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1985/05/16 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
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1985/05/16 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号

#1
第104回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号
昭和六十一年五月十六日(金曜日)
    午前十時十五分開議
出席委員
  委員長 三原 朝雄君
   理事 伊藤 公介君 理事 奥野 誠亮君
   理事 吹田  ナ君 理事 渡部 恒三君
   理事 佐藤 観樹君 理事 山花 貞夫君
   理事 伏木 和雄君 理事 岡田 正勝君
      上村千一郎君    大村 襄治君
      片岡 清一君   小宮山重四郎君
      左藤  恵君    住  栄作君
      額賀福志郎君    林  大幹君
      井上 普方君    清水  勇君
      広瀬 秀吉君    堀  昌雄君
      渡辺 三郎君    有島 重武君
      草野  威君    小川  泰君
      野間 友一君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 小沢 一郎君
 出席政府委員
        自治省行政局選
        挙部長     小笠原臣也君
 委員外の出席者
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  吉田 弘正君
        自治省行政局選
        挙部管理課長  岩崎 忠夫君
        自治省行政局選
        挙部政治資金課
        長       中地  洌君
        特別委員会第二
        調査室長    岩田  脩君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月七日
 辞任         補欠選任
  塩崎  潤君     林  大幹君
同月九日
 辞任         補欠選任
  渡辺 三郎君     井上 普方君
同月十六日
 辞任         補欠選任
  堀  昌雄君     渡辺 三郎君
  木内 良明君     草野  威君
  坂井 弘一君     有島 重武君
同日
 辞任         補欠選任
  渡辺 三郎君     堀  昌雄君
  有島 重武君     坂井 弘一君
  草野  威君     木内 良明君
    ―――――――――――――
四月二十三日
 衆議院議員の定数格差是正に関する請願(東中
 光雄君紹介)(第三六一七号)
五月十二日
 衆議院議員の定数格差是正に関する請願(野間
 友一君紹介)(第四八二四号)
 同(松本善明君紹介)(第四八二五号)
同月十五日
 衆議院議員の定数格差是正に関する請願(野間
 友一君紹介)(第五三二八号)
同月十六日
 衆議院議員の定数格差是正に関する請願(梅田
 勝君紹介)(第五六八三号)
 同(浦井洋君紹介)(第五六八四号)
 同(小沢和秋君紹介)(第五六八五号)
 同(岡崎万寿秀君紹介)(第五六八六号)
 同(経塚幸夫君紹介)(第五六八七号)
 同(工藤晃君紹介)(第五六八八号)
 同(佐藤祐弘君紹介)(第五六八九号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第五六九〇号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第五六九一号)
 同(P長亀次郎君紹介)(第五六九二号)
 同(田中美智子君紹介)(第五六九三号)
 同(津川武一君紹介)(第五六九四号)
 同(辻第一君紹介)(第五六九五号)
 同(中川利三郎君紹介)(第五六九六号)
 同(中島武敏君紹介)(第五六九七号)
 同(中林佳子君紹介)(第五六九八号)
 同外一件(野間友一君紹介)(第五六九九号)
 同(林百郎君紹介)(第五七〇〇号)
 同(東中光雄君紹介)(第五七〇一号)
 同(不破哲三君紹介)(第五七〇二号)
 同(藤木洋子君紹介)(第五七〇三号)
 同(藤田スミ君紹介)(第五七〇四号)
 同(正森成二君紹介)(第五七〇五号)
 同(松本善明君紹介)(第五七〇六号)
 同(三浦久君紹介)(第五七〇七号)
 同(簑輪幸代君紹介)(第五七〇八号)
 同(山原健二郎君紹介)(第五七〇九号)
 衆議院愛媛県第一区の境界線変更に関する請願
 (塩崎潤君紹介)(第五九四五号)
