、円借款を担当しております四省庁も、それに対応してしかるべき対応をするということが私どもに課せられた仕事かというふうに感じております。
#139
○水田委員 これまでの答弁で、この問題が解明できるような資料を政府は持っていないという感じがしますね。関係者を呼んだ、十二社の事情聴取をした、それ以外に何をやっているのですか。それで、これだけの根深い長期にわたるものが解明できるとは私は思わぬ。大臣は、委員会ごとに徹底的な究明をやっていく、反省もしておると言うのですね。だけれども、今のやり方で政府は本気でこの問題を解明するというあれは全く感じられない。トラック十何台分の資料まであるとフィリピンでは言っておるのですね。もちろんマルコスが持っていったかどうかは向こうの国の問題ですが、我が国からの円借款がそういう不正に使われたのではないかという疑いがあれば、国内で資料がないのなら当然向こうにお貸し願いたい、あるいは写しをいただけぬかということがあってしかるべき。それをやるのなら本気でやると言えます。大臣、本気でないからそういうことはしない、こう言うのですね。
 これは、先日サロンガ委員長に確認しましたら、野党がどこから手に入れられたか知らないが、我が国の記録はすべて公式の記録である、非公式なものは一つもない、こう私どもにサロンガ委員長も言っておられる。先ほど稲葉委員からもNHKのインタビューのことが話されましたが、私どもも四月十日、十一日に行ってサロンガさん、ダサさんに会いました。みんなどう言ったかというと、日本政府を怖がっておるのです。異常におびえておる。だれかおどしておるんじゃないかという雰囲気を私どもは感じましたね。
 そういう中で、例えばこの間のマニラの会議で大蔵大臣がアキノ大統領に、いろいろな情報が流れているが冷静に対処する必要がある、極めて慎重な言い回しですが、こういう形でいろいろな人がフィリピンのこのサロンガ委員会に圧力をかけておるんじゃないか。向こうの人は非常に神経質になっている。そのことは事実です。このことはどういうことになるかといいますと、円借款というのは向こうの人たちはお情けでお恵みをいただく、そういう気持ちはない、こう言うのですね。独立国家としてのやはり矜持を持っておられるのですね。そういう中で、工業先進国である我が国がそういう国々に経済援助している、やはりそういう対等の立場というのは持ちながら、そういう中で向こうでは、せっかく円借款で経済援助してもらったけれども、内部のことで大変不正蓄財に使われた、その点は真相を究明して、それは政府に取り返したい、国民のために使いたい、こう言っておる。その点については日本政府の協力もいただきたい、商社にも真実を語ってもらいたいとサロンガさんは私どもに言ったのですね。
 それに対して日本政府の今の、きょうのこの答弁を聞いても、この事実を聞けば、フィリピンの国民なり、フィリピンのアキノ政権のサロンガ委員会にしても、日本政府というのは非協力である、我々が思っていることに対してまさに協力しようという気はないな、国内でも今後こういうことが起こらないということをやろうという意思がないというぐあいにフィリピンの国民は思うでしょう。だから、大臣は反省しておる、徹底的に究明をする、こう言いながら、今これまでの政府の答弁、先月の二十三日ときょうの委員会の答弁で、まさにそういう意思がない、私はそういうぐあいに断定せざるを得ぬと思うのですね。
 ですから、この解明というのは、お互いの主権の問題があります。あるけれども、日本の政府の中に資料がないというのです。OECFもない。ないけれども、そこを調べるのに、フィリピン側は一次から全部あるのです。これは公式の記録だと言っているのです。何もお互いに主権を損なうような形でやる必要はないけれども、今後の経済援助がいい形で、フィリピンの国民に喜ばれる形でやられるのなら、相互に協力しながら、あるデータを出し合いながら、我々に出すのが嫌なら政府間でやってもいいと思うのですよ。そういうことをやられるお気持ちはないのかどうか、重ねて聞きたいと思います。
#140
○安倍国務大臣 政府としても努力して、例えば十二の企業から四省庁が合同で聞いたその内容、概要は説明したのですが、私はやはり解明には相当大きな役割をするんじゃないだろうか、こういうふうに思っております。我が国で問題が起こるときは、それは我が国の問題ですが、先ほどから申し上げましたようにやはりこのマルコス文書、それに伴うところのマルコス疑惑というのは、結局第一義的にはフィリピン政府の問題であるわけで、そこでマルコスさんの方へ渡っておるということになれば、それはやはりフィリピンの中で明らかにしていただいて、もしフィリピンで違法であるならばそれは違法措置としてそれなりに追及されるだろう、こういうふうに思うわけでございます。
 そういう中で問題点は明らかにしながら、しかし、我々はフィリピン政府との間では、オンピンさんもお見えになったから言っておるわけです。これは国会でもいろいろと御指摘もありましたし、これからの援助をやっていく上においては、さっきもお話がございましたが、こういうふうな疑惑が起こらないように、透明性を持った形で援助はやる必要がある。これは、日本とフィリピンの政府間で十分今後の援助のあり方についてはひとつ話し合いをしてやっていきましょう。今日までいろいろとマルコス疑惑と言われるような形で起こって、何か日本の援助そのものが非常に疑惑を持たれておる。何かフィリピンの国の再建に役立たなかった、ほとんどマルコスのポケットに入ったというふうなことを言われるのは我々としても心外で、日本はそれなりに援助を通じてフィリピンの発展のために貢献したという自覚を持っているし、またそれだけの効果を上げたというふうに我々は確信をしております。
 そういう中で、しかし問題が出ていることは事実ですから、そういうものも反省して、日比間でいろいろと、今後は透明性を持ってきちっといけるようにこれからやっていきましょう、こういう点では合意をしておりますし、そうした合意の上に立って我々としては一日も早く援助を再開をしなければならぬ、そういう気持ちでおるわけでございます。
#141
○水田委員 これ以上言っても水かけ論になりますが、まさに政府は手持ちの資料でこの問題の解明を十分できるとは全く思われません。
 委員長、これは国会がしっかりしなければだめだと思うのですよ。我が党からこれまで要求した証人喚問なり資料というのはぜひ出していただく、そのようにお図りをいただきたいと思うわけです。
 そこで、外務大臣にお伺いするのですが、ロッキード事件というのは民間の商取引の中で外国の公務員あるいは高官にわいろが贈られた、こういう問題なんですね。フィリピンの場合は国民の税金を使った円借款ですから。そういう中でさえアメリカは、一九七七年の海外不正慣行防止法というものをつくった。それはなぜかというと、アメリカの企業が外国の政府に対してそんな不正なことをするということが国家間お互いの不信を買う、まさにこういう点だろうと思うのですね。ですから、この問題の事実究明をすると同時に、最終的には今後の、これは円借款だけじゃなくて商取引を含めて、日本が経済力をもって外国へ覇権主義を持ってはならぬということであるならば、そういう点も、こういう立法も考えるべきではないかと私は思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#142
○安倍国務大臣 まず、いろいろの点を明らかにして、そしてこれからの援助を増大していくわけですから、そういう中でこうした疑惑問題というのが起こらないように、援助のあり方につきましてもやはり改善すべき点は改善をしていかなければならぬ、私はこういうふうに思っています。これは、そういう意味では国会の御議論等いろいろといただいております。そういうものも反省として十分勉強させていただかなければならぬ点であろうと思いますし、同時に、今お話がございましたアメリカのような規制的な法律をつくるかどうかということについては一つの御意見であろうと思います。しかし、これは例えば外務大臣だけで答えられる問題ではございませんし、今後の国会の御審議もいただきながら政府全体として援助というものを的確に、適正に行うようにするにこういう法律が必要であるかどうかという観点から、政府全体としてもこれは勉強もさせていただかなければならないことであろう、こういうふうに思います。
#143
○水田委員 十二次の円借款の交換公文が結ばれたのが八四年四月二十八日、その年の五月十四日には戒厳令がフィリピンにしかれた後の初めての国民議会の選挙が行われたときであります。先ほど来出ておりますように当時、暗殺されたアキノ氏の実弟であるアガピト・アキノ氏が来られた。あるいはまたフィリピンの日本の大使館に対して当時の野党の代表が、この借款はマルコスの選挙資金に使われるから、利用されるおそれがあるからやめてほしい、こういう要求があった。そういう中で三月の衆議院の予算委員会でもそういう質疑が行われたわけであります。そのときに外務大臣は、日比間の将来のために必要、相手方の選挙の時期とかにかかわらず事務的に流してきた、こういうぐあいに答弁されておるわけです。
 しかし、結果的に振り返ってみると、どうも十二次の借款はそう使われたのではないかという疑いが今日持たれておるわけですね。大臣は反省した反省したと言うのですが、結局、その当時この国会の中でそういう質疑を交わし、延期すべきだと主張した我が党の各委員の意見が正しかったことになるわけですね。ですから、反省というのはまさにこの点では、国会でそういう意見を言われながらそれに耳をかさずに事務的にやったのだ、結果的にはどうもそうではないか、こういう疑いが出ておるわけですから、まして大臣に責任はないとは言えないと思うのですが、この点についてどういう御見解を持っているか、お伺いしたいと思います。
#144
○安倍国務大臣 水田さんの今の御意見ですが、当時としてはフィリピンの国際収支等が非常に悪くて、このままではフィリピン経済がどういう混乱を起こすかわからないということで、IMFも調査に入って立て直しのために協力しようという姿勢にあったわけでございますし、我々も、長い間の友邦国ですから、これは何とかやはり、マルコス政権を助けるとかそういうことではなくて、フィリピンのそうした経済が破壊をするということは国民生活そのものに及んでくるわけですから、何とかこれは友好国としてフィリピン経済を支えていかなければならぬということで、これまでの既定路線の上に沿った円借を初めとする援助を進めたわけであります。
 しかし、いろいろと国会の御指摘等もあったわけで、この辺はやはり政治をするあるいは外交を進める場合においても、日本は議会主強の国ですから、そういう国会の御意見等も十分踏まえてやる必要がある、これはおろそかにすべきではないと私も思いまして、そういう点では、援助に当たりましては、例えば商品借款等の実行に当たっては相当注意を払うように指示もいたしたわけでございます。私は、この十二次の円借款がマルコス政権の延命とかそういうものに役立ったとか、ストレートに何かそちらに結びついたということはあり得ない、こういうふうに考えております。
#145
○水田委員 今も御答弁があったし、これまでの委員会でもずっと、役に立った役に立ったと言う。
 そこで、十二次の借款が八四年でございますが、八四年、五年、フィリピン経済がどういう状態であったか。これは経済企画庁長官は多少のことはあったと、この前言われたのですが、僕は多少のことじゃない、多少が国民の税金ですから問題だと思うのですが、フィリピン経済はどういうぐあいに推移したか。役に立ったのならフィリピン経済はどこかで底入れができていなければならぬと思うのですが、その点いかがですか。
#146
○後藤(利)政府委員 ただいまの御質問の点でございます、八三年、八四年、八五年くらいでようございますか。――どういう状況であったかという点で一番顕著に目立ちますのは、実質成長率が八三年では一・三%でありましたのが、八四年になりますとマイナス五%というようになりまして、それが八五年、やや持ち返しましたが依然としてマイナス四%という経済成長をフィリピンは遂げております。
 それから失業率も、これは完全失業とか不完全失業、いろいろありますけれども、当時フィリピンで発表されましたのは、例えば八四年では六%、六・一%という数字があります。昨今の失業率はもっと高い、実質一五%ぐらいじゃないかというようなあれもございます。
 それから、対外債務につきましては、大体八三年ぐらいから八五年にかけましては二百四十から二百五十億ドルというような形でありまして、さらに、外貨準備も八三年、八四年はやや、毎年いい方向に向かっておりますが、一番最悪の八三年では十億ドルを切った八・六億ドルぐらい、それから八四年においては約九億ドル、八五年になりますと十五億ドルというようなのが当時の経済状況でございます。
#147
○水田委員 ということは大臣、ずっと役に立った役に立ったと言うけれども、実際は、これは全部が本当に国民のために使われておればもう少しはその数字がマイナスが少なかったかもわからぬと我々は思うものですから、まさにそういう点では、マルコス政権の、アキノ暗殺以来の政情不安、そしてマルコス政権が崩壊する、そういう状況の中に、疑いとしては経済援助を本当に国民の経済にかけるよりはむしろ懐に入れたんじゃないかという疑いも、この数字からもわかるわけですね。役に立った役に立ったで大きいことは私は言われぬと思うのです。
 そこで、特に十二次の借款の中で商品借款についてお伺いしたいと思うのです。商品借款の対象品目というのはどういうぐあいにしてお決めになるのか、伺いたいと思うのです。
#148
○藤田(公)政府委員 一般的に商品借款の対象品目は、経済開発に役立ちます生産物と申しますか、原料、半製品等を対象にするということになっておりまして、我が国が商品借款を供与しております国との関係では、商品借款の対象品目を両国間で合意をいたしまして、その合意された品目に合致している生産物と申しますか商品の輸入金融を行うというのが商品借款の基本的な経済的な性格でございます。
#149
○水田委員 先ほどの稲葉さんの質問に対する答弁の中にもあったと思うのですが、いわゆる生産財――消費物資は入ってない、こういうことでございますね。そして、商品借款の場合、特別な事情のない限り消費財の借款はしない、こういうことになっております。間違いございませんか。
#150
○藤田(公)政府委員 経済開発に役立つということを目的にしておりますので、消費物資でございますとか、もちろん我が国の場合、軍事物資等不適当と考えられるものは対象品目からは除いております。
#151
○水田委員 フィリピン側の商品借款の要望リストの中にサバ缶詰、イワシ缶詰が入っているのは御存じですね。
#152
○藤田(公)政府委員 サバ缶詰、イワシ缶詰というのは無償援助の対象品目ではあると存じますが、商品借款の対象には入ってないのではないかと思いますけれども……。
#153
○水田委員 これはフィリピンの中央銀行が出した資料でございますが、十二次の商品借款の追加要望リストの中にちゃんと入っております。これは経済企画庁持っておられますね。私が経済企画庁の担当者に確認したら、このリストはあります、こう言っている。これはちゃんとあるのです。
#154
○赤羽政府委員 ただいま手元にあります資料を確認しておりますが、そういったような分類はございません。
#155
○水田委員 それじゃ、これをひとつ、ここにあるんですからね。これは中央銀行の出した原文ですが、そんなものもないんですか。それじゃ、このリストの中に消費財は入ってないと言うけれども、外務委員会の理事会に出された資料の中に石けん、洗剤、磨き剤、化粧品というのがありますね。医薬品というのがありますね。ビタミン等もあるのですよ。これは生産財ですか。
#156
○藤田(公)政府委員 まあ実際使われておりますのが、例えば工場等の勤労者向けの品物ということで入っているのではないかと私は想像いたしますけれども、ちなみに化粧品というのは対象にはなっておりますが、実績としてはゼロになっております。
#157
○水田委員 これ、確認してください。中央銀行の出したイワシ、サバ。ないというばかな話はない。そんなものも手に入れずに疑惑解明ができるわけがない。大臣の言うことと、実際にあなた、局長の言うことと違うじゃないの。
#158
○細見参考人 正確には後ほど調べてお答えいたしますけれども、間々要請が通ったかのように向こうが錯覚しておることもございます。その辺、調べてから御返事申し上げます。
#159
○水田委員 ソラーズ委員会から外務省に入った資料の中に、もうごらんになっていると思いますが、缶詰が非常に足りないということで、これはいわゆるドルの割り当てで一九七七年にマルコス大統領に対して四千五百万円のリベートを出すから、寄附するからとにかく大統領の御配慮を願いたい。これはソラーズ委員会の資料の中にあるんですね。それで、片一方では十二次の商品借款の中にサバ、イワシが出ている。それさえも、先ほど来答弁されている調査では、十二の商社から事情を聞いただけ。資料は三年、五年前のは全くない。手に入れることもなくてどうやって、この手にある資料だけでも、これは私、経済企画庁の担当者が来て、このリストは経済企画庁、持っているのかと言ったら、持っていますと。これは十二次の商品借款でフィリピンの中央銀行がOECFに出しておるわけですから、その中の追加リストの一番最初のところに、二次の追加リストの一番上にある。しかも、こういうものは政府が手に入れている資料の中にある。そういうこともありながら、それさえも調べぬで疑惑解明ができるわけないでしょう。
#160
○赤羽政府委員 先生のところへお伺いした者が、どのような資料を頭に置いておったのか、今照会をしておりますので、後ほどお答え申し上げます。
#161
○水田委員 ここへオリジナルのリストと、それから追加要望のリストが二つあるわけです。これをそれじゃこの委員会へ出してください。資料要求しますから、改めて。その間休憩にしてください。委員長、休憩にして、時間がないですから休憩にして持ってきてもらって、答えられぬというばかな話はない。これは、もう一番大事な商品借款のもとは、フィリピンの中央銀行からOECFに出されたものが答えられぬというばかな話はないです。休憩にしてください。
#162
○原田委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時四十二分開議
#163
○原田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。水田稔君。
#164
○水田委員 午前に私が申し上げました商品借款の要望リストというのは、向こうが出し、こちらが確認するはずなんです。それを出していただきたいと言ったのですが、それはないわけですか。
