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1985/02/22 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第15号
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1985/02/22 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第15号

#1
第104回国会 予算委員会 第15号
昭和六十一年二月二十二日(土曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 小渕 恵三君
   理事 中島源太郎君 理事 林  義郎君
   理事 原田昇左右君 理事 渡辺 秀央君
   理事 稲葉 誠一君 理事 岡田 利春君
   理事 二見 伸明君 理事 吉田 之久君
      相沢 英之君    石原健太郎君
      石原慎太郎君    糸山英太郎君
      臼井日出男君    衛藤征士郎君
     小此木彦三郎君    大西 正男君
      大村 襄治君    北川 正恭君
      砂田 重民君    住  栄作君
      田中 秀征君    中村正三郎君
      葉梨 信行君    林  大幹君
      三原 朝雄君    村山 達雄君
      森下 元晴君    山下 元利君
      上田  哲君    小澤 克介君
      大出  俊君    川崎 寛治君
      田中 恒利君    竹村 泰子君
      池田 克也君    神崎 武法君
      草川 昭三君    沼川 洋一君
      伊藤 英成君    小川  泰君
      木下敬之助君    小平  忠君
      岡崎万寿秀君    瀬崎 博義君
      松本 善明君
出席国務大臣
        法 務 大 臣 鈴木 省吾君
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 海部 俊樹君
        厚 生 大 臣 今井  勇君
        農林水産大臣  羽田  孜君
        通商産業大臣  渡辺美智雄君
        運 輸 大 臣 三塚  博君
        労 働 大 臣 林  ゆう君
        建 設 大 臣 江藤 隆美君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     小沢 一郎君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)後藤田正晴君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 江崎 眞澄君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 加藤 紘一君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      平泉  渉君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      河野 洋平君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 森  美秀君
        国 務 大 臣
        (国土庁長官) 山崎平八郎君
出席政府委員
        日本国有鉄道再
        建監理委員会事
        務局次長    吉田 耕三君
        公正取引委員会
        委員長     高橋  元君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 利部 脩二君
        警察庁刑事局長 仁平 圀雄君
        総務庁行政管理
        局長      古橋源六郎君
        防衛庁参事官  瀬木 博基君
        防衛庁長官官房
        長       宍倉 宗夫君
        防衛庁防衛局長 西廣 整輝君
        防衛庁経理局長 池田 久克君
        防衛施設庁長官 佐々 淳行君
        防衛施設庁総務
        部長      平   晃君
        防衛施設庁施設
        部長      宇都 信義君
        防衛施設庁建設
        部長      大原 舜世君
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        経済企画庁国民
        生活局長    横溝 雅夫君
        経済企画庁物価
        局長      斎藤 成雄君
        経済企画庁調査
        局長      丸茂 明則君
        科学技術庁計画
        局長      長柄喜一郎君
        科学技術庁振興
        局長      藤咲 浩二君
        科学技術庁原子
        力局長     中村 守孝君
        科学技術庁原子
        力安全局長   辻  栄一君
        環境庁水質保全
        局長      谷野  陽君
        国土庁長官官房
        長       吉居 時哉君
        国土庁長官官房
        会計課長    斎藤  衛君
        国土庁地方振興
        局長      田中  暁君
        法務省入国管理
        局長      小林 俊二君
        外務省アジア局
        長       後藤 利雄君
        外務省北米局長 藤井 宏昭君
        外務省経済局長 国広 道彦君
        外務省経済協力
        局長      藤田 公郎君
        外務省条約局長 小和田 恒君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    北村 恭二君
        大蔵省主計局長 吉野 良彦君
        大蔵省主税局長 水野  勝君
        大蔵省理財局次
        長       中田 一男君
        大蔵省銀行局長 吉田 正輝君
        大蔵省国際金融
        局次長     橋本 貞夫君
        文部大臣官房長 西崎 清久君
        文部大臣官房総
        務審議官    五十嵐耕一君
        文部大臣官房会
        計課長     坂元 弘直君
        文部省高等教育
        局長      大崎  仁君
        文部省高等教育
        局私学部長   國分 正明君
        文部省学術国際
        局長      植木  浩君
        文部省社会教育
        局長      齊藤 尚夫君
        厚生大臣官房総
        務審議官    北郷 勲夫君
        厚生省健康政策
        局長      竹中 浩治君
        厚生省保健医療
        局長      仲村 英一君
        厚生省生活衛生
        局水道環境部長 森下 忠幸君
        厚生省薬務局長 小林 功典君
        厚生省保険局長 幸田 正孝君
        農林水産大臣官
        房長      田中 宏尚君
        農林水産大臣官
        房予算課長   鶴岡 俊彦君
        農林水産省構造
        改善局長    佐竹 五六君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    関谷 俊作君
        農林水産省食品
        流通局長    鴻巣 健治君
        食糧庁長官   石川  弘君
        林野庁長官   田中 恒寿君
        水産庁長官   佐野 宏哉君
        通商産業省産業
        政策局長    福川 伸次君
        通商産業省基礎
        産業局長    岩崎 八男君
        工業技術院長  等々力 達君
        資源エネルギー
        庁次長     小川 邦夫君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       逢坂 国一君
        資源エネルギー
        庁石油部長   畠山  襄君
        中小企業庁長官 木下 博生君
        運輸大臣官房国
        有鉄道再建総括
        審議官     棚橋  泰君
        運輸省地域交通
        局次長     松村 義弘君
        運輸省航空局長 山田 隆英君
        気象庁長官   内田 英治君
        労働大臣官房長 岡部 晃三君
        労働大臣官房審
        議官      中村  正君
        労働省労働基準
        局長      小粥 義朗君
        労働省職業安定
        局長      白井晋太郎君
        建設大臣官房会
        計課長     望月 薫雄君
        建設省住宅局長 渡辺  尚君
        自治省税務局長 矢野浩一郎君
委員外の出席者
        大蔵省銀行局保
        険部長     関   要君
        最高裁判所事務
        総局総務局長  山口  繁君
        日本国有鉄道副
        総裁      橋元 雅司君
        日本国有鉄道常
        務理事     岡田  宏君
        参 考 人
        (日本銀行総裁)澄田  智君
        予算委員会調査
        室長      大内  宏君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十二日
 辞任         補欠選任
  相沢 英之君     衛藤征士郎君
  伊藤宗一郎君     臼井日出男君
  上村千一郎君     糸山英太郎君
  大村 襄治君     中村正三郎君
  倉成  正君     林  大幹君
  葉梨 信行君     田中 秀征君
  橋本龍太郎君     北川 正恭君
  武藤 嘉文君     森下 元晴君
  井上 一成君     田中 恒利君
  井上 普方君     小澤 克介君
  正木 良明君     草川 昭三君
  矢野 絢也君     沼川 洋一君
  大内 啓伍君     伊藤 英成君
  小平  忠君     小川  泰君
同日
 辞任         補欠選任
  糸山英太郎君     上村千一郎君
  臼井日出男君     伊藤宗一郎君
  衛藤征士郎君     相沢 英之君
  北川 正恭君     橋本龍太郎君
  田中 秀征君     葉梨 信行君
  中村正三郎君     大村 襄治君
  林  大幹君     倉成  正君
  森下 元晴君     武藤 嘉文君
  小澤 克介君     井上 普方君
  田中 恒利君     竹村 泰子君
  草川 昭三君     正木 良明君
  沼川 洋一君     矢野 絢也君
  伊藤 英成君     大内 啓伍君
  小川  泰君     小平  忠君
同日
 辞任         補欠選任
  竹村 泰子君     井上 一成君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十一年度一般会計予算
 昭和六十一年度特別会計予算
 昭和六十一年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
#2
○小渕委員長 これより会議を開きます。
 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田哲君。
#3
○上田(哲)委員 一つの報告書がまとまりました。これは、アフリカを初めとする開発途上国でおびただしく死亡する子供たちを日本のワクチンで百万単位救っていこう、こういう方針がまとまったわけでありまして、大変私は結構だと思います。
 冒頭に申し上げておくのですが、この報告書の作成に至る過程においては政府の外務省、厚生省、文部省等々が大変協力をされて、精力的にこの画期的な方針をまとめられた。これは私は大変評価すべきことだと思っております。また、特にこれはちょうど一年前の昨年の二月二十三日に、当委員会で私が、アフリカを初めとする途上国の子供たちの死亡原因は何か、実は感染症による死亡が八割であって、これはすぐれた日本のワクチンによって救うことができる、こういう方向を打ち出すべきではないかと御提言申し上げたに対して、これをしっかり受けとめられて、学識経験者等々に問題を提起して一年間でまとめられた。またあの日は、各予算委員諸兄の大変力強い御支援もあったことも想起いたしますが、そういう意味で私はこの報告書を貴重なものとして受けとめるべきだと思っております。きょうその報告書をいただいてまいりましたので、ぜひ皆さん方にもお目通しをいただければ幸いだと思いますので、委員長、これを配らせていただきたいと思います。
 この際私は、この委員会を推進していただいた多くの方々に敬意を表する立場から、お名前を申し上げておきたいのであります。こうした問題の斯界の権威であります元の国立予防衛生研究所所長の福見秀雄先生を座長にして、田中寛東大教授、深井孝之助前の大阪大学微生物病研究所教授、蟻田功前のWHO天然痘根絶対策本部長、大谷明国立予防衛生研究所ウイルスリケッチア部長、さらに島尾忠男結核予防会常任理事、有本亨細菌製剤協会常務理事、さらに外務省、文部省、厚生省、国際協力事業団、こうした分野の十二名の方々の御努力にも深く敬意を表する次第であります。
 さて、この報告書の内容は、一口で言えば、ワクチン対策を国際的な医療協力の最優先課題としてぜひ途上国の子供たちを日本のワクチンで救っていこうという、極めて積極的な提言でございます。政府はこの経過とそしてこの報告書の内容をどのように評価され実現されるおつもりであるか、その位置づけの決意をひとつ承りたいと思います。
#4
○安倍国務大臣 私もよく覚えておるわけですが、昨年の当予算委員会において、上田委員からこの問題に対して非常に熱心な問題の提起がありました。それが契機となりまして、これを踏まえまして政府としまして、我が国の感染症対策に関する開発途上国との協力のあり方について専門的な検討を行わなければならぬという結論に達しまして、学識経験者、関係省庁並びに国際協力事業団の担当者から成る研究会、今お話しの感染症対策協力研究会、座長は福見秀雄元国立予防衛生研究所所長にお願いをいたしまして研究を進めたわけでございますが、ようやく最近報告書が取りまとめられたということで、今発表という形になったわけでございます。
 同報告書は、開発途上国の大きな問題である感染症対策に我が国が果たす役割は大きいとしながらも、この分野における協力の諸側面につきまして包括的な検討を加えておりまして、幾つかのきわめて大胆な示唆に富んだ提言を行っておると私は思っております。
 この報告書は、その内容からいきましても、感染症分野における今後の我が国の国際協力を進める上でいわばバイブルとも称し得るものでありまして、盛られておる内容、提言を今後十分に生かしていきたいと考えております。
#5
○上田(哲)委員 バイブルという言葉は私は大変適切だと思います。まさにこれから経済大国と言われる日本が、この面でワクチンを使えば助かる世界の子供たちにそうした協力をして、その命を救っていく、そのためのバイブルができたということでありますから、今御答弁にありましたようなこの報告書の趣旨、ワクチン対策を最大優先課題としていくという方向でまさに政府の御努力をいただくことができる、私はそのことを非常に大切なこととして評価いたします。
 言うまでもありませんが、この報告書の中にもるる述べられておりますように、ワクチンさえあれば死なずに済むわけであります。そのワクチンを与えられるという能力は日本において甚だすぐれているわけであります。そこがポイントだと思うのでありまして、ぜひお伺いしたいのは、この開発途上国における感染症死亡あるいは疾病の現状、これをひとつどのように把握されているか。
 私は特に具体的にお伺いしたいのでありますが、たくさんあります感染症あるいはワクチンの中から六つ、破傷風とはしかと百日ぜきとジフテリアとポリオとさらに結核と、代表的なものでありますが、この六つの疾病、これによって死亡する子供、これは相当な数に上っているわけでありますが、その数はどのように把握されておられますか。
#6
○藤田(公)政府委員 ただいま御提起の六つの感染症につきましては、本報告書によりますと、この六つの病気によりまして、今御提示になりました破傷風、はしか、百日ぜき、ジフテリア、小児麻痺及び結核、開発途上国で死亡しております子供の数は、毎年約五百万人と推定されております。
#7
○上田(哲)委員 大変な数ですね。五百万人がこの六つだけの病気によって亡くなっているわけであります。
 もう一つ、亡くならないけれどもこれによって後遺症、あるいは失明という重度の後遺症を残している子供の数は同じように五百万と推定されていると私は思うのですが、それでよろしいでしょうか。
#8
○藤田(公)政府委員 ただいまおっしゃったとおりでございます。
#9
○上田(哲)委員 亡くなる子供、それからどうしても生涯消えない重い疾病を後遺症として残す子供が、しかも私が申し上げたいのはこの六つの病気で合わせて毎年一千万もあるわけです。こういう状況を何とかしなければならない。
 確認したいのですが、これはいずれもワクチンで予防できるわけです。ワクチンを使えばこの子供たちは死なずに済む、病気にならずに済む、ここにポイントがあるし、それに日本のワクチンが極めて有効であるということが、この報告書でも指摘されている非常に大事なポイントだと思うのであります。これはいかがでしょうか。
#10
○藤田(公)政府委員 本報告書でもまさに今御指摘のように述べられておりまして、数字を申し上げますと、特に新生児破傷風、はしか、百日ぜき等でインドほか二十四カ国で毎年三百六十万人の子供が死亡しておりますけれども、これらのほとんどは予防接種により予防可能であるというふうに述べられております。
 それから、ユニセフ、WHO等の国連関係機関が二国間の援助機関と協力しまして、開発途上国におきますワクチン接種率を本年一九八六年から一九九〇年までの五年間で現状の二割から八割に高めるという計画を有している、そういう点、我が国といたしましてもワクチン援助の拡充等によってこういう計画に積極的に協力していくべきだというふうに報告書で述べられております。
#11
○上田(哲)委員 ちょっと紋切り型でそれではどうも私は熱意を感じない。もう少し具体的につかんでいただきたいと思うのです。
 立派なことをやっているのですよ。例えばインドで言いますと、日本脳炎がどっと来ているわけですね。大臣方、日本脳炎のワクチンというのは日本でしかできないのですよ。日本脳炎というのはアフリカにはないのです。これが日本という名前がついている意味でもあるわけですけれども、これはやらなければいかぬことでありまして、かなり向こうにつき込んで、かなりな成果も上げている。ことし一九八六年からインドではそれが具体化する、いろいろなことがありましてちょっとおくれたものだから今から具体化するのですけれども、これはできることですね。足りないのです、これが。今もお話がありましたけれども、何で新生児破傷風になるかというと、へその緒を切るときに清潔に切らないからですよ。それで新生児破傷風が起きるのです。これは母親に破傷風のワクチンを打っておけば済むのです、起きないのです。この破傷風だとかはしかで何と二百万死んでいるのですよ。破傷風とかはしかとか百日ぜき、これでインドだけで全部で百二十万人死んでいる。インドネシア、バングラデシュ、パキスタン、こういうところでは三十万単位で死んでいるのです。これが全部救えるのです。
 こういうところに、WHOでもいろいろ提言していますけれども、一九九〇年までに接種率を八〇%に上げたいというようなスローガンを上げております。じゃどこがやれるかと言ったら日本がやる、日本がやれる、こういうことなんで、そこをひとつ努力するのがこれからの日本の努力ではないかと私は思うのです。何かどこかの統計持ってきてしゃべるような話でなくて、やれているのだし、その方向を拡大すれば現実に救えるのだ。へその緒の話なんというのは注射一本で済むわけなんですから、そういう意味の努力というのをぜひ、日本でははしかで死ぬ子供なんということはもう考えられなくなってきているわけですから、それを救ってやるということの意味合いというのは私は大変なことだと思うので、もう少し血の通った、これだけの提言、バイブルと今外務大臣にも言っていただいたのだから、バイブルを実際にやらなければ罰が当たりますよ。
 これはちょっと大臣の方から、決意でいいです。数字のことは私が言っただけで十分ですから。
#12
○安倍国務大臣 この報告書は大変示唆に富んだ内容、提言も含んでおると思いますし、まさにこれからの感染症対策に対する画期的な対策も具体的に盛り込まれておる。そういう意味ではこれからの感染症対策の、先ほど申し上げましたようなバイブルとも言えるものではないかと思います。
 この委員会を通じまして、この経緯も書いてありますけれども、この研究会が生まれましてこのような立派な提言が出たわけですから、これを踏まえて具体的に実施していくというのがこれからの我が国の責任であろう、こういうふうに思っておりますし、国際協力も、例えばWHOあるいは開発途上国との間の協力もこれから大いに進めていかなければなりませんが、進める上において、まさにこの提言が一つの中心になると思っております。
 したがって、こういうことを踏まえまして早速調査団を派遣いたしたい。そして十分調査をしまして、これから何ができるか、この提言に基づいて、調査の結果でこれを具体的に実施をするようにやらなければならぬ、こういうふうに思っております。
#13
○上田(哲)委員 具体的に大事なことは何かといいますと、一年前に私も提言したのですが、いろいろありますけれども、ワクチン三つなんです。これは何かというと、まずはしかです、それからポリオです、それからDPT。これは混合ワクチンでありまして、ジフテリアと百日ぜきと破傷風を一緒にしたのがDPTです。したがって、はしかとポリオとDPT、この三つが一番有効なんです。この三つを持っていけば非常に画期的な効果が出てくる。これが日本の具体的な努力なんですね。そこをしっかり確認していただくと、今おっしゃっていることが抽象論でなくなるのです。それでいいですね、一言でいいです。
#14
○今井国務大臣 まず最初に、かねてから本当に海外協力の問題につきまして御協力いただきますことをありがたく感謝を申し上げます。
 今のお話でございますが、私も全く同感でございまして、これは外務省とも協議しながら進めていかなければならぬ問題でありますが、こういう問題こそ厚生省が取り組まなければならぬ大きな問題だと思っております。
 そこで、私も就任早々ではございましたが、省内にプロジェクトのチームをつくりまして、こういう問題を、ひとつ協力事業、特に医療協力というようなものに取り組もうじゃないかということを考えているわけであります。今のワクチンにつきましても、今後七年間でODAを倍増するという計画が出でございますが、私としましては、この伸びと合わせまして百万人を超えるくらい……(上田(哲)委員「ワクチンのことをちょっと話してください、その三つをやるということを言ってくれないと、ほかのことは順に聞きますから」と呼ぶ)おっしゃいましたワクチン三種類の問題につきましては、これは本当に決心を固めてやりたいと思います。
#15
○上田(哲)委員 はい、ありがとうございました。これをやってくれないと、ほかのものじゃしようがないです。この三つのワクチンを集中的に送っていただくということが確認できたということで、抽象的に前向きだとか努力しますとか考えますとかということではなくて、非常に具体的になった。もう世界の子供が救われるというふうに思いますから、その一点がうれしく思いました。
 そこで、具体的にあと二、三点だけぜひ確認しておきたいのですが、今大臣の中にもありました、ODAがこれから七年間で倍増していくという政府計画、これは私はぜひやっていただきたいと思うが、さてその中の、例えば今年度の医療協力の予算が四十億ですよ。四十億では、今のワクチンという話ががっと膨らんだにもかかわらず、これは全部の医療協力ですからね、その中でどうかということになるんで、今年度のことはともかくとしても、これから七年間でODAも倍増していくんだから、ワクチン協力最優先でやるべきだと書かれているし、確認されているんだから、これはもう倍増していく同じペースでいくのは当たり前として、何とかここへ大きな力を加えていただくということをひとつ約束をしていただかないと、絵にかいたもちになってしまうという点ですな。これは何大臣からお答えいただくのかわかりませんが、大蔵大臣にでも承ればいいんでしょうか。
#16
○安倍国務大臣 今お話がございましたが、国際協力事業団を通じて実施しております三十五件の医療協力プロジェクトがあるわけですが、その中の十三件が感染症関係プロジェクトである、こういうふうに聞いております。六十一年度はさらに提言もあったわけでございますから、結核対策及びワクチン製造を含む四件の感染症関係プロジェクトを開始するということで今検討を進めておりますが、これはやはり報告書をさらに実行していく上においては、ちょうど今厚生大臣もお話があったように倍増計画もあるわけですから、その倍増計画と合わせて一番大事な医療協力、特に感染症対策というものを具体的に拡大をしていくということについては私も全く異議がありませんし、その方向でこれからさらに努力をしていきたい、こういうふうに思います。
#17
○上田(哲)委員 厚生大臣、そういう意気込みで財政的にも努力してもらえる。それから、今プロジェクトの話が出ましたが、これも大事だと思うのでちょっと後ほどお答えいただきたいと思うのだが、つまりそういう中で五百万という数字、もう一つの五百万という数字もありますけれども、日本がそういう協力度を高めていく具体論の中でどれくらいの子供たちを救うところを目標にするか、これはひとつ、今ちょっとお話しになりかけたようでありますが、出してください。私は、このODAを中心にする倍増計画の中で正しい位置が与えられるならば、百万単位で子供を日本のワクチンで救うことができるだろう、こういう見通しを持つのですが、いかがでしょうか。
#18
○今井国務大臣 御質問に先走りまして答えかけまして恐縮でございますが、結論から申しますれば、先生のおっしゃるとおり、そのくらいの意気込みでやりたいと思っておるのです。
 これは今、ロックフェラー財団の例の世界小児の保護会議、一九八四年の報告によりますと、発展途上国二十五カ国でワクチンによる予防接種がすべての子供に行われたと仮定すれば、年間約三百六十万人の子供の命が救われるということでございますね。したがって私は、日本の保健先進国家としての役割を踏まえまして、今結論から申しましたけれども、三百六十万人のうち少なくとも百万人の子供たちの命を日本が救うというふうな決意に立ってワクチンの援助に取り組んでまいりたい、このように思っておるわけでございます。
#19
○上田(哲)委員 拍手したいですよ。これは拍手したいですよ。WHO三百六十万、来年すぐとかことしすぐとか言えませんけれども、百万単位を日本のワクチンで救ってやろう、これは私はすばらしい話だと思うのですね。拍手が許されれば拍手をしたいぐらいな気持ちでありまして、どうかひとつこれを絵にかいたもちにしないで誇りを持ってやってもらいたい。
 そこで、さっきちょっとお話が出かけましたけれども、具体的にどうするかということの一つに、四十億をふやすということは、今数字をどうということはないでしょうから、頑張るという話がありましたから、百万単位の救済のためにやっていただく。具体論としては、プロジェクトを進めていただかなきゃならない。今三十五チームありますね。三十五チームのうち、私どもがチェックすると感染症対策関係というのは十三です。今度ふやしていただけると思うんだけれども、大体幾つくらいまでふやせられるか。細かい国別のテーマを出してもいいのですけれども、調査というお話がありましたが、この辺の見通し。一遍にとはいかないでしょうけれども、今度は五つくらいはふえるのじゃないかというふうに私は期待をしたいのですが、その辺はいかがでしょうか。
#20
○藤田(公)政府委員 ただいま御指摘のように、現在、医療協力プロジェクト、進行中のもの三十五件ございますが、そのうち十三件が感染症関係のプロジェクトでございます。
 ただいま御審議を願っております予算に関連して申し上げますと、明六十一年度は、これは本報告書の中間のいろいろの御審議の過程で伺っておりましたものですから、御提言もありまして、新たに結核対策及びワクチン製造を含みます四件の感染症関係プロジェクトを開始することを検討しております。
 ちなみにちょっと名前だけ申し上げますと、インドネシアの麻疹ワクチンの製造、ネパールの結核研究センター、コロンビアの原虫性疾患診断法開発プロジェクト、それからガーナの予防衛生研究所のプロジェクト、以上四件でございます。
#21
○上田(哲)委員 もう一つの問題は、日本のワクチンが非常にすぐれていて、また日本でなければできないワクチンがあって、それはいいのですけれども、値段が高いのですね。この値段の高いというのが非常にネックになるわけです。諸外国の調査をしてみると、ワクチンの国内価格というのはそんなに違わないのですね。ワクチンの国内価格は違わないんだけれども、そういう援助ということになると全然日本のは高くて困るという問題があるわけです。これはどういうふうにお考えになりましょう。
#22
○藤田(公)政府委員 ただいまの価格の点でございますけれども、我が国のワクチンの価格は国際価格に比べて高いという指摘は本報告書でも行われております。この理由として報告書が指摘しております点は、製剤製造に当たりまして他の先進国が採用しておりますWHO規格を上回る厳しい基準が課されているということ、それから他の先進国では国家の助成、それから大量に計画生産が可能である、これが価格に影響を与えているのではないかというふうに指摘されておりまして、それ以上の実態が必ずしもはっきりしておりませんものですから、先ほど外務大臣御答弁がございましたように、今般派遣を予定しております調査団がジュネーブに参りますので、その際にWHO等で情報を入手いたしまして、これをも踏まえまして関係省庁の連絡会議で本件を諮っていろいろと検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#23
○上田(哲)委員 私はここで二つの問題があると思うのですね。意気込みと努力はあるのですが、二つの問題があると思うのは、それはワクチンの値段の問題をどうするかということ、それからもう一つは保存管理ですね。コールド・チェーン・システムなどと言われる冷凍とかそうした問題があります、暑い国が多いわけですから。
 そうした問題があると思うのですが、どうも、私は私なりにいろいろ調べてみますと、日本の場合は大変優秀なワクチンを国内で持っているし能力があるのだが、これを対外援助するためにそうした面の調査が十分行き届いてない、かなりおくれていると思います。率直に言って、幾ら調べてみても関係省庁からはそれについての明確なデータが出てきません。これは早急に調査を行う必要がある。ぜひこれは六十一年度予算の中で具体的な調査を行うということが必要だと思うので、竿頭一歩を進めていただきたいと思うのです。
#24
○藤田(公)政府委員 ただいままさに先生おっしゃいましたように、ワクチン援助が効果的でありますためには、使用前の効力の検定でございますとか、接種現場までのコールド・チェーン・システムの確立ということが重要であるということを報告書も指摘しておられます。
 こういう対策を講じます上で、まず開発途上国の実態把握ということが非常に大事でございますものですから、六十一年度、明年度には調査団の派遣によりまして十分な調査を行い、この調査結果を踏まえまして、報告書でも提言されておられますけれども、フォローアップのための関係省庁間の連絡会議ということを提言されておられますので、ここで政府としての対応を深めていくということを考えたいと思います。
#25
○上田(哲)委員 結構であります。
 まとめて申し上げますけれども、一年間の期間の中で、政府各省庁が、JICAを含めて、これは非常に珍しいケースとして各省の壁を超えて御努力をいただいて、学識の声も集めて、こういうバイブルとみずから呼ばれるすばらしい報告ができた。私はこれを大変評価もするし、感謝もするところでありまして、それについては、世界の一千万に及ぶ死亡、後遺症の子供たちを一番すぐれた日本のワクチンによって救うことができるという展望の中で、数年間で百万単位で日本の力によってひとつ救ってやろうという、こういう方針が政府としてはっきり打ち出されましたから、ぜひ三種類のワクチンを中心にまず調査から始め、具体的な行動に入っていただく。ぜひそうした目的を遂げていただいて、我々はひとつその面では胸を張らしていただきたいということを強く申し上げておきます。もちろん、財政的な措置等々がなければ、これは画餅に帰するわけでありますから、そうした面での御努力もお願いをいたします。
 私は、これは総理にもぜひ伺いたいところでありますので、ひとつ官房長官からそうした意味での御決意を承りたいと思います。
#26
○後藤田国務大臣 この問題についての上田さんの御提言、私は心から敬意を表したいと思います。
 国際社会の中で我が国が置かれている立場、それと同時に、日本は極めて短期間のうちに感染症を制圧した国でございます。したがって、それだけの経験と能力も十分ある。一方、報告書等も出ておりますし、またODA予算の倍増の計画もある。これらの中で、御提言の趣旨を踏まえて、やはりこれは日本の取り組むべき大きな役割の一つである、私はこういう認識のもとに政府として努力をしてまいりたい、かように考えております。
#27
○上田(哲)委員 せっかくお願いをいたします。
 ついては、御出席いただきました関係の各大臣から、そうした立場での御決意、ひとつそれぞれ承りたい。また、財政面からの裏づけとしても、大蔵大臣からも特にその点も御決意を承りたいと思います。
#28
○竹下国務大臣 去年のことを私も覚えております。途端に、私は関係が深いので、北里研究所が間に合わぬかなというようなことを瞬間思ったことも覚えておりますが、いい先生がいらして、立派なバイブルができて、そしてまた、そのタイミングが合ったように九月十八日に倍増計画というのを外務大臣との間で決めて、そういう環境は完全に整っておる。したがって、後藤田官房長官から御決意の表明がありましたその線に従うべきであるという認識であります。
#29
○安倍国務大臣 今官房長官から申し上げました基本的な認識のもとに、政府が一体となってこの問題と積極的に取り組んでまいりたいと思います。
#30
○海部国務大臣 御趣旨を踏まえて大学の研究所等において御協力をしていくことは当然でありますが、今年度も結果として、各大学の協力も得て現地に専門家として教授三十五名を派遣いたしましたし、外国から日本の研究所等へ来たいという研究者はたしか四十三名受け入れて、前向きで御協力を一生懸命やっておるところであります。
#31
○河野国務大臣 科学技術分野における国際協力という観点は、従来、ともすれば世界経済の活性化であるとかエネルギー問題であるとか、そういう論点から語られる場合が多かったわけでございますが、まさに上田委員が御指摘になったように、人間の命と申しましょうか、科学技術と人間もしくは科学技術と社会、そういうもののかかわり合いを最も重要に考えるべきだという意味で、非常に示唆に富んだ御提言だと思います。私どももそうした観点を大事にしながらやってまいりたい、こう考えております。
#32
○今井国務大臣 我が国は、極めて短期間のうちに多くの感染症の制圧に成功しておりまして、この持てる経験、技術というものを発展途上国への協力に積極的に注ぎたいと思います。また、先ほどお約束申し上げました百万人の子供たちの命を日本が救うんだという決意に立って、この問題について頑張ってまいりたいと思います。
#33
○上田(哲)委員 全く超党派の課題だと思います。ありがとうございました。
#34
○小渕委員長 この際、田中恒利君より関連質疑の申し出があります。上田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田中恒利君。
#35
○田中(恒)委員 私は、農林問題、食糧問題を中心に当面の問題について若干御質問させていただきますが、最初に竹下大蔵大臣、自民党の総裁、総理を目指してニューリーダーの一人として、日本列島ふるさと論というものを打ち上げていらっしゃるわけであります。私はその内容を承知いたしておりませんけれども、ただ、私どもがふるさとというイメージを通して理解されるものは、生まれた里の山であり、川であり、海であり、緑であります。
    〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
 そして、そこに住む牧歌的な平和な表情であり、人類、人間が自然に挑みがかった最初の労働、つまり農林漁業を通して培われた伝統的な文化であり、あるいは勤労観、連帯感、こういうものを何となく感じるわけであります。私は、竹下さんもこの点は共通だろうと思うのですが、政治家が基本的に押さえていかなければいけないこういう問題を前提として自民党の総裁や総理を目指すということについて、国民の一定の共鳴があるのじゃなかろうか、私はそんなことを感じます。
 ただ、現実の我が国のふるさとは、そんな甘っちょろいものではありません。あなたも島根県で御承知のとおり、今日このふるさとはまさに崩壊寸前にあるわけであります。たしか日本の農村の、部落と言っておりますが集落、これは数字では約十四万カ所ほどありますが、この中で五十五歳未満、六十歳未満、つまり定年に達した人々が農業に――それ以下の人々ですね、いらっしゃる部落というのは二万八千カ所、ちょうど二割だと言われている。一〇%以下の六十歳未満の人々が農林業に従事をしている人がいない部落は三万八千カ所。二つ合わすと約四五%、半分以下の部落は六十歳未満の人がいない、働く人がいない
こういう状況になっているわけであります。
 こういう現状に立って、私はあなたの持つふるさと、農林業に対する基本的なお考えをまずお尋ねをしておきたいと思います。
#36
○竹下国務大臣 非常にお答えしにくい問題でございますが、いわゆるふるさとというものをどういうふうに意識しておるか。私はちょうど去年入省しました大蔵省の二十五名の諸君にアンケートをとってみました。都会育ちの人は、どちらかというと、隣のおばあちゃん優しかったとか、あの学校の先生恐ろしかったとか、あるいはあの広場でお互いが遊んだ思い出とか、そんなようなものが、人間関係が主体のふるさと意識であり、そして我々農村出身者は、もう例外なくウサギ道いし山であり、小ブナ釣りし川である、そういう印象を持っておるから、ふるさとというものには二面性があるのだな、こんな感じを持っておるわけであります。したがって、私の出身も田中さんの出身も、大体その後者の方に属するふるさと意識というものがあるのじゃないか。
 それで、それと同じようなことがいつの日にあったかというと、大平さんの田園都市構想というのがちょうどそんなものじゃなかったかな。しかも田園都市構想と書いて大平さんの顔が真ん中にでんと据わっておりますと、まさに田園そのものの顔というような感じがして、大変ほのぼのとしたものを感じた、強烈な印象を持っております。
 そういう中で、今おっしゃったような状態にあることは私も問題意識を十分持っておるわけでありますが、したがって、そういうところの中で農政の位置づけはどうあるべきか。これは林政も含めてでございましょう。そうすると、やはり私は、それにいわば産業としての希望を持たすという必要、それが若い後継者が育っていく環境の整備にもなろうというようなことを考えながら、基本的にはいわゆる補助行政から融資行政へというのは、大筋としては間違いないではなかろうかなという考え方を一つ持っております。そうして、やはり意識開発の中で、補助金というのはどうしてもいわば既得権みたいな形になったりしますので、自立的な活力を見出すのには、今農林水産省でとっておられる農業政策というものは、筋としては私はそれなりに通っておるなというような感じを持っておるわけでありますが、農業政策の別に専門家でございませんので、私の日本列島ふるさと論なんというのはまだスローガンの域を出るものではございませんけれども、田中さんのお話を聞きながら、共通認識は同じじゃないかな、こんな感じがいたしました。
#37
○田中(恒)委員 二つふるさとがあるという。私は、日本のふるさとというのは二つじゃなくて、やはり明治時代からさかのぼって歴史的、伝統的に見ていけば、一つに絞った方が正確なんじゃないかという考えを持っておりますが、今のお立場でなかなかしんどい立場があることもよくわかります。ただ、二つあるにしても、いずれにせよ相当分野大きな位置づけに立っておるのでありますが、あなたはふるさと論を展開されておるが、私ども農政に携わる者から見ると、正直言って、毎年毎年農林予算というのは断ち切られて、特にこの四年間は総体の枠もどんどんどんどん減ってきております。恐らく役所の中では一番大きな部類に入っておるのだろうと思うのです。これでは竹下さんのふるさと論というのは一体どういうことなんだ、こういう疑問も、私だけにとどまらず、国民の中に起きてくるわけでありますから、これは総裁選挙を目指して頑張っていただくわけでありますが、その辺はひとつ十分注意していただかなきゃいかぬ、こんなふうにすら思います。
 しかし、現実に手法としては、今も御指摘がありましたが、農林予算の約六七、八%が補助金だ、こう言われておる。この補助金に対する臨調行革の道筋が相当厳しい。こういう中から、一律カット五%とか一〇%とか、こんなものが出てくる。そういたしますと、農林水産省のような補助金をたくさん持っておるところはいや応なしに先行きが非常に厳しくなって、こういう状態になっていくと思うのですね。ですから、私は補助金と農業というものについて改めて大臣の御意見をお聞きしておきたいと思います。
 世界のどこの国の例をとってみても、農林水産業に対する補助政策というものがとられてない国はない。日本は大変大きいんだ、大きいんだと言う人がおるわけですけれども、決してそんな状態じゃないと思います。一戸当たりの農家の実態を見ても、あるいはECなりアメリカの農業政策の実態を見ても、我が国のとっておる補助金の太さというものが外国に比べて大きいなどとは言えない、数字的に。そんなふうに私は思っておるわけでありますが、この際、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#38
