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1985/03/07 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 予算委員会第六分科会 第2号
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1985/03/07 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 予算委員会第六分科会 第2号

#1
第104回国会 予算委員会第六分科会 第2号
昭和六十一年三月七日(金曜日)
    午前九時開議
出席分科員
  主 査 上村千一郎君
      田中 龍夫君    長野 祐也君
      渡辺 秀央君    鈴木  強君
      多賀谷真稔君    松浦 利尚君
      山中 末治君    大橋 敏雄君
      柴田  弘君    古川 雅司君
      滝沢 幸助君    中野 寛成君
      吉田 之久君
   兼務 稲葉 誠一君 兼務 上原 康助君
   兼務 小林  進君 兼務 佐藤 敬治君
   兼務 佐藤  誼君 兼務 辻  一彦君
   兼務 村山 富市君 兼務 小川新一郎君
   兼務 玉置 一弥君 兼務 佐藤 祐弘君
   兼務 簑輪 幸代君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  渡辺美智雄君
 出席政府委員
        経済企画庁総合
        計画局長    及川 昭伍君
        通商産業大臣官
        房長      児玉 幸治君
        通商産業大臣官
        房総務審議官  鎌田 吉郎君
        通商産業大臣官
        房審議官    松尾 邦彦君
        通商産業大臣官
        房会計課長   植松  敏君
        通商産業省通商
        政策局長    黒田  真君
        通商産業省産業
        政策局長    福川 伸次君
        通商産業省立地
        公害局長    黒田 明雄君
        通商産業省基礎
        産業局長    岩崎 八男君
        通商産業省機械
        情報産業局長  杉山  弘君
        通商産業省生活
        産業局長    浜岡 平一君
        資源エネルギー
        庁長官     野々内 隆君
        資源エネルギー
        庁次長     小川 邦夫君
        資源エネルギー
        庁石炭部長   高橋 達直君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 山本 幸助君
        特許庁長官   宇賀 道郎君
        中小企業庁長官 木下 博生君
        中小企業庁次長 見学 信敬君
        労働省労働基準
        局長      小粥 義朗君
        労働省職業安定
        局長      白井晋太郎君
 分科員外の出席者
        経済企画庁調整
        局調整課長   吉川  淳君
        大蔵省主計局主
        計官      秋山 昌廣君
        厚生省薬務局経
        済課長     山口 剛彦君
        農林水産省農蚕
        園芸局繭糸課長 副島 映一君
        運輸省地域交通
        局交通計画課長 荒井 正吾君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 井上 文彦君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月七日
 辞任         補欠選任
  多賀谷眞稔君     鈴木  強君
  松浦 利尚君     沢田  広君
  古川 雅司君     森本 晃司君
  吉田 之久君     滝沢 幸助君
同日
 辞任         補欠選任
  沢田  広君     山中 末治君
  鈴木  強君     新村 勝雄君
  森本 晃司君     大橋 敏雄君
  滝沢 幸助君     中野 寛成君
同日
 辞任         補欠選任
  新村 勝雄君     沢田  広君
  山中 末治君     松浦 利尚君
  大橋 敏雄君     山田 英介君
  中野 寛成君     滝沢 幸助君
同日
 辞任         補欠選任
  沢田  広君     多賀谷眞稔君
  山田 英介君     貝沼 次郎君
  滝沢 幸助君     吉田 之久君
同日
 辞任         補欠選任
  貝沼 次郎君     沼川 洋一君
同日
 辞任         補欠選任
  沼川 洋一君     中川 嘉美君
同日
 辞任         補欠選任
  中川 嘉美君     山田 英介君
同日
 辞任         補欠選任
  山田 英介君     柴田  弘君
同日
 辞任         補欠選任
  柴田  弘君     古川 雅司君
同日
 第一分科員稲葉誠一君、上原康助君、村山富市
 君、小川新一郎君、玉置一弥君、第二分科員佐
 藤敬治君、第五分科員小林進君、佐藤誼君、第
 七分科員辻一彦君、佐藤祐弘君及び箕輪幸代君
 が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十一年度一般会計予算
 昭和六十一年度特別会計予算
 昭和六十一年度政府関係機関予算
 (通商産業省所管)
     ――――◇―――――
#2
○上村主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。
 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算及び昭和六十一年度政府関係機関予算中通商産業省所管について、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。多賀谷眞稔君。
#3
○多賀谷分科員 本年の二月六日に産業構造審議会総合部会の企画小委員会において中間の取りまとめが行われました「二十一世紀産業社会の基本構想−国際経済社会の創造的成長と協調に向けて」、こういう労作を読ましていただいたわけです。なかなか意欲的な、積極的な案であるということで、その努力に対して敬意を表する次第でありますが、これを中心に今から質疑を展開していきたい、かように思います。
 そこで、日本経済が今日、深刻化しております貿易摩擦回避のために製品輸出から現地生産へ、こういう転換を図りたいということで、海外直接投資の加速化が今行われておるわけです。そこで、現状においてはどういう状態になっておるのか、ひとつお聞かせ願いたい。
#4
○福川政府委員 御指摘のとおりに、貿易摩擦を解消するために、物を輸出するばかりでなく現地生産、国際分業を進めて、ある程度輸出を抑え輸入をふやすという方向が必要になろうかと思っております。
 海外投資の動向でございますけれども、五十四年度末に累計で三百十八億ドルでございましたのが、五十九年度末では累計で七百十億ドルということで、この五年間に二・三倍に増加をいたしております。従来の海外投資は、低廉な賃金をねらう、あるいは資源の確保を図るということが中心でございましたが、最近では、先進国市場への海外投資もふえてまいりまして、組み立て型の産業も出てくるということでございまして、海外投資は多様化の傾向にあると考えております。
#5
○多賀谷分科員 貿易摩擦の原因はいろいろありますけれども、一つは為替レートが必ずしも適正であるかどうか。殊に御指摘があっておりますように、購買力平価基準で換算をすればこれほどの黒字にはなっていないということも、この取りまとめの中に書いてあるわけであります。そういう中で、今一番我々が関心を寄せ、際立って海外投資が先進国に行われておるのは自動車産業ではないか、こういうように思うわけであります。
 そこで、今行われております自動車産業の海外直接投資について、現状とその計画をお聞かせ願いたい。
#6
○杉山(弘)政府委員 自動車産業の海外投資でございますが、主体といたしましては、米国への投資が中心になっておりまして、米国への進出状況につきましては、日本のメーカーによりますものが社数にしますと五社、現に進出が既に決定をいたしております。それによります現地生産の台数も、現地投資の完成の日時がまちまちでございますが、八〇年代の後半ということで考えますと、全体で百万台を超えるような生産が行われる可能性がございます。そのほか、カナダ及び英国におきましても、それぞれ二社及び一社ずつ進出計画がございます。
 大体以上のようなところです。
#7
○多賀谷分科員 それに対する部品メーカーの対応はどういうようになっているのでしょうかね。日本の場合は、自動車産業の場合だけではありませんけれども、殊に自動車産業の場合は、いわば重層的な部品メーカーあるいは下請、こういう層をなしておるわけですね。そういうサファセンブルといいますか、そういう下請企業あるいは部品メーカーがどういう対応をするのか、これをひとつお聞かせ願いたい。
#8
○杉山(弘)政府委員 部品産業につきましても、完成車メーカーの現地進出に伴いまして、一部では既に現地への進出が行われておりますし、さらに現地進出を検討中という考えも聞いておりますが、ただ、やはりいまだ部品メーカーの完全な現地進出というような状態にはなっておりませんで、米国の場合でございますと、現地で生産をいたします車に対しまして、日本から持ってまいりますパーツが大体半分ぐらい、五〇%程度ということになっていると承知いたしております。
#9
○多賀谷分科員 既に本田等現地生産がやや軌道に乗りつつあるところもあるわけですけれども、一つは労務問題ですね。もう一つの問題は、やはり部品をどう調達をするか。最初現地へ日本の工場が進出する場合は、確かに日本国内からの部品の発注というのは相当あるだろうと思う。ところが漸次、やはり現地国内の部品を使えという要請はかなり熾烈になってくるだろう。そういう場合に一体対応ができるのかできないのかですね。日本のようなシステムの重層下請関係、そういう形は欧米には余りないわけであります。果たしてそういう場合にはどういうような状況をたどるのか。既に教訓があるわけですから、そういう点について、どういう点が困難であるのか、どういう点はスムーズにいっておるのか、これをお聞かせ願いたい。
#10
○杉山(弘)政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、部品メーカーも徐々に現地進出を計画いたしております。ただ、当面はやはり現地での部品調達比率をふやせということが米国側からの要請としてもなされておりまして、現在商務省から我々の方に対しまして、米国製の部品の購入の増大、これは現地での組み立て過程での米国製部品の購入増大、さらには、米国製の部品を購入して日本での組みつけにも使う、さらには補修用部品にも米国製を使ってくれ、こういうような話が出てきておりまして、いわば米国製の自動車部品についてのアクセスの改善というような問題について協議をしたいというような申し出もございます。当面は、先ほども申し上げましたように、完成車の現地進出に対しまして部品産業の進出がおくれておりますので、日本からの輸出及び現地調達比率を拡大ということで対応していくということになりますが、日本の部品産業の方も徐々に進出を計画しておられます。そういうことでこれから各社とも対応していくということになるのではないかと考えております。
#11
○多賀谷分科員 私は、かなり古いのですが、十年ほど前にブラジルに行ったときに、フォルクスワーゲンのバスが随分通っておるわけです。ヨーロッパにおいては大型バスはベンツですけれども、フォルクスワーゲンもバスをつくっておるのかと思いましたけれども、ブラジルにおけるフォルクスワーゲンのバスは極めて評判が悪いんですね。というのは、部品をやはりブラジル国内から調達せよという要請があって、なかなかいい製品ができないのだということを言っておりました。そういう点を考えてみると、非常に優秀な、故障のない日本の自動車が海外へ直接投資して、同じ名前の車であるけれども、日本国内でつくった方が優秀であるという状態にならないか、それによってかえって日本の商品価値を落とすのではないかという危惧はないか、お聞かせ願いたい。
#12
○杉山(弘)政府委員 日本で生産する場合に比べますと、海外に進出いたしますと、現地で調達する部品の品質その他につきましてもいろいろハンディキャップがありますことは、先生御指摘のとおりであります。とは申しながら、そういう現地進出の問題についてどう考えるかということになりますと、やはり完成品を日本からだけ持ち込むということは、種々の状況から許されない状況になっておりますし、現地への資本進出というのは不可避的な流れであろうかと思います。そうした場合、日本の部品メーカーの現地進出、さらには、日本の自動車メーカーの現地部品企業に対する技術指導等々によりましてこれを克服していくこと以外にないのではなかろうか、かように考えております。
#13
○多賀谷分科員 日本企業の直接海外投資によって、日本国内の産業構造、雇用構造はどうなるとお考えであるか、時間も余りございませんから、この報告書について質問してみたいと思うのです。
 その前に、今自動車の輸出規制をされて、二百四十万台程度、昨年並みということです。おたくの資料によりますと、一九八八年には百三十万台ぐらいアメリカでもう既に生産できるという形になっております。そうすると、日本のアメリカへの直接輸出がどれだけ落ち込むのか。この程度ならまだよろしいけれども、将来に向かってどのくらい落ち込むのか、こういう点は自動車に関してはどういう状態になっているのか、見通しを承りたい。
#14
○杉山(弘)政府委員 おっしゃいますように、最終的には現地生産の台数は百三十万台近いものになりますが、来年度の自動車自主規制は二百三十万台でやっております。このほか、小型車につきましては、最近では韓国車の進出がうわさされておりまして、現代のポニーはことしじゅうにも十万台ぐらい売りたいという計画を持っておるようですし、東欧やそれ以外の国で生産された小型車の現地販売台数もふえるということが言われておりますので、米国の小型車市場におきます競争は、これから一層激しくなっていくことが予想されるわけでございます。
 最終的にどうなっていくのかということについては、今から軽々に申し上げることは差し控えたいと思うわけでございますけれども、全体といたしまして環境は、これから年を追って厳しくなっていくということだけは確かであろうと思います。
#15
○多賀谷分科員 この取りまとめによりますと、製造業の海外直接投資が一二%ぐらい伸びる、そうすると雇用人口が五十六万人ぐらい減る、さらに一五%ぐらい伸びるとすると、それに加えて四十一万人減る、そこで九十七万人の雇用減になる、こういうことが述べられておるわけです。これは大変大きな問題を提起しているわけであります。一体どういう産業で雇用が減になると想定されておるのか、これをお聞かせ願いたい。
#16
○福川政府委員 これは全体としてマクロのモデル計算をいたした結果、御指摘のような数字が出てまいるわけでございますが、特にその中でどういう業種で雇用が減少になるかということについては、業種別の分析はこの報告書ではいたしてございません。しかし、先ほども委員からの御指摘がございますように、海外投資が伸びていく業種、最近では高度組み立て型の業種もふえておりまして、自動車、家庭電気製品等々がございますが、そういった業種の雇用の形態が変わる、こういうことになるわけでございます。したがいまして、そういったことについての対応策というのは今のうちから十分念頭に置いて、新しい雇用機会を創出するような産業構造の誘導、転換ということが重要な課題になると考えます。
#17
○多賀谷分科員 新しい機種がどんどんできる産業ですね、これは電機メーカーが一時、テレビが家庭に出回った後に、どういう機種を選ぶかというので大変悩んだわけですね。ですから、電機、殊に家電においては余り前途がないのじゃないかというぐらい言われた中にICというのがだんだん高度に発達してきて、それで今日のような次から次への新しい製品へどんどん伸びることができたわけですが、自動車の場合、これを新しい方面に応用してどんどん伸びていく可能性が非常に少ないのではないか。これが飛行機をつくるとか、機械産業の頂点は飛行機だから飛行機製造に乗り出すということになると、また話は別なのですけれども、そういう情勢にはない。そうすると、海外に伸びただけ市場を失うという形になってくる。そういう場合の雇用構造がどういうようになるのか。
 殊に、自動車の場合を考えますと、かなり城下町を形成しているのですね。今日、失業問題で一番大きい問題は、地域的な失業状態。ビバリッジが、第二次世界大戦後の世界の雇用構造は、一九二〇年から三〇年に向けて起こったような失業は起こらないだろう、しかし地方的には極めて深刻になるということを言っておるわけです。産業構造が変革するとそういう問題が起こるわけですね。日本ではかつて炭鉱、今でもそういう問題が起こっていますが、造船、それから今大変大きな悩みを持っておりますのが鉄鋼ですね。そういう言うならば地域に一つの町を形成した城下町というのが、非常に困っていくということは言い得るわけですね。そういう場合に、これらの労働力を一体どういうふうにして吸収していくのか、こういう点をどう考えておられるのか。
 局長、時間がないそうですから、もう一つ進んで言いたいと思いますが、この報告書の中には、新しい分野としてMEあるいはバイオテクノロジーというので百十七万ぐらい伸びるだろうと極めて楽観的に書いてあるわけですが、一体どうしてそういうように伸びるのか。それから、雇用構造関係で減っていく労働者と伸びていく労働者は質が違うのじゃないか、これが転換できるのかどうか。これは後から労働省にお聞きするのですけれども、そういう点はどういうようにお考えであるのか、お聞かせ願いたい。
#18
○福川政府委員 御指摘のように、産業構造転換というのは大変犠牲を伴い、負担を伴う厳しい問題だと思います。これまでにも御指摘の石炭、繊維、いろいろな問題を経験してまいりました。しかし、日本の柔軟な企業の対応力と優秀な労働力ということでこれに対応いたしてきたわけでございますが、私どもも雇用の問題というのは、今後黒字を減らしていく、また減らしていかなければ日本の国際的な環境というのは厳しくなるわけですから、どうしてもその方向をたどらなければなりませんが、その問題は私どもも非常に重要だと思っております。
 今、新しい分野ということについての御指摘がございましたが、確かに今貿易の黒字に悩んでおりますけれども、世界的に特に日本、アメリカあるいはヨーロッパなどでは、ハイテク革命と申しましょうか、新しい技術革新が非常に進みつつあるわけで、マイクロエレクトロニクス、新素材、バイオテクノロジー等々がございます。また、そういうものが進出してくれば、既存の工業の生産体系も変わってまいりましょうし、商品の特質も変わってくるのではなかろうか、また新しい需要が開ける、こういうことであろうと思いますが、そういった新しい技術がどういう形で製品に結びついていくかということが、これから探求していかなければならない問題であると思います。
 私ども関係の業界団体あるいは審議会等で予測されております二〇〇〇年の需要に基づきます雇用というのは、今御指摘のようにかなりふえるものと見込まれます。もちろん、マイクロエレクトロニクス化が進めば、合理化が進みますからその分で雇用は減少はいたしますが、反面、新しい分野の技術者、あるいはシステムエンジニア、あるいはプログラマー、ソフトウエアの技術者等は需要がふえてまいるわけで、そのようなことになるわけでございます。
 御指摘のように、これは楽観的に過ぎるのではないかという御指摘は、確かに私どももあろうかと思います。これは大変難しい問題でございますが、私どももこの雇用というのは、トータルとしてバランスがとれるにいたしましても、個別の職種あるいは企業ということにとってみると、これはそんなに簡単な問題じゃございません。いわゆるミスマッチと申しましょうか、雇用の質、職種等によってミスマッチが生じることが非常にあるわけでございまして、今自動車の例もお引きになられましたけれども、この構造転換というのは一朝一夕に、あるいは一年、二年でできるわけではなくて、時間をかけて徐々にやっていかなければならない。そういう意味でこういう方向が出ているわけでございまして、この雇用の転換というのは御指摘のとおり、大変重要であろうと思います。
 もう一つこの報告書で指摘しておりますのは、サービス産業をもう少しふやせ、あるいはまた個人消費をふやせ、さらにまた、内需をふやすために社会資本の充実、住宅の建設等指摘しておりますが、そういった需要構造をたんたんと内需型に変えていくということを指摘しておるわけで、そういうことで時間をかけて徐々に変えていかないと、これは御指摘のように非常に重要な問題であると考えているわけで、その意味で、職業訓練とか教育とかいうような問題に私ども大いに力を入れ、また、関係省庁と協力をしていかなければならないと考えております。
#19
○多賀谷分科員 日本経済が、いわば世界的な競争の中でマラソンをやっているわけですけれども、ある程度リードしておるのですね。この幅というのは、本来ならばこの基礎科学というのは、日本は今までは残念ながら余りみずから創造したものでない。ところが、ヨーロッパ、欧米の技術をまねて、日本の勤勉と手先の器用と努力によって日本経済が伸びていったというのとは、今後違うのじゃないか。みずから創造しなければならない。そうすると、リードする幅を維持していくには相当の研究開発が要るわけです。通産大臣、一体この基礎科学に対する研究開発というのはやっていけるかどうか。これはもう十四年しかない二〇〇〇年について書いておるのですが、さらにそれ以上に行くならますますそういう問題が起こるだろう。その研究開発費というのは一体どういうことで捻出し、どういうようにやっていくつもりなのか、これは大臣からお聞かせ願いたい。
#20
○渡辺国務大臣 これは全く仰せのとおりでありまして、なにの中でも言っているように、ハイテクをやるとか新素材について勉強をするとか、マイクロエレクトロニクスの開発をやるとか、そういうようなものを中心にさらに勉強を深めていかなければならぬ。そのために通産省としては、工業技術院等でも民間、大学などと連携をとりながら、もう既にその他幾つもありますが、そういう勉強をスタートした。ですから、これはやはりある程度金をかけても、科学技術庁や大学、それから工業技術院とその他の研究機関がそれぞれ分野を受け持ってやっていかなければ、私は二十一世紀というのは必ずしもバラ色になりません。バラ色にするためには、そこで新しいものを生み出して、付加価値の高い産業、頭脳集約型の産業をこしらえていく以外にない、そう思っております。だからこれには、政府も議会もよく認識をしてもらって、金はやはり重点的につき込んでいくことが大切だ、そう思っております。
#21
○多賀谷分科員 産業構造審議会の方では非常に意欲的な案を答申されようとしておりますけれども、どうも私は実質が伴わないという、要するに雇用問題、人間関係の問題、そういうのが裏打ちが全然なくて、産業構造だけがだっといくんだという感じを受けるのですよ。そこに大きな地域的な、あるいは特殊な産業の問題、それから人間関係の問題、どうも人間を中心に物が考えられていないんじゃないか。ですから、後から申し上げますけれども、ヨーロッパでも、日本から考えればえらいのろいじゃないかと言う。しかし、民主主義を中心とした基盤の上に立って産業構造の転換やいろいろな新政策をやろうとすると、やはり時間がかかるのですよ。日本の場合は言うならば、アメリカ型の経済体制をぱっと、ヨーロッパの基盤のないのに持ってきておる、こういう感じが非常にしておるのですね。
 労働時間でもそうでしょう。労働時間問題一つとっても、そういう労働時間の問題、賃金の問題、あるいはその格差、こういうものをそのままにして競争に走っていくという点について、私は大変な危惧を持っておるわけです。局長、時間がないそうですから、その点で一つお聞かせ願って、あとは労働省に質問したい。
 それから大臣、この答申が四月の終わりにできるそうですが、そうすると、これはサミットに使われるのですか、大体どういうお気持ちでつくられておるのですか。
#22
○福川政府委員 御指摘のように、これは中間的な取りまとめて、国際的な側面についてまず取りまとめていただいたわけでございまして、これから創造性あるいは技術革新の問題と産業構造、あるいは今委員の御指摘のように新しい人間の生活、ライフスタイルと産業構造の問題、これについての検討を進めてまいるつもりでございます。
 御指摘のように、日本の社会というのはかなり経済部分が突出しておるという点の指摘が海外から言われておるわけでございます。人間の営みというのはいろいろ各般にわたっておるわけでございまして、これだけの所得水準が出てまいりますれば、私どももこの社会性あるいは生活のあり方という点について見直さなければならないわけで、その辺についても十分な検討の末、御報告がなされることを期待いたしておるわけでございます。
 なお、この報告は、今申しました二つの点の作業を踏まえまして、四月の末に一応取りまとめをしていただくということにいたしております。私どもとしては、これは二十一世紀をにらんで早くから手を打たなければいかぬということで、こういう御検討を審議会にお願いをいたしたわけでございますが、特にこのサミットを目がけているということではございません。あるいはそういうことでもし仮に御議論いただけることがあれば、お取り上げをいただくということは当然あり得ると思いますが、特にサミットに向けてというよりは、ここで二十一世紀に向けて今からその準備をしていかなければならない。また来年度の予算あるいは税制等においても、そろそろその辺に手をつけていかなければならない。時間のかかるものでございますので、一応そういった作業の中で四月末という時間を設定いたしておるわけでございます。
#23
○多賀谷分科員 大臣、今の答弁でいいですか。
#24
○渡辺国務大臣 そのとおりでございます。
#25
○多賀谷分科員 そこで、私は一番心配しているのは、まず雇用構造にどういう影響を与えるかということです。それは流動化が可能かということです。今福川局長自身もおっしゃいましたけれども、数はそろえておる、数は整合性があるのですけれども、内容的に労働者の質が違うじゃないですか。そう簡単に、自動車産業をやっている人がバイオテクノロジーに行くわけではない。また、それ自身を生かそうとも考えていないかもしれませんけれども、要するに海外直接投資によって引っ込む雇用と新しく伸びる産業の労働者は結びつかぬわけですね。
 そこで、今から大変な産業構造の変化が行われるわけですけれども、それに対して労働省はどういう対応をしようとするのか。第一この答申が出た場合に、労働省はこれに対してどう対応するのか。労働省の意見はこれに入っておるのですか、どうですか。
#26
○白井政府委員 お答えいたします。
 「二十一世紀産業社会の基本構想」の中間取りまとめでございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、これは年平均一二%海外投資が伸びた場合とか、一定の条件を設けて計算されているわけでございまして、先生も評価されましたように、それ自体貴重な提言をなされているわけでございます。
 全体的に見ましたら、御指摘の海外直接投資の促進によりまして雇用機会が減少するという状況、それから、最近の国内におきましては、サービス産業やME関連産業等におきます産業構造が急速に変化しまして、雇用も堅調に増加している、また、サービス経済化、情報化の進展等による技術革新等の背景で、今後とも雇用の増加が期待できるだろうという点について、労働省としましてもそういう方向にあるというふうに思います。
 そういう変化の中で雇用問題をどう取り扱うかということでございますが、やはり産業構造が変化していく中で、それに対応して労働力の需給の円滑化を図っていかなければならないわけでございます。その場合に、先生が先ほどから御指摘になっているようないろいろな問題がございます。
 一つの問題としましては、例えば昨年九月にMEと労働雇用問題につきまして国際的なシンポジウムを日本で開かせていただいたわけでございますが、そのときにも、いろいろ学者先生とか労使それぞれ各国から集まられたわけですけれども、ME化の推進によって生産性を上げるというだけではなくて、社会全体の構造を変化させていくような革新が行われるものである、したがって、それに伴います関連のいろいろな産業、そして雇用の場も拡大していくということでございますが、そのときにいろいろ提案された問題の中で、一つは、企業内におきます事業転換その他の場合に労働力の配置転換を行っていく、それからそういう転換を行う場合にも、いわゆる単能工として育てていくのではなくて、新たなME関係の技術その他を身につけた、いわゆる多能工化された、いわゆるブルーカラーだけではございませんが、そういう多能化された労働者が育成されていかなければならない、それに伴いまして、職業訓練その他の訓練の強化が図られなければならないということが提案されております。そしてまた、労働市場自体では非常に高齢化されたり女性がふえてきたりするわけでございますが、その間の需給のミスマッチをなくしていかなければならないというようなことが言われているわけでございまして、それらに対応した労働力政策をとっていかなければならないと考えているわけでございます。
#27
○多賀谷分科員 口では簡単なんですが、人間ですからね、私はそれを一番心配しているんです。一体今後の雇用構造はどうなるだろうか、それに果たして労働省は対応し切れるだろうかということですね。産業の方はだあっと行きますけれども、それにとても対応し切らぬ、こういうことです。
 そこで最近、経済企画庁から委託された社会開発研究所が出した「二〇〇〇年に向けて激動する労働市場――新たな二重構造を出発点として」という報告書を読みまして、ちょっと愕然とした。というのは、これによると、日本の雇用慣行というものが二〇〇〇年にがらっと変わっていくんですね。私が一番ショッキングだったのは、正規雇用者の割合が減るのです。要するに非正規雇用者の割合は、今日では大体六人のうち一人が非正規外部労働者なんです。それが二〇〇〇年になりますと、二〇〇〇年といっても十四年しかないんですからね、三人のうち一人が非正規職員。労働界には大変な影響があるわけです、労働者個人に。そして、正規職員が伸びるのは研究開発部門だけです。あと、工場・オフィス部門も販売・サービス部門も皆正規職員は減りまして、非正規職員が増大をしていくわけです。こういう構造になっている。今までそういう下地があったところに先鞭をつけたのは派遣労働者かもしれませんが、そういう状態になっていくわけです。そうすると、労働者の不安というものは大変なものだ。
 私は常に言っておるのですけれども、いつか予算委員会で桜田日経連会長が見えたときに、終身雇用終身雇用と日本では言っているけれども、何が終身雇用ですか、五十五歳で首を切って、人生で一番大事なときに首を切る、まだ子供が学校に行っている人が四三%もおる、それがなぜ終身雇用ですかと言ったことがあるのです。桜田さんは、いや、あれは新聞社がつけた名前で、決して終身雇用ではありませんとおっしゃったが、日本の終身雇用の特徴は、中途採用された人は、言葉が悪いですが、その会社においてはうだつが上がらない、学校を出て最初に入った会社にずっと勤務しておる人はまさに恩恵にあずかるのですけれども、中途採用というものは今日の日本ではなかなか評価してくれない、こういう中で労働力の移動ができますか、こういうのです。これについてはどういうふうにお考えですか。
#28
○白井政府委員 お答えいたします。
 一番最初に先生おっしゃった問題でございますが、先生の表現をかりれば、何か砂漠の中に新しい工場ができて、ぱっとそこに新しい労働力を持っていかなければいけないというような感じを受けるのですが、ME化その他の状況の中では、いろんな調査がございますけれども、企業の中で特に転換していく場合には、もちろん訓練その他をやっております。それも正規の訓練、オン・ザ・ジョブの訓練いろいろございまして、ほとんど企業内のいろんな教育訓練、配置転換によって解決されている場合が多いわけでございまして、確かに新しく長野地区その他で電機関係の産業が進んできた場合に、そこへ技術者または技能者の供給が足らないという点はございますが、そういう者を採用していかなければならないということが……(多賀谷分科員「いや、中途採用です」と呼ぶ)まず、最初の御質問にお答え申し上げておるわけであります。したがって、それはそういう転換の中で十分やっていけると思いますし、やっていかなければならないと思います。
 それから中途採用の問題は、これは確かにおっしゃるとおりで、日本の雇用構造がそういうふうになっているわけでございまして、今、先生おっしゃいました生涯雇用の問題につきましても、これが今後どういうふうに展開していくかということはいろいろ議論のあるところでございます。しかし、その中途採用の人がうまく流動していくかどうかというお話でございますけれども、専門的な技術を持っている人、それから、そういうことを短期的または何といいますか、季節的に要求するという需要側、そういうものの需給のそれぞれのニーズの中で、今のような派遣の形態とかパートの形態とか、こういうものが出てきているわけでございまして、いわゆる基幹労働力としての中途採用には先生のおっしゃるような問題がございますが、そういう労働力の流動化という面では、現実には需給の関係で十分流動化が進んできておりますし、それをまたとらえて労働者の保護を図っていこうとするのが、先ほどの派遣業法の成立の問題であるというふうに思います。
#29
○多賀谷分科員 僕はその労働省の態度が積極性がないと思うのですよ。なるべく糊塗して、糊塗してうまくいきますよというのですね。そこには人間のものすごい悩みがあるのですよ。それは、職を見つけなければならぬからどこかへ行きますよ。しかし、一生不満である、こういう労働者をどんどんどんどん増殖していっておるのですよ。今販売・サービスという話がありましたが、今は昔と違って証券会社、証券会社はいいけれども、いや、ノルマがあるからな。最近銀行でも、いや、あれは預金のノルマがあるそうだ。昔とは違うんだ。こういう観念がだんだん横溢していますよ。第三次産業というと非常にきれいなように見えるけれども、日本は製造部門をだんだん減らして合理化して販売部門へ持っていっておるわけです。そうすると、ものすごくいら立ちと職場における不満とがずっと出てきておる、新しく。ですから、そういうのが今東大等の精神科に治療に行っておるのですね。ソフトのいわゆるプログラムをつくる班長とか、そういう新しい部門で起こっている。ですから私は、そういう点がやはり考えなきゃならぬ問題じゃないか。
 そこで、僕は最近のアメリカの傾向を見ておりましたら、アメリカは日本よりもそういう意味においては先駆していますから、低賃金でもいいから割合に競争のない職場を選ぶようになっている。これは特徴として書いてありますね、「給料の低い仕事に転職する心理」。これはゼネラル・モーターズですけれども、そこで五十人の清掃等の用務員を募集した。そうしたら、十名か二十名ぐらい来るだろうと思ったら、二千人来たというのです。同じ工場の中でですよ。こういう現象が日本に起こりつつあるんじゃないか。そうして、今販売とかサービスというけれども、この従業員は全く疲れ果てて帰っていく。こういう現象をとらえないと、やはりあなたの言うように楽観主義ではいかないのですよ。これはやはり中途採用の問題であって、何とか生活ができないから転職しますよ。しかし、その人は一生必ずしも幸福でない、こういう問題が今起こっておる。そういう問題をとらえて、どういうように人間を中心とした経済構造をつくっていくかというのが、今からの課題ですね。
 ですから私は、労働省はもう少し積極的に出て問題を掘り起こしながらやらないと、ただ産業構造の変革に伴って、通産省の考え方はこれでよしとしても、それには労働省としてはどういう考え方があるのだということを見ないと、これだけ激しく激動する中で人間の方がくたびれてしまう、こういうように思うのです。
 そこで、経済企画庁はどういうように考えておりますか、この案そのものについては、局長。
#30
○及川政府委員 今回の産構審の中間取りまとめは、国際性を中心として中間的に取りまとめられたものでありまして、さらに創造性、文化性ということを取り入れて四月末までにまとめられると聞いておりますので、全体の評価はそのときに申し上げたいと思いますが、現在の段階でおおむね妥当なものではないかなというふうに考えております。
 と申しますのは、私どもも二〇〇〇年向かつて我が国経済や国際関係がどうなるか、産業構造がどうなるか、あるいは地域環境がどうなるか等々について、三年ほど前、「二〇〇〇年の日本」というレポートを経済審議会で長期展望として取りまとめましたけれども、そのときの長期展望の方向とほぼ軌を一にしているというふうに考えておりまして、おおむね妥当な御提案ではないかと考えております。
#31
○多賀谷分科員 労働時間の短縮問題にしても、これに提起されておりますけれども、なかなか思うようにいかないですね。それは、零細中小企業はそれではやっていけないだろうという、やっぱり日本の産業構造が足を引っ張っておるわけですよ。なかなか思うようにいかない。首を振っておられますが、そうですよ。それで異議がありましたら教えてください。中小零細企業の方が労働時間は短いですか。
#32
○白井政府委員 それは先生が先に述べられたことについてであります。
#33
○多賀谷分科員 そこで、私は一つ提案をしておきたいと思うのです。
 大臣、日本の公共事業をやる場合に、例えば端的な例は東京湾の横断道路の建設、これについて、金やなにかの問題は出るけれども、人の問題が出ない。これは日本の特徴ですよ。大体どこの国も、雇用状態が悪いというと、じゃあ公共事業で救おう。どこでも、それは四十万人どうしても救わなければならぬから四十万人の公共事業だ。日本は一回も計算したこともないのですよ。セメントが幾らとか、鉄は幾らだとか、すぐ計算しますよ。しかし、人間が幾らふえるのだろうなんという計算はしたことがないのです。これは、日本というのが人間というものを考えない。物が足らなかったということもあるでしょうけれども、それが今日までずっと続いておるのです。どこだって人間を中心に考えるのですよ。その点が全然行われていないんじゃないかなと思うのです。
 そこで、今日、政府の官公需は莫大なものがありますね。ですから、どこの国も公契約というものがあるのです。国が発注する場合あるいは自治体が発注する場合、それを製造するあるいは受注する企業、これについては労働時間は四十時間であると、アメリカの公契約は明示しておるのです。イギリスは、賃金はその地域における同種の産業を下回ってはならないとか、ちゃんとそういう規定があるんですよ。これはILOにもあるんですよ。ILOにも、公契約における労働条項に関する条約というのがある。こういうようにどこの国も、要するに公契約を中心にして労働条件を改善していくのです。要するにそういう役目を持っておるのですね。日本ではそういう点が全く欠如しておる。これだけGNPが大きくなって所得が大きくなったら、それをもう考えなければならぬ時期が来ておる。
 労働時間の短縮を政府がやろうとするならば、まず政府発注の事業で、こういう条項をぜひ実行せよ、その履行ができないものは入札に入れない、このくらいやらなければ、労働時間の短縮なんてできませんよ。ですから私は、先憂後楽ということがあるけれども、公務員とか銀行が労働時間の短縮や週休二日制を早くするのは賛成なんです。それは全体的な労働条件の引き上げに役立つからなんですね。これだけ政府投資が大きくなったら、これで雇用問題とか労働問題を改善する方向に行くべきですよ。大臣は大蔵大臣であったけれども、日本では何でも安ければいい。もっともダムなんかには最低限度というのはありますけれども、普通の場合、公入札をして安ければいいという式でしょう。これは従来の財政のあり方をもう一回検討する時期が来ておる。そうしなければ解決しませんよ、どれだけ国内に政府受注があるのですから。そういう面においては、先駆的な、指導的な役割をすべき時期が来ておるのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。
#34
○渡辺国務大臣 政府で一番発注が多いのは、建設省関係あるいは防衛庁だと私は思っています。確かに今聞いてみると、下請に出すときに、時間は何時間しか働かせてはいかぬとかそういうことは言っておりません。しかし、それを決めてやって実際それが守られるかどうか。下請に出した人たちが下請をたたいて、結局自分たちだけが取ってしまうというような問題が起きないかどうか。委員の提案でありますから、私の方の所管というよりもむしろ、労働省それから建設省あたりが中心になって考えてもらうことだと思いますが、別な面でのデメリットというのはどんなものがあるのかということも含めまして、一遍検討してみます。
#35
○多賀谷分科員 それは、下請を含んでこれに従事する労働者の時間はどうである、賃金はどうであるとかということが論議されなければならない。そうして、公契約においてそういうことを決めた後に、よその国は一般の産業に強制力を持たすのですよ。まず試験的にやってみるのです。単価を決めればいいのですから、それを単価に見てやればいいのですから。これだけ豊かな日本になったら、そういうようにやるべきではないか、こう考えるわけです。大臣は次の次のニューリーダーと言われていますけれども――次か、これは間違い。宮崎勇さんが「人間の顔をした経済政策」という本を出されていますが、そういう物の発想をすべき時期が来ているのではないか、こういうように思います。
 最後に、従来私が関係しておりました非鉄金属の問題について、ちょっと質問しておきたいと思います。
 昭和三十年代、貿易自由化を前にして非鉄金属は大変な打撃を受けるだろうというので、商工委員会に小委員会を設けまして、当時委員長は中村幸八さんでしたけれども、本会議でその決議をいたしました。そうして、外国から入ってくる地金、海外鉱石からトン当たり幾らと取りまして、それを基金に国内の鉱山、それも製錬と製錬しない鉱山に分けて還元したという政策をとった歴史があるわけです。
 というのは、この商品は非常に波動性があるということですね。それから国際相場であるということです。ですから、一般の商品とは非常に違う性格を持っておる。今日は業界の方では円高ということを言われておりますが、円高だけでなくて、非常に波動性の大きい産業である。そうであるならば、ひとつ安定帯というものをつくる必要があるのではないかということで、たしか五十三年ぐらいに備蓄についての融資等の政策ができたわけです。ただ、私どもが残念に思いますのは、この産業は、私どもがいよいよ政策をやろうかというときにはもう景気がよくなってわるのですね。それから今度、あっと気がついたら非常に景気が悪くなっている。今銅が三十万円しておるというけれども、三十万円というのはたしか、貿易自由化を前にして本会議決議をするときと同じですよ。
 当時は、国内鉱石が十万トン、海外鉱石が十万トンという時代でした。今日は全部の需要がたしか百三十万トンぐらいですか、そういう時期が来ておるわけです。ですから、非常に違うのですけれども、国内鉱石を保護する面からいうと、政策的には割合容易ですね。供給に非常に弾力性がない、懐妊期間が長いという産業であるという点で、安定帯というような思想を取り入れたらどうか。何か特別措置をする必要があると思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
#36
○小川政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、非常に価格の乱高下が激しい中での鉱業、製錬業の持続ということがこの業界の課題でございまして、先ほど仰せのありました安定帯的なものの考え方ですが、実は五十三年度に国会の強力な御支援のもとに設置されました金属鉱業経営安定化融資制度、これがいわば、市況があるラインを下回った場合には緊急融資を発動する、しかし、非常に高騰したときには逆に拠出金を出すという安定帯的な考え方のもとにできております。金属鉱業経営安定化融資制度はそういう意味で、エマージェンシーに対応できる制度でございますが、いよいよこの時期、円高に加えて国際市況の暴落というダブルパンチになってまいりましたものですから、異例の措置ではございましたけれども、六十一年度予算では、夏の概算要求に出していない追加要求を利子補給財源として出させていただきました。そして、三億四千六百万という利子補給財源をつけていただいて、六十一年度の緊急融資枠百二十五億円を用意することで、この苦境に対応しようとしておるところでございます。
#37
○多賀谷分科員 それで乗り切れるのですか。
#38
○小川政府委員 この緊急融資制度に加えまして、三段階の探鉱融資制度、あるいは減耗控除制度という非鉄鉱山独特の支援体制について何とか六十一年度対策で盛り込みまして、こういった諸対策でとりあえずはスタートさせていただきたい。もちろん、事態の推移には極めて厳しいものがあることは私どもも十分認識しておりますので、まずはこの施策は滑り出しますが、一方で、これで十分であるかどうかということは、引き続き注意深く見守りまして、適時適切な対応をとるという考えで臨みたいと考えております。
#39
○多賀谷分科員 役所はどこもなかなか楽観的ですね。先般、商工委員会で参考人が来ておりましたけれども、そういうような状態ではなく、極めて深刻である。
 そこで、新聞にもいろいろ書かれておりますが、電気料金の還元について、今の時点で大臣、どういうふうにお考えですか。
#40
○渡辺国務大臣 新聞は先走って、私の知らないことを随分書いてあります。今は皆さんからいろんな意見を伺って、勉強している最中です。特に円レートの行方、それから石油がどこまで下がるのか下がらないのか、スポットだけを中心に物を考えるわけにいきませんから。あしたの朝も、アメリカのエネルギー長官が私のところに参りますが、いろんな人に会って、話を聞いて、そこらを想定ができませんと、全体のボリュームは円高の問題だけで、あと石油の問題抜きになっちゃいますので、やっぱりそれじゃあちょっと物足らない。石油の値下がりも見込んだもので何かできないかというようなことで勉強中であります。したがって、まだ具体的にこれでやるという案はありません。
#41
○多賀谷分科員 いつごろまでに決めるんですか。
#42
○渡辺国務大臣 これも五月中には具体的にきちっとしたいというのを一応のめどにしておりますが、手続がありますから、方針はもっと早くなるでしょう。方針を立てて、審議会とか何かいろんなものがありますが、差益問題懇談会、電気事業の関係とか、そういう手続がありますから、こんなものでどうでしょうかというのを、五月初めかもう少し先になるか、作業を見ないとわかりませんが、いずれにしても、ある程度幅、余裕を持たしてこちらの案を一応つくってみたい、そう思っております。
#43
○多賀谷分科員 新聞のは、自民党と政府内で取りまとめたというのは、違うんですか。
#44
○渡辺国務大臣 それは新聞社に聞いてみなければわかりません。私はともかく知りません。
#45
○多賀谷分科員 結構です。
#46
○上村主査 これにて多賀谷眞稔君の質疑は終了いたしました。
 次に、大橋敏雄君。
#47
○大橋分科員 私は、できるだけ大臣に御答弁をいただきたいという希望をまず申し上げて、質問に入りたいと思います。
 御承知のとおりに、北九州地域は世界一を誇る鉄鋼メーカー、新日鉄八幡製鉄所を抱えておりまして、鉄の都、城下町でございます。その北九州地域が、いわゆる鉄冷えの影響を受けまして、経済的化著しい地盤沈下を来しているわけでございますが、さらにこれに追い打ちをかけるような、また加速させるような事態が実は発生しているのでございます。後で細かく申し上げますけれども、製鉄所の従業員が大量流出していくという問題でございますが、もう通産省も恐らく状況は把握なさっているものと思います。そこで、お願いを申し上げたいことは、この工業生産都市北九州を通産省、なかんずくこれを統括なさる通産大臣の特段のお知恵とお力で何としても活性化さしていただきたい、このような思いから、若干御質問したいと思います。
    〔主査退席、長野主査代理着席〕
 そこで、具体的な質問に入る前に、まず北九州地域あるいは九州地方がいかに不況が続いているかという現状の正しい認識と理解をいただく必要があろうかと思いますので、私がただ苦しいんだ、苦しいんだと言っても信用されないと思いましたので、経済企画庁が調べております「産業動向」、「地域経済動向」の一部を引用してみたいと思います。
 まず、六十一年一月二十一日ですから、ついこの前ですが、「産業動向」という資料を発表いたしております。その内容を見ると、鉄鋼関係は、「鉄鋼の輸出は米国向けを中心に引き続き減少しており、内需もこのところ減少している。また、在庫が依然高水準であることもあり、鉄鋼の生産は減少している。十一月の粗鋼生産は八百五十万トン(三・七%減)と五カ月連続の減少となった。」割愛しますけれども、「国内向け在庫は五百四十九万トン、在庫率一〇九%と依然高水準にある。」また「受注動向をみると、主力の建設向けは、土木向けが低調であり」あるいは「製造業向けは、自動車向けを除いて減少しており、とくに、電気機械、船舶向けは大幅に減少している。十一月の鉄鋼輸出(全鉄鋼ベース)は二百五十三万トン(〇・三%減)と五カ月連続の減少となった」、こういう鉄鋼関係の厳しい状況がありありと報告されております。
 それから、すぐ後の六十一年二月二十日に同じく経企庁が「地域経済動向」というのを発表いたしております。これは九州全体の問題を見ているわけですけれども、九州は景気は非常に足踏み状態であって、大型小売店販売額もあるいは百貨店販売額もどうだこうだ、あるいは乗用車新規登録、届け出台数もいずれも微増だとか、あるいは新設住宅着工戸数も非常に低調だとか、細かく記録してあるわけでございます。その中にもやはり鉄鋼の生産は減少傾向にあるということが明確にうたわれておりますし、雇用情勢を見ると、有効求人倍率は横ばいで推移しており、十二月も、去年の十二月ですが、〇・三三倍となった。全国平均は〇・六八くらいだと思いますので、非常に悪い状況を示しているわけでございます。