#165
○赤羽政府委員 けさほど先生から御指示がございました文書につきまして私ども探したわけでございますが、その点につきましては公式の文書として受け取っておるということではない、こういうふうに考えております。
 なお、御質問ございましたイワシ、サバの缶詰につきましては、政府間で合意をいたしました第十二次の商品借款の現行のリストにおいては対象品目に含まれておりません。この点は確認をいたしました。
#166
○水田委員 リストはない、ないけれども含まれていないというのは、わからぬわけですね。これはフィリピンの中央銀行が一九八四年六月八日に国内の関係省庁並びに関係者全員に送った書類であります。商品借款の種類ですね、数量は関係ないわけですが、品目については当然OECFと協議がなければならぬ。その中に、これは一九八四年六月八日に内部的には出しておるということは、日本のOECFとの間には合意をした、そう当然考えられる。それが経済企画庁ですか、外務省ですか、ないというのはどういうことですか。なくて商品借款ができるわけないでしょう。
#167
○赤羽政府委員 けさほど先生がお示しの文書につきましては、文書の上の方をちょっと見せていただいただけでございまして、どのような文書であるのか正確には把握をしておりません。しかし私ども推測をいたしますに、あるいは日本に対して要請をする、その要請案についての一つの原案のコピーではなかろうかという推測をしておりますけれども、コピー自体全文を見せていただいて、その上で検討しないとはっきりした正確なことは申し上げられない、こういうふうに思っております。
#168
○水田委員 私は、休憩を求めたときに、この資料を出してもらいたいと言ったのです。というのは、これは過去のものではないのですね。現在十二次の商品借款でまだ進行中のものなんですね。それがフィリピン側の資料はある、日本側に資料はない。なくてどうやって、それはOECFなり外務省はこれはいいんだと言えるのですか。そんなずさんなことを日本ではやっておるのですか。向こうのことを言っておるのじゃないのです。日本にあるはずなんです。なければ商品借款はできぬわけですから。こんなばかな話はないでしょう。
#169
○赤羽政府委員 両国政府間で合意をいたしました現行の商品リストについては、その内容について御提出できる、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
#170
○水田委員 あるんなら、これは外国のものでも何でもないわけです。商取引の契約でも何でもないわけです。交換公文に基づいてフィリピンの中央銀行とOECFが協議するものですね。外務省ですか、協議して、そしてそれが役に立つか立たぬか、それは商品借款の原則からいえばおかしい、いわゆる消費財が入っておる。イワシ、サバが特徴的なものです、向こうから入っておるわけですから。そして一九七七年には、まさに商品借款というのが一番手っ取り早いリベートを取る疑いがあるというのは、ソラーズ委員会の中の資料に出ておるわけですね。
 それから、外務省が外務委員会の理事に出した中に、消費財でいえば医薬品がありますね、それから化粧品がある、あるいは洗剤がある、あるいはまた精製大豆というのがこのリストの中にもあるわけですね。そういうものがなぜ入るんですか。そういう点を明らかにしてもらわぬと、そういう疑惑があることを明確にするためにこの委員会をやっておるのです。政府も明確にすると言うんですね。資料は今現に進行中の商品借款についても資料が出せないと言うんですね。しかも、これは商取引じゃありません。政府対政府の関係ですよ。それを国会に出せぬということがありますか。
#171
○藤田(公)政府委員 数点御質問がございました。今おっしゃいました第一の現行の第十二次の商品借款の対象品国リストでございますけれども、これはただいま先生がお示しのように品目リストを三十七カテゴリーに分けまして、まさにそれがその品目リストでございますけれども、それを読みやすくしたものでございますが、そのリストは資料として外務委員会にも提出されておりますし、御要望がございましたらいつでも提出させていただきます。
 第二点でございますけれども、その中にイワシ、サバの缶詰が入っているものをフィリピン側の資料としてお持ちであるという御指摘でございますが、私どもが承知しておりますところでは、第十二次円借款の過程におきましてもそのお話が出てなかったと承知しておりますし、いずれにせよ合意した品目リストには入っておりません。先ほど経企庁の調整局長から御答弁申し上げましたように、その過程で、あるいはそれはフィリピンの中で何か、いろいろな要望というものが常にございますので、我が方に提示されないものとしてあったのではないかという推測が可能かと存じます。
 それから第三点でございますが、ちょっと先ほど私、舌足らずの御答弁で失礼を申し上げましたけれども、商品借款の対象品目とは一体何だということをよりきちんと法律に即して申し上げますと、相手国の「経済の安定に寄与するため緊要と認められる物資の輸入について、当該地域の外国政府に対して当該輸入のために必要な資金を貸し付けること。」こういうことになっておりまして、先ほど申し上げましたように第十二次の円借款につきましては、生産財、半製品、原材料ということになっておりますけれども、以前のフィリピンに対する商品借款ないしはほかの国に対します商品借款につきましては、緊急に必要とされる民生安定のための物資ということで、今御指摘になりましたような缶詰でございますとかそれから小麦とか、そういう物資が商品借款の対象として供与された経緯はございます。したがいまして、そういう民生安定物資というものを消費財というカテゴリーで観念をいたしますと、そういうものも対象になることはあり得るということで訂正させていただきます。しかしながら、十二次につきましては、先ほど申し上げましたように生産財、原材料を対象としておるということが申せると思います。
#172
○水田委員 合意した商品リストがあるというのです。私何遍も申し上げますように、これは今まで拒否された商取引とかフィリピンと日本の商社の勝手な取引の問題ではないわけです。これはもう政府対政府の間でやっておるのです。これはフィリピンでは交換公文が結ばれたのが四月二十八日です。六月八日に、あて先はフィリピン国立銀行及び全関係者となっておるわけです。内部的な手続は全部済んでOECFとも協議したということが書いてあるわけですね。そして手続なり資格者なり全部これは載っておるわけです。単に日本に対して出したということでなくて、それはどういう応募の手続から金額が幾らとなった場合どうしろとか、取引の仕方を全部書いて関係者に配付したものです。日にちから考えて、四月二十八日から六月八日の間までにそういう協議が当然なされておるはずなんです。その中に載っておる。載っていないと言うのなら、これは商取引ではないのですから、委員長、資料としてこの委員会に提出させてください。午前休憩の前にも、あると言うのですから、あるのなら出してください。どうしてこれと違うようになったのか明らかにしてほしい。サバ、イワシというのは一番疑惑のあるところ。
 それから、ほか触れていませんけれども、化粧品にしたって出ていないということで、化粧品を対象品目として認めるということ自体、一体何だ。あるいは洗剤というのは一体何だ。界面活性剤というのは洗剤のことですよ。そういうものをなぜ載せたのか。それは政府が当然出したらいいですよ、ある資料ですから。秘密にする資料では全くない。しかも現在進行中のものですから。委員長、これはぜひ出していただきたいと思います。
 時間がもうあと五分しかありませんから疑問だけ申し上げておきますと、そういう中では大豆、精製大豆、大豆の油がある。あるいは消費財ではないけれども、フィリピンでは輸出品になっておる銅がこの品目の中に入っていますよ。外務省は、非鉄金属で一括しておるけれども、銅なり亜鉛なりすずなり、そういうものを全部入れておるわけです。銅が入っておる。これはおかしいと私は思うのです。ですから、そういう点について、きょう時間がありませんから、ぜひ委員長、明らかにするためにその資料を提出していただきたい、こういうぐあいに申し上げておきます。
 あと五分しかありませんが、会計検査院おいでになっていますね。――お伺いしたいのは、当然OECFというのは国の金を使うわけですから検査できるわけですが、地方公共団体の公共事業等についてはいわゆるアスファルトの厚さまでとにかくやるわけです。ただ、OECFの場合、向こうへ行ってそういうことはできないのでしょうが、契約書には添付資料、そういう中には、例えば商品借款でいえば品目とか数量とか単価は入っているわけですね。そこらは適正ないわゆる商品借款かどうかという判断ではやりやすい問題があるわけですね。そういうところを検査されたことがあるのかどうか。また、政府は商品借款、これは民間の企業がフィリピン政府と、あるいは向こうの民間企業同士と言われるのですが、会計検査院法二十八条によりますと、検査対象外の者に対して資料提出を求めることができる、こういう規定があるわけですから、こういう点では、特に商品借款の場合が一番簡単でわかりやすいと思うのですが、そういうところから資料提出を求めて、このOECFの経済援助の資金の扱いが適正であったかどうか、そういうことをお調べになったことがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
#173
○秋本会計検査院説明員 お答えいたします。
 まず、OECFに対する検査はどういう視点で検査を行っているかという点でございますけれども、私ども一般的に申し上げますると、資金の貸し付けあるいは回収、管理、そういうものが適正に行われているかということが金融機関に対する検査の着眼点でございます。それから現在問題になりますプロジェクトにつきましては、LAあるいはLAに基づく個々の契約、その目的はそのLAに基づいて適切に行われて、かつ適正に計画どどり実施されているかという点で検査をいたしております。
 検査の方法でございますけれども、これはいわゆる交換公文あるいはLA、それからそれに基づきますところの関係契約、これの認証状況であるとか、あるいは事業の進捗状況の報告書であるとか、そういうようなもの、つまり基金において窓口でチェックが行われた資料について私どももそのまたチェックを行っているというのが現状でございます。
 それからもう一点の二十八条の点でございますけれども、基金は言うまでもなく二十二条の指定の団体でございますので二十八条を発動する必要はないわけで、それから今、商品借款について例えば資料を要求したことがあるかというお話でございますけれども、それはございません。二十八条によるものはございません。
#174
○水田委員 時間足らずで残念ですが、ただ外務大臣、これまでの経済援助で、日本の援助というのは要請主義ですが、そういう中でインフラ整備ということで大型プロジェクトが中心になっておるということですが、実際には、フィリピンの経済をずっと見てみますと、そういうことではなくて、むしろ農業、漁業がまだ中心の国ですから、いわゆる農林漁業の二次加工のようなものとか、そういうもう少し向こうの実態に合った援助を、この際反省して考え直すべきではないかということを意見として申し上げておきます。
 それからもう一つは、委員長、お聞きいただきますように、政府はソラーズ委員会のあれだけの資料だけ、そして関係者から聞くと、みんな資料はないと言うのです。政府も持っていないと言うのです。調べられるわけがない。あとは国会が本気でやらなければ国民は、経済援助に対しての国民の税金を使ってのこういう援助を承認しなくなるだろうと思うのです。常に疑惑が渦巻くということになると思うのです。そういう点では、我が党の各委員から要求のありました証人喚問、これはうそを言うたら処罰されるわけですから、そういうところでなければ本当のことは言わない、資料も提供さすことは――委員長はこの特別委員会の委員長で、与党の中の部会の委員長ではないのですから、そういう点でぜひ実現していただきますよう要望いたしまして、質問を終わります。
#175
○原田委員長 水田君の要望については、理事会において協議をいたします。
 次に、神崎武法君。
#176
○神崎委員 私が最近商社関係者から直接聞いたところによりますと、フィリピンに対する円借款、賠償時代からでございますけれども、リベートにつきましては当初が一〇%くらい、その後マルコス文書当時が一五%ぐらい、さらに二〇%に上がりまして、マルコス政権の崩壊直前には実に二五%にもなっていた、こういう話を聞いているわけでございます。このリベートを捻出する方法についてはいろいろあるようでありますけれども、一つの方法としてロードローラーやブルドーザー等の建設用機械、これによってリベートをつくるんだということも聞きました。これらのものは、価格は高いものでありますけれども、支払いが確実でクレームがつきにくい、したがって価格を値引きしても、その上にリベート代を乗せても利益が上がるんだ、そういうことを聞いているわけでございます。
 ところで、フィリピンへの我が国の円借款、第一次から第十二次の受注日本企業につきまして、私が直接フィリピンに参りまして入手した資料をいろいろ分析いたしますと、受注高のトップは東陽通商の三百十五億九千三百十一万、続いて二番手に酒井重工業の百十五億五千五百五万というのがあるわけであります。この二番目に高い受注をいたしております酒井重工業は、マルコス文書にも登場いたしますけれども、建設機械のメーカーでありまして、ロードローラーのトップ企業、シェアは実に七〇%を占めているということも言われているのであります。
 そこで、今回四省庁で企業の事情聴取を行ったということでありますけれども、このリベートの実態、特に私が申し上げましたロードローラー、ブルドーザー等について調査をされているのかどうか、この点をお尋ねをします。
#177
○黒田(真)政府委員 私ども四省庁共同いたしまして調査をいたしました点は、ソラーズ文書において円借款プロジェクトに関しコミッションにつき言及のある事項につきまして、主としてコミッションの支払いについての事実関係及びその後の資金の流れについての認識を中心に調査を実施したわけでございます。その結果、手数料支払いの事実関係については約半数近くのものについては文書記載どおりの支払いがあったという報告を受けたわけでありますが、残余のものについては確認はできなかったということであります。
 次に、支払いがあった手数料に関しましてその資金の使途についての認識を調査したわけでございますが、これは代理店の活動に見合う代理店手数料として支払ったということでありまして、各企業が輸出に関するニーズ、受注機会等についての現地情報の収集、提供、専門知識の提供、納品検査の代行等の物品納入業務など各種の役務について手数料を現地の代理店に支払うという通常の商取引の一部を構成するものとして支払っている、こういう認識が述べられているわけでございます。
#178
○神崎委員 一般論を伺っているわけじゃなくて、私が質問をした事項について調査されたのかされないのか、その点だけをお答えください。
#179
○黒田(真)政府委員 この調査に関連いたしました個別の事項についての御報告は差し控えさせていただきたいということで、概括的な調査の状況を先ほど申し上げた次第でございます。
#180
○神崎委員 ロードローラーの輸出統計数値を見ますと、年間一、三百台をフィリピンに輸出しておるわけであります。ブルドーザーについても平均五百台近い輸出があるわけでございます。このうち円借款によるプロジェクト絡みで輸出されているものがどの程度ああのかわかりませんけれども、もしこれらが借款の際の目玉商品ということになりますと、果たしてフィリピンで十分機能を果たしているかどうか問題となってくると思うのであります。
 現地をいろいろ調査をしたり視察をしている学者の方々が数多くいらっしゃるわけでありますけれども、一様にプロジェクトが中途半端に終わっているという指摘がなされているのであります。例えば早稲田大学の教授の菊池靖氏が中央公論の六十年の十月号で指摘いたしておりますけれども、フィリピンの「地方を旅してみるとよく分ることであるが、恐らく援助によって送られてきたであろう日本製のブルドーザーやショベルカーなどが時折沿道に、無残な姿で置き去りにされているのを見かける。」ということを指摘しているのであります。私も、実際この三月から四月にかけましてフィリピンに渡りまして、全く同じような光景にぶつかり驚いたものでございます。このように大変むだな援助がまかり通っている。しかもリベートを捻出するために、そういう建設機械か必要以上に輸出されているという疑いがあるというところに私は問題があろうかと思うわけであります。関係省庁、この点について十分調査をしていただきたい。企業への事情聴取については、やはりこの点も事情聴取をしていただきたいと思うわけでございます。それからこのロードローラーやブルドーザーの通関実績を見ますと、昭和五十八年まで、先ほど申し上げましたように、ロードローラーですと毎年二百台から三百台の輸出台数、ブルドーザーについては平均五百台ということでありましたけれども、第十二次商品借款の始まった五十九年から極端にこれらの建設機械の輸出が落ちているわけであります。昭和五十九年にはこのロードローラーで見ますと十一台、昭和六十年はわずか四台であります。これまでの十分の一、二十分の一以下に落ちているわけであります。ブルドーザーについても昭和五十九年は二十八台、六十年は三十台というように、これも十分の一、二十分の一以下に減少しているのであります。第十二次円借款、特に商品借款が大変多いわけでありますけれども、これが始まってから建設機械が極端に少なくなっているわけであります。フィリピン経済が大変厳しい状況になったという点もあろうかと思いますけれども、どうもこの点、私自身は納得がいかないのであります。もともとフィリピン側が必要といたします建設機械、これは少なかったのに必要以上に、この数からいたしますと輸出していたんじゃないか、こういう疑いもありますし、リベートの金額が、私が聞いた商社の方の言うとおり次第に金額がふえてきたとするならば、次第にリベートの捻出が難しくなってきている、したがって商品借款の方がフィリピン国内ではやみで二、三倍の価格で売れて資金づくりがしやすい、そういうことで商品借款という方法に切りかわったんじゃないか、そういう疑いも生ずるわけでございますが、この点いかがでしょう。
#181
○杉山(弘)政府委員 お答えをいたします。
