くにさくロゴ
1985/03/06 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 予算委員会第四分科会 第1号
姉妹サイト
 
1985/03/06 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 予算委員会第四分科会 第1号

#1
第104回国会 予算委員会第四分科会 第1号
本分科会は昭和六十一年三月五日(水曜日)委員
会において、設置することに決した。
三月五日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
     野上  徹君     葉梨 信行君
     橋本龍太郎君     林  義郎君
     井上 一成君     神崎 武法君
三月五日
 葉梨信行君が委員長の指名で、主査に選任され
 た。
―――――――――――――――――――――
昭和六十一年三月六日(木曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
  主 査 葉梨 信行君
      野上  徹君    橋本龍太郎君
      林  義郎君    井上 一成君
      伊藤 忠治君    小川 国彦君
      田並 胤明君    村山 喜一君
      神崎 武法君    中村  巖君
      渡部 一郎君
   兼務 稲葉 誠一君 兼務 上田  哲君
   兼務 大出  俊君 兼務 多賀谷真稔君
   兼務 細谷 昭雄君 兼務 和田 貞夫君
   兼務 渡辺 嘉藏君 兼務 水谷  弘君
   兼務 吉井 光照君 兼務 青山  丘君
   兼務 岡田 正勝君 兼務 横手 文雄君
   兼務 中島 武敏君 兼務 藤木 洋子君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 今井  勇君
        労 働 大 臣 林  ゆう君
 出席政府委員
        厚生大臣官房審
        議官      木戸  脩君
        厚生大臣官房会
        計課長     末次  彬君
        厚生省健康政策
        局長      竹中 浩治君
        厚生省保健医療
        局長      仲村 英一君
        厚生省保健医療
        局老人保健部長 黒木 武弘君
        厚生省薬務局長 小林 功典君
        厚生省社会局長 小島 弘仲君
        厚生省児童家庭
        局長      坂本 龍彦君
        厚生省保険局長 幸田 正孝君
        労働大臣官房会
        計課長     石岡愼太郎君
        労働省労働基準
        局長      小粥 義朗君
        労働省婦人局長 佐藤ギン子君
        労働省職業安定
        局長      白井晋太郎君
        労働省職業安定
        局高齢者対策部
        長       清水 傳雄君
        労働省職業能力
        開発局長    野見山眞之君
 分科員外の出席者
        総務庁長官官房
        地域改善対策室
        長       熊代 昭彦君
        総務庁行政監察
        局監察官    長野 文昭君
        大蔵省主計局主
        計官      中島 義雄君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   小川  是君
        文部省高等教育
        局医学教育課長 佐藤 國雄君
        文部省体育局学
        校保健課長   下宮  進君
        文部省体育局学
        校給食課長   小西  亘君
        労働大臣官房参
        事官      竹村  毅君
        労働大臣官房政
        策調査部長   小野 進一君
        労働省労働基準
        局監督課長   菊地 好司君
        労働省労働基準
        局労災管理課長 松本 邦宏君
        労働省職業安定
        局障害者雇用対
        策室長     小倉修一郎君
        社会労働委員会
        調査室長    石川 正暉君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  井上 一成君     田並 胤明君
  神崎 武法君     中村  巖君
同日
 辞任         補欠選任
  田並 胤明君     小川 国彦君
  中村  巖君     鈴切 康雄君
同日
 辞任         補欠選任
  小川 国彦君     村山 喜一君
  鈴切 康雄君     渡部 一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  村山 喜一君     伊藤 忠治君
  渡部 一郎君     中村  巖君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤 忠治君     井上 一成君
  中村  巖君     神崎 武法君
同日
 第一分科員稲葉誠一君、和田貞夫君、吉井光照
 君、中島武敏君、藤木洋子君、第二分科員大出
 俊君、細谷昭雄君、第三分科員渡辺嘉藏君、水
 谷弘君、第六分科員多賀谷眞稔君、第七分科員
 上田哲君、第八分科員青山丘君、岡田正勝君及
 び横手文雄君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十一年度一般会計予算
 昭和六十一年度特別会計予算
 昭和六十一年度政府関係機関予算
 (厚生省及び労働省所管)
     ――――◇―――――
#2
○葉梨主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりました。何とぞよろしくお願いいたします。
 本分科会は、厚生省及び労働省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。
 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算及び昭和六十一年度政府関係機関予算中労働省所管について政府から説明を聴取いたします。林労働大臣。
#3
○林国務大臣 このたびの内閣改造によりまして労働大臣を拝命いたしました林ゆうでございます。諸先生方の今後ともの御指導、御鞭撻をよろしくお願いを申し上げます。
 昭和六十一年度一般会計及び特別会計予算のうち労働省所管分について、その概要を御説明申し上げます。
 労働省の一般会計の歳出予算額は四千八百八十八億五千二百万円で、これを前年度当初予算額四千八百九十二億二千三百万円と比較いたしますと、三億七千百万円の減額となっております。
 次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。
 この会計は、労災勘定、雇用勘定、徴収勘定に区分されておりますので、勘定ごとに歳入歳出予算額を申し上げます。
 労災勘定は、歳入歳出予算額とも一兆七千百九十五億五千八百万円で、これを前年度予算額一兆六千五百三十七億九千四百万円と比較いたしますと、六百五十七億六千四百万円の増加となっております。
 雇用勘定は、歳入歳出予算額とも一兆九千九百六十五億七千四百万円で、これを前年度予算額一兆九千八百九十三億九千六百万円と比較いたしますと、七十一億七千八百万円の増加となっております。
 徴収勘定は、歳入歳出予算額とも二兆五千四百六十六億七千九百万円で、これを前年度予算額二兆五千七十八億八百万円と比較いたしますと、三百八十八億七千百万円の増加となっております。
 最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定のうち当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として百七十四億五千万円を計上しておりますが、この額は、前年度予算額百七十九億三千五百万円と比較いたしますと、四億八千五百万円の減額となっております。
 昭和六十一年度の予算につきましては、限られた財源の中で各種施策について優先順位の厳しい選択を行い、財源の重点配分を行うことにより、新たな行政需要に積極的に対応し得るよう、きめ細かく、かつ、効率的な労働施策の実現を図ることといたしております。
 以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付してございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。
#4
○葉梨主査 この際、お諮りいたします。
 労働省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○葉梨主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔林国務大臣の説明を省略した部分〕
 次に、その主要な内容について概略御説明申し上げます。
 第一は、高齢化社会における雇用と生活安定対策に必要な経費であります。
 本格的な高齢化社会の到来を迎え、経済社会の活力を維持、発展させていく上で、六十五歳程度までの高年齢者の雇用就業の場の確保は、早急に対処しなければならない極めて重要な課題であります。
 このため、六十歳定年を事業主の努力義務とすることなどを内容とする高年齢者の雇用就業対策に関する総合的な法律案を今国会に提出し、これらによって、六十歳代前半層までを含めた継続雇用の推進のための指導援助体制、助成制度の整備拡充、高年齢者の再就職の促進のための公共職業安定所の機能強化、定年退職後等における就業の場の確保等の総合的な雇用就業対策の推進を図ることとしております。
 また、公共職業訓練施設の高年齢者向け訓練科の増設等により、高年齢者の能力開発を促進し、さらに、高年齢者の職域の拡大と安全衛生の確保を図るため高年齢者向けME機器等の研究開発を推進するとともに、勤労者の老後生活の安定を図るための対策に関する総合的研究を推進していくこととしております。
 これらに必要な経費として、一千七十一億六百万円を計上いたしております。
 第二は、労働者の健康、安全確保対策と労災補償対策に必要な経費であります。
 高齢化の進展等最近の社会情勢の変化を踏まえ、年金受給者間の不均衡を是正するため年金給付の給付基礎日額に年齢階層別の最低保障額及び最高限度額を設定する等労働者災害補償保険の制度面における不均衡等の是正を図るための労働者災害補償保険法等の改正法案を今国会に提出することとしております。
 また、新技術の導入に伴う職場環境の変化等に対応した健康、安全対策、また、身体的健康のみでなく心の面を加えた健康確保対策など労働者の健康と安全を確保するための施策を総合的に展開していくこととしております。
 これらに必要な経費として九千七百七十七億四千九百万円を計上いたしております。
 第三は、中小企業労働者福祉等対策であります。
 我が国の企業の大多数を占める中小企業は、労働条件、福祉等の面で大企業との格差が大きく、中小企業に働く人々の福祉等の向上を図ることは、労働行政の主要な課題であります。
 特に、中小企業における退職金制度の導入は必ずしも十分ではなく、また、大企業との退職金水準の格差は極めて大きいという状況にあります。このため中小企業退職金共済制度について掛金納付月数の通算制度の拡充、掛金月額の範囲の引き上げ、掛金助成制度の新設、資金運用範囲の拡大等の整備充実を図ることとし、そのための中小企業退職金共済法の改正法案を今国会に提出したところであります。
 また、中小企業労働者の労働条件、福祉の向上を図るため、中小企業の人事労務管理改善施策を拡充し、国と都道府県が一体となった施策を推進するとともに、中小企業における安全衛生確保対策のより一層の推進を図ることとしております。
 これらに必要な経費として、四百八十七億三千三百万円を計上いたしております。
 第四は、労働時間の短縮と勤労者生活の向上対策に必要な経費であります。
 昨年六月に策定した「労働時間短縮の展望と指針」に基づき、社会的、国民的合意形成の促進、労使の自主的努力に対する指導援助等により、週休二日制の普及等の労働時間短縮のための施策を推進することとしております。
 また、勤労者生活の向上を図るため、持ち家融資制度等の充実による勤労者財産形成促進制度の活用を促進してまいります。
 さらに、最近、家庭の主婦層を中心に、増加の著しいパートタイム労働者については、その雇用の安定、労働条件の確保等を図るため、パートタイム労働対策要綱に基づき、労使に対する啓発指導等を一層推進するとともに、パートバンクの増設により職業紹介体制の充実を図ることとしております。
 これらに必要な経費として、二十四億百万円を計上いたしております。
 第五は、労働力需給の円滑な調整に必要な経費であります。
 本格的な高齢化社会の到来、ME化を中心とする新たな技術革新の進展、女子の職場進出、産業構造の転換等労働市場の構造的変化が進む中で、これらの変化に対応した労働力需給の円滑な調整が必要であり、このため、本年七月に予定されている労働者派遣法の施行を円滑に進めること等により、労働者派遣事業、民営職業紹介事業の適正な運営の確保を図り、さらに総合的雇用情報システムの導入等により、公共職業安定機関の労働力需給調整システム機能の整備を図ることとしております。
 また、ME化への対応のあり方について、ブロック別労使等会議の開催等により広範なコンセンサスの形成を促進するなどME化に対応した雇用対策を推進することとしております。
 これらに必要な経費として、一兆三千四百五十九億九千五百万円を計上いたしております。
 第六は、職業能力開発対策に必要な経費であります。
 昨年の職業能力開発促進法の制定を踏まえ、新時代の生涯職業能力開発を推進するため、生涯能力開発給付金制度の拡充、職業能力開発サービスセンターの増設等により、民間企業における計画的な職業能力開発を促進することとしております。
 また、技術革新の進展等の環境変化を踏まえつつ、離転職者、新規学卒者等の職業訓練を地域のニーズに応じて弾力的に実施するなど公共部門による職業能力開発を的確に推進するとともに、中小企業の社内検定に対する援助等を通じて職業能力評価体制の整備に努めることとしております。
 これらに必要な経費として、八百七億三千五百万円を計上いたしております。
 第七は、男女の雇用機会均等の確保等女子労働者対策に必要な経費であります。
 本年四月から施行される男女雇用機会均等法の周知徹底を図るほか、女子労働者と事業主との間に紛争が生じた場合の調停を行う機会均等調停委員会を各都道府県婦人少年室に設置し、その円滑な運営により紛争解決の援助を行うなど同法の円滑な施行を図ることとしており、また、女子が職業生活と家庭生活との調和を図ることができるようにするため、育児休業制度の普及を促進するほか、女子再雇用促進給付金を創設し、女子再雇用制度の普及促進に努めることとしております。
 これらに必要な経費として、二十七億九千七百万円を計上いたしております。
 第八は、障害者等特別な配慮を必要とする人々の職業生活援助対策に必要な経費であります。
 障害者の雇用機会の確保を図るため、身体障害者雇用率制度の適正な運営を図るとともに、重度障害者、精神薄弱者に重点を置いた雇用対策を推進するほか、障害者の能力開発対策を図ることとしております。
 また、身体障害者の社会復帰を促進するため、治療から社会復帰までを一貫して行う総合リハビリテーション施設の設置等を推進することとしております。
 このほか、季節・出稼ぎ労働者対策については、冬期雇用安定奨励金制度等の延長による通年雇用化の基盤の整備を図ることとしております。
 また、失業対策事業については、昨年十一月の失業対策制度調査研究会報告の趣旨に沿って、失業対策事業紹介対象者の年齢制限の実施等制度の改善を図ることとしております。
 さらに、国鉄余剰人員対策につきましては、昨年末に閣議決定された国鉄余剰人員対策の基本方針に基づき、関係省庁と協力しながら、余剰人員の再就職促進にかかる所要の法案を今国会に提出することとしております。
 これらに要する経費として、一千四百九十八億九千百万円を計上いたしております。
 第九は、労働外交の展開に必要な経費であります。
 近年、各国間の相互依存関係の深まりと我が国の国際的地位の向上に伴い、労働の分野においても、我が国の国際的責務にふさわしい積極的な活動が要請されております。このため、諸外国との相互理解の促進や国際協力の強化等対外労働政策を積極的に展開してまいります。中でも開発途上国の人づくり等に協力するため、職業訓練、労使関係等労働の各分野における技術協力を拡充強化することとし、特にアジア・太平洋地域技能開発計画(APSDEP)の活動を支援することとしております。
 これらに要する経費として、四十三億五千六百万円を計上いたしております。
 第十は、労使関係安定対策に必要な経費であります。
 産業労働懇話会等の労使の対話の場を設け、労使の相互理解と信頼を強化するための環境づくりを推進することとしております。
 これらに要する経費として、四億八千二百万円を計上いたしております。
 以上のほか、中長期的な労働政策の樹立と労働行政体制の整備及び一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。
 以上、昭和六十一年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明申し上げました。
 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
    ―――――――――――――
#6
○葉梨主査 以上をもちまして労働省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○葉梨主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
#8
○井上(一)分科員 十年前に、今日の高齢化の社会を予測して、高齢化に対応する一つの制度がある自治体から生まれたわけです。それは、労働を通して、社会への貢献も含めて、定年退職後の生き方あるいは高齢者の生きがいというものとの取り組みが一地方自治体から生まれている。高齢者生きがい公社という形で当時は小さく発足したわけであります。国の方もいち早くその視点を強くとらえられて、名称はシルバー人材センターという名称に相なったわけでありますが、高齢者の就労対策というかそういう制度に取り組まれてからはや六年たつわけであります。その間労働省が果たしてこられた役割というものあるいは取り組んでこられた御努力は歩といたしますし、大いにその御苦労を謝し、また、今後の取り組みに私は期待をしたいわけであります。しかし、今日なお高齢化社会が進展していく中で、いわゆる高齢者の就業希望というものは増加の一途をたどっている、そういう現状に立ってシルバー人材センター制度の拡充をさらに図っていかなければいけない、こういうふうに思うわけであります。
 労働省として、シルバー人材センターについて今後とも強い育成、さらには拡充を図られることと思うわけでありますけれども、どのような方針でその拡充を図っていくお考えなのか、基本的な姿勢というか態度をお答えいただきたい。さらにあわせて、昭和六十一年度においてのいわゆる拡充を図るための諸施策、制度を含めた改善策等についてもこの際お聞きをしておきたい、こういうふうに思うのですが、まず最初に、その点について労働省からひとつ具体的なお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
#9
○林国務大臣 本格的な高齢者社会を迎えるに当たりまして、定年退職後におきましても臨時的あるいはまた短期の仕事をしたいという高齢者の方々が大変多くなっているような状況でございますから、こういった就業ニーズに適切に対応するということが労働政策の中で大きな課題となってまいっておるのでございます。
 そのために、現在国会に御提案申し上げております中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の一部を改正する法律案におきましてシルバー人材センターの法制化を図りますとともに、設置基準の緩和、運営に対する補助の拡充などの措置を講ずることといたしております。
 労働省といたしましては、シルバー人材センターを高齢者対策の重要な柱と考えておりまして、今後とも一層の拡充を図ってまいりたい、このように考えておるのでございます。
#10
○井上(一)分科員 具体的にシルバー人材センターのいわゆる法整備あるいは制度改善策についてはどういう取り組みを考えていらっしゃるか、その点について聞いておきたいと思います。
#11
○白井政府委員 お答えいたします。
 先生先ほどおっしゃいましたように、シルバー人材センターもようやく草創期を脱しまして、内客の充実強化を図るべき時期に差しかかっております。基本的には先ほど大臣がお答えしましたとおりでございまして、法律上位置づけるとともにこの拡充強化を図ってまいりたいというふうに考えているわけでございますが、昭和六十一年度につきましては、既に設置、運営されております二百六十団体に加えまして三十団体の増設を図ること、それから二番目には、従来の設置基準を緩和しまして、会員数、就業延べ人員等から見て一定の行政効果が見込める地域に設置できるようにしていくこと、それから三番目としましては、自主事業の実施、事務局職員の研修、講習の実施、能力開発等に対する援助を拡充して円滑な運営を図ること、それから四番目には、任意就業に類似する臨時、短期的な雇用のあっせんを行うことができるように機能の拡充を図ること等の措置を具体的には講ずることでお願いいたしている次第でございます。
#12
○井上(一)分科員 設置基準の緩和なりあるいは補助制度の拡大、さらにはその他のいわゆる組織の確立というか、基盤の整備というか、そういうことをやっていこうということについては、私は非常に評価をしたいと思いますし、ぜひそうあってほしい。さらに、そういう中からそれぞれの地域でシルバー人材センターの事業を向上させていくというのでしょうか、あるいは情報交換等も含めて今日の組織をさらに充実をした体制に整えていく。全国シルバー人材センター協議会というのがあるわけですけれども、このシルバー人材センターの主体性を持った事業発展のための努力、効果的に進めていくためにも、全国的見地から各シルバー人材センターの意見交換、今申し上げたような情報交換等も必要である。そういうことに対しての労働省のお考え、取り組みについてのお考えをさらに一点聞いておきたい、こういうふうに思います。
#13
○白井政府委員 先ほども申し上げましたが、先生御指摘のように、この全国シルバー人材センター協議会、これが全国的立場で中核的役割を果たしていくことが重要だというふうに考えております。
 具体的に申しますと、就業の場の開発とか能力開発その他につきまして経験交流や役職員の研修を行うなど、そういうことが重要だと考えているわけでございますが、六十一年度におきましては、これらのシルバー人材センター間におきます経験交流、役職員の研修等が円滑に、かつ効果的に実施されるように全国シルバー人材センター協議会、各シルバー人材センターを構成員とする全国団体でございますが、この協議会の業務の拡充を図りますとともに、補助する内容も充実させて、この効果を上げていくようにやっていきたいと考えている次第でございます。
#14
○井上(一)分科員 さらに私はもう一点、高齢化が急速に進展をしていく、そういう今日の高齢化社会の中で高齢者の雇用の場というものがより広く、多く求められていくというふうに認識をするわけなんです。そういう高年齢者の就業ニーズに適切に対処していく、そういう意味では、単にシルバー人材センターの育成を援助していくだけではまだまだ不十分ではないだろうか。就業の機会を十分に確保していくということも一つの対策ではないだろうか。そういう意味で、就業機会を確保する一つの手だてとして、それぞれの自治体がシルバー人材センターに一定の業務を委託をする、そういうことも考えていくと、そのような委託業務に対する助成とか、あるいは何らかの対応措置が必要になってくるのではないだろうか。そういう意味で労働省のお考えを聞いておきたいと思います。
#15
○清水(傳)政府委員 今まで御説明申し上げましたように、シルバー人材センターそのものの運営につきましての援助の拡充ということにつきまして行ってまいりたいと思っているわけでございますが、それとあわせまして、六十一年度におきましては新たに市町村が高齢者に向く臨時的あるいは短期的な仕事をシルバー人材センターに委託をする場合に、その市町村に対しましてそれに要する経費の一部を援助をする事業を新たに創設することといたしておりまして、これによりまして高齢者の臨時、短期な就業機会の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#16
○井上(一)分科員 委託する業務というのはどういう業務、自治体が委託するものにはすべてという認識に立ってよろしいのでしょうか。
#17
○清水(傳)政府委員 その具体的な内容につきましては現在検討中でございますけれども、いずれにいたしましても六十歳を超えるような高年齢者の臨時、短期的な就業ニーズの増大に対処をして、その就業機会の確保を図るということが眼目でございますので、そういうような就業機会の提供に配慮できるような運営を目指して検討をいたしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#18
○井上(一)分科員 例えば公園の管理だとか、あるいは駐車場の管理あるいはプールの管理運営事業だとか、さらには庁舎の清掃管理委託業務、自治体がシルバー人材センターに委託をしているそのような業務は、当然今お答えになられた委託するに適当な事業だ、そういう事業に対しての補助を検討されていく、こういうふうに理解をしたいと思うのですが、それでよろしいでしょうか。
#19
○清水(傳)政府委員 今先生の御指摘のような業務につきましては、従来からシルバー人材センターの受注対象になっておった業務でございますし、高齢者の就業機会の増大、確保に資するものであろうというふうに考えられるところでございまして、基本的には助成の対象になるものと考えておるところでございます。
#20
○井上(一)分科員 私は、規制の緩和と基準の緩和あるいは補助制度の拡大等について非常に前向きに取り組まれていることについては重ねて評価をしたいし、これからも御努力を願いたい。ややもすると、一つの物差しで、人口だとかあるいはいろいろな行政的な冷たい物差しを当てがちでありますが、ひとつここは、シルバー人材センターについては十分に温かい、実態に即した対応を特に強く要望しておきたい。これは後で大臣から決意も聞かせていただきたい、こういうふうに思うのです。
 それで、続いて大臣に、パートで働いていらっしゃる方々に対する問題指摘は、予算委員会でも私は触れておったわけでありますけれども、きょうまた、パートで働いていらっしゃる方々に対する問題を指摘して、労働省の見解を聞かせていただきたい。
 実は、アメリカのコーネル大学のペンペル教授が、我が国の経済的成功の根源は何に起因するかを説いたその中で、とりわけ労働者の低賃金という位置づけをし、女子労働者については非常に日本における差別の状況がひど過ぎるということを指摘されているわけです。その中でも、とりわけ「下請け労働、パートタイム採用、低年齢での定年制および女子労働力の差別待遇が可能となるような、あるいはこれらを助長するような労働政策」をとったことがひいては我が国の経済成長の根源の要因でもあったと指摘している。それらを解消するための一つの方法として、私は、やはり何らかの対応策が必要になり、パートで働いていらっしゃる方々の一定の労働条件を改善していく、外国に改めて正しい認識を持ってもらうためにも、パート労働者に対する労働条件の改善、さらには保護ということが必要になるのではないだろうか。この教授は、所信として、そうすることが日米経済摩擦の解消にも役立つのだというようなことを披瀝しているわけなんです。私は、一つの提言としてこういうことが傾聴に値するのではないかと思う。
 そういう観点からいたしますと、やはりパート労働者に対する今日の対応、いわゆる法の中での一定の保護政策というのでしょうか、そういうものが十分でない、このことはきっちりとしていただかなければいけないのではないだろうか、こういうふうに思うのです。これも大臣の見解を聞いておきたいと思います。
#21
○林国務大臣 先ほどの人材センターの件につきましては、先生御指摘のように、温かい手当てを今後とも十分考えながら施策の上に反映させていきたい、このように思っております。
 また、パートタイム労働者の問題につきましては、今後ともますますパートタイム労働者というものがふえてくる傾向があらわれるというふうに思われますが、パートタイム労働者の労働条件あるいはまた雇用の安定等については、雇い入れに際しましては労働条件が不明確な場合が種々ございまして、これが問題点となって指摘されていうようなことでございます。このため、五十九年の十二月に、パートタイム労働者の定義の明確化、またパートタイム労働者の特性に配慮した労働条件の取り扱い等を含む総合的なパートタイム労働対策要綱を策定いたしまして、これに基づきまして労使等に対し手厚い指導を進めているところでございますが、特に六十年度からは、この要綱に基づきましてパートタイム労働旬間を十一月に実施をいたし、そして集中的に啓発活動を進めているところでございます。こういった問題、いっときも早く先生いろいろと御指摘のようなことの対応がなされるように、我々労働省といたしましても今全力を挙げて努力を重ねているということでございます。
#22
○井上(一)分科員 研究会をつくって一生懸命おやりになっていらっしゃるということは予算委員会等でもお答えをいただいていますので、今労働者の法的な保護立法というか労基法というものがあるのだけれども、パート労働者に対してはその実態に即した労働保護法が完璧でない、不十分だ、しかし検討しているということについてはそれなりの評価をしたいと私は思うのです。
 むしろ、シルバー人材センターでもそうであったように、地方自治体から生まれてきた小さな声が大きな全国的な声として、さらに四年、五年おくれでやはり国は後追いをせざるを得ない、そういう実情である。高齢者の就労対策の問題は現実に今指摘をしたとおりなんですが、それは一生懸命やっていらっしゃる。
 パート労働者、労働省が把握されているもので、御婦人だけで全国に三百三十三万ですか、私は、実態としては五百万を超えると思うのですよ。これは相当な労働力になっている。そして、世界の目から見てもその労働力に対する位置づけというものは不十分である、そういうことを考えると、この際思い切って保護立法を制定していくのだ、何らかの形でそれに入り込むのだという決意が必要ではないだろうか、そのための研究会であってほしい、私はそう思うのです。
 だから、きょう何も労働大臣が、こうします、ああしますと言うことじゃなく、私の今の質問の趣旨というものを認識をし、理解をしてもらって、当然、パート労働力、パートで働いている労働者に対する新たな保護立法の必要というものはまず認識している、そのための研究会を通してのこれからの取り組みをしたいのだという御決意を持っていらっしゃるのか、そうでないのか、その点についてひとつお答えをいただきたいと思います。
    〔主査退席、野上主査代理着席〕
#23
○林国務大臣 確かに先生御指摘のとおり、パートタイム労働者というのは男女合わせますと約五百万、その中で女子のパートタイム労働者というのは、労働省の調査では三百三十三万人おるわけでございます。こういった方々の、先生おっしゃられましたような御心配の点は、労働省といたしましても十分に念頭に置きながら、今いろいろと研究対策を進めているところでございますので、その点を御了承いただきたいと思います。
#24
○井上(一)分科員 さらに私は、身体障害者の雇用という問題についてももっと新たな視点というか、新たな決意でもって取り組んでほしい。いろいろ御努力はいただいていますけれども、実態はかけ声だけに終わっている。私の承知している範囲でも、例えば障害者の雇用率についてそれぞれの省庁がどういう取り組みをしているか、もうこれは機会あるごとに申し上げているのですが、行政的な指導をしなければいけない立場の官公庁あるいはそれに準ずる特殊法人、もう全くもってその取り組みの状況が前向きでない。一々申し上げませんけれども、労働省はこういうことに対してどんな指導というか要請をなさっていらっしゃるのか。官公庁の問題もそうでありますし、とりわけ民間企業においては、大企業になるほど雇用率の未達成企業の割合は千人以上の民間企業においては七六・八%と、よくない。こういう形で本当に障害者の完全な社会参加が成り立っていくのかどうかということについてももっと強い決意で取り組んでもらわなければいけないと思うのです。この点についてはいかがですか。
#25
○林国務大臣 民間企業におきます身体障害者の雇用状況は、先生御指摘のように、企業規模が大きくなるに従いまして実際の雇用が雇用率に達していない企業の割合が高い傾向にございますけれども、最近においては、千人以上の大規模な企業においても雇用率が少しずつ改善の傾向が見られているような状況でございます。雇用率未達成の企業に対しては、雇い入れ計画その他で計画作成命令の制度やそれに基づく達成指導を今後とも強力に推進してまいりたいと思っております。
 また、特にこのような問題は、企業のトップに十分な理解を求めていかなければならないと思っておりますので、機会あるごとにこういった点について働きかけをしてまいりたいと思っております。
#26
○井上(一)分科員 さらにもう一点、同和地区の人たちの就職については労働省も十分な取り組みをしていると信頼をしたいわけでありますが、まだいろいろ問題がある。雇用の場を確保しても、しかし、そこで起こる差別事件、差別の実態をどれほど承知しているのか。さらには、せっかく確保された雇用が差別によって奪われていくという実情をどう改善していくか、どう改めさせていくかという取り組みも必要になる。同和地区出身の人たちの労働の場、雇用の場を確保する、そういうことについての取り組みは労働省も一生懸命やっていただいているということで、私はそれは多としたい。しかし、そこで新たな問題として起こる差別、それからせっかく確保した労働の場が失われていくということに目を向けなければいけないし、その問題についてもきっちりと対応していかなければいけないと思うのです。そういうことについての労働省の取り組みを聞かせてください。
#27
○白井政府委員 先生御指摘の同和問題でございますが、我々といたしましては、採用選考時における就職差別等について、啓発指導を一生懸命やっているつもりでございます。その効果はかなり上がっているとは思いますが、依然として不適切な事象が起こっておりますし、差別とはいえないまでも、面接時の不適切な対応その他を含めますと、毎年千件に上るいろいろな事件が上がってきております。その都度改善のために指導を行っているところでありますが、今後とも努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
    〔野上主査代理退席、主査着席〕
#28
○井上(一)分科員 それは手ぬるい。
 時間がありませんが、一つは高齢者に対する雇用の問題でシルバー人材センター、一つはパートで働いているパート労働者の問題、さらには障害者の問題、さらに同和問題としての雇用の問題、四つ指摘したのですが、最後の、新たな問題として起こっている、差別によってせっかく確保された職が奪われていくということについて、労働大臣、どう取り組みをされようとするのか。
 私は、労働省がもっとしっかりせぬといかぬと思うのです。雇用の場を与えることだけが労働省の仕事ではない。それからのアフターケアというのでしょうか、それから起こるいろいろなことをフォローアップしていかなければならない。その点について労働大臣にしっかりとお答えいただいて私の質問を終えますから、もうしっかり答えてもらわなければならぬと思います。いかがですか。
#29
○林国務大臣 先生御指摘の問題の中で、特に同和問題が我々の意識の中に、大変残念なことでありますけれども潜在的にまだある。こういったことは、あらゆる機会を通じてこういったことのないように啓発運動に私どもは取り組んでいるわけでございます。先生御指摘のような事例が各地でさまざまに見受けられることは、私どもにとりましては本当に残念至極なことだと思います。こういったことが今後とも起こり得るようなことのないように、私どもといたしましては全力を挙げて啓発運動に取り組んでまいりたいと思います。
#30
○井上(一)分科員 終わります。
#31
○葉梨主査 これにて井上一成君の質疑は終了いたしました。
 次に、田並胤明君。
#32
○田並分科員 私は、今の井上先生の質問に続いて、同じ同和対策の問題について労働省にお聞きしたいと思います。
 同対審答申が出されて既に二十一年目に入りましたし、さらに特措法、地対法という同和対策事業の特別措置法の関連が既に十八年目に入るわけで、いよいよ特別措置法の方も本年で期限切れということになるわけであります。
 そこでまず一点お伺いしたいのは、今も労働大臣の決意の中で同和対策問題についてはいろいろと啓蒙啓発に努力するというお話がありましたが、現時点で部落差別が、要するに就職の機会均等という立場で現存しておるのかしていないのか、これをお聞きしたいと思うのです。
#33
○白井政府委員 お答えいたします。
 先ほどもちょっとお答えしたわけでございますが、先生がおっしゃいました部落差別問題について、根絶されているというふうには考えられないわけでございまして、まことに残念なことであると思っております。
 採用選考時におきます就職差別で悪質なものはかなり少なくなってきたと考えておりますが、依然として後を絶っていない状況にございます。また、就職差別とは言えないまでも、例えば面接時におきます不適切な質問等、差別につながるおそれのある事象等を含めますと、毎年約千件の報告を受け、その都度改善のための指導を行っているところでございます。また、入職後におきましても、労働者名簿の本籍地記載、戸籍謄本等の画一的取り寄せ等、差別につながるおそれのある事象も後を絶たない現状でございます。これらから、同和問題に対する事業主への啓発指導とあわせてこれらの事象の改善にも努めていかなければならないと考えておる次第でございます。
#34
○田並分科員 今の御答弁、まさにそのとおりだと思うのです。今のは表面に出ただけであって、さらに表面に出ない数多くの就職差別等々があることは間違いないわけであります。
 その証拠には、被差別部落の人たちの生活水準なり就労状態を私どもいろいろと調査しておるわけでございますが、まず生活水準なんかを見ても、これは厚生省の調査なんでしょうが、昭和五十八年に全国で平均年収が四百十二万九千円、ところが二年後の五十九年の私どもの調査によりますと、同和地区では約六〇%の二百四十三万八千円という実態なんですね。要するに一般地区と言われている人たちの平均年収と比較すると六〇%程度です。さらに生活保護世帯も、これも厚生省の調査で、五十七年には生活保護の受給者率が全国全体では一・二三%のところを、被差別部落の人たちの受給者率というのは九・七五%、約八倍という状態なんですね。就労状態の方は労働省の方でおつかみだろうと思うのですが、十五歳以上の就労者が全国全体では五十七年調査で六三・四%いるにもかかわらず、被差別部落の人たちは六〇・七%。あるいはその就労形態も、常雇いが昭和五十七年には六四・九というのが全国全体の平均なんですが、被差別部落の人たちの全国平均で言いますと四六・五という常雇いの実態です。あとは日雇い、臨時という形態になっているという状態があるわけであります。
 これらを労働省としてはどういうふうに把握されているのかということと、同対審答申の中では、「就業状態の改善対策」として職業指導、就職あっせんあるいは定着指導、こういうものについて、例えば職業訓練の問題について言えば、職業訓練所を増設して、中高年齢者、失業者、不完全就業者あるいは転廃業者等の職業訓練を積極的に行うんだ、あるいは職業訓練所を拡充強化して、若年労働者に対して職業訓練を積極的に行うんだ、このように同対審答申では示されているのですが、実際の地対法の中の労働省の政令事業項目を見ると、援助も必要でありますが、どうも援助の方に重点が移ってしまって、具体的な同対審答申に盛られていることが本当に行われているんだろうか、私どもこういう危惧をするわけであります。この辺についてどういうふうに今日まで対応されてきたのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思うのです。
#35
○竹村説明員 お答えいたします。
 実は総括的な同和地区の方々の生活水準並びに就業実態というものにつきまして、御承知のように昭和五十年の当時の総理府調査というものがございます。一応そこで大きな特徴が出ておりまして、例えば生計関係で見ますと、生活保護世帯及びいわゆる住民税非課税世帯の割合が非常に高い。全国で合わせて七%でございますけれども、同和地区では両者合わせて二〇・五%であるとか、そのほか住民税均等割のみ課税世帯というのがやはり全国一三・四%に比較して、同和地区の世帯では二五・六%に達しているというふうな結果が出ております。
 実は、それ以降最近におきましても、各府県並びに政令都市などが独自で調査をおやりになった結果を聞いておりますけれども、やはり依然として先ほど申し上げましたような状況というものが非常に高い。いわゆる生活保護に頼る世帯の割合が高く、先生が先ほどおっしゃったように一世帯当たりの年収を見ましても、全国平均と比較してかなりの差があるというふうに認識しております。
 そういう生活水準に伴いまして、では就業実態はどうかということになりますと、やはり私どもが昭和五十二年に調査をしておりますけれども、大きな特徴がございます。先生が先ほどおっしゃったような状況に加えて、臨時、日雇いの割合が非常に高いとか、小規模事業所に勤めている人が多いとか、単純労働者の比率が高いというふうな特徴がございます。また、最近におきまして各府県が行っている就労関係の実態調査も出ておりますけれども、やはり同じ傾向にあるということで、実は私ども、現時点におきます実態をもう少し正確に把握するために、全国八カ所を選びまして調査をし、現在調査表の回収中でございます。そういう実態を踏まえて、いろいろ今後の労働施策に対応してまいりたいと思っております。
#36
○田並分科員 今言われた生活保護世帯が多いとか平均年収が少ないとかということは、突き詰めていくと、大きな要素としては就職の機会均等が損なわれているところに大きな原因があると思うのです。先ほども井上先生言われましたように、一たん就職はしたけれども、それこそ社会保険にも入れないような場所であるとか、どうしても途中で退職せざるを得なくなる、あるいは途中で差別要件が発生をして、場合によると死に至るような悲惨な状態まで出てくる。就職の機会均等が同対審答申ではっきりうたわれ、職業訓練を通しあるいはいろいろな施策を通じてやろうという同対審答申の精神が、今日までいわゆる特別措置法が十八年間続いてきましたが、それでもなおかつそれが克服できないでいる。こういうところに大きな原因があるのだということを労働省としてもきちっと認識をしてもらわないと困るのだ。もう十八年だったのだから確かに環境改善はできた、それなりの啓発もだんだん進んできた、しかるになおかつこういう実態が現存しているということについて、厳しく受けとめてもらわないといけないのではないか、このように思うのですね。
 そこで労働大臣にお聞かせ願いたいのは、先ごろもちょっとサンエスの問題出ましたが、サンエスの問題だけじゃなくて、労働大臣がお住まいになっております高知県でも、高知刑務所の刑務官が自分の奥さんを部落出身者だと思い込んで、二人の子供にお母さんと別れておれのところへ来いということで、家系図だの除籍簿を子供に見せて、おまえはどっちをとるんだ、おれの家は士族だ、おまえのお母さんは除籍簿の下には新平民とかなんとか書いてあるのだ、おまえのためにどっちが得になるのだ、こういうことを国家公務員である高知刑務所の刑務官が発言しているわけですね。先ほどのサンエスという菓子の卸売業は、高校の先生が就職の相談に行ったところが、うちの会社では部落民と朝鮮人は雇わないのだ、こういうことを公然と言うような状態ですね。現実にこれがまだ昨年ですからね、サンエスのは。あるいは今言った高知刑務所の刑務官の発言も昨年の九月ですよ。こういう状態があるわけです。
 こういう現実の部落差別の問題に対して労働大臣として――高知刑務所の刑務官の発言というのは労働大臣の出身県の問題です。非常に残念なことなんです。こういう部落差別の現実は数多くあるわけですが、今言ったような問題について大臣としてどういう御見解をお持ちなのか、まず聞かせてもらいたいと思うのです。
#37
○林国務大臣 同和問題は基本的人権にかかわる問題でございます。あらゆる段階、すなわちすべての場面で、職場とか学校、地域、また家庭、そういった中で区別があってはならない問題だと私は認識をいたしております。そしてまた、御指摘のサンエスの問題にいたしましても、先般の予算委員会で「いのち愛人権」という小冊子をいただきました。私もそれをつぶさに読んで勉強もいたしましたし、また事務当局からも詳しく報告を受けて、こういったことがなされているということは大変悲しい事態だと思って、こんなことがなぜ起こったのかといったこと、こういったことを私どもも本当に残念に思っている次第でございます。
 また、先生御指摘のような高知県の刑務所の刑務官が奥さんにそういうようなことで暴行、暴言を働いて別れているというような状況も聞きました。こういったことが本当に私どもの身近なところにあったということも、私にとりましては大変残念なことでございます。
 こういった、いわゆる差別の問題につきましては、先ほど井上先生にもお答え申し上げましたし、さきの予算委員会の総括の中でも御質問がございましたから、私も御答弁申し上げましたように、本当にあってはならないことが今現実にあるということは、私ども労働行政の中におきましても、まだまだ啓発が足りないのじゃないかというようなことを痛感をいたしております。それでまた、今までもずっと、機会あるたびに労働省といたしましてはこの問題に取り組んでまいったわけでございますけれども、さらにこの問題を一層強力に啓発啓蒙運動を進めてまいって、いっときも早くこういったことのない明るい世の中にしていくというようなことに努力をさせていただきたい、このように考える次第でございます。
#38
○田並分科員 大臣が「いのち愛人権」をごらんになったということですから非常にいいことですが、その中にもありますように「部落地名総鑑」なるものがもう既に二百二十以上出ている。その大部分を東京に本社を置く企業が買っている。こういう状態も出ていたと思うのですよ。
 それで私の方からお願いをしたいのは、現在の藤尾政務調査会長さんが昭和五十六年、労働大臣だった当時に、各企業に対して、就職差別をしないようにということで、労働大臣名でもって全企業に対して要請しましたですね。さらに山口労働大臣、昨年ですが、大阪の部落産業の視察に具体的に出ているわけですよ。ですからひとつ大臣の方もそのくらいの決意で、啓蒙啓発というのは口だけじゃなくて実際に行動する、具体的にそれをあらわしていくということでなければ、私どもの方としては納得できませんので、部落産業あるいは同対審答申に示されているような就職の機会均等というのが実際にどういう状態で行われているのか、あるいは現実にそれがどういう効果をあらわしているのか等々含めて、全企業に対する啓蒙のための要請文書を出す、さらに今言った実態を調べてもらう、こういうことを労働大臣としてもぜひやるべきではないか、そのことが一番実態を把握をするのに適切であろう、このように思いますので、そのお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#39
○林国務大臣 先生御指摘のように、藤尾労働大臣が企業に対しまして同和問題差別禁止を訴える文書を発送をいたしまして啓蒙運動に大きな道を開かれたということも存じ上げておりますし、また前山口労働大臣も地域の視察をされて、つぶさにその実態をごらんになって、今後の労働行政に大きな参考にしたいというようなお話、私もそのことを承知いたしております。
 この前の予算委員会の中で、私が個人的なことで申しわけございませんがということで、一つの例を申し述べたことがございます。それは私の祖父のいとこになります大江天也という、この方は大江卓という名前で明治の第一回の帝国議会のときに代議士だったわけでございます。それが国会の中の運動の際に、差別というものに対して大きな矛盾を感じたといいますか、そういったことで、次の選挙には出ることをやめまして、僧籍に入りまして、大江天也という名前で水平社運動に生涯をささげたのでございます。
 御承知のように、大江卓という人は、マリー・ルイズ号事件という、中国の人をペルーの船が船員のようなことで雇い入れて奴隷として酷使をしているのが横浜で逃げ出してきまして、日本政府にすがってきた、それで裁判をして奴隷を解放したときの横浜の知事が大江卓さんでございます。そういったことで、私も近い身内にそういった運動に本当に生涯をかけてやった者もおりますので、その問題に対しましては人一倍人後に落ちないほどの関心を持って、早くこういったものの解消に努めたいという意欲だけは持っているものの一人と私は自負をいたしております。そこで、先生御指摘のようなことに私は全力を挙げて取り組んでまいる所存でございますので、先生のいろいろな意味での私に対する御鞭撻も賜りたいと思います。
#40
○田並分科員 ぜひひとつその決意でやっていただきたいと思うのです。
 ただ一つ、労働大臣、中国の奴隷の人の解放を引き合いに出したのですが、被差別部落の人たちをそういう位置づけで見てもらっては困るのですよ。そういう間違った観念で見られますとこれは非常に重大問題ですから、そういうところは、例え話で出されたのでしょうけれども、聞きようによると同一視をしているというふうに見られますからね。これはひとつ厳重に注意しておきたいと思うのです。
#41
○林国務大臣 今、先生御指摘の、私が中国の奴隷問題を引き合いに出したのは、日本の同和問題に絡めてということではございませんで、大江卓という人物がそういったようなことをしたという一つの事績として例を申し上げたわけでございます。そういった中で大江卓さんは生涯を差別の撤廃にかけまして、僧籍に入って水平社運動の中核をなして、明治の半ばごろでございますが、そういうような運動をしてきたということでございますから、今の同和問題と中国の奴隷とが同一のところにあってこうしたんだということではないということを御理解をいただきたいと思います。
#42
○田並分科員 いずれにしても大臣の今の決意をぜひ実行に移していただくように強くお願いをしておきたいと思います。
 次に、ILO百十一号及び百二十二号条約の早期批准の関係でお伺いをしたいと思うのです。
 これは労働大臣、予算委員会のときに、私どもの多賀谷委員の御質問に対して「国内法の整備の要否というものが必要であろうかということで、ただいま検討させているところでございます。」これは百十一号の関係ですね。例えば差別の禁止については憲法できちっと規定をしていますね。ところが一方、労働基準法になりますと、これは就職をした以降の差別があってはならぬということになっているのです。ですから、憲法上では、就職をする前段から就職をしてからそれ以降含めて全部、あらゆる差別をやってはいかぬのだということになっているのですが、その他の国内法を見ると、どうしても就職前の、就職をしたいという人が出てくる、その人に対してどういう扱いをするかという視点が欠けているような気がするんですよ。ですから、国内法の整備というのはそういうことでやられるのかどうか。恐らくそういうことも含まれるだろうと思うのですが、いずれにしても、先進国と言われている我が日本国が、残念ながらまだ差別待遇を禁止をしたILOの百十一号なりあるいは雇用政策を決めたILO百二十二号条約の批准をされておらないということについて、私どもとしては非常に納得ができないわけでありますので、ぜひこの点についての大臣のお考えを聞かせていただきたいと思うのです。
#43
○竹村説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のILO関係の条約、百十一号と百二十二号というのがございますけれども、現在、国内法の整備ということで検討中だということでございますが、この条約はいずれも非常に範囲の広い差別を禁止している。日本の労働関係法規に書かれているもの以外に、例えば皮膚の色とかそういうものもございますし、宗教、それから政治的見解というものも入っております。もちろん安定法、基準法に禁止されているものは当然入っておるわけでございまして、現在こういう法による規制が現行法のままでいいかどうか、それがILO条約に絡んでの一番の問題点だというふうに聞いております。
 そのほかいろいろ、条約を批准するに際しましては、事前に国内法との整合性といいますか、そういうものを一応整備して批准するというのが日本政府の建前でございますので、もう少し時間がかかるかもわかりませんけれども、私どもといたしましては、できるだけ早くそういう検討を得たいというふうに考えております。
#44
○田並分科員 確かに国内法の整合性の必要性はわかりますが、一応のめどというのは持っていないのですか。例えば昭和六十一年度中に何とかやるとか、批准をしたいとか、そういう労働省としての気持ち、考えというのは。
#45
○竹村説明員 百二十二号条約、これは完全雇用政策に関する条約でございますけれども、この面についてはかなり早期に批准手続ができるというふうに現在見込んでおります。
#46
○林国務大臣 今政府委員の方から御答弁申し上げましたように、百十一号につきましては鋭意いろいろと国内法の整備の要否につきまして検討いたしているところでございますし、百二十二号条約は近く国会に御提出できるような運びになるようなことで、努力をいたしているさなかでございます。
#47
○田並分科員 それでは、百二十二号は早期批准ということでぜひ最大限の努力をしていただくと同時に、百十一号の方も早期に批准できるように、国内法の整備等関係各省と十分調整をしてやっていただきたい、このことを強く要請をしておきたいと思います。
 もう一つ、最後になりますが、同和対策事業をやっている各都道府県及び指定都市で全日本国和対策協議会というのをつくっておりまして、昨年の十二月に中間意見を出し、ことしの一月二十一日に決定をされた、地域改善対策特別措置法期限後の同和対策ということで特に就労関係について、物的事業についてはおおむね順調に推移をしている、しかし、まだ不安定な就労実態あるいは高率の生活保護受給の実態等非物的面においては課題が非常に残っておる、したがって、ぜひひとつ今後の同和対策のあり方として、ソフト面として職業、教育あるいは不安定雇用をなくす対策、福祉、産業、こういうものについて政府は全力を挙げてやってほしい、こういう中間意見が出されているのを御存じだと思うのですが、これについて、既に今までの答弁で労働省の取り組みの考え方についてはわかりましたが、再度、これらも出ておることですから、労働省の方の考え方、決意をお聞かせを願って質問を終わりたいと思うのです。
#48
○林国務大臣 同和対策協議会から出されました要望事項につきましては、十分私どもとしては検討をしているような段階でございます。
 労働省といたしましては、これまで地域における不安定就業者の解消あるいはまた事業主に対します啓発運動というのは今までもやってきておりますけれども、さらにまた今後とも強力にこの運動を進めてまいりたいと思いますし、地対法後の問題につきましては、関係省庁と十分協議をいたしまして、この問題解決のために全力を挙げて労働省は取り組んでまいりたい、このようなことを申し上げたいと思います。
#49
○田並分科員 終わります。
#50
○葉梨主査 これにて田並胤明君の質疑は終了いたしました。
 次に、中村巖君。
#51
○中村(巖)分科員 最近の労働法制の主要な問題というのは四つあると私は思っております。一つは、男女雇用平等の問題であり、二番目は派遣労働者の問題、第三番目がパートタイム労働の問題であり、第四番目が労働基準法の改定の問題である、こういうふうに思っておるわけです。
 この四つの問題のうち、最初の二つについては、最近男女雇用機会均等法というものが成立し、労働者派遣事業法というものが成立をしたということでございまして、この男女雇用機会均等法というものに対しましては大変不備であり不満足である、こういうふうに私どもは思っておるわけでございます。二番目の労働者派遣事業法についても大変問題があるというふうに思っておるわけでありますけれども、曲がりなりにもこの二つの法律は成立をした。三番目、四番目の問題はこれからの問題ではないかというふうに思っておるわけでございます。
 パートタイム労働法というか、パートタイム労働に関する法律問題というものについては、五十九年八月に労働基準法研究会の報告というものがありまして、それを受けて、大体同じような内容で五十九年十二月三日に労働省の事務次官通達というものが出されているわけでございます。「パートタイム労働対策要綱」、こういうようなものでありますけれども、その要綱が出されたのは、いわばパートタイム労働関係というものをもう少しきちっとしたいということで出された、こういう意図はよくわかるわけであります。
 この対策要綱を出されたということで、まず最初に端的にお伺いをいたしますけれども、労働省は、これによってパートタイム労働関係の法制の整備はもういいのだ、今後これに関する法改正なり特別の立法なりというものは必要がないのだ、こういうふうにお考えになられているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
#52
○佐藤(ギ)政府委員 先生お話ございましたように、五十九年十二月にパートタイムの対策要綱をつくったわけでございます。あれをつくりました基本的な考え方は、パートタイム労働者につきましても労働基準法その他労働関係の法規が適用になること、その他十分に労使に必要な事項を周知徹底させて労働条件を改善していきたいという考え方でつくられたものでございまして、できましてからまだ日も浅いものでございまして、私どもとしては当面、あの対策要綱に基づいて周知徹底を図り、雇用の確保、労働条件の改善に努めていきたいというふうに考えております。
#53
○中村(巖)分科員 今局長のおっしゃられたことは、とりもなおさず、当面この問題についての立法化というものは考えておらないということになるのか、それとも一つの過渡的な措置として通達で行政をやっていって、その間に立法化を考える、こういうことになるのか、どちらかはっきりお答えをいただきたいと思います。
#54
○佐藤(ギ)政府委員 先ほど申し上げましたように、当面はこの要綱でやってまいるわけでございますが、このほかに研究会を設けまして、パートタイマーの問題につきましては全般的に学識経験者の御意見も伺いながら検討いたしているところでございます。そこで要綱の実施状況も見、先生方の御意見も伺いながら、さらに検討した上で結論は出させていただきたいと考えております。
#55
○中村(巖)分科員 そうなりますと、今のところは立法の必要性というものは労働省としては必ずしも感じておられない、こういうことになりますか。
#56