○竹下国務大臣 専門家でもございませんので、他国との比較を数字で申し上げるだけの能力は今持ち合わせておりませんが、補助金というのは確かにそれなりにいわゆる奨励する立場から効果を上げるものであるということも承知しておりますし、なかんずく食糧自給体制の確立、安全保障物資という立場からして、どの国も例外なく農業に補助金が出ておるということは私も承知いたしておるところでありますが、私は、可能な限り、産業としての位置づけをした場合にいわゆる補助金行政から融資行政へというような方向の中でお互いが自立心を持ってこれに対応していくということも農政の大きな柱ではないかという意味で、先ほど申し上げたわけでございます。
#39
○田中(恒)委員 農林大臣にちょっと一、二お尋ねします。
 食管でありますが、これが我が国の農業政策の骨組みでありますが、この食管はもう相当長いわけでありますけれども、三Kの一つだということで大分財政負担を軽くする方法がとられてまいりまして、米価の決定を通して、生産者米価は抑えるし消費者米価は上げる、こういう手法の中で大分操作が進んでまいって、現在御承知のように売買逆ざやというものはもう〇・三八%、平均で七十円。一類、二類はもう順ざやになってしまった、こういう状況であります。
 こうなりますと、食糧管理制度、つまり二重価格制度というものの存在が問われておる。現実に、売買逆ざやが少なくなるに伴って、その裏側では不正規米流通、つまりやみ米の流通が大手を振って歩いておる、こういう状況になっておるわけでありますが、それでもなお食管に対する節約合理化の要求は非常に強いように聞いておるわけであります。この逆ざやというもの、売買逆ざやの問題をさらに詰めていけば、つまりコスト逆ざやに入らざるを得ない、現にそういう声も高まってきておりますが、この逆ざやあるいはコスト逆ざやというものについて大臣はどういうふうにお考えですか。
#40
○羽田国務大臣 今御指摘がございましたように、近年、特にことしに当たりましても、逆ざやを解消するということで、これは消費者の皆さんにも一部御負担いただいておりますけれども、あるいは奨励金等についても多少カットさしていただく、またそのほか事務的な管理経費、こういったものの縮減を図ってきたところであります。
 ただ、もうそういうものも相当詰めてまいっておりますし、今お話しのとおり実際にはもう順ざやになっているという部分もございます。そういう中でも、私どもとして管理経費の部分なんかでまだ節約するところがあるとするならば、こういったものは検討しなければならないと思いますけれども、ある程度のコスト逆ざやというものは、国民に食糧を安定して供給する、あるいは生産者の皆様方にも再生産を確保するということを考えたときに、ある程度は私はやむを得ないというふうに考えております。
#41
○田中(恒)委員 私ども、これまでこの問題の議論も幾つかしてまいりましたが、コスト逆ざやに相当分野入り込むということは食管制度を真正面から否定するものになる、こういう意味の御答弁を政府からは今まで承ってきた、こういうふうに理解しております。五十七年、田澤吉郎大臣のときなどは明確に、逆ざやを縮小していくという努力はしなければいけないけれども、コスト逆ざやというものについては、これは堅持をしていかなければいけない、こういう御答弁も国会でなされておるわけでありますが、この点は羽田さんはどういう姿勢で臨まれますか。
#42
○羽田国務大臣 私は、まだできる縮減というものがあり得るならという話を申し上げたわけですけれども、今度の場合にも、例えばその輸送機関というものを最も低廉なものを使っていくとか、あるいはばら検査、抽出検査の拡大ですとか、あるいは食糧検査士の活用など、そういったことをしながら縮減をしてきたということでありまして、管理経費の中でまだ縮減をすることができるというものがあるんだったらそういったものに対してやるということでありまして、先ほども申し上げましたように、ある程度のコスト逆ざやというものは、これはやむを得ぬであろうという認識を私は持っております。それは前大臣たちとも別に変わるものではありません。
#43
○田中(恒)委員 ある程度というのはどこまでかという問題が実は問題なのでありますが、やはりコスト逆ざやというものは当然出てくる、そういう前提で今おっしゃられたように理解してよろしいですね。
 それで、食管と関係あるわけでありますが、水田転作というものが行われまして、いよいよことしで一応第三期を終わるわけでありますが、ポスト減反どうなんだ、こういう心配がいっぱいでありますが、この問題、新しい減反というか水田転作のあり方をめぐって、これまでの転作というものについて大臣はどういうふうに評価をせられておるのか、反省や、どういうものがあるのか、ちょっとお尋ねをしておきたい。
#44
○羽田国務大臣 御案内のとおり、水田利用再編対策、今からちょうど九年前、私がちょうど政務次官の最後のころだったと思いますけれども、やらざるを得ないということでいろいろな計画をしたことがございます。それから九年がたちまして、今振り返ってみますと、米需給の均衡が確保されて、過剰米の発生による財政負担の増大というものを未然に防止しているという面、それから全国各地で水田に復することがなくて定着化が図られている面、例えば果樹なんかがそうだというふうに思いますし、また畑作なんかも一部はそういうふうに言えるんじゃなかろうかと思っております。なお、米に匹敵する、米以上の収穫といいますか、単収を上げているもの、こういったものはやはり定着しているというふうに思っております。なお、これを進めることによりまして、地域ぐるみで農業の再編成というものを行おうという動きというものがある程度出てきておるということ、ここらあたりは今評価できることじゃないかというふうに私は思っております。
 ただ、かんがい農業というものを基本的体質とする我が国農業の生産構造を転換するということはなかなか難しいな、困難であったなということを今考えておりまして、これからも定着性のある転作というものをやはり本気でいろいろな角度から考えてみる必要があるのじゃないか。それと同時に、例えば地域なんかでこういったものをつくろうというので新しい作物をつくり出す、しかし余りほかでは生産されないものであるということから、むしろ逆に流通なんかにも問題を来しておるということで、そういった面についても配慮していかなければいけないのじゃないかということを今考えております。
#45
○田中(恒)委員 私などの方は、水田転作というものを契機にして、日本の農業というものが、食糧生産というものが急速にやはり縮小してきた、こういう理解を実はしております。正直言って、転作は奨励金というえさでどうもあれ実施しておるけれども、これは定着してない。それから、ねらっておる稲作の経営構造、規模拡大というものは完全に行き詰まってきておる。そういう意味では、転作問題というものについて大きな心配をしております。むしろ、この際思い切って着想を切りかえて、日本の水田というもののうまみを発揮するような、そういう方向に転換をする必要があるのじゃないか、こう思うわけであります。この問題は非常に大きな問題でありますから、いずれ別途農林水産委員会などで議論をさしていただきたいと思います。
 私は、先般来、大臣と二日間議論をしてまいりましたけれども、あなたは自給力と自給率――我々は自給率がこんなに下がっていいのか、こういう心配を申し上げると、自給力で力を持つ農家なり条件をつくればいいのだ、こういうお答えでしたけれども、これは私にはちょっと疑問として残っておるわけであります。自給力も自給率も表と裏の関係で、つまり土地なり人なり資本なり、そういうものが自給力なりあるいは自給率というものを計算ではじいてくるわけであります。ところが、現実に日本の労働力どうなっておるか。こんなに人がいなくなって、しかも若者がいない。そして土地は、これは現実にどんどんどんどん少なくなっておる。あるいは資本は、最近こういう時代で一番冷えておるのは農林金融である。こういう状態を踏まえて、私は、農林大臣としてやはり自給率問題というものに焦点を絞って、それは難しいですよ、三二%の穀物自給率を一%上げるというのは大変なことだと思うのですけれども、やはり農政の目標としてはそこに焦点を置いて進んでいただきたいと思うのです。
 これは、竹下大臣、あなたのところの羽田さん、私、大変だと思いますが、農林大臣として苦労しなさるわけだけれども、自給率を高めるという方向に向かって政策の基本を持っていくということについては、あなたからも御意見をひとつ聞いておきたいと思うのです。
#46
○羽田国務大臣 先般来お話ししておりますから、もうくどくは申し上げるつもりはありません。私ども別に自給率を上げなくてもいいと言っているのじゃないので、御案内のとおり、今の水田利用再編対策にしても、過剰な米というものをこれ以上あれしましても、むしろ逆にそれを処理するための費用がかかってしまう。むしろ再編成して、日本で不足しておるところの大豆ですとか麦ですとかあるいは飼料作物ですとか、そういったものをつくっていただきますと、これは必然的に自給率が上がってくるということに実はなってまいります。ですから、そういう意味で、私どももやはりそういう自給率というものをある程度確保したいと思う。ただ、一番の問題というのは、残念ながら食生活というものが非常に大きく変化しておるという中で、飼料穀物というものがどうしてもやはり輸入に頼らざるを得ないというところが、実は自給率ということで議論していますとなかなか難しいということであります。
 この間も、日本の自給率というのは世界の中で、百六十数カ国ですか、そのうち百三十数番目だなんという御指摘が、ほかのある委員からもあったのですけれども、それもこうやってよくお話ししておりますと、エチオピアあたりが九十何%で我が国が五十何%となっているわけなんですが、あれはカロリーからの率だと思うのですけれども、そういうことで、率という問題についてはなかなか、その背景というものがありますので……。
 私どもとしては、やはりいざというときにきちんと物をつくり上げるのだ。御指摘のとおり、自給力自給力と言っているけれども実際に一体どうなんだと言われますと、私どもも、よくうまくいっておりますと言うわけにはいかない、これはもう率直なところでありますけれども。いずれにしましても、いかなるときにもきちんとした生産力を上げられるような体制だけはつくっていきたいという我々の気持ちであるということを御理解をいただきたいと思います。
#47
○竹下国務大臣 やはり専門家であります羽田農林水産大臣の御意見というものがもっともだというふうに、私も今後ろにおって聞かしていただきました。
#48
○田中(恒)委員 林業の問題について一、二お尋ねいたします。
 政府は先般、林業の活力回復五カ年計画を出されまして、当初三千億と私ども聞いておりましたが、だんだんしぼんでしまって千五百億、五百億の補助と一千億の融資でありますが、これの年次計画というものはないのか。年次計画が必要ではないかと私は思いますが、これが一つ。
 それから、この計画でいくと、今度の補正予算で四十億、ことしで八十億、合計百二十億ですが、五百億でいけば、二年間ですから二百億でなければいけないのだから、八十億足らない。そこで八十億は、特に今こんなに激しく円高が急ピッチに進んでいるわけでありますから、今こそ力を入れなければ、製材業者あるいは森林生産者など、大変円高で追い込まれておるわけでありますから、この時期に力を入れてもらいたい。そういう意味では、当然八十億というものはつけるべきだ、こういうことで私ども野党は今度の予算の修正要求の中にこの問題も含ませておるわけでありますが、この点についてはいかがでしょう。
#49
○田中(恒)政府委員 林活の五カ年計画につきましては、先生のお話がございましたように、六十年度の補正におきまして四十億円、融資枠が二百九十二億円でございますが、さらに六十一年度の予算につきましては、国費が八十億円、融資枠が百四十六億円でございます。
 計画的にというふうなお話でございますけれども、この五カ年計画の中身が、大変優先度を要すると今思われるものにつきまして前倒しに持ってきた。例えば、木材産業の過剰設備の廃棄問題でありますとか設備転換問題等をずっと手前の六十年度の補正に持ってきたわけでございますけれども、今後はこれを実行してまいりまして、それがどのような効果が発現してくるか、あるいはお話にもございました円高などが業界にどういうふうな影響を及ぼしてくるか、そういうものを見ながら、今後六十二、三と展開させてまいりたい。前もっていろいろ頭の中では考えるのでございますけれども、実際の予算要求につきましては、そういう実際の事象の展開に合わせまして対策を考えていく、そのようにいたしまして、効果が着実に上がるように考えてまいりたいと思っております。
#50
○田中(恒)委員 これは五カ年でやるんだから、五カ年の年次計画がなければ組織立って計画的にやれないと思うのですよ。その場その場で、毎年の予算の中で、つかみ金というわけではないが、ばっと出して、そしてその年になってどことどことどこをやる、こんな形になるとこれは問題が起きると思うのです。ですから、なぜ年次計画ができないのか、この辺が非常に私としては理解できない。これはそのときの財政状況によって伸縮をしていくのではないか、こんな心配もあるわけであります。ですから、この年次計画の問題についてはきちんとやはり立てていただきたい、このように思いますが、大臣、どうですか。
#51
○羽田国務大臣 確かに御指摘のとおり、一応総額というものが決まっておりますから、できれば年次計画を立てることがいいであろうということでありますけれども、今の予算の編成のあれからいきまして、年次計画でいくというのは、全体的な、要するに農林水産予算というだけでなくて、全体のあれとして先を全部組んでいってしまうということはなかなか困難だと思います。ただ、私どもとしては、今長官の方からお話ししましたように、今緊急であるもの、こういったものだけはきちんと拡充しながら、総額については、私ども、何とかこれは大蔵大臣にも理解をいただきながら、きちんとしたものを最終までの間確保していく、そのつもりでおります。
#52
○田中(恒)委員 そう言われると、千五百億なんか打ち上げられたが、これは状況によって総額自体も伸縮するんじゃないか、こんな心配もある。私どもは、むしろ総枠をもっと上げるべきだ、こういう主張をとっておるわけですが、これは大蔵大臣、どうですか。
#53
○竹下国務大臣 予算編成の際に私が感じたことを申し上げてみますと、補正予算で入れるべきか入れざるべきかということも私なりに模索してみました。が、やはり私は、場合によっては、これはお互い政治家同士の話として、あるいは繰り越しになる場合もあるかもしらぬ、しかし、緊急対策であるからその姿勢が必要であるという考え方で、ことし、もう既に成立させていただきました補正予算の中にも、私どもの考え方で少し無理があるかなという感じが全くないわけでもなかったわけですが、踏み切って、この補正予算の中へも対策の経費をつけたわけでございます。それもやはり一つの姿勢のあらわれではないかというふうに御理解をいただければ幸いであるというふうに思います。
#54
○田中(恒)委員 総枠は変わりありませんか。
#55
○竹下国務大臣 総枠というのはおよそお互いが合意しておるところでございますから、これについて、それは将来の経済事情等の変化はあり得ることでございましょうけれども、それは合意をしたものであることには間違いございません。
#56
○田中(恒)委員 それで、林業、山は大変荒れてもおるし、実は非常に活力を失っておるわけでありますが、このためには、いずれにせよこれは国産林の需要を拡大していかなければいけない。そのうち二十一世紀に向けて我が国は、一千万ヘクタールの造林の木ができてくるわけでありますから、そういう意味でも、この需要拡大というのが当面緊急の課題でありますが、この点については、内需という大問題を日本経済は持っておるわけでありまして、この内容は一つは減税であるし、具体的な政策手法としてとれるのは住宅だとこれはどなたもおっしゃるわけでありますから、住宅を喚起していく、それに結ばせて国内の材木、国産材を活用していく、こういう趣旨のもとに立って、建設大臣にひとつお考えいただきたい。
#57
○江藤国務大臣 私たちも一生懸命拡大造林をやってきたわけでありまして、ちょうどそれが除間伐の時期になってきた、また、既にあるものについてはもう伐採適齢期にも近づこうとしておる。ところが木材の需要はない。
 昔は、大体木材というのは、二割が住宅に使われて、ほかは、例えば橋のけただとか鳥居だとかあるいはおけだとか、何だかんだに使われたんですね。それが今では木材というのは八割が住宅であって、住宅に使われないというと、ほかはもう全く需要が減退したというときですから、この林業の振興、日本の林業資源を大事にしていく、そういうことを考えたならば、やはりどうしても木造住宅を進めていく必要があることは、これはもう私は田中さんと同じ意見でありまして、私もこのことは熱心にやっておる一人であります。
 ただ、ちょうどここへ農水大臣、林野庁長官が見えておりますが、大体営林署からして、鉄筋コンクリートで山の中につくるなんて不届き千万な話だと実は思っておりました。ところが、よくよく建設省、農水省両方を勉強してみますと、官公庁施設建設に関する法律というのがありまして、その中に、都市計画法の第八条第一項の準防火地域内においては三百平米以上のものは建ててはいかぬ、あるいはその他の地域では千平米以上のものは建ててはいかぬということですから、山の中の役場から学校に至るまでまるで鉄筋コンクリートで建って、そして木造が建たぬという問題があるわけですね。
 私は、何でそういうばかな法律をつくったんだ、こう言っておるのですが、昭和二十六年にできておるのですね。そのまま一回も手をかけないで来ておる。
 やはり、戦争で随分と国土が爆撃等で焼けてしまった、戦後の台風ではたばたばたと家が倒れた、学校、官庁が倒れた、そういう反省の上に立って、こういう災害防止、それから防火、安全、そういうことから耐火建築、コンクリート施設にしなければいかぬということになったんだろうと私は思うのです。
 しかし、今日これほど技術も進んできたことでありますから、建設省でも、これから、六十一年度から木造建築を進めようということで、ことしは予算もお願いをしまして、木造建築を進める上のいわゆる技術的な問題、あるいはまた防火、防災上の問題点を解明しながら、新しい木材住宅を開発して、そして公営住宅等にもどんどん取り入れていこうではないかということで、いよいよことしから本格的にこれに取り組もうとしてきておるわけでありまして、これから私は積極的に、そういう制度上の問題もあると思いますから、農水省と建設省とよく相談をしながら、努めてやはり公的な機関、公的な施設あるいは個人の住宅等においても木造住宅が進んで建てられるように、また木材が利用できるようなそういう建築物が進むように、ひとつ勉強もし、努力をしてみたいな、今痛切にそういうことを感じておるところでありまして、ひとつこれからよく勉強させていただきます。
#58
○田中(恒)委員 私も実はそういうことを質問しようと思っておりましたが、あなたはやはりさすがに専門家だからお答えいただきました。確かに二十六年の建築基準法、今のままではやはり問題だと思うのですよ。これだけ国産材時代に対応するということになれば、建設省としてはこれをやはり見直しをしていただいて、できるだけ国内材が使用できるようなそういう方途をひとつ進めてもらいたい。これは法律改正へいくかもしれませんけれども、やっていただけますね。
#59
○江藤国務大臣 これはただ簡単にというわけにはまいりません。やはり法律ができた経緯もあることでありますから、やはり防火、防災、安全、そういうことを含めて木材住宅、木材を使った官公庁の施設等の安全性を確かめる、そういうきちっとした裏づけができた段階で今の法律をどうするかという具体的な問題になっていくと思いますから、そこまでひとつ積極的に進めてみたいな、こう思っておるところでございます。
#60
○田中(恒)委員 これはいずれにせよ、あのころはベニヤの時代ですからね、そういうものが要素に入って、ああいう要素が入っておるというものもあるわけですから、ぜひ早くひとつ関係各省と御相談いただいてこういう対応をしていただきたいと思います。
 それから、やはり国産材時代に対応するためには、今最も深刻な労働力の対策をどうするか、これが大きいわけでありますが、今四千万立米、これがやがて六千なり八千なり、倍になる。林業労働力、約十八万ですか、今、しかし現実に毎年一%ずつこれは減っておる。そうすると、我々の計算では、国産材時代に入る段階ではもう半分ぐらいになってしまうのじゃないか、こういう状況でありますから、どうしても労働力確保のための対策を早急に立てていただきたい。私どもの党は林業労働法というものを既に国会に出しております。つまり、山に働く人々に対して労働条件を法律的に整備をしていく、こういう内容でありまして、もう御承知と思いますが、十分こういう点も参考にしていただいて、政府自体が前向きにこの林業労働力確保の施策に取り組んでいただきますように強く要請もいたしますし、大臣もこのことについては余り考えは違わぬと思いますけれども、お考えいただきたいと思うのです。
#61
○羽田国務大臣 まさに来るべき国産材時代というものを迎えようとしておりますし、また、きちんとした適正な管理というものがされる中で山というものが健全に育っていくということを考えましたときに、国土保全上からもやはり林業に従事する皆さん方がきちんと確保されておるということが非常に重要な問題でございます。そういう意味で、私どもといたしましても、その就労の環境といいますか、そういったものをやはりきちんと整備していく必要があろうというふうに考えております。そんなことで、六十一年度から新たに林業従事者の広域就労を促進して安定化を図る施策、ちょうど就労活性化対策といいますか、こういった事業も起こそうといたしております。今先生からお話がありました問題等も参考にしながら、私どもも林業労働者、この皆さん方をきちんと確保できるように、しかもその人たちが誇りを持って就労できるような環境づくり、そのためにこれからも努めてまいりたい、かように考えております。
#62
○田中(恒)委員 次に、果樹農業振興法というのが大幅に改正をされまして新しい果振法に基づく日本の果樹振興の基本方針がつくられ、七十年見通しというものが発表されたわけでありますが、全体的にこの需要がそれほど伸びないということでありますけれども、中でも温州ミカンの生産抑制が際立って目立っております。つまり、現在十一万四、五千ヘクタールだと思いますが、これを七十年には九万五千ヘクタールにしていくということでありまして、そして二百四十八万八千トンですかの収穫がある、こういう生産量を示しておるわけでありますが、この根拠をいろいろ聞いてみますと、反当二・六二トン、これはちょっと細かくなりますが、二・六二トンの生産がある、こういうことのようでありますが、私はそんなに生産が出てくるのかということを非常に心配しておるわけです。特に温州ミカンの政策は、正直言って政府はもう完全に失敗の繰り返しをしておるわけですね。つまり、六十年見直しで四百五十二万トン、これが崩れて六十五年では三百五十四万トン、そして七十年度は二百四十八万八千トン、こういう形で、六十五年見直しに比べて百万トンから減らしてくるわけですね。単収が非常にふえるというわけでありますが、私はこれはなかなか大変だと実は思っておるわけでありますが、これは自信がありますか。ここではっきりさせておかなければいけないと思う。
#63
○関谷政府委員 今回の果樹農業基本方針の七十年見通しの問題でございます。需要量につきましては二百四十八万八千トンということで、最近の生食需要等の減少、減退傾向、こういうものを織り込んで見込んだわけでございますが、これを面積に落とします場合に、今のお尋ねの単収の問題でございます。これについては、五十八年度二千三百七十キロ、十アール当たりのところを七十年度二千六百二十キログラム、十アール当たり、こう見込んでおるわけであります。これにつきましては、従来でございますと、成園化が進みまして、いろいろかなり単収が急激に高まることもあったわけでございますが、そういう成園化の進みも相当いわば進んだ状況にございますし、肥料投入量の抑制などの状況もございますので、私ども今回見込みます場合には、比較的最近数年の時点での単収の増傾向、これを中心にしまして、今申し上げました二千六百二十キログラムということを見込んだわけでございます。
 やはりこの辺の問題につきましては、私ども従来からやっておりますが、生産性を向上するという努力を重ねまして、また同時に、ミカン園の転換の中で不良園地を減少して全体として生産力を高める、こういうようなことを推進することによりまして、こういう単収については一つの目標としまして、見通しとしましてはこのぐらいの水準まで達する、かように考えておる次第でございますが、それにつきましては今申し上げましたような生産面での十分な配慮、これが必要なことは申すまでもないわけでございます。
#64
○田中(恒)委員 私は単収の状況を見たら、そんな数字が出てくるのがちょっとわからないのですよね。これは日本の温州ミカンの生産量が一番多いときは五十四年、二・四五三トン、これが最高であります。それからずっと落ち込んで、つまり減反で活力を失って荒らしづくりというのが、これは果樹園だけじゃございませんよ、今の日本農業は、水田を含めて単収が伸びない、こういう状況になっておりますが、特に温州ミカンの場合もそれ以降はほとんど、二トンから二・二あるいは三、一昨年なんかは一・七二五、こういう状況で、ぐっと落ち込んでおるわけであります。これがいまだかつてない二・六二トンといったようなものになるというのは一体大丈夫なのかと指摘をせざるを得ません。そのことは、我が国の農産物の中の果樹の輸入というものが逆に実はふえておる、特にその中で温州ミカンの競合であるオレンジの輸入というものが急速にふえておる、これと対応してくるんじゃないか、こういう心配を持つものでありますから、特にこの点について、自由化、輸入増、こういう視点に立って私どもは非常に憂慮しておる。この点を指摘しておきたいと思います。特に先般、こういう生産見通しと並行して、これはいろいろ事情はありますけれども、五千トンの五分の一濃縮ジュースの緊急輸入が決まりました。アメリカと十三品目の輸入交渉、さらに引き続いてことしの暮れごろからオレンジ、牛肉の自由化をめぐるいわゆるいろいろな国際紛争が考えられていくという中で、私はこれが非常に大きな影響を与えるんじゃないか、こういうふうに心配しておるわけでありますので、羽田さんも身ぎれい論といったようなものを言われておるわけでありますが、少なくとも十三品目なりオレンジ、牛肉なり懸案の問題については既定方針を守っていただきたい、こういうふうに思っておりますが、この点について大臣の御所見をお聞きしておきたい。
#65
○羽田国務大臣 ただいま御指摘ございました五千トンの緊急輸入、これにつきましてはまさに五十九年の大減産であったという事情でやむを得ざる措置としてこのような措置をとったわけでございます。ただ、このことは今後のオレンジあるいはオレンジ果汁、こういったものの輸入拡大につながるんじゃないかという御心配、これは私どもよく理解をいたします。これはこれからの交渉の中でもこの問題についてはきちんと説明をして、ただこれが枠の拡大ですとかあるいは自由化、こういったことにつながらないように私どもも姿勢をきちんとしてまいりたい、かように考えております。
#66
○田中(恒)委員 公取の委員長さん、お見えいただいておると思いますが、牛乳の表示の問題についてお尋ねをいたします。
 飲用乳の表示については、昨年来、消費者団体それから生産者団体がこぞって、どうも最近多様な牛乳の表示がなされて、消費者が購入をする場合にこれは牛乳だと思って持って帰ってよく調べてみると加工乳であったり乳飲料であったり、つまり牛乳ではないという苦情が相次いで、誤認購買というものができる条件が非常に多い。そこでこの際、商品表示については牛乳であるということを証明するようなそういう表示をきちんとしてもらわなければいけないので、加工乳なり乳飲料というものについてはこれは○○牛乳というような名前はもうつけさせないようにしてほしい、つまり食品衛生法なり乳等省令によると、牛乳とは、つまり牛から搾った生の乳である、こういうことになっておるわけでありますから、それ以外のものがあたかも牛乳であるように見せかけて店頭で販売されるということについてはひとつ規制をしてほしい、こういう要請が一つ。それから、何が成分の中に入っておるのかということを、その割合、数量、そういうものをきちんと表示をしてほしい、こういう二つの要請が公取になされたと思うのです。私どもにもなされました。これは私当然だと思うのです。
 今日、食品公害の問題が指摘をされておる中にあっては原料明示をはっきりさせていく。それから、牛乳でないものが牛乳のように見せかけて店頭に出てくるということについてはきちんと規制をしていく必要がある、こう思うのですが、この点について公取では昨年相当御努力をされたようでありますが、先般一月二十二日ですか、これの一つの規約の改正が発表されましたが、まだこの点は明らかにされていないわけでありますが、これはどういう経過ではっきりできなかったのか、お聞きをしておきたいと思うのです。
#67
○高橋(元)政府委員 牛乳の公正競争規約の改正につきましてかなり長い間関係者の方々と会合を行ってきたわけでございますけれども、生産者の方々、消費者の方々、乳業メーカー、いろいろ意見の食い違いがあるわけでございます。
 そこで、公正競争規約の改正に踏み切るという時期が熟してないという考え方でございまして、今回一月にやりました公正競争規約の改正では、昨年七月の食品衛生法に基づく乳等省令の改正に係る事項に重点を置いて、規約と施行規則の改正にとどめたわけでございます。
 ただ、今いろいろお話がございまして、牛乳でないものが牛乳という商品名、牛乳として売られている点をどう考えるかというお尋ねでございました。公正競争規約の中では、飲用乳の表示については乳等省令に従って種類別名称を表示するということにしております。そこで、牛乳と加工乳、乳飲料、異なるものであることが表示上も明らかなわけでありますが、加工乳、乳飲料であっても、無脂乳固形分が八%、乳脂肪分三%以上という牛乳の成分と等しい成分を持っているものは商品名、何とか牛乳と書いていいということになっておるわけですけれども、なお誤解を生ずるおそれもありますので、今度は牛乳という商品名の下に種類別でかなり大きな字で打ち消し表示として加工乳、乳飲料ということを書かせる、それから加工乳につきましては原材料を書かせるということによって誤認を少なくしていくということを措置をいたしたわけであります。
#68
○田中(恒)委員 時期が熟してないというふうに言われましたが、その時期が熟してないというのは業界と消費者、あるいは生産者との間の意見が一致をしていない、こういう意味ですか。
#69
○高橋(元)政府委員 私どもの運用いたしております景品表示法、その中では今のお尋ねの問題は恐らく優良誤認に係る問題だろうというふうに思うわけですけれども、商品の品質、規格その他の内容について、当該事業者と競争関係にある他の事業者に係るものよりも著しく優良である、または実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるために、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示をしてはならないという規定がありまして、その運用としてやっておるわけであります。したがいまして、乳等省令に基づいて種類別の表示をする。さらに、種類別の表示をしたほかに、さっきも申し上げました、今度は原材料の種類も書かせる、または打ち消し表示をかなり大きく書かせるということによって、景品表示法上の公正競争規約としての機能は果たし得るという考えてあります。
 先ほど私、その機が熟しておらぬということを申し上げましたけれども、それはそのような改正をやることによってその効果を見守って、消費者の誤認を生じさせないようにという改正でありますから、その効果を見守ってその上でさらに、考えていきたいということであります。
#70
○田中(恒)委員 ちょっと委員長、効果を見守ってその上にといったようなことではなくて、これは常識的に考えまして、牛乳というのは恐らく今米に次ぐ最大の食品になっておるのです。その食品の表示は消費者がこれはどういうものであるということが一目瞭然とわかるようなそういう状況にしてあげるというのは当然のことだと思うのです。それが大変多様に出てきてわからなくなってきておるということでありますから、これこそ公取が積極的に入って対応していただきたいと私どもは思っておるわけです。
 それで、今申し上げました消費者団体から出てきておる問題については別途継続検討していくということが、何かこれを決めたときに言われておるやに聞いておるのですが、それはいつごろどういう方法でやっていくのか。私どもは本年度じゅうに、そんなに長く要るものではないと思うので、本年度じゅうに公取として判断をすべきである、こういうふうに考えておりますが、いかがですか。
#71
○高橋(元)政府委員 成分の表示ということにつきましては、一月の改正で措置したことは先ほど申し上げたわけであります。配合割合についてさらに書くべきかどうかということが一つの争点かと思うわけですけれども、私どもいろいろ外国の商品、食品表示の勉強などもしておるわけですけれども、成分表示ということをやっております、そういうことを強制しております消費者保護法規というのはない。それは実際上なかなか難しい。供給者側に無理なことを強いるということもあるのかもしれませんし、それよりも何よりも、消費者保護という観点からは、原材料等を示せばそれで足りるというのが一般的な通念かというふうにも思います。そうではございますけれども、いろいろ御要望もあり、関係の方々の間に御議論もあることでありますから、ことしの改正の効果を見守りながら検討をしてまいりたいというふうに思います。
#72
○田中(恒)委員 これは所管は公取でありますから、公取の皆さんに、責任者に御意見を聞きましたが、私は、こういう問題はそんなに問題が残っておるわけじゃないとも思うのですが、農林大臣は酪農の振興、牛乳の消費拡大というような観点からもこの問題には間接的に影響を持っておると思いますので、今ああいうお話がありましたけれども、私どもは、できるだけ早くすっきりと一目でわかるような商品表示にしてくれ、こう言っておるのでありますから、消費者が言っておるわけでありますから、ほとんどの国民、消費者が言っておるわけでありますから、これについていろいろなことを言うというのは、どこかほかのところからいろいろな注文があるように感ぜざるを得ぬわけでありますが、大臣、最後にこの点についてのあなたの御意見を承って、質問を終わります。
#73
○羽田国務大臣 ただいまのお話は、まさに今牛乳が過剰であるという中で、たしか中酪会議の方でもいろいろな議論があるということは私ども承知しております。そして、消費者のニーズというものは非常に多様化してきたという中で、ともかく牛乳に類似したものは実は非常に多くなってきているということでありまして、これに対して、生産者の方からも何とかというお話もありますし、また消費者の方からも、中にはやはりこれをきちんと成分についてのあれをしてほしいなんという声もあるということがございます。今公取の方からもお話がございました。私ども十分これから連絡をとりながら、国民の皆さん方に理解されるような対応というものをしていきたいというふうに考えております。
#74
○田中(恒)委員 終わります。
#75
○中島(源)委員長代理 これにて上田君、田中君の質疑は終了いたしました。
 次に、岡崎万寿秀君。
#76
○岡崎委員 まず、シーレーン防衛の問題について質問いたします。
 一九八三年三月からシーレーン防衛の共同作戦計画が日米政府間で進められてきたわけですけれども、報道によりますと、この秋に結論を得るということなんですね。事実でしょうか。
#77
○西廣政府委員 シーレーン防衛の研究につきましては、御承知のように日米の幕僚レベルで、あるいろいろなケースの研究を始めまして、一つのケースについて現在おおむねシミュレーションのつくり方が固まりましたので、今鋭意それぞれのシミュレーションについてコンピューターを回して解析をしているということでありますので、年内には一つのケースについての検討が終わるのじゃないかと思っております。
#78
○岡崎委員 一つのケースじゃなくて、全体の結論はいつごろでしょうか。
#79
○西廣政府委員 これは前々から申し上げておりますように、ある結論を導き出すということじゃございませんで、それぞれのケースについてシミュレーション等を行って、現在持っておる自衛隊のシーレーン防衛能力というものについて解析をしていこうというものでありますから、必ずしも一つの結論が導き出されるということじゃないということは御理解いただきたいと思いますが、今申し上げたように一つのケースができるということは、それなりにそういう解析手法についての勉強ができるわけですから、あとのケースというのはそれなりに時間はそれほどかからないというふうに考えております。
#80
○岡崎委員 いずれにせよ、年内近々にその結論を得る方向だということを伺いましたが、ことしの一月にホノルルで開かれました日米安保の事務レベル協議で、その際に、日本の代表団ですからこれは防衛庁筋でしょう、新聞記者に明らかにしたようで、読売新聞の一月十七日付に載っておりますけれども「今回の研究では、シーレーン防衛に関する有事のシナリオとして四つのケースが想定され、この中には、米軍が核巡航ミサイル「トマホーク」を使用することを想定したケースも含まれている」これは報道です。
 これが事実かと聞いてもお答えにならないでしょうから、これは外相にお伺いしたいのですけれども、つまり、このように日本を核戦場に巻き込みかねないような共同作戦計画ですね、これも抑止力としては必要とお認めになるでしょうか。
#81
○安倍国務大臣 日本は非核三原則を守っておりますし、安保条約で事前協議条項がございますから、御心配は要りません。
#82
○岡崎委員 安倍さん、ここは公海上の問題を言っておるのですよ。非核三原則とは随分距離がある答弁なんですけれども、先へ進めましょう。
 二月六日の当委員会での矢野質問に対して加藤防衛庁長官は随分思い切った発言をなすったようです。日本の施政権下にある領域ですね、ここへの武力行使がある場合でないとき、こうシーレーン有事というお考えをお出しになって、防衛出動の下今もイエス、そして来援しようとしている米軍に対する護衛もイエス、こういうふうにお答えになったわけです。
 この問題をめぐって、まずそもそも議論の前提からお聞きしたいのです。あのときの議論の設定は、シーレーン地域において特定国によって日本の船舶が意図的、組織的、計画的かつ多発的に攻撃をされておるという想定でございました。しかし、そんな事態が日本の施政権下が有事でないときに起こり得るかどうか、まずその想定そのものに問題を感じるわけです。どうお考えでしょうか。
#83
○加藤国務大臣 シーレーンと申しましても、私たちがその海上交通路の安全確保を考えております地域は、とんでもない遠くの遠くの場所ではないわけでございまして、従来から申しておりますように、周辺数百海里、シーレーン、航路帯を設ける場合には一千海里、こう申しておるわけですね。そこには当然シーレーンという概念である以上領海も入るわけですけれども、領海を抜けたところは、いわゆる領海でないし、我々が考えているシーレーン防衛の範囲です。領海というのは十二マイルでございます。ということは二十二キロでございます。したがって、例えば茨城県の鹿島灘から見ますとすぐそこに見えるところでございます。そこで我が方のいろいろな船舶が組織的、計画的、意図的に、多発的に攻撃されているときに、私たちが防衛出動の下命をしない、仮に要件があっても下命しないということで防衛庁の、自衛隊の任務が全うできるものだとは思いません。ハワイ沖のとんでもないところで我が方が、自衛隊が出動するのがシーレーン防衛だというようなイメージでお考えの方がかなり多いのですけれども、二十二キロでございますから、F15で飛びますと一分かからないところでございますので、どうぞその辺はまず実態的なイメージを頭に浮かべてお考えいただきたいと思います。
#84
○岡崎委員 おもしろいことですね。実態的なイメージを思い浮かべてお互いに議論したいと思うのですが、すぐ先に見えるところはいいですよ。しかし、一千海里先もございますね。しかし、すぐ先に見えるところで日本が有事でないときに、施政権下が有事でないときに、公海上でシーレーン有事だけが単独であり得るかどうかというこの設定がおかしいんじゃないか。そこを言っているんですよ。どうですか。
#85
○西廣政府委員 ただいまお尋ねの問題は、もう十数年前から国会で御議論いただきまして、その蓋然性がある、ないということとは別に、いわゆる特定の海域で特定の国から、その意図というものは総合的に判断しなくちゃいけないけれども、組織的、計画的な攻撃がなされたような場合には、我が国の施政権下に対する攻撃がなくても防衛出動が下令できるというように従来からお答えしているものでございます。したがって、そういう蓋然性の高さということになれば、それは施政権下に対する攻撃そのものの蓋然性もどのくらいあるかということになるといろいろ問題があろうと思いますが、そういったこととは別に法理上の問題として申し上げておるわけでございます。
#86
○岡崎委員 防衛出動下令の可能性は、前に言われていますから知っています。そこで、政府のお考えになっている日本有事というものの中身についてお伺いしたいんですよ。これは、はっきり言って一つは日本の施政権下の有事ですね。安保条約の第五条の発動だと思うんですよ。二つ目は、それと連動するシーレーン有事、つまり日本施政権下有事かつシーレーン有事ですね。これも当然五条が発動されると思うのです。今論議しているのは三つ目で、日本施政権下が有事でないときにシーレーンが単独で有事であり得るかどうか。今のお答えでは有事であり得るようなお話でしたが、そうしますと、政府のお考えでは一、二、三、三つとも日本有事というふうにお考えになるわけですね。どうでしょう。大臣、お願いします。
#87
○西廣政府委員 おっしゃるとおり、いずれも日本有事であるというように考えているわけでございます。
#88
○岡崎委員 ここからおもしろくなるんですよ。
 この間の矢野質問に対するそちらの答弁というのは、三つのエスカレートがあるというふうに考えているのです。その一つは、シーレーン防衛の内容にかかわるエスカレートなんですね。今防衛白書を持ってまいりましたけれども、防衛白書に書いてある我が国のシーレーン防衛というのは、次のように述べているわけです。「わが国の「シーレーン防衛」については、日米共同対処によりわが国に対する武力攻撃が発生した場合における海上交通の安全を図ることとしており、」ということなんです。つまり「わが国に対する武力攻撃が発生した場合」、明らかに安保第五条の事態なんです。このときに海上交通の安全を図る、これがシーレーン防衛だ。おそれのある場合でもないのです。「発生した場合」なんですね。だからこそ第五条で日米共同対処ができるというふうになっているわけなんです。
 ところが、加藤防衛庁長官のこの間の御答弁では、そうじゃなくて、シーレーン有事ということがもう単独にあって、そしてここから日本有事が今おっしゃったような形で想定されて、それ自体が、日本施政権下が有事でない場合独自にシーレーン有事があり、そこの防衛までもシーレーン防衛という概念になっているように思うのです。ここに私は明らかなエスカレートを感じるわけです。いかがでしょう。
#89
