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1985/02/24 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第16号
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1985/02/24 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 予算委員会 第16号

#1
第104回国会 予算委員会 第16号
昭和六十一年二月二十四日(月曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 小渕 恵三君
   理事 中島源太郎君 理事 浜田 幸一君
   理事 林  義郎君 理事 原田昇左右君
   理事 渡辺 秀央君 理事 稲葉 誠一君
   理事 岡田 利春君 理事 二見 伸明君
   理事 吉田 之久君
      相沢 英之君    伊藤宗一郎君
      石原健太郎君    石原慎太郎君
      上村千一郎君   小此木彦三郎君
      尾身 幸次君    大西 正男君
      大村 襄治君    奥野 誠亮君
      倉成 正君     砂田 重民君
      住  栄作君    田中 龍夫君
      仲村 正治君    額賀福志郎君
      葉梨 信行君    原田  憲君
      平林 鴻三君    三原 朝雄君
      武藤 嘉文君    村山 達雄君
      井上 一成君    上田  哲君
      大出  俊君    川俣健二郎君
      佐藤 観樹君    多賀谷眞稔君
      松浦 利尚君    池田 克也君
      神崎 武法君    水谷  弘君
      木下敬之助君    滝沢 幸助君
      渡辺  朗君    瀬崎 博義君
      藤木 洋子君    松本 善明君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 鈴木 省吾君
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 海部 俊樹君
        厚 生 大 臣 今井  勇君
        農林水産大臣  羽田  孜君
        通商産業大臣  渡辺美智雄君
        運 輸 大 臣 三塚  博君
        郵 政 大 臣 佐藤 文生君
        労 働 大 臣 林  ゆう君
        建 設 大 臣 江藤 隆美君
        自 治 大 臣 
        国家公安委員会 
        委員長     小沢 一郎君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 後藤田正晴君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 江崎 真澄君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 加藤 紘一君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      平泉  渉君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 森  美秀君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議室長
        兼内閣総理大臣
        官房審議室長  的場 順三君
        内閣審議官   海野 恒男君
        内閣審議官   中島 眞二君
        内閣法制局長官 茂串  俊君
        国防会議事務局
        長       塩田  章君
        人事院総裁   内海  倫君
        人事院事務総局
        給与局長    鹿兒島重治君
        人事院事務総局
        職員局長    中島 忠能君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 利部 脩二君
        総務庁人事局長 手塚 康夫君
        防衛庁参事官  瀬木 博基君
        防衛庁参事官  古川 武温君
        防衛庁参事官  千秋  健君
        防衛庁参事官  筒井 良三君
        防衛庁長官官房
        長       宍倉 宗夫君
        防衛庁防衛局長 西廣 整輝君
        防衛庁教育訓練
        局長      大高 時男君
        防衛庁人事局長 友藤 一隆君
        防衛庁経理局長 池田 久克君
        防衛庁装備局長 山田 勝久君
        防衛施設庁長官 佐々 淳行君
        防衛施設長総務
        部長      平   晃君
        防衛施設長施設
        施設部長    宇都 信義君
        防衛施設庁労務
        部長      岩見 秀男君
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        環境庁自然保護
        局長      加藤 陸美君
        法務省刑事局長 岡村 泰孝君
        法務省人権擁護
        局長      野崎 幸雄君
        外務大臣官房長 北村  汎君
        外務大臣官房領
        事移住部長   妹尾 正毅君
        外務省アジア局
        長       後藤 利雄君
        外務省北米局長 藤井 宏昭君
        外務省欧亜局長 西山 健彦君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   三宅 和助君
        外務省経済局長 国広 道彦君
        外務省経済協力
        局長      藤田 公郎君
        外務省条約局長 小和田 恒君
        外務省国際連合
        局長      中平  立君
        外務省情報調査
        局長      渡辺 幸治君
        大蔵大臣官房総
        務審議官    北村 恭二君
        大蔵大臣官房審
        議官      入江 敏行君
        大蔵省主計局長 吉野 良彦君
        大蔵省主税局長 水野  勝君
        大蔵省関税局長 佐藤 光夫君
        大蔵省銀行局長 吉田 正輝君
        大蔵省国際金融
        局長      行天 豊雄君
        国税庁次長
        国税庁直税部長
        事務取扱    塚越 則男君
        文部大臣官房長 面崎 清久君
        文部大臣官房総
        務審議官    五十嵐耕一君
        文部省初等中等
        教育局長    高石 邦男君
        文部省教育助成
        局長      阿部 充夫君
        文部省高等教育 大崎  仁君
        文部省学術国際 
        局長      植木  浩君
        文部省体育局長 古村 澄一君
        厚生大臣官房審
        議官      木戸  脩君
        厚生省保健医療
        局老人保健部長 黒木 武弘君
        厚生省薬務局長 小林 功典君
        厚生省児童家庭
        局長      坂本 龍彦君
        厚生省保険局長 幸田 正孝君
        農林水産大臣官
        官房長     田中 宏尚君
        農林水産大臣官
        房予算課長   鶴岡 俊彦君
        農林水産省経済
        局長      後藤 康夫君
        農林水産省構造
        改善局長    佐竹 五六君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    関谷 俊作君
        農林水産省畜産
        局長      大坪 敏男君
        食糧庁長官   石川  弘君
        水産庁長官   佐野 宏哉君
        通商産業省貿易
        局長      村岡 茂生君
        中小企業庁長官 木下 博生君
        中小企業庁計画
        部長      広海 正光君
        運輸大臣官房国
        有鉄道再建総括
        審議官     棚橋  泰君
        運輸大臣官房国
        有鉄道部長   丹羽  晟君
        運輸省地域交通
        局長      服部 経治君
        郵政大臣官房人
        事部長     櫻井 國臣君
        郵政省貯金局長 塩谷  稔君
        郵政省放送行政
        局長      森島 展一君
        労働大臣官房長 岡部 晃三君
        労働省労政局長 加藤  孝君
        労働省労働基準
        局長      小粥 義朗君
        建設大臣官房長 高橋  進君
        建設大臣官房会
        計課長     望月 薫雄君
        自治省行政局長 大林 勝臣君
        自治省行政局選
        挙部長     小笠原臣也君
        自治省財政局長 花岡 圭三君
 委員外の出席者
        厚生省生活衛生
        局乳肉衛生課長 難波  江君
        日本国有鉄道総
        裁       杉浦 喬也君
        参  考  人
        (税制調査会会
        長)      小倉 武一君
        予算委員会調査
        室長      大内  宏君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十四日
 辞任         補欠選任
  葉梨 信行君     尾身 幸次君
  橋本龍太郎君     額賀福志郎君
  山下 元利君     平林 鴻三君
  矢野 絢也君     水谷  弘君
  大内 啓伍君     滝沢 幸助君
  小平  忠君     渡辺  朗君
  岡崎万寿秀君     藤木 洋子君
同日
 辞任         補欠選任
  尾身 幸次君     葉梨 信行君
  額賀福志郎君     仲村 正治君
  平林 鴻三君     山下 元利君
  水谷  弘君     矢野 絢也君
  滝沢 幸助君     大内 啓伍君
  渡辺  朗君     小平  忠君
同日
 辞任         補欠選任
  仲村 正治君     橋本龍太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十一年度一般会計予算
 昭和六十一年度特別会計予算
 昭和六十一年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
#2
○小渕委員長 これより会議を開きます。
 昭和六十一年度一般会計予算、昭和六十一年度特別会計予算、昭和六十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
#3
○稲葉(誠)委員 官房長官、記者会見の関係もおありでございましょうから。
 「政府の窓」の二月十五日号、「時の動き」、これはみんなに配られているわけですけれども、この中で堺屋さんとの対談があるわけですね、それから大宅映子さんが出ているやつ。そのときに「国家意思決定に内閣機能強化を」ということで後藤田さんが答えているわけですが、堺屋さんがいろいろ言われておる。これは前の通産官僚ですから詳しいのでしょうけれどもね。それに対して後藤田さんが「それが今の日本の行政組織の大きな欠陥ですね。そこで、こういう緊急重要な事態のときには、ボトムアップだけでなしに、トップダウンが必要になる。」云々というようなことを言っておられるのですが、最後のところで「内閣の機能の強化と言っているのはそこなんですよ。”大統領府”なんて書く人がおるけれども、そんなことを考えているわけじゃないんです。そうじゃなくて、日本の国家意思の決定が今のままではできない。」こう書いてあるというか、言われたことが印刷されているわけですね。これの「国家意思決定に内閣機能強化を」という意味がどういう意味で何を目指して言われておられるのか、ひとつお話しを願いたいと思うのです。これは遠慮しないで言ってくださいよ。
#4
○後藤田国務大臣 私が国家意思の決定ができないと言うのは、話の流れの中でございますから、私の言わんとしている意味は、通常の行政事務は御案内のように各省が分割処理をしておりますね。それでいいわけです。つまりボトムアップの方針決定ですね、これで十分いける、私はこう考えておるわけです。ところが、緊急重要な事態が起きますと、関係各省がたくさんになるわけです。
 そうしますと、適時適切なる国家意思の決定ということが容易でなくなって時期を失する、これは日本の行政組織を考える場合に大きな欠陥であろう、これは私自身が言っているだけでなくて、既に行革審からもそういう御答申がありますし、この問題は古くて新しいのですよ、稲葉さん御承知のとおりに。昭和三十八年の佐藤調査会からこの問題は出ておりましてね、やはり内閣の総合調整機能、これの強化を図るべしといったようなことでいろいろな御提言がありましたね。ずっと続いておりまして、そして第二臨調でもお取り上げになり、そして必ずしも十分な結論が得られなくて、その問題は引き続いて行革審で審議をしていただいて答申をされてきているわけですね。
    〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
 その答申を受けまして、私どもとしては、これはそのとおりだ、やはり今日のように内外でいついかなる事態が起こらないとも限らないような潜在的な危険性を常に包含しておる、そういったときには、場合によればボトムアップだけでは処理ができない、どうしてもトップダウンの意思決定というものが必要になる事態があるわけです、適時適切に処理するために。そういう際には少なくとも、人数の問題じゃなくて、そうではなくて、やはり常日ごろからハイレベルのスタッフ組織というものをきちんとしておかないととんでもない事態になるおそれがありますから、そこらをうまく処理するような仕組みを平素からつくっておく必要があるのではないか、こういうことで私どもとしては取り組んでおりますし、またそれを頭に置きながら発言をしておるのです。大統領府でないというのは、これはもう稲葉さん御案内のとおりで、日本でそういうことあるわけはありませんから。
#5
○稲葉(誠)委員 そうすると、具体的には何をしようということなんですか。危機管理の一つの機能の強化ということを含んでおられるのではないか。どうでしょうか。
#6
○後藤田国務大臣 今私ども考えておりますのは、国防に関する問題はそのまま引き継ぎますから、それはそれで従来どおりでございますね。それから、非常の場合に例えば国民生活が混乱になったような事態には、今それなりの制度がございます。あるいは場合によれば緊急事態宣言といって、警察だけで処理できる場合については、公安委員会の管理権を排除をして総理が指揮監督できるといったような、こういう一応の体制はあるわけですね。あるいは災害救助法に基づく処置もあるわけです。
 しかし、それが一歩進みまして、今ある制度だけでは処理ができないといったような事態があり得るわけです。そのときに私どもの考え方は、有事の前の段階で、しかも有事にしないように国家意思というものを適当に決めて、実施は、内閣はあれじゃないのですから基本方針を決めて、普通の行政組織に従って、あとは具体的には各省庁でやってもらう必要がある、こういう考え方でございます。
#7
○稲葉(誠)委員 それを具体的に法案なり何なりにしたいということでございましょうか。法案か何かにしたいというようなことをお考えなんでしょうか。
#8
○後藤田国務大臣 いや、そのうちの大部分は内閣の中だけの問題で、これは政令事項でできますけれども、この際に一つ私どもの頭の中にあったのは、今の国防会議というものは自衛隊法の中にあるのですね。これはどう考えてもおかしい。これはやはりシビリアンコントロールから考えれば、私は、別の組織である必要がある、活性化する意味においても。法形式だけの問題と私は考えない。やはり出店では困るのです。
 それと同時に、昨年は中期計画等がありまして十回くらい開いていると思いますよ。しかし、通常は年に一回か二回しか開かない。ここに職員が二十名以上おるわけですね。効率化ということから考えればやはりこういったことではいけませんから、これらの定員等をうまく使いまして、そして国防会議の今の制度を法律改正をしよう、これは法律改正要りますから。法律改正はそれだけの問題で、あとこの法律改正ができますれば、それとあわせて内部で内政の調整であるとか外政調整であるとかあるいは情報室であるとか、こういったものをきちんと整備をしていこう、こういう考え方でございます。
#9
○稲葉(誠)委員 そのことに対する賛否は別の機会にいたしますが、そこで官房長官にお尋ねをいたしたいのは、国家機密法の問題です。これに関連して昭和五十八年五月二十五日に衆議院の法務委員会でお答えになっておるわけですね。私も聞いておったのですよ。その中で、最終結論として「やはり開かれた社会の強靱性ということがより一層重要ではないのかというのが私の偽らざる心境でございます。」というのが結論になっているわけですね。この結論は今もお変わりないかということと、仮にこういう結論であるとするというと、国家機密法に対してはどういう考え方になるのでしょうか。
#10
○後藤田国務大臣 私は、基本的には機密保護法というものは必要である、こういう基本の認識は持っておるのです。ただしかし、その規定の内容いかんということと運営いかんによっては、これは国民の人権の問題あるいは知る権利、これと真っ正面からぶつかるという恐れもあるわけでございますから、立法する場合にはその内容はよほど慎重にやらなければならない。いわんやそれは運用する場合にどういうことになるであろうかということも想定をしておきませんと、これはやはり、何といいますか、開かれた社会といいますか、政府のやり方に対しては自由なる批判がなければ、これは危険性を、逆の意味において危険性を生ずるであろう、そこらをよほど考えないといけないのではないのかなという意味合いで私は言っているのです。
 基本的に今の体制のままでいいとは私は考えておらない。しかし、収集、探知の罪が入る以上はよほど内容に慎重を要するし、運用についてもよほどの注意を必要としますよ、こういうことを私は申し上げておるわけでございます。
#11
○稲葉(誠)委員 では官房長官、時間の関係もおありと思いますが、もう一つだけちょっと。
 実は定数是正の問題で、今のままの定数では違憲だという最高裁の判決が二つあるわけですけれども、六十年七月十七日に、結論は違憲だという判決が出ているわけですね。この補足意見というのがあるわけですね。どなたがこの補足意見を述べているかということは私申し上げませんけれども、補足意見というのは、自治大臣もよく聞いていてくださいね、基本的な意見がありまして、違憲であるという結論ですね。それにプラスして補足意見というのがあるわけです。
 その補足意見を見ますとこういうふうに書いてあるのですよね。「三」のところですけれども、資料をお配りしてあると思うのですが、ちょっとごらんになりながらお聞き願いたいと思うのですが、「ところで、右是正措置が講ぜられることなく、現行議員定数配分規定のままで施行された場合における選挙の効力については、多数意見で指摘する諸般の事情を総合考察して判断されることになるから、その効力を否定せざるを得ないこともあり得る。」こういうふうに前段階はなっているわけですね。この判決というものの重みをどういうふうに官房長官としては理解というか受けとめておられるか、こういうことです。
#12
○後藤田国務大臣 私は、この最高裁の判決というのは、やはりいろいろな議論はあるにしても、ともかく違憲であるという判決でございますから、それを受けましてやはりこれは立法府として、従来からの経緯もありますけれども、一日も早くこの違憲状態を脱却するための定数是正は必要である、また、裁判所の判決も一日も早く是正措置を講ずべきではないのかということを背景にした判決である、かように私は理解しております。
 そこで、御質問の補足意見というものはあくまでも補足意見で、私はそれはそれなりに頭の中にはございますけれども、判決それ自身はこれはまた補足意見とは別な話ですから、一部の裁判官の補足意見はそれなりに私としては理解をしておかなければいけない、こう思います。しかし、私はそれに対してはいろいろな意見はございますけれども、今私は官房長官でございますから、判決についてとやかく言う立場にありませんので、それはひとつお許しをいただきたい、こう思います。
#13
○稲葉(誠)委員 これは補足意見ですけれども、全体の意見があって、それにプラスして書いてあるだけでありまして、全体の意見と結局同じことを言っているわけなんです。というふうに理解していいと私は思うのです。そうするというと、このままの状態で是正措置が講ぜられないで行われた選挙は無効になる可能性が非常に強い、こういうことになるわけでしょう。それはお認めになりますか。
#14
○後藤田国務大臣 それは一部の裁判官の補足意見として理解をしておきます。
#15
○稲葉(誠)委員 それは形は補足意見だけれども、十五人の裁判官の言い足りないところをプラスしただけの話であって、現実に問題が起きてくればここにくるわけですよ。それは当たり前な話なんで、裁判所の問題であるから。だから中曽根さんがこれは司法のオーバーランだと言ったのはこの点のことを言っているんだというように私は理解するのです、恐らく。だから、補足意見にしろ、私もそこまで言われると、どういう方がそういう意見を述べておられるかということを説明しなかったのですけれども、これはちょっと司法に対する圧力になりますから私も言いませんけれども。
 これは、このままでやったならばあれじゃないですか、衆議院選挙は無効になってしまうということを意味しているんじゃないですか。衆議院選挙が無効になってしまったら一体どうなんですか、自治大臣、どういう結果が生まれるのですか、これは。
#16
○小沢国務大臣 ただいまの先生のお話は、無効になるのではないかという御趣旨での御発言でございますが、それは、仮定の問題として改正されないまま解散という事態が起こったという場合の、その選挙の有効、無効につきましては、いわゆる違憲立法審査権は私どもとしては個別の判断の解釈の権限というふうに解釈しておりますので、そのときの選挙がもし仮になされて、そしてそのときの訴訟が起きた場合は、それは最高裁の判断に帰属することでございまして、今仮に行われたということで無効かどうかということを申し上げるところではないと思っております。
#17
○稲葉(誠)委員 いや、よく聞いていてよ。無効かどうか僕は聞いているんじゃないですよ。無効になった場合に、今まで行われた選挙、このまま定数是正しないで衆議院選挙が行われるでしょう、その選挙の効力はどうなってしまうのだろうかと聞いているのです。
#18
○後藤田国務大臣 それは私、実際は稲葉さん、官房長官なんだ。だから物が言いにくい、これは。物が言いにくい。それは裁判所の判決批判になりますから。しかし、ともかく十五名の中の何人かの方がそういう補足意見をつけておる。そうしますと、つけていない人の意見というものはわからない、そう私は理解をするのです。つけていない人が果たしてその補足意見に同意するのかどうか、ここらは私は非常に問題ありと、かように考えるわけでございます。
#19
○稲葉(誠)委員 問題は、後でこういうことが書いてあるのですよ。「その場合、判決確定により当該選挙を直ちに無効とすることが相当でないとみられるときは、選挙を無効とするがその効果は一定期間経過後に始めて発生するという内容の判決をすることも、できないわけのものではない。」こう書いてあるわけですね。私は、率直な話は、補足意見というけれども、その中に二つのことが含まれていて、後の方に重点がある、こう思うのですよ、私の理解では。そうすると、これは俗に言う将来的違憲判決というものですね。このまま定数是正しないで解散しちゃった、選挙は無効なんだけれども影響が大きいから一定期間内に定数是正をしなさい、しなければこれは無効にしますよという判決をできると、できないわけではないということを言っておるわけでしょう、これは。
 そうすると、これは補足意見だというけれども、十五名の人はそこまでのことには触れていないわけです。触れてないから補足意見なんで、これは反対意見ではないんですよ。だから、そうなってきますといわゆる将来的違憲判決が出る可能性というものは非常に強い。私は、恐らくこのままいったら一〇〇%これになると思うのです。そうなったらあなた、みっともないことおびただしいんじゃないですか、これは。立法権の地位というものが落ちちゃって収拾つかなくなるのですよ。そのことをどういうふうに理解をされるのでしょうか、
#20
○後藤田国務大臣 それは、御案内のようにその判決自身は将来のことには触れてないのですよ。それは一部の人の補足意見なんです。だから、その残りの人がどんな判決をするか、それは稲葉さん、わかりませんよ。今の判決だって、事情判決の法理で、違憲であるが合法である、こう言っておる。内閣総理大臣の解散権というのは憲法上の権限でございます。そのときに私は解散権が制約せられるとは思ってない。現在の事情判決の法理というのも、その理屈は、どうしてああいうのが出てくるか。憲法違反で有効というのはあなた、なかなか容易でないのですよ。それが出てきているのは、憲法秩序が守れなくなるから違憲ではあるが合法という事情判決の法理なんです。ならば、今度あなたの御質問のときに逆の意味においての事情判決の法理が出得ますよ、こういうことも考えなければならない。これは私の予測でございます。これを着ているから、そこは御理解をしておいていただきたい、こう思います。
#21
○稲葉(誠)委員 いろいろな議論があると思うのですし、それから公の場でそのことを言えない立場にあることも私もよくわかっておるのですけれども、これを見てみますと、私は、今のままで定数是正しないで解散したときにどういう状態が起きるか、これは違憲で選挙争訟ですから、東京高裁へ出せばいいと思いますよ。そうすると、最高裁判決があるのだからそんなに争いはないわけですよ。だから簡単に決まっちゃうわけですよ。簡単に決まって、選挙は無効だ、あるいは一定期間にまた是正しなさい、しなければ選挙は無効になりますよという判決をされてごらんなさい、あなた。それは日本の憲政史の中でえらい汚点を残しますよ。問題はそこのところですよね。自治大臣はどう考えるのですか。
#22
○小沢国務大臣 先生の今の御議論は二重の仮定に基づいておられまして、今国会で定数是正がなされない、その上にさらに解散がなされる、そういう前提のもとの議論でございまして、私どもといたしましては、前国会引き継いでの今国会で定数是正がなされるものということを期待しておりますし、そう信じておるという前提でございますので、その二重の前提の上に立っての先生の御議論には、無効かどうかということにはなかなか答えられないということでございます。
#23
○稲葉(誠)委員 だから、今私が申したような問題点が非常にあるというか、そういう危険性があるということはよくお考えください。だけれども、そういう危険性があるというふうにこれはあなたの方で答えるわけにもいかないでしょう。その立場はわかりますからこの程度にしておきますけれども、私はその危険性が非常に強いと思っているのです。この補足意見は補足意見じゃないですよ。これは全体の意見ですよ。だけれども、今ここで議論しても平行線ですから、これ以上言いません。私はそういう意味での警告を発しておきたいというふうに思っております。
 順序を変えまして外務大臣にお尋ねをいたしたいのですけれども、それは、ここ二、三日来のフィリピンの政情についていろいろ報ぜられておるわけですね。それにつきまして、一体実情はどうかということと、それから今後日本のアジア・フィリピン政策にどういう変化があるか。特に経済援助をめぐって、こういう政情が不安定な状態の中で、それは一定期間はとめるべきではないかというようなことも考えられるのですが、それと同時にアメリカが一体どういう態度をとっておるのか、いろいろきょうのテレビなんかでやっておりましたけれども、そのことを絡めて、日本としてはどういうふうにしていくべきかということについて外務大臣のお考えをお聞きしたい、こういうふうに考えるわけです。
#24
○安倍国務大臣 フィリピンの現在の状況はまことに混沌としておりまして、我が国の大使館も実はきのうから徹夜で情報収集に努めておりますし、外務省も体制をつくりましてあらゆる角度から状況の把握に努めておるわけでございますが、なかなか実態というものがつかみにくいという段階にあるわけです。そういう中でとにかく我が国としましても、流血の惨事だけは何とか避けてもらいたい、こういうことで、きょうの午前八時過ぎに角谷大使に対しまして、実は私の名前で訓令を発しました。これは、日本政府としては流血の惨事はぜひとも回避さるべきであると考えており、フィリピン政府においても話し合いによる解決の努力を続け、武力の行使に訴えることを差し控えるよう強く要請する、こういう内容でございます。
 なおまた、既に二十四日の午前七時に角谷大使よりフィリピンのカストロ外務大臣代行に対して、次のとおり申し入れをいたした次第です。クラーメ基地への攻撃が近づきつつある模様であるが、万が一にも邦人を含め内外国人の間で死傷者が生じないよう十分な注意と退避の時間を与えるようにされたい、こういうふうに申し入れをいたしております。
 今の基地の内部にも日本人のジャーナリストを初め相当詰めかけておりますし、それからフィリピンでは邦人も三千数百人、マニラでは二千人以上おるのじゃないか、それから一般の旅行者なんかは一万人ぐらいおるのじゃないか、こういうふうに見ておりますので、この事態が流血の惨事を招きますと我が邦人に対しても相当な影響が予想されますので、大変憂慮をいたしております。何としても今日の段階では時々刻々情勢が変わっておりますが、とにかく流血の惨事は避けて話し合いでもって解決してほしいというのが我が国の姿勢で、これをあらゆるルートを通じまして、特にマルコス大統領に対して強く訴え続けてまいりたい、こういうふうに思っております。
 アメリカも、いろいろと報道官等の発表が出ております。御承知のとおりでございますが、アメリカ側としても大変憂慮をしておるし、とにかく平和的に解決されることを非常に強い口調で期待をいたしておりますし、アメリカも要請をしておる。日米関係でもいろいろと情報の交換等も合いたしております。
 なお、日本のフィリピンに対する基本的な政策は、これはフィリピンが友好国でありますし、変わってないわけでありますし、今後ともこれは変えないという基本方針でございます。援助も続けていかなければならぬ。これは何も政権に対する援助ではなくて、フィリピンの非常に困っておる国民生活、これを援助するための協力でございますから、これは今後とも基本的には続けていきたいと思います。ただ、今こういう混乱の時期でやりようがないわけでございますし、何としても平和が回復をして、安定が回復して、その後にこの点については進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
#25
○稲葉(誠)委員 また、伝えられるところによりますと、アメリカの大統領がソ連書記長に三年間で中距離核を全廃をしたいというような書簡を送ったというようなことが報ぜられておるわけですが、これらに関連をして、今のこのアメリカとソ連との関係が日本なりアジアなりに一体どういう影響を及ぼすか、こういうことについてはいかがお考えでしょうか。
#26
○安倍国務大臣 恐らく今週じゅうにでもレーガン大統領の新提案がゴルバチョフ書記長に対して出される、こういうふうに思っております。一そういう中で、実は先般アメリカから日本に対しまして、レーガン大統領の新提案について日本側の意見を求められました。日本としては特にINFの問題で、アジアだけが取り残される、ヨーロッパが主力でアジアが取り残されるというような形になるのは困る、あくまでもグローバルな形でINF問題は解決してもらいたい、アジアが犠牲になることは困るんだ、そういう趣旨を踏まえてひとつ大統領の提案も対処していただきたいということを強く申し入れたわけでございます。その後、日米間でいろいろと話し合いはいたしております。大体の概略もわかってきておるわけでございますが、アメリカとしても日本の立場というもの、そうしてアジアを犠牲にしないという考え方というものは理解をして、この理解した立場に立った大統領の回答がなされるものである、こういうふうに我々は期待をいたしておるわけでございます。
#27
○稲葉(誠)委員 税調会長の小倉さんおいでくださいまして、この前は何か大変失礼申し上げたそうですが、おわびいたします。いろいろお聞きを申し上げたいわけで、ここに少し時間を割かせていただきたいというふうに思うわけです。
 その問題で、政府税調に対して総理からいろいろ諮問といいますか話があったのは、どういうふうなのがあったというふうに考えてよろしいのでしょうか。具体的には、所得税の減税方針というものを先行して示すようにしてくれ、こういうような話まであったのでしょうか、どういうことなんですか。今後どういうような形で政府税調としては対処をしていかれるのでしょうか。そこら辺のところを、財源の問題等を含めて、提案等含めて、ひとつ遠慮のない御見解をお示しをお願いいたしたい、かように存ずる次第でございます。
#28
○小倉参考人 税調といたしましては、昨年の九月二十日、総理から税制の抜本的な改正について御諮問がございまして、自来いろいろ検討をしておるわけでありますが、まだ所得税法をどうするこうするという具体的な討議には入っておりませんのです。
 総理の御諮問の趣旨は、もう御承知のとおりと思いますが、戦後の税制の骨格ができましてから長年、年がたっておりまして、その間部分的な手直しは随時行ってきたわけでありますけれども、全体を達観して見直してみるというと、いろいろなところにひずみが出ておるあるいはゆがみが出ておるというようなことがありまして、税制全体として抜本的改正という方向で見直してはどうか、こういう趣旨の御諮問でありまして、所得税を大幅に減税をしたらどうかとか法人税はどうだとかという具体的な御指示はございませんのです。含みとしましては、相当の減税をするというお含みもおありになるのではないかと憶測はしますけれども、具体的にどれをどうするということは税制調査会の検討にまつという御趣旨かと思います。
#29
○稲葉(誠)委員 今後どういうふうなプログラムで政府税調としては進んでいかれるのか、こういうことについておおよそのものをお示し願いたい、こういうふうに思うわけです。というのは、四月に減税の方針を打ち上げて、そして秋にその財源を示す、増減税を示すといいますか、そういうようなことをやるのだということを総理も言われるわけですね。それに沿った形で政府税調としては進めていかれるのかどうか。そのときに、四月なら四月に減税だけのあれをアップして財源をどういうふうにするかということについて全く触れもしないで発表するということが一体具体的にできることなんでしょうかね。国民の間に税制全体に対する強い不信感がどんどん高まってくるだけではないか、こういうふうに思うのですが、そこは会長としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
#30
○小倉参考人 お尋ねの御趣旨はもっともだと思うのでありますが、これからどのように税制調査会の審議を進めていくかということについてちょっと申し上げて御参考に供したいと思うのです。
 先ほど申し上げましたように、昨年の九月二十日総理から御諮問がありまして以来、税制調査会では、シャウプ勧告以来今日までの税制の歩みといいますか、経過をずっと一わたり各主要な税目について勉強をいたしました。そして、その間に特別部会を三つ設けまして、第一部会、第二部会、第三部会というので、第一部会は全体の総合的なこと、第二部会は所得税、住民税といったようなもの、第三部会が法人税、間接税とかそういったようなものを審議しようというような分担をして、その後、各部会がそれぞれ検討に人づておる次第であります。
 なお傍ら、特殊の税金の組み立て方あるいは考え方については、専門委員たる学者の先生方に特に研究をお願いするというような必要のものがありますので、例えば所得税の累進構造をどう考えたらいいかとか、あるいは所得税の算定上どのようなものを控除したらいいのかとか、そういった所得税制の基本的な事柄のようなことをそれぞれ研究を願っております。
 それで、その研究の結果がぼつぼつ出てまいりまして、先ほど申しましたような各特別部会で検討するということにいたしておりまして、検討の方向はお尋ねにありましたような所得税の減税、まだ法人税については報告は聞いておりませんが、法人についても法人税の減税というようなことについて、そういうことを頭に置きまして所得税なり法人税の仕組みをどうしたらよろしいかというようなことを、できればこの春ごろにまとめたらどうだろうかという段取りでございます。したがいまして、いろいろな所得税、法人税等々の仕組みの非常に重要な骨格につきましての考え方をまとめるというような段取りになっておりますので、まだ減税に伴う財源措置をどうするのだという研究にまで入っておりませんし、またそれは四月の取りまとめまでには間に合わないというようなことじゃないかと思っております。
#31
○稲葉(誠)委員 大蔵大臣にお尋ねするのですけれども、この政府税調の答申を見ますというと、直間の比率の問題なんかが相当出ているわけですね。あなたはニュートラル、ニュートラルとこう言われるのですよ、その意味がよくわからないわけです。こういう意味なのかどうかということをお尋ねしたいと思うのですが、それは減税を四月なら四月に打ち上げるというのでしょう、数字が入るかどうかは別として。そうして、秋に増税、減税財源等を示さなければなりませんわね、これは。小倉さん、もう少しちょっとお聞きしていていただきたいと思うのですがね。そういうわけでしょう。だから、減税をするならば何か埋め合わせなければなりませんね。それを増税でやろう。そうすると減税と増税とをとんとんにするのを、これをニュートラルというふうに言われるようにも聞こえるのですよ、額をですよ。どうもあなたのおっしゃる言葉が意味がよくわからないのですが、そういう意味なんでしょうか。アメリカはそういう意味に使っていますわな。
#32
○竹下国務大臣 春までに重税感、ひずみ、ゆがみがどこにあるか、こういうことで骨格が示される、そうするとそれに対応するものがその後、こういう税制を考えたらいいじゃないかとか、そういう問題が出てくる。そこで、ニュートラルというのは、厳密に言って数値が示されるかどうかわかりませんが、恐らく示されないであろう、数字と申しましょうか。そうすると、必ずしも数字がとんとんになるということではないかもしらぬ。考え方が、いわば減税分を増税分で補っておおむね平らである、そういうことじゃないかな。厳密に何兆円がこれによって出て、何兆円がこれによって埋め合わされるというところまで議論を詰めるのはなかなか難しいのかな、これは私の予測でございますけれども、そんな感じで見ておりますが、考え方は稲葉さんのおっしゃっているのと私の認識とはそう大きな差はないと思っております。
#33
○稲葉(誠)委員 そこで、結局だれが見ても減税をやれば減税をやる財源というものを考えなければならぬわけですから、それを平らにという意味ですね。とんとんという意味でしょうな、私の言っていることを否定もされないわけですから。
 そうすると、当然増経費というのはいっぱいあるわけですね、いろいろな形で出てきますね。それから、国債整理基金というのは、今四千億ぐらいしかないのですか。それを二兆円ぐらいずつ入れるのをストップしているわけでしょう。そういうような形になってきたときに、そういうふうなものを何で賄うかということは一番大きな問題になってくるわけですけれども、それはちょっと後にします。
 そこで、税制改革、会長からお話がありましたように数字が出るのかどうかは別として、秋に案が出たときに、それをあなた、次の年の六十二年度からやれるわけは私はないと思うのですよ、それは。だって、イギリスだってグリーンブックをつくってやりましたよね。アメリカだってもう三年ぐらいかかっているでしょう。イギリスだって二、三年かかっているわけですね。そうなれば、どんなにしてみたって大変な問題ですね。財源としてまず選択肢として何が考えられるかということの御説明をもちろん願いたいのですが、同時に、私は六十二年度に一挙にそういうようなものができるわけはないと思うのですよ、これは実際問題として。そこをどういうふうに考えたらいいのか、考えているのか、これは率直にお聞かせ願った方がいいと思うのです。どうでしょうか。
#34
○竹下国務大臣 個々の税目別にはなかなか申し上げるのは難しいんじゃないかと思います、余りにも予見が頭に入り過ぎるといけませんから。しかし、一般的な税制改革の答申をいただきますと、それはおっしゃるとおり中身は四月一日からできるものもあるかもしらぬ、あるいは翌年の一月一日からでないとできないものもあるかもしらぬ、そしてなお、おっしゃるように周知徹底の期間を、ヨーロッパの例もお出しになりましたが、ということを考えれば、本格的に入るのはあるいは六十三年度税制になるものも中にはあるかもしらぬという問題意識は私も持っております。したがって、党税調も政府税調も、おととしの終わりに抜本改革に手をつけるべきだ、こういう答申をいただきまして、だから、急ぐためにはすぐかかるのも手かなと思いました、率直に。しかしああいう答申をもう一遍一国会くぐらせて議論してもらって、それを正確にまとめて、ちょうど去年の九月からやったということになりますと、今おっしゃったように六十二年度税制で、どういうものが出るかは別として、全部やれる、いわば平年度化した形でみんなやれるというようなことはそれはかなり難しいだろうなという気持ちは私もいたしております。
#35
○稲葉(誠)委員 これは建設省にお伺いをいたしたいのですけれども、建設国債を発行をして、そして内需を振興していく、公共投資をふやしていく、そういうことによって日本の経済、税収その他いろいろありますけれども、それにどういうふうに影響があるというふうに、建設省は内需の振興等について考えておられるわけですか。
#36
○江藤国務大臣 建設国債は昭和六十一年度五兆七千億お願いをしておるわけでありますが、さらに建設国債を発行すべきであるということについては、私どもの計算でありましてはかの計算はまた別かと思いますが、大体一兆円の建設国債を発行いたしますと、これは裏負担等の関係がございますから、実質投資額は一兆四千億程度になるであろう。そのときの乗数結果からいいますと、GNPを約一・四七程度押し上げる。そうすると、二兆八百億程度になるでしょう。これが一年目の投資に基づいて、二年目は今度はGNPが約〇・七八、そして一兆一千億程度のものになりましょうか。三年目が〇・四七で約六千六百億余。そういたしますと、大体三年間合計しますと、一兆円の建設国借に対して三兆八千億を超えるものが見込まれます。したがって、GNPが税収を〇・一二三押し上げるので、税収は四千七百億程度増収になるのではないでしょうか。これが私どもの一応の計算でございます。
#37
○稲葉(誠)委員 今の建設省の案について、大蔵省としてはどうなんですか。
#38
○竹下国務大臣 詳しく主計局長からお答えをさせますが、確かに建設公債というのを一兆円で、三年間ぐらいで四千億程度の税収は上がるというふうに思います。