 フィリピンに対しますロードローラー、ブルドーザーの輸出につきましては、ただいま先生の御指摘のとおり、五十九年、六十年、台数ベースでいたしますと減っておるわけでございます。この理由につきましては、今お触れにもなりましたようにフィリピン経済が五十九年、六十年と経済成長率でマイナスになり、またそれに伴いまして外貨準備等も非常に乏しくなったというあたりに私どもとしてはその主たる原因があるのではないかと考えるわけでございまして、今御質問の中でお触れになりましたように、商品借款が始まったのでというようなお話がございました。私どもの受け取り方としましては、輸出がそちらに振りかわったんで少なくなったのではないか、あるいはこういう趣旨の御質問かなと思ったわけでございますが、通関統計上はその支払いに充てられる資金が何であれ日本からの輸出につきましては通関統計に載るはずでございますので、御質問のような事情ではないのではないか、そういうふうに判断をいたしている次第でございます。
#182
○神崎委員 このフィリピンに対する商品借款につきましては、第一次から第七次まで行われまして、第十二次まで、その間なされていないわけであります。そして、第一次から第七次までを見ましても、この商品借款の金額はもう毎年減少してついにはなくなっていたわけであります。私の承知するところでは、商品借款を行う当初から日比政府間で商品借款は漸次減少させる、こういう合意があったと思うのでありますけれども、その点の事実はいかん。また、合意があったとすれば、どういう理由でそういう合意をしたのか。その点を明らかにしていただきたい。
#183
○藤田(公)政府委員 ただいま委員御指摘のとおり、フィリピンに対しましては第一次円借款より第七次まで商品借款を供与しておりまして、漸次減少しております。この商品借款の額は漸次減少いたしまして、最後の年が七八年でございますが、商品借款と申します援助形態は、そもそも国際収支上の困難を有する国に対しまして輸入の金融をするということが基本的な性格でございますので、商品借款の供与額の決定は、もちろん相手国側の要請を受けてでございますけれども、相手国側の国際収支、外貨準備の状況、それから他の援助国、国際機関の援助動向等々を総合的に勘案をいたしまして供与するかどうか、するとした場合にどのくらいの額の供与を行うかということを決定いたしております。したがいまして、フィリピンに対します商品借款の供与額も、毎年毎年の先方の要請を受けて決定いたしておりますので、一次から七次までの供与額がだんだん減少してきたというのは、当初そういう決定があって、それに基づいて減少したということではございませんで、あくまでも毎年毎年の決定の結果としてそういう形になったというのが恐らくは正確な御説山になるのではないかと思います。
 いずれにしましても、もちろん経済の状況がだんだんよくなってくるということを反映もしていると思いますし、それから基本的には、各被援助国とも商品借款という形態が相手国にとりましては非常に使いやすい援助であるということがございますので、商品借款の供与を非常に強く望むという傾向が一般的にございます。しかしながら、今度は援助国としての私ども日本の立場から申しますと、やはりプロジェクト中心主張と申しますかプロジェクト借款が本旨であって、商品借款というのは国際収支の厳しい国、困難に対して例外的に供与されるべきものであるという考え方が基本にあるものでございますから、少し経済がよくなると、もう商品借款は減らすないしはなくすという態度で臨んでいるというのが実際の状況でございます。したがいまして、商品借款を供与するに察しましても、相手国に対しましては、国際収支がよくなってきたらこれはだんだん減るないしはなくなっていくべきものであるよということは、フィリピンに限らずいろいろな場でその都度我が方の立場を説明しているという事情はございます。
#184
○神崎委員 ただいまの答弁によりますと、商品借款の当初、今後漸減するということで両国間で合意がされていない、こういう答弁をされましたけれども、外務省の経済協力局編の「転機に立つ日比経済協力」というものがありますけれども、この中で商品援助、最初の百四十四億円というところの注で「商品援助の金額は、今後漸減することで両国間で合意をみている。」こういうふうに外務省で、おたくのところのもので書いてあるのですけれども、全然違うじゃないですか。
#185
○藤田(公)政府委員 先ほど私も申し上げましたように、その記述は、相手国の経済情勢、特に国際収支の状況が好転するということに伴って商品借款というのは漸次減っていくべきものでおり、かつ最終的にはプロジェクト借款を中心にしていくべきものであるという我が国の基本的な考え方、立場というものを注記してあるものというふうに考えます。
#186
○神崎委員 きちんと両国間で合意を見ているということを自分のところの本に書いていて、そういう合意はなかったんだ、その状況によってそれは考えるんだというのは全くおかしな答弁だと私は思うのですけれども、それは結構であります。
 そうしますと、当初、漸次減少させるということにしてきた商品借款、その後全くなされていなかった商品借款、これを第十二次で復活させたわけでありますけれども、この点についていろいろなことが言われております。それも、外務省の説明も承知しておりますけれども、やはり伝えられるところのマルコス政権へのてこ入れとかあるいは大統領選挙での資金づくり、こういう点が本音の部分であったのじゃないでしょうか。
#187
○藤田(公)政府委員 これは先ほど午前の御質疑でも御提起がございましたけれども。一九八三年の特に後半に、御承知のとおりフィリピンの経済状況が極めて悪化したわけでございまして、当初は第十二次円借款につきましても、フィリピン側はプロジェクト借款という考え方でおりましたが、同年後半の経済情勢の悪化という状況を踏まえまして、商品借款で当面の急を救ってもらいたいという非常に強い要望がございました。その後、一九八三年末及び一九八四年の初めを通じまして世界銀行、アジア開発銀行等、それからオーストラリア等主要な援助国ないし援助機関が、フィリピン側に対して陸続として援助を供与するという状況でございまして、他方、IMFとフィリピン側との協議も実質的に煮詰まってきたという状況を踏まえまして、四月の末に我が方としましては、総額四百二十五億円のうちかなりの部分、三百五十二億円を商品借款という形で当面の国際収支の急を救ってあげるという形で供与を決定したというのが実情でございます。
#188
○神崎委員 以上の点は私の問題点として指摘をさせていただきますが、次に、対フィリピンの艦船の供与問題についてお尋ねをいたします。
 政府は、これまでの論議を見てきておりますと、日本企業によりますマルコス前大統領へのリベート支払い問題はフィリピンの国内問題である、日本政府はこれには関知してないのだ、どうもこういう立場をおとりになっているわけでございます。しかしながら私は、日本企業によるリベート問題、これは我が国でも重大な国内問題である、政府としても国民に真相を明らかにする責任がある、こういう角度から対フィリピンの艦船供与問題を取り上げてお尋ねをいたしたいと思います。
 いわゆるソラーズ委員会が公表いたしましたマルコス文書によりますと、一九七九年五月二日に東陽通商の小竹常務からマルコスの代理人でありますアンヘニット投資会社あての送金通知書がございます。これによりますと、フィリピン沿岸警備隊のLST三隻、支援艦船FS二隻、支援艦船YTS二隻、計七隻の修理に関して総計二億二千七百四十五万四千五百六十二円、契約金の一五%がリベートとして送金された事実が指摘されているわけでございます。同じく一九七九年十一月十二日の小竹常務のマルコスあての手紙、書簡によりますと、未完成プロジェクトの進捗状況報告として二隻の護衛駆逐艦DEの修理計画が報告されております。そこには、二隻の修理は昭和五十四年十二月二十日までに完了し、フィリピン沿岸警備隊に納入できるということ、それから修理費用の一五%の額を昭和五十五年一月中にアンヘニットに送金するということが約束されているのであります。この二つのマルコス文書によりますと、フィリピン沿岸警備隊の九隻の船について修理がなされていること、修理に関して東陽通商からマルコスの代理人に一五%のリベートが支払われたこと、または支払う約束のあったことが明らかになっているのであります。
 そこでまず、お手元に資料をお許しをいただいてお配りいたしましたけれども、この資料、一つは「フィリピンに引き渡されている艦船」、これは「通産省調べ」「防衛庁調べ」と書いてありますけれども、私の方の調査の結果を書いたものでありまして、米軍から防衛庁に貸与もしくは供与されていた艦船、これが昭和五十三年から五十四年にかけて米軍に返還された形でその後フィリピンに引き渡されている。この数については、私の調査では合計四十二隻。DE、これは護衛駆逐艦、フリゲート艦でありますが、これが二隻、LST初めその他のものが四十隻、計四十二隻ということになっております。
 まず、通産省にお尋ねいたしますけれども、米国から防衛庁に供与もしくは貸与された艦船で、その後米軍に返還され、さらにフィリピンに引き渡されている艦船の数、それから種類についてまず明らかにしていただきたい。
#189
○杉山(弘)政府委員 お尋ねのございました防衛庁が米軍から供与を受けた後米軍に返還をし、それがその後フィリピンに供与された艦船の隻数でございますが、私ども当時の輸出関係書類の保存期間が過ぎておりますので、厳密な意味での確認を経たというわけではございませんが、当時の関係者等いろいろ手を尽くしまして調査しました結果では、私どもの把握しておりますところでは四十四隻というふうになっておりまして、先生お示しの資料に比べますと二隻の相違がございます。
 その内訳でございますが、これも先ほど申し上げましたような前提の上でということで御理解をいただきたいわけでございますが、LSTが三隻、LSSLが四隻、LCUが三隻、FSが二隻、YTLが二隻、LCVPが三隻、LCMが二十五隻、DEが二隻、こういうような数字になっているというふうに今までのところ、結果では把握をいたしておるところでございます。
#190
○神崎委員 そうしますと、私の方で書いたこの「フィリピンに引き渡されている艦船数」という中でYTLですか、これが三隻でなくて二隻である。それからLCV何ですか、私の資料に書いてないもので言われたのは。
#191
○杉山(弘)政府委員 LCVPでございます。
#192
○神崎委員 LCVP、これが何隻ですか。
#193
○杉山(弘)政府委員 これが私どもの知り得た段階では三隻になっております。
#194
○神崎委員 三隻ですか。それで計四十四隻ということになるわけですね。――それからもう一つ資料がございますけれども、これは「米軍から供与又は貸与を受けた艦船でその後米軍に返還された艦船」、これは昭和四十九年度から五十四年度分を調べたものでありますけれども、この記載について、この記載が正しいかどうか、防衛当局にお尋ねをいたします。
#195
○山田(勝)政府委員 ただいま先生御配付の第二ページ目、三ページに載っております六十杯の資料は私どもの承知しているものと同じでございます。
#196
○神崎委員 四十九年以前にもちょっとあるんですけれども、LST、これにつきましては、今の資料の中では二隻、五十年三月三十一日除籍の船体番号八三五号のものと五十一年三月三十一日除籍の船体番号一〇六四号のもののほかに、昭和四十九年三月三十日に除籍されている船体番号六八九号のものがあると思いますが、その点はいかがですか。
#197
○山田(勝)政府委員 ただいま先生のおっしゃったように、この表には載っておりませんが、四十九年三月三十日に除籍された、番号、LST六八九番、千六百五十トンのものでございますが、先生のおっしゃるとおり、ございます、
#198
○神崎委員 そうしますと、また最初の表に戻って見ていただきたいのでありますけれども、通産省の御答弁ですとLSTについては三隻フィリピンに行っている。それから防衛庁の資料でも四十九年三月三十日の分が一つありまして、それを加えますと三隻、したがって防衛庁から米軍に返還されたしST三隻がいずれもフィリピンに引き渡されているということに結果的になると思いますが、いかがですか。
#199
○杉山(弘)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、資料上の制約等がございますので、私ども船体番号まで十分確認できるような状態ではないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、四十四隻中三隻のLSTが防衛庁から米軍に返還された後、フィリピンに引き渡されているということでは承知をいたしております。
#200
○神崎委員 それではジェーン年鑑で確認をいたしますけれども、これは一九八五年から八六年のジェーン年鑑でありますけれども、そちらの方に、コピーを皆さん方に二枚お配りいたしてあると思いますが、この二枚目、原本によりますと四百ページ、ここに赤で印をしておりますが、LSTの船体番号が書いてあります。六八九番、それから八三五番、それから一〇六四番、これは先ほど防衛庁の方に確認をいたした、防衛庁から米軍に返還されたものと全く同一のものでありますが、これがフィリピン海軍所属の艦船ということでここに明確に記載されておるわけでありますが、その点いかがでしょうか。
#201
○山田(勝)政府委員 先生御配付になりましたジェーン年鑑抜粋の二枚目左側に先生御指摘のようにしST六八九、LST八三五、LST一〇六四という記述がございます。そして、これはこの欄の下の方にいきますけれども、フィリピンではこの番組がLT五〇六、五〇九、五一〇と変わっておりますけれども、我々が米軍から供与されて使っていた、アメリカが命名した番号は、この先生のおっしゃった六八九、八三五、一〇六四番でございます。
#202
○神崎委員 そういたしますと、防衛庁から米軍に返還された三隻のLST、これはいずれもその後フィリピンに引き渡されて、現在もなおフィリピンの海軍の艦艇として使われている、こういうことになるわけですね。
 それからLSTだ、LSSLとかいろいろな名称が出ておりますが、それにつきましては二ページの下の方に私の方で注を書いておきましたが、LST、揚陸艦、それからLSSLも、これは書いてないが同じですか、LCU、いずれも輸送艦艇ですね。それからこの中でDE、PFとあるのが護衛駆逐艦、DE、フリゲート艦でありますけれども、先ほど通産省の方からDEについても二隻フィリピン側に引き渡されているという御答弁がございましたけれども、このDEについては、防衛庁から確認をいただいたこの資料によりますと、五十年の六月十三日にこのDE、護衛駆逐艦二隻、船体番号が一六八番と一六九番、いずれもトン数は千五百トンでありますが、これは米軍から貸与を受けていたものでありますけれども、五十年の六月十三日に除籍している、その後これがフィリピンに渡っているということでありますが、これもよろしいのですね。
#203
○山田(勝)政府委員 ただいま先生のおっしゃるとおり、これは米国からの貸与艦でございまして、昭和五十年六月十三日に貸与期間が満了いたしまして、私どもの海上自衛隊の船籍簿から除籍をして、かつ返還をいたしているものでございます。
 さて、それがフィリピンに渡ったかどうかについては直接は存じ上げておりませんが、このジェーン年鑑によりますとそういう記述になっておるという意味では、先生のおっしゃるとおりではないかなと思います。
#204
○神崎委員 そこで、このジェーン年鑑の原本でいいますと三百九十七ページでありますが、この船の写真の最初のところ、一番下を見ていただきたいのでありますけれども、ここにネーム、名前のところがあります。「DATU SIRATUNA」、これは前は「あさひ」、DE一六八番、それから「RAJAH HUMABON」、以前呼ばれていた呼称が「はつひ」、DE一六九番、こういうことで、先ほど私が申し上げました防衛庁で除籍された船体番号に符合した艦船が二隻このフィリピンの主力艦としてジェーン年鑑に登載されているわけであります。
 まず、防衛庁の方で除籍した二隻のこのDE、フリゲート艦が当時は「あさひ」と「はつひ」と呼ばれていたのかどうか、この点いかがでしょうか。
#205
○山田(勝)政府委員 このDE、護衛艦、千五百トンタイプのものでございますけれども、昭和三十年六月十四日に米国から貸与された、そして先生おっしゃるように「あさひ」、そして「はつひ」と命名されておったものでございます。(神崎委員「どういう字ですか」と呼ぶ)平仮名でございます。
#206
○神崎委員 そして、このジェーン年鑑の二隻のDE艦の説明の一番下に沿革が書かれております。それによりますと、「あさひ」と「はつひ」は最初米国から日本に昭和三十年六月十四日に貸与され、昭和五十年、米海軍に返還された。それから昭和五十三年十二月二十三日にフィリピンに引き渡され、昭和五十四年、修理と装備の近代化のために韓国に曳航された。両艦は、昭和五十五年二月二十七日に再就航した、こういうふうに英文で書いてあると思うのでありますけれども、この事実関係はどうですか。
#207
○山田(勝)政府委員 私どもが承知をいたしておりますのは、この記述のうち、まさに昭和三十年六月十四日に米国から貸与され、そして貸与期間が満了いたしました昭和五十年六月十三日に除籍をし、かつ返還をしているということが私どもの承知をしていることでございまして、それ以下の記述は私どもが承知をいたしておるものではございません。
#208
○神崎委員 私は、この記述がマルコス文書の小竹書簡に全くこれは符合していると思うわけであります。先ほども申し上げました昭和五十四年十一月十二日付の小竹書簡によりますと、
  東陽通商の名において契約したものではないが、当社が貴社に対して支払いの責任を負う下記プロジェクトの中間報告をいたします。
ということで最初に挙がっているのが
  二隻の護衛駆逐艦修理計画(DE)
  両艦の修理は七九年一二月二〇日までに完了し、フィリピン沿岸警備隊に納入できるものと期待している。
  売上金は一九八〇年一月中に「ピー・アンド・エヌ社」よりアンヘニットへ振り込む。送る額は一六四、七八五、五五四円で、修理純費用の一五%に相当する額である。
ということが書かれているわけでありまして、このジェーン年鑑の記載でも昭和五十四年に修理と装備の近代化のために韓国に曳航された、マルコス文書の方でも昭和五十四年十二月二十日までにこの両艦の修理は完了する予定だ、そのとおり符合しているわけであります。