○佐藤(ギ)政府委員 現在もパートタイム労働者につきまして、労働基準法その他しっかりした法律で適用を確保していけばかなり改善されていく面というのは多いわけでございます。フルタイムの労働者とパートタイムの労働で別建ての法律ですることがどこまで労働者の労働条件の改善に役立つかということにつきましても、もう少し対策要綱の実施状況を見、研究会の先生方の御意見も伺った上で結論を出させていただきたいというふうに考えております。
#57
○中村(巖)分科員 それではとりあえずちょっと観点を変えまして、パートタイム労働の実態というものについては労働省当局もいろいろ把握に努められているというふうに思いますけれども、今、私どもが知る限りにおいては、このパートタイムは五十八年の統計で大体四百三十三万人ぐらいいるのじゃないか。そのうち男性が百二十七万人、女性が三百六万人ぐらいだ、こういうことでございますけれども、最新の統計ではどういうふうになっているか。実感としてはさらにまたこのパート労働がふえているという感じがいたすわけでありますけれども、その辺のことを把握されておるところがありましたらお答えをいただきたいと思います。
#58
○佐藤(ギ)政府委員 パートタイム労働者そのものということではございませんけれども、週三十五時間未満の労働者の数、これが大体パートタイム労働者の数を見る一つの指標として私ども使っておりますけれども、この数字で見ますと、六十年で四百七十一万人、そのうち女子が三百三十三万人ということでございまして、七二・七%、七割を超える方たちが女子でございます。
#59
○中村(巖)分科員 今お話があった統計の中では、三十五時間の労働時間以下の者ということですが、実際はパートタイムといいながらもフルタイムで働いている、こういう労働者というものがかなり多いのが実情だというふうに思いますけれども、パートタイムと称せられているそういう労働者がどのぐらいあるかということについては把握をされておられないのでしょうか。
#60
○佐藤(ギ)政府委員 パートタイム労働者という呼称は事業場によりまして使い方もさまざまでございますので、なかなか全国的な統計として把握が難しいわけでございます。
 先生おっしゃいましたとおり、パートタイム労働者と言われておりましても週三十五時間以上働いている方はもちろんあるわけでございますけれども、一般的にいいますと、パートタイム労働者は三十五時間未満の方の割合がかなり大きいものでございますから、私どもとしては、全国的なしっかりした数字としてとらえます場合には、この週三十五時間未満の労働者を一つの指標として使っているわけでございます。もちろん、週三十五時間未満の方でもフルタイマーの方も若干ございますので、そこのあたりの出入りがあると思います。おっしゃいますとおり、あるいはもうちょっと多い数になるということはあり得ると存じます。
#61
○中村(巖)分科員 そういう膨大な数に上る、もはや五百万人になんなんとするパートタイム労働者が現実的に置かれている状況というものは、労働条件の面で大変に劣悪な状況にある。これはだれしも認識が共通するところではないかと思っております。そういう者が、一つは賃金の面でもパートタイムであるということで非常に低く抑えられている、こういう実情にあるわけで、ただ、賃金の問題につきましては、需給の状況というものがありますからこれは必ずしもどうこうが言えないわけでありますけれども、そういう意味でそのほかの面で、労働基準法の適用であるとか、賃金の面に関しましても最低賃金法の適用であるとか、あるいはまた雇用保険法の適用であるとか労働安全衛生法の適用、こういう面でも十分に法がその場面に貫徹をしていないというのが実情、それがために劣悪な労働条件、こういうふうに言われると思うわけであります。
 一々検討するのも大変に煩瑣でありますけれども、まず最初に労働基準法の関係を見てみますと、「パートタイム労働対策要綱」でもいろいろお示しでございますけれども、例えば労基法の二十条の解雇予告の問題というようなものを考えてみますると、解雇予告それ自体多くのパートの場合には行われていないというのが実態であろうかと思うわけでございまして、「パートタイム労働対策要綱」におきましては、反復更新された期間の定めのある労働契約については「一年を超えて引き続きパートタイム労働者を使用するに至った場合には、」「少なくとも三十日前にその予告をするように努めるものとする。」こういうようなことでございまして、こういう「努めるものとする。」ということではやはり労働者の保護に大変に欠けるところがあるのではないかというようなことが考えられますし、あるいはまた、年次有給休暇の問題にいたしましても、「所定労働日数が週五日以上であるパートタイム労働者については」労基法の三十九条の定めによるのだ、四日の場合については「同様に取り扱われることが望ましい。」こういうふうになっているわけであります。この点でもやはり一定の措置が必要ではないか。例えて言うならば、割合で分割して与える、三十九条そのままでなくてもそれを分割して、六労働日というのを、こういう場合には三労働日なら三労働日というものを与えなければならぬというようなことをする必要があろうかと思うのですけれども、その辺、労働基準法の面について言えば、やはり単に要綱で満足するのではなくて、法の改定というようなものを考慮する必要があるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#62
○小粥(義)政府委員 先生御指摘のように、パートタイマーといえども、これが反復更新されていわゆる実質的には常用労働者と同じ場合には、常用労働者として与えられる保護は当然受けなければならないわけでございます。ただその場合に、パートタイマーの反復継続雇用の形がいろいろなケースがあるものですから、したがって、現行の基準法が予定しております――例えば年休の事例をお尋ねございましたが、立法当時のいろいろな資料等も見ますと、これは週六日労働を前提にして組み立てられておる。したがって、外国の法制のように一労働週とか二労働週というような年休の与え方ではなくて、日数でもって規定しているわけでございます。そうなりますと、パートタイム労働者、これは一日の労働時間が短い場合もございますし、一日は通常のフルタイム労働だけれども一週で例えば三日とか四日とかというふうに、通常の労働者の場合よりも就労日数の少ないケースがあるわけでございます。その後者の場合に果たして六日という日数でもって一律にいくべきなのかどうかという問題がございまして、したがいまして、パートタイマーの対策要綱では、五日以上については基準法上の問題として当然罰則を伴う問題でございますから、これは年休を所定の六日以上付与しなければいけないとしているわけでございますが、四日以下になりますと、これは必ずしも法の解釈だけから当然にそういうふうに言えるかどうか、これは率直に言いまして法律的にはいろいろな難しい面がございます。しかし、実態として全然ないというのはやはりおかしいという面も考えられますので、指導基準として、一年を超える場合には与えることが望ましいというような表現をとったわけでございます。
 このパートタイマーの年休問題につきましては、昨年暮れに労働基準法研究会からも報告が出された中に指摘をされております問題ですから、そうした点は、基準法全体について今後どういうような改正を考えていったらいいかという中で私どもも真剣に検討してまいりたいと考えております。
#63
○中村(巖)分科員 解雇予告手当の問題についてはいかがでしょうか。
#64
○小粥(義)政府委員 解雇予告手当につきましても、いわゆる反復継続して雇用されたというのが、いわゆる反復が何回になれば反復と言えるのかということは、必ずしも回数だけでは一概に決められないということで、従来幾つかの判例も出ております。その場合にはそういう回数だけではなくて、他の労働者の取り扱いがどうなっているのか、それとの違いがあるのかないのかといったことをいろいろ総合的に判断して決めるということになっておりますので、具体的な判断はやはりケース・バイ・ケースにならざるを得ないわけでございますが、少なくとも通常、パートの方であれば、一年を超えてさらにまた雇用されている場合には、言うならば反復継続されて、期間の定めなき雇用に準じたものとして指導してしかるべきではないかという観点から、そういう一年を超える者についてはということでパート対策要綱に定めたわけでございますが、これも指導基準として示しているわけでございまして、いわゆる基準法上当然にそれをしなければ違反であるという形になりますと、これは罰則を伴う問題でございますだけに構成要件その他明確でなければならないといった問題がございますために、指導基準としてそういう取り扱いを現時点でしているということでございます。したがって、その点も今後、例えば就業規則等で何らかのもっと具体的な定めをすべきだということも考えられるわけでございますが、では、就業規則の規定の仕方として現行のままでいいのかどうかといった点は、先ほど申し上げました基準法研究会で就業規則のいろいろな問題点について指摘もいただいておりますが、それらを含めて私ども検討したいと思っております。
#65
○中村(巖)分科員 そのほかの面でも、例えば社会保険の適用、雇用保険法を中心にして健康保険あるいは厚生年金保険というような問題についても、これが適用されていないパートタイマーが圧倒的に多いというのが実態であるわけであります。例えば雇用保険法の問題について言うならば、雇用保険法の六条あるいは四十二条で、日々雇い入れられる労働者あるいは三十日以内の雇用期間の労働者については雇用保険法は適用ないのだ、こうなっているわけで、そういう形だと、日々雇い入れられているあるいは期間が三十日未満なんだという形で雇用保険の適用を免れる事業所が非常に多くなっていく。この辺についてもやはり法制上配慮しなければならぬのじゃないかという感じがいたしているわけであります。
 さらにまた、労働安全衛生法上の健康診断の問題についても、この要綱では常時雇用をする労働者については健康診断をしなさいということになっているけれども、パートタイマーについては常時雇用する労働者ではないのだという形で健康診断を行わない事業所が非常にある。その辺のところもやはり法制上の手当てをしなければいけないのじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#66
○佐藤(ギ)政府委員 今御指摘ございました雇用保険あるいは健康診断の問題等につきましては、パートタイム労働者であっても、一定の基準以上の労働時間、労働日数を働いている方につきましては適用があることになっておりまして、その点につきましては十分労使に、特に使用者に周知徹底を図っているところでございまして、これからもさらに周知に努めてまいりたいと考えております。
#67
○中村(巖)分科員 さらにまた、パートタイム労働者から通常の、正規の労働者への優先雇用の問題、これは「パートタイム労働対策要綱」の中においても、「通常の労働者として雇用されることを希望する者に対し、これに応募する機会を優先的に与えるように努めるものとする。」しかし、これは単にそう書いてあるだけのことで、実際問題、現実にそうなされているかということになりますと、これは法的に規制をされていない以上はそうならないという部分が大変あるわけでございます。これを何とか法的に義務づけることはできないのか。この点はいかがでしょう。
#68
○佐藤(ギ)政府委員 どういう人を雇うかということは経営者にとってなかなか重要なことでございまして、この対策要綱では特に、パートタイムで働いている人たちの優先雇用ということを望ましいこととして使用者には勧奨いたしておりますが、法律で義務づけるということについてはなかなか難しい問題がございます。私どもといたしましては、この要綱に基づきまして、できる限り使用者がパートタイム労働者を優先的に雇用していくように勧奨していくことをさらに続けていきたいと考えております。
#69
○中村(巖)分科員 いずれにしても、「パートタイム労働対策要綱」というものは行政指導であるわけでございまして、「努めるものとする」とか「望ましい」とか、こういう部分も圧倒的に多いようなものであるわけで、指導というか、実効性というものになると、大変に問題であるわけです。法があってさえ労働省の基準監督行政というものが必ずしも貫徹をされていない、いまだに基準法に違反をする事業主が多いという実態でありますから、やはり行政指導を一歩進めなければいけないのではないだろうかと思うわけであります。
 この対策要綱ができてから間もないわけでありますが、この対策要綱を実効あらしめるために労働省としてはどういう措置をとっておるのか、また、その実効が上がっているというふうに考えておられるのか、その辺はいかがでしょうか。
#70
○佐藤(ギ)政府委員 パートタイム労働者の数も先生おっしゃいましたように大変多うございますし、それを雇っております事業所の数も多うございますから、限られた人員、予算の中で実効を上げていくことはなかなか難しいわけでございますが、私どもは、限られた予算、人員の中でできる限り効果を上げたいということで努力をいたしております。特にこういう問題につきましては、マスコミ等を効果的に活用することがこれまでの私どもの経験からは重要であると考えておりまして、十一月に毎年パートタイム労働者のための旬間を設けまして、こうしたマスメディアを効果的に活用してさらに努力していきたいと考えております。
#71
○中村(巖)分科員 それでは若干観点を変えまして、先ほど来労働基準法研究会報告書というものに言及されておりますけれども、これは五十七年の五月に労働基準法研究会が再開されてそれ以来今日まで七本ほどですか報告書が出ているわけで、それぞれ一部会から三部会までの報告書が出ているわけでございます。その中身の問題については今さらここで言ってもいたし方ないわけでありますけれども、その中身としてはかなり重要な部分を含んでいるということでございまして、個々の細かい問題はありますけれども、なかんずく労働時間の問題について、あそこでは週四十五時間というような形で出ておるわけでございまして、週四十五時間労働というものは、世界の労働時間法制の現状からするならば、あるいは実態からするならば大変に不満足なものではありましょうけれども、労働時間短縮というのは絶対に必要なことです、世界の流れであるわけでありますから。
 そういうものを含めて、労働基準法研究会報告の中身というものをこれから基準法の改正そのほかでやっていかなければならないのではなかろうかと思いますけれども、とりあえずその報告書に基づいて、何らかの立法的な措置を当面早急にする御意思がおありなのかどうか、お伺いをしたいと思います。
#72
○林国務大臣 労働時間の法制のあり方につきましては、昨年の十二月に法定労働時間の短縮あるいはまた年次有給休暇の最低付与日数の増加等を内容とした研究会の報告が出されまして、労働省といたしましては、今後とも中央労働基準審議会における労使の意見を踏まえまして労働基準法の改正について検討をしたいということでございます。そこで先生御指摘のようなことで、我々といたしましてはそういった審議会の審議の結果を今待っておるというような状況でございます。
#73
○中村(巖)分科員 パートタイム労働関係の問題につきましても、私が先ほどから申し上げておるように、何とか法的な整備を図っていただきたい、こういうことでございますし、また労働基準法の関係につきましても基準法研究会の報告書のうち問題があるという部分はあるわけでありますけれども、法定労働時間の問題を中心にして、やはり今日の時代の流れに沿うような方向での基準法の改正は必要ではないかと思うわけで、その面でも何とか早急な立法上の手当てというものを望みたい、こういうふうに思うわけでございます。
 最後に一点だけ伺っておきますけれども、パート労働に対する課税最低限の問題、これは非常にやかましく言われておりまして、最近若干の引き上げがなされたということは事実でありますけれども、私ども今国会での予算案に対する予算修正の要求の中でもパート労働に対する課税最低限を引き上げなさいということを申し上げているわけで、今日かなり家庭の奥さん方を中心にパート労働をしなければならないという経済状況の中で、課税最低限の引き上げはどうしても必要であると思うわけであります。財政の厳しい折からといえばそういうことも事実でありましょうけれども、それが望ましい方向であるかどうかについての労働省のお考えをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
#74
○佐藤(ギ)政府委員 給与所得者についての課税のあり方につきましては、勤労者の生活に与える影響が非常に大きいものでございますから、労働省としても非常に関心を持っておるわけでございます。特に今おっしゃいましたパートタイム労働者につきましては、家庭の主婦の方たちが家計の追加収入を得ることを目的として多く就業していらっしゃいますから、パート減税についての御要望が非常に強いということは、私どもも陳情等を受けまして十分に承知しているところでございます。
 五十九年度からは課税最低限度額が引き上げられまして、九十万円となったわけでございます。これはすべての労働者に関係するわけでございますけれども、特にパートタイム労働者の要望を配慮した措置だというふうに私どもも理解しております。パートタイム労働者の課税最低限度の引き上げということにつきましては、給与所得者全体の枠組みの中で特に給与所得が低い人たちの課税をどうするかということを十分に考えてやっていくべきものと考えております。
#75
○中村(巖)分科員 終わります。どうもありがとうございました。
#76
○葉梨主査 これにて中村巖君の質疑は終了いたしました。
 次に、渡辺嘉藏君。
#77
○渡辺(嘉)分科員 労働基準法に基づく年次有給休暇の問題で、公営競技場で働いておられる従事員の方々の問題に絞って質問いたしたいと思います。
 まず、年次有給休暇を与える資格、条件について御質問いたします。
#78
○小粥(義)政府委員 労働基準法の三十九条に規定がございまして、「一年間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した六労働日の有給休暇を与えなければなるない。」こういう基本的な規定がございます。
#79
○渡辺(嘉)分科員 継続勤務と全労働日の八〇%、この二つが資格要件ですね。しからば今度は、その二つの資格を公営競技場の従事員は有しておるかどうかということですが、この点について以下質問していきます。
 まず継続勤務の問題ですが、現在公営競技場で働いておられる方々の勤務のやり方、仕組みにつきましては、当然もう調査をしていらっしゃるわけですけれども、そういう実態から見てこれは継続した性格を持っておる。いわゆる労働基準法三十九条の通達として労働省が出しておられる「臨時工等短期雇用者であってもその労働契約が反覆更新され、実質的に雇用関係が継続している場合は本条の適用あり」、昭和二十七年に通達をしていらっしゃるわけですが、これとあわせてどういうふうにお考えですか。
#80
○菊地説明員 継続雇用であるかどうかの判断につきましては、雇用契約の期間の長さ、一期間と次の雇用契約期間との間、採用の手続の実態等を総合的に判断する必要があろうかと思います。
 御指摘の通達は、反復継続されているケースについてでございますが、一つの雇用と次の雇用との間に中断がなくて接続しているような場合についての解釈でございます。したがいまして、競馬競輪の場合のように間隔のあくようなケースについて触れたものではないわけでございます。
#81
○渡辺(嘉)分科員 昭和二十七年当時はまだ競輪競馬は始まったばかりで、そして日々雇用の状態で、今日のように継続すると思っておらなかった人が大部分だと思うのです。あれは戦災復興で地方財政を補完するためにやったことなんです。ところが、今日はもうあれ以来三十有余年たったのです。そして勤務している方々も三十有余年たってきたのです。ですから、昭和二十七年のときには想定しておらぬといったって、これはあなたがおられたわけじゃないのですから、それ以前の方がやられたのですから。
 そこで、現在行われておるこの競輪競馬の実態は、継続期間の長さ、中断の長さ等々いろいろな条件をおっしゃったが、私もそのとおりと思うのです。ところが、この競輪競馬事業というのは、別の法律に基づいて一開催六日だとか一開催何日だとか、そしてこれは何開催しか認めません、こういうふうな特殊な勤務体系である、これは御案内のとおりなんです。そこで現在やっておりますのは、当初は就業規則も何もなしに一つの規範でやっていたわけですが、その後就業規則が整備され、あるいはまた一時金も整備され、そして賃金表、給与表も整備され、そして退職慰労金も支給されるようになってきたわけですね。これは一つの時代の流れなんですね。それで実績の上に来たわけなんです。
 そういうような意味から見て、しからば今日、この二十七年に出したその当時の考え方と、そして現在実際に各地域の競技場で行われておる雇用のやり方、このやり方から考えますと、その当時考えたことと大分違ってきたの一ですね。
 ということは、一、二の例を申し上げますが、まず給与につきましては、給与表というものをつくりまして、そして一等級から三等級までありましてそれが各号俸に分かれまして、一般の公務員の方々のあの給料表と同じようなものがつくってあって、十開催ずつ勤務したら一号ずつ上がっていくんだ、こういうふうないわゆる年功序列型の賃金体系が現実に行われておる。それから、十開催以上勤務した者に対しては退職慰労金を支給しましょう、こういうふうな就業規則を整備いたしまして、そして今雇用関係をつくっておられる。
 とすると、これは当然、この二十七年当時にはそういう競輪競馬の本当に短期間に働くそういう人を想定せずにつくってあっても、今この実態と二十七年に出されたこの通達とを合わせてみると私は歯車は合うと見ておるのです。反復継続をしておるわけですね。反復更新をしておるわけですね。ただしそれは働く日にちを別の法律で決めておりますから、この日とこの日とこの日、だから働きたくても働けない、こういうことからやむを得ない。これは労働者の任意性ではなくて、事業主の一つの経営上の仕組みといいますか規定といいますか、事業主の都合によってそういうふうに行われておるわけですから、当然これは継続性を持っておる勤務だ、私はこう考えるのですが、どうですか。
#82
○菊地説明員 雇用が継続性がどうかということは先ほど申しました判断によるかと思います。ですから、実態がおっしゃったとおりですと雇用の継続性はかなり蓋然性が高いと思いますが、問題は、年次有給休暇の三十九条が求めている継続雇用の趣旨との関連がもう一点あろうかと思います。
#83
○渡辺(嘉)分科員 継続性の蓋然性があるということを今承ったわけですが、私もそう思うのです。ところが、今度は年次有給休暇のこの三十九条で言う継続勤務がどうかということになると問題だ、こうおっしゃるんだけれども、これはおかしいと思うのですね。言葉の使い分けのような気がするのです。
 ILOの四十七号のこの年次有給休暇に対する勧告の条項を見ましても、「休暇を受くる権利あるに至る為に要求せらるる勤務の継続性は、」これは御案内ですから朗読しません。中略いたしますが、そういう「者が再び業務に就く場合に於ける間歇的の非任意的失業に基く中断に依り影響せられざるものとす。」要するに間欠、間が中断するわけですね。その中断については、非任意的失業に基づく中断により影響せられない。本人の任来じゃないんですよ。経営者のそういう規定に基づく間欠である。とするなら、そういう本人の任意でない間欠は、これは中断しても影響されない。
 と同時にその二項には「労働が一年を通じ規則的には行はれざる職業に於ては、勤務の継続性の条件は、所定の期間中に所定の日数労働することに依り充さるるものと看做さるべきものとす。」こういうふうにILOははっきりと勧告しておるわけですが、これとの関連はどうですか。
#84
○菊地説明員 御指摘の件はILOの勧告でございまして、いわば推奨するという考え方であるのが一つと、御指摘の中で第一項に「所定限度を超えず」という文言がございますが、その趣旨が必ずしも明確でないというような問題点等もございまして、直ちに基準法とのすり合わせがどうこうということにはならないというふうに考えております。
#85
○渡辺(嘉)分科員 そうすると、今おっしゃったが、所定労働日というのが問題になるわけですか。
#86
○菊地説明員 ちょっと御質問の趣旨がわかりかねたのですが。
#87
○渡辺(嘉)分科員 今おたくは、まず一つは、勧告であるから指導的なものなんで、絶対遵守しなければならぬものじゃないんだ、こういう前提で御答弁になった。そうすると、その中で今私が申し上げた第二項ではいわゆる勤務の継続性の条件について読み上げたわけですね。もう重複しませんが、その意味から、労働省の考え方としてはこれを基準法で言う、この中でも「所定の日数」と出てくるわけですが、所定の日数に満たないという考え方なのかどうかということを聞いておるわけです。
#88
○菊地説明員 私が申し上げましたのは第一項の、先生が最初に御指摘になった間欠的な失業に基づく中断により影響されないという関連で、その前に「所定限度を超えず」という文言がございますが、その意味が必ずしも明確でないということを申し上げたわけでございます。
#89
○渡辺(嘉)分科員 継続性が明らかにあればこれは当然労働基準法で言う三十九条のこの継続勤務に当たることは――これはもう一遍確認しますが、今蓋然性はあるとおっしゃったんですが、ここで言う継続勤務と今御答弁になったその蓋然性とは違うのか、一緒なのか、どうですか。
#90
○小粥(義)政府委員 年間の労働が継続しているかしていないかというのは、公営競馬あるいは競輪の事業の場合にいろんな形が実はございまして、特に開催日と次の開催日との間をどう理解するかということでは、実は雇用保険の適用はどうなんだという問題も絡んでまいります。これは必ずしも全国斉一的にやられているとも言えない面がございまして、各地域の実態に応じた取り扱いがなされている面は率直に言ってあるわけでございます。そうしますと、短い期間、間に置かれるけれども実質的にはつながっているというふうに理解できるケースもございましょうし、そうではなくて、やはり退職奨励金みたいなものをもらいますと明らかにここで一つの中断ができるわけでございまして、そうしたものについてまで継続性ありというふうに見ることができるかどうかといった問題も率直に言ってあるわけでございます。
 ですから、ケース・バイ・ケースで判断しなければならないのですが、そういう中で、これは個々の地域の実情がいろいろ違いがございますので、私ども一概にこうだというふうに継続性についての判断基準をお示しできない状況にあるわけでございますが、ケース・バイ・ケースで私どもも実態に即して判断していきたいというふうに考えております。
#91
○渡辺(嘉)分科員 それでは私は一つの例で聞きますが、今ここに一つの就業規則があるわけですね。この就業規則に基づきますと、今申し上げたようにまずその従事員の方々は登録をするのです。登録をいたしますと、今度は十開催日を経過いたしますと正式登録員になります。そうすると、その登録された人にはこういう票が来るわけですね。こういう票が来まして、採用通知という形をとるのです。これは、前の開催が終わりますと最終日にこれをくれるのです。そうすると、その次の開催日にまた出ていくわけです。ところが、ここには次に出ていらっしゃいと書いてあるだけのもので、現実には現場へ行きますと一年分のカードがつくってあるのですよ。それに判こを押すだけなんですよ。これを出すわけじゃないのですよ。ただ形式的にこれが入っておる。ではこれをもらわなかった人はどうかというと、もらわなかった人でも勤務できるのです。ですから、登録されたということは、いわゆる継続して採用されるということがもう既定の事実になっておる、こういう事実。
 そして、先ほど申し上げたようにそういう労働者に、ここにも書いてあるわけですが、退職金規程で、勤続年数十五年で出勤率一〇〇%の人は云々、勤続年数二十五年で出勤率一〇〇%の人は云々、こういうことで退職金を支給しておるのです。そうすると嫌でもこれはもう継続して勤務しておるというふうに、施行者の方も労働者の方も、また社会的な慣習も皆認めてしまっておるのですね。
 こういう場合は継続性があると認定してよろしいか。
#92
○小粥(義)政府委員 先生今御指摘のケースは、いわゆる就業のパターンが予定をされているという形で継続性という言葉をお使いになったんだろうと思うのですが、法的な関係で申しますと、一開催と次の開催の間を労働契約として雇用関係が存続していると見るか見ないかということになりますと、例えばその間雇用保険の給付を受けるという場合であれば、これは雇用関係が成立していないと見ざるを得ないわけでございます。そういう就業のパターンが予定をされているという意味での継続性はあるかと思いますが、具体的な法律関係としての雇用関係があるかどうかということは、むしろ開催日との間はないと見る方が法的にはケースが多いのではないかというふうに考えております。
#93
○渡辺(嘉)分科員 雇用保険だとかそれぞれの保険だとか、それぞれの法律を私は言うておるのじゃない。今基準法の三十九条の年次有給休暇に限って継続性の問題を聞いておるのです。そうすると、ではその間はどうしておるか。もしその間に臨時に何か用がありまするときには呼び出しがあるのです。それで勤務しなさい、こうなる。あるいはまた、その間に事前の準備をしなければならぬから出ていらっしゃいというときもやらなければならぬ。だからその間は登録されておる人はいつ何とき連絡があるかわからない。こういう状態なんです。ですからこれは、もう慣習的には現実に継続勤務の実態を備えておるわけですがね。だから私はそれを聞くのです。
 そうすると、この労働基準法の三十九条の年次有給休暇を与えるということは、労働者保護の観点であることはこれは言をまたないわけですが、特にこの場合に働く日にちは日曜、土曜、祭日というところに集中するのです。年末年始に集中するのです。お盆にも集中するのです。そういう状態にあるということですね。ですから一般的な労働日の感覚とちょっと違うわけですね。そういうような意味から、この継続性が当然この三十九条の中にはあるんじゃないか。
 三十九条に限ってはあるんじゃないかということと、今度は労働日について、先ほどもパートの問題で論議が出ておるわけですが、週五日以上働けば対象になるだろう、四日以下になると指導基準でいくんだ、こういうことを昨日も私も承ったわけなんですが、ここで、今日のように労働時間がどんどんと短縮する方向に流れておるわけですね。だからこの五日という感覚はもう過ぎたと思うのです、週二休は一つの既成の事実になり始めておりますから。週二日、土日は。それに年末年始あるいはまたそれぞれの地域のお祭りだとか夏季の休暇だとかということを考えますと、週五日ということはもう考えられない、週四日が一つの基準として目標値になりかけておる。こういうような意味から見て私はこの所定労働日を、この公営企業の場合には月に六日あるいはまた月に十日、月に十五日間、いろいろケースがあるんですが、いずれにいたしましてもやむを得ない事業主の都合により中断させられるんだから、こういうものは継続性と所定労働日を満たしておる、こういうふうに考えてやるのがこの年次有給休暇をつくった立法の趣旨ではなかろうか、こう思うのですが、どうです。
#94
○小粥(義)政府委員 御指摘のような事例の場合、例えば年間十開催となりますと百日くらいじゃないかと思いますが、そうしますと、現在週六日労働とした場合には三百日ぐらいの所定労働日になろうかと思います。その中でいろいろな祝祭日もふえていますから、平均的な年間の休日日数というものは、週休日をもちろん含めまして大体百日前後だろうと私ども見ておるわけでございます。そういうような全体の情勢――これはまたさらに時間短縮が進んで週休二日がもう完全に実施されるといったことになれば、またいわゆる世間の相場という休日の日数も変わってまいりましょうから、その時点で果たして五日があくまでも固執さるべきものかどうかといった点は大いに議論のあるところだと思います。しかし、現在の体制としてはまだ週休二日必ずしも普及状況ははかばかしくないわけでございまして、そういう全体の情勢の中からは、特に百日前後になりますと、例えば複数の事業所に三日ずつ働くなんというケースもあり得るわけでございます。そうした場合にそれぞれの事業所が最低六日を与えなければならないとなると、通常フルタイムで六日間働いている人はあくまで基準法上は最低六日、それに対して間欠的に働いている人はむしろ最低十二日が与えられなければならないといったような具体的ケースの適用に当たっての不均衡の問題が出るものですから、現在の基準法三十九条の解釈としては、一応フルタイム労働を前提にしてそれに準ずるものとして五日までを、今の休日の普及状況等から見て五日までは当然適用さるべきではないか。しかしそれを下回ることになると、今の情勢からは一概に罰則をもって強制する、実質上まだ熟していないというふうに私ども判断しておるわけでございます。
#95
○渡辺(嘉)分科員 私もいろいろな実態を知っております。中小企業の実態、こういうパートの人の実態あるいは公営競技場で働いている労働者の実態、いろいろなことから見て私も現実的な解決は当然必要だと見ておるのです。
 そこで、先ほどから話が出ております四日以下の問題に私は焦点を絞るわけですが、四日以下の場合には一つの指導基準で与えることが好ましい、こういうふうな理解を私どもしておるわけですが、しからば公営競技場における従事員に対してもこういう指導基準的な中に包含して進められるかどうか、この点を承りたいと思います。
#96
○小粥(義)政府委員 先ほど来お答えしておりますように、公営ギャンブル事業の就労形態が、開催間のつなぎをどういうふうに仕組んでいるかが地域によって、また事業主体によって違うものですから、その意味で、率直に言って一概にこうだというふうにはなかなか申し上げられないと思うのです。ただ、今パートタイマーの対策要綱で示しておりますように、四日の者についても与えることが望ましいという形で私ども指導を進めるようにしております。したがって、開催日数の数なりなんなり、年間の就労日の数の多寡によりますけれども、週四日程度の勤務に相当する勤務があれば、これは私ども当然対応する必要があろうかと思っております。これがもっと少なくなって四日以下ということになれば、三日も、二日も、こういうことになってまいりますから、それらを含めて全部についてそれがあるべき姿というわけにはなかなかまいらぬと思いますが、既に対策要綱で示している四日程度に相当する者であれば、これは私どもとしてもそうした点についての指導を進める必要があろうかと考えております。
#97
○渡辺(嘉)分科員 最後に大臣に承りますが、今の答弁聞いておっていただいたらわかるとおりなんですが、働きたくても働けないのですよ。ですからやむなく、過全部に直しますと一日なり二日なり、月に六日の場合もあります、十日の場合もあります、十五回の場合もあります、何回も申し上げたように。そうすると、大体百日前後、多い人は百五十日の人もあるわけですが、そういうような勤めたくても勤められない、じゃあよそへ働きに行けばどうなるか、その開催日と重なったらアウト。ショートしますから、できないのですね。ですから、そういう労働者を救済することが必要じゃないか。だから、公営競技場のこういう場合を想定して、先ほど局長は四日未満については考えてないことをおっしゃったのですが、実態に応じて四日未満であってもやはり指導基準に沿わせることが望ましいのじゃないか。
 いま一つは、当初こういうことを想定しておらなかったのです。現実にこういう問題が出たわけですから、これは一遍見直していただく必要があるのじゃなかろうか。そして、これは何も六労働日全部与えよということでなくて、二十日間全部与えよということではなくて、そういう者にはかくあるべきだ、例えば三日とか二日とか、最高は何日まで、こういうふうに見直す時期が来ておるのじゃないか、こう思うのですが、二つの点について御答弁願いたい。
#98
○林国務大臣 今先生御指摘のような事例、当初できたときとはだんだん世の中が変わってきたことは間違いございません。それで、法的なものに、つきましては審議会の答申などを得て私どもは検討していきたいと思いますけれども、先生御指摘の四日未満といったようなことにつきましては、なお私どもといたしましても省内でいろいろ検討してみたいと思います。
#99
○渡辺(嘉)分科員 終わります。
#100
○葉梨主査 これにて渡辺嘉藏君の質疑は終了いたしました。
 次に、和田貞夫君。
#101
○和田(貞)分科員 大阪府泉大津市の二田町三丁目八の十三、山口みどりさんから労働大臣あてに要請書が三月三日付で行っていることだと思います。
  日夜、働く人々の健康と生命を守るために労働行政にたずさわれていますことに敬意を表します。
  さて、私の兄、若松博は、昭和五十五年二月三日、仮眠すらない夜間の過酷な仕事の途中、脳幹部出血に被災し、同年二月二五日に死亡致しました。
 以来六年にわたり、兄の死を悲しむばかりでなく、労働災害としての認定を受けるべく東奔西走してまいりましたところ、本年二月二八日、大阪地方裁判所におきまして、兄の被災と死亡は業務上の災害であるとの判決を受けました。
 つきましては、貴職におかれましては、私ども遺族の心情をおくみとり下さり、これ以上の悲しみを与えることなく、控訴されませんよう心よりお願い申しあげます。
大臣、読んでいただけましたですか。
#102
○小粥(義)政府委員 今先生お話しの労働大臣あての要請書、きょう付になっていましてまだ実はこちらまで届いてないものですから、現実のものは拝見をしてないわけでございます。
#103
○和田(貞)分科員 それは速達便で送っておりますので、労働省のどこかに届いているはずでございます。早急にひとつ労働大臣に読んでおいていただきたいと思います。
 今の山口さんからの労働大臣あての要請書に書かれておりますように、二十五年前の昭和三十六年の労働基準局長名での通達によりまして、労働災害でないということで労災保険の請求が却下されて、審査会にかけましたけれどもこれもだめだということで本訴に踏み切った。その行政裁判の結果、「労働者災害補償保険法に基づく休業補償給付を支給しないとの処分を取り消す。」こういう判決が二月二十八日になされたわけであります。
 私も実は何年か前にある銀行に参りまして、銀行の窓口で銀行員が私に手渡してくれるお札を勘定しておったのですね。その途中にぱたっと倒れて、何日か後に亡くなった。まさに業務上の死亡なんです。これが労災の適用にならぬ。あるいは私は過去に役所におりまして、自分の同僚と業務の打ち合わせで話をしておった。何か口がもごもごするなと思ったら私の一メーター前でぱたっと倒れて一週間後に亡くなった、こういう事例があるわけです。しかし、外傷による災害ということじゃなくて、血圧が高い持病を持っておる、血圧が低い持病を持っておるという人は、この三十六年の労働省通達によって、これが壁になって今日労働災害の適用を受けない。二十五年も昔の通達だ。裁判所は、まさにこの通達は、時代が今日非常に経過しているわけですから、業務の内容も事務的な機械化も職場でいろいろと進んで――役人の皆さん方もそうだと思うのです。役人の皆さんも昔はたばこを吸いながら仕事をしておったのが、このごろたばこを吸って仕事をするような時間がだんだんなくなってきているのではないか。職場に過労とストレスが非常にたまる、そういうことになっている。裁判所はそれを認めて、いわばその通達によるところのアクシデント主義、これオンリーじゃない、その事前の急激、過激な変化の証明というものが必ずしもなくても、過労死に対してはやはり労災の適用を受けさすべきだ、こういう今日段階で非常に当を得た裁判の結果であると私は思っておるわけです。
 ちまたでは、労働組合や皆さん方の役所の中でも、そのことがいろいろと議論されておるのではないかと思うのです。聞くところによりますと、昨年の暮れあたりから、この問題について労働省も専門医等を集めていろいろと検討に、正式に入ったのかどうかわかりませんけれども、検討の俎上に上りつつあるということを仄聞するわけでございますが、この判決を受けて、これ以上控訴するということでなくて、今日の時代に適合した新しい認定ということが必要であろうと思いますので、六年間も妹が頑張ってきた切実な訴えであり、これはまさに一般的な世論であると思いますから、控訴をすることはやめてほしい。この切実な訴えを受け入れていただいて、ぜひとも控訴をしないというように踏み切ってもらいたいと思いますが、この点について大臣の方から御所見をお伺いしたいと思います。
#104
○林国務大臣 今回の判決につきましては、労災補償上の重要な問題でございます。そこで、労働省といたしましては、控訴するかしないかということは、判決理由を十分に検討いたしまして、関係機関と協議の上で決定をしたいということでございます。
#105
○和田(貞)分科員 きょうはあと十五分あるわけでございますので、十五分以内に大臣に考え方を変えていただきまして、ぜひともいい回答を承って退席したいと思っておるわけであります。
 申し上げましたように、今の通達によりますと、発症の直前に医学的な因果関係を持つ突発的で過激な仕事や災害の証明が必要であるということになっておるのです。これが大きな障害になって、単に山口さんの兄貴でございます若松さんだけじゃないわけです、今この点については、各地域の労働基準局等々に多く提訴されたり、あるいは申請されたりしている向きが非常に多いのではないかと思うのです。私はこの大阪地方裁判所の今回の判決というものに、それらの方々が非常に勇気を抱いていただいておることであろうと思いますし、また、多くのサラリーマン共通の今までの悩みであったわけです。あなた方自体の問題でもあるわけで、これをひとつ前向きになって考えてもらいたいと思うのです。
 裁判所はこの通達の内容を退けて、発病直前の災害証明は労災認定の要素の一つである。要素の一つであるが、必ずしも絶対的にそのようなものは必要ではないというところから判断をしておるわけであります。ひとつ前向きになって検討されて結論を出すのか、形式的な、客観的な物の言い方ではなくて、今非常に多くのサラリーマンの悩みでもあるわけですから、ひとつこの機会を通じまして、労働大臣としての温かいお答えをもう一度お願いします。
#106
○小粥(義)政府委員 先生御指摘の事案につきまして、私ども十分承知をいたしているわけでございますが、三十六年に出ました認定基準は、確かに年数を経ているわけでございますけれども、いわゆる使用者の全額負担による労災保険という制度なものでございますから、そこに何らかの業務起因性というものがちゃんとなければいけないということは、今さら申すまでもない一つの要件になっているわけでございます。したがいまして、実はいろいろな判例も出されていて、四十年代、五十年代、それから五十九年にも高裁の例がございますが、やはり業務起因性についてそれなりに判断をしなければならないという立場をとっておるわけでありますので、私どもとしては、現在の認定基準に準拠していく場合には、やはりその制度が守られなければならないと思っております。
 ただ、御指摘のように最近いろいろなケースがふえてきております。いわゆる成人病のいろいろなものを持っておられる方の数もふえてきておりますから、そういう面で、三十六年当時の認定基準が、医学的知見として果たしてそのままでいいのかどうかといった点については、私どもも現在の実態に即してもう一度見直すべき必要があろうということで、昨年、医学専門家による検討委員会で、この認定基準の問題についての検討を始めていただいたところでございます。したがいまして、そうした専門的な医学的立場での知見を得ました上で私ども対応したいと思っておりますが、現在においては、以上申し上げたような他のいろいろな判例等を踏まえまして、一応現在の認定基準で対応せざるを得ない、こういう状況にあることは御理解をいただきたいと思います。
#107
○和田(貞)分科員 これは、いけないのは労働省だけではありません。一たん決めた法律でも、情勢の変化によって改正ということはあるのですよ。あなたのところだって、ずっと改正案も出してくるでしょうが。まして政令でもなければ――これは通達なんですよ。いわば規則によってこの病名というものは書かれておらないので、その点が判断にそこを来したらいかぬので、二十五年前、昭和三十六年当時の労働基準局長通達で、そのことが認定の対象にならないようになっているのです。だから、その通達を撤回したらいいんじゃないですか。そして今、新しい、今日の職場の環境、職場の状態、労働の実態というものを踏まえて、今日的な判断というものが必要じゃないですか。今こうなっておるからと、三十六年に出した基準局長名の通達を後生大事にするところに私は問題があると思う。どうですか。
#108
○小粥(義)政府委員 いわゆるアクシデント性と申しますか、そうしたものを絶対的要件と見るか見ないかというところが今回の判決の一つのポイントだろうかと思います。その点について申し上げますと、従来そうした考え方でそれぞれ行政としての対応もし、それを踏まえてのいろいろな判例も出ているわけでございますので、その意味では実は一つだけでもってすぐ全体の仕組みを変えるというわけにはなかなかいかない、判例の行方というものをもっと見定める必要もあると考えるわけでございます。
 ただ、全体の成人病の発生状況といったようなことは、確かに近年非常にふえていることも事実でございます。そうした点は、やはり全国斉一的に行わなければならない問題でありますだけに、現行の基準の見直しは当然また情勢の変化によってやっていかなければいけないと思っておりますけれども、現時点の認定基準に準拠しませんと、それ以外の、基準なしで全国斉一的にやるわけにはなかなかまいらないわけでございますから、その点は御理解を賜りたいと思うわけでございます。
#109
○和田(貞)分科員 物事には助け船というものがある。例えば、別な話でございますけれども、公共施設としての用地が必要である。しかし、その付近の類地価額あるいは付近の先行取得をした用地の価額以上の要求をその地主がなされておられる。これは行政としてはどうにもならぬ。しかし、どうしてもその用地を取得しなければいかぬ。土地収用法の適用を受けて、そして強制的にこれを買収すべきであるということ、しかもそのときにはそれ以上の価額が第三者に出されたら助け船としてやはりそれで行政の方は取得するじゃないですか。その一例を見てみましても、神助けというか、そういうものはあるのです。
 長い間これでやってきた。しかし、たまたまいい判決が出たわけです。今の時代に合った判決が出たのです。三十六年前であれば、例えば内部疾患でも、結核性疾患はまだ撲滅されておらないです。当時はまだ旧陸軍の施設を国立病院にして、全部療養所にしておった。今はそれが一般病院になって、要らぬからということで半分減らすと厚生省が言っておるじゃないですか。時代が変わってきているのです。そして、長い間、特にサラリーマンの方々はこの判決を受けてやれやれということで安堵感を抱いているのです。
 私は先ほど二つの例、銀行の方と役所の方の例を挙げましたけれども、そういう実例があるのです。けれども、このためにこれが労災の適用が受けられなかった。たまたま大阪地方裁判所でこういう時代に合ったいい判決をしてくれたのですから、通達を後生大事にするのではなくて、あるいは今までそういうように非認定にしてきたという立場があるのでこのことだけでということはよくわかるわけですが、たまたまこの判決が出たわけでありますから、ひとつ前向きになって、今局長からお話がありましたように、せっかく見直そうという意思のもとに専門医等が集まって検討されることになってきておるのです。だから、そのことはそのこととして進めながら、裁判所の手続がありますから、二十八日から十五日以内にあなたの方が控訴するか控訴しないかということを判断しなければいかぬ。だから、片方では今の時代にあってこのようなことを見直そうということであるならば、少なくともこの判決に対して控訴しないという判断を大臣として決意してもらいたいと思うのですが、どうですか。
#110
○林国務大臣 今先生御指摘のとおり、この基準局長通達が出たのは昭和三十六年、もう長い前になっておる。その間に世の中の変化も随分ありまして、いろいろと多様な健康上の問題も出てきておることは事実でございます。そこで、今先生御指摘のように通達だからもう変えたらどうだというようなお話でございますけれども、労働省といたしましては、局長御答弁申し上げましたように、専門の医師などを集めまして、今後こういった問題にどう対処していくかということも昨年から始まっておるわけでございます。
 この件につきましては、先生御指摘のとおりいろいろと今後の大きな問題もはらんでいることでございますので、私といたしましても、関係各省庁と判決文をよく検討いたしながらそれに対応していかなければいけないと、本当に中途半端な御答弁で大変恐縮でございますが、今の段階ではそれ以上のことを申し上げる段階にはないと思いますことを御了承いただきたいと思います。
#111
○和田(貞)分科員 いや、私が言うておるのは、二十八日の判決に対して裁判所の手続として、大阪地裁の判決に従うかあるいは控訴するかを十五日以内に判断しなければいかぬでしょう。もう間もなく十五日がやってくるのですよ。だから、私が尋ねているわけです。
 全般的にどうするこうするというようなことはこれから検討するとしても、少なくとも――この裁判の該当者の若松博さんは当時三十八歳だった。第一警備保障株式会社といういわゆる警備保障会社にガードマンとして就職しておるのです。独身だった。そして五十五年二月三日、夜間巡回中にパトロール車の中で倒れて入院をして、二十五日に脳内出血で死亡している。この発病の二週間前には午後五時から翌朝の八時まで――物理的なこのことを一回見なさいよ。午後五時から翌朝の八時まで、こういう勤務でありますから、仮眠もないのですよ。仮眠もしないでこの勤務をずっと二週間継続しているのです。いわば連続三十九時間の勤務です。そうして得意先の約八十カ所で車に乗ったりおりたり、乗ったりおりたりして、しかも和泉市、岸和田市、泉大津市と広範囲にわたる地域を巡回する、そういうやさきの出来事なんです。
 そういうことであっても、その通達によって一網打尽に労災の適用除外だということになっておるので、大阪地裁の山本裁判長は、この実態を見きわめて、先ほど申し上げましたように、必ずしも突発的な事象の証明というものはなくても、これだけの過酷な労働条件の中で積み重なったまさに過労死だということで労災適用の判決を下しているわけですから、これに対してこれから何を検討するのですか。
#112
○小粥(義)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、こうした事案についていろいろな判例が出ておりまして、実は五十九年にも認定基準を支持した形での高裁の判決も出ているわけでございます。これは手続としましては地元大阪の局との具体的な事実関係の確認であるとか、さらにまた、これは御承知のように国を当事者とする訴訟事案でございますので、法務省とも十分協議をしなければならない、こういった手続もございますので、先ほど来大臣にお答えいただいているようなお答えしかできない現段階にあるということも御理解いただきたいという意味で申し上げているわけでございます。
#113
○和田(貞)分科員 あなたのところは一体労働者の立場に立っているのか、労働省というのはどっちなのか。去年の予算分科会で私は、これもまた大阪の大阪ゴルフのキャディーさんのひざ痛、これをお願いかたがた指摘さしていただいて、当該の地域の労働基準監督署は前向きになって、これは労災適用しなければいかぬという客観的ないろいろな資料が整った。大阪の労働基準局もわざわざあなたの方に打ち合わせに来て、そしてこの処理手続をしておる。そういう過程で私の方に、先月の末までと言っておったんだけれども、もう少しということで三月五日までに何とかいい回答を出してもらうと言っておったんだけれども、二、三日前に連絡があって、まだこれから資料がどうだとかということを言っておる。当該の基準監督署がそういう前向きの姿勢なのに、大阪の労働基準局が前向きになって何とかせにゃいかぬ、こういうつもりになっているのに、おくらしおくらししておるというのがあなたのところの態度じゃないですか。
 一体労働省というのはどこについているんだ。労働省というのはそういう労働者の立場に立った役所じゃないですか。せめてこの一つの実態というものを、もう二十八日に判決が出たんだから、しかも今具体的に申し上げましたように、三十九時間も継続して勤続して二週間ですね。そういう労働の中で倒れたというのは、まさにこの裁判の判決が出なかったかて過酷な労働の積み重ねの中の死亡というふうに素人が見たかて判断できるじゃないですか。私はそのようなことを普遍的に、今多くのサラリーマンの方も悩んでおられるんだから、これを機会にひとつ前向きな労働省の姿勢になってほしいということを言っているのですが、これはわからぬですか。そういうようなことでなくて、横から茶々を入れて耳にせぬと、大臣として、この際ひとつ温情のこもる御答弁をお願いしたいと思います。
#114
○林国務大臣 今横から茶々を言われて御答弁申し上げているわけではございません。この事例につきましては二月二十八日に判決が出たということで、先ほどちょっと申し上げましたように、国を相手にした訴訟と申しますと、これは法務省が一応のその管轄ということでございますので、今日どういうような状況になっているかということを私が政府委員の方に耳打ちをして聞いたところ、現在は地元で基準監督局と地元の法務局とが相談をしておる、それが今度こちらに上がってまいりまして、初めて相談の上、これを控訴するかあるいはまた取り下げるかというような段階を経なければならないということで、そのことの耳打ちを私の方からしたわけでございますので、何も局長の言うとおり私が言っているわけではございませんので、そのことをまず御了承いただきたいと思います。
 と同時に、今回の問題は、そのような客観的に通達の出されたときといろいろと時代の変化もあるということは私ども十分に承知をいたしておりますので、先ほど私が御答弁申し上げましたように、今この段階ではこういうことをするんだというようなはっきりしたことは申し上げられないことを十分御理解をいただきたいということを申し上げたことでございますので、先生御熱意を持っておっしゃられましたことは私も今この場で確かに耳にいたしました。そういうことで先生のお気持ちというものも十分理解はできるわけでございますから、きょうこの場で御答弁申し上げることは先ほども申し上げたようにちょっととろいような感じもあるかもしれませんけれども、その点を御理解いただければ幸いだと存じます。
#115
○和田(貞)分科員 時間が来ましたので終わりますが、情勢が変わってきているんだからひとつ今の労働の実態に沿った認定の仕方というものをやってもらいたい。先ほど申し上げた大阪ゴルフのキャディ一さんの問題でも同じことなんです。早く前向きになっていい結論を出してもらいたい。
 この点につきましては、大臣の今の御答弁を了とすることはできませんけれども、しかしこの二十八日の判決に対しましては、労働省としてはひとつ前向きになって、これは今多くのサラリーマンの悩み事の大きな一つでもあるということを理解してもらって、この判決に対する控訴はやらないようにしてもらいたいということを声を大にして大臣にお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
#116
○葉梨主査 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、岡田正勝君。
#117
○岡田(正)分科員 まず最初に数字的なことをお尋ねをしておきたいと思います。
    〔主査退席、野上主査代理着席〕
 現在、各国のいわゆる年間の労働時間、この比較を日本としてどうであるか、それをお示しをいただきたいと思います。
#118
○小粥(義)政府委員 労働時間の国際比較は、各国の資料はいろいろまちまちな点もございますので、いろいろ条件を整えた上で比較することになりますから限られるわけでございますが、一応製造業の生産労働者を対象として一九八三年時点で比較いたしてみますと、我が国が年間の総実労働時間がその時点で二千百五十二時間でございますが、それに対する欧米主要国、イギリスの場合は千九百三十八時間、アメリカは千八百九十八時間、フランスが千六百五十七時間、西ドイツ千六百十三時間といった状況でございます。
#119
○岡田(正)分科員 同様に各国の失業率と失業者数をお教えください。
#120
○小野説明員 各国の失業情勢でございますが、第二次石油ショック以後いずれも情勢が悪化しております。ただ、アメリカの場合は最近経済の情勢が好転してまいっておりますので、八四年、八五年と失業率は低下の傾向にございまして、昨年の十一月ごろから七%を割りまして、一月現在で六・六%というような数字になっております。それから西欧諸国はいずれもオイルショック以後高まってまいりましたが、八五年を通じましてほとんど増減がございませんで、英国の場合が一三%台、それから西ドイツの場合が九%台で推移しております。
 ちなみに数字は、先生御案内のように日本が一月で百六十万人、アメリカが七百八十三万人、英国が三百二十万人、西ドイツが二百二十八万人という状況でございます。
#121
○岡田(正)分科員 その失業者の業種別というのがわかりますでしょうか。大まかでいいのですが。
#122
○小野説明員 残念ながら失業率はわかりませんで、失業者数でございます。産業別に見ますと、製造業でございますが、アメリカが八三年が二百四十七万人でございます。それは前年に比べますと一一%ぐらい減っているわけでございます。それから西ドイツが五十六万人でございまして、これも八三年でございまして、前年に比べますと一四%増、それからイギリスは八三年の数字はございませんで八二年でございますが、八十三万人という数字になっております。
 日本の場合は、業種別の失業者数というのを雇用保険の受給資格決定件数で見てみますと、製造業が、こっちは昭和で申しわけないのですけれども、五十八年、五十九年は好況の時期でございましたので減少の傾向にございまして、六十年、去年の夏以降増加に転じておりまして、十−十二月で製造業から離職した人が十二万一千人ということで、前年同期に比べますと一一・三%の増になっております。
#123
○岡田(正)分科員 ありがとうございました。今数字をお示しをいただきましたが、労働時間に格段の開きがあるわけですね。一つの例をとれば、ドイツと日本との場合はまさにその間五百時間、年間五百時間も差がある。五百時間も差があるということは、これは三カ月分ですよ。ですから、日本人はドイツ人に比べて三カ月も余分に一年間に働いておるというような状況でございますが、これも貿易摩擦の原因の一つになっておることでもございますので、この労働時間の短縮ということについて労働省としてはいかようにお考えになっていらっしゃいますか。
#124
○小粥(義)政府委員 労働時間の短縮は労働者の健康問題あるいは生活にゆとりを持つために当然必要なことであるというふうに考えておりますし、最近の国際情勢からしますと、貿易摩擦との関連からも、またあるいは国内の内需拡大という観点からも労働時間の短縮が必要であるというふうに考えております。政府の関係審議会等でもそうした点の指摘を既にされておりますし、あるいは政府自体が昨年十月に内需拡大の対策としまして労働時間の短縮、週休二日制の推進といったことを行政課題の一つとしても掲げて、今後政府全体として進めていくということにいたしておるわけでございます。
 具体的には、労働省といたしましては昨年の六月に中央労働基準審議会の了承をいただきまして「労働時間短縮の展望と指針」をまとめております。これを軸にしまして、今後は週休二日制の普及を重点にして、それ以外の年次有給休暇の消化の促進であるとかあるいはそれらによる連続休暇の定着であるとか、さらには長過ぎる残業時間の抑制といったような事項を対象にしまして当面行政指導でもって進めていきたい。しかしながら、果たして行政指導だけで十分いけるかどうかといった問題もございます。その点につきましては、昨年暮れに労働基準法研究会から今後の労働時間法制のあり方についての報告もいただいておりますので、今後その報告を受けて関係審議会の議論をいろいろやっていただく予定にしておりますけれども、そうした議論の推移を見て法改正についてどう対応したらいいか、私どもとしても取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
