くにさくロゴ
1985/03/06 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 予算委員会第三分科会 第1号
姉妹サイト
 
1985/03/06 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 予算委員会第三分科会 第1号

#1
第104回国会 予算委員会第三分科会 第1号
本分科会は昭和六十一年三月五日(水曜日)委員
会において、設置することに決した。
三月五日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      石原健太郎君    大西 正男君
      原田昇左右君    川崎 寛治君
      池田 克也君    梅田  勝君
三月五日
 大西正男君が委員長の指名で、主査に選任され
 た。
―――――――――――――――――――――
昭和六十一年三月六日(木曜日)
    午前九時開議
 出席分科員
  主 査  大西 正男君
      石原健太郎君    原田昇左右君
      川崎 寛治君    渡辺 嘉藏君
      新井 彬之君    池田 克也君
      橋本 文彦君    福岡 康夫君
      水谷  弘君    梅田  勝君
      小沢 和秋君    佐藤 祐弘君
      野間 友一君
   兼務 大出  俊君 兼務 大原  亨君
   兼務 上西 和郎君 兼務 小林  進君
   兼務 渋沢 利久君 兼務 中村 正男君
   兼務 松浦 利尚君 兼務 遠藤 和良君
   兼務 竹内 勝彦君 兼務 塩田  晋君
   兼務 滝沢 幸助君 兼務 吉田 之久君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 海部 俊樹君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 西崎 清久君
        文部大臣官房会
        計課長     坂元 弘直君
        文部省初等中等
        教育局長    高石 邦男君
        文部省教育助成
        局長      阿部 充夫君
        文部省高等教育
        局長      大崎  仁君
        文部省高等教育
        局私学部長   國分 正明君
        文部省学術国際
        局長      植木  浩君
        文部省社会教育
        局長      齊藤 尚夫君
        文部省体育局長 古村 澄一君
        文化庁次長   加戸 守行君
 分科員外の出席者
        外務大臣官房外
        務参事官    村田 光平君
        大蔵省主計局主
        計官      武藤 敏郎君
        国税庁直税部法
        人税課長    熊澤 二郎君
        厚生省児童家庭
        局児童手当課長 横田 吉男君
        厚生省児童家庭
        局障害福祉課長 村岡 輝三君
        運輸省地域交通
        局鉄道業務課長 山本 昌彦君
        労働大臣官房参
        事官      坂根 俊孝君
        労働省職業安定
        局障害者雇用対
        策室長     小倉修一郎君
        予算委員会調査
        室長      大内  宏君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  川崎 寛治君     渡辺 嘉藏君
  池田 克也君     新井 彬之君
  梅田  勝君     小沢 和秋君
同日
 辞任         補欠選任
  渡辺 嘉藏君     新村 勝雄君
  新井 彬之君     福岡 康夫君
  小沢 和秋君     柴田 睦夫君
同日
 辞任         補欠選任
  新村 勝雄君     松前  仰君
  福岡 康夫君     水谷  弘君
  柴田 睦夫君     正森 成二君
同日
 辞任         補欠選任
  松前  仰君     川崎 寛治君
  水谷  弘君     有島 重武君
  正森 成二君     野間 友一君
同日
 辞任         補欠選任
  有島 重武君     日笠 勝之君
  野間 友一君     佐藤 祐弘君
同日
 辞任         補欠選任
  日笠 勝之君     水谷  弘君
  佐藤 祐弘君     梅田  勝君
同日
 辞任         補欠選任
  水谷  弘君     橋本 文彦君
同日
 辞任         補欠選任
  橋本 文彦君     池田 克也君
同日
 第一分科員大原亨君、小林進君、遠藤和良君、
 第二分科員大出俊君、第五分科員竹内勝彦君、
 滝沢幸助君、第六分科員上西和郎君、中村正男
 君、松浦利尚君、塩田晋君、吉田之久君及び第
 八分科員渋沢利久君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十一年度一般会計予算
 昭和六十一年度特別会計予算
 昭和六十一年度政府関係機関予算
 (文部省所管)
     ――――◇―――――
#2
○大西主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。
 本分科会は、文部省及び自治省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。
 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算及び昭和六十一年度政府関係機関予算中文部省所管について、政府から説明を聴取いたします。海部文部大臣。
#3
○海部国務大臣 昭和六十一年度文部省所管予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
 昭和六十一年度の文部省予算につきましては、現下の深刻な財政事情のもとではありますが、文教は国政の基本であるとの認識に立ち、教育、学術、文化の諸施策について、我が国の文教施策の着実な推進を図るため、所要の予算の確保に努めたところであります。
 文部省所管の一般会計予算額は四兆五千七百二十一億九千七百万円、国立学校特別会計予算額は一兆六千七百五十四億五千六百万円となっております。
 何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 なお、時間の関係もございますので、お手元に配布してあります印刷物を、主査におかれまして、会議録に掲載せられますよう御配慮をお願い申し上げます。
#4
○大西主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま文部大臣から申し出がありました文部省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○大西主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔海部国務大臣の説明を省略した部分〕
 以下、昭和六十一年度予算における主要な事項について、御説明申し上げます。
 第一は、初等中等教育の充実に関する経費であります。
 まず、義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の改善計画につきましては、いわゆる四十人学級の実施について、小学校は児童減少市町村以外の市町村の施設余裕校の第一学年について、中学校は児童減少市町村の施設余裕校のうち十八学級以上の学校の第一学年について、それぞれ実施することとしたほか、教職員配置についても所要の改善を行うこととしております。
 なお、義務教育費国庫負担金等のうち、共済年金に係る追加費用及び恩給費等について、三年間の暫定措置として、国庫負担率を三分の一に引き下げることといたしております。
 次に、教職員の資質の向上を図るため、新規採用教員等研修、免許外教科担任教員研修、教員の海外派遣、教育研究グループ補助、教育研究団体への助成など、各種研修を実施することといたしております。また、教育方法開発のための特別設備についても助成することといたしております。
 次に、児童生徒の問題行動を未然に防止し、その健全な育成を切望している国民の期待に応えるため、生徒指導の充実強化方策として生徒指導総合推進校及び自然教室推進事業の拡充を図るほか、新たに、高等学校における中退者問題に的確に対処するため、高等学校中退者進路状況調査を行うことといたしております。
 このほか、自然教室等受け入れ施設に対する補助、ふるさと交流学習促進事業、生徒指導推進会議、生徒指導担当教員の研修、教育相談活動推進事業等を実施することといたしております。
 義務教育教科書の無償給与につきましては、これを継続することとし、所要の経費を計上いたしております。
 幼稚園教育につきましては、保護者の経済的な負担の軽減を図るための幼稚園就園奨励費補助を行うほか、幼稚園施設の整備を図るとともに、幼稚園と家庭の連携のあり方についての研究委託を行うことといたしております。
 特殊教育につきましては、特殊教育就学奨励費の充実を図るとともに、心身障害児の理解認識の一層の推進等を行うことといたしております。
 教育内容につきましては、時代の変化や教育課程実施の経験を踏まえ、また、臨時教育審議会の答申に適切に対処するため、教育課程審議会において検討を行うこととしているほか、学校におけるコンピュータ利用のあり方等について研究を行うことといたしております。
 また、海外子女教育につきましては、日本人学校の増設、児童生徒数の増加に対応し、派遣教員の増員を行うとともに、帰国子女教育研究協力校の拡充を行うなど、帰国子女受け入れ態勢の整備を図ることとしております。
 さらに、児童生徒等の健康の保持増進に係る事業の推進に努めるとともに、学校給食につきましても、豊かで魅力ある学校給食を目指して、学校給食施設・設備の整備を図ることといたしております。
 次に、公立学校施設の整備につきましては、校舎等建物の新増改築事業について所要の事業量を確保するとともに、過大規模枝分離促進を含む急増用地費補助の継続、高校新増設建物費補助の継続、学校施設への木材使用促進対策等の制度改善を行うこととし、これらに要する経費として、三千二百九十七億円を計上いたしております。
 なお、定時制及び通信教育の振興、理科教育及び産業教育の振興、道徳教育の充実、英語教育の充実、地域改善対策としての教育の振興など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。
 第二は、私学助成に関する経費であります。
 まず、私立の大学等に対する経常費補助につきましては、昭和六十年度と同額の二千四百三十八億五千万円を計上いたしております。このほか、私立大学等の研究装置等施設整備費補助についても昭和六十年度に対して四億円増の四十四億円を計上するなど、教育研究の推進に配慮いたしております。
 また、私立の高等学校から幼稚園までの経常費助成を行う都道府県に対する補助につきましても、昭和六十年度に対して四億円増の七百二十億円を計上いたしております。
 日本私学振興財団の貸付事業につきましては、政府出資金三億円及び財政投融資資金からの借入金三百二十八億円を計上し、自己調達資金と合わせて七百三十億円の貸付額を予定いたしております。
 また、専修学校につきましては、教員研修事業等に対する補助、大型教育装置に対する補助の拡充等を図るなど、専修学校教育の一層の振興を図ることといたしております。
 第三は、高等教育の整備充実に関する経費であります。
 まず、国立大学の整備につきましては、十八歳人口急増に伴う大学入学志願者急増に適切に対処するほか、九州工業大学に情報工学部を創設し、岡山大学に医療技術短期大学部を併設する等、教育研究上緊急なものについて、整備充実を図ることといたしております。
 大学院につきましては、福井、山梨、香川の三医科大学に医学研究科を設置するなど、教育研究上必要性の高い研究科、専攻の新設等を行うことといたしております。
 附属病院につきましては、新設医科大学の附属病院を年次計画に基づき整備するほか、既設の附属病院についても救急部の増設など、その充実を図ることといたしております。
 なお、国立大学の授業料につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、昭和六十二年度入学者から、これを改定することといたしております。
 次に、放送大学につきましては、二年次目の学生を受け入れることとしており、運営等に必要な経費を計上いたしております。
 また、育英奨学事業につきましては、昭和五十九年度に行った制度改正を学年進行により計画的に実施することとし、政府貸付金七百四十二億円、財政投融資資金二百二十九億円と返還金とを合わせて、千三百六十八億円の学資貸与事業を行うことといたしております。
 このほか、公立大学につきましては、医科大学、看護大学等の経常費補助等について所要の助成を図ることといたしております。
 第四は、学術の振興に関する経費であります。
 まず、科学研究費補助金につきましては、独創的・先端的な研究を推進し、わが国の学術研究を格段に発展させるため引き続き充実を図ることとし、昭和六十年度に対して十五億円増の四百三十五億円を計上いたしております。
 次に、重要基礎研究につきましては、エネルギー関理科学、宇宙科学、生命科学等の一層の推進を図ることとし、これら重要基礎研究に要する経費として四百五億円を計上いたしております。
 また、学術研究体制の整備につきましても、学術情報センターを創設するとともに、すぐれた若手研究者の養成に資するための特別研究員制度の拡充、大学と民間等との共同研究の充実を図るなど各般の施策を進めることといたしております。
 第五は、社会教育の振興に関する経費であります。
 まず、地域における社会教育活動の拠点となる公立社会教育施設にっきましては、引き続きその整備を図ることとし、これらの施策に要する経費として九十四億円を計上いたしております。
 また、社会教育活動の振興を図るため、社会教育主事、社会教育指導員等の社会教育指導者層の充実に努めるとともに、青少年、成人、婦人、高齢者など各層に対する学習機会の提供、地域連帯意識を醸成するための地域活動の促進、新たなメディアの活用など、社会教育の幅広い展開を図ることとして、所要の経費を計上いたしております。
 さらに、青少年の健全育成に資するため、家庭教育の充実に努めるとともに、青少年に豊かな生活体験の機会を提供する少年自然の家につきまして、鹿児島県鹿屋市に第十番目の国立少年自然の家を設置し事業を開始するなど計画的な整備を進めるほか、また、新たに科学する心をはぐくむ活動を推進することとし、所要の経費を計上いたしております。
 第六は、体育・スポーツの振興に関する経費であります。
 国民の体力づくりとスポーツの普及振興につきましては、広く体育・スポーツ施設の整備を進めるため、社会体育施設、学校体育施設について、その整備に要する経費として百四十九億円を計上いたしております。
 また、学校体育につきましては、学校体育実技指導者の資質向上に努め、格技指導推進校の充実を図るとともに、学校体育大会の補助についても所要の経費を計上いたしております。
 さらに、生涯スポーツ推進事業について一層の拡充を図るなど、家庭、学校、地域における体力つくり事業の充実を図り、たくましい青少年の育成と明るく活力ある地域社会の形成に資することといたしております。
 なお、日本体育協会の行うソウルオリンピック選手強化特別対策事業を初めとする諸事業に対して補助を行うとともに、国民体育大会の助成など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。
 第七は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。
 まず、芸術創作活動の奨励につきましては、芸術関係団体の創作活動に対する補助、芸術祭、芸術家研修等について所要の経費を計上いたしております。
 また、文化の普及につきましては、こども芸術劇場、青少年芸術劇場、中学校芸術鑑賞教室、移動芸術祭等を実施し、さらに国民文化祭を開催するための経費を新たに計上するとともに、中国引揚者や外国人のための日本語教育等に係る所要の経費を計上いたしております。
 次に、文化財保護につきましては、国民の貴重な文化遺産の保存、活用を図るため、国宝・重要文化財等の保存整備、埋蔵文化財の発掘調査、史跡の整備・公有化を進め、また、天然記念物の保護及び食害対策を進めるとともに、国立劇場の事業を充実するなど、伝統芸能等の保存伝承を図ることといたしております。
 また、文化施設の整備につきましては、地域社会における文化振興の拠点となる文化会館、歴史民俗資料館等の地方文化施設の整備を図るとともに、国立文化施設については、かねてより準備を進めてまいりました第二国立劇場について、基本設計に着手することとし、そのための経費を計上いたしております。
 第八は、教育、学術、文化の国際交流・協力の推進に関する経費であります。
 まず、発展途上国への協力等の観点から、外国人留学生の受け入れを拡充するとともに、大学等における留学生受け入れ態勢の整備、日本語教育の充実など、二十一世紀を目指して、留学生に関する事業を積極的に推進することとし、そのために要する経費として百十七億円を計上いたしております。
 さらに、ユネスコを通じた教育協力、国連大学への協力等についてもその推進を図ることといたしております。
 また、二国間・多国間にわたる各種の国際共同研究、拠点大学方式によるASEAN諸国との学術交流事業、先進諸国等との研究者交流の推進を図るとともに、日本文化の国際的理解の増進に努めることといたしております。
 第九は、教育改革の推進に関する経費であります。
 教育改革につきましては、現在、臨時教育審議会におきまして鋭意御審議をお願いしているところでありますが、昭和六十一年度におきましては、昨年六月の「教育改革に関する第一次答申」及び本年春に予定されている第二次答申を受け、これらの着実な推進を図るため、教育改革の趣旨徹底及び教育改革実施に関する研究等を行うとともに、中等教育改革推進に関する調査研究、大学改革推進に関する研究協議及び調査研究、生涯教育事業の実態調査等を実施することとし、所要の経費を計上しているところであります。
 以上、昭和六十一年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#6
○大西主査 以上をもちまして文部省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○大西主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎寛治君。
#8
○川崎分科員 ただいま文部大臣から趣旨の御説明がございましたが、文教予算は今の財政事情の中で大変厳しい状況にございます。行政改革が進められる中で年々削減をなされてまいりました。今や文部省は給料の配給車じゃないかというぐらい政策経費が削られて、七五%が人件費というふうな状況に立ち至っております。私は大変憂慮すべき事態ではないだろうかと思います。
 文部大臣が昨年暮れ大臣に就任されましたときに、文教予算の今日の非常に厳しい状況にかんがみまして、文教予算は聖域といいますか独立というか、そういうものに左右されない方向づけが必要ではないかという意味の御発言があったと記憶しております。私、その点大変大事なことではないかなと思うのです。そういう方向づけについて、今日の財政事情はございますが、教育予算のあり方、文教予算のあり方というものについての大臣のお考え、それから努力目標、それは、中曽根内閣全体の「増税なき財政再建」という枠組みがありますし、財政運営の方向そのものが今議論になっているわけですから、総括質問なり一般質問なりでもそれぞれ議論も展開されてきておるわけでありますし、私は財政運営の方向は変わらなければいかぬと思いますが、そのことはおきまして、文教予算、教育予算のあり方についての大臣のお考えを伺わせていただきたいと思います。
#9
○海部国務大臣 国政全般の厳しい財政状況の中で、他の政策との整合性の中から、文教予算も年々厳しい枠組みの中で推移しておりますことは御指摘いただいておるとおりでありますけれども、さはさりながら、文部省といたしましては、その与えられた全体枠の中で必要なもの、あるいは非常に厳しい状況のもとであるからここはある程度削除もしなければならぬというような、内部で非常に厳しい努力をいたしまして、重点的と私どもの考えておりまする問題、そういったところには前年と比べて予算的にもわずかでありましても上積みできるような努力、例えば科学研究費の増額でありますとか、私学助成の問題でありますとか、留学生の交流のことでありますとか、あるいは全国的に文化祭を新規でスタートさせるとか、努力をしながら一生懸命やっておるのであります。
 もうちょっと夢を語らしていただくと申しますか、私の今の率直な気持ちを申し上げますと、やはり教育というものは不断の努力の積み重ね、継続が必要なわけであります。しかも国家百年の大計といわれる教育でありますので、毎年毎年当面の予算措置は我々も他の政策との整合性の中で今申し上げたように切り抜け、やり続けてまいりますけれども、中長期で見たら、聖域とは言いませんけれどもせめて重点項目として、ODA的な発想なんかもここへ加味して、政府全体でお考えをいただくようなことになってくればありがたいなと思います。
 また、今教育改革を控えまして臨教審で大きな目標に向かってのいろいろ御論議、御審議も進められておるところでありますから、そういったような時代の背景等も十分に御理解をいただいて、何とか教育が前進をしていくことができますように、改革の目標が絵にかいたモチにならないように努力をしていかなければならない、私はそう考えて取り組んでまいるつもりであります。
#10
○川崎分科員 このことは基本的な問題ですし、きょうは限られた時間でございますので、いずれまた改めていたしたい、こういうふうに思います。
 同和教育の問題に絞って御質問いたしたいと思いますが、まず第一に、あらゆる形態の人種差別撤廃条約、これは総括質問におきましても大原委員から大変きつい追及もございました。また、一昨年の本会議質問において社会党の石橋委員長に対する答弁で、「我が国といたしましても、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の趣旨については、十分理解もできるし、賛成の立場を基本的には持っておるものであります。ただ、本条約の締結、批准に当たりましては、事前に国内法の整備を行うことが必要であります。」と大変明確に言っております。
 ところが、一九六五年十二月二十一日の国連総会決議におきましては、我が国だけが棄権をいたしました。賛成一〇六、棄権一、反対なしということであります。そういたしますと、基本的には賛成だと言っておりますが、しかし国連総会では棄権をしておる、ここにそもそもの出発点があるわけでありまして、六五年以来、しかも発効以来長年月たっておるわけでありますし、国会で総理が明確に言われましてからも二年間、なおかつ進んでいなくて、本国会における総括質におきましても、なおかつ同じような、あるいはより後退したような答弁をいたしておるわけであります。
 それで、憲法十九条、憲法二十一条というものとのかかわり合いを外務省は答弁をいたしておるのでございますが、総理が言っております国内法の整備というものは何なのか。特に、外務省からの資料によりますと、問題点といたしまして、今私が指摘をいたしました憲法との関係及び刑事立法政策上の制約、こういうことを外務省は言っておるわけでありまして、といたしますならば、総理自身が約束をしながらいまだに整理できないという点は何なのか。そしてもっともっと詰めて言いますと……。そこまででとめておきましょう。なぜなのか、伺いたいと思います。
#11
○村田説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、基本的人権の尊重を基本理念とします憲法を持ちます我が国としましては、まさに御指摘の条約の趣旨を十分理解し、またこれを基本的に支持するというのが基本的立場でございまして、そして早期締結に向けて努力を続けているというのが現状でございます。そして他方、国際社会におきましても早期締結が強い国際世論になっているという点も、私ども十分認識している次第でございます。
 ただ、先生御指摘のように大きな問題点としましては、第四条の刑罰立法義務でございますが、この点に関しまして、我が国憲法の表現の自由の関係等極めて慎重な検討を要する問題が残されているわけでございます。
 そこで、私どもの現在の作業でございますが、この条約の批准に当たりまして必要とされる国内的措置にっきまして、関係各省庁との調整も含めまして検討作業を鋭意行っているわけでございます。特に第四条の処罰義務との関係につきましては、我が国の憲法の定めております基本的人権の保障との間で調整をいかにするかというところが最大の問題点でございまして、この点やはり時間を要しているわけでございます。また作業の内容といたしましては、そのほか、例えば四条関係の諸外国における立法例、あるいはこの条例の成立に至りました審議の経緯、さらには最近の人種差別撤廃委員会での審議の内容につきましても調査を進めているわけでございます。
#12
○川崎分科員 わからぬのですよね、これは。国民の皆さんがこれを聞いておって、何のことなのだろうかなと。――基本的人権を守ることは大事なんです。国連憲章もそうだし、日本国憲法も基本だ、こう言っているのです。ところが、処罰義務がどうの、処罰規定がどうのと、こうあるわけでしょう。では、処罰規定の方が基本的人権より上なのか、それをなぜ制約しなければいかぬのかがわからぬのです。
 あなたは今関係各省とこう言われるが、総務庁に聞いても法務省に聞いても、集まってそんな相談をしたことはないそうですよ。そんな会議もないじゃないですか。だから、外務省が有権解釈というかそういうものをしておろすという形のような感じなんですね、今あなたの説明を聞いていると。そこのところがどうしてもわからぬ。どうしても理解できぬ。総理大臣もまた外務大臣もそう言う。安倍さんも総括質問のときにも答えておるわけでありますけれども、事前に国内法の整備をとこう言っているけれども、あなたは憲法だとこう言うでしょう。どっちなんですか。国内法というのは何があるのですか。国内法のどれを整備しなければならぬのか。
#13
○村田説明員 現在の検討作業におきましては、そういった点も含めて検討中でございます。
 例えば人種差別の取り締まりの態様について一例を申しますと、各国につきましてどのようにやっているか、現状でございますが、事情によりまして違うわけでございます。一様ではございませんで、多くの主要先進国では、既存の法律の一部を改正するか、または人種差別を禁止することを目的とする法律を制定することによって対応しているわけでございます。また一部の国では、何らの立法措置をとっていない国もあるわけでございまして、このように対応の仕方はまちまちであるわけでございます。
 そういう中で、先生、会議を開いていないとの御指摘でございますが、実はつい一月ほど前にも、関係省庁との会議を開きましてこの検討作業を進めているわけでございます。ただ、基本的人権という問題でございますので、これに関係する省庁も大変多うございます。ほとんどすべての省庁がこれに関係しておりまして、そういう意味で、この検討作業には時間を要するのはある程度やむを得ないのではないかと考える次第でございます。
#14
○川崎分科員 非常に勘ぐりますと、今地対法の期限がことし一年ですよ、来年三月に切れるんですよ。そうしますと、それまでに出すのですか。結論を出しますか。いつ出すか。つまり二年前から言っている。二年前というか、このことについてはずっと言ってきているわけだ。中曽根内閣になっても明確にこう言っているわけです。鋭意検討、検討と言っているが、ではこの地対法の期限が切れる来年の三月、それまでに決めるのかどうか、結論を出すのかどうか。もし出さないとしたならば、地対法の延長の問題あるいは基本法立法の問題、そういうものに関してかんぬきをかけようとしている、こう言わざるを得ない。
 あるいは指紋押捺の問題がある。つまり日本民族は単一民族だ、こういう単一民族の優秀性だとかそういうものをやろうとしている。だから国際国家日本、こういう中で、国連の五分の四がもう既に批准をしておる、そして日本もしなければいかぬ、基本的には賛成なんだ、こう言いながら、なおかつとまっておる。といたしますならば、国際国家日本という看板も泣くと私は思うのですね。特に今国際国家日本ということを中曽根内閣が言い出したのですから、私はこれは非常に問題だと思うのです。
 その点いかがですか。来年には地対法が期限が切れますね。期限が来ますね。それまでには必ず出すと言明できますか。
#15
○村田説明員 現在残されております解決しなければならない問題はなかなか困難な側面もございまして、そういう意味では、具体的な結論をいつ出せるかにつきましては、現状におきましては残念ながら確たることを申せないのが現状でございます。
 ただ、はっきりしております点は、先生御指摘のように、早期締結に向かいまして鋭意努力を続けていくということでございます。
#16
○川崎分科員 これだけ議論していても時間がなくなりますから、私はとにかく早くしてほしいということを強く要望いたしたい、こう思います。
 文部省、この同和対策、教育面で、高校への進学率とか大学への進学率とか、特に中途退学ですね、そうした面を見ますと、全国一般としますと非常に際立ってやはり問題がある。つまり進学率が低い、中退率が多いということがある。なぜこうなっているのか。進学率やそういう問題については後ほど中西委員が細かにやりますから、私は中身そのものには触れません。しかし、これはなぜこうなっているのか。そういうことについて文部省としてどうお考えになっておりますか。
#17
○海部国務大臣 御指摘のように全国平均と比べますと率が低い。なぜか。こういうお尋ねでありますけれども、やはり文部省としては、できるだけ進学を奨励したいということで進学奨励事業の充実も図ってまいりましたし、研究指定校の指定とか、いろいろ努力をしたり、進学その他の条件がせめて全国並みのレベルに近づくようにと思って努力もし、この十年間振り返ってみますとかなり改善も認められてきておりますので、その努力をさらに一層続けていくことがいい、こう思って、これからも進学率その他が高まるような努力をしていくつもりであります。
#18
○川崎分科員 確かに特措法以降あるいはその前から、奨学金の問題等についても努力をし、進んでおることは私は認めたい、こう思います。ただ、しかし、基本的なものがまだ解決していない。
 この文部省の資料を拝見してずっと読んでみたわけですが、「同和教育の推進について」、こういうのを拝見をしてみて思いますことは、今外務省とも少し議論をし合った点でもございますけれども、つまり基本的人権あるいは差別の撤廃、そういう問題は、日本の憲法なり教育基本法なりというものを土台にした日本の教育の中で一番基本の問題ですね。
 そうしますと、この「同和教育の推進」というものを見てみますと、なかなかいいことを言っているのですよ。ところが、これは「対象地域における教育上の格差の解消と教育・文化の水準の向上に努める」ということになっておりまして、日本全体の教育の中ではない。
 そうしますと、例えばこの間の大原さんの質問に対しまして、最後に中曽根総理が、「今さらながら日本でこういう議論が行われなければならぬということは恥ずかしいことであると思います。大原さんの御趣旨を体しまして、内閣としても誠意を持って努力いたしたいと思います。」こういうふうに言っておられるわけです。つまり、確かに対象地域における、例えば教員の加配であるとかそういうことはなされております。しかし、基本的な人権教育あるいは民主主義、そういう基本的なものの教育が日本全体で行われていない。だから対象地域だけに限られておる。その地域だけに限られておるというところに私はやはり大変問題があるんじゃないか、こう思うのです。
 そうしますと、こういう「同和教育の推進」というここでうたっております基本的人権尊重の教育が全国的に正しく行われることを推進するということは、実際には行われていない。この点いかがですか。
#19
○海部国務大臣 基本的人権の尊重ということは、これはもう大前提として極めて大切な問題で、教育基本法に掲げております「人格の完成」というものも、「平和的な国家及び社会の形成者として」育成していくというのですから、そこは当然私は、基本的人権を尊重していくということは、対象地域のみならず広く教育一般の大原則であり、いろいろな学校でも、それは、教育一般として民主主義教育の中では行われていることは当然の大前提だと受けとめております。
 ただ、今御議論の対象地域の中の云々ということにつきましては、担当局長から詳しく御答弁をさせます。
#20
○高石政府委員 先生お持ちの一ページ目の中ほどでございますが、「同和教育の推進については、」「学校教育及び社会教育を通じ広く国民の基本的人権尊重の精神を高めるとともに、」ということで、学校教育、社会教育、全国的にこういう基本的人権尊重の教育が徹底されなければならないということを強調して、そして対象地域における教育上の格差の解消のためには特別の措置をする、定数とかその他の措置をする。こういうやり方でございまして、今御指摘のような基本的人権の尊重というのは、社会科等ではいわば基本的な理念として全国の学校で教えているわけでございます。
#21
○川崎分科員 きょうは法務省に来てもらっておりませんのであれですが、野崎人権擁護局長が先般の総括質問で、日本の精神的風土、土壌の中に部落差別というものを許容するという土壌が、風土がある。つまり日本全体の精神的な風土、土壌というものがやっぱりある。これはいじめの問題などにも深く行けばかかわってくる問題なんですけれども、そういうものがある、こういうことでございます。ですから私は、今特措法が制定をされ、さらに延長され、そして地対法ということになってきて、いよいよ来年にはその期限が来ておるわけですけれども、つまり、そういう物的なハードの面の問題というのはある程度進んだにしましても、基本的には進学率がおくれておる。それはやっぱり学ぶ環境とかそういうものが大変おくれた状況にあるということなどのために、そういう事態があると思うのですね。
 地域改善対策協議会というのが中間の意見を出しております。これは当然文部省もかかわっておると思うのでございますが、「地域改善対策特別措置法期限後の同和対策について」ということで、これは関係の県、それから政令都市というのが集まって行われておるわけでございますけれども、この一月二十一日に決定されました中間意見というものを見ますと、非物的事業というものでは、ある程度なされてきたとはいえ、しかし「零細かつ生業的色彩の濃い産業、不安定な就労の実態、高校・大学への進学の格差、更には高率の生活保護受給の実態等非物的面における課題は多く残されている。」こういうふうに指摘をし、今後の問題としましては、「総合的な施策を確立する根拠となる下記の事項を盛り込んだ法的措置の実現を求める。」こういうふうに言っておるわけです。
 時間がございませんからその全部を申し上げませんけれども、つまり「国民意識の変革を求める啓発の充実と、これまでの反省に立った総合的施策の推進が必要である。」こういうことで、この法律が来年切れますから、その後の法的措置の実現というものをこの全国同和対策協議会が中間意見を出しておるわけでありますけれども、そういたしますと、文部省としては、当然関係県からそれが上がってきているわけですね。文部省としてはこれをどういうふうに受けとめているのか。つまりこの法律が切れるそれ以後の問題について、文部省としての主体的な姿勢というものはどうであるか伺いたいと思います。
#22
○海部国務大臣 御指摘の点につきましては、法失効後といえども、文部省としては、同和教育の重要性が指摘されているところでありますから、必要な事業については引き続き実施してまいりたいと考えております。
#23
○川崎分科員 いや、だからそれは私の質問に答えてないわけです。全国同和対策協議会は、つまり関係県、政令都市、そこで集まっている公的な機関ですね。公的なというかそういう機関がありますね。それが切れる、その後は立法措置を、こう要求しているわけです。だから、当然これはつまり次の基本法を制定してほしいという要求が国民運動としてあるわけでありますけれども、そのことについて文部省としては、つまり物的な面の措置はいたしますというふうにしか今の答弁は聞こえないわけです。
 そうじゃなくて、地対法が期限が来る、その後、文部省としては、つまり政府全体として、政府全体の中で就職、教育、そういう面での非常に大きな部門を、文部大臣自身も答弁されておりますように担っておる。特に人権教育とかそういう面においては非常に大きな面を背負っているわけでありますから、文部省としてはこの法的措置の要求に対してどう考えるか、またどう検討しておるかということを伺いたいのです。
#24
○海部国務大臣 文部省としては、先ほど申し上げましたように、地域改善対策協議会のいろいろな意見具申等を踏まえて、今年度予算でも啓発活動等の事業についてさらに増額をして、ソフト面の充実をもちろん図っていかなければならぬ。
 先生おっしゃる法律改正の問題についてどうするかということは、まさに政府全体の問題でございますので、政府の中でいろいろと議論される段階においてそれに対応していかなければならぬことだ、このようにしかお答えできませんので、ここで文部省が、この法律をどうこうということはちょっと意見表則は御勘弁をいただきたいと思います。
#25
○川崎分科員 もう時間が来ました。大変時間が短いのであれですが、文部大臣は二度目の文部大臣でございますが、これまでに被差別部落の現地を御視察になったことがあるのか、またそういう教育の現場に行かれて直接御検討になられたことがあるのか、いかがですか。
#26
○海部国務大臣 文部大臣になりましてからはまだ日が浅うございますので、行ったことはありませんが、私は、自分の郷里にそういう地域もございまして、また選挙のときにも、いろいろお話もございますから、そういったことを見たり、そういったところの実情を聞いたりしたことはございます。
#27
○川崎分科員 それでは文部省の方に伺いますが、これは後ほど中西君から質問があるかもわかりませんが、去年の分科会で松永文部大臣は、国会が終わり体が自由になったらぜひ行きます、行きたい、こう言ったのですが、実行されたのですか。
#28
○高石政府委員 日にちは正確でございませんが、去年の秋から暮れにかけて関西に行かれるチャンスがありましたので、その際にそういう地域を視察されました。
#29
○川崎分科員 大変結構だと思いますが、それはひとつ大いに反映させていただきたい。
 そこで、先ほど選挙区で、こう言われた。しかし、選挙区でという場合とはまた違うんですよ。つまり文部大臣という立場での視察と選挙区で有権者の皆さんに接する場合とは非常に違いますから、この際機会を見でぜひ視察もしていただき、また具体的に問題も御検討願い、そして、今日なお条約の批准すらできないでおるそういう問題等については、国務大臣としてよく御検討いただき、このあらゆる形態の人種差別撤廃条約の調印、批准ということについての国務大臣としての努力を願う。さらには、地対法が切れますが、その後の立法の問題につきましても、国務大臣また文部大臣としまして努力をしていただきたいと思います。いかがですか。
 それを伺って終わりたいと思います。
#30
○海部国務大臣 御指摘のことを踏まえて、例えば条約批准について、文部省の高等学校家庭科の教育のあり方が条約の妨げになっておるのではないかという指摘も受けておりますので、それも教育課程審議会にお願いをして、妨げにならないようにするにはどうしたらいいか今鋭意努力しておりますし、また時間とあれが許しましたら、私も選挙区外の同和地域に文部大臣としてできたら行って実情を見せてもらってこよう。そのほかのことについても、その場に立っていろいろと検討して、少なくとも基本的人権の思想というものが徹底していくように文部大臣としても努力をいたしたい、かように考えます。
#31
○川崎分科員 終わります。
#32
○大西主査 これにて川崎寛治君の質疑は終了いたしました。
 次に、新井彬之君。
#33
○新井分科員 文部行政につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。
 今、どんな問題でもそうでございますけれども、非常に専門化されているわけでございます。したがいまして、文部省におかれましては、歴代の文部大臣を初めといたしまして、この教育問題については大変いろいろな研究をされ、またいろいろ努力をされているということに対しましては深く敬意を表するところでございますが、一般の国民から見まして、また、家庭の御両親、御本人から見ましても、いろいろな悩みといいますか、解決していただきたいことがたくさんあるわけでございます。
 いじめの問題一つとりましても、あれだけいろいろ論議されていますけれども、ちっとも減る気配にない。そうすると、一体何を専門家たちは協議をし、一体何をやってくれているのだろうか。本来はいじめというのがさっとなくなればそれで何も言うことはないわけでございますが、いろいろな論議はあっても現実的にはなかなか進まない。こういうわけですから、本日はわかりやすく、ひとつ受験生に言うように、あるいはまた受験生を持つ両親に言うような形で御答弁を願いたい、このように思うわけでございます。
 本年から六十七年にかけまして、十八歳人口というのがずっと急増をいたします。そういうことで、この急増の実態とそれに伴うところの進学率の見通しというものをまずお伺いをいたしたいと思います。
#34
○大崎政府委員 我が国の十八歳人口につきましては、昭和六十年度にはひのえうまの年ということもございまして、百五十六万人でございましたけれども、六十一年度には百八十五万人と大幅に増加をいたしまして、以後、逐年増加をして、昭和六十七年度二百五万人ということでピークに達するわけでございます。
 このような十八歳人口の増加に対応いたしまして、高等教育への進学の機会の確保をどうするかということが重要な課題でございますので、昭和五十九年六月に、大学設置審議会での御検討の結果といたしまして、昭和六十一年度以降の高等教育の計画的整備ということについての御報告をいただいたわけでございます。
 その御報告の基本的な考えといたしましては、十八歳人口がピークとなる昭和六十七年度においても、昭和五十八年、つまり急増が始まる前の進学率は三五・六%でございますが、それを維持をするということでありまして、そのためには、六十七年度までに、国公私立の大学、短期大学で大体八万六千人程度の定員増が必要ではなかろうか、こういう考え方が示されたわけでございます。
 ただ、これは、六十七年度以後さらに減少をいたしまして、百五十万台というところまで落ち込むわけでございますので、そのことを考えますと、その定員増が、将来とも増員のままでとどまるようないわゆる恒常的な増ということは適当ではないのではないかということで、期間を限った定員増という考え方を取り入れて、今申し上げました約八万六千のうちの四万四千程度は、期間を限った定員増にしてはどうかという御提言をちょうだいをいたしたところでございます。
 文部省といたしましては、その御提言に則しまして、昭和六十一年度には国公私立についての臨時増を中心とする措置、あるいは公私立大学、特に私立の大学でかなり意欲的な御計画がございまして、四万五千人の定員増の認可というようなこともいたしておりまして、六十一年度の進学ということにつきましては、受験生の皆様に基本的には問題となるようなことはないのではないかというふうに考えているところでございます。
#35
○新井分科員 受験地獄という言葉がございますけれども、今まで受験地獄――非常に一生懸命勉強しましてもなかなか通らない。その勉強の仕方も、一切合財ほうり出しまして、とにかく塾にも通わなければいけませんし、それも小学校から、あるいはまた幼稚園ぐらいから特別な教育をしないといい大学に入れないというようなこともずっと定着をしておりまして、いわゆる我々の若いとき、小さいときと違いまして、受験地獄とこういうことを言われておるわけでございますけれども、受験地獄ということについて文部省は、それはそうじゃないのだ、合格率は七〇%あるのです、当然朝から晩まで勉強してその中で競争するのも教育の一環ですというような考え方をとるのか、あるいはやはり一日に三時間なり四時間勉強すればあとはスポーツをするなり体を鍛えたり、あるいはある程度アルバイトをして社会のことを学ぶなり、こういうふうにした方がいいんだとか、いろいろなことがあると思いますけれども、この受験地獄に対する国民の一般の方が大変だと言っていもことに対して、大臣はどのようにお思いになりますか。
#36
○海部国務大臣 受験地獄という表現は、確かに受験そのものに大変非人間的な要素が加わってしまっている。受験中心の生活になりますと、今おっしゃるようにスポーツをするとか、自然体験をするとか、友情を深めるとか、文化に親しむとか、そういったさまざまな人間としてそれぞれの発達段階に必要な生活体験もできなくなる。そういうような状況は文部省としては好ましいと思っておりませんから、何とかしてこの加熱している地獄というような言葉を使われる状態だけはなくしたい、こう思っているのです。
 ただ、極楽にはどうしてもなりませんから、公正に、平等に、能力に応じたやはり選抜を受けてもらわなければならない。そうすると、先生今御指摘のように、公正に平等な試験の場とは何か。やはり高等学校なら高等学校の授業をまじめに一生懸命受けて、一日三時間なり四時間なり常識的な時間を勉学に一生懸命打ち込む、そのほかのこともいろいろ体験しながらも、そういったことで試験に立ち向かっていくようなことができる、そういうような状況が望ましいわけでありまして、一時言われたように忍術のような受験技術を身につけなければならぬから、土曜日も日曜日もみんなそちらの方に時間がとられてしまう、これでは人間形成が偏っていくと思いますし、好ましい、望ましい状況とは思いません。
 ですから、入学試験制度等をいろいろ多様な選抜に工夫するとか、あるいは点数だけに重点を置いて、嫌な言葉ですけれども、偏差値による輪切り教育なんというようなことから、もうちょっと幅広く、奥深く、その人がどういう個性を持ち、適性を持ち、能力があるのか、いろいろなことがもっと加味されるような選抜になっていくこと、これが、極楽にはなりませんが、地獄の状態だけは何とか解消して、伸び伸びと人間性のある生活を高等学校でも入学試験のときにも送ることができるようにしたいものだ、こう願って文部省は努力をしておるわけでございます。
#37
○新井分科員 大変いいお話でございますが、現実とはもうめちゃめちゃにかけ離れた話でございます。
 そこで、現実を変えようと思いますと、それは東大とか京大は別にいたしまして、今の合格率の七〇%というのはやはりもう少しふやす必要があるのではないか。といいますのは、全体的に、私学をひっくるめましてとにかく一生懸命者勉強しているわけですね。とにかくいろいろやってみたけれどもやはり通らない。これはもう一点差で落ちている人もたくさんいると思うのです。どっちをとった方がいいのかということはわからない。これは朝から晩まで勉強したから何か覚えるということについては確かに大変な前進があろうかと思いますけれども、ほかのことをやらしたら全然できない、あいさつ一つできない。こういうように、やはり人間というのはバランスとれてやる場合にはバランスとれたようなことしか覚えられないわけでございますし、一つのことに集中すればほかのことはできなくたってそれは専門的になるわけでございまして、どれがいいのかは別といたしまして、やはり今は過当競争で合格率が少ないのではないかな、こういうことを一つ思うわけであります。そういうことで、先ほども人口増に対しましてはそういう手を打っていただいているというわけでございますけれども、そういうこともひとつよろしくお考えをいただきたいと思います。
 それから、私は、大学というのは大都市に大体集中しておったわけでございますけれども、やはり地方にもきちっとした大学が分散するということが非常に大事である、このように考えているわけでございます。そういう日本の全体をはかって、どの地域に、例えば人口が何名いる、ここに大学がない、そうするとやはりここに大学を一つつくった方がいいな、私立でできなければ国立でもってつくっていこうとか、そういうような一つの御配慮というのは今まであったわけですか。
#38
○海部国務大臣 御指摘のことはまさにそのとおりでありまして、大都市、特に東京、大阪とか、名古屋とかいうところだけに高等教育機関が集中するよりも、地方の文化や地方の経済や地方の発展のためにそれぞれ中心的役割をなす大学があることが必要である。地方大学の整備充実には力を入れてきたところでありますし、細かいことは政府委員から答弁させますが、たしか数年前から、大学の定員をふやすときなんかも、大都会の大学に振り分けるよりも、地方の大学に必要に応じて配分を多くしたらどうかというようなこと等も考えながら文教行政を行ってきたと記憶しております。
#39
○新井分科員 例えて言いますと、その地域の地方公共団体、市長さん初め、あるいは商工会議所、あるいはほかの自治会の連合会、そういう方々がどうしても大学をつくっていただきたいということを非常に努力をしまして、そうして申請なんかする場合というのは、もともとどういう形でしていいかわからない場合もたくさんあるわけでございますから、そういうのは特によく状況を判断して、親切に教えたり指導したりして実現に向かうというような方向でやっていただいているわけですか。
#40
○大崎政府委員 大学の適正な地域配置、あるいは地方での進学機会の確保ということにつきましては、高等教育の計画的整備を図る上での重要な観点の一つとして、従来から留意をいたしておるところでございます。
 その結果といたしまして、一例を数字を挙げて御説明申し上げますと、例えば昭和五十年度には東京二十三区の大学、短大の在学者の数の割合が三〇・三%でありましたのが、昭和六十年度では二二・六%ということで、いわば二十三区内の大学生の数というものがそれ以外の地区にかなり移ったというような状況もあるわけでございます。
 それで、ただいまのお尋ねに直接関連をしてお答え申し上げますと、ただいまのお話のように各地でいろいろな御計画、御構想というのがなされるわけでございまして、私どもいろいろ御相談を受けることもあるわけでございます。私どもといたしましては、それぞれその御構想についてのこちらとしての意見その他を申し上げるわけでございますが、ただ、大学の私立の場合を想定いたしますと、設置ということにつきましては、やはり基本的には大学設置審議会あるいは私立大学審議会の専門的な御検討を経るということが原則でございます。その審議会の御審議を、事前にこちらとして実質的に大きい影響を及ぼすようなお話し合いというのは差し控えさしていただいているということが片や事情としてはございますので、御理解がいただければありがたいと思います。
#41
○新井分科員 審議会は一生懸命審議していただけると思いますが、その審議会の中にも、やはり大学は地方分散で、そして地域地域にそういう大学を置くということは非常に大事なことであるという認識は当然あろうかと思います。
 私は、極端な話が、沖縄の方が何も北海道の大学へ行く必要はないわけでございます。高い高い旅費を払い、下宿代を払い、そしてまたいろいろな苦労を重ねてやるよりも、やはりその地域地域の地元を愛しながら、そこで育っていって、その地元のためにもなるということで、やはりある程度人口のある地域には大学というのがちゃんとあって、そこが何らかの形でその地域にも貢献するというのが私は非常に大事なことではないか。したがって、そういうこともいろいろ考えて、その地方にお住みの地方公共団体の方、あるいはまたみんなが寄ってたかって言う場合におきましては、審議会の方もきちっと受けてはくれていると思いますけれども、その辺はどのように文部省としては解釈されておりますか。
#42
○大崎政府委員 地域配置という観点に立って考えますと、これは先生のただいまの御意見のとおりに私ども考えておるところでございまして、地域配置の均衡と地域における進学機会の確保という観点から申しますと、やはり大都市への新設というのは制限的に考え、比較的高等教育の機会が薄いところにつきましては配慮、考えるということが適当ではないかというふうに考えている次第でございます。
#43
○新井分科員 そういうことで、文部省といたしましても、よく審議会と、文部省は文部省としてこういうことが必要であるということも審議会にもよくお伝えを願って、意思の疎通というのをしていただきたいと思うわけです。間違っていることは当然審議会の方から間違っているというようなコンセンサスを得ながら、審議会がいいと言ったからよくて、だめだと言ったらだめだという、まあ文部省がいいと思っているのにそういった場合ということも考えられますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから、大学とか専門の学校になりますと、建学の精神というのは非常に大事だと思います。昔は建学の精神ということで我々もよく言われたわけでございますけれども、今は余り建学の精神というのは言われなくなり、別にどこの大学を出たからといって余りかわりばえがしないような状況になっておりますけれども、これから新設の大学というような大学は特に建学の精神みたいなものが非常に大事になっていくんじゃないか。そうしますと、体育大学だったら体育大学でそれなりの一つの方針、あるいは工学部なら工学部で一つの方針というのがいろいろ出てこようと思いますけれども、そのときの入試の選抜方法にいたしましてもいろいろと出てくると思いますけれども、そういうときの選択の幅というのはどのように文部省はお考えになっておりますか。
#44
○海部国務大臣 理想を語りますと、各大学がそれぞれ、創設者の理想とか大学の建学の精神とか大学の特色とかカラーとか、一時期世間で言われたような個性や特色をうんと見出して、そういった人材を集めて、結果としては社会に出て役立つわけですからやっていただきたいと思うのですけれども、ここから先が問題で、文部省がそうした人を揺れとかこうしろとか言うんじゃなくて、各個々の大学が入試に対するいろいろな委員会をつくったり取り決めをなさったりしてはかられる、そのときに計量可能な点数というものがどうしても第一義的になってきますと、その人の持っている建学の精神に対する愛着とか大学側が建学の精神をどのように見ておるかということの評価よりも、そのほかの基礎科目の点数から出てくる結果の方がどうしても一つの基準になりがちであった。したがって、御指摘のように各大学の個性や能力がなくなってきた、このように御批判が出ておることも私も承知しておりますし、私自身も好ましいことだとは思っておりません。
 そこで、これは法律ずくとか権限ずくではありませんけれども、入学試験のときになるべく個性に応じた、その学校ならその学校の建学の精神や創設者の理想に共鳴しておるというようなことがあったならば、何らかの形でそういった人たちも学生として入学させることはできないだろうか。今度臨教審の答申をいただいて、新しい角度のテストを考えておりますけれども、そういった学問的な基礎テストに加えて、その人の人格といいますか物の考え方というようなものも、面接なり小論文なりをやっていただけばかなりにじみ出てくると思いますから、そういうような努力もして特色を出してもらいたいな、これは私の願いでございます。
#45
○新井分科員 それからもう一つ。前に、五十年代でございましたけれども、ちょうど砂田文部大臣のときに、兵庫県の坂井知事が、これからの時代というのは、病気になってその病気を治すというのじゃなくて、病気になる前にそれを予防する、これが世界的な趨勢じゃないかということで、そういうことを学ぶ大学、仮称健康科学大学、これを兵庫県知事が非常に提唱したわけでございます。とにかく兵庫県から、そういう病人というのを少なくして、そして健康でもって長寿社会というものを建設しよう。確かに、厚生省の資料なんかをいろいろ見ますと、予防医学をやった場合の方がよっぽど医療費も安くつきますし、そして、また逆に、今度は社会的な状況から見ましても、健康な人が多くて非常に幸せになる、こういうふうなデータもあるわけでございますが、これは調査費がついて、神戸大学の須田学長が一生懸命に苦心をされて一つの成案を得たわけでございます。
 しかし、これはどういうことになったのか、とりあえずそういうものはできないということになったわけでございますが、この前もテレビを見ておりましたら、大学生が何か強盗ですか、それを捕まえるときに自分が刺されまして、そして東京都の病院を救急車で回ったのですけれども、たらい回しにされた。それがずっとテレビに出ておりまして、お医者さんも東京都もそれに対してはどういうぐあいに考えたらいいかということで次の手を打っているわけですけれども、お医者さんのインタビューからいきますと、今は脳外科は脳外科、それからほかはほかということで、非常に専門分野化しております。そこで、幾ら救急車の方から電話をいただいて直接聞きましても、来てみて違ったらよそへ行ってくれ、こんなことになるので、これの解決はやはり救急医療というものを勉強した者しか解決の方法はないというのがそのときのテレビの放送でございました。
 そうしますと、今確かに外科とか、僕は専門的にはわかりませんが、非常に細かい部分にわたっての専門分野はございますけれども、だから、一人の人を手術するにしましても、何人もの方が協議しながら手術をされるというようなこともあるわけですけれども、少なくとも今の交通事故の状況から見まして、救急車で運ばれてくるのはたくさんいらっしゃるわけです。その救急医療に対する勉強、学問というものは今学部がないみたいでございますので、それは一つの例でございますけれども、文部行政だけではなくて厚生行政も入るかもわからないが、しかし、これからの時代の要請によって、工学部にしましても情報科学にしましても医学部にしましても、いろいろな新しい学部・学科というものが要請されてくる時代ではないか、このように思うわけでございます。そういう中でやはり、文部省というのはもう一歩先を進んで研究して、こういうものが必要であるということを逆に提言して、そしてほかもなるほどと言うぐらいにやっていただきたいと僕は思うのでございますけれども、そういうような問題について御所見をお伺いをいたしまして、時間でございますから質問を終わります。
#46
○海部国務大臣 いろいろ移り変わります社会の要請にこたえて新しい学部・学科を設置するということは、その構想が適切で、かつ、財政基盤等がしっかりしている場合には基本的に望ましいことと考えております。
 ただ、具体的に先生御指摘の健康科学大学の問題につきましては、これは局長から御答弁をさせていただきます。
#47