 そこで韓国というのが出てきているのですけれども、この点は後でまたお尋ねいたしたいと思いますが、先ほど通産省の御答弁ですと四十四隻、日本の自衛隊の艦船、米軍から供与または貸与を受けたものでありますが、これが米軍に返還され、その後フィリピンに渡されているということでございましたけれども、そのフィリピン側に引き渡された後と思います、これはまた議論いたしますけれども、この艦船の修理、これが日本の国内で行われているようでありますけれども、この事実関係、どういう種類の船舶のうち何隻について日本国内で修理されたのか、これを明らかにしていただきたい。
#209
○杉山(弘)政府委員 先ほどお答えをいたしました四十四隻について申しますと、そのうち本邦で修理をされましたのは、私どもの調査によりますと十四隻ということに相なっております。先ほど四十四隻の内訳につきましても申し上げたわけでございますが、それとの関連で申しますと、LSTは三隻、LSSLが四隻、LCUが三隻、FSが二隻、YTLが二隻、以上の合計十四隻につきまして本邦で修理がなされたというふうに承知をいたしております。
#210
○神崎委員 この修理はいつ、だれの手によってどういう内容の修理がなされたのか、お尋ねをいたします。
#211
○杉山(弘)政府委員 いつという時点につきましては、極めて私どもの調査は限界がございますので、その点まで把握をしているわけではございませんが、修理の企業につきましては、たしか佐世保重工と前畑造船所というところだったかと思いますけれども、そういう日本の造船企業によって修理がされておるというところぐらいまではつかんでおるところでございます。
#212
○神崎委員 修理の内容、主にどういう点を修理したのか、その点はどうですか。
#213
○杉山(弘)政府委員 これもいろいろのようでございまして、船体の塗装をし直したりというごく軽微なところから、中にはバウの部分について取りかえをするとか無線機の積みかえをするとかというようなこともやったようでございます。
#214
○神崎委員 武器関連の修理はなかったのですかあるのですか。それから、その修理は専用部品の修理なのかどうか、その点をお聞きします。
#215
○杉山(弘)政府委員 先ほど申し上げましたように修理の内容も区々でございます。例えばバウの部分の取りかえと申しますのは、これはいわゆる武器に該当いたします艦船の専用部品というふうに見られますので、武器三原則等に申します武器の専用部品ということに相なるのではないかというふうに考えますが、船体のさび落としその他、これはまたごく一般的なことでございまして、いろいろ区々でございます。
#216
○神崎委員 そういたしますと、今の御答弁ですと、自衛隊が持っていました艦船、これを米軍に返還をして、その後それがフィリピン側に引き渡されている、その過程において日本の国内において修理がなされた、その中には武器輸出三原則に言うところの武器に当たるそういうものもあった、こういうことでよろしいでしょうか。
#217
○杉山(弘)政府委員 特定のものにつきましては先ほど御答弁いたしましたように武器に該当するものの専用部品ということでございますので、武器等三原則に言う武器に該当するもの、こういうふうに考えられます。
#218
○神崎委員 それから、ちょっとさかのぼって恐縮でありますけれども、通産省でお調べになったこの四十四隻、フィリピン側に引き渡された四十四隻、この引き渡しの時期、それと修理の時期との関係ですけれども、これは大体いつごろなのか、この点を大体のところで結構です。
#219
○杉山(弘)政府委員 御説明をいたしました四十四隻それぞれにつきましての引き渡し期日、修理の期日というのは、先ほど御答弁いたしましたような資料の制約等がございますので申し上げられないのでございますが、私どもが調査をした限りにおきましては、修理の時期は防衛庁から米軍に引き渡された後に行われたというふうに理解をいたしております。
    〔委員長退席、松永委員長代理着席〕
#220
○神崎委員 引き渡しの時期ですけれども、大体昭和五十三年から五十四年ごろだというような話も聞いているのですけれども、その点は大体のところはどうですか。
#221
○村岡政府委員 ただいま答弁申しましたように資料の制約がございますが、当時の担当者の記憶によるわけでございますが、おおむね先生の御指摘のように五十三、四年ごろだ、こう修理の時期は記憶されております。なお、フィリピンに米軍が引き渡した後修理をしたもの、こう理解しております。
#222
○神崎委員 今お伺いいたしておりますと、フィリピン側に引き渡した四十四隻、そのうちの十四隻について日本国内で修理がなされている、ところが護衛駆逐艦であるDEについては小竹書簡によると韓国にわざわざ持っていって修理してフィリピンに運ばれている、こういう違いが出てきているわけでありますけれども、そこら辺の背景ですね、この点はいかがですか。通産省にお尋ねいたします。
#223
○村岡政府委員 その辺の詳しい事情については承知しておりません。
#224
○神崎委員 通産省も含めて、この扱いについてもいろいろどうするか政府部内で検討したことはありませんか。
#225
○村岡政府委員 何しろ記憶に頼ることが多いものですから非常に不完全な形になりますが、大分苦慮をした様子がございます。
#226
○神崎委員 それは通産省内部で苦慮をしたというのですか。外務省、通産省、防衛庁含めていろいろ議論をして、どうするか、こういう点で検討した、苦慮した、こういうことでしょうか。
#227
○村岡政府委員 若干私どもの憶測が入ることをお許しいただきますならば、当時の苦慮は次のとおりだったようでございます。
 すなわち、本件の修理を行うに当たりまして、先生御質問のとおり、いろいろ部品を取りかえたり付加したりしながら修理を行ったわけでございますが、その修理を局限をいたしまして、これらの船は非常に長い間係留されていたために、さびがついておるだけじゃなくて自走航行能力がないというようなところから、自走能力をつける、フィリピンまでたどり着くというところに限定して修理を行うということにしたようでございます。先ほど杉山局長がお答えいたしましたように、バウドア、ランプというのが一部ございます。これらは専用部品でございますので、一応武器の部品という定義に該当するものではございますが、いずれにいたしましても当時といたしましては武器の武器たるゆえん、本質的に殺傷したり破壊をしたりというところは一切修理を認めないというところに大変苦労をしたというぐあいに私どもは聞いております。
#228
○神崎委員 いや私がお尋ねしているのはDE艦ですね、護衛駆逐艦、これの修理に関してあるいは引き渡しに関して政府部内でいろいろ御議論をされたのかどうか。そこでいろいろ苦慮したというふうに私は受けとめたのですが、その点いかがですか。
#229
○村岡政府委員 それは全く記録その他ございませんけれども、私どもの憶測によりますと、ほかの艦船に比べましてより武器たる要素が強い、こういう判断をしたのではないかと推測をしておるところでございます。
#230
○神崎委員 昭和五十三年の七月十八日付の朝日新聞によりますと、この前日のマニラ発共同電といたしまして在マニラ日本大使館の谷口参事官の述べたところが報道されているわけであります。これによりますと、「昨年、フィリピン政府から古いフリゲート艦を日本から購入したい、との打診があったが、」昨年というのですから昭和五十二年ということになると思いますけれども、「その際は武器輸出三原則との関連で断っている。」こういうことが伝えられてきているのです。フリゲート艦というとDEということになろうと思いますけれども、このフリゲート艦供与の要請ないし打診、こういうものが当時あったのかどうか、あったとすればいつどういう内容の依頼があったのか、この点をお尋ねいたします。
#231
○後藤(利)政府委員 ただいまの御議論を通じまして、昭和五十二、三年ころ米国が在日米軍保有艦船をフィリピンに対して贈与した経緯があるわけでございますが、その贈与に先立ちましてフィリピン側から私ども日本政府に対して直接艦船の供与方の要請がなされたという事実はございません。したがいまして、そのような現地のフィリピン大使館において何らかのあれがありましたときには、多分、その報道の伝えられるところが、私も読んでおりませんので定かではございませんけれども、直接日本政府に贈与を云々ということはなかったと思います。ただ、今も通産省からのお話がありましたように、仮にそれがアメリカの在日米軍の艦船でありましても、それをどのようにフィリピンに持ってくるかという点について十分武器三原則の問題という点は検討しなくてはなるまいというような形で今の谷口参事官のコメントがなされたのではないだろうかと推測する次第でございます。
#232
○神崎委員 同じく我が党の政審の方から外務省の方に照会いたしましたところ、昭和五十二年に、月日は不明であるけれども外交連絡メモによれば、在京のフィリピン大使館を通じ在日米軍の保有艦船のフィリピンへの供与計画に関連して我が国の港湾にある船舶の修理、搬出に関する所要の手続についての助力要請があった、こういう回答をいただいているのですが、これは事実ですか。
#233
○後藤(利)政府委員 お答えいたします。
 本件につきましては、ただいま御指摘のようにまず在京フィリピン大使館よりこのような贈与につきましての所要手続につきましていろいろな助力方の要請があったことは事実でございまして、それを踏まえまして私どもとしては、関係省庁、通産省とか防衛庁にこれをどういうように対応すべきかという点について御相談をし、従来御答弁されているような形での結果になった、こういうように御理解いただければありがたいと思います。
#234
○神崎委員 そうしますと、フリゲート艦を直接日本から供与してもらいたい、こういう要請はなかったけれども、昭和五十二年当時在京のフィリピン大使館を通じて、在日米軍が持っている艦船についてこれをフィリピンに供与する、そういう計画がある、これに関連して我が国の港湾にある、係留している船舶の修理、搬出に関する手続についての助力要請があって、これにこたえた、その結果が先ほど御答弁があった十四隻を日本国内で修理した、実際に修理したのは佐世保重工、前畑造船にせよ、そこで修理した、こういう経過になるわけですね。
#235
○後藤(利)政府委員 フリゲート艦という特定したものだけについてのことというよりは、一般的に今のお話のような艦船についての修理あるいはそれの搬出についての助力方を要請があった、こういうように御理解いただきたいと思います。
#236
○神崎委員 私がお尋ねしているのは、要請があったのはわかって、それで先ほど議論していたような経過になったという御答弁がありましたので、ですからその要請があって各省庁間で協議をしてその結果、いわゆる自衛隊が米軍に返還してさらにフィリピンに引き渡された艦船のうち十四隻について日本国内で修理することになった、そういう便宜供与というのですか、それを我が国政府としても援助要請に応じた、こういうことですかと言っているのです。
#237
○後藤(利)政府委員 御指摘のような御理解で結構でございます。
#238
○神崎委員 そうしますと、私は後でまた議論をしたいと思いますけれども、先ほど通産省の方の御答弁によりますと、武器輸出三原則に触れるようなそういう修理もこの十四隻の中にはあった。あったということが言われている。しかもその十四隻の修理に関して便宜供与を我が国政府が行ったということは、これは明らかに我が国政府が武器輸出三原則を踏みにじったということになると思うのですが、いかがですか。
#239
○村岡政府委員 先ほども申し上げましたように、当該艦船は比較的長い間係留されていましたために著しく老朽化しており、自航困難な状況にあったというのは御案内のとおりでございます。そのような状況からフィリピンに米国が引き渡す前に日本で修理をする、こういうことになったわけでございますが、その場合におきましても、その修理の内容というものは自航を可能とする必要最小限度のもの、つまりさびを落としたりペイントを塗ったりあるいはエンジンを取りかえたりというようなものが大宗でございます。
 ただ一部に、バウドアという、これもないと自走できない部品になりますが、このような部品を取りかえたという記録が残っているわけでございます。この部品につきましては、私どもの理解によりますとLSTに専用される部品であるということで、武器専用部品ということになるわけでございますが、要すれば本件は、武器三原則等によりまして慎むというぐあいにされております部品の輸出に形式的に該当するということ、この理解は先生と同じでございます。しかしながら実質的には当該部品というものが、武器の武器たるゆえんであるところの殺傷とか破壊力とか、そのようなものに影響があるわけではございませんので、そのような観点から、平和国家の理念に立ちまして国際紛争の助長を回避する、こういう観点に立ちました武器輸出三原則というものに実質的に触れてはいない、こういう理解で所要の手続をとったものと理解しております。
#240
○神崎委員 それは実質的にも形式的にも武器輸出三原則に明らかに触れるし、これを民間がそういう行為をしたというならば格別、これは政府が便宜供与依頼を受けて、そしてそれに応ずるという中で武器輸出三原則に明らかに違反する行為をしている、これは重大な問題だろうと私は思うわけであります。この点はまた追及いたしたいと思います。
 もう一点私が注目しておりますのは、同じくこのマルコス文書の中でありますけれども、この船舶の修理がなされる前の一九七七年、昭和五十二年十月十四日付の東陽通商の小竹常務からアンヘニット投資会社あての書簡が含まれているわけであります。その中で、ペンディングになっているプロジェクトの一つとして艦船修理を挙げておりまして、
  当該艦船(複数)の所有権は、今もって、米国政府ならびに一部は日本政府の所有権に属していますので、在日フィリピン海軍代表部は、それら艦船をわが造船所に回航することはできません。
  当社としては、現在、フィリピン海軍と共同して、引き渡し手続きを行っているところで、われわれとしては、引き渡しが近いものと期待しております。修理は各艦ごとに完成していき、そして、その引き渡しについては、フィリピン海軍によって開設される輸出信用状によって支払いをうけたいと思います。この業務は一九七八年五月までに完成する予定です。こういう記載がある。
 今私がお尋ねしているのは、米軍から防衛庁が供与または貸与を受けた艦船、これを米軍に返して、その後フィリピンに引き渡した、こういう事実でありますけれども、その中に明確に、今もって所有権が米国政府並びに一部は日本政府の所有権に属している、これは防衛庁から米軍に返還されていれば確かに米国政府に所有権が属している、これはわかるわけであります。ところが、一部は日本政府の所有権に属しているという記載があるわけであります。
 先ほどの私の方で御提出しました資料を見ていただきたいのでありますが、先ほどの小竹書簡の日付は五十二年の十月十四日付であります。この五十二年十月十四日以降の除籍の艦船として、「米軍から供与又は貸与を受けた艦船でその後米軍に返還された艦船昭和四十九年度〜五十四年度分」と書いてあるものの末尾でありますが、昭和五十四年三月三十一日にLCM、三百三十トン、これを二隻除籍をしている。これがまたいずれもフィリピンの方にその後引き渡されているわけでございますが、そういたしますと、小竹書簡にある、一部は日本政府の所有権に属している、五十二年十月十四日の段階で属している艦船というものが現にここにLCMとしてあるわけであります。それがその後フィリピン側に引き渡されている。しかも、小竹書簡で言われているように、フィリピン海軍と今共同して引き渡し手続を行っている、要請を行っているということであります。ということは日本政府も、フィリピン当局から日本の所有船舶、艦船についての引き渡し要請、これを米軍に返還する形でフィリピンに持っていく、そういうことを事前に知っていた、こういうことになるわけですが、どうでしょう。
#241
○杉山(弘)政府委員 ただいま先生から御指摘のございました二隻につきましては、私どものこれまでの調査ではフィリピンに引き渡されたということを確認するに至っていないわけでございます。小竹書簡との関係でなぜそういうことになったのかということにつきましては、場合によりましてはさらに調査を進めたいと思いますが、現在までのところでは、そういう事実を把握するに至っておりません。
#242
○神崎委員 フィリピンに引き渡されている艦船数、これは通産省の御答弁でも二十五隻ということであります。それから、防衛庁の方で除籍したLCM、これは二十四隻であります。一隻食い違いがあるわけでありますけれども、これは例えばLCMと同じCという艦船、艦種、これを供与した可能性もあるわけでありますけれども、これは二十五隻という内容からしても、全部フィリピンに行っているんじゃないですか。どうなんですか。調査した結果、そういう事実はないというのですか。
#243
○杉山(弘)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、私ども今までの調査では、先生御指摘のようにそれがフィリピンに行っているという事実は確認をされておりませんので、引き続いて調査をしてみたいと思います。
#244
○神崎委員 先ほども申し上げましたように、昭和五十二年の段階で、少なくとも艦船の修理、搬出に関する便宜供与の依頼がフィリピン側から我が国に対してあった。そしてマルコス書簡もこれを裏づけているわけであります。したがって、もし五十四年三月三十一日のLCMが明らかにフィリピン側に引き渡されているとすれば、これは明らかに政府が意図的にこの船舶を除籍してアメリカに引き渡す形でフィリピン側に引き渡した、こういうことになると思います。これは十分調査をしていただきたいと思うわけであります。
 それから、先ほどジェーン年鑑で指摘したわけでありますけれども、我が国から米軍に返還され、それからフィリピンに渡った艦船、これがフィリピンの現在の主力艦としてジェーン年鑑に載っている。LCMにしても、これはジェーン年鑑に載っているわけであります。このような、これは供与に協力をした、あるいは修理、搬出に協力をした、いずれか事実は今後調査しなければいけないと思いますけれども、いずれにせよ、そういうものに対する協力ないし便宜供与、これは我が国の経済援助のあり方からいって、私は許されないと思うわけであります。
 これまでの決議等を見てみますと、昭和五十三年四月五日「対外経済協力に関する件」ということで、外務委員会における決議があります。これは「今後とも軍事的用途に充てられる或いは国際紛争を助長する如き対外経済協力は行わないよう万全の措置を講ずること。」、それから昭和五十五年四月二十三日の「開発途上国に対する協力に関する件」、「武器輸出三原則を堅持する我が国は、開発途上国からの要請があつても武器援助は行わないものとすること。」、それから昭和五十六年三月三十日の「経済協力に関する件」、「軍事施設等軍事的用途に充てられる経済・技術協力は行わないこと。」、こういう国会の決議があります。