 ただ、それが今の償還ルールで六十年といって七%の金利で計算しますと、やはり一兆円は三兆七千億の後世代の納税者に対してツケを回すという論理はそれなりに存在するというふうに考えます。
#39
○稲葉(誠)委員 そうすると、建設省は建設公債をうんと発行してそれで公共投資を盛んにして内需振興をやっていこう、それで税収を上げていこう、景気を刺激していこう、こういうような案だと一応考えられる。そうすると大蔵省はそれと同じなんですか。僕はよくわからないのですよ、そういうことは。わからないから聞いているのですけれども、一般国民は、じゃ建設省の考えていることと大蔵省の考えていることとそれは同じなのか違うのかな、どっちなのかなと思うわけですね、これは。どうなんですか、同じなんですか違うのですか。同じならそれをやったらいいと思うし、どうなんですかな、違うのなら違うのだし。
#40
○竹下国務大臣 問題意識の相違というのは後世代への負担、この問題意識が大蔵省の方には余計働くわけであります。だから一兆円は三年間ぐらいに波及しますが、四千億程度の増収にはなると思います、率直に申しまして。しかし、その公債は赤字公債であれ建設公債であれ、いずれにせよ三・七倍の三兆七千億、後世代がこれは返していかなければいかぬわけですから、それは財政の健全性を将来にわたって損なうことになる。だからよく建設公債発行論のときに申しますのは、ISバランスと同じような考え方も一つにはありますが、貯蓄と投資というのはいつでも貯蓄超過にもならぬように、投資不足にもならぬようにというような経済運営が好ましい。したがって、民間にその需要がないときには、政府が国債という名でそれを吸い上げて投資すればいいじゃないか。したがって、私は緊急の措置として公債政策は意義があると思います用意義があったから昭和四十年、昭和三十九年のオリンピックの翌年が戦後最大の不況、あれはやはり克服したと思うんです、たった二千億ですけれども。その意義はありますが、それが恒常化してしまうと、財政体質そのものを破壊する要因になる、それを絶えず申し上げておるところであります。
#41
○稲葉(誠)委員 今の議論に対して建設大臣はどういうふうにお考えなんですか。賛成なのかどうか。
#42
○江藤国務大臣 今の大蔵大臣の一兆円の建設国債は六十年にわたって三兆七千億を払わなければいかぬというのはこれは吉野主計局長の持論でありまして、相当なものだと私は思っておるのです。何事でもそういう投資をしたら後年度負担というのは当たり前のことでありまして、例えば東京湾横断道路を私どもはやろうとしておりますが、これは一兆一千五百億投資をしますけれども、やはり三兆円の金利負担というのを見込んでおるのです。そのかわり、道路が開通しましたら、開通しないときよりか一日に二億円の利益をもたらすでしょう。それからいろいろな開発計画が、神奈川県、千葉県にプロジェクトがありますから、そういうものが完成しますと、大体一日当たり六億八千万円程度の利益をもたらすようになるでしょう。年間五兆円を超える経済効果を見込むというのが今度の東京湾構想であります。
 ですから、国の財政計画というものを無視して、この建設国債を議論することはできませんが、私どもが考えておりますのは、いわゆる前提がありまして、昭和六十五年度に向かって毎年一兆八百億ずつ減らして、そして六十五年には赤字国債をゼロにします、これが達成されるという前提を持つならば、毎年の経済成長率の範囲内で増発してもいいのではないか、もっと厳密に言えば、税収の増加の範囲内で建設国債を増発しても、それはさしたる悪影響をもたらすことにはならないのではないかというのが私どもの考え方でございます。
#43
○稲葉(誠)委員 特命相は今のお二人の考えを聞いておられてどういうふうにお考えなんでしょうか。
#44
○江崎国務大臣 内需を引き出す、民活を引き出す、こういう意味からいいましても重要な問題だと思いますが、やはり行革審の立場からいいますと、これは具体的に今最終の取りまとめて、この建設公債問題にも取り組んでおられるようでございます。大蔵大臣の言っておる方向がやはり理屈があるかなという意見が一つの方向を占めておる、これはまだ情報的な段階でありますが、そういうふうに私どもも受け取っております。
#45
○稲葉(誠)委員 これはだんだん変わらざるを得ないんじゃないですか。変わらなければこれはもうやっていけなくなってきているんじゃないでしょうか。今経常収支五百十億ドルでしょう。これはことしの暮れにどのくらいになるというふうにお考えですか。七百億ドルでしょう。これを超えるという見方が強くなってきているんじゃないですか。そういうときにはやはり積極的な経済運営という形を考えなければいけない状況になってきているんじゃないかと私は思うんですけれども、今お二人の話を聞いておりまして非常に興味深く考えたわけで、これは後からまたいろいろな中で議論が出てくるんだというふうに私も考えております。
 そこで、主計局の方から出していることですかね、「建設国債を増発して内需を拡大するという議論もあるが、試算では、かえって財政事情を悪化させる。また、それによって生ずる輸入増加もそれ程大きくない。五兆円の所得減税による輸入増加もせいぜい七、八億ドルに過ぎない。むしろ公債増発が、長くあとの世代に重荷を残してしまうことを懸念している。五十三年のボン・サミットの機関車諭による公債増発は、日本、西ドイツに後遺症を残したことを忘れてはならない。」こういうことを主計局の次長がある雑誌で、対談の中で言っておられるのですが、これは今でなくても結構なんですけれども、この数字を後でちゃんとよく出していただきたい。五兆円所得減税をやったときに輸入増加がどうなって、そして国内の消費者物価がどうなって、そして税金がどういうふうになるんだということを、これを一応よく後で出していただいて、これはまた恐らく締めくくり総括の中で議論になると思うところですから、資料として御提出を願いたいというふうに考えるわけですが、委員長からお示しを願いたい。
#46
○竹下国務大臣 よく言いますのが、所得税の三分の一に当たる五兆円で七億ドル程度という試算もありますし、それから経済研究所によっては、いやそうじゃないんだ、もう二兆円多いんだとか、それから公共事業の問題につきましても、三兆円で十三億ドルだ、いやそうじゃない、三兆円でアバウト十八億ドルだ。いろいろなケースがありますので、経済企画庁の方でもいろいろな前提の上に立った計算をしていただいておるわけでありますし、我が方もそれをやってはおりますか、必ずしもこれが政府の統一した見通してございますという資料にはならないかもしれませんけれども、いろいろな分、勉強いただく素材としてならば持ってまいります。
#47
○稲葉(誠)委員 あと二つだけお尋ねいたしますか、一つは、昭和五十九年三月十三日に予算委員会で中曽根さんは「中曽根内閣におきましては、大型間接税と称するものを導入する考えは持っておりません。」こう答えているわけですが、これを今後も維持されるのかどうか、こういうことが一つです。まずそこからお尋ねしましょうか。
#48
○竹下国務大臣 中曽根総理が申しておりますのは、そのことを申して、そして大型間接税とは何ぞやということから議論して、投網が出たり普遍が出たり羅列が出たりした。したがって、整理しておっしゃっているのは、いわゆる一般消費税(仮称)、純粋なあの措置と、それからもう一つは、自分が民主党時代に体験したとおっしゃっておりましたが、取引高税、あれは非常にアレルギーが自分にはあるというふうに申されておる。だから、すそ野の広い間接税というものを問題の外に置くべきだという考え方には、従来の税調の答申からすると、まあ立てないと思っております。
#49
○稲葉(誠)委員 だから、中曽根内閣としてというよりも、竹下さんが政権をとったときということになると、それはまた仮定の議論だということになっちゃうのかな、これはまずいかな、まずくはないでしょう。だから、あなたが大蔵大臣をずっと続けられるなり、あるいはもっとあれになったときに、こっちに座ったときに一体その点についてどういうふうにされるわけですか、それをひとつお聞きしたい。
 それからもう一つは小倉会長さん、一つだけで結構なんですけれども、税制調査会の「今後の税制のあり方についての答申」、五十八年十一月の中期答申というのがございますね、これを見ますというと、「法人税の負担調整に関する基本的仕組み」については、当面これを見直さなければならない格別の状況の変化があるとは考えられない、こう言っているわけですね。だから、法人税について、これは議論があるわけですな、大蔵省と経団連でやってますわね、議論を。だから、法人税について減税をするということは、これはもう考えられないんじゃないでしょうか。特に今のような国際情勢の中で、法人税減税をした、それによってどんどん輸出は伸びちゃう。だから、これはまた日本はドライブをかけているんだ、不公平だというふうにやられるに決まっているんじゃないでしょうか。だから、法人税減税ということは今の段階では私は考えられないし、考えてはいかぬことじゃないかと思ってはいるのですが、どうなんでしょう。どっちかな、どうぞ。
#50
○小倉参考人 法人税につきまして、まだ税調で減税云々というような気持ちが出るくらい審議が進んでおりません。ただ、諸外国、特にアメリカ、イギリスその他と比べてみまして日本の法人税はどうも高いのではないかという指摘が今お話しのように財界その他からあるわけです。なるほど税率を比べてみると数段と日本は高いというようなことになっております。そういうこともありますし、もう一つは、臨時ということで一・三%法人税を上げたことがございまして、それをさらに来年も続けるということになっておりまして、これなどはやはり検討の項目に当然なるはずでございまして、まだそこはどうするかは検討しておりませんが、そういうこともありまして、法人税も、減税といいますかあるいは合理化といいますか、国際的な関係も今お話しのような影響もあり得ると思いますので、そういうことも含んで検討を続けたいと思います。
#51
○稲葉(誠)委員 小倉会長さん、ありがとうございました。どうぞ。大変失礼しました。
 ここで、時間もあれになってまいりましたので、自治大臣、ちょっとお聞きをいたしたいのですけれども、行政書士法の問題につきまして今改正がいろいろ問題となっておりますが、これは労務士法の場合には、「報酬を得てこというのとそれから申請の代理権の問題、これらを議員立法なりあるいは政府提案なりなんなりで解決をしたいという動きが非常に急速に実現化しつつあるような状況なわけですね。
 そこでお聞きをいたしたいのは、第一条の「報酬を得てこというのを削除すべきではないか、こういうふうに考えるわけです。というのは、法律によって、弁護士法、税理士法、司法書士法、弁理士法、土地家屋調査士法、こういう規定はないわけですよ。ところが、行政書士法には第一条に出ているわけですね。これを削除するのが当然ではないか、こういうふうに私は考えるのですが、これが第一点ですね。
 それから第二点の、提出手続の代行権というようなことで今あるわけですけれども、これでは警察の窓口なんかに行ったときでも、代行なんだから、これは直すときに一々本人の判こをもらってこなければだめだというので、それでやられて帰ってくるわけですね。全然意味がないわけですよ。ですから、これもやはり申請の代理権という形で、ほかの士法と並んだ形で代理権という形にする、こういうようなことが当然過ぎるくらい当然ではないか、こういうふうに考えておりまして、これは社労士法でもその改正が実現しそうな状況ですな。
 それを踏まえて、今の二つの点について自治大臣としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
#52
○小沢国務大臣 詳しい他の法律との関係やらその他につきましては行政局長からまた補足して答弁させていただきますが、先生のただいまの御指摘につきましては、私どももそういう動きが、御意見があるということは承知いたしております。
 ただ、この「報酬を得てこという規定云々の問題ですが、いわゆる現実の問題としてボランティア的なあるいは人助け的なあるいはお互いの個人関係の中で、そういうような場合にも法律でもってあれするのはどうかということは、これはもう少し検討し議論してみないとわからないのではないかと思っております。
 それから、代理の問題につきましても、事柄の性格上、本当に事務的なちょっとした違いとか、本当に代理人として行動すべき性質の問題とか、そういう具体的な問題についての検討、判断が必要であると私は考えております。
 具体的な法律関係につきましては、行政局長から答弁いたさせます。
#53
○大林政府委員 御指摘のように、行政書士法の第一条の改正問題が現在検討をされております。先生も御案内のように、非常に社会が複雑化いたしますと、役所に提出する書類も複雑多様化してまいります。特に営業活動に付随をして必要となるような書類につきまして、この改正問題が出てくる背景になるわけでありますけれども、弁護士を初めとしましていろいろな士族の法律がございます。法律が御案内のようにまちまちになっております。ただ、私どもの承知しておる範囲におきましては、税理士でありますとか土地家屋調査士でありますとか司法書士でありますとか、非常にその分野が専門的でございますために、有償、無償を問わず特定の士に限定をする、こうなっておるのであろうと思いますが、行政書士の場合には、非常に一般的な行政書類というものが対象になりますために従来ボランティアというものが許されておるのを、今回このボランティアまで制限をするというような結果になるというような改正になりますと、事柄が罰則が伴う問題でございますために、かなり慎重な条文を考えないといけないであろう、こういう気持ちを私ども持っておるわけであります。
 第二点の代理問題につきましても、これも第一条の方に組み込むということになりますと、これがすぐ罰則に関連をしてくるわけでありまして、代理業務の範囲がどうであるか、そういった内容の具体的な精査の上で立法作業をしていかなければならない、こう考えて知ります。
#54
○稲葉(誠)委員 今のボランティアの場合は、別に営利を目的としているわけでもないし、業としてやっているわけではありませんから、これとは全然関係がないことであって、違法性がないのですから、それは許されておるわけです。本当のボランティアならですよ。それはだから問題はないということになるわけです。ただ、ボランティアという名前のもとに営業的にやっているということだとそれは問題になる、こういうことだというように考えておりますので、これは問題がないわけだと思うのです。一部反対しているところもあるようですけれども、私はこれは全然問題は起きないというように考えます。
 それから第二の場合も、今のような代行というだけでは、単に使者として提出手続を代行するだけであって、一々警察の窓口へ行って、これはだめだだめだと言われてそして持って帰るということでは意味がないわけですから、そこら辺は国家公安委員長としても警察に対する指導や何かもありますし、それを含めて当然行政書士に、本人ならば別ですけれども、そういう人に専属的にやれるような形に指導していくとか、こういうふうに当然考えていかなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うわけなんですね。そこら辺のところはどうでしょうか。
#55
○小沢国務大臣 最初のボランティアの問題でございますが、先生御指摘のように、本当に個人的にたまたまかわりにやってやった、そういう場合と、いわゆるなりわいのような形で資格がないのにやっておる、そういういろいろなケースがあるだろうと思います、実際問題としては。したがいまして、それを法律でどの辺までどういうふうな形でやり得るのか、そういう検討というものは、これはやはり具体的に、慎重に考えていかなければならないであろう、そのように思います。
 それから、警察の窓口のお話も出ましたが、それも本当に単なる字句の修正みたいな感じの簡単なものの場合もあれば、あるいはやはり本人の意思を確かめてということもあるかもしれません。そういう意味で、具体的な一般の行政の問題全部に係ることでございますので、やはり具体的なことを精査しながらやっていかなければならないのではないかなというふうに考えております。
#56
○稲葉(誠)委員 だけれども、これは社労士法の改正は実現する可能性が非常に強いようですよ。そうすると、それと並んで、今の「報酬を得てことそれから代理権の問題も改正しないと筋が通らなくなってくるのですよね。その点はどういうふうにお考えですか。
#57
○大林政府委員 行政書士の世界だけでなくて社労士の方においてもそういう動きがあるということは私ども承知いたしております。そういった動きについて、社労士の関係法を審議される際に今私どもが申し上げた問題がどういう推移になるかが問題、結局両方とも罰則に関係するというような問題でございますから、そのあたりをどう合理的な体系づけをするかという問題になるわけであります。
 一条の改正が、「報酬を得てこという問題を削除する、それからさらに代理権の行使というものを加える、この二つの問題がそれぞれに、それに違反すると一年以下の懲役というような話になってくるものでありますから、そのあたりの構成要件につきましては、もちろん社労士の改正関係をもにらみながら私ども慎重な態度で検討していかなければならない、こう申し上げておるわけでございます。
#58
○稲葉(誠)委員 これは罰則としたところで、それは極めて業としてやっていた悪質な者に対する罰則であって、そういうのを処罰するということは普通あり得ないことなんですから、そういうようなことをそう気にする必要はないというふうに私は思うわけです。今後、士の関係がいろいろあるわけですけれども、司法書士法と土地家屋調査士法の問題はある程度解決したわけですけれども、問題がたくさん出てまいりますから、今言った行政書士法の一部改正について各方面からいろいろの声が上がってきておりますから、それを受けて自治大臣としてどういうふうに対処されるのか、こういうことを最後にお聞きをしたいと思います。
 それから行政書士の専管業務というものもどんどんできるだけふやしていくというか、そういう角度で考えていかなければいけないんじゃないか。これは中曽根さんが行政書士会の連合会へ出席しているわけですよね。ほかのとのところはだれも行かないんですよ。この行政書士のあれだけ中曽根さんが行くわけだ。そういうこともありますから、僕の方からそういうことを言うのもおかしいかもしれないけれども、こういうこともありますから、そういうことも含めてひとつ前向きに改正のためにお骨折りを願いたい、こういうふうに思うわけで、最後に……。
#59
○小沢国務大臣 先生の御意見を否定しているわけでも消極的になっているわけでもございません。御意見は十分わかっております。ただ、今まで申し上げましたのは広い全般的な行政手続にかかわる問題ですので、それらとの兼ね合い、区分等も十分検討していかなければならない、今後の検討の要があると考えております。
#60
○稲葉(誠)委員 検討の要があるのはわかるのだけれども、前向きに検討していくということをひとつ。
#61
○小沢国務大臣 御趣旨のとおり、前向きにいろいろな状況を勘案いたしまして取り組んでいきたいと思います。
#62
○稲葉(誠)委員 いよいよ最後になるといいますか質問になりますが、中央公論の三月号に、三塚さんが運輸大臣として伊藤昌哉さんと対談しているわけですね。題は、これはちょっとだれがつけたのか別として、中身を私読みまして、非常にざっくばらんにお話しされていて興味深く思ったのですけれども、問題点がいっぱい出てきているように思うのですよ。一つは百三十六ページのところ、
  十六兆七千億円は百パーセント政府の責任でご処理をいただけませんと、国鉄再建はできません。これは、竹下大臣にも申し上げたんです。ところが、大蔵官僚にいわせますと、こんなものを引き受けて、どこから金が出るんですか、と。しかしもし、これを大蔵財政当局がのめないというのであれば、法律を提出しても意味がなくなるのでは……。
こういうふうに言っていますね。時間の関係で全部言っちゃいますから、一つ一つ忘れないであれしてください。
 それからその次に、お二人の名前が出ておりまして、
 私と三人で相談しました。税金で取るというのがひとつあるわけですね、いわゆる国鉄再建税。ただ、国鉄の危機的状況を国民の皆さんはまだ肌身では感じておりません。
  だから、これはだめ。すると、赤字国債で調達する以外方法がないわけですね。しかし、六十五年度まで赤字国債発行ゼロというのがわが内閣、党の財政再建方針でありますから、これもできません。
こう言っていますね。この後いろいろ説明されているのですが、さあ、ここのところが、後がわからない。
 あと、残っておるのは国債整理基金に一時プールさせていただき、財源は行政改革、シーリングの節約で行う。
ここのところですね、問題は。これはあれでしょう、国債整理基金というのは一・六%積み立てておるわけで、今二兆円からのあれをストップしているところしょう。約四千億ぐらいしかないんじゃないですか。だから、ここの意味がよくわからない。税金はだめ、赤字国債もあれだ、それでここに「プールさせていただき、財源は行政改革、シーリングの節約で行う。」これは一体どういうことを意味しておるのかということですね、問題は。それから後のところで、
 (田中)角さんじゃないけど、金目の問題でしぼりあげちゃだめです。
と言っている。これはどういう意味で言っているのか、ちょっとわからぬな。
 それからもう一つ言っていることは、民営・分割化、殊に分割の問題で、「経営がうまくいくだろうかという不安はありませんか。」こういう質問ですね、分割について。これに対してあなたの答えは、
 借金棒引きで持参金つきですから(笑)、できると思います。
こう答えているのですけれども、「借金棒引きで持参金つきですから」、これはまたどういう意味なんでしょうか。
 この私の質問の意味、ちゃんと分けて一つ一つ答えてくださいよ。これは私の質問というよりも、後の質問につながりますからね。答えてください。
#63
○三塚国務大臣 お答えをしますが、お聞きいただいていても、中央公論を読んでいない方はなかなか御理解いただかぬと思うのでありますが、一つ一つ、それじゃポイントだけ申し上げます。
 十六兆七千億円の処理、これは御指摘のとおり新税あるいは赤字国債発行によって決着ができるのであれば一番簡単であります。それはできない。まあできないならどうするんだ、こういうことで国債整理基金的な構想があるのではないか、こういうことに対し、そういう方法もある。しかし私の申し上げましたのは、いわゆるその国債整理基金法に基づく国債整理基金という、そういう確実にこれを限定したものではなくして、国債整理基金的な構想、これは言うなれば、旧国鉄清算法人の中でこれを処理してまいるということは、五・八兆円の財産処理もございます。それをできるだけ付加価値を高めるなど、売り方を工夫するなど、できるだけ多くこれが上積みできるようにしてまいらなければならぬというのが一つありますですね。それと雇用対策。四万人、この法人の中で一応三カ年計画で転身を図るということにいたしておるわけでございますが、転身を図るこのスピードの問題、またそれをどう進めるかという問題などもある。それの全体をにらみつつ、清算法人たる旧国鉄においてまずベストを尽くす。
 それと、私が申し上げましたのは、もう一つは、いわゆるシーリングという意味は、国家予算編成の際に、他経費の節減によりこれに振り向けられる財源が出ないものだろうか、こういうことなんです。で、そういうものが出まするならば、増税、赤字国債等によらずして独自に捻出でき得る問題ではないだろうか。もちろん、これだけ四年続きのゼロあるいはマイナスシーリングの極めて厳しい財政改革を進めてきておるわけでございますから、片や、そんなのはもう鼻血も出ませんよということがあるとは思います。しかし、やはり予算編成をやってみまして、むだなところに的確に手をつけながら整理できて、いい、スリムな財政再建への健康体になりつつあることも国民各位のお認めをいただくところかな、こんなふうにも思うものでございますから、その辺のところを実はかいつまんで申し上げたわけであります。あれはもっと長かったのでありますけれども、やはりページ数の関係で、これがこんなふうに圧縮をされたところに御理解がいただけぬところがあるのかなと。
 もう一つは、いわゆる借金棒引き持参金つきという、これは簡単な表現を申し上げたのは三島のことであります。北海道及び四国、九州、なかなかこれはできないだろう、そうです、難しいです、難しいが、そこで本州三会社が資産に見合う借金を背負ってスタートをする、こういうことにいたしましたが、北海道、四国、九州については借金というのは一銭も持たせない。持たせない上になおかつ、公共交通としてその赤字分が出てきておるわけでございますから、こういうものは一兆円のファンドを付与することにより、北海道アバウト五千、九州三千六百、四国アバウト千四百というようなファンドを付与し、その運用益によって赤字分を消させていただく、そういう意味のことを簡単に言いますと借金棒引き持参金つきですね、全くそのとおりであります、こういう表現の仕方を申し上げたわけでございまして、内容は今申し上げたような精神であります。
#64
○稲葉(誠)委員 よくこういうのは相当長い時間話したのも全体をはしょっちゃいますから誤解を招くところがある場合もありますから、それはよくわかりますけれども、そこら辺のところは後からまたいろいろ問題があるところですね。
 それから、ここに前の運輸大臣の小坂徳三郎さんの「日本人永久繁栄論」というのがあるのですね。これは私読みまして非常におもしろい、一晩で読んでしまったんですけれども、これを読むと、「国鉄はいきなり六分割しても再建はできない」ということを言っておられるわけですよ、小坂さんは。これは運輸大臣、また国鉄総裁も聞いておいていただきたいのですが、
  単純な分割民営化ということではなく、まず国鉄を、連営業務を中心とする会社(特殊法人)と、長期債務等の資産を保有する公団に機能分割したらいいと私は考えている。そして、五年間は様子を見る。その結果で、地域分割がどうしても必要だというなら、やったらいい。答申のいう十六兆七千億円の巨額な国民負担も、五年後の時点で改めて、国民にそんな大きな負担をお願いする必要があるのかどうかを、見極めたらよいと思う。
  拙速は避けるべきだ。
というふうに言っておられるわけですね。そして、この案については、「鈴木総理と臨調の土光会長に説明したら、基本的に了承された。」こう言っているわけですね、小坂さんは運輸大臣として。それに対して「身内であるはずの自民党運輸部会からも反対を食らってしまって」というようなことを言っているが、あなたが反対したのでしょう、これはきっと。そういうふうに考えられるのですけれども。
 そういうふうなことで、こうした鈴木総理の時代にできた案が、運輸大臣が出し総理が了解し土光さんも了解した案が、五年間に、余り摩擦のないようにしてやっていこうということでしょう結局、一応の案は。民意も十分問うていこうというわけで、これについて、どうしてぶっ壊れてしまったのかということ。これは新聞にスクープされたからぶっ壊れたなんて言っていますが、どこがどうしてこれが悪かったのかということ。
 それから、このときに国鉄総裁は鉄監局長から次官をやっていたわけでしょう。次官をやっていて一時これに当然賛成しておったのではないのですか。ところが今度はこれと全く反対のところへ来て国鉄総裁をやるなんというのは、あなた、それは役人だからしようがないといえばしようがないのかもわからぬけれども、ちょっと少し無責任じゃないかというふうに思うのです。
 この中央公論の座談会を見ると、あなたが今度は運輸大臣になりたいんだ、まだ大臣が決まる前ですよ。ある人が運輸大臣になりそうだったけれども、あなたがどうしても運輸大臣になりたいんだ、そのときには杉浦君、君引き受けてくれと言って再三説得したということも、三回にわたって彼を説得したんだ、最終的にわかったという返事だった。「私は、そのときにこういったんです。「運輸省がしっかりしなかったことが、国鉄を今日の破局に追い込んだ最大の理由である。」」こういうふうにあなた言ったというのですね。そうすると、今までの運輸大臣というのは一体何をやっていたのですか。だれが見たってそういうことになる。また、その当時杉浦さん自身も鉄監局長をやり次官をやっていて、それに対する責任があるのでしょう。責任があるので、今度は頼まれて、はいとなってしまうということが私には理解できないですね。ここら辺の経過をずっと御説明願えませんか。
#65
○三塚国務大臣 これも対談の中のエッセンスでありまして、流れをもっと詳細にお話を申し上げているわけです。杉浦さんを説得をするということは、結局これはだれかが国鉄総裁をやりませんければ国鉄改革が進まぬ。それは仁杉さんがなられるころから、もう国鉄総裁になる人がおらなかったのです。その当時から私ども、私だけではなく運輸大臣経験者も含め、三役も含め皆さん、例えば亡くなられた日通の広瀬会長や立派な方々がおられるわけです。どうぞひとつ国鉄を国民のために、再建できるために総裁として御検討いただけぬか。ところが皆さん、いやとてもとてもとてもと言って逃げられるわけですね。
 そこで、私やりたいなどと言っていないのです。杉浦さん、もうだれもいなくなりまして、そのときに申し上げましたのは、もうOBもだれもいない、そうすればあなたはもう次官をやめて今運輸省顧問としておられるけれども、そういう場合は運輸省も国鉄がこう相なりました責任がある、国鉄だけの責任というわけではない、いわゆる政府も責任がある、そういう意味で主管省である運輸省も、あなたは国鉄部長、鉄監局長、事務次官と来ているわけだし、そういう意味の責任はあるだろう、そういう意味で、ともに国民のためにこれをやり抜くというときには火中のクリを国家官僚というものは拾うべきではないのか、こういう意味なんです。そういうことを申し上げさせていただいたわけであります。
 そういう意味で、歴代運輸大臣は皆さん、国鉄改革のために運賃法以下改革法を出してきて、国会において血みどろの努力をされたが、なかなか適正に運賃法の御採択をいただけなかった。それで弾力法になりました、改革法に相なりました、こういうことの中の集大成が再建法であり監理委員会法、こう続くわけでございまして、小坂先生の、元運輸大臣の機能分割というのも一つの見識であります。私どももこれは見識として受けとめさせていただきながら、なお交通部会として、党の政調として勉強させていただいた。特に国家的な行事でございますから、再建法及び国鉄再建監理法という、こういう法律の審議の中で全国民的国会の論議を経て監理委員会が成立をする、そこで二年余をかけて答申が出されるということでありますと、それを受けて政府はこれを最大限尊重しながらやり抜こうという閣議の基本方針を決められるということでありますれば、政府・与党一体でございますから、その中で困難を乗り越えて、国民の理解を得るべく努力をしてまいるというのが当然の責任であろう、こんなふうに思ったわけであります。思っておる、当然のことだ、こういうことであります。
#66
○杉浦説明員 国鉄改革の問題は大変歴史の長い問題でございまして、私も今先生御指摘のように運輸省の担当の者といたしまして何回もやっております。やるそばから時代の変革というのは非常に強い流れがあったわけでございまして、それがなかなかうまくいかなかったということも事実でございまして、率直に私、認めたいと思いますし、また、その時分の衝に当たった者といたしまして十分責任も感じておるところでございます。
 いろいろな意見が国鉄改革について展開されたという意見の一つの形といたしまして、先生先ほどおっしゃいましたようないわゆる小坂試案というものが出されたことも事実でございます。これは運輸省として成案を見なかったということでございますが、私、当時の鉄監局長といたしまして大臣の御意見の補佐をしたこともございますので、大臣の小坂試案については十分承知をいたしておるところでございます。
 別に中身について弁解するわけではございませんが、一つの考え方というものが、今回の監理委員会で、資産、債務の運営主体とそれから事業の運営主体とを分離するというこの小坂試案の一部分が取り入れられたのではないかという感じもいたします。といいますのは、旧国鉄にかなりの債務、負債を持っていくということ、あるいは新幹線の資産、債務をこれも新幹線保有機構で持つということ等々がございます。したがって、いろいろな意見の積み上げ、その集大成、いよいよ後へ引けないという形で監理委員会の意見が出されたものというふうに思うわけであります。
 分割論につきましては、私はこれは同時に実行しなければならぬというふうに確信を持っておるところでございます。また、今までのいろいろな経過の中で私が総裁に選ばれたということの重大性も考えながら、私自身この改革に身命を賭して頑張っていきたい、これが私の責任を遂行するゆえんであるというふうに思う次第でございます。
#67
○稲葉(誠)委員 国鉄のこの問題につきましては、私どもの態度は、案を出しておりますし反対でありますし、はっきりいたしておりますが、このことにつきましては、同僚議員から別の機会に十分また質問するなり何なり追及をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 今井さん、どうも済みませんでした。ちょっと時間がなくなってしまってまことに申しわけなかったのですが、私の質問はこれで終わりまして、足りないところはまた別の機会に十分やらしていただきたい、かように存じます。
 終わります。
#68
○中島(源)委員長代理 これにて稲葉君の質疑は終了いたしました。
 次に、大出俊君。
    〔中島(源)委員長代理退席、原田(昇)委員長代理着席〕
#69
○大出委員 しばらくぶりで一般質問をやることになりました。そうしたら大分項目が多くなりまして、触れ切れないのが出てくるかもしれませんが、御無礼の点はお許しいただきたいと存じます。
 官房長官の時間がございますから最初に承りたいのですけれども、公務員の賃金でございます。
 たくさんの人が既に聞いておりますけれども、二回にわたる官房長官談話が出ておるわけでありまして、時に官房長官は、総務庁長官でございましたから賃金の方の担当大臣でもございます。二つの談話を合わせまして、ことしは勧告が出るとすれば完全実施をする、完全実施をいたします、こう受け取ってよろしゅうございますか。
#70
○後藤田国務大臣 ご承知のとおりに、人事院勧告というのはやはり労働三権制約の代償措置でございます。そして同時に、憲法上も一定の評価を与えられておる問題でございますから、政府としてはこれは最大限尊重しなければならない。したがって、従来の抑制措置は国政全般との関連の中でやむを得ずとった処置でございますけれども、これは異例の処置でございますから、過去二回人事院勧告の取り扱いについて官房長官談話を出しております。この線に沿いまして、六十一年度人事院勧告がどういう形になるか知りませんが、あればこれはやはり最大限尊重しまして、そして完全実施に最大限の努力を尽くしたい、私はこう考えております。
#71
○大出委員 これは完全実施する、こう言っていただきたいのですが、二つの談話を合わせればそうとっていいと私は思っているのですがね。
 というのは、人事院に聞くと時間がかかりますから私が言いますが、単年度で言いますと、五・七四%の勧告は五・七四になっていない。不完全実施ですから、四月実施を七月までずらしたわけですから。だから、計算をすると五・七四%というのが四・〇七五%になっている。世間は五・七四%実施した、こういうことになりますけれども、実際は三カ月切れていますから、四・〇七五%しか実施していない。だからことしは、私も実は四十年近く、昭和二十四年から給与に携わっておりますが、ことしはひとつ完全実施をする、あっさりこう言っていただきたいのですが、いかがでございますか。
#72
○後藤田国務大臣 昨年の人事院勧告は、その前の年と違いまして、勧告の俸給表の中身を削るといったようなことなしに五・七四%を、遺憾ながら厳しい状況は続いておりますから七月実施にはなりましたけれども、俸給表そのものは完全実施をしたわけでございますから、これで六十一年度に対処せんとする政府の意図はひとつ御賢察をいただきたい、かように思います。
#73
○大出委員 それでは、それは完全実施をするというふうに受け取ってよろしゅうございますな。
#74
○後藤田国務大臣 最大限の努力をいたしますし、ただいま申しましたように御賢察を賜りたい、こう思います。
#75
○大出委員 そこまでやりとりをいたしましたから、御賢察願いたいというのですから、私の言っていることをおわかりだというふうに受け取りましょう。どうも後藤田流でやりにくくていかぬですな。
 そこで、人事院に承りたいのですが、妙な新聞記事がございます。これは大蔵省も出てくるのですが、「人勧見送り論急浮上」というのですね。官房長官、後藤田さん、ちょっと聞いておいてくださいね。「人勧見送り論急浮上」というのがございまして、これは新聞に幾つか載っているのです。はあと言っているけれども、これは重大な問題でございまして、これを読みますと、どうもことしは人事院勧告というのはひょっとすればそう高くない、だから「「あえて勧告を出してもらわなくても、政府部内で調整、決定すれば足りる」(大蔵省筋)」表側では調子のいいことを言っているけれども、勧告の方を抑えて出させないなんということになると空証文に終わる。あははと笑っているけれども、これは「大蔵省筋」と書いてあります。「財政当局が関係省庁に非公式に打診を始めた。」これ、やったのですか。「勧告ベアが防衛費のGNP比一%枠突破問題と密接に絡むため、」こっちの方もあるというのです。「率が明確になるのを年末の政府決定の時期まで極力引き延ばしたいとの思惑が強く働いている。人事院は今のところ「勧告は院の存在基盤であり、あくまで例年通り行う」との態度だが、今後圧力が強まるのは必至。」これはちょっと穏やかでないですね。
 大蔵大臣、ちょっと一言何とか言ったらいかがですかな。「大蔵省筋」「打診を始めた。」なんて書いてありまして、一つじゃないのですよ、ほかの新聞にもある。ちょっと答えてください。まず、そんなことはないと言うでしょう。
#76
○竹下国務大臣 ないと言います。
#77
○大出委員 ないですな。あるなんて言ったらひっくり返る騒ぎになってしまいますからね。そこに「非公式に」という言葉がついておる。穏やかでない。
 そこで人事院に承りたいのですが、人事院総裁、何回かここで答弁をなさっておりますけれども、五十三年、五十四年の勧告のときに、時の総裁が国会で答弁してますね。御記憶でございましょうな。三つばかり理由を挙げておりますけれども、ちょっと答えていただけませんか。
#78
○内海政府委員 お答え申し上げます。
 五十三年のときに藤井元人事院総裁が、五%を切れた場合勧告をしないということもあり得るのかということの御質問に対して基本的に答えております点は、二十八条の規定は、もともと労働基本権の制約を受けておる国家公務員に対する給与その他の勤務条件について、事情が変更した場合にはこれは国会が御修正になる、それに対して人事院は意見なりあるいは勧告を申し上げて適切な是正をしていただくという趣旨であり、第二項というのは、いわば後刻、その後につけられたものであって、五%に満たないからといって人事院が勧告をしてはいけないという理由にはならないと考える、したがって、この御質問のあった時点では、人事院総裁としては勧告をする所存である、それは、いろいろな諸条件を十分慎重に考慮した上で、自分としては切れておっても勧告をする、これが総裁のお答えだったと私は記憶しております。
#79
○大出委員 大分足りないのでしてね、今の御答弁は。私から申し上げましょう。
 当時、人事院総裁は条件三つ挙げているのですよ。一つは、今のお話の二十八条、情勢適応の原則の一項というのは人事院の判断だ。そして、だから人事院は勧告すべきだと考える。二番目に、一%といえども――当時ちょうど平均給与でいきますと二十万ですよ。だから、一%で二千円でございますから、二%で四千円、三%で六千円ということになる。公務員の生活にとってこれはとんでもない、ネグれない金額なんです。だから、五%以下であっても何でも、一%二千円、二%四千円、三%六千円というのだから、これは生活を考えたらネグることはできない。これ二番目ですよ。
 三番目は、林野庁の例を挙げておられますが、林野庁等のように一般職の公務員と混在をしている、公労法適用者その他おりますからね。そういうところで、公労法適用者の方は民間準拠だから小さくたって仲裁は出る。そうなると、片方は仲裁で賃金が上がる、机並べている片方の方は一般職だからというので上がらない、そんなことはできない、だから何%であっても勧告をする。これ三番目です。
 さて、一つつけ加えますが、今日は二十万じゃない。平均給与は二十万じゃありません。正確な数字がございますが、二十六万三千五百二十一円。間違いがあったらおっしゃってください。二十六万三千五百二十一円。一%でこれは今度二千六百円なんですよ。二%ならば五千二百円なんですよ。三%なら七千円になっちゃうんです。そうなると、これはとてもじゃないが、この三つの論点の前総裁の言っていることからすればはっきりしている問題だと私は思う。較差がある限りはお出しになるのが筋だと思うのでありますが、いかがでございますか、総裁。
#80
○内海政府委員 先ほどお話のありました前総裁の見解は、御説のとおりでございます。
 また、今回の問題を考えました場合、私どもはやはりそういうふうな、前総裁といいますよりも、あの総裁当時にいろいろ検討し、いろいろ論議をして得たそういう考え方というものは、今日においても私どもは変更する理由を持っておりませんから、そういう方向で考えるのが正しいんではなかろうか、こういうふうに思っております。
#81
○大出委員 江崎さんに承っておきますが、今総裁が答えたとおりであります。過去の経緯は、今私が申し上げたとおりであります。だから、先ほど官房長官が御賢察を願いたい、こう言うんですが、担当大臣でございますし、ほかならぬ江崎さんのことでございますから、ここをしかと踏まえていただいて、もう一遍ひとつ、妙なことにならぬように、つまり、新聞記事ちょっと気になりますのでね、ひとつことしは公務員の皆さんを安心さしていただけるように、トラブル、二、三年ございましたけれども、五十七年の大きな騒ぎもありましたが、完全実施をする、最大限努力すると、担当大臣でございますから、はっきりしていただきたいのですが。
#82
○江崎国務大臣 総務庁としましては、簡素にして能率的な役所の建設とかそれから人員の縮減についても協力をしてもらう立場であるとか、国鉄の余剰人員はその中で特段の相互扶助の精神で採用してもらおうとか、いろいろな条件を抱えながら進めておる役所であります。したがって、この人事院勧告というものが出されます以上は、やはり総務庁の立場からいうならば、これは勤労の基礎的な条件、俸給というのはもうそれですよね。ですから、それはぜひ実施したい、こういう立場であります。
#83
○大出委員 江崎さんにしてはちょっと最後が弱いけれども、まあ江崎さんの性格だというふうに理解いたしまして、実施したい、完全実施したいと言うんですから、そう受け取りましょう。
 そこで、一つ、労働大臣に承りたいのですが、一%切れておりますから、かつて五%からだんだん減りまして給与改善費がない。公労協関係、つまり一公社四現業、こちらの方にいたしますと、有額回答が出ませんと調停委員会あるいは仲裁委員会というのは、団交未成熟と取り上げないのですよ、旧来からの慣行からいきますと。そうなると、これはストライキでもやって世の中騒然として、強制であっせんか調停か仲裁に拾わせるよりしようがなくなっちゃう。そういうことは過去の嫌な歴史でございまして、やらしたくない。だから、一%を切ったからといって、一公社四現というのは補正を組んでいるんじゃないんですから、ずっと内部操作で、決まれば処理をしている。ただし大蔵省の承認をもちろん得ていますが。だから、金銭的にはやれる。したがって、やはり何がしかの有額回答が出るような努力が欲しい。団体交渉だとこう逃げるかもしらぬが、もう私は知り過ぎているんだからだめなんで、ちゃんと後ろの方で糸をお引きになっているんだから。そういう意味で、混乱を避けるという意味でその努力をなさると、一言お答えいただきたいのです。
#84
○林国務大臣 給与の改善費は今回計上されておりませんけれども、過去におきましては、計上されてなくても払ったこともございますし、また、計上されていてもそれ以上上回って支払ったこともございます。
 また、先ほど先生の御指摘のございました調停のことでございますけれども、これはあくまでも労働省といたしましては調停委員会でその事件を取り上げまして自主的に解決をしていただくということが基本の姿勢でございますので、このことについて先生御心配のありますことは、私どもも十分心配はいたしておりますけれども、そういうことで御了解を願いたいと思います。
#85
○大出委員 あんまりこの点は詰め切りたくはない、団体交渉等のこともございますから。おわかりになっているという感じの今御答弁でございますから、ぜひひとつそういうことで御努力をいただいて、未成熟と言われたんじゃ何か起こさなければなんということになったんじゃ困るので、ひとつそこのところは御配慮をいただきたい。お願いをいたしておきたいと思います。
 もう一つ、防衛庁でございますが、加藤さん、賃金が上がったら一%枠突き抜けるとかなんとかという新聞記事や何か年じゅう出て、騒ぎが起こる。これは邪道でして、そんなことはない。
 そこで、ことしの例を挙げておきたいんですが、時間がありませんから、私の方から少し先に申し上げますけれども、ことしこれ九十二億ばかり節約をしておりますね、装備品。これはそんながたがたしなくたって、過去に三十九億ばかりはみ出して中に入れたこともあって、賃金で一%枠がなんというようなことをとやかく言う筋合いのものじゃないんです。それだけのことを正面装備なり何なり多少の削減をすればできる。だからそこのところを、ことしの例から申し上げまして……(「こそくなんだよな」と呼ぶ者あり)やじに乗っちゃいかぬようだけれども、こそくもこそく。ことしの内訳、九十二億四千八石万円皆さんは節約をされた。この中身見ると、庁経費三十二億八千万円、武器車両購入費十一億四千三百万円、航空機購入費八億七千八百万円、装備品等整備費三十一億四千六百万円、その他五億六千三百万円、防衛施設庁関係費二億三千八百万円というふうに削減をされた。
 これはことし、来年について物を言えば、三月までことしですが、言えば、支出官レートがございますよ、皆さんの。二百三十七円でしょう、昨年は。六十一年度予算でいけば二百九円でしょう、支出官レートは。こんなに円が上がっちゃっておる。これはやたら余っちゃいますな、これは。そこから先のところもございますが、時間がありません。そこらを申し上げて、加藤さん、余りインフレのときみたいに、かつてのように三二%も賃金勧告が出るんじゃないんだから、おおむね見当はみんなつくんだから、自今、こういうことで一%枠がどうのこうのという議論はやめてもらいたいんだが、いかがでございますか、長官。
#86
○加藤国務大臣 人事院勧告等のお話は、先ほど来の御議論のように、防衛費の問題とは別個に、それぞれの状況で勧告が出されるのか出されないのか、されるのだろうと思います。その対処につきましては政府全体の方針で決定されるものであり、防衛費の問題とは別個のことなんではないかな、こう思っております。
 一方、現在の予算は、我々これだけはぎりぎりというものでございますので、もちろん最大の冗費の節約はするわけですけれども、現在私たちが出しておるものはぎりぎりのラインで、この段階で節約について云々申し上げられるものではないと思います。
#87
○大出委員 別個なものだというお話がございました。したがいまして、それなりの処理をすればいい。これ見ますと、念のために申し上げておきますが、この防衛庁予算に占めるドル建て分、装備品ですね。昭和六十一年度約二千百七十億円ある。前年度申し上げてみますと、六十年度は二千百六十億円、ドル建てでございます。これ政府間契約、FMSでやった場合には余った分だけは日銀に入っていっちゃう、つまり大蔵省へ入っていっちゃう。それだけ金はちゃんと残る仕組みができている。商社だとか企業だとか、そういうところに行く場合には実勢レートで払って金が残る、そうなっている。だから大した金じゃない、全体から見ると。なぜならば、今申し上げましたように二千百七十億円もの装備費がある。その他庁費その他がございます。庁費や旅費だとかいろんなことありますけれども。
 だからそういう意味で、これ言いっ放しにいたします、今答弁いただきましたから。私がどう計算してみても、今回の場合に五百五十一億円必要になったわけですね、五百五十一億円。七月から五・七四%実施して。百三十三億計上してありましたから、不足額が四百十七億八千七百万円、節約分今申し上げた九十二億四千八百万円、三百二十五億の追加、こういう格好でまとまったわけでありますが、結果的に〇・九九二%でおさまっている。つまり、賃金というのは別なんでありまして、自今、それなりの処置をすればいい。ところがどうもこれが年百年じゅう問題になるんで、これは筋違い。長官が別だとおっしゃったから、別だというところをいただいておきます。念のためにつけ加えて説明いたしました。
 官房長官どうも、あなたに言いたいことあるけれども、結構です。
 次に、週休二日制にかかわる問題でございますけれども、週休二日制に関しまして何点か申し上げたいのですが、郵政省に承りたいのですが、ことしの八月、銀行、金融機関関係が、農協を含めまして、連休のところでCDなりATMなり動かす。CD、キャッシュディスペンサーでございます、ATM、オートマチック・テラー・マシン、つまり金の預け入れ、払い出しですね。これに絡んで、四週五休を四週六休に拡大をする。郵政省、どういうふうにやりますか。
#88
○佐藤国務大臣 郵政省といたしましては、昨年の十月の経済対策閣僚会議の決定に基づきまして、できるだけその対応策として、また民間の金融機関の実施に伴いまして、そういうことを考慮しまして、今先生が言われたとおりに、第三土曜日も閉庁を実施するということを先般発表いたしました。これに伴って四週六休、一週四十二時間となるものでございます。
 ただ、この件につきましては、国民利用者の理解を得ることが非常に大切であると思いまして、土曜日窓口閉庁の実施に当たっては、利用者の皆さん方の御理解を一方で得ながら、今先生が言われましたATM、CDの稼働の実施をしていく。それで、現在ATM、CDの設置状況は、六十年度末で約三千九百台でございます。そして郵便局設置率の大体二〇%ということで、これを国民の御理解のもとに実施していきたい、こう考えております。
#89
○大出委員 郵政省の皆さんは、身分法からいきますと公務員法の適用を受けておいでになる。片っ方、金融機関の性格がある。だが、金融機関全体が動くとすれば、つまり四週六休に踏み切るとすれば、これはどうしてもついていかざるを得ないという立場にあった。
 昨年のちょうど二月九日に、私、週休二日制の質問をしましたが、この日に郵政省だけがCD、ATMを動かした。このときの労使間の交渉もあり、私との約束もあって、どうしても踏み切っていただこうというふうに考えたわけであります。私、党内の週休二日制特別委員会の委員長を八年ばかりやっていますからね。
 そこで、人事院との関係、これをはっきりしていただきたいのですが、七人ばかりの大臣にお目にかかって、最後に総裁に私お目にかかったのです、この問題は。当時の総務庁長官とは最後に電話で話した、時間がなくなって。皆さんが積極的に、前向きにということにだんだんなってきていただいて、さて人事院勧告と。まあ人事院にすれば最大限の勧告をされたんだという気は私はする。だから、御労苦は感謝をするのでありますが、給特法、つまり給与特例法というのがあって、郵政省は給特法の一番最後のところ、ここを考えながら踏み切ったと思うのですよ、先に出たわけですから。そうすると、ちょっとほかの公務員とのバランスが後に残る、四十二時間とはいいながらも。
 そうすると、ことしの人事院の勧告では二分の一方式をやっていますけれども、できてないところというのは、見るとおおむね厚生省くらいなものですから、これはもっと前に出ていただいて、公務員全体を四週六休に引っ張っていくということにしてくれぬと困る。総務庁の長官、江崎さんおいでになりますけれども、いみじくも、これは冗談だけれども、私のところにそこまでの勧告を出さしてくれというんなら、総務庁を先に口説いてくれと人事院総裁おっしゃったけれども、どうしてもそこらの絡みはある、だから言っていただいているのだが。ひとつことしはもっと前に出られるように、内需拡大云々という大きな問題があるんだから、あなたの方もお考えをいただいて、郵政省の方もこのままじゃ困るんだから、先へ出たんだから。人事院総裁、ことしの勧告で四週六休に踏み切ると言ってくださいよ。
    〔原田(昇)委員長代理退席、委員長着席〕
#90
○内海政府委員 郵便局の問題に関連しまして四週六休をぜひ実施せよということは、たびたび大出委員からは私も承っておるわけでございますが、今度郵政省の方で郵便局については措置をおとりになりました。これは民間の金融機関とのいろいろ関係もあっておやりになったものであり、国の企業としてもそれはやむを得なかったと私も思いますし、人事院としてもその点はやむを得なかったものと考える。
 さて、それに伴って非現業の国家公務員との関係でございますが、おっしゃるように確かに一つの問題であります。四週六休をすぐ実現すれば解決する問題ですけれども、これはもうたびたび私お願いやら意見なりを申し上げておりますように、国家公務員の場合、いろいろな業態、業種あるいは任務の状態がありますし、それがすべて国民へのサービス、国民へのいろいろな仕事ということもございますから、一概に直ちに四週六休というふうなものになかなか踏み切れない。この前の昨年の勧告におきましては、人事院としましてはかなりの決心をして、一歩前進する意見も申し述べたわけでございます。その申し述べた考え方は、今後も、御期待ほど一挙に進むかどうか別にしまして、進めていきたいという気持ちを含んであれは書いておるわけです。そういう意味で、昨年、あの勧告以来、現行のままの四週五休の中で四分の二万式をとって、次の段階においていかようなる状態になるかを現にこれは今検討しておるところでございます。そういうもの及びやはり民間との関係もございますし、民間にどういうふうに四週六休というものが普及していくかも考え合わせて、なお積極的に検討を続けたい、この辺で御勘弁を願いたいと存じます。
#91
○大出委員 私が四週六休にしろ、勧告を出せと言ったら、大出さんのその期待を含めて前に進めたい、こういう今答弁でしたから、民間との絡み、こうおっしゃいましたからわからぬわけではないが、時期が時期でございます。しかも、長い懸案でございます。今の総裁答弁を受け取りまして大きな期待をいたしておりますから、それを含めて前に進めたいということでございますので、ひとつ最大限の御努力をいただくようにお願いいたしておきます。総務庁長官もぜひひとつそこのところは酌んでいただいて……。
#92
○江崎国務大臣 御趣旨と前からの御熱意のほどはよく私も承知しております。したがって、今、昨年八月の勧告に基づいて四分の二体制で施行しておる。ただ、民間が五八%という普及率、これは六十年の統計ですが、もう六〇%を超すでしょう。ですから、そういうものと見合って整合性のあるようにして、私そちらの方向は賛成であります。四週六休が本当に実現すればいいと思っておる一人であります。
#93
○大出委員 どうもありがとうございました。ぜひひとつ御努力をいただきたいと思います。
 そこで、労働省にひとつ承りたいのですが、これは通産省と両方なんですが、時間がありませんので。
 通産大臣の諮問機関である産業構造審議会、こちらの側は、時間短縮、千九百時間にしたいということなんですね。その柱の中にわざわざこう書いてある。「ちなみに、完全週休二日制が実施されたとして一定の仮定の下で消費支出拡大効果を試算すると、約三兆円程度の効果があると見込まれる。」完全週休二日に踏み切ったら三兆円程度の消費支出拡大の効果がある、こういう分析をして出しておられる。そこで、労働四団体からいろいろな御要望もございます。片や労働基準法研究会なんというところは「週休二日制の法制化は適当でない。」随分な突き放した書き方をしたものだと思うのですが、今この世の中に、国際的な風潮もあるのに、けしからぬと私は思うのですが、ほかに触れている時間がありません。
 そこで、つまり週休二日制に関する法制化、仕方はいろいろあります。この点について、もう一つそれなりの手順を考えてこう進めるとあっていいはずなんで、労働大臣、ひとついかがでございますか。
#94
○林国務大臣 お答えいたします。
 労働時間の法制化のあり方につきましては、昨年の十二月に労働基準法研究会報告が出されました。労働省といたしましては、この報告を受けて、今後中央労働基準審議会における審議結果などを踏まえまして、それで十分に検討してまいりたい、こういうことでございます。
#95
○大出委員 これは押し問答になりますからやめますが、通常残業省なんてよく言われる通産省あたりが踏み切って、諮問機関からこういうのをあえて出させている。そこに労働省の方は随分後ろの方から眺めているようなことを言われては困るのです。これは林さん、今の御答弁を聞いていると、どうもそちらの方は余りお詳しいようにも見えぬけれども、どうかひとつもっと前向きに周囲の状況、環境をお眺めいただいて、手順を決めて、こういうふうに法制化に向けて進めるというふうなところを中心に御検討いただきたい。時間がありませんから改めて承りたいのですが、そう申し上げておきたいと思います。
 大臣ひとつ、今ちょっと腰をお上げになったので、その御意欲があればお答えいただきたいのですが。――総務長官、ありがとうございました。
#96
○林国務大臣 週休二日制の拡大につきましては最善の努力を今注いでいるところでございますし、また、残業その他につきましても、時間短縮のこと、これも十分心を尽くして今後対応してまいりたいと思っております。
#97
○大出委員 これは妙なテーマをここに私挙げましたが、「柔道諸団体のあり方について」というのですが、これは海部文部大臣、三年がかりでいろいろなところに出てくる、新聞がお書きになる、各週刊誌がお書きになる、総合誌にもちらっと出てくる、実はそういうことでございまして、昨年私が文部省に、日本体育協会を通じて補助金を国が出しているわけでありますが、この柔道を含めまして長い年月のやつを持ってきてくれといってお願いをした時期がございます。驚いたことにいきなりこの全日本柔道連盟から、争いの片一方の当事者でありますが、ぽかっとこれを送ってこられた。私は、文部省の方に話しただけで、どこにも何にも言ってないのでありますが、ただの一度もこういうものは私に来たことはないのですけれども、ぼかっとこれが来る。文部省が話したな、こう途端に思いましたが、余計なことをなさると、どうも私もちょっと釈然とせぬわけでございます。以来、私、一年間ざっとこれは調べてみたわけであります。
 実は私は剣道が本業でございますけれども、柔道の方も中学時代、私は横浜の浅野学園という浅野セメントの浅野総一郎さんがお建てになった中学の卒業なんですが、戦時中でございまして、正課で武道をやれ。私は小学校から剣道ばかりやっていましたから、中学時代剣道部の主将でございますが、だからあえて正課の方は柔道をやったのです、五年間。卒業のときに、横浜武徳館で、初段を受けるというのであればおまえとおまえとおまえだから出てこいというので、行って受かりまして、昭和十四年でございますから古いことでございます。だから講道館柔道に全く縁がないわけではない、とば口だけかじっている。五年やりましたからね。それだけに私はやはり懐かしいのですね、講道館が。関東は講道館柔道ですからね。京都から向こうへ行きますと武専の段がありまして、大日本武徳会の柔道の段がありましたが、嘉納治五郎先生が東京高等師範の校長さんをおやりになって以来、私ども関東の先生はほとんど講道館柔道ですから。そういう意味で若い時代の本当に懐かしい講道館なんですけれども、時過ぎると、どうも少し納得のいかないことだらけが実は調べてみた結果としてあるわけでありまして、そこで承りたいのですが、海部さん、我が国体育行政の行政上のすべての責任は私は文部省にあると思うのですが、そうでございましょう。いかがですか。
#98
○海部国務大臣 おっしゃるように、スポーツ、体育、やらせていただいております。
#99
○大出委員 これは行政上の責任というのは文部大臣、こういうことになると私は思うのですね。
 そこで、柔道諸団体の中で改革というようなことでいろいろな運動が出てきている。これに対して今日まで何かなさいましたですか、文部省は、この三年間。
#100
○海部国務大臣 我が国の代表的な武道の一つである柔道はこれを世界に普及振興させなければならぬということで、先生先ほど言われたように、昭和二十三年に日本では講道館を中心とする有段者会と旧武徳会関係の方々と、それにさらに超えて柔道愛好者の人々全部の会員組織として発足したわけでありますから、それが所期の目的どおり一本でずっと来ていただくようにしてまいりましたけれども、五十八年の学生国際柔道の選手権大会ですか、あれの運営その他をめぐって批判が起きてきまして、学生柔道界が御承知のように二つに今分裂をするという状況がございます。
 そこで、文部省としましては、このことに心を痛めまして、でき得るなれば学柔連と大柔連というのですか、学生柔道連盟と大学柔道連盟はやはり一本化をして力を合わせて普及に当たってほしいということでありますから、全日本柔道連盟とこの二つに分かれた学生柔道連盟、それぞれに統一を呼びかけ、指導をしてきたところでありますし、また、文部省のみならず国会議員の有志の方やその他有識者の方も集まって、何とかこれの一本化についてのいろいろな御努力を願ったことは承知いたしておりますけれども、残念ながら結果として見えるようになっておりません。
 そこで、ことしの今月、二月でありますが、文部省に三団体それぞれ来ていただいてこちらの気持ちを伝えて、何とか話し合いをして一本化をして、我が国柔道界のために力を合わせてほしい、こういう指導を行っておる最中でございます。
#101
○大出委員 今おっしゃった最後の指導というのは公なのかどうかわかりませんが、文章を見ますというと何とも書いていませんからね。だれがとも何とも書いてない、文章が書いてあるだけで。非公式なのかもしれませんが。私の調べた限りでは、文部省が直接というのはないですね。確かに安井謙さん初め国会議員、柔道の将来を考える方方が集まって一生懸命御努力された時期があります。文部省じゃない。ほっぽっといたわけですね、文部省というのは。
 そこで、長い答弁になると実情を申し上げにくくなりますから、私の方から申し上げますが、この全日本学生柔道連盟、これは二百六十一校もあるんですよ。べらぼうな団体なんです。例のチャンピオン山下さんから始まりまして、歴代のオリンピックの有名な選手というのはみんな学生あるいはOB。これは大学それぞれがOBと一緒になって、私も自分の出身校のOBで剣道を今でも在学生とやっておりますがね、一体なんです。二百六十一校もある各大学、みんなOBと一緒にやっているわけで、学生だけじゃないのです、これは。卒業すれば全部OBになって、道場で一緒になってみんなやっているんですから、べらぼうな団体。しかも、百二十カ国、国際的に柔道が普及されたのは、大学を出たインテリ層の柔道家がほとんどが外国へ行って、言葉も通用しますからやってきているわけでございまして、既存の町の道場主がやっているんじゃない。今日ここまで国際的に柔道が普及したというのは全日本学生柔道連盟の皆さん、ほとんど一〇〇%この方の努力、寄与なんですね。現実なんです。体育協会傘下の全柔連、この全日本柔道連盟、こっちの方はそれなりに各県の町の道場や骨接ぎをやったりしている方々をたくさん集めているこれも大きな団体、こうなっている。
 これの反目なんですが、この全柔連とそれから講道館、このあり方についての大変な批判が起こっているということであって、全柔連からは学生柔道連盟が抜けましたから、今度は全柔連しようがないものだから筑波大学を中心にする。筑波大学というのは東京高等師範ですから、嘉納治五郎先生、校長を昔やっていたのですから。ここを中心に、二十ばかりですよ、実際には。強い学校なんかありはしない、集めて対抗する形をつくったというだけであって。
 そこで、全部話をしてしまいますけれども、なぜ批判が起こったか。まず一つは、講道館の百周年というので、今あそこは七階ぐらいありますか、あの講道館の立派な建物を水道橋につくった、二十五億かかったとかなんとかいうのですけれども。本来、講道館というのは東京国税局が免税措置を認めていない。何遍か私やったが、断じて認めない。これは大蔵大臣に聞きたいのですけれどもね。ところが、全柔連、体育協会傘下の任意団体で法人化されていない、これも不思議な話であります。どこのスポーツ団体もほとんどみんな法人化されていて、されていないのは二つか三つ。この大きな全柔連が法人化されていない、講道館と一緒だからです。そこで免税措置がないから、全柔連の名前ではこれは法人格ない任意団体、体育協会ということで免税が適用されるということで金を集めた、全柔連が。そして、全柔連が集めて、免税措置を適用して、税金を免除してもらって、水道橋に講道館のあの大きな建物を建てた。どこが持っているか。登記は講道館でございます。全柔連が集めて、免税措置を適用して講道館の建物を建てた。今住友銀行だなんだみんな入っている。これは国民の税金ですから、そう簡単に免税措置を適当にやられちゃ困る。聞くところによると、これは文部省の指導だという。そんなことを指導されたとなるととんでもないことですけれども。今度は文部省の指導でないとすれば、これまたとんでもないことになる、どっちでも。指導がなければ勝手にやったのですから。全柔連の名前で免税措置を適当に使ってなんという、あり得る姿じゃないですよ。全柔連自体の建物で登記しているのなら話はわかる。
 こういうことをなぜやるか。講道館の館長さんと全柔連の会長は同じ嘉納さん、しかも、講道館の総務部長さんは全柔連の事務局長さん、しかも、講道館の館長さんを選ぶ規約を見ると、百名の維持員というのを館長が指名する。館長が自分で指名した百人の維持員が、館長を選挙する。自分で指名した百人だから、館長になるのは当たり前でしょう。そのまま全柔連の会長でしょう。総務部長は全柔連の事務局長でしょう。
 段位というものが非常に大きな収入源でありますけれども、これにも、いろいろな寄附だなんということになると段位が行っちゃったりするんですからね。たくさん例があります。また、段級審査が行われ、段位を得たときの金が高過ぎる、こういうところで実は大変な批判が起こっているということなんです。
 で、この講道館百周年で建てる建物の金をどうやって集めたかというと、ここにある。これは私もいささかあきれたのですがね。これは「各段位昇段時の必要費用一覧表・昭和五十六年十月一日より」、これは世田谷区の、つまり県の県柔連が出しておる全柔連傘下の一覧表と同じものなんですけれども、どうなっているかといいますと、初段の方、初段を取る人、私も横浜武徳館で初段を取りましたがね、講道館柔道の。ところが、まず初段、地区入会金、これは世田谷ですから世田谷の入会金二千円、それから審査推薦料二千円、ここに付加金が二千円ついている。付加金の二千円て何だ。講道館の建設費用、強制ですね、これじゃ。次に、今度は地区柔連、世田谷区の世田谷区柔連ですね。隣に今度は講道館。ずっと積算していく。講道館の入門料三千円、登録料千五百円、この上に三千円という今度は付加金がある。付加金五千円になりますね、これを見ると。講道館の初段取るのに五千円付加金が要る。そして振興費六百円。これはどこかというと全柔連が取る。今度講道館建てるので集めた金の三%は全柔連が取っている。協力費二千円。これは五十六年の計算でいって初段を取るのに一万八千円ぐらいかかる。今二万円ぐらい。十六、七の高校二年、三年の学生ですよ、私も中学卒業するときに取ったのだから。剣道が本職だが、僕は武適正課の方は柔道を五年やったものですから、ここまで来た。
 そうなるとどういうことになるかといいますと、二段、三段、だんだんだんだん高くなってくる。二段なんていうのはべらぼうに高いのですね、二万円超しちゃうのです。
 ここに一つ手紙があるのですよ。これちょっとじいんとくるようなことが書いてある。下の方で一生懸命柔道を教えている高校の柔道の先生なんです。「江東区森下五の一の七 都立墨田工業高校内」と書いてある。お名前だけ読まぬでおきましょう、書いてありますが。何と書いてあるかといいますと、「要望書」というのですよ。「私は都立墨田工業高校で十年間柔道部の顧問をして」教えている、「常々入門料、登録料、協力費、手数料等がばか高いことについて不信を持っておりました。昇段審査は、任意とはいえ一万円以上ものお金を高校生から取ることが」、一万円ところじゃない。この人「一万円」と書いていますが、二万円近い、一万八千円。「お金を高校生から取ることがどういうことなのか。クラブの運営も幾多の問題が出ています。今年になっても、合格したけれども払うお金がなく私が貸したこと(母子家庭の子)や、礼金がないからと二段を受けるのをあきらめた卒業前の三年生など、何度も悲しい思いをしました。それもこれも柔道の家元制にその因があると考えます。無論、柔道は礼はとうとびますが、華道、茶道ではなくスポーツです。スポーツとしての柔道をさらに全世界に広げていくために」断固改革してくれ、こう書いてある。じいんとくるところがありますよ、これ見ると。
 剣道なんていうのは初段取ったって何もかもひっくるめて五千円です。二万円も取りません。弓道もそうです。私も、剣道も何回も段を取っておりますけれども、全く違うのです。これは上の方にいきますと、いきなり審査推薦料が二万円なんていうことになるのですかね。こういうあり方というのは、講道館に大きな愛着、愛執を持っている、ふるさと的感じのする、全く柔道の初歩を教わった私ですけれども、どうにもこれは一年間調べてみて納得いたしかねる。
 ついでに申し上げておきますが、何と、さっき私申し上げましたように、大日本武徳会の段もありました。京都の武事の段もありました。ほかにも段があります。ところが、全柔連というのは講道館の上の体育協会に続いている、日本全国の柔道の選抜その他をやる団体でしょう。文部省は補助金出しているでしょう。この全柔連の規約ですよ、これ。全日本柔道連盟規約付全日本柔道連盟アマチュア規程ですよ。これはアマチュアなんですよ。全日本柔道連盟、これが文部省から補助金もらっているわけですよ、体協を通じて。
 この規約の中の十八条に、「本連盟加入団体に属する者の段位は、講道館の段位による。」これ以外認めないというのです。これはちょっと問題なんですよ、武道ですから。剣道だって群馬の馬庭念流だっていまだにある。北辰一刀流だってある、私は小野派一刀流だけれども。たくさんある。鹿島新当流だってある。いまだにある。そういうのを何でこうしなぎゃいけないのか。ところが、これは規約を改正してぴしゃっと一本に絞っちゃった。それ以外はもういけない。試合にも出さない。除名しちゃう。
 しかも、ここでこういうことをやられちゃ困るんだが、規約を改正して、「他団体の段位取得禁止について」「昭和五十六年三月三十一日講道館理事評議員会及び四月三十日全日本柔道連盟評議員会の両議決に従い、」講道館が先に出てきて全日本柔道連盟が後から出てくる。文章というのは、講道館館長、全日本柔道連盟会長、同じ人間です。
 講道館長、全日本柔道連盟会長から、次の通知文が昭和五十六年五月十二日付で発送された。遠い昔じゃない、五十六年。この中身を見ると、ほかの段位を取っているやつは全部返せ、そうでなければ連盟から除名すると言う。そして除名するだけじゃない、こういう手続でその段位を返上しろと言うのです。「次の内容を備えた誓約書に上記返上届リコピーを添えて」講道館に提出しなさい。中身の書式まで書いてある。「昭和何年何月付 国際武道院(または他の団体名)から授与された何段(または称号など)及び証書は、同封リコピーのとおり、昭和何年何月何日付をもって返上いたしました。今後は、講道館以外の団体から段位などを受けることなく、講道館柔道に専心することを誓約いたします。」
 誓約書があれば、今までほかから取っている段位があっても問題にせずにこれは水に流す。ちゃんとこれをこの書式に基づいて返上して、返したリコピーをとって誓約書をつけて講道館に出せ。これでは、さっき私が申し上げた各段位昇段時の必要費用一覧――ほかの段は認めないんだから、全柔連規約というのは改正しちゃって。アマチュア団体なんですよ、これ。しかもこれは体協の傘下なんですよ、全柔連というのは。補助金を出しているのですよ。そうでしょう。幾ら仕組みとしと世襲制みたいな、百人の維持員というのを館長が指名して、その維持員が館長を選挙するんだから館長になるに決まっているのですよ、選挙してくれないやつは指名しないんだから。全柔連傘下の各県の組織というのは、町の道場主の方や骨接ぎなどやっている方がたくさんおるのだけれども、みんな講道館の方が多いんだけれども、これは地区柔道会、全柔連、都柔連、全部それに払う金を取り立てる組織になっているのですから。それが全柔連なんです。講道館の金を取り立てるのですから、いやでも応でも全柔連、講道館一体になっちゃうじゃないですか。そうでしょう。
 こういうことにしておけば、それはほかから純粋な学生――山下チャンピオンなんかだって、ひとしきり悩んだことがある、試合に出さぬというので。そういう傍若無人な形があってはいけないと私は実は思っている。
 時間がないから全部ここで一括しゃべりましたけれども、もう一遍念を押しておきますけれども、学生の皆さんの方の全日本学生柔道連盟というのは小さくない、全国二百六十一大学あるのですから。ところが、これがこんな非民主的なことはないじゃないか、段位に高校生から何でこんな金を取るんだといって批判した、それで脱退した。そうしたら、今度はこっちに大学柔連というのをぽっとこしらえた。こしらえたって二十二校。筑波大学が中心。強いのは筑波大学だけ。嘉納治五郎先生が校長をやっていた東京高等師範が筑波大学に行っているのです。そうでしょう。
 そうして、今度は国際試合に学生を出さないと言うものだから、しようがないから両方に、二百六十一校の全柔連に入っていて抜けたくない、だから入ったままで、こっちに名前だけつけて出させてくださいという人たちも出てきている。しかし、学柔連から抜けようとする人はいない。そこにOB、卒業生が、猪熊さんから醍醐さんからみんなそうですよ、みんないて、二百六十一校の道場で学生と一緒になって柔道を一生懸命修行しているわけですよ。だから、外国の選手もそれぞれの好きな柔道家のところに、大学の道場を訪ねているわけですよ。
 講道館というのは、私にすれば天下の講道館。このままじゃ死んでしまいますね。段位だけでこんなに金を取って維持していたのではもちませんですよ。そういう意味で文部省は、これは真剣に考えていただかぬと、国技柔道でしょう、しかもスポーツでしょう、今日は。私の剣道の時代は心技体なんていいまして、礼、道なんですね。講道館という名前も道を講ずる館なんですね。しかし今は、一般的にいえばスポーツでしょう。そうすると、やはりそこのところはお考えいただかなければいかぬ。だから、かいらい的に二十何枚かやっとこさっとこまとめて、筑波大を中心に――ほとんどろくな選手はいない、筑波大以外には。そして、対抗させた形にして、一緒にするという名目をつくろうというところに問題があるのじゃなくて、講道館、全柔連のこの関係、そして体育協会が上にあって、講道館の建物をつくるといって免税を――講道館にはない、東京国税局がぴしゃっと断った。そうしたら全柔連、体育協会の方の免税措置というものを使って二十五億も集めて、まあ金額は精査しておりませんけれども、あれだけの建物が建つのだから大変な金でしょう。取り方は、みんな昇段者からずっと取っていったんですよ、毎年付加金を。二千円、三千円という、初段で二千円、ここに二千円、ここに三千円、五千円とあるわけですが、そういうやり方で免税、そして今何が入っているか、住友銀行以下みんな入っているでしょう。だから、東京国税局は免税を認めないのは当たり前じゃないですか、財団法人であっても。そうでしょう。だから、ここのところ、大臣、私一年も調べましたから、いきなり答弁するのは大変だから、私はこの質問は何回でもずっと続けるつもりでおりますから、だから御研究いただきたいのですが、御感想があれば一言お述べいただきたいのですが、いかがですか。
#102
○海部国務大臣 私も就任しましてからいろいろこの問題についての経緯を報告を受け、また私もきょうまでのことをいろいろ調べてみましたが、やはり御指摘のように御批判があり、その批判にこたえて変えていかなければならぬ点もあるなというのが私の率直な印象でございましたので、先ほど先生から御指摘をいただきましたが、今月に入ってから文部省で三団体を呼びまして、いつまでもこういう状況でおってもしっては、柔道の普及、発展という面からいっても好ましくないから、全柔連は真に日本の柔道界を代表する団体にふさわしいように組織をまずきちっと確立してもらいたい。それからもう一つは、法人認可をまだしておりません。けれども、そのときには批判の声を十分と我々は調査しまして、同時にそれにこたえていかなきゃならぬということもお伝えをしておるわけであります。
 個々別々の具体的なケースに関しましては、私は残念ながら、剣道を中学のころやっておりまして柔道には御縁がなかったので、まことに申しわけありませんけれども、学柔連とか大柔連のスタートした経緯とか現状等は十分承知しておるつもりでございますから、それが何とか一本化をして、そして納得のいくような解決がいくように、文部省としては積極的に指導をこれからも続けていくつもりでございますから、どうぞお見守りをいただきたいと思います。ありがとうございました。
#103
○大出委員 海部さん、あなたと私と随分長いおつき合いなんですが、だからそう言われると私もあなたの気持ちはよくわかるのだが。
 私は妙なことに小学校から剣道をやりまして、中学に入ってすぐ剣道部に入ったのだけれども、正課で、教育課程の中で武道をどっちかやらなければいかぬという。剣道をやろうかと思ったのだけれども、こっちはずっと小学校からやっているのだから、この際柔道をやってみようと思って柔道に入りまして、五年間正課でやりましたからね。そうすると、講道館嘉納治五郎先生がなんというので最初に講義か何か聞かされまして、けいこ着か何か着せられて正座させられて、武道の、柔道の基本を、嘉納治五郎先生の事績をずっと説明されたりしまして、そこから始まったので、だからとば口だけでも全く知らないわけじゃない。だから、これは残念なんです。
 問題の本質は、膨大な組織の有名な選手のほとんどがいる学生柔道界、みんなOBですよ、大学生は卒業していくんだから。山下さんだって今、東海大学に残って柔道の先生じているでしょう。これは離れないのですよ。その大学でみんなやっているのですよ。二百六十一の大学、みんな残っている。だから、こっちに脱退されたからといって、あわてて大学柔道連盟ですか、何ですか、大学柔連ですか、講道館、全柔連がこしらえたって、これは行きっこないですよ。筑波大学だけなんですよ。そういう実情ですから。しかもこれは裁判が起こりまして、第七回の世界学生選手権大会、それはOBを含めて学生全部を抱えているんだから、行った選手がいっぱいいるんだから、メタリストがいっぱいいるんだから、そっちが選考するのは当たり前でしょう。七回までやってきた。八回になったら脱退したんだから講道館、全柔連が選考をやるという。そんなのできやしないですよ、持っていないんだから。それで仮処分の申請をした、出さないというんだから。そうしたら裁判所は仮処分の申請を認めそうになった。そうしたら、国会の柔道議員連盟の方々が中に入ったので、それじゃ取り下げます、片方は、資格を認めます、こうなったのです。話し合いになった。それがまた崩れまして、また次の大会に出さないという。また仮処分申請。今度は仮処分が出まして、全柔連、講道館の方が不当であるというので学生団体の方を認めた。それでこれは二番目は片づいた。今また騒ぎになっている、また認めないというから。だが、裁判のどんじりを見ていますと、私も記録を見ましたが、もうこれは問題にならないですよ。全柔連、講道館の方が勝つ見込みははっきり申し上げてないです、いろいろなことを私も手がけていますが、だから、あるいはどこかから働きかけをすれば裁判所は和解と言うかもしれない。しにせ講道館を負かすわけにいかぬということになるかもしれない。が、しかし、なぜ仮処分が二回にわたって、このままならば学生の方を認めますよ、こう言われて、和解でしょう。二回目は今度は仮処分が出ちゃったでしょう、向こう側に軍配が上がった。そうすると、これは経過があるのですから、余りみっともないことに私はさせたくない。問題は講道館、全柔連というものの一体という癒着ですよ。そして県の柔道連盟というものは、講道館に入っていく会費、全柔連、六百円かそこらですが、入っていく会費の取り立てどころになっていちゃこれは困るのです。段位制でこんなに高い、剣道の四倍ものような高い段位制は困る。しかも段位の独占で、ほかのものはみんな返上しろ、誓約書を出せ。そんな、スポーツならば何流があったっていいじゃないですか。講道館に力があれば、それは講道館が中心になっていくのは当たり前でしょう、そんなことは。現になっているんだから。そうでしょう。しかも国際武道院の段位を持っている、そうするとこの書式でこういうふうに届け出て返上して、それを誓約書をつけて出せ、そんなばかなことはこの世の中にあっては困る。
 だから問題は、全柔連、講道館のこの体質というのを、世襲であっても、それは嘉納治五郎先生の関係だからいいけれども、履正さんが亡くなって今の方は三代目だけれども、柔道をやったことがないそうですが、それもちょっと困るので、そこらのところはおられていいけれども、運営の実態というものはやはり民主的にしていただきませんと、こんな高い段位料を取ったのでは納得しないから、これだけはぜひお考えいただきたい。もう一言ひとつ焦点はそこにあるということを申し上げて、御感想をいただきたいのです。
#104
○海部国務大臣 御指摘いただくようないろいろなケースがあることを私も承知いたしております。でき得れば、先生が例に引かれたように、幅広く学生にすそ野を支えてもらっていく柔道界でありますから、納得できるように、みんなが活力を持って、夢を託して頑張ることができるようにしてあげたいという先生のお気持ちは私も全く同感でございます。
 そこで、全日本柔道連盟というものが、真に我が国の柔道界を統括し代表するにふさわしい組織をまずきちっと確立をして、やはり運営その他についても批判が出ないように工夫を凝らしていただきたい、そういう気持ちで指導もいたしておりますし、また先生のお気持ちも十分体してやっていきたいと思っております。ありがとうございます。
#105
○大出委員 大変ありがとうございました。またひとつ機会を見て御質問申し上げたいと思っておりますが、時間がありませんので一方的に申し上げまして、実情を知っていただきたいと思って申し上げたので、お許しをいただきたいと思います。海部さん、どうもありがとうございました。
 獣医師法に関しまして、その前にワシントン条約、これは御存じない方もあるのですけれども、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約というのですけれども、これは私、前に大分長い質問をいたしまして満足する答弁をいただいておりませんが、四省連絡会議もありまして、したがって、そちらの方から何かやはり国際的な批判を抑えていく、なくしていく。一番いいのは、アメリカのレーシー法式なら日本に国内法が必要だということですけれども、それから留保条項がついているものはいいかげんでやめなさいというのですけれども、そこらひとつ簡単で結構ですから、また時間を見て質問をいたしますが、二言お答えください。
#106
○羽田国務大臣 ただいま御指摘がございました問題につきまして、まさに私ども四省庁会議の中で連絡をしております。ただ、この中でちょうどその半分に近い品目であります鯨につきましては、もう御案内のとおり私ども国会の中での決議もございます。これに対する批判もありますけれども、私たちも科学的な調査とかそういったものをきちんとしながら対応していかなければいけない。それ以外のものについては、中期的な一つの目標が定められておりますので、代替品ですとかあるいは新しく増殖できるようなもの、こういったものについて今検討を進めるようにしております。
#107
○大出委員 あれはどうしました。一つだけ、ブラジルの例の、国が禁止しておりますライオンタマリン、その後どうなりました。簡単に答えてください。返せとブラジルは言っているわけだから。
#108
○村岡政府委員 御存じのとおり、ライオンタマリンにつきましては偽造された輸出許可証に基づいて入管されたものでございます。私どもといたしまして、これを早急に原産国ブラジルに返したい、こういう意図のもとに、関係者つまり輸入者とか現に持っている方々を説得しておるところでございまして、そのようなことが実現できるように今後も努めてまいりたいと思っております。
#109
○大出委員 時間がありませんので、今までまだ置いておくのかと言いたいのですが、やめにしましょう。御努力願います。
 獣医師法の改正という問題、これは私五十年の約束を、私昭和五十年に二回ばかり質問いたしておりますけれども、この約束を今回は果たしていただきたいのですよ、農林大臣。実は、二十四年にできた法律で私がカビが生えていると言ったら、これも先に申し上げますが、安倍農林大臣、当時安倍さんでございますが、お認めになりまして、獣医師に対する社会的要請も多元化、高度化しているので、根本的に改善する必要があると思っております、そういう答弁を安倍さんしているわけですよ、もちろん教育課程を含めてと言っておりますけれどもね。議事録を読みますと、こういうことです。これは昭和五十年の二月二十七日の予算でございますが、「現行の四年の教育年限では必ずしも十分でないと思うわけでございまして、そういう点も含めて根本的にやはり改善をする必要があると私は思っております。」こう言っている。これは約束を果たされておりませんで、その後一貫六年制の教育法改正等はいたしましたが、この根本的改正というのはいまだに行われていない。今この獣医師問題検討会が進んでおりますけれども、今度はこの改正をどうしてもしていただきたいと思って取り上げているわけでございますが、とりあえず今どうお考えかを聞いておきたい。
#110
○大坪(敏)政府委員 獣医師の現行獣医師法のもとでの役割でございますが、先生御案内のように、家畜の診療を通じまして畜産業の発展を図るということにあるわけでございまして、そういう意味から、家畜の診療は獣医師の固有の業務というふうにされているわけでございます。
 ところで、最近、野生動物について保護、管理の体制強化ということが特に言われるようになっているわけでございますが、現在野生動物につきましては特段の規制はない、何人といえども診療を行っていいことになっているわけでございますが、現実的には獣医の技術は野生動物の疾病についても駆使できるということから、現在でも獣医師が主体となって対応しているという面があるわけでございます。
 したがいまして、こういった獣医師を取り巻く環境の変化、特に野生動物保護等につきましても、今後、獣医師が持っております知識、技能をどう活用していくのか、獣医師につきましては、どのような役割を期待していくか等々につきまして検討すべき時期に来ていると考えておりまして、先生御案内のように、既に私ども五十九年から獣医師に関する諸問題を総合的に検討するための……(大出委員「わかっています、それは。そんなことを聞いていない」と呼ぶ)検討会を始めているわけでございまして、この検討会の結果を踏まえまして、ひとつ獣医師制度の検討に取り組んでみたい、かように考えております。
#111
○大出委員 そんなことを聞いているのじゃないので、そんなことわかり切っていることで、私がずっとやってきたことだから。
 それでは、らちが明きませんから申し上げますが、大きな論点が三つあるのですよ。三塚さんや厚生大臣に申しわけないのですが、もしひょっと時間がなくなったら御勘弁願いたいのですが、今のようなことを言われると、ちょっと時間がかかりそうな気がするので、申しわけないのですが、こういうことなんですよ。
 ちょっと厚生省の難波さんでしたか衛生課長来ておられると思うのですが、最近いろいろな人畜共通伝染病がひどくなりまして、ちょっと一、二点例を挙げて申し上げますと、キャンピロバクターという菌があるのですよ。これは食鳥、鶏ですよ、これを集団給食に使う、一斉に下痢が起きる。調べてみると、キャンピロバクターが出てくる。昔はバイオ技術が下手だったからわからないわけですが、最近は方々で見つかる、大きな社会問題、健康上の大問題であります。皆さん食べて気がつかないで下痢をしている場合が年じゅうある。ところが、これはどうなっているかというと、日光の手前や何かで一日に一万羽処理しているところがありまして、鶏を逆さにして肛門の方からぼっと中を抜いていくのです、そういう格好にして。ところが獣医師がいない、いないから試しに何羽がこうやってみればわかる。屠殺場なんというのは、豚なら豚がいて注射痕があれば注射痕を吸い上げてみて残留抗生物質などがあれば何日間置いておかなければいかぬとか、そうでなければ判こを押さない、と畜場法の関係も出てきますが。これはやはり、管理獣医師という言葉が外国にありますけれども、こういうところを管理する獣医師をちゃんと置かないと、健康上大変なことになる。獣医師法の改正と絡みます。