○大崎政府委員 健康科学大学構想というものが兵庫県等を御中心にかねてから練られておるということは私どもも承知をいたしておりまして、最も最近の御成果としましては、昨年の十一月に大学院大学創設試案というようなものもちょうだいをいたして、私どもといたしましても勉強さしていただいているところでございます。
 ただ、非常に野心的な御構想でございまして、まさに人間の正常・異常、健康・疾病というものを総合的にとらえるという健康科学の確立という御構想と同時に、いろいろな形でのスペシャリストの職種を確立しようということが併存をしておるということでもございますので、それだけに直ちに実現を図る、あるいはその御構想を何らかの形で既存の大学等で取り入れるということにつきましては、なお慎重な検討が必要ではなかろうかと考えておる次第でございます。
 ただ、先生御指摘の救急問題等につきましても、医学教育として専門化と並んでいわゆるプライマリーケア、総合化が緊要な課題であるということで、現在医学教育改善会議というところでの一つの課題の焦点にもなっておるところでございますので、事柄自体としてのいろいろな形での検討は引き続き進めさせていただきたいと思っておるわけであります。
#48
○新井分科員 私は、とにかく一つの例を挙げたわけです。健康科学大学にしましても今の例も出しまして、いろいろな角度からたくさん出てくるだろう、そういうものを文部省はもっと一歩前に進んで、出てくる前にこういうものが必要じゃないかというぐらいの研究もひとつやっていただきたいし、提言もしていただきたい、こういうぐあいに逆に思うわけでございます。
 そういうことでそれを御要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
#49
○大西主査 これにて新井彬之君の質疑は終了いたしました。
 次に、大原亨君。
#50
○大原分科員 時間の範囲内で二、三点質問をいたします。
 一つは、川崎委員からも質問がありました同和教育の問題です。そしてもう一つは、児童福祉の観点から見た教育政策ということで、教科書問題、それから給食問題について、どういう視点があるかと日ごろ私が考えておる点。それから、通告はしていなかったのですが、これはもう既定の話でございまして、広島市を中心として進んでおるアジア・オリンピックの問題について近く閣議了解のことがございますので、これは通告なしですが、ひとつやります。
 第一は同和教育、部落解放問題について。先般私は、予算委員会の総括質問で一時間余り質問をいたしました。川崎委員からもお話があったと思います。条約との関係ですが、この問題は有権解釈は外務省がする、しかし国務大臣として文部大臣も十分関心を持ってもらいたい。それから、多賀谷委員が指摘いたしましたILOの百十一号条約は、国内法との関係で日本で余り議論されてない問題ですが、重要な問題です。私が先般総括質問で指摘をいたしました点は、ハードの面においては六、七割、いろんな評価の仕方がありますが、かなりの予算をつぎ込んで実績を上げた。しかし、住環境の改善を中心とするハードの面だけでは、長年の差別意識の解消にならないのではないか、ならないだけではなしに中途半端で住環境改善事業を終わると、差別意識、差別される方もする方もですが、差別する方の側から見てみましても、長い間の悪い住環境が部落であるというふうな先入主があるわけですから、やはり差別意識の問題についてソフトの面で取り組んでいかないと――簡単に言ってください。もう難しい質問はありません。ソフトの面で努力をしないと、やはり社会意識としての差別問題の解決はできないのではないかという点を指摘をいたしまして、文部大臣は各大臣の答弁の中では簡単な内容であったわけですが、非常に前向きな答弁をされました。川崎委員の質問に対しましても、前向きの答弁があったというふうに了解しております。
 そこで、私が議論し足りない点でこの分科会で指摘をしたい点は、これからの部落解放政策というものはソフトの面に重点を移して、そして例えば神戸にしても大阪にしても、かなり同和対策事業を進めておるところでも、五百戸の部落の地域、そういうかなり大規模なところが未解決であるところが多い。これは土地問題その他があるわけです。それから大臣の愛知県のように、指定がおくれて事業の発足がおくれているところもここでちょん切るわけにはいかない、途中で切るわけにはいかない、そして、ハードの面の後始末もしなければいけない、ソフトの面でこれを包んでいかなければいけない。ハードとソフトを一体的にやって、初めて社会意識としての部落差別が解消できる、こういう考え方で今までの十三年、五年の地対法を総括して、これから新たにどう日本の同和行政を進めるかということを考える必要があるだろう。中曽根総理もこの点については、前向きに受けとめた答弁をしておられたようです。
 そこで、私が一点指摘をして大臣の見解をお聞きしたいのは、例えばソフトの面ということになると法務省の人権擁護の啓発問題もありますが、一番大きな責任を負うているのは、学校教育とか社会教育の面における文部省の責任が非常に大きいわけです。しかし、六十一年で切れる法律をなくいたしまして、国として同和行政に取り組むということを全部解消してしまって、憲法だけを基礎にして行政をやるということになりますと、日本の行政は縦割り行政ですから、法律に基づいて行政するのですから法律がないと違法行政ですけれども、しかし文部省だけでやろうといたしましても、労働省の雇用問題とか通産省の産業政策とか各省が全部十分に意識統一をしなければ、法律に基づいて今までの民主主義の中における人権問題としては、大きなウエートを持っているこの問題の解決の目的を達成することができないのではないか。したがって、総合的にソフトを中心に、基本法というふうに我々は言っておりますけれども、そういう先見的な立法を中心といたしまして、国や自治体や各国民の国民課題としての心構えを明確にしたものを設けて各論的な政策をやるということが必要ではないか。したがって、そういう法律をつくらないで文部省だけで行政上やれ、こういうふうに言いましても、私はなかなか目的を達成することはできないのではないか。
 例えば、生活保護の受給者が多いということは、年金のある安定した職場から疎外をされておるということも一つあるわけです。ですから、雇用や年金の正常な職場とか制度から疎外をされるということで生活保護が非常に多いということになります。雇用では、臨時やパートやそういうふうな問題の分野で多いということになりますと、そうするとやはり差別の解消はできない。ですから、ソフトの面も非常に範囲が広いわけですから、教育の面が中心になりますけれども、教育の面の目的を達成しようと思うと、やはり六十一年で切れる今までのハードを中心とした法律を、ソフトを含む総合的な立法で六十二年以降は国として対処して、その中で、教育も中途半端であってはなりません、最近も同志社大学の神学関係から文書が出ておりますが、そういうことではなしに、ちゃんと社会的、科学的根拠のある、教師自体が、あるいは行政自体がそういう確信を持った教育を進めていく、へっぴり腰ではなしに腰を落ちつけてやる、急がば回れということがあるけれども、そういうことで初めてこの問題の解消ができるのではないか。無期限にということを言うのではない。しかしながら、五年か幾つか期限を切りながら総合的に計画を立ててやれば、この問題は解決できないことはないし、解決すべきことではないか、こういう一点であります。
 六十二年以降法的な措置を、ソフトを含む総合的な立法をして、全体で取り組む中で学校教育や社会教育について努力をするということなしに、この問題の解決はできないのではないかというふうに、総括質問における私の質疑応答を踏まえて、ひとつ文部大臣の所信を述べていただきたい。
#51
○海部国務大臣 かねがね大原先生のいろいろなこの問題に対する御意見を承り、また文部省におきましても、同和教育の重要性については全く同じ強い気持ちで取り組んでまいりましたし、従来から学校教育及び社会教育を通じて、広く国民一般の基本的人権尊重の精神を高めるとともに、対象地域の教育、文化水準の向上には努力をしてきたつもりでございます。同時に、教育そのものは、地域の皆さん方の例えば進学率を高めるとかあるいは教育の質を向上するために加配教員をするとか、文部省も鋭意努力を続けてきたところでありますけれども、これからも必要な事業は引き続き実施してまいりたいと考えております。
 具体的に、来年度の法律の問題でありますけれども、私どもとしては、きょうまで進めてきたこの事業がさらに進んで、対象地域の人々の文化、教育の向上に役立つようにしたい、この願いを持っておりますけれども、政府全体としてやはり取り組む問題でございますので、その時期が参りましたら、文部省の考え方等も披瀝しながら対応してまいりたいと思っております。
#52
○大原分科員 私が指摘いたしましたように、今まではハードの面の予算を、同和会にしましても解放同盟にしましても、どちらかといえばこれを中心にぎりぎりとやってきたと思うのですね。しかし、ソフトの面について関心がなかったわけではない。しかし、私どもが政治家として、国会議員として全体を見た場合には、私のような考え方で、ハードの面だけがつがつやるのではなしにソフト面を含めて総合的にやって、全体として差別をなくするような国の行政のあり方を決定する法的な措置が昭和六十二年以降も必要であるというふうに私は指摘をいたした点で、それについては海部文部大臣も文部大臣として、または国務大臣として、中曽根内閣はいつまで続くかわからぬが、行政は継続しているわけですから、そういう点でひとつ御努力をいただきたい、そういう点を申し上げておきます。簡単に御答弁願いたい。
#53
○海部国務大臣 先生の御意向を十分に体して、今後も努力してまいりたいと思います。
#54
○大原分科員 第二の問題は、いじめっ子の問題とも私は関係があると思うのですが、最近一人っ子とか二人子、二人子が普通ですが、一人っ子が非常に多くなっているのですね。きょうは厚生省も来ておりますが、フランスは、昔は子供の出生率がどんどん減りまして非常に困ったことがあるのですね。しかし今、統計を見てみますと、合計特殊出生率というのは簡単に言えば夫婦が一生の間に産む子供の数ですが、それは、例えば西ドイツは一九八二年には一・四児、オランダも一・四児、スイスが一・五、スウェーデンは一・六ですが、フランスは一・九なんです。二・一児で二人平均だ、こう言うわけです。これはひとつ厚生省、日本は最近の資料によると合計特殊出生率は幾らですか。
#55
○横田説明員 御説明申し上げます。
 五十八年度で一・八〇でございます。
#56
○大原分科員 大臣、一・七四ぐらいまで下がっておりまして、最近一、二年、ちょっと上がったわけです。
 厚生省の中に人口問題研究所というのがありまして、非常に権威のない研究所で、あれは行政改革を私がやればやめてもいいのではないか、それぐらいに思っているのです。というのは、大体長い間一・〇を下回ることはないという推定をずっと出しておりまして、四、五年前からがたっとこういうふうに変わったわけです。人口の高齢化、平均寿命が延びるというのは、今の人が世界一だということではなしに、今生まれた人が、平和がある限り男が七十四になり女性が八十になる、これがだんだんと上がっていくという話なんです。だから、高齢者が多い、死亡率が下がるということと出生率が少なくなるということの裏表で、平均寿命が延びているわけです。だから出生率が下がるということは、夫婦で、二人でなしに一人っ子もおるということは、これは民族の活力からいえば大変な問題なんですね。だから、長寿国になるからいい、いいと言うのだけれども、その裏側は少産なんですね。フランスは早くから非常にそういう点に気づいて、家族手当、児童手当等を中心に子供を大切にする政策をつくったわけですね。ただ、西ドイツの諸君や皆さん方に聞いてみると、あそこは安い外国の労働力を金をかけないですぐ連れてくるわけですね。アフリカやユーゴ、南イタリーから連れてくる。これが社会問題になっているわけです。でき上がった二十歳くらいの労働力がやってくるのですから、国としては一番いい。しかし、これがずっと定着して社会問題に今なっているわけです。しかし、日本は環境が違っておりますし、韓国、朝鮮に対する政策なんかでも国と国との関係が非常にいびつですから。
 それにいたしましても、日本は島国ですから出生率をもう少し上げなければいかぬです。そうしないと、日本の年金や社会保障も維持できない、あるいは労働力のバランスもとれないということになると私は思うのです。ですから、この児童福祉や児童手当について臨調などは、あるいは財界や大蔵省――きょう大蔵省は予算委員会だから来ていると思うのですが、大蔵省はすぐなにすると児童手当をやめるとか教科書無償をやめるとか、あるいは給食をどうとかというようなことをよく言うわけですが、最近教育臨調などではそういうことは議論していないのですけれども、大切な点は、一人っ子が大体どのくらいな比率でいるのかという統計なんですけれども、厚生省、それは把握していますか。つまり、一・八とか一・七四とかいうのは、二人っ子もおるけれども、三人子よりも一人っ子が多い、そして三番目に三人子、四人子、こういうことになるのではないか。一人っ子がどのくらいな比率なのか。
#57
○横田説明員 御説明申し上げます。
 これは昭和五十七年の第八次出産力調査の結果でございますけれども、子供を産み終えました夫婦の出生児の割合を調べたものでございます。対象は、妻が三十五歳から四十九歳ということで調査したものでございますが、子供がいない、零人の夫婦が三・五%、それからお尋ねの一人っ子でございますが、これが一〇・三%、二人が五六・O%、三人が二五・三%、四人以上が四・九%というような割合になっております。これを見ますと、有子家庭の九割程度は二子以上であるということが出ております。
 以上でございます。
#58
○大原分科員 ただ、そういう答弁も、例えば一・七四ということになると二人平均以下でしょう。そうすると一・七四とか一・八という数字は、もう少し一人っ子の家庭が多いんじゃないか。あるいは子供のいない家庭を含めてそうしないと、そうならないんじゃないかと私は思うのですがね。それはそれで一〇%程度というのでもいい。
 いずれにしても、文部大臣、僕は一人っ子とか二人っ子というのは、私の孫なんか見ておりまして、三人ほど子供がおるのですが、二人っ子もおるし三人子もおるのですけれども、三人子ぐらいは少なくともないと、家庭生活の中で子供同士で自制し合ったり我慢し合ったりあるいは議論し合ったりするということがない一人っ子というのは、子供としての性格上大変ではないか。ずっとそういうことでやって、そしてじっと日がな一日じゅうテレビを見ているような国民は日本ぐらいなものです。あるいは、昼でも時間帯を決めてみんな見ている。普通、ヨーロッパなんか公共放送しかないから、民間放送一つしかないから。ですから、そういう一人っ子は、社会性がなくて、家庭における仲間関係がなくて、兄弟関係がなくて、そして進学進学ということでやられると、私は正常な子供にはならないと思う。伸び伸びとやって自分の個性を伸ばすというような教育の基礎が崩れるんじゃないか。民族の活力という面は、そういう教育の面においてもやはり考えるべきではないか。だから児童福祉という点は、社会的にも考えていく必要がある、政策的にも考えていく必要がある、そういうふうに私は思うわけです。
 そう観点で、教科書無償の問題は、最高裁では、授業料免除というのが最低限だというふうに憲法上の解釈をやったことがあるようですが、それはそれが最低であって、それ以上の問題について否定する問題でもないと思うのですね。義務教育は無償とするという憲法はやはり一つの、全体からいえば、私は時間がないから言わないのですが、質問だけにしておくのですが、例えば児童手当にしましても、昨年就学前の子供を対象にして切りかえたわけです。人数はふやしたのですが、今までのいびつな十五歳以下、第三子からというのを、暫定措置ですけれども、今度は第二子からの就学前に下げたわけですね。しかし、国際的に見てみましたら、こんないびつな児童手当をやっている国はないわけですよ。国際的には全然問題にならないわけです。イギリスも西ドイツもイタリアもスウェーデンも、全部第一子からやっているのです。そして、児童手当、家族手当の所得再配分、社会保障における比率は非常に高いわけですよ。日本は所得税に扶養控除があるというので、ヨーロッパでは扶養控除と児童手当を統合しまして児童手当を強化したところもあるのですけれども、日本は扶養控除が残っているわけです。それから、財界の人なんかがよく言うのは、年功序列賃金であって、家族手当的なものが賃金の中にあるというふうな意見もあるわけですね。そういう議論は合しませんけれども、児童福祉という点では臨調の圧力が強くて、これもやめてしまえ、こういう議論があるわけです。
 そこで、一点に質問は絞るわけですけれども、教科書問題についても、教科書無償は簡単にやめてしまえと。しかし、これがあるために、これは貧富にかかわらず、低所得階層も同じように教育の場における一定の給付があるわけです。それから給食にいたしましても、一つの働く場合の条件になっているわけですから、それは悪平等であるとかなんとかいうようなへ理屈を言う人もおるのですが、私はその面については児童福祉全体でちゃんと考えて、そしてそういうことを樹立しますと子供の数がふえてくるわけです。社会的に安定する、あるいは連帯的なそういう施策があるとふえてくる。これは当然ふえてくる。
 そこで、教育上も、民族の活力からいうても、教育は百年の大計ですから、そういう点で児童福祉という観点での所得の再配分の一環としても、教科書無償の問題とか給食の問題等については、短絡的な場当たりの財源対策で政策が左右されることのないように、私はずっと福祉の問題なんかやりながら、いじめの問題、そういう一人っ子の問題等考えて、教育の面においてもそういう全体的な配慮をしないと、一つだけ切って縦割りでどんどん切っていきますと、日本の政策は全体で誤るのではないか、こういう点であります。したがって、私の質問は、教科書無償と学校給食等の問題で、内容において給食の問題等あるにいたしましても、この問題は場当たりの財政対策で考えるべきではないというふうに考えますが、いかがですか。見解を聞かせてもらいたい。
#59
○海部国務大臣 いろいろ先生のお考えを承りまして、特に最後に御指摘の教科書無償の問題、学校給食の問題は、主として児童福祉の一環のお立場からいろいろ御意見を先生からいただいたわけでありますが、文部省といたしましては特に教科書問題につきましては、これはお触れになっておりますように、憲法二十六条に義務教育は無償とするという大きな精神が掲げられておるわけでありますから、我々の先輩議員の皆さんがその精神に近づこうというので、法律でもって教科書無償の制度を始められたわけであります。このことは、次世代を背負ってくれる児童生徒に対する国全体の、言葉をかえれば大人全体の思いやりと期待も込められた制度でもありますし、先生御指摘のような角度からの成果も上げておるわけでありますから、文部省といたしましてはこの制度は堅持してまいりたい、こう考えております。
 また、学校給食の問題も、児童生徒が栄養のバランスをきちっと身につけること、あるいは先生と一緒になって同じものを食べるということ、あるいはまた工夫を凝らした学校では、このごろ御指摘の家庭において兄弟の数が少なくなってきて、いろいろ人のために役に立つとか、職務を分担するとか、人のために働くというチャンスがだんだんなくなってきているということ等にかんがみて、給食のときだけ学校に兄弟をつくって、運搬やら配分やらあるいは後掃除やら、いろいろ小さい仕事でも係を分担させることによって、教育効果等も上がっておるという報告もたくさん聞いておりますし、学校教育の一環としてこの学校給食というものも、内容のいろいろ細かいことは改善はしながら制度としては維持していきたい、こう考えておるところでございます。御理解をいただきたいと思います。
#60
○大原分科員 これは三の項目ですが、広島市を中心としましてアジア・オリンピックが――おたくの方の名古屋の方は失敗いたしましたが、広島の方は中国の次にやるということで話がつきまして、それぞれ地元の県、市が協力いたしまして、閣議了解の線が進んでおります。それで、体育局も文部省も非常に御努力をいただいておる。これは超党派でやっております。広島に、アジア・オリンピックだけでなしにオリンピックを開くということは、ギリシャの歴史をひもとくまでもなく、ソビエトでやれ、アメリカでやれともめるのならギリシャでやれという説もあるのですが、広島でやってもいいと私は思うのですね。そういうことですから、アジア・オリンピックについてはひとつ文部大臣としても、あるいは国務大臣としても積極的な熱意を持って、閣議了解の段階にいよいよ来ておると思いますので積極的に推進をしていただきまして、そしていろいろな財政上の制約もあるのですが、しかしできるだけ可能な、やはり立派な行事ができるように、僕はアジア・オリンピックだけでなしに、次のオリンピックも広島でやってもいいというぐらいに提起されでもよろしい、こういうふうに思っておるわけですが、ひとつアジア・オリンピックについて担当大臣として御努力をいただきたい。
#61
○海部国務大臣 アジア・オリンピックは、ぜひ成功させていただきたいという基本的な考え方を持っております。明るい話題でありますし、国民のスポーツに関する関心も高まりますし、これを通じて国際交流、相互理解というような面も進んでいくものと思います。具体的なことにつきましては、近く閣議の了解もお願いする手順になっておると思っております。文部省といたしましては、これはできるだけの御協力をしていきたい、前向きに積極的に考えております。
#62
○大原分科員 ありがとうございました。
#63
○大西主査 これにて大原亨君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉田之久君。
#64
○吉田分科員 この間、文部大臣に総括質問で、大学入試の問題をめぐりまして若干の御質問をさしていただいたわけでありますが、重ねてこの問題について質問いたします。
 過去八年間にわたりまして実施されてまいりました共通一次試験のもたらした弊害、それは受験産業の肥大化、そして自己採点方式による輪切り、偏差値による大学の序列化が一層強化されたということに尽きると断言できます。しかるに、文部大臣は、中曽根総理と対立してまでこの制度を私立大学にまで拡大したいとのお考えをお持ちのように伺っております。ならば、私が今申しましたようなこの弊害を今後どう克服しようとなさるのか、具体的な対策をきょうはお示しいただきたいと思います。
#65
○海部国務大臣 御指摘をいただきましたように、私どもがいわゆる大学の共通一次試験の制度をスタートしますときに考えていなかったような弊害が現実に出てまいりました。偏差値、輪切り教育とこうおっしゃいましたけれども、まさにそのような状況が一番いけないことだ、こう思いまして、そしてこれを何とか改革をしたいということは、前々から思っておったところでございます。なお、臨時教育審議会も第一次答申で、大学入学者選抜制度についての指摘をされまして、文部省としては、昨年の七月にその答申の指摘を受けて改革協議会をつくって、いろいろ起こっております問題を解消するために、今鋭意御努力願っており、七月にその報告が出ることになっておりますから、余り予断と憶測をもってここで物を申し上げるのも慎まなければならぬと思います。
 しかし、全体として流れの中ではっきり言えますことは、私は強く期待していますことは、今まさに御指摘になった偏差値、輪切りの状況を払拭したい、なくしたい。それで、今協議会に参加していらっしゃる座長や委員の皆さん方にもいろいろなところで、パーティーなんかでお目にかかるといろいろお話もしますし、意向も申し上げる、先方の意向も聞いております。そうすると、この点については皆さんの御意見が一致しますので、私は、何らかの方法でこの偏差値、輪切りによる弊害がなくなるように、これはまずどんなことがあってもしたい、こう思っております。
 しかも、今御議論の内客を漏れ承ったところを私が整理してみますと、各大学がこれを活用するときには各大学側の自由な判断、自由な裁量があって、五教科全部おやりになるのか、あるいは二教科だけに促されるのか、あるいは学部によってその扱いが違っておってもいいわけでありますし、そういったようなことで基礎資料としてそれを提出し、さらに本試験の場合に専門分野にどこまでこの人は適性があり、どこまで能力があり、どこまで向くのか、どういう方に導いたらいいのかというようなこと等をいろいろな角度から判断できるようにする。そういう試験の内容に変わっていくことが望ましいということになっておりますし、総理大臣ともその後この間いろいろお話し合いをいたしましたが、結局違っておるのじゃなくて、総理大臣は自分の高い理想的な意見から述べられて、今のままの共通一次試験の弊害を持った偏差値、輪切り教育の状況のままの試験制度の中へ、私学をまた新たに今のままで組み込んでしまうとか、あるいは偏差値、輪切りが表へ出るようなものを強制するというのは好ましくない、自分としてはそれはいいことだとは思わない、こうおっしゃったが、そういったようなことが外に出ないならば、十分改革されていくならば、それは私学の自由な判断によって参加されることまで否定するものではないというお気持ちも承っておりますので、私は、そういった今起こっておる弊害が何とかなくなっていくように。改善をしたい。
 さらに、入試センターでいろいろ御努力願ってきょうまで試験が続いてきたのですが、あのマークシート方式というやり方も、出題の内容によってよく考え、そして人間性を全く無視したマル・ペケ式の反射神経だけで答えるのではなく、よく考えて五つの答えの中にマークをつけていく、それが二問、三問と続いていくことによって、いろいろ想像力とか思考力とか人間性のある判断ができるものです。こういう努力もあわせてやっていくことによって、今の入学試験の制度の弊害をなくしていきたい。こういうようなことを基本的なベースとしながら、協議会の方で御努力願っておると思いますので、我々は希望を常にお伝えしながら、先日の予算委員会のやりとり等もあの協議会の会長、皆さんにお伝えしながら、御審議の結果を見守って七月の報告をいただきたい、私はこう思っておるところでございます。
#66
○吉田分科員 ここに、一月二十六日付の朝日新聞あるいは二十七日付の読売新聞の記事がございますけれども、これによりますと、来年から受験機会の複数化を実施しよう、それに伴って自己採点方式をこの際やめさしていこう、受験産業の介入を防ぐために二次試験の出願日、これは今二月八日あたりからやっておりますけれども、来年はそれを前に持ってきて、一月十二日から十九日ぐらいまでにやろうじゃないか。要するに共通一次の前に、先に受験校を決めさせよう、こういう動きがあると聞いておりますけれども、事実ですか。
#67
○海部国務大臣 受験機会の複数化の問題につきましては、国立大学の入試に御関心を持っていただく先生で集まっていただいている検討会議がございまして、そこでもこれは共通一次試験の今の制度の中でもまだ来年、再来年と続くわけですから、少しでも改善できるところは改善しようということで、受験機会の複数化ということを本試験の方でいろいろと考えておっていただくことは報道されたとおりであり、先生御指摘のとおりでありますが、細部にわたった細かい詰めになりますと、まだ私どもも具体的に決まったとは聞いておりませんので、そのような御努力が続いておる、恐らく来年度からそれが実施されるだろうという期待を持って見守っているという現状でございます。
#68
○吉田分科員 受験機会の複数化は、この前も私が申し上げましたとおり、大変これはいい傾向だと思うわけなのです。それに伴って、いろいろ受験産業の支配からどう脱していくかということで、見識ある人たちがいろいろな検討をなさっていることも、私は結構だと思います。しかし、こういう情報が流れてくるということは、現にそういう前倒しの受験を選ばせる手続、これが実施されることになる可能性は大いにあると思うのです。そうなりますと、ここにも書いてありますとおり、今度は業者は、プレ一次と称する共通一次の前の大規模な模擬試験を全国的に展開しようという動きが現にあるわけです。こういうことになりますと、受験産業の行う模擬試験は一層権威を高めてまいります。それは、各家庭にかかる教育費用を一層がさませることにもなりますし、受験生にかかる重圧はさらに激しくなると思うのです。この点について、大臣はどうお考えでしょうか。
#69
○海部国務大臣 専門家から答えさせます。
#70
○大崎政府委員 受験機会の複数化につきましては、ただいま大臣の御答弁にもございましたように、国立大学協会におきまして現在真剣な検討が継続中でございます。
 それで、その検討の過程で先生今御指摘の、例えば複数化した場合の受け方あるいはいわゆる志望変更の可能性を認めるか認めないかというような問題も、重要な問題として検討されておるというふうに聞いておりますけれども、なお検討を継続中でもございますし、明確な方向を出すという段階ではないというふうに承っておりますので、ちょっとコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
#71
○吉田分科員 私が今問題にしているのは、大学受験の複数化、それはいいことでありまして、特に異論を唱えるものではありません。しかし、そういうことをするために、問題の共通一次、それを受験産業が全部成績を集める、そして輪切りにして、偏差値であなたはどの学校なら入れるだろうとか全然だめだとか、この判定をやる。それがもう決定的な受験校選択の要因になっているという事実は、現状認めざるを得ないと思うのですね。これをどうなくそうかとする試み、その中で、したがって共通一次の前に、先に受験手続を踏ませようではないか、これは一つの知恵だと思うのですね。しかし世の中、いたちごっこのようなものでありまして、それならば共通一次の前に受験産業がいわゆるプレ一次を全国一斉に模擬試験をやって、そしてそれでみずから情報を集めて決めていこう、こういうことになるようでございます。
 もしもそうだとするならば、これはもうまさに大学受験の制空権は完全に受験産業に奪われてしまうということになってくると思うのです。これは絶対にやらせてはいけないと思うのです。しかし、自由な社会でありますから、業者は業者で考えるいろいろな能力とそして自由を持っておるわけでありますが、これをどう指導していくか、これは挙げて文部大臣のお仕事だと思うのです。
 そこで、私は一つの提案といたしまして、この際全国の高校長会の幹部を、なるべく多く集められるにこしたことはないと思いますけれども、三十人ないし五十人程度、これは全国高校長会議というのがございますから、そこらとよく協議されて、大臣みずからがその代表を北海道から九州、沖縄まで集める。そしてあなた自身から、高校の先生だって受験産業に支配されて、一括して生徒の点数を送ることを好きでやっているとは思いませんので、他の学校がやるからやむを得ずやっているだけでありますから、これはもう一斉にやめろという指導をなされば、これはかなり大きな影響力を与えると思うのでございますが、いかがでございますか。
#72
○海部国務大臣 御指摘のように、今の入学試験の最も悪い弊害が偏差値による輪切りという言葉に象徴されるような今の制度、仕組みで、私は、そういったことを受験産業に頼っておるという風潮自体が大変残念でたまらぬわけであります。できればこれをやめさせるにはどうしたらいいのか。自由な社会で、自由にテストして、自由に利用する人がおるのだと言われればそれっきりかもしれませんけれども、しかし、それが過熱状態になってよくない影響をあらわすことはいけませんから……。
 話はちょっと先に飛びますけれども、今度考えております新しいテストなんかも、外へは点数を全部発表しないとか、大学が利用するのも一部にするとか、必要な素点だけを大学に通知するとか、いろいろな方法で輪切り、序列に使われないようにしようという努力を鋭意考えておるところでありますが、当面今先生御指摘の共通一次が続くまでの、その事前におやりになるのを、そこに頼らないで高校自身で、厳しいことかもしれないけれども、受験生のためにもみずからの責任で、自覚で進路指導をしてもらいたい。今でも業者テストに全く頼らないで、既に進路指導しておってくださる都道府県があることは先生も御承知のとおりでございますし、また、校長先生たちみずからが集まって何らかのテストを我が県ではやろうじゃないか、そして学校での進路指導とあわせて考えようじゃないかとか、いろいろないい試みも行われておると私どもは聞いておりますので、そういったことの趣旨がさらに徹底させられるように、今の御提案の趣旨等も踏まえて一遍よく考えさせていただいて努力をいたします。
#73
○吉田分科員 ぜひひとつ、大臣の強力な御指導をお願い申し上げたいと思うのです。
 ちなみにこの記事なんかによりますと、そういう制度の変更がされるならば我々はプレ一次をやろう。旺文社の責任者は、「自己採点がなくなれば進路指導ができなくなる。十一、十二月に行う模擬試験の結果を自己採点と同じものと見たててやるしかない。模試はこれまでは学力判定のものだったが、来年から合否判定の模試へと性格が変わるわけだ」こう言っておりますね。福武書店の代表は、「年末はどの日に模試をやっても他社とぶつかる。受験者をどれだけ集められるかが勝負」だ。代々木ゼミの場合には、「予備校系の模試は十二月になる。文字通り共通一次プレテストになるわけだ。うちは二次の出願期日が決まってからスケジュールを決定するが、河合塾がやる日にぶつけたい」。河合塾は河合塾で、「マークシート方式の模擬テストを十二月十四日、記述式を十二月二十一日に行い、この二つのデータをもとに進路判定をする」。一方、高等学校の先生の一部は、もはやお手上げだ。「高校側は力量不足でデータが少ない。かといって大規模な模試を独自に実施するのは不可能だ。データ集めはそれぞれの高校が予備校と連携してやらざるを得ないだろう」。現状を肯定し、半ばあきらめぎみでありますが、これでは学校の権威は地に落ちてくるばかりだ。教育問題そのものの権威が失われる。それが今日の青少年問題にも大きくかかわってくると思うのですね。
 文部大臣が今一番真剣になさるべきは、これも一つの提案でありますけれども、こういう五大集計業者の代表をお集めになりまして、彼らも苦し紛れに競争しているわけでございますから、そんな過当な競争はやめろ、受験生個人を対象としてはがきなどで点数を集める、一人の受験生に四社ぐらいからはがきが行くようでございますね、こんなばかなことはやめろ、お互いに大臣の意を受けて自粛すれば、それなりに過熱は少しでもおさまると思うのですが、そういう御努力をなさいませんか。
#74
○海部国務大臣 このことに関しましては、いろいろな角度からの努力をしなければなりませんが、何よりも第一には、高校自身がみずからの責任と自覚で進路指導をするということ、それからもう一つは、入学試験のあり方の中で、例えば推薦の制度の枠をつくるとか、あるいは面接あるいはその前の段階で、いろいろボランティア活動に精を出したとか学校で部活動に精を出したとか、いろいろな問題があろうと思います。そういったものの幅をどうやって広げていくのか。受験産業のそういった機械的な振り分けで、いい子、悪い子、普通の子と分けられるのに従わなければ仕方がないというような、そんなだらしない進路指導であってもらっては困るわけであるし、いけないわけでありますから、私もいろいろな御提言を受けて、何とか受験生の立場に立った人間的な入学試験制度に向いていくことができますように、一生懸命努力をさせていただきます。
#75
○吉田分科員 大変前向きな、決意を込めた御答弁をいただきまして私も満足でございますけれども、要するに受験産業のもたらしてきた、それは日本の教育界に与えるプラスの面もあるにはあったと思いますが、今やむしろマイナス面の方が非常に大きくなっておる。これを是正しない限り、我が国の教育の確立はないと思うわけでございます。したがって、この大学受験の複数化をどうするか、あるいは入試出願の期日を変更するのかしないのか、この辺も早くお決めになりまして、これもその結果を早く受験生に知らせてやらないとまたまた混乱も生ずると思いますので、あわせてその辺のところもよろしくお願いいたしておきます。
 次に、大阪教育大学、これは本部が天王寺にあるわけでございますが、現在天王寺分校と池田分校と東住吉区平野分校の三つに分かれております。
 ところで、新校舎が関屋にできるはずだと聞いておりますし、父兄の間でもそういう考え方は既に流布されております。しかし、何か校内事情があってそれが決定できないようにも承っております。一体どういう事情があるのか、こういう分校がいっぱいあるような大学というものが健全なものだとお考えになりますかどうか、お答えいただきたい。
#76
○大崎政府委員 大阪教育大学につきましては、天王寺分校、池田分校、平野分校と各箇所に分散をして運営、教育がなされておるという状況があるわけでございますが、基本的には一カ所に統合することが好ましいということで、文部省としてもそういう考え方を持ち、また大阪教育大学自体も、昭和四十七年に柏原市旭ケ丘というところに移転統合するということで、大学としての意思を決定いたしたわけでございます。ただ、甚だ遺憾なことに、その後大学内に、移転統合についての条件その他の問題をめぐりまして異論が生じまして、さきの決定をいわば白紙に戻すというような状況になったわけでございます。
 私どもといたしましては、既に土地の購入も行った時点で大学側が決定を翻すということにつきましては、甚だ遺憾な事態でもございますので、大学関係者には強くこの点についての反省も促して今日までまいっておるわけでもございますし、また検査院の御指摘も受けまして、次官からも文書で御注意も申し上げたという経緯がこれまであるわけでございます。
 最近の動きといたしましては、昨年夏に大学においていろいろその後の議論が重ねられた結果、移転統合ということで学内の意思が統一をしたというようなことのお申し出もございました。ただ、私どもといたしましては、そういう経緯のある話でもございますので、十分学内での意思、それからさらに今後の計画ということにつきまして、納得のいく学内調整ということをぜひやってもらいたいということを強く要請をいたしておるところでございまして、その結果大学がさらに検討を進めているようでございますが、その検討の結果を待ちましてさらに対応をいたしてまいろうかという段階にあるわけでございます。
#77
○吉田分科員 権威ある大学が一たん決めたそういう統合計画を急速変更する、何がそうさせたのか、ちょっと私どもも首をかしげたくなるわけでありますが、文部省といたしましてはより適切な指導を丹念にやられまして、早急に予定どおりの実現に向かいますよう努力されたいと思うわけでございます。
 次に、藤ノ木古墳について御質問いたします。
 これは御承知のとおり、奈良県法隆寺の傍らで、大蔵省が所有し近畿財務局奈良財務部が管理いたしております古墳、これが最近の調査によりまして驚嘆すべき古い石棺がそのまま出てきたということ、これは我々にとりましては大変うれしいことではあります。さて、こういうものが出てまいりました。町としては六百万円の単独の予算を計上して、いろいろときょうまでこれの面倒を見てきておるわけでございますが、まだ遺跡指定を受けていない現状で補助金や交付金等は全く出されておりません。それの申請もできない現状にあります。石棺の開封がいずれより完全な形でなされなければならないという状況にありますけれども、その出土品等をどう収蔵していくのか、あるいは保管措置をどうすればいいのかという問題で頭を悩ましております。また、宅造区域内にあるために、今後の保存方法につきましてもいろいろと具体的な検討が必要であると思います。大体奈良県では、突然こういうものが出てまいりまして、県、市町村は大変驚きながら、かつ当惑しておる、何よりも財政措置で困っておる、こういう現状であります。藤ノ木古墳について文部省はどうお考えでございますか。
#78
○加戸政府委員 先生御質問ございました藤ノ木古墳につきましては、昨年斑鳩町の方におきまして、約昨年の七月から十二月にかけての調査の中で、御指摘のような巨大な石室の中で華麗な朱塗りの石棺あるいは豪華な馬具等が発見されまして、新聞等でも古代のロマンというような表現で大きく取り上げられたところでございます。
 町自体の調査によりまして、今先生おっしゃいましたように、一応石棺は閉じたままの状態で石室を封じておりますので、緊急を要するものではございませんが、御指摘の費用の問題あるいはその取り扱いの問題等につきまして、現在古墳の周辺あるいは環境等の状況を斑鳩町の方におきまして調査をされるということでございますし、古墳の取り扱いにつきましては、その調査結果等を待ちまして、地元の意見も十分よく聞いた上で検討してまいりたいと考えている段階でございます。
 なお、出土されました馬具等の問題でございまして、現在橿原考古学研究所の方においてその分類整理等が行われておりますが、この保存、修理の問題になり得るわけでございますけれども、建前といたしまして、この出土品の所有者がだれであるのかを確定いたしますのに若干の時日を要しますので、それが明確になりました段階での対応ということで、当然文化庁としても重大な関心を持っている段階でございます。
#79
○吉田分科員 最後に、私の住んでおります奈良県の田原本町、ここには唐古、鍵という大字がありまして、実はこの辺が狩猟民族から農耕民族に日本が変わっていったその最初の、いわゆる弥生時代の始まりではないか、それを証明するたくさんの出土品や遺構が出てきておるわけでございます。町はこれを保存し、そして大事に後世に伝えたい、いろいろ考えておるわけでございますけれども、詳しく事情を申し上げる時間がありませんけれども、この件につきましても、文部省や文化庁としてはどのようにお考えてありますか。
#80
○加戸政府委員 唐古遺跡は、我が国の弥生時代を代表しますすぐれた土器や木製品が大量に出土したところでございまして、田原本町の方におきましても昭和五十二年から今日までの間、約七千万円の経費をかけまして発掘調査等を実施しているわけでございまして、それに対しまして文化庁としても補助金を出しまして対応いたしておる段階でございます。
 なお、唐古遺跡自体が約十五ヘクタールに上ります広大な地域でもございますので、なお調査に数年を要するものと考えておりますが、これも同様に調査の結果を待ちまして適切な対応を考えたいと思っております。
#81
○吉田分科員 大臣にお願いがありますが、今お聞きのとおり、突然大変古いものが出てくる、あるいはぜひ民族の将来のためにもこれは保存しなければならない、こういう問題がいっぱいある奈良県でございます。しかし、そのためには大変な経費がかかるわけでございます。地方財政が大変窮屈な今日の状況の中にありまして、文部省として、文部大臣として格段の国を挙げての協力、尽力を積極的に展開していただきませんと、これは困るのでございますが、その辺の御決意をお願い申し上げます。
#82
○海部国務大臣 我が国の先人の文化や歴史を知るためにもこういったものは大切に整備、保存することが必要だと私は基本的に考えておりますが、御指摘の問題については、今発掘調査が進んでおるようでございますから、自治体の御意見等も十分聞きながら対処してまいりたいと思っております。
#83
○吉田分科員 ありがとうございました。
#84
○大西主査 これにて吉田之久君の質疑は終了いたしました。
 次に、上西和郎君。
#85
○上西分科員 私は、まず最初に基本的な文部省の考え方をお尋ねしたいのであります。それは何についてか、障害児の就学問題であります。
 肢体不自由、内科疾患、知恵おくれ、こうした児童生徒が小学校、中学校に就学をする、このときにどういう基準で文部省は就学させようとしているか、その指針を明確にしていただきたいと思います。
    〔主査退席、石原(健)主査代理着席〕
#86
○高石政府委員 お答え申し上げます。
 児童生徒の障害の種類と程度に応じまして特別な配慮をして教育をしていくということが非常に重要である、そういう観点で全党一致で養護学校の義務化が行われてきたわけでございます。したがいまして、障害の種類の程度で、軽いものは小中の特殊学級で教育をしていく。それから障害の種類と程度に応じて盲聾、養護学校で教育をして教育の成果を上げていくという考え方を基本に置いて、今日まで進めてまいったわけでございます。
#87
○上西分科員 問題は、その特殊学級の配置といいますか、そこに行く子供たち、それから今おっしゃった養護学校に行く子供たち、これに何か、例えば療育手帳のランクでAだBだといろいろありますが、そうしたところで何かあるのじゃありませんか。そこはどうなっていますか。
#88
○高石政府委員 その障害の種類と程度を客観的に一つの政令の基準に従って認定をしていくということが必要でございます。したがいまして、市町村の教育委員会では就学指導委員会というものをつくりまして、その就学指導委員会の中には、専門の医者であるとか教育者であるとか一般の関係者、そういう方を含めて構成しているわけでございます。したがいまして、その基準に従った認定に応じて、盲者であれば盲学校へというような基準をもって運用しているわけでございます。
#89
○上西分科員 僕はずばり聞いているでしょう、療育手帳のランクではどうなんですかと。これは養護学校だ、これは特殊学級だとあなた方はやっているじゃありませんか。明確に出してくださいよ。
#90
○高石政府委員 就学の時期に到来した子供について健康診断をやるわけです。したがって、その健康診断に基づいてそういう認定をするということで、あらかじめ既に通知みたいなものを持っているわけではなくして、その健康診断に基づいた判定をするということになるわけでございます。
#91
○上西分科員 なぜ答えないのですか。あなた方が養護学校へやる、養護学校へやるのは、あなた方がよく言う知能指数でここからこうだとあるはずじゃないですか。なぜそのことを明確にあなた、答えないのですか。おかしいじゃないですか。健康診断だけじゃないでしょう。知能指数測定をやっているじゃありませんか。療育手帳を発行しているでしょう。A1、A2、B1、B2、これは一体どうなるのですか。そんなとぼけた返事は困る。
#92
○高石政府委員 障害、例えば精神薄弱児の知能指数の問題については、一定の基準を設けて判定をしているわけでございます。
#93
○上西分科員 だから、どれで養護学校、どれで仲よし学級なんですかと、僕は聞いている。それをなぜ答えられないのですか。文部省は全く空白でやっているのですか。養護学校の入学基準はどうなっているのだ。なぜ答えないのですか。
#94
○高石政府委員 それは教育措置として、例えば「施行令の表精神薄弱者の項において「精神発育の遅滞の程度が中度以上のもの」とは、重度の精神薄弱及び中度の精神薄弱を指し、重度の精神薄弱とは、ほとんど言語を解きず、自他の意思の交換及び環境への適応が著しく困難であって、日常生活において常時介護を必要とする程度のもの」というような形の政令における基準があるわけでございます。それに当てはめて評価をしているということでございます。
#95
○上西分科員 重ねて聞きますが、海部さんのように新進気鋭の実力者大臣がいる下で、もうちょっと明確に答えてくださいよ。今あなたはそう言っているけれども、では、A1、A2はどこにあるのですか、B1というのは全然参考にしないのですか。療育手帳は全く無関係ですか。なぜそれが答えられないのですか。
#96
○高石政府委員 福祉の対応のときにそういうようなものがあろうと思いますが、私の方では今申し上げました政令の基準であくまで客観的な内容を決めておりまして、それに合致するかどうかということを健康診断の際に評価をするわけでございます。
#97
○上西分科員 では、念を押しますよ。知能の測定は全く無関係だ、こう考えていいわけですね。それはいいですか。健康診断だけだ、知能指数は全く無関係だ、知恵おくれの程度は関係ないと。養護学校を義務制化したとき、そこら辺はどうしたのです。
#98
○高石政府委員 もちろん、心身の障害ということでございますから、健康的な面の障害と知能指数の面の障害とあるわけでございます。その障害の物差しになる基準を政令等で定めているということでございます。
#99
○上西分科員 では、大臣、あなたにお尋ねしましょう。今お答えのようなことなんですよ。ところが、現実に、全国津々浦々で養護学校が幾ら義務制になったといっても足りないのですよ、地域的に見ると。遠距離だ、例えば小学校は何とかあるけれども、中学校まで行けるが、高等部になると県に本当に数えるだけしかない。そういう現実の中で、親御さんたちにとってみれば、そういったハンディのある子ほどかわいいものですよ、だから身近に置きたい、同じ兄弟、仲間、近くの人が通っている地元の近くの小学校、中学校にやりたい、こういう運動が随分起きているし、痛いほどそのお父さんやお母さんの気持ちはわかるのですが、そうしたことについて、今の政令によって画一的に、これは養護、これは特殊学級、こういうふうに明確な指導基準があるのかどうか、大臣、あなたから明確にきちっとお答えいただきたいと思うのです。
#100
○海部国務大臣 心身に障害を持っていらっしゃる児童生徒に、一番ふさわしい教育を提供するにはどうしたらいいかという角度でこの制度はできておると私は理解しておりますし、それから、具体的にそのお子さんがどこへ行かれたらいいのだろうかということを判定するのが、今まさに御議論になっておった就学指導委員会、そしてまた、私の理解では、その養護学校も実はこの前、大臣のときに視察に参りましたけれども、加配教員が加わって至れり尽くせりの教育をしても、やはりいろいろな障害を持っていらっしゃる人にはできるだけきめの細かいことをしなきゃならぬ。通学の送り迎えのことも、見ておりましたら、距離が遠いから特殊なバスができておって、バスで送り迎えをするときに私もその現場に立ち会ってきましたけれども、それでもなおかつ来れない人のためには、今度はその学校から先生が児童生徒のところまで出向いて、歩き回って教育をしていらっしゃる。だから、私は実は養護学校あるいは一般学校の特殊学級にそれぞれどの程度の方が入っていくかということは、就学指導委員会に専門的な立場の方に入ってもらう。入ってもらった以上はなるべくきめの細かい行き届いた教育を――その人の立場に立って随分一生懸命現場の先生方なんかもやっておってくださるなと思いながら帰ってきたことを今御質問を聞きながら思い起こしておったのでありますけれども、これからも十分本人の立場に立って、どのような条件でどういう教育をしたら一番ふさわしいのかという原点に立っていろいろ研究もさせていただきたい、こう思います。
#101
○上西分科員 私は旧制中学校のころの自分の人生の原体験から、ハンディのある方々、苦しんでいる方、悩んでいる方のことについては、微力ですが東奔西走してきた三十有余年の体験を持っている男であります。現在党内でも市民相談活動の責任者として動いておりますから、ハンディのあるお子さん方を随分数多く見てきています。御家庭、御両親の方々ともひざ突き合わせて随分話しました。中には、私が最初行ったときなんかに、何でうちの子のためにおまえなんか来るのかと門前払いを食う、押しかけていってゆっくり話す、何回か繰り返す中で、半年ぐらいたったら、あなたのような人がおらぬとうちの子供なんか救われっこないという、そういった信頼関係を随分築いてきたものです。そうしたときに、共通してお父さん、お母さんから言われたのは、うちの子はハンディがある、どうせ年の順でいくとおれたちが先にいなくなる、その後残された子供がどうせこの地域で生きていかなくちゃならない、そのときに、あの子はハンディがある、しかしおれたちと一緒の学校に学んだんだ、仲間なんだという意識を持つ子供たち、それが結局成人になっていくわけでありますが、そうした人が一人でも多い方がいい、だから地元の小学校に、近くの中学校へと切なる訴えがあるのであります。
 ところが、今いろいろおっしゃいました、政令だ政令だとおっしゃった。私は国家公務員の皆さん方が日本のために、国民のために精励、努力されていることは百も承知でお尋ねしているのです。ところが、結果としては、いや、おたくのお子さんは絶対養護です、こういうふうにばあんと画一的にやられている例が至るところで頻発をしているのです。そして、その悩み、苦しみ、訴えというのが僕たちのところへ寄せられている。代表的な手紙を後からもちょっと御披露しますけれども、私のところへきのうも届きました。そんなのを見ますと思わず涙がぼろぼろこぼれるのですよ。こんなに悩んでいるお父さんやお母さんの苦しみがなぜ地教委にわかってもらえないのか、こう言いたいのです。
 海部大臣、あなたは僕とたまたま同年、片や二十五年永年勤続、政界に隠然たる力を持つニューリーダーの一角、こちら五回目初当選、一年生でありますから雲泥の差がありますけれども、そうした昭和一けたのお生まれである海部さん、あなたは一番そうした思いやり、温かいいたわりに満ちたお人柄だと常々感服をいたしております。どうかそうした大臣がおられるときに、今とかく末端で行われている画一的に輪切りをするようなやり方というのを改めて、お父さん、お母さんの気持ち、御本人のそうしたいろいろな家庭環境等を見て、幅のある運用、弾力的な運営等ができないのかという切なる訴えがあるのでありますが、その点についてはいかがですか。
#102
○海部国務大臣 先ほども申し上げましたように、やはりその児童生徒のためにどう教育をしてあげることが一番適切なのかということに立って考えなければなりませんし、私が養護学校を視察させていただいた経験からいっても、特殊学級というものを見せていただいた経験からいっても、それぞれのところで、ケース・バイ・ケースと言うと言葉が不的確かもしれませんけれども、やはりその人その人に合うにはどうしたらいいか。ですから、その辺のところを言うなれば親切に、その人はどうしたら一番いいかということを、これは教育委員会あるいは保護者の皆さん、受け入れる側の学校の校長先生、そういったような方々もしゃくし定規的に考えないで、どうしたらいいかということをよくお話し合いいただくことを私の気持ちとしてはぜひお願いをしたいことでございます。
#103
○上西分科員 大臣の一声は極めて重うございます。ただいまの御発言を文部省の指針として受けとめて、そのことを私は私なりに広めていきたい。海部大臣はこうおっしゃった、さすがはと、こういうふうにやりたいと思います。
 私がなぜこういうことを言うかといいますと、主任手当なんか要らない、その金があるなら校舎をよくしてくれ、四十人学級やってくれなんという声があるにもかかわらず、文部省は歳として渡せ、こうやる極めてお強いお役所のものですから、だから何か画一的に、これは養護、これは特殊学級、こういうようなものがあるのじゃないかと懸念を持っていたのです。しかし、今の大臣のお答えをずっとお聞きしましてほっと安堵をいたしました。
 なお、念のために申し上げますが、私は養護学校を否定しているのでも何でもないのです。養護学校のあり方、発揮している効果というものをよく知っております。私も今市し上げたようにたくさんの子供さんを見ていますから、養護学校からいろんな福祉法人、随分回っておりますので、それなりの効果が上がっているのは百も承知ですが、今おっしゃったように、個々のケース、ケースでは、必ずしも養護にやることだけがベストではない、こういうことについて今の大臣のお答えを本当にありがたくしっかと受けとめておきます。
 さて、そこで問題になるのは、では高校はどうなるか、このことであります。二月二十二日、毎日新聞の九州版で、「口述受験0Kだ」ということで大変な朗報がもたらされた。そうしましたら、私のところにはこの記事を見た、これはNHKのテレビでも放送され、それを見た御父兄、お父さん、お母さんあたりから子供さんを含めて、あの子供さんよりか僕の方が軽いよね、なぜ僕が受けられないのかということが来て、これは群馬県から、言うならば日本で一番偉い人の出ておられるところから、私の子供の方がずっと軽いのに、うちの学校では中学校長が頑として願書提出をはねつけている、こういう実例が、手紙がちゃんと私のところに来ているわけです。この手紙を読んだら、それは海部さん、あなたはまさにナイヤガラの瀑布のような大粒の涙を流されると思う。大変な訴えですよ。涙なくしては読めないのです。片一方、福岡ではそれがぱっと通っている。それもざっくばらんに言って最初からすんなりいったのではないのです。いろいろな運動があり、いろいろな要請が重ねられた結果、福岡県は英断をして高校受験を認めているわけです。ところが、それよりか軽い子供さんがテレビを見ておって、あの子よりか僕の方が軽いのに、お母さん、なぜ僕は受けられないのと訴えられたら、お父さん、お母さんは何と言えますか。こういうことが今まかり通っている。少なくとも高等学校を受験しようとするこうしたハンディのあるお子さん方にもっと今おっしゃったような気持ちでの対応策をとれないのか。このことについて、余り大臣大臣と言うのもなんですから、せっかくおいでですから、文部省の高官、お答えいただきたいと思うのです。
#104
○高石政府委員 心身の障害を有する子供たちが普通の高等学校に入学することについては、それぞれの学校の教育の履修が可能であるということであれば、障害を持っているからといって受験をさせないとか入学を許可しないということはしないという方針でいるわけでございます。ただ、それぞれの学校がそういう受け入れ態勢で十分高等学校の教育を施して成果を上げ得るという確信がないと、ただそれを受け入れただけでは非常に困ってしまうし、そういうことであれば養護学校の高等部で一生懸命勉強してもらった方がいいというようなこともありますので、そういう個別の判断はそれぞれの学校においてしてもらいたい。だから、単純に障害があるから高校受験ができないとか受け入れないというような方針をとっていないのでございます。
#105
○上西分科員 では、今のお答えでいきますと、それぞれの児童生徒、中学校ですから生徒になりますけれども、その生徒の個々の条件その他を慎重に検討した上で判断をすべきことであって、ハンディがあるから、例えば言語不明確だから高校受験認めないとか、そういう画一的なお役所ではありませんよ、文部省は血も涙も情けもあるお役所だ、こう理解していいわけですね。福岡県のやり方が間違っておるとか、学校名は言いませんけれども、群馬県のこの中学校のやり方は正しいのだとかということはなくて、これは文部省の指導ではない、その学校独自の判断だ、地教委の判断だ、こう考えてよろしいのですか。
#106
○高石政府委員 高等学校への入学につきましては、それぞれの高等学校が判断して措置すべき問題でございます。
 それから、地教委においての就学指導委員会、それを受けての就学通知、これは先ほど大臣も申し上げましたように、最終的には親と十分話し合いをして、そして親が十分納得し、親の納得も、その子供にどういうような形で教育を与えたらベストかということを考えて対応していけば、おのずから話は一致してくるのではないか、そういうふうに理解しております。
#107
○上西分科員 ちょっと今のお答えにひっかかるのですよ。高等学校が判断すべきとおっしゃったが、中学校が校長以下があなたは受けたってだめなんだからと言って願書提出を拒否しているのですよ。その手紙なんですよ。悩んで、一生懸命やったけれども、とうとうだめだったらテレビで見た。そして今さっき言ったように子供さんが、僕よりかはるかに悪いあの○○君が受けられて、なぜ僕が受けられないのかと訴えられたら、腹を痛めたお母さん何と答えられますか、お父さん何と答えられるのですか。まさに社会不正義じゃないですか。あなたは高等学校と言うけれども、そんなことじゃない。中学校じゃ出さないのですよ。あなたの担当でしょう。あなたはその部門ではトップなんですから。どうなんですか、そこは。高等学校の判断なんですか。事実、違いますよ。