#125
○岡田(正)分科員 そこで、今お答えがありました労働時間短縮ということについては、週休二日制を徹底するあるいは休暇を徹底的に消化してもらう、それから残業時間をできるだけ抑制していただく、いずれも行政指導の範囲にとどまるのでありますが、懸命に頑張りたい。
 それで、その後段で労働基準法研究会の問題に触れられましたが、この研究会の報告の中に一日八時間、週四十五時間という法定労働時間の新基準を出していらっしゃいますね。これでは週休二日制というのは定着しないんじゃないんでございましょうか。いかがでしょうか。
#126
○小粥(義)政府委員 欧米主要国では週休二日制が完全に定着をしているわけでございますが、その定着の仕方を見ますと、いわゆる最低基準を定めます国の法制としては必ずしも週休二日ということはうたっていないわけでございまして、週四十八時間であるとか、国によっては四十時間という規定がございますけれども、例えば西ドイツのように、四十八時間という、法律的な制度はそうでありながら労使の話し合いによって実際には週休二日が完全に定着している、こういう形をとっております。
 実は、労働基準法研究会が週四十五時間という考え方を出しましたのも、これが労働基準法、つまり罰則をもって履行を担保する最低基準としての法律でございますので、最低基準としては現在所定労働時間が四十八時間ないしそれ以上の特例業種に属する労働者の方がまだ実は三割余もいるわけでございます。したがって、完全週休二日となりますと週四十時間ということになるわけでございますが、現在週四十時間以下の労働者数というのはこれもやはり三割弱といったような全体の情勢でございますので、罰則でもって強行的にこれをやるということは非常な混乱を招くことになる。したがって、いわゆる法定労働時間としては四十五時間を考えるけれども、それを土台にしてさらに労使間でいろいろ話し合いを進め、これをより短縮するような形あるいは休日をふやすような仕組み、ふやしやすい仕組みというものを法制的に考えるべきだ、こういうお考えで四十五時間というのが出されておるわけでございますから、私どもとしては今後この法制の検討内容をどういうふうにしていくか、さらにはそうした趣旨を踏まえて対応していきたいと思っております。
#127
○岡田(正)分科員 先月の六日、産業構造審議会の中間報告では、完全週休二日制が実施されれば約三兆円の消費拡大効果があると指摘をしておられます。内需拡大の観点からいたしましても時間短縮を進めていくべきではないのか、共同歩調でと考えますが、若干ダブる点がございますけれども、お答えいただきたいと思います。
#128
○小粥(義)政府委員 産業構造審議会の企画小委員会から出されました報告も私ども伺っております。それ以前にもいわゆる休日がふえれば消費の拡大につながるといった形でその経済効果といったものも発表されたものもございますが、その産業構造審議会の場合は、休日の場合は消費係数が普通のウィークデーよりも高いということを一応前提にしまして完全週休二日になった場合の直接的な効果、さらにそれの他産業への波及効果といったものを加味して総額三兆円というふうに計算したものというふうに理解しております。そういう三兆円が数字的に妥当かどうかは別としまして、休日の増加ということはその面では少なくとも消費の拡大ないしは内需の拡大といったものに貢献する効果を持つものというふうに私ども考えております。先ほどもお答えしました昨年十月の内需拡大に関する対策の中でもその意味で労働時間短縮は取り上げられているわけでございますから、その決定の線に沿って今後時間短縮に努力していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#129
○岡田(正)分科員 ありがとうございました。せっかく御努力をいただきますようにお願いいたします。
 次に、定年制の延長の問題でありますが、この定年制延長の問題をどういうふうに労働省はお考えになっていらっしゃいますか。
#130
○白井政府委員 お答えいたします。
 労働省としましては、今国会に高齢者対策のための法律を出して御審議いただくことになっているわけでございますが、この中で六十歳定年、定年を設ける場合には六十歳以上に努めなければならないという六十歳定年を一つの柱として法制化いたしておりまして、今後それに基づいて定年延長を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#131
○岡田(正)分科員 積極的に今国会へ六十歳定年制の法案を提出されたことは、心から敬意を表します。ただ問題は、現在の六十歳定年をやっていらっしゃるところというのは非常に数が少のうございますね。そういう点から考えまして、これは企業のそれぞれの経営の状況もございますけれども、これを進めていくのはなかなか大変なことではないかというふうに思っておりますが、法制化されました後、その行政指導はどのように進めていかれる御予定でありますか。
#132
○白井政府委員 お答えいたします。
 現在、先生御存じのとおり、この六十歳定年につきましては長い経過がございまして、昭和五十四、五年ごろから行政指導を強化いたしております。そのころはまだ今おっしゃいましたとおり六十歳定年というのは非常に少なかったわけでございますが、六十一年の当初の調査では六十歳定年を設けている企業が半数を超えてまいりました。今後予定し、または六十歳定年にすることを決定している企業を含めますと七割弱のところまで来ているという状況でございます。そういうふうに行政指導の効果もかなり上がってきたと思っているわけでございますが、しかし、今回この法律をもちまして、努力義務規定ではございますが、定年を法制化することによりまして定年の進捗というものもかなり進んでまいるというふうに思っております。
 さらに行政指導の面におきましては、定年が六十歳未満であることについて特段の事情がないと認められる企業に対して定年引き上げの要請を行い、この要請にかかわらず定年引き上げが行われない事業主に対しましては定年引き上げの計画の作成命令、その適正実施勧告、それからさらに正当な理由なくこれに従わない事業主名の公表というような一連の行政措置を規定の中に設けることによりまして定年の延長指導を行っていきたいというふうに思っておる次第でございます。
#133
○岡田(正)分科員 ありがとうございました。非常に結構なことでありまして、御努力いただきたいと思いますが、ただ一つ心配なことは、年金の受給年齢ですね。受給資格年齢、これとの乖離があるわけですね。この間の職を離れた方の生活というものはこれはなかなか生活設計が大変でございまして、やっぱり年金の受給資格年齢と定年とが連動をするような形に持っていくのが一番理想でございますね。それで私どもは、ぜひそれを今後とも、今回の法案を提出することでおしまいというのじゃなくて、これからも継続的にひとつそういう連動するような意味を持った努力を重ねていっていただきたいというふうに強く思っておるのでありますが、いかがでございますか。
#134
○白井政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、雇用と年金との関係につきましては、基本的には両者が相まって将来高年齢者の生活の不安を招くことのないようにすることが必要であるというふうに我々も考えております。雇用政策と年金政策の有機的連携を図っていかなければならないというふうに思っております。
 現在、御承知のとおり年金は一応六十五歳ということになってはおりますが、現実には六十歳から支払われております。それからまた雇用の面で申しますと、六十歳までは定年でいくわけでございますが、今度の法律におきましてはさらに六十歳代前半層、六十五歳ぐらいまでは雇用就業の場を確保していくことが必要であるということを考えまして、継続雇用を含めましたいろいろな面での相談、指導、さらには国による助成等をこの層に手厚く実施することによりまして、六十五歳の雇用の場の確保を図ってまいりたいというふうに思っております。
 ただ、六十歳を超えてまいりますと、健康または体力の面で非常に個人差が生じてまいります。したがって、一律にいくのがいいのか、それとも今申し上げましたようにいろいろな援助をすることによって雇用の場を確保していくのがいいか、その辺は現在におきましては後者をとって進めていきたいというふうに考えておるわけでございまして、基本的には先生がおっしゃったことを頭に入れながら進めていきたいというふうに思っております。
#135
○岡田(正)分科員 次に、造船不況に関連をいたしましてお尋ねをしたいのでございますが、まず第一のお尋ねは退職者、企業から退職なさった方に対しての対応についてでございます。
 造船産業の不況のしわ寄せを最も受けている人はだれかといえば、当然そこで働いておる労働者の皆さんでございます。第一次オイルショックで構造不況となりまして、御承知のとおり昭和五十四年、設備の三五%をカットしておるのですね。これはもう全国的です。だから、ドックが三つあれば一つ減らしてしまう、二つあるところは一つ減らす、これは五〇%のカットですね。こういう思い切った設備のカットをし、さらに労働者の皆さんは全体の四〇%実は職場を去っていただいておる。これは今国鉄再建の問題が大変問題になっておりますが、あの人員とは比較になりません。物すごく大きな数でありまして、昭和五十四年に行っただけでも二十七万人の人が十六万人に減っているんですよ。まさに十一万人カットしているわけですね。これは大変な数字です。国鉄の六万一千人という数字に比べたらほとんど倍です。
 これはもう大変なことなんでありまして、そういう状態であるにもかかわらず、それから後さらに七年の間供給過剰という状態が続いてまいりまして、今日全国的に大騒ぎをしておりますのは、さらに設備をカットしなければいかぬ、さらに人員を三割ないし四割カットしなければいかぬ、設備も三割から四割カットしなければいかぬ、こういうようなことが、今海造審でことしの五月ごろに御答申が出る予定でございますが、おおむねそういう傾向であります。
 そういううわさを聞きまして、そこに働いておる造船労働者の人は大変な雇用不安に襲われておるわけでございます。また残っております方々も労働条件が非常に悪化を続けておりまして、六十歳定年制をせっかくとった。とったけれどもそれを五十八歳に引き下げなければいかぬ。そして五十八歳以上の人はひとつ希望退職でやめていただこう、さらに四十五歳以上の中高年者の場合でも希望があればやめていただこうというようなことで、四十五歳まで年齢を下げてきているんですね。それで中小企業者なんかに至りましては、年間百五十時間労働時間を延長。だから給与は据え置いて、時間だけ百五十時間延長するのです。こういうようなことをいたしまして盛んに努力をしておるのでありますが、まさに職場に残るのも地獄です、そして去っていく人も地獄です、こういう状態でございます。一般的な時代の流れと逆行をいたしておるわけでありまして、ただいま御質問申し上げました定年制の延長なんというようなことから言うたらとんでもない話だ、全然話にも何にもならぬという状態でございます。
 中でも生活費が一番必要な年配の方々にとりまして、特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法などによる退職後のいわゆる失業保険の手当期間ですね、この手当期間につきましてひとつ格段の御配慮がいただけぬだろうか。もう本当に企業としましては今にもぶっ倒れるという状態であるけれども、涙をのみながら去っていただく、そういうまだ健康な、技術も立派な人たちに去ってもらうに当たって企業が、大企業の場合ですよ、大企業の場合でも上乗せをして差し出すことのできる退職金というのはプラスアルファは十カ月なんです。こんなもの、ちょっと働く時間がなかったらもうたちまちのうちに食いつぶしてしまうというような状況であります。
 これが大企業の労働者の人でございます。中小企業においておやということになるわけでありまして、ぜひひとつこの失業手当の給付の期間延長ということを特段の配慮がお願いできぬものだろうか。全国的な問題ですから。また雇用の確保の観点からも重要なことでありますが、事業の転換、それから再雇用、それから職業訓練、こういう措置をぜひひとつ格段の努力をもって実行をお願いしたいのでありますが、その点について親切な御答弁をひとつお願いしたいと思うのであります。
#136
○白井政府委員 造船業界の非常に深刻な状態につきましては今先生おっしゃったとおりでございまして、我々としても状況を把握しながら非常に憂慮している次第でございます。
 まず雇用保険の失業給付でございますが、今の造船業の状態をとらえまして、造船業と関連を含めまして特定不況業種としまして指定することによりまして、その離職者に対しましては特別に給付を延長する制度をこの指定によりまして適用いたしているわけでございます。例えば五十五歳以上の高齢者については最高三百九十日の給付が行えるように延長いたしておりまして、これは他の離職者よりも非常に手厚い延長でございます。五十五歳で申し上げますと最高はそういうことになるわけでございますが、十年以上の人は普通の場合三百日でございますけれども、これを九十日延長して三百九十日。それから五十五歳以上六十五歳未満で一年以上五年未満では普通の場合二百十日でございますが、これはまず雇用保険法の二十二条の二に基づく個別延長を九十日行いまして、その上にさらに今の指定によります延長を九十日行うというようなことで、こういう層に対しても三百九十日に達するようにいたしております。そういうようなことで離職者に対する手厚い措置を講じているわけでございます。
 また、今御指摘の職業訓練等に入られる場合には、公共職業安定所の指示によって訓練を受けられる受講の場合に、所定給付日数にかかわらず訓練を受けられております間、終了まで失業給付を行うというふうな措置をとっている次第でございます。
 それからさらに、事業主に対しましては、後段に先生御指摘ございましたが、これも助成金その他で、休業、出向その他に対する、また事業転換に対する援助を行っている次第でございます。そういう措置をもちまして機動的に対応してまいりたいというふうに思っている次第でございます。
#137
○野見山政府委員 造船からの離職者に対しましては、通常の離職者に対する職業訓練のほかに、訓練規模が足りない場合あるいは訓練の職種が適当でない場合には専修学校なり各種学校等の施設に委託いたしまして訓練をするとか、あるいは事業主団体等から訓練の施設等を借り受けまして訓練を行うということで弾力的な訓練を進めてまいりたいと考えております。特に、例えば広島の場合ですと、六十一年度におきましては公共訓練施設におきます転職訓練を行いますほかに、専修学校等の施設に委託をするフォークリフトですとかクレーンの運転ですとかあるいはワープロの実務等の訓練、あるいは事業所の施設を借り受けまして訓練をやるというようなことで弾力的な再就職のための訓練を進めてまいりたいというふうに考えております。
#138
○岡田(正)分科員 これはひとつ大臣にお願いをしたいと思いますが、先般二月二十一日の予算委員会におきまして一般質問をさしていただきました。そのときに私の方から、これは仮称でございますけれども造船産業再建連絡会議とでもいいますか、そういうものをもってでもぜひひとつ対処をお願いしたいと申しまして、運輸大臣、通産大臣、自治大臣そして労働大臣の四方に所見をお伺いいたしました。四名ともそろって大変大事なことだ、やらねばいかぬと考えておるという非常に気持ちのよい御返事をいただいたのでありますが、造船産業は御承知のとおり労働集約産業なんですね。そういうことから、私が住んでおります広島県を含めた瀬戸内海関係それから九州地方、こういうところを中心にして、その産業が地場に根差しているのですね。だから造船の町と言っても過言ではないような、造船をのけたら何が残るかといったら、例えば広島県の因島のごときは造船をのけたらミカンしか残らぬ、こういう町なんです。そういうところが、現実に日立造船の因島工場のごときは、現在三千三百人いらっしゃる方を二千百人そこからどいていただいて、残りは千二百人でやっていこうというのですから、世の中の常識の数字とは全然ひっくり返った数字なんですね、大変な状況でございます。そこで、やめる人が非常に多くなるということからも町全体が実は恐慌状態に陥っているわけです。産業の関係も、もう小売商の関係に至るまでみんな大変な不安を抱えております。では、これからは船の量が拡大できるか。これはちょっと難しゅうございます。それで需要はどうするかといいますと、これは代替船が中心となりますから構造転換ということが急務になってまいります。そのために他の業種やあるいは新規の需要の創出ということが非常に重要な問題になってくるのではないかと考えております。そのために造船産業とそこで働く人たちの雇用確保のみならず、いわゆるその町の地域の経済の安定と発展という観点からも総合的な対策を講じること、これがもう緊急の問題ではないかと思って、先般仮称ではありますが造船産業再建連絡会議を設置してでも対応していただきたいとお願いをしたのでありますが、くどいようでございますけれども、何と申しましても労働集約産業の造船不況の問題ですから、ぜひ大臣からこのことに対するお考えを承りまして私の質問を終わりたいと思います。
#139
○林国務大臣 造船業界は今大変不況な環境にございます、先生御指摘のとおりでございます。労働省といたしましては従来より運輸省その他の関係機関と密接な連絡をとりながら、例えば雇用保険の問題とか職業訓練の問題とか、そういった労働省に関係するものはいち早く機動的にこれに向けて対処してまいった次第でございます。また、雇用の面におきましても船舶製造修理業を特定不況業種に指定いたしまして関係労働者の雇用の安定に努力をしてまいってきているような次第でございます。先ほど先生御指摘の、予算委員会の御質疑のときに造船産業再建連絡会議というようなものをつくったらどうだというお話、それぞれの関係大臣からの御答弁もございました。私といたしましてもこういったことは大変重要かつ大事なことであろうかというふうに認識をいたしております。今後とも関係省庁と連絡を密にいたしまして早急にこれの対策に当たるように努力してまいりたいと思います。
#140
○岡田(正)分科員 それでは最後にお願いを申し上げておきます。
 昨日の新聞にも出ておりましたように、造船業界の冷え込みというのはもう大変なものでございまして、今、春闘の期間でございますが、大会社であります日立造船あるいは三井造船、こういうところでさえも、そこで働いておる労働者の皆さんはもうみずからのベースアップの権利を放棄する、放棄せざるを得ない。それよりも雇用を確保しなければいかぬというような、経営者の方が言ってしかるべきようなことを、もう労働組合のリーダーが言わなければならぬほど追い込められておる。こういう状態ですから、大企業でさえそうですから、それに関連する中小企業の皆さんというのは目も当てられぬような惨状でございます。そういう点を特に主管官庁の大臣といたしまして十分御存じのことでございますけれども、今こうやって話をしている間でも何十人何百人という人が職場を去っていっております。みんな涙、涙ですよ。そのことをよく考えていただいて、海運国日本を支えてきた造船労働者の諸君が職を失う、そしてその技術が消えていく、これは将来の海国日本にとって果たしていいのか悪いのか、私は大変考えなければならぬ問題じゃないかと思います。ぜひともひとつ積極的にお取り組みいただきますよう心からお願いを申し上げまして終わらせていただきます。ありがとうございました。
#141
○野上主査代理 これにて岡田正勝君の質疑は終了いたしました。
 次に、藤木洋子君。
#142
○藤木分科員 近年、働く婦人がふえてまいりましたが、そのうち五人に一人はパートタイマーでございます。このパートタイマーとフルタイマーとは身分上あるいは労働法制上、取り扱いが異なるものでございましょうか。
#143
○佐藤(ギ)政府委員 パートタイマーであれフルタイマーであれ、一般的に申し上げますと労働基準法その他の労働関係の法規は同じように適用になるということでございます。
#144
○藤木分科員 そうしますとパートタイム雇用は身分的な区分ではない、パートタイマーというのは労働時間以外の点においてはフルタイマーと何ら変わるところはない、このように考えてよろしゅうございますか。
#145
○佐藤(ギ)政府委員 先生のおっしゃいました身分的という意味を今私、正確に理解したかどうか、事によると間違っておるかもしれませんが、法律上はフルタイムの労働者とパートタイムの労働者では規制に違いがないということでございまして、個々の企業におきまして異なる取り扱いをしているということはしばしばあると思います。
#146
○藤木分科員 そうしますと、それは昭和四十五年の一月十二日に婦人局が発しております第五号、この精神でお答えをいただいた、このように理解をしてよろしゅうございますか。
#147
○佐藤(ギ)政府委員 私どもで「パートタイム対策要綱」その他で定めておりますことは、法律上パートタイム労働者とフルタイム労働者においては、ごく一部の例外を除きまして基本的には、規定の仕方それから適用の仕方において異なるところがない、そういう考えに基づいてつくられ、また私どもも労使に対して指導しているところでございます。
#148
○藤木分科員 何ら差はないということでございますけれども、パートタイマーには、例えば労働基準法によって与えられなければならないとされております年次有給休暇が七割近くの事業所で実施をされていない、あるいは労働安全衛生規則によって義務づけられている健康診断も二六%の事業所で実施をされていないということが行政監察結果として報告されておりますけれども、それは一体どういうことになりますでしょうか。
#149
○佐藤(ギ)政府委員 先生御指摘のように、確かに労働基準法その他労働関係の法規が一部の企業におきましてパートタイム労働者に適用されておらないという実態があるわけでございます。そこで私どもといたしましては、まず事業所の方でも、パートタイム労働者にもフルタイムの労働者と同じように一般的には労働基準法その他の関係法規が適用されるということを周知することがまず一番重要なことでございますので、その周知。それから、どういうことに使用者が留意をして雇用管理をしていくかということにつきましてまとめたものが、さっきお話ございました「パートタイム労働対策要綱」でございますので、これにつきまして周知に努め、また労働基準監督署、安定所におきましても、それぞれ関係の分野につきまして、法律が正しく守られるように指導監督をいたしておるところでございます。
#150
○藤木分科員 要綱などおつくりになって御指導に努めていらっしゃる。私もこれをちょうだいをいたしまして、「パートタイム労働対策要綱のあらまし」というのを事業所にお配りになっていらっしゃるというようなことも存じております。しかし、この行政監察が出されましたその五カ月後に、実は経営者団体の労務機関でございます日経連が労働監督行政の緩和を求める要望というのを労働大臣あてに提出したというふうに私聞き及んでいるわけでございます。労働省はこの経営者側の圧力に屈してこられたのではないか。「パートタイム労働対策要綱」の中では労使の自主的な話し合いにゆだねられるものであるというようなことが述べられているわけですけれども、実際には労働組合もなくて個人として対抗手段をとるしかないというパートタイマーが不当な取り扱いだというふうに思いましても、労働基準監督署へこれを訴え出るなどということは到底思いもよらないといった事態も非常に多いわけでございます。泣き寝入りをするか、嫌だったら退職をするしかないというようなことになっているのが実態だと思うのですね。
 私も地元で働いております婦人から直接お話を伺う機会を持ちましたり、あるいは私ども共産党の機関紙に寄せられました数十通のお便りにも目を通させていただきました。それらはパートだからと言わないでと切々と訴えております。二、三御紹介をしたいと思うのですが、兵庫県の三十四歳の婦人は、正規職員とパートタイマーが半々の職場で働いております。名前がありますのにパートはみんなおばさんと呼ばれておりまして、時給四百六十円で午前九時から午後四時まで週六日働いております。有給休暇、生理休暇、産休、健康保険、退職金制度、雇用保険、健康診断、一切ないんですね。子供が病気になりまして、保育園がちょうど春休みでございましたから仕方なく五日間お休みになったそうですが、大変な嫌がらせをされたと訴えておられます。もし伝染病にでもかかって、もっと休まなければならないようなことになったらたちまち首になるのではないかと不安にさらされていらっしゃるわけです。正規の職員が百八十名、パート三百九十名の規模の事業所で働いている千葉県の四十五歳の婦人の場合ですけれども、職員はみんな食堂で百五十円の昼食がとれるようになっております。パートは利用できないのですね。職員は研修が保障されておりますけれども、パートはテキストを買って独習をして通信教育を自分で受ける、こういうことになっております。そこで会社に、パートにも研修を受けさせてほしいと申し入れをされたところが、パートさんには高度なものはお願いしておりませんと言われているのです。事業所ではパートが主力であるにもかかわらず、企業側の対応はパートにとって極めて低い扱いをしている。こうした企業の姿勢が反映をいたしまして、正規職員からも二言目にはパートのくせに、パートだからと差別をされ、身の切られるような思いをして働いていらっしゃるわけです。
 大臣にお伺いをしますけれども、こういった実態をお聞きになりましてどのような御感想をお持ちでございましょうか。
#151
○林国務大臣 パートタイマーということで、職場において先生御指摘のような大きな差別があるということは大変遺憾なことだと思います。労働省といたしましては、従来からそういったようなことのないようにという指導をいたしておるわけでございます。さらにまた今後とも啓蒙、開発あるいは指導を密にいたしまして、こういったことの起きないような指導をしてまいりたいと思います。
#152
○藤木分科員 極めて遺憾だという御感想とそして御決意もいただいたと思うのですけれども、全労働省労働組合の調査資料によりますと、パートが不満と思うことの第一に賃金が低いというてとを挙げております。第二に身分が不安定だと答えており、それらに続きまして労働時間や税制の不満、こういったものを挙げているわけですが、賃金の問題でお伺いをしたいと思います。
 我が国の女子パートタイマーには、女子であるということのほかにパートであるということの両面から、一般的に言いまして二重の賃金差別があるというふうに思われるのですけれども、これに対する労働省の御見解と御指導はどのようにされていらっしゃるかお伺いをいたします。
#153
○佐藤(ギ)政府委員 賃金につきましては、先生御承知のとおり最低賃金の定めにつきましては法律にございます。それ以外のことにつきましては、基本的にはどういう労働者の場合でも労使で自主的に決めていただくということになっているわけでございます。
 先生、先ほどからたびたび御指摘ございましたように、パート労働者の賃金は一般の労働者に比べると確かに低いのが一般的でございます。ただ、こうした差というのは、パートタイマーの職務内容ですとか、持っております技能、経験、資格、責任の度合い、勤続年数あるいは中途採用の方が多いとか、そういったことも影響しておりますし、そのほかにやはり需給の関係で決まってくるということでございまして、最近は、先生御承知のように、家庭の主婦で働きたいという方が大変ふえてきておられまして、そういう供給の方が非常に大きいというところもございまして、そういうあたりも含めて賃金水準に影響が来ているわけでございます。ただ私どもとしましては、フルタイムの方たちと労働時間その他で違っている面がございますけれども、できる限り均衡を考慮して賃金を決定されることが望ましいという考え方で「パートタイム労働対策要綱」にもそのことを盛り込んで使用者には指導しているところでございます。
#154
○藤木分科員 そうしますと、労働の質あるいは量が同じであるのにパートタイマーであるということだけで賃金差別を行うのは不当だというふうに考えてよろしゅうございますか。
#155
○佐藤(ギ)政府委員 そういうものだけでなくて、先ほども申し上げましたように責任の度合いですとか勤続年数ですとか、それから先生御存じのとおり日本では終身雇用制が一般的に行われておりまして、やはり学校を出ましたらすぐ採用されて、教育訓練を受けながら育てられていくという中でポストも決まり、仕事も与えられ、賃金水準も決まってくるということがございますので、どうしても中途採用の方が多いパートタイマーにつきましては賃金水準が低くなりがちであるということでございます。
#156
○藤木分科員 そうしますと、それはやはり労働の質の問題、量の問題での差になるということにはならないでしょうか。
#157
○佐藤(ギ)政府委員 先生も御存じと思いますが、日本の賃金制度というのは、もちろん同一労働同一賃金の原則というのはあると思いますけれども、それ以外の学歴ですとか勤続年数その他のさまざまな要因が働いて決定されてくるということでございますので、先生おっしゃいましたように仕事の質とか内容というものも非常に重要な要素でございますが、それだけでは決まらない。それからやはり日本の企業はどうしても帰属意識といいますか、できる限り長く、生涯を通じて同じ企業に勤め、貢献していくということに対してかなり大きな評価をするということがございまして、そういうさまざまな要因で賃金というのは決まっていると考えております。
#158
○藤木分科員 それにいたしましても、御答弁にもございましたように今まではパートの時間給は最低賃金制度に何とか支えられて、その改定とともに若干の引き上げが行われてきたわけでございます。もっとも、これは毎年十円とか二十円というようなわずかなものでございます。しかし、これすらも後退させようとする動きがこのほど出てきております。現行産業別最賃の廃止及び新産業別最賃への転換を求めた答申によりますと、今後は新産別最賃は基幹的労働者を対象とするということでございますから、これはパートタイマーを対象から外すということでして、全く許しがたいものでございますが、そうではございませんか。
#159
○小粥(義)政府委員 二月十四日に中央最低賃金審議会から今後の産業別最低賃金のあり方についての答申をいただいたわけでございます。その中で、いわゆる基幹的労働者をどうとらえるかということも触れております。考え方としましては、それぞれの当該産業の生産工程なり労働態様などに即して職種とか業務によって規定するというのが原則でございますけれども、現在あります産業別最低賃金を新しい産業別最低賃金にできるだけ移行しやすくするという形でいろいろな経過措置を定めることにもいたしております。その中では、いわゆる年齢による除外といいますのは十八歳未満であるとか六十五歳以上であるとか、あるいは極めて軽微な軽易な業務、清掃であるとか片づけであるとか、そういった業務を除いて残ったものについては、いわゆる基幹労働者として考えていこうじゃないかという考え方が示されているわけでございます。ですから、いわゆるフルタイム労働者であるかパートタイム労働者であるかという別でもって基幹労働者からパートを排除してしまうということではございませんで、今申し上げたような一定の年齢あるいは一定の業務についている方は適用除外という形で除外されることになりますけれども、そうじゃない方は基幹労働者として、パートの方も当然含まれていくわけでございます。
#160
○藤木分科員 たとえそうではございましても、これまでは行政のイニシアチブによって毎年改定してきたものを、今後は関係労使の申し出によって設定をする、しかも半数以上の合意を申し出の要件とするということでございますから、事実上産別最賃を凍結するという意図まで見えてきております。これでは政府みずから、差別的低賃金労働者をなくすという立場に立つのではなくて、温存していくことになるだろうと私は非常に疑義を抱いております。
 次に、パートの年収、ひいては時給を押し下げる作用を果たしているものに税制を挙げなければなりませんが、非課税限度額を抜本的に見直しまして、現行の九十万円までというのを当面百二十万円までに引き上げることは主婦パートタイマーの切実な願いになっているところでございます。大蔵省当局の見解をお聞かせいただきたいのでございます。
#161
○小川説明員 お尋ねのパートタイマーの非課税限度とおっしゃられるのは、いわゆる給与所得者に認められております給与所得控除が最低限五十七万円ございます。それに基礎控除三十三万円、合わせて九十万円ということで、パートタイマー御本人は九十万円までの所得であれば課税されないというのが一点。
 いま一つは、パートタイマーをめぐります課税問題といたしましては、奥さんの所得が三十三万円以下である場合には御主人の課税上、配偶者控除の適用があるということでございます。ただいまのケースですと、九十万円までの収入については奥さんの所得が給与所得控除後三十三万円ということで、御主人の方で配偶者控除を受けられる、それが九十一万円になると配偶者控除がなくなるということでございますが、この点につきましては、今おっしゃられるような趣旨での非課税の限度が上がりましたら問題が解決するかと申しますと、実は百二十万円なら百二十万円と仮定いたしましても百二十一万円になれば今度は同じように御主人の課税上、配偶者控除がなくなる、そのため結果的には御主人と合わせた手取りが減るという問題があるわけでございます。
 したがいまして、このパートタイマーに対する課税問題というのは、非課税限度を上げるということで解決されるものではございませんし、また九十万円まで御本人について課税がされないという水準は既に相当高い水準であろうと思っております。いずれにいたしましてもこの問題は、御指摘のような問題を含めまして現在税制調査会においていろいろ御審議がなされているところでございまして、それに適切に対応してまいりたいと思っております。
#162
○藤木分科員 それではもう一点、中小企業を営んでいらっしゃる方の家族である主婦に専従者控除というのがございますけれども、これが青色の場合で申告いたしますと九十万円まで非課税なんですが、白色では四十五万円、この四十五万円というのがいかにも低いのじゃございませんでしょうか。
#163
○小川説明員 お尋ねは白色の、しかも事業所得あるいは雑所得で課税をされるいわゆる内職の労働者のことであろうかと存じます。白色のこれらの事業ないし雑所得者につきましては四十五万円の控除が認められておりますが、これは昭和三十六年に創設されたものでございまして、配偶者控除あるいは扶養控除、かつては配偶者控除の方が扶養控除より商うございまして、その中間に位置づけられていたものでございます。今日、配偶者控除、扶養控除とも三十三万円になっておりますが、それに対しまして自のただいまの控除、専従者控除につきましては四十五万円ということで、配偶者控除よりもさらに高い水準に置いているわけでございます。これは帳簿のない、したがいまして給与の支給の実態についての確認の必ずしもできない事業所得につきまして認め得る必要経費の控除としてはぎりぎりの制度ではないかというふうに考えております。
#164
○藤木分科員 今までパートタイマーの九十万円の非課税限度額というのは決して低くない、むしろ高いということをおっしゃったわけですけれども、この白色の四十五万も今伺いますと昭和三十六年度創設ということになりますと貨幣価値も随分違っております。私は、この非課税の限度額というのは一般に労働者、勤労者、庶民にとって極めて低いということを申し上げているわけなんですね。大企業には内部留保というのが認められておりますけれども、この庶民の税金こそむしろ内部留保を認めるべきだと私は思うわけです。老人医療値上げ分の引当金であるとか年金目減り分の引当金、これは当然今後認められなければならないと思うわけです。そういう観点から申し上げたので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
 それでパートタイマーのいま一つの問題は身分が不安定だということでございますけれども、多くは三年、五年と勤めていらっしゃいますし、十年以上にもなるのに二カ月、半年、一年ごとの契約が非常に多いのですね。更新時には少なからぬ不安感に襲われているのが現状でございます。契約解除という切り札をちらつかせてパートに差別待遇を認めさせている結果になっております。このことが短期間雇用者には退職金制度はなじまないという口実を与えていることにもなっていようかと思うわけですが、今回この要綱で「反復更新された期間の定めのある労働契約の終了」ということについて述べていらっしゃいますことは、少なくとも一年を超えて継続的に雇用されたパートタイマーの契約解除は解雇に準じて扱われる、このように解釈をされると思うのですけれども、そのような理解でよろしゅうございますでしょうか。
#165
○小粥(義)政府委員 期間を定めて雇用される場合であってもそれが反復継続して、言うならば期間の定めなき雇用と実体的に同じものになれば、基準法の規定に従って、解雇する場合には当然解雇予告が必要であり、また、解雇予告手当の支払いも義務づけられる、こういうことになるわけでございます。ただ、その場合の反復継続が実はいろいろな要素を総合的に判断してケース・バイ・ケースで判断しなければならないといった面がございますので一概に言えないのですが、少なくともパートタイマーの「対策要綱」の中では、基準法上一年を超える契約というのは元来は禁止されておりますからできないわけですが、パートタイマーの方について一年を超えるような形で継続雇用されれば、一応そうした方については言うならば反復継続された者という形で取り扱うことが望ましいという意味での指導基準として示しているわけでございます。したがいまして、基準法のいわゆる法律解釈の問題として一年を超えたらすべてがそうなるかということになりますと、これはやはりケース・バイ・ケースでございます。例えば半年を超えるけれども一年に満たない期間雇用者が、さらに一回限り追加して一年を超えるというようなケースもあるものですから、ただ一年を超えたから、すべからくそれがすべて継続雇用であり、それに解雇予告なしでやれば基準法の罰則が適用されるというふうには言い切れない面がありますので、その意味で指導基準という形で考えているわけでございます。
#166
○藤木分科員 指導基準にしては極めて歯切れが悪くて、これで御指導ができるのかという感をぬぐい去ることができません。
 今、私が申し上げてまいりましたのはパート労働者の現状と幾つかの問題点について御質問をさせていただいたのですけれども、昭和五十年代は大企業のパート採用が本格化した時代でございます。企業側がパートタイマー採用の理由といたしまして人件費が割安となるということを挙げておりますし、生産または販売量の増減に応じて雇用量調整が容易であると述べておりますが、これが大企業のもうけ本意の本音を示した言葉であろうと思うわけですね。この点がパート婦人の不満と怒りの根源になっている、私はそのように思っております。
 私の地元に三菱電機北伊丹製作所というところがございますけれども、ここでは結婚のために一たん退職をいたしました女子労働者をパートタイマーとして再雇用する制度をとっております。仕事の内容は全く正社員と同じことでございますが、教育をすることも訓練をすることも要りませんで即仕事ができるわけでございますね。どうかいたしますと正社員でもパートの方に仕事が追いつかないというようなこともしばしば起こっております。実働六時間から七時間でございますけれども、八時間働く人も結構いらっしゃるわけですね。ところが、パートは十年近い勤続年数の人でも一時間五百四十円、昇給は年二十円程度というふうになっておりまして、賞与は八時間の方が十一万四千五百円、七時間の方が九万一千六百円、六時間の方は九万七百円となっております。勤続年数に関係ございませんから、十年勤続の方でも正規職員の五分の一以下ということが通常になっているわけですね。しかも採用は建前上毎月契約になっております。ひどいと思いますよね。すぐに使えて仕事は極めてよくできる、これだけ安い賃金で黙って働かせることができるわけですから、大企業にとってこんなうまい話はないわけです。
 また、宝塚のある食品メーカーで働く女性の場合ですが、これは一日七時間制と六時間制の三カ月契約になっております。昼食は一時間、休憩時間は十分間ございますけれども、この時間はすべて賃金カットでございます。生産ラインは全部パートタイマーの女性たちが進めておりまして、その仕事の管理は正社員の男性が行っている。年末やお中元、随分忙しいわけですけれども、そんなときは早くしろ早くしろとこの男性職員から言われてベルトのスピードを上げるわけですね。一時間の生産量が随分ふえるわけでございます。仕事は大変きつくなるわけでございます。けれども時間給は変わりません。ところが暇なときになりますと一時間あるいは三十分の早上がりということになるのです。この場合は早上がりの分は賃金カットがされるということになるわけですね。これはまさにパートタイマーが生産の雇用調整弁として使われているということを示している事実でございます。ここにパートタイマーを存在させている大企業のもうけ主義があるというふうに思うわけです。
 大臣お急ぎのようでございますが、ここで大臣にお伺いをしておきたいと思うのです。パートタイマーは労働時間以外の点でフルタイム労働者と何ら変わるものではない、身分的な区分ではないのだという婦発五号がございますけれども、この精神に労働省みずからがしっかりお立ちになってパート労働者を保護するということでなければならないと私は思うのでございますけれども、もう一度大臣の御決意をお述べいただきたいと思います。
#167
○林国務大臣 パートタイム労働者につきましては労働条件が極めて不明確な点がございますが、これが問題点であろうかと指摘をされております。このために労働省におきましては労働基準法等労働関係の法令が守られるよう十分指導を行っておりますし、またパートタイム労働者の労働条件の改善とかあるいはまた雇用の安定等の見地から、労使などに対しまして先ほど局長の方からも御答弁ございました「パートタイム労働対策要綱」に基づいて啓発、指導をしてまいりたいというふうに思っております。
#168
○藤木分科員 この要綱に問題がないわけじゃございませんけれども、十分にその労働者を保護するという立場で頑張っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 これまでの論議を通しまして、パート労働者が仕事の面では正職員と全く変わらない役割を担っているにもかかわらず、労働条件や賃金の面ではいかに差別的扱いを受けているか、そしてこうした状況の改善がいかに切実に求められているかということが明らかになってまいったと思います。実は学校教育現場でも例外ではございませんで、文部省にここで伺いますけれども、学校給食におけるパート化も進められてきております。これまでの論議を踏まえまして、パート問題についてどのように考えていらっしゃるのか、まずお答えをいただきたいと思います。
#169
○小西説明員 学校給食業務につきましては実は昨年の一月に、地域の実態に応じた適切な方法で合理化を進めていただくようにということで局長通知でお願いしたわけでございます。そのときに幾つかの例を示しまして、今のパートタイム職員の活用につきましてもその例示の一つでございます。私どもはこの合理化を進めるためにこの方法を一つの有力な方法であるというように考えております。
#170
○藤木分科員 西宮市の例で具体的に申し上げますと、正規調理員が百八十二名、嘱託が百五十二名、代替調理員が七十一名で運営されております。ところが賃金の面を見ますと、正規調理員が一人平均月収約三十四万円でございます。これに対して嘱託調理員が約十三万円と、全く同じ職場、同じ仕事をしておりながら半分以下の賃金で働かされているわけでございます。しかも就業規則には、事業を縮小または廃止する場合あるいは過員を生じた場合などは解雇すると明記されているのですね。こういうことで嘱託調理員が安心して意欲を持ち仕事に打ち込むことはできません。学校給食を支える人たちが不安定な状況に放置されていることは、給食の持つ教育的意義にも否定的な影響を与えかねないわけでございます。選択の一つがパートだとおっしゃいましたけれども、しかし選択の一つに入れていらっしゃる以上それには責任を負っていただかなければならないと思うわけです。少なくともこうしたパート労働の実態をやはり御調査いただいて善処すべきだと思いますけれども、その点いかがでございましょうか。
#171
○小西説明員 実はこのパートタイム職員の活用につきましても昨年通知を出しまして指導を始めたばかりでございまして、その実態についてはまだ調査していないのが実情でございます。また、このことにつきまして必要に応じ先生御指摘のような調査もする必要があろうかというように考えております。
#172
○藤木分科員 ぜひ御調査をいただきますように重ねてお願いをさせていただいて、質問を終わらせていただきます。
#173
○野上主査代理 これにて藤木洋子君の質疑は終了いたしました。
 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十二分休憩
    ―――――――――――――
    午後一時三十分開議
#174
○葉梨主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働省所管について質疑を続行いたします。多賀谷眞稔君。
#175
○多賀谷分科員 昭和二十二年に基準法が制定され、その後労働者災害補償保険法ができたのですが、給付について今、保険の方は年金制度が導入されて、一方基準法の方は一時金である。この調整は今度の労災補償保険法の改正にも出ていないのですけれども、一体これはいつまでそのままにしておくのか。この調整はしないのか、する必要はないのか、この点をお聞かせ願いたい。
#176
○小粥(義)政府委員 今国会まだ提出はいたしておりませんが、労災保険法の一部改正をお願いしたいと思って、合成案の取りまとめを急いでおるところでございます。
 今回の改正の考え方は、労災保険制度の給付にございますいろいろな不均衡な面を是正をしたいというところに主眼を置いております。実は労災保険審議会の中で、御承知のように公労使三者構成でございますが、それぞれ現在の労災保険制度の問題点についてのいろいろな御意見を出していただいたわけでございます。その中には、実はほかの制度との調整の問題といったことと関連いたしまして、労働基準法の規定との関係をどういうふうに考えていったらいいかといった問題提起もございました。ただ、それについて結論を得るまでの時間的余裕がございませんでしたので、その点については今後さらに引き続き検討していくことになっておりまして、労災保険審議会の中に引き続き検討するための三者構成の場をまた設けていこうということになっておりますので、労働基準法と労災保険法の関係につきましては、その検討の中で一つの方向を出していきたい。同時に、実は労働基準法研究会でもいろいろな面での検討を今までお願いしたのでございますけれども、労災補償について基準法の規定をどうするんだということは今までほとんど議論がされておりません。ですから、そちらの面からの議論も今後必要になってくるかと思っております。
 いずれにしましても制度ができた当時と比べますと、労災保険法によります給付の内容と基準法による補償の内容との隔たりが相当大きくなっていることは御指摘のように事実でございますから、果たして基準法の今の規定がそのまま必要であるのかどうか、あるいは全部が労災保険に吸収されるべきものなのかどうか、そうした点についてはなおいろいろ詰めなければならない問題があろうと思っております。そうした検討については早目に着手していきたいというふうに考えております。
#177
○多賀谷分科員 現実に労災補償保険法の適用を受けないで基準法の適用を受けて補償が行われている最近の例があるのですか、ないのですか。
#178
○松本説明員 先生御承知のように労災保険法につきましてはまだ任意適用の部分がございまして、農林水産業の一部については任意適用になっております。したがいまして、その部分について労働災害が起こりますと基準法の適用になるわけでございますが、任意適用でございますので労働省に一々報告があるわけではございませんから、現実には基準法による災害補償は行われておるとは思いますが、当方では承知はいたしておりません。
#179
○多賀谷分科員 保険に入っていなくても、事実上労災が起これば、労働省としては保険に入ったことに認定して、そして事実上救済しているわけですね。そこで、実際労働基準法が直接に適用されることがあるのかないのか。もしないとするならば、やはり早く整理をした方がいい。あるとするならば、なぜあるのか。それは労災保険法の方が手厚い救済ですから、それに全部吸収するようにすべきかどうか、これはどうなんですか。
#180
○小粥(義)政府委員 基準法の災害補償の規定に基づく適用が、電電公社の場合に、民営移管される前でございますけれども実は適用の実態があったわけでございます。これは電電公社自体が災害補償制度を持ちまして、それについての審査といったものは基準法の規定に基づいて行政が行うケースがあったのでございますが、それ以外四日に至らない休業、そうしたものについての適用もあったというふうに承知いたしているのでございますが、いずれにしても全体から見ますと極めて限られた範囲にとどまっておるわけでございます。
 そうした意味では基準法の災害補償の規定、今のままでいいのかどうかといった問題意識は私どもも持っておるわけでございますので、そういった意味での検討には着手したいと思っております。
#181
○多賀谷分科員 これもやはり大きな問題ですけれども、早く法整備をしてもらいたい、こういうように思います。
 それから労働省にはここ数年陳情者が見えておりますし、私の手元だけでもこんなに、一月に一回ぐらいラブレターのように陳情書が来るのですよ。
 これは福岡市の大塚守一さんという朝日新聞の記者であった方ですね。これが労働災害を受けられた。そしてこの人の主張というのは、重度の労災患者は相当長い間療養をしておる。その間、妻が介護をしてくれている。ところが自分がもし亡くなるという場合には、自分の妻には遺族年金が、自分が最初にけがをした当時の死因であれば別として、その後幾多の障害が起こった、そこで労災にかかったときの死因でない場合には遺族年金がもらえないという現行制度になっておる。これをひとつぜひ改めてもらいたいというのが要望です。
 この件についてはいろいろ議論があって、相当因果関係がなければ支給しないということでありますけれども、家庭の崩壊という面から見るとこれは同じことなんですね。妻は他に働くこともできないで、ずっと夫の看護をしておる。そこでもう疲れ果てて、夫が亡くなった場合は妻も疲れ果てておる。あるいは極端に言うと妻の方が早く亡くなる場合もあるでしょう。そういう場合に何としても労災保険給付として遺族年金をもらいたい、また出すべきではないか、こういう主張なんですが、どういうように考えられておるか。
 実は本委員会でも何度か質問をいたしました。その都度これは労災審議会の方に御審議をいただいておりますからということで今日まで参ったわけでございます。近く労災の法律改正の案文ができる、そして提出されるという運びになっておりますので、その経過と、一体どういうようにされるのかお聞かせ願いたい。
#182
○小粥(義)政府委員 御指摘の点につきましては、過去の当分科会でも先生から御質問がございまして、時の労働基準局長としても、労災保険審議会の中で基本問題懇談会がつくられていろいろ労災保険制度についての見直し論議もしているので、そうした場で検討してもらうことにしたいというお答えも実はさしていただいたわけでございます。
 実は昨年夏以降、急ピッチにこの基本問題懇談会の検討は進みました。その際には労使、公益また行政サイドからのいろいろな問題を提起しました。私どもとしても、そうした非常にお気の毒な実態にある場合に、たとえ業務上の疾病に起因するものじゃないにしても何らかの手だてはとれないのかという問題提起を実はさせていただいたわけでございます。これは公労使三者構成の基本問題懇談会でいろいろ議論ございました。その考え方としましては、やはり業務上であるかないかというのが実は労災保険制度の一番基本の問題でございますので、少なくとも業務上の因果関係がないとされた場合には、これをいわゆる労災保険制度の中で救うことは、これは制度の根幹にも触れるのでなかなか難しいということであったわけです。
 しかしながら脊損患者の方あるいはじん肺患者の方、非情に重症でしかも療養が長引きますといろいろな形で余病を併発する。例えば脊損患者の方ですと、痛いなら痛いと感ずる神経も麻痺してしまっているので、いわゆる知覚神経が失われているとなれば実は気がついたときにはもう遅いというようなことも考えられるわけであります。したがって、そうなりますと現在脊損あるいはじん肺それ自体は業務上の疾病となっているわけですが、お亡くなりになったその余病というものが直接いわゆる業務上の疾病である脊損なりじん肺と因果関係がないというふうに判断されますと、これはだめになってしまうわけです。その相当因果関係の見方についてはもっと研究する余地があるのじゃないかという議論がございます。したがって、その面の医学的な知見をもっと集めまして寸その相当因果関係のとらえ方というものを、そうした病状の実態に合ったような形で考えることはできないかという方向で今後検討を進めたいと実は思っております。
#183
○多賀谷分科員 言うならば相当因果関係の考え方、その今まで以上の対象の拡大、これもひとつお願いをしたいのです。障害者の死亡というのは家庭、家族の維持機能に重大な障害を与えるという点においては、やはり労災保険給付の対象にしてもいいんじゃないか、こういうふうに思うのですが、それについてどう考えられておるか。
 それから例の介護手当ですね。労働省の方は、重度の障害者には本来給付の中に介護手当が入っているんだという主張をされておるわけです。そして福祉事業ですか、福祉事業として、そのほかの手当を入れておられますね。これはどうも制度としてはっきりした方がいいのじゃないか、保険給付の中に介護手当を幾らというように入れた方が明確ではないかというように思うのですが、その点はどういうふうにお考えですか。
#184
○小粥(義)政府委員 まず最初の家庭の崩壊を招くという部分についての何らかの補てんというものがないのかというお話でございますが、じん肺なり脊損なりで長い間療養された後亡くなられた。その亡くなられた原因が業務上の疾病である脊損、じん肺と直接の相当因果関係を持たない場合、これは保険給付としてやることは先ほど言いましたような考え方でなかなか難しいと思っているわけでございます。ですから、それ以外の手だてが果たしてあるのかどうか、これはまた今後検討しなければならないと思いますけれども、それを埋める手だてとしては、先ほどお答えしたように、その死因となった病気ともともとの業務上疾病との相当因果関係でございますね、これをできるだけ実態に即して医学的判断が下せるような一つの目安というものを持てるようにしたいというところにあるわけでございます。
 それからもう一点のいわゆる介護料の問題でございますが、先生今御指摘のように一級、二級の方についてはいわゆる労働能力ゼロですが、三級の方に比べてそれぞれ給付日数をふやしておりますのは、いわゆる介護料相当をそこに上乗せしているという考え方で制度としては仕組んであるわけでございますが、特に在宅介護のような家庭に対する負担が特別にかかる場合には、別途、福祉事業としての介護料を見ているわけでございます。
 これを一緒にした方がいいかどうかというのは、実はいろいろ議論がございます。特に、ほかの制度との調整その他の関係を考えますと、果たして一概に言えるかどうかといった個別具体的な問題の指摘なんかもございまして、そういう意味で現行の二本立ての形で今対応しているわけでございますけれども、そうしたほかの制度との調整その他の問題になりますと、実は労災の基本問題懇談会でいろいろ検討してまいりましたほかのいろいろな大きな問題点があるわけでございまして、これは実はいずれも引き続き検討していこうということになっておりますから、そうした中で今後さらに検討を深めていきたいというふうに考えております。
#185
○多賀谷分科員 いよいよ法案が出される段階でもう一度質問をする機会があると思いますので、この程度で次に進みたいと思います。
 例の労災関係の保険と厚生年金の給付ですね、この調整規定は当分の間今までの率でいくのですか。これは労災の方は引っ込む方ですし、厚生年金の方は丸々出す方ですから、労災の方からお答え願いたい。
#186
○松本説明員 労災年金と厚生年金等との調整につきましては、先生御存じのように一定の調整率を労災保険に掛けるという形で調整をしているわけでございますが、その調整率の算定の仕方といたしましては、前々保険年度の労災年金並びに厚生年金の実績をもとにして計算するということになっているわけでございます。したがいまして、今回の厚生年金等の改正に伴います新たな調整率といいますか、それにつきましても、従来どおりの厚生年金の受給者についてはもとより従来どおりの計算方式に基づく調整率でいいであろうというふうに考えておりますし、ことしの四月から新たに厚生年金が支給されてまいりますが、労災年金の方については従来と変わっておりませんし、当面二年間につきましても厚生年金の方の実績というものは出てまいりませんので、前々保険年度の実績ということになりますと、いわば旧法に基づく実績しか存在しないということでございますので、それをもとにして計算をするということになりますので、まだ最終的に確定はいたしておりませんが、ほぼ従来の調整率をベースにしたものになるであろうというふうに考えております。
#187
○多賀谷分科員 そこで、次の質問といたしまして、この前の予算の一般質疑の中で触れておいたのですが、例の労働者派遣法の適用業種の問題、その際の審議の際には十四項目といいますか、十四事業といいますか、お示しになって、我々それを中心に論議をしたわけです。これらは皆新しい、どちらかというと戦後出た事業であります。ところが今問題になっておりますのは機械設計を派遣業の対象業種にするという議論が出ておるわけです。これについては私はどうも本来、工場の機械設計というのは中枢部ですね、この中枢部を派遣の労働者で間に合わすということは従来にもありませんでしたし、また工場としても、いかにして設計部門を強化するかというのはもうその会社の死命を制する問題である、そういう点においては他の業種とは違うじゃないかと思うわけでありまして、この点についてはどういうふうにお考えであるかお聞かせ願いたい。
#188
○白井政府委員 お答えいたします。
 労働者派遣事業の対象業務につきましては、先般の国会で通過さしていただきました労働者派遣法の第四条に基づきまして、これはもう先生御存じのとおりだと思いますが「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」、それから二番目には「その業務に従事する労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務」、このいずれかの基準に該当する業務について中央職業安定審議会の意見を聞いて定めることになっております。
 先ほど先生おっしゃいました十四業務というのは、確かに国会の審議の際に提出されたわけでございますが、これはこの法案をつくる際に中央職業安定審議会の労働者派遣事業等小委員会によりまして、そこの一つの試案として検討された十四項目でございます。その十四業務を基本としながら、いろいろと審議会の中で先生方の御検討をいただいているわけでございまして、現在のところこの中央職業安定審議会の検討を待って、労働省としては検討してまいりたいと思っているわけでございまして、御指摘の機械設計業務を含めて対象業務の指定につきまして、どういうふうに御意見を出していただくか、その処理の中身を現在見守っているところでございます。
#189
○多賀谷分科員 業界からのニーズがあるからという議論が、機械設計を認めるべきであるという論拠になっておるようですけれども、これはやはり労働者の側にも意見があるわけですね。ですからニーズがあるからというだけでは、これは入れるという判断の基準にすべきではない。今まで伝統的にやはり機械設計というのはいわばその会社の中枢部ですから、これが派遣業でどんどん入れられるということになると、そういう段階になればもう我々としては労働者派遣業法というものを考えざるを得ない。それなら全部何でも入れられるのですよ、そういう形になれば。しかも長い間伝統的なものですし、会社は技術者を養成するためにどこでも大変苦労しているわけですから、それはひとつぜひ御考慮願いたいと思うのです。
#190
○白井政府委員 お答えいたします。
 ニーズがあるから何でも入れるということではもちろんございませんで、先ほど御説明申し上げましたように派遣業法の四条に基づきまして、そのいずれかの条件に当てはまるものについて認めていくわけでございます。もちろん中央職業安定審議会は労使公三者構成で、同数で議論をいただいているわけでございまして、労働側の御意見もございますでしょうし使用者側の御意見もございます。そこは公平に意見を闘わしていかなければならないと思います。さらに、御指摘ではございますが、機械設計が必ずしも中枢であるかどうか、小さな会社もありますし、その点については実態をよく把握して検討していかなければならないと我々は考えております。
#191
○多賀谷分科員 私が非常に心配しておりますのは、経済企画庁が社会開発研究所に委託をしたレポート、二十一世紀における雇用構造、新しい二重雇用構造についての報告書を見ますと、正規職員は三分の二である、外部労働者は三分の一であるというレポートが出ているのです。そうすると今までの労使慣行というものは総崩れになるのですよ。それは機械設計等が外部へ委託ができるんだとか、あるいは派遣労働者でやれるというならば、日本で正規職員というのはほとんど残りませんよ。ですから私は、そういう意味においてもこれは簡単な問題じゃないと見ておるのですよ。ただ一業界の需要というような問題でない。正規職員というのは管理者を除いてはほとんどいなくなるのじゃないか。こういうような一つ大きな問題を控えておると思うから、あえて固執して私は聞いておる。
 ですから大臣、派遣労働者とかいろいろ外部から入れると正規職員はだんだん少なくなっていく、そうすると、いい意味における日本の労使慣行は総崩れになるのですよ。しかし今は企業は長期的な展望に立たないで、極めて短期的にそれを要望しておるということになっているわけです。ですから私は、なるべく正規職員は温存をして、これをだんだん減らすような方向にすべきでないと考えるのですが、どういうようにお考えですか。
#192
○林国務大臣 先生御指摘のとおり日本の労使の雇用関係は終身雇用制に準拠して今日までずっと続いてまいりました。それのよさが今日の経済発展につながっておると私は理解をいたしております。
 そこで今回このような派遣法という問題が出てきたわけでございますが、これも、これからいろいろ多様化される産業界の中にあっては欠かすことのできない一つの事柄だと私は思うわけでございます。その中で、特に先生御指摘の機械設計の分野につきましては、これは外すべきじゃないかという御意見もございますが、何せ派遣法というものはまだ誕生して間もなくでございますので、今日のこの法律が制定されるまでに各方面のいろいろな御意見もあったと思いますが、そういったことを三者構成の中でのお話し合いの上、御議論の上でこの法律ができたというふうに私も理解をいたしておりますので、これをしばらくは見詰めながら、正すべきものは今後の問題として取り上げていかなければいかぬのじゃないか、このように考える次第でございます。
#193
○多賀谷分科員 審議の際には機械設計というのはなかったんですよ。十四業種を示された、これは試案であるというけれども、かなりこれを中心に論議を進めたわけですね。私どもは、その中でコンピューターのシステムエンジニアとかそういうものは今日の需給関係でやむを得ないかもしれぬ。それは例えば銀行あたりがオンラインシステムをつくるのに今から技術者を養成するわけにいかないだろう、そうすると派遣労働者を入れてくる、しかし二、三年たってそれが完成してしまえば、そこにはほんの補修とかインプットする労働者しか要らなくなるんだ。そういう極めて波動性の大きいものについては、それはやむを得ないかもしれない。しかしほかの業種については、今までいろいろ批判があった下請とか労務供給とかいうもののむしろ労働条件を悪化さす面に役立つのじゃないかというので我々は反対したんです。ですから、ひとつその点をぜひ留意していただきたい、こういうふうに思います。
 時間が来ましたが、一言だけ予算に関連して言いますと、今度中小企業退職金共済法の改正がございます。法の改正だけでなくて、今まではこれを大事に育ててきた、給付について実は国庫補助金があったんです。今度は給付についての国庫補助金を一切削っておる。政府は盛んに中小企業政策とか言っておるけれども、この中小企業の退職共済の給付に対するわずかな補助金まで削るということは私は許せない、こういうように思うわけですが、それについて大臣はどういうように考えられておるか、御答弁を願いたい。
#194
○小粥(義)政府委員 先生今御質問の中小企業退職金共済制度の補助制度に関しましてですが、御指摘のように、従来ございました掛金月額の最低額に見合う分に相当する給付補助、これはやめることにいたしましたけれども、別途掛金助成制度を創設することにいたしております。これは六十一年度の予算としましては年度途中、十二月からの施行を予定したいと思っておりますので、初年度の予算としては七億強の予算ではございますが、平年度の予算としてはもっと大きなものになる、そういう掛金助成制度でむしろ給付の改善に努めていきたい、こういうふうに考えております。
#195
○多賀谷分科員 時間が来ましたので、これはまた後に法案等が出ました際に質疑をいたしたい。
 これで終わります。
#196
○葉梨主査 これにて多賀谷眞稔君の質疑は終了いたしました。
 次に、細谷昭雄君。
#197
○細谷(昭)分科員 最初に、私傷病報告第三号の問題についてお伺いしたいと思います。
 百一国会、百二国会を通じまして私が問題提起をいたしましたところ、いわゆる私傷病報告第三号につきまして、二年間の根回しを経た後でようやくこの四月一日から労働省は具体的な報告をするという通達を出したそうでございますが、私の手元にはその通達そのものは届いておりません。その後通達を出されたのかどうか。
 それから、当時の望月局長が具体的に答弁をしてから二年間という大変長い年月を要したわけでございますが、具体的に四月一日からどういうふうにされるのか、これについて明らかにしていただきたい、このように思います。
#198
○小粥(義)政府委員 建設業の附属宿舎に寄宿する労働者の疾病状況の把握ということで二月二十七日付で通達を施行しております。六十一年度からその報告をとれるようにしたい、こういうことにいたしております。
 実は、二年間にわたる相当の期間がかかったわけでございますが、安全衛生法の規定に照らしてずばりとれるのかどうかといった法律の規定との関係での解釈論等もいろいろございまして、そうした面の問題をクリアする形でしつらえなければなりませんので、それで少々時間がかかったわけでございます。今後はこれで実施することにいたしますので、把握に遺憾のないように努めていきたいと思っております。
#199
○細谷(昭)分科員 二年間という期間を皆さん方が十分クリアするために努力されたという点は私も大いに認めますし、その努力を多とするわけでありますが、少なくとも問題提起いたしました私に、通達を出したなら出したように、こういうふうに出したという点の連絡なりそういうものをやらないということもおかしい話でありまして、国会で取り上げ、国会でそういうふうな問題を出したという、そういう点では労働省の対応の仕方について今後注意していただきたい。やはり国会を重視するという立場、言ったことは言ったこと、もう聞き流しておくということではならぬと思うわけです。
 そういう点で、今後の措置についても私は大いなる関心を持っておりますし、ひとつぜひ実効の上がるような方法で運用していただきたい。このことを強く要望したいと思うわけです。これは要望でありますので答弁はいいです。
 第二の問題は、婦人労働の諸問題についてでございます。
 昨年も取り上げました。赤松前婦人局長からは大変決意のほどを示されましたが、ようやくいわゆる男女雇用機会均等法が四月一日実施という目を見るわけであります。これを前にしまして、労働省は省令、指針というものを公布されました。使用者団体や経営者団体に対しまして、今までこの実施を前にして何をどのような形で要望し、何が問題であったのか、この点をまず明らかにしていただきたい、こう思います。
#200
○佐藤(ギ)政府委員 雇用機会均等法は、今お話がございましたとおり、四月一日から施行になるわけでございます。この法律が円滑に施行されますためには、やはり使用者に十分この法律の内容と趣旨が理解されることが重要でございますので、その周知徹底に二月の末から今月にかけまして努めているわけでございまして、本省におきましても、それから地方の婦人少年室におきましても、いろいろな事業主に対する説明会、セミナー等を開きまして説明に努めているところでございます。それからさらに、パンフレットその他も大量に印刷をいたしまして皆様にお配りしているという状況でございます。このほかに、また施行後六月には旬間を設けまして、マスコミなども十分に活用して周知に努めていきたいと考えております。
#201
○細谷(昭)分科員 いわゆる使用者、雇用する団体、経済団体に対して、何を重点として要望したのか、手続の問題じゃないですよ。それでどういう反応があったのか。
 といいますのは、制定の過程で十年間という長い間ずっと検討した中で、我々の関知しておるところでは、かなり大きな抵抗があった。いろいろな点で我々には不満がありましたが、あのような機会均等法になったわけでありますね。ですから、実施の際にも、それは当然抵抗があったと思うのですよ。したがって、皆さんの方としては、少なくとも段階があると思うのですよ、何を重点にして、どう要望していったのか、それに対してどういう反応があったのか、そのことを聞きたいのです。
#202
○佐藤(ギ)政府委員 御説明しております内容は、まず法律の内容、それからこれに関連します指針、関係の施行規則等につきまして具体的に御説明をしているわけでございます。パンフレットの内容も、使用者にこういうことはこれからは改善していただかなければならないというようなもの、それから、例えば基準法の内容につきましてはこういうふうに緩和されましたというようなかなり具体的なものをお示ししまして、御説明しているわけでございます。
 使用者の方からどういう問題があるかということでございますが、お話がございましたように、法律ができますまでは、使用者の方からは、この法律案につきましてさまざまな御意見があったわけでございますが、おかげさまで、成立いたしましてからは、大部分の企業で非常に熱心にこの法律の内容、それから指針、省令等について勉強されまして、新しい方向はこういう方向なんだということでございますので、できる限りそれに沿って雇用管理を直していこうという熱意を私どもは非常に強く感じております。質問なども、こういうものはどうしたらいいのだろうか、こういうものは法律に照らしておかしいのだろうか、どういうふうに直したらいいのだろうかというような大変具体的な御質問が次々に出てまいりまして、私どもとしては、施行されますまで、法律案ができますまで大変に御意見があった割には、もう方向が決まった後は、使用者の方たちの対応が、むしろ熱意を持って新しい法律を消化しようという方向で勉強していただいているということで、心強く思っているところでございます。
#203
○細谷(昭)分科員 時間がございませんので、答弁は具体的に手短にお願いしたいと思うのです。私が聞いているのとはどうもぴったりしません。
 第二点は、これに関連しまして人事院が措置案を出したわけですね。この措置案というのは大変な問題であるというふうに、我々は受けとめているわけですが、この省令の基準というものを下回っておる、これに対して労働省としてはどう対処するつもりなのか、これが第一点であります。
 時間がありませんので、次の問題も一緒に局長にお願いしたいのですが、円高不況というのは地方の中小企業を大変に脅かしておるわけであります。特に家内労働者の雇用、それからパートの皆さん方の雇用というのが非常に不安定になっておる。円高の影響というものは零細下請企業というところに働いておる大方にしわ寄せされておる。その大部分が婦人労働者なわけであります。貿易摩擦の解消というのがこういった底辺の労働者にしわ寄せされておるという現状に対して、我々は大変に憂えておるわけでありますが、この退職金制度というものにほとんど入っていない、そういう問題に対して具体的な救済制度をつくるべきじゃないか。中小企業退職金制度はあります。中退共はあります。しかし、任意加入制度でありますので、中退共なんかはほとんど入っていない。したがって、単に男女雇用機会均等法といいましても、現に職についておっても、しわ寄せされるのはそこだ。あと要りませんと言われると次の日からもう何もない。こういうことでいいのかという問題なんですね。これは労働省だけで対処できる問題ではありません。政府全体の問題であります。したがって、そういうパートや家内労働者、こういった人方に対しての本当に零細な企業における退職金制度、こういうところまで踏み込んだ新しい制度を構築する必要があるのではないかと痛切に感じておるわけでありますが、見解をお聞きしたい。この二つの点、手短にお願いします。
#204
○佐藤(ギ)政府委員 人事院規則の改正につきましては、人事院で、労働基準法の女子保護規定の改正もにらみながら、国家公務員の職務の内容等も勘案して、改正について御検討いただいているということだろうと存じます。
 それから二点目の退職金制度の問題でございますが、この問題につきましては、確かに急激な円高ということで、パートタイム労働者にもいろいろな影響が及んできているということがあるいはあるかと存じます。この問題につきましては、パートタイマーの雇用管理全体につきまして今検討をいたしているところでございます。したがいまして、学識経験者の皆様の御意見も伺いながらさらに検討を進めていきたいと考えております。
#205
○細谷(昭)分科員 新任の局長でございますので、新しい制度がもう発足するという時期に、ぜひともこの底辺労働者、特に婦人労働者のために前向きの新しい施策を出していただきたい。今言ったことも長い年月をかけてやるのではなくて、これは緊急の問題でございますので、急いでいただきたいということを強く要望したいと思います。
 次に、これは大臣にも篤とお聞き願いたいと思うのです。
 私は出稼ぎ関係の仕事をここ十七年間ずっとやっております。私の先輩の栗林元代議士の後を受けましてやっておるわけでありますが、この底辺労働者の中でも特に未組織でしかも一番劣悪な労働条件の中で働いているのが私は出稼ぎ者だと思うのです。この出稼ぎ者の問題で、六つばかり問題を絞って申し上げたい。これは毎年の分科会で定期便みたいに私は話しておりますので、林大臣にも篤と御認識を深めていただきたい、こう思いまして申し上げる次第でございます。
 まず、時間の関係でずっと問題点を私申し上げますので、最初に局長さんからお話し願いますが、大臣からはそういういろいろな問題について、後からでも結構でありますので、今婦人局長にお聞きしました婦人労働者の問題も含めまして、こういう底辺労働者に対してどうしなくてはいけないのか、このことについてお願いしたいと思います。
 第一点は、まず雇用保険の問題でございます。
 雇用保険の問題は、短期雇用特別給付の制度の拡充について、私ども社会党は、昨年の九月に修正案といいますか法案を提出して、九十日という昔の給付に返すべきだという主張をしているのですが、いろいろな点で今の行革の対象になったり、労働省というのは、一律のカットというふうになりますと、財政的には大変ねらわれそうな部門だと思うわけであります。しかし、この雇用保険制度が果たしておる役割というのは物すごく大きい。そして同時に、一定の期間を雇用できるという安心感が使用者側にあるわけでありまして、雇用安定に果たす役割というものも非常に大きいわけであります。この雇用保険の短期雇用特別給付制度は、拡充こそすれ、これを縮小ないしはやめるということのないようにしてもらいたい、このことを強く要望いたしますが、この点に対する見解。
 第二点は、先ほど申し上げましたような私傷病報告、この第三号であります。
 このことは、具体的に皆さん方がいよいよ四月一日から報告を実施させるとなっておりますが、これは労働災害補償法の基準の見直しとかかわっておるわけでありまして、この基準を見直すという作業はどこまで進んでおられるのか。
 その場合に、就労前の健康診断と定期健診というものが極めて重要になってくるわけであります。この健康診断というものが、労働者個人の自覚にまたなければならないのは当然でありますが、労働者のそういう自覚なり認識を促す方策をやはりこの際考えていかなくてはいけないのではないか、こう思うのです。私は秋田県でありますが、秋田は、出稼ぎ者の事前の健康診断については恐らく先進県であります。にもかかわらず、受診者は三分の一しかありません。ですから、全国的に見ますとすごくおくれているわけです。厚生省の問題と言わず、労働省としましても、労働者にこれを自分の問題であると自覚させるための方策というのをやはり考えるべきじゃないだろうか。私どもあえてうんと言うのですよ、あなた方の損ですよと言うのですが、非常に難しい問題があります。どうか皆さん方、この点についてひとつ方策をお考え願いたい。
 第三点は、主として建設業附属寄宿舎の問題であります。
 土建関係は俗に言う飯場でありますが、これは違法宿舎、規程に違反した宿舎が非常に多いわけでございます。私は昭和五十五年以来言い続けてきておりますけれども、労働省の皆さん方がいかに努力しても、なかなか改善の道が遠いわけであります。ですから私は、これは当然建設省と協議をしなければならないという問題提起を毎年しておりますが、この協議をしておるかどうか、そして業者指導というものがどう徹底されておるのか、この点をお伺いしたい。
 第四点は、建設業退職金共済制度の問題でございます。
 これも毎回出しておりますが、林大臣は今回初めてでございますので、私はあえて申し上げておるのですが、当局の皆さん方は毎年のことで耳にたこができたとおっしゃるかもしれません。
 百二国会で、建設省当局は、通達で建設業団体に対しまして、下請契約を結ぶ際に、下請代金の中に掛金相当分を算入すること、あるいは元請が証紙を下請に現物交付をすること、元請・下請指導要綱で建退共に加入することを明記した、こういうふうに昨年の予算委員会で言明しておるわけであります。これは私の質問に対する建設省の答弁であります。したがって、今までとは違った対応に建設省は昨年踏み出したというふうに私は理解しておるわけでありますが、私も去年、ことしと出稼ぎの現場回りをしておりますけれども、問題は何ら改善された跡がない、一体これはどうしたことなんだ。まことにこれはゆゆしい問題でございます。
 労働省としては、私は大阪の労働基準局、それからせんだっては愛知の労働基準局、それぞれ皆さん方の努力というのを目の当たりに見ているわけです。あの少ない監督官の数で、我々に要望されますから、できるだけの努力をしているわけですよ。しかし、これは現在の定員では限界がございます。何としても他の官庁の協力、特に建設省の協力が必要である。そしてまた、私はこの際、昨年も聞きましたが、昨年はこの問題に対する監察をするかどうかを決めるというふうに言いましたので、その後どう検討されてどうなされたか、対処されたか、これを総務庁の行政監察局にもお聞きしたい、こう思います。
 第五番目の問題は、有給休暇の問題でございます。
 昭和五十五年の国会に私が来て以来、毎年これは主張してまいりました問題でありますが、現在国対委員長の藤波さんが労働大臣の当時、私がこの問題を言いましたら、常識的には出稼ぎ者に対してもある程度の年数が来たら有給休暇を与えるのは当然じゃないか、心情的に十分理解するというお話がありましたし、前の大臣も同様でありました。林大臣も恐らくそう思われると思うのですが、とにかく十年、二十年と同じ企業にやってきながら、たった一日の有給休暇もない、正月に帰省する際の旅費も出さない、ましてや有給休暇なんかは全然出さない、法律にないからという形でこの問題は放置されておる。私は人道上の問題だと思うわけです。
 現在労働省でもう二十何万、私たちはそんな数ではない、出稼ぎ者はもう五十万を超えるというふうに見ておりますが、この方々は、郷里を離れ、家族と離れ、異郷の空の下で、個人的な生活のない中で拘束されて働いておる。ストレスがたまってくる。法の趣旨からしますと、この人たちにこそ有給休暇を与えるべきじゃないか。私はこの十年間皆さん方に要望してまいっておるわけでありますが、ほとんど有効な措置もなければ前進した回答もございません。昨年は、どうだと言いましたら、いろいろやっている、やっているが、使用者団体の理解を得ない限りはなかなかできにくい問題だ、人情的には、人道的にはわかるけれども、難しい問題だ。そんなことはわかっているのです。それをどうやっていくのかというそのことを私は問いたいと思うわけであります。
 せんだっての朝日新聞の夕刊で、松尾政務次官がプロジェクトをつくるとかどうとか言ったとか言わないとかいうことをトピックみたいにしてちょっと見たのですが、私に対しては何らそれも音さたありません。これもまたおかしい話だと思うのですよ。皆さん方は、国会の中で議論されたこと、そのことに対してどう検討するかということを、言っておる私に対しても何らの連絡もしない。まことに労働省というのはそういう点で官僚的ということじゃないでしょうが、局長も大臣もしょっちゅうかわるわけでありますから、そんなことだと思うのですよ。
 私はずっと継続してこの問題を取り上げておりますので、ぜひとも前向きのそういう検討をお願いしたいし、前進のある答弁をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。林大臣のこの点についての認識を深めていただきたい。
 それから、最後でございますけれども、私は例えば昨年も申し上げましたが、有給休暇を出している企業が、非常にわずかでありますが、私の当たったところで六つほどあります。日本金属株式会社、日南金属株式会社、日本鋪道株式会社、山崎製パンの大阪第一工場、大阪チタン株式会社、日本トレールモービル株式会社豊橋工場、こういったところは企業でそれぞれある程度の期間、条件がありますけれども、一般社員に大体準拠して二日とか、そういう有給休暇を出しているわけであります。これは皆さん方がお調べになればおわかりだと思うのです。
 そこで私は申し上げたい。積極的に有給休暇を出しているようなところに対しては、皆さん、表彰制度をやったらいかがですか。紙一枚でもいいのですよ。建設業の事務所に行きますと、どこの建物をつくったという賞状がずらり並んでいるのです。労働大臣、労働基準局長の賞状もあるのですが、あなたの会社は有給休暇を出しておる、すばらしいことだという表彰制度なんかもやはり設けて、そういう形で前進をさしていただきたい。これも一つの方法です。
 もう一つは、これは大臣にお上げしますが、ここに、これは大阪の基準局も入ってつくっておるのです。これは愛知の基準局も入っておつくりになっているのです。やはり地方公共団体といいますか、都道府県や市町村、この大方の協力を得ない限りは、私は労働行政は進展しないと思うのですよ。これは非常にすばらしい、やはり現地の基準局の皆さん方が努力されておる、県と協力しておる、その証拠なんです。これは大臣にお上げしますので、後からごらんになっていただきたい。
 同時に、出稼ぎの問題というのは本当に一番おくれておる部面でございますので、「米と出稼ぎ」、これは私たちがつくった記録でございます。これを大臣に進呈しますので、後からごらんになっていただきたいと思います。
 一気に問題点をお話ししましたが、今までずっと毎年取り上げておる問題でございますので、端的に御答弁をお願い申し上げたい、このように思います。
#206
○白井政府委員 一番最初の点、短期雇用特例被保険者への雇用保険給付の問題でございますが、今先生御指摘のとおり、一般の被保険者は十四日以上就労した月が満六カ月以上なければならないわけでございますけれども、短期特例被保険者に対しては十一日以上就労した月が暦月で六カ月以上あれば支給要件を満たすとされているところでございます。このことをおっしゃっているのだと思いますが、これは季節労働者の就労実態等を考慮して設けられた措置でございまして、現段階ではこの措置を廃止する考えはございません。
#207
○小粥(義)政府委員 第二点の私傷病報告との関係で認定基準の見直しの問題でございますが、かねてから医学についての専門家会議で検討いただいております。現時点で、業務上であることが明らかな疾病として特定するところまでは医学的知見としては固まっていないわけでございますが、いろいろな症例を集めてこの認定基準の見直しをしようということで、今作業を急いでいるところでございます。
 それから、それに関連しまして、就労前ないしは雇い入れ時の健診の問題でございます。先生御承知のように、出稼ぎ労働者の援護事業、労働行政の一環としてもやっております。従来の実績を見ますと、むしろ就労前の健診の方が受診率が高いわけでございます。健診を受けた人の過半数以上は就労前、したがって、いろいろな経路で就労される方がおられますから、むしろ就労前にできるだけ健診を受けていただくということに今後とも力を入れていきたいと思います。
 それから三番目に、建設業の退職金共済組合のいわゆる証紙貼付が必ずしも十分なされていない問題でございます。
 私ども、昨年十月の時点でいろいろ調査をいたしました。その結果、元請から一次下請には印紙は一応行くわけでございますけれども、一次下請では実際に手帳に張られていないケースがあるわけでございます。それはむしろ手帳を渡さないというケースの方がウエートとしては高いように感じられますので、今回国会に法案を出させていただいておりますが、その中では建設業の退職共済につきまして、いわゆる掛金の助成制度といったものを織り込みまして、できるだけ手帳を交付し印紙が張られるように、加入促進を進めたい、こういうふうに考えております。
 それから最後に年休の問題でございますが、これは法律で強行的にやるわけになかなかいかないものですから、まずできるだけそういう企業をふやすことに努力をするということで、正直、時間がかかっております割に思わしい効果はまだ上がっておりませんけれども、先生御指摘のような、現に年休を与えている企業について表彰その他でできるだけ他の企業にも理解を進めるというのは非常に効果的な方法ではないかと思いますので、私ども至急検討してみたいと思います。
#208
○長野説明員 お尋ねの建退共の監察をやらないかというような御質問でございますけれども、労働省の方でもただいま御答弁がありましたように、掛金助成制度の導入とかいろいろな御検討、改善の努力をなされているというような状況でございますので、今後とも労働省の実施状況をよく見守りまして、必要に応じましてまた監察テーマとして取り上げるかどうか、今後とも検討させていただきたいというふうに考えております。
#209
○小粥(義)政府委員 どうも一つ漏れましたので失礼いたしました。飯場の問題でございます。
 これはいわゆる安全衛生の面から、それからまた、建設業の雇用改善の面から、いろいろ労働行政に深いかかわりのある問題だと承知しております。特に大阪では季節的宿舎について非常に悲惨な火事があった、そうした事例もございますので、いろいろな地元の自治体等の協力も得ながら、あるいは他の行政機関との連携も得ながら進めております。これはやはり出稼ぎの受け入れ地では有効な手段だと思いますので、大阪に限らず、大阪方式がほかの県でもさらに広め得るのかどうか、これは私どもとしても検討を進めたいと思います。
 それから建設省との協議につきましては、今申し上げたようないろいろな問題について通報制度も持っておりますし、そういう面で随時相談をし、協議をしておりますので、この点は今後ともずれがないようにしていきたいと思います。
#210
○林国務大臣 今、技術的な件につきましては局長から御答弁申し上げましたが、全般的に総括して申し上げますと、先生御指摘のことはそれぞれ的を射たものだというふうに私も理解いたします。そこで私といたしましては、こういった問題につきましては前向きに対処してまいりますと同時に、できるものから逐次こういったことに手当てをしてまいりたい、このように思う次第でございます。
#211
○細谷(昭)分科員 どうもありがとうございました。
#212
○葉梨主査 これにて細谷昭雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、小川国彦君。
#213
○小川(国)分科員 パートタイマーの法的な保護の問題とかあるいはまた退職金の問題、あるいは税金の問題、パート労働者を取り巻く問題がたくさんありますが、特に最近、パートの中に主婦が八割を占め、しかも勤労諸階層の妻がパートとして働きに出るという状況は、やはり家計の助けということが中心になっておりまして、そういう意味ではパートの主婦に対する労働省としてのいろいろな対策の取り組みというものは年々重要性を増してきている、こういうふうに思うわけでございます。
 そういう中で、労働省も、中小企業退職金共済事業団制度を中心として、中小企業を初めこういうパートの労働者の退職金問題ということについてもいろいろお取り組みを願っていると思うのでありますが、特に主婦のパートタイマー、こういう方々を中心としてパートタイマーの退職金制度の現状というようなものについてはどういうふうな認識なり理解をされておられるか。
 それから、大臣の所見として、一般的にこういうパートの主婦の皆さんの退職金がどうなっているだろうか、そういう労働条件の細かいことは別にして、パート主婦というものに対して大臣が一般的にどういう理解を持っていらっしゃるか、まず最初にその辺お伺いさせていただきたいと思います。
#214
○林国務大臣 最近の経済社会の中でパート労働者の占める率というものが大変大きくなってまいりますので、今の経済社会構造の中では欠かすことのできない、また見過ごすことのできない大きな要素を持っていると私は認識をいたしております。
 そこで、そういう方々がお仕事をされながら、連続して雇用の関係のある方には退職金があるけれども、パートの方には退職金がないというようなこと、こういった問題につきましては、労使の中で決められるのが本質であろうかと思いますけれども、私個人の心情的な思いでこういったことを見ますと、世の中も大分変わってきている、そういった中で、こういった問題にも真剣に取り組んでいってもらいたいというような私個人的な意見は持っております。
#215
○小川(国)分科員 今の大臣の御答弁を受けまして、労働省の事務当局の方としましては、このパートタイマーの退職金制度というような問題については今どういうような御見解をお持ちでしょうか。
#216
○佐藤(ギ)政府委員 パートタイム労働者の退職金でございますが、私どもの調査で見ますと、パートタイマーのための退職金制度を持っている企業はまだまだ少のうございまして、現在一割までいっておらないということでございます。
 それから中小企業退職金制度の中でパートタイム労働者がこれに加入するということはもちろんその道は開かれておりますが、必ずしも一般のフルタイムの労働者ほどには十分にこの適用を受けていないという現状があるわけでございます。
 そこで私どもといたしましても、パートタイムの労働者の方々につきましてもそういうものが広がっていくということは望ましいことだと考えておりますが、現在、パートタイム労働者の雇用管理全般の問題につきまして研究会で御検討いただいておりますので、そういう中でもいろいろと先生方の御意見を伺いながら対策を考えていきたいと思っております。
#217
○小川(国)分科員 そのパート労働者、本来のパートというと短期間的なものを考えがちでございますけれども、パートの働いている現状は、たしか四十歳を前後として、早い方は子育てが終わって子供たちが小学校、中学校に進む、そうしますと家事からの解放も行われるし、それからまたローンや教育費でちょうど経費もかかってくる、家計の一助にといって大体三十四、五歳ごろからパートに出て五十歳、五十五歳まで働く人が多くなってきている。そうすると、今は平均年齢はまだ少ないようですが、長い方はやはり五年、十年、十五年というふうにパートという身分のまま、しかも同一職場に働いていらっしゃるという方々が多く見受けられるようになってきているわけですね。そういう方々にやはりこの退職金制度というものは必要なのではないかというふうに考えるわけなんですが、例えば最近摂津市におきまして、自治体がこういうパート退職金の共済条例というようなモデル的なものをつくりまして実施をしているというような実例も私ども伺っているわけです。そういうものを含めまして、どうしても中退共の中では救い切れない現状にあるこのパートの退職金問題について、今後労働省としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、その辺のところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#218
○佐藤(ギ)政府委員 今お話ございました摂津市の退職金制度は私どもも承知をいたしておりまして、自治体としてこういうものをされるということについて一つの貴重な試みだということで注目いたしております。また、今後の推移も見守らせていただきたいと思いますが、全国的なものとして現在中小企業退職金制度があり、その中でなかなかカバーすることが難しいものをまた別途の制度としてするということについてどのような問題点があるかということも含めて検討さしていただきたいと思っております。
#219
○小川(国)分科員 これは大臣におきましても、中退共に対してその制度がもっと充実して発展することが望ましい、これは私ども、我が党もそういう考え方を持っておりまして、近くその改正案も国会に上程されてくるというふうに伺っております。そういうものを発展拡充していく、もちろんそういうことも一つ必要でありましょうし、それからいま一つ注目されている摂津市のような自治体の問題、こういうものもひとつ側面的にカバーしていくという面、その両面に対する大臣の行政的なしり押しといいますか、推進というか、そういうものを期待したいわけでございますが、いかがでございましょう。
#220
○林国務大臣 パートの退職金問題につきましては、あるいはまた摂津市の退職金の問題につきましても、先ほど局長から御答弁申し上げましたように、摂津市の場合には大変大きな試みということで労働省といたしましても注目をして私どもはそれを見ているわけでございます。また、中小企業退職金制度につきましてもいもっともっとこの制度を活用してもらいまして、それで中小企業に働いている方々が後になって大きな恩恵をこうむるようなことにしていかなければならない、こんなふうに私は考えているわけでございまして、機会あるたびに中小企業退職金共済制度につきましては啓蒙をし、あるいはPRをして、その周知徹底ということについてもさらに努力をしていかなければならない、このように思っております。
#221
○小川(国)分科員 いずれにしても、パートの方々の雇用条件、いろいろな雇用状態、身分保障、そういう中での退職金、こういうことは全般的にフルタイマーの労働者と実態的にはかなり近いものになってきているという実情を踏まえて、さらにそういう点の推進を期待したいと思います。
 それから次に、パートの主婦が働きに出ても、年収九十万円を超えますと今度は非常な経済的な負担の方が多くなってしまうという問題がございます。この国会でも、パートの減税問題が与野党協議の場で今国会中に結論をということになっているわけでございますが、せめてパートで月十万、年間百二十万ぐらい働かせてほしい、こういう希望を持っております。そういう意味で、私ども、大蔵省当局に対しても、夫が配偶者控除を得られる妻の収入の限度額を百二十万円まで引き上げよ、こういう提案を一つしているわけです。ところが、これとリンクしているか連動しているかわかりませんが、健康保険法の局長通知の中でやはり所得が九十万円ということになっておりまして、たしか九十万円を超えると国保なりあるいは社会保険なり加入しなければならない、こういうことになっているわけであります。私どもは、九十万円ということは今の経済状況からにらんで、もう少しその枠を拡大してあげられないだろうか、今のパートの時間給から計算してまいりますと、私どもは百五十万まではなかなか難しくて、大体百二十万円くらいまでがパートの年間収入としてのほぼ限界に近いような感じを持っているわけです。そして月十万、年間百二十万まで働ければという希望はパートの主婦に非常に根強いものがあるわけですね。ところが、現状は九十万円を一万円でも、あるいは一円でも超してまいりますと税がかかってくる。現実には、私の試算ですと、仮に九十万円働いていたパートの主婦があと十万円ふやして百万円働いたとしますと、そのために逆に夫の配偶者控除が削られ、夫の扶養者控除がなくなり、そして夫のいろいろな課税がふえ、そして妻が新たに年金に加入し、社会保険に加入し、こういうことになってまいりますと、十万円の収入増のために四十二、三万の支出増になってしまうということのために、九十万を超えてはパートの主婦は働けないという現状にあるわけです。この壁を何とか破ってほしい、少なくも月額十万円くらい働いて、年間百二十万まで働きたいのだ、こういう要望が強いわけです。
 この問題を大蔵委員会等で伺いますと、労働省のパート労働者に対する考え方というものが一つ基本にあるのですよ、こういう答えが返ってくるわけですね。ですから私は、今最初に大臣がおっしゃられたように、やはりパートタイマーに対するいろいろな御理解、そういうものを、この際、労働省の局長通知という中でなされているこれを何とか変えていくという考え方を持てないものか、その点についての御見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#222
○林国務大臣 パート労働者の課税の問題でございますので、課税の問題につきましては大蔵省が主管してやるわけでございます。ただ、今先生御指摘のように、労働省がちょっとそっちの方の考え方が頭がかたいからそういうことができないんだというような、大蔵省がそう言ったというようなことでございますけれども、私どもといたしましては、いわゆる税制の問題についてパートの人たちはこんなことだからこういうことをしてはいかぬというようなことはいささかもないと私は思っております。
#223
○小川(国)分科員 これは鶏が先か卵が先かではないのですが、大蔵省が先なのか労働省が先なのか私はわからないのですけれども、どこかでこれを変えていけるということをお考え願えないだろうかというふうに私は思っているわけなんです。例えばパートの主婦が九十万円以下であれば払わなくて済んでいる保険料負担が、九十万を超えて例えば百万円になると、国民年金の保険料年額八万五千二百円、国民健康保険の保険料が年額二万一千円、合計十万六千二百円の負担が生じる、こういうことになるわけなんです。さっき私が申し上げたように、夫の方と両方合わせると四十三万三千五百円の家庭負担になってくる、こういう状況があって九十万円の壁を破れないわけです。私は、先ほども大蔵大臣と論議の中で、大蔵省の税収減を引き起こさないように、夫の配偶者控除を残しながら妻の配偶者として働ける限度額を百二十万まで引き上げることが可能だという提案をしているのですが、同時にこれは労働省の方でもやはりパート労働者、特に主婦のパート労働者の生活権を守ってあげるという観点から、これを同じように百二十万に変えていくということができないかどうか、その点いかがでございましょうか。
#224
○佐藤(ギ)政府委員 今先生御質問の国民年金の問題は、多分厚生省の方でいろいろと御検討いただいている問題なのではないかと思います。
 私どもの方はとりあえずは税制が問題になるわけでございますが、税制につきましては、先生おっしゃいましたように、家庭の主婦が大部分を占めておりますパートタイムの労働者の課税最低限の問題につきましていろいろと強い要望があるということは私ども十分承知をいたしておりますので、パートタイム労働者の課税最低限の引き上げということにつきましては、給与所得者全体の税制のあり方の中で今後検討されていくべき問題だというふうに考えております。
#225
○小川(国)分科員 そうですね、私は今勘違いして申し上げていました。国民年金と国民健康保険というと厚生省ですよね。それから社会保険と厚生年金、これも厚生省ですね。だから、労働省の方はこれに対しては直接的にはタッチはしていないということですね。ただ、パートタイマー、そういう主婦のパートタイマーの法的な地位の向上とかあるいは政策的な向上策を講ずるというのは労働省のお仕事かと思いますので、先ほども研究会をつくって御検討いただいているということでありますから、これはひとつ政策的に労働省の中でお取り組み願えないだろうか。
 私ども伺っている中では、さっき鶏か卵のどっちが先かと申し上げましたが、大蔵省は大蔵省でその九十万というのをつくっていますし、それから年金の方も、あるいは国保や社会保険の方も皆リンクはしていないというのですが、一律に九十万円のところに並んでいるわけですね。どこかでそれを百二十万に変えていく努力というものがされなくてはならない。そこのところで一番言いやすい立場は労働省じゃないかというような気がしますので、こういう点についてひとつ積極的に大臣なり労働省の当局として発言なすっていくというお考えは持てないかどうか、ひとつ伺いたいと思います。
#226
○林国務大臣 パートの労働者に対しましては労働省といたしましても大変関心を持って、少しでもよりよき方向にということは労働省としての基本の考え方でございます。今先生御指摘のような場面が私どもにございましたならば、先生の御指摘のようなことを念頭に置きながら、省内でもいろいろ検討をし、そしてまた、それをそこに向かってやるような時期と申しますか時点が参りましたら、私どもはそういうことには積極的に取り組んでまいりたいと思いますが、現段階では、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、いろいろと今検討をさせているというような状況でございます。今しばらくの間はそういったようなこと、私どもとしてはその検討の結果を洗ってきて、それを踏まえて施策を実行してまいるような方向に歩んでいきたい、こういうことでございます。
#227
○小川(国)分科員 事務当局としては、この研究会の中でこういうことが検討課題になっているかどうか、あるいはまた今後検討するというお考えがあるかどうか、その点はいかがでございますか。
#228
○佐藤(ギ)政府委員 現在、学識経験者に御検討いただいておりますのは、雇用の安定あるいは雇用管理の改善というような観点から御検討いただいておりますので、国民年金その他厚生省所管の問題については直接は検討の対象になっておりません。
#229
○小川(国)分科員 これは確かに一つの基準を決めるという面では大蔵省であり厚生省であるというふうに思うのですね。しかし、パートタイマーの一つの待遇を改善していく。さっきの退職金制度ではございませんが、そういう制度もひとつ拡充の方向に向かっていくということがあると同様に、こういう所得政策なり税政策の面で、パートの人たちが、古い言葉ではありますが、内助の功で家計の助けをできるような状況を日本の法制度の中でつくっていってあげる。それは各省庁の中で行われることでありますが、労働省としてパート労働者としてこれをとらえていくなら、それを政策的にひとつ考えるというのは労働省のお仕事ではないか、こう思うのですが、いかがでございましょうか。
#230
○林国務大臣 確かに労働者の労働条件の整備あるいはまた働く場の環境整備というのは労働省の主たる仕事の一つでございます。そういった中で、今先生御指摘のようなことは、各省の中でのいろいろなしがらみもございますが、労働省といたしましては、先ほどちょっと御答弁申し上げましたように、そういった機会が私どものところに参りましたならば、今いろいろ雇用の問題については検討、研究をいたしておりますけれども、税制その他のことにつきましては、私どもの所管でございませんので、直接にそういったことには携わっておりませんけれども、いわゆる労働環境という問題につきましては大きく関心を持って私どもはこれに当たっていくということでございます。
#231
○小川(国)分科員 機会が参りましたらということより、ひとつ進んで、また十分御検討願って、大臣、これはここでの御答弁ということではなくて結構でございますので、ひとつ内部的にもこういうことについて労働省として発言の機会が待てるかどうかというようなことをぜひ御検討願いたいと思います。
 それから次に、パートタイマーのいろいろな統計について、一体パートタイマーというのはどのくらい今いるのだろうか、そういう実態のできるだけ正確な数字に触れたいというふうに常に私どもは思っているわけなんです。今度も私ども減税問題なり所得政策なり、今言った新たな年金保険の負担問題なりでパートの実数というものを調べようとしてまいりますと、昭和五十八年の総理府統計局の労働力調査による数字が出てまいるのですが、これによると、パートタイム労働者は四百三十三万人、全雇用労働者の一〇・五%、そのうち女子パート労働者が三百六万人というようなことが言われているわけなんです。最近では一口には五百万ともあるいはもっと超えているのではないかとも言われるのですが、こういうパートタイマーの実態把握についてはどういうふうな現状になっておりましょうか。
#232
○佐藤(ギ)政府委員 確かにパートタイム労働者の実態をつかむというのはなかなか難しゅうございまして、全国的にしっかりした統計を求めるということになりますと、現在のところは労働力調査で、週の労働時間が三十五時間未満の労働者、この数が一つのパートタイム労働者の数をおおむね見当をつける重要な指標として使われているわけでございます。ただ、おっしゃいますとおり、三十五時間未満の労働者だけではなくて、これを超える方たちでもパートタイム労働者というのはおられるわけでございますが、全国的な数字としてとるということは技術的になかなか難しい点があり、現在では私どもはこの数字をとっております。この数字で見ますと、六十年で四百七十一万人、そのうち女子が三百三十三万人ということでございまして、女子が全体の約七割を占めているということでございます。
#233
○小川(国)分科員 そのうち夫のある主婦はどのくらいの数ということになっておりましょうか。
#234
○佐藤(ギ)政府委員 この労働力調査からは直接出てまいらないわけでございますが、ちょっと古くなりますが、五十六年に労働力調査特別調査というのをいたしておりまして、これで見ますと、有配偶者が八五・九%という数字になっております。
#235
○小川(国)分科員 それからあと、総理府統計局の日本の就業構造調査というのが、五十七年を基点に五年ごとということになるのですが、次回は六十二年ということになると、来年にならないとこの統計調査はできないのでしょうか。
#236
○佐藤(ギ)政府委員 そのとおりでございます。
#237
○小川(国)分科員 最後に、この実態把握というものを、もう少し労働省としても各省庁とのいろいろな連携の中でできるだけ実態を正確に押さえられるようにひとつ御努力を願いたいということと、それから現状「パートタイム労働対策要綱」というものがございますが、これを一歩進めて、立法化ということについて政府としては積極的に取り組むお考えというものは現段階であるのかどうか、その点を最後にお伺いしたいと思います。
#238
○林国務大臣 立法化の問題につきましては、この要綱がまだ誕生して間もないわけでございますから、それがどのような効果があらわれるかということを今見守っておるわけでございます。それでそれに基づきまして、いろいろと時代の、世の中の移り変わりもございましょう、それに対応していくべく立法化しなければいけない時期が参りましたらまたその時点で考えられることだと思いますけれども、現段階では立法化というようなことを直ちに考えているわけではございません。
#239
○小川(国)分科員 終わります。
#240
○葉梨主査 これにて小川国彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、稲葉誠一君。
#241
○稲葉(誠)分科員 大臣、栃木県の鬼怒川にけい肺病院ができましたね。前からあったのですが新築されまして、私も前々から患者の方にお見舞いかだがた参っていろいろお話をずっと聞いておりまして、大きな関心を持っておるわけでございます。
 そこで、いろいろお尋ねをいたしたいことは、現在、日本じゅうにどのくらい、病院に入っている方、それから在宅の方がおられるのか。それから、新しく労災認定者が毎年とのくらい出ておられるのか。それから亡くなられる方とか、そのわかっている範囲でお答え願えればと思います。
#242
○小粥(義)政府委員 昭和五十九年度末現在で、じん肺、それからじん肺合併症による療養継続者数は全国で一万八千九百二十六人でございます。そのうち、短期受給者数が三千百四十四人、年金受給者数が一万五千七百八十二人でございます。
 毎年の労災の新規支給決定者数の数字で申し上げますと、つまり毎年新しく業務上疾病として認定される件数でございますが、五十九年が千三百三十九名、その前年の五十八年が千八百九十九名、その前年の五十七年が二千百十四名といったような数字でございます。
#243
○稲葉(誠)分科員 じん肺の患者の方々が出る原因ですね。そういうようなことに関して、企業側が一体どういう安全配慮義務、法律的に言うと安全保護義務といいますか、どちらが正しいのですか、それを負っているというふうにお考えですか。
#244
○小粥(義)政府委員 御承知のように、じん肺は粉じんを長期間にわたって吸うことによりまして発症する職業性疾病、こういうことでございます。ですから、できるだけ粉じんを生じさせないようにするということが労働者に対する被害防止としての第一の条件であるわけでございまして、その面では労働安全衛生法に基づきまして、いわゆる粉じんを発散するような場所における作業、これは粉じん作業と言っておりますが、そうした粉じん作業における粉じんの抑制措置をいろいろと粉じん障害防止規則でもって定めておりまして、それらに定められた措置を使用者としてとらない場合には労働安全衛生法に基づく所要の措置が与えられる、こういうような仕組みになっているわけでございます。
#245
○稲葉(誠)分科員 現在、じん肺患者の方から訴訟として起きているのはどれくらいありますか。
#246
○小粥(義)政府委員 ちょっと正確な数字は今手元にございませんが、九州の筑豊地区であるとかあるいは福島県、さらに北海道においても、そうした訴訟提起の例があるように聞いております。
#247
○稲葉(誠)分科員 それで、現に係属中のものが大体三十件ぐらいというふうに聞いているわけですけれども、その中で、今あなたの言われました安全保護義務といいますか安全配慮義務、これについては、一番よくわかりやすく具体的に例示しているのは福島地方裁判所の郡山支部の判決があるわけですね。それは非常によくあれしていますよ。日本電工事件ですね、昭和五十九年七月十九日の福島地裁郡山支部の判決ですが、これは後でよくお読み願いたいというふうに思います。「ジュリスト」のナンバー八百二十五、一九八四年の十一月十五日号、これに東北大学の岩村正彦という助教授がいろいろコメントを加えておるわけですから、後でお読み願いたい、こう思うのです。
 そこで、今労災保険法の改正の問題が起きておりまして、その中で私どもいろいろお話をしまして、この前も労働省の方に私の部屋においで願って患者の万五、六人と長い間お話を願いまして、大変ありがとうございました。患者の方も非常に喜んでおられたわけです。その一番大きな問題は、給付基礎日額の年齢層別最低保障額、最高限度額の設定についてというのが一番大きな問題になっておるわけです。現行労災保険法八条二項、同施行規則九条によって最低保障額制度が制度化されておりますので、年齢層別最高限度額を設定するということは補償水準の引き下げ以外の何物でもないというふうに理解をされて、生活保障制度の目的に反するような低水準を引き上げるという合理性はあるけれども、平均賃金を引き下げる合理的理由はないのではないかということで、患者の方々の非常に大きな関心を呼んで不安に思っておられるわけですね。
 そこで問題を分けて、例えば六十五歳以上の方、既に年金を受けておる方あるいはこれから年金というか、こういうことがあってはいけないのですが、これから病気になられた場合にどうなるかとか、法の改正との関連でどういうふうになるのか、このことをひとつわかりやすく御説明をお願いをいたしたい、かように存ずるわけです。
#248
○小粥(義)政府委員 労災保険法の改正案につきましては、現在成文化を急いでおりますので、近いうちに国会へ提出をさしていただきたいと思っておりますが、現在までのところ、昨年暮れの労災審議会の建議を受けまして一応要綱をつくりまして、労災保険審議会、それと社会保障制度審議会の審議をいただきまして、それぞれ答申をいただいておるわけでございます。
 その一番ポイントのところは、先生御指摘のように最高限度額の設定という点にあろうかと思います。これは、実は労災保険制度に年金制度が導入されましてから既に二十数年経ているわけでございますが、いわゆる高齢化の進展の中で年金受給者のときの期間が非常に長い方がふえてきております。今後もさらに年金受給者はふえていくと思われるわけですが、その年金給付を受けられる方々の中にいわゆるいろいろな不均衡が出てきているという問題がございまして、その一つがいわゆる異常に高い年金給付を受ける方が数は少ないのですけれどもおられるということ、他方若いときに労災に遭った場合には相対的に不利な給付額で一生過ごさなければいけなくなるといった、両面の不均衡が審議会の中でも問題になりまして、それを解決するためにいわゆる年齢階層区分ごとに賃金の実態を調査いたしまして、それでもって高い方では五%、また低い方でも五%を除外したところにそれぞれ最高、最低の額というものを設定しよう、実はこういう考え方でいるわけでございます。
 したがいまして、最近の年金受給者の動向を見ますと、災害時面前の三カ月の平均賃金でもって年金給付額が決められる、それが労働能力の変化にかかわらず七十、八十になってもずっとそれで行くというところに一つの不均衡意識の出てくるところもございますので、そうしたところはそれぞれの年齢階層の大勢を見て、いわゆる例外的部分についてはこれを除外する形で最高限度額というものを設定しよう、こういう考え方でございます。
 ただ、既に年金の裁定を受けておられる方、これは既得権としてあるわけでございますから、それらの方についてはその最高限度額の適用はしない。ただ、最高限度額を超える形になる場合のスライドの適用については、これは経過措置としてスライドの適用はその間停止するといったことも必要かと思っておりますけれども、既裁定者についてはそういう形で考えているわけでございます。
#249
○稲葉(誠)分科員 そうすると、新しく認定を受ける方は非常に不利になるということもあり得るわけですか。そこら辺のところをちょっと御説明願えませんか。
#250
○小粥(義)政府委員 いわゆる新しく年金受給者になられる方で相当高齢まで年金給付を受けられることになる場合は、今、年齢区分ごとに最高、最低を決めるということをお話し申し上げましたが、その最高額が、全体のカーブを見ますといわゆる中年、四十代から五十代にかけてが非常に高いわけでございまして、五十代から六十代になると低くなる、六十五を過ぎますとこれは賃金の実態からしてもさらに低くなるといった点がございますので、その六十五以上あたりになりますと最高限度額にぶつかるケースは多くなってくるということはあり得ると思います。
#251
○稲葉(誠)分科員 患者の方とお話ししていますというと、これは最低は別として最高額を決める必要はないではないかということを非常に不安に思っておられるわけですね。だからここら辺のところが、実際問題としてその不安が少なくとも新しく裁定を受ける方には現実化してくる可能性があるということだと大変な問題が起きてくるんじゃないかというふうに私は思うわけで、こういう点については今後も、この法案がいつ出るのか知りませんけれども、出た段階で社労委の中で十分問題点が究明されることになろうか、こういうふうに考えておるわけです。
 それから第二の問題は、労災保険未加入中の事故に関する費用の徴収問題ですね。これが、ペナルティー的に課すのでしょうけれども、結局わずかな費用を徴収することによって隠し労災を黙認するというようなことになるんじゃないか。それよりも保険未加入の零細事業者を、強制適用の法定保険にふさわしく、保険に加入させる具体的改善措置の方がいいのではないかという考え方もあるわけなんですね。あなたの方ではそこら辺はどういうふうにお考えになっているわけですか。
#252
○小粥(義)政府委員 労災保険制度が農林水産業の個人経営の極めて一部を除きまして当然適用となってから既に十年ぐらいの年数を経ているわけでございますけれども、ところが現実にそういう零細企業の数は極めて多く、しかもそれが事業が起きたりあるいはまたすぐ廃止になったりという変動もございますので、率直に言ってまだ全部を把握し切るまでにはなかなか至っていないのが実情でございます。
 そのために現在の扱いでは、未加入事業所で事故が起きた場合はその事故発生時点以前二年間の保険料を納めてもらえば被災労働者には保険事業から給付をする、こういう仕組みをとっております。したがって、労働者の場合はその企業が未加入であってもそういう形で二年間の保険料を事業主が払えば保険金が受けられる、こういうことになっているわけでございますが、それがためにかえって、事故が起きるまで入ってなくてもいいじゃないか、こういうような風潮が一部にあることも事実でございます。そのために加入促進がなかなか進まない。いざ事故が起きたときにやっと初めて保険料を納めます、こういう形はいわゆる善意のまじめな企業の場合と比べていかにもおかしいじゃないかといった指摘もいただいております。
 今回の費用徴収は、監督署がそうした未加入事業所を把握して保険への加入を通知をしたにもかかわらず入らないというような場合に、事故が起きたときは単に過去二年の保険料に限らず保険給付の一部を企業に負担していただく、こういう趣旨で、言うならば加入奨励の一つの効果を期待しているものであるわけでございます。そのために労災隠したということは私ども必ずしも考えてはいなかったわけでございますが、趣旨とするところはいわゆる加入促進という意味の効果を期待しての費用徴収でございます。
#253
○稲葉(誠)分科員 労災が起きた場合に、それがわかるというと、法律的には別として、いろいろな面でのペナルティーというものが実際面から出てくるわけですね。だから、私どもがよく相談を受けますのは、何か事故があったときにはそれを何とかして隠そうとするのが相当あるのですよ。それがわかった場合にどこへどういうふうに響くのか、私もちょっとよくわかりませんけれども。
 それからもう一つの問題は、何か事前健診の導入等特別加入制度の合理化を図る、こういうことですか。これは健康診断書の提出を義務づけるということなんですか。これは加入後に義務づければ十分だという議論もあるのですが、ここのところはどういうふうに考えているわけですか。