 以上申し上げましたように、経企庁の調査結果が証明いたしますように、九州経済は不況続きであります。特に新日鉄の企業城下町である北九州地域におきましてはまさに鉄冷え、最悪の状態に陥っていると言っても過言ではないと思うのでありますけれども、こういう状況下にあることについての御理解はいただけたでしょうかどうか。まずこの点を初めにお伺いしておきます。
#48
○渡辺国務大臣 承知をいたしております。
#49
○大橋分科員 そこで、八幡製鉄所を初め全国三カ所に分散している技術研究所を、今度新日鉄の企業内事業所の統合ということで、千葉県の富津市に総合研究所を設置し、そこに全部統合するというのです。そういうことから、八幡の方からも頭脳集団の大量流出を意味する内容が発表されまして、地域住民の動揺は大変なものでございますが、こういう点も通産省としては情報を入手されているかどうか、お伺いします。
#50
○岩崎政府委員 私どもが新日鉄から聴取したところによりますと、今先生御指摘のとおり、現在三つあります技術研究所、それから二つあります設備技術本部、この五つを千葉県の君津地区に将来統合していきたい、そのことによって、今御指摘の鉄鋼の現在の厳しい状況を、研究開発の強化によって何とか将来展望を開いていきたい、こういう計画があるということは承知しております。今、北九州地区の一つの研究所、それから一つの設備技術本部、この二つ合わせまして現在北九州地区には千三百人、その関係の職員がおるというふうに承知しております。ただ、この新日鉄の現在の計画は、六十五年度までに逐次そのような統合を実現していきたいということのようでございますので、現状において、この千三百人、これをどういうふうにするのか、例えば千葉へ持っていくのが何人になるのか、そういう具体的な計画はなお固まっていない、このように承知いたしております。
#51
○大橋分科員 大臣お聞き及びのとおり、八幡の方から第三技研あるいは設備技術本部合わせまして千三百人ほどのいわゆる技術者、頭脳集団と我々言っているわけでございますが、これが流出することが、五カ年計画のようではございますけれども、はっきりしているわけです。大体、従業員一人動きますと、関連企業の従業員あるいは家族含めると十倍の人間が移動するのが過去の例でございます。大変なことでございまして、関連中小企業も大体千社あるのでございますけれども、そのうち一番打撃を受けるといいますか、本当に死活問題だと思われるのが実は五十社あるわけですね。そういうことを考えてまいりますと、この問題は本当に深刻な内容を秘めているわけでございますが、実は昭和四十年代にも八幡から千葉の君津の方の工場に約一万人が移動していったのですね。今回もまたこの五カ年計画で五千人行く計画なんですよ。結局残りが九千人、九千人体制になるということでございまして、我々八幡の地域にいる住民の立場からいえば踏んだりけったりにも似た北九州地域となるわけでございまして、こういう地盤沈下は雇用失業情勢にも実は著しくあらわれていると思うのでございまして、これは労働省の方からちょっと雇用失業情勢を述べていただけますか。
#52
○井上説明員 北九州市の雇用の状況でございますが、公共職業安定所におきます求人求職の状況を見ますと、北九州市につきましては六十一年一月で〇・二四倍という状況でございます。ちなみに全国の数字でございますが、〇・六〇倍ということでございまして、全国平均を〇・三六ポイント下回っておるという状況でございます。
#53
○大橋分科員 大臣、今お聞きになったとおりでございまして、北九州地域の経済は本当に落ち込み、そうした求人倍率から見てもわかりますように、非常に厳しい状況にあるわけでございます。通産省としても、昭和四十年代に一万人移動していったあの大きな変化が起こったときに何らかの指導援助の手を差し伸べていただいたものかどうか、これは前の話になりますけれども、いかがなものですか。
#54
○黒田(明)政府委員 地域振興の観点から申し上げますと、当時私ども通産省におきまして講じておりました地域振興対策と申しますのは、産炭地振興対策、農村地域工業導入促進対策、それに工業再配置促進対策等でございます。四十年代におきましては、確かに既にそのころから北九州市の伸び率、例えば一人当たり工業出荷額で見ますと、伸び率はそれ自体伸びているのでございますけれども、全国の伸び率に対比いたしますと相対的にはその伸び率が余り高いものではないというような状況下にあったというふうに考えておりますが、何分当時北九州市は百万人都市でございますし、第一次の政令指定都市でもございまして、こういった施策には当てはまらないということで、例えば工業再配置施策におきましても白地地域の扱いになっていたわけでございます。ただ、産炭地域であるという特性にかんがみまして、産炭地域の振興対策としては、産炭地域振興法に言いますいわゆる十条地域として相当な振興策が講じられたわけでございまして、この点についてさらに御質問がございましたら、内容的な御説明を申し上げたいと思います。
#55
○大橋分科員 後で産炭地域問題もお尋ねしたいと思っているわけでございますが、先般、通産省といたしましては円高デフレ対策の一環としまして特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法というものを提案され、それはもう既に制定をされたということでございますが、今回のこのとられた法律、北九州地域の今の現状に照らして、これが有効に作用するものなのかどうか、この点についていかがでございましょうか。
#56
○木下(博)政府委員 先月通過いたしまして二十五日に施行されております特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法におきましては、特定中小企業者というものを定めることになっておりまして、原則としては業種でそれを定めるということになっておりますが、その法律の三番目の基準といたしまして、業種の指定じゃないものでありましても、似たような経済的な事情の変化によって影響を受けている中小企業者を都道府県知事が個別に認定することができるということになっておるわけでございます。それで、政令でその要件を決めることになっておるわけでございますが、施行令の二条の二項の六号に下請のことが書いてございまして、下請中小企業者の場合、その親事業者からの受注が全般として大幅に減ったというような事情が起こったときには、そういう下請中小企業者を個別に都道府県知事が認定することができるということになっておるわけでございます。
 したがいまして、北九州地区におきまして親事業者である新日本製鉄からの注文が大幅に減るというような事態を都道府県知事が認定いたしまして、そのようなことによって影響を受けている下請事業者があるということであれば、そういう万々を事業転換の対象事業者にすることができるわけでございまして、そういうことになりますれば、その事業者についてはこの法律に基づく事業転換の各種の助成措置が受けられるということになるわけでございます。
#57
○大橋分科員 今お話を伺いますと、先ほどの法律では、業種指定ですか、それから地域指定、まずこれに該当しなければだめだということですが、北九州地域はこの二つには該当しないということですね。
#58
○木下(博)政府委員 先日、一応法律に基づきまして業種指定をいたしたわけでございますが、このような個別のそういう工場、親企業の移転というようなものはそういうものの対象に含まれておりませんが、ただ、今申し上げましたようにそういう業種に指定してなくても個別に認定していくことはできるわけでございますから、ただいま先生のおっしゃったような事情があって大幅に注文が減るというような事態があれば、都道府県知事の認定の対象としては十分なり得るのではないかと考えております。
#59
○大橋分科員 大臣にもこの点御答弁いただいておきたいと思うのですけれども、やはり実情に即した救済が志向されない限りは、幾ら法律が出ても無意味だ。今の御答弁では、そういう実態ならば都道府県知事が認めればその対象になるというお話でございますので、非常に意を強くしたわけでございますが、大臣からもこの点ちょっと御答弁いただいておきたいと思います。
#60
○渡辺国務大臣 北九州の方々が大変心配をいたしまして、何とか通産省で力をかしてくれぬか。こんな席で言うのはいかがかと思うが、市長がやめる、それで市長の後任に通産省関係者で有能な人がいたらばという話も実は来ておるのですよ。来ておりますが、現実はなかなか適任者がいない。そこで我々としても、そういうふうな一つの例、通産省を大変頼りにしているという一つの例示として出したわけですが、通産省の中にはかなり北九州出身者もおり、土地カンもあることだから、みんなで知恵を絞って、何かいい方法はないか。後ろ向きな話ばかりでなくて、今の話は親工場がいなくなった、その後が困るから、そういうのは法律には明示してないが、何とか県が言ってくればそれについて面倒見ましょうというお話ですが、何かもっと前向きの話がないか。鉄、鉄といっても、これからどんどん鉄の需要がふえていくというふうにはなかなか見れないわけですから、新しい時代に合った産業を何かそこに配置をする、あるいは誘致ができるようにするとか、そういうようなことなどで地元と一緒になって今後ひとつ勉強をしていきたい。実は私もあそこは非常に関心を持っているのです。
#61
○大橋分科員 今大臣はいろいろと事情説明をなさいましたけれども、そういう状況だから私も一肌脱ぐくらいの気持ちで手を入れますというふうに理解していいですか。
#62
○渡辺国務大臣 一肌も二肌も脱ぎますから、それは。
#63
○大橋分科員 御苦労さまです。今のお言葉は、北九州の皆さんが聞いたら本当に勇躍歓喜するのではないかと思うのです。新しい企業誘致の問題もあると思うのです。あるいは今おっしゃったように、産業構造をある程度大きく再編していかねばならぬ問題もある。そういう意味で、今通産大臣の力強い御声援があるのだというふうに私は理解して帰りたいと思います。
 そこで、今、北九州市でも昨年の四月から先端産業振興資金融資制度というものをスタートさせております。これは新技術の研究開発、先端的な設備導入を図る企業に対しまして、最高一億円を限度としまして資金援助をするという内容なんです。これは既にもう二十二件以上の申し込みがありまして、総額として十一億円以上のお金が出ているように伺っております。市は市として懸命な努力で活性化に向かって頑張っているわけでございますので、今の通産大臣のお話ではございませんが、確かに、従来四期ですか、務めてきた谷市長さんが今度は引退を表明なさった、後どうなるのだろうかという、これがまた住民のいわゆる懸案事項となっておりまして、一日も早く方向がはっきりしなければならない。今、産業的な構造を再編していくためにはどうしても通産系のいい人がいないかという声も確かにあったのですが、どうやら通産の方からはおいでにならないみたいでございまして、もっと力のある人を探さなければいかぬなということになるわけでございますが、いずれにしましても北九州は今そういう深刻な状況にあることを理解していただいて、特段の御配慮をお願いしたい。よろしくお願いしておきます。
 最後に、筑豊旧産炭地域関係の市町村の責任者の方が最近、連日というのはちょっとオーバーかもしれませんけれども、政府あるいは国会に対しまして、私財、いわゆる浄財を投じて陳情活動を展開しておられます。先般も、直方、鞍手郡関係の皆さんが七十名ほどおいでになりまして、涙ながらに実情を訴えておりました。また、きのうも宮田町から十七名の代表の方がおいでになりまして、真剣に苦境を訴えておられましたが、それは、石炭関係三法が六十二年三月末で期限切れになるわけです。もしそれがそのとおりになったとすれば、これは大変なことでありまして、何が何でも石炭三法の延長と各制度の強化充実についてお願いしたい。もしこれができないようであれば、産炭地域の再建はおろか、旧産炭地域、その市町村は崩壊につながっていくのだ、そのような重大な危機感に今さいなまされているわけでございまして、この点は是が非でもお願いしたいところでございますが、いかがなものでございましょうか。
#64
○渡辺国務大臣 これはもう御承知のとおり、昨年九月に石炭鉱業審議会に対して通産省は諮問をいたしております。そこで、審議会としては、内外の炭価格差の拡大など最近の石炭をめぐる諸情勢の変化なども勘案しながら勉強の最中で、ことしの夏ごろに答申を出してくれるということなので、そういう立派な方々に勉強してもらった結論を踏まえまして対処をしていきたいと考えております。
#65
○大橋分科員 答申待ちでの結論は当然のことと思いますけれども、膨大な残存鉱害あるいは危険ボタ山の問題、老朽化した炭住あるいは滞留する離職者、企業誘致等々の難問題が山積しているのでございます。さらに、宮田町というところなどは露天掘り跡のいわゆる遊水地の危険防止対策などもありまして、ほかに例のない特異な石炭後遺症が残っているわけであります。今後とも国、県の強力な指導援助をお願いしたいところでございまして、今の答申を踏まえられまして、前向きなどというものではなくて、本当に必ず延長していただきたい、切に切にお願いを申し上げておきます。
 あと一、二分あります。
 生意気なようでございますけれども、一つのことわざを私、大臣に提供しまして、お互いに慎みたいと思うのは、「災いは口より出て千里を走り、幸いは心より出て万里の外より招く」。つまり、大臣が福岡で発言なさったことがあっという間に日本全国に知れ渡ったですね。千里の道を走るわけです。しかし、大臣がここで心を本当に反省なされば、今度は逆に万里の外から幸せがやってくるというのですから、先ほどの多賀谷先生の話ではないけれども、次の次じゃなくて、次になるかもしれません。そういうことを申し上げまして、終わりといたします。
#66
○長野主査代理 これにて大橋敏雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、鈴木強君。
#67
○鈴木(強)分科員 私は、円高差益還元の問題を中心にして若干の質疑をさせていただきます。
 この問題は、商工委員会初め多くの論議がなされておりますので、重複する点もあるかと思いますけれども、私の気持ちを率直に披瀝して、ぜひ大臣の御善処をお願いしたい、こういうつもりで取り上げたいと存じます。
 その前に、最初に、きのう日銀は現行公定歩合をさらに〇・五%引き下げるということを決めましたね。十日から実施するそうであります。今回の引き下げは、御承知のように本年一月三十日にやりまして引き続いての引き下げでございまして、財政、金融、経済等にかなりな影響があるのではないかと思います。そこで大臣は、この公定歩合の引き下げについて、何か御所見がありましたら聞かしてほしいのであります。
#68
○渡辺国務大臣 まだ新聞に出ておるだけでありまして、正式には決まってないのですね。きょうの三時ごろ決まるだろうという予想は立てられておりますが、正式にはまだ決まってない。しかし、私は大変結構な措置だというように思っております、期待をしておったわけですから。
#69
○鈴木(強)分科員 竹下大蔵大臣は、昨年九月のG5に続いて行われた本年一月のロンドンG5会議で、金利引き下げの条件は整ったとの見方で五カ国が意見が一致した、したがって今回の引き下げもG5の政策協調に基づくものだ、こういうふうに語って、これが新聞に出ておるわけですが、大臣はこのことは伺っていらっしゃるのですか。
#70
○渡辺国務大臣 新聞で読んだような気がします。
#71
○鈴木(強)分科員 こういう大事なことは閣議に報告されて、こういうふうなことがG5で論議されて、そしてこうなっておりますということは、少なくとも閣議には報告されておるのじゃないですか。新聞で見たというだけじゃなくて、私は大臣御存じだと思いますから、大蔵大臣のは新聞ですから、きょうは直接大臣からお聞きしたいと思って伺ったのです。
#72
○渡辺国務大臣 ちょっと勘違いしましたが、G5の、詳しい報告はありませんが、概略の報告はもちろん閣議でありました。
#73
○鈴木(強)分科員 円高が急激に進行しておりますから、円高デフレ傾向というものが出てきていることは私は間違いないと思うのです。したがって、製造業を中心にしてかなり問題が出ておるわけです。ですから、そういう際にさらに公定歩合を引き下げるということは、景気対策としてもこれらの企業に対していい効果をもたらすだろう、そのように私は考えるのでございます。
 ここに私の選挙区の山梨日日新聞というのがございまして、この六日号を私拝見したのですが、たまたま山梨県の方では県議会が開かれておりまして、やはり中小企業の多い山梨ですから質疑がございまして、その記事を見ますと、円高影響に対する知事の答弁としてこう述べておるのですね。「円高対策については「影響を調査したところ親企業からコストダウン、納期の短縮、取引量の減少などの取引条件が示され始めた。将来見通しをたてることは難しい」と戸惑いを見せた。機械金属やニット、プラスチック業界への特別産地診断、親企業に対する下請け取引の拡大要請」を行って、政府の方にも善処をしていただかなければ安定経営をすることは非常に困難であるというように、円高によるデフレ傾向が出てきまして、かなりの影響が企業に出ていると思います。
 これらの対策に対して、今どんなふうに通産としては対策を考えておられるでしょうか、経企庁の関係もあるでしょうけれども、ちょっと聞かせてください。
#74
○渡辺国務大臣 これも毎回私どもは答弁をさせていただいておりますが、今度の事業転換法、三千億円の低利融資をやって、そういうように円高等で急激な被害といいますか、そういうものを受けた者に対する救済措置をやっておる。それから親事業者に対しましては、今県議会で報告があったというのですが、下請にばかりしわ寄せするなよ、値上げできるものは輸出関連でも仕方がないから値上げをしなさい、そこである程度取り返せ。それから、自分の方でも合理化をやりなさい、親事業者自体が。末端の事業者に全く何も影響がないというわけにもいかぬでしょう。いかぬでしょうが、弱い者いじめで、自分はそのままにしておいて、下にばかり押しつけるようなことをやったらつぶれてしまう、それはやるなということでは、通達を出したり指導をしております。
#75
○鈴木(強)分科員 ぜひ、これは単に山梨だけのことでなくて、日本全体のことでございますから、いろいろ対策を考えていらっしゃいまして感謝をいたしておりますが、さらに一層実情を調査した上で適切な措置をとっていただくように、格別にお願いを申し上げておきます。
 それでは、円高差益還元の問題についてちょっとお伺いします。
 昨年九月二十二日に開かれたG5会議直後から円相場が急激に高まりまして、現在は一ドル百八十円前後台に上昇しています。けさのニューヨーク市場では百七十九円とかというニュースがございましたが、いずれにしてもさらに円高になっていくのではないかと私は考えるのでございます。きのうの東京外国為替市場の円相場の終わり値は一ドル百八十円八十銭、こうなっております。
 そこで大臣にお伺いしたいのでございますけれども、こういうふうに円がかなり急速に上がっていっておりますが、これはどこら辺が適正であるかどうかなんということはなかなか難しいと思うのですけれども、やはり一つの目安というものがなくてはいけないのだろうと私は思うのでございますね。ですから、通産大臣としてはどの程度のところがいいのかというようなおおよそのめどをお持ちになっていらっしゃるかどうか、その点がありましたら聞かしてほしいのでございますが。
#76
○渡辺国務大臣 これはなかなか、こういう席で通産大臣として幾らがいいとは言いづらいのですね。もっと円高になった方が喜ぶ業界もあるわけですし、円安になった方が喜ぶ業界もあるわけで、利害が反しているわけですから、輸出業者と輸入業者というものは。通産大臣が幾らがいいと言ったらまた騒ぎの種。ですが、私はともかく円高も結構だが、急激になることはむしろ副作用の方がでか過ぎるのですね。したがって、一日も早く安定してもらいたい。ですから、急激に下がっちゃったわけですから、これからさらに急激にドルの下がり、それはもう本当にたくさんだという感じですよ、感じとしては。そういう感じです。幾らと言われても、少なくとも急激は困りますねということです。
#77
○鈴木(強)分科員 政府は、予算上たしか一ドル二百四円で六十一年度の予算を組んでおると思いますね。それは当時の想定であったと思いますが、余りにも急激に高くなってきたというところにかなり問題があると思うのです。ですから、確かに円高のメリットもあると思いますけれども、じゃ、そのメリットがいつになったら全体に出てくるのかということについてもかなり時間がかかるのではないか、私こう思います。いずれにいたしましても、ここで幾らがいいということをなかなか言えないのでございましょうけれども、政府が二百円に組んだこと自体もどういうわけだと私たちは聞きたいところです。しかし、それは相場のことですからどうにもならぬことでございますから、聞いてみても仕方がないのでそこは言いませんけれども、安定をしていただきたいということは事実だと思います。安定をしていただきたいというのは百九十円くらいか、あるいは二百円か、そこのところの一つの目安というものがあって安定と言っていらっしゃるのでしょうけれども、そこはこういうところでは言えませんか。
#78
○渡辺国務大臣 やはりここで金額を言うというわけにいかぬでしょうね。
#79
○鈴木(強)分科員 それではそれはそれにして、このようにドルがどんどんと下がってまいりますと、六十一年度で電気、ガス業界だけでも約一兆円くらいの差益が見込まれる、こういうふうに新聞などでは伝えられております。大臣、去年の九月二十二日のG5以降すっと円高になりましたが、それから現在までどのくらいの差益が電気関係とガス関係に出ておると推計しておられますか、どうですか。
#80
○野々内政府委員 機械的に計算をいたしますと、一円の円高が一年続きますと、電力九社合計で百二十億円程度であり、またガスの大手三社の合計では十四億円程度かというふうに考えます。
 ところで、六十年度でございますが、決算が出ておりませんのでちょっと何とも言えないわけですけれども、六十年度の上期は円安でございまして、下期が御承知のようにG5以降円高というふうになっておりますので、これを他のことを一切捨象いたしまして一定の条件で計算いたしますと、五十九年度に比べまして電力九社で千五百億円程度、ガスは大手三社で三百七十億円程度になるのではないかなと思います。これからまだレートが動きますので何とも申し上げられませんが、この程度かなと思っております。
#81
○鈴木(強)分科員 これはきょう現在でなくて、要するに年度、三月三十一日までを考えて通算しているわけですね。――わかりました。
 そこで、現在、電気、ガス料金を決める際の為替レートは一ドル二百四十二円で査定をされておると思います。したがって、今あなたがおっしゃるように一円円が高くなれば一年間に電力九社で百二十億の利益になる、ガスの三社は十四億、こういう数字が一応出てくると思うのです。
 そこで、昭和五十三年にちょうど私が物価対策特別委員長をしておりまして、東京電力の社長さんが電気事業連合会の会長です。それから今の安西さんがやはり瓦斯協会の会長さんでして、国会にもおいでいただいていろいろな御意見も承りました。そして各党いろいろな相談をいたしまして、たしか十月から翌年の三月まで、電力が月二百七十円、ガスが二百八十円だったと思います。私はそういう経験をしたことがございまして、企業の努力によって生じた黒字ではないわけでございますから、為替相場によって生じた差益というものはやはり原則としてお客様にお返しするのが筋だと私は思うのでございます。
 ただ、電力にしてもガスにしても需給の関係を考えておかなければなりません。私たち、こう拝見してみますと、日本の場合は五年とか、多くて十年ですね。十五年、二十年先の計画というのは余りないのですよ。目先のことしか考えてないですね。ですから、十五年後に日本の電力はどれだけの需要供給になっているのか。供給が追いつかなければ設備投資をして、原子力発電についてはいろいろな見解もありますけれども、いずれにしてもエネルギーをつくっていかなければならない。
 そういういろいろなことを考えたときに、為替相場で入ってきたものですからこれをお返しして、今度は、設備投資をなさるときにはこれまた料金値上げということが出てくると思いますが、そのときにまた絶対反対というのでは困るわけであります。だから、そのときにも、将来の設備投資を考えてみるとこれを社内留保して、そういうふうに使わしていただきたいという御意見もありましたけれども、両会長とも理解してくれまして、私は非常に感謝しました。そしてまた与野党とも話し合った結果、差益還元を実施していただいた経験があるわけでございます。
 ですから、今回も原則的にはぜひ今おっしゃったような、今のところまだ中間ですから、電力一千五百億、ガス三百七十億、当面この問題について、やはりお客様にお返しをする、還元するという方法をとられた方がいいのではないかという気がするのです。
 大臣、きのうガスの代表者ともお会いになっているようでございまして、また通産省は通産省として対策をいろいろ立てるために協議会といいますか、知識人のお力もかりるようにされておるようでございますけれども、私は、当面これはまだかなり続くだろうと想定しておるものですから、今のものはできるだけ早い機会にお返ししたらどうかなと思うのですけれども、大臣のお考えはどうでしょう。
    〔長野主査代理退席、主査着席〕
#82
○渡辺国務大臣 原則論としては、先生のおっしゃるのは一つの立派な意見なんです。しかしながら、現実の問題として円レートの方も非常に動いている。どこいらのところで落ちつくのかという見通しも一遍立てなければなりませんし、値下げをするということなら、またしょっちゅう値上げをするというのもなかなか大変ですから、少なくとも一年くらいは見通しの中に入る程度の安全なことも考えなければならぬ。
 もう一つは石油ですね。円ばかりでなく、石油の値段がまたでっかい話ですから、これがどこまで下がるのか。石油の値下がりを無視するというわけにはもちろんいかぬわけですから、これも計算に入れなければならぬ。それによって差益がどれくらいの額になるかということが大体決まるわけです。それにはもう少し時間をかけて見る必要がある。スポット物が十四ドルで出たとかなんとかいっても、それは瞬間的な話で、全体の問題ではありませんから、政府が買っているのは、実際は今でもかなり高い値段で買っているわけです。だから、そこらのところも予想をいたしまして、どういうふうに還元することが国民経済に役立つか。みんな口をそろえて内需拡大、内需拡大と言っているわけですね。ところが政府の方は銭がない、予算は追加できないという状況の中にある。したがって、やはりそういうものも考える必要がある。
 それから、今までの電力料金等については、内需拡大と逆な体系になっているのもあるのですね。要するに、狂乱物価のときにつくったものだから、ビルをつくったり何かしたら割り増し料金を取るよと。片方ではビルをつくりなさい、公有地も払い下げましょう、しかしそこに電気をつけたら罰則的に割り増しですよと。しかし現実は、そんなことをやっては内需拡大にならぬですね。
 だから、そういうひずみもいろいろありますから、そういうものも頭の中に入れたり、それから需要者に還元という話も当然あってしかるべきところですから、そういうものを全部見ながら、枠が大体見当がついた段階でみんなの意見を聞いて、原則も考え、国民経済に一番役立つということも考えて決めていきたい。そのために円高差益の懇談会というものを通産省の中へ設けまして、とりあえず利害関係のない学識経験者、その方のベテランの人はかりに集まってもらって、第一回のスタートを切ったというところです。したがって、五月いっぱいぐらいにはいずれにしてもはっきりした形で決着をつけたい、そういうめどで今やっております。
#83
○鈴木(強)分科員 これは新聞記事でございますが、きのう大臣が都市ガス業界の代表者とお会いになったら、向こうの方から大臣に対して、適切な判断と指導をしてほしいというお願いがあったそうですね。それに対して大臣は、今お話しのように懇談会をつくってそこで慎重に検討したい、為替相場、石油価格を含めましてはっきり見通すことも不可能だと思いますので、差益問題懇談会というもので基本的な還元方法を決めていただいて、それに基づいて八月ごろまでにはやりたい、こういう結論のようでございます。
 そこで、今までいろいろな還元方法が浮上しております。例えば両業界の設備投資に使ったらどうかという意見もありますし、海外協力に使ったらどうかなんという意見もあったようですけれども、そんなところにまで広げられるということは到底できないことだと思います。一企業の利益には間違いないのでございますから、それを政府が取り上げていくというようなことはできないと私は思いますけれども、そういう構想もあるように聞いているのです。私は今まで出ている中では、還元がまず第一だと思うのです。そのほか、例えば電力九社の電線を地中に埋めていく、これは都市の美化からいっても今言った内需拡大の面からいっても、一つの方法ではないかと思っているのです。これはNTTの関係などもありますから、共同してやれるところはやってもいいと思いますし、そういう点は、今まで浮上した中では一つのいいアイデアだなと考えておるわけです。大臣うなずかれておるようでございますので、私はできるだけ原則を曲げたくないのですけれども、いろいろな意見が出てくるでありましょうから、通産省としてもその懇談会に対して、大臣の意見を全然言わぬということじゃないのでしょう。大臣の意見も聞いたり消費者の意見も聞いたりするわけですから、私はこういうふうにしたらいいのではないかという気がしますので、賛成だったら賛成で、国会でそういうような意見があったということくらいは伝えていただきたいと思うのです。具体的なことですが、大臣の御所見をお聞かせください。
#84
○渡辺国務大臣 大変いい意見で、私もそういうことはやるべきではないのかなと思っております。これは恐らく反映していただけるのではないかという気がします。
#85
○鈴木(強)分科員 海外協力のために使うということについては、特別の法律でもつくってやれば別ですけれども、そうじゃないとこれはできないでしょう。そのとおりですか。
#86
○野々内政府委員 現在の電気事業法では、能率的な経営のもとにおける原価ということになっておりますので、料金原則からまいりますと、海外協力でも電気事業と関係のあるところについては可能であろうかと思っておりますが、現行法上は問題があるように思っております。
#87
○鈴木(強)分科員 これは慎重にやっていただきたいと思います。私は海外協力については、政府がおっしゃっているようにできるだけやるということには賛成でございますけれども、筋が違うことをやられてはかなわぬですからこれはくぎを刺しておきたい、こう思って今申し上げたのです。
 それから、日本製自動車の対米輸出自主規制のことでございますが、大臣はさらに一年間この二百三十万台というのを延長して、六十一年度もやるということをお決めになったようであります。一方、円高差損を受けているのもこの方面ですね。ですから、トヨタが昨年の十二月に、九月以降の円高分約二〇%をカバーするという理由のもとに、ことし一月三日に出荷する自動車から対米輸出価格を約三%値上げしましたね。これでは不十分だということで、また値上げしようとしておりますね。あと日産、本田、マツダの各社も四、五%程度の値上げを行う。たしか本田はもう二回目をやったと思いますが、そういう再値上げをやろうとしております。こういうことになりますと、むしろ黙っておっても今の二百三十万台よりも若干減っていくのではないかというような見通しも一面にはあるわけですよ。損してまでやることもないわけですから、少しばかり値上げしても合わないということになると、自然にその台数が減ってくるということも考えられますし、韓国その他からもかなり自動車が入ってくるような現状に照らしまして、あえて早々と既定の二百三十万台の自主規制を行うという方針を発表された理由はどういうことであったのでございましょうか。
#88
○杉山(弘)政府委員 ただいま御指摘のございましたように、米国市場におきましては、円高に伴う日本製乗用車の値上げの問題、さらには韓国製乗用車の進出等、日本車にとって非常に厳しい競争状況になっておるわけでございます。ただ、米国の小型車市場におきましては、依然として日本車に対する需要が根強いわけでございます。在庫の水準にいたしましても、通常でございますと約二カ月分程度必要なところが、昨年末の実績で見てみますと二十日程度というところが主体でございます。その上、御案内のように、GM、クライスラーといった米国の自動車会社から、いわゆるキャプティブインポートということで、日本車の輸入に対する需要が非常に根強いものがございます。今後また円レートがどうなっていくかというあたり、若干不安定な要因がございますけれども、私どもこういったものを総計いたしましてことしの初めの段階で見ましたところでは、自由にいたしますと、輸出台数は今年度の二百三十万台と比べて約二割方、五十万台近くふえる可能性があるのではないか。日米間の貿易収支の、日本にとっての黒字幅のこれ以上の拡大というような要因をそのままにしておいていいのかどうかというところも十分見きわめました上で、今回の継続という判断に踏み切った次第でございます。
#89
○鈴木(強)分科員 おっしゃるような見通しもあるかと存じますが、こういう業界の動きもあるわけですから、もうちょっとこの状況を見きわめた上でおやりになった方がよりベターではなかったかという気はするのです。ただし一面、通産省はそういうような状況のあることはよく御存じですから、日米貿易摩擦をできるだけなくす、五百億ドルに及ぶ日本の黒字、アメリカの赤字をできるだけ減らそうという御配慮の上でおやりになったと思いますので、私は政治的な面から配慮したのではないかなというような気もちょっとしておるわけでございます。
 今のお話でわかりましたが、自由貿易なんですから、そう規制していくということは本来の資本主義からすれば逆行する考え方でございます。しかしそうは言っても、日米間のこういう状態があるわけですから、私たちも理屈だけで通らぬことはよく知っております。おっしゃられました御趣旨については、今後どういうふうになるか、私たちも見させていただくことにしたいと思います。
 六十一年度の石油の供給計画はいつごろ発表になりますか。
#90
○野々内政府委員 できれば年度初めに発表したいと考えておりますが、石油の情勢もちょっと不安定でございますので、五、六月ごろまで延びる可能性もあろうかと思っております。なるべく早く策定したいと思っております。
#91
○鈴木(強)分科員 時間がございませんからこれでやめますけれども、日本は今エネルギーのほとんどを石油に依存しているわけです。原子力はなかなか反対もありましてうまくいかない、水力はもうだめ、火力ということになるわけでございまして、石油にかなり依存しているわけであります。その備蓄量がどうなっているか。
 それから今度は、ガソリンを直接輸入することができるようになりましたね。ですから、原油を入れて精製して、ガソリンとか灯油とか何かにして売る業界が今あるわけですね、それとの関連で、今までガソリンをつくるために原油を持ってきてそして協力しておった人たちが、ガソリンがどんどん入ってくれば、コストの点はよく私はわかりませんけれども、その業界が行き詰まってしまうというようなことになってはいけないと思うのですね。今日まで協力してくれた方々に対しても、やはり共存共栄の面でやっていく必要があるのではないか。しかし一面、ガソリンをどんどん入れてくれば、体質を改善してもらって、あるときにはやはり統合していくとか、業界が成り立っていけるような方法を慎重に考えながらこのガソリンの輸入ということをやってもらわないと大変だと思います。それからさらに、ガソリンが末端のスタンドに参るまでの流通過程、それらの問題についても非常に問題があることを私は知っているわけです。
 ですから、それらについても質問したいと思いましたけれども、時間がありませんからできませんので、今申し上げましたようなことを後日簡単なメモで結構でございますから、文書によって出していただきたい、こういうことをお願いしまして終わります。どうもありがとうございました。
#92
○上村主査 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。
 次に、玉置一弥君。
#93
○玉置(一)分科員 大変御苦労さまでございます。
 最近の特に絹人繊、いわゆる繊維織物業界といいますか、こういう関係が、従来からの構造不況の上にさらに円高という問題で、一方では原料安といいますか、要するに輸入生糸との関係の問題、あるいは輸出に対するいろんな重圧といいますか、こういう状況がかなり克明に出てきておりまして、一般的な円高問題と、そして従来の構造的な不況対策、こういう面でお聞きしていきたいと思います。
 現在の状況については、通産省あるいは中小企業庁等でも十分把握をされていると思いますけれども、一応前段という形で、状況についてどのように把握をされておるか、その辺について、円高と切り離して、一般的な不況という形で、従来昨年の十月まではそのことでやっておられたわけでございますから、その辺についてまずお聞きをいたしたいと思います。
#94
○浜岡政府委員 先生御指摘のように、確かにダブルパンチという表現が適当なのではないかと思っております。基本的な需要減退というような背景もあるわけでございますけれども、特に昨年、需給バランスの失調というような状態が発生をいたしておりました。
 北陸の合繊産地、非常に輸出依存度が高いわけでございますけれども、非常に大きな市場でございます米国市場におきまして、天然繊維あるいは短繊維志向というような需要動向の変化が起きておりました。加えて、石油価格の低迷等が影響いたしまして、中近東市場が非常に不振の状態に陥ったというようなことも影響いたしまして、輸出環境が非常に悪化しているわけでございます。加えて、他方では、生産性向上というような観点から、ウオータージェットルームに代表されますような革新織機の導入というようなものも行われておりまして、需給のアンバランスというような状態が発生をいたしておったわけでございます。これに対しましては、いろいろな面からの対応を図ってまいったわけでございまして、昨年の秋口ぐらいにある程度曙光が見えてきたかなというような段階に達していたわけでございますが、そこへ今度は円高の影響が襲ってきたというような状況になってきておるわけでございます。
#95
○玉置(一)分科員 特に北陸地域については、輸出の影響が非常に大きいということでございます。
 私の地元に、いわゆる丹後ちりめんといいますか、そういう地域、あるいは西陣というのがございまして、そこではいわゆる和装物が中心でございますけれども、和装が大体八五%ぐらいで、残りがいろいろに分散をされているというような形で、業界は業界なりにいろいろな努力をしているところでございます。現在でも既に通産省の方から、過剰在庫の買い上げでありますとか、あるいは合繊メーカーにおきましては織機の停会補償、こういうようなことをやっていただいておりますけれども、例えば石川、福井なんかの例をとってみますと、賃織りという形で、要するに織って幾らといういわゆる工賃加工ですね。ほかの地域は大体、糸を買って糸ごと売るというような形になっておりまして、形態が違うわけでございますけれども、大体今までの、例えば丹後の場合には、一斉休業という形をやったりして生産調整を行ったわけですが、やればやるほどに市況が低下するというような形につながってきております。
 ですから、過剰在庫の買い上げをいただいた昭和五十九年でも、これは価格の下げどめになった程度というくらいの影響しかなかったということでございまして、実際は在庫を買い上げていただいた恩恵というのはあるわけでございますけれども、そちらの方が、私から見ると、評価されてないのかな、こういう感じを受けるわけです。ですから、それぞれ見てみますと、いろいろな努力を長年やってきていただいておりますけれども、余り効果の大きく出るようなものがなかなかない、これが実態ではないかと思います。
 ちなみに、今まで各業界の中で努力されてきたことをちょっと申し上げますと、例えば新製品の開発をやろうということで、いわゆる洋装の分野に進出をしていこうということで昭和五十六年ぐらいからずっとやっておられまして、年々開発点数もふえてきております。あるいはPRをやろうということで、各洋装生地としての展示会を開催したり、あるいは日本絹織物ニューヨーク展というような外国でのPRをやったり、シルクフェアというものをやったりということでやってきているのもあるわけですが、これもなかなか受注増に結びつくような傾向にはないわけでございます。そして、いろいろなそのための基金を持ち寄って、この基金を中心にしてやっていくということで、これは蚕糸事業団の方から出していただいているようでございます。事業団の中から、昭和六十年については五千百万の助成というような形でやっていただいておりますが、こういういろいろな手を尽くしながらやっているというのが現状でございます。
 ところが、先ほど局長の方から報告がございましたように、状態としては一向によくなってこないということでございまして、より継続的に今までのやつを詰めていこう、こういうことになっているというような状況のところに、今の円高というものが入ってきたということでございます。そういう意味で業界としては、かなり致命的なところまで追い込まれたような感じを受けるわけでございまして、そういうことを頭に置いていただいてぜひこれからの対応をお願いしたい、こういうふうに思うわけです。
 現況の中で、まず具体的な確認をいたしたいと思いますけれども、例えば絹人繊の二十三産地につきまして、今まで助成をやっていただいております。これは産地中小企業対策臨時措置法に基づく助成というような形でやっていただいておりますけれども、この助成の中身について、拡大をされるということを聞いておりますが、これについて六十年、六十一年を対比してどうなるのか、この辺をお聞きしたいと思います。
#96
○浜岡政府委員 現在のような状況に対応いたしてまいりますためには、一つには、やはり供給サイドでの適切な調整というようなことも必要かと思うわけでございますが、先生御指摘の需要喚起、新しい需要を見つけていくというような努力も非常に必要なことではないかというぐあいに思うわけでございます。
 先生御指摘のように、北陸あるいは丹後の産地、いわゆる賃織りというような形態への依存度が非常に高いわけでございますけれども、各産地におきましても、やはり最終需要との結びつきを強めていきたいというような意識が非常に強くなってきておるわけでございます。ただいま先生から御指摘がございましたように、絹につきましても、和装に限らず洋装の面まで含めまして、新しい需要分野の開拓ということに努めているわけでございます。また、合繊の分野につきましては、産業用素材でございますとか短繊維等との複合素材の開発でございますとか、そういった面に積極的に取り組んでいるわけでございます。繊維工業構造改善臨時措置法というような体系での対応も一つでございますが、ただいま御指摘のございました産地対策という体系での対応もあろうと思っております。
 いずれにしましても、やはり最終需要分野をにらみながら、新しい製品、新しい素材の開発に積極的に取り組んでいく、そのための環境づくり、あるいは適切な範囲でのこれのバックアップというようなものを中心に今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
#97
○玉置(一)分科員 今の話に尽きるわけでございますけれども、やはり新規需要の拡大をやらなければいけないということもございますし、また、それぞれの産地が余りにも今までの産業に固執をして、その業界から外に出ることができなかった、これが地域としての不振あるいは産業としての不振ということにつながってきていると思います。
 今のお話にございましたいわゆる事業転換でございますけれども、この事業転換も既に措置法というのがございまして、この件に関して若干のお願いといいますか、私見を交えての話も申し上げたいと思います。
 本来でございますと、企業が業種を転換するというのは、これまた大変なことでございます。いわゆる従来の販路といいますか、物を売るための経路を全く違えて生活をしていく、こういうことになるわけでございまして、現在の転換法によりますと、五年を経て計画していくということでございますが、我々の口から見ると、そう一度に五年ぐらいでというのはとても難しいうまくいけば一年でかわることもできるわけですけれども。今いろいろな業種ともに過剰ぎみの中で、そういう事業転換はなかなか難しい、こういうふうに思うわけでございまして、現在の取り決めでは、その事業の中身の三分の一についての部分までは認めましょう、こういうお話でございますが、これを段階的に将来三分の一というような形にまず緩めていただきたいということ。
 それから、この事業融資のいわゆる業種範囲でございますけれども、業種範囲が一応規定をされておりまして、その規定の範囲でなければいけない、こういうことになっているわけでございますが、この辺についても、今第三次産業と言われる分野が非常に広くなっているわけでございまして、こういう分野も含めて業種を考えていただきたい。業種を緩めていただきたいということ。
 それから、現在融資をいただいております金利が六・八%から五・五に下げられました。これは一月二十日ぐらいだったと思いますが、下げていただいたのは非常にありがたい話でございます。きょうの新聞にも書いてありましたように、日銀の方で公定歩合を引き下げていこうという話がございます。また、それに応じて財投金利も下がってくると思います。そういうような状況から見て、少なくとも通常の銀行融資の運用金利を下回る、あるいはまた、それ以下の金利を目指してぜひお願いをしたい。できたら三%ぐらいの、公定歩合より下というのはちょっと難しいと思いますけれども、少なくとも公定歩合と同様の金利というものでお願いをしたい、こういう要望が各地域から強く寄せられておりますので、この辺を含めて、ぜひ大臣に御見解をお伺いしたいと思います。
#98
○渡辺国務大臣 金利の問題は、非常に重要な問題でございます。しかし、伝えられるように公定歩合が下がって、それによって預金金利や財投金利も下がるという状況になれば、それは先生のおっしゃるように、公定歩合並みとかそれ以下とか、そういうことはできないと私は思いますが、十分配慮しなければならない問題である、そう思っております。
#99
○木下(博)政府委員 事業転換の関係の二つの御質問にお答え申し上げたいと思います。
 今回成立いたしました法律に基づいて、事業転換ができるだけスムーズに行われるようにしたいと私ども考えておるわけでございます。
 先生おっしゃいますように、事業転換すること自身が大変に難しいことだということは、私ども十分承知しておりまして、前回十年前につくりました法律の対象となった転換というのは割に数が少なかったというのも、まさにそういう点を反映しているかと思います。それと同時に、前回の事業転換の運用の基準がやや厳しい面があったということもありますし、また、助成の内容がそれほど十分でなかったという両方の面があったかと思います。したがいまして、今回の法律では、助成の内容につきましても、例えば組合全体で事業転換をやっていくためのいろいろ事業をするために助成をするというようなことも入っておりますし、金利も、従来の法律では六・三%が最低だったわけでございますが、今回は円高で影響を受けるというような業種の事業転換の場合には五・五%に下げております。それから、転換のしやすさという点につきましては、例えば、従来はある水準以下に生産が下がって初めて転換の要件が満たされるということだったのですが、まだ余力のあるうちに転換できるようにしようということで、今後、従来の品目の生産が増加しないか、または増加しない見込みがあるようなときには転換の対象にしようということにいたしております。
 ただ、今先生御指摘の三分の一の要件でございますが、事業の転換ということでございますから、やはり今までやっておられた事業を新たな分野にかえていくということになるわけでございますので、それが従来の事業とほとんど変わりない形のままでそれを転換だということになれば、経営の多角化と一般的に行われている経済活動要素に含まれることになるわけでございますので、私どもとしては、五年間三分の一という基準は一応、従来どおり運用させていただきたいと考えておる次第でございます。
 それから、業種の範囲につきましては、従来は百二十六業種であったわけでございますが、三月四日の告示では、転換対象業種として百八十三と範囲を広げておりまして、いわゆる従来型の産業で何らかの形で経営転換をやらなければいけない業種はほぼカバーされていると考えております。これはあくまでも現在、そういう事業をやっている人たちの業種の数でございますので、その人たちがどこに行くかということの転換先の業種は特に限定がないわけでございます。
#100
○玉置(一)分科員 今おっしゃったことで納得できるわけでございますが、基本的には公平感を持つためには、人のもうけるものを助けることはないわけです。ところが、地域や産業が余りにも固まってくると個人的力量を超えた分野になってしまいますので、できるだけ国が指導し助成していくという姿勢をとっていただきたい。余力のあるうちにやっていかないとこれまた大変なことになりますし、できるだけ早いうちに手を打つ方が費用としては安上がりだと思いますので、ぜひ早い対応をお願い申し上げたいと思います。
 円高影響のお話ですが、今まで経済企画庁なり通産省、中小企業庁がそれぞれ調査されております。この情勢を見ておりますと、新規契約が当然減少してくる。これはこれからもっとひどくなってくると思いますけれども、当初は受注残に対する値引きがかなりありましたし、新規成約分についての価格改定がちょうど今ごろ行われておる状況でございます。ひどいところになると、そのまま値引きという形で三割ほど割り込んでしまう。三割というと、一般商品で考えると、粗利も全部飛んでしまう形でございまして、この対策をやらなければいけない。既に政府の方で考えられた対策には、緊急融資というものもあります。
 これは先ほどの金利と同じで、総額としては三千億の財源を一応確保されたということでございますが、融資を受ける側は、資金繰りに四苦八苦している状況でございますから、当然信用枠も目いっぱい使っているということがございます。信用保証枠の拡大、無担保融資の枠拡大、これは中小企業金融公庫とかそれぞれあるわけですけれども、いわゆる制度融資に基づく融資あるいは信用保証、こういう枠が今三百万か五百万、どっちか忘れましたけれども、そんな程度だということでございまして、運転資金を借りるほどの担保力もないという形はもちろんでございますが、今までの構造不況の事情から既にいろいろな担保を使い切ってしまっているという状況でございまして、この無担保枠の拡大、信用保証枠の拡大をぜひお願いしたい。これは私個人としても従来から話をしていたところでございますけれども、この点についてどういうふうにお考えになるか、お聞き申し上げたいと思います。
#101
○木下(博)政府委員 円高による産地の影響調査は、私ども過去三回やりまして、現在四回目の調査をやっております。来週の初めにはその結果が出るかと思いますが、回を重ねるごとに状況が悪くなっているということでございまして、既契約をほとんど使い果たしてしまって、なかなか新規契約ができないというような産地も出ておるようでございます。
 そういうことでございますので、私どもとしては、融資面においてできる限りの御援助をしたいということで、三千億円の融資規模で中小企業金融公庫等の中小三機関からの融資を機動的に行えるようにやっていきたいと考えておりまして、担保力の問題についても、こういう特別の事態を考慮して、できる限り機動的、弾力的に運用するようにという指示を出しておるわけでございます。
 信用保証枠の拡大の問題につきましては、とりあえず十二月から緊急融資制度を発足いたしましたときに、不況業種として指定できる業種があれば、それは別枠の信用保証ができることになりますので、不況業種の枠を拡大した形で対処したわけでございますが、今回法律が成立したこともありますので、その法律に基づきまして、別枠の信用保証を受けることができるようにしております。その内容は、無担保保険一千万、普通保険七千万ということでございますので、普通の中小企業者の場合には、一千万までは無担保で信用保証を受けられるということになるわけでございます。そういうことで、信用力、担保力に乏しい中小企業の方々ができる限り金融を受けやすくする形で、私どもの仕事を進めていきたいと考えておりますし、そのような新しい別枠保証につきましては、保険料率も従来の三分の二程度に下げるというようなことで対処していくつもりでおります。
#102
○玉置(一)分科員 大変厳しい状況でございまして、借りてもなかなか返す当てがつかないのじゃないか。ちょっと逆の話を申し上げるような形になりますけれども、無担保融資を拡大しろと言っても、返す当てがないというと貸す方も大変だと思うのですが、実際はそういう状況でございまして、少なくともある程度支えて、その間に何か考えていかなくてはいけない、こういう状況でございますから、今度は運用の面でも十分徹底できるようにぜひお願い申し上げたいと思います。
 また、同じようなことで、融資ができないという話がございますけれども、公共料金あるいは燃料代、こういうものの値上がりの影響を今まで大変大きく受けておりまして、これだけ原油価格が下がったのだから、石油代金あるいは電力料金の見直しをぜひお願いしたいという要望が出ております。通産省としては、電力については大体方向を決められたということも聞いておりますけれども、石油については今、考慮中ということでございまして、こういう面で早い対応ができなければいけないと思うわけでございます。その辺について、大臣としてどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
#103
○渡辺国務大臣 この話ももう何十回となく答弁していることでありますが、今私的懇談会で勉強をしてもらっております。そういう人たちの意見を聞いたり、国会での論議等も踏まえまして、五月をめどに還元の案をつくっていきたいと思っております。
#104
○玉置(一)分科員 最後に農水省にお聞きしたいと思います。
 毎年のことでございまして、ちょうど今ごろ基準糸価の論議がされておりますけれども、現在の状況から考えていきますと、輸入生糸の国内との価格差が非常に大きくなる、こういうような感じを受けておりますし、また従来から、輸入生糸並みに国内糸価をという要望がずっと続いているわけで、一昨年も下げていただいて、半年ごとに見直しするということになっているそうでございますが、現段階、三〇%程度の円高、きょうも百八十円何十銭という金額でございますけれども、そういう状況でございますから、今後近い時期に必ず価格の引き下げになるというふうに推測をしているわけでございますが、この辺についての価格動向並びにこの円高にどう対応されるのか、これについてお聞きをして質問を終わりたいと思います。
#105
○副島説明員 絹織物業界に対しましては、私ども蚕糸砂糖類価格安定事業団の生糸を一定の値引きをもって提供しておるわけでございます。これにつきましては、円高の影響も非常に大きいということで、かねてから業界からの要望も非常に強うございまして、私ども一月に、実需者売り渡しと申しておりますが、その売却価格の見直しをいたしまして、さらなる引き下げで提供するということにいたしております。これは当面、関係業界とも御相談いたしまして、半年は新しい価格で実施していくということで、その半年後必要であれば、その際の状況を見てまだ御相談していくということにいたしております。
 また、基準価格でございますが、これは例年三月に行政価格を決定してきております。御指摘のとおり、その時期も近づいておるわけでございまして、国内の需給状況、特に原料繭の生産コストでございますとか、もちろん御指摘のような国際価格の動向等も踏まえて、慎重に決定しなければならない問題でございます。関係の絹織物業界から、そういう国際価格も十分に考慮して決定してくれるようにという要望も私ども受けております。そういった点も十分考慮しまして、これから月末までの価格決定に臨み、検討を加えていきたいというふうに考えております。
#106
○玉置(一)分科員 終わります。
#107
○上村主査 これにて玉置一弥君の質疑は終了いたしました。
 次に、山中末治君。
#108
○山中(末)分科員 国内需要の喚起等の施策が強く要望されます中で、中小企業関係にはこれから解決していかなければならない課題もたくさんあるわけでありますが、私はきょうは、特に中小企業に対します官公需、この一点について御質問を申し上げ、御要望にお答えいただきたい、こういうことで参ったわけであります。
 まず、中小企業向けの官公需の契約目標の問題でございますが、これは例年、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律の第四条に基づきまして閣議が決定をされます中小企業者に関する国等の契約の方針の中で、具体的なことが示されておるわけであります。振り返ってみますと、五十八年度は、官公需総額の中に占める中小企業官公需の割合が三六・四%と聞き及んでおりますし、五十九年度の場合は三六・八%と聞いております。昭和六十年度の場合は、総額八兆六百九十億円のうちで中小企業向け目標額が三兆一千八百四十億、その比率は三九・五%というふうに聞いておりますが、今予算案が提案をされているさなかでありますけれども、六十一年度につきましては、官公需の中小企業者に対する契約の目標はどのあたりに設定をされておられるのか、現在の時点でわかりますれば、御答弁を賜りたいと存じます。
#109
○木下(博)政府委員 六十一年度の目標を決めますためには、まず六十年度の実績を全部チェックした上で、それで各省と、具体的に決まりました予算に基づいて、今年度同様できるかという相談をした上で決めなくてはいけないわけでございますので、例年決める時期がどうしても七月ごろになるわけでございますが、私どもとしては、今年度三九・五%の目標でございましたから、まずその実績を見た上で、でき得る限り高く目標を持っていくようにしたいと考えております。ただ、全体としては政府の予算額が余り伸びておりませんものですから、目標を上げていくのがなかなか難しくなってきているというのが現状でございます。今のところは、どのくらいの数字で目標を置けるかというところについては、まだ全く作業しておりませんので、何とも申し上げられません。
#110
○山中(末)分科員 せいぜい御尽力をお願い申し上げたい、このように存じます。
 そこで、今御答弁の中でもございましたが、昨年も実は御要望申し上げたのですが、閣議決定後、その目標額等を中小企業団体の方へ指示、連絡されるわけですが、今おっしゃったように大体七月の中下旬、こういうことになりますね。これは出納閉鎖が五月末ということもありまして、あと二カ月間ないし二カ月半くらいの間で実績とかいろいろたたいて結論を出してやられる。契約件数を聞いておりますと、年間相当な契約件数がある。件数だけは非常に多いということでして、それに基づいていろいろ作業をしなければならないので、昨年も何とか早くということを申し上げましたら、一昨年よりも一日早くなった、一日でも大変だと思いますけれども。
 しかし、よく考えてみますと、契約件数が非常に多いわけですが、今情報化時代と言われておりまして、この情報化時代をうまく活用していく。契約件数は千三百万件ですか、これを処理するのに二カ月以上もかかるというのは、いかにも手作業じゃないかなと推察するわけです。したがいまして、渡辺大臣もおいでになりますが、こういうところにこそ情報機器を導入をされて、国が決められた中小企業向けのいろいろな施策をできるだけ早く、そういう情報機器の活用によって関係企業、団体等に知らされるようにすべきじゃないか、私は実はこのように思います。
 今御答弁願った中でそれが気がつきましたので、特に大臣、情報化の機器というのは、大企業とかいうところだけのものじゃなしに、中小企業も大いに活用されて能率を図るということもさることながら、情報をできるだけ早く、閣議決定等も企業、団体等に知らせるということで御尽力いただきたいと思いますが、いかがなものでございますか。
#111
○木下(博)政府委員 先生御指摘のように、来年度の予算を使ってできるだけ中小企業者の人たちに注文が行くようにするためには、できるだけ早く目標を決めた方がよろしいわけでございます。そのために毎年、私ども努力いたしておりますが、御指摘のように、すべての省庁でコンピューターを使ってそういう実績のまとめをするというような形にはまだなっておりませんものですから、手作業でやるために時間がややかかるという面がございます。私どもとしては、できるだけ早くそういうデータを集め、しかも目標を決める以上は、その目標が達成できるだけの可能性がないといけませんから、各省庁と相当詰めをやるわけでございます。したがって、その詰めをやるためにどうしても時間がかかるという面もございます。五十七年度に六月二十九日に決まったことがございますが、例年は七月中に決まるという状況でございます。
 私どもとしては、できるだけ早くその目標を決めて閣議決定をいたしたいというふうに考えますが、決まりました暁にそれが中小企業者に徹底できますよう、中小企業事業団からの情報提供のルートもございますし、また、中小企業の情報化のための対策の法律も今度国会に提出させていただいておりますので、そういう形で、最近の情報機器を使った早急な中小企業者への情報伝達ということにも努力していきたいと考えております。
#112
○渡辺国務大臣 今の長官のとおりなんですが、中小企業に対する受注機会をふやすというのは、国もやるべきではありますが、むしろ地方自治体ですよね、学校なんというのは三億か五億なんですから。ところが、今仕事がないから、二億とか一億というところまで大手企業が入ってきているというような実態です。だから、自治省等にもっと働きかけて、地方の仕事に面倒くさがらないでもっと地元業者を使うという風潮を全国的につくっていく必要があるのではないか、私はそう思っております。私は農林大臣の当時なども、国の直営の工事であっても分割させまして、なるべく地元の業者が、できる者が下請でなくて面接入れるようにしてやらせてまいりましたが、今後も機会あるごとに中小企業の受注機会をふやすということに努力していきたいと思っております。
#113
○山中(末)分科員 今、長官と大臣から御答弁がありました。特に大臣のは、私が要望しようとしていた一つの根幹に触れました。全くそのとおりでありまして、分離発注等の問題は、これは手間がかかるし、例えば電気とか水道とかを分離発注しますと、どうしても建設事業の中で国会い工場になって、現場ではトラブルが起こりがちです。当局者の方は、これは非常に苦労があります。しかし、今大臣がおっしゃったように、これはやはり進められるべきだ、そうしなければこれ以上、中小企業向けの発注は伸びにくいだろうというふうに思いますので、後ほど要望しようと思っておりましたが、その点を特にお願い申し上げておきたい、こういうふうに存じます。
 と申しますのは、私は日ごろから渡辺大臣を失礼ですが、よく観察しておるわけですが、非常に情熱を持って事に当たられていることは間違いないと思います。政治、行政に携わる者は、少なくとも執行官につきましては、自分の仕事に対する情熱を失いますとなかなかうまくいかない、私は以前からそういうふうに考えているわけであります。具体的な中小官公需の取り扱いの方針とか調達計画を作成して、契約見込み額を算出するということが各省庁等に課せられている仕事の内容なんですが、こういうことについても、渡辺大臣のような情熱を持ってかかってもらえれば非常にいいと思うのです。そういうふうにやってもらっている省庁もありますけれども、大体の流れとしては、前年度実績はどうなのか、それをもとにして、当該年度の予算内容がどうなのかということを勘案して契約見込み額を中小企業庁に出している。これは、言葉は悪いかもわからぬけれども、流しているという感じです。去年もこうだったからことしもこうだ、この調子でいくと来年もこうだろう、これはやはり大分情熱というものが欠けているのではないかと思います。
 中小企業庁としても、大変だと思いますけれども、各省庁が具体的な取り扱い方針、調達計画等を本当に策定して契約見込み額を中小企業庁に出していただくように特に御尽力賜りたい。実力大臣でありますから、その点よろしく御指導のほどをお願い申し上げたい。そして今後は、先ほどのコンピューター化の問題も含めまして、中小企業対策がうんと進むような実績を上げていただきたい、このように思うわけであります。
 今は契約目標の問題でありましたが、契約目標が決まりますと、次には実行の段階であります。実行の段階については、分離、分割発注について大臣から先に御説明がございましたので、これは省きますけれども、国内需要が停滞しまして、中小企業が塗炭の苦しみを味わい、これをしのいでいくために必死の努力をしている状況下でもあります。私の前の前に質問をされた方からも、そういう意味での御発言があったように後ろの方で聞いておりました。
 分離、分割発注のほかにもう一つ、目標額を掲げてもらった以上、契約額をふやしていく手だて、同一資格の等級区分内の業者による競争を確保するという原則がうたわれているわけですけれども、現実には、既に取引している特定業者、これは大企業も含むわけですけれども、その業者に限って契約が行われている節が非常に強くあるわけです。現地の方からも、そういう状況があるということが私どものところに頻繁に入ってくるのです。この点について、十分目を光らせていただいて、従来から買っているのだからいいではないかということではなしに、同一資格を持っている業者にはそういうところに参加する機会を十分に与えるような御尽力をお願いしたい、このように存じます。
 もう少し申し上げます。入札参加資格の規模別等級区分というのがございまして、契約予定価格が決まっているわけですね。幾ら以下はこの等級内、幾ら以上はこの等級内というふうに決まっています。中小企業の場合は、御存じのようにC、D、Eランクですね。今、物価の徐々な高騰とかいろいろな要素がありまして、この契約予定価格をもう少し高いところへ手直しする必要があるのじゃないか、このように実は私自身考えておりますし、私の方へ地元関係の中小企業者からもそういう要望が来ております。
 それからもう一つは、官公需適格組合がございますね、これがうまく運営されているかどうか。私が聞く範囲では、五十九年度末では五百四十八組合ありまして、その五百四十八組合が受注した金額は六百八十億円である、こういうふうに聞いております。しかし、中小向け実績の母数字が三兆六千億ですから、それから比べるとまだちょっと小さいなという感じがしますが、その官公需の適格組合等についての育成の問題、それから受注の問題等について、もう少し考えられねばならないものがあるのではなかろうかと思います。それが一点。
 それからもう一つ。閣議でお決めになる特定品目でありますけれども、去年も十一品目からもう少し枠を広げてもらったらどうかということを申し上げたんですが、努力をしたいと思いますという御答弁でございました。私の今の勝手な見通しですが、ことしも十一品目で変化なしで終わるんじゃないか、このように実は危惧をいたしておるわけであります。官公需総額に占める特定品目の割合というのは、これですと二%弱ですね。やっぱりもう少し品目をふやしてもらう必要があるんじゃないか。もちろん品目ばかりただ単にふやしても、それに対応できないという業者側の体質といいますか、業種といいますか、それもございますので、一概には言えませんが、ひとつ御尽力を願って、特定品目十一品目をふやすための努力をお願い申し上げなければならぬなというふうに考えています。これらの点につきまして、ひとつ長官の方からお答えいただければありがたいと思います。
#114
○木下(博)政府委員 契約担当者の立場にしますれば、従来から契約している相手とやるのが一番楽だということで、ついそちらの方向へ走ってしまうおそれがあるわけでございますが、私どもとしては、先生御指摘のように、できる限りそういう資格に該当する中小企業者が契約を受けられるように、その点を配慮して各省がやってもらうように従来からもお願いしてきておりますが、今後もさらに一層各省庁と連携を密にして、個々の契約担当者がそういう意識を持って仕事をしていくようにお願いしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 値段の点についての御質問がございましたけれども、官公需についての閣議決定の契約の方針を決めますときには、御承知のように、「資格等級に対応する契約の予定金額については、価格水準の変動等をも勘案しつつ、必要に応じ見直しを行うものとする。」という規定が入っておるわけでございますので、物価上昇等によって値段が上がるものについては当然、そういう点を考慮して契約担当者はやっていただかなくちゃいけないわけでございますが、ただ一方、予算の効率的な使用という面の要請もあわせ考えなくてはいけませんものですから、そういう点と両方うまく合わせながら、できる限り中小企業者に契約が行くようにさせていきたいというふうに考えております。
 それから、適格組合の問題について御質問ございましたが、確かにまだ全体の官公需の契約金額に占める割合、金額的な割合は低うございますが、今後ともできる限りそういう組合が活用されていくように、組合の組織化を進めるというようなことも含めて、私どもとしては指導していきたいというふうに考えております。
 それから、官公需特定品目の拡充の問題につきましては、毎年少しずつ拡充していきまして、現在は品目の数の数え方では一応十品目ということになっておりますが、昨年は金属洋食器を台所・食卓用品に広げるということで、実際上十一になった形になっております。今後とも私どもは、発注官庁と協議をいたしまして、中小企業者向けの特定品目として追加できる品目があれば、追加拡大を検討していきたいというふうに考えております。
#115
○山中(末)分科員 ありがとうございました。
 そこで、先ほど大臣から御答弁の中にありましたもう一つの問題、地方公共団体の発注は特に中小企業の方に意を用いるべきだということですが、私、調べてみたのですけれども、中小企業の方へは相当発注したパーセントが出ているのです。それは大臣の意向もありますので、さらにそういう御尽力をお願いしたいと思います。国、公社、公団よりはパーセントははるかに高い数字が出てきておるわけです。
 そこで、長官のおっしゃったそういう趣旨に沿いまして、実はもう一つ問題がございます。これは実は、地元の中小企業、零細企業者に対する優先発注の問題なんです。本省があり出先がありまして、いろいろ物品の購入等もなさっているわけでありますが、往々にして出先等の物品も中央で一括購入をされている場合が非常に多いわけです。今おっしゃったように、出先は出先で地元の中小零細企業から物を購入をするという原則、これをもう少し趣旨徹底すべきじゃないかというように実は私、思うのです。
 これは通産だけの問題じゃありません。例えば建設の問題を申し上げますと、地方建設局があり、またそれぞれの事務所があります。川も道もあります。そういうところで工事をする場合は、どうしても事務所から離れた遠隔の地で仕事をやらなきゃならない。そこに工場をつくり、飯場をつくりまして、そして半年とか一年とかそこで住まいをしながら仕事を進めていくというのが、大きなプロジェクトが進んでいきますとそういう割合が非常に多くなる。ところが、そこでいろんなものを購入する場合、地元は知りませんよということでは、工事の進捗にも非常に大きな支障を来すんじゃないかと思うのです。身近な例ですが、寒いときもございますので、その工場の中でアルコールをとって暖をとる場合もございます。地元に酒屋さんがあるわけでございますけれども、地元の酒屋さんで買わずに、瓶を何十本かトラックに積んでどこかからか持ってくるというようなことがありますと、地元の人も余りいい気持ちがしない。こういうことがございまして、地元のそういう出先を含めて、またそのもう一つ先の出先ですね、そういうところは、地元の中小企業に優先発注をしていただきたいという声が非常に強うございます。これは先ほどの地方公共団体に対する大臣の御見解と同じようなものだと思いますが、その点について大臣、公共団体に限らず、地元の方の問題も含めてひとつ決意のほどといいますか、御指導をお願い申し上げたい。
#116
○木下(博)政府委員 大臣からの御答弁の前に、事実関係をちょっと御説明申し上げたいと思います。
 地方公共団体の点は、今までの大臣の御答弁ということで特に申し上げませんが、地方支分部局における契約につきましても、先生御指摘のように中央でまとめて買ってしまうということで、地方の業者がその恩典に浴さないということがあるわけでございます。そういうことでありまして、私どもはできるだけ地方におろすようにということで各省庁にお願いしているわけでございますが、具体的にはそのようなことでお願いした結果といたしまして、例えば運輸省の海上保安庁が自動車の購入について管区の本部にそういう契約をおろす、あるいは中小企業金融公庫が地方の支店におろす、それから郵政省が地方の郵政局にいろいろなものの契約をさせるようにするというようなことで、地方におろすケースも出てきております。したがいまして、今後も御指摘のように、その地方で同じ金額、同じ値段で同じ物が買える場合がたくさんあるわけでございますので、そういうのはできる限り地元の業者から買われるように各省庁にお願いしていきたいと考えております。
#117
○山中(末)分科員 おっしゃることも含めてお願い申し上げておきたいと思います。特に公社公団につきましては、その性格上、高技術を要する等いろいろな問題がありまして、どうしても一括発注で中小企業に行かない場合の方が多いのです。本省関係の方は、年々努力されて、中小、大企業の比率は五〇%を努力目標として頑張るということできておりますが、結果的に足を引っ張る形になっているのは公社公団で、二十何%台ですね。公社公団の方が少ないから、本省で頑張っても、本省のパーセントが下がってくるのです。
 足を引っ張られると言えば語弊がありますけれども、公社公団はそれらの仕事をしなければならぬところですから、それも本庁と同じというわけにいきませんが、五〇%の努力をしていこうとしたら、さらに本省庁の方が出先も含めてそういう御尽力を賜らなければ、なかなか五〇%には到達しないだろうということがございますので、一段の努力を大臣にお願いいたしたいのと、今、長官からお話がありましたけれども、通商産業省、中小企業庁がほかの省庁に優位に立った状況で今申し上げたようなことを趣旨徹底されるのと、対等で話をされるのと、いろいろな立場があります。私は、今の時点では、実力、大物大臣が通産大臣に就任されておりますので、この機会にそういう問題については、通産省、中小企業庁の意向を各省に徹底して、言うことを聞いて期待にこたえるようにしてもらう絶好の機会じゃないかと思います。それで、先ほどから何回も申し上げておりますけれども、情熱を持った大臣にこの機会に特に御尽力をお願い申し上げたい。
 時間がなくなりましたので御要望にとどめておきますが、そのほかに、小規模企業に対する官公需の問題もございます。今申し上げました点とあわせて最後に、渡辺大臣からお考えのほどをお聞かせいただければありがたいと思います。
#118
○渡辺国務大臣 これはいずれ閣議で決める時期が来ますから、その前に御趣旨を踏まえまして私からも、中小企業の受注機会の増大については一層の努力をしてみます。
#119
○山中(末)分科員 大臣の御答弁に期待いたしまして、時間が参りましたので質問を終わります。ありがとうございました。
#120
○上村主査 これにて山中末治君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#121
○上村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 通商産業省所管について質疑を続行いたします。小川新一郎君。
#122
○小川(新)分科員 昨日、私は大蔵の関係の分科会で、円高に伴うところの日銀の公定歩合の引き下げについて三時四十分ごろ質問したのですが、その間何の御答弁もいただけなかったのですが、七時の記者会見では竹下大蔵大臣は四%に公定歩合の引き下げを行うということで、私は本当に、国会で質問しても、のどまで出ていて答えられない、日本の今の円高問題、デフレの問題についても、真剣な予算分科会の質疑に全くそつのない、つれない御答弁の中でそういうことをしたことはまことに残念でございますので、実力通産大臣、ひとつこういうことは不平もあったということを竹下大蔵大臣にお伝えいただきたいと思うのです。
 そこで、私はそれに関連いたしまして自動車の問題を少しお尋ねしたいと思いますが、通産大臣は二月十三日、対米自主規制の延長を発表いたしました。これは、米国自動車産業等の状況から見れば、もう規制は必要はないと思われます。これも、総合的な日米貿易摩擦の一環の中で最大の理由が自動車の超過輸出ということであるならば、私たちも理解をいたします。しかし、今非常な円高の中で輸出型産業が苦境に陥っております。日本の大手業者だけでも年間三千億円も赤字になると言われております中で、こういった問題がアメリカ側から言われて、やむを得ずことし日本側がこうした規制を打ち出したのかどうか。また、そうではなくて、それは日本側独自の判断で米国自動車産業等の状況を踏まえた中での対米自主規制というものを打ち出したのか。それであるならば、今の経済状態、いろんな諸般の情勢を判断して、一九八七年度には少なくともどうするのか、同じことをやるのかやらないのか。
#123
○渡辺国務大臣 これは、本当は非常に悩んだのです。それで、経済問題だけからすれば、それは小川議員が言ったように、自主規制を継続する理由はない。これは、経済面だけからは、貿易の面といいますか、単純な自由貿易の理論からすればそういうことです。しかし、それでは自主規制を外したらどうなんだ、この点をいろいろ調べてみたところが、今アメリカで日本車というものが飛ぶように売れて在庫がない。それで、人によって多少違いはありますが、恐らく五十万台ぐらいは余計に追加してどっと出るだろう。その場合は、今五百億ドルを減らす努力を盛んにやっておって、これはなかなかそれでも減らない、Jカーブ現象で減らないで困っておる。そういうときに輸出が急増する。そうなりますと、議会は火がついたような騒ぎになって、現在ですら保護立法がたくさん出ている議会の顔を逆なでしてしまう。それで、結局、選挙ですから、レーガンさんも拒否権、拒否権と言っていられない。そういう事態になってきた場合は大変だ。議会は有力議員が来て、ともかく自主規制を継続してくれと。アメリカ政府は別に何も言っておりません。
 それらの事情を総合的に判断した結果、日米関係をこれ以上逆なでして悪化させることの方がマイナスと考えまして、一年限りということで、そのままのシェアで単純延長したというのが実情です。
#124
○小川(新)分科員 そうしますと、明年度は全く白紙の状態で臨むということは、やるともやらないともこの段階では答えられないのですか。
#125
○渡辺国務大臣 これは、経済事情その他見なければわかりませんから、今の段階では何とも言えません。全く白紙です。一年限りでやめるというのが原則ですから。
#126
○小川(新)分科員 現在日本の自動車メーカーで海外現地生産――現地生産という一つの問題は、自動車の総体の総量輸出という面とは違って、部分的にアメリカ経済を援助する立場に立つし、日本車の宣伝にもなるし、また日本の利益にもつながるということで、海外現地生産というものにトヨタも今回踏み切ったということを聞いておりますが、現在との会社が行っているかということが一つ。今後予定しているところはどこかということが一つ。そして、海外現地生産の進展が、日米を中心とする貿易摩擦問題に与える影響はどうかという点。この三点。
#127
○杉山(弘)政府委員 まず最初に、現在、日本の自動車メーカーで海外で現地生産を行っているところはどういうところがあるか、また、計画を持っているところを含めてどうなるか、こういうお尋ねでございます。
 まず市場別に申し上げますが、米国におきましては、現在、本田技研、日産自動車、及びトヨタがGMとの合弁会社をつくりまして、この三社が実際に既に稼働をいたしております。さらに、計画中ないしは工場を建設中でまだ稼働に至っておりませんものが、マツダ、及び三菱重工とクライスラーとの合弁会社、及びトヨタ、これは単独でございますが、この三件がございます。これが全部稼働をいたしますと、八〇年代の末になりますと、現地の生産台数は、合計いたしますと百万台をかなり超える、百三十万台ぐらいではないかというふうに言われております。
 このほか、カナダにつきましても、本田及びトヨタ自動車が進出計画を持っております。イギリスにおきましては、日産自動車が、現在、工場の建設に入っております。生産台数は、カナダ、英国とも大体十万台程度というふうに承知をいたしております。
 それから、こういったものが海外との貿易摩擦にどういう影響を与えるかというお尋ねでございますが、米国等の現地生産の場合を考えますと、現地でのいわゆるローカルコンテントと申しますのは、現在の段階では約五〇%ぐらいでございます。したがいまして、現地生産はいたしますが、それに必要な部品、価額にいたしますと約五〇%ぐらいは日本から持っていっておりますので、その部分は日本からの輸出増という格好に相なるかと思います。ただ、現地では、このローカルコンテントの比率を高めろということが要求されておりますし、日本メーカーもこういった要請には徐々にこたえることにいたしておりますので、将来、現地でのローカルコンテントが上がってまいりますと、日本からの部品輸出というものは次第に減少に向かう。また、現地生産が当然現地の雇用増をもたらしますので、総体的にいたしますと、貿易摩擦に対しては貢献をするのではないか、かように考えておるわけでございます。
#128
○小川(新)分科員 次に、韓国の現代という会社の自動車ですが、現代自動車は既にカナダに進出し、好評を博しております。その理由は、単価が安い。さらに米国に進出したようでございますが、韓国車が米国市場等において日本車に及ぼす影響はどうなのか。日本車は将来的に韓国車等に対抗できるのか、値段とか技術の面ですね。お願いします。
#129
○杉山(弘)政府委員 この二月から、御指摘のように韓国の現代自動車がポニーという車をアメリカで売っております。先生御指摘のように、カナダでは非常に目覚ましい売れ行きぶりでございまして、昨年は約七万台。前年が二万五千台ぐらいでございましたので、極めて大きな伸びでございまして、八万台と申しますのは、日本の本田の車を除いてトップでございます。価格も、今回米国へ持ち込みましたものは、一番安いもので五千ドルをわずかでございますが、切っておりまして、同型の日本車種に比べますと大体七、八百ドル安いのではないかというふうに言われております。
 これが日本車にどういう影響を与えるかということでございますが、基本的には、競争相手が出てきたわけでございますので、日本の小型車の米国市場、カナダ市場におきます競争については厳しい条件が加わってきたということでございますが、この現代自動車のポニーにいたしましても、三菱自動車等の技術援助によりまして完成をいたしておりますし、今なおトランスミッションにつきましては三菱製のものを使用しているということでございます。将来についてどうなるかということは今にわかに断定できませんが、日本側関係者は、条件は厳しくなりますが、当面しばらくの間については、まだ技術的にも日本の自動車工業の方が優位にあるし、十分やっていけるのではないか、こういうのが一般的な見方ではなかろうかというふうに承知いたしております。
#130
○小川(新)分科員 アメリカの車が日本の車に駆逐されたのも全く似たようなことでありまして、後発した日本が先発している米国の自動車シェアに切り込んだ。今日、同じように韓国が日本の市場に追撃してきている。このことがいいか悪いかということは、私は論じません。いずれにしても、私たちが韓国の経済を圧迫するようなことがあってはいけないけれども、我々も生き残らなければならない。片やアメリカから圧迫され、片や下から追い上げられる、こういう中で関税の問題が出てくると思うのです。韓国の車と日本の車との対等な――今は日本が兄貴株ですから、ゴルフで言えばハンディキャップを上げているわけです。このハンディキャップの数が多ければ多いほど、優勝のチャンスが多くなるわけです。そういうことでございますので、その辺の御見解をお願いします。
#131
○渡辺国務大臣 これは自動車に限らず、鉄、繊維、いろいろな業種について言えることだろう、そう思います。世界経済の一割を持つようになりますと確かにハンディキャップをつけさせられる、これはやむを得ないことではないか。しかしながら、そうやっていると第二のアメリカになりかねないということもございますので、日本はやはり科学技術の革新というような点でさらに研究体制を進めて、途上国ができないものを先に先にとつくっていく努力を怠ってはならぬ、そう思っております。
#132
○小川(新)分科員 そこで、そういったいろいろなハンディキャップ、また障壁が今自動車業界の前に立ちふさがっておりますが、最近の円高による自動車メーカーへの影響は一体どうなっているのか。メーカーはどのようにしてこの円高の影響を吸収しようとしておるのか。国内で吸収しようとすれば、企業合理化という問題の中で下請企業等への影響が出てまいります。
 また、現在自動車メーカーは米国等において値上げを行っているのか、行っていないのか。その差損についてのデメリットの分をどう吸収しようとしているのか。
#133
○杉山(弘)政府委員 日本の自動車メーカーの円高への対応でございますが、現地の販売価格の値上げということを既に実施いたしております。各社によって時期はまちまちでございますが、昨年の十二月からことしの一月にかけまして、おおむね三%から五%くらいの値上げをしております。その後も円高が急進いたしておりますので、これに対応するということで、早いところでは既に二度目の同じ程度の値上げを実施しておりますし、まだ実施に至っておらないところでも、二回目の値上げということを考えているようでございます。
 私どもといたしましても、できるだけ現地の販売価格を引き上げるということは、円高による貿易調整機能という観点からいきましてもごく自然な流れではなかろうか。値上げをしないでそのしわを国内で下請部品業者に寄せるよりは、むしろ値上げをしてできるだけ国内での影響を少なくするようにということが望ましいと考えております。また、こういった下請の問題については、自動車メーカーに限らず電機その他輸出産業全般を通じまして、特に国内の下請業界への影響をできるだけ避けるようにするという趣旨から、昨年十二月十六日に輸出関連の親企業団体に対しまして、円高に関します下請取引の適正化について要望もいたしておるところでございます。
 今後も中小企業庁と十分連絡をとりながら、そういう点でできるだけ下請企業に対する影響を緩和していくような方向で考えたいと思っているところでございます。
#134
○小川(新)分科員 自動車のように円高によって影響を受ける産業という意味におきましては、私の選出区域である埼玉一区川口においても非常に大変な状態になってまいりました。特に機械産業、鋳物産業は今二〇%から八〇%くらいダウンいたしております。大臣にも、お国にお帰りになる道の途中でございますので、川口市にお寄りいただいて、鋳物屋を一遍見ていただきたいと私は切実にお願いする次第でございます。これはもう当然国や地方公共団体がしかるべき対応をしなければなりません。ただいまの御答弁でもそのとおりなのでございます。
 そこで、この円高の輸出型産地中小企業への影響でございます。経済企画庁が二月十七日に発表した輸出比率の高い全国二十六産地(十六都道府県)の円高影響調査報告によりますと、一ドル百九十円から百八十円の為替レートでは、今後一年間で、産地によっては生産が二〇から八〇%も減少し、五つの産地では操業不能、赤字化、経常利益ゼロという厳しい事態に追い込まれることが明らかになっております。通産省としては、輸出型産地の窮状をどのように把握しておられるのか。また、通産省の六十年度下期の見通しては、一ドル二百円のケースと一ドル百九十円のケースの二通りしか出ておりません。一ドル百八十円になった場合のケースが我々の手元に届いておりませんが、この点についてはどのように指数がはじき出されるのか。
 また、埼玉県が行った円高による影響調査では、埼玉県内の中小企業九百社を調査しましたところ、問題点としては、売上高の減少を挙げた者が五八・七%、単価の引き下げ六〇・九%、この二つを大きく挙げております。その他、国内他企業や外国、特に韓国、台湾等追い上げ開発途上国の製品との競争の激化、内需が期待できない、コストダウンの限界なども指摘されております。長期的には内需への転換や新製品開発、製品転換などの問題が考えられますが、余りにも急激な円高のため、有効な方策が見出せない状態でございます。
 通産大臣は思いやりのある政策、政治理念をどのようにお持ちになっているかということをお聞きし、あわせて具体的な問題で、ただいまの百八十円の指数というものを発表していただけませんでしょうか。
#135
○木下(博)政府委員 中小企業庁といたしましては、昨年秋以降三回にわたって輸出型産地の実態調査をしております。現在四回目のものを実施しておりまして、来週の中ごろには結果が出るだろうと考えております。
 十二月から一月ごろにかけて三回目に調査いたしましたときに、先生今御指摘のように、二百円のケースと百九十円のケースでどういう影響が出るだろうかという調査をしたわけでございます。そのころは為替レートがそのくらいの水準であったものですから、それ以上に行くことはないのではないかという期待を込めて、私どもはそういう調査をしたわけでございます。ただ、現実に百八十円台になっておるわけでございますので、今回はそういう点を踏まえて調査をしておるわけでございます。
 したがいまして、十二月から一月にかけて調査しました結果の数字は、経済企画庁の方で調べられたものとほぼ同じような内容だと私ども承知しておりますし、先生御指摘の下請中小企業につきましても、今度成立いたしました法律に基づいた対策は、その要件に合致すれば適用できるということでやっておりますので、そういう面で対策には遺漏なきを期していきたい。また、下請代金支払遅延等防止法に基づく対策も十分に講じていきたいというふうに考えております。
#136
○渡辺国務大臣 具体的な政策については今長官から話したとおりでありますが、円高は結構だにしても、スピードが予想外に速過ぎたというところで、みんな心の準備ができなかったわけでございますし、それに対応していけないというような状態になっておるので、それらに対する緊急措置を講じたわけでありますが、今後の成り行きを見ながら、さらにどういうことをすべきかということは考えておかなければならぬ、そう思っております。
#137
○小川(新)分科員 お忙しい中でまことに恐縮でございますが、車で四十分足らずのところの川口市の地場産業である鋳物屋の視察をしていただけませんか。
#138
○渡辺国務大臣 国会の事情が許せば、いずれ行ってみたいと思っております。
#139
○小川(新)分科員 リニアモーターカーについてお尋ねいたします。
 運輸省来ておると思いますが、磁気浮上式リニアモーターカーにも二種類ありまして、国鉄方式、日航方式とありますが、この技術開発はどのような状態になっているかということで、まだリニアモーターカーそのものは認知されておりません。これが認知されるのはいつなのか、これが第一点。
 第二点は、埼玉県のような急速な都市化の進んでいるところでは、都市交通総合対策システムの中にリニアモーターカーの導入を今知事が真剣に考えております。特に大宮−成田間、三百キロの時速で成田空港までリニアモーターカーを走らせようとしているのが埼玉県の夢でございますが、これは路線の予定に入っているのか入っていないのか、計画はどうなっているか。
 この二点、お尋ねします。
#140
○荒井説明員 ただいま御質問の二点についてお答えを申し上げます。
 まず、リニアモーターカーが認知されておるかということでございますが、リニアモーターカー自身、今実用化のための技術開発試験を繰り返しておる最中でございます。もし実用化がされましたならば、言いかえますれば、人が乗れる乗り物ということになりますれば、我が方の解釈といたしましては、いわゆる地方鉄道法上の鉄道、普通の鉄道と変わらない扱いを受けるものと考えております。
 さらに、第二点目の大宮から成田空港へのアクセス交通機関として利用する計画構想はどうなっておるかということでございますが、構想自身につきましては、埼玉県の方でいろいろ持っておられることは承知しております。ただ、実用化のための開発がまず第一でございまして、人が乗って危なくないものか、ちゃんととまれるかどうか、カーブが曲がれるかどうかといったことがまず第一でございます。そのような試験開発の段階が過ぎまして次の段階といたしましては、具体的なコースを想定いたしまして、どのようなケースで導入可能かどうかということを研究することになろうかと思います。さらにそれが過ぎまして、営業線の計画という段階になろうかと思います。
#141
○小川(新)分科員 なぜ私が聞いているかというと、国土庁が昭和六十年五月に発表した「首都改造計画」の中の「交通体系の整備」のところで、新東京国際空港とのアクセスの充実を挙げているのです。そして、具体例を挙げて、東京−成田間等の鉄道網の整備充実、大宮・浦和−土浦・筑波研究学園都市−成田間等の道路整備等、空港と業務核都市間を連絡するルートの整備の中にリニアモーターカーの話が出てきているので、私が突然ここで思いついて大宮と成田をつなげなんということを言っているのじゃなくて、国土庁がそういう計画を発表している中で僕は聞いているのであって、今言った実用化の段階で認知を受けたときにはこの路線が認定されるのかされないのか、こういうことを聞いているのです。
#142
○荒井説明員 今の路線につきましては、多分道路をあわせて建設するということも考えられるように聞いております。したがいまして、実用化された段階では、空港のアクセスというのは実は大変重要なことでございますし、大宮方面から空港へ行かれるお客様が相当ふえておるということも重要でございますので、そのような流動の状況を勘案いたしまして、必要性を十分検討していくことになろうかと思います。
#143
○小川(新)分科員 時間がなくてこれを詰められないから残念なんですが、私はその点を非常に重要視している一人でございますので、どうか今後よろしくお願いいたします。
 そこで、工場立地に係る法的制限の見直しが行われるのか行われないのかということでありますが、埼玉県の工業はすぐれた技術の集積と首都圏に位置するという立地条件によって発展してきたことは事実でございます。しかし近年、既存工場の改築の困難性が出てきたり、また、首都圏の既成市街地における制限により工場の流出が顕著になって、地域の活力の低下が今懸念されてきました。そこで、工場立地法を見直し、既存工場の改築の際、生産施設においては現状の面積を維持できるようにするとともに、環境施設等の算定方式を見直す考えはないのか。立地条件の網がかかっているために拡大ができない、改築も思うままにならない。これが川口市の全部でなくて一部にかかっている。一番工場の集積している地域にこの網が、工場等立地の規制に関する法律の網がかかっているために、川口の地場産業の発展に大きな弊害が出ておりますので、もうこの辺で解除してもらえないだろうか、これが地元の要求であり、私どもの考え方でございます。いかがですか。
#144
○黒田(明)政府委員 首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律は国土庁の所管でございますので、それについての有権的な御説明は私どもとしては差し控えたいと存じますが、産業立地政策の観点から申しますと、同法の見直しにつきましてはなお慎重に検討を要するものというふうに考えております。
 工場立地法の見直しにつきましては、これは特定の地域に適用されます地域立法ではございませんで、各地に適用があるわけでございます。委員御質問の生産敷地面積の規制の緩和でございますけれども、これは既存のこういう工場につきまして、いわば建てかえのときにこそ、環境負荷の大きいものについて環境保全の見地から一定の生産敷地面積の制限をしなければ、実際には実効が上がらないわけでございまして、本件についても現在のところは見直すことを考えていない次第でございます。
#145
○小川(新)分科員 余りにつれない御返事で、何だか別れるのがつらくなりますね。政策というものはいつも変わるのですよ。こんなに急速に円高になったことも、これは政治の政策以前の問題として出てきたのです。だれも想像してなかったのですよ。だから私は、川口市に対してももう少し情のある、ただ一つのローカルの問題ではなくて、東京に一番近い、わずかなところですから、忙しい国会の合間に視察をし、その工場に働いている職人や社長を激励してくださることが、渡辺通産大臣の持ち味である政治理念であると深く自覚することをこの席上で言っているのであって、局長が今おっしゃったように、余りにつれない工場規制の緩和の反対はいかがなものかと思う。こういうことを踏まえて、大臣、どうか立派な答弁を期待いたします。
#146
○渡辺国務大臣 非常に専門的なことで私よく勉強してないのですが、首都圏は国土庁の所管で、通産省じゃないらしいのです。ですけれども、御趣旨を踏まえまして、国土庁の方にはよくその旨を伝えておきます。
#147
○小川(新)分科員 ありがとうございました。
#148
○上村主査 これにて小川新一郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、小林進君。
#149
○小林(進)分科員 いや大臣、きのうは大変御立派でした。ああいうふうに頭をきれいに下げるところも大臣の誠意のあらわれで、立派でございましたね。
 ところで、えさ問題について、意地悪に言うんじゃないですよ、あなたと私の仲ですから、素直に聞いてください。えさ問題についてひとつ御質問を申し上げたいのだが、あなたは、野党なんてものはつけるえさもなしにも針だけで魚を釣ろうとするからだめなんだということは、言いかえれば、与党のあなた方はちゃんとえさをつけて魚を釣れるような仕掛けていく、こういうことになるわけなんです。その問題に関連いたしまして……(「余りいじめるなよ」と呼ぶ者あり)いやいや、もう仲がいいのですから大丈夫ですよ。安心して聞いてください。あなたが農水大臣のとき、昭和五十四年の予算編成のときに、あなたがいわゆる最終段階で突然百億円の農林漁業村落振興対策事業というものを計上されて、全国で三百二十の市町村を選んで、そして一市町村当たり約三千万円の補助金を出して、その補助金は道路でもいい、スポーツ施設でもいい、何でもいいや、地域の振興になればよろしいという、こういう大幅なお金をおやりになった。ちょうど選挙の前でしたよ。選挙の前で、これがやはりあなたのおっしゃる、えさつきじゃなければだめだという発言の具体化だと私は思うのでございまして、これを我々の方では利益誘導型というのです。これは通産大臣だけじゃない。自民党の権力者の手のうちだよ。これはみんなおやりになって、そして選挙区の票を釣る、選挙民をだます、こういう政治がずっと続いてきたわけです。いい悪いを言ったって、時間がありませんからね。
 そこで通産大臣に、これはあなたの一番腕の切れるところだから、また今選挙は間近でしょう。参議院選挙がある。特にあなたなど同時選挙はどうだなんて言って、我々の心臓がとまるようなおどかしをかけていらっしゃるものですから、またこの手をおやりになる意向がどうせあるでしょうから、大きな声で言えないならば小さい声でもいいが、この前例に倣って今度はひとつどういうえさを選挙民におつけになるのか、ちょっとお聞かせを願いたいのです。
#150
○渡辺国務大臣 実は農林大臣のときそれをやりまして、それから三年たって大蔵大臣になって決算委員会でつかまりまして、それはもういかぬということになって深く反省をいたしましたから、余りえさはやらないことにいたします。
#151
○小林(進)分科員 おやおや、これは私の期待に反しましたね。やはりこれは野党は野党の政治体質がありますし、与党は与党の政治体質があるのですから、与党はこれで戦後四十年の政治を動かしてきて、そしてみんなやってきたのですから、これをやらないとおっしゃったところで、余り人は信用しない。特にあなたはその手腕はらつ腕をお持ちですから、私はその意味において人に皆話しているんだ。今ニューリーダーが三人いるけれども、四番目がいるんだよ、四番目のリーダーがともするとはね返って一番目に上がるかもしれない。小林先生、四番目ってだれですかと聞いたら、これは渡辺美智雄、今の通産大臣だ、私はあなたのためにそう宣伝を申し上げているぐらいだ。あなたはなかなからつ腕だから、荒っぽいこともおやりになるが。そんなに素面に反省なんておっしゃらずに、今度のえさは何か、ぜひひとつ私に教えていただきたい。これはあなたの総裁選挙につながる道ですからね。余分なことですから、余りしゃべっていると時間がないからやめますけれども、あなたの一年間の資金の徴収力なんか大したものですよ。届け出だけでも四億、五億、我々が跳び上がるような金を集めていらっしゃる。それほどの手腕、力量をお持ちなんですから、どんなえさをお出しになるのか、ちょっとだけ。
#152
○渡辺国務大臣 えさと言われましてもちょっとわからないのですが、予算に載っておるようなことは、これで御賛成いただけば国民のため、地域のためになることがたくさん今度の予算には盛られておる。それ以外のことはできませんので、予算に盛った、国会で承認を受けた範囲の中ということです。
#153
○小林(進)分科員 どうもあなたからこんな平凡な返事をいただくとは思いませんでしたが、じゃ、きょうはこれでやめましょう。やめて、また改めて今度は個々の折衝で話をすることにいたしまして、それでは第二問に移ります。何しろ時間がないものですから。あればゆっくりやるのですが。
 円高、円高といいまして、未曽有の黒字財政になったというのだが、これは本当に数字をお聞かせいただければよろしいのですが、もうけた金が高利率を求めてアメリカにずっと還元しているということですが、高利率を求めてアメリカに流れでいっている日本の資本が、大ざっぱでよろしゅうございますが、どのくらい行っているのでございましょうか。
#154
○福川政府委員 最近、一時よりは少し落ちてまいりましたが、それでも大体月間六十億ドル、七十億ドルぐらいアメリカへ資本流出が行っておると思います。
#155
○小林(進)分科員 それは月ですね。
#156
○福川政府委員 はい、月です。
#157
○小林(進)分科員 それはやはり動くから、年のトータルは出ませんかな。
#158
○福川政府委員 約六百億ドル程度だと思います。
#159
○小林(進)分科員 今大臣の施政方針などここに資料があり、お伺いしたいのですけれども、民間の活性化等を求めて内需を高めるとおっしゃった。これは私は反対する理由はない。おっしゃるとおり、しなくちゃいかぬと思います。特に貿易の格差等を是正したり、国内の円高デフレ等を抑えるためにも、これはさように内需を高めていかなければならないが、その内需を具体的にどう高めるかという問題、それはいろいろありましょう。いろいろありましょうが、その一つの手段といたしまして、年間六百億なり七百億なり流れるというのは、アメリカの金利が高い。八%とか七・五%とかという金利を求めて金が動いていく。内需のために日本国内にその金を活用する手段方法がないものかどうか、大臣は一体どうお考えになっておるのか、ひとつお聞かせください。
#160
○渡辺国務大臣 内需拡大、景気浮揚というと、政府の関与できる範囲というのは大体幾つかに限られるのですね。一つは、いつも言われるのは、公共事業をやれと。そうすると、財源はという話が一つ出てくる。その次は何だ、減税。投資減税をやれ、所得税減税をやれ、減税論議ですね。第三番目の方は金融緩和ですね。今金融はもう緩和しっ放しですから、これも緩和のしようがない。その次は、同じ金融の中で金利を下げるという話ですね。これはまだ余裕があるというようなことで、公定歩合もこの間下げて、そしてまたきょうあたりもそういうふうなことが取りざたされている。これは着々機動的にやっています。
 あとは、政府がじかにやるということになりますと余りない。同じ予算の中で今度は短期的に見ると、要するに執行を早めて、一年の予算を九月までに八割契約してどんどんこなせとか、あるいは住宅や何かでも、減税をしたり、それから手続をもっと緩やかにして国公有地を開放して規制を緩和して、金を貸すから民間で建てるとか、東京湾のように特別なものを一本こしらえる、横断橋をつくるとか、みんな一連の内需拡大策だ、そう思っております。
#161
○小林(進)分科員 大臣のおっしゃった項目は一々ごもっともだと思います。思いますが、その中で特に具体策の一つとして、例えば金融緩和をして大いに貸し付けて民間の活力をやらせるといったところで、民間はやはり借りれば利息を払わなければいけない。問題はそこなんでございまして、減税もいいでしょう。いいが、その策としてひとつ、民間が金を借りて民間活力のために事業をやる、あるいは仕事をする、その利息をいわゆる補助してやる。利息の補充ですよ。
 かつて外航船舶利子補給法という法律がありまして、外航船舶の船をつくるときに船会社が金を借りたときに、とても利息が高い。その利息の何%かを政府の資金で船会社に補助いたしまして、そうしたら利息に対する負担が非常に軽くなるものでありますから、どんどん船をつくっていったという歴史がありました。私が初めて当選したころでしたけれども、それがいわゆる外航船舶利子補給法で、佐藤栄作さんが捕まったり、指揮権発動になって、犬養さんが失脚したりという、あの重大な造船疑獄が起きた根本であったわけでございます。あのときは何千億円か何かで利子補給をやりました。それですよ。
 あなたも大蔵大臣をおやりになったけれども、あれで国が大騒ぎになった。補給を受けた船会社の親方等がいわゆる献金をして、池田さんに幾らやった、佐藤さんに幾らやったとかということが指揮権発動のもとになったわけですが、そういう一つの暗い例があるから、利子補給法はもう御免だ。特に役人などというのは、何しろ石橋たたいても渡らないような頑固な者ばかりいますから、こんなおっかない法律はつくらない方がいいだろう。けれども、今おっしゃるように、アメリカあたりの高金利をねらう金を国内にとどめて今日の内需を活性化するためには、やはりこういう利子補給法だね。国が事業をやれないならば、財政投資できないならば、民間にやらせるつもりなら、幾らかの利子ぐらいは国家財政の中で組んで補給してやって、そして活性化を図ったらいいじゃないか。これは度胸のない大臣にはちょっとできないのですよ。また、役人にはできない。しかし、あなたならやれるのじゃないかと私は思うんだ。どうですか、ひとつ。過去の経験を生かしながらこういう利子補給法の制度をおやりになる気持ちがあるかどうか。
#162
○渡辺国務大臣 民間活力を使うということは、民間の力でやってもらう。だから、金利を下げるということはいいのですよ。高いものを下げるということは非常にやりやすくなるということですから、そういう方向で金利を下げていただく。公定歩合が下がったら預金金利も下がるし、一般の貸出金利も下がる、やりやすくなるということが一つですよ。ただ、漫然と民間の活力に政府がみんな利子補給するということは、これはできないと私は思いますがね。しかしながら、電灯会社とか何かに仕事をもっとやらせろとか、そういうようなことはやり方次第である。ですから、そういうようなことはまたやる手はあると私は思いますね。
#163
○小林(進)分科員 この問題は議論するあれじゃありませんから、そんな例も過去にあったということだけはひとつ御記憶いただきまして、何かの場合にチェックしていただきたいと思います。
 それから、もう少しで時間が尽きますから余り長話もしていられないんだが、今の電力業界の利益の問題でございますが、これを御質問しようと思ったら、二、三日前にテレビを見ていたら、六十一年度の差益が一兆円にも達しているから、そのうちの半分の五千億円は国民に還元をする。私は本当は還元論者じゃなかった。個々の家庭に還元したところで、一戸にしては、これは過去に例がありましたよ。二百七十円ばかりですかね、五十三年ですか、五十四年ごろにあった。一戸に二百三十円か七十円もらったって子供のキャラメル代にもならないような、こんなのはばかばかしい話だからやめた方がよろしい。それよりは環境整備、公共事業あるいは電力業界の長期展望に立った基礎づくりとか、そういう方にやればいいじゃないかというふうに考えておりまして、そんなことで質問しようと思ったら、テレビを見たら半分の五千億円は還元する。えっ、そうですか。そうするとこいつは違ったかな。一戸二百円ぐらいになるのを還元する、残った五千億円のうちの半分は税金で国が吸い上げて、あとの二千五百億円は電力施設の改造に回すんだということを言っておりましたよ。このごろはマスコミもテレビもうそばかり言いますからな、本当に困りますけれども、あれはうそですか。ちょっと聞かしてください。
#164
○渡辺国務大臣 それがどこに書いてあったかみんなに質問されるのですが、私、通産大臣は知らないのですよ。エネルギー庁長官も知らぬはずだ。
#165
○小林(進)分科員 こういうデマを飛ばされるから我々の質問が狂ってしまうのですよ。それじゃ、ひとつデマということにします。
 私はさしあたり、世界も歩きまして、日本の国の環境を悪化させ、都市の美化を損なっているのは電柱なんですよ。それとまた、交通の邪魔にもなる。時には電柱が折れたりなんかして電線が切れて、それにさわって不慮の災難で一瞬にして死んだなどという事故も起きて、大変なんだ。できたら私は、電灯会社に電柱撤去の仕事をやらしたらいいなと思っていたら、これもまた、本会議でそこはかとなくしゃべるのを聞いていたら、租税特別措置法の一部を改正する法律か何か目の前にちらついて、ここへ出たら、電柱一六%ばかり何とか特別償却制度でやろうなんというのを見まして、たった一六%、けちくさいけれども、やらないよりはいい。(渡辺国務大臣「三〇」と呼ぶ)三〇。それにまた基礎償却がつきますから、二つ足せば三十何%になりましょう。これもけちくさいと思った。大体、お役人の頭で考えることはかたいですからね、余りいい知恵は出ないんだ。
 そこで、それは電信電話もあります。山ほどありますが、これはまた続いてやらせるとして、今電灯会社だけに関連して、表に出ている電柱を全部地下へ入れさせるためには、一体どれくらいの費用がかかるのですか。
#166
○野々内政府委員 計算の仕方によりますが、もしすべてやりますと、二百兆円ぐらいかかるのではないかと思います。大体、一キロメートル当たり三億から五億、平均四億ぐらいかかっておるということでございまして、従来、年間に二十キロメートルほどやっておりましたが、今度加速して年間百キロぐらいのスピードに上げよう、今回はできるだけもっとスピードを上げようかというふうに考えておりますが、百キロメートルとしましても、四百億ぐらいのお金がかかるかと思っております。
#167
○小林(進)分科員 かかるものですね。しかし大臣、これもあなたの度胸で、差益が六十一年度で大体一兆というのですけれども、これはまた将来伸びていくかもしれませんし、わからぬが、思い切って電信柱だけでもさっと処置してもらえないかな。渡辺通産大臣の歴史に残る事業になりますよ。これをお願いしておきたいし、同時に、他の電信電話も全部、これは我が日本の本当に恥部ですよ。恥ずかしい、こんなところにのこのこ突っ立っているなんということは。これはひとつやっていただきたい。
 それからガス会社、これは電柱があるわけじゃありませんけれども、やはり危険度がだんだんふえてきまして、我が家の茅屋までも、私みたいな、感覚の悪いのも何かちょっとガスのにおいがするからというので来てもらったら、やはりいつの間にやら壁の中から漏れているということがあった。ガスは今何かやっているようですな。五年か十年に一回ずつ回って検査するようにやっておりますけれども、こういうガスの安全対策等も、今原料が下がっておるときに思い切った大臣命令でやっていただきたい、これをお願いいたしておきたいと思うのでございます。これはおやりになりますか、電灯とガスの問題は。
#168
○野々内政府委員 今回、ガス業界に三年間一千億円の追加投資を要請いたしましたが、その中の七百五十億円につきましては、年をとって傷んできた導管を取りかえる、あるいは特に需要家の保安対策を中心に使いたいと考えております。
#169
○渡辺国務大臣 電柱地中化の問題等も、予定しておるものもあるのですが、小林さんの言うのは正論で、ますます磨きがかかって本当にすばらしい卓見だ。しかし、賛成する人がいなければ困るわけで、社会党の中でそういう意見を強めていただけば我々は大いに尊重して極力――二百兆も、そんな全部できないよ。けれども、今の予定よりふやしていくということは十分に考えていいと私は思う。
#170
○小林(進)分科員 社会党だって連合政権みたいなもので、あちこちから雑音が入っているからなかなか意見が一致するというわけにはいかない。けれども、私が大きな声を出せば、そんなにやかましいことはあなたのところへ言っていきませんよ。言っていきませんから、あなたも確信を持って、かつてあなたが農水大臣のときに私も農業問題でお話しに行った、あなたが厚生大臣のときにも薬の問題で意気投合したということで、その後余り問題なかったはずですから、私を信用して大いにやってください。
 それで、いささか話がみみっちくなって陳情みたいになって申しわけないのですけれども、円高・ドル安で我が地域産業は参っているわけですよ。例を挙げれば、燕の洋食器だとか三条の金物、栃尾、見附の繊維というぐあいに軒並み倒れているので、それぞれの自治体の長はやれ民間活力だ、救済だとかいろいろ手を打っています。抽象論はいいですが、こういうことに対して具体的にどうするかということを、もしあったらお聞かせ願いたいと思います。
#171
○木下(博)政府委員 今お話しの三つの業種は、いずれも先月通りました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の対象業種に指定させていただいております。それによりまして、信用保証粋の拡大とか税制上の優遇措置がいろいろできるわけでございますが、中小企業金融公庫等から低利融資をします利子補給の予算は今度の国会の予算に出させていただいておりますので、そういうもので五・五%の低利融資を影響を受けた方々にもやっていくということを考えておるわけでございます。
#172
○小林(進)分科員 中小企業というのはなかなかひがみもありますから、そういう利子補給も結構、具体的な指導もよろしい、大いにやっていただくと同時に、温かい気持ちで接してやってくださいよ。彼らはわらをもつかみたい気持ちでいるのですから、通産大臣、そういうあなたの温かい血の通った気持ちを冷たい官僚ともにもよく注入して、温かい政治が末端までしみ込むようにしていただきたい。政治というのは温かさですよ、大臣。温かさがなければだめなので、これはお願いしておきます。
 これはまた大きな問題になりますけれども、さっき繊維も申し上げましたが、繊維なんか韓国、香港、シンガポール等に押されて日本は立つ目がないですよ。養蚕だって、何をばたばたしてみたところで、先の見通しはついておりますよ。かつてイギリスのランカシャーの繊維を日本が追いまくったように、今、日本が追いまくられている。歴史はめぐるです。アメリカに行っても、日本の繊維がどうなんという話は一つも出てきません。アメリカが今必死になって叫んでいるのは韓国だとかシンガポール、それは大臣がよく御存じでしょう。ただ、日本がこれから繊維と同じような運命に陥っていくのは鉄であり、自動車ではないか。鉄は未曽有の不況でございますけれども、韓国なんかの製鉄は大変なものですよ、私も見てきましたけれども。中国だって宝山製鉄所。日本に追いつくには何十年かかるかわかりませんけれども、だんだん鉄が追い込まれてきたという現状です。
 その中で、私が大臣にお聞きしたいのは自動車なんです。韓国の自動車が今カナダに行って、これはマスコミの報道ですから本当かうそかわかりませんけれども、マスコミの報道では、性能はどうかわかりませんけれども、カナダでは価格の面において日本の自動車を追いまくった、カナダでは負けた。今、これがアメリカへ進出を計画しているのですか。現代自動車、三星工業という二つの大きな財閥が死闘、苦闘して日本の自動車を追い越そうということでやっているというのだが、その現代自動車がアメリカ市場においてどういうふうに化けてくるという見通しなのか、あわせて日本の自動車工業の前途などをお聞かせ願いたい。
#173
○杉山(弘)政府委員 ただいま御質問のございました韓国の現代自動車の対米進出でございますが、この二月から始まりました。初年度は十万台売りたいという計画のようでございます。アメリカ進出に先立ちまして既にカナダで販売をいたしておりますが、昨年の販売実績が約八万台でございまして、これはトップのシェア、日本の本田はその次になっております。値段も、アメリカで売る車種については、対抗する日本の車種と比べて七、八百ドル安いということでございます。
 技術的には、日本の三菱自動車が技術提携、部品供給等をやりましてつくった車ではございます。カナダでの例その他から見ますと、かなり手ごわい日本車の競争相手になってくるということは十分予想できるわけでございまして、先生今御指摘のようなことでございます。
 将来のことを考えますと、日本の自動車業界も、この追い上げその他について、この際もう一度十分気持ちを引き締めて、技術開発その他に力を入れていくべきではないかと考えております。
#174
○小林(進)分科員 時間が来まして残念ですけれども、七、八百ドル。七百ドルだって十四、五万円になりますね、今の相場でも。大変な開きですよ。
 僕は目を皿のようにして見るのですけれども、性能の部分は聞かないのです。性能がどうか。日本のトヨタとか日産とか、そういうものから見てどうかと思うのです。日本の技術も相当向こうへ持っていっておりますから、性能の点はどうですか。
#175
○杉山(弘)政府委員 性能につきましては、まだ日本での使用の実績がございませんので、日本での客観的なデータというのは出ておりませんけれども、カナダではかなり売れているようなことでもございますし、性能それ自身についてそんなに彼我の懸隔があるということではないと思います。
#176
○小林(進)分科員 大臣、質問は山ほどあるけれども、いかんせん時間がないのでこれで終わりにいたしますけれども、私は、何もここで弁論大会をやっているわけじゃないのですよ。言ったことは実行してもらいたい。事実の上に、行動のために私どもはやっているのでございますから、どうかひとつ私の質問も余り粗末に扱わないで、これはひとつ事実を行動でお示し願うように、今度は具体的に、大臣のところへ参りますからその実績を私にお聞かせくださるように、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、これをもって終わります。どうもありがとうございました。
#177
○上村主査 これにて小林進君の質疑は終了いたしました。
 次に、中野寛成君。
#178
○中野分科員 今質疑応答がございましたけれども、電力、ガス等の差益還元の問題等を中心にして私も若干お尋ねをいたしたいと思います。とりわけ電力、ガスの現場で働いている労働者の皆さんの声もまた大事だと思いますし、私といたしましては、きょうはそういう方々の気持ちを若干代弁させていただきながら、そういう方の立場からの質問をさせていただきたいと思います。
 今大きな利益がそういう電力、ガスを中心にして上がろうとしているわけでありますが、その利益にも大別して三つあるような気がするんですね。これは企業努力、その企業努力の中には当然、労働者の皆さんの努力もあります。それからもう一つ円高差益、そして原油価格の差益、こういうことになるのではないかと思うわけであります。
 そこで、この労働者の皆さんも、この円高差益等につきましては、これは国内外の政治経済上の問題から派生したものであるから、当然還元されるべきであろうということははっきりとおっしゃっているわけです。しかしながら、自分たちが今日まで営々として努力してきたその努力に対しても、それなりの評価があってしかるべきではないか、こういう考え方があります。例えば今日までの長い間のこの労使関係、良好な労使関係というのは、私は今日を迎えるに当たって大きく寄与しているというふうに思います。原発一つとりましても、やはりそこで働いている人たちの理解と協力がなければできない。同時にまた、その原発が建設をされることによって石油の利用量が少なくて済む。それがひいては、石油、原油価格の引き下げにもまた影響を与えるというふうなことがあったと言えるのではないだろうかと思うわけであります。こういう考え方につきまして、基本的な大臣の御所見をお聞きをしたいと思います。
#179
○野々内政府委員 御指摘のように、電力会社の収益要因には大きく分けて二つあろうかと思います。一つは、為替レートの円高とかあるいは原油価格の値下がりというような外部要因というもの、それから今、先生御指摘になりましたような企業努力と申しましょうか、労使による努力、あるいはその中には、原発の稼働率の向上とかいろいろな問題がございますが、そういう内部要因、二つあろうかというふうに考えておりまして、今回問題になっておりますのは、そのうちの外部要因である円高と原油価格の問題、このあたりが特に問題になっているのではないかというふうに考えておりますので、私どもも今回の検討対象としては、この為替レート、原油価格の問題に焦点を合わせて考えてみたい、こういうふうに思っております。
#180
○渡辺国務大臣 まあ同様であります。
#181
○中野分科員 その企業努力とか労使協調、そういう今日までの業界における経営体質、労働関係、そういうものについて、どういう評価をなさっておられますかということの質問でございます。
#182
○渡辺国務大臣 円高とか石油の値下がりというのは、努力によってできたものではございませんので、私はやはり合理化とか近代化とかいうことは一層進めてください、それから電力会社等だけが、自分たちだけがもうかったからといって私的なことをやることは、これは認められませんということだけの話であります。
#183
○中野分科員 私も最初から分けて質問しているのです。円高差益を企業努力でどうこうと言おうとは思っていないのです。それは外部要因と内部要因とあるでしょう。その内部要因もこの際、やはり同時に忘れてはいけないことですね。その内部要因について、例えば電力で働いている人たちが、わしらそんな危険なものほかなわぬと言って原発反対、こうやったら今日、日本のエネルギー政策の中で果たしている原発の役割というのは大きいわけですね、そういう人たちの協力、理解、努力というものも相まって今日を迎えているのではありませんか。その内部要因についての評価をどうお考えですか、こう聞いている。ごちゃまぜにしないで、私はセパレートにしてお聞きをしているわけです。
#184
○渡辺国務大臣 内部要因について、利潤が上がる、生産性が上がったというようなものの配分は、それは労使間の話し合いで適当におやりをいただきたい。政府の関与するところではありません。
#185
○中野分科員 政府が一々口出しすることでもありませんし、関与することでもありません。しかし幸いにも、そういう環境があったことが今日の安定した電力供給、エネルギー供給に寄与しているということについての評価というものはあるだろうと思うのです。
#186
○渡辺国務大臣 それは当然あると思います。
#187
○中野分科員 結局、国鉄と同じ憂き目を見なかったということ、それはやはりそういう要因が大きかったのではないかということを申し上げているわけでありますが、そういう意味で、例えば円高差益と原油差益を同一視して考えるということはどうであろうかという考え方が一つあるわけです。確かに原油も外的要因の方が高い、圧倒的に大きいかもしれません。しかしまた、内部努力がそこに与えた影響もあることは事実であります。それはお認めになりませんか。
#188
○野々内政府委員 円高につきましては、これはもう企業とは全く関係がない動きだろうと思います。それから原油につきましては、一般的な国際情勢というのは、大半は企業には関係がございませんが、しかし、利用者側において石油を節約し、代替エネルギーを使う、そういう努力をしたり、あるいは安い油を購入するための努力をしたりということで、もちろん企業努力も若干関係をすることは事実であろうかと思っておりますが、今回私どもといたしましては、動きに差はございますが、両方に今大きな利益が発生をしているという意味で、同時にまとめて考えていいのではないかというふうに思っております。
#189
○中野分科員 時期的に同じであるということも事実ですし、そしてまた、原油価格に円高が影響を与えていることも事実であります。ですからそれはそれとして、それこそ計算ではっきり出てくることですから、それはそれでおっしゃるような考え方、これは私もそうですし、電力で働いている人たちも同じ考え方でございますかも、それはそれでいいのであります。しかし同時に、内部で努力したこともまた評価をしていただきたいという働く人たちの率直な気持ちであります。そのことをひとつぜひ御認識をいただきたいものというふうに思うわけであります。
 そこで、この還元をすることにはもちろん賛成なわけでありますから、還元のことについては後ほどお聞きしたいと思いますが、その還元と同時に、一方でこの際、その経営内容だとか、そしてまた、先ほどのケーブルの地下埋設の問題だとかいろいろやらなければいけないこともあるだろうと思うわけであります、還元とは別に。それはひいては、もちろん国民に還元することにつながるのですけれども、例えば設備投資、経営体質の改善、労働条件、労働環境の見直し、そしてまた料金制度の弾力化、こういうふうなこと等々につきましてこういう機会に考えてみる。先ほど大臣がおっしゃられたように、もっともっと努力しなければいかぬことがまだまだ内部にあるはずだ、それもそのとおりです。そういうことも含めて、金があるときでないとできないというものは果たしてないだろうか、これらについてはどうお考えでしょうか。
#190
○野々内政府委員 先生御指摘の中には、いろいろな問題が含まれておりますので、円高あるいは石油価格の下落そのものと直ちに結びつけることができるかどうかという点、なかなか難しい問題があろうかと思っております。ただ、例えば設備投資について、現在余裕があるときにできるだけやろうとか、できることもあろうかと思っておりますので、今後差益問題全体の中でそういうものの扱いを検討していきたいと思っております。
 ただ、今回の差益によりまして、労働条件ですとか、あるいは経営体質というものについてどの程度関係をつけられるかということになりますと、私はまたちょっと別の問題が出るのではないかと思います。むしろそういう問題につきましては、電力のコスト全体、例えば資本費の増加とかいろいろな問題があると思いますので、電力のコスト全体と電力の収入全体、そういうものを見比べまして、全体的な検討の中で考えるべきものも含まれているというふうに思われますので、今回の差益問題の中で今、先生御指摘のすべてを考えるというのは、少し無理があるかというふうに思っておりますが、その辺、これから勉強させていただきたいと思います。
#191
○中野分科員 私はできるだけ整理をして聞いているつもりなんですよ、整理の仕方は悪いかもしれませんけれども。例えばそういう問題全体をこの差益で見るのはどうかと思いますって、御答弁が極論に走ってしまうのですよ。そうではなくて、こういう機会にそういうことも包括的に踏まえて検討をしてみる必要はありませんかということを申し上げているのであって、そういうことを差益でこの際全部穴埋めしたらどうかなどということは、さっきから質問の中で一言も触れてないはずなんです。きょうの質問は全体的にそういうことですから、分けてお答えをいただきたいと思います。
 例えば、これから一千億ですか、そしてまた今度は、六十三年までの間に一兆円、そういう設備投資の問題とか、いろいろ話が出ております。いずれにいたしましても、その金額がどうなるかは別にいたしまして、言うならばこれは労働者側からすれば、仕事の量がふえることであります。ちなみに、戦後の四十年間で比較をいたしますと、いろいろな要件が変わってしまっておりますから、四十八年度と五十九年度とを比較してみたいと思います。そういたしますと、従業員の数が四十八年度で十二万九千九百二十九人、五十九年度は十三万六千四百十三人、ふえ方は一〇五%になっている、こういうことですね。一方、販売電力量でいきますと、億キロワット時でいきますと、三千三百五十六が五千八、一四九%になっているわけであります。また、電気事業の内容でいきますと、もう単位を省略していきますが、電源設備につきましては一七九%にふえている、その中身も、石油が四十八年度は五九%だったのが三四%になり、原子力が三%であったのが一四%にふえている。発電電力量も、石油七一%に原子力三%であったのが、今や石油三一%、原子力二三%にふえているわけですね。トータルいたしまして、これは一四八%にふえているわけであります。言うならば、従業員の数というのはほとんど変わっていないのに、その中身たるや膨大なふえ方をしているわけであります。
 もちろん、外注だとか、経営の中身を変えていることも事実です。事実ですけれども、この十年間でそう極端に変わっているわけではありません。こういうことをいたしますと、従業員の労働量、質、トータルいたしますと、随分それは圧縮されてふえている、責任も重くなっている、こういうことであろうと思うわけであります。こういうことに対して何らかの報いがあってしかるべきではないか。今電力労働者が他の労働者に比べて悪いと言っているのではありません。しかし、その業績、努力に報いる方法、道というものはないのか。
 例えばですよ、大変経済状態が厳しい、円安だ、また逆に石油が高いというときには、こういう環境だから労働者は辛抱しなさい。今度は、今のように円高だ、それ石油のコストが安いというときには、国民へ還元しなさい、消費者へ還元しなさいという声が圧倒的に強い。そういう状態であるから、誤解されてはいかぬから辛抱しなさい、こうなるわけですね。結局、そこで働いている人たちの熱意、工夫、努力、そしてまた原発等に対する理解、協力、こういうふうなことを国民全体がなかなかわかるものではありませんけれども、せめて通産省、通産大臣あたりは、もっと大いに理解していただく必要があるのではないだろうか、そこが第一歩ではないか、こう思って最初の質問をいたしたわけであります。いかがですか。
#192
○渡辺国務大臣 よくわかりました。しかしながら、これは労使の問題でございますから、通産省がそれに容喙をするというようなことは考えておりません。
#193
○中野分科員 別に容喙をしてくれと言っているわけではないのです。よく頑張ってくれたという評価くらいはしてもいいでしょう、こういうことを言っているわけであります。 そこで、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、他の産業に比較して、例えば脆弱な経営体質というものがありはしないか。これにつきましては、料金の長期安定ということも、これは外的要因が絡んでまいりますけれども、しかしそれだけに当然考えなければいけないことであります。それから、健全な労使関係で今日の電気事業を築いてきた従業員への適正な処遇ということで、これは賃上げとかなんとかということを短絡的に言っているのではありません。人的資産をより高い質で、そしてそれを確保していく。そこで働いている人たちの勤労意欲を喪失させるようなことがないように、職場のモラールがそれによって低下をするようなことがないようにということは、これは一つの資産であります。人的資産でありますから、そういうことについての配慮は、先ほど来幾たびか企業内部の問題、単なる労使関係としての御答弁でありましたけれども、しかし、これは総合的なエネルギー政策の本当はハードの部分ではない。ソフトの部分での大事な要因ではないでしょうか。そう考えますときに、むしろ今のような御答弁ではない御答弁があってしかるべきではないかと思いますが、いかがですか。
#194
○野々内政府委員 お話を承っておりまして、だんだんわかってまいったわけでございますが、大変ごもっともなお話であろうかと思います。
 まず、例えば経営体質ですと、自己資本比率が一五%程度でございまして、このまままいりますと多分、十年後には一〇%まで下がるであろうというふうに思います。一般産業ではほぼ三割近い自己資本比率を持っております。そういうふうに今後、経営体質を強化すべき点は多くあろうかと思っております。
 また、従業員につきましても、例えば日本の原子力発電所の稼働率が既に七割を突破するというようなことが国際的にも非常に高い水準でございますが、原子力発電所の管理を見てみますと、非常に退屈なただ見るというだけ、しかも一瞬も気を抜けないという非常に難しいことを従業員の方がやっていただいているということで、私どもも実は電力会社に対しまして、従業員の精神的な面、あるいは緊張が余りにも持続することによる事故というものがないかどうか、勤務条件というものについて十分注意をするように常時指示をいたしておりますし、私もできるだけそういう話を経営者の方にもお願いをするというふうにいたしておりまして、そういうことと相まって、企業体質なり従業員の勤労意欲を高めることによって、日本のエネルギーの安定的な供給というものに努力をしていきたいというふうに考えております。
#195
○中野分科員 ぜひそうお願いをいたしたいと思います。
 念のためにここでお聞きしたいと思いますが、働いている人たちも差益還元に対する考え方として、恐らく通産省とほとんど同じだと思いますが、基本原則として、その一つ目は、差益は利用者に還元をする。二つ目には、コスト主義、受益者負担という筋を通していただきたい。そして三つ目は、国民経済の活性化に寄与する方策に活用をしていただきたい。逆に言えば、この三つに絞っていただきたいという気持ちを強く披瀝されておられたわけでありますが、このことについてのお考えは変わりませんか。
#196
○渡辺国務大臣 いろいろな人の意見を聞いた上で決定をしたいと思います。十分に参考にさせていただきます。
#197
○中野分科員 今までの通産省の姿勢、また大臣の折に触れての御発言は、私の今申し上げた三つにおおよそ絞られているかというふうに思っておりますが、おおよそ変わりませんか。
#198
○渡辺国務大臣 まだ決まったわけじゃないのですよ。そういう意見もあるし、いろいろな皆さんの意見を聞いた上で、そのために、懇談会等を設けまして、学識経験者の方に集まってやってもらっておるのですから、そういう人の意見も聞かないうちに私がこうだということを断定的に言ってしまうということは、大変失礼に当たりますものですから、そういう方の御意見や従業員の方の御意見、国会での議論、そういうものを十分聞いた上で最終的には判断をしていきたい。大体方向としてはそう違っていないと私は思っています。
#199
○中野分科員 今懇談会の話が出ました。何か電力、ガス差益問題の懇談会というものが発足して、その話し合いが始まったようでございますが、お聞きしますと、大体今月中ぐらいにおおよその方針をお決めになる――決めるというか、答申をされるということのように聞いておりますが、その方向づけや時期等について、可能な範囲でお答えをいただきたいと思います。
#200
○野々内政府委員 今月いっぱいに大体四回ぐらい会合をお願いをしたいと思っております。一回目は月曜日に行いまして、ここで最近の問題点につきまして当方から御説明をいたしました。来週第二回目を開きまして、ここで需要家、各方面からのこの問題についての御意見を伺いたいと思っております。あと二回程度懇談会で議論をいたしまして、問題点の整理をし、私どもに御報告をいただきたいというぐあいに考えております。
#201
○中野分科員 その際にいろいろな考え方が出てくるのでしょうが、もう一つ、ちょっと話がもとに戻るようですけれども、円高差益と原油差益につきまして、同一レベルでその差益額を試算されるのは何とも納得いかないという労働者の皆さんの考え方があるのですね。これはエネルギー庁としてはどういうお考えですか。時期的には、ちょうど時期を同じくしてその問題が起こっております。そして、どちらも外的要因であることは事実ですが、しかし同じ外的要因といえども、原油差益については円高差益と全く同じということではないのではないか、レベルの違いが、質の違いがあるのではないかという考え方についてはどうお考えですか。
#202
○野々内政府委員 確かに御指摘のように、現在の石油の値下がりというのは、需要国におきます省エネルギーあるいは代替エネルギーの導入、特に電力はそれが中心でございますが、そういういろいろな努力というものと産油国の動きが相まってでき上がったものでございますので、為替レートの動きと同じというわけにはまいらないかと思っておりますし、またそれの電力への影響も、程度並びに時期にかなりずれがあるというふうに思っております。ただ、たまたま同じような時期に発生をして差益問題として取り扱われているので、事実上同様に扱うということかと思っております。
#203
○中野分科員 その内容の違い、時期的に同じ時期であるということで、それを結果として合算したりということはあってもしかるべきかもしれませんが、その内容の違い、質の違いについては、十分認識の中でその違いを明確にして、そして、先ほど来私がお願いをいたしました幾つかのことについての配慮がその中で加えられることを希望しておきたいと思います。
 さて、長期的なこと等を考えますときに、料金制度について、料金のひずみを直すという表現をされていると思いますが、この弾力化についてはいろいろと工夫をされてしかるべきではないか、そういう時期を迎えているのではないかという考え方があります。電気事業審議会等で御検討いただくということの方向が必要だということでございますけれども、この電気また電力料金制度の弾力化についてどうお考えですか。
#204
○野々内政府委員 弾力化という場合に二つの意味があろうかと思います。一つは、余り固定的に考えないでそのときどきの情勢によって比較的弾力的に変動させるという扱い方と、もう一つは、例えば季節料金というように、いろいろ需要のあり方によって基本料金から離れた扱いをするという、二つあろうかと思っております。
 第一の点については、電気料金はできるだけ長く安定した方がいいというふうには考えておりますが、現在のように非常に大きな要因の変化があるときには、一年ぐらいの見通しのもとに調整をすることもあり得るかと思っております。それから第二点については、電気事業審議会の中でもいろいろな議論もございまして、例えば時間帯、季節によって料金を変えることによって、負荷調整をより容易にしてはどうかという意見もございますので、これについては引き続き現在検討をいたしております。
#205
○中野分科員 日本のエネルギー事情は今こういったまたまうまい話がありますが、しかしそれでも先進諸国に比べて、その中で電力料金が安い方とは言えない、やはり圧倒的に高いわけですね。そのことによっていろいろ困難な事情もそれぞれの産業界では引き起こしているわけでありますから、これからもなお一層努力をしていく必要があるだろう。料金問題もある意味では、その一環ということが言えると思います。そういう長期的展望に立ち、かつ日本の電力の置かれている厳しい条件、そういうことも考え合わせて、なお一層研究、努力が活発に行われなければならないと思うわけでありまして、その基本的な考え方について、最後にお聞きをいたしたいと思います。
#206
○野々内政府委員 電力は、日本の二次エネルギーの四〇%を占める非常に重要なエネルギーでございますし、今後もその利用率はむしろ増大をすると考えております。御指摘のように、特に最近円高になってまいりましたので、外国に比べて高いという点もございますので、今後ともできるだけ安定的にかつ安い電力が需要家に供給できるように、長期的な観点から努力をし、指導をしてまいりたいと思っております。
#207
○中野分科員 終わります。ありがとうございました。
#208
○上村主査 これにて中野寛成君の質疑は終了いたしました。
 次に、簑輪幸代君。
#209
○簑輪分科員 昨年九月のG5合意に基づいて、アメリカと日本の介入によって円高がつくられ、その結果中小企業、特に産地は大変深刻な事態に見舞われております。私ども岐阜県でも、関の刃物、多治見の陶磁器などの産地を抱えております。市当局や業界の方々に私も直接会っていろいろなお話を伺ってまいりました。特にこの春のバイヤーシーズンを迎えて、一段と円高が進んでおりまして、それが生きるか死ぬかの瀬戸際にあるという認識に立っているわけです。ところが、こうした深刻な状況にもかかわらず、政府の緊急対策というのは非常に不十分ではないかと私は思うわけです。
 そこで、まず最初に大臣にお伺いいたしますけれども、この問題に対して大臣は基本的にどうお考えになっておられるか。長いこと地域住民の努力によってはぐくまれてきたこうした産地を今後ますます発展させていくのか、それとも、まあこの際こういう事態だからいたし方なしというふうに考えるのか、その辺のところ、この産地、地場産業というものを大臣はどのように受けとめておられるのか、お伺いしたいと思います。
#210
○渡辺国務大臣 それは気持ちとしては、いつまでも発展させてさしあげたいというのが、気持ちはそういう気持ちです。
#211
○簑輪分科員 発展させてさしあげたいが、何かありそうな感じがうかがえるのですけれども、気持ちとしてはということでなく、政治のあり方として、この産地は日本の重要な産業として守り発展させるべきであるという基本認識に立っているというような御認識を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#212
○渡辺国務大臣 産業というのは、みんな消費者との関係が断ち切れないわけですね。ですから、時代が変わりますと時代の変遷に従って、産業というのはどうしたって、もう昔からやっているのだからそのとおり一〇〇%やりたい、やらしてさしあげたい、そう思っても、やはり需要が減ればそれにつれて変わるということがあるわけですよ。
 問題は、日本がこれだけの国際国家になって、それで輸出というようなものをやってきた。ところが、日本の実勢というものが円に反映をして、円が強くなるということがあるわけですね。それが自然な姿なんです。しかしながら、これが急激に強過ぎたということもあって、ついていけないというようなことがありますから、既に御承知のとおり、予算面や金融面で政府はいろいろ手だてを講じているわけです。しかし、それでもなかなかやっていけないという場合には、他の業種に転換をした方が自分たちにとっても将来はいい、今のままでいるよりもその方がやっていけるという場合もあるわけですな。これは企業によって違いますから、いや、我々はこのままでもいけるという人もある。それは私の企業ですから、企業の皆さん方の自主的判断にお任せするということになっております。しかし我々としては、やっていく人にも転換する人にもできるだけのお手伝いはしていかなきゃならぬ、そういう気持ちでございます。
#213
○簑輪分科員 旧態依然たる経営とか事業とかいうことではございませんで、新しい時代に即応した地場産業の発展というのは当然のことだろうというふうに思うのですね。
 具体的にお伺いしていきたいと思いますけれども、こういう緊急事態を迎えまして、国際経済調整対策等特別貸付制度というものが設けられました。実は岐阜県では、県単で既に昨年来、五%の緊急融資制度を実施しております。関市の調査によりますと、円高融資の利用状況は二月二十二日現在で、申込受け付け状況が、市の制度百四十一件、六億三千八百六十万円、県制度五十八件、五億七千八百万円、合計百九十九件で、十二億一千六百六十万円ということになっているわけです。国の制度の方を見ますと、五件、六千万にとどまっております。やはり国のは五・五%ということで金利が高いし、利用者が少ないという状況にあります。関市の当局としては可能な限り対策を立てているんだけれども、もっともっと国の金利をぜひ下げてもらいたいということが非常に強い要望となっております。
 私は、激甚災の被害者融資とかあるいは五十一、二年の二百海里の漁業水域制定の関連融資などでは、三%という金利が設けられたわけですので、せめてこの急激な円高による緊急融資は、これと同じように三%に引き下げるべきではないかと考えておりますけれども、大臣のぜひ前向きな御答弁をいただきたいと思います。
#214
○木下(博)政府委員 緊急経営安定対策のための融資金利は、先生御指摘のように五・五%で実施しておるわけでございますが、これは国の財政投融資の資金を使った融資でございますので、財政投融資の金利よりも低い金利で出し、それに対しては国から補助を出すという形で運用させていただいているわけでございます。それで、現在の財政投融資資金を使った各種の金融の中では、異例とも言えるほど低い金利でございまして、住宅金融公庫の低利融資の金利と同水準というような形でやらせていただいているということでございまして、私どもとしては、現在の水準が精いっぱいやっているところだというふうにお考えいただきたいと思います。
 それで、県や市の単位の融資の場合には、確かにおっしゃるように低い金利で融資しているところもございますが、ただ、私どもの方の中小企業金融公庫等で貸し出しております融資の場合には、貸出期間が非常に長いわけでございまして、そういう期間等も考えていただいて、まあできるだけのところをやっているということで御了解いただきたいと思います。
#215
○簑輪分科員 この二月二十八日から長期プライムレートが〇・三%引き下げられました。このため、住宅ローンの金利も一斉に引き下げられるわけですけれども、政府関係金融機関の基準金利は長期プライムレートに連動しています。長期プライムレートが引き下げられたという状況で、五・五%をそのままというのはおかしな話で、やはり長期プライムレートの引き下げに伴ってこの五・五%の金利も直ちに引き下げられるべきではないかというふうに思いますので、そういう点も勘案して、引き下げの方向への検討、御努力というものをぜひお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#216
○木下(博)政府委員 確かにおっしゃいましたようにO・三%、長期プライムレートは引き下げられておりますが、引き下げられた水準が六・九%ということでございまして、それよりも五・五%の貸し付けは一・四%低い水準になっておるわけでございます。
 政府関係金融機関から貸し出します金利は、それを基準金利といたしまして、特別の公害対策とかいうような対策に貸し出します金利をそれより安くはしておりますけれども、一番安いものでも通常の場合には六・三%ということでございまして、それよりも〇・八%低いということで、やはり相当異例の低利の融資だというふうに御了解いただきたいと思う次第でございます。
#217
○簑輪分科員 低利の融資の御努力をいただいているということは私も承知しておりますが、あえてさらに低利の融資に、願わくは三%にということでの御検討やら方向性を見出したいと思ってあえて質問しておりますので、大臣の御見解を重ねてお伺いしたいと思います。
#218
○渡辺国務大臣 これは三%というのは、ちょっと私も考えられないのですがね。しかしながら、予算に影響が出ない、それで財投金利も下がるというような状態になってくれば、そのときにまた考えるということで、今のところは長官の答弁にとどめたいと思います。
#219
○簑輪分科員 今の御答弁のように、状況の変化に応じてさらに金利の引き下げも考えるというふうに伺いましたけれども、それでよろしいでしょうか。
#220
○渡辺国務大臣 それはあなたがどういうふうにとりましても、私の言ったのは前に言ったことでございますから、おとりになる方は御自由であります。
#221
○簑輪分科員 私は今申し上げたように、本当に地域、地場産業の中小業者の皆さん方の深刻な事態を踏まえて、そういう点での大臣の積極的な取り組みを重ねて御要望申し上げておきたいというふうに思います。
 下請業者の皆さん方のお話をお伺いしますと、金融のお話の中では、特に既往借り入れの返済猶予の要求というのが大変強く出されてきております。そこで、政府関係金融機関の中で、中小企業からのいろんな要望を聞きながら対策を立てるということにはなっておるようですけれども、こういう事態を迎えて、そういう問題点のある地域では、政府関係金融機関の各支店において、特にこの円高問題に対する窓口、専門の担当者を置いて、きめ細かく対処する必要があるのではないかと私は思いまして、ぜひその担当者を支店に置いていただくような方法はとれないものだろうかということでお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#222
○木下(博)政府委員 円高が始まりまして以降、大蔵省と私ども相談いたしまして、政府関係金融機関に対しましては、そういう円高によって影響を受けた中小企業者の方々には特に配慮して、適切かつ機動的な貸し出しを行うようにという通達を出したわけでございます。その後も、十二月に低利融資を実施したということもございますので、その関係で、そういう金融機関に対しまして、従来から行っている個別企業の実情に応じて担保の徴求や支払い猶予の問題等も検討してきているので、そういうところも十分考えながら、今後のそういう融資について考えていってほしいということのお願いもしてあるわけでございます。したがいまして現在、中小企業金融公庫、国民金融公庫等の窓口におきましては、こういう新たな問題が起こったときの対策、融資というのは一番プライオリティー高いわけでございますので、各支店においてはプライオリティー高い仕事として、皆様方の御要望に応じて迅速な処理をやっているというふうに私どもは考えております。
#223
○簑輪分科員 いろいろ通達を出されたりしていることは私も承知しているんですけれども、適切かつ機動的というのはよく使われる言葉ですけれども、当たり前のことでして、不適切で機動的でなかったらぐあい悪いことでございます。私はやっぱり、こういう状況を踏まえてきめ細かい対策という点が望まれるわけですので、あえて政府の姿勢を示す意味でも円高問題の担当者を置くということは、中小業者にとってもまことに頼りがいがあるという希望もわきますし、そういう点でも御検討を願えないかというお願いなのであります。
#224
○木下(博)政府委員 そういう金融機関の窓口においては当然、担当者を置いているかどうか私も存じませんが、そういう融資希望の方々に対しては最優先的に相談に応じているということではないかと思いますので、そういう形で十分対処してくれていると思います。それから政府の側におきましては、先日、中小企業庁と各通産局に円高に関連する中小企業対策の相談室というのを設けまして、そこで下請企業者の方々の問題、あるいは円高で影響を受けた中小企業者一般のそういう金融等に関する問題についても、御相談を受けるという窓口をつくっておりますので、大いに御利用いただきたいと思います。
#225
○簑輪分科員 いろいろあることは承知しておりますけれども、あえて私の方でお願いを申し上げましたので、御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
#226
○木下(博)政府委員 今の御要望の点については、検討させていただきます。
#227
○簑輪分科員 お願いいたします。
 さて、二月二十八日関市では、市当局と業界が円高対策会議というものを持ちました。その中でいろんなことが述べられているわけで、少し御紹介をしたいと思います。