#108
○高石政府委員 具体的に高等学校への入学受験ということになれば、その高等学校がどういう受け入れ態勢を持っているかということがまず基本になるわけです。したがいまして、そういう障害の種類、程度でも高等学校受験を認めるという方針があれば、当然中学校においてそういうものの進学指導をしていくということになろうと思うのです。だから、この問題は中学校側が決定権を持っているとも言えないし、また高等学校側がそういう方針を持っていても、具体的に中学校がそういう進路指導をしないということになればうまくいかないという問題になるわけです。したがいまして、それは県の教育委員会がそういう方針を持っている、それぞれのこういう学校ではこういうことであるということがわかっておれば、それを管内の小中学校の関係者に知らせるというようなことをしていかなければならぬと思います。
#109
○上西分科員 私はここで型通りのお答えをいただこうと思っていないのですよ。事実は現にあるわけでしょう。福岡では受験可能だった。それがはるかに程度の軽い子が群馬県では――一番偉い人が出ているところですよ。重ねて言いますが、外交面でかくかくたる成果を上げて飛ぶ鳥を落とす勢いの人がいるところで、こういうことがあるというのは恥辱じゃありませんか。僕は我が国の汚点だと言いたいですよ。ハンディのある者に温かい思いやりをやる、これは民主政治の根幹だと思う。それなくしては政治の動脈硬化ですよ。冷たいお役所になってしまう。大臣がせっかくあれだけおっしゃったのだから、局長、もうちょっと実のあるお答えをいただけませんか。改めて実態を調べて具体的な対処をしたい、そんなことぐらいもお答えできないのですか。
#110
○高石政府委員 個別の問題、群馬県の具体的な事例がどういうケースであるか承知しておりませんので、その個別の問題についての内容をお知らせいただければ、それを受けて県の教育委員会に照会してみたいと思います。
#111
○上西分科員 私は今、この答えをちょっと挙げましたけれども、全国的には福岡県のような例もあれば、群馬県のような例もある。だから改めて文部省が全国的に障害児のいわゆる高校受験は実情どうなっているかというくらいの調査ぐらいはすぐできるのじゃありませんか。そして、大臣がおっしゃった弾力ある、子供たち本人にとってベストの場を与えていこうという方向で対処するということを、局長、あなたがおっしゃらないと海部文部大臣の威令が行き渡らない文部省となってしまいますよ。
#112
○高石政府委員 障害児に対する高校進学の問題は、それぞれの県でいろいろな対応を考えているところもあるようでございますので、そういう内容を全国的にどういう状況か、把握するように調査してみたいと思います。
#113
○上西分科員 やっと高石さん、あなた本当に前向きのお答えをいただきまして、ありがとうございました。高く評価をしておきます。
 さて、ここで少しく、文部省の所管ではないのですけれども、私のように三十数年地べたをはって、一勝四敗でございますから、随分歩いて回っているので、その中でつくづく思いましたのは、いわゆる療育手帳を交付される、この療育手帳の交付を知らない方々が結構いらっしゃる。療育手帳の交付を受けながら特別児童扶養手当の受給があることを知らない方がいる。療育手帳のA1、A2だったら、重度心身障害者医療費助成措置の登録によって医療費の自己負担分がバックされることも全然知らない方がいる。A1、A2を持っていると、御家族のだれかが運転をする二千tまでの乗用車ないしライトバンは自動車税、物品税を免除される。こうしたことを全然知らない養護学校の先生方がおる。それは文部省の所管じゃないですから、御存じないのは当たり前かもしれませんけれども、これはやはり寂しいことなんです。だから、おれたちのことじゃない、あれは厚生省だとか自治省だとおっしゃらずに、ハンディのある子供さん方に、その保護者であり御家庭の方々に文部省という立場からも、やはりそうしたせっかくある社会保障、福祉のもろもろの制度を広く周知徹底させる、このことは大変重要だと思うのですが、こうしたことについての今の対応策なり御見解、御所見というものを承りたいと思うのです。
#114
○高石政府委員 学校と家庭が連携をとって子供の教育の成果を上げていくということが必要でございます。したがいまして、今御指摘のもろもろのような問題について学校側が父兄に対して、学校側が知り得る、知っている限界内においてしかできないかもしれませんけれども、そういうことを親たちに教育をしていくというか連絡をするということは必要であろうと思います。
#115
○上西分科員 ざっくばらんに言って、文部省はどこかこうしたことについてのいろいろな制度なりをきちっと押さえていつでも対応できるようなポジションがあるのですか。
#116
○高石政府委員 ちょっと他省庁の内容まで全部押さえて、障害児に対してこういう政策がこういうふうになっていますというところまでの能力は持っておりませんが、教育の面で特殊教育課という機関がありますので、そこで専門的にそういう障害児の教育をより円満に進めるためのいろいろな関連する施策というものは押さえていかなければならないと思っております。
#117
○上西分科員 高石さん、正直にお答えいただきましたけれども、僕は本当にそれが寂しいのですよ、現実の問題として、今大臣以下皆さんがお答えになっているが、子供たちに最も適切な教育の場を与えますよ、そのあらわれの一つが養護学校の義務化だ。こういうことを含めていろいろやっている。それはよくわかるのです。ところが、その養護学校に通っている子供さんの、先ほど言いましたようにもう何カ月もかかり、何回も足を運んでやっと話がほどける。そこで、大変差し出がましいですがおたくのお子さんのことを僕が調べたら、知能指数がこうでA1でしょう、A1ならこうこうですよ、そんなのはだれも知らない。これはいわゆる市町村の教育委員会も養護学校もどこも教えてくれてないのです、結果として。だから、それは確かに市町村の役場が、あるいは都道府県の福祉事務所が、極端な場合を言うと厚生省がやることかもしれません。しかし、ハンディがあるお子さんを抱えている家庭では筆舌にあらわしがたい悩みがあるのですね。その悩みを少しでも和らげるものの一つにこういう制度があると僕は思っています。
 お金をもらったから知能指数がよくなるものでもなし。しかし、先ほど大臣もおっしゃいましたが、バスの路線外でもたくさんいる。訪問教育を受けるような子供さんもいるわけだ。そうした家庭に幾ばくかのせっかくの日本政府が打ち立てている制度を知らしめる。そうしてその権利があることを教える。そうして一刻も早い受給をしながら、それが幾ばくかの支えになりながら、そのハンディのあるお子さんを少しでもよりよい教育の場へと、こういう全体的なものをするためには――私は今ばっと早口で申し上げましたが、さらに福祉手当もあるんですよ、この四月一日からちょっと中身変わりますけれども。そうしたもろもろのものをやはり特殊教育課かどこかで大臣のツルの一声で勉強しろ、まとめる、そして都道府県教委から養護学校にすべて一気かせいに通知が流れていく。そういうのは皆さん方お得意なんだから。だからそういうものをぴしっとやって、この新年度からは少なくとも文部省があずかり知っているそうしたハンディのあるお子さん方の中で受給漏れがないように、適用漏れがないようにしていく。それこそ海部文相の大変な成果になっていくのではなかろうか、こう思うのですが、いかがでしよう。
#118
○高石政府委員 そういう問題については、例えば末端の市町村でございますれば、市町村当局がその親たちに対して総合的にPRして連絡するという態勢がとられることが必要だと思うのです。だから、教育の面だけでそれをやることでもう全部間に合うとするならば、そういうようなセクションは要らないということにもなろうと思いますし、また教育でやっている分野だけではそこまで全部を掌握するという能力というか、そういうことがなかなか達成できないという点もございます。したがいまして、基本的にはそれぞれの所管省庁のところでしっかりそういうものが末端に行き届くようにしていくということが必要でございます。学校教育の場では学校教育の持てる範囲内において、今のような対応を積極的に進めていくということは必要であろうと思います。
#119
○上西分科員 せっかく前向きが、またバックしている。これではいかぬのです。あなたら、わからぬのですか。僕の実際の体験からいうと、市町村の役場あたりで何か言おうとすると、うちの子が、悪いけれども知恵おくれだからと言うと、余計なことを言うなというのが現実にあるわけですよ。そして、余り言ってもいかぬ。そうすると、子供たちを、就学委員会その他を通って特殊学級だ、養護に、あるいは盲聾、いろいろありますよ、そういうところに行く、内科疾患を含めて。そのときに養護学校が――何も百ページになるものじゃないですよ。僕のような一年生でさえさらっと宙に言えるくらいの簡単なことを、せいぜい五つくらいなのですよ。それくらいのことは最高学府をきわめている先生方だ、ニューリーダーの一角を脅かそうとする海部文部大臣だ。あなたがツルの一声でぴしっとまとめて、新年度に全部の都道府県教委におろし、そして少なくとも特殊教育にかかわる者はこれくらいのことは社会的常識で身につけていて、お父さん、お母さんに相談をしていく、その温かい配慮があって初めて、教育は効果が上がるのじゃありませんか。大臣、最後に一声おっしゃっていただければ、質問を終わらせていただきます。
#120
○海部国務大臣 先生の貴重な日常の御体験やあるいは御意見を交えてのお話を承っておりまして、おっしゃろうとしていることはこういうことじゃないでしょうか。せっかく国がそういったハンディを負った人々にはこれだけのことをしていますよ、こういう準備がありますよ、予算措置もしていますよ、にもかかわらず知らない人が多いじゃないか、その方にもっと知らしめるように努力したらどうか、こういうことだと思います。政治家の立場で言いますと、省庁の縄張りというのですか所管事項の枠を越えることはそれぞれいろいろなルール、基準はあるかもしれませんけれども、少なくともそこに通っている児童生徒のためになることを、知らないがゆえに恩典に浴さないならば、それを知らせてあげるような努力は、格式張って規則の、法律のと言わなくても努力する余地があろうと思います。何らかの知恵を出してみて、少しでも多くの人が知ることができるように、先生の御趣旨を私が受けとめてよく相談をしてみたいと思います。
#121
○上西分科員 大変ありがとうございました。
#122
○石原(健)主査代理 これにて上西和郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、福岡康夫君。
#123
○福岡分科員 先日、広島市内のPTAの幹部の方が私の事務所に参りまして、先生、ひとつ高校の転入学についてもう少し政府の方に本腰を入れてもらうように要請してほしい、特に広島市は支店経済だ、まさに大手企業の支店経済の町なので、東京、大阪、転入学の差しかえが非常に多い、これを先生、ひとつ何とかしてくれ、何とか転入学の円滑化の問題に取り組んでほしい、こういう御要望でございましたわけです。実は昨年の予算委員会の分科会におきまして、六十年の三月七日の分科会で、私が質問をさせていただいたわけでございますが、そのときに文部省当局の方から「保護者の転勤に伴う高等学校生徒の転入学の許可等の取り扱いについて」という通達を各都道府県知事または教育委員会に出しておる。それで、去年の当分科会では高石局長は、この通知は札幌であるとか仙台、福岡、関西地区、東京地区といったそういう大都市圏の府県がいかに対応してくれたかがこの通知の成果のポイントだと私に答弁されております。しからば、これらの成果のポイントについてその後この一年間とのように行われたのか、ひとつお話を聞きたいと思います。
#124
○高石政府委員 まず転入希望者に対して、いろいろありますが、一つは試験のチャンスをできるだけたくさん与えるということが必要であろうということで、原則として年三回程度、というのは、各一学期、二学期、三学期ありますので、年三回程度の実施を望むということで指導をしてまいったわけでございますが、年三回以上になった都道府県は全体で三十七県でございます。
 それから四月当初、例えば東京で三月高校試験を受けた。ところが広島市に転勤、その四月当初の新一年生についても可能な限り四月当初に試験を実施してほしい、こういう内容を含めておりますが、その内容にっきましても四月当初の実施をしていくというのがふえてきているわけでございます。三十一の都道府県においてそういう方向で改善が行われているということでございます。
 それから特別枠、従来は欠員がなければ転入学ができないという省令がございましたけれども、その省令改正もいたしましたので、教育上支障がない限りにおいては定員オーバーをしてもそういう子供たちを受け入れてよろしい、こういうような配慮をしてきているわけでございますが、こうした指導によって特別枠を設ける等の措置をとったのが十二県でございます。
 それから、転入学に関する情報の収集及び提供ということで、どこに相談に行けばいいかというようなことがわかるようにという指導をしておりまして、二十三県は文部省通知によってそういう情報収集の窓口を整備していったということでございます。それから、その他の十七県のうち二県は昭和六十年度から実施をする予定ということになっているわけでございます。
 それから、願書の提出期限、これは一般の受験生で一応決められておりますが、そういう子供たちについては出願の変更期限を弾力的に対応してほしいということでございますが、これについても十の都道府県教委ではそういう線に沿った改善を図ってきたということで、まだ十分ではございませんけれども、転入者に対する対応を拡大していくという方向で、目下鋭意努力を継続しているところでございます。
#125
○福岡分科員 広島県の特別枠はいかがなっておりますか。
#126
○高石政府委員 広島県も特別枠をつくって措置しているようでございます。
#127
○福岡分科員 具体的な数字を。
#128
○高石政府委員 ちょっと詳細なことまで答弁できませんけれども、延べ四十五の高等学校でそういう特別枠を設けているということでございます。(福岡分科員「違うでしょう」と呼ぶ)広島県の場合は、原則として学級数の数まで認めるということでございますから、十学級あれば十人というような措置を講ずる、そういう学校が全体で四十六でございます。
#129
○福岡分科員 局長、広島県の転入学者の数から見て、これで十分だとお思いになっておられますか。
#130
○高石政府委員 ちょっと実態をそこまで個別に当たってきておりませんので、返事を申し上げることはできませんけれども、それで十分であるとは思っておりません。今後拡大してもらいたいという気持ちでございます。
#131
○福岡分科員 どういう対策をお打ちになるお考えですか。
#132
○高石政府委員 転入希望者の数が実態がどうなっているか、そして、それに実際上受け入れた数がどうであるかというようなことも、今後、広島県だけではなくして、全国的に実態を把握して次の対応を考えてまいりたいと思います。
#133
○福岡分科員 経済活動の広域化の現在の流れに対応するために、特に広島のような支店経済の町はやはりよくお考えになってこの具体策を進めていっていただきたい、実態に即応した形のものを推進していってもらいたいと思うわけです。特に文部省としては、直轄の国立の広島大学の附属高校がございますが、これについて特別枠を、現在ないのですが、これを決定してほしいと思うのですが、いかがでございましょうか。文部大臣、ひとつ政治的な問題で……。
#134
○大崎政府委員 附属学校の実態については、現在私存じておりませんので、早急に調べまして、その可能性等については関係者と話し合いをいたしたいと思います。
#135
○福岡分科員 これは私の方から通告してあるのですからね。それについてこれから検討するというのはどういうわけですか。
#136
○大崎政府委員 広島大学の附属学校の件につきましては、ちょっと私事前に存じておりませんで恐縮でございますが、調査をさせていただきたいと存じます。
#137
○福岡分科員 後で私の方に具体的に対応策を示してほしいと思いますが、いかがでございましょうか。
#138
○大崎政府委員 学校側の意向その他の状況につきましての御連絡は、でき次第させていただきたいと存じます。
#139
○福岡分科員 ちょっと、きょうの地元の新聞を文部省の首脳に見ていただきたいと思うので、文部大臣に提出したいと思います。
 これはけさの広島の地元新聞の社会面でございますが、文部大臣、このお顔、御家族の方が八名ばかり写っておるわけですが、まさに帰国子女、中国からお帰りになった方の日本語学校の卒業式に当たりましてのいろいろの記事が載っているわけです。写真でございます。本当に満面喜色といいますか、非常に喜びがあふれておる写真であるわけでございますが。広島県内におきましては、昭和六十一年一月一日現在、このような方が、中国の東北部からの帰国者は九十六世帯二百七十九名であり、その内訳を地区別に見ますと、広島市が五十三世帯百四十三名、東広島市が十三世帯五十四名、福山市が十五世帯四十六名となっております。この三つの市で、二百七十九名のうち二百四十三名の多くを県内で占めておるわけでございますが、この方たちが現在夜間中学校で日本語教育を受けておられるのが広島市だけでございます。福山市、それから東広島市にはこの日本語学校がございません。
 そこで私、距離面とか財政面を考えてみますと、やはり広島市内だけではなくて、東広島市及び福山市にこの日本語学校の分校の必要性があると考えておるものでございますが、文部大臣、この問題についてどういうお考えなのか、ひとつ具体的を示してほしいと思います。
#140
○齊藤(尚)政府委員 中国残留孤児の日本語教育につきましては、まず帰国直後の人々に対しまして厚生省所管の中国帰国孤児定着促進センターで四カ月間の生活、そして日本語の学習をいたすわけでございまして、その後全国各地に居住することになるわけでございますが、居住地の地方公共団体あるいは民間団体の主催によりまして講習会あるいは個人指導というような形で日本語教育の機会が提供されておるわけでございます。
 その中に、中学校の夜間学級、これは何らかの理由で学齢期に学習の機会に恵まれなかった方々のために中学校教育を施しているわけでございますが、その夜間学級の中に参加をして日本語を学んでいる方々も全国にかなりいらっしゃる。約三百人を超える人たちが学習をしている。広島市内にもその夜間学級で学習している方々がいらっしゃるというわけでございます。
 この夜間学級の問題につきましては、中学校としてのカリキュラムのもとに学習をしていくということでございますので、これを直ちに普及していくかどうかというのは大変難しいいろいろな問題があるわけでございまして、地域で、またその各学校で御判断をしていただかなければならないわけでございまして、私どもといたしましては、県や市の主催によります学習の機会あるいはボランティアによります学習の機会に対しまして日本語の教材を提供いたしますとか、それから指導者の研修を実施いたしますとか、そういう施策につきましては文部省として施策の展開を図っているところでございます。
#141
○福岡分科員 文部大臣、今の写真等を見られまして、記事をごらんいただいたわけでございますが、現在広島市においてはそういう形で満面喜色の表情をされる方もいると思えば、同じ広島県内においても福山市、東広島市においては憂うつな顔で家の中に閉じこもっておられる方が多々おるわけであります。行政というのは、公平を欠くということが一番問題が多いと思います。やはり行政は公平を期さなければならないと思います。そういう点で、この福山市、東広島市の中国帰国者に対しても温かい文部行政の手を差し伸べていただきたいと思いますが、この促進強化についてどういうお考えか、ひとつ構想をお聞かせ願いたいと思います。
#142
○海部国務大臣 お示しいただいたこの写真を見ますと、本当にそのとおりでありますし、帰国された方々がなるべく一日も早く、日本の生活環境や社会環境や、職業人としての自立もできるようにしていかなければならぬという角度の先生の御質問はまさに私も同感で承ってまいりました。
 ただ、帰った方全体に対して、まず今生活になれていただく、日本語を習得していただくための研修を四カ月もやっておるということでございますし、また地域では夜間中学校のみならず、いろいろ県、市等の主催する日本語の研修会もある。それから私の記憶に誤りなければ、間違っておったら後から訂正させますけれども、至るところ全部に学校をつくって、すべての方にパーフェクトに手を差し伸べようと思ってもなかなかいろいろな状況で不可能なので、中国語の理解できる教育指導員の方を特にお願いをして、そういった方々が巡回をしながら、中国帰国者の子供さんたちに対しては、取り出し指導といいましたか、日本語ばかりやっているところから別に中国語でいろいろ話をしてあげるとか、下の方の方にはそういう行き届いた手配、配慮等をしておるようですから、帰国された方々の社会復帰に必要なこと等についても、そういう巡回指導のようなこと等もなるべくきめ細かくできないものかな、こう判断をして御質問を聞いておったところでございます。努力をさせていただきたいと思います。
#143
○福岡分科員 今、私が御質問のときに分校と申しましたが、まさに当を得た形の言葉でございまして、それを具体的に、学校をその都度設置していけとは私は言いません。予算も人員も伴います。だから同じ広島県内においても、広島市には非常に日が当たる、しかし、中間部、東部の方については全くない、行政の公平の面で非常に偏り過ぎておるのじゃないかと思っておりますので、もう少し具体的な細かい配慮を、本校を通して、巡回指導員でも、分校でもいろいろな方法をお使いになってひとつ具体策の推進をやっていただきたいと思いますが、文部大臣、ひとつ御決意を披露していただきたいと思います。
#144
○海部国務大臣 できる限りのことはやはりやらなければならぬと思いますから、いろいろな制約等もございますけれども、御趣旨を体してこれから前向きに考えていきたいと思います。
#145
○福岡分科員 御承知のように広島大学は広島市から東広島市に移転いたしました。現在相当数の学部が東広島市に移転したわけでございます。そして広島市内から学生が見当たらなくなる、むしろ東広島市の方に学生の姿が目立つという現象をきょう現在来しておるわけでございます。その影響がどうかわかりませんが、ことしですか、国立広島大学の志願者数が新聞紙上に報道されたところによりますと減少をしておる、こういうことでございますが、一昨年、昨年、ことしとの志願者の減少について文部省当局の御説明をお願いしたいと思います。
#146
○大崎政府委員 現在詳細な数字を持ち合わせておりませんが、全体といたしまして国立大学の志願状況、いわゆる志願倍率というのは横ばいでございます。それで、広島大学につきましては、ただいまお話がございましたように現在東広島市に移転が始まったところでございますが、若干予定よりおくれておりまして、たしか工学部等が先行しつつあるという状況かと存じます。その意味では広島大学の主体はまだ現在地にとどまっておるというのが実情でございます。
 志願率の状況につきまして、広島大学の個々の学部については現在的確に承知いたしておりませんが、それほどの大きな変化はないと私どもは考えておるわけでございます。
#147
○福岡分科員 ことしの志願率は減っておるのじゃないでしょうか。具体的な数字はわかっておるのでしょう。それを発表してみてください。
#148
○大崎政府委員 まことに恐縮でございますが、ちょっと今手元に資料がございませんが、個々の学部ことに若干の変化があろうかと思います。
#149
○福岡分科員 変化とおっしゃっているのは、減ったのか減っていないのか、それをはっきりしていただきたいと思うのです。
#150
○大崎政府委員 早急に、今電話で問い合わせましてお答え申し上げたいと存じます。
#151
○福岡分科員 新聞紙上等に報じられたところによると、広島大学の昨年、一昨年に対する志願者数の度合いから見まして今年度は非常な落ち込みをしております。そういうことが地元新聞、テレビ等で報道されております。その原因はどこにあるかということを文部省の方でお考えになったことがあるかどうか、ひとつその御見解をお示し願いたいと思います。
#152
○大崎政府委員 ただいま正確な数字を問い合わせておるところでございますが、一般的に申しますと、大学学部の志願状況の変化の要因といたしましては、例えば俗に申します就職状況、社会の需要の変化というようなことで、例えば農水系がバイオ関係で人気が出る、比較的需給が難しい医歯関係というものについて減少傾向が見られるというようなことが一つはございます。それからさらにもう一つの要因といたしましては、受験科目の変化というようなことがございます。それからただいま先生御指摘の通学条件あるいは場所の移動というようなことが志願状況に響いてくるというようなことが一般的な現象としては見られるかと思っております。
#153
○福岡分科員 その中で、ひとつ海部文部大臣にお願いしたいのは、御承知のように広島は国際平和都市であり、また教育の場といたしましては戦前から広島文理科大学それから広島高等師範という歴史と伝統のある教育の町でございます。その中におきまして、この国際平和都市広島に将来世界各国からいろいろの人が訪れてまいります。また国際人の養成にはまず外国語を駆使できるような人が必要ではないかと思うわけでございます。今問題となっております日米貿易摩擦も、ビジネスマン等が各外国語を十二分にこなせないためにアメリカの国民等の日本についての誤解を解くことができないことが原因になっておると思うわけでございます。私も思いますし、各有識者ともそういうお考えをお持ちだと思います。そこで、ロシア語、韓国語、中国語、英語等を重点にして最新の視聴覚教育施設を持つ国立広島外国語大学を中国地方の中枢都市広島にぜひ設置してほしいと思うのが地元民の要望でございます。財政改革上現在非常に苦しいことも十分承知しておりますが、文部大臣、ぜひこの問題を検討していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#154
○海部国務大臣 先生御指摘のように、国際化時代を控えて、外国の言葉を使い、理解をし、直接にいろいろな関係をよくしていくような努力をしなければならぬということは私も同じ気持ちでございますから、これは今あります学校教育全般の中でも、どのくらいのところから外国語教育を始め、どのような内容をやり、どのようなことにしたらいいかということを教育課程審議会にも議論をお願いしておりますし、そのカリキュラムをどうするかということも、それぞれの発達段階に応じて生きた英誌のできるような教育をしなければならぬ。したがって外国から英語の教師を呼んで生きた英語に触れるような、教育全般の中で英語が身につくような努力を私どもは今前向きに一生懸命やっておるところであります。
 先生御指摘の広島大学でありますけれども、国際化時代にふさわしく、昭和六十一年度には日本語教育学科の新設もするとかいろいろなことを考えながら進んでおるわけであります。具体的に御指摘の、ロシア語とか韓国語とか英語とかをやるための国立大学を広島につくったらどうだということでございますが、これはいろいろほかにも言うに言われぬ諸制約や問題もいっぱいございますから、先生の御指摘がきょうここであったということを留意いたしましてこれからいろいろ考えさせていただこうと思います。
#155
○大崎政府委員 先ほどお尋ねの広島大学の志願状況の変化でございますが、全学部を通じますと昭和六十年度が二・二倍でございましたものが昭和六十一年度は二倍ということで微減をいたしております。個々の学部につきますと、総合科学部、文学部等は二・七から二・九、一・三から一・九というふうに増加をいたしておりますし、減少が目立ちますのは、先ほど申し上げました医学部が二・八から二・四、歯学部が二・九から一・六というような状況にあるわけでございます。
#156
○福岡分科員 今の数字のように、広島大学の志願者数は減ってきております。そして広島の学生の町は非常に寂しい状況になっております。そういう問題をお考えの上で、中四国地方には一つも国立の外国語大学がないわけです。現在、東京、大阪には国立の外国語大学はありますが、特に広島の場合には、平和の拠点・国際都市広島としての特色を生かした国立の外国語大学、広島大学移転に対する対策もお考えの上で、両面から前向きに御検討いただきたいと思うのです。文部大臣、粗考えを聞かせていただきたいと思います。
#157
○海部国務大臣 御趣旨を体して研究をさせていただきます。
#158
○福岡分科員 しつこいようでございますが、研究させていただきますと非常に抽象的な言葉でございますけれども、もうちょっと前向きの御答弁はないものでしょうか。
#159
○大崎政府委員 私から申し上げるのは甚だ恐縮でございますが、現在、非常に深刻な行財政事情がございまして、既存の国立大学の教育・研究条件の維持、水準の確保について関係者も非常な努力を払っておるというのが状況でございまして、国立の大学を新設することを具体の課題にすることは、現時点で非常に困難な状況にあることを御理解いただければありがたいと思っております。
#160
○福岡分科員 文部大臣、今御答弁がありましたように、現在財政上厳しいことは私も十分留意しております。しかし、ことしは国際平和年でもあるし、核軍縮、平和の問題はまさに東京サミットの大きな議題になるかのように聞いております。そういう大事な年に、国際平和文化都市広島の地におきまして、国際平和のために一翼を担う国際外国語大学と申しますか、国立でも県立でも私立でも、何らかの形のものを置きたいというのが広島市民、広島県民の願いでありますので、ぜひとも前向きに御検討願いたいと思います。
#161
○海部国務大臣 重ねて申し上げますけれども、先生のお気持ちはよくわかりますが、現状からいいますと、財政状況の厳しさのみならず、政府が臨時行政調査会の答申等も受けまして、国立大学の新設は厳しく抑制をされております。
 ですから、御質問の内容をそんたくすれば、生きた英語教育をもっと充実できるように、外国語教育が身につくように、今の国立大学、今の学校の仕組みの中で向上させていこう、できるだけ努力をしようという実質的な面でお答えをしたのでありますけれども、今先生お話しのように、国立であろうが公立であろうが私立でもということでありますならば、国立大学のみに限っては非常に厳しいことを申し上げておりますが、私立大学の方で十分基盤を持ち、採算性を持ちというところがあるのかどうか、そういう具体的な問題がありましたら、国立以外ならばそれも研究をさせていただこう、ここでああだとかこうだとか言う前に、具体策がまだ来ておりませんので、来たら研究させていただくということで御理解をいただきたいと思います。
#162
○福岡分科員 前向きの御答弁をお聞きいたしまして、私は満足しておるわけでございます。どうぞ、この広島の意義、広島大学の移転に伴う広島の、教育に対する広島県民、市民の熱意の中から生まれた寂しさというものを、何らかの形で海部文部大臣のときに御検討いただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
#163
○石原(健)主査代理 これにて福岡康夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、渡辺嘉藏君。
#164
○渡辺(嘉)分科員 あたら十六歳の若さで、多くの春秋を残し、教師の体罰によって死亡いたしました岐阜県立岐陽高校の高橋利尚君の霊に哀悼の意をささげながら、重ねて本件について大臣以下関係者に質問いたします。
 まず第一に、教師雨森被告が生徒高橋利尚君に対して行った殴る、けるという行為は、学校教育法で禁じております体罰であるかどうか、お伺いしたいと思います。
#165
○高石政府委員 体罰でございます。
#166
○渡辺(嘉)分科員 私はこの公判を、国会の関係で一回ぐらい休みましたが、それ以外はずっと傍聴したのです。そこで受けた印象は、学校教育法で言う懲戒権の延長として禁止されておる体罰というふうに私は受け取らなかったのです。
 なぜならば、校則でドライヤーを持っていくこと、使用することをいけないと決めている、ところが高橋利尚君はそのドライヤーを使っていた、そこで雨森教師その他の教師は、その理由、本人の弁明を一切聞かないで、猛然と飛びかかっていって殴る、けるの行為が行われたわけです。これは体罰というよりも暴行的行為に等しいのです。そのような意味で、私は、これを体罰と見るのか、暴力行為と見るのかを疑ったから、重ねてもう一遍聞くのです。
#167
○高石政府委員 体罰の中にはいろいろなやり方があると思いますが、暴力的な、暴行的な内容を含んだ体罰ということももちろん当然考えられるわけでございます。
#168
○渡辺(嘉)分科員 体罰の中には暴力的な要素を含んだものがあるという御答弁ですが、体罰というものはいわゆる懲戒権の延長線上に連なっておるのじゃないか、だから教育的なものでなければならないと私は思うのです。
 ところが、この流れの中から見ておりますと、公判をずっと傍聴いたしておりますと、また各関係者の意見を聞いておりますと、雨森被告は腹をけったということを当初捜査の段階では言わなかった。そこに居合わせましたのは雨森教師と死にました高橋君と女子の生徒、三人しかいなかったのです。そこで、私は、その女子生徒にどういうふうだったと聞いたのです。ずっと聞きますと、この女子生徒は、さわったとか押したとかいう程度でない、私も殴られましたが、まず最初に眼鏡を外せと言われた、そして平手並びにげんこつで数回殴られて、耳の鼓膜がぼうっとして気を失いかけたと言うのです。軍隊でよくやったようなやり方なんですね。そして雨森教師は、高橋君に対してもそれ以上の力で行い、それがために高橋君は吹っ飛んでいって壁にまでぶつかって、壁でとまったくらいの勢いなんです。これは解剖の結果も壁で頭を打ったところまで明らかになっておるわけです。そして腹をけった。そして腹をけった後で、倒れた高橋君を、たばこを足で踏み消すようにねじった、こう言うのですね。ちょっと考えられないのですが、女の子はそう言うたのです。これが公判で明らかになってきたのです。
 そこで、公判の中で今度雨森被告は、そういうことをしましたかというのに対して、した、こう言うのです。なぜそれを言わなかったかということに対しては、恐ろしくて言えなかった、こう言い出したのです。そうすると、捜査の段階ではうそを言うていたということになったんですね。
 こういうふうに考えますると、これはもう教師が行った体罰というふうに見られるのか、それでも体罰なのか。私は、この行った行為はもう明らかに暴力行為だ、こう思うのですが、重ねて聞いておきます。
#169
○高石政府委員 御指摘のように、体罰というのは暴力的なものを含むことも当然あり得ると思うのです。したがいまして、県の懲戒処分を受けた教職員の体罰の類型で、停職になるとか減給になるとか戒告になるとか、いろいろな種類のものがありますが、また免職になるというような処分を受けているわけですが、その行為が非常に極端に暴力的なもので、しかも死に至らしめるというような行為は、やはり体罰として法律上禁止されている行為であるというようなことで、公務員としての服務上の懲戒処分になっているわけでございます。あとは刑事上の問題として刑事事件としてのまた別の判決というのもあり得るわけでございますが、およそ行政処分としての懲戒処分は、そういう内容を分析し、評価して処分の程度を決めているということでございます。
#170
○渡辺(嘉)分科員 ここに、昭和五十六年の東京高裁の体罰に当たらない有形力の行使があるとされた事例ということで判決が出ておるのですね。これは体罰でない、有形力の行使であるということで、教師が無罪になったケースなんです。
 この中に、「教師は必要に応じ生徒に対し一定の限度内で有形力を行使することも許されてよい場合があることを認めるのでなければ、教育内容はいたずらに硬直化し、血の通わない形式的なものに堕して、実効的な生きた教育活動が阻害され、」云々と書いてあるのです。この判決の結果、これによって、体罰ではないが有形力の行使ならいいんだということが出できた。この場合も殴ったんです。こういう考え方が今教育の現場でかなり蔓延したと言われておるのですが、こういうことを含めて、今おっしゃった懲戒権は体罰に延長してくる、その体罰は暴力行為に延長してくる、こういう基本を持っておるわけです。こういう有形力の行使、殴る、ある程度の殴るはいいんだというような考え方が少しでもあったとするなら大変なことなんですが、こういう点について文部省として、あるいはまた各学校に対してどういう指導をしていらっしゃいますか。
#171
○高石政府委員 学校教育法で禁止されている体罰であれば、いかなる形態のものであろうともそれは法律上禁止されている行為であるわけです。そこで、その具体的な行為が体罰に該当するかどうかという一つの判断、それはまた別個に出てこようと思うのです。
 例えば頭をなでるような押さえ方というのがあるわけですが、それもだめだというような、そういうことまで体罰というのか。それは、先生の注意をよく聞かせるために、頭を押さえてこっちの先生に向けて話を聞かせるというような、アクションを伴うようなこともあり得ると思うのですね。だから、およそ子供に対してスキンシップ、触れるというのはもうオール体罰である、そういう評価はまた一面においてしにくいと思うのですね。したがって、そういう個々の事件の内容によって、これが体罰に該当するかしないかということは非常に難しい個別な判断を要するわけでございますけれども、およそ学校教育法で禁止されている体罰に該当する行為は一切許されないというふうに思うわけでございます。だから、それがスキンシップの限界を超えているかどうかというようなことになると、個別の事例によって判断せざるを得ないというふうに思っております。
#172
○渡辺(嘉)分科員 そういう点をあいまいにしておくといかぬと私は思うのですよ。スキンシップというものはここで言うような有形力の行使じゃないんですよ。スキンシップというのは、頭をなでてやるとか、こっちを向きなさい、それはスキンシップです。握手する、私らでもやるスキンシップ。そうじゃないんです。殴るということ、これをある一定の限界まではいいんだということを認めたら、これは必ず体罰につながってくるんです。だからその危険があるので、この際そういう点については、いろいろな判例が出ておりますけれども、文部省としてはぴちっとした中身を示して、有形力の行使と言われることでも禁止しておかないと、有形力の行使だからいいんだというようなことになったら私は大変だと思うから、重ねてこの点をもう一遍聞きたい。
 それから、あわせてもう一点聞きますが、校則をそれぞれ決めておるわけですね。髪の毛は長くしてはいけないとか、ストッキングはこうしなさいとか、スカートはこうしなさい。この校則は法的拘束力はどういうふうにあるのか。校則というものは法的拘束力はどうなのか。
#173
○高石政府委員 まず後段から申し上げますと、学校の校則は学校で決められた規則であるわけですから、学校の生徒たる者はそれを守っていかなければならないという義務が発生すると思います。
 前段につきまして、最終的にその具体的な行為がこの法律に該当するか否かというのは、結果的にはもう裁判所の判断にゆだねざるを得ないのですね。文部省がこう考える、ああ考えるというので、最終的な法的判定力を持つ内容として確定するわけにはいかないわけです。ただ、じゃ一般的に体罰というものについてどういう、殴る、けるというようなものは痛くなければいいんだというような見解を持っているわけではなくして、例えば髪の毛が非常に長過ぎるんじゃないかといって髪を引っ張られると痛いんですね。じゃそれが体罰なのか。それはやはり注意するためにそういうことも一切行えないのかということになると、これはいろいろな議論の分かれるところなんですね。しかし、少なくともその子供に傷害を与えるとかないしは死に至らしめるとか、それはもう当然禁止さるべき体罰であることはもちろんでありますが、スキンシップとそれ以外の有形力の行使の限界というものは、文部省が研究をして一片の通達で基準を示すというのには、余りにも複雑な内容を持っているというふうに思っているわけでございます。
#174
○渡辺(嘉)分科員 私はこの高裁の判決についてとやかく言うんじゃないのです。しかし、高裁の判決が示したからというて有形力の行使があってもいいんだということを、文部省が今度教育上の見地で認めてしまうと大変なことが起き出す、私はこう思う。司法は司法でいいです。しかし文部省としては、こういうことに対しては、有形力の行使は好ましくないなら好ましくないということを明らかにしておきませんと、現場では混同してしまうのです。こんなことがありますので、この点はまた後で御答弁いただきます。
 それから校則の問題ですけれども、それに関連してもう一つ、さっきもちょっと触れたんですが、ここにドライヤーがあるのです。このドライヤーは高橋利尚君のドライヤーなんです。これはうちにあるのです。持っていってはいけないと言うたから彼は持っていかなかったのです。たまたま友達が持っていた、その友達のものを借りた。だから友達のものはブラシつきのドライヤーなんです。そこで問題なんですが、高橋利尚君のドライヤーは家庭にある、持っていっておらぬ。教師たるべき者はよく聞いて、だれのものなんだ、どうして持ってきたんだ、そうか、おまえ借りたのか。なぜそういう配慮をして教育効果を上げなかったのかということについて、非常に大きな疑問を持ち出したのですね。
 いま一つは、このドライヤーは高橋君は持っていっておらぬからうちにあった。妹さんは、これですよ、兄のは。こう言って泣いておられた。しからば今度は、そのドライヤーは二つ、学校側は取り上げていまだに持っているのです。没収したわけです。こういうことはどういうことになるのですか。
#175
○高石政府委員 学校が没収してどうしているかというのはそこまで知りませんけれども、それぞれの所有権者がいるわけですから、ゆえなく勝手に自分が没収するということは普通はあり得ない。裁判上検察庁が没収するとかそういうことはあり得ると思うのですけれども、ちょっとそこの事実関係までは確認しておりませんので、普通であれば所有権者のところに返すというのが普通であろうと思います。
#176
○渡辺(嘉)分科員 学校で使ってはいけないといって没収したと思うのですがね。ところがうちでは使うと思うのですよ。またその女生徒は、お母さんがこれを持っていきなさいと与えたのですね。なぜかというと、その程度のことは女の子の身だしなみだ、これでやったのですね。当然返すべきなんです。ここに校則を絶対化する一つの風潮があるのですよ。
 校則違反は、没収しようとあるいはまたかなりの体罰を行使しようと、それをとにかく生徒に実行させるのだ、こういうことがあるから起きるのですね。先ほど申し上げたように、校則は生徒の情操教育のためのしつけの規範にすぎないのですよ。だからそういうような意味で、これを混同させないような指導を行うべきではないか、こう私は思います。
 いま一つは、ここにあるのは校長の弔辞なのです。この弔辞の中で、二度とこういうことはやらせません、申しわけなかったと書いてある。私はこれを読んで、弔辞のあのときも本当に涙が出るような弔辞なんだけれども、ところがこの弔辞が、高橋さんの家庭にないものだから、探させたら学校に行っておった。弔辞というのは仏前に置いておくものなんです。学校に持って帰るものではないのです。
 この公判中、田中校長でも雨森教師でも、泣きの涙で来ておるお母さん、家族に対して、顔を合わせても、申しわけありませんでした、済みませんでしたの一言もない。頭も下げない。雨森被告は高橋利尚君のお母さんをにらみつけておった、被告席から。傍聴席の真ん前で涙に暮れておるお母さんをにらみつける。どう考えたって私にはわけがわからぬ。
 そういうような意味で、私はこういう流れの中から、なお続けて説明をし、後から聞きますが、今度は弁護士がこういうことを言い出したのです。この学校は新設校で十年目だ、はっきり言ってレベルの低い学校だった、だから体罰をもってしつけざるを得なかったのだ、こういうことを言っている。幾ら何でも、弁護のためとはいえ、レベルの低い学校云々とは。そんなことはあり得ぬですよ、私のうちのすぐ近くだもの。そういうことから、この体罰、それから校長の姿勢、管理の行き過ぎ等々は、学校ぐるみの体罰を容認しておることがはっきりとうかがい得たということです。むしろ校長自身がもっとしつけをされなければならない。死んだ子のお母さんに対して、傍聴席で会ったら頭を下げるのは当たり前のことなんだ。校長がやらない。そんなことでどうして生徒のしつけができますか。
 こういうような意味で、今私が聞きたいことは、そういう学校ぐるみで体罰をやっているから、複数の先生がそばにおりながらとめる先生もなかったということ。雨森教師が暴力を振るっておるときにだれもとめなかったということ。これは出入りしておりましたから、出入りしている間でも、見たらとめるべきなんだ。とめれば、けがはあっても死ぬということは起きなかったということ。それが行われなかったところに、学校ぐるみの体罰を容認する、またほかの学校にも体罰を容認するような風潮を生み出している。それから、生徒のアンケートによると、四分の三までは体罰を受けたとアンケートに答えておる。こういう実態から見て、文部省はどういう指導をしていらっしゃいますか。
#177
○高石政府委員 先ほど来体罰についての議論、御指摘がございますように、およそそれは法律上禁止されていることであるわけです。したがって、そういうものを容認するような学校の体質というのは非常にいけないことであると思っております。また、そういう容認するような体質が学校運営の中にあらわれているとすれば、教育委員会はそういう体質を是正していくということが必要であろうと思います。
 ただ、学校でいろいろな規則がつくられているわけでございますが、それは集団生活を営む上にとって、ある程度の規則をつくってみんながそれを守っていく、自発的に守っていくというような形で集団生活の秩序が維持されていくということは、非常に重要なことであろうと思います。したがいまして、その違反者に対して心から、そういうルールを守るべきであるという教育をして守らせていくという努力は重ねていかなければならないと思うのです。規則を破っても何もおとがめがないというか、何ら拘束力がないというような意識であれば、何のために規則を守るのかわからない。その際の教育の仕方として、体罰を伴うようなやり方で子供に強制的にそれを守らせる、それは限界を超えている対応であるということを考えるわけでございます。
#178
○渡辺(嘉)分科員 私は前にこれを質問したときに、いろいろ実態調査をしてほしいということを言ったのですが、どういう実態調査をされましたか。そしてどう対応をしましたか。
#179
○高石政府委員 国会の論議もございましたので、県の教育委員会を通じましてその報告を受けたわけでございます。
 その後、文部省といたしましては、こういう事件がございましたので、まず体罰は許されないことであるというので、六十年六月二十九日「いじめ等に関連しての体罰の禁止」ということを通達して、その後、いじめの実態調査においても体罰の実態調査を行う、そして学校段階で問題になったもの、市町村段階、都道府県段階で問題になった件数が全国的に集まってきた、それを受けて再度、六十一年二月二十一日初中局長通知で、各都道府県の教育長に、小中高等学校を通じて体罰じゃないかとして問題とされた調査を行った事例が相当数見られることを踏まえ、各種の研修会等の機会や職員会議などで「改めて体罰禁止の趣旨を徹底すること」ということで通達を発するということで、それを受けて各県の教育委員会は、小中高の学校にその趣旨を徹底するという行為が今行われている段階でございます。
#180
○渡辺(嘉)分科員 その後でも、私は、各種の体罰の実態を、事実をいろいろつかんでおるのです。しかしそのことは一々言っておりませんが、一片の通達で済むものではないことは明らかです。ですからその意味で、この体罰といじめ、これは連動しておることも御案内のとおりです。そういうような意味で、血の通った教育は有形力の行使や体罰ではないのですよ。やはりでまるだけ少ない生徒と多くの先生によって教育が行われることによって、初めて血の通った、心の通い合った教育ができるのではないか。
 主要国の一学級当たりの生徒数並びに教員一人当たりの生徒数の比較表を今お手元にお渡ししたわけですが、この中で重要な意義を持っておるのは、日本の場合、欧米先進国と比べると教員一人当たりが非常に多いということと同時に、一学級当たりがこの十年間変わっておらない、むしろふえたということです。初等教育で言うと、一学級当たり昭和四十七年で三二・九人、それが十年たったら三三・六人、五十八年で三三・五人である。この下の方に書いてありますのは後から私が筆を入れた数字なんですが、これは文部省からのものであります。これを見ますると、イギリスその他では三十一人でありましたのを二十五人に減らしておる。先進国は、それぞれの持ち得る財政力で、教育の質を向上するためにこのように教員をふやし、一学級当たりの生徒数との相対比率を下げることによって、血の通った教育をしよう、心の通った教育をしようと努力しておるわけです。
 この点についてはひとつ大臣から承りたいわけですが、こういう世界先進国の十年間の流れの中で、日本だけが別な歩みをしたのです。変わっておらぬのです。むしろふえたのですね。私は、こういう点については早急に、四十人学級の実施についてはこの前も少し延長されましたが、そうでなしに、何を削ってもこれだけは早急にやらなければならぬ行政上の仕事ではないか、こう考えておるわけです。この四十人学級実現のめど、将来は三十五人学級にするのが好ましいことは言をまたないわけですが、これに対するめどと所信並びに管理教育の行き過ぎを是正する措置、並びに先ほどから申し上げておるところの、体罰を禁止するためにこの二月にそういう通達を出されだそうですが、それをどのように追跡調査、実効あらしめていくかという手法をとりませんと、出しっ放してはだめだと思うのです。公教育の場で生徒が先生に殺されるということが二度とないように、このことが高橋利尚君の霊を慰める唯一の道だと思いますので、最後に大臣から答弁をいただきたいと思います。
#181
○海部国務大臣 御指摘のありました具体的な岐陽高校のケースは、私は断じて許してはならぬことだと思います。体罰か懲戒権か有形力がということをはるかに乗り超えて、おっしゃるように原因は校則違反で、注意をすることから始まった、スタートはよかったのでしょうけれども、体罰を乗り超えて傷害致死の刑事事件を起こしたわけですから、私は、このようなことは絶対に繰り返してはいけないことだ、同時に敷衍して言うならば、学校教育の場においては、法律にきちっと書いてあるように体罰は禁止されておるのですから、教師は体罰に頼らないで、それ以外の説得やら説諭やらいろいろな方法があるわけですから、自覚を求めていかなければならない、体罰は許してはならないことだと思います。
 それからもう一つは、先生今御指摘の諸外国と日本との比較の状況でございます。いろいろ厳しい状況の中で、戦後日本の教育も改善を続けてきておるわけでありますし、私は、現在、学校の抱えておるいろいろな問題は四十人学級だけに原因があって、これだけやれば直ちに解決するなんという生易しいものとは思っておりませんけれども、現場の教師により行き届いた丁寧な、親切な、児童生徒の側から見たら心の通い合いが大切にできるような教育をするには、四十人学級の方が望ましいことも間違いございませんから、今文部省といたしましては、御指摘がありましたように、第五次の定数改善計画を持っておりますから、六十六年度が最終年度でございますが、この計画の中で何とかやり抜いていきたい。四十人学級のみならず、単科教員の問題とか複式学級の解消とか、あるいはいろいろな要件に応ずる加配とか、いろいろな問題がありますけれども、今国会にお願いしております今年度予算でも、大体五千人からの増員の中で三千二百人ぐらいが四十人学級の実現に向けて加わる数でありますから、何とかこの計画をまず目標年次までに確実に達成させたい、その努力を鋭意続けてまいります。そして一日も早く、行き届いた教育環境が整備されてよかったとお褒めいただけるように、みんなで頑張ってまいりたいと思っております。
#182
○渡辺(嘉)分科員 時間ですので、これで終わります。
#183
○石原(健)主査代理 これにて渡辺嘉藏君の質疑は終了いたしました。
 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十分開議
#184
○大西主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 文部省所管について質疑を続行いたします。小沢和秋君。
#185
○小沢(和)分科員 まず最初に、福岡県飯塚市に、来年度九州工業大学の情報工学系の新しい学部をいよいよ建設することに着手をするということについて、お尋ねをしたいと思います。
 ここは私の地元でもありますし、かねてから何回も、この問題については、国会などで私自身もそれを促進する立場から質問を重ねてまいりましたが、いよいよ着工するということになりましたことは、ただ産炭地の今後の発展というだけでなく、二十一世紀の日本にとってもこういう情報工学を振興するということは非常に重要でありますから、私はその両面から大変結構なことだったと喜んでおります。
 先日も現地に参りまして、飯塚市が取りつけ道路などの工事を始めたりしている状況は見てまいりましたけれども、六十一年度にどのような準備をするのか、そして最終的にどういう内容の大学にしていくのかということについて、この機会に改めてお話を伺っておきたいと思います。
#186
○大崎政府委員 九州工業大学の情報工学部の設置につきましては、かねてから準備が進められてきたところでございますが、現在国会で御審議をお願いを申し上げております国立学校設置法改正案によりまして、昭和六十一年十月学部設置、昭和六十二年四月から二学科につきまして入学定員の受け入れということを前提といたしました内容のものとして、御審議をお願いしているところでございます。
 設置法の改正をお認めをいただきましたならば、既定計画に基づきまして、六十二年四月には知能情報工学科と電子情報工学科の二学科、各定員八十名でございますが、それをまず受け入れさしていただきまして、さらに六十三、六十四両年に、二学科、一学科というような学科を順次開設をしていきたいということで計画をいたしておるところでございまして、その方向で支障が生じないように努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
#187
○小沢(和)分科員 それはそれでわかりました。
 次の問題は、四十人学級の問題であります。今、学校でのいじめ、非行などが重大な社会問題になっております。これを解決するために行き届いた教育が必要であり、四十人学級の早急な実現が特に望まれていると思います。ところが、昨年から四十人学級への取り組みが再開されたわけでありますが、二年目の六十一年度予算で早くも大きくつまずいております。私が伺っているところでは、文部省が四千二百九十五名を概算要求したのに対して、認められたのが三千二百九十四名、特に一番いじめや非行などの問題が集中的に発生する中学の増員が三分の一しか認められておらない。これでは政府がいじめや非行をなくそうということで真剣に取り組んでいるとは言えないんじゃないかというふうに危惧の念も感ずるわけですが、この辺の点について御説明を伺いたいと思います。
#188
○阿部政府委員 四十人学級の進行についてのお尋ねでございますが、先生御案内のように、昭和五十五年度から六十六年度までの十二カ年計画でこれを達成したいということで、大方の御支援を得てスタートしたわけでございますが、御案内のように五十七年以降は国の財政事情が大変厳しくなった、あるいは行政改革面でのいろいろな要請ということもございまして、その進行を抑制するということに相なりまして、当初の計画より進行がかなりおくれてきたわけでございます。
 ただ、昭和六十年度以降につきましては教員の自然減が相当数出てくるということもございましたので、そういった範囲内で、国の財政事情等から抑制的に対処するにしても、従来よりも前進を図りたいということで、六十年度には、懸案でございました児童減少市町村の小学校につきまして全部一遍にこれを解消いたしました。そして六十一年度予算におきましては、今度は児童減少市町村以外の一般の市町村について、いわば一斉に小学校につきましては四十人学級をスタートしたわけでございます。
 中学校につきましては、私ども当初の要請としては、もちろん中学校にも着手をしたいということでしかるべき員数の概算要求等も行ったわけでございますけれども、六十一年度までは中学校はまだ急増が続いているという特別な状況等もございまして、そういった中で種々検討いたしました結果、極めて部分的ではございますけれども、この計画進行以後七年目でございますか、初めて中学校に着手するというところまでこぎつけたわけでございます。
 今後、国の財政事情も大変いろいろ厳しい中での対応ということに相なるわけでございますが、何とかこれを、六十六年度の予定年度までに全小中学校について実施をするという当初の計画を達成すべく、来年度以降種々工夫、検討もし、努力してまいりたい、こう思っておるところでございます。
#189
○小沢(和)分科員 そうすると、ことし計画よりも削られた分はもう早速にも取り戻して、六十六年度にはこれをやり上げるということには変わりはない、こういうお話だと理解しましたが、間違いないでしょうか。
#190
○阿部政府委員 来年度以降、それぞれの年度でどういうぺースで進んでいくかということにつきましては、特に来年度予算を控えまして、これから省内でも検討し、夏以降には財政当局にお願いをしていくという手段を講ずることになるわけでございますので、具体にどうということは現在申し上げかねるわけでございますけれども、最終年度である六十六年度ということは法律上もこれは規定されておることでございます。その趣旨に沿って実現すべく最大限の努力をし、その途中の段階のペースについても配慮していきたい、こう思っている次第でございます。
#191
○小沢(和)分科員 私は、四十人学級は六十六年度までに必ずやり上げるために頑張っていただくということを、この機会に重ねて強くお願いをしておきます。
 特に私がこの機会に申し上げたいと思いますのは、福岡県の筑豊などのように、炭鉱閉山で地域経済が崩壊し、今なお非常に困難を抱えているいわゆる教育困難地域については、四十人学級はまず真っ先に実現させるべきだったのじゃないかということを、今度改めて調べてみて、強く問題として感じたわけであります。なぜこういうような全国でも最も荒廃している地域が後回しになっているのか、この点どうでしょうか。
#192