○加藤国務大臣 日本有事につきましては、先ほど防衛局長がお答えいたしましたように、我が施政権下有事と、それから我が国の船団等が攻撃される、いわゆる領海を除いたシーレーン地域における有事というのがあると思います。その二つが有事でございます。したがって、そういう際に、安保条約第五条が適用されるのはいわゆる施政権下有事のときの義務出動だけてありますが、第四条におきます、我々が来援を要請するかの問題を、今度新たに理論的な問題として矢野先生が非常に緻密な理論構成で御質問なさったので、その蓋然性はともかく、理論上のものとしてお答えしたわけで、岡崎委員の今の御指摘と特に矛盾しているものではありません。防衛白書で述べておりますのは日本有事、施政権下有事とは限定していません、日本有事の場合と書いてあるので、矛盾しないものだと思っております。
#90
○岡崎委員 読み上げたとおり、日本有事と書いてないのですよ。日本の施政権下に対する防衛、武力攻撃ということになっていますので、これは文面から見てもはっきり、先に日本の施政権下有事があって、それからシーレーン防衛という発想なんです。あなたの場合は、シーレーン有事があって、それですぐシーレーン防衛になっているでしょう。しかし、これまで政府の答弁は、日本の施政権下有事があって、そしてそれへの関連で生まれてくる、シーレーンにおける船舶交通が攻撃される場合有事が起こるという考え方ですけれども、そこのところが、もう日本の施政権下攻撃がないときでもシーレーン有事が単独であり得るような、それがシーレーン防衛であるかのような御答弁なんですね。ここにはっきりしたはみ出しを感じるわけです。そうじゃございませんか。
#91
○加藤国務大臣 矢野委員の御質問は極めて精緻な、理論的な質問の構成でございまして、いわゆる防衛の中身の論議としてはかなり質の高いものであろうと私たちは受けとめました。そして私たちがお答えするときにもそれなりの体力の要る、そして準備の要る、お答えごたえのある質問でございました。そのときに私たちが申しましたのは、蓋然性の問題については私たちはお答えしておりませんでした。ただ、理論的にそういうケースを想定して考えた場合に、従来の私たちの政府答弁の原則からいくとどういう答弁になるかというところを私たちが明確にした、またそれをしなければならないような御質問を受けたということでございまして、従来の原則と全く違う答弁をしているものではありません。そういった意味で、新しいケースを想定して御議論いただいたという意味では非常におもしろい、観点の鋭い御討議であったように思っております。
#92
○岡崎委員 矢野質問はいいですよ。私の質問に答えてくれませんか。(「自分が引用したじゃないか」と呼ぶ者あり)引用したって、ちゃんと私の質問にずばり言ってもらいたいのです。私が言っているのは、じゃ、はっきり、今の御答弁からいいますと、日本施政権下が有事でなくても、シーレーンが単独で有事の場合シーレーン防衛が発動するということですね。それでよろしゅうございますか。
#93
○西廣政府委員 先ほどお答えしたと思いますが、いわゆる我が国有事であり、我が方が自衛権の発動できる事態というのは、我が国の領域に対する組織的、計画的な攻撃が一つであり、もう一つは、先ほど申しましたように、特定の海域で特定の国が計画的、組織的な我が国の船舶に対する攻撃をしているという状況が出現して、そういったものを全般的な意図から判断して、これが我が国に対する攻撃であるという判断がされた場合には、これは自衛権の行使の対象になるということを前々から申し上げておるわけでありまして、我が国有事、我が国が自衛権行使ができる態様には二つがあるということを申し上げておるわけであります。
#94
○岡崎委員 あいまいな答弁ですけれども、はっきりしたことは、日本の施政権下有事じゃない場合、シーレーンだけの有事の場合でもシーレーン防衛はあるということです。これはこれまでの防衛白書とは明らかに違うのです。これはエスカレートだと私は思います。――首を振っていても、じゃ、またやりましょう。
 二つ目は、防衛出動下令の問題についてもエスカレートがあったと私は考えます。これまで政府の答弁は、日本の施政権下有事の場合と、公海上における日本の船舶が攻撃された場合とは明確に区別をしているのです。
 例えば一九七一年四月二十二日の衆議院内閣委員会での久保防衛局長の答弁でございますが、こう言っています。「公海におきましてのわが艦艇あるいは商船に対する攻撃は、必ずしも日本に対する攻撃とは認められないだろうと思います。」極めて明快です。それから、一九七五年の十二月十六日、同じく衆議院内閣委員会での丸山防衛局長の答弁です。「公海上におけるわが国の艦船、航空機に対する攻撃、これはわが国に対する武力侵略の一形態というふうに判断をするわけでございますが、それだけをもって防衛出動を命ずるかどうか、これは内閣総理大臣が判断をされることでございます。」つまり、判断されることで、加藤防衛庁長官が言ったのは、防衛出動は当然だと答えているのですよ。判断するのと当然というのは、これは距離があるわけですね。ここにははっきりしたエスカレートを感じるわけです。どうでしょう。
#95
○加藤国務大臣 全く矛盾しておりませんので、矢野質問の前提が、意図的、組織的、計画的、多発的という意図を持ってやられた場合というわけでございます。そういった際に、総理大臣がこれが防衛出動の要件に合致すると判断するかどうかの議論でありまして、私は、そういう場合には、多くの場合総理大臣は下令するものだろうと思いますし、要件に合致したら下令するものだと思います。
#96
○岡崎委員 丸山防衛局長の答弁でも日本に対する武力侵略の一つの形態と言っていますから、たまたま偶然に日本の船舶が攻撃を受けたというものじゃないのです。やはりこれは計画性、多発性を前提としての答弁だったと思いますが、それでも内閣総理大臣が判断するようになっているのです。あなたの場合は当然だと言っている。ここには明らかなエスカレートがあるというふうに思うのです。
 三つ目ですが、来援中の米軍に対する護衛のエスカレートの問題。これについては、一九八三年二月四日の衆議院予算委員会で、中曽根総理自身が次のように言われているわけです。「日本が侵略された場合に、日本防衛の目的を持ってアメリカの艦船が日本救援に駆けつける、そういう場合に、それが阻害された場合に、日本の自衛隊、自衛艦というようなものがそれを救出する、そういうことは自衛の範囲内に入るのではないか」、こういう答弁でしたが、これ自体が、憲法が禁止する集団的自衛権に踏み込んだ重大発言ではないかという批判等も起こったことは御承知のとおりです。しかし、首相の答弁は、明らかにこれは日本の施政権下が侵略された場合を想定された答弁なんですね。
 ところが、今回の加藤さんの答弁というのは、この枠さえも取り払って、シーレーン単独で日本の船舶が攻撃されたこと、それですぐ来援中の米軍護衛ができるような御答弁になっている。日本の施政権下の地域の有事の場合と同様に考えてイエス、同様に考えてイエスと言われているのですよ。これはエスカレートだというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
#97
○加藤国務大臣 御質問自体の中にちょっと矛盾があるのではないでしょうか。総理大臣が述べておりますのは、日本が攻撃された場合に、日本が有事の場合における米艦護衛の話でございます。そして、その日本有事には、先ほど言いましたように、施政権下における有事とシーレーン有事の二つがあるということは先ほど述べたとおりでございますので、従来の私たちの答弁で意を尽くしていると思います。
#98
○岡崎委員 二つがあるというふうに話を拡大されたところにエスカレートの根源があるわけなんですね。従来は日本の施政権下有事だったのです。中曽根総理の答弁も、はっきり日本の施政権下有事を想定して、これへ救援する米軍の護衛に当たるというふうに言っているのですよ。あなたの場合は、二つ目の、施政権下が有事でないときにシーレーンで日本の船舶が組織的、計画的、多発的に攻撃を受けたらこれがもう有事だと判断されて、そしてここに来援する米軍を護衛するというふうになっていて、非常にここに明らかなエスカレートがあるわけなんですよ。そう思いませんか。初めからそういう前提じゃなくて、これまではそういう答弁じゃなかったはずなんですよ。政府答弁のエスカレートは明らかだというふうに思います。もう一回お願いします。
#99
○加藤国務大臣 質問が同じことの繰り返しですからお答えも同じことの繰り返しになりますけれども、総理大臣が述べたこと、今先ほど議事録を引用してお読みになりましたけれども、そこには、日本の有事の場合と総理大臣は述べております。質問のときに、総理大臣は施政権下有事と言ったけれどもというふうに言いかえられておりますけれども、それは論議の緻密性に欠けるのではないかと思います。
#100
○岡崎委員 とにかく、明らかに施政権下有事じゃないときでも、シーレーンだけでも有事という、そういう概念を加えられて、日本有事には二つある、だから、シーレーンが単独の有事の場合でもシーレーン防衛はやるし、自衛隊の防衛出動の下令もするし、来援中の米艦の護衛もやるし、こういう形で今のお考え、御答弁がエスカレートしてきていることを私は非常に危険だと思うのですよ。これは、日本が、おのれの関知しないところで、シーレーンというのは一千海里先まであるわけでしょう、そこで何か事が起こった場合、ここで米艦護衛のために自衛隊は行動を起こす、こういうふうになっていきますと、自動的に、アメリカが有事であった際の日本の参戦が進むような形になると思うのです。(「すりかえるな」と呼ぶ者あり)すりかえじゃないのですよ。それはどういうことでもできますよ、こういうことになってきますと。トンキン湾事件だってそうでしょう。柳条溝事件だってそうなんですよ。国民の見えないところで何か事が起こったような、そういう形で自動的に日本が日米共同作戦の中に巻き込まれてしまう。アメリカ有事の参戦に巻き込まれてしまう、そういう危険が起こることを非常に感じるわけです。私は、この問題については取り消しを要求しようと思いましたけれども、取り消すどころではなくて、初めからそういうものだということですから、これはそういう点を強く指摘して、次に移りたいと思うのです。
 なぜそのようにエスカレート発言なさるのか。私は、エスカレート発言に固執される、そういうのには、今日米制服間で進められている日米のシーレーンの共同防衛計画そのものがそういう中身になってきているからじゃないか、そのことを感じるわけです。
 その軍事戦略上の裏づけとしては、最近発表されましたアメリカ軍の資料の中にはっきりと述べてあるわけですね。これは私、その訳文を持ってまいりましたが、米海軍研究所の発行している月刊誌の「プロシーディンク」という雑誌ですが、この一月号の付録に「海洋戦略」、そういうのがありまして、ここにワトキンス米海軍作戦部長の論文「海洋戦略」、ケリー米海兵隊司令官の論文「水陸両用戦戦略」等々が載っているわけですが、この前書きによると、これらの論文はすべてがアメリカの公式戦略の表明であるというふうに考えているわけです。これについては日本の新聞も紹介もしていましたけれども、長官、この論文は御承知でしょうか。
#101
○加藤国務大臣 今手元にありませんが、目を通しました。
#102
○岡崎委員 それでは質問しやすいと思いますが、その見地は、今回のアメリカの国防白書にも貫かれているわけですけれども、極めて攻撃的、挑戦的な新しい対ソ戦略の中身になっているというふうに思うのです。この新戦略の特徴というのは、日本を含む同盟国の軍隊の参加、協力を当てにしているという点です。これは非常に日本とのかかわりが出てくるわけで、重要なんです。このワトキンス論文もケリー論文もヨーロッパで米ソ戦が始まることを想定して、全地球的な規模での対ソ戦略を三つの段階に分けて展開しています。
 その第一の段階というのは「抑止または戦争への移行」というところなんですが、ワトキンス論文では次のように書いています。「このいずれもが我が方の海上兵たん補給線を切断しようとするソ連の大規模な、早い時期の試みのオプションを否定する。海上航空戦力の早い時期の前進配備は、我々の同盟諸国、特に日本、ノルウェー、トルコの支援にとって不可欠のものである。」ここで早くも我が方の海上兵たん補給路、つまりシーレーン・オブ・コミュニケーション、日本ではこれをシーレーン防衛とか言っていますけれども、この問題が登場しているわけです。
 第二段階になりますと、「イニシアチブの確保」ということでケリー論文はこういう驚くべきことを述べています。「もしソ連が中部ヨーロッパに対する全面的な侵略を開始したら、NATOの最初の戦略は、攻撃を迎え撃ち、敵をくじき、イニシアチブを確保することである。攻撃型潜水艦は素早くノルウェー海、」「地中海並びに太平洋で」太平洋があります。「ソ連の海軍戦力と交戦する。空母戦闘群はソ連の水上並びに航空戦力の脅威を絶滅するか非戦力化することに努めるが、他方、同盟国の対潜水艦作戦戦力はソ連の潜水艦部隊を探し出し、破壊する。」つまり、太平洋で同盟国、これは日本も該当するわけですが、同盟国は対潜水艦作戦としてソ連の潜水艦部隊を探し出して破壊する、こういうことまで書いてある内容になっているわけです。
 これは、明らかに日本の憲法の禁止している集団的自衛権への踏み込みであるわけですが、加藤防衛庁長官、こういう事態を想定してアメリカは既に今シーレーンの共同研究に臨んできているわけですけれども、こんな事態を認められますか。明らかにこれは否定しなくちゃいけないと思いますが、どうでしょうか。
#103
○加藤国務大臣 米国のそれぞれの軍の人がいろいろな見解を述べられます。また、米国政府自体の政策もそのときどきにおいていろいろ変わります。例えば、かつてはスイング戦略という言葉もございましたし、ホリゾンタルエスカレーションの議論というのがある一部の人から言われて、そしてそれがまた消えたりしております。今回の理論もまた一つあろうかと思います。しかし、米軍の方のそういった考え方がそのときどきに変わりましても、私たち自衛隊の運用の基礎というものは、我が国の基本的な防衛戦略にのっとって行われます。そしてまた、それが日米ガイドラインの中に明確に書き込まれておるわけでございまして、私たちのシーレーン防衛もそういった精神で貫かれておりますので、個々の、米国のそのときどきの理論につきましては、研究はしてみますけれども、ここで特にそれに言及する必要はないのではないかと思います。
#104
○岡崎委員 これは単なる個人論文じゃないのですよ。アメリカの国防長官も承認した公式戦略なんですね。その立場に立ってアメリカは日本にいろいろな要請をしてきているわけなんですよ。私は先ほど、シーレーンが単独でも有事になることはあり得るという形で新しく日本有事の概念を広げられた背景には、こういうアメリカの新戦略に呼応するお考えがあるようにお見受けするわけです。しかし、少なくとも今私が述べたような中身は、これは日本の自衛隊、同盟国軍がソ連の潜水艦を攻撃する、破壊する、こういう役割さえも期待しているものなんですよ。当然こういうことについては日本は認めない、そういう立場だということは言明されますね。
#105
○加藤国務大臣 私たちの防衛政策、そしてまた、そのそれぞれの運用につきましては、あくまでも我が国の防衛政策の基礎の上に立って、そして日米の関係につきましては、日米ガイドラインに示されている方針に従って運用してまいります。
#106
○岡崎委員 今度、中期防によってP3C対潜哨戒機百機体制をおとりになるわけですけれども、多分に、ここに書いてあるケリー論文等での役割を担わされるのじゃないかという懸念を感じるわけです。あなたは、単にプロペラ機がぐるぐる哨戒しているだけだというふうに東中質問に対して答弁されましたけれども、P3C対潜哨戒機ははっきりした攻撃能力を持った飛行機なんですね。そういうことを指摘しておきたいと思います。
 そして、第三段階に入りますと「敵への挑戦」ということで、ここでは、北西太平洋でのソ連の極めて重要な軍事目標を攻撃し、千島列島、サハリンに、昔の樺太ですが、上陸することまで述べています。このワトキンス論文、ケリー論文は、先ほど言ったようにワインバーガー国防長官も承認した公式の論文ですから、この戦略によって日本がアメリカの非常に危険な戦略に組み込まれることを非常に私は懸念しますし、そういうことがあっては絶対ならないというふうに考えるわけです。
 加藤防衛庁長官は、個々の、時に出される一つ一つの論文については研究するけれども、日本は方針があるからそういうことはないというふうに言われていますけれども、現に進んでいるいろいろな事態、そしてあなたの国会での答弁というのがこういう考え方から発生して新たなエスカレートが生まれているんじゃないか、そのことを指摘しているわけです。この施政権下有事がなくても、シーレーン有事ということでいつでも米軍に参戦できる体制ができてくるわけですが、もし日本がそういうことは関係ないということだったら、こういう見解については、日本にかかわっては迷惑だ、日本はそういう立場に初めからないのだから、日本が同盟軍としてアメリカの対ソ戦に巻き込まれ、そして加担するようなことは絶対にあり得ないのだから、そういうことについて公式の戦略として表明することは迷惑だというぐらいのことははっきりアメリカに表明されてはいかがかというように思いますが、そういうことをされたことがございますか。
#107
○加藤国務大臣 御質問の前提がかなり混乱されているようなところがあると思いますが、私たちが今議論いたしておりますのは、例えば、我が国が組織的、意図的、多発的に、また計画的に攻撃された場合は、私たちは防衛出動の下令があるだろうと申し上げているわけでございます。それで、今岡崎委員がおっしゃったのは、我が国が攻撃されてもいないのに米軍の来援のために日本が出動し、巻き込まれることがあることが明白になったというような御趣旨でおっしゃっておりますけれども、これは論議を聞いている方から見れば飛躍以外の何物でもないのではないかと思います。
 それから、我が国が我が国の政策を米側にしっかり言ったかということでございますが、それは累次私たちは、この国会で申し上げている基本方針を米側にも伝えてございます。現実的に言えば、昨年度私が訪米いたしましたときに改めてそれはワインバーガー長官にも申し上げ、そして向こうの方もそれを理解し、そしてまた先ほどの一月のSSCの場合でも、我が方の事務次官から明確に申し上げているところでございますので、その点の御心配は要らないと思います。全般的に考えますことは、私たちは我が国の政策にのっとってやるのであって、そういう意味においては、私たちは、自分たちの政策を守るという意味でアメリカに対してはしっかりとした自信を持って語っております。
#108
○岡崎委員 新しくシーレーン単独有事というお考えをお出しになったところから問題が出ているわけなんですよ。ここでは、シーレーンが単独でも多発的、組織的な攻撃を受けた場合有事と設定して、そして防衛出動の下令や来援中の米軍護衛にも当たるという、そういう前提がもともとのエスカレートでありまして、なぜこういうのが起こってきたかという問題を私は言っているわけなんです。確かにケリー論文やワトキンス論文というのは、日本の船舶が攻撃されたという設定ではないのです。しかし、先ほど言ったようにシーレーン公海上でそういうことが起こったと想定して、いつでもそういうアメリカの危険な戦略に巻き込まれる可能性ができてきている、そういう方向に進んでいるんじゃないか、そのことを指摘しているわけであって、決して矛盾じゃないのですよ。そのことをしっかりととらえる必要があると思うのですね。新しい事態が生まれてきている。そこをあなた方はごまかしながら日本の有事という概念を広げて、そしてシーレーン有事ということで実際上アメリカの戦争作戦に協力、加担、巻き込まれるような状況がつくられつつあるんじゃないか、そのことを懸念しているわけなんです。
 そこで私は聞きますけれども、日米共同作戦、つまり共同対処というのは、安保条約第五条以外にはできないはずなんですね。シーレーン単独有事の場合にこれはできますか。わかりませんか、意味が。
#109
○小和田政府委員 御質問の趣旨を正確に把握したかどうかはわかりませんが、日米安保条約の第五条のもとで、つまり、日本国の施政下にある領域に対する武力攻撃があった場合には、米国に対して日本を防衛するために協力をする義務が生じます。それが第五条のケースでございます。それ以外の場合について、米国が日本に対していろいろな意味での援助、協力をすることができるかできないかということは、日米安保条約第五条の枠外の問題であるというふうに考えております。
#110
○岡崎委員 それじゃお聞きしますけれども、シーレーン単独有事の場合ですね、つまり日本の施政権下がまだ有事じゃない、したがって第五条が発動されない場合に、来援中の米軍護衛という形で実際上日米共同対処があるでしょう。これは何に基づく行動でしょうか。大臣、どうぞ。
#111
○加藤国務大臣 理論的に明確には、かつ有権的な解釈は条約局長にお願いしたいと思っておりますけれども、第四条によりますと、日米は我が国の安全のために協議をすることができるという規定になっていると思っております。第四条に基づき私たちが協議し、また来援を要請することは可能であり、また、私たちそういうような組織的、計画的、意図的に攻撃され、日本の状況が危なくなっているようなときには、米側の来援は期待できるものと考えております。
#112
○岡崎委員 私が言っているのは来援の期待だけじゃないのですよ。来援している米軍を護衛するという問題なんですよ。それは明らかに共同対処でしょう。第四条は随時協議なんですよ。第四条の随時協議によって共同対処ができるものかどうか、はっきりしてもらいたいのです。
#113
○小和田政府委員 先ほど来、防衛庁の方から御答弁申し上げておりますように、事は我が国の個別的自衛権がどういうときに発動ができるか、こういう問題でございます。先ほど来、日本有事の場合であるとかシーレーン有事の場合であるとかいうような表現が使われておりますけれでも、これは、実は先般矢野委員からの御質問でそういう表現が使われておりましたために、いわば簡便な言葉として使われているわけでございますけれども、法律的、条約的に申しますと、これは実は必ずしも正確な表現ではないと思います。私どもが申しておりますのは、要するに、いかなる場合に日本が個別的自衛権を憲法の許す範囲において行使することができるか、こういう問題でございます。それで、その個別的自衛権が行使できるケースと申しますのは、一般国際法上、我が国が武力攻撃の対象になった場合、こういうことでございまして、その場合に我が国に対する武力攻撃というのは、我が国の領域に対する攻撃だけではなくて、我が国の船舶、航空機等に対して先ほど来申し上げておりますような多発的、計画的な、組織的な攻撃が行われる場合というようなケースについても個別的自衛権の行使の対象になり得るということは、政府が従来から一貫して申し上げているところでございます。
 具体的な例で申し上げますならば、昭和五十七年の当時の角田法制局長官の答弁もございます。そういうケースは、これは日本側の立場から申しまして個別的自衛権が行使できるということでございまして、それに対してアメリカが協力をするケースがどうなるかということになりますと、これは安保条約の問題。そして安保条約の問題としては、第五条のもとで、日本の施政下にある領域に対する攻撃があればアメリカは救援の義務がある、こういうことになりますが、それ以外の場合にアメリカが救援に来るということは、事実上の問題としてはいろいろあり得るであろう、こういうことになるわけでございます。
#114
○岡崎委員 少しも答弁になっていないんですね。つまり、第五条じゃないときに日米共同対処ができるかどうかを聞いているのですよ。その法的根拠は何かということです。
#115
○小和田政府委員 先ほど申し上げたことでおわかりいただけたと思ったわけでございますが、我が国に関する限りは、個別的自衛権の行使が可能であるようなケースについては個別的な自衛権を行使できる。これに対してアメリカが協力するケースは、条約上の義務として存在しているのは日米安保条約第五条の場合でございます。しかし、それ以外の場合についてアメリカが協力をするかしないか、これはアメリカの問題でございまして、アメリカ側がそういうことができ、かつ必要である、あるいは適当であるというふうに判断した場合には我が国に対する協力を行うということがあり得る。
 それで、先ほど来防衛庁長官がお答えしておりますのは、そのようなケース、つまり、安保条約第五条のもとではない事態において、しかしながら我が国が個別的な自衛権を行使するというような事態が発生しておって、さらにアメリカがそれに対して協力のために駆けつけてきたというような事態において我が国がどういう行動をとることができるかということになりますと、これは米軍が、米艦船が我が国の防衛のために協力をしている事態において我が因が個別的自衛権の行使の範囲内においてその米艦船に対する攻撃を排除するということは、従来から政府が申し上げておりますように、我が国の個別的自衛権の範囲内において許されるケースがあり得る、こういうことを申し上げているわけでございます。
#116
○岡崎委員 そうしますと、安保条約第五条発動、そこにははっきり共同防衛のことが書いてあるのです。それ以外にも、自衛権の行使ということならば日米共同対処、共同作戦はあり得るということですね。これは重大だと思いますよ。そういう見解じゃなかったはずです。そういうことで、私たちは新たな日米共同作戦に関する拡大があるように思うのです。
 これは、この間の加藤防衛庁長官の答弁でもそういうことが明らかになってきましたので、私はその問題の一つ一つに触れながら質問しましたけれども、やはり答弁全体を聞いてみても、安保条約第五条の規定している共同対処、共同作戦ということ、それさえも踏み越えて共同作戦ができる、もうこうなると太平洋上、シーレーン防衛という名前をつけるならば何でもできる、日米共同作戦はどんどんできる、そういうことになりかねない事態だというふうに思うのです。まさにこういう事態こそがワトキンス論文やケリー論文が言っているような、こういうことに日本が巻き込まれる事態をつくるものだと私は思うのですよ。そこを大いに強調しておきたいと思うのです。私たちは、こういう危険な日米軍事同盟の新しい段階に対してもっと真剣に論議すべきだというふうに考えています。そして、そういう危険なシーレーン防衛共同作戦計画はやはり研究を中止すべきじゃないかというふうに思いますが、これは要求として指摘しておきます。
 次に、三宅島の問題に入りますが、二月の十五日に、御承知のように自民党の藤尾政調会長ら幹部の方が大挙して三宅島に行かれたわけですね。総額七百億円という見返り事業計画案を示して村民を説得されたわけです。自民党の主催する国政報告会、約四百人が集まったということでございますけれども、村民がちゃんと計算したところによると本当の島民は百七十九名だったそうです。それ以外の多くは土建会社に働く日雇いの人々、島のほかの人々だったということですが、(「島へ行って調べてこい」と呼ぶ者あり)はっきり調べたものです。反対の住民の集会というのは小雨の降る中で四百、五百、そして最後は千五百集まり、(「またエスカレートしている」と呼ぶ者あり)それはエスカレートじゃなくて、実際に新聞にもそう載っているんですよ。そういうふうにして反対の意思表示をした。(「赤旗新聞か」と呼ぶ者あり)赤旗じゃない、一般の新聞です。新聞自体も、説得工作は前途多難、自民党の懐柔に反発強める、こういうふうに報じていますけれども、この二月十五日の状況を、外務大臣そして防衛庁長官はどのような感想、所感をお持ちか、お聞きしたいと思うのです。
    〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
#117
○加藤国務大臣 どちらの集会に何人集まってというような論議はここで申し上げないようにいたしたいと思います。ただ、この時期に島に何百人もよそから来ているようなお話は私は聞いておりませんので、申し上げたいと思います。
 ただ、今度の集会を通じて、党の藤尾政調会長を初めとし、なぜこの三宅島にお願いしなければならないのかということを一生懸命説得してくださいました。そして、それは何も私たち、この島の人たちの反対の気持ちを強権で踏みにじるつもりではありませんし、また党の方もそういう態度ではなかったと承知いたしております。ただ、いろいろな誤解がございますので、それをできるだけ聞いてもらいたい。例えば、飛行場ができますと終戦直後のように多くの進駐車が来て常時駐在し、そしていろいろな忌まわしい事件が起きるというような宣伝をなされている方もおりますけれども、あのNLPをやるときにはほとんどその日のうちに飛行機は帰ってしまいますし、また地上での誘導要員もほんの十名、二十名ぐらい、そしてほとんど島にはとどまらないでその日のうちに帰ってしまう、そういう形なんですよ、そしてまた、島の一部に飛行場をつくり、飛行した場合の旋回は海上でありますというようなことを一生懸命説得し、そしてそういうものであったかなというふうに理解してくれた人も意外にふえたと聞いております。ただ、まだ反対の声の方が非常に強いということは私たちも承知いたしております。
#118
○岡崎委員 理解が広がっているような話でございましたけれども、加藤防衛庁長官は、同じく十五日の読売新聞にインタビューされていましたね。そこでは、三宅島の圧倒的な多数の住民が反対しているのはみんな誤解しているからだ、「とにかく、一度説明を聞いてほしい。そうすればほとんどの誤解はすぐとける」大変簡単に誤解が解けるかのように語っていらっしゃいました。自民党の国政報告会である自民党議員は、反対の島民たちをキツネづきとまで言われたと新聞も報道しています。これは緑と平和、三宅島を愛するがゆえに基地化に反対している島民への愚弄じゃないかというふうに考えるわけです。長官は今でも三宅島の島民はそんなものか、単なる誤解であるか、そういうふうに思われているのかどうか、そんな認識で島民の共感が得られると思われているかどうかについてお聞きしたいのです。
#119
○加藤国務大臣 かなりの誤解の部分も多いと思います。したがって説明を聞いていただきたい、こう思っております。
 ただ、同時に、飛行場ができますと阿古地区で六十五ホンぐらいの騒音がNLPのときに起きます。そしてその騒音が、現在ないものがあることになる。それは日数としては極めて短いものであるけれども、その騒音が一日四、五時間あるということも事実でございます。それに対して、やはり迷惑だとおっしゃっている島民がいらっしゃることも私たち知っております。したがって、その分につきましては、国全体としてその御迷惑に見合うだけの島の振興策を考える、そういうつもりであるので説明を聞いてもらいたいと申し上げておるのでありまして、党の政調会長も私たちと同じ考えを述べてくれたものだと思っております。誤解を解くために、私たちの、政府の振興策を聞いてもらうためにぜひ説明会には応じていただきたい、こう思っております。
#120
○岡崎委員 単なる誤解という単純なものじゃないのです。もっと根深いものがあるのです。それをつかまなくて島民の共感が得られるはずはないと私は思っております。自民党は、三宅島にNLP基地ができても騒音被害は大したことはないといろいろ宣伝しておりますけれども、島民たちは、札束で島は売らない、与えられるものが大きければ失うものはなお大きい、二月十五日の集会のときの横断幕にはこんなことが書いてありました。NLP基地ができたら三宅島はどうなるかという問題、その点を、うそでなくはっきりと島民たちにも明らかにする必要があるというふうに思っております。
 まず、三宅島にNLP基地が新設される意味ですが、厚木で今ミッドウェー艦載機のNLPをやっているわけですけれども、そのほかにも三沢、岩国でも行われている。だから、三宅島にNLP基地をつくるというのは単なる厚木基地の代替じゃない、私たちはそういうふうに考えるのですよ。
 そこで、まず昭和五十八年、五十九年、六十年の三基地でのそれぞれのNLPをやった日数、回数、これをお答えください。
#121
○佐々政府委員 お答えいたします。
 五十八年から六十年の回数というお尋ねでございますが、厚木地区が年平均四十七日間、回数二千八百五十回、三沢は年平均二十九日間、千六百回、岩国は十二日間の千百五十回でございます。
#122
○岡崎委員 私は毎年各基地について言ってほしいと言ったのですけれども、時間がありませんので、そちらの方からもらった資料がありますからこれでいきましょう。昭和六十年は、厚木、三沢、岩国三基地を合計して八十二日、六千百七十回やっています。苦情が殺到している厚木基地でさえもちょうどその半分なんですね。半分近くは三沢その他でやっているわけですよ。そうなりますと、新しいNLP基地ができますとこの三基地でやってきたものを、それぞれの基地の特殊性がありますから全部とは言いませんけれども、基本的には一本化して効率的な運用を図ることになるのじゃありませんか、その点はどうですか。
#123
○佐々政府委員 お答えいたします。
 先生よく御承知のように、NLPはもともと三沢、岩国で行われておりまして、五十七年から厚木地区で始まった、こういう経緯がございますが、厚木地区は非常に人口密集地域であり、騒音問題等がございます。また夜間、非常に照明が明るくて夜間離着陸訓練に向かない、こういうようなことから岩国、三沢に分散いたしております。したがいまして、三宅にできた場合には、阿古地区の薄木地区、御承知の溶岩でやられたところを中心に海岸地帯に滑走路を設け、旋回コースを海上に設けます。それから、騒音問題が小さくなるだけでなくて、現在厚木では、実はアメリカのNLPのパターンが四機一組一回というのを交渉いたしまして、騒音問題等がございますので二機にお願いをしておるわけでございます。このもとの四機パターンに戻りますれば、その分、回数は同じだと思いますが、日数あるいは夜間における時間は短縮されることになるだろう。御指摘のように、若干今まで三沢、岩国に散っておった分が、本来のそういう適地であるところのNLP訓練場ができますればそちらの方にふえてくる、こういうことはあろうかと思います。
#124
○岡崎委員 若干とかあろうかというふうに言われていますけれども、基本的には、新しいNLP基地ができれば、これまで分散していたNLPを三宅鳥に集中して行われることは当然じゃないかというふうに思うわけです。
 この厚木でのNLPについて、昨年六月、ミッドウェー空母に試乗させて記者の人たちに公開したことがあったわけですが、そのときのミッドウェーの飛行軍司令であるベアード中佐がこう言っています。「アメリカでは寄港期間中、陸上では十回から二十回の夜間離着陸訓練を繰り返しているが、厚木では騒音問題で六回しかできない。また、一度に六機ずつでやるはずなのに、厚木は二機ずつ」こういう不満を漏らしているわけですね。佐々さんが答えたのもこの中身だというように思うのですね。
 そうしますと、三宅島にNLP基地をつくれば、こういう不満が解消される。つまり、やりたいことはどんどんやっていく、こういうことになるわけですから、当然このNLPというのは日数、回数、そして頻度、厚木の比ではないということ、これははっきり言えると思うのです。そうじゃございませんか。
#125
○佐々政府委員 お答えいたします。
 現在厚木で行われております訓練も、実は土曜、日曜は慎んでもらいたい、祭日も遠慮していただいておりますし、夜間の訓練も午後十時以降に及ぶことのないようにしていただく、いろいろな交渉をいたしまして、周辺住民との調和を図っております。
 この訓練シラバスの消化の仕方については、交渉の余地がございます。先ほど申し上げました二機の厚木のパターンを四機にいたしますれば、短期間における騒音というのは確かにふえるでございましょうけれども、回数は同じでございますが、日数あるいは夜間の時間帯の短縮、あるいは島民の御希望によってそれを米側に協力要請をして騒音被害をできるだけ小さくする、こういうことは可能であろうかと考えております。
#126
○岡崎委員 短期間の騒音はひどくなる、回数はひどくなると言われましたけれども、考えてみても、当然、三基地に分散したものを一つに集める、そしてアメリカが厚木によって制約されたものを取っ払う、これは今厚木の住民たちが本当に騒音被害で苦しんでいる状況を、その比でない事態を、たとえ海上の方で旋回するとかいろいろあったにせよ、やはり三宅島に持ち込むことになると思うのですね。NLPの実態というのはこういうものだということ、場所がどうだからということではなくて、実際こういうものだということをはっきりする必要があると思うのです。
 次に、私は、三宅島のNLP基地の建設ということが島の農業生産に非常に壊滅的な打撃を与える、このことを指摘したいというふうに思います。
 島の最大の農業振興地域である薄木地区ですが、これは実は三宅島にNLP基地をつくろうとしている阿古に隣接する部分なんですが、これが航空法に基づいて滑走路の転移表面として七分の一の傾斜に削られるわけですね。これは大変なことでして、施設庁はこれに対して代替農地を用意するというふうに言っています。昨年の十二月六日の衆議院外務委員会の私の質問に対して、農地統計資料によると、切りかえ畑が六百二十二ヘクタール寝かされている、それを近代的に使えばできるというふうに答弁されたのですけれども、それを聞いた農民たちは、余りにも島のことを知らな過ぎる、こう言っていました。また関東農政局も、使えるところは既に使っている、こういうふうに言っているわけで、防衛施設庁は、今でもこの薄木地区の農業振興地域を大幅に削り取って、それにかわる代替農地ができるかのように思われているかどうか、可能であるというふうに思われているかどうか、その点をお答え願いたいと思うのです。
#127
○佐々政府委員 お答えいたします。
 私どもが承知しております三宅島の農耕地は千六十八ヘクタール、このうち六百二十二ヘクタールは地方回復のための切りかえ畑である、こういう状況であるという認識は現在でも同じでございます。
 これの近代化によって、例えば風に弱い、三宅島の一番重要な農産物であるところのキヌサヤエンドウ、これを鉄骨製の温室の中でやるというような措置を講ずることによって有効化、効率化を図ることができるだろう。また、まだ立地条件、お話し合いもできない段階でございますから、どこをどういうふうにするかということを具体的にお答えする段階ではございませんが、かなりの農耕地が溶岩あるいは降灰によって荒廃しているということは事実でございます。私どもが現在図上で考えております薄木地区は、こういう溶岩でやられた部分を中心になるべく農地を削らないようにやりたい、かように考えております。
 もう一つ、これも具体的に実地踏査をさせていただきまして、その段階で正確にお答えをいたしますが、先ほど御指摘の転移表面、この斜面は空港施設としては要らない、航空安全上の必要から削られる転移表面でございますが、この斜面に農地造成をすることは可能であろうかと考えております。
#128
○岡崎委員 それが机上のプランだと言うのですよ。農民たちは生活の実感を通じて、この西風の強い島で農業を営むためには自然の地形を利用するということ、その知恵を知っているわけですね。その自然を削り取って農業振興ができるはずないわけで、このNLP基地が建設予定されている薄木地区というのは、西側に丘陵がありまして風を遮って、そして南の日の当たる温暖な地域になっていまして、そこでキヌサヤエンドウや花卉などが栽培されているわけですね。これは農業の生産の約四割から五割、換金性の高いキヌサヤエンドウなどについては約八割がこの地域でできているわけです。この自然の地形を削り取って三宅島の農業振興地域、現に指定されているこの地域をつぶすということは、三宅島の農業にとってどれほど大きな被害をもたらすものであるか。このことは単にどこかのところにビニールハウスをつくってやるからということでは償うことのできない、まさに小さな島の農業の基盤を壊すことになるわけなんです。
 私は、ここに私自身の持っているものをちょっと持ってきましたけれども、この黒いところが滑走路なんですよ。その滑走路のところでこれだけの部分が転移表面によって削られるわけです。これは大変重要な農業振興地域なんです。大臣、見てほしいと思います。これだけの地域が削られるわけです。つまり、このことを軽視して、切りかえ畑あたりに何かつくってやるという形では、島の農業振興というのは絶対進まないし、何が近代施設の整備だというふうに、自民党がこの間見返り事業で示されたことを見ながら農民たちは怒っているわけですね。
 そこで、関係大臣として農林水産大臣にお聞きしたいのですけれども、直接の所管事項でございますし、離島振興法における農業振興という見地からもこういうことが望ましいかどうか、大所高所から御見識を伺いたいというふうに思います。
#129
○羽田国務大臣 私どもも、国の防衛というものの基本、これはやはり重要なことでございます。そういう観点から、まだこの構想がきちんと固まっておらない状況でございますので、この構想が固まり次第、私どもとしてどのように対応するか、もちろん今生産に従事されておる農業者の皆様方の意向等も十分確認しながら、適切に対処していきたい、かように考えております。
#130
○岡崎委員 漁業についても、その被害は軽視できないというふうに思っているのです。三宅島の基幹産業の一つの漁業ですが、ここは自民党の政策の中にも言っているように、日本の中でも大変有数の好漁場になっていまして、特にこの滑走路ができる阿古地域のところには、黒潮がぶつかってトビウオやイカなどの回遊魚が来ているわけで、ここには神津島初め近隣の島やあるいは近県からも多くの漁船が操業に来ているようなところなんですよ。
 それで、滑走路ができて夜間のNLPがなされますと、そこには誘導灯ができる。誘導灯のその周辺で、集魚灯をつけた漁船がイカ釣りとかトビウオ釣りをやっている。そうなりますと、これはいろいろ、NLPに移っても危険性があるのじゃないか。そういうことから、NLPの期間中は操業制限がなされるのじゃないかという懸念が持たれるわけです。ないと言い切れるかどうか、またそういうことは検討事項にも入っていないかどうか、お聞きしたいというふうに思うのです。
#131
○佐々政府委員 お答えいたします。
 私も実際NLPの訓練の現場を見たことがございますが、滑走路に設けられておりますNLP着陸地帯の誘導路は、矩形、長方形の非常にはっきりしたオレンジ色のマークでございまして、これが漁業用のいさり火と見誤られることはないだろうと考えております。また現に厚木という周辺が人口の密集したところでやっておりまして、大変周りは灯火が明るいわけでございまして、その中でその着陸地帯を視認して、それに対する訓練をやっておる、事故が起こっておらない、こういうようなことから、真っ暗なやみの中に若干いさり火が仮にあったといたしましても、この着陸地帯を間違える、そういう意味の危険のことを御指摘なのかと存じますけれども、そういう問題は起こらないだろうと思います。
#132
○岡崎委員 したがって、操業規制は一切ないということを言明できますね。
#133
○佐々政府委員 お答えいたします。
 先ほどのキヌサヤエンドウその他農業の問題も含めまして、私どもは、実は実地調査をまださせていただいておりません。実態に即した対策をということで、まず説明を聞いていただいて、その上で実地調査もし、地元の要望も聞いた上でやりたい、こういうことで今説明会のお願いをしておるところでございますが、なかなか説明会そのものが行われない、まして実地調査ができない。こういう状況でございまして、そういう個別的、具体的な問題について現段階においてお約束をする立場にございません。
 しかしながら、それが許されるならば、そういう結果に基づきまして、まだトビウオとカジキマグロにどんな影響があるのか、私どもよく承知いたしておりません。漁業のお話が出ましたので、私どもの承知している知識で申し上げますと、かつてはカツオとテングサだったのがだめになりまして、トビウオとカジキマグロ、運輸省及び自衛隊の空港の騒音調査によりまして、過去四回、一応ジェット機の爆音は漁業には影響が余りない、一時散ったりしますけれどもまた戻ってくるということで、漁業補償の対象にもきちっとなっておらぬわけでございますが、そういう問題も調査をさせていただき、制限水域をどうするかこうするかということでありますが、別に射爆撃訓練をやるわけじゃございませんし、タッチ・アンド・ゴーをやるだけでございますので、その問題もその段階でお答えさせていただきたいと思います。
#134
○岡崎委員 操業規制がないというふうには今の段階では言えないということだというふうに聞きました。
 観光産業についても、やはり重大な被害を受ける。もともとあそこの観光というのは釣り客なんですね。本当に憩いと緑と野鳥そして釣りを求めて観光客が来る。ここに爆音と基地の島ということは、イメージとしても両立しないわけなんです。だからここにヨットハーバーをつくろうが、ゴルフ場をつくろうが、これで観光客がふえるものかというのが率直な意見なんです。
 そこで、三宅島に島の振興計画として現に計画され、都でも調査費がついている海中公園構想があるわけです。これは滑走路予定地のすぐそばの海岸線がその海中公園の予定地になっているわけですが、NLP基地建設とまさにぶつかるところなんですね。この島の豊かな自然を破壊しておいて、何が観光の発展だということを島の人たちは言っているわけですけれども、施設庁の方は、この目玉となる海中公園構想、この観光計画をどうするつもりなんですか。
#135
○佐々政府委員 お答えいたします。
 海中公園構想とぶつかっておるではないかという御指摘でございますが、私ども、まだ現地のどこにどういうふうにつくるかということができておりませんので、お答えする段階にございません。
 観光客の問題でちょっと一言だけ言わしていただきます。観光客は、五十五年に十一万人おりましたのが、五十八年九万人と減少傾向にございます。観光収入も、五十五年十九億が五十八年約十四億と減っております。観光振興のためにはまず観光客が来ることが大事でございまして、官民共用ジェット飛行場ができますると観光客はふえるのではないか。
 海中公園の問題は、具体的な問題になった段階でまたお答えさせていただきます。
#136
○岡崎委員 今、私は農業、漁業そして観光業、島の産業の基幹部分に非常に大きなダメージを与えるということを指摘してきました。それについてはまだよく検討されていないようでございます。
 それから、民間ジェット空港の問題ですけれども、これは運輸大臣にお尋ねしたいのですけれども、現に三宅島には千二百メートルの第三種空港があるわけですね。午前、午後一便ずつ飛んでいるわけです。私は、もっと観光客をふやすためにはあと一、二便でもふやしてもらいたいというふうに思っていますけれども、しかし、今東京都かでも神津島や小笠原には、既に予定がありながら空港がまだ具体化されない状況にあるわけなんですね。こういうときに、NLPも利用できる新空港を三宅島に建設する必要性があるのかどうか、この点について運輸大臣の御所見をお伺いしたいと思うのです。
#137
○三塚国務大臣 飛行場というのは時間、空間を短縮いたしまして、地域開発のために非常にプラスになりますことは御案内のとおりであります。ただいま千二百の空港、御案内のとおりございます。一日二便、時節の差はありますが、七二・九%の利用率と、こう聞いております。観光シーズンにはチャーターでどんと行きますので、これは別にいたしております。こういうことでやられておるわけでございまして、YSで行くよりもジェット機で行くことを渇望しておるということも聞いております。それは大型ジェットもありますし、昨今コミューター用の数十名乗れますジェットも、いろいろと日進月歩でありますからつくられておるようでございまして、そういう点なども総合判断をしながら、地域振興のためにそのことが必要であるということであればやはり真剣に検討をしていかなければならぬというふうに思っておるわけであります。
#138
○岡崎委員 まあ自民党の議員さんですから、運輸大臣もそういう御答弁じゃないかというふうに思いますが、第一に羽田からわずか百五十キロしかないんですね。ここでジェット機を運航する場合の採算性や経済性ですね、これをどういうふうに予想されているのでしょうか。これはどなたからでもいいです。簡単にお願いします。
#139
○山田(隆)政府委員 お答えいたします。
 採算性の問題につきましては、需要量であるとかあるいは機材の効率とかそういうものを勘案しながら算定するわけでございますけれども、現在のところでは、先ほど大臣が申し上げましたように、YS二便でもって年間の利用率が七二・九%と比較的利用率としては高くなっておりますし、またピーク時には臨時便も運航しているところでございます。
 そこで、今後ジェット空港ができた場合に、そこにジェット機を就航させて採算が合うかどうかということにつきましては、その時点におきます路線事情というものを明確に見通した上でないと何とも申し上げられないわけでございまして、この路線自体についてジェット機を就航させることの採算性につきましては、現時点で具体的に申し上げることはちょっと難しいというふうにお答えせざるを得ないかと思います。
#140
○岡崎委員 そういう御答弁でもやむを得ないと思いますが、実際上はとても割高になって、乗る人がいないだろうということも関係者から聞いています。
 それで、あそこはもう有数の火山地帯でして、二十年に一回の噴火があるといいますが、この噴火予知体制の問題についてもNLPが非常に大きな障害になるということをきょうは質問したかったのですが、これは別の機会に回して、国土庁長官にお伺いしたいと思います。
 今言いましたように、島民の人たちの反対というのは、島をよく知って、島の暮らしや安全の根本を揺るがすからこそ反対しているわけなんですね。だから、いろいろなことを並べられても、これは要するに毒の入ったあめ玉だという形で批判をしているわけで、子孫のためにもこの島を守りたいというのが島の人たちの正直な気持ちなんです。
 三宅島の村長さんが同じ十五日の毎日新聞のインタビューに答えて語っていましたけれども、「苦しくても自前の振興計画を自助努力で着実に切り開く以外に本当の島の発展はない」、これが多くの島民の気持ちじゃないかというふうに思うのです。真の離島振興というのは、政府と都が財政的にも離島なるがゆえのハンディを補いながら援助して、島の豊かな自然条件、特殊性を生かした自立への道を開くということ、これが必要じゃないかと思いますし、離島振興法の精神もまたそこにあるというふうに思うわけです。NLP基地ができるということは島の自立への基盤を壊すということなんですよ。何か共存共栄というふうに総理おっしゃいましたけれども、本当に農業、漁業、産業、あらゆる点から見ても自立への基盤を壊して、基地建設の補助金に依存した、あぶく銭で暮らすようになっていく、これは真の離島振興への道ではないというふうに私は考えるわけですが、この点について国土庁長官の御見識を承りたいというふうに思います。
#141
○山崎国務大臣 お答えいたします。
 ただいまの先生のお話は、離島振興法という法律がありながらこの趣旨に沿わないような方向に、誤まった道に進んでいくのではないかという御心配でございますけれども、もとより申すまでもなく離島振興法というものは、本土より隔絶しました離島の後進性を除去するために、これに必要な対策を立てまして、この対策に基づいて事業を実施することによって、産業の振興あるいはまた離島住民の生活の安定及び福祉の向上を図るということでございまして、三宅島に限らずたくさんの、四千とも言われます、もちろんこれは無人島もございますが、離島に囲まれた島で、特に法定の、いろいろと指定の地域は二百八十七島ございます。そのうちの一つでございますので、私どもといたしましては、飛行場の建設を計画される際には、特に離島振興法の目的に沿って島民の民生安定、産業振興、これに寄与するような十分な検討をしていただくことを期待いたしておる次第でございまして、そのことをもってお答えといたします。
#142
○岡崎委員 やはり離島振興法の精神というのは島民の自立を助けるということだというふうに思うのです。ここに今度のNLP基地建設というのが大きな障害をもたらしている。だからこそ島民たちは反対している。
 そこで、NLP基地化が今多くの反対があって進まない状況です。八五%を超える人々が反対の署名をしていますし、村当局ももちろん反対なんですね。こういう状況のもとで、離島振興法に基づく財政的な援助ですね、当然これは国や都でやるべきであるわけですが、NLP基地化が進まないからといっていささかの不利益、アンフェアがあってはいけないというふうに思うのです。これは当然だと思いますが、これはなさいませんね。当然そうだと思います。
#143
○山崎国務大臣 お説のとおりでございまして、補助金を切ったりなどするようなことは一切考えておりません。
#144
○岡崎委員 ぜひその姿勢を貫いてほしいというふうに思います。
 この三宅島へのNLP基地建設ということは、単にこれが島の暮らしを破壊するだけではなくて、現実にやろうとしていることは、ミッドウェーという核攻撃戦力の訓練基地なんですね。今度主力搭載機がFA18ホーネットにかわるということですが、より核攻撃能力を増すことになるわけです。文字どおり核戦争の訓練基地になるということです。本当に島の平和、日本の平和を守らなければいけない、そういう立場からの反対の世論も急速に広がっている状況であるし、平和な島を守りたいというのが島民たちの切なる願いなんです。
 もともと横須賀の母港化というのは一九七三年十月から始まったのですが、そのときは青森の三沢基地を主にNLPに使うということになっていたわけです。それが遠くて家族に会いにくいとかあるいは燃料費がかさむとか、そういった事情から、これは初めからわかっていたはずなんですけれども、一九八二年三月より厚木基地でNLPが行われるようになったわけなんですね。これは厚木基地に持ってくれば騒音問題が起こることは初めからわかっていたのじゃないですか。それを厚木基地に持っていった。これを聞いてもいいのですけれども、時間がありませんので、わかっていながら次、次、次にまたエスカレートしているわけですね。
 三宅にNLP基地をつくる、今のところは加藤防衛庁長官は、米軍はNLP期間中も日帰りするから駐留することはありませんというふうに答弁されたけれども、しかし、実際訓練の指揮やあるいは訓練の評価や事故対策等々で、手弁当で日帰りするような状況というのはあり得ないと思うのです。基地ができれば、必ずNLPの期間中は米軍が常駐することになるのじゃないか。これまでのエスカレートぶり、次から次にアメリカの要求するままに基地化が進んでいる状況を見れば、そのことは言えるというふうに思うのです。そこで、私たちはこういう状況を真剣に憂えるわけでございますけれども、本当に基地化が進んでも、できても米軍はそこに隊舎をつくったり、訓練期間中常駐しないと言い切れますか。この間も平総務部長は、現在のところはそういう要望がないというふうに言っていましたけれども、現在のところではだめなんです、将来ともあり得ないかどうか。これまでどんどんどんどんエスカレートしできますからね。
#145
○佐々政府委員 お答えいたします。
 常駐という概念でございますが、これは配備というふうに我々は解釈をいたしております。相当数の部隊が三百六十五日掛ける複数年数駐在をする、こういうことであろうかと思います。現時点で私どもアメリカ側から要望を受けておりますのは、二千メーター掛ける四十五メーターの滑走路、これを年間最高七、八十日程度訓練用として提供してもらいたい、こういうことでございまして、基地化という問題にはつながらないだろう。なぜならば、現時点ではございますけれども、当然そういう常駐を考えれば、宿舎だとか隊舎だとか管理棟だとかコントロールタワーとか要求してくるわけでございますが、そういう要求は一切ございません。
#146
○岡崎委員 最初は三沢、そして燃料費がかさむといって厚木、厚木の場合は騒音問題があったから三宅、三宅に持ってきても、今そういう要求は現在のところありませんと言うだけであって、できたらしまいというふうに島民たちが言っているのはそこなんですよ。できたら次から次にいろいろなものを要求してくるだろう。加藤長官はカービン銃を持った米兵はいるはずないとおっしゃっていますけれども、やはりそういうことは起こり得ると私は思うのです。
 それで、島民たちは今圧倒的に反対しているわけですが、一年、二年、三年反対している状況のもとで、これは私は絶対強行できないと思いますけれども、そういう状況が続いた場合は断念されますか。あくまでも、三年、五年でも断念しないでなさいますか。その点、防衛庁長官、どうでしょう。
#147
○加藤国務大臣 根気強く説得の工作を続けていきたいと思っております。
 今、岡崎委員の質疑をずっとお聞きいたしておりますけれども、基本的に私たちと発想の違いがございます。それは、私たちは日米安保条約というものは日本の平和と安定のために必要だと思っております。岡崎委員はそれを必要ないという立場でございます。したがって、私たちは必要であるから、そういう意味ではNLPをしなければならない、そしてそのしなければならないときに、今厚木で大変な人口密集地でやっておりまして、恐らく数十万の人に対して夜間、住宅密集地で騒音を与えることになるわけでございます。そういう際に、厚木の住民の方々は保守も革新も問わず、私たちにこの現状を何とかしてくれという陳情があります。そういう意味で、三宅の方が比較的に騒音が少なく済むし、海上に旋回することができるからお願いしたいというふうに申しておるわけでございまして、できるだけこの問題の現状を解決するためにお願いしているわけです。
 三宅の村民の方としては、それはわかる、しかし厚木の問題を何もこっちに持ってこなくてもいいじゃないか、どこか別の島を考えればいいじゃないか、厚木でどういう御迷惑になっているか、いろいろあろうけれども島の問題とは別個の話であるという気持ちになられるのも私たちはわかります。しかし私たちとしては、その部分は、全国いろいろ探した結果、三宅が一番適切であり、一番御迷惑をかける分野が少ないので、何とか三宅にお願いしたいということで今一生懸命説得いたしておるわけでございます。そして、従来から比べると騒音は数十日ではあっても多くなるわけですから、それは御迷惑をかけるということは事実でございます。しかし、それは六十五ホンということでいろいろ対処もすれば、余り大きな御迷惑にならないで済むようにできると私たちは思っております。現に、それはいたします。そしてまた、村の振興のために札束でほっぺたをひっぱたくようなことはいたしません。村の今後の生業につながるような、若者が残られるような、人口がだんだん減っていく三宅にもう少し若者が残って仕事ができるような政策を村の人たちと一緒になって考えたい。そのために予算が要るならば、ほかの地域の配分とかいろいろ難しいところはあるけれども、精いっぱいやりたい。それは何も阿古部落だけではなく、坪田についても神着についてもまんべんなくやりたい。そして、やることによって村の一部の人たちだけが潤うようなことは絶対させません。そういうつもりで、私たちとしては安保の運用のためにしなければならないことだから何とかお願い申し上げたいと根気強く今後も説得していきたい、こう思っております。
#148
○岡崎委員 随分PRなさいますけれども、私の聞いた二年、三年あるいは五年、反対が絶対多数で続いた場合でも断念されないかということなんですよ。
#149
○加藤国務大臣 根気強く説得し、御理解いただけるように、時間がかかっても頑張ってまいりたいと思っております。
#150
○岡崎委員 それでは根気強くまた反対運動が広がっていくというふうに思います。
 いずれにせよ、安保条約についてお触れになりましたけれども、こういう事態を招くからこそ国民は安保条約にも反対するわけなんですよ。また、島民の人たちの中にも安保条約についての批判が広がるわけなんです。つまり、四千三百の島民の人たちが平和な暮らしを自立の道で発展させようとしているときに、安保条約のまさに犠牲になるような状況なんですね。そういう平和な島を犠牲にするような安保条約だからこそ反対なので、安保の被害というのはそういう形で出ているわけなんです。
 そこで、私はもう時間が来ましたので終わりますけれども、問題はやはりこういう点だと思うのです。日米安保条約を強化する立場で、三宅島にNLP基地をつくり、先ほど言ったシーレーン有事とかいった非常に危険なアメリカ有事の参戦体制に日本を巻き込むような、そういう訓練基地をつくっていくのか、三宅島の住民の人たちの意思を踏みにじってつくっていくのか、それとも、住民自治の立場を尊重し、絶対多数の人々があくまで反対ならば、そしてまた、その反対の根拠は平和な島、愛する産業に立つ島、そういうことがあるならば、これについては考える、そしてこの計画については撤回する、どちらかだというふうに思いますけれども、あくまで前者の道であって、後者の道はおとりにならないかどうか。もう方針でしょうから答弁はわかっていますけれども、最後に一言お願いします。
#151
○加藤国務大臣 あくまでも説得し続け、そして村にいろいろ御迷惑をかける部分は、村の自立性が尊重されるような施策をしっかり村の人たちと相談して各部落につくっていくことを御理解願うようにしながら、最後まで頑張って御説得申し上げたいと思っております。
#152
○小渕委員長 これにて岡崎君の質疑は終了いたしました。
 午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三分開議
#153
○小渕委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。小川泰君。
#154
○小川(泰)委員 きょう私はできるだけ働く立場に立ったという観点から、幾つか関係した質問をさしていただきたいと思います。
 まず最初に、大臣の御都合で、御連絡もございましたので、順序逆になりますが、外務大臣の方に先にお願い申し上げたいと思います。
 もう間もなく日程化されておるサミット、先進国首脳会議、こういうものに向かっていろいろ準備をされ、整えられておると思いますが、数年前から私も若干こういう立場の以前にかかわりまして、これに対応いたしまして国際的な労働界の連中も一緒になって先進国首脳会議、こういうものに一つの意見を述べ、全体の役に立とうやということで始まったいわゆる労働サミットというものに一、二度出さしていただいたこともあります。たまたまことしは東京ということになりまして、御案内のとおりこれは労働省あたりを通じてと思いますが、私の手元にいただいていますのでは、四月の二十日から二十四日ぐらいにかけまして主要国のそれぞれの労働団体の代表が東京に集まられ、総理との会見もする、労働大臣ともお会いをする、こんな日程ができているやに実は伺っておりますので、御連絡が行っていると思います。
    〔委員長退席、原田(昇)委員長代理着席〕
 また、これに臨むメンバーも、ちょっと確認段階までいっておりませんが、私の方に参っておるのを見ますと、AFL・CIOのカークランド会長を初め、あるいはDGBのブライト会長とか、そうそうたるメンバーが、最後にTUACの事務局長までもこっちに見える、こういう段階であります。そういう状況に対して、昨年OECDの閣僚会議並びにボン・サミットに対する声明ということで、TUACが総会で、三月の二十一日か二日だったと思いますが、当時の国際環境その他に触れまして幾つかの決議をして意思表示をしているものがございます。手元にありますので、重要な部分は読み上げてもよろしいかと思いますが、時間がありませんが、随所に、ちょうど今日本が貿易摩擦の問題であるとかあるいは内需を拡大しようとか、いろんな問題にそう変わりなく去年触れられております。その中のくだりに、パラグラフのしばしばのところに「時には日本」、こういうような名指しのパラグラフの中に、ちょっとしっかりしてほしいというような項目も幾つかございますので、それ以降の変化、こういうものを見てみましても大体似たような傾向がことしも出てくるんではあるまいかということで、既にTUACの総会に向けてこちらの方の意思表示もされておるようであります。そういう環境の中で、今申し上げたような格好で労働サミットが持たれ、政府、議長国の総理に向かって意思表示がされるというプログラムになっておるようでございます。
 そこで、私も二度ほど行ってみたのでありますけれども、その議長国の政府あるいは議長に当たる総理、こういう方と会ってみまして、その国々の性格にもよりますけれども、なるほどな、こういう雰囲気の中で会う場合がありますし、いかがかなという感じの雰囲気の中で会う場合もあります。そんなことを考えてみますと、ことしは東京に政治の分野も労働の分野も集まってきて、そのころは、環境を見てみますとなかなかの時期にぶつかるなということがありますので、恐らく労働省あたりと御連絡をいただきながら外務省でもそれにこたえる準備、こういうものがおありだろうなというふうに思っておるわけであります。
 なお、時間がありませんので、私のお答えの前に気持ちを申し上げさせていただきますと、このTUACとか、たまたま七カ国の代表が来ますけれども、それを取り囲んでおるいろいろなところの国々の政治の環境を見てみますと、時には労働代表であった人間がその国の総理になったり、今現役で大臣をやっているとかというような方々が多くあります。そういうことを考えてみますと、この労働サミットと国側の対応というものは、この時点だけを見ないで、その前、終わってから後、そういう人間関係なども十分頭に置きながらしっかりした対応をぜひお願いしたいなというのが私の願いの一つなんです。どうぞそこら辺も踏まえて、御準備のほど、心組みのほどありましたらお答えを賜りたいと思います。
#155
○安倍国務大臣 いよいよ五月の初めから東京で定例サミットが行われるわけでございます。今度は日本が議長国ですから、非常に責任が重いわけであります。同時に、このサミットを成功さして、やはり今後世界経済に一つの明るさを印象づけるということが非常に大事であろうと思います。
 このサミットを踏まえまして、サミットの前にいろいろとサミットに対する提案あるいはまた意見等を表明するという形で、いろいろのグループで会議等が実は行われるわけでございますが、その中で、今お話しのように、いわゆる労働サミットも毎回行われておると承っておりますし、また今回も行われるわけでございます。これは、サミット七カ国の労組指導者がサミット開催国で会合をして、OECDの労働組合諮問委員会、おっしゃるようにいわゆるTUACの総会で採決されたTUAC声明をサミット開催国首脳、関係閣僚との意見交換を通じてサミットに反映することを目的としたものでございまして、例年労働界の指導者の方々から貴重な御提案、御助言を得ております。
 私も何回かサミットに出席をいたしましたが、その間に日本の労組の代表の皆さんからTUAC声明の検討を踏まえた御意見等もお聞きしております。また、サミットに対する要望等も承っておるわけでございます。本年は特に東京で行われるということでございますので、指導者の方々と建設的な意見交換を行って、東京サミットの成功につなげていきたい、こういうふうに考えております。
 いろいろと準備は進んでおるようでございます。これは労働省でも十分御承知のことだと思いますが、参加国のメンバーにつきましては、日本側のTUACメンバーであるところの同盟、総評、中立労連の労働三団体が決定の上、招聘を行う旨聞いております。なお、現在カナダ労働組合会議、ドイツ労働総同盟、フランス労働総同盟及びフランス民主労働総同盟、イタリア労働総同盟及びイタリア労働組合連盟、英国労働組合会議、米国労働総同盟産業別組合会議のほか、国際自由労連等の国際労働組織五団体に対して招聘が行われると聞いておるわけでございまして、世界の労働組合あるいは国際労連関係の首脳といいますか、主要なところはほとんど全部招聘が行われておるということでございますが、どの辺のところがお集まりになるかは、私はまだ承知をいたしておりません。
 しかし、東京サミットを成功させる上においても、この労働サミットというのはそれなりに非常に意義のある会合、国際会議ではないかと思いますし、その意見は十分踏まえて、これを東京サミットに反映させなければならぬ。今御指摘がありますように、世界経済のこれからの持続的な安定発展を図っていくために、日本には日本の市場開放の問題あるいは為替の問題、あるいはまたヨーロッパはヨーロッパの失業の問題あるいはアメリカにおける高金利であるとか財政の問題、いろいろと問題が今山積をしております。特に南北問題等も恐らく労働組合の皆さん、大変御関心を持っておられると思いますし、そういう点等もまた意見を聞かせていただく機会が必ず来ると思いますし、意見を聞かせていただいてこれを反映させるために努力はいたしてまいりたい、こういうふうに思います。
#156
○小川(泰)委員 これ以上触れますとずっと広がっていきますから、心組みのほどをぜひひとつ実現するようにお願い申し上げたいと思います。
 外務大臣に対する質問は、これで終わらせていただきます。
 続いて、それではこれは労働大臣になりましょうか。この予算委員会の初めの方で、春の賃金問題に関して、政府の一つの考え方というものをめぐってただされた経緯にちなみまして、私、前の予算委員会のそのやりとりの部分を拝聴しておりますので、確認をまずしてから御質問に入りたいなというふうに思うのです。
 それはどういう点かといいますと、毎年行われる春の賃金の引き上げとかあるいは労働時間の短縮とか、時には定年延長であるとか、さらには社会保障の補完的部分とか、いろいろその労組によって取り上げ方が違いますが、一連の賃金を中心とした動きがあります。そういうものに向かって、ことしはいち早く経済審議会とかあるいは産業構造審議会とか、それぞれ「展望と指針」とかあるいは「基本構想」という形で検討が加えられ、今直面している事情に対する一つの考え方が出されております。これをめぐりまして論議されておることを承知しておりますが、そういう観点と、もう一つは、賃金、労働条件などというものは基本的には労使で決めるべきだという原則があるわけでありますが、対応する使用者側の方の昨今の動きをずっと見ておりますと、十年一日のごとくいわば縮小均衡的な範囲内で、先が見えないよという前提でという対応の姿勢が見えます。
 とりわけことしは、今申し上げたような審議会の検討の経過などを調べますと、政府もなかなか積極的、こういう感じがあります。とりわけ内需拡大をするために所得をふやさなければいけない、ふやすことによって消費が喚起される、それは内需拡大につながる、その一翼として賃金もできるだけ多く、平たく言えばこういう発想が出ておるように思いますが、そのような態度で政府としてもお臨みになるのかどうか、この一点だけ冒頭に確認しておきたいと思います。
#157
○林国務大臣 お答え申し上げます。
 経済発展の成果を賃金と労働時間短縮に適切に配分することというようなことは、経済審議会の報告にもございました。勤労者の福祉、生活向上のみならず、内需の拡大の面からもこういったことは望ましいというふうに私どもは思っておりますが、具体的にこの配分につきましては、先生おっしゃられましたようなそれぞれの労使の自主的な話し合いを通じて適切に対応することということが基本になっておりまして、私ども政府といたしましては、適度な経済成長と物価の安定、それからまた週休二日制の促進といったような環境整備に力を入れていかなければならない、このように考えておるわけでございます。そういったことを念頭に置きながら、今後の労働行政を進めていきたいというふうに思っております。
 具体的なお答えになったかどうか、ちょっと言葉足らずではございますけれども、今先生のおっしゃられましたことに対してどういうふうな対応をするかということになりますと、それぞれの機関の審議会その他の意見などを踏まえて私どもはそれに取り組んでおるということでございます。
#158
○小川(泰)委員 大臣、言いづらい点もおありなのかもしれませんが、結局今世を挙げて貿易摩擦以来、あるいは行革で、ある部分を見直し、さらには内需を拡大しようという一点にいわば経済の活動はぐっと今絞られてきておるように思うのです。そうしますと、内需を上げようというのは、やはり使うお金がふえませんと使えない。そうしますと、賃金が上がらぬとなかなか使う気にならぬ、これは世の道理だと思いますので、そういう方向で御対応になるかどうか、ここだけちょっと聞かせてくれませんか。
#159
○林国務大臣 働く者にとりまして賃金が上がるということは、これは一番大きな願望であろうかと思います。そしてまた、働く時間の短縮によりましていろいろ勤労者の知的向上を図る時間も欲しいとかいったようなことは、これは働く者にとっては当然考えられるべき願望でございます。
 そこでいろいろと今日まで推移を見てまいりましても、労働省としてこういった賃金の問題にまで深く立ち入るということでなしに、賃金の問題あるいは労働時間の問題はそれぞれの労使の話し合いによって決まっていくものだ、このように私ども思っております。
#160
○小川(泰)委員 それではもう少し観点を変えて、これは企画庁になるのでしょうかね。
 私は今極めて端的に、需要を喚起するためには所得が上がった方がいいんだ、こういう観点から申し上げました。今の経済を見ていますと、最大のポイントは日本の一億二千万人の皆さんのいわば需要を起こそう、こういうことが重要なポイントだろうと思います。起こすために、起きるためには何が必要かという中の一つの問題点として所得が上がることだ。あるいは、可処分所得を上げようとすれば税金を公平にしてできるだけ税は減らすとか、幾つかの手だてがある。あるいは、景気が上がるためには公共の投資をしなければならぬとか、これはもう言い尽くされておりますからあえて触れません。そういう中の一部分、こういう認識をいたした場合に、随分と需要を喚起するための要件、こういう条件が複合されていると私は思うのです。例えば、高齢化社会と一口に言います。そうしますと、働き終わった後の所得はどうだ、それを病気のときに備えるためにはどうするんだ、いろいろな問題を考えると、貯蓄率が世界一高いのは一体何だというような現象になってこれをとらえてみたりとか、いろいろ出てまいります。
 そういう点で考えてみますならば、これはどうなんでしょうね。賃金が上がりそして自分を見返せる、人間の自由時間が拡大するという目標に向かって時間が短縮される、こういう要求が次に起こってくる。そういう状態になりますれば自分の人生を見返せる、経済的にも多少ゆとりが出る。さらに老後に向かっては、社会保障が整えば安心して将来へ向かって対応もできる。あるいは住む住宅環境、まだ決して今の住宅環境は立派だとは言えませんが、住宅もそうそう心配しないで手に入るぞ、あるいは子供の教育もそんなに金がかからずにいけるぞ、こういう幾つかの複合された保障感といいますか安定感といいますか安心感といいますか、そういう条件がまず逐次整えられていって、それが需要の喚起の方に結びついていく、こういうものだろうというふうに私は考えているのです。とりわけ、そういう中における所得をふやそうというための賃上げあるいは時間短縮というものは大変大きなものだなというふうに見ておりますが、そういう観点でいま一度労働大臣の方でお答えをお願い申し上げたいなというふうに思います。
#161
○林国務大臣 お答え申し上げます。
 賃上げによる内需拡大という、もう基本的には先生おっしゃるとおりであろうと私も思いますが、賃金あるいはまた労働協約の問題ということは、先ほどからも申し上げておりますように、労使双方の話し合いの上で決められるものが基本であるというふうに私どもは認識をいたしておりますので、先生おっしゃるように、本当に基本的には賃金の上がりあるいはまた労働時間の短縮によって内需が拡大されるというふうな認識は持っております。
#162
○小川(泰)委員 さらに論議をもう少し広目に見させていただきますと、今日本の労働組合の組織率は三〇%弱、主として工業、産業、生産労働者が中心になっておる。この人たちが集まって春に賃金交渉をやる。ところがその交渉の中でも、相場形成というのが今不文律ながら一つの流れになっています。そして労使で交渉をする。さて、その部隊はどのくらいの集団がといいますと、まあ三割弱の中から見てぐっと絞っていきますとわずかな部隊が交渉をして一つの賃金の結論を出す、それが相場になる。
 こういうことを考えてみますと、今就業労働者と言われておる日本の人口は約六千万、こう言われていますね。この労使の交渉の自主的な解決、これは尊重され、進んでいかなければならぬけれども、そこによってでき上がった結果というものが、強弱、薄い濃いはいろいろあるかもしれませんが、結果として六千万の就業労働者の所得に対して一つの規範を決める、こういうことは否めない事実になります。これは大変なものです。日本全体の消費構造の中でも、六千万の人がどう動くかということによって日本の経済構造も変え得るというくらいのウエートを持っている、こういう認識に私たちは立つわけでございますので、政府の方としても、確かに労使交渉そのものは自主性を重んじ、やらせなければいかぬけれども、出てくる結果というものはこれは大変な影響力を持ってくる。賃金にしましても労働時間にいたしましても定年延長にいたしましても社会保障問題、各般にわたってそういう影響力を持つ、こういう認識で政府の対応があってしかるべきだな、こう思うのです。
 どうも今までのお答えを聞いておりますと少し消極的な感じがいたしますので、国を挙げてもう一回内需を拡大しよう、その大宗はこれだよという認識があったら、それに対する構え方もそれ相応の構え方がありませんとなかなか勢いが出てこない、こういう気がいたしますが、そういう観点からいま一度お答え願えませんか。
#163
○林国務大臣 お答え申し上げます。
 先ほどからも申し上げましたように、具体的な労働条件は労使が自主的に決定すべきものであるということは再三お答え申し上げたとおりでございますが、労働行政の環境の変化に対応するためにそれではどういうことがなされなければならないかというふうなところに思いをいたしますと、それは何と申しましても賃金あるいは労働時間あるいは定年制の問題、そういったようなものが深くかかわり合いを持ってくるというふうに思います。
 そこで、労働省といたしましては、それぞれのそういったようなことが円滑に労使の中で話し合いがされ、それが決まりますような環境整備に努めてまいるというのが私どもの使命であろうか、このように考えるわけでございます。
#164
○小川(泰)委員 うんと立場を変えて、その裏づけ的な内容についての御認識を伺いたいと思うのです。
 現在、日本が奇跡の経済回復と言われ、ある年には諸外国から調査団が派遣される。その中の一つに、どうして日本の企業別労使関係がこんなにうまくいっているんだろうか、そこら辺に生産性が大変上がる日本の経済の活力の源があるんではあるまいかというふうなことも言われて久しいわけであります。これは御案内のとおり、今まさに日本の大半の労使関係はそういう道を歩もうとしておりますし、歩んでおります。私は大変結構だと思います。こういう状態に持ち込むまでにはいろいろな四十年間の紆余曲折、困難や矛盾を克服してここまで来ておる、こういうふうに思うのです。
 ところが、このままでいいのかという観点から現実をじっと今ここに見てみますると、私ははてなという部分がぱらりぱらりと見えてならないのです。言葉が過ぎてしかられる部分があるかもしれませんが、かつてはいわば階級闘争といいますか、一つのそういう流れをくんだ労働組合運動と、最も民主的な方法をとっていこうやというふうな問題の相克の時代もありました。かつては総評議長の太田さんと時の総理大臣の池田さんがストライキを前にして会わなければ世の中の混乱がなかなかおさまらぬという時代もあったことは、記憶に新しい一つの足取りだったと思います。
 そうやってこの四十年を考えて今の状態をじっと見た場合に、一体どうなっているのだろうということなんです。ややもするとこういう安定化が続いてまいったり、さらには経済がぐっともう一つ開かないな。昨今のように円高、こういうものが急激に入ったために、大きいところは何とかしのいでいくけれども、系列企業であるとかまた孫企業であるとかさらにそれを受けるひ孫企業であるとかいうようなところにもろにいろいろな問題がぐっとしわが寄っていく。倒産が続く、労働者がどうするか。今浮上しておりませんが、労働行政という面でそこら辺に相当腰の低い、足が地につくような視点からの労働情勢、職場環境なり産業の実態なりというものを今こそ注意深く、うんと力こぶを入れてその辺を把握し、どう対応すべきかという認識の時代だというふうに僕は思っているのです。
 特定の会社の名前を挙げるわけにはまいりませんが、かつて労使関係紛争のときのその会社の労務陣容のありさま、そこに配置される人間の質、こういうのと、ぐっと安定化してしまって今どうなっているかというと、これは申し上げられませんが、少し緩んだな、甘いなという風潮さえも感じないわけにはまいりません。これを私は大変重要な時期を迎えたときの一つの大きな視点ではないかなというふうに思うのですが、そういう観点からことしの労働省の提出されている予算の項目を見たりいろいろな課題を見ますと、いろいろおやりいただくようでありますが、そういう観点から何をすべきかということがちょっとにじみ出ませんので、その辺をお聞かせいただきたい、こう思います。
#165
○林国務大臣 今日の我が国の安定した労使関係は、いろいろと産業構造の変化とか、また高齢化の問題とか、そういったもろもろの問題を抱えながら緊張関係の中で、労使の本当に真摯な努力の積み重ねによりまして今日のこの安定した労使関係になっているというふうに私どもは認識をいたしております。
 そこで、今後とも労使双方がこのような安定した関係を持続していくように私どもとしては意を用いていかなければならないというふうに思い、また労使関係の維持発展に私どもも力を尽くしていかなければならない、このようなことを思っているわけでございます。
 そしてまた、先ほど先生おっしゃいました中小企業の問題でございますけれども、労働省の中におきましても中小企業の労働問題というものには大きな関心を持って、これに対応するにはどうすればいいか、研究会なども開きながら今いろいろと研究をいたしておるというような次第でございますので、その中小、零細の方々のところにもきめの細かい配慮をしていかなければならない、このようなことを思っているわけでございます。
#166
○小川(泰)委員 また別の立場からの今の働く多くの人の率直な気持ち、こういうものの一例を挙げて、これは労働大臣になるのでしょうか、みんなかかわってくるので、申し上げますから適当に答えていただきたいと思うのです。
 高齢化社会、ほとんどの人が就業労働者として生涯を終わっていく。こういう人生のプロセスを考えてまいりますと、幾つか大きな問題があるのかもしれませんが、当面している今の実態は住宅、土地、こういうものが大変ふぐあいのまま進んでおるのではないかというふうに私は思えてならないのです。
 例えば普通のサラリーマンが学校を終わって就職をする、営々として働いていく、子供もできた、育っていく、教育にはお金がかかる、勤労所得税を初めいろいろな税金も、年々賃金のベースが上がるのですから、これは今の税のあの仕組みを見ればだんだん負担の額が上がってくるのは当たり前にできている。こういったことになると、可処分所得がうまくいかない、景気、不景気によって時間外も思うようにいかぬ、そこへもってきて貿易摩擦だ、いろいろなものが複合されてまいりまして、やっとの思いで通勤時間は非常に長いところに住宅を手に入れる。得た家というものはそんなに自慢するような立派なものではない、そういう経過を経まして一生懸命働いていく。
 子供が大きくなりました。やがて自分も五十七、八、六十、定年を迎えるころ。定年になりました、わずかの退職金をもらい、次は年金への思いを込めて老夫婦二人の生活に入っていく、そのころにはその家も大分傷んでくる。やがて生涯を思い返す時期になったときに、一体おれは何のために生まれてきたのだろうか、こういう思いが去来するような事情に今あるように私は思えてならないのです。そういう中で生きがいを覚えなさい、人生をエンジョイしなさい、こう幾ら言葉でかけ声をかけましても、なかなか奮い立つ環境にはないんじゃないかなというふうに思えてならないのです。
 そういうまじめな労働者のプロセスを考えますと、大変なことだなということで、そういう総合された問題に対する認識、把握の仕方と、どこから手当てをしていったらいいのかという問題が今非常に望まれ、求められている、こんなふうに思うのですが、どんなふうに御認識になっているのか、所見があったらちょっと聞かしてもらいたいと思うのです。
#167
○林国務大臣 労働省におきましては、来年度勤労者の老後生活安定対策の総合的研究を実施してまいることにいたしております。具体的に申しますと、所得へ住宅、生きがい、医療、介護などトータルな視点から見て勤労者が老後において安心して生活のできる仕組みについて研究することにいたしております。
 それと、それまでに至る現役時代からの準備の過程につきましても検討することといたしておりまして、御指摘の点につきましてはこのような研究の中で十分配慮してまいりたい、このように今思っているわけでございます。
 また、来年度からは高年齢者の引退後の生活設計の充実を図るための施策やあるいはまた勤労者の生涯にわたる福祉の向上を図るための方策の研究も予定をいたしておりまして、こうした施策とあわせまして、先生おっしゃるようなことについてのきめ細かい配慮をしながら対応するようなことに意を用いながら続けていかなければならない、このように思っているような次第でございます。
#168
○小川(泰)委員 全く時間がありませんので、ちょっと渡辺通産大臣にお伺いしたいと思います。
 今一連の賃金の問題、内需の問題、幾つか述べました。とりわけいつも取り上げられるこの中小企業問題というものに対するいろいろな対策の法案なり政治の手が伸びていっておりますが、最近こう見てみますと、その会社なり企業がもつかどうかというためのいろいろな手当てがされていきますが、十人、二十人、五十人ぐらいの小さな会社の働く素顔といいますか、社長といえ、あるいは専務という名前はついているものの、もう先頭に立って油だらけになって働いていかないと容易なことで立ち行かないという状況になることは先刻御案内だと思います。
 そういう中で賃金とかあるいは労働時間とか、そういう労働サイドから声なき声として、これは格差がひど過ぎるな、こういう声が非常に強いのです。しかしなかなかないそでは振れない。こんなやりとりの中で、毎年毎年四月が来ると、あっちは上がったな、おれの方はどうだろうな、そういうところの労働者の声を非常に強く耳にいたします。どうぞそういう観点を踏まえまして、とりわけ中小零細企業対策というものは今一番大事なときではないかというふうに思いますので、所見をちょっと聞かせていただきたいな、こう思うのです。
#169
○渡辺国務大臣 実は私も中小企業者なんです。三十何名使っておりまして、もう四十年来会計事務所というのを持っておりまして、実際、定期的にベースアップ、ベースアップ言われましてもなかなかそう大企業のようなわけにいかない面もございますし、関与先もほとんど零細中小企業ばかりでございますから、大体実態はわかっております。
 中小企業対策としてどういうことをやったらいいかといつも頭を痛めているのですが、もう千差万別でございまして、なかなか農業のように簡単にいかないんですね。共通する問題というのは、一つは金融、金融でいろいろ手助けをするということはどこにも共通した話。その次は税金ですね、税制。これも共通した話でありますが、あとはということになりますと、もう何百、何千という職種に分かれておりますから、なかなか全体的にうまくいくというものがない。中小企業の面倒が足らぬということで私もしょっちゅうしかられておるわけでありますが、今全体から見て、局部的にまた地域的にあるいは業種間で非常に落ち込んでおるという中に中小企業などが多く入ってくるわけであります。特に今回は円高問題というのがあって、輸出関連の中小企業者は非常に苦しい状態にある。これが余りにも急激であったということでそれに対応できない。心の準備もないし、二百円ぐらいじゃないのかと思っておったところがそれ以上に進んじゃったということで現在のような円高ショックを受けているということは事実でございます。
 したがいまして、通産省といたしましては今回の円高の特別転換対策の臨時立法をこしらえまして、今までのように余りぎすぎすしゃくし定規ではかりやりますと適用者が少ないというのでは意味がないわけですから、それを弾力的にもう少し貸せる範囲等につきましても広げてやろうということで、今回も業種間の幅を少し広げるとか、あと個別についても見られるものは見るというようなことで当面の問題に対応をしていきたいと考えております。
#170
○小川(泰)委員 通産大臣、こんなのはどうなんでしょうね。私も体験しているのですが、これは千差万別、仰せのとおりいろいろなことがありますけれども、例えば大きなところから中小企業に仕事が出ていく、こうなりますね。そのときに、仕事を出す側という意識が往々にして働く。仕事を受ける中小企業の方は仕事をもらう側、こういう意識が働きますね。ここがどうも私はひとつ吹っ切れない点だというふうに思うのです。いつまでもそういう関係に甘んじ、そういう中に埋没していく限り、日本の従来から言われておる二枚腰の一つの要素でもあるかもしらぬが、産業の二重構造みたいなものをみずから改善しようという方向じゃなくて続けようという、そういう流れになってしまいますよ、こういうふうに中小企業の経営者の人には私は言っているのです。自分が受けた仕事、自分がやっておる仕事というものはおれがやらなければだれもできないのだ、自分のやっている仕事に対して自信を持ち、プライドを持って、出す側に対しても言うべきことは言い、主張すべきことは主張する、こんなぐらいの気持ちの転換をしてこれから臨んでいかないと、何かしょっちゅう追われ、その中に何かうまいところがないかということで生き抜くようなありざまではこれからいかがかなというようなことをよく中小企業の皆さんと私はお話ししているのですよ。
 もちろんいろいろな産業、千差万別です。渡辺大臣のところみたいな経理事務の会社もあれば、油だらけになって金属工業の下請をやっているところもあるし、商売をやって売っているところもあるし、挙げれば切りがなくあります。それに対応しながらそういう姿勢でこれからいこうやというふうな自信をつけるというか後ろ盾をつくってやるというか、もちろん経済的にいろいろな金融措置やら税の措置やらそういうものはやらなければいけませんが、もう一つそういう中にばっと魂を入れていく、方角を転換させるというふうな気合いも一つ必要ではないのかなというふうに思っているので、とにかく大臣は大蔵大臣も経験したりいろいろな卓越した識見を持っているのですから、ここらあたりでそういう新しい一つの流れをつくるような指導なりあるいはリーダー格になってぜひやってもらいたいな、こんな気持ちがありますので、これは答弁のあるなしにかかわらず、僕の気持ちを申し上げまして、ひとつ吟味の対象にしていただきたいということを申し上げて私の質問は終わりまして、あと関連質問にいきたいと思います。
#171
○原田(昇)委員長代理 この際、伊藤英成君より関連質疑の申し出があります。小川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤英成君。
#172
○伊藤(英)委員 建設大臣の後の御都合もあるようですので、まず住宅減税の問題についてお伺いをいたします。
 住宅減税の一層の拡充を図りたいということで申し上げたいわけでありますけれども、まず建設大臣、我が国の住宅の現状についての認識をお伺いしたいわけであります。いずれにいたしましても、日本は最低居住水準未満の世帯が約四百万世帯ある。あるいは国際比較をいたしましても、日本が住宅に満足している人の世帯が半数にも満たない四六%しかない。これは建設省の数字でありますが、それに対してアメリカなりイギリス、ドイツ、フランス等ですと七割を超しておる。あるいはまた住宅価格と所得との乖離の問題をとりましても、日本は年収の六・五倍ぐらいなんですね。それに対してアメリカとかイギリス、フランスですと約三倍ぐらい、こういうふうに日本は住宅事情が非常に不十分だというふうに思うわけでありますけれども、その辺の認識についてまずお伺いいたします。
#173
○江藤国務大臣 最近、住宅問題が国会でも熱心に取り上げられまして、大変私どもも責任の重大さを感じておるわけでありますが、先生も御承知のように、私どもは最低居住水準というのは四人家族の場合に五十平米、それから平均居住水準、大体四人家族で八十六平米、こう考えておりまして、その最低の五十平米に達していないのが今お話しのように三百九十五万世帯もある、また四大都市圏では二百六十三万世帯もあるということで、居住水準が極めて低い状態にあるということはこれはもう御意向のとおりであります。したがって、そういう意味から、やはり極めて住宅に不満だという家庭が三八%もある。
 そういう中で、最近は賃貸住宅なかんずく公的住宅等については、量から質の時代に入った。私どもが六百七十万戸家を建てたい、こう言っておりながら、片一方では三百二十万戸の空き家がある。そのうちの四三%は全く使いものにならぬ。それは狭い、古い、それから便所、台所がないというようなことで、もう建てかえなければいかぬ。こういうふうなことを考えると、欧米に比べて非常に水準が劣っておることはもう間違いがありません。
 ただ、今、都市再開発ということがよく言われますが、地方は別として東京を見ますと、こういうことを言う人がおるのです。地価が高いものですから、本当に家を建てよう、再開発をしようと思うと、建築費というのは二割で、あとの八割は土地代だ、だから、土地の安定的な供給がない限りなかなかいい住宅が建たぬということをこの前から聞きまして、これは私ども十分肝に銘じて、こうした地価対策、土地の再開発ということに取り組むべきだな、こういうことを実は感じておるようなところでございます。
#174
○伊藤(英)委員 土地問題も全くそのとおりだと思いますし、またその問題につきましては改めて建設委員会で問題にしたいと思います。
 今のお話で現在の日本の状況についての御認識はわかるわけでありますが、そういうことだからこそ、ことしの初めの日本経済新聞にも建設大臣へのインタビュー記事が出ておりましたけれども、そのときも大臣はこういうふうに言っておられます。「住宅は内需拡大を進めるうえで最も影響が大きい。」そして「住宅金融公庫の融資枠はもっと拡大すべきだろうし、住宅減税だって一%などといわず、もっとやったらいい。」ということを発言をされているわけです。
 そして今のお話と同時にまた、この間予算委員会が二月六日に行われたときに、総理も来年度の税制改正における住宅減税案についてこういうふうに言っておられます。「日本の内需振興について住宅政策が非常に重要であるという点は、全く同感でございます。」そして「今回やっておる政策もその一部でございますが、私はまだみみっちいと自分でも思っておるのであります。」要するに今回のこの案はみみっちい、こういうふうに言っておられます。そういうように総理みずからも自分ではみみっちいと述べておられるわけです。そういう答弁をされているわけでありますけれども、これをどのようにお受け取りでありますか。これは建設大臣とそれから大蔵大臣にもあわせてお願いいたします。
#175
○江藤国務大臣 大蔵大臣は治山林道協会の会長やら大規模林道の会長をしておりますから、やはり材木は高く売れて本当の森林資源国家になるということを一番望んでおられる方だと私は思うのです。しかし、ないそでは振れぬということで、六十一年度五百億の減税の中で三百九十億は住宅減税に充てられたということを見ると、まあ精いっぱいの努力をしたというその努力の跡は高く評価すべきであると私は思います。しかし総理が言われるように、総理ももともとは材木屋さんですから、総理もやはり非常にみみっちいということをみずからお考えになっておるのでしょう。それは、木材産業から最近の大工さんの状況から見たら、私は当然だと思うのです。ただ、減税だけで一体住宅が建つのかな、やはり地価の問題あるいは可処分所得の問題、もろもろの問題が総合して、先行きローンでも払うことに心配がないという状態ができないと、なかなかやはり建設に乗ってこないのじゃないかと私は思うのです。
 ただ、住宅が内需拡大の今チャンピオンだと言われますが、家が一軒建つということは、大体百五十の業種に影響が及ぶと言われておるのが常識であります。百五十の業種が何らかの形で関与してくる。それから住宅投資一に対してGNPを二・七二引き上げる、だから内需の喚起はやはり住宅だ、こう言われるわけですから、ことしは精いっぱいなことであろうと思いますが、これから来年、六十二年に抜本的な税制の改正をやろうというわけですから、私どももそれに向かってこれからゆめおさおさ怠りなく頑張らなければいかぬということで準備をしようと覚悟しております。
 それからもう一つ、聞くところによりますと、この二月二十四日から預金金利が引き下げられるという話がございますので、事務当局に対しては、せっかく公定歩合が〇・五下がる、それならば住宅金融公庫等についても、どれだけ下げられるかわからぬが、ひとつ大蔵省にお願いをして――今税金下げろといったって予算審議中でできませんけれども、少なくとも住宅金融公庫の貸出金利等に公定歩合の引き下げの好影響が及ぶようにひとつ精いっぱい努力してみようやと言っているのです。恐らく大蔵大臣、そうすげない答えはなさるまいと私は思っておりますが、ちょっと聞いてみてください。
#176
○竹下国務大臣 住宅問題について、今江藤建設大臣からお話がありましたが、私が建設大臣をしておりましたのは昭和五十一年ですから、もう随分古い話になりますが、そのとき百九十万空き家、それが今三百三十万。当時は遠高狭と申しておりました。遠くて高くて狭いところでございますが、絶対数はそうでありながら事実住宅が貧弱である。これは基本的には土地問題、先ほど来の話のように思います。
 例えばアメリカと比べてみますと、総面積が二十六分の一。それで平地面積が七十七分の一、約八十分の一。伊藤さんもニューヨークでお暮らしになっておりました。お世話にもなりました。したがって、人口が半分ですから、一人当たりにすると大体四十分の一。そうすると、あのロサンゼルスの三浦さんのおられたようなところが坪当たりが五万円で、東京のほどほどのところは、二百万というとちょうど経済原則は四十分の一、あるいは四十倍である、こういうことになります。その宿命を一つ抱えておるということは、やはり住宅政策の中で考えなければいかぬことだなというふうにいつも思いますが、なかなか名案がございません。しかし線引きの問題とか、今江崎大臣がその中心になってそういうことをやろうということになっておるわけであります。
 それで、税制の問題で申しますと、我々が参考にしましたのは一つはレーガン税制でございますけれども、あれは向こうにいらしてわかりますように、アメリカの場合は、いわゆる支払い利子控除制度というのは、事業上の利子か非事業上の利子かを問わず、また住宅にかかわる利子であるのか何であるのかを問わずアメリカの所得税制の独特のもので、とにかく利子は全部控除する、こういうことでございますので、これはやはり日本の税制体系の中へは入れるわけにはいかぬわいな、こういうことになって、いろいろ工夫して今度やりました控除率の引き上げ一%の問題でございますが、あれにしましても結局四百七十五万円をお取りになっておる方の所得税と同じことになるわけでございますから、四百七十五万円の人で住宅ローンを借りていない人は納めて、借りている人だけは四百七十五万はまさに所得税を納めない層に入っていく、こういうことになりますので、いろいろその辺の税制体系上の矛盾を感じながらやっと構築して一%、こういうことにしたわけであります。
 それからもう一つ、これは先年の改正のときでございましたが、例の親または祖父母から受けた自己の住宅用家屋の取得資金を贈与するやつ、年に六十万円の分を、あれを五分五乗によって計算することによって非課税とするというような工夫はいういろやっておるわけでございます。したがって、さらに私どもといたしまして、今日いわば新築住宅だけでなく一定の既存住宅の場合にもこれを適用するとか、そういうようないろいろ知恵を絞った結晶が今日の住宅減税ではなかろうか、このように思います。したがって、住宅減税の問題につきましても政策減税としての立場、どのように取り上げられるか、国会で議論がありますから、正確にそれを税調へ報告すれば当然やはり審議の対象になるだろうと私は思います。思いますが、ことしは根本を変えない中でやった措置としてはまずまず知恵を絞ったところではなかろうかな、こんな感じで御理解を得るように一生懸命で努力をしておる、今も努力の一端を披瀝しておる、こういうことであります。
#177
○伊藤(英)委員 金融公庫のお話はどうですか。
#178
○吉野政府委員 お話は、原資でございます運用部の預託金利が下がることに伴いまして住宅公庫の貸出金利も下げてはどうかというお話かと存じますが、御承知のとおり、住宅金融公庫の貸出金の大宗は五・五%という極めて低い金利でございます。現状におきましても原資でございます運用部の金利との間に極めて大きな逆ざやがございます。逆ざやがございますので、御承知のように住宅金融公庫に対しましては毎年度極めて巨額の補給金を交付しなければならない、こういうような状況でございますので、そういった観点からいたしますと、運用部の金利が下がったからといって、五分五厘という既に極めて低い金利になっておりますこの金利水準を追随して下げるのはいかがなものかということで、現在なお建設省とはいろいろ御相談はいたしておりますが、私どもは消極的な姿勢で対応をいたしております。
#179
○伊藤(英)委員 今の公庫の問題につきましては、建設大臣は非常に意欲的であったと私は思います。そういう意味では両者前向きに検討をしていただきたいと思います。
 それから、先ほど建設大臣からも、そしてまた大蔵大臣からもお伺いいたしましたけれども、しかし、現在の日本の状況は、アメリカの利子控除の問題についても大蔵大臣は説明もされましたけれども、現実には日本の住宅関係の助成というのは非常に貧しい状況にあるわけであります。それは、これまた建設省の出している資料の中にも出ておりますけれども、例えば歳出総額に占める住宅対策費の割合をとりましても、日本が一・五%しかない。それに対してアメリカ、イギリスで二・五%、フランスですと四・七%だ。あるいはまた歳出総額に占める住宅関係減免税額の割合をとりましても、アメリカが四・一%、イギリス、ドイツが三・七%、それに対して日本は〇・二%しかない、こういうような非常に貧しい状況であるわけですね。そういうことだからこそ、去年だったと思いますけれども、通産省がマクロ経済運営についての研究会というものの報告を出しておりますが、その中にも住宅投資の現行の助成制度は極めて不十分だよ、だから一層の負担軽減のための措置の検討を行わなければならぬということを提示されたりしております。そしてまた、つい今月でありますけれども、産構審の中間報告が出ました。あの中にも、現在の日本の住宅事情の貧しさを説明をして、そして住宅投資の抜本的強化をしなければならぬ、そういう項目をわざわざつくっております。そして住宅投資にかかわる金融、税制の抜本的強化を図って住宅投資の活性化を図らなければならぬ、こういうふうに言っているわけですね。
 そういうことであるからこそ、民社党としてもあるいは他の野党とも一緒になって共同修正案等も出しているわけであります。その住宅の問題につきましても、先ほど来話をしてもおりますとおりに、税額控除の額が年末における住宅ローン等の残高の一%相当額、こうなっておりますけれども、それを二%相当額に引き上げるべきだ、あるいは減税の適用期間が三年間となっておるのを少なくとも五年間に延長すべきだ、あるいは減税の適用対象が借入金残高となっているのを住宅の取得費全体にすべきだよ、こういうような提案等をしているわけであります。これは私たち各野党のみならず全民労協を初めとした労働組合等の一致した要求であるわけなんで、どうかこういう要求を入れて二千億程度の住宅減税をぜひやっていただきたい。それは現在の住宅事情の改善を図るということと同時に内需の拡大ということ、内需の拡大といえば、後からもちょっと触れたいと思いますけれども、円高の問題とそしてまた原油価格の下落ということもあわせて考えますと、日本はこれからなかなか大変だと私は思うのですね。そういう意味でも、内需拡大のためにもぜひこの減税の拡充について前向きに検討をしていただきたい、こういうふうに思います。今の件について最後の方、それぞれ建設大臣にも大蔵大臣にも改めてお願いをいたします。
#180
○江藤国務大臣 大蔵省がなかなか渋い返事でありまして、これからこれは努力しなければならぬなと私はそうつくづく思いましたが、主計局長が言いますように、五・五%のももちろんありますが、六・四のもありますし、六・八五でしたかのもあるわけであります。
 こういうものは、景気というのは多分に気分的な問題でして、何か安心感があり、気分があるとよしやってみようか、こういうことになるわけですから、面倒見てもらってないと私は言ってないのです。例えば、公庫資金の利子補給だって三千四百億実は負担しておるわけでありまして、毎年毎年これはふえている。それから今回の補正でもお願いしましたように、公団住宅の家賃を低くする、分譲価格を低くするために補給金を千七百億出すわけですから、締めて五千百億はその分だけでも減税のほかに見ておる。そういうことを言いますと、やはりかつての食管よりかその分の方がだんだんふえてきた、毎年累増する方向にある、そういう中でありますから、なかなか予算の審議中に直ちにどうこうということはできませんけれども、公定歩合の引き下げがあるならばせめてその恩恵にいささかなりとも浴することができれば、また諸先生の御意向の一部に沿うことができるかなという気持ちを実は持っておりますわけでありまして、総理も抜本改正をやる、そしてみみっちい減税だ、こう言っているわけでありますから、これから国会の論議を十分踏まえて、そして税制の抜本改正に向かって本当の住宅減税が実現できるように私どもも足腰をしっかりして、そして立ち向かっていこう、こういうふうに考えておりますわけで、またいろいろと御意見を賜りたいと思います。
#181
○竹下国務大臣 税制の問題、これは当然政府一体の責任において今予算を、そしてまた税制改正を審議していただくわけでありますから、政府としては現状においては最善のものなりとして御審議をいただいておるわけでございますから、したがって、ひたすら原案どおり御承認賜ることを切に切に期待するというのが公式的なお答えではなかろうかと思います。
#182
○伊藤(英)委員 建前上はというかそういうお話になるのかもしれませんが、先ほど申し上げたような事情は十分にお酌みいただいて、そして現在の日本の経済の実情も踏まえて、これはぜひ前向きにしなければならぬ。私は、先ほどから建設大臣が乗数効果の問題についても触れられましたけれども、今住宅でやらなければ何ができるのだろうかというふうに考えなければならぬと思うのですね。そういう意味でぜひこれから、実力大臣ばかりでございますので、力いっぱいの御努力をお願いをいたします。建設大臣、ありがとうございました。
 次に移りますけれども、自動車損害賠償責任保険の問題であります。
 これは大蔵大臣にお伺いいたしますが、御存じのとおりにこの自賠責保険の問題につきましては、この保険制度の一つの大きな問題は診療報酬費の問題でございます。御承知のとおりに、これはもう昭和四十四年の自賠責審議会の答申から始まりまして、この自賠責保険の健全化のためにはどうしても治療費の支払いの適正化を図っていかなければならぬ、そのために診療基準の確立をしなければいかぬし、そしてこれに対応する審査体制の整備を図らなければならぬ、四十四年のときにそういう答申がなされました。同じように四十八年にもなされました。あと何回もそういうことが行われてまいりました。私も国会で何度もこの問題について取り組んでまいりましたし、去年の国会でも本件について大蔵大臣にも直接お話をしてまいりました。五十九年に自賠責審議会で診療報酬基準案を作成するということが、やはりこのときにも答申をされたわけであります。そして去年、私が予算委員会のときに診療報酬基準を早くしなければいけないというお話をしたときに、今年度中に作成に向けて最大限の努力をいたします、こういうふうにお話をされました。もう三月末はすぐでありますけれども、現在の進捗状況についてお伺いをいたします。
#183
○竹下国務大臣 この問題、率直に申しまして、日本医師会と損保業界との協議でこれが一刻も早く診療報酬基準案ができることを今強く期待しておるわけでありますが、この経過につきましては担当の保険部長をしてお答えをさせます。
#184
○関説明員 ただいま御指摘がありましたように、昨年の国会におきまして今年度中を目途に最大限の努力をするということを申し上げたところでございまして、それを踏まえまして、私ども損害保険業界をいわば督励をいたしまして、日本医師会との協議を極力急ぐように指導してまいったところでございます。診療報酬基準の非常に技術的な細かい問題点もございますし、また診療報酬基準ができました後の、実際に支払いを行う場合の事務的にスムーズにいくシステムをどうするか、いわば環境整備のような問題もございまして、それらを含めまして、これまで損害保険業界と医師会の間で十回程度の協議を進めてまいっております。
 この間の意見交換におきまして、極めて少しずつではございますけれども、問題点についての共通の認識もできつつある状況にございます。しかし、現在のところ私どもは三月中に診療報酬基準が形をなすことを期待はいたしておりますものの、まだ両者の協議が進んでいる段階でございますので、明確にその目標時点をはっきり申し上げることはできないという状況でございます。しかし、先生の御指摘の趣旨も踏まえまして、今後も業界の方を極力指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
#185
○伊藤(英)委員 今のお話は、医師会とも一緒に協議をしてかなり進んでいると考えてよろしいのですか。
#186
○関説明員 両者ともまとめる方向で最大の努力をしているというふうに了解していただいて結構でございます。
#187
○伊藤(英)委員 そうしますと、時期的な問題はどのくらいにまとまると考えてよろしいのでしょうか。
#188
○関説明員 ただいま御説明申し上げましたように、これは当事者間の協議の問題でございますし、また診療報酬基準が決まりまして、それを定着させ、それに基づいて円滑で適正な医療費の支払いというようなものが行われるようになりますためには、できるだけ協議を積み重ねまして、少しずつコンセンサスをつくった上でやらなければならない問題でございます。したがいまして、今のところいついつまでということを明確に申し上げられる段階にはなっていないわけでございまして、この点はぜひ御理解賜りたいと存じます。
#189
○伊藤(英)委員 昨年までの状況と比べますと随分進歩したのかなという感じはいたしますが、今のお話を聞いておりますとまだまだだなという気もいたします。この一年間の御努力は私は大変なものだ、こう思っておりますけれども、ぜひこれはよろしくお願いをいたします。そしてまた医師会との関係も、これは両方が協力してやらなければできない問題でありますので、ぜひ医師会ともうまくやっていただきたい、こういうふうに思います。いずれにしても何となく第一歩は歩き始めたのかな、この十数年来動けなかったのが一歩か二歩か動いたのかなという印象でありますけれども、ぜひよろしくお願いをいたします。
 そして、これまた昨年も実は提案した問題でありますが、この診療報酬基準をつくったといたします、今いろいろ検討されているわけでありますが、それをつくったといたします。そうすると今度はそれをどういうふうに本当によりいいものにしていくかということが診療報酬基準そのもののメンテナンスのためにも必要でありましょうし、そしてまた交通事故という非常に複雑な医療を必要とする問題について、その医療技術を高めていくということもまた必要でありましょう。
 そういう意味で、これは昨年も提案したことでありますけれども、交通事故診療の専門病院をつくったらどうなんだろうか。あるいは専門病院と考えなくても、ある一つの大きな病院の中に交通事故を専門とする、その機能をそこに委託をしてやってもらうというようなことをしたらどうなんだろうか、こういうふうに思うわけであります。実は今大学病院の中にも改築をする計画をしている大学もあるようなんで、そういうところとも相談をするとかいうようなことは意味があるのではないだろうか。そのときの費用についても例えばその運用益を活用してもいいかもしれない、こう思うのでありますが、どうでしょうか。
#190
○関説明員 ただいま先生御指摘の運用益を自賠責保険の適正な運営のためのいわば基礎的な研究と申しますか、そういったものに使ってはどうかということでございますが、その点につきましては、自賠責審議会におきましても後遺障害の問題を適正に処理する方法はどうか等々具体的な問題を挙げまして、累積運用益を使用するということも考えてみてはどうかという答申もいただいておりまして、現にそういう方向である程度実施をしているわけでございます。
 それからまた診療報酬基準をつくり、あるいはそれを運営していくためには、やはり総合的に基礎的にいろいろな研究をしていかなければならない。そういうことでございますので、例えば特定な医療機器を大学病院等に寄附をするとか、あるいは実際に交通事故が起きたときに通常どういった障害が起きるだろうかというようなことを基礎的に研究する委託研究をする、そういったことをいろいろ総合的に既に実施をしているわけでございます。具体的な御提案の病院をつくるというようなお話になりますと、これはかなり費用もかかる問題でございますので、にわかに結論は出ないわけでございますけれども、先生の御趣旨の総合的な研究をするというようなことに今後とも努力をするということについては、業界を極力指導していきたいというふうに考えております。
#191
○伊藤(英)委員 今の専門病院の問題ですね、これは私の申し上げた趣旨を生かして云々というお話でございましたけれども、ぜひ前向きに検討をしていただきたい、こういうふうに思います。
 今あれは六カ所でしたか、大学とかで日赤病院等に委託をされているのは。言うならば十四級のむち打ち症の研究のためにということだけと言っていいんだと思います。そういう非常に限られた部分の研究だと私は思いますが、私の申し上げたのは、交通事故というのは非常に複雑なものだから、それだけじゃなくて全般の研究をするためにということであります。これはそのことを十分に理解されて前向きにということだと私は理解をいたしますので、ぜひよろしくお願いをいたします。
 それから運輸大臣にちょっとお伺いいたしますけれども、この自賠責の累積運用益の問題でありますが、五十九年度末の累積運用益が六千五百七十四億円ありまして、これは先回の答申書の中で収支の改善に充当する、こういうふうになっております。実はそのためには特会法の改正等の措置が必要ではないか、こう思うのですが、今回の国会にこの問題が提起されているというふうにはちょっと私理解していないのですが、これはどのようにして収支の改善に充当する予定になっているでしょうか。
#192
○松村政府委員 自賠責保険収支の累積運用益の充当につきまして実際に充当が行われますのは、五十七契約年度の赤字が決定いたします来年度、六十一年度からでございます。その額は現在推定されておるところによりますと三百三十八億円と推定されております。この三百三十八億円を、政府が六割再保険しておりますので六割を政府が負担する、残りの四割を保険会社の方で負担していただく、こういうことに相なろうかと思います。その際、保険会社の方に五十九年度末におきまして九百十九億円の累積運用益がございますので、それで十分対応できるかと考えております。
 こういうふうなことを来年度、再来年度続けてまいりますと、保険会社の九百十九億円の累積運用益はいずれなくなってしまいます。いつなくなるかというのは今後の保険収支の問題でございますので軽々しく推定できませんけれども、仮の計算をしてみますと六十三年度ではないかと我々考えておりますけれども、その時点をよく注意をしまして、その時点の来る前に所要の法改正を行いまして、万遺漏なきを期してまいりたいと思っております。
#193
○伊藤(英)委員 今のは答申書の趣旨のごとく、今お話のありましたとおりに万遺漏なく措置をしていただきたいと思います。ありがとうございました。
 次に、時間が余りありませんので結論だけちょっとお伺いいたしますけれども、円高の問題でございます。御承知のとおりに現在のこの急激な円高というのは非常に大変なものがある、こういうことであります。そして、今や私たちがどこに行ってもというぐらいに余りにも急激に、そしてまた水準も行き過ぎるぞということを非常に言われます。どこに行ってもそうなんでありますが、ついきのう、きょうの新聞を見ましてもやはり同じようなことが出ております。
 きのうの新聞に、これは自動車工業会の会長が円高是正に介入をせよということで、こんな言い方をしております。「半年間で六十円も円高になるような状態を放っておけば日本の産業界は危険な状況になる。政府は米国と組んで円高是正のため一ドルイコール二〇〇円をメドに市場介入するなど早急に対策を講じるべきだ」ということですね。そしてまた同時に、「一ドルイコール二四〇円が半年で一八〇円になるようでは企業は手のほどこしようがない。」こういうようなことを述べながら、政府、日銀に対して円高是正のための措置を強く要請をされております。そしてまたきょうの新聞によりますと、今度は日本電子機械工業会の会長がこう言っております。「(中曽根首相や竹下蔵相が一ドルイコール一八〇マイナス一九〇円でも日本経済は大丈夫と発言しているが)三年かけて一八〇円というのなら別だが、半年で二五%もの円の違いを企業がカバーできるわけがない。経済や企業のことを知らなさ過ぎる」こういうふうに言っておられます。
 私はあのG5のターゲットが幾らであったのか、その辺もいろいろ詳しくお聞きしたいわけでありますが、本日は結論だけ。今アメリカでも最近の水準について、ドルの下げ過ぎの懸念の表明等もされたりしておりますが、逆介入をするとかあるいは公定歩合の問題等も含めての対策をとるべきではないか、こう思いますけれども、日銀総裁並びに大蔵大臣にお伺いいたします。
#194
○澄田参考人 介入につきましては、一般論として申し上げれば、為替市場の動きが激しいというような場合に適時適切に行うべきものでありますが、いかなる場合にいかなる介入を行うかについては、これは私どもの立場としては申し上げかねる次第でございます。特に、最近のように市場が不安定な折に、市場に無用の憶測を招くおそれが強いので、介入についてのコメントは差し控えたいと存じます。
#195
○竹下国務大臣 基本的には、為替市場が無秩序な状態となり、あるいは各国が有用と合意する場合には適時適切に介入することということにしておりますが、具体的にどのような場合に介入するか、あるいはどれぐらいやるかとかいうことについては、やはり市場に対する対応としては、やるかやらないか、どんな状態のときにやるかやらないかがわからないから介入というものの効果があるというのが一般論ではなかろうか。したがって、特に相当強い日本の今の金融状態の場合、大蔵大臣と日本銀行総裁がそのことを明言することだけはできないというのが現状であります。
#196
○伊藤(英)委員 言われる意味のことはわかりますけれども、私はこう思うのですね。
 円高誘導のそもそもの目的というのは、貿易不均衡の是正ということもあるし、日本の産業構造の転換ということもあるだろうと思うのですね。急激な円高でそういうことが目的を果たせるんだろうかというと、これは極めて疑問だ、私はこう思うのです。だからこそ、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、ことしの二月に産業構造審議会の中間報告が出ておりますが、その中にもこういうふうに書いてあります。「「国際国家日本」に向けての政策展開」として、為替レートの適正化、安定化が必要だ、そのために協調介入体制の強化だとか、マクロ政策調整の緊密化等々のきめ細かい対応を図る必要があるんだよと、こういうふうに言っております。これは先ほどの自動車工業会の会長の意見にしても、あるいは電子機械工業会等の会長の意見にしても全く同じでありますが、日本の産業構造がそういうふうにうまく動いていくためにも、ぜひこうした面での政策についてはよろしくお願いを申し上げて、希望だけ申し上げておきます。
 最後に、一点だけお願いしたいと思いますが、これは大蔵大臣に一点だけ御質問いたします。
 自動車関係諸税の問題と税制改正の問題でありますけれども、これは中曽根総理も「戦後政治の総決算」ということで簡素化、公平化、あるいは明確化等も含めての税制の抜本的改革について今まで何度も述べられてまいりました。そして、現在の税制にあるいわゆる不公平性とか、あるいは複雑性の問題についての国民の不満を解消するためにも言ってこられているというふうに理解いたしますけれども、そこでお聞きしたいわけでありますが、いわゆる自動車関係諸税というのは税収全体の八・五%を占めております。規模からいきますとそれだけを占めます。あるいは間接税収入でいきますと三五%を占めます。そして、だからこそこの自動車関係諸税というのは国民全体にとって大変大きな関心になっているわけでありますけれども、その自動車関係諸税といいますといわゆる九種類もあります。そして世界にも類を見ないほどに過重だ、あるいは複雑だ、わかりにくい税金だ、こういうふうに言われております。
 御承知のとおりに今九種類、こう申し上げましたけれども、最後の九つ目の税金、自動車従量税ができたのは昭和四十六年のときで、あのときに政府の税調の答申の中にさえもこういうふうに書いてあります。我が国の自動車課税は複雑で理解しがたいという面もあるので、今後簡素化する方向で検討すべきである、こういうふうに指摘をされております。当時これは大蔵省関係あるいは政府、業界、いろいろな学者等のアンケート調査をした数字があります。そのときにいろいろな意見がありますが、ただ一つ共通点は、その複雑さということであるし、わかりにくいということでありました。
 そこでお聞きしますけれども、今、抜本的税制改革ということで進められておりますが、この過重かつ複雑な自動車関係税体系の改善をぜひともこの時期に実現していただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでございますか。
#197
○竹下国務大臣 御説のとおりでございまして、国税、地方税合わせて九税目、これを整理統合すべきではないか、こういう意見があることは承知しております。ところが、これは取得の段階、保有の段階、消費の段階、各種の税を課することによって全体として今おっしゃるようなことになっておるわけでございます。したがって、これを統廃合するということはなかなか難しい。しかし、今おっしゃいましたように税調でも意見が出まして、その後五十一年度の税制改正に関する答申のときにも、かねてから自動車関係税制は「税目が多く、かつ、複雑であるから、これを簡素化すべきであるという指摘がある。この問題は、納税者の理解と協力を求める意味で確かに重要であるが、国、地方間の財源配分等にもかかわる問題であるので、これについては今後なお相当の時間をかけて検討することとしたい。」しかし、これとて十年前でございますから、したがって、税制改正について今のような意見をさらに正確に政府税調の方へお伝えするわけでございますから、今度のいわゆる税制全般にわたっての見直し作業の中で、私も自動車関係諸税のあり方についても議論がなされるものであろうというふうに思っております。
#198
○原田(昇)委員長代理 伊藤君、もう終えてください。時間が超過しております。
#199
○伊藤(英)委員 ありがとうございました。これで終わります。
#200
○原田(昇)委員長代理 これにて小川君、伊藤君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#201
○原田(昇)委員長代理 この際、お諮りいたします。
 竹村泰子君の質疑に際し、最高裁判所山口総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#202
○原田(昇)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#203
○原田(昇)委員長代理 竹村泰子君の質疑を許します。竹村泰子君。
#204
○竹村委員 最初に、エイズについて質問をさせていただきたいと思います。
 エイズにつきましては、もう既に昨年の十一月十四日、河野委員、村山委員、坂口委員、浦井委員などから、それ以来たくさんの委員の方々から御質問がございましたので、余り重複をしないように質問をしていきたいと思います。
 これは一九八〇年から八一年にかけまして初めてこの種の病気がアメリカで発見をされた、ビールス性の病気だということで、まだ歴史の浅い新種の病気でございますけれども、その後どんどんアメリカでは患者がふえているわけでして、現代のペストとも言われているわけです。
 諸外国の発生状況をお聞きしたいと思いますけれども、簡単にお答えいただきます。全世界でなくて結構です。アメリカ、日本、それから特に多い国を幾つかお挙げください。
#205
○仲村政府委員 日本は現在十四名でございますが、今おっしゃられました多い国を申し上げますと、アメリカが一万六千四百五十八人、これは一九八六年一月十三日現在でございます。それから多い国といたしましては、フランスの四百六十六人、西ドイツの二百九十五人、イギリスの二百二十五人、それからハイチの三百四十人、ブラジルの百八十二人、これが三けたの国でございます。
#206
○竹村委員 ありがとうございました。
 アメリカでは一万六千四百五十八人と急速な患者数が見られるわけですけれども、日本におきましては、現在のところ十四名ということですね。私、これまでの議事録をずっと拝見しておりまして、やはり非常に歴史が浅いということで、それもありますけれども、前向きに検討いたします、それから、まだ時間を要します、努力をいたします、ある程度解消すると思いますというふうな、そういうお答えがまだ非常に多いわけでございますね。
 アメリカでは、実は子供のエイズ患者も出ていると聞いております。小児患者は現在アメリカでは百二十七例、そしていずれも五〇%以上が過去十二カ月以内ぐらいの報告である。そして死亡率は非常に高い。全体の死亡率が四九%、小児で六九%、さらに一九八三年一月以前からエイズと診断されていた例の死亡率は全体で七五%に及ぶ、そういうふうに出ているわけです。異性間の接触者のうち九〇%以上が異性エイズ患者と接触した女性であり、十三歳以下の小児が百十三例もあり、そういうことで子供にまで今被害が及んでいる。子供では、両親または片親がエイズの患者である、ないし非常に危険なグループに属する人たち、それが八一%、それから輸血または血液製剤の注射を受けた人一三%、血友病五%などなどとなっておりまして、アメリカなどでは血友病の人などに対する差別問題も大きく出てきている、こういう状態になっているわけです。小児のエイズの大部分は何らかの形で成人のエイズの危険群と非常に関係が深いということで、これは大臣にもお聞きしたいと思いますけれども、この後私いろいろ血漿分画製剤の問題、血液の問題など申し上げますけれども、そういう意味から見て時間の問題だと言われているわけですけれども、こういうふうにアメリカのように子供にまで及んでいく、そういうことに対して大臣どうお思いですか。
#207
○今井国務大臣 このエイズというのは、とにかく現在のところ、先生おっしゃいますように、まだ我が国では極めて例が少ないのでございますが、この感染経路がおっしゃいますように極めて普通の状況でない場合のものが多いものでございますから、これはまことに厄介なものだと思っております。いずれにしても、私どもとしましては、この問題についてとりあえず国と赤十字が共同いたしまして、百万人のエイズの抗体検査、これを実際大都会などを重点にしてやろう、こう思っておるわけでございまして、今後ともそういう注意を払いながら万全を期してまいりたいと思っておるわけでございます。
#208
○竹村委員 血液の問題を少し伺いたいと思いますけれども、日本では、血液分画製剤の八〇%以上、これをアメリカから頼っているわけですね、今現在。その結果、血液凝固第[ですか第¥因子、この注射を受けた人がウイルスを保有していると考えられるとされているわけですけれども、我が国の血液事業の対策を少し伺わせてください。
#209
○小林(功)政府委員 その前に、エイズの感染経路は、血液、精液、唾液というようなことと言われておりますが、その中で血液問題についてのお尋ねでございますが、まず最初に、先生がおっしゃいました血漿分画製剤、これは血友病の患者さんに使われる薬でございますが、これにつきましては確かに輸入に依存している部分が多かったわけであります。したがいまして、アメリカのいわば汚れた血がその中に入っておったというのは事実でございます。ただ、これにつきましてはその血漿分画製剤の加熱処理という手法が開発されまして、昨年の七月と十二月に第[因子製剤、第¥因子製剤、いずれも加熱処理の新しい安全な製剤ができましたものですから、輸入に頼っておる血漿分画製剤についてはこれから先はまず心配なかろう、こういうふうに思っております。
 問題は、国内で献血される血液がどうかという問題でございますが、これについては、先ほどちょっと大臣も触れましたように、国内で献血される血液についてエイズ抗体が入っていないかどうか、この検査を、来年度から予算を御承認いただければ百万人単位で献血血液の抗体検査を実施しようということで、今準備を進めておるところでございます。
#210
○竹村委員 アメリカでこれほどの脅威と今言われているわけですけれども、それを徐々にそういうふうに進めていってくださるのは大変結構ですが、私どもから見ますと、何か非常に遅々とした感じがするのですね。
 アメリカの雑誌「ネーチャー」というのがございますけれども、この中に日本のエイズの血液対策について、多分厚生省の皆さんお読みになっていると思いますけれども、こんな記事がございます。「幾世紀にもわたり、日本は、外国の侵略を最大の努力を払って撃退してきた。しかしながら、エイズという侵略に直面しておりながら、日本は、日本人の血液の純潔を守ることに何ら手を打っていない。エイズウイルスは既に日本人の特定の集団の血液に確かに侵入している。今までのところ、米国やイギリスにおいて既に実施されている献血者の全血液を検査することを行う計画は存在していない。」こういうふうに「ネーチャー」は言っておりますけれども、全献血者の血液のスクリーニングといいますか検査について少し計画をお知らせください。
#211
○小林(功)政府委員 今お話のございました「ネーチャー」の記事でございますが、私も読みました。これは一九八五年の十一月号でございます。したがいまして、その段階の記事と今と若干変わっておる点がございます。
 そこで、我が国では、過去二年間にわたりまして献血された血液についてウイルス抗体があるかどうかという検査をしてまいりましたが、それが大体二万四千件に上っております。その中を見ますと、幸いなことに、その中には一例もエイズ抗体が発見されておりません。そうは申しましても、大変死亡率の高い、怖い病気でございますから、慎重の上にも慎重をという意味で、来年度から、先ほどちょっと触れましたように予算も計上いたしまして、またそれに日本赤十字社の協力もいただきまして、百万大規模のエイズ抗体検査を実施することにしております。
 それで、これから先の話でございますが、検査結果を常に注意深く見守りながらエイズ対策に万全を期していきたい、このように考えております。
#212
○竹村委員 厚生省はこれまでの国会でのお答えで、献血の量をこれまでの二百ミリリットルから四百ミリリットルにふやす。今ほとんど輸入に頼っている血漿分画製剤ですか、これを日本でも供給できるようにしたい、そういう計画を持っておられると聞きましたけれども、その辺をちょっと御説明ください。
#213
○小林(功)政府委員 血液製剤につきましては、できる限り国内で使う血液は国内で賄いたいというのが大原則でございます。ただ残念ながら、血漿分画製剤につきましては、医療技術の進歩等に伴いまして需要が高まっておりまして、大変使用量も多いわけでございます。そこで、やむを得ず輸入に依存する率が高い、これが現実でございます。そこで、そういう事態をとにかく改善して、冒頭に申しましたように、なるべく国内で使う血液は国内で賄うということを実現したいと思いまして、実は一昨年から血液事業検討委員会というのをつくりまして専門家にいろいろ意見を交わしていただきまして、その報告がまとまっております。それに基づきまして、一つは国内献血をよりふやすということ、それからもう一つは血漿分画製剤の使用について適正化をするということ、この二つを目標に今順次施策を進めておるところであります。六十一年度予算にもそれにかかわる予算が計上されておるところでございます。
#214
○竹村委員 予算のことは後でお伺いしますけれども、厚生省は先日、エイズを、献血時の百万人だけを対象として検査をされるということを新聞にも発表しておられますけれども、これはアメリカの診断薬アボットというのですか、正しくはHTLVV・EIA・アボットというのですか、このアボットの輸入を承認されて、日赤がこれを使って今月十七日から、また厚生省も四月から献血者検査を始められる、そういうふうにお聞きしておりますけれども、エイズはHTLVVというウイルスですね。もう一つのウイルスHTLVTというのですかATL、これは成人性白血病のウイルスですけれども、この成人性白血病のウイルスとエイズの、TとVとの違いだけなんですけれども、非常に酷似しているといえば酷似しているし、違うといえば違う、全く別のウイルスであるわけですけれども、このATLの発見は一九八一年、エイズのウイルスの発見が一九八三年。このATL、成人性白血病の方は日本で既に百万人の保菌者といいますか抗体を持っている人たちがいると聞いておりますけれども、エイズはアメリカで百万人ですね。それから、ATLの方は発病から数年後にほとんどの患者が死亡します。エイズの方は発病から三年後に九二%の死亡率を記録している。非常に似ているのですね。そして抗体としては、ATLの患者は一〇〇%抗体が存在しながらその抗体がウイルスに対して全く無力である。これもまた似ているのです。エイズのウイルスもそのとおりですね。
 症状も、ATLの症状が風邪に似た症状で始まり、発熱が続く、免疫が低下する、血小板が減る、貧血や鼻血を起こしやすい。各部に発がんする。これもエイズのウイルスと同じというふうに非常に似ているわけです。けれども、ATLのウイルスの少し違うところといえば経路が違うのでしょうか。私も素人ですから余りよくわかりませんけれども、母から子供へ、夫から妻へ、そして輸血、その三つが考えられているわけですね。それから母乳経由というのも提唱されている。これも少し違うところかもしれないと思いますけれども、いずれにしてもこれも血液と大きな関係があるわけです。エイズの患者は我が国一億人中まだわずか十四人だ、これで血液検査を開始したのは非常に早いと厚生省は大分御自慢のようですけれども、一緒くたにするという意味ではなくて、ATLの非常によく似たウイルス、これが百万人もの人が既にかかっている病気である、そういうことを考え、そして血液も、輸血によってそういう同じような経路をたどるということを考えますと、わずか百万人の検査をなさっても何のことはないという気がしてならないのです。献血者というのは九百万人近くいるわけでしょう。その辺は、厚生省はこれで今のところは万全とおっしゃれますか、どうですか。
#215
○小林(功)政府委員 今お話がございましたATLもエイズに負けず劣らず怖い病気だと思っております。問題を重要視しております。
 そこで、先ほど申しました日赤における二月十七日から始まった検査、これについてもATLの検査も含まれております。ただ、ATLの場合にはエイズと違いまして地域がかなり偏りがございます。例えば九州とか、要するに西の方が非常に多いという地域の濃淡がありますので、とりあえずそういう重点地区について検査をしようということでやっております。したがいまして、万全かと言われれば万全と胸を張るわけにもまいりませんけれども、できる限りそういうことで検査をして安全を期したいということでこれからも進めてまいりたいと思っております。
#216
○竹村委員 予算のことを伺いますけれども、エイズの関係予算ですね。直接関係するもの、特殊血液調査費五千三十九万六千円ですか、これは六十年度ゼロだった分ですね。ですから、これは丸々おふやしになった。これはよくわかります。それからエイズ調査検討費、これも三百七万七千円ですか、これも六十年度ゼロだったわけですね。ですから、これだけはおふやしになったのはよくわかる。それから血液研究事業の中のエイズ対策というもの、これも五百十万円ですね。これも昨年度と同じだけ、五百十万月程度を見込まれたわけです。そのほか関連するものとして、献血制度推進普及費、輸血状況調査費、献血者健康増進事業、献血推進基盤整備事業、その他血液事業関係予算というふうに書いてあります。これはエイズ関係予算として資料が出ておりますけれども、直接エイズに関係ありませんね、関連予算というのは。エイズ対策ではないですね。
#217
○小林(功)政府委員 確かに先生今おっしゃいましたように、エイズに直接関連する経費としましては、エイズ調査検討費、それから厚生科学研究費、そして特殊血液調査費、これが直接関係する経費でございます。ただ、そのほかに今挙げられました血液対策経費でございますが、これは我が国の血液事業における輸入依存体質の改善でありますとか、あるいはエイズの伝播のおそれ等の諸問題に対するために、血液問題全般としまして四百ミリリットル献血でありますとか成分献血でありますとか、そういうものを進めていきたい、そういうための経費でございます。したがいまして、これが進みますと、間接的ではありますが、エイズに関係してくるということでございます。直接ではございません。
#218
○竹村委員 そうなんですね。エイズ関係予算を知らせてほしいと言ったらいただいたのですけれども、献血制度推進普及費、これは日赤のPRですね。輸血状況調査費、これは状況調査ですね。献血者健康増進事業って何するのですかと言ったら、献血したときにもらうジュースや牛乳の費用なんですね。それから献血推進基盤整備事業、これは献血車や機器なんですね。そんなふうに見ていきますと、まあ血液には関連するでしょうが、もちろん全体的に見たらエイズに関連するかもしれないけれども、結局エイズに直接関係する予算というのは五千八百五十七万三千円ですね。ということなんですけれども、私が先ほどから述べておりますように、時間の関係もありましてきょうは余り深く追及できないのですけれども、これは今後の恐ろしい見通しを考えますと、五千八百五十七万三千円というのは余りにもお粗末と言いたいのですね。
 これは同じくアメリカの「サイエンス」という雑誌ですけれども、アメリカの議会では一九八六年度予算にエイズ対策として、二億四千万ドルですから四百八十億円ぐらいですか、これだけとっているわけです。もちろん患者の数も違いますし、今大変な、現代のペストと呼ばれているわけですから対策にも力が入るでしょうけれども、しかし余りにも違い過ぎるのではないか。血液製剤を八〇%、九〇%アメリカに依存している日本としては余りにも違い過ぎるのではないかと私は思うのですけれども、時間がございませんので最後に厚生大臣、エイズ対策全般について少し勢いのいいお返事を聞かせていただけませんでしょうか。
#219
○今井国務大臣 お説のようにエイズというものは実に厄介な病気でございまして、私、これが今は十四人で極めて少ないんですが、これがふえていかないのかといえばふえていきませんというわけにはまいりません。そんなことで、できるだけのひとつまた予算の措置につきましては今後とも鋭意頑張ってまいりたいと思っておりますが、幾ら幾ら要求しますとかいうことまで現在まだ申し上げる段階ではございません。
#220
○竹村委員 「ネーチャー」でも世界じゅうで笑い物になっているわけだし、防衛費を幾らふやしても命に対するビールスの侵略ということに対して何の手も打てないようでは困るのでございます。戦闘機は一機百十億円いたします。それから考えますと命の値というのは安いものではないでしょうか。ぜひ厚生大臣、お考えいただきたいと思います。
 それでは次に、最近新聞に報道されております止血剤ですね、ビタミンK2のショック死について伺いたいと思います。
 この止血用に広く使われておりますビタミンK2注射液または点滴液、これによって発熱、呼吸がとまったり意識が一時的に不明になる、ショック症状を起こす。五十九年度までに五十一例そういう例が報告されております。五十九年度、六十年度、どういうふうになっておりますでしょうか。
#221
○小林(功)政府委員 ビタミンK2注射剤の副作用の問題でございますが、これが承認されましたのが四十七年六月でございます。そこから五十九年までの副作用モニター制度による報告は集計しておりまして、おっしゃいましたように五十一例の副作用、ショック、五十九年度だけでございますが、そのうち二例の死亡例が出ておるということであります。六十年度はまだ年度途中なものですから集計しておりませんが、一例だけ死亡例があるということを把握しております。
#222
○竹村委員 五十九年度に七十五歳の男性と五十一歳の女性とが亡くなっているわけですね、このビタミンK2のショックで。六十年度今一人とおっしゃいましたけれども、一人ですか。二人じゃないですか。報道によりますと二月十四日現在六十年度一人死亡となっているんですね。そしてその後、十五日にもう一人西脇市の市立病院で亡くなっている。六十年度二人じゃないですか。
#223
○小林(功)政府委員 モニター報告で報告がありましたのは、死亡例一例でございます。あと今おっしゃいました例、聞いておりますが、現在調査中でありまして、その因果関係はまだはっきりしておりません。
#224
○竹村委員 モニター報告とおっしゃいましたけれども、モニター報告というのはモニター病院から報告されるんですか。モニター病院というのはどういうのですか。
#225
○小林(功)政府委員 全国で千五カ所の病院を指定いたしまして、そこで何らかの副作用がありますと直ちに中央に報告してもらう。それを受けまして、専門家の意見も聞きながら分析をいたしまして、必要があればそれを適当な例えば使用上の注意の改定とか、あるいは場合によっては承認の取り消しとかいうことをやりますとともに、その副作用情報をもう一回現場にフィードバックする、こういう制度でございまして、そのためのモニター病院からの報告が先ほど申しましたモニター報告の五十一例でございます。
#226
○竹村委員 モニター病院からの報告がないと厚生省はこのショックの状況についてわからないわけですね。新聞に幾ら出されていてもそれは確認しないわけですね。西脇病院で一人十五日に死んでいますよね、女児が。これは厚生省としては認めてないのですか。
#227
○小林(功)政府委員 そういう情報があったのは承知しております。したがいまして、それについて現在メーカーに指示をしまして調査を行っている最中ということでございます。
#228
○竹村委員 わかりました。そうすると厚生省の側から、一人命がなくなって死んでいるんだけれども、死んでいるんだねと、これは大変なことだからぜひ調査するようにと、どういうふうにしたのかというふうに病院にはモニター病院でないと聞かないわけですね。
#229
○小林(功)政府委員 副作用モニター制度というのは、確かにモニター病院から上がってまいりますが、それ以外、メーカーにも副作用がわかった場合には報告しろということを義務づけております。したがいまして、そういう情報はほかにも、モニター病院以外からも入ってまいります。ただ、今の御指摘の問題は、現在ビタミンK2注射剤との因果関係についてまだはっきりしませんものですから調査をしている段階だ、こういう意味でございます。
#230
○竹村委員 報道によりますと、十五日死亡した四歳七カ月の女児の例ですけれども、担当医は、厚生省が製薬会社に発送を指示した注意書きをまだ受け取っていないと言っていますね。この注意書きというのはいつ出されて、どんな注意書きですか。
#231
○小林(功)政府委員 ちょっと今までの背景を御説明しなければいかぬのですが、このビタミンK2注射剤というのはもともと副作用があるというのはわかっておったわけであります。ただ、特定の患者、具体的に言いますとビタミンK2の欠乏の方なんですけれども、そういう方が仮に手術するような場合に止血のためにどうしてもなくてはならない、そういう薬品でございます。したがいまして、なくしてしまうわけにいかぬわけでありますが、使うときにお医者さんが細心の注意を払って副作用を防止しながら使うということが必要になっているわけでございます。そういうことで、従来から既にもう注意文書というのは記載さしておりまして、商品についているわけです。ただ、今お話がありましたのは、五十九年度に死亡例がさらに二例出たものですから、もう少しその注意書きの内容を強化しなければいかぬということでこれを直したわけでございます。その点がお医者さんに届いていなかったというお話だろうと思うのですが、実はこれはメーカーに聞きますと、ことしの一月に発送しておりまして、この病院には聞くところによると一月の末に着いているということで、やや手術よりおくれたかもしれません、その点は。ただ、その前からも注意書きはあったわけでありまして、新しい注意書きの送付がやや手術より後になった、こういうことでございます。
#232
○竹村委員 医薬品・治療研究会というのがございますね。これは全国のお医者さんたちがつくっておられる研究会ですけれども、ここは独自の調査をしておられる。それでこのビタミンK2ショックの原因は、成分を溶かすために添加されている溶解補助剤、製剤補助剤ともいうのですか、この疑いが濃厚である、ビタミンK2そのものではないんだというふうに出しておりますけれども、この溶解補助剤あるいは製剤補助剤、つまり添加物ですよね。この添加物の正体は何ですか。
#233
○小林(功)政府委員 本剤に添加されます添加物でありますポリオキシエチレン硬化ヒマシ油でございますか、これは中身は界面活性剤でございます。ただ、その場合に添加物が原因なのか、K2自身が原因なのか、これははっきりしておりません。その研究グループでは、どうも添加物じゃないかということをおっしゃっているようですが、それは今調査中でございます。メーカーを通じまして来月初めごろまでにその関係の調査を今しておりますので、まだ今のところどちらが犯人かということははっきりしておりません。
#234
○竹村委員 大変難しい名前なんです。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油ですか、これであるかあるいはビタミンK2そのものであるか、それともそれが一緒になった相乗効果なのであるか、その辺のところはまだわからないとされておりますけれども、厚生省薬務局審査二課に添加物小委員会というのがあるそうですね。医薬品関係の添加物、これは何のために入れるのですか。そして、どのくらいの種類がありますか。
#235
○小林(功)政府委員 一口で申しますと、医薬品を製剤化する場合に使うのが添加物でございます。いろいろな種類がございますが、今のところ薬局方等に載っております代表的なケース、これは大体百五十品目あるというふうに考えています。非常に細かな例が多いものですから、全部を正確に数えるのはちょっと困難でございます。
#236
○竹村委員 私が聞いたところによりますと、千種類以上添加物の種類があると聞いておりますけれども、違いますか。
#237
○小林(功)政府委員 今一応「日本薬局方及び日本薬局方外医薬品規格」に収載されているのははっきりしていますので、それは大体百五十品目と申し上げました。あと、実際に使用される中で非常に微量使われるケースもございますので、使用頻度の少ないものを含めますと、推定でございますが、おっしゃるとおり約千品目ぐらいになると、思われます。
#238
○竹村委員 厚生省の食品添加物表示検討会は、これまでの添加物二割に義務づけていた表示を八割にするように、先日一月に中間報告として提出しておりますね。私たち消費者から見ますと、これは非常に結構なことなんですけれども、どうして医薬品の添加物はそんなにいいかげんで、しかも一千種類もの添加物があるかもしれないと言われるのに、表示しなくていいんですか。
#239
○小林(功)政府委員 医薬品の添加物といいますのは、先ほど申しましたように、医薬品の製剤化のために使うものでございまして、その薬理活性そのものを期待するものではないのであります。したがいまして、それ自体の安全性は高いということが言えると思います。したがいまして、医薬品の適正な使用の観点からは、それ自体が薬理活性を期待しない添加物についてまで全部画一的に表示をするという必要性はなかろうというのが私どもの考え方でございます。ただ、ごくまれでございますが、添加物の表示が必要だと思われるケースが過去においてもございました。それについては行政指導で表示をさしておりますので、もし添加物そのものが非常に問題であるということがはっきりしておれば、それは指導で十分対応できると思っております。
#240
○竹村委員 以前にそういう指導をしたことがございましたとおっしゃったのは、黄色四号のことですか。これは色素がぜんそくを誘発するというので表示義務を指示していますね。これだけなんですね。すごくたくさんある添加物の中でたった一つなんですけれども、こういうぜんそく誘発のおそれがあるというのも、これはぜんそくの患者さんが出たからそういうことになったんだと思うのですけれども、タートラジン、これを使用の旨を記載する、これも日本製薬団体の自主的処置としてやっておられるわけですね。
 死者が出たり、病気が出たり、いろいろな障害が起きてからでは遅いのですよね、大臣。とうとい命が犠牲になってから慌てて対策をしていただいたのでは、厚生省は何のためにあるのか、何のための研究をしているのかということになってしまうと思うのですけれども、大臣、最後に一言。感想を聞かせていただけませんか、このビタミンK2ショックについて。
#241
○小林(功)政府委員 添加物のお話なんで、ちょっと私からお話ししたいと思います。
 繰り返しになりますが、添加物というのは製剤化のために使うものでありまして、その薬理活性そのものを期待するものではないのであります。したがいまして、これについては危険が原則的にはない。仮に、ごくまれなケース、先ほどおっしゃった一例がございますが、そういうものについては指導で対応できる。したがいまして、食品のように毎日食べる生活上不可欠なものと、治療の間だけ飲む、しかもそれは添加物でありますから、製剤化のためだけのものでありますから、そこは性格が本質的に違うのではないかというふうに考えます。
#242
○今井国務大臣 私も薬そのものの内容までつぶさに存じませんが、やはりこういう事例がありましたことはそれなりに大変大事なことでございますから、十分注意してやってまいりたいな、こう思っております。
#243
○竹村委員 非常に心優しい大臣でいらっしゃいますから、期待しております。こういう命にかかわることですから、ビタミンK2そのものであるか溶解補助剤であるか、あるいは両方一緒になったからであるかわかりませんけれども、ぜひ研究を進めていただいて、こういうことの二度と起こらないようにしていただきたいと思います。
 もう時間が余りなくなってしまったのですけれども、最後に一つ、最高裁の問題でお伺いをしたいと思います。
 実は、これは二月七日に川俣健二郎さんが質問しておられることなんですけれども、最高裁の第三小法廷で、一月二十一日、全盲の大原隆さんという方、この方はもう亡くなってしまわれたのですけれども、国鉄の大阪の駅のホームから転落して、折から進入してきた電車に両足を切断されたというそういう気の毒なケースでございます。それで国鉄を訴えておられたわけですけれども、この裁判のときに、第三小法廷に車いすの方たちがたくさんおいでになった。それで、車いすは二台に限るというふうに制限をされた。そして、盲人用の白いステッキも座られてからはだめだと取り上げる。法廷ではつえは許されませんと言われる。それから、聴覚障害者の方は四人に限る。そして、聴覚障害者のための手話通訳の方も、前ではなくて隣の席でやってもらいたい。そういうふうな制限をさまざま言われたようですけれども、その事実は、どんな打ち合わせが事前にあったのでしょうか、教えていただけませんでしょうか。
#244
○山口最高裁判所長官代理者 第三小法廷の大原訴訟につきまして、事前に身体障害者等の方々の傍聴希望があるということがわかっておりまして、代理人を通じまして、車いすのまま法廷にお入りになられる方は二名。法廷がかなり上の方にございますので、急な階段を車いすのまま抱えて上がらなければならないものでございますから、一台につき四名、したがいまして二台の場合には八名になります。そういう介護者各四名。それから、聴覚障害者につきまして四名に限りまして、手話通訳の方々を二名おつけする。第三小法廷の傍聴席が四十五でございますので、以上合わせますと十六名、約三分の一を身体障害者の方々のために用意させていただくということで、事前に御連絡申し上げたわけでございます。
#245
○竹村委員 事前にそういう打ち合わせがあったわけですね。
 車いす一台につき介護者四名、これは特殊な法廷のつくり方とか急な階段とかということもあったのだろうと思いますけれども、車いすの方は別に介護者四名もいる必要はないのですよ。これはこのときの議事録で、山口最高裁判所長官代理がお答えになっているところを見ますと、車いすでどうしても入れてほしいという希望があったというふうにおっしゃっていますけれども、確かにそうかもしれませんが、こういう事前の協議があったから、少し車いすの方たちもそんなおかしなこと――普通の社会では車いす一台に介護者が四名もつく必要ないのですから、そういうおかしな申し合わせがここでされていたということがあったのじゃないかなと思うわけですけれども、それはともかくといたしまして、私たちは傍聴に行こうと思えばさっと行けるわけです。けれども、身体障害者の方の傍聴については事前のこういう協議が必要なのですか。そして、身体障害者の傍聴ということでは堀木訴訟のときが大変多かったと聞いておりますけれども、あのときの状態はどんなふうだったのでしょうか。
#246
○山口最高裁判所長官代理者 まず最初に、車いす一台について四人は多いのじゃないかという仰せでございますが、確かに、車いすは非常に重うございますので、車いすのまま法廷にお入りになるときにはやはり四名の介添えをつけませんことには、車いすをおっことしてもしおけがでもなさいますと大変でございますので、それだけの配慮が必要でございます。当日も、車いすのままお入りになる方以外の方につきましては、介添えの方におんぶしていただくなりあるいは抱えていただくなりして、車いすのままじゃなくて法廷にお入りいただいて結構だということで一般傍聴人用の分もお配りしたわけです。しかし、自分たちも車いすのまま法廷へ入るんだということでトラブルが生じた、こういうことでございます。
 堀木訴訟のときでございますが、この場合には大法廷でございますので傍聴席がかなり多うございます。倍ぐらいございましたか。それで、車いすのままお入りになった方は六名でございます。それから盲導犬をお連れになった方が四名、それから聴覚視覚障害者の方々の分が四名、階段の昇降が著しく困難な方につきまして二名、それから本人の補助者の座席分として六枚、こういうふうな形でお配りしたわけでございます。
#247
○竹村委員 わかりました。車いすの方について車いすをそのまま持ち上げて運ぶのは、それは大変ですよね。四名必要かもしれません。けれども、車いす一台については四名必要ですというふうなことではなくて、もう少し柔軟な事前の話し合いがされれば、例えば車いすからおりて普通のいすにおりていただいてもいいですよというふうな、そういう柔軟な対応をしていただきたかったな、そうすれば車いすの方たちもそういこじにならなかったのではないかと思いますし、十三名ですか、この日いらした車いすの方たちが全部だって傍聴できたでしょう。それを、エレベーターのスイッチを切ってまで入れないようにした。こういうことは私たちとしましては、障害者の方たちの人権、そういう意味から非常にけしからぬと思うわけです。もし今突然に最高裁の傍聴席に盲導犬を連れた方が四人ばかりお見えになったら、山口さん、どうされますか。やはり傍聴を許しませんか。
#248
○山口最高裁判所長官代理者 御質問の御趣旨は、身体障害者の方々についても一般の方々と同様に自由な傍聴を許してしかるべきではないかという御趣旨だろうと思うのですが、私どももその点は十分に理解できるところでございます。ただ、裁判所の法廷なり庁舎なりの構造という物理的な面からくる制約もございますし、裁判所職員がそれぞれいろいろな職務に従事しているわけでございまして、その辺の面からの制約もございます。それから、裁判所の法廷は静ひつで平穏な雰囲気の中でやらなければならないわけでございますが、時によると傍聴人が騒いで混乱が生ずるという場合、それから地震とか火災等の緊急災害時における傍聴人の安全確保というような点も十分配慮しなければならないわけでございまして、そこで傍聴人の方々の御理解、御協力をいただきながら今のような取り扱いになっているわけでございます。今仰せのように、例えば盲導犬を連れられた方が急に来られましても、先ほども申しましたように、非常に急阻な階段を上がっていかなければならない。もし万一事故が起きたりいたしますと困るわけでございまして、これまでは、最高裁判所の法廷の構造とか庁舎の構造を代理人等がよく御存じでございますので、身体障害者がいらっしゃる場合には必ず介添え人がついてきておられるわけでございます。そういう場合には介添え人の方々の御案内で傍聴していただくことは可能でございますけれども、そうでなければ、傍聴を希望される方の安全確保の点からいいましてもちょっとお待ちいただきたいというようにお願いせざるを得ないと思っております。
#249
○竹村委員 つまり介添え人がいなければ、盲導犬だけで傍聴に行った場合には入れてもらえないわけですね。これは恐らく先進国の中ではそんなことをやっている国はないんじゃないでしょうか、外国の例をちょっと調べておりませんけれども。盲導犬というのは視覚障害者の方の体の一部なんですね。白いつえも体の一部なんですね。私たちはいつだって、その朝思い立ったって傍聴に行けるのですね。ところが障害を持った方たちは、車いすが一台につき四人の介護が要るとか、盲導犬を連れていたら入れないとか、白いつえはだめだとかいろいろな制約をされてしまうわけですね。これは国民として大変な不平等じゃないですか。
 まあ、時間がありませんので、お答えいただかなくても結構ですけれども、私、国会における状況をちょっと調べてみました。国会では車いすの傍聴席は整備され、四台分のスペースがあります。ここに入り切れない場合は、一般席に車いすを離れて着席してもらうということになっております。以上の介助は必要に応じて国会職員、衛視さんが行い、介助者同伴を条件とはしない。視力障害者用の白杖については着席したら預かり、離席時にお返しする、これは同じですけれども。聴覚障害者の手話通訳が立ってこれを行うことは、本会議なら議運の委員長、当該の委員長または理事会の許可を得たらそれはよろしい、こういうふうになっています。最高裁というところは大変おくれたところなんですね。
 そして、私の地元であります北海道議会と札幌市を調べてみました。地方の裁判所を全部調べてみる暇がなかったのですけれども、最高裁がそういうふうになっていると、もしかしたら国会とか議会とかもみんなそれに倣っているのじゃないかと非常に冷やりとしたものですから、ちょっと調べてみました。北海道議会は障害者の傍聴に関する制限規定はありません。禁止事項はありません。ただ、車いすの場合は実際的には上の通路で傍聴していただくということになっております。話し合いで決めております。過去トラブルはありません。一般人のつえ、棒はだめだけれども、盲人のつえはいいのではないでしょうか。札幌市議会は道議会と同じく規定なし。過去トラブルなし。盲人のつえはよろしい、帽子はだめです、こういうことなんですね。国会や地方議会に比べまして、最高裁というところは一番憲法を守るべきところですね。憲法では国民は平等だと言われているわけですけれども、これは非常に不平等な扱いじゃないんですか、お答えいただきたいと思います。
#250
○山口最高裁判所長官代理者 最高裁の法廷の構造は先ほども申しましたように、建物の上部にありまして、非常に急な階段を上っていかなければならない、そういう状況でございますので、今申し上げましたように、ある程度現在のような取り扱いを考えているわけでございます。
 地方の裁判所に行きますと、法廷がそんなに高いところにございませんので、スロープ等を設けまして、身体障害者の方々が車いすのままお入りになる場合もございますし、それから盲導犬をお連れになって法廷で傍聴されるという場合もあるわけでございます。
 最高裁の場合は、庁舎の構造、そういうところからくる制約があるのだというふうにひとつ御理解いただきたいと思います。
#251
○竹村委員 我が国の最高裁判所がそういう構造になっていること自体おかしいんじゃないですか。どういう条件の国民にも開放されるべきじゃないでしょうか。その辺を考えないで、何年も前にお建てになったのでしょうけれども、やはりこれは改善をしていただかなければならないと思います。いかがですか。
#252
○山口最高裁判所長官代理者 最高裁の庁舎につきましては、昭和四十年に裁判所法の一部改正法がございまして、そこで附則の四項から七項というものが定められまして、最高裁判所庁舎新営審議会というものを法律でお認めいただいたわけでございます。そこで国会の議員の方々も審議委員になられまして、庁舎の新営に関する重要な事項について慎重な調査審議をなさいました結果現在のような構造になっているわけでございまして、いろいろな点を十分調査審議されました結果に基づきまして新営いたした次第でございます。
 御指摘の身障者の方々の傍聴につきましては、先ほども申しましたように、いろいろ私どもも配慮はいたしておるわけでございますけれども、庁舎の構造、法廷の構造、一般傍聴人の希望者との兼ね合いとかあるいは傍聴人の安全確保とか、いろいろな観点から配慮しまして、現在のような取り扱いはやむを得ないところではないかなと、こういうふうに考えております。
#253
○竹村委員 時間がありませんので終わりますけれども、こういう構造になっているということは私も今回知りまして実にびっくりしました。車いすを抱えて上がらなければならないような構造になっている。しかも、裁判官の裁量権で、その日突然行ったら入れてもらえない人たちがいる、聞きたいけれども聞けない人たちがいる。それは券を順番に並んで、幾ら並んで待っていても入れてもらえないのです。こういうことはやはり改善していただかなきゃならないと思います。
 二月七日の議事録の最後に、山口さん言っていらっしゃいますね。「恐らく今後もこのような取り扱いをさせていただかざるを得ないのではないかと考えておりますので、ひとつ御理解いただき」ます。これはとんでもないことで、やはり改善のために努力をしていただきたいと思います。
 終わります。
#254
○原田(昇)委員長代理 この際、小澤克介君より関連質疑の申し出があります。竹村君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小澤克介君。
#255
○小澤(克)委員 有害な廃棄物についての処理処分の基本的な方針について、まず最初に環境庁長官に伺おうと思いますが、その前に、言葉の意味を少し整理してから議論した方が生産的だろうと思いますので、環境庁当局にまず言葉の意味を確認させていただきます。
 環境庁水質保全局企画課で編集されました本によりますと、「廃棄物の処理」とは、保管から収集、運搬、処分、こういった全般を指すものであり、さらにその処分の中に中間処分と最終処分がある。そして、この「最終処分」とは「最終的に環境中に排出することを意味する」、こういう解説がなされております。また、さらに、この処分全体を指して、廃棄物を自然のサイクルに乗せるための処分である、こういう記載といいますか解説があるわけですが、このとおりに解釈してよろしいでしょうか、まずそれを確認させてください。
#256
○谷野政府委員 お答えいたします。
 廃棄物は人間の生活活動の中でいろいろな形態で出てくるわけでございますが、それを保管、収集、運搬をいたしまして、環境に悪影響のないようにこれを処理をするということが必要なわけでございます。
 ただいま御指摘がございましたように、処分には中間的な処分、最終処分があるわけでございますが、その廃棄物の性格によりまして、これをそのまま環境中に放出するということが環境にとって大変悪影響がある場合があるわけでございます。したがいまして、現在の制度では、廃棄物の法律によりまして、その性質に応じまして中間的な処理をする。また、最終的な処分につきましても、それぞれの性格に応じた最終処分の基準というものを定めておるわけでございます。そういう意味で、環境に通常でございますと放出をされるというケースがあるわけでございますが、物によりましてはこれを遮断するような措置をとりまして、環境に悪影響がないように最終処分をするというような基準を定めておるわけでございます。
   〔原田(昇)委員長代理退席、渡辺(秀)委員
   長代理着席〕
#257
○小澤(克)委員 今の御説明の末尾で若干既に触れられましたが、環境庁長官にお尋ねしたいのですが、そうしますと、物によっては、すなわち有害物、これが溶け出て例えば体内などに入ると有害な作用を及ぼすような物質ですね、重金属であるとか、代表的なところではPCBなどがあるかと思いますが、こういったものについては言葉どおりの処分、すなわち環境中に排出するということではまずいのであって、むしろ封じ込めて管理をする、これが必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#258
○森国務大臣 廃棄物の処理処分につきましては、昭和四十六年に廃棄物の処理及び清掃に関する法律というのが施行されまして、そして五十二年に、特に有害性の高い廃棄物について、この法律の中の第十五条ですか、埋め立てなどの最終処分に当たってはコンクリート槽への封じ込めを義務づけるなどやっておりますので、環境保全のためには厳しい要件を定められております。
#259
○小澤(克)委員 先ほど私が示しました図書によりますと、これは「図説廃棄物処分基準」というのですが、これによりますと、「本来自然界に存在しないもの、又は自然界に放出することにより、食物連鎖等を通じて人の健康に重大な悪影響を及ぼすおそれのあるものは、できる限り自然環境から隔離することが必要である。」こういう記載もあるわけでございます。ただいまの大臣の御答弁も同様趣旨だろうと思います。
 また、例えばPCBにつきましては、これはPCBを使用する部品、電気部品などについては埋立処分が現在禁止されているというようなことも聞いております。
 そういたしますと、埋立処分というのはもともと有機性の廃棄物を土壌中の微生物の作用で分解して土壌に還元する、こういう自然界の生態系循環の作用を利用した処分方法でございますから、そういった生態系の循環に相入れないような物質、有害性の物質、あるいは非常に分解しがたい難分解性の物質等については、これを隔離する、環境中に有害物質を漏れ出さない方法によって、そういう方法を講じて隔離をする、そして管理、監視をしていく、そういうクローズドシステムといいますか、そのことが必要ではないかと思いますし、また、万一地下水等に漏れ出した場合には回収することができるように回収可能な状況で管理をする。端的に言いますと、有害廃棄物については、言葉の本来の意味での最終処分、すなわち、環境に排出するということはあってはならないのではないか、こう考えますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
#260
○谷野政府委員 ただいま大臣もお答え申し上げましたように、廃棄物の法律によりまして、それぞれの性格に応じて処分の基準というものを定めておるわけでございます。したがいまして、ただいま先生御指摘のように、有害なものが有害なまま環境の中に出ていくということは、これはあってはならないというふうに私どもは考えております。したがいまして、それぞれの性格に応じまして、例えば有機物が中心でございます一般の廃棄物等につきましても、管理型と私どもは申しておりますが、そういう遮水壁を設けたような中で浸出水を処理をしながら自然の姿に近い形に持っていくというような監視、監督をする。さらに、非常に有害性の強いものにつきましては、先ほど申しましたような遮断型の中に入れるというような、それぞれの性格に応じた処理がなされてしかるべきであるというのが基本的な考え方でございます。
#261
○小澤(克)委員 最後に、環境庁に伺いますが、その場合に最も問題になるのは水であるということが、これは昭和五十一年の参議院の社会労働委員会で環境庁水質保全局長の堀川春彦さんという方が言っておられますが、まさにそのとおりでしょうね。地下水にしみ出すのが一番危険である、こういうことになりましょうか。もう時間がありませんので、結論だけ言ってください。
#262
○谷野政府委員 おっしゃりますように、地下水及び場合によりましては雨によりまして表流水に出ていく、こういう水の管理というのは極めて重要な問題であるというふうに考えております。
#263
○小澤(克)委員 次に、厚生大臣に伺いますが、この廃棄物、特に産業廃棄物については発生者責任の原則というものが重要である、また我が国の法制上も確立されている、こういうふうに私認識しておりますが、これは間違いありませんでしょうか。
#264
○今井国務大臣 お説のとおりでございまして、事業活動に伴って生じました廃棄物の処理につきましては、それを排出する事業者がみずからの責任において適正に処理する責務を持っているものでございます。
#265
○小澤(克)委員 この発生者責任の原則、PPPの原則というふうに言われているようですが、これは国際的にもほぼ確立された原則と承知しておりますが、この意味内容をもう少し詳しく言っていただきたいのです。
 発生者責任といいましても、費用の負担の問題であるとか、それから安全管理、あるいは損害賠償上の責任の帰属主体の問題である場面、あるいは処分をみずから直接やらなければならない、補助者等に委託をしてやるべきではないというような幾つかの意味内容があろうかと思いますが、大臣のお考えの発生者責任の原則というのは、どういった内容をお考えなのでしょうか。
#266
○森下政府委員 お答え申し上げます。
 事業者責任ということで、これは産業廃棄物というのは、事業活動に伴って生じました廃棄物のうち特別処理のしにくいものを定義しておるわけでございますが、そうでない廃棄物も含めまして事業活動から出てまいりました廃棄物は、これは事業者が責任を持って始末するということでございます。
 では、具体的にどうやるかということでございますが、まず、自分でみずから手を下して処理するということが一つでございます。
 それから、それを特別に扱います処理業者、産業廃棄物処理業者と申しておりますが、これは都道府県知事の許可を受けた業者でございます。こういった者に委託をして行わせるということが第二のやり方でございます。それでその場合に、事業者は自分の責任ということで、その自分が委託をいたします産業廃棄物処理業者が正しく自分の廃棄物を処理できるものであるかどうかということを確認いたしまして、そして始末をさせるということになっております。
 そういうことで、自分が行うということで自分の責任を果たす、それから、自分が頼んで完全にそれを処理することができる者にやらせる、またそのための費用を支払うということで責任を果たす、このような形になっておるわけでございます。
#267
○小澤(克)委員 そうしますと、私が最初指摘した三つの側面のうち、費用についてはこれはもう文句なく発生者が負担をする、それから責任の帰属についても発生者である、ただし実行行為は他の人に委託をして行ってもいい、こういうことになろうかと思います。
 そこで、産業廃棄物については、そのようなことが我が国の法制上も確立されているし、国際的にも確立された原則であるというふうに認識しておりますので、今度は科学技術庁長官にお伺いいたします。
 有害廃棄物の中でもその最たるものと思われます放射性廃棄物、これにつきましても、今私が指摘した二つの原則、すなわち、環境に放出してはならない、封じ込めるべきである、また、万一漏れ出たような場合に備えて回収可能な状況で管理すべきである。すなわち、言葉の本来の意味での処分ではなく、管理をすべきであるという原則。それから第二に、もちろん発生者責任の原則が貫かれるべきだ、発生者責任の原則。この二つの原則が放射性廃棄物についてはより以上に妥当するといいますか、厳密に守られなければならないのではないか、こう考えるわけでございますが、科学技術庁長官のお考えはいかがでしょうか。
#268
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 原子力施設において生じます廃棄物につきましては、現在それぞれの事業所の中に貯蔵庫を設けまして、十分安全な形態にして保管をいたしておりますし、その漏えいその他周辺の放射線の状況等については、モニタリングによって十分監視をいたしておるところでございまして、先生御指摘のように、その廃棄物によって周辺に害を与えることのないような十分な監視体制をとっておるところでございます。
 それから、発生者の責任の問題でございますが、これも発生者責任の原則に基づいて措置をするというのが原子力委員会におきます基本的な考え方であり、政府もその方針にのっとって行政指導しておるところでございます。
#269
○小澤(克)委員 大臣から直接伺いたいのですが、そうしますと、発生者責任の原則はゆるがせにしない、他の者にその放射性廃棄物を渡してしまったらそこで責任が切れるというようなことは、今後ともお考えでないということなのか。
 それからいま一つ、環境に漏れ出ることのないように管理を続ける、万一漏れ出た場合には回収可能な状況において管理をする、この原則を今後とも守るおつもりがあるのかどうか、大臣から直接お答えいただきたいと思います。
#270
○河野国務大臣 先生御指摘のとおり原則的には発生者の責任である、こういうふうに私どもは考えておるわけでございます。昨年十月の原子力委員会及び原子力安全委員会の報告書におきまして、放射性廃棄物を集中的に処理処分した方がより効果的、効率的かつ合理的な場合には、安全確保の責任は、経済的、技術的に十分な能力のある専門の廃棄事業者に負わせることが適当である、こういうふうに述べられておりますが、その場合にありましても、発生者責任の原則にのっとりまして「発生者は、処理処分に必要な費用を負担するほか、処理処分が円滑に実施されるよう、廃棄事業者に対し適切な支援を与えていくことが重要である。」こういうふうにつけ加えているわけでございます。私といたしましてはその線に沿って対応してまいりたい、こう考えております。
#271
○小澤(克)委員 大変重大な発言だろうと思います。すなわち、厚生省の方では、廃棄物については責任の所在としても発生者責任の原則があるしこれが確立されているというお答えであったわけでございますが、今のお話では、費用負担及び助言指導程度であって、責任主体としては発生者の責任が遮断されるようなことをお考えのようでございますが、これは大変重大だと思います。そういうことはあってはならないと思いますが、お考え直しいただけませんでしょうか。
#272
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 一般の産業廃棄物におきましても、自分が処分するか、さもなければ市町村等が許可をしました処理事業者といいますかそういった者に委託して処分させるということができるわけでございまして、発生した事業者自身はその委託する先がちゃんとした許可に適合している、許可を受けた者であるかどうか等をチェックした上でその者に引き渡すということになっておるわけでございまして、先ほど大臣から申し上げました、原子力委員会でいろいろ討議の上決めました結論として出ましたことも同様でございまして、発生者である電気事業者が自分で処分するということが原則でございますが、集中的に管理する場合のような、非常に安全確保上責任の明確化という観点から申しまして、廃棄事業者がそういう処理処分をしている間に生じました問題については、むしろ当該廃棄事業者に責任を持たせるということがより効率的であるという判断でそういうことにしておるわけでございまして、電気事業者自身も当然のことながら、その廃棄事業者は法律に基づいた許可を受けたしっかりした廃棄事業者である場合に限りそういう者に処分を任せることができる、こういう考え方に立っておるものでございます。ただ、その体制につきましては、法案化すべくただいま政府部内においてまだ検討中のところでございます。
#273
○小澤(克)委員 廃棄物の処理及び清掃に関する法律は第三条にはっきり書いてあるのですよ。「事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。」「自らの責任において」とはっきり書いてあります。放射性廃棄物についてこの発生者責任の原則を捨て去るようなお話、これは私、到底納得できません。もしその方向で法改正など考えているのであれば、これは大変なことになると思います。
 厚生大臣に伺いますが、この産業廃棄物について発生者責任の原則が確立されているのはそもそもなぜですか、その理由を教えてください。
#274
○森下政府委員 なぜですかというお尋ねでございますが、つまびらかには存じませんが、やはり自分の事業活動の一環でございますから、それによって収益を得るということで、その始末まで自分で責任を持つということは、これは非常に当然なことではないかと思いますし、先生御承知のとおり、国際的にもPPPという一つの原則で共通的に認識されているところでございます。
#275
○小澤(克)委員 今のお答えにありましたとおり、もう当然のことだ。それをなぜ放射性廃棄物について守ろうとしないのでしょうか。おかしいじゃないですか。いかがですか。
#276
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 原子力施設につきましても、施設を設置した者から発生するものにつきましてはその者の責任において処理処分をするわけでございまして、その仕方といたしまして、きちっとした廃棄物事業者という者にこれを引き渡すということで適正に処理処分が行われるということを確認するわけでございますし、さらに、今の原子力委員会の決定にございますように、単に引き渡した後そのままということではございませんで、その事業が的確に運営されるように十分支援していくということで発生者としての行為を行うわけでございます。
#277
○小澤(克)委員 大臣に伺っているのですから、大臣にお答えいただきたいのです。
 おかしいでしょう。今のお話だと、結局、その廃棄処理業者に渡せばそこで発生者の責任が遮断されるという前提でお話しのようですよ。これはあってはならぬことでしょう。いかがですか、大臣の直接のお考えをいただきたいと思います。
#278
○河野国務大臣 小澤委員の御心配といいますが御指摘、よく理解ができますけれども、現状におきましては、委員御指摘のとおり発生者の責任において管理をしているわけでございます。
 ただ現状、私の理解、記憶がもし正しければ、二百立方メートルの低レベル廃棄物というものが今保管をされているわけです。相当な量になってきているわけでございます。非常に大ざっぱに言って、私は自分で記憶をしようと思って霞が関ビルを升にしてどのくらいかななんということを自分なりに計算してみますと、霞が関ビルの大体四分の一程度の量になるかと存じますが、相当な量の低レベルの廃棄物が今あちこちに分散して発生者のもとに管理をされているということでございます。
 したがいまして、こうした相当な分量のものが幾つかに分散されて管理をされている、もちろん発生者の責任において管理をされているわけでございます。十分な管理が行き届いていると確信をいたしておりますが、しかし、こういう状況になってまいりますと、一つの考え方として、どこかに一カ所に集中してより完全な管理をするということも一つの方法ではないかという考え方があってもこれはおかしくはないのではないかということでございまして、原子力委員会でございますとか原子力安全委員会でございますとか、非常に幾重にも幾重にも安全を考え、原子力関係の最高の権威者が集まって御検討いただいた結果、一つの考え方として先ほど申し上げたような考え方が今あるわけでございます。私どもはそうした考え方をよく検討をした上でより安全度の高い処理を考えたい、管理を考えたい、こういう状況であることをぜひ御理解をいただきたいと思います。
#279
○小澤(克)委員 集中して管理した方がよろしいという技術的な理由は、今そういう場合もあり得るというお話がありましたが、責任の所在についてまで移さなければならないという必然性は今のお話から全く出てこなかったと思います。全く納得できません。
 時間がありませんので、これについては発生者責任の原則を絶対に揺るがしてはならないということを重ねて強調しておきたいと思います。
 今大臣のお答えの中で、原子力委員会あるいは安全委員会等で方針を立て厳重に規制をしていくというお話がありました。そこで伺いますが、原子力委員会と安全委員会にそもそも分けた趣旨は何でしょうか。時間がありませんので、簡単に答えてください。
#280
○中村(守)政府委員 原子力の中で安全問題が非常に重要なファクターでございますし、客観的にこれを遂行するという観点から、安全規制部門だけを独立させて、いわば原子力の推進業務とは分離して行う、こういう観点から分けたものでございます。
#281
○小澤(克)委員 そこでお尋ねしますが、今回の廃棄物についてどうするかというようないろいろ方針を出している原子力委員会の側の基本問題小委員会に電気事業連合会の原子力部長、固有名詞を出しても差し支えないと思いますが、宇佐美武さんという方が構成員となっておられるわけでございます。その一方で、安全委員会の方の放射性廃棄物安全規制専門部会の安全規制分科会、ここにも同じ電事連の方が参加をしている。これでは原子力委員会と安全委員会に分けた趣旨が生かされないんじゃないか。しかも、安全委員会というのは安全規制をする委員会です。そこに規制をされる側を代表する者が加わっている。これは制度としても非常におかしいと思いますが、大臣いかがでしょうか。これはぜひ大臣、直接お答えください。
#282
○河野国務大臣 もしそうした委員会に規制をされる側の人が大多数入っているということになれば、これは委員がおっしゃるように考えなければならぬと私は思います。しかし、そうではなくて、規制をされる側の人たちといえども原子力の問題についての知識あるいは経験というものを十分に持って質問に答え、みずからの経験あるいはみずからの知識を述べてそこで安全に対する資料を提出することが非常に意味があるとすれば、そのメンバーに今御指摘の方が加わっているということにも私は意味があるというふうに思います。
#283
○小澤(克)委員 全く納得できません。規制をされる側の意見を聴取する、呼んできて意見を聞くということまでは、それは当然あってしかるべきだろうと思いますが、安全規制をする方針を立てるその委員そのものに規制をされる側の者が入っている、こんなことはあってはならないことだろうと思います。プレイヤーがアンパイアを兼ねるようなものでございます。こういうことは決してあってはいけないものだと思います。時間がございませんので、全く納得できないということを指摘しておきます。
 さて、予算委員会でございますから予算のことも若干お尋ねしたいと思います。
 科学技術庁にお尋ねしますが、高速増殖炉の開発について来年度予算はどの程度お考えでしょうか。また、これについての今後の予算上の、費用上の見通し等教えてください。
#284
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 昭和六十一年度の高速増殖炉関係の予算でございますが、政府出資額といたしまして総額約五百五十四億円を計上しております。具体的には原型炉「もんじゅ」の建設に要する経費といたしまして三百九十二億円、実験炉「常陽」の運転に関する経費といたしまして約五十七億円、その他研究開発等に関する経費といたしまして百五億円を計上しているところでございます。
 今後の費用につきましては、実験炉「常陽」あるいは一般的な研究開発は大体こういった傾向かと思いますが、原型炉「もんじゅ」の建設につきましては、今後「もんじゅ」の建設が最盛期に入ってまいりますので、今後経費の増大が見込まれております。
#285
○小澤(克)委員 時間がございませんので、この問題点についてはまだ後回しに伺うことにいたしまして、「もんじゅ」については総額で大体六千億程度を予定している、そのうち民間負担分、民間拠出額が一千三百八十億程度を予定しているというふうに伺っております。
 次に、通産大臣にお尋ねしたいのですが、最近新しい発電技術として燃料電池。というものがクローズアップをされておるようでございますが、これは耳新しいものだろうと思いますので、そもそも燃料電池というのは一体どういうものなのか、どういう特性を持つものなのか、あるいは将来見通しはどうなのか、また予算的にはどの程度来年度予算をつけておられるのか、今後の計画はどうなのか、取りまとめてお答えいただきたいと思います。
#286
○渡辺国務大臣 燃料電池の問題は私もよくわかりませんので、事務当局から答弁させます。
#287
○等々カ政府委員 通産省はムーンライト計画、これは省エネルギー技術研究開発計画でございますが、この中の一環といたしまして三つのタイプの燃料電池の研究開発を推進しております。燐酸型、溶融炭酸塩型、それから固体電解質型の三つでございます。この原理は、水を電気分解いたしますと水素と酸素が発生するわけでございますが、これをちょうど逆に働かせるというような形でございますが、燃料として水素と酸素、そういうものを使いまして、非常に効率の高い発電を行うというシステムでございます。
 予算の方のお話をいたしますと、六十一年度には三十二億円を計上しております。現在、この三つのタイプのうち一番実用化に近いということで燐酸型の燃料電池についてかなり精力を集中して研究をやっておりますが、今年度中には千キロワットの発電プラントの建設が終わりまして、来年度からこれの試験運転に入る予定でございます。昭和六十年代の後半になりますれば実用化になるのではないかというふうに期待しております。
#288
○小澤(克)委員 私の聞いているところでは、この燃料電池というのは非常に特性がいい。まず効率が高い、熱併給をやりますと総合効率で八〇%にも達するということで非常に省エネルギー効果があるということと、それから低公害型である、また分散型であるために送電のロス等が少ない、また負荷追従性が非常に高いとか、大変優れた特性を持っている。今後火力に代替していくのではないかということで、例えば電気メーカー等が将来十兆円の市場になるというような見込みのもとに大変開発に力を入れているというようなことも聞いております。これは、こういうものができできますと、内需を拡大する効果もありましょうし、またソフト型の経済の発達している先進国にもフィットしますし、また送電線等の設備の整っていない開発途上国にも適合する大変すぐれた技術だろうと思いますので、今後大いにこれを振興していただきたい、また電気産業に働く者の雇用の面などからも大変いいものではないかというふうに考えるわけでございます。
 そこで翻って、最初にお尋ねしました高速増殖炉、これについては大変今批判が多くなっております。エネルギー関係の専門誌でございます「エネルギーフォーラム」の一月号に、財団法人電力中央研究所の経済研究所主査研究員、こういう方が、これは電力会社のシンクタンクのようなところだろうと思いますが、「再処理価格やプルトニウム燃料加工費の高騰、高速増殖炉建設低減の困難さ等、プルトニウム経済の成立に不利な条件が次々に明らかになってきた。」というようなことを言いまして、高速増殖炉の開発については少し考え物であるということを公式に表現をしております。さらに経営者向けの雑誌であります「選択」の一月号には、もっと露骨に、高速増殖炉については経済性がない、電力会社は負担金を取られるために非常に迷惑をしているということが書いてございまして、そのために電事連では去年の夏に高速増殖炉推進会議というのを対策会議というふうに看板をかけかえた、そして戦略委員会というものをつくって高速増殖炉、FBRのあり方について見直そうとしている、そして今後はこれについて通産省、科技庁等にその主張をぶつけていくというような記事があるわけでございます。
 ということで大変むだが多いのではないかということが最近電力業界などからも指摘されておるようでございますので、これについてどうお考えなのか、通産大臣、科学技術庁長官、それから大蔵大臣にもお答えを願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
#289
○渡辺(秀)委員長代理 時間が経過いたしておりますので、科学技術庁長官、まとめて簡略に御答弁を願います。
#290
○河野国務大臣 高速増殖炉は委員御承知のとおり消費した以上の核燃料を精製してウラン資源を最大限に有効利用できる原子炉でございます。こういう原子炉、相当な資金がかかっておるということも御指摘のとおりでございますが、原子力発電における対外依存度を軽減してエネルギーセキュリティーの確保を図るということは国の政策上極めて重要なことだ、こう考えておりまして、関係各方面の御理解をいただきながらこの方針をこれから先も貫かせていただきたい、こう考えておるところでございます。
#291
○渡辺(秀)委員長代理 これにて竹村君、小澤君の質疑は終了いたしました。
 次に、沼川洋一君。
#292
○沼川委員 教育費に関する問題で、大蔵大臣、それから文部大臣にお伺いしたいと思います。
 先月一月十四日に厚生省が発表しました昭和六十年国民生活実態調査というのがございますけれども、この中で昨年に比べて家計がどう変わったかという調査欄がございますが、家計が悪くなったという世帯が全体の四〇・九%と出ております。特にこの中で、収入は変わらないけれども悪くなったというのが四八・五%あります。収入が増加したけれども悪くなったというのが九・七%ございます。要するに収入面は変わらないけれども支出が増加したために悪くなったとしている世帯の一番の理由は教育費がふえたというのが二九・七%でトップでございます。また、収入が増加したけれども支出が増加したために家計が悪くなった、こういう世帯のやはり一番の理由に挙げららているのが教育費の負担がふえた、これは四三・五%となっております。これを見ますと、教育費の負担増がいかに家計を圧迫しているかという実態が浮き彫りにされておるわけでございます。さらに年齢別構成を見ますと、特に四十歳から四十九歳が四二%と一番教育費の負担増を訴えております。言ってみれば、中高年層の家庭が最も教育費に苦しんでいるという実態でございます。
 またさらに、これは総務庁統計局が昨年の十二月二十日に発表された資料でございますが、五十九年度全国消費実態調査というのがございます。この中で見ますと、やはり教育費の負担増が目立っておるわけでございます。
 特に、ちょっと細目に申し上げますと、世帯類別一カ月の教育関係費というのがございまして、勤労世帯を一つの例にとってみますと、これは平均値でございますけれども、夫婦と子供が一人の場合に、小学校で一万五百六十三円、中学校で三万八千三十五円、高校で五万六千二百八円、大学で六万八千五百九十一円。子供が大学に行きますと、家計の消費支出に占めるいわば教育関係費が何と一八%になっております。さらに夫婦と子供が二人の場合ですが、一番上の子が小学校で一万四千五百八円、中学校で二万三千二百二十六円、高校で三万五千八百九十五円、大学になりますと七万八千五百五十二円で、大学の場合は家計支出のいわば一九・七%が教育費だ、こういうことになっております。さらに夫婦と子供が三人以上の家庭を見ますと、一番上の子が小学校で一万九千百七十三円、中学校で二万七千百五十五円、高校で四万二千三百八十九円、大学になりますと九万四千九百三十三円で、この場合の家計の支出に占める教育費負担というのが何と二二%となっております。
 こういった統計調査の数字を見ますと、結局教育費が小学校、中学校、高校、大学と子供が進学するにつれて急上昇しておりまして、非常に家計の余裕がなくなっていくという姿が明らかにされております。特に今申し上げましたように、子供が大学になりますと消費支出の一八から二二%を占める教育費ということになりますと、これは非常に問題だろうと思いますし、また大学に子供を出しておる親の中で消費支出が可処分所得を上回っている実態もこの数字の中に出ておるわけでございます。
 そこで、改めてこういった実態を前提にして大蔵大臣、文部大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、このような現状を率直に言ってどういうふうに受けとめられるのか。私に言わせるならば、やはり家計における教育費負担の増大というのは、国の行政が公費を削減してきまして、いわば受益者負担行政をずっと推し進めてきたわけでございます。こういった国の教育費抑制策、また五十七年度以降とられておりますマイナスシーリング、こういったものがやはり大きな一つの要因になっておるのではないかと思うわけです。
 そこで、一つの基本姿勢としてお尋ねをしたいと思いますが、国の財政事情というのもわからないわけではありませんけれども、教育費を削減していくという行政が、いわば行革の理念に照らしてむしろ逆行しているのではないか、私はこのように思うわけです。御案内のように、行政改革の基本的ねらいというのは基本答申にも述べられておりますように、国の活力を回復して二十一世紀を展望した国づくりの基礎を固める、このようになっております。であるならば、当然その根幹に次代を担う青少年の育成、すなわち教育という問題が最重要視されなければならない、このように考えるわけでございます。特にこれからは、人口の高齢化が今からどんどん進んでまいりますし、逆に子供の数が着実に減る傾向にございますので、今後の国の発展の基礎ということになりますと、これは当然一人一人の、どの子の能力もむだにしないで最大限に引き出していくということが決定的に大事な事項ではないかと思うわけです。行政改革の基本理念に照らしましても、さまざまな財政事情があるにせよ、やはり教育費だけは別枠としてその拡充を図っていく、将来の発展の基礎を築くということが行政改革の一番重視しなければならぬポイントではないか、私はこう考えるわけですが、この点についてどのようにお考えになるか。
 それから、これは素朴な質問でございますが、財政事情が厳しいからといって教育費を削減する、こういう行政、こういう政治が今後も続いていっていいのかどうか、率直に御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#293
○海部国務大臣 委員がただいま御指摘になりました最近の教育関係費の一覧表は私も詳細に見ました。そして、確かに御指摘のように、昭和五十五年に六・三%という比率であったのが、五十九年、この間の発表では六・八%と幾らかふえております。このことは、教育関係にいろいろな支出がかかるようになるということで、傾向としては、子を持つ親の皆さんの支出の割合がふえるということはつらかろうと私は思います。しかし、文部省といたしましても、この厳しい情勢の中でありますから、与えられました枠の中では政策の中の優先順位をいろいろ考えて、ことしなんかもどこへポイントを置いたかといいますと、先生御承知のように私学の助成に力を入れたり、あるいは育英奨学の制度のところの切り込みを少なくして結果として事業量がふえるように、いろいろ努力しましたのは、何とかこの比率が少しでも維持できるようにしていきたい、教育は国家百年の大計と申しますので、でき得る限りそういった父母の経費軽減という、それは背景としては教育の機会均等にも連なっていくわけでありますので、そういった考え方を持ってこれからも臨んでまいりたいと思っております。
#294
○竹下国務大臣 今財政改革を進めております中で率直に言って完全な聖域を設けていくというのは困難でございます。各種施策をそれぞれ聖域を設けることなくある種の概算要求基準を設けて、その中で教育なら文部省あるいは社会保障なら厚生省等々が優先順位を十分勘案してもらいまして、それに対して可能な限りの財政措置をしていく、こういう方針で、今も文部大臣からお話がありましたように今年度予算におきましても四十人学級の推進、私学助成の確保、科学研究費の充実あるいは外国人留学生受け入れの拡充、そういう施策に配慮してきたというのが実情でございます。
 そこで、各種統計についての御意見でございますが、いわゆる中高年層、四十歳から四十九歳という例示でもってなさったわけでありますが、まさに今度の税制の抜本対策に対する諮問を今税制調査会に申し上げておるわけでありますが、いわば結果として一番教育支出等に負担のかかる層というものに対する減税問題等が税制調査会でも御議論をいただいておるさなかであるというふうに私は認識をいたしておるところであります。
#295
○沼川委員 文部大臣の御答弁にしてはいささかあれだったのですが、まあ私学の助成、いろいろと細かいところに配慮をしていらっしゃるわけですが、ちょっと私は基本的な問題として聞いたわけです。与えられた枠の中でと、こういうことを前提にしておっしゃったわけですが、私が一番聞きたいのは、率直な大臣の――確かに財政難、しかしやはり教育は国家百年の大計でございますから、教育という問題は最重要視しなければならぬ、そういう中で今の国の予算との絡みがそういう現状でいいのか、こういうことを一番聞きたかったわけです。率直な御意見をお聞かせください。
#296
○海部国務大臣 先生が激励を兼ねてお尋ねいただきます。そのお気持ちは、私も大変ありがたいお気持ちだと思いますし、毎年予算編成時期には、私どもも国家百年の大計ですからでき得る限りの配慮を願いたいということで、それぞれ大蔵大臣にもお願いをし折衝をしておるわけでありますが、こういう横並びの情勢の中で、ちょっと大蔵大臣の顔が見えませんのでわかりませんけれども、でき得る限り最大の配慮をしていただいておると思いますし、これからも教育には最大の配慮をしていただきたい。私の気持ちとしてはそういうところでございます。
#297
○沼川委員 これ以上この問題は論争するつもりはありませんが、そこで大蔵大臣にちょっとお尋ねをしたいと思います。
 総務庁の統計局が六十一年の一月、先月でございますが、三十一日に発表しました昭和六十年平均全国消費者物価指数の動向というのがございます。これを見ますと、昭和五十五年を一〇〇とした総合指数が一一四・四、前年に比べて二・一%の上昇になっております。特にこの中で教育費が前年度比プラス四・五で、この上昇率というのはもう物価平均指数の大体二・一四倍となっておるわけです。
 さらにこれには全国十大費目指数というのがございますが、これを見てまいりますと、物価がこのところ極めて安定している、こういった数値が確かに出ておりますけれども、やはりその中で教育費のいわば急増というのが克明に出ておるわけでございます。
    〔渡辺(秀)委員長代理退席、中島(源)委員
    長代理着席〕
 例えば、五十五年を一〇〇とした場合、総合指数では一一四・四になっております。ところが教育費は一三〇・五で、これはトップなんです。今、物価のワースト・ナンバー・ワンは教育費なんですね。さらにこれを五十年を一〇〇とした指数で六十年度の平均を見ますと、この十年間で総合では一五二となっておりますが、教育費は二三五・三です。この数字から、いかに教育費負担増というものが家計を圧迫しているか、これがうかがわれるわけです。物価指数の約三倍です。
 そこで、最近の国民の実感として、政府が盛んに物価が安定したと数字的に発表されましても、何となく実感として家計が安定したというのはどうもそこにずれがあるわけですね。その原因は、こういう数字を見ますと、やはり教育費が非常に家庭の経済を圧迫している、これが言えるんじゃなかろうかと思います。こういう形ですと、これはもう、一つの増税になっていますね。この点どうお考えになりますか。
 さらに、内需拡大が叫ばれておる今日でございますけれども、大衆消費は依然として低迷しております。言ってみれば現在この教育費の負担増が国内需要を後退させている大きな要因になっているのじゃないか、このようにも考えるわけです。先ほど大蔵大臣も税制調査会でいろいろと検討している、このようなことをおっしゃっておりましたが、そういう面から考えてみましても、今四野党が修正要求いたしております所得税の減税を柱にした二兆三千四百億の減税は、やはりこういう実態からしても何としてでもやってもらいたい。また中でも特に教育減税という問題に配慮する必要があるのじゃないか、こういうことを考えますけれども、大蔵大臣いかがでしょうか。
#298
○竹下国務大臣 確かにいわゆる消費者物価指数の十大費目の推移ということになりますと、とにかくここのところずっと教育費は一番から三番の中に入っております。これについていろいろな意見は、その年々によって多少光熱、水道料が上がり過ぎたとか、そういう極端なときはございましても、大体ベストスリーにずっと定着しておることは事実でございます。事ほどさように我が国の国民全体が教育に対して熱心だという一つの見方もあろうかと思うわけであります。ただ、個人消費ということになりますと、教育費もいわゆる消費支出の一部門でございますので、全体でとらまえて個人消費と申しますので、その中で内需との関係を議論するのはあるいは難しいかなと思うのでございます、総体的に消費支出の一部門として位置づけられておりますので。
 それはそれといたしまして、そこで今おっしゃいました所得税減税問題。これは昭和五十四年からいろいろな議論をいたしまして、やっとと申しましょうか、去年の夏から税制調査会へシャウプ勧告以来の抜本改正を諮問する環境ができた。したがって、これが秋ごろに御答申がいただけるだろう。その際はやはり国会の議論等、例えばきょうの議論もすべて正確に整理し、税制調査会へお伝えするわけでありますが、当然のこととして、いわゆる教育支出の多いであろうような層を、ゆがみ、ひずみあるいは重圧感というような点から、問題意識を持って税制調査会の御論議が進むであろうというふうに私どもも期待をいたしておるところであります。したがって、ことしの場合は、いずれにせよ抜本策の根幹に触れない限りにおける税制の措置だけを今御審議をお願いをしておる、こういうことになるわけであります。
 それと同時に、当然のこととして、減税ということになりますれば、さてその財源をどうするか、こういう議論をしなければなりません。それは赤字公債を発行するという、いわば金融市場の余裕がないというわけでもございませんけれども、やはり公債発行は、一兆円を発行いたしますならば六十年間にわたって三兆七千億の言ってみれば後世代の納税者にツケを回すことになりますので、ここのところはやはりしっかりしなければならぬことでなかろうかと思うわけであります。
 それから、個別的な問題として教育減税、こういうお話がございました。昨年以来、国会でも随分勉強をちょうだいいたしまして、各党間の協議も重ねてまいりましたが、教育減税というので最後に一番つかえてまいりますのは、すなわち二百三十五万七千円、言ってみれば課税最低限以下の人にはいわばその恩典は及ばないということが一つ。それから、いろいろな事情があっていわば義務教育だけでお働きになって現実に税金を納めていらっしゃる人から見れば、私よりもかなり勉強できなかったあの人の方にいわば減税措置が及ぶということに対する勤労青年の感情的矛盾というものも確かに考えなければいかぬ。そうなると、結局税制というのは、個別の事情をしんしゃくしてそれを銘打って減税措置としてやるというのはやはりなかなか困難だ。したがって、総体的な抜本策の中でこれは位置づけを考えるべきである。そしてやはりそれならばというので、結局、高等学校関係につきまして私学助成、これは地方自治体も含むわけでございますが、いわば予算のいわゆる歳出面においてそれらの問題をカバーするという形で、四党の協議も結論を出していただいたというのが現実でございます。
#299
○沼川委員 時間がありませんので、この問題はまた別として、先に進みたいと思います。
 先ほど海部文部大臣が特に私学の助成には力を注いだ、こうおっしゃっておりますので、特に私学振興助成法が制定された当時の私立大学への経常費補助は、たしかあの当時は全経費の二〇・六%であったと思います。その後五十五年度に二九・五%までまいりまして、これからというときでございまして、その間、学生の納付金が非常に抑えられたし、教育研究の発展にもこの助成が大きな役割を果たしてきたこともこれは事実でございます。しかし、問題は、五十六年以降は補助金の金額がこれは低下してまいりまして、五十七年は前年同額の据え置き、五十八年は二・三%削減、さらには五十九年は一二%削減、六十年は据え置き、さらに六十一年度も据え置かれた。言ってみれば、六十年度で見ますと経常費全体の二〇・二となっているのですね。これは法制定以前の姿に完全な逆戻りをしている。
 そこで、お尋ねしたいのですけれども、やはり国の私学への助成が果たした役割はもちろん大きい。これは私も評価したいと思いますけれども、その成果が、まだ助成を終わるに至っていない、そういう段階で抑制、削減をするというような今の状態は、そういう状態にちょっとほど遠いのじゃないか、こういうふうに思うのです。
 これは海部大臣にお尋ねするのですが、海部文部大臣が昨年の十二月十一日でございますね、全私学振興大会に出られておりまして、ごあいさつをなさっております。引用させていただいて大変恐縮でございますが、「大蔵省は社会保障の削減を行っているのだから私学助成の削減は当然だといっているが、私学助成が完全に成熟したものであればやむを得ないだろうが、未熟である私学助成を削るなど、聞く耳を持たない。」と、すごい迫力のある演説をなさっていらっしゃるわけです。あれからしばらくたって文部大臣に就任されました。あの当時の御決意と文部大臣になられた今どこの心境はいささかもお変わりないかどうか、ちょっと御決意をお聞かせください。
#300
○海部国務大臣 御指摘の私学振興大会、当時私は自由民主党の文教制度調査会長でございましたから、出席もいたしましたし、先生の御指摘されたように、私学助成の制度というものは制度としてまだ未熟である、したがって、制度として成熟しておる他の制度と比べて、毎年削減だ、削減だではこれは困る、別に考えてもらわなければいけない、そして、教育は国家百年の大計であるとともに、絶えず繰り返し継続して教育研究の努力は重ねられなきゃならぬので、できるだけ最大限の配慮を強く求めていくつもりであるというような趣旨の演説をやったことは、これは事実でございます。
 それから、現在も正直を言うと私はその気持ちは持っております。私学の助成制度というのは、私学というものが大ざっぱに言いますと八割近くの高等教育の人材育成を引き受けておるわけでありますから、その八割近くの人材育成を引き受けておる私学が、絶えず高いレベルに教育研究の水準を上げていくとか、私学で学んだ人たちがこの国のためにいろいろなところで働いておっていただく、そういったこと等を考えますと、不断の努力を続けていくことは将来の国のためにも大切でありますから、私学に対する助成の制度というものはできるだけ充実していきたい。
 そこで、文部大臣にしていただきましたけれども、今もそういう気持ちでおりまして、これからもでき得る限り私学助成で環境をよくしていきたいという私の気持ちには変化はございません。
#301
○沼川委員 大蔵大臣、今の御答弁よくお聞きになったと思いますけれども、さらに、これは自民党の金丸幹事長がやはり昨年の九月に名古屋の会合で演説なさっているのですが、「財政が苦しい中でも、教育は真剣に考えなければならない」と、人づくりの重要性を非常に強調されました。そして「教育予算を削ろうとするようでは世界の競争に勝てない」、「私学助成金を減らそうとする動きがあるが、官学だけで社会が成り立っているわけではない」と、すごい迫力で演説なさっております。ですから、自民党の中にも、今も大臣もおっしゃったとおりでございますけれども、やはり私学という問題の重要性、極めてこれを強調なさっている方は非常に多いわけです。
 そこで、これは大蔵大臣に一つだけお聞きしておきたいのですが、現在御承知のように国立大学とさまざまな格差がございます。例えば、教員一人当たりの学生数や学生の学費負担は国立の三倍で、学生一人当たりの校舎面積とかあるいは教育費は逆に三分の一、同じく国費負担額が十分の一である。こういった情勢を見据えて考えていかなきゃならぬのは、私学に対して国がどうかかわるかという基本理念といいますか、哲学がやはりどうもないような気がいたします。ただ、そのときの財政の状況によってどんどん削り込まれていく。やはりこの辺を、財政当局でございます大蔵大臣が、国が私学に対してどうかかわるべきかという基本理念、哲学の上に立って対応をひとつやっていただきたいと思うのでございますけれども、いかがでございますか。
#302
○竹下国務大臣 この私学助成問題について、随分議論をいたしたことがございます。
 その哲学の問題でございますが、元来、公の支配に屈せざる慈善、宗教、教育等の団体に公金を支出してはならぬというのが本当は憲法上あるわけであります。それをあの当時、私も若いときでございましたが、いろいろ議論して、今の財団というものをつくってそれで私学の道を開いた。それで一つの契機が、三百億を超すというのが一つの大きな目標でありましたのが昭和四十七年度予算でありました。当時は、お亡くなりになった高見文部大臣、先ほどおりました河野洋平君がたしか文部政務次官だったかと思います。私は内閣官房長官でございました。しかし、そのときにも議論いたしましたのは、私学というものはその校風とか建学の精神とかそれによって選択していくべきだから、本来はノーコントロール、ノーサポートであるべきものだ。むしろ教育政策としては、先生もいつもおっしゃっておるようでございますが、育英奨学資金制度を充実するならば、本来はノーコントロール、ノーサポートであって初めて本来の私学の建学の精神というものが貫き得るではないか、こんな議論もいたしました。ただ、それは慶応、早稲田の議論だ、こういうようなこともございまして、結局は最終的には、国が引き受けるべき大学教育を私学がかわってこれをやっているのじゃないか、こういう議論からいわば財団というものができて、その後どんどん増額してきたわけです。
 増額してきましたところへ財政再建というものになり、そして臨時行政調査会とか行革審とか、いろんなところを議論をいたしますと、それは不正な補助があったというようなことが契機になってそんな議論が高まってきたという意味ではなくして、やはりここの辺で、金丸幹事長の今の言葉のように、世界に負けないような研究とか、そういうところに重点的に助成をすべきものではないか、こんなようなことで、私どもも、そういうところは予算をふやすような、ないところで知恵を絞って、もともとは文部省自身がそれぞれの優先順位をお決めになることですが、それに対していわば予算の調整をしておるということであります。
#303
○沼川委員 時間がありませんので、この辺の論議はさておいて、先に進みます。
 今、奨学金の充実ということをおっしゃいました。そこで育英奨学金の制度について、これは文部大臣にお尋ねしたいと思います。
 五十九年度に改正がございまして、新しく無利子の第一種奨学金、有利子の第二種、こういう形で発足して三年目になるわけです。特に論議の中で、無利子貸与事業制度は制度の根幹として今後も残す、こういうことでございましたけれども、これは現在もいささかも変わっておりませんか。
#304
○海部国務大臣 お尋ねの点は、少しでも量的に拡大をして、それから、それぞれの対象の学生の皆さんにより有効に利用していただきたいという面から制度が発足したと私は承知しておりますし、あくまで第一種のいわゆる無利子の奨学金の制度というものが制度の根幹であるということは繰り返し前任者も答弁しておるところでありまして、現在もそのつもりで我々も取り組んでおります。
#305
○沼川委員 制度の根幹として残すということでございますけれども、今度の六十一年度予算の中を見ますと、細かいことは申し上げませんが、国の一般会計負担額というのがこの二年間で六十一億七千五百万減少しているわけです、これは確かに国庫削減という問題がございますので。それから問題は、貸与人員がこの二年間で一万七千四百二十七人減っているわけですね。六十年度に九千人、六十一年に八千四百二十七人。
 こういったことを考えますと、今は大臣も、制度の根幹として残すということはいささかも変わりない、こういうことをおっしゃいましたけれども、やはり臨調が指摘しました、いわば無利子をなくして有利子にしてしまえというような方向にどうもこのままでは行くような心配があるわけでございます。大体私に言わせれば、根幹というのは大きい方を根幹というのであって、現状みたいな姿ならば、これは何といいますか、枯れ葉みたいな存在が貸与制度の実態じゃないかと思うのです。恐らく毎年毎年だんだんこれは減少の一途をたどるのではないか、こう心配をしますけれども、いかがでしょうか。
#306
○海部国務大臣 奨学資金の制度全体が、多くの人に利用されることによって、教育の機会均等という精神を学費負担の面から実現させていくように願っておりますのがこの制度の根本でありますから、結果として返済金等の運用等も含めてここに使われておる総額がふえておりますので、私はそういうふうでこれからも制度は続けていきたいと思いますが、詳細な数字等がもし御必要でございましたら政府委員から答弁を補足いたします。
#307
○沼川委員 時間がないのでちょっと詳細な数字、論議したいところでございますが、進みたいと思います。
 やはり私も、何も有利子貸与制度というのが悪いとは思っておりません。これが拡大をされていくということは大いに結構だと思います。ただやはり、日本の育英奨学制度というのが余りにも外国に比べて貧弱である。むしろ諸外国では給与制度あるいは無償貸与というのがほとんどの実態でございますが、そういうのを踏まえますと、やはり無利子の貸与制度というのはもっと拡大する方向を検討しなければならぬと思います。これを前提にした上で、せっかくおつくりいただいた、いわば資金運用部資金を導入して末端金利も三%、市中の九%とか一〇%と比べたら非常に低利でございますので、これはこれなりにひとつ拡大をしていっていただきたい、そういう考え方を持つわけです。
 そこで一つ、貸与人員が確かに全体的にまだ少ないという問題がありますけれども、無利子の場合なんか見ますと、国公立と私立大との格差が非常に大きいと思うのです。昭和六十年度の学種別貸与人員、文部省の資料でございますが、これを見ますと、無利子の第一種奨学生が国公立て十万八千九百十人、これは全国公立の大学生の二二%に当たるのです。私立大では九万九千四百五十五人、これは全私立の学生の七・四なんです。言ってみれば、公立と私立ては非常に貸与数に格差がある。ある人に言わせると、これも一種の官民格差じゃないか、こういう指摘もございますが、何でこういう格差ができるのか、教えていただきたいと思います。
#308
○大崎政府委員 育英会の奨学金の貸与の選考に当たりまして、私立大学の学生に対する配慮という点につきましては、かねがね努力をいたしておるわけでございますが、ただ、現状の数字は先生のおっしゃったとおりでございます。
 その原因といたしましては、日本育英会の貸し付けの基準という際に、家計の状況というものと学業の状況という、主として二つの要件を勘案いたしまして貸付対象を決定するということになっておりまして、その二つの要件にできるだけ近い者から選考するというような過程で、結果としてそのような状況にあるわけでございます。
 しかしながら、昭和五十九年度の有利子貸与制度の創設に際しましても、特に私立大学の貸与人員を一万二千人増員をいたしまして、現在学年進行で年々その数だけいわばストックとしてふえておるわけでございまして、今後とも配慮に努めてまいりたいと存じている次第であります。
#309
○沼川委員 ちょっと時間がなくて、もうちょっと論議したいのですけれども。ただ、今私が、これは六十年の資料ですが、国公立の場合は全生徒が四十九万六千六百二十人いるわけですから、そこから見ると二二%に当たりますが、私立の場合は百三十四万六千五百三十三人学生がいるわけですから、この学生の数から見ると七・四%にしか当たらない。むしろ、聞いてみますと、私立の学生の中でこの貸与を受けたいという希望が非常に多いと聞いております。そういう流れの中で、何かどうもこのパーセント自体が格差があるように思えてならないわけです。
 ちなみに、これは文部省の学生課の調べで、六十一年度はどういう方向になるかということを聞いてみましたら、やはり前年と同じで、第一種の無利子貸与については国公立は二二%、私立は七・四、何か一番から枠が決められて審査が行われているようなそういう感じも持ちます。学力の基準ということで、今まで私が聞いている範囲では、五段階の三・五以上が無利子で、三・二以上は有利子、こういうのが非常にネックになっているという話も聞いておりますけれども、いずれにしましてもこの辺にいろいろと指摘がございますので、ぜひともひとつ改善をお願いしたいと要望申し上げておきます。
 さらに、現在この育英奨学金の採用率を見ますと、五十九年度で総数で七三%となっておりますが、これは高等学校あるいは高等専門学校では採用率が九五・七%と非常に高いのです。ところが大学、短大になりますと五七・九%と非常に低いのです。いわば家計の実態に照らして、また父母負担の増大、そういう面から考えてみましても、この大学の採用率が少ないというのはこれはぜひひとつ御検討いただきたい、これは御要望申し上げておきます。
 次に、貸与額の問題について二、三御質問をしたいと思いますが、現状に照らしまして学費、生活費をカバーする水準に達していない、こういう問題が一つございます。特に私立大学の学生については貸与額が授業料にも達していない、こういう現状がございます。