#254
○松本説明員 特別加入制度と申しますのは、いわゆる労働者ではない、しかし労働者と同様の実態を持っていると言われておりますいわゆる一人親方、中小企業主等を対象にして、任意加入で行っている制度でございます。したがいまして、そういう方々が入る入らないは自由でございますが、従来の扱いといたしましては、入る入らないの時点で健康診断のようなものをしておりませんので、極端な場合を申し上げますと、例えば一人親方の林業の従事者がおりまして長年林業労働に従事をしておった、いよいよ振動障害にかかりそうだという直前になって加入をする、それで一、二回保険料を払って後は年金給付を受ける、そういう極端な事例もないわけではございません。そのために実は特別保険といいますのは大変な赤字になっているわけでございます。
 我々が一般の保険に入ります際も、健康診断を受けまして、そこで病気であれば入れないというようなこともございますわけでございますので、一般の労働者の場合には先生御承知のように定期的な健康診断というような制度もあるわけでございますから、今回考えておりますのは、そういう特別加入の一人親方の方についても加入時点で一応健康診断をしていただく、その時点でもう明らかに病気だとわかっている人についてはやはり加入は御遠慮いただくというようなことを考えておるわけでございます。
#255
○稲葉(誠)分科員 それから一日のうち一部を休業する者に対する休業補償の給付、これを変えるのですか。今度変えたいということなんですか。
#256
○小粥(義)政府委員 従来の休業補償は一日を単位として支給をしていたわけです。そうすると、一日のうち丸々休業をした場合は当然それでよろしいわけですが、一部休業というケースもあるわけでございます。一例として半日働いて半日休業だという場合に、半日分の就労に対してはこれは当然賃金は出るわけでございますけれども、残る半日の休業に対して一日分の休業補償が出るということになりますと、合わせますと通常の場合よりもむしろ上回るというような非常に不合理な形が出てしまうということで、今日は一日単位の休業補償ではなくて、一部休業であればその一部休業期間中の賃金喪失に対する休業補償、こういうことで対応をしたいというのが考えている内容でございます。
#257
○稲葉(誠)分科員 それから、保険給付請求事案に関する使用者の意見申し出の機会を付与する。こういうことは今まで法的に認められていない事業者の不服申し立て制度に道を開くということで、そういう必要性は特にあるのですか。どうしてこういう制度をつくろうとするわけですか。
#258
○小粥(義)政府委員 使用者に不服申し立ての道を開くということではございませんで、ただ現実の問題としては、業務上の認定を受けるについては産業医、各事業所、大きいところは特に専任を義務づけておりますけれども、産業医が個々の労働者の健康管理で従来いろいろな蓄積もあるといった立場での意見表明というのもあるわけでございます。今回、意見申し出の機会を考えるということにいたしましたのは、そうした業務上の認定に関連しまして上積み補償と申しますか、そうした面で企業としてのいろいろな関連が出てくることもこれまた事実でございますので、そういう観点を考慮しながら、特に、産業医が過去労働者の健康管理を長年にわたってやってきているその蓄積といった面から、意見の申し出の機会を与えるようにという、これは労災審議会の中における使用者側の強い意見であったわけでございます。だからといって不服申し立ての道を開くというわけには現行制度ではいく筋合いのものじゃございませんので、それとは別の意味において、附帯意見申し入れの機会をつくるということで合意をしたものでございます。
#259
○稲葉(誠)分科員 現在、大体毎年二千人を超える新規労災認定者が出ていたというのですが、ちょっとここのところ減っていますね。さっきお話があったのは、五十七年が二千人を超えている。その後ちょっと減っている。殊に五十九年は随分下回っているわけですけれども、いずれにいたしましても、その企業がしっかりとした安全保護義務といいますか、それを確立しており、それと同時に、地元で言えば基準局とか監督署になるわけですか、そういうところが十分な体制をしいておればそれはどんどん減っていかなければならないわけですね。なお毎年約二千人近くの認定患者が出ておるということは非常に遺憾なことですね。
 それから、これは非常に高死亡率の職業病になっているわけですね。そのことを考えますと、これはもっとしっかりとした体制をしいてこういうふうな労災認定患者が出ないような形に労働省自体、労働省だけでやれと言っても無理かもわかりませんけれども、そういう体制をしっかり組んでいかなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えるわけなんですが、それについて政府委員並びに締めくくりの意味で大臣のしっかりとした前向きなお考えをいただきたい、こういうふうに考えておりますし、同時に大臣、ここからは午後行っても帰れますから、一遍行って、それで患者の方なり職員の人たちを見られて、話し合いをしてよく聞かれて、そしてそれを今後の行政の中に生かしていただきたい、こういうふうに思いますので、それを含めて政府委員なり大臣から御答弁願いたいと思います。
#260
○小粥(義)政府委員 御指摘のように粉じん作業が体に元へ戻らない疾病を残すという意味では、できるだけ粉じんの発散を抑制し粉じんの危害を防止することが肝心であるというふうに私ども考えております。そのためには粉じん作業についての管理を徹底しまして、じん肺を根絶することが理想であるわけですが、御承知のようにじん肺は遅発性の疾病でございますので、まだ安全衛生法が整備される前から粉じん作業に従事していた場合、あるいは鉱山の場合は実は鉱山保安は通産省の所管ということにもなっておりまして、その部分については直接的な監督権限を持たない立場にあるものですから、通産省も含めまして、そうしたいわゆる粉じんによる危害防止については労働行政としてもさらに徹底を期してまいりたいというふうに考えております。
#261
○林国務大臣 粉じんの災害の問題につきましては長い期間かかって今日まであるわけでございますが、最近多少改善が見られたというものの、まだまだ数多くの方がこういった病気にかかられているということでございます。
 対策につきましては今局長から労働省としての考え方もいろいろございました。私も、先生御指摘のように、この粉じんで入院されている方々とか、それからまたそういう災害の起こった現場とかいうものを、機会を見つけて私自身この目でしっかりと見てまいりたいと思います。また、そのようなことが今後の労働行政に大きな糧になるというふうなつもりで取り組んでまいりたいと思います。
#262
○稲葉(誠)分科員 これで質問を終わりますが、さっき私が引用しました日本電工事件、福島地裁郡山支部昭和五十九年七月十九日判決で、「安全配慮義務の内容について」というところが非常によく書いてありまして、これはリーディングケースになると考えられるのですが、こういうふうに書いてありますね。
 会社としては「従業員を各作業に従事させるに際し、具体的な安全保護義務として、可能な限り粉じんの発生や拡散を防止し、あるいは発生した粉じんを除去するための措置を講じ、また作業手順や作業方法の改善、労働時間の短縮等従業員の粉じん曝露の程度を軽減するための措置、更には発生した粉じんの吸入を防止するための措置を講ずるほか、従業員各自のじん肺防止や健康管理に対する意識、行動を涵養するため、じん肺の発症原因、じん肺に罹患した場合の症状、性質(進行性、不可逆性で治療困難であること)を踏まえた安全教育及び安全指導を実施し、また定期的に健康診断を実施するとともに、その結果に基づいて従業員の健康管理上必要な措置を採るべき義務があったものというべきである。」これが判決に出ているわけです。
 こういうのはいっぱいあるわけですけれども、それをよく理解をされましてこうした問題がなくなるように善処をしていただきたいし、その法の改正につきましては、患者の方々の置かれた立場、意見というものも十分聞いて事に当たってほしい。恐らく反対ということでずっと私ども強く主張してまいるんだと思いますけれども、そういう患者の方々の立場というものを十分聞いてやっていただきたい、こういうふうに考えるわけで、大臣から御答弁を願って終わりといたします。
#263
○林国務大臣 稲葉先生御指摘のことを十分踏まえまして、私どももこういったことに対処してまいりたいと思います。
#264
○稲葉(誠)分科員 終わります。
#265
○葉梨主査 これにて稲葉誠一君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして労働省所管についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#266
○葉梨主査 次に、厚生省所管について政府から説明を聴取いたします。今井厚生大臣。
#267
○今井国務大臣 昭和六十一年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算の概要について御説明申し上げます。
 昭和六十一年度厚生省所管一般会計予算の総額は九兆七千七百二十億円余でありまして、これを昭和六十年度当初予算額九兆五千二十七億円余と比較いたしますと二千六百九十三億円余、二・八%の増加となっており、国の一般会計予算総額に対し一八・一%の割合を占めております。
 我が国財政は引き続き極めて厳しい状況にあり、昭和六十一年度の予算も一般歳出を全体として前年度同額以下に圧縮するという基本方針のもとに編成されております。
 厚生省予算につきましても、そのような基本方針のもとに歳出内容の徹底した見直しを行う一方、高齢化の進展等に対応して老人保健制度の改革を行うこととしているほか、健康対策や福祉対策についてきめ細かな配慮を行うとともに、国際化の進展、科学技術の進歩に対応するための施策についても必要な予算を確保したところであります。
 この機会に各位の御支援に対し衷心より感謝申し上げますとともに、責任の重大さに思いを新たにして、国民の健康と福祉を守る厚生行政の進展に一層の努力を傾注する決意を表明する次第であります。
 以下、昭和六十一年度予算に関連する主要な施策について申し上げます。
 第一に、健康対策につきましては、特に壮年期からの健康づくりを推進するため、老人保健事業の健診内容の充実等を図るとともに、職域における健康管理事業を大幅に拡充することとしております。また、老人保健制度につきましては、一部負担及び加入者按分率について見直しを行うとともに、新たに老人保健施設を制度化することとし、昭和六十一年度においてはその試行的実施を行うこととしております。そのほか、感染症に対する常時監視体制を整備するほか、血液対策、難病対策、救急医療対策等についても充実を図ることとしております。
 第二に、寝たきり老人、障害者等に対する福祉対策につきましては、特に在宅福祉対策に重点を置き、特にデイサービス事業、ショートステイ事業等について拡充強化を図るとともに、家庭奉仕員の大幅な増員を図ることとしているほか、痴呆性老人対策、障害者の社会参加促進対策等についてもその充実を図ることとしております。
 なお、社会福祉施設の入所措置費については、内容の改善を図る一方、補助率の見直しを行うことといたしております。
 第三に、年金制度につきましては、今回の円滑な実施に万全を期するとともに、昭和六十一年四月から各種年金額の引き上げを行うほか、還元融資事業の一環として高利運用事業を開始することといたしております。
 以上のほか、新たに天皇陛下の御長寿と御在位六十年を記念して長寿科学に関する研究組織について調査検討を行うとともに、市場開放関連の諸施策や国立病院・療養所の再編成を進めるほか、引き続き中国残留日本人孤児対策、原爆被爆者・戦争犠牲者対策、生活環境の整備、環境衛生関係営業対策等の推進を図ることといたしております。
 なお、国家財政の厳しい現状を踏まえ、厚生年金保険及び政府管掌健康保険の国庫負担について特例措置を講ずることとしておりますが、これらの措置を講ずるに当たりましては、各制度の安定的運営と被保険者の立場に十分配慮しておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
 以下、厚生省所管一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしてございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞ、本予算の成立につきまして格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
 ありがとうございました。
#268
○葉梨主査 この際、お諮りいたします。
 厚生省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#269
○葉梨主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔今井国務大臣の説明を省略した部分〕
 以下、主要な事項につきまして、予算の概要を御説明申し上げます。
 第一は、生活保護費であります。
 生活扶助基準につきまして、一般国民の消費水準の動向等を考慮し、昭和六十年度に比し二・〇%引き上げることとしたほか、少人数世帯の処遇改善、勤労者控除制度の見直しを行う一方、引き続き不正受給の一掃、医療扶助の適正化等制度の厳正な運営を推進することとしております。なお、生活保護費に係る国庫補助率は昭和六十年度と同様の十分の土とし、総額一兆一千百億円余を計上いたしておりますが、これは昭和六十年度に比し二百八十五億円余の増額となっております。
 第二は、社会福祉費であります。
 老人福祉関係では、老人医療費の負担について老人保健制度の長期的安定を図る観点から見直しを行い、一部負担金を外来の場合一カ月四百円から千円に、入院の場合一日三百円から五百円に引き上げ、あわせて二カ月の限度を撤廃することとしているほか、加入者按分率についても段階的に引き上げることとしております。また、在宅の寝たきり老人等に対する福祉サービスを拡充強化するため、家庭奉仕員の大幅な増員を図るとともに、特にデイサービス事業について、従来の通所サービス事業と訪問サービス事業を統合し、対象人員、実施箇所数を大幅に拡充し本格的な実施を図ることとしております。さらに、在宅老人のショートステイ事業についても対象人員を拡大することとしております。このうち、デイサービス事業、在宅老人のショートステイ事業については国庫補助率を三分の一から二分の一に引き上げることとしております。このほか、痴呆性老人対策についても一層の推進を図ることとするほか、新たに老人クラブ社会参加モデル推進事業を実施するなど、老人福祉対策について所要の額を計上しております。
 心身障害者等の福祉につきましては、家庭や地域で生活しやすい条件を整備するため、特に在宅障害者デイサービス事業及び心身障害児通園事業について対象人員、実施箇所数の拡充を図るとともに、国庫補助率を三分の一から二分の一に引き上げることとしております。また、身体障害者相談員、精神薄弱者相談員の増員、障害者社会参加促進事業、日常生活用具給付等事業、精神薄弱者通所援護事業等を充実するほか、新たに特別障害者手当の支給を開始するとともに、「障害者の住みよいまち」づくり推進事業を実施することといたしております。
 保育対策、母子・寡婦福祉対策及び児童の健全育成につきましては、乳児保育、障害児保育等の拡充、児童扶養手当額の改善のほか、児童手当について、新制度の段階実施の初年度として昭和六十一年六月から新たに二歳未満の第二子に対する支給を行うとともに、児童厚生施設の整備運営につきましても引き続きその推進を図ることといたしております。さらに母子保健対策の推進につきましては、妊産婦、乳幼児健康診査、先天性代謝異常等の検査及び妊婦乳児B型肝炎感染防止事業を充実することとしております。
 社会福祉施設の整備につきましては、特別養護老人ホーム、精神薄弱者援護施設等需要の多い施設を重点的に整備するとともに、新たに在宅老人デイ・サービスセンター及び在宅障害者デイサービス施設、痴呆性老人に配慮した施設等の整備を図ることとしております。また、社会福祉施設の運営の改善につきましては、職員の勤務時間の短縮に必要な業務省力化等勤務条件改善費を計上するほか、入所者の処遇改善として一般生活費等を引き上げることといたしております。
 以上のほか、地域社会における民間社会福祉活動の推進を図るため、福祉活動専門員を増員するほか、福祉ボランティアの町づくり事業の拡充、婦人保護事薬及び地域改善事業の実施等につきましても所要の措置を講じております。
 なお、社会福祉施設の入所措置費等につきましては、地方公共団体の自主性を尊重する観点から事務事業の見直しを行うとともに、国庫補助率についても十分の七から十分の五とすることとしております。
 以上申し上げました社会福祉費の総額は一兆九千一億円余でありまして、昭和六十年度に比し一千四十億円余の減額となっております。
 第三は、社会保険費であります。
 まず、社会保険国庫負担金でありますが、政府管掌健康保険及び厚生年金保険につきまして、昭和六十一年四月から非適用業種の事業所のうち常時五人以上の従業員を使用する法人事業所への適用拡大を行うほか、政府管掌健康保険に係る高額療養費の自己負担限度額の改定などを行い、さらに、医療費支出の適正化を図るための施策を強力に進めることとしております。
 また、政府管掌健康保険の国庫補助につきまして、健康保険法の規定により算定した額から一千三百億円を控除して得た額を繰り入れる特例措置を講ずることとし、国庫補助金繰り入れ五千七百九十六億円余を、船員保険につきましては八十億円余の国庫補助繰り入れをそれぞれ計上しており、総額六千六百四十四億円余を計上いたしております。
 次に、厚生年金保険国庫負担金につきましては、昭和六十一年四月から最近の物価動向等を踏まえ年金額の改定を行うこととしております。国庫負担については、厚生年金保険法の規定により算定した額のうち、昭和三十六年四月前に係る国庫負担等について、その二分の一相当額の範囲内で三千四十億円を一時繰り延べる特例措置を講ずることといたしました結果、一兆五千八百七十九億円余を計上いたしております。
 次に、国民年金国庫負担金でありますが、拠出制国民年金につきまして、昭和六十一年四月から最近の物価動向を踏まえ年金額の改定を行うこととしております。なお、一般会計から国民年金特別会計への繰り入れの平準化を図るための特例措置が引き続き講じられております。また、福祉年金につきましても昭和六十一年四月から年金額の改定を行うこととしております。これらの結果、国民年金特別会計への繰り入れに必要な経費として一兆四千四百十一億円余を計上いたしております。
 国民健康保険助成費につきまして、総額二兆一千六十七億円余を計上いたしております。国民健康保険につきましては、医療費支出の適正化対策を引き続き強力に推進することとし、療養給付費等補助金一兆七千百十七億円余及び財政調整交付金三千六百九十三億円余を計上するほか、新たに、退職者医療制度の実施に関連して、市町村国民健康保険の運営の安定化に資するための経費として国民健康保険特別交付金二百三十億円を計上いたしております。
 以上のほか、健康保険組合補助、厚生年金基金等助成、児童手当国庫負担等に要する経費を含め、社会保険費の総額は五兆八千七百十三億円余でありまして、昭和六十年度に比し三千二十億円余の増額となっております。
 第四は、保健衛生対策費であります。
 人生八十年時代を迎え、生涯を通じる健康づくり対策はますます重要になっております。このような見地から、壮年期からの健康保持を図るため、老人保健法による疾病予防、機能訓練等の保健事業を総合的、計画的に推進してきたところでありますが、さらに、健診事業の内容を一層充実し、あわせてこの事業を円滑かつ適正に実施するために必要な保健所機能の強化、市町村保健センターの整備、市町村保健婦の増員等を図ることといたしております。
 救急・僻地保健医療等地域医療対策につきましては、地域医療計画推進経費を計上しているほか、救急医療体制の体系的整備と機能の強化を図るとともに、僻地中核病院を中心として僻地保健医療水準の向上を図るための諸施策を推進することとしております。
 特定疾病対策といたしましては、循環器疾患、がん等に関する専門医療機関の整備を促進するとともに、精神及び神経疾患等に関する医療、研究体制を充実するため、国立精神・神経センター(仮称)を設置することとしております。また、腎不全対策につきましても地方腎移植センターを拡充するなど充実を図ることとしております。
 さらに、看護婦等医療従事者の養成確保につきましては、看護婦等養成所の整備、夜間看護体制の強化に伴う処遇改善等を行うこととしております。
 精神保健対策につきまして、精神障害者の社会復帰の促進を図るため、通院患者リハビリテーション事業、精神障害者に対する訪問指導など諸施策を充実するとともに、引き続き精神障害者に対する適正な医療を確保することといたしております。
 また、結核・感染症対策につきまして、インフルエンザ等各種の感染症につき、迅速で的確な情報を収集、提供するために国と地方を通じた常時監視体制を確立するとともに、新たに結核の罹患率の高い地域における検診促進事業を実施することとしております。
 原爆被爆者対策につきまして、原爆被爆者の福祉の向上を図るため、医療特別手当等各種手当の引き上げ等を行うこととし、所要の経費を計上いたしております。
 血液対策につきましては、血液製剤の安定供給及び安全性確保の見地から、従来の血液事業を全面的に見直し、新たに四百ミリリットル採血、成分採血を実施に移すとともに、献血者の健康増進事業、輸血に起因する感染症に対処するための特殊血液の調査等の施策を進めることといたしております。
 以上のほか、新たに国立病院・療養所の再編成に必要な経費を計上したほか、引き続き公的病院の助成費、保健・医療施設の整備費、保健所運営費など所要の経費を計上しております。これらの結果、保健衛生対策費は、総額四千九百五十二億円余でありまして、昭和六十年度に比し三百四十億円余の増額となっております。
 第五は、戦傷病者戦没者遺族等に対する援護費であります。
 戦傷病者戦没者遺族等については、遺族年金等の年金額の引き上げ及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金の継続・増額支給を行うほか、中国残留日本人孤児対策につきましても、未訪日の孤児七百人を迎えて訪日肉親調査を概了させるとともに、今後の孤児帰国に備え、中国帰国孤児定着促進センターを拡充するなど、受け入れ体制の整備と日本社会への定着自立促進対策の充実強化を図ることとしております。
 これら遺族及び留守家族等援護費として、総額一千五百四十三億円余を計上いたしておりますが、これは昭和六十年度に比し五十九億円余の増額となっております。
 第六は、環境衛生施設整備費であります。
 水道施設整備費につきましては、簡易水道及び水道水源開発等の整備等を引き続き推進することとして九百六億円余を計上いたしております。
 廃棄物処理施設整備につきましては、昭和六十一年度を初年度とする第六次廃棄物処理施設整備計画を策定し、この計画に基づき整備を促進するとともに、引き続き広域廃棄物埋立処分場の整備を行うこととし、六百二十五億円余を計上いたしており、環境衛生施設整備費の総額は一千五百三十二億円余であり、これは昭和六十年度に比し十六億円余の減額となっております。
 以上のほか、新たに人生八十年型社会システムの開発調査、長寿科学に関する研究組織についての調査検討及び長寿関連基礎科学についての官民協力プロジェクトの推進並びに市場開放関連対策等の推進を図るとともに、引き続き食品・医薬品の安全対策、環境衛生営業の振興、国際医療・福祉協力及び戦没者の遺骨収集、慰霊巡拝の実施等につきましてそれぞれ充実を図り、所要の経費を計上いたしております。
 以上、昭和六十一年度厚生省所管一般会計予算の概要を申し上げました。
 次に、昭和六十一年度厚生省所管特別会計について申し上げます。
 第一に、厚生保険特別会計につきましては、政府管掌健康保険につきまして昭和六十一年度における保険料率を千分の一引き下げることとしております。また、国庫補助につきまして、昭和六十一年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律に基づき、健康保険法の規定により算定した額から一千三百億円を控除して得た額等を、厚生年金保険国庫負担金につきましては、厚生保険特別会計法に基づき、厚生年金保険法の規定により算定した額のうち、昭和三十六年四月前の期間に係る国庫負担等から三千四十億円を減額した額をそれぞれ一般会計から繰り入れることとし、一般会計から二兆三千四十九億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入歳出予算を計上いたしております。
 第二に、船員保険特別会計につきましては、職務外年金部分の厚生年金保険への統合が行われること等を踏まえ一般会計から八十億円余の繰り入れを行い、歳入歳出予算を計上いたしております。
 第三に、国立病院特別会計につきましては、一般会計から一千三百七十五億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入歳出予算を計上いたしております。
 第四に、国民年金特別会計につきましては、国民年金特別会計への国庫負担金の繰入額の当面の推移等を勘案し、一般会計から国民年金特別会計への繰り入れの平準化を図るための特例措置が引き続き講じられておりますので、一般会計から一兆四千四百十一億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入歳出予算を計上いたしております。なお、基礎年金に関する経理を明確にするため、基礎年金勘定を新設することとしております。
 以上、昭和六十一年度厚生省所管特別会計の予算について申し上げました。
 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
    ―――――――――――――
#270
○葉梨主査 以上をもちまして厚生省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#271
○葉梨主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
#272
○村山(喜)分科員 医療の問題といえば、大変国民の関心が高齢化社会を迎える中で強まってまいりました。このたび厚生省が国立病院並びに療養所の統廃合の計画を出されまして、それぞれの関係者は大変心配をいたしておるところでございます。私の選挙区にも国立療養所霧島病院あるいは阿久根病院というような病院がございますが、霧島病院は二つにこれを分割いたしまして、そして統合をする。それから、阿久根病院はこれを移譲する。そして、鹿児島のもう一つの志布志病院、これは同じように他に移譲をするという計画ができ上がって、それぞれ説明がなされているところでございます。
 そこでまず、この八十八を統合し三十四を譲り渡すというような壮大な計画を十年計画でつくって、関係の法律案を今国会に二本出そうとしていらっしゃる。この説明を今まで何回も聞きましたし、それから関係の団体と一緒に厚生省の方に陳情にも何回も参りました。この国立病院・療養所というものは今日地域社会の中に溶け込んでおりまして、その大変な医療の一翼を担ってもらっておるわけでございます。その中で、いわゆる特別会計制度というのがたしか昭和四十三年に療養所関係につきましてはできました。国立病院の方はもっと前からやっていたわけでございます。その結果、今まではおんぼろの病院で、人員不足で、そして何にも魅力がないような病院であったものが、今日においてはすばらしい設備ができ上がりまして、そしてそういう建物、設備ができ上がりますと、そこに働く意欲も当然出てくるとみえまして、環境整備がまたよくなってくる、そしてそこに患者も非常にたくさんやってくるようになる、こういうような傾向が生まれまして、医療の確保のためには大変貢献をされていらっしゃるということでございます。
 そこで私は、今日までそういうような医療施設の整備計画をつくりまして鋭意努力をしてこられた、今度はそれを安い値段で市町村やその他民間に払い下げをしてもいいですよというような構えでいらっしゃるように聞くのでございますが、これは行政の一貫性という点から見まして、果たしてそういうような医療政策の転換を必要となぜするのか、なぜそういうようなことをやらなければならないのか、その点を説明願いたいと思います。
 同時に、そういうふうにして鋭意経営努力をやっている。ところが、一般会計から特別会計に投入する金が一千億を超えていますね、これを節約するということであるならば、それだけの医療の需要がその地域社会の中にある、しかも病院長を初め職員もその地域のニーズにこたえるために一生懸命頑張っている、そして経常収支率もよくなってきた、そういうようなところの実績というもの、医療の効率というものを、国民の税金をそういうような形で使う以上は無視できない。効率的な経営をやり、しかも地域にとってはなくてはならない医療機関としてこれからも存在し続けることが望ましいという状況になっているものも、あえて一つの基準を決めて、近くに類似のものがあるからというような理屈で画一的に処理をしなきゃならないというのは、一体どういうようなことから来ているのか。この点について二点、まずお答えをいただきたい。
#273
○木戸政府委員 大臣からお答えをする前に私から若干御説明をさせていただきたいと思います。
 先生御質問の第一点は、医療政策の転換か、こういうことでございます。
 戦後四十年たちまして、現在厚生行政の最大の課題は医療供給体制の量から質への転換、つまり適切かつ効率的な医療供給体制の確立という問題があるわけでございまして、その中で国立は何をやるのか、あるいは公的医療機関は私的医療機関とどういう分担をするのか、こういう問題がございまして、その中から、国立は他の医療機関がやらないような高度の医療あるいは難しい専門的な医療、こういうものをやる、いわば最高峰の医療をやるというのが医療供給体制の中の課題だろう、こういうふうに考えている点が一つでございます。
 それからもう一つは、実はこの国立病院・療養所の再編成も行政改革というのが転機になっているわけでございまして、最終の臨調の答申におきまして、国立医療機関は国立医療機関らしい機能を果たせ、こういう御指摘でございます。一方、最近行財政事情は国立病院についても非常に厳しくなって、特に定員事情が厳しくなっております。今までは私どもは、何とか国立病院全部を整備して、それぞれが生きる道はないかということで来たわけでございますが、どうも最近の定員事情から考えて、それから医療に対する国民のニード、地域のニードが非常に高まっておりまして、その間にどうしても追いつけないという事情ができてきたわけでございまして、私どもは全部を生かすのは無理だというふうな判断もあったわけで、そういうことで全部をよくするというよりは、将来とも真に国民の負託にこたえられる国立病院・療養所をいわば集約的に生かしていこうということを考えだというのが、なぜ医療政策の転換をしたのかということに対してのお答えでございます。
 それから、経常収支の問題でございます。
 まさに私は、国立あるいは公的医療機関にも経営努力というのは大切だろうと思っております。だから、法令上の制限がございまして働くところにうんとボーナスを上げるとか月給を上げるとか人をつけるのはなかなか難しいわけでございますが、私はその辺は、経常収支がいいところに対しては何かプラスの面をやっていくというようなことは今後考えていかなければならないと思っております。
 それから、経常収支がよくなったからそこは残る、残らないというのを基準にしなかったのかというような御質問のようでございますが、私ども、効率性も大切でございますが、国立病院としての公共性が一番大事だというふうに考えておるわけでございまして、先生先ほど御指摘になりましたように、六十年度で約千二百二十億の一般会計の繰り入れをしているわけでございます。問題はその繰り入れの中身が何かということでございまして、日常の経営努力が悪いための赤字は減らしていかなければいけない。それで、本当にそれは国立でなければやれないというような研究的な医療とか救命救急の医療、こういったものは赤字でも国立が持っていく。それならば国民の方々は納得をしていただけるだろう、こういうように考えているわけでございます。
#274
○村山(喜)分科員 時間が三十分ですからね。それで、私は言いたいのですが、いわゆる政策医療あるいは機能分割論というようなことで、高度の、そして複雑な難病や今後治療の解明を要するようなものは国立の病院・療養所でやりますと。私はそういう一つの物の考え方があるだろうと思いますが、問題は、ではそういうふうな高次の医療と皆さん方が地域医療なり一般医療と称せられているものとの区分がどこでつけられるかということなんです。
 頭の上で概念的には割り切ることができますが、例えば隼人の霧病という病院の場合は、院長先生が膠原病の大家でございまして、そしてリューマチのそういうようなものをこれからやろうという体制をつくっていらっしゃる。それから片一方は脳梗塞等の後遺症のリハビリをやる。そこは今度は循環系の病気は鹿児島の中央病院へ持っていきなさいということです。しかし考えてみますと、鹿児島のそこには温泉の治療施設はありません。今井大臣、大体、桜島降灰対策であそこにそういうリハビリを中心にする施設をつくってもらったのは、小沢大臣のときに私が要請いたしましてつくってもらったんですよ。そのとき初めてつくった非常に立派な施設、今ではよその県からもわんさわんさやってきよるわけです。それが今度は、そういう機能回復の施設は大分と長崎の方だけ残して、南九州の方はなくなる。一体そういう形の中で、機能分割論の上に立って、そして地域の医療の需要――膠原病は難病ですよ。そういうのは国がやるというのだったら、なぜそこでそういう立派な先生がおるのにやってくれないのですか。私はそこの分岐点を決めるのが非常に難しい問題じゃないかということを指摘したいと思うのです。これが第一点です。
 それから第二点は、公共性と効率性、両方生かしたいということはよくわかります。しかし、この場合でも、霧病の場合は収支経費率が八六・二%ですよ。それから志布志、これは九四・七%。全国の療養所・病院の中では一、二を争うぐらいの非常に優秀な経営をやっている病院です。そして阿久根の場合には、小児科をせっかくつくったけれども、小児科のお医者さんがいないから今七七・四%に下がっているけれども、そういうものを置けさえすれば需要はたくさんあるわけでして、その地域には小児科のお医者さんもいませんので当然国の方でやってくださいということでお願いをして、しかも十一億ぐらいの金をかけてつくったというようなことで、やはり非常に重要な位置づけを地域の人たちは国立療養所・病院に対して持っている。その期待にこたえられるような努力を君たちもしなさいと。そして、いろいろな検査業務も阿久根の場合には全部国立の方にお願いしているというような状況にあるのです。私たちはそういうようなことでずっと回りながら、鹿児島県全体の市町村が全部残してもらいたいということでお願いをしている。にもかかわらず、やろうということで強引に進めようとしていらっしゃるわけですが、なるほど需要がない、もうなくてもいいですよというようなところがあれば、そこは廃止されてもしかるべきでしょうが、それをおやりになるというのはどんなものであろうか。
 しかも、この前国会で通りました医療法の改正で、五年に一回は見直しをするようになっておりますね。ところが皆さん方のこの計画は十年計画でお出しになっているでしょう。そういうふうに五年間くらいのサイドで片一方の方では位置づけの問題をきちっとしようとしながら、国の方は十年計画というのでは、これは一体どうなっているんだろうということをお聞きをしないわけにはまいりません。その点を説明願いたい。
#275
○木戸政府委員 御質問が四つあったかと思うのでございます。
 リューマチの機能でございます。先生御指摘のように、あそこの院長は膠原病の大家であるのも事実でございます。私どもは現在霧島病院が持っているリューマチに対するリハビリテーション機能というものをなくすということは決して考えてないわけで、結論的に言うならば、国立療養所南九州病院という、より大きな療養所がございます。こちらの方へ機能を移してそこで残すということを考えているわけでございます。
 それから温泉とリューマチの関係でございますが、(村山(喜)分科員「リューマチじゃない、脳梗塞のリハビリ」と呼ぶ)温泉とリハビリテーションの関係でございますが、私は医者ではございませんが、現在のリハビリテーション医学によれば、必ずしも温泉を使わなくてもリハビリテーションというのはできるということでございまして、リハビリテーションの機能というのが充実しているところは必ずしも温泉と結びついているということではないわけでございます。
 それから経常収支の問題でございます。確かに霧島病院も志布志病院も療養所としては経常収支がいいわけでございますが、ただ収支がいいから残すということになりますと、それはやはりまず公共性があって、それから効率性も同時ということでございますので、ただ収支がいいからということでは難しいわけです。それから霧島病院にいたしましても、収支といいましてもあくまでも経常収支でございまして、やはり年間二億ぐらいの赤字はあるわけでございます。
 それから施設については非常にお金をかけてつくったのにということはございますが、私どもは移譲の場合はもちろんそのまま利用していただくということでございます。それから統合の場合につきましても、例えば霧島病院の後はどうするのかということについては地元、県とよく相談をしなければならないわけでございますが、非常に条件もいいし建物も立派でございますので、いわゆる後利用としてそれを利活用するということは当然考えていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。
 それから需要が多いのになぜやめるのか、こういう問題でございますが、そこはやはり国立の守備範囲ということでございますし、国立として限られた人、限られた金、特に今非常に医療スタッフが不足をしているわけでございます。国立病院・療養所の泣きどころは何かというと、医療スタッフが他の公的医療機関と比べて非常に不足しているわけでございまして、その点から考えてもやはりある程度施設を集約をしませんと、これから長きにわたって国立病院・療養所が全国民の期待にこたえていくというのは難しいわけでございます。
 それから見直しでございますが、実は厚生省が昨年基本指針というものをつくりました中にも、疾病構造の動向あるいは医療ニーズの動向、そういうものを勘案して三年ないし五年ごとに当然見直すという規定は入れてございます。ただ、私どもは、これを入れてございますのは、国立病院・療養所の守備範囲を見直すという意味ではございませんで、この基本指針に沿った物差しで見ていろいろな環境の変化によって見直しをしていく、こういうことでございます。
#276
○村山(喜)分科員 木戸審議官は一定のレールの上に敷いた答弁をしているわけですが、やはり当該施設があるところでは、それぞれ有機的な関係が生じておりましてその立派な施設をつくっていただいた。霧病の場合は二十一億ぐらいだったと思いますが、それで、では我々もその環境整備をやりましょうというので道路をつくり、橋をつくり、そして協力をしているわけですね。そこは、今度は広域市町村圏の中に入りますから伝染病棟もそこに設置をいたしまして、それでやるような体制をつくっていたわけですよ。そういうような、お互いに今日まで非常に友好的な、そして協力的な体制をつくりながら、しかも経営もそういうようなすばらしい充実ぶりを見せてもらっているものですから上昇をしている。それは、やりなさいといえばそういうような高度の医療体制もある。そしてそこは看護婦の教育機関も備えている。そういう状況であるならば、そういうようなのも計算をしながら、もう少し長期的な展望の中でこれを見ながらここは残しておっていいんじゃないか。近くにそれはないことはありませんけれども、しかし、加治木の国立療養所南九州病院というのは筋ジストロを初め難病を中心にする子供たちの難病等に取り組んでいるところの病院施設になっているのですから、そういうような意味において、それぞれのそこにはちゃんとした立地の条件を備えたものがあるんだ、私はこう考えているわけです。
 そこで大臣、もう時間がありませんので最後にお答えをいただきたいのですが、この問題は十年計画で、今まで私も説明を聞いているのでは、国鉄ローカル線みたいに赤字路線だから切って捨てるというような考え方はありません、医療はちゃんと守りながらやっていくんだというような話を聞いているわけでございますが、そのことについて大臣の決意のほどを承って、そして国民の声にこたえる耳をお持ちをいただきたい、そのこともお願いを申し上げて、大臣からのお答えをいただきたい。
#277
○今井国務大臣 お説のとおり、この問題は国民的な問題だと思うわけであります。一方、また行財政改革の一環として、今のままで、医師も定数もそのままでやらなければいかぬというふうに厳しいお達しでございますから、私どもはやはりこの問題はどうしても避けて通れない問題でございます。
 しかしながら、これは地域の問題に極めて大きな密接な関係を持っております。したがって、今後の計画の推進につきましては十分皆さんとよく御相談をします。ある日突然ばさっとやるなんということはしません。そのかわり、よく御説明をしまして御納得いただいてその一定の方針に基づいてやっていきたいと思いますので、ぜひ御理解を賜るように私からもお願いをいたしておきたいと存じます。
#278
○村山(喜)分科員 時間があと五分ぐらいあるようでございますが、この問題につきましては関係の労働組合もいろいろ大変心配をして、きょうあたりもたくさん上京しておいでになるようでございます。あそこの群馬の嬬恋、吾妻病院ですか、これについても、何か話を聞きますと三月の末までに閉鎖するような話がある中で、大変高齢者が収容されておってそれを移動すること自体も危ないような患者もおるやに聞いたのですが、そういうようなのに対しましては大臣の方も前向きの答弁をされた、こういうように承っているのでございますが、今後こういうような問題の取り組みについては、地域の声とともにそこで働く人たちの声も十分に尊重されるであろうことは信じて疑わないのでございますが、そういうことに対してはどういうふうになったのかということと、これからのいわゆる考え方について御説明を願っておきたいと思います。
#279
○今井国務大臣 群馬の問題は、この数日間地元から大変な御要請がございます。ただ、この問題と今の先生の方の地域の問題とは少し趣を異にしておりますので、一緒になさらないようぜひお願いをいたしたいと思いますが、これはもう大分前からお話をいたしまして、そのたびに、地元に診療所をつくりまして地元に全然医師がいなくなるようなことはしませんよというようなことで、町当局ともお話し合いをしながらやってまいったものでございますので、これはひとつ何としてでも皆さんの御理解を得て、この年度末までに私どもの考え方を少し推し進めてまいりたいと思って今説得をしているところでございます。
 これはこれなりにやってまいりたいと思っておりますが、今の先生の地元の問題等につきましては、これからの問題でございますから、私が先ほど御答弁申し上げたとおり、よく話し合いをしてまいりたいというふうに思っておりますので、どうぞひとつ一緒になさらないようにお願いをしておきたいと思います。
#280
○木戸政府委員 先生のもう一つのお尋ねの職員の問題でございますが、厚生省が昨年つくりました基本指針にも「労使の理解と協力の上にたった計画の推進」ということをうたっているわけでございます。私どもといたしましては、今五万三千人の職員がおりますが、やはり私どもの職員はむしろ足りない、特に医療スタッフが足りないということで、私どもはこれから関係方面とも話を進めながら、ぜひ、時間がかかっても、いろいろ施設の集約あるいは経営の合理化によって人が浮いた場合はそれを医療スタッフに回していくということで、いわゆる生首を切るようなことのないようにして、そういう前提に立って理解と協力を求めてこの計画を進めてまいりたいというふうに考えております。
#281
○村山(喜)分科員 限られた人数、限られた予算、そして定員は減らされていく、そして行政改革のあらしは吹いていく、そこで集約して統合して充実したものをつくりたいという気持ちはわかるのです。しかし、今度はその切って捨てられる者を県や市町村が拾ってくださいよ、ところが県立病院の場合でも、あるいは市町村立病院の場合でも赤字で大変苦しいのであります。そういうような問題を、財政的な調整の問題やらあるいは医療技術者の問題やら、いろいろと総合的に勘案をしなければならない問題で、今まで国が持っておったのをもてあましてそれを市町村や県へ押しつける、あるいは医師会にお願いをしますというようなことでは私は前進をしないと思うのでありまして、この問題は、これから法案も出されるわけでございましょうが、非常に国民的な関心の強い、我々の地域にとりましては最大の関心事でございますので、この点については慎重に、しかも住民のそういうような要望を十分に聞き届けながら、国民の医療が守られるように今井大臣に特にお願いをしておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#282
○葉梨主査 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。
 次に、伊藤忠治君。
#283
○伊藤(忠)分科員 私は、部落差別の問題と、それからこれに関連をします地対法の問題、さらに生活保護の問題について質問をさせていただきます。
 御承知のとおり、ここに資料もございますが、被差別部落の実態をどれだけ正しく把握し、認識をするかということがやはり同和対策を進める上で一番重要であると思うわけです。
 実は、これは年金受給者の全国の状況とこれに対比をしました被差別部落の受給状況の比較でございますが、円グラフで実は調査の結果が出ているわけですが、厚生年金の受給者を比較しましたときに、全国的に厚生年金の受給者が二一%、同和地区では一四%、共済年金に至っては全国の受給者比率が九%、同和地区の方はわずかに二%、国民福祉年金の方ですが、全国的には二二%の方が受給されているわけですが、それに比べますと、同和地区の方は三八%と逆にふえているわけです。
 なぜ私がこの一つの調査結果、グラフを持ち出したかといいますと、どの年金を受けているのかということを見れば、おのずから、例えば今言いましたように、共済年金が少ない、厚生年金が少ない、国民福祉年金が依然多いというのは、やはり教育を思うように受けることができなかった、あるいは就職の機会に恵まれなかったということの結果だと思うのですね。これはそれの反映だ、私はこのように考えて今取り上げたわけですが、もちろん、さまざまな差別はほかにもございますけれども、私はこれを象徴的に取り上げたのですが、およそこのような同和地区の差別実態にあるということについて、私はそのように考えておりますが、当局としては、私の考え方に、なるほどそうだと言われるのか、いや、違うのだというふうに言われるのか、その辺についてまず一点お伺いしたいと思います。時間がありませんから、簡単にやってください。
#284
○熊代説明員 先生御指摘の数字につきまして、必ずしも我々、十分存じ上げてはおりませんけれども、原因として御指摘がございました、教育が思うように受けられない、就職がよくないというようなこともあるいは原因の一つかと思いますが、原因につきまして詳しく分析するというのはなかなか難しゅうございますので、原因についてはっきりしたことを言えということにつきましては、必ずしもはっきりしたことを申し上げられないと思いますが、ただ、歴史的に教育が思うように受けられなかったというようなことはあるかと思います。
#285
○伊藤(忠)分科員 時間のない中でやるわけですから、私は一つの実態を象徴的な例として申し上げているわけで、つまり、言うならば、まだ実態は変わっていない、これは現状を言っているわけですから、そういう実態にあるのだということについてはお認めになるのだと思うのですね。ですから、余り理屈を聞く必要はないのであって、そういうことで認識は合いますねと、こういうことを言っておるわけです。
#286
○熊代説明員 歴史的に教育、就職の問題があったという認識はございます。
#287
○伊藤(忠)分科員 それで、そういう差別をなくしていく、こういう立場で御承知のとおり四十年の八月に同対審の答申が出まして、同対法から今日の地対法に基づいて差別撤廃に向けての取り組みが進められてきたと思うのです。ただ、傾向で申し上げますと、これはやはり事業法でございまして、ハードの面に重点が置かれてきた。例えば産業をどのように発展させるか、就職の問題はどうなのか、教育問題あるいは啓発、福祉対策というソフトにわたる面についてはまだまだ不十分でありまして、これからの課題として残されていることは御承知のとおりだと思うのです。
 そこで、六十一年度以降、当局としてもいろいろな場面で態度を明らかにされているわけですが、残事業がどれぐらいあるのかということになりますと五千七百十六億円、これだけの国費を投じてやる事業が残っている。これに加えて、地方の単独事業ももろちん関連をする格好でこれからの課題になっているわけです。したがって、八六年度以降の残事業、これだけを厚生省の管轄で見ましても約一千二百十億円、八六年度予算が三百九十五億ですから、それを完全に実施しましても八百十五億円の言うなれば積み残しが出るわけですね。現在の地対法は期限が迫っているわけですから、現行法の中では不可能なのであります。そこから判断をいたしますと、残事業をこれから実施していくためにはさらに新たな何らかの法的措置が当然必要になると我々は考えるわけですが、この点について当局の見解を伺いたいと思います。
#288
○熊代説明員 残事業につきましては、地域改善対策特別措置法の制定時に残事業を調べまして約七千億というようなことでございました。それにつきまして、それを解決するということで、地対法は五年ということでございましたので、一部の例外を除きまして法期限内に大部分が実施済みか実施見込みであると考えております。
 しかし、法五年の間にまた新しい御要望が出まして、先生御指摘の数字はそれに関係ある数字と考えておりますが、それにつきまして、基本的にはやるべき事業はやらなければならない、やるのが正しい態度ではないかと考えているわけでございますけれども、どのようにそれを実施するか、あるいは同和対策の中で同和問題を解決するという上で今後の施策をどのように位置づけていくかということが基本的に重要でございまして、地対法後のあり方につきましては、地域改善対策協議会の中にも基本問題検討部会が過日設置されまして、同和問題を解決する上での基本的な問題を御議論いただくということでございます。例えば同和問題について自由な意見交換ができる環境をつくる、そういう中で根本的に考えよう、その中でこれまでなし得た事業、今後の課題として残る事業ということを御討議いただいて今後の展望の資料といたしたいということで御検討願っているところでございます。
#289
○伊藤(忠)分科員 いろいろな対策の検討の経過なんかは、時間の関係で省略してもらわなければ困るのです。私は、残事業が残っている、今の地対法の期限が迫っている、そうしたら法律なしにはやっていけないわけであって、何らか法的な措置が必要であろうということを聞いているわけで、イエスかノーかを言ってもらえばいいわけです。
#290
○熊代説明員 先ほど申し上げたとおりでございますが、事業が残っておりますから論理必然的に法律ということではないと考えております。今後の同和対策をどのように処理していくかという大きな枠組みの中でどのような施策が必要であるかということを検討することが必要であるというふうに考えております。
#291
○伊藤(忠)分科員 法的措置は考えていないということですか。
#292
○熊代説明員 そうではございませんで、法的措置もとるべき施策のうちの一つである、ですから、それが必要であるかどうかも検討してまいるということでございます。
#293
○伊藤(忠)分科員 これまではハードを重点にやられてきて、ソフトの面は極めて不十分であったのでしょう。そういう課題を残しているわけですね。ですから、それを解決しなければならないという政府としての基本的な姿勢というのはお持ちなんでしょう。
#294
○熊代説明員 自主自立のために必要な就職の問題等ソフトの問題を解決しなければならない、そういう認識は持っております。
#295
○伊藤(忠)分科員 だから、とにかく現在の地対法という一つの事業法でもって、政府としては総がかりでもってかなりやられてきたというのですか、本腰を入れてやられてきたわけです。それでもなおかつ多くのいろいろな事業が、私は数字を挙げましたけれども、現に残っているわけです。だから、それに取り組んでいこうと思えば最低限それだけのものは、あるいはソフトの面も含めてやろうというのですから、それ以上の新たな法的措置がなければやっていけないじゃないですか。どういうふうにやるのですか、その基本的な考え方を聞いているわけです。大臣、どうですか。
#296
○今井国務大臣 残事業がありますことはお説のとおりでございます。したがって、それをどういう形で処理するかということについての検討を今させておるわけでございまして、直ちにこういう法律をつくりましょう、今の法律を形を変えていきましょうというふうに結論づけているわけではございません。しばらく時間をおかし願いたいと思います。
#297
○伊藤(忠)分科員 私が聞いているのは、ここでどういう法律を新たにつくって残事業をやっていくかということを言っているのじゃないのです。そういうことも含めてこれからの残事業を解決するためにはやっていかなければならぬ、当然そういうことは考えられるだろうと言っているわけです。
#298
○今井国務大臣 お説のとおりでございます。
#299
○伊藤(忠)分科員 そうですね。
 それで、物の考え方ですけれども、今も答弁をいただいておるのですが、私が一番気になりますのは、同対法、地対法とずっと積み上げてきたわけですけれども、そのもとになっているのは同対審だろうと思うのです。なぜかといいますと、憲法の精神を引き継いでそのことを前文できちんとうたいまして、これがベースになって事業法がそれぞれ今日までつくられてやってきたと私は思っているわけです。これは恐らく当局としても意見の違いはないと思うわけです。
 そこにどういうことが書いてあるか。「同和問題は、人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題であります。」私は、そういう立場に立ってこの差別を撤廃していくために国としてもやってきたし、これからもどういう思想的な立場に立つかといったらそこだろうと思うのです。「人類普遍の原理である」という一言で表現しておりますが、まさにこれがエッセンスだと思うのです。
 そこで、こういう考え方を敷衍するということになれば、テレビのコマーシャルじゃありませんが、「人類みな兄弟」というコマーシャルがブラウン管によく飛び込んでくるわけですが、つまりそれは、日本人だけ仲よければいい、こんな狭い範囲のものではない、このように私は思うわけです。つまり、人種とかなんとかいう枠を超えて、とにかく世界の全人類が差別のない世の仲をつくっていくことが基本的な認識でなければならないと私は思うのですが、この考え方について、私は間違ってないことを言っていると思うのですけれども、どんなものでしょう。
#300
○熊代説明員 同対審答申に引かれております基本的人権は、日本国憲法に保障されておりますもので非常に重要であるということでございまして、人類すべてについて基本的人権が重要であるということは日本国憲法の精神そのものであると思います。
#301
○伊藤(忠)分科員 それで、ということは、例えば私も地域では随分同和地区の皆さんと本当に一緒に生活をしているという、こういう仲です。例えばローカルですと、やはりいろいろ生活しづらいという、差別が残念ながらありますから、言うならばそういう条件がまだ残っているわけですよ。東京とか大阪なんかを見ますと、大都会へ行けば非常にそういう点は気兼ねしなくても生活ができる、そういう人情が働くのは、私、これは差別がある今日の社会ですから、当然だと思うのです。
 そうすると、東京という大都会で皆さんが一緒に生活しておれば、だれがだれかわからぬじゃないか、だから、もうそれで何か問題が解決したというふうな考え方を、言うならば気にせずに生活ができるのだからそれでいいじゃないかというふうな次元でこの問題をとらえたら、これは大変なことになると思うのですが、私はそういう考え方というのは全く正しく差別問題を理解をしていない、こういう考え方だからそういうふうなことになるのだ、こう思うのですが、この点については、大臣、どうですか。
#302
○熊代説明員 過日総務庁長官がお答えになりました、東京のような大都会では差別の問題が緩和されているのではないかという御答弁を念頭に置いての御質問と思いますけれども、総務庁長官の答弁の趣旨は、要するに、田舎におりますと、どこが地区であるか、それから地区住民であるかというのが、極めてといいますか非常に明白な形であるということでございます。そして大都会、東京のようなところに参りまして非常に都市化しますと、そういうことがなくて、日常生活では大部分の人がほとんど気にしないで生活している、だから大幅に緩和されるのではないかというふうに申し上げたわけでございまして、それがすべてそれで解決しているという趣旨で大臣が申し上げたわけではございません。東京でも一部では身元調査を実施する方もいらっしゃいますし、そういうことにつきましては今後とも啓発に力を注いでまいりたいというふうに考えております。
#303
○伊藤(忠)分科員 それはあれですか、総務庁長官が言われたのですか、あなた一生懸命何か注釈を加えていますけれども。いや、僕は知らなかったのですが、結局あれでしょう、薄められるというのですか、現象面でそうだというだけの話であって、実際差別の解決にはならぬわけでしょう。心はこれだということをあなた一生懸命に代弁していますけれども、そういうふうな考え方で、言うならば総務庁長官が事に当たられるということであれば、これは大変な問題でありまして、よもや厚生大臣が、今彼は何か一生懸命に補完していましたけれども、あれが心だとは思えませんよ。ですから、私が今、これは人類普遍の原理である、しかもそのことが解決をされなければ、どこで住もうが、現象面だけとらえて何か差別が根本的になくなったような、そんなふうな認識に立っているとしたら、これはゆゆしい問題でございまして、まさか厚生大臣がそんな認識じゃないと思いますが、その点はどうですか。
#304
○今井国務大臣 それは先生のおっしゃることよくわかります。そんな感じでございます。
#305
○伊藤(忠)分科員 つまり、私、念を押す気はないのですけれども、同和地区の皆さんが都会へ来て住んでいたらだれがだれだかわからぬから、まあこれで大体問題が解決したのじゃないかというような問題の認識ではいけぬわけで、やはり私が前から言っておりますように、そういう基本的な認識に立って差別を解決するために当たっていただきたいと言っておるのですが、その点でいいですね。
#306
○今井国務大臣 そういう意味で私はお答えしたわけでございます。
#307
○伊藤(忠)分科員 次に、生活保護の問題についてお伺いをしたいと思うのですが、これも資料を見るまでもなくて、生活保護を受けられている全国的な数字を見たときに、言うならば同和地区の皆さん方の生活保護を受けられている比率は極めて高いわけです。しかも生活保護には三つのランクがございまして、一級地と二級地は九%、二級地と三級地が九%、一級地と三級地の格差は一八%あるわけですね。そうすると、だれも好んで生活保護を受けている人はいないと思うのですよ。それは仲には間々不正な人もお見えでございますから、それはこの範囲に入りませんが、好きこのんでこういう生活保護を受けている人はいないわけで、やはりそこから抜け出したいというふうに頑張ってみえますし、もらわなければいかぬと思うのですね。
