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1985/05/15 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 物価問題等に関する特別委員会 第7号
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1985/05/15 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 物価問題等に関する特別委員会 第7号

#1
第104回国会 物価問題等に関する特別委員会 第7号
昭和六十一年五月十五日(木曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 阿部未喜男君
   理事 青木 正久君 理事 岸田 文武君
   理事 武部  文君 理事 中村 正男君
   理事 草川 昭三君 理事 永江 一仁君
      伊吹 文明君    関谷 勝嗣君
      串原 義直君    浜西 鉄雄君
      元信  堯君    小谷 輝二君
      藤田 スミ君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      平泉  渉君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        経済企画庁国民
        生活局長    横溝 雅夫君
        経済企画庁物価
        局長      斎藤 成雄君
        経済企画庁総合
        企画局長    及川 昭伍君
        経済企画庁総合
        計画局審議官  勝村 坦郎君
        経済企画庁調査
        局長      丸茂 明則君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 山本 幸助君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局官房審議
        官       植木 邦之君
        国土庁土地局土
        地利用調整局長 山崎 皓一君
        外務大臣官房外
        務参事官    赤尾 信敏君
        大蔵大臣官房調
        査企画課長   畠山  蕃君
        大蔵大臣官房参
        事官      塩田 薫範君
        大蔵省主税局調
        査課長     薄井 信明君
        大蔵省関税局企
        画課長     吉田 道弘君
        大蔵省理財局国
        債課長     米澤 潤一君
        大蔵省理財局資
        金第一課長   石坂 匡身君
        大蔵省銀行局銀
        行課長     藤原 和人君
        大蔵省国際金融
        局国際機構課長 久保田勇夫君
        大蔵省国際金融
        局短期資金課長 金子 義昭君
        国税庁直税部法
        人税課長    熊澤 二郎君
        国税庁間税部酒
        税課長     宗田 勝博君
        厚生省薬務局経
        済課長     山口 剛彦君
        厚生省保険局医
        療課長     谷  修一君
        通商産業省産業
        政策局産業構造
        課長      大塚 和彦君
        通商産業省生活
        業局日用品課
        長       柴崎 和典君
        資源エネルギー
        庁石油部流通課
        長       鳥居原正敏君
        資源エネルギー
        庁公益事業部業
        務課長     川田 洋輝君
        資源エネルギー
        庁公益事業部ガ
        ス事業課長   中尾 舜一君
        中小企業庁計画
        部計画課長   長田 英機君
        中小企業長計画
        部金融課長   土居 征夫君
        中小企業庁計画
        部下請企業課長 高梨 圭介君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 井上 文彦君
        建設省建設経済
        局建業課長   小野 邦久君
        特別委員会第二
        調査室長    岩田  脩君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○阿部委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸田文武君。
#3
○岸田委員 円高がいよいよ進んでまいりまして、大きな影響を日本経済に与えておるわけでございます。そういう中で、かねて懸案になっておりました電気、ガス料金の引き下げの問題、報道するところによりますと、電力九社及びガス三社から十三日に値下げの申請が行われ、十五日に認可が、こういうような段取りが報告をされておるわけでございます。
 そこで、まずこの十五日の認可というのがもう行われておるのかどうか、その事実をちょっとお確かめいたしたいと思います。
#4
○山本(幸)政府委員 お尋ねの九電力会社及び大手ガスの三社につきましての今回の差益の還元ということでの料金の認可申請でございますが、これにつきましては本日、五月十五日朝、大臣から認可の許可をお渡しいたしてございます。
#5
○岸田委員 そうしますと、これは大体申請と同じ内容で認可されたと理解してよろしいのでしょうか
#6
○山本(幸)政府委員 お尋ねのとおりでございます。
#7
○岸田委員 それでは、今回の認可の内容について若干御質問いたしたいと思います。
 申請によりますと、今回の料金算定に際して為替レートを百七十八円と想定をし、また原油については十九ドルを前提にして算定をされたようでございますが、まず順次お伺いしますと、百七十八円というのはどういう根拠によって行われたのか、これを御説明いただきたいと思います。
#8
○山本(幸)政府委員 従来から電力料金の算定に際しましては、為替レートにつきましては直近三カ月の平均をとるということで計算をいたしております。今回は、特に最近五月に入りましてから為替の変動が多いということでございますので、直近三カ月というのを二月、三月、四月というのではなくて、むしろ二月の中旬以降五月の上旬までということで五月の上旬の分も算定に加えまして三カ月の平均をとりました。その結果、百七十八円二十銭ということでございましたが、二十銭を切り下げということで百七十八円ちょうどということにいたしたわけでございます。
#9
○岸田委員 続いて、原油価格十九ドルと算定した理由をちょっと御説明いただきたいと思います。
#10
○山本(幸)政府委員 原油価格につきましては、実は二月、三月、四月という実績を見ておりましたけれども、二月の段階ではほとんど原油価格は下がりませんで二十七ドル強という価格でございましたが、ようやく三月の我が国の原油のCIF価格から下がり始めまして、これが一バレル当たり二十二トル三十七セントということでございました。さらに四月でございますが、これがちょうど先般申請の前の日でございます五月の十二日に速報が出まして、これが十六ドル四十六セントでございました。この現実に下がりました二カ月、三月、四月の価格の実績を両者の平均ということで十九ドル四十二セントということでございますが、この端数を切り捨てまして十九ドルとしたわけでございます。
#11
○岸田委員 そういたしますと、昨日の為替レート百六十四円でございましょうか、多少余裕があるように思いますし、原油価格も四月の実績は申請の十九ドルを下回っておる、この辺のところをちょっとまた後で御質問をいたしたいと思います。
 続いてお尋ねをいたしますが、その他の原価の点についてはどういうふうな考慮が行われておるのか御説明いただきたいと思います。
#12
○山本(幸)政府委員 その他の原価で一番大きいのはやはりLNGでございます。電力の場合では約半分がLNG、ガスの場合は大部分がLNGでございます。このLNGにつきましては、実は現在GSPと申しまして政府公示価格というものとリンクをして価格が変動するという格好になっております。そういう契約になっております。したがいまして、現在までのところ若干の値下がりがございますけれども、余りはっきりした値下がりはございません。しかし、これにつきましては将来は値が下がるものと仮定いたしまして、大体油についての二十七ドルから十九ドルという値下げの約半分くらいの値下げを見込もうということで、二十三ドルということで見込んだわけでございます。
#13
○岸田委員 続いて、今回の認可というのが六月から来年三月までの十カ月の措置という形で処理をされておるわけですが、このような十カ月という期間をとったこと、あるいはまた来年三月までというようにしました理由を説明いただきたいと思います、
#14
○山本(幸)政府委員 今回の引き下げ措置は、法律で申しますと二十一条ただし書きによる暫定ということでございます。いわゆる十九条というのが全体的な料金の改定をする場合の規定でございますが、今回はそうした十九条による全面的な改定をいたしますとどうしても値下げの時期がおくれるということでございますので、暫定ということで、昭和六十一年度限りの措置ということでとりあえず行ったわけでございます。
 その際、差益につきましてはことしの四月一日から来年の三月三十一日まで、すなわち一年間分を算定して返すということでございますが、その返す時期は六月から始めるということで、六月から三月までの十カ月間に一年間分のものを返すということで算定をいたしたわけでございます。
#15
○岸田委員 そういたしますと今のことで明らかになったのは、一年分の差益の中で還元すべき部分を十カ月の間に返す、こういう仕掛けであることがわかったわけでございますが、そこで、三月までの暫定措置というお話でございましたけれども、そうなると四月以降はどうなるのか。伝えられるところによると、四月以降少し思い切って料金の制度のあり方にもさかのぼって検討を加えるのだ、こういうことが報ぜられているわけですが、その辺の考え方を説明いただきたいと思います。
#16
○山本(幸)政府委員 来年四月以降の件でございますが、これにつきましては今後の為替の動向あるいは石油価格の動向等を見きわめながら対処したいというふうに考えております。
 その際、具体的には三通りの対処があるのではないかというふうに考えております。
 それは、第一は、為替レートあるいは円高というものが大体安定的になった、そういうふうに見越された場合には、先ほど申し上げました電気事業法の第十九条によりまして全面的な料金改定に進むということでございます。
 それから第二は、為替レートの変更、円高あるいは原油価格の低下というものが非常に乱高下をする、その段階でもってどうも安定したとは見通せないという場合につきましては、再び二十一条ただし書きによって来年度分としてまた暫定を行うということもあり得ようかと思います。
 三番目のケースとしましては、円高が解消してまた円安に戻る、あるいは原油価格が何らかの原因によりまたもとに戻っていくということがございました場合には、この暫定措置をやめて現在の料金のままでいくということもあり得ようかと思います。
 いずれにいたしましても、今後の為替レートあるいは原油価格の動向を見ながら対応したいというふうに考えております。
#17
○岸田委員 今回二十一条でとった措置というのは、円高の問題あるいは原油価格の値下げ等に伴って燃料費の部分に非常に大きな変動が生じてきた、とりあえずその部分だけを取り上げて今回暫定的な改定をする、もしほかの要素にも響いてくるような問題が起こったら来年四月以降十九条の問題になる、こういう理解でよろしいのでしょうか。
#18
○山本(幸)政府委員 おっしゃるとおりかと思います。その場合に、為替レートあるいは原油価格というものがある程度低位で安定するということになりますと、やはりそれをコストとして織り込んだ全面的な料金改定をするというのが一番正しいかというふうに考えております。
#19
○岸田委員 続いてお尋ねをいたしますが、今回の認可の内容を見ますと、差益額の七〇%を料金改定に反映させるという会社と八〇%を反映させるという会社と二つのグループができておるように思います。一体これはどういうふうな考え方で二つに分けたのか、七〇%、八〇%というのはどういう考え方に基づくのか、その御説明をいただきたいと思います。
#20
○山本(幸)政府委員 差益額につきましては為替レートあるいは原油価格について一定の想定をいたして計算をいたしておりますが、この想定は将来ある程度その見通しが違ってくるということは当然考えられるわけでございます。そうした事態に備えるために、先般来検討いたしてまいりました電気事業審議会、ガスの場合で申し上げますと総合エネルギー調査会の場においても、生ずる差益額の一定割合を留保しておく必要があるのではなかろうかという御指摘がございました。留保する場合には、その半分は税金として国または地方公共団体に入るわけでございますが、その残りにつきましては、それを留保してその後の変動に備えるということが必要であるということでございます。
 今回、そうした留保をする場合の比率につきましては、標準的には前回同様七割程度を還元に回し、残りの三割程度を留保するというのが適当ではなかろうかということで私ども各社を指導いたしたわけでございますが、会社によりましては、一つは差益額が余り大きくないということでリスクがそれほど大きくないという会社がございます。これはリスクの大きさでございますので、通常のその会社の利益に比べまして差益が比率的にはそう多くないという会社の場合には、たとえその差益が変わった場合でも会社全体にそう大きな変動を与えないわけでございます。一方それに対して、会社全体の収益はさほど大きくないけれどもこの差益額が非常に大きいとなりますと、差益が変動いたしますと会社全体の収益が大幅に狂うということでございます。そういう意味では、このリスクが比較的少ない会社の場合には余計返してもいいじゃないかということが一点。それからもう一つは、その会社自体の最近の収益状況から見てかなり余裕があるという場合については若干余計返してもいいではないかということで、実は電力会社につきましては八割を返す会社が五社ございます。東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力につきましてはこれを八割返すということでやっております。
 なお、ガス会社の場合には三社とも七割ということでございます。
 ちなみに沖縄電力の場合につきましては、これも今回差益還元に踏み切ったわけでございますが、まだ累積赤字をようやく脱したという段階でございますので、これは五割の返還率ということでございます。
#21
○岸田委員 それでは今回の値下げを値下げの率という形で少し整理していただきたいのです。家庭用と業務用と申しますか、電灯と電力という区別でもよろしいのですが、それぞれについて今平均単価はどのくらいか、今回の値下げ額がどのくらいか、したがって値下げ率としてはそれぞれどうなるのか、これをちょっと御報告いただきたいと思います。
#22
○山本(幸)政府委員 まず電灯といわゆる電力、こう分けますと、今回の値下げの単価でございますが、電灯の場合には一キロワットアワー当たり二円十五銭、電力の場合には一キロワットアワー当たり二円二十二銭でございます。平均は二円二十銭ということでございます。実は、電灯につきましては五十九年度の総合単価の平均が一キロワットアワー二十八円七十七銭でありました。これに対して電力の場合には二十一円七十五銭でございます。したがいまして、値下げ率ということで見ますと電灯の場合が七・五%、電力の場合が一〇・二%でございます。平均は九・三%ということでございます。
#23
○岸田委員 国民、消費者の皆さんの中には、電力の値下げ率に対して電灯の値下げ率が低いではないか、こういうような疑問が出てくるのではないかと思いますが、この辺の理由をちょっと御説明いただきたいと思います。
#24
○山本(幸)政府委員 現在の平均単価で電灯の場合が二十八円七十七銭、電力の場合には二十一円七十五銭ということで、電灯の方が高いわけでございますが、この高い理由は、電灯の場合には発電から送電、変電ということで各家庭に電力を運ぶまでにいろいろな意味での設備が必要でございます。特に変電所あるいは送電線、変電線の長さということで、それに相当なお金がかかるということでございます。それに対しまして電力の場合には、非常に大口になりますと大きなロットでもって比較的発電所のそばでとれるということもございますし、全体的には変電あるいは送電の設備は比較的少のうございます。今回の値下げというのは、燃料、特に海外から輸入いたしております燃料であります石油、LNG、石炭が値下がりした、値下がりの理由は円高と原油価格の下落でございますが、そういうことで燃料費が安くなったわけでございますので、先ほど言いましたように全体の値段の中に占める燃料費の割合ということを見ますと、電灯の場合には燃料費のほかにその他の送電線、変電線、配電線の費用が非常にかかっている。これに対して電力の場合にはそういう費用は比較的少ないわけでございますので、そういう意味では今回の場合のように燃料が下がった分について平等に返しますとどうしても電力の方が比率が高くなり、電灯の方がその比率は低くなるということでございます。
 ちなみに、前回昭和五十五年度の値上げの場合には、これは五割を超える値上げをいたしたわけでございますが、その際には燃料が上がったということで上げましたので、当然ながら電力の方が非常に上がって、電灯、家庭用については値上がりの率は少なかったということでございます。
#25
○岸田委員 さて、この電力料金の問題、実は電力多消費産業と言われる鉄鋼、非鉄、化学、この辺のところが同時に円高の影響を非常に大きく受けまして、何とか電力料金を下げてほしい、こういうことで非常に悲鳴に近い声が聞こえてまいったような経緯があるわけでございます。この辺は御承知のとおりですが、この辺のグループは主として特約料金という形で料金が決められておるかと思うのです。
 そこで、これらの特約料金のグループについては一体どういうふうになるのか、これを御説明いただきたいと思います。
#26
○山本(幸)政府委員 おっしゃるように、大口の電力につきましてはいわゆる特約料金で契約をいたしております。特約料金で契約するような大口の産業の中には、コストの中に占める電力の割合が非常に高いものが多うございます。例えば、鉄鋼の場合には約一〇%ぐらい、化学の場合、これは石油化学で見ますと九%、アルミの場合には四〇%、カーバイドは五〇%というようなことで、コストに占める電力の費用の割合が非常に高いものが多うございます。
 今回のこうした主な電力多消費産業、大口電力でございますが、これについて見ますと、全体としては九電力合わせまして三千四百三十億円ということでございます。その中で、例えば鉄鋼を見ますと五百七十億円、化学工業を見ますと四百二十億円、窯業土石、いわゆるセメントで見ますと二百億円、紙パルプが百八十億円、非鉄金属が百八十億円、繊維産業が百五億円ということになっております。
#27
○岸田委員 同時に、油の値下げの問題は九電力だけではなくて、九電力へ電気を卸供給をしておる事業者、電発とか共同火力、このグループも当然値下げの影響を受けることになるかと思うのですが、卸料金の方は一体どういうふうにする考え方なのか、御説明をいただきたいと思います。
#28
○山本(幸)政府委員 電気を卸している会社というのは、例えば一番大きなものとしては電源開発株式会社がございますが、そのほかにも民間ベースで多くの卸売電気業者がございます。これにつきましては、九電力会社に大体コストで電力を売るという形になっております。
 したがいまして、今回の差益につきましては、その差益分を下げて九電力に電力を供給する形になります。そうした安くなった電力分についても当然これを算定の中に入れまして、今回の九電力の差益の還元ということを行ったわけでございます。
#29
○岸田委員 そこで、還元分の内容について幾つかお伺いしたいわけですが、先ほどの数字で申しますと七〇%ないし八〇%を還元する、残る二〇%、三〇%、これをどういうふうに処理するつもりなのか、また、それについて指導を加えるつもりか、この辺のところを御説明いただきたいと思います。
#30
○山本(幸)政府委員 差益額のうち還元をしない部分、すなわち留保される分でございますが、これにつきましては、電力会社によりまして三〇%というところもございますし、二〇%というものもございます。こうした留保された利益につきましては、この半分が、利益でございますので当然課税されるということで、国庫あるいは地方公共団体の財政収入となるということでございます。そうしたものの残った分につきましては、これを留保しておいて、将来円高あるいは石油の下落というのが現在想定するよりも大幅に起こらなかった場合、想定が違った場合について備えるわけでございますけれども、そうした備えるという場合に、その資金を有効活用しようということで、特に電力の場合でございましたら、配電線の地中化あるいは停電対策でございますいわゆる自動化あるいは高度化というようなことに使いたい。さらには、ガスの場合でございますと、保安対策の投資、なかんずく消費者段階での保安対策ということにつきましても積極的な設備投資を行っていただきたいというふうに考えております。
#31
○岸田委員 そのことに関連をして、先ほど為替レートあるいは原油価格についてお尋ねしたわけですが、どうも、これから先のことはだれもまだはっきりしたことは言えないわけでございますが、場合によって今考えておる差益以上の差益が出る可能性というのはかなりあるように考えられるわけでございます。もし予想以上の差益が出ましたときに、残る二〇%、三〇%分に当たる部分がさらにふえてくるわけですが、ふえたときどうするのか。留保して四月以降の処理にゆだねるのか、あるいはふえたら思い切ってまた設備投資を増強する、こういう考え方でいくのか、その辺の考え方をひとつお尋ねをいたしたいと思います。
#32
○山本(幸)政府委員 仮に想定いたしました差益よりもふえた場合でございますが、これにつきましては、その差額は原則として料金の長期安定のために明確に区分経理してこれを積み立てるというふうにいたしたいと考えております。その際、積み立てることによって出ます経営面のゆとりというものを活用しまして、一層設備投資に努めてもらいたいというふうに考えております。
#33
○岸田委員 与えられた時間が大分迫ってまいりました。少し観点を変えまして、円高による中小企業への影響、これは私いろいろ話を聞きましても大変深刻な状況になっているように考えまして、心配をいたしておるわけでございます。
 きょう、中小企業庁の方来ておられるようでございますが、最近産地の状況を調査しておられる。まだまとまっていないと聞きましたけれども、中間的でもいいですから、ただいま産地がどんな状況になっているのか、掌握しておられる範囲で御報告いただきたいと思います。
#34
○長田説明員 産地への影響につきましては、昨年の秋以来の円高に対応しまして逐次調査をしてきておりまして、現在も、輸出産地中心でございますが、五十五産地につきまして調査をしているところでございます。
 その調査をしている途中のプロセスではございますけれども、私どもがいろいろヒアリング等で得ている感触といたしましては、この円高の一層の進展の中にありまして、新規成約がストップしている企業がどんどんふえている、あるいはそれに伴いまして受注残がもうゼロになってしまうというような産地も見られるとか、さらに操短とか休廃業、そういうような状況もふえてきておりまして、相当深刻な状況になっているというふうに認識をしているわけでございます。
#35
○岸田委員 まさにおっしゃったとおりでございますし、あるいは実態はもっと深刻なものがあるのではないかということを恐れております。私どもとしましては、ここで思い切った中小企業対策を打っていただきたい、従来の中小企業対策を超えた政策をやっていただきたいということを切に要望をしたいと思うわけでございます。
 特に金融の面の対応策は、金利を少しでも下げてほしいという要望がございますし、それから既往の債務の金利が大変な負担になっておる、これを何とかさかのぼって下げる方法はないだろうか。前の円高のときには多少そういう手を打った実績がありますだけに、これはひとつぜひ要望しておきたいと思います。
 さらにまた、中小企業者としては、何とかつなぎの資金がほしいけれども担保がない、この問題に突き当たって首が回りかねている。これはたくさんの事例が見受けられるわけでございまして、担保の問題についても思い切ってやってもらいたい、こういうことを切に要望する次第でございます。
 そしてまた、中小企業対策だけの面ではもうカバーできないところに来ておるのではないか。したがって、経済政策全般についてひとつ積極的な転換を図っていただくことがこの際必要になったということを痛切に感じております。
 この辺のところは一つ一つお尋ねをしたいわけでございますが、企画庁におかれましても、また中小企業庁におかれましてもしかと実態を認識していただきまして、そして的確に強力な手を打っていただきますことを強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#36
○阿部委員長 次に、武部文君。
#37
○武部委員 私は、円高差益の問題、今岸田委員からもお話がございましたので、このことをもっとお尋ねしたいのですが、最初に土地の問題を少しお尋ねいたしたいのであります。
 このほど新聞報道でもたくさん出ておりますから国民もよく承知をしておると思いますが、特に都心の土地の高騰というものが異常である。気違いじみたような値上がりをしておるわけでありますが、昭和四十七年だったと思います。今代々木にありますNHKの放送センター、これができ上がりますときに、その後だと思いますが、内幸町の放送会館が売り出しになりました。当時これを買ったのは三菱地所でありまして、昭和四十七年から八年初めにかけて一坪千百十万円、こういうことで国会でもちょっと話題になったのであります。当時の金額から見ればまことに異常でありました。
 あれから十三年たったわけですが、今日、国内における土地の売買価格で実際に取引された一坪の最高の金額、国土庁はこれを大体どの程度のものだというふうに見ておられるか。ちょっとこれを最初にお伺いしたいのです。
#38
○山崎説明員 お答えいたします。
 国土庁におきましては、国土利用計画法に基づきまして一定の面積以上の土地取引につきましてはあらかじめ届け出を受けることになっておりますが、それ以外のものにつきましては届け出を受ける仕組みになっておりませんので、正確にどこの土地がどれだけの価格で取引されたかということは把握しかねる状況にはなっておりますが、巷間伝えられるところによりますと、例えば銀座では坪一億円で土地が取引されたというようなことがあるというふうに聞いております。