 秋の商談期が円高のため悪かったので、春に期待していたが、再び円高となって回復が望めない。業界で努力しているものの打つ手がないといった状況である。国の対策が後手に回っており、強い不満を持っている。それから、再び円高となって、春の商談期に合わせて開発した新製品も、二百円を想定しておりますので、これでだめになってしまった。それからプレスの関係で、今年に入ってから仕事が大きく減少し、毎日仕事がなくなった。あっても二ないし五時間程度の量しかない。しかも、工賃が下がって廃業を考えている人も多い。下請が廃業していったら、分業といった産地構造が変化し、今までの利点が損なわれるというようなことが述べられております。
 関の刃物などでは、事業転換といったところで、一体どういうことが考えられるのかということで、事業転換とは言われましても受け入れるという雰囲気ではないわけです。何せ何百年もの歴史を持っているこの関の刃物業界、その地域全体が刃物で生きているという状況です。何としてもこの刃物で生き残っていきたい、事業転換ではなくこの刃物産業で生き残っていきたいということで、必死に新商品開発などに取り組んできているわけです。そういう点での国の助成措置をぜひお願いしたいと言っておられます。大臣は、先ほども事業転換も考えられるということもおっしゃいましたけれども、例えば関の刃物の場合は一体どういう事業転換があるだろうか。もしあるなら、通産省の方から、こうなさったらいかがですかという助言でもあればまた別ですが、何かありましょうか。
#228
○木下(博)政府委員 おっしゃいますように、事業転換ということを言いましても、実際は大変難しい事情が個々の産地あるいは事業者にあるということは、確かに私ども十分承知いたしております。
 ただ、例えば一つの例でございますが、燕の金属洋食器の業界で、昔、金属洋食器をやっておられた方々が、金属を磨く技術を生かして、いわゆるハウスウエアというところに四十年代の後半以降、一部が変わっていっておられるというようなことがあるわけでございますので、やはり従来の仕事に関連のある分野で将来の方向を考えていただくということではないかという気が私はいたすわけでございます。そのために、中小企業庁といたしましては、例えば技術開発とか新製品の開発とかというようなことに関する各種の補助金制度等もございますので、そういう制度を大いに活用していただきまして、やはり中小企業の政策というのは自助努力をお助けするということでございますので、そういう企業者の方々がこういう方向でどうだろうかというのに対してはそういう形での援助をさしていただくということで、最終的にはやはり御自分で見つけていただくということではないかと思います。ただ、転換の事例についてはいろいろと集めまして、そういうものを企業者の方々には情報として提供さしていただくということは、大いにやらしていただきたい、こう思います。
#229
○簑輪分科員 関の場合は、事業転換という方向ではなくて、何としてもこの伝統ある刃物産業を生き残らせ、さらに発展させたいということで、産地としての総合的な振興策というものを進めてきているわけです。新商品開発等も含めて努力をしてきているわけでございまして、産地それから市、県が力を合わせてこの総合振興策を練っているという状況ですし、それを進めているということに対して国として助成措置を講じてほしいと言っているわけです。
 いろんなお話を伺いますと、業界からは特に、産地中小企業対策臨時措置法というのがことしの七月に切れるわけだけれども、これは発展のためにとても役に立ったのでぜひ残してほしい、継続してほしいという要望が大変強いわけです。その点で、この産地法のさらに延長ということをぜひお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#230
○木下(博)政府委員 御指摘のように、いわゆる産地法はことしの七月で期限が切れて失効するわけでございますが、私どもは、ことしの七月に産地法が失効するということを頭に置いた上で昨年来、いろいろの対策を講じさせていただいておるわけでございまして、その一つが、昨年の国会で成立いたしました中小企業の技術開発を促進する法律でございます。これによって企業者レベルあるいは組合レベルにおける技術開発を大いに促進していこうということを一つやったわけでございます。それから、地場産業の振興につきましては、法律によらずとも、先ほど申し上げましたような新製品開発とかデザインの高度化というようなものに対する助成制度が現在でもあるわけでございますので、そういう制度は今後も強化拡充していこうということを考えております。
 それから、事業転換の関連は、今度、先月成立いたしました法律の中でそういう事業転換の助成をやっていく。その事業転換の助成の内容も、単に個々の企業の転換を助成するだけではなくて、組合によるいろいろな転換事業も助けていくというようなことまで考えておるわけでございます。そのような制度で、今までやっておりました産地法の内容は全部カバーされるというふうに考えておりますので、今回産地法については失効するままに任せるというような方針をとったわけでございます。
#231
○簑輪分科員 今おっしゃったさまざまな法律と対策によって産地法の内容はカバーされるとおっしゃいましたけれども、例えば中小企業技術開発促進臨時措置法ですか、これは、コンピューターなど最先端の技術を促進するというような、大変先端技術というところに重点が置かれていて、より高度な技術を目指しているわけですね。ですから、例えば関の刃物などを考え合わせてみたときに、これに適合するのかどうかという点では、かなり無理があるのではないかという心配さえあります。それからさらに、デザイン問題などでは一年限りという限度がございますし、そのほか、中小企業振興センターなどというものは、そういう建物を建てるとかということにすぎないわけで、本当に地域、地場産業が発展していくという点での内容的な措置というもの、産地法をすべてカバーしたものになっているかという点でいえば、私は極めて疑問であり、だからこそ現場で、その産地で、ぜひ産地法を延長してほしいという声が強いわけです。そんな点も踏まえて、大臣、一度ぜひ考えてみていただくというわけにいかないでしょうか。
#232
○木下(博)政府委員 中小企業技術開発促進臨時措置法で技術開発助成しますのは、いわゆる最先端の技術だけじゃございませんで、それぞれの各地の産地における業者の方々が技術開発を進めていくようなものまで含めて私どもは考えておるわけでございますから、大いにそういうものを御利用いただきたいというふうに考えております。
 それから、地場産業振興も、単にセンターをつくるための建物だけではございませんで、デザインや新商品開発のための補助金もございますし、それからつい一、二年前からは、新地場産業集積圏構想ということで、やはり将来の新しいニーズに応じた中小企業者の行くべき道を研究するというような構想まで各地でやっておられるというようなことでございますから、刃物をつくるという技術は、金属加工という面においては大変に高い技術でございますので、そういう技術をやはり生かして、いろいろと将来のことを考えていただきたいし、また、そういうものに対しては今後とも私どもは、大いにいろいろな形で御援助していきたいというふうに考えているわけでございますので、法律がなくなるために対策がおろそかになるという御心配は、全く要らないと考えております。
#233
○簑輪分科員 そうしますと、関の刃物なども中小企業技術開発促進臨時措置法の対象となるというふうに伺ってよろしいわけですね、適用されるというふうに。
#234
○木下(博)政府委員 さようでございます。
#235
○簑輪分科員 やはり私は、大変そこに懸念があったものですからこういうこともお尋ねするわけですけれども、全部カバーするとおっしゃいましたので、そうありたいものだと思いますけれども、現実にはさまざまな法律の違いの中から、漏れるということも出てくるやに思います。そんな点もぜひきめ細かく、必ずこの地域、地場産業が発展していくように十分な配慮をしていただくということをお願いしたいと思います。
 今後の円高対策ということが一つ重要になってまいりますけれども、単なる金融措置にとどまらず、大変さまざまな要望が上がってきております用地元の業界の要望でも、円高差益の還元と為替の安定というのを大変強く要求しております。日本軽工業品輸出組合というところからは、為替の安定が第一、そして二番目に新製品開発の助成、それから融資利率の引き下げ、そしてさらに円高差益の還元ということが要望として出されております。中で、いろいろ業界の人に聞いてみますと、例えば円高差益の還元ということで言うならば、原材料の値下げというところで通産省の指導を欲しいし、さらに電気料金の引き下げというのもぜひやってもらいたいということがあるわけです。
 こういう点で、円高差益の還元を緊急円高対策と結びつけて生きるようにやっていただかなければならないというふうに思います。円高のメリットを受けるところ、それから円高のデメリットで苦しむところ、それが有機的に調整がとれるようにならなければならないと思うのですが、私は、特にこの円高差益の還元、原材料の値下げや電気料金の引き下げという点についての大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#236
○渡辺国務大臣 この還元の問題は、電気事業法とかいろいろな法律の関係で、なかなか円高の人にだけ何をするというわけにはいかないのです。間接的にはそれは恩恵を受けられるようになると思いますが、目的税みたいにそこのところだけ使うというわけにはいかない。受益者、利用者というか、そういうものがやはり基本になる。ただ、金額がどれくらい大きいか小さいかによって、小さければまた一番国民経済に有意義な分け方ということも考えられるでしょう。ですから、あなたの言わんとするところはよくわかるのですが、なかなかどうもうまくいきそうもない。
 詳しいことは、エネルギー庁長官から説明させます。
#237
○野々内政府委員 電気料金につきましては、法律上原価主義になっておりますので、もし特定の、例えば円高で被害を受けている方にだけ電気料金を安くいたしますと、今度は逆に円安のときには、どなたかがその分を別途負担をしなければならぬというような問題も起こってまいります。やはり負担の公平というようなことを考えますと、おっしゃるようにするのはなかなか難しいというのが現実でございます。
 大臣が御答弁申し上げましたように、トータルの円高差益が一体どのくらいになるかということにもよりますが、その中で可能であれば、電気料金の引き下げというような方法も考えていきたいというふうに考えております。
#238
○簑輪分科員 円高差益の還元問題については、大変大きな問題でもあり、国民の強い関心もありますので、ぜひ緊急に、そして有意義に還元されるように私は強く要望しておきたいというふうに思います。
 最後に、今回の円高に関連して国が中小企業に対する緊急円高対策をとった、このことが、輸出補助金に当たってガット違反ではないかというアメリカの見解が出されているわけです。これは本当に中小企業の実態を無視した、日本の産業の実態を無視したアメリカの勝手な言い分だということで、私は大変憤りを持っているわけですけれども、通産大臣におかれましては、ぜひアメリカのこうした不当な干渉をはねのけて、地域、地場産業を守り、日本の中小企業の発展のために断固とした態度をとるという毅然とした姿勢を持って対処していただくようにお願いをしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#239
○渡辺国務大臣 彼らは誤解をしておったところもあるのですよ。何か三千億円貨しっ放しで、くれちゃうのじゃないかとか、それからまた、ここで勢ぞろいさせて、日本列島輸出総株式会社でどおんとまたもう一回攻め込んでくるんじゃないかとか、そんなものじゃないんだということをこの間もよく話してあげました。それは本当に彼らの思い過ごしたと私は思いますので、毅然とした態度で、言うべきことはぴしっと言います。
#240
○簑輪分科員 その辺はこれからも再々、アメリカから例やかんやあると思うのですね。ですから、私は大臣が今後とも、中小企業を守り、発展させる立場で御努力いただくことをお願いしまして、質問を終わります。
#241
○上村主査 これにて簑輪幸代君の質疑は終了いたしました。
 次に、村山富市君。
#242
○村山(富)分科員 きょうは、新薬の開発と特許問題だけに絞ってお尋ねしたいと思います。
 まず、厚生省に次のようなことについて見解をお聞きしたいと思います。
 ここ数年来、医薬産業を取り巻く環境は変わってきたと思うのです。日本の医療は薬づけだということがよく言われているだけに、医療費の適正化問題では第一番に薬の問題が取り上げられて、ここ数年間に薬価基準が相当下がっており、昭和五十六年からは大体四〇%下がっておる。これが医薬産業に与える影響は相当なものがあると思うのです。
    〔主査退席、長野主査代理着席〕
もう一つは、そういうこともあっただけに、統計資料を見ますと、五十九年度は初めて対前年比マイナスになっておるということも言われております。反面では、社会環境が変化して老齢化社会が進み、疾病構造が変わっていくということで、新薬の開発に対する期待が大変大きい。がんを筆頭に不治の病と言われるような難病がまだたくさんあるわけですから、それだけに新薬の開発が待ち望まれておる状況にあると思うのです。
 そういう意味から、新薬の開発、医薬品の持つ役割、社会的使命というのは大変大きいと思うのだけれども、そういう現状に対してどういうふうにお考えになっていますか。
#243
○山口説明員 御指摘ございましたように、医薬品産業を取り巻く現在の状況には大変厳しいものがございます。医療費の適正化というのは大きな流れでございまして、業界を取り巻く環境は大変厳しい状況にございますけれども、医薬品は国民の生命、健康の維持向上に欠かせない産業でございますし、高齢化社会等を迎えて疾病構造等も変化してまいっておりますので、そういう医療のニーズに対応できるような、より安全で有効な新薬を開発していくことは医薬品産業の社会的な使命だと思っておりますし、また、国民医療の向上という観点からも極めて重要な課題だと考えております。そういう医薬品産業の使命を果たしていくためには、新薬の開発ということが企業の活力、生命でもあろうかと思いますので、国際社会に伍していけるような産業に育てていくためにも、新薬の研究開発の強化ということを業界の育成対策の第一の柱にいたしまして、しっかりこの問題に取り組んでいきたいと考えております。
#244
○村山(富)分科員 そうしますと、新薬の開発に対して厚生省として何かやられているというようなことはあるのですか。
#245
○山口説明員 新薬の研究開発は、基本的には医薬品業界、民間の企業が支えているわけですから、主体的には民間の企業がやっていただくということを第一に考えておりますが、国といたしましても新薬の開発が非常に大きな課題であると考えておりますので、その中で国が果たしていくべき役割を重点的に考えますと、一つは、医療上非常に重要ではあるけれども、民間に任せておいたのでは市場性が乏しいというようなことでなかなか開発が行われにくい、例えば難病の薬ですとか希用薬、そういったものについては国も積極的な助成をしていかなければならない。また、ただいま大変大きな問題でございますけれども、バイオテクノロジー等の非常に先端的な技術の研究開発の基礎的、基盤的な研究については、公共性の高い分野でございますので、国が積極的に民間と協力いたしまして、官民共同のもとに研究開発を進めていくことが必要であるということで、以上申し上げました二点を重点に国としては研究開発を助成していこうという考え方でございます。
#246
○村山(富)分科員 国は国でそうした新薬の開発の研究をやっている。民間会社は民間会社で新薬の開発をそれぞれやっている。今、厚生省が指定しただけでも四十三種の不治の病と言われる難病があるわけですから、そうした意味からいいますと社会的使命は大きいと思うのですけれども、この新薬の開発と特許の関係を見てみますと、だんだん残存期間が短縮してきておる。また、試験研究の期間が長いものですから、費用もうんとかかる。私が調査したところによりますと、新薬一品目の開発に平均四十三億円の金がかかり、十四年間ぐらいの歳月が費やされる。特に、新薬開発能力の高い大手十社だけについて見ますと、一品目当たりの開発費用は約八十億円かかると言っているわけです。薬というのは人間の命や健康に関係する問題ですから、安全性、薬効、副作用といったものは慎重の上にも慎重にやって許可基準を厳しくしていただくことは当然だと思うのです。しかし、残存期間が短くなって新薬の開発に足かせになる、支障があるということになったのではこれまた問題があろうかと思うのですが、今私が調査した結果を申し上げましたけれども、そういう現状にあると理解されておりますか。これは厚生省、特許庁、両方ともお調べになっておると思いますから、見解を聞きたいのです。
#247
○山口説明員 新薬の開発については大変膨大な費用とかなり長い期間が必要だという点については、先生御指摘いただいたとおりに私どもも認識いたしております。医薬品について製造承認を得るために、安全性、有効性、これは厳密な審査がどうしても必要でございますので、必要な各種の試験を実施いたしますとかなり長期間を要することになります。したがいまして、実際に承認を受けて上市するまでには特許期間が実質的にかなり目減りするという御指摘は、業界も非常に強く私どもに指摘しているところでございまして、現在も先生御指摘いただいたような状況にあろうかと思います。
 そういう状況でございますので、開発された新薬につきましては保険でなるべく早く収載するというようなことで、早期定期化という努力も一方ではいたしておりますけれども、特許期間の回復という問題について業界の要望も大変強うございますし、先ほど申し上げましたように新薬の開発というのがこれからの製薬企業の生命線とも言える大事な点でございますので、厚生省といたしましても、この問題を将来の大変大きな重要な課題というふうに受けとめております。
#248
○宇賀政府委員 御指摘のありました新薬の特許権の有効期間の問題でございます。
 私どもの法律では、特許権というものは公告の日から十五年、ただし出願の日から二十年を超えることはできないということになっております。したがって問題は、厚生省の方で許可が終わりまして、新規に発売が許された時点からどれだけ期間が残っているかということでございますが、この点につきましては、審査期間が延びることに従いまして残りの残存期間が短縮しているということは、今厚生省からもお答えがありましたように、我々も業界からいただいております各種の資料では、そういう状況を承っている次第でございます。
#249
○村山(富)分科員 これは、例えば年度を分けて四十年代、四十八年、四十九年でもいいですが、四十年代もこの残存期間というのはこういうふうになっていたのか、そうではなくて、五十年代に入ってからいろいろな変化に応じて、あるいは基準が厳しくなったというようなことも加わって残存期間が短くなったのか、そこらの経緯はどうですか。
#250
○山口説明員 これも業界が中心になってやりました調査ではございますけれども、それによりますと、四十年代は平均いたしますと残存期間がほぼ十年近くあったものが、現在、五十八年に発売されました新薬で見ますと、六年少々ぐらいの残存期間になっている、これは業界の方の調査でございますけれども、そういう調査結果がございます。
 私どもも、五十年代に入りまして薬の審査は、薬害等の関係、その反省等もございまして、大変厳密に審査をしてきている、あるいは申請するまでの臨床実験等についてもかなり精度の高いものを要求しているということがございますので、それをもって直ちに従来と比べてそう急速に短くなってきているという指摘ができるかどうかわかりませんけれども、薬の審査というものが大変厳密になってきている、その傾向がこういう残存期間の問題にも多少は影響を与えているということは事実ではないかというふうに見ております。
#251
○村山(富)分科員 特許庁もそういう経緯については、これまでお調べになっていると思うのですが、どうでしょうか。
#252
○宇賀政府委員 ただいまお話のございましたように、医薬品メーカーとしまして、安全審査等に非常に時間を要するということで、特許権の期間に関しては全然変わっていないわけでございますが、実質的な残存期間が短縮されてきているということで、ぜひこの期間回復をやってほしいということで、一部の製薬工業関係の団体からはいろいろ陳情をいただいているというのが事実でございます。
#253
○村山(富)分科員 業界からそういう陳情があっているというだけでなくて、私が聞いている範囲では、もう三年ぐらい前からそういう要請もされておるというふうに聞いておりますから、特許庁自体でお調べになった結果、そういう状態にあるというふうに理解されておるのかどうかということをお尋ねしているわけです。
#254
○宇賀政府委員 審査の期間自体につきましては、今厚生省からお話がありましたように、業界のいろいろな資料をいただいているわけでございます。もちろんそれだけではなくて、我々としてはそういうようなことをかなり方々から御要請をいただいておりますので、いろいろな観点から、いろいろな方面の御意見も聞いて検討しておるわけでございます。
 どういうような点の検討をしているかということでございます。御案内のように、医薬品の新薬の開発のためには、膨大な研究開発投資が要るというお話がございました。問題は、これをいかにして回収するかということになろうかと思います。その回収を確実に、より容易にするための一つの手段として、期間の延長、期間回復があることは否定できない事実であろうかと思います。
 ただ、御案内のように、特許権というのは先ほど申し上げましたように、一律に十五年とか二十年とかいうことになっております。その中の一つの業種だけを限って期間を延長するということになりますと、期間を延長される側と、それによって規制を受ける側の利害の調整という大きな問題が一つございます。しかしそれ以外に、法律的にも非常にたくさん問題があるわけでございます。我々もいろいろ検討しておるわけでございますが、例えば研究開発にどれくらい費用がかかっているか、今どれくらいそれが回収されているか、逆に言えば、どれくらい期間を延ばせば完全な回収ができるのか、あるいは延ばす以外に回収の手段がないのかどうか、こういった問題も検討する必要があろうかと思います。
 それから同様に、今医薬品の問題が出ておりますが、ほかに安全とか衛生とかいう観点から非常に厳しい規制を受けている業界もたくさんあるわけでございます。そういうような業界とのバランスをどう考えるかという問題もあるわけでございます。
 そのほかに特許権の場合、国際的な調和という問題もありまして、いろいろ各国制度の共通性とかハーモニーという問題もあるわけでございます。アメリカは、御案内のとおり五十九年九月に法律改正をいたしまして、一定の形で期間回復を行ったわけでございますが、ヨーロッパにおいては多少違う行き方をしているというような情報もございます。
 そういったような点をいろいろ集め、総合的に検討しつつあるというのが今の状況でございます。
#255
○村山(富)分科員 できない条件をずっと挙げられると、やはり難しい問題だなと思いますよ。だけれども、やはり特許される対象によっては、それはケースが皆違うわけですから、したがって特殊なケースもあり得るわけですね。私は、新薬の開発なんというのは、これは全く特殊なものだと思うのですよ、一品だけですからね。特殊なものだと思うのです。
 今お話もございましたように、特許制度というのは日本だけの問題ではなくて、これから経済摩擦の問題とか規制緩和の問題とかいろいろあって、国際的な交流も激しくなる、それだけに制度自体はできるだけ世界的に均一化することが期待されていると思うのですね。そこで、今お話もありましたように、アメリカは残存期間を回復する法律ができたと聞いておりますけれども、またヨーロッパの方ではECを中心にしてデータの使用期間を延ばすとかなんとかいうようなことも検討されていると聞いておりますけれども、そこらの国際的な、例えばアメリカ、ヨーロッパ等の動きについて、もしおわかりであれば御説明をいただきたいと思うのです。
#256
○宇賀政府委員 先生御承知のとおり、米国は五十九年九月二十四日に特許法の一部改正が成立いたしまして、いわゆる期間回復が行われたわけでございます。いろいろ非常に詳細な規定がございますが、基本的には、本法成立後に治験届される新薬については、五年を限度として、治験届から承認申請までの期間の半分と、承認申請から承認までの期間の合計期間に当たる期間の回復を認める、米国の特許権は本来特許から十七年でございますが、しかしそのようにして延長しても十四年が頭打ちであるというような法律改正を行った、施行しているというふうに聞いておるわけでございます。
 なお、先ほど他とのバランスということを申し上げましたけれども、医薬についてこのような改正が行われたわけでございますが、最近の米国からいろいろ入ってまいります情報では、新たに農薬についてもこれをやるべきではないかということが米国内で検討されておるということも聞いておる次第でございます。
 それから、欧州につきましても先生御指摘のとおりでございまして、欧州は逆に期間は出願から二十年、これは日本と全く同じわけでございますが、これについては期間を延長するという方向ではなくて、先生御指摘のように先発業者の使ったデータを後発業者にどう使わせるかというようなことでいろいろ検討が行われるというように聞いておりますが、まだ一つの方向が出たというふうには聞いておらない、こういう状況でございます。
#257
○村山(富)分科員 いずれにしても、医薬品の特殊性というものを認めて、アメリカあたりでも法律が改正されたわけですからね。
 そこで、こういうことはどうなんですか。例えばアメリカで特許を取っている医薬品が日本に入った、そうすると日本の扱いは日本の特許法で扱うわけですね。今度は日本の医薬品、新薬がアメリカに行ったという場合に、アメリカの特許法の適用を受ける。そうすると両方の国で違うというので、摩擦が起きるというようなことはないですか。
#258
○宇賀政府委員 特許面での問題、これは厚生省の御担当でございますが、審査方面とは違うかと思いますが、特許法上は御案内のようにパリ同盟条約に基づきまして各国特許独立の原則というのがございます。したがって、おのおの違う制度でやっておるわけでございますが、大体ある程度ハーモニーを図る必要があるということで、米国は特許から十七年、日本は先ほど申し上げましたように公告から十五年で出願後二十年を超えない、ヨーロッパは出願から二十年ということで統一しておるわけでございます。したがって、出願の時期にもよると思います。いつ発明が完成したか、しかもアメリカは先発明主義、日本が先願主義というような問題もありまして、必ずしもそろわないわけでございますが、やはり全般的にアメリカあたりから知的所有権の保護というものをもっと強化すべきではないかということでいろいろあれが行われておる。しかし、アメリカ自身が世界の中で特許制度として多少変わっているという点もあるわけでございまして、その辺全体の調整というのはパリ同盟条約であるとか、あるいは日本、EC、アメリカ三極特許庁長官会議とかいうようなものでいろいろ調整をしつつあるところでございます。
#259
○村山(富)分科員 いろいろ挙げれば、後発メーカーとの関係とか利害関係とか、いろいろあるでしょうけれども、外国との比較やら日本国内の現状やら等を見た場合に、やはり残存期間の回復というのは検討する必要があるというふうに思いますが、どうですか。厚生省と両方聞かせてください。
#260
○宇賀政府委員 御案内のとおりいろいろ問題がございますけれども、各方面のいろいろな御意見を聞きつつ検討をしておるわけでございます。
 ただ、先ほども申し上げましたように、具体的な案件になりますとたくさん問題があります。先生御承知のように大正十一年法、大変古いことで申しわけございませんが、これには期間回復という規定があったわけでございます。そのときには、重要な発明であって正当な理由があって、一定期間特許権の行使ができなかったというような場合には、政令で定めるところにより申請をして三年以上十年以内で期間を延長することができるという規定があったわけでございます。
 医薬品にもいろいろな御事情があろうかと思いますが、他にもいろいろな事情がある業種があるだろうと思います。そういうふうなものを全部拾うとなれば、恐らくそういった規定が必要になるのじゃないかという議論もあるわけでございますが、余りそこまでいきますと弾力的になり過ぎまして、どの特許権がいつどう延びるか、なかなかわからない。しかも、第三者が見てもこれで切れるのじゃないかと思っていた特許権がまた延びてしまったということになると、期待利益が非常に裏切られるというふうな問題もあって、実際には大正十一年法の規定は余り使われることなく、昭和三十四年の改正で削除されたという経緯もあるわけでございます。
 いろいろ大変重要な問題でございまして、我々厚生省とも十分連絡をとりつつ、また関係団体とのコンセンサスという問題もあり、実態の煮詰まるのと並行しつつ、法制的な検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
#261
○村山(富)分科員 大臣は厚生大臣もやられておりましたから、そういう経緯は十分御存じだと思うのですけれども、厚生省の方にあえて答弁を求めなかったのは、さっき残存期間の回復をする必要があるというふうにはっきり言っておられますからね。新薬の持っている社会的使命やらなんかを考えたら、結核なんというのは治らぬ病気だったのですから、それが抗生物質ができて治るようになったのですから、そんな意味ではこれからやはり相当期待される向きはあるわけです。そういうものを考えた場合に、現状に照らして残存期間を回復して新薬の開発にもう少しやりやすいような条件をつくる必要がある、そのためには特許法も検討し直す必要があると思うのですが、大臣どうですか。
#262
○渡辺国務大臣 今長官の言ったことで大体尽きていると思うのですが、実際は私はあなたと全く同じ考えなんです。それは、十五年といっても実際は七年とか六年しか使えないということになると、非常に重要な開発を一生懸命やるという意欲がなくて、人のつくったものを待っていて後からゾロゾロで出そうという風潮が非常に多くなってしまう。だから、基本的には私は発売から何年とかというふうにできないのかという考えが一つあるのです。やはり特許というのは権利に関する問題だから、非常にやかましい。利害関係があって難しいところもあるようですが、私が厚生大臣のころ物質特許と製法特許という騒ぎがありまして、それが物質特許になった。騒ぎを一つ少なくした。後は安心して、本当にがんならがんのものに莫大な金をかけて成功した人が七年しかもたないとか、そんなことでは私は困ると思う。
 ほかにそれでは特許をもらって五年も七年も発売しない品物が何かあるかと聞いてみたら、そういうものはないらしいんだな。だから、薬だけだ。薬は安全に関する問題だから、特別そういう時間がかかっている。金もかかるということになれば、何か例外があってもいいのじゃないかなという気が私はするのです。私は考え方は同じですからね。だから、業界の中でけんかをされても困るんだね。ゾロゾロメーカーは人のまねをしようと思っているわけだから、確かにそれが長くなってはけしからぬ、こう言うでしょう。ところが、一流メーカーでもみんなゾロゾロをつくっているんだね。みんなつくっている、開発は。ここらのところもおかしな話ではあるけれども、なるべく業界がまとまってということになれば、私はこれは前向きで一生懸命勉強をさせてみたい、そう思っております。
#263
○村山(富)分科員 今大臣から答弁がありましたけれども、昭和六十年の五月二十七日付で、日本特許協会から特許庁の総務部長あてに「特許期間問題検討の件」という、これは答申ということになるのかもしれませんけれども、特許庁の方がこの協会に検討を依頼した。その検討を依頼されたことについて検討した結果を報告しているわけですね。
 もう時間がありませんから読み上げませんけれども、それには明確に「必要がある」ということを言っているわけです。特許協会もやはり必要性があるということを認めているわけですね、答えを出しているわけですから。こういうこともありますし、いろいろな利害関係もあると思いますけれども、厚生省と十分連携をとってそういう調整をしながら、いつまでも手をこまねいて難しい、難しいと言っているだけでは解決しないので、もう三年くらい経過しているわけですから、事の重要性を十分御認識いただいて、一日も早くこの打開ができるようにしていただきたいと思うのですが、最後にひとつ大臣と特許庁長官の決意を聞かせてください。
#264
○宇賀政府委員 ただいま特許協会のお話がありまして、これは本件に関します専門家の集まりのとりあえずの意見ということで出ておりますが、この内容でも医薬品とか農薬とか食品衛生とかというものを挙げて、こういう解決の方向ということで出されているわけでございます。
 今大臣からお答えもございましたし、我々もいろいろと検討しておるわけでございまして、現在工業所有権審議会は昨年十一月から法制部会を開いて御検討いただいているわけですが、そこではまず最初に、検討に非常に時間のかかる多項制、専門的なことで大変恐縮でございますが、そういったようなことを先に取り上げておりますが、それ以外の問題であっても、重要かつ緊急なものであり、かつ関係者の間でコンセンサスが得られるというような煮詰まってきたものについては重ねて御検討いただくことは一向にやぶさかでないわけでございますから、本日いろいろ御審議をいただきまして、御意見を承りまして検討を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
#265
○渡辺国務大臣 やはり新薬を発明させなければならぬ。しかし、短くて採算が合わないからつくらないというのは困る。そこで厚生省なんかは、薬価基準のとき、新薬に少し余計に乗っけて見てやっているのですね。薬価基準で高くくっつけてやるというのは最初のうちはいいかもしらぬけれども、余り長くそんなことをやるのもおかしい。ですから、やはりすっきりさせた方がいいのではないかということで、非常に難しいからそれはやりたくないかもしらぬけれども、世界の例等も見て、薬は特殊なものでもあるしするので、先ほど言ったように特許庁でもしっかり研究をしてもらって何とかできないか、できる方向でひとつ勉強してもらいたい。やらせます。
#266
○村山(富)分科員 もう相当検討期間は過ぎているわけですから、やはりぼつぼつ結論を出していただくということが必要だと思いますから、早急に結論を出して対処していただきますよう強く要請して、質問を終わります。どうもありがとうございます。
#267
○長野主査代理 これにて村山富市君の質疑は終了いたしました。
 次に、上原康助君。
#268
○上原分科員 短い時間ですから、沖縄電力の問題を中心にお尋ねしたいと思います。
 その前に、せっかく通商産業大臣にお尋ねできる機会でありますので、沖縄の第一次振計、二次振計が今折り返し点に達しようとしているわけですが、言うところの自律的発展に向けての基礎整備というか、そういうのがなかなかうまくいかない。とりわけ第二次産業の製造部門の振興が果たせなかったという脆弱性があるわけです。こういう点については、従来は沖縄開発庁が中心になってやってきたわけですが、総元締めである通産省としてはどうかかわってきたのかという疑問があるので、その面をどのように進めてこられたのか、また、お考えなのかというのを聞きたいということが一つ。
 それから、沖振法は御承知のように、第三章に産業振興のための特別措置ということで工業開発地区の指定とか、あるいは第四章に自由貿易地域、フリーゾーン活用の問題等があるわけですが、残念ながらこれは名存実亡になってしまっている。特にフリーゾーン問題については、最近県段階でもいろいろ企画され、また、県内の商工業者も意欲を持っているように聞いているわけですが、今私が指摘した問題等について通産省はどのようにお考えであり、今後どう進めていかれようとするのか、お答えいただきたいと思います。
#269
○木下(博)政府委員 沖縄経済は財政への依存が非常に高い状況が続いておったし、また、そういう状況が今もあるわけでございますが、今後自立できるようにするために沖縄開発庁を中心にいろいろと施策を進めていただいておるわけでございます。
 そういう中で、私どもも地場の産業が発展することが非常に重要だということで、中小企業対策の面では、地場の産業の振興のために、新製品の開発とか流通の改善というようなことを含めて、いろいろな分野における対策に対して補助金を出すというようなことでお手伝いをしてきておるわけでございます。そういうことで、でき得る限り地場の特性を生かした産業が自立し、発展していくように今後もお手伝いしていきたいと思っております。
 二番目の御質問のフリーゾーンの問題につきましては、担当の者が今こちらに参っておりませんので、後でお答えさせていただくことにさせていただきたいと思います。
#270
○上原分科員 沖縄の産業振興とか今私が言ったような問題について、大臣はたびたび沖縄にも行っていると思うのですが、どうすればいいというような所感でもあれば少し聞いておきましょうか。
#271
○渡辺国務大臣 沖縄開発庁長官ではありませんから、沖縄全体の問題について余り詳しく知りませんが、昔のフリーゾーン構想というようなものは、沖縄が復帰してこんなに早くよくなるというふうに考えなかった時代の発想ではないかという気がするのですよ。復帰当時から見たら、当時予想したよりもはるかに沖縄の水準というものはよくなったと私は見ております。今後は沖縄にもいろいろな企業も誘致されなければならないし、農業は土地改良等を通しまして、サトウキビなんというのは三倍にも四倍にも生産性が上がっているのですからね。こんなことは、本当に夢にも考えなかったことではないか。沖縄は、やり方で、まだまだよくなる方法は農業の問題にしてもたくさんある、そう思って私は夢と希望を持っているのですよ。ですから、沖縄の問題については今後もいろいろな面で協力していきたいと思っております。
#272
○上原分科員 夢もロマンもあった方がいいわけですが、産業部門ではなかなかそうなっていないところにまた我々の悩みもあるわけです。
 確かに農業部門では相当よくなってきたことは否定はしませんが、最近の円高・ドル安問題で、日本全体の中小企業、特に輸出関連の中小企業ではいろいろ問題が起きているわけです。沖縄の場合も、基地周辺の特免業者であるとか観光面においても大分影響を受けているわけですね。特免業者に対しては、中小企業国際経済調整貸付制度というようなものの対象にしていきたいというような方針もあるようですが、これは嘉手納基地周辺の米軍相手の業者にも適用していくお考えなのか。地元でも総合事務局の方で通産部長などが中心になっていろいろやっているということですが、特に円高・ドル安問題で影響を受けている基地関連業者あるいは沖縄の中小企業の対策についてはどのようにお考えなのか、ひとつ御見解を聞いておきたいと思います。
#273
○木下(博)政府委員 急激な円高によりまして影響を受けている業者というのは、いろいろな部面であるわけでございます。輸出関連の産業もそうでございますけれども、先生御指摘のように、米軍との契約をしている業者についても同じような問題が起こっておるということは、昨年の秋以来私ども伺っておったわけでございます。円高によって影響を受けるのは単に日本経済のみならず、在日米軍というのも非常に大きな影響を受けているわけでございます。その在日米軍との契約関係にある方々が特にドルベースで契約をいたしますと、二百四十円入っていたものが百八十円しか入らなくなるということになるわけでございますから、その方々に対する対応策は必要だということで、昨年の十二月以来、対策を講じますときからその点を検討してきておったわけでございます。
 それで、先月通りました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法を立案いたしますときから、そういう方々の対策は内容として考えていこうということを頭に置いて立案させていただいたわけでございます。したがいまして、二月二十五日に法律が施行されましたときの政令に、そういう方々が対象となるようにしようということでそのことがはっきり明記されております。それは二条の業種と九条の業種と二つあるわけでございまして、事業転換の対象となる業種と緊急安定対策の対象となる業種ということになるわけですが、いわゆる業種指定という形ではございませんで、同じような事情にある業者の方々を個別に認定するという形での指定の対象としようということで考えたわけでございます。特に九条による緊急安定対策の対象となる業種といたしましては、政令の八条一項一号におきましてはっきりと、米軍が使用する施設または区域において供給されるものについて、その需要が減少し、または減少する見通しがあることという事態を明記いたしまして、それによって特免業者等がその対象となるようにしておるわけでございます。したがいまして、そういう業者の方々は、沖縄県知事の認定によって、信用補完措置の別枠あるいは五・五%の低利融資というものが受けられみようになっているわけでございます。
#274
○上原分科員 法律が施行されたことは、もちろん国会でこの間のことですから私も記憶にあるわけですが、政令事項にもそれが明記をされて、配慮したことについては敬意を表しておきたいと思いますが、どのくらいの業者が対象になって、実態については、これは企業庁じゃないかもしれませんが、大枠をつかんでいらっしゃいますか。
#275
○木下(博)政府委員 実態についても沖縄開発庁の方から実情を伺っておりまして、いわゆる特免業者という業者の方の数は沖縄の場合に二十六社あるわけでございまして、クリーニングとか理容とか衣料品店、カメラ修理販売というような業種があるわけでございますが、二十六社が対象となっております。
 それで、実際にどのくらい円高による差損を受けているかという点でございますが、五十九年の十月から十二月の売り上げと六十年の十月から十二月の売り上げを見ますと、円にしまして約一五・二%の売り上げ減ということになっておるわけでございまして、やはり円高の影響を受けておられるなということがわかっておりますので、そういう方々に対しては今回の措置の適用とさせていただこうということを考えたわけでございます。
#276
○上原分科員 ぜひ積極的な対策と、またそれだけでおさまらない業種への波及というか、そういう面もあろうかと思いますので、特にあれだけ基地を抱えていることもあって、この問題は深刻化しつつございますので、特段の御配慮を強く要望しておきたいと思います。
 次に、沖縄電力の民営移管の問題と関連をしてお尋ねさせていただきたいわけです。
 沖特でも取り上げてきた経過がございますが、資源エネルギー庁の山本公益事業部長がせんだって沖縄に行ったようですが、現地で、これまでのエネルギー庁の検討は白紙に戻してとりあえず再検討の機関をつくり、関係五者で協議会を発足させる、こういう見解を述べているわけですね。もちろん関係五者というのは、資源エネルギー庁長官、沖縄県知事、沖縄電力社長、沖縄開発庁の担当局長か事務次官、電気事業連合会の副会長レベルの方だと聞いているわけですが、そしてことしの夏までにこの五者協議による民営移行の具体的方向をまとめていきたい、沖縄電力の民営移行についてこの方針を明らかにしているわけですが、これの方針がそのとおりなのかというのが一つ。
 それと、沖縄電力の民営移行に当たって最も留意すべきことは、たびたび申し上げておりますように、本土並み料金水準をどう維持していくかということ、同時に電力の安定供給をということだと思うのです。そのために、現行の関税等の特別措置の延長、電源開発株式会社の石川火力の卸売料金に対する配慮、新規電源開発に対する助成、離島対策及び沖縄公庫における低利融資は、沖縄電力が民営移行された後もぜひとも必要な措置だと私は思うのです。これはどうするのかということ。これは御承知のように、昨年の四月、沖縄県知事の沖縄電力の民営移行に関する要請の中でも指摘をされておるとおりでございます。したがって、発足されるという五者協議会においても当然こういう議論がなされて、沖縄電力の料金水準を本土並みに維持していく上での措置が講じられた上で民営移行というものは進められていくと思うのですが、これに対するエネルギー庁のお考えと、また、今私が申し上げたことに対して大臣としての御見解もあわせてお聞かせいただきたいと思います。
#277
○野々内政府委員 まず第一の今後の検討の方法でございますが、先生御指摘のように、五者協議によりましてできるだけ早く結論を出したいと思っております。できれば夏までに出したいと思っておりますが、実はいろいろ問題がございまして、例えば現在の政府保有株の処理とか、いろいろな問題もございますので、この五者協議の中でできるだけ早く問題を解決するように努力いたしたいと思っております。
 それからもう一点、現在の優遇措置でございますが、私どもとしましてもこれは何とか延長したいという気持ちは十分持っておりますが、関係するところもいろいろございますので、今後各方面と御相談をしながら取り進めたいというふうに思っております。
#278
○上原分科員 五者協議はいつ発足させて、いつまでにその協議の結論というか、それを出す御予定ですか。
#279
○野々内政府委員 今月中にも発足させたいと思っております。それで、中身によりましては来年度予算に関係するところも出てくると思いますので、予算要求に間に合うように結論を出す必要があるというふうに考えております。
#280
○上原分科員 後で大臣の御見解もお聞かせいただきたいのですが……。
 そこで、今長官もお触れになりましたが、資本金の取り扱いの問題です。御承知のように、現在百四十七億円余の資本金だ。これは九九・九九%が政府株で、あとの〇・〇一%が沖縄だ。しかし、民営移行する場合にこの百四十七億の資本金は大き過ぎるのではないのか、その半分以上を地元で工面というか保有していくには、調達を含めて非常に難しい面があるのじゃないのか、また民営移行後の運営というか経営面からしても、できればそれを縮小した方がいいんじゃないかという意見もあるやに聞いております。そこで、幾らくらいが適当とお考えなのか。我々は、後でも触れますけれども、この沖縄電力というのは復帰前の設立経過からしても、県民共有の財産だと見ているわけですね。当然地元主体の資本金運営をやって、沖縄の産業振興、いろいろな面に引き続き寄与すべきだと思うわけですが、この件について御見解を差し支えなければ聞かしていただきたいと思います。
#281
○野々内政府委員 今御指摘の株式の問題、これが実はまさに問題でございまして、これを今後検討していく必要があるわけでございますが、地元から減資の要望があるということも承っております。従来は累損がございまして、むしろ債務超過の状態でございましたので、減資というものが通常の経営でもあり得る状態でございました。ところが、幸いと言っていいか、石油の値段が下がってきて、また円高のために黒字になってまいりまして、多分六十年度をもって累損がなくなるのではないかという状態だと思います。そういたしますと、正当に株についての評価をいたしますとかなりの金額になる可能性がございますので、これを国の資産という観点から見ますと、減資は簡単にできない点がございます。したがいまして、まさにこの点が大問題であろうかと思っております。
 それから、沖縄にとりまして電力の安定供給が大変重要であろうということは十分認識いたしておりまして、このために電源開発の協力によりまして現在石川に石炭火力をつくり、長期的な電力の低価安定供給ということに努力をいたしておるわけでございまして、私どもも今後ともそういう方針で支援をしてまいりたいと思っております。
#282
○上原分科員 累積赤字が解消されたというのは喜ぶべきことであるわけですが、しかし、それにもまたいろいろの経過があったわけですね。そこで、そういう地元資本の過半数以上というものについての配慮が必要だということが一つですね。これは、減資問題は関係五者協議、いろいろ専門の方々がおやりになると思うので。しかし同時に、県民の声というか、そういうものをよく反映できるような移行の仕方を考えるべきであるということ。
 あわせて、これは石油の値段が下がったということと円高になった、ドル安になったということと両面相まって、電力関係は今大変な差益が出ているわけだ。沖縄の場合も、御承知のように昭和五十五年には電力料金が一年に二回、七〇%近く上がったことがあるわけです。だから、私がこの問題、電力料金は高いのじゃないか、本土並み水準というものがどう見たって基準ですよと言っても、いや高くないのだというような言い分もあるのですが、決してそうではない。実際に高い。そういう面からしても、この間も、内部留保に差益を充てて直接消費者への還元が難しいということを電力関係首脳は言ったようなのだが、私はこれは当たらぬと思うのですね。大臣、本土も、九電力も何か六月一日からやるというのでしょう。そういう方針だと既に報道されている。二回も電力料金を上げて、しかも割高になっているという現状に当たっては、この際この差益の問題を含めて、沖縄の電力料金の再検討というものが私は当然必要だと思うのですが、この点についてはいかがですか。
#283
○野々内政府委員 九電力の問題につきましては、現在差益問題懇談会におきまして御審議をお願いいたしておりまして、まだ方針について決まったということではございません。沖縄の問題につきましても、九電力について結論が出ました段階であわせて検討し、指導もしたいと思っております。
 ただ、沖縄電力の場合には九電力と違いまして累損があり、あるいは内部留保がもう全くないような状態でございますし、また、減価償却の方法もまだ本土のように定率償却になっていないという、経理的に弱い面もございます。こういう点も勘案をし、また、差益の状態というものを見ながら最終的な判断をいたしたい、かように考えております。
#284
○上原分科員 確かにそういった会社構造の弱さというか、まだ盤石でない面は否定はしませんがね。しかし、六十年度で累損が全部帳消しになるわけでしょう。そうしますと、六十一年三月の決算期においては恐らく、まずどのくらい出るのですか。これは特殊法人だから、利益団体でないわけだから、大臣、それだけ差益が上がればそれは消費者に還元するのは当たり前じゃないですか。ある程度の内部留保の担保は必要と見てもそういう点があるということと、これからもいろいろ、石油の国際価格にしましても、安くはなってもまたそう急騰するという見通しは立たないのだな、ある程度、五年先くらいまでは。これは大臣、専門だから。そういう面からすると、当然この際考えるべきだと思うのだね。改めて、この件は大臣の御見解をお聞かせください。
#285
○野々内政府委員 五十九年度末で四十六億の累損がございます。六十年度の利益が幾らになるかまだわかりませんが、五十九年度の利益が四十六億でございましたので、これ以上と考えますと、累損は一掃されると思います。したがいまして、先生おっしゃるとおり、やっとその分に関しては一人前になったわけでございます。ただ、残念ながら内部留保が全くないという状態で今後経営がいくのかどうか。それから、為替レート及び石油の値段がこのような状態でずっと続くのかどうか。いろいろな問題もございますので、それらの問題も含めて検討の必要があると思います。
 それで、料金の問題につきましては、実はいろいろ沖縄の特殊な事情がございますが、電灯料金につきましては、東京電力よりちょっと高い程度、大体日本の九電力の中位くらいかなという感じを持っておりますが、沖縄の場合には一軒当たりの使用量が本土九電力に比べて多いものですから、どうしても一軒当たりの支払い高が高くなるという点はあろうかと思っております。
 いろいろな問題を考えながら、今後九電力の差益問題の処理を勘案して処理を進めていきたいと思います。
#286
○渡辺国務大臣 今エネルギー庁長官が詳しく申し上げたので、大体それに尽きると思います。私も同じ考えです。
#287
○上原分科員 なかなか慎重のようですが、しゃべりたいことはしゃべってもいいんじゃないですか、大臣。
 では、もう時間もありませんから、これはこれからもいろいろ議論されていくと思いますが、民営移管に当たってはあくまでも本土並み料金水準を維持をしていくということと、民営になっても安定供給ができるということと、それをやるには今の沖振法でいう特別措置は、一定期間の民営であってもそれは延長するなり検討を考慮しなければいかぬと思いますので、その基本はエネルギー庁なり通産大臣としては十分御留意なさって進めていただけますね。
#288
○渡辺国務大臣 今確かに九電力の平均が二十八円七十七銭、沖縄は二十九円七十八銭、中国電力よりもちょっと高いか、東北よりも安い、北海道よりも安い電灯料金ですね。そういうことになっていますから、沖縄だけが電灯料金が高いというのは統計上出てこないのですね。(上原分科員「いや、数字が違う」と呼ぶ)いや、数字がそうなっている。
 だけれども、民営問題については、地元の産業振興、そういう問題も考えなければならぬし、それから適切な料金というものも考えなければならぬ。よく地元と相談をしながら今後検討を進めていきたいと思います。なるべく地元の言うことも聞いて、地元と相談しながらやっていきたい。
#289
○上原分科員 ですから、そのことは沖縄電力に対する助成措置というもの、例えば石油関税の免除があるし、事業税とか固定資産税、登録税あるいは沖縄振興開発金融公庫からの融資の問題、そういうものは継続した上での民営化じゃないと、本土並み水準料金の維持ということは、安定供給は難しいよ、その措置は講じていただけますねということを私は今お尋ねしているわけです。
#290
○野々内政府委員 御指摘になりました点は大変大事なことと思っており、私どもとしても延長したいと思っておりますが、何分私どもだけじゃなしに関係するところも多うございますので、今後地元の意向も踏まえて十分御相談をしていきたいと思っております。
#291
○上原分科員 もう時間ですから、さっき電力料金が高くないと言ったので、私はそれだけは高いということを指摘しておきたい。
 九電力平均では一キロワットアワー二十三円五十三銭です。沖縄は二十七円六十六銭です。それは大臣の数字が間違っているか、我々はそういうふうにしか資料を受けていませんからね。その点はひとつ間違いないように御理解をいただきたいと思います。
#292
○野々内政府委員 大臣が申し上げましたのは、電灯料金につきまして沖縄が二十九円七十八銭であり、例えば東北が二十九円八十九銭とか、電灯料金について比べたわけでございます。
 実は沖縄の需要構造と九電力の需要構造が違いますので、これを単純に足しまして、今おっしゃいました二十三円と二十七円というのは、確かに数字が出てまいります。出てまいりますが、そういう比較の仕方がいいかどうかという点について若干問題があろうかというふうに思っております。
#293
○上原分科員 時間ですから、ですから数字はとり方によっていろいろあるわけで、そういうことで、高くはないから差益還元はだめだということにはならぬということを申し上げて、終わりたいと思います。
#294
○長野主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。
 次に、柴田弘君。
#295
○柴田(弘)分科員 先ほど大蔵委員会におきまして竹下大蔵大臣から、本日日銀が公定歩合〇・五%下げまして、四%になりました、そういう正式なお話があったわけでありますが、当然これに付随して貸出金利あるいは預貯金金利が下がる。それから現実に先般、一月三十日の引き下げのときにも、長期プライムレートが七・二%から六・九に下がった。当然また今回の引き下げによりまして、プライムレートも下がってくる。
 そこで、今中小企業に対する緊急融資を通産省がやっているわけでありますが、この五・五%は現状維持でいくのか、あるいは引き下げる用意があるのか、この辺をひとつお聞かせいただきたい。
#296
○木下(博)政府委員 現在五・五%で低利融資をさせていただいておりますが、これは財政投融資資金を使った金融の体系としては異例に低い水準でございまして、通常の利率の六・九%よりは一・四%低い、しかも住宅金融公庫の貸付金利とほぼ同じ水準であるというような状況でございますので、現在のところ、まだ変える考えは持っておりません。
#297
○柴田(弘)分科員 これは大臣にお聞きしておきますが、今竹下大蔵大臣は、今回のこの引き下げは景気拡大に通ずるのでなくて、景気の下支えになる程度である、こんなような話があったわけですね。大臣はどういうふうに思っておられますか。
#298
○渡辺国務大臣 私も同じように考えています。
#299
○柴田(弘)分科員 そうすれば、景気が下降線をずっとたどってきておる、それに今、いわゆる円高デフレ、円高不況という情勢であるわけでありまして、やはり昨年の第二次総合景気対策に続いて、私はこういった金利の引き下げはもちろんでありますが、財政金融面その他もろもろの第三次景気対策というものも今後とっていく必要があろうか、こんなふうに思いますが、その辺はどうですか。
#300
○渡辺国務大臣 景気の状況等も見ながら、必要に応じて政府はいろいろな措置は機動的にとってまいります。
#301
○柴田(弘)分科員 そこで私、一つ大臣にお伺いしますが、産業構造審議会というのがあります。これは大臣の諮問機関であるわけです。そこの企画小委員会というところがいろいろと提言をし、中間報告をまとめているわけであります。その中で、生産性の上昇に見合った賃金上昇の必要性というものを指摘していまして、実質労働生産性上昇の範囲内に名目賃金の上昇率を抑制するということは、消費需要の増加が拡大できない。でありますから今日、円高不況という中で非常に厳しい経済情勢、環境ではあるわけであります。あるいはまた、産業間の格差というものもあるわけでありますが、しかし不況だからといって、このような賃金引き上げが抑制されていいものかどうかということを私、思うわけであります。
 最近、本来は中立性であるべき賃金引き上げ、今、春闘がまさに真っ最中になってくるわけでありますが、やはり政府としても、中曽根総理の発言を聞いておりましても、声援を送っていこうというような感じだと思うわけであります。もちろん、労使双方の自主性に求めるべきではありますが、消費拡大、景気の動向というものを考えますと、言葉がちょっと悪いかもしれませんが、そういった賃金引き上げの誘導的な役割を政府は果たしていくべきときに来ているんじゃないかなというような感じを持つわけでありますが、その辺は大臣はどうお考えになりますか。
#302
○渡辺国務大臣 政府は、実質四%の経済成長というものを見込んでおるわけですから、その目標が達成できるような方法はいろいろこれからも考えていきたいと思っております。
#303
○柴田(弘)分科員 その方法の中の一環として、今賃金の問題を申したわけでありますが、総体論から各論に入っておるのですが、もうちょっと……。
#304
○渡辺国務大臣 これは、賃金の問題は政府が干渉できないのですよ。労使の問題ですから、政府はニュートラル、中立的な立場で、それはいっぱい上げなさいとも言わないし、ブレーキもかけませんし、企業企業の分配の話ですから、労使間で成績の上がったところはたくさんいただいたらいいし、上がらないところは我慢するほかないだろうし、私はそう思っておるのです。
#305
○柴田(弘)分科員 大臣、事柄は違うかもしれませんが、昨年、貿易摩擦解消ということで中曽根総理がテレビに出て、百ドル買ってくださいと国民に呼びかけられましたね。それから当時の通産大臣は、企業関係者を集めて、輸入品を買ってください、こういう呼びかけをされたと思います。あれもやはり貿易摩擦解消という一つの大きな命題があって特別なことをされたと思いますね。だから、やはり一般的な考え方としては、確かに大臣おっしゃること、私もちゃんと断りながら質問をしているわけです。ニュートラルです、中立性です。当然、労使の双方の自主性に任せるべきであるわけでありますが、いろんな景気対策をやっていくという場合にはそういうことも、どういうやり方をやるかということは別にいたしましても、一つの景気対策の一環として、今後とも考えていくべき問題じゃないかなというような気が私はしているわけなんであります。そういった一つの世論といいますか、国民の論調に今なってきたようなことを痛切に感ずるわけです。そういう点で御質問しているわけです。
#306
○渡辺国務大臣 私個人としては、いろいろ意見はありますよ、ありますけれども、国会で国務大臣が、賃金は幾らにした方がいいなんということは言えないんですよ、それは。だから私は、成績のいいところはいっぱいいただいてください、期待していますと言うのが精いっぱいです。
#307
○柴田(弘)分科員 それでいいんですよ、期待しているということで。
 では、次の問題に行きますが、ちょっと地元の問題で、いろいろと毎回通産大臣にお聞きしていますからお聞きしますが、ファインセラミックスというもの、いわゆる鉄あるいはプラスチックに続いての第三の素材と言われて、ハイテク産業の分野において新しい素材として脚光を浴びつつあるわけでありますね。この産業の現状、将来性というものを大臣としてはどのように御認識になっておられましょうか。
#308
○浜岡政府委員 私の方から基本的な認識について御説明をさせていただきます。
 ファインセラミックスは、現在、IC基板、切削工具、センサー、耐熱耐食材料、触媒単体、人工の歯根、さらには人工骨というような広い分野で使用されておるわけでございます。私どもは、将来はこういったものに加えまして、例えばガスタービンエンジンでございますとか、さらには原子炉といったような分野におきまして、構造用材料として使われていく可能性もあるのではないかというぐあいに見込んでおるわけでございます。試算ではございますけれども、昭和六十年度のファインセラミックスの生産額は約一兆円くらいかと思うわけでございますけれども、これが西暦二〇〇〇年ごろには五兆円程度には達するのではないかというような予測もいたしておるわけでございます。
#309
○柴田(弘)分科員 そこで、昨年本委員会におきましても私、質問を申し上げまして、この財団法人ファインセラミックスセンターの建設の問題、つまり財団法人の通産省の認可という問題を含めまして御質問いたしました。認可を得まして、産官学の連携によるプロジェクトとしていよいよ名古屋市に、総工費四十億円をかけて建設に着工いたしました。六十二年三月の完成を目指して現在建設中でございます。これは世界的なデータベース機能を有する試験研究機関である、こういうふうに私どもは評価をいたしております。六十二年四月には本格的な始動がなされる、こういうことでございまして、国際的、世界的研究機関である、私はこんなふうに評価をいたしているわけでありますが、この辺、通産省はどうお考えでしょうか。
#310
○浜岡政府委員 御指摘のとおりこのセンターは、材料の試験評価、それから中小企業への技術指導、さらには世界に誇れるデータベース機能を持ってほしいという気持ちから、私どもといたしましても、積極的に支援をいたしておるわけでございます。日本全国のセンターであることはもちろん、将来におきましては、世界のセンターというような位置づけを持ってほしいなというぐあいに思っておる次第でございます。
#311
○柴田(弘)分科員 そこで、先ほど御答弁がありましたように、国際的に重要な使命を持った、これはただ単に中部の活性化という観点からだけではなくて、日本はもちろん、世界的な研究機関である、こう思うわけであります。せっかく財団法人になりまして、ファインセラミックスセンターがいよいよ建設をされ、活動を開始する、こういうことになっている。果たしてその運営をどう軌道に乗せていくかということが今後、大きな問題になってくる、私はこういうふうに思うわけであります。愛知県、名古屋市は相当これに期待をいたしまして、助成をいたしているわけであります。これはよく御承知かと思います。こういった運営の問題。それからもう一つは、研究スタッフの体制という問題もあると思うのですね。全国の大学の研究機関、あるいは公立の試験所、あるいは企業のそういった技術者の出向等々をこれから受け入れて、最高水準の研究スタッフをそろえていくということが大事じゃないかなというふうに僕は思いますけれども、その運営というものについてどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
#312
○浜岡政府委員 資金、仕事、御指摘の人材、この三つの局面があろうかと思っております。
 資金の問題につきましては、御指摘のとおり関係産業界、さらには地元での大変な盛り上がりがございまして、次第に軌道に乗ってきつつあると思います。一段の努力が必要であろうかと思いますが、ある程度先行きが見えてきたというぐあいに思っておる次第でございます。
 二番目の仕事の面につきましては、私どもは、政府からの委託というような形で積極的な方向づけをしていくことが適当なのではなかろうかというぐあいに思っておるわけでございます。データ・ベース・システムの調査等につきまして、一般会計からの委託というようなことを予定いたしておるわけでございます。また、軽水炉にセラミックスを応用するとか、あるいは高温で非常に腐食性の高い環境下での石油プラント等への応用といった分野につきまして、具体的なプロジェクトの調査委託をするというようなことも考えておるわけでございます。
 問題は、三番目の先生御指摘の人材の問題でございまして、やはり各方面とのマンパワーの交流というような方向づけが必要不可欠だと思っております。現在、地元のセンター、さらには地元産業界、あるいは当該地域にございます試験研究所の間で、御指摘の研究員の流動的な派遣システムのあり方等につきまして積極的に検討を進めております。それから、海外との人材交流というのは必要不可欠でございまして、現在、意見交換等のためのチームを海外に派遣をいたしておりますし、また人材交流等につきましては、基盤技術研究促進センターの機能等も活用しながら、積極的な取り組みを行ってまいりたいと考えております。
#313
○柴田(弘)分科員 大臣、今ずっとお聞きになったように、相当通産省の御努力をいただきまして、やっと活動を開始するというのが来年の四月からになる。しかし、運営を軌道に乗せるという問題、あるいは人材確保の問題等々、いろいろな問題があります。今データ・ベース・システムの助成のための基礎調査委託等々、たしか六十年度は二千五百万程度、六十一年度が三千万くらいになるかということでありますが、国の方からもいろいろな援助をしているわけであります。やはりファインセラミックスというのは、技術開発について各国も非常に力を入れて推進しているところでありまして、そういった海外の研究機関との連携を深めながら、世界のセンターとして国際的な水準を有した試験研究の実施が可能になるように、今後とも国としても、今まで以上の援助、アドバイス、積極的な支援というものが必要である、私はこういうように思うわけであります。その辺、通産大臣としての御所見、御決意というものをお聞かせをいただきたいというのが一つ。
 それから、ファインセラミックスは、一番初めに申しましたように、鉄、プラスチックに続く第三の新しい素材である、これは大事であります。私は今後とも、我が国の経済の動向あるいは産業の将来性というものを考えた場合には、これは非常に大事だと思うのです。やはりそういった面で、今建設中でございますが、でき得ることなら大臣も一度名古屋へ来ていただきまして、いろいろと御認識を深めていただいたらどうか、こういうふうに御提言申し上げるわけでありますが、その二点についてお伺いします。
#314
○渡辺国務大臣 私も非常に関心を持っておりまして、やはり新素材の中の一番手近なものがこのファインセラミックスですから、これは貿易摩擦とも関係が薄いし、日本が世界に先駆けてこれを開発する、非常に結構なことで、これから大いに力を入れてやりたい、また、機会があれば一遍見学もしたいと思っております。
#315
○柴田(弘)分科員 ファインセラミックスの問題でお聞きいたしますが、一部の人たちが、これは完全に誤った認識であると思うのですが、ファインセラミックスセンターの建設あるいは研究ということについて、これは本当の大企業だけに利するものでないかといった認識があるわけなんですよね。いや、これはそうじゃないんだ、やはり知識集約型の先端産業であって、高付加価値を有する製品である、こういうように私も通産省から聞いておりますので、そういうふうに思っておるわけであります。
    〔長野主査代理退席、主査着席〕
また同時に、製造設備も比較的小規模である、こういうことから、これから中小企業にとっても、これは有望な新しい事業分野の開拓ができる、こんなふうに理解をしているわけであります。そういった認識がどうかという問題と、中小企業にどんどん入ってもらう、あるいはまた、これを通して中小企業をどんどん育成して、地域経済あるいは九十何%を占める日本の経済の活性化というものを図っていく必要がある、こんなふうに思いますが、この参入と育成という問題について今後どう取り組んでいかれるのか、その認識を含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#316
○浜岡政府委員 このセンターが名古屋にできました基本的な動機の一つは、まさにこの地域に非常に大きな陶磁器産業の集積がある、この分野にファインセラミックスのいわば活力を広げていこうというようなねらいがあったと申し上げていいのではないかと思います。その意味では、ただいま御指摘いただきましたポイントは、大変重要なところでなかろうかと思うわけでございます。
 ただ、このファインセラミックス技術の波を中小企業分野に広げてまいりますためには、設備、人材、情報といった面でのいろいろな努力が必要になってこようかと考えております。当センターでは、中小企業振興委員会を組織をいたしまして、いろいろと構想を練ってまいりましたけれども、いよいよ六十一年度から、中小企業の技術者を対象といたします講習会、研修会を開催をいたしますと同時に、中小企業からの依頼試験、共同研究、受託研究というようなものもスタートさせようということになっておるわけでございます。今後とも地元の中小企業の意見を十分吸収をしながら、的確な事業展開を図っていく必要があろうかと思っておりますし、私どももそういう方向での指導に力を入れてまいりたいと思っております。
#317
○柴田(弘)分科員 ひとつ大臣、よろしくお願いいたします。
 あと時間が五分程度しかありませんから、最後に、これも地元の問題で恐縮ですが、中小企業大学校というのがある。東京、関西あるいは九州、それからことしの四月ですか、北海道旭川に開校される。それで愛知県としても、中小企業大学校東海ブロック校の建設については毎年、通産省に対して予算要望してまいりました。六十一年度にやっと実施設計の段階に入っていくのではないか、そして六十四年度当初の開校になるのではないか。経営環境の厳しい中小零細企業の経営安定のための人材育成、これは非常に大事だと思いますし、そういった面でより一層前向きな御努力をお願いしたいと思っておるわけでありますが、この辺について、最初に中小企業庁の方から、今後の開校までのスケジュールを簡単にお聞かせをいただいて、最後に大臣のこの建設に取り組むお考え方、決意を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
#318
○木下(博)政府委員 中小企業大学校は、中小企業者の人材養成の機関として各地で大変好評でございまして、現在までのところ四カ所にあるわけでございますが、新たに中国と東海地区について現在、準備に入っているところでございます。
 六十一年度の予算によりまして東海ブロック校は、実施設計と用地造成のための事業をやることになっておりまして、六十二年度には建設事業に入るということでございまして、建設を済ませ、諸準備を整えて、六十四年度の当初に開校ということで進めたいと思っておりますし、現在のところ、すべての計画は順調に進んでいると考えておるわけでございます。
#319
○渡辺国務大臣 今の答弁で全部尽きています。そのとおりです。
#320
○柴田(弘)分科員 では、時間が多少あるわけでございますが、議事運営に協力をいたしまして、私の質問はこれで終わります。
#321
○上村主査 これにて柴田弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐藤祐弘君。
#322
○佐藤(祐)分科員 大型店の問題でお聞きをしてまいります。
 通産省は五十七年の二月に、中小小売商業者の営業を守り、また振興を図るということで、大型店の出店を抑制する、そういう措置をとられて、通達も出されました。そして五十九年には、その継続を決められた、こういうことだと思います。
 その中でお聞きをしたいのは、届け出を行おうとする者に対する事前説明の指導ということが行われております。いわゆる三条届け出の前ですね。つまり、大型店を出店しようとする者が通産大臣あるいは都道府県知事に届け出をする前に十分に説明をしなさい、こういう指導をなさっておると聞いておるわけでありますけれども、この事前説明を指導しておられる理由、それと、その説明の対象、内容はどうあるべきだとお考えであるか、この点をまずお聞きをしたい。
#323
○松尾(邦)政府委員 今、先生御指摘のように、私ども五十七年の二月から二年間の限時的措置、引き続いて五十九年二月に、五十七年来講じてまいりました措置の継続実施を決定いたし、その運用を図ってまいってきておるわけでございますけれども、その中におきまして私どもとしては、三条の届け出を行おうとする者あるいは核店舗としてその中に入居する予定の小売業者に対しまして、三条届け出に先立って、出店予定地の市町村、商工会議所などへの出店計画の内容についての説明を行うよう指導しているところでございます。
 この事前説明の趣旨は、大規模小売店舗調整法に係ります調整手続をできるだけ適正、円滑に進めるための一つの方法として、重要なものとして位置づけている次第でございます。
#324
○佐藤(祐)分科員 その説明という場合、特に直接影響を受ける小売業者の方々、地元の商店会、業者の方々ですね、その方々に対して十分に説明されることが何よりも大事だというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#325
○松尾(邦)政府委員 法の円滑かつ適正な施行を図るという観点からいたしまして、私ども先ほど申し上げましたように、出店予定地の市町村、商工会議所などというふうに申し上げましたけれども、当然、この商工会議所は地区の商工業者から成り立っておるわけでございますから、出店予定地の商工会議所においてその判断におきまして、地元の関係の商工団体等を当然念頭に置いた説明の手続を進めてまいるものと考えております。
#326
○佐藤(祐)分科員 通産省でお出しになった文書にも、「商工会議所又は商工会を経由して、地元商業者団体への説明を行う。」ということがはっきり書かれております。
 それで、その場合に十分な説明という点についてお聞きしたいのですが、十分なという場合、例えば大型店の人が地元の商工会議所なり商店会の幹部なりの方に、一方的にといいますか説明するだけ、通告するといいますか、それだけで説明はもう終わったということに私はならないだろうと思うのですね。やはり当然、疑問には答えるということが必要だと思うのですが、その点はそういう理解でよろしいのですか。
#327
○松尾(邦)政府委員 おっしゃいますように、一方的な単なる通告ということではなくて、出店の計画につきまして詳細な説明をした際に、いろんな質問がございますれば当然、その質問にお答えするというのがこの趣旨だと思います。
#328
○佐藤(祐)分科員 そうしますと、地元の商店、商工会議所の方々、あるいは関係自治体の方々が、話は聞いたけれどもまだいろいろ質問があるとか、もう少し説明をしていただきたいという場合、あるいは、実際には商店会の幹部の方が聞きまして個々の商店の意見を集約するということがある、そういうことが行われるわけですね、そういう段階の場合は、通産省の指導の趣旨からいいまして、まだ届け出の条件が満たされていないといいますか熟していない、そういうことになるわけですね。
#329
○松尾(邦)政府委員 私どもの指導の趣旨は先ほど申し上げましたように、市町村、関係商工会議所等への説明を行うことを指導しておるわけでございますので、関係市町村あるいは商工会議所等において、どのくらい出店計画についての事前の説明が浸透したかという情勢判断は、そのような関係市町村、商工会議所の判断を尊重して運用してまいっておるところでございます。したがいまして、どの段階でということについては、いろいろのケースがあろうかと存じますけれども、一般的に申しまして先ほど来申し上げましたように、出店計画の内容について関係の商工会議所がその判断によりまして、地元の商工団体等への説明は当然行うことになると思いますけれども、その手順、内容、説明の浸透度合い等は、商工会議所の判断によって私どもとしても法運用の判断をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。
#330
○佐藤(祐)分科員 その前に説明というのは一方的なものではない、質問には答えなければならないのだということでありますから、今のこともその延長で理解をいたします。
 具体的には、私の地元になるのですが、東京の葛飾の問題なんです。葛飾といいますと、柴又の寅さんというのでよく知られておりますように、非常に歴史のある下町であります。商店の人も、長年続いてきたというような方が多いわけですね。ですから、お店の繁栄ということと同時に、町の発展、町づくり、そういったことにも非常に努力をされているわけであります。
 ところが昨年来、にわかに大型店の出店計画というものが浮上してまいりました。御存じだと思いますが、それが地元では大問題になっているわけです。中でも、最大のものがイトーヨーカ堂、四つ木に出るというんですが、この店舗面積が一万三千七百平米。それから青戸の京成ショッピングセンター、これが六ブロックに分かれておるのですけれども、トータルで八千八百平米以上。さらにナコスの柴又店だとか京成ストアの水元店、こういったものが相次いで出店を表明しているということがあります。こういう四店がまた一斉にことしから再来年にかけて開店予定日を設定しているわけです。一挙にそういうものが出店しますと大混乱になるということで、今地元では不安が高まっておるわけです。
 特に、最大のイトーヨーカ堂、これはさっき言いましたように、一万三千七百平米という巨大なものですが、これと青戸の京成ショッピングセンターの間は二キロぐらいしか離れていないわけです。そうしますと、その間にあります商店街とか周りの商店街が大変な影響を受けるわけですね。立石、四つ木、青戸、白鳥、お花茶屋といったような歴史のある商店街が非常に大きな影響を受けるということで心配をされております。既に、イトーヨーカ堂に近い四つ木銀座の商店街では、対策委員会をつくって、ここは反対を決められたというふうに聞いておりますし、それから、区商連加盟の各商店会でもそういう動きが出ていると聞いているわけです。皆さん本当に心配なさっているという状況ですね。
 私の地元でありまして、私の方でも、きょう一部持ってきたのですが、アンケートを、各商店街の方にずっとお渡ししまして、事務所あてにいただきました。そうしましたら、圧倒的多数が「心配だ」、「売り上げが減るのじゃないか」ということで、「大型店の規制をもっとしっかりやってください。このままだと小売はだめになる」、これは青戸ですね。それから「ただでさえ落ち込みが激しいときに大型店出店など考えられません」、あるいは大型店は「届け出制でなく許可制にしてほしい」、こういった意見も含めまして、皆さん非常に心配した意見が来ております。そういう状況があるわけでありますけれども、この葛飾の場合も、先ほど御答弁ありましたように、地元の関係機関、自治体だとか商工会議所、そういうところに十分な説明がされるまでは三条届け出は行われない、そういう行政指導が行われると理解してよろしいわけですね。
#331
○松尾(邦)政府委員 ただいま御指摘の案件につきましても、他の案件と同様、何ら異なるところなく私どもの指導は適用されることにいたしております。
#332
○佐藤(祐)分科員 ぜひそういうことで厳格に指導をお願いしたいと思います。
 特に、今挙げました中の一つで、青戸の京成ショッピングセンターについてお聞きをしたいと思います。
 委員長、ちょっと図を見ていただきたいのですが、よろしいですか。
#333
○上村主査 はい、どうぞ。
#334
○佐藤(祐)分科員 これは東京都の都市計画事業としまして――これはここにずっと京成線が走っているわけです。それで、都市計画事業でいわゆる連続立体交差、それをやったわけです。ですから、線路は上に上がりました。下があいたわけですね。要するに単純に言いますと。その下を京成さんはこういうふうに使おうという案なわけです。AブロックからFブロックまで六ブロックありまして、トータルしますと、さっきから言っていますように八千八百二十六平米という大きなものであります。それぞれメンズファッションゾーンとかスポーツファッションゾーン、スーパーゾーン、レストランゾーンとか、そういう名称もついております。
 この京成の案でもはっきりしていますように、ブロックは六つに分かれておる。途中に公道が走っておりますから、六ブロックに分かれておるのですが、全体を一つの統一された店舗として京成自身が位置づけているわけですね。一つ一つが関係したものではなくて、全体が統一された店舗として位置づけている、実態はそうなるのだと思うのです。しかし、この図のように公道が間に入りますために、大店舗法上は六つの店が出るということになるのだという話なんですね。そうしますと、それぞれが三千平米以下ということになります。だから、第二種でいいんだというふうに言われるわけです。私はこれはどう考えてもおかしいというふうに思うのです。実質的には八千八百平米の大店舗ができるわけです。周りに及ぼす影響も非常に大きいということは見やすい道理だというふうに思うわけです。公道で区切られているとはいいましても、屋根はいわばつながっているといっていいわけですね、高架ですから。ですから、これは当然第一種と考えるべきだというふうに私は思うのですが、いかがでしょう。
#335
○松尾(邦)政府委員 ただいま御指摘の京成ショッピングセンターの案件につきましては、まだ正式な届け出が出されたわけではございませんので、私どもとしても確定的なことを申し上げられる段階ではないわけでございますけれども、東京都の方に確認いたしましたところでは、昨年の十月、建物設置者でございます京成電鉄の方から、出店計画の事前説明が東京都に対してなされたということでございます。東京都におきましては、この出店計画を検討いたしましたところ、確かに六つのブロックから成り立っているわけではございますけれども、大規模小売店舗法の解釈からまいりますと、大規模小売店舗法上は、鉄道高架の下に五つの建物がそれぞれ公道によって隔てられていることになっております。つまり、拝見いたしました絵によりますと、AとBの間は私道によって挟まれているということでございまして、したがいましてこのAとBは一つと勘定いたしまして、残りの四つと足し合わせまして五つになるというふうに判断しているようでございますが、これは先生十分御高承のとおり、大規模小売店舗法の三条の規定におきまして、一つの建物とは何かという定義が法律上ございまして、公共の用に供される道路その他の施設によりまして二つ以上の部分に隔てられているときには、その隔てられたごとに建物の数を勘定するというように法律上書いてあるわけでございます。
 これにつきまして、この事前説明の計画につきまして東京都において照らし合わせて考えたところでは、これを五つの建物というふうに判断されるというふうに見たわけだそうでございますが、その際、店舗面積も五つに割るということになりますと、先生おっしゃいましたように、それぞれ三千平米未満でございますから、その解釈のとおりであるといたしますと、第一種大型店には該当しないということになるのではないかというのが、東京都の感触でございますと承知しております。しかし、いずれにいたしましても、この大型店の種別につきましては、正式な三条の届け出が申請された段階で、店舗面積などにつきまして私どもとしては算定基準を種々通達いたしておりますので、その基準にのっとりまして解釈をいたしまして、十分慎重な審査の上で、最終的な判断が行われることになるというふうに考えております。
#336
○佐藤(祐)分科員 今の最後の御答弁の算定基準というのはどういうことですか。
#337
○松尾(邦)政府委員 実は店舗とは何かということにもなるわけでございますけれども、一応私どもといたしましては、店舗面積に含まれる部分は何であるか、それから、同じ建物の中にございましても、店舗面積には含まれないものは何であるかということにつきまして、項目ごとに拾い出しましてそれを列挙しているのでございます。例えば、階段でありますとか食堂でありますとか、エレベーター、エスカレーターの部分、そういう部分につきましては算定上、店舗面積の中には含めないというような種類の通達を、実はもう少し詳細になっておるのでございますけれども、おおむねさようなことをいたしておるわけでございます。
#338
○佐藤(祐)分科員 届け出が行われた段階でいろいろ判断をするということをおっしゃいましたが、ぜひこの実態に即してといいますか、形式的には五つのブロックで二種になるんだという解釈でありますけれども、実際には一つの大きな店舗として機能するわけですね。だから、そういうことでぜひ実態に即しての御指導をしてもらいたい、それが当然だというふうに思うわけです。
 特に問題になるのは、商圏の範囲だと思うのですよ。店舗面積が三千平米未満は半径一キロですか、そして三千から一万平米の場合には二キロというふうになっていると思います。そうしますと、この場合でいいますと商圏一キロということだけでやられますと、実際には大型店舗で広大な地域が影響を受けるのですが、その半分の、面積でいうと四分の一の地域の影響しか参酌されないということになるわけですから、この場合にはやはりこの実態に合わせて、半径一キロということではなくてやらなければならぬというふうに思うのですが、いかがでしょう。
#339
○松尾(邦)政府委員 私ども商圏の考え方につきましては、先生おっしゃいましたように、三千平米未満の店舗につきましては、半径一キロメートルの範囲が一つの商圏の物差してはないかというふうに通達をいたしております。しかし、もとより各地域の実情に応じまして所要の対応が行われるべきであるというふうに私ども考えておりますので、本件につきましても、手続具体化の際には、東京都におきまして、地元の実情を十分踏まえまして判断、処理されるものと考えております。
#340
○佐藤(祐)分科員 もう一つ、この京成の関連でお聞きをしたいと思います。
 先ほども申し上げましたように、都の都市計画事業ということでやられたのです。その高架下をどう使うか、これはまだかなり慎重な検討が必要な問題じゃないかというふうに私は思うのです。地元の方の意見では、とにかく都市計画事業ですから、工事費の負担は九三%が都と国なわけですね。京成は七%しか負担しないわけです。七%の負担をしただけで、その下に新しく全く更地のようなものが生まれるわけです、事実上。それが京成の思うように使われて地元の商店などが困る、こんなことは不都合きわまりない、そういう感じを持っておられる。私もそれはわかるのですね。ともかく国民の税金で、都も国もそうですから、国民の税金を九三%使って高架にした。京成の方は得なことばかりなわけですよ。もう踏切も要らなくなるわけですし、そういう経費も要らなくなる。しかも、国民の税金によって高架化されて、その下にできた大きな土地です。全体では約二万平米あるのです。そのうちの八千八百平米。駅舎に近いところの地価は坪約二百万から二百五十万と言われているのですが、その地域ではそういう一等地です。こういうものを使う。そうして、そのことによって地元の区民、商店会の人が苦しむ。こんなばかなことはないんじゃないかという強い意見を持っておられるわけです。
 私はこの問題で思うのですが、一方、建設省の方では、聞くところによりますと、高架化によって生じた土地についてはなるべく公共用に使うようにという指導をなさっておるというふうに聞いております。ですからこの場合、町づくりという視点が必要だ。ただ空き地を京成がどう使うかというだけではなくて、そういう町づくりの視点が必要だと思うわけです。特に大都市の場合、高架にすることによりまして新しい空間が、貴重なスペースができるということですから、ところが、今それに対する総合的な行政といいますか、その面で私は一つ抜けがあるのではないかということを言いたいわけです。現にそうであるように、鉄道事業者の方は、そういう機会があればその下を早速使いたい、しかも大体系列のスーパーなりそういうものを持っておられますから、そういうものに使おうとするということになりますね。これに対応する行政の方は、通産、建設、運輸、これはばらばらになっているという状況があると思うわけです。
 というのも、都市計画で高架化になるということを進めるときには、その段階で既に下の土地は商業に使うんだということは言っているわけですよ。言っているわけですけれども、実際にそこが具体的に問題になるのは、もう高架もできて空き地もできて、それからやっと通産省の出番ということになるわけですね。ですからそうではなくて、そういう場合には、当初の段階から本当に町づくりのためにそこをどう使っていくかというような判断ができるようなシステム、新しいルールですね、そういうものが必要ではないか、そういう点をぜひ検討していただきたい、そういうふうに思うのですが、いかがでしょう。
#341
○松尾(邦)政府委員 御指摘のございました京成ショッピングセンターの場合につきましては、これは東京都にも確認いたしましたところですと、確かに都市計画法に基づく都市計画事業の一環として行われる事業なわけでございますが、本件の場合につきましては、例えば市街地の再開発事業のような場合と違いまして、施設整備と一体、同時的な開発が行われる事業ではない種類の都市計画街路事業という、私も建設省のことでつまびらかに必ずしもいたしているわけではございませんが、都市計画街路事業として位置づけられているということでございます。したがいまして、施設との一体的な整備が行われる種類のものではなく、既に都市計画の決定を受けたのは四十六年のことであったというふうに聞いておりまして、実際に副次的に発生いたしました土地空間の一部を京成電鉄が商業施設等に利用しようと判断したのは、東京都からの話によりますと、五十九年の十月に至って決定をいたしておるものというふうに聞いているわけでございます。
 したがいまして、本件のような場合は、そういう意味で都市計画との、それから商業施設との関連等につきまして一体的な判断はなかなか難しいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、本件商業施設につきましては、大規模小売店舗法に基づきまして、地域経済社会との調和に配慮しながら、当該地域の個別具体的な実態を踏まえ、適正、円滑に出店調整が行われるようになることが必要だと考えており、そのように心がけてまいるつもりでございます。
 一般的に言えば、先生おっしゃいましたように、商店街や大型店などの商業施設が都市の一部を構成する大事な要素でございますから、商業政策と都市政策とが総合的に推進されることが期待されることはもとよりでございます。そのため私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、施設整備を同時的に伴う市街地再開発事業等につきましては、かねて建設関係部局との連携も緊密に行うような手だてを講じているわけでございますけれども、御指摘のような点は、商業担当部局と都市計画担当部局との連携が今後とも必要なことだという問題認識については、私どもとしましても今後、念頭に置いてまいりたいと考えております。
#342
○佐藤(祐)分科員 時間が最後になってまいりまして、最後になりましたが、大臣にお聞きしたいと思います。
 大型店の出店は、周りの中小の小売店に影響は大変大きいわけであります。共存共栄ということを通産省は言っておられますし、そうなれば望ましいのですが、実態はなかなかそうもいかないという例も多いわけですね。
 東京の立川の駅ビル「ウィル」というのが五十七年にオープンいたしました。その後、立川の商工会議所が、周辺の商店街、駅前ずっと深い商店街があるのですが、どうだったかという影響の調査をされたのです。地元商店街十二あるのですけれども、合計で、売り上げが著しく減っているという店が二十一で二四%、やや減というのは三六・二%で、合わせますと六〇%近い商店が「ウィル」の出現によって売り上げが減っているという結果が出ているわけです。この「ウィル」というのは、二万五千平米くらいの大きなものです。駅にありまして大きく建っている。こういうことから言いますと、通産省の指導、これは商店にとっては非常に重大な影響を持つということであります。下手をしますと、弱肉強食がまかり通るということにもなりかねぬわけです。その点で、ぜひとも中小企業商店の利益を守るという立場に立った御指導をお願いしたいと思うわけです。
 ただでさえ昨今、消費不況とか言われておりまして消費の伸び悩みがあります。そういうときだけに、大型店の出店というのは命取りになるという危険がございます。ぜひまじめに働き、商売をしている人たちが苦しまないようにしていただきたい、そういうことを大臣に特に最後に要望したいわけでございますが、いかがでしょう。
#343
○渡辺国務大臣 これは本当に、地元商店街と消費者という二つの勢力がありましてね、消費者の方はわがままなところもありますから、ともかくうんと来てもらいたい、商店街は困る、そこで大規模小売店舗法に基づく調整制度というものがあるわけです。したがいまして両にらみで、行き過ぎがあってはいけませんし、地元商店街も守らなければならぬ。そこの両方を考えながら、運用には万全を期してまいりたい。大型店舗の行き過ぎは、私はいかぬと思いますよ。
#344
○佐藤(祐)分科員 では、時間です。終わります。
#345
○上村主査 これにて佐藤祐弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、稲葉誠一君。
#346
○稲葉(誠)分科員 あしたが締めくくり総括なものですから、それへの資料をとるためといっては大変恐縮なんですが、そういう形も込めてお聞きをいたしたいと考えるわけです。それは、石油の問題を中心といたしましてその価格が下がっておりますから、それが日本経済にどういう影響を及ぼすだろうかということが中心に、結論はなってくるわけです。
 そこで、最初にお聞きいたしたいのは、去年の十二月七日から九日まで、ジュネーブでOPECの総会があって、そのコミュニケでOPECの加盟国がマーケットシェア、市場におけるシェアの防衛、維持をするということを宣言した、こういうふうにありますね。これは一体どういう意味を持っておるのか。それが世界の非OPEC産油国、殊にアメリカ、ソビエトの情勢がどうなのかとか、日本の経済にどういう影響があるかとか、そういうお話をお聞かせ願いたい、こう思うわけです。
#347
○野々内政府委員 昨年OPECがシェアの防衛を宣言をいたしまして、これが引き金になって石油の値段が下がった、こう考えるわけでございますが、御承知のように、昔はOPECのシェアは大体六割くらいだったわけでございますが、ついに現在ではほぼ四割まで下がってまいりました。これは北海、メキシコ等の非OPEC諸国が生産をふやしてきたということが非常に大きい理由でございます。特にその中でサウジのシェアの減少が甚だしい。サウジはGSP、ガバメント・セーリング・プライスと申します公式販売価格を保っておりましたために、ほかの国がより安い値段で売るということで、サウジのシェアがだんだん下がってまいりました。日本の場合にも、従来サウジは三分の一以上でございましたが、ことし一月にはついに一割ちょっと、二割弱まで下がってまいりました。このシェア防衛宣言の理由は、OPEC諸国が自国の開発のために必要な外貨をどうしても取りたい、そのためには必要な油を生産せざるを得ないということがポイントになるわけでございまして、そのシェアが幾らであるかということは明確に言われておりませんが、千六百五十万バレル以上であろうというふうに言われております。
 このために、石油の値段がどんどん下がってまいりました。日本も、昨年の輸入価格は二十八ドルぐらいでございましたが、一月には二十七ドル七十七まで下がってまいりまして、多分二月は二十四、五ドルまで下がるのではないかと思います。サウジアラビアは、GSPで売っていたのではとても売り切れないということで、ネットバックプライスという新しいシステムを導入いたしました。これは、製品の市況が決まりますと、それをつくるために必要な原油の値段を逆算して決定されるわけでございまして、多分現在では二十ドルからそれ以下ではないか。GSPが二十八ドルでございますから、八ドル程度値下がりしているのではないかと思われますが、これは市場に出回った油ではございませんので明確ではありませんが、そういう状態でございます。
 我が国の場合もネットバックプライスによる契約ができておりまして、二月一日から積まれております。最近、中東から日本への船は大体一月かかっておりますので、三月ごろから入り始めると考えられますが、これは二十七万バレル程度でございまして、日本の総輸入は三百三十万バレルでございますから、すべてが二十ドルになるわけではございませんが、三月になりますとかなり低いものが入り始めるかと思います。したがいまして、日本経済にとりましては対外支払いがその分減る、それが回り回りまして成長率を押し上げ、物価を引き下げるという効果があろうかと考えております。
#348
○稲葉(誠)分科員 今のお話、よくわかったのですが、ネットバックプライス方式ですね。前は日本では認められていなかったわけでしょう。それが認められるようになった理由と、ちょっと話になかったのですが、アメリカなんかうんとあるでしょうけれども、ただ掘削しないだけだという説もありますし、よくわかりませんが、米ソはこの点に関してはOPECを脅かすだけの力がないんだということを言う専門家もいるものですから、そういう点についてお聞かせ願えればと思います。
#349
○野々内政府委員 御指摘のとおり、ネットバックシステムはスエズよりも東には適用がないという状態でございました。それがなぜスエズより東に適用になったか、明確にはわかりませんが、一つはサウジのシェアがどんどん減ってきたわけで、これではとても財政がもたない、したがって何が何でも売らなければならぬということがあるのではないかと思います。
 ただ、その交渉過程で報告を受けておりますと、アジアには明確な製品の相場がないというのも一つの原因だと言われております。ヨーロッパの場合にはアムステルダムという世界的な市場がございまして、ここの製品の市況が国際的に明確に出ているわけですが、シンガポールは小さい、日本の場合には統一された市況がない、そのためにアジアにはネットバックプライスの適用がやりにくいということでございました。しかし、シェアの低下には抗し切れなくて、ついにサウジはアムステルダムの市況をもってネットバックシステムをアジアにも適用することに踏み切ったわけでございます。
 それから、アメリカの力でございますが、脅かす脅かさないというのは、中立的であろうかと思います。実は、今アメリカ国内の、特に小さな原油生産業者が、アメリカの議会に対して輸入関税をかけるように働きかけております。これは、割に生産コストの高いところもございまして、安い油が入ってまいりますと油田の維持ができなくなるということで、何とか高目に価格を抑えたいという理由から働きかけておりますが、レーガン大統領は保護主義的な措置は絶対に反対であるということで関税をかけることを拒否しておりますが、アメリカ議会の中では、それでは財政赤字を埋めるために何らかの税をかけることを考えてはどうかという動きがございまして、これはできる可能性もなきにしもあらずと思っております。
 それから、ソ連の場合には一千万バレルを超える生産がございまして、そのうち西側に百四十万バレルぐらい輸出いたしておりまして、これがソ連の外貨事情に非常に大きなウエートを占めております。したがいまして、現在の値下がりはソ連経済にとって相当な痛手ではないかと思います。
 ソ連の輸出はとまりぎみでございますが、メジャー筋に聞いてみますと、価格の契約が非常にやりにくい。これは、ソ連の契約が交渉当事者が割に硬直的な価格をオファーするので、西側はそれじゃとても買えないということでとまっていると聞いておりますが、最近は国際市況に沿った価格のオファーがあると聞いておりますので、いずれソ連の輸出が再開されると思います。ただ、相当安い値段になりますので、ソ連としては外貨事情は非常に困ると思います。
 もう一つは、ソ連は東欧圏に輸出いたしておりますが、この東欧圏への輸出はスポットプライスではなしに過去の三年か五年の平均で売っておりますので、東欧圏は国際マーケットより高い値段で買っておるということで、東欧圏とソ連との間に摩擦があるのではないかということが言われております。
 その程度かと思っております。
#350
○稲葉(誠)分科員 この前このことに関連して、NHKのテレビですか、解説しておったのですが、ドイツの場合はこのことによってリッター百円を割っているというわけです。日本の場合は、今小売価格百三十円台ですね。もっと下がらなければならないはずじゃないかということが当然考えられるのに、なぜ日本の場合小売価格が下がらないのか。
 もう一つ、ドイツの場合百円を割っているというのだけれども、日本と比べるとずっと安いわけですね。その理由としては、ドイツの場合は灯油の方の比率がずっと日本より多いからだと言っているのですけれども、それは理由にならない。どうしてドイツがそんなに安くなっていて日本はこんなに高いのだろうかということの理由は、どういうところにあるのですか。
#351
○野々内政府委員 実は需要構造が違うというところにポイントがございまして、我が国の場合には重油と灯油がかなりウエートを占めております。これの値段が比較的安うございまして、その部分のコストがガソリンにかかっているという状況でございます。したがいまして、重油とか灯油の値段をもし上げることが可能であればガソリンの値段を下げることが可能ではないか。それから、当然のことながら、トータルとしての売り上げは値段の高いもののシェアが多ければ収入が多いわけでございますが、日本の場合には二五%ぐらいがガソリンでございまして、ここに高いコストを集中しておりますので、どうしても高値に出ざるを得ないという点があろうかと思っております。
 もう一つは、備蓄の量もかなりございまして、日本の場合には民間会社に九十日の備蓄を義務づけております。したがいまして、先入れ先出し法でやりますと、今入ってきた油がたとえ安くてもそれがコストとして反映するのは三カ月後になるわけでございますので、どうしても下がるのが遅くなるということでございます。むしろ、逆にもう下がり始めておりまして、このために石油会社は赤字を出しているというのが実情でございまして、昨年の上期、九月決算では全部で二千億近い赤字を出しておりますので、そういう意味でいいますと、コストの下がりよりも先に下げているという方が現実ではないかと思います。
#352
○稲葉(誠)分科員 これから、春から夏にかけて一段と石油の不需要期を迎えるわけですね。そうするとさらに下がってくるのですか。どういうふうになる見込みですか。
#353
○野々内政府委員 これは非常に難しい御質問でございますが、今は石油の国際的な需給がバランスを失しているということだろうと思います。世界的にどのくらいが過剰かというのはわかりませんが、百万バレルから二百万バレル・パー・デーが過剰である。そのために、供給過剰で値下がりをしていると言われておりますが、これが夏場にまいりますとより多く、二百万バレル以上の過剰になりますので、より値下げ圧力は高まると思います。
 他方、サウジのように井戸の値段が非常に安いもの、バレル二ドル以下と言われておりますが、こういうものですと十五ドル、十ドルまで下がっても操業は可能でありますが、井戸の値段が二十ドルぐらいになっておりますところになりますと、これはとても操業が不能になりまして、とめざるを得ない。そうなりますと、どうしても供給が締まってくるということで、需給のバランスが回復をし、価格が上がってくるだろうと言われております。したがいまして、この二つのバランスがどうなるかという点によって動きが異なってまいりますので、ちょっとどうなるかというのがわからないような事情でございます。
 それで、三月十六日にOPECが石油相会議を行い、その後非OPEC等を含めた会合があるというふうに聞いておりますが、どうもOPEC内の強硬派でありますイラン、アルジェリア、リビアあたりは、しばらく完全に井戸をとめたらどうかという提案をしているという情報もございますが、これは穏健派でありますサウジとかクウェート、アラブ首長国連邦はとてもできないと言っておりますので、三月十六日には多分まとまらないのではないかと思います。そういたしますと、より供給圧力は強まる可能性がございます。その後、今度は非OPECまで入れた会合が開かれる可能性がございますが、どうも英国、ノルウェーはこれに参加をしないと言っております。
 そういたしますと、この供給量は二百五十万バレルぐらいございますので、とても需給が締まるという状態にまでいかないので、当面今のような緩みは続くのではないかと思いますが、どうもこういう動きは、余り見通しを言いますと間違ったら困りますので、まあこの程度かなと思っております。
#354
○稲葉(誠)分科員 そうすると、原油価格が急落して、それが代替エネルギー開発に対してどういう影響を現実に及ぼすのか、あるいはむしろ逆に及ぼしてはならないのか、こういうことですな、そこら辺はどういうふうに……。
#355
○野々内政府委員 まず、石油の価格がどの辺で落ちつくのかというのがわからない限りは、代替エネルギーの開発に直接的な影響は及ばないのではないかと思います。と申しますのは、例えば原子力発電所をつくりますのには、相当期間がかかります。十年ぐらいかかるということでございますので、十年後の価格というものを考えて今から発電所の開発計画をつくりますので、石油の価格が一時的に安くなったからといって、長期的な計画を変更するということではないと思います。したがいまして、代替エネルギーの開発につきましては、余り大きな影響はないのではないかという感じはいたします。ただ、一時的には決定を迷う、あるいは技術開発につきまして若干延びる可能性というものはあろうかと考えております。
#356
○稲葉(誠)分科員 そうすると、いろいろ考えて、原油価格の安定というのはいつごろどのぐらいで安定するというおおよその見通し、これもまた難しいことはよくわかりますけれども、見通しですから、これは間違ったって構わないといったらおかしいですが、そこら辺はどうなんですか。
#357
○野々内政府委員 これは、もう全くわからないと申し上げた方が正しいかと思います。
 と申しますのは、現在生産されております石油の井戸のコストというものが非常に低いわけでございまして、十ドルを割ってもまだ現在程度の需要量であれば供給可能であろうかと思います。したがいまして、生産コストからいって供給が締まってくるというところまでいくにはかなりの時間がかかるのではないかと思います。むしろ国の収入、国家財政が非常に詰まってくる、したがって、とてもこれでは困るので何とか値上げをしたいという動きが出てくるのがどの段階かということになろうかと思いますが、イランあるいはリビア、アルジェリアというような、どちらかというと強硬派諸国は、早急に減産あるいは供給停止をしてでも価格を回復したいというふうに考えておりますし、それからサウジのように余裕のあります国につきましては、もうしばらく様子を見てみようというふうに言っておりますので、どこまでいけばとまるかというのは全くわからないと言わざるを得ないと思っております。
#358
○稲葉(誠)分科員 それは、わからないのは本当かもわかりませんけれども、ある程度の目安をつけないと、全体の日本の財政なり経済の計画というのが立っていかないんじゃないですかね。もちろん、自由主義経済のもとでそんな正確なものは言えないのですけれどもね。金額は別として、おおよそのいつごろということはどうですか、それは。
#359
○野々内政府委員 実は、私どもも内部でそういう議論を常時やっているわけでございますが、一つは、三月に行われますOPECの会合、それから非OPECとの話し合い、これがどうなるかということであろうかと思います。
 もう一つは、サミットに向けまして、実は英国はこの石油の値下がりで本当はかなり困るはずなんですが、今のところサッチャー首相は減産をするつもりは全くないということを言っておりまして、そのあたりがどうなるか。
 それから、アメリカが議会では少し関税をかける必要があるんじゃないかという動きがございますが、レーガン大統領は値下がりは大変結構であるということで、むしろ反対をいたしております。
 したがいまして、今のところ下げどまる点について予想を立てるのは非常に難しゅうございますが、サウジのヤマニあたりの話を聞いておりますと、大体あと一年ぐらいこういう状態が続くと油田が枯渇をしてきてだんだん上がっていくであろう。と申しますのは、油田は常に更新をして掘っていかなければいかぬわけですが、新しく掘る井戸というのはかなり高いコストになるわけでございます。したがいまして、現在ある井戸は安いわけですが、新しく掘る井戸は高いわけですから、高く売れない限りは新しく掘るという動機がなくなってまいりますので、やはりここ一年ぐらい続くとだんだんもとへ戻ってくるのではないかということを言っておられますが、これについては全くわからないということしか言いようがないと思います。
#360
○稲葉(誠)分科員 通産省の方では、例えば一バレル何ドル下がったときに日本のGNPなり卸売物価なり輸入なり、あるいは経常収支なりにどういう影響があるか、こういうことは考えておられるのですか、これは失礼な言い方だけれども。それはこの前、野村総研の、名前は忘れましたが、どなたかがテレビでやっていたのですよ。教育テレビでやっておったのを写したのが私のところにあるのですが、例えば六ドル下がったときにどういうふうなものがあるかというのと、通産省の方の計算はどういうふうになっておるのか、経済企画庁の方の計算はどういうふうになっているのか、違うのか同じなのかわかりませんけれども、どうなんですか、これは。いろんな面に影響がある、影響の割合ですね。
#361
○松尾(邦)政府委員 確かに先生御指摘のように、いろいろな機関で、原油の値段が下がった場合どういう影響が出てくるかということにつきまして試算をされているのは、私ども承知いたしております。
 冒頭、長官からお答え申し上げましたように、石油の値段が下がれば我が国の経済にとりまして物価の一層の安定ももたらされますし、成長率も上昇いたしますし、我が国経済に望ましい影響を及ぼすということについては、私どもも当然よくわかっているわけなんでございますが、もちろんこれがまた世界経済全体に対しても、総じて好影響をもたらす面があるわけです。他方、産油国にとりましては、いろいろ累積債務問題等あるいは国際金融面の影響なんかもありまして、これはいろいろ複雑な要素を考えてみますと、国際経済面に混乱を引き起こさないとも限らない。そういたしますと、世界貿易を通じて我が国に影響を及ぼすおそれもあるというようなことになるものですから、幾ら油が下がれば幾ら経済に定量的に影響が出てくるということを計算することはなかなか難しいというのが実情でございまして、今後の不透明な要因も多いわけでございますので、原油価格の動向、世界経済に与える影響を十分注視してまいるというところが私どもとしてのとるべき立場ではないかと考えている次第でございます。
#362
○稲葉(誠)分科員 それはいろいろな配慮があるのだろうと私も思うのです。産油国の経済が悪くなって、そしてそれらの国々が日本から買うものが減ってくる、額が減ってくることのマイナスの影響などもどういうふうに換算するか、どういうふうに見通すかとか、いろいろな角度で物を考えなければならないので、一概に言えないとは思うのです。民間の場合は、率直に言えば、気が楽だというと悪いかもわからぬけれども、一応見通しを発表してもどうということはないが、政府当局で見通しみたいなものをやって、後でそれが違っていたとなると、これは役人の世界だから責任問題なんか起きてくるということもあって、通産当局としてはなかなか発表しづらいのだろうと思うのですが、そういうのをやるのが経済企画庁の仕事じゃないのかな。だから、経済企画庁としてやったところで、それは一つの試算としてやったんだという前書きをつければ、こういう条件こういう条件のもとでの一つの試算なんだ、あくまでも参考ですよ、こういうことで発表するならば、発表したって別にどうということはないので、それは官庁エコノミストの一つの仕事じゃないのかと私は思うのですが、どうですか。
#363
○吉川説明員 お答えいたします。
 実は石油の値下がりという状況につきましては、これまで五十八年に一度経験があるわけでございます。値上がりの方は何度かそういう目に遭いまして、私どもも幾らかそれの分析のやり方等々につきまして経験を積んでおるわけでございますけれども、値下がりにつきましては、遺憾ながら五十八年の経験が一度ということでございます。
 それで、そのときの経験等も考えながら、私どもの方も今先生がおっしゃられましたいわゆる仮定的な計算もやってはございます。ただその場合の考え方といたしまして、これは五十八年のときにもOECDを通じて論議があった点でございますが、石油価格の値下がりによりまして確かに物価の低下等がございます。それが設備投資に一体どういう影響を与えるかという点で非常に推計結果が変わってまいります。今回も、このことによりまして企業のマインドがどういうふうに変わっていくか。今回の場合は円高要因その他の関係が実は絡まってまいりまして、なかなか五十八年の当時のようにすっきりいかないという事情がございます。そういうことで、内々にいろいろそういう点も考慮しながら、今通産省の方で申されましたように、もう少し石油情勢が安定してまいりまして、五十八年のように五ドルなら五ドルといった格好で推定上の根拠がはっきりしてまいりましたら、その辺につきましてももう少し確定的な推計結果が申し上げられるのではないかと存じます。
 しかしながら、現在におきましてはそういう点におきましても不透明、それから五十八年に議論がございました影響の筋道につきましてもやや、実はこれは仮定をどちらにとるかでOECD全体で一%近い実質成長率の違いが出てまいります。そういうこともありまして、その辺はまだ検討している段階でございます。
#364
○稲葉(誠)分科員 この前赤羽局長が予算委員会で言ったのも、たしかこの問題について言ったのでしたか、別のことでしたか、何かはっきりしないようなことを言っておられたのですけれども、いずれにしても、結局あなたの方としては民間と違いますから、公の立場で、公の席だから、それを発表するといろいろな面で影響が大きいということを考えられて言われないのかと思うのですけれども、そうすると、どこに一番影響があると考えるのですか。
#365
○吉川説明員 五十八年の折には、当時まだ経済の回復期といった状況がございまして、そういう点でどういう影響があるかということを注目しておったのでございますけれども、結果的にはかなり設備投資が出てまいった経緯がございました。今回がそういうことになりますかどうか、その辺が一つのポイントかなと思っております。
#366
○稲葉(誠)分科員 そうすると、どういう場合だと設備投資がどんどんふえてくるということになるのですか。
#367
○吉川説明員 ちょっと英語の言葉で恐縮でございますけれども、ビジネスマインドあるいはビジネスコンフィデンスという言葉を使っておりますけれども、石油価格の見通し等が安定してまいりまして、かなり中期的に石油価格の低水準といいますか、そういうものを前提として、企業が設備投資をやってもいいなといった感じの確信を得るということではないかと思われます。
#368
○稲葉(誠)分科員 今企画庁の言われたように、ビジネスマインドの問題ですね。設備投資をやってもいいなという確信を得るためには、一体どうしたらいいと通産大臣はお考えですか。ここが一番難しいところでしょう。設備投資をやるためにはやはりビジネスマインドの問題だ、こういうことになるのでしょう。ビジネスマインドというものをかき立てるためには今の日本の経済の中で一体何を一番やったらいいか、どういうふうにしたらいいんだろうか、問題はこういうことですね。
#369
○渡辺国務大臣 政府がいろいろなことをやっても、やはり経済人というのはもうかる、利潤が上げられるという気持ちにならないと設備投資はやらないと私は思うのです。今の経済というものは、日本だけでなくて世界の経済はつながっておりますから、世界の経済の動きにも当然目を見張るでしょう。ですから、石油の値下がりの問題も、どこらでこれがおさまるのか、それから円レートも、ドルレートがどの辺で安定するのか、やはりそういうふうな安定感が出てこないと、私は、設備投資を大いに拡大しようという気には余りならぬのではないか、これは私の素人考えですが、そういうふうに思っております。
#370
○稲葉(誠)分科員 これは、あした締めくくり総括の中で恐らく内需の拡大を中心としてそこが中心になってくるんだと思うのですけれども、ちょっと最後にお聞きをいたしたいのは企画庁の経済白書の中で、日本、アメリカ、西ドイツの輸出入の所得弾性値の問題で、これは宮崎さんのブックレットにもあるのですけれども、日本の場合輸入の弾性値が非常に低いですね。これはどういうわけですか。
#371
○吉川説明員 これは、貿易構造の中で、特に輸入につきましては価格弾性値のそもそも非常に低いもの、原材料の関係の輸入品のウエートが高いためだと考えております。
#372
○稲葉(誠)分科員 終わります。
#373
○上村主査 これにて稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐藤誼君。
#374
○佐藤(誼)分科員 最近円高差益等の問題がずっと議論されておりますが、その点について私の方から質問していきたいと思います。
 まず最初にお尋ねしますが、電力業界は円高及び原油価格の下落によって年間の差益がどのぐらいになるのか。これは電力業界です。どうでしょう。
#375
○野々内政府委員 どこに落ちつくかというのがわからない限り、どうも幾らかというのが言えないわけでございますので、当然一定の前提を置いて考えるわけでございますが、一円の円高が一年間続きますと九社合計で百二十億円になるわけでございます。それから、一バレル当たり一ドル下がったのが一年間続きますと、九社合計で八百億円になるということでございますので、今後一体どのくらいで落ちつくのかという見通しはなかなか難しゅうございますので、ちょっとまだどのくらいになるかというのは申し上げにくいかと思っております。
#376
○佐藤(誼)分科員 申し上げにくいと言うとちょっとこれは問題があるので、これは動きますから、仮定に立っての計算ということになるのは当然なんですが、これから還元を考えるときに、そういう形で処理するわけにはいかぬでしょう。一定の仮定に立った数字を出して、そして変動すれば当然それを直せばいいわけですから、私は今の答弁ではちょっと不満なわけです。今の百二十億、八百億というこの数字の上に立ちますと、仮に円相場がよく言われるように六十五円差、それから原油の下落が八ドルというような計算をしますと、結論だけ言いますと、合計で一兆四千二百億円。これは、よく言われるように、一兆円を超すというふうに言われているわけなんで、一兆円からどのくらい角を出してくるかという、この辺は議論のあるところだけれども、一兆円を下ることはあるまいというのが大体の見方だろうと思うのですよね。ただ、ある見方からすれば、昭和五十五年に今の電力料金制度がてきたわけで、その当時に比べますと、今のような計算でいくと約二兆円近いのではないかというような見方もあるわけです。
 いずれにしても、大体今の見方は一兆円を超えることは確かだ、一兆五千億前後くらいではないかというのが計算の、あるいは考え方の基礎にあるのではないかというふうに思いますが、大体大筋の考えとしてどうですか、この辺のところ。
#377
○野々内政府委員 これはどういう前提を置くかということでございますので、先生おっしゃるような前提を置けば当然そうなるかと思っておりますが、多分私どもとしても一兆円は超えるのではないかというふうに思っております。ただ、実は一つ問題がございますのは、LNGの価格につきまして、まだ下がるという兆候が出ておりませんので、その部分の動きによりまして一兆円を割るということもあり得るかと思いますので、実はそのあたりが今後の大きな問題であろうかと思います。
#378
○佐藤(誼)分科員 それは、円高の状況なり一バレルどのくらいに推移するかということで修正していけばいいわけですから、大体一兆円は下るまいということで、皆さんだって大体あれでしょう、今いろんな審議会か何かに入って議論しているようですけれども、何らかのめどを立てながらやっているのでしょう。
 ですから、時間がありませんから先に進みますが、いずれにしても、大体一兆円は下るまい、ある人によっては一兆五千億前後というのが大体の見方だというのを前提に置きながら、私は次の質問に進みたいと思うのです。
 それは、きょうの読売新聞の報道に、電力、ガス差益の還元について政府が検討しているということで、一定の考え方が、新聞の報道の限りですが、出ていますわね。それで、通産省は、差益還元の方法について現時点でどのように考えているのか、概要だけひとつ。
#379
○野々内政府委員 現在、有識者によります電力・ガス差益問題懇談会というものを設置いたしまして月曜日に第一回会合を行いましたが、今月中に一つの結論を出したいと思っております。
 考え方の基本的な方針としまして、差益の一部は現行料金制度のひずみの是正というようなことを中心に還元をしたい。残りにつきましては、当然課税されるわけでございますので、課税後内部留保になるわけでございますが、これを内需拡大のための設備投資の積み増しというようなことに充てたらいかがかというようなことを基本的に考えております。今後、この電力・ガス差益問題懇談会の結論をいただきまして関係審議会等にお諮りし、結論を出したいと思っております。
#380
○佐藤(誼)分科員 今の答弁では、私から言うと、重要な考え方が抜けているのではないか。それは、端的に言いますが、料金について一定期間一律に割引するという考え方、それからやや長期的に電力料金を引き下げていくという考え方、これが検討の対象になっていないというのはちょっと問題があると私は思うのです。そこで、私は若干私の考え方を述べて、このことについての見解を承りたいと思うのです。ちょっと長くなりますが、私の見解ですからよく聞いておいてください。
 私は、これは円高の行方、原油の価格の変動によって違ってきますから、引き下げ幅は今後検討するにしても、この際、電気料金そのものを下げるべきだと考えております。その上に立って、先ほど言われましたが、電気料金制度のひずみの是正もあわせて考えていくというのが、考え方として、あるいはこれからの還元の方法として至当ではないかという考え方を私は持っております。
 それで、なぜかということですが、御承知のとおり、料金原価主義の立場でそれぞれ負担しているわけであります。したがって、この料金原価主義の立場で原価を負担している需要家に還元するのが筋だと私は思うし、考えてみれば、従来、値上げの場合、原価主義の立場で需要家がその値上げを負担してきたことは明らかであります。したがって、そういう点から見ても、繰り返すようですが、需要家に還元するというのが、原価主義の立場からいって当然だというのが基本です。
 次には、公平主義の立場で需要家に一律還元するのが至当だと私は思うのです。しかも、その引き下げは期間割引ではなくて料金引き下げでやるべきであり、私は、その財源の見通しはあると思うのです。一定期間の割引ではなくて、電気料金そのものを下げる、こういうやり方をとるべきだと私は思うのです。
 したがって、そういう観点に立ては、端的に言えば、すべての需要家に長期に一律に還元される、いわゆる料金引き下げを第一義的に考え、実施すべきだ。ただ、その引き下げの幅についてはいろいろ検討の余地がある、こういう考えです。
 なお、これにはいろいろな議論があると思いますから、私は、関連して若干の問題をここで述べておきたいと思うのです。
 その第一は、制度のひずみの是正の問題です。
 これは、通産大臣が前から出している考え方ですね。今も答弁ありました。もちろん、私はそれ自体は否定するものでもないし、また、必要な面だろうと思うのです。しかし、それだけでは、例えば家庭をとった場合など、毎月使用量が百二十キロワット・アワー以下の電気消費量の少ない世帯では、このやり方では差益還元の恩典がないということですね、三段階料金のこれをずらしてみたって。これは重大な問題だと思うのです。
 それから第二は、電気料金を一律に引き下げた場合、その財源が果たしてどうなのだという、やや長期的な見方が議論されると思うのです。
 それは、御承知のとおり、電力会社の年間の売り上げ総額、いろいろありますが、おおよそ十二兆円と言われておりますね。円高差益等を、先ほどは一兆円を下らぬ、あるいは一兆五千億、いろいろありますが、一兆二千億相当と見れば、これだけで一〇%値下げ可能でしょう。私は、そういう点からいって、値下げをするとすればまず一〇%程度は可能ではないのかなというふうに思うのです。ただ、一〇%にするか、八にするか、何にするか、これからいろいろ考え方、状況の推移によって違ってくると思いますが、私は今のとらえ方としては可能だと思うのです。
 第三の問題は、五十三年に差益還元をやったら、すぐまた値上げされましたね。これが今大きな教訓になっておるわけでありますが、そういう点から、今回料金値下げをしてもまた再値上げになるのではないかという、危惧の念といいましょうか、いろいろあります。これは大きなことだと思うのです。
 しかし、私は、五十三年当時と現在では状況、環境が随分違うと見なければならない。つまり、五十三年当時に比べて、一つはインフレがない。原油コストが値下げとなって、当分は価格安定時代であるというふうに見ていいと思うのです。それに、先ほど議論のありました円高は、国際環境から見て安くなってもそんなに幅はないだろう、二百を超えるかどうかという辺は考え方でしょうけれども、もとの二百四十、二百五十に戻ることはない、五十三年と比べると今の時点ではそう見るのが至当ではないのか、常識的ではないのか。つまり、石油危機時代の五十三年当時と現在では、国内外の環境がかなり違うということだと思うのです。ですから、その当時の状況を我々が反面教師として、教訓として生かすのは必要だけれども、余りそのことにこだわり過ぎると、今日の時点に合った適切な差益還元の方法が見出せないということになりはしまいか。
 第四の問題は、需要家への還元の金額であります。
 五十三年はラーメン一杯ではないか、一々返したって微々たるものではないかというようなことをよく言われました。しかし私は、仮に一〇%値下げしたとすれば、電力料金だけで、ガス料金は入れないで、家庭の場合は一世帯年間で七千二百円程度になるのではないかと思うのです。算定の基礎は言いません。一方産業用の場合は、消費電力量が非常に大きいですから、一〇%下げただけで相当の還元額になると思うのです。家庭に対する還元の総額は、七千二百円掛ける約四千万世帯と考えますと、計算上は二千八百八十億円となるのです。これは、今野党が予算編成に当たって要求している住宅減税、教育減税にも匹敵する額なんです。ですから、私はラーメン一杯の議論ではない、個別の家庭についてもそうですし、国民全体にも相当メリットのある還元になると考えるわけです。
 以上述べたことは電力料金だけの還元でありますけれども、ガス料金の還元を合わせれば相当の額になると見られると思うのです。考え方を簡単にするためにガスの問題を今挙げておりませんけれども、きょうの読売新聞によれば、「電気、ガス差益還元」ということでガスも一緒にしていますね。私はちょっと問題があると思うのですが、一カ月大体五百円くらいかということを出しています。
 次に、電力料金制度のゆがみの是正の問題ですけれども、特別料金制度、それから家庭用の三段階料金制度、これが今のままでいいとは私は思いません。昭和四十九年の第一次石油危機に際して、省エネ政策の一環としてこの制度が導入されたことは御承知のとおりですが、三段階制度であっても、簡単に言えば今一般家庭の消費量はぐっと上がっていますから、これを手直しするというのは私は必要だと思うのです。問題は、全体の原資、財源がどのくらいあるかということにかかってきます。ですから、幅はいろいろ議論があるだろうと思うのですが、一律に電気料金を下げる、このことを基本に据えながらひずみ、ゆがみを財源全体を見ながら考えていく、こういうとらえ方が至当ではないか。先ほど内需の拡大とか、いろいろなことがありました。私はあながち否定はしないけれども、やはり原価主義をとっている限り、余裕が出たら原価を負担している皆さんに返すというのは当然ではないかと思うものですから、そのことに焦点を当てているわけでございます。
 やや長くなりましたけれども、きょうの新聞などを見ますと、これからまたいろいろ検討されると思うのです。したがって、通産大臣はいろいろな意見を聞きながら決めなければならぬと思いますが、幅のことは別として、考え方の基本として私はそういう考えを持っているのです。ですから、通産大臣がこれから決めていくに当たって私のような考えもあるということを十分参考にしていただきたいというふうに思うのですが、その辺についての大臣の感想はどうですか。
#381
○渡辺国務大臣 十分参考にさせていただきます。いろいろな人の意見を聞いて、国民経済に一番役立つ方法はどうか、理屈も立つ方法はどうかというようなことなどを考えまして最終的には決めたい。一つの立派な考え方であります。
#382
○佐藤(誼)分科員 考え方はわかったのですが、今私ちょっと気になったことがあります。国民経済ということを最初にぽっと出されたわけですが、それは国民経済的な視野で考えなければならぬと思うのです。家庭に基盤を置いた還元をされれば、言うなれば個人消費の拡大なり内需につながっていきますし、業界に返せばそれはコストダウンということでいろいろな意味で影響を与えていきます。しかし私は基本的には、今の考え方を否定するわけではないけれども、家庭なり業界なりが大変苦しみながら今までそれを負担してきたということに思いをいたし、例の原価主義に基づいて筋の通った還元の仕方を基礎にすべきだということをこの際あえて強調しておきたい。ただ、通産大臣は理の通ったということを言われましたから、私はその点に大変期待をし、その辺を十分考えていただきたいということを申し添えたいと思います。
 重ねて、ありますか。
#383
○渡辺国務大臣 別にありません。
#384
○佐藤(誼)分科員 そこで、ちょっと質問の角度を変えていきますけれども、アルミ、苛性ソーダ、フェロアロイなど基礎素材産業は、今押しなべて大変厳しい状況にあることは御案内のとおりです。私は今までもこの問題を取り上げてまいりましたが、今の生産の状況、減産の状況、稼働率等を見てまいりますと、このままでは減産に歯どめのきかない状態に陥ってしまうのではないかという危惧の念を持っている一人なんです。
 基礎素材産業が日本の産業にとって、あるいは産業政策にとってきわめて重要な分野であることは申すまでもありません。その点、基礎素材産業の蘇生と再生にとって、先ほどから問題にしておりますところの電力料金は重大なかかわりを持っております。これは、基礎素材産業のコストに占める電力料金を考えれば当然だと思うのです。したがって私は、このような重要な基礎素材産業の蘇生と再生のためにも、この際一律に電力料金を下げて息を吹き返させて安定的な軌道に乗せていくということは、日本の産業政策、とりわけナショナルセキュリティーという観点からいっても重要な一つの課題ではないかなと考えていますので、基礎素材産業の蘇生と再生、安定的な成長ということを考えたときに、この電力料金の値下げの問題をどう考えるのか、これを最後にお聞きしたいと思うのです。
 その前に、私の方からそれについて若干私見を述べて、それからまとめてお答えいただきたいと思います。
 私は現在、山形県の酒田市の近くに住んでいるのです。その酒田市の今の状況を見ますと、酒田市に進出したアルミ工場、つまり住軽アルミは撤退いたしました。しかし、その中で、同じ基礎素材産業である東洋曹達工業株式会社、これは苛性ソーダをつくっておりますが、今製法転換に入りまして、厳しい中で大変負担を強いられながら努力を続けているわけです。また、同じ地域に、例の合金鉄、フェロアロイを生産する日本重化学工業株式会社がございます。これはまた大変に電力消費の大きい産業でございますけれども、深々夜料金を導入したりして、従業員は深々夜にわたって仕事をしている。従業員も会社も、まさに血の出るような努力で頑張っているわけですよ。
 そういう点を考えますと、私は何とかこういう会社の努力に報いていかなければならぬのではないかということを考えますし、同時に、これらの会社は長年酒田に住みついてきた伝統的な産業であり、その点を考えますと、この蘇生と再生というのは酒田地区の経済の活性化といいましょうか、地域の雇用の確保という点から極めて重要な課題だと思うのです。そういう地域的な一つの期待からいっても、この際電力料金を下げることによってぜひこれらに活を与えていきたい、また与えていただきたいと思うわけであります。
 ちなみに、産業界の電力料金を仮に一〇%下げたといたしますと、各業界の消費量から見て、アルミ業界はおおよそ五十三億円の差益還元メリットがあると言われています。以下、苛性ソーダ業界は約六十六億円、フェロアロイは約六十四億円程度と言われています。製鉄その他、もちろん皆還元になりますわね。今、日本の産業構造の中でぎりぎりまで追い詰められているこれら素材産業から見れば、まさに電力料金の一律引き下げということは干天の慈雨といいましょうか、まさに各界が望んでやまないところだと私思うのですね。したがって、そういう点で、地域的な点からいっても、それから業界の活性化からいっても、今ぎりぎりまで追い詰められている基礎素材産業、日本の国としてのナショナルセキュリティーからいっても、この際は電力料金の一律引き下げということで、これらの業界あるいは基礎産業に対してひとつ息吹を与えてやる、そして将来の安定的な経営の軌道に乗せてやるということが極めて重要だと私は考えているわけでございます。これらの問題もこれから大臣いろいろ多面的な角度から検討されると思いますが、この辺の問題について大臣の所見を私は伺いたいというふうに思います。
#385
○野々内政府委員 現在、御指摘になりましたアルミあるいはソーダあるいは合金鉄というのは電力多消費産業でございまして、かつて電気料金を引き上げたということによりましてかなりの打撃を受けた産業でございます。私どもも十分その点は理解をいたしておりますが、ただ、それだけに他よりもより多く下げるというのはなかなか難しい問題ではございますが、電力も使い方によりましては安く使える方法もございます。例えば深々夜料金というふうに、余っているときに使うという形によりまして安くするとか、あるいはいつでも遮断可能な電力を供給することによって他よりも安くできるとか、いろいろ安くする方法もございますので、これらの電力多消費産業と個別にネゴをいたしながら、コストの引き下げにはできるだけ努力はいたしていきたいというふうに考えております。
#386
○佐藤(誼)分科員 大臣の答弁の前に、一言ちょっとつけ加えて大臣の答弁をいただきたいと思うのですけれども、確かにそれは、契約のやり方によっては、例えば深々夜を利用することもできますし、いろいろあると思うのですよ。それはそれで結構だし、また、今後ともやはりいろんなやり方を考えていかなければならぬと思うのです。しかし、さればといって政策的にその分野だけあるいは業界だけを特別扱いをするということは、これは公平の原則からいっても無理な点だと思う。これはよく従来から政策料金で議論されてきたことなんですよ。したがって、押しなべて今の業界は全部影響が来ていますから、くどいようでありますけれども、一律に還元するということで、しかも長期的にということで、やはりこの際は思い切って電気料金を下げる、幅の問題は検討していいというふうに私は考えているわけなんで、その点を御理解いただきながら、大臣どうでしょうか、その辺。
#387
○渡辺国務大臣 これも一つの立派な御意見といたしまして、十分に参考にさしていただきます。不況産業で風前のともしびのようなもので、電力をたくさん使っている会社もあるのですよね。それにどういう配慮がさらにできるかというようなことも含めまして、検討さしてもらいます。
#388
○佐藤(誼)分科員 今大臣からその辺の決意を込めた答弁がありましたので、家庭の皆さんもそれから業界の皆さんも、油が上がって云々と皆いろいろ意見はあっても負担してきたわけですから、この際はそういう方々を中心に、やはり原価主義に基づいて還元していく。しかもそれも、今のような環境の状況ですから、長期にわたって安定的にメリットが還元されるような形で考えていくべきだというふうに考えておるわけでありますから、ぜひその点については十分なる御理解と御検討を賜りたいと思います。
 時間になりましたが、酒田の地区では、先ほど申し上げたように長年にわたって基礎素材産業でやってきたわけですけれども、今申し上げましたような電力料金の相次ぐ高騰やら、あるいはアルミ業界その他の厳しい国際環境の中で操短やあるいは操業率の低下にどんどん追い込まれているわけです。ですから、私は、何とか活路を見出しながら、さらに地域の活力、雇用の場の拡大という点から、新しい産業、企業を導入しながら新しい地域づくりをしていかなければならぬのではないかというふうに見ているわけであります。そういう地域は、従来からの基礎素材産業なんかをやっている地域は、今産業構造の転換、地域の新しい産業の組み立て、企業の誘致と育成に非常に苦労していると思うのです。
 私が先ほど挙げました酒田の地区もそういう地区になっていますから、全員頑張っていますけれども、なかなか難しい地域でありますので、この際通産大臣も目をかけてやっていただいて、ひとつ御指導をいただきたい、このことを申し添えて、私の質問を終わりたいと思います。
    〔主査退席、長野主査代理着席〕
#389
○長野主査代理 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐藤敬治君。
#390
○佐藤(敬)分科員 この委員会に来ますと、私はけさも九時に来て多賀谷先生のあれを聞きましたが、何だか円高不況にさいなまれている企業のうめきが聞こえるような、大変深刻な問題ばかり出てきておるようです。前の佐藤委員がアルミのお話をしましたが、私も同じように、今大変苦しんでいる我が国の非鉄金属鉱業、これについての質問をしたいと思います。
 これは皆さんにとっては釈迦に説法みたいな話ですけれども、価格の長期低迷から脱することができないで大変厳しい状況が続いてきた。それに加えまして、先般のG5の合意に基づいてドル高是正の協調介入が行われて、円がいきなり高騰して、しかも、それがいつどうなるかわからないといった、もとに戻る見通しのない定着した形でもって、国内鉱山の深刻度が非常に深まってまいりました。いわば市況の低迷と円高のダブルパンチを受けて、主要金属価格が記録的な安値に下落して、その回復の見通しもほとんど立たない、こういうような状態であります。したがってこのために、国内鉱山はもう大打撃を受けまして、軒並みに赤字操業に転落して、このまま推移すれば我が国の非鉄金属鉱山というものはもう全滅するのではないかという、存亡にかかわるような重大な事態に発展することは必至である、こういうふうに思います。
 今、各企業の苦労、例えば電力に関しまして深々夜料金だとかいろいろやっていますが、もう企業はこういうことはとっくの昔に労使ともに夢中になって一生懸命やっております。今あなたは簡単に、深々夜料金をやれば解決するようなお話でしたけれども、そんなことはとっくの昔にやっているのですよ。大変な状態であります。自助努力の限界を超えてしまっている。閉山、首切りあるいは合理化、ベースダウン、レイオフ、労働時間の延長、ありとあらゆることを今やっているわけです。しかし国内鉱山にとっては、事態は今申し述べましたように、自助努力の限界をはるかに超えている危機的な状況であって、何とかなるだろうとこのまま手をこまねいておるとすると大変なことになってしまう。しかしながら鉱山自体としては、もう既に打つ手は全部打って何ともならない、こういう状態になっているわけです。特にそういう企業、各国内鉱山を抱える地域の経済というものは、徐々に大変な大きな影響を受けて深刻化してきている、こういう状態です。
 政府は国際協調という立場から、国策として積極的に円高誘導を図ってきておるわけでありますけれども、御承知のように非鉄金属は、外国でもって相場が決まってくる。したがって、国内で何とか値上げをして円高の打撃を避けようとしても、避ける道がない。いわば立ち往生という状態ですね。これはあなたも百も承知のことであります。円高の状況を申し述べますと、これもあなた方の十分御承知のとおりでありますが、最近の銅の内外価格の情勢を見てみますと、LMEではむしろ上昇の傾向にある。しかし円高のために、せっかくの上昇傾向というものが逆に国内においては下落している。円高の影響というものは非常に顕著にあらわれています。円高も必要でありましょう。しかし、余り急速に円高というものが進んでいるから、企業の合理化も余りにも急速に行き過ぎてしまって、何か日本全体を見ると産業再編が大変合理的に進んでいる、こういうふうに見えるけれども、一方では、地域的あるいは企業に目を向けてみますと、大変大きな犠牲が払われている。こういうアンバランスというか、地域的なというか企業的なというか、大変な状態が出てきておるわけです。これは大臣、何遍も聞かれたことでしょう。私も多分、こんなこと言うんじゃないかとわかっていますけれども、大臣、これは一体どういうふうに対処していったらいいと思いますか。
#391
○渡辺国務大臣 この円高の問題は、今もお話がありましたように、非常に急速に我々の想像以上に来たことで、大変なひずみが出ている、これは事実です。しかし長期的に見ますと、やはりこれは非常に苦しい場面を乗り越えなければならぬけれども、そしてまた、それに対して特に被害を受けた方々に対する政府の援護措置、こういうことも必要であるけれども、これを乗り切っていけば、ともかく資源をたくさん輸入している日本にとっては、物価の安定に役立つし、実質所得の向上にもなってくるだろう。ですから、この苦しさをどうして乗り切っていくかというところにかかっておると私は思います。
#392
○佐藤(敬)分科員 これからいろいろな問題を乗り切っていかなければならないことは、よくわかるのですよ。しかし今の問題は、例えば非鉄金属の銅の価格で見ますと、一トン掘るコストが四十万から六十万ぐらいかかるのです。ところが、それを売る建て値というのが三十万なんですね。この間二十九万何ぼになりました。六十万で掘って三十万で売らなければいかぬのだから、幾らどんなことをしてももう間に合わない。さっき言いましたように、全体として見れば私は大臣の考え方は正しいと思うのです。しかし、その正しさを実現するために、あるところで大変なひずみが起きている。このひずみを救わなければ、やはり全体の進捗というものもうまくいかないし、けさも私の方の多賀谷委員が、労働力というものの動きがスムーズにいかなくなるんじゃないか、こういうことを話しておりましたけれども、同じような状態だと思うのです。
 例えばこういうこともあるんですね。大抵、鉱山なんというのは鉱山城下町なんですね、神岡だとか秋田の小坂だとか明延だとか。そこへ行きますと、鉱山がつぶれるということによって大量の失業者が当然出ますね。そうしますと、前は例えば、一つの系列の会社があって、つぶれると自分の系列の会社にみんな引き取っていったんですよ。ところが今度は、これよりみんな悪い。引き取るところがないのです。もろに失業する。鉱山がつぶれると、もろに大量の失業者がその町にあふれてくる、どこへも行くところがない、こういう失業者が大分出ているのです。
 この間、秋田県の古遠部という鉱山がつぶれました。閉山しました。そのとき事前に、一月の閉山を去年九月にもう既に通告して、組合といろいろ話しして、そして、その中の大部分を山形県の八谷鉱山だとか宮城県の細倉だとか、そういう関連会社にみんなやることにして、全部決まっておったんですね。ところが、この中でもってみんな会社がだめになったものだから、全部引き受けるのを断ってきた。その人たちが約七十人か八十人か行きどころがなくなっちゃった。本当にこれは町でも困っているし、どこにもやりようがない。家は地元にあるし、子供はいるし、何ともならない状態で立ち往生している、こういう状態が続いているわけです。そして、それがつぶれることによって関連会社がどんどんつぶれていって整理されていくものだから、地元に就職をする場所もない。困ってしまっているんですね。そういうふうに全部がおかしくなってしまっている。昔も困ったのですが、今も大変困ってしまって、どうにもならない状態が続いているわけです。大量に失業者が出ても、それを吸収する場所がない。これは地域的に見れば、一つの社会不安にもつながってくるのです。本当に恐慌を来しておるのです。
 あるいは、こういうようなことも考えられるのです。今度は町の財政状態ですが、今小さい町は、小さい町でなくても同じですが、大臣は大蔵大臣をやられてよく知っているのですが、補助金をみんなぶった切られて、それの埋め合わせをなけなしの自分の手持ちでやらなければいかぬので、財政難で今予算を組めないで困っているところもある。それに追い打ちをかけるように鉱山がどんどん縮小されているから、大変な鉱産税が減っていっています。そのほかに、関連産業が不振だから地方税も減っていっておる。そうすると、地方財政の構造からいくと、財政需要額と収入額の差額が地方交付税で来ることになっていますね。ところが、その交付税がそれじゃふえるかというと、人口が減少していっているものだからふえないのです。地方交付税の算定の最大の基礎である人口がぐんと減っている。交付税がふえないのです。
 大館市に、私のいるところですが、花岡鉱山という鉱山がある。そこがこの前のオイルショックのときに大合理化をやった。大変な合理化をしました。そうしたら、その花岡町の人口が半分になっちゃった。本当に半分になりました。一万二千何ぼいたのが六千何ぼになっちゃった。人口が半分に減ると交付税がふえないのです。そして、金がかからないかというと、同じようにまだ金がかかるのです。何ともならない状態になる。そういうところが鉱山城下町の一つの特徴ですね。明延をこの間私どもの方の党で調査に行きました。兵庫県の明延、ここなんかは、就業人口二千五百名ぐらいで、関連商工業に従事している者が千五百名ぐらい。それが全部なくなりそうな形でもって大恐慌を来している。全体として見れば、確かに大臣の言われるようなことは必要であるし、そのとおりであると思うけれども、それに移行するまでの間に大変な苦しみがあちこちである。特に地方のこういうようなへんぴなところに行きますと、一番その苦しみがしわ寄せされてくるわけです。これに一体どういうふうにして対処していったらいいのか、ここの問題が私どもがお願いし、また質問している要旨なんですね。その点はどういうふうにお考えでしょうか、お二人から。
#393
○小川政府委員 確かにただいま具体的に先生御指摘ございましたような深刻な事態が各山で起こりつつあると、私ども状況掌握に努めておりますし、それをより完璧にするためにも、特に仙台通産局には緊急鉱山対策室を設けることにいたして、より的確な状況把握と、それから地元の生の要望というものを十分掌握する体制をとってきておるところでございます。そして、その対策そのものにつきましても、ただいま御指摘のような急速な円高の進展という新しい事態を踏まえまして、私どもといたしましては、六十一年度予算におきましていわゆる緊急融資制度、言いかえれば、金属鉱業経営安定化融資制度という緊急時に対応するための制度が幸い制度としてございますので、利子補給の原資を追加要求いたしまして、三億四千六百万円を計上させていただいておるところでございます。これに基づきましてこの緊急融資制度、六十一年度には百二十五億円の融資を行うことで、こういった深刻な事態に何とか対応することを考えております。
 ただ、動きが早うございましたので、六十年度自体にも何か対応しなければいけないという問題が現実に発生したものでございますから、六十年度の下半期、これも幸い緊急時に残っておりました融資枠四十八億がございましたので、これを緊急発動いたしまして、四十八億を下期に、しかも、これは普通でございましたら三カ月ごとの期末に出すべきものを、急を告げておるということで前倒し融資を実行させていただいたということで、私ども、緊急時に対する対応をいろいろ工夫をしておるところでございます。
 この鉱山対策と並びまして、中小企業一般の対策でございますが、特定中小企業者事業転換対策の措置を法案御審議いただいたところでありますが、これに基づきまして、中小鉱山の事業転換あるいは信用保険の特例等のメリットを享受する道も他方で開くよう今、準備を進めておるところでございまして、こういった諸施策を何とか当面、緊急事態に即応して運用誤りなきを期したいというふうに考えております。
#394
○佐藤(敬)分科員 この前予算委員会で、私どもの方の川俣議員が御質問いたしました。それで大体どういうふうなことをやっているのか、私も知っております。三本柱として、利子補給する財源を三億四千六百万つけて、大変よかったと思っております。ただ、低利融資あるいは探鉱助成あるいは減耗控除、こういうような問題で果たして――大変いいことだと思っていますけれども、これだけで現在の国内の非鉄金属鉱山の状況というものが果たして救われるのかどうか、何とかかんとか継続していけるようになるのかどうか、そのめどが私どもにはちょっとまだつかないのです。
 というのは、今私どもが見ますと、低利融資も探鉱助成も減耗控除も関税もみんな、私も初めからずっと立ち会ってきて、いろいろやっていますけれども、それは今まででもやっているのですね。ところが、それでも追いつかなくなっているのですよ。そこで新しく出てきたのがこの三億四千万の問題ですけれども、まず大体はみんな今までやっているのです。それで間に合わなくなってしまった。そこに今のところの問題があるわけです。今までは苦しいときは、探鉱助成しろとか、減耗控除を継続しろとか、緊急融資の制度をつくるとか、そういうので何とかかんとか間に合ってきましたが、余り幅が大きくなってしまって、間に合わなくなってしまった、こういうところに問題があるわけです。
 今あなたがおっしゃられた百二十五億の融資ができるとかこういうことで、製錬を入れないで、国内鉱山だけ、そういうものが救済できる見通しですか。
#395
○小川政府委員 円高自体の推移がなかなか動きが早うございまして、この先六十一年度をどういうふうに見通すかという点は、不透明なところがございます。ただ私ども、限られた財政の中で、この規模を何とか確保したということにつきましては、過去の五十三年度の緊急時におきましても、あの当時大円高がございましたときにおきましても、異例の措置を国会においてもとってくださいまして発動されたのが、九十数億円という規模でございまして、私どもこの百二十五億で、すべて大丈夫と言えるかという点について、こういう為替の非常に流動的なところで申し上げることは、率直に言いまして難しいと思います。しかし、財政の状況下、かつ過去のこの制度の適用との並びからいいまして、非常に異例の三けたの融資規模を確保したということで、まずは当面、六十一年度滑り出すに用意した金額としては、政府側としてかなり努力したものであるということは、認識していただけるものではないかと期待しておるところでございます。
#396
○佐藤(敬)分科員 皆さんの努力に対しては大変に認識しておるのですよ。それはいいですね。ただ私どもは、さっきから言っているとおり、余りこの幅が大きいものだから、ギャップが大きいものだから、これで間に合うのかなという危惧の念を持っているところに何とも落ちつかないで、こうして質問しなければいけないあれがあるのです。