 しかし、被差別部落の皆さんで生活保護を受けられている率が高いという面を考えますと、実態を見ますと、これはもうまさに二重の差別だと私は思うのですね。二重の差別です。だれも好きこのんでそういう状態じゃないのです。もっと教育が機会均等で与えられておったら、あるいは就職の問題も差別がなければ、言うならば社会的にも万々の生活をやっていくということになるわけですから、そういう意味で私は二重の差別だと思っているわけです。
 そこで問題は、この生活保護の格付の関係なんですが、時間ございませんので、私、調べました点で申し上げますと、たしか昭和五十五年十二月に級地の見直しが行われまして、そのときの消費水準を決める一つの基準ですか、これが人口密度あるいは人口増減率、第一次産業就業者、この三つが大きな物差しになってつまり改定がされた、見直されたというふうに理解をしているわけですが、例えば人口、地方都市の場合は人口密度よりも人口増加率の高い方が、そういう地域の方が生活しにくい状況なんです。密度だけじゃないのですね。つまり、なぜそう言うかといえば、どういう状況かといいますと、団地の急増とか工場誘致が非常に盛んで、そうなるということですね。三点目の第一次産業の就業者の率に求めるという点ですが、これも第一次産業の就業者比率が高い地域は言うならば野菜も安く入るだとか、そういう点がかなり加味されてというふうに私は思うのですが、その方がお百姓をやっておれば話は別ですよ。キュウリやトマトを自分の畑からとってきて生活できるという方が生活保護を受けられているケースであれば話は別なんですが、食料品を買うという点では、私は、余りそのことが生活に大きな要素になるとは考えにくいわけであります。ですから、厚生省が使われました三つの基準というのを今後の見直しにもそのまま使っていくということについては、以上申し上げたような立場から、これは非常に疑義を感じております。
 そこで、具体的な市の名前を申し上げますけれども、三重県の場合には津と四日市と松阪と桑名が今二級地なんです。ところが、三級地は幾つかありますが、その中でも鈴鹿、伊勢、上野、久居というのは、二級地の四つの都市と比べましてどこがどのように違っているのかということは、生活実感からしてほとんど差はない。とりわけ鈴鹿市の場合には四日市のコンビナートと全く一体なんです。どこで区切るといったって、市の名前が違うだけでして、もうほとんど生活は一体的にやられているのです。にもかかわらずそれが三級地だというのは、どう考えても納得ができない、生活実感からしまして。こういう地域の住民、もちろん生活保護を受けられております当該者の皆さんは当然の話ですが、そういう全体の要求が非常に強いということでありまして、私、考えましたら、大体予算が要ることですから、厚生省も級地を決める前に枠を決めておいて、その枠の中に入らなければ外すということかいなと思っていたら、そうでもなさそうですね。それはやはり憲法に基づいて最低の生活を保障していくという立場ですから、予算は関係ないと言われますから、それだったら見直すということについてもおたくの積極的な姿勢があればきっといい結論が出ると思いますので、今私は実情を訴えましたが、これに対して当局の積極的な発言をいただきたいと思います。
#308
○小島政府委員 お話しのように、現在の生活保護の基準は五十五年十二月に設定したものです。先生お話しの三つの要素のほかにもう一本ありますのは、総理府の家計調査によりまして、推計値でございますが、市町村ごとの一般の消費生活水準を推計しましてこれで大体決める、それで先ほど御指摘いただいた三つの要素を加味して最終的な決定をするという手法で来ました。
 現在の級地のあり方、いろいろ御批判もあります。審議会の御意見もいただいているところでございますし、先生お話しのように、九%の区切りは大き過ぎやせぬかというお話もありますし、全体としての格差はもう少し開いているのではないかという御指摘もあります。したがいまして、六十一年、一年かけまして十分精査し直しまして、六十二年度当初から新しい級地区分を設定してまいりたい、こう考えて今作業中でございます。
#309
○伊藤(忠)分科員 私は実態を訴えましたので、その点を積極的に受けとめていただいて、見直しに当たってはそういう立場で結論を出していただきたいと思います。
 最後に一点、大臣にお伺いしますが、同和問題というのは極めて重要ですし、私は心からお願いをするのですが、同和地区に対する大臣の現地視察を考慮いただけないか、この点についてはどうでしよう。
#310
○今井国務大臣 おっしゃるまでもなく、この問題は私の県にもございまして、私は彼らとは極めて緊密な連絡をとっておりますし、よく知っております。また、御要請があれば、国会の模様も見ましてぜひ拝見いたしたいと存じます。地域によってそんなに差があるものではないと私は思っておりますから、私のところでは十分知っておるつもりでございます。
    〔主査退席、野上主査代理着席〕
#311
○伊藤(忠)分科員 最後にいたします。
 そのように積極的に日常現地を見られていることについては私たちとしても非常に評価をさせていただくわけですが、正式に大臣としてどこどこの地域を視察する、言うならばそういう形で出かけていただきますように強く要望、要請申し上げたいと思うのです。どうでございましょう。
#312
○今井国務大臣 どこを視察するかはまた今後の問題として、よくわかりましたので、ぜひ実行いたしたいと思います。
#313
○伊藤(忠)分科員 終わります。
#314
○野上主査代理 これにて伊藤忠治君の質疑は終了いたしました。
 次に、渡部一郎君。
#315
○渡部(一)分科員 エイズ、すなわち後天性免疫不全症候群について御質問をしたいと思います。
 一九七九年ごろ米国において発見されたこの病気は今や全世界において一万九千人程度にまで広がり、致死率は半年にして五〇%、三年にして九五%、治療法なし、対症療法のみの死の病と恐れられております。潜伏期間も長く、感染経路も依然として不明なところが多く、なかなかの難病であるということで今や広く世界に恐怖がはびこっているわけでございますが、私ども公明党といたしましてエイズ対策特別委員会をつくりまして、十一月二十日、政府に対し申し入れをいたしました。そして十二月初頭には私はロサンゼルス郡の保健局を訪ね、また南カリフォルニア大学メディカルセンターを訪問、現地におきまして治療の実態を調査してまいりました。その立場から政府の予算に対する取り組みあるいはさまざまな対策の取り組みについて多数の要望を申し上げたところでございます。幸いなことに関係各機関の御協力によりまして予算も大幅に増強し、対策もかなり充実したと承っているわけでございますが、いまだ十分とは言いがたい点もたくさんありますので、本日、ここに何ポイントかに絞りましてお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。
 まず、エイズの流行の現況並びにその対策につきまして簡明にお答えをいただきたいと存じます。
#316
○仲村政府委員 我が国におきますエイズの発生状況でございますが、現在までのところ十四名でございまして、血友病の患者さんの方が七名、それ以外の方が七名ということでございまして、幸いにしてアメリカのような状況にはなっておらないところでございます。
 それからエイズの対策予算でございますけれども、六十年度におきましてはエイズの調査検討費二百四十七万円、血液研究として五百十万円がございます。さらに科学技術庁の方から振興調整費をちょうだいいたしまして、エイズ診断技術の開発に関する緊急の研究費を四千三百万ほどちょうだいいたしておるところでございます。
#317
○渡部(一)分科員 あなた、悪いけれども声が聞こえないんだ。もうちょっと大声でやってくれ。
#318
○仲村政府委員 我が国で十四名発生しておりまして、半分の七名が血友病の患者さん、それから七名が一般の患者さんでございます。
 以上でございます。
#319
○渡部(一)分科員 この対策につきまして何ポイントか私は申し入れの際に申し上げたのでございますが、エイズに対する最終的な確認検査のできる機関がないので、それを早急に準備していただくようお願いしました。今八カ所できたと承っていますが、どことどこにできたのですか、まずお述べいただきたい。
#320
○仲村政府委員 科学技術庁からちょうだいいたしました振興調整費という研究費でエイズ診断技術の開発に関する緊急研究というのを約四千三百万円ちょうだいいたしまして……(渡部(一)分科員「違う、違う。最終確認のできる機関、病院は八カ所できたというけれども、どこだと聞いている」と呼ぶ)今申し上げます。抗体確認検査法をさらに確立いたしまして全国の基幹地方衛生研究所八カ所をつくるという予定でございまして、年度内につくる予定にしております。
#321
○渡部(一)分科員 それはどこかと聞いているわけ、ちゃんと答えて。
#322
○仲村政府委員 ちょっとお待ちください。済みません。――北海道の地方衛生研究所、宮城県、神奈川県、愛知県、大阪府、広島県、長崎県、沖縄県、以上でございます。
#323
○渡部(一)分科員 病院の名前をちゃんと言ってくださいと言っているんじゃないですか。ちゃんと言いなさいよ。そうしなければ患者は右往左往してそこらじゅうに電話をかけているじゃありませんか。だから、最終確認のできるところをちゃんと答えてくださいと事前に申し上げた。ちゃんと言ってください。
#324
○仲村政府委員 最終確認のできますところは地方衛生研究所でございまして、各県の県庁所在地にあるところでございます。
#325
○渡部(一)分科員 抗体検査は中央薬事審議会において未承認であったので早急にそれの結論を出すように申し上げましたけれども、その承認はとれたのか。また、エイズ検査用の試薬、検査器具については許可が出たのか。それはいつそうなったのか。ちゃんと答えてください。
#326
○小林(功)政府委員 エイズ抗体検査試薬は、優先審査をいたしましてことしの一月二十日に承認がおりております。
#327
○渡部(一)分科員 試薬といったっていろいろな試薬があるわけだから、何の試薬とちゃんと言ってください。
#328
○小林(功)政府委員 ウイルス抗体の検査試薬でありまして、会社名はダイナポットであります。
#329
○渡部(一)分科員 感染症の治療に携わっている都立病院、駒込、豊島、荏原、墨東の四病院に問い合わせましたところ、エイズ抗体の保有者、エイズの相談に来られる方の数は次第に増加中であり、目下のところはホモ、バイセクシュアルの方々が多いのでありますけれども、女性にも拡大中であるというふうに聞いておるわけでございます。また、この人々の調査の中でわかることは、都内の人々だけではなく都外の人々からの相談が少なくとも四割程度も含まれるという状況を考えますと、相談する場所、最終的な確認検査のできる場所をさらに充実する必要があると思います。それに対してどういうお考えですか。
#330
○仲村政府委員 おっしゃる意味は、一般の方が心配なときにどこへ相談に行ったらいいかということだと思いますが、私ども従前から相談窓口を設置するようにということで都道府県に指示しておるところでございます。一般の窓口としましては、各県、保健所等を合わせまして、都道府県が三十六カ所、保健所が百五十五カ所、専門的な窓口といたしましては、一部予定も含まれておりますが、六十五病院ということで設置がされておる状況でございます。
#331
○渡部(一)分科員 あなたの言うのはこれからの計画であって、今相談できるところでない。今相談できるところをちゃんと公告しなければいけない。これからここに広めますというなら、それはそれでわかる。今は何カ所でどこかと今後ちゃんと言ってもらいたい。これは約束できますか。
#332
○仲村政府委員 先ほど予定も含まれると申しましたのはごく一部でございまして、六十五の専門窓口というのは医療機関で、一月末までにそれを設けるようにということで私ども報告をとっておるところでございます。それは間もなく住民の方々に十分わかるように周知するよう指導しておるところでございます。
#333
○渡部(一)分科員 こういうPRについては非常にレベルが低く、私は甚だ不本意であります。だから、問い合わせをする人々が右往左往する。私の事務所にまで山ほど電話がかかってくる。それに対するおたくの資料は何もないわけです。これは全く問題だと私は思っておるわけですね。大衆を余りおびえさせないようにするためには適切な検査所が必要である。
 ところが、今あなたが言われたような病院に実際に問い合わせてみるとどういうことになるかというと、医者はエイズの検査法について自信がないといってみんな断っているのが実情じゃありませんか。それでエイズのことに関しておたくが通知された内容を見ると、単なる症状を列記したペーパーが出ているのにすぎないのであって、実際の最終検査のできる技術は持ってないから取り次ぐだけにすぎないじゃありませんか。だから、実際に検査のできる試薬、器具を持ち、そしてそれを運用できる技術者を早急に養成しなければいけない。それはいつになったらできるのですかと私は聞いているのです。
#334
○仲村政府委員 先ほど申し上げましたように、最終的な血清の診断は今年度内に八カ所を設置するようにしておりますが、医療機関につきましては、先ほど薬務局長からもお答えございましたように、認可されたのが一月でございまして健康保険に収載されるのが四月一日以降でございますので、医療機関についてはしかるべくこれから指導していきたいと考えておるところでございます。
#335
○渡部(一)分科員 こんなところで時間とるつもりはなかったのだけれども、何月何日までに何カ所できるのかという日付がないで、単なる確信を述べている。それじゃ困るのです。そこのところに教育というかPRというか周知徹底の下手さがある。大臣、ここのところは後で固めて答弁していただきますが、きちんとやってもらいたい。なぜこんなに大騒ぎになるかというと、一つは対応のまずさがあるからなんです。
 次に、献血をなさる方が毎年八百万ないし九百万あると伺っています。血液と精液という大きな部分で伝染していくこの病気については、献血者の献血するポイントをつかまえて検査をすることが非常に大きな防疫の手がかりであろうと思われるわけであります。今までと違って、今年厚生省並びに日赤は百万人を対象に日赤の経費持ちで東京、大阪で四月から検査を行うということを伺っているわけでございますが、これは画期的なことであると歓迎しているわけであります。しかしながら、これができたとしてもまだ七百万ないし八百万の献血者はそのまま放置されるわけでございますので、なるべく早急に全部の献血について検査できるようにしていただきたいと思うのでございますが、どうでしょうか。
#336
○小林(功)政府委員 お話がありましたとおり、献血血液についてのエイズウイルスの抗体検査は大変重大な課題だと我々も認識しております。先生も御案内のように、これまでに二万四千人の献血血液につきましてモニタリング検査をやったわけでございますが、その結果は、今のところ幸いにして抗体を持っているケースは一例もないわけでございます。そこら辺を考えて、実は六十一年度予算で五千万円の予算を計上してただいま御審議をいただいておるわけでございますが、私どもはそれを核にして日赤の御協力も得て、全体として約百万人規模の抗体検査を実施しよう、こういうつもりでおるわけでございます。したがいまして、我々としては今後の検査結果を常時把握いたしまして細心の注意を払って監視をして、必要があればまた適切な対策を講ずるという姿勢でやってまいりたいと思っております。
#337
○渡部(一)分科員 従来の血液検査と称するものは、梅毒の検査にいたしましても、血清肝炎の検査にいたしましても、B型肝炎の検査にいたしましても、血液を検査してから本人に教えるかどうかは必ずしも決められていませんでした。つまり、主治医の判断にゆだねられていたと思われます。そのために、ある意味では本人の症状がそのまま町の中へ野放しになっているという状況も一面で生まれるという悪い結果も生んだと思います。しかし、お医者さんの監督のもとに、ある意味では管理下に置かれた患者の方々に対してはある程度目が通るし、それはそれで一つのルールであったかと思います。
 しかしながらエイズの場合は、エイズ発症者とARC、すなわちエイズ様の患者の人々、それから抗体を保有しているけれども発症していない人、この三種類とも感染源になる素質を持っているという特殊な病気であります。したがって、献血時検査が行われたとしても、それを本人に告知しないならば、この人々が感染源になるということは十分想像できるところであり、私どもも不安にたえないところでございますが、本人告知についてはいろいろな問題があり、人権上の配慮等もあろうかと思いますので、この点を目下のところどう考えておられるか、御説明をいただきたい。
#338
○仲村政府委員 冒頭先生もおっしゃいましたように、潜伏期も長いということでございますし、抗体陽性の方から必ずしも発病するということではございませんので、告知につきましては非常に難しい問題があろうかと思います。がんと同様な部分もございましょうし、アメリカではいろいろの問題も起きているようでございます。したがいまして、私ども現在までのところは基本的には医者と患者の間の信頼関係に依存するべきではないかというふうに考えておりまして、行政的に画一的に決定すべき事柄ではないのではないかというふうに考えておるところでございます。
#339
○渡部(一)分科員 そう言われるとけんかを売らなければいかぬね。そういうふうに行政で簡単に決められるかと私は聞いているのです。それは今後研究すべき課題じゃないんですか。私はそれほど厚生省がこの問題に対して確たる態度をとっているとは思われない。これはなぜそう言うかというと、私は、アメリカのサンフランシスコ郡においてエイズを理由にして就職あるいは就学あるいは交際等で差別をするものを排除する条例を手に入れて厚生省に差し上げたはずです。それほど人権問題について配慮しているというところも現に見えております。
 しかしこのエイズの発症者、エイズ様の患者の人々あるいは抗体の保有者の人々、いずれもこれは伝染源となる、感染源となる素質を持っているということはもう明らかではありませんか。それを間違えて、潜伏期間が長いからそんなものは大体問題じゃないんだという言い方をあなたがなさったのは大変な間違いであって、こういう抗体保有者も含んで考えますと大変な人数が日本にもう既におられるわけだ。そういう人々に、本人に告知しないで医者がうまく管理できるのかどうか、私どもは疑っているわけです。
 そしてこういう人々に対する差別問題が大々的に発生するなら逆に社会的大問題になりますでしょう。アメリカのケースでいくと患者が百倍、百倍、百倍のケースでこの三年累増をいたしております。それを考えると、日本の今の患者数というのが、数千名と思われる患者数がもしあったとすると、そうすると、これが百倍、百倍などというレベルでもし引き上がったら、三年後には数百万のレベルに到達するでありましょう。そのときに、エイズ患者が町を歩いているという事実は衝撃ともなって町じゅうの大騒動の種になるでしょう。
 そうすると、我々は抗体を保有している人、エイズのいわゆる保菌者というものに対してどういう扱いをするか、それは今後の研究とも絡むわけでありますし、法務省とも相談しなければいけないだろうし、こちらのお役所でももちろん相談しなければいけないだろうし、日赤とも相談しなければいけないだろうし、医師会とも相談しなければならぬだろうけれども、どういうふうにするかは今後研究するのがしかるべきでないか。そのためにはよほど的確な審議会でもつくらなければ間に合わないのではないか、私どもが提案しているのはそのことなのであります。したがって、審議会あるいは各省の連絡会議等をつくってこれについて十分研究をする、検討する、そしてしかるべく委員会にも報告しつつ衆知を集めて対策を立てるというやり方をなさるべきかと思いますが、どうですか。
#340
○仲村政府委員 御指摘のとおりでございまして、先ほど申し上げました潜伏期が長いというのは、その期間にどういう方が発症するかわからないという意味で非常に難しい問題もあるということで申し上げたつもりでございましたけれども、御指摘のようなプライバシーの問題はあるわけでございますので、そういう点にも十分配慮しなければいけませんけれども、この病気の感染源対策として、保菌者と申しますか抗体陽性者、非常に重要であることは間違いございませんので、御指摘のような御意見も踏まえまして、専門家の方々にもなお慎重に検討を依頼してみたいと考えております。
#341
○渡部(一)分科員 結構だと思いますが、もう一回言っておきますけれども、エイズの発症者は全体の一〇ないし一五%です。ARCの人が一五ないし二五%でしょう。抗体保有者の人が六〇ないし七五%でしょう、アメリカの例では。そのいずれもが感染源になり得るわけだ。だから今十四名と報告された分は日本でのエイズの発症者一〇ないし一五%の分が十四になる、こう見なければいけない。だから、逆にいけば千人か二千人か患者がおるのです、その感染源が広がりつつあるのですと見るのが正しいでしょう。そこをよく考えておやりいただくようにお願いをしたいと申し上げているわけであります。
 だから私は、患者の人権を守ると同時に患者でない人の人権も守る必要がある。この両者のバランス、調整は甚だ困難なものであって、それに対する対策は少々お金を惜しんでいたりしたらとてもできるものじゃない。いわんや献血者全部の血も検査できないような現況では、妙な形で国民の中に不安が広がれば恐慌を来すだけである。少なくとも今年の予算ではまだ十分でない。研究費も十分でない。予算措置も十分でない。全献血者の検査もできていない。最終確認の場所もまだ八カ所である。また検査する技師もそろっていない、こういう状況でありますがゆえに、このレベルを早急に引き上げていただきたいと思うのですが、どうですか。
#342
○仲村政府委員 おっしゃられるとおりの問題を含んでおりますけれども、非常に難しい病気であることも事実でございますので、一方において研究も進めなくてはいけませんけれども、行政的にもさらに対応をもっと的確にするように努力してまいりたいと考えております。
#343
○渡部(一)分科員 今度予算のことですが、ことしはエイズ調査研究費に三百七万七千円、血液研究事業に五百十万円、血液対策費に八億九千七百十一万五千円、総合計いたしまして九億五百二十九万二千円である、こう承っておりますが、そのとおりですね。
#344
○仲村政府委員 六十一年度、ただいまお願いしております概算の決定額は先生のおっしゃったとおりでございます。
#345
○渡部(一)分科員 そのほか科学技術庁あるいは総理府等の御関係において研究費がこれに追加されると承っているわけでありますが、どういう研究費がどういうふうに出ておるんですか。
#346
○仲村政府委員 科学技術庁からの研究費は今年度分でございまして四千三百万円でございます。六十一年度につきましては、まだ研究費の全体の枠の中からエイズにどれだけ割くかという問題がございまして、額としては決定しておりません。
#347
○渡部(一)分科員 天皇陛下の在位を記念するための研究費が拠出される予定であると承りましたが、それはどれくらい出るのですか。
#348
○仲村政府委員 九億五千七百万円がただいまおっしゃいました調査研究費でございまして、そのうち幾つかの分野がございますけれども、免疫に関係するところがこのエイズとも関係するのではないかと私ども考えております。
#349
○渡部(一)分科員 それは幾らか。
#350
○仲村政府委員 内容的にはこれから配分されるかと考えております。
#351
○渡部(一)分科員 何だか煮え切らない話ばかりですが、もっとびしびしやっていただきたい。エイズの問題というのは人の命がかかわっているんですからね。
 それから血液製剤ですね、いわゆる分画製剤の問題について承るわけでございますが、伺うところによると、厚生省の昭和三十九年の資料によりますと血漿分画製剤については輸入がリットルで三百三十万リットル、それに対して、これは全体で三百四十三万リットル、九六・二%が外国からの輸入で賄われているという数字をちょうだいいたしております。これだけの量を考えますと、恐らく日本の全献血量に匹敵する量でありますから、現在の献血量を二倍にしなければ追いつかないというような事情でありましょう。日本人が元気で長生きしているのは、外国から血液を集めて、その生き血を吸っているからだという批評が外国の新聞等に既にあらわれ始めております。
 この分画製剤を日本に導入するに当たって問題が二つございます。一つは、日本側が分画製剤を乱用している、何でもかんでも分画製剤を使うという状況があったことに対して、私どもは反省し、使用の抑制をしなければならない。適正な使用というのが適切だろうと思いますが、しなければならないという面があるでしょう。その指導はいつなさるのか、どうされるのか。そして諸外国に対して顔向けできるようなバランスのとれた、国内産血による血漿製剤の作製というものに取り組まなければならぬでございましょう。この点はいかがでございますか。
#352
○小林(功)政府委員 おっしゃいますように、日本における血漿分画製剤の使用量は確かに多いと思います。自給体制を何とか確立しなければいかぬということで考えますと、供給面だけではなくて、医療の現場での使用を適正化することがどうしても必要であると私どもは考えます。そこで現在、厚生省に血液事業検討委員会というのを設けておりますけれども、その中に血液製剤使用適正化小委員会というのを設けまして、血漿分画製剤の適正使用のためのガイドラインの作成を行っているところでございます。このガイドラインは夏ごろまでにはつくっていただきたいと私どもとしては思っておりますけれども、それができましたら、それをもとにしまして、もちろん医師会とか医学界等の御協力も得ながら、正しい使用法を広く周知しまして、血漿分画製剤を含む血液製剤の適正使用を実現していきたいと考えているところであります。
#353
○渡部(一)分科員 この分画製剤を日本に輸入するに当たって、熱処理を加えればエイズウイルスはその中に入らないと言われてきたわけでございますが、今まで大量にこの分画製剤を使ってしまったいきさつがある。私がアメリカで聞いたときには、昨年の一月まで日本へ送った分については我々は責任は持てない、それはどのくらいのペースで使われるのだと言ったら、ほぼ一年使われるだろうと言っていた。日本側が血漿分両製剤についてファクター[とファクター¥のものを許可した最終は十二月になってからであります。そうすると、これらを使わざるを得ない特別の患者の方々あるいは特別の方々でなくとも、これを使ったと思われる方々にとって不安が大々的に広がっているわけであります。既にこうしたものを使った人々に対してどういうように安心感を与えるか。それは早急に検査をして、この人たちを管理のもとに置くことが必要であろうと思うわけであります。それに対してはどうお考えでございますか。
#354
○仲村政府委員 血液製剤につきましては、現在のところは安全だというふうに私どもは考えておりますが、今おっしゃいました過去に使った方々の血友病の患者さんについては現在約五千人くらいだと私どもは考えております。(渡部(一)分科員「違う、それはヘモフィリアだけでしょう」と呼ぶ)私どもは血友病に[と¥の因子を使うということで考えておりますので、五千人ということで申し上げておるわけでございます。
#355
○渡部(一)分科員 それは違う。もうちょっと勉強してもらいたい。私はきょうは非常に不本意である。私の方が専門家みたいな口をきくのは非常に不本意です。(「専門家だ」と呼ぶ者あり)そうじゃない。向こうが専門家だ。医学博士もたくさんいることだから、もうちょっと研究してください。
 血漿製剤というものはヘモフィリアの人々にも使われて、それは五千人ですけれども、それ以外に山ほど乱用されたのがあるでしょうと私は言っているわけです。ヘモフィリアの方々は完全なコントロール下に置かれているから、ある意味ではもう心配ない。ところがわからない人々、その人たちが右往左往しているわけです。これについてどうしなければならぬか。お役人は余りこの場で恥をかかせるに忍びないから、私はきょうはもう言うのをやめます。だから、この次もう一回やってください。こんな状態では心もとなくて厚生省に対する信頼がなくなるばかり。だから大臣、まとめて御答弁いただきたい。
 このように、この問題は既存の治療の、医療のルールをはかるに超える恐ろしさを持っておる。それは既存の医療システム全体を見直さなければならぬ幾つもの問題が生じておる。そして、この問題で日本国民を騒がせることは我々の本意でない。早急に、スピーディーに、そしてできれば体制を整えてしまうということが大事だ。それは我が国の政治の中の人間の生命に対する態度を示すものであり、広く国際社会に登場する日本国としても非常に大事な問題になると思うのです。だから、この問題は早急に片づけていただきたいと思うのです。これで私の質疑時間は終了ですから、大臣、まとめて形のいい答弁をしていただきたい。そうしなければ私はほえなければならない。お願いします。
#356
○今井国務大臣 さっきから応答をずっと聞いておりまして、私も専門家ではございませんが、御熱心にこの問題を御検討願って、その提案をいただいておりますから、私どもそれを受けとめまして、省内に衆知を集める意味の審議会でも一遍つくりまして、この問題にまともに対策を立てるようなことをぜひ早急にやってみたいと思っております。
#357
○渡部(一)分科員 担当部局の方が一生懸命やっておられるのはわかっておりますから、ひとつ全省挙げて一生懸命のお取り組みをお願いいたしまして、終わりといたします。
#358
○野上主査代理 これにて渡部一郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、横手文雄君。
#359
○横手分科員 私は、腎臓病患者対策について御質問申し上げます。
 医学の発達は、かつて死の宣告であった腎不全を人工透析療法によって死の深淵から救い出すことができるようになりました。そして今、多くの人たちは人工透析治療を受けながら、それぞれの職場で、地域で頑張っておられます。しかし、健康体の人たちに比べると多くのハンディを持っておられることも事実であります。したがって、国としてもこれら患者の皆様の要望にこたえて、その対策に力を入れておられるところでありますが、なお拡大充実しなければならない点がたくさんあります。私は、患者の皆さんで組織しておられる全腎協の要望に沿って御質問や御提言を申し上げます。患者の方々、また、ともに苦しみを分かち合っておられる御家族の方々に対して、大臣並びに各行政機関の誠意ある姿勢をお示しいただきたいと思います。
 まず、腎臓病患者対策について大臣の御所見をお伺いいたします。
#360
○今井国務大臣 腎臓病の問題につきましては、お説のとおり、これから治療法などの調査研究あるいは腎疾患の早期発見のための健康診断の実施あるいは腎移植の推進などを通じて対策の充実を図り、患者や家族の方々に不安を生ずることのないよう、これから本当に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
#361
○横手分科員 大変力強い大臣の決意を聞かしていただきました。
 五十九年末の我が国の人工透析者は五万九千八百十一人、対前年比六千七百九十四人増と言われております。やがて十万人になるのではないかとも心配をされているのであります。施設も満床状態にあります。治療に要する保険金の支払いも三千五百億円、これまた増加の傾向にあります。一方、診療報酬は引き下げられました。ために患者の皆さん方の心配は、これからは民間の施設はふえないのではないか。そういうことになれば国立の医療機関に頼ろうとする。ところが国立病院は統廃合の方向が出されておる。
 聞くところによりますと国立王子病院、ここでは今四十人の透析患者を持っておられるそうでありますが、ここを中心として民間病院で約百人の患者もおられる。その民間病院では、もし何か異変が起こった場合にはこの国立王子病院と連絡をとりながらその治療を進める、そういったことの中で進められておるところであります。ところが、この国立王子病院は廃止の対象病院と聞いております。こんな話を聞けば、週に二回も三回も透析を受けなければ生きていけない患者にしてみれば、こういうことがだんだん広がってくると、一体全体どうなるのであろうかという不安が生じてくるわけであります。
 この不安の解消のために、これら患者の皆さん方の不安の解消のために、厚生省の見解はどういうことでありましょうか。医療費がやがて自己負担になってくるのではないか、あるいは医療機関からだんだんと締め出されてしまうのではないか、あるいは一部諸外国ではこの透析の年齢制限が始まったと聞く、やがて日本にもそういうことが起こってくるのではないか、こういったもろもろの不安を持っておられるわけでございますけれども、これに対する厚生省の御見解はいかがでございますか。
#362
○仲村政府委員 先ほど例に引かれました国立王子病院の問題でございますけれども、統廃合によりまして統合された後の医療機関について、その地域の医療をどう確保するかという問題は別な角度から慎重に検討すべきだと思いまして、今おっしゃっておりますように国立王子病院を中心に、あとサテライトで百名とおっしゃっておりましたが、透析を受けておる患者さんがおるということでございますけれども、そういう点を十分考慮しなくてはならないと考えております。
#363
○横手分科員 私が御質問を申し上げましたのは、例えばこういうことも患者さんの心配の中にありますということでございまして、医療機関からもやがて締め出されてしまうのではないか、あるいは医療費を自己負担しなさいというようなことになってくるのではないか、あるいは聞くところによると諸外国では年齢制限等もあるやに聞く、こういうことになるのではないか、こういったもろもろの心配がございますけれども、これらに対する厚生省の見解はいかがでございますかということをお聞き申し上げておるのであります。
#364
○仲村政府委員 透析医療につきましては、四十七年から更生医療の公費負担を導入いたしまして、その後、おっしゃいますように透析の患者さん非常にふえてまいったわけでございますが、健康保険でもその点数を十分に見ていただいていると私ども考えておりますので、そういう面からの御心配は要らないのではないかというふうに考えております。
#365
○横手分科員 私は昭和五十八年、この分科会においてこの問題を取り上げさしていただきました。その際、全腎協の要望の一環として、中央地方を通じて腎臓病対策委員会を設置したらいかがなものでしょうかという提案をしたのでありますが、その答弁の中で、総合的医療機関、他の医療機関等の問題もこれあり、増設することはできない、しかしながら専門家の先生方に必要に応じて集まっていただき、いろいろの御検討をいただき、政策に反映をしながら総合的な政策を推進するようにしたいという答弁をいただいているのでございますが、これらについて自来具体的にどんなことをなさいましたか、お聞かせをいただきたいと存じます。
#366
○仲村政府委員 前回の御質問のときの議事録、私も読まさしていただきましたけれども、関係の学会の方々といろいろ御意見を交流するとか、お知恵を拝借するということをやってきておりますけれども、そのほかに地方腎センターというのがただいま十一カ所ございますけれども、この会議をことしの一月二十三日にやっております。それから腎臓バンクでございますけれども、腎バンクの会議を明日行う予定にしておりますが、このような形でいろいろ腎臓対策全体について適宜専門家の意見をお聞きするような形でやっておりますし、そのほかに担当の課長会議でございますとか担当の係長会議も予定しているところでございます。
#367
○横手分科員 私はそのときにも皆さんの要望として具体的に幾つかの問題を申し上げてまいりました。そして今、簡略して、当時の厚生省の答弁はかくのごとくでございましたがということを念押しをさしていただいたわけでございます。
 私の福井県でも福井県の腎友会が組織をされております。そして、毎年これらの人たちがそれぞれの地域で会議を持っておられます。それは透析を受けておられる人たちばかりでなくして、腎臓の患者の皆さん方も集まっておられますし、これにはそれぞれの専門家の先生方あるいはカウンセラーの皆さんあるいは看護婦の皆さん方も出席をされて、食事療法なりいろいろな自分でできる療法等についていろいろと御指導をなさっております。このことは全腎協でも高い評価を受けておられるわけでございまして、私は、こういった渦といいましょうか、こういったものが全国的にやはり広がっていく、こういうことが大変大事なことではないかと思いますが、厚生省のお考えはいかがでございますか。
#368
○仲村政府委員 福井県では患者さんにそのような研修会を開いておるということを私どもも聞いておるところでございます。今おっしゃったような目的がうまく機能しているかどうかも含めまして研究さしていただきたいと思いますが、私どもといたしましても長い間、医療機関にかからなくてはいけない患者さんでございますので、医療機関中心がいいのではないかという考えも一方にはございますけれども、横断的に腎友会のような形の組織が自主的に活動されることは大いに歓迎すべきだと思いますが、さらに行政機関としては医師、看護婦等の研修もやはり考えていかなくてはいけない、多角的に考えていきたい、このように考えております。
#369
○横手分科員 大変くどくなりますが、この間のときにこういうことを申し上げて、そして、これからは先生の御意見を踏まえて総合政策について取り組んでまいりますという答弁をいただいたのであります。その後、私は福井県においてこういうことを経験をしております。そういう会議にも出さしてもらいました。これは福井県から補助金をもらってやっております。このことは人工透析を受けておられる方だけではなくして、腎臓病を持っておられる人たちも広く呼びかけて、そしてそれぞれのかかっておられる病院の先生方あるいは看護婦さん、こういった人たちを講師に招いて、そして一日がかりでその地域の公民館等を借りて勉強をしておられる、こういう実態がございます。これらの問題については積極的に広げていく姿勢はございませんか、こういうことをお聞きしておるわけでございます。いかがですか。
#370
○仲村政府委員 先ほど申し上げましたように、地方腎センターでございますとか腎バンクは民間の方も入っておられますので、当面そういう形で腎移植についてさらに推進を図ってまいりたいということも私どもとしては考えておりますが、先生の御提案のような研修会をどのような形で開けば効果があるかというふうなことは、ぜひ研究させていただきたいと考えております。
#371
○横手分科員 それらの問題は、現実にやっておるところがあるわけでございますから、どうぞ研究をいただいて、そういったことについて積極的に取り組んでいく、これが厚生省の姿勢でありますというぐあいに理解をしてよろしゅうございますか。
#372
○仲村政府委員 先生のおっしゃるとおりだと思います。
#373
○横手分科員 先ほど大臣、今も御答弁の中にもございましたように、これを根本的に治すということは腎臓の移植の問題であります。透析を始めるということは、もうその人は死ぬまで一定のサイクルでやり続けなければ、それをとめたら命がなくなるということでございます。したがって、それを乗り切っていくためには腎臓の移植ということでございまして、現在の医学は今どこまで進んできたのでありましょうか。さらに今後どのように進歩していくのでありましょうか。拒絶反応等があって、うまくいくとかいかぬとかというような話もよく聞きますし、聞く人によってそれぞれいろんな話をされますので、我々はその判断に迷うときがあるわけでございますが、その点について厚生省のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
#374
○仲村政府委員 死体腎移植が最も望ましいと私どもとしては考えておりますけれども、生着率と言っておりますけれども、生着率は九割近くということで非常によくなっておりますし、免疫抑制剤も新しく薬の輸入が許可されるわけでございますので、今後は腎移植についての展望は非常に開けていくのではないかと考えております。
#375
○横手分科員 先般テレビで「脳死をこえて」というドラマが放映をされました。これは脳死問題を中心に取り上げられたことでございましたけれども、そのドラマの中で、腎臓移植を受けた青年がソフトボールに興じた、そして初めて汗をかくことができた、こういったシーンの中で彼は、僕に腎臓を下さった人のことを思うと、この汗はもったいなくてすぐにタオルでふき取ってしまうようなことは僕にはできない、こんなことを叫んだ一シーンがありました。私も大変感動したわけでございます。私も近々この腎臓バンクヘ登録の予定でありますし、私の秘書もやりますということでございますが、今、全国で腎臓バンクヘの登録者はおおむね何人おられますか。
#376
○仲村政府委員 各腎臓バンクに登録をいただくようにしておるわけでございますが、おかげさまでだんだんふえてまいりまして、腎提供登録者は六十年末までに十万人を超えたところでございます。
#377
○横手分科員 目の見えない人たちに光をということで、角膜の提供者になってくださいという呼びかけも行われておりますが、アイバンクの登録者数はどんなものなんでしょう。
#378
○仲村政府委員 ちょっと手元に数字はございませんので、もし間に合いましたら後で御報告させていただきますが、三十万を超しているというふうに記憶しております。
#379
○横手分科員 私は、そういった人間の善意を信じながらこういった人たちに光を与える、あるいはこのテレビのドラマで若者が叫んだように、私の汗は私に腎臓を下さった人のことを思うと、もったいなくてすぐタオルでふけません、こういった人間愛は広げていかなければならないと思っておるところでございますが、ただ、私どもが地方で見ている範囲内では、この宣伝活動にいま一という感じがございます。アイバンク等につきましてはボランティア活動、特にライオンズクラブの皆さん方、あるいは場合によっては労働組合の皆さん方も音頭をとっていろんな機会に呼びかけをしておられます。ただ、私は福井県という狭いところで一定の地域でございますから、これをもって全国を律するというのはどうかと思いますけれども、腎臓の提供者になってくださいというような呼びかけは余りございません。ただあるのは、腎臓患者の皆さん方が腎友会の総会を福井市で開かれる、その前後に福井駅頭あるいは繁華街でチラシを配っておられる、あるいは先ほど申し上げたように患者の皆さん方が集まって研修会をされる、その前後にみんなが町へ出て配っておられる、こういう光景をたまに見る程度であります。
 これらの問題については、私に下さいという本人がやるよりも、広い範囲の中で運動が起こってくる、こういうことが大変大事なことだと私は思います。このごろよくテレビにも、アイバンクに登録をしてくださいという呼びかけの中で、目が見えた、私が最初に見たのは先生の顔でございました、私に角膜を提供していただいてありがとうございましたという感動的なシーンを出しながらテレビの宣伝等も行われているわけでございますけれども、腎バンクのこういった予算はどうなっておりますか。
#380
○仲村政府委員 おっしゃいますように、腎臓の提供をする方の登録を促進するという事業を私どもとしても非常に重要だと考えておりまして、六十一年度から、仮称でございますけれども腎移植推進月間を設けまして全国的な普及啓発を図っていきたいと考えておりますが、その予算は実は大蔵省からもお認めいただきまして今年度の百五十六万から七百十九万にというふうにふえているわけでございます。
#381
○横手分科員 余り時間もございませんので私は希望として申し上げておきたいと思います。
 役所の方で予算を組んで何とか月間ということで行われますが、これらの問題については、地域ではそれぞれのボランティア組織がございます。先ほど言いましたようにライオンズクラブだとかあるいは労働組合だとか、そういったところにも積極的に呼びかけていただいて、アイバンクが三十万人なら、この腎臓バンクが十万人というのではちょっと寂しいのじゃないかと思いますから、私もまたそのことのために頑張ってまいりますから、ぜひ成果ある運動を広げていただきたいと思う次第であります。
 それから、この問題については、腎臓だけではなくすべての病気は早期発見、早期治療ということが大変大事なことでございまして、特に腎臓病については予防注射をしておけばならないとかそういうものではありません。これはもう検尿によって早期発見をする以外にないのでありまして、ある学者の発表によれば、早期発見ができれば人工透析の時期をおくらすことができる、そしてそういうことがあれば、その治療にかかる金額等を含めれば、この早期発見は金銭的にも大変大きな前進であるというようなことが述べられておるのであります。私は、そういったことを踏まえながら、この早期発見について厚生省の御努力をお願いを申し上げるわけであります。今もまた厚生省では努力をされております。ただ、幼児の場合には厚生省の家庭局、小中高校生の場合には文部省、あるいは勤労者は労働省、一般家庭、自営業者は厚生省の保健医療局、それぞれの立場でこの問題が行われております。私は、一番把握しやすいところがそれを行うというのが一番いいことだと思うのです。学校の子供らは一カ所に集まってくるわけでございますから、それを文部省がきちっとやってもらえると、もうそれ以上のことはないわけでございます。あるいは会社でそれがきちっと行われるということになれば労働省が音頭をとって、労働安全週間等について検尿も必ず義務づけていただく、こういうことが大変大事なことだと思います。ただ私は、それはセクション、セクションで行われるということだけではなくして、先ほども申し上げましたような前提に立つとするならば、厚生省あたりが音頭をとってこれをトータルでまとめていく。実際の推進はそれぞれのところがやるけれども、厚生省はトータルできちっとまとめていくということが大変大事なことではないかというふうに思うわけでございます。
 特に文部省等にお聞きをいたしますが、先ほども、ある学者がこんなことをおっしゃいましたということを申し上げたのですが、学校におけるそのような検尿を文部省で行っておられますが、その成果といいましょうか、何人の子供たちを見つけて、こういうことがございましたという何か数字がございましたら教えていただきたいと思います。
#382
○下宮説明員 お答えします。
 学校における尿検査につきましては、昭和四十九年度から尿検査を健康診断の項目として義務づけて、現在では毎学年実施しているわけでございます。尿検査の結果につきましては、十年前のデータと比較いたしますと、たんぱく検出者の推移でございますが、小学校は昭和五十年一・四八%、六十年が〇・七七%でございます。中学校は同じく二・八八が一・七六、高等学校が三・三一が一・八〇ということで、たんぱく検出者につきましては減少の傾向を見ております。
 一方、そのたんぱく検出者の精密検査の結果、腎疾患ということで病気として認められた児童生徒の推移でございますが、昭和五十年と六十年を比較いたしますと、小学校が〇・一二、六十年も〇・一二でございます。中学校が〇・二〇が〇・二一、高等学校が〇・二四、〇・一七ということで、腎疾患を有する子供の数はほぼ一定しているのではないかということでございます。
 しかしながら、学校での尿検査が徹底しているということで、関係者からは学校健診につきましては評価を受けているという感じを持っているわけでございます。
#383
○横手分科員 お示しいただきましたような数字については、特にその傾向値がどうなっておるということよりも、いかに早期発見ができるかということが大変大事なことでありますので、余り時間もございませんが、大臣いかがですか。こういうことでそれぞれのところで検尿をしておられます。厚生省はその主体にならなければなりませんが、先ほども言ったようにそれぞれの検査をそれぞれやりやすいところが受け持っていただければいいと思いますけれども、一体的なものを厚生省としてしっかり把握する必要がありはしないかと思いますが、いかがでございますか。
#384
○今井国務大臣 おっしゃるように、私もさっき答弁をいたしましたが、腎疾患の早期発見のために云々と申し上げました。極めて大事なことでありますので、厚生省が握ってはどうだということ、やはり私どももひとつその仕組み、どんなふうにすればいいのか、一遍これは検討させていただきたいと思います。
#385
○横手分科員 私の方は、ぜひそういうことをやるべきでありませんかということを申し上げたのですが、大臣は検討だけですか。
#386
○仲村政府委員 大臣からお答え申し上げる前に私から御答弁させていただきたいと思います。
 それぞれ目的の違う健康診断もまじっているわけでございまして、それに幸いにしてと申しますか尿たんぱくの情報が含まれているということで、そういう観点で、その情報を活用しない手はないということでは、おっしゃるように有機的にそれを腎対策という観点から眺めなくてはいけないと思いますが、実施体制そのものにつきまして厚生省で一括ということまでは先生もおっしゃっておらないと思いますけれども、それは実際問題としては非常に難しいのではないか、こういうことがお答えになろうかと思います。
#387
○横手分科員 私も厚生省が、文部省のやっているところ、あるいは労働省のやっているところへ取ってかわるような、そんなことを言っているのではないのです。何遍も申し上げておりますように、一番やりやすいところがやってもらったらいいわけです。ただ、そういうことをやって、それぞれのところで持っておるということではなくして、腎問題についてはかくのごとき省庁の一括したまとめたものがあって、これはかくのごとく役立っておるというようなことを厚生省として握ってくださいよということでございます。
#388
○今井国務大臣 大変とちった答弁をいたしまして済みません。先生の御趣旨よくわかりました。お説のとおりだと思います。しっかりやってまいりたいと思います。
#389
○横手分科員 ぜひお願いを申し上げます。
 最後に就職の問題についてお尋ねをいたします。この人工透析を受けておられる皆さん方は身障ではたしか一級だと思います。しかし重労働ができない、あるいは長期出張ができないということを除けば普通の人であるわけでございます。しかし、なかなか職安の窓口等でもいろいろな問題があるようでございますが、これらの身体障害者の雇用促進の立場から、労働省として人工透析の方々に対する職安の窓口の指導だとか、そういったものが特にございましたらお聞かせいただきたいと思います。
#390
○小倉説明員 お答えいたします。
 人工透析を必要といたします腎機能障害者につきましては、先生ただいま御指摘のように外見上あるいは職業能力上から見まして健常者と余り変わらない、こういう点があります一方で、人工透析に長い時間を要するということから通常の勤務体制に適合しにくいというような問題があることは私どもも十分承知をしているわけでございます。
 したがいまして公共職業安定所におきましては、事業主に対しまして人工透析患者の雇用についての十分な理解を求めるということを行いますとともに、人工透析になられた職員を抱えておられる事業主あるいは新規に採用しようとされる事業主に対しましては、人工透析に必要な時間についてひとつ十分配慮していただきたい、雇用に当たって十分配慮していただきたい、そしてそういう患者の人たちへの理解を示していただきたいということでお願いをいたしまして、そういった人たちの雇用の促進と安定に努めているところでございます。
 なお、ただいま先生御指摘のように、そういう方々の再就職に当たりましては身体障害者雇用促進法上の重度障害者という扱いにもなるわけでございまして、したがいまして、その法律によりますところの雇用に関します各種の援護措置をより手厚く講ずることになっておりまして、こういう制度を活用しながら安定所におきましても雇用の促進に努めているところでございます。
#391
○横手分科員 時間が参りましたので最後にいたしますが、これらの問題については労働省としてもあるいは職安の窓口としても御努力いただいていることは承知しておりますし、これからも頑張っていただきたいと思うのです。ただ、この人たちは今も申し上げたように移植によってこれが治ってくるということ以外はずっと受けられるのであります。そうしますと、そこの企業の健康保険組合にとっては大変な負担になるのであります。そういった点からも雇用の促進がなかなかできにくいという事実を私は知っております。したがって、そういう面に対する配慮等ができないものだろうかという多くの要望もございますし、ぜひ課題として検討をしていただきたいと思います。また雇用条件についても、こんな厳しい時期でございますから余り時間、時間で抜けていくということになっても、今度は会社の方から頼りにならないということでまた敬遠をされる。ならば患者の皆さん方は夜間透析をもっと広げてもらえないだろうかというのもまた出てまいります。冒頭にも申し上げましたように、そういったハンディを持ちながら、なお社会の中で頑張っておられる、そして家族の皆さん方も一緒に苦しみを分かちながら頑張っておられるこれら腎臓病の皆さん方に対して、これからも厚生省として積極的なあるいは有効な諸施策をとっていただきますように心から期待を申し上げまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
#392
○野上主査代理 これにて横手文雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、上田哲君。
#393
○上田(哲)分科員 先般は、日本のすぐれたワクチンで途上国の子供の命を百万単位で救おうと、大臣を初め御努力をいただきまして大変評価をしておるところであります。きょうは途上国ではなくて日本の子供、私は子供問題ばかりでありますので日本の子供の問題に関連して二つ、ぜひひとつここで解決をしていただきたい問題があります。
 第一の問題は、基準看護の病院の問題なんでありますが、我が国で基準看護の病院とそうでない病院、その区分けはどんなような数字になっているか、そこのところだけまずお示しください。
#394
○幸田政府委員 基準看護の病院でありますが、全国九千五百の病院のうちの三千四百十二病院が、全体の三六%に当たりますが基準看護の承認を受けており、ベッドの数にいたしますと百三十八万床のうちの八十七万床、六三%が基準看護の承認を受けている、こういう状況であります。
#395
○上田(哲)分科員 つまり簡単に言うと大きい病院、設備の整った病院というのが基準の病院である、こういうことになるわけですね。
 そこで基準でない病院というのは、さまざまな条件が足りないわけですから付添人をつける、やむを得ない。この付添人について、高いところでは一日に八千四百円ばかり保険から払われているということになりますね。これはこれで一つの対策だと思うのでありますが、設備が整い人手も多いとされる基準病院で付き添いなしで完全にできるかということになると幾つかの問題があると思うのであります。大人の場合はいいのですが、子供の場合、完全看護だ、付き添いは要らないのだといっても、そういかない幾つかの例が出てくるわけであります。これはどのように把握されておられますか。
#396
○幸田政府委員 基準看護病院につきましては、原則として看護婦以外の者による付添看護が行われるということを禁止をいたしております。医師の許可を得て患者の病状等によって家族が付き添うことは差し支えない、こういうことにいたしているわけでありますが、その趣旨といたしますのは、患者負担による付添看護はもちろんのこと、家族による付き添いでありましても、それがその病院の看護婦等による看護のかわりをする、あるいはその病院の看護婦等の看護力を補充をする、そういうことがあってはならない、こういうことで基準看護病院におきましては医師の許可がない限り家族の付き添いも認めていない、こういう状況でございます。
#397
○上田(哲)分科員 この考え方は私はいいと思うのですよ。家族が来なくてもちゃんと全部やってあげるよ、これが完璧にできれば一番いいことですから、その趣旨は尊重するのですが、繰り返すようですけれども、大人はいいんだけれども子供はそういかない場合がある。例えば親が来なければ物を食べないとか、あるいは手術をする前の子供の不安定な気持ちは、どうもこれは看護婦さん、白い着物を着た人ではぐあいが悪いという問題については一定の処置をとらなければならない。おっしゃるようにきちっとした尺度があって、これは看護人の代理ではないのだ、医療行為の補助であってはならないのだということは、それで一つのけじめだと思うのですが、そういう場合を、幾らかの尺度を設けながら子供に対する付き添いというのはやはり考えなければならぬ、大臣、そう思いますね。
#398
○今井国務大臣 一般的な基準を今、局長が申し上げましたが、確かに御指摘のような場合には医療上の必要性だとか家族の感情だとか人情の機微といったことも十分配慮する必要があると考えておりますので、これは常識的な範囲内で現場において柔軟に対応できるように検討させていただきたい、こう思います。
#399
○上田(哲)分科員 考え方はそれで結構です。
 そこで具体的に、実はこの基準病院というのは大変プライドが高いわけです。世上で言えば格式が高いわけですね。それから、よく言いますが病人というのは人質にとられたようなものですから、子供がかわいい親にしてみると、病院に行って先生になかなか言いたいことが言えないわけですね。実情はどういうことになっているかといいますと基準病院にはお願い状を出すのですよ。まるで代官様に頭を下げて出すようなお願い状、病院には大体「付き添いお願い簿」というのがあるのです。このお願い薄に書いて判こをもらって、それでお許しをいただいて子供のそばにおずおずと行く。これはどういう基準になっているかというと、厚生省告示というのが昭和三十三年に出ておりますが、その告示に基づいて保険局長と医療課長の通知が出ておりまして、ここでこういうことになっているのです。だから私は、今の考え方の基本、それから大臣の言われた、ぜひ実情的に、人情的にやりたいというので結構でありますが、問題は、そういう言葉だけではやはり下へいかないのですね。ぜひ国会でないとこれはけじめがつかないので、重ねてひとつ大臣からお答えいただきたいのは、こういう昭和三十三年の厚生省告示に基づき保険局長と医療課長の通知に基づく「付き添いお願い簿」などというものによって処理するのではなく、いろいろな医療上の基準はありましょうから、その基準の上にのっとりはするけれども、ぜひひとつ必要な父母の付き添いについては積極的に認めてやるという処置を直ちにとるということをひとつ大臣からお約束をいただきたい。
#400
○今井国務大臣 先ほども、そんなことも含めての気持ちもあったのでございますけれども、お説のとおりでございまして、親の気持ちもわかりますので、やはりそれこそ先ほども申し上げましたけれども常識的な範囲内で現場におきまして柔軟に対応できるように、これは本当にひとついたしたいと思います。検討してまいりましょう。
#401
○上田(哲)分科員 ありがとうございました。ちょっとくどいのですが、通知というのは、お役所から何でもなく出ても下は大変なんです。今そういうものについての通知か何か、あるいは大臣の言葉なりを出していただけますか。
#402
○今井国務大臣 まさか大臣名で出すわけにもまいりますまいが、しかるべき人の名前で、これはひとつ御趣旨を酌みまして出しましょう。
#403
○上田(哲)分科員 非常に結構ですね。そうしていただくと――やはり紙が来ないと、病院では厚生省に逆らってはいかぬというのでうまくいきませんので、出していただける、大臣名でやるということはないと思いますが、そうした通知が行くことを期待をして、これは子供たちのために感謝をいたします。
 もう一つの問題、B型肝炎なんですが、このB型肝炎について昨年の六月から妊婦の無料検査が始まって、つまりキャリア検査、ウイルス保有者の検査、つい去年から始まったばかりでありますが、これは私は大変いいことだと思います。そして、まさにことしの一月から、子供たちが生まれたときにガンマグロブリン、それから二カ月たってガンマグロブリンとB型肝炎ワクチン、さらに三カ月、五カ月で、結局B型肝炎のワクチンが三回、ガンマグロブリンが二回、こういうことになった。これは非常に大事なことでありまして、これが普及されていけば、今日のところ大体の推定で九八%ぐらい完全に予防が完遂されていると思われるし、これからいきますと、将来肝がんなんというのは大変大きく防げることになると思うから、私はこれは大変いい行政措置であると思っているのであります。これは大変評価します。
 その上で、ひとつぜひ伺いたいのでありますが、このあたりで、今私が申し上げた数字や行政の進展状況をちょっと御報告いただきましょうか。
    〔野上主査代理退席、主査着席〕
#404
○坂本政府委員 今お尋ねのございましたB型肝炎の母子感染防止事業、大体先生からお話のあったとおりでございますが、新しい母子保健事業といたしまして昭和六十年度より実施をいたしてまいっております。私どもも、この事業によって将来B型肝炎をぜひ撲滅いたしたいと考えて、力を入れていく考え方でございます。
 先ほどもお話ございましたように、具体的な方法としては、すべての妊婦を検査して、いわゆるキャリアの妊婦を発見いたしまして、そのうち特に母子感染のおそれがある妊婦を、もう一度検査をいたしまして発見をいたします。そして、その妊婦から生まれた乳児に対しましては、抗HBs人免疫グロブリンとHBワクチンを投与する。これはワクチンの方は三回投与するわけでございまして、既に妊婦については昨年の六月から、それから新生児に対してはことしの一月から実施を行っておるわけでございまして、昭和六十一年度は、この事業というものを全国的にできるだけ的確に実施するように努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#405
○上田(哲)分科員 これは非常にいいことですよ。お母さん方も非常に喜んでいますね。第一にこれはただだから、ただで調べてもらって――ただしB型肝炎の困ったことはキャリアというのは治す方法がないのですね。キャリアでなくなる方法というのはまだ開発されているわけじゃない。だからそこに問題があるのです。さて問題点はキャリアであることがこの検査によってわかった後なんですな。生まれてくる子供がB型肝炎にならないということは大変結構なんだが、その親をウイルスがあるかどうかを調べるということは、これが普及してまいりますと会社でこれを調べてキャリアを首にしたなんという話があるのですよ。これは今のところプライバシーをどう守るかということでしかないだろうと思うのですが、この辺は御苦労だと思うけれども、どんなふうにされておりますか。
#406
○坂本政府委員 このキャリアの方のプライバシーという問題、私どもも非常に今心配をいたしておる問題でございまして、B型肝炎ワクチンあるいは検査の事業というものをできるだけ積極的に進めたいと思っておりますけれども、それに伴って、そういうプライバシーが侵害されるような問題が一方で出るということがないように、また十分な配慮をしなければならないと考えておる次第でございます。
 結局、キャリアであるかどうかというのは、これは病院、医療機関で検査を受け、また、その結果を保健所等が把握いたしましてこの事業を進めるわけでございますから、実際に検診を受けた医療機関あるいは分娩をした医療機関、さらに保健所、ここにおいて秘密を厳守するということは極めて重要なことであろうかと思っております。私どもも医療機関の医師あるいは保健所の職員を初めとするこの事業の関係者に対しまして、秘密保持に最大の配慮を払うとともに、本事業によって知り得た秘密を本事業の目的以外に使用しないように通知を出して、これを励行するようにいたしております。なお今後とも機会があることに、この点は徹底をするように努めてまいりたいと存じております。
#407
○上田(哲)分科員 もうそういう方法しかないのですが、ここの問題点は、細かく言うと全部お医者さんのところに委託してやっているわけですね。だから個人病院ということなどもあると、どうしてもプライバシーを守るということはなかなか難しいことになる。
 概数は、これはどのくらいになっていますか。
#408
○坂本政府委員 これは一応事業としては始まったばかりでございますので、まだ正確な実績というところまでまいりませんが、これまでのいろいろなデータ等を勘案いたしまして私どもが推計をしておるところでは、このワクチンの投与の対象となる児童の数は約七千人程度ではなかろうかと今のところ考えております。(上田(哲)分科員「七千というのは」と呼ぶ)ワクチンを投与すべき児童の数でございます。(上田(哲)分科員「キャリアですか」と呼ぶ)キャリアの中で特に感染のおそれがある妊婦の数、したがって、それから生まれてくる児童の数、こういう数字でございます。
#409
○上田(哲)分科員 やはり大変な数字ですね。だから、こういう施策を講ぜられているということの意義も非常に深いわけで、それだけに今おっしゃったようなさまざまな対策というのが出てくると思うのですね。この数字は概数で推定でありましょうけれども、私は非常に意味のある数字だと思います。
 そこで問題はこれから先にあるわけですが、これは問題は血液内のウイルスなんだけれども、血液内のウイルスだけではなくて分泌物とか、あるいは唾液なんかでも傷口に入ったりして感染していく心配がある。そこでこういう対策に携わる人々の防護ですね。お医者さんとか看護婦さんとか、ちょっと傷口があったりして、あるいは注射を打つわけですから、つい間違ってというようなことがいろいろあったりする。こういう場合に、これを十分に保護しなければならない。これはどういうふうになっていますか。
#410
○仲村政府委員 B型肝炎の感染形式が、ただいま御議論ございました母子感染は御承知のように垂直感染でございます。それから今おっしゃいましたような事例は水平感染と専門家は呼んでいるようでございます。私ども肝炎の専門家に集まっていただきまして肝炎対策協議会というのを設けておりますが、そこで御意見をいただきまして、昨年、六十年の五月に全国に通知を出して、先生のおっしゃったような中身のことも含めましてガイドライン的なものを配付してございます。他の病因、例えば病院で申し上げますと、病院の中におきます他の感染と同様に院内感染の予防対策というのが基本にあるわけでございますが、この場合には、特に今おっしゃいましたように、注射の針を間違って刺してしまったとか血液が付着したとかいうことで、医療機関の一部の職域につきましては、そこで働く方々の危険度の高いところがあるわけでございますが、そういうところにはどういうことをなすべきかというガイドラインが研究班でできておりまして、これを昨年通知としてお出しいたしまして、院内感染防止を含めまして徹底を図っているところでございます。
 また、事故でございますから絶対起きないということはないわけでございますが、不幸にしてB型肝炎の患者の血液等で汚染された場合には、予防的にガンマグロブリンを投与することが健康保険でも認められるようになっておりますので、そのようなことも含めまして、B型肝炎対策をさらに進めていくべきではないかと考えております。
#411
○上田(哲)分科員 今、健康保険という話がありましたが、現場では職業病という言い方をしているのですね。これは労働省などにもかかわる解釈の問題だと思うのですが、職業病という言い方は、そういう規定があるのですか、それとも単なる健康保険の適用範囲に入れているということですか。
#412
○仲村政府委員 B型肝炎の感染のおそれがある患者さんに予防的にガンマグロブリンを投与することは健康保険で認められているという意味でございます。
#413
○上田(哲)分科員 そうじゃなくて、医者や看護婦がそうした形で注射を間違って打ってしまった、間違って刺してしまったというようないろいろな問題が起きたときに、この人たちは保護されることになっていますね。
#414
○仲村政府委員 正確には労働省の労災の認定でございますが、人事院の判定とか専門機関でいろいろお決めいただくことになるかと思いますけれども、本人の重大な過失以外についてどのように認定されるかは、私ちょっと今正確な知識を持ち合わせておりませんし、不正確な御答弁をしてはいけませんので、差し控えさせていただきたいと思います。
 一般的に、不可抗力的にこのような形で専門の方が感染をするのは職業病の範疇には入るのではないかと思いますが、個々の事例についてはちょっと答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
#415
○上田(哲)分科員 日本語の問題で、答弁を差し控えるという言葉じゃないですよ。答弁不能にすぎないのです。これは私は勉強しておいてくれと頼んでおいたのですよ、各省庁にわたって人事院までいくことだから。この辺は、やっている人たちにとっては大変なんです。わかりますか。
#416
○仲村政府委員 申しわけございませんでした。
 労災の適用を受ける場合もございます。
#417
○上田(哲)分科員 職業病というのはどうなんですか。
#418
○仲村政府委員 それは呼び方ではないかと思います。広い意味では、医療機関の従事者がかかるという意味では、医療機関に従事する方の職業病のカテゴリーには入ると思います。
#419
○上田(哲)分科員 わかった。それでいいです。その辺を細かく六法全書で言えと言っているわけじゃないのです。どう守れるかということの法的根拠はいろいろ勉強してください。どうも勉強が足りなかったようだから、前もって申し上げておいたのです。
 それはさておいて、そういう場合だれが守られるかと言えば、医者と看護婦はいいのだが、検査師とか介護人というのはその範囲に入らないのですね。実際には、そういう危険な可能性があるのはそっちの方です。今おっしゃった広義な意味で職業病、小さくは労災でも何でもいいです。そういうものとして、その辺の差別というか格差があってはいけないと思うのです。そこをちゃんとしてくれないと、これだけ広範に広がってきたB型肝炎対策というのがおかしくなってくるのですね。それはちゃんとやってくれますか。
#420
○仲村政府委員 専門的にそういう危険な職域にお勤めになる方について、十分な感染防護措置をした後にでも発症するということになれば、それは個々の認定の問題になろうかと思いますけれども、一般的には職業病の範疇に入るのではないかと私どもは考えます。
#421
○上田(哲)分科員 一般的な意味で、世俗的な意味でといいましょうか、職業病の範囲に入るのだとあなたの方が言ってくれているから、私はこれでほじくりたくないのです。その範囲をつくってくれたのだから、その範囲に入るようにこれから解釈してやってくれたらいいから追及しませんが、おわかりになっていないから実態を言いますよ。
 このB型肝炎というのは、大人が感染してもいいのです。大丈夫なんです。大体発病しないわけだから、そこのところはいいのです。また、医療機関の医師、看護婦、その他の検査技師の人たちも大体いいのですけれども、問題となるのは、私が特にここで問題にしたいのは、端的にいえば福祉関係の人なんです。具体的な例を言った方がわかりやすいのですけれども、これは具体的にあった例ですが、例えば、そういう子供たちのところでかみつかれてしまったりして危険な問題が起きるのです。医療機関に話をまた戻しますけれども、医療機関では予防云々と言われるが、予防というのはお医者さんたちには今やっていないのです、大人は大丈夫だと思うし知識を持っているから。そこで、不慮の事態が起きたときにはグロブリンをすぐ打つということに実態はなっているのです。いいですか。これは別に実態をそっちへ説明する立場にはないのだけれども、それはもういい。
 問題をもう一遍絞るが、福祉関係のところで起きることが非常に多いのです。お医者さんや看護婦さんはいいのだが、検査師とか介護人というような人々が、そういう意味でさっきあなたがおっしゃった職業病的保護を受けていないのです。これが問題なんです。職業病的保護ということが労災なのか何であるのかは研究してください。それはいいけれども、そういうものを受けていないのです。ここのところをちゃんとしてくれないと手がつかぬということになるのです。
 余りそういうことでやっていると、B型肝炎怖いからうっかり手をかけては大変だよみたいなことばかり言ってしまうとおかしくなるから、そこは考えてもらわなければならないし、役所としてはいろいろなことをお考えになるだろうからそこはいい。そこはおいておくが、問題を絞って言うと、医療機関のみならず福祉の場においても、福祉の場という言葉でまとめて言っておきますけれども、福祉の場というところで、医師、看護婦のみならず介護人、検査師というような人々にもぜひそうした職業病的保護の体制をしっかりとってもらいたい。言いたいのはそのことなんです。同じようにグロブリンをすぐ打てる、それが公費で打てる、こういう形にしてもらいたいということをお約束いただければいいのです。おわかりですか。
#422
○坂本政府委員 社会福祉施設の例を今お出しになったと思うわけでございますが、確かに多数の子供を集団で預かっている施設などにおいて、子供との接触による感染のおそれというものも考えられるわけでございます。今先生おっしゃいましたように、そういういろいろな児童の集まっておる施設において、実際そこで従事をしている人たちの健康管理については、これは極めて重要な問題でございます。
 同時に、B型肝炎ワクチン自体につきましては、現在ようやく生産が始まったばかりでございます。そういうことでございますので、先ほどの母子感染防止事業あるいはその他の現在特に緊急に必要とされるところに優先的に使っておるようなこともございまして、この施設に直ちにということもこの場で確かなことはまだ申し上げるところまでいっていない面もございます。
 それから、施設収容児について、あたかもこれはみんなキャリアのような印象を与えることもこれまた問題でございますし、福祉施設の職員が常に非常な危険にさらされているというような不安を醸成してもこれは問題がある。そういった意味で、私ども、この問題についてはいろいろ具体的に検討する必要があろうかと思っておりますけれども、基本的には、そういう施設の実情でございますとかいろいろな危険の度合いとか、そういうものにつきまして専門家などの御意見もいろいろ伺いながら、この問題については真剣に検討をしていきたいと考えております。
#423
○上田(哲)分科員 そこまでが役所答弁。大臣、これは大臣としてひとつまとめていただきたいのであります。
 簡単に繰り返しますが、いろいろな不安を与えたりしてはいけないということが一つありますから、それは十分慎重な配慮をしなければならぬということはおいておきます。これは大事だ。しかし、今、分けて言いますと、医療機関では大体いいのです。しかし、問題の焦点は福祉の場にあります。そして、今のお話のように、ガンマグロブリンを公費でやるということについても、福祉の場では、医師、看護婦と、それから検査師や介護人とはまた差があるのです。この差をひとつ縮めてもらいたい、同じように保障してもらいたいということが一つあります。これが一つです。
 もう一つはワクチンなんですよ。今ガンマグロブリンとワクチンを混同して話が行われた趣があるのですが、ワクチンを言いたいのです。
 ワクチンはまさに去年の暮れ発売されたのです。やっと去年の暮れ発売されたのです。だから、絶対量が足りないから行き渡っていないこともある。しかし、ワクチンは、予防なんですからこれは打てばいいのですよ。このワクチンをしっかり打っておけばいいので、子供に打てなんという話はさっきからしていないのです。言っているのは職員、医師や看護婦や介護人や検査師、そういう人たちに安心してもらうように行き渡らせるべきなんだ。そのワクチンは、去年の暮れから売ったので、今のところは十分ではないけれども、しかし、これはもうほぼ一年すれば十分になるという見通しが立っておりますから、これが第二点なんですが、これをみんなに打ってもらうようにしてもらいたい。
 繰り返すようですが、絞って言うのは福祉の場です。福祉の場の医師や看護婦と検査師や介護人との差を、グロブリンの場合でもなくしてもらいたい。もう一つは、ワクチンをみんなに打てるようにしてもらいたい。これをぜひ実施してもらうように踏み切っていただくというのが現場に対する措置になるだろうと思う。大臣からひとつお答えをいただきたい。
#424
○今井国務大臣 せっかくの先生の御要望でございますから、今の二つの面につきましては、これは私もそれなりの検討をさせまして御要望に沿うように進めてまいりたいと思います。またひとついろいろ御教示を賜りたいと思いますが、前向きでひとつ検討していくようにしましょう。(上田(哲)分科員「全力で」と呼ぶ)はい、わかりました。
#425
○上田(哲)分科員 どうもありがとうございました。
#426
○葉梨主査 これにて上田哲君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井光照君。
#427
○吉井分科員 私は、国立病院並びに療養所の統廃合・移譲問題についてお尋ねをしたいと思います。
 今回のこの国立病院並びに療養所の統廃合・移譲を行う趣旨、また目的等について、まず最初お聞きをしたいと思います。
#428
○今井国務大臣 今回の国立病院・療養所の再編成というのは、行政改革の一環といたしまして、現在の厳しい行財政事情のもとで、国立病院あるいは療養所が国立の医療機関にふさわしいようなより広域を対象とする高度の専門の医療などを担っていくことができるように、その内容の充実を図っていくためにはどうしても今のままではできない、やはりスクラップ・アンド・ビルドをやりまして再編成することが必要だろう、こう考えているわけでございます。と申しますのも、医師や看護婦の数を今よりふやしてはいけない。今のままでやれとおっしゃるわけでございます。ところが、今のままでは必ずしも十分な人員が充足されておりませんから、そうすればスクラップ・アンド・ビルドして集約しなければできないだろうという形で私どもは考えているものでございます。
 しかしながら、この問題は極めて大きな問題でございます。そしてまた、関係の地方公共団体あるいは地元関係者の理解と協力がなければできません。そんなことで、私どもはこれから計画を皆様によく御説明しまして、そして再編成に当たりましては具体的に地元の皆様と協議をしてまいりたいと思っているものでございます。ひとつどうぞ御理解を賜りたいと思うものでございます。
#429
○吉井分科員 この案には、現場すなわち日本医師会の意向はどうなんですか。
#430
○木戸政府委員 日本医師会に対しましてもこの再編成計画について説明はしておりますが、やはり国立病院というのはほかの医療機関の頼りになるものでなくてはいけない、こういう国立病院の考え方について医師会に御説明をいたしましたところ、その点については同感である、ただ、やはり各地域において地域の医療に役立てる面が現実にあるのだから、その辺はよく考えて地域医療に支障が生じないようにやってくれ、こういうのが医師会のお考え方でございます。
#431
○吉井分科員 今回の案は臨調答申に基づくものと聞いておるわけですが、臨調答申が基本にある限りどうしても行財政改革というものがその大宗をなすと思うのです。したがって、財政再建ということと、地域医療といいますか国民医療といいますか、この関係性については大臣はどうお考えですか。
#432
○今井国務大臣 いずれも兄たりがたく弟たりがたいと思うのでございますが、しかし、いずれにいたしましても、今のままでは国立の療養機関として十分な力を発揮し得ないということ、やはり個々に当たりますとそういう面が見られるわけでございますから、貴重な国費を使うのにそれではいけない、皆さんから喜んでいただけるような国立病院らしいものにしていかなければならぬと思いますので、そのためには今のままではなくて、少し、何といいましょうか、スクラップ・アンド・ビルドしていくことが必要だと考えているわけでございます。
#433
○吉井分科員 そこで、この案が公表されて以来、全国的に非常に大きな波紋を投げかけているわけですが、例えばこの案に反対する自治体は全国三千三百二十四団体のうち二千九百十三団体で、八七・六%という数値です。私のおります山口県下では五十七団体のうち五十六団体で、九八・二%という高い数値を示しているわけですね。先ほど大臣も、今からこの案を推し進めていく上についてはどうしても地方議会なり地方団体の協力が必要である、このようにおっしゃったわけですが、こうした地方の現実の問題を大臣はどうとらえて、また、今後どう対処されようとしておるのか、その点いかがですか。
#434
○今井国務大臣 それだけ地元に愛されて、確かに密着しておるものであることは私もよくわかります。したがって、私も先ほど申しましたが、これは一方的に推し進めるものではありません。こういうわけでこうなります、したがって、あなたのところはこういう形になります、いかがでしょうかというようなことでお話し合いをしていくことが必要でありますし、お話し合いがまとまってからやっていこうと思っているわけでございまして、そのための粘り強い説得と努力を私どもが当然しなければならぬと思っておるわけでございます。しかしながら、これをやってまいりませんと、中途半端と言うと大変語弊がありますが、十分な医療が行われていかない、それでは国立の医療機関として国民に申しわけないという気持ちもございますので、これはひとつ今後私どもも努力をいたしてまいりたいと思いますので、何とか御理解を賜りたいと思うものでございます。
#435
○吉井分科員 そこで、五十九年度における自治体病院の経営状況を設置主体別に見ますと、都道府県それから指定都市の病院事業は全体の約七割以上が赤字ということです。また、医業収支比率も八五%前後にとどまっておる、このように聞くわけですが、では、国立病院の経営状況は一体どうなっているのですか。
#436
○木戸政府委員 国立病院・療養所全体としまして、例えば昭和六十年度の場合、大体六千六百億の予算規模でございます。これに対して約千二百億の繰り入れをしているわけでございます。それから、今先生がお聞きになりました自治体病院のように、個々の病院の経常収支というものを見てみますと、黒字及び赤字施設の状況を申し上げますと、国立病院は九十八カ所ございますが、黒字施設は三十二カ所、三二・七%、赤字施設は六十六カ所、六七%でございます。また国立療養所につきましては、これはその施設の性格上、百四十カ所のうち黒字施設は一カ所でございまして、あとは全部赤字施設、つまり先ほど申しました千二百億何がしかの繰り入れの対象になっている、こういうことでございます。
#437
○吉井分科員 今国立病院・療養所の経営状態をお聞きしたわけですが、いずれにしろこれはもう大変なことでございます。そうした中で、今回の考え方の中で、地方公共団体及びそれ以外の団体への移譲については、無償あるいは有償等の措置内容となっているわけですが、では、先ほどの自治体病院の経営状況で果たしてこうしたことが現実問題として可能なのかどうなのか、今でさえも赤字で大変なのに、また病院を抱えて赤字をふやしていくというふうなことができるのかどうか、この点はいかがですか。
#438
○木戸政府委員 今先生御指摘の点は、まさに自治体も心配をしているところでございまして、とにかく赤字の病院をそのまま地方が持ってくれ、こういうのならば、それはお断りですよというのが共通した御意見でございます。したがいまして、移譲の施設は実は三十四カ所あるわけでございますが、必ずしもその移譲の施設は直接自治体が経営することが望ましい施設ばかりではございませんので、私どもは施設の特性あるいは立地条件によって自治体以外の公的医療機関あるいは民間の医療機関というようなものも活用をしてまいりたいというふうに考えるわけでございまして、その場合には、移譲後は経営の改善という努力が当然必要になってくるわけでございます。
#439
○吉井分科員 そこで、今回の考え方につきまして、いわゆる十年という目途、その中で七十四カ所という箇所づけがある以上は、当然各年度別の具体的なスケジュール、これは非常に難しい問題とは思いますけれども、一応の案というものがもうできているのではないか、こういうふうに思うわけですが、一体これをどういう方法でもって推進されようとしているのか。
 先ほども大臣から、いずれにしろしっかり話し合いを進めて、そして納得をいただいて進めていく、決して一方的に押しつけはしない、こういう答弁をいただいたわけですが、この十年の枠、それから七十四カ所の実施、一応こういう計画について、中には話し合いが全然進まない、こういうふうな形態も出てくると私は思います。そういうことを考えれば、場合によればその七十四カ所が五十カ所に減るとか三十カ所に減るとか、こういったことも考えられると思うのですが、そのように理解してよろしいでしょうか。
#440
○木戸政府委員 三十四カ所の移譲、それから統合による減四十カ所、七十四カ所というのを全体計画としてリストアップをしたわけでございますが、率直に申しまして、地域医療との関係で今後詰めなければならない問題がいろいろあるわけでございます。私どもといたしましては、六十一年度の八カ所、関係する十八カ所の統合というのは公表いたしまして、具体的に予算の成立を待ちまして、これからどういう機能にするのかあるいは統合の場合どこへ立地するのかということについて進めてまいるわけでございますが、やはりいろいろ解決していかなければならない問題が非常に多いわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今、六十二年度はどう、六十三年度はどうという年次計画的なものの腹案は持っていないわけでございます。その辺は、特に都道府県はいろいろの医療計画の主体でございますので、これから都道府県を中心にいろいろ協議をしてまいらないと、毎年度幾つやるというようなものは立たないわけでございます。私どもは少し時間をかけまして、都道府県あるいは地元の関係との話し合いを進めながら、今後各年次別にどういうふうにやっていくかというのを決めていきたいと思いますが、今の私どもの見込みでは、六十二年度は幾つ、六十三年度は幾つという年次計画のようなものを今の段階で立てるのは非常に難しいというふうに考えております。
#441
○吉井分科員 先ほどいろいろと地元の状況等もお話ししたわけでございますが、この問題については、組合はもとより地域住民、こういったあたりからも非常に強い反対運動が起こっていることも事実です。そこで、今回さしむき八カ所がこの対象になったわけですが、この八カ所については、地元とのいろんな協議が行われた上での決定であったのかどうか、この点いかがですか。
#442
○木戸政府委員 都道府県とは事前に少し時間をかけて協議をいたしましたが、地元の市町村との関係で、この施設は統合するけれどもいかがだろうかというのを大分早い期間から言ったということはないわけでございまして、そういう点につきましては、公表後、地元の市町村と接触をしておりますし、六十一年度の予算の成立を待ちましてこれから本格的に地元といろいろ折衝をしていかなければならないと考えております。
#443
○吉井分科員 この点につきまして、山口県の湯田温泉病院の統合問題について県の衛生部が談話を発表しておるわけですが、最近はその態度が少し変わってきた、このように我々も認識するわけです。その談話要旨として「八月十二日厚生省から突然統廃合の対象として湯田温泉病院がリストアップされたとの連絡があり困惑している。」突然そういう話が出てきたのだ、このように言っております。そこで「湯田温泉病院は規模的には小さいが、長年地域医療の一役を担ってきており、現在は特に脳出血等脳血管障害者のリハビリに取り組むとともに、深夜の救急患者の受入など地域において大きな役割を果たしている。」云々、こういう談話要旨が発表されております。これを見ると、いろいろな事前の協議、そういったものがほとんどと言っていいほど行われなかったのではないか、このように思うわけですが、この点、いかがですか。
#444
○木戸政府委員 私どもが正式にこことここを統合するというのを申し上げましたのは今先生が御指摘のときでございますが、事前にいろいろこういうふうになった場合はどうだろうかというような非公式な情報交換あるいは県の意見というものは聞いてございます。ただ、正式に向こうの方に湯田と山陽を統合するというのを申し上げたのは、先生の御指摘の八月だろうと思います。
#445
○吉井分科員 そこで、御説明がありましたように、山口県下において湯田温泉病院を除く五つの国立病院及び療養所ですね、この今後の整理合理化計画については、地元関係機関との十分な協議を行っていただきたい、私はこのように強く要望するわけでございます。
 ところで、今回の案で湯田温泉病院が山陽荘と統合される。湯田温泉病院がその対象となった理由は何ですか。
#446
○木戸政府委員 先ほど大臣が申し上げましたように、今後存続する国立病院というのは、広域を対象とする他の医療機関がやらないような高度の医療あるいは専門的な医療、政策医療、そういうものを行うという大前提を置いて考えますと、湯田温泉病院は、確かに先ほど先生が御指摘になりましたように、地域には非常に密着をいたしまして、医学的リハビリテーションというのに古くから特色がございます。しかしながら、病床規模が非常に小そうございまして、収支率で見ましても、支出が一〇〇といたしますと収入が七六%ということで、約二億円の赤字だという点もございます。そういう点を考えますと、近接して山陽荘がございますので、現在湯田の持っておりますリハビリテーション機能というものは山陽荘に移しまして、統合することによって経営効率の向上が期待できる、こういうことから統合することとしたわけでございます。
#447
○吉井分科員 先ほども申し上げましたように、湯田温泉病院は県下では唯一の温泉を利用したリハビリのできる施設ですね。この温泉も非常に良質なわけでございまして、これを山陽荘に統廃合した場合に、厚生省がおっしゃるところの高度医療技術また政策医療等に十分な対応ができるのかどうか、この点が非常に疑問なわけでございます。しかし、これも今からやってみなければわからないこととおっしゃればそうなんですけれども、その疑問と、また、その他のメリットというものをどう考えていらっしゃるのか。
 さらには、現湯田温泉病院の医師、職員並びに看護婦、そういった方々の処遇というものは一体どうなっていくのか。この点はいかがですか。
#448
○木戸政府委員 先ほど先生から湯田温泉病院の持っておるリハビリテーション機能というのが山陽に行ったら発揮できないではないかという御指摘でございますが、私、専門家ではございませんが、最近のリハビリテーション技術によりますと、必ずしも温泉を使わなくても、リハビリテーションというものは専門スタッフとその器機器具さえよければ高度の機能が発揮できると考えております。そして、この山陽荘でございますが、山陽荘は県下でも有数の脳血管疾患あるいはリューマチそのほか重症心身障害等の難病等の専門医療施設として、非常にリハビリテーションの機能が必要な施設でございますので、湯田温泉病院が長く培ったリハビリテーションの機能、そのノーハウは山陽荘で必ず生かせると私は考えているわけでございます。
 それから先生御指摘の職員の処遇の問題でございますが、もちろん職員の希望にもよりますが、若干距離はございますが、原則として山陽荘の方に職員も転勤していただく、私どもといたしましてはこういうふうに考えているわけでございます。そこは、最後は職員の意思もよく確認をした上で対処をしたいと思っております。
#449
○吉井分科員 今るる御説明をいただいたわけでございますが、最後に、当湯田温泉病院については、御承知のように非常に古い歴史があるわけです。また、地域住民からは、温泉によるリハビリ治療の医療機関として古くから非常に親しまれてきた。実際考えてみれば、地域住民にとっては、そばにある病院が国立であろうと県立であろうと市立であろうと民間であろうと何でも構わないわけで、とにかく近くに病院があるということは非常に大きな安心感といいますか、そういったものにつながってきているわけですね。したがって、先ほどからるる説明いただいたことはあくまでも国側の言い分であって、住民側としてはこれは大変なことだということでいろいろな声が出てきているわけです。
 せんだっても、地域の方々がアンケート調査といいますか意識調査を行ったわけですが、その主なものは、統廃合は地域医療の後退であるとか、温泉リハビリという特徴を生かしておくべきであるとか、夜間医療体制が十分でなくなる、統廃合になれば通院も入院の家族も大変なことになるとか、また、近くの病院では安く治療が受けられない、リハビリを受けられない、こういった数々の意見が多数を占めたわけでございます。結局、その中には統廃合賛成といいますか、統廃合はやむを得ないといった意見は全く見られなかったわけですね。したがって、こうした地域住民の生の声というものを政府は厳粛に受けとめる必要があるのじゃないか。
 先ほどからいろいろ申し上げましたように、確かに地域住民に対しても説得の期間がなかったと言えばそれまでですけれども、現地ではこのように猛烈な反対運動が高まりつつあるわけでございます。したがって、今回八カ所ということでございますけれども、これは期間を少し延ばしてでも地域住民を説得する、また納得を与える余裕、そういったものはないのか、私は最後に大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
#450
○今井国務大臣 先ほどから申し上げているとおり十年計画でいたしますが、私どもは本年度は箇所を決めましたが、次からは年度計画を決めていないゆえんのものは、お話し合いをしていってひとつ御理解を得ようという考え方が出ていると私は思います。そうでなければ、きちっきちっと一応計画だけでも決めていくのが普通のやり方ではないかと思いますけれども、それはいけないよ、やはりこれはお話し合いで行くべきものだという感じで行っているわけでございます。したがって、私どもはあくまで皆さんとお話し合いをして説得をしていって、努力を積み重ねてまいりたい、こういうふうに今申し上げる以外にはございません。
#451
○吉井分科員 では、この湯田温泉病院についても、もう少し説得というか話し合いというか、そういった場を持つわけですか。
#452
○木戸政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この六十一年度の予算の成立を見ました後は、具体的に県、市、医師会あるいは地元と入念に折衝したいと思っております。
 それから、先ほど先生から、温泉病院は本当に惜しい、どういう経営主体であろうとやはり病院は必要だというお話がございましたが、私どもも、統合をするけれども後はどうでもいいよ、とにかく売り払ってしまえ、こういう考え方はないわけでございまして、そこにその温泉施設を利用して適当な経営主体がこれをやりたいというようなことであれば、それはまた地元あるいは医師会等と相談をしまして、後医療のためにいいということであればその利活用という点にも十分配慮をいたしてまいりたいと思っております。
#453
○吉井分科員 今御答弁をいただいたわけですけれども、あの地はいわゆる良質な温泉が出るということで、聞くところによれば、旅館等が買収したいとかこのような話も出ているやに聞いております。しかし、今おっしゃったように、あくまでもそういった跡地については医療機関に限る、こういう考えでいいのですか。
#454
○木戸政府委員 必ずしも限るというふうには考えておりませんが、地域に、そこは移譲ということでなくても、その土地、建物を利用して医療をやるというのがあれば、それは最優先にしたいというふうに考えております。
#455
○吉井分科員 以上で終わります。
#456
○葉梨主査 これにて吉井光照君の質疑は終了いたしました。
 次に、大出俊君。
#457
○大出分科員 これだけ医療問題、特に国立病院の統廃合問題で超党派的にたくさんの意見が出るのは当然なことでございまして、厚生省は一体どっちを向いて歩いているんだと言いたいわけであります。こんなものは踏みつぶしてしまいたいというのが本音ですよ。私は腹が立ってしようがないのです。
 というのは、今横浜に三つの国立病院がございますが、それぞれいろいろな問題があります。私も二十三年やっていますからね。だから、総合病院にしようじゃないかということになって、時の厚生大臣とも何回も話したり、予算の獲得に私も随分飛んで歩いた。それは、何とか地域の医療のためにと思ってやってきたところですよ。
 また、そこで勤務をなさっている先生方の待遇につきましても、横浜に今、南病院というのが一つあるのですが――横浜市議会は、六十年四月四日に満場一致で意見書の提出を決めました。これは「地方自治法第九十九条第二項の規定により、横浜市における国立医療機関の存続に関する意見書を別紙のとおり提出いたします。」というのですが、十一大都市の中で横浜はベッド数というのは最低ですからね。だから全く超党派、市議会は満場一致ですよね。だれにも異論がない。こんなふざけた話はないということなんです。そこで国立横浜病院、国立横浜東病院、国立療養所南横浜病院の三つの存続を横浜市議会が満場一致で意見書の形で厚生大臣に、増岡さんのときだけれども、出しているわけですね。
 これは無理もないのです。私が衆議院議員を始めた昭和三十八年、二十三年前ですけれども、横浜市民というのは百六十万ですよ。今三百万を超えてしまっているのですからね。こんな過密都市は日本じゅうにない。だからどうしても結論として出てくるのは、人口十万人当たりのベッド数は、計算しますと十一大都市の中でこの横浜が一番少ない。五十八年度で五百三十五床しかない。十一大都市の中でけた外れに悪い。一番多いところというのは人口がふえないからですよ。これはどうなっているかといいますと、札幌ですね。札幌は千四百八十床あるのですよ。ところが横浜の場合には人口十万人当たり五百三十五床なんです。横浜市は、流入人口がこれだけどんどん入ってきたのでは、僕ら選挙やったってめったに車が入らない、建設省の道路行政が悪いから。
 そういう中でこれを統合しますの、廃止しますのなんて、冗談じゃないですよ。県だって市だってかんかんに怒りますよ。しかも医療法を改正して、地域医療計画でみんな入れてやっているのだから。どっち向いて一体走っているのだと言いたい。何と言われても了承できない。
 しかも、それぞれに理由がある。横浜病院なんかもそうですが、昔池田総理大臣に水上勉さんが「拝啓池田総理大臣殿」という手紙を出した。心身障害者、障害児等の施設をつくりたい、何とか療養所の中でと思って、亡くなった自民党の、皆さんの党の安藤覚さんと一緒に一生懸命院長を訪ねて話した時代からの病院を僕らはよく知り過ぎている。戸塚なんというのは大変な人口なんです。一つの行政区だけれども四十万を超えてしまっているのですよ。川崎では百万足らずでしょう。戸塚に横浜病院はあるのですよ。こういうべらぼうな過密都市、しかもベッド数が少な過ぎるという状況。にもかかわらずあっさり統合するの何のと、私はますます腹が立ったのは、地元の新聞によると、皆さんのところへ行って聞いたというのだ、何で横浜東病院と横浜病院とを統合しなければいけないのだと言ったら、近いからだと。冗談言っちゃいけない。近いの騒ぎじゃないですよ。横浜東病院というのは、私が住んでいるところだけれども、有名な久保山という火葬場の前にあるんだ。都合よくできているのですよ、私はそのすぐ前に住んでいるけれども。これは非常に便利なんですよ。久保山の火葬場というのは横浜じゅう知らない人はいない、死んだらみんなそこで世話になるのだから。これはしようがない。そうでしょう。ところが、戸塚の原宿の方、そっちに別な火葬場をつくれというのだ。なぜかといったら、横浜の久保山の火葬場に行くのは遠くて、しかも交通が過密で大変だというんだ。冗談言っちゃいけないというんだよ。だれが言ったか知らないが、一遍出てきて走ってみろと言いたいですよ。そういう机上プランで物を考えてはいかぬというのが私の考え方だ。こんなに十万人当たりベッド数が低い。しかも急激な過密都市になっている。だから湾岸道路だの横断道路だのやらなければどうしようもないでしょう。それを一体どう考えているのですか、今井さん、ちょっと答えてください。
#458
○木戸政府委員 いろいろの御意見がございますが、先生のおっしゃるとおりに、横浜市は確かに指定都市で一番人口が多いのは事実でございます。ただ、国立病院は何をなすべきかということについてはいろいろな御意見がございますが、非常に限られた人、限られた金で、他の国立、他の私的医療機関、他の公的医療機関の頼りになるいわば最高峰医療というものを目指すべきだというふうに私どもは考えて再編成計画を立てたわけでございます。これにはいろいろな御意見がありますが、その前提に立ちますと、私どもは、量の問題というのは必ずしも国立でこなさなくても、民間なりあるいは自治体にかわるべき公的医療機関でもできるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
#459
○大出分科員 これは、そういう方針で医療費、あるいは社会福祉、社会保障を切っていこう、こういうことだから、理屈をつけなければいかぬのでしょう。だけれども、いかにあるべきか、なぜこういうことをするか。千七百億ばかり赤字があるから埋めようというのだ、あなた方は。それだけのことだ、簡単に言ってしまえば。理屈をそのためにどうつけるか、皆さんの知恵だろうけれども。それで物事が済むと思ったら大間違いだ。しかも今の話の中にあったがこれはほかでもできる、こんな冗談言ったらだめですよ。東病院というのは厚生省が指定しているでしょう。これは肝疾患の特殊な病院なんだ。私も家内を十年がんで闘病生活させた後に亡くなりましたから、随分病院を知り過ぎていますが、この病院は、東病院のことですが、国立がんセンターが築地にあるでしょう、あそこに日本一と言われる膵臓がんの大家がおるのです、だれでも知っている有名な先生が。私の兄貴も世に知られた医者だからその人と仲よくしている。中曽根さんも私の兄貴の患者なんだ。ところが、そこで音波でがんを探す特殊な研究をずっとやっているのですよ、特に膵臓がんなど。私の家内なんかも普通じゃ見つからないのが、別ながんで手術しまして何年にもなっていたのだがここに入れておいた。ここに音波診断センターというのがありましてつまり築地のがんセンターとリンクしているのです。ここでちゃんと発見しているのですよ。
 もう一つ、肝臓疾患というのは、さっきの国立療養所横浜南病院に入っていて、これはいけないといえばいきなり久保山ですよ。だから久保山に入っている患者さんを見てごらんなさい、べらぼうに広い範囲なんだ。神奈川県じゅうと言ってもいい。ここに表がありますけれども、これは昨年の五月十四日現在の患者数なんです。入院患者二百七十一名おいでになりますが、外来が三百何人もいますけれども、ところがこれを見ますと、横須賀あり、鎌倉あり、大和市あり、藤沢あり、東京都あり、千葉県あり、なぜかというと有名な肝臓の病院だからなんです。肝臓に穴をあけて肝臓の中を写すのですからほかでできないのですよ。みんなここへ持っていってくれ、こういうわけですよ。高度医療といったってこのくらい高度医療をやっているところはないですよ。しかも、何年もCTスキャナーを何とか入れてくれと方々から私自身に言ってくる、近所に患者さんがいっぱいいますから。ここにはCTがないからというので、そのたびにほかに行く。国立横浜病院とリンクしてやろうと言ったら、地域医師会との約束ができていてやってくれない。どこか患者さん行ってきてやってきてくれよというわけです。そうでしょう。そうしたら採算が悪いから入れない。入れなければなおのこと患者は減るのです、そんなことをすれば。当たり前ですよ。CTがないんだから、それじゃ脳疾患なんか初めからほかに行こうということになってしまう。だからそれではいけないといって、国立病院課長をやっていた目黒君のところあたりまでずっと話して、これで計画にも入れるの入れないのと言っていた。
 片っ方、この病院は労使間で随分苦労されて、上野先生という院長さんがなかなか立派な方だものだからそうなんでしょうけれども、この収支の改善に懸命になってやってきた。ここは私は五十七年に質問したことがあるんですよ。皆さんが善幸さんのときに人勧の凍結をしちゃったでしょう。だからこの病院の給料表をみんな私いただいてきましてね、質問したことがあるのです。そのときにびっくりしたんだが、行(二)で途中から入った中途採用もたくさんいる。非常に給料が安い。ところが、元療養所だから、非常に長期勤続者がいて、退職金が高いですよ。込みで計算するでしょう。だから収支計算が合うはずはないんです。退職金がどんどんふえて、それがやめる時期にみんな来ている人だから。それで泣き泣き改善してきて、収支率が五十五年が八五・九%、五十六年が八五・六%、五十七年が八八・三%、五十八年が九〇・六とここまで伸びてきて、もう一踏ん張りと院長さん自身ハッパをかけて、五十九年に何と九六・七%まで回復したんですよ。急激な回復なんですよ。これは随分苦労していますよ。
 僕は去年の暮れにCT問題を話している途端に今の話が出てきたから、あわてて東病院に寄ってみたのです。そうしたら、先生、きのうみんなを集めて九六・七まで回復した、もう一息だからやろうじゃないか、町の皆さんのためにと言ってみんなに話したところだ、そうですか、がくんとした。今申し上げた数字のとおり苦心惨たんしてここまで回復してきている。もう一歩です、本当に、CTも何も入れてくれないのに。そうでしょう。そこらは実情を皆さんが知らなければ、いきなり机の上で線を引いてこう、そんな考え方はいけませんよ。CTを私の言うように三年、四年前から入れてごらんなさい。もっと収支率は上がっているのです。そうでしょう。だからそこらのところはあなた方が一概に机の上というわけにいかない。
 しかも横浜病院の方も、これは特殊な病院ですよ。さっき高度医療と言うけれども、市も県も横浜病院にも非常に頼っている。だから指定救急医療もやっておりますし、ここは五百床ばかりですけれども、精神科五十二床のベッド数があるでしょう。心臓血管外科もあるのですよ。十九科目。だからこの病院というのは県、市の側からすれば、東病院とは別な意味で高度医療をやっていますから、ここもどうしても必要な病院、こういうことなんですよ。そこらはどこまで皆さんがわかってやっているのか。大臣、そこのところをひとつ聞きたい。
#460
○木戸政府委員 先生がおっしゃったように肝臓の専門家がいて、かなりその方面ではいろんなところから知られている、それは私どももよく知っております。ただ私どもといたしましては、横浜東病院は先生御存じのとおりに市立の結核療養所としてスタートして、四十三年に御助力によって病院転換をしたわけでございますが、公務員の定員事情が非常に厳しくなった後でございましたので、私どもも非常に努力をして人をふやしているのでございますが、医療スタッフが極度に不足をしているという事態があるわけでございます。確かに横浜は非常に人口も多いし、それなりに医療スタッフも集められるから、人も会も、特に人でございます、人が十分にあるというのであれば、あるいは両方を高度専門の医療機関というふうにするのも可能かと思いますが、ただそこは人と金に限りがあるものでございます。それからやはり他の地域との兼ね合いというものもございます。横浜東病院の場合は、周辺に大学病院、市民病院あるいは赤十字病院等、高機能の医療機関がある、こういうようなことを勘案して、先生がおっしゃったようなことはよくわかりつつも、単独での整備よりも横浜病院と統合して、大阪病院とか東京第二病院に並ぶ高度の総合診療機能を有する代表的な、少しきざでございますが、指定都市でいわゆる基幹病院がないのは横浜だけでございますので、国立病院としての機能強化を図るというふうな結論を出したわけでございます。
#461
○大出分科員 横浜市にしても、神奈川県にしても、さっき申し上げた人口比からいってのベッド数は最低でしょう。そんなもの、皆さんが幾ら言ったって自治体が認めることは金輪際ないのです。よく私は知っている。ここへ来ると私は野党で、大臣、あなたは与党だけれども、横浜へ帰っていきますと僕が与党なんだから。県知事も市長もみんな与党なんだ。あなたの方が野党なんだから、これはそんなあなた方の勝手なわけにいきませんですよ。だから何だってわかっているのです。横断道路といったって川崎から出発するんだから。川崎だって僕の昔からの飲み友達が市長やっているんだから、そんなわけにいかないんです。自治体が、つまり市議会が満場一致で、超党派でだれも反対しない。しかもこれは昨年出しているのですよ、こんなことになるだろうと思っているから。
 そこで、この間あなた、織田信長じゃいけないので徳川家康でいこうと思っていますと私に答弁したが、私は徳川家康もやめてもらいたいのです。この二つが収支率が九六・七%いっているんだから、一〇〇%の収支率になって何でいけないということになるの。地域の需要がそうなっているんだから。この発表された日だって三百五十何人の外来がいる。どんどんふえているわけですよ。やがて一〇〇を超しちゃいますよ。今までの経過を表にして見てごらんなさい。そういうところを、私が暮れの二十八日に電話をかけて皆さんの担当の室長さんに話をいろいろしてみた。ところが言うことが、地元のことは全然わかっていない。そこで念のためにここで幾つか承っておきたいのだけれども、どうしても、自治体がうんと言わなくても強行してやりますか。
#462
○今井国務大臣 これはこの間も申し上げたように、やはり理解を得なきゃいけませんよ。だから理解を得るように私はやりますと申し上げたのです。まさかそれはぐさっとやるわけにいきません、そこに皆さんが現実におられるわけですし、地元に非常に御関心があるのですから。こういうわけでぜひひとつ、もっと立派なものにしたいという気持ちはわかっていただきたいと思うのですな。何もこれ一緒にして捨てちゃうというのじゃないですからね。もっと立派なものにしたい、それはわかっていただけませんかな。
#463
○大出分科員 わかっている。わかり過ぎるくらいわかっていて、金をくれないから困っているんだ。CTスキャナー一つ入れてくれというのに、一億幾らだ。冗談言っちゃいけませんよ、九千万円ぐらいで入りますよ。七千万円ぐらいから入りますよ。私の兄貴はそっちの方の専門家なんだからそんなことはわかっているんだ。表街道です。実際にはそんなにかかっていないのです。そんなものは七千万ぐらいで入る。何年も僕が話してきたって断りっ放しでしょう。ちっともよくしようとしない。
 これは必要だからなんです。ここにちゃんと細かい数字が全部ございますよ。どうしてもCTを必要とするという患者がこれこれいるというのに、ないのです。患者にとっては大変なことですよ。こんな不親切な国立病院どこにあるかということになる。いい病院にしようがないじゃないですか。今、患者さんにどこが痛いんですかと口の先で親切になんというのは、一つも親切な医療じゃないのですよ。今の最高の医療施設というのは、必要な医療機器というものは全部きちっとそろえておくということなんです。それ以外にないのです。それが最高の病院でしょう。そこに専門的な権威ある医者がいるということですよ。千葉の系統の方がほとんどだけども、傑出した病院ですよ、そこにいるお医者さんだって。だからそういう意味で、東病院も横浜病院もあなた方がその気になってくれれば幾らでも立派な病院になる、紛れもなく。何遍言ったって何年間もCT一つ入れない。しかも、業を煮やして院長さんが、私はこれ後からもらってきたんだけれども、これも何回目かですが、六十年三月十一日、院長名でこういう事情なんだからCT入れてくれと言っておる。そうしたら厚生省何と言ったかというと、横浜病院とリンクしているんだから横浜でやってもらえばいいでしょうと言うわけだ。横浜病院に話してみたら、地域医師会との協定ができていて、ほかのは受けつけられない、こう言う。そんなことまで皆さんは知らないんだ。そうでしょう。だから病院側が方々に頼み込んで、数々患者さんを連れてそっちへ行ってCT撮ってもらっているわけですよ。厚生省に聞いてみれば横浜病院と。横浜病院に聞いてみれば全くそんなことはない。医師会とのリンクで受けつけられない。そういういいかげんな物の見方で考えちゃいけないです。これは命にかかわるのですよ。
 しかも、ベッド数というのは十一大都市の中の最低なんでしょう。しかも両方とも特殊な病院でしょう、近所の公立病院からだって肝臓といったらここに来るんだから。そうでしょう。そういう病院をあっさり机の上で一緒にして、一緒にするったってどう一緒にするんだと言ったら、東病院の方は土地が狭いんだと言うんだね。土地が狭いから東にするのは無理でしょうときた。じゃ横浜病院はどうなんだと言ったら、横浜の方は地域環境、交通事情等々考えると将来プラスになるかマイナスになるかわからないと言うんだ。だからそっちも無理でしょう。両方無理ならどうするんだと僕はこの室長さんに言った。そうしたら、先生ひとつどこか土地ございませんかと言うわけだ。市、県というのは私が与党だからとまでは言わなかったけれども、確かに長洲知事さんは私どもが言って引っ張り出した人だけれども、まあ先生何とかしてくれないかと言う。ところが、それじゃその両方一緒にしてどこへつくるんだと言ったら、これまたはっきりしない。
 そうなると気になるのは、昭和六十年三月二十八日の厚生省の「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」というのがある。この中に「又は他の経営主体への経営移譲が適当と考えられる施設について」云々。他の経営主体ですよ、いいですか。そうかと思うと、この中には政策医療だとこう言う。ふざけなさんなと言うんだね。僕も、兄貴は病院の医者で防衛医大の附属病院の副院長までやっているのだから、病院のことを知らぬわけでもない。病院協会とも僕は長いつき合いがある。こういう書き方はよろしくないと皆言っている。そうかと思うと今度は「経営移譲を円滑に実施するという見地から、土地及び施設設備の譲渡について規定する「国立病院特別会計所属の資産の譲渡等に関する特別措置法」等を見直す」。一体どこへ移譲するつもりなんですか。経営主体をどこへ持っていくのですか。そんなことをどう考えているのですか。
#464
○木戸政府委員 私どもとしては、横浜病院と横浜東病院は移譲ということではなくて、統合して両方の機能を、先生がおっしゃったような肝臓のような機能も統合したところで生かしていく、こういう考え方でございます。
 ただ、先生おっしゃったように何せ横浜は病床不足地域でございます。それから場所も非常にいいところでございますので、横浜東病院の土地、建物を使って医療機関を経営するところというのは必ずあるというふうに私どもは見込んでおります。ただ、どういうのがいいかという点については、県なり市あるいは関係のところと十分協議をしなければならないというふうに考えております。
#465
○大出分科員 ちょっと待ってくださいよ。経営主体を移譲するという計画はあるの。もう一遍はっきり言ってください。
#466
○木戸政府委員 経営移譲ではございません。両方を統合して、横浜東病院の土地、建物が国立として不要になればそれを活用する、こういうことでございます。
#467
○大出分科員 ちょっと待ってくださいよ。だって私が東病院に統合できるかと言ったら、地域が狭いからできないと言う。じゃ横浜病院に統合できるかと言ったら、環境並びに交通事情その他を考えまして無理だと言う。行くところないじゃないですか。今横浜の町の中なんてのは、そんなに簡単にこんな大きな土地ありやしませんよ。飛鳥田さんが十五年やって今細郷さんがやっているのだけれども、私も細郷さんとはうんと近い仲だ。市長になる前にも十三年もつき合っておる仲だ。何も知らない仲じゃない。今どき横浜のど真ん中に、こんな過密都市にそんなものないよ。そうでしょう。そうすると行くところがないのだよ、この計画では。ならばどこかに経営主体移譲でもするのか、これ。そうでなければ、中間施設という問題が最近出てきたけれども、あれはお年寄りの皆さんの、苦労した皆さんのうば捨て山に近いよ。普通ならば三十五万ぐらいかかる。だから医療機関にしないで、今度はこういうところも中間施設をつくって二十万で打ち切って、モデルを十カ所ばかりつくってやってみようなんというような話がいっぱい出てくるんだよ。そんないいかげんなことをやっては迷惑です。
 こっちにも統合できません、こっちも地域環境、交通事情でできませんと言うんだから、行くところがないのです。土地探してくれ、そんなこと言ったって今の世の中に簡単に土地なんか見つかりやしませんよ。最大の過密都市横浜ですよ、いいですか。もう最近は私有地さえないんだから、そんなところに、厚生省は千七百億赤字が出るからその赤字をなくそうと思って考えている世の中に、べらぼうな金払えやせぬでしょう。だから地域の方々、市議会や県議会も含めて、冗談じゃないという話が出てくるわけですよ。そこのところを大臣答えてくれませんかね。そんなむちゃくちゃなことができますか。
#468
○木戸政府委員 大臣からお答えする前に御説明をしたいと思います。
 横浜病院は六万四千平米の土地がございます。横浜東病院は三万平米でございます。それで、率直に申しまして神奈川県からは、残せれば両方残してほしいが、仮にという場合には、政策医療として一番横浜市に大切なのは救命救急センターである、こういうことでございまして、横浜市大の附属病院が救命救急センターになっているので横浜病院の救命救急センターというのは横浜市の南西部としてどうしても必要である、こういうことでございますので、私どもといたしましては技術的に可能な方法を見出して、横浜病院への統合ということも考えている案の一つでございます。ただ、その点はまだ県あるいは地元とは詰めておりませんので、これからの課題でございます。
#469
○大出分科員 これで終わりますが、そういうことを今ここまで来て言われたんじゃ私は非常に迷惑だが、井出健さんという方、国立病院・療養所対策室長、この方と私は話したんですよ。そうしたら、原宿という戸塚のあの地域は地域環境、交通事情が悪過ぎる、だからとてもそれは向こうに統合はできません、こう言うのです。今になってそんなことを言われたら迷惑な話で、認めたくない。認めませんと申し上げて、時間がありませんから終わりましょう。
#470
○葉梨主査 これにて大田俊君の質疑は終了いたしました。
 次に、水谷弘君。
#471
○水谷分科員 大臣、長時間御苦労さまです。最初に留守家庭児童対策についてお伺いをいたします。
 実は、私の地元の栃木県の児童福祉審議会におきまして、留守家庭児童対策に公立保育所を利用できないかということで、これは五十八年ごろからいろいろ検討を進めてこられて、できるならばそういう方向で何とか実現をというような意見が出されております。しかし、この問題は、保母さんの労働時間の延長とか、現在まだ厚生省がそういう方向に取り組んでおられないわけでありますから、国がそういうことを認めるか認めないか、いろいろな課題がございます。
 そういうことを踏まえながらいろいろ御質問をしたいわけですが、この留守家庭の児童の数がここ数年大変ふえてきております。栃木県の五十九年の調査でも、前回五十五年の調査時よりも小学校一年から三年の留守家庭の児童の数が一%ほどふえている。全部の対象児童が八万五千人、そのうち一万二千人という一四%が留守家庭児童だということになっております。その留守家庭児童に対して、これまで児童育成クラブなど下校後から夕方五時ぐらいまで預かる、学校を開放してそういう施設を持っているところ、これは本県では三十六カ所、それで預かれる児童の数は九百九十二人、これは全体の一割にも満たないという状況でございます。他方、厚生省でまとめられた五十八年度の全国母子世帯等調査によりますと、母子世帯の発生原因は離婚がトップになっておりまして、離婚の急増で全国で七十一万八千百世帯という数字も出ております。母子家庭また父子家庭、そして共働き、こういういろいろな条件が重なりまして、特に小学校一年から三年くらいの児童というのは教育の環境の中でしっかりと手厚く守ってあげなければならない児童たちですけれども、これだけの多くの児童がそういう状況になっている。
 そこで、もう一つ具体的な対策として、今まで都市児童健全育成事業というものを実施されたり、また児童館の設置運営ということに力を入れてこられました。六十一年度には全国で九十館の児童館建設が予定されておる、児童育成クラブも百四十六カ所つくる、そういうふうに伺っております。しかしながら残念なことに、この昭和五十九年の全国家庭児童調査の結果を見ても、児童館の利用状況は小学一年から三年生では利用していないというのが二五%、近くに児童館がないというのが六〇・四%、利用しているのはわずか一四・五%、その内訳を見ると週に一回以上というのが四・一%、週に一回未満、月に一回以上というのが五・三%、月に一回未満が五・一%、こういうふうになっております。
 ですから、いろいろなことが利用されていない理由にはあるのでしょうけれども、冒頭私が申し上げたそういう御努力をされることも確かに必要でしょうけれども、今保育所に目を当ててみますと、昭和六十年四月一日現在で公営の保育所の充足率は八〇・六%、いわゆる定員割れを起こしているわけであります。定員がそのようにして割れているということが一つ。もう一つは、保母さんは保育については非常に専門家でございまして、まして小学校区単位に保育所がある。保育所でもその子供たちとともにいろいろ接触があり人間関係があった。学校区の中に本当にすぐそばにそれがある。
 そういうことを総合的に考えますと、私立も含めてそういう方向になればいいのですが、とりあえず公立保育所を地域に開放できないか、そういう考え方に取り組んでいかれないかという問題なんです。これは私は非常に大切な物の考え方だなと、お金をかけて施設を新たにつくる、そういう事業も片方必要でありましょうが、しかし現在ある既存のそういうものを使って児童生徒のいわゆる下校後の健全な育成を図るための施策としてそういうことが生かされないかと考えるわけでありますが、厚生省、こういうことについて御検討されたことがあるかどうか、最初にお伺いをいたします。
#472
○坂本政府委員 いわゆる留守家庭児童の対策については、私どももいろいろと考えておるわけでございまして、結論的には、児童館、児童育成クラブというものを整備して、ここで健全育成事業を進めていこうということを基本方針としてやっておるわけでございます。
 それで、今お話のありましたように、保育所でそういった問題への対処ができないかという点でございますけれども、保育所は、幼児つまり就学前の児童を一日大体八時間、夕方まで、あるいは場合によっては延長保育ということで夕方七時、八時あるいは夜間保育、いろいろな態様はございますけれども、幼児を保育する施設でございます。一方、学童ということになりますと、低学年の場合でも、乳幼児期と行動様式あるいは行動範囲、またいろいろと生活実態等が大分変わってまいりまして、同じ保育所で一緒にするというのはなかなか難しい問題がございます。
 そういうことでございますので、例えば学校のように午後施設があいてしまうというのとは事情が違いまして、夕方まで幼児あるいは乳児もいるということでございますので、保育所の機能を損なわないようにするということからまいりますと、そこに学齢に達した児童が一緒に入ってきていろいろと時間を過ごしていくという点にはかなり難しい問題があるのではないかと考えておるところでございます。
#473
○水谷分科員 よくわかりますが、先ほど私が申し上げたように、充足率から見ますと二割ぐらいあいているのですね。それから、児童の人間形成、園児の人間形成の中で、今いろいろ言われているのは、横型社会になり過ぎておる、縦の、年齢の違う子供たちが同じところで遊んだり、いろいろなことをすることは非常に大切であろうという議論がある。昔は餓鬼大将がいまして、学校から帰ってくると、一年生から六年生まで、また就学前の子供まで一緒になって遊んでおった。いじめとかいろいろなことが昔もないわけじゃなかったが、どこまでしかできない、これ以上やってはいかぬというものを異年齢の構成の中から自然のうちに学んでいった。では、そういうことを今地域社会でできるかというとなかなかできない。そういう面から考えても、こういう考え方は非常に一考に値する。
 ですから、冒頭申し上げたように、現在の保育所の組織、制度、また保育所の設置運営基準とかいろいろな問題がある。そう簡単にすっといけないかもしれませんが、問題があるから、そういうことは無理ですよという御答弁じゃなくて、これはもう少し本気になって取り組んでいくべきだ、私はそう思うのですが、いかがですか。
#474
○坂本政府委員 年齢の違う児童が一緒に遊びを通じてお互いに人間形成をしていくことは非常に重要なことだと私どもも考えております。したがいまして、児童館や児童育成クラブというところではいろいろと小さい子供、大きい子供、これは保育所のように必ずしも定型的な保育内容は持っておりませんけれども、地方の実情に応じ、あるいは集まってくる子供の実態に合わせでいろいろな指導を行ってまいっておるわけでございます。
 したがいまして、保育所という一つの法の目的に沿った機能を持った場所においてこれを十分損なうことのないようにやっていかなければいけないという面から、保育所において学齢児童を一緒に預かることの困難さを私どもは考えておるわけでございますけれども、そういう児童の育成という意味においていかなる方法が適切であるかということについては、いろいろな角度から鋭意検討してみたいと思っておるわけでございます。
 それから、定員割れのお話が出ましたが、定員割れも確かに平均的には公立で八割という状況でございます。ただ、そのために例えば保育所の一つの部屋が完全にあくという実態でも必ずしもございませんで、いろいろな年齢の階層の子供が少しずつ少なくなっているということもございますので、こういった面からも直ちにそのスペースが利用できるということもなかなか難しいわけでございます。同時に、定員割れにつきましてはまた別途、いろいろと保育事情なども最近変化してまいっておりますので、そういった面での対応というようなことも考慮しておるわけでございますけれども、私どもとしては、この問題についてはそういう両方の面から、いろいろ角度を変えたりして広い見地から検討していきたいとは考えております。
    〔主査退席、野上主査代理着席〕
#475
○水谷分科員 非常に大事な問題でございますので、保育所を地域に開放すること等も含めて、こういうお母さん、お父さんのいない、本当にたった一人でぽつんと家にいる子供さんの心境等もよくおわかりの上で、より一層の留守家庭児童に対する対策にお取り組みをいただきたいなと思います。大臣、いかがですか。
#476
○今井国務大臣 今政府委員が答弁したとおりでございますが、私の町などでは、幼稚園といいましょうか、保育所でないのですけれども、そういうところが大体午前中で終わるものですから、午後を利用して留守家族の子供さんをお預かりするというのはございます。
 保育所といいますと時間が長うございますから、昼飯を食べたら終わりだというわけにいかないのですね。しかも、保育所に入所いたしますのは乳幼児でございますから、身体的にも精神的にも大きな差があるわけでございますから一緒に入れるというのはいろいろな問題があるのじゃなかろうかと私は思います。しかし、せっかくの御提言でございますから一応検討させてみたいと思いますが、先生の方もひとついろいろお知恵を拝借させていただきたいと思っております。
#477
○水谷分科員 次に、精神障害者の人権を保障するための国の対策について、何点かお尋ねいたします。
 我が国の精神障害者の数は、戦後、年々大変増加を続けてきております。例えば入院患者数は、昭和四十年と昭和五十八年を比べましても、昭和四十年を一〇〇といたしますと昭和五十八年は一八一という数字になるほどふえております。このような大変なハンディを持つ精神障害の状況というのは、種々の要因、社会的要因、家庭的要因、本人を取り巻くそれ以外のいろいろな原因によって起きてくる障害でありますが、今この障害をいかにして未然に防いでいくか、予防していくか、これは社会全体の大きな問題ですから、何かどこかを直せば防げるというようなそう短絡的な問題でないことはよくわかっております。
 それで、厚生省では心の健康づくり、心の病気を予防しようということで、昭和六十年度から心の健康づくり運動五カ年計画ということでお始めをいただいているところでありますが、具体的に予防対策、再発防止、そういうものも含めてどのようにお取り組みをいただいているか、お尋ねをいたします。
#478
○今井国務大臣 おっしゃいますように、最近、国民の精神的な健康を確保するための施策を推進することが極めて重要になってきておると認識いたしております。このため、精神保健対策として、精神障害者で医療を要する者に対します医療費の公費負担制度、これを実施しているわけでございますが、そのほかに社会復帰のためのもろもろの施策、それからまた、先生おっしゃいます国民を対象にいたしました心の健康づくり、そういうものをまぜまして施策を推進しているわけでございまして、この問題については厚生省も重点の一つとして、極めて大事な問題として対処をいたす決意でございます。
#479
○水谷分科員 具体的なことでお尋ねをいたしますが、一昨年、一連の精神病院事件、特に私の栃木県で報徳会宇都宮病院の事件がございました。それらを踏まえて、厚生省としてはその精神病院の改善等についていろいろ御通知をされたり、指導をされたり、御努力をいただいてきたわけでありますが、現状はどのように把握をされておられますか。
#480
○仲村政府委員 御指摘の一昨年宇都宮での病院事件がございましたけれども、その後精神病院をめぐる不祥事件というのが相次いで発生したわけでございます。このようなことは精神障害者の医療、保護を行う精神病院におきましてあってはならないことだと考えておりまして、厚生省といたしましても二度とこのようなことのないように、今大臣からお答えいただきましたようなことも含めまして、いろいろの施策を実施してきておるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、五十九年六月に精神病院の指導監督等の強化徹底に関する通知というものを、厚生省の関係の局が三つございますので、その三局長から都道府県知事あてに文書を発しましてその実施を指示いたしますとともに、入院患者に対します実地審査についても予算面で大幅な拡充を図っているところでございます。さらに、六十年十月十九日でございますが、先ほどおっしゃいました患者さんの人権という観点からも含めまして、入院患者の適切な処遇を確保するという観点で通信・面会に関するガイドラインというものを各都道府県知事あてにお示ししたところでございます。
 このようなことを経まして、例えば通信・面会に関するガイドラインの関係で申し上げますと、その後に閉鎖病棟内へ公衆電話が逐次設置されるようになっておるというようなこともございまして、精神病院における人権に対する意識は着実に変化があらわれているのではないかと私ども確信しておりますが、さらにおっしゃいますような方向も含めまして、今後精神医療制度の適正な運営について努力していかなければならないというふうに考えております。
#481
○水谷分科員 障害者の更生、それから社会参加のことについてお伺いをいたします。
 六十年度から軽症の精神障害者の社会復帰対策、これに厚生省も大変力を入れて、ナイトケアとか共同住宅、在宅ケア、こういうような事業を進めていただいているわけでありますが、諸外国の精神障害者に対するいろいろな対応と我が国の対応が根本的に違うのは、いわゆる隔離による入院、それで治療するという、いわゆる社会環境から隔離をしてその中から治療をしていくという方向がどうしても中心になっていく。これは確かに重度、大変な方はそうせざるを得ないでしょうが、軽症またはそれに近い人たちというのは、できるだけ社会の近くで、開放された環境の中で、そして地域社会全体も温かい目で見守りながらその人たちの更生と社会復帰というものを進めていかなきゃならないなと考えているわけであります。
 そういうことで、いわゆる社会復帰を目指すためのいろいろなことを訓練する訓練施設、また中間施設、こういうことを相当力を入れて、それもよりスピーディーにやっていきませんと、薬を中心にした治療ですとそれを繰り返していきながらだんだん重症になっていってしまう、そういう弊害が今日までずっと指摘をされてきたわけであります。六十一年度の予算の中にも、精神障害回復者社会復帰対策等ということで六億八千八百万という予算が計上になっております。通院患者リハビリテーション費とか社会復帰施設等運営費等々がございますけれども、どうかひとつ、この点は今一番強く要求されている問題でありますので、より一層手当てもせにゃいかぬでしょうし、本質的に、そういう開放治療を行ってもその病院がきちっと経営が成り立つような、そういう方向へ持っていく部分も非常に重要なんです。
 お医者さんの中には、何もしないで薬だけ与えておけばその方が安上がりだ、そういう手をかけて、障害者と本気になってその人たちを何とかしようという開放治療の形でやっていくと非常に人件費もかかったり施設も相当拡大をしなければならない、そういういろいろな苦しみ、苦悩というものが医療担当者、お医者さんの医療機関の側にもいろいろな要求が実はあるのであります。ですから、現在の入院を中心にした――中には、長い人は宇都宮病院のときは十五年という人までおられました。精神衛生法によって本人の同意を得ずに仮入院だとか同意入院だとか措置入院だとか、こういう形で入院させられてしまう。そういう人たちの中には本当に紙一重で健常者と同じような方もいるのだが、薬づけみたいな形でどんどんそれが進行してしまうという、そういう実態等もございます。
 今年度の対策について、私大体ここで承知をいたしておりますけれども、今後も含めて、軽症の方、それらの障害者の方の社会復帰に向かわれる道筋、こういうものをしっかりと確立をしていっていただきたい、こう思うわけでございますが、いかがでございますか。
#482
○仲村政府委員 確かに従前の精神医療と申しますのは閉鎖的な入院中心の医療だったわけでございますが、現在は広く地域社会の中で精神障害者あるいはその回復者の方々を扱っていこうという考え方に変わってきているのは御指摘のとおりだと思います。そのために、私どもといたしましても、精神障害者の社会復帰というのは最重点施策の一つに考えなくてはいけないかと思います。
 そういうことでいろいろ体制を整備していきたいと考えておりますが、先ほど幾つか例に挙げられましたようにいろいろのパターンがございまして、生活指導を必要とする場合でございますとか、昼間だけの場合とか夜だけの場合とかいろいろのパターンがございまして、それに対応できるように、できるだけバラエティー豊かに社会復帰の方向へ患者さんが向かっていただけるように医療機関や精神衛生センターその他関連の社会資源を活用してまいりたいと考えております。
 四月一日から改正されます診療報酬改定でも精神病院から退院患者さんに訪問看護をするという点数も認めていただけましたし、方向としてはそのような方向に向かっておりますが、なお御指摘のような方向で努力してまいりたいと思っております。
#483
○水谷分科員 どうぞひとつ、高度情報化社会、また社会の前進するスピードが非常に速い、いろいろなことでいわゆる精神的な抑圧といいますか、そういうものがますます増すような社会構造を迎えつつある、そういうものも本当はどこでどういうふうに是正していくべきかという議論もあるはずですけれども、直接現在御本人がそういうことで苦しんでおられる方、またその御家族、いろいろなことを考えて、こういうものは現在ある医療機関をできるだけ有効に活用しながら、そういう中で効果を発揮できるようにお取り組みをいただきたい。
 それともう一つは、そういう方々が本当に社会で安心して生活できるように社会全体が寛容さを持ってその人たちを迎えられるような御指導、国民に対するいろいろな形での対応策というものについても、厚生省ひとつ力を振り絞って対応していただきたい。いずれにしても精神障害者の方々の人権を保障できるような、そういう人権を保障するんだという観点からより一層の対応をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#484
○野上主査代理 これにて水谷弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、青山丘君。
#485
○青山分科員 大臣、相当お疲れだろうと思いますが、少し質問させてください。
 まず最初に、さきに提出されました老人保健法案についてであります。
 昭和五十八年に出発いたしました老人保健制度でありますが、年々ふえつつあります老人の数に準じて老人医療費が急増しています。これはなるほど事実でありまして、聞くところによりますと二けた台の伸び、大変な伸びであります。昭和五十八年度実績で見ますと、老人医療費は国民総医療費の二二・九%、実に三兆三千百八十五億円、大変な金額であります。総人口の六・四%の老人が全医療費の二二・九%、約二三%を使っておる、こういう計算になるわけですから、このままでは財政がパンクしてしまう、そういう危機感はあったと思います。しかし、考えてみれば約十四兆五千億円の中の三兆三千億円あたりでありますから、二三%といえばそんなに大変な、特に老人だけを取り上げてというほどではないと実は私は思うのです、それは受けとめ方ですけれども。
 そういう中で、今回患者本人の自己負担を現行の四百円から一挙に千円に、入院を三百円から五百円に値上げをしていく、これは少し性急で幅が大き過ぎるのじゃないかというふうに思います。いかがでしょうか。
#486
○今井国務大臣 先生御案内のように、この老人保健制度につきましては、人口の高齢化が急速に進む中で増大を続けます老人医療費をどのように適正なものにするか、またいかに国民が公平にこれを負担するかというふうな課題に対しまして、長期的にしかも安定したものにすることが極めて大事だと私は思っております。したがいまして、老人医療費の一部負担というものも健康に対します自覚と適正な受診という観点からお願いをしているものでございまして、現在の一部負担の額は、先生御案内のように老人医療費の一・六%程度でございます。まあ世代間の負担の公平という観点も私は極めて重要なファクターだろうと考えておるものでございます。
 今回の改正は、老人の方々が払いやすいように定額制というものを変えない、それから外来につきましては、月の初めに一回払っていただければあとは何回受診されましても払わなくていいという現在の制度、それを維持することを基本としているわけでございます。これによりまして六十一年度では老人医療費の三・七%、満年度で参りますと四・五%程度の一部負担になるわけでございますが、おっしゃいますように千円の問題あるいは五百円の問題、高いじゃないかというお話もございますが、年金やあるいは高齢者の世帯の所得の実態から見ますと、何とかひとつこの程度はお願いできるんじゃなかろうかというふうに考えておるわけで、どうぞひとつ御理解を賜りたいと思うものでございます。
#487
○青山分科員 この面で歯科について考えてみますと、自己負担千円というのは高過ぎる、こういう場合が出てきます。つまり、最低で七十点しか請求できないというときがあるんです。口腔疾患指導料五十点、それと再診料の二十点、こういうときがあるんですね。初診時ですと百六十点というのがありますからこれはカバーできるんですが、月一回しか来院しないという患者につきましては二カ月目には七十点であるわけです。そうなりますと、千円というのは一体どうなっていくのかという矛盾を実は抱えておりまして、そういう意味でも少し大幅に過ぎるのじゃないかという気がするんです。
#488
○黒木政府委員 御指摘のようなケースは起こり得るわけでございますけれども、老人医療費の一部負担、これにつきましては、老人保健法上の取り扱いでございますけれども、月の最初の診療日におきまして実際にかかった費用の範囲内で負担するというふうに定めがございまして、したがいまして、御指摘のようなケースにつきましては、一部負担金は千円ということじゃなくて、実際にかかりました七百円ということに相なります。
#489
○青山分科員 たくさんの質問を抱えておりますから、実は通告してあります按分率については次の機会にしたいと思います。
 老人保健施設についてお尋ねします。
 いわゆる寝たきり老人、こういう言葉がしばしばマスコミに登場しておりますが、実は大変暗いイメージでございます。昭和五十九年の調査によりますと、六十五歳以上の人の人口というのは一千百七十一万八千人。この六十五歳以上の人の人口の四・二%に当たる四十九万五千人が寝たきり老人、そのうちの三十六万六千人が六カ月以上の寝たきり老人、こういう数字です。
 そういった中で、老人保健施設の創設というのは私は大変期待したい。それは今後いよいよ増大していくであろう介護老人対策という意味でも私は期待しているんです。しかし、さきの答申の中には、今後も慎重な検討を求める、こういうような意見が盛り込まれていると聞いておりますが、いかがでしょうか。また、厚生省の中ではもう既に十くらいのパターンをつくって検討しておられる、具体策を研究しておられる、こういうふうに聞いておりますが、いかがでしょうか。
#490
○黒木政府委員 御指摘のように高齢化の進行に伴いまして寝たきり老人等要介護老人は増大をいたしておりまして、現在の五十万から十四年後の二十一世紀には百万を超えるというふうに見込まれているわけでございます。このような増大する要介護老人のニーズにこたえまして、私どもといたしましては、新しい施設体系としていわゆる要介護老人に対する中間施設というような形で今回御提案申しております老人保健法の一部改正に新しく老人保健施設の制度化の構想を盛り込んでいるわけでございます。
 この制度の実施につきましては、六十二年度以降を予定いたしております。このため、六十一年度予算におきましては約四億二千万を計上いたしまして、全国で十カ所程度モデル施行をやってみたいということでございます。このモデル実施をやりまして、その成果を踏まえまして私どもといたしましては具体的な運営基準をつくりたい。もちろん関係方面の意見を聞きながら、あるいは関係審議会の意見を聞きながら具体的な運営基準を慎重に検討の上つくりたいと思っているわけでございまして、私どもとしては、この老人保健施設が要介護老人にふさわしい医療とそれから生活の場を提供して、明るいイメージの施設になるように努力をしたいというふうに考えております。
#491
○青山分科員 ぜひ進めていただきたいと思います。
 そこで、老人保健施設の中における歯科の施設についてお尋ねしますが、何といっても老人にとって最大の楽しみというのは何か、それは食べるということであろうと思うのですね。それだけに、そしゃく機能を回復させるというこの歯科治療というのが老人にとっては大切なことなんです。しかし、寝たきり老人の治療というのは現状ではなかなか容易ではありません。歯科は治療器具の関係がありまして往診という点には余り向いておらないのです。
 そこで、現在寝たきり老人への家庭訪問診療をしている地域が全国ではわずか二カ所だけ。一カ所は兵庫県の洲本市、それからもう一つは私の地元の愛知県、この二カ所です。東京杉並ではことしの秋から実施されるというふうに新聞で伝えておりますが、全国的にはまだまだ多くの寝たきり老人が歯の治療が受けられないでいる。政府や自治体が訪問診療に積極的に取り組んでいただくことは大変結構であると思いますが、例えば今述べられましたこの老人保健施設の中に歯科の設備のある部屋、これをつくることができないのかということを私は申し上げたいと思うのです。老人保健施設の中に歯科室を設けて治療に必要な機器を設置しておく、そうすれば常駐の歯科医師がいなくても寝たきり老人に対しては一定の歯の治療ができる、そういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#492
○黒木政府委員 老人保健施設にどのような室なり機能なりあるいは設備を置くかということにつきましては、今後老人保健審議会で、もちろん改正法の成立を待って関係審議会で御審議をいただくことにいたしておるわけでございますけれども、御提案なさいました歯科診療室が老人保健施設に必要があるかどうかという点につきましては、例えば老人病院あるいは老人ホーム等の他の施設につきましてこのような施設の設置が義務づけられているわけではないわけでございまして、そういうことのバランスから見まして、御提案でありますけれども非常に難しい面があろうかと思いますけれども、なお慎重に各方面の意見も聞きながら検討してみたいというふうに考えます。
#493
○青山分科員 老人保健審議会のことで少し申し上げたい。
 その前に、限りある財源を有効に使う以上は医療保険制度の見直しはもちろん必要でありますが、世界一の長寿国であります我が国であるからこそ、老人医療に関する問題は老人自身の意識改革も含めて十分な話し合いをしていただきたい。厚生省は老人保健法の一部改正案、それにのっとって六月の実施を目指しておられるというふうに聞いておりますが、ぜひひとつ慎重な取り組みをしていただきたい。
 そこで、今出ておりました老人保健審議会ですけれども、今回答申を出しました。ところが、これは二十人編成でありまして、歯科側の代表は一人も入っていません。老人医療費のうちの歯科の割合というのはわずかであるかもしれません。しかし、この審議会のみならず、厚生省には各種審議会、懇談会等たくさんありますが、押しなべて歯科側の代表は軽んじられていると私は思う。法律も医師等というこの「等」の字の中に必ず歯科医師と入るように文章も改正になってはきておりますし、医療法一つとってみても、昔は「等」の字でひっくるめられておりましたが、先輩たちの努力によって分離されるようになりました。今回の老人保健施設の中に歯科室もつくってはどうかというこういう発想は、やはり歯科医師でなければなかなか出てこない発想なんです。本当に老人にとって何が大切か、よく考えていただいていると思いますが、それぞれの立場で衆知を結集する、こういう意味ではぜひ歯科医師側の代表も入れていくべきではないかと私は思うのです。今回の老人保健審議会のみならず、全般においてこの辺の御見解をいただきたいと思います。
#494
○黒木政府委員  御指摘のように老人保健審議会の委員数は法律で二十名ということで決められておりまして、各保険者あるいは被保険者の代表の方あるいは学識経験者、そういうことにお願いをいたしておるわけでございます。
 私どもも老人医療につきまして、その中での歯科領域の重要性を決して軽んじているわけではございません。いろんな専門家にもっと入っていただきまして御審議を願いたいという面もあるわけでございますが、御案内のように行政改革を進めている中で審議会の委員を増員することは非常に困難となっておりまして、せっかくの御提案でございますけれども、新たに歯科側の代表を委員に任命することは困難な状況にあるということを御理解をいただきたいというふうに考えます。
#495
○青山分科員 全般に審議会、懇談使の中には歯科側の代表が入っておらない例が多いのですね。何となく軽んじられているような気が私はするのです。ぜひひとつこれは一考をしていただきたい。
 それから診療報酬についてお尋ねします。
 現在、中医協で診療報酬の引き上げが検討されておりますが、その基本となるのは六十年五月分の医療費であります。この数字を見てまいりますと、対前年同月比で全体でプラス三・四%、医療全体で三・七%であります。内訳は、病院が七・九%、診療所の外来がマイナス二・九%、そして歯科が一・一%となっています。ここで六十年度の政府の経済見通しを見てまいりますと、名目で五・七%、実質で四・二%国民生活が豊かになってきているのに、歯科の伸び率は経済成長にも追いつかない形で辛抱しなさい、こういうことになっていくのでしょうか。
 また、政府はさきに来年度の経済成長率を実質四%という数字を示しました。ところが、四月一日目途に現在検討中の医療費改定は平均二・三%、この中では医科が二・五%、歯科が一・五%。これも国民一般が四%も上がっていくのに歯科はわずか一・五%で辛抱しなさい、こういうことなんでしょうか。
 実は私は毎年この場で何度も歯科の医療費について尋ねてきております。その都度前向きな答弁はいただいておりますが、厚生省の言う良質な医業を確保するための医業経営の安定と医療費の適正化という点では、たび重なる要求にもかかわらず歯科に限っては決して改善されているとは言えません。非常に難しい義歯をやってもなかなか点数は上がらない。医科と違って新規開業率が高い歯科医は本当に苦しい経営状況であるわけです。この点をどう受けとめておられますか。
#496
○幸田政府委員 本年四月一日改定を予定しております今回の改定は、診療報酬体系の合理化と医業経営の安定に資する、こういう観点から行ったものであります。そういった意味合いにおきまして、改定幅については、一方におきまして合理化をすべき事項についてそれぞれ積み上げを行いますと同時に、最近の賃金や消費者物価の上昇が医療機関のコストに及ぼしております影響、あるいは医療費にはいわゆる自然増というものがありますので、そういった医療費の自然増等によります医療機関の収入の増加、そういったもろもろの要素を総合的に勘案をして改定を実施することにしたものであります。歯科につきましては、お話しのとおり一・五%ということでありますが、以上申し上げましたような経緯を踏まえまして改定幅が出てきたもので、私どもとしましては、今回の改定はそういった意味で合理的なものであると考えている次第であります。
#497
○青山分科員 もう一点、私は昨年、印象材等の中間消耗材料についてその評価をしてほしいという質問をいたしましたが、これは技術料に包括して評価しているというふうなことでありました。
 それならば、その材料費というのは技術料のうちの何%を占めているのでしょうか。昨今の諸物価高騰による材料価格の上昇も勘案されているのでしょうか。歯科は他の医科に比較して中間消耗材料が多く使われております。それらも考慮されているのでしょうか。しかしそうだとしても、私は評価は大変低いという印象を持っています。いかがでしょうか。
#498
○幸田政府委員 技術料に占めます中間消耗材料の割合につきましては、その中間消耗材料の種類によりまして個々のケースごとに異なっているのが現状であります。本年四月からを予定しております診療報酬の改定に当たりましては、やはり技術料の重点的な引き上げが一つのねらいでありますが、同時に歯科診療の中で中間消耗材料の占める割合が多い診療行為、例えば印象採得といったようなものにつきまして大幅な引き上げを図ったわけであります。
 具体的に申しますと、例えば歯冠修復の場合、連合印象で五十点のものを五十五点、それから欠損補綴の場合に同じく連合印象で百十点のものを百三十点、こういうことで今回の診療報酬改定に当たりましては中間消耗材料を勘案しながら重点的に引き上げを図ったつもりであります。
#499
○青山分科員 ここで私いつも歯科医師増加問題を取り上げておるのですが、昨年五月の医療費の前年同月対比の伸びで歯科は一・一%、診療所の外来がマイナス二・九%でありました。したがって、この数値から見ると、歯科は診療所外来に比べたら恵まれているという印象を持たれるかもしれません。しかし、これは中身が違うのです。診療所外来が伸びないのは、開業医になる先生が非常に少ない。いわゆる開業の伸び率が少ないわけです。それに比べて歯科の場合は開業率が大変高い。歯科医療機関の窓口数の増加は年間三・六%くらい。もちろん地域的な格差はありますが、ほとんどの既存の歯科医は新規開業医に食われているのが実態です。御承知であろうと思います。
 私の地元の愛知県では、都会型になってまいりますから、その数値はもう少し高くて四・三%くらい。都市部の歯科医院というのは過当競争で大変厳しい状況です。そして先ほどもちょっと触れましたが、医療費の押し上げ分というのは医療機関の増加にある。これは何年も前から言われ続けていることですけれども、問題は一昨年の調査で七十年までに二〇%の削減が打ち出されておりますが、厚生省の新しい調査、私の方にはその資料がありませんけれども、一昨年の調査以来現状をどのようにとらまえておられるのか、歯科医師増加の状況をどのように見ておられますか。お尋ねします。
#500
○竹中政府委員 歯科医師数あるいは歯科診療所の数でございますが、医療施設従事歯科医師数で申し上げますと、昭和五十九年末で全国で六万一千二百八十三、人口十万対五十・〇、愛知県では三千三百二十四人、人口十万対五十一・九という数字になっております。それから歯科診療所の数でございますが、これも五十九年末でございますが、全国で四万四千二百七十八、人口十万対三十六・八カ所、愛知県が二千三百六カ所、人口十万対三十六・〇カ所でございます。なお、施設の歯科診療所の伸び率でございますが、五十七年から五十八年への伸び率が、先ほど先生がおっしゃいました全国が三・六%増、愛知県が四・三%増、それから五十八年から五十九年への伸び率が全国が六・四%増、愛知県が七・六%増、以上が最近の数字でございます。
#501
○青山分科員 大変な伸び率です。これが結局医療費の伸びに結びついておりますし、実態はかえって経営状態を苦しくしておる、こういうことはもうおわかりいただいておると思います。
 実は、私の地元に愛知学院大学という学校があります。ここは私の母校のような学校と言ってもいいと思いますが、大学は私、橋本元大臣の後輩ですけれども、ここの中学、高校を卒業しております。この学校の歯学部は定員百六十人のところを三十人減らして百三十人にいたします。まさしく答申どおりの二〇%削減を苦しい経営である私学がもう打ち出しました。先の見える人なら、将来はこのまま推移したら大変なことになるということは大体皆さんが一致して理解をしていただいているところです。ただ問題は、経営に関係がない国公立と言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんが、しかし経営に非常に苦しんでいる私学で既に実施していますのに、比較的経営に関係のない国公立ができないでいる、これはどう考えても対応が遅過ぎると私は思います。
 私どもは既に繰り返し繰り返し、このまま定員増が進んでいったら大変なことになると訴え続けてきましたが、学校の定員を減らして将来の需給の調整に備えていく、これはもう既に打ち出された方針であります。それだけに、文部省としては慎重に対応したい、厚生省としては文部省の措置を期待している、こういうようなことをいつもいつも答弁されておったのでは、とてもこの事態は改善しないと思うのです。文部省と厚生省、どうですか。
#502
○佐藤説明員 お答えいたします。
 御承知のように、今厚生省で検討委員会が継続中でございまして、先生が先ほどおっしゃいました二〇%の削減というのは中間報告で指摘された数字でございますが、この中間報告は私ども全大学に配りまして、各大学とも今それぞれの事情はございますけれども、検討をしている。それで、私立大学のお話が先生からありましたけれども、国立大学におきましてもこの六十一年の四月から東北大学の歯学部で二十名の定員削減を予定するということで今予算案にお願いをしているところでございます。私立大学には、先生御指摘のように経営問題もございますが、この歯科の大学の入学定員が、私立の大学が実は七割強で非常にシェアが大きいということでございますので、もし将来削減をしていくということになれば、私立大学を含めて全体で対応してまいる、こういうようなことを考えております。
#503
○竹中政府委員 私どもの方の検討会で今最終報告に向けまして鋭意検討を続けていただいておりまして、後二、三カ月のうちには最終報告をいただけるのではなかろうかと思っております。その場合、二〇%削減するという中間報告でございますけれども、そのメーンは、文部省にお願いをいたしまして、入学定員の削減というのがどうしてもメーンにならざるを得ないのではなかろうかと思っておりますが、そのほかの面でも私どももう少し範囲を広げでいろいろなことを考えていきたい。文部省と協力いたしまして二〇%削減の目標が達成できるように努力をいたしたいと考えております。
#504
○青山分科員 文部省、ぜひひとつしっかり取り組んでいただきたい。
 厚生大臣、その決意をひとつ述べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
    〔野上主査代理退席、主査着席〕
#505
○今井国務大臣 今それぞれ意見を述べたところでございますが、今の事情はよく存じておりますので、しかるべき時期にきちんとした方針を出さねばならないと思っております。
 今の問題と関連して、非常にユニークな考え方がありますので、ちょっと御披露しておきたいと思います。
 この間、ある会合で歯科医師会の会長さんとお話をいたしておりましたときに、中国は歯科医師が極めて少ない、聞けば日本では今のような問題がある、だとするならば、中国から歯科医師になりたい人間を日本に送ってやる、学校で定員がそのようなことならばひとつこれを教育してくれないか、それで、こちらでライセンスを取りますとまたいろいろ問題が起こりますから、四年ぐらい勉強したらまた中国へ帰して向こうでライセンスを取るようにしたいというようお話が実はございました。私も極めてユニークな考えだなと思って省内に帰りましてみんなにもいろいろ話したところでございます。そういう積極的なことを考えていくこともまた極めて大事なことだろうと思っておりますので、ちょっと今の御質問に直接お答えする形ではございませんが、私の気持ちを申し述べたものでございます。
#506
○青山分科員 ぜひひとつしっかりと取り組んでいただきたいと思います。今の発想は、なかなか思考の幅が広くて私は結構だと思います。
 最後に一つだけ、標榜科名についてお尋ねいたします。
 歯科といってもその治療は歯のみとは限りません。歯科の中には、口蓋と舌との空間の治療を指す口腔外科という科があります。これは明治四十年文部省令で歯科の三大学科の一つとして認められてまいりました。にもかかわらず、今もってなお正式には認められておらないのが口腔外科であります。
 昭和初期には教育体系も整って、口腔外科を標榜する人もかなりいたのですが、昭和二十三年七月三十日の国民医療法の改正によって歯科は歯科の標榜のみということになりました。口腔外科など他の標榜がなくなったのであります。昭和五十三年日本歯科医師会より口腔外科、矯正外科、小児外科が申請されましたが、日本医師会長の反対で口腔外科を取り下げて、矯正外科、小児外科のみが認可されたといういきさつがあります。今でも耳鼻科、形成外科が口腔外科の実現に反対しているというのが現状だと聞いております。しかし、現実には全国の二十九歯科大学に五十八講座の口腔外科があり、六十の医科大学に口腔外科の講座があります。また、多くの総合病院にも口腔外科があって活躍しているのでありますが、この口腔外科はいまだ未公認の院内標榜の形のままであります。
 口腔外科学会の調査によりますと、昭和五十九年度の一年間にこれらの機関に医科から九万百十七名の口腔外科疾患患者が紹介されて来院してきております。今や、患者のためには必須の科となっているわけであります。
 また、昨年末成立いたしました医療法の一部改正では、「診療科名を含む医業に関する広告の制限については、医療事情の変化、国民意識の動向に即し見直しを行うこと。」と附帯決議がつけられております。私は、口腔外科を独立した標榜で扱うべき時期にもう来ていると思います。口腔外科という名前にいろいろ問題があるかもしれませんが、歯、顎、口腔外科というような名称での独立した標榜で扱うべき時期に来ていると思いますが、いかがでしょうか。
#507
○竹中政府委員 先生お話しの口腔外科の標榜追加要望、私どもも聞いておるわけでございますが、実は標榜科名につきましては、口腔外科も含めまして現在十四の追加要望が来ておるというような状況でございまして、一部で余り過度に細分化してはかえって患者の理解の妨げになるのではないかというような御意見もございます。特に、学会方面で従来の標榜科目と専門的知識、技術との関係についてもう少し基本的に議論をし直すべきではないかというような強い御意見もございます。そういったことを踏まえまして、私どもこれから標榜科名あるいは広告のあり万全体について、この際基本的に見直しをしたいと考えておりますので、先生のお話しの口腔外科もそれに含めまして全体の見直しをしていきたいと思っております。
#508
○青山分科員 ぜひひとつ現状をよく受けとめていただきたいと思います。
 質問を終わります。
#509
○葉梨主査 これにて青山丘君の質疑は終了いたしました。
 次に、中島武敏君。
#510
○中島(武)分科員 私は、東京都北区東十条において現在オリンピック・グループによって建設中の仮称東十条病院について質問したいと思います。この問題は、医療の営利化と深いかかわりのある問題でありますので、まず初めに医療の営利化問題についてお尋ねをしたいと思っております。
 現行医療法は、営利を目的とした病院の開設、経営を認めていないと思うのですけれども、いかがでございますか。
#511
○竹中政府委員 医療法七条四項の規定がございまして、営利を目的とする医療機関の開設は許可しないことになっております。これは御承知のように、医療が人間の生命、健康に直接かかわる極めて公共性の高い行為であるために、これを営利を目的として行うのは医療の性質上もまた国民感情の点からもふさわしくないということでこういう規定が設けられておるものと考えております。
#512
○中島(武)分科員 どういう場合に七条四項違反ということになりましょうか。具体的な話で、こういう場合には営利目的の医療経営である、こう言えるのはどういう場合なんでしょうか。
#513
○竹中政府委員 営利を目的としているかどうかという判断の問題でございますが、直接的には株式会社が医療機関を経営するというのはずばり営利の目的に当たるのではなかろうかと思っておりますが、単にそれだけではなしに、当該施設の開設主体、設立日約、運営方針あるいは資金計画、そういったものを総合的に勘案して行うべきものであろうかと思います。
 具体的に一、二例を挙げますと、例えば株式会社が医療法人に対しまして建物を賃貸をする場合の賃貸料につきまして、適正な価格でなくて非常に高い価格であるとか、あるいは診療報酬の例えば五%とか一〇%とかを賃貸料にするといったような場合は、これはやはり営利を目的としておるということに該当するのではなかろうかと考えております。
#514
○中島(武)分科員 いろいろなカムフラージュをして実質的には営利会社が病院を経営している、そういう場合が今の局長のお話の中にもあったと思うのですね。私はこれは非常に重要な問題だと思うのです。単に株式会社が病院の経営を直接に行うということだけが医療法七条四項違反というのでは、これは実際上営利目的の医療経営があるわけですから、そういうことを許してしまえば、これは七条四項は死文に化してしまうというふうに言わざるを得ないわけであります。
 それで、実はこれからお尋ねする営利企業オリンピック・グループによって今建築をされつつあるこの仮称東十条病院、この問題は、実は私は医療法七条四項、これが生きるか死ぬか、すなわち医療の営利化を認めるか否かという問題が非常に鋭く問われている問題だと思うわけであります。御存じかもしれませんが、実はオリンピック・グループは病院経営のためにいろいろと投資を行っております。千葉県習志野市に谷津保健病院、千葉県鎌ケ谷市に初富保健病院、東京都東村山市に北久米川病院、それに東京北区に仮称東十条病院を開設、経営をしようとしているわけであります。
 それで、まず具体的にお尋ねしたいのは、千葉県習志野市にある谷津保健病院についてであります。谷津保健病院、すなわち医療法人社団保健会が設立されるに際して、医療法人社団保健会設立総会議事録というのがありまして、これを見ますと、オリンピック・グループの代表金沢富夫氏が土地、医療機械器具、什器、備品、電話加入権、現金及び預金四億八千九百四十六万六千七百円を出資している、こうなっております。ところが、土地、医療機械器具等を出資するに際して商工中金から四億八千万円借金しているので、これを商工中金の承認を得て医療法人社団保健会が継承するということになっておるわけであります。さらに調べて見ますと、不動産の登記簿謄本によりますと、オリンピックビルが土地を医療法人社団保健会に現物出資している、こうなっているわけであります。総会の会議録では、オリンピックビルから医療法人に直接出資ではぐあいが悪いので、金沢富夫氏が一たん買い取って、それを医療法人に現物出資をして借金四億八千万円は医療法人に継承させるという手の込んだやり方がとられたものだと思うのですね。これは法務省にも聞いてみたのです。そうしますと、やはり登記簿謄本に書かれておることが有効なんだ、こういうお話でありました。ですから、この場合にオリンピックビルが直接医療法人社団保健会に出資していることは間違いないと思うのですね、百歩譲っても事実上出資をしているということにこれは相なるのではないかと思うわけであります。
 それで、実は資本金十億のうち四億八千九百万円、つまり半分近くを出資しているのですね。そうすると、これは営利会社たるオリンピックビルが谷津保健病院を実質的に開設をし、経営をしているということになるのじゃないかと思うのですげれども、この点についての見解はどうでしょうか。
#515
○竹中政府委員 医療法人保健会でございますが、その設立を認可いたしました千葉県からの報告では、先生から今お話がございましたように、病院の用地については金沢富夫氏が株式会社オゾンピックビルから買い取り、それを医療法人に出資した、こういうことになっておると聞いております。一般論といたしまして、仮に株式会社が医療法人に出資をする、例えば十億のうち半分なら半分を出資する、そのこと自体は決して違法ではございませんで、その場合に、出資に見合いまして例えば実質的な配当を受けるというようなことになりますと、これは医療法に反してくる、そういうふうに私どもは理解をいたしております。
#516
○中島(武)分科員 その問題について、重ねてお尋ねしたいのは、私がよくわからないのは、株式会社が直接病院を開設し、あるいは経営をするというのは違法だというのですね、だけれども、事実上その半分近くを出資をしていても、これは株式会社とは違うのだ、こういうふうに言われるわけです。これがよくわからない。しかも、土地はオリンピックビルが出資したものであります。建物はオリンピックビルが持っているものであります。医療機械器具はオリンピックビルが出資したものであります。これでも、これはやはり違法ではないのだ、これは株式会社が直接経営するのとは違うのだというふうに、局長はおっしゃるのか、これはどうにもわかりかねる、もう一回答弁願いたい。
#517
○竹中政府委員 先ほども申し上げましたように、一つは株式会社等が医療法人に出資、つまり寄附をすること自体は違法ではございませんで、その見返りといたしまして、実質的に、実質上配当のようなものを受けるというようなことでは、これは医療法の違反になる、それが一つでございます。
 それから、医療法人が株式会社から土地なりあるいは建物なりを借りまして、病院を運営、経営をしていく場合に、不当な賃貸料、先ほどもちょっと例を申し上げましたが、そういった不当な賃貸料という形で実質的に配当に準ずるような営利的なものを得るということになりますと、これは私どもとしては違法だと考えておる。
 それからもう一つは、そういった株式会社から出資あるいは寄附を受ける、あるいは株式会社から建物を借りて運営をする、そういう場合に医療法人そのものの運営が公益性、公共性を持って的確に運営されておるかどうか、この辺がやはりまた問題になろうかと思います。
#518
○中島(武)分科員 私がいろいろ調べて聞いておるところによりますと、この建物をレンタルしているという格好になっているのです。ところが、これが決まった金額で賃貸されているのではないというのですね。そうじゃなくて、診療報酬の何割というような話だというのです。そうなってくると、これは今、局長が言っておられることとどんぴしゃりということになってくるのじゃないかというふうに思うのですけれども、どうなんですか。
#519
○竹中政府委員 例えば、私どもが千葉県を通じて調べましたところでは、谷津保健病院でございますが、それが借りております建物の賃貸料、単価、そういったものも私どもは千葉県から報告を受けておりますが、これは今、先生がおっしゃいましたような診療報酬に対する定率ではございませんで、定額の賃貸料を払っておる。そして、その単価は周辺の相場的な価格と比較いたしまして不当なものではないというふうに私どもは報告を受けております。
#520
○中島(武)分科員 もう一度お調べいただきたいと思います。
 そういうふうな千葉県の方の報告だとおっしゃいましたけれども、私が聞いているのは、そういうふうに聞いておりません。したがって、病院がもうからなくなったら、端的な言い方をすると、それが賃貸料に響いてくるということになるわけでありまして、本来の賃貸の形式というものをとっていないというふうに聞いています。したがって、その点については千葉県の報告と違いますので、さらに調べていただきたいということであります。
 それから、もう一つ重ねてお尋ねしておきたいのですが、実はオリンピック・グループの代表金沢富夫氏はみずからも医療法人社団保健会の理事、常務理事に就任をしている。後で辞任したのですよ。昨年になってから、八月二十六日に辞任をしているのです。しかし、設立されたときには彼は常務理事であります。これは総会の議事録にはっきり明記されておる。ところが、金沢富夫氏だけじゃないのです。その設立当時、医療法人社団保健会の理事七名中過半数の四名がそのオリンピック・グループの役員をやっている人なんですね。この点は、局長どうでしょう。人事面からオリンピック・グループが医療法人社団保健会を支配しているということにならないのか、これは事実上の経営を行っているということにはならないのですか。
#521
○竹中政府委員 今先生お話しのように、金沢富夫氏は当初医療法人社団保健会の役員でございましたが、県の指導によりまして辞任をいたしております。
 なお、現時点におきましても、先生からお話のございましたように、役員七名のうち四名が、これはホスピタルシステム株式会社というオリンピック・グループの子会社と申しますか、一翼をなすものだと聞いておりますが、現実にはまだ実際の事業には着手していないと聞いております。いずれにいたしましても、現在医療法人社団保健会の七名の役員のうち四名が今申し上げましたホスピタルシステム株式会社の役員を兼ねておる。この点につきましては、仰せのように私どもといたしましても非常に問題があると考えておりまして、現在千葉県からその辺の役員構成の改善方につきまして至急改善するように指導をしてもらっておるところでございます。
#522
○中島(武)分科員 今局長は問題があると言われた。それで、結論の方へ行っちゃったのです。実は、これは過程があるのです。ホスピタルシステム株式会社の役員が七名中四名ダブっているというふうに言われて、これを改善するように指導していると言われました。
 実は、その前に、医療法人社団保健会から金沢富夫と飯田慎輔両氏が理事からおりたのです。また、御子柴幸男氏と西川博司氏がオリンピックビルの役員をおりたのです。これで、実は設立当時七名のうち四名兼任であったものが解消された。これできれいになったのかと思ったら、そうじゃなくて、今局長が言われたように、今度はホスピタルシステム株式会社と兼任がまだ実は四名残っている、こういうわけなんでありまして、このオリンピック・グループというのはなかなかしたたかなんです。言うことを聞いたような顔をしておって、言うことを聞いていない。言うことを聞いていないのでまた調べて指導すると、えヘへ、こういうことなんですね。だから、これはよっぽど注意してかからぬといかぬのです。
 それから、さらに申し上げたいと思うのですけれども、しかも金沢富夫氏は六十年二月十五日、日本経営協会において薬品、医療機械器具の業者を前にして講演をやっているのです。その中で、みずから谷津保健病院を経営していることを問わず語りにしゃべっております。さらにまた、医療産業がどんなに魅力的な投資のための市場であるかということを述べておるわけであります。
 その一部をちょっと紹介しますと、「自分は、谷津保健病院のオーナーで、病院ではオーナーとも会長とも呼ばれており、病院営業の小売商人でソロバンにかけては誰にも負けない。谷津保健病院の院長には、山梨の病院で働いていた御子柴先生をお願いしている。医者の腕のほうはわからないが、」どうも失敬なことを言っているのですね。「医者の腕のほうはわからないが、これなら私の意に添って働いてくれると思って決めた。」何ともふらちな演説なんですね。「何に魅力を感じて医療産業に投資したかといえば、医療産業は現在では一五兆円だが、昭和七五年には五四兆円にのぼる巨大なものとなり、これは、自動車産業の二一兆円の倍の規模だからである。」こういう講演をやっているわけであります。
 私は、こういうのを聞くと大変義憤にたえないわけであります。そして、これは営利会社であるオリンピック・グループが営利を目的として谷津保健病院を事実上開設し、経営しているということの自己暴露じゃないのかというふうに思うのですね。
 先ほどからお金の問題、人事の問題についていろいろと伺ってきました。しかし、それだけじゃない。みずからこういう考え方で臨んでいるという点で、私は非常に重大視しなければならないと思うのです。その点についての見解を聞きたいと思います。
#523
○竹中政府委員 この医療法人保健会が、例えばオリンピック・グループに支配されておるとか、オリンピック・グループが保健会を営利の手段として利用しておるかどうか、この内容の問題でございますが、この点につきましては、千葉県を通じましてかなり綿密な調査をしてもらったわけでございます。先ほど申し上げましたような例えば建物の賃借料の問題でございますとか、あるいはそのほかに実質上の配当と言えるようなものが出ておるかどうかというようなことも千葉県に十分調査をしてもらったわけでございますが、その結果、その段階では医療法人保健会がオリンピック・グループによりまして営利目的で運営されているという証拠はないということでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、中身が仮にそうであったとしても、理事会の理事構成が、過半数がどこであれ株式会社の役員と兼ねておるということは適当ではございませんので、その点につきましては過半数にならないように、理事構成、役員構成をこの際是正をしてもらうという指導を現在強力に進めてもらっておるところでございます。
#524
○中島(武)分科員 これは非常に問題のあるグループであります。オリンピックビルが建設中の仮称東十条病院については、地域の住民、それから北区医師会が反対をしております。それから北区議会で、地域医療に混乱を招かないように慎重に対処を求めるという趣旨の意見書を採択いたしております。また東京都議会は、「仮称東十条病院の開設許可にあたっては慎重を期すこと」という請願を採択いたしております。そして、この都議会の態度を受けまして東京都は、「仮称東十条病院のようなケースは東京都としても初めてであり、病院開設許可申請がだされれば、資金、物的契約関係、雇用関係など、実態に立ち入って厳しく審査する」という態度をとっております。そして建築確認通知書を出すに当たりましては、東京都は都市計画局建築指導部長名で「工事着工前に病院開設許可を得ること」ということと、それから「北区をはじめ、地元の医療関係者、住民と誠意をもって話し合うこと」という附帯文書を交付して行政指導をしております。これは大変異例なことであります。このような建築確認申請をおろすに当たって、ちゃんと病院を開設してから着工しなさいというようなことを言うのは極めて異例なことであります。ところがこれは何も言うことを聞いておらぬのです。この東京都の行政指導の言うことを何も聞いておりません。今どんどん建設の工事を進めているというのが実態であります。
 それからまた、仮称東十条病院院長の予定者でありました東京医科歯科大学第三内科助手矢島途好氏が、この問題を重視し、反対運動をしている北区住民に次のように語っております。「東十条病院はレンタル病院だといわれているが、私はいっさいレンタル料など払わない。私は雇われ院長であり、病院が赤字になっても、オリンピックビルが責任をもつといわれたので院長を引き受けた。」これは昨年の二月十四日のことであります。その後、この人は、院長を引き受けた、こういうふうに言っておりましたが、おりてしまってやめたのです。今は引き受けていないのですが、これは引き受けていた当時の話であります。
 このオリンピック病院がどんなに問題があるかということは、この点からも非常にわかるわけでありまして、病院の開設許可申請が出されたらどうするか。形式が整っているということだけで許可してはならないと思うのです。もっと踏み込んで実態をよく調べてこれに対処するという態度をとらなければいけないと思うのですが、どうでしょうか。
#525
○竹中政府委員 この東十条の病院の問題につきましては、先生からお話しございましたように、東京都も慎重に対処するという構えていることを聞いております。
 ただ、病院の開設許可申請につきましては、まだ都に対してこの法人から申請が出ていないと聞いておるわけでございますが、いずれにいたしましても、許可申請が出てくる、あるいはまた千葉県の方に医療法人の方の定款の変更というような申請等も出ようかと思いますが、その段階におきまして関係都県が十分審査を行うように指導してまいりたいと考えております。
#526
○中島(武)分科員 この病院が東京都の方に開設の許可申請を出さない場合も考えられる。といいますのは、定款の変更を行って千葉の病院の分院という格好で東京都に進出してくるということも考えられるわけでありまして、そうなりますと、これは千葉県の問題になります。
 それから、さっきからるる申し上げておりますように、これはいろいろ知恵をひねっては法の網をくぐるようなことをやってくるわけです。だから、私らが考えつかないようないろいろな方法を用いるかもしれません。それで、方法のいかんを問わず、やはりこうした仮称東十条病院のような病院の開設を認めてはならないと思うのです。
 私は、最初も言いましたが、医療の営利化ということを許すならば、乱診乱療は当然はびこると思うのです。つまり利潤追求、もうけ本位ということになりますから。そうなりましたら、医療の荒廃は一層進むことは火を見るよりも明らかであると思います。
 私は、大臣は長い間社労委員会に所属されて、非常に経験が豊富でかつ造詣が深いということを聞いております。医は仁術だと昔から言われておるわけでありまして、利潤追求の対象とされてはならないわけであります。医療の営利化ということは、断じて許してはならないわけであります。このようなことを追求することを公然と講演をし、それからまた実際に行っているようなものが東京北区に、東十条に進出をしてくるというようなことは許されないと思うのです。私は、どうも時間のようでありますから、最後に大臣からしっかりした見解を聞いて、質問を終わりたいと思っているのです。
#527
○今井国務大臣 お説のように、医療というのは人間の生命と健康に直接かかわります極めて公共性の高い行為でございます。したがいまして、これを営利を目的として行うことは、医療の性質上も国民感情の点からも、これは全く不当なものであろうと思います。したがいまして、今お話のありました東十条の病院でございますか、こういうものにつきましては、直接の認可権限を持っております東京都と千葉に、これは慎重に審査を行いますように指導してまいります。
#528
○中島(武)分科員 では終わります。
#529
○葉梨主査 これにて中島武敏君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明七日金曜日午前九時から開会し、引き続き厚生省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト