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1985/05/09 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 環境委員会 第4号
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1985/05/09 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 環境委員会 第4号

#1
第104回国会 環境委員会 第4号
昭和六十一年五月九日(金曜日)
   午前十時三分開議
 出席委員
  委員長代理理事 柿澤 弘治君
   理事 國場 幸昌君 理事 中馬 弘毅君
   理事 戸塚 進也君 理事 岩垂寿喜男君
   理事 金子 みつ君 理事 木下敬之助君
      臼井日出男君    辻  英雄君
      村岡 兼造君    竹村 泰子君
      土井たか子君    和田 貞夫君
      岡本 富夫君    草川 昭三君
      伊藤 英成君    藤田 スミ君
     稻村佐近四郎君    横手 文雄君
 出席国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官) 森  美秀君
 出席政府委員
       環境政務次官  小杉  隆君
       環境庁長官官房
       長       古賀 章介君
       環境庁企画調整
       局長      岡崎  洋君
       環境庁企画調整
       局環境保険部長 目黒 克己君
       環境庁自然保護
       局長      加藤 陸美君
       環境庁大気保全
       局長      林部  弘君
       環境庁水質保全
       局長      谷野  陽君
 委員外の出席者
       宮内庁書陵部長 宮尾  盤君
       科学技術庁原子
       力安全局防災環
       境対策室長   千々谷眞人君
       科学技術庁原子
       力安全局原子力
       安全調査室長  今村  治君
       科学技術庁原子
       力安全局保障措
       置課長     池田 信一君
       環境庁長官官房
       参事官     杉戸 大作君
       外務省北米局安
       全保障課長   岡本 行夫君
       外務省国際連合
       局原子力課長  山田  広君
       文化庁文化財保
       護部記念物課長 田村  誠君
       厚生省生活衛生
       局食品保険課長 大澤  進君
       厚生省生活衛生
       局水道環境部環
       境整備課長   加藤 三郎君
       厚生省薬務局審
       査第一課長   齋藤  勲君
       厚生省児童庭
       局母子衛生課長 近藤 健文君
       通商産業省貿易
       局輸入課長   石黒 正大君
       通商産業省基礎
       産業局化学品安
       全課長     阿部巳喜雄君
       運輸省国際運
       輸・観光局観光
       部企画課長   望月 鎭雄君
       運輸階航空局飛
       行場音長    阿部 雅昭君
       運輸省航空局飛
       行場部関西国際
       空港課長    竹内寿太郎君
       運輸省航空局技
       術部検査課長  加藤  晋君
       運輸省航空局管
       制保安部管制課
       長       松田 政雄君
       運輸省航空事故
       調査委員会事務
       局長      藤冨 久司君
       気象庁観測部測
       候課長     山中 陸男君
       建設省都市局都
       市緑地対策室長 芹沢  誠君
       建設省都市局下
       水道部流域下水
       道課長     斉藤健次郎君
       環境委員会調査
       室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十五日
 辞任         補欠選任
  竹村 泰子君     後藤  茂君
  岡本 富夫君     福岡 康夫君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤  茂君     竹村 泰子君
  福岡 康夫君     岡本 富夫君
同月十六日
 辞任         補欠選任
  和田 貞夫君     水田  稔君
同日
 辞任         補欠選任
  水田  稔君     和田 貞夫君
同月十七日
 辞任         補欠選任
  和田 貞夫君     五十嵐広三君
同日
 辞任         補欠選任
  五十嵐広三君     和田 貞夫君
同月二十二日
 辞任         補欠選任
  竹村 泰子君     奥野 一雄君
  和田 貞夫君     中村 重光君
同日
 辞任         補欠選任
  奥野 一雄君     竹村 泰子君
  中村 重光君     和田 貞夫君
同月二十四日
 辞任         補欠選任
  小沢 貞孝君     横手 文雄君
同月二十五日
 辞任         補欠選任
  上坂  昇君     奥野 一雄君
同日
 辞任         補欠選任
  奥野 一雄君     上坂  昇君
五月七日
 辞任         補欠選任
  上坂  昇君     浜西 鉄雄君
  竹村 泰子君     奥野 一雄君
  岡本 富夫君     駒谷  明君
同日
 辞任         補欠選任
  奥野 一雄君     竹村 泰子君
  浜西 鉄雄君     上坂  昇君
  駒谷  明君     岡本 富夫君
同月八日
 辞任         補欠選任
  竹村 泰子君     細谷 昭雄君
  和田 貞夫君     日野 市朗君
同日
 辞任         補欠選任
  日野 市朗君     和田 貞夫君
  細谷 昭雄君     竹村 泰子君
同月九日
 辞任         補欠選任
  金丸  信君     村岡 兼造君
  河本 敏夫君     臼井日出男君
  上坂  昇君     土井たか子君
  木下敬之助君     伊藤 英成君
同日
 辞任         補欠選任
  臼井日出男君     河本 敏夫君
  村岡 兼造君     金丸  信君
  土井たか子君     上坂  昇君
  伊藤 英成君     木下敬之助君
同日
 理事木下敬之助君同日委員辞任につき、その補
 欠として木下敬之助君が理事に当選した。
四月十八日
 環境保全等に関する請願(工藤晃君紹介)(第
 三四七六号)
同月二十三日
 環境保全等に関する請願(小沢和秋君紹介)(
 第三六一三号)
 同(正森成二君紹介)(第三六一四号)
 同(土井たか子君紹介)(第三六八九号)
五月八日
 環境保全等に関する請願(浦井洋君紹介)(第
 四〇二一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 公害の防止、自然環境の保護及び整備並びに決
 適環境の創造に関する件
     ――――◇―――――
#2
○柿澤委員長代理 これより会議を開きます。
 本日は、委員長所用のため、その指名により私が委員長の職務を行います。
 公害の防止、自然環境の保護及び整備並びに快適環境の創造に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。
#3
○金子(み)委員 私は、きょう幾つかの問題をお尋ねしたいと思うのですが、まず最初に、先般大気汚染と健康被害との関係の評価等に関する専門委員会の報告が出ました。その専門委員会の報告の内容につきましては、前回の委員会でかなり多くの委員の方々が発言もしていらっしゃいましたし、政府の答弁も伺ったわけでありますので、私はその点については重複いたしますからきょうは避けることにいたしますが、ただ一点だけ私がこだわっているところがあるものですから、その私自身のこだわりに関してどのように政府がお答えいただけるかということで、ひとつお尋ねしたいと思います。
 それは何かと申しますと、専門委員会の報告の一番最後なのです。一番最後に、「本専門委員会は、以下に動物実験、人への実験的負荷研究、疫学的研究及び臨床医学的知見の総合的判断に基づき、我が国の現状の大気汚染と慢性閉塞性肺疾患の関係の評価を行う。」という項目がございます。この項目の中に@、A、Bと三つの内容が示されておりますけれども、私が特に取り上げて申し上げたいと思っておりますのは、最後のBなんです。
 Bというのはこういうふうにうたわれているのですね。「我が国の大気汚染と慢性閉塞性肺疾患の評価に伴って、本専門委員会は次のことに留意すべきであると考える。」その(1)として、「検討の対象としたものは、主として一般環境の大気汚染の人口集団への影響に関するものである。したがって、これよりも汚染レベルが高いと考えられる局地的汚染の影響は、考慮を要するであろう。」(2)といたしまして、「従来から、大気汚染に対し感受性の高い集団の存在が注目されてきている。そのような集団が比較的少数にとどまる限り、通常の人口集団を対象とする疫学調査によっては結果的に見逃される可能性のあることに注意せねばならない。」という、いわゆる専門委員会の報告の中の留意事項という部分でございます。これは私は非常に重要な課題だと考えております。
 このことに関してですが、私はこれを読みまして思ったことなんですが、この留意事項というのは専門委員会の委員の方々の気持ちが非常によくつかめるような気がするのです。口に出して言いたいけれども言えないような考え方が、ここにこもっておるように思えます。ですから、強いて言うならばこれは専門委員の方々の良心の反映みたいなものではないか、こういうふうに思います。良心の反映であると同時に、専門委員会としては、こういう内容の報告を出した、しかし最後に、こういうものがあるのですよということでくぎを打っているという感じがするのですね、この委員会報告の中で。私は、ここは非常に注目すべき重要なところだと思います。
 二つに分けて書かれておりますけれども、この(1)の初めの方の、今までは一般的なことをやってきた、一般環境の大気汚染の人口集団に対する影響に関する調査をやってきたんだ、しかし今まで特にやってこなかった部分が残っておるぞということをここに注意しておるわけですよね。それは何だといいましたら、一般の大気汚染の問題よりもさらに汚染のレベルが高いと考えられる局地的汚染の影響というものがあることを忘れてはいけないよ、これは重要な問題なんだ、今度は触れていないけれども、それは大変に重要だから、頭の中に入れて今後対策をしなければいけない、こういう意味だと私はとれるのです。
 それで、局地的汚染というのは何だということなんですが、私は汚染レベルの高い局地的汚染というのは、一つは沿道地域だと思います。車がたくさん通ります幹線道路の沿道地域のことだと思うし、いま一つは大都会のビルの谷間、ここに汚染された空気がよどんでいるわけですよ。この二つの部分が代表的な局地的汚染というふうに考えられるところだと思うのです。
 そこで、この部分は今までやられてこなかったところだから、いわゆる局地汚染に対する対策、まあ主として沿道対策と考えてもいいでしょう、それを今後どういうふうに進めていこうと考えていらっしゃるか、環境庁としてはこういう報告をもらって何をお考えになったかということを知りたいのが一つです。
 関連がありますので続けて申し上げますが、(2)の問題です。二つ目のサゼスチョンですが、「従来から、大気汚染に対し感受性の高い集団の存在が注目されてきている。」これは報告の中でよくわかりますね。感受性の高い集団があるということがわかる。例えば子供ですね、幼児とか小学生とか、あるいはお年寄りとか特定の体質を持った人とかという特別に感受性の高い集団があることは、報告の中でもわかっております。その集団について特に調査をやっていないわけです。だから、この人たちのグループは、ここに書いてありますように、通常の人口集団を対象とした疫学調査の場合には見逃されてしまうおそれがあるよ、だからこの点については十分気をつけなくてはいけないじゃないか、こういう注意だと思うのです。
 そういうことが留意事項として非常にはっきりうたわれているということは、私はこの調査報告を読んで、調査報告が結果的に、白なんだか男なんだか、灰色じゃないかというような意見も出ておりまして、灰色に固まっているみたいな言い方をされておりますけれども、灰色では納得できないわけですから、これをぼっきりさせる、そのためにもこの二つの残されている問題をちゃんとしなければだめじゃないかということを専門委員会としてはぜひ言いたかったんだと思うのです。私はその気持ちは非常によくわかりますし、そのことが報告の中では行われていなかったためにそういうふうに言っているというふうに考えられます。
 大気汚染の発生源である自動車道路沿いの地域については、道路が自動車排ガスによる大気汚染の発生源であるという考え方に専門委員会は立っていると思うのです。その発生源に隣接する地域などの汚染は一般環境よりひどい状況にあるということで、この留意事項が書かれたというのは大変に意義が深いと私は考えております。
 そこでお尋ねしたいことは、環境庁とされては、この報告書もお受け取りになられたことだし、お読みになったことだし、この最後にとどめが刺されている残されている大きな課題、この問題についてどういうふうに受けとめておられるかということが知りたいことと、それを受けとめられたらどんな対策が考えられるかということを考えていらっしゃるかどうか。そして、そのことを環境庁が決めることができないとすれば、委員会なり審議会なりに諮問をなさるということが計画的にされているのかどうか。ここまでやらないとこの報告書の成果は上がらないと思うのです。だから、そこまでそれをどういうふうに考えていらっしゃるのか、その点を聞かせていただきたい。
#4
○目黒政府委員 先生の御指摘の点でございますけれども、私ども、局地的汚染の問題とか感受性の高いグループの問題等々についても、科学的知見の調査報告の一つとして受けとめておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては、現在、この制度面のことにつきまして中央公害対策審議会の環境保健部会の中に作業小委員会が設けられておりまして、この場で専門委員会の報告を踏まえまして現在いろいろ議論が行われているところでございます。私どもの方といたしましては、この中央公害対策審議会の答申を待ちまして適切に対処してまいりたい、このように考えているところでございます。
#5
○金子(み)委員 今のお話だと、作業小委員会がこの問題を取り上げてさらに検討を加えて報告をよこすであろう、こういうふうにお考えになっていらっしゃるように承りましたが、それでよろしいでしょうか。それはいつごろ報告が出るとお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
#6
○目黒政府委員 ただいまの先生の御指摘の問題を含めましてこの制度面の問題につきましては、この専門委員会の報告等を踏まえまして、科学的知見というものを踏まえまして広く作業小委員会の中で検討が行われていくわけでございます。
 そのめどでございますが、やはり中央公害対策審議会で、私どもの方といたしましてはこの問題につきましては大変重要な問題でもございますので、十分慎重に御審議いただくと同時に、できるだけ早く御答申をいただきたい、このように考えているところでございます。
#7
○金子(み)委員 重ねてお尋ねしますが、作業小委員会に白紙委任みたいな格好でお任せになっていらっしゃるわけですか。環境庁としては、こういうことを対策として考えられると思うかとか、考えたいと思うがとかというような、諮問事項の中身はないわけなんでしょうか。お任せしますということなんでしょうか。
#8
○目黒政府委員 やはりそういう具体的な案を私どもの方から御提示するということではなくて、現在この中で医学の専門委員会の報告等を踏まえまして御審議をいただいているということでございまして、特に具体的な案というものを考えているわけではございません。
#9
○金子(み)委員 それでは、環境庁として特に項目を挙げたりあるいは要求を出して諮問をなさるということでなくて任せてあるということでございますので、それだったら、まだ作業小委員会は出発したばかりですよね。ですから私は、作業小委員会で検討なさる場合に、こういうことも考えてほしいということでぜひ入れてほしいと思うことがあるわけです。
 それは、沿道対策の問題は続けて申し上げますのでそこで申し上げられると思いますが、二つ目の方の、通常の人口集団を対象とした疫学調査では見逃されるおそれがあるというふうに注意されておりますから、見逃されないようにするためには、今までのような個を対象とした調査だけじゃなくて、地域ぐるみの調査をしないと外されるということは確かにあると思うのです。ですから、地域ぐるみの予防対策がぜひ必要だと考えますから、そういうことを考えてもらいたいという注文をつけていただきたいと私から御注文申し上げたいと思いますが、そういう点はいかがでございますか。そういうことはできますか。
#10
○目黒政府委員 地域指定の見直し等のこの諮問事項にかかわりますことにつきましては、各方面から、いろいろ御関心を持ち、御意見をいただいているところでございます。当然、先生の御指摘のようなことにつきましても私ども作業小委員会の方へお伝えいたしたい、このように思っております。
#11
○金子(み)委員 では、どうぞその点はお含みいただきたいと思います。
 続けて、関連してまいります問題ですが、今の沿道対策の問題にかかわってくるわけですけれども、専門委員会が局地汚染地域だというふうに言っておられるこの沿道被害の問題、これについて環境庁がお調べになった調査がありますね。五十九年度環境庁調査結果が出ておりますね。これを拝見しますと、NO2、浮遊粒子物質、それから騒音、ともに前年度よりも悪化している。これは総括的な結果の報告でございますね。
 その中で、例えば騒音について言うなら、全国四千百四十五測定点の中で、環境基準を達成していない局が四八・五%ある、それから要請限度値を超えている局が二二%ある。それから都市高速では、環境基準を達成していない局が九四・七、要請限度値を超える局が六八・四。環状七号線では、要請限度値を超える局が七二・二。そして、高速五号沿道線の結果どうなったかという資料がついております。
 こういうふうなことになっておりまして、環状七号線並びに高速五号線の沿道の分というのが、ここに資料がありますので、御存じだと思いますけれども、復習の格好になるかもしれませんが、高速五号線の沿道地域では交通量が一日に十七万六千台走る。その地域では、沿道と沿道でない一般全体の地域とを比べますと、沿道の場合は騒音が九八%ぐらい。高いですね。一般の方は八五%ぐらいなんです。それから、排気ガスになりますと、沿道が九〇%ぐらいあるのに一般は七四%ぐらい。それから振動は同じぐらいです。五六%ぐらい。ほこりになりますと、沿道の方が六五%、一般の方は五〇%ぐらいというような違いが出てまいります。
 同じことで、高速王子線の予定地で、一日に四万九千台、これはかなり車の数が少ないですね。その少ないところですけれども、見ますと、やはり騒音は沿道につきましては八〇%以上、九〇%近い。一般の場合は六〇%ぐらい。排気ガスは、沿道は七七%ぐらい。それから一般の場合は前と同じぐらいで六〇%ぐらい。それから振動、ほこりと、前に申し上げた高速五号線沿道地域よりは数値が下がってはおりますけれども、いわゆる沿道のところと沿道から外れたと申しますか、沿道も含めていると思いますが、全体の地域と比較しますと非常に違っているということが出てまいります。
 それで、そのことと同じ自動車騒音の問題をとってみますと、これは高速五号線沿道百メートル以内住民アンケート調査なんですけれども、「道路側の窓を十分あけられない」というアンケートの回答が沿道では七八%ぐらいあるわけです。それから「音声が聞きとりにくい」、これは話し声がよく聞こえないということですね。それは六五%ぐらいある。「気分がイライラする」、それから「寝付けない」、これが大体同じぐらいで五八%ぐらい。「騒音でハッとすることがある」、これが四七%、こういうふうに大変に高い。これを一般と比べますと、一般の方がはるかに数値が低いということが、当然だとお思いになるかもしれませんが、そういう結果が出ているということがわかります。
 それからさらに、これは東京都の衛生部の資料になるわけでなんですけれども、東京の杉並区の調査でございます。幼児とか小学生、中学生、高校生、こういうふうな子供たちの数字ですけれども、調べた千五百九十一名のうち、道路に面している町、同じ杉並の中でも環七と環八が通っているのですが、これは主として環七の沿線を調べているのですが、環七の沿線で調べますと、気管支ぜんそくの患者が圧倒的に多くて、その数が、沿線でない地域、例えば永福ですとか松ノ木ですとか大宮ですとかというのに比べると、和田とか堀ノ内という地域、沿線地域は五倍から多いところは十倍ぐらいあるのですね、患者の数が。そういうことも数字として明らかにされているわけでございます。
 こういう新聞報道もございました。四月九日の朝日新聞ですけれども、中学校三年の丁君十四歳が、一歳半のときに道路拡張でそこの家のお店が交差点の角になってしまった。そうしたら車の発進時の排ガスがとてもひどくて、余りせきをするから「カゼをひきやすい子だな」と思っていましたら、それが実は風邪ではなくて発作が起きてきた。これが板橋区なものですから、工場の煙突から出る亜硫酸ガスの関係で公害健康被害補償法のSO2の指定地域になったんですね。ですから、認定患者になったわけです。小学校三年ごろからまた悪くなって、四年から卒業するまで千葉県の養護学校へ転地療養をして、効き目があってよくなった。ところが夏休みに帰ってくると、またまた発作を起こす、こういう状態になっているということで、この少年が言うのには、「全然、空気が違うんです。家では窓を開けられなかった」と言っているということでございます。
 もう一つの場合は、これはNO2の測定運動を続けてきた先ほどの杉並の住民連絡会の代表の方が言っておるのですけれども、「最近は呼吸器系患者の住所も環七、環八沿線が目立つ。自動車で増えるNO2と他の汚染物質との複合作用の疑いが強い。」と申しておりまして、「杉並など未指定の四区も、せめて幹線道路沿いだけは組み入れていただきたい」というふうに訴えている。このような幾つかの資料があるわけでございます。
 こういうことを見ますと、やはり問題は、道路沿いの地域に住んでいる方たちに大きな被害が出ている。これは専門委員会の報告の留意事項の中にも指摘されているということがありますので、この問題は今作業小委員会で検討されているそうですし、制度の問題を含めて検討中だということでありますから、その制度を改正する段階では、ぜひ指定地域の中に沿道両側、沿道といっても切りがないと思うのですけれども、この調査なんかで見てもわかりますように、沿道両側のせめて百メートルまでは指定地域として含めるべきではないか。見直しをなさるんだったら、いい方向へ見直してもらいたい。大体政府が何事か見直しをするときは、悪い方向に見直しをされる習慣がありますね。今までにそういう経験を幾つか持っているんですけれども、見直しということは必ずしも悪く見直すのじゃなくて、よく見直すことだってあるはずだと思うのです。ですから、今度の場合はよく見直してもらいたい。そして、国民の健康を守るということが環境庁の大きな主目的でございますから、少なくとも沿道両側百メートルまでは指定地域の中に加えられるように強く要望しますが、そのことについて環境庁としてはどういうふうになされるお考えでしょうか。
#12
○目黒政府委員 先生の御指摘の点につきましては、大変大事な点であろうと思っておるわけでございます。したがいまして、私どもの方もこの先生の御指摘の御趣旨を作業小委員会の方へ伝えてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#13
○金子(み)委員 先ほど部長は、いろいろな地域のいろいろな国民の方々から、あるいはいろいろな団体から見直しについての意見を聞いていらっしゃるというお話でございましたね。その見直しに関する意見はどんな意見が出てきたのか、二つ三つ御紹介いただけますか。
#14
○目黒政府委員 具体的には、公害健康被害補償法に基づきます第一種地域の指定のあり方について、大きな問題につきまして財界あるいは患者の団体、あるいは専門家等から御意見があるわけでございます。この辺につきましては、それぞれ現状の制度のままで特に変える必要はないのではないかといったような御趣旨の御意見、あるいは今先生が御指摘になりました沿道に関する御意見、あるいはこの地域指定のあり方そのものにつきまして指定をもう少し見直していった方がいいんじゃないかという御意見等々、そういう主な御意見があるわけでございます。
#15
○金子(み)委員 そうしましたら、そういう御意見等も十分に考慮に入れて、今作業中の作業小委員会で、そのことが盛り込まれて効果の期待できるような中身に変えられるように強く要望しておきたいと思いますから、その点を含んでいただきたいと思います。
 環境庁長官、どうお考えになりますか、この問題は重要問題なのですけれども。
#16
○森国務大臣 ただいま目黒部長が申しました作業委員会の答申が出てまいりましたら、環境庁といたしますと、公平、公正に対処していきたいと考えております。
#17
○金子(み)委員 沿道の問題と関連するわけなんですけれども、環境庁が最近お示しになった「大都市地域における窒素酸化物対策の中期展望」というのがありますね。この中期展望というものの中に環境に配慮した道路づくりというのがあるのですが、環境に配慮した道路づくりというのはどういうことを指しておられるのか、この沿道との関連でお話しくださいますか。
#18
○林部政府委員 私ども昨年暮れにお示しをしました中期展望の中に、先生今御指摘の「諸対策の方向」の中に書かれておるものでございますが、「環境保全に配慮した環状道路等の整備を図る。」と記載いたしております。
 この考え方でございますが、一言で申しますと、都心部に集中する交通というものをどのようにして分散をしていくかということが非常に重要でございますので、そういった道路の整備によりまして都心部を通過する交通を分散させる、また、都心部への乗り入れをできるだけ抑制することができるのであれば、そういう方向をとっていきたいと考えております。比較的大きなトラックの物流拠点のようなものをそういった環状道路の周辺に配置するといったようなことが、やはり大都市地域においての二酸化窒素対策を進めていく上で非常に有効と考えておるわけでございます。
 そういうような意味で、そういう環状道路等ということで、そういうものの整備が必要である、しかし、そういう環状道路の整備というものは新たな公害源になっては困るわけでございますから、そういう点では新たな公害源とならないように、十分環境保全面の配慮を払ってそういう道路の整備をしていくことが必要である、そういう見地でこういうような記載をいたしておるということでございます。
#19
○金子(み)委員 今、中期展望の説明をしてくださったのですけれども、拝見してみまして、私は、どうなのかなあ、それはいろいろと計画が書かれておりますよ、実に綿密に、そして水も漏らさないみたいに、こういうふうに、こういうふうにと書いてあるのですけれども、果たして一口に言ってそのことは最終的に実現可能なのかなあと疑問を持たざるを得ない。なぜかと申しますと、中期展望の概要の中に、車の走行量は増加するけれども、単体規制の効果があらわれるから一八%程度少なくなるし、工場、事業場については、「五十八年度と同程度の排出量で推移するものと推測される。」と大変に希望的な数字が出てくるのですね。車の数はふえるけれども、公害は減るぞよ、こういうふうな言い方になっているので、そうかなあと思う。
 その減る理由というのは車ですね。より低公害の自動車が普及していくであろう。そして、公害を減らすために低公害の車種に代替促進を図る、かえなさいというふうに言ってそれを促進させるということも考えておるというふうなことも言っておられますし、そのことが確かに実現されればきっと効果が上がるのだろう。トラックをどうするとか、あるいはばい煙を発生する施設に対してはばい煙の排出規制を厳守させるように徹底させるとか、読んでみればなるほどと思うことはいっぱい並べられているわけですけれども、相手があるんですよね。環境庁はこうお考えになるのだけれども、相手は企業ですよね。そのように言うことを聞いてちゃんとやってくれるだろうかという、これは、私自身といたしましては大変に何とも不安な気持ちがするわけなんです。ですから、こういう計画は大変結構だと思いますけれども、計画が計画倒れになるのじゃないかという心配が非常にあるわけでございます。