 具体的にちょっと数字を挙げてみたいと思いますが、これは六十一年度の資料で見ますと、大学の場合ですが、第一種、第二種とも学生一人に対して、これは自宅外通学の場合ですけれども、国公立が月額二万八千円となっております。私立大学が月額が四万一千円でございます。したがいまして、年額にしますと国公立が三十三万六千円、私立大学が四十九万二千円、こうなるわけです。一方、国立大学のいわば学生納付金の金額の平均を見ますと、国立大学の場合が三十七万二千円、これに対しまして奨学金の総額が三十三万六千円でございますから、その全体に対して九〇・三%になるわけです。ところが、私立大学の場合は平均が九十一万三千円、これに対して総額が四十九万二千円でございますので、五三・八%にしかならないわけです。額の、単価の違いはありますが、実際の授業料とか校納金、その金額に比べてどれぐらいの充当率かと調べますと、非常に国公立の場合はそれが高い、九〇・三%、私学の場合は半分にも満たない、こういう結果になっておりまして、特に自宅外なんかを見ますと、授業料だけをとってみても、国公立の場合が、今度また上がりますが、二十五万二千円、これに対して二十六万四千円で一〇四・七%、それに対して私立大学の場合は四十七万五千三百二十五円、これに対して三十七万二千円ですから七八・二%、要するに授業料にも満たない金額になっておるわけです。
 ですから、単価そのもので比べると私立が大きいのですが、全体のそういう実情に照らしてみますと、やはり非常に負担の大きい私立の方にもうちょっと配慮をしていいのじゃないか、こういう問題がございますが、いかがでしょうか。
#310
○大崎政府委員 先生もお触れになられましたように、私立大学の学生の奨学金の貸与月額につきましては、従前から国公立大学に比しましては高額といたしておるわけでございます。その額の絶対水準につきましては、ただいま先生の御意見を承らしていただいたところでございますが、現時点では、昭和五十九年度の奨学金制度の改善というものをまず計画どおりに学年進行で完成をさせるという形で進行中の段階でございまして、今後の充実発展につきましてはまた引き続き検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#311
○沼川委員 最後に、もう一問だけお聞きしたいと思います。
 先ほど海部大臣おっしゃいました有利子を拡大するという方向でございますが、大いにこれはやっていただきたいと思いますけれども、確かに量的拡大を図るため有利子を導入したということでこれができたわけでございますから。そこで、この三年間を見ますと、この有利子の場合も、単価も貸与人員も変わってないわけですね。今国公立大学の場合が自宅で二万二千円、それから自宅外で二万八千円、私立大で三万一千円、四万一千円と、こうなっておりますが、この第二種については、六十一年度貸与人員が、予算書を見ますと一万八千人の増となっているわけです。計五万八千人。しかし、これは学年進行による増加であって、新規の拡大は全然なされてないわけですね。私がむしろ検討願いたいのは、やはり新規の枠を、これはせっかくの制度をつくったわけですから、もっと広げて、そして幅広い奨学金の要求される学生に貸与していく。せっかくできたのですから、こういう制度をもっと拡大していただきたいと思うのでございますが、額も含めて、いかがでしょうか。
#312
○海部国務大臣 この制度をスタートさせましたときの趣旨は、おっしゃるように、学年進行のみならず、できる限り新規も含めてやっていかなければならないという理想はございますし、また額の問題も、これはいろいろ御議論のあるところでありますが、できるだけ多額の貸し付けができたらよりよいわけでありますから、いろいろな条件等を勘案しながら、制度の趣旨が生かされていきますように頑張ってやっていきたいと思っております。
#313
○沼川委員 非常に前向きの御答弁をいただきましたので御期待したいと思いますが、確かに市中でも今銀行等でのローンがあります。しかし、やはりこういう問題は国が対応すべきだと私は思いますし、今の三%というのがいつまで三%なのか、これもはなはだ心配でございます。
 最後に大蔵大臣、この三%の利息について、今後上がるようなことは心配ございませんでしょうか。
#314
○竹下国務大臣 金利ということは、金利政策という立場から議論いたしますと、そのときどきの経済事情ということを全くないがしろにするわけにはいかぬ。ただ、今先生熱心にお調べになっておりますが、やはり相当なものだなと思いますのは、有利子貸与を始めましてから、いわゆる利子補給金が倍、倍と、こう累積していくというのは、財政を扱っている者としては容易じゃないなという印象は受けます。
#315
○沼川委員 時間が参りましたので一言お願いするのですが、要するに教育費全体が押されている。私学助成も相当切り込まれている。せめて救いは奨学金なんです。そういう意味で、拡大する意味でつくったこの有利子でございますから、ぜひともその方向で御努力いただきますことを御要望申し上げまして終わりたいと思います。
#316
○中島(源)委員長代理 この際、草川昭三君より関連質疑の申し出があります。沼川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。草川昭三君。
#317
○草川委員 草川です。
 まず最初に、安倍外務大臣と法務大臣にお伺いをしたいと思うのです。
 私は、サハリンに残っておみえになります韓国、朝鮮人の方々の帰還問題を昭和五十七年の第九十六国会から繰り返し要望してまいりました。あるいはまた韓国の大邱における離散家族会の総会にも何回か出席をしておる立場から、特にこれは非常に強い要望でございますが、率直に当局の対応を聞かさしていただきたいと思います。
 まず、日ソ外相会談で大変安倍外務大臣御苦労さんでございました。この外相会談の中で、ソ連側は本問題について、基本的にはソ朝間の問題である、もっとも例外があり得るかどうか検討してみたい。これは大変な一つの取っかかりとして、私はこれを具体的な行動に移していただきたいと思うわけであります。でございますから、ひとつ日本におみえになります韓国人の親族の方々あるいは韓国におみえになります親族の方々が、日本に来てサハリンを訪問をすることができるように、最大の努力をしていただきたいわけであります。
 その場合に、法務大臣にちょっとお伺いをしたいわけですが、当然国交がない国に訪れられるわけでありますから、一体どういう手段が許されるのか、これはあわせてお答えを願いたいのでございますが、例えばの話でございますが、ソ連側が韓国旅券以外の渡航文書の携帯を求めてきた場合に、日本側として例えば再入国許可書のような発給を認められるのかどうか、そのことをお伺いしたいと思います。
 まず第一に、外務大臣からお願いします。
#318
○安倍国務大臣 まず、草川さんがサハリンの強国人の帰還問題に大変熱意を燃やされて御努力されておりますことに対して心から敬意を表したいと思いますし、またその結果も実っておることを私も知っておるわけでございます。しかし、全体的にはなかなか前へ進まないということでありますが、この問題はもちろん人道問題、人道的立場から解決すべき課題であろうと思っております。しかし、そういう中で、これはかつてサハリンにおける韓国人も日本人であったという時代があったわけでありますし、その点についてはやはり日本もそれなりの責任を持って努力をしなければならぬ、私はそういうふうに思っております。
 そういう立場で、機会あるごとにソ連側に好意的な配慮を申し入れてきておりますが、今お話がありましたように、日ソ定期外相協議におきましても本件問題を提起をいたしました。私から、この問題が日ソ間の協議の対象とはならないとするソ連側の立場は承知しておるが、人道的見地から配慮を求めたい、例えば親族にサハリンを訪問させるとか、あるいはこの問題を関係国の赤十字間の協議にゆだねるとかが考えられるのではないか、こういうふうなことを言ったわけでございますが、これに対して、今お話しのようにシェワルナゼ外相は、この問題は基本的にはソ朝間の問題である、しかし例外があり得るや否や検討してみたい、こういうふうに答えました。確かにそのとおりでございます。このソ連外相発言の真意につきましては必ずしも定かではないわけですけれども、しかし、多少ニュアンスを持った発言のように受けとめました。したがって、この次私が訪ソをいたします際に、今後ともソ連側との間でさらに、話をしたいと思いますし、またさらに日ソ間のいろいろな協議がございますから、協議の場におきましてもこの問題は絶えず取り上げまして、ソ連側のひとつ協力を求めてまいりたいと思います。
 これまで私も何回か、また私以外、外務省でソ連側と接触した限りでは、これまではソ朝間の問題だから日本の出る幕ではない、こういうふうな返事であったわけですが、今回はやはり人道問題だ、例外があるかどうかひとつ検討してみたい、こういうことでございますから、これから粘り強く努力をするうちに、この問題を進める一つの手がかりといいますか取っかかりができるのではないか、そのためにひとつこれからも鋭意努力を進めてまいりたいと考えております。
#319
○鈴木国務大臣 お答えをいたします。
 歴史的な経過から見て、また人道的な問題でございますので、法務省といたしましては別に特別の支障がない限り、お話のようなことを善処してまいりたいと思います。
 なお、具体的な方法その他については政府委員から説明をさせます。
#320
○小林(俊)政府委員 本件は、ソ連側が入国を認めるかどうかということが先行する問題でございますけれども、入国を認めるということになった場合に、ソ連と韓国との間に国交関係がないということから、韓国の旅券を認めることはできないという問題が生ずることは当然予想されることでございます。
 先ほど御指摘のございました再入国許可書といいますのは二つ形態がございまして、通常有効な旅券を持っている場合には、その旅券にスタンプを押すということでございます。しかし、有効な旅券を持ってない場合、今のように有効な旅券として機能しない場合には、再入国許可書という旅券の体裁を持ちました冊子がございますので、そういうものを与える、発給するということをいたしております、ここに見本がございますけれども。この場合には、この冊子は渡航文書としての機能を持っております。したがいまして、そうした必要が生じた場合には、現在、ただいま御指摘のございましたように、在日韓国人の場合であろうと、あるいは韓国から我が国を通過してサハリンへ行くという人の場合であろうと、最大限前向きにこの文書を交付するということで渡航の便宜を計らうという用意がございます。
#321
○草川委員 大変前向きな御答弁で我々も感謝をするわけでありますが、ぜひ外務省に、今のような出入国についての協力はあるわけでございますから、具体的な行動をお願いをしたいわけですが、つい最近、国際赤十字の代表が来日をしておみえになる。その際に、やはり国際赤十字を通じてこのような問題を申し入れられたのかどうか。
    〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、私ども伝えられるところによりますと、いわゆるソ連の中におみえになりますユダヤ人の方々の出国が非常に本件についての参考になるというので、外務省の方としてどなたかオーストリアの方へ行かれまして、オランダがイスラエルの代理でいろいろな行動をなすっておみえになるようでございますが、具体的な何か調査をなされているやに聞いておりますが、その点はどうでしょうか。
#322
○後藤(利)政府委員 ただいまの御質問の二点についてお答えさせていただきます。
 赤十字国際委員会とのアプローチは、先生御案内のようにかなり前からいろいろな機会にやっております。最近は、この二月にオベール赤十字国際委員会副会長が参られました。このときに、私どもの外務審議官がオベール副会長と会いまして、従来の協力を謝するとともに今後の協力をよろしくお願いしたい、先ほども外務大臣が申されましたように、一つのアイデアとしてはこの線をさらに進めていきたいという点でお願いし、先方もできるだけの協力と努力をしようという御返事をいただいております。
 第二点の、ソ連から出国する場合、これもまたソ連がそういう関係者の出国を認めるというのが前提でございますが、その場合に、一つユダヤ人の出国の方式が参考になるかどうだろうかという今の御質問でございます。現に、私どもの問題としまして、本件の問題に何か参考になることがあるだろうかという点で調査はいたしました。これはもちろん、ユダヤ人の出国と在サハリンの朝鮮人、韓国人の出国とは、いろいろな点でケースが違うのだろうと思いますけれども、調査した結果が今後参考になれば幸いだ、こう考えております。
#323
○草川委員 これもさらにまた、いろんな方法を考えていただきたいと思うのです。それから、文部大臣にお伺いしますが、実は私ども、サハリンの家族の方々に来ていただくのですね、日本に、わずかですが。ところが、泊まっていただくところがないために、せっかく二カ月間許可を得ても早目に帰られる場合があります。それからお見えになります方々も、大変申しわけないのでございますけれども、費用が非常に少ないわけですね。ですから私は、ぜひ代々木の青少年センターを来日時の滞在施設として提供していただきたい、こう思うのですが、その点どうでしょう。
#324
○海部国務大臣 御承知のように青少年センターは、青少年や青少年の指導者が団体で宿泊をして教育、研修をするための教育施設として私どもは持っておりますけれども、例えば中国から残留孤児の方が肉親捜しにいらっしゃるときなどは、高い次元に立った人道的な立場で御使用願っておるということ等もございます。
 先生御指摘の点については、例えばボランティアグループの方々なんかと団体になられて、そして使いたいとおっしゃるならば、我が方の教育施設としての建前はさることながら、でき得る限りの御協力をして、前向きに積極的に対応していきたい、このように受けとめております。
#325
○草川委員 これも、文部省の方で大変協力的な御発言をいただきましたので、ぜひまた私どもも、細々のルートではございますが施設利用をお願いをしたい、こう思います。
 以上でこのサハリン問題は終わります。
 続きまして、国鉄の土地利用の問題、売却の問題を問題提起をさせていただきたいと思うのです。
 国鉄改革を進めるに当たっては、職員の雇用対策はもちろんのことでございますが、巨額の長期債務の問題を解決することは言うまでもありません。この長期債務の処理について、新会社が負えるだけの債務を負担をし、国鉄用地を売却するというような自助努力が必要であることは当然と言わなければなりませんし、本委員会でもいろいろと今回議論になったところでございます。
 そこで私は、きょうはひとつ視点を変えまして、具体的な国鉄の土地の売却の資料とそれから今後のあり方の問題を提起をしながら、質問をさせていただきたいと思うのですが、余り大きなことばかり言っておっても話が進みませんので、ひとつ具体的に国鉄当局にまずお伺いをいたします。
 国鉄の用地生み出し作業は、今どのような手順で行われているのか。例えば具体的に、これは私の地元の話でございますが、わかりやすく申し上げるのでひとつ笹島駅の場合はどうか、お伺いしたいと思います。
#326
○岡田説明員 国鉄といたしましては、監理委員会の御意見を踏まえまして、長期債務の処理に当たりまして、国民の皆様に多大の御迷惑をおかけするということから、すべての国鉄用地の中から最大限の用地を生み出してこれを売却対象とするということで、現在鋭意作業を進めているわけでございますが、これらの検討箇所につきましては、先生も御承知のとおり大変多くの箇所に及んでおりまして、現在未利用になっている土地だけではなしに、現在既に使われている土地につきましても、いろいろ鉄道施設の移転あるいは線路の移転等を行って用地を生み出していくという性格のものでございます。
 先生今御指摘のございました笹島の用地につきましても、現在なお貨物扱いをしているところでございますので、まずこの笹島の用地をあけますためには、新事業体におきますところの貨物のこの地区の取り扱いトン数が一体どれくらいであるか。それを、笹島をあける場合にはどこに移転をする必要があるかということから作業が始まるわけでございます。そして、適当な移設の場所の見当をつけましたら、今度は笹島の用地の中にあそこになおかつ必要な施設が残ることになりますので、そういったものをどのように集約するか、そして土地の利用形態から見まして最もいい形に土地をあけ、最も利用価値のある、すなわち債務償還の財源が多くなるような形の土地の生み出しをするという検討に入るわけでございます。
 そういった作業を現在進めているわけでございますが、当然これらの作業に当たりましては、都市計画との関連でございますとか周辺の地域の方々の御要望でございますとか、そういったことについても十分配慮をする必要があるという観点から、笹島の地区につきましても、建設省、運輸省、国鉄を初めとして地元の地方公共団体もお入りいただきまして、あの地区を将来もっと広域にとらえた場合にどういう使い方をするのが望ましいかというような委員会も設けていただきまして、そういった委員会でのいろいろな御意見も踏まえながら生み出しの作業を一方では進めている、こういうことでございます。
#327
○草川委員 運輸大臣にお伺いをしたいと思うのですが、一つその前に、再建委員会の方で簡単にお答え願いたいのでございますけれども、用地買収ではなくて売るということの根拠、すなわち今回の場合は五兆八千億、二千六百ヘクタールという積算をしておるわけでございますが、具体的にどのような根拠でこういうものを出されたのか、簡潔にお願いしたいと思います。
#328
○吉田(耕)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、国鉄の長期債務を処理するに当たりましては、できるだけ国民の負担を軽減するということが必要でございます。したがいまして監理委員会といたしましては、現在の国鉄の所有地のうち、将来の事業の姿を見通した上で最小限必要となる事業用用地以外のものにつきましては、これは原則として売却対象にするということでやっております。
 それで、把握の仕方でございますが、我々といたしましては、まず国鉄に対しまして事業用用地とそれ以外のものとの仕分けを求めたり、あるいはまた総務庁の方でも行政監察などを行っておりますので、それをも参考にし、かつ監理委員会といたしましても独自の調査を行いまして、個別に売却可能用地を積み上げたものでございます。そういうことで、二千六百ヘクタール程度は少なくとも売却可能であるというぐあいに考えたわけでございます。
 その際の価格の評価の方法でございますが、これは例えば今のお話のような笹島のような貨物ヤードでありますれば、現在が貨物ヤードだからそういう状況で、現況で幾らかというようなことではなくて、当該用地の近傍が商業地とかあるいは住宅地でございますれば、そういうような最も有効に使用される場合を想定して価格の推定を行っております。そして、その際には近傍の公示価格とかあるいは標準価格、そういうものを平均してまず一定の額を出す。しかし、それだけではなくて、周辺における時価の動向ということにも十分配慮いたしまして、一般的に公示価格と実際の取引の際の価格との間ではある程度の格差があると言われているような格差の度合い、そういうものをもって補正して適正な価格を算定いたしております。
#329
○草川委員 実は、国鉄が用地区分作業をこれから進められていくわけでございますが、再建委員会が今五兆八千億あるいは二千六百ヘクタールという数字を積算をしたのですが、この積算の根拠は非常に不十分なものがあるのではないか。これは過日来からも出ておりますが、私はひとつ具体的な実績を挙げて、国鉄がどういうような形で今まで土地を売っておるかというのを、五十八年、五十九年、六十年の実績を二つほど例を挙げて申し上げてみたいと思うのです。
 これは五十八年に中央本線の古虎渓−定光寺間の廃線敷です。従来使っておった敷地ですからほとんど利用価値がないのでございますが、十七万三千六百平米を三千七百万円で売っておるわけであります。これは平米当たり二百十三円、坪に直して七百三円で売っておるわけです。売っておるのは、五十八年に売ったのはある民間の測量会社であります。不思議なことに、その測量会社はわずかの日数、半年後に、同じ名前ですけれども、実は何々都市開発株式会社、いわゆる不動産屋に転売しておるわけです。そうすると、わずか坪七百三円で買っておきながら、それを自分の他の不動産会社に売るわけですから、その利益を消すためにこの入札をしたということ以外に考えられませんね、廃線敷ですから。こんなことがざらに行われておるわけです。
 もう一つの例を挙げてみましょう。例えば昭和六十年に、名古屋の中村区に鈍池というところがありますが、駅の裏でございますが、これは鉄道の官舎のあるところです。これは四万七千平米です。九億九千万円、これもマンション会社に売ったのです。マンション会社に売ったのだけれども、これが不思議なことに翌日転売をしておるわけですね、二分の一を他の会社に。しかもこの大きなマンション会社というのは、これは大蔵省もよく聞いておってもらいたいし、あれでございますが、公務員宿舎問題研究会というのがあるでしょう、新宿の西戸山の活用の問題で。ここの中でれっきとした名前が出てくる会社なんですね。こういう方々が今いろいろな問題を先取りしておるわけですね。
 でございますから、私は、たまたまここに笹島駅鉄道施設整備後の国鉄の地図を持っております。この地図は、民間の地図ではおりません。いわゆる線路のアールが入っておる。東方には必ず東京駅、西側に東京駅から遠い地図、これは鉄道地図の原則です。旗上げと言って、カーブがどうなっておるかという細かい数字が全部書いてありますから、私が国鉄の専門家の方に見せたら、これは確かに鉄道の国鉄の地図である、これは間違いない、こういうわけです。ここには、生み出し用地十二万四千平米、二十二万一千円という平米当たりの単価がここに書き込まれています。それでこちらの方には、笹島駅の土地利用計画として、面的整備事業完了時点の数字が同じく書き込まれておる。これを見ると、例えば商業地域だとか業務地域だとか住宅地域とか公園地域とか公益施設というようにきちっと区割りをして、いわゆるこの再建委員会の報告にある付加価値を高めて売ろうじゃないかということが詳しく書いてあるわけです。道路もつくって、六つに分けられております。
 こういう資料が、いい悪いは別でございますけれども私のところに入るということは、私以上に民間デベロッパーというのは相当先取りをしておるというように見なければなりません。だとするならば、運輸大臣が言うところの第三者機構で公正にやるということが果たして担保されるのかどうか。あるいは国鉄当局に対して――一生懸命国鉄がやっておることは事実ですね。本当に土地が欲しいけれども、国民の皆さんにということでいろいろな積算をなされております。この積算を見ておっても、私が今申し上げた数字は、これは今雑誌なんかに出ておる数字とは違います。今出ておる雑誌と違う数字を私は申し上げておりますから。
 例えばこの笹島駅は、発生面積十二ヘクタールですね、この場合は。それから、坪単価二十二万一千円というのが雑誌あたりに出ておる数字でございますが、私は今申し上げましたように、付加価値を生むような形での値段は四十万九千円、こう言いました。しかし、これを私どもが調査というのですか、不動産鑑定士の方々に聞きますと、少なくともこの土地は平米当たり百万は下ることはないだろう。百万を下ることはないのが、最初の積算、生の土地では二十二万。これは生ですからそういうことになるでしょう。しかし、付加価値を与えるためにいろいろと区画整理のような線引きをやってみても、その評価以下だ。
 こういうことになりますと、先ほど再建委員会の方からも、周辺の土地のことを考えて我々は積算したと言うのですが、どうもこれは納得できませんね。少なくとも私がここに持っておる資料というのは、鉄道当局者の方々に見せるとこれは本当に鉄道の地図だ、そういうことだ、こう言っていただけるわけでありますから、きょうは一々事前にこれはどうかこうかということを申し上げられませんけれども、第三者機関を設けると言うかどうか。
 しかも、こういう土地についていろいろとフォローアップをいたしてまいりますと、政治的な介入の余地が随分あったようであります。政治家の方々が紹介した例も随分あります。これはおかしいのですよ。だから、少なくとも我々は、本来国鉄の土地の売却に当たっては政治家は手を出さないという決意ぐらいして、本当に国鉄の土地というのを有効活用する、そして地域的にもみんなに喜んでいただく。それから、極端なことを言うと、売らなくてもいいような廃線敷のようなものをわずか三千万や四千万ぐらいは、それは旧国鉄でもいいしあるいは新国鉄でもいいから残してあげるのが筋ではないだろうか、こう思うのですよ。その点どうでしょう。運輸大臣と国鉄にお伺いします。
#330
○岡田説明員 今先生から数々の御指摘をいただきまして、まことにありがたく存じているわけでございます。
 ちょっと大臣がお話しになる前に具体的な数値等につきまして御説明を申し上げたいと思いますが、先生からお話のございました中央本線の古虎渓−定光寺間の線路の廃線敷でございますが、この地区は当然市街化調整区域ということでもあり、かつまた国定公園区域内にございますために、一般の開発が非常に難しいという土地でもございまして、そういった意味でここの単価先生今おっしゃいましたような単価につきましても、実はこれは公開競争入札にかけます前に、当然予定価格を定めるために部外の権威ある鑑定機関の鑑定も得ておりますが、そういった意味でこの値段は適正であるものというふうに考えております。
 それからもう一件の、名古屋市内の鈍池の宿舎の点でございますが、この点につきまして、今先生四万七千平方メートルとおっしゃいましたけれども、四千七百平方メートルでございます。ということで、この地区につきましても単価は、売却価格は公開競争入札によって決められたものであって、適正な時価を反映しているものというふうに考えております。
 しかし、いずれにいたしましても、今先生からお話をお伺いしまして私ども初めて知ったわけでございますが、すぐに転売をされているということについてでございますが、今、公開競争入札という建前をとっております場合に、例えば転売の制限でありますとか禁止条項でありますとかそういったことをつけますと一般に値段を下げる方向に働きますので、私ども現在、公開競争入札に付している場合にはそういう制限をつけていない状況でございまして、したがいまして転売をされたことにつきましては承知をしていなかったという実情でございます。
 それからもう一つ、笹島に関しまして資料の点でございますけれども、先生おっしゃいましたように資料の一部がいろいろ出回っているということについては、まことに遺憾で申しわけないというふうに考えております。作業の途中の段階におきます数値がいろいろ漏れますと、それだけで大変な混乱を招くということにもなりますので、今までもそうでございましたけれども、今後の作業に当たりましては十分厳正な管理をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#331
○三塚国務大臣 ただいま草川委員の御質疑を承っておりました。今回田常務から、本件についてのただいまの心構え、また取り組み方についてお話があったわけでございますが、さらに、本日の御質疑に出されました問題点がかりそめにも国民のサイドから見て疑惑の持たれますことのありませんように、国民共有の財産を処分をし、そして国民の負担をできるだけ軽減をしていかなければならない、そういうことで取り組んでおるわけでございますから、かりそめにもその資料が流れていくなどということはありませんように、重ねましてそれぞれの責任者に伝達をいたすつもりでございます。
 特に今回の件につきましては、マスコミにいろいろと取り上げられておりますことを聞いております。また、私の友人のマスコミの何人からも、そういう意味のいろいろなうわさなども私自身承っております。常にそのことを今後進めるに当たりましての糧といたしまして、いささかもさようなことのありませんように、第三者機関の設置につきましても、これは法律が制定をされました後にやるわけでございますから、利害関係者、またそういう意味で政治家を委員にするとかなどということは毫末も考えておりませんし、公正なこれをやり得る、なるほどと言われる人選をさせていただきまして取り組まさせていただきます。
 同時に、法律がこれまた成立をいたしますと、旧国鉄におきまして、これらの非事業用地振り分けが決定をいたしました分について処分が行われるわけでございます。旧国鉄の理事長になられる、代表者になられる方々に、また新たに法律に基づいた機関が設置をされまして、これの処分方法がガラス張りの中でいささかもこれまた疑念の持たれませんような方式をとらさせていただく、かようなことに相なろうと思いますし、そういうことで御注意を受けましたことをそのまま受けとめさせていただきながら御警告と承らせていただき、さようなことのありませんように取り組んでまいります。
#332
○草川委員 ぜひ具体化する場合に今のような趣旨でやっていただきたい、こう思います。
 そこで、時間がございませんのでごく二、三だけ具体的な、新会社に引き継ぐものか、あるいはまた旧会社に残るのか、基本的な考え方をお伺いしておきたいと思うのでございます。いわゆる第三次特定地方交通線の問題でございますが、例えば岡多線というような場合は、第三セクターで引き受けるということに県とか地方自治体は決めておるわけです。だから、早く第三次特定地方交通線だということを認定してくれ、こう言うのだが、運輸省はなかなかうんと言わないのですよ。こんなことは早く決めてどんどんとやったらどうかということが一つ。
 それから、新幹線訴訟がどうやらぎりぎりのところへ来ておるようですね、和解の問題が。これは金銭和解ならば当然旧国鉄で処理、あるいは減速というような問題ならば新会社に移らなければいかぬ。我々も非常に関心があるのでございます。微妙な時期だと思いますけれども、ぎりぎりの時期だと思いますが、簡潔に、どうなっておるか、二点お伺いします。
#333
○棚橋(泰)政府委員 岡多線につきましては、先生御指摘のように現在地元と第三セクター化のことで話が進んでおります。その前提といたしまして、第三次線に認定をする、こういうことでございますが、第三次線全体につきまして国鉄が現在調査を実施しておるところでございまして、まだ申請が出ておる段階ではございません。そこらを見ながら態度を決めていきたい、かように思っております。
 それから新幹線訴訟は、先生おっしゃるようにもし民営・分割までにこれが決着しない場合には、とりあえずは旧国鉄というところに引き継ぐこととなると思いますけれども、その後原告等の御希望その他を勘案して、どこの主体がこれを引き継ぐかということは一たん旧国鉄に引き継いだ後に適切な訴訟の被告を決定してそちらの方に引き継がせる、こういうことでございます。
#334
○草川委員 この問題は今全くぎりぎりのところのようでございますからそれ以上のことは申し上げませんが、ひとつ円満解決のために早期にお願いしたい、要望を申し上げておきます。
 以上で国鉄関係は終わります。残りの時間は医療問題に入ります。
 私は、かねて来から医療費の中に占める薬価問題を取り上げてきました。私どももいろいろと主張したわけでございますが、五十六年以降大幅な薬価改正というのが毎年実施をされまして、この四年間に合計で四六・一%という、約二兆円に上る薬価の引き下げが行われてきております。しかし、冷静に考えてみると多くの矛盾点がこの数年間に出てきたことを率直に認めざるを得ません。
 一つは医療経営が悪化してきているということです。同時に、そういう条件ですから、薬価購入をたたくわけですから、薬価が下がるということになります。アリ地獄になるわけですね。そういう結果、大手は比較的強く医療機関と交渉しますが、後発メーカーは中小が多いわけですし、開業医が多いわけでございますから、どうしても薬価というのが買いたたかれて下がってくる、格差というのが拡大をするという問題点が出てきます。でございますから、薬価調査をすると、市場価格を反映して引き下げ率が決まるわけでございますけれども、実は市場価格が反映して薬価が決まるのではないのですね。大蔵大臣お見えになりますけれども、実際は予算編成の前に年末の厚生省との概算要求の中で、今度厚生省独自で一体幾ら削ってくるか、その中で薬価はね返りは幾らかといういわゆる交渉があって、年末ぐらいからことしの薬価は二けた台だとか、いや何々新聞によるとどうやらいろいろな運動があって五%だとか六%だというわけです。実際はその後、膨大なお金をかけて薬価調査というのは行われていくわけです。こういう実態は政治薬価だ、大蔵省主導型の薬価だと今言われておるわけです。私もそうだと思うのです。そんなことをいつまでも続けていきますとこのアリ地獄がなかなか解決しないという問題が出てきます。
 また、これはきょう文部省も来ておっていただきますが、納入業者から薬を買って、払わぬのですね。国立病院も日赤もそれから各省庁に所属する国立系の病院もなかなか払わない。今一番ひどいのは私立大学附属病院。ここは薬価をまだ決めてないのです。五十九年の薬価が決まってないのですよ。ことしは六十一年ですからね。去年のも決まっていない。仮納入です。赤伝票です。本来ならばこれは会計法にも違反です。それから政府関係の支払い遅延防止法にも違反する。こういうことがまかり通っておるわけですから、卸はもう参った、こう言っておるわけです。診療機関側もえらい、こう言っておるわけですよ。こういうことが続くと、いずれにしても製薬メーカーの再編成につながっていきます。だから厚生省は、本当に厚生省主導型で製薬メーカーを再編成するならするで、予算を立てて、造船だとか繊維のようなことをおやりなさいと私は言いたいわけです。そのまま鉛筆なめなめ薬価を決定することによって中小をつぶすならつぶすというならば、それは厚生省の罪は大きいと思うのですね。そこら辺のことは基本的に考えてもらいたいと思うのですが、その点、まずどうでしょう。
#335
○小林(功)政府委員 ただいまの先生のお話でございますが、先生もよく御承知のように、薬価改定はあくまで市場実勢価格に基づいて実施されているわけであります。実際の市場価格が下がりますと、これは大手、中小を問わず、企業の大小を問わずその間の差が薬価改定という格好で埋まる、こういう仕組みでございます。したがいまして、現行の薬価算定指数からいいますとそれは当然のことになるわけでありますが、ただ一方において、余り急激な産業構造の変化等によりましていわゆる生命関連産業としての社会的な使命の達成に影響が出るということは好ましいことではございません。これは我々も考えております。
 将来の薬業界あるいは製薬業界の姿でございますが、私どもは第一義的には各企業の企業努力あるいは創意工夫の積み重ねによっておのずから定まっていくもの、これが基本的な考え方でありますが、我々としましては、医療費の動向も随分昔と変わってまいりました、したがいまして、昔どおりの行き方ではなかなか製薬業界が維持発展は難しかろう、こういうことでございまして、各企業はそれぞれみずから得意とする分野を伸ばしていく、いわゆる特化と申しますか住み分けと申しますか、特徴のある企業活動を行うということで業界全体が調和のとれた発展をしていくことが一番好ましい、そっちの方に厚生省も力を入れてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#336
○草川委員 これも時間がないので簡潔に次の質問ですが、今のような答弁になると私も、そうじゃないんだよ、実際なぜ市場価格がこうなるのかといろいろな反論をしたいのですが、時間の関係かございますので……。
 いずれにいたしましても、私ども薬価を下げろということで火をつけてきました。ところが、私のような立場からいっても、どうやらアリ地獄は限界だと思うのです。ですからここで、これは率直に言って、診療機関側も経営を安定させるためにも、それからメーカーの方も大中小いろいろと考えて、卸のことを含めて現行の薬価算定方式をとりあえずは見直すべき時期だと私は思うのです。はっきり言うなら足踏みをしたらどうだろう。その間に皆が冷静に医療関係者があるべき姿を考えるのが今日の医療界の安定につながるよ、こう言いたいわけです。その点どうですか。
#337
○幸田政府委員 昭和五十六年の全面改正以来、五十八年、五十九年、六十年それから本年と引き続いて薬価の改定がございます。この薬価改定の経過を通じまして、ただいま御指摘のとおり、現在の薬価算定方式について医療品のメーカーあるいは卸等の関係業界、さらには病院、診療所の医療機関等、関係方面からいろいろな御意見が出ているということは私どもも十分承知をいたしております。
 ただ、この問題については、ただいまお話のありましたようにいろいろと国会で御論議がございまして、御論議の末、市場における医薬品の実勢価格を迅速かつ適正に反映をさせる、こういうことで毎年一回見直すことにいたしたわけでございます。これを受けまして、私どもも中医協の御答申に基づいて現在実施をしているルール、こういうことに相なっているわけでございます。
 先生御指摘のお気持ちは十分に理解ができます。そういった意味合いで中医協におきましても関係の製薬業界並びに卸関係者から意見の聴取を進めたという実績もございます。ただ、そういったことはございますけれども、今までのいろいろな経過から見まして、今直ちにこれを全面的に改定するということは、私はなかなか困難ではないかと思っておりますが、御指摘もございますので、十分に勉強をさせていただきたいと思います。
#338
○草川委員 今度は大臣に聞きますが、今検査づけ医療が問題になっているわけですが、中でも民間の衛生検査所の乱立と大量一括処理で、非常に検査の質が低下をしているということが批判されております。東京都衛生研究所の第三回の制度報告を見ましても、検体を取り違えた、梅毒だった、こういう怖い話があるわけですね。それから、この検査所を検査する方法があるのでございますが、やり方があるのですが、どうもそれが漏れていて非常にきちっとした報告が来る、そんなばかなことはないのだ、多少違いがあるのだけれどもという指摘があるわけです。あるいは過当競争で随分問題があるというような指摘をしておるわけでございますが、厚生省として一体どのような制度、法管理の強化に臨まれるのか、あるいは何か具体的なことを言っておみえになるようでございますが、その御答弁を願いたい、こう思います。
#339
○今井国務大臣 草川先生よく御存じのように、衛生検査所の問題はこれまで都道府県知事への登録制をとりまして設備や人員などの配置などについては規制をしてまいりました。ところが検査そのものの質の向上ということについては、その対策については全く取り組みがおくれておりまして、まことに先生の御指摘のとおりでございます。
 そこで厚生省は六十一年におきまして、衛生検査所につきまして、まず検査の精度を確保するために必要な基準を作成すること、それから二番目には検査業務の評価、指導を行う財団法人を日本医師会だとか関係学会、あるいはまた臨床検査技師会、衛生検査所協会の協力によりまして設立すること、それから三番目には都道府県の監視体制を強化すること、この三つを内容とします対策を進めてまいりまして衛生検査の質の向上というものをきちっと守らせたい、そのように具体的に考えているものでございます。
#340
○草川委員 時間が来ましたので、これは最後に通産省にお伺いします。医療問題はこれで終わります。
 通産省はガソリン、灯油、軽油輸入の自由化に伴って、これは踏み切ったわけですが、一月から三月までの輸入実績がまだ明らかになっておりませんので、ここでひとつ新しい数字を出してもらいないと思うのです。あるいはその原因、要因ですね、及び今後の見通しはどうか。
 ところで、輸入元の各社は実績づくりが先行していて今後本気でガソリン、灯油、軽油等を輸入するつもりはないのではないだろうか、こう思うのですがその点はどうか。これを一つ聞いておきます。
 それからもう一つ、これは与党の中でも何かきのう決まったようでございますが、トリクロロエチレンのようなPCB以外の化学物質で人体に影響の出るおそれのあるものが今出回っております。特に半導体関係で、先端産業で大量に使われ始めておるわけでございますが、これで化審法の改正が出ております。この化審法の改正については、実は労働省の方にも同じような労安法という法律があってかぶせがある。二重かぶせがありますね。それから、環境庁の方は環境庁の方で、幾ら通産省が決めても実際はそれは環境中では解体をしないのではないか、自由に解けていかないのではないかという問題もございます。そこら辺の心配があるわけでございますが、通産省はどうか。以上二点を御質問を申し上げまして、ちょうど時間が来ましたので終わりたい、こう思います。
#341
○畠山政府委員 まず第一点の輸入のガソリン等の実績の点でございますけれども、御案内のとおり特定石油製品輸入暫定措置法に基づきまして一応一−三月の輸入量の見通しをつくったわけでございますが、それはガソリンが四十六万キロリットル、灯油が二十万キロリットル、軽油が三万キロリットルということでございました。これに対して二月半ばまでの実績がどうなっているかということでございますけれども、ガソリンが約三十二万キロリットル、それから灯油は見通しを既に上回りまして四十四万キロリットルということになってございます。灯油が当初見込みより非常に上回っておりますのは、一部非常に寒い地域がございまして、それにこたえるためでございます。また軽油につきましては、二月中に約五万キロリットルの輸入が行われるようになっておりまして、今御指摘の中にその輸入をする資格のある人たちは本気で輸入する気がないおそれもあるのではないかという御指摘がございましたけれども、今御説明申し上げましたように、非常にガソリン需要の堅調な伸びもありますけれども、それから灯油の寒いというような事情もございますが、順調な輸入が行われておりまして、今後とも市場動向に応じまして自主的な輸入が行われるだろうというふうに考えさせていただいております。
 これが第一点でございまして、あとの第二問はほかの局長からお答えします。
#342
○岩崎政府委員 先生御指摘のとおり、今トリクロロエチレンとかテトラクロロエチレンとか、いろいろな新しい化学物質が非常に多く利用されておりまして、それが環境中に出て地下水汚染等の事例が出てきております。そういうものに対処するために、今御指摘の労安法等は工場内における労働者の保健、安全といった視点からの規制があるわけでございますし、また、産業廃棄物ということになりますと、それは廃棄物処理という形になるのですが、私どもの化審法というのは、そういうものを何といいますか水道の蛇口のところで抑えるといいますか、生産、輸入そのものを必要に応じ抑制していく、こういう視点でございますけれども、現行化審法はなかなか今御指摘になったような品種につきまして現在規制の対象になり得ません。したがいまして、今のような問題を十分意識しながら、現在政府部内におきまして改正法を検討中でございます。ごく近々政府内意見統一しまして国会に御提案申し上げたい、そのように考えております。
#343
○草川委員 もうこれで終わるのですが、さっきの答弁でちょっと気になるので、ガソリンの輸入が増大する場合、ガソリンの供給がオーバーして実際末端価格の混乱を招かないような行政指導をひとつやってもらいたいと思うのです。その点だけちょっと答えてください。
#344
○畠山政府委員 御指摘の点は、まさにおっしゃるとおりでございまして、ただ、特定石油製品輸入暫定措置法に基づきまして一定の資格のある方が輸入するということになっておりますものですから、例えば粗悪なガソリンが出回って市況を崩すとか、そういうことがないように配慮をしておりますので、法律面はそうなっておりますが、一段と行政指導面におきましても、そういって乱売になったりなんかすることがないようにしかるべく指導をしてまいりたいと思っております。
#345
○草川委員 終わります。
#346
○小渕委員長 これにて沼川君、草川君の質疑は終了いたしました。
 次回は、来る二十四日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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