 またサルモネラ菌、これなんかも今方々にいろいろなことが出てくる。特にオウム病、オウム病というのはどういうことかといいますと、人間の方が風邪をひいた、肺炎になっちゃう、セキセイインコなんかが中心ですけれども。相模原にある例なんか見ますと、小鳥屋さんから女性の方がインコを買った。そうしたら、この人は肺炎で死んでしまった。売った小鳥屋さんを訴えて、今訴訟が起こっている。これは、オウム病というのは人畜共通伝染病、風邪、肺炎ですよ。あっという間にいっちゃう。かと思いますと、前から問題があるのは、クリプトコッカスなんというのはハトなんですけれども、渋谷のガード下でハトが年じゅうふんをする。そこで、女性、妊娠中の方なんかあったりすると非常に大きな被害をこうむる。あるいは猫、犬などのトキソプラズマ、流産をする。こういう人畜共通伝染病はたくさんあるのですね。ところが、ここらはやはり獣医師の分野できちっとしなければいかぬと私たちは思っているのですね。
 それから、これは後で、今の共通伝染病の方は衛生課長からの方の、厚生省の分野もございますからお答えいただきたいのですが、そこで、獣医師さんはどうやっているかといいますと、肥育牛、こちらの方はそれでも金額が一頭大きいですから、獣医師さんに相談に来るという場面がある。これ共済もございますけれども、加盟がうんと少ないですね、肥育牛というのは。これも実を言うと、もう少し獣医師さんの分野をはっきりさせてやらなければいかぬ面がたくさんあるのですけれども、家畜保健所なんかにおられる獣医師さんというのは、薬物の、つまり検査が中心でございまして、この方々は現場に行きませんですから。これは三塚さん獣医師さんですけれども、そこにおいでになる大臣は。
 それで、豚なんというのはどうなっているかといいますと、豚というのは一頭一頭獣医師さんに診てもらったのでは、経済性の面から高くついて売れないのですよ。そうすると、獣医師さんのところに相談に行って、豚も伝染病いっぱいありますからね、豚コレラから始まって。そうすると、獣医師さんはそんなことはわかっているから指示書というものを書いて、これもう三塚さんよく御存じのとおりだが指示書を書いて、薬剤を書いて渡して、これを投与してみなさい、悪ければまたいらっしゃい、こういうふうにする。ところが、鶏というのは一羽一羽というわけにいかないのです。これは集団管理なんです。獣医師法十七条にはちゃんと鶏が入っているのですよ。だから鶏は集団管理。ところが、強制肥育のブロイラーなんていうのはやたら抗生物質を投与しますから残存をする。これも実は獣医師の分野なんです、本当のことを言えば。しかも、今申し上げました共通伝染病は至るところに起こって、さっき申し上げましたキャンピロバクターなんていうのは最近非常にクローズアップされてしまっている。集団給食でみんな下痢だなんてことになっちゃっている。実はそういうことでございまして、やはり獣医師法というものに手を入れて改正がどうしても必要だ、こう考えざるを得ないわけであります。
 そこで、問題の焦点はどこにいくかというと、第一条の「この法律は、獣医師の技能の最高水準とその業務の適正とを確保し、もって畜産業の発達を図り、あわせて公衆衛生の向上に寄与することを目的とする。」おかしな話でございまして、畜産業の発展が目的では困る。必要だけれどもそれだけじゃ困るのです。当時はそういう風潮だったから畜産業振興のためにといってこう書いたと言うのだが、だからカビが生えてくる。今、かって十三年前に私の議員立法で通っております動物の保護及び管理に関する法律もございます。動物愛護というのは正面に出てきている、今現行法ですからね。ことしで十三年目ですけれども。そうすると、獣医師さんや何かの方がおっしゃるように、この一条を変えようという。「この法律は、獣医師の技能の最高水準とその業務の適正を図り、もって畜産の発達と公衆衛生の向上及び増進を図るとともに動物愛護に寄与し」、これは町の獣医師さんというのはみんな動物愛護の関係で仕事をしているのです。猫の引き取りなんていったって、都道府県、市町村は全部獣医師さんにおぶさっている、保健所はできないから。猫というのは危険を感ずると天井を走りますからね。非常な被害、とんだけがをしながらでも一生懸命やっておるわけです。そこらが何も入っていないというのは随分ひどい話です。そして「医療及び保健衛生指導」あるいは公衆衛生の指導という管理獣医師という職分が必要なんですね、ここにはどうしても。そこらのところを明確にしたい。それから、十七条の「牛、馬、めん羊、山羊、豚、犬、猫及び鶏」、こう載っておりますが、動物愛護法もあるのですから、ここらを少し全体的に見直す。これは三塚さんは獣医師さんだからよくわかっておることなんですが。それと、さっき申し上げた管理獣医師という形で、鶏なんぞは集団で管理しないとさっきのようなことになるので、そういう意味で、今度こそ私はこの獣医師法改正を、五十年の安倍農林大臣と私のやりとりで、根本的に見直す、こうなっているのですが、さっぱり根本的に何もしない。これじゃ困るわけでございまして、そういう意味で、獣医師法改正を本気でやっていただけぬか。検討会、国費を使って二年ばかりやった。やったが結果的には白書か何か出しておしまいというのじゃこれは困る。という意味で、厚生省の方からちょっとひとつ実情を御説明いただきたい。
#112
○難波説明員 お答え申し上げます。
 先生の御指摘二点ございます。最初に、食鳥肉の関係でございますが、御指摘のように医薬品の残留問題あるいは微生物汚染の問題でございますけれども、私ども、食品衛生法という法律に基づきましてこれらの残留規制をしているわけでございます。具体的には、また、都道府県の監視員等による検査であるとか監視、指導を行いまして、その安全確保を図っているところでございます。特に抗生物質等医薬品の残留防止に関しましては、食品段階の検査というよりも生産段階における対策が最も重要であるというふうに考えておるところから、農林水産省とも御連絡を密にしながら対処をしてまいっているところでございます。特に近年におきまして食鳥肉の消費が非常に伸びておりますし、一方、飼養形態の変化等に伴います疾病の様相の変化もある、あるいは先生御指摘の食鳥肉を原因とする食中毒の発生もあるというようなことを勘案いたしまして、牛や豚と同様な法的検査制度の導入につきまして、現在、食鳥検査制度検討委員会を設けて検討しているところでございます。今後とも食鳥肉の安全確保を図ってまいりたいというふうに考えております。
 それからオウム病あるいはトキソプラズマその他人畜共通疾病の問題でございますけれども、特にペット動物による伝染病につきまして、厚生省といたしましてはこれら動物の感染状況を中心に調査研究を実施しているところでございます。今後これらの調査研究結果を踏まえまして、取り扱い業者であるとか飼育者に対する適正管理についての指導等必要な措置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。特に問題になっておりますオウム病につきましては、昭和六十一年度におきまして小鳥商であるとか飼育者を対象とする管理規範や飼育指針を作成いたしまして、これにより適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#113
○大出委員 これは今お話がございましたように、この人畜共通伝染病でたくさん被害が起こっているわけであります。関西の方へ行きますというと、牛肉を買ったら苦くて食べられない、保健所へ持っていったら残留抗生物質がいっぱいたまっていた、これは牛でございますけれども、それをそのまま屠殺場を通って売るものですから、人間に抗体ができて後抗生物質を打っても効かないということになる。そういう大きな問題が出てまいりますので、これは乳肉衛生課長の方だけの分野じゃないのです。やはり獣医師法全体を見直す、そういう姿勢になってくれぬと、二十四年のこの法律そのままというわけにいかない。オウム病その他考えましても、共通伝染病考えましても、現行獣医師法の中には愛玩鳥だとかこっちの方は全然入ってないのですよ、当時法律もなかったから。現在はちゃんと法律があるんだ。これは言いにくいのですが、私の議員立法だから言いにくいのだけれども、しかし十三年たって、当時私は、防衛問題片手に昭和元禄生類哀れみの令をつくる大出俊代議士なんて写真を新聞にでかでかと載せられて弱った時代もあるのですけれども、今でも立法の趣旨はというと、政府がつくったんじゃないですから、提案理由の説明も質問の答弁も衆参ともに全部僕ですから、そんなことで非常にかかわりが切れないのですけれども。そういう時代ですから、ぜひこれは、今度は流すのじゃなくて、検討会みんなやるのですから、三塚さんも協力くださいよ、獣医師さんなんだから。そういう意味でぜひひとつこれはお見直しをいただきたいのですが、大臣いかがでございますか。
#114
○羽田国務大臣 確かに、今委員が御指摘のとおり、この十七条におきますものというのはまさに家畜、そして家畜というものに対して病気をあらさせない、それによって発展させる、そういうことでありましたけれども、今御指摘のとおり、ともかく時代が動いてきた中でいろいろなことが多様化してきておるということ、そしてまさに人体にまで影響があるというような問題も出てきております。そしてこの検討委員会の中でも、獣医師を取り巻く現状、問題点及び今後の方向等の検討を踏まえて、獣医師法を中心とした諸制度の検討についても行うということになっておりますので、私どもとしても、畜産の関係からそして厚生省の関係、十分連絡をとりながら検討を進めていきたいと思います。
#115
○大出委員 魚類という、つまり魚病ですね、これもつけ加えて申し述べておきますが、これも六年制にしたのですから、やはりそれなりの獣医師側の範囲というものに対応する手の入れ方が必要、特に講習だけ受けた方が魚の、つまり栽培漁業でございましょうけれども、そこに投与する薬を勝手に扱っているというのはうまくないので、やはりそこらも、全部持っていくといったら水産庁ということになるかもしれぬが、そうじゃなくて、附帯決議もあるのだから、やはり獣医師の分野でこれを管理できるような形にするのが筋だと私は思っております。それと動物実験の後の処理、これは愛護法の方にあるので、そこから答申も出ていますから、やはり皆さんの方と相談をしてどうするかというのは決めるべきだ、諸外国流に。どうも農林大臣ありがとうございました。ぜひひとつそれはやっていただきたいと思います。
 最後に、三塚さん、タクシー問題なんですが、簡単に申し上げますから簡単な御答弁をいただきたいのであります。実は私が運輸省に申し上げて早い時期に資料を集めておりますが、こういうことになる。東京のハンドル持っているタクシー運転者の方は年間の収入が四百万一千円なんです。ところが全産業は四百七十九万九千円。二割低いのですよ。横浜がタクシー運転者の方が年間三百五十二万九千円、全産業が四百四十八万七千円。東京が四百万一千円というのはタクシー運転者、そして全産業は四百七十九万九千円。七十九万違う。それから横浜が三百五十二万九千円がタクシー運転者、全産業は四百四十八万七千円。二割低い。これコスト計算をしていきますと、出るところがない。春闘も来る。世の中賃金が上がる。タクシー運転者は人が寝ているときに走っているんだけれども我慢しろということになるのかどうか。値上げと絡むのかもしれませんが、何とかこれは考えなければならぬことになるだろうと私は思うのでありますが、お考えいただきたいのと、もう一つ、東京、横浜で料金格差がございます。タクシー料金は一緒でございますけれども、つまり中型で二キロで四百七十円ずつでございますが、自後料金が東京は三百七十メートルごとに八十円、横浜が三百九十五メートルごとに八十円、二十五メートルの差がある。これはいにしえの橋本登美三郎運輸大臣と私と委員会で質問しましたときの約束事でございまして、詰めると、こうなっている。まだ六・何%差があります。東京の車、毎晩夜になると横浜へどんどん入ってきている。違ってはいないのでありまして、ここらはどうお考えかという二点。
 それから、厚生大臣ちょっと承りたいのですが、どうにも納得できないのが、今度はお年寄りの外来を今四百円のものをいきなり千円に上げるというのはどういうわけですか。これは保健制度の中におけるつまり診療じゃないですね、四百円をいきなり千円、お年寄りだから一回で済まないんだから、内科へ行ったら放射線科へ行げ、耳鼻科へ行け、やれどこへ行け、五つぐらい回ればすぐ五千円でしょう。入院費、今一日三百円でしょう。二カ月限度でしょう。これは五百円に上げて無期限でしょう。そうなると、半年入院したのを計算すると、現在ならば一万八千円で済む。ところが新制度になりますと、半年入院すると九万円ですよ。一万八千円が九万円にはね上がる。これは若い世帯におぶさっているお年寄りだと、幾らお父さん何でもこれではと、こうなりますね。町のお医者さんに聞いてみると、家庭の平和は我々が守っている、こんなことされたらえらいことになる、異口同音におっしゃいます、こんな保健制度がどこにあると。これは財源という問題、財政という問題いろいろあります。時間ありません、触れませんが、ここだけは何とかしなければならぬと私は思っているわけでありますが、お考えを……。
 そしてもう一つ、横浜に、国立病院の今度の統廃合問題で、横浜東病院それから横浜病院、二つありますが、これ不合理がありまして、市、県ともに地域医療の計画にみんな入れているわけですね。これはやっぱり全国的に見ると横浜というのは急増した人口を抱えておりますから、札幌は千八百ぐらい単位人口の中にベッド数ございますけれども、横浜は半分ない。五百五十ぐらいですね。そうすると、県、市が、市なんというのは満場一致で決めて意見書を厚生大臣に出しておりますが、そういう自治体がどうしても反対だというのを厚生省は強引に押し切るというような気がございますか。
 二つあわせて三塚大臣からひとつ済みませんが……。
#116
○三塚国務大臣 大出委員御指摘のように、タクシー・ハイヤーをやられておる労働者の諸君、恵まれておりません。よって、運輸省としてもこのことには力をいたしてきておるところでありますし、さらにその差が縮まりますように、適正な労賃体系ができ得ますように、特に新免など増車などの際にそういうことを心して進むよう進めるつもりであります。
 これと第二点の、東京、横浜、歴史的経過が去りまして、若干こんな地域的な格差がありましわからそんなことであったとは思います。しかし、昨今、もう区切りがわかりませんほど大都会でごいます。条件は同じだと思います。そういう意味で、その趣旨を踏まえまして、そういう近似体型でございますから運輸省としても取り組んでおるところでありますが、取り組んでおるばかりでは、やはりさっきの獣医師法の改正ではございませんが、いかぬわけでございますから、気がついたときには前に進めろ、こういうことであろうかと思います。
#117
○今井国務大臣 まず、老人医療の問題でございますが、いろんな御批判がございますことはよく存じておりますが、まあとにかく現在の一部負担の額は老人医療費からいいますと一%でございまして、やはり私どもは世代間の公平ということも考えなければならぬのではないかと思っております。
 しかしながら、今度の改正は、そこで、老人の方々が払いやすいように定額制はそのままいたします。それからまた外来につきましては、月の初めに一回払っていただければ何遍来ていただいてもいいようにというようなことでやるわけですが、よく調べてみますと、お年寄りが一月に通う医療機関の数は平均しますと一・五なんですね。しかもまた、これに対しまして、一つの医療機関に月平均三・七回かかっておられるということは、むしろ同じ医療機関にやはりじっくりおかかりになる傾向が強いということもありますものですから、まあいろいろ御批判はあろうと思いますが、何とか私どもは千円の御負担をお願いしたい。そういうことは、年金や高齢者の世帯の所得の実態から見て何とか御負担願えるんじゃなかろうかと思っているわけで、よろしくひとつまたこれはお願いをいたしたいと思います。
 それから、再編成の問題でありますが、これはお説のとおり、統廃合の医療の確保について十分これは御協議せなければいかぬと思います。したがって、地元に対してもその趣旨に沿いまして十分お話し合いをしたい。私は徳川家康流でいけと言っているのです。やらないというんじゃないですよ。やりますけれども、ばさっとやるな、要するに織田信長流じゃなくて徳川家康流でやれと言っておりますので、御協力をお願いいたしたいと思います。
#118
○大出委員 じゃ、委員長ありがとうございました。終わります。
#119
○小渕委員長 これにて大出君の質疑は終了いたしました。午後二時より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時一分開議
#120
○小渕委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、去る二十一日の池田克也君の質疑に関し、文部大臣より発言を求められておりますので、これを許します。海部文部大臣。
#121
○海部国務大臣 大学入試改革についての総理大臣の見解を改めて伺い、御相談いたしましたところ、おおむね次のような総理のお気持ちでありました。
 一、去る二月十七日の予算委員会における自分の発言は、臨教審答申の趣旨を前提にした上で自分の気持を率直に述べたものである。
 二、臨教審第一次答申の精神と趣旨に沿って、新しいテストが偏差値偏重の弊害をなくし、いわゆる輪切り現象の改善に資するものとなるよう、大学入試改革協議会において十分検討され、良い成果が得られることを期待しているという考えには変りはない。
 三、入学試験が全体として人間味のあるものに改善することが大事であり、私立大学の自由な利活用、マーク・シート方式の改善などについても、そのような精神で検討して欲しいと考えている。
 四、いずれにせよ、七月に大学入試改革協議会において適切な案がまとめられることを期待している。
以上でございました。
    〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕
#122
○中島(源)委員長代理 水谷弘君。
#123
○水谷委員 私、公明党の水谷弘でございます。
 最初に、国鉄問題についてお尋ねをいたします。
 現在、国鉄の民営化に向けて、長期債務の問題やら余剰人員の問題等々、大きな議論がございますが、現実に目をはせてみますと、このいわゆる国鉄問題が地域の問題にとってどういう影響を及ぼしてくるか、それぞれの地域においては大変な関心のある問題であり、不安が横たわっているわけでございます。
 そこで、私は特定地方交通線の問題について運輸大臣にお伺いをいたす次第でございますが、この地方ローカル線の沿線に住む人たち、その地方ローカル線は暮らしの動脈であり、通勤や通学または特に高齢者の方々の大変なかけがえのない足となっているわけであります。さらにまた、この地域は大体比較的過疎地域を抱えておりまして、そういうところに住まわれる高齢者の方々、病弱のために例えば通院をされるとか、こういう形態で利用されていることが非常に多いわけであります。
 このように、長い間その地域社会で経済的または社会的に重要な機能を果たしてきた、今日まで国鉄が果たしてきた公共性、こういうものが経済合理主義という名のもとにばさばさ切られるということになりますと、その地域では重大な影響が出てくる、こういう議論は既に行われてきたわけでございますが、今まで廃止対象路線として第一次四十路線、第二次三十一路線、これについては国鉄の申請を受けて運輸省は承認をされております。がしかし、私がお伺いをしたいのは、その中でその段階で決めた除外基準、この除外基準を既にクリアをしている路線、これが一体どのくらいあるのか、お尋ねをいたします。
#124
○棚橋(泰)政府委員 お尋ねは、第一次線と第二次線に一たん選定はいたしましたけれども、その後基準をオーバーしているじゃないかということで中断をしている線、こういうふうに理解をしてよろしいと思いますが、御承知のように、第一次線、二次線というのは乗車密度が二千人未満ということでございますけれども、特定地方交通線というのは元来四千人でございますけれども、とりあえず二千人未満までを一次線、二次線として選定している、したがってそれをオーバーしている線についてはとりあえず協議会を中断しておる、こういうことになっておるわけでございます。
 その線は、第一次線では千葉県の木原線、それから鳥取県の若桜線、それから滋賀県の信楽線、三線でございます。それから第二次線でございますけれども、第二次線はまだ協議会が全部スタートしておりません。スタートしています中で中断をいたしておりますのは、栃木県、群馬県にまたがります足尾線、それから栃木県、茨城県にまたがります真岡線、それと宮崎県の高千穂線、その三線でございます。
#125
○水谷委員 大臣、今話がありましたように、全国においても第一次で三線、それから第二次で四線ですかあるわけでございます。これらの地域についてはその除外基準をクリアするために、大臣もよく御存じのとおり、県を挙げてまた関係の市町村を挙げて町ぐるみ、何とかこれをひとつ存続させたいということで今日までそれこそ涙ぐましい大変な取り組みをされてきているわけであります。
 そこで私は、既にこういう除外基準をクリアしたものについては廃止を見直すべきじゃないか、または運輸省もその承認を見直すべきではないか、このように考えるわけでございますが、大臣の率直な御意見をお聞かせいただきたい。
#126
○三塚国務大臣 今棚橋審議官が言われました線区につきましては、地元が大変御熱心に御陳情もいたしましたり、また乗車運動等を展開をいたしておるという実情を私もよく知っております。また、大臣に就任しましてから御陳情などもちょうだいをいたしたところでございますが、御案内のとおり特定地方交通線は、法律に基づきながらスタートをいたす、そして除外ということで中断をいたしておるわけでございますが、六十二年四月というスタート時点に立ちましてそれまでの間本件はどのように処置してまいるかということで考えますれば、実情は実情としてよくわかるわけでございますが、法定されました基本方針は変わらない、こう申し上げざるを得ないというのが私の立場であります。
 今後の展開がどのように進むであろうかというのもそうは言いつつもあるわけでございますけれども、御案内のとおり、第三セクター方式で鉄道としてこれを存置する、継続をするという片や一方の方式も実はあるわけでございますから、ただその場合に、地域の鉄道に対する考え方あるいは県及び市町村のこれに対する取り組み方、地域住民の取り組み方という、大変ありがたいことであるわけでありますが、鉄道に対する執着、愛執を込めての願いもあるわけです。経済的な要求ももちろんあるわけでありますけれども、こういう点で今後この問題をどのようにしてまいりますかは、もう一つ重要なポイントは第三次交通線の問題があるわけです。この点とのにらみ合いの中で今後どう対応するかということも進めなければならぬわけでございますが、まだその第三次線について御質問はございませんけれども、これは関連をするということで申し上げさせていただきますと、第三次線は国鉄側は今調査中でありまして、間もなく調査を完了いたしますと、これに対して結論を出し、態度を決めてまいりたいということなども聞いておるわけでありまして、それらを含めまして総合的に最終判断をしていかなければならないのかなということであります。
#127
○水谷委員 大臣おっしゃるとおり、来年の四月、もう非常に期間は短い。最終判断をどこでするのか、民営化になった段階でこういう今地方で協議されている問題が一体どういう形で継続されていくのか、それともそれはもう打ち切ってしまうのか、民間会社と地元との協議にゆだねるのが、この辺の点はどうですか。
#128
○三塚国務大臣 この点に関しましては協議期間二年というふうに法定いたしておりますし、これをはみ出るということにつきまして直ちにそこで全部遮断をして一切これでおしまいというわけにはまいらぬと思うのであります。ですから、新しい法律の中に経過措置を設けるなどしまして、これの協議が未成熟のものについては進めるなど取り組んでいかなければならないな、こういうことで最終の法制の今詰めをいたしておる、こういうことであります。
#129
○水谷委員 これはそんなに簡単に結論が出る問題じゃありません。大変な努力を積み重ねてきている問題でもあり、地域にとっても重大な問題でもあり、現在ある、長い間蓄積された国鉄としての資本投下もあるわけです。そういうことを考えれば、これを有効に生かす方向で地域経済の総合的な計画発唇それを目指して取り組んでいかなければならない、そういうことについても付言して、国鉄問題の質問は以上で終わります。
 次に、中小企業の円高対策についてお尋ねをいたします。
 最初に大蔵大臣、三点お尋ねをいたします。大臣は昨日、新聞の報道によりますと室蘭で「(為替相場は)市場そのものが決めることだから、通貨当局者がターゲットを決めてやるべきではない」と、重ねて市場介入の意思のないことを表明されました。二十一日午前の本委員会において江崎総務庁長官は、「異常な円高は決して放置すべきではない。五カ国蔵相会議の場で、もうドル安は限界にあると注意を喚起すべきだこのような発言がございました。大臣、どうですか。どう対応していかれますか。
#130
○竹下国務大臣 私が申し上げておりますのは、確かにウィリアムズバーグ・サミット以来一応共通した認識は、介入につきましては基本的には為替市場が無秩序な状態となりあるいは各国が有用と合意する場合には、適時適切に介入することとしております。そこで、その合意は継続しておって、そして今こそ各国が有用と合意する場合であるというのが昨年九月二十二日のG5のまた合意、こういうことになるわけであります。したがって、有用と合意する場合には適時適切に介入するという考え方は、その合意は今日もなお継続しておるということになるわけであります。
 ただ具体的にどのような場合に介入するか、あるいは介入するかしないかわからないところに介入というもののいわゆる効果があるわけでございますし、為替市場への影響等を考えますと、介入をしますとかいう、あるいは介入はしませんとかいう答えは通貨当局者としてはできない、こういうふうに非常に整理して言っておりますが、介入問題ということになると、地方でおしゃべりいたしますと、言葉を選んで申しますものの必ずしも正確に伝わらない場合もございますので、今申し上げたのが考え方でございます。
 そこで、今度は、されば今の急激な円高によりまして中小企業の特に産地等でいろいろな問題が起こっておることは十分承知をいたしております。それに対しては、これは通商産業省の方でその産地、地方自治体と綿密な御連絡をいただいておりますが、私どもの分野ではいわば政府関係三機関の金融はいつでもこれに対応できる準備をしておく。それからいま一つは、先般通していただきました法律によりまして通商産業省の方でそれが実行のための調査を今進めていらっしゃる、こういう段階であろうと思います。
 いずれにせよ、円高あるいはドル安のデメリットがこれはどうしましても先に出ます。もう原材料皆安くなるといいましたところで、それはまだ先の話で、今入ってきているものは前の価格であって、そして輸出の制約は新しい価格になるわけでありますから。したがって、これはやはり円高にもメリットはあるわけですから、実質所得の上昇をもたらしますし、そういう意味においてその間はある程度のタイムラグがかかってくる。がしかし、必要な目配りは絶えずしていなければならぬというのが今日の心境であります。
#131
○水谷委員 私が質問しないことまでお答えになって大変ありがたいことでございますが、私が御質問したのは、いわゆる現在の円高に対する市場介入のことでございますが、今の御答弁を聞いておりまして、大蔵大臣として責任を持って対処するから任しておけ、こういうお言葉のように私は承りましたが、いろいろな指摘がありますので、どうかひとつ慎重にしっかり対応していただきたい。
 今、大臣がおっしゃった、円高に対するメリットもあるのだよというお話してございますが、そのメリットがなかなか出ないということで、経済同友会の石原代表幹事等が御指摘をされている中に、公定歩合の引き下げ率が低過ぎるからそのメリットがなかなか出てこないのじゃないか、こういう議論が実はございますね。再三公定歩合の再引き下げの問題が言われているわけでございますが、大臣、この点はいかがでございますか。
#132
○竹下国務大臣 公定歩合の操作は、まさに法律に基づいて日本銀行の専権事項であることは御案内のとおりでございます。そこで、先般〇・五%の引き下げを行った。これがどうなるかといいますと、二十四日、すなわちきょうから預金金利が下がりましたし、あるいは財投の預託金利もちょうど〇・五%連動して下がったわけであります。したがって、これまた心理的な問題は別としまして、現実の金融秩序の中へ入っていくというのは先月の三十日に決めて、それで二十六日目のきょうからそれが出てくる。それでもこの前七十五日間かかりましたから、一番早くてこういうことになるわけであります。したがって、恐らく日本銀行におかれては、あるいは金融当局者としては、これの推移を、今はこれからどういうふうにそれが出てくるかということを見守っておられるという段階であろうというふうに思います。
 それからいま一つ、今まで先例としては公定歩合が三・五%であったことがあるにはございますけれども、あのときのまた反省もありまして、いわば公定歩合金利で借りてそして貯金すればもうかるじゃないかというようないろいろな反省がありまして、それらも、五十三年でございましたが、あのときの反省として私どもも覚えておるところでございます。したがって、恐らく日本銀行において経済動向あるいは為替相場、そういうことを見ながら弾力的に対応されるべき課題であろうというふうに思っております。
#133
○水谷委員 丁寧な御答弁でございますが、よくわかりかねます。
 その後に海外への資本の流出について規制をかけるとかかけないとか、これはどうなのですか。
#134
○竹下国務大臣 今、金融の国際化、自由化ということになりますと、原則的に言いますとあらゆる規制は取っ払って、それがまさに国際化でございます。しかしながら、やはりそれには多少練習も必要だと申しましょうか、急激な国際化の中でふなれなこともあるでございましょう。したがって、政令でございますとか指導でございますとかでいわば資本金の何ほどか、いろいろな規制をしておるわけであります。
 そこで、今先生おっしゃったのは、むしろ規制をもう少し緩和して流出の方が促進された場合が逆に円安効果に働くのじゃないか、こういうお気持ちもあるかもしれません。が、今の場合やはり私どもとしては国際化の方向で順次――これは自主的判断に任すべきものでございますから、指導という言葉は適切かどうかは別といたしましても、相談があったらこういうふうになすったらいいじゃないですかとか、そういうふうな程度でそれぞれ対応を申し上げておる。そしてこういうふうな資本を出したいとおっしゃる場合は、それが可能なようなお手伝いをしておる、こういうことでございます。
#135
○水谷委員 いろいろ現地の実情等について、我が党も全国的に産地等を中心にして輸出関連中小企業の実態を調査いたしました。私も県内においてそれらをさせていただきましたが、大変です。非常に深刻です。ここで議論をしているようなこんな感じではない、もう現場では大変な問題です。ですから大臣、今後の中小企業の救済については全力で取り組んでいただきたい。
 きょうは通産省おいでいただいていると思いますが、今回の新法によって特定企業者が決まり、それに対する緊急安定救済制度がとられるわけであります。その場合ぜひしっかりやっていただきたいのは、これは非常に広範囲にわたっておるわけです。下請もあちこち点在をしております。そういうことで、城下町法も網がかぶっておりますけれども、その地域性、いわゆる地域にかぶせる。さらにまた関連の業種にもかぶせていく、下請企業もしっかりとフォローしていく。こういうことは継続的な、現在のこういう状況がどういうふうに波及していくかという追跡調査等もしながらきめ細かくやっていただきたい。これが一つ。
 もう一つは、アメリカが日本の中小企業に対する円高対策に対してこれは輸出補助金に当たるのではないかということでガット提訴をされました。これに対して通産省はどう対応していかれるか。その二点。
#136
○木下(博)政府委員 先日成立いたしました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法はあす公布、施行されることになっております。それに基づきまして業種の指定の作業を急いでおりまして、三月の初めには業種の指定ができるのではないかと考えております。緊急対策の対象となる業種は私どもとして現在最終的に詰めを行っておりますが、百二十ないし百三十ぐらいの業種になろうかと思います。
 地域の問題について御指摘ございましたが、そういう業種では、各産地で影響を受けている業種が相当カバーされるだろうと私ども考えておりますけれども、法律によりまして、全国的な業種でなくても地域だけに限って影響がある業種についても指定できることになっておりますし、またそのような業種に該当しなくても、個々の企業において影響を受ける場合には個々の企業ごとにその対象としてやれるということになっておりますので、そのような規定を運用いたしまして影響を受ける方々に対する対策は十分にやっていきたいというふうに考えております。したがいまして、下請企業者に対しても当然その恩恵の手は及ぶというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。
 第二の御質問の点でございますが、二月二十一日にアメリカがガット上の手続をいたしたわけでございますが、今先生はガットヘの提訴とおっしゃいましたけれども、厳密に申し上げますと、ガットの補助金に関する規定に基づきまして、日本のとった低利融資等の措置は輸出増と輸入減をねらったものである、したがって日本が、ガット十六条の規定に基づき、それが輸出補助金であるとして早急に措置内容をガットに通報すべきであるとの注意喚起を行った手続をやったわけでございます。当然のことでございますが、日本政府といたしましては、本措置が輸出補助金に当たるというふうに考えておりませんから、そういう手続はガットにやっていなかったということでございます。ただ、アメリカでは従来から、今申し上げましたように、輸出業者に対する補助を行うことによって輸出競争力の回復を図ろうとしているのではないか、したがって、そのような措置を日本政府がとるならば、せっかく円高になっても日本の輸出は減らないのではないかというような懸念が示されております。
 ところが、現実には私ども輸出産地をいろいろ見ますと、輸出が減らないところか、ほとんどの産地において輸出契約がとまっているというような状況でございます。したがいまして、私どもとしては、放置しますと倒産等のおそれが起こるということで対策をとったわけでございますが、そのように新規輸出契約がとまるというようなことになりますと早速資金繰りが困ってくるわけでございます。本来正常な商売が続けられる状況では借りる必要のない資金をこの低利融資によって貸していこうということでございまして、従来どこかの銀行から高い金利で借りていたものを返して、そのかわりに安い金利でそれを融資してやるという制度でございませんで、従来の融資はそのままにしておいて追加的に必要となるような減産対応資金、こういうものを低利融資で貸していこうということでございますので、幾ら低利でありましても、その低利融資の支払い金利は企業にとってはむしろ負担になるというものでございます。
 しかも、その低利融資措置を行うためにとりました予算は、現在予算御審議をお願いしておりますが、六十一年度予算として十一億円の予算をお願いしておりますが、こういう輸出産地の中小企業に対する対策をとります場合に、そういう産地の輸出額は、私どもの推定では五十九年度において約三兆円近くになると思います。三兆円近くの輸出金額を持っていた産地を対象にいたしまして十一億円ということになりますと、これは輸出補助金ではございませんが、その補助的効果だけを見ますと〇・〇三%から〇・〇四%でございます。ところが円が一円上下いたしますと、それによって輸出がやりやすくなったりやりにくくなったりする効果は〇・五%ぐらいになるわけでございますから、円が一円動いたものに対してそれの十分の一にも満たないような補助効果ということでございまして、補助効果を私どもはねらっておるのではなく、むしろ金繰りがつかなくなる企業に対する融資をしてやることで当面の経営危機を回避させる、それによって長期的に事業転換等がスムーズに行えるようにしようという措置でやったものでございますので、私どもとしては従来からアメリカ側に説明もしてきておりますが、このような説明をすることによってアメリカの誤解を解いていきたいというふうに考えております。
#137
○水谷委員 今おっしゃった内容、しっかりと解いて、向こうの合意を取りつけてくださいますようにお願いをいたします。
 次に、医療行政の質問に移らせていただきますが、六十一年度推計が出てまいりまして、昨日厚生省が六十一年度の国民医療費の推計結果を公表されました。それによりますと、国民医療費は前年度より四・九%増の十六兆七千六百億円と、十七兆円に迫る金額が推計されております。
 医療行政といっても大変幅の広い問題でございますので、きょうはその中の何点かに絞って、厚生省、政府の今後の取り組みについてただしてまいりたいと思っておりますが、健康保険に個人負担が導入をされました。これは大変な社会問題であり、我々もこれは軽々に行ってはならない、将来の展望が明確になった上でなければこのようなことは手をつけられないということで、先般の国会で議論を重ねてきたところでございます。今回、また老人保健法の改正が国会に提出をされ、その中で自己負担が引き上げられる。今申し上げましたように、また来年度の医療費総額の推計がこのように上昇をたどる。こういうことで、個人負担を国が−特に今回はお年寄りでございます。寝たきりのお年寄りとか、たったお一人で住んでおられるお年寄りとか、そういう大変な状況の方々に対して自己負担をお願いをするわけであります。
 大臣、自己負担をお願いする以上は、政府もこちら側も徹底的にこの医療費の問題についてお取り組みをされて、もうこれ以上はできませんよ、ここまで適正にやってまいりましたから、ぜひひとつ今後、将来二十一世紀を展望するに当たって、負担と給付の観点から、このくらいはどうしてもお願いをしたいという議論であれば、国民の皆さんも御納得をいただけると思いますが、どうも国が総がかりになってこの医療費の問題について取り組んでいるというふうに、私は医療関係には素人でございますからね、素朴な国民の一人として見ますと、ちっともそういう感じはしません。
 ここのところの社会保障の方向を見てみますと、給付のレベルはどんどん下げる、給付の範囲も狭めていく。そうすると、将来どういうふうにならなければいけないかというと、その狭まった部分のすき間を、一つは民活、例えばことしの四月から始まる民間の保険、医療保険、西ドイツ資本等も入っているような会社も含めて七十数社、この四月からぱっと始まっていく、そういうもの。もう一つは、自己負担です。いわゆる国民負担、これをそのすき間の中に入れていく。もう一つは自治体へその負担を転嫁させていく。もう一つは財源、いわゆる年金の自主運営だとか、福祉目的税構想等が出てくるような収入対策。こういうような四つの部分でそのすき間を埋めるように取り組んでいると私は判断をするわけです。そういう中で、特に医療費の中に占める医療用医薬品費、いわゆる薬剤費、これが本当に適正なのかどうかということについて、私は何点か質問をしてまいりたいと思います。
 最初に公正取引委員会、おいでになっていただいておりますのでお答えをいただきたいと思いますが、五十五年の十一月から医療用医薬品流通実態調査を行われ、五十七年六月、その結果を発表されました。その中で多くの問題点を明確に把握されました。把握されてそれらが浮き彫りになってきたわけでございますけれども、その中で若干触れてみますと、大手メーカーと卸の間の取引の概要として、メーカー仕切り価格と卸仕切り価格の一本化、一本仕切り制。それから、ほとんどのメーカーは卸仕切り価格と医療機関への納入価格との差に対する値引き補償制度を設けている。また、ほとんどのメーカーは、卸に対して代金回収時の実際の納入価格の五%のマージンを控除して決済、さらに回収高の一〇%弱のリベートの支払いをしている。また、ほとんどのメーカーは繁用品に流通番号を付して、卸からこれを貼付させた流通番号管理台帳を提出させている。この部分は改善された部分でございます。また次に、ほとんどの大手メーカーのプロパーの活動は、国公立病院に常駐させて、医薬情報活動、営業活動のほか、納入価格の決定に関与している場合が多い。こういうことを通じて、ほとんどの大手メーカーは卸の系列化を図り、さらに卸売業者の株式を所有したり役員を派遣している。
 こういうことをいろいろ公取の方は指摘をされた上で、医療用医薬品の流通に関してほとんどのメーカーのとっている企業活動、諸施策には独禁法ないし同政策上の問題が認められた、このようにその調査を踏まえられて講評されております。
 そして、昭和五十八年六月、公正取引委員会と厚生省とで「医療用医薬品の流通改善について」の今後の取り組みを確認されました。そこで、一つは「取引条件及び流通活動の改善」、二番目には「自由かつ公正な競争の促進」、三番目には「非価格競争手段の是正」、この三つを挙げられております。私、最近いろいろ実態をそれぞれの部門において調べてみました。しかし、調べれば調べるほど、今挙げました二と三については、皆さんの御努力によって大変な前進が見られるところでありますけれども、一番目の「取引条件及び流通活動の改善」というのは依然として行われてない。行われてない以上、今までより隠微に、より巧妙に、申し上げればうんと悪くなっている、このように私は指摘せざるを得ない。
 そこで、せっかく長期にわたって公正取引委員会の皆さん方がこの医療用医薬品の流通改善について、調査もし取り組んでこられた。しかし、今後さらにこれを改善をするために確かな手だてはありますか、今後どういう対応をされていきますか、これをお伺いをいたします。
#138
○利部政府委員 お答えいたします。
 公正取引委員会は、ただいま御質問のありましたように、医療用医薬品につきまして、競争政策の観点から流通の適正化を図るべく、所要の調査をいたしまして、御指摘のような問題点を明らかにいたしました。また、それに関連いたしまして、製薬業界で独占禁止法違反行為がありましたことにつきましては厳正な措置をとり、是正措置を命じております。さらにまた、その前に調査で指摘しました問題を確認して、それを実行するように求めたところでございます。
 製薬業界ではそれを受けまして、一部指摘した問題の改善を図ってきております。一つは、「非価格競争手段の是正」ということで、メーカーの方も卸の方も……(水谷委員「部長、済みませんけれども、そこは僕は評価したのだからいい。一番だけ」と呼ぶ)ある程度改善の措置をとったわけでございます。その後、その措置が確実に実行され、推進されるように求めてきているところでございますが、何分医療用医薬品の問題は、流通競争条件、メーカーの企業行動等は薬価基準制度等の公的諸制度の影響を強く受けているところでありますので、従来から厚生省と連携をとりつつ指導を行ってきておりまして、今後も医療用医薬品の流通に関しましては、競争を通じて流通が改善されるよう、合理化が図られるよう指導を進めていく所存であります。
 さらに具体的に申しますと、こういう公的諸制度のもとにおいて、現在厚生省の医薬品流通近代化協議会で行われている医薬品の流通の近代化に関する検討におきまして、公正取引委員会が指摘した諸問題についても改善方法が論議されておりますので、これを通じて改善が具体化されていくことを期待しておりますし、それに対して公正取引委員会も協力していくつもりでおります。
 また、不当な非価格競争手段につきましては、新たに設定されました景品類にかかわる公正競争規約の的確な運用に努めてまいりますし、それも、こういう自主規制の組織ができたことでありますので、厳しく、広く見ていきたいというふうに考えております。
 これは一般的な態度でございますが、仮に医薬品の取引に関しまして公正、自由な競争を阻害するような行為や慣行がありました場合には、従来と同様。独禁法の厳正な運用を通じて是正を図ってまいる所存でございます。
#139
○水谷委員 どうぞひとつ国民の側に立って、公正取引委員会の皆さんには、今おっしゃったとおり、より広く、より厳正に、よくそれを追跡をしながら、この改革に資するように御努力をいただきたいと思います。
 それでは厚生大臣。今公正取引委員会の方からお話がございました公的諸制度、いわゆる薬価某準制度、簡単に言ってしまえば、これがあるためになかなか公正取引委員会が入っていけない、いろいろ指摘をしても、抜本的な改革に効果が上がらない、こういうことがあるんだというふうにおっしゃっております。それからまた、これは取引だけの問題ではなくて、医療機関にも問題がある。医療機関が医薬品をめぐっていろいろなビヘービアをされる、それらのビヘービアに関して改善をしていかなければならない、こういう点もあります。
 そういう点から、私は、資料をお配りしてございますが、資料に基づいて若干申し上げたいと思います。大臣、ございますか。「セファレキシンの薬価基準の変遷」という資料がお手元にございませんか、各委員の皆様のお手元にもお配りしてあるわけでございますが。ございましたね。
 これは、抗生物質であるセファレキシン。この最初の表は、薬価基準がどのように変遷をしていったかという表でございます。これは、詳しく御説明する時間がございませんので、結論だけひとつぽっぽっと申し上げますが、前の方はケフレックス、横にセファレキシン、同一成分でありますけれども、一応こう分けて考えていただきたいと思いますが、ケフレックスの例をとっても、昭和四十五年八月の時点、これは昭和四十五年四月十六日に製造承認をされたものでありますが、これが三百六十七円五十銭から八十二円に下がっておる。指数は、五十九年六月を一〇〇とすれば、このスタートは四四八でスタートをしております。それからセファレキシンを比べてみると、四十五年八月と五十九年六月を比べると、五十九年六月を一〇〇とすれば一二二五、十二・二五倍、これだけ薬価基準がぐわっと下がってきておる。それはそのままにしておきます。
 その次の表は、日本経済新聞に出ております大口需要家渡しの、一キロ、百二十日手形という支払いのサイトでセファレキシンの市場価格をここに挙げてあります。市場価格は、五四年九月から五十九年三月、五十九年三月を一〇〇とすると一〇二にしかなっておりません。ほんのわずかしか動いていない。
 その次の表、二枚目の表でございますけれども、これは、アメリカのケフレックスの価格推移をレッドブックから、いろいろお願いをして、アメリカの薬剤師会の御援助もいただいて調査をしたものでございますが、これは単位がちょっと違います。ですから価格比較をしていただいては困りますが、私がここに載っけたのは、アメリカのケフレックス市場価格、売られているものが四十五年から五十九年にどういうふうに価格が推移をしていっているか。五十九年を一〇〇とすれば四十五年は七五、これは経済原則に非常に乗っかった動き方をしているわけであります。
 次に、三枚目の表を見てください。この表は、ちょっとおわびをしなければならないのでございますけれども、「メディカル・アンド・ファイン」という雑誌に載っている表でございます。もう一度申し上げます。月刊誌の「メディカル・アンド・ファイン」に訂正をしていただきたいと思います。
 これはちょっとごらんになると何のことやらさっぱりおわかりにならないと思いますが、セポール、これはいわゆるAランクと言われているものでございまして、このセポールが、五十六年一月から五十六年の十月まで、ちょうどこの六月に薬価基準が改定になり、二百二十円五十銭が百四十七円に改定になる、マイナス三三%という引き下げが行われるわけであります。さあ、薬価基準がこのように改定になったとき、市場価格は一体どういう状況で動いていくかという表でございます。薬価基準が下げられているのですから、市場価格も下がっていいはずであります。ところが、実際は市場価格は上がっていく。一体これはどういうことなんだろうか。
 すなわち、このときのセファレキシンのCランクの薬価は七一%下げられました。それで三十五円になってしまった。ですから、納入価格をゼロにしてもそこには薬価差が出てこない。そのために、AランクのセファレキシンまたはBランクのセファレキシンに需要がばっと集中をしていくわけであります。市場価格は需要と供給の問題で値が動いていきますので、実は、六月に二万五千円だったものが、七月には二万八千円、八月には四万円、九月には四万五百円、十月には四万一千五百円というふうに、市場価格は逆に上がっていくのです。これは事実に基づいたデータでありますから、よく御検証をいただきたいと私は思います。
 しかし、大臣、四万一千五百円でも、対薬価差、いわゆる対薬価の比率は五四・八%なんですよ。これでもまだ四割五分ですか、四五・二%はそこに薬価との差益はちゃんとあるのです、これだけ上がっていっても。これだけの差益がある。ですから、薬価基準が動かされるときに、Aランクの方にすべてだあっと行ってしまうのです。ただでさえも七十数%下げられるCランクには、もう発注が来ないのは当たり前。さあ、この薬価基準の引き下げが、いわゆる中小のメーカーに対してとんでもない減収を与える。こういう一つの事例として、私は、資料をそこにお出しをしたのであります。
 これらの議論は、過去、国会のこの審議の場でも何度も繰り返されてきているであろうと私は思います。大臣もそのことはよく御存じだと思うのです。
 そこで、薬価基準の改定の際、その薬価基準の決定のあり方について、この国会でも議論があり、さらには、最近は大手メーカーの皆さんも、あらゆるメーカーの方々も、また卸の方々も、もう現状ではどうにもならない、このまま放置していったのではどうにもならない。これはどこが悪いとかいいとかの問題だけではなくて、全体的に薬にかかわるすべての人たちが検討を開始しなければならないという問題提起をされております。
 そういう中で、今までいろいろ言われてきました。今私が申し上げたこの資料でもおわかりのとおり、実勢価格というものは、薬価算定の場合の本当に確かな根拠にはならないではないかという意味で、私も一つ申し上げた。もう一つは、新薬が収載されるとき、余りにも極端に高い価格で収載されているのではないかという問題も指摘しました。そしてまたもう一つ、銘柄別の収載。五十三年からそれをされましたが、その銘柄別の収載についても、これは重大な問題であるということも今申し上げた。
 そういうことで、厚生省がみずから設置をされている新医薬品の薬価算定に関する懇談会、これが五十七年七月八日に報告書を出しておられます。その報告書の中にも、類似薬効比較方式及び原価による計算方式の適用に当たり、必要な調整を行うことということが言われたりしております。こういういろいろ指摘されていることを真剣に、より早く、これだけ医療費が高騰してきているときでありますし、いわゆる薬剤費についてこれだけ回を重ねて指摘されてきているのですから、厳正に対応され、一つ一つの指摘に対して、諸外国のいろいろな薬価の基準の決め方――私もいろいろ調べてみました。日本のようになっているところはどこもありません。本当に早急に、今中医協で検討されているというお話でありますけれども、具体的にどうされているのか。大臣、どうぞ真剣にひとつこれは取り組むようにしていただかなければ困ります。
    〔中島(源)委員長代理退席、林(義)委員長代理着席〕
#140
○今井国務大臣 今の先生のお尋ねは、私も拝聴しておりまして、本当に問題があるなどいう感じを強く受けます。
 薬価基準の問題につきましては、五十七年九月でございますか、中医協の答申に基づいて実勢価格を迅速適切に反映させる観点から、毎年改定を行っているところでございますことは先生御案内のとおり。この現行方式につきまして今お話しのありました製薬企業あるいは関係団体等に見直しを行うべきだという強い意見がありますことは私もよく存じております。また、中医協におきましても昨年の四月と六月に、製薬業界あるいは医薬品業界などから意見を聴取をいたしまして、この問題を審議の対象としてきておりますことをよく存じております。
 そこで、現下の薬価算定方式でございますけれども、今までの、先生御案内のとおり、国会での大変な議論がございました。そういうものを踏まえて中医協に諮ってこれは定められたものでありますから、やはりこれは中医協に議論を願って、そしてこれを全面的にどういうふうにすればいいんだということは、私どもももちろん当事者でございますから考えなければなりませんが、中医協の御意見なども踏まえてやっていかなければならぬ問題だ、こう思っておるわけでございまして、ひとつ十分心を込めまして検討してまいりたい、私自身も十分勉強してまいりたい、こう考えております。
#141
○水谷委員 確かに中医協が中心でございますけれども、これはやはり厚生省が薬価基準を決定していくところなんですから、今井厚生大臣、大臣が本気になってあらゆるものを総動員してやるぞという覚悟を決めなければ、中医協にお任せしていると、いつまでたったって結論が出ませんよ、これは。今日までもうこれだけ指摘されてきて、ちっとも結論が出てない。
 私は本当はもう一つ資料をここへ提出したかったのです。しかし、これは私がまだ出どころをみずから確認していませんので今回提出しませんが、ここに厚生省が昭和五十三年七月調査した薬価調査の結果を指数換算した表があります。薬価調査の結果は表には出していらっしゃらないはずですが、これは中医協の委員に渡された資料ですから、正式な資料であります。この中を見ますと、ひどいですよ。厚生省みずからこういう事例をいろいろ挙げていらっしゃるのです。だから、余りにもひどいということはもう全部おわかりのはずなんだ。薬価百円の薬が五円で売られているのですよ、五円で。そして、九〇%バルクラインになるところをちょうど九十円でうまく来ている。こういう問題がございます。
 ですから、今流通もメーカーも、そして、それよりも何よりも国民がこの薬剤費の問題については大変な、関心どころじゃない、一体どうなっているんだ、我々の、国民の目の見えないところで薬価基準が算定されておるんじゃないのか、もっとその議論を国民の側に出してきたら、もっとスピーディーに、より適正に決まっていくんじゃないか、中医協に任すだけじゃなくて、もっと広範な国民の議論の場に、この薬価基準制度というものをどうするかという議論を出してこいという、こういう国民の声があります。私もそのとおりだろうと思います。中医協の皆さん方が決して怠慢であるという御指摘を私はしているのではございません。しかし、そうではないけれども、国民の側に立った素朴な実感からして、これは早急に結論を出していかなければならぬだろう、こう考えます。
 そういうことで、大臣、どうかひとつ御自身も真剣に省を挙げてお取り組みをいただきたいが、しかし、もっとより一層広範な国民の参加をいただき、例えば患者の代表とか、そしてまた、いわゆる経済的ないろいろな専門家だとか、ただ単なる医療、医薬に関するメンバーだけではなく、公平な意見を出していただけるような多くの方が大臣のもとに、また、どこへ、どういう形かは議論しませんが、そうしていきませんと、当事者だけの利害の対立だけでは、なかなかこれは進みません。どうですか、大臣。
#142
○今井国務大臣 おっしゃいますとおり、薬価に関しましては先生御指摘のとおりの問題点がたくさんあります。厚生省としましても、医薬分業の推進だとか、先生お触れになりましたが、あるいは医薬品流通の適正化、それぞれ努力をしているわけでございますが、いずれにせよ先生御指摘の問題点を踏まえながら、今後各方面の意見を十分聞きまして私なりに十分対処してまいりたい、本当に一生懸命やってみたいと思いますので、どうぞひとつお力添えをいただきたいと思います。
#143
○水谷委員 大臣は、本当にまじめな、大変真剣に物事に対処される方で、私もよくお人柄を知っておりますので、今のお言葉を私はしっかり承っておきます。どうぞひとつ真剣に取り組んでもらいたい。
 医薬分業の推進についても、これを推進しなければやはり適正な薬価というのは出てこない。ところが、今それが進まないように、進まないようにしている。また、医師側に言わせれば、技術料をこんなに長く放置しておいて、そして潜在技術料と言われている薬価差だけを責めるのはおかしいじゃないかという議論も出てくる。等々、どうかひとつ全力でリーダーシップをとってくださいよ、大臣。中医協にお任せではなくて、大臣御自身がリーダーシップをおとりいただきたい。これを重ねて申し上げておきます。
 次に、農林水産業について御質問をいたします。ちょっと時間の配分が余りうまくなくて、羽田農水大臣には冒頭から御出席をいただいて恐縮でございます。
 我が国の農業については、今さらここで論ずるまでもございません、大変な厳しい状況でございます。これはもう私どもがすべてわかっていることでございます。しかし、厳しい、厳しいとだけ言っていたのではどうにもならぬ。かつて安倍、現在の外務大臣が、「攻めの農政」ということをおっしゃいました。本当に農水の専門家、エキスパートとして、今、生産者団体や農業関係者から、羽田大臣は大きな期待を寄せられております。そういう意味で、二十一世紀を目指して展望するに当たって、羽田農水大臣のときに羽田農政と言われるべき農政が確立された、こういうひとつ赫々たる実績を示していただきたい、どういう考えを私は持っております。
 そこで、大変厳しい状況ではございますけれども――これは大蔵大臣、同じ御質問をさしていただきますのでお願いをいたします。大変厳しい状況ですけれども、規模拡大だとか、また集約的な、高生産性を上げる農業を目指して、新しい芽が今各地に出てきていることは事実です。こういう方々の希望といいますか、農業に取り組もうという真剣な姿勢というのは、私は非常に大切に考えていかなければいけない、こう思います。そういう、私たちとしては非常に希望の持てる芽がある。
 もう一つは、農業会議所が全国の農業委員会を対象に行ったアンケート調査がございます。それを見てみますと、全国十三万集落のうち四〇・八%に及ぶ集落において、担い手が不足をしているという結果が報告をされております。
 それからもう一つは、この調査の中で、六十年八月一日の時点でそれ以前の一年間何にも作付けされなかったといういわゆる遊休農地、これが十二万四千四百三十七ヘクタールあるということも報告があります。これを見て私は大変愕然としたわけです。こんなにも何もつくられていない耕地があるのか、大変なことだなと改めて私は驚いたわけでございます。
 こういうことで、いろいろ申し上げたいわけでございますが、現在のこの状況の中で、政府はよくおっしゃいますが、いざというとき食糧安全保障という立場から見ると自給力が大事だ、いざというときに食糧が国民一人当たり一日二千カロリー程度が賄われるその対象耕地として五百五十万ヘクタール、そういう議論をされます、自給力。ところが、現実には自給率というのが農業の実態であります。この自給率を度外視して自給力といったって、それはいざというときには実は大臣、対応はできない。そういうこと等も含めて、これからの我が国の農業を、どういう方向に基本的に我が国の農政を誘導されていくのか、政策に取り組んでいかれるのか、これをまず羽田農水大臣にお伺いをしたいと思います。
#144
○羽田国務大臣 まず、励ましをいただきましたことに対しまして心から感謝申し上げ、私も本当に性根を据えて取り組んでまいりたいと思いますので、今後ともさらに御指導をお願い申し上げたいと思います。
 今先生の方からも御指摘ございましたように、今日の農業を取り巻く環境というのは確かに厳しゅうございます。しかし、この農林水産業、今御指摘のありましたとおり、ただ厳しい、厳しいということではこれはやはり本当に――じゃ、そんなに厳しいものだったらおれたちもう農業をやるのはやめようということになってしまう。これを考えたときに、ただ厳しい、厳しいだけではいけない、やはり厳しさというものを見詰めながらも、その次に今後一体どう展開していくのかということを方向を示していくことが今一番大切なことじゃないかなというふうに思います。
 そんなことで、今私どもこうやって見たときにその厳しさという当面の問題が一体何なのかといいますと、やはり実際日本農業というものの基盤がどうも脆弱であるということ、これはまさに法律もいろいろなものをつくりながら、農用地利用増進法等、農地法あるいは農業委員会法なんかもつくりながら私ども規模の拡大というものを進めてまいったのですけれども、現況では残念ながら本当の大きな規模の拡大ができたということも言えないと思うわけです。
 しかし、それじゃ本当にこれは全然だめなのかといいますと、やはり高齢化が進んでくるということ、あるいは請負の農業をやろうという中で、ただ土地を買ってふやすというのじゃなくて請負の農業の中で規模の拡大というものが進められておる、そういう中にまた中核的な農家が、今先生が言われたように、地域によってはだんだん育ちつつあるという現実も実はございます。そういうものを私ども頭に置きながら、何といってもやはり基本は規模の拡大が必要であろうと思う。また、そのためにはどうしても農地というものはきちんと整備されてなければいけないということがありますから、やはり基盤の整備というものはしていかなければいけないなと思っております。
 そして、そういう中でそういう中核的な農家の皆さん方が働いていただくために、またそういう基盤を確立した上に新しい意味で先端技術、バイオテクノロジーとかいろいろなことを言われますけれども、こういった技術の開発をすると同時に、そういった技術を受け入れることのできる後継者をやはり育てていかなければいけないのじゃないかな、私どもは、難しい環境の中にありますけれども、これは農業、林業、水産業を通じてそういったことをやはり頭の中に置きながらきちんとした基盤をつくっていく、そして、その中にそういったものを受ける中核的な農、林、水それぞれの立場の人たちを育てていく、そんなことを考えていきたいというふうに考えております。
#145
○水谷委員 大蔵大臣、基本的な今後の農政に対しての御所見をお伺いしたいと思います。
#146
○竹下国務大臣 これはやはり第一義的に担当であります農林水産大臣からお答えのあったことに尽きるだろう、率直にそう思うわけであります。
 いささか予算編成に当たっての物の考え方から申しますならば、言ってみれば補助金行政から融資行政への転換でございますとか、あるいは基盤整備問題につきまして国費ベースでこそ減っておりますが、事業費で伸びを確保いたしますとか、あるいは新しいバイオテクノロジーに関与するところの機構とか予算とか、そういうものについては飛躍的な伸び率を示すとか、それの裏腹といたしまして食管会計等の中に節減合理化を果たしていったとか、そういうことから、今羽田農林水産大臣がお述べになりました基本的な農政の方針に我々は我々の立場から対応をしていこう、こういうことに尽きるのではなかろうかと思います。
#147
○水谷委員 大蔵大臣、一つだけ確認をしておきたいのでございますが、前の委員会で二見委員の質問に対しまして大蔵大臣が御答弁の中でこう言われております。これは食管におけるコスト逆ざやに対する御答弁でございますが、「私から簡単に。」ということで前置きされて「コスト逆ざや、これはまだ二〇%残っております。したがって財政制度審議会などでも、一層これが圧縮に努めること、こういう答申をいただいておりますが、食管制度への影響等々、これは最終的には農林水産大臣の権限にある米価決定等でございますけれども、種々相談をしてまいりたいというふうに思っております。」という答弁がございました。
 今日まで農政の価格政策の中で食管の逆ざや解消という議論があり、それがもうほとんど現在の売買逆ざやは全くゼロ。さあ、さらにこれを切り込むとすればコスト逆ざやかな、こういう懸念はあらゆる関係者にあります。そういうときにこういう御発言をされますと、いよいよ来たぞ、今度はコスト逆ざやにメスが入るぞ、こういうふうに大勢の方々が受け取られる。私は、コスト逆ざやに手をつけるのだったらもう食管制度はないに等しい、こういう考え方を持っております。
 この前段で羽田農水大臣がおっしゃっておるのは、いろいろな経費の節減とか流通の中で節約、こういうお話をされておる、これは当然のことであります。これは当然であるが、大蔵大臣の御答弁は、これは非常に重大な御発言であると私は思います。コスト逆ざやに手をつける即イコール食管廃止、こういう議論にまでまいりますよ。この辺の真意はどこにございますか。
#148
○竹下国務大臣 これは私が予算編成に際しまして、バイブルではございませんけれども、まず答申あるいは報告を賜るのは、財政制度審議会というものからのいわば報告をもとにして毎年毎年の予算編成を行っていくわけでありますが、確かに臨調、それから財政審等々に、この売買逆ざやもとよりのことコスト逆ざやに対しても、その中身といたしましては、先ほど引用されました農林大臣の流通経費の圧縮とかいろいろな形で結果としてコスト逆ざやというものが縮まっていくような努力はすべきであるという、このいわば報告とか答申とかをちょうだいいたしておるわけでございますから、従来いわゆる順ざやであった時代もございます、それは古く申しますならば。そして、結果としてコスト逆ざやが縮まっていくということに対して、食管制度自体が直ちにそれによって崩壊につながるというふうには私自身は理解をしていない、大蔵大臣の立場といたしまして財政制度審議会等の報告に基づいてのお答えを、その前段の農林水産大臣のお答えに余り逆らわない形で言葉を選んで申し上げた、こういうことであります。
#149
○水谷委員 ということは、コスト逆ざやに手をつけないとは言っていない、こういうことですか。
#150
○竹下国務大臣 この流通経費、金利、倉敷等々あるいはいわゆる行政経費等々、そうしたものが圧縮されることによって結果としてコスト逆ざやにもつながってくるものではなかろうか、こういうことであります。
#151
○水谷委員 消費者、生産者にその切り込みの先がいくということはない、こちら側の経費節減の部分である、こういうことですか。――いや大臣、大臣の御答弁は、もう僕はお気持ちは大体わかっているのです。大蔵大臣、お金を持っておられる、この予算編成の大事なお立場におられる方から農水省にそのメスが来ますと、これは大臣断れないんですよ。だから一番大事なのはこちらなんです。大蔵大臣。
#152
○竹下国務大臣 だから、いわゆる食糧管理費について将来コスト逆ざやにまで踏み込んでやっていく気があるかないかということに対してのお答えをしておったわけでありますが、従来から、食糧管理費全体としてとらまえて、売買逆ざやの縮小等によって節減合理化に努めております。ただし、食糧管理費は六十一年度においても五千九百六十二億円と依然として多額のものに上っておること、財政をめぐる事情は極めて厳しいこと等を踏まえれば、引き続き節減合理化を推進していくことが必要である。
 それで、先日もお答えいたしましたのは、いわゆるコスト逆ざやという面からとらえれば現在でも二〇%に上っており、臨調答申や財政制度審議会の報告においてその縮小を図る必要がある旨指摘されておる。したがって、財政当局としては、こうした指摘の趣旨を踏まえてやはり結果として出るコスト逆ざやの縮小をも図っていく必要があると考えておりますが、その具体的な取り扱いは、財政事情それから食管制度運営への影響等を踏まえて主管庁である農林水産省と相談して検討していくべき課題であるというふうに、私の場合は臨調答申なり財政審の報告を背景にして、言葉を選びながら、羽田農林水産大臣のおっしゃっておることと余りちぐはぐ、政府部内不統一というようなそしりを受けないように、言葉を選んで申し上げておるということであります。
#153
○水谷委員 たびたび恐縮でございました。大臣。
#154
○羽田国務大臣 今先生の御指摘のありましたのは、この間の大蔵大臣の答弁と私とそんなに大きく変わっているものじゃない。ただ、私なんかが答弁したことについても、ある程度は、解消コスト逆ざやに強腰なんて、こういうことまで報道されるんですよね。
 なかなか難しいのは、私がこの前申し上げましたのは、先ほど先生から御指摘がありましたようにいわゆる管理経費というもので、ばら流通の問題あるいはばら検査の問題ですとか、あるいは輸送もできるだけ安価なものを選択していくとか、そういう中でコストの中でそういうものを縮小することができ得れば、そういうものはやはりやらなければいけないなということで、これを例えば消費者米価を、すぐに簡単に何かというとそっちの方でいいだろうというような議論がよく世の中でされますけれども、そういうものではないということを実は申し上げたわけであります。
 ですから、あくまでも事務的なあるいは管理的な経費の中で何とか縮小できるものがあるのだったら、これからも努力する必要はあるであろう。あるいは人数なんかの面でも今縮減計画がございますから、こういった中で多少縮小していくということはあり得るということでございまして、それ以上のものではないということであります。
#155
○水谷委員 ありがとうございました。以上で終わります。
#156
○林(義)委員長代理 この際、二見伸明君より関連質疑の申し出があります。水谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。二見仲明君。
#157
○二見委員 最初に、通告した質問に先立ちまして、フィリピンの問題について外務大臣に三点にまとめてお尋ねをしたいと思います。
 マルコス大統領はフィリピン全土に非常事態の宣言をしました。一方アメリカは、改革派に武力行使をすれば軍事援助を即時停止するとの意向を明らかにいたしました。日本の平和と安全にとって、フィリピンを含む西太平洋の安定は大変重要な意義を持っております。こうしたことを踏まえて、外務大臣、三点にまとめてお尋ねいたしますので、御回答いただきたいと思います。
 一つは、明二十五日に大統領就任式を行うことが明らかにされているわけでありますけれども、今のような状況の中で果たして日本政府として代表を派遣することができるのかどうか、このことをまずお尋ねをしたいと思います。
 それから第二点は、アメリカはマルコス政権に対して大変厳しい態度、意向を表明しております。日本とアメリカとではフィリピンに対するかかわり合い方も違いますから、なかなか歯切れがいい御答弁ができない気持ちは私はわからないわけではない。しかし、あの軍隊を何万というフィリピンの民衆が取り巻いているこの写真を見たときに、果たしてマルコス政権に対して今までのような態度でいいのだろうか。内政干渉すべきではないということはわかる。私は、経済援助すべきではないなんて言ってない。フィリピンの国民生活を安定させるために経済援助は絶対必要だと思っている。しかし、あのマルコス政権に対しては、日本政府は厳しい態度をとってもいいんじゃないか、私はそういう印象を持っておりますが、その点についての外務大臣の御見解もお尋ねをしたい。
 それから、フィリピンの今の状態とはちょっとかけ離れる、観点が全く違ってくるんだけれども、私は、フィリピンが第二のベトナム化するということは日本にとって決して好ましいとは思っておりません。第二のベトナムになるかどうかということの可能性については、私はそれほど高くはないのではないかと思っておりますけれども、そういう事態になることは好ましくない。
 そこで、安保とのかかわり合いでフィリピンをどう認識するかということなんですが、いわゆる極東の区域ということについて今まで政府が一貫してとられてきた態度は、「フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域」であって、韓国及び台湾地域も含むというのが極東の区域だったわけであります。そうすると、フィリピン以北というのだから、私は、フィリピンがあって、その北であって、フィリピンは極東の区域には入らないという理解を今まで示していたわけであります。そして私は、当然フィリピンは極東の区域内に入れるべきではないという考えを持っているわけでありますけれども、外務大臣としてはいかがでございましょうか。このことについての議論は差し控えてきょうはやりませんけれども、極東の区域の中に入るということになると、安保六条との関連も出てくるわけであります。
 この三点について、冒頭に外務大臣の御見解を承りたいと思います。
#158
○安倍国務大臣 まずフィリピンの情勢、時々刻刻変化を続けておりますが、政府としては大変憂慮いたしております。
 そこで、二十五日、あすは大統領の就任式が行われるということですけれども、フィリピン政府も、フィリピンの外交団は呼ばないということを言っておりますし、我が国としてもこの就任式には代表を参加させる考えは持っておりません。
 それから、マルコス政権についてどうかという、経済面を含めてのお話でございますが、今ああいうふうな混乱状態で、これからどうなるか見通しもつかないような事態になっておるわけでございまして、我々としては、けさもマルコス大統領に直接に、在フィリピン大使から、武力衝突を避けるように自制を強く促したわけでございます。何としてもこの段階においては流血を避けて平和的に解決をしていくことでなければならない、そのために日本はこれまでも努力を続けてきましたし、これからも両陣営に対して強く訴え続けてまいりたい、特にマルコス政府に対して強く要請をしてまいらなきゃならぬ、こういうふうに思っております。
 こうした混乱の状況の中で、今すぐ援助を実行できるという段階にはもちろんないわけでありますが、しかし、基本的には我々は、フィリピンに対しては、これはフィリピンの政権を援助するということじゃなくて、非常に今苦しい状況、特にこんな混乱になれば、ますますフィリピンの経済は非常な深刻な事態になると思います。それだけに、やはりフィリピンと日本の関係から見まして、フィリピンの国民の安全と福祉のためにこれから援助は続けていかなきゃならぬ、その基本的な方針は変わりません。どういう対応をするかというのは今後を見ないとわからないわけで、今後を見ながら決めていかなきゃならぬ、こういうふうに思います。
 それから、フィリピンは、御承知のようにやはりASEANの一国でありますし、東南アジアにおける安全保障の面においても、いわば一つのかなめの地位にある、位置にあるというふうに我々は考えております。
 安保条約に言うところの極東の範囲の問題ですが、これは昭和三十五年二月二十六日に衆議院安保条約特別委員会に提出された政府統一見解にあるとおり、日米両国が国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有する地域であるということで、こうした区域は、大体においては「フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域」であることは従来よりずっと説明をしてきております。この統一見解における「フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域」にはフィリピンが含まれておるわけでありまして、安保条約に言うところの極東にはフィリピンが含まれるというふうに我々は解釈をいたしております。
 いずれにしましても、この一々の島につきまして極東の内か外かということを具体的に論ずるということは適当でないことは、政府が一貫して述べておるところでありますが、強いて言えば、一般的にはフィリピンは全体として極東の範囲内である、しかし、これは地理的にはっきり極東の範囲ということで決めておるというわけではありませんで、両国が共通の関心を持っている地域として、強いて言えばフィリピン以北、そしてその中にはフィリピンは含まれておる、こういうふうに解釈をいたしておるわけです。
#159
○二見委員 フィリピンが極東の範囲に入るという外務大臣の御答弁でございましたけれども、この点については後に、二十六日には防衛、外交の集中審議も予定されておりますし、その後締めくくり総括等もございますので、改めてその場面でもってこの議論はさせていただきたいと思います。
 質問を通告いたしました点についてお尋ねをいたします。
 最初に羽田農林大臣、新聞報道によりますと、鹿児島県が志布志湾に造成した臨海工業団地への米国穀物商社カーギル社の日本法人、カーギル・ノースエイジア社の配合飼料工場進出が大変難航しているようであります。この問題は、我が国の閉鎖性、日本アンフェア論のシンボルにもなりかねない状況にあるというふうに聞いておりますけれども、現状はどうなっているのか、御説明いただきたいと思います。
#160
○羽田国務大臣 鹿児島県が昨年六月、志布志港湾内に造成いたしました工業用地の分譲の公募をいたしました。そこに、今御指摘のございましたカーギル社の子会社でございますカーギル・ノースエイジア社を含む七社が、実は配合飼料工場の新設を希望しております。これに対しまして鹿児島県は、昨年の八月、カーギル・ノースエイジア社ほか一社を保留としまして、残り五社を用地分譲の第一次内定企業として公表をいたしております。
 その後、県は、カーギル・ノースエイジア社への用地分譲について、地元情勢、今、県会ですとかあるいは農業団体の中でも実はこの進出に対して危惧をする向きもございます、そういうことで、今日、実は現在、またそれを明確にしておらないということでございます。
#161
○二見委員 公募しながら保留にするという態度は非常にわかりにくい、客観的に言って大変遺憾な態度だと私は思います。
 外務大臣と大蔵大臣にお尋ねをしたいのでありますが、時間がありませんので、簡単にお願いいたしますが、我が国は外国からの投資を歓迎する方針をとってきております。また、家畜のえさだけをつくる飼料製造業は、昭和五十年四月から一〇〇%の資本自由化業種にもなっております。日本に工場進出する上で外国系企業を差別する法律、制度上の制約、障害は何もありません。
 日本の企業は、農協関係企業も含めてアメリカで自由に活動しております。例えば、全農はミシシッピーの周辺に貯蔵倉庫か何か、貯蔵施設を持っておりますけれども、その全農が進出した結果どういうことになっているかというと、全農の進出した周辺に十一から十二のサイロがあったけれども、一つが廃業、一つが休業、他も操業率は低下しております。これは、全農が進出したからというそれだけの理由ではないにしろ、向こうはそれなりの、やはり日本に自由な商社活動を認めた結果そういう影響も出ている。にもかかわらずカーギル・ノースエイジア社を保留扱いとしていることは、私は大変理解に苦しんでおります。
 アメリカの通商代表部は、三月一日に東京で開く日米貿易委員会でカーギルの工場進出問題を議題にするとの通告をしてきたそうでございますけれども、これは、対応を誤りますと、新たな通商摩擦の火種になるばかりではなくて、アンフェアな日本として世界の非難も浴びかねない、そういう様相になるというふうに考えておりますが、この点については、外務大臣と大蔵大臣の御認識をお聞かせいただきたいと思います。
#162
○安倍国務大臣 本件工業団地内の用地の分譲につきましては、公募されたにもかかわらず、いわゆるカーギル社が合理的な理由がなく保留されているのではないかとの懸念が米国においてあると承知しております。
 政府としましては、調和ある対外経済関係の形成等の観点から、投資交流を促進することを基本方針としておりまして、我が国に対する諸外国の直接投資も歓迎すべきものであります。
 また、我が国は、OECDの資本移動の自由化に関する規約上の対内直接投資の自由化義務に対し、極めて限られた業種についてのみ保留、留保を付しておりまして、飼料製造業のような通常の業種の投資につきまして制限することは、この関係でも問題が生じると思います。
 現下の日米経済関係は非常に厳しい状況にあります。種々難しい問題はあるとは思いますけれども、本件の処理をめぐって新たな摩擦が生じることのないように、関係者の良識ある対応によりまして早急に円満な解決に至ることを期待をいたしておるわけであります。
#163
○竹下国務大臣 見解は、外務大臣からお答えしたとおりであります。
 今御指摘がありましたとおり。海外からの直接投資を歓迎するという基本的立場に立って、昭和五十五年、いわゆる外為法を改正して、原則自由、こういうことになっております。本件について外為法上の問題はございません。所要の手続は既に完了しております。
 私の分野でもう一つありますのは、今度は飼料工場において使用する原料品についての免税適用、これは税関長の承認でございます。で、この場合は、他の申請者と同じように、工場が建築された後に恐らく承認工場の申請が出てくるわけですから、その際は特に問題はないと考えております。
#164
○二見委員 羽田農林大臣にお尋ねしたいのでありますけれども、日米間には農産物問題をめぐって、当面、農産品十三品目を初め種々の問題があるわけであります。このカーギル社の問題の処置を誤りますと、日本が本当に守らなければならない農業の分野、また当然守れる分野にまで影響してくるんじゃないか。私のところも畜産はあります。農業県であります。したがって、農産物の自由化には非常に過敏であります。しかし、この処置を誤ると、私たちは日本の農業をつぶすような措置だけは絶対してはいけないけれども、この処置を誤ると、結果として日本の農業それ自体にまで影響してくるんじゃないか、そうした危惧をたくさん私は持っているわけであります。
 飼料需給調整を鹿児島県側は保留の理由にしているようでございますけれども、南九州地域の飼料需給をどう判断するか、これは県ではなくて、まさに農林水産省の問題だと私は思うのです。私のところにも畜産農家がたくさんいるから申し上げたいんだけれども、配合飼料の原料の多くを海外に依存している日本としては、農業資材としての飼料の競争上の刺激というのは、需給混乱のような事態を招かない限り、むしろ苦境にある畜産農家の生産費を軽減するというプラスの面もあると私は思います。私は農林大臣に、仮に用地問題が解決して具体性のある計画が上がってきた場合に、農林水産省は当然内外無差別、資本自由化という我が国政府の基本方針に沿ってこの問題に対処するものと考えておりますけれども、この点についての農林水産省の見解をお伺いをして、ちょうど時間となりますので、質疑は終わりたいと思います。
#165
○羽田国務大臣 ただいま二見委員の方から御指摘がございましたように、これの需給問題についての判断というのは、まさに私どもに課せられた任務であろうというふうに思っております。また、今御指摘のとおり、当然内外無差別、資本自由化というもの、これについても私どもも承知しております。そしてこのカーギルは、まさに日本の実は、何というのですか、日本法人であるということもございます。そういうことで私どもは、カーギルのあれにつきまして、単に外国のあれであるからということではなくて、これは実は現場の方におきましては、畜産に進出するんじゃないかとか、あるいは価格なんかに相当な、安価で乱売をするんじゃないかというような危惧もあるようでございます。ただ、これに対してカーギル社の方では、我々の方としては畜産には進出しないということも何か言っておるということを私どもも聞かされております。
 そういうことを踏まえて、いずれにしましても今七社要求が出て、そのうち五社があれされておる。そしてこれをどうするかという、これを造成した県当局が判断をするということになりますと、その中で南九州全体の飼料需給は一体どうかるのか、それによって畜産はどうなっていくのかということを私どもはきちんと判断しながら対応をしていかなければいけないというふうに考えておるところであります。
#166
○二見委員 以上で終わります。
#167
○林(義)委員長代理 これにて水谷君、二見君の質疑は終了いたしました。
 次に、渡辺朗君。
#168
○渡辺(朗)委員 ただいまもお話が出ております、フィリピンの情勢についてでございます。本当に刻々情勢が変わっていっていると思います。たった十五分前に外務大臣お話をされましたけれども、十五分間たってあるいは新しい事態が起こっておるかもわかりません。それだけに、今の時点のホットなニュースがありましたら教えていただきたい、事態はどうなっておりますでしょうか。
#169
○安倍国務大臣 時々刻々と変化しておりますけれども、今までのところでは、全面的といいますか、軍事衝突はないといいますか、これは控えておるように見えます。しかし、国営放送は、テレビ放送局はいわゆる反乱の部隊に占拠されてしまったとか、あるいはまた、ところどころで銃撃等の音も聞こえるというふうなことでございまして、大変心配する状況にありますし、マルコス大統領は非常事態宣言を発しまして、これは戒厳令にも至る前提ともなるわけでしょうが、大変厳しいものになるわけでございます。これに対しまして、いわゆるラモス、エンリレ国防相側は、アキノ大統領候補を首班とする臨時政府の樹立を発表しておりますので、今和解の方向へ進んでいるという状況ではなくして、むしろ非常に厳しい、場合によっては今後武力衝突が起こってくるんじゃないかという心配の方が出ているわけでございまして、何とかこの軍事衝突は避けるべきであるという日本あるいはアメリカ側の強い要請が今後どういうふうにこの事態の中で動きとして出てくるか。いずれにしても、非常に緊迫した事態になっておるわけであります。今、それ以上のことを言える段階にありません。
 日本としましても、梁井外務審議官を派遣して、そして角谷大使は連日連夜、昼夜不休で動いておりますが、これと協力して事に当たるという態勢をとったわけでございますが、今のまた連絡では、その梁井外審も、フィリピンの飛行場が閉鎖されておるということで、なかなか行けるかどうかもわからないという状況も生まれておるわけでございますが、いずれにしも、とにかく東京は立って、そして香港ででも待機をして、直ちに行けるようなそういう態勢に持っていきたい、こういうように思っております。
#170
○渡辺(朗)委員 外務大臣に後でいろいろとお尋ねを関連してしたいと思います。特に、アメリカの対応の仕方の問題が一つあります。それから、現地の情勢でもいろいろ情報が飛び交っておりまして、私どもも混乱しております。特に非常事態宣言が全土に発せられまして、ある新聞は、まだ市民が宮殿を包囲というような報道であります。こちらの方の新聞では、政府軍は武力鎮圧を開始というふうなものでございます。いろいろ情報がありますので、ぜひこの後もう少し最近の的確な事実関係をお知らせいただければありがたいと思います。
 関連いたしまして、内閣官房長官にお尋ねをしたいと思います。官房長官、お時間の関係もあるということを聞きましたので、先にお伺いをいたします。
 今のようなフィリピンの情勢であります。これは、まことに非常事態という言葉に当たると思います。官房長官、御所見いかがでございます。
#171
○後藤田国務大臣 この問題につきましては、ただいま外務大臣がお答えいたしましたように、いろいろな情報が乱れ飛んでおる、また状況も時々刻々変わっておりまするので、日本政府としては現地の情報をできるだけ詳細にとって、そして政府としての対応も考えていかなきゃならない。その際には、やはり日本、アメリカ政府との緊密な連絡が私は肝心だろうと思いますが、同時に、東南アジア各国とのこういう情報の交換、お互いの意見の交換、これらも必要であろうと思いますが、これらについては外務省は既に省内にタスクフォースをつくりまして対応を講じておるように私は承知をいたしております。
 いずれにいたしましても、肝心なことは、これはやはりフィリピンの国内問題、したがってまたフィリピンの国民の意思がどこにあるかということによって最終解決すべき課題であると思いますけれども、日本は御案内のように、フィリピンとの間には極めて近い、しかも友好関係があるわけでございますから、この事態が何としてでも武力衝突にならないようにということを我々としては念願し、それがために協力すべき点があるならば十分協力していくべき筋合いのものであろう。しかし、いずれにいたしましても、だんだん情勢が緊迫化いたしておりまするので、これから先どうなるかということは今にわかに予断しがたい。いずれにしましても、状況を十分できる限り把握をいたしたい、かように考えております。
#172
○渡辺(朗)委員 と同時に、これは外務大臣にもお願いを後ほど具体的にしたいと思っておりますが、内閣官房長官、これは、在留邦人の保護、安全という問題は大変大きな問題でございます。それだけに、全力を尽くして情報をキャッチしていただきたいし、的確な対応をとってやっていただきたいということを要望さしていただきたいと思います。
 さて、官房長官にのっけからこういうお話を申し上げて恐縮でありますが、私、前に官房長官の執務室に行ったことがあります。これは、申し入れ事項か何かで行ったのです。そうしましたら、あなたの後ろには大きな額がかかっておりまして「見離必殺」と書いてありました。敵を見たら必ず殺せ。今の時期にこれをどのようにでも解釈できると思いますので、余り生臭い方向ではなくて、私、高い次元の方にちょっと向けさしていただきたいと思います。つまり、あなたの信念としては、正しいことであり、日本の国民のために、国のためにいいことであるならば果断に行うという座右の銘にしておられるんではなかろうかと判断をいたしました。
 そういう立場からあなたの所信をお伺いいたしますが、これは台湾人元日本兵の補償の問題でございます。御存じのように、もう十年間、我々議員が集まりまして、超党派で一生懸命やっております。戦後四十年、この問題は放置のままで来ているのですね。日本の国のために、そして道義的なことであるならば、ここら辺で果断に官房長官、ひとつ実行していただきたいと思います。所信のほど、いかがでございます。
#173
○後藤田国務大臣 私は余り座右の銘というのは好きでないんです。私が一番常日ごろ考えていることは、調和ということでございます。この点、お間違いのないようにひとつ御理解をしておいていただきたい。
 ところで、御質問でございますが、この台湾人元日本兵の問題というのは、これは私はまだ今日解決してない、できてない、しかし台湾人の元日本兵で亡くなった方のお立場、それらを考えますと、政府としてはこれはやはり私は解決をすべき大きな課題である、こういう基本的な認識を持っておるわけでございます。そういったことで、この問題は、御案内のように古くて新しい問題でございますが、政府としましては、この重要性にかんがみて各省庁の検討委員会等を設けながら十分勉強をしておることは、これはあるいは御案内のことであろう、かように思うわけですが、何しろこの問題は今最高裁に訴訟が出まして、この判決を見ないとなかなか政府としても最終的な判断をしにくい、こういう面が一つあるわけでございます。
 同時に、この問題は、日台間の全般的な請求権問題、これが未解決であるということ、それから他の分離地域等との公平及び波及の問題があるということ、いま一つは事実関係の認定等実行するとした場合の実務上の問題点をどう考えていくのか、あるいは日本国内の他の戦後処理問題への波及はどうなるか、こういったようななかなか一義的に対応のとりにくい課題でもあるわけでございますので、そういった点はひとつぜひ御理解をしていただきたい、こう思うわけでございますが、いずれにしましても、政府としてはこの問題をいつまでも放置をするというわけにはいかない重要な課題である、こういう認識でございまするので、改めてその点を申し上げまして御理解をちょうだいをいたしたい、かように思うわけでございます。
#174
○渡辺(朗)委員 官房長官、実を言いますと、これは同僚議員あるいは他の党の方もそうでありますけれども、国会のたびにこれはお訴えを続けてまいりました。その都度官房長官から、あるいは時の責任者から、同じような返事をいただいてまいっております。問題は、それを私は今言っているのです。あなたの代においてこれを解決していただきたいということをお訴えをさしていただいております。御存じのように、今のような問題点というのはもう既に前々から指摘されておりました。したがって、議員の方々も超党派でこの問題に取り組んで、何とかして解決していこうじゃないかということで、個々の問題については、今の例えば分離国家の問題あるいはまた他の問題に波及しやしないだろうか、いろいろなことが配慮されますけれども、これらは一々、逐一取り上げてやってまいりました。その結果が今、御存じでしょう、もう言うまでもないと思いましたけれども、官房長官、同じような紋切り型の御返事でございましたので、もう一遍私耳にとめておいていただきたいと思いますから申し上げます。
 戦時中の日本兵、軍属として従軍した二十一万余名の台湾人のうち、戦死者は三万一千名余であります。その遮族に対する補償というものは一文も払われておりません。その間、もう四十年たつと、親の方々、残っている方は一一%だと言われております。妻の方々がまだ健在であるというのは、一五%だというふうになったというふうに聞いております。
    〔林(義)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕
これはほっておいたら、そんなことを言っちゃいかぬけれども、亡くなってゼロになってしまうのを待っているかのごとき態度と受け取られかねないと私は思います。
 日本の政府は、今までも、国籍を失った者は恩給対象とならない、あるいはまた、大蔵大臣、聞いておいてくださいね、予算がないというようなことも理由であります。国交がない、どうやって判定するのかわからない。問題点があったら、これを出していただきたい。そうしたら、これを超党派でやっていこうじゃありませんか。そして、国としてやはり恥ずかしいようなことを放置したままで四十年たっているのは、官房長官、ここら辺でピリオドを打とうではございませんか。ことしはちょっぴりだけ何か検討費がついたようでありますけれども、そんなことで問題が処理されているのではない。ここでやはり官房長智、解決するという不退転の果断なる決断をしていただきたい。もう一遍それをお聞きいたしまして、お忙しいようですから解放して差し上げようと思います。
#175
○後藤田国務大臣 この問題の解決に向けての基本的な認識は、あなたと私は開きはございません。そういう考え方のもとに私なりに最大限の努力をいたしたい、こう考えておりますが、今お話しの各党の議員協議会等の御意見も承知をいたしております。その御意見を踏まえられまして、六十一年度の予算編成の際に自民党の政調会長からも御発言があり、その御発言については大蔵大臣及び官房長官もこれを了承いたしておるわけでございます。したがいまして、できる限り政府としては誠意を持って取り組んでいきたい。
 ただ、お話しのように、四十数年ほってあるではないか、おっしゃるとおりなんです。しかし、事ほどさように問題は難しいんだということもひとつぜひ御理解をしておいていただきたい、かように思います。
#176
○渡辺(朗)委員 お時間の点もございますから解放しますけれども、これはやはり、そういうような今までと同じ、難しいんだ、難しいんだではない、どこが難しいんだ、どこに問題があるから一緒になって解決しようという問題を出していただきたい。これは、この次の機会にぜひぜひその点をお願いいたしたいと思います。
 それから大蔵大臣、これはぜひ協力をして前進させていただきたいと思います。よろしゅうございますか。
#177
○竹下国務大臣 昨年の十二月二十七日でございます、先ほど後藤田官房長官からお答えがありましたような台湾人元日本兵問題についてというので、官房長宵が記者会見の場でその内容を口頭で公表をいたしました。それに、今渡辺先生おっしゃっております、別途与野党関係議員が本問題を検討する場を設けるとか、かなり具体的な問題が書かれてありますことは御承知のとおりであります。この線に沿って努力をいたします。
#178
○渡辺(朗)委員 努力をすると大蔵大臣にも言っていただきましたので、これは一歩前進したと私は思っておりますから、せっかくの御努力をお願いをいたします。
 さて、防衛庁長官もいらっしゃいますので、私ちょっと確認をしておきたいと思います。外務大臣にもお聞きしたいと思うのですが、フィリピンが非常事態ということになってまいりました。あそこにはスビック、クラーク基地という、アジア・太平洋における大変大きな重要な基地があります。この非常事態が宣言されるという状態によって安保条約運営上どのような影響が予想されますか、出てまいりますか。防衛庁長官、御所見をいただきたいと思います。先に防衛庁長官からお願いをしたいと思います。
#179
○加藤国務大臣 アメリカとフィリピンとの関係等、いろいろ国際関係全般にわたる大きな影響があると思いますが、我が国の防衛を担当する防衛庁といたしましては、私たちのいわゆるシーレーン防衛というのは、一千海里の航路帯を設ける場合にはその範囲で考えていくわけですけれども、その中で、フィリピンはそれより南に位置するわけでございます。そして、そういう私たちが手の届かないところは米軍による支援を受けるということになるわけでございますが、その米軍の基地があるフィリピンでもございますので、私たちは非常に大きな関心を持って考えております。
 それだけにいたします。
#180
○渡辺(朗)委員 外務大臣、これはみんな関心を持っているのです。だけれども、外務大臣、これは安保条約の運営上からどのようにお考えでございますか。
#181
○安倍国務大臣 フィリピンはASEANの一国でありますし、日本との間の友好関係も非常に深いわけでございますから、フィリピンの平和と安全につきましては、日本として非常な関心を持って注目しております。
 ただ、非常事態は起こりましたけれども、これがどのようになっていくのか、収拾されていくのか、この辺のところを見ないと我々としても判断できないわけでありますが、いずれにしましても、極東の平和と安全という立場から注目し、そして関心を持たざるを得ないわけで、日本としては一日も早くこの混乱が鎮静化し、解決されることを心から期待をいたしておるわけです。そのために努力はしなければならぬ、こういうふうに考えております。
#182
○渡辺(朗)委員 防衛庁長官にもう一度お尋ねをいたします。
 フィリピンの基地というのは、あなたの認識では大変バイタルなものとして、日本の安全保障上バイタルなもの、重要なものというふうに位置づけておられますか、それとも違う位置づけでしょうか。ちょっと確認をさせていただきたい。
#183
○加藤国務大臣 直接ではなく、我が国の安全保障につき非常に重要な関係を有します米軍の基地があるという意味で、私たちは非常に関心を持っておるわけでございます。
#184
○渡辺(朗)委員 きょうはその点、時間の点もありますので確認だけさせていただいて、この次にゆっくりといろいろ論議をさせていただきたいというふうに思っております。
 ともあれ、アジアにおける最大の基地であるスビックそしてクラークが今置かれている国が非常事態宣言のもとに置かれているということは、これからの我が国及びアジア地域において安全保障上まことに重要だ、大事なことだ、重大でもあるというふうに認識しております。
 以上のような観点から、幾つかまた問題点を展開させていただきたいと思います。
 一つは、外務大臣、アメリカとこの問題につきまして、直接に国務長官なりあるいはホワイトハウスの方とお話し合いをされたでしょうか。といいますのは、これは新聞その他あるいはテレビで見ておりますと、ホワイトハウスが声明を発表したといいます。それからまた、その中でマルコスの選挙は不正であったということを指摘しているといいます。それからまた、退陣せよとはまだ言っていない、話し合いをせよ、あるいはまた平和的解決というようなものを期待しているような中身であるというようにも報道されております。アメリカの今言っている真意がどこなのか、何なのか、ここら辺は、御存じでありましたら教えていただきたい。
#185
○安倍国務大臣 アメリカ政府との間では、フィリピンの問題についての緊密な連絡はとっております。ハビブ特使と日本の大使との会談も行われましたし、また松永駐米大使とホワイトハウスその他国務省の幹部との間で時々刻々意見の交換をいたしております。また、シグール補佐官も今日本にお見えになっておりますが、総理との間で会談も行われましたし、また私も時間が許せば会う予定にいたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、日本、アメリカ、緊密な連絡をとって、フィリピンの事態の解決のためにお互いに努力をしていかなければならない、こういう考えでございます。アメリカ政府もそういう考えてあります。
 なお、アメリカ政府のフィリピンの大統領選挙、さらにその後の状況につきましての見解は、その場その場で報道されておるわけでございますが、全体的、総合的に見ますと、レーガン大統領としては、マルコス大統領の辞任を求めておるということではないということははっきり言っております。しかし、フィリピンの選挙において大きな不正があった、最近のエンリレ国防相等のああした行動あるいは発言から見ると与党側に主として大きな不正があったということまで言っておるわけでございまして、そういう意味では、アメリカ政府としては、相当踏み込んだ形でその見解を明らかにしておる、こういうふうに判断しておりますが、同時に、アメリカとしても、この事態を流血の惨事に至らないように、話し合いで解決しなければならぬという基本的な考え方のもとにいろいろと努力を重ねておることは、これはもうそのとおりであろうと思います。
#186
○渡辺(朗)委員 今、話し合いで解決することを求めているであろう、これは先般来外務大臣、ずっと続けてそれを言っておられます。しかし、実際にどうなんですか。アメリカの意向というのは、マルコスの退陣は求めてはいない、と同時に今回、国防相その他がフィリピンにおいて反旗を翻したわけでありますけれども、これを支持しているのでしょうか、どうでしょうか。
#187
○安倍国務大臣 その辺のところは、まだ明確に私から申し上げられる段階ではないと思いますが、エンリレ国防相やその他がとった措置、行動に対しては、ある程度の理解というものは示しておるというふうな感じは持っておるわけでありますが、いずれにしても最終的には、とにかく流血の惨事に至らないことをアメリカとして、基本路線として進めておるということであろうと思います。
#188
○渡辺(朗)委員 大変歯切れが悪いといいますか、よくわからないお言葉でありますが、同時に、苦衷のほども察します。
 外務大臣、どのようにお考えですか。もうこの事態においては、流血の惨事は避けねばならぬ。しかしながら、大きな不正があった。しかも、ホワイトハウスの声明の中には、国民の支持を受けるような政権というものができなければならぬというところに重点を置いた声明だと解釈しております。そうしますと、何か回り回って大変えんきょくに言っているけれども、早く退陣しなさいというふうに解釈していいんじゃないでしょうか。日本国民の方は、これで一体何を今アメリカは求め、日本の政府は考えているのかというところを、大変重大な関心を持って見守っていると思います。大臣、そこら辺はいかがでございます。
#189
○安倍国務大臣 アメリカは強い姿勢で、例えば、アメリカが軍事援助した、その武器が国民に向けられるということは、アメリカ政府として了承することはできないということも言っておるわけでございまして、アメリカはいろいろな発言の中で、アメリカ政府としての考え方を相当はっきり出しておると私は思うわけであります。しかし、アメリカ自身の、大統領等の発言を見ますと、最終的には、やはりフィリピンの政権は国民の支持によって生まれなければならぬということであろうと思いますし、私もそういうふうに考えておるわけでございますが、今ここでアメリカ政府がそれ以上どういうことを考えておるかということについて、私の立場ではっきり申し上げる段階ではないわけでございます。
 日本としましては、これは先ほどからずっと申し上げておるとおり、あくまでも流血の惨事を避けることを強く訴えておりますし、けさ方からもマルコス大統領に直接、角谷大使が電話をいたしまして要請をいたしておるというのが、今日までの実情であります。
#190
○渡辺(朗)委員 確かに、大変難しい情勢でもあり、またお立場でもあると思いますから、きちっとした発言はできないと思いますが、解決策というものは、これはどのような方向であるならば日本としても、あるいは同じく日米安保条約ということで結ばれている日本と共通の理解に立った決断ができるのか、結論が出てくるのか、ここら辺のところは、これは大臣の心中にあるに違いないと思いますけれども、これは今聞くのは酷だと思いますから、やめておきます。
 ですが、今までのように全部、流血の惨事だけは避けてくれ、避けてくれということだけでは、今対処できないような事態が来ているのではないでしょうかね。特に私は、ちょっともう話題を変えますけれども、在留邦人の安全の問題、保護の問題については、どういう事態を想定して今対策を講じておられますか。これは流血の惨事を、あるいは動乱ということも想定した上でないと、それが起こったときにはどうにもならぬと思います。そこら辺でちょっと教えてください。どういう対策を講じておられます。
#191
○安倍国務大臣 在留邦人の保護、安全こそ、まさに我が国政府といたしましても、あるいはフィリピンにおける日本大使館としても最も大きな課題でありまして、この保護につきましては全力を今尽くしております。
 何といいましても、今フィリピンで三千数百人在留邦人がおると言われておりますし、マニラだけでも二千人以上という日本人が生活をしておられる。さらに、旅行者等は相当膨大な数に上るんじゃないか。一万人というようなことも言われておるわけでございますが、これまで大使館を通じまして我々がとらしておる措置につきましては、まず二十四日には、フィリピンの大使館からマニラの日本人会を通じまして、緊急事態宣言の発出を通報するとともに、できるだけ外出を避けるよう注意を喚起いたしております。この趣旨は、ラジオジャパンを通じましても放送を繰り返しておりますし、在留邦人にも、この国際放送を常に聞くように要請をいたしておるわけでございます。
 さらにまた、特にマラカニアン宮殿周辺の在留の邦人に対しましては、万一の事態に備えまして、避難先としてマニラ・ガーデンホテルを手配している旨を通報いたしております。これは各家庭ごとに、今大使館の館員が手分けをしてそれぞれ連絡を行っておるところでございまして、これからの事態を踏まえながら、さらにこうした在留邦人の保護には全力を尽くしていかなければならぬ。今の在比大使館の人員だけでは不足を来すこともあると思います。そういう際に応援ができるように、今周辺の公館等からも応援に駆けつけるようにいろいろと手配を進めておるところでございますし、本省からも派遣をいたすことも今いたしておるわけであります。
#192
○渡辺(朗)委員 最大限の御努力をしていただきたいと思います。
 関連いたしまして、本年の一月二十日でございました、南イエメンで内戦が突如起こったわけであります。そのときにも、これは私ども大変憂慮したのですが、南イエメンの当時の在留邦人は、たしか三十数名だったと思いますけれども、一名もけがすることなく脱出ができた。しかし、そのときにいろいろ聞かされたのは、これはイギリスの王室のヨットで脱出した、それからまた、通信網が途絶えたので連絡の方法がない、もちろんテレックスなんかは通じるわけはない、そのときにBBCで報道が行われたので大変に助けられた、あるいはまたPLOが、いろいろお助けするようなことがあればなどというようなオファーも行われた。いろいろなところからの好意やそういうもので邦人が無事脱出ができたのですけれども、南イエメンというようなところでは、特にそうだというわけではありませんが、どうも万が一とか緊急事態が起こったときの対策というのは、十分行われていないのではないかという点を憂慮いたします。
 特に今、南イエメンの例を一つ出しましたけれども、あのときは現地にたしか、代理大使の方でございましょうか、が一名おられた。一名公館と言われるところであります。それから、無線はもちろんありません。こういう状態が起こったとき、本当に大混乱になってしまう。フィリピンの場合は、これは日本にも近いし大丈夫だと思うかもわかりませんけれども、実際にはあれは多島国でありまして、小さな島にばらばらに分かれております。それだけに、余計にコミュニケーションがとりにくいのじゃなかろうか、こういうことを考えますと、私は、今から万全の措置を講じていかなければならぬのじゃなかろうかと思います。
 ここで特に南イエメンについて、私は外務大臣にお尋ねしたいのですけれども、無線がない、こういう公館は、日本の場合は幾つ全世界にございますか。幾つぐらいの公館に無線がついているのでしょうか。
#193
○安倍国務大臣 外務省としましても、世界各地で地域紛争等も起こっておりますし、あるいはいろいろと内乱等も起こるわけでありますし、そういう状況等も把握しながら、緊急体制については平生から、少ない陣容ではありますが、全力を挙げて体制を整えております。
 そういう中で、南イエメンにもああした事態が起こりまして、しかし幸いにいたしまして、伊藤臨時代理の、一人でありましたけれども非常な努力もあったし、あるいはまたイギリスの協力、PLOの協力等もありまして、全員無事に邦人の脱出を確保することができまして、我々としてはほっとしたわけでございますが、我が国外務省の陣容あるいは設備等、こうした事態に対処するにはまだまだ十分でないということは、私自身も痛感をいたしておりまして、こうした体制はやはりもっと平生から整えておく必要があるということは痛感をして、これは努力をしていかなければならぬ、こういうふうに思っておりますが、今お話しの無線等について、具体的に世界の公館の中でどれだけ整えられているかどうかといった点については、今領事移住部長が来ておりますから、答弁をさせたいと思います。
#194
○妹尾政府委員 お答えを申し上げます。
 全部で百六十九公館ございまして、そのうち、有事無線網が設置されておりますのが、オーストリア、ポーランド、イラク、ザイール等十の公館でございまして、さらに、来年度予算でチェコスロバキア一館を計上しております。
 以上でございます。
#195
○渡辺(朗)委員 百六十九の公館のうち、無線があるのが十というのは、これは私もちょっと初耳でございましたが、こんなことで本当に今、全世界に年間五百万人も日本人が出ていくという現代の世の中であります。いろいろなところに行っておられる。それで連絡がつくでしょうか。電話網や何かが南イエメンのときは全部ずたずたになってしまったし、もちろん無線もないわけで、本当に連絡が途絶したという状態にみんなが大変困ったわけであります。これはこれからこのままでいいのですか、それとも設置をふやしていくのですか、どういう計画になっておりますか、外務大臣。
#196
○妹尾政府委員 お答えを申し上げます。
 予算上の制約もございますが、私どもといたしましては、在留邦人の保護はますます重要な問題になってきておりますので、全世界的になるべく広い範囲の在外公館を網羅するような無線通信網というものをできるだけ早く充実するように、今後とも努めてまいりたいと思っております。
 なお、補足させていただきますと、本省と在外公館の間の無線連絡、もちろん一番重要なわけでございますが、先ほど来委員も御指摘のとおり、例えばNHKの国際放送を使うとか、BBCもございますが、NHKも大変役に立ったわけでございます。今回のフィリピンの場合は、一昨日以来、既に四回にわたりましてNHKの国際放送を通じまして、二時間置きに現地の邦人に連絡して、非常によく聞こえるという連絡を既に受けておりますが、そういうもの、あるいは可能な範囲で、例えばウォーキートーキーを整備するというようなことも役に立ち得ると思っております。
#197
○渡辺(朗)委員 我が党からも強く要請いたしましたけれども、国際緊急援助隊というものもいよいよ発足することになった。よその国の災害に対しては、応援に行くというような体制もとろう。ところが我が同胞が、在留邦人がいるところには、今のようなお寒い救援体制、コミュニケーションの体制では、国際国家日本というような、胸を張って言うような状態にどうもないのではなかろうか。恐らくこれから予算の問題や何かですぐ言いわけが行われるかもわかりませんけれども、これは積極的に充実させていくことが一つ。それから、一人公館というようなものがあるとするならば、これはやはり人員をふやしていかないと大変でなかろうかなというふうに思います。
 ただ、ここに郵政省がいらっしゃいますのでお尋ねいたしますけれども、あの南イエメンのときに私、たまたまあそこから脱出してこられた方にお聞きいたしました。確かにラジオジャパンというのが放送をしてくれたので大変助かった、情勢が把握できた、どこに逃げたらいいのかということも助けられたと。しかしほかの地域では、ラテンアメリカみたいなところではなかなか聞こえないようでありますが、今どういうふうな地域に電波が行くような形になっておりますでしょうか、まずそこら辺、事実をちょっと教えてください。
#198
○佐藤国務大臣 このたびの南イエメンの邦人救出の際においては、先生御承知のとおりに、ラジオジャパンで、外務省からの要請、さらにNHKからの外務省に対するところの連絡等が十分に来まして、そうしてそれによって放送しましたが、それの中継基地は、アフリカの中部にありますがボン、そこの中継基地がちょうどできておりましたので、そこを通じまして、南イエメンそれから欧州各国に十分伝達できる状況でございましたので、的確なる情報を伝達して、邦人が無事救出されたという結果になりました。
 それから、現在の状況を申し上げますと、現在ラジオジャパンでは、一日延べ四十時間、使用言語は二十一カ国の規模で実施しております。それから、全世界向けの放送、日本語と英語は十七時間、それから地域向けの放送は、十八区域において二十一の言語を使用して二十三時間、合わせて一日四十時間やっているわけでございます。
 そこで今のところ完全にカバーできないのが、先生が言われましたところの南米。パナマを中心にした地域に一カ所中継基地があの付近にあれば、南米がカバーできる。それからあと一カ所、アジアの一地域に中継基地ができれば、中近東のまだカバーできない国々に完全に伝達ができるという、そういうような体制のようでございます。したがって、そういうことができるように、今郵政省の方で外務省と十分連絡をとりながら準備態勢を整えておる、こういう現況でございます。
#199
○渡辺(朗)委員 これはぜひぜひ強化していただきたいと思います。特に情報の途絶というのは一番不安なことでありますから、邦人の生命財産を守るためにも、その点はひとつ強化策を進めていただく。ぜひやってください。お願いします。
 それでは、今さっきちょっとお聞きいたしましたが、一人公館というもの、南イエメンの場合はたった一人しか常勤でいらっしゃらない。そんな公館があるということで、私も聞いてびっくりしたのでありますけれども、そういう例というのはほかにもどのくらいございますか。
#200
○妹尾政府委員 お答えいたします。
 一人公館というのは、技術的に申しますと二種類ございまして、一つは出張駐在事務所というのがございますが、これは一つの公館から同じ国の中のほかのところに人を出しているという場合でございまして、御指摘の問題のケースというのは、兼勤駐在官の事務所という場合だと思いますが、それに該当いたしますのは、御指摘の南イエメンのほか、ハイチ、ソロモン、スリナムと三カ所ございます。
#201
○渡辺(朗)委員 そういうようなところにも、これまた人員が足らぬということがあるのでしょうけれども、私は、今本当に日本人というのはいろいろなところへ行っておりますので、そういう点もひとつぜひ外務大臣、強化していただくという点をお願いしておきたいと思います。これはやはり危機感覚というものが欠如していた場合は、なかなかそういうところに一生懸命になれないわけですね。今度南イエメンが一つのサンプルでございますけれども、それを一つの奇貨として、ぜひそのような充実を図っていただきたいと思います。
 この問題はそれだけにいたしまして、次の点に触れたいと思います。やはりフィリピンの問題に関連いたします。
 マルコスに相対しましたアキノ未亡人の発言は、日本の援助がマルコス体制を支えないようにしてほしい、こういうような要望が出ておりました。つまり、独裁体制というものを支える結果になったんだということを彼女は指摘しているわけであります。したがって、これからの我が国の援助というものは、このような声というものにもちゃんと耳を傾けて実施していかないといけないと思いますが、今後のフィリピンに対する援助、これについてはどのような政策を持っていらっしゃいますか、お教えいただきたい。
#202
○安倍国務大臣 フィリピン、その他でもそうですが、日本の援助というのは、その国の政権に対する援助ではありませんし、その国の国民の民生の安定あるいは福祉の向上のために直接使われるわけでございます。
 フィリピンに対しましては、膨大な援助をこれまで行っておりますが、私は、それなりにこの援助はフィリピン国民の民生の安定には大きく貢献をしてまいった、こういうふうに考えております。今後ともフィリピンに対しましては、我々としては援助を進めていきたい、むしろ強化したい。ODAも七年倍増という一つの公約を掲げて、その方向で予算措置も進んでおります。そういう状況でございますし、さらにまた、フィリピンがこうした政治的な混乱の中で経済が大変悪くなっておる、日増しに悪くなっておるというふうに言わざるを得ないと思います。それだけにやはり友邦国として日本は、フィリピンの援助をこれから強化していかなければならない。ただ、今すぐそれではここでやれるかどうかということになりますと、これはやはりフィリピンの政局が安定するといいますか、政権が確立するということが前提になるわけでございますし、そうしたことになれば、我々は先ほど申し上げましたような基本路線で、フィリピンとの間の援助問題についても話し合いたい、こういうふうに考えております。
#203
○渡辺(朗)委員 加えて、我が国の対外援助のあり方というものを、ひとつ大臣この際、あなたの哲学といいますか、所信を教えていただきたいと思うのです。
 今、民生を中心にということを言っておられました。国民に対する援助だと思います。しかし、一つ例を挙げます。先ほどの南イエメンですね、クーデターが起こったのは一月二十日なんですね。その一カ月にもならない前、十二月二十五日には、たしかあそこに水産関係の研究センターをつくるということで、九億何がしの援助が行われるような文書、約束が取り交わされております。つまり情勢というものは、この国の情勢が本当に安定しているとか、あるいは民衆にこれがプラスになるものだというようなめどがついて、援助というものは行われてしかるべきだと思うのですけれども、ちょっと南イエメンの例に見られるように、いかにもその政権との話し合いということが行われたのは明瞭だけれども、民生にとってどうなのか、その国の状態がどうなっているのかというような分析はないまま行われたのではなかろうか。援助というのは、やはり国民のお金でございますから、私は、その点は非常に慎重な検討と、それからまたその後の評価というものが必要であろうと思います。そういう点では、これからの援助のあり方というものについてお考えがありましたら聞かしていただきたい。
 本当に民生の援助というのはどこに重点を置いていったらいいのか。私は、前に福田ドクトリンというものが出まして、対アジア政策、援助政策の大きな骨組みをつくられたということを想起いたします。その点で、今ASEAN諸国一つとりましても、大変にみんなどの国も経済が混迷し、かつまた停滞し、困っている。累積債務も非常に大きなものになってまいりました。こういう状況の中で困っているときに、日本に対する援助ということは強く要求されてくるであろうと思います。しかし、これに対して日本がどう対応するのかということは、今私はきちんとした姿勢を出さないといかぬのじゃなかろうかと思います。特に、サミットの前であります。特にフィリピンの情勢がこのようになっております。それだけに私は、対外援助の哲学といいますか、そういうものをお持ちでございましたら聞かしていただきたい。
#204
○安倍国務大臣 我が国は御承知のように、自由世界第二位という経済大国の実力も持つに至りまして、同時に、現在の経済情勢を見ますと、貿易につきましても黒字がどんどんふえていくという状況にありますし、また開発途上国は先ほどお話しのように累積債務によって非常に厳しい、苦しい環境にあります。さらにまた、石油の価格の下落というものは、開発途上国の産油国を非常に苦しめておることも事実でありますし、さらにまた、一次産品の低迷といったこともあって、私は、今世界で大きな課題は、やはりこうした南北問題をどういうふうに解決していくかということだろうと思います。そして、この課題は私は今度のサミットの一つの大きな議論の対象になると思っておりますし、こうした開発途上国に対する協力をこれから進めていくというのが先進国の大きな目標でなければならぬと思います。特に日本の場合は、これだけの経済の安定、そして力を持ってきたわけでございますから、特に日本としては海外協力援助というものを積極的に進めることが、日本の世界からの信頼を確保する意味におきましても、日本の国際的な責任を果たす意味においても、日本がどうしても積極的に取り組んでいかなければならぬ使命を持った課題であろうと私は思います。
 そういう中で、ODAにつきましてもこれまで倍増を続けてまいりました。今回はさらに七年で倍増計画を明らかにして、六十一年度は初年度の予算も盛り込んだわけでございます。これを着実に進めていく、そうして開発途上国の民生の安定、福祉の向上のためにこれを有効に使っていくというのが必要でございます。特にアジアにつきましては、日本は援助の総額の七割をアジアに向けております。三割はASEAN諸国に向けておるわけでございます。フィリピンはその中で日本の援助を最も集中しておる国でございますから、我々としてはこうした基本的なこれまでの援助政策は続けていきたいと思いますが、同時に、この援助増大の中で、援助のあり方につきましては、実はいろいろと国会等の批判もありますし、我々も広く有識者の意見も求めて、本当にこの援助というものがその国民の期待にこたえる、要望にこたえる、そうして国民生活の安定にそのまま資するものでなければならない、こういうふうに思っております。
 そういう点では、今までの援助のあり方、決して基本的に間違っておるとは思いませんけれども、まだまだ工夫をする必要はあるんじゃないか、私はこういうふうに考えて、実はODAの研究会の御答申等も得ましたので、そういう答申も踏まえて、さらに外務省、関係各省庁で研究をいたしまして、さらに有効的な援助を行うようにこれからひとつ努力を重ねていきたい、こういうふうに思っておるわけであります。そういう意味において、まさに援助は日本の国際的な役割を果たす最も大きな、一つの大きな政策でなければならぬ、こういうふうに自覚をいたしておるわけです。
#205
○渡辺(朗)委員 せっかく今のようないろいろ知恵をお集めになって新しいアイデアを出そうとしておられる、まだ固まっていないのかもわかりませんが、輪郭だけでもどのような安倍ドクトリンをおつくりになろうとしておられるのか、ヒントだけでもひとつ教えていただきたい。
#206
○安倍国務大臣 今外務省の中でもこの問題につきましていろいろと研究を進めておるわけでございますが、例えば援助のあり方等についても、これまではどちらかというとインフラ中心の援助ということも言えると思います。もちろん人道的な援助も進めてきておるわけでございますが、これからアジアの、特に東南アジア等の発展の形態に応じたもっと幅のある援助を行うことができるのじゃないか。人づくり等については大きな援助の対象になるわけでございますが、同時にアジア、特にASEAN等は、これからの新しい時代に応じた技術というものがASEANの発展には欠くことのできない大きな要素でございますから、そうした技術面における日本の協力援助というものをどのように生かすことができるかということも援助の直接の一つの対象として我々は取り上げてみたらどうだろうか、こういうふうにも考えておるわけであります。
#207
○渡辺(朗)委員 世界から感嘆、称賛を受けるような基本方針というようなものをひとつぜひぜひ打ち出していただきたいと思います。これは国際国家日本というのがスローガン倒れにならないためにも大事な柱の一つだと私は思います。
 ところで大蔵大臣、こういうお話がよその国の人から来ているのですけれども、どうお考えになりますか。
 開発途上国援助に六百億ドル程度のお金を充てて、日本が新しいマーシャルプランのようなものを実施すべきである、これは数日前東京において、今日本に来ているアメリカン・エキスプレスの会長さんが発言をしております。そのことによってどうなるか。この人が言っているのでは、恐らく世界の反日感情、保護主義的傾向を解消することに大変役立つであろう、こういうふうなことを言っております。特に、具体案として、開発途上国の対日輸出に日本輸出入銀行の融資を強化する、あるいは途上国間の貿易を援助する、先進国によるアンタイドローンあるいは投資を保証する国際機関への出資をふやしていく、あるいは国際通貨基金、世界銀行など国際金融機関への出資額をふやしていく、こういう提案があります。
 私は、これ全部が正しい、いいとは思いませんけれども、アイデア、発想として、かつまた日本のこれからあるべき一つの方向というようなものを示唆しているのではなかろうかと思いますが、大蔵大臣はどのようにお考えです。
#208
○竹下国務大臣 アメリカでも二回ばかり会って、この間も、日本へお越しになったときも久しぶりにまたお会いをいたしましたが、私より十くらい年も若うございますし……。
 ただ、いつも感ずるのは、マーシャルプランという言葉でございますけれども、アメリカのGNPが恐らく世界のGNPの五割以上の時代でございましょう、実際問題として。それから、結果として、あのマーシャルプランというのは目的の一つの中に、要するに共産主義勢力の侵攻を防止するというような考えがあるということが一つ。それからもう一つは、結果としてアメリカの輸出市場を拡大したという批判を受けた。それだからマーシャルプランという言葉は、私は余り使わぬ方がいい言葉だな、それを言ってございますけれども、あの会長さんは近代的マーシャルプランというようなことを言っていらっしゃいます。
 その構想の中で、確かに我が方が言っていますのと大体一致しますのは、国際機関等への出資、これらは国会でもいつでも激励していただいて、けしからぬというような質問が一回もあったことがないという、これは日本だけじゃないかと言う人もございます。だから、それらはむしろ日本はいつでも積極的でありますので、アメリカもまたこれに積極的になってもらいたいという考え方を持っております。
 それから、六百億ドルにつきましてもちゃんと計算の基礎を持っておっしゃっておりますが、もう一つはMIGA、いわゆる投資保証機構も我が方が一番積極的に主張してできつつあるわけでありますが、そういう点我が方と全く考え方の一致している点もたくさんあると思います。そして、将来の国際国家といいますか、国際的に果たさなきゃならない役割というような点からも大変興味深い御提案であるということで、むしろ会長さんは、これをサミットの前に日本で研究して出したらいいじゃないかと、ここまで気宇壮大なことをおっしゃっておりましたが、友情関係は別としまして、私もなかなか卓見であるというふうに興味深く拝聴させていただいております。
#209
○渡辺(朗)委員 今大蔵大臣も前向きにそういうような構想に、名前は別として、共感を表明されましたけれども、私はここで文部大臣にちょっとひとつお伺いしたいのです。
 こうやって日本政府は対外援助、積極的に外務大臣も進めてこられました。大蔵大臣もそのような前向きの姿勢を示しておられる。国会においても、ODAをふやしていくというようなことについては特に、ある意味では超党派の決定のようなコンセンサスができている。大変いいことだと思うのです。
 ただ、問題は、開発教育という言葉を御存じだと思います。開発教育という言葉、これはアジアやアフリカの途上国問題やなんかを日本の国民なり市民がよく理解しているということであります。そのための教育を行っているかどうかなんですね。何か援助なんというと、全部政府がやっているような仕事になってしまいまして、民間がこれに参画するとかあるいはまた理解を示すとかという基礎が少し足らぬのじゃなかろうか。これ、よその先進国で援助先進国と言われるような国々へ行ってみますと、いろんなそういう施設がありますし、イベントが組まれておりますし、それから副読本みたいなものまである。文部大臣として、その点どうですか。積極的にひとつぜひ進めていただきたいのですが、御理解いただけますか。
#210
○海部国務大臣 御指摘の点は大変重要なことだと考えます。
 文部省といたしましても、例えば学校教育の中で、中学校とか高等学校、それぞれの児童生徒の発展の段階に応じてでございますが、社会科の中でそういった相互依存関係、できるだけの御協力をしていく、開発協力をすること、それの重要性等にりきましては、私も教科書をずっと目を通してまいりましたけれども、比較的詳細にこれは記述されておりまして、学校教育の現場では、まずこれは指導されておる、十分だと私は見ておりましたし、なお、それ以外のことでも、例えば日本青年海外協力隊なんかが果たしておる役割、高い評価を受けておりますが、そういったこと等も教科書には取り上げてこういったことを教えていく。さらに、いろいろと起こります問題について、社会科が実物教育として、飢えの問題であるとか南北問題であるとか、そういったことを解消するにはどういう協力をしなければならぬかというようなこと等についても触れておるようでございます。大切な問題でございますから、これからも前向きに一生懸命取り組んでいくつもりでございます。
#211
○渡辺(朗)委員 文部大臣、もう一つお尋ねをしたいのです。
 それは、国際国家日本ということの、教育国際化の問題であります。これは最近あなたはいじめの問題についても積極的に解決のために取り組んでおられます。敬意を表しますが、一つだけ私、大臣にお尋ねをしたい。どういうふうな対策を講じたらよろしいのか。これは今日本に帰ってきておられるいわゆる中国残留孤児の方々、その子供さんたちの問題です。日本語ができないのは当たり前なんです。ところが、日本語ができないといじめられるのです。これは、そのような記事を読みますと胸が痛みます。やはり開発教育の問題、今私お尋ねしましたのは、よその国の人々の生活であるとか痛みとか、そういうようなものがわかるという前提があって援助が行われて、初めてこれが生きてくる。そういう点で一つ例を挙げますけれども、今の残留孤児の子供さんたちの、日本語ができないがゆえにいじめられるような問題に対して、専門に先生が何人おられるのか。実際に少ないようであります。都道府県の中で、そういうような特別の個別授業などというようなことをやっておられるところは少ないようであります。いかがでございます。何かの改善策、そういうものをひとつ示していただきたい。お願いをしたいと思います。
#212
○海部国務大臣 ただいま御指摘の中国残留帰国孤児のそのお子さんの日本語教育の問題については、御指摘のように大変心が痛むことがたくさんございますので、現在では研究協力校というのを設けまして、今年度それをさらに十八校にふやしていくように予算措置等もしてお願いをしておるのでありますが、その研究協力校になりますと、御指摘の教員の加配と申しますか、数多く行ってもらったり、あるいは授業なんかでも、全くよく日本語のわかってない人を同じクラスに入れたままできめの細かい授業といってもこれは難しいわけでありますから、取り出し授業という言葉が適切かどうか、取り出し授業という言葉になっておりますが、中国語だけの方は中国語だけでまず日本語をわかってもらうように、日本語の指導、生活面の指導、学校の指導ということを現にきょうまでやってまいりました。
 けれども、不十分でありますので、さらに今年度から、中国語を理解できる、要するに中国語で物の言える方々を一般からお願いをして協力者という立場になってもらって、そして、ことしはとりあえず十の教育委員会にお願いをして、そういった方を教育委員会が、まあ張りつけというわけにはいかぬでしょうから、巡回指導の形などを考えて、残留孤児の子供さんに日本の生活に早く溶け込んでいただく。何よりも日本語をまず覚えてもらう。そのためのきめの細かい努力をやっていこうということで、今年度からの新措置でございますけれども、そういったことを考え、とりあえずは研究協力校、これは現にやっておりますが、それを拡大していくこと、それから研究協力者、中国語のわかる方をお願いして、きめの細かい指導をしていただく、これらを前向きにやっていきたいと思っております。
#213
○渡辺(朗)委員 ぜひぜひ、そういう痛みのわかる人間をつくるべく、ひとつ制度を充実させていただきたいと思います。
 次に、時間の関係もありますので、ここにはまだ私、外務大臣にも、それから防衛庁長官にもお尋ねしたいことがちょっと残っておりますので、もし時間があったらぜひ残っておっていただきまして、その前に、経済企画庁長官それから通産大臣に二、三質問をさせていただきたいと思います。文部大臣、お仕事おありでしたらどうぞ、結構ですから。
 経企庁長官、最近の円高対策の問題であります。これは急激な円高で景気に対する影響というのは大変大きくなってまいりましたけれども、あなたが見通しを立てられましたその時点と今の情勢、それから今後の見通し、かなり違ってきておりますか。どのようにお考えでございます。
#214
○平泉国務大臣 経済見通しをつくりましたのは大体昨年の十一月、十二月という段階でございまして、前内閣の末期に一応調いまして、この一月の初めに確定と、こういうことでございますが、その時点からもう、昨年九月のG5の合意がございまして、円高の趨勢というものは十分見極めておりましたことが一つ。それから、それに伴いまして金利も先行き低下ではあるまいか、こういうことで大体の予測は立てておるということでございます。
 現在、御承知のとおり、為替相場、少し安定を欠いておりますけれども、これの先行き、まだ十分見きわめがつきませんが、大体において我々の経済見通しと大差ない状態に落ちつくのではあるまいか、かように見ておるわけでございます。
#215
○渡辺(朗)委員 八〇年代前半の世界経済の特徴というのは、ドル高・円安、高金利、こういうことに象徴されていたわけでありますけれども、八〇年代の後半に至って大きく変化が出てきたのではなかろうか。特にこの変化というものは、今後とも今申し上げた大きな変化として続いていくのではないかということを私は感じますけれども、いかがでございましょうか。
 特に円高の問題、これは定着するのが最も望ましいと思いますけれども、これが実現するとなるとアメリカのドルにリンクしている韓国であるとか台湾など日本の周辺の国々、そういうところの経済動向にも大きな変化が出てくるのではなかろうか、この辺についてはどのように見通しを持っていらっしゃいますか。
#216
○平泉国務大臣 経済見通しとの関係ではこの為替レートの問題はプラス、マイナス両面が出てまいりまして、両方でキャンセルアウトするというか、両方でお互いに殺し合う問題もございます。したがって、経済見通しとの関係を離れまして経済の実態を見ますと、今先生段々おっしゃいますとおり、現時点に相当大きないろいろな変化が起こりつつあるという感じは私たちも全く同じ感触を持っております。したがいまして、経済企画庁としましては、世界経済の大きな構造的変化が起こりつつあるという認識を持ちまして、十分に諸般の情報を総合する、また各担当部署におきまして各国と十分に協議を遂げ、また情報を交換し、対策を考えるということが必要な段階であると思っております。
#217
○渡辺(朗)委員 いつごろその対策なりあるいは抜本的方向というようなものをお打ち出しになる予定でございますか。
#218
○平泉国務大臣 現在既に経済企画庁としましてはアメリカに相当の高官、審議官を派遣いたしまして、アメリカ政府、学界、経済界の要所の人と今十分に懇談をさせておるわけでございます。また、近くヨーロッパにも同じように経済企画庁の高官を派遣いたしまして密接に情報の交換を行わしめる。また、サミットに向かいましてOECDの経済担当閣僚会議が開かれます。その折には私自身も出席をいたしまして経済担当――OECDは世界の主要な経済国のすべての集まりであることは先生も御存じのとおりでございますから、十分に協議を遂げてまいりたい。いずれにしましても、今度のサミットに向けまして、世界経済全体の大きな方角について極めて重要な会議になるのではあるまいか。それに対して、日本国は国際経済の主要な責任者の一人でありますから、十分にその役割を果たすという覚悟で私ども全力を挙げて準備をし、またその対応を練っておる所存でございます。
#219
○渡辺(朗)委員 次に、通産大臣に一、二どうしても聞いておきたいと思います。
 今回の円高対策、特に中小企業に対する円高対策につきまして米側がガット違反であるという見解を明らかにしたわけであります。この問題についてはいかがでございますか。もうよその委員の方もきっと取り上げておられると思いますけれども、これは補助金でないということを談話でもあなたは言っておられますが、既にアメリカ側を納得せしめておられますか。いかがでございますか。
#220
○渡辺国務大臣 まあ納得したかどうか知りませんが、私の方といたしましてはこれは決して輸出増強対策ではない、緊急避難的な措置だ、だから余りこういう細かいことは騒がぬ方がいいのじゃないか、もっと大きなことで我々はうまくやっているのですからということをけさもホワイトハウスの特別補佐官が来たのでそういうことを言いました。また、近くマンスフィールド大使にも来ていただいてよく事情を知ってもらうつもりでございます。
#221
○渡辺(朗)委員 私は通産大臣のお人柄でこれはやはりわからせてほしいと思います。そのためにも、もっともっと積極的に日米の協議というものはおやりになる必要があると思いますが、もう既にプログラムを組んでおられますか。
#222
○渡辺国務大臣 これは機会あるごとに言っております。私、四極に参りましたときにもちらっとそういう話が出ましたので、それはこういうわけですよということを言ってあげまして、あなたのところも選挙がある、私の方も六月に選挙がある、そういうようなときに中小企業が困っておって二百四十円いただこうと思ったら百八十円しかもらえない、銀行に金は返せないということになれば倒産しかない、それを見殺しにするようなことはできるわけがないじゃないですかということは話しておるわけであります。しかし、向こうはどう勘違いしているか知りませんが、これは日本がガット十六条に基づいて通報をするようにということで我々にも言ってきておるわけであります。
#223
○渡辺(朗)委員 その点でこれは補助金に当たるかどうか問題は別としまして、やはり事前にこれはガット十六条の一項を援用して通告しておいた方がよかったのではないでしょうか。余分な誤解を避けるためにもその手だては必要だったのではないでしょうか。大臣の御認識をいただきたいと思います。
#224
○渡辺国務大臣 我々は十六条の補助金には該当すると思っておらないのですよ。おらないのですけれども、まあ向こうがそういうようなことであるならば一応内容は説明をするつもりです。
#225
○渡辺(朗)委員 時間がなくなってまいりましたので、一つ、二つぜひ防衛庁長官にお聞きしたいと思います。
 それは在日米軍駐留経費の問題であります。いわゆる思いやり予算の問題です。急速な円高・ドル安の進行でこの問題は私は日米防衛協力の上で必ず浮上してくる懸案の問題であろうと思いますが、現実に起こってきておりますでしょうか。今どのような認識を持っていらっしゃいますか、防衛庁長官。
#226
○加藤国務大臣 いわゆる駐留軍の駐留支援経費につきましては、五十三年から労務費を、五十四年からいわゆる提供施設の整備をやってきておるわけでございますけれども、これにつきましては地位協定の範囲内でできるだけ今後もやっていきたい、こう思っております。ただ、円高関連で具体的な要望が今来ているかということにつきましては、この間のハワイのSSCにおきましても、その円高という観点では具体的にまだ出てきておりません。
#227
○渡辺(朗)委員 思いやりですから、こちらの方から提示される考え方はございますか。
#228
○加藤国務大臣 十分先方の要望を聞きながら、諸般の情勢を考えながら対処していきたいと思いますけれども、六十年度でも六十一年度の現在御審議いただいている予算でも、私たちとしては精いっぱいできるだけのことを今やっているつもりでございます。
#229
○渡辺(朗)委員 話題を変えまして、防衛庁長官にぜひどうしても聞いておきたいなとかねてから思っておりました。といいますのは、私、災害対策にもいたものですから、自衛隊の災害出動という問題につきまして常日ごろ関心を持っておりましたし、大変感謝もしております。特に昨年の八月十二日のあの日航機事件のとき自衛隊の方々、自衛隊の方だけではありません、警察庁あるいは警察の方とかあるいは消防署の方々、大変な活動をされました。が、自衛隊の方に関してだけちょっとお尋ねを私はしたいのですが、もちろん一生懸命人を救うために努力された。報酬目当てでないことはもう十分わかります。しかしながら、この方々に対しての報酬、手当というものは幾らかでも出ているのでしょうか。聞いたところによりますと、例えばあのときの自衛隊員は一人一日六百六十円の手当である、それも二日以上でないとだめだ、こういうことがあるやに聞いております。今の時代にそんなことって、これはちょっと常識外れの額ではなかろうかと思うのです。それからまた、調べてみましたら、手当の規定の中にはいろいろな手当がついておりますけれども、早い話が、不発弾なんかの処理の場合、あれ一時間百十円ですね。しかも、それは手で不発弾を処理する場合にのみなんですね。
    〔中島(源)委員長代理退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕
あれ機械で、ブルドーザーやなんかで、あるいはショベルでやるとこれはだめなんですかね。つかないのでしょう、手当が出ないのでしょう、ちょっと調べてみてください、どうなっています。それが一つ。
 それからもう一つは、これらの手当というのは何の費目で出ていますか、訓練費じゃないですか、そこら辺もちょっと調べてみていただきたい。もし訓練費であるとしたら、あの日航機の事件のときなんかは相当多額な、たくさんの方々も救出に参加されましたし、したがって、費用もたくさんかかったのだろうと私は思うのです。訓練費がそれだけ食い込まれたとするならば、どうでしょう、練度を重要視する自衛隊といたしまして、防衛庁長官、これは補正しないといけないでしょう、そこら辺の問題はどうですか。ちょっと調べた結果を教えていただければありがたいと思います。
#230
○友藤政府委員 お答えいたします。
 災害派遣手当でございますが、従来こういった手当はございませんでしたが、私どもで、災害派遣は大変勤務がきついということで、五十九年睦に特殊勤務手当として新設を見ております。金額については、ただいまお話がございましたように、大規模災害が発生した場合に災害派遣されて、遭難者の捜索救助等に引き続き二日以上従事する職員に作業一日当たり六百六十円が支給される、こういう形になっております。ただ、これは一般職の給与と私どもバランスをとってまいるということでございまして、一般職の方で同様の手当が、建設省の地方建設局に所属する職員が、豪雨等の異常な自然現象で重大な災害が発生した場所で行う応急作業等に従事したときに、特殊勤務手当として出します手当の額とバランスをとって設定をしていただいておるものでございます。
 なお、日航の事故のときに警察官も大変たくさんおいでになって、その間に格差があるではないか、こういうお話もございますが、実は給与の仕組みがこの点大分違っておりまして、私どもの給与は本俸の中に超過勤務手当を繰り込んでおる、こういう状況でございますので、警察官の方々は恐らく超過勤務手当がこの場合相当額出ておるという状況でございますので、単純になかなか比較が難しい、こういうことでございます。ただ、非常に過重な災害派遣につきまして、従来、現在とも私どもとしては災害派遣手当の増額等について種々お願いをしております。できるだけ改善に努力をいたしたいと思います。
 なお、先ほどの不発弾処理につきましては、手でやりますものが非常に危険が高いということで単価が総体的に高いものとして設定をされておりますが、これにつきましても、逐年私どもとしては努力をいたしまして、引き上げていただくように毎年お願いをいたしておるところでございます。
#231
○渡辺(朗)委員 あれは何の費目で手当が出ていますか。
#232
○友藤政府委員 費目につきましては、これは手当でございまして給与の一種でございますので、俸給の支給区分の職員給与の項目の中から支出をいたす、こういうことになっております。
#233
○渡辺(朗)委員 私は、今この問題、ここに詳しいいろいろな規定を持ってきておりまして、これを見ながら聞きたいなと思っていたのですが、時制がありません。したがいまして、別の機会にそれはしたいと思いますけれども、今お話を聞いただけでも、五十九年度からそのような手当がつくしとになったので、それ以前はなかったわけですね。そうですね。そうすると、これはそう言っては悪いけれども、ただ働きというか、ただで働くのが当たり前だというような感じで対処されてこられたのではなかろうかということを考えますと、人のために頑張ろうという気持ちもなくなっていきやせぬだろうかということを私は懸念をいたします。やはり人並みの、世間並みの手当といつものは私は差し上げるべきではなかろうかと思いますが、最後に長官、いかがでございましょう。
#234
○加藤国務大臣 災害救助活動というのは自衛隊の正規の任務でございますので、そういった意味で、特にいわゆる警察の方の超過勤務みたいな手当がないという仕組みになっております。それで、それは私たちはそういう数字でしっかりとした正規の業務であると考えますけれども、その中でも、特に急に厳しい勤務につくわけですから、何らかの気持ちをあらわすためのものを今後ともできるだけ増額できますように努力してまいりたいな、こんなふうに考えております。しかし、隊員全体にしてみますと、そういうようにいろいろな意味での御支援をいただくことは非常に励みにもなりますし、ぜひまたお願いしたいのは、隊員全体がまだ二段ベッドにおりましたり、また住宅も悪いものですから、そういった意味でもいろいろな形で御支援をいただければありがたい、こう思う次第でございます。
#235
○渡辺(朗)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
#236
○渡辺(秀)委員長代理 これにて渡辺君の質疑は終了いたしました。
 次に、藤木洋子君。
#237
○藤木委員 まず最初に、私は教育の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 今日のいじめは深刻な事態を迎えておりまして、これを克服するために、教師も父母も行政も一体となって、いじめ、暴力、非行、こういったものを一掃していくために総力を挙げて取り組むことが何よりも求められております。この問題の背景を考えてみますと、歴史的には六〇年代の後半から授業についていけない子供が多数生まれてまいりました。受験競争も激化いたしまして、非行が増大し、さらには非行の低年齢化、校内暴力、いじめ、そしてそれに伴う自殺と、社会問題として続いてきております。私どもは、落ちこぼれが出てきたときから教育条件の整備、教育内容の精選、特に行政としては欧米より二十年もおくれている少人数学級の実現、大規模校の解消などを主張してきたところでございます。教師も九〇%までが三十五人学級ならやっていける、こういった要求もしてまいりました。
 ところが、政府がやってこられたのは、四十人学級の計画を進めている実に真っ最中、三年もこれを凍結してこられました。また、マンモス校の解消も遅々として進まないというような状況になっております。それだけではございませんで、日の丸や君が代の押しつけ、また主任制の導入と、こういったことが教育現場に混乱を持ち込んで不毛の対立をさせてきたと私たちは考えております。教師集団が一致して生き生きと教育に当たることができるような条件を奪ってきたのはあなた方ではなかっただろうか、そんな思いがしております。その結果、今日のいじめや自殺が起こった学校では教職員がばらばらで、先生や職員の間で話し合いも満足にされず、民主的な運営が進められていないために教職員が集団としての力を発揮できないでおります。子供の自主性を育て、子供たち自身の取り組みで困難を打ち破ることに信頼が置けなくなっております。そして、父母や地域に対して学校が閉鎖的になっているという弱点もまた抱えております。今日の事態解決のために、教職員の自覚と取り組みが求められていることは言うまでもありません。しかし、こうした要因を取り除いて教職員の取り組みをしやすくする条件、こういったものをつくるところに文部行政が責任を果たすことを求められているのではないか、こんなふうに思うのですが、その点、大臣いかがでございましょうか。
#238
○海部国務大臣 御指摘いただきますように、深刻ないじめの問題というのは、背景を調査しますと、社会の問題や学校の問題や御家庭の問題やいろいろ絡み合っておると思うのです。また、私ども自身が育ちましたころを顧みますと、兄弟が五人、六人おった、家でやはり取っ組み合いのけんかをしたり、おやつが欲しいときに大きいのを取り合いをやったり、しかられたり、何かそんな中でいろいろ人間として守るべき秩序とかルールというものも身につけてきたような感じもいたします。あるいは学校へ行く前に子供同士でいろいろなことをお互いにする、そんなような雰囲気、環境も今はだんだん世の中からなくなってきた。
 さらにまた、学校教育の問題について今いろいろ並べられましたけれども、私たちとしても、学校教育の現場というものは教師の皆さんが直接児童生徒に触れていただくわけですから、学校に問題を絞れば今度は教師が一番大きな影響力を持っていらっしゃる。できるだけ教師の側の希望や意見等も踏まえていかなければならぬというので、きょうまでも教育改革というものは行ってきました。ですから、例えば四十人学級の問題等も、それは結果としてスピードが速いとか遅いとかいう御議論はあろうかと思いますが、既に着手をして、でき得るだけこういうことにしていかなければならぬ。また、人材確保に関する法律であるとか、これは教師の皆さんの職務に対する処遇はでき得るだけ、他の政策との整合性もありますけれどもしていかなければならぬ。あるいは、いい教育をしていただくためには何千人という規模で現職の先生が海外に研修旅行に出ていただく、これもやはりいい教育をしていただきたいという願いからやってきたわけでありまして、でき得る限りそれはしていかなければならぬ。
 御指摘の大規模校の問題にしましても、私は、規模だけが必ず非行につながる、小規模校には絶対にないかというと、そういう考え方はとりたくないのですけれども、しかし大規模よりも小規模の方が目が行き届いていいんだということは我々もわかりますから、ことしも大規模校解消のための土地手当て費なんかはちゃんと予算措置もして審議のお願いをしておるとか、何とかそういったようにして、教育関係はできるだけ環境をよくしていきたいとは思っております。努力は積み重ねております。
 御指摘のように、例えば三年前に町田の忠生中学校というのが非常にマスコミをにぎわした。暴力学校の大変荒れた学校、そういう報告がありましたが、そこは校長先生以下全教職員の皆さんが心を改めて取り組んで一生懸命努力をされたら、あの学校は別に分離もしませんでした、規模も小さくしませんでしたが、見事に皆さんの御努力で立ち直ったという報道が今日も出ておるわけでありますから、私は、いろいろな条件が絡み合って出てきた今日のいじめの問題ですから、最初に申し上げたように、家庭の問題、学校の問題、社会の問題、政策努力しなければならぬこと、いろいろいたしますけれども、当面はまず直接児童生徒に触れていただく教師の皆さんの生き生きとした指導、実践的指導力を高めていただくこと、これに御期待したいと思っておることはそのとおりでございます。
#239
○藤木委員 大変長い御答弁をいただきましたけれども、その中に文部省に非があったということが一言もございませんでした。すべてうまくやってきたというような印象を受けますけれども、私はその態度に対して非常に大きないら立ちを覚えます。腹立たしさを覚えます。
 私は、今責任をなすり合いしているようなそんな時期ではないと思うのです。本当に反省すべきところを率直に認め合う、このことがなくてどうして共通の土台ができますか。私は、文部大臣として今の海部さんの御答弁、極めて不満でございます。既にいじめや非行克服ではさまざまな取り組みがやられております。今大臣からおっしゃったその例も一例ではございますが、私は、このような成果を上げている学校、こういったものも全国に随分出ているわけですから、ここからの教訓、こういったものを酌み取って、これを広めていくことが求められているのではないか、そんなふうに思うわけです。
 私は、五年前に、もはや学校ではないと言われ、暴力が荒れ狂った、先生を見たら、てめえぶっ殺すぞと言った荒廃のどん底にあった葛飾の奥戸中学校、御存じのはずでございます。これはついに全国で初の警官導入ということを学園の中にやってしまいました。そして五名の逮捕者を出したという学校でございます。それから先生方はみずからを厳しく反省をし、教師集団としては一体となって学校再建に取り組んでまいりました。そして昨年十一月二十二日、一千人を超える二十五クラスの全生徒が集まって、日本一の奥戸中学校にしようと生徒総会を開き、いじめや盗難のない平和な学校をみんなの力で築き上げようと決議をして立ち上がるまで、その経過が実はきょうここへ持ってきておりますが、「希望をまなぶ学校」という本にまとめられております。教師集団の実に苦闘の一端をこの本の中から御紹介をさせていただきたいと思います。
 これは女の先生の手記です。
  ツッパリの女子生徒の家庭訪問をした女教師は、その子から次のような手紙を渡された。
  「なんで私の家に来るのヨー。頭にくんなあ。あんた嫌いなんだから来ないでよ。あんたなんか学校やめちゃえよ。ひつっこいんだよ。気にくわねえよ。ガキだと思ってなめんじゃねえよ。いちいち母にチクリやがって。あんたとは絶対話したりなんかしないからネー。このブース」
  この女教師は、「この頃は本当に苦しく、ここがら逃げ出したらどんなに楽だろうと毎日思った」と記している。
  この時期の教職員は、疲れ果てた体に鞭打って、授業に生徒指導に頑張った。
  カップメンを持って歩くツッパリに、一歩も引かず頑としてこれを許そうとしない女教師。
  場所を提供してもらい、ツッパリを集めて勉強を教える教師。
  ツッパリに引きづられる生徒の話をじっくり聞き、「悪に敗けてはダメ」とさとす養護の教師。
  放課後、保護者の時間に合わせて家庭訪問をし、親の話を聞き、共に悩み、手立てを考える教師。
  生徒と夕食を共にし、語り合う教師。
  教職員の誰もが、考えられることは実行し、お互いに情報交換を行ない、自分でも試みてみる。
 しかし、そんなに簡単に非行がおさまるわけはありません。ここでは大変な突っ張りとの対決が出ております。
  始業式の日に、二年番長の和男をどなりつけた仕返しか、休み時間になると、二年のツッパリたちが私の回りに集まってきて、ボクシングやキックの真似をしては、おどしをかけてくる。
  自分のクラスだけでも何とかしなければと、私がむきになればなるほど、生徒たちは離れていく感じであった。
  少しでも規律ある生活をと考えた私は、毎日の生活点検ができるような、特別な学級日誌をつけることを要求した。すると健一が、みんなの不満を代弁するかのように、
  「先生は、何でも一方的に押しつけてくる。学級目標だってそうだ。規律、規律じゃたまんないよ!」と、大声で抗議してきた。私も負けないぐらいの大声で、
 「先生には、先生なりの方針があるんだ!」
と、強引に押し通した。
  教師として、自分のクラスに見通しが持てないときほど、つらいことはない。この頃の私は、極度に神経を使っていたために、眠られぬ日が続いた。とうとう五月に入ると、倒れて寝込んでしまった。
  寝ていて考えたことは、「自分の体が大切だ。こんなクラス投げ出してしまおうか」「いやいや、投げ出したら教師として敗北だ。何のために二四年間、教師をやってきたんだ」ということの繰り返しであった。
  結局、教師としての意地でも何とかしなければと、精神安定剤を飲みながら学校に通い始めた。
 そして、逮捕された五名の生徒を含む三年生が修学旅行をするときの話です。学校はこれを取りやめたかった。しかし、生徒の中から実行委員会をつくって、この旅行は成功するわけです。その実行委員会で、先生が心配しているのを見た生徒が、「先生、そう心配することないよ、何とかなるよ」こう言ったわけですね。そして帰ってまいりました。帰ってきた実行委員会は総括会議を開きました。
  「……ねェ先生、オレが行く前に”大したことなく行ってこられるよ”と言ったの本当だろう、オレは奥中の生徒を信頼していたんだよ」
  生徒のこのことばに私たち教師の方がむしろ教えられた思いがした。教育にとって一番大切な「信頼」という一文字、それを私たちは忘れかけていたのだ。
 そして、その五人が卒業する段になりました。
  兼松たちに、ツッパリをやめる決意をさせたきっかけは、卒業生北村の死であったかもしれない。しかし、私たち教師の援助と励ましが、精神的負担から抜け出そうと動揺していた、兼松たちの支えになっていたことも間違いない。
  ときには食事を共にとり、野球などして一緒に遊んだり、個人的に遅れている勉強の面倒もみた。また、自宅へ招いて寝食を共にし、人生を語り、悩みを聞いて励ましたりもした。
  教師側のそうした温かさと励ましが、ついに彼らの心を開かせ、人間らしさを取り戻させたのだ――。私は、心底そう思った。
  二月のある日、二年のツッパリグループと教師側が話し合っているところへ、兼松が突然入ってきた。「先生、俺に、しゃべらせてくれ」と言うので許すと、
  「奥中の先生方は、みんないい先生ばかりだ。真剣に俺たちのことを考えてくれている。自分の命までの行動から、お前たちにツッパリをやめろとお説教じみたことは言えないが、俺の今を見ればわかるだろう」
と、熱をこめて本心を語った。悩み苦しんできた兼松ならでは話せない内容で、二年のツッパリグループには、ずしりとこたえるものであった。
  卒業式には、兼松たちはきちんとした服装・頭髪をして、みんなおだやかな顔で卒業証書を手にした。式後は職員室に集まり、一人ひとり教職員と握手をかわしながら、別れを惜んでいた。
  兼松は担任の山田先生には、校門の脇にある池に一緒に飛び込むという、少々荒っぽいが彼らにとっては最高の親愛の情を示して、思い出多い学校を去って行った。
 こうした取り組みを進めてきたからこそ、今では一部の生徒の横柄な態度にも何かあると先生が敏感に気づくように変わってきています。そしてすぐに家庭訪問をし、男子生徒の間に暴力があったことをつかむことができるようにまでなっているんです。すぐ翌日には二年担当の先生が当事者を集めて事実を確認し、放課後には、いじめられた先生も交えて話し合えるように全校の先生方が協力し合いました。そして、学年集会でいじめをなくそうと先生たちは真剣に訴え、子供たちはこれに見事にこたえました。クラスの話し合いが始まり、アンケート調査が行われ、いじめの実態は全校に明らかになっていきました。「いじめをなくそう」の学校ぐるみの運動になっていったんです。こうして、生徒総会の成功と一定の成果が上がるまで、実に五年もかかりました。しかし、例え五年かかっても、教師集団と父母と生徒の一致した取り組みこそは、学校再建にみずからが道を切り開いてきた教育力でなくて何でしょうか。
 また、荒川四中のPTA役員をしているあるお母さんはこう言っております。
  五年前、私たち荒川四中も荒れていました。中野富士見中の問題は人ごとではありません。私たちにも子供が見えなかった。子供たちが私たちの手元から離れていくようでした。毎日学校ではガラスが割られました。給食は廊下に転げ、授業は、遊び時間か授業だかわからない状態でした。それまで私たちは気がつきませんでした。わかったとき、親の恥だと思いました。この学校は学校でないと思いました。給食の時間を見ているだけで涙が出ました。じっと我慢している子もいました。先生は何をしてきたんでしょうと思いました。けど、先生はすべてをさらけ出してくれ、皆さんに何もかもお伝えしますと、一つも隠さずに話してくれました。親たちも立ち上がらないではいられませんでした。先生方はいじめアンケートをとり、私たちも子供のため必死になりました。掃除のとき、「親も一緒に掃除してほしい、子供の自然の姿を見てください」と言われました。「こんな子供を学校へ送り込んでいるんですよ」と言われているような思いでした。そして「おはよう」運動も、校内パトロールもしたのです。修学旅行はやめると言われ、親はやめないでほしいとお願いし、予行演習までしました。送り出す日、親は針と糸を持っていきました。とれているボタンをつけたりするためです。こうした取り組みをしてきましたが、合唱コンクールのとき、荒れたクラスが一番うまかったのです。子供は変わります。温かい気持ちで見守れば――今やっとわかった気持ちです。学校の責任だと投げ捨てていたら今はなかったでしょう。とその体験を語っているのです。
 だれかの責任だと、それだけに回避するようなことで注視をしていたら、この問題は片づかないのではないでしょうか。私はこのお母さんの願いをも込めて、先ほどの大臣の答弁に対する不満をもう一度申し上げておきたいと思います。
 そして、今月二十二日の夜、中野富士見中学校の地元では、いじめ・非行をなくす緊急集会が開かれました。これは教職員組合中野支部と地域住民が一緒になって開いたものです。二百名を超える父母、教師たちが率直に話し合いました。情けないと思いますが、子供が見えません、まるで宇宙人と話しているようなんですと、子供との断絶の悩みを訴えるお母さん。我が子なら見えないはずはありません、先生と率直に話し合うことですなど、非行やいじめを克服して頑張ってこられた例など励まされる発言もたくさんありました。富士見中学校の教頭先生は、私たちに何ができるか今探っているところです、皆さんの声を聞き、一日も早く学校を立て直していきたいと決意を述べ、同校PTAの役員も、いろいろ勉強になりました、学校をよくするために力いっぱいやりたいと述べておられます。今富士見中学校で学校再建を目指し、いじめに学校ぐるみで取り組んでいる先生や父母を励まし、親として子育てを見直し、地域でも協力し合うようになったこの集会は、集まった人たちに大きな確信を与えています。私はここにこそいじめ克服の展望があると思うのです。
 文部行政が何よりも心がけなければならないことというのは、いじめ克服に真剣に取り組み、少なからぬ成果を上げているこの経験から教訓を学んで、全国に紹介をしながら教職員の取り組みを大いに励まし、それをうんとやりやすくするということではないのですか。もう一度お伺いをいたします。
#240
○海部国務大臣 御質問もかなり長うございますから、答弁もいささか長くなることはお許しをいただきたいと思います。
 今先生いろいろお読みになりましたけれども、私たちが願っていることもまさにそのように先生が心を開いて、児童生徒との心の通い路を持って信頼関係を取り戻して、お母様方も協力してやってくださったら片づくんだということを心から願っておるんです。それは私が文部省へ行く前からもそのことに気がついて、文部大臣の権限なんというのは、教育委員会に対する指導と助言であり、文部大臣が二度も三度も談話を出しても、お願いをしても、教育関係の有識者に集まってもらって御議論願っても、私は最初に就任したときに申し上げたように、にもかかわらず後を絶たないというのはどこに原因があるんだろうか。これは文部省が、先生おっしゃるように、文部省は何にも悪くない、悪いのは学校だけだなんて決して言った覚えはありません。これははっきりと御理解をいただきたいと思うんです。皆さんの御協力でしなければならぬから、文部省としてはお願いします。お願いしても現場でどう受けとめられたんだろうか。今先生お読みになったような深刻な気持ちで皆さんが受けとめて、本当に信頼関係を取り戻すような対策を、地域や学校や町ぐるみでやっていただけたかどうかということの反応が私には非常にむなしかったので、さらに改めてもう一回二十一日にその通達を出したんですよ。やってくださいというのは、お父様もお母様も地域の人も学校の教職員の皆さんも、みんなが力を合わせて児童生徒の悩みを聞いてやってください、信頼関係が取り戻せるようにしてやってくださいということを心から願ってお願いをしておるんですから、その点はどうぞ御理解いただきたいと思うのです。
 同時に、先生お読みになったように、我が方も、これは昭和五十九年の段階でいろいろ現場からのあれをまとめました。同じようなものが書いてありますから重複を避けて読み上げることはやめますが、こうやって信頼関係を取り戻して全国にいろいろといい例が行われるように、こういった通達等も出しております。そういうことから考えていきますと、やはりあの人が悪い、この人が悪いというあら探してはいけない、責任転嫁ではいけないから、例えば中野区の富士見中学校もどうか真剣に我が事と思って取り組んでください、教育委員会にいろいろ言いました。私のところへは、きのうもおとといも中野区の親の皆さんから電話がかかってくる。けれども、もうちょっと話し合っていただかなければならぬと思うような問題もたくさんあるわけです。あるいは新聞なんか見ておると、教育評論家の皆さんの大きな写真入りの記事が出ております。いじめられたら――ちょっと待ってください。ですから、そういったものをみんなまとめて、我々としてはできるだけみんなで力を合わせてやっていかなければならぬと思っておるさなかでありますから、お読みになったようなことを文部省は反対したり、別の方向を見たりしておるのではありません。そういうことをぜひ現場の先生、皆さん大多数は一生懸命やっていらっしゃるでしょうけれども、結果として次次報道が出ますから、それは信頼関係が足らないからこうなったのだということは報道でも明らかになっておるわけでありますから、そういったものを払拭したい、この願いですから、読み上げることはあえてしませんが、解決されたいい例、信頼関係を取り戻したいい例、いっぱい我々も承知しておりますし、先生方から聞いておりますし、これは地方へも配っておりますから、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
#241
○藤木委員 私が質問をしたことの一部にお答えになりました。随分長いお答えだったのですが、一部しか答えていらっしゃらないです。申し上げますけれども、私が伺ったのはそうじゃなくて、文部行政としてはやりやすい条件をつくる。きょう、ここは予算委員会の場所ですから、予算を伴った措置としてもぜひやっていただきたいわけでございます。
 そこで、今の議論の中でも明らかになってまいりましたけれども、いじめや非行を一掃するという先生方の取り組みというのは確かに一生懸命やっていらっしゃるわけです。そういうことに対してやりやすい条件をつくっていくということが大事だと思うのですね。確かに、現在やられているのは四十五人学級の中で、マンモス校と言われるような大規模校の中で必死の取り組みが行われており、その中で克服をしてきている。それは確かにそのとおりですけれども、まさに寝食を忘れた先生方や父母たちの苦闘の上にこれは成り立っているのですね。成り立ちさえすればいいということではなくて、もっとやりやすい条件をつくっていくという上でもまた私たちは責任を果たしていかなければならないのではないか、こういうことを申し上げているところでございます。そして、この先生方の負担をもやはり軽減をするという措置を講じていただきたいと思うのです。ここが行政に問われている責任だと考えております。それがまたいじめを未然に防止するとか、あるいは深刻な事態に立ち至らない前にやめさせることができるとか、そういった点でも貢献するのじゃないかというふうに思っているわけですね。
 そういった上からも、四十人学級の実施というのは極めて大切だと思っているわけです。既に四十人学級を実施している兵庫県尼崎市の小学校ではいろいろな変化が出ております。教科指導で子供の発表する機会が確実にふえていると言われておりますし、グループ指導をする場合でも五人減ったということで丸々一グループ減っているわけで、丁寧な指導ができるよう」に変わってまいりました。四十五人学級のときには皆さんわかったねと言ってきたのが、○○君わかりましたかと個別に確認できるように変わってきたとも言われています。作文や答案も採点だけではなくて、教師の所感まで赤ペンで書き入れて返せるように変わってまいりました。こうしたことから子供たちの教師への親近感が強まってきております。四十五人学級のときは子供たちの欠点や弱点だけが気にかかってやりにくいと思っていたのに、四十人学級になったことで一人一人の子供たちのよさや可能性が発見できるようになった、これならやれるという確信に変わってきた、みんないい子ばかりのように思えるようになってきた。
 今子供たちが置かれている状況というのは、尼崎でも共働きが非常に多うございます。夜の仕事に従事する親もふえています。生活苦やサラ金、そして家庭崩壊、大気汚染による公害と極めて深刻で複雑でございます。ですから、もっと学級の規模を縮小してほしいというのが共通した要求になっております。私は、ここにこそ四十人学級の早期実施の意義と緊急性があるというふうに確信をしているのですが、大臣、いかがですか。
#242
○海部国務大臣 最初にもお触れしましたように、私どもも、教育条件をなるべく現場の先生が一人一人にきめの細かい行き届いた教育ができるようにした方がいいという基本は全く同じです。ですからやっておるわけでして、四十人学級の問題を今おっしゃいましたけれども、これも昭和六十六年度の完成を目指して今一生懸命やっておるわけであります。例えば、今年度の教員の自然増、自然減の格差を、手元に資料がございませんけれども、大体五千人ぐらいの増員で、そのうち三千人以上を四十人学級に充当しておるわけなんです。そうやって六十六年にはこれを達成させようという大きな努力目標を置いて、今政策の整合性、厳しい中でもちゃんとやっておりますし、また、この間この委員会で議論になりましたように、教室の環境をもっとよくするために例えば教室の中へ木材を使ったらいいという御要望が多くから来れば、それは増築のときにやはり使いやすくしましょうとか、いろいろきめの細かい御意見を聞きながら環境条件をよくしようということはしていきますけれども、それだけで片づくような生易しい問題ではないと思っておりますから、ほかにいろいろな関連、関係があるわけですから、そういったものを踏まえてこれは片づけていかなければならぬわけであります。
 ですから、その取り組むときに御指摘の点も一つございます。それは私は決して拒否しておりません。現にきょうまでもいろいろやってきたということを申し上げておるわけでありますが、それだけですべて片づくかというとそうではなくて、あの訴えた子供の遺書なんか見てみても、あるいはこの間の教師の先生方の教育研修会のいろいろな発言等を見てみましても、どうやって生徒と教師の心の信頼関係を取り結ぶかという教師自身の側からのいういろな発言等も出てきておるわけでありますから、そういったことをみんな踏まえてやっていかないと片づかない問題でございます。責任逃れするつもりは毛頭ありませんし、予算措置なんかについてもできるだけの努力を続けておるということはどうぞ御理解をいただいておきたいと思います。
#243
○藤木委員 結構でございます。責任逃れをするつもりはないとおっしゃったことに私は信頼を寄せて、次の質問をさせていただきます。
 私たちは、四十人学級を三カ年で達成する、そして三十五人学級への速やかな移行ができるというふうな政策を持っているわけです。三カ年で教職員の配置率を含めましてどうなるかと計算してみますと、初年度は四百十七億円かかります。次年度が三百十五億円、三年目に二百十一億円で達成をする、こういうことになるわけですね。この四十人学級の計画と同時にスタートをしたのが防衛計画でございます。当時の五三中業でございました。この中で、F15戦闘機は当初目標七十七機に対して、五六中業で引き上げられましたから既に六十年度までに八十七機購入をしておりますね。当初計画のこれは実に一一三%の超過達成になっているんですね。ところが一方、四十人学級は七カ年で一九・六%なんですよ。F15戦闘機は一機九十九億四千五百万円、これで間違いかなければ超過した十機分を充てますと、私どもが申しておりますように三カ年計画の達成ができるわけでございます。大臣、責任逃れをする気がないとおっしゃるならば、やる気がおありならば、六十六年の計画をもっと早期に達成をするということも可能ではございませんでしょうか。
#244
○海部国務大臣 当面は四十人学級の達成のみならず、学校栄養士の皆さんや養護教諭の皆さんの配置の問題や、あるいは教科外担任の教師の方の問題や極めて小規模の学校に対する加配や養護学校に対する教員の増加や、あるいはつい先ほど御議論のありました中国残留帰国孤児の子供さんに対する特別加配や、教育環境を整備しなければならぬ条件がいっぱいあるわけであります。文部省といたしましては、昭和六十六年度に、四十人学級だけじゃなくて、それらの今申し上げたような条件もみんな含めて何とかしていかなければならぬという目標を立てて、それを達成するように今鋭意努力をしておるさなかでありますので、それをひとつお認めをいただきたいと思います。
#245
○藤木委員 なさらなければならないことがたくさんあるのは私も承知しておりますし、私たちが申し上げたこの三カ年計画というのも決して四十人学級だけじゃなくて、配置率も含めてこれでできる。四十人学級だけですと初年度が百八億円です、次年度は六億円です、三年目にはおつりがくる、こういう計算になるわけですからね、むしろこれだけ先にやった方が得をするというような計算が出ているのですよ。ですから、その辺はひとつ御検討の材料にぜひしていただきたいというふうに思います。
 で、今六十六年達成というふうに言われましたが、それさえ私は危ぶまれるのではないかというふうに思うのでございますけれども、本当に六十六年達成できますか。
#246
○海部国務大臣 年々予算編成の中で、文部省の中にもいろいろと優先順位といいますか、やらねばならぬと決めたもの、やらなければならぬものを重点的に措置をしながら努力目標を達成したいということでやっておりますので、あくまで私は六十六年には達成すべきであるという強い決意を持って、これから毎年毎年予算のたびごとに、大蔵大臣もここに聞いていらっしゃるわけですから、こういったことを踏まえてお願いをしていこうと思っております。
#247
○藤木委員 その強い決意でしたら、やりたいではなくて断固やり抜きます、こうおっしゃっていただけませんか。大蔵大臣のいらっしゃるところでぜひそういうふうに御表明をいただきとうございます。
#248
○海部国務大臣 これはやはり努力目標で、一生懸命努力します、私が今言い得ることはそこまででありますので、一生懸命努力をします、六十六年の目標は下げません、御理解いただきます。
#249
○藤木委員 私、ちょっと頼りない気がするのですね。罰則なしの努力目標というのが余りはやると困ると思うのです。その辺は、今おっしゃった努力というのは、とにかく努力さえすれば結果がどうなっても仕方がないんだということではなくて、達成をするということでなければならないということを私強く御要望を申し上げておきますが、その点はよろしゅうございますね、達成をするということでの努力を全力を挙げてなさるということですので。いかがですか。やるとおっしゃったらいかがですか。
#250
○海部国務大臣 これは社会的な条件、状況等もいろいろ変わっておりますので、私としては六十六年にぜひこれは達成したい、そういう六十六年の年度を置いてやっておるわけですから、そのために毎年毎年の積み重ねが必要で、ここでやりますと言ってしまえばそれで簡単に釈放してもらえるかもしれぬけれども、そうはいかない。できるだけ努力をしますという私の精いっぱいの正直な気持ちで申し上げておるのですから、いろいろな変化等もございましょう、これはお認めいただきたいと思います。
#251
○藤木委員 断固とした強い決意とおっしゃったことが余り強い決意ではないのだなと、やると一言おっしゃれないというのは一体どこに原因があるのかなと悲しい思いが私いたしますが、大臣、やるとおっしゃってください。
#252
○海部国務大臣 いや、やると思えばどこまでやるさという歌もありますけれども、私が今ここで余り調子いいことを言っても、私は昭和六十六年のときの最後のときにどれだけ予算が出てどうなるのかそれはわかりませんし、またもう一つ、当初のときの自然減の目標、数というものが今また変わってきておるということも先生百も御承知の上で御質問願っておると思うのです。いろいろ世の中が変わっていくわけでありますけれども、しかし今から六十六年にやると断言しろ、何ぼ言われても、これはやるつもりで一生懸命努力をいたしますということしか申し上げられませんので、その努力をひとつどうぞお見守りいただきたいと思います。
#253
○藤木委員 何にこだわってそんなに努力努力というふうにおっしゃるのかわかりませんけれども、六十六年まではだんだんだんだん減少率が高くなっていっているわけですから、やりやすい条件こそ整え、やりにくい条件が出てくるはずはないのです。もし出てくるとしたらそれを邪魔するものは何ですか、おっしゃってください。
#254
○海部国務大臣 私は、邪魔するものとか、そんなものを予想して物は決して申しておりません。六十六年度までにいいことだからやろうという計画を立てたわけですから、その計画を実行するために一生懸命努力をして、六十一年度お願いしておる予算案の中にもきちっと数字も組み込んで、達成したいという強い願いを持って努力しておるわけでありますから……。
#255
○藤木委員 極めていさぎ悪いということがよくわかりました。
 そこで、来年度の予算に係る問題についてですけれども、施設の余裕がある学校に限定をされておりますね。少なくとも当初計画に近い線に接近するという努力は必要ですし、可能だというふうに私思うわけです。そこで、施設に余裕があるという条件については、可能な限り弾力的に運用してやっていただくということでお返事をいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
#256
○海部国務大臣 詳細、具体的なことに関しましては政府委員からお答えをいたしますけれども、施設に余裕のあるものは弾力的に扱えというのはどういう趣旨の御質問でございましょうか。例えば特別教室と一般教室があって、そして特別教室の転用をすることによってできるようなことがあるなれば、それを地域の教育委員会が望むならばそれはしろと、こういう角度の御指摘ですか。――それは弾力的に考えると思います。
#257
○阿部政府委員 大臣からお答えしたとおりでございまして、昭和六十一年度予算におきましては、施設余裕校について手当てをするということにいたしたわけでございます。具体の施設のどれが余裕があるかという状況につきましては、四月までの間に、現在各県の状況等を調べて対応を検討しているところでございますけれども、例えば特別教室の転用というようなことはあり得ることだ、こう考えております。
 なお、六十二年度以降の予算につきましては、その年度その年度でさらに大蔵省と折衝していくということになるわけでございます。
#258
○藤木委員 もう一つ、文部省の十二カ年計画を見直しできるかどうかという点なんです。できるところから着手をするというように計画をしていただきたいと思うのですね。現在でしたら、減少市町村が終わってそれからそれ以外の市町村でやるという段階を踏んでやるようになっているわけですけれども、実態に見合っていないのですね。急増市町村だからといって、やはり急増市町村の中の過疎地域というのが出てきているわけですね。そういったところはやはり教室が余ってきているわけです。余裕が出てきているわけです、施設の中に。やはりできるところという条件を整えているわけですから、こういうところにも門戸を開くということをひとつお進めをいただきたいと思うのですけれども、この点はいかがでしょうか。
    〔渡辺(秀)委員長代理退席、林(義)委員長代理着席〕
#259
○阿部政府委員 六十二年度以降の対応の問題であろうかと思いますけれども、この問題につきましては、先ほども申し上げましたとおり毎年度の予算で検討するということになっておりまして、文部省自体で現在いろいろ検討はしておりますけれども、具体にどう対応するというところまで決め切っているわけではございません。今後の検討課題にさせていただきたいと思います。
#260
○藤木委員 まだすっかり決めていらっしゃらないということですので、その検討課題の中でぜひ御検討いただきますように、大臣から検討していただくと御答弁をいただきとうございます。
#261
○海部国務大臣 私の記憶に誤りなければ、今我が国は教師一人当たり平均児童生徒数は、平均ですよ、三十五、六名のところまでいっておるようですね。ただ、地域にばらつきがあるものだから、片方では四十人学級の達成にも御議論のように難しいことがあるし、片方では御指摘のように、もう四十人学級なんというのははるかに問題なくなっておる地帯もあるはずでございます。どうやったらいいかということは、ひとつこれは前向きに検討課題として検討をさせていただきます。
#262
○藤木委員 次に、大規模校の解消問題について伺います。
 文部省の調査でも、マンモス校の非教育的な実態については明らかになっております。「学校規模別対教師暴力発生件数」というのをお出しになっていらっしゃいますけれども、これによりましても、大きな学校ほど暴力事件の発生件数がふえておりますし、最近の日米中学校教師調査、これは日本青少年研究所が行ったものでございますが、この中でも、いじめは生徒千人以上のところで七六・一%、七百二十名から千人未満の規模のところで七五・二%、七百二十人未満のところで六二・五%と報告をされております。これらを見ましても、いかに大規模校の解消が四十人学級と並んで極めて緊急を要することかということが明らかになっていると思うのです。この問題も全力を挙げて取り組んでいただきたいのですが、いかがでしょうか。
#263
○海部国務大臣 御指摘のような傾向が確かにあると思いますから、文部省も大規模校の解消というのは鋭意取り組んでおり、また今年度予算でも、大規模校解消のための予算措置等も盛り込んで一生懸命やっておることです。ただ、具体的細かいことになりましたら、必要ならば政府委員からお答えをいたします。
#264
○藤木委員 私、五年というのはちょっと長いんじゃないか、せめて三年ぐらいに短縮できないかと思いますが、そういった御検討はできないでしょうか。
#265
○阿部政府委員 先生御指摘の件は、今回新しく用地費の補助制度につきまして年限の延長をしたのが五年間、それが長いというお話であろうかと思いますけれども、これはむしろ逆だと私は思っております。と申しますのは、現実に各市町村が用地を発見し、そこを取得をするというような交渉等には数年あるいはもっとかかるケースもしばしばあるわけでございます。そういう意味から申しまして、できるだけ各市町村の計画をすくうという意味で五年間という期間を設けておるわけでございます。それ以前に早く用地の取得ができるという見込みが立ってやっていけるところについてはどんどん補助として取り上げていくという体制でございますので、御理解をいただきたいと思います。
#266
○藤木委員 では次に、体罰の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 文部省の全国実態調査でも教師による体罰が急増しております。法務大臣、お越しになっていらっしゃいますか。お尋ねをいたしますけれども、法務省人権擁護局で「体罰をなくそう」というパンフレットをお出しになっていらっしゃいますね。これも調査結果に基づいてお出しになっていらっしゃるもののようでございますが、「子供社会の大きな社会問題である「いじめ」にも体罰が影響を及ぼしているとの指摘があることにも想いを至すべきでしょう。」と書かれてございます。いじめを克服する上で体罰の一掃が重要な課題であるというふうにお考えでいらっしゃいますか、お答えをいただきとうございます。
#267
○鈴木国務大臣 御質問のように、法務省としましても調査いたした結果、そういう関連が相当あるという考えを持ってそれに対処いたしておるような次第でございます。
    〔林(義)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕
#268
○藤木委員 ありがとうございました。法務大臣には質問はそれだけに考えておりますので……。
 それから、体罰を肯定したりあいまいな態度をとることは、暴力、不正に対して毅然とした態度をとれないということとまさに裏腹だと思うわけです。子供の人権侵害を容認いたしましたり軽視することに通じますし、いじめを深刻に受けとめない姿勢とこれは不可分だろうと思うわけです。体罰は学校教育法第十一条で禁止されていますけれども、依然として愛のむち論や傷つけない程度の体罰は効果があるなど、教員だけではなく父母の間にも肯定する風潮が強いだけに、ここにメスを入れるのは相当の決意と努力が必要であろうというふうに思います。
 戦後の教員による体罰を理由にした懲戒処分の推移を拝見いたしますと、文部省の調査でも、それから置原豊先生の著書によりましても、一貫して減る気配がないわけですね。しかも、最近では神奈川県相模原の上溝中学校、ここは生徒数が千四百七十名ですけれども、ここでは四人の先生が職員室で四時間にわたって暴行を加えた、その加えられた一年生の男子生徒が三週間のけがをしたということですとか、それから横浜の藤が丘小学校、これは児童数千二百六十七名でございますけれども、ここでは、子供をほうきの柄で殴るといったような体罰教師を父母たちが毎日監視していなければ安心して授業が受けられないということも報道されております。また西宮北高校で修学旅行のスキー合宿中に、生徒を指導するためとして女子生徒のわき腹をけり、肋骨の間の軟骨二本を折って三週間のけがをさせた。こういった事件が連日のように報道されております。このままではいじめに拍車をかけるだけではなくて、またいつ死亡事故につながる痛ましい事件が起こらないとも限りません。
 このような体罰の横行を見るにつけ、文部省がどのように指導していらっしゃったのか、私はその点疑問に思っているわけですけれども、文部省は、学校教育法で禁止された体罰について戦後どのような御指導をしてこられ、また対応してこられたのか、お答えをいただきとうございます。
#269
○高石政府委員 御指摘のように、体罰は法律で禁止されているわけでございます。したがいまして、今日まで一貫して学校現場における体罰については十分な注意をして、そういう行為が行われないようにということを指導してまいっているわけでございます。最近ここ一、二年でも、再三にわたりまして局長通達で、体罰が行われないようにということの趣旨を徹底するようにという指導を繰り返している状況でございます。
#270
○藤木委員 どうも不十分だと思うのです。最近は例年のようにとおっしゃいましたけれども、私がちょっと調べさせていただきますと、昭和三十二年に一回お出しになっていらっしゃるのですね。その後は去年なんですよ。六十年六月なんです。これも、いじめの問題から自殺に発展をするというような痛ましい事件になりましてこのことに取りかかられたわけでございます。そして、今回の全国調査に基づいて二月二十一日にお出しになった。こういった通達をお出しになっていらっしゃるわけですが、戦後、体罰は決して減っていないだけではなくて、むしろ最近は増大をしているというこの傾向を私は非常に憂えております。指導してきたとおっしゃいますけれども、結果として体罰はなくならないのではないかという思いがしているわけですね。
 特に、なぜ体罰が禁止されているのか、教育的になぜ体罰がいけないのか、その教育的位置づけや意義について、文部省自身の言葉で語られる通達を私はとんと拝見していないわけでございます。学校教育法で禁止されているからやってはならないというのが主張の基調になっているわけですね。ここに私は、文部省の体罰に対するあいまいな、ある意味では容認するような姿勢が出ているのではないかと思えてならないのです。ですから、文部省は口では否定していらっしゃるけれども、学校管理上実は必要だという見方をお持ちなんじゃないだろうかと思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
#271
○海部国務大臣 今御質問の最後におっしゃった、学校管理上体罰は必要だなんという考えは毛頭持っておりません。これは法律にいけないと書いてありますし、それからもう一つは、私の意見を述べると、児童生徒の発達段階から見て、体罰を加えるということは私は教育的だとは思いません。だから法律でも禁止しているのでしょう。それから、この間テレビで放送されたドライヤーを持ってきたからいけないといってしかられて、しかられているうちに体罰になってとうとう命をなくしてしまったというようなニュースを見ますと、これが教育の現場で行われることは絶対によくないという気持ちで私は見ていますから、金輪際、体罰を学校運営に利用しようとかそんな気持ちは私は持っておりませんし、文部省も、きょうまでそんな気持ちでやってきたものとは私は考えておりません。
#272
○藤木委員 海部大臣はきっぱりとこれを否定されたわけでございます。しかし、学校現場ではそういった体罰があるということは認めていらっしゃいますね。しかもこの容認論というのがわりかたまかり通っているのです。日本弁護士連合会、日弁連の第二十八回人権擁護大会シンポジウムの報告書を拝見いたしましても、極めてゆゆしいのはこれが学校現場だけじゃないのですね。教育委員会の考え方に私は疑問を感じないではいられません。
 これは秋田県ですが、「体罰について 教育委員会では体罰を厳禁し、校長・教頭会議の席上、口頭で体罰の厳禁を指導しているが、保護者から教育委員会に対し体罰に関する苦情が時々ある」ということでございます。この中で「教育委員会の認識は、「昔であれば家庭の教育が厳しく、多少のことにつき子は免疫があったが、最近はこれがなく、些細なことで生徒・父母から苦情の出るケースがある」」というものなんですね。ですから、ささいなことは体罰ではないとお考えになっていらっしゃる思いが出ていると思うわけです。
 また、愛知県立の新設高校、既設高校よりも新設高校の方が規則だとか校則だとかというのが非常に細々と決められておりまして、厳しくなっているのですけれども、そういった規則や校則の厳しいところはどうなっているか。「違反に対する指導処置」というのがございますけれども、例えば頭髪、服装の一斉検査が新設校のほとんどで行われております。ある学校では「体育館にとじこめられて軍隊のように一列に並ばせられ、「お願いします」と叫ばされたあと、数人の教師たちが、よってたかって頭の先から足の先までチェックし、合格、不合格を決めていく。」「おまえは首が短いんだから、後ろをもっと切ってこい。」とか、身体上の欠陥まで指摘したのです。」こういうことがやられておりまして、「違反者に対する指導処置としては、」既設高校に比較し体罰に該当する処置が多くなっております。「具体的には、殴る、蹴る、丸刈りの強要、長時間の正座」などがありますが、「その処置の仕方も、男子教師が、女生徒をはがい絞めにし足で蹴るとか、授業中ちょっとでもざわつくと、その原因も確かめず全然関係のない生徒の頭を殴るということがある。」というふうに報告をされているわけです。
 もう一つ、これは福岡です。福岡のある中学における体罰の状況を、そこに子供を通学させている母親の手記でちょっと御紹介をしておきますと、
  最近は、子どものいじめの問題が色さ言われていますが、日常的な体罰という名の暴力の中で、子ども達も暴力に対して何とも思わなくなるのではないかと心配しています。それと、教師が、理由があるから体罰を加えるという考えは、子どもにも、理由がある時には暴力も許されると教えている事にならないでしょうか。
こんなふうに報じられているところなんですね。ですから、体罰肯定というのは極めて根深いと私は考えております。
 この風潮を打ち破るには、一片の通知というものではだめなんじゃないかと思うのですね。一番大切なのは、体罰がまさに暴力であって人権侵害の行為なんだ、それは動物の訓練だとか奴隷の使役に使われるようなやり方であって、人間の扱いとしては野蛮きわまりない方法なんだという認識、これをしっかり持つことであり、結局これは説得を省略するわけですから、肉体的苦痛だとか恐怖だとか、そういったことで理性を麻痺させて思いどおりにしようというやり方ですから、自覚的な反省だとか自主的な思考の機会というものを全く奪ってしまうわけです。人間としての自覚を弱めていくものだと思います。人間としての諸能力を発達させるという教育の働きや目的とは全く正反対のものでございます。
 いかなる理由があろうとも体罰は断じて認めないという原則、これを貫き通すという御指導が実効ある措置としてあらわれてまいりますように、あらゆる機会を通じて徹底していただきますよう大臣にお願いをするわけです。日本の教育から体罰を一掃する、断固としてなくす、そういう確固たる信念を表明していただきたいと思います。
#273
○海部国務大臣 行き過ぎた体罰の例がやはり全国にいろいろあることは、これは私は報告を聞いてよく承知しておりますし、体罰は絶対に許されないことで法律でも禁止されていることでありますから、私は去る二十一日に全国に対して談話を出してお願いしますときにも、このことに触れてお願いをしておるわけでございます。
 むしろ体罰なんか加えなくても、最初に先生が朗読されたような心の信頼感や通い路を持った教師に現場の先生が皆なっていただいたら、児童生徒の方も心を開いて寄ってきてくれるのではないか、会話がみずみずしくなるのではないか、そういうのが理想的な指導であると思っておりますので、体罰に頼ろうとか、体罰は絶対にいけないという基本的な考え方を変えるつもりは私はありません。
#274
○藤木委員 教育の場から一掃してくださいませ。一掃するとおっしゃってください。なくさないのですか。
#275
○海部国務大臣 これは私が一掃すると言っても、全国の先生が聞いて協力してくれなかったらどうにもならぬわけでありますから、全国の先生に、体罰は絶対しないようにしてくださいということは二十一日の通達でも出しましたし、私は心からお願いをしておるわけであります。全国の先生がこの願いを聞いてくださるように、私の方からこの場をかりて逆にお願いをしたいと思います。
#276
○藤木委員 今の御発言の中で、一カ所だけ訂正してくださいませんか。行き過ぎたというふうにおっしゃいましたけれども、私は、十一条違反になるような行為というのは行き過ぎも行き過ぎないもないと思うのですね。どんな体罰も一切これはだめだと思うのです。ですから、行き過ぎた行為についてはとおっしゃいましたけれども、それはそういうふうに言わないでいただきたいと思うのです。
#277
○海部国務大臣 それは言い直します。
 この表を見ておりましたら、学校段階で二千二百九十二件が話題になり、市町村の教育委員会段階でそれが八百四十六になり、最終的に県の教育委員会の指導、処分を受けたのが百六十五件ということになりますと、やはりこれは許すべからざる、限度を超えたものが教育委員会では処置された。学校現場ではいろいろあったけれども、もうやりなさんな、もういけませんという注意をされたのだろうと思います。
 行き過ぎたという言葉は確かに言葉として不的確ですから、今後は使わないようにいたします。
#278
○藤木委員 はい、結構です。
 それでは次に、保育所問題について質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、厚生大臣、自治大臣、大蔵大臣にそれぞれお伺いをしたいのですけれども、昭和二十三年の児童福祉法の施行以来いろいろな経過をたどってはまいりましたけれども、ここ三十年近くは、措置制度が定着をして保育所運営がなされてきたと思います。保育所が果たしてきた役割についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、おっしゃってください。
#279
○今井国務大臣 先生おっしゃいますように、保育所というのは児童福祉法の二十四条、保護者の就労や病気のために保育に欠ける児童を保育する、そういう児童福祉施設でございますから、児童を心身ともに健やかに育成するために重要な役割を果たしているものと私も認識いたしております。今後とも婦人就労というものの増大に伴いまして多様化します保育需要に適切に対応すべく努力してまいりたいと思っております。
#280
○小沢国務大臣 厚生大臣の御答弁のとおり、私も、大変重要な役割を果たしている、そのように考えております。
#281
○竹下国務大臣 私も昭和二十四年から二十七年まで保育所長をしておりまして、厚生大臣のおっしゃるとおりの考え方だと思っております。
#282
○藤木委員 保育所が児童福祉法に法的根拠を持つ児童福祉施設であるということは、これは当然のことですけれども、大切なのは、保育所が保育に欠ける児童を保育し、児童の健やかな成長と発達を保障するということとあわせまして婦人の働く権利を保障する、この二つの役割を果たしているところだというふうに私は思います。
 特に日本の政府は、婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約を批准したわけですね。この条約では、保育所の設置とその機能を一層発展させるということを特別に重視をしております。ですから、この児童福祉施設である保育所に対する責任を果たすということが極めて重要な段階に入っていると思うわけですね。特に、結婚している婦人の六割までが仕事を持っているわけですから、まさに働く母親が主流になりつつある、こういうときに、保育施設が量的にも質的にも整備されることが求められているのは当然でございます。
 そこで、訴えたいこともあるのですが、時間の関係もありますので単刀直入にお聞きをいたします。
 保育行政に婦人たちの非常に切なる願い、国民の要求が寄せられているそんな大事な時期に、補助金問題検討会は、臨調行革の考え方に基づいて、福祉施設行政について国庫負担率を二分の一に削減すること、これにあわせて機関委任事務から団体委任事務に改める方針を提起しておりますね。この団体委任事務を執行する上で必要な財源について地方自治法の第二百三十二条二項ではどのように規定しておりますか。
#283
○大林政府委員 地方自治法第二百三十二条第二項では、法律またはこれに基づく政令の定めるところによりまして、国が地方団体、または機関委任事務についても同じでありますが、地方団体の機関に対して国の事務を行わせる場合には、「国は、そのために要する経費の財源につき必要な措置を講じなければならない。」こう規定しております。「必要な措置」の代表的なものといたしましては、地方税収入等の一般財源の拡充強化あるいは地方交付税上基準財政需要額への算入、国庫支出金等が代表的な例だと思います。
#284
○藤木委員 そうしますと、地域の子供の保育保障や自治体の保育行政、こういった実態からいいまして自治体間格差というものがございます。これの是正はもちろんのことですけれども、自治体の歳入構造からいいましても地方交付税にその多くを依存しているわけでございます。このような財政保障について具体的検討を行うことが今最も必要なことではないかと思うのですけれども、どのような検討をしていらっしゃいますでしょうか。
#285
○花岡政府委員 今回補助率につきましては、事務の見直しにあわせてこれが二分の一になったところでございます。このため、地方団体の財政負担というものは、都道府県、市町村それぞれに五十九年度の十分の一、六十年度は十分の一・五でございましたが、これが四分の一にふえるわけでございます。この地方団体の財政負担の増加分につきましては、保育行政の円滑な執行に支障を生ずることのないよう地方交付税の算定を通じて措置をするということを考えております。
#286
○藤木委員 しかし、その地方交付税率が三二%であるのに、従来はなかった費目がどんどんふえてきていると、私たち国民の目から見れば、何でもかんでも交付税で財源措置をするといっても本当にできるんだろうか、こういう疑問を持つわけですけれども、その点はいかがでございますか。
#287
○花岡政府委員 今回の補助率、負担率の引き下げによります影響は、全体で一兆一千七百億円でございます。このうち経常経費系統のものにつきましては六千百億円でございます。これにつきましていわゆる地方税、たばこ消費税でございますが、これの税率の引き上げあるいは交付税の加算、それでなおかつ交付税の足らない部分につきましては、交付税の基準財政需要額の中に算定しております投資的経費を振り出しまして、これに建設地方債を充てて交付税を確保する。その将来の元利償還につきましては後年度の財政計画を通じて的確な措置をする、こういう考え方でございます。
#288
○藤木委員 今の御説明を伺いましても疑問は解けませんけれども、それでは、団体委任事務になるということで今の措置制度がどうなるのですか。どこか変わることがあるのじゃないでしょうか。あるとすればどんなところが変わるのか、お教えをいただきたいのですけれども。
#289
○坂本政府委員 現在、保育所への措置は、他の社会福祉施設の措置と同様に国の機関委任事務とされておるわけでございます。これを今回の改革によりまして、地方公共団体の団体委任事務にしようという考え方でございます。これは、基本的には現在国が相当なところまで、一つずつかなり詳細な規定をもって規制しております措置の基準につきましても、ある程度地方の実情に合った、また地方の自主性を尊重した措置に改めまして、やはり住民の福祉というものは身近な地方団体において実質的にこれを施行できるように、こういう趣旨から行うものでございます。
 したがって、国のこれまでの基準というものにつきましては、基本的な要件というものはもちろん法律に基づいてこれを決めるわけでございますけれども、地方において各地の実情に応じた措置というものが弾力的に実施できるようになってくる、こういうところが重要なポイントになるわけでございます。
#290
○藤木委員 そうしますと、ここでは自治権が拡大をする、こんなふうに理解してよろしゅうございますか。
#291
○坂本政府委員 自治権という言葉の意味につきましては、これは私、直接その厳密な定義というものをここで申し上げる立場にございませんけれども、国が相当な詳細な点まで現在のところ規定で決めておりますものを、ある程度弾力的に地方自治団体が例えば条例等をもって決められるということは、地方自治における福祉の運営面においてそれなりに重要性と申しますか、内容の充実が図られる、あるいはある意味では権限が大きくなると言ってよろしいかと思います。
#292
○藤木委員 そこで、保育所措置費の国庫負担率を六十一年度から二分の一に削減しようとしているわけですけれども、これで私が推計しますと、予算人員は六十年度百八十二万人分ですから、五十四万人分の国庫負担を削ることに匹敵をいたします。これは約三分の一の削減になるのですね。大変なことでございます。五十九年度の保育所一カ所当たりの措置児童数は平均をいたしまして八十二名ですから、これで単純計算をいたしますと、実に六千五百八十五カ所の保育所をなくすのと同じことになるのですけれども、どうなんですか。
#293
○坂本政府委員 保育所に対する国庫補助の率が引き下げられることによりまして、国庫補助の額自体は確かに減るわけでございますが、それと同時に、地方財政対策を講じることによりまして、保育所に対する国、地方を通じての公費負担額というものは決して減るわけではございません。したがいまして、国庫負担額だけの比較を単純に考えますれば、それなりに数字の上では減ったという形にはなるわけでございますが、私どもとしては、公費負担全体を通じまして内容の充実を図る、あるいはそれなりの財政対策を講じるということによって、むしろ内容的には充実を図る、こういうことができることと考えております。
    〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
#294
○藤木委員 紙の数字の上だけの問題だとおっしゃるんだったら、何も見直しなさることないわけですね、今までと同じであれば。今までどおりにしていらっしゃればいいわけですよ。現実に自治体の負担率がどのように変化をするのか、ここらあたり試算していらっしゃらないのじゃないかと思うのですね。
 私は、地元尼崎市と西宮市の場合どうなるか、実は試算をしてみました。尼崎の例をきょうは申し上げたいと思うのですけれども、ここは公立が四十四園ございます。私立が三十二園。措置児数は五千二百十九・六名でございます。これは現行制度ですよ、十分の八。昭和五十九年度の決算、これでいきますと、措置費収入が二十五億三千六十六万円、これが一〇〇%になるわけですね。この中の国基準徴収金、親から集める金ですが、十三億百二十五万円、これが五一・四%ですよ。そして国の負担金が九億八千三百五十三万円で三八・八%、県と市の負担金はそれぞれ一億二千二百九十四万円で四・九%ずつだったわけでございます。この年も、市の超過負担は二十億三千八十一万円に及んでおります。
 この五十九年度の保育水準のままで国庫負担率が二分の一になった場合どうなるかということで計算をしてみたのですが、そうしますと、措置負担区分は次のようになるわけです。国負担金は六億一千四百七十一万円で二四・四%、これは五十九年度決算に比べて三七・五%、三億六千八百八十二万円減るわけです。ところが、県の負担金と市の負担金はそれぞれ三億七百三十五万円、これは一二・一%となって、実に五十九年度決算に比べると二倍半の負担になるのですよ。さらにこの公費負担分について措置児一人当たりの経費比較で推計をしてみますと、国負担は一人について七万六百六十五円、減った勘定になる。その分がそっくり自治体負担となるわけです。自治大臣に伺いますけれども、地方自治体はこの負担増に対応できるというふうにお考えですか。支障なくやっていけるというふうに御判断をなさっていらっしゃいますか。
#295
○小沢国務大臣 先ほども政府委員から答弁がありましたとおり、今回の負担率の見直しにつきましては、事務事業の見直しの観点から二分の一ということになったものでございまして、先生の御指摘の地方自治体の財源の補てんにつきましては、ここで詳しく申し上げる必要はないと思いますが、私どもといたしましては、異例の補てん処置を行いましてそういった運営に支障の来さないように配慮いたしておるところでございます。
#296
○藤木委員 そんなことはないわけですね。今年度文部省の関係予算の中で、教材費が補助金から一般財源化されて交付税になりましたね。ところがある自治体が、教材費は補助がなくなったからということで予算上の上でゼロにしちゃったのですね。こういうところが出てきたのですよ。もう文部省は慌てまして、これを御指導されて是正をされたそうでございますけれども、こういった混乱というのは出てくる可能性があるわけですね。厚生大臣、このようなことで今の保育水準を最低の水準として維持できるかどうか。団体委任事務になった場合、水準を維持するための歯どめはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#297
○今井国務大臣 今御答弁がありましたように、もうちょっと詳しく申し上げますと、今まで国が事細かにはしの上げおろしまで言っているのですね、いわゆる機関委任事務というのは。そういうことじゃなくて、これからはやはりこの保育事業のようなものは、地方に非常に密着したものですから地方の自主性を尊重しようじゃないか、それで団体委任事務にしようじゃないか。団体委任事務というのは地方公共団体が細部のものを決めるわけです。しかも、地方の議会も条例をつくったり何かして発言権があるわけです。今まではないのですから、国の決まったとおりやるわけですから。そんなことじゃなくて、やはりもっと団体委任事務、すなわち地方公共団体が口も出せるようにしょうじゃないかというふうに事務事業の見直しを行ったわけですね。その一環として国と地方の負担割合を変えようじゃないか、私はそのように考えているわけです。したがって、私は水準は落ちないと思っております。地方がきちっとやっていただきますから落ちないと思っております。
#298
○藤木委員 地方の権限を拡大していただく、これはいいのですよ。それはいいのです。やっていただきたいのは財政的な裏づけなんです、私が申し上げているのは。ある自治体は保育料を国基準以上徴収したい、こう言ってきたのですよ。こんな自治体だってあったのですから、ないとはおっしゃれないでしょう。これももちろんそういうことはできないということで是正されておりますが、国の機関委任事務でさえもこういうことが起こり得るような状態なんです。それほど地方自治体の格差もありますし、窮乏しているわけです。ですから私は、水準をもし守ろうとおっしゃるのであれば、負担率を回復される、これしかないということを申し上げて、今どんなに困っているかということでお話をさせていただきたいと思います。
#299
○小渕委員長 今井厚生大臣。(藤木委員「私、答弁求めてないのですが」と呼ぶ)
#300
○今井国務大臣 私にもちょっと言わしていただきたいと思うのですが、私は今のお考え方がちょっとおかしいと思うのですね。確かにおっしゃるように国の金を減らすことは間違いありません。だからといって、この保育所のようなものは、やはり本当に地方が自分でもってやるんだというふうにしていかなければ本当のものじゃないと思うのです。国があれしなさい、これしなさいとやかましく言うことじゃないと思うのですね。したがって、地方に自主性を持たしていこうじゃないかというふうに思いますので、それなりの負担はやはりしていただきたい、私はそう思っておるわけでございまして、このあたり先生とまさに意見が違うようでございますが、私はそう思っております。
#301
○藤木委員 質問じゃございませんけれども、厚生大臣、申し上げておきます。地方に権限は移譲する、地方がお決めいただくことだ、レベルは落ちません、どうして国がそんなこと保証できますか、できないじゃありませんか。国の負担率が十分の八から十分の七に削減をされた六十年度でさえも、父母の負担がどれだけ増大しているか。国民は悲鳴を上げております。保育料がどんなに国民の生活実態とかけ離れた高いものであるか、これを聞いてほしいと思うのですね。
 私、家計簿を見せていただいたのです。この家計簿によりますと、尼崎のAさんです。民間に九年勤続をして、一月の総収入は二十九万七千八百二十六円、Aさんの妻、私立保育園保母、七年勤続、収入十五万二千五百二十円、夫と妻の手取り合計が三十一万四千五百六十三円です。この中からマンションのローン六万六千円、光熱費三万四百円、食費九万円、保育料七万三千百五十円、これを支払いますと、手元に残るお金は五万四千九百四十六円です。Aさんの保育料はD14階層なんです。五歳児が二万五十円、三歳未満児が五万三千百円ですから、保育料は夫妻の総収入の一六・二四%ですよ。めちゃくちゃじゃありませんか。手取り合計の実に二三・三%なんですよ。保育料が高くないなどと言われないでしょう。
 西宮市のBさんの場合、夫と妻、両方とも民間で、勤続五年です。夫は十六万三千円、妻は十一万二千円の収入があり、合計で二十七万五千円です。との中から国民年金、国民健康保険、住民税、所得税、保育料、給食費、電気、ガス、水道、電話、新聞、ガソリン代、自動車保険税、家賃等々支払った残りは十万六千三百十九円。この中から両親に二万円の仕送りをしていらっしゃいます。残った八万円の中で朝晩の食費、衣服や小遣いなどやりくりをしていらっしゃるわけです。ここには文化住宅でおふろがありませんから、おふろに行くのに一家四人のふろ代が一回六百六十円。六千円から七千円ふろ代の予算を組むそうですから、この寒い冬でも三日に一遍しかおふろに入れない。この方の階層、Bさんの階層はD5階層で、今三歳以上児を一人入所させておりますが、保育料は一万八千二百円です。厚生大臣、よく聞いてくださいよ。この方は四年前に二人入所させていらっしゃいました。三歳未満児と三歳以上児二人を入所させていて、一カ月五千八百五十円で済んだのです。それが今一人しか入所していない。にもかかわらず三倍以上になっているのですよ。私、これいつからだろうと思って計算してみましたら、臨調行革始まって以来なんです。私はこれこそが、今世間で騒がれているいじめといいますけれども、この冷たい政治が子供をいじめているのじゃないか、父母たちをいじめているのじゃないか、そのことを厳しく告発をしておきたいと思います。
 いかがでしょうか。ここで本来でしたら閣僚のすべての皆さん方に一回でもいい、このD5の水準の生活を一カ月体験してみよう、こういうお気持ちになっていらっしゃらないかどうか伺いたいところですけれども、これは厚生大臣に代表して御答弁をいただき、国民の生活実態をどのようにお受けとめになられたかお述べをいただぎたいと思います。
#302
○小渕委員長 坂本児童家庭局長。(藤木委員「大臣の感想を求めているのです。結構です、委員長」と呼ぶ)
#303
○坂本政府委員 保育所の徴収金の問題でございますので、まず私からお答え申し上げます。
 保育所の徴収金につきましては、例年児童の処遇費の状況を考えまして、またさらに保護者の負担能力等を十分勘案いたしまして決定をしておりますけれども、いろいろな条件を十分に考慮いたしまして、実際に保育所に児童を預ける方の過重な負担にならないように十分私どもとしては注意して決めておるところでございます。
#304
○藤木委員 質問しているのは私でございまして、質問している趣旨でお答えをいただきませんと。私は大臣のお気持ちを伺いたかったのです。国民に一言おっしゃっていただけませんか。今の生活実態をお聞きになってどういう感想をお持ちになったか、それを伺っているのです。
#305
○今井国務大臣 私も、子供もおりますし、孫もおります。保育にかかっております孫もおりますので、気持ちとしてはわかります。しかし、やはりその必要なものはいただくということでなければ保育所はやっていけないのでございますから、そのつもりでおります。
#306
○藤木委員 今公立の保育所が随分定員割れを起こしております。けれども、その定員割れが起こっている原因の一つにも、保育料が高いということがあるのですよ。私は、保育料が高いために保育所に子供が入れられない、そのために働く場を失わなければならないということは断じてあってはならないことだと思うのですね。あってはならないのだけれども、それが今やられているのですよ。そういうことに、私、厚生省というところはもっと責任を感じていただかなければならない、こんなふうに思うわけでございます。
 私は、時間の点もございますので、その定員割れの問題に関連をして、ひとつベビーホテルの問題で伺っておきたいのですね。これは保育料が高いためもございますけれども、しかしまた、親たちの労働条件に保育時間が見合わないという、保育条件が悪いという点もあるということを申し上げておきたいというふうに思うわけです。子供を預けて働きたい母親はたくさんいるわけですね。大阪保育運動連絡会など関西四団体が共同で行ったゼロ歳児家庭実態調査報告書を見ましても、ゼロ歳児家庭の五一・六%、二万六千百七十件も集めておりますけれども、今すぐ預けるところがあれば働きたいと思っている人の八一・三%が保育所へ入れたいと思っているのです。そして、統一労組懇自治体部会の保育所実態調査では、保育料が二万円未満のときは入所率が九三・五%だったのだが、三万五千円になると七九・六%に下がっているということがわかっているわけです。この保育所の定員割れというのもつくられているということを私は申し上げておきたいと思うのですね。しかし、そういった中で非常に一生懸命努力をしているところがあるので、御紹介しておきたいと思います。ちょっとベビーホテルの問題は省きます。
 この定員割れを克服している例ですけれども、西宮の市職員労働組合保育所分会です。ここは保育所のPRも不足しているのじゃないかということをいろいろ議論しまして「ほいくしょっていいな」という宣伝のビラをつくりまして、保育所の周辺やあるいは駅前で市民に手渡しをして訴えました。ところが、これは一万枚足らずぐらいしかまいていないのですけれども、二十四件も相談の電話がかかってきているのですね。そうして、この年は半年の間に八十五名ふえているのですよ、公立の保育所の入所見が。やはり福祉事務所というところは窓口で入所基準の締めつけだけやるのじゃなくて、こういうことをやるべきだと思うのですね。そして、こういったよい例といいますか、このようにして克服したことというのは、それこそ全国的にも広めていって、深刻な定員割れを克服していくということをぜひやっていただきたいと思うわけです。
 私いろいろ述べてきましたけれども、臨調答申や行革審意見の求めるままのこの補助金問題検討会報告というものは、まさに子供の未来はない、こんなふうに大臣お思いになりませんか。最後にそのお気持ちを述べていただきたいと思うのですが。
#307
○今井国務大臣 確かにおっしゃいますように、定員割れの問題は私どもも非常に頭が痛い問題でございまして、積極酌な対応策というものをいろいろ考えているわけでございます。したがいまして、この問題について、やはり何といってもお母さん方が安心して託せるような、そういったものを私どもが積極的に誘導していくということをしなければならぬと思っておりまして、お説のとおりだと思っております。その点につきましては全くそうです。
#308
○藤木委員 そのとおりであれば、この際勇断を持って、断固としてこの二分の一への削減をはね返していただきたい、こんなふうに私は心から御要望申し上げますけれども、その点はどうですか。
#309
○今井国務大臣 残念ながら、二分の一をはね返すというのは、そのつもりはございません。
#310
○藤木委員 かなり複雑な御心境のように承りましたけれども、それでは許せませんね。児童福祉法の第五十三条に則記されている十分の八の国負担の責任を放棄して、子供の安全も健康も発達も知らぬ存ぜぬ、こういう態度に終始をされることは許されません。しかも、このお金だって安いのですよ。本当にわずかばかりのお金なんですね。たった一千億円じゃありませんか。これは私どもの計算では、P3C十機削ったら出るお金なんです。
 私はそのことを強く申し上げて、最後に文部大臣に、お待たせをいたしましたが一つお聞きをしておきたいと思うのです。
 海部文部大臣が大臣就任前のことでございます。自民党の文教制度調査会長をしていらっしゃいましたね。去年の「自由民主」の八月号、これで臨教審の香山健一氏と対談をされまして、その中で「教育基本法の精神を尊重し解釈を補完する意味で、「教育憲章」といったようなものを我々のほうで考えてみよう」というふうに述べていらっしゃるわけですけれども、あなたは今でもそのようにお考えになっていらっしゃるのかどうか、お聞きをいたします。
#311
○海部国務大臣 確かに「自由民主」で香山さんと議論したことがございます。正確な表現は、ちょっと手元に本がありませんから忘れましたけれども、私は、教育基本法のいろいろな議論をずっときょうまで踏まえてみて、党の文教制度調査会の中で、今の教育基本法は親孝行ができないのじゃないかとか、今の教育基本法では愛国心教育をやってはいかぬのじゃないだろうかとか、いろいろな議論をした時期が確かにございました。そんなころに私は、今の教育基本法というのは人格の完成ということを目標にある法律でありますから、人格の完成ということになれば、教育基本法の中にも平和的な国家及び社会の形成者として国民は期待されるわけです。ですから、親孝行を教えたっていいし、愛国心を教えたっていいし、もしそこにいろいろ疑いがあるようならば、自由民主党の中で一遍そんなようなことを考えようかという議論を党内でいたしたことは確かにございましたから、そのことを踏まえてたしかその対談のときにいろいろ言ったと思います。いいですか、それで。
#312
○藤木委員 私の質問は、今でもそのお考えか、大臣として。
#313
○海部国務大臣 ただいまは、国会で臨教審の法律をつくっていただきまして、その法律の中にはきちっと教育基本法の精神を踏まえてと、こう書いてございますし、私は教育基本法をどうこうしようとか、それから党の方のころの考えを今文部大臣として文部省であれこれしようとかいうことはありませんが、個人としては、教育基本法の「人格の完成」の枠の中で親孝行も教えてもいいし、愛国心教育もやってもいいし、またやらなければ人格が完成されたとは言えないのではないか、それは個人として今もそう思っております。
#314
○藤木委員 個人として今もそう思っていらっしゃいますけれども、文部大臣でいらっしゃいますよね。では、何を補完しようとしていらっしゃるわけですか。補完しようとしていらっしゃるのは何でございますか。
#315
○海部国務大臣 ただいまは文部大臣として臨教審の答申をお待ちしておるというところでありまして、こういうふうにできると私が確信しておる以上、別に補完しようとは思いませんし、補完するものはないと思っております。
#316
○藤木委員 それでは、これで質問を終わります。
#317
○小渕委員長 これにて藤木君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして、一般質疑は終了いたしました。
 次回は、明二十五日午前十時より開会し、税制・財政問題について集中審議を行います。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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