 さらに、昭和五十五年三月十一日、参議院予算委員会における大平国務大臣の答弁がございまして、「わが国の経済協力の基本的方針は、受益国の民生の安定に役立つもので、その国の希望によって、我が国がその持てる経済力、技術力を供与しようということでございまして、軍事力の増強に役立つようなものには、申すまでもなく、協力すべきものではないことは当然と心得ております。」こういうことを明言しているわけであります。
 私は、まだ部分的にしか解明されておりませんけれども、ただいま指摘したこういった政府のフィリピン当局に対する協力ないしは便宜供与、これは明らかに国会決議にも違反しているし、政府のこれまでの答弁にも反している、このように思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。
#245
○村岡政府委員 本件の艦船の修理の問題は、経済協力の一環としてなされたものではございません。ソラーズ文書等に出てくるわけでございますけれども、いわゆる経済協力とは別のカテゴリーでございまして、先ほど先生お尋ねの武器輸出三原則との絡みの案件かと考える次第でございます。
#246
○神崎委員 私は、精神は全く同じだろうと思うのですよ。
 ただいま短時間でありましたけれどもいろいろの点を指摘したわけでございますが、私は、フィリピンの海軍力強化のために実際に我が国のそういう協力ないし便宜供与というものが貢献している、それはこれらの決議あるいは政府の発言に明らかに違反するし、矛盾してくると思うわけでございます。この件につきましては、一つは、日本が持っている艦船、自衛隊が持っている艦船、これを米軍に返還する形態はとりながら、実質は日本からフィリピンに対して四十四隻もの艦船の供与、軍事援助をしたんじゃないか、私はそういう疑惑があると思うわけであります。さらにまた、修理という面、便宜供与という面を取り上げてみましても、先ほど御答弁にもありましたように、一部は明らかに、明らかにと言うのか、答弁では形式的にということでありましたけれども、武器輸出三原則に違反する行為があった。そのようなものを政府は承知しておりながらその便宜供与を行った。この点に私は重大な問題があると思うわけであります。
 ただ、私が今指摘いたしましたことは、本件の全貌というものを解明するに至っておらないわけであります。それは答弁者の方でも、まだ検討の余地がある、調査の余地があるということは御答弁になっているわけであります。そしてこの点で、東陽通商というものが全貌を知り得る立場にいることもマルコス文書で明らかであります。当然、この点についても四省庁として事情聴取をしていると私は思いますが、その点はいかがでしょうか。
#247
○黒田(真)政府委員 私ども四省庁で企業からの調査を行いましたのは、円借款に関連いたしますもののうち、あるいは逆に申し上げた方がいいのかもしれませんが、ソラーズ文書に記載がありましたもののうち円借款に関連するものということで調査を行ったわけでございまして、本件経済協力とは別の、いわば別途のある種の取引に関連した話というものについては、四省庁で調査は行っておりません。
#248
○神崎委員 私は、同じこの企業が同じリベートをマルコスのもとに送金している、しかもマルコス文書の中にその点も出ている、この円借款に伴う経済援助の中でこの事件も解明していかなければいけないと思うわけであります。私は、この点について政府の方で聴取する必要がないというのであれば、ぜひとも国会としてこの点本人を、東陽通商の関係者を呼んでいただいて、この場で明らかにしていただきたい、これを委員長に強くお願いを申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
#249
○松永委員長代理 ただいまの神崎議員の申し出については、理事会で協議をいたしたいと思います。
#250
○神崎委員 あともう一つ、海外腐敗行為法の問題についてちょっとお尋ねをいたします。
 我が国ではこれまでまだマルコス問題、このマルコスに対する日本企業の不正行為、リベートの支払い行為に対して刑事手続がとられていないわけでありますけれども、米国においては既に刑事手続がとられているわけであります。一つは、バージニア州アレキサンドリアの大陪審で米国の軍事援助に絡んだわいろ事件というのを審理いたしておりまして、この事件ではフィリピンのベール前参謀総長とフィリピンのココナッツ市場を支配していたエドアルド・コファンコが関係しているということで、この審理がされております。もう一つはピッツバーグの大陪審が、ウェスチングハウス・エレクトリック社がフィリピンで進めております原子力発電所工事に絡んでマルコス前大統領に多額のわいろを支払った、こういう事件を審理しているわけであります。まさにマルコスに対するリベートの支払い行為を刑事事件として審理をいたしておるわけであります。マルコス文書で日本企業と米国企業のマルコスへのリベートの支払いがいずれも明らかになりながら、米国では刑事手続がとられている、日本ではこれが全くとられていない。この点は時効の問題とか法律上の問題とかいろいろあることは承知いたしておりますけれども、どうも私としても割り切れなさを感ずるわけです。国民もそうだろうと思うわけであります。米国のこの二件の刑事事件、これはロッキード事件の反省によりまして一九七七年に成立した米風の海外腐敗行為法に基づくように思うわけでありますが、この点いかがでしょうか。
    〔松永委員長代理退席、委員長着席〕
#251
○後藤(利)政府委員 お答えいたします。
 御質問の件につきまして、御指摘のとおり米国の二カ所において大陪審において審理が行われておると承知しておりますが、あるいはこの点は先生の方がお詳しいかと思いますが、大陪審での審理は、問題の案件につきまして刑事事件として立件するか否かを決定するものでございまして、その審理の内容は一切非公表ということになっておりますので、いかなる行為についていかなる法律の違反ということで問われてこれが大陪審において審理が行われているかという点は、私どもは明らかでございません。なお、この本件大陪審の審理につきまして情報を漏らした者は、米国の法律においては処罰の対象になるということは理解しておりますが、今の御質問につきましては、これがあるいは海外腐敗行為法に基づいて行われたかどうかという点については、遺憾ながら私どもは明らかにいたしかねます。
#252
○神崎委員 私は、このアメリカにおけるマルコス問題への対応、これもぜひ今後マルコス問題、事件の真相解明と再発を防ぐという観点からも、この米国の対応に重大な関心を持って情報を収集していただきたい、そして国会に明らかにしていただきたい、このように思うわけであります。
 多分適用になっているのは海外腐敗行為法だろうと思うわけでありますけれども、これは、先ほど申し上げましたようにカーター政権時代の一九七七年に成立し、外国の政府公務員、政党または立候補者に対する金銭等の供与を明確に禁じ、これを犯罪というふうに見て厳しい刑事罰則を科しておるわけであります。立法形式としては証券取引所法の一部改正の形式をとっておりますけれども、私は、この種事件の真相解明の手がかりを得るためにも、我が国企業のクリーンなイメージ回復のためにも、今後我が国の海外経済援助が漸次拡大されていく中で再発を防止するために、米国のこの海外腐敗行為法と同様の日本企業による海外不正行為を規制する立法が必要である、このように考えるわけでありますけれども、関係省庁それぞれのお立場で御答弁をいただきたいと思います。外務大臣、いかがですか。
#253
○安倍国務大臣 政府としましては、対外援助を正規の手続に従って処理をしてきておりまして、その実施は適正に行われておると信じておりますが、対比援助に関連をいたしまして疑惑を招きかねないようなうわさもいろいろとあるわけでございますので、真相解明はできるだけ努力をしなければならぬと思います。その結果改善すべき点があれば改善に努めなければならぬと思いますが、今御指摘がございました点については、これは政府全体の問題でございまして、ひとり外務省だけの問題ではないわけでございます。いろいろと検討すべき点もあろうかと思われますが、一つの御示唆として承っておきたいと思います。
#254
○村岡政府委員 海外に進出しております我が国企業が進出先の国におきましてその国の法令を遵守する、あるいはその国の適切なる商慣行にのっとって活動するということは、私ども当然のことだと考えております。海外進出企業の活動につきましては、既にOECDの指針であるとか経済五団体の指針などができ上がっております。私どもといたしましては、関係企業がこのような指針にのっとって適切な行動をとることを強く期待するものでございまして、具体的に先生の御指摘の点につきましては外務大臣と全く考えを同じにするものでございます。
#255
○平泉国務大臣 企業の海外活動が経済企画庁の所管がどうか明らかではございませんが、私個人としては今の外務大臣の答弁の趣旨に賛成でございます。
#256
○神崎委員 以上で終わります。
#257
○原田委員長 次に、中野寛成君。
#258
○中野委員 私は、このいわゆるマルコス疑惑が話題に上りまして、そして今日こうして調査が進められているわけでありますが、そのときに最初に思い出した言葉があります。それは、十年ほど前になりますが、シンガポールのリー・クアンユー首相がこう言ったというのであります。豊かな国の貧しい人のお金で、すなわち日本の国民のお金でという意味でありますが、貧しい国の豊かな人々をなお肥え太らせている、こういうふうに比喩的に言われた言葉を思い起こすのであります。同時にまた、七年ほど前に東南アジア各国をめぐりましたときに言われましたのは、日本のこの海外経済協力のあり方について、フィリピンを初めほか二、三カ国の国の事例を挙げて、日本の援助のやり方は大変間違っている。ついこの間、それと同じ趣旨で、ある報道機関が、日本の海外援助は知らず、喜ばれず、感謝されずという言落を使っておりました。こういうことは今に始まったことではない。既に十年前から指摘をされておったことであります。
 先ほど来外務大臣は、適正に行われている、効果を上げている、こういうふうに思っているとおっしゃられておりますが、こういう指摘が昔からあったことについては御存じなのかどうか。そしてまた、それらのことについてはどう感じておられるのか。
#259
○安倍国務大臣 そういう批判は昔もありましたし、今も確かにありますし、私も聞いておるわけでございますが、しかし、全体的に見て、私は日本の援助というのは開発途上国の発展には大きく資しておると思いますし、そしてこれは客観的に見て開発途上国から大変評価を受けておると私は確信をしております。私自身も、アジアだけではなくて、アフリカであるとかあるいはまた中東その他の各国に参りまして、こうした日本の援助について非常に感謝をされた、感激をした経験もあるわけでございますし、これはこうした私の主観的な立場だけではなくて、客観的に見ても、私は日本の援助というのはいろいろの国際会議の舞台等でも評価は最近は非常に高くなっておる、こういうふうに考えております。もちろんいろいろと批判もありますから、そうした中で改善する点はやはり改善していかなきゃならぬ、こういうふうには思います。反省は必要だと思いますが、全体的には評価されておる、こういうふうに思っています。
#260
○中野委員 私の友人に聞きました。こういう海外援助のことについて比較的詳しい友人でありますが、例えばフィリピンのマルコス政権下での各省の局長クラス、こういう人たちでさえほとんど日本政府が過去二十数年にわたりまして巨額の経済援助をやっているということを知らないというふうに答えた、これは実際の体験談をこう話しておりました。私自身も、フィリピンへ七年ほど前に行きましたときには、いわゆる労働組合の人たちやいろいろな人たちにお会いしましたが、日本は何もしてくれないではないかということをたびたび言われました。そして、あの丘の上の病院、やれどこそこの道路と言いながら、あれはカナダだ、やれフランスだという名前が出てくる。
 こういう経験があるわけでありますが、外務大臣が接する方々という、その範囲だけしか知られていないのではないかという感じもするわけであります。むしろこれから新しい視点に立ってこの経済協力というのは組み立てられなければいけないと思いますが、そこで、この九日の新聞でしたか、「フィリピンのアキノ政権は近く、経済開発五カ年計画を発表するが、当地で得たフィリピン経済開発庁(NEDA)作成の草案は基本戦略として「雇用増大、農業中心の地域開発」を提案している。」云々、こういう報道がなされておりました。もちろんその中には、九項目にわたっていろいろと論議されているようですし、特に対外債務問題については、「債務繰り延べを推進し、今後は借款にかえ、無償供与を求める」とか、「債務繰り延べ交渉で利子率の引き下げなどを求め、債権国と負担を分かちあう」とか、「条件の厳しい債務については減額あるいは不払いを含めて再検討する―など」という、我々に逆に不安を感じさせるような内容もあります。
 こういう論議がなされていることは御存じでしょうか。そして、今後の対フィリピン経済協力はどういうふうにお考えでしょうか。
#261
○安倍国務大臣 やはり我々が援助する場合には、援助の大前提は開発途上国の自助努力であろうと思います。自助努力が大前提となって、それを補完するという形で援助して初めて援助というのが生きていくことになるんじゃないか。援助だけで国の経済がよくなるはずはないわけですから、基本的にはその国の自助的な努力というのが必要だろう。そういう意味では、今フィリピンの直面している事態は大きな改革を要すると私も思っております。農業改革であるとか経済改革であるとか、これをなし遂げないとフィリピンの真の経済の安定というのはあり得ないのじゃないか、私自身はそういうふうに考えております。そういう努力をこれからアキノ政権が行われようということについては、私もいろいろと情報も聞いておりますし、大変な期待を持っておりますし、そうした努力と歯車を合わせるような形で日本の援助というのを行っていくことも必要だなと、こういうふうにも考えます。十分その点は日比間で話し合って、本当に日本の援助が生きてフィリピンの経済の改革、そして発展に使われるように今後努力を重ねてまいりたい。やはり両国がしっかりと話し合うということが必要だと思います。
#262
○中野委員 もう一つ前提条件でお聞きいたしますが、今、自助努力とおっしゃられました。そのことはまさにそのとおりなんです。今度の問題は、自助努力といいますか、みずからの努力もしくはいろんな高度な技術を使いこなし得る能力、そういうフィリピン側の主体的な能力の問題と、それからもう一つ、いろいろな形でこの経済援助が悪い方に利用されたという疑い、その両方から今この論議がなされていると思うのですが、例えばその両方を兼ね備えたようなケースとして、先ほども御指摘がありました、例えばミンドロ、それからネグロス島においてダンプ、トラクター、パワーショベルカー、そういうものが野ざらしされている。その原因は、部品がないとか修理技術が届かない。しかし、そういうものを、むしろ必要ないものまで送り込んだということは果たしてないであろうか。また、フィリピン大学の社会科学研究センターのコンピューターというのは南向きに据えつけられている。日本であればこれは必ず北側に置かれたであろう。こういういわゆるちょっとした配慮のなさ、そしてそれが十分に使いこなせないという事態をよく見る。その理由にはいろいろあるのではなかろうか、こう言われるわけであります。
 そこで、結局今、この前からたびたび指摘をされていることでありますけれども、この供与に先立つ調査というのも形式的にしか行われていない、ゆえに、日本の総合商社が計画をまず立案をする、すべて手前に都合のいいように骨組みを脚色して、それをあたかもフィリピン政府がつくったかのごとく装って提出している、今までこれが繰り返されてきたんだ、だから、金もうけの道具に使われた、またはリベートを払って、そして当時のマルコス政権との癒着がそれをまた助長をする、そして日本の方は十分な事前の調査が行われない、これが今こういう事態になった最大の原因だ、こう言われる。そのいわゆるフィリピンの国内のその能力の問題と、それからそれは無視して金もうけに走るという日本側の問題と、その二つの問題が今あるのではないだろうか、こういうふうに感じるわけであります。必ずしもフィリピンの国民にとって必要なものがその度合いに応じて援助されたかということが疑問になるわけであります。それは確かに原則的に言えばフィリピンからの要請に基づいてやるわけでありますが、フィリピンが要請しないものが仕組まれた、こういうことが言える、こういうふうな指摘がされているわけであります。こういう指摘がなされていることについて果たして外務大臣は、さきのお言葉、日本の援助はうまくいっているというお考えとは別に、そういう部分が、少なくとも一部の国においては、むしろそういう正しい方の要素が少なくて、問題になるべきところが多いということはお感じにならないでしょうか。
#263
○安倍国務大臣 援助につきましては、日本政府としても援助の後のいわゆる評価というものを積極的にやっております。最近では、ただ外務省だけの評価ということではなくて、学識経験者、第三者の皆さんにお願いをして評価するというようなことも進めておるわけでございますし、これはやはり援助が本当に効果的に行われているかということを確保する意味においては非常に大事なことだ、フォローアップといいますか、大事なことだ、こういうふうに考えておるわけで、全体的に見れば日本の援助というのは、もちろん相手の国の政府と話し合うわけであります。政府のためにやっているわけじゃないのです。政府と話し合ってやるわけですから、政府からの要請に応じて日本がこれを受けて、政府対政府で十分事前にフィージビリティースタディー等もやる。積み上げをやって、そして援助の実施ということになっていくわけでありますから、日本政府としてはそういう点では相当時間をかけて積み上げてやっておりますし、そして相手の国の経済、民生の向上、発展のためにはそれなりの役割というものを果たしておる。成果を上げておる。これは後でいろいろと評価という形できちっと出ておる。全体的にはそういうふうに思っておるわけでございますが、今おっしゃるようなそういう面は全然皆無であるかということになると確かに批判を受けておる点もあるし、これはやはりこれからもっとそういうフォローアップ、評価という面で評価体制というものを確立して、いやしくもそうした批判を受けないように持っていく必要があるということは私も感じているわけであります。
#264
○中野委員 そこで次に進みます。
 フィリピン行政規律委員会のダサ委員が、日本政府が、直接とは言わないと思いますが、実際に向こうが感じるような形での圧力、いわゆるマルコス疑惑の解明に圧力を加えていると発言したと報じられているわけであります。外務省として承知をしておられますかどうか。それから、これはもうお答えを聞く前に言いますが、多分外務省がそう圧力を加えたなどということはないとおっしゃるであろうと思うし、私もそういうことはないであろうと思うわけであります。しかしながら、例えば外務省がやらなくても、政府がやらなくても、その意を受けてもしくはその意を察してそのたぐいの行動を起こし得ることは想像されることであります。こういう内容の真意について私は確認をされるべきだ思いますが、いかがでございましょうか。
#265
○安倍国務大臣 今のお話は私も聞きました。が、何か日本政府がフィリピン政府に圧力をかけて疑惑の追及を手控えさせるとか、そういうふうな誤解が出ておるかもしれませんし、そういうことも聞きましたけれども、そんなことは全く思い当たることはありませんで、フィリピン政府もアキノ政権が生まれたばかりで国民の圧倒的な支持を得てまさに再建の気迫に燃えておるわけですし、日本が圧力をかけるとかあるいは圧力を受けるというような立場では全くないわけですし、我我としてもアキノ政権の成功を祈っておりますから、そういう意味で激励こそすれ、圧力をかけてどうだこうだということは毛頭考えておりません。ダサ委員から直接我々は聞いておるわけではございませんで、そういうことが情報等で入ってきているということは非常に残念に思っておりますが、そういうことはないということをはっきり申し上げる次第です。
#266
○中野委員 念のためにお聞きしますが、そうするとこの疑惑解明について日本の企業の関与その他いろいろなことを含めて、このサロンガ委員会が事事実に関する限りはどのような解明の方法といいますか解明をしようと、また逆に日本側からの要請があって、例えば本委員会で、理事会でやるけれども、全党一致してサロンガ委員長を呼ぶなどという話し合いがまとまらない、それじゃ野党だけで呼ぼうかという話になって野党がお願いをして来てもらうというふうなことがあった場合にも差し支えありませんか。またそのことによって政府が、または与党が何かのことについて、いわゆる実質上の圧力になるようなことについての妨害をなされるということはないと思いますので、念のためにこれははっきりとフィリピンに向けておっしゃっておいていただきたいと思います。
#267
○安倍国務大臣 我々は政府として国会がとられる行動に対してとやかく言う、これは政府としての筋合いじゃありません。三権分立、最高の機関で、我々も国会議員ですから国会の役割というものは十分承知しておりますし、この国会の行為に対してチェックをするとかそういうことは考えておりません。
 フィリピンとの関係におきましても、政府としてはサロンガ委員長とかダサ委員をお呼びするということは全く考えてもおりませんけれども、政府がこれに関連して国会の御行動に対してまたとやかく介入するというふうなことは、そんな失礼なことをする意図は毛頭持っておりません。
#268
○中野委員 それではこの資料のことなんですけれども、政府の方は、フィリピンに対する円借款の資料はフィリピン政府が公表していない以上日本としては公表できない、こうおっしゃるのですが、少なくともこうして委員会で調査が行われているわけですね、そして我々は資料を公表されることを望んでいるわけですね、要求しているわけです。これに関してフィリピン政府が公表しないからというのではなくて、むしろフィリピン政府も協力する、こう言っているわけですね。そうするとその公表についてフィリピン政府と御相談をなさる、そしてフィリピン政府の了解の上で公表をなさるということはできないのですか。
#269
○安倍国務大臣 これはしばしばお答えをいたしましたように、本件のマルコス疑惑の主体というものは第一義的にはフィリピン政府とそれから企業との関係にある、こういうふうに考えております。そういう意味においてフィリピン政府がこれは第一義的に解明をされるべきであろうと思いますが、そのフィリピン政府が資料を公開されない、公表されないという立場である以上は、我々としてもたとえその資料の一部を持っておったとしても公表するということは、これは外交的に考えてもそういう日本の立場ではない、こういうふうに思っておりますから、フィリピン政府が公表しない限りは我々として明らかにするという意思はありません。
 それから、フィリピン政府に対しまして今フィリピン政府からの協力が求められておるというふうに我々は承知もしておりませんし、今の段階においてフィリピン政府に公開を求める、公表を求めるという考え方も持っておらないということであります。
#270
○中野委員 そうすれば、この委員会においてその公表を求めるということが決められて、そして政府に要請があったらフィリピン政府と交渉されますか。
#271
○安倍国務大臣 国会の御意思というのは、これは政府としては尊重しなければならない、そういうふうに思いますし、国会での御決定というものに対して政府がこれを尊重して、そういう立場に立って努力するのは、これはもう議会主義の本義だと私は思っております。
#272
○中野委員 改めて本委員会においてその資料の公表、そしてまたサロンガ委員長等の訪日要請についてお願いをしてまいりたいと思います。
 次に、もう一つ聞きます。
 この日本側からの調査に対する協力要請ではなくて、フィリピン側から調査に関する日本への協力要請がありましたか。もう一つは、調査に対する協力要請のみならず、例えば財産保全のことなど、そういうことについての要請はありませんか。
#273
○後藤(利)政府委員 お答えいたします。
 フィリピン側からそういう協力要請がありますれば、その協力の要請の内容を見まして私どもとしてはどういう協力ができるかということは当然に考えたいと思っております。それから財産の保全につきましても、これも同じようにその時点においてどういう要請があるか、具体的な要請を踏まえまして、私ども関係部局においてどういうことが可能かを検討することは当然であると思います。
#274
○中野委員 それでは、フィリピン側からの何らかの協力要請はまだないということですね。
#275
○後藤(利)政府委員 失礼いたしました、今のところはありません。
#276
○中野委員 それでは次に、ソラーズ文書に関する調査についてお尋ねをいたします。企業名は明らかにしない、具体的内容は明らかにしないと先ほどから繰り返して言われておりますから少々聞きにくいですが、あえてお尋ねをいたします。
 このソラーズ文書に出てくる内容に基づいて調査をされた。コミッションの支払いについての事実関係の確認、これは約半数がおおよそソラーズ文書のとおりであった、残り半分はまだ確認がとれていないということ、それから外為法上の件につきましても六件が適法に行われておった、こういうふうなことがけさ冒頭にお話がありました。その中で私が感じたことは、ソラーズ文書の中に出てくるいろいろな資料の内容で、これは事実と違う、もしくはそれを明確に否定した企業があったという報告はなかったと思うわけであります。現段階では不明であったり確認がとれなかったり下る部分はあるけれども、確認がとれた部分はソラーズ文書のとおりであったということであるのかどうか、もう一度お伺いいたします。
#277
○黒田(真)政府委員 お尋ねのソラーズ文書の中に、否定された部分があるかということだと思います。
 手数料の支払いに関しましてフィリピン側の内郡の関連文書に記載されております事項に関する部分につきましては、けさほども申し上げましたか約半数のケースについてはそのとおりの支払いか行われているという報告を受けたわけでございますし、残余のものについては文書が廃棄されている等の理由から確認ができなかった、こういうふうにお答えをしたわけであります。しかし他方、例えばカガヤンの電化プロジェクトに関しまして談合が行われた、あるいは関係省庁への協力要請を行ったというような記載、記述があるわけでございます。これは日本側の共謀者と申しましょうか、それが先方の政府に対して平たい言葉で言えば言いつけているわけでございまして、こういった部分についてはむしろ関係者がその事実を明らかに否定している、こういう関係かと思われます。
#278
○中野委員 言うならば自分が不利になる部分は否定をしたととれないこともないわけでありますし、それから、例えば数字として、結果としてあらわれてくる部分については認めたけれどもその経緯については否定したともとれるわけであります。この辺のことについてはどうですか。
#279
○黒田(真)政府委員 手数料の支払いに関しまして、その約半数のものはそのような手数料の支払いを行っているという形で、その記述については確認がされたということであります。
 他方御指摘のように、経緯その他に関する一方の当事者であったりあるいは第三者の状況に関する説明という部分については、他の指摘された当事者たちはその事実を否定したというケースが、例えばカガヤンのケースなどについては見られている、こういうことでございます。したがいまして、自分に不利といいましょうか有利と申しましょうか、その一方の人が状況に関してフィリピン側に状況を申し述べておる点については、必ずしもそのとおりではないんじゃないかということを当事者たちが言っておる、こういうことでございます。
#280
○中野委員 例えば言う人と聞く人とのとりようによって違う部分というのは、ある意味においては否定しやすいわけであります。またその部分については、ある意味では重要でない部分もあります。今そのことはおきまして、少なくともその具体的な結果とかリベートのパーセンテージであるとかどのくらい支払われたのであるかということについては、おおよそソラーズ文書というものが真実をついているという印象を私どもは持つわけであります。
 そこで若干具体的にお聞きいたしますが、事情聴取した企業名は明らかにしない、これは私はしていただきたいと思いますが、時間がかかるでしょうからあえて聞きません。何社から聴取したかだけでもお答えいただけませんか。もしくはソラーズ文書に出てくる企業すべてから聴取されたんでしょうか。
#281
○黒田(真)政府委員 調査対象企業は十二社でございます。
#282
○中野委員 それでは、どのような項目について説明を求められましたか。
#283
○黒田(真)政府委員 調査の主要項目は、ソラーズ文書の中に円借款プロジェクトについて、コミッションと申しましょうか手数料というようなものをフィリピンの代理店に対して支払ったと思われる記載のある部分について、その事実関係の確認と、それからその資金の使途についての認識というものを中心に調査を行ったわけでございます。
#284
○中野委員 それで約半数が事実を認めたわけでありますが、それでは、このリベートは随分高いリベートだと思うのですが、これはだれかに強要されたのかもしくは要求されたのか、そしてそれはだれに要求をされたのか、そういうことについての御調査はなさいませんでしたか。
#285
○黒田(真)政府委員 支払いがありました手数料に関して、その資金の使途につきましての認識の調査の結果でございますが、これらはすべての回答いたしました企業が、現地におけるフィリピン企業代理店としての活動に見合う代理店手数料として支払ったものだ、こういう答えでございます。したがいまして、これらが不明朗な使途に用いられる、あるいはだれかに強制されたというような返事はないわけでございます。そして、このような代理店手数料を支払うという点につきましては、各企業が輸出に関するニーズや受注機会等についての現地情報の収集、提供、専門知識の提供、納品検査の代行等の物品納入業務などの各種の役務に対し、手数料を現地の代理店に支払うということは通常の商取引の一部を構成する、こういう考え方を述べておるところでございます。特に一部の中小商社からは、現地に駐在員を多数置くことができない、極めてわずかの人数しか配置できないので、こういった商社にとっては、受注活動を展開する上で現地の代理店への依存度が高くならざるを得ないという指摘がございました。したがって、それに見合った役務に対する支払いというものも多くならざるを得ない、かような説明でございます。
#286
○中野委員 そして、このおよそ一五%のリベートというのはそれでは通常の常識的な数字なんですか。高いとは思わなかったのでしょうか。また、慣例化されているのでしょうか。もしくは向こうからそれだけのものを要求されるのでしょうか。
#287
○黒田(真)政府委員 けさほど貿易局長から御答弁を申し上げたところでありますが、昭和五十五年の外為法改正後におきましては、すべてこれらの支払いは自由になっておりますが、それ以前におきましては、一〇%以下のものについては外国為替公認銀行限りの承認でこれを認めている、一〇%を超えるものについては通商産業省の、現実には地方通産局でございますが、許可を要する、こういう制度が行われておりました。
 そして、年間の許可件数というものは、確かな記録はございませんが、約数千件あったのではないか。そして、その母数になる輸出の承認の件数が約二百八十万件ということでございますから、全体の中から見れば一〇%を超える手数料支払いというものはそれほど大きな数字ではありませんが、数千件というオーダー自身は、そういうことが商売の関係の中でその事情に応じて行われていたということの一つのあるいは例になるのではないだろうか。先ほど申しましたように、中小の商社等におきましては、現地に駐在員を置くかわりに代理店に依存するところが大きいというようなこともその一つの説明になるのではないか、かように考える次第でございます。
#288
○中野委員 調査された四省庁の皆さん方はそれで当然と思われたわけですか。
#289
○黒田(真)政府委員 そういう説明を受けて、特にそれに対してそうでないという状況も見出すことはできていないわけでありますから、そういう報告を報告として受け取った、かようなことでございます。
#290
○中野委員 我が党の調査団がフィリピンへ行きましたときに向こうで言われましたことは、マルコス政権がいろいろなダミー会社をつくって、そこへリベートを払い込ませる、その仕組みというものがまだ十分よくわからないんだ、そういうことをやっているということまではわかっているけれども、その先がわかりにくいんだ、こういうふうな答えをしたと言っております。しかし、それはマルコス政権が自分たちがリベートを集めるための機関としてそういうものをつくったというふうに明言をしているわけでありますが、先ほどの話で言いかえて聞きますと、それではそういう認識は日本のそういう企業にはなかったわけですね。むしろそういうリベートを払うことによってマルコス政権の御機嫌を例えるというふうに思ってなかったのですか。それは聞かなかったのですか。
#291
○黒田(真)政府委員 これら代理店手数料として支払われました資金が不明朗な使途に用いられるという認識はなかったというのがすべての企業からの回答でございます。
#292
○中野委員 それは本当はおかしいと思うのですね。既にもうフィリピンで商売をしていた人たち、私どもの友人とかそういう人たちから聞くと、むしろそれは常識化していたというふうに我我は聞くわけで、事情聴取ではそうお答えになった、それはそうお答えになったのでしょうからそれ以上我々としてはここで聞きませんけれども、しかしそのままで皆さんの調査が終わるとすれば、やはりこれは果たして何のために事情聴取をされたのかわからないというふうに思うわけであります。少なくとも日本の国民の財産もしくは血税が使われるわけでありますから、今後のためにもより厳しくこれらの調査をし、同時にまたその調査の上に立って明確な今後の方針を決めていただきたいと思うわけです。
 さて、それらの企業は支払ったリベートをどのように会計処理をされていたわけですか。それから、課税はどうなっているわけですか。
#293
○黒田(真)政府委員 代理店に対する手数料ということで、先ほども御説明をいたしましたように、現地において発生をいたしました役務に対する対価の支払いということでございますので、必要な経費として処理されていたというふうに考えるわけでございます。
#294
○中野委員 それじゃ、輸出申請書にもそういうふうに記載をされていたということですか。
#295
○村岡政府委員 お尋ねは、この輸出申請書にコミッションの比率、金額、その他記載があったか、こういう御下問だろうと思うわけでございますが、この輸出申請書に記載する場合というのは、ルール上非常に限定されておりまして。輸出代金額どこの支払い手数料というものを相殺するケースなどでございます。しかしながら、円借に絡まる経済協力案件の場合は、支払いの受領はOECFからちょうだいをするということになりますので、相殺というのは起こらない、こういう建前になっております。したがいまして、経済協力案件に絡むコミッションの支払いを輸出承認申請書に記載するということはなかったものと考えております。
#296
○日向政府委員 再三申し上げておりますように、リベートにつきましては、適正な売り上げ割り戻しまたは正当な手数料については課税関係が発生しませんが、それ以外につきましては、その実態に応じ、取引に関連する取引先等への支払いは交際費、それ以外の支払いは寄附金、または支出されたかどうか、支出されたとしてもその支出先が明らかでない場合には使途不明金として支出法人において課税されることになります。したがって、現在実施している調査の中で、このような課税上の見地からリベートの実態の解明にできるだけ努力し、その解明されたところに従って課税すべきものは課税するよう、適正な処理に努めてまいりたい、こう考えております。
#297
○中野委員 そうすると、大蔵省としての調査は今後とも継続をしていくということですね。今調査中であるということですね。
#298
○日向政府委員 リベートの実態の解明にはできるだけ努力しておるということでございまして、委員の仰せのとおりであります。
#299
○中野委員 それからもう一つ、この一〇%以上ものリベートを支払った企業というのは、借款の適正な使用を定めた海外経済協力基金法に違反するということはございませんか。
#300
○赤羽政府委員 海外経済協力基金に関する法律は、基金の活動につきまして規定したものでございまして、基金がお金を貸すのは相手国政府でございます。それで、相手国政府との契約関係によります企業の活動、これは基金法が規制している対象ではない、こういうふうに理解しております。したがいまして、こり基金に関連します法律に基づきましてそれぞれの企業の活動についての合法性あるいは違法性を論ずるのは適当ではない、こう理解しております。