 きょうは時間の関係がございますので、この問題を長い時間かけてやっていることにもならないのですけれども、この環境庁が考えていらっしゃるような計画が実現できるためには、車をかえなさいとかあるいは新しい車種をつくりなさいとか、今まで使っていた古い車はやめて新しいのに取りかえなさいとかいうようなことを仮に指示なさるというのだったらば、素手ではと申しますか、ただ口で指導するだけではそんなにやらないだろうと私は思うのですよ。良心的にはやるでしょうよ。良心的には少しずつ、少しずつ直していくでしょうから、長い時間をかければいつかはそういう新車だけになって公害が少なくなるというときが来るかもしれませんけれども、同時に、環境庁がお示しになっている図表、グラフを見ると、決して下がっていかないで上がっていく数字が残っているのです。だから、これでは無理なんじゃないかというふうにも考えられます。
 ですから私は、そこで一つのサゼスチョンなんですけれども、実際にそれをやることのためには環境庁がもう一歩積極的に前へ出て、できてくるのを待っているのじゃなくて一足前へ出て、率先してそのことを実現させるためにはやはり何か財政的な措置をしなければ無理なんじゃないでしょうか。今までそういうことをなさっていますか。何も援助しないでやれ、やれと言っても難しいのじゃないでしょうか。例えば税制の問題で緩和する方法がとれるかとかあるいは助成ができるかとかいうようなことが考えられれば、やってみたらいいのじゃないかというふうにも思いますけれども、今までにそういうことは一度もなさったことはないわけでしょうか。なさってみたことがあるのでしょうか。もしなさっていらっしゃるとすれば、その実績を教えていただきたいし、もしなさっていらっしゃらないのだったら、今後そういうことを考えようとお思いになりませんか。
#20
○林部政府委員 非常に広範な御指摘がございましたので、なかなかお答えの仕方が難しいなと思うのですが、率直に申しまして、環境庁は実際の測定体制の整備を自治体に図ってもらう、環境がどういう状況であるかということを把握する上では、どういう条件にあるかを計測する、監視することが一番必要でございますが、そういうことについての補助金のようなものは持っておりまして、それはそういう立場で長い間助成をいたしております。
 ただ、直接いろいろな企業にお金を出すというような話になってまいりますと、それは直接ではなくて、例えば工場、事業場等については、先生御案内のように公防事業団のようなところを通じて融資のようなことをやっているということも恐らく財政的な援助ということにはなろうかと思いますし、それから、個々の単体規制を行った場合に、少しでも早く規制適合車の方へ代替してもらう、それを促進するためには、今までいわゆる規制適合車に対しての税法上の優遇措置みたいなものも、それほど大きなものでございませんが、過去において、新しい規制適合車が出てくるという時期が来るとそういうようなこともあわせて行ってきているというような実績がございます。
 ただ、それが、いわゆる大きなお金を持って、補助金によって社会情勢といいましょうか環境問題の改善に取り組んでいっているような省庁から見れば、確かにストレートに動かしているお金という点では、私どもは環境庁という立場でございますから、それは小そうございます。
 しかし、先ほど先生のおっしゃった中期展望の今回の作業のねらいとしては、率直に申し上げれば、実際に我々が固定発生源についても移動発生源についても中公審の御答申を踏まえて段階的に規制をしてきているという事実は、これは先生お認めいただけると思うのですが、そういうようなものが実際に、少しずつではありますけれども積み重なってきて、固定発生源の場合であればかなりお認めいただける効果というものが出てきていると思います。
 ただ、自動車の場合には、御案内のようにガソリン乗用車についての規制は非常に厳しい規制を行いまして、それで大部分のガソリン乗用車がそういう規制適合車に代替しているということで、その面はいいのでございますけれども、トラックの問題につきましては、段階的規制をやってきたけれども、その規制車に対する代替がまだはかばかしく進んでいないというような面がございます。それは私ども俗な言い方をしますと、実際にNOx総量に関連して削減をどうしていくかというときに、切りしろという言葉を使っていますが、代替が進んでいないということは、裏返して言えば、代替が進めばその部分はいい要素である、そういう観点で、従来から積み重ねられてきております。そういう単体規制の効果というものは、私どもが五十八年を基準年次といたしまして、中期予測モデルでございますからおおむね五年程度の予測しかできませんので、一応それから五年後の六十三年程度ということで予測をしたその予測の中では、トラック等を中心にして過去において行われた規制適合車への代替がまだ非常におくれておるということで、それはプラスの要因であろう。ですから、そういう形で予測をしてみると、御指摘があったような結果が出ているわけでございます。
 ただ、私どもはあの結果を見て、これで公害がなくなりましたとかいうような言い方をしているつもりはございませんで、こういうような予測によってまだ下がる余地は残っている、しかし、このまま新たな施策を追加していかないと悪くなっていくというおそれがあるということで、「諸対策の方向」として、従来から行ってきた対策に加えて、その対策の方向の中にお示しをしているようなものを追加してまいりたいということでございます。そして具体的には、トラック等については既に段階的な規制をやってきているけれども、それをさらに緊急的に追加するという意味で、昨年の秋に大気部会の方に御諮問もし、ディーゼルトラック等を中心にした単体規制の問題にも今取り組んでおる、こういうことでございます。
#21
○金子(み)委員 いろいろと説明してくださいました。弁解と聞いたら悪いかもしれませんけれども、いろいろ努力していらっしゃるということはわかります。しかし問題は、いろいろと並べ立てて、いろいろな立派な計画が立っているのですから、これが実現しなければ意味がないので、長官、御答弁は結構ですけれども、よく頭の中に入れておいていただきたいのです。計画をしたらそれを実現しなければ意味がないということ。この中期計画、中身は立派ですよ。しかし、これが本当にできるかどうかという疑問をみんな持つと思うのです。ですから、それが実現できるように努力していただきたいということをしっかり覚えておいていただきたいと私は思います。
 それから、時間もなくなりましたが、大事なことをぜひ申し上げたいと思いますので、長官、聞いていただきたいのです。
 指定地域、これはSO2で指定されたのですね、指定地域の中の被害者、病気になった患者さんですね、こういう人たちに対して公害健康被害補償法によっていろいろなことが補償されているのはわかるのです。それはそれで結構だと思うのですけれども、私が気になっておりますのは、先ほども申し上げましたけれども、その人たちだけ、個だけを対象にしているという問題です。個を含む周りに、その地域の中にはその病気になった人以外にほかの人たちがいるはずなんです。それが一つも、何もやっていないのです。ですから、それをやらなければいけないのではないかということを先ほども申し上げました、予防するための仕事なんですけれども。
 この法律の中でちょっと私もわからないのでお尋ねしたいのですが、時間がありませんのでまた別の機会にしますが、法律の四十六条の一項に、「指定疾病による被害を予防するために必要なリハビリテーションに関する事業、転地療養に関する事業」をするというのですが、これが予防になるのかなと私はちょっと疑問を持つわけです。そして「その他の政令で定める公害保健福祉事業を行なうものとする。」その公害保健福祉事業というのが問題だと思うのです。
 この公害保健福祉事業というのは、政令の方を見てみますと二十五条に書いてあるのです。二十五条、一、二、三、四、五と書いてありますが、私はこの五にこだわります。前項の一、二、三、四というのは予防でも何でもないのですね、病気になった人に対するいろいろな福祉の手当ての問題なんですから。五に、そのほか「被害を予防するために必要な事業で環境庁長官が定めるもの」、こういうのがあるのですが、これは何でしょう。どういうことなんですか。これがわからないのですけれども、何をおっしゃっているのですか。どういうことをやろうと思って考えていらっしゃるのでしょうか。
#22
○目黒政府委員 御指摘の点でございますが、現在私どもの方といたしましては、ただいま先生から御指摘いただきましたように、リハビリテーションの事業とか転地療養とか療養用具の支給とか保健婦による訪問指導というようなことをやっているわけでございます。
 予防の点につきましては、私ども、今先生御指摘の点については、具体的に技術的な問題も踏まえて難しい問題もあるということで、現在十分であるというふうには考えてないわけでございます。しかしながら、今先生から御指摘いただきました保健福祉事業の重要性、これにつきましては私ども非常に重要であるということで、今後ともこの内容につきましても、予防的なものを含めまして円滑な推進を図っていきたいと思っているわけでございます。
 具体的に、それでは何をどういうふうにということについては、恐らく専門的な委員会あるいは具体的な今後の審議会の中で御意見がいろいろ出てこようかと思いますけれども、私どもこの保健福祉事業につきましては大変重要であると思っておるところでございまして、円滑にこれの推進を図ってまいると同時に、審議会におきましてもこの辺につきまして恐らく十分議論がなされるのではなかろうか、こういうふうに考えているところでございます。
#23
○金子(み)委員 今局長の御説明で、ああそういうことになるのかなと思ったりもいたしますけれども、作業小委員会の七人のメンバーを拝見してみますと、専ら法律や制度を改めるための専門家が集まっていらっしゃって、保健福祉に関する事業を進めていくためには、大変失礼ですけれども、適任者じゃないような気がするのです。だから、そういう問題をこの作業小委員会でなさるのはちょっと無理なんじゃないだろうかという気もいたします。そういうときに、集まった委員を差しかえることもできないのかもしれませんが、専門家の人たちをリソースマンにするなりあるいはゲストスピーカーにするなりなんなりして、それを取り入れてやっていかないと、今の七人のメンバーは法律家と経済専門家だけですよ。たった一人お医者さんが入っていますが、この先生一人だけではどうしようもないだろうと思うのです。
 ですから、そうではなくて、もし今局長がおっしゃるようなことを考えていらっしゃるのだったら、もう少しそれにふさわしいような形の小委員会なりなんなりをおつくりいただくべきではなかったかと思います。できてしまった委員会に問題を預けるということになるからそういうことになるのじゃないかと思うのですけれども、そのことがあらかじめ考えられてなかったのは大変残念だと思います。その点は、「環境庁長官が定めるもの」というのは、政令で言っている分はまだ特に決まってないみたいですから、これからきちっとなさるという話ですから、それだったらそれをぜひやっていただきたいと考えているわけでございます。
 それから、そうであったら、また余計なお世話かもしれませんけれども、私の方からこういうことも申し上げて、ぜひ考慮の中に、検討の中に加えてほしいと思うことがあります。
 その一つは、先ほど来言っております単なる個を対象にするのじゃなくて、その個を中心とした周辺の全地域の住民を対象にするという問題。殊に汚染された大気には大変に影響を受けやすい特別なグループ、幼児とか学童とか老人とか、妊産婦とか特定の体質のある人だとか、特にその人たちを対象にして、個を中心とした全員に定期健診を実施なさる必要があるのじゃないか。本気でなさるのだったらそこまでやらなければ意味がないと思いますよ。ですからそれをなさる。
 あるいは、さらに具体的になってしまいますけれども、例えば家の構造を直すとか空気の清浄設備を装置する。とにかく沿線の人たちは窓をあげられないと言っているのですから。窓をあけられないようなところに住んでいるとすれば、どういう生活だということは見当がつきます。それだったら家の中の空気を清浄にしなければいけないということがまず考えられますから、空気を清浄にする装置をつけることであるとか、あるいはできれば家の構造を直すとか、それらのことも出てくると思うのです。そういうことをやるとか、あるいは今保健婦が訪問しているというお話もありましたけれども、それも結構だと思います、続けていただきたいと思います。必要な機器を貸し出しをするとか、地方自治体のいわゆる一般の福祉事業がやっておりますこととタイアップしながら、同じことをダブらせる必要はないわけですから、タイアップしながら汚染地域の人たちの福祉と保健の問題を十分実施できるようにやっていただきたいと思いますが、そういうことはなされるとお思いになりますか。
#24
○目黒政府委員 先生の大変有益な御意見であったと思うのでございますが、今御指摘の予防的な観点からの福祉事業あるいは地域全体を考えた福祉事業といったようなものにつきましても、私ども、審議会の場でかなり具体的に恐らく議論されるものの中の一つに入っているのじゃないだろうかというふうに考えておるところでございます。当然私どもは、先ほど来お答え申し上げておりますように、この作業小委員会の中で議論が行われ、さらにそれが審議会の中で、当然、この作業小委員会でまとまったものを含めて部会の中で行われる審議の中で、そのような内容についても御議論いただけると思っております。したがいまして、私どもこの答申を得てからその具体的なものについて適切に対応してまいりたい、このように考えているところでございます。また、先生の御意見につきましては、先ほど来申し上げておりますように、この委員会の方へも部会の方へも十分伝えたい、このように考えているところでございます。
#25
○金子(み)委員 そういうふうにぜひやっていただきたいと思います。
 時間がありませんので説明を省きますが、例えば東京都なんかが調べたものにつきましても、沿線とそうでないところとの違いをはっきり出しておりますし、肺の悪性新生物、肺がんですね、これの発生の違いというものが非常にはっきり出ています。過去十年間ずっと追跡調査しているわけですけれども、十年の開きというのは倍ぐらいあるわけですね。ですから非常に大きな数字になってきておりますので、非常に恐ろしいことだと思いますので、こういうようなことも含めてぜひ調査を進めていただきたいのですが、サーべーランスシステムか何かでなされば継続的に調査ができるわけでしょう。ですから、ある時点だけを調査するのではなくて、継続的な調査を続けていって、このことをしっかりとつかみ取っていただいた上で対策を立てていただきたいということを、余り時間もございませんので終わらせますが、最後に要望しておきたいと思います。
    〔柿澤委員長代理退席、戸塚委員長代理着席〕
 最後に長官にお願いしたいのですけれども、先ほど来いろいろ申し上げておりまして、専門委員会の報告の最後の部分というのは非常に貴重な部分ですから、あれはぜひ深く心にとめていただいて、その部分の実現と申しますか、方向をしっかりと計画を立てていただきたいということです。中期計画、結構でございますけれども、あれだけでなくて、いわゆる保健、福祉、予防、これからの問題ですよ。今までの人たちの分は今までのようにちゃんと福祉事業をやっていただきたいわけですけれども、これから出てくる可能性のある人たちがあるということがはっきりわかったわけですから、それをどうやって未然に防ぐかということが大事だと思うのです。そのための対策と、そして不幸にして新しい患者が発生すれば、それに対しては従来どおり措置をするというようなことについての環境庁長官の御決意を伺って、終わりたいと思います。
#26
○森国務大臣 先生の大変妥当な御指摘、私ども心に刻みまして検討してみたいと思います。
#27
○金子(み)委員 終わります。
#28
○戸塚委員長代理 草川昭三君。
#29
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。
 最初にソ連の原子力発電の事故の問題、それから二番目にチガソンの副作用、ユニセフのおぎゃー献金の問題、それからワシントン条約、それからハイテク汚染の問題を質問したい、こういうように思います。
 最初に、ソ連のウクライナのチェルノブイル原子力発電所で起きた事故でございますけれども、日本にまで放射能物質がまき散らされてきておるわけであります。過日、科学技術庁は、ジェット気流もそれているし、途中にヒマラヤ山脈があるから、ソ連の原発事故の放射能は日本には飛んでこないのではないかという国会答弁もあったわけでございますが、現実には随所で放射能の沃素131というのが検出をされているようであります。科技庁のその後の対応なり、情報はどの程度つかんでおみえになるのか、お伺いをします。
#30
○千々谷説明員 お答え申し上げます。
 私ども四月二十九日に本件事故の報に接しまして、直ちに科学技術庁がお願いしております三十二都道府県の衛生研究所等に対しまして放射能調査を強化するように指示いたしました。翌三十日には内閣につくられております放射能対策本部の拡大代表幹事会を開きまして、気象庁、防衛庁等の観測機関等における測定を強化するということで対策をとったわけでございます。
 この対策の結果、神奈川、東京その他から異常値が発見されましたので、直ちに五月四日早朝に内閣放射能対策本部の本部会合を開きまして、さらに今までの調査を強化することを申し合わせ、かつ雨の中の放射性沃度が非常に高いということでございましたので、雨水を直接摂取することを避けるように、また野菜等につきましてはできるだけ汚染を除去するために洗浄を行うようにというような注意事項も決めて公表したところでございます。その体制のもとに現在まで調査を進めておりますが、内閣放射能対策本部の会合を開いた時点から比べまして、それほど事態の推移は悪化ということではございませんで、現状維持ということでございます。
 昨日夕方までに取りまとめましたところでは、沃素131はこういった事故の場合一番人体に影響が強いものでございますが、この沃素131を含んでおります雨水は、福島、茨城等の十九県で最高一万三千三百ピコキュリー出ております。それから浮遊じん、空気中に舞っておりますちりでございますが、これが神奈川県、宮城県等十八県で出ておりまして、二十二・五ピコキュリー。このピコキュリーといいますのは一兆分の一キュリーでございます。そのほか、水道水で島根、岡山、千葉で一リットル当たり最高四十四ピコキュリー出ておりまして、この程度の放射性沃素ですと今のところ人体には影響はないと判断しております。なお、雨水がたくさん出ておりますので牛乳等にも若干データは出ておりますが、放射能対策本部の見通しては、この状態で推移する分においては日本国民の健康には影響ないと考えております。
#31
○草川委員 今健康には影響ないということと、そうはいうけれども異常値が発見されているので調査を強化したい、こう言っておみえになりますが、ただいまの答弁だと調査ポイントは全国で三十二カ所だと言っておりますが、環境庁にお伺いをいたします。
 環境庁は大気汚染あるいは水質を管理する役所でございますが、放射能の問題については科学技術庁にお任せするという態度のようでございますけれども、調査強化をやろうと言っておるわけでございますから、環境庁として全国的なデータ集めに協力をすべきではないかと思うのですが、その点はどういう対応になりますか、お答えを願いたいと思います。
#32
○古賀政府委員 先生今言われましたように、環境庁は放射性物質については所管をしておらないわけでございます。放射性物質による環境汚染につきましては、原子力行政を所管する科学技術庁において所管することとされておるわけでございまして、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等におきましても、法律の明文上放射性物質に対する適用が除外されておるということでございます。
 したがいまして、今回のソ連の原発事故に基づく環境汚染につきましても、科学技術庁が中心となりまして真剣に取り組んでおるというところでございます。測定の問題につきましても、これは環境庁の所管の範囲内においての測定を行っておるということでございますので、今直ちに放射性降下物、放射性物質についての測定について協力をするというような体制にはなっておらないということでございます。
#33
○草川委員 私ども一般の国民からいうと、きのうもレクチャーをやりまして環境庁の人から今のような答弁がありまして、どうも納得いかないんだ。それは科学技術庁もそれぞれ足があるとは思います。科学技術庁としても各県の衛生研究所等に依頼をしていろいろなデータ集めをやっておみえになるのでございますけれども、環境庁は環境庁として、日常の大気あるいは水質、こういうものについてのそれなりの造詣が深いわけでありますから、こういうときには私は一体となって対応をするというような、それが実は特別対策本部だと思っておるわけでございまして、ひとついろいろな意味で、縦割り行政等はあると思いますけれども、国民にわかりやすい対応をしておいていただきたいということを申し上げておきたいと思うのです。
 そこで厚生省にお伺いをいたしますが、放射性物質が降ってくるということになると、今もお話がありましたように、野菜だとか、雨水を面接口にするということは余りないと思うのでありますけれども、大変なことになるわけであります。放射性物質が取り込まれることになると体内で放射線が出る、細胞を傷つける、その結果、将来遺伝的な影響だとかいろいろなことが起きるのではないかという心配があるわけです。
 ただいまも、放射性物質は葉を広げた植物に降る場合があるのでよく洗ってというような指導があったようでございますけれども、牛だとか家畜というのはそのまま食べるわけでありますから、牛乳だとかあるいは牛肉等が放射能に汚染をされるということがあると思うのですね。牛乳の方が牛肉より放射性物質の濃度が高くなるようなこともあると思うのですが、伝えられるところによりますとデンマークだとかスウェーデン、西ドイツも入っておるようでありますが、ソ連、東欧からの食糧輸入を全面的に禁止をするというような態度をとっておると伝えられております。これはワインだとか野菜だとか果物だとか食用油、菓子、いろいろなものが含まれておるというのですが、日本の場合、日本の輸入食品の安全性に対するかかわり合いの省庁は厚生省だと聞いておりますが、対応はどのようになされるのかお伺いします。
#34
○大澤説明員 御指摘のように、今回の事故でソ連並びに近隣諸国は特に汚染が高いわけでございまして、世界じゅうから食品は輸入されておるわけでございますが、厚生省といたしましても、ソ連、ポーランド等これら放射性物質による高濃度汚染が疑わしい地域から輸入されるものにつきましては、輸入食品を監視している全国の検疫所があるわけでございますが、そこに対しまして検査を行うよう指示し、監視体制の強化を図っており、放射能汚染の食品が日本国に入ってこないよう、その安全性の確保に努めているところでございます。
#35
○草川委員 それはわかるのですけれども、いま一歩、全面禁止という意味ではありませんけれども、検査をしておみえになるというのですが、ではただいまのところは安全は確保されておる、こういうように認めていいんですか。あるいはまた、将来は禁止をするような場面も出るかもわからぬというようなことも考えておみえになるのか、お伺いいたします。
#36
○大澤説明員 実態を先に申し上げますが、現在までのところソ連からは、二十六日以降きのうまでの時点でございますが、輸入実績はございません。それ以外の近隣諸国から全体七件の生鮮魚の輸入がありましたが、これにつきましても検査したところ特に異常は認められなかった、こういう実態にありまして、ヨーロッパ、特にソ連汚染地の周辺地域においては食品の輸入禁止等の措置がとられているわけでございますが、我が国においては、従来から食品衛生法に基づきまして、昨年であればワインの問題もありましたが、そういう世界でどこの地域においても特別の食品の汚染事故があった場合には、そこの事故に注目して、必要な検査をして水際でチェックをして排除する、こういう仕組みをとっておりまして、現在までのところ、輸入実態、それからこれまで若干入った生鮮食品についての検査の状況から見て、それほどの、直ちに全面的に輸入をとめるとかあるいは禁止するという状況には至ってないように思います。
 なお念のために申し上げますが、ソ連あるいはそういう近隣諸国、特に汚染の高いところから輸入する場合については、できるだけ当分の間慎重に輸入するようあるいは控えるよう業者の指導はしているところでございます。
#37
○草川委員 わかりました。
 では、科技庁にもう一回お伺いしますが、ソ連の原発事故の対応策として沃素剤がソ連在住邦人に配付されたということは外務省から聞きました。これは、沃素剤というのは一体どの程度の効果があるのか。気休めなのか。
 たまたま昭和五十五年の六月の原子力安全委員会原子力発電所等周辺防災対策専門部会のレポートを見ますと、沃素剤について、「かなりの甲状腺被ばくが予測されるか又は発生した場合には、安定性よう素を服用することによって放射性よう素が甲状腺に取り込まれることを阻止することができる。」というように非常に断定的に言っておるわけでございますが、ただ、「よう素剤を使用するに当たっては、専門家の判断によって行うべきである。」こういうことがあります。伝えられるところによりますと、ポーランド等においてはかなりこの沃素剤が売られて品薄だ、大量に国民に使われているということになっておるのですが、一体この沃素剤にかかわる評価というものをどの程度我々は認識をしていいのか、お伺いをしたいと思います。
#38
○千々谷説明員 原子力発電所の事故だとかそれから大気圏内の核実験のときに、一番最初に広範に出てくる放射性物質といたしましては沃素131でございます。この放射性沃素、これは放射性に限りませず、人間の体の中に取り込まれますと甲状腺に集中的に選択的に集積するということになっておりまして、のどのところにある甲状腺でございますが、これに沃素が入りますと、この放射性沃素によりまして内部被曝による被曝が非常に高くて、晩発の障害だとか場合によりましては急性の障害が出てくるということになります。
 したがいまして、あらかじめ放射性でない安定沃素をとっておきますと、この中に沃素が既に集積しておりますので、放射性沃素が体に取り込まれましても甲状腺に集中するということがないわけでございます。また、かなり放射性の沃素を取り込んだ後におきましても、安定の沃素をとりますと、これが希釈効果によりまして放射性沃素が甲状腺から取り除かれる、全部ではございませんけれども薄まるということになりますので、これが有効であるということでございます。これはもう既に動物実験等で実証されていることでございます。
 科学技術庁といたしましては、アメリカのTMI事故の後以来防災対策に力を尽くしておりまして、各県、原子力発電所の所在します県におきましては、国の交付金によりましてこの放射性沃素を含みましたヨードカリ錠を蓄積しておりまして、緊急時には使える形で保健所等の医師の指導のもとに服用ができる形にしております。このヨードカリは、ヨーロッパ等では液体のまま飲んでおる例もございますが、現在日本でつくられておるのは錠剤でございまして、大人の場合この錠剤を一日に二錠程度、ヨードの量にいたしまして百ミリグラムを経口的にとりますと、かなり放射性沃素131の影響は取り除けるということでございます。
#39
○草川委員 今具体的に錠剤の量を指定して答弁がありましたけれども、放射性沃素の蓄積を防ぐために、それを錠剤で飲むのがいいのか、あるいはヨーロッパの場合はうがい薬で飲んだのではないかというような話もあるわけでありますが、いずれにいたしましても、服用量を間違えると甲状腺ホルモン剤というのは非常に問題があるというような指摘もあるわけでありますから、これはひとつ、科学技術庁が中心になられるとは思いますが、他人ごとではございませんので、そういう服用等についての対応も十分防災対策等の中にも入れておいていただきたいと思うのです。この点について私ども見ておりますが、そういう服用量についての注意書きというのはないわけでありますので、それは強く要望しておきたいと思います。
 この問題について最後に外務省にお伺いをいたしますが、IAEA、いわゆる国際原子力機関のかかわり方の問題を問いたいわけであります。
 情報の収集という問題についても、私ども、国際原子力機関が非常に活発に稼働しておるとは思いません。外務省もこの国際原子力機関についていろいろと対応があると思うのでございますが、どのような主張をただいまなされておるのかお伺いをしたい。そしてまた、これの結果、国内でどのような対応になってくるのかお伺いしたいと思います。
#40
○山田説明員 現在ウィーンにございます国際原子力機関、私ども通称IAEAと申しておりますが、このIAEAの方はソ連政府との非公式なやり合いを通じまして、実はIAEAの事務局長が現在ソ連政府の招待を受けてモスクワを訪問中という状態になってございます。従来ソ連政府が情報公開を非常にちゅうちょしたということがございまして、なかなかIAEA側の動きもとりにくいという事情がございましたが、一応IAEAの情報収集のメカニズムが動き始まったというふうに私ども理解しておりまして、ブリックス事務局長がウィーンに帰るのを待って、いろいろな話をIAEAとの間でしてまいりたいと実は思っております。