#39
○武部委員 今お答えにございましたように、一坪一億円、これは正式に届け出たものでももちろんございませんが、ことしの一月ごろの報道に確かにそのことが載っておりました。去年一年間に銀座かいわいで一坪一億円の取引が五、六十件あった、こういう報道のようであります。
 先ほど申し上げたように、十三年前には内幸町で千百万円が大変な話題になった。既に今日一億円という実際の取引がある。いろいろ調べてみるとこれほど異常に値上がりをしたものはないのであります。私もずっと前からいろいろな資料でこのことの経過をさかのぼって調べておるわけでありますが、明治五年に日本で一番高かった土地の相場が一坪五円であった、これはそういう資料がずっと残っておるわけであります。
 当時のいろんな公共料金、あるいはそうでなくて、今度は税金に関係するビールとか酒とか、米とか、いろんなものの価格の推移をずっと調べてみますと、明治六年にはがきが初めて発売されたときは一銭であります。土地が今の大体五円の坪単価のときにはがきは一銭。ビールが初めて発売された明治十年、これは大瓶で十六銭。こうしたものと現在の価格との対比をずっとしてみれば、いかにこの土地というものがべらぼうな気違いじみた価格の推移をしておるかということがわかるのであります。はがきが一銭であったものが今日四十円ですから四千倍。ビールは十六銭が今三百二十円ですから大体二千倍。だとするならば一億円は一体何倍になるかということはすぐ出ますように、この百十年ばかりのうちに実に二千万倍に銀座の土地は値上がりをしておるということが出てくるわけです。世界のどこを見たってこんなべらぼうな土地の価格が存在しておるところはないのであります。一体これはどういう理由なのか。しかもこの土地の価格というのは波及効果が非常に大きい、平準化で付近の土地はどんどんそれにつれて上がっていく、インフレと非常に大きな関係を持つ、これは私は物価問題としておろそかにできない重要な問題だと思います。
 これは需給関係でそういうふうになったんだろうか、そうではないと思います。そうすると一体何が原因でこういうことになったのだろうか。買う者がおるから上がるんだ、こういうことになると思うのですが、物価の元締めである経済企画庁は、この土地の異常な値上がり、後でもまたいろいろ申し上げますが、ことしの一月一日の発表されました土地の公示価格は前年比五三・六%上昇、その前は三〇%上がっておったわけですから、こういうことを考えるとまさに異常中の異常だ、こういうふうに言えると思いますが、この都心の土地の高騰は一体どこにその原因があるというふうにお考えになっておるだろうか、とらえておられるだろうか、これをちょっと企画庁からお願いします。
#40
○斎藤(成)政府委員 御指摘のように特に都心部の地価が上がっているわけでございますけれども、この地価の場合にも、商業地と住宅用地等とで比較をいたしますと伸びに大きな差がございます。都心部と地方と比べるとまだ大きな違いがございます。そういう意味で、都心の、しかも商業地に異常に高い地価の上昇が見られるということがむしろ問題の中心にあるという認識で、私どもは国土庁ともいろいろ御相談をいたしておりますけれども、今のところは店舗でございますとか事務所などに使うビル用地、ビルの需要が大変伸びている、その供給が需要に追いつかないというところが基本的な原因になっているというふうに考えております。
 ただ、御指摘のように、最近の金融情勢、特に金融が緩んでおりますので、そういう意味で投機的な要素ももちろんあるに違いない。そういう意味で警戒もいたしておりますけれども、基本的には最近の国際化あるいは情報化という流れの中で外国の企業の都心への進出というのも大変進んでいるそうでございまして、そういう意味で需要が大きいというのが基本的な要因というふうに理解をいたしております。
#41
○武部委員 情報化時代で需要もある、それはビルの建設だろうと思いますが、確かにそれもあります。今おっしゃったように、投機的な内容を持ったものであるということも企画庁は理解をしておられるようでありますが、金融緩和によって過剰流動性で金がだぶつけば、四十八年、四十九年、第一次石油ショックの後と大体同じような傾向が今再びあらわれておるというふうに見て差し支えない、こう思うわけです。
 そこで、都心の限られたところが異常に上がっておるわけですが、それが波及効果を生むわけですから、これについて国土庁はどういう対策を考えておられるか、これをちょっと伺いたいと思います。
#42
○山崎説明員 先生も御質問で触れておられますが、最近一年間の東京都心の千代田、中央、港、三区の商業地の地価の上昇率というのは平均五三・六%という非常に高いものになっております。ただ、全国的に見ました場合に近年地価は非常に安定しておりまして、同じ期間内に全国平均では地価の上昇は二・六%という極めて安定したものになっておりますので、それとの対比におきましてこの五三・六というのは非常に目立つわけでございます。
 そういう意味におきまして、私ども、これは東京都心のやや特殊な事情があるのではないか、これはただいま企画庁の方からお答えがありましたように、ビル需要の増の問題とか、そういった問題が原因にあるのではないかと思っておりますが、さはさりながら、こういった異常な高騰というものを放置しておきますと投機的な取引の誘因になるということも大いに懸念されるところでございますし、またそういった高い地価上昇率がだんだん周辺に広がっていくということも懸念されるわけでございます。
 そこで、私どもといたしましては昨年来、東京都との間で、東京都のこの異常な地価の上昇に対してどういう対応が可能であるかということについて種々検討を重ねてまいったわけでございます。その結果といたしまして、具体的にはやはり、まず実需面に対応するために新しいビル用の業務用地の開発というものについて東京都もいろいろやっていただくということを考えております。それとあわせまして、投機的な土地取引の抑制という観点から、これは金融機関等にもお願いいたしまして金融の面でも適正な融資をやっていただくとか、あるいは業界団体にもお願いいたしまして投機的な取引に走らないようにお願いするとかいうようなことをしておるわけでございます。
 それとあわせまして、現在、国土法では先ほど申し上げましたように一定面積以上、具体的に申し上げますと、市街化区域では二千平方メートル以上の土地取引があらかじめ届け出の対象になっておるわけでございますが、これとは別に、東京都におきましてはそれより小さな面積の土地取引についてもあらかじめ知事に届け出を受けることによって価格の動向等をチェックをしていくというようなことを条例で行うという方向で、現在東京都の方で鋭意検討を進めているというふうに承知しております。
#43
○武部委員 今、国土庁の答弁の中に土地融資の話がございました。ちょっと大蔵省にお伺いしますが、土地の融資が非常にふえておる、こういうことが言われております。先ほど申し上げたように、今の状況というのは第一次石油ショックの役とよく似ておる。こういうことから考えても、この融資の問題については大変懸念されるわけですが、大蔵省はどういうことを考えておられるか、何をやったのか、これをちょっとお伺いしたい。
#44
○藤原説明員 お答えをいたします。
 不動産購入のための融資がどの程度伸びているかということでございますが、実はそれだけを取り出した統計というのはないわけでございます。ただ、参考といいますか、日本銀行の全国銀行業種別貸出残高統計というのがございまして、これによりますと、不動産業向けの貸出残高でございます、したがって不動産購入以外の貸し出しも含まれるわけでございますが、このところ前年比二〇%程度という平均を上回る伸びを示しているという事実がございます。
 金融機関の融資につきましては、御承知のとおり本来金融機関の自主判断で決定をするというのが基本でございますけれども、不動産融資につきましては、金融機関の公共性という問題もございますので、十分自覚をするようにかねてから指導をしてきたわけでございます。昨今の都心の一部地域におきます地価動向の問題がございますので、国土庁とも御相談をいたしまして、この四月十六日に金融機関に対して私どもとして通達を出したわけでございましてその中身といたしましては、いやしくも投機的な土地取引を助長することがないよう十分注意をしろということを指導いたしたわけでございますが、それとあわせまして不動産業者、建設業者向け土地関連融資の実情を把握をするということをいたしたわけでございます。私どもといたしましてはその成果、結果を見守ってまいりたいというふうに考えております。
#45
○武部委員 二〇%ということを今おっしゃったわけですが、非常に異常な融資の増額が現実に起きておるということを大蔵省としてもつかんでおられる。それでその通達を出して報告を求めるのはいいのですが、報告を求めるだけじゃだめなんで、やはりもっと強い指導をしてもらわなければいかぬと思います。それから、地方銀行だって都内に支店があるわけですから、都銀なんかばかりじゃなくてやはり地方銀行だってそういう傾向もあるわけですから、影響が大きいわけですから、大蔵省としては全部の金融機関に対してそういう通達なり指導なりをやっていただいて、こういう土地融資がべらぼうにふえる、そのことが結果的に土地買いあさりにつながるということのないようにぜひひとつ努力をしていただきたい、このことを特に要望しておくわけであります。答弁結構です。
#46
○藤原説明員 先ほどの通達でございますが、これは全国のいろいろな金融機関に対して発出をいたしているということで御理解いただきたいと思います。
#47
○武部委員 そこで国土庁に、先ほどちょっと都条例のお話がございましたので、これに関連をしてお伺いをいたしたいのであります。
 国土庁には国土利用計画というものがちゃんとございますね。したがって、私どもから見れば確かに都心は今は異常な値上がりです。確かに飛び抜けてここへ来ておるわけですから、その対策が急がれることは否定いたしません。しかし、根本的にはやはり国土法の改正ということが基本でなければならぬ。当面の対策として、特に都心部の千代田区とか中央区とかそういうところの値上がりが非常に異常ですから、そのために東京都との間に話をして条例を設ける、これも別に悪いことではない。いいことですから、おやりいただいて結構ですが、やはり将来の全般的な土地騰貴に対する規制のためには根本的には国土法の改正、国土利用計画をもっと強いものにして、きちっと土地騰貴が、異常な値上がりが起きないようにすべきだ、こういうふうに思うわけであります。
 当面して、今おっしゃった二千平米を五百平米とかあるいは三百平米とかにということが若干言われておるようでありますが、おとといでしたか、私ちょっとテレビのニュースを見ておったらすっと数字が出たので、ちょっと書きとめてみたのですが、ぱっと消えちゃったものだから間違っておるかもしらぬので、もし事実と違うなら言ってください。
 あのテレビでは、二千平米では都内でわずかに〇・九しか該当しない、これをもし仮に五百平米にした場合は九・六%、それからこれを三百平米にした場合は二〇・七という数字がニュースで出たのです。したがって、今考えておられる東京都との話し合いで都条例であなたの方の二千平米を仮に五百にしたって一割足らず、三百にしても二割程度のものしか該当しない、こういうことになるわけです。
 そうなってくると、例えば三百平米として百坪。九十九坪じゃ該当しないか、このところがいつも問題になるのですね。これは当然のことであります。したがって、これは坪数とかなんとかでなくて、金額が問題だと私は思うのです。一億なんというべらぼうな、五十坪ならば五十億円ですね、五十億円の売買をしたってこれならば該当いたしませんからね。そういう取引が随所に行われる可能性が出てきますよ。したがって、数ではなくて金額が問題なのですから、全般的に二千平米ならばこの枠を全部取っ払って、都心のある高騰地域だけは、何区と何区と何区はこの条例を適用する、これは全部報告を求める、こういうことこそいわゆる抜け穴をくぐって取引することを防ぐことになりはしないか、そうでなければ効果が上がらぬじゃないか、このように思うのですが、いかがですか。
#48
○山崎説明員 まず最初に申し上げておかないといけませんのは、東京都においては現在検討中でございまして、具体的にどういう仕組みになるか、要するに現在の国土法の対象になっているもの以外のものについて届け出の対象になるということは間違いないわけでございますが、どこまでどういう形で対象にするかということはこれから至急検討するということになっておりまして、細かいことは決まっていないわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、すべての取引を届け出の対象にするということ、これは実は国土法で言えばむしろ許可制に近いものになるわけでございまして、許可制という制度がございまして、これになりますとすべての取引が許可になるわけでございますが、これをいたしますと、その運用いかんによりましてはいわゆる土地取引が、すべてストップとまではいかないまでもかなり抑制されるということになりまして、正常な経済活動に対して支障を与えるということも一方においては懸念されるわけでございます。私どもといたしましては、この届け出制度というものは、そういった形で全部を押さえるというのではなくて、ある程度まとまった、そういった意味では代表性があるというような取引につきまして、価格をあらかじめチェックすることによりましてそういった価格形成の周辺の土地取引に及ぼす波及効果というものを期待していくということにあるわけでございます。そういった意味におきまして、すべてを対象とするというような制度はいかがかというふうに考えているわけでございます。
 それから、一定の価格以上のものを対象にしてはどうかという御提案でございまして、これはもちろんそういうことを先生以外にもおっしゃっている方もいらっしゃるわけでございまして、私どもとして今後大いに検討していかなければならない問題だと思っておりますが、その場合難しいのは、価格の場合に果たして一定の、幾らの価格で取引したかということが確実に把握できるかどうか。これが面積でございますれば、客観的にここの面積は何平米ということがわかるわけでございますが、価格の場合は、当事者が申告しなかった場合には正確に把握できないのではないかという懸念もあるわけでございまして、むしろ私どもといたしましては、一般的に価格が高い地域については面積を低くするということによってそういった意味の高い価格での取引というものがかなりカバーできるのではないかというふうに考えているところでございます。
#49
○武部委員 確かにあなたがおっしゃるように難しいと思うのです、これは。だれも買った金額、取引の金額を公に発表する者はいないわけで、できるだけ隠していこうという、これは人情だと思うので、なかなか難しいと思うのです。しかし、何らかの規制をするためには、そこまで突っ込んでやらなければ効果が上がらぬのじゃないだろうかというふうに思うわけです。
 そこで、例えば東京区部の二十三ですか、それを全部せいといったってこれは無理なことですから、今の上昇率はあなたの方の一覧表に出ておるようにどこが大体どのくらい上がっておるというのがみんなわかっているわけですから、そういう中で、三百平米という言葉が出ておりますが、それが五百になるかどうかわかりませんが、今のところは取引の届け出でしょう。許可じゃありませんね。取引の届け出でしょう。したがって、それによって大体の傾向がわかるわけですから、それについての対策が立てられるわけですから、私はやはり金額、価格というものが大きな意味を持っておるというふうに思います。これから東京都と話し合いをされて決まるわけですから、若干の時間もあるだろうと思います。したがって、都心部の区域をある程度限定をし、金額あるいは面積、そういう面で効果が上がるような話し合いをひとつしていただきたい。これは、余りにも異常な地価ですから、私は特に国土庁に強く要望しておきたいのであります。
 そこで、もう一つ国土庁に、せっかくの機会ですからお尋ねをし、要望するわけですが、新聞によく、どこの地域が、商業地がどうだ、市街地がどうだと、いろいろなことが出ます。日にちはばらばらでございますが、国税庁は路線価額を発表する、国土庁は公示価格を発表する、地方自治体は固定資産税の評価額というものを、あそこが何ぼだ、あそこが何ぼだと一つの地域に三つぐらい金額が、発表の時期は違いますけれども出ます。国民から見ればよくわからぬのですよ。一番高いのは、路線価額のところが一番高いのが出ます。しかし、実勢価格とは全くかけ離れた数字であります。したがって、国民の目にもよくわかりませんから、こういう数字は大体まとめて一本化することはできないものだろうかというふうに考えるのですが、国土庁として、こういう路線価額、公示価格あるいは固定資産税の評価をするための課税標準額といいますか、そのようなものについての検討を加えておるようなことはないのでしょうか。
#50
○山崎説明員 先生がおっしゃいましたように、現在、全国的、継続的に土地の評価を発表しておりますものといたしましては、私どものやっております地価公示、それから都道府県地価調査、それから自治省が行っております固定資産税評価、それから国税庁の相続税評価があるわけでございます。これらはそれぞれ制度の目的とか評価の方法等が異なっておりますので、現在、その数字におきましてかなり違った数字が出ておる例もあるということは御指摘のとおりでございます。
 ただ、そういった制度の目的等が違いますので、これを直ちに一本化するということは非常に難しいのではないかとは思っておりますが、ただ、いろいろな価格があってわかりにくいということもまた事実だろうと思っております。したがいまして、私どもといたしましては、国土庁、国税庁、それから自治省と、三省庁の間におきまして公的な土地評価に関する研究会を設けまして現在研究を続けているところでございまして、今後とも適正な評価で、できるだけそういった方向に沿いますように検討を続けてまいりたいと思っております。
#51
○武部委員 土地の問題はこれで終わりますから、どうぞ国土庁、結構です。
 そこで、今度は差益の還元の問題でお尋ねをいたしますが、先般の委員会のときに、私は五十三年当時の通産省の通達のことを申し上げました。円高差益の還元について五十三年に通産省が出された通達を取り上げたわけですが、私の手元に届きました資料によりますと、六十一年四月二十五日付で公益事業部長の名前で地方の通産局長に通達が出ています。それから、石油部流通課の名前で五月十三日に業界に対して差益還元の通達をお出しになっております。これを五十三年のときと比べてみました。全く同じ内容のものであります。余り違ってない。
 ただ、公益事業部長のあなたの文書、私よくわからぬのです。前回のもよくわからなかったが、今度も同じことなんでちょっとお尋ねしなければならぬのですが、せっかくの差益還元を指導するようにという通達を出してもらったのだけれども、これはどういう意味ですか。この「可能な限り、料金の暫定的引下げを行わせること。 また、料金引下げが困難なものについても、円高等による原料費低下メリットによって生じた利益を不当に社外流出させず、料金の長期安定、保安水準の向上等を通じて円高等による差益を還元させること。」こういうふうになっていますね。これは前回五十三年と同じことであります。「料金引下げが困難なもの」、そういう業界があれば下げないでよろしい、戻さぬでよろしい、しかし料金の安定に使え、あるいは保安の設備投資等に使え、こういう内容になっておるのです。これは通産局長に通達を出して、指導せいと言っておられるわけですが、「料金引下げが困難なもの」、戻すことができるかできないかという判定はだれがするのですか。ひとつそれをお伺いしたい。
 それから、四番目に「暫定的引下げが困難な地方都市ガス事業者及び簡易ガス事業者については、その事情につき需要家の理解を得るために、十分な努力をさせること。」と書いてありますが、これはどういうことを事業者にやらせようとしておるのか、私はよく理解できませんので、これを最初にお伺いします。都市ガス業者は二百四十五社ありますが、いかがですか。
#52
○中尾説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘がありました、まず五十三年度に出されました円高差益の取り扱いについての通達でございますが、この際には、簡易ガス事業につきましては円高メリットによって生じた利益をむしろ不当に社外流出させず、五十四年度以降の料金の長期安定のための原資として社内に留保させるということを原則といたします、こういう地方都市ガス事業者に準じた扱いを行うということで、各通産局に通達を行ったわけでございます。
 今回は、二十五日に御指摘のように公益事業部長名で各通産局長あてに地方都市ガス事業と簡易ガス事業につきましての通達を出したわけでございますが、簡易ガス事業は御承知のとおりいずれもLPGを原料としているということで、国内調達をしているということで原料価格の低下によるメリットを享受することになるわけでございますが、簡易ガス事業というのは――総じて地方都市ガス事業も非常に小さいということでございますし、経営規模が中小零細ということでございますし、経営の形態も組合でありますとか、いろいろな形態がございます。そういうことで、なかなか一律に差益還元は論じられない。ただし、簡易ガス事業も原価主義によりまして料金が定められている公益事業ということでございますので、この通達にございますように、簡易ガス事業につきましても各事業者の収支状況あるいは原料価格の状況、こういうものを十分に見きわめながら、可能な限り料金の暫定引き下げを行うことが適切だということで、そういう趣旨の通達を出したわけでございます。したがいまして、あくまで原則、考え方としましては、可能な限り料金の暫定的引き下げということでございます。
 ただ、還元が困難なものというのはどういうことかということでございますが、簡易ガス事業者の中には、非常に中小零細で、依然として赤字である事業者が相当多うございます。そういうものにつきましては、還元をするよりも、むしろ料金の長期安定という観点から内部留保させるということも考えてよいという趣旨で出したものでございます。
 それから御質問の四の暫定引き下げが困難な事業者については「その事情につき需要家の理解を得るために、十分な努力をさせること。」ということでございますが、隣の団地は値下がりになった、しかしながら自分の住んでいるところの団地は還元がないというようなことで、需要家の方からどういう事情だというような問い合わせがあった場合には、やはりかくかくしかじかの理由でいろいろと問題があるということで、値下げについては困難だということを十分お客様の理解が得られるように説明をするなり理解を得るように努力しなさいということで指導するように通達したわけでございます。
#53
○武部委員 あなたの通達から見ますと、通商産業局長という名前になっていますから、例えば近畿なら近畿の通産局は、ずっとこの管内の都市ガス、簡易ガスの業者に対して話をして、通達を出して協議をして、おまえのところはこのくらいやれというような指導をされる、そういうふうにこれは理解できますね。これは四月二十五日ですね。
 それならば、四月二十六日の新聞記事ですが、この記事の中に、二十五日に業界と通産省資源エネルギー庁との協議で地方ガスの全国の中の九社が値下げが決まった、こう報道されているのです。北は北海道ガスから福岡の西部ガスまで九つの会社の値下げが、あなたの通達を出されたその日に、これは本庁だと思いますが、業界とエネ庁との間で協議をして、九社はもう東京で決まっておる、このように報道されております。「北海道ガス、仙台市営ガス、広島ガス、四国ガス、西部ガス(福岡)など地方ガス主要九社。」ちょっと今の説明を聞くと、これはおかしいじゃないですか。エネ庁は、こういう指導とはまた別に、同じ日にどの業界か知りませんが呼んで、九つの業界については幾ら幾ら下げろと話がついた、内容について「実施時期、還元額は現在検討中だが、七月までには九社全社が実施する。」こういうふうになっているのです。これはどういうことでしょうか。
#54
○中尾説明員 御説明させていただきます。
 二十五日付で私どもといたしましては各通産局長あてにただいま御指摘の通達を出したわけでございまして、各通産局が、原則といたしまして地方都市ガス事業、簡易ガス事業はすべてでございますが、それの料金等の監督を行っているわけでございまして、その通達に基づきましてその後、各通産局におきまして現在各事業者からヒアリングをするなりあるいは業者を集めて説明をするなりやっているわけでございまして、その時点におきまして業界と通産省が決めたといったような報道が出ておりますが、むしろその時点ではいろいろと指導をしているという段階でございます。現在までのところ、かなりの地方ガス会社のうちの準大手とされるところが差益の還元について実施する意向で準備を進めているという状況でございます。
#55
○武部委員 いや、別に、するなど言っているのじゃないですよ。するなど言っているのじゃないのだが、たまたま通達が出た同じ日にこういうことを片一方でやっておられるということになると、ちょっと私は不思議なものだから……。
 むしろ地方の通産局に任せないで、大体業績というものはわかっているのですから、国内を使っておるところと輸入物を使っておるところ、みんな皆さんの方でおわかりなのだから、そうすれば、大体円がこうなって油が下がって、こういうことになれば、大体ここはどのくらいの需要家があってということはわかっているのですから、大手もあれば準大手もあれば中もあれば小もあるわけですから、そういう大きなところからまず還元させる指導は本庁で、あなたの方でおやりになるのは結構なことなんです。それはやはりやってもらいたい。それがこれだと私は思っておったのです。ですから、こういうことを片一方でどんどんおやりになって、そしてこぼれて、こぼれてと言うと言葉が悪いが、まだそれより小さいところ、よくつかめないところは通産局に指導させて、できるだけ還元がすべての利益を得たところには波及するような指導をされる、それはまことに結構なことだからやってほしいのです。ですから私は、九社の値下げをやられたことについて異議を唱えているわけじゃないのです。そういうものは即刻やはりやっていただいて、むしろそれによってそれ以下の業界に、恐らく準大手でしょうからそれに波及するような二段構えのやり方をしていただければ効果があるのじゃないだろうか、そういうふうに思っておるのです。ですからこれをもらったときに、これを見てこれはどういうことだろうかなと大変疑問に思ったのでそういうふうに質問をしたわけでありますから、これでわかりました。
 そこで、さっき言ったように「引下げが困難なもの」という、ここですね、問題は。それからその後に書いてある「生じた利益を不当に社外流出させず、」これも冒頭に言うように、五十三年のときにもそういうことがあって、下げずにとにかくじっと持っておれということを暗にこの文章は業界に示しておるじゃないかということを当時も言ったのです、五十三年のときに。この文章は、向こうに、業者に口実を与える、こういうふうに書いてあるから出さぬでもいい、こういうふうに逆に利用されるおそれがあるということを言ったのですが、やはり同じことが出ておるものだから、そういうことは絶対ないように指導をしてもらいたい、このことを特に強く要請しておきたいのです。そうでなければ、困難だ困難だと言って勝手に自分の方で決めてそういうことをやられたのではこれは還元になりませんから、そのことです。