#301
○中野委員 ちょっと質問を先に進めたいと思います。
 先ほど大蔵省から調査中というお答えがありましたが、以前、警察庁が、フィリピンから日本の政界にリベートが還流していたとされる点に関心を持ち、調査をしているというふうな御答弁を委員会でなさっておられるわけでありますけれども、その後やはり調査中でございましょうか、どうなっておりましょうか。
#302
○仁平政府委員 警察庁といたしましては、引き続き情報収集、入手した資料の分析、検討等に努めているところでございますが、現在までのところ犯罪となるような事実を把握するには至っておりません。
#303
○中野委員 今後ともその調査は、入手された資料等というのは膨大なものなのか、そうではないのか、我々が比較的マスコミ等で知り得ている、または手元にあるような資料程度のものなのか、まだその調査は導入部であって、まだこれから時間がかかるというものなのか、ほとんど調査は済んでいるけれども、疑いはそれほどなさそうだということなのか、どうなんですか。
#304
○仁平政府委員 私ども警察といたしましてはできるだけの努力をする方針でございますけれども、具体的にどのような捜査をしているかということにつきましては、捜査の内容でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
#305
○中野委員 さて、これから先のことですが、経済協力の改善に関する検討はどこで進めていくんだろうかということ。外務大臣の諮問機関であるODA研究会の評価部会で進めていくというお話も聞きますが、いつごろまでに案をまとめるつもりなんでしょうか。
#306
○藤田(公)政府委員 経済協力自体は、委員御承知のとおり非常に若い事業でございますし、常に改善の努力というのはいろいろな部門でそれぞれ進められていくべきものかと思います。ただいま御提起になりました外務大臣の私的諮問機関でございますODA実施効率化研究会、このODA実施効率化研究会が過去、昨年を通じていろいろ御審議をいただきまして、昨年末に非常に貴重な御提言をいただいております。この御提言を踏まえまして、今御指摘になりました評価という分野につきましては、評価検討部会という小委員会と申しますか、このODA研究会の一部会を発足いただきまして、鎌田前会計検査院長を中心にいろいろ御議論を願うとともに、本年の評価の重点国をフィリピンということで、現地調査の第一陣も農業分野についての協力ということで今現地調査を終えていただきました。引き続きまして、あと三つのグループに御訪問をいただきまして、できるだけ早く一つの評価の中間報告と申しますか、そういうようなものをまとめていただくようにお願いしたいと思っております。
#307
○中野委員 それから、現在外務省が行っておられます経済協力評価報告というのはどのような方法でつくられているのでしょうか。例えば、私の手元にちょっとあるのですが、六十年三月に発行された報告書によりますと、フィリピンのカガヤン・バレー電化事業は「事業費実績も概ね当初計画通りであった。」という評価になっているわけでありますが、何を調査してそういう結果になったのであろうかといろいろ調べてみますと、問題が多く指摘されるところでありますけれども、この辺の報告書の内容がどうも甘いのではないかというふうに思いますし、またそういう指摘もあるのですが、いかがでしょうか。
#308
○藤田(公)政府委員 ただいま御指摘のカガヤン電化につきましての評価の結論でございますが、このカガヤン電化事業が発足します前には、一九七七年でございますけれども、同地域の電化率というのは八戸に一戸の割合、二一%程度であった。これが日本の協力によります電化計画の完成後、一九八二年には三戸に一戸の割合、すなわち三〇%以上の電化率を見まして、その後フィリピン側が日本の協力の延長として自助努力で努力を進めておりまして、最近の経済困難で若干そのペースは鈍るかと思いますが、本年は一応計画によりますと電化率七割までを目指すというのが当時の計画でございました。そういう点からいいまして、おおむね我が方の意図しました経済協力の効果を上げているということをこの評価報告書では述べていると思います。
 この関連で、恐らく委員の御指摘は、このカガヤン電化計画というものがいわゆるマルコス文書に登場してくる、その点についてはきちっと評価してないではないかという御指摘かと思いますけれども、経済協力の評価活動自体は、当初の経済協力の目的としております事業がいかに効率的、効果的に達成されたかということを重点に行っているものでございまして、そういう点から申しますと、当初の目標をほぼ達する効果を上げているというのがこの評価報告書の結論かと存じます。
 ただ、先ほども申し上げましたように経済協力も若い事業でございますし、評価事業も日本に限らず各国ともまだ始まったばかりの事業でございますので、いろんな問題点等に直面しながら改善の努力を重ねていくというのが評価作業のあるべき姿かと存じますし、先ほど申し上げました評価部会の設立と申しますのも、私どもが中心になってやっております評価活動にさらに第三者的な視点を加えて評価活動の改善を図ってまいりたいという私どもの努力の一つのあらわれだということで御理解いただければと存じます。
#309
○中野委員 この評価報告の場合には、我々が今関心を持っている内容に関しての調査というのはなされていないと思いますし、これからは注意されるであろうと思いますが、十分この辺のことも注意して、これからの評価報告が行われるように要望しておきたいと思います。
 時間が参りましたから、最後にお尋ねいたしますが、現在その実施が凍結状態になっておりますフィリピンに対する第十三次円借款は、今後どのような手順でその実施が図られていくのでしょうか。今はフィリピン側から計画が出てくるのを待っているのでしょうか。日本側がストップをかけているのでしょうか、また、時にはアメリカとの三角関係でいろいろなことが取りざたをされています。むしろ、できるだけ引き延ばして、いろいろな取引に使うべきだという主張さえもあることを聞くわけであります。もっともっと本来の経済協力の趣旨に照らして純粋にこれらが判断をされて、いっときも早く正しい形でフィリピン国民のために役に立つよう利用されるべきだと思いますが、どのような手順に今後なりますか。
#310
○藤田(公)政府委員 十三次円借款は昨年末交換公文に署名をいたしまして、四百九十五億円に達しますが、この内容は二つに分けて御説明できるかと思います。
 一つは、百六十五億円分が商品借款でございまして、この商品借款分は、この十三次の前の第十二次円借款中の商品借款三百五十二億円分がただいまのところ五〇%余りのディスバースになっております。この十二次分の商品借款が九〇%以上実施されました場合に十三次の商品借款の貸付契約を結ぶということでフィリピン側と合意を見ております。
 それから、残りの三百三十億円分が十一の円借款プロジェクトに向けられておりまして、昨年末に合意を見たわけでございますが、その後、委員御承知のとおり、先方は新しい政府が成立をいたしまして、新しい政策に基づいて国づくりを進めていきたい、そういう観点から、この十一のプロジェクトにつきましても、ほとんどは民生安定、経済の開発ということで非常に結構なプロジェクトだとは思うけれども、前政権と比べて少し力点の違った政策をとっていきたいので、そういう点からレビューをしたいということで先方からのお申し出がございまして、その若干の部分、数のものにつきまして見直しないしはちょっと延期をして、残りのもの大部分について貸付契約を結ぶということでどうだということを先方から言ってまいっておりまして、現在両国で交渉中でございます。できるだけ早くお話し合いをつけてこの貸付契約の調印に進みたいということで、現在鋭意交渉を行っているという状況でございます。
#311
○中野委員 終わります。
#312
○原田委員長 次に、正森成二君。
#313
○正森委員 通産省に伺いますが、四省庁の取りまとめ役として、ソラーズ委員会の文書に出てまいります関係企業の事情聴取をされたそうであります。そのきょうの最初の答弁の速記録が起きておりますので、それで申しますと、
 約半数近くのものにつきましては、ソラーズ文書記載どおりの手数料の支払いがあったとの報告を受けました。残余のものにつきましては、既に企業側の文書保存期間が過ぎて文書が廃棄されておりましたり、あるいは相当の年月がたっておりますことから当時の担当者からも確認がとることができないといった事情から、記載どおりの手数料の支払いがあったとの確認はできなかったわけでございます。
こうなっております。
 あるいはこれとほぼ同事由からであろうと思われますが、村岡貿易局長の説明では、改正前の外為法上の適法な手続をとっていたことが資料により確認されましたものは六件でございます。ソラーズ文書に記載されております支払いについて、改正前の外為法上の適法な手続をとっていたか否かということが現段階では確認できていないものが残りの十四件でございます。
こうなっております。
 そこで伺いたいのですが、文書保存期間が過ぎているとはどういう意味ですか。
#314
○黒田(真)政府委員 各企業ごとにそれぞれ社内におきまして、文書の管理規程のようなものを設けておるようでございます。その場合、あるいは三年、五年、七年と物の軽重あるいはその社の方針によって違うわけでございますけれども、これらの調査に当たりまして、先ほど御説明をいたしましたように、幾つかの場合において社内基準に従って既に文書が廃棄されておる、したがって確認をするすべはない、かような返事が来たということでございます。
#315
○正森委員 早速もうきょうは、読売新聞の夕刊でございますが、この中できょうの午前中の審議が報道されておりまして、新聞から関係企業へその結果について問い合わせをしております。それを見ますと、「今回の事情聴取結果公表について東陽通商(現東陽テクニカ)では、「社内の書類の保存期間である七年以内のものについては、外為法に基づく送金許可証などをすべて通産省に提出して説明してある。それ以前のものについては、適法な送金が証明できなかったケースもあるが、法に触れるような送金方法をとったことはないはずだ」(条谷泉総務部次長)」こういうことで、東陽テクニカでは社内の書類の保存期間が七年以内である、こういうように明言しております。
 そこで伺いますが、すべての株式会社に共通して適用される商法の三十六条では「商人八十年間其ノ商業帳簿及其ノ営業ニ関スル重要書類ヲ保存スルコトヲ要ス」となっているはずであります。いつから東陽テクニカはみずからが守らなければならない商法の規定を勝手に無視して自分自身で七年間保存したらよいというようなことを決めるような、そういう超法規的な存在になったのか答えてください。そんなことを見過ごしていいのか。
#316
○黒田(真)政府委員 商法の規定の適用についてお答えいたしますにつきましては法務省にお願いするのが適当かと思いますが、念のため答弁が用意されておりますので申し上げますと、商法三十六条の記載は、十年間保存することを決めておりますのが重要書類であるということで、通常の解釈は貸借対照表等を意味するものであって、個別の契約書とか役所に出した申請書等々についてまでこの規定が文書の保存を義務づけているというふうには解されていないということだと思います。
#317
○正森委員 商業帳簿については商法の三十二条などに規定がございますけれども、しかし、税務署ではあらゆる書類は除斥期間の七年ということになっておりますけれども、普通、株式会社というのは、商業帳簿だけを保存しておりましてもそのもとになる文書というのがなければその記載が正しいかどうかわからないんだから、十年は通常保存するものであります。それを十年保存しておらないというのが、このマルコス文書の中でも最も疑惑の濃厚な東陽通商であるというところが非常に問題だと思うのですね。
 そこで伺いますが、マルコス文書では、私が前回も質問をいたしましたように、一五%のリベートを払ったというのについて、全部そのもとは、貴社と我々が署名した覚書協定の取り決めにより、こうなっていますね。これがもとでありまして、この覚書協定の取り決めにより一五%というリベートが一九七七年も一九七九年も、そして恐らくはごく最近も払われていたに違いない、こう思われるわけであります。そうすれば、これらすべてのもとになる覚書協定というのは、商業帳簿その他重要な営業関係の書類というのに入るのは当たり前じゃないですか。それは見ましたか。
#318
○黒田(真)政府委員 今回の企業の事情調査は、法令に基づく強制的調査ではございませんで、関係企業の協力を求めて行う任意の調査であるということで、個別の内容の発表を差し控えさせていただくという前提で実施をしております。したがいまして、個別の調査内容に関してお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
#319
○正森委員 任意の調査だから差し控えさしてくださいなんて言いますけれども、企業の方が当然持っておるべき書類をもって説明するのが当たり前じゃないですか。私どもは一々細かいことを聞こうと思わないけれども、すべての企業をいわば一五%のリベートを払わなければならないような立場に追いやったのは、この東陽通商のいわゆる覚書じゃないですか。その覚書を答えれば、それは東陽通商から個別的に聞いたことになるから答えられない、そんなばかなことがありますか。この覚書は、東陽通商だけでなしに、これによってアンヘニット投資会社と、それに関するすべてのところが一五%払わなければならないというもとになる文書でしょう。それが出てくるのは、ソラーズ委員会の文書ではたまたま小竹さんの書類の中に出てくるわけです。それについて調べないで、このマルコスの当委員会で報告をしたことにならないじゃないですか。それでも個別企業だから聞いたかどうかすら答えられない、内容はもちろん答えられない、こう言うのですか。こんなことも聞かないで、何の調査をしたことになるのです。
#320
○黒田(真)政府委員 個別の調査内容に関してお答えすることは差し控えさせていただきたいという点について、まことに恐縮ですが、先ほどの答弁を繰り返させていただきます。
 なお、私どもの調査いたしましたところ、一五%の手数料を支払っているというケースもございましたが、それより低いパーセンテージの手数料の支払いというケースも見られているということをこの際つけ加えておきたいと思います。
#321
○正森委員 私は前の委員会でも申しましたが、ソラーズ委員会から発表された文書の中で一番大事なのは、貴社との覚書協定によって一五%払うという、この貴社との覚書協定というのがどういう内容かということが一番大事なんです。その根本について、個別の企業に関することだから、聞いたのか聞かないのか、あるいはその内容はもちろん答えないということになれば、では当委員会で審査してみても、あるいは報告を受けても仕方がないじゃないですか。私は改めて、東陽通商の責任者等三名の証人喚問を申請いたしましたが、それがなければこの当委員会で幾ら聞いても意味がないということを今黒田局長はみずから確認したことにほかならないと私は思います。委員長の御措置をお願いいたします。
#322
○原田委員長 今の正森君のお話は、理事会でまた協議をいたします。
#323
○正森委員 今の答弁を聞きましても、残りの半数の企業とそれから二十件のうち通産大臣に適法な手続をとっていないと思われる十四件については、これは厳重に調べてみる必要があると思いますし、それを書類がもう保存期間が過ぎたからなんて言っているのは、少なくともこの覚書については商法上の三十六条の規定から見ても明白な違反ですね。そんなことをやるというのは後ろ暗いことがあるからに決まっているのですね。一五%リベートを払うのについて、いついかなるときにも貴社の覚書協定により、覚書協定によりと言ってやってきたんですから、これが基本の手数料なら手数料の文書であるのは決まっているじゃないですか。そんなものを廃棄してしまうなんということは後ろ暗いことがなければあり得ないということはこれだけでもわかっているじゃないですか。私は弁護士で、この当委員会には検察官出身の方もおられますけれども、幾ら弁護しようと思ってもこれは弁護できないでしょうな。有罪であることは非常にはっきりしている。いいですか。そういう性格のものじゃないですか。だから、あなた方の答弁自体、東陽通商なり東陽テクニカが非常に後ろ暗いことがあり、やましいことがあり、不正をやっているということを明白に示しているのです。それが個別企業だから答えられないと言うあなた方は、それをかばっており、加担しておるということを明白に示しているのです。そう言わざるを得ないというように私は思いますが、御退屈のようですからOECF総裁に伺いましょうか。
 OECF総裁に伺いますが、一五%の手数料の支払いというのが、これは当事者が正確に認めているというのであれば、その支払いはまたOECFから行われたのに違いないですね。したがって、OECFは一五%の手数料ということを承知して、そしてお支払いになったということになりますね。それとも通産大臣等には一五%の手数料ということを言いながら、OECFに対してはほかの価格に紛れ込ませて払っていたからOECFはわからなかったというのですか。その二つのうちのどちらか答えてください。
#324
○熊谷参考人 お答えいたします。
 先生御承知のように、日本の企業が受注した場合、基金は受注者から契約の概要の報告書をとっております。ですけれども、これは貸し付け実行の見込み等を把握するための便宜上出してもらうものでございまして、以前は報告書の付記事項の中に予想利益率というものが入っておりました。ですけれども、これは現在なくなっております。したがいまして、予想利益率を記載しております古い報告書、これは保存期間が貸し付け完了後五年で廃棄しておりますので、大部分のものは今はございません。若干残っておりますけれども、これにつきましては毎々申し上げておりますように、個別企業にかかわるものでありますので、それについてはその内訳をお話しするということは差し控えさせていただきたい、こういうふうに考えております。
#325
○正森委員 ここでも個別企業に関することは答弁を控えさせてほしい、こう言うのです。何を聞いたって答弁をしないということじゃないですか。
 それではもう少し聞きますが、何か手数料というのは全部適法でそれぞれわけがあるから出した、こう言っていますね。ところが、一九七七年十月十三日付のアンヘニットのヘニト会長からマラカニアン宮殿のマルコスあての書簡の中にはこう書いてあります。三項ですが、
  私はこれら貨物の船積みについては、日本とフィリピンの船会社がOECFの規定通り、日本・フィリピンがフィフティ・フィフティで行うよう、代理店契約を結ぶための措置をとりました。この際のリベートは、一五%です。
こうなっております。これは、船会社の船積みについて日本とそれからフィリピン側がフィフティー・フィフティーだということについて、その船賃についてまで一五%リベートを取っているじゃないですか。こんなものについて、あなた方が今説明された、いろいろ役務の提供が要るんだなんていうのはどこで通用するのですか。こんなものは明白なリベートだということは非常にはっきりしているじゃないですか。それを幾らの企業について聞いたかわからないけれども、認識について、そんな不明朗な使途に用いられるとの認識はなかったなんて言っているのですか。
 あるいは別のところには明白にこう書いてあるのですよ。これは小竹氏の書いたものでありますが、一九七七年十月十四日付で、別のリベート支払いのシステムをアキノ氏などがやろうとしているのに対してそういうことをやってはだめだということを言うた上で、
 したがいまして、もし、同氏が集金を始めるようなことがあれば、かつて、わが田中首相が投獄される結果に至ったロッキード汚職事件にも匹敵する事件が、日本で発生しかねません。貴取締役会において設けられました貴社のシステム(運営体制)は、商慣行としてもっともすぐれたものであり、それによって、すべてが合法的かつ妥当なものになるシステムだと、私は考えます。
こう言っているのですよ。これは明白にこの使途が不明朗な目的のためであるということを明らかにしているものじゃないのですか。それなのに、そしてまた一五%の根拠になる覚書を説明したのか説明しないのか知らないけれども、少なくとも当委員会には全く説明ができないというようなことで、どうして認識が不明朗なものでなかったなんていう言い分が信用できるのですか。そんな調査はなっていないのじゃないですか。外務大臣、経企庁長官、どう思いますか。それをお答えになったら外務大臣、出てください、御用がおありのようですから。マルコス文書ですよ。外務省がもらってきたのじゃないですか。
#326
○黒田(真)政府委員 けさほど御報告を申しました点は、調査の結果、支払いがあった手数料に関して、その資金の使途についての認識を調査いたしました。この点につきましては、すべての企業が代理店の活動に見合う代理店手数料として支払ったものであり、この資金が不明朗な使途に用いられるとの認識はなかった旨述べておるわけでございます。
#327
○正森委員 だから、その述べておるというのが全く信用できないことではないかということを私が言っているわけです。そんなこともわからないということで、あなた方は任意の調査だからそれ以上は聞けない、また聞いた内容についても、今報告した以上のことは個別企業に関することだから当委員会にも報告できないというのであれば、残るところはただ一つ、国民のために国民の税金がどう使われたか真相を解明しようとすれば、関係者に証人として来てもらって、我々自身が直接聞くより仕方がないということを今の答弁もまた明らかにしているのですね。私はそういうことだと思うのです。両大臣、どう思われますか。
#328
○安倍国務大臣 これは局長が答弁したとおりで、政府としては任意に意見を聞くということでやっておる。全力はそれなりに尽くしておるわけであります。
#329
○平泉国務大臣 今後とも努力を続けてまいるべきであると思います。
#330
○正森委員 それでは別な新しい問題について伺いたいと思います。
 外務大臣、何か御用がおありのようですから、どうぞ出てください。
 四月十七日に我が党の市川委員が参議院商工委員会で質問した木材に関する密輸出の問題であります。そして、その差額がマルコス大統領に非常に莫大な金額が支払われた疑いについての金額でありますが、そこで答弁されておりますが、一九八〇年以降のフィリピン側の統計による丸太の対日輸出の概略及び日本側の通関統計にあらわれた丸太の立米の概略について答弁してください。
#331
○佐藤(光)政府委員 フィリピンから日本に対しまして輸出される丸太の貿易統計でございますが、一九八一年から一九八四年の四年間を合計いたしまして、フィリピン側の輸出数量でございますと、これは外務省の調べでございますが、二百十二万立方メーター、日本側の輸入統計、これは私どもの大蔵省の貿易統計でございますが、若干端数がございますが、四百六十三万立方メーター、こんなことに相なっております。
#332
○正森委員 今答弁で明白なように、二倍以上数字が違うのですね。その二倍以上違うのはなぜであるかについて、関税当局でもよろしいし、通産省でもよろしいし、農水省でもよろしいが、調べましたか。
 農水省は、当日の議事録によりますと、関係業者から調べます、こう言っていますが、調べましたか。
#333
○脇元説明員 木材輸入業者の団体であります日本木材輸入協会の代表者から事情聴取をいたしましたのは、その際市川先生の方から御指摘のありました図表に関する輸入のシステムのことでございました。この件について聞き取りをいたしましたところ、我が国とフィリピンの間の丸太貿易につきましては、次の事情によりまして、その多くは御指摘のように香港を経由して行われているということであります。
 それは、一つはフィリピンの輸出業者の多くが香港に支店または代理店等の拠点を設置しているという場合がほとんどでありまして、輸入業者との取引は、したがってここで行われるのが一般的である。この輸出業者がここ香港等に拠点を置いているということにつきましては、輸出業者のほとんどが華僑の出身であるということ、それから香港には他の南洋材諸国の丸太生産情報が集中しているといったことから、香港に支店または代理店の拠点を設置している、こういうことだと聞いております。
 なお、これらの事情は、実はサバやサラワク、これはマレーシアでありますが、またインドネシア等の南洋材の丸太貿易についても同様でございまして、この場合には香港にかわるところシンガポールという位置づけであるようでございます。
 実は輸出枠等の関係で聴取をいたしましたところ、取引契約の際に我が国の輸入業者が、輸出側が一体何立方の輸出枠を有しているのかということについてはわからない立場にあるようであります。これはフィリピンにおきましては輸出業者ごとの輸出枠というのが公表されておりませんで、さらにその輸出枠も不定期に出されている、こういうことであります。我が国の輸入業者といたしましては、フィリピンの政府の許可を得た輸出業者との契約を行っておりまして、我が国の法律に従った適法の輸入業務を行っておる、こういうことを申しておりますが、先日市川先生から御指摘のありました裏契約のシステムにつきましては、業界代表からの事情聴取の限りではその存在は否定的でございました。万が一、正規の手続を踏まない輸出といった問題にかかわる調査ということになりますと、これ以上の調査は林野庁の権限を超えた事案になろうかと思います。
 以上、調査しました内容について御報告を申し上げます。
#334
○正森委員 ちょっとおってください。
 今説明してもらいましたが、香港経由にしましても、フィリピンからの木材の輸入とそれからフィリピンから日本への木材輸出の数量が二倍以上も違うのはなぜかという私の非常に単純な質問に対しては答えなかったですね。
#335
○脇元説明員 先回市川先生の御質問に関する調査のお約束は、市川先生が御指摘の図表についてでございましたので、そういたしましたが、今の先生の御質問に関しましては、先回も申し上げたとおりその差があることは明らかでありますが、私どもその内容の差がいかなる要因によるのか、いまだよくわかりません。
 ただ一つ、参考のために私どもの考えを申し上げますと、輸出側と輸入側との数字の違いがこんなに多くあるということについては一般的に余り承知しておりませんが、ある場合はあり得る。それは、輸出した場合に輸入国側の港の事情等によりまして輸入先が変わるといったこともあるそうでありますし、またタイムラグといったこともあるわけであります。しかしながら、それがそんな大きな数字になるのかということにつきましてはわからないわけでありますが、そういった事情がございます。
#336
○正森委員 そんなタイムラグになったり、よそへちょっと紛れ込んだりして二倍以上も差ができるなどというようなことは、幾ら農水省がのんびりしておるといってものんびりし過ぎておると言わなければならないですね。
 関税局長、最近関税局では木材十製材だったかもしれませんが、正規の手続から見ますとやはり違法と言わざるを得ない輸入の仕方をしておりまして、あなたの方で御調査の上、処分といいますかあるいは適切な措置といいますか、そういうものをおとりになったケースがあるはずであります。その概要について御説明を願いたいと思います。
#337
○佐藤(光)政府委員 先ほどは丸太の話だと理解いたしております。今度は製材……
#338
○正森委員 そうです。
#339
○佐藤(光)政府委員 正森先生御高承のとおり、フィリピンからの輸入に限らず輸入申告の適正を担保するということから、私どもは輸入許可を行った後におきましても輸入業者のところへ立ち入り調査をするということは間々あることでございます。御質問もそれに関連する案件を意味されておられるのではないかというふうに理解をいたしますが、その詳細につきましてはこれは公務員の守秘義務という問題もあるものでございますから、ひとつ御容赦をいただきたい、かように存じます。
#340
○正森委員 何も答えないつもり。
#341
○佐藤(光)政府委員 ごく一般的に申し上げます。
 不正なという表現をお用いになったように記憶いたしておりますが、実はこの輸入されたラワン製材の数量について実際の数量と申告された数量とに食い違いがあったというパターンであると申し上げたいと思います。それがなぜ関税賦課についての手直しが必要になったかと申しますと、フィリピンは開発途上国でございますので、特恵関税というのが適用されることに相なっております。一般の税率は一〇%ですが、フィリピン等の開発途上国から来るものにつきましては五%、その五%の特恵税率が適用されるこの輸入製材、これにつきましては間違いなく原産地はフィリピン等の途上国であるということの裏づけが必要でございますが、申告された数量が実際に輸入された数量よりも少ないものでございますので、特恵適用はその原産地証明によってサポートされた分についてしか認められませんということで若干の手直し、修正あるいは修正申告、更正を行った、こういうパターンであると御認識をいただきたいと存じます。
#342
○正森委員 何を聞いても、任意ということで聞いたんだから答えられないとか、あるいは今度は公務員の守秘義務だから答えられないとかいうことなんですけれども、だから私らが資料を持っていなければ、つまり我々が知っていること以外は何も答えないということなんですな。
 私らはここに資料を持っているから申し上げるのですけれども、特恵関税の関係で後進国の場合は本来なら一〇%なんだけれども五%だ、その枠は大体四月から七月ぐらいまでに使い切るということでしょう。それを数量をごまかしていたというので、あなた方は、本来一〇%の税金を払うべきものだったということで関係商社にも注意を促し、木材協会などのトップにも話をしたということがあったわけだというように我々は関係商社等から、調べられたところから聞いているのですね。
 そのやり方はどうかといいますと、輸入申告に際して輸出者作成のインボイス及びメーカー作成のパッキングリスト及び原産地証明、これが要るのですな、そうでなければ発展途上国で特恵関税がどうかわからぬから、で、通関されるわけだけれども、メーカーからは別途パッキングリスト及び実取引数量及び価格を示すステートメントが輸入業者の方に送られているのでしょう。実際はこのパッキングリスト及びそのステートメント、これに基づく数量及び価格で支払っておる。申告数量と実取引数量との差は、平均三五%申告数量の方が少なくなっておる。
 これはなぜそういうことになるのかと言えば、輸出税がFOBの六%かかるということと、それから運賃やらあるいは保険が安くなるということと、それから特にフィリピンでは木材を伐採して森林地が非常に荒廃しておるためにメーカーに対して伐採の割り当ての数量が制限されておる、その制限を破ってどんどんどんどん切ってそして輸出するということのためにこういうことが行われているのでしょう。これを認める代償として差額はマルコスの懐に入っておるということで、丸太でもうけ、製材でもうけということで、例えばフィリピンの関係大臣は、このことによってマルコス氏に、一九八〇年から六年で総額十億ドル密輸出が行われて、九〇%以上がマルコス前大統領の懐に入っていたというように言っているぐらいなんです。
 これは後半の部分は確認されませんけれども、前半の部分の私が言いました表向きのインボイスと裏のインボイスがあり、その数量の差額が三五%前後に達するということは事実でしょうが。これも個別企業で答弁できないのですか。
#343
○佐藤(光)政府委員 ただいま先生がお話しになりました本件についての行動のパターンというのは私どもも同様に理解をいたしております。
#344
○正森委員 私が言いましたのがパターンとしてはこれを認めると言いました。そうしたら、ここに、四月十二日付の東京新聞だと思いますが、ございますが、木材輸入協がフィリピン側の言い分に反論をいたしまして、日本木材輸入協会の山田という専務理事ですか、「北国側と日本側の数字の食い違いは事実で、過去に何回も問題になっている。だからといって日本側は密輸と知りながら買っていた≠ニいう言い方は一方的だ」「日本側はフィリピンの輸出業者が先方の税関から許可を得た輸出証明書に基づいて輸入しており、それが密輸だというのならフィリピン側の問題だ」「日本の税関にきちんと輸入申告書を出しているので問題はない」こう言ってうそぶいておるのですね。
 しかし、日本の税関に出した輸入申告書がうそのインボイスであり、本当のインボイスとステートメントは別に輸入業者に送られているということになれば、この木材輸入協会の山田という専務理事のこの新聞での言明は、これは表現は悪いけれども盗人たけだけしいというのがまさに当てはまる言葉じゃないですか。あなた方税関が持っている輸入申告書自体が三五%も数字なりなんなりをごまかしていたんでしょうが。だから税関は関係業者に注意したのでしょう。
#345
○佐藤(光)政府委員 一言御説明させていただきたいと思いますが、表面上のインボイスというのは数量が少ないわけでございますから、輸入者にとってはその少ない数量しか原産地証明もついていない、ということはその範囲でしか特恵税率の恩恵に浴することができないということに相なるわけでありますから、そのシッパーと申しますか輸出者との話し合いということでフィリピン側の事情で数量を抑えなければいけないということに協力せざるを得なかったという面はあったかと思いますが、輸入業者の面で何か意図的に、俗に申し上げれば悪いことをして税金をごまかそうとかそういう話では必ずしもないわけでございまして、むしろ実際の輸入数量に対応する原産地証明がもらえればそれはその輸入者にとっても五%というより安い関税率が適用されたはずである、こういう話でございますが、フィリピン側の輸出の事情から、先ほど先生もおっしゃったような事情があるんだろうと私どもも推測いたしておりますけれども、表向きの数量は少ないものであった、したがいまして輸入者にとりましては、本来正確なその原産地証明が出てくればフルに受けられたであろう特恵税率の恩恵が受けられなかった、こういう話だと私どもは理解をいたしておるわけであります。
#346
○正森委員 いや、まことに同情あふるるあれですね。輸入業者はこれで特恵税率を受けられるのを、逆に内緒にしたので受けられないというような言い分ですね。しかし、ばれなければ、そもそも数字をごまかしていたんですから、少ない数量について特恵税率を受けたんだからこんな結構なことはないんじゃないですか。あなたの今の言い分は、ばれた今から見てみると損をしたというだけで、ばれなければ物すごい得をしたということになるんじゃないですか。しかも、私たちが事情聴取したところによれば、それによって実際上は一〇〇のものを六五の運賃しか払っていない、保険もそれだけしか掛けていないということで、日本では木材関係で非常に輸入品が多いといって木材関係者や日本の森林業が重大な打撃を受けたときに、輸入した業者は安いラワン製材を輸入して非常にもうかったのでしょうが。それなのに関税局長は、それで意図的にやったのでもなければ、逆に損をしたと言わんばかりの言い分なんですね。こんな言い分がありますか、あなた。
 委員長、時間がちょうど参りましたのでこれ以上伺いませんが、東鉄が最近昭和五十八年に至ってもやはり一五%なり二一%なりのリベートを払っていたということが読売新聞紙上でございましたか載りました。そのことについて、私は関係者から直接聞いておりますので質問したいと思いましたが、時間になりましたので省略いたしますが、このことは、決してソラーズ委員会の文書にあらわれている不正なリベートというものが一九七七年あるいは七八年のことでなしに、少なくともつい二、三年前まで行われていたということを示しているわけであります。そうだといたしますと、国民の要望を受けて、我々の税金で行われるフィリピンに対する借款その他の援助等について真実を明らかにするという責任はいよいよ重大であると思います。
 それに対して、きょうの政府の取り調べといいますか事情聴取の結果の報告では、最も初歩的な東陽通商の一五%のリベートの基礎になった覚書についても答えられない。その東陽通商は商法の規定に事実上違反して、十年の保存義務を事実上七年だということで廃棄してしまうというようなことになれば、これは罰則つきの証人喚問で、うそをついた場合には気の毒だけれどもロッキード事件の関係者と同じようになるという罰則のもとに、我々委員会が聞く以外には方法がないというように思わざるを得ません。そのことを何よりもはっきり示したという意味できょうの委員会は意味があったというように私は思います。それについて委員長が理事会で速やかに御討議を願いますように要請いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
#347
○原田委員長 ただいまの正森君の御要望については、理事会において協議をいたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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