 これまでIAEAは、この手の事故が起きた場合に各国政府がとるべき措置というようなことで一つのガイドラインを設定しておりましたが、例えば従来、緊急援助だとか情報の収集だとかいうことにつきましては一応勧告あるいはガイドラインという拘束力のない一つの形を持っておりまして、これは一つには、今回の事故のように大量の放射性物質が空中に放出され、それが他国に影響を及ぼすという大事故が想定されていなかったというためにかかる形のままになっていたわけでございまして、まさに東京サミットで各国首脳が問題点として指摘し、今後IAEAの機能強化に踏み出すべきという結論を得たのはこれが背景でございますが、私どもといたしましては、今後IAEAの機能強化ということを通じまして今御指摘いただいたような点の改善を図ってまいりたい、このように考えております。
#41
○草川委員 ぜひこの際、機能強化というのですか、改善に積極的な努力をしてもらい、かかる緊急事態発生時の情報交換を義務づけるような国際協定にまでこれを高めていただきたいということを要望して、この原子力発電所問題は終わります。
 二番目に、チガソンという、これは最近四月から発売をされました大変効能、効果の高い薬ではございますけれども、副作用が極めてこれは重要だというので、全国の産婦人科の先生方が問題提起をしておみえになることを申し上げてみたいと思います。
 このチガソンという薬は大変難治性な皮膚病に効く薬でございまして、ことしの四月から発売が認められたと聞いております。ところが、これが催奇性というのですか、特に婦人の方が使いますと奇形児が生まれるということになりますので、日本医師会が「警告」を出しておるわけであります。「本剤には催奇形性があるので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。また、妊娠する可能性のある婦人には投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合は使用上の注意を厳守すること。」というようなことで、例えばどうしても使いたいという患者には書面でひとつ合意をしろよというようなことも言われているわけです。簡単に言いますけれども奇形児が生まれるということは大変なことでありまして、チガソン服用中止後二年以内に妊娠した婦人の胎児の奇形あるいはチガソン投与中止後四カ月目に妊娠した婦人の胎児に骨格奇形が認められたというような、そういうことも一々説明をして使用をしなさいよ、こういうことになっているわけです。
 そこで、よく産婦人科の先生に指導を求めなさいよということになっておるわけでありますけれども、産婦人科の先生にしてみるとそんなことを言われても困るわけですね、いわゆる他の分野における治療でありますから。それで、一体この問題にどのように対応していったらいいのかということで、これは万一妊娠した可能性のある場合には産婦人科医に申し出て指示を受けるという話になっておるわけですが、産婦人科の先生方は、妊娠した場合にいわゆる優生保護法の立場からどのようにしたらいいのか、こう言われても、それは御存じのとおり対応ができないわけです。ですから、この薬は非常に効くけれども怖い、こういうことですね。
 しかも、避妊が必要な期間というのは非常に長くて、女性の場合はチガソンというこの薬を服用中はもちろんのことですが、服用中止後少なくとも二年間は避妊が必要だというきちっとした方針が出ておるわけです。これは女性ばかりではなくて男性もそうでして、チガソン服用中と服用中止後少なくとも男性の場合は六カ月間は避妊というのですか、そういうことを中止をしろという、いわゆる避妊が必要な期間ということになっているわけですね。
 これは厚生省の方にいろいろとお話を聞いてみると、そういう通知を出したのは実は日本医師会なので、厚生省にその対応を求められても困るので、日本医師会と日本母性保護医協会とで話を聞いたらどうだろうかとかいうことを言っておみえになりますが、しかし、現実に皮膚病には非常によく効く薬ということで発売をされているわけですから、これはそうそうは黙って見ておるわけにはいかぬのじゃないかというわけでございますし、事実、産婦人科の先生方がそれぞれ関係当局の方にも対応を求めておられるわけであります。その点、一体どういうようになっているのか、あるいは日本母性保護医協会−母性保護医協会ですから産婦人科の先生も入っておるわけでございますが、本件について厚生省に照会をしておると聞いておるわけですが、どう対応をされるのか、お答えを願いたいと思います。
#42
○齋藤(勲)説明員 チガソンの指導せんにつきましては、本年二月に日本母性保護医協会から厚生省薬務局長あてに照会がございました。本件につきましては、先生御指摘のように、「使用上の注意」を受けまして日本医師会が指導せんとして具体化したものでございまして、厚生省から回答すべき性質のものではないということで、日本医師会に御連絡しまして、日医から日母に回答するように依頼をしたところでございます。さらにあわせまして、日母にもこの旨を連絡してございます。日本医師会では、この件につきまして日母と現在調整中である、このように伺っております。
#43
○草川委員 現在のところはそういうことだと思いますが、先ほど申し上げましたように、チガソンカプセルが今発売をされて使用されておるわけですが、この皮膚病の対象になる患者というのはどの程度おみえになるのか、わかる範囲内で結構ですから、推定で結構ですから、お伺いをしたいと思います。
#44
○齋藤(勲)説明員 薬剤の供給数量から概算いたしますと、男女あるいは老人、子供合わせまして、この詳細はわかりませんが、約二千名、このように推定しております。
#45
○草川委員 この二千名の方は、チガソンを飲んで自分の皮膚病を治したいということはよくわかるわけですが、もし間違って妊娠をしたような場合に、その薬には催奇性があるのですよ、今申し上げたように具体的にこういう例があるのですよ、非常に恐ろしい楽なんですがという、十分な本人に対する了解を得るといいますが、この「警告」「使用上の注意」という問題は、いずれにしても、これは日医が出そうとどこが出そうと問題だと思いますので、特に妊婦または妊娠している可能性のある方々にどうこれを理解させるか、そして、その後始末だけが産婦人科医の方へ来ないような対応が必要だ、こういうように思います。この点を強く要望しておいて、本件については終わりたい、こう思います。
 それから、同じく産婦人科の先生方から非常に今問題提起をされておりますのは、赤ちゃんを産む、赤ちゃんを産んで五体満足な立派な赤ちゃんが産まれると非常に安心をする、そういうところでおぎゃー献金運動というのが始まっているわけであります。これは、今ユニセフ、いわゆる国際連合の児童基金もこの運動を知って、世界じゅうにこれを進めていきたいというようなことですが、この配分先も、全国の重度心身障害児の施設あるいは重度心身障害児のための研究施設にいろいろと配分をされておるようでございます。
 このおぎゃー献金というものを私はもっと積極的に進めていく必要があるという立場からの質問でありますが、とりあえず、このおぎゃー献金の現状はどうなっているのか、集まった金額は幾らくらい集まっているのか、お伺いしたいと思います。
#46
○近藤説明員 おぎゃー献金の現状について御説明申し上げたいと思います。
 この事業は、鹿児島県の産婦人科の先生が御発案になられまして、昭和三十八年からスタートしたわけでございますが、三十九年から日本母性保護医協会の事業として全国的な運動に展開されたものでございます。その後、この事業の発展と恒女性を図るために、昭和五十四年には財団法人日母おぎゃー献金基金として厚生大臣の認可を受けて、現在に至っているところでございます。
 この日母おぎゃー献金運動に賛同をされる善意の募金総額というものは、昭和六十年現在で十八億三千八百九万円ということで、その配分を受けた心身障害児の施設は三百十七施設でございます。また、心身障害の発生予防等に関する研究に対しまして二百二十六件の助成が行われまして、恵まれない心身障害児の対策の推進のために寄与しているところでございます。
#47
○草川委員 今お話がありましたように、現在、全国で十八億も集まり、三百以上の施設に配分されておりまして、非常にいいことをやっているわけです。
 ところが、国公立、特に自治体病院等の窓口での取り扱いが非常に悪いわけです。産婦人科の先生というよりは、日母の方からの要望をしますと、やはり国公立あるいは大学附属病院、市民病院等は従業員が金銭を取り扱うということを避けたいということで、このような献金の趣旨はわかるけれども事故があっては困る、あるいはまた中央からの指導もないからというようなことで、非常に取り扱いが悪いわけですね。協力をしないわけです。
 ですから、せっかくユニセフのような国際的な機関が協力をしよう、世界でこの運動を進めようと言ってくれているわけでありますから、できたら国公立あるいは自治体病院等は率先をしてこの献金を取り扱う、この献金を取り扱っても違法ではないということを確認をしていただきたいと思うのです。現在でも、国立病院の一部では産婦人科病棟でポスターを張るとかあるいは振替用紙を置くとか、何かの箱の中に入れて厳重管理をしながら献金を求めるとかというようなこともやっておるわけでありますから、ぜひこれは厚生省、どこの担当になるかそれぞれ担当が違うと思うのでありますが、おぎゃー献金の取り扱いについて協力をするよう要望して、二番目のチガソンの問題とおぎゃー献金の問題を終わります。
 三番目に、ワシントン条約の具体的な事例について申し上げてみたいと思うのです。
 時間がございませんので簡単に申し上げますと、このワシントン条約というものが野生動植物の国際取引を規制している、絶滅のおそれのある動植物を保護するという目的は十分我々も承知をしておるわけですが、たまたま台湾からの旅行者が、日本で非常に今、関心を呼んでおりますところのランをお土産に飛行場に持ち込んだ。もちろん、ランは規制されている、いわゆる特別の輸出許可証が必要だということで、それが輸入を認められなかったわけでありまして、全国的にかなりランの輸入についてトラブルがあるようであります。
 それというのも、台湾はもちろんワシントン条約に入っておりませんし、それから台湾の飛行場のお土産屋でこのランが売られているわけでありますから、ついつい旅行者はこれを買ってくる、こういうことでトラブルがかなり多いというようなことでございますので、この問題について、とりあえず運輸省から、台湾の旅行者数というのは一体どの程度あるのか、概略でいいからお答えを願い、私が今指摘をしたことに対して、通産省としてどのような対応をされるのかお答えを願いたい、こう思います。
#48
○望月説明員 お答えいたします。
 日本から台湾へ旅行いたします日本人の旅行者数でございますが、最新のデータといたしまして、暦年でございますが、昭和六十年、六十二万弱ということでございます。過去数年、大体六十万前後で推移いたしております。
#49
○石黒説明員 お答え申し上げます。
 台湾からのランの持ち込みということでいろいろトラブルがあるという御指摘でございますけれども、私どもの方もそういうケースが結構あるというふうに承知をいたしております。
 ワシントン条約は、先生御案内のように絶滅のおそれのある動植物について国際商業取引を禁止するということでスタートしておるわけでございまして、我が国もこれに加盟をしてこの趣旨に賛同してやっておるわけでございますので、とかく国際的な批判を浴びがちな我が国としても、これを遵守していくべき立場にあるのは当然でございます。
 ただ、このあたりについて周知徹底を大いにやるべきである、善意で、知らないで持ってこられるという方についてどうするかという対策が必要なのは御指摘のとおりでございまして、私ども、五年前に条約を批准いたしましたけれども、それ以降いろいろトラブルもございましたものですから、PRを積極的に進めているところでございます。具体的に申し上げますれば、こういうリーフレットをつくりまして、百万部去年おととし、それから最近時点でまた五十万部刷り増して、税関の窓口あるいは旅行代理店あるいは航空会社、そういうところに配布をいたしまして、日本国民の皆様方に御理解を賜っているということでございます。これのみならず、テレビ、新聞等でも鋭意広報に努めておるところでございまして、御理解を賜ることが本件のトラブルをなくすための唯一の道というふうに考えておる次第でございます。
#50
○草川委員 そういうPRはぜひ進めていただきたいわけでありますが、今私が指摘をしましたように、外国の飛行場で、輸出許可証が必要なものが非常に安易に売られているというのは台湾ばかりではありません。それでついつい、今のそういうPRのパンフレットをもらいながらも旅行者が購入をして税関で注意を受ける、注意を受けるのではなくて、それは輸入を認められぬわけでありますから、せっかくの楽しい旅行が不愉快なことになるということになってもいけませんので、ひとつこれは日本側からも諸外国のショッピングセンター等に、許可証が必要なものはそういうことを十分行えというようなことを、旅行社等を通じてでもいいですからやっていただきたいということを私はこの際申し上げまして、時間がございませんのでワシントン条約は終わります。
 最後になりますが、つい最近衆議院を通過をいたしました化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆる化審法と言われるものに対する環境庁のかかわり合いを中心に、残された時間少ないわけでございますが質問をしたいと思うのです。
 いわゆるハイテク汚染と言われておるトリクロロエチレン、これがこの法律によりますと準特定化学物質ということで新たな規制の対象になる、いわゆる灰色物質の問題、こう言われておりますが、通産省は通産省で、これはこれでいいんです、通産省の問題等については法律が通ったわけですが、ところがこの辺は非常に労働省の方にも関係がありまして、これは製造という意味で労安法でも規制をされておるところでありますから、二重規制のおそれもあるわけです。
 それから環境庁としては、通産省がこういう法律をつくるということと前後をいたしまして、「トリクロロエチレン等による地下水汚染実態の把握について」という特別なレポートをあわせて発表をしておるわけですね。これによりますと、全国四百六十八の市町村で暫定水道水質基準値をオーバーするのが二・四%もあるというので、これもある程度新聞等には出ておるわけでありますが、この図で見ると、環境庁長官は今度のこの新しい化審法に対して助言、勧告をするという立場のようですね。ところが、この地下水汚染の実態把握というのをわざわざ発表してみえるところによると、とてもじゃないけれども助言、勧告程度のかかわり合いでは私は弱いと思うのです。環境庁としては、とにかくこのハイテク汚染の新化審法の体系の中にもっと多くのものを発言すべきではなかったか、こう思うのでありますが、その点どうでしょうか。
#51
○谷野政府委員 ただいま御指摘がございました調査との関連につきまして、まず私の方からお答えを申し上げたいと思います。
 トリクロロエチレン等三物質につきまして、現在私どもの方で、通達ベースでございますけれども暫定的な排出につきましての規制を行っておるわけでございます。このようなことを行いましたのは、昭和五十七年に、もうかなり前でございますが、既に地下水の汚染の問題ということにつきまして私ども関心を持ちまして、全国的にかなりの数の物質につきまして調査をかけたわけであります。その結果いろいろなものが発見されたわけでございますが、そのうち特に三つの物質につきましては何らかの措置を講ずる必要がある、こういうふうに判断をいたしまして、昭和五十九年にそのような方向づけを行ったわけでございます。
 現在私どもといたしましては、通達ベースではございますけれども既にそういう一つの線を出したわけでございますので、その線がどういうふうに推移をしておるかという実態を毎年調査をいたしておるわけでございまして、ただいま先生御指摘の資料は、それのその年度の分に当たるわけでございまして、私どもの地下水調査といたしましてはいわば三年目の調査に相当する、こういうことになるわけでございます。
 ただいま御指摘のございました化審法上の扱いの問題につきましては、後ほどまた担当の方から御答弁を申し上げるべきものと感じておりますが、私どもといたしましては、化審法の体系とは別に、水質汚濁の防止という観点から現在の状況につきまして引き続き調査を続けまして、現在はそういう排出につきましての指導でございますけれども、この問題について、化審法等でのお取り扱い等も参考といたしまして、将来必要な措置を講ずべきかどうかということにつきましては今後引き続き検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#52
○目黒政府委員 今回の改正法におきまして、現行の化学物質の審査規制法におきます役割に加えまして、先生御指摘のように、環境残留性を重視する観点から環境庁長官の関与ができるようになったわけでございます。
 具体的に申しますと、指定化学物質に対する有害性の調査について、厚生省及び通産省に対して実施すべきことを要請し、調査結果の判定について意見を述べるということ、あるいは第二種の特定化学物質につきまして、厚生省及び通商産業省に対しまして、製造、輸入量の制限に関する措置を講ずるように要請すること、それから三番目といたしまして、既存化学物質について厚生省及び通商産業省の行う試験及び判定について意見を述べるということでございます。
 環境庁といたしましては、環境残留状況に関します調査の結果を踏まえまして、環境保全の見地から積極的に意見を申し述べるということによりましてこれらの役割を十分に果たしてまいりたい、このように考えているところでございます。
#53
○草川委員 今度は通産省にお伺いをいたしますが、この具体的な化審法の内容はもう承知をしておりますから結構ですが、この法律を出すに至った国際的な背景というのも一つあるのではないかと思うのです。海外からの日本に対する輸入プレッシャーというのもあるわけでありますし、従来の対応では非常に相手方にも問題があるというようなこともあるのではないかと思うのです。そういうことになってまいりますと、それが結果的に環境破壊につながるのではないかという心配が一つあります。その点はどうかということ。
 それからもう一つ、四十八年の九月に商工委員会で化審法が採決をされたときに附帯決議があります。既存化学物質について早急に審査をしろというようなことが出ておりまして、既存化学物質の点検状況というのを通産省からもらいましたが、一体それはどの程度のパーセントで点検が進んでおるのか、あわせてお伺いをします。
#54
○阿部(巳)説明員 御説明申し上げます。
 本法改正の必要性でございますが、先生御指摘のように、国際的な調和を図るというのを今回の改正の主要な眼目の一つとして掲げてございます。
 御承知のように、化審法は昭和四十八年に成立いたしまして、四十九年から施行しておりますが、この関係の法律といたしましては先進国の中でも非常に早い時期に制定された法律でございます。その後、EC諸国を初めといたしまして主要先進国の中でも同様の法律が制定されてきているところでございますが、それぞれの国で別々の法体系に基づきまして規制をいたしますと、化学物質の円滑なる流通、貿易に障害になるおそれがあるということで、経済協力開発機構、OECDにおきまして化学物質の調和に関していろいろと作業が行われてきたわけでございます。その作業の中から、化学物質の円滑なる流通を図るという観点、それから化学物質による人の健康への被害を防止するという観点から、統一的に化学物質を評価する項目を定めようではないかという考え方が出されまして、その評価項目というのが定められたわけでございます。
 そういう観点から、EC諸国では既に法体系が整備されておりますのですが、私どもとしてもそういう流れに沿った化学物質規制をやっていくということが必要だというのが、今回の法改正に至りました一つの理由でございます。
 それから、既存化学物質の点検状況いかんということでございますが、六十年末現在で六百十四物質について安全性点検を実施しております。二百十一物質について食分解性、三百九十二物質について低濃縮性の判定を行っております。六十年末現在でいわゆるシロ告示を行ったものは、新規化学物質で二千三百十物質、既存化学物質で六百三物質、合計二千九百十三物質でございます。このうち、難分解性であるもの、蓄積性がないとしてシロ告示しているものは、新規化学物質で千八百三十三物質、既存化学物質で三百九十二物質、合計二千二百二十五物質でございます。
 これがどの程度の点検状況に当たっているかという御質問でございますが、この法律制定時に、私どもはそれまでに既に輸入もしくは製造されておりました化学物質の名簿をつくりました。既存化学物質名簿と言っておりますが、ここに収載されております化学物質数は約二万でございます。これはいろいろくくりの問題がございまして、一つの物質名の中に幾つかの物質が入っているというふうなことで、くくりの問題があるということを考慮しなければいかぬわけでございますが、既に点検した物質数が、新規化学物質を含め二千九百十三でございますので、大体一割強が既に点検されているというふうに申し上げてよろしいかと思います。
#55
○草川委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、今お話がありましたように、約二万のうち一割、まだ九割の点検が残っている。今回の化審法の中で、いわゆる灰色であったものに新しく網をかけることができたという意味では前進だと思いますが、事の経過は、対外摩擦等もあるわけでありますから、結局環境行政としては矛盾をするということになるわけであります。その点は十分な対応を図っていただきたいということを強く要望して、私の質問を終わります。
    〔戸塚委員長代理退席、中馬委員長代理
    着席〕
#56
○中馬委員長代理 次に、土井たか子君。
#57
○土井委員 当環境委員会には久しぶりでお時間をちょうだいいたしまして、きょう質問をさせていただくことになりましたが、従来私は、大阪国際空港の公害対策ということで当委員会で幾たびか御質問を継続してやってまいりました。きょうは、大阪国際空港をめぐりまして公害対策に新たな考え方を政府としては打ち出されようとしているときでありますから、中身について、いろいろ重要な問題でもあり、質問をしたいと考えています。
 さて、運輸省に御出席をいただいておりますが、昨年の十二月に、この大阪国際空港の周辺における特に騒音の激甚地区に対して地域指定の範囲を縮小するというふうな案を提示されているわけですが、大まかに言いますと、最激甚地区の大体四分の一くらいに今回は地域が縮小されてしまうというふうに考えて間違っていませんね。どうですか。
#58
○阿部(雅)説明員 お答え申し上げます。
 大阪国際空港につきましては、航空機騒音障害防止法に基づきまして、昭和四十九年に第一種、第二種、第三種という区域の指定を行いましたが、それから既に十年以上経過しております。
 この間におきまして、私どもといたしましては、現用機のエンジンの低騒音化のための改修、あるいは低騒音機の積極的な導入、あるいは騒音軽減運航方式の採用、あるいは便数調整、時間規制等各種の発生源対策を実施してまいりまして、その結果は、本空港におきましては航空機の騒音レベルは大幅に減少するに至ったというふうに考えております。
 また、大阪国際空港周辺地域におきましては、移転補償等の進捗によりまして、これまでに既に六十九万平方メートルを超す移転補償跡地が市街地に虫食い的に散在しているという状況になっておりまして、今後の空港周辺地域の整備を推進してまいるためには、これらの移転跡地の有効活用を図ることが重要な課題になっているというふうに考えております。
 このような観点から、今後の周辺整備事業の一新を図るという観点から、第二種区域及び第三種区域の見直しを行うということをいたしまして、地元にもその案を提示したわけでございます。その内容等につきましては、第二種区域をほぼ三〇%程度に小さくする、第三種区域につきましては約二〇%程度に小さくするというような案になっておりますが、この区域の見直しに当たりましては、現行区域内で実施されております諸事業の進捗状況も十分配慮しつつ、関係地方公共団体の意見を踏まえた上で、新区域の範囲、実施時期等についで今後打ち合わせた結果を取りまとめ、定めてまいりたいというふうに考えております。
#59
○土井委員 大変御丁寧な御答弁なんですが、私が承りたいという質問の中身は、第二種、第三種、わけても第三種区域というのは激甚地区であります、第二種はそれに次ぐ激甚地区でありますが、この地域が四分の一くらいになるのですねと聞いているわけです。だから、余り御丁寧にお答えになる間にいたずらに時間も経過しますから、端的にこれからお答えをお願い申し上げたいと思います。
 さて、こういうことについて環境庁は運輸省から連絡をもちろん受けて、いろいろ環境庁としての意見もおっしゃったに違いないと私は推察しているのですが、いかがでございますか。
#60
○林部政府委員 まだ自治体側の意見が出そろっていないというふうに承っておりますので、私どもの立場からはまだ運輸省と御相談をして申し上げるというふうな段階に至っておりません。
#61
○土井委員 もう既に昨年の十二月に運輸省としては案をお出しになっていらっしゃるのですが、確かに自治体からの意見というのは出てきておりません。具体的には話し合いがただいま続いている段階だと私は聞き知っております。けれども、今までの間に環境庁に連絡があってしかるべきだと私は思うのです。第一、騒音問題とか大気汚染に対する防止問題なんというのは、所管は運輸省じゃなくて環境庁でしょう。今まで全然連絡はございませんか。
#62
○林部政府委員 私の御説明がちょっと不十分だったかもしれませんが、私どもの方から意見を申し上げる段階にまだなっていないというふうに申し上げたつもりでございます。
#63
○土井委員 そうすると、環境庁としては意見を出されるのはいつごろでありますか。
#64
○林部政府委員 先ほど申し上げましたように、自治体側の地元の意向が出そろった時点で申し上げるということになるのではないかと考えております。
#65
○土井委員 そうすると、自治体の意見が出た上で、運輸省との間で環境庁は協議をされるということが予約されているのですね。
#66
○林部政府委員 従来からのいきさつから申しますと、私ども両者が話し合う機会はあるはずでございます。
#67
○土井委員 あるはずじゃ困るのです。従来からのいきさつからするとということも困るのです。今回、この問題についてどのようにはっきり予定を立てていらっしゃるかというのをここでもうちょっと明確にしておいていただく必要があるように思います。いかがですか。
#68
○林部政府委員 私が担当の室長から聞いております限りでは、四月いっぱいぐらいに地元の意向がおおむね判明するのではないかということでありましたが、地元の方の意向が最終的にまだ出そろっていないというのが現在の状況でございます。
#69
○土井委員 それは関係自治体からの意見がいつごろ出てくるかという話なんですが、環境庁とされてはその意見が出た上で運輸省と話し合いをするということを予約されておりますねという質問に対して、お答えはどうですか。はっきり予定しているならいるとおっしゃっていただきたい。
#70
○林部政府委員 私どもとしては予定いたしております。
#71
○土井委員 環境庁にお尋ねしますが、大阪国際空港周辺は騒音に対する環境基準が決められております。環境基準は守られておりますか、環境基準は実施されてクリアしていますか。
#72
○林部政府委員 環境基準は達成されることが望ましい基準でございますから、その意味では、現在まだ達成されておらない状況と考えております。
#73
○土井委員 達成に対してははるかに遠い話になっているのじゃないですか。どういう状況にあるのか、そこのところの中身をちょっと言ってみてください。
#74
○林部政府委員 私どもが五十八年の十二月に把握した状況が一番新しいものでございますが、十年改善目標の七十五Wは達成はされておりませんでした。しかしながら、四十八、九年当時どこの十年間の推移を見てみますと、先ほど運輸省の方からも御説明がありましたように、低騒音機の導入、運航方法の改善といったような発生源対策によりまして、空港周辺の屋外における数値は、十年間で約十W程度低減しているというように私どもは現状把握をいたしております。
#75
○土井委員 推移からいいますと、昭和四十八年当時に比べると確かに軽減されてきているという事情は事実ございます。けれども、環境基準を達成していないという現実は現実として厳然とあるのです。
 この大阪空港については騒音に対する環境基準を達成することは忘れてはならない大事な原則である、これはそのとおりですね。
#76
○林部政府委員 おっしゃるとおりでございます。
#77
○土井委員 そうすると、環境庁からお考えになりまして、この環境基準を達成していない間に騒音地域に対して縮小していくという考え方はどういうふうにお思いになりますか。
#78
○林部政府委員 騒音の影響に基づいて指定地域と申しましょうか区域を線引きする場合の一つの考え方でございますが、観念的には大きくなる場合も小さくなる場合もあっていいわけでございますけれども、今申しましたように改善に向かって進んできているわけでございますから、航空機の発着によってもたらされる騒音の影響区域は縮小してきているという状況を示しておりますので、現状が確実に縮小してきているということについて地元がそういうふうに十分御納得していただいているのであれば、私どもの基本的な考え方としては、現状に即した形に地域指定をやり直すということは全く否定するということには必ずしもならないのではないだろうかというように思っております。
#79