 それから「需要家の理解」ですね。これはあなたのおっしゃったことでわかりました。わかりましたが、これは入り乱れておるところがあるのですよ。二つ入っておるところがある。そういうところではやはり問題が生じるのです。ですからこの点については通産局を通じて具体的な指導というものは徹底して行わないと、そこにいろいろな誤解やあれが生じてくるわけですから、その点は厳重に指導をしていただきたい。これは特に要望ですから、要望にとどめておきます。それで結構です。
 先ほど岸田委員の円高差益還元の質疑の中で、バレル当たりあるいは円の数字について実勢と合わない。確かに合っておりません。これはいろいろな理由があってそうなるのですから、これはそれなりに理由がございます。しかしいずれにしても間もなく決算が明らかになるわけです。九電力、三ガスの大手の決算は六月の初めにはわかりますね。それによって確定的な決算状況が国民の前に明らかになるわけです。今よりも相当な金額になることは否定できない事実だろうと思います。
 問題は、その後の取り扱いをどうするか。これについて今質疑が行われたわけですが、この間参議院の決算委員会で、中曽根さんは何を思いついたか、補正を組む、補正予算の財源はと聞かれて、例の電力、ガスの円高差益を充てます、これは全く思いつきの答弁だと思うのです。この円高差益、これから出てくるであろう余ったものを補正予算なんかに使ってもらってはたまったものじゃない。これは恐らく口が滑ってその程度のことを言っているに違いないと思って私は余り気にしませんが、そんなことは国民が許しません。したがって、次の残った確定的な油種の利益、それから円の差益、そのものは一体どう処理するかということがこれから問題になってくると思うのです。
 そこでお伺いしたいのです。前の委員会のときに私はこの別途積立金と原価変動調整積立金のことについていろいろやりとりをいたしました。そのときに通産省の説明があったのを議事録ができ上がったので読んでみたのですが、これもよくわからぬのです。この別途積立金というものと原価変動調整積立金というのは、これをつくったときはバレル当たりが急激に下がった、それから円が急激に上がった、したがって、そのものはきちっとガラス張りで別途に積み立てておけば国民の皆様の前にも明らかになってとやかく言われることは少ない、だからこれはガラス張りにした方がいい、それで円が安くなったらそこから出せばいいし、油が上がったらそこから出せばいい、そういうやり方の方がきれいで国民の皆様に明らかになるじゃないかということを私はかねがね主張しておったわけです。この二つができたと思っておったところが、この説明を聞きますと、いや、そればかりじゃない、それ以外のものも入っておるというような説明がこの間ございました。
 そこで、この二つの、別途積立金というものの性格、それから原価変動調整積立金というものの性格、これは一体通産省としてはどういうふうにお考えになっておるか、これをちょっと聞かしてください。
#56
○川田説明員 電力会社が通常の配当などを行った上で、なお利益が残りました場合に決算の処理をするわけでございますが、その際にはそういう利益につきましては、需要家からいただいたものでございますので、将来の原価の変動に備えて需要家のために残しておく、こういうことで積み上げてきておるという先生の御指摘はそのとおりでございます。
 別途積立金というのは、昭和五十五年度にやはり現在と同じように円高がかなりございましたので、かなりの利益が生じた際にそれを積み立てたものでございますし、それから原価変動調整積立金と申しますのは、原油価格が下落をいたしました際に、五十八年度、五十九年度この二年間で積み立てたものでございます。したがって、それの使い方につきましては、今先生お話しのように、今後の原価変動、特にレートの円安化それから原油の価格あるいはそのほかに思わざるコスト増要因があったりすれば、そういうことにも明らかにしながら取り崩しが行われる、こういう性格のものであろうというふうに理解をいたしております。
#57
○武部委員 ちょっと読んでみますが、「原価変動が大きかっただろうということで積んだわけでございまして、例えば円高なら円高で生まれた利益そのものを積んだというわけではございません。」ですから私はちゃんとやって、そしてその中から返したらいいじゃないかということを言ったら、そればかりじゃないと言う。今読み上げたような「円高なら円高で生まれた利益そのものを積んだというわけではございません。」こういう答弁があったものだから、そうするとそのほかのものも一緒にやって、ほかの方で損したらまた崩して使うのかと思われるような答弁があったものだから改めて答弁を求めたわけです。
 それならば、この別途積立金というのは、円高差益がそのままそっくり残ったものが――還元した残りがありますね、今度、全部還元するわけじゃありませんから。例えば七割とか八割、さっきあったでしょう。そうすると二割残った、三割残ったものはここに積み立てる。それから油の二十九ドルが十九ドルになった。仮に十七ドルになったら、あと二ドル分というものは今度原価変動調整積立金のところに利益の中から積み立てる。それは九電力ごとに、三ガスも、そういうふうにおやりになるというふうに理解していいのですか。
#58
○川田説明員 御説明申し上げます。
 この前の答弁との関係で申しますと、企業経理でございますので総合して、先ほど私御説明いたしましたように、全部の計算をいたしました上で、必要な株主への配当もした残りのものが、必要な税金も払って残りのものがどうなるかということでその分の扱いについて申し上げておりますので、この前の御説明はそこら辺が全体を扱うのですという意味合いで申し上げたところでございます。今回も例えば六十年度決算で全体を計算して残った場合には原価変動調整積立金というものを積み増しする、そしてこれは将来の需要家のためにちゃんとこれだけ各社残っておりますというようなことを明らかにしながら決算処理をしていくということで、とにかく全体を扱うということで恐らくこの前の答弁がなされておりますので、そういった為替レートとか原油価格だけを取り出して議論をするということには企業経理の場合必ずしも相なりませんので、そういう違いが生じてくる、こういうことでございます。
#59
○武部委員 決算が出ましたときに、決算が終わったときに今期の円高差益は幾らで、そして原油の値下がりに伴う利益は幾らで、そのうち今回行われている還元は、これは今じゃありません、来年のことですけれども、円高差益の還元はかくかくしたので当期の別途積立金は幾ら積み立てた、それから原価変動調整積立金は幾ら積み立てた、こういうことはきちんとわかるわけですね。(川田説明員「はい」と呼ぶ)それならば結構です。
 次に、時間がありませんから、一つだけ先に国民生活局長にお尋ねいたします。
 ベルギーダイヤモンドのことを私が前回取り上げまして、不起訴になったということを言ったら、そんなことはないといって文書をいただきました。私の指摘が間違っておるという答弁書をいただきました。ところが、ベルギーダイヤモンドは先日二十八人が全員不起訴になりましたね。
 無限連鎖講防止に関する法律に基づいて警察はこの二十八人の社長を検挙した、このように私たちは理解をして、無限連鎖講防止に関する法律の適用が行われて起訴に持ち込まれると大いに期待をしておったわけです。前回の私の質問のときには私の質問が間違っておりましたから、不起訴になっておりませんでしたが、結果的には全員不起訴になってネズミ講の適用は不可能ということになった、こういう報道がされておりますが、これで間違いございませんか。
#60
○横溝政府委員 前回の委員会の段階では検察当局がまだ検討中でございましたが、四月十五日に、先生今御指摘のように不起訴になったことは事実でございます。
#61
○武部委員 これは大変残念なことでありまして、確かに無限連鎖講防止に関する法律というのは議員立法でございまして、条文も非常に短い条文でございまして、この網の目をくぐって彼らがやったという結果にこの不起訴の内容から見るとなります。しかし、私どもは一定の金額ということの解釈についてまだまだ疑義があるわけです。ダイヤモンドが、現実に金額と違う品物がここに一緒に取引されておる。しかし無限連鎖講の防止に関する法律の解釈によっては、これを検挙すること、起訴に持ち込むことは可能ではないだろうかと思うのですが、残念ながらこれは裁判所が決定を下したわけですから、やむを得ないと思います。
 そこで問題は、せっかくつくって天下一家の会も消滅したしということで、これに類似するネズミ講はほとんどその後出現をしていなかった。しかし、このベルギーダイヤモンドはまさに網の目をくぐって、盲点をついてきておるわけです。したがってこれに類するものがこの不起訴によって出てくる可能性が私は今後出てくるような気がするのです。そうするとさらに我々の任務は重大になってくる。
 そこで、国民生活局としてはアメリカに行かれていろんなことを調査して帰られた。この結論を早くまとめて、もしこのネズミ講の法律が不備ならば改正しなければなりませんよ。私どもつくった以上、この網の目をくぐられたんじゃたまったものじゃありませんから、これは改正しなければいかぬ。これにはやはり国民生活局が中心になって、せっかくアメリカに行かれて向こうの法律を研究して帰られたわけですから、そういう内容を我々に示していただいて、もし欠陥があるとするならばこのネズミ講の条文を改正しなければいかぬ、つくった者の一人として私どもはそう思うのです。ですから二十八人の社長が不起訴になったということは、将来のこういう類似の犯罪行為に対して非常に大きな意味を持っておるのです。これについて国民生活局長はどうお考えでしょうか。
#62
○横溝政府委員 まことにおっしゃるとおり、不起訴になったということは私ども残念だと存じますが、他方ではこのベルギーダイヤモンドの商法は、先生も御理解いただいておると存じますけれども、無限連鎖講の関係以外に連鎖販売取引、要するにマルチまがい取引との関連での問題というのもあり得ると思います。それで、通産省の産業構造審議会で例の豊田商事型の現物まがい商法を規制する法律案の検討は既に終わって、現在法案が審議中であることは御存じのとおりでございますけれども、その後引き続きまして連鎖販売取引に類似した行為に関する消費者保護問題を産業構造審議会で御検討いただくことになっておりますので、そこの場でこの種の問題も検討をされるものと理解しております。
 いずれにいたしましても、先生も今おっしゃっていただきましたアメリカにおける調査等を、これも各省協力してやったものでありまして、そういうものも参考にしながら私どももこういう検討の場を通じ、各省連携をとりながら被害の再発防止に努力をしたいと思いますし、そのほか、当然消費者啓発とか具体的な問題が起きた場合に苦情相談に適切に応ずるというようなことも鋭意やっていきたいと考えております。
#63
○武部委員 これは私どもとしては大変関心を持っておる事項でございまして、きょうはそういうことはできませんが、今のような時期にはこういうものがはびこってくるわけですから、何としても事前に取り締まらなければならぬ。確かにダイヤモンドを介在させておるということが逃がれ道の一つになっておるんですね。金だけならばネズミ講で取り締まれる、品物がつけばマルチだ、ところが、品物が生じゃないんです。金が主で、そこへちょびっとダイヤモンドを押しつけておる、それも金額がまちまちだということ、ここが相手のねらいだと思えるわけです。ですから、私どもは今度はそれに適応した法律をつくっていかなければならぬ、こんなふうに考えるわけでございまして、きょうはできませんが、ぜひ協力をしてもらいたいということを特に要望しておきたいと思います。
 時間がなくなりましたので最後に一つだけ要望しておきますが、円高差益の還元で電力、ガス、プロパンがとりあえず出てきました。国際電信電話もこれから出てくる。それでもだんだん少しずつ目に見えてきたようですが、しかし知らぬ顔の半兵衛がたくさんおるわけです。これになかなか手がつかぬ。前回、農産物、特に肉のことをやったわけですけれども、これは農林省が非常に抵抗が強い。ですから国民から見ればどうしてだろうかという気持ちは非常に強いと思うのです。それからパンだって余り下がりませんね。うどんも下がらぬ、こういうことですし、何か海産物だって、タコが上がっておって、ほかの物は下がるが何でタコが上がるか。タコは上に上がるものだ、そんな冗談は通らぬのです。タコはほとんど輸入でしょう、どうしてこれは下がらぬか、そんなことがやはり国民の中から出てくるのですよ。
 谷村次官がいいことを言っておられる。ついきのう、十四日ですよ。「円高差益を還元 生活水準の向上へ」大変立派な論文ですよ。論文だけじゃだめなんだ、ここに書いてあることを企画庁が現実に指導してもらわなければならぬ。ここに書いてあることを見ますと、「円高メリットが末端まで浸透していない場合には、政府は早急に行政指導するなど業界団体に徹底を図りたい。」こうおっしゃっておるのですから、徹底して図ってもらわなければいかぬです。それから、「西ドイツの場合はマルク高をうまく国内の物価下落に結びつけた。われわれもそれに倣い、円高を国民の生活水準の向上につなげたい。そのためには、調査を一回で終わらせず、また実施し、その結果に基づいて的確な指導をするなどキメ細かな対応が必要だと考えている。」文章だけではだめなんですよ。あなたの方も三十何項目調査されました。一回じゃだめなんですよ。ですから次々とされて、その経過はどうなったか、一体効果は上がっておるか、それを逐次国民の前にやはり明らかにしてもらわなければならぬ。世論が上向けば、業界だってそっぽを向いておるわけにはいかないと思うのです。
 この谷村次官の発言は私は立派だと思います。このとおりだと思います。しかし現実には目に見えて下がらない、ですから国民から見ればいらいらする、こういうことになるわけですが、物価局長として円高差益の還元の今後の取り組み、あなたの見解を聞いてみたいと思います。
#64
○斎藤(成)政府委員 基本的には御指摘のとおりと私どもも考えております。
 ただ、若干今の御説明に注釈をつけ加えさせていただきますと、例えばタコの値段が上がっておる。御指摘のように私どもは下がってほしかったのですけれども、幾つかの物資というのは上がっておるという結果が出ておりますのは、事情もいろいろ各省で調べてみますと、例えばタコの場合には、国内に供給されておりますタコは主として西アフリカ沖でとっているようでございますけれども、これがしけであった。そうすると結局、国内に供給されるタコの量が少ないものですから、その結果として値が上がってしまった。またこれは、そういった需給状況が改善すれば当然下がってくるものというふうに私ども期待をいたしております。
 先ほど牛肉その他の問題についても御指摘がございましたが、それらにつきましては、よく御存じのように支持価格制度という枠もございますので、いろいろそういった現在行政の中につくられております仕組みとどういうふうに調整をしながら円高の効果を反映させていくかというのが私どもの課題と考えております。御指摘の方向でぜひ努力をしてまいりたいと思っております。
#65
○武部委員 時間が来ましたから終わります。
#66
○阿部委員長 次に、浜西鉄雄君。
#67
○浜西委員 きょうは、問題を絞ってお尋ねしておきたいと思うのです。言ってみれば前回からの続きのようなものですが、まず前回のいきさつを若干言っておかなければならぬと思うのです。
 四月八日当委員会で、私は輸入品がなぜ下がらないかという意味のことを質問いたしました。たくさんの輸入品があるわけですが、その中でも食料品とかそれからウイスキーなど酒の輸入についてお尋ねしました。その際に政府の方からの答弁を、いろいろありますから集約的に言いますと、これは物価安定政策会議の中に専門の委員会をつくって、そういう問題をひっくるめて検討して三月末には答申をいただいたということなどがありまして、税金の問題についてそのときに余り触れられていない。だから、よくわからない素人から見れば、輸入業者が安く売れる物を、つまりマージンをたくさん取って市場には値下がりの状態を起こしていない、中間搾取がある、輸入業者がもうけておる、この間のやりとりの中ではそういう印象になっておるわけですね。
 ところが、その後調べてみますと、そういうことでないと私は思うようになったわけです。最近の新聞、たくさんありますが、一口に言えば、日本が外国からのウイスキー、スコッチなどそういう洋酒を輸入する際に税金をかなり差別をしてかけておる、その結果が結局は小売価格というものに連動して響いておる、こういうふうに私は理解するわけですが、前回の回答で、言ってみればそういう親切な回答がないものでうかつに見逃したわけですが、今回はその点について中心的に聞いてみたいと思うのです。
 ずばり申し上げますが、ここに二月二十八日の朝日新聞の見出しがあるのです。「ただで輸出しても一本二千六百三十円に」という見出しで書いてある。調べてみると確かにそのとおり。これは全くおかしな話でして、こういうことが長い間続いておるということ。これのまず歴史的経過を私は知りたいのです。なぜそのように輸入品の中に差別をつけて段階を設けて、しかも一定の限度を越せば従価税と申しますか、こういうものが加わってさらに高くなるという仕組み、そういう歴史的な経過、その理由これを教えてほしい。それが一つ。
 それからもう一つは、そういうことは果たして中曽根首相が国会で何回も答弁しておりますように自由貿易というか開放型、そういうふうなことで国際の中における日本の立場などを強調して、これからはできるだけ自由貿易の形に持っていくというのが大体国会で答弁をした趣旨、本旨だと私は思っているのですが、政府全体が自由化の方向へ持っていくという時期に、まだこの種のこういった関税のかけ方、さらに従価税のかけ方、とのこととどう一体これが調和するのか、その二つについてまず答弁を求めます。
#68
○吉田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生からお話がございました関税が非常に高いのではないかという点でございますが、関税につきましては、国税庁の昨年の調査によりますと、今お話が出ましたウイスキーを例にとりますと、関税部分はいわゆる調査時点の小売価格の中に占める割合は全体を一〇〇としますと五である、五ないし、プレミアムでいいますと、高級品でございますが、三であるというふうな状況でございます。そういう意味におきまして、関税につきましては全体の小売価格に占める割合というのは非常に低いということが言えるのではないかと思います。
 現実問題としまして関税につきましては、今先生からもお話がありました最近の対外対策、市場開放対策の一環といたしまして、昨年のいわゆるアクションプログラムの中身としましてウイスキー、ブランデー等につきましては、昨年の臨時国会で関税暫定措置法の改正を国会で御審議をいただき、この一月一日から二割カットをいたしております。また、それ以外の酒類の残っておりましたワインにつきましては、本来のところは来年の四月からという予定でございましたが、さらに一年繰り上げて二割カットを本年の四月より同様関税暫定措置法の改正によりまして実施したところでございまして、関税面におきましても市場開放の努力をしているというのが現状でございます。
#69
○浜西委員 関税の関係を多少そういうふうに下げたということはわかりますが、比較論でいいますと、私はその点数字に詳しくないのですが、まず国産品の二級のウイスキー、これはリットル当たりの数字ですが、これの税金は二百九十六円、ところが輸入品、スコッチなど、これは二千九十八円、だから日本の国産品の二百九十六円から見れば七倍の、これは従量税という呼び方をするのでしょうね、従量税になる。一級の場合が千十一円ですから、これの約二倍ですね。これほど同じようなものを、我々から見た場合は少し酒が回ったら味がどっちがいいかわけがわかりませんで、これが高かろうが安かろうが似たようなもので飲んでしまうのですが、こういう中身の区別をするについてはかなりごまかしがあるように思うのですね。ごまかしというよりかわざとらしく段階を設けて、例えばそれを中性アルコールをうめたならばそれはランクを下げて安い税率のところに適用するとか、何かそういうふうなものがあると聞いていますが、もうちょっとその辺を、事酒に関しては歴史的にこういう理由でこういう分け方をしておるとか、税金の種類にはこういうかけ方があるのですよというものを私どもにわかりやすくちょっと説明してもらいたいと思うのです。
#70
○宗田説明員 税制につきましては本来大蔵省の主税局の方の所管でございまして、私ども国税庁で税制のもとで業務を執行している立場でございますけれども、私どもが理解しているところでお答えさせていただきます。
 それで、ウイスキーにつきましては先生おっしゃいましたように我が国の場合は特級、一級、二級の区別をして課税をしております。おっしゃいましたように一リットル当たりで換算いたしますと、特級につきましては二千九十八円、一級につきましては一千十一円、二級につきましては二百九十六円という形で負担に格差が設けられております。これにつきましては、このほかに清酒につきましても特級、一級、二級という区別がございますけれども、我が国におきましては一種の応能負担と申しますか、高い品質のお酒につきましては高い価格が設定されるであろうし、またそこには担税力も多いということで、そういう高品質のものには税金を高く負担していただく、こういう基本的な考えがあってのことじゃなかろうかと私ども理解しております。
#71
○浜西委員 若干専門でないという意味で話が抽象的ですが、私がここで言いたいのは、同じウイスキーであるのにちょこっと、どの程度の量か知りませんが、中性アルコールを添加することによって低いところの税率になるという利点を国内の酒類業者というかに与えておるという、それは歴史的に何かあるのですかということを最初から聞いておるわけです。
 その意味合いというものが、そういうランクを設けて便宜を図らなければならなかった時代は、私は昔この法律ができるときにそれなりの理由があったと思うのですが、その理由と今日的な状況の中で、つまり国際貿易自由化という方向に向かう中でまだこのような制度が続くということについて私は異議を持っておるし、ここにあるのは四月十一日の話ですけれども、市場開放の問題について、ECは酒類の問題はガットに提訴するということも新聞で明らかになっておりますね。その中に、ガット三条の問題と九条六項の問題を挙げて、言ってみればワイン、ウイスキー業界というか、EC共同体、欧州共同体の方からそういう問題について日本に従来から言ってきたわけだけれども、この隠そういう提訴をするということを言明しておる新聞があるわけですね。こういう状態で、なおかつ今までのような制度、つまり私は国内の保護だろうと思うのです、国内業者の保護ではないかと思うのですが、その辺のいきさつと、今日的な状況の中でまだこの種のことを続けるのですかということを聞きたいわけですからそういった立場で答弁してください。
#72
○宗田説明員 我が国のウイスキーにつきましては、特級、一級、二級の区別をするに当たって幾つかの基準があるわけでございますけれども、その中の一つにウイスキー原酒の混和率という基準がございまして、特級は法律では二七%以上原酒があるもの、それから一級は一七ないし二七%のもの、二級がそれ以下のものという形になっております。したがいまして、ウイスキー原酒以外のものがこのほかにあるということになるわけでございますけれども、これを今後どういうぐあいに我が国において取り扱っていくかということにつきましては、私ども国税庁といたしましてなかなかお答えできる立場ではないのでございますけれども、法律に基づく制度のことでございますから、私がここで御答弁できるといたしますれば、現在税制の全般的な見直しということで政府の税制調査会等で見直しがいろいろ行われておるように聞いておりますので、そういうことの中でまた御検討いただくお話じゃなかろうか、かように思っております。
#73
○浜西委員 これ以上質問するのは無理なような感じがいたしますのでこれはこれでとどめておきますけれども、要はうまいウイスキーというかそういう高級なものが、贈答品の中にもむしろ入らぬぐらいな、社用族というかそういう法人の一部にしかこれが需要がないというようなやり方は私は間違いだと思う。高級なものもそういった税の改正によってぐんと安くなるはずですから、というのは、従価税というものは、運賃、保険料込みCIF価格、こういうものを含めてこれがある一定の限度を超えるとさらに一五〇%、さらにその上にもう一つのランクがありますが二二〇%、二通りの従価税が加算をされる。こんな仕組みで、結局は個人の消費に回らないでごく一部の高級なところだけにそれが口に入るということはどうしても納得できぬわけですから、この問題についてはきょうの段階ではこれ以上質問いたしません、また後日少し専門的な立場の人にお願いをして論議をしてみたいというふうに思っております。
 それから、今武部委員の方からもありました円高の問題ですが、この円高問題で私は従来から言ってきたんですが、倒産件数をここで言っても始まらないと思うのです。ことしの四月の中にたまたま山口県の――きょうの新聞です。私はきのうまでのものをこう見ておったのですが、三月までの半年間のものが十三日の新聞に載っております。きょうの日経には十一月から四月までの、私の地元の山口県に本社のある山門鉄工所の四十一億円の負債額などを含めて、かつてない倒産件数とその負債額の内容が発表されております、これは皆さん見られたと思うのですが。この前私も一緒に行きましたが、地場産業、特に金属鉱業についてはもうにっちもさっちもいかなくなっているのです。これについての対策なり手当ての仕方がまだ明らかになっていない。
 そこで私は、この問題についてどうなったかというのではなくして、その種の日本の鉱業技術というか鉱山、鉱業、製錬技術、これらを将来展望の中で日本の技術として保存し継続させるという意味で、言葉をかえれば、国益的な産業については少しでも温存する、手助けをするあるいは利子補給に充てるなど、この際、円高問題をトータル的に考えて、特別会計みたいなものを持って――今回電力業界が料金で還元をするということは大変結構なことだと私は思う。しかしこれは一〇〇%還元ではない。以前のものをたたけばもっといろいろ出てくると思うのです。そういうものを電気料金を納めておる人に対してただ返すという単純な発想でなく、それは筋としては正しいと思うけれども、しかし日本全体のことを考えたときに、今私が言ったような特殊技術を持った金属鉱山、そういう落ち込んだところを円高差益でもう少し何とか助けていく方法が考えられないか。これは私はずっと言っておるわけですが、その問題について再度きょうここで聞いておきたいのです。今の点について多少でも検討されておるかどうか、お伺いしておきたいと思うのです。
#74
○斎藤(成)政府委員 御指摘のように、為替の変動によって利益を得たりあるいは大きな損害を受けたりするのは大変不公平な話でございます。そういう意味では、この円高あるいは円高による差益、差損が出るというのは困った問題ではございます。
 しからば、円高による利益を得た人というのを具体的にどういうふうに特定するかということを仮に技術的な問題として考えてみますと、為替というのは毎日変動するわけでございますから、差益や差損の把握はテクニカルには大変難しい問題でございます。電力料金のような公共料金でございますと、ある一定の前提を置いてこの間における差益ということで計算するわけでございますから、それほど難しい問題ではございません。そうはいっても、為替の変動をどう見るかということについては常に当事者が頭を痛めざるを得ない。そういうことでございますから、この円高による差益、差損の問題の基本はやはり為替の変動にあるわけでございます。そういう意味で、日本のみならず世界の自由主義諸国というのは、為替対策、為替の安定をどうやって実現していくかということを問題として現在考えている状況にございます。
 そういう為替の変動、為替の安定対策ということを一方で考えますと、差益、差損が出ているものについて、差益が出ているものについては市場メカニズムを通してできるだけその差益が市中に還元するように、差損を生じているところについてはある場合には補助を与え、ある場合には自助努力によってこれを克服する、あるいは差益が次第に浸透することでそれに対処する、こういうことを期待しているわけでございます。
 ですから、今私どもは、差益と差損、一国全体で見ますとある程度別の結論も出ますけれども、それぞれ影響を受ける産業部門として見ますとかなり大きな違いがありますので、それについては個別に対処するという考え方で取り組んでいるわけでございます。
#75
○浜西委員 最後に私は、大臣に聞きたかったものの一つなのですが、もう少し詳しく言えばこういうことなんです。
 今回のように多少の料金還元をして、それで家庭経済も多少潤って、全体的には何となく消費が進むという意味はあろうかと思うのですが、それはそれとして、例えば電力業界が内部留保をやりますね。それと似たようなもので、同時に国家的な見地からそのうちの何%かは了解を得て政府が預かるというか、あるいはその運用を握るというような格好の特別会計的なものにしておいて、中小の利子補給をやったりいろいろなところに手当てをする。悪口じゃありませんが、労せずしてもうかったような金は政府が取り上げて、一つの財布、特別会計に入れて、国全体から見て国益に該当する業種、技術の火を消さないで、山を閉じないで継続させていく必要があるものは幾つかあるはずですから、そういうものにそのお金を使っていくということが一つです。
 それからもう一つ、そういう特別会計を公共投資の方へ回すという意味は、どなたかも質問されたようですけれども、例えば共同溝、共同溝が当面都市計画との関係で難しければキャブシステムのような格好で、交通体系やら都市計画をやった後役に立つわけですから、高圧線を除いて普通の百ボルトだとか通信回線だとかガス、水道――下水になると大変大きくなりますから、そういうようなものを想定して、一九八〇年代の人たちは、為替差益でもうけて、それをわけのわからぬままに還元をして一杯飲んでパアにするのじゃなくて社会資本としてそれを我々に残してくれたというようなものも考える。
 だから、一つの財布の中で二つの意味があるわけです。中小企業なり国益に該当する金属鉱山のようなものを残す手当てに使う。もう一つは、将来日本列島を本当にネットワーク社会にする、その社会資本をつくっていくための手当てとする。朝晩のラッシュがあるのは信号機があるからで、片方の道を橋のように立体交差にすれば、結局鉄もセメントの需要もどんどん起こってくると思う。大型プロジェクトで公共投資をやることも必要かもわからないが、国民全体の生活に直ちに役に立つようなものに使うことも考えて、これからどういう変動があるかわかりませんから、そういう余裕を持った特別会計的なものも必要ではないかと思うのです。
 ちょうど大臣も来られて、今までのいきさつがよくわからぬと思うのですが、円高差益を、これから先の社会資本を充実するために政府は何かいい思案を持つべきではないかと思うのですが、その点についてのお考えを聞いて終わりにしたいと思うのです。
#76
○平泉国務大臣 先般四月八日の総合経済対策というものは、そういう今段々お話のございましたような諸点というものも十分考慮に入れておりまして、例えば電気事業の差益還元の中には、電気料金の引き下げということのほかに設備投資を繰り上げ実施、さらに増額を回らせるという措置も含まれておりまして、実際の電気事業者の方もその辺の意図は十分承知をいたしておるわけでございます。段々お説のありましたような公共事業を中心とする諸問題というものにつきましては、私どもも十分考慮をいたしておるわけでございまして、十分参考にさせていただきたい、かように考える次第でございます。
#77
○浜西委員 では、時間が切りになりましたからこれで終わります。
 ありがとうございました。
#78
○阿部委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十五分開議
#79
○阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。元信堯君。
#80
○元信委員 きょうは独占禁止法の運用について二、三お尋ねをしたいと思います。
 昭和五十一年(判)第九号という事案がございましたが、これを題材として進めていきたいと思います。
 まず、この事件の概要とてんまつについて簡単にお示しをいただきたいと思います。
#81
○植木説明員 今、先生お尋ねになりました昭和五十一年の(判)第九号というのは、日本楽器製造株式会社に対する件でございます。日本楽器製造がいろいろな行為をしている。その行為と申しますのは、特約店が非特約店に卸売をした場合には他の特約店の申し出に基づきまして金を他の特約店に払わせる、そういうことをやっていたということです。
 もうちょっと具体的に申しますと、当時といいますか、現在もでございますけれども、日本楽器はピアノとかの楽器を売るのに特約店制度をとっておりまして、需要者はそこに楽器を買いに行く。買いに行ったときに、ある特約店に行きますと物がない、今度は別の特約店に行くと物があったということで、別の特約店から買った。そうしますと、もと注文を受けていた特約店が、それは自分のお客だからちょっと困る、だから自分の方に少し金をくれというようなことを言って、それを日本楽器があっせんした、そういうケース。それからまた、ヤマハの音楽教室を推進するにつきましては、これに協力しなければ特約店に対して出荷を制限する、そういうケース。こういう事実がありましたので、まず昭和五十一年六月四日に私どもとして勧告の手続をとったわけでございます。
 そうしますと、日本楽器の方がそれは勧告に応じることはできないということで、五十一年六月三十日に審判開始決定を行いまして、それからずっと審判を続けていたわけでございます。これは五十一年八月初めから審判が始まりまして、五十八年に審査官つまり公取側の最終意見を言い、それから一年近くたちまして五十九年四月二十七日に日本楽器側の最終陳述があった、これで一応審判廷におきます攻撃、防御といいますか、これが終わったわけでございます。
 それでその後は果たしてどういうような結論を出すかということを検討していたわけでございますけれども、昭和六十年六月十八日に審判手続を打ち切るという決定を公正取引委員会がいたしております。
 以上が経緯でございます。
#82
○元信委員 最後は本件の審判を打ち切るという決定がなされた、こういうお話だったと思いますが、独占禁止法に照らして打ち切るという手続というのはどういう法文にその根拠を置いているのか、あるいは決定はいかなる法的な根拠を有するのか、その点について承りたいと思います。
    〔委員長退席、中村(正男)委員長代理者席〕
#83
○植木説明員 お答えいたします。
 先生御指摘になりましたようにこの打ち切りという手続でございますが、これは明文上の規定は独占禁止法上にはございません。それで本件につきましては、独占禁止法の五十一条の二で審判官を指定いたしましてそれでずっと審判をやってきたわけでございまして、先ほど申し上げましたように一応五十九年の四月の終わりごろに攻撃、防御の手続を終了したということでございます。
 ではその法的根拠は何かということでございますけれども、明文上の規定はございませんわけですが、こういうような審判をずっと長い間やってきまして、そうしてその審判を一応終了いたしまして、そうして後をどうするかということの調査をずっとしていたわけでございます。その場合に、審判をこれからもう少しやってもいいのか、あるいはどういうようにこの事件を収束すべきかということを従来から私どもいろいろやっておりまして、その場合に、審判手続の最中でございますけれどもそのときに違反事実が一応解消したという申し出があったというようなときに、あるいはこれから審判を続けていいのかどうかというようおことがあったというどきに審判手続を打ち切るという手続をやってきているわけでございます。
#84
○元信委員 打ち切りには明文の規定がないという御答弁でございました。そういう決定をしたということですから、その決定については何か明文の根拠はございますか。あるかないかだけ教えてください。
#85
○植木説明員 決定ということのその言葉どおりというように解しますと、明文の規定はございません。
#86
○元信委員 打ち切りも決定も何にも明文の規定がない処理になった。まことに奇怪なことに存じます。
 昭和五十九年四月二十七日に最終陳述が終わって、これでいわゆる結審の状態になったわけですね。その後どういうことがございましたか。
#87
○植木説明員 結審いたしますと、結審の事件記録というものを、担当している審判官が精査、整理しまして委員会に提出するわけでございます。それを見て、委員会が果たしてそういう審判の過程がよかったか悪かったかというのを細かく調べるということでございます。そういうことをやっておりました。
#88
○元信委員 私が伺ったのは、何があったのかということを聞いているわけでございまして、じゃ、私の方から申し上げますと、被番人から上申書なるものが提出をされて、それに基づいて何か打ち切りになったというように聞いておりますが、間違いございませんか。
#89
○植木説明員 ちょっと失礼いたしました。
 先生おっしゃいますように、被番人の方から公正取引委員会が事件記録を精査しているときに上申書の提出がございました。
#90
○元信委員 何年何月何日付で上申書が出ましたでしょうか。
#91
○植木説明員 上申書が出ました日付は昭和六十年の一月三十日でございます。
#92
○元信委員 この上申書なるものは、その様式等、法的に根拠がある文書ですか。
#93
○植木説明員 まず、様式の方でございますけれども、様式には特に定めはございません。
 それから、法的根拠ということでございますけれども、これは法律上こうこうという、上申書を出してもいいとか悪いとかいうような意味の根拠というのはございませんが、審判の過程において被番人なら被番人が自分の意見を出してくるということがあれば、私どもは受け付けるということにしております。
#94
○元信委員 これは、審判の過程じゃなくて結審後出されたということを改めて指摘をしておかねばならぬと思います。
 それでは角度を変えて伺いますが、公正取引委員会の審査及び審判に関する規則第六十六条、これは「審判官は、審判手続を終結した後、三十日以内に」――先ほどちょっと早まりの御答弁がございましたけれども「審決案を作成し、これを事件記録と共に委員会に提出し、且つ、審決案の謄本を被番人又は代理人に送達するものとする。」こうございますが、この手続はおとりになりましたか。
#95
○植木説明員 六十六条、先生の御指摘のとおりでございまして、審判手続を終了したときには、三十日以内に審決案を作成して委員会に提出するということになっております。委員会に提出して、そうして審決案を送るというのが通常の形でございますが、この場合にはその審決案を提出するということはございませんでした。
#96
○元信委員 規則に三十日以内にそれを作成するとあったのに、それを作成しなかった理由を教えてください。
#97
○植木説明員 ここのところの規定の解釈でございますけれども、あるいはこういう解釈はおかしいということがございますかもわかりませんが、この規定は、三十日以内に提出しなければならないという義務規定ではございませんで、ある意味の訓示規定でございます。この事件というのは、先ほど申し上げましたように十年もかかってやっているわけでございますから、三十日以内には間に合わなかったということかと思います。
#98
○元信委員 四月二十七日に結審をいたしまして、被害人からいわゆる上申書なるものが提出されたのが翌年一月三十日、この間、半年以上あるわけですね。三十日以内に送達すべき審決案がこれだけおくれるというのは何か事情があったと思うのです。その事情について教えてください。
#99
○植木説明員 事情と申しますと、先ほど申し上げましたようにこれは十年近い審判をやっておりまして、その審判回数も延べ百何回、百一回でございましたか、そういうかなり長い審判をしているわけでございます。それを整理するのにはそれだけの時間がかかるということ以外にはございません。
#100
○元信委員 原因と結果が逆じゃないかと思うのですね。こういう態度で審判をやっているものだから必要以上に長い時間かかったのではないか、こういうことも言えるのじゃないかなというふうに思います。
 今までのところを見てまいりますと、審判を開始をし、審判を重ねて結審をしたところまでは法に定めた手続どおりされているわけでありますが、その後必要な審結案を作成するということをしない。そうしていたずらに放置をしておくうちに、上申書なる法的に根拠のない文書が出されてきて、そうしてそれに基づいて打ち切り、これも法的にはないわけですね。審判を開始した場合は同意審決になるかあるいは審決をやるか、どちらかですね。そのどちらでもない打ち切りという根拠のない措置をして、それをまた決定という、これまた法的根拠のない文章でもってこの事件を一件落着せしめた、こういうことが昭和五十一年の(判)第九号のてんまつであろうというふうに思います。甚だ不可解、不明朗に思うわけであります。最後の部分ですね、お話のありましたように、三十日以内にしなければならぬ、こう定めであるにもかかわらず、これを訓示規定として公然無視をして、六カ月以上放置をするというようなことは到底許されることじゃないと思うのです。
 そこで問題は、この決定が被番人から出されました上申書によって決定された、その内容によってそういうことになったというお話でしたけれども、この上申書を本委員会に提出てきますか。
#101
○植木説明員 この上申書につきましては、まことに申しわけないことでございますけれども、被番人側から出してきた文書でございますから、提出するということは御容赦いただきたいと思います。
#102
○元信委員 おかしいと思うのですね。審判は公開されていますか。
#103
○植木説明員 御指摘のことは、独占禁止法の五十三条に書いてございます。それで、審判は公開するとしてありますが、この点につきまして申し上げますと、いわゆる審判の公開といいますのは、これはもう先生御承知のとおりでございますけれども、行政機関が争訟手続をもって争訟を行うというときに、そこの証拠調べといいますか、攻撃、防御というのが公正に行われているかどうかということを担保するために公開ということが定められているわけでございまして、上申書を被番人が出してきたということとは一応関係のないことかと考えます。
#104
○元信委員 それはおかしいと思うのですね。審判は公開されていて、その間に出された証拠、書証等はすべて公開ということですね。その審判を傍聴に行けばだれでも知ることができる。ところが、これを結審してから、突如、上申書なるものが提出をされて、それによって打ち切られてしまった。この過程というのはだれにも明らかにならない。国民の代表である私たちの国会の監督にも服さない。こういうことになるわけですね。これじゃ、まるでやみからやみじゃありませんか。今の答弁、やり直しですね。
#105
○植木説明員 先ほども申し上げましたように、審判を公開するというのは、私どもがどちらかといいますと原告の立場になりまして、被客人という被告の立場にある者がいて、攻撃、防御が適正に行われるかどうかということを担保するために公開になっているわけでございます。そして、公開の場合に事件記録を見られる立場にありますのはその利害関係人ということでございまして、利害関係人の方々にはお見せするということにはなりますけれども、出てきた書類というのは利害関係人の方でないとお見せすることはできないということになろうかと思います。
#106
○元信委員 これは委員長にお願いをしておきたいと思うのですけれども、今のような答弁では到底納得はできない。
 繰り返し申し上げることになりますけれども、公開の審判で審理されてきたものが結審をした後に、結審した後の作業プログラムというのは随分細かく決まっていますね、審決案の送達をして、それに異議があるときはなおそれに意見の陳述をするなど細かく定めであるにもかかわらず、そういう作業とは全然別にこういうことが行われた。しかも、それは全部法の手続を無視した、法外で行われたことなんですよね。おかしいじゃないですか。
#107
○植木説明員 この問題でございますけれども、先生今おっしゃいましたように、法にいろいろなやり方が書いてございます。例えば、独占禁止法の五十四条に、こういう場合にはこうしろ、こういう場合にはこうしろというふうに書いてあるわけですが、打ち切りということを私どもがいたしましたのは、行政手続を進めていく間にいろいろな事態が起こってまいります、そういう事態が起こってまいりましたときに、こういう場合にはどういうような処置をするのが適正かということを考えるわけでございます。
 この日本楽器事件の場合には、先ほどから先生がおっしゃいますように日本楽器が上申書というのを出してきて、その内容は、自分たちとしては、公正取引委員会が言うこういう事実があるということについては、事実がある、あるいはその事実の解釈について納得しない、それから法律の適用についても納得しない、だけれども、疑われる行為があるということは自分としてもよくないので、やめたいということを言ってきたわけでございます。ですから、そういう場合にはどうしたらいいのかということで、行政上の目的を達成するためには、やめさせて審判手続を打ち切るのがいいのじゃないかというように判断したわけでございます。
#108
○元信委員 おかしいですね。先ほど、審判の公開の目的は公正さの担保、こうおっしゃいましたね。公正さを担保するためには、その後の手続についても公開しておかなければおかしいと思うのですね。少なくともそういう上申書が出てきた段階で、上申書なんというものは手続上何ら定められてない文書で、そういうものを受け付けるのも僕は見識がないと思うわけですけれども、例えば審決案を出すまで待って、それに意見があるならもう一遍審判を再開するという道が残っているわけでしょう。そこで改めてそういう意見を出させて、それでそういう打ち切りなどということも、私どもは承服しませんけれども、なさるとすればする、そういうことの方が正しいやり方じゃないでしょうか。
#109
○植木説明員 先ほどちょっと私が言葉が足りなかったかもわかりませんけれども、攻撃、防御を公正に行うということは、被害人と公取側の攻撃、防御を公正に行うということでございます。ですから、上申書が出てきたのは被番人の方から出てきたわけでございますから、それを今度は公正取引委員会として、これは適正かどうかということを判断することになるわけでございますね。
 それから第二の問題につきましては、では再開をしたらどうなのかというお話でございますけれども、これはおしかりを受けるかもわかりませんが、我々の審査審判規則に「再開を命ずることができる。」というのが六十九条の第二項に規定がございます。その再開をすべきかどうかということになる場合に、再開した場合に、日本楽器のやった一つ一つの行為について私どもが事実を認定し、これが事実だと確定し、それに対して法の適用をどう考えるかということをやらなければいかぬわけでございます。
 十年以上もたっておりますから、それは、長い時間たったのは怠慢ということがあるかもわかりませんが、それでも連続百何回、百四十人以上の証人を呼んで聞いているわけでございますね。そういうようなことをやった後で判断して、きるのかどうなのかということが問題になるわけでございます。それは、かなり時間がたっておりますからできないだろうということで、その点を打ち切りにしたわけでございます。
#110
○元信委員 関係ないことを言ってもらっちゃ困るのだよ。再開をして何をするかということは、今までのことをまた全部やり直せなんて言っているのじゃないのですよ。
 上申書で言ってきたのは、法の適用とか事実については争うけれども、実際問題として今はやっていません、こういう上申書だったと今あなたからお話があったでしょう。やっているかどうかということを審判を開いて調査すべきじゃないかということを言っているのですよ。十年前のことをもう一遍やれというのではなくて、その時点でどうなっているかということを――あなた方がやみからやみで内部だけでやって、国民はそれによって全部知ることもできないでしょう。これをやみくもに信頼せよというのではなくて、公開の席がちゃんと用意されているのだから、そこでやった方が多少なりとも筋が通るんじゃないかと言っているのですよ。答弁をやり直してください。
#111
○植木説明員 先生の御意見は御意見でございますけれども、私どもは、こういう場合に、日本楽器が上申書を上げてきたことについて果たして正しいかどうかということを私どもとして判断いたしまして、そして審判を打ち切ったということでございます。
#112
○元信委員 だからそれは全くやみからやみで、公正さの担保という公開の目的から見てもおかしいと言っているのですよ。そんなことだと公正取引委員会の公正さの方が疑われてしまいますよ。あなた方は、我々は絶対公正なんだからそれを信頼せよということだろうが、それだったら審判なんというものは成り立たぬでしょう。おかしいんだよ。しかもその資料の請求についても、プライバシーでも何でも関係ないですね、ただ形式上のことだけを言っているんでしょう。六十九条で関係人にしか審判記録は出さないと言っているから出せない、こう言っているだけでしょう。形式上の問題でしょう。だって、審判記録の中には例えば審決書の謄本なんというのは入るわけですね。ここに僕はおたくからもらったんだけれども、審判開始決定書とか、これは決定というんだから根拠のない文書だけれども、一応公文書だとしよう。そういうものが来ているわけですよ。出せるものはどんどん出して、しかも審決については公取の年次報告か何かにも出しているわけでしょう。当然出せるじゃありませんか。そういう形式的なものだけだったらあなた方は行政サービスだといってこういうことをやっているんだから、ちゃんと出しなさいよ。おかしいじゃないか。
#113
○植木説明員 その関係を出せということでございますけれども、審判開始決定書というものは、これは通常の場合被客人に送付するものでございますし、決定をしたということで、それは手続を打ち切ったということで出すわけでございますけれども、その間の攻撃、防御をどういうような形でやったのか、あるいはその間にどういうようなことをやったのかということを私どもの方で見ているということでございまして、その辺を私どもの方からお出しするのは御容赦願いたいということでございます。
#114
○元信委員 今言った上申書なんというのは、攻撃、防御と関係ないのです。攻撃、防御のためにやるなら審判を再開してやらなければいかぬでしょう。こういうふうに、あなたが言っていることは全部でたらめ、矛盾しているんだよ。まともなことは一つもない。
 ぐずぐず関係のない長い答弁をするから時間が食われて仕方がないんだが、これだけは申し上げておきたいと思います。今ピアノの乱売の泥仕合いになっていることは御存じでしょう。無関係じゃないと思うのです。公正取引委員会がこういう姿勢だから今みたいな状態が一方で起きていると僕は思うのです。いろいろ事案について申し上げたいこともありますけれども、きょうは時間の都合で申し上げられませんが、法に根拠のないことをどんどんやっちゃだめですよ。僕は必要なら法改正をやるべきだと思う。決定というのを二十件くらいやっているとか聞きましたけれども、こういう結審してから打ち切りにしたなんという決定をしたということはほかにはないですね。これだけですね。こういうことをやっていることに大体問題があるのです。一から十まで秘密主義、国会の監督にも服さないという態度ですね。あなた方がやっていることは絶対に正しいんだからこれを信頼せよ、こういうことだ。これじゃ国政調査権なんていうのは絵にかいたもちですよ。
 また日を改めてやりますから、それまでに少し反省をして、やれることをちゃんと考えて――僕は、こういうでたらめな審判ばかりやっていれば、公正取引委員会並びに独禁法に対する国民の信頼がますます低下するということを申し上げて、きょうは終わります。
#115
○中村(正男)委員長代理 次に、草川昭三君。
#116
○草川委員 公明党・国民会議の草川であります。
 まず最初に、長官もお見えになりますから、円高問題で経済閣僚としての見解を聞いておきたいと思うのです。
 昨年の九月以来、円相場は急上昇を続けておるわけであります。私どももまさか百五十円台に突入するとは思わなかったのでありますけれども、そういう事態もありました。本日は、いろいろとまた安定の方向に向かっておるのではないかと思いますけれども、それでも百六十円台であります。私ども、地元のいろいろな企業を歩いてまいりますと、大変な危機感を強めているわけであります。
 これはまた後で通産省の方にもお伺いをいたしますけれども、経済企画庁というのは国の経済展望を語りながら調整をする非常に重大な役所でございます。昨年の九月の五カ国蔵相会議、いわゆるG5でドル安・円高への誘導というのが決められたわけでありますけれども、明らかに適正水準を超えておることは事実であります。また今回のサミットも、円高是正を図るために各国に協調介入を諮る絶好の機会ではあったわけでありますけれども、その合意というのは取りつけられなかったわけであります。
 そういう責任というのは非常に重大であり、一昨日ですか、多分参議院の決算委員会ではなかったかと思うのでありますが、大蔵大臣も、大蔵大臣としての責任を非常に感ずるというような新聞報道もあるわけでございますが、まず経済閣僚としての長官の見解を問いただしたいと思います。
#117