 問題は、今お話を聞いておりますと、円高がどこでおさまるか、これによって大体見当がつくというのですが、大臣、いかがですか、まだ見当つかぬつかぬとさっきから言っておられたのですが。
#397
○小川政府委員 円高の規模の不透明さということもございますが、まずは、そうはいっても六十一年度の見通しを仕切ってから対策ということでもとても後追いになるものですから、とりあえず私どもとして、今の一般会計財政状況の中で、これだけ最大限可能なものとして用意をさせていただいたということでございまして、幾らのレートということと直接リンクはしておりません。
#398
○佐藤(敬)分科員 それはいいのです。別にあなたに言っているわけじゃないのですよ。この百二十五億の融資ができるというのは、大変ありがたいことでよかったと思っております。ただ、事の根本は円高にかかっているものだから、円高が一体どこいらでおさまるかということがわかれば、大体どのくらい金があればということはわかるのですが、大体どのくらいですか。この間、大臣じゃなかったですか、二百円だか百九十円ぐらいでおさまるんじゃないかと発言をしておったようですが、これはどうですか。
#399
○渡辺国務大臣 これは神様でなければわからないわけですが、気持ちとしては、アメリカもこれ以上ドル安になるのは困るという空気もございますし、世界じゅう金利の引き下げということにもなりますと、大体この辺ぐらいがいいところじゃないかと私は思っているのです、小さな声でしか言えませんけれども。
#400
○佐藤(敬)分科員 小さな声でも、わかっていればいいのですが……。
 率直に言って、今の鉱山不況というのは何というか、ちょっと小手先だけじゃどうにもならぬ、いわば黙っていれば死んでしまうじゃないか、こういうようなせっぱ詰まったという危機感をみんな鉱山で感じております。今まで鉱山というのは、ずっと悪くても時々ひょっとよくなるものだから、それで今まで悪いのを全部カバーしてしまって、知らぬ顔しているのですね。そしてまた悪くなると、やいのやいのと騒いで、私は大変けしからぬと鉱山の社長連中にも話したことがあるのですけれども、そういう状態が続いてきました。だから何となく今までは、会社が赤字になっても切迫感がなかった。しかし今度は、会社自体が真っ青になって駆けずり回っている、非常に切迫した危機感を持っておるのです。先ほどから申し上げておりますように、これはもう小手先のことじゃ何ともならぬ、死ぬか生きるかどっちかだ、こういうせっぱ詰まった危機感を持っておるわけなんです。
 円高の推移にもよるでしょうけれども、このままでいくと大変なことになりかねない。そこで、これは不安感を除去して頑張ってもらうために、何かもう少し根本的なもう一つの物の考え方をはっきりさせておく必要があるのではないか。例えば、いろいろな意味から鉱山というものをどこまでも維持していかなければいけないとしたならば、鉱業審議会だとかいろいろなあれがありますから、そういうものとよく話し合って、一体どういうふうにしたらいいかという根本策を早急につくる必要があるのではないか。これは今までも鉱業界からは随分言われてきましたけれども、私は、どうも企業側が少し不熱心だからできなかったと思っているんですけれども、非常に熱望しているとしろじゃないかと思います。こういうふうな切迫したとき、会社側も一生懸命になりますし、みんなが一生懸命になるから、災いを転じて福とするわけじゃないけれども、やはりこういうときこそ鉱業政策というものに対して、特に国内の非鉄金属鉱山の維持安定を基本にした考え方を、基本法と言ってはあれですけれども、早急にはっきり確立すべきじゃないか。そのために鉱業審議会なんかと早急に検討をする、こういうようなことも考えるべきじゃないか、こういうふうに思います。
 時間がないからもう少し話しますけれども、もう一つ、国内鉱山が価格でなぜ苦しんでいるかということは、これは御承知のように、日本の国内じゃどうにもならない。LMEでみんな決まってしまって、そしてそれの影響をもろに受ける。円高が来たといったって、円高を避ける方法がない、緊急避難の方法がない、こういうようなことがある。今までは、何か向こうで決めてそのままほっぽらかして、まあ仕方がないや、外国で決まってくるものだという感じだったけれども、こうなってきますと、LMEというか、どこかそういうのともう少し話し合いをして、余り価格の部分について立ち入ると、カルテルだなんて言われるかもしれませんけれども、何かそういうふうな国際協調協議をする必要があるのではないか、こんな気がしますけれども、どうですか。
#401
○小川政府委員 率直に申し上げまして私ども、中でいろいろ議論する場合にも、なぜ輸入するサイドで円高に苦しむかという疑問から実はこの鉱山の議論は始まるように、確かに先生御指摘のように、この非鉄の地金というものがLMEリンクという格好になっておるのは、一つの問題意識としてまずは私どもも持っておるわけでございます。
 ただ、いろいろ歴史をひもといてまいりますと、こういった値決めになったのも、さかのぼれば、輸入自由化したときに当然ながら、輸入産品が国際価格で入ってまいりますものですから、そういった輸入品と対抗できるためには、やはりそのときどきの為替において国際市況に追随した値段でないと国内の地金も売れない。残念ながら、こういう自由化というものにどうしても伴ってまいりますマーケットの形成が今日まで行われてきたものでございますから、私どもも、この円高の苦悩というものは痛いようにわかるものの、こういった一種の国際化された市場の中で、日本だけ為替でリンクした国際市場とは違った値決めをこれからつくろうというのは、なかなか対外的にもいろいろ議論があるところでございましょう。実際、国際市場としてのこういった地金市況を直すことも難しいと考えておりまして、お考え、お気持ちはよく理解できるところでございますが、実行問題としては大変難しいことではないかと思っております。
#402
○佐藤(敬)分科員 国際協調協議をするということは難しいことですね。私も確かに難しいことだと思います。
 それはそれとして、先ほど一番先にお聞きしました、鉱業審議会等で一体国内鉱山をどういうふうに取り扱うかという検討審議を開始する意思がないか。あるいは仄聞するところによりますと、既にそういう検討を始めて、簡単なものかどうかわかりませんが、何か素案も幾らかできているようなこともちょっと耳にしておりますけれども、その辺どうですか。
#403
○小川政府委員 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような諸対策を六十一年度の予算に盛り込みまして、まずはこういった施策で滑り出そうという段階にございます。したがって、この施策の活用をまず進めたいというのが基本でございます。ただ、先ほど来御指摘ございますように、情勢が極めて厳しいという認識は私どもも持っております。したがいまして、この施策の実行は実行として進めさせていただきますが、今後非鉄金属鉱業をめぐる情勢がさらにどうなっていくであろうかとか、あるいはこの施策で十分であるのかどうかということは、今後とも注意深く吟味をしてまいりまして、適時適切に対応したいというふうに考えております。
#404
○佐藤(敬)分科員 非常に難しいと思うけれども、今業界で一番要望しておるのは、価格差補給金なんですよ。これは一遍やってやめた経緯もありますから、なかなか難しいと思いますよ。それで結局は、財源の問題が何をやるにしても問題になりますけれども、この間、五日の日に商工委員会で、秋田県知事初め来ましていろいろ提言をしました。そこで私の方の佐々木知事がこういうことを提言しています。
 円高誘導策というものは、日本の経済全体に大きな影響を与えていることは御承知のとおりであり、その中でも国内鉱山は、最も激しい影響を受けた産業である。また反面、このたびの円高で思いがけない好影響を得られている産業もあるのでありまして、その利益の一部をもって安定化資金を確保し、円高による影響を受けた産業分野の危機救済のために利用したらどうですか。この円高により思いがけず大きな利益を得られるのは、石油輸入に関連した産業であると思います。これに対して、原油の輸入価格はキロリットル当たり、円が二百四十円当時に比較いたしますと、二百円で六千五百円、百八十円で一万円程度の値下がりがあるものと推定されますので、この円高利益に対して、例えば二百円の場合には二千円、百八十円の場合には三千円とか、臨時課徴金的な負担をしていただいて、この財源で円高の影響を受けている鉱山等の産業を救済してはどうか、こういうふうな提案をしておるわけなんですね。何とかこれはできないものかということなんですが、これに対するお二方の御所見を承りたいと思います。
#405
○小川政府委員 原油価格の、あるいは円高によるいわば差益を課徴金、税で取って、他の政策目的に転用したらどうかという議論が今日出ておるところでございますが、この原油価格下落に伴うメリットというのは、上がったときもそうでありましたように、どうも市場メカニズムを通じて需要家の方に浸透していく、メリットであれば需要家に還元をしていくというのが、やはり基本ではなかろうかと考えております。
 ただこの問題は、中で考えておりますだけでございませんで、対外的にどういうインパクトがあるかも考えなければならないわけでございますが、実は産油国が、これだけの値下がりで塗炭の苦しみを味わっている中で、まさか消費国が課税によってみずからの財源に充てることはしないだろうなということは、非常に警戒を強めて、既に要人が日本その他先進国にも言ってきておるような状況でございますし、アメリカでも、実は先生御指摘のような、一つの輸入に着目した課税という議論も出ておりますが、行政府としては、いろいろな議論がある中ではございますが、やはりそういう対外的なこともいろいろ考えて、増税しないという方針、そういう中でございますので、日本として、今そういった原油値下がりに着目した課税をとることは対外的に非常に問題がある、このように考えております。
#406
○佐藤(敬)分科員 あと一つ大臣にお伺いします。
 これは意見ですが、第一次の石油ショック、昭和四十九年ですね、このときに稼働している国内鉱山は百二十九ありました。ところが、昭和六十一年の現在では五十六しかないんです。みんなつぶれちゃったんです。しかもこの円高によって、現在稼働中の鉱山もほとんどもうつぶれないかという存亡の危機に直面している。それに連動して地域経済、雇用にも大変な悪影響がどんどん出てきているわけです。国内の鉱山でも、別に悪い鉱山だからつぶれたということじゃないのです。国内にもいい鉱床もありますし、また今どんどん探鉱して新しい、いい鉱床も発見されているのです。立派な鉱山が十分もって、さっきから議論しているとおり、LMEによって今まで大変苦しんできたけれども、それにもかかわらず、きちっと立派に経営してきました。それがここに至りまして、一番優秀な鉱山でもなおかつ、つぶれるかもしれないという危機感を持つような、非常に不安定な状態になってきたんですね。大変これは私どもとしては残念だし、また、海外と同じような良質の鉱山があるにもかかわらず、海外ではどんどん操業するけれども、日本の鉱山は全部つぶれてしまう、これでは国内資源の確保という戦略上の立場からいっても、大変困ることになるのじゃないか、こういうふうに考えております。
 しかし現実に、私のところに小坂鉱山だとか同和鉱業だとかああいうのがあるけれども、あれでさえも最近は大変だと私は思っているんですよ。あれがつぶれると、よく言われているように、恐らく鹿児島の菱刈鉱山以外は全部つぶれてしまう、こういうような大変な状態です。まあいつかよくなるだろうということでは対策にならぬのですよ、今の場合は。だから緊急に、何とかせめて、六十一年度にはこうしてやるから、それまではこの金でつなげ、こういうような何か有効な注射をしてやらぬと、自助努力も経営の意欲も失ってしまってほっぽり出すんじゃないかという心配も今地域としては持っているのです。現にそういうところはあるのです。地盤沈下したからこれを補償しろと言うと、補償しないで逃げてしまおうということを考えているような鉱山があると私は思いますよ。そういうことになってくると大変なことになるので、何とかこれを助けていくような方法を、ひとつ大臣から決意として答えていただきたい。
#407
○渡辺国務大臣 まずは現在、予算を通して、予算の中で最大限のことをやって、様子を見ながら私は必要とあれば、追加の措置を講ずることもあり得べし、そう考えております。
#408
○佐藤(敬)分科員 終わります。ありがとうございました。
#409
○長野主査代理 これにて佐藤敬治君の質疑は終了いたしました。
 次に、辻一彦君。
#410
○辻(一)分科員 私、円高対策、特に中小企業の中での繊維の不況問題に触れたいと思います。
 まずその前に、ちょっと大臣に一つ基本的な点でお尋ねしたいことがあります。それは、本来ならドル高を是正する道筋は、今までの考え方では、アメリカの財政赤字を圧縮しなさい、それから金利を下げなさい、そしてドル高を是正しなさい、こういう段取りで、かなり時間がかかるだろう、こういう考え方があったのですが、5G会議以降、通貨当局、財政当局の強力な介入によって急速に円高が実現してきた、ドル安が実現した。これは、ある意味では非常にタイミングな点がありますが、ある意味ではいろいろな陰りがまた出てきたとも言えますが、非常にピッチが速いのは、やはりこれは強力な政策によってこのような円高・ドル安がもたらされたというように私は感じますが、こういう点の認識はいかがでしょうか。
#411
○渡辺国務大臣 これはかねてから、私も大蔵大臣当時も、日本は円安政策を官民合同でやっているのじゃないかという嫌疑、嫌疑というか疑いを受けまして、随分説明をしたのです、そんなことは絶対ないよと。だけれども、そういう疑いを持っているぐらいに投機筋がかなり不当に円を安くしておったということも事実。しかし、日本でも介入もやったことがあるのですが、さっぱり御利益がない。今度はアメリカが同調いたしまして、そういうような場合には介入もすることあるべし、日、英、米、強みんなが話がついたから、あれだって大した分入をしていないですよ、そこで投機筋が離れたわけですよ。ですから円が非常に正しく評価されるようになった。
 だけれども、そのスピードが非常に速過ぎたということが、今のような問題を起こしているということだと私は思うのです。したがって、ここで安定をするということが一番大事であって、乱高下が一番困るわけなんですね。だけれども、スピードが急だから、なかなか逃げ切れない業種がいっぱい出てきた、これも事実ですね。したがって、これに対しましては、政府としてもできるだけの援助をして、それでやれるものと、どうしても自分の判断でやれないというものはまた別な道につくための支援もするということで、やはりある程度将来のことを考えれば、ここで円安政策はとれるわけがないですから、ここで再活性化のために産業調整というものの非常な試練をどうしてもくぐり抜けていかなければならぬというように考えております。
#412
○辻(一)分科員 普通考えたよりも非常にスピードが速かったということ、それは、政策介入という言葉はなかなか使えないにしても、通貨当局等のある関与によってかなりスピードが速まったということは言えると思うんですね。そこで、円高はある面では非常に結構なのですが、しかしその陰の面、さっき言いましたが、今度はそれによって影響を受けるところが非常に出てきましたね。
 特に私の方は、北陸の方でありますが、繊維産地等は、例えば一匹当たりの加工賃等は非常に急激に今低下をしつつある。ひどいのになると、半分から三分の一にも下がったという例がありますが、つい昨年の秋までは、繊維の産地は非常に努力をして、操短、それから在庫の凍結、共同廃棄事業等々組み合わして、大抵はこれで打ったのではないかということが去年の秋あたりには考えられたのですが、急激な円高によって非常に状況が変わってきて、そのために今言ったような加工賃のダウン等々によって、倒産寸前にかなり追い込まれているという状況がありますね。
 そこで、今大臣も言われるように、それに対する対策が具体的に出されたと思うのですが、それに対してアメリカの方からは、非常に注文がついているというか、円高対策に対して輸出を奨励するためのやり方である云々等の批判が非常に来ておりますが、私は、これだけの倒産寸前の状態にあるために、当面の運転資金、それから事業の新しい転換等を考えるのは当然でないかと思うのですが、アメリカのその批判というものに対してどういう見解を持っていらっしゃるか、お伺いいたします。
#413
○渡辺国務大臣 彼らはよくわからずに、要するに日本が何か三千億円でもくれるのじゃないかと思った人があるらしいのですよ。輸出補助金である、そんなことはないんだとよく話をいたしまして、それは、余り余計な干渉はするな、それくらいのことはどこの国だってやっているんだから、最小限度のものであるということで、理解はちゃんと深めさせております。
#414
○辻(一)分科員 理解が最近深まりつつあるということであれば結構なんですが、これ以上アメリカが国内政策について一々全部注文をつけてくることになれば、やはり行き過ぎであって、友好国といえども、これは内政干渉に近いものではないかという感じがしますが、その点、いかがでしょう。
#415
○渡辺国務大臣 彼らは、これは輸出補助金の疑いがあるからガットに通告しろ、こう言ってきたわけですね。だから我々は、そうじゃないということでそれを追い返したというのが、今の状況です。
#416
○辻(一)分科員 そうすると、理解をして、おさまるのですか、やはりガットへ出して、その場で争うことになるのですか。
#417
○木下(博)政府委員 アメリカ側は、ガットの手続に基づいて日本は通告すべき性質の補助金であったのではないかという質問をしてきたわけでございまして、そういうことが一度ガットの手続に乗りますと、ガットの補助金コードに基づいて、日本としてはそういうものは全く輸出補助金ではないという立場でおりますから、本来的に通告する必要はなかったわけでございますが、ただそういう手続が始まりますと、一応ガットの場で、日本の対策は輸出補助金ではないという説明を今後やっていくことになると思います。
#418
○辻(一)分科員 これはやはり国際的に争う場があるわけですから、日本の立場をひとつ堂々と主張して、大いに渡り合っていただいて、いい意味の理解をぜひ求めていただきたい。争うべき点があれば争って、頑張っていただきたいと思っております。
 そこで、繊維の状況を見ると、円高の間隙を縫うというとちょっと表現が難しいのですが、韓国、台湾の競争ポジションが円高の間を縫って急激に高まってきて、そのために日本の繊維関係はいろいろ難しい状況になってきていると思うのです。これらに対する対策はどう考えていらっしゃるか。
#419
○浜岡政府委員 円高の状況下では、輸出の不振と並びまして、御指摘のような懸念があるわけでございます。ちょっと振り返ってみますと、五十九年の時期は、比較的日本の繊維市場も堅調でございました。そんな関係もございまして、綿糸、綿布、それからニット、セーター類等の輸入は相当ふえまして、御承知のMFAを発動すべきであるという声も大変高まったわけでございます。ただ、現在のような状況下におきまして軽々にMFAに訴えるということも、慎重を期する必要があろうかということで、むしろいろいろなルートを通じます輸出国との話し合い、向こうの理解を求めるという対応を図ってまいりました。その結果、昨年につきましては、問題のございました製品につきましてはいずれもやや鎮静をしたという状況にあるわけでございますが、今後は、確かに円高になりますと、輸入圧力が一段と高まってくるのではないかという懸念がまた改めて深まってきておるわけでございます。
 ただ、幸か不幸か現段階では、まず輸入の羊毛でございますとかあるいは綿花の値段がまず下がる、その辺を見込みまして、先に市況が下がってしまっておりますものですから、日本へ輸出をしております国々も、どういうぐあいに日本の市況がおさまるのか判断しかねるというようなことで、成約を見合わせているのが現在の状況でございます。したがいまして現在、輸入が目に見えてふえているという状況にはないわけでございますけれども、ある程度為替の落ちつきどころというようなものが見えてまいりますと、多分かなりの勢いで成約が進んでくると見込んでおります。多分年の半ばを過ぎるころには、輸入の数字がかなりふえてくるというような状況になるのではないかと思っておるわけでございます。
 五十九年の局面を通じまして、いろいろな形、いろいろなルートで輸出国との間で、日本のマーケットというのは共通の財産だ、やたらに安売りすると結局壊れてしまって、輸出国にとっても輸出が変動すると、外貨手取りが乱高下するというような状況になるんだという理解は深まってきておりますので、その辺をベースにしながら、今後の状況に応じて対応を図っていかなければならないと思っております。
#420
○辻(一)分科員 北陸の産地で韓国の繊維業界のトップを招いて、この間まではかなり協調的に、一緒に協力しないと、それぞれやっておったのではなかなかうまくいかぬじゃないか、こういう認識が、合繊ですから福井産地が中心であると思いますが、広がって、韓国の業界の代表等を招いての懇談等も何回か重ねておったと思うのです。しかし、輸入の面もありますが、円高の中で、日本のかなり占めておった繊維の位置を韓国、台湾等がかわっていくという、これは自然の経済の摂理であれば避けられないことではあるけれども、こういう問題がこれからかなり強くなっていくのではないか。それで、いろいろな対策が考えられていかなくてはいかぬのじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
#421
○浜岡政府委員 御指摘の局面につきましては、確かに海外のバイヤーが東京といいますか、日本を通り過ぎまして韓国、台湾に出かけていく。韓国、台湾では、一部の分野ではフル操業、供給力が足りないということで、ごく最近聞いております情報では、わざわざパキスタンから綿糸を輸入しようかというような動きまであると聞いておりまして、輸出市場をめぐります台湾、韓国、香港等との競争は、非常に厳しいものがあるのではなかろうかと思っております。経過的な対応につきましては、先ほど来お話がございますような円高対策に訴えていくということであろうかと思いますが、やや中長期的に考えてみますと、従来から進めております差別化路線といいますか、より一段と高価値、高品質の商品への傾斜を進めていくということが必要でございますし、またある局面におきましては、供給力の調整といいますか、需給バランスを取り戻す、新しい需給バランスを見つけ出すというようなことも必要であろうかと思っております。
#422
○辻(一)分科員 そこで、韓国、台湾と日本の合繊関係がいい意味でいろいろ競争していかなければいかぬわけですが、その場合に、糸の価格の問題がかなり大きなポイントになると思うのです。産構法によって繊維業界、合繊業界の設備の制限が六月末で切れる、これから期限切れの中でいろいろなメーカーの対応が注目されるわけです。
    〔長野主査代理退席、主査着席〕
 そんな中で、日本絹人繊織物工業組合連合会から、これについての意見書というものを通産省に出しておりますね。この中で、たくさんありますが、そういうことは別として、一つは、通産省が今までやっておった需給見通しですね、これについてはひとつなお継続しての行政指導が必要である、こういう意見が一点出ておりますですね。それからもう一つは、国際競争力の底上げという点で、合繊業界が、メーカーが設備拡大をする中で、原糸コストの低廉化、良質化、これが非常に大事である。これは、さっきの韓国、台湾との関係においても、競争力をつけていくためにも大変必要な条件であると思いますが、通産省としては、日本絹人繊織物工業組合連合会から出されているこの意見についてどういうように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
#423
○浜岡政府委員 御指摘のとおり、ことしの六月いっぱいで合繊設備のいわゆる設備休戦が終わるわけでございます。その後の対応については、いろいろと検討してまいりましたが、現在のところほぼ、休戦は終わるということでいいのではないか。やはり一次、二次の石油ショックの後、いわば量から質への転換期でございますので、ある種の調整期が必要であるということで、設備の廃棄あるいは設備休戦という時期が必要だったと思います。しかし、御指摘のとおり、現在既に生産能力におきまして、多くの分野で韓国、台湾に抜かれておりますし、また、設備の新しさの面におきましても、かなり立ちおくれが目立ってきているということは否めないと思います。現在、能力をふやすということは、日本の置かれている状況では考えられないわけでございますが、いろいろな形でのスクラップ・アンド・ビルド、それを通じての技術革新が必要不可欠でございますので、やはり設備休戦というのは六月いっぱいで打ち切るのが適当かと思っております。
 ただ、やみ夜の中でみんながてんでんばらばらに行動するというようなことでは、特に産地への影響は甚大でございますので、やはり何らかの見通しというもの、手がかりというものは必要であると思っておりますので、今後とも中期あるいはやや短期の需給見通しというものは、私どもとしても策定をしていきたいと思っております。もちろん、国際的な情勢を十分勘案をしなければならない、これが絶対の条件だと思っております。
 それから、第二番目の原糸コストの問題につきましては、ただいま申し上げました背景説明の中で、既に御説明申し上げたことになっているかと思うわけでございますけれども、適切なスクラップ・アンド・ビルド等の中で技術革新を進めまして、品質のレベルアップ、コストダウンというようなものに合繊メーカーも積極的にこれから取り組まなければならないということではないかと思っております。
#424
○辻(一)分科員 原油価格が随分と下がってきたのですね。そして、原糸の中に占める石油製品のウエートというものが非常に大きかったわけですが、原油価格のこういう値下がりは原糸の価格の低廉化という方につながっていきますか。つないでいくべきであると思うのですが、いかがでしょう。
#425
○浜岡政府委員 合繊原料を石油化学業界から供給を仰いでおるわけでございますけれども、石油化学業界の主たる原料はナフサでございます。かつ、国内ナフサの値段と輸入ナフサの値段が基本的には連動するような仕組みになってきておりますので、コストダウンの効果はもちろん、期待できるのではないかというぐあいに思っております。
 ただ別途、石油化学業界の方でも、今度は輸出市場での競争の激化でございますとか、あるいは製品の輸入圧力というようなプレッシャーを受けるというようなことになりますので、メリットをどういうぐあいに分け合っていくかということにつきましては、相当腹を割った話し合いが必要だと思いますが、現在、両業界の間で話し合いが始まっておるというぐあいに承知いたしておりまして、適切な落ちつきどころが見つかることを期待をいたしておるわけでございます。
#426
○辻(一)分科員 いい意味の競争のためには、やはり原糸価格の低廉化ということが大事な条件と思いますから、そういう方向に一歩でも進むように努力をお願いしたいと思います。
 もう一つは、これは大臣にお伺いしたいのですが、既にいろいろな機会に触れられておりますが、電力業界はこの円高と、そして原油価格の中でかなり大きな差益が生まれております。これをどう還元するかということは、非常に論議があり、難しい問題でありますが、急激な政策によってもたらされた円高、そしてその反面では、陰の部分に非常に打撃を受けた輸出関連の中小企業がある。しかも、電力料金の割合がかなり重い輸出関連中小企業には、電力料金値下げの傾斜配分というか、難しい問題ではありますが、そういう気持ちが非常にあるし、繊維産地では、これだけ円高で苦しんでいるんだから、利益が上がっている、差益が出ているのであれば、それで少し電力を下げるようにしてほしい。一般に合成繊維は二割弱ぐらいの電力コストになっておりますが、加工賃が二分の一、三分の一と下がっているところでは、半分が電力代になっているという場合もあるわけなので、そういう希望というか、要望が非常に強いのですが、これについてちょっと大臣の見解を伺いたい。
#427
○野々内政府委員 御指摘の点につきまして、私どもとしても心情的には十分わかるわけでございますが、何分、日本人すべて、日本の企業すべてが需要家でございますので、特定の方に特別扱いというのはなかなか難しゅうございます。結局、原価主義あるいは需要家間の公平という原則に基づいて配分せざるを得ないと考えております。ただ、使い方にもいろいろございまして、一般的に需要が少ない夜間とか休日に使うとか、そういうときには当然安くしてもいいというふうに考えられております。
 いずれにいたしましても、今回、電力業界の差益が発生することは確実でございますので、今後、為替レートとか原油価格の動向、あるいは決算の状況というものを見きわめまして、今後の取り扱いについて検討してまいりたい、かように考えております。
#428
○辻(一)分科員 これは論議もあり、短い時間では尽くせないわけでありますが、率直に言って、繊維関係の方は円高で大変だ、片方ではそれだけの差益がある、何とか高い生産費に占める電力費のウエートが下がらないかという、非常に率直な気持ちを持っておる。このことをひとつ大臣も長官も、担当の局長も、皆さんぜひ頭に入れていただいて、これから具体的に取り組まれる中に考えていただきたいと思います。
 最後に、私の福井県の南の方に若狭湾があります。大臣も御存じだろうと思いますが、原子力発電では、今十三基、約一千万キロワット近い、言うなれば、日本有数はおろか、私も各国を見て回りましたが、世界でも有数の集中した原子力の発電基地、言うなれば電力の供給地になっております。しかもこの地方は昔、文化は中国大陸から朝鮮を通って若狭の海に上がり、京都、奈良に行ったという、そういう歴史と文化のある地域であり、人口も、敦賀から小浜の方にかけて約十五万、かなりの人口を持っておる地域です。
 ところが、あれだけの電力を生産していながら、人口がだんだん減っていくといううらみがあるのですね。これは要するに、若い人にとって安定した仕事場が割と少ないというところで、若い人はほかの方に出ていくということになっておる。そこで、これだけ電力を供給しておるのであるから、若い人がもっと定着して人口がふえていく、そういう工業の団地基地を、このたくさんの電力を生産する周辺にぜひ実現をしたい、こういうことで、県政は今、中核工業団地の実現を求めて、県単でも調査をやり、そしてまた、エネルギー庁においても特別な調査もやっておっていただく、こういうようになっておるので、せっかくやったエネ庁の調査がぜひひとつそういう方向に結びつくようにしてほしいと思うのです。去年か、その調査報告が出ておりますが、これは一体どうなっているか、生かされていくのかどうか、ちょっと簡単で結構ですからお伺いしたい。
#429
○野々内政府委員 五十八、五十九年度に嶺南地明の振興計画策定のための調査が実施されまして、御指摘のとおりでございますが、その調査の中で指摘されております主要なポイントの一つは、この嶺南地域の幹線交通基盤の整備をするということ、それから小浜地域の重点的な開発、例えば理工系の大学の誘致というようなこと、それから広域的なプロジェクト推進のための体制の整備というようなことの必要性が指摘されておりまして、現在、福井県あるいは関係市町村で、この調査結果をモデルプランといたしまして、その振興のあり方につきまして検討している段階でございます。これとの関連で、県とか地域振興整備公団が中心になりまして、中核工業団地に係る立地可能性調査の実施とか、あるいは地元の資源を生かした地域振興のためのプロジェクトチームの編成というようなことが福井県で行われておりますので、私どももそういう点に可能な限りお手伝いをさせていただきたい、かように考えております。
#430
○辻(一)分科員 きょう建設省の分科会で、今お話のあった道路で、舞鶴と敦賀港湾を結ぶ道が実際は工業団地等を考える場合に非常に大事であるという点で、高規格道の問題を多少論議したのですが、北陸高速道、名神高速道、中央高速道に万が一何か事故があったときに、舞鶴まで上がってきた高速道と敦賀を結べばネットワークの完成という点から非常に有効である、重要である、こういう建設省当局の見解も示されております。私はそういう意味で、道は今、前に向きつつあるのではないかという感じがします。そうなりますと、条件はかなり整備をされてくるので、ぜひこういう電力生産地における住民、自治体の心情を理解して、この中核団地実現に努力をいただきたいと思いますが、これはひとつ時間の点から大臣に伺いたいと思います。
#431
○黒田(明)政府委員 地元の中核工業団地の建設に対する強い御要望は、つとに承知しているところでございます。一方、この中核工業団地を造成するということになりますと、御承知のように相当額の国費を投ずることになるわけでございまして、そこで、仮にできた工業団地が果たして価格の面あるいはその他の条件の面で工業団地として成り立つものであるかどうか、つまり企業誘致が成功するものであるかどうか、そういった点については、やはり種々の検討を必要とするというふうに考えております。
 今、委員御指摘のとおり、実は嶺南地域における中核工業団地の開発可能性調査というものを実施いたしておりまして、近くその結果が出ると思いますが、これを踏まえまして、今のいろんな点について総合的な検討を行わなければならないというふうに考えております。
#432
○辻(一)分科員 大臣、一言で結構ですが、こういう電力を供給して一生懸命やっている、しかし人口は減っていく、その中で一つの焦りを持ちながら熱望している住民、自治体の心情に対して、どうお考えか伺って終わりたいと思います。
#433
○渡辺国務大臣 それは、先生が住民の気持ちを酌んで訴えられるお気持ちは私も痛いほどよくわかります。今黒田局長から答弁したとおり、その調査ができた段階で、県と一緒になって少し勉強をさせてもらいたいと思っております。
#434
○辻(一)分科員 じゃ、これで終わります。
#435
○上村主査 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、滝沢幸助君。
#436
○滝沢分科員 委員長、夜分どうも御苦労さま。大臣、遅くまでどうも御苦労さまです。
 今ほどの論議を傍らで聞いておりまして、しみじみと私も同様の苦労を背負っておる者として感じ入ったことでありますが、大臣御存じのごとく、福島県の二区、会津は、例の只見川電源開発地帯でございます。三十年ほど前からの例の電源開発、一連の行為を通じまして、あの只見川の階段式のダムが完成したことでもありました。しかし、当時は、三十にも達するであろうこの階段式の発電所の一つ一つに、少ないところで三十人、多いところは百人にも近いほどの社員が働いておられました。ために、大変にぎわった時代もあったのでありますが、この合理化ないしは機械化によりまして、今はほとんど無人発電所になりましたね。
 それに加えまして、最近の経済の推移から推しまして、どんどん人口が都会に流出いたしております。つい最近の例の国勢調査の結果によりますれば、私のあの金山町のごときは一四%の減ですよ、この五年間に。これは大変なことでございます。ために、三十年前、町村合併のときは一万二千人とも言われた人口が今五千を割ってしまったわけであります。そういう状況の中で地域を見詰めておる者にとって、今議論もありました円高によりまする発電所の経営の好転、これを見まするときに、過疎地に住む者としては、目の前にありますこの発電所の収支等のことを新聞等で見るにつけ、何か割り切れないものを感じておるということでございます。
 ここで一つの課題は、発電所がつい最近は、出力をアップするための改造工事といいましょうか、増設工事というのでありましょうか、これも一応、一通り終わったことであります。そのときに、最初の開発のときにどうもだまされたんじゃなかろうかということで、地域の協力もなかなかと理解が得がたいことでありました。そしていわば再補償ということで、ダムの水没の線をさらに見直すというようなこともありました。そんなことで再買収みたいな形でいわゆる補償をした点もあり、もちろんその間におきまして、安全だと言われて判こを押して提供した耕地等が、ないしは家屋におきましても、水害によって流失をするということもありまして、人工水害という議論もあったことでありますから、それやこれやの経過を踏まえまして再補償。しかし、なかなかとしてそれは十分にいくはずはありませんから、そこで約束されたのが工場の誘致ですね。電力そのものは労働者がどんどん去っていきましたけれども、何といってもあの雪国、過疎地、ここにおきまする町村設計としましては、工場の誘致を期待する以外はないということで、電力会社との協力を約束したということもありました。
 しかし、現実には工場の誘致は遅々としてできないのでありますが、大臣、こういう場所は、今ほども自治省に対しましていろいろと申し上げてきたことでありますが、もはやこの町村の崩壊、ふるさとの崩壊ではありませんか。だから私は今自治大臣に、町村合併三十年、マンモス市ができる一方においては、町村としての体をなさない町村もできてくる。そういう意味では、いわば町村の規模は、また市の規模はどの程度が望ましいのか、こうただし、また再編成の時期ではないのかということを申し上げてきたのであります。ふるさとを回復し、市町村の自治能力を回復するためにも、ここに工場の誘致等がなされなければにっちもさっちもいかぬというのが現実でありますが、大臣、ひとつこういう道について力をかしていただくというか、処方せんを示してちょうだいできないものかと思うのでありますが、言いかがなものでしょうか。
#437
○渡辺国務大臣 栃木県にも同じようなところがございまして、やはり今までは不況の期間が長かったから工場もなかなか出てこなかった。やっと明るくなるかと思ったところが急激な円高になりまして、ちょっと不況感が漂っておるということでございますが、これはやはり乗り切っていかなければならぬ。また、業種によっては非常にいい業種もあるわけですから、やはり地元が受け入れ態勢をまずつくっていい条件を提示するというようなことで、農村工業導入法とか工業再配置とか、いろいろな法律がありますから、そういうのを利用して、県が中心になりまして少しPRをしてみることじゃないですか。
#438
○滝沢分科員 大臣、大変御親切な答弁で痛み入っておりますが、政界に聞こえた指導力のある大臣でありますから、同じような地域をともに抱えているとするならば、どうかひとつ深い御理解のもとに――いろいろの試みをしているわけです。そして、もちろん工場の敷地も用意しましょう、ないしは町からの援助もしましょうと、いろいろの試みをしているわけでありますが、お客さんがさっぱりないという状況でありますので、ひとつ今後方をかしていただきまして、地域が活性化しますように御指導を願いたいと思います。
 さて、今ほどもそのようなことを申し上げているわけでありますが、電源施設周辺振興法といいましたか、その他の法律で政府の立場からいうと大変いろいろと手厚い施策が施されておるというふうなことになっておりましょうが、これは御承知のとおり火力発電所の周辺が原点でありまして、水力の方もそれにしても気の毒だということでこれに及ぼしていただいているわけでありますが、やはり火力に厚く水力に薄い嫌いはなしとしません。そういうことも含めまして、円高の差益ということが言われているときでありますから、その差益の解消のためにはいろいろなことを考えていらっしゃるのでありましょうが、むしろ電力料金を下げて個々に数百円、数千円のお客さんに対するサービスというよりは、私が今申し上げているようなことで、政府の立案、指導のもとに電力等の協力をいただいて、地域の求めている例えば工場誘致にしろ、あるいは地域開発の仕事にしろ、援助をいただくということの方が賢明かな、こう思うのでありますが、そういう道はないものかどうか、重ねてひとつ。これは地域の熱烈なる要求でございますので……。
#439
○渡辺国務大臣 電力料金の差益金の還元問題は、皆さんからいろいろな意見が出ているわけです。したがって、そういう意見をみんな聞きまして、衆議院だけではだめだから参議院の話も聞いて、聞き終わったころになるとだんだんうまい案が何か出てくるかどうか、皆さんの案を聞いた上で一番いい方法をとっていきたい、そう思っております。
#440
○滝沢分科員 聞き終わったころは円高が解消したというようなこともあるかもしれませんが、どうかひとつ。
 そういう意味で、どういうものでしょう、これは東京サミットに期待するところ、国民は大変熱いまなざしで見ているのでありますが、東京サミットによりまして何か打開の道等もあるものでございましょうか。この円高というものは、通商摩擦等を通じて見るときに、よきがごとくあしきがごとく、あしきがごとくよきがごとく、なかなか難しいことでありますが、サミット等を経て流れが変わるということはございますか。
#441
○渡辺国務大臣 安定さそうという話にはなりましょうが、流れが変わることはないんじゃないですかね。
#442
○滝沢分科員 私もそうそう簡単に長期天気予報が変わるとも思っておりませんけれども、しかし大きな期待のもとに開かれるわけでありますからひとつ成功していただきたいということと、その後の失望がありませんように、今から期待だけをあおるという政治の手法じゃなく、お願いしたいものだと思うのであります。
 ところで、この円高の影響もございましょうが、最近の零細中小企業の苦しみは全く大変なものでございまして、よくよく御存じのはずでございます。最近における中小企業等の、もちろん大企業も倒産いたします、お医者さんが倒産する、弁護士が倒産するなどという世の中でありますから、この倒産件数ないしはその特徴等はどういうものでございましょうか。
#443
○木下(博)政府委員 最近の中小企業の倒産件数でございますが、一昨年の倒産件数は、これは中小企業だけじゃありません、大企業も含めてでございますが、二万件を超えた倒産が負債金額一千万円以上の会社の倒産についてあったわけでございますが、昨年は二万件を切りまして、約一万九千件前後というような感じになっておるわけでございます。したがいまして、やや一服という感じがあったわけでございますが、実際には昨年の秋以降急激な円高がありまして、その関係での倒産もふえてきているということでございまして、負債金額一千万円以上の倒産をしたもので円高による影響があると認められるというふうに民間信用機関が考えておりますものが、昨年の円高が始まって以来四十二件ということに現在なっております。
#444
○滝沢分科員 その倒産等をめぐりまして幾つかのことが考えられ、また教えられるわけであります。政治という立場から見るならば、大きな企業が倒産しまするときには、関連倒産防止法というようなことで、また会社更生法というようなこともございまして、これは救われる。しかし、小さい会社がつぶれるときは、今一千万とおっしゃいましたが、一千万にも満たないお店も随分と、いわゆる企業と言えるのかどうかと思うほどのものがいつの間にか夜逃げをしておるというようなこと。そして、はた目には浮かぶと見えて何とやらといいますか、町を歩いてみるとあの床屋さんもやっているな、このラーメン屋さんも結構やっているわいと思うのですけれども、しかし、特に食堂などというものは経営者がどんどんかわっておりますね。そういうものに対しては、ほとんど政治の手厚い援助というものは得られないというのが実態じゃないでしょうか。そういうものに対するきめ細かい倒産防止といいますか、あるいはまた倒産した後の措置といいますか、考えられているものですか。
#445
○木下(博)政府委員 先ほどは負債金額一千万円以上の倒産について申し上げましたが、一千万円に満たない倒産についても、私どもは一応統計等でも把握しております。
 ただ、問題はその倒産という数字に上がらないような、今先生がおっしゃったようないわゆる廃業的なものもそれ以外にたくさんあるわけでございまして、そういう小規模企業の困難に対する対応策というのは、従来から私どもとしても力を入れてきているところでございます。中小企業庁や各通産局にも相談室を設けまして、倒産対策室と私どもは言っておりますが、そういうところで一応個々のそういうケースで困難に陥った方々の御相談にも応ずるという形でやっておりますが、それと同時に、各地の商工会あるいは各地の商工会議所にもそういう相談室を設けまして、小規模企業の経営の問題についての御相談に応ずる、それで必要があれば国民金融公庫なり何なりから融資をする、あっせんをするということでの御相談に応ずる体制ができております。私どもはこれを駆け込み寺というようなことで言っておりますけれども、そういうような形でやっておりますので、私どものPRが十分でないということであればもっとPRもいたさなければいけませんが、そういう本当に小さい企業の方々の対策についてもできる限りのことをやっておるというのが現状でございます。
#446
○滝沢分科員 そうした小さいものの生きざまについても、どうぞひとつ温かい目を向けていただきたいと思います。
 大臣、朝から大変お疲れのところ恐縮な話でありますが、今までの話とは今度ちょっと発想を変えたことになりまして、あるいは後で速記録を読んでくださる企業者には受け取りがたいことかもしれません。ただ大臣、私はつぶさに考えまするに、戦後の日本の、総理大臣は総決算とおっしゃっておりますから、決算するものがありとするならば、その一面に日本人の生きる心、こういう面に何かあるのじゃないだろうか、私はこう思うのであります。
 終戦のときに、東条大将が逮捕に来る米軍に先立って自殺をし損ねたと言われていたのでありますが、最近ある学者が明らかにした手記によれば、それはそうではなくて、米軍がドアを打ち破って入ろうというのでありますから、東条大将は日本刀を抜いてこれに立ち向かった。そこでGHQでありますか、発砲した。その発砲が損じたのだ。そしてその後米軍から幾人か輸血を申し出て、大変美談とされたけれども、しかしそれは、この男を殺せばもういわゆる証言させてしかも断罪する対象がなくなる、この男だけは殺しちゃいかぬということであったと、いろいろなことが言われているわけであります。
 しかし、余計なことを申しましたが、ただ私は、恥を知るというのが日本人の、これは武士道は申すまでもありません、しかし武士ならずとも、日本人の一番大事なところではないかと思うのであります。戦後さま変わりをしたと言うならば、恥を恥と思わぬこの状況だと思っております。それは政治家も決して例外ではない。例えば選挙違反のごときは当落以前の問題として恥ずべきものでありましたが、今は恬として恥ずるところなしと言ってよろしいのではないでしょうか。
 そのようなことは、企業面の経営者の魂の面にもあらわれていると私は思っておりますよ。早い話が、いつ新聞を見ても脱税でございましょう。しかし、昔は、十六代続いたこののれんを私の代でつぶしてなるものか、幾ら苦しくとも歯を食いしばって倒産はいたしません。そして、しかも町でこれだけ名の知れたお店、そして仮に商工会議所の役員、町会議員等もさせていただいているとするならば、何ぼ赤字であっても税金は出さなくてはならぬ、赤字だなんて言ってなるものかというようなものが昔の商人魂でございましたね。金をもうければいいという一面も、それはありましょうけれども、その奥を貫くものは恥を知る、名誉を重んずるということでありました。ところが、今は、脱税、虚偽の申告、そして計画倒産という言葉すらもあるほどでございまして、中には本当に涙ぐましい倒産もありまするが、しかし、見ますると、倒産得というものもあることは見逃すわけにはいきません。
 そういう意味で、通産行政の一つの側面としましては、企業の精神的な教育訓練というものもなおざりにしてはならないことではないかと私は思うのですよ。決して通産省の所管でないとかいうような理解ではなしに、そのようにして企業家の心の中から改革をしないことには、経営の改善も、また経済の改革もできないもの、こう思うのであります。いわんや、まして、広く国際社会との競争、協力によって、今のサミットじゃありませんけれども、経済は運営される。決して日本だけでどうこうできるものではございませんから、そのような意味では、先ほどから申し上げておりますような企業家の精神的よりどころを示す、そしていやしくも日本の経済人、商人として、例えばフィリピンはあんなことでございましたが、台湾、韓国その他ございましょうが、それらの周辺の国々においてつまはじきされたり批判されたりするようなことがあってはならなかろうと思うのでございます。国のいわば今後における道を開く意味においても、そのようなことに対しての御指導を賜ることはいかがなものかと思うものでありますから、いわば実力者大臣でありますから、このようなことをあえて申し上げまして、所信を承りたいと思うわけでございます。
#447
○渡辺国務大臣 昔から、商人魂とか商人道とか商人道徳とかいうことが言われました。やはり企業家にも、公衆を相手にする商売ですから、公衆道徳がなければいかぬし、企業のモラルがなくてはいけません。大きければ大きくて、もうけさえすればいいというわけのものでもない。特に狂乱物価のころ、売り惜しみ買い占め防止法なんて法律をつくらなければパニック状態になってしまうというようなこともありました。したがって、法律で縛るということよりも、やはり企業家一人一人が今おっしゃったような気持ちで経営に携わってもらうということは、長い目で見ればその企業のためにもなるし、また外国との貿易摩擦等でもそれは何らかの貢献をすることは間違いない、私はそう思っております。
 昔はよく不良品を売って、自分さえもうければいいということで、そして外国から随分非難を受けたということもたびたびあったわけですが、そういうことをやっておれば長続きはしないわけですから、先生のおっしゃるようなことを機会あるごとに企業の集まり等において説くことも大切だろうと思っております。ありがとうございました。
#448
○滝沢分科員 大臣、お疲れのところありがとうございました。ひとつ大いに指導力を発揮されて、日本経済を好転させてちょうだいするようにお願い申し上げたいと思います。
 委員長、どうもありがとうございました。皆さん方、御苦労さまでした。
#449
○上村主査 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 分科員各位の特段の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午後七時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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