○土井委員 そこの関係地域の御納得というのが一つ今の御答弁の中にございました。関係地域の方からいえばどういうことに相なるかというと、この第三種というのは、うるささレベルからいったらどういうことを指して第三種というのですか、第二種区域はうるささレベルからいうとどういうことになるのですか。WECPNLからいえば、どういう数値を問題にして第二種であり第三種であるという指定をしてきたのですか。これは環境庁に答えていただきます。
#80
○林部政府委員 お答えいたします。
 第一種が七十五W、第二種が九十W、第三種が九十五W、いずれも以上ということで定められてきておるというように私は理解いたしております。
#81
○土井委員 今回、その九十W、九十五Wというところに当てはまる二種、三種の区域が大幅に縮小されるという格好になるわけです。九十Wをオーバーしていても第二種から外れる、九十五Wをオーバ一していても第三種から外れる、こういう地域が今回の案として考えられている改定の中身からしたら出てまいります。環境庁、これはそのとおりであっていいのですか。
#82
○林部政府委員 私が先ほど申し上げました趣旨は、低騒音機の導入が進みますと当然のことながら騒音影響範囲が小さくなるわけでございますし、特に最近の低騒音機の騒音コンターを十年前のものと比較いたしますと、先生御指摘のようなレベルの影響区域は非常に小さくなってきているわけでございます。
 したがいまして、今先生御指摘の数値を私は必ずしもつまびらかにしておるわけではございませんけれども、機種別に騒音コンターの比較をいたしました状況からいけば、現実に影響区域そのものが縮小してきているであろうということは想定できるのではないかと思います。
#83
○土井委員 こういうのを想定でやられたらたまったものじゃないのです。地域の人たちからいたしますと、騒音測定器で騒音値がわずかに下がったということだけを理由に、この騒音指定地域を縮小してもよかろうなんという安易な考え方を持ってもらっては困る。そこで実際に生活をやっていらっしゃる方々から見ると、このWの中身が一向に軽減されていないという実感を持ちながら、離陸直下、着陸直下の生活をなさっていらっしゃる方々が圧倒的多数であります。こういうことからすると、推測されるとか、そういうふうに考えられてもいいのではないかというええかげんなことで環境庁がこの問題に臨むということになれば、それは環境庁自身のよって立つ意味が全く失われると私自身は思います。
 環境庁とすれば、あくまで騒音規制、大気保全という問題について徹底的に責任をとることがお役割でいらっしゃるわけですから、そういうことからすれば、今このあり方について十分に−先ほど御質問してみれば、運輸省から連絡があったのかなかったのかよくわかりませんけれども、環境庁とすればそういう意見をおっしゃる機会はまだございませんといってとであります。環境庁となされば、この二種区域、三種区域の区域に対して縮小される中身についてよく精査なさることが大事になってまいりますが、これは当然のことで、なさいますね。
#84
○林部政府委員 先ほど私が地元の意向を十分に踏まえてと申し上げましたのは、騒音の影響区域というものについて地元の御認識がどういう状況であるのかを我々は判断する場合に、重要な判断のポイントにいたしたいということで申し上げたつもりでございまして、先生御指摘の、いろいろなレベルに対してどのようなスタンスで臨むのかということについての基本的な考え方は、以前も今も変わってはいないわけでございます。
 したがいまして、先ほど申しましたように、地元の意向というものをしっかり踏まえた上でということは、地元の自治体あるいは住民の方たちが、実際にいろいろな対策が行われてきてマクロ的に眺めれば十年間で十ホン程度下がってきている、そのことが現実に影響範囲としてどういうような状況になっているのかということについて、正確にそこら辺のところをとらまえた上で私どもの考え方というものを申し上げたい、こういうように今のところは私ども考えておるということでございます。
#85
○土井委員 そうすると、今の御答弁からすれば、環境庁としても当然ながら数値の上での確かめは序としておやりになり、地域の自治体の考え、住民の方々の御意見等々もそれは率直に聞くという立場で、しんしゃくしながらこのことに対処したいということでありますね。今おっしゃったことはそういうふうに理解できますが、それでよろしゅうございますか。
#86
○林部政府委員 そういうふうに御理解いただいて結構でございます。
#87
○土井委員 なおかつ、こういうやり方によって、環境庁とされては、騒音に対する環境基準というものを達成する方向で努力できるとお思いですか。
#88
○林部政府委員 環境基準を設定した時点で、発生源対策が十年あるいは十五年、二十年と技術的に進んでいくわけでありますけれども、それがどのくらいのスピードでどのような形で進んでいくかということについては、率直に申し上げれば、私は必ずしも非常に正確にそこの予測ができていたかどうかということはわからないと思います。
 したがいまして、発生源対策というものをやはり私どもは踏まえて、環境基準というのはできますれば屋外での達成ということで考えているわけでございますから、技術的にどうしても発生源対策が難しければ、次善の策として、防音工事等によって、あるいはその他のいろいろな周辺の土地利用といったようなことも含めて、少しでも周辺住民の方の被害というものを小さくしなければいけない、こういう考え方になるわけでございますから、やはり基本的には低騒音機が次々に導入されていって、発生源そのものが小さくなっていくということを中心に考えていくということに対策の考え方としてはなると私は思います。
 ただ、低騒音機の導入というものが当初考えていたような速さで進んでいるかどうかということについては、率直に申し上げまして、環境基準を設定した当時の環境庁側の考え方と現在の私どもが感じていることとの間には多少ギャップはあるかもしれません。したがって私は、いつ達成できるかということについては今ここで明確にお答えはできませんけれども、先ほど申し上げましたように、おおむね十年程度で十ホン下がったということが評価できるかできないかということについては、私どもは、それだけ下がってきたということについては率直に改善がされている、少なくともそういう方向にはあるということだけは評価できるのではないかというふうに考えております。
#89
○土井委員 それは、レベルが下がっていくということでなければ対策をするという値打ちもないわけでありまして、やはり対策を考える以上はレベルが下がらないとそれはやったという意味もないという格好になっていくわけですね。
 それで、今おっしゃったところを私ちょっと考えてひっかかりますのは、今どうおっしゃいましたか、環境基準というものを当初環境庁が考えた、その当時の考え方ということに対してちょっと思い違いがあったような意味で今おっしゃったのですか。それとも、環境基準そのものの基準値というものが現実に合わないという意味で、これはちょっと考え直さなければいけないというふうな意味も含めて今答弁なすったのですか。そこのところ大変ひっかかりますから、はっきりしておいてください。
#90
○林部政府委員 環境基準というのは、私どもが行政の目標として、望ましいものとして、達成すべきものとして定めたものでありますから、そのことについての考え方は変わっておりません。しかし、当然のことながら、望ましいものとして決めておりますけれども、そこに到達できるスピードと申しましょうか、期間と申しましょうか、そういうものは当初私どもが考えていたようなスピードでは来ていない、だから達成ができていない、こういうことになるわけでございます。
 率直に申し上げまして、既にもう達成期限を過ぎていて、しかも現在も達成できていないという状況でございますから、したがって、私どもとしてはただ達成しろということを叫ぶだけではなくて、むしろ実質的に少しでも騒音コンターをどういうふうにして小さくしていくかということが結局はその騒音のレベル全体を下げることになるわけですから、それが地域の周辺住民の方の苦痛をそれだけ減らすことにつながるのではないかというのが現在の私どもの基本的な考え方、こういうことでございます。
#91
○土井委員 今の御答弁を承っていても、姿勢としては、発生源対策と周辺対策がございますけれども、いずれかというとむしろ発生源対策に重点を置いてこのことに処したいというふうな基本姿勢をお持ちになっていらっしゃるというのが出てきているわけですね。
 そこで、ちょっともう一度、この昨年の十二月の改定について、お出しになった運輸省にお尋ねしますが、あのときには、四月いっぱいに自治体の方からいろいろな意見が上がってくるというふうなことを踏まえて、九月に告示を出したいという線で出ているこれは公表の中身だと思うのですね。それで、もう四月は過ぎました。今まだ話し合いは継続中です。どうもこれもいつごろ自治体からまとまった意見として出てくるかというのは私たちにはよくわかりません。兵庫県と大阪とで、これはやっている中身の進捗状況が大分に違うようであります。
 運輸省とされては、このただいまの進捗状況からいたしますと九月一日あるいは九月中に告示をするというのは難しいとお考えになっていらっしゃるんじゃないですか。当初からいったらこれは大分ずれていっていますよね。どうですか。
#92
○阿部(雅)説明員 去年、事実上の御相談を始めた際には、四月ごろまでに御意見をいただいて、それから必要な調整をした上で九月を目標にしたい、私どもそのように御説明申し上げました。それで、大阪府及び兵庫県、それぞれ地元市町村とも御相談をいただき、鋭意詰めていただいておりまして、兵庫県につきましては、事実上、相当詰まった段階になっております。大阪府の関係につきましては、なお現在調整中でございますが、いずれたいたしましても、例えば六月、七月くらいまでに事実上のお話し合いがつきまして、正式な意見照会、それについての御回答をいただけれ一は、九月ということについてはまだ間に合うのではないか、私どもできるだけ九月を目標に進めたいというふうには考えておりますが、なお今後の課整いかんにもよる点はあるかと思います。
#93
○土井委員 運輸省はえらい急がれるのですね。何だがそのタイムリミットというのをしきりに気になすって作業を急がれている気がしてなりません。九月に間に合うかどうかというのは、今はまだ未知数でありますけれども、これは一たん告示が出ると、後、猶予期間というのは二年くらい考えておられる。二年ということが、この十二月に運輸省航空局から出ている文書を見ますとはっきり出ているわけでございますが、そうなってまいりますと、これは地域、特に激甚地域では、この猶予期間と申しますか暫定期間と申しますか、この二年間というのは大変気にかかる期間になってくるわけです。
 欲を言いますと、ただいまの国会の定数是正の問題でもそうですが、周知期間というのはなければならぬ。周知期間がなければ、その地域に住んでいる人たちにも実態はよくわからなぬ。のみならず、その地域に移転をしようか、あるいは新しくそこで住まいを持とうかというふうな方々にとっては、ここに行くことがどうなるかということについてみる心得を持ってなければなりません。そうでしょう。こういう風知期間というのはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#94
○阿部(雅)説明員 昨年十二月に、私どもの案を地元でも、PRといいますか新聞の方にも発表させていただいたり、それ以来説明会も逐次開催させていただいたりしておりまして、私どもは考え方についての周知というものは相当やらしていただいてきているというふうに思います。
 さらにその告示の中で、告示したらその途端にもう従来の二種区域であったものが一種区域になって、従来の二種区域としての措置が打ち切られるということになってはいけない。移転を考えながらまだ移転ができていない、移転を希望しながらいろいろな事情で移転できない方の権利といいますか、そのような地位というものを列座に奪うのは適当でない。そういう方の移転御希望があるならば、真に今後移転したいという御計画があるならば、それを十分受けて我々の施策を実施したいということで、その期間としては告示旧後二年ということを考えて、その案の中に入れてあるわけでございます。
 それで、この二年という軟風は、このような施策を効果的に実施していくために無理のない、おおむね妥当な期間ではないかというふうに私ども考えておりますが、以上の経過期間なり、あるいは移転補償の暫定措置の案につきましては、今後地元公共団体から提出される意見も十分尊重いたしまして、この移転補償制度が十分に活用されて、最終的には町づくりが効果的に行われるように区域改定を実施したいと考えております。
#95
○土井委員 今の御答弁は、聞いておりますとまことにきれいごとに聞こえてくるわけですが、激甚地域が縮小されますと、二種から一種になる区域は移転補償の適用がなくなるわけですね。民家の防音士事の工法が簡易になるわけですね。三種から二種に変わる区域は、農地など宅地以外の土地が補償から外されることになるわけですね。三種から一挙に一種になる区域も出てくるわけです。そういうことを考えてまいりますと、これは影響を受ける世帯というのは大変な数に上りますよ。
 周知させる、徹底させるというのは、口先で言うとそれですぐ済むような問題に聞こえるかもしれませんけれども、実態面に触れて言うと、エアバスの導入のあの前夜においても大変だったのですよ、これは特に周辺の第三種区域にお住まいの方々にとっては。運輸省の努力というのは血みどろの努力だった。当時のことを覚えていらっしゃる方は今は局長クラスにいらっしゃらないかもしれませんけれども、当時の局長というのはそれこそ夜も昼ももうそのことで頭がいっぱいで、夜も安眠できないと言って大変憔悴されていましたよ。(「今、参議院議員だ」と呼ぶ者あり)そうそう、その方も当時大変な苦労をされた方でありますけれども、そういうことからしますと、暫定期風ということの中で一体どうなるかということは小さいことでは決してないのです、今申し上げたように。
 それで、移転補償なども御希望とあればその中で考えさせていただきますとかというふうなことを今おっしゃいましたけれども、具体的にこれを言わなければ、抽象晦なことをお尋ねしてもまたきれいごとの答弁しか返ってきませんから、一つこういう場合はどうなさいますかというのをお尋ねしますけれども、御承知のとおりあそこでは借地・借家にお住まいの方々が多いのです。特に離陸直下の第三種区域の中に多い。この方々はその移転契約というのができてから後が大変だという経験をお持ちです。なかなか移転契約までこぎつけるのも大変だけれども、それから後がさっぱり先に進まない。いろいろな事情がそれに対してございます。契約後、建物を補修するのに隣の同意が得られないという場合が出てくる。それから、同意はやっと得られたけれども、解体業者が決まらないという問題が出てくる。しかし、何よりも肝心の地主さんや家主さんの了承を得るというのがこれまたなかなか大変なんです。
 そういうことに対して一体年間どれくらい今まで進められてきたか。進捗状況はかなり進んでいるとお考えか、なかなか難しかったと率直にお考えか。これをちょっと断かしてください。
#96
○阿部(雅)説明員 借地・借家の問題につきましては、御本人の意思だけではできないということで非常に問題があったということは承知しておりますし、その関係の移転補償がなかなか進まなかったということは事実でございます。しかし、最近、一部話し合いがつきまして行われるというのがだんだん進みつつある。現に済んだどころもございますし、お話し合いがほぼまとまりつつあるような状況になっているという地域もございまして、長年の懸案でございましたが、だんだんそういう方向での解決が図られつつあるというのが現状かと思っております。
#97
○土井委員 そんなことおっしゃいますけれども、これは具体的に見ていくと年間二、三件しかできてないのです。これはいろいろ難しいんですよ。そうすると、一体どうしたらいいかという問題があるんですけれども、今までどおりの周辺整備機構の姿勢ではちょっと難しい。積極的にこういうことに対して協力する姿勢ありやなしやということを問えば、以前に比べたら随分この姿勢が消極的になってきているという声を私はもうしきりに耳にします。大阪と福岡の周辺整備機構は合体して一体になったでしょう。随分これは変わってきておりますよ、
 こういうことからいたしますと、建物の解体それから補修をめぐって、解体、補修費というのはこれに対してきちっと支払いを保証してもらわぬと困るのです。これはできますか。
#98
○阿部(雅)説明員 お答えいたします。
 周辺整備機構、大阪と福岡が統合されたといったことは、民防工事が相当中心であったものがほぼ概成して縮小したということで、その業務が少なくなったということを重点に置いて統合したわ。けでございまして、移転補償なり今後やるべき重要事項につきましては、むしろ体制もそちらの方に強化するという方向で考えておりまして、むつみの借地・借家人間糧ですとかその他につきましても、機構及び私どもも直接大阪航空局あるいは本省から出向く等精力的に解決に努力しているつもりでございますし、その件数もふえてきておると考えております。
 それから、ただいまの解体その他やる場合の補修費等でございますが、それは当然移転補償に必要な経費ということで、移転補償の中で見ているはずでございます。
#99
○土井委員 その辺は少し徹底してもらわないと、家主さんや地主さんに対してちょっとひっかかりになっているみたいですよ。
 それと同時に、ここできちっとさせておいていただくべきは、現在二種区域にお住まいの方、三種区域にお住まいの方、これは地域が縮小されたからといって三種区域から外す、二種区域から外すという取り扱いをしない、現に二種区域にお住まいの方々については、従来どおり二種区域の取り扱いをやる、三種区域にお住まいの方々についても、地域が縮小されて三種から二種収域に新しい縮小案では入るけれども、三種区域として取り扱いを進めるということははっきり約束心でおいてくださいますね。これは非常に大事なことですよ。
#100
○阿部(雅)説明員 区域縮小に伴いまして、経過措置としてそのようなことを実施してまいりたいと考えておりまして、区域が変わっても依然、未来永劫といいますか、従来の権利あるいは地位といったものをそのままずっと将来にわたってということは問題かと思います。私ども、ただ経過措置というものを、十分合理的な経過期間を設けてそれなりの対応をさせていただきたい、また、そうするのが改定の合理的な考え方であろうと考えております。
#101
○土井委員 その経過措置の中身についても、これからさらにどういうふうに考えていくかということの詰めが大変必要だと思うのです。
 さて、環境庁はさっき発生源対策が肝心である、主に考えられなければならぬということをおっしゃいました。今、大阪空港でジェット機の発着回数は一日何回という規制がございますが、これはもちろん御存じでしょうね。
#102
○林部政府委員 たしか二百便という数字があったように記憶してございます。
#103
○土井委員 これは一日ですか、一週間ですか、一年ですか、二百回というのは。
#104
○阿部(雅)説明員 私ども運輸省で現在運用しております基準は、一年を通して一日平均作して二百発着ということで運用いたしております。
#105
○土井委員 それはいつ変わったんですか。五十二年三月三日付の運輸大臣から環境庁長官あての文書は、ただいままで有効だと私は考えていますよ。「大阪国際空港における当面講ずべき措置について」という中身の中にちゃんと書いてあるんです。「ジェット機の一日当たりの発着回数を可及的速やかに二百回」とする。
 これはちょっと環境庁長官に承りたいと思いますけれども、まだ有効ですね。この五十二年三月三日に出されました文書ですが、環境庁長官あてに運輸省から出ている文書であります。環境庁としてはそれを回答の形でお受け取りになったんです。
#106
○森国務大臣 政府委員から答弁させていただきます。
#107
○林部政府委員 申しわけでざいません、手元に資料はございますが、資料が非常に多くて探すのに手間取りまして……。
 先生の今御指摘のは、五十二年三月三日に、「大阪国際空港における当面講ずべき措置についての細目について 環境庁大気保全局長殿 運輸省航空局長」というものがございまして、その中に「機種別、時間帯別発着便数の削減について」という記載がございます。そこには、「低騒音大型機が大阪国際空港に導入された場合においては、一日当たりのジェット機の発着回数を可及的速やかに二百回にまで削減するとともに(この結果、同空港における総発着回数は昭和四十九年四月の四百五十回から三百七十回程度に減少する見込みである。)、その導入後十二ケ月間程度を目途として同大型機の発着回数を百回程度とし、同空港周辺の騒音値をWECPNLで約三低下せしめる予定である。」こういうくだりがございます。その後は文書の交換というのはございません。
#108
○土井委員 今あなたがおっしゃったのは、同じ日付で出ております大気保全局長あての文書の中身であります。同じ日付で環境庁長官あてに運輸大臣から出ておる文書がございます。回答の形で出ております。お確かめ願います。ありますよ。
#109
○林部政府委員 失礼いたしました。
 日付は五十二年三月三日、同じでございます。同じように、「大阪国際空港における当面講ずべき措置について(回答) 環境庁長官殿 運輸大臣」というのがございます。その内容といたしましては、先ほど私が読みましたような趣旨のものは、「音源対策関係」という中に「機種別、時間帯別発着便数の調整については、低騒音大型機の導入後ジェット機の一日当たりの発着回教を可及的速やかに二百回までに削減するとともに、周辺地域に対する影響を可能な限り低減しうるようダイヤ等を調整する方向で検討する。」こういうことでございます。
#110
○土井委員 これはいまだ保有効でしょう。どうですか、この後変更しましたか。
#111
○林部政府委員 その後これにつきましても文書の交換はございません。
#112
○土井委員 これは有効なんです。そうすると、この大臣あての文書というのはここに書いてあるとおりですよ。ジェット機の一日当たりの発着回数を二百回までに削減するということが書いてあるのです。これは有効なんです。
 運輸省はそういう取り扱いを最近なさっておりませんね。ある通達をお拙しになったようでありますが、これはどういうわけでありますか。
#113
○阿部(雅)説明員 大板空港の一日当たりのジェットの発着回数を年別に見てみますと、例えば五十七年以降の数字を申し上げますと、五十七年は一月百九十三、五十八年は百九十三、五十九年百九十八、六十年百九十七といったような数字になっております。一日当たりといいますと、とりあえずこの年平均をした数字で見ますとこのような数字でございまして、二百を割っているわけでございます。
 現在、私ども、大阪につきましては二百ということの維持というものは基本線としては現実に守るといってとでございますが、一方、諸外国からの大阪乗り入れの希望ですとかあるいは地方のジェット化された空港からの大阪への乗り入れ希望は非常に強いものがございます。
 これらをこの平均して一日二百を割った枠の中に割り当てるということを何とか認めるべきではなかろうかということで、このような一日平均であいた枠につきまして、五十八年十一月以降のダイヤの設定に当たりましては、過去九カ月間のダイヤによります運航回数、それを実績として押さえ、これから三カ月の数字というものも頭に置きまして、一日平均にすれば二百を超えないという形ではきちっと運用する。
 しかし、やはり月別に繁忙期その他もございますし、一日とった場合にどの一日も二百を超えてはいかぬという運用ではなしに、平均した形での一月二百ということで運用させていただいているというのが現状でございまして、一日当たり二百便というのも、何も過去の一日をとって二百ということを意味しているわけでもない、もうちょっと平均的な数字ということで理解していただいてもよろしいのではないかというふうに考えております。
#114
○土井委員 それはちょっと違うんじゃないですか。文書というのはそうだてに出すものじゃないですから。平均してみると年間は一日当たり二百回以下にその数字としては抑えることができているけれども、それぞれその地域に住んでいらっしゃる方々からすると、一日二百回をオーバーする日がその中に数日出てくるわけです。それを年間平均したら何とか穴埋めができてとおっしゃいますが、二百回以内に抑えるというためにわざわざ出された文書なんですよ。これはあくまで一日二百回以下に抑えることをどこまでも忘れられちゃ困るのです。もちろん盆、正月は別枠として認めておりますから、その分は全く別枠として計算をして一日二百回以下に抑える、この線で臨むという基本線に立ち返ってもらわなければ困る。これは大臣どうお考えになりますか。
#115
○森国務大臣 環境庁といたしましては、この件、検討してみます。
    〔中馬委員長代理退席、柿澤委員長代理着席〕
#116
○土井委員 どっちの方向で検討していただけるのですか。
#117
○林部政府委員 大臣の御意向はお示しになったようでございますから、その前に私ども事務的に詰めさせていただきたいと思います。
#118
○土井委員 事務的にどう詰められるかというのは、やはり先ほどおっしゃったとおりに、五十二年三月三日の環境庁長官あてのこの回答書の中身というのは、これは有効ですから、この線に沿ってやっていただくということがどうしても不可欠だと私は思います。よろしゅうございますね。
#119
○林部政府委員 文書の変更はございませんので、この文書とその後の実態ということについて、先生の御指摘のような問題点について検討してみたいと思います。
#120
○土井委員 細かい点を言い始めるといっぱいあるのですが、今の二百回に抑えていくというのもこれはなかなか努力を必要とするであろうと思います。ローカル空港がそれぞれのところがジェット化されていっておりますし、だから大阪空港を利用していろいろな場所に飛んでいく飛行機も、ジェット機ということがどんどんふえる一方であるということも現実の問題として避けて通れない。しかし、その中で大阪空港の特殊事情というのを考えて、なぜ一日二百回以下に抑えることが必要であるかということもどうか忘れないで、この問題はどこまでも努力をしていただく必要があると私は思います。大阪空港がある限り、あそこで飛行機が発着陸する限り、これは努力を迫られている問題だ、環境庁のその努力方をひとつ再度ここで申し上げたいと思うのです。
 さて、細かいことを言い始めるといっぱいあるのですけれども、民防の結果、それを維持管理することのために、例えばクーラー、暖房等々を室内においてしつらえなければなりません。これに対する補償というのが今まであったわけでありますが、だんだん老朽化してまいりまして、これに対する補償というのをどのようにされるかというのは今問われている問題だと思いますが、運輸省としてはある心づもりをお持ちじゃないかと思います。聞かしておいていただきたいと思います。
#121
○阿部(雅)説明員 民家の防音工事、始めましたのが四十九年になるかと思います。現在で十年余りを経過してまいりまして、中にはいろいろ傷んだ、故障が多いといったような御指摘も行われておりますし、地元からも更新ということについての要望を私ども受けております。
 したがいまして、これらの問題につきましては、老朽化の実態及びどのような部分が壊れたりしておるのかとか、かなり技術的な調査が必要かと思いまして、私ども六十一年度でそのための調査費を計上いたしまして、現在大学の先生その他入っていただきまして、老朽化の実態、それに関連してどのような将来的な取り扱いをすればいいかといった総合的な問題を含めまして、今年度から検討に取りかかっておるところでございます。
#122
○土井委員 それはいつごろ検討が終わるのですか。
#123
○阿部(雅)説明員 検討すべき課題というのは非常に多いかと思いますので、二、三年はかかるかというふうに思います。
#124
○土井委員 そうすると、二、三年かけているうちに今回の縮小の問題というのも時間切れになってしまいますね。つまり、もしこの九月に告示をなさるとすると、二年の暫定期間というのも経過してしまうじゃないですか。これはちょっと困ります。今のはちょっとおかしいですね。
#125
○阿部(雅)説明員 お答え申し上げます。
 今回縮小いたしますのは二種区域、三種区域でございまして、一種区域は御存じのように八十、七十五と拡大してまいりました。私ども、一種区域はそのとおり今後も維持していくわけでございます。したがいまして、民家防音工事は一種区域内の地域について行う問題でございまして、二種区域、三種区域の中に家屋がある場合も当然工法を違えてきつい工事をやりますが、それらの民家防音工事というのは今後も引き続きやっていくし、また、対象となる更新というのもそこにある家屋についてやってまいるわけでございまして、二種、三種区域の縮小と民家防音工事あるいは機器の更新という問題とは、直接関係ないというふうに考えております。」
#126
○土井委員 それはそうでもないでしょう。二種、三種の中で今申し上げた問題もありますよ。だから、それは速やかにやっていただかなければならぬと思います。
 時間のかげんがありますから先に行きましょう。
 今、御答弁の中にも出されましたが、今まで八十五から八十へ、八十から七十五へ、だんだん民防の対象になる区域を広げてこられました。ところが八十五を対象にして民防をおやりになる告示日、また八十を対象にして民防をおやりになる告示日、七十五に広げて民防を実施するということを告示された日にひっかかりまして、その告示日にはそこに住んでいなかったという方々が実は後々取り残されていったのです。
 こういう問題を言いますと、必ず危険接近の理論というのを運輸省はお出しになって今日まで来たのですが、たび重なる当委員会での質問の中でついに運輸省が言われたことは、七十五までの民防を実施した結果、八十五地域にもう一回戻って、また八十地域をもう一度見直して、そこに住んでいる方々に対しての民防の実施もやりたいと思っているというところまで詰めてきたのですよ。この問題は変わらず考えていらっしゃいますね。そしてこれは約束どおり実施していただけますね。どうですか。
#127
○阿部(雅)説明員 お答え申し上げます。
 従来は告示を段階的にドーナツ型に拡大しまして、その地域地域に適用するという形での施策を講じてまいったわけでございますし、その告示の日現在に所在する住宅を対象にしてやるという現在の法律の規定がございまして、これは当然危険への接近という理論に裏づけられた法規定でございまして、私どもその法規定に従って行政を運営してまいっておるわけでございます。
 その告示日後の家屋というものについての取り扱いにつきましても、地元その他から強い要請があることは私どもも承知しておりますし、将来何らかの形で検討が必要ではないかという趣旨のお答えをかって申し上げたこともあるということは私も承知しております。しかし、この法律との関係及び現在実施しております更新の問題、あるいはさらに将来的にいろいろ検討しております関西空港の完成に伴う大阪空港のあり方に関連する問題、大阪につきましては基本的な問題いろいろございますので、私どもそのようなものを踏まえてどういう対応がとり得るのか、今後の検討課題としては取り上げてまいりたいというふうに考えております。
#128
○土井委員 いつまでも検討課題ということではちょっとこれは困りますから、今回のこういう案を出されて、そして二年間ということを時間的に限ってどういう取り扱いを進められるかというこのときに、やはりこの問題はあわせてしっかり考え方を出していただくということがどうしても私は大事なことだと思っています。
 それから、いろいろ申し上げたいことが山ほどあって時間の方が言うことを聞いてくれないのですが、あと二問だけ聞きたいのです。
 一つは、例の日航ジャンボ機墜落事故について、せっかく事故調査委員会から御出席をいただいておりますから、ちょっと聞きたいと思います。
 四月二十五日、運輸省内の会議室で公開聴聞会がございましたが、この席での千葉大学の潜水名誉教授の御発言が大変問題になりました。この御発言の中に、大阪空港は幼稚園の庭にジャンボがおりるようなもので、同空港で起きたしりもち事故が引き金というなら、これは恐らく今回の日航ジャンボ機の墜落事故のことを指しておっしゃっているのでしょうが、環境の悪さによるものであり、周辺住民が殺したと言う人もいるというふうな御発言があったやに私どもは仄聞をいたしております。
 そういうふうな御発言がもしあったとするならば、同じようなお気持ちでいらっしゃるかどうか、こういう御発言どおりだと調査委員会の方も思っていらっしゃるかどうか。どうなんですか。
#129
○藤冨説明員 お答えいたします。
 先生仰せのとおり、去る四月二十五日に私ども日航機事故についての聴聞会を開催いたしまして、その席におきまして、公述申し込みをされた公述人として清水名誉教授が御発言をされたわけでございます。
 この聴聞会の公述の内容につきましては、現在記録を作成中でございますので、正確にはそれによらなければならないのでございますけれども、現在承知いたしております概要で当時の状況を考えてみますと、清水氏は環境論、地域論、社会論という立場から公述をされておりまして、その発言の趣旨といたしましては、日航機事故のもとになる起因は、昭和五十三年の大阪国際空港におけるいわゆるしりもち事故及びその後のボーイング社の修理ミスであり、原因は隔壁の破壊、山岳への衝突であるといたしまして、今後の対応としては、山岳国家日本の風土に合った緊急のパイロットマニュアルの作成、空港環境の早急な改善、日本独自の航空産業、航空整備技術の向上を図ること等が必要である趣旨の公述をされたと理解しておりますが、その過程におきまして、公開の聴聞会における御発言としては極めて適切でないと思われるような部分があったことは事実でございます。
 そういった点につきましては、私どもとしても甚だ遺憾であると存じているところでございます。
#130
○土井委員 遺憾であると存じておられるような御意見は、事前にやはり調査委員会の方でもおわかりになっていらっしゃったんじゃなかったかなと私自身思うのですね。やはりこういう方に来ていただいてお話を承ると大体どういうことになるかはおわかりでしょう。だから、そういうことからすれば、遺憾の意を表明されておりますからもう私はあえてさらに申し上げませんけれども、やはり事故調査委員会の方の対応が適切でなかったということも一画言えるのではないかという気がしてなりません。これは時間のかげんがありますから深追いをすることはいたしませんけれども。
 あと一問、軍用機が大阪空港に乗り入れられた例が過去二回あるのです。民間空港に軍用機が乗り入れるというのはただごとではないということになるわけであります。きょうは外務省にも御出席をいただいておりますが、日本のどこの空港でもどこの港でも、アメリカの方が必要な場合には乗り入れることが全面的に許されるのかどうか、これはいかがですか。
#131
○岡本説明員 先生御承知のように、日米安保条約のもとでの地位協定第五条に基づきまして、米軍機は施設、区域として提供されておらない飛行場に対しても包括的に乗り入れの権利を有しております。ただ、もちろん政府といたしましては、そのような施設、区域外への乗り入れというのは必要最小限にとどめるべきだというのが考えでございまして、この旨は随時米軍にも伝えてきております。したがいまして、米軍もそのような方針で運用しておるわけでございます。
#132
○土井委員 そういう方針で運用されていて大阪空港に乗り入れをされるという格好になるわけですね。これは断ることはできないのですか。
#133
○岡本説明員 地位協定のもとで認められております米軍機の乗り入れは、あくまでも日米安保条約の目的の達成に資するということでございまして、私どもといたしましては、米軍機の運用がその本来の目的に合致して行われておる限りこれを差しとめるというような考えを持ってないわけでございます。
#134
○土井委員 本来の目的であってもなくても、飛行機が乗り入れるあるいは船が港に入るという場合に、その飛行場自身の滑走路が乗り入れる飛行機に間に合うような滑走路ではないとか一例えばを言っておるのですよ、港自身が入ってくる船の大きさからすると底が非常に浅いとか、そういう場合でも、事情を説明してこれはちょっとやめていただかないと、あきらめていただかないとだめですよということを言うこともできぬのですか。
#135
○岡本説明員 米軍機の施設、区域外の飛行場の利用の実態が、その該当飛行場の物理的な制約等があります場合には、それを配慮しなければならないことは当然のことでございます。
 特に大阪空港の問題につきましては、大阪の空港にまつわる諸般の事情は私どもとしてもよく承知しております。したがいまして、これを最小限にとどめるように米軍にも指導してきておるところでございまして、一年に一回ということになっておるわけでございます。そのような意味では、米軍からの通報は管制当局に事前になされるわけでございますけれども、その点で支障がない限り、実際上アメリカ軍の飛行機は地位協定に基づいてこれまでも円滑に行われてきておるところでございます。
#136
○土井委員 事情説明をおやりになっていらっしゃる部分が非常に薄いのじゃないかなという気がしてなりません。そういう状況ということによって断ることができるがごとき御答弁を初めにされているわけでありますから、その辺からすると、大阪空港というのはほかの民間空港とわけが違うわけですね。一面言えば、大阪空港というのは欠陥空港そのものでございまして、大変過密な住宅地域のど真ん中にある。先ほどの清水名誉教授の御発言の中の、大阪空港は幼稚園の庭にジャンボが降りるようなもの、これは本当にそのとおりだと思うのです、発言の部分のそこだけを取り上げて言えば。だから、そういうことからいたしますと、午前七時以前と午後九時以後は飛ばすわけにはいかない、ジェット機の発着回数は一日二百回以下に抑えられている、いろいろな事情からすると、ほかの空港とわけが違うということを米軍側に対してもっとはっきり言う必要があろうと思うのです。
 運輸省とされては、ICAOに対しても大阪空港の特殊性というのは通知されているのでしょう。国際空港としてもあそこは午後十一時まで使用できる空港ではないということを各航空会社にも通達されているのでしょう。これはかってそうなんですよ。ジャンボの乗り入れ、エアバスの乗り入れ、そして訴訟の最高裁の判決前夜についてもそのことの確認は何度がやっていますから、だから運輸省とされてはされてきているはずである。
 環境庁も、私が今申し上げていることは人ごとじゃないと思うのです、米軍の方からそういうことを持ち込まれた場合に、大阪空港はわけが違うということをもっとはっきり言っていただかなければならぬと私は思います。一年に一回ぐらい何だと言わんばかりに今外務省おっしゃっていますけれども、そんな問題じゃない。一回を認めることは二回、三回、十回、二十回に通ずると住民の方々は皆思う。思われて決して不自然じゃないなと私は思うのです。一回乗り入れることができるのに、なぜ二回できないか、こうなりますからね。そういうことからすれば、環境庁としてもっと、運輸省とも協力をし合いながら、米軍に対して大阪空港の特殊性をはっきり知っていただくために払っていただく努力があろうかと思います。環境庁、よろしゅうございますか。
#137
○林部政府委員 先ほど先生の御指摘で二百回問題について話し合う機会がございますので、その際のテーマの一つにいたしたいと思います。
#138
○土井委員 時間が参りましたから、きょうはこれで終えたいと思いますが、先ほど金子委員の方からも御質問のございました健康被害補償法の問題は大変大きな問題であります。きょうは、私一切触れずに終わりますけれども、この問題に対して環境庁に私は一点だけ申し上げておきたいと思うのです。
 今、作業が進んでおりまして、検討小委員会の方の作業に移っているようでありますけれども、産業界は、地域指定を解除したり負担を減らすためにどうしたらいいかということが渦巻いて出てまいっております。現行の中で問題にされている患者さんに対しての権益は、ぜひとも環境庁としては守り通していただかなければなりません。同時に、新規の患者さんについては抑制することは断じて許されない。新規の患者さんについても認めていくという方向で、どのようにしたらいいかということが問われている問題だろうと思います。このことに対して、環境庁の姿勢は私が申し上げているとおりでございますと答えていただいたら私は終えたいと思いますが、どうですか。
#139
○目黒政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま先生が御指摘になりました問題につきましては、先ほどお答え申し上げた点でもございますが、各界からの御意見もいろいろあるし、またこの問題については大変重要な問題であるというふうに私ども考えているところでございます。したがいまして、この点につきましては審議会の答申を待って適切に対処してまいりたい、このように私ども考えているところでございます。
#140
○土井委員 審議会の答伸までに当委員会もまた開かれるであろうと思いますから、いろいろな政治事情も渦巻いていることではありますけれども、正当に国会が機能していさえすれば、そういうときに再度お願いを申し上げて質問の機会を与えていただくことを期待しつつ、本日は終えたいと思います。
#141
○柿澤委員長代理 この際、休憩いたします。
    午後零時四十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時八分開議
#142
○戸塚委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。和田貞夫君。
#143
○和田(貞)委員 ちょうどこの十一日からことしの植樹祭が堺の大仙公園で開かれるわけなんですが、この大仙公園の周辺を含めまして百舌鳥古墳辞というのが歴史的にも考古学的にも極めて有名な場所でございまして、大阪には藤井寺市、羽曳野市両市にまたがる古市古墳群というのがあるんですが、この両古墳群が非常に著名で貴重な地域であるというように思っております。
 ところで、一方ではこの古墳群というのを歴史的な価値として保存をしていかなくてはならないわ付でありますが、この保存の仕方、管理の仕方、これによって、これが十分でないがために付近の住民にかなり生活環境を悪くして迷惑をかけておるという点があるわけであります。私はこの植樹祭を機会に、以降二、三の点を申し上げて、ぜひ植樹祭の記念として何とか実現をしてもらいたいな、こういう気持ちで質問させてもらいたいと思うわけでございます。
 まず、この古墳群というのは、今も申し上げましたようにかなりの古墳があったわけですが、現状では非常に少なくなった。堺市の陵南中学校の子供たちが郷土部という部活動の中で一冊の資料にまとめておるのです。子供が見たこの古墳群についての希望、情熱というのが込められておるわけです。私は、これらの子供たちを代弁する立場を含めて、いろいろと関係者に要望し、お答えを願いたいと思うのです。
 まず、この百舌鳥古墳群の中に、今二十二の宮内庁所管の古墳があるわけです。地元の堺市が十一、地元の大阪府が所管をしておるのが三カ所、宮内庁とは別に国が直接管理をしているのが一カ所、あと五十五カ所がいわば民有になっておるわけですが、今日合わせて九十二の古墳が残されておるのです。もちろん民間の所有の古墳というのは全壊、半壊というのがほとんどでございまして、わずか一カ所しか保存されておらないわけです。
 ところで、宮内庁が所管している二十二カ所の古墳の中でも、半壊が七カ所、さすがに全壊はございませんが、古墳に一部改造を加えられておるのが二カ所、完全に保存されておるのが十三カ所であります。また、国が直接所管しているのも完全に保存されないで半壊しておる、こういう現状であります。民間に所属をしておるものも、歴史的な経緯の中で古墳群を守るためにむしろ国の方がこれを買収して、国の所管や国の用地や公共の用地にして守るべきであるわけなんですが、宮内庁が所管し、国が所管しておるところでも、今申し上げましたような数字のように破壊され、半壊の状態になっておるというのがあるわけなんです。
 この古墳群というものについて、文化庁なりあるいは所管をしておる宮内庁なり、一体全体どういう考え方で、どういうような状況の中で管理されておるのか、お答えを願いたいと思います。
#144
○宮尾説明員 ただいま御質問がありました百舌鳥古墳群でございますが、これは大変貴重な我が国の文化的遺産でございますので、その意味におきまして大変心をかけて管理をしていかなければならないものだというふうに考えております。
 全般的な問題につきましては文化庁の方でお答えをすべきことかと思いますが、ただいま御質問にありました宮内庁が管理をいたしておりますものもございます。先生が御質問になりました二十二という中には天皇陵もございますし、参考地あるいは陪塚というような形のものもあるわけでございますが、私ども宮内庁といたしましては、これらの陵墓なり参考地、陪塚といったようなものにつきまして、皇室の御先祖が葬られておるところであるということと同時に、他面では貴重な文化的な遺産であるという見地から、できるだけこの管理には意を用いていきたいということで日ごろ考えておるわけでございます。
 ただ、ただいま御指摘のように、必ずしも管理が十分でないところもあろうかと思いますが、この中で半壊七、改造二というお話がございましたが、私どもが管理をいたしております陪塚などにおきましては、その陪塚の古来の姿そのままで管理をしておるものはありませんで、陪塚の本来の姿からいけばもう少しすそに広がりがあった、堀があったというようなところでありましても、宮内庁がそれを管理するに至った明治のころ、その中心部だけを宮内庁が管理する、こういうような形になってきているものがありまして、その当時の状況におきましても、既に民有地で耕作をされていたりあるいはその他のことによりまして、必ずしも古来の姿が完全に残っていないというようなものがあったのではないかというふうに考えております。
 そのようなところにおきましては、私どもが管理しておるのは中心部分だけということで、陪塚の本来の姿からいえば完全な管理はないではないかという御指摘は確かにあるわけでございますけれども、宮内庁といたしましては、宮内庁が管理すべきものとしてやっておりますところにつきましては、乏しい予算でございますけれども、できるだけ貴重な遺産を十分に保護していきたいという気持ちで管理をいたしておるわけでございます。
#145
○田村説明員 百舌鳥古墳群でございますが、大阪府の遺跡地図によりますと九十二の古墳が散在しているのが認められるわけでございます。これらの古墳群は周知の埋蔵文化財包蔵地として、文化財保護法によって、開発事業等に際しましては事前に文化庁長官へ届け出が必要とされておりまして、これに対しましてできるだけ残せるものは残してもらうように、最低限必要なこととして、どうしても壊さざるを得ないようなときには発掘調査等を指示するというようなことにしているわけでございます。
 また、古墳等の遺跡のうちで、我が国の歴史上、学術上価値が高く重要なもので、我が国全体として保護していく必要があるものにつきましては、文化財保護法によって史跡に指定することができることとされているわけでございますが、百舌鳥古墳群の中で現在史跡に指定して保護しておりますものは四つございまして、いたすけ古墳、それから長塚古墳、収塚古墳、それから塚廻古墳、この四つが既に指定されているわけでございます。
 これらのうち、いたすけ古墳につきましては、国庫補助により市が土地買収をしまして整備を完了しております。それから、長塚古墳、塚廻古墳につきましては、同じく国庫補助によりまして市が土地の買収を完了いたしまして、周囲にフェンスを設けて管理しているというのが現状でございます。もう一つの収塚古墳につきましては、公園用地として市有地になっておりまして、古墳周辺地域も含めて公園化する計画であるというふうに聞いているわけでございますが、このように、指定されております四つの古墳は既にいずれも堺市の市有地となっておりまして、それぞれ管理されているということでございます。
#146
○和田(貞)委員 ちょうど今から三十年前でございます。昭和三十年に、今お答えがありましたように、いたすけ古墳、これは民有地で開発するということであったのを、地域の住民の皆さんや考古学者の皆さんや文化人の皆さんがいたすけ古墳を守ろうということで、国の方も自治体も金を出し合って、今日立派にこの古墳を守ってきているわけですね。ちょうど同じような時期に、今も御指摘があった大塚山古墳が、家が建っておったけれども形としてはまだ古墳の姿があったわけです。それが今では、その姿さえもないというような現状になっておる。これもそのときにあわせてやられておれば、一つの古墳を全壊させないで守っていくことができたのじゃないか。
 文化庁は今いろいろと御答弁いただきましたけれども、肝心かなめの宮内庁が、当時は皇室財産、今は国有財産の皇室用財産でございますが、あなたの方で引き継いたときに既に民有地になっておった。古墳は本来、前方後円墳とか方墳という一定の姿、形があるわけです。一部はそのとき既に民有地であったためにその中心部だけを管理しておるのだということであれば、これは本当の意味での管理じゃないわけなんです。民有地になっておるところも買い上げて、そしてあわせて古墳の形態、姿をそのまま保全、保持していくということが本当の意味での管理じゃなかろうかと思うのです。今の宮内庁の消極的な御答弁では管理という言葉が行き渡らないと思うのですが、今からでもおそくないわけですけれども、その点を含めた、古墳としての形態を守っていくという積極的な管理の対応の仕方が宮内庁はございませんか。
#147
○宮尾説明員 宮内庁では全国で八百九十二の陵墓その他の皇室関係の施設を管理いたしておるわけでございまして、非常にたくさんの陵墓を、残念ながら非常に限られた予算の中で管理しておるわけでございます。
 私どもの宮内庁としての役割は、第一義的に陵墓を管理することが私どもの立場でございまして、その陵墓が他の面からいいますと文化財という、国民の非常に貴重な遺産である文化財の保護という耐をあわせ持っておるわけでございます。したがいまして、確かに先生のおっしゃいますように、真ん中だけ管理しないで、周辺の民有地になっている部分も買い上げて管理すれば文化財という面からはその保護が完全になるわけでございますけれども、そこまでの予算的な面もございませんし、陵墓管理の面からというよりも、むしろそれは文化財保護という広い見地から文化庁なり都道府県の教育委員会でも御検討いただきまして、そして、そういう広い文化財行政の中でそれをどういうふうにしていくかということをお考えいただくより仕方がないのではないかというふうに思っております。現在、宮内庁が直ちにそういうものを予算措置を講じて買い上げるということはなかなか至難であろうというふうに考えております。
#148
○和田(貞)委員 宮内庁に続いて質問いたしますが、あなたの方は天皇家の陵墓を管理していくのに手がいっぱいだということであるならば、それ以外の、言われました多くのその姿を消しつつある陪塚を含めたそういう古墳をあなたの方で守っていけないということであれば、宮内庁所管から国の方に移すなり自治体の方に移すなりして、文化庁の方で管理してもらうという考え方はおありですか。
#149
○宮尾説明員 陪塚は本体の陵墓とある意味では一体をなすものでございまして、そういう必要性から、陪塚の一部ではございますけれども、一番中心となる部分を宮内庁がただいま管理しておるというわけでございます。したがいまして、陪塚だけを切り離して他の行政機関の方で管理していただくことはいかがなものであろうかというふうに考えておるわけでございます。
 私どもが先生のおっしゃる御趣旨を体して考えます場合、その周辺部分について宮内庁が買い上げるという以外に別のいろいろな手段がないわけではないわけでございますから、そういう措置を検討していただいて、中心部を管理しております私どもも一体となって、本来の姿であるべき陪塚の管理をどういうふうにしていくか、こういうことを関係の文化庁なり地方団体等と十分協議して、御趣旨に沿うような方途をなるべく早く見つけていくべきであるというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#150
○和田(貞)委員 文化庁、今のような宮内庁の答弁の内容で古墳を維持管理していくことはできますか。宮内庁も、そういう身勝手なことで文化庁に押しつけたところで、しかも、あなたの方は発掘自体もやらさぬというかたいベールに包まれた古墳の一部であるわけです。それをそのままにしておいて、文化庁はどうも自信を持ってできないのじゃないかと私は思うのですが、文化庁、どうですか。
#151
○田村説明員 ただいま宮内庁の方からも答弁がございましたが、それぞれの古墳と一体として保存を図っていくことは極めて大事なことだと思いますが、個々具体的にどれがどうだということだと思いますので、抽象的にはここで一括してお答えすることはなかなか難しいわけでございますけれども、文化庁としては、発掘調査などによって文化財として保護していく必要があるというようなことがありますれば、土地の所有者あるいは地元の地方公共団体とよく調整して、史跡として保護していけるということであれば、これは保護していかなければいけないのじゃないかというふうに考えております。
    〔戸塚委員長代理退席、柿澤委員長代理
    着席〕
#152
○和田(貞)委員 どっちもこっちもなすり合いをやっていてはどうにもならぬわけです。私が申し上げましたように、子供たちはこんなに熱心に自分たちで月日をかけて調査をやって、そして古墳をこれ以上傷つけないように、できるならば復元してもらってこの古墳を歴史的にも何とかひとつ守ってほしいと、子供のせつない、まじめな願いなんです。それを、おれのところはどうである、おれのところはこうであるということではどうにもこうにもならぬわけでありますから、宮内庁としても、この際自分の方で所管をしておって管理ができない、文化財として保存をしていく場合にはおれのところの所管でないということであるならば、陵墓は別としても、そのような周辺の陪塚を含めた古墳群というものをこの際文化庁の方に所管がえをして、そして足らないところは文化庁の方で、民有地になっているところは国が買い上げるなりあるいは自治体と協力して公有地にするというようなことで本来の古墳の姿というものを守っていくということになってもらわないと、子供のせつないまじめな願いというものは達成することができない。もう一度ひとつお答え願いたい。
#153
○宮尾説明員 私ども宮内庁として陪塚の中心を部分的に所管をしておる、管理をしておるという実態は現にあるわけでございまして、その周辺をどうするか、こういう御質問でございます。そして、もちろんそれは本来の陪塚の姿からいえば、その周辺まで何らかの形で管理の手が行き届くような仕組みをすべきではないかというのが先生の御質問であろうと思います。
 国が持っていない、私どもが管理をしておりますのは国有財産でございますが、周辺部分は大部分は恐らく民有地になっているところだと思います。そういう民有地というものを文化財の保護という面からどうするかという御質問でございまして、それを国がどういう施策をそこにやり得るか、こういうことでございますから、古い文化財行政を担当しております文化庁の方ともいろいろまた今後検討していかなければならない課題だというふうに私どもは考えておるわけです。ただ、直ちにこれを宮内庁が買い上げて管理をしたらどうですかという点につきましては、私どもは全体の文化財行政をやっておる立場でもございませんし、予算も乏しいわけでございまして、そういう中で全国に八百九十二もあるところを管理しておる、こういうことでございますので、非常に貴重な御提言だと思いますけれども、そういう箇所について文化財保護の見地から国や地方団体がどのような手を打てるか、こういうことを全体として考えるべきものだというふうに考えておるわけでございます。
#154
○和田(貞)委員 それじゃ宮内庁、文化庁と話し合いの余地はある、文化財を保護するという見地から、従来のようにこれはおれのところの所管だというようなことで固執するのじゃなくて、国には文化財を守っていくという窓口として文化庁があるのですから、文化庁と話し合いをしていくという考え方はおありですね。文化庁もまた、宮内庁がそうであれば十分に宮内庁と話をして、国の使命として、またささやかな子供たちの願いとしてそういう古墳を守っていく、文化財を守っていく、そういう考え方は文化庁としてはおありですね。
#155
○田村説明員 国が文化財として指定して保護していくというのは史跡に指定するということでございますが、先ほど申し上げましたように、史跡に指定するというのは我が国の歴史上、学術上価値が高くて重要なものということになるわけでございます。現在のところ発掘調査その他から、先ほど申し上げましたように四つのものをその重要なものとして指定しているわけでございますが、今後、先ほど申し上げましたように、発掘調査等によりまして国として史跡に指定して保護していくべきものであるということでありますれば、それが宮内庁とかかわりがあればまた宮内庁とも協議しなければいけないことだと思いますけれども、土地所有者あるいは地方公共団体とよく調整して進めていきたいというふうに思っております。
#156
○和田(貞)委員 時間的な関係もありますのでそうしつこく言いませんが、従来のようなベールを着せたそういう考え方じゃなくて、あなたの方で予算措置ができないということであれば、子供の願いをかなえるようにひとつぜひとも文化庁とも積極的に話し合いを進めてもらいたい。私は先日仁徳陵と言われる大山古墳の周辺を歩いてみた。この西から北の方、ずっと堀の周囲を回ってみますと、フェンスが張られて、そこには至るところに「ごみ捨てるな 宮内庁」という看板がかかっている。そういう看板が幾つも見られるわけなんですが、そういうようなことで管理ができておるというようには私はどうも思わないわけです。そのフェンスを乗り越えてごみが捨てられている。周辺の住民は迷惑千万なんです。そのことによってまた堀の水が非常に悪化しておる。そしてまた、黄色い花をつけたキリンソウというのですかセイタカアワダチソウというのですか、そういうのがだあっと林立して、そしてそれの花粉が付近の住民にまき散らされる。付近の住民がそれによって非常に公害の被害を受けるということを繰り返しておるわけです。子供たちもその姿を見て、堀の水がもうだんだん汚れてくる、臭いにおいがする、こういうふうに書いておる。私が言っておるのじゃない、私も見てきましたけれども、子供たちが綿密に時間をかけてこの古墳をずっと調査した。
 これは単に大山古墳だけじゃないのです。ほかの古墳も、あなたの方が陵墓と言われているそういうものも含めて、そういう陪塚だけでなくて、前方後円型の陵墓ではない古墳がまだいっぱいあるし堀も残っておるわけです。そういうところも一緒に水が汚れて臭いというふうに子供が指摘しているわけです。これを何とかしなくてはならないわけですが、またそのように子供が指摘しておるわけですが、宮内庁という看板で、ごみ捨てるなということでこれが管理ができておるというように思っておられますか。
#157
○宮尾説明員 仁徳陵の周辺にそういう先生御指摘のような実態があるということは私どもも承知をいたしておるわけでございます。大変困ることでございますけれども、あの堀の中にごみを捨てるというようなケースがございまして、私どもとしてはそういうことのないように注意を喚起する意味で、そういう立て札を立てたりしましてごみを捨てないようにお願いをいたしておるわけでございますが、そういう立て札を立てただけでそういうことが防止できるあるいは住民の方に御協力いただけるというふうには必ずしも考えていないわけであります。ああいう非常に世界にも誇り得るような立派な緑を保った箇所でございますから、堀の水が汚れないように、周囲の環境が悪くならないように、いろいろな意味で努力をしていかなければならないわけでございまして、最近は、とかくごみを投棄されるようなところにもフェンスを立てたりしましてできるだけの努力をし、また職員にもそれなりの管理をさせております。
 ただ、仁徳陵を含め古市監区全体で五人の職員で二十数カ所の陵墓を管理しておるのが実態でございまして、なかなか十分なことができない点を申しわけなく思っております。今後もできるだけ環境がよくなるように職員に努力をさせたいと思っております。
 それから堀の水の問題でございますけれども、これも先生御承知のように、昔は周辺の田んぼからきれいな水が流れてくるという状況であったわけでございますが、現在はそういうところに住宅がいっぱい立ち並びまして、しかも周辺にあったため池等もなくなって、都市排水といいますか住宅から出てくる排水がすべて堀の中に入ってしまうという状況になっておるわけでございます。私ども、そういう堀の水が悪くなったことによりまして周囲の皆さん方にも御迷惑をかけている点は非常に気にいたしておるところでございますけれども、仰せこれは一日も早く堺市に下水道を完成していただいて、そういう住宅から出てくる雑排水を下水道で処理をしていただく、こういうことにならなければ完全に堀の水がきれいになるような事態というものはなかなか出てこないと憂慮しておるわけでございます。
 ただ、そういう点、以前にも先生から御指摘をいただいたことがございまして、堺市とも協力をしまして四、五年前に堀のヘドロをさらったりしまして、乏しい予算の中からではございますが、一応の努力はいたしておることはぜひ御理解をいただきたいと思います。
#158
○和田(貞)委員 先ほど申し上げましたように全国植樹祭が十一日にあるので、むしろそれを記念にしてこのような古墳の水面をこの際――墳丘についてはあなたの方で所管、管理をしていき、そして水面については所管はあなたの方であっても管理面を自治体の方に任じて、そして水面を稚魚を放流して魚釣り場にするとか、あるいは事によればボートを浮かしてレクリエーションの場に市民に開放するとか、そういうような考え方はこの際立てていただけませんでしょうか。子供たちがこの水面が非常に臭い、汚れておる、ごみが捨てられておるということを指摘をしておるわけですから。今、宮内庁としては予算等もあり管理できないということだけれども、その管理面を自治体に移して自治体で管理をしてもらう、そして自治体がそれを魚釣りの場だとかあるいはボートを浮かしてレクリエーションの場にするとか、この植樹祭を記念にひとつそういうようなことに宮内庁としては踏み切るというお考えには立たれないですか。
#159
○宮尾説明員 先生も十分御存じのように、仁徳陵にいたしましても反正陵、履中陵というようなものにいたしましても、真ん中の墳丘部とその周辺に堀があり堤防がある、これが御陵全体として一体のものであると考えられるわけでございます。したがいまして、陵墓を管理する責任がある私どもといたしましては、堀だけを例えば地方団体に管理させるというようなことは適当ではないのではないかと思っております。
 そういう御提言は、今お話がありましたように堀の水をきれいにし、その環境をよくするという御趣旨だと思いますけれども、何にいたしましても、堀の水をよくするには地方公共団体にも努力をしていただいて、流れ込む水をきれいにしなければならないというのが第一でございます。現に私ども四、五年前にあそこの堀の中にたまっておりますヘドロを、市にも御協力をいただいてヘドロさらいをいたしたわけでございますが、その後もやはり家庭雑排水が流入をいたしておりますので、現在はそれが堀の中に全体に拡散しないように、入ったところの付近で沈殿をするような工夫をいたしまして、市ともいろいろ御相談をしながら、時期を見てそれをさらい上げるというようなことで努力をいたしておるわけでございまして、何としても下水道を完備をすることが抜本的な解決の方法であると考えております。
 市の方にいろいろの事情を伺っておるわけでございますけれども、御承知のように四十七年度ごろから下水道事業を始めまして、長期計画を立てて市の方で下水道をやっておられるようですが、いろいろな財政状況その他もありまして必ずしも予定どおりには進捗していないというのが現状のようでございます。したがいまして、私どもとしては、今御提言がありましたような形で、そういう状況の中で市にそれを管理させてもそれは決してよくなることではない、私どもやはり一体としてそれを管理すべきものでありますし、そこにボートを浮かべたりあるいは魚釣りをするということは、陵墓という性格からいきましてもいかがなものであろうかと思いますし、また文化財の保護という見地からしましても、そういうことをすることは文化財の破壊ということを招くおそれもあるというふうに考えますので、せっかくの御提言でありますけれども、私どもとしてはそういう考え方はどうもいかがであろうかと考えるわけでございます。
#160
○和田(貞)委員 陵墓はそうであるとしても、その付近に御廟山古墳だとか、あるいは、にさんざい古墳というのがあるわけですね。その水面なんかはどうなんですか。既に永山古墳というのは、墳丘は宮内庁の所管であって、そしてその堀、水面は市の所有になっておる。この永山古墳では、市が所有であり市が管理しているために、別に中央部の墳丘にどうこうするのではなくて、私が今言っておるように、その水面を市が利用して稚魚を放流して、ここを魚釣り場にしているのですよ。市民がちゃんとレクリエーションの場として楽しむ、そういう中で古墳に接触する、こういう姿が生まれてきているわけなんですね。そういうような考え方で、陵墓は別としても、今申し上げましたように、陵墓以外の古墳についてのその周辺の水面を市の方に管理をさせていくという考え方はどうですか。
#161
○宮尾説明員 ただいま御質問がありました、にさんざいというような古墳でございますが、私ども東百舌鳥陵墓参考地あるいは百舌鳥陵墓参考地と呼んでいるのがこれであろうかと考えます。これは御指摘のとおり堀の部分は宮内庁は管理をいたしておりません。市が管理をしておるといいますか、市が水面を所有している。あるいは恐らく市の財産区だろうと思いますが、財産区が所有をしておるというような形におっておりますので、そういう市なり市の財産区なりが管理をしておる水面につきましては、私どもとしてはそれについてどうこうするという立場にございませんので、お答えすることは差し控えたいと思っております。
#162
○和田(貞)委員 だから、市が管理しているところは市がそのように、一つの例として市民に開放して、魚釣り場というような例を挙げましたけれども、やっているところがあるわけですね。だから、宮内庁として水面を所管されておるところは市の方に管理面をゆだねるという考え方はおありじゃないですか。
#163
○宮尾説明員 例えば仁徳陵が三重の堀があるわけでございまして、あの水面を市に管理をさせるということになれば、これは大変いろいろな意味での反響というものは出てくるだろうと思います。私ども、あの堀も、それから真ん中の墳丘部も含めて、やはり陵墓として一体として管理をする、貴重な文化財として適切な管理をしていく、こういうことであるべきであろうというふうに思います。あの中にボート乗り場とか魚釣り場をつくるというようなことは、日本のみならず世界的にも非常に貴重な文化遺産でございますので、大変いろいろ問題が大きいというふうに考えておるわけでございます。
#164
○和田(貞)委員 仁徳陵と言われたその大山古墳も、今の外堀は明治になってから二つの陪塚を含めた外堀をつくっているわけですね。だから、これはもともとは堀は二つしかなかったものを、一番の外堀というのは明治になってから堀をつくっているわけなんです。別にそこを含めて歴史的な遺産だということじゃないわけなんです。かたくなに宮内庁がそういうような考え方を持つんじゃなくて、やはり古墳を市民に親しみを感じさせる、そしてその水面を市民に開放することにより、また開放させるために市にその管理面をゆだねることによって、その堀の水も美しくなっていくということになるんじゃないかと思うのです。宮内庁の方、かたくなにそういう考え方を持っておられるわけでございますけれども、子供たちの願いもそこらあたりを指摘しておるわけなんです。何とか一考を促したいと思うのですが、それ以上の答弁は出ませんか。
#165
○宮尾説明員 同じことを繰り返すようでまことに恐縮でございますけれども、やはり堀を囲む土手にいたしましても、はにわが埋まっておるところもございますし、貴重な文化遺産でございます。そういうところを魚釣り場あるいはボート乗り場というような形にするということになりますと、それなりの施設整備もしなければならないことになるでしょうし、それがひいては文化財の破壊という問題にもなるわけでございまして、私ども文化財行政の一端を担っておる立場としても、それは到底難しいことである、それに御陵の陵墓という性格からいきましてもそういうふうにすることは大変問題があるということで、せっかくの御提言ではありますけれども、そういうお答えを申し上げるわけでございます。
#166
○和田(貞)委員 同じ古墳の一部が大仙公園の中に、公園計画の中にあるために、公園を整備していくためにその中にある古墳が、子供たちが見た感じとしては改造されていってしまう、改造されていっている、できるだけこれ以上改造してほしくない、こういうように子供たちは言っているのですが、建設省、この公園を整備するに当たってそのような行政指導をひとつしてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
#167
○芹沢説明員 ただいまお話がございました大仙公園につきましては堺市が管理者でございますが、堺市の方としては、都市公園といたしまして可能な限り適切に整備、管理をしていっているというふうに聞いております。建設省といたしましても、今後とも堺市の方に適切な整備、管理をしていくようにということで指導助言をしてまいりたいと考えております。
#168
○和田(貞)委員 時間がありませんのであれですが、この文化財の保護、古墳を保全するという立場に立って言ってきましたのですが、それに関係して、やはりこのまま放置し、管理が不十分であるならば、先ほど申し上げましたようにその古墳の付近の住民が、堀の水が水面が非常に汚れてきて迷惑千万、悪臭を放たれる、あるいはキリンソウのような草が生えて、そしてその花粉によって非常に健康を害するというようなことが起こっているのです。最後に、ぜひひとつ環境の立場からもこれに関連して管理面を充実させるようにしてもらいたいと思うのですが、環境庁長官、ひとつお答え願いたいと思います。
#169
○森国務大臣 和田先生のお話を聞いておりますと、実は私は住吉に三十五、六年前に仕事場を持っておりまして、堺の郊外に住んでいて、五つか六つの子供を連れてこの古墳にしょっちゅう土曜、日曜日に遊びに行っていた記憶がございます。昔を思い出すわけでございますが、この歴史的な環境が地域と一体になって保存されることは、環境庁としてももちろん望ましいことでございます。先ほど宮内庁も文化庁も答えておりますように、それぞれの立場で一生懸命努力していることと思いますが、なお一層、私どもといたしましてもよく相談しながら、環境を守るべく努力をしていきたい、こう考えております。
#170
○和田(貞)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、ぜひひとつ文化財、古墳を守っていくという見地から、それ以外に今お答えすることができないと思いますけれども、私の強い要望としては、学術研究のために、この発掘調査を含めてこれは一日も早く宮内庁が踏み切って、学術研究に供してもらうようにぜひひとつ踏み切っていただきたいということを強く要望さしていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
#171
○柿澤委員長代理 木下敬之助君。
#172
○木下委員 まず、四月二十五日深夜ないし二十六日未明に起こったと言われておりますソ連チェルノブイル原子力発電所の事故の影響についてお伺いいたします。
 あれから二週間たったわけですが、事故の原因と被害、現在の状況、そして今後の見通しをお伺いいたします。
#173
○今村説明員 お答えいたします。
 ソ連当局から事故の状況等についての詳細な情報というのが残念なことにいまだ十分公表されていないということでございまして、現時点で事故の発生の原因でございますとか、事故の現状、被害の詳細というものが残念ながら明確ではないというのが実態でございます。プラウダの六日の発表によりますと、何か爆発、火災によって原子炉の炉心が一部溶融するに至る事故であったとされておりますけれども、その爆発、火災の原因でございますとか、事故の経緯あるいは放射性物質がどのくらい環境に放出されたか、こういったことは現在までのところ一切明らかになっておりません。
 被害の方につきましては、被害者が約二百名くらい出て、そのうち亡くなった方が二名、重体の方が十八名、そういったことが伝えられております。
 この事故の影響は、国境を越えてヨーロッパ諸国、それから我が国においても、この事故に起因すると考えられる沃素131等が検出されているという状態でございます。
 今回の事故につきましては、既に私どもでは情報の収集に努めているところでありますが、今後、原子力安全委員会の調査対策特別委員会、ここにおきまして、原因究明等の調査、審議を行いたいと考えております。
#174
○木下委員 国民が一番聞きたい、知りたいと思っていることだと思うのですけれども、今現在、放射能の発生源といったところはまだ放射能が発生され続けているのかどうか、こういったところはどういうふうに推測されておられますか。
#175
○今村説明員 この件につきましても、先ほども申し上げましたように情報の入手に努めているわけでございますけれども、残念なことにソ連政府からの情報が十分でないため、放射能の放出がとまったのか、依然として放出されているのかどうかというのがはっきりしておりません。ただ、タス通信によりますと、事故を起こした原子炉周辺の放射能レベルがかなり下がりつつあるということを報道しております。
#176
○木下委員 そういう情報ももちろん当然ですし、サミット等でもそういったことの情報をもらえるように宣言等もあるようですけれども、日本で、日本自身で日本の影響を調査する中でいろいろと推測のつくこと等があったら率直に教えていただきたいと思います。日本にどういった影響が起こっておるのか、これにどのように対処しておるのか。そして、毎日をこの日本の中で仕事して生活している我々国民はやはり大変心配になるわけですね。いろいろなところにこのことに対する電話の問い合わせが行っているという話も聞きますし、またどこに問い合わせたらいいのだろうというような話もございますが、こういう場合にできるだけ親切に国民の安心できるような情報を提供し、どのように対処すればよいか等を丁寧にPRすべきと考えますが、どうですか。
#177
○千々谷説明員 お答えいたします。
 四月二十九日にこの事故の報に接しまして、科学技術庁では直ちに関係省庁、自治体の協力のもとに全国的な放射能調査体制をしきました。五月三日までの段階ではこの事故による影響は認められませんでしたけれども、三日の夜になりましてこの事故によるとおぼしき放射能の検出がございましたので、直ちに五月四日早朝に内閣の放射能対策本部を開きまして、今までの放射能調査にさらに強化いたしまして監視を続けました。
 そのときに、国民が留意すべき事項ということで、この時点の放射能の影響というのは非常に小さいものであるということでございましたが、放射能対策本部の決定ということで、当面、天水の摂取は支障ないけれども、直接雨水を摂取するような場合はできるだけ木炭等でこして使用することが望ましい。また、井戸水、水道水、牛乳については心配ない。葉菜類についても特に問題はございませんが、念のために十分に洗浄して摂取することが望ましい。その他の日常生活、例えば洗濯をすることだとか洗濯物を干すこと、それから雨にぬれること、こういったことについては何ら問題はない。これはその時点までに観測されました雨の中の放射性沃素だとか空気中のちりの放射能濃度につきまして専門家の意見を聞いて定めたものでございます。この放射能対策本部のもとに科学技術庁では毎日日本各地の測定データをまとめまして、定期的に新聞、テレビ等のマスメディアを通じまして国民に広くデータを公表しておるところでございます。
#178
○木下委員 最初に発表されたときのデータとその後のデータ等で、今現在何か国民に特に注意するようなこととかはないのですか。我々は素人ですから沃素131というのがどんなものかわからないし、それが木炭でこすとどうして、こせばなくなるものというメカニズムもわからないし、そんなことをやっていて、こした途中にたくさん蓄積しているとそれがまた影響を起こすのではないかとか、いろいろな心配をしますから、できるだけわかりやすくPRされたらよろしかろう、こんなふうに思います。何かありますか。
#179
○千々谷説明員 こういった原子炉の事故だとか大気圏内の核実験等によりまして放射性物質が放出されるわけでございます。確かに先生御指摘のように放射性物質というのはなかなかわかりにくいものでございますが、今回放射能対策本部で最も注目しておりますのはいわゆる放射性沃素でございまして、これは、善通に海藻中にもたくさん含まれておりますが、こういった天然の沃素と違いまして、放射性沃素131という特殊な沃素でございます。これは、申に含まれている放射能の量が八日間で半分になる、さらに十六日になると四分の一というふうに減少していくものでございまして、この間の最高が、放射能の量にいたしまして雨量一リットル当たり一万三千ピコキュリー、このピコというのは放射能をはかる単位のキュリーをさらに小さく分けて一兆分の一という単位であらわしたものがピコキュリーでございますが、一万三千ピコキュリーのものが出ております。これにつきましては、この水を二カ月間毎日二・二リットル飲み続けて大体許容線量になるという程度のものでございますので、数字としては一万三千と非常に大きなように見えますけれども、人体影響という観点から見れば問題ないものでございます。
 このために、先ほど申し上げましたような放射能対策本部の注意事項ということで、念のために、野菜は洗えるものであるから洗った方がいい、それから、沃素は非常に活性が強いものでございますので、活性炭でやるのが一番いいわけですけれども、木炭等でこす。従来、天水を利用しておりますのは離島とかそういったところでございますので、もともと装置がついておりますが、そのこし器の中に木炭等を入れるということが沃素をとるのにより効果があるということでございます。
#180
○木下委員 ちょっと常識的に知っておきたいから聞くのですけれども、今の、雨水を飲み続けて二・五カ月と言われましたか。(千々谷説明員「二カ月です」と呼ぶ)二カ月というのは、半減期で減っていくことを入れても二カ月ですか。きょうの新聞等を見ていても、牛乳なんかの場合でも毎日二百ミリリットルずつ飲み続けると二十五年ほどかかって許容量になるという。こんなものも二十五年間ずっと半減も入れながらのことなのかどうなのか、ちょっと気になったものですから。
#181
○千々谷説明員 放射性沃素が体に取り込まれますと、まず大部分は甲状腺に集中いたします。甲状腺に取り入れられました沃素もやはり八日ごとに半分ずつに減っていくわけでございます。その半分ずつに減るときに放射線を出すわけでございまして、それによって甲状腺がやられて、場合によってはがんになるということになります。この許容濃度というものが決まっておりまして、これは一リットル当たり二千ピコキュリーということでございますが、この二千ピコキュリーの沃素が入った水を毎日二・二リットル一年間飲み続けたときの甲状腺の受ける被曝線量が許容線量ということになっておりまして、取り入れられた沃素が減衰することも考慮に入っております。
#182
○木下委員 ちょっと気象庁の方にお聞きしたいのですけれども、そういう沃素131のようなものがジェット気流に乗って日本まで来た、こういうふうな報道もありますが、ジェット気流というのは一体どういう性質のものか。特に知りたいのは、地球上をぐるぐる回っていたりして何度も何度も日本上空にまた同じようにやってくるものか。そんなことで、一体どういう影響が今後にあるのだろうかということが知りたいこと。そして、ジェット気流以外の季節風等々で大量に日本に届くようなこともあるのか、こういったこともお伺いしたいと思います。
#183
○山中説明員 お答えいたします。
 ジェット気流と申しますのは、北半球も南半球もですけれども、中高緯度の上空に地球を取り巻くようにして西風が流れております。これを普通偏西風と呼んでおります。この中には特に風速の強い部分がございます。これを偏西風ジェット気流と呼んでおりますけれども、一般にはこれをジェット気流と呼んでおります。このジェット気流は強いときでは風速が百メートルぐらいになることもございます。日本付近では高さは五千メートルから一万二千メートルぐらいに流れております。そのような高度が多くなっております。幅は大体数百キロぐらい、それから長さの方ですけれども、数千キロというものが多くなっております。ところどころ強くなったり弱くなったりしながら地球を取り巻くように流れております。それと、真っすぐ流れるのじゃなくて、蛇行、うねりながら流れております。
 それから、御質問の二番目の、一回あるいは二回と回ってくるときの影響でございますけれども、そのように中高緯度をぐるりと地球を取り巻くように回っておりますから、いずれは一回回ってきたものが二回回ってくることもございます。大体一周するのには十日から二週間ぐらいと考えていいのじゃないかと思います。
 それで、そのときの濃度の問題ですけれども、いろいろ少なくなる要素がございます。一つは、十日とか二週間の間にあちこちに拡散いたします。それで一つ弱まる要素があります。もう一つは、途中にどこかで雨が降るといたします。そうすると、その強い流れのところへ雨雲が達しますと、それで雨となって落ちますので、その分だけ少なくなってきます。それからもう一つは、沃素131の性質は八日間で半分に量が減ります。ですから、一周してくるときにはもう量が半分以下になってくるというようなこともございます。そういうことで、一回回ってくると相当放射性物質の量は少なくなるのではないかと考えております。ですから、二周というとさらにさらに少なくなってくると思います。
#184
○木下委員 そういうことでございますが、発生源がいまだに発生し続けているかどうかもよくわからない。また、そういうことでジェット気流に乗ったもの等も減るとは言いながらも何度も回ってくる可能性がある。沃素131は、そういうことで半減期が八日ですから、後ほど影響はかなり少なくなっていくということですが、ほかにも半減期の長いもの等も、微量ですか、よくわかりませんけれども含まれておるという話も聞いておりますし、こういう長いものになりますと、体内での蓄積ということは先ほどの考え方とは比較にならないほど蓄積の可能性が考えられる、こう思います。そういう中で放射能の蓄積等、そしてそのほかにも例えば発がん性を言われておるような物質とかいろいろなものがありまして、この放射能も発がん性を言われておるわけですが、この放射能の影響とそれの基準、それから他の有害物質の基準等複合的に見たときに、同じような基準でいいのかなという感じもするのですが、こういった複合的な影響を人体に与える可能性があるとすると、やはり放射能といった問題は環境問題であり、総合的に環境庁自身が積極的に取り組むべき課題ではないか、このように思います。長官のこの問題に関する御所見をお伺いいたしたいと思います。
#185
○森国務大臣 ただいま先生複合とおっしゃいましたが、微量の有害化学物質と放射性の物質とが複合する、それで人体に影響があるかないかという御質問だと思います。私、それは余り承知しておらないわけでございますが、ただ有害化学物質による環境汚染というのは、私どもこれはもう真剣に何とかしなければならないというので積極的にこれには対処しております。
#186
○木下委員 その複合も、化学的に複合して特別な影響を与えるというのと、人体自身の許容が弱まってくる、こういう意味と両方あろうかと思いますので、化学的な複合の面だけじゃなくて、総合的に人間に対する健康被害というのはどんなものであるか、こういうことをぜひともやはり環境庁自身も、放射線は別に科技庁に任しておるということだけではなくて、複合問題というものは考えていくべきではなかろうか、このように思います。
 それでは、この原発事故に関して先日のサミットで声明が出されましたが、その中身の実現に具体的にはどのようなことが考えられるか、お伺いしたいと思います。
 まず科技庁に、どういった具体的な効果を今後期待しておるのか、お伺いいたします。
#187
○今村説明員 お答えいたします。
 今回のサミットにおきまして、ソ連原発の事故の影響は国際的であるということに対応しまして、各国首脳によって討議が行われ、その結果、五月五日「チェルノブイル原子力事故の諸影響に関する声明」というものが公表されております。この声明は、ソ連邦政府に対し今回の事故に関する情報の提供を強く求めるとともに、国際原子力機関、IAEAと言っておりますけれども、その場を通じまして国際協定の早期考案を含め、事故時通報制度の整備を図ること等を求めております。
 これらの点は、今回の事故の教訓を生かす上で極めて重要であると考えておりまして、既にIAEAのブリックス事務局長が事故原因究明等のため訪ソをされたと聞いておりますので一このような動きをきっかけとして、今後事故原因の究明でございますとか事故時の通報制度の整備、こういったことの国際的な検討が本格的に進められることを期待いたしております。
#188
○木下委員 それでは、外務省の方は具体的に今後どうアプローチしていくお考えか、お伺いしたいと思います。
#189
○山田説明員 お答えいたします。外務省といたしましては、今回のサミットの声明を受けまして、サミット参加国を中心としましてまず意見交換等を強化しております。現実には、実はソ連及び東欧諸国が本件の国際原子力機関での作業に参加してくれないと、本件は実は西側だけの形になってしまいますので、外務省といたしましては、ソ連、東欧諸国の参加が必ず得られるということを一方の柱としつつ、同時に、その通報制度等が極めて効果的なメカニズムとなるように、今後関係諸国及び関係国際機関での諸作業に積極的に参加してまいりたい、かように思っております。
    〔柿澤委員長代理退席、中馬委員長代理着席〕
#190
○木下委員 最後に、このような事故は日本では決してあってはならない、このように思います。単に炉型が違うから、こういうことではなくて、行政も業界も厳しく受けとめていることと思いますが、今後の我が国の安全対策について再確認しておきたいと思います。
#191
○今村説明員 お答えいたします。
 今回ソ連において事故を起こしました原子炉は、今先生御指摘のとおり、ソ連が独自に開発した黒鉛減速軽水冷却型炉というものでございまして、我が国に設置されている原子炉とは異なったタイプのものであります。また、我が国の原子力発電所につきましては、アメリカのスリーマイルアイランド原子力発電所の事故も含めまして内外の原子力発電所の事故、故障の経験を十分踏まえまして、格納容器、緊急炉心冷却装置、こういったものの安全対策に万全の措置が講じられております。さらに入念に定期的な検査を実施するなど、その運転面においても十分安全性、信頼性が確保されております。
 このようなことから、我が国の原子力発電所におきましては、その安全性が十分確保されていると考えておりますが、今回の事故を警鐘と受けとめまして、原子力開発利用につきましては万全の上にも万全を期するという観点から、今後事故原因等について安全委員会等におきまして調査を行いまして、必要があれば我が国の安全規制に取り入れ、我が国の安全規制の一層の充実を期してまいりたいと考えております。
#192
○木下委員 その問題はこれで終わります。きょうは廃棄物の処理場の問題点、いろいろなことを考えたのですが、特に最終処分場の確保が困難ではないかとか、不法投棄の現状とか、いろいろとあれしたのですが、時間がございませんので、廃乾電池問題についてちょっと感じたことを申し上げて、御答弁をいただきたいと思います。
 これは昨年の七月二十四日に生活環境審議会廃棄物処理部会適正処理専門委員会の答申を見て、期間はたったのですが、そのときの新聞等でとても疑問に感じたのでちょっと申し上げてみたいと思います。
 一つの疑問は、水銀の性状というのは余りわかってないんじゃないかと私どもは思っていたんですが、無機水銀とか金属水銀であるからほとんど害はないのではないか、こんなことを書いているのを見て、本当にそうかな、そんなにちゃんと水銀の性状というのは明らかにされているのかなと、安全宣言みたいにとれるので、ちょっとおかしいんじゃないかなと感じたことが一つ。
 それから、今まで分別処理を進めていって、この問題の重要さ、環境問題は自分たちで取り組まなければという積極的な姿勢がかなり各家庭にも見えたと私は思うのですね。それを各自治体も順調にやっていたけれども、何かそれが宙に浮いて、しなくてもいいようになった。これは、我が国は資源小国でもあるので、せっかくそういう方向ができかかった流れに水を差して、まして資源小国としての生きる道みたいなものがあったようなものが逆行したんじゃないかな、こんなふうに考えます。
 そしてもう一つ疑問なのは、回収して、それはそれで特にボタン電池なんかというものは電気屋さんがやったらいい、それはあるわけですね。それから自治体によっては分別で収集して、それをまた処理場に送ったらそれもそれでいい、費用は自治体持ちで送れと。ところが、しなくてまぜて投棄してもいいんだ、処理してもいいんだ、こういう感じになると、例えば一トンほどボタン電池が皆さんの協力で分別されたとする、それをちゃんと処理場に送ろうと、再処理しようと、またはごみの中にぱらぱらにまぜて捨てても構わない、そんな感じなんで、ではそのままで捨てたら悪いのかな、いいのかな、もしそのままで捨てたのが悪いということになるとおかしいし、いいと言ってもおかしいし、どうなっておるんだろうな、こういう疑問を持ったんです。どうぞお答えください。
#193
○加藤(三)説明員 先生の御質問、御疑問まことにごもっともだと思います。水銀は言うまでもなく非常に危険な有害な物質でございます。したがいまして、私どもこの問題につきましては慎重の上にも慎重に取り組んだつもりでございます。
 まず、先生三点ほど御疑問を呈されたわけでございますけれども、水銀の性状についてきちっと見たかということでございます。確かに先生御指摘になりましたように、環境中での水銀の挙動、例えば無機水銀が有機水銀化する、また逆に有機水銀が無機水銀化するということは報告されておりまして、ただ、その詳しいメカニズムについてはよくわかっておりません。そういう段階で、いわば安全宣言と受けとめられるような表現はどうだったかという御疑問がと思いますが、一応私どもといたしましては、大気中の水銀それから水の中の水銀、それから埋立地周辺での表土の水銀、さらに埋立地の地下水の水銀をはかってございます。物によっては総水銀ではかり、それから物によっては有機水銀、メチル水銀等も含めてはかってございます。詳しく御説明する時間はないと思いますが、例えば水につきましては、有機水銀につきまして環境基準も水質について決まっておりますので、当然そういうものをはかっているわけでございます。環境庁のデータ、それから厚生省自身が使ったデータを慎重に分析しました結果、いわゆる今ある諸基準に比べまして、私ども集めたデータではいずれも十分に安全なレベルだということを確認した上で、一応現時点では大丈夫だということを申し上げておるわけでございます。
 ただし、それだけでもう何もしなくていいということではなくて、実は乾電池の中に水銀が含まれておりますが、その含まれております水銀の量をできるだけ低減してもらうように業界にお願いをいたしまして、業界の方もそれを受けまして、アルカリ乾電池につきましては昨年の六月の段階でほぼ三分の一のレベルに下がり、さらに将来に向けて、問題があった時点に比べますと六分の一のレベルまで下げる、逆の言い方をしますと、既に三分の二ほど水銀が現実に減り、将来に向けては六分の五ぐらいが減っていく、こういう状況でございます。そういう意味でさらに一層安全ではないかというふうに見たわけでございます。さらにそれに加えまして、やはりモニタリング等を引き続きやっていくということで、いわば二重、三重のチェックをしていこうという体制をとったわけでございます。
 それから、先生二番目に、せっかく自治体等で、あるいは個人が分別収集しているのに、今度の厚生省のレポートだと分別収集は要らぬというようなことで、これは水を差すことではないかという御指摘がございました。実はレポートには分別収集をしなくていいというふうに書いているわけではございませんで、まず、分別収集をしないと環境が危険かということに対しては、現在のいろいろな諸基準を守っている限り、先ほど言いましたようなことで危険ではございません、環境保全上特に問題はないと言いながらも、しかし、いろいろな理由によって、例えば自治体によっては安全性のレベルをより高めたいとか快適な環境を守りたい、そういう自治体もございますので、そういうところが引き続き分別収集をすることは何ら妨げるものではない、それは自治体の自主的な御判断でおやりくださいということでやっているわけでございます。
 それから、分別収集といいますと、Aという町は分別収集しています、Bという町は分別収集していない、そうすると、Aという町で分別収集しているところでは乾電池が全部分別されているかというと実はそうではございませんで、分別している町といえども、分別の方へ入ってくる量は、私どもの推計で、自治体によって若干差がありますけれども一〇%前後だというわけでございます。物すごく一生懸命やっている自治体でも五〇%に満たないということで、結局、分別をしているところはもちろんその分だけ分別されてくるわけで結構でございますけれども、それだけに頼るわけにいかない。そういうことで、先ほど言いましたように、やはりもとで水銀の量を減らすという政策をとっているわけでございます。
 それから、先生御指摘の資源問題につきましては厚生省としても大変関心を持ってございます。ですから、一般的に紙とか弧とか缶とか、そういったものの資源の回収、これは厚生省として一生懸命でございますが、有害物を含む問題については有害物の量をまずもとで減らすというのを基本としたということでございます。
 それから、先生最後の御疑問だと思いますが、回収されたものはきちっと処理をしなさいと言いながら、片一方では別に分別しなくても特段環境保全上問題がないと言うのはやや矛盾しているではないかという御指摘かと思います。
 まず、先ほど言いましたような理由で、普通の都市ごみの中に紛れ込むといいますか一緒になってくるものについては、私どもの調査によれば先ほど言いましたように特段の心配はないわけですが、それを集めて、乾電池ばかり集めたものを処理する場合には、これは水ほかいろいろな有害物も一緒に乾電池の中に入っているわけでございます。亜鉛とか鉛とか入っているわけでございますので、それを処理するときにはきちっとした体制のもとできちっと処理しなくてはいかぬ。そのためにどこで処理をさせたらいいかということを慎重に探してきたわけでございますけれども、ことしに入りまして、これは北海道のイトムカにあります水銀関係の鉱業所でやるということで、そちらの方を指定して、そこで一元的に安全に処理をさせるという体制をとったわけでございます。
#194
○木下委員 もう時間がありませんから、一番言いたいことは、自主判断ということですが、できるだけやってほしいけれども、できなくてまざったとしても現在心配はない、だからどうしても事情があってできないというところは自主判断に任すというのと、やっても全くむだなことに近い状況だから自主判断というのと、変にいっぱい持ってきてもらうとかえっていろいろ困るから、どうしてもしたいというところは自主判断と、三段階ありますので、その辺誤解のないように、やはり家庭が分別してやろうというのはいいことであり、自治体もやるというのはいいことである、しかし、どうしてもやれないところには、今それほど緊急な被害が出るとは考えられないのだから自主判断に任せたのだ、こんなふうな解釈でいいのですか。
#195
○加藤(三)説明員 おおむね先生がおっしゃったようなことでいいかと思います。
 ただ、先ほど来繰り返しておりますように、私どもとしてはやはり水銀汚染問題については十分注意しながら、焼却工場、埋立地、その安全管理には今後とも一生懸命やってまいりたいと思っております。
#196
○木下委員 終わります。
#197
○中馬委員長代理 速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#198
○中馬委員長代理 速記を起こしてください。
 伊藤英成君。
#199
○伊藤(英)委員 時間が余りありませんので簡潔に質問をいたしますので、よろしくお願いをいたします。
 まず、この四月に中公審の専門委員会の報告書が提出をされましたけれども、公健法の見直し、検討が行われているというふうに思いますが、それにつきまして、この公健法で最初の指定地域の一つであります四日市が指定されたときに、当時大気の汚染はどのようであったか、まずお伺いをいたします。
#200
○目黒政府委員 最初の指定地域である四日市は、当時は四十年度から連続して二酸化硫黄の測定を行っておりますが、磯津の測定周について見ますと、年平均値が四十年度で〇・〇八三ppm、四十一年度で〇・〇五九ppm、四十二年度で〇・〇八一ppmという状況でございます。
#201
○伊藤(英)委員 それは、現在の大気の状況は当時と比べてどういうふうになっておりますか。
#202
○目黒政府委員 現在の大気は〇・〇一ppmということでございまして、四十年度あるいは四十二年度等から比べますと八分の一ということに相なろうかと思います。
#203
○伊藤(英)委員 それから、この制度の創設以来、患者の数はどういうふうに推移をしておりますか。
#204
○目黒政府委員 大気汚染によります公害病の現存の被認定患者数は、この制度が創設されました昭和四十九年九月におきまして一万四千三百三十五人でございましたが、その後指定地域の拡大がございまして、昭和六十年九月末現在では九万三千九百十七人となっているわけでございます。
#205
○伊藤(英)委員 それから現在の指定四疾病のうちで患者数の多いのは何で、どのくらいの割合を占めておりますか。
#206
○目黒政府委員 この指定疾病別の構成を五十九年度末現在の状況で申しますと、気管支ぜんそくが七万三百二十八人、慢性気管支炎が一万六千二百九十二人、肺気腫が三千百七十九人、ぜんそく性気管支炎が二千五百五十一人、合計九万二千三百五十人ということでございます。
#207
○伊藤(英)委員 今言われたうちで一番多いのは気管支ぜんそくであるわけですね。これは大人に多いのですか、子供に多いのですか、どんな状況になっておりますか。
#208
○目黒政府委員 子供に多いわけでございます。
#209
○伊藤(英)委員 どのくらいですか。
#210
○目黒政府委員 この気管支ぜんそくの中でどのくらいということではございませんが、年齢階級別の構成から申しますと、十四歳未満で三万三千四百九十七人、約三六%ということになっているわけでございます。慢性気管支炎の場合には子供の率は非常に少ないというふうに聞いておりますので、この三六・三%のかなりの部分は気管支ぜんそくであろうかというふうに考えるわけでございますが、詳細な数字は今ちょっと調べております。
#211
○伊藤(英)委員 実は先ほどの答弁の中にも気管支ぜんそくが一番多いわけでございますし、その気管支ぜんそくの中で子供の割合が多いわけであります。
 ぜんそくの原因は何なんだろうかということなんですけれども、ごらんだと思いますが、これはおととしになりますか、毎日新聞で「子供たちは」ということでずっとシリーズをやっております。その中でぜんそくの問題を取り上げておりました。そこの中にぜんそくの理由としてダニだとかカビだとか、そういう問題が大きく取り上げられておりました。これは同じように実は朝日新聞でも、子供の問題について取り上げているときにダニやカビが大きな原因である、こういうふうに報じられたりしておりますけれども、そのぜんそくの原因についてどのように思われますか。
#212
○目黒政府委員 御案内のとおり、先生今お話しにございましたように、気管支ぜんそくなどの公健法の第一種地域の指定疾病によりますものは、大気汚染以外にも種々の因子が原因となり得る非特異的なものというふうになっているわけでございます。したがいまして、今御質問の、気管支ぜんそくの発症に関与いたします要因といたしましては極めてたくさんあるわけでございますが、大気汚染以外には例えばダニ、それから花粉の吸入、卵、牛乳の摂取、喫煙、室内汚染あるいは温湿度の変化、心理的要因などが挙げられているところでございます。
#213
○伊藤(英)委員 今申し上げました新聞の記事によりますと、例えば毎日新聞ですとこういうふうに書いてあるのですね。今御説明になった部分でありますが、若干時代の推移というか、そんなことも思わせる書き方で書いてあるわけです。例えば毎日新聞でいきますと、ぜんそくの主要原因としてダニが浮上してきたのは最近のことである、それまでは「大気汚染説が強かった。」という言い方をしております。そしてそれは主要原因としてこういうふうになってきたんだよという形で書いてありますね。それから朝日新聞、これは去年の二月でありますけれども、ここには同じような意味で「ぜんそくの最大の原因になっているのは、室内のダニ、カビやほこり。」こういうふうに書いてあるわけであります。
 だから今のことについて、こういうことを考慮しながらでありますけれども、現在は公健法で患者として認定される条件は何であるのか。そしてぜんそくならば、ぜんそくの原因にかかわらずその条件を満たせば認定されるということになっているのか。これは今の制度上そういうふうになっているのかどうかということについてお伺いいたします。
#214
○目黒政府委員 この認定に当たりましては、今先生がおっしゃいましたように、一つは指定地域の問題がございます。それからもう一つは暴露条件と申しましょうか、ある一定の期間暴露したというふうなことがそこである程度確認される、それから、もちろん当然のことながらこの四疾病のどれかにかかっている、こういうことが当然この認定の条件となってくるわけでございます。
#215
○伊藤(英)委員 今のそれは、そういうことですと、原因のいかんにかかわらず、今の条件に当たれば認定をされるというふうに考えていいわけですね。
#216
○目黒政府委員 御指摘の点につきましては、この大気汚染にかかわります健康被害のこの指定の四疾病につきましては、また非特異的な疾患ということでございまして、原因のいかんにかかわらず、今の条件を満たすということで、疾病であれば認定をしていくということになっているわけでございます。
#217
○伊藤(英)委員 これは長官にお伺いしたいと思うのですけれども、先ほどの私の質問並びに答弁をされました内容から考えますと、例えば、この汚染者というか、公害の原因者がその費用負担をする、そういう考え方をするとしても、若干問題だな、やや不合理だなという感じがするわけですね。その原因のいかんにもよるわけ、だからそういうふうになるということだ、こういうように思う。だから、今も公健法の見直しの検討をされておりますけれども、今回のこの見直しがどういうふうに科学的根拠によってそれが行われていくかということは、これからの環境行政にとって非常に重要な話だろう、こういうふうに思うのです。そういう意味で、これは非常に大胆に科学的な根拠でやっていこうよということで進めていただきたい、こういうふうに思うのですが、その辺の所信について大臣にお伺いいたします。
#218
○森国務大臣 先生御承知のように、昭和五十八年の十一月にこの環境庁長官の諮問を中公審に出したわけでございます。おかげさまで専門委員会から答申が返ってまいりまして、今、都会においてワーキンググループをつくってやっております。この結論につきましては、何といったって公平であり公正でなければならないということで貫いてやっていきたいと考えております。それが環境庁の態度でございます。
#219
○伊藤(英)委員 本当にありがとうございます。それは先月の報告書が出されたときも、公健法の改革は科学的にやることが必要だよというふうな、科学的裏づけに立脚してぜひやるべきだという話を社説でも取り上げられている新聞もございましたけれども、今の大臣のお話のごとくこれはもうそれこそ大胆に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。
 次に、NO2の問題、NOxの問題についてお伺いをいたしますけれども、ここ十年余り産業界も公害防止努力にはいろいろ大変な努力をしてきたわけでありますが、その結果、現在どういうふうにSOx並びにNOxは変化をしているかについてお伺いをいたします。
#220
○林部政府委員 お答えいたします。
 大気の状況につきましては、物質によってさまざまでございますが、NOxに限定して言えば、環境基準の達成状況というものについて、もう既に御承知かと思いますが、達成期限までに達成ができないという形になりまして、昨年暮れに中期展望によって今後の対策の方向をお示しし、その方向に沿って達成に向けて諸対策を進めていくというのが現在の状況でございます。もちろん、四十八年以降、工場、事業場につきましてはさまざまな規制が段階的に行われてきておりますし、また移動発生源につきましても段階的に規制が行われてきている、そういう実績はございますが、現在の環境基準の達成状況という点ではまだ達成ができない、そういう状況でございます。
#221
○伊藤(英)委員 今NOとNO2はどういうふうになっているのですか。
#222
○林部政府委員 大まかな傾向について申しますと、NOにつきましては減少の傾向、NO2につきましてはやや横ばいの傾向、こういうふうに申し上げられると思います。
#223
○伊藤(英)委員 なぜNOが減ってNO2は減らないわけでありますか。
#224
○林部政府委員 率直に申し上げまして、なぜそうであるかということについては最終的な答えを私どもまだ持っておりません。ただ、移動発生源の場合について申しますと、もう御承知かと思いますが、発生の大部分はNOの形で出ましてそれがNO2に変換をするわけでございます。その間にオゾンの介在等いろいろな議論がございますが、まだ最終的な結論には達しておらぬ、こういうことでございます。
#225
○伊藤(英)委員 要するに、今は環境基準はNO2でやっている、対策はNOでやっているというような状況になっております。そしてNOが減っているんだけれどもNO2が減らないのは今のところ原因がよくわからないという状況であるわけですね。そういう意味からすると、今、環境基準としてNO2で設定をするわけですね。現在の大気の状況からそういうふうにするわけですが、だとするとNO2が減らない原因はそれこそ真剣になって究明をしなければいかぬものだ、こういうふうに思うのですね。それは現在のこういうあり方からすれば当然そういう諭理になってくるわけだ、こう思うのです。そういう意味でぜひこれは究明をしていただきたい、こう思いますが、どうですか。
#226
○林部政府委員 NOからNO2への変換、特に道路近傍におきます変換の問題につきましては数年がかりでいろいろと調査研究をやっておりますが、まだ最終的な結論には達していないということでございます。
#227
○伊藤(英)委員 そういうことですと、先ほど申し上げたように非常に問題なわけですね。何で管理をして何でアクションをとるかということからすれば論理的におかしい。したがってこれはもう徹底的に究明をしていただきたいし、それが問題ならば改善を考えなければいかぬというふうになるんだろう、こう思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 今の問題に関して、アメリカのNO2の環境基準の問題についてお伺いしますけれども、米国が、五年置きだったと思いますが、NO2の環境基準を再審査することになっており、そして最近も米国のEPAは、年間〇・〇五三ppmの値がNO2に過敏な体質を持つ人々をも含めた全国民の健康保護の目的を十分に果たし得るものであるか否かの検討を続けてきたけれども、去年の六月に現行値を変更する必要がないというふうに発表をしたと聞いておりますが、いかがですか。
#228
○林部政府委員 打答えいたします。
 今先生の御指摘がございました点につきましては、一九八五年六月のフェデラルレジスターにおっしゃるような記載がございます。
#229
○伊藤(英)委員 さっきも私が申し上げたような趣旨で検討をしてきた結果、去年、現行値を変更する必要がないというふうに発表をしているという内容についてはフェデラルレジスターで確認をしておりますという意味ですか。
#230
○林部政府委員 そういうような記載がございますし、これはアメリカでは動物実験、疫学研究その他いろいろな文献などを集めまして評価をされた結果、先ほど申しましたようにフェデラルレジスターにそういう旨の記載があるということは確認をいたしております。
#231
○伊藤(英)委員 もう少しそれを見て思うところを述べていただきたかったわけでありますけれども、いずれにしてもアメリカのそういう趣旨、並びにどういう方法によってそういう結果になったかということを理解されているというふうに思います。
 今ここで議論をしたように、アメリカはNO2の環境基準についても定期的に再審査をすることにしておる、私はそれは非常に意味のあることだ、こう思うのです。もう少し考えなければいけない話だと思うのですが、これは科学や医学の進歩があり、あるいは分析技術の進歩もあるでしょう、そういうものが日進月歩であるわけです。そういう分野においては我が日本は世界一流の位置にあるのだろう、私はこう思うのです。だから、そういう意味でこうした科学的な蓄積や技術をもとにして基準をよりよいものにしていくことが必要であるでしょうし、その科学的なアプローチを持っていくことが必要であろう、こう思うのです。
 だから、環境庁も、あるいは日本の環境行政としても、先ほどの長官のお話じゃございませんけれども、科学的に取り組んでいく、その決意というか熱意を今も言われたわけでありますけれども、このNO2の問題についてもそうした意味でさらにさらに科学的な考え方でアプローチをしていくことが必要であると思いますが、いかがですか。
#232
○林部政府委員 我が国におきましても、我が国の環境基準についての考え方は先生が今おっしゃるように科学的なことをベースにして決めてきているということは御指摘のとおりでございます。現行の環境基準は五十三年に作業が行われた結果定められたものでございますが、アメリカの環境基準それから日本の環境基準、もちろん環境基準そのものの性格というものは国によって全部同じものではございません。御案内かと思いますが、平たく申し上げれば国によっていわゆるディザィアラブルなレベル、つまり望ましいレベル、それから逆に非常にトレラブルなレベル、許容レベルといいましょうか、そういう考え方で決めている国もある、その中間的な国もある。率直な印象から申し上げれば、従来から日本の環境基準というのはディザイアラブルなレベルと言われておりますし、アメリカの環境基準はその意味では大体アクセプダブルなレベルではないかと言われているわけでございます。したがいまして、環境基準を判断する場合には、当然のことながら科学的な知見に基づいてやっているわけでございますし、我が国の場合について申し上げますと、文献のレビューのようなものは私ども常にいろいろな知見も集めております。
 ただ、五十三年以降のことについて申しますと、疫学的な知見を充実させたいということで五十四年から、ことしの三月にようやく発表したわけでございますが、非常に時間をかけまして世界でも余り類例のないような大がかりな疫学調査を私どもやっておりました。それは三月に発表したとおりでございますし、文献的には、既に前に今国会でも私は御答弁申し上げておりますけれども、私どもが入手した情報、それからその疫学調査の結果からは、我々の今持っております現行の環境基準というのはおおむね妥当なものではないかというふうに現在のところ私どもは考えておるということでございます。
#233
○伊藤(英)委員 今私が申し上げているのは、現在の環境基準が妥当かどうかということについてお伺いしているわけではありません。これは問題があるかもしれませんし、今のがいいかもしれない。それから、いろいろな調査をされたことも私は承知をしております。若干問題があるかもしれません。
 問題は、先ほどのアメリカの例でいきますと五年サイクル、たしか必要によってはそれより短く云々というような文章になっていたと私は思いますけれども、いずれにしてもそういうふうに少なくとも五年以内という幅の中で見直しをしていこうという考え方で出ているわけですね。私は、日本の環境基準について、五年サイクルで見た方がいいかあるいは三年サイクルで見た方がいいか、十年サイクルで見た方がいいか、それはどれだけがいいかわかりません。本当に定期的がいいかどうかということもまた問題があるかもしれません。けれども、日本の技術の進歩もどんどんあるでしょう。あるいは大気の状況もあるでしょう。医学の進歩もあるでしょう。そういうものは十分にここに反映をさせていかなければいかぬ、こういうように思うのです。
 それは先ほど局長が言われた、例えば日本の環境基準はディザイアラブルな基準だよ、あるいはアメリカはアクセプダブルだよ云々という問題ではないと私は思う。どういう基準の考え方であったにしても、科学的な進歩に基づいてそういうものをできるだけより妥当なものに持っていくことは、これは国家的な見地からしても基準の納得性のそれぞれから見ても必要な話だろう、こう思うのです。そういう意味で申し上げたわけであります。
 同じような話になりますが、長官に最後にお伺いしますが、姿勢の問題だと私は思うのです。先ほどお聞きいたしましたけれども、時間も来ましたので、最後に長官にその辺の御意見をお伺いして終わります。
#234
○森国務大臣 御承知のように、先ほども申し上げましたように、私どもは科学的知見を踏まえて出た部会の結論を公平、公正に取り扱ってやっていこう、こう考えております。
#235
○伊藤(英)委員 終わります。
#236
○中馬委員長代理 藤田スミ君。
#237
○藤田(ス)委員 まず最初に長官にお伺いをしたいわけです。
 私はこの前の質問のときに大臣にぜひ公害患者に会っていただきたいということをお願いをいたしました。その後、四月二十五日の新聞報道で大臣が二十四日に川崎の保健センターの視察に行かれ、そして公審患者の話を聞いてくださったという記事を読みまして、大変うれしく思っております。せっかくのことでございますので、川崎の保健センターに行かれ、公害被害者の皆さんにもお会いになってどういうふうにお感じになられたか、一言お聞かせをいただきたいわけです。
#238
○森国務大臣 先生からお褒めにあずかって大変恐縮をしております。やはり人間というのは何といったって健康でなければならない、健康というものが人生の最大の宝物だと私は考えております。したがって、病気になりました方々には深甚なる御慰労の気持ちと今後の一刻も早い御全快をお祈りしているわけでございます。
#239
○藤田(ス)委員 先ほどから公平、公正、科学的という言葉が使われておりますけれども、私は自分の住んでいるところが大変公害被害者の多い地域でもありますので、いつも思いますのは、もし大気汚染がなければ、それはダニもありましょうし、時にはそのほかのカビというような原因もありますでしょう、家族がたばこを吸うということもあるでしょう、しかし、何といっても、私の住んでおります堺を振り返ってみましても、臨海コンビナートができ、そこから大気汚染が広がっていってそして公害患者が出てきたということはもう間違いのないことでありまして、そういう点で、環境行政で言う公平とか公正とかいう言葉はあくまでもけんか両成敗というような手合いのものではなくて、まさに国民の健康を守る、公害被害者を救済していくという立場の公平でありかつ公正であってもらいたいものだというふうに私は思うわけなんです。
 四月二十二日に経済団体連合会からも「公害健康被害補償制度の早期改正を要望する」という要望書が長官のところに届いているというふうに、これもまた新聞報道で聞いております。私はここにその要望書というものを持っておりまして、これをるる読み返してみまして、まず何といってもこれは大変だと思いましたのは、経済界は、補償等に要する経費は、現下の厳しい経済情勢において、産業界の負担能力は今や限界に達している、これがつまり今補償制度を早期に改正せよという根拠であるとするならば、費用がかかり過ぎるから見直しを要求するというのは余りにも公害被害者に対しては救いのない言葉ではないか、考え方ではないかというふうに思わざるを得ません。そして、もともとこの公害健康被害補償制度というのはあくまでも損害賠償ということが基礎になってスタートをしている制度でありますので、経団連のおっしゃるのは根本から考えが間違っているんじゃないかというふうに思います。
 二つ目に、中公審の専門委員会がもう現在の大気汚染の影響は昭和三十年から四十年代のものと同様とは考えられない旨の結論を出しているじゃないかということをおっしゃるわけですけれども、これもこの前私が申しましたが、まさに御自身の立場からいう、ええとこ取りをしておられて、きょう朝も金子先生からもこの問題については触れておられますけれども、NO2の問題にしても、局地的汚染、弱者への配慮ということが特に求められている、この専門委員会の留意事項の中にそういうことが書かれているじゃないか。それからまた、従来のSOxの影響というものは今日ぬぐい切られていないということは、これは環境庁の調査でも明らかになっておりますし、現在の濃度でも問題があるんじゃないかということがこれもまた三十三万人の調査で明らかになっています。それからNO2が低濃度の状態であってもこれもまた影響があるということ、そういうことも問題になっていますし、あるいは室内構造だとか喫煙だとか、そういうものを除去してもNO2の影響というのがあるんだというようなことも、それこそ長年の調査による科学的な裏づけによってその影響が言われているわけですから、経済界がこういうふうな言い方をされるのはもってのほかだというふうに思うわけです。
 三つ目は、だから少なくとも地域指定の解除に一刻も早く踏み切るべきだ、こういうふうにおっしゃるけれども、私は、まさに三十三万人の調査、専門委員会の報告をもとに考えても、今大事なことは指定地域の解除ということではなくNO2をやはり対象にしていくべきだ、早くそれを取り入れていくべきだ、そして被害者を救済するべきだというふうに思うわけなんです。これはこの経団連の資料を見て思うわけなんです。
 もともと公健法の費用負担という問題につきましては、私たちはNOxも対象の物質に追加をして、NOxの排出施設やあるいはまた自動車のメーカーから賦課金を徴収するべきであるということを主張してきました。自動車重量税というものが充てられて、そして結局臨調では補助金――自動車重量税から充てていくわけですからそれは国の税金だということで、交付金という形をとっておりますために臨調の方は補助金の整理合理化という名目の中に取り込んでしまって、臨調の方からも見直しが言われるというようなことになったわけですが、私は、この際、本当にNOxの排出施設及び自動車メーカーがこの問題について責任をとっていくという立場に立つべきじゃないかということも考えております。
 そういうことを申し上げた上で、長官はこの経団連の要望書をどういうふうに受けとめられたかお伺いをしておきたいわけです。
#240
○森国務大臣 私が環境庁長官に就任しますと、その当時の内閣の皆さん方が環境庁は財界寄りじゃないかというようなことを大分おっしゃっておられましたが、私どもは、先ほどから何度も申し上げておりますように、ともかくこの部会での科学的知見を踏まえての公平、公正な態度でやっていこうと考えております。したがいまして、先ほどお話しの経団連からの要望書につきましても、ほかのいろいろな各所から要望書が来ておりますが、すべてそれは部会の方で審議の対象にしていただいております。しばらくお時間をかしていただきたいと思います。
 以上です。
#241
○藤田(ス)委員 この問題はきょうは時間がありませんのでこれにとどめますけれども、長官、どうやら任期もいっぱいお勤めになれそうでありますので、こうなりましたらぜひとも水俣などやはり実態を見て歩くということをお願いをしておきたいところでございます。
 この間尾瀬の番組が出ておりまして、本当に涙が出ました。環境庁長官というお仕事はそういう点ではさまざまな困難があるんだな、しかし、国民は長官が本当に国民の立場に立って動かれれば動かれるほどその支持の輪をどんどん大きくし、歴史的にも涙のロマンとして残すすばらしい仕事だなというふうに思いました。そういう点では今後とも公害患者にもぜひ積極的に会っていただいて、それこそ本当に体で御理解をいただけるようにお願いをして、本論に入っていきたいと思います。
 きょうは関西新国際空港の建設事業に係る環境影響評価の問題についてお伺いをいたします。
 環境庁の方はもう既に御存じだと思いますのでくどくその経緯を報告することはないと思いますが、このアセスメントは大阪府の環境影響評価実施要綱に基づいて実施され、そして空港会社の環境影響評価準備書が昨年の十月に公表された後、地元説明会、公聴会というような日程を経て、府の環境影響評価委員会の審査も終わって、そこから知事への意見も出され、知事は事業者だとか空港会社に意見を提出したところまで至っているというふうに考えております。
 問題は、空港会社が今最終アセスを作成にかかっているわけですが、今日までのその経緯の中でも大変それこそ公正さを欠くんじゃないかと思われる問題点がございます。
 その一つは、大阪府の実施要綱というののポイントは、この空港株式会社が出してきた環境影響評価準備蓄に対してそれこそ客観的かつ専門的にさまざまに検討して、そして評価委員会が意見をまとめるということになっているわけですね。この評価委員会は十六名で構成されておりまして、七つの専門部会が置かれ、それぞれに二名から三名の委員が配置されているわけです。ところがこの評価委員会の十六人のメンバーの、特に総括部会という三名を除きました大気、水質、騒音というような六つの部会の十三名の委員のうちの五名までが、空港会社の方が環境影響評価準備書をつくるまでの過程においてタッチをしていた人たちなんです。だから、大気部会あるいは水質部会あるいは水生生物部会、ここは二名ずつ委員がおりますが、その一名ずつは準備書をつくるときにタッチをしていた人ですね。それから、騒音部会は二名の中の二名とも準備書を作成するときにタッチをしていた委員さんであったわけです。
 だから、私なんか子供がよく遊びでしているのを見て噴き出したのですが、子供が自分でテストをつくりましたら全部百点になっているのです。そして気持ちよさそうな顔をしているのですが、あたかもそういう感じですね。環境に対する影響はこういうものですというふうに提出をする側の人間が、今度はそれを客観的に見て、そういうふうに評価をしているけれどもどうかというふうに眺める方がまたそのメンバーで座り画しをしているわけですから、合わせメントだと言われても仕方がないわけですが、まさにこういうようなことでは客観的かつ公正なものとは言えないではないかというふうに考えますが、まず御意見をお伺いしたいのです。
#242
○岡崎政府委員 ただいま先生が御指摘になられました事実につきましては、私ども新聞で拝見をしたということでございまして、どういう専門家が云々ということまでは私どもフォローはしておりません。
 ただ、いずれにいたしましても、私どもが本件につきまして環境保全上の立場からチェックをし、審査をいたします場合には、つくられました評価書ももちろん参考にはいたしますけれども、すべてそれに依存をするということではございませんで、私ども主体的にいろいろ勉強をし、審査をしていくわけでございますので、仮にも御懸念のような観点からの御心配はないものであるというふうに申し上げたいと存じます。
#243
○藤田(ス)委員 一方、この環境影響評価準備書に対しては、地元の八市五町、地図で御存じだと思いますが、いわゆる空港に最も関係のある自治体八市五町が同様にそれぞれ知事に意見書を出しているわけです。これを見ますと、私はさすがやはり地元の自治体だなというふうに思いましたけれども、中身は非常に厳しいことが書かれております。八市五町の分を合わせましたら全部で百項目ぐらい出てくるわけですが、水質の問題、大気の問題あるいは騒音の問題にしても、それぞれが非常に厳しい意見を出しておられ、そして、この環境影響評価準備書を見たけれども、決定的とも言えるような欠陥があるのではないかということも指摘をされているわけなんです。
 そこでお伺いをいたしますが、その環境影響評価準備書というものを出して、それからあちこちの自治体、住民、知事あるいは評価委員会というようなところの意見が集約されて株式会社、事業者の側は最終的に環境影響評価書というのをつくり上げるわけですね。そのときには少なくともこの地域自治体の言われているような意見、住民から出されたような意見、ここの部分についてはアセスメントし直すべきであるというような意見については、それはやはり率直に受けとめて、そして十分それを反映したものを最終のアセスメントとして出してくるべきであるというふうに考えますが、環境庁の御意見をお伺いしたいのです。
#244
○岡崎政府委員 現在行われておりますアセスメントが大阪府の要綱に基づいて行われているわけでございますから、その要綱の手順に従って実のあるものとなって完成されることが望ましいということはもちろんでございます。その過程でいろいろな御意見をどういう形でそしゃくし、その中に取り込んでくるかということの個々一つ一つの点につきまして、直接的に私どもがとやかく申し上げる立場にはございませんけれども、そういった御意見等は十分考慮のもとで評価書をつくり上げてもらうということは大変望ましいことでもあり、私どもも期待をしております。
 さらに、私どもは基本的には、法的には例えば公有水面埋立法の手続に基づきまして審査をすることになるわけでございますけれども、その際には参考の御意見なり資料といたしまして、今先生がおっしゃられましたような地元自治体の御意見等も十分参考にして勉強をしていくというつもりでございます。
#245
○藤田(ス)委員 そこで、もう少し具体的に入っていきたいわけですが、今の段階では準備書しかありませんし、あるいは大阪府知事が出しました意見書などを読み返してみますと、空港の設置運用時、つまり二〇〇〇年における海域のCODの七五%値の予測結果は、計画地点の周辺海域ではリットル当たり二・六から二・八ミリグラムという数字が出ているわけです。この空港の設置運用が周辺海域のCOD濃度に及ぼす影響というのは、リットル当たり〇・〇五ミリグラム以上高くなる範囲は空港のごく近傍に限られているというようなことになっておりまして、したがって「大阪湾の環境基準達成に支障を及ぼすことはないものと考えられる」というふうに言われているわけなんです。
 大阪湾の空港島周辺のCODの環境基準というのはA類型でありまして、御承知のようにリットル当たり二ミリグラムという基準になっておりますから、二〇〇〇年でも二・六から二・八というのは、つまり十五年先でもその環境基準がここでは達成されていないということを示しつつ、しかも新たな汚染源がここにつくられるということについて、環境基準の達成されていないところは可及的速やかに達成すべきであるという瀬戸内海環境保全基本計画の精神にも反するというふうに私は思いますが、この点は環境庁いかがですか。
#246
○谷野政府委員 瀬戸内海の水質でございますけれども、瀬戸内海の水質については、一時に比べますとかなり全般的に改善を見ておるわけでございます。大阪湾につきましても、等濃度線を引いてみますと、十年程度の時間をとってまいりますと低下をしておるわけでございます。しかしながら、大阪湾の奥部などにつきましてはかなりまだ濃度の高いところがあるわけでございまして、その点では御指摘のような空港建設予定地におきましても、現在なおCODの濃度が環境基準に達していないというのが実態であるわけでございます。
 将来の問題につきまして、私どもはさらに努力をしなければならないわけでございますが、そういうような実態を踏まえて当該海域につきまして瀬戸内海の埋め立ての基本方針というものがございまして、それについていろいろな留意事項に当たらないものについてはできるだけこれを避けなければならないというような規定があるわけでございまして、私どもといたしましては、空港の建設に係る埋め立てにつきましても、そのような基本方針の考え方を踏まえまして、さらに慎重に検討の上、対処をしてまいりたいというふうに考えております。
#247
○藤田(ス)委員 しかも先ほど申し上げた環境基準、リットル当たり二ミリグラムを、十五年先を予測しつつ、それが二ミリではなしに二・六から二・八というふうに環境基準をオーバーしているところに新しい施設をつくるわけですが、この二・六から二・八という、二〇〇〇年はこういうふうになっているという予測というのは実は前提条件がありまして、これはCODの排出負荷量でいいましたら、現在、昭和五十五年は一日当たり二百四十三・九トン排出するけれども、七十五年、つまり二〇〇〇年は日当たりで二百三十八・八トンに減少していくことになる、確かに数字の上ではそういうふうに予測しているのです。これが何を根拠にこういうふうに言っているかということになりますと、これは大阪府のSTEP21の計画に基づいて将来こういうふうになるという予測をしているわけですね。
 そのSTEP21という大阪府の計画を見てみますと、二〇〇〇年には都市計画法によって市街化区域全域において下水道が整備される、こうなっているわけです。そうなれば本当にすばらしい話なんですが、私は建設省の方にお願いをしておりますのでここでお伺いをいたしますけれども、大阪市を除いた地域の、府下の下水道の普及率並びに府南部の下水道の普及率は現在何%になっているのでしょうか。それから府南部の下水道の整備計画はどういうふうになっているのでしょうか。さらに、関西新空港関連整備事業大綱に基づく関連事業として特別な財政措置がこの地域の下水道整備に対してとられているのかどうか、この三点をお伺いいたします。
#248
○斉藤(健)説明員 お答えをいたします。
 現在大阪府下におきましては、寝屋川初め流域下水道が七カ所、その関連の公共下水道を整備しております。また堺市、豊中市など十三市においては単独の公共下水道も行っているという状況でございます。この結果、五十九年度末の値でございますけれども、先生お尋ねの大阪市を除く大阪府下の普及率で申しますと、およそ三七%という状況でございます。また、大阪府の南部におきましては、同じように五十九年度末現在の値でございますけれども、およそ二六%という状況でございます。
 次に、お尋ねの大阪南部の下水道の実施状況でございますけれども、大阪南部につきましては堺市の単独公共のほかに、主として大阪湾岸流域下水道事業が実施されております。このうち北部の処理区が今年度一部処理を開始するということを目途に鋭意整備をしております。また、中部処理区につきましても事業が本格化しているという状況にございます。先ほど申しました堺市などの単独公共下水道につきましても整備が進捗しているという状況でございます。
 もう一点の財政措置の問題でございますけれども、現在私どもとしては、当該地域の下水道の整備につきましては特別の財政措置は考えておりませんけれども、毎年度の予算配分に当たりましては可能な限り配慮を行っているところでございます。
#249
○藤田(ス)委員 空港等でその海域に一番関係の深い自治体の状況がお聞きのような状態なんです。まだ南大阪湾岸流域下水道は六十一年度で北部、中部でようやく供用が始まったところで、南部に至るやまだ事業計画決定が六十一年というような予定になっておりますので、まさにお粗末な状態なんですね。したがって、八市五町ありますけれども、その中の貝塚市以南三市五町というのは全く下水道の整備状況ゼロなんです。それを市街化区域は全域に下水道を整備するということを前提にして、そしてそれでもなおかつ二〇〇〇年先はまだ環境基準がクリアできない状態だということを見越しつつ空港をつくる、こういうことになるわけです。
 しかも、特別に補助率がかさ上げされるわけでもないけれども、この地域の下水道整備には国の方も力を入れる、そのことは私も力を入れてもらいたいとは思いますけれども、しかし、そうだということでそれでは地方自治体がそれで受けられるのかというと、これがまた非常な問題でありまして、御承知のように下水道整備に対する国の補助率というのは、大臣、下がりましたですね。だから、今まででさえ超過負担だとかそういう地元負担ということでなかなか地方自治体の財政状況が前へ進めない状況にあったわけです。だから、堺なんかはこの十年間でやっと七・三%しか進捗していないのです。それから岸和田市というのは今後六年間の計画で五・六%しか進捗できないという状態なんです。これで何でそのバックグラウンドの勘定のとおりにいくのかということについて地方自治体が意見を上げています。「水質の将来予測の見直し」これは岸和田市ですが、
  水質のバックグラウンドの算定にあたり、下水道の普及率を現状の整備の推移が継続するものとして、将来予測を行っているようである。下水道整備が、「準備書」どおり進捗することは喜ばしいことであるが、下水道整備国庫補助率が削減されている現況下では、下水道整備事業が現状の状態で進むとは考え難い。従って、「影響評価」に当っては、現況の財政状態をも勘案した下水道普及率を算定し、将来予測を行うべきである。つまり、将来予測が間違っているから、今の、二〇〇〇年はリットル当たりCODは二・六から二・八ミリグラムなんだ、そういうことにはならないよ、だからもう一度将来予測を見直すべきであるということを言っておりますけれども、瀬戸内海の水質保全に責任を持っておられる環境庁は、こういう意見をどういうふうに受けとめられますか。
#250
○谷野政府委員 ただいま御指摘の内容につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、大阪府のアセスの内容でございまして、私どもといたしましては、将来この問題につきまして検討する際の参考として、情報としてはできるだけ入手をしておるところでございます。もちろん先生御指摘のように、水質問題を考えますときに下水道の普及率というのは大変重要なものでございますので、私どもが判断をいたします際に当たりましては、建設省等の御意見も十分考慮いたしまして適正な判断をしてまいりたいというふうに考えております。
#251
○藤田(ス)委員 時間がなくなってきたので大変心細いのですが、大気汚染の問題に移りまして、NOxのバックグラウンド濃度の予測値を見てみても、ここでも大きな疑問を感ぜざるを得ません。なぜならば、NOxの排出量は、大阪、兵庫、和歌山の三府県にまたがる広域では昭和五十五年度五万九千九百トン年に比べて、二〇〇〇年では固定発生源で二千七百三十トン減り、それから移動発生源では一万四百九十トン減るんだというふうに予測を出しているわけです。だから、空港関係で仮に四千三百五十トンふえたとしても全体として年間約九千五百トン減少するんだ、こういうふうに予測をしているわけです。これも地元の人間は、もう辛抱できへんなということになるわけです。
 何でかといいましたら、これは地元の地域のあれですが、泉北地域というところでとっているのを見ましたら、三千九百九十トン現在を、二〇〇〇年は三千三百トンに減少するというふうに考えておられるわけですが、ここは御承知のように新空港につなぐ大型のアクセスがばんばんと通るわけですね。三本か四本ぐらい通りますからね。だから自動車は何ぼ低く見積もっても四倍、これでは四倍というふうに書いておりますが、ふえるわけです。しかも、恐らくそれはディーゼル車がふえるわけです。なのに、どうしてこういうふうに減るのかという点では理解に苦しむわけです。
 この点については地方自治体も同様に警告をしております。第一に、その予測というのは、五十四年から五十八年の経年変化がその傾向でそのまま続くということを前提としているわけです。だけれども、先ほどからお話にありましたように、NOxの総量削減計画というのは、自動車がふえたりなんかしてうまくいかなかったわけですよね。そして今なお環境基準は達成できない。だから中期展望を出してみたけれども、それでも六十三年の達成は非常に難しいということでその先に追いやられてしまって、環境基準はいつ達成できるのかということについては今明確に言えないというような状態になっているわけです。恐らくこれをシミュレーションしていくときには、削減計画はずっと下り坂でころころとうまく転がって二〇〇〇年には、というふうになったと思うのですが、そういう点では、条件が大きく変わってきているんだからバックグラウンドも変えるべきではないかということは、当然の意見として自治体からも出されてきております。
 それから、この問題でもう一つ言いますが、この新空港の影響は大阪湾岸に均等に広がるということを念頭に入れた、いわば拡散方式をとっているわけですが、地元の方からいうと、その地域で今、年間に排出されているNOxの量とほぼ同量のものが空港から排出されるわけですから、この地域は西に海をもらって東に山を抱いていますので、風の向きによってはどうしても滞留しますし、そんな簡単に拡散方式でやられたのではたまらないという思いになるのは当然であります。
 例えば、岸和田市の意見書でも、「昭和五十五年度の二酸化窒素の年平均値が〇・〇二八ppmであり、基準値が〇・〇三ppmであることを考え合わせるならば、環境基準の維持に支障を及ぼす可能性があり、再度検討する必要がある。」と述べておりますし、貝塚市は「供用開始段階において、環境基準が未達成の状況下に開港するならば環境保全上憂慮すべき事態が予想される」と言い、泉佐野市は「アクセス交通に伴う道路沿道への影響が考えられる」と指摘をして、あわせて、光化学スモッグや浮遊粒子状物質についてもこういう予測どおりに事がうまく運ぶのかどうかという点で疑問を投げかけているわけです。これが大気の問題です。
 同様に、騒音の問題についても一言だけ御答弁を求めることにして述べておきます。
 これも各自治体は一斉に、夜間の空港なんだからということで意見を出しておられます。まして、この間のように厚木基地の裁判で、高度の公共性を考えると被害は受忍限度内であるというふうに退けられたのを聞くと、三分十七秒に一回ずつ離発着になり、九分余に一回ずつ深夜にも離発着される空港ができることに対して、一体どういう影響があるのか住民はもっと知りたい。環境影響評価準備書を見ましたら、コンターが書かれておりまして、そしてコンターは、海の中に入っているから陸地に影響を及ぼさないのだという二言で片づけられているわけです。しかし、どう考えても陸地に影響が出てくることは避けられない。ないというならばどういうふうに安心ができるのか、そういう予測評価をするべきだということを自治体は述べているわけです。航空機騒音が、間欠音であっても「生活環境騒音」に影響を与えることは明らかであり、良好適を望む住民にとっては、「生活環境騒音」が、どのように変化するのか心配である。WECPNLの予測評価だけでは、環境騒音全体を把握することはむずかしく、住民の生活環境に、航空機騒音がどの程度影響を及ぼすのかを明らかにはできない。従って、これを行うためには、環境騒音の特徴に合った共通の評価法を用いて、航空機騒音が環境騒音にどのように影響を及ぼすのかを、予測評価すべきであると思われる。これが自治体の意見であり、住民の意見でもございます。
 時間が参りましたので、私も心ならずも一気にしゃべっておりますが、つまりこういうことなんです。これはできてしまったら言われることがわかっているから、私は今本当に必死になって言っているのです。だから、環境庁が今手をこまねいてという言い方は少し失礼になるかもしれませんけれども、自治体や住民からしてみれば、公有水面埋立法の申請を待って、建設大臣から意見を問われたときに初めて環境庁長官として意見を述べるというようなことではなしに、もう少し前に進んで、まさにアセスメントの根本にかかわるような重大な問題がいろいろ指摘されている中で、ここでこういうものが退けられてそれこそ欠陥を抱えたまま手続を進めることがあってはならないわけですから、私は、環境庁として運輸省とタイアップしてでも空港会社に指導に入るべきじゃないかというふうに考えるわけです。
 以上、大変長くなりましたが、片っ端から答えてください。
#252
○林部政府委員 一苦だけ。
 私ども大気保全局は、予防的な見地から行政を進めておるわけでございますから、中期予測モデルを用いて予測し、中期展望という形で将来の対策の方向をお示ししたということは、今先生御指摘のいわゆるアセスメントの話とは少し次元の違う問題というふうに御理解いただきたいと思います。ですから、アセスメントそのものについては、基本的には先ほどから企調局長がお答えをしているようなことが環境庁のスタンスだと思います。中期展望があのような手法を用いて我々の考えていること、それから予測されることがどうであるかということをお示ししたのは、実際に目標としている諸対策が本当にうまくいっているのかどうかを中期的な視点で的確にとらえていこう、不十分であれば対策を強化していこう、そういう意味のものでございますから、中期展望が五十八年を基準年次として六十三年までの予測をしたということと、いわゆるアセスメントと直に比較をされるのはちょっと違うのではないかというのが私の率直な感想でございますし、私どもが中期展望をお示ししたのは、むしろ前向きに対策を進める上でこういうような予測を立て、こういうように対策を強化してまいりたいということを言っているのだというふうに御理解いただきたいと思います。
#253
○岡崎政府委員 私どもが環境保全上の観点から本件についてどういうスタンスで、あるいはどういう状況状況で行動し、あるいは意見を出すべきかという点につきましては、今先生御意見がございましたように、一つの物の考え方としてはもっと前から一つ一つの個々の段階で言うべきことは言ったらいいじゃないか、こういう御趣旨も含まれているように思われますけれども、私どもといたしましても現時点ではいろいろ予備的には勉強をかなりしておるわけでございまして、ただ先生おっしゃるように全く手をこまねいて公有水面埋立法で問い合わせが来たら云々というふうな、全く受け身の立場でいるつもりではございません。しかし、私どもは、正確な事実あるいはどういう物の考え方で進められていくかということにつきましては十分総合的に把握いたしまして物を申すべきであろうということから、先ほど来から、その物を申すべき時期として公有水面埋立法の手続のお話をいたしたわけでございますけれども、その実際の意見を申します前段階でもちろん関係者とはいろいろ意見を聞かせていただき、あるいはヒアリングをするわけでございます。そういういろいろなやりとりの中でも必要があれば、私どもとして申し上げておくことが望ましいということがあれば、そういった意見交換の形でいろいろお話はし得る場があるのではないかと思っております。
#254
○藤田(ス)委員 申しわけございません。騒音について一人答弁を忘れているから……。
#255
○林部政府委員 御指摘の点は現行のW、つまりWECPNLという非常にややこしい呼び方になっておりますが、Wの考え方で予測をすることが不適当なのかということについてお答えをするということになるのかもしれませんが、これは先年よく御案内のとおり、特に深夜飛んだ場合には非常に大きなウエートを持たせて評価をしているということなんでございますから、このW方式は深夜について考慮してないということにはならないと思います。現行の空港は確かに二十四時間空港というのは今ございませんから、そういう意味では、それだけにまた立地等も考えてああいうところにつくられているというふうに私ども理解いたしておりますけれども、その予測の際に用いられているWの考え方、さわりだけ短く申しますと深夜、これは午後十時から午前七時までについては、実際に飛ぶ機数は十倍にウエートをかけて評価するということになっているのは御存じだと思いますので、その意味では深夜に対して配慮がないということにはならないのではないかと思っております。
#256
○藤田(ス)委員 恐れ入ります。ちょっとあんまりずれているから一言だけ言って、憂後に大臣にお願いします。済みません、時間が1私たちの大事な環境庁の大気保全局長ですから、私の言っていることをもう少しちゃんと受けとめていただきたいわけです。
 もう時間がありませんから、私が何を言いたかったか。これは大気の問題では、シミュレーションをかけるときには、恐らくかつての総量削減計画のあのベースでずっとうまく計画が進んでいくというふうな予想の上に立って二〇〇〇年の空はこうなるというふうに予測をしているけれども、実際にはその削減計画がうまくいかなかった、つまりそうは思っていたほどNOxの削減がうまくいかなかった現時点の中では、やはりかつてのうまくいくであろうことを前提にして将来の予測を立てるということについては今不適切ではないかという意見はもっともだ、そうではないかということをお伺いしたのです。
 それからWECPNLが深夜に十倍とっているということもよく知っているけれども、自治体も住民も言っていることは、WECPNLだけでは環境騒音全体を把握することが難しいわけだから、住民の生活環境に一体どういうふうな環境騒音がもたらされるのかということを、やはり環境騒音の特徴に合った共通の評価を用いていかなければその影響を十分予測できない、だからそういうことでもう一回予測をせよということを言っているわけなんです。これは私が勝手に言っているんじゃなしに自治体がそういう意見を出しているわけですから、そのことはよくお含みをいただきたいと思います。
 切りがありませんし、大変行儀が悪い話ですから、大臣に最後に御答弁を求めますが、孫子の代にかかわる問題でございますので、大臣、どうぞよろしく。
#257
○森国務大臣 先生のおっしゃること、わからないでもないのですが、私は自分が国務大臣という立場になってつくづく考えるのは、日本の官僚行政というのは大変立派なものだと考えております。ことにこの問題につきましては縦割り行政でやっております。したがって例えば公有水面等々については建設大臣が責任を持って当たっておる、それにつきまして我々に意見を求められることになりますと、環境保全上になりますと遺憾ないように我々は対処していくということでございますので、ひとつ御信頼いただきたいということをお願い申し上げまして、終わります。
#258
○藤田(ス)委員 時間が参りましたから終わります。
     ――――◇―――――
#259
○中馬委員長代理 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 本日、理事木下敬之助君の委員異動に伴い、理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#260
○中馬委員長代理 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に木下敬之助君を指名いたします。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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