○平泉国務大臣 相当長い間ドルが異常に高いという情勢が続いておるという中で、国際的に見ましてもドルの異常高ということが言われておったわけでございまして、それに対応してこれは経済のファンダメンタルといいますか、基礎的な条件というものを考慮に入れた立場が必要ではあるまいか。米国政府内でもそのような政策転換があったのではないか。そういう中で昨年の九月のいわゆるG5の合意が行われた。それ以後いろいろ複雑な動きがございましたけれども、全般的に見てドルは漸次安くなる、こういう方角に進んでおる。そして年明け、ことしになりましてからその速度が極めて急速になってきたということに関しましては、今度はいささか経済の実勢から逆に乖離しておるのではあるまいか、私どもはかように考えておるわけでございまして、政府といたしましても、ある段階から先の異常なドル安・円高という状況については、その転換の速度が速過ぎるということをしばしば公開の席上でも発言をいたしました。また、国際的な場でもその意図が十分相手側に伝わるように通貨当局もまた政府当局も十分この点は努力をしてまいった、かように私は考えておるわけでございます。
 先般のサミットにおきましては、その点を含めまして全般の経済情勢を十分考慮に入れながら国際通貨体制の一層の安定を図らなければならぬ、場合によっては介入の努力をすることも考えなければならぬ、かような合意がなされたわけでございまして、この間、実際の国際通貨市場における円の動き、ドルの動きというものにつきましては、私どもはいまだに納得がいかない状況がございます。これは投機的な要素も含まれておる。
 しかし、この間、政府は一貫して、基本的なファンダメンタルを反映する妥当なものでなければならない、今の円高のテンポは速過ぎる、また水準も必ずしも妥当ではない、この辺は十分表明してきたつもりであり、またその趣旨に沿って累次にわたる金利の引き下げその他の努力も続けてまいった、かように考えておるところでございます。
#118
○草川委員 大蔵省もお見えになっておられますので、これはまた後でお伺いをするかもわかりませんけれども、今長官も通貨の安定ということを言っておみえになるわけですが、大蔵大臣がベーカー財務長官と首脳会談に先立って会談を行われたわけであります。通貨の安定ということを日本側は米側に申し入れをした、これは当然だと思うのです。ところが、米国の方は通貨の安定の重要性で合意をする、こういうことならば記者会見で発表してもいいというようなことを言ったと伝えられているわけです。
 これは大蔵省が担当でなければ経済企画庁でもいいのですが、日本側としては通貨の安定ということでとにかく非常に強く発言をなすっておみえになったのか、あるいは米側の方は通貨の安定ということまではなかなか合意ができない、通貨の安定の重要性という言葉ならば合意ができると言っておったのか、その間の経過はどうなんでしょう。それは大蔵省で答えられるなら大蔵省、どちらかで答えてください。
#119
○久保田説明員 私は直接の担当でもございませんで、詳しいことを今お答えできる者がいませんので、御勘弁をいただきたいと考えております。
#120
○草川委員 長官は閣議の中でも相当この問題については御発言をなすっておみえになるというふうに聞いております。実は私が聞きたいのは、その言葉じりはどうでもいいのですけれども、言葉じりというよりも言葉の内容そのものは別といたしまして、本当に対ドルレートというものが安定するようにどのように政府が諸外国に具体的な数字で詰めたのか、ここが一番聞きたいところなんです。
 これは、与党の中と総理との間のいろいろな議論も新聞等では報道されておるところでございますが、国民の一人としても、非常に国際金融という問題が日本の国の将来展望にわたっても重要な位置づけになるわけでありますから、私はそこを詰めて周きたいわけであります。
 そこで、経済企画庁の方ではその間の事情が答弁できないと思いますから次へ進めますが、いろいろとサミットで今のような協調介入等の話も出たわけでありますし、前川レポート等の実際的な運用ということも出ておるわけでございますが、円高の輸出抑制効果ということを考えますと、経済成長率四%というものはこの際どういうようなことになっていくのか。ことしの一月の二十四日に、「昭和六十一年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」、こういうものが発表されておるわけでございまして、この中では輸出のそれなりの見通しあるいは成長率というのがあるわけでございますが、この四%というものは下方修正をする必要があるのではないかと思うのです。その点はどうでしょうか。
#121
○赤羽政府委員 六十一年度の経済見通しは一月の下旬に閣議決定をしていただきました。その点はただいま御指摘のとおりでございますが、実際に作業をいたしましたのは昨年の十一月の後半から十二月の前半にかけての時期でございました。そのときに経済見通しのいろいろな前提条件というのを決めたわけでありますけれども、その中の幾つかの重要な前提条件についてそれ以来半年近くたっております間に変化があったということは事実だと思います。
 中でも大きく変わりましたのが為替レート、これは二百四円ということを前提に見通しを立てていたわけでありますけれども、これが現在百六十円台の前半というところへ来ておりますし、もう一つ大きな前提条件の変化は石油の値段でございます。一バレル二十七・三ドル程度、こういう前提で計算をいたしましたのが、この四月には十六・五ドル程度のところまで下がってきております。こういうことで、重要な前提に変化が起こったことは事実でございます。それ以外の条件、日本経済をめぐります内外の条件というのにもかなりの変化があったというふうに思っております。
 それらの変化をどのように評価をするのかということでございますけれども、まず円高が想定以上に急速に大幅に進んだという点につきましては、これのデメリット、御指摘がございました輸出数量に対するマイナスの影響、あるいは輸入数量を想定以上にふやすだろう、こういう意味でのマイナスの効果、貿易数量面を通じましての経済に対するデフレ効果、これはその当時予想したよりも大きくなっている、こういうふうに考えます。
 しかし、他方、その反面におきましてプラスの効果、これもまた大きくなっている。円高の場合には交易条件の改善を通じまして所得をふやす、国民全体の購買力をふやす、こういう効果がございます。この点は石油の値下がりによりまして原油代金の支払い額が大幅に節約になる、その結果、また日本経済といたしましての国内の購買力がふえる、こういう効果がございます。
 こういうことで、円レートと原油といったような重要な前提条件につきまして、一方で確かにマイナスは強まっておりますけれども、他方プラスの効果もまた大きくなっている、こういう点がございます。
 さらに加えまして、その当時世界の景気予測、特に先進国の景気の状況、経済成長率、そういうものを一般に予想しておりましたけれども、その当時に比べまして世界経済につきましての見通しというのは最近ではかなり明るくなってきている、好転している、こういうふうに思われます。
 先日のサミットにおきましても、一年前のボン・サミットのときよりは世界経済についての条件がよくなった、こういうことが書かれております。インフレがおさまった、金利も大幅に下がった、さらに為替レートの調整も進んだ、ここに加えて石油の値下がりもプラス、こういうことで世界経済にとりましての展望が明るくなった、こういうことを述べておるパラグラフもございます。そういうことで、主要国、海外の条件が明るくなっているというのを考えなければいけないと思います。
 さらに、国内的な条件といたしましては、公定歩合が三回引き下げられている、こういうことで金利の低下も進んでおるわけでございます。
 また、政府といたしましても、昨年の秋及び暮れの内需拡大策、これに続きまして、六十一年度予算成立を契機として四月の上旬に総合経済対策を打ち出している、こういうことで内需拡大にもさらに力を入れておるということでございます。
 こうしたプラスの条件とマイナスの条件とを比較考量してみますと、六十一年度経済につきまして、現時点で、これは昨年の暮れの時点で描きました基本的な姿というものを変える必要はない、こういうふうに認識している次第でございます。そういうことで、現在、経済見通しの改定といったような目的意識のもとに作業を進めていることはない。もちろん時々刻々経済の状況、見通しの基本線というものと比較をいたしまして評価をする、こういう作業をやっておりますけれども、御質問のような改定作業といったような問題意識で作業していることはございません。
#122
○草川委員 成長率についての大きな変化なし、プラス・マイナスを考えてと、こういう答弁のようであります。
 成長率について大変的確な指標を出してくるのはOECD、経済協力開発機構の成長率予想があるわけでありますが、これがつい最近、四月十八日ですか、日本の成長率は昨年より下回るのではないかというような予測を出しておるのでございますが、その点はどのように見ておられますか。
#123
○赤羽政府委員 最近におきますOECDの見通しが昨年十二月の見通しを下方修正をしている、この点は御指摘のとおりでございます。全体にOECD諸国トータルといたしましては若干プラス、上方修正でありますが、日本については若干の下方修正、これは事実でございます。
 ただし、この中身を検討してみますと、国内需要はむしろその当時よりも高くなりまして、四・二五%の内需の伸びが可能になる。つまり、私ども昨年末に作業をいたしました政府の見通しで四二二%の内需の伸びと言っておりますけれども、それとほぼ相応する内需の拡大が見込める、こういうことで、内需につきまして大きな上方修正になっているという点が注目されると思います。
 OECD以外におきましても、特に国内のいろいろな調査機関が、最近になりまして、昨年末あるいはことしの初めに発表されました当初見通しの修正をしておられますけれども、中には上方修正のものがございます。それからほぼ同じ数字を出しておられるところ、さらには下方修正もございますけれども、いずれも国内需要についてはすべて上方修正、こういうことになっております。
 先ほど、政府見通しにつきまして、プラス・マイナスの条件を比較考量すると基本的な認識において変える必要はない、こういうふうに考えていると申し上げましたけれども、当然この内需と外需の組み合わせといったような成長のパターン、これにつきましては、内需の方により主体的にシフトした内需主体の経済成長、こういうことでパターンの変化はあろうと思っております。
#124
○草川委員 そのように実際にいけばいいのですが、その点についてはまだ後で触れます。
 民間の経済調査機関の改定見通しが大体そろったようです。そういうのを見ますと、今おっしゃいましたような趣旨は、住友銀行なんかは、円高は実質成長率を〇・四%押し下げるけれども原油安は逆に〇・四%押し上げると見て、成長率は変わりないというようなことを言っておりますが、その他の、例えば富士銀行等を初めとするところの見通しは、やはり輸出がマイナス五・四%というような感じで、二・二%になるのではないかというように言っておるわけでございまして、下方修正をするところが多いようであります。そういうことで、四%そのままということで強気の姿勢をとられるのかもわかりませんが、私どもはその点については若干心配があるということを申し上げたいわけであります。
 また、総合経済バンクシステムというのがあります。これは日経が中心だと思いますが、これも、円レートが百六十五円で定着した場合に、例えば利下げがあり、公共投資の追加等が実施をされたとしても、実質成長率は二・三%ぐらいではないかというのですから、政府の見通しの四%を大きく下回ることもこれまた事実であります。
 こんなことになるわけでありますが、ひとつここで輸出の減り方というのですか、輸出の見通しというのはどの程度になるかということをお伺いをしたいと思うのです。
 政府の四%の経済成長率では、六十一年度の輸出見通しは三十七兆五千億、こういう数字になっております。ところが、経済企画庁の調査局から出しておる「日本経済の現況−ドル高修正下の日本経済−」、これを見ますと、一〇%の円高によって輸出数量が六から七%程度減少するという結果が出る、こういう指摘をしておりますね。ということになりますと、これはどの程度輸出が減少するというように考えておられるのですか、その点をちょっとお伺いをしておきたいと思います。数字は百六十五円なら百六十五円でもいいのですが。
#125
○赤羽政府委員 この円高が進行することによって輸出数量がどの程度減るのかということに関連いたしまして、私ども調査局の文書を御引用になりました。いろいろな計算ができると思います。そうした計算の中に今御指摘のような計算もできるのかな、こう考えております。
 例えば昭和五十三年、このときは、五十二年に比べまして円レートが六十円くらい高くなりました。現在は、昨年度の二百二十一円が百六十円台の前半で、六十円程度高くなっている、こういうことでありますから、ほぼそれに見合った六十円の円高が見られたのが五十三年ということでありますが、このときの輸出数量指数の伸びは前年比〇・七%、ほぼ横ばいという数字が出でございます。
 もちろんこれは、その当時の世界貿易の伸びといったようなことと、他方、円が高くなってその価格効果で輸出が伸びない、あるいは輸出数量が減る、それぞれいろいろな要因が相殺し合った結果でございますけれども、しかしながら、結果として見ますと、輸出についてはほぼ横ばい、輸入数量指数で申しますと前年よりも六・七%ふえる、こういうことになっております。
 そういうことから考えまして、確かに昨年度二百二十一円に対して百六十円台の前半、六十円近い円高というのが輸出数量を減少させるだろうということは考えられるわけであります。現にことしの三月の輸出数量指数は一年前に比べまして二・一%の減少、先月四月は〇・三%の減少、こうなっております。したがいまして、こういうところから見まして、数量が減ることは確かだけれどもしかしそれほど大きなものにならないのではないか、こう考えております。
 当初見通しの段階でどの程度に考えていたのかということでありますが、実質の輸出というのは大体二%弱ぐらい減少をする、こういう見方で六十一年度の見通しをつくっております。そういうことで、当初見通しの段階におきましても、この点につきましては過大な見通しにならない。つまり、輸出が大いに伸びてそれによって成長率が四%、こういうことではなく、そういう点から申しますと、むしろかた目の慎重な輸出見通し、こういうことになっております。
 先ほども申し上げましたように、当時に比べまして若干の前提条件の違いがあるわけでありますから、輸出のマイナスというのは大きくなろうかと思いますけれども、御指摘のその文書にあらわれておりますのを機械的に適用して、輸出は実に二ケタ台で減るだろう、こういう推定は私どもとしてはとらない、こういうことでございます。
#126
○草川委員 それは局長、そうとらなくてもいいのですが、おたくが配られた「日本経済の現況」を見ると、「円高が国内経済に与える影響」の「円高のデフレ効果」という中で、「一〇%の円高によって輸出数量が六−七%程度減少するという結果が得られる」と書いてあるわけですから、我々は単純にこの問題を取り上げ、輸出がかなり減少するということはサミットでそういうことを言っているわけですから、それを上回る内需効果が果たしてあるのかという議論をしたいわけです。それがきょうのこの委員会の私の基本的なスタンスなので申し上げたいわけであります。
 しかし、時間がございませんので、次へ進めます。
 今もお話がありましたように、サミットにおいては、簡単に言うならば日本は輸出は手控えるということであり、相手からは物を買うということを国際公約をしたわけでございますが、たまたま、その経済宣言の骨子でございますけれども、経済政策の相互監視を強化するという言葉が出てきております。サーベーランスというのですか、これを実行するために成長率、インフレ等十項目の経済指標を使うという言い方が出ております。大変細かいことを言うようで恐縮でございますけれども、これは十項目なのか九項目なのか。新聞報道によって、ある新聞は九項目ときちっと書いてあるところがありますが、十項目というところもございます。そこはどのように分けておるのか。例えば「経常収支及び貿易収支」というのを二つに分けておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#127
○久保田説明員 お答え申し上げます。
 今お話ございましたようにこの部分は非常にわかりにくうございまして、具体的には「GNP成長率、インフレ率、金利、失業率、財政赤字比率、経常収支及び貿易収支、貨幣供給量の伸び、外貨準備、為替レート等」と書いてあるわけでございます。これは項目を数えますと十ということになりますし、他方もう少し詳しく見ますと、今御指摘のように「経常収支及び貿易収支」と一緒に書いてあるということが一つの理由、それから、厳密に申し上げますと貿易収支は経常収支の一つの構成項目でございますので、そういう観点から九つというふうに報道したところもあろうかと思います。そういう意味では九つというのも根拠がないわけではないという感じを持っております。いずれにいたしましても、個々の指標はいわば例示として出ているということも考えてみる必要があるかと思います。しかし、強いてどっちかと言われますと、頭に出てきている名前の上からは十ではないかというふうな気がいたしておりますが、先ほど申し上げましたように厳密にはなおよく吟味してやる必要がある問題ではないか、かように考えております。
#128
○草川委員 もう一つは、大蔵省にお伺いをいたしますが、相互監視機構を設けることになったことは、当初から予定をされておったことですか。何か私ども漏れ承るところによりますと、合意文書では四行の英文であったのだけれども宣言文では五十九行に膨れ上がっておるということを言っておりますが、行数の問題ではなくてこの経過ですね、相互監視ということを設けるに至った経過を説明していただきたいと思います。
#129
○久保田説明員 お答え申し上げます。
 いわゆるサーベーランスという言葉は非常に新しい言葉というふうに理解されているのでございますが、しかし使用されているあれをさかのぼりますと一九六四年ぐらいから使われている言葉でもあるようでございます。今回につきましては、相互監視の強化ということはある意味ではベルサイユ・サミット以来の慣用に従った言葉でもありますし、十カ国蔵相会議の報告書にも同じような相互監視の強化ということが使われているわけでございます。
 具体的に当初の内容がどうであったか、その他につきましては、ちょっと相手方のあれもありますので御勘弁をお願いしたいと思いますが、大体において当初の提案されたのと同じようなボリュームであったやに漏れ聞いております。
#130
○草川委員 今度は、これは長官の個人的な見解でもいいのですが、今の相互監視機構というのが今度のサミットで設けられたわけですが、政策協調と内政干渉というのは紙一重ですよね。今も局長の方からいろいろと国内政策の問題についての御発言がございましたが、国内政策に非常に重要な影響を及ぼすことになるわけでありますけれども、こういうようなものが十分討議の時間のないサミットの交渉の中で非常に急速に決まっていくということは、私ども将来日本に非常に重いツケを残すのではないかと思うのです。その点はどのような御感想を持っておみえになりますか。
#131
○平泉国務大臣 今度の文案を見ますと、ドラフティングの問題においては今おっしゃるような危惧を感じさせる面が全く排除できないということはあると思うのでございます。その点はこのサミットの会議の最中にも、出席しております閣僚から私にも直接連絡がございまして、十分そういう懸念のないようにするんだ、そういう意味で、最終的に字句の点でもいろいろな配慮が払われ交渉が行われた、かように承知をいたしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今後の運用に当たりましては、今おっしゃいますような、いやしくも内政干渉というようなことがないように、これは十分皆配慮をする所存でございます。
#132
○草川委員 ここで少し順序が逆になりますけれども、前川委員会の話になりますが、中長期的な経済政策の方向づけとして経構研レポートというのが下敷きになったわけですよね。それでサミットが行われたわけでありますが、政府も四月八日経済対策閣僚会議で、この提案というのは、「時宜を得た、適切かつ貴重なものとして高く評価する。」ということで、サミットなり日米首脳会談で説明をしているわけでありますが、これは国際公約として理解をしていいものかどうか。答弁は外務省になるのか大蔵省になるのかわかりませんが、お答えを願いたい、こう思います。
#133
○赤尾説明員 お答えいたします。
 経構研の報告はあくまで研究会の報告でございまして、政府の政策ではないということは中曽根総理の訪米中もはっきり説明しており、また同時に、今先生から御説明がありましたように、政府及び党としての決意というか、経済対策閣僚会議でそういうふうにうたっていることも事実です。
 いずれにしましても、これはよそとの関係におきまして公約ではないということだけははっきり申し上げられるかと思います。
 同時に、このサミットでも議論されましたけれども、構造調整政策あるいは構造政策といいますのは日本だけの問題ではなくて世界的な問題で、他の先進国も途上国も含めて、先進国の中でも日本だけではなくてアメリカの赤字の問題とかヨーロッパの失業の問題等の根底にもすべて構造問題等がありまして、サミットにおきましても、経済宣言にうたわれておりますように、世界的な構造問題にみんなが努力して取り組む必要があるという認識の一致が見られました。
#134
○草川委員 これは米国の方から国際的な約束事として受けとめたかという問い合わせに対して、日本の方からそれは実は総理の決意表明だというようなことで答えたというニュースがありますが、その間の事情をどのように心得ておられますか。
#135
○赤尾説明員 総理の訪米のときに、先ほど申しましたように一応経構研の報告を説明いたしまして、これを政府として、経済対策閣僚会議でうたわれておりますように、「関係審議会等における調査審議も含め、早急に必要な検討を行う。」ということを言っておられます。それに対してレーガン大統領以下シュルツ長官も含めましてアメリカ政府からは、非常に高く評価するというふうに評価されたわけです。
 これはあくまでも二国間のコミットとか公約とかそういうことではありませんし、アメリカの政府は、日本政府として前川報告書の報告がそのまますぐ政府の政策になって実施されるものではなくて、国内の審議等必要な手続を踏まえて実施されるものであると了解しておりまして、この点につきましては日米間におきまして誤解はないというふうに私たちは判断しております。
    〔中村(正男)委員長代理退席、委員長着席〕
#136
○草川委員 私がこの経構研の問題をぐずぐず聞いておるのは、昨年の十一月にこの問題が提起されたと思うのですが、実は海外の在日大使館の人たちが非常に深い関心を持っておみえになるわけです。私どもいろいろなパーティでお会いをしますと、前川レポートは具体的にどのような提案をするのであろうかというような関心が非常に深かったわけであります。
 それで、新聞等ではなかなかこの議論の内容がつかめなかったのでございますが、それでも一時円高差益の国際還元というような言葉が出る、あるいは国際分業ということが産業ごとに議論が始まるというようなことも出てきたわけであります。これはそれなりに諸外国にとりましては大変な関心があるわけでありますし、日本の産業構造を基本的に変えることにもなるわけでありますから、いわゆる輸出産業構造というものを内需主導型に変えるということは、言葉では簡単でありますけれども、それぞれその産業で従事をする従業員だってたくさんいるわけでありますし、影響力は大きいわけですね。
 これが言葉だけ非常にすんなりと出ていく、そして外国の方々にとってみれば過大評価につながるとするならば、今申し上げましたように、後でひとつお互いにどのような実績があるのか評価をし合おうじゃないかというようなフォローアップという問題が出てくるわけですから、そのときになって、いやあれは実はサミットのそのときだけの言葉だというわけにはいかないわけでしょう。それこそ将来にわたって重要な問題になるわけですから、私はできたらこの経構研の議論というものはどういう議論が行われたのか、あるいは最終的にどういう形でレポートにまとめられたのかということを私どもにも、これは議論というよりはその経過を発表してもらわないと困ると思うのですね。
 ここら辺のことがどこでこの議論をしていいのか私どもわかりませんから、きょうはこの物価問題特別委員会で少なくとも経済企画庁にお伺いをしようというので、実は前川委員会について具体的な中身を、内閣審議官ですか、答弁をしてほしいという要望をしたのですが、なかなか具体的にそういうことには答えられなかったわけであります。経済企画庁の方は、その都度計画局長ですか、どこかに話をしてあるから、経済企画庁の方で経構研の内容についてはある程度の答弁ができるだろうというようなことになっておるわけでありますが、この議論の中身は経済企画庁の方である程度答えられますか。――答えられる。だとするならば、今から私ちょっと聞きますから、とにかく経済企画庁としてどのようにこの前川委員会を受けとめておるか、答弁をしてください。
#137
○及川政府委員 経済構造調整研究会は、御存じのとおり中曽根内閣総理大臣の私的研究会でありまして、その審議の内容は私どもにおいてもつまびらかにいたしておりませんが、その結果については、御存じのとおり四月七日に公表されておりますので承知をいたしております。
 そして、四月八日に経済対策閣僚会議を開きまして、御指摘がありましたように、この経構研のレポートは「誠に時宜を得た、適切かつ貴重なものとして高く評価する。」という評価がされておりまして、「政府は、この報告を参考として、与党とも十分な連携を図りつつ、関係審議会等における調査審議も含め、早急に必要な検討を行う。」ということになっておるわけであります。
 経済企画庁としては、経済構造調整、特に中期の経済政策については経済計画を初め重要な関係を持っておるわけでありまして、関係審議会としては経済審議会があるわけでありますが、今週の月曜日、経済審議会の全体委員会を開きまして、この件も含めて御審議をいただいたわけであります。
 経済審議会では、御存じのとおり昨年の十二月に、今後五年間の経済政策の指針ともなるような「経済社会の展望と指針」の残りの期間におけるリボルビング報告を出しております。そして、リボルビング報告におきましても、今後五年間における中期的な政策の重点課題として、国際的に調和のとれた対外均衡を実現するということを一つの重要な課題として掲げており、諸施策も提示しているわけでありますけれども、その基本的方向と経構研のレポートは合致するという意見が大宗を占めておりまして、私どもとしては、基本的な方向は、経済審議会の報告、経構研の報告はほぼ合致しており、それに基づいて政府として策定いたしました「経済構造調整推進要綱」に従って今後経済構造調整政策を進めていくということにいたしているわけであります。
#138
○草川委員 わかりました。そういう方向にいくのでしょうね。
 それで、大蔵省もお見えになっておられますが、この中で非課税の貯蓄制度の廃止を打ち出しているけれども、その背景というのはどういう形でこの議論が出たのか、大蔵省にお伺いをしたいと思います。
#139