○阿部政府委員 教育困難地域につきましてこれを後回しにしたというわけではないわけでございまして、全体の計画の中で、国の財政事情あるいは地方の財政事情等勘案いたしまして、児童生徒が減っていく減少傾向にある市町村、それから手をつけていこうということでスタートしたわけでございますが、そういう考え方の中で、筑豊地区のことを具体に私、ただいま手元に資料を持っておりませんので存じておりませんけれども、そういう中で、いわば先生のおっしゃるようなことで言えば、後から、後発組の方に入ったということであろうかと思いますが、先ほども申し上げましたように、小学校につきましては全地区について六十一年度から着手をすることにいたしたわけでございますので、そういう形でそれらの地区についてもこれから逐次改善がなされていくということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
#193
○小沢(和)分科員 児童減少市町村から着手をしたというふうに言われるわけでありますけれども、確かにこの児童減少市町村という尺度をこさえる時期には筑豊が下げどまっておったことは、これは私も否定できないと思うのですが、あの炭鉱が急激に閉山をされていった三十年代の後半から四十年代にかけてはもう大変な減少をしたわけです。その後地域社会全体が失業と貧困地域ということになって、御存じでしょうけれども、生活保護と準要保護とを合わせれば、筑豊全域で小学校で十六%、田川郡というその中でも一番集中しているところでは三一・七%という子供が保護、準要保護なのですね。しかも加えて同和地域が非常に多い。こういうことを反映して欠損家庭なども非常に多くて、私がこの質問をするためにある先生に伺ったら、自分のクラスでは三十二名のうち十一名はいわゆる欠損家庭の児童だという深刻な話も伺ったのですよ。だから、こういう状況であり、しかも非常に大きく減少して、それが今なお立ち直り切らないでいるという状態に着目するならば、私は当然特別の対策が打たれてしかるべきじゃないかと思うのです。何か特別の対策というのを考えているでしょうか。
#194
○阿部政府委員 四十人学級の実施につきましては、先ほど来申し上げていますように、昭和五十五年の当時におきまして児童減少という傾向を一定の数値ではかりまして、それによって全国の市町村を区分をして着手をした、こういうことになるわけでございますが、先生御指摘の産炭地域でございますとかあるいは同和地区でございますとか、そういった教育困難地域の問題につきましては、これも先生御承知だと思いますが、教員の加配措置等も別途講じてまいりましたし、それから特に新しい現在進行中の計画の中では、大変厳しい財政の中でございますけれども、他の定数措置が相当抑制されているにもかかわらず、この教育困難地域に対する加配の計画につきましては、ほぼ予定どおりのぺースで抑制せずに進んでいくというような措置もあわせて講じてきておるわけでございますので、そういったことを総合的に講じている中で、そういった地域につきましても、別途四十人学級の問題もこれから現実化していくという方向に持っていこう、こういうふうにいたしておるわけでございます。
#195
○小沢(和)分科員 私も、産炭地加配あるいは同和加配ということで福岡県に対して約四百名の教員が加配されているということは伺いました。それは結構なことなのですが、ここで私一つ問題だと思いますのは、この二つの加配制度はどちらも昭和四十四年からスタートをしておるのですけれども、同和加配だけが改善されてどんどんふえていっているのですが、産炭地加配というのはもう四十四年当時の基準のままでとまっているのですね。ところが、あの筑豊地区というのはだれが考えてみても、同和地区も確かに多いのですけれども、何といったって産炭地というその生活基盤が崩れたということがあの地域で最も深刻な問題ですから、この産炭地加配をどうして改善しなかったのだろうかというてとが私には不思議でならないのですが、その点どうでしょう。
#196
○阿部政府委員 いろいろな計画をこれまで――この教員定数改善計画も第五次の計画ということになるわけでございまして、その間にいろいろな計画を織り込みながら、その緊急度等を考えながら対応してきたという状況にあるわけでございまして、産炭地域につきましてはその前に、四次までの間にある程度の措置を行ってきた。その段階で考えましたときに、私も、過去のことでございますし当時担当でもございませんでしたので、具体の詳しいことを承知しているわけではございませんけれども、炭鉱の閉山等の急激な変化というのも一応のおさまりと申しますか、ある線でとまるというような段階にもあったというようなことから、この段階では、今後は同和地区の問題の方にウエートを置いて考えていこうというような対応でこの現在の第五次の改善計画ができている、こういうふうに理解をしておるわけでございます。
#197
○小沢(和)分科員 しかし、同和地区も別に人口が激増したとかそういうようなことがあるわけじゃないのですよ。しかも他方では、産炭地の深刻さというのは、さっき一つだけ私は数字を挙げましたけれども、これもまた一つも変わりがない。とすれば、私は、どちらも並行して改善に努めていくべきだったのではないかと思うのです。
 そういうようなことが行われていないためにどういうような現象が起こっているかといいますと、産炭地でありかつ同和地区が集中しているような、私がさっき名前を挙げました田川郡とか嘉穂郡とかいうようなところは、これは同和加配ということでかなりカバーされているのですけれども、例えば山田市というような、ここも生活保護、準要保護、これを合わせると二四・五%、田川郡よりはちょっと低いかもしれないけれども、嘉穂郡などよりはずっと上なんです。そういうような地域では同和加配というのはつかないから、したがっていわゆる学級緩和などというのも行われていないということで、非常なアンバランスが生まれている。同じように産炭地としては非常に深刻なんですよ。こういうようなアンバランスがいつになっても続いている、こういう状況なんです。
 しかも、私が非常に問題だと思うのは、福岡県の教育委員会に聞いたら、産炭地加配というのは、自分たちのところではそういう考え方はもう持たぬで、全部同和一本でこれも含めて配分してしまっている。産炭地加配というのは国からは出ているのに、同和加配一本で配分してしまっているというのだから、こういうようなゆがみというのはいよいよ大きくなっているのじゃないかと思うのですね。こういう実情にあるということは御存じですか。また、そういうアンバランスがあるということについてどうしたらいいとお考えでしょうか。
#198
○阿部政府委員 個別の県の中で具体に教員の定数配分がどういうふうに行われているかというところまで全部文部省がつかんでいるというわけではございませんので、御指摘の状況、私も承知はいたしておらないわけでございます。
 ただ、現在のこの教員定数の標準法によって決めております制度と申しますのは、各県別にどれだけの教員を差し上げるかということを決めているわけでございまして、産炭地あるいは同和といったいろいろな要素に着目して一応の積算を積み上げるわけでありますけれども、総体としてこの県は何千名ということで必要な定数を差し上げる、それを具体に県内のいろいろな個別の、もっといろいろな個別の教育の事情等もあるのかもしれないわけでございますが、そういうものに合わしてどういうふうに配分してどうやっていくかと。いうことは、各県が御判断をいただいて対応していただくことである、こう思っておるわけでございます。
 そういうことで、まさに県内全体の責任を持っている県の教育委員会と、それからそれぞれの地区の市町村等の教育委員会と御相談になって適切に対応していただくべきことではなかろうか、こう考える次第でございます。
#199
○小沢(和)分科員 私も一般論としては、そんな細かいところまで一々国が口を出すべきでないというふうに思うのです。ところが、私が今のような点を重視せざるを得ないのは、同和加配だけで配当されるということになれば、結局同和教育の充実のために配当されたということで、教育の中身にまでそれがつながってくるからなんですね。
 私はここに、昨年の中間市というところの「同和教育研究大会要録」というものを持ってまいりました。これを読んでみますと、同和教育ということで一番力を入れているのは狭山学習だと書いてあるのです。狭山学習というのは、御存じだろうと思いますが、昭和三十八年に埼玉県の狭山市で女子高校生が強姦され殺人をされた。この加害者だ、犯人だということで部落出身の石川一雄という青年が逮捕されまして、今では懲役刑の判決が確定して服役中なのです。ところが部落解放同盟が、この事件が起こってから七年目に、これは冤罪事件だということで、今救援運動を行っている事件であります。
 私は、そういう冤罪だというものが事実あるとすれば重大ですし、そういう運動をする自由は当然保障されなければならないと考えておりますけれども、これを公教育の場にそのまま持ってきて教えるというようなことは許されないんじゃないかと思うのです。どんなことを教えているかというと、二つの柱があって、一つは石川青年は無実である、だからこれは権力犯罪だというふうに教えること、もう一つはこの石川青年の生きざまに学べということなんですね。
 しかし、こういう現に少なくとも懲役刑の判決が確定し服役中の人物の事件について、無実だといって小学校などで子供に教える、強姦のシーンもあるような狭山の映画を教材だといって見せる、それから、こういう服役中の人、今真犯人だということになっているわけですね、その人の生きざまに学べなどと言って、もしこの人が真犯人だとしたらこれは私は重大な問題じゃないかと思うのですけれども、こういうようなことが公教育の場で今やられているということについて、これは私は大臣にお尋ねしたい。大臣、こういうことは許されるでしょうか。
#200
○海部国務大臣 公教育の場所というのは、児童生徒のそれぞれの発達段階に応じて、将来平和的な社会及び国家の形成者としての人格育成を目指して行われる場でありますから、そこに主たる教材として与えられる教科書を中心にしてそれぞれ組まれた教育課程に従って学校教育は行われるべきものである、私はこう信じております。ですから、具体的に係争中の事件とか、それらのような問題が公教育の場で生々しくあれされるということは望ましいことでは決してございません。
#201
○小沢(和)分科員 しかも、この同和教育というのは同和地区を抱える学校だけで行うんじゃないのです。中間市の市同和教育研究協議会の規約を見てみましたところ、市内の全小中学校が加入するとなっているから、もう自動的に全部の先生が会員なんですね。そして、今述べたような教育が市同研を通じて積極的に推進されている。こういう状態は筑豊一帯、さらに全県的にもあるわけですね。しかも、ただ教えるというだけじゃなしに、当然無実だというわけですから再審を要求する行動をしなければだめだということになりまして、この中間市の場合には、二月七日、五月二十三日、八月九日、十月三十一日と年に四回、子供たちにその石川青年の再審というようなゼッケンをつけて登校してこいというようなことが行われているのです。その準備から事後の整理まで含めれば、一年じゅう学校は狭山で明け暮れていると言ってもいいような状況なんですね。私は、こういう公教育と社会運動を完全に混同したような状況を放置しておくわけにはいかないんじゃないかと思うのです。
 ここに六十年七月、文部省が「同和教育資料」というものを出しております。これを持ってまいりましたが、この中には、「同和教育を進めるに当たっては、同和教育と政治運動や社会運動との関係を明確に区別し、「教育の中立性」が守られるよう留意する。」というふうに述べられておりますし、これを受けて、「対象地域をもつ学校における同和教育では、教育水準を高め、教育上の格差是正を図るため、対象地域の児童生徒の学力の向上と健康の増進を図り、進学や就職が適切に行われるよう、進路指導の充実に努め、広く社会の各分野における将来の発展を期する。」と述べられております。
 私は、ここに書かれていることはまことに立派だと思うのです。ぜひこういう指導を末端まで貫いていただきたいと思うのですが、この文書はどうも通達というようなものではないようなんですね。私は、今市し上げたような方向を全国的に末端まではっきり徹底するような措置をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#202
○高石政府委員 今御指摘の資料は、同和教育の関係資料として作成いたしまして、各都道府県の教育委員会等に配付をしているわけでございます。したがいまして、それぞれの教育委員会は、また管下の市町村教育委員会ないしは学校に対しても、この趣旨が伝達されるような対応をとっているところもあろうかと思います。ということで、この御指摘の基本的な方針、内容というのは、全国の各都道府県に対しても徹底するように指導していかなければならないと思っております。
#203
○小沢(和)分科員 今申し上げたようなことは現に今もやられていることなんです。ですから、ぜひこれが徹底されるように一層の指導をお願いしたいと思います。
 もう一言申し上げたいと思いますのは、こういう同和教育を推進するためということで、福岡県下に約三百名、同和教育推進教員というのが置かれているのです。この人たちは、クラスも持つな、授業もやるな、学校内のいわゆる校務分掌もするなということになっておって、全く同和教育の推進のために専従するということになっておるわけです。そして、学校の中で今言ったような狭山教育をやっておるか、あるいは再審要求の行動をやっておるかというようなことで先生たちを点検して回る係、さらに部落の現実に学べとかいって部落に入っていくということで、学校にろくにおらないで、事実上解放同盟の専従者みたいなことをやっているんじゃないかと言われるような者さえいるのですよ。
 私は、ただでも四十人学級の促進を、あるいはこういう加配された先生たちを本当に学力の向上のために有効に使ってもらいたいというふうに考えているのですが、こういうような状態というのは強力に是正するように指導していただきたいのですが、この点はいかがでしょうか。
#204
○阿部政府委員 同和地域に教員の加配を行っておるわけでございますが、これはもちろん児童生徒の教育が行き届いたものとして行われるようにという趣旨で行っているものでございます。ただ、具体にこれをどういうふうに使っていくかということ、あるいはそういう教員をどう位置づけていくか、これはいろいろなやり方があり得ると思うわけでございまして、先生も御案内と思いますけれども、この加配された教員を利用して四十人以下の学級を、小規模学級をつくるようにしているところもございますし、あるいは個別指導を徹底するために特別のクラスには複数の教員を配置するというような格好でやっておられるケースもある、あるいは授業のおくれている子供たちを特別に取り出して担当しているというようなケースもございます。中には、父兄との連絡でございますとか学校内部全体の同和教育問題の取りまとめ、連絡調整等に当たっておられるケースとか、いろいろなケースがあると思うわけでございまして、私は、それはそれぞれの地域の県の方針あるいは県教委、市町村教委の方針というものもあろうかと思いますが、そういった中で各学校が、自分の学校に一番適したやり方で、同和教育の推進あるいは学力の向上という見地から一番役に立つ方法というのを考えていってしかるべきだ、こう思っておるわけでございます。
 個別の実態については、特にそこまで文部省が立ち入っていくべきかどうかということについてはかなり疑問を持っておりますが、そういう御指摘が先生からあったということは、また適切な折に県教委にはお伝えをしておきたいと思います。
#205
○小沢(和)分科員 それでは、ぼつぼつ時間も迫っておりますので、最後にもう一点だけお尋ねをしたいのですが、現在、学級編制は五月一日現在で確定するという制度になっております。そのために、四月に開校したときはぎりぎり三学級できると思ってスタートしたけれども、五月に確定するときには二学級だということで、再編制して大混乱するということが間々あるのですね。これはもう本当に困るということを、今度私この質問をするためにあっちこっち行ったら聞いたのです。何かそれについて文部省が調査もしたというような話もちょっと聞いたのですけれども、末端でこういうような混乱を起こさないように適切な措置をとっていただきたいのですが、この点いかがでしょうか。
#206
○阿部政府委員 御指摘の点は、ここ一、二年ほどの間、会計検査院の指摘等によりまして、いわゆる学級の水増し問題ということで御指摘をいただきましたことでございます。意図的に生徒等の数を偽るというようなことは許されるべきことではございませんので、そういったケースについては厳正に対処をいたしておるわけでございますけれども、それにいたしましても、御指摘のような混乱が生じて困るというケースもあるだろうと思うわけでございます。そういう点につきまして、先日私の名前で県教委、各県に対しまして指導通知を発しまして、児童生徒数の見込みというのはできるだけ正確にやってもらうことがまずは大事だ、しかしながら、やむを得ない事情等ができた場合に何か弾力的に対応する。先ほども申し上げましたように、教職員定数は県に一括して差し上げてありますので、あるいは運用上何らかの教員数をプールしておいてやるというところもあるわけでございますので、その方法に限るわけではございませんけれども、何らかの方法で弾力的に対処するということもいろいろと工夫してみてほしい、こういう趣旨の御通知も差し上げておるわけでございますので、そういったことで今後事態が改善されることを期待をいたしておる次第でございます。
#207
○小沢(和)分科員 終わります。どうもありがとうございました。
#208
○大西主査 これにて小沢和秋君の質疑は終了いたしました。
 次に、小林進君。
#209
○小林(進)分科員 限られた時間でございますから。
 私は、日中議員連盟の関係でよく中国へ行きますが、文部省のやった教科書検定問題がまだ決して根が絶えたわけではありません、くすぶっております。従来、文部省の中で一室を設けて教科書の検定を、検査されたり、チェックしたり、バツをつけたりされているその制度、文部大臣はそれでオールベスト、これが一番いいのだというふうにお考えになっているのかどうか、それが一つです。そこからいきましょうか。どうぞひとつ。
#210
○海部国務大臣 よりよい教科書を児童生徒の手に届けなければなりませんので、教科書検定に当たってもいろいろ基準を設けて、今できる限り一生懸命、定員等もふやしながら頑張って努力をしておる。このように御理解を賜りたいと思います。
#211
○小林(進)分科員 私は、今の文部省行政、教科書の検定とか耳とか不可とかいう今の制度は、全く反対です。全く反対ですが、これは議論してはだめだし、実に長い話の問題ですから。ただ、願わくは、ああいうことを二度と繰り返さないように。
 文部省の、あなたのところの検定を担当している課長を呼んで私は話したことがある。南京には、南京大虐殺という記念館があるから見ていらっしゃい、そして現場の生々しいところを見ながら皆さん方、教科書の問題をいま一度考え直せということを言ったことがありましたが、これは大臣にも同じ要望をいたしておきますから、どうかひとつ機会がありましたらあなた自身が行っていただけば一番いい、さもなければ気のきいた部下――気のきかないやつはだめだ、何ぼやったってだめですから、ひとつ気のきいた部下をやらせて現実を見て、この問題を再考慮をしていただきたい。
 二番目は、私は、あなたも御存じのとおり私立大学にいささか関係をいたしております。末端の役員をやったりしてやっておるのですが、その立場から文部省の予算など拝見しているが、実に中曽根内閣になってから軍事費だけが突出して大きくなっているけれども、教育費や社会保障費がどんどん細まってきた。文部省の予算を拝見いたしまして実に慨嘆にたえないけれども、これはあなたが就任される前にできた六十一年度の予算ですから、あなたを責めてもしようがないが、いいも悪いも前年度と同じなのは、私学の経常費等に関する予算だけは差し引きゼロでいっている関係で、あとは私学振興の貸付金とか、これは去年から見るとがた落ちして落ちております。その他全部落ちている。文化国家だとか平和国家と言うならば、日に月に、年々歳々教育費がふえていくのが当たり前なのに、減ってくるとは一体何事ですか。特に今、私学の経営というのは大変苦しんでいる。大体私学だって、人件費が主たることになりましょうけれども、人件費を据え置きにしておくわけにいきませんから当然増だ。年々教授や職員の給料がふえていくにもかかわらず、皆さん方が経常費で御面倒を見ていただく金が据え置きだとかあるいは前年度より減額だということになりますれば、それだけでも学校の経営が成り立たぬことはお考えになってもわかることです。
 あなたは非常に私学に理解があるという、世間の誤解がもしれませんけれども、(海部国務大臣「正解です」と呼ぶ)そういう誤解が流れているが、その誤解に値するように私学をひとつ愛するように、今年度はここまで来たからしようがありませんが、ひとつ腹に含めて、来年度あたりは、海部さんが文部大臣になってくれてありがたいと世を挙げて喜ぶような画期的な私学振興の予算を組んでいただきたい、経常費を組んでいただきたい、これはお願いをしておきます。
 あわせて、私が常に大学で直面をする問題は、大学経営が困難だから量をふやせばいいじゃないか、これはそうです。そうすれば授業料もふえるし、受験料もふえる。だけれども、そうすると、いや文部省が非常にやかましくて、監督官庁がやかましくて、そういう余分な学生をとることは相ならぬと非常に強いおしかりを受ける、こういうわけなんですね。そうか、それじゃ困る、といって毎年毎年授業料を値上げするわけにはいきませんし、実に苦難の道なんです。そこで、私どもも経営の一端を負担をしているわけですが、そうすると常に教授側とぶつかる。教授側は年々歳々俸給、給料の値上げ運動。彼らは陰にこもってやりますよ、これが教授かと思うくらい実に陰にこもって値上げ運動をやる。それで私どもは反面、量をふやしたらいいじゃないかと言うと、文部省の監督も何だし、教育は量ではありません、質です、質を高めるためにはそう量をふやすわけにはいかない、こういうことを言うわけなんであります。
 そこで、今の経緯を申し述べて文部大臣にお尋ねしたいのです。高校も中学も小学校もありますけれども、大学に限って、一体大学の質とは何だと議論すると、教授側がいつも持ってくるのは、大学は質だ、質を充実するのが大学の任務だ。質というのは一体何でございましょうか。文部大臣、何だとお考えになりますか。
#212
○海部国務大臣 その前にちょっと先生に御報告をさせていただきますけれども、私学の重要性につきまして日ごろ先生初め多くの方々から御理解と御協力をいただき、予算の措置におきましても、文部省の中で必要なもの、必要でないいろいろ削ることができるもの、もっとも削ると言っても身を削るようなつらい努力でありますけれども、いろいろやりくりをいたしまして、私学は先生御指摘のように経常費だけ見ますと二千四百三十八億五千万円と横並びでございますが、研究装置費の方には一〇%の増額を結果としてしておりますし、高校以下の方は〇・六%の増額もしておりますので、できるだけこれは大切にしていかなければならない。特に高等教育では、人材の八〇%近くを育成し、養成してもらって、先生を初め私学御出身の人材が我が国を至るところで支えておっていただくわけでありますから、これは肝に銘じて私学は大切にして、これからも鋭意努力をしていきたいと思っておりますので、どうぞ御理解とお力添えをいただきたいということをちょっとお願い申し上げます。
 同時に、大学の質とは何だというのは、これはやはり学術、教育、研究のレベルが充実して高くなっていくということが、大学の質とは何だと言われると、一言で言えばそういうことだと私は理解をしております。
#213
○小林(進)分科員 あなたは研究費でちょっとふえたとおっしゃるけれども、財団に対する出資金はがた落ちしているし、また、格闘技やスポーツなんかの費用などはみんな減っているんです。あなたはちょっとふえたところだけ、これ見よがしに宣伝される。その手には私は乗りませんぞ。
 時間がないから急ぎますけれども、大学の質は学術とおっしゃった、研究だとおっしゃった。それらを総合して人でしょう、教師でしょう。だから、教師が大学の質を高めると言ったら、一体あなた方は、教授はどうだ、講師はどうだ、これは人間の問題じゃないか。私は、彼らが質だと言うその質をはね返して、ならば一体あなた方自身、教師自身が質を高めるためにどれだけの努力をしているかということを言っている。
 そこで大臣、あなたと同じのは、私学も国立も同じですが、公立も同じだが、教授の質を高めるための具体的措置というものを文部省が余りやると、またそれは私学に対する教育の干渉だとかやかましいことを言ってくると思いますけれども、一つの指導方法というが何か、これは私はきょう初めてではありませんよ、予算委員会や文教委員会がどこかでも私は論じたことがあるのです。アメリカなんというものは、五年に一回ずつ教師をテストしたりするんですね。研究論文がどうなっているとか、あるいは実績がどうかということで、テストをやりながら実に激しく教師の異動をやっておりますが、我が日本は官学、私学を通じていわゆる永年雇用制度というか、教授になるまでは大変な苦労を要するけれども、一たんなってしまうと永年雇用だ、チェックするものもない。だから、甚だしいのは十年前の講義のノートを持ってきて、十年一日のごとくそれを講義して能事終われりというような教師もなきにしもあらず。これでは本当に大学の質も高まらぬし、また、我が日本のような国全般を考えても、やはり学生の質が低下をするということ、その点を私は大変憂えているわけであります。
 この点をひとつ、私はよそのアメリカの例も挙げましたけれども、イギリスにおいてもしかり、フランスにおいてもしかり、他の大学の教授の採用方式や、あるいはまた訓練方式といいますかテスト方式、そういうものをひとつ横目で見て、日本にも教師の研さん琢磨をするそういう具体的な方法を大臣がお持ちになっているかどうか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
#214
○海部国務大臣 御指摘のように、教育は人なりという言葉がありまして、特に私が最初申し上げました学問の研究、教育、質を高める努力というのは、つまるところはやはり人であり教師でございます。私どもの友人と議論しておりましても、今先生御指摘になったように、任官されたらそれで最後までノーチェックでいいのだろうか。諸外国にはそういったことをしている例もある。また、日本でも一時期、教育改革の中でそのようなことが議論されたということも漏れ承っております。そういったようなことについては、大学の自主性とか学問、教育の自主性という壁がございますけれども、これはひとつ活気ある、活力あるいい学問の雰囲気をつくっていかなければならぬときでありますから、私どもとしてもよく勉強し、研究させていただきたい、こう思っております。
#215
○小林(進)分科員 おっしゃることはわかるのですよ。しゃべって終わったらここは弁論大会みたいになっちゃう。ここは政治の舞台ですから、何か実効を裏打ちするために質問もしているし、お答えもいただいているわけですからね。
 私は大学でも言うのですよ。自分の関係する大学でも学長をつかまえて、質だと言うなら学長、君は何もやらぬでもいい、君の配下にいる教授の実績だけを一つ一つ全部チェックせい、それをおれに見せてくれ、五年たったって十年たったって論文一つ書かないような、そういう教授もいるじゃないかと。それを皆呉越同舟にあしらっていて、今大臣がおっしゃったように、大学の自主性、自主性と言うと、今度は学部の自主性だ、教授の自主性だ、みんなこの自主性が学部から班までいってしまって、そして他の干渉といいますか指導を排除しながら、そういう怠け者がいわゆる象牙の塔の中にばんきょしている。これでは私は、本当の研究団体にも大学の教育にもならぬと思いますから、ひとつ大臣、研究じゃありませんよ、こんなにあなたのところにはたくさんいるんだから、局長だとかなんとか高禄をはんで、そして遊んでいるというわけじゃありませんからこういう諸君を動員して、そして一つのモデルというか指導のアウトラインというか、それを押しつけるのじゃないですから、文部省は教師の質を高めるためにこういうようなやり方もあるくらいなケースをひとつ示してもらえないか。どうですか、大臣、これを研究してそういうものを発表してもらえないか。それなら私がここであなたと議論した効果があるのですよ。やりますか、やってくれますか。
#216
○海部国務大臣 先生の御指摘、私もよくわかりますので、それをどうするかということをひとつよく研究させていただきます。
#217
○小林(進)分科員 こんな入り口だけで前に進まないのは残念だけれども、できればこれはどうしても私学全般に通ずる教授の質を高めるという一つのモデルケースをひとつ、いいじゃないですか、それはみんな採用せいと言うのじゃないのです、文部省はかく考えるというものだけでも示してもらいたい。よろしゅうございますか、示してくれますか。
#218
○海部国務大臣 先生御承知と思いますが、ただいま臨時教育審議会の中でもその大学教師の質のことでいろいろ御議論も願っており、経過の概要の報告だけでまだ答申は出ておりませんので、今ここで予断と憶測を持って乗り込んで介入するのもいかがかと思いますが、文部省は文部省といたしまして、それは非常に大切な問題でありますから、先生の御趣旨を体して研究させていただきます。
#219
○小林(進)分科員 臨教審がやっていることはよく承知していますけれども、私はあれに余り期待していないものですから、今までも申し上げましたけれども、ひとつ文部省独自で御研究いただくことをお願いいたします。
 時間がないものですから、次は、国会の中にスポーツ議員連盟というのがあるのです。それから武道議員連盟というのがある。その中で論議せられている問題の一つに、いわゆる全柔連、学柔連、講道館問題、これはこの前も我々の仲間の大出さんが文部大臣にお伺いしたというから私は重複を避けるようにいたしますが、それが一つです。
 それからいま一つは、これは坂本君等が熱を持って、我々もやっておりますが、いわゆる柔道、剣道以下格技をできれば一週間に一回ぐらい必須科目に、それくらいに採用していただいてやってもらえないかという意見をずっと持ち寄ってきておる。
 ここに格技の予算がありますが、格技というのは一体何ですか。
#220
○古村政府委員 格技と申しますのは、柔道、剣道、相撲の三つを包含いたしております。
#221
○小林(進)分科員 格技はその三つだけか、柔道、剣道、相撲だね。弓とか矢は入らないの、なぎなたも入らぬな。
#222
○古村政府委員 教育課程上で区分けいたしました格技、そこに書いてあります格技というのはそういうことでございます。
#223
○小林(進)分科員 それでいいというのじゃないのですけれども、私どもは特に柔道、剣道をできれば一週間に一度、必須科目に学校で採用してもらえないかと長い間お願いをしているんですが、これに対して文部省は、今の体育局長の前の今参議院議員をやっている柳川覺治なる者が大分努力をして糸口をつけてくれたんですけれどもならずして、今引き続いて今の局長に頼んでいるのですけれども、これは私ども非常に期待しているわけです。そのために武道大学ができたり、我々もやっているんだが、これを見ると、この予算も去年より減っているんだ。何でこれは減らすのか。去年は三億九百万円、ことしは二億九千九百万円。もっとふやさなければならぬものが減っている。こういうところに、どうも我々の希望と逆の方向に文部行政が動いている。残念でたまらないです。この点も大臣、ひとつ胸に入れておいていただいて、これが進展するようにお願いしておきたい。
 時間がありませんから、今度はいよいよ武道議員連盟の、講道館と全柔連、学柔連の問題なんですけれども、これが一番悪いのですよ。一番悪いのはだれかというと、せんじ詰めるところは文部省が一番悪いという結論になっている。いわば柔道の実勢の中で、人数も多いし一番主力、中心をなしているものは学生柔道連盟なんです。この学生柔道連盟がついにたまりかねて、全柔連という全日本柔道連盟から脱退した。その脱退した根本の理由は、いわゆる全柔連は講道館の末席にあって、講道館の支配のままに動いている。だから、世間の人はこれを一体何と言っているか、大臣御存じですか。大臣は何でも知っておられるし、またこれを大出君がよくやってくれましたから、私は同じことを繰り返すことはやめたいと思いますけれども、こういうことを世間の人は言っているのです。講道館は段位の生産会社である、そして全柔連はその独占的な全国販売会社である。講道館の成立の内容を調べていくと、段位を一生懸命つくり上げている、それで成立の糧を得ている。今度は全柔連というものがそれを全国的に売り歩いている販売会社だ。こういうような形になっているじゃないか、魂がないじゃないかということが、世評の一般化しているところなんであります。
 そこで、もうあなたも事情を者お知りだと思うけれども、あなたに断をもってこれを解決をしてもらわなければならないのです。今、体協傘下の競技団体は山ほどあります。私のところへ皆、競技の無料入場券なんか持ってきているから、これを毎日見ている。その中で、財団法人、社団法人にならないものは数えるほどしかありません。その中で、日本を代表するこの柔道連盟もまだ法人化していない、任意団体です。講道館が財団法人になって、その下に任意団体で存在している。一体、そのような不安定な形に放置しておいてよいのか。あなた方は所管官庁じゃありませんか、監督官庁じゃないですか。こういうままにしておいたのだ。だから、世間の人は言うのですよ。いや、それはしようがないよ、あなた、文部省の体育課なんていうのは、今のあの筑波大学、昔の嘉納治五郎先生の出られたあの教育大学の系統で、それですから全然、そういう柔道の近代化なんか考える諸君がいないのですよ、こういうことを皆、世間の人は言う。世間の言うことに口をふさぐわけにはいきませんからね。そこで私は、あなたにどうしても断をもって――この前の松永文部大臣も事情をよく知っておられたです。これはやらなければいかぬ、勇気を持ってやらなければならぬと言った。ああ、なかなかいい文部大臣が来たと思ったら、さっと一年もたたずに首をとられてしまって、やらずしてまた大臣がかわってしまった。
 そこで私が言いたいことは、今この中に法律問題として随分重大問題がついているのは、これも大出君が質問しましたから言うけれども、二十五億も出して講道館の設備を百周年記念がなんかでつくり上げる、そのつくり上げる二十五億の金のうち、これは文部省が指導したという、私がみんな聞いたら文部省の体育局の指導でございましたという。講道館は、法律上は一町道場ですから、とても免税の措置、所得税だとか法人税だとかその他の税金の免税措置を受ける資格がないものだから、それを免税措置をとらせるためには体協を活用して、その体協の傘下にある任意団体のいわゆる全柔連、全日本柔道連盟を利用して無税の寄附金を集めさせた。これは、名簿はここにみんなあります。幾ら集めたかも全部あります。微に入り細に入り資料はありますけれども、約九億何ぼの金を集めて、それをそっくり講道館の建設費用に回しておる。こういうことが一体許されていいのかどうか。
 教育の府たる文部省がそれを指導してやらせているのです、体協を指導して。体協は、いわゆる研究団体として無税の寄附を得る資格を所得税法で持っていますから、それを悪用して集めさせた。そして、そっくりそれを持っている。持っておきながら、だから全柔連はまさに段位の販売会社などと言われているのでありますけれども、そうしておいて、体協も手数料を少し入れるのだろうが、集めた無税の寄附金の中から三%ばかり還元をしたりして、そして運用しておいでになる。これが一体いいのですか。そういう指導をやっておいて、それでいいとおっしゃるのですか。
 それからいま一つ、今度は段位だ。初段から五段までの段位を取る人に対して、ここに資料がありますけれども、初段だけでも、初段の段位をもらうためには一人一万六千円から一万七千円くらい。同じ段でも剣道だと六千円か五千円で初段、二段がもらえるが、柔道は一万六千円から一万七千円。その中から、剣道の方は、初段のために集めた六千円から八百円ぐらいを、いわゆる剣道の連盟、全剣連ですか、たった八百円しか上納金といいますか手数料は取らない。ところが講道館の方は、一万六千円、一万七千円から九千五百円、約一万円の金を吸い上げているのですね。大体、初段から五段なんというものは、中学生から高校生、大学生、さもなければ町の健全なるいわゆる青少年、働きながら柔道場へ通っている青少年、そういう人たちが段位を取るために一万五、六千円、二万円も取られて、そして講道館に九千五百円も一万円も吸い上げられたのでは、とても段位なんか取れるものじゃありませんよ。やりたくたって柔道やれません。そういうことを文部省は皆放任して見ているのです。
 そうしてまた、段位に対する付加金だ。その道場を建設するために、その段位にまた付加金というものを課して、そして講道館が吸い上げているのだが、一体その付加金はやはり無税ですか、これも無税ですか、これはいわゆる所得税を納める寄附金ですか、その性格を教えていただきたい。片一方のいわゆる建設費の方はもう十億近く集まっていますが、これは無税ですから、こっちの段位に付加して取る金も無税の寄附金になっているのか、一体どういう性格のものであるか。どうもこれで十四、五億集める計画らしいですが、何でございますか。
#224
○海部国務大臣 基本的な考えだけ私から申し上げて、詳細は政府委員から補足させますけれども、先生御指摘の全柔連の問題は、やはり日本の柔道を統括し代表するにふさわしいものになってもらわなければならぬというのが当面のことでありますから、私ども今鋭意三団体を呼びまして、一本化するように指導、努力をしておるさなかでございます。
 全柔連というものがそもそもスタートしましたときのいきさつは、講道館の有段者とか旧武徳会の有段者、あるいは全国の柔道愛好家の代表が集まられて、一本になってやろう、段位問題は講道館にやらせようというようなことの合意を得てスタートしたのですが、その後、運営その他について、御指摘のようないろいろな柔道界の内紛もあり、また、今の全柔連に対して御批判のあることも十分承知しておりますので、真に統括するにふさわしい団体になってほしいと、体育局長が率先して三団体を呼んで合いろいろ指導しておりますから、その内容については本人からここで御説明いたさせますし、余計な指導や間違ったことはしておらぬと私は理解しておりますから、どうぞお聞き取りいただきたいと思います。
#225
○古村政府委員 三団体を呼びまして指導いたしておりますその基本的な考え方は、現在学生柔道界が二つに分かれておりますが、まずこれを一本にするのが一つの命題でございます。もう一つの命題といたしまして、先ほど御指摘がありましたように、全柔連は法人化されておりません。ただし、スポーツ団体というのは、大体法人化してその基礎をしっかりしておくという文部省の指導方針がございます。したがって、全柔連もひとつ法人化をしてしっかりした団体にしてほしいということをもちまして、法人化についての指導をいたす。この二つの課題を今三団体を呼んで指導しておる最中でございます。
#226
○小林(進)分科員 時間もありませんから議論する必要はありませんけれども、聞いていると大体考えはわかるのです。今の学生柔道は二つに分かれている、文部大臣、これは全然違うのです。
 一つの学柔連というのは、二百六十の大学を網羅し主力をなしているのです。これが脱退したら、いわゆる講道館派がこれはたまらぬというので、筑波大学を中心にしてそこらの大学を集めてきてつくったのが、大学の大をとって大柔連と言っているのだ。これはごみみたいな大学が二十ばかり入っているだけであって、ただ二百六十も七十も入っている大学に対抗するよう、これは文部省体育局長、あなたが指導してつくらしたんだろう、違うか。どうも、あなたがやったんじゃないかなんて話も出ておるけれども、おれは、そんなことはない、あの体育局長はそんなことをやる男ではないとあなたのために弁明しておいた。そんなものをもって二つに分かれていると言って対抗意識を高めている、それはいけません。
 それからいま一つ、講道館は、何といったって嘉納治五郎先生がおつくりになった名誉ある遺産ですよ。これは実に立派なものであるけれども、片方の全柔連は競技団体ですよ。生け花の師匠、踊りの師匠と違うんだ。講道館それ自身は、まさに生け花あるいは芸術の本家本元の創設者としての薫り高いものだから、この薫りは薫りで講道館は独自に、いわゆる柔道を鍛錬し教育し指導し、世界にその名を高めていくような指導性と教育を発揮していけばいいのであって、競技団体まで入ってきて、そうして柔道の柔の字も知らないような講道館館長がすぐ全柔連の会長だ。あなた、柔道を知っていますか。そういうことをやって事態をこんがらかせているのだ。伝統に輝く講道館と競技専門にやる競技団体は、びしっと分けるのが当たり前ではありませんか。なぜ分けられないか。そうしておいてこれを立派に法人化する。国民の税金までごまかして、いわゆる創設者の名を汚すようなことはやらぬでください。
 しかも、講道館に行ってみてください。講道館の大道場、二十五億もかけた道場は閑古鳥が鳴いていますよ。だれがあそこに行っていますか。そういう事態を見て、現実に即して指導してください。まず、講道館と全柔連を離してください。そして、平等の合併なんて言わないで、二百六十もだだだっと出て競技の中心をなしている学柔連と、こそこそとこそ泥みたいに一夜漬けでつくったような、十八か二十しか入らないような大柔連なんかと平等に扱うなどということは、あなたはいけません。
 そして、また言いますけれども、全柔連の基礎をなしているものはこれは府県単位にありまして、府県単位でやって警察官なんかも入っておりますけれども、大体町道場ですよ。全柔連の傘下にあるものは町道場です。だから今大臣にお願いして、柔道や剣道を正課にして、一週間くらい大学でも高等学校でも中学でも教えるようにしてくださいと言ったわけですが、全柔連の町道場では、府県から持ってきて教師なんかに依頼するような者はいません、悪いけれども。知性も教養も足りな過ぎる。しかし、学柔連の方は大学で正規の教育をした者ですから、教養も知識も知性もあります。同時にまた、そのOBも全部学柔連についておりますから、これが日本の柔道界の中心をなしている。この諸君に中心を置いて、近代的な明るい競技団体につくり上げるというところに文部大臣、あなたの奮起、努力をお願いいたします。ひとつ御検討をいただけませんか。
#227
○海部国務大臣 小林先生のいろいろな方面からの御調査や御意見を私もここで拝聴いたしました。申し上げておりますように、全柔連を日本の柔道を代表するにふさわしい組織にきちっと整備してもらいたいと思っておりますから、御質問の趣旨を体しながら体育局長によく指導するように申しつけ、私も横から努力をさしていただくつもりでおります。
#228
○小林(進)分科員 文部大臣から大変薫り高い御返答をいただきまして、ありがとうございました。これで終わります。
#229
○大西主査 これにて小林進君の質疑は終了いたしました。
 次に、水谷弘君。
#230
○水谷分科員 私は、色覚に障害を持っておられる方の問題につきまして最初にお尋ねをいたします。本院においても、また参議院においても、過去何度も先輩が議論をされてまいられた重要な問題でございます。
 五十九年四月十日の参議院の予算委員会において、厚生省の政府委員が色覚に障害を持っておられる方の数についてこのように言われております。「正確なデータはございませんが、幾つかの報告から推計をいたしまするに、我が国ではおよそ男性の四ないし五%であろうと思われます。」女性の場合は、男性の二十分の一以下と言われている。この推計によりますと、ほぼ三百万人ぐらいの方がおいでになる、こういうふうに私は推計をいたします。きょうは、小学校、中学校、高等学校そして大学、教育全般における色覚に障害を持っておられる方々に対する取り組み全体の中から、特に大学入試における障害者の方々に対する入試制限の問題についてお伺いをしたいと思います。
 これは過日、二月十七日、新聞報道がなされました。日本眼科医会の大学入試要綱の調査が発表されております。その調査の内容と私が文部省に資料要求をして出していただいた資料は、ほとんど一致しております。その中で、特に国立大学の入学制限というのがなかなか改善されていない。私学については、相当の勢いでこれが改善されてきております。文部省提出の資料によりますと、学生募集要項上入学不許可等と明示している学科等のある大学、学部は、大学は四十六大学、全大学の四八・九%、学部は百八学部、三〇・九%、こういうふうになっております。このようなことについて、文部省として今日までどのように取り組んでこられたか、どのように指導されてこられたのか、最初にお伺いをいたします。
#231
○大崎政府委員 一般的に入学者選抜に際しまして、健康診断ということが一つの要素になっているわけでございます。ただ、健康診断の結果の入学者選抜実施についてのかかわりにつきましては、毎年度大学入学者選抜実施要項というような形で各大学に適切なお取り扱いをお願いいたしておるところでございまして、昭和六十一年度の実施要項に即して申し上げますと、「入学者選抜に際して健康診断により不合格の判定を行うについては、疾病など心身の異常のため志望学部・学科等の教育の目的に即した履修に耐えないこと、又は伝染性疾患などにより集団生活に適さないことが、入学後の保健指導等を考慮してもなお明白な場合に限定することが望ましい。」という方針でかねがね指導しておるところでございまして、色覚異常者の取り扱いにつきましても、基本的にそのような精神で各大学に対して機会をとらえてお願いもし、御注意をいただいてまいったという経緯がございます。
#232
○水谷分科員 そういうふうに取り組んでおられるのですけれども、実態はちっとも減っていないですな。この日本眼科医会の調査、その調査に先立って昭和五十二年から六十年までの各大学の取り組みについてもいろいろ調べられております。それを見ますと、八年間で公立で色覚障害者の制限が五〇%からゼロになった。それから、私立が六九%から二三%まで激減をしている。しかしながら、今申し上げたように国立大学だけは六八%から約六〇%。ですから、それほどの努力は見受けられない。国立大学の場合を見ても、同じ学部でもこちらのAという大学は制限していなくてBが制限をしている、こういうことが現実にあるわけです。
 局長、いろいろ指導して努力をされているということでありますが、それはもっともっと克明に、私のところに各大学のサンプルがあります。比べてみますと、本当に確かに違う。ですから、これは文部省が少なくとも国立大学については責任を持って――本当にどうしても支障があってその学部に向かない、これは若干あるでしょう。しかしながら、御本人の努力やいろいろなことで本人がクリアできるという要望については、耳を傾けなければいけない。ただ線をぱっと引いてこれはだめだよ、そういうような取り扱いでは許されない問題だと私は思います。ですから、私立そしてまた公立が、そこまで細かく真剣にそれらの方々に何とか希望を持って勉強に励めるようにしていこうという努力の結果、こういう実態が出てきた。それに比べて努力が足りない、私はそう言わざるを得ないと思うのであります。いかがですか。
#233
○大崎政府委員 先生御指摘のように、国公私を通じまして各大学も改善の努力をいたしておるわけでございまして、国立大学につきましては、四年間で十四大学、二十五学部が制限を取り除いておるわけでございますが、なお四十六大学、百八学部が、一部の学科その他でそういう制限を設けておるということは事実でもございますし、公立につきましても八学部、それから私学につきましては私ども詳細なデータを現在把握してございませんが、日本眼科医会の調査によりますと、二十二校がなお残っているという状況にございます。
 国立が特に目立つ原因といたしましては、入学制限を行っている主たる理由が、大学側の気持ちを私どもいろいろ関係者から伺いますと、やはり将来の就職問題との関連で、就職の時点でいろいろお困りのような事態が生じることを、ある意味では未然に御注意をした方がいいのではないかという気持ちも中にはかなり含まれておるわけでございまして、例えば国立に非常に多い教員養成系等につきましては、将来の教員の採用方針というようなこととの兼ね合いで、取り扱いになかなか苦慮しておるというようなことも聞いておるわけでございます。
 ただ反面、先生御指摘のように、同じ種類の学科につきましても、大学、学部によって取り扱いを異にするというような実態もございますので、私どもといたしましては、やはり大学同士が十分専門を同じくする分野につきましても御相談をいただいて、でき得る限り制限を緩和をしていただく、あるいは入学後のきめ細かい指導ということも含めていろいろ御工夫をいただきたいということで、さらに取り組みを新たにしてまいりたいと考えているところでございまして、先般も国立大学協会に第二常置委員会という入試関係の委員会がございますが、その委員長の学長先生にも特にお願いを申し上げたところでございます。
#234
○水谷分科員 この日本眼科医会の学校保健委員会の委員であられる高柳先生が、諸外国ではどうなっているかということでいろいろ御調査をされたようでございます。アメリカ、イギリス、西ドイツ、スイス、ノルウェーなどいろいろお調べになった。ところが、そういう色覚障害を理由に制限はほとんどなされていない、こういう実態が明らかになっているのでございますが、それらはどう把握されておりますか。
#235
○大崎政府委員 諸外国の入試についての色覚障害者の取り扱いにつきましての具体的なデータというのは、残念ながら私ども持ち合わせておらないわけでございますが、ただいま御指摘のように日本眼科医会のお調べになった範囲では、どうも諸外国の大学でそういう制限がないのではないかというような御指摘も、眼科医会の出されたものには記載がされております。また、そういうものも拝見いたしまして、私も二、三の眼科関係の大学教授にも状況につきましてお伺いをしたこともございますが、詳細具体のことはわかりませんけれども、諸外国の大学においては、むしろ入学段階というよりは、入学後の専門に進む選択の段階あるいは卒業後の就職段階というところでは問題になるけれども、入学段階でそうはっきりした厳しい方針というのはないのではないかという御意見を、一応今承っているという段階にございます。
#236
○水谷分科員 どうかひとつ文部省、これは非常に大事な問題です。例えば、教員採用の場合にかなり厳しい。しかし、そういう方々に対するもっといろいろな総合的な努力を積み重ねていかなければいけないんじゃないか。いろいろなことがあります。教科書の問題それから例えば信号機の問題だとか、いろいろな議論が今日まで重ねられてきています。ちっとも改善されていない。ですからそれらも全部ひっくるめて、どうかひとつ大切なこれらの方々のために真剣なお取り組みを私はお願いをしておきたいと思います。大臣、ひとつくれぐれも、一言。
#237
○海部国務大臣 今御議論のありました色覚障害者の問題につきましては、各大学側にも、それはいろいろ調査をしてみますと言い分もあるようでありますが、しかし化学の実験にしろ図画工作にしろ美術にしろ、やはり色覚障害を持った人々がそこの場で、それにふさわしい教授方法とか教育内容等も各大学別個にそれぞれ考えてもらって、できるならば制限をしないで受け入れていきなさいという指導をきょうまでもしてきたわけでございまして、局長先ほど申し上げましたように、五十六年以来きょうまでで、十四の大学、二十四の学部でこの制限をなくしたという一歩の改革はあったわけでありますから、今後ともさらにこれは徹底をさせていきたいと思いますし、教科書の問題につきましては、色覚障害の生徒が教科書の地図とか図柄なんか見ますときに見やすいように、何か色と色との間にすき間をあけるとか厚い線を引くとか、いろいろな努力をすると見やすくなると言われまして、たしか今年度発行する教科書からそういった改革等も行っておると私は報告を受けておりますので、なおきめ細かく指導を徹底してまいりたいと思います。
#238
○水谷分科員 よろしくお願いをいたします。
 労働省おいでになっておると思いますが、今も就職の際にそれが支障を来すというようなお話がございました。雇用者側としては、確かに雇用の際にいろいろな条件を提示されるのは、これはある面ではやむを得ないかもしれません。しかし、そういう方々の社会における大きな活躍を期待する上から、できる限りこれらの障害を取り除くように、労働省としても雇用の際におけるそれらの制限等を改善できるように真剣に取り組みをいただきたいと思いますが、いかがですか。
#239
○小倉説明員 色覚に障害を持たれる方々の職業紹介、先生御指摘のとおりでございまして、私ども公共職業安定所におきましても、そういう色覚に異常のある方々がお見えになった場合は、的確にその状況を把握しながら適切な職業紹介を進めているところでございます。
 ところで事業主の側でございますけれども、事業主は本来能力と適性に基づいて従業員を採用すべきものでございまして、色覚異常を有するということのみで採用選考の対象から除外をしてしまうというようなことがもし見られました場合には、公共職業安定所におきましてはその事業主に対しまして、その採用を予定されている職種の職務遂行に色覚の異常がどの程度支障が生じるのかどうか、具体的に検討してもらいたいというお願いを一つにはしているわけでございますし、もう一点は、その色覚異常が障害とならないように職務の内容を工夫して雇用するような方法がないものかどうか、こういった点を十分事業主に対して指導をしているわけでございますけれども、先生御指摘のように、私どもといたしましてもさらにこういった指導の強化に努めてまいりたいと思うわけでございます。
#240
○水谷分科員 どうぞ労働省、ひとつしっかりお願いをいたします。
 次の質問に移りますが、児童生徒の家庭教育の重要性、これは今核家族化の進行や共働きの家庭がどんどんふえてまいっておりますし、また都市への人口集中、いろいろな社会的環境によって、児童の健全育成という上から見て留守家庭児童生徒に対する家庭教育が非常に重要であるわけであります。私の地元である栃木県内の留守家庭児童の調査を五十九年にやっておりますが、概算で一万二千人、これは小学校一年から三年でございますけれども、全対象児童が八万五千人ですから、約一四%の留守家庭児童がいるわけでございます。これは、五十五年の調査のときよりも一%ふえております。そういうことで、年々上昇を続けてきているわけであります。
 さらにまた、厚生省がまとめた五十八年度の全国母子世帯調査でも、離婚の急増が母子世帯発生のトップということになっておりますが、全国で七十一万八千百世帯、こういうふうになっております。共働きの御両親は、自分の子供の勉強の面倒を見てあげられない。特に小学校一年から三年というのは、学校の勉強だけではとても追いつかない。親が本当に細かく面倒を見てあげないと、その時期におけるおくれが将来においても大変なおくれになってしまう。そういう観点から考えますと、これらの留守家庭における児童生徒に対する対策は大変重要であると思います。今日までいろいろな対策を講じてそれには取り組んでこられているわけでありますけれども、さらにより一層これを進めていっていただきたい。具体的にどういうふうにお進めをいただけるか、お尋ねいたします。
#241
○齊藤(尚)政府委員 ただいま先生御指摘の学童保育の問題でございますが、これは基本的には児童福祉の観点からなされるべきものでございまして、現在厚生省におきまして、都市児童健全育成事業というような施策を推進しているというふうに承知しているわけでございます。文部省といたしましては、放課後の児童のあり方の問題は児童の健全育成とも重要なかかわりがございますので、校庭の開放とか子供会等の青少年団体の育成の問題とか、その他青少年教育の活動の充実に努めているところでございます。
 また、御指摘の家庭教育の問題でございますが、いわゆる共働きの家庭を含めまして家庭教育の振興、充実に努めているところでございますが、従来から行っておりました家庭教育学級に加えまして、昭和六十一年度からは働く親のための家庭教育学級、そういう開設につきまして市町村に補助をするというようなことで、家庭教育の充実策につきましても前進をさせたいと考えているところでございます。
#242
○水谷分科員 大臣、今のことをちょっと御答弁をいただきたいと思います。
#243
○海部国務大臣 局長がいろいろ申し上げましたが、私の考え方を言いますと、児童生徒は家庭において人生の最初の教育を受けるものなり。学校で合いろいろな問題が言われておりますけれども、それも家庭において御両親と子供との間の交流やしつけがうまくいっておれば、まず片づくだろうと私ども思いますけれども、社会情勢の変化とかいろいろな事情によってそういったことが満足に児童生徒に会得できないとするならば、社会教育の方であらゆる生活体験を身につけてもらう。例えばグループ活動であるとか、もう少しみんなが体ごとぶつかり合ってスポーツに汗を流すようなことができる場を設けていくとか、いろいろな方法はあるでしょうけれども、これからも親の方に自覚を求めながら、同時に児童生徒がそういった体験を持つことができるように施策を進めていくことが大切なことだと私は理解をしております。
#244
○水谷分科員 六十一年度からの新しい事業のスタート、これは大変な前進だと思います。今大臣おっしゃるように、私も同じ考えに立っております。やはり家庭における親の子供に対する対応が、特に一年から三年または就学前、もっと言えば誕生する以前から親の大変なかかわり合いがなければ、立派な子供の教育は進められないと思っておりますが、残念ながらそれをしたくてもできないという御両親たちのために、より一層の制度やら取り組みの充実を重ねてお願い申し上げておきます。
 以上で終わります。
#245
○大西主査 これにて水谷弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、塩田晋君。
#246
○塩田分科員 兵庫三区選出の塩田晋でございます。私は文部省の関係行政につきまして数点お伺いいたします。
 まず最初は、小中学校の教職員族費の問題でございます。
 予算措置といたしまして昭和五十九年度まで補助金、六十年度以降が交付金になっておるようでございますが、その総額、それから補助金の段階ではその単価あるいは超過負担、補助態容、小中別に御説明をいただきたいと思います。
#247
○阿部政府委員 ただいまの御質問にもございましたように、小中学校の旅費につきましては従来から国庫負担の制度をとってまいったわけでございますけれども、昭和六十年度予算の編成に際しまして、国の財政事情が大変厳しいことあるいはその旅費等を計上することが地方の予算の中でも定着をしてきているというようなこと等を総合的に勘案をいたしまして一般財源化を図ったわけでございます。
 旅費等の単価でございますけれども、これは小中学校とも共通の単価として五万八千八百円という単価を昭和五十四年度ごろからとってきておるわけでございますが、今回と申しますか昭和六十年度に交付税に切りかえました際にも、交付税の上でやはり同額の五万八千八百円という予算措置をしていただいているわけでございます。この単価は、従来から文部省の方針といたしまして、おおむね各都道府県の実態等を調べ、実績計上額等を参考にした上で毎年度の単価を決めていくというような形でやってまいりました。現在の数字が一、二年前の数字になりますけれども、やはり五万八千八百円程度の単価が各県で実際に計上している実情どおりであろうかと思っております。