 同(関谷勝嗣君紹介)(第五九四六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
五月十二日
 和歌山県における衆議院議員定数の現数維持に
 関する陳情書外一件(和歌山県日高郡川辺町議
 会議長更井与吉外一名)(第二四六号)
 衆議院議員の定数配分の是正に関する陳情書外
 十四件(東京都港区西新橋一の四の一二越山康
 外十四名)(第二四七号)
 衆議院議員定数配分是正に関する陳情書外四件
 (神奈川県藤沢市辻堂六二八九安藤元雄外六
 名)(第二四八号)
同月十六日
 衆議院議員定数是正に関する陳情書外三件(大
 阪府吹田市南吹田三の三の六〇田端和雄外三
 名)(第二七一号)
 衆議院議員定数是正に伴う選挙区境界線変更反
 対に関する陳情書(大分県大分郡挟間町議会議
 長平野雅久外一名)(第二七二号)
 衆議院議員愛媛一区の境界線変更反対に関する
 陳情書外五件(愛媛県伊豫市議会議長菊山泰治
 外五名)(第二七三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公職選挙法改正に関する件
 公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件
     ――――◇―――――
#2
○三原委員長 これより会議を開きます。
 公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。
 公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、さきの議長調停に基づき、委員長において案を取りまとめ、先般来の理事会におきまして協議をいただいたところでありますが、お手元に配付いたしましたとおり、起草案を委員長から御提案いたしたいと存じます。
 まず、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。
 本案は、当面の暫定措置として、議員一人当たりの人口の格差が特に著しい選挙区について、定数の増員、減員及び選挙区の区域の変更により是正を行おうとするもので、その内容は次のとおりであります。
 第一に、定数を増員すべき選挙区についてでありますが、当分の間、北海道第一区、埼玉県第二区及び第四区、千葉県第一区及び第四区、東京都第十一区、神奈川県第三区、大阪府第三区の八選挙区において、議員定数をそれぞれ一人増員することといたしております。
 第二に、定数を減員すべき選挙区についてでありますが、当分の間、秋田県第二区、山形県第二区、新潟県第二区及び第四区、石川県第二区、兵庫県第五区、鹿児島県第三区の七選挙区において、議員定数をそれぞれ一人減員することといたしております。
 第三に、選挙区の区域について、隣接選挙区との境界を変更すべき選挙区についてでありますが、当分の間、和歌山県第一区に属する海草郡は、和歌山県第二区に属するものとし、愛媛県第一区に属する伊予市及び伊予郡は、愛媛県第三区に属するものとし、また、大分県第一区に属する大分郡挾間町は、大分県第二区に属するものといたしております。
 これにより、衆議院議員の総定数は、当分の間、一人増員して五百十二人となり、また、選挙区別議員一。人当たりの人口の最高と最低との格差は、三倍未満となるものであります。
 なお、この法律は、公布の日から起算して三十日に当たる日以後初めて公示される総選挙から施行するものといたしております。
 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
    ―――――――――――――
 公職選挙法の一部を改正する法律案
    〔六号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○三原委員長 この際、発言の申し出がありますので、順次これを許します。渡部恒三君。
#4
○渡部(恒)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、ただいま委員長から発議されました公職選挙法の一部を改正する法律案の起草案について、これに賛成するものであります。
 衆議院議員の定数是正問題は、国民の参政権にかかわる問題であり、議会制民主主義の根幹をなす今国会における最重要課題であります。
 この問題について、我々は、数年来、幅広い角度から真剣な検討を行ってまいりました。特に、昭和五十八年十一月の最高裁判決によって、現行の衆議院議員の定数配分規定が憲法の要求する選挙権の平等に反すると判示されてからは、各種の是正策について精力的に党内論議を積み重ねてきたのであります。
 その結果、昨年五月三十一日には、第百二国会においていわゆる六増・六減案と言われる是正のための法律案を自由民主党案として提案したのであります。
 その後、昨年七月、最高裁において現行の衆議院議員の定数配分規定が憲法に反するとの違憲判決が下されてからは、衆議院議員の定数是正問題は一日もゆるがせにできない最優先課題として、改正案の成立に全力を挙げて取り組んでまいりました。
 昨年秋の第百三回臨時国会においては、我が自由民主党提出の定数是正法案と野党四党提出の定数是正法案とについて白熱した論議が行われたのでありますが、残念ながら両案とも成立するには至らず廃案となったことは御承知のとおりであります。
 その際、衆議院議長は、立法府としての責任を痛感し、各党党首と話し合いの上、来る通常国会において速やかに定数是正の成立を期すとの議長見解を取りまとめ、さらに、これを受けて、衆議院本会議において全会一致で議員定数の是正に関する決議がなされたのであります。
 以来、我々は、これらのいきさつを踏まえ、さらに日本国憲法を守る責任政党としての責務を果たし、ぜひとも早急な定数是正の実現を図るためには、我が党の主張は主張として、各党間で十分論議し、その意見の一致を見ることがまず何よりも重要であるとの観点から、今国会においては専ら各党間での合意点を見出すことに努めてまいりました。
 私は、各党協議の場である定数是正問題協議会の座長に就任して以来、十回にわたる定数是正問題協議会において、各党の合意を得ることに全力を尽くし、その結果、去る四月十四日、各党の大方の意見を集約した座長見解を取りまとめ、与野党の国会対策委員長会談に報告したのであります。
 そして、この座長見解をもとに、その後与野党の国会対策委員長会談、さらには幹事長・書記長会談において各党協議が積み重ねられ、与野党間のぎりぎりの意見調整と議長のお骨折りの結果、ついに去る五月八日、衆議院議長調停が示される運びとなったのであります。
 今日までの定数是正問題のいきさつについて述べてまいりましたのは、ただいま委員長から発議されました定数是正法案の起草案は、決して安易に作成されたものではなく、私が述べました長いいきさつを背景として、数々の困難な問題を乗り越えて到達した議長調停をもとに策定しているものであることを申し上げたかったからであります。
 我々がこの案に賛成するゆえんは、後で申し述べますように、この定数是正法案の起草案が必ずしも最良のものとは思っておりませんが、国権の最高機関たる立法府を構成する衆議院議員の選出基盤が違憲であるという現在の異例、異常な状態を一日も早く解消するという要請を踏まえて、現時点で各党が小異を捨てて歩み寄れるぎりぎりの案はこれ以外にはないと判断したからであります。したがって、我が党としては、我が党や我が党所属の関係議員の利害を考えると、まことに血の涙を流す思いでありますが、憲法を守り、民主主義を守り、国民の信頼にこたえていく責任政党としての立場に立ち、政治は議員のものにあらずして国民のものであるという見地から、あえて委員長発議の起草案に賛同することといたしたのであります。
 以下、起草案の内容について二、三の意見を申し上げます。
 まず第一に、委員長発議の起草案では、現行の衆議院議員の総定数五百十一人を一人増員し、総定数を五百十二人とすることとされております。
 行政改革を推進し、財政再建を目指す我が党としてはまことに忍びがたいのであります。しかしながら、過去二回の定数是正が、いずれも十九人あるいは二十人という大幅な増員のみによって行われたことを顧みれば、この起草案では、八選挙区で八人増員するものの、一方で七選挙区で七人減員し、さらに三選挙区で隣接選挙区と境界変更を行うという困難な問題に取り組んできたことは、まことに画期的なことであります。各党の話し合いの過程では、現行の総定数を守るべく最後の最後まで努力したのでありますが、定数増を避けようとすれば、二人区の解消なり三倍以内の是正が困難になるなどの問題が生じるため、与野党間で苦心惨たん意見の調整に努めた結果まとめられたものであり、憲法の精神を尊重し、一票の格差を是正することを優先するやむを得ない選択であったと理解しておるのであります。
 第二は、周知期間の問題であります。
 今回の公職選挙法の改正は、最高裁によって違憲と判示された現行法の改正であることにかんがみれば、一日も早くこれを施行すべきことが要請されるのであります。このような見地からすれば、本起草案が、「この法律は、公布の日から起算して三十日に当たる日以後初めて公示される総選挙から施行する。」こととされている点については種々意見があるところでありますが、各党間の論議を踏まえ、有権者への周知期間として一定の期間が必要であるとして議長の調停がなされた以上、我々としてもこれに従い、今回の改正案の成立を図ることが責任政党としての責務であると考えた次第であります。
 最後に、今国会においてまず当面の定数是正の実現を図った上で、さらに抜本是正を検討する場合には、議長調停にも示されているように、我々は積極的に総定数の見直し等に取り組んでいく所存であります。
 なお、これに関連して申し上げますと、我が国土の均衡ある発展を図るためには、社会経済的に恵まれない過疎の地域にこそ温かい政治の力をさらに向け、その振興を図っていくことが必要であると考えるのでありますが、そのためには次なる抜本是正の際におきましては、議員の定数配分について何らかの配慮をする必要があるのではないかと思うのであります。これらの問題について、今後、国会において十分論議してまいりたいと思います。
 本起草案を取りまとめられました委員長を初め、今日までの過程で種々御努力をいただきました関係各位に心から敬意を表するとともに、重ねて本起草案への賛意を表明して、自由民主党・新自由国民連合を代表しての私の意見の開陳を終わります。
#5
○三原委員長 佐藤観樹君。
#6
○佐藤(観)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま委員長から趣旨説明がございました公職選挙法の一部を改正する法律案の起草案、いわゆる議長調停に基づく定数是正案につき、意見表明を行います。
 そもそも民主主義が、平等な個人の権利の尊重の上に健全な発展があり得ることから考えて、国民一人一人の参政権が平等に保障されることこそ民主政治が成り立ち得るのであり、議会制度が選挙で選ばれた代議制度をとる以上、議会の構成は国民の意見を限りなく忠実に、正確に反映したものでなければなりません。それゆえに一票の価値は、でき得る限り平等性を要求されることは論をまたないところであります。
 しかし、我が国の一票の価値は、昭和三十九年、五十年の二度にわたる是正後もなお最高五・一一倍にも達し、国民の多くから強い不満が表明され、各地から何度も訴訟を起こされてまいりました。
 我が党は、護憲の政党として、昨年七月の最高裁による違憲判決を待つまでもなく、この議会制民主主義の基盤を危うくしている衆議院議員定数是正問題につき積極的に取り組み、一日も早い違憲状況の解消のために精力的に努力をしてまいりました。総定数五百十一名をふやさず、普通選挙法施行以来、わずかな期間を除いて続いてきた定数三名から五名の中選挙区制を維持し、合区または境界線変更の方法によって二名区をつくらず、格差是正はおおむね二・五倍の是正を行うことを基本方針として具体的な是正案を発表し、実現に努力をしてきたところです。
 昨年五月、自民党が党利党略的に二名区を含む六増・六減案を上程したのに対し、社、公、民、社民連四党は二名区のない六増・六減案を提出、国会で論陣を張ってまいりましたが、残念ながら両案とも成立を見るに至りませんでした。
 昨年十二月、六十年国勢調査速報値が出され、新たな取り組みが求められ、年末には坂田議長の見解が表明され、今国会での成立、総定数をふやさず三倍程度に是正することが改めて確認されました。
 本年二月、議長見解に基づき、定数是正問題協議会いわゆる定数協が設置され、精力的な交渉が持たれましたが、その結論は、二人区の解消に努めること、有権者と立候補者の立場を尊重して一定の周知期間を置くことであり、四月三十日の書記長・幹事長会談において、原則として二人区はつくらないこと、周知期間について、自民党は一カ月を主張し、野党は一致して六カ月を主張し、最低でも三カ月は必要であることを主張したことが確認されました。
 これらの議論と結論の上に、五月八日、八増・七減案なる議長調停が出されたのですが、以上の経過から見ると、この調停案は何度かの合意の枠組みから逸脱していると言わざるを得ません。
 その一つは、総定数が一名ふえたことです。
 地方議会においても定員削減が常識化している中で、一人といえども国会議員をふやすことは国民世論に逆行することであり、ゆえに議長見解にも総定数はふやさないことを明記していたはずであります。この見解から半年足らずで覆ったことは、国権の最高機関の長としての権威を著しく傷つけ、国民の政治不信を増大させたことは極めて遺憾であります。
 第二の問題は、調停案に二名区が、鹿児島三区、新潟四区など四選挙区も出現したことであります。
 最終段階の与野党幹事長・書記長会談で、原則として二名区をつくらず、まで合意してきた中で、減員対象六選挙区の三分の二に当たる四選挙区も残ったことはこの合意に違反するものです。また、二名区を境界線変更によって解消した二選挙区との間にどのような基準があったのか判然とせず、野党が強く主張した合区案は一カ所も採用されずに終わり、いかにもその場しのぎの感をぬぐえません。この結果が、起草案作成の直前まで、大分一区の挾間町問題を初め境界線変更の関係地域から激しい抵抗と批判の上がる事態を招来してまいりました。
 第三番目の問題は、六名区が初めてできたことであります。
 過去三十九年、五十年の定数是正では、六名区は三名区二つに分区してきました。定数三名から五名の中選挙区制度からいって当然のことであります。にもかかわらず、二名区の例外ができるから六名区も例外的に許されるというのでは、幾ら暫定だ、緊急措置だといっても中選挙区制の基本的枠組みが崩されていくことですから、到底納得できません。
 四番目に、周知期間が一カ月となったことも不満であります。
 公選法二十一条では、有権者が住所変更した際、住民基本台帳に記載されてから三カ月以上経過しなければ投票権を有しないことになっています。この考え方を援用すれば、境界線変更により編入される地域の有権者と候補者と新しい関係が生ずる以上、一カ月の周知期間は全体の法体系上なじみにくいと考えます。
 以上申し述べましたように、議長調停案には、その御労苦は多としながらも、その内容において多くの不備と欠陥を持っており、我が党としては賛成し得ないものであります。しかし、国権の最高機関の長としての衆議院議長が、憲法違反の状態を解消するために出された定数是正に関する調停案であり、これに基づいて三原公選法特別委員長が起草案を発議することについてはあえて反対しないこともあわせて表明しておきます。
 最後に、当面の定数是正問題が終了するに当たり、二点つけ加えて申し述べさせていただきます。
 その一つは、何ゆえ定数是正がこれほどまで時間を要したかであります。
 私は、昭和四十八年以来当委員会に籍を置き、何度かの公選法改正に関与してまいりましたが、今改正案がこれほど多年月を要したのは、もちろん各党の利害が真正面からぶつかり合う課題であることや選挙制度の将来にわたる重大問題であったこともありますが、それだけではありません。本定数是正問題に関して中曽根総理は何ら与党の総裁として指導性を発揮しなかったばかりか、衆参ダブル選挙という本来二院制のもとでは行ってはならない政治行動を強く志向したため、定数是正問題が絶えず解散絡みの政局に左右され、一日も早く違憲状態を解消しなければならない本問題の解決を邪魔してきたことであります。みずからの三選という政権延命のために、憲法違反にかかわる重大課題を政争の具に供した中曽根総理は、厳しく糾弾されなければなりません。時の最高ポストにある為政者として歴史に汚点を残したことを、我々も、後世の史家も決して見逃しません。
 第二点、付言すべきことは、先ほども述べましたように、今まさに当委員会を通過しようとする公選法改正案は、多くの問題点を持っており、かつ、きょうから五カ月後には六十年国勢調査の確定値が発表されます。この段階で直ちに定数三名から五名の中選挙区制の枠組みの中で抜本的な改正を行うための検討に入る必要があることは、我が党が一貫して主張してきたところであります。この対応こそ政治が国民に信頼され、活性化する道であると我が党は確信をしております。
 議会制民主主義の発展のために我が党の見解もつけ加え、意見表明を終わります。
#7
○三原委員長 草野威君。
#8
○草野委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいまの委員長提案にかかわる公職選挙法の一部を改正する法律案の起草案につきまして見解を表明するものであります。
 法の前に万人は平等であるという思想は、民主主義の基本であり、同時に、近代国家の支柱であります。御承知のとおり、昨年七月、最高裁大法廷は、現行の衆議院定数配分規定を断定的に違憲と判決し、立法府にその是正を求めました。
 公明党は、従来から選挙権の平等原則の実現は議会制民主主義の根幹であり、民意を正しく国政に反映させるためにも、早急に定数の不均衡是正を図るよう主張してまいりました。すなわち、国民の基本権を守る立場から、その内容は、第一に、定数配分は、本来原則的に一対一であるべきであります。現実の問題として地域の地理的状況や歴史的沿革等の二次的要素を勘案するとしても、あくまでも人口比例が原則であり、かつ憲法学界の多数説となっている一対二以内の是正を行うこと、第二に、選挙区制については、二人区など、死票を多く出し、少数政党を締め出すなど、小選挙区制に道を開くことなく、大正十四年以来長年にわたって定着してきた我が国独自の中選挙区制の原則は絶対に堅持すべきであること、第三には、行政改革を徹底して行わなければならない今日、総定数は現行五百十一以内にとどめるなど原則を定めてまいりました。
 しかし、今国会の終盤を迎え、二人区問題と周知期間などの扱いをめぐって与野党間の合意が得られず、全く行き詰まった事態に立ち至り、衆院議長にその調整をお願いし、議長調停案が示されたわけであります。
 我が党は、六十年国勢調査の速報値の公表以来、前国会末の議長見解をもとに、抜本改正を前提に、現行五百十一の総定数及び中選挙区制を維持しつつ、不本意ではあっても選挙区間の最大格差は三倍以内とし、十増・十減案による是正を強く主張してまいりました。
 今回、各党に示された議長調停案の内容は、暫定かつ緊急避難の是正であるとはいえ、一票の不公平や二人区が残ること、また、総定数の増員、周知期間が短いなどの不満足な点があることは否定できません。しかしながら、定数規定の是正は一刻の猶予も許されず、今国会における解決が至上課題であることを考えると、議長調停を受け入れ、違憲状態を速やかに解消することが、国会の責任を果たし、国民の期待にこたえるものと判断するものであります。ただし、この是正措置も、次の抜本改正が絶対条件であることは申すまでもありません。
 昨年末の議長見解でも「国勢調査の確定値が公表された段階において、」「抜本的改正を計ることとする。」とあり、今回の調停文にも「抜本改正の際には、二人区の解消とともに総定数の見直しを必ず行うものとする。」と明記してあります。したがって、この抜本改正でこれらの矛盾をすべて解決するため、国会決議を行うなど、誠心誠意国会が全力で取り組むことを大前提とするものであります。とりわけ議員定数の人口比による配分及び再配分は、平等を保障した憲法事項であり、現行の選挙区制にいささかの変更も加えることなく、公平に増減是正するのが原則であります。しかし、抜本的改正が党利党略、個利個略等の利害得失が先行して、その是正がスムーズに実現できるかどうかを危惧するものであります。
 したがって、我が党は従来から一貫して、公選法に基本原則を法定するとともに、公正な是正が困難であるがゆえに、民主的な執行機関として、中立的な第三者による議員定数委員会の設置による是正を強く主張するものであります。現に、米、英及び西ドイツ等の諸国において、拘束力を持つ第三者機関の設置によって円滑な是正が行われている事実を指摘せざるを得ません。
 五十年改正以来今日まで十年余、定数の不均衡を放置してきました。それだけに、今回の暫定措置は不十分な点が多いことは否めません。しかし、議長調停のもとに、抜本改正を前提に、与野党が合意して緊急に違憲状態を解消する、その意義は極めて重要であると考えております。したがって、我が党は、本案は成立されるべきであることを強調して、公明党を代表しての見解表明といたします。
#9
○三原委員長 岡田正勝君。
#10
○岡田(正)委員 去る八日提示されました議長調停をもとに、ただいま委員長より提案されました衆議院議員定数の是正に関する起草案に対しまして、私は、民社党・国民連合を代表して、反対の意見を申し上げます。
 私ども民社党は、最高裁判決を待つまでもなく、第一に、総定数五百十一を大きく削減をすること、第二に、格差を二倍以内にすること、第三に、三ないし五名の中選挙区制を堅持すること、第四に、国勢調査ごとに第三者機関による自動的是正が行われること、第五に、確定値公表後は直ちに抜本是正をすること、第六に、今国会中に暫定是正をすることを主張してまいったのでございます。
 ただいま上程されました起草案は、以上の趣旨からいたしまして賛成することができません。
 まず第一の理由は、総定数を一名ふやして五百十二名にするという点であります。
 そもそもこのことは、昨年十二月十九日の議長見解で、現行総定数は変更しないものとするという趣旨を天下に公表したのであります。そのことを議長みずから破るというまさに重大な公約違反であり、国民の政治不信を助長する最大の問題であるからであります。国会は率先をして行政改革の範を垂れよというのが、国民の声ではないでありましょうか。総定数を減らすことを求められている今日、逆にふやすとは、一体、何事でありますか。こんな安易な方法なら、だれがやったってできることであります。暫定是正といえども、断じて許すわけにはまいらぬのであります。
 国は、口を開けば地方の行革を推進と言いますが、全国の三千三百二十五の地方議会は、行革は議会が率先して実行するべきものとして、本年の一月現在で調べてみますると、法定数八万六千六百十四名のところを、実に一万七千百九十名も削減をいたしております。これは率にして約二〇%となります。これほどの行革の範を地方議会は示しております。しかるに、地方の手本となるべき立場にあります国が、国会がまことに恥ずかしい、まことに情けない、定数増とはまことに残念きわまることであります。
 反対の第二は、定数協の座長見解や各党の合意事項に反する問題についてであります。
 その第一は、「確定値で変動する可能性のある微差の選挙区は、是正を見送る。」ことにいたしておりました。順位は第十番目でありました大分県二区の問題が唐突に取り込まれたことであります。地元の陳情団の皆さんの申し入れ書の中に、まさに寝耳に水という言葉が書いてありましたが、私ども委員にとりましても、まさに寝耳に水の唐突な取り込みであります。
 第二に、「関係者等の意見を踏まえ、合分区、境界線変更等により調整し、二人区の解消に努め、」云々としておりましたのに、二人区を大量に四つもつくったり、あるいは六人区までつくっているということであります。
 この二つの問題につきましては特に慎重を期すべきであり、従来から地域に深く関係する特別法をつくるときには、慎重に地元の意見をよく聞かなければならないとされておりました。今回は、その手法を余りにも粗略にしておるのではありませんか。
 また、境界線の変更は、郡、市単位で移動すべきであるのに、一町だけを動かすという、挾間町だけを動かすという変則手法を用いたり、しかも、その町の歴史的、地理的な条件を全く無視をした不自然な手法は、無神経とも言える乱暴きわまる手法と言わなければなりません。かつ、合分区の手法は一切とられておりません。このような各党の合意を踏みにじるような手法は、断じて我が党は許すことはできません。
 反対の第三は、三十日間の周知期間では有権者に対する周知に必要な期間としては全く不十分なことであります。住民の選挙権でさえ、現行法律におきまして三カ月以上居住しなければ選挙権は与えないことになっておるではありませんか。野党の一致した六カ月という要求を余りにも軽視していることは、断じて許すことは相なりません。
 反対の第四は、県単位の逆転現象に全くほおかぶりをしておることであります。
 まず第一に、兵庫県は人口五百二十七万で全国第七番目の大県であり、本来、現行定数二十名が人口割でいけば二十二名にしなければならない、二名増員しなければならない県であるのに、逆に一名削って十九名になるということなどは、何をもって県民にこのことを納得させることができるでありましようか。
 石川県もそのとおりであります。隣に人口が三万人少ないという富山県があります。その富山県よりも定数が一名減って五名になってしまう。何をもって県民が納得できるでありましょうか。もっと地元の意見を反映した実とすべきであります。この点からも、私どもは反対を申し上げる次第であります。
 以上申し上げました反対意見を集約してみますと、第一は、総定数をふやしておることであります。第二は、二人区を大量につくったことであり、六人区までつくったことであります。第三は、合分区の手法を一切使わなかったことであります。第四は、境界線変更の手法が余りにも乱暴であり、粗略であることであります。第五は、周知期間が余りにも短過ぎることであります。第六は、逆転現象の放置、ほおかぶりであります。
 なかんずく、何といっても総定数をふやすなどということは行政改革に逆行し、政治に期待する国民の顔を逆なでをする起草案であることを再度強調いたしまして、私の反対意見を終わります。
#11
○三原委員長 野間友一君。
#12
○野間委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいまの委員長発議による起草案の内容はもとより、委員長発議そのものに怒りを持って強く反対するものであります。
 言うまでもなく、衆議院の定数是正は、議会制民主主義の根幹にかかわる緊急、重要課題であります。我が党は、真の定数是正を速やかに実現するため、昨年十二月二十日の定数是正に関する国会決議の趣旨に基づき、去る一月二十八日、定数是正法案を出しております。
 我が党案の第一の特徴は、憲法で定める選挙権の平等を保障するため、格差は少なくとも一対二未満とし、国勢調査ごとの是正を義務づけていること、国民の意思が正しく議席に反映せず、かつ、小選挙区制への道を開く危険のある二人区制はとらず、三から五人の中選挙区制維持の原則を明らかにしていること。第二は、民意を反映させるために十分な議員数を確保することが民主主義の発揚にとって不可欠との見地から、総定数は現行のままとしているものの、その変更が必要な場合も起こり得るとの立場をとっていることであります。
 是正の具体的方法は、これまでの他党案と同じく、議員一人当たりの人口比に従って定数を順次増減するものであり、格差二倍未満という基本さえ確認されれば、各党間で合意し得るものであります。我が党案こそ国民の願う公正、民主的な是正案であり、審議にふさわしいものであります。
 ところが、自、民両党は、我々の再三にわたる審議要求に耳をかさずに、本会議での趣旨説明を口実に審議をやらせず、国会のルールを無視し続けて今日に至りました。言語道断であります。その一方、我が党を除いて、自社公民は、議長見解と国会決議を受けた国対委員長会談の確認に基づいて各党の合意を得るためとして、正規の機関でない定数協を設け、我が党を排除して非公開、密室協議を重ねました。
 昨年十二月の議長見解についていえば、議長が是正の内容にまで踏み込む越権行為をなし、内容も、格差三倍とか二人区容認という是正の名に値しないものでありました。定数協座長見解もまた、格差三倍、二人区七つを含む十増・十減の自民党案をベースに、二人区を若干減らす努力をしようとするものでしかありませんでした。議長はこれを受けて、再びその権限を越えて内容に立ち至り、法案要綱ともいうべき議長調停を発表したのであり、本委員長発議もこのような背景から生まれたものであります。しかも、委員長提案は委員会での審議権を奪うことになり、断じて許せません。
 考えるに、真に公正、民主的な定数是正のための法案を適正に提案している我が党案を何らの審議もなしに葬り去り、同時に、我が党を除く党派による密室協議から生まれた是正の名に値しないものについても、その実体が明らかになることをおそれてか、その審議をも封殺するということは、言論の府である国会の自殺行為と言わざるを得ません。
 次に、法案の内容についてでありますが、委員長提案とするにほど遠いものと言わねばなりません。
 反対の第一は、本案が格差を三倍まで許容し、主権者である国民の平等権を保障するものになっていない点であります。
 三倍まで認める理由は、最高裁判決が合憲、違憲のメルクマールをそこに置いて判示したとされるが、明確な理論的根拠を欠き、かつ、それを絶対化すべきものではありません。逆に、二月二十六日の東京高裁の都議選についての判決は、「自己が一票しか持っていないのに他人はその倍の二票を持つのと同じ結果になるようなことは我慢できないという素朴な気持」として、格差二倍以上は違憲としたのを初め、同様、二倍以上を違憲とした高裁判決は四件にも上り、三倍以上でよいとするものを上回ってさえいます。格差三倍論は国民の常識、学者の通説に反するばかりか、司法の中でも破綻しつつあり、格差二倍未満こそ天下の道理なのであります。
 反対の第二の理由は、現行三から五人の中選挙区制に新たに四つの二人区を導入していることであります。
 八三年の参議院選での二人区の死票が三六%にもなっていることに示されていますように、二人区はそれ自体、今日の多様化した国民の意思を正しく反映せず、貴重な一票が国政に結びつかなくなり、民主主義の基礎を掘り崩すことになります。二人区の導入は、また将来、五人区を二人区と三人区に、四人区を二人区二つに分割し、現行の中選挙区制を全面的に崩壊させる可能性さえ生み出しかねない危険性を持つものであります。加えて、二人区導入が、一人一区の小選挙区制に道を開き、日本型ファシズムにもつながるおそれを持つことを指摘せざるを得ません。先国会、本委員会において、自民党の代表が、ほんの暫定措置として設けられた一人区の奄美群島区を例として二人区導入を合理化し、抜本是正の際には小選挙区制を含めて検討することを表明した事実は、我々の指摘が単なる杞憂でないことを明白に示すものであります。
 なお、総定数に関して、必要な場合、若干の定数増を否定しないという我が党の主張に対し、当初、自社公民各党は、行政改革に絡めて強く非難したのであります。また議長も、昨年十二月十九日の議長見解に当たっては、同様に、定数はふやすべきではないとしたのであります。ところが、今回の調停では突如として一名の定数増を盛り込み、かつ、ただいま提案されている委員長の起草案もそれを受け入れております。かかる事態は、まさに議長の権威を傷つけるばかりか、党利党略の御都合主義と指摘せざるを得ないのであります。
 また、議長調停では、「抜本是正の際には、二人区の解消とともに総定数の見直しを必ず行う」としています。しかし、昨年末の議長と我が党不破委員長との会談で、議長は、抜本是正とは確定値が出たときに単にその誤差の見直しをするだけと答えており、真の是正についての保障は何もありません。
 以上、委員長発議に反対する理由を述べましたが、最後に、改めて、委員長提案をやめられ、公正、民主的な是正実現のため、直ちに我が党案の審議を行うよう強く求めて、発言を終わります。
#13
○三原委員長 これにて発言は終わりました。
 次に、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。小沢自治大臣。
#14
○小沢国務大臣 本法律案の提出に当たられた議員各位の御努力に深く敬意を表するものであります。
 政府といたしましては、本法律案については特に異議はございません。
#15
○三原委員長 これより採決いたします。
 公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件につきまして、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#16
○三原委員長 起立多数。よって、さよう決しました。
 お諮りいたします。
 本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○三原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 この際、先刻の理事会での合意に基づき、委員長から一言申し上げます。
 衆議院議員の選挙区別定数については、昭和六十年国勢調査の確定人口の公表を待って、速やかに抜本的改正を図るものとし、抜本的改正に際しては、例外二人区、六人区の解消並びに議員総定数及び選挙区画の見直しを行い、あわせて、過疎過密等地域の実情に配慮した定数の配分を期す会ものとする。
 以上であります。
 本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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