○塩田説明員 前川研究会でどういう議論があってその結果あのような御提言が出たのかということは、ただいま企画庁の局長の方からお答えがあったとおり、我々も内容といいますか、経緯を承知しているところではございません。ただ、貯蓄税制あるいは税制全体についての御提言でございますけれども、そういった点につきましては、現在、税制調査会で税制全体についての見直し作業をしておるところでございまして、貯蓄税制だけでなくて全般的な税制改革の方向がことしの秋を目指して作業中でございますので、そのお答えをいただいたところで適切に対応していきたいというふうに考えております。
#140
○草川委員 そこで、今度はもう一回経済企画庁の方に戻ります。
 先ほど局長の方から答弁がありましたように、内需拡大ということを非常に強く主張しておみえになったわけですが、いろいろな議論が出るところだと思います。公共投資とかいろいろなことがありますが、私は、何といっても内需拡大の第一歩は個人消費を喚起することではないかと思うのです。事実、GNPは三百三十六兆七千億でありますが、民間の最終消費支出は百九十八兆ということがおたくの方の資料で出ております。五八・八%。これを押し上げるべきだと思うのであります。
 これもたまたまこの「日本経済の現況−ドル高修正下の日本経済−」を見ておりますと、賃金というところがあるわけですが、「実質賃金ギャップの動き」というのがあります。これは、「中期的にみた実質賃金、実質労働分配率の動きをみる」ということでずっと文章があるわけですが、「実質賃金の改善を図る余地のあることを示唆するものである。」という言葉があるのですよ。早く言えば、もう少し賃上げをやっておけばよかったのではないかということを言っておるわけですよ。この点はどのように今反省をされておみえになるのでしょうね。エコノミストとして長官、一回お伺いをしたいと思うのです。
#141
○丸茂政府委員 今御指摘の「日本経済の現況」にございます御指摘の箇所でございますが、ここでは「実質賃金ギャップ」というようなやや耳なれない言葉を使っておりますけれども、ここで申しておりますことは、最近二、三年の賃金の動きを中期的な生産性――景気の情勢あるいはそのほかいろいろな変化によりまして生産性の上昇テンポというものも年によってかなり大きく変化をするわけでございます。そこでならしまして、数年間を見た実質の生産性の伸びと賃金の伸びとを比較してみますと、五十年代の後半くらいにはやや下がっているという事実を指摘しているわけでございます。
#142
○草川委員 いや、それは書いてあることを聞いておるのですからそのとおりの答弁なんですが、どうでしょう、長官、こういうことこそ実は今我々がやらなければいかぬことではないだろうか。ところが、ことしの春闘は、御存じのとおりもう一歩踏み込んでいますから、最低のベースアップ率ですよ。それから、私どもずっと後援会を歩いていましても、自動車産業でもどこでもそうですが、ほとんど四月の改定期、五月の改定期にはマイナス一〇%、マイナス一五%です。
 これは通産省からも後で答えていただきますが、通産省も今、下請をずっとレポートで調査してみえるのです。調査してみえますけれども、本当のことを書いたら契約をもらえませんから適当に書いておきますわというのが実際、下請の実態なんです。下請は親会社からの賃金カットということですから、また孫請のカットをしますね。それからアルバイトです。これも経済企画庁の本によれば、春季の賃上げ率、例えば六十年度の賃上げは五・〇三%だ。ところが、パートの方の上昇率というのは〇・一%ですね。こういうようなことを見ますと、パートの方に依拠率が多いわけですから、いわゆる消費拡大にはつながらぬわけですね。大衆の懐を暖かくして物を買うという力を浮揚させない限りは内需刺激にはならぬわけです。そういう点で、今やっておりますのは、北風を吹かして冷え込ませるような政策より現実にはあらわれていないわけです。だから思い切った減税要求を私ども野党はしておるわけでありますが、あるいはまたこういうときにこそ下請単価を逆に切り上げるような、そういう政策を打ち出さない限りは冷え込む一方ではないかということを私は言いたいわけであります。
 特に、日米のコストの比較というのがこれまた経済企画庁の「昭和六十年度世界経済レポート」というのに出ております。これは円高になりましたからもう今になってみれば逆でありますけれども、日本とアメリカのコストの比較というのを見てまいりますと、資本コストはほとんど同じですけれども、エネルギーコストがうんと日本が上がって、小さく縮まってきたためにもっと労働コストの方をふやさなければいけないのだけれども、労働コストが六〇%ぐらいだというところの数字がここに出ているのですね。これは「昭和六十年度世界経済レポート」で日米のコスト比較で出ているわけです。今は円高ですからこれはだめですよ。だけれども、これが出たときに、少なくとも二年てこ入れが私は遅いと思うのですね。
 これはちょっと話が飛びますが、二年前に中曽根ボンドの発行というのもあったのですけれども、これなんかやっておけば、わずかだけれども貿易摩擦の解消になったのではないかというようなことも議論としては出てくるわけですね。ちょっとその中曽根ボンドがどうして中止になったのかというのを皮肉のために聞いておきたいのです。途中ですが大蔵省、ちょっと答えてください。
#143
○米澤説明員 お答え申し上げます。
 御承知のように、中曽根ボンドという定義があるわけではないのでございますけれども、一般に言われておりますのは、国債または政府保証債でドル建てでユーロないし主としてアメリカで発行されるものというものを一般に中曽根ボンドと呼んでいたようでございます。
 そういう前提でお答え申し上げますと、五十八年十月の総合経済対策で、要するに円高促進策あるいは資本流入策の一環として二つのことが言われておりまして、一つは「政府保証外債の米国市場での発行」、それからもう一つは「外貨公債に関する法制の整備等」ということで、これは政府保証債ではなくて国債そのものでございますが、「公債の外国市場での発行等の途を開くため、所要の法律改正等の準備に着手する。」ということが五十八年十月の対策で打ち出されておりまして、それを受けまして五十九年五月に対外経済一括法をお願いいたしましたけれども、あの対外経済一括法の中で外貨公債の発行に関する法律という前からある法律の一部を改正いたしまして、建設公債を外貨建てで外国で発行するための法制上の整備をしたところでございます。ただ、その当時の国会の御審議の過程でも御答弁申し上げておりますとおり、具体的な発行につきましてはやはり彼我の金利差というようなものを見まして、これは建設公債でございますから、要するに国債として出す総量は予算で決まっているわけでございます、その決まっている総量の中でどれだけを国内で出し、どれだけを外国で出すかということでございますから、やはり発行当局としては財政負担ということを考えて出さなければなりません、日米の金利差が大きい状況では、現実の発行は当面は困難でございます、したがって、具体的な発行計画というものはございませんという御答弁をそのころから申し上げております。
 日米の金利差は次第に縮まってはきておるのでございますけれども、それは絶対的な幅、大体従来四%そこそこであったものが今三%程度にまでという意味で、絶対値では縮まってきておりますけれども、日本の国内の金利の低下が非常に激しいわけでございますから、金利水準にして何割アメリカの方が高いかという、そういう金利負担の割合で見ますと、相変わらずアメリカの金利というのは日本の金利に対して六割高ぐらいでございます。こういうもとではなかなか財政的にその発行は無理であろうといって見送ったわけでございます。
 現在は、御承知のとおりこういう為替状況でございますから、もはや資本流入を図るというタイミングでもないかと思います。
#144
○草川委員 二年前のそういう背景で今のような答弁があるわけですが、私は、一つの問題提起であったわけですが、それも何となくチャンスを逸したのではないかという意味で、一つの問題として申し上げたわけです。
 そういう状況の中で、デフレ現象というのですか、非常に景気が悪くなるわけですが、そういう中でドル買いを日銀がやるわけでありますから、買い支えをする日銀券の発行、いわゆる通貨供給量というのがふえてくをわけですね。それは、こういうような状況の中で日銀券の発行だけがふえるということが一体日本経済にどういうような影響を与えるのか。かつてオイルショックの後に大変な通貨供給量がふえた時期がありまして、日銀も失敗と認めているという列島改造論の時代があったわけであります。ことしになりましても、対前年度比率で九ポイントですか、ふえておるようでございますが、将来展望はどのようになるのか、大蔵省にお伺いをします。
#145
○畠山説明員 お答えをいたします。
 御質問の趣旨は、ドル買いの円売りの介入を行った場合に、マネーサプライの増減を通じて経済にどのような影響があるかという御趣旨だと理解いたしましたが、一般的に申し上げれば、ドル買いの円売り介入を行えばその限度でマネーサプライが増加するということは御指摘のとおりでございます。
 しかしながら、マネーサプライ全体につきましては、そのほかのいろいろな金融情勢にも左右される面がございますし、それから日銀といたしましては介入に伴う増減を含めた全体としてのマネーサプライの管理を行っているわけでございますので、当該介入だけでマネーサプライの全体にどの程度の影響を及ぼすかということは一概には論ずることはできないと思われます。
 それから、最近の九%程度のマネーサプライの状況がインフレ的だという御指摘の趣旨だとすれば、現在のようなインフレの落ちついた状況でもございますし、それからそのマネーサプライの九%自体も、実を申しますと、新しい金融商品が自由化に伴って出てまいりまして、そちらの方からM2プラスCDというマネーサプライ九%の範疇に属するものへの資金シフトが起こったという特殊要因がございまして、そのことがインフレに即つながるものではないというふうに理解いたしております。
#146
○草川委員 時間が来たので、通産省の方に陶磁器業界の現状というものをどのように把握をしておるのか、あるいはまた、その救済策をどのように考えられるのか、ちょっとお伺いをしたいと思うのです。
 私の選挙区に瀬戸というところがありますが、陶磁器業界はもう全く茫然としているうちに死を宣告されたようなものだ、こう言っておるわけでありまして、ことしに入ってからの新規の成約はほとんどストップであります。このままだと、米国市場は韓国、台湾に奪われてしまうという実態でございまして、正直なところ、本当にお手上げと言う以外にはありません。現状の把握と具体的な対応をどのように考えておられるのか、お答えを願いたいと思います。
#147
○柴崎説明員 陶磁器産業がこの円高でどういう影響を受けたかという点でございます。
 御承知のとおり陶磁器産業といいますのは、いわゆる雑貨産業の中で代表的な輸出産業でございます。輸出の比率もかなり高いということで、御指摘のとおり円高による影響がかなり強く出ておる。具体的に輸出額がどのくらい減少しておるかということで、通関統計で見ますと、ことしの一月から三月まで、つまり本年第一・四半期をとってみますと、円ベースで見まして一二・六%の減少になっておる。ただ、現実に最近の成約状況がどうかということになりますと、これはなかなか精密な調査というのは困難でございますけれども、新規の成約が著しく停滞をしておるという状況でございます。
 このような状況にかんがみまして、私どもといたしましては、御承知の昨年十二月にスタートいたしましたいわゆる円高緊急融資、この指定業種に指定をする、あるいは中小企業の事業転換法の業種の指定を行う、あるいは中小企業庁の産地対策の一環といたしまして陶磁器業界の技術開発力を一層高める、あるいはデザインの向上を図る、こういう観点が極めて重要だろう、こういう見地に立ちまして昨年スタートいたしましたそれぞれの助成措置を講ずる、かような一連の対策を講じているところでございます。
#148
○草川委員 これは通産の方に、この陶磁器業界というのはどちらかといえば大手の輸出業界のあおりを受けておるところでございますので、ぜひ一段の配慮をお願いをしたい。要望をしておきたいと思います。
 それから、同じくこれも中小でございますが、こういう時期でございますから、公共投資ということがよく言われるわけでありますが、実際この公共投資で利益を上げるのは大手のゼネコンではないか。
 そのゼネコンの下にいる下請、実際仕事をやるのは下請でありますが、たまたま昨日鉄構業界、鉄骨を組み立てる業界の方々の大会がございまして、非常にたくさんの要望が出ております。公共投資は現金払いで当たり前なんですけれども、下請には現金が入ってこないわけです。大手のゼネコンのところには前倒しで、公共投資の前受け金というのが現金で入るわけでありますが、下請に入ってこないということを考えてもらいたい。あるいは地方自治体等の鉄骨なり橋梁工事の発注はやはり地元の業者を優先をしてもらいたい。あるいはゼネコンが原価に満たない請負代金で下請契約の締結を強いるということが現実にあるので、それはぜひそういうことのないように指導をしてほしい。こういうような要望をしておるわけでありますし、民間工事の手形による支払いは最長でも百二十日としてもらいたい、そして金利の負担も考えるというような非常に切実な要求が出ておるわけでございます。この点について建設省の方の答弁を願いたい、こう思います。
#149
○小野説明員 御答弁申し上げます。
 公共工事の支払いにつきまして、特に元請、下請を通じて現金払いというようなことを指導できないか、こういうことでございますけれども、一般に下請代金支払いの適正化につきましては、建設業法上も速やかな代金支払いを義務づけておるわけでございます。特に、五十三年十一月に、元請、下請関係の大変難しい関係に留意いたしまして指導要綱をつくりまして、その指導要綱の中で、できるだけ現金払いとする、あるいは現金払いと手形払いを併用する場合でありましても少なくとも労務費相当分については現金払いをするといったようなことについても私どもでは指導を行ってきております。特に、毎年下請業者の資金繰りが困難になると考えられる時期があるわけでございますが、そういう時期に通達を出しまして指導をいたしておりますほか、五十四年からは下請代金の支払い実態調査等を実施してまいりまして、特に、特定建設業者についての個別指導というものを行ってきております。今後ともこういう方向に十分意を用いまして指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから、地元の建設業者等に特に公共団体の発注の場合に優先的に発注するような指導ができないか、こういう点でございますけれども、御案内のとおり、建設業の大半を占めますのは中小企業でございまして、私どもといたしましても、地元建設業者など中小建設業者の受注機会の確保ということが大変大事なことであると考えておりまして、従来から発注標準の遵守とかあるいは分割発注の推進とか共同企業体の制度の活用といったようなことについて地元建設業者の受注機会の確保に努めてきたところでございます。六十一年度の執行に当たりましても、効率的な事業の執行に配意しつつ、中小建設業者の受注機会を確保するように、先般来関係機関に通達をいたしまして指導してきております。今後ともこの趣旨の徹底には努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから、御質問の三番目でございますけれども、民間建設工事の手形支払いを出来高当月起算最長百二十日以内にする。先生お話しのとおり、あの大会の後、建設省関係にも陳情に来られまして、我々十分趣旨をお聞きしたわけでございますけれども、現在の制度でございますと、一般には元請人が支払いを受けてから一カ月以内、特定建設業者の場合、これは二千万以上の下請契約を締結をして工事を施工する建設業者でございますけれども、この場合には、生産物の引き渡しの申し出があってから五十日以内でできるだけ短い期間内に支払う、こういうことになっておりまして、一般的に手形の支払いを行います場合には百二十日以内ということを指導の基本原理にいたしております。また同時に、経営環境の好転とかそういうようなことを考慮してできるだけ短くするようにということを考えておるわけでございますが、現在の制度でございますと一律に百二十日ということで指導するということにはまいりませんで、いろいろな意味での経済的な取引とかあるいは元請、下請とのいろいろな関係というものも考慮し、従来の考え方の延長で指導は強めてまいりたい、こういうふうに考えております。
 また、金利の問題でございますけれども、これは非常に複雑な請負代金との関係等もございまして、一律に元請側が負担するということにはならないと思っておりますが、なお適正な請負代金の額が円滑に支払われるように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#150
○草川委員 公共投資、公共投資と言っておりますけれども、それが流れてくる末端の下請は、今私が申し上げたように非常に切実な訴えをしておるわけでありますから、ぜひ建設省としての指導をお願いを申し上げておきます。
 残りの時間がもうわずかになりましたので、厚生省に最後の質問を二問行います。その他の方々は結構でございます。どうも御苦労さんでございました。
 そこで、厚生省の方にお伺いしますが、五十八年から三カ年計画で厚生科学研究費で検討を続けてきました薬価基準に収載すべき品目等の適正なあり方に関する研究、これがようやくまとまりました。私どもかねてから、薬価の問題についてはいろいろな議論をしてきたわけでございますが、十項目にわたる提案が出ておるわけでございます。これをとことんまで詰めていきますと業界再編成につながることになる、これはもう間違いないと思うのです。中にはメーカー直販の取り扱い等についての非常に厳しい態度もございまして、直販をするメーカーも、これは基本的な存立に影響する。それから、後発品メーカーというのですが、ソロと言っておりますけれども、収載医薬品の整理、制限という点では、二けた以上というのは禁止、こういうことになっておりますから、少なくとも一けたのメーカーしか医薬品を収載できないということになりますと、現在中小零細が約四百近くいるわけですから、二けたというのは、先発が一社としますと八社しか認めないということになりまして、とれは後発メーカーにとりましてもかなり厳しいことになる。大革命だと思うのです。そういうような点についてどのように考えられるのかというのが一つであります。
 それからもう一つは、これは保険局の医療課になりますか、日本製薬団体連合会がリーズナブル方式ということを主張をしているようであります。これは大手のメーカーなり中小ともちょっと意見が違うやに聞いておりますが、どういうように厚生省はこれを受けとめられるのか。厚生省は業界の意見を統一して説得性のある資料を出せ、それを出さなければ来年の薬価大改正は従来方式でやるということを言っておるようでありますが、現在のところではどのような考え方でことしの薬価改正に臨もうとしておみえになるのか、従来方式があるいは若干手直しをしながら薬価改正を行うのか、以上二問をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#151
○山口説明員 「薬価基準収載品目の在り方に関する研究」という成果がこのほど公にされたわけでございますが、その中で先生御指摘いただきましたように、後発品の収載については制限をしたらどうか、あるいは直販システムについての問題点等の指摘がございます。そのほかについても薬価基準制度のあり方について一つの研究として公にされたわけでございますが、先生今御指摘のごとくこの薬価制度のあり方につきましては、現在中医協におきましてこの御指摘のあった問題点等も含めて検討がされているという状況でございます。したがいまして、直販システムのあり方あるいは後発品の収載の問題についてもいまだ方向が出てないわけでございますが、御指摘いただきましたように、そういうものの方向づけによっては業界に大変大きな影響が出てくるということは御指摘のとおりでございます。
 私ども業務局の立場といたしましては、製薬企業の健全な発展ということに力を注いでいかなければなりませんので、そういった制度のあり方をどうするかという点についても、企業の健全な発展という観点から十分御意見も申し上げ、将来の方向を決めていただきたいということで努力をさせていただくつもりでございます。
#152
○谷説明員 薬価の算定方式につきましては、御承知のように五十七年九月の中医協における答申に基づきまして現在やっているわけでございますが、これにつきましては、かねてからいろいろな御意見がございますし、また薬価算定方式についてはいろいろな方法が検討されているわけでございます。
 今お話のございましたリーズナブルゾーン方式というのも一つの意見として日本製薬団体連合会の方から出されているということは承知いたしておりますが、現在中医協におきましてこの薬価算定方式について検討していくということで、この四月から具体的な検討に入った段階でございます。
 したがいまして、今後関係業界の意見も含めて幅広く意見を聞き、検討を進めていくという段階になっているわけでございますが、いずれにいたしましても、この薬価算定方式のあり方につきましては、医薬品の安定供給という重大な責務を持っておりますこの製薬業界に対する影響が非常に大きいというようなこともございますし、また、中医協の中での審議が現在具体的に詰まっているわけでもございません。どういうようなスケジュールでやっていくかということもまだ詰まっておりませんので、私ども十分そういったような関係者の意見も聞きながら慎重に対応していきたいと考えておる次第でございます。
#153
○草川委員 時間が来ましたので、これで終わります。
#154
○阿部委員長 次に、永江一仁君。
#155
○永江委員 今日の経済問題ということから考えますと、何といっても円高問題が今大変な中心問題であります。そういうことで、私の立場から二、三の点につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
 昨日来若干円がまた円安の方向に動いたということでございますけれども、きょうの昼のニュースではまた百六十一円、二円台へということで、この円高傾向は、一つの国際的な圧力も含めてとどめることができないという方向になっておるわけでございます。その中において、円高でメリットを受けておる業界も確かにあると思うのですけれども、円高によって大変な不況をこうむっておる。そういったしわ寄せを受けておるところにいろいろ救いの手を差し伸べていくことが行政なり政治の要請であるということから考えますと、この円高不況に対するいろいろな手だてが要る。これは政府も政治的に今一生懸命やろうとしておられるわけでございますが、その中で公定歩合の引き下げがかつて三回行われました。しかし、効果をもう一つ発揮することができないという中で、第四次の公定歩合の引き下げがまだ一つの有効な手段ではないかということで要望されておるわけでございますが、この第四次の公定歩合の引き下げという問題についてどうお考えになっておるのか、お尋ねいたします。
#156
○畠山説明員 ただいま御質問の第四次公定歩合引き下げというお話でございますけれども、まずもってこの問題は日銀の専管事項でございます。大蔵省としての意見を述べるという御趣旨であるといたしますと、御指摘の中にもございましたように、三次にわたって既に公定歩合の引き下げを実施いたしておりまして、直近で四月の段階で引き下げ、かつそれに伴います預貯金金利の引き下げと短期プライムレートの引き下げが今月の十九日に実施される予定となっておりますので、それらの効果を見定めた上で、その時点で検討をいたしたいと考えておる次第でございます。
#157
○永江委員 今お答えがありましたように、公定歩合の引き下げが今日まで三回行われてきたわけですが、それに伴って財投金利も引き下げないと中小企業対策を考えた場合になかなか十分と言えないという感がするわけでございます。ところが、いわゆる資金運用部資金法によりますと、財投金利は六%以上という規定があるわけでございますが、このことをひとつ改定する、さらに引き下げるという考えはないか。それは非常に有効なことになるのじゃないかと考えるのでございますが、この点について御意見をお伺いしたいと思います。
#158
○石坂説明員 お答え申し上げます。
 資金運用部の金利、つまり財投金利でございますけれども、御承知のようにこの半年間に三回引き下げを行いまして、あわせまして一・〇五%の引き下げを行ったところでございます。その結果といたしまして、ただいま財投金利は六・〇五%ということでございまして、これは資金運用部資金法が現行の制度になりましてから、三十六年からでございますが、最低の水準でございます。また、片や中小金融機関、すなわち国民金融公庫でございますとか中小企業金融公庫、これらの貸出金利は御承知のように長期プライムレートと連動しておるわけでございますが、これも六・四%ということでございまして、非常に低い水準に下がってきております。
 こうした両方の金利が下がってきたことによりまして、現在、国民公庫、中小公庫ともかなりの資金需要が出ている、昨年、一昨年に比べましても相当需要が出ておるという状況にございまして、現時点で見ますと、中小企業金融は円滑に推移しているという状況にあろうかと存ずるわけでございます。
 先生の御指摘は、さらにその財投金利引き下げについてはどうかというお話でございますけれども、この財投金利をこれ以上引き下げるということになりますと、法律の改正という問題が出てまいります。この問題は、いわゆる中小企業金融機関等財投機関の問題であると同時に、また年金とか郵貯とかいった預託者側の問題でもございまして、そういったところを総合的に勘案をして検討していかなければならない、極めて慎重な検討を要する問題であろうと存ずるわけでございまして、現時点で直ちに法改正というふうなことを考えているわけではございません。今後、長期金利がどのように推移していくか、慎重に見守らせていただきたいと考えております。
#159
○永江委員 まことにこれは経済的にいろいろな側面がございますから、私はどちらということでの立場でなくて、大蔵省の現在の見解をお尋ねしたわけでございます。
 ところで、円高という問題につきまして、私はいろいろ読んだり聞いたりいたしましても、円高メリットというものがあるということ、これは経済企画庁の試算のこういう資料を見ましても、円高によって確かに輸出競争力は落ちるわけですけれども、大体それが価格に転嫁して、この四月十日に経済企画庁から出された資料を見ますと、円高によって輸出競争力が落ちることによって六兆五千億円ぐらいマイナスがある、デメリットがある。しかし、輸入価格が下がった分で、これを六十暦年輸入等で換算すると大体十兆円ぐらいのメリットがある。そうすると差し引き三兆五千億円のメリットがある。これは一ドル百八十円という計算ですから、現在ではこれよりもさらに円高になっておるわけですから、この計算でいくと、総体的な国全体の実質所得としては三兆五千億円以上のプラスがある、こういう計算になっておるわけでございますね。そうすると、確かに円高によって困っておるところもあるけれども、国全体とすればメリットがあるんだ、というよりも現実に三兆五千億円の実質所得が増大する、こうすると、我々野党が主張する二兆円減税よりもさらに大きなメリットが、若干のいろいろなアンバランスはありますけれども実際は国全体としてある、こういう計算に資料では出ておるわけなんでございます。
 そこで、これが事実かどうか、大変これは難しい問題ですが、こういうことが計算上出てくるとするならば、私が考えますのに、これは少なくとも税の捕捉によって税収という形になってあらわれるのがやはり当然だと思うわけでございます。そういたしますと、この六十一年度、少なくともこの三兆五千億円に見合った形で税収としてはね返ってくる、こういう論理が成り立つと思いますが、大蔵省の見通しはいかがでございますか。
#160
○薄井説明員 お答え申し上げます。
 委員御指摘の、四月十日の経企庁のおつくりになりました「円高の交易条件改善効果等について」の資料は見させていただいております。多分この資料は、私ども推測するのですが、交易条件がどのように改善するかということをわかりやすく説明するために、大胆な前提を置いておつくりになっておるわけでございまして、このことがただいま御質問いただきましたように税収にどう響くかということになりますと、いろいろと直接的には計算しにくい問題があるということを申し上げたいと思います。つまり、税金というのは、課税所得なりあるいは従価税といいますか、物の価格に対して課税するものがございまして、課税所得にどういうように反映していくかということになりますと、交易条件ということで大まかに計算されたものが直ちに使えるとは限らない。むしろ世の中の一般的な論調は、この円高で価格が下がっていくから名目価格を基準に課税しておる税収はむしろ下がるのではないかというのが世の中の見方のように私ども聞いております。今御指摘のように逆にプラスの面もあるんだということは私ども思っておりますが、両面ございまして、なかなか税収にこれを結びつけて考えるというのは難しいというふうに私ども理解しております。
#161
○永江委員 これは理屈の上では両面あると思うのですが、円高差益によって、先般来ここでも議論した中で、電気代、ガス料金、これは確かに下がったわけですね。それが還元された。しかしながら、電気とかガスとか、ある意味では非常に捕捉のしやすいところは国民に還元させておいて、しかし、トータルとして考えた場合に、円高によるデメリットとメリットとある、そのメリットは何となく流通機構で消えていく、ここにやはりいろいろ問題があるわけであって、このことをきちっと税という形で捕捉するならば、国としても明らかに数字の上において円高メリットというものがあらわれてくる、こういうことが説明がつくと思うのです。それをきっちり捕捉しないとなると、明らかにガスと電気だけは吐き出させて、それ以外の円高メリットのところは何となく消えていくというところに非常な不公正さを感ずるわけなんですね。
 今、非常に大胆な推測に基づく改善効果という資料と言われましたけれども、これには原油価格の大体一バレル十ドル単価引き下げという中でさらに二兆二千億円総合的には所得が増大するという数字もついておるわけですから、一ドル百八十円、一バレルさらに十ドル下がる、こういう中で両方合わせると実に五兆七千億円の国全体としての所得増大がある。大胆な推測と言いながら、一応やはり円高という経済効果の中でこういうことがあるという推論は、これはかなり根拠があると僕は思います。
 そうすると、税収という観点からこれをきちっと吸い上げていくといいますか、そのことによってやはり国のいろいろな施策なり、あるいは円高によって不況をこうむっておるところへそれを持っていく、これが政治の姿でないと、ガスと電気だけから巻き上げて、そして何となく円高によって国全体としてはメリットがありますといっても、これは国民としてもなかなか納得しがたいわけでありまして、こういう点について大蔵省としても、税の公正という面からもう少し捕捉という問題について円高の中で考えられないかどうか、重ねてお尋ねいたします。
#162
○熊澤説明員 円高のメリットを受けた企業の税の捕捉をもっときちんと行うべきではないか、そういうことによって国も円高のメリットの一部を税という形で受けるべきではないか、こういうお尋ねかと思いますが、国税当局といたしましては、常日ごろから個々の企業の特殊性やあるいは業界の景況の動向、こういったもののみならず、ただいま御指摘の円高といったような内外の社会経済情勢の変化にも十分に留意しながら適正な課税の実現に努めているところでございます。
 御指摘のように、昨年秋以降、急激な円高になっている状況でございますが、こうした経済環境の変化が個々の企業に対してどういう影響を与えているのか、そしてそれが企業の法人税の申告にどのように反映しているのか、決算、申告の状況をよく調べまして、必要な場合には実地調査を行うなどの方法によりまして、円高でメリットを受けている企業につきましても適正な課税を行っていくように努めてまいる所存でございます。
#163
○永江委員 これは、私は何も税金を取れ取れというような、そういう苛斂誅求的なことを言っているわけではございませんが、少なくとも円高によるそれが消費者に還元をされればそれはそれで還元されておる、しかし、還元しないところについては税によって取る、こういうことで公平が保たれるという観点から、経済企画庁から出されている資料も踏まえて質問をさせていただいたわけでございますので、ぜひ今後ともよろしく監視をしていくというか、こういう円高メリットというものを十分勘案しながら税というものも考えていただきたいと思うのでございます。
 次に、為替相場の安定という問題は、日本だけでやることはなかなか難しい。国際的なリンクの中で決定されておるということは、もう本当に我々いやというほど実感しておるわけでございます。そういう意味で、今後、為替相場の安定ということについてアメリカが何といっても切り札を持っておるかもわかりませんが、アメリカ以外の諸外国とのいわゆる協調介入ということを求めていかないとなかなか難しいのじゃないか。どうもいつもアメリカとヨーロッパあたりは手を結ぶが、日本がひとり蚊帳の外というような感がせぬでもないわけでありまして、そういう意味で、アメリカ以外の諸外国との協調介入、今後どのように努力をされるおつもりなのかお尋ねをいたします。
#164
○金子説明員 御指摘のとおり為替相場の安定というのは極めて重要でございます。私たちもその方向に向けて努力しておるところでございますが、為替相場は基本的には各国の経済状況の反映でございますので、その安定のためには何にも増して政策の協調ということが重要でないかと思っております。
 この点につきましては、先般のサミットでも合意があったところでございまして、サミットにおきましてはそのような観点から主要国間のサーベーランスの強化を行うということで合意ができましたし、また、有益と認められる場合には協調して介入するというウィリアムズバーグの合意を確認したところでございます。
 今、米国以外の国と協調介入やなんかでさらに協調していってはどうかというお話でございますが、もちろんのことながら、委員も指摘されましたように主要国全部が協調するのが一番いいわけでございます。もちろん、その状況によりましては、先般の公定歩合の引き下げの例にも見られますように、協力できるところが協力する、協調するということも当然あり得るわけでございます。私たち通貨当局間では、いろいろの国と常日ごろから密接な連絡をとり合っているところでございますが、もちろん中にはその国の状況から、ある状況においてはできない、ある状況においてはできるというような話は当然あるわけでございます。
 ただ、協調介入を具体的にどこかの国とやるかどうかということにつきましては、これは為替市場へもいろいろと影響がございますので、答弁を差し控えさせていただければ幸いだと思います。
#165
○永江委員 これからも、国際社会の中の日本という観点から、ぜひとも国際的な連絡を十分密にしながら安定的な為替相場の確立に努力をしていただきたいと思うのでございます。
 次に、これは先ほど草川先生も御質問されておりましたけれども、今回の東京サミットで合意された中に、いわゆるサーbeーランスというのですか、相互監視の問題、先ほど御質問ございました。そこで、その指標が九つか十かという御質問がございましたけれども、一応十の指標が出されたということで若干お尋ねしたいのでございます。
 このいわゆる指標を使うにしましても、それぞれその国々によって指標作成の仕方が違うという問題があるはずなのですね。各国で統一されていないという点もありますし、またそういった統計のとり方にもそれぞれ国によって違いがあるわけですけれども、この点の統一ということについては、この資料の使い方としてはどういうふうになるのでございましょうか。
#166
○久保田説明員 お答え申し上げます。
 今御質問のとおり、東京サミットの経済宣言では、国際的な経済政策の協調を促進するために幾つかの指標を参考にしてサーベーランスを強化していくこととされているわけでございます。
 御質問の、そのときにいかようにして指標等の統計の統一を図っていくか、こういう話でございますが、一般的に申し上げまして他のことが全く条件が同じであるとするならば、当然のことながら、整合性の観点からは同じベースの統計を使うにこしたことはないというのは御趣旨のとおりだと思います。しかしながら、類似の先例とか諸外国のシステムの違い等を考えますと、今回も同様に各国の既存の統計に基づいてやらざるを得ないじゃないかというふうに考えております。その際には、各国で統計等が必ずしも統一でないということも十分勘案しながら吟味していくということがこれからの方向ではないか、かように考えております。
#167
○永江委員 そうすると、サミットということになるとこれは中曽根総理に聞かなければならないかもわかりませんが、そういった統計のとり方を統一する方向にしていくという話し合いは別になかったということなんですか。
#168
○久保田説明員 お答え申し上げます。
 サミットの場は、一般的に申し上げまして首脳の高いレベルでの政策の方向づけなりそのモメンタムを与えるというのが大体の大枠でございまして、今御指摘のような細かい点までにつきましては、それは具体的な実施者等にいわばゆだねられているというふうにお考えいただいて結構ではなかろうかと考えております。
#169
○永江委員 そうすると、大蔵省としては統一方向へということが希望ですか。そこまではわからないですか。
#170
○久保田説明員 全くそれが可能であれば、一般的にそういうことにこしたことはないと思いますが、実はこの手の話というのは、現在のOECDとか経済政策委員会だとか閣僚理事会でも行われていますし、IMFでも行われています。そういう場合でも、各国からは既存の資料をベースにしてということでございますので、理想論としてはそれはあるにこしたことはないと思いますが、実質では極めて難しいことではないか、かように考えております。
#171
○永江委員 大蔵省の方、結構です。
 次に、通産省の方に来ていただいておると思いますが、円高による下請いじめの防止対策ということが今中小企業の方々から私たちも非常に要望されておるわけでございます。この下請いじめ防止に対する対策が今日どのように行われておるのか、現状と対策についてお尋ねいたします。
#172
○高梨説明員 お答えいたします。
 もともと親と下請企業の間は普通の取引関係とちょっと違いまして、親が優越的な地位を乱用いたしまして下請に対して不利な取引を押しつけるというふうな可能性があるわけでございます。そういうことから下請代金支払遅延等防止法という法律に基づきまして、公正取引委員会と私ども中小企業庁の方で取り締まりを常日ごろやっておるわけでございますけれども、こういう円高のような状況におきまして、親事業者がその円高のデメリットを下請に転嫁するというおそれがかなりございますので、私どもといたしましても円高影響特別調査というのをことしの初めにかけて、下請中小企業一万一千社を対象に行いました。その結果を見ますと、かなり値引きあるいはいわゆる法律上買いたたきと言っておりますけれども、そういう行為の疑いのあるものが全体の一四・五%ほど見られまして、現在これを受けまして、親企業に対する立ち入り検査等を行っているところでございます。
 それからさらに、通産省全体といたしましても、そういう状況にかんがみまして下請等中小企業対策推進本部というのを新たに設置いたしまして、下請対策に対する統一的な窓口をつくるとかいったことをやっておるわけでございます。
 それから、その本部で決まったことでございますけれども、親企業に対して、円高の影響はなるべく親企業自身が吸収いたしまして下請に転嫁しないでほしいという行政指導、あるいは当然のことでございますけれども、下請代金支払遅延等防止法を遵守するという旨の通達を四万五千の親企業に対して発出しているというふうなことで対処しておるところでございます。
#173
○永江委員 下請というのは親との関係においてなかなか弱い立場でございますから、先ほども若干お話はありましたけれども、行政指導という形の中でこれはぜひとも守っていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 同時に、下請ということでなくても中小企業一般が、今日いろいろ円高によるこういう経済の変動の中では何事も小さいところにしわ寄せがくるというのが一つの趨勢でございます。そこで、中小企業の対策について通産省等もそれなりに一生懸命おやりになっておると思うのでございますけれども、これは去る二月ですか、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法というのができております。このときには大体百九十円台という想定でこの対策が出されておるわけでございますが、さらに一段と円高が進んでおるわけでございます。そこで、この臨時措置法ができたところですぐ改正というのもいかがかと思いますけれども、さらに一段と強力な措置が必要ではないかと思うのでございますが、この点についていかがお考えでございますか。
#174
○長田説明員 中小企業に対する円高対策の件でございますが、今先生御指摘の中小企業の事業転換関係の法律、これを二月の下旬に公布、施行いたしました。さらに四月八日に総合経済対策で決定いたしまして、中小企業三機関の金利の引き下げというようなこと、各種いろいろな対策を今日まで講じてきているわけでございまして、これからの対策につきましては、非常に幅広い角度からどういう対策があるだろうかということで今検討している状況でございます。
 特に、先生御指摘の事業転換法の件でございますが、この法律は緊急経営安定とそれから事業転換対策とこの二つを目的といたしまして、非常に多角的な助成措置を講ずるという観点の法律でございます。先生からもお話ありましたように、この法律は二月二十五日に施行しまして実際上業種指定が三月四日でございまして、まだ始まったばかりでございます。その意味で私どもとしては、この法律の体系として行われます各種の措置をこれからますます生かして使っていかなければいけない、こういう着実な実施をしていくことが重要だということで、今の段階でこの法律を改正するというようなことを特に考えているとか検討しているとかいうような状況ではないというのが現状でございます。
#175
○永江委員 二月にできたところでございますから、そのことは私も承知しておるのですけれども、ただ、あの当時は二百円を割ったということで非常な危機意識でできた法律が、さらに今日百六十円台あるいは百五十円台にもなる、こういう急激な変化、いつも平泉長官おっしゃるように円高が問題というよりも余りにも時間が短期間ということが問題だということはこういう点からもよくわかるのでございますけれども、この対策が、その二月の段階で法律が施行された、このことで今日追いつくのかどうか、これが私どもは非常に心配なわけでございます。
 そういう意味で、こういった不況業種の政府系金融機関の既融資分の金利をさらに軽減するとか、あるいは中小企業向けの金融緩和措置を特にとるということが必要になると思いますが、この点についてはどうお考えでございますか。
#176
○土居説明員 先ほどの円高関係法が施行されました後さらに円高が進行する、あるいは中小企業関係の影響がまた深刻化するというようなことから、四月八日に政府として総合対策を打ち出しまして、その中で円高関係の国際経済調整対策特別貸付制度の金利の引き下げあるいはマル経資金の金利の引き下げということをやったわけでございます。ただ、その後の状況ということもありまして、ただいま中小企業庁の方から御説明しましたように、現在総合的な角度からその後の円高の状況あるいはそれによる中小企業への影響といったものを見まして幅広い角度から検討を行っているという状況でございます。
#177
○永江委員 具体的な対策についてのお答えがなかなか得られないのはまことに残念でございますが、それだけ円高が短期間のうちに高進してしまったということだろうと思います。円高のスピードが遠ければ速いだけ行政もそれに追いつくように早くやらないといかぬのであって、百九十円台でのその時点では確かにその対策は意味があったと思いますけれども、これが百五十円台になれば百九十円台で立てたその対策というのは余り意味をなさない。これでは対策を立てた立てたと言っても本当に立てたことにならないわけでありまして、そういう意味でこのスピードに追いつくという行政のあり方というものをぜひとも強く要望しておきたいと思います。
 円高全体の中でこういう、小手先と言うと語弊がございますが、中小企業対策とか金融対策、これもスピードを上げてやっていかなければいけませんが、同時に今我が国が突きつけられておる問題は、先般来この委員会でもいろいろ御質疑をしてまいりましたけれども、日本の経済、産業構造のあり方が問い直されておるわけでございますね。
 そこで、先ほど草川議員も前川レポートのことでいろいろ御質問しておられましたけれども、通産省の中に産業構造審議会というものが設置され、そしていろいろ議論されておるようでございます。その中の分業につきましてはこの二月に総合部会の企画小委員会で一つの案がまとめられておりますけれども、この産業構造審議会の審議の内容、なかなか詳しいお話はしてもらえないと思いますが、今後の運営のあり方、そしてどういう形でいつごろ一つの結論が出てくるのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
#178
○大塚説明員 御説明申し上げます。
 今御指摘のとおり、産業構造審議会、通産大臣の諮問機関でございますが、そちらで二月六日に中間報告をお出しいただきまして、その中では産業構造の国際協調化ということが非常に強調されたわけでございます。例えば海外投資でございますとか製品輸入とかそういうことを通じて、いわば日本の産業構造そのものがもっとほかの国の産業と組み合ったようなそういう形がいいのではないか、そういう報告をいただいたわけでございますけれども、そうやりますと、どうしても日本の国内の産業はどうなってしまうんだろうかということが心配になるわけでございます。これは当然だろうと思います。
 その場合に、やはり方向といたしましては、日本の中で新しい産業のフロンティアと言われるような部分、それを伸ばしていって、そしてその中に円滑に雇用が吸収されていったりあるいは資本が流れていったり、その方向を基本的に踏まえながらいろいろなことをやるべきではないか。実はこの後の方の部分を今また御審議をいただいておりまして、そしてそれが最終的な報告書に盛り込まれるという予定でございまして、今の予定でございますと、今月の二十六日の審議会でその最終報告をいただけるのではないか、こう期待しておるわけでございます。
#179
○永江委員 実は私はこの産業構造審議会の答申を一番注目したいと思っております。というのは、今前川レポートはある意味では非常に華々しく脚光を浴びておりますけれども、これはいかんせん中曽根総理の私的諮問機関でございます。これは中曽根総現在職中はそれなりの権威を持ってしょうけれども、内閣がかわれば恐らく一片の紙切れになるのではないかな、私はこう思っておるのでございます。しかしながら、通産省のきちっとしたというか、そういう一つの背景を持った審議会の答申、将来必ずこれが日本の政策にとって大きな影響を持ってくる、私はこう思っておりますので、その答申の時期その他をお聞きしたわけでございます。恐らくこの中では、日本の産業の淘汰されるもの、あるいは発展する方向というようなものも出てくるだろうと思うのですけれども、その辺に非常に利害があるので難しい問題だとは思います。
 そういたしますと、重ねてお尋ねしますが、今お話があった後段のその産業の一つの分野のあり方については、五月二十六日に答申が出る、こういうことでよろしいのですね。
#180
○大塚説明員 ただいまの予定では五月二十六日と考えております。
#181
○永江委員 わかりました。
 ところで、円高問題の最後の一つの問題は、先般のこの委員会でも私は御質問したのでございますけれども、まさに今の産業構造の変化との関係の中で、我が国経済の空洞化ということが最近しきりに言われております。先ほど下請の話もお聞きしましたけれども、従来は、何といっても親企業は下請をある程度は親企業の犠牲というかそういうカバーの中において保護していくという人間関係みたいなもの、きずなというものがあったように思うのです。しかしながら、ここまで円高が進み、しかも国際分業ということが一つの趨勢になって、台湾とかシンガポールとかといったところへどんどん部品発注が進んでいくというふうになれば、そういう意味で日本経済の中における空洞化というものが非常に言われておるわけでございます。
 その場合に何が一番心配がというと、これはやはり失業問題で、先般もそういうことで経済企画庁にはお尋ねしたのです。きょうは労働省の方に来ていただきましたが、この円高の推移といわゆる産業の分業化の中での失業問題をどう深刻に受けとめておられるか、まずお聞きいたしたいと思います。
#182
○井上説明員 お答えいたします。
 円高の急速な進展によりましていろいろ産業が影響を受けているわけでございますが、労働省が主要産業につきましてヒアリングをしたところによりますと、従来から構造的要因によって影響を受けているに加え、さらに円高の影響によりまして造船業とか非鉄金属製錬業等では配置転換とか希望退職のような雇用調整の動きがあらわれておるわけでございます。また、中小企業におきましても、特に輸出比率の高い産地等におきましては、例えば陶磁器産業等におきまして雇用調整の動きが見られてございます。
#183
○永江委員 何かもう一つそう深刻な感じを受けなかったのでございますが、私は、これは非常に深刻になるという危惧を持っております。そういう中で、昨日の新聞にも公務員の週休二日制、隔週週休二日というようなことも言われるように、労働時間の短縮によってこの問題をしのいでいかなければいけないと思うのです。労働省も大体週休二日、あるいはそういった労働時間短縮には今までもそれなりに力を尽くしておられることを私は承知いたしておりますけれども、円高の推移と産業分業化の中で労働時間の短縮というものに国全体の一つの目標として取り組んでいかなければならないと思うのでございます。せっかくでございますから、経済企画庁長官、閣僚の一人といたしましてこの点についてぜひとも前向きの答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
#184
○平泉国務大臣 労働時間の短縮ということは非常に望ましいことでございます。労働生産性がどんどん高まっていく中で企業がそういうことに十分対応ができるという事態、それから賃金というものがある水準が確保されるという保障がある。これは今現実に労働時間の動きを見ておりますと、労働時間の短縮よりは賃上げの方が望ましいという傾向が組合によってはなきにしもあらずであります。その辺のことも勘案しながら、今我が国にとって重要な問題としては労働生産性を上げていく中で労働時間が短縮できる、我が国の労働時間が国際的に今まだ長過ぎるということは我々は共通した認識を持っておるわけでございますが、それが現実に達成されるということになりますと、殊に今おっしゃるように労働集約的な産業が賃金要素的な意味から海外に出ていく場合には、我が国では生産性の高い産業がますます活発に活動するということが必要であろうと思うわけでございます。そういう辺を十分考慮しながら、労働生産性を高める中で時間の短縮が図られることが可能であるように努力をしてまいりたいと思っております。
#185
○永江委員 時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、確かに生産性の原理の中で労働時間の短縮という、論理としてはわかるのですけれども、そのことが日本においてはさらにまた経済力を強めることになって今外国から圧力を受けているわけでありまして、これは日本人の物の考え方を変えていかなければならない問題だと思うのでございますね。そういう意味で、私は、ただ単に生産性の向上原理の中での労働時間の短縮という枠の中では日本はなかなか国際国家になり切れないというような感もいたします。この点については今後ともまた大いに勉強もしながら質問もしていきたいと思いますので、きょうは終わりたいと思います。
#186
○阿部委員長 次に、藤田スミ君。
#187
○藤田(ス)委員 今国会はもう少しいろいろな角度の問題を取り上げていきたいと思いながら結局最初から最後まで円高問題に終わってしまいそうでありますが、円高問題がそれだけ国民の生活に深刻な影響を与えているし、また差益問題では非常に大きな不満と怒りが広がっておりますので、私は今回も重ねてこの問題についてお伺いをしていきたいと思います。
 長官、一ドル百六十円を突破するというような状態の中で、産地の中小企業は倒産が続出しておりますし、大変な事態になっております。通産省の見通しでも、今後百六十円台が続くと六十一年度は大多数の企業が赤字になり、さらに倒産、廃業が発生するというふうに言っておりますし、産地中小企業にとってこの事態は極めて深刻であります。
 私の地元でも織物が盛んでして、例えば泉州織物というところがございますが、ここは四月から六月の契約が七〇%から八〇%ぐらいにしかなっていない。それが見込み生産をやっております二〇%、三〇%、この分がありますので非常に危機感があるわけです。七月、八月になりますとこれは一〇%から二〇%ということで、昨年に比較しましたら全く血の気が引くような状態になっているわけです。それだけではありません。主要産業も円高の進行で相当厳しい状態になっておりまして、それに関連する下請中小企業の方も下請代金の切り下げだとか、仕事をすればするほど赤字になるとか、こういうような状態になっているわけです。加えて円高のために諸外国から輸入資材が大量に市場に流れ込んできておりまして、この影響もまた輸出産業にとどまらない深刻な状態をつくっております。この異常な円高を早くストップして適正な水準に落ちつかせることは、中小企業とそこに働く人たちにとっては悲願にも似た思いなんです。
 しかし、政府の方は、今回のサミットでレーガン大統領に円高は二日酔いのようなものだと為替相場への協調介入を軽くいなされて、そして何の手だても打てずに百六十円を突破するという、きのうはちょっと百六十四円になりましたが、全体としての基調は突破するという今回の事態を迎えているわけです。
 これは一体中小企業の責任なんでしょうか。それとも低賃金や長時間労働を強いられる国民の責任なんでしょうか。私はそうではないと思うのです。これは明らかに、高度成長期以降国際競争力の強化ということで大企業に優遇税制や各種補助金を与え、そして他方、国民に対しては低賃金や長時間労働を押しつけて輸出依存型の産業構造をつくり上げてきた政府の責任というふうに言えないか。
 そこで長官にお伺いいたしますが、今回の事態を招いた政府の責任、それから円高、円相場安定化のための対策について長官はどういうふうに考えていらっしゃるか、まず長官のお考えをお伺いしたいわけです。
#188
○赤羽政府委員 最近の為替相場の動きが余りにも急激な円高である、こういうことで、企業におかれましても物理的にもそれに対応することができない。先行きさらに円高になる、こういう不安から、企業心理、さらには景気の先行きに対する懸念がさらに強まっている、こういうことは事実でございます。
 政府といたしましても、現在の百六十円台の前半といったような為替レートの水準というのは、日本経済の現在の基礎的な条件という点から考えてみましてもやや行き過ぎている、こういうふうに考えておりますし、為替相場が安定することが取引の安定、その取引を通じて経済というのは動いているわけでございますから、経済の安定的な発展のために望ましいと考えております。
 そうは言いましても、日々の為替レートの動きというのは、為替市場のそれぞれの需要と供給、この需要あるいは供給の中には投機的な要素というものを含むものでござ幸いますので、したがいまして、必ずしも政策の力あるいは当局の行動によってコントロールできない、こういうことがございますけれども、通貨当局を中心に今後ともできるだけ適切に対処していく、こういうふうに考えております。経済企画庁といたしましても、今後の為替相場を十分注視してまいりたい、こういうふうに思います。
 そこで、こうした事態に対しましてどのような対策をということになるわけでありますけれども、政府といたしましては、四月の上旬に決定をいたしました総合経済対策を着実に実行するとともに、急激な円相場、これが輸出関連企業、特に中小企業に対する影響が非常に大きい、こういうことでございますので、現在、総理大臣の御指示もございまして、中小企業に対する影響、こういうことに関連をして、所要の対策につきまして関係省庁の間で作業を進めているという段階でございます。
#189
○藤田(ス)委員 私は長官にお伺いをしているわけです。
 一つだけで結構です。今回の事態を招いた政府の責任を長官はどういうふうにお考えなのか、そのことを長官しかお答えできないと思いましてお伺いしているのです。それだけで結構です。
#190
○平泉国務大臣 政府の責任ということになるかどうか、これもやはり自由経済でございますし、それから変動相場制という制度でございますので、その中における相場の変化である。もちろん、政府としてはそれをただ洪手傍観をしておるというわけではございません。それぞれの為替相場が我が国経済にどのような影響を及ぼすであろうかということは十分に注目して見ておるわけでございまして、ただいま局長が答弁いたしましたように、それぞれ相応の対策を全力を挙げてとっておるということは御了解賜りたいと思います。
#191
○藤田(ス)委員 政府の責任ということになるかどうかというような御答弁は私は大変遺憾に思いますが、この問題で議論をしていると与えられた時間の三十一分がなくなりますので、中身に入っていきます。
 中小企業庁に来ていただいていると思いますが、十二月二日から三月三十一日まで、円高不況対策としての緊急融資制度の利用状況をお示しいただきたいわけです。
#192
○土居説明員 御質問がありました中小企業国際経済調整対策等特別貸付制度の三月末までの実績は、政府系三機関合計で、件数で約一千七百二十件、金額で約四百五十億円となってございます。
 この緊急融資につきましては、昨年の十二月二日から来年三月末までの十六カ月を前提といたしまして三千億円の規模で融資を実施しておるわけでございます。ただ、十二月二日から取り急ぎ制度を発足いたしましたけれども、実際に制度が拡充されまして現在の姿になりましたのは、今度の法律が施行になりまして業種が指定されました三月四日以降でございます。そういうことで、制度が拡充をしたばかりというような状況もございますし、それから円高の影響、これは円高の影響を受けた後契約が減少したりするわけでございますが、それがすぐに借り入れに結びつくわけでございませんで、受注残がございますものですから、受注残への影響というものはタイムラグがございます。そういう意味で、円高の影響は非常に厳しいものがあると思いますけれども、それが実際に借り入れに結びついてくるのはこれからではないかというふうに考えております。その辺も含めて御了解いただきたいと思っております。
#193
○藤田(ス)委員 実際に融資制度が活用されるようになったのはむしろ十二月二日というよりか三月に入ってからの方なんだ、こういうふうにおっしゃるわけですので、そういうおっしゃり方に対して私がこんな言い方をするのは少し酷かもしれませんが、千七百三十件でしょう。私はそれが四十七都道府県でどういうふうに活用されて利用されていることになっているのか、そういう利用状況を示していただきたいということもお願いをしたのですが、それがなかなか聞いていただけないので、大変御不満でしょうが、私、割り算をしたわけです。そうしますと、千七百三十件に対してこれを割っていきますと平均一カ月当たりに各県で九件ぐらいしか利用されていないことになるわけですね。こういう状態は、今日の円高不況が非常に深刻であるにもかかわらず、しかも、十二月という時点ではもう既に私の地元でも相当悲鳴が聞こえていたにもかかわらず、十二月二日の発足でやられているこの制度の運用がこんなに少ないということは、やはりそれなりの大きな理由があると思うのです。
 その一つは、やはりみんなが言われますが、金利が非常に高いのです。五・三%でしょう。これは地方自治体が独自にやっている融資制度を見ますと、三・五%のところもあるわけです。だからやはり高いということになるのです。それから実際に中小企業はぎりぎりのところまで来ているわけですから、無担保、無保証にしてほしいという願い、これはもう無理のないことでありまして、つまり今の制度は利用しづらいということがあるわけです。政府としては、もう一ドルが百六十円台を割って百五十円台に入ってきたという新しい局面を迎えて、一層円高不況対策としてのこの融資制度の改善を行っていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#194
○土居説明員 千七百三十件につきましては、これはまた速報ということでございまして確報ではございませんが、ただ月別に見ましても、先ほど御説明いたしましたようにこの制度が拡充になりました三月以降急激にふえておりまして、例えば三月、四月ともに一千件を超える状況でございます。逆に言いますと、十二月、一月段階では円高の影響は非常に厳しく出ておりますけれども、実際の受注残の関係から借り入れ申し込みあるいは借り入れに結びついた件数は非常に少なくなっております。そういう意味で急激に最近ふえてきておるということでございます。
 地方庁の制度につきましても、確かに一部の県では国の制度よりも金利が低いようなものもございますけれども、例えば限度額が国の制度につきましては運転資金は六千万、設備資金については二億五千万ということでございまして、限度額とか期間とかいろんな制度の全体を評価いたします場合には、それは必ずしも地方庁の制度に対して劣るというふうには考えておりません。
 制度の拡充の問題につきましては、いずれにしても四月八日の総合経済対策の一環としまして一連の金利を引き下げたということでございまして、さらにその後の円高の進展状況あるいは円高の中小企業に対する影響というものを検討いたしまして、現在前広に対策の検討を行っているところでございます。
#195
○藤田(ス)委員 余りいろいろ弁解されないでいただきたいのです。三月に入ってから急激にふえたとおっしゃるけれども、逆に言えばそれまでの金利が非常に高かったのでお話にならなかったというようなこともあります。さらに、対象業種が非常に少ないのです。まだまだ少ない、私はそういうふうに思います。私の地元でも円高不況で非常に苦しんでいていまだに業種指定のされないところが数多く残っております。
 その一例を挙げますと、これは大阪府が出しております「大阪経済の動き」の三月号に出ている文章なんですが、その中で自転車と同部分品について書いておりますが、「大阪産地の特徴」というふうに位置づけまして、自転車、同部分品は非常に輸出比率が高い、完成車のみならず部品単体輸出も多く、我が国輸出の七割を占めている。「停滞する輸出成約」ということで、出荷台数は国内向けには多少伸びているけれども、輸出はもう落ちてきている、しかも受注の減少が非常に大きくて二〇%から三〇%になっていて、これではどうにもならないということをこの大阪府の出している「大阪経済の動き」の中でもるる訴えられております。
 大阪府自身が構造的な不況の中でこうなっているんだよということを一生懸命訴えておりますのに、にもかかわらずこれが指定業種に挙げられていない。それだけではなく、玉軸受け・ころ軸受け製造業、これはベアリングですが、それから光学レンズ製造業、ざっとこういうものがみんな指定業種にされないために非常に困っているわけです。業種指定を早急に行うべきではないかというふうに私は考えますが、いかがでしょうか。
#196
○長田説明員 新転換法の業種指定のお話だと思いますが、この新転換法の業種指定は三月四日に行いまして、百二十八業種指定したわけでございます。この指定に当たりましては、一定の基準に基づきまして各種のデータを集めて十分点検した上でやったわけでございます。
 ちなみに、今先生が御指摘になられました幾つかの品目について御説明いたしますと、例えばベアリングの場合ですと、中小企業がやっておるものはラジアル型というものがほとんどでございまして、このラジアル型のベアリングは既に指定されているわけであります。それから光学レンズもカメラ用のレンズが指定外でございますが、これについても、どうも当時データが十分そろわなかった、また、自転車部品につきましても当時影響がはっきりあらわれていなかった、こういうような状況がございまして、それぞれ事情があるわけでございます。この点につきましては、これからも私どもとして調査してみたいと思います。
 なお、指定されておりませんでも個別の企業として同様の事情にあるものにつきましては、都道府県の知事の認定によりまして同様の措置を受けることができますので、そのように対処するという方法があろうかと思います。
#197
○藤田(ス)委員 ぜひ実態をもう一度調査をしていただきたい、そしてぜひ指定業種になるように御検討いただきたい。これは現に影響が十分あらわれていなかった中で百二十八というのが決められたという御答弁ですので、そういうことならばさらに調査をして、適切に、やはり深刻な影響のところは指定業種としてくみ上げていただきたい。そのことを私の方は切に要望しておきたいわけです。時間の関係がありますので、うなずいていらっしゃることを十分了解というふうに受け取って次に進みたいわけです。よろしゅうございますね。
#198
○長田説明員 十分実態を調査してみたいと思います。
#199
○藤田(ス)委員 次は、このような円高不況対策とともに今必要なことは、円高差益還元の徹底ということなんです。その中でも最も徹底した還元を求められているのは、言うまでもなく電力、ガスの料金でございました。一昨日電力九社、ガス大手三社の値下げ申請が行われまして、もうきょうあたり決まるそうですが、還元額は電力九社で九千七百十四億円、ガスが一千百四十五億円で総額一兆八百五十九億円、こういう料金割引申請による還元ということになっているわけです。算定基準は円レート一ドル百七十八円、原油価格は一バレル十九ドルというふうになっています。
 そこでお伺いいたしますが、現在円レートは一ドル百六十円を割るという状態に入っていっていますね。原油の価格の方は四月で十六・六ドルでしたけれども、大蔵省はせんだって、夏にかけてさらに一、二ドルは下落する、こういうふうに見ているわけですから、十四ドルぐらいまで下がるということはもう確実だというふうに思います。そういう実態から考えますと、大変甘い算定であるわけでありまして、実勢に即して計算をしてみれば六千九百二十二億円ぐらいはさらに還元可能だというふうに私は計算をしています。経企庁として、円高差益還元の徹底という立場から還元額の上積みをさらに求めていくお考えがあるや否やお伺いをしたいわけです。
#200
○斎藤(成)政府委員 電力、ガス差益の還元の問題で一番難しいのが今御指摘のありました今後の見通しでございます。夏になったら石油は下がるだろうという御意見を今おっしゃいましたけれども、秋になったら上がるだろうという意見が実は専門家の間にかなりあるのでございます。ですから、そういう意味で長い目で見て判断しないわけにはいかぬ。そうすると、エネ庁の方でいろいろな方の知恵を集めてつくった数字が今のような数字でございます。きょう認可がおりたというところでございますから、私どもはその前提というものについてはもう少し長い目で見ていく必要があるだろうと考えております。
#201
○藤田(ス)委員 きょう認可がおりたことを知っての上で質問をしているのですが、それにしても、その実態を聞いたら円高不況で苦しんでいる中小企業や何かはこれはとても納得ができないというふうになると思うのです。大体料金算定に当たっても、値上げ認可時のレートだとか原油価格を使わずに五十九年度のものを使っている。これによって電力、ガスで二千八十八億円の差益ごまかしがありますよ。さらに、算定基準はさきに指摘したように一ドル百七十八円、一バレル十九ドルという実勢から大きく離れたものを使っておりますので、したがって、これで六千九百二十二億円の差益も還元されないということになるわけです。さらに言えば、六十年度の三千億円もの差益は全くほおかぶりで内部留保に積み増し、六十一年の差益のうちの四千百七十八億円はこれまた内部留保または設備投資というふうに言われ、さらに五十九年度までに円高差益や原油の値下がりで積み増しされている内部留保、あれはどうなるのだと消費者にしてみたら思いたくなるわけです。その分が電力、ガスで七千百六十九億円もあるのです。
 だから、それは本来消費者に素直に返してもらわなければならない分ですから、それをずっと積み上げていきますと何と二兆三千三百五十七億円、つまり今回の還元の一兆八百五十九億円とは本来還元されるべき額の三分の一にしか相当しない、こういうふうになるわけです。そして約二兆三千億円ものお金が相変わらず電力、ガス会社に内部留保されていく。これだけ円高で国民が苦しめられているときにこんなことがあっていいのかというふうに思うわけです。
 長官、本当に内需拡大ということを一生懸命考えていらっしゃるのだったら、まさに内需中心の経済への転換のためにもその差益は徹底して返すべきだというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
#202
○斎藤(成)政府委員 御指摘のように、私どもも差益はできるだけ還元をすべきであるというふうに考えております。ただ、いろいろ前提が難しいときに、その前提の議論で時間を使うことがいいのかどうか。御存じのように、政府としてはできるだけ早い措置がまず好ましいということで、四月八日の総合経済対策に入れて、そして六月一日から実施をするということまで踏み切っているわけでございます。そういう意味で、私どもとしてはまず速やかにやったということについて評価をしていただきたいと思います。
#203
○藤田(ス)委員 私、逆らうのは嫌いなんですが、早い時期、早い時期と言うけれども、悪い影響が出たときにはぱっと値上げして、そしていい影響のときには先の見通しが困難だとか何だとか言っていやにぬくぬくと、早い時期といっても、去年の十月ころから円高の影響というのは急速にびゅうっと出てきているわけですから、早いといえばもっと早くしておいてくれるべきが妥当でして、そういう点では余り早い時期、早い時期で評価できないわけです。
 通産省にお伺いしたいわけですが、前回の委員会で、通産省は私の質問に対して、先の見通しが不透明なので電気事業法の十九条、ガス事業法十七条に基づいて料金の全面改定を行うことはできないということを言っておられたわけです。先行き不透明ということは、これから先どこまで行っても、先行き不透明といえばこれはお互いにどなたさんにとっても不透明になるわけですが、少なくとも私が言っていたあの時点から今日を見ると、明らかに基調としては円高、そして原油の値下がりということはおわかりいただいたと思います。だから、できるだけ十九条、十七条に基づいて早急に全面改定を行うべきです。また、前回の大幅値上げのときに問題になりましたけれども、電灯、電力料金の単価の格差というのがあるのです。これがまた、産業用特別高圧の場合と家庭用の場合と比較をいたしますと、産業用特別高圧の料金一に対して家庭は二・二六倍になっています。この是正もこの全面改定のときには取り組んでいただきたい、このことについて御答弁を願います。時間がありませんからできるだけ簡単に。
#204
○川田説明員 今回の措置につきましては、先ほど経済企画庁の方からも御答弁いただきましたように、六十一年度一年間を対象とした応急的かつ暫定的な措置として進めていくものでございます。
 六十二年度以降どうするのかということでございますが、これは関係審議会における意見でも、今後の為替レートあるいは原油価格等の動向を見きわめながら適切な対応をとることとすべきであるということでございますので、私どもとしてはそういうことで事態を見守ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、今お話がございました電灯需要家と電力需要家に対する料金、これはかなり開きがあるわけでございますが、これは先生御承知のように、電気事業法は原価主義という原則を持っておるわけでございますけれども、それに基づいて電灯の方が電力よりも原価が高くなるというとこうから、一つの事例は供給経路が非常に長くなるわけでございまして、そのために要するいろいろな送変配電の設備などについては全く格差がございますし、そのほか、負荷率、ロス率なども違いがございますので、そういう原価を反映して高くなっておるということでございまして、これはある程度やむを得ないものではないかというふうに思っております。
#205
○藤田(ス)委員 この問題は、また後日もう少しお互いに議論していきたいと思います。
 最後に、電力、ガス料金と並んで円高差益の焦点というのは何といっても石油製品価格なんです。この問題で、委員長にお許しをいただいて二間だけお伺いいたします。
 現在の原油価格は一ドル百六十円、一バレル十六ドル六十セントで計算をしますと一万六千七百六円です。この価格は一九七八年十二月の原油価格の一万六千九百二十五円に匹敵する、あるいはそれ以下ですね、そういう水準になっているわけです。このときの民生用石油製品価格、ガソリンは一リットル百一円、灯油は十八リットル七百二十七円でした。現在ガソリンは一リットル百四十円です。灯油は十八リットル千三百七十七円です。余りにひどいと思われませんか。一九七八年のときの価格よりも現在の価格の方が原油の価格は低くなっているはずなのに、民生用の石油製品価格、ガソリンは百一円に対して百四十円、灯油は七百二十七円に対して千三百七十七円、国民の立場に立った差益還元をやっていると言えるでしょうか。
 一方、石油製品の卸売物価指数を見ますと、六十年九月から六十一年三月まで、つまりこの円高の入ってきた期間ですね、それで六カ月間にわたる指数を見ますと、工業用のナフサは六十年の九月の指数で八〇・〇でした。それが現在六八・八なんです。つまり一一・二価格は安くなっています。同様にC重油は一〇五・四が八七・一になって、これも確かに一八・三安くなっているのです。ところが、ガソリンの方はどうかというと、これは一〇四・一に対して一〇四・六ですから、逆に〇・五上がっているのです。灯油の方は一一二・七に対して一〇五・二ですから、七・五下がっていますが、こういうようなことで、産業用ばかりが値下がりして国民向けの方は原油価格に見合った値下げはしていない。これが政府の言う市場メカニズムなんでしょうか。
 こんな差益還元ではいつまでたっても国民の消費支出はふえない。差益の恩恵をこうむって国民の消費支出がふえるということにはならない。内需は盛り上がりませんよ。長官、民生用の石油製品値下げの問題について一体どういうふうに見ておられるかお伺いをしたいわけです。
 時間がありませんからもう一問続けて言いますが、通産省が四月の三十日に発表しました輸入消費財価格動向調査の中でも、どういうわけか灯油やガソリンは入っていませんね、ここにありますが、調査対象品目はみんな皆さんが言う市場メカニズムによって価格形成をされているものではないでしょうか。その製品価格も、八品目を除けばみんな大体レートに見合った値下げをし始めているわけです。皆さん一生懸命調べられたものです。ところが、灯油やガソリンはどういうわけか動向調査にも入れずに、値下がりが不十分であってもこれに対して他の輸入消費財のように値下げの通達も出されようとしない。私はこれは本当に国民をばかにした話だというふうに思うのです。通産省、石油製品は円高差益還元の中心品目です。実感としてああ円高差益が還元されているなと思うはずのものです、灯油とかガソリンとかいうのは。そういう中心品目なんですから、これを放置して円高差益還元なんというようなことはとても言えない。その点では、私は、他の輸入消費財のように民生用石油製品についても通達を出してしかるべきではないか、このことを要求し、お答えをいただくとともに長官の御答弁も求めていきたいわけです。
#206
○鳥居原説明員 御説明申し上げます。
 先生御指摘のように、ガソリン、灯油等代表的な一般石油製品につきましては、市場メカニズムを通じて広く一般の消費者に還元されるべきものであるし、我々といたしましてはそうされているものと基本的には認識いたしております。
 いろいろ数字の御指摘がございましたが、いわゆる円高問題が議論される直前の五十九年度の下期と今日の時点を比べてみますと、調査はいろいろございますので若干数字が違う面もあるのかもしれませんけれども、手元にある資料によりますと、ガソリンで言いますと、リッター当たり百四十五円が百三十円に下落いたしております。灯油でいきますと、リッター当たり七十六円が六十二円に下落いたしております。もう一つ申し上げますと、例えば五年前あるいは十年前の価格で比較するということの御議論かとも思いますが、その間にはいろいろとコストのアップ等もあろうかと思いますので一概にそこと比較するのは非常に難しい問題ではなかろうかというふうに思います。ちなみに六十年度の石油関連三十四社の上期の決算は一千数百億円の赤字という状況でございまして、こういう状況から見ましても、現時点では相当円高メリットあるいは原油安のメリットというものは消費者に還元されているのではないかというふうに認識いたしております。
 いずれにしましても、これからさらに円高あるいは原油安の効果がコストダウンということであらわれました場合には当然それは末端の価格に反映されるべきものだというふうに考えておりますので、価格の動向につきましては、通産省といたしましても十分注視していきたいと思っております。
#207
○斎藤(成)政府委員 二つお答えいたしたいと思うのでございますが、灯油とガソリンにつきましてWPIの指数が最近例えば灯油で言うと一〇五・二である、あるいはガソリンは一〇四・六である、高いというお話がさっきあったかと思いますが、同じ時期でCPIをとりますと、同じ五十五年を一〇〇として灯油はことしの三月八六・二でございます。それからガソリンは九〇・八でございますから、仮に先ほどの御議論のように五十五年を基準として上がったということを言うとしますと、WPIの数字は上がっているのでございますがCPIの数字はむしろ下がっている、こういうのが統計上の数字でございます。今の数字で十分下がっているとかなんとかいう気は私どもの方はございませんけれども、かなり下がっているということはまず一つ間違いないだろうと思います。
 それからもう一つ、この今の数字というのは、原油の入荷がだんだん製品となって市場へ出回ってきた、そういう段階の数字でございますけれども、御存じのように原油の値段が本格的に下がって入荷し始めたのはことしの四月からでございますから、そういう意味でもこれらの数字はもっと下がることが期待できるのじゃないかというのが私どもの感じでございます。
 それから、総合経済対策の中でいろいろ調査をするのに石油関連、石油製品が入ってないのはけしからぬという御指摘がございましたが、実は総合経済対策のペーパーのもう二、三行上を見ていただきますとそれが書いてあるのでございまして、「石油製品については、市場メカニズムを通じて、円高及び原油価格の低下を価格に反映してきているが、今後においても、為替相場及び原油価格の動向が適正に反映されるよう価格動向について注視する。」というふうに書いてあるわけでございます。注視というのは注目して見るということですね、注視すると書いてあるわけでございます。それでは中身について何もしないのかということになりますと、これはもうよく御存じと思うのですけれども、物価モニター調査というのを毎月発表しているのです。御存じのように灯油については通産省が月々全国の数字は今こうなっているということをやっておりますので、先ほどの輸入消費財の価格動向三十七品目というのは従来特に政府としてにらんでいないけれどもまず見ましょうということで、この総合経済対策では四月末を目途に調査をする、また今後もいずれやろうと思っておりますけれども、時々こうにらむような感じになります。
 繰り返しになりますけれども、石油製品については物価モニターを通して調査をして、通産省から発表しているということをどうぞお忘れなく。
#208
○平泉国務大臣 現在の我が国の国民生活の中で、石油製品が、プロパンガスとかも含めましてガソリンなども生活必需品であるということは御指摘のとおりでございますから、十分その価格動向に注意してまいりたいと思います。
#209
○藤田(ス)委員 時間が参りましたので終わりますが、随分勝手な資料をあれしておられますが、私は公正に石油連盟の資料の数字を使っております。小売の価格は下がっているということをおっしゃりたかったのでしょうけれども、卸売価格は下がっていないということと、産業用の価格の方に値下がりのウエートがかけられて、肝心の国民の消費する石油製品の方は値下がり幅は非常に小さい、あるいは下がっていないということを申し上げておりました。言いたいことはもっとたくさんありますけれども、またの機会がございましたらぜひとももう少し深めて議論をしたいと思います。
 ありがとうございました。
#210
○阿部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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