 なお、この切りかえに際しまして、切りかえ前と切りかえ後でどうなったのかということでございますけれども、切りかえ前と切りかえ後では、つまり昭和五十九年度と昭和六十年度の各県が計上いたしました予算総額は、六十年度の方がごく若干でございますけれども、三億円ほど増加をいたしております。
#248
○塩田分科員 これは小中学校ともに同額でございますか。
#249
○阿部政府委員 単価は、小中学校同じ単価で従来から扱ってきております。
#250
○塩田分科員 実は、実際の運用につきましていろいろと要望、苦情が聞かれるわけでございます。といいますのは、中学校の場合は、御承知のとおり上級学校進学の指導の関係から高校を訪問したり、あるいはまた就職の関係につきましても会社訪問をしたり、あるいはまた部活動が小学校と違いまして、他県へ出かけて試合をする、こういうケースが多いことは御承知のとおりでございまして、小学校と比較にならないわけでございます。ところが、今御説明がありましたように旅費が同額であるということにおきまして、実際の運用面で非常に困っておられる実情がございますが、文部省はどのように見ておられますか。
#251
○阿部政府委員 小学校と中学校で族費の必要度が違うであろうという御指摘につきましては、御指摘のような事情は恐らくあるのではないかと思っておりますし、また、いろいろな機会に関係者等からそういうお話も耳にいたしておるわけでございます。
 ただ、国の立場といたしましては、これらのものは一応の予算の積算の根拠にしているというだけで、あとはまとめて幾らという金額でこれまで負担金は県に渡してまいりましたし、また各県等におきましては、それぞれの事情に応じて従来からも国の単価どおりでは必ずしもなく、それを若干上下するような形でそれぞれの県の事情に応じて予算が計上されてきているというようなことでもございますので、小と中の違いについては基本的には各県の中でそれぞれの状況に応じて予算の配分をしていくということが望ましいことではなかろうかと思っているわけでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、全体の旅費が大変厳しい状況にございまして、先ほど申し上げましたように、昭和五十四年度から予算単価がずっと据え置かれてきたというような経緯等もございますし、いろいろ要望等もございますので、その点等はいろいろ関係者から承った上で文部省としても研究し、必要があればまた地方財政当局にその旅費の単価の問題については御検討いただくようにお願いをしていくというようなこともこれからの研究課題とさしていただきたい、かように考えております。
#252
○塩田分科員 前向きの御答弁をいただいたわけでありますが、文部大臣、この問題いかがでございますか。アンバランスの是正という観点に立って思い切って措置をしていただきたい、このことを要請したいのでございます。単価が昭和五十四年以降交通費の値上げにかかわらず据え置かれているという現状からいって、小学校の教職員の旅費を上げてもらいたい気持ちでございますが、なおその上に部活動あるいは進学あるいは就職等の活動のために必要な中学校の教職員につきまして特別に配慮していただく、思い切って増額をしていただく、そう何十億というお金じゃないと思いますが、とにかくプラスをしていただきたいということを強く要望したいのでございますが、大臣、いかがでございますか。
#253
○海部国務大臣 御指摘の点は私もよくわかるわけでありますから、具体的な必要に応じて、そういった活動が円滑に行われますように実情に応じて対応していくように各都道府県の教育委員会に指導をしてまいりたい、こう思います。
#254
○塩田分科員 ありがとうございました。ぜひそのように実現のために御努力をいただきたいと思います。
 次に、古文書の問題についてお伺いいたします。
 この古文書の問題は、御承知のとおり全国に我が国の古来の貴重な文献、文書が各地にあるわけでございますが、その重要度合いによりましてまたいろいろ国として措置をしておられると思います。これは研究者、専門家にとりましては非常に見たい、閲覧をしたい、また手にとってでも見たい、あるいは手元に置いても見たい、こういう希望があることは当然でございますし、御存じだと思います。この古文書につきまして、現在文部省としてはどのような扱いをしてきておられるか、まず一般的な施策の方針、行政の実態についてお伺いいたします。
#255
○加戸政府委員 古文書につきましては、我が国の歴史上の史実を伝えたかけがえのない貴重な文化財ということで、文化庁といたしましてもその保存と活用につきましては万全を期するように指導しているわけでございます。
 ただし、古文書と申しますのは、その紙質自体が和紙などの脆弱なものでございまして、長年の間に虫食いその他の損傷をこうむっているケースが多うございますし、その取り扱いには慎重を期する必要があるわけでございまして、基本的には公開にたえ得るようなものにつきましては、公開展示をする。しかし、公開展示をすることが適当でないものにつきましては、写真、フィルムあるいは焼きつけ等の提供をするにとどめるというような、適宜、その古文書自体の現在の状況等にかんがみての判断を行っているわけでございます。
 なお、特に現物でなければならない、つまり文書の筆跡であるとかあるいは史実の調査をしたいとか、そういったまさに現物に当たらなければ研究できないというような特殊研究の場合につきましては、そういった要望にこたえられるよう指導はしているわけでございます。
#256
○塩田分科員 一般的な取り扱いにつきましてはお聞きいたしましたが、大臣、専門的な方は非常に興味を持って、一生懸命細かい点まで見ようとされるわけです。そうすると、今言われましたように、摩減しては、損傷してはいけないというので、ガラス張りでのぞいて一生懸命書き取るというものもあるわけですね。場所によっては時間が限られていますね。そしてガラス越してこう立って、恐らく老学者にとってみましてはかなりの負担だと思うのです。時間は限られて、もう少しと思ってももう見られない、閉館してしまう、こういうこともありますね。そういった点を何とか利便を図ってもらえないだろうか、熱心な方は本当にそうおっしゃるわけです。
 もう一つは、今の写真等でコピーをとられるということでございますが、これに文部省予算はどのくらいかけておられますか。
#257
○加戸政府委員 文化庁が所管いたしております例えば国立博物館等におきましては、それぞれの所蔵の古文書につきまして、マイクロフィルムの作成というのを段階的に進めておるわけでございまして、今整備途中の段階でございますが、そういった方向での対応をいたしておるわけでございます。
 なお、都道府県、市町村等におきますそういったマイクロフィルム化につきましては、それぞれの都道府県、市町村において独自に御対応願っているところでございまして、そのために国費を例えば補助するというような制度は設けられておりません。
#258
○塩田分科員 国費でもって直接マイクロフィルムをつくって保存をしておられる、そのための予算、経費は年間幾らでございますか。
#259
○加戸政府委員 それぞれの博物館におきます庁費によって対応しているわけでございまして、そのための具体的な数字は、私、恐縮でございますが、ただいま持ち合わせておりません。
#260
○塩田分科員 一館について二億というような金額も予算の中で見られるわけです。そのつくられたコピー、マイクロフィルム、これをどういうふうに処理をしておられますか。
#261
○加戸政府委員 マイクロフィルムにつきましては、それぞれ資料を整備する形でとっておるわけでございまして、その保存管理には万全を期しているわけでございます。マイクロフィルムといいますものは、もちろん研究者等の要望に応じまして、そのコピーを差し上げるところに意義があるわけでございますので、そういった要望には対応するようにいたしております。
#262
○塩田分科員 フィルムをつくるのは国費でつくられるわけですね。そしてそのコピーを利用者に対しまして提供する場合は有料ですか。それとも部数等は限らないわけですか。大体私が調べたところでは二コピーをつくる。一つは保存して、一つはそういうふうに外来の利用に供するというふうに聞いているのですが、原則、いかがでございますか。
#263
○加戸政府委員 基本的にはコピーの実費をちょうだいするというシステムになっていようかと思います。
#264
○塩田分科員 これは非常に貴重なコピー、マイクロフィルムは二つだけだ、これはよろしいですか、二つしかないというのは。二つしかつくってない、国費でつくる場合はですね。
#265
○加戸政府委員 マイクロフィルムにつきましてはいわゆる原本一部、当該博物館で所蔵いたしておりますのは一部のみでございます。
#266
○塩田分科員 あとの一部は外来の利用に供するために有料で貸し出すのですか、あるいはその場でコピーをとらせるのですか。
#267
○加戸政府委員 当該博物館で所蔵しておりますマイクロフィルムを例えば拡大してのぞいていただく場合もございますし、そのマイクロフィルムからコピーを、つまり拡大したコピーをとって利用者に差し上げる、二とおりの対応があろうかと思います。
#268
○塩田分科員 大臣、今お聞きになりましたとおりでございまして、見たいという要望の非常に強い学者あるいは専門家がたくさんおられる。見ようと思っても、コピーは一部とってある、それをもう一部の分かあるいはその分か知りませんが、貸し出してそこでコピーをとらしてもらう、有料でそれを持って帰る、こういうシステムだという御説明があったわけです。これは非常に不便をかこっておられるわけです、そういう現在のシステム。コピーをとらしてもらうことは一歩前進でございますけれどもね。
 大臣も御承知のとおり、今全く同じような複製、復刻版といいますか、ぼろぼろになったらぼろぼろになったような、あるいはシミが入ったらシミが入ったような、そのままにつくり直しまして、例えば古事記にしろあるいは太平記にしろいろいろな版がありますから、それを比較検討するのに、例えば私立の大学図書館なんかはそういう需要の多いところは復刻版といいますか、同じような複製版をつくって提供しているわけですね。これはもちろん実費を払ってのことですけれども、今のコピーをとるという手間は要らないわけです、買ってくればいいのですから。ところが、国がタッチをして国がやっておられる分についてはそれはしない。しないで、今言われたコピーを二つか一つかとって持っておかれて、そしてそれをコピーをして差し上げる、こういうシステムなんですね。
 これはどうでしょうか。そういう需要があれば、もしそういうことが可能であるならば、これを復刻版、複製版にすること、これはいかがでしょうか。そうしたら、ある面ではコスト安にもなるのですね。毎年何億円もかけてコピーをとって不便な貸し出しをしてコピーをとらせるよりは、そういう複製版をつくって一般の需要にこたえる方が、これはある面では費用もかからなくなるのじゃないか、国費の節約にもなるのじゃないか、このように思うのですが、いかがでございますか。
#269
○加戸政府委員 国の施設等が所蔵しております古文書は相当膨大な点数に上るわけでございまして、その中でそういった複製にどれがなじむか、なじまないか、あるいは学術的価値が高いか低いかという取捨選択、判断というのも難しい問題がまず一つあろうかと思います。
 さらに、今先生おっしゃいました、確かに一つの考え方ではございますが、それを複製、頒布するといいました場合に、一体どの程度の需要があるのか、つまり、印刷、製本、配付に要する経費をペイするだけの需要が果たして考えられるのかどうか、そういった点を考慮いたしますと、なかなかもって踏み切りにくいような点があるのではないかという感じがいたしております。
#270
○塩田分科員 大臣、今の答弁は役人的発想なんです。私も役人をしておりましたからわかるのですけれども、役所としてはかたくかたくそういうふうに考えられます。
 私がこれを申し上げておりますのは、私立大学で、図書館で貴重な古文書が公開されまして、私はできているのを見たのです。それを見たから申し上げているわけです。今言われましたような、需要があるかどうかという役人的発想ではできないのです、かたく考えればそんな商売は考えられないですから。しかし、現にそういうものができて需要があってちゃんと成り立っているということは、それだけ民間ベースでの採算があったのかあるいは大学側との話ができてやっているのか、とにかく立派なものができているのを私は現に見ているわけです。古い文書ですよ。それを国が握っておられるものについてはできないという、そこが問題だということを申し上げておるのです。これは役人的発想ではできないのです。これは大臣の政治的な御判断になると思うのですが、いかがでございますか。
#271
○海部国務大臣 お話を聞いておりまして、私自身の乏しい体験からいきますと、そういった非常に価値のある古文書、文化財をなるべくそのまま大切に保存して公開しなければならないのは当然でございますけれども、それを具体的に複製するのですか、そして欲しい人がそれをすぐ求めることができるように国の持っておるものも準備したらどうか、こういう角度の御質問だったと思うのですが、その必要性とか需要とか、どれをどの程度やったらいいかということ等については、私は専門的知識を全く持ち合わせませんので、例えば町の書店などに相当いろいろなものが整備されて売られておりますね。ですから、ああいうようなことで研究者の人々の要求があり、それを出版してあげようという人があったときには、それは国としても公開することにはやぶさかではありませんから、どんどん協力をしてそういったものができるようにしていくことはいいのですけれども、国がそれをつくって――先生の御指摘は常に用意しておれということですか。(塩田分科員「いや、そうじゃないです」と呼ぶ)そうじゃなかったら、そういったものを復刻製品ができるように資料を提供して御協力するということは前向きに考えていって結構なことだと私は思います。
#272
○塩田分科員 ありがとうございました。ぜひともそういう方向でひとつ御検討いただきたい。いろいろな問題があると思います。あるからこそできてないと思うのです。とにかく役所が管理しておられるのですからなかなか難しい問題があることは十分承知しております。それだけに今大臣がおっしゃいました方向で実現のためにひとつ十分御検討いただきたい。このことを強く要望申し上げます。非常に全国の学者、専門家が喜ばれると思います。ありがとうございました。
 続きまして、これに関連いたしましてちょっとお伺いしておきます。
 これはせんだってNHKで報道されまして全国で反響を呼んだことですが、正倉院御物の一部が切り取られてどこかへ回っているとか、あるいは古文書も古書店等で売られているとか、もちろん大変な値段がついていると思うのですが、そういう話がNHKの特集で報道されました。ごらんになった方は多いと思いますけれども、文化庁はもちろん御存じだろうと思います。果たしてそういうことが本当なのかどうか。NHKがやられることですからまんざらうそじゃないと思いますけれども、これはどう見ておられますか、どう処置をしようとしておられますか、お伺いいたします。
#273
○加戸政府委員 正倉院宝物につきましては宮内庁がその保存管理に万全を期しているところでございまして、文化庁が口出しすべきことではございませんが、昨年十一月三十日だったと思います、NHKのテレビ特集、ドキュメンタリーで放送されました中でそういった正倉院宝物の流出ということが伝えられたわけでございます。これは多分江戸時代末期あるいは明治時代初期のころのことであって、明治十七年に宮内庁が所管になります以前のことではなかろうか。そういった時代に流出されたものが転々流通をし、今古美術商で扱われているものではないかと推察しておるわけでございます。あるいはそのほかに、正倉院宝物というような形で模造品もあり得るとは考えられますけれども、いずれにいたしましても、少なくとも明治初期以降、つまり宮内庁が管理して以来のものについてはあり得ないことだと考えております。
#274
○塩田分科員 わかりました。
 それでは、最後に一点お伺いいたします。
 国の重要文化財、そしてこれの一つ格が上になるのが国宝だと思うのですが、一般論で結構でございますが、このランクづけはどういう基準でなされているのか、価値評価が変わった場合に重要文化財から国宝になることがあるのかどうか。価値基準といいますのは、戦前と戦後で、例えばの話ですが、足利尊氏は戦前は逆賊だ、だからこれに関するものは、価値があるものでもランクが低い。戦後になると逆賊も何もない、南北朝の正閏論の中での問題だということで客観的に扱われますと一ランク下である必要はない、こういうことになりますね。それから、最近のいろいろな研究で、この重要文化財は非常に価値のあるものだというふうになってきた場合、どういうふうに格上げされますか、その辺のことをお聞かせいただきたいと思います。
 時間がございませんので、もう一つ関連してお伺いいたしますと、国宝とか重要文化財につきまして火災の被害を受けないように防火設備をいろいろとやっておられますね。それに対する国の補助はどういう基準で、例えば来年度予算では何カ所、何億円を予定しておられるか。予定されておるのはもう箇所づけが決まっているのか、これから持ち込んでもだめなのかどうか、それにつきまして私は具体的なものを持っておるのですけれども、それは別といたしましてお伺いをいたします。
#275
○加戸政府委員 まず、御質問の第一点の重要文化財あるいは国宝についての考え方でございますが、文化財保護法の上では、文化財のうち重要なものを重要文化財という形で指定をさせていただいて、そのうち特に重要なものについて国宝、これは建造物とか美術工芸品についての文化財、そういったジャンルについての扱いでございます。そこで、重要文化財あるいは国宝に指定するという段階におきましてはそれぞれ文化財保護審議会の議を経まして指定するわけでございまして、その前提としては当然学界におきますいろいろな研究成果あるいはそのものに対する評価を文化財保護審議会あるいはその下部機構でございます専門調査会において慎重に審議検討するわけでございます。したがって、どのようなものを重要と認めるかというのは、先生御質問ございましたように時代によって異なることはあり得ると考えられます。しかし、その異なるということは、かつて指定した段階におきます評価と学説等が、あるいは専門学者の見解が変わってきたというような状況によりまして、かつては重要文化財であると考えていたけれども、現時点では国宝に相当するような判断が下されることもございます。また、現に過去に重要文化財であったものが国宝に格上げされるケースも相当数ございます。そういう意味で、物に対します歴史上、学術上、芸術上の価値判断というものは必ずしも固定不変ではなくて、時代によって変遷はあり得るということでございます。
 次に、防災設備の問題でございますが、防火防災設備につきましては、数字は正確ではございませんが、建造物、美術工芸品を含めまして六十年度予算で約五億円だったと思います。まだ六十一年度の予算が成立しておりませんけれども、成立いたしましてこれから六十一年度分は執行するわけでございますが、箇所づけその他はまだでございまして、予算成立後、各地方公共団体、都道府県等からの意見を徴しながら個別に検討し、箇所づけをしていきたいと考えております。
#276
○塩田分科員 ありがとうございました。終わります。
#277
○大西主査 これにて塩田晋君の質疑は終了いたしました。
 次に、渋沢利久君。
#278
○渋沢分科員 今も行われておりますが、中国に長くおられた日本人の皆さんが肉親探しをやられている。この場面は比較的ライトを浴びる華やか――華やかなと言っては正しい言い方でないかもしれませんが、一見マスコミの話題などを集めておるわけでありますけれども、このような経過を経たりあるいは国レベルのこういう肉親探しの機会で日本に帰ってこられる方々だけでなしに、待ち切れないかいろいろな事情で自費で日本に帰ってこられる方もいらっしゃるわけであります。いずれにいたしましても、戦争が原因で外国に長くおいでになって、日本人として言葉を失ったというか言葉を知らないという環境の中でにわかに日本に帰ってこられる。日本に帰ってこられた方々の暮らしの問題というのは意外とスポットを浴びない部分で、しかし実は非常に大きな困難にぶつかっておるということがあると思います。最初にして最大の障害は言葉の障害である。これは大人の皆さんには社会教育的な観点から、まして子供たちの場合には学校教育的な立場からこの日本語を知らない日本人の引揚者への対応というものは、日本の政府にとりましても、数の多い少ないにかかわらずこの痛みは国として受けとめなければならない責任のある痛みである、解決しなければならない責任課題だと思うわけです。文部省としては、日本語を正しく早く知ってもらうための環境づくり、環境整備ということのためにどういう対応をしておいでになるかということをまずお尋ねしたいと思います。
#279
○海部国務大臣 御指摘のように、日本へ帰ってこられて日本語がわからないということが一番いけないことでありますから、この中国引揚者の皆さんのための日本語教育というのは、例えば大人になられてから帰ってきた方のためには夜間中学校で特設授業、特設教室なんかも設けてありますし、また帰国した孤児が連れてこられた子供さんのためにはそれにふさわしいような教育をしなければならぬというので研究指定校なんかもお願いをし、また今年度予算で新たに組もうとしておるのでありますけれども、中国語のわかる人に巡回してでも教育指導をしてもらうことがきめの細かい行き届いた配慮になるのではなかろうか、文部省としてはそういったことを広げていこうと思っておりますが、中国帰国孤児の定着促進センターというのが厚生省の所管でもございまして、これは帰ってこられたときに四カ月間、生活指導とともに日本語の教育をまず身につけていただくというような制度等も行われておるわけでありまして、関係省庁や地方の自治体とも十分協議、相談をいたしまして、これらの目的に従って日本語を早く身につけていただけるように、早く生活になじんでもらうように努力をしていかなければならないというのは委員御質問の趣旨のとおりだと思っております。
#280
○渋沢分科員 大臣御指摘の夜間中学における特設学級、教室といいましたか、それは私も承知しておりますが、具体的には日本に幾つ、どういう形で設けられておりますか。研究指定校というものについては具体的にはどういう中身でどのように配置されておるのでしょうか。あるいは今中国語のわかる人の巡回指導をやるとおっしゃいましたが、これは例えば中国語のわかる非常勤の教師の配置ということのようですけれども、そこをもう少し具体的に、どういう資格のある者をどのくらいの数、どういう範囲へやろうという計画でおありになるのか。そして、それらの対応が今日本に帰ってきておられるこの引揚者の皆様方の要求に十分こたえたものだとお考えでいらっしゃるのかお尋ねいたします。
#281
○阿部政府委員 中国から引き揚げてきた方々の子供さんたちにつきましては、昨年の五月一日に文部省として公立学校への受け入れ状況についての全国調査をいたして、先般その結果がまとまりまして一般にも公表したところでございますけれども、全国の小中高等学校、公立でございますが、そこに約二千三百名の子供さんが入ってきております。それが千数十校の学校に散らばって入っているというところが一番難しい問題のあるところであろうかと思っております。そのうちの五百九十校、半分以上は一つの学校に一人の子供さんが入っておる。そして、一般の帰国者子女の問題等と違いまして全国各地にばらばらに戻ってきております。一般の帰国子女の場合ですと、東京その他の都会地に集合しているわけでございますけれども、中国からの引揚者子女の場合には東北地方とか中部地方とがそれぞれの村、それぞれの町の小学校、中学校に入ってきている、一校に一人ぐらいという感じになっているというところが大変難しい点でございます。
 文部省といたしましては、先ほど大臣からもお答えを申し上げましたように、従来から研究指定校制度というのをとりまして、約十人前後の子供たちがまとまって引揚者児童がいるところにつきましてはそれを研究指定校として指定し、文部省としても教員の加配等を論ずるということでその指導に積極的に対応していただくと同時に、そこでの研究の成果を他にぱらぱらに帰ってきておられる学校の先生たちにも理解していただこうというようなことをねらってそういう制度を設け、実施をしてきたわけでございまして、そういった中で、先生御案内のように、東京都なんかの場合には葛西の小中学校についてそれを特設学級という格好で設けるというような形のものもございますし、あるいは広島の観音中学校のように夜間中学と申しますか、夜間学級ということで設けた中にかなり年輩の人も含めて夜間中学の生徒として入ってきているというようなケース等もございます。また、具体の対応といたしましては、そのほかの研究指定校等におきましてはいろいろな対応の仕方があるわけでございまして、例えば横浜の元街小学校なんかの場合には一週間のうち何日かを特別のクラス編成で指導をする、残りの何日かは一般の子供たちと一緒に指導するというようなこと、これは地域が横浜というところでございますので、比較的中国語の指導者を得やすいところだと思いますけれども、そういうところで行われていると承知をいたしておるわけでございます。
 なお、そういう現状からばらばらに散らばっている子供たちに対する指導の手を、何らかの措置を考えたいということで、昭和六十一年度の事業といたしまして、一つは大臣からお答え申し上げましたような巡回指導をしていただく中国語のわかる方、これは特に資格等をどうこう考えておりませんで、日本語の指導をしていただく、あるいは先生と子供との間のコミュニケーションが言葉の関係でうまく通じないところについては何らかの手助けをしていただくとか、いろいろなことで巡回指導をしていただくような方を市町村の教育委員会に置いて、その方に幾つかの学校を回っていただくということを新しい試みとして一つ取り上げていこうといたしておるわけでございます。これは今十の教育委員会ということを一応予算上は予定しておるわけでございます。
 それから、そのほかにまた新たな事業といたしまして、現実に子供さんを受け取る先生方のために指導の手引書をつくろうということで、現在、その手引書の作成に既に手をつけておりまして、各地の受け入れ学校の実態、葛西中学校等を初めといたしまして、そういった実態等も見ながら今その指導の手引書の作成にかかっております。
 さらにそれに加えまして、聴覚で――子供に文字の教材はこれまでもあったわけでございますけれども、聴覚で聞くカセットのような教材をつくって各学校に配ろうというようなことも新しい年度の計画として考えておりまして、そういったいろいろな多様な方法でこの問題に対応していこう。私、申し上げましたのは学校教育の面でございますけれども、そういうことで考えているところでございます。
#282
○渋沢分科員 もう少し具体的に、今例えば巡回指導については十の教育委員会に配属するというのですが、巡回指導員というのは資格を問わないが、十の教育委員会というのは十人の配属ということを前提にして考えておるということですか。
 それから、研究指定校、これを柱にしてやっておるということですけれども、ここへは具体的に、研究指定校になった場合にはどういう処置を、どういう枠でどういう教員を配属する、枠を広げるとか広げないとか、どういう対応を、具体的に中身をもうちょっと説明願いたいですね。
#283
○阿部政府委員 新しく考えております巡回指導のケースにつきましては、現在、十の地域でございますから十の市町村を全国から御希望のあるところを選びまして、そこに必要な予算を差し上げるということでそれぞれ一人ずつの方を雇っていただく、これは非常勤になると思いますけれども、そういう形でやってみていただくということを一つの試みとしてやってみようというところでございます。
 それから、研究指定校につきましては、現在、実際上、全国で十三校の研究指定校を指定をいたしておりまして、この指定校に対しましては文部省としては教育の一名の加配措置を講ずるということで県を通じて差し上げるということをいたしておりますし、そのほかに若干ではございますけれども、研究費に使う、あるいは中国語がわかる方を教員としてなかなか採用できないという地域もございますので、そういったような場合には中国語のわかる方を非常勤職員というような格好で来ていただくというような関係の経費を若干追加をしてお配りをするというようなことが研究指定校の実態でございますが、この指定校につきましても昭和六十一年度にはさらに五校程度増加をしたいということで予算措置等も考えているところでございます。
#284
○渋沢分科員 数字が出てくることで具体的に輪郭が出てくるのですけれども、もちろんそれで十分だというふうにはおっしゃらぬでしょうけれども、これはちょっと十分な対応ではないという気がするのです。
 江戸川区の葛西中のことを今ちょっとおっしゃったと思いますが、たまたま私の選挙区なものですから多少の事情を知っておるつもりでございますけれども、あそこはこういう特設の教室ができておるということは、これは率直に申し上げて文部省の、政府のやむにやまれぬ引揚者への対応策として、ここに皆さんの御指導で、手づくりでおつくりになったというふうには世間は受けとめておらないわけでありまして、非常に熱心なボランティア、さまざまな教員を含む長い間の愛情のある取り組みですね。NHKのドラマの素材にもなっておりますし、非常にすばらしい、大事に――これは中国だけじゃありません。韓国から同じような形で帰られた日本人の子弟についても同様の、たまたま江戸川区の葛西に常磐寮という引揚者寮が古くからございまして、そこで空港で行き場のなくなっ人たちがすっとあそこへとりあえず引き揚げてまいりまして、そんなことでその寮の中で日本語の学習が行われているというようなことがあって、そしてあそこの学校の中でああいうものができたと思いますけれども、あれをやはりまさに本格的に設けていくということでお考えにならないと、問題が研究協力校の配属と、それを十三校やっておる、五校ふやすというようなことでおやりになるという程度では十分に対応できないのではないだろうかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#285
○阿部政府委員 先ほども申し上げましたように、全国に二千三百人の子弟が散らばっていて、一校一人ぐらいだというところがかなり多いということが最大のこういう問題のネックになるケースであろうと思うわけでございます。十人を超えるようなものと申しますと、小中学校では全国で十二校しかない、そういうふうにまとまっているというところはそれしかないという状況なわけでございます。そういった中でございますので、研究指定校もそれくらいの規模のところは全部研究指定校になっていただくように、そしてそれに対しては教員定数加配も行うという措置で、十分かどうかという御議論はあろうと思いますけれども、そういう形での進め方をしているわけでございます。
 そういった加配教員等を受け取りました学校では、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、その教員を使っていわば特設学級のごとく特別の学級を設けるということも一つのやり方でございますけれども、またそういう方式をとらずにむしろ全校の先生が一致してやった方がいいから、特別の担当者、担当クラスにしない方がいいというような学校の御方針があるような場合には、そういう形ではなくて一般の学級の中に受け入れて、そして時々一人の先生が特別な指導を子供さんたちにするというようないろいろなやり方があるわけでございまして、そういったやり方そのものはそれぞれの教育委員会あるいは学校の御判断にお任せをするということで来ておるわけでございます。
 繰り返しになりますけれども、それ以外に、ばらばらに散らばっている子供たちに対する対応というのを考えなければならないということで、昭和六十一年度から新たに巡回指導方式というのをまずやってみようということで入れ込んでいこうとしておるところでございます。
#286
○渋沢分科員 これは東京に非常に集まってきているという傾向が最近ある。肉親が地方にあって地方に行ってみたけれども、言葉がまずい、壁になる。そうすると、東京の江戸川にこういう学校があって、ここでは日本語を教えている特設校がある、日本語学級があるということで、それでこちらへ来る。常磐寮という寮があるからそこへ行くと住める、そして近くに学校がある、ここへ集まるという傾向が非常に多くなってきている。一たん自分のふるさとに帰っていながらまたここへ来るという、これは日本語を早く習得したいということのためにそういう傾向があることが江戸川区のデータでもはっきりしております。
 これはもっとやはり積極的に、遠回しな巡回というようなことでなしに、これは私は各県に特設学級を県ごとに設けるというぐらいの積極的な対応をすべきだと思うのですね。文部省は、それは時期は昭和二十八年という時期だからその後の状況との違いがあるという認識か知りませんけれども、当時の中国からの引揚者に対する児童生徒の転入学に関する処置等について実にきめ細かな文部次官の通達を出しております。
 現状を一つ一つ見てみると全く違う状況になって、ある意味では非常な差別にさらされておるという状況があります。時間がありませんからくどいことは言いません。合いじめの問題なんかが非常に出ておりますけれども、向こうから帰ってきた子供たちがさんざんいじめの対象になって、非行に走ったり、もう日本にはおれない、中国に帰ろうと帰った人もおりますし、そう言って泣いている親もおります。
 大臣、これは私の知っている方で、江戸川におる方だけれども、同じように帰ってこられて、非常に優秀な音楽一家で、一生懸命勉強して芸大まで入ったのです。非常に優秀な方で勉強して努力して入った。たまたまその家族が、働けないものですから生活保護を受けておりまして、そして子供が大学に入りますと、生活保護を受けていると大学を認めないのですね。生活保護を外されるのです。借り物のピアノも部屋に置いておくことを認めないのです。ところが今厚生省は、中国から帰ってきても生活保護で一応暮らしの部分は――就職といっても言葉がわからぬのですからなかなかうまくいかない、家庭破壊、いろいろなことで苦悩しております。申し上げると切りがないのだが、せっかく芸大に入った娘が大学を放棄するかあるいは生活保護を返上するか、そういう岐路に立たされるのですね。これが現実なんです。
 私はやはりかつての文部省通達の精神に返って、少なくとも特設学級を設けて対応すべきだということをきちんと昭和二十八年の通達の中で明確に言っておるのですよ、それが今のような程度のお話では納得できません。全県的にこういうものをつくるというのに一体幾ら金がかかるとお考えですか。予算は幾らかかりますか。定数の改善をするのに一体どれだけ必要なのか。
#287
○阿部政府委員 先ほど申し上げましたように、同じ言葉を繰り返すようなことになるわけでございますけれども、全国に千何百校というところで、そのうち五百何十校は一校に一人という状態で子供たちが入っているわけでございますから、それらについて一々特設学級で対応するということも必ずしも適切ではないのじゃなかろうかということもあるわけでございますので、そういう意味で一カ所に集めるというのも、子供たちもそれぞれ家族、生活、いろいろなことがあろうかと思います。そういった意味で大変難しい対応になるわけでございますけれども、そういう中でただいま申し上げましたようないろいろな方向を考えていく。そして、先ほど申し上げましたように昨年の五月に全国調査を初めて行ったわけでございますが、今その結果がまとまりましたので、先生御指摘の大変古い通知がございますので、そういった通知についてももう少し現代の状況を踏まえたような格好のものにして文書による指導等も各都道府県に対して行っていきたいということでただいま検討しているところでございます。
 その場合に、具体に各都道府県、市町村が帰国引き揚げ子女を受け入れて教育するやり方として特設学級というのも一ついい方向だということをもちろん示してお話をしますが、中にはやはり一般の学級に入れた方がいいという判断でやっておられる研究指定校も現在あるわけでございますので、そういったいろいろなやり方の中から時期的に一番適切なものを選んでやってほしいということが現在私の念頭にあるものでございますから、こういう形で指導していきたいということを考えているわけでございます。
#288
○渋沢分科員 時間がないからはしょりますけれども、あなたは昔出した通達を手直しだとか見直しだとかいうことをおっしゃる前に、今のやり方が本当に十分かどうかをもっとまじめに考え直してもらわなければ困る。何も来年度から全県的に特設学級を設けるということを言っているわけではない。けれども、そういうものを想定してやった場合に、例えば定数の面で問題があるのか、予算の面で一体どれだけ必要なのかというような準備は当然進めて検討していただかなければならない。同時に、今ある江戸川のああいう学級は――あなたはあれを否定なさるのですか、ああいうものが必要だということもお認めでしょう。そういうものを必要なところにどんどんふやしていく。少なくともそういう姿勢がなければこれはまじめに対応したということにならぬと思うのですね。研究協力校を微増していくという程度のことをやっておいでになるけれども、実際はああいうものをふやしていくという考え方にお立ちにならぬと本当の解決にならないと私は思うわけであります。現実に言葉が通じないために想像以上の悲劇が起こっておりますよ。ですから、教師の中でも中国語のわかる教師をきちっと育て集めるというような特別な努力もしていかなければなりませんので、今の行政改革のリズムの中で、その物差しの中でこれを推しはかろうというのじゃなしに、次元の異なる、この部分で国の責任を果たすという観点に立った取り組みが絶対必要だと私は考えております。これは文部大臣、特設学級についていま少し前向きの姿勢で検討を進めてもらいたいということを強く求めたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
#289
○海部国務大臣 厳しい状況のもとではありますけれども、文部省といたしましてもこれらのことについてはできるだけ配慮をしなければならないということで、御満足いただける数ではないかもしれぬが、今年度予算にもいろいろな制度あるいは新制度のスタートなど、一生懸命取り組んでおるわけでございますので、これからも十分にその意を体して、帰国者の皆さんに対する日本語教育の対策がきめの細かいところまでできるだけ行き届きますように、いろいろな施策を合わせて取り組んでやっていきたいと思います。
#290
○渋沢分科員 大臣、もう一つ。例えばこの間、東京都の教育委員会で高校の入試について特別な配慮をしたということもあります。そういうことは世論が、あるいはボランティアの人たちが強い陳情や要請をして、いわばそれに動かされてやむを得ずやるという形で、ことしも二次試験か何かありました。子供たちも言っているわけで、試験の時間をちょっと延ばしてくれたって、それ以前の問題だ。言葉の通じ方が不十分な中で高校へ入っていくということのこの狭き門をどう配慮するか、そういうものが欠けている。あれは関西へ行くとお断りなんですね。東京だけでしょう。そういうものについても、先ほど来の局長の答弁に感じられるように、私は必ずしも文部省は積極的な対応をしていると思いません。このことを強く求めて、きょうは時間ですから終わります。
#291
○大西主査 これにて渋沢利久君の質疑は終了いたしました。
 次に、中村正男君。
#292
○中村(正男)分科員 本来の質問に入ります前に、これもあらかじめ質問通告をしておいた問題でございますが、部落差別問題について文部省、海部大臣の御認識をお伺いしたいと思うのです。
 特に海部文部大臣の出身地でございます愛知県でも幾つかの差別問題が起こっておりまして、基本的な人権の問題として大変大きく取りざたされております。さらに、教育現場における最近の深刻な差別事件、それが具体的にはいじめというふうな形にもあらわれておりますし、海部大臣として、この部落問題についてとりわけ教育現場においてどう具体的に対応していくのか、ぜひ決意をお聞かせ願いたいと思います。
#293
○海部国務大臣 学校教育の現場においては、御指摘のように同和教育の推進に当たりましては、基本的人権の尊重ということを中心に、心理的な差別を絶対にしてはいけないということを根底に置いて、その地域の教育、文化の振興のために心していかなければならぬ問題だと思います。
 私の地元にも御指摘のような地域もございまして、それらの方々からもお話を聞いたり、特に加配教員を出したり、その辺でそういった指導を申し上げたり、いろいろと取り組んでおるところでございますが、基本的人権の尊重ということを徹底してまいらなければない、こう考えておるのが基本でございます。
#294
○中村(正男)分科員 日常、この部落問題に対して大変温かい理解を示しておられます海部文部大臣でございます。教育の理場におけるこの対応というのがますます重要になってまいりますので、ぜひひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 そこで本題に入るわけでございますが、私がきょう質問をさせていただきますのは、学校教育現場におけるコンピューターを使っての教育、いわゆるこれからの情報化社会に向けてどう教育現場は対応していくのか、こういったことを主眼に御質問をしていきたいと思うのです。
 まず国際比較を少し申し上げてみたいと思うのですが、教育機関におきますパーソナルコンピューターの保有状況でありますが、日本とアメリカ、イギリス、フランス、これを比較して申し上げますと、まず初等教育におきます稼働台数で申し上げると日本の場合二百六十台、アメリカでは六万五千台、イギリスにおいては一万七千台、フランスでは二千台が導入予定。中等教育にいきますと日本は一万三千二百台になっておりますが、アメリカでは一けた違いまして十万四千台、イギリスでは四万一千台、フランスでは二万七千九百台。とりわけ最近の傾向としては、ヨーロッパにおける学校現場のコンピューターの利用というのが急速に進んでおります。まず、こういう現状からして、日本のこの教育の現状をどういうふうに認識されておられるのか、お聞きをしたいと思います。
#295
○高石政府委員 御指摘のように、日本の場合には欧米諸国よりも学校におけるコンピューターの利用というのはまだ少ないわけでございます。しかしながら、将来の情報化社会の進展に対応して、学校におけるコンピューター利用、それはますます進んでいくであろうという認識の上に立ちまして、文部省といたしましては、昨年二月に、学校教育におけるコンピューターがどうあったらいいかということを、学識経験者から成る協力者会議を開いて鋭意検討を進めているわけでございます。昨年の八月にこの協力者会議は中間まとめを発表いたしまして、現在各界の意見を聞きながら最終意見を取りまとめていこうというような状況になっております。
 それから、一方、教育課程審議会にも情報化に対応する問題としての諮問をしておりますので、今後の教科内容に当たりましてのコンピューターのあり方、これについての検討を煩わしているというのが現状であるわけでございます。
 まず、取り組みの現状だけ最初に御説明申し上げた次第であります。
#296
○中村(正男)分科員 臨教審におきましても、この実態を大変重く見た報告がなされております。具体的にはCAIあるいはCMI、どちらを見ても非常におくれておるというふうに急速な対応を求めてきておるようであります。
 そこで、現在の日本とアメリカあるいはヨーロッパのコンピューター技術といいますか、それは私はそんなに国際的にまだ日本はおくれていないのじゃないか、かなりアメリカの水準に追いつきつつあるというのが現状だと思うのです。ただ、これから先、市場開放の問題を含めて、情報産業というのは極めて戦略的なポイントになってまいります。国際競争に勝ち抜いていくという表現を使いますと、これはまた貿易摩擦の面からもそぐわない言葉だと思うのですが、少なくとも同じ位置づけでやはりついていかなければならぬと思うのです。とりわけ電子電機産業のそういった日本の国としての戦略的な位置づけ、非常に重要になってまいります。そのためには、いわゆるソフト技術者の供給というのが非常に重要な問題であるわけです。
 これはもう既に、文部省としても十分認識をされておられると思いますけれども、現状はほぼ四十万人くらいと言われております。しかし、こういった人たちの声を聞いてみると、大変労働過重になっているわけです。最大の不満あるいは最大の問題意識は要員不足、そこから来る長時間労働だとか、あるいは労働環境が悪いとか、労働者の個々の側からもそういう指摘が要員不足についてあるわけです。しかし、供給の面を見てみますと、現状は大学卒業者約一万五千人、専門学校卒業者二万五千人、合計して四万人ぐらいでしかない供給体制だと思うのです。
 この数字が大幅に間違っておりましたら御訂正いただきたいと思うのですが、我々の理解ではその程度ではないか。このまま推移をしますと、あと五年後には六十万人くらいのソフト技術者が不足をする。大変な問題だと私は思うのです。当然ソフト技術者の量的な確保をまずやらないことには、今言ったアメリカ、ヨーロッパと同じレベルでともに進めていくということにおくれを来してくる、これは歴然としているわけです。この要員供給といいますか、その認識についてはいかがなものでしょうか。
#297
○海部国務大臣 基本的に、先生の御質問を承っておりまして、世の中がどんどん変わるわけでありますから、コンピューターによっていろいろ無限のまた可能性も出てきた。学校に設置されておるこの数字など、日本とヨーロッパ、アメリカなどと比べて見てみますと、なるほど配置されておる数においては見劣りが歴然としておる。そしてそのことには文部省も気づいておりますので、先ほど局長も申しましたように、どの辺の児童生徒の知識、頭脳の発達段階に応じてコンピューター教育をどのように入れていくかということをまさに検討してもらっておる最中であります。
 しかし、そういったことを抜きにして、現実にはファミリーコンピューター、ファミコンというのですか、ずっと興味を持って児童生徒がそれに今かかっておるというような全く別の次元の問題等も出てきておって、放置できないことは間違いございませんから、どの辺から指導していくのが最も適正であるかということを、研究会などの答申をもらったり、あるいは教育課程審議会などの結論を得ながら、文部省としてもこれは真剣に対応していかなければならぬことだと思うのです。
 また将来、こういった分野を支える人材が必ず数年先には不足が予測をされておる。これはおっしゃるとおりであって、私も別のところでいろいろ聞いたり、私自身の調査によってもそういったことは明らかになっております。したがいまして、人材を育成していくという大きな見地からいきますと、それが大学に行くのか、高等専門学校に行くのか、あるいはその他のいろいろな教育機関に行くのか、それらのこと等の動向も踏まえてでありますけれども、ソフト関係の技術者不足は確かでありますから、基本としてはこれに対しては対応をしていかなければならぬ、こういうことでございます。
 もし細部で専門的なことが御必要ならば、局長から補足を申し上げます。
#298
○中村(正男)分科員 今大臣の方から陰の部分の指摘が一部あったわけですね。確かに今ファミコンが六百万台も普及している。それに熱中する子供たちということで、他方、学校教育があるいは本来の教育がおろそかになる。またそのことが子供の性格をゆがめて、登校拒否だとか過大な孤独感だとか友達づき合いもやらなくなるとか、確かにその弊害も出てきておると私は思うんですね。これが逆に、今の初等教育における正常なコンピューターを使っての本来の教育といいますか、それがいささかおっかなびっくりと言っては語弊がありますが、そんな現状にある。本来、子供の先天的な感覚は大人よりももっともっと進んでいるわけですね。それが結局商業用のそういったファミコンに引きずられていっちゃう。もっと正常な、それこそ教育現場における基礎的なコンピューター教育がなされておれば、陰の部分の心配もむしろ少なくなるのではないか。これからの人間生活は、コンピューターを抜きにしてあり得ないと私は思うんですね。我々世代ではこれはとてもじゃないがだめでありますが、私は余り陰の部分を心配されて、どの程度の年代からそれをやるべきかということよりも、今申し上げた国際的な比較からしても、このことにひとつ大胆にお取り組みをいただきたいということを申し上げたいと思います。
 そこで、具体的なことなのですが、予算面で、ことし文部省として教育方法開発特別設備費補助というふうな中で、ハードの面で補助金を二十億円つけていただいた、こう私は理解をしておるわけです。ただそれだけではこれは正直言いましてそれこそ一滴の対策でしかない。現実にソフトの購入なんかには全く手がつけられていないわけですね。そのあたり、大変厳しい財政事情の中ですから苦衷はわかるのですが、どういったいきさつなのでしょうか。
#299
○高石政府委員 ちょっと前段の問題で少し補足して御理解を賜っておきたいと思うのですが、学校におけるコンピューター利用という場合に一番問題なのは、ソフトをどういうふうに開発して使うかという点にあると思うのです。テレビの問題につきましても、ほとんどの学校にテレビが導入されて、テレビによる教育というのがかなり言われてきたわけですが、それぞれの教室にテレビがあるけれども、では普通の授業に使われているかどうかということになると若干問題があるわけです。コンピューターも同じような傾向をたどるということになれば、膨大な金をつぎ込んでそれだけの成果を上げられないという問題があるわけです。したがいまして、どういう利用の仕方があるか、どういう利用の仕方が有効であるかということを相当考えていかなければならない。
 それから、小学校の段階では一方においてもっと自然と触れ合って、子供は自然の中で育てていくという教育の機会を拡大しろという要請もあるので、そういうものとのバランスをどう考えるかということで、要は子供の知、徳、体の調和のとれた人格形成のために役立つ方向でコンピューターの問題も研究していかなければならないということで、欧米諸国はそこの付近がやや流行的にわっと学校で導入しているという傾向がありまして、日本の場合のようにそこはじっくり落ちついた研究態勢をとっていない点が一つの問題点だと思うのです。
 それから、具体的にソフトの面で、例えば国語の教材、算数の教材、理科の教材と、学校でどんどん買っていくほどソフトが開発されているかどうかというと、それはほとんどまだ十分な開発が行われてないという状況下にあるわけです。したがいまして、まずソフトの開発がもっと積極的に進められなければならないということが一つあります。
 それから、一般的な小中学校で備える教材は市町村で予算を計上して購入するという仕掛けで、そしてそれは地方交付税による財源措置で賄うという仕組みをしているわけでございます。したがいまして、こういう面のソフトが大変立派なものができ上がって、もうそれに対する購入費補助を国の予算措置で対応することは非常に困難であろうと考えるわけでございます。ハードの面におきましては、試験的に二十億の金を予算化して、先ほど来申し上げたような地についた教育利用ということをもう少し突っ込んで進めていく必要があるという観点でやっているわけでございます。そういう対応が十分にできた上で、次なる展開をどうしていくかということが問題になるであろうと考えております。
#300
○中村(正男)分科員 ハードの面だけとりあえず二十億、ソフトはなかなかそこまではというお話でありますが、地域、地方の方においても積極的に取り組もうとしておる教育委員会もあるわけですね。ただ、文部省そのものがまだ本腰になってない、その辺で地方の教育委員会としての対応もそのままおくれているのじゃないだろうか。これはぜひ地方の教育委員会も含めて積極的な対応をお願いしたいと思うのです。
 お金の問題をついでに申し上げるならば、ハードの機器の購入の面では文部省もそれなりに面倒を見ておられるようですが、保守については全く今面倒を見てないわけでしょう。だから、使い方にまだふなれな日本人でありますから、少し調子が悪くなるともうそのまま放置される。結局、保守をしていくためにも大変な費用がかかるということ。そういう形でハードの面で補助金をつけていただいてあるならば、ずっと一貫した形で今後予算をつけていただくように御努力をお願いしておきたいと思います。
 それから、今ソフトの問題でお話がございました。なかなか適切なソフトはないということなんですが、半面、子供の側からしますと、今のハードとソフトの関係が互換性がないわけですね。これがやはり最大の課題ではないか。転校すればたちまちそのことにぶち当たる。これは文部省だけの問題ではございません。当然通産省との関係において、いわゆるハードとソフトの互換性、一貫性、これをぜひ早急に進めていただきたいと思うのです。
 今通産省と文部省との間で、来年に向けてですか、両省共管の事業団、教材開発新システムの推進という面から検討が進んでおると思いますが、文部省としてのお考えはどういうことなのか、お聞きをしておきたいと思います。
#301
○高石政府委員 ソフトにつきましても互換性があるような内容にしていく必要がある。したがいまして、通産省でもそういう方向でいろいろな研究開発、業界の指導をやっていくということを考えているようでございます。文部省としても、そういう方向での内容はまさに同じでございまして、そういうものが導入された暁には、機種によっていろいろとソフトが違うということでは非常に困るので、そういう事業団ができた場合には共通に利用できるような方向に、ぜひ統一的に処理できるように推進を図ってもらいたいというふうに思っております。
#302
○中村(正男)分科員 これから財団をつくってそこで研究を進めていこう、こういうことなんですが、私はまだかなり時間がかかるような気がするわけですね。しかし、毎日毎日教育現場ではそのことの問題が起きているわけですから、文部省として通産省と話し合って何らかの当面の手当てはできないものか、早急な何らかの処置ができないかどうか、再度お聞きをしておきたいと思います。
#303
○高石政府委員 御指摘のことはよくわかりますので、この財団は少なくとも本年中には発足できるようになると思いますし、その財団で研究調査を重ねまして、あとは業界の問題になるわけでございます。業界がそういう方向での協力をしてくれないとこれはうまくいかないということで、そういう点では通産省、文部省は同じ方向で、業界の方々にもお願いしていきたいと思っております。
#304
○中村(正男)分科員 ぜひひとつ大臣、今言った基本的な問題を通産大臣とよく御相談いただきまして、お願いをしたいと思うのです。
 どうしても業界の方が先行しているのですね。行政が後追いなんですね。結局困るのは教育現場あるいは子供だということなんですね。ですから、高度情報化というのはこれからさまざまな面でいろいろな社会の構造を変えていくわけですし、ぜひ行政の面での先取りをお願いしたいと思うのです。特に、くどいようですけれども、ソフト技術者についても、それはまだ文部省の直接的な問題ではないかもしれません、子供の教育というのが主体ですから。しかし社会の中では現実にソフト技術者は不足をしている。これを供給し、補っていくのは文部省でしかないわけです。だから、通産省が再配置の取り組みなんか今おやりになっているようですけれども、しかし具体的には供給をふやしていくのは文部省の主体的な仕事だと私は思いますので、その問題についての最後に大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。
#305
○海部国務大臣 御指摘のことは先ほど私もお答えしましたように、まさにそのような状況に来るんだという大きな世の中の流れというものがわかっておりますので、それぞれの大学なり、あるいは先ほど申しましたように、専修学校の専門課程なりあるいは企業内で独自にそういったことを開発されるような教育をされるなり、いろいろなこともございましょうけれども、文部省の担当しております分野においてはできるだけそういう流れに従った人材養成に意を用いていきたい、このように考えます。
#306
○中村(正男)分科員 そのことについてはこれで終わりますが、この種の教育における予算はもっと取ってもらわなければ困るなという感じです。
 別の問題で最後にお聞きいたしますが、単身赴任と転校問題です。
 これは大臣も御存じのように、最近単身赴任者が企業の要請からやむなくふえておるわけですね。転勤がふえているわけですね。本来ならば単身という形ではなしに、子供、奥さんを含めて家族ともども新しい任地に赴くというのが普通なんです。単身赴任者というのは日本だけなんですよ。私も東京で十年ばかり単身赴任の経験がございます。子供が、上はやっと高校へ入ったところで下は中学校へ上がったところで、本来一緒に行きたかったわけですが、しかし子供の教育、学校がかわれないということから、やむなく十年間おやじの責任を果たせずに来たわけなんです。
 この転勤と転校問題なんですけれども、確かに転校問題は複雑だと思うのですね。今言ったような親の側からの問題もありますけれども、逆に学校によってさまざまな問題がある。今のはやりのいじめというようなこともあって、そこから逃げ出したい、したがってどこかほかの学校にかわりたい、こういうようなことも今の問題として起こってきています。それは大変なことなんですけれども、少なくともおやじの仕事の関係で転勤のために学校をかわらざるを得ないということについては、文部省としてもう少し血の通った施策ができないのか。
 このことを最後にお聞きして、終わりたいと思います。
#307
○海部国務大臣 御指摘のように、家族全部でそろって転勤ができない理由に教育の問題がある、高校の転入学をもう少しきめ細かくやってくれたら一緒に異動できるのにという声も新聞なんかでもよく報道されますし、また我々自身もよく耳にするところであります。
 それで文部省といたしましては、これはどこに一体原因があるのだろうか。やはり転入学の時期を少しゆとりを持って、何回か複数の機会で転入学できるようにしてあげるとか、あるいは、きょうまではややもしますと定員という壁がありまして、定員いっぱいだから入れるわけにはいきませんというような冷たい門前払いの扱い等もあったようでございますので、そのことも、これはたしか規則を改正いたしまして「教育上支障がない限り」ということにいたしまして、定員があってもそういう必要があるときは受け入れることができるようにするとか、いろいろ努力をいたしまして、そして、何とかこの制度が全国に充実していって、高校に転入学ができないがために単身赴任にたくさんの人がなっていくという不合理な一面、この問題を片づけたいと思って、五十九年からですからおととしから文部省としては着手をして、この趣旨がさらに末端まで徹底いたしませんといけませんから、各教育委員会等も指導して徹底してまいりたい、こう思っておるところでございます。
#308
○中村(正男)分科員 これで終わりますが、ぜひひとつそのお取り組みを強めていただきたいと思うのです。
 これは私見ですが、私は今地方自治体、地域住民のいろいろな生活課題に取り組んでおるわけですが、気楽に相談に乗ってくれる相談員といいますか、教育委員会の実務者といいますか、そういうものを機関として設けてもらったらどうだろうかな。今は、学校を通じてというか学校間の話が主体ではないかな、そして教育委員会は偉い人たちばかりの集まりで、身近なそういう子供たちの転校問題に直接おこたえになっていないような、あるいは余り相談に乗っておられないようなそんな感じがいたしますので、そういったことを要望いたしまして、終わります。
#309
○大西主査 これにて中村正男君の質疑は終了いたしました。
 次に、竹内勝彦君。
#310
○竹内(勝)分科員 国際日本文化研究センター(仮称)でございますが、この問題に関して、若干他の問題も時間の許す限り御質問をさせていただきます。
 (仮称)国際日本文化研究センターに関する調査会議というところが、この前中間報告という形で昨年の八月に出されておりますけれども、日本の国際的地位の向上に伴いまして、日本に対する世界各国からの関心は著しいものがございます。その中で、貿易摩擦等に象徴される国際的な摩擦や緊張、そういうものを生む原因の一つに、海外の諸外国に古くから存在する日本理解に関して種々の誤解がある、こういうように伺っております。
 今回の国際日本文化研究センターの設立、この趣旨というものはどういう趣旨のもとにこれを設立しようとするのか、まず趣旨の面を御答弁いただきたいと思います。
#311
○海部国務大臣 御指摘のように、我が国の国際的な役割とか国際的にいろいろ日本が影響力を行使するときにおいても、日本文化に対する世界各国の関心にやはり正しくこたえていかなければならぬのが大前提だと私どもは思います。
 こういった状況のもとにおいて、文部省では、国際的な広い視野に立って日本文化を総合的、学際的に研究するとともに、あわせてその成果を海外に提供して日本文化の国際的理解を深める必要がある、こう認識をいたしまして、国際日本文化研究センター、まだ仮称でございますが、創設準備を目下進めておるところでございます。
#312
○竹内(勝)分科員 今、目的に関しても若干御答弁ございましたが、この国際交流等においては国の機関、また民間諸団体でも行われておりますが、今回のこの国際日本文化研究センター(仮称)でございますけれども、特にその目的と特色、それを掲げていただきたいと思います。
#313
○植木政府委員 ただいま大臣からも目的についてはお触れになったわけでございますが、やはり日本の文化の研究、その現状をまず的確に把握するということが大事でございます。国際的な視野から学際的かつ総合的にその研究を行う、また研究を行った成果につきましてこれを内外の研究者に提供する、特に海外の研究者にこれを提供いたしまして、日本文化に対する研究の振興、あるいは日本文化に対する理解を深めるということが目的でございます。
 なお、ただいま先生からお話がございました特色という意味では、これまでのいろいろな他の研究機関に比べてこの新しい構想の特色を申し上げますと、一つは、今申し上げましたように、研究機関であると同時に研究サービス機関である、情報を内外の研究者に提供するという点が一つの特色であろうかと思います。また、研究課題の設定に当たりまして国際的な観点から研究課題を設定をする。さらに、外国人の研究者の参加も得てプロジェクト方式によりまして国際的、学際的な研究を行うということも特色でございます。さらに、中間報告によりますと、研究部門制をとらずに、客員研究員を活用しました共同研究を主体とする研究方式をとっていきたい。もう一つつけ加えますと、センターの研究者が世界の地域を十の地域別に分担をいたしまして、それら十地域の世界各地の日本文化研究者に対しまして具体的な研究サービス活動を行いたい。
 こういった点が主な特色でございます。
#314
○竹内(勝)分科員 研究サービス、共同研究等今触れられましたが、具体的にはどのような研究活動、研究サービスといったものになるのか、どういうようなものを考えておるのか。また、その実施に当たって何か問題点となる、懸念されるものはあるのかどうなのか。その点を御答弁いただきたいと思います。
#315
○植木政府委員 研究活動のやり方につきましては、今申し上げたとおりで、共同研究を中心に内外の研究者を組織して行うという国際的なやり方をやるわけでございます。
 研究の対象といたしましては、もちろんこれからいろいろと準備過程でどういうことを研究するかをさらに練るわけでございますが、中間報告の中にあらわれております研究対象といたしましては、例えば伝統文化だけでなく現代文化まで、日本文化の全容についてその変容を研究をする、あるいは日本文化と社会、人間、自然環境などの関連について研究する、さらには生活様式、社会の諸制度等につきまして国際比較研究を行う、また日本文化と外国の文化との間の接触や交流、摩擦、こういった相互関係について研究をするなどということが既に指摘をされておるわけでございます。
 なお、研究サービスも、先ほど申し上げましたように、研究機能と並びますこの新しい構想のセンターの大きな機能でございますので、内外の日本文化研究者からの要請に応じまして適切な情報を提供するということでございます。
 どういった点に特に留意をしていかなければいけないかという点でございますが、やはり研究課題の設定、先ほど申し上げましたのは中間報告の中に出ております研究対象でございますけれども、今後具体的にこの構想を準備を進め練り上げていく場合に、やはりどういう研究課題を設定するかという点が一番大きな問題でございまして、従来の古典や伝統文化の研究のみに限られることはなく、日本の近代化とかあるいは現代日本文化のいろいろな問題についてこれを積極的にかつ十分に取り上げていくように配慮する必要があると考えられます。
 また、先ほど来繰り返し申し上げておりますが、やはりこの新しい構想では研究活動だけではなくて研究サービスも十分にして、特に海外の研究者の要望に十分にこたえたい、こういうような点が留意すべき点であろうかと考えられます。
#316
○竹内(勝)分科員 具体的に中身を御説明いただきましたが、この(仮称)国際日本文化研究センターの設立構想、どういうようなところから構想が固まってきてそして現在に至ったのか、概略で結構でございますから、その経過をまず御説明いただきたいと思います。
#317
○植木政府委員 このような日本文化研究センターの構想につきましては、既にかなり長い、もう十数年前から関係研究者の間でいろいろとそういう構想があったようでございます。その後、文部省といたしまして、昭和五十七年度以来、科学研究費補助金などによりまして研究体制や研究方法等に関する調査を助成をしてきております。昭和六十年度におきましては、本センターの設立構想の調査費といたしまして二千万円を計上し、国立民族学博物館に置かれました調査会議を中心にいたしまして御検討願っているところで、先般中間報告をいただいたところでございます。また六十一年度には、創設準備室、準備委員会を設けまして、創設準備を具体的に進めることといたしたいということで予算案に計上いたしておるところでございます。
#318
○竹内(勝)分科員 この前に私も、京阪奈に関西学術文化都市、こういうもので質問をした覚えがございますけれども、そういうものも絡めてちょっと質問を展開していきたいと思うのですが、その前に、この国際日本文化研究センター、これは設置場所としてはどういうようなところに考えておるのか、あるいはそこに誘致として名のり上げておる地方公共団体等があるのかどうなのか、その面も御説則いただければありがたいと思います。
    〔主査退席、石原(健)主査代理着席〕
#319
○植木政府委員 現在のところ、京都市がこのセンターの誘致を希望しているということは私どもも承知をいたしているところでございます。
 なお、設置場所につきましては、今後創設準備を進めていくわけでございますが、その創設準備の過程の中でいろいろな意見を踏まえながら決めていく、こういう段取りになろうかと思います。
#320
○竹内(勝)分科員 今京都市の名前が出ましたが、他の地域からは要望等は出ておりませんでしょうか。
#321
○植木政府委員 現在私どもが存じておりますのは京都市だけでございます。
#322
○竹内(勝)分科員 私も京都に住んでおりますが、学術文化都市として京都は努力をし、いろいろと現在まであらゆる研究成果を持ってやってきておるわけでございますが、これの決定に関しては大体いつごろになるのか、その辺の目安をもしここで発表できれば、いつごろ決定するのか、その面を御答弁いただければありがたいと思います。
#323
○植木政府委員 現段階ではいつごろということを明確に申し上げるわけにまいらないわけでございますが、創設準備を今後進めるわけでございますので、その段階で、どこを設置場所にするかということは大変重要な問題でございますので、いろいろな条件等を勘案しながら関係者の意見も踏まえながら決めていく、こういう状況と考えております。
#324
○竹内(勝)分科員 大臣にちょっとお伺いしておきますが、現在京阪奈に、私今申し上げましたが、文化学術研究都市ということで、これは着々と進んでおります。さらにまた国際日本文化研究センター、これは同じく、京阪奈ではございませんが、京都市として要望が出ておる。そうした京都の置かれた立場、そういうようなものも踏まえて、これをいつごろまでに決定していくのか、あるいは地域においてはどういうようなお考えを持っておるのか、大臣の御所見を伺っておきたいと思います。
#325
○海部国務大臣 このことは、私も自由民主党の文教制度調査会長という仕事をしておりますころから、主として京都方面の学者の皆さんから構想をお聞きしたこともございます。同時にまた、非常に御熱心に御努力を願ってきたということ等も聞いております。
 現段階におきましては、局長が御答弁申し上げておりますように、来年度において創設準備を進めることとしておるわけでありますから、六十二年度以降できるだけ早い機会にこの構想が実現できるように推進してまいりたいと思いますし、そんなころまでには、どこにどう設置するかという場所等もきちっと決めなければならぬと思っております。
#326
○竹内(勝)分科員 国際日本文化研究センターに関する調査会議のメンバーというのは、どんなような中身になっておりますか。
#327
○植木政府委員 上山春平京都国立博物館長をそのヘッドにいたしまして、例えば京都大学の東南アジア研究インターの石井米雄先生であるとか、あるいは国立民族学博物館の館長の梅棹忠夫先生、さらには京都市立芸術大学長梅原猛先生、それから放送大学教授の加藤秀俊先生、京都大学名誉教授桑原武夫先生、東京大学教授の中根千枝先生等々、日本文化研究にかかわりのある大変すぐれた研究者の方々がお集まりになって調査会議を構成しております。
#328
○竹内(勝)分科員 調査会議のメンバーはそういうことでわかりますが、そうすると、この研究センター自身の構成メンバーというものが、大体それが同じような形で推移していくのかあるいは構成メンバーの何らかの考え方というものがキャッチされておるのかどうか、その面をお伺いしておきたいと思います。
#329
○植木政府委員 今後、この国際日本文化研究センターの研究組織などをどういうふうに構成していくか、それにつきましては中間報告等でもいろいろな御意見が出ておるわけでございますが、先ほど来申し上げております創設準備の今後の過程の中におきましてさらに具体的にこれを練り上げていく、こういうことになっておるわけでございます。
 これまでの中間報告で指摘をされております内容といたしましては、研究関係の部門を置きまして、ここに専任の方あるいは客員の研究員を置いて共同研究を中心に進めていきたいというようなことがございますし、その他いろいろなある程度の輪郭はここでも描いておるわけでございますが、今後さらに具体的に創設準備の過程でこれを詰めて練り上げていく、こういうことでございます。
#330
○竹内(勝)分科員 さらに、これの設置の時期というものは、今はまあ何とも言えないものでございますけれども、準備機関を置いて今これから準備が始まっていく、こういうことから、この文化研究センターの研究活動の開始、こういうものをどの辺に想定しての上での準備なのか、それもここで発表してください。
#331
○植木政府委員 私どもといたしましては、これが設置になりますれば、なるべく早く実質的な研究活動が開始されるように準備をしていかなければいけない、このように考えております。
#332
○竹内(勝)分科員 文化研究センターに関しては以上にしておきます。
 あと、若干時間の範囲内でお伺いしておきたいのは、先ほど私が申し上げましたこの京阪奈丘陵に今進められております関西文化学術研究都市、これの構想で、文部省としてどのように対応し、どのような進みぐあい、それからまたそれに絡んでの大学誘致等もございますし、それの問題点なども踏まえて、あるいは今後何を考えておるのか、そういうものも踏まえて御答弁いただければありがたいと思います。
#333
○大崎政府委員 関西文化学術研究都市構想につきましては、昭和五十二年以来、京都、大阪、奈良三府県を中心といたしまして、いろいろ新しい文化学術研究都市を目指した御検討が進められてきたというふうに承知をいたしておるわけでございます。政府レベルにおきましても、昨年の九月に国土庁を中心として関係省庁の連絡調整会議が設置されたところでございまして、どのような方向で対応を進めていくかということにつきましては、これから検討を行っていくという段階に現在あるわけでございます。
 ただ、先生お尋ねの大学誘致の問題につきましては、既に関西文化学術研究都市のいわゆる第一クラスターと称する、田辺地区だと存じますが、そこに同志社でいろいろの構想が進められておりまして、昨年の十二月に、同志社女子大学の短期大学部をその地に設置をいたしたいというかねてからの申請を認可いたしたところでございまして、本年四月から開学が予定されておるところでございます。
 なお、同志社ではそのほか、同志社女子大学の一部等の移転を進める、あるいは同志社大学の一年次、二年次をその地区で教育をするというような計画も進めておられるというふうに聞いておるところでございます。
 なお、全般的な対応ということにつきましては、先ほど申し上げました段階にございますので、今後、私どもといたしましても、かねて大学設置審議会から御報告をいただいております新しい高等教育計画の考え方、あるいは今後予想されます臨時教育審議会の御答申というようなことも十分踏まえながら、今後の検討課題として対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#334
○竹内(勝)分科員 同志社大学の話を今御説明いただきましたが、これは京都の中での動きでございますが、ほかからのものは、そういう大学の誘致というものは京都以外からも考えられるのか、あるいはそういうような話があるのか、あるいは文部省としてもそういうものの要望を検討しておるのかどうか、あるいはまたそれ以外に京都の中でも大学誘致という意味で何か動きがあるのかどうか、これもあわせて御答弁いただければありがたいと思います。
#335
○大崎政府委員 幾つかの御構想なりお考えなりということが検討されあるいは御議論になっておられるということも伺う機会があるわけでございますが、いずれもまだ、私どもといたしまして、それに対して何らかの意見を申し上げるというような性質の段階には至っていないのではないかと考えておる次第でございます。
#336
○竹内(勝)分科員 大臣に若干お伺いしておきたいのですが、先ほども論議がございましたいじめあるいは体罰等の問題について、全国総点検の結果が出た。これによると、小学校の五割、中学校の七割、高校の四割でいじめが起きておる、こういう調査結果も出ておりますけれども、文部省はこれをどういうふうに今後活用して、そしてどんな段取りで文部省としての何らかのお考えを出していくのか。
 それから、大臣といたしましては、いじめの問題の防止にいろいろなところで御発言がございますけれども、もちろんただ単なる、教師だあるいは家庭だというようなもので解決できるものではないことは御承知のとおりでございまして、ぜひ海部大臣のときに、これを抜本的に、本当に画期的な解決策としての何らかの一つの成果を上げていただきたい。これは何も一大臣にただお願いする、そういうものではなくして、国民として、それから全世界で今非常に重要な教育問題としてとらえられておる民衆の要望である、こう受けとめていいのではないか、こう思います。
 そういう中で、これから高齢化社会へ入っていきます。高齢化社会をまさに迎えておるわけでございますが、人生の経験をずっと積んできた人たちが学校で教鞭をとることが、これは教師の資格がなければできないわけですけれども、それをもう大幅に取り入れて、そういう入生の体験を経てきた人たちも一緒くたになって教育に力を入れていく、そういうものも考えられるのではないか。私の私見でございますけれども、そういうものも踏まえて大臣としてのいじめに対する御所見、ちょっと時間がまだありますから、ぜひお述べいただければありがたいと思います。
 今のアンケートの今後の対応も踏まえて御答弁いただければありがたいと思います。
#337
○海部国務大臣 御指摘をいただきましたいじめ、非行、暴力等の学校荒廃にどのように取り組んでいるかという、私の基本的な考え方をお答えさせていただきたいと思います。
 今の総点検の結果を見ましても、非常に広範囲に起こっておるということ、そしてそれはまた、結果として、新聞報道されますように自殺というような大変心痛む事件につながっておるということ。やはり国に平和がなければ文化の振興も考えられませんように、学校に平穏な雰囲気がなければ個性や適性をうんと伸ばしてあげようという教育本来の目的も果たせないわけでありますから、緊急の対策としては、まずこのいじめの問題の解消が教育改革のとりあえず今必要な第一のテーマだ、このように私は受けとめております。中長期的にはなさねばならぬ問題はいっぱいありますけれども、まず教育現場を平穏にしていきたい。
 そのためには、考えられることは先生も御指摘のようにいろいろございます。生まれてから人生最初の教師であるお父様、お母様が、家庭という教育の場でしつけをしていただかなければならぬ。しかし、現実に直接児童生徒に触れている教師の皆さんの使命感とか指導力とか、そういったものが児童生徒の心に大変大きな影響を与え、また教師の励ましの言葉によって救われていく、立ち直っていくという例もたくさんあるわけです。現に、しばらく前には荒れた学校として象徴的に報道された忠生中学校でも、校長を中心にして教職員の皆さんが地域の大人たちと一緒になって取り組んだら、見事に生まれ変わったというような報道もなされておるわけでありますから、当面はやはり、直接児童生徒に触れる方々が心を開かせて、児童生徒と対話をし、励まし、引き上げることによって解決をしたい。
 しかし、中長期で考えますと、今度はやはり、人間一人一人が人格の完成を目指して育成されている以上、知育も徳育も体育もバランスのとれた教育をしなければならぬ。そうしますと、心の教育というのは、道徳教育の時間に一生懸命教育する、いろいろなことを教える、身につけるようにするということももちろん大切でありますけれども、あるいはルールに従ったスポーツで体ごとぶつかり合って汗を流しながら、お互いの相手の立場を考え、ルール違反をしてはいけないとかいろいろなことを身につけていく、そういう生活体験の中で結果としていじめがなくなっていくように導いていかなければならぬというのも、教育の中期的な対応の一つだ、私はこう思っておるのです。
 先生が今具体的にお示しになりました、社会でいろいろと仕事をされて経験を積まれて、またその地域のいろいろな問題を周知していらっしゃる方々が、人生のボランティアというと大変失礼ですけれども、功成り名遂げられてから地域の子供の教育のために何か貢献してやりたい、今までのように教員免許を取った教師の人だけの学校ではなくて、地域の人々の御理解と御協力もいただけるならばしたらいいではないかという発想は、今臨時教育審議会の中でも委員の中から指摘をされ議論されておると承っておりますが、これは教員免許法の弾力的運用などを考えることによってできるものではないだろうか。もうじき答申がいただけますから、答申でどう示されるか、それを今はお待ちしておるところでありますけれども、基本的な考えとしては、そういった方々の御協力によって、学校も何も教科内容だけをきちっと教えるところじゃなくて、例えば今ありますゆとりの時間なんというところを、児童生徒とそういった地域の先輩たちのいろいろな心の交流の時間に持ってもらうとか、山野跋渉の生活体験の中でそういった方々と出会って指導をいただくとか、話を聞くとか、いろいろなことが想定されると思いますので、先生のただいまの御指摘、御質問の御趣旨等も十分に参照させていただきながら検討してまいりたい、こう考えます。
#338
○竹内(勝)分科員 終わります。
#339
○石原(健)主査代理 これにて竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、大出俊君。
#340
○大出分科員 私は、この間の一般質問で、全柔連と講道館との問題で、これはいささか講道館の思い上がりじゃないかと私は思うのですけれども、思うままに動かすというのではこれはちょっと改革を考えなければいけないんじゃないかと思って質問をしたのですが、時間の関係もございまして満足な質問ができませんでした。小林さんが質問されたという話を聞きましたが、あの方もいろいろ心配しておったわけであります。
 そこで、この間、実は私申し上げなかったのですが、私、一年がかりで調べた中で出てまいりましたのに、これは県柔連傘下の柔道家でございまして、非常にたくさんの弟子を育てている方、特に中学、高校生のような方を育てている方、ここに詳細な記録を残しておりますので、ちょっと読ませていただきます。「昇段及び修行経費について」、これはある県柔連にしておきます。言うてしまっては、いろいろお気の毒なこともありますので。「柔道人口が年々減少している現象については、種々理由があることではありましょうが、同じ武道の剣道が年々盛大になっているのはなぜか。その第一は、柔道修行に金がかかり過ぎることであります。」別紙四、別紙五と後にございますが、「初段必要料金一万二千四百円」。この間、私、一万六千円ばかり、あるいは八千円ばかりと申し上げましたが、県連ごとに違います。ところが、一万二千四百円というのですが、後でいろいろなものがまた出てくるのであります。初段というと、今の新制中学三年ぐらいからございます。「一万二千四百円のうち、講道館は何ら手を下すことなく講道館入門料」、これは嫌でも強制的に入門しなければならない。そうしないと初段をくれない。「入門料三千円、証書料千五百円、寄附金三千円、計七千五百円を取り、」まずこれが要る。つまり、この一万二千四百円の経費のうちから――これは県柔連が集めるわけですよ。区から始まりまして県柔連が集めるのですが、この一万二千四百円のうち七千五百円を講道館に直接上げてしまう。講道館が吸い上げてしまう。
 「その額は過半を超え、県柔連はその残額で運営するために不足を生じ、別紙五のように講習会、研修会、各種試合の参加料を徴収して、経費を捻出しています。」これはひどいのです。日付も全部ここにございます。何月何日にやったというのが書いてあります。型の講習会、初段で千二百円、二段以上三千円。それから高段者大会、段別試合。高段者大会の方が二千円、段別試合が千二百円。これは初段から取られるわけです。中学、高校の学生です。それから紅白試合、これは一般のみんな、無段者の人がいっぱい入っている。学生です、中学の二年、三年。紅白試合が千四百円、これも月に三回ぐらいやっているんですね。そして団体予選七百円。型の講習会、今度は初段以下の一級で千二百円。この型の講習会は、初段は二千円取っていますね。三段、四段は四千円です。それから金色に光ると書く盾、その賞杯をいろいろやるのでしょうけれども、もっと小さい人から入ってくるのでしょうが、試合の盾の参加料一人二百円、高段者研修会二千円、紅白試合千四百円、段別試合千二百円、少年錬成大会一人二百円掛ける五の千円、五人一組で出場を認めているわけですね。そしてまた型の講習会、一級千二百円、初段二千円、三、四段四千円というふうに、ずっとやっていくわけですね。そうすると、中学の三年ぐらいで初段を取ろうとすると、入門料から全部嫌でも払わなければならぬ。そして、その人が今度――ずらっとたくさんあるのです。並べたら切りがないから今のようにしましたが、出るたびに金がかかるのです。それは柔道離れしますよ。
 次を読みます。「加えて、講道館の国際センターの寄附金は、」例のあそこに建った七階建ての講道館ですね。「加えて、講道館の国際センターの寄附金は、これを出さない者には証書を出さないという強制的徴収である。一層柔道離れに拍車をかけたことは否定できないことであります。また、寄附金が予定どおり集まらないため、募集年月の延長は二度、三度ではない」というのだ。まだやっているのですよ、延長延長で。ここにありますけれども、二度、三度ではないというのだ。「だから、一層柔道人口は減少するでしょう。県柔連の経費の大部分は中高校生の負担するところです。」中高校生というのは数が多いですから。昇段費用というものは、そのうちの七千五百円を講道館がぼんと持っていっちゃうわけですから、残りの経費でやれないわけですよ。だから、いろいろな講習会をやるたびに金を取る。「県柔連の経費の大部分は中高校生の負担するところです。その中高校生の柔道離れは経費の減少を来し、」柔道離れするからますます経費が減少する。「年ごとに昇段料金の値上げになる」。
 この間、私、ある区のことを申し上げましたが、五十六年に一万六千円だったのです。一万八千円を超えているのです。だから、減少しますから、段位の値上げだけではない、今度は講習会、研修会、試合の参加料の増額、新設までやるというのです。「ますます柔道離れが起こり、増大されているのは事実であります。これら柔道人口の減少と各種料金の新設、値上がりの悪循環は、日本柔道の凋落の原因となるでしょう。講道館は、全柔連の上にあぐらをかいて自己のみ繁栄を図ることは、柔道将来のため許さるべきことではないと思います。」「結び」ということで、全日本社会人云々という別のものをつくろうと思ったりしたと悩んでいるのです、この方は。
 そこで、まず何よりも一番大事なことは、一つは講道館と全柔連の分離をやらないといけませんね。「現柔道界の混乱の諸原因の根源は、講道館館長と全柔連会長を兼任していることにあると思います。講道館役員が全柔連の役員を兼ね、独善的な表裏一体諭を振りかざし、仕事は県柔連、全柔連に強制的に圧力をかけ、その得るところの利は、講道館が手を染めず得るところの利益は独占するという機構を打破しない限り、日本柔道の今後の繁栄はないと思います。」
 ここにあと、いろいろなことがございます。ここで一つ、家元制度云々というようなことではいけないと書いてあるのですが、段位の独占ということにもこの方は非常に厳しく物を言っております。
 昔の嘉納治五郎先生が講道館を興すに当たった――この方は有名な方ですから、昔勉強しておられるのでしょうが、こう書いてあるのです。「講道館の昇段証書に日本伝講道館柔道と明記されている。また古流の起倒流」起倒流というのは、日本伝の伝統的な柔術です。「また、古流の起倒流柔道の伝書の証書にも日本伝起倒流柔道と書かれており、起倒流を学ばれた嘉納治五郎師範も」財団法人の講道館を創設されたわけですね。嘉納治五郎師範も起倒流を学ばれて自分の流派を興したわけですから、だから「講道館の上に日本伝と冠せられた」、つまり起倒流を継いでいみのだということを明らかにされているというわけですよ。この嘉納治五郎先生のやってこられた正しい歴史を知らざる今の師範、講道館の諸君の僣越のさただというわけです。「講道館館長、全柔連会長の嘉納履正氏の国際柔連会長選に敗れたのは、講道館のおごりと怠慢から、日本及び世界柔道に対する指導力を喪失したことによるものである。」
 審判規程なんというのも、国際柔連の審判規程に、講道館の方は受け入れられないから慌ててそれに従うようなものに直したというのです。細かくここに書いてあります。しかも、二代にわたって柔道を知らない方が国際柔連の理事長だ、会長だなんということで、やっていけるはずがないということまで書いてあります。余りひどいことを書いてある点もありますからそこまで申し上げませんけれども、現に小さい方から若い方を一生懸命教えているまじめな指導者の立場の方が本当にそう思っていると。しかし、県のその方面の責任者に東京高等師範出身の方々がいて、何か改革をと言えばすぐ身分にかかわることでおどかされる。だから、横に話し合いはいろいろしているけれども、実は思い切った改革の運動ができない。だから、中央でぜひ改革をやってもらわないと日本の柔道がつぶれるというのがこの中身なんですね。非常に心配しておられる、まじめな中身でございますから。
 これをちょっと今申し上げましたが、私、前回状況は御説明しておりますので、大臣、どういうふうにお考えか、聞かせていただきたいです。
#341
○海部国務大臣 大出先生から前回も詳しく御意見と御質問をいただいて、私もその後いろいろと聞いたり調べたりいたしました。一言で言うなれば、御指摘の全日本柔道連盟、全柔連というものが、真に我が国の柔道界を代表し統括するにふさわしい組織を確立して、柔道界全員がこれを信頼し、柔道界全部に活力がよみがえることが一番望ましいと思っております。
 それで、御指摘の中学生、高校生の昇段試験のお金の問題等も、私は前回十分承りましたけれども、大前提としてはこの組織の明朗な確立が大事だ。そこで、このことについては文部省も前向きに真剣に取り組んで、体育局長がいろいろ団体を呼んで指導しておるさなかでありますから、詳細にわたっては体育局長からお答えを補足いたしますけれども、目指すところはしっかりとした組織をまずきちっと確立してもらいたい、これが私の基本的な考え方でございます。
#342
○古村政府委員 三団体を呼びまして指導しておりますポイントを申し上げますと、一つは、現実に学生の柔道界が割れているということを一本化する問題と、それから、全柔連が法人化して、しっかりとした統括団体になるようなことを指導していきたいというふうな二点がポイントでございます。
#343
○大出分科員 今の話の中に全柔連と講道館の関係が出てきませんが、局長、そこはどう考えているのですか。
#344
○古村政府委員 全柔連と講道館の関係につきましては、歴史的に見れば、戦後全柔連ができたときに、講道館を中心に一体となってという歴史的な経緯があるようでございます。しかしながら、現在柔道界の中には、やはりそこは切り離すべきではないかという強い議論がございます。したがって、そういった点も踏まえて指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#345
○大出分科員 学生柔道の団体が割れているというお話でございますが、そうじゃなくて、全柔連からそっくり学柔連が抜けた。ところが、嘉納さんの三代前の初代治五郎先生が高等師範の校長先生でございましたし、そして今その学校は筑波大学になっておりますから、そこが残るのは当たり前でしょう。その閥で嘉納さんの周りを全部固めている、この各県柔連全部固めをしているわけですから、残るのは当たり前。あとはないわけですけれども、それを嘉納先生の系統の高等師範御出身の方が大学の先生をやっている、そこを何とか集めようとされたわけですね。二十二集めたわけですね。学柔連というのは二百六十一あるのですよ。しかも、この方々のほとんどが両方に加盟しているのですよ。試合に出られないだのなんだのということがあって面倒だからというので、学柔連の了解を得て片一方に顔を出すようにしたりしている。これは非常にまずいことでありまして、こういうかいらい的なものをつくって事済む筋合いではない。そこで、はっきりしていただきたいと思っているのですが、ここでもう一つ、時間がありませんから申し上げます。
 この講道館なるものを、百周年というので、まだ会費を取っているようですが、お建てになる。建てるのは一向に差し支えない、結構なことなんですけれども、これは免税の形で――私、調べましたが、東京国税局がぴしゃっと断っているのですよ。幾ら大きくても一町道場が免税と言われても法律的にできません、こう言われている。法律的には、法人税法三十七条三項の三号、政令で指定する法人、これが集めた寄附金は別枠の損金算入ができる、個人は寄附金控除の対象となる。法人税法施行令の七十七条で「試験研究法人」、これは免税対象になるという意味で、今の損金算入ですが、財団法人日本体育協会が入っている。「主たる目的である業務に関連する寄付金」、これが免税対象になるというわけですね。ところが、この体協の下にある全柔連は法人格はないですから、体協ということで、さっき読み上げましたが段位昇進するときに強制的に取られる、こうやられているわけであります。
 ところで奇妙なことに、「主たる目的である業務」――まあ、体協が修練所をつくるとかなんとかというなら話はわかるのですよ。ところが、「主たる目的である業務」ということで集めたんだが、それは講道館が登記してある、講道館の財産である、講道館の建物。そこを体協に加盟している個人の柔道家が使われるにしても、これは筋が通らない。ここのところは、きょうは国税庁の方にもお見えいただきましたが、担当課長さんと電話でいろいろお話をいたしましたけれども、国税庁の側としては、私が今申し上げたことに基づいて体協の免税を認めた、だから「主たる目的」に使ってもらわなきゃならない。ところがそれが講道館であったというところについては、これは国税庁の方としては何とも申し上げようがない。つまり、「主たる目的である業務」ということで免税を認めたんだから、その「主たる目的」のために使ってもらうということになっている。ところがそれが講道館だ。
 こうなりますと、私の仲よくしている大きな柔道場もございます、鉄筋二階建てでございますが。これが大きなものをつくろうというので、これも体協傘下ですから、一町道場ですから、そうすると、それならば同じような手続をお認め願いたい。体協傘下の人間が行って道場を使って、上下二階のをやっているのですから同じ理屈なんです。そんなものを横浜の税務署は認めやしませんよ。国税局で認めやしませんよ。それが今度は全柔連の、体協で免税で集めて建物を建てた。しかも講道館のように、住友銀行だの何だのそんなところにまで貸して金を取っている、免税の金を取っておいて。そういうふざけたことを認められる筋合いかと私は言いたいわけです。
 さっきの点は局長さん、今の点は国税庁の方からとりあえずお答えをお聞きいたしたい。
#346
○熊澤説明員 先生お尋ねの指定寄附金という制度がございます。これは法人税法にございまして、いろいろ要件があるわけでございますけれども、「広く一般に募集されること」あるいは「教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること」、こういったようなものにつきまして個別に大蔵大臣が指定する制度がございます。確かに講道館は、この指定はされていないわけでございます。もう一つ、寄附金につきましては制度がございまして、先生もよく御承知の制度でございますけれども、試験研究法人が集める寄附金というのがございます。先生からもお話ございましたように、日本体育協会というのはこの試験研究法人として政令で指定された団体でございます。
 そこで、税の扱いを国税当局としてどうするのかということでございますけれども、最初申し上げました個別の指定がない寄附金ならば、そういう寄附金は試験研究法人が集めてはいけないのかというと、必ずしもそれはそういうことではないと思いますので、要すれば日本体育協会が集めております寄附金がその体育協会の事業目的のために使われているのかどうかということになってくるかと思います。
 私どもといたしましては、いろいろそういった場合にその試験研究法人の事業目的等々勉強いたしまして、果たして事業目的に関連した寄附金なのかどうか、もしそういうふうな関連が認められるということであれば、個人につきましては、一定の限度でその寄附金を出した個人は控除扱いをする、あるいは法人であれば、これも一定の限度で特別の枠を認めていくという扱いをしているわけでございます。私ども、そういう税の立場でやっておるわけでございまして……(大出分科員「時間がないからその辺でいいです」と呼ぶ)そういう扱いをしているところでございますので、御了承いただきたいと思います。
#347
○大出分科員 呼び出して恐縮なのですが、電話でもお話をしたわけでございますが、今御説明いただいたとおりでございまして、ただ、先ほどの電話では、だがしかし、それが講道館の建物であったというところがひとつちょっとというお話でしたが、それ以上おっしゃらぬでもいい。できてしまったものを今蒸し返してという気は、実は私個人はないのです。
 それは私もこの間申し上げましたように、全く縁のない人間ではないので、そこは別な考え方を持っておりますが、ただこういう形がとり得るとすれば、これは海部さん、おわかりになると思うのですが、私も、盲導犬の問題で法人がありまして、組織を広げようというので寄附を方々から集めようとした。何とか免税をと思って、私、仲よくしている大蔵省の課長さんがいたものだから、外国を長く一緒に歩いた人だから話をいろいろしてみた。先生、どうしてもそれはできないというわけですな。共同募金か何かの方に、何かうまいことできませんかというような話が出たり、いろいろしましたけれども、そんなに簡単なものじゃないですよ。これができるとすれば、体協傘下の町の道場というものはみんなでかいものが建ってしまいますよ、免税で。同じ理屈でしょう。国税局が講道館にはそれはだめだと言ったのだ、東京国税局が、一道場なんだから。そうでしょう。そうすると、法人格を持っている町の道場が体協の名前で集めて、体協傘下は各県柔連、みんな全国にあるのだから、それみんな道場に免税の金を流して建て始めた日には、似たようなケースは全部認めなければいけませんよ、そんなことは。だから、そういう形のものは、私は幾ら何でもちょっと理解に苦しむのですよ。
 なぜ、こういうことになるかというと、これはこの間課長が来られて私に、文部省の指導、確かにいろいろお話があったことは事実だが、指導と言われるとこれは迷惑であるという話があったから、私はこの間指導によると言ったけれども、あえてそこまでは詰めません、それは相談されれば話くらいしますからね。それをもって指導と言えば、まことに困ったことになるわけですけれども。
 だから、そこのところはそれで言わぬけれども、問題は、伝統的な日本の国技なのだから、起倒流をお習いになった、日本伝と書いてあるとさっき申し上げたとおり。だからやはりここは、全柔連というものを法人化して、そこまではいい、やはりきちっと分けてもらいたいのですよ。天下の講道館とは分けてもらいたい。そして、前回申し上げた段位制その他できちきち締めつけていくという、ほとんど吸い上げてしまう。だから県連は、講習会や何かをいっぱいやって、そこで金を取らなければ運営できない。そうすると金がかかり過ぎるのだから、四分の一くらいでほかの弓術なんかはみんなやっているのだから、そういうことではやはり子供さんに武道を習わせようと言ったら柔道は高いよ、こうなるのだから、剣道に行きますよ。それはそうでしょう。ますます剣道がふえれば、経費はますます安くなるでしょう。柔道が減ればますます値上げでしょう、段位は。これは柔道の層というものを減らしてしまいますよ。
 だから大臣、全柔連というもの、段位というのは、全国全体の柔道家の修行の段階の過程を示しているのですけれども、そういう団体はきちっと別な運営ができるように、講道館の総務部長が全柔連の事務局長で、館長は会長で、各県に高等師範関係でみんな置いておいて、下の学校の柔道家、教えている先生が何か言えばすぐどこかにやるぞでは、柔道というのは廃れてしまう。そういう意味で、さっき申し上げたのはまじめに悩んでいる方だから、御自分の字で書いてきているものですから申し上げたわけですけれども、大臣、局長、ひとつそこのところどうお考えですか、そっちに向けて進めていただきたいのですが。
#348
○古村政府委員 先ほど申し上げましたように、全柔連は競技団体でございます。講道館は講道館柔道を指導していく、そういった団体でございます。したがって、おのずから性格は別々でございますから、そういったことをよく頭に置きながら指導いたしたいというふうに考えております。
#349
○大出分科員 時間がありませんが、最後に、文部省の皆さんがおまとめいただいた、今まで仮処分が二回出ておりまして、今裁判が行われておりますが、この最初の仮処分というのは、第八回世界学生柔道選手権大会に参加を認めないということになったために、この間申し上げたように、起こった仮処分です。ここにお書きになっているのと、私が細かく聞いたのとは少し違います。
 この二番目の仮処分、これは学柔連側が勝っております。最初のも、実は聞いてみるともう勝訴寸前なんですよ、仮処分が。ところが、講道館柔道を習った議員の先生方にすると、負けたのではぐあい悪いからというので、名前は挙げませんが、いろいろな国会議員の先生方が中に入ろうというので、入ったのですよ。だから学柔連の側も、それは申しわけない、取り下げますというので、始めた。ところがいろいろ聞いてみたら、学柔連の御大将、会長にだれが出てきたかと思ったら、松前重義先生が出てきたというところがまた片方がこうなっておる。というのは、国際柔連の会長の件で嘉納先生負けているでしょう。だから試合の規程なんかも、国際柔運の方の規程が先にできてしまいまして、それに従わなければやれないから、全柔連規程や試合の規程や何か皆変えたのです、講道館も含めて。
 国際的な柔道のですよ、百二十何カ国あるのだから、各国が段位をみんな出しているのだから、それは国際柔連のてっぺんで認定するのだから。そうでしょう。だから、そういう出てきた人物によってまたひっくり返るのは困るのですよ。だから、二回目の仮処分を最後までやったら、学柔連の側が勝って当たり前のことだ。今裁判やっておるけれども、裁判だって勝ちますよ、私も調べているけれども。その方面、私は余り素人じゃないから。九月ごろ結審でしょうけれどもね。だから、そこに行かないところで何とか妙なことにせぬように、やはり所管は文部大臣、文部省なんですから、ポイントが明らかになったようですから、ひとつ日本の柔道の――私も、縁がある人間がこんなことを言っているのですから、それは心配するからですよ。そういう意味で、大臣にもう一言御答弁いただいておきたいのです。
#350
○海部国務大臣 柔道が日本の代表的な武道であり、国会議員の諸先生も本当に党派を超えて、私にいろいろな立場からの御心配をいただきますけれども、その複数の議員の先輩や同僚の皆さんの御意見を集約しますと、批判の声は、今大出先生指摘されたようなところに最終的には集約するようでございます。私どもは、この御批判の声等も大切にしながら、何とか柔道界の内紛を抑えて、最初申し上げましたように、全柔連というものが日本柔道界を代表し統括するにふさわしい組織を確立してもらいたいと、批判の声を十分踏まえて、今体育局長に指導をしてもらっているわけでありますから、私も、ほかの御理解いただいておる先生及び大出先生にも御協力をいただきながら、この一日も早い実現に向かって努力を続けさせていただきたい、こう思います。
#351
○石原(健)主査代理 これにて大出俊君の質疑は終了いたしました。
 次に、野間友一君。
#352
○野間分科員 幾つもの問題を抱えておりますので、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
 和歌山市の栄谷というところに、和歌山大学の新しいキャンパスが誕生いたしました。昨年の九月から教育学部が移転しました。六十二年四月から経済学部そして経済短期大学部が移転をいたしまして、文字どおり統合移転が完了するわけであります。この中では大変な学校の努力もありましたし、また文部省にもいろいろと苦労をかけたと思うのです。問題が山積みしておりますけれども、幾つかの問題を取り上げまして、政府の、文部省の対応をただしたいと思うのです。
 一つは、アクセスの問題であります。ちょうど、和歌山市から国道二十六号線を大阪に向かって北上したところの山を切り開いてつくったのですけれども、今私鉄の和歌山バスが走っておりますけれども、実は学生は和歌山線とか紀勢線あるいは阪和線、南海電鉄、こういうのを利用して和歌山市まで来まして、そこから和歌山バスを利用するのです。ところが、非常にバスの間隔が長い、またさまざまな連絡がうまくないものですから、勢いバイクに頼る。学生の八〇%近い者が実はバイクを使っておるというのが現状なんです。
 そこで、和歌山県も和歌山市も、大学も学生も地元も、こぞって南海電鉄に新駅をつけてほしい、これは紀ノ川駅と孝子という駅がありますけれども、その中間につけてほしいという要求が非常に強いわけですね。大学の学長も、県や市長、知事と一緒になりまして南海電鉄に要請をしております。私鉄のことでありますから、いろいろ問題はあるのですけれども、非常にまじめな熱心な運動と、それから昨年暮れだと思いますが、県議会の総務委員会が会社に参りましてそこで要請したところが、在阪大手五社の中で大学名の駅がないのは南海電鉄だけだ、関西新空港もこれあり、和歌山大学の総合大学化の一つの展望もありますから、その中でいろいろ検討したところが技術的には可能だ、しかし金がかかる、地方自治体の応分の負担が欲しいというところまで進んできておるわけです。
 キャンパスにとって、周辺整備は大変重要な問題だと思うのです。そこで文部省としても、ぜひ大学をサポートして、新駅の設置についてひとつ御努力いただきたい。文部省と、運輸省にも同じことで、まずお聞きしたいと思います。
#353
○大崎政府委員 ただいまのお話にございましたように、和歌山大学の栄地区への移転が現在進行中のわけでございます。それで、通学通勤の問題が移転決定の際にも議論になったというふうに、当時の担当者から聞いておるわけでございます。その時点では、新駅の可能性ということも既に議論されておったようでございますが、まず基本的に、バスで通学通勤の方法を確保したいということで話が進んだわけでございます。ただ、事柄といたしましては、ただいまお話しのように電鉄の利用が大学当局も望ましいと考えておりますし、私どももそうではないかと思っておるわけでございます。
 ただいまのお話にもございましたように、昨年来ずっといろいろ関係者の御努力が続けられているというふうに承知をいたしております。五十九年の十月には和歌山県の知事、和歌山市長、和歌山大学長連名で、正式に南海鉄道株式会社に要望書も出しておられると承知をいたしておりますが、その要望書に対しまして南海鉄道では、その新駅の設置が要望されている場所が地形その他で相当の投資を必要とするので、現時点では困難であるというような御回答が参っておるのが現状であると承知しております。ただ、大学当局といたしましては、引き続き県、市あるいは関係者と御協力をして、さらに南海電鉄にお願いを続けてまいりたいという強い気持ちを持っておるようでもございますので、私どもとしては、その和歌山大学の方針を支持をいたしたいと思っております。
 ただ、先生御指摘のように、私鉄に対しまして文部省が直接物を言うというのは、これはまた今の時点でいかがかということもございますので、大学その他の関係者の御努力を見守らしていただきたいと思っておるわけでございます。
#354
○山本説明員 お答えいたします。
 ただいまお話にございました問題につきましては、一般的には私鉄における新駅の設置要望に対しましては、当該地域における輸送需要の動向とかあるいは工事にかかわる投資資金の問題とか地元の都市整備計画との調整の問題とか等々につきまして、当該私鉄と関係者間で総合的な検討がなされた上、その可否が決定されるものでございます。南海本線の新駅設置の御要望につきましても、これらの点につきまして、関係者において十分検討をされることを期待しているわけでございます。たまたま、当地の地理的状況についてはよく存じ上げておりますが、地形上からする困難な問題等もあると聞いております。この点については、要望を事業者にも伝えたいと存じます。
#355
○野間分科員 できるだけ簡単にお願いしたいと思います。
 次に、研究教育予算の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 教官あるいは学生当たりのいわゆる積算校費は、五十七年から据え置きということで大変な危機に直面しておりますけれども、ぜひこれは据え置きでなしにふやしていただきたい、まずこの要望ですけれども、いかがですか。
#356
○大崎政府委員 国立大学におきますいわゆる教官当たり積算校費と呼ばれているもの等の経費につきましては、六十一年度予算につきましても、現時点の厳しい予算状況では前年同額を確保したという感じで私どもおるわけでございますが、さらにいろいろ工夫をいたしまして、各大学におけるいろいろな教育研究上のプロジェクトを推進するために、必要な経費につきましては増額等も図られているものもあるわけでございます。非常に困難な状況ではございますけれども、国立大学の教育研究水準の維持、確保ということにつきまして、引き続き努力をさせていただきたいと思っておるところでございます。
#357
○野間分科員 私も、いろいろと数字をもらいまして検討もしたんですけれども、大臣に一つお伺いしたいのは、すべての大学というのは教育の機能と同時に研究の機能を持つ、両方の機能をあわせ持つということについては争えないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#358
○海部国務大臣 御指摘のようなことだと私も思っております。
#359
○野間分科員 ところが、いわゆるその当たり校費を見てみますと、いわゆるドクターの講座制、それからマスターの講座制、そういうのがない学科目制と三つに大きく区分をいたしまして、さらに非実験、実験ということの中で非常に詳細、しかもその中では非常に格差があるわけですね。これは現在の情勢にも合いませんし、またこういう格差はぜひなくしていただきたい。また、全体の予算をふやすと同時にこういう格差についてはぜひ検討し直して、今文部大臣からも話がありましたけれども、教育機能と研究機能ですね、これをあわせ持って、これは旧帝大系もあるいは地方大学も同じですからぜひ検討し直していただきたい。いかがです。
#360
○大崎政府委員 ただいまのお話のように、基礎となる教育研究組織が博士講座、修士講座、学科目という形であるわけでございますが、これはそれぞれその担当する教育研究の内容が違っておるわけでございます。一番わかりやすく申しますと、博士課程の講座につきましては、学部段階の教育研究から博士課程の学生の指導というものまで及んでおるわけでございますが、学科目制でございますと、学科目の職務内容というものにつきましては学部段階にとどまっておる、いわばその受け持つ、担当する仕事の量あるいはその内容の差が、単価に反映をしているというふうにお考えをいただければありがたいと思っております。
#361
○野間分科員 だから、ぜひこれを検討し直していただきたい。私の要望ですけれども、いかがですか、一言。
#362
○大崎政府委員 私どもといたしましては、今の形が合理的であると思っておりますが、ただ、将来の考え方として、例えば大学院だけを担当する場合に、そういうものについてどうするかとかいうような新しい形態に伴う問題はあろうかと思いますが、現在の大学制度、大学院制度のあり方を前提といたしますと、今の形の組み方というのが合理的であるというふうに考えておるわけでございます。
#363
○野間分科員 これはやはり差別だと私は思うのですね。実際、実態をつぶさに見ていただいてぜひ検討し直してほしい、これは私の強い要望でもあります。
 と同時に、この和歌山大学、先ほども申し上げたように新しいキャンパスに移転をする、設備が非常に新しくなったわけですね。その中でこの施設の管理とかあるいは補修ですね、こういうものに対する経費がうんとかさんで、これが研究費を圧迫するという実態の中で非常に苦労されておるわけですね。「学園だより」というのがございます。ここで学生部長の森川博教授が書いておられますけれども、「電気・ガス・水道・廃水等廃棄物処理、広大なキャンパスの管理・保守などなど、このまま行けば、研究・教育予算の三分の二は消えてしまう」、こういうおそれを投げかけておられますし、「どうしても全学の節約体制が必要」だ、こう言っておられるわけですね。御案内のとおりですね。
 実際私も、複数の教官に当たってみますとまさにそれを裏書きしておりまして、確かにひもつきの庁費はありますけれども、これは間尺に合わない、結局食い込むところは研究費。聞いてみますとその結果、図書の購入費が年間十二万、管理運営についての引き算をして図書の購入費十二万引きますと、年間一教官当たりの研究教育費がわずか十六万円ですね。月に直しますと一万円ちょっとにしかならない。これでどうやって研究しろと言うのかということで、非常に問題が多いと思うのですね。ちなみに、昨年度に比べて研究費が三〇%も減るであろう。九月から移転したわけでありますから、その半年間の中でも一七%実は減っておるわけですね。ですから、こういう過渡的なところにおいては特別の手当てが特に必要じゃないかと私は思いますけれども、この点いかがですか。
#364
○大崎政府委員 移転統合に伴います新たな設備の整備等につきましての予算措置は、別途いたしておるところではございます。ただ一般的に、大学の教育研究に使える経費が窮屈になりつつあるということは、これまた事実でもございますので、先ほど申し上げましたように、何とか実質的な水準が維持確保できるようにということで年々努力を重ねて今日まで至っておるわけでございますが、他方、全体の厳しい行財政ということを考えますと、大学自体にもいろいろあわせて御工夫もいただくということで、両々相まった努力を今後ともいたしていかなければならないと思っております。
#365
○野間分科員 その努力の中身ですが、大臣、今お聞きのように大変な事態なんです。ひとつふやすように御努力いただきたい。いかがですか。
#366
○海部国務大臣 一生懸命努力いたします。
#367
○野間分科員 同じような趣旨での研究旅費についてでありますけれども、これも非常に低いわけですね。教授が十万六千円、助教授が八万八千円等々、和歌山大学の場合には全部教官当たりにならしましてやっておりますけれども、その結果一人当たり六万八千円なんですね。学会が例えば東京でありますと、二泊三日で行きますと一遍でこれが吹っ飛んでしまう。聞きますと、一人の教官当たり五つも六つも学会に入っておられる方もある。私はある教官に聞きましたら、一つの学会は大体四回あるんだ。しかも評議員をやっておられる方ですが、評議会が別に四回ある。だから、自分の給与の半分が研究費にとられてしまう。これまた本当にお粗末な状態なんですね。しかも文系等でも、アウトドアの仕事が非常にふえているわけですね。したがってこの研究旅費をぜひふやしてほしい。これは毎年文部省に対して私ども要望しておりますけれども、こういうようなお粗末なことで果たして基礎研究の対応としていいのかどうか、非常に私は寂しい限りだと思うのです。これもぜひ私はふやしてほしい。これも五十七年から全部据え置きですからね、ぜひお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#368
○大崎政府委員 気持ちといたしましては私も同じ気持ちでございますが、ただ現実の課題として御答弁をさせていただきますと、やはり各教官にいわばある標準で均等に行き渡る経費を増額するということは、現時点では非常に困難な課題になっておるわけでございます。その中でどう教育研究水準を維持するかという観点に立ちますと、やはり先生方の御努力の中ですぐれた研究の芽が出てきた、あるいは新しい教育の試みをぜひやってみたいというような新しい動きをお助けをするという方向で経費の充実を図る。一番わかりやすい例を申しますと、例えば科学研究費補助金というものは、この苦しい中で年々増額をいたしておるわけでございますけれども、すぐれた研究プロジェクトについては例えば科学研究費ということで、やはりある程度重点的な形での充実を図るという手段方法を現時点ではとらざるを得ないというふうに考えておるところでございます。
#369
○野間分科員 これも、ぜひひとつふやすために最大の努力をしていただきたい。後でまた、まとめて大臣からお答えいただきたいと思います。
 サークル活動について、これは時間がありましたら後で一番最後にお聞きするとして、時間の関係で次に障害児教育の問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 五十四年からは障害児に対する全員就学が実現をした、これは大変よいことであります。そこで文部省にまずお聞きしたいのは、どんな障害を持つ子供でも健康上可能な限り通学して教育を受ける、こういう権利をひとしく持っておるというふうに私は思いますけれども、いかがですか。
#370
○高石政府委員 障害児教育は、障害の種類と程度に応じて学校をまずつくっていく、通学の前に、まず受け入れ施設の学校をつくるということが先決だと思うのです。今日までは程度の軽い者は、普通の小中学校に特殊学級をつくって、大体の子供が通学して教育を受けられるということになっております。ところが、盲学校、聾学校、それから養護学校等のごく子供の数の少ないものにつきましては県に一校ないしは二校つくって、そしてそこに寄宿舎を整備してそこで専門的な教育をやっていく、こういう流れでやってきておりますので、通学が原則であるというふうには言い切れない点があるわけでございます。
#371
○野間分科員 いや、通学が可能であれば、学校へ行って教育を受けるのが権利というか、それは建前でしょう。原則でしょう。
#372
○高石政府委員 そうした種類の程度に応じてつくられた学校に通学していけるということであれば、通学することが適当であろうと思います。
#373
○野間分科員 そこで具体的なケースですけれども、和歌山市に紀北という養護学校がありますね。これは知恵おくれが主体の学校なんですけれども、この和歌山市で今在宅訪問教育を二十六名が実は受けておるわけですね。これは紀北養護学校の先生が家へ訪ねてやっておる。父兄の強い要望で、大体今、週二回、これは大体というか週二回通学、いわゆるスクーリングで学校へ通っておるわけですね。その結果、子供に非常に変化が出てきた。表情に非常に変化が出てきて目の輝きが出てきたとか、あるいははうことさえできなかった子が――これは月曜日と木曜日にスクーリングで行っておりますが、その日ははいながらかばんを引っ張って玄関に座り込んで母親を待つようになったとか、いろいろなそういう発達した状況、あるいは学校という言葉を言えるようになったとか、さまざまな、通学して集団の中での教育の成果が言われております。近くの子供に関心を持つようになったとも言われております。
 重度の障害児の父兄とかあるいは養護学校の先生方に聞きましても、やはり通学をさせたい、これは心からの願いだというわけですね。新しい教室をふやさなくても、現在すぐと申しますか、スクーリングに今使っておるところ、教室があるそうです。これは養護学校の校長先生もそう言われておるわけですね。この子らのためにぜひ一学級つくって、本来あるべき義務教育がとられるように私はするべきだと思うのです。もし和歌山県の教育委員会がこれをやれば、国は当然所定の措置をとるべきだと思いますけれども、いかがでしょう。
#374
○高石政府委員 養護学校の整備は、県の責任において処理されているわけでございますので、県が具体的にそういう計画を持って国に補助申請をすれば、それについての補助を出すということになろうと思います。
#375
○野間分科員 県の方は研究課題だというふうに今のところ言っておるわけですけれども、そういう状況で可能な状況にありますから、県教委の方からそういう申請があれば必ず認めていただきたい。今も局長からお答えがありましたので、さらに県との折衝を続けてみたいと思います。
 それから、共同作業所の問題についてお伺いしたいと思います。これは作業所、特に精神薄弱児の共同作業所の問題でありますけれども、これも教育の延長でありますから、ぜひ文部省も聞いていただきたいと思います。
 これは、五十九年に社会福祉法人の認可の基準が非常に厳しくなった。それ以前は、例えばみずから不動産、特に土地ですけれども、これがなくても法人格の取得ができたわけですが、これが非常に厳しくなりまして不動産は所有をしなければならぬ、こういうふうに改悪をされたわけですね。国とか地方公共団体から無償の貸与、使用許可を受けた場合は例外だ、それ以外の場合には不動産の一部に限り貸与を受けても差し支えないが、この場合は事業の存続に必要な期間の地上権または賃借権、この登記が必要だ、非常に厳しくなったわけですね。
 しかもその資産について、以前はほかから不動産を借りておる場合には資産が百万円あればよかった。ところが、今度は非常に改悪されまして、厳しくなりまして、なかなか共同作業所の法人格の取得ができない。したがって小規模の作業所をつくって、これはボランティアが中心になって非常な苦労をされておるというのが実態であります。
 文部大臣に聞いていただきたいのは、これは五十四年に今申し上げたように義務教育化しまして、ちょうど六十二年度から高等部の卒業生が出てくるんですね。和歌山市でいろいろ調べてみますと、高等部の卒業生が約百名出てくる。ところが、こういう子供の作業所が少ない。もう満杯なんですね。私知っておるのは、くろしおという共同作業所がありますけれども、これは二十人満杯なんですね。百人出てきて、そして試算いたしますと、結局七〇%が仕事にありつくことができなくてまた在宅に戻ってしまうという非常に深刻な事態なんですね。ですから私は、厚生省にはぜひこういう法人格の取得の基準をさらに緩和しろ、以前に戻せということと同時に、これは文部省も、教育の延長ですから、この子供の仕事は、ぜひ厚生省と協議して、しかるべくこういう子供たちのために光を当てていただきたい、こう思いますが、いかがですか。
#376
○村岡説明員 ただいま、社会福祉法人の資産に関する基準を五十九年度改正前に戻せないがというような御覧間だったと思いますが、社会福祉法人の資産につきましては社会福祉事業法の二十四条におきまして、「社会福祉法人は、社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならない。」ということになっておりまして、その実施上の細目細部につきましては通達で行っておる。この通達が五十九年度に改正されたということでございまして、五十九年度の改正におきましては、社会福祉法人の事業運営の一層の適正を期する観点から、ただいまおっしゃいましたような自己所有の原則を明確化いたしたわけでございます。私どもといたしましては、法人運営の適正を期するという観点からは自己所有の原則は必要である、かつ適切であろうかというふうに考えておるわけでございます。ただ現行の通知におきましても、個々の案件の処理に当たりましては、例外的に賃貸借等でも認め得る余地を残して配慮をいたしておるわけでございまして、こういうことで適切な遂行を図っていきたいというふうに考えております。
#377
○野間分科員 いや、そう言われますけれども、本当に障害児を持った父兄やボランティアが集まって土地や建物がなかったら、所有しなければ法人格は認めない。これは以前は認めておったわけですからね、いわゆる民間人からの貸借についても。これはもう取っ払って全く厳格になっている。その結果、本当にできないのですよ、法人格の取得が。義務教育化して、養護学校なんかどんどんこれから出てくるわけですから、全部仕事を確保することができない、これは大変深刻な事態なんです。これは直接の所管ではありませんけれども、文部大臣、ぜひそういう実態を調べていただきまして、厚生省と協議をしてぜひ善処をしていただきたい、前向きに御検討いただきたいと思いますが、いかがですか。
#378
○海部国務大臣 御趣旨を体して、私の方もよく勉強をし研究させていただきます。
#379
○野間分科員 よろしく、ぜひお願いしたいと思います。
 それから、あと最後に一点だけ。戻りますが、大学におけるサークル、クラブ活動の施設の問題ですね。これは文部省の方針は施設の共同利用でなければならぬ、こうなっております。これについて私二点ばかりお尋ねしたいと思うのですが、一つは、その基準が非常に狭いわけですね。ワンサークル、ワンルームというのが、非常に困難なそういう基準になっております。だから基準をぜひふやしていただきたい。クラブやサークル活動の重要性は、文部省自身も認めているわけですね。これは非常に重要な要素ですから、ぜひその基準を広げていただきたい、これが一つです。
 それから二つ目は、一つの部屋の中でやむを得ず今共同利用しておりますけれども、一つの部屋の中で三つも四つもクラブ活動をやるわけですから、これはクラブ活動にならぬわけですね。その際にある大学では間仕切りをしたら、文部省はこれはいかぬといって取っ払ったというケースも聞いておるのです。こんなばかなことがあるんでしょうか、これについて見解を求めたいと思います。
#380
○大崎政府委員 いわゆる課外活動施設のあり方につきましては、昭和五十五年に内部での調査研究会の報告が出ておりまして、その中では、いわゆるサークル施設というようなものにつきましては、個室ということになりますと、一つは狭隘であるということもございますが、施設の全体の管理あるいは学生の交流等々の理由から適当ではないということで、いわば一種のオープンシステムみたいなものを原則としておるわけでございます。ただ、その中で個々のサークルが、例えばロッカーでお仕切りになるとか、あるいはついたて等でお仕切りになるとかというようなことは、それぞれの大学等の御判断の問題でございまして、文部省としてそういうことを申し上げているということはございません。
#381
○野間分科員 時間が参りましたので終わりますが、教育というのは非常に重要なものだし、大臣も二度目の文部大臣ということです。ぜひ、今私が申し上げた切実な教官や学生の要望を体して文部行政を進めていただきたい。最後に決意をお願いして終わりたいと思います。
#382
○海部国務大臣 教育は極めて大切な国政の根幹でありますから、決意を新たにして取り組んでまいりたいと思っております。
#383
○野間分科員 終わります。
#384
○石原(健)主査代理 これにて野間友一君の質疑は終了いたしました。
 次に、滝沢幸助君。
#385
○滝沢分科員 委員長、御苦労さまです。大臣、御苦労さまです。
 今日、教育を取り巻く事情は大変厳しいものがありまして、そういうときに再度文部大臣として御就任いただきまして、まことに御苦労さまでございます。また、多くを御期待申し上げているわけであります。御健闘をいただきたいと存じます。
 そこで、これは私が文教常任委に籍を置きました当時よりるる申し上げてまいったことでありますが、教科書、特にその検定についてのことでございます。これは、語れば長きことながらというお芝居の文句もありますが、時間が限られた範囲でありますので、いわば省略すべき点をすべて省略させていただきます。
 私が二カ年間文教委員会で質問申し上げ、御答弁をいただきました範囲によりますれば、この教科書検定基準の中に(15)項というものを設けられて、これは申すまでもなく、例の中国寄りの鈴木内閣の当時でありましたが、中国よりの抗議に端を発しました一連の折衝の結果得られた結論であります。私はこれが外交が教育をリードした形であって、まことにけしからぬこと、残念なことと申し上げてまいりましたが、しかし現実は、この(15)項が加えられたことによりまして、現・近代史等におきまして、例えば過ぐるあの戦争の記述等をめぐりまして、いわば侵略であるか侵入であるかというあたりの議論が極めて複雑な、また激しい論議を呼んだことであります。
 そこで、いろいろと議論をしてまいりました。最後にたどり着きました御答弁は、この種のことにつきましては意見を付さないことになっておりますというのが当時の局長の答えでありました。私をして言わしめるならば、隣近諸国の国民感情等も配慮して適切に措置しろというこの(15)項というものは、今までは書いてきたものをそのまま認めもしたけれども、今度は隣近諸国の国民感情を配慮して意見を付しまするよというふうに読むのが私は大変常識的な読み方だと思うのだけれども、いろいろと議論してまいりました結果は、つまりはこれは書いて出しましたとおり意見を付さないことなのだ、こうおっしゃっていただいているわけであります。摩訶不思議なことではありますが、そうだとおっしゃるならばそれも結構でしょう。さようですかと承ったことであります。
 ところが、このほど、私の友人をも含めた諸君が新しい教科書、これは社会科でございますがこれを編さんいたしまして、検定の手続を申し上げたことであります。そうしましたら、漏れ伝えられるところによると、総累計五百カ所にもわたる改善命令ないしは改善意見というものが付されたやに承っているわけであります。そうならば、意見を付さないことになっておりますという答弁は偽りではなかったのか。もちろん、先ほど申し上げましたとおり(15)項を設けて隣近諸国の国民感情を配慮しようと言っているのですから、今までは意見を付さなかったけれども、今度は隣近諸国の国民感情を配慮しないものについては、配慮しなさいという意見を付しますよというふうに読むべきだろうと言うのに、そうではなくて意見を付さないことなんだとおっしゃるから、そうですかと聞いておりますと、今度は、右とか左とかいう言葉は適切ではありませんが、いわば日本の立場を肯定するという歴史観に立った教科書が出てまいりますると厳しい意見が付されるというのであっては、まことに適切を欠くというそしりを免れないのではないか、こう思うのでありますが、いかがなものでございますか。
#386
○高石政府委員 具体的な検定作業は、目下作業が進行中でございますので、ここで最終的な結論を申し上げることはできないのでございます。ただ、五百カ所の改善意見ないしは修正意見が出されているという本の内容につきましては、我々はその本がより適切な、客観的な、教科書として立派な内容になるようにという立場でいろいろ意見を申し上げてきているわけでございまして、ただ中国との関係における分野だけの意見ではなくして、幅広く、その記述についてよりよき教科書になるようにという立場で意見を申し上げているわけでございます。
 ですから、中国とのかかわりについて、著者が「侵略」という言葉を使ったものについては意見を言わないし、またそれが「進出」という形で出されているものについても意見を言わないという形で対応しているわけでございますので、その付近は、「進出」と書いた、「侵入」と書いたものを「侵略」に全部修正しろ、そういう意見は申し上げていないつもりでございます。
#387
○滝沢分科員 二カ年間いろいろの御返事をちょうだいしましたが、やはり大変お答えしにくい点もあるでしょう。それぞれ置かれておる立場を理解もいたすわけであります。ただ、大臣、私は今ほど内閣委員会におきまして総務長官に、また分科会におきまして官房長官に申し上げてきたことでありますが、中曽根総理大臣が今日、日本は四十年の戦後を総決算するのだ、このようにおっしゃっているわけです。もちろん、何を、どのように決算するかということにつきましては、意見の多々分かれるところでありますが、しかし、戦後四十年、これがすべてこのままでいいとおっしゃっている方はまずないのではないか。四十年ともなれば、歩み来りました日々を顧みて、反省すべき点は反省し、改めるべき点は改めるということにおいては何人も否定しないことだと私は思うのであります。
 そのときに、私は、責任政党と自民党さんはみずからを規定していらっしゃいますが、まことにそのとおりであろうと思っております。この責任政党たる自民党、その自民党によって、新自由クラブさんの御参加もありますけれども、支えられております今日の中曽根内閣、これが私はもっと勇気を持って選ぶべきものを選び、むしろこれを国民に明示して国民の協力を求めてこそ、本当に国民からの信頼を得られるであろう、こういうふうに私は思うのでありますが、そのような意味におきまして、私はこの教育の部面におきましても、もはやいろいろと迷うことなく、国民の感情におもねることなく、むしろ勇気を持って一つの方向を示してちょうだいした方がよろしい、ちょうだいしなければならぬ、このように思うのでありますが、いかがなものでございましょうか、大臣。
#388
○海部国務大臣 御指摘のように、戦後の歩みの中に新しい国家目標をつくって、それがまず追いつき追い越したいという物質中心主義的な偏りがあったこと、豊かになりたいという願望があったこと、戦後のあの混乱期にはそれは間違いなくすべてに受け入れられたのですけれども、次第に皆さんの御努力や社会情勢の変化で物質的なものが満足された今日、私どもから言わしむれば、人間の心とか、あるいは精神とか、あるいは日本人としての自覚とか、あるいはまた人に迷惑をかけないで、自分だけ自由に新しい民主主義のもとで頑張ろうと言われた戦後の教育の中から、人に迷惑をかけないだけではいけないではないか。人には何か人間関係があるのですから、お役に立つことがあったら、あるいはそれはひいては国際関係では国際協調、国際協力、世界に何か貢献できるだろうか。この国としての目標も変わってきたと私は受けとめておりますから、きょうまでのことが全部いけなかったとか、全部まかったとかかたくなな態度をとらないで、今先生がおっしゃったように、いいことと悪いことをお互いにじっとこの戦後四十年の時期に反省もし、いいことは繰り返し、よくないことは繰り返さないようにしていかなければならない、その願いは私も強く持っておるわけでございます。
 教育の場におきましても、いろいろ先輩や先人の御努力で世界に冠たる普及はしましたが、現状は当面の急務として学校の荒廃の問題とか、中長期で見れば、世界と協力するために高等教育やあるいは科学技術の進歩であるとか、あるいは教員養成の中で先生に使命感や指導力を持ってもらわなければならぬ問題とか、いろいろございます。御議論を願っておる臨教審等もありますが、文部省は文部省としまして、きょうまでの施策を振り返り、現状の中で我々でまずできることはきちっとしなければならぬ。同時に、おっしゃったように教育の目標もしっかりと掲げて前進をしていかなければならぬということは私もそのとおり考えておるところでございます。
#389
○滝沢分科員 大変力強い決意を表明いただきまして、ありがとうございました。そのような御決意ならば申し上げさせていただきますが、今まことに、教育の現場を見ますると、荒廃とおっしゃっていただきましたが、そのとおりであります。しかし、このことが、戦後の教育にすべてとは申しませんでも、その多くはいわば間違っているとかというふうな反省があってしかるべきことだという証明だと思うのでございます。
 そこで私はつくづくと感じておりますのは、戦前我々の日本、戦うことにすべてこれ力を注入してまいりました関係もございましょう、本当に恵まれない環境の中で、それこそおんぼろ学校で、そうして教育も多々ありました。そして、四キロ、八キロというところを徒歩で子供に歩かして通学をせしめたようなこともございました。挙げて大変厳しい条件の中で教育をいたしたのであります。しかし、教育の目的はそれで達し得なかったかというと決してそうではなくて、立派な人物を輩出しているわけでございます。そのようなことを思いますると、先ほどおっしゃっていただきましたとおり、物質の面では大変戦後の教育は満たされてまいりましたけれども、しかし内容において、心の面でといいますか、精神の面でといいますか、生きる目標、私に言わせればもう一つここに国家目標と言ってもよろしいと思うのです、そういうものに欠けたるものがあることを痛感せざるを得ません。
 私は、去る夏にヨーロッパを回らさしていただきまして、あのユーゴスラビア、チトー大統領の亡くなられた後の学校を見させていただきました。しかし、すべての教室にチトーの写真が掲げられておりました。教壇の上に掲げられておりまして、そして子供たちに聞くと全部これはチトーというふうに答えるのであります。今、日本に仮に天皇陛下のお写真、いわんや総理大臣のお写真を掲げる教育のようなことがまかり通るかどうか考えれば、政治の形態が違うとは申せ、何ら目標を持たない教育、それは中曽根総理ではいかぬというならば、その学校ないしはその教師が理想の人とするような人の肖像でもいい、そういうものを示して、私はこの人を尊敬している、君たちはどうだ、君たち一人一人尊敬する人はだれだということを聞かれたときにはっきり答えられるようなそういう教育というものはできないものかどうか、こういうふうに痛感しながら帰ったことでありますが、二度のお務めであります、どうかひとつ勇気を振るっていただきまして大胆な方向を提示していただきたい。私は、それでこそ国民各層の信頼を得られるであろう、こういうふうに信じまして、そのようにお願いを申し上げたいと思います。
 さて、戦後の教育、広い意味では教育でございますが、過って歩み来った一つの課題といたしまして、国語の問題を痛感しているわけであります。本日、たしか国語審議会は「改定現代仮名遣い」につきましての答申を文化庁長官また大臣に申し上げたことだと思いますが、お受け取りだったと思います。そうでしょうね。
#390
○海部国務大臣 御指摘のように、きょうのお昼に答申がなされましたが、私は委員会の関係がございましたので、政務次官がかわって受け取っていただいたと聞いております。
#391
○滝沢分科員 さて、その現代仮名遣いの答申案というものが昨年二月に明示されまして、それを一か年間、五カ所の公聴会等、いろいろ検討された結果、との答申となったわけであります。しかし、私たちがこれを拝見しますと、まことに満足のいかない答申というふうに私たちは見ているわけであります。
 内容について一々申し上げる時間を持ちませんけれども、結論としまして、私は、国語というようなものは政府のないしは行政の力でもって操縦すべきものではない、また操縦し得べきはずのものでもない、こういうふうに存じまして、文化とは、ましてや国語とはもっと神聖にして深いものであるというふうに思っているのであります。今度の答申を直ちに大臣がそのまま受けられまして、そしてそのとおりに政令、訓令という形で公布されるということであっては、私は、国語を愛する多くの国民の期待に背くものではないか、こういうふうに思うのでありますが、いかがなものでございましょう。
#392
○加戸政府委員 従来から、国語審議会から答申をちょうだいいたしますと、政府といたしましては関係省庁等の協議を経まして内閣告示あるいは内閣訓令という形で定めるのを通例といたしております。したがいまして、今回答申を受けまして同様に関係省庁と協議を進め、内閣告示、内閣訓令を定めたいと考えておるところでございます。
#393
○滝沢分科員 そこで、私はあれをあのままうのみにされたような訓令が出るならば国語を愛する多くの国民の期待に背く、こう申し上げておるのでありますから、今後の作業日程等もあわせまして、これを受けられた側のお考えをただしておきたい、こう言うのでございます。
#394
○加戸政府委員 今回の答申を受けます以前でございますが、昨年二月の「改定現代仮名遣い」試案に対します御意見あるいは今回の答申の直前におきましてもそれぞれ批判的な御意見等も承っておるわけでございまして、そういったいろいろな寄せられました意見も参考とさしていただきながら、この答申を踏まえつつ、慎重に内閣告示、訓令の制定の内容を考えてまいりたいと思っております。
#395
○滝沢分科員 その訓令はいつ出るのですか。作業日程と申し上げているはずです。
#396
○加戸政府委員 従来の例でございますと、関係省庁との協議を経まして、数カ月程度で出させていただいているのが通例でございます。
#397
○滝沢分科員 これは予算等と違って今だめでも来年またというようなものでもございませんから、十分に時間をかけながら今後の検討をしていただきまして、うのみではなしにどうぞひとつそしゃくをしていただきたいというふうに要望しておきます。
 ところで、私は初めて議会に出てきましての質問で、今日行政改革におきまして廃止をすべき政府の機関ありとすればそれは国語審議会である、国語審議会こそは日本の国語をだめにし、日本の文化をだめにする元凶である、これは百害あって一利なし、日本の国語を今日の混乱に至らしめましたのは罪万死に値する、こういうふうに決めつけたことであります。これは今日も変わらぬ私の命がけの信念でございます。
 ところが、先ほどのヨーロッパの話になりますが、フランスに参りましてアカデミーフランセーズというものを勉強させていただきました。四十人の学者が任命されますると、一生涯その任にございます。そして、ある学者さんが亡くなりますと、かわって別の学者が推薦される。合わせて四十人であります。ですから、決して全部何月幾日でかわって別の委員ということではありませんから激変はいたさぬわけでありますが、この方々が生涯をかけてフランス語を見ていていただきまして、今までは大体五十年、早くて三十五年というようなテンポでフランス語のいわば基準を示していただいておる。極端に言えばフランス語の辞書を編さんしていただいておるということでございます。
 それに比べますれば、戦後四十年、既に新仮名遣い、今日の常用漢字、こういうものは国民に定着しているというのが文部省の唯一の説得の言葉でありました。何が定着いたしましょうか。四十年で定着するように浅い国語であるはずはございません。そういう意味で、フランスのごときも先ほど申しましたように五十年にして初めて一つの、ですからまだ戦後版が出てないわけでありますから、それに比べればいかに日本は拙速主義であるかということを私たちは学んでいるわけであります。
 今度、四月ですか五月ですか存じませんけれども、新しい国語審議会の委員の委嘱もあろうと思います。二年や三年の任期でだれ博士がなったらどうなりましょう、どこの新聞の主筆がこの委員に加わったらどのようなことになるであろうかと予想されるような短絡的な審議ではなしに、私はフランスのアカデミーのごときものに改組をしていただくことがよろしいのではないかと思うのであります。この辺のことにつきまして、大臣にひとつ所信のほどを披瀝いただければありがたいと思っております。
#398
○加戸政府委員 大臣お答えいただきます前に、ちょっと事務的に説明させていただきたいと思います。
 まず現在の国語審議会でございますが、四十五人の委員で組織しているわけでございます。新聞あるいは出版、言論会のそれぞれの分野の方々、あるいは学界の方々、有識者の方々、言うなれば日本におきます見識ある方を網羅していると私どもは考えているわけでございまして、しかも一応の時間をかけ、御審議もいただき、またいろいろなアンケート等を通じましていろいろな考え方も議論の俎上に載せてまいったわけでございまして、大変公正な審議をいただいたと私どもは考えているわけでございます。
 それから、現代仮名遣いが四十年で定着したということが断定できるのかという御意見でございましたけれども、今回、戦後四十年の間に現代仮名遣いの使用状況が定着しだということを大きな理由とはさしていただいておりますが、と同時に、歴史的仮名遣いに比べまして、「現代かなづかい」が昭和二十一年に定められまして以来、国民のだれもが自然に、かつ容易に文章を書きあらわせるようになったという評価が審議会におきましても大勢を占めたわけでございますし、また現時点におきましても、一般の社会生活における現代の国語を書きあらわすための仮名遣いとしてすぐれた点があるという評価に立ったわけでございます。
 もちろん、これに対します異論あるいは批判等があることは十分承知いたしておりますが、今回の性格自体が従来の「準則」を「よりどころ」という形の緩やかなものにし、あるいは適用範囲も新聞報道、雑誌あるいは法令、公用文書といった一般の公共生活に限定をするというような取り扱い、それから歴史的仮名遣いが遵重されるべきであることを強調さしていただいた点におきまして、少なくとも二十一年の「現代かなづかい」を改定した意味合いとして私ども極めて評価していただけるものではないかと考えておる次第でございます。
#399
○滝沢分科員 そういう話は二年間聞いたわけです。「現代かなづかい」にしたことによって国民の多くが文章を書けるようになったなんてでたらめをおっしゃるな。終戦まで日本の国語は何らの不自由なく行われていました。漢字も、難しいとはいいながら、それはちっとも難しいと思わずに国民は使っていたんじゃありませんか。
 憲法論がございます。進駐軍が押しつけた憲法だ。経済体制もございます。教育制度もございます。その一つとして国語の改革が行われたじゃありませんか。そういう理想的なものだったならば、どうして今おっしゃるように歴史的仮名遣いを使っても結構ですよ、古い漢字を使っても結構ですよとおっしゃるのです。これはすなわち新しいものが間違っていることの裏返しじゃありませんか。どうしてそうして二重の文法を国民に行わせるのです。逆に言うならば、今日専門家ですら本当の意味で一つの文法に徹した過ちのない文章というものはなかなか書けない事情にあるんじゃありませんか。その前は全部の者がいわば歴史的仮名遣いで文章を書いた。間違っても、それに対していささかの間違いがあったということでございましょう。今日は間違いなのか間違いでないのかはっきりしないような事情に置かれているのですよ。大体今度の答申だって、こうでもいいよと言っているんでしょう。こういうことにしたことはいけないと私たちは申し上げているのでありまして、今のようなおっしゃり方は二カ年間十分に承ったわけであります。
 少なくとも、今私たち国会の中でもようやくこのことについて議論を深めようとしている機運が盛り上がってきている今日でありますから、大臣、どうかひとつ、この既成の事実を踏まえるのではなくて、もっと日本の歴史、日本語というものは悠久にして深いものであるということ、日本の将来はまだまだそれこそ未来永劫なるものであるということに顧みて、大臣の所信を承って私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#400
○海部国務大臣 仮名遣いの問題につきまして、いろいろな御意見をお考えになることは私もよく承知をいたしております。同時に、五十七年以来各界の代表の委員の方々が集まられてそして本日この答申をいただいたということでもございますが、しかし一遍答申をもらったらそれで未来永劫にまたこのままだと決めてしまうわけにもいきません、強い御意見もあるわけでありますから。先生の御意見も、実はこの場以外のところでも十分に聞かせていただきましたし、また志を同じくする方々の御意見等も承っております。このことは国会における真剣な御論議でありますから、国会でこういう真剣な御論議があったということも私の判断で国語審議会の方には御伝達をいたしますし、国語審議会としてもこれからこの御意見等もまたいろいろな形で御議論がいただけるように私は期待をして、お答えにかえさせていただきたいと思います。
#401
○滝沢分科員 大臣以下皆さん、ありがとうございました。御苦労さまです。
#402
○石原(健)主査代理 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。
 次に、遠藤和良君。
#403
○遠藤分科員 大変遅い時刻になりまして恐縮でございますけれども、よろしくお願いいたします。
 最初に、私は、文部省が行います公教育のいわゆる最初の入り口でございますけれども、幼稚園教育、この重要性につきまして大臣がどういう御認識であるのか、そしてそれに関連をいたしまして、幼稚園の就園奨励費補助事業を文部省は行っておりますけれども、この事業はいかなる目的で行っているのか。さらに、この事業が最初に行われましたのは昭和四十七年と承知しておりますが、それ以来全国の市町村に十分にこの事業が周知徹底されておるのかどうか、この辺に対する御認識を大臣にお伺いしたいと思います。
#404
○海部国務大臣 最初に、就学前教育の重要性をおまえはどう認識しておるかという点についてお答えをさせていただぎます。
 幼児教育と一言で言われますけれども、やはり学校へ上がってしまってからでは遅いのではないかという御指摘をいろいろなところから随分承りました。たしか中央教育審議会の四六答申と言われる答申のときには五歳児からの進学の問題を検討せよとか、あるいは、私がこの前文部大臣のときにいろいろお教えいただいた意見の中には三歳からやらなければだめだという御意見もございました、それは大脳生理学の発達の方からの御意見でしたが。つい最近は、人間の幼児教育は十カ月からやらなければならぬ、自分で立ち上がってそして人間として初めて二本足で立ったとき、そのときが幼児教育の始まりだ、道徳教育はそのときから始めろ、いろいろな御意見があります。さらにいけば胎児のときから必要だという御意見等もありますけれども、やはり就学前教育というものは、生涯学習という言葉がありますように生まれた瞬間からずっと大切で、それがたまたま学校に入り学校を卒業し社会人になってからも続いていくわけでありますから、就学前教育は極めて重要だとまず私は考えております。
 それから、具体的に今御指摘になった幼稚園の就園奨励費という問題でありますが、幼稚園に就園するということをやはり奨励をしまして、そして設置目的によって幼稚園と保育所があるわけでありますけれども、幼稚園を選ぶ親のためには幼稚園を設置しようというので、四、五歳児すべてが就園できるようにまず幼稚園の設置ということに文部省は努力をしてまいりました。最近は事情が変わってまいりました。そして今度は、私立の幼稚園の経費が父母負担が非常に高い。これでは教育の機会均等、重要な就学前教育でありますから、なるべく親の経済的負担が軽減されるなれば全員の就学の機会も均等に与えられるだろう、こういうねらいでこの就園奨励費の制度というものはできております。そして、このことを私どもは全国によく周知徹底しておるものと心得まして、毎年予算時期なんかには一生懸命にこの就園奨励費の予算の総枠確保ということで努力をしておるということでございます。
#405
○遠藤分科員 時間がございませんので本論に入ってまいりますけれども、ちょっと大臣この資料を……。この就園奨励費が、都道府県におきます大変な格差があるわけでございます。ただいま大臣に差し上げました資料でございますが、私自分で計算をしてつくってまいりました。
 これは昭和五十九年度の決算額で見ておりますけれども、都道府県別に実額で申し上げますと、最少の福井県というのは百九十七万二千円でございますね。それから最高の神奈川県は十億九千六百四十四万三千円、実に五百五十六倍の格差があるわけでございます。
 ちなみに、四歳、五歳児、該当の年齢の方でございますけれども、この在園児童数で割りました園児一人当たりの補助金額というものを計算してみますと、最少の島根県は百九十六円、そして最高の宮崎県は一万二千三百七十六円でございますね。ここでも六十三倍の格差がございます。ちなみに、私の郷里でございます徳島県も少ない方から数えて四番目というところでございますが、こういった大きな格差というものを大臣はどのように認識されますか。
#406
○高石政府委員 私から事実関係を少し申し上げておきたいと思います。
 まず幼稚園と保育所の割合が各県によって非常に差がございまして、ほとんど保育所によって幼児教育が展開されているような府県があるわけでございます。ちなみに徳島県の例で申し上げますと、保育所の就園率が一四・六、それから幼稚園が八四・一というような割合でございますし、それから逆に長野県あたりは保育所が六九・○、幼稚園が二四・三というような差がある。それが一つ。それから公立と私立の差があります。徳島県の場合でございますと、公立幼稚園が二百三十四、私立が十四ということでございます。一般的に全国平均で言いますと私学が子供の数で言うと七割、これが私立幼稚園で賄われているという差があります。それが一つ。それから就園奨励の補助単価が公立と私立で違うのでございます。したがいまして、公立で申し上げますと、一番下のランクで二百六十一万の平均所得のある世帯でいきますと五千円、これが私立でございますと四万七千円ということで差があります。
 したがいまして、そういう差がありますので、ここでお出しいただいたのは多分公立、私立を含めた園児数でその補助金のトータルを割られた結果そういう差が出てきているということになりますので、物差しは全国全く同じ物差しではじいておりますけれども、そういう背景上の差によってそういう金額のトータルが違うし一人当たりの平均の価格が違うというような数字になっているわけでございます。
#407
○遠藤分科員 私の分析と若干違うのですけれども、私は園児一人当たりの数で格差を申し上げているわけでございまして、実額の差で申し上げますと確かにおっしゃるとおり幼稚園と保育所の数の違いによると思います。それから公立と私立の関係の差でございます。そういうのは多少あると思いますけれども、要するに問題なのは、この事業を採択できない市町村が多いということなんです。
 徳島県の分析結果を申し上げます。徳島県は五十市町村あるのです。五十市町村のうちこの事業をやっている市町村は二十二です。そしてこの事業じゃなくて独自に市町村が行っている事業がありますが、これが一カ所、幼稚園が未設置の町村がございますので七カ所、残り二十町村はこの事業は行っておらぬわけですね。私、なぜ行っていないのかその理由を一つ一つ調査してまいりました。そこで大変お気の毒だと思ったことがあるのです。それは何かと申し上げますと、実施していない理由で、財源不足のため、あるいは町財政困窮のため、あるいは村財政逼迫のためと明記されている町村がございます。ちなみにその町村におきます五十九年度決算での経常収支比率を見てみますと、九九・二%あるいは九四・九%あるいは九四・六%というふうに大変財政が硬直しておる。こういう自治体は行いたくても行えないという実情にあるわけでございますが、こういった地方財政というものをこの事業の念頭に考えていかなくてはならないのではないかと思いますが、いかがでございますか。
#408
○高石政府委員 市町村の財政状況は、御指摘のような面もあろうと思います。それは何も徳島県だけの問題ではなくして、全国的に類似した市町村においてはそういうようなこともあろうと思いますが、少なくとも幼稚園の就園奨励事業に要する経費につきましては国の補助金が三分の一、あとの財源措置を地方交付税で措置しているということでございますので、そういうような状況で積極的に取り組まれている市町村ではちゃんと事業を実施してもらっているという状況でございますので、これは何も徳島県だけの特殊な事情であるというふうには理解できないのでございます。
#409
○遠藤分科員 徳島県だけの特殊な事情じゃないから私は申し上げておる。徳島県の代表ではありませんから、日本の国の幼稚園の教育の重大性を認識しておるから申し上げておる。確かに幼稚園は義務教育ではありません。しかし大臣が最初におっしゃいましたように、大変重大な意義がある。これを生まれたところが悪いから、財政が大変なところに生まれたから、せっかくの文部省のこういう事業が市町村で行われないのは、教育の機会均等に対する大変な間違った選択になるのではないかということを私は恐れるわけでございます。
 今の子供たちは、確かに二十一世紀の老齢化社会、高齢化社会を考えますと、そのときに税金を納めていただく大変大事な方々でございます。その方々が財政力の弱い過疎の町村に生まれたからこういう事業を受けられないというのは大変な矛盾ではないのか、素朴な疑問でございますけれども、私はこういうことを感じるわけでございます。教育というのは機会均等でなければならない、そして政治の光というのはまんべんなく照らされていかなければならないと私は考えるわけでございますが、こういった裏負担ができないからこの事業は行えないという自治体に対して、特に文部省としては知恵を出していかなければならない問題でございますけれども、何かお考えであるかということを大臣にお伺いしたいと思います。
#410
○高石政府委員 国といたしましては、まずすべての市町村に対して、先ほど申し上げましたように裏負担は地方交付税による財源措置をしているわけです。それから国は、その基準に合致するものについての申請があれば三分の一の補助をするという制度にしているわけです。財源上の措置はこれで平等にひとしく行われている。そうすると後はこれを実施してもらうかどうかということになります。したがいまして、その実施については都道府県教育委員会を通じて機会あるごとにこういう趣旨で設けられたことであるからその周知徹底方を図ってもらいたいし、そしてそういう状況の市町村に対しては指導していただきたいということを、就園奨励を執行していく段階で今日までずっと行ってきたところでございます。
#411
○遠藤分科員 大臣、お聞きのとおりでございます。地方がやらないから文部省はそれに乗っかっているというんじゃ、私は逆さまだと思う。文部省は地方がどうあれ、日本の幼稚園児については温かく光を差し伸べていくんだという気概を持ってもらいたいと思います。
 それで大臣に一つだけお願いがある。市町村長さんに大臣の気持ち、この事業の目的並びに設定の趣旨、そういうものを通達のような形でも結構です。これを国が余計に傾斜配分するなんてことじゃないんですよ。そうじゃなくて、どうか市町村長さんもこの趣旨をよく理解をしてこの事業を行うように努めてもらいたい、こういった御要望なり通達を出すだけでも私は子供たちにとっては大きな朗報になるのではないか、このように考えますが、いかがでございますか。
#412
○海部国務大臣 お気持ちはよくわかりますし、私どもとしても全国一律に、一定の水準を決めて就園奨励費の制度を発足させておるわけであります。四、五歳の子供さんすべてがまず行かれるように全国に幼稚園を整備したいという気持ちで政策をやってきた過去もございますから、毎年この補助要綱は全国に流してあるそうでありますし、これはすべての人が利用していただきますように、おっしゃるように親の経済的負担だけで行けない子供をなくしたいという願いでできている就園奨励費でございますから、そのようになるように私も願っております。何かほかにしかるべきところで私の立場でそういったことをお願いし、要望する場があるならば。私もよく考えてみます。
#413
○遠藤分科員 私が徳島県の二十町村を調査いたしましただけで来年から実施したいという町村がございました。こういうものだと思うんです。まして文部大臣が一声かけていただきますと、恐らく心ある町村長さんはこの事業を行なおうというお気持ちになるのではないか、このように要望をするところでございます。大臣の適切な措置を心からお願いを申し上げます。
 次の問題に移ります。いわゆるマンモス校でございますが、過大規模校の解消計画でございますが、現在日本全国には三十一学級以上の過大規模校が小学校で九百八十六、中学校で五百九十、合計千五百七十六校ございますけれども、これを昭和六十五年度までを年度としてどのように解消していく計画なのか、これをお教え願いたいと思います。
    〔石原(健)主査代理退席、主査着席〕
#414
○阿部政府委員 先生御案内のように過大規模校を逐次解消していきたいということで年来努力をしてまいったわけでございまして、毎年全国的に見ますと二百校から三百校くらいの新設校をつくるという形で過大規模校の解消に努めてまいったわけでございます。その結果といたしまして、六十年五月現在で御指摘のような数字になっているわけでございますが、この六十年五月現在の調査の際にそれらの学校についての解消計画をヒアリングをするということで各県あるいは市町村の計画を伺いました。
 それによりますと、約千五百校の中で九百校程度は児童生徒が近く減少していくことによって自然に解消されるというような見込みのものあるいは通学区の調整を今計画をしているので、それで問題が解消するというものがございます。それからそのほかに新しく学校を分離新設するということで解消を図るという計画のものが三百四十校ほどございます。この三百四十校の中には既にそのための用地を確保しているものもございますけれども、大部分の二百七十校はこれから用地を確保しなければならないという宿題を抱えておるわけでございます。文部省といたしましては、これらを対象にいたしまして昭和六十年度限りで時限措置として切れる予定でございました用地費補助制度、これは従来は急増市町村についてだけ適用されておったものでございますけれども、これを今後五年間延長すると同時に、急増市町村以外であっても三十一学級を超えるような過大規模校についてはこれを適用するというような新しい措置も六十一年度において講じることといたしまして、そういう形で大部分のものは解消するという計画にいたしておるわけでございます。
 なお、その他に三百校ほど残るわけでございますが、この三百校は特に大都会などで物理的にどうしても周辺に用地がないというような非常にやむを得ざる理由があるわけでございますが、これらのものにつきましても、今早急に解消計画が立たないにしても、あきらめずに粘り強くいろいろな可能性を探ってほしいというような指導をいたしておるところでございます。
#415
○遠藤分科員 徳島県の数を申し上げますと、現在、大規模校は小学校六、中学校五の十一ですね。六十五年度までに自然解消される見込みのものが小学校二、中学校四、残るのが小学校四、中学校一、こういう数が出ておるわけでございます。一番マンモス校でございます加茂名小学校、実はこの学校は私の母校でもございまして大変関心があるわけでございますが、六十年五月一日現在で四十二学級千五百七十七人の児童がございます。体育館に全児童が入れないために、低学年と高学年に分けて二回やらなければいけない、あるいは体育館も大変老朽化しておりまして、雨が漏るしすき間風が入ってくるということでございますけれども、この学校の大規模解消計画はどのようになっておりますか。
#416
○阿部政府委員 徳島市につきましては、先生のお話にもございましたように十校を超える大規模校を抱えているということもございますので、これは県経由でなくて直接徳島市から昨年事情のヒアリングを行っております。その際に市当局の方から、昭和六十三年ないしは六十四年度を目標にこの加茂名小学校については分離新設を図って規模の適正化を進めていきたい、こういう御計画であることを聞いておるわけでございまして、文部省といたしましては、こういった計画が具体に補助申請という格好でくればこれに積極的に対応するという姿勢でおるわけでございます。
#417
○遠藤分科員 新校の建設予定地に文化財が埋蔵しておる、この発掘調査をやらなければいけないというのが開始時期の一つのネックになっておるようでございますが、できるだけ早くこういう調査を終わりまして、六十三年あるいは六十四年の春に開校ができるように文部省の皆様の御奮闘を心からお願いしたいと思います。
 時間がございませんので走りますが、鳴門教育大学の中学校教員養成課程の新設の件についてでございます。昨年のこの分科会でも私御要望申し上げたわけでございますが、六十三年春新設と承知してよろしいでしょうか。
#418
○大崎政府委員 鳴門教育大学の学生受け入れに伴いまして、徳島大学の教育学部の改組転換につきまして、今国会に国立学校設置法の改正の審議をお願いいたしておる上ころでございます。それに伴って徳島大学の教育学部が改組転換をいたしますと、県内の国立大学に教員養成を目的とする学部、大学における中学校教員養成課程がなくなるということで関係者の間で非常に強い御要請があることは承知をいたしておるところでございます。私どもといたしましては、御心配あるいは御要望の御趣旨は理解できるわけでございますが、鳴門教育大学は既にもうスタートを切っておるということでもございますので、まず鳴門教育大学自体にいろいろな工夫なりあり方なりについて、大学全体の構成にもかかわることでございますので同大学の検討をしていただく、その結果を待ってこちらとしては判断をさせていただこうというのが現時点の態度でございます。
#419
○遠藤分科員 文部省のお考えとしては六十三年の春新設という方向で進めておるということでよろしいのですか。
#420
○大崎政府委員 現時点の判断といたしましては、まず六十一年度に大学自体が十分検討していただくことが先ではなかろうかということでございまして、その先の状況につきましては大学の検討の成果を見させていただくということで御理解をいただきたいと思います。
#421
○遠藤分科員 地元では六十三年春新設されるものだと理解をしておりまして諸準備を進めておるわけでございますが、大変後退しているような印象を受けますけれども、大臣、これは積極的に新設という方向でリードしていっていただけますか。
#422
○海部国務大臣 御承知のように、徳島大学の教育学部がなくなって総合科学部になるわけですから、今まで国立大学にあった中学校の教員養成課程が現実になくなる。ですから、徳島の皆さんが御心配になって鳴門の教育大学に大学院と小学校教員養成だけでなくて中学校も入れるという強い御要望があることは私もよく理解しております。ただ、六十三年からスタートと言えと言われても、いろいろ大学自体の御意見もあろうしその他の条件もありますが、私といたしましては皆様の御要求を受けて前向きに御期待にこたえることができるように努力していきたいと思います。
#423
○遠藤分科員 徳島県にいわゆる国立大学で中学校の教員を養成するところがどこにもないという実情になるわけでございまして、そのブランクができるだけ早く解消されるように心から要望いたします。
 最後に一つお願いでございますけれども、私のふるさとでございます徳島県藍住町に、県内屈指の藍商として栄えました奥村家の藍屋敷がございます。これは大変貴重なものでございまして、町では町の宝として残したいという計画があるわけでございます。ぜひとも国の重要文化財の指定を受けて、町が管理する藍の総合資料館にしたいという構想を持っているわけでございます。徳島といえば藍というように大変有名なものでもございまして、歴史的な価値というものも大変あるのではないかと思いますので、私はぜひ御検討をお願い申し上げたいのでありますが、いかがでございましょうか。
#424
○加戸政府委員 民家の指定のお話でございまして、実はちょうどこういった民家あるいは洋風建築等につきまして四十年代に全国緊急調査を行ったことがございまして、昭和四十八年に徳島県につきまして緊急調査をさせていただいたわけでございます。その結果、徳島県におきましては五十一年に八件の民家を重要文化財に指定させていただきまして、その中に石井町にございます藍屋敷の田中家も指定させていただいたわけでございますが、正直申し上げまして、四十八年の調査段階におきましては、この奥村家につきましては見せていただけなかったというような事情もございまして、私どもの方では十分実情の把握はできていないわけでございますが、先年来こういった御希望等もございまして、また、現在徳島県におきましてこの奥村家を県の指定重要文化財としたいという形でそういう意向があるようでございまして、そういった可能性を含めて検討がなされている段階でございますので、まず県指定段階の状況等を見守らさせていただきまして、また必要に応じてこれに協力をするという考え方でいるわけでございます。
#425
○遠藤分科員 時間でございますので、心からお願いを申し上げまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#426
○大西主査 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。
 次に、松浦利尚君。
#427
○松浦分科員 大臣以下、遅くまでどうも御苦労さまです。限られた時間ですから、簡潔に質問して、簡潔に御答弁いただきたいと思うのです。
 私はいじめの問題についてぜひ大臣と議論をさせていただきたいと思うのですが、この前出されましたいじめの調査結果、これを拝見いたしますと、体罰を行った教師というのは経験年数が九年以下、非常に学校の経験年数が乏しい、それから年齢からいいますと二十五歳から三十四歳、ここに過半数以上が偏っておるわけですね。結局教育に自信がないから体罰というところにすぐさっと出るのだと思うのですけれども、私は体罰というのは決していいことではないし絶対あってはならぬと思うのですが、よく言われておる愛のむち、大臣、これは学校教育の中に存在するのですか。
#428
○海部国務大臣 愛のむちという言葉はありますけれども、学校教育の場においては、体罰はいけないという法律の規定もあるわけでありますし、やはり体罰に頼らないで、教師は愛の説得でいろいろ指導をすべきではないだろうか。体罰はいけないと私は思っております。
#429
○松浦分科員 そうしますと、この若い経験年数の浅い教師集団、そして年齢的にこれから熟練教師になろうかという経験年数十年以下、こういう人たちの中にやはり愛のむちというような感覚が存在をしておるのかどうか、そういう点については大臣はどのように思っておられますか。
#430
○海部国務大臣 第一線で生徒指導に当たっていらっしゃる人、そして言われたように調査に出てきた人が三十五歳未満の人であったとすると、やはり教師としての体験がまだ少ないとかあるいはなれていないとかいうようないろいろな、結局は指導力不足ということになるのでしょうか、そういうように私は見るわけであります。だから、経験が足りないから愛のむちですか、そういう体罰的なところに入っていっていいということはどうしても認めるわけにいかないので、研修をし、自信を持ち、指導力を身につけてやっていただきたい、これが私の願いであります。
#431
○松浦分科員 それでは、実質的に教育学部におけるあるいは養成課程における訓練、教育、そういったものがやはり徹底的になされるべきだ。例えば教員養成関係の大学、教育学部等の学生さんに、そういったことはやはり徹底的に教育されるべきだ。そういう点については大学の中で極めてあいまいにされておるのですね。そういう点についてぜひ御検討いただきたい。こういう結果が出ておるわけですからね。
#432
○阿部政府委員 御指摘のように、昔のような師範学校制度と異なりまして、現在、教員養成大学あるいは一般大学両方で教員の養成が行われているわけでございますけれども、その大学内で教えられる教育関係の講義等の中身そのものに非常に大きな単位が当てられているわけではないというようなことから、比較的実践的な面についての指導が十分でないということは、御指摘のとおりだろうと思っております。
 従来、文部省の教育職員養成審議会等でもそういった点の指摘をいただいておりますし、また現在、臨時教育審議会等でも教員の資質の問題ということでいろいろ御議論をいただいております。若干時間がかかることではあろうかと思いますけれども、教員養成の各大学の取り組みがそういった実践面についてまず取り組んでいけるような方向を目指して、制度面の検討もし、それからまた実際的な大学に対する助言等も行っていきたい、こういうふうに思っております。
#433
○松浦分科員 それから大臣、これは私たちが古いと言われるかもしれませんが、「我が身をつねって人の痛さを知れ」ということわざが昔からありましたね。ところが、今の教育の中に、「我が身をつねって人の痛さを知れ」という教育があるわけですか。そういうことはどのような形で教えられているのでしょうか。
#434
○高石政府委員 基本的に人権を尊重していかなければいかぬし、それから他人に対する暴力、そういうようなことはいけないということは、いろいろな教科を通じて教えているわけでございますが、具体的にそういうものを教える際のことわざとして、自分がやられればその痛みと同じように相手も痛い思いをするというようなことは、それぞれの教科で教えていると思うわけでございます。
#435
○松浦分科員 今は家庭の中でも、こんなことを言うと古いと言われるかもしれませんけれども、昔ほどに子供に対して親が厳しくない、子供の人数が少ないという関係もあるでしょう。それで、学校の中でもそういうことが余り教えられておらない。ところが、よく考えてみますと、幼児というのは小さいときに、例えば熱いものにさわりますと、自分自身が熱いものにさわってやけどでもしますと、これは熱いものだと理解して二度と手を出さないのですね。ところが、そういうことが全く経験がないものだから、足でけ飛ばしても、殴っても余り感じない。ですから、何としてもことわざ上にある「我が身をつねって人の痛さを知れ」ということを、小さな段階で何らかの方法で経験をさせる。言葉ではない、やはり自分の体に覚えさせるという教育が現在の教育の中にはないと私は思うのですよ。言葉だけ、子供の人権に対して、先生がいろいろ、たたいてはいけませんよ、いじめてはいけませんよと言うのですね。しかし、自分が体験しておらぬものだからわからない。体験させられた側は萎縮してしまっていじめられっ子になってしまう、場合によると自分の命まで絶つ、そういう状況に追い込まれていくと思うのですね。ですから、私は、言葉だけがあって、そういった意味のいじめをなくそうとする具体的な手だてというものがまだ文部省にも出てきておらぬのだと思うのですよね。いじめをなくす意味でも私はそのことは非常に大切なことだと思うのです。
 これは大臣、どうでしょう。これからの問題としてお答えいただきたいのです。
#436
○海部国務大臣 これは、今の先生の出された「我が身をつねって人の痛さを知れ」ということわざそのものに含まれておる意味は、今の学校教育の中でもやはり大きく取り上げていいことだと思います。
 ということは、我々子供のころには家庭に兄弟が、私も六人で育ちましたけれども、兄弟げんかという格好の取り組みの場がありましたが、あのときやはり、ほうり投げるときには、子供ながら机のない方に、柱のない方に、なるべく空間を見てほうり投げるぐらいのゆとりを持ったのですが、それは自分がほうり投げられて頭を打ったときの痛さを知っておったんだなと、今先生のお話を聞きながら私自身が思い出にふけったようなことであります。
 ですから、家庭に今そういう雰囲気がないならば、同世代年齢が集まる学校の中で自分をどうするかということの、具体的な方途はもうちょっと考えてみますけれども、それらのことを単刀直入に教えて、自分自身に嫌なことは相手にも嫌なんだ、自分がされて痛いことは相手にもしてはいけないんだという、生きていく上の人間の基礎、基本の部分をわかりやすく、実物教育的に児童生徒に身につけさせる考えというのも、なるほど大切な一つの御意見だと思いますので、これも十分研究させていただきます。
#437
○松浦分科員 それから、学校の教師にとって、これはこの前法務委員会でも私はちょっと取り上げましたけれども、檜山四郎さんという、子供の人権をめぐっての専門家ですね、この方がある論文を書いておられるのですが、いじめられる子供、そういう子供は、毎日児童生徒と接しておると教師はわかるというのですな。どういうふうにわかるかというと、まず「顔色が悪い」、それから「学習態度が無気力になる」、それから突然「持ち物が変わる」、必ず何らかの兆候があらわれるというのですよ。その姿を教師は見逃してはいかぬ、こういうふうにこの人は指摘しているのですね。
 御承知のように義務教育、小学校の方は四十人学級が八〇%近く完成しましたね。ところが今は、いじめ、いじめられる、自殺、こういった問題は中学校の方にずっと上がってきているのですね、年齢が。ということになってくると、やはり今言ったような、指摘されておるような、先生が子供さん一人一人の顔色がわかる、ぱっと見た瞬間に四十人の顔がざっと見える、そういうことがいじめをなくすために教師に求める場合は絶対に必要な条件だと私は思うのです。子供さんの毎日毎日の姿が教師の目に必ず入る、それは四十人学級だと私は思うのです。もっと少なければもっといいと思うのですね。文部省のきょうの発表を見ますと、中学校の四十人学級についても六十二年度から思い切って予算をつける、こういうことですが、こういう問題は聖域であっていいと私は思うのですよ。本当にいじめをなくすというなら、文部省が要求する四十人学級に対する予算は聖域であっていいと私は思いますよ。文部大臣が言われるとおり予算をつけるべきだと思いますよ。そういう意味で、いじめを具体的になくすなら、教師に、あなたが悪いじゃなくて、やはり教師が直接子供を管理監督できるような状態に置いてやる、そのことも一つの必要な条件だと私は思う。
 大臣、もう六十一年度は無理でしょうけれども、きょう文部省の発表がありましたが、中学校の四十人学級、徹底的にやってください。
#438
○海部国務大臣 私も、今学校に平穏な状態を取り戻さなければ教育改革も無意味になると思い、緊急の最大の課題として、まず学校に平穏な状況をつくるべくいろいろな条件、いろいろな原因を除去する努力をしておりますが、今御指摘の四十人学級の実現もその一つの有効な手だてであることは間違いないと私も思います。
 今年度の予算につきましてもできる限りの努力はしたつもりでございますし、また、昨年とまっておりました中学校の四十人学級の制度も、三百二十一人という数ではございましたが、とにかく今年からスタートをして、第五次定数改善計画の達成される六十六年度までには達成したい、こういう強い希望を持ってこれからも努力を続けてまいります。
#439
○松浦分科員 六十六年度じゃもう遅いのですよ。だから、それをもっと引き寄せぬといかぬのですよ、こっちに引き寄せないと。ですからぜひ見直していただきたい。いじめの十五万五千件という数字、また隠れておるものをプラスすると相当な数になると思いますよ。六十六年といわずに思い切ってもっと引き寄せる努力を、若い新進気鋭の文部大臣ですから、閣議で発言をしてぜひ引き寄せていただきたい。これは国民の要望であり希望だと私は思うのですよ。六十六年度だといわずにもう少し。決意をひとつ述べてみてください。
#440
○海部国務大臣 このことは、今先生御承知のような厳しい財政状況の中で、他の政策との整合性もございますし、ただ文部省としては、このことを重点に考えて、とにかく六十六年までに立てた計画だけはまず着実に実行したい、これをまず達成しようということを当面の目標に置いて努力しておりますから、今お願いしておる来年度の予算要求をまず通していただいて、来年度のときにはさらに実現に向かって全力を挙げて努力をいたしますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
#441
○松浦分科員 これは道路とか公共下水とか、そういうものじゃないのですよ。二十一世紀を担う子供の教育であり、しかもこれだけいじめが社会的な問題になっておるのですから、現場の先生にただやりなさい、やりなさいだけでは解決しないのですよ。ですからそういった意味では、今大臣との意見がかみ合いませんけれども、やはり六十六年とはいわず、もっともっとスピードを速めて教育環境というものを整備してあげる、教師がいじめに対して把握できるような状態に早くしてあげる、私はそのことを強く要望を申し上げておきたいと思うのです。
 それから、子供のいじめの問題は、学校の教師だけの責任じゃないのですね。家庭の親にもあるのですよ、自分の子供ですから。
 これは変な話ですが、私のおやじも学校の校長なんです。それで、私の家に家訓があるのですよ、おやじの遺言が。学校の先生だけにはなるなというのです。なぜなるなと言うかといいますと、自分の子供も満足に育てられぬで何で他人様の子供を預かって自信を持って立派な子供に育てることができるのか、こんな難しい職業はない、絶対になるな。だから、五人おりますけれども、だれも学校の先生にならなかったのですよ。それほど学校の先生にすべてを任すということは非常に偏り過ぎておる、家庭の責任を学校になすりつけておるというふうに言っても過言ではないと私は思うのですね。
 だから、これも私は昔の自分の時代を振り返り、あるいは終戦直後の子供たちの学校の先生を振り返るのですが、家庭訪問というのがありまして、私はしょうちゅうの多い南九州ですが、学校の先生が家に来て私たちとしょうちゅうを飲みながら、先生、うちの子供は学校でどうでしょうか、あなたの子供さんはこうだと、ひざを交えて子供の話をしたものなんです。ですから、学校の先生が回る家庭訪問の戸数というのは一日に三軒ぐらいですな。しかも、夫婦共稼ぎですから、両親が夜しか家庭におられないのです。ですから自然に夜そういうことをして回ったのですね。中には酔っぱらって新聞だねになった先生もおりましたけれども、しかしそれはたまたまのことであって、ひざを交えて子供の教育を先生と父兄が子供を中にして話し合うことができた。
 ところが、今の家庭訪問はどうですか。全く義務的じゃないですか。もうしょうちゅうを飲むなんということはないです、みんな自動車の運転をしていますから。それで一日にさっと十軒ぐらい回って、次の朝またさっと回って、もう簡単に家庭訪問を済ませて、義務的になってしまっておるのです。よくよく先生に聞いてみたら、族費がないというんですね。何で家庭訪問に旅費が要るのだろうかとよくよく聞いてみたら、田舎なんかに行くと学校の校区が広がりまして、だから旅費が要るのです。ところがそういう旅費が学校にないというのです。だから、校長先生に家庭訪問の旅費を下さいと言ったら、そんな旅費はないからやめておけ。これは一つの批判になって恐縮ですが、主任手当というお金がありますね。その主任手当は、学校の先生たちは要らぬと言うけれども、おまえ、もらえと言って渡すんですよ。ところが、実際に必要な家庭訪問の旅費というものはない。しかも、各学校に割り当てられた旅費というのは、校長先生やら教頭が、いじめのことで来いとかなんとか言われてしょっちゅう教育委員会やら何かに呼ばれるから、全部校長、教頭の管理職の人たちの旅費に使われて、家庭訪問に使う旅費はないというのですよ。こういう現場の実態を無視して、家庭と学校とのコミュニケーションなんてできるはずはない。これをどうかして解決してもらいたい。いじめを本当になくすなら、家庭と一緒になっていじめをなくそうとするなら、思い切ってそこに旅費をつけるべきです。そういうところへ旅費をつけずに、一方では主任手当などをやって、学校における校長からの直列的な、職制的なつながりで学校の規律を守ることはできるが、しかし肝心かなめの習っておる子供さんについては置き去りになってしまう。私は金の使い方が逆立ちしておると思うんですよ。
 そういう意味では、主任手当の問題をとやかく言うつもりはありませんが、家庭訪問をする旅費はやはり必要なだけはつけてやる。金はたくさん要りますよ、要るけれども、本当にいじめをなくすためには、先生と家庭が一緒になっていじめをなくぞうとするのなら、そのことは絶対に必要だと思うのです。大臣の御答弁をいただきたいと思います。
#442
○海部国務大臣 先生のお話、私もごもっともだと思う点もありますけれども、私自身の考えもちょっとここでお答えさせていただきます。
 教師だけを責めるつもりは毛頭ありません。学校だけで片づくとも思っておりません。御家庭のお父さん、お母さんが人生最初の教師であるわけですから、自分の子供ですからそこに第一義的なしつけの責任、育成の責任をお持ちになることは当然だと思います。
 けれども、どうしても私の脳裏を去りませんのは、社会が悪い、家庭が悪い、あれが悪いといろいろ言っておりましても、現実に起こっておる学校のいじめによる悲しい、心痛む自殺という問題をなくすには、どこから取り組んでどうしたらいいかということを、ごく最近に起こった例だけを調べてみましても、これは私が就任して以来新聞をにぎわした中野区の富士見中学校の例を見ましても、あのときに、あの先生がもうちょっと目を届かせて、心を開かせて手を差し伸べてくださったらというのが、今も偽りのない私の心情なのです。親が学校まで行ったのです。家庭訪問じゃないのです。学校まで頼みに行っておるのに、学校がどう対応してくださったのでしょうか。そういうようなことを考えますと、それまた希有な例だ、そんな極端な小さな例で物を言ってはいかぬとおしかりを受けるかもしれぬけれども、しかし世の中に起こることで、特に学校で起こっているあのいじめの問題は、家庭にも責任がある、四十人学級という問題もあるかもしれぬ、けれどもそれが片づいたら全部なくなるかというと、そうではなくて、現に四十人以下のクラスでもいじめによる自殺は昨年報道されておるわけでありますから、私はまず第一義的に、厳しいかもしれぬが、現場の先生に、教育専門家としての自覚と責任に立ってこれを防ぐための第一歩を踏み出していただきたい。そしてそれを、各御家庭も社会もみんなが力を合わせて、うまくいくように心を寄せ合い、励まし合い、声をかけ合いい引き上げていかなければならぬものだ、こう考えているわけでございます。
 したがいまして、学校だけを厳しく言ったり先生だけを責める気持ちはありませんが、そこから立ち上がっていただく、せめて親が訴えに行ったら厳しく受けとめていただく、そういう先生としての自覚と指導力もぜひ持っていただきたいと願っておりますから、この間からそういう立場でお訴えもしてきたわけでありますが、今後もこれの改革のためには一生懸命に取り組んでいきたいと思っております。
#443
○松浦分科員 言葉としては理解できるのですよ。私は、教師が責任ないと言うつもりはありません。しかし、もっと言わしてもらえば、いじめがたくさん出た学校は悪い学校、そう烙印を押されるから、学校の先生たちがいじめがあったって隠そうとするのです。もっと言わしてもらえば、学校の中に「経営」という言葉があるのです。学校経営、経営という言葉は経済用語ですよ。それが教育現場に経営とい三言葉がある。その学校経営の基準は何か。それは、子供さんの暴力が少ないとか子供さんの成績がいいとか、そういうことでランクづけがされるのです。それで、あの校長の学校はいい学校だ、あの校長のところは悪い学校だ。だから隠そうとするのです。そういうふうに頭からふたで押さえるからですよ。いじめがあったっていい、それはどんどん報告しなさい、もっとそういう指導をしたら学校の先生だって隠そうとしませんよ。思い切ってやろうとしますよ。
 そしてまた、もう一つ言わしてもらうと、父兄が学校に行ったけれどもなぜそれに対応してくれなかったか。常日ごろ父兄と先生のコミュニケーションがないからです。学校の先生が家庭訪問のときにそこでちゃんとひざを交えて話し合っておれば、そこの子供さんのことは親御さんが学校に来なくたってちゃんとわかっている、家庭訪問で先生に訴えるわけですから。そうでしょう。
 だから、海部文部大臣の言われることは、言葉はきれいなのです、否定しません。しかし、このいじめの問題は演説では直らぬのですよ、お互いに。いいですか。
 六十年の十一月に、文部省はいじめの問題関係資料集を出しておられます。そしてこれに対していろいろやっておられます。そしてまた、十五万五千のこれを出されたでしょう。統計を出して通達するのは何でも簡単ですよ。こういう事実があったから校長さんもっとやりなさい。それではよくならないのです、お互いに人間だから。
 ですから、大臣が言われることは私は決して否定しません。それも大切。しかし、それと並行して、いじめがないような努力を家庭も政治も社会も全体もしてやる、そういう努力がなぜできないのですか。教育集団である校長以下の先生たちも恐らく一生懸命やりますよ、これだけいじめが問題になってきましたから。それを受けて、何で我々がもっと積極的にそれに対応してあげないのでしょう。ただ、いじめ問題が起こった、自殺が起こった、みんな現場だ、現場が悪い。それでは私はいじめというのはなくならぬと思いますよ。
 私は、もう時間がありませんから余り演説はしませんが、いずれにしても教育というのは金がかかるのです。だから親御さんでも、金がかかったって子供さんを大学に入れようと努力をする。自分が食べるものを節約してでも子供の教育のために金を使うのじゃないですか。だから、私は、そういう意味でもう少し文部省が、言葉でない、いじめに対応する政策的な努力をぜひしていただきたい。それがなければ同じことの蒸し返したと思うのです。
 もっと具体的に言わしてもらいますと、統計をとりますと、いじめの件数がずっと上ってきたときには自殺が少ないのです。いじめがだんだんなくなってくると自殺がふえるのです。調べてみたら統計上はそういう数字が出るのです。私はいろいろ問題があるから言いませんが、過去の統計の数字をずっととるとそういう状況なんです。だから、そういうものもちゃんと踏まえてもう少し積極的に対応していただきたい。
 俳優の吉永さんが竹下大蔵大臣に、私の納めた税金が戦車じゃなくて云々と言われたでしょう。そういう意味では、戦車もあるのだから私はここでは否定はしませんけれども、教育にもっともっと金をかけていいんじゃないでしょうか。そういう意味では文部省の皆さんはもっと自信を持ってもらいたい。教育というのは、もっと言わせてもらえば、二十一世紀にとって、我が国にとって一番大切な投資なのですから、それに金をかけることが何でおかしいでしょうか。文部大臣、もっと元気を出して閣議等で発言してもらいたい。どうでしょう。
#444
○海部国務大臣 おっしゃることの意味は私もよく理解をしておりますし、国家百年の大計でもありますから、文部省としてもできるだけ――今私は当面の急務として緊急にとるべき対策のことについてお話しをいたしましたけれども、中長期的に、これをなくするための環境整備とか文教政策全体の中で教育内容をどう改めるかとか、いろいろなことがございます。
 きょうの御質問の趣旨を踏まえながら、これからも心を新たにして、教育の将来のためにもいじめの問題に取り組んで前進をさせていきたい、こう思います。
#445
○松浦分科員 時間が来たのですが、あと一つだけ。これは提案です。御要望申し上げますが、この前資料をお願いいたしまして、今初等中等教育局の職員のうち実際に黒板で字を書いて子供と握手をしたりして子供さんを教えた方が何人おりますかという質問をいたしましたら、百八十八人のうち五十一人ですよ。教員免許を持った方が八十三人。それから、文部省の本省職員のうち教員免許状保持者というのは千二百十八人のうち二百五人、一六・八%の人しか教員免許を持っておらぬのですよ。この数字は間違いありませんね、文部省からいただいたのですから。
 そこで私から提案ですが、私は今の文部省の皆さんはすばらしい頭脳の持ち主ばかりだと思うのですよ、決して否定しておるわけではありません。しかし制度として、やはり文部省採用であっても一遍は現場に行って子供さんと直接授業をしてみる、直接ひざを交えて語らいをしてみる。直接父兄と当たってみる。そして、本庁に来て初めて血の通った行政というものが成り立つと僕は思うのですよ。ですから理場と遊離したデスクワークだけの教育行政になってしまうのだと思いますよ。決してあなた方を否定しているわけじゃありませんで、そういう経験も踏まれたらどうかと申し上げておるのですが、どうでしょう。そのことだけお聞きして私の質問を終わります。
#446
○西崎政府委員 ただいま先生御提案の趣旨は、教育行政においても教育現場で肌に感じたいろいろな経験のもとに行われるべきではないか、こういうふうに理解いたします。
 ただいま先生がおっしゃいました数字は間違いのないところでございますが、教育行政、初等中等教育におきましては、教育現場の意見を反映する意味におきまして今二つやっておるわけでございます。一つは、教科調査官とか教科書調査官等いろいろ専門職がございまして、こういう方々が数十名おられます。こういう方々は教育現場で実際に教える、あるいは指導主事の経験を持つという方々に入っていただいてやっていただく。それからまた、いろいろな指導、通達を出す上においては、先生方や校長先生や現場の方に集まっていただいて意見を徴する、こういうことでいろいろ意見を反映するような措置を講じておるところでございます。
 先生御提案の、一般行政事務を担当する者を各県に派遣し、そして実際教職につかせるということにつきましては、免許状の関係とか各県の教員採用の実態の問題もございますし、いろいろと県、文部省との関係もございますので、方針を立ててそれを実際に行うということはなかなか難しい点もございます。しかし、各県の御要請に基づいて課長クラスとして各県に受け入れていただいて、実際に現場の仕事をさせていただき二、三年して本省へ帰ってくる、こういうふうなケースは従来からかなり行われておりますので、こういう方向についてはある程度先生のおっしゃる御趣旨が実現されているのではないかと考えるわけでございます。
#447
○松浦分科員 どうもありがとうございました。終わります。
#448
○大西主査 これにて松浦利尚君の質疑は終了いたしました。
 次に、橋本文彦君。
#449
○橋本(文)分科員 私は、東京国立近代美術館フィルムセンターについてお尋ねいたします。
 五十九年九月三日にフィルムセンターが一部焼失しましてにわかにフィルムセンターの存在が脚光を浴びてきた、こう思うわけなんです。二月六日の衆議院予算委員会の総括質問で、我が書記長の矢野さんが、このフィルムセンターを独立した機構あるいは機能強化、拡充すべきであるということを言いましたけれども、そこまで私の方はきょうはいきませんで、東京国立近代美術館フィルムセンター相模原分館についてお尋ねしたいと思います。
 大臣、この分館が三月十三日に竣工式を予定していることは御存じですか。
#450
○海部国務大臣 そのようになっておると承知しております。
#451
○橋本(文)分科員 大臣はこの分館の施設を見たことはございますか。
#452
○海部国務大臣 まだ見たことはございません。
#453
○橋本(文)分科員 東京国立近代美術館の講堂、ここで今上映されておるのですけれども、この講堂を見たことはありますか。
#454
○海部国務大臣 近代美術館は何度も行っておりますから、多分あの広い部屋が講堂だろうと思います。
#455
○橋本(文)分科員 その講堂は、大臣も見ましたように、あすこは映写もできるのですが、私は大変立派な建物と思うのです。それよりも相模原分館の方がはるかに立派だという話がございまして、私も実はせんだって視察してまいりました。確かに清潔な、簡素な極めてすばらしい近代的な、上映ホールにはふさわしい建物である、こう思ってきたのです。
 ところが、この相模原分館の総工費が十四億五千百万円かかっておるのです。大きく分けまして、メーンであるフィルムの保存庫、これが予算的には一番大きいのです、これが一棟。それから事務あるいは管理棟としてまた一棟。それからまた独立しまして映写ホールがあるわけですね。いわゆる一つのビルではなくて全く平面的に、大きく分ければ三つ置かれておる。だれが見ても、ここでは単なるフィルムの保存庫ではなくて映写ホールがある、立派な映画館であるというような認識を持つのは当然です。地元の方でもそう思っております。
 ところが、この分館ができるに際しまして、当初から、一般上映はしないのであるというようなことが二年ほど前から出ておりまして、今回竣工を前にいたしまして私ども確認いたしましたところが、やはり人手不足であるとか予算措置がないとかという形でもって、一般公開というのは現状ではまだ踏み切れないという答えがあるのですね。
 そこでお尋ねしたいのですけれども、このように十四億五千万円を超える大変なお金を使って、しかも二百人が収容できる立派な映画館ができておりながら、これを一般公開しない。これはどうしてなんでしょうか、まず率直な疑問としてお尋ねいたします。
#456
○加戸政府委員 相模原にフィルムの保存庫という形で分館を建設いたしました主たる理由としましては、現在京橋の方で約七千本のフィルム、三万五千巻に上るフィルムを収蔵しておるわけでございますけれども、現在のフィルムセンターが都心の建物密集地にあるということと、汚染大気の悪影響やあるいは都市災害による危険が大きいということに加えまして、収容能力が限界に達しているという事情もございまして、世界各国のフィルムセンターと比較して甚だ貧弱なわけでございますし、そういった意味で、フィルムの永久保存庫ということで相模原に建設をするということを考えて計画し、またそのような形で措置をしてきたわけでございます。
 なお、各国共通でございますけれども、そういったフィルムアーカイブ的なものにおきましては、いずれも映写ホールを備え、いわゆる調査研究の目的で使用するということでございまして、そういった本来の、ただフィルムの倉庫だけではなくて、もちろんそこに収蔵しておりますフィルムを研究、上映するための施設として映写ホールを設けているということが実情でございます。
#457
○橋本(文)分科員 ところで、それでは五十九年九月三日、フィルムセンターが一部焼失する前の状況なのですけれども、これはたしか月曜日から金曜日、毎日上映されておりました。その焼失した席は二百席に満たないと伺っておりますけれども、これは上映するフィルムによって違うと思うのですけれども、いわゆる入りといいますか、これはどうだったのですか。
#458
○加戸政府委員 これは、映画と申しましてもやはり有名な作品、名作と言われるものにつきましては満員の状態になる場合もございますし、あるいは不入りの場合もございますが、焼ける前と申しますか、データとして持ち合わせております昭和五十八年におきます京橋の映写ホールヘの入場率、平均いたしますと六二%でございます。
#459
○橋本(文)分科員 焼失してから近代美術館の講堂を使っておりますね。ここでは月曜から金曜ではなくて、土曜日と日曜日に行われている。これのいわゆる入場率というのはどの程度ですか。
#460
○加戸政府委員 若干釈明めきますけれども、その上映が竹橋の本館で行われているということの周知度の低さ、あるいは焼失したフィルムの関係もございまして、映写する品目も、それほど京橋時代とも――若干人気の点で薄かったのかなという点もございますが、平均いたしまして六十年度の入場率は五〇%でございます。
#461
○橋本(文)分科員 今までは月曜日から金曜日五日間、今度は土、日の二日間、しかも入場率が下がっているとなりますと、いわゆる動員数というか観客の数は相当減っておるわけですね。そうですね、単純に言えば。現実に今まで京橋のフィルムセンターを利用しておった方々が、現時点でどのような声を文化庁の方に寄せておりますか。
#462
○加戸政府委員 関係者の気持ちといたしますれば、京橋のフィルムセンターで、いわゆる映画愛好家が通っていたわけでございまして、その意味におきまして、焼失以来一日も早く京橋のフィルムセンターが復旧され、映写が再開できるということを希望する声が圧倒的に多いわけでございます。
#463
○橋本(文)分科員 そういう熱烈なファンと申しますか愛好者が、京橋から竹橋に移っただけでもってそういうふうに知名度がなくなるというか、急に足が遠のくわけですか。ちょっと疑問に思うのですけれども。
#464
○加戸政府委員 原因ははっきり申せませんが、竹橋の本館の講堂が定員が二百七十名でございまして、そういった定員が多いというのも一つの原因でございましょうし、それからあるいは足の便が京橋と竹橋がどちらが便かということもございましょうけれども、先ほど申し上げたはうに、いわゆる主たる上映内容にもよったのではないかということで、一概には、京橋から竹橋へ移ったためということが言えるのか、因果関係は分析はいたしておりません。
#465
○橋本(文)分科員 私の方も、竣工式を前にしましていろいろな関係者からお話を伺ってまいりました。結局のところは相模原分館で、先ほど保存庫ということを相当強調されましたけれども、ここでいわゆる一般上映するということは大変困るのだ、なぜならばそれは本来の京橋のフィルムセンターがだめになってしまうというような危惧の念を漏らしておる。私、それを聞きまして本当にびっくりしておるわけなんです。せっかく二百名をも収容できる立派なホールがありながらそれを使わない、使うことによって京橋フィルムセンターの新築がだめになってしまう、そういうような声を聞きまして、こんなばかな話はない、こう思っておるわけなんです。
 大臣、先ほど我が国のフィルムの保存量は七千点と言われました。先進の欧米諸国では戦前から収集されております関係で、大体五万編はあると言われております。我が国は大体その七分の一から八分の一しかない、こういうようなのが実情のようでございます。それに加えて、上映というものも、フィルムセンターの機能がただフィルムを集めて保管していくという機能だけでなくて、あくまでもそれは調査研究のため、あるいは一般の愛好者のために上映するという、これは大きな大事な仕事だと思うのです。そんなわけで、保存庫が一個あればいい、したがって上映センターが一個あればいいというのではなくて、これはできるならば各地につくっていただきたい。大蔵省はいかぬと言うかもしれませんけれどもね。
 だけれども、現実に相模原――相模原というと何となく田舎に思うでしょうけれども、神奈川県でも第三の都市でございます。そして小田急線が入っておりまして、東京に一番近い。新宿から相模大野までわずかに三十二分です。こういう土地にあります。したがいまして、焼失した京橋のフィルムセンターよりも相模原分館の映写ホールの方が大きいという現実、しかも東京国立近代美術館の講堂よりも立派であるという現実、これは三月十三日に大臣行かれると思いますけれども、一回ぜひ見てください。
 そこでまた本題に返りますけれども、先ほど文化庁の次長さんの方では、あくまでも保存庫ということに重点を置きまして、調査研究のために映写ホールを設けることが各国の通例である、こうおっしゃいましたけれども、では、調査研究のためならばなぜ二百席も必要としたのか。私の手元にあります東京国立近代美術館フィルムセンター整備構想調査委員会、この報告によりますと、いわゆる調査研究だけだったらば四十名も入ればいいというのですよ。しかもそれは、いすは固定式ではなくていわゆる折り畳み式でも十分である。相模原分館も、そういうような単なる部屋があって、そこにいすを並べるという方式であったならば、私もこんな質問はいたしません。しかし立派な固定式のいすがある。調査研究のために二百も必要なんでしょうか。
#466
○加戸政府委員 基本的には調査研究でございますが、調査研究の成果を普及するというような趣旨もあるわけでございます。もちろん本来的にこれは公開上映を目的とするものではございませんで、ちょっと難しい話になりますが、映画につきましては著作権というのが伴っておりまして、もちろん著作権の切れた映画は構わないわけでございますけれども、著作権の存するものにつきましては、それを一般的に上映することにつきましてはそれぞれの権利者の許諾を要するというような点もございまして、まさに調査研究の目的での利用を許していただく、またそういったような条件で寄贈いただくというような面もあるわけでございます。
 したがいまして、施設の規模がどの程度かということにつきましては、原則的には調査研究目的ではございましたけれども、それ以外の場合に対応する場合もございますから、そのスペースとしては、本来、先ほど申し上げました京橋のフィルムセンターも二百名程度の座席数でございました。そういったものを大体パターンとして、相模原分館につきましても二百席程度のホールを準備さしていただいたということでございます。
#467
○橋本(文)分科員 京橋の場合には上映を目的にして二百席があったのです。相模原分館が二百席あるのはなぜかと聞いているのです。著作権の問題は聞いておりません。
#468
○加戸政府委員 フィルムセンターの保存庫をつくったわけでございますけれども、そこに置きますフィルムの上映利用ということも当然想定いたしているわけでございまして、一般的な規模として京橋の二百席を大体先例としたというぐあいに理解しております。
#469
○橋本(文)分科員 ですから、京橋をまねしまして二百席をつくったということは、常識的に見てそれは一般公開上映をすると思うのは当然だと思うのですが、いかがですか。
#470
○加戸政府委員 施設の規模が同様であるから一般公開を目的としているというぐあいには理解しておりませんで、もちろん京橋につきましてもそういった形の要望にこたえた形のものを実際に行っているわけでございますけれども、相模原分館の場合には、本来的な目的とするものではございませんが、そういった場合にも対応できるような想定をしたということは言えようかと思います。
#471
○橋本(文)分科員 どうも堂々めぐりをしておりますけれども、二百席ありながら、そういう一般上映も想定したものと思われる。――これは当初の設立の構想といいますかその段階で、恐らく大蔵省との予算折衝等もあったと思うのですが、そのときに、いわゆるフィルムの保存庫というものであるならば二百席は必要ないのじゃないか、そういうような声があったと私は思うのです。どうですか。
#472
○加戸政府委員 当時の事情はつまびらかにいたしませんが、その二百席が必要である旨の当方としての説明なり理由づけは当然いたしたと思います。それは日常的に二百名を収容するような公開上映をするという前提ではなくて、基本的には調査研究のためでございますが、そういった事態も当然想定しているということは、それは恒常的ではなくて、臨時的な対応という形で説明をしたものと理解しております。
#473
○橋本(文)分科員 先ほど言いましたように十四億五千百万円、大変な額なのですけれども、よく臨時的ということで二百席ものホールができたと私は思うのです。つまり、建物さえつくっておけば大は小を兼ねるといいますか、大きければいいのだというような、そんなような感覚でもって大蔵省がもし許可したとするならば、これはまさに税金のむだ遣いである、私は大きな声でここで叫びたいと思います。二百席あるのであれば、それに見合うような上映をすべきである。上映をしますという形でもって恐らく大蔵省の許可をもらったのじゃないですか。それとは別に、もちろん京橋の方のフィルムセンターは都心にあって愛好家あるいは研究家の利便のためにもぜひとも必要だけれども、相模原の方でもそういう分館ができるのであれば、そこにホールも併設してできるならば一般上映もするというようなことも含めて許可をもらったのではないかと私は思っておるのですが、これは全くの見解の違いでございますか。
#474
○加戸政府委員 建物と申しますのは、その施設のみならず、そこに配置されております職員によりまして一体的に運営される状態のものを指すわけでございまして、相模原分館につきましては、公開上映を前提とした定員を文化庁としては要求いたしておりませんで、フィルムセンターの保存庫としての管理を想定したものでございます。したがいまして、臨時上映という場合には、フィルムセンターの京橋の方から職員を派遣して、そこで対応をするというようなことを想定した定員の要求をさせていただいているわけでございまして、その意味におきましては、先ほど申し上げましたように恒常的な京橋と同様な映写を行う、公開上映を行うということではなくて、あくまでも臨時的にそういった場合は京橋の応援を得てやっていくと申しますか、京橋のフィルムセンターから映写技師なり職員を派遣して対応するということを前提としたからでございます。
#475
○橋本(文)分科員 次長の方としては、どうしてもここは保存庫にしておきたいという気持ちがありありと出ておるわけでございますけれども、大臣、今までのやりとりを聞いておりまして、二百名が入る立派な、本当に小さな映画館と言うべきところなんでしょうけれども、そういう上映ホールがあるという現実、それを臨時的に使うのだ、まさに宝の持ちぐされ、これしかないと私は思うのです。いかがですか。
#476
○海部国務大臣 私も映画は好きな方ですから、いろいろ誘われますと見にいきたいという気持ちが先行しますから、そんな立派な映写施設があるなれば、いいものがあったら見せてあげたらいいのになあという気持ちがふっとしますけれども、今のやりとりを聞いておりますと、何か調査研究の目的に限って、そこに人もいないというようなこと等を聞きますれば、これは研究してみなければならぬ問題があります。
 けれども、映画愛好家の方々や、せっかくここで先生からそういう御質問もあることでございますので、それを利用することができるとすればどんなことを片をつけたらいいのかということを、今後ひとつ検討させていただきたい、こう思います。
#477
○橋本(文)分科員 ありがとうございます。地元の方では、文部省の方で、例えば具体的に映写技師も必要であろう、それから切符を売るのであればその切符を売りさばく人間も必要であろう、そういう人間がとてもじゃないけれども確保できないというお話がありましたので、そのことを地元に持って帰りますと、その程度の人員ならば市の方で何とでも出す、だからこれはぜひ一般公開していただきたい、こういうことになるのですね。確かにこれは自治体との関係で難しい問題がございますけれども、そこまでしても人員の不足はカバーしたい、熱烈な期待を持っています。大臣、よろしくお願いします。
 京橋のフィルムセンター、これまたどうしても必要だと思うのです。これは各国の例を見ても、フィルムの保存庫は郊外の環境のいいところにある。それから上映ホールは都心の交通の利便のいいところにある、これが通例のようでございます。それを否定するものではございません。したがいまして、一日も早く京橋のフィルムセンターが立派な、さらに大きな数を持って上映できるような施設に生まれ変わることも期待しております。
 そこで、従来、京橋のフィルムセンターではどちらかというと研究のためというか、愛好家のためと言ってもかなり玄人向けの映画があったように思うのです。ですから、同じものを分館でやっても意味がありませんので、分館の場合にはがらっと変えて、あるいは素人向けと申しますか、娯楽性のあるものとか、そういうふうにフィルムの機能を分化さしておいて上映したならばいかがなものでしょうか。ちょっと御意見を伺います。
#478
○加戸政府委員 一つの御意見として承りまして、映画の場合、従来の上映形態は、例えばフランス映画の特集であるとか、あるいは国別あるいは監督作品別であるとか、そういうような一つの体系的な流れの中で、映画史あるいは映画芸術といったものを理解していただくために上映をするのが通常のパターンでございまして、そういう意味におきまして、十分なフィルムの収蔵が各国に比してまだ十分でございません。そういった意味で二つに分化、機能できるものであるかどうかということにつきましてはまた十分検討を必要とするかと思います。
#479
○橋本(文)分科員 この相模原分館はキャンプ淵野辺の跡地にできまして、この周辺には文教施設、例えば高等学校、中学校、小学校、あるいは今度野球場もできます。それから宇宙科学研究所もございます。その一角にできたわけです。まだ広大な土地が残っておるわけなのです。ところが、道路を隔ててすぐ隣は一般住宅街、密集地でございます。いわゆる山深い中にぽつんとフィルムセンターがあるわけではなくて、すぐ隣は繁華街、繁華街というとおかしいですが完璧な住宅街。歩いて五、六分ですぐ市庁舎まで行ける、こういうような位置にあります。このたび相模原市の方で博物館の計画がございます。そうしますと、この辺が本当に文化施設ということになりまして、単なるフィルムの保存庫としておくのはまことにもったいない、一大文化の殿堂となります場所でございますので、よろしく強力に大臣の方からも推し進めていただきたいと思っております。
 ところで、博物館の基本構想があるのですが、文部省としてはこの博物館構想にどのようなお考えをお持ちなのか、最後にお尋ねをして質問を終わりたいと思います。
#480
○齊藤(尚)政府委員 県を通じまして調査をいたしましたところ、相模原市に博物館を設置するという計画があることを承知をいたしました。市の計画によりますと、昭和六十三年度に建築をするという計画でございますので、文部省といたしましては、その時点で補助等につきまして十分検討させていただきたいというふうに考えております。
#481
○橋本(文)分科員 前向きで検討をお願いできますか、重ねて……。
#482
○齊藤(尚)政府委員 繰り返しになりますが、昭和六十三年度の時点におきまして十分検討させていただきたいと思います。
#483
○橋本(文)分科員 最後に大臣、今博物館もできる可能性があるわけです。市民がそういう文化施設を見に来る、そこでまた名画も見られる、ますます文化の薫り高くなると思うのです。今の時代は物よりも心の時代でございますので、どうか心に重点を置いたこういう文化施設の拡充、ぜひとも力を入れていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 これで質問を終わります。一言だけ大臣。
#484
○海部国務大臣 御意見を体していろいろと検討させていただきます。
#485
○橋本(文)分科員 ありがとうございました。
#486
○大西主査 これにて橋本文彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐藤祐弘君。
#487
○佐藤(祐)分科員 最初に、学校給食の問題をお聞きをいたします。
 東京の足立区では、行革の一環ということで小中学校の学校給食の民間委託を打ち出しておりまして、四月から七校で実施する、こういうことになっております。本来は学校給食は、学校給食法等で教育の一環というふうに位置づけられておるわけですが、昨年文部省は体育局長通知というのを出された。民間委託にゴーサインを出したということなのであります。我々は、献立等は委託しないとかいろいろな条件はつけておりますけれども、結局教育の一部を民間の業者任せにするということではないかというふうに思うわけです。足立では、このことに対しまして区民、特に小中学生を持つお母さん方、それから教職員の間で、不安と反対の声が非常に強く上がっておるわけです。御存じと思いますが、足立区の有権者の過半数を超える二十三万という人が反対の署名を区議会に提出するという事態になっております。
 それで、最初にお聞きしたいのでありますけれども、文部省としては、父母や区民の反対がどんなに強くても何が何でもやれ、そういうことなのかどうか。
#488
○古村政府委員 学校給食の運営の合理化についてという通達を昨年出しましたわけですが、これは現下の行財政の状況というものを見たときに、やはり運営の合理化をしてむだを背いていくということが必要だろうということから、いわゆる方式といたしましては、パートタイム職員の活用であるとか共同調理場方式の採用であるとかあるいは民間委託の実施というふうな三つの方法を例示いたしまして、通達をいたしたわけでございます。どういった方式をとるかということにつきましてはそれぞれの市町村、いわゆる学校の設置者が判断をすることでございまして、とにかく学校給食業務の運営の合理化をしてほしいという通達を出したわけでございます。
#489
○佐藤(祐)分科員 質問にはまともには答えておられないようです。今のようなお話、これは私もよく承知をしております。昨年来、衆議院でも参議院でもやりとりがありました。そして、学校給食は教育の一環であるということは認めながら、効率化、節約を図れということを言っておられるわけですが、どうも私は、文部省のその方針といいますかは何か無理がある、大変無理がある、肝心なことが欠けておるんじゃないかということを強く思うわけです。
 まず第一には、学校給食をどうしたらよりよくしていけるのか、そういう視点がこれにはないということなんであります。これがやはり最も大事な点だと私は思うのです。
 私も、中学校、小学校とも現場に行きました。先生や栄養士さんや調理員の皆さん方とお会いしていろいろお話をお聞きしましたが、本当にどうしたらおいしい給食ができるかということで工夫、研究をなさっているわけですね。ところが、昨年の通知は、給食をよりよいものにしようという視点からのものではないと言わざるを得ぬわけです。実際に答弁などをずっと拝見しましたけれども、設置者の責任だと言われるわけですが、委託する場合に質を落とさないようにやってもらいたいということを言っているわけです。しかし、では、この委託によって給食内容、これがよくなるのか、教育効果が高まるのか、その点はどうですか。
#490
○古村政府委員 学校給食が学校教育活動の一環であるということは、いわゆる学校給食が行われる場で学級指導、教師が学級の子供の指導をするというところが、学校教育の一環だというふうに私たちは考えておるわけでございまして、それがつくられる工程につきましては、学校教育の一環というところまでは考えていないわけでございます。
 ただ、民間委託あるいはいろいろな合理化を図った場合におきましても、あくまでも学校給食の質をそのことによって落とさないということだけは最低限守っていただきたいということで、民間委託をいたした場合には、献立の作成等は設置者の責任でやれとかあるいは物資の購入とか、そういったことについても事細かに設置者責任というものを打ち出して御指導を申し上げたわけでございます。
#491
○佐藤(祐)分科員 質を落とさないのではなくて、学校給食をよりよくしていくというのが文部省の務めではないか。そういう意味で、この業者委託によってよくなるのかどうか、そのことをお聞きしているのです。
#492
○古村政府委員 学校でやればよくなって、民間の業者でやれば悪くなるというふうな発想に私たちは立っていないわけでございまして、それぞれの選定された業者が誠心誠意、その仕事に励んでいただくということを前提に考えておるわけでございます。
#493
○佐藤(祐)分科員 それは、全く実態を無視した発言だと私は言わなければならぬと思う。質を落とさないようにと言うわけですが、その保証が果たしてあるのかどうか、私はないというふうに思うわけです。
 労働省に来ていただいていると思いますが、給食の実際になりますと、調理を業者に委託した場合、職安法四十四条によれば、学校長または栄養士が業者が派遣する調理員を指揮監督できない、こういうことになるわけですね。それから具体的なケースとして、栄養士と業者の派遣された調理員、業者の社員ですね、それが一緒に作業をするというのも好ましくないというふうに聞いておりますが、いかがでしょうか。
 それからもう一点、教育委員会が業者派遣の調理員に研修を義務づけることはできるかどうか、この点をお答えいただきたいと思います。
#494
○坂根説明員 お答えいたします。
 学校給食を外部委託する場合、すなわち請負契約でやられる場合には、今先生おっしゃいましたように、労働者供給事業を原則として禁止しています職業安定法あるいは同法施行規則四条との関係で、請負事業主、受託事業主が個々の労働者に対する指揮監督を行うんだというようなことが必要になってくるわけでございます。
 そこで、御質問のまず指揮監督の点でございますが、学校長が受託業者の労働者に対して直接指揮命令するというようなことがある場合には、先ほどの施行規則四条との関係で問題が生ずる場合があり得るというふうに考えるわけです。
 混在のお話をされたわけでございますが、混在の点で申し上げますと、委託側の労働者と受託側の労働者、これが混在しているということになりますと、委託側の事業主といいますか、具体的にいいますと学校長あるいはその職員ということになりますが、それが直接受託側の労働者に対して指揮命令をするということが起こりがちになるということで、これも問題になるケースがあり得るということかと思います。
 それから研修の問題でございますが、今指揮監督というふうに申し上げておりましたが、指揮監督につきましては身分上の管理も含むというふうに解されているところでございまして、学校側がその請負事業主、受託事業主の労働者に学校の行う研修に参加することを義務づけるという場合には、身分上の管理を行っているというふうに解される場合もなくはないということで、そういうおそれもあるということでございます。
#495
○佐藤(祐)分科員 ちょっと最後の方がはっきりしませんが、義務づけることはできるのかどうか。
#496
○坂根説明員 義務づけるということになりますと、身分上の管理を委託主の方がやっているのではないかということで問題になるケースもあるということでございます。
#497
○佐藤(祐)分科員 結局そういうことになっていくわけですね。ぜひ給食をよくしてもらいたいというのが父母の気持ちで、関係者の皆さんはそのことに大変努力をされているわけですね。やはりその上では栄養士と調理師さんのチームワーク、これも大事なわけです。それから足立区の場合で言いますと、今、月一回、栄養士さん、調理師さん含めて研修会というのをやっております。その中では献立のつくり方とか料理のつくり方の工夫研究、そういったことを経験交流したりしておられるわけですね。そういう努力が積み重なって、内容の改善というのが進んできているわけです。実際にはそういうことなのです。同時に、そういうふうに研修をしたりすることによりまして、教育現場の一員だという自覚が調理師さんの間でも高まるわけですね。これも私は大変大事なことだろうと思う。しかし、民間委託になれば、今労働省さんから御答弁いただいたようにそういうことが実際上できなくなる。実際の勤務時間も縮められて、いろいろな具体的なことは申しませんけれども、そういうことができなくなるわけですね。だから、質が落ちないという保証はまずないと言わざるを得ない。
 さらには、いろいろほかの不安というものも出てきております。局長は心配してないというふうにおっしゃいましたが、実際に、では実施されているところではどうかということであります。東京の定時制高校で一部給食が実施されております。そこで、では現場ではどうかということでアンケートを、ここに持ってきておりますけれども、都職労の都立学校支部というところがアンケートをいたしました。何度かやっております。その中で、やはり驚くような、あってはならないような事態が起きておるわけです。例えば、派遣されてきた業者のチーフが大変酒好きで調理用の酒を飲んでしまった、そういうのもあるのです。それから子供たちが、「いただきます」「ごちそうさま」ということを言わなくなった。それまでは顔見知りの調理員のおばさん、そういう人がやってくれるので、そういう感謝の気持ちといいますかコミュニケーションがあったわけですが、そういうものが非常に薄れてきた。あるいは、後片づけが雑なためにゴキブリが出るようになった、こういった具体的な例がいろいろたくさん出ているわけですね。ですからこういう問題、文部省は本当につかんでいないのじゃないか。こういう危険性がある以上は、こういうことを軽々に進めるべきではない。通知しただけで後は知らないということでは、私は責任は果たせないと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになっておられますか。
#498
○古村政府委員 通達の中には、受託者の選定については、学校給食の趣旨を十分理解して円滑な実施に協力するものであるということをよく確認して、受託者を決めてくださいということまで申し上げておるわけでございまして、私は、そういう委託をしたことによって衛生管理が大変ずさんになるとかそういったことが起きないように、契約をする段階で設置者と受託者との間においてそこのところはしっかり決めておく問題だろうというふうに思うわけでございます。したがって、先ほど申し上げましたように、設置者の方でやった給食と、それから民間委託をしたことによって自動的に質が落ちていくというふうなことはあり得ないことだというふうに思うわけでございます。
#499
○佐藤(祐)分科員 この問題の最後に大臣にお伺いします。
 専ら設置者の責任の方に、局長の答弁は転嫁をしておられるという感じがします。文部省、文部大臣、前文部大臣もこの問題でのやりとりで言っておられたのですが、学校給食は国民の支持と理解の上に行われなければならぬということを言っておられます。しかし、事実は違うわけですね。民間委託、効率化を図る方が国民の支持を得られるのだ、そういう論理で言っておられるわけですが、現実に足立で起こっている事態を見ますとそうではなくて、そういうやり方に反対だという人が過半数もあるということですね。お母さんたちは二十三万を超える署名ですから、区長さんが得た得票の三倍も出ているのだ、それでもやるのか、こういうことを言っておられるわけですね。私は、もっともだと思うのです。ですからその点をお聞きしたいわけです。
 私、非常に印象的だったのは、ある調理師さん、この方はもう二十年以上やっておられるわけですね。地元の方で、子供たちとも顔なじみなんです。この方が、頭を下げろと言われれば下げます、またをくぐれと言われればくぐりましょう、ぜひ民間委託だけはやめてもらいたい、そういうふうに訴えられたのですね。私は、胸がじんときたのですが、大臣として、これだけ強い反対がある、そういう場合にごり押ししたんでは、私は国民の理解と支持どころではないと思う。教育効果も上がらない、そういう結果になる。だから、そういう強い反対がある場合にはよく検討する、強行すべきではないという立場に立っていただきたい、そう思うわけですが、いかがでしょう。
#500
○海部国務大臣 学校給食の問題は、基本的に言いますと、やはり児童生徒の栄養のバランスを考えるとかあるいは先生と生徒が同じところで給食ができる。私は、この前文部大臣の在任中に、たしか江戸川区だったと思いますけれども、どこかの学校の給食の理場も見せてもらいに行ったら校長先生が、大変教育的効果が上がってよろしい、学校で一年生から六年生までの兄弟のようなチームをつくって、いろいろ食事の後片づけやふき掃除をやらせながら、これも一つの大事な教育ですよとおっしゃったことを今でも思い出すのです。学校教育の中における給食の問題は、今のやりとりを聞いておりましても、質の低下を招かないかあるいは必然的に招くかということの御議論のようでありますけれども、私はやはりやり方によって、そういった児童生徒のためにいい質の給食ができるように、通達にも局長は配慮をしておると申しますし、また設置者の方でも、献立その他の基幹に関する部分については、それは人任せにしないのだということになっておれば、やはりみんなの努力によっていい質の給食が続けていかれるように私は思うのです。
 ですから、今具体的に御指摘になったことに関しても、文部省の方もやはり臨時行政調査会とか総務庁からいろいろな御注意や指摘等もあり、それからその中で合理化をしなければならぬということ等もあり、そしてそのいろいろな対応の結果こういう内客の通達を決めて、地方の市町村教育委員会等に対しても、よく地域の実情に応じて御相談の上でやってくださいという通知を出しておるわけでありますから、その目的に従って運営されていくように私は強く願っておきます。
#501
○佐藤(祐)分科員 ちょっと時間がないので次の問題に移りたいのですが、もう一点今の問題で。質の問題はあります。これは、お母さんたちはいろいろなことを調べて落ちる不安を持っているわけですね。それで二十三万もの人が、有権者の過半数が反対をしている。そういう際に行政として、それだけ強い反対があるのに強引にやるというのはあってはならぬと思うのですね。それでは支持も得られないし、教育効果も上がらない、むしろぎくしゃくが増大するわけです。だからそういう場合には慎重に検討して、もっと時期を待つとか強行しないという立場に立つべきじゃないかという点で、政治家大臣の御意見をお聞きしたい。
#502
○海部国務大臣 私は、率直に言って実情を詳しく知りませんので、今もちょっと聞いてみたのでありますけれども、地元の教育委員会とその二十三万の反対の方の意向とか、それからどういうことを基準に反対なさっておるのかとかということを、一回私が地元の教育委員会によく問い合わせて聞いてみます。
#503
○佐藤(祐)分科員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、図書館問題でお聞きをします。
 ことしは八月に、六十年の歴史を持ちますIFLA、国際図書館連盟の大会が初めて日本で、東京大会として開かれるわけです。図書館の拡充発展を図ろうという大変記念すべき年だと私は思います。もちろんこのIFLAの大会は、文部省も後援をしておるということであります。
 ところが、まさにといいますか、そのときにやはり足立区の区立の図書館の業務を公社委託しよう、そういうことが起きております。この動きにつきましても、区民だけではなくて関係各方面から、教育基本法や社会教育法あるいは図書館法などの立法精神に反するものではないか、図書館の専門性を無視し、サービス低下を招くものだということでやはり反対が上がっておるわけであります。
 そこで、まずお聞きしたいのは、図書館の業務委託について文部省はどのような見解をとっておられるのか。
#504
○齊藤(尚)政府委員 図書館の業務の一部を民間に委託するかどうかという問題につきましては、これは設置者が御判断される問題だというふうに考えておるわけでございますが、今先生もちょっと御指摘ございましたように、公立の図書館につきましては、図書館法の定め等々から考えまして、基幹的な業務につきましては民間への委託にはなじまない、施設設備の保守あるいは清掃、警備、そういった部分につきましては民間委託を推進しているというのが現状でございます。
#505
○佐藤(祐)分科員 そうしますと、図書の貸し出しだとかレファレンスといったものは基幹的な業務に当たる、そういうことでよろしいですか。
#506
○齊藤(尚)政府委員 公立図書館につきましては、図書館の公共性というのが一つあるかと思います。それから同時に、図書館でございますと社会教育の基幹的な施設でもあるわけでございますから、ありていに申し上げれば館長及び司書の業務につきましては、原則として委託になじまないものというのが文部省の考え方でございます。
#507
○佐藤(祐)分科員 足立区の計画は、今の答弁にありました基幹的な業務、図書の貸し出しを含めましてそういうものを委託しようとしているということであります。
 こうしたやり方に対しまして、日本図書館学会会長で東大名誉教授の裏田武夫さん初め五人の学者が、昨年十二月にアピールを出されました。「足立区立図書館「委託」構想の再検討を求めるアピール」、御承知だと思います。一カ月のうちに四百二十四人の学者、文化人が賛同された。中には作家の井上ひさしさんや児学文学者の石井桃子さん、そういった方々が名を連ねておられます。このアピールでは、「公社への委託は、公立図書館に対する自治体の責任の放棄であるとともに、これまでサービスの改善に努めてきた専門職集団の役割を否定するものです。」と言って、さらに「足立区は、地元住民の反対運動に直面して、図書館長のみを教育委員会所属とするという手直しを行いましたが、その本質は何ら変るものではありません。」というふうに言っておるわけであります。また、日本図書館協会、この方も足立区に対して再検討の申し入れをしておる。まさに圧倒的な図書館人が憂慮し、反対をしている、そういう状況であります。文部省は、こういう状況をどう受けとめておられるかということが一点。
 それからもう一つ。にもかかわらず、足立区側は違法ではないということを言いまして、計画を強引に進めようとしております。違法かどうかについてはいろいろ議論があると思う。私は、問題は、この場合も公立図書館をどうよくしていくか、内容を充実させるか、そういう点からいって望ましい方向なのかどうかというところが問題だろうと思います。その点についてどういう指導をなさっておられるか、お聞きをしたいと思います。
#508
○齊藤(尚)政府委員 学者その他の方々がいろいろな観点からこの問題について御発言をされておるということは、十分承知をいたしておるわけでございます。ただ、区の方の説明を聴取いたしますと、これには長いいきさつがあるということでございまして、とりわけ他の地区と異なった状況が足立区には見られるんだ。その一つは、図書館が地域の社会教育施設、地域の人々の学習要求にこたえる施設であるべきでございますのに、それについての必ずしも十分の対応がこれまでの足立区の図書館ではとられてこなかった。具体的に申し上げますと、夜間におきます図書館の開館の問題でありますとかあるいは日曜日の開館の問題、これも不十分であるとか、そういう過去のいきさつがあって、地域の人々の要望にこたえる意味で、この運営形態の問題について取り組んだのだという御説明をちょうだいいたしているわけでございます。そういう意味からいいますと、かなり特別の状況といいますか、いろいろな状況が足立区の場合にはあるというふうに理解をされるわけでございます。
 そういう背景のもとに、当初は、先生も御指摘ございましたように、完全に公社に委託をする、全面委託をするというふうな考え方に立って作業を進めていたようでございますが、昨年の秋になりまして、先生今御指摘ございましたような形で館長につきましては教育委員会の職員としてこれを発令する。したがって、その意味での公共性の担保という点は、前の案とはかなり違ったものとなっているという説明はお聞きをいたしておるところでございます。
#509
○佐藤(祐)分科員 ちょっと納得できないような御答弁の部分があるのですが、やはり図書館の専門性といいますか、冒頭答弁されましたように清掃、警備などは委託しても、司書がやるべきような仕事は基幹的なものであり委託になじまない、やはりこれを貫いていただきたい、そう思うわけですね。
 実際に夜間、日曜開館の問題も出ております。詳しく申し上げる時間的な余裕がなくなってまいりましたけれども、この場合も、ただあいていればいいというものではないと思うのですね。やはり住民の相談によくこたえられる、こたえて図書の選択ができ、貸し出しができるという人が配置されなければならないわけであります。館長一人おりましても、あとの職員が体育館や社会教育館と込みで職務に当たってもらうというのが区の構想でありまして、これでは本当に利用者の要求にこたえることにはならぬと思うのですが、その点いかがですか。
#510
○齊藤(尚)政府委員 全国的な状況を調べてみますと、夜間の開館等につきましては、八十数%の地域で既に開館を実施いたしておるわけでございます。また日曜開館等につきましても、同様に非常に高い数字を持っているわけでございます。そういう状況から考えますと、足立区のこれまでの図書館の対応というのは、必ずしも地域の人々の学習要求に対して十分ではなかったのではないかということは指摘ができるわけでございます。もちろん労務管理の問題等もございまして、それについてはいろんな手だてが必要だとは思いますが、やはり住民の期待にこたえるような体制をぜひとっていただきたい、この問題の解決はそういう形で解決していただきたいものであるというふうに考えております。
#511
○佐藤(祐)分科員 その点は、図書館で働いている人たちも積極的であります。区職労の図書館分会の人たちがみずから、夜間、日曜開館をやる、勤務は過酷になるけれどもやりますという案を出しているわけですね。私は、やはりこれは非常に大事だと思う。専門家の当図書館の職員の集団がそういう決意をしたわけですから、これを評価してやるべきだというふうに思うわけです。
 サービスの面、おっしゃいましたけれども、確かにそうなんです。非常におくれております。それは開館時間だけではなくて、例えば図書の購入費でいいますと、すぐお隣に浦安市というのがあります。この浦安市は、図書館活動が非常にすばらしいという評価を受けているわけですが、ここは人口九万で約一億円なんですね、年間の図書購入費が。足立は人口が六十二万余です。そこでやはり一億二千万円程度なんです。だから内客の充実ということが、もっともっとやるべきことがある。あるいは視覚障害者に対する対面朗読ですね、こういうことも非常にやられていない。そういう内容面でまだまだやるべきことがたくさんあるわけです。内容の充実と言うなら、区民はそういうことを期待しているということなんであります。
 時間がもう参ったようでありますので、最後に大臣にお伺いをしたいと思います。
 海部大臣は、議運で図書館小委員長をやっておられましたね。非常に図書館問題では熱心で関心がお強いというふうにお聞きをしました。先日、国会図書館へ行きまして高橋副館長にお会いしました。この方は、日本図書館協会の理事長もやっておられるという方ですね。この高橋先生も大変大臣のことを高く買っておられて、ぜひよくしてもらえるだろうという話だったわけです。
 今、お聞きなさったような経過で来ておるわけですが、冒頭にも申しましたように、ことしは特に東京で国際的なそういう大会も開かれるということですね。発足して六十年ぶりに初めて日本で開かれる。非常に期待も高いわけです。我が国の図書館は、関係者の皆さん方の努力で非常に前進してきたと思います。これをもっと前進させたいということになるわけでありますね。やはり図書館の充実というのは、その国の文化水準の端的なバロメーターだろうというふうに私は思います。そういう点では、もういろいろ指標は挙げる余裕はありませんけれども、いわゆる先進諸国と比べておくれている面が残念ながら幾つかあります。そういうことも含めまして、やはり公立図書館を今後さらに発展させていく、そのためには基幹的な業務まで外部に委託するというようなことはやめて、そうして専門職員を配置し十分なサービスの向上、内容充実、そういうことが図られるべきだというふうに思います。そういう点で、大臣の所見、御抱負をお伺いしたいと思います。
#512
○海部国務大臣 いろいろ御議論のありましたように、図書館というのは、読書を通じて生涯学習の機会を提供する大変重要な機関だと思っております。ですから、図書館法という法律もきちっと置いて、いろいろ我々も心を砕いて運営をしているわけであります。ですから、清掃とか警備とか保守とかいうようなことの民間委託の問題は別といたしまして、やはり図書館法の規定から見ても公立図書館の基幹的な業務については、これは民間の委託にはなじまないものでしょうし、生涯学習をするという非常に大きな目標があります。
 浦安の例もお引きになりましたが、あそこはうらやましい場所だと思って、僕はたまたま知っております。ディズニーランドという大きなのができて、その収入がどんどんあるというプラスがあるんだと正直に市長さん言っておられましたけれども、どんどん伸びていって、いい状況になっております。私は、ああいったうらやましいところもあるけれども、しかし、全体にみんなが充実し合って地域の生涯教育に役立つようになっていったらいい、こう思っておりますから、基幹的業務だけはきちっと貫いてやっていくように指導してまいりたいと思います。
#513
○佐藤(祐)分科員 終わります。どうもありがとうございました。
#514
○大西主査 これにて佐藤祐弘君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明七日午前九時から開会し、文部省所管及び自治省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト