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1985/05/02 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 科学技術委員会 第13号
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1985/05/02 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 科学技術委員会 第13号

#1
第104回国会 科学技術委員会 第13号
昭和六十一年五月二日(金曜日)
    午前十時十二分開議
出席委員
  委員長 大久保直彦君
   理事小宮山重四郎君 理事 塚原 俊平君
   理事 平沼 赳夫君 理事 与謝野 馨君
   理事 小澤 克介君 理事 関  晴正君
   理事 矢追 秀彦君 理事 小渕 正義君
      奥田 敬和君    中村  靖君
      若林 正俊君    加藤 万吉君
      渋沢 利久君    鈴切 康雄君
      山原健二郎君
  出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      河野 洋平君
  出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     矢橋 有彦君
        科学技術庁原子
        力局長     中村 守孝君
        科学技術庁原子
        力安全局長   辻  栄一君
        外務大臣官房審
        議官      松田 慶文君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       逢坂 国一君
 委員外の出席者
        外務省国際連合
        局原子力課長  山田  広君
        農林水産省経済
        局国際部国際企
        画課長     熊澤 英昭君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全審
        査課長     山本 欣市君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全管
        理課長     神田  淳君
        気象庁観測部測
        候課長     山中 陸男君
        科学技術委員会
        調査室長    工藤 成一君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二日
 辞任         補欠選任
  有馬 元治君     奥田 敬和君
  佐々木義武君     中村  靖君
  村山 喜一君     渋沢 利久君
  安井 吉典君     加藤 万吉君
  遠藤 和良君     鈴切 康雄君
同日
 辞任         補欠選任
  奥田 敬和君     有馬 元治君
  中村  靖君     佐々木義武君
  加藤 万吉君     安井 吉典君
  渋沢 利久君     村山 喜一君
  鈴切 康雄君     遠藤 和良君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 原子力の開発利用とその安全確保に関する件
 (ソ連チュルノブイル原子力発電所の事故に関
 する問題)
 ソ連チュルノブイル原子力発電所の事故に関す
 る件
     ――――◇―――――
#2
○大久保委員長 これより会議を開きます。
 原子力の開発利用とその安全確保に関する件について調査を進めます。
 この際、ソ連チュルノブイル原子力発電所の事故について、河野国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。河野国務大臣。
#3
○河野国務大臣 今般、ソ連のチュルノブイル原子力発電所で発生いたしました事故につきまして、これまでに入手いたしました情報に基づき、経緯及び我が国の対応策につき御報告を申し上げます。
 本原子力発電所は、ソ連ウクライナのキエフ市北方約百三十キロメーターに位置し、電気出力百万キロワットの四基から成る発電所で、さらに二基が建設中であります。なお、この原子炉の型は、ソ連が独自に開発した黒鉛減速軽水冷却型であり、我が国の原子力発電所の原子炉とは異なる型のものであります。
 事故の原因、状況等につきましては、ソ連政府から十分な情報の公表がなされないためその詳細はいまだつまびらかにされておりませんが、原子炉の建屋の一部は破損し、多量の放射性物質が外部に放出された模様であります。現在、事態は鎮静化に向かっておるとの発表もなされておりますが、現地において二名が死亡し、百九十七名が病院に収容されるという、極めて大きな事故であったと認識いたしております。
 また、本事故の影響は、ソ連一国にとどまらず、近隣の北欧諸国の放射能レベルの増加が報告されており、飲料水の制限等の措置をとった国もあらわれております。今回の事故は、まさに国境を越え、国際的な問題として取り組んでいくべき重要性を含んでいるものと考えております。
 我が国としても、今回の事故の重大さにかんがみ、鋭意情報を分析するとともに、所要の対策を講じてまいりました。本事故による我が国に対する影響につきましては、事故発生地点が日本からかなり距離が隔たっていることなどから、当該発電所から環境に放出された放射性物質による我が国国民の健康に対する影響はないものと判断しております。
 念のため内閣に設けられている放射能対策本部の幹事会を開催し、科学技術庁において三十二都道府県の放射能監視細及び原子力発電所周辺の環境モニタリングによる観測の強化、気象庁において全国十三カ所の気象台等での放射能観測の強化、防衛庁において高空浮遊じんの放射能調査の実施等の措置をとることとしたところであります。昨日現在、観測の結果から全く異常は報告されておりません。引き続き監視を継続してまいることといたしております。
 また、我が国の原子力発電所の安全性につきましては、今回ソ連において事故を起こした原子炉がソ連が独自に開発した黒鉛減速軽水冷却型炉であり、我が国に設置されている原子炉とは型が異なったものであること、我が国の原子力発電所が、アメリカTMI原子力発電所事故をも含め内外の原子力発電所の事故、故障の経験を十分踏まえ、格納容器、緊急炉心冷却装置等の安全対策に万全な措置が講ぜられていること、また、さらに年一回定期的に入念な検査を実施するなど、その運転面においても十分安全性、信頼性が確保されていることから見て、その安全性は十分確保されていると考えております。
 また、原子力安全委員会におきましては、これまでの情報をもとに検討を行い、お手元に配付の資料にありますような委員長談話を発表し、関連情報の入手に努め、原子力開発利用の安全確保、我が国の原子力安全規制に反映すべき事項の有無等につき検討を進めるため、事故調査特別委員会の設置を決定いたしたところであります。今後は、本特別委員会を中心として情報の調査、分析に努めてまいることとしており、ソ連に対しても十分な情報の公表を強く求めているところでありますが、今後は国際的な協調のもとにそれを進めていくことが重要と考えております。
 我が国の原子力発電は、その設計、建設及び運転の各段階において安全性が確保されて、十分な実績を上げてきたところでありますが、今回の事故を警鐘として謙虚に受けとめるべきは受けとめ、特に運転、保守等では不断の努力が必要であることを再認識し、これを機会に一層の安全確保に努めてまいる所存であります。
    ―――――――――――――
#4
○大久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塚原俊平君。
#5
○塚原委員 今大臣の方から概略の御説明をいただきましたが、それ以後、けさ現在に至るまでまた新しい情報が入っていましたら、事務方の方からでも結構でございますから、お示しをいただきたいと思います。
#6
○辻政府委員 先ほど大臣から御説明ございましたように、今回の事故に関しましてはソ連当局の情報提供が限られておりまして、その原因及び状況等につきまして十分把握できる状況にはないわけでございまして、タス通信の発表やその他の報道機関からの情報等を総合いたしますと、ただいま大臣から御説明いたしました概要のとおりでございまして、その以後、つけ加えるような新しい情報は今のところ得ておりません。
#7
○塚原委員 まず当面の問題としてお伺いいたしますが、ただいま大臣から、例えばジェット気流というのですか、それに乗っかっているちりをとっているとか、そういうようないろいろな対策の御説明がございましたが、さしあたって現在までのところ何も異常が認められない、特にジェット気流でどうだこうだというのが話題になっていたのですけれども、現在のところ何も異常が認められないということは、これから将来にわたってどういう可能性があるのか、ちょっと御説明いただきたいと思います。
#8
○辻政府委員 事故の起こりましたサイトと日本との間は非常な、地球の裏表ということで、直線距離にいたしまして八千キロないし九千キロという遠距離でございます。通常、これらの放射性物質がもし比較的早く日本の上空に来るということがあるとするならば、それは一万メートル以上の上空にジェット気流、偏西風が吹いておりますが、それに乗ったというような場合には比較的早く来るのではないかと思われます。しかし、これは昔空中原爆実験があったような場合にはよくそういう現象が見られたわけでございますが、今回は地上での事故でございまして、なかなか放射性物質が一万メートルまで上がるというようなことは考えられないし、現在気象庁の話を聞きますと、そのジェット気流はサイトよりはるか北方にある、一定の幅を持っているようでございまして、そういう点からも放射性物質がジェット気流に乗るということはなかなか考えられないということでございます。
 そうなると地表風によって運ばれるということになります用地表風は必ずしもそう偏西風がいつでも吹いているわけではございませんし、漸次拡散してまいりますとすれば、途中にはヒマラヤ山脈その他の日本の屋根と言われる高い山脈がそれを遮っておるわけでございまして、そういったようなことから日本までこれが拡散、到達するには相当の時間もかかるし、その過程において雨が降ったりなんかして放射性物質がまた下へ洗い流される、また多くの大気によりまして拡散されて薄められる、こういうことが考えられますので、当分の間日本には影響がない。全く放射線の量が上がらないということも、将来あるいは多少上がることはあるかもしれませんけれども、それは日本の国民の健康に影響を及ぼすような、そんな程度のものになることはないというふうに考えておるところでございます。
#9
○塚原委員 今回の事故でございますけれども、私どもはたくさんの情報を持っているわけです。恐らく、新聞からみんな見ているわけですけれども、ソ連の最高幹部会議のメンバーよりは日本の原発の所在しているところの町民、村民の方がはるかに情報量があるのじゃないかと思うくらい、たくさんの情報をマスコミから得ています。これは、私どもにとって大変に幸せなことだと思います。ただ逆にまた、例えば私の地元ですと東海村でございますが、原子力銀座などという大変にありがたいお名前をちょうだいして、これは我が県の自慢にしているわけでございますけれども、その東海村民にしてみれば、これはもう人ごとではないわけでございまして、現実に東海村に現在四万、隣の日立に二十万、隣の勝田に十万、常陸太田、那珂湊で七万、那珂町に五万ということになりますと、非常に数多くの人間が日本の場合、原子力発電所の所在する地域に住んで生活をしているわけでございます。
 特に、これは地元の新聞でございますが、これは共同通信の配信ではないと思いますが、「東海で起きたら…」ということで五月一日付の新聞に、原発一号炉というのは日本で恐らく一番最初に原子力発電の火をともした、日本にとってはルーツの原発だと思います、その原発一号炉に格納容器がないんだというような、大変大きな見出しての報道がございます。こういうことは大変ショックなことでございまして、それでソ連の炉の型と日本のは基本的に違うのだというような御説明が今の大臣の中からもあったわけでございますけれども、この東海の一号炉はいわゆる黒鉛を軸に使っているわけでございます。そういうこともございますので、この点につきまして、これは地元のことということでなくて、今黒鉛を使っているタイプは恐らくこの一号炉しかないと思いますので、まずこの格納容器がないということに対するこの新聞報道について、一応新聞は事前にお配りしてあると思いますので、この格納容器がないということについてどういうことなのであるかということに加えまして、黒鉛を軸としているこの一号炉の安全性が一体どうなのか、あるいはソ連で起こったようなことがこの一号炉において起こり得るのかという点について、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
#10
○辻政府委員 先生御指摘のように、東海の一号炉は黒鉛減速型の原子炉でございますが、今回のチェルノブイルの原子炉と比べまして相違点は、同じ黒鉛は使いますが、冷却材がソ連のものは水である、東海村のものはガス冷却であるという点が相違しているわけでございます。安全性の面と、それからもう一つ格納容器が備えられていないということも御指摘のとおりでございますが、しかし私どもは、東海一号炉の安全性については十分な安全設計がなされておりまして、十分安全なものであるというふうに確信しておる次第でございます。
 いろいろな日本の軽水炉あるいは今回のソ連のチェルノブイルの原子炉と比べまして、当該一号炉の基本的な設計上の特徴というのが一つございます。それは一つは、出力密度というのですが、これが軽水炉と比べれば約六十分の一、チェルノブイル原子炉と比べて約五分の一と出力密度が小さいという点と、もう一つ、単位熱出力当たりの炉心の熱容量が軽水炉と比べて約三倍、チェルノブイル原子炉と比べまして約六倍という大きい違いがございまして、これが安全性の観点から見ますと非常な安全上の裕度になっているということでございます。
 すなわち、こういうことの特性のために、仮に事故が起こりましても燃料棒の温度上昇というのが非常に緩慢になるわけでございまして、一つの事故を仮定しまして非常に安全側の検討をするわけでございますが、この一次冷却系のガスを通しているガスダクトと言っておりますが、それが破損しちゃう、それは軽水炉でいえば冷却水喪失事故に相当するものでございますけれども、そういったような事故を仮定いたしましても、温度上昇が非常にゆっくりとしている。それで安全側に評価いたしましたとしても、被覆管の温度上昇をあれしますと、約二時間の間これを冷却しないでそのまま放置しておいても、温度上昇は六百度C弱になるという程度のものにしかすぎないということで、なかなかそれで火災が起こるというような話にはならないわけでございます。その間に緊急冷却装置その他により十分にこの炉を冷却することができるというようなことがございまして、これはなかなか燃料破損に至るというようなことにはなりにくい一つの設計上の特色でございます。
 これに加えまして、東海一号炉については種々の安全装置が設けられております。安全運転のために制御機構が完備されておりますし、原子炉の異常を早期に発見することができるように十分な設計が行われている。そうしてそのほかにも、原子炉停止装置であるとか緊急冷却装置などの安全装置がつけ加えられております。この原子炉停止装置は、燃料被覆温度の過大な上昇であるとかあるいはガス出口温度の上昇、地震であるとか電源がなくなったとか、そういったようないろいろな十種類以上の信号に対応いたしまして制御棒が直ちに働くという方式を採用いたしております。
 さらに、予期しないような大地震などによりまして制御棒が働かないというようなケースも想定いたしまして、さらに予備の安全装置といたしまして、その際に原子炉を確実に停止するというためにボロンを含有したステンレス鋼の球を予備の停止装置として備えておるわけでございます。この緊急停止装置が安全上十分な数だけ原子炉の上部に設けてありまして、地震動であるとかその他の変化が起きますと、これが働いてボロンの球を原子炉の中に落下させる、これで原子炉がとめられるというような装置がついております。また、緊急冷却装置ということで、例えば先ほどのダクトが折れてしまった、それで炭酸ガスで冷却しているガスの圧力が下がってしまったというような場合につきましても、この原子炉の熱を除去いたしますために蒸気タービンに蒸気を確実に供給する、そのための二基の所内ボイラーが設置されて、これがガス循環器を動かすことができるようになっている。さらに、これら蒸気タービンの両方が故障するというような事態に対しましても、原子炉の熱を確実に取り除きますために緊急時冷却系ということで補助電動機を四台設置しまして、それぞれのガス循環器を回すことができるようになっている。
 こういったような安全装置が十分にとられておるわけでございまして、こういう点から私ども東海一号炉の安全性は十分確保されているというふうに信じておるところでございます。
#11
○塚原委員 北海道や青森から飛んでくる飛行機は大子上空からずっと羽田に入ってくるのですけれども、東海村の上空も無論飛ぶわけですが、ジャンボ機が落っこっちゃったらどうなりますか。
#12
○辻政府委員 ジャンボ機につきましては、運輸省の方の指導によりまして原子炉施設の上空を飛ばないということにいたしておりまして、その点の御心配は無用かと存じます。
#13
○塚原委員 スリーマイルアイランドのときも言われたのですけれども、本来スイッチを入れるのを切っちゃったとか切るのを入れちゃったとか、人為的なミスが重なるということ以外に原発の事故は考えられないというような話はよく聞きます。確かに私も現在の御説明を聞きましても、また、私どもも一応地元に二基持ってございますので素人なりに拝見をさしていただいても、よほど人為的なミスが重ならない限り大丈夫だなというような感じは受けて拝見をしているわけでございます。もし現在、東海村も含めて日本に原子力発電所は数多くございますが、人為的なミスがあった場合はこれと同じ事故が起こり得るのでしょうか、日本の原子力発電所の炉は。
#14
○辻政府委員 原子炉施設の安全設計がいかに多重に行われておりましても事故が起こる可能性があるという点につきましては、先般のアメリカのスリーマイルアイランドの事故によりまして、運転員の不適切な運転の結果事故が起きたというような経験があるわけでございまして、そういうことのために、スリーマイルアイランドの事故以降、原子力安全委員会を中心といたしまして諸種の対策がとられたわけでございます。
 ハードウエアについても幾つかの対策がとられておりますが、それは省略いたしまして、運転管理という面につきましても、例えば運転員の監視します制御盤の配置等につきまして人間工学的な関係からの設計の見直しが行われるとか、また運転要員につきましては、特に運転要員に対する教育訓練というものが肝心であるということで、これも電力業界におきまして自主的な研修制度というものを強化いたしたわけでございまして、PWR、BWR、それぞれ福井及び福島に訓練所がございましてシミュレーターが設けられておる、そこで各運転員が定期的に訓練を受ける、ベテランの訓練員も含めて訓練を受けるというような制度が取り入れられております。そしてその訓練も通常の運転状況だけではなくて各種の事故を想定いたしました場合の対応策、こういうものがカリキュラムに組み込まれておるわけでございます。こういったようなことで、運転員の資質向上ということについて格段の注意が払われておるところでございまして、運転員の誤操作等については極力これを少なくするように、諸般の努力が払われているところでございます。
#15
○塚原委員 これはそういうふうに御努力もいただかなくちゃいけないわけでございますし、万々が一起こるなどということは考えられないのでしょうね。それはいかがです。
#16
○辻政府委員 先ほど大臣から申し上げましたように、安全審査その他につきまして万全の対応をとっておりまして、諸般の設計上の配慮を行う、それから施設につきまして電力事業者の自主的な点検のほかに国におきましても定期的な検査を行う、これは毎年実施しておるわけでございまして、そういったようなことによりまして施設の維持管理、先ほど申しました運転員の教育訓練その他も含めまして安全対策で懸命の努力が行われているわけでございまして、私ども同様な事故が起こるとは考えてはおりません。(発言する者あり)
#17
○塚原委員 今、後ろの方からも、万々が一考えられないようなことが起こっていると言う。どうも国会というところは、やじに応答してこうやりますと、やじも何か今回の事件によると捕まる対象になるということでおっかないのですけれども、それとは別に、じゃ何でこれはソ連で起こったのですか。
#18
○辻政府委員 その辺が明確に答えられると大変よろしいのですけれども、残念ながら御承知のような状況でございます。ソ連に対しまして、事故情報の早期提供につきましては先般総理あるいは安倍外務大臣からも在京の大使館に対して申し入れを行うなどしておりますが、現状におきましてはソ連からの情報提供が十分でございませんので、事故の概要等については私どもその詳細を明らかにすることはできないわけでございます。そういうようなところが現状でございます。
#19
○塚原委員 大臣、これはソ連の状況というものがわかりませんと、日本は安全だと言ってみても、こうこうこういう状況で事故が起こったとか、日本の場合は型が違います何が違いますと言うのはいいのですけれども、こうこうこういうことがないから絶対大丈夫なんだというのがわからないと、私ども地域に住む住民――私も、女房も子供も十キロ圏内に置いてあるわけでございまして、変な話ですけれども、この連休中、三、四、五日みんなでどこかへ遊びに行こうと思っていたのですよ。ところが、塚原の一家がいなくなったとなったら、あいつら逃げたんじゃないかなと思われるようなところもありまして、なかなかそれも行きにくくなるくらい、割に緊張しているのです。それは当たり前だと思うのです。それで大臣、これはやはりソ連の方に強く御要求いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#20
○河野国務大臣 今回の事件は、原子力発電所の事故で死者が出た、あるいはまた国境を越えてさまざまな影響が出ているということを考えますと、原子力発電に携わっている人間あるいはかかわっている国にとっては極めて重大な関心を持たざるを得ないわけでございます。かつて原子力発電の歴史上最大の事故ではないかと言われたスリーマイルアイランド事故につきましては、アメリカは極めて詳細な報告を迅速に出しております。そしてまた、ああいう国でございますから、非常に多くの情報が提供されたわけでございまして、それらの情報を踏まえて、原子力発電にかかわっている人、かかわっている国は、みずからの構え、欠陥を直す、あるいは不十分な点を補うということができて、原子力開発利用は一歩進むことができたわけでございまして、今回のようにいまだに明確にいつ何時に起こったかもよくわからぬというようなことであってはならないと思うわけでございます。私は、当事国がその責任の重大さを感じて、速やかに事故の詳細を公表してもらいたいということを強く望んでおるわけでございます。
 けさの一部の報道に、停電によるものが引き金だったのではないかというような報道もございました。これも公式の通報、報告はございませんので、これにかかわって私ども何とも申し上げようがないわけですが、専門家の方のお話を伺いますと、停電によってああいうことが起こるということはあり得ることだという、もしそうであればそうかもしれないという、まさに仮説の上に仮説を立てて判断をするしかないわけでございますが、もしそうだといたしましても、日本の状況は、多重電源と申しまして一つの電源がとまれば直ちに次の電源が作動するというふうに、多重電源の装置というものは極めて丁寧にできている。残念ながらソ連の発電所ではそうした装置がなかったのか、あるいは十分働かなかったのか、もし仮説どおりであるとすればそういうことがあったのだろうと思うわけでございまして、ぜひともその辺の状況は一刻も早く明確にしてもらいたい。そうしていただくことが、国際的にこの種の事故を未然に防ぎ、あるいは原子力の利用開発をさらに進めることに貢献するものだというふうに考えておる次第でございます。先ほど局長から御答弁申し上げましたけれども、総理、外務大臣からそれぞれソ連当局に対しましては公表を要請いたしておりまして、私どもとしても一刻も早い詳細な情報の公開を望んでおるところでございます。
#21
○塚原委員 今の停電の話については、確かにこの前の春の大雪のときにかなり長時間東海村も停電したけれども、全く大丈夫だった。日本はその辺は大丈夫だと思うのですけれども、原子力発電所の所在している地域住民の皆様方は、繰り返すようですが、非常に不安を持っていると思うのです。これは、我々国会議員が街頭で大丈夫ですと言って歩いても、事前運動をしているぐらいにしか思われないわけでございまして、やはり原発当局並びに地域市町村、県が十分に村民、町民、市民を納得させられるだけの資料を早急に提供する必要があると思うのです。今は確かにソ連から情報が来なくちゃこう違いますと言えないわけなんですけれども、ただいま局長が御答弁になったような一連の問題、例えば東海の一号炉についてはそういう問題があるというようなことでございますね。それからほかの原子炉についてはこうこうこうだから大丈夫なんだというようなことが、全部あると思うのです。そういうものを早急に県並びに市町村等に、地域住民を安心させられるような対策を、連休なんかで休んでいられませんから、こういう時期ですからね、講じていただきたいと思いますが、その点についてはいかがでございますか。
#22
○河野国務大臣 科学技術庁といたしましては、一つは、いわゆる大気汚染の影響があるかないかということにつきまして、昨日来御報告を申し上げておりますように、綿密な監視網をフル回転させて今情報収集に当たっております。先ほど申し上げましたように、今のところ全く異常はないということでございます。
 もう一つは、今塚原先生御指摘の原子力発電所の作業についてでございますが、これらはソ連の事故があるとないとにかかわらず、安全の問題を第一義に考えて指導もし、その指導に従って運転がなされているところでございます。しかし、こうしたソ連の事故を他山の石といたしまして、なお一層、先ほど先生が御指摘になりましたように人為的な気の緩みその他があってはならぬと考えまして、マニュアルどおり正しい運転がきちっと行われてさえいればこうした事故は全くないというふうに考えまして、通産省を初めとして関係当局が指示その他を既に行っているというふうに伺っておりますし、私どもとしても全力を挙げて、十分御安心いただけるような御説明も申し上げるし、体制も整えるということにいたしております。
#23
○中村(守)政府委員 ちょっと補足させていただきます。
 先生御指摘の地元住民の方々への周知のお話でございますが、私どももこの事故発生以来、各発電所の地元市町村には連絡調整官事務所というのがございますので、これは一刻も早く地方自治体に事の真相、実態というものをお知らせすべきであると考え、私どもの方で提供できる資料については各連絡調整官事務所にファックスで送り込みまして、地元の自治体の方に十分御連絡申し上げておるところでございますし、今後また積極的にそういう広報対策を進めてまいりたい。それから、先生御指摘の地点地点による特有の問題、御心配の点もあろうかと思いますので、そういうものは地元の自治体と御相談しまして、御要求あることにつきましては適切に対応してまいりたいと思っております。
#24
○塚原委員 最後に大臣にお伺いいたしますが、本当に大臣、今回は御苦労さまでございました、大切な外交日程がありましたのに急に御帰国ということでございまして。私は五十一年に初当選で、割に大臣の政党には悲しい思いをたくさんさせられたわけでございますが、今回という今回は見直しました。本当に御立派な姿勢を高く評価するわけでございます。
 スリーマイルアイランドで事故がありまして、それで安全性の重要さというのは物すごく指摘されたわけですね。そうしましたら、昨今ここに来て、原子力行政の責任ではないのですけれども、いろいろな原子力関係の幹部の方々が、ちょっと安全に金をかけ過ぎるのじゃないか等々の発言があちらこちらであるというふうに伺っております。無論こういうことになりましたからそういう誤った考えというのは持たないと思いますけれども、今回の事故のことを踏まえて、今まで再々御答弁いただいているわけでございますが、最後にもう一度大臣の方から、我が国の原子力利用の安全確保について基本的なお考え方を伺って、質問をやめたいと思います。
#25
○河野国務大臣 今塚原先生からお話がございましたように、原子力の開発利用につきましてはかなりの年限がたった。原子力発電を始めてから二十年、あるいは原子力の開発に携わってから三十年、相当な年限がたったということで、関係者、担当者はかなりの自信を持ってきたということがあると思うのです。そこで、そうした自信、蓄積された知見、そういうものをもとにして、これからは少し経済性も考えていかなきゃならぬ、こうお考えになることも無理からぬことではあろうかと思いますけれども、しかし何よりも原子力の開発利用に当たっては、安全を第一として考えなければならぬというふうに考えております。これから先も原子力の開発利用につきましては平和に徹する、それから安全第一に徹する、こういう大きな柱を立てましてしっかりと行政指導もしていきたいし、また、関係する各位がそうしたことを踏まえて鋭意努力をしていただきたい、こう考えておる次第でございます。
#26
○塚原委員 終わります。
#27
○大久保委員長 関晴正君。
#28
○関委員 まず第一に、我が党から本日の委員会の開催を要求しましたところ、委員長は快くこれを受けていただき、また外遊中の大臣もはせ参じて、きょうの委員会に間に合わせていただいたことを心からお礼を申し上げたいと思います。
 私は今度の事件について、これほど残念なことがあるだろうかと思うばかりであります。時間の関係上、外務省の方に先に問うておかなければならないということになりましたので、外務大臣にぜひと思ったのですが、大臣所用のために代理の方がおいでになった、こういうわけですから、まずそこにお尋ねをいたしたいと思います。
 私どもの日本とソビエトとは隣国の間にあるだけに、何としてもこの国柄は仲よくしていかなければならない、それが第一にあると思うのです。それだけに、今度の事件については赤裸々にすべてが公表されなければならない、すべきものだ、こう思うのです。仲よく進めていくためにも外交上それが必要じゃないだろうか、こう思っております。そういう意味において、我が国の今日までとられてきたソ連に対する態度というものは、友好の姿勢よりも敵視の姿勢が非常に強かったのではないだろうか。それだけに、今にわかにこの問題に入るとしても、一つの困難があるのかとも思われます。でも、どうあっても、ソ連の今次の不祥事と申しましょうか、この原発の事故が予想を超えるものであったということだけは認めているわけなんです。そうして北欧の国々から責められてこうしたことがわかってきて、やっと国際原子力機関の方にも届け出る、こういうようなことを見ますと、本当に残念であるわけです。
 そういう点から、我が国の外交上も、特に外務大臣はこうした資料の公開、そういうようなものに積極的にぶつかって当たる、そのことが今求められている、こう思うのですが、そういう点についての一つのお考えをいただければと思います。
#29
○松田政府委員 御説明申し上げます。
 今般のソ連の原発事故に際しましては、これが重大な問題であるという認識はすべて私どもも共通して持っております。と同時に、ソ連がタイムリーな、かつ十分な情報の提供をしていないこともまことに遺憾に存じております。
 外務省のとりました措置といたしましては、四月三十日、総理大臣自身及び外務大臣自身から、アブラシモフ在京ソ連大使に対して数点の申し入れをしております。その内容は、第一に、ともあれ事故が発生し、犠牲者が出たことには哀悼の意を表す。第二点、安全について問題が生じ事故が発生したことを残念に思う。ところがいまだ十分な情報が提供されていないことは遺憾であって、これは早急に世界に向かって公表することを求める。また同時に、所要の防護措置を適切に迅速にとられることを期待する。さらには、キエフ地区を含め邦人の滞在者、旅行者がいるので、安全確保に十分な協力を願いたい。以上の趣旨のことを東京で申し入れると同時に、翌五月一日、モスクワにおきましては鹿取大使から外務省極東第二部長あてに同様の申し入れをいたしました。
#30
○関委員 この問題については引き続きまた外務委員会、それらの機関においても質問していかなければならないものがあるかと思いますが、どうしてもやむを得ない時間の関係上、外務省の方はこの程度で終わります。
 次に科学技術庁長官にお尋ねをしたいと思うのですが、どんなに安全だと思ってもスペースシャトルにおけるチャレンジャー号の事件あるいはまた日航のジャンボ機の事件、こういうことを見ますときに、我が国の科学、特に核政策については、先進国であるはずのソビエトにおいてこうした事態が発生した、こういうことを見ますと、本当に安全第一ということを私は忘れてはならない、こう思うのです。そういう意味からいきますと、何か今ソ連に起きたのはソ連の技術が低いからだとか、あるいはソ連におけるそういう防衛の内部体制がよくないからだとかいうことを言っておりますけれども、こうしたような事態が起きますと……(「どこにある、そんな資料が」と呼ぶ者あり皆ちょっと待ってください。どんなにかくまっても、格納施設がよくあったとしても、こうした事件というものはそれをも超えていってしまうほどのものであったのじゃないだろうか、こう思うわけです。
 それだけに、私どもの国の中において今日働いておる三十三基の原発、これらの原発においての点検もまた必要じゃないだろうか、こう思います。一年に一遍ずつ点検しているからいいだろう、こう言っておりますけれども、点検の姿を見ますときに、一年に一遍生言いながら九カ月稼働、三カ月点検という線がほとんど守られていないのが実態ではないだろうか。こういう点からいきますと、先ほど大臣の、経済性をも考慮する余り安全性を忘れるようなことがあってはならない、あの言葉は私は重い言葉だ、こう思うのです。そういう意味において、とにかく安全第一に突き進む、そして今のような点検の状態も再点検する必要があるのじゃないだろうか、こう思いますので、この点からもひとつお答えをいただければと思います。
#31
○逢坂政府委員 最初に、点検の御質問の件につきましてお答えいたします。
 定期検査につきましては、電気事業法に基づきまして、運転開始後の安全を確保するために、年に一回の割合で三ないし四カ月にわたりまして入念に実施しているところであります。先生のおっしゃるような点検の手を抜いたとか、そういうような事実はございません。
#32
○河野国務大臣 私どもは、ソ連がやっております黒鉛減速軽水冷却型炉がいいとか悪いとかいう議論をしているつもりは全くございません。そうではなくて、事故が起きた以上は何か問題があったのではないかということは、これは関係者としては当然考えるべきものであって、事故というものは何かやはりその原因があるはずだ、その原因を究明する必要がある。その原因究明には、当事者が速やかにどういう状況であったかということを公表することが、原因究明が一日も早くできるもとだというふうに考えておるわけでございます。私どもはもちろん安全の上に安全をと考えて措置をとっておりますけれども、事故が起こるとすればそこに何らかの原因があったのではないか、その原因は一日も早く明確にして、そういうものが普遍的なものであるなら、それをみんなでカバーするという必要があるというふうに考えておるわけでございます。
#33
○関委員 防護措置がとにかく欠けておったからそういうようなことになったのではないかという論も出ているわけです。しかしながら、今のような事故というものは、そういうものがあったからといって防ぎ得たものであろうかどうか。とにかく炉心の溶融なんということにでもなるならば、どんなに防護措置がうまかったとしても防ぐことのできないものではないのか。そういう点について、メルトダウンの方向と見ているのか、そこまで行っていないと見ているのか、この点についての見方。そうして、我が国においてはそういうことは起こり得ないと見ているのだろうが、起こった場合にはどういう措置をするようになっておるものか、伺っておきたいと思います。
#34
○逢坂政府委員 我が国の場合の安全確保の考え方につきまして御質問だと思いますので、その件につきましてお答えしたいと思います。
 我が国の原子力発電所の安全についての基本的な考え方は、機器の故障あるいは損傷などが起こりました場合に、そういうような異常は極力抑えるようにというふうに基本的に考えております。そしてそういうものが万が一事故に発展した場合にも、その拡大を防止しまして、周辺住民の方々に放射線障害を及ぼさないというのが基本的な考え方でございまして、この考え方は多重防護という一つの言葉で言っております。
 これにつきましては、時間がございましたら詳細御説明したいと思いますが、要は異常をとにかく発見して、早期に対策を立てるということがまず第一番やらなければいけないことであります。そのために、安全上余裕のある設計をするというような問題でありますとか、あるいは高性能、高品質の材料などを使うということ、あるいは運転員の誤操作を防止する設計、あるいは機器システムについて故障があった場合に安全が確保されるような種々の設計をする、こういうふうにしております。
 それから第二番目の対策といたしましては、そういうふうにやりましてもあるいは機器は故障するかもしれない。そうしますと、その発展を防止するにはどうしたらいいかということを次の段階で考えます。それで第二番目の考え方は、いろいろな対策がございますが、まず機器の異常が発見できなければいけない。常に監視しながら、その異常の状態をとにかく発見するといういろいろな装置をつけております。そしてまた原子炉を緊急に停止する装置は、多重というか、一系統ではなくて一系統にするとかいうふうに多系統にしながら、いろいろな多数種のものを持っております。
 そのようなことで、今までこういうことで対処できなかった事故というのは日本ではございません。ただしかし、そういうことだけでは心配ではないか、こういうようなことになると思いますので、そのための対策として、先ほどあるいはお話が出たと思いますが、ECCS系統とか格納容器とかいうのを設けておりまして、停止して、しかしパイプ破断をしておるというような場合を想定いたしまして、これもやはり考え方としては、緊急の水の注入装置はいろいろな種類の、多数種のものを多重に設けている、こういうことでございます。したがいまして、とにかく今の水炉ですと緊急に水をおさめるということになります。しかしその過程で燃料が壊れるかもしれない、壊れてそこから気体の放射性物質が出るかもしれないということを考えまして、格納容器を設けてあるわけであります。ですから、このようなことで十分対策をしていると私どもは考えております。ソビエトの問題は、その辺のことで考え方が違うと今私どもは見ておるわけでございます。日本の原子力発電所の対策は万全にとっておるつもりでございます。
#35
○関委員 ちょっと私の聞いているのに絞って答えてくれませんか。
 炉心の溶融というものが今度の発電所においての事故としてあったと見ておられるのかどうかということです。そして、むしろ我が国の場合にはそういうことがあった場合にはどうなっているのかということです。ですから、幾重にも防護措置を講じている、あるいは格納容器がある、こう言っても、炉心の溶融なんという事態に至ったならば、どんなものだって突き抜けて爆発しちゃって、どうにもならない事態が惹起するのじゃないだろうか。まして炉心の溶融なんということになると手も足もつけられないことになるのじゃないだろうか、こう思うのですが、それが発生した場合でも防護措置や何かが働く、こういう御説明ですか。
#36
○辻政府委員 ソ連の今回の事故につきましては、先ほど申し上げましたような状況でございまして、まだ中身がはっきりわかってないわけでございまして、炉心溶融があったかどうかという点も、私どもはまだわからないとしか申し上げようがないわけでございます。放射能が周辺諸国で相当検出されておるようでございますから、そういう点から考えれば、炉心に対するダメージといいますか、炉心の損傷はあったと思いますけれども、これがメルトダウンになったかどうかという点につきましては、私どもただいまの段階では何とも申し上げられないということでございます。
#37
○関委員 その点、私どもの国内の施設においてそういうようなことが起こった場合、これは予想を超える事故になるのですが、起こった場合にはどうなるのです。
#38
○逢坂政府委員 先ほどるる申し上げましたとおり、原子力の安全の対策というのは放射性物質を放出させないということでありまして、それで先ほどからるる御説明したように安全対策を何重にもとりまして、防護対策をとっているということを申し上げているわけでございます。ですから、私どもはそういう放出をさせないということで考えておるわけでございます。
#39
○関委員 考えはわかりました。しかし、予想を超える事故というのは、だれも事故を起こそうと思わない、考えもしないのに事故というのは起こる。それだけに、万が一今のようにメルトダウンのような場合には一体どうなるのだろうか。これについては答えられないのですね。これほど恐ろしい事故でもあるだけに、また難しい問題もあるだろうと思うのですが、これ以上この話を進めてもいけません。しかし、国民に安心させるためには、そういうようなことがないというだけではだめだと思う。あったとしても、それに対する対応措置というものほかくあるのだということがなければならないと思うのですが、その防護対策や防護策というものは今日なお確立されておらないものだ、そこにまた問題があるのじゃないだろうか、私はこう思います。
 時間がありませんので、私、次に入ります。
 次の質問は、実は今の事故に限らず、相当前、二十五、六年も前だと言われておるのですが、放射性廃棄物の爆発事故がウラルの山の地域において発生した。こういうようなことについても実は私どもほとんど知らなかっただけに、今度の事故からこの問題も出てきているのですが、これについての事故の実態について科技庁で把握しているものがありましたら、ひとつお答えいただきたいと思います。
#40
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 先生の御指摘は、一部の新聞にも報道されている、ソ連の科学者で英国に追放されたジョレス・A・メドベージェフ氏が一九七六年の十一月に英国の科学誌「ニュー・サイエンティスト」に発表されました件ではないかと存ずるわけでございます。その後一九七九年に、同氏は「ウラルの核惨事」と題する著書に取りまとめておられます。
 その話によりますれば、一九五七年秋ごろか一九五八年初めに南ウラル地域において軍事用原子炉から発生した廃棄物を地中に貯蔵していたところ突然爆発を起こし、放射性物質が地上に噴出されたというような内容になっております。しかしながら、この事故につきましては、この筆者自身客観的なデータ等に基づく、あるいは直接現地をごらんになったということではございませんで、ソ連在住のときに間接に聞いた話に基づいて、あるいはそのほかの各種の論文からその存在を推定したということでございます。このようなことで、同誌のこういった発表に基づきまして欧米の新聞等でも事故があったのではないかというような報道がなされたということは事実でございますが、いずれにいたしましてもこれはまさに推定でございまして、客観的な事実からそういったものがあるということを確認するような内容のものではございませんし、何分にも我々が情報の非常に得にくいお国の中のことでございまして、私どももこれを確認する資料は持ち合わせておりません。
#41
○関委員 先ほど我が国の原子炉運転の問題で通産省の方からのお答えがあったのですが、途中で話を変えたものですから、続いてこれに入りたいと思います。
 私は、我が国の原子炉の運転稼働が今日七〇%を超え七五%に至ったといって非常に誇っているのですが、この原子炉の点検活動というものが年に一遍だと言っていながら、年に一遍じゃなくて、一年過ぎた後に三カ月間ということになりますと十五カ月で一遍の点検、こういうことになっているのじゃないだろうか。そうしますと年一遍ということの取り決め、その方針というのがすっかり破れているのじゃないだろうか。この点についてはどう考えます。
#42
○逢坂政府委員 先生の御指摘は、法令上一年に一遍ということについて、運転を一年やって三カ月点検するか、一年の間に点検して九カ月運転するかという違いをおっしゃっているのかと思います。法令上の解釈としては、それは一年間運転して三カ月ないし必要な点検日数がかかる、そういう運転をしても別に違法ではございません。
#43
○関委員 それは大変な違いじゃないですか。今までは私どもの常識では、年に一遍検査するんだ。そうして検査の状態を見に参りますときにも、いろいろとお話を受けてきているわけです。九カ月運転で三カ月、年に一遍だ。それが私どもの認識の年に一遍なんですが、あなた方の方では十二カ月後の三カ月点検というのが年に一遍だという認識ですか。
#44
○逢坂政府委員 何のために定期検査をするかということを考えていただきたいのでございます。これは、これから後の運転をしっかりやれるかどうかということのために定期検査という制度を設けているわけでございます。それは一年だから壊れるとかあるいはもっともつかもしれない、いろいろ議論がございます。ですけれども、今の制度では一年を見ていますので、当然私どもの解釈の方が正しいと思っております。
#45
○関委員 解釈の話じゃなくて、いつからそうなりました。我々の聞いているところでは九カ月の稼働、三カ月の点検。それが十二カ月の稼働、三カ月の点検、あるいは十五カ月の稼働、三カ月の点検、そういうふうに伸縮自在に変わってきているのですか。
#46
○神田説明員 定期点検につきましては電気事業法四十七条に定められておりまして、その省令五十六条にこのように定められております。一年を経過した日の前後一カ月を超えない時期に次の定期検査に入らなければいけないというふうに定められております。
#47
○関委員 私の聞いているのは、いつからそう変わって指導してきたのか、あるいは監督してきたのか。当初は九カ月と三カ月であったのじゃなかったのですか。こういうことは一度もなかったのですか。初めからそうだったのですか。
#48
○逢坂政府委員 法律の定める範囲内においていつ入るかとか、どれぐらい期間をかけるかというのは、それは事業者の判断でございまして、私どもがこうしろとかと言う性質のものではございません。
#49
○関委員 ここで聞いているのは、点検の執行率がどの程度になっているのかが知りたいわけなんですよ。私は、九カ月、三カ月で来たものが正常な年一遍の定期検査だ、こう思っているわけです。それがいつの間にか十二カ月を経た後三カ月の点検だ、またもっと経過した後の点検だ、こういうような状態に今なっているでしょう。ですから、そういうふうになったのはいつからなっていったのか、最初の姿勢がいつから崩れていったのか、初めからそう思っているのは間違いであった、こういうことなんですか。どうなんですか。
#50
○逢坂政府委員 定期検査のやり方、必然的に期間にも関係してくるわけでございますが、やり方につきましては、運転経験に照らして事業者が判断して、法令の範囲内でやるということですから、これまでの経験が積み重なって合理化されてきているという事実はございます。
#51
○関委員 何にも答えになってない、この人の答え。具体的に聞きますよ。九カ月稼働、三カ月というのはなかったのですか、あったのですか。どうです。
#52
○神田説明員 昭和五十三年に定期検査を定める法四十七条の解釈をこのように変えております。検査を受けなければならないということの解釈は、定検終了後一年を経過した日の前後一カ月を超えない時期に次の定期検査を開始しなければならないというふうに解することにするというふうな解釈にしたわけでございます。
#53
○関委員 法の建前のものを省令でまたそういうふうに変えて、しかも考え方や移り方はわかったのですが、実際のことを聞いているのです。我々は九カ月稼働、三カ月点検を常識だと思っているんだが、この常識はもうないのですか。そうして十二カ月稼働、三カ月点検、こうなったのですか。それとも十五カ月稼働、三カ月点検と変わりつつあるのですか。この三つに答えてください。
#54
○逢坂政府委員 御質問、たびたびあれで大変恐縮でございますが、日数につきましては、日数だけを見てもその辺の先生のおっしゃるような形には出てこない。と申しますのは、五十二、三年ごろの稼働率の低い時期というのは定期検査が非常に長くかかっておる時期でございますので、おっしゃるような統計からだけでは出てきておりません。
 それで、解釈が変わったかどうかという御質問でございますが、これは法律に決められている範囲で事業者が自主的にいろいろ希望を出してくるわけでございまして、おっしゃるような意図的にどうしたというふうな話ではないように私は思っております。
#55
○関委員 この問題を何にもお答えになっておりません。
 時間もありませんので次の方に譲るしかありませんけれども、この際大臣にお尋ねしておきたいことは、非常に安易なんです、今お聞きのとおり。私どもは九カ月稼働、三カ月点検だ、それが一年に一遍の検査だ、こう思っているのです。実際は一年以上稼働してそして検査だということになると、これは一年以内の年に一遍の検査ということにならない。それを経済性優位で解釈して、そうしておやりになっているのじゃないだろうか、こう思うのです。まさに法律にあるものを省令で拡大し過ぎて事を進めている状態が今日ある、私はこう見るわけです。
 それだけに、今発生しておる重大な事故と言うなれば点検活動、もう我が国のものは他国のものにすぐれてそういう事故は絶対ないんだ、こう言っても事故は常にそばにあるわけなんです。常に事故は目前にあるし、周囲にある。そういう意味では、油断があってはならない。本当に針の穴ほどのピンホールから我々担当しておるところの原子炉にかかわる機器はみんな影響を受けて、とまったり事故を起こしたり迷惑をかけてきているわけです。ましてや今のように年に一遍点検だと言っていながら、また渡辺通産大臣も年に一遍やっているので安心されたい、こう言っているけれども、この年に一遍が今申し上げたようなことできちんと統一されていない。それはキロワットの大きさあるいは規模によっても違っているかもしれませんよ。でも、技術関係やそういうものは年に一遍ということは変わるものではない、こう思うわけです。そういう意味で私どもは、この重大な事故にかんがみて、今我が国において運転している原子力発電所はこの際早急に再点検という方向をとらせるべきじゃないだろうか、こう思いますので、これについてのお答えをいただいて終わりたいと思います。
#56
○河野国務大臣 まず最初に申し上げたいと思いますが、通産省がいろいろ指導をするに当たって法の枠組みを省令で拡大しているんじゃないかという意味の御質問と伺いましたけれども、私は先ほど来の答弁を聞いておりまして、法の枠の中において省令で考え方をはっきりさせているというふうに聞きました。しかしそれにいたしましても、私は省令で定めたとおり確実に行うということが絶対に必要だということを、原子力行政に携わる人間として一番感じた次第でございます。このことは、私から通産省の方にも申し上げたいと思っております。
 それから先生御指摘の、ソ連の事故にかんがみて再点検をしたらどうだ、こういう御指摘でございますが、私どもはソ連の事故があるなしにかかわらず、日本の原子力発電というものは常に点検をしていなければいけない、常に安全を確認していなければならぬ、そういう精神でやってきたというふうに自負いたしておりますので、この事故が起きたから慌ててまた再点検をするということは考えておりません。従来どおり確実にマニュアルに従って点検をしていく、心して点検をするということでよかろう、こう考えておる次第でございます。
#57
○関委員 終わります。
#58
○大久保委員長 小澤克介君。
#59
○小澤(克)委員 ソビエトのチェルノブイル原子力発電所の事故に関連いたしまして、若干お尋ねいたしたいと思います。
 いろいろなことが報道されておりまして、しかしソビエト当局からの公式発表が極めて簡単であるという状況下で、国民の一番知りたいことがわからないという、極めて遺憾な状況にあるわけでございます。それで、先ほど科学技術庁長官から取りまとめて御報告ございましたが、若干疑問点を、まず事実関係をお尋ねしたいと思います。
 先ほど既に他の委員の質問で出ましたが、今回メルトダウンがあったのかないのかということでございます。報道によりますと、千キロ以上離れたスウェーデンなどで核分裂生成物であるセシウム137などが検出されているということから見れば、かなり重大な炉心の燃料棒の損傷があったと見るべきである。そうすればメルトダウンがあった蓋然性が非常に高い。報道によってはほぼ確定的である。また、アメリカの調査機関などでもほぼそのような判断をしているようでございますが、この点についてまず科技庁としてはどういう御見解でしょうか。
#60
○辻政府委員 メルトダウンがあったかどうかということはなかなか難しゅうございます。先生おっしゃいましたように、セシウムが検出された等の情報が正しいとすれば、炉心損傷があったということは容易に想像できることでございます。その点は私も否定はいたしませんが、先ほども関先生に御答弁申し上げましたように、これが単なる炉心損傷にとどまっているのか、あるいはいわゆるメルトダウンが生じたのかということについては、今の段階では何とも申し上げられません。
 ちなみにTMIの原子炉のことにつきましても、相当大きな炉心損傷がございまして、ただいまアメリカを中心といたしまして国際協力で事故の解明といいますか、そういう共同研究が進められているわけでございますけれども、現在のところでは、炉心の中は相当壊れていると思うのですが、炉心溶融があったかどうかの判断はまだこれからの調査にまたなければならないというような状況でございまして、その辺の判断をするには相当時日を要するのじゃないかなというふうに考えております。
#61
○小澤(克)委員 スリーマイル島については、私ども聞いているところでは、燃料棒の七割から八割以上が重大な損傷を受けていて、むしろメルトダウンがあった、もしくは多数の燃料棒についてメルトダウン寸前であったというように聞いておりますが、その点はさておきまして、先ほども指摘しましたように千キロ離れた地域で核分裂生成物質の検出があったということから、かなり重大な燃料棒の損失というのでしょうか、そして核分裂生成物が被覆を破って外へ出だということが考えられるわけでございます。
 そこで、この事故を起こした原発は我が国の主流となっております軽水炉とは型が違うということが指摘されているわけですが、この違う点ですね。少なくとも冷却材として軽水を用いているということにおいては共通だろうと思いますが、どのような点が違うのか、そして、それがまた原子炉の特性としてどのような違いにあらわれているのか、お尋ねしたいと思います。
#62
○辻政府委員 私どもこのタイプの原子炉を持っておりませんので、先生後段御指摘の特性の点について、今の段階でつまびらかに申し上げるほど材料は持っておらないわけでございますが、このチェルノブイル原発の特徴は、御指摘のように炉心部に減速材でございます黒鉛ブロックを積み上げまして、その中を多数の燃料チャンネルが上下方向に貫通しており、冷却材である軽水が循環いたしまして、チャンネル内で沸騰して蒸気ドラムに至るというような構造でございます。燃料につきましては、濃縮度が約二%の二酸化ウランが用いられております。我が国の軽水炉の場合にはこういう型ではございませんで、原子炉圧力容器の中に軽水がいっぱい詰まっている、その中に燃料棒が浸っておるという型のものでございまして、これが一つの大きな違いでございますし、燃料につきましても、燃料の濃縮度は我が国の軽水炉の場合には平均三%程度の濃縮度のものであるということでございまして、その点が大きな違いであろうかと思います。
 このほかいろいろな設計上の特色がございます。例えば減速材の雰囲気でございますけれども、減速材の雰囲気につきましてはソ連の炉ではヘリウム、窒素の混合ガスである。これに対しまして軽水炉の場合は水であれしているということでございますし、燃料被覆管につきましては、私どもの調べではソ連炉がジルコニウムの合金被覆を用いているということでございますが、この点につきましては軽水炉と同様でございます。
 それから燃料の燃焼度につきましては、ソ連の炉は二万メガワットデー・パー・トン程度、軽水炉の場合には三万程度ということのようでございます。この辺の数字は、私ども向こう側のパンフレット程度の資料でございますし、あるいはそのほかにソ連の雑誌等からの抜粋でございますので、数字的には少し違ったものになっておるかもしれません。
 またもう一つは、ソ連炉で運転中の燃料の交換ということでございますが、このソ連炉は運転中に燃料交換ができるという設計になっておりますが、軽水炉の場合には原子炉をとめて燃料交換をやるといったようなことが構造的な特徴の相違であろうというふうに思っております。
#63
○小澤(克)委員 今般の事故との関係で、一つは格納容器があったのかなかったのかということが言われておりますが、もう一つ、圧力容器がない型式である、そこが我が国のと違うというような指摘があります。しかし、これは先ほどいただいたこの参考の三からも明らかなように、燃料棒一本一本ずつがパイプに入っていて、一つ一つが小さな圧力容器であるという構造から、全体が圧力容器に囲まれていないから危険性の度合いが違うということは、議論としては余り意味がない議論ではなかろうかと思うのでございます。
 私の聞いておるところでは、燃料棒一本ずつが減速材の通る、水の通るパイプに囲まれているという構造から、いわば一つ一つが独立性が高い。したがって、今御説明あったように、運転しながら部分的に燃料棒の取りかえ等ができるという、どちらかというとかなりフレキシブルな炉ではないかと思うわけです。そういたしますと、この炉がどうかということはなかなか資料が少ないでしょうけれども、もう少し一般論として、いわゆるチャンネル型の炉の場合には一挙に冷却材が失われることはむしろ少ないタイプではないかと言われておりまして、安全性という面ではいわば一長一短であって、どちらがどうということは言いがたいと聞いておりますが、その点の御認識はいかがでしょうか。
#64
○辻政府委員 私も先生の御意見とほぼ同意見でございます。炉の設計によりましてメリット、デメリットあろうかと思います。
 御指摘のように、チャンネルが多いということからそれぞれのチャンネルが独立している。仮に事故が起こっても、それが局部に限定されるということは安全上プラスであるという言い方もできるわけでございますが、一方においては、逆にその損傷の確率からすればその分だけ高くなるという面もございまして、これは一概にどちらがいいとか悪いとかという話ではないと私は思います。
 ただ、今までソ連の公開資料によりまして言われている点、このタイプの利点として挙げられておりますのが五点ほどございます。製作が容易である。大きな圧力容器が要らない。この大きな圧力容器というのは製造工場も大きなものが要るわけでございますが、既存のプラントの技術で製造することができる。したがって容易に大出力化が図れる、こういったようなメリットがあると言われております。もう一つは、事故箇所の局在化といいますか、ただいま先生の御指摘のような点でございます。もう一つは、やはり御指摘にございました運転中の燃料交換ができるということで、燃料の効率的使用といいますか、そういった面についてもいい。そういったようなメリットがあると言っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、どちらがいいという性質のものではなかろうと思っております。
#65
○小澤(克)委員 ソビエトには加圧水型のものもあって、ほぼ半々ずつつくっておると聞いております。したがって、あたかもこの炉型がいわばおくれたタイプのものとは言えない。一長一短あるからこそ二つのものを並行してつくっているのだろうと思うわけです。
 そこで、先ほど既に出ましたけれども、今回事故を起こしたものは四号炉だと聞いております。先ほどいただいた資料にも「四号機で発生した模様。」と書かれておりますが、この四号機は運開が八四年の三月ということで、極めて新しいわけですね。そうしますと、格納容器は本当になかったのでしょうか、あったのでしょうか。その辺は確認できないのでしょうか。
#66
○辻政府委員 これまたはっきり申し上げられないというのが実情でございます。ただ、きょうお配りしましたのもソ連側の当該発電所のパンフレットからの抜粋でございますけれども、資料を見てみますと、通常我々の考えているような格好の格納容器というものはその絵では見当たらないということは言えるのじゃないかと思います。ただ、どういうぐあいに格納容器の設計をやっているかということについては解説がありませんので、今ここでないということは申し上げられないわけです。
#67
○小澤(克)委員 これは確認できないということですが、緊急炉心冷却装置があったのかなかったのかということは、これまたいろいろ報道で問題とされております。私の聞いたところでは、ソビエトではこれをECSと言っているようですが、これが二系列のものがあったというようなことも聞いておりますが、この辺についてはいかがでしょうか。
#68
○辻政府委員 これも個別具体的にこの四号炉にECCSがあったかどうか、申し上げられないわけです。
 私どもいろいろな雑誌その他の情報からのことを申し上げますと、一九八一年の「ニュークリアエネルギー」の十月号にソ連の科学アカデミー会員のドールザール氏がペーパーを書いておりますが、これによりますと、当該型式の原子炉には一般に緊急時冷却システムが設けられることになっているというふうに書いてございます。また、一九七七年のソ連詩「アトムナヤェナジャ」十二月号、著者はエメルヤノワ氏ということでございますが、これもソ連のエネルギー関係の雑誌ですが、この当該型式の原子炉は九十センチ口径のヘッダーの破断を考慮いたしましてECCSが設計されるというような記述があるようでございますが、安全解析上の手法、仮定、解析条件、解析結果等の詳細は書いてございません。また、論文の中に、一方でECCS系の構成はこういう炉型の場合は単組で済むということが書いてあるわけでございます。
 このような断片的な情報からの判断でございますが、チェルノブイル発電所にも恐らくECCSはあったものじゃないかというふうに想像されるわけでございますが、仮にあったといたしましても詳細は不明でございますし、さらに今回の事故で実際にECCSが作動したかどうかという点につきましてもわからないという状況でございます。
#69
○小澤(克)委員 私が聞いているところでも、この冷却水とは別に給水装置の写真などがソビエト関係の資料に出ているというようなことがありますので、これは恐らくECCS、ソビエトで言うECSであろうと思うわけですけれども、そうしますと、そういうものがあった蓋然性の方が非常に高いだろう、しかも極めて新しいものですから。それにもかかわらず今回炉心部の重大な損傷が起こったというのは、これまたECCSがあるから大丈夫なのだということには必ずしもならない一つの要因ではなかろうかと思うわけでございます。
 この点はまだ確認できませんので、また後日お尋ねすることにいたしまして、もう一つは火災が発生したのではないか、黒鉛を使っているためにこれが発火点に達して燃えたのじゃないかというようなことが報道されておりますが、これについてはどのように認識をしておられますでしょうか。きょういただいた資料によりますと、ソビエト当局としては火災の発生は三十日の声明で否定したということでございますが、他方で同じ四月三十日の夜にペトロシャンツ国家原子力委員長がイギリスの駐ソ大使をソビエト外務省に招いて、チェルノブイル原発火災は鎮火したというふうに報告したということが報道されております。そうしますと、これは火災があったことを前提とすることになりますが、その点はいかがなんでしょうか。
#70
○辻政府委員 情報は種々雑多でございまして、あると思えばまたなかったというようなことで、まことに申しわけありませんが、その点、画然とした判断は今ここで申し上げるわけにはまいりません。ただ、昨日ですか、ランドサットからの衛星の写真がありましたね、あれは炉の上に何か黒い雲がかかっているというようなことがございましたので、私個人的にはやはり燃えたのかなという気もしないでもないのですけれども、一方で否定する発表があるとすれば、そこのところもよくわからない。現に途中の段階で、アメリカも二号炉が事故があったのじゃないか、しかし後に煙を見間違ってどうもそれは二号炉の事故による煙ではないというふうなことで、その二号炉の事故説を後で否定したりなんかしていますから、しょせん群盲象をなでるというような状況で、確たることは申し上げられないと思います。
#71
○小澤(克)委員 一般論として、この黒鉛減速タイプのものが冷却材喪失等でメルトダウン等を起こした場合、メルトダウンに至らなくても、燃料棒がかなりの高熱になった場合に、黒鉛が発火するということは理屈としてはあり得るわけでしょうか。
#72
○辻政府委員 黒鉛そのものは炭素でございますので、これは熱が非常に高温になれば燃える可能性はございます。
#73
○小澤(克)委員 その点が我が国の軽水炉と違う点であるというようなことも指摘されているのですけれども、炭素だから燃えやすいというのは、ちょっと素人にはそういうふうに思われがちなんですが、実はそうでもないのですね。例えばダイヤモンドなんか、燃やそうと思ってもなかなか燃えるものじゃありません。黒鉛も基本的には炭素の結晶ですから、ダイヤモンドと原子の配列が違うだけのことで、したがって私の知識では三千度くらいにならないとなかなか燃えないというようなことも聞いているのですが、どうなんでしょうか。黒鉛を減速材として使っているから火災が発生しやすいというような、我が国の主流の軽水炉との対比においてお尋ねしているのですが、そういう事情というのはあるのでしょうか。
#74
○辻政府委員 これまた一概に言えないと思います。これまでの原研の研究等で、黒鉛の酸化反応が七百度前後で起きるというようなことのデータも出ているようでございます。酸素の供給ということが一つ必要だろうと思いますので、その辺との関係が実際に事故との関連においてどんなぐあいになったのか、温度条件それから酸素の供給状況、そういうものがどういうぐあいになったかというのは、その関係がいろいろ変わってくると思いますので、一概には申し上げられないと思います。
#75
○小澤(克)委員 それからもう一つは、ソビエト当局の発表した、これはテレビに出たそうですが、写真等を見ますと、建屋がかなり重大な損傷を受けているということからすれば、何らか爆発があったと見るべきではないか。専門家の間では水素爆発もしくは水蒸気爆発のあった蓋然性が非常に高いというふうに言われておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
#76
○辻政府委員 可能性としてはそういうこともあり得るかと思いますけれども、何分申しわけないのですが、断定できる話ではございません。
#77
○小澤(克)委員 何しろわからないので、聞く方も答える方も何とも大変つらいのですけれども、あの写真から見ると、素人が見てもかなりの気体の膨張というものがあって壊れたのだろうと思います。そうしますと、容易に想像できるのは、やはりメルトダウンもしくはそれに近い状況といいますか、いやむしろ減速材の喪失があって、そして燃料棒が高熱になって、そこへ、ECSが働いたのかどうか知りませんが、水寺が流れ込んで、そのために水蒸気爆発が起こった、もしくは高熱のために水が分解して水素が発生して爆発が起こった、これが筋書きとしては一番合理的なんじゃないかと思うのですが、そういう御認識はいかがでしょうか。
#78
○辻政府委員 やはりその先生の言われるシークェンスも、仮定の問題として否定できないことではないと思います。スリーマイルのときを見ましても、後でいろいろ聞いてみると、当初思ってもみなかったような運転操作その他も行われているわけでございますので、幾つかの選択肢があるのだろうと思います。
 その辺は、我々もこの型の炉についての知識が十分でございませんので、今の段階では何とも申し上げられません。今後調査も進めていきたいと思いますが、なかなかソ連の情報提供もいろいろ努力しても早急に出てくることもできないかと思いますけれども、これまで原研あるいは動燃等においていろいろな文献調査あるいは現地調査でのデータもあるようでございますし、これは一部原研の図書館におさまっているのもあれば、個人的なストックとして机の引き出しに入っているものもございますので、今度の調査委員会を開きましたのを機会にできるだけ情報の発掘に努めたい。入手できる限りできるだけ広範に資料を集めまして、いろいろな外側からの攻め方をやっていくということを考えております。また、あれだけの事故でございますので、アメリカその他からいろいろな情報も入ってくるかと思いますので、両方攻めながらやっていけば、時間は多少かかるかもしらぬけれども結論が必ずしも出ないものでもないというふうに思っておりますので、そういう方向で努力してまいりたいと思います。
#79
○小澤(克)委員 時間が残り少なくなりましたので、他の点を伺いたいと思います。
 今まで伺ったところでは、何しろもう一つよくわかっていないので何とも言いにくいのですけれども、しかし炉型が違うとはいっても、いわば一長一短である。しかも、冷却材である水が喪失することによって今回のような事故が発生したということも十分考えられる。しかもECCS、ソビエトで言うECSがつけられていたと見る方がむしろ合理的である。格納容器についてはあったのかないのかよくわかりませんが、仮にあっても、重大な爆発事故があれば、格納容器があってもパイプ等いっぱい外へ出ているものがあるわけですから、完全なものではございませんし、さらにメルトダウンがあれば、格納容器が幾らあったって床を突き抜けて地下水のところまで達してしまうということは、これも間違いないことでございますので、そう決定的な差があるとはどうしても考えられない。型が違うからということで一概に片づけるのは非科学的ではなかろうかとも思うわけでございます。
 そこで、きょうせっかく他の省庁にも来ていただいていますので、まず農水省の方、来ていただいていると思います。
 報道によりますと、今回の事故がウクライナの穀倉地帯であるということから、穀物に対する重大な汚染が心配されるというようなことから、シカゴあたりの穀物市場で大変な投機的な動きがあったりしているというようなことも聞いているわけですが、この点について、我が国は食糧自給率が非常に低いわけですけれども、影響等現時点でわかるところがございましたらお願いしたいと思います。
#80
○熊澤説明員 お答えいたします。
 先生御指摘がございましたように、キエフの南方ウクライナ地方というのは穀倉地帯でございまして、ソ連の穀物生産の中では約二割程度を占める地帯だと言われております。ただ私ども得ている情報では、どの程度被害があるのか、あるいはどのような被害があるかということについては正確に情報がございませんので、判断できない状況にございます。
 他方、先生御指摘のとおり、あるいは被害があってソ連が穀物を追加輸入するのではないかという推測もございまして、シカゴの相場が高騰していることも事実でございます。ただ、これも二十九日、三十日と高騰いたしましたけれども、一日には反落をしておるという情報も得ておりますので、いましばらく状況の推移を見守る必要があるかと思います。
 ただ、世界的に穀物の需給を考えてみますと、これはアメリカの農務省の推計でございますけれども、実はソ連はことしは豊作でありまして、昨年ソ連は穀物を五千五百万トン輸入したわけですが、恐らく今年度は三千四百万トンということで、二千万トンくらい減るということです。それから他方、世界的に供給が過剰でございますので、我が国の輸入にとっては不安はないというふうに考えております。
#81
○小澤(克)委員 どうもありがとうございました。
 それから、せっかく来ていただいているので、ちょっと時間がなくなりましたけれども、まず気象庁の方。先ほど既にありましたけれども、現在のところ我が国への放射性物質の降下、核分裂生成物質等の降下はないということでございますが、今後の見通し、時間がございませんので簡単にお願いいたします。
#82
○山中説明員 お答えいたします。
 昨日までに分析しました結果については平常どおりの値を示しておりまして、異常はございません。
 これからの見通しというと、大体気象庁で行うことといえば上空の気流の予測になるかと思いますけれども、現在のところキエフ地方のかなり北の方、きのうの九時現在でキエフ地方の千キロメーターくらいの北方をジェット気流が通っております。ジェット気流に乗るかどうか非常に難しいところでございますけれども、ジェット気流は少しずつ南下の傾向はありますが、今度は逆に日本方面でジェット気流が北方へそれる傾向にあります。そういうことで、地上付近の放射能汚染物質が上空に上がるというのが非常に難しい算定でございますけれども、そのようなことがございまして非常に判定が難しいところでございます。
#83
○小澤(克)委員 時間が来たので大変恐縮ですが、せっかく来ていただいた方に質問しないのも失礼かと思いますのでお願いしたいのですが、外務省の方、今回、先ほどからのお話をいろいろ伺っておりましても、事故の情報が全く発表されていないというようなことで、これは重大な問題だろうと思います。やはりこれはソビエト当局に対して正確な情報の提供、それからこういう重大な事故ですので調査団の受け入れくらいは、あるいは共同調査でも結構ですけれども、要求すべきじゃないかと私は思うのですが、この点についてどうかということ。
 それから、時間が来ましたのでもう一点、せっかく通産省さんに来ていただいているのですけれども、先ほどからのお話をいろいろ聞いておりますと、型が違うといっても本質的にそう違うものではない、むしろ一長一短ということでございますので、我が国の原発についての不安というものもあるのは当然でございます。むしろある方が自然だろうと思うわけです。この点について今後どういうふうに対処されるのか、あるいは既におとりになった措置があるのか。私どもとしてはこれはやはりとめるべきだというふうに思っておりますけれども、この点についての御見解を伺って質問を終わりたいと思います。
#84
○山田説明員 お答えいたします。
 現在の私どもの見通しては、現地調査をソ連政府に求めたところで、ソ連政府が受け入れるという素地が全くないというふうな見通しを持っております。環境的にも現在現地調査を行える環境にはないのではないかと思っておりまして、直接的には影響を受けました北欧諸国等も第一義的にはソ連政府の自発的な情報公開を求めるという形をとっておりまして、これは我が国政府も総理及び外務大臣から、自発的な情報を出してほしいという要請をしたところでございます。
#85
○神田説明員 通産省の対応でございますが、現在ソ連のチェルノブイル原子力発電所の事故については、本省といたしましても各省と協力しつつ情報の収集に最大限努めております。しかしながら、現段階においては原因等事故の内容についていまだよくわかっておりませんが、通産省としては電力会社に対しまして、安全確保の重要性を強く認識し、今後一層運転に注意を払うよう指示したところでございます。しかしながら、現在年に一回三カ月程度かけて入念な定期検査を行う等の入念な安全管理、確保がとられていると思っておりまして、現段階において我が国の原子力発電所を停止、再点検を行うことは考えておりません。
#86
○小澤(克)委員 終わります。時間をオーバーしたことをおわびいたします。
#87
○大久保委員長 矢追秀彦君。
#88
○矢追委員 最初に外務省にお伺いをいたしますが、先ほど来も議論が出ておりますように、なかなかソ連は情報を公開しない。ぽつりぽつりと死者が二人である、心配ない、あるいは鎮火をした、いろんな情報が少しずつしか出てきておりません。それに対して外務省として外交チャンネルを通じていろいろ努力をされている点は認めますが、あくまでもソ連の自主的な判断にまつ以外ないのか。ヨーロッパ諸国あるいはまた日本も含めて、極論いたしますと世界じゅうが心配しておるわけでございますから、これ以上何らかの強力な手段が講じられないものかどうか。例えば国連、もう一つはIAEAという機構があるわけですから、その点も含めまして、これからソ連にきちんとした原因と事故の実態を発表させるための、圧力と言ってはちょっと語弊がありますけれども、そういう手だてというものはどういうのが残されているか、またそれに対して政府はどうざれるのか、その点お伺いしたいと思います。
#89
○山田説明員 お答えいたします。
 現在、外務省としても在外公館を総動員いたしまして情報収集に努めているところでございますが、確信的な情報というのはやはりソ連政府の自発的な提供を待つ以外はないということで、国際的な世論を醸成していくということで関係各国と密接な連絡をとりながら、申し入れ等もかなり同時期に行う等、調整した動きを現在とりつつございます。
 今後の問題としましては、当然国際原子力機関、それからUNEPという国際環境問題を所轄しています国際機関等がございますので、これらの国際機関等も活用しながらできる限り正確な情報が集まるように、またソ連政府からもそういう情報の提供があるように、今後外交活動を強化してまいりたいと考えております。
#90
○矢追委員 それでは私はなまぬるいと思うのですよ。軍事関係であれば軍事機密ということである程度はやむを得ない面もあるかもわかりませんけれども、人命にかかわる大問題ですから、もっと拘束力のある、例えばソ連はIAEAにも入っているわけですね。もちろん国連にも入っているわけです。だから、もっとそういった機関にもう少し強力にソ連政府に働きかけさせる。ただ国際世論喚起を今やっていますと言いますけれども、これは二十五日に起きた事件でして、もうぼつぼつ一週間になるわけですよ。その間にも汚染は現実に広がっているわけです。しかも、これは御承知のように見えないわけですね。だから余計皆さん不安であって、日本だって来るかもわからぬ、こういうことになっておるわけですから、私はもっとこういった問題について強力な拘束力というものを発動できるようなことに、ちょっと急な質問で不勉強でございますけれども、今言われた機関としてどれだけの力があるのかどうか、その点はいかがですか。
#91
○河野国務大臣 矢追委員の御指摘のとおり、この事故は国際的に相当大きな重大な事件でもあるわけでございまして、きょうもなおそうした問題は広がりつつあるわけでございますから、早急に何らかの措置をとらなければいけないと思うのです。例えばもう数日後に東京では先進国の首脳が一堂に会される場もあるわけでございますから、こうした場でこの問題を論ぜられるという可能性は私はあると思いますから、そうした場で日本を代表される総理がどういう態度で臨まれるか、これらについては十分早急に検討をして、その対応ぶりについて固めなければならぬのではないか、こんなふうにも思うわけでございます。
 一方、IAEAの問題も調べてみますと、例えば事故の報告というのも規定にあるわけでございますが、それは四カ月以内に報告しろ、こういうことで、人命に絡む緊急事態の報告の制度、システムとしては甚だ不十分ではないかというふうにも思いまして、これらについても制度上の整備ということも当然考えられてしかるべきものではないかというふうにも思います。現段階では残念ながら当事者の正式な発表がないわけで、対応に非常に苦慮いたしておりますけれども、先ほども申し上げましたように、繰り返しますが、一日も早く当事者、当事国が全容をはっきりと公表をして、それに対して国境を越えて多くの人々がこの問題には取り組むという姿勢で当たらなければいけないのじゃないかと考えておる次第でございます。
#92
○矢追委員 長官もテレビもごらんになったと思いますが、先日来のモスクワにおける放送も、死者が二人である、心配はない、モスクワ市民のインタビューも、ほとんど知らない、知っていても大丈夫だと言っているから大丈夫だ、そんな状況でして、当事国の方がああいう情報の少ない、また情報が管理された国ですから、ああいう状況になるのはやむを得ないと思いますが、自由主義陣営では大変な大騒ぎをしているわけです。本当にいら立たしい気持ちに長官もなっておられると思うのです。
 今IAEAの制度が不備である、もちろんそういった点も変えていかなければなりません。事故が小さければ、その程度でまあこれはしようがないということは言えますけれども、これだけの大事故ですから相当しっかりしないと――しかも日本が一番問題なんですね、事故が起きれば。人口は多いし、そんなところに集中して三十二基もあるわけですから。そういう意味でもう少しイニシアチブをとっていただいて、サミットというのが幸いありますけれども、これはソ連は入ってないわけですね。私は、ソ連も参加している機関でもっと緊急に集会をやるなり議論をするなりしてやってもらいたいと思うのですが、その点はいかがですか。
#93
○山田説明員 今後、今の御指摘の点も踏まえて、国際機関の活用等につき早急に検討してまいりたいと思います。
#94
○矢追委員 今の国際機関は、さっき言われた二つだけですか。それ以外は何かございますか。
#95
○山田説明員 例えば、これ以外の機関として関係がございますと我々思っておりますのは、世界保健機構、WHO等でございますね、それと全体的に国連システムというのは活用できると私どもは思っております。しかしながら、第一義的にはやはりソ連が入っておりまして原子力活動を中核的に取り扱っております国際原子力機関を通ずる活動が一番効果的かつ実際的ではないかということで、今大臣の方から答弁がございましたように、各種の制度の整備等に向けて今後外交努力を継続してまいりたい、かように思っております。
#96
○矢追委員 重ねて長官に。こういう時期に長官をやられておるわけですから、特に私は日本が平和利用と自主、公開、そういった点のすばらしい原子力基本法を持っている国だけにしっかりやっていただきたい。重ねて決意をお伺いしておきます。
#97
○河野国務大臣 今回発生した事故の地理的な条件を考えますと、キエフ近辺ということで東欧、北欧の国々と非常に近い、非常に近いといっても千キロ以上の距離があるわけでございますが、しかしそれにしてもそういう地点であったということで、日本にとっての影響はないだろう、こう我々は判断しておるわけでございます。しかし、それはたまたまその地点であったからのことでございまして、世界じゅうかなり既に原子力発電所は散在しているわけでございますから、この事故を一つのきっかけとして、国境を越えたこうした事故に対する対応の方法については十分かつ真剣に取り組んでいかなければならないというふうに考えまして、これはただ単に受け身の形でいるのではなくて、日本の国としても対応を積極的にしてまいりたい、こう考えているところでございます。
#98
○矢追委員 次に、今回のソ連の事故はキエフの方で起こったわけですけれども、日本に比較的近いシベリア方面では同じ型のソ連の原子炉はどこにどれぐらいございますか。
#99
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 現在、一九八五年末でございますが、ソ連で運転している原子炉は四十三基ございまして、このうち三十九基は日本から大体六千キロメーター以上離れた、いわゆるソ連の西側の方にあるわけでございます。いわゆるヨーロッパロシア地域に設置されているわけでございます。残り四基は我が国から北東約四千キロメーターほど離れましたところの北シベリア地区、チコトカのビリビノ原子力発電所というのがございます。ここは四基でございますが、出力は非常に小そうございまして、一万二千キロワットの加圧水型の黒鉛減速軽水冷却炉でございます。加圧水型でございますので、今回の事故のものは沸騰水型ということでございまして、今回の事故のものとは必ずしも同じではございません。黒鉛減速軽水冷却という意味では同じでございますが、そういうものでございまして、集中暖房用の熱もあわせて供給しているというぐあいに承知をしておるところでございます。あと、北シベリア地区におきましては、建設中だとかあるいは計画中であるとかいうようなものについては、現在のところない模様でございます。
#100
○矢追委員 仮に今言われた四基が今回と同じような事故を起こしたといたしますと、日本への放射能の影響はあるのかないのか、あるとすればどれくらいのものか、おわかりになったらお答えください。
#101
○辻政府委員 具体的に検討したわけでございませんので、どの程度の影響があるかということは申し上げるわけにはまいりませんけれども、仮に大量の放射能の放出というようなことがございますれば、日本といたしましてもそれなりの対応はとらなければならないかなというふうに思っております。
#102
○矢追委員 次に、我が国の問題に入りますが、もちろんよその国で起こっても大変なことになりますが、国内で起こるとそれこそもっと大変でございます。一昨日出されました原子力安全局の4のところに、これはさっきからも議論が出ておりましたが、要するにソ連の型と日本の型が違っておる、違っているから大丈夫なんだ。あと二項目ございますけれども、特にもう一つはECCSの問題がありますが、要するに黒鉛減速軽水冷却型である、日本はそれをとっていないから大丈夫なんだ、これだけの言い方では国民は納得しないというか、まだ不安はぬぐいされないと私は思うのです。もう少し具体的に、どれがどう違ってどうなのか、だから日本の場合はより安全性は高いのだということをもうちょっとわかりやすく、これは表にでもして出していただかないと、玄人の人はわかりますけれども、いわゆる一般の国民は、型が違うのだ、ああそうかというわけにはいかないと思うのですね。だから、そういった点もう少し明確にできませんか。
#103
○辻政府委員 私ども、むしろ日本の原子炉の安全性の問題につきましては、ここに挙げました三点のうち二点、三点に重点を置いて申し上げているわけでございます。我が国の発電所につきましては、米国のTMI原子力発電所事故も含めまして、これまで諸般の内外の事故の経験を取り入れて安全審査その他を十分やってきている。審査指針の改善も行いまして、諸般の防護施設、安全対策についての万全の措置を講じておるところでございますし、これに引き続きます設計及び工事方法の認可あるいは使用前検査、さらには先ほども議論がございました定期検査、こういったような官側の安全規制に努力を払っているという点、それから運転面におきましても、先ほど来るる御説明いたしましたように、運転員の教育訓練あるいは事故条件に即したトレーニングの実施、そういったようなものを取り入れてやっている。こういう実態を踏まえまして、日本の原子炉の安全性について、ソ連で事故が起こったからやれ危ないというようなことで騒ぐ必要はないということを考えておるわけでございます。
 もちろんその背景といたしまして、やはり炉型が違うということは大きなファクターでもございます。しかしながらこの問題につきまして、炉型が違うために今回の事故解析の結果も軽水炉には必ずしも適用できない部分もあろうかと思いますが、中にこれらの事故追求が進んで軽水炉にも反映するような問題点というものが出てくれば、その際には十分安全規制に取り入れるというような考え方を持って今後の調査を進めていきたい、かように考えているところでございます。
    〔委員長退席、平沼委員長代理着席〕
#104
○矢追委員 私の質問にもうちょっと答えていただきたいのですよ。日本でもかつて新型炉を入れる場合に、ソ連の今使われておる炉については検討されて、しかしこれは経済性とか安全性でまずいからやめたという経緯はあったのですか、なかったのですか。
#105
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 我が国でも今の新型転換炉の開発ということをやっておりますが、そういった炉型の開発の段階でいろいろな炉型について調査はしたと思いますが、ソ連の黒鉛減速軽水冷却型、こういったものについて検討したということは私ちょっと承知しておりません。あるいは古いことでございますので正確には存じませんが、少なくともここ数年ないしそのくらいの期間では検討したことはございません。
#106
○矢追委員 辻局長の答弁だと、いろいろと言われた中の一つとして炉型が違うということを答弁されておるわけです。それならこれを(1)に持ってくる必要はないじゃないですか。読んだときに(1)が一番重要で大きな違いだととらざるを得ない。先ほど小澤委員の質問に対しても、そう違いはないというふうに、結局、私答弁の感触を間違っておるかもわかりませんが受け取るわけでして、それなら日本の原子炉が絶対、絶対というのはありませんが、かなり他の国よりも安全であるのはこういった点とこういった点であるから今まで大きな事故もそうなかったし、こういうような事故は万が一を除けば起こらないのだ、こういうことを言わないと国民は不安ですよ。型が違うから、ああそうか、しかしスリーマイルもあったじゃないか、いろいろあるわけですよ。だから私は4の(1)、(2)、(3)については不親切、こう思うのですが、長官いかがですか。
#107
○河野国務大臣 事故が起こりました後いろいろお問い合わせ等がございまして、そのお問い合わせの中ではまず一番最初に、あれと同じものが日本にあるか、こういうお問い合わせが非常に多くあったことも事実でございます。そういうものにまず端的にお答えする意味で、同じものはございません、あれは我が国で使っておるものとは同じ型ではございません、こうお答えを最初にするのが一番端的なお答えとしてよかろう、こういうこともあったということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
    〔平沼委員長代理退席、委員長着席〕
 ただ、今先生おっしゃるように、いずれにせよあれは悪いもので、こっちにあるのはいいものだというほど単純ではないのでございまして、先ほど来御議論がございますように、それぞれ考え方、理論があって一長一短あるのじゃないかとおっしゃられれば、それはそうであろうかもわかりません。ただ、いずれにしても現実に事故を起こしたものと同型のものということになると、まず一番不安も心配も先に立とうということで、それにお答えをしたわけでございまして、私ども行政的にこの問題にかかわる人間といたしましては、行政面では同じものがあるかどうか、あるいは同じような事故を起こす心配はないかということをまず考える。恐らくこれを科学者が科学的にとらえる場合には、全く違ったものであったとしても、共通点はないかというふうに考える考え方もあるのではないかというふうに思いますが、行政的にとらえてまずそういうことを考えた。
 しかし大事なことは、今先生おっしゃったように、日本の原子炉が理論的にも、それから過去二十年間の実績の上からも十分な安全対策はできている。もし何かあるとすれば、それは人為的な操作ミスとか、そういうものはあるのじゃないか。強いて強いて強いて言えばですね。しかしそれとて二重、三重、四重のチェックがあるわけでございまして、そうしたこともない。限りなく絶対に近い安全というふうに私は考えておるわけでございますが、それにしても携わる当事者の方々に他山の石としてより緊張してしっかりやってくださいよということを申し上げる、そしてそういうことと同事に、御心配をいただく多くの国民の皆さんには、御心配は要りません、我々はきちっとやっております、こういうことを申し上げたいというのがその心だとお酌み取りをいただきたいと思います。
#108
○矢追委員 時間ももう余りありませんので具体的な問題を余り聞けませんが、一つだけお伺いしておきたいのはECCSの問題です。これはチェルノブイリにも一応はあったわけですね。そういうふうに言われておりますが、日本の場合これはどこまでの安全度があるのですか。
#109
○辻政府委員 ソ連の原子炉にもECCSが多分あったのだろうということ、多分そうなんだろうと思いますけれども、そのキャパシティーであるとか多重性の問題その他についての詳細は今の段階では全くわからないわけでございまして、ソ連との比較を今の段階ですることはできません。私ども、ECCSにつきましては安全審査におけるきちっとした基準を定めているわけでございまして、ECCSが十分に的確に作動するように諸般の動力源等についての多重システムを設ける。ECCS自身につきましても、高圧注入系あるいは低圧注入系さらに蓄圧系、通常の場合には三系統のECCSを持ちまして、いかなる事態にも対応できるような設計をしているわけでございまして、これらについての作動状況等についての諸般の研究も原子力研究所等におきまして入念に行ってきているわけでございまして、私どもその効果については十分能力ありというふうに判断しているところでございます。
#110
○矢追委員 今十分能力があると言われておりますが、これがあれば心配ないという、いわば神話のようなものが今まではあったわけですね。ところが今回、ソ連のそのものについては確かに実態がわかりませんので結論を言うのは早計かと思いますが、このECCSがあるから大丈夫なんだという神話自体が今回の事故で崩れたのではないか、それがあってもそれを上回るような事故は起こるのだ、こういうふうなことになったのではないかと私は思います。したがいまして、今までの基準で果たしていいのかどうか、そういった点の見直しもやらなければいけないし、よりこのECCSを中心としたその他のあらゆる設備のもう一回の見直しというものが必要ではないかと思うのです。これは長官、いかがですか。
#111
○河野国務大臣 ECCSが作動しなかったのではないかという見方もあるわけでございまして、先ほども申しましたが、新聞等で一部伝えられておりますように、停電がその引き金ではなかったかなどという一部の報道などを考えますと、非常に高度な安全弁がついていたとしても、停電という一番簡単なことによってそれらが動かないということもあるわけでございますから、十分そうしたことを考えなければならぬと思います。
 しかし、いずれにいたしましても、こうした技術の進歩は、仮に起こった事故が解明をされて、何が原因で事故が起こったかということをみんなが知って、その事故対策に取り組むということが何よりも必要だというふうに思います。重ねて申し上げるようでございますけれども、ソ連当局に対して一日も早くすべての情報を提供してもらいたい、また提供すべきものだ。起こったのはソ連の国内でありますけれども、与えた影響は全世界的なものであるわけでございまして、また、技術の進歩のためにもそうしたものが提供されるということが極めて重要なことだというふうに私は考えておるわけでございます。
#112
○矢追委員 通産省お見えですか。――通産省として、電力会社に対して「安全確保に一層注意すること等を指示」こう一昨日されておるわけですが、どういう点をどういうふうに指示をして、どういうふうにチェックをして、それで現在稼働しておる三十二基については今回の事故を踏まえた上で現在心配ありません、これはやはり国民にはっきり言わないといけないと思うのです。「等を指示」となっておりますけれども、具体的に何をされたのですか。
#113
○神田説明員 通産省といたしましては、今回の事故の重大性にかんがみ、電力会社に対して安全確保の重要性をなお一層認識し、運転等に一層注意を払うよう指示いたしたところでございますが、指示の具体的な内容まで定めまして指示したわけではありませんで、従来から安全確保について一生懸命やらしてきているわけですが、なお一層注意を払って心を引き締めてやってもらいたい、そういう趣旨の指示をしたわけでございます。
#114
○矢追委員 最後に長官、こういうふうな精神論だけではだめなんです。これじゃ国民は納得しないですよ。だから今回の事故を踏まえて、こういう点とこういう点が心配だから、そういう点について通産省あるいは科学技術庁も指示をされて、その結果、各電力会社あるいはいわゆる関係機関全部から報告をとっていただいて、それを国民に報告する、それで国民を安心させる、こうしなければだめなんです。精神論ばかりではだめなんです。そんなものは結局、会社は大丈夫です、それで終わりですから、もうちょっと具体的な指示をしていただきたい。これだけの事故なんですから、万が一が起こったのですから。それを一言お伺いして、終わります。
#115
○河野国務大臣 科学技術庁といたしましては、先生の御指摘と一部ずれますけれども、この事故につきまして二つの問題がある。一つは、ソ連で起こした事故ですけれども、大気汚染で国民の健康に影響が出ないか、こういう点でございますが、これらは昨日最初に発表いたしましたように、これから連日モニタリング活動を当分の間続けるということで、御安心をいただくような発表ができるものと思っております。
 もう一方、今先生御指摘の現在日本で稼働しております原子力発電所の安全状況につきましては、商業炉の安全は通産省の所管ではございますけれども、科学技術庁といたしましては通産省にもよくお願いをするつもりでおります。それは、先ほど来申し上げておりますように、私どもは、理論的にもそれから実績上も十分安全に今稼働しておる、それがソ連の事故が起こったからといって慌ててどうこうする必要はないというのがまず前提としてございます。しかし一方で、十分安全に稼働している、二十年間やっているよということがなれになって、法律上あるいは省令上定められていることがきちっと行われていないということであれば、これは問題でございますから、そうしたことのないようにということを注意を喚起したいと思っております。さらに、できますれば各発電所が直近行われた検査の状況等につきましても私どもは入手してチェックをしたい、こういうふうにも考えております。
#116
○矢追委員 終わります。
#117
○大久保委員長 小渕正義君。
#118
○小渕(正)委員 まず初歩的な質問から行いますが、今回ソ連で事故が発生いたしました略称黒鉛型といいますか、黒鉛軽水型炉といいますか、このタイプがソ連国以外のところで稼働しているのはあるのかないのか、あるとすればそれぞれどういう状況であるのか、その状況を御説明いただきたいと思います。
#119
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 チェルノブイリ発電所と同型炉の原子炉が海外で使われていないかということでございますが、これはソ連が独自に開発したものでございますので、ソ連の国外では、東欧圏諸国においても使われておりません。これはソ連が輸出していないようでございます。ただ、もちろんソ連が独自に開発したものでございますのでこれと全く同じということではございませんが、黒鉛減速軽水冷却、こういうことでは同じ炉を米国が早い時期に建設して運転しているということはございます。
#120
○小渕(正)委員 先ほど来、やはりソ連当局が非常に閉鎖的でありますので情報の入手が困難ということで、具体的なものについて質疑を交わしてもなかなか理解できない、それぞれが非常に隔靴掻痒の感じがしているわけであります。そういう点は十分わかるといたしまして、昨日来報道されているのを見ますと、やはり爆発によって建物がかなり破壊されているわけですね。それだけは事実だと思われるわけです。したがいまして、このタイプの原子力発電の中であのように爆発が発生するという可能性は一体どういうものが考えられるのか。状況はわかりませんが、ただ実際に爆発が発生したことだけは間違いないようですから、そういうことを考え合わせて、このタイプの中ではこういう事故の発生の可能性はどういうものがあるのか、その点もう少し専門的に、我々素人でよくわかりませんが、事故原因の可能性、そういうものについて現在の状況の中で考えられ得るものについていろいろありましたら、もう少し御説明いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#121
○辻政府委員 先ほどのような事情でございます。あくまで仮定の問題としての想定しか申し上げられないわけでございますが、よく言われますのが水素爆発でございます。これは、被覆管がジルコニウム合金である、流れております冷却材が水であるということから、これが非常に高温になりますと水素ガスが水素ジルコニウム反応によって発生をする、それが格納容器の上部のスペースにたまりまして、しかるべき酸素の量が供給されれば爆発を起こすという可能性があるのではないかというのが一つの例であろうかと思います。スリーマイルアイランドの事故の際も、これは実は最終的にはNRCのミスであったわけですけれども、いっとき原子炉格納容器の中に水素ガスがたまって、水素爆発の危険があるという推定をNRCが間違ってしたことがございますが、そういったようなことからも一つの原因としては考えられるのではないかというふうに考えられます。
 そのほかの要因といたしまして、非常に高温に熱せられた場合、それに水がぶつかる、それによってジュッというぐあいに急速に蒸気が発生する、これがあたかも爆発のような作用を起こすというようなことも、水蒸気爆発というと言葉が適当であるかどうかわかりませんけれども、そんなこともあるというふうに言われております。
#122
○小渕(正)委員 いろいろの報道がされておるわけであります。例えば非常に古いタイプじゃないのかというような見方、それからプルトニウムを生産する、発電用よりもそちらの方を重点に稼働しておったものではないのか、それから、いろいろの報道関係を調べますと、標準稼働時間を非常に超えて稼働しておるような実態の中でこういう事故があったのではないのかとか、それから、この場合放射能の隔離封じ込め装置がこの炉にはなかったのじゃないのかとか、そういうそれぞれの立場からのいろいろな推測がされているわけでありますが、今の状況ではこれについてはすべてそういう可能性として考えられ得るのかどうか。今私が申し上げましたような点の可能性についてどのような御見解をお持ちか、その点をお尋ねいたします。
#123
○辻政府委員 いろいろ項目がございました。古い型ではなかったか、プルトニウム生産炉ではなかったか、格納容器があったかなかったか、ちょっと申しわけありませんが、もう一つ……(小渕(正)委員「標準稼働時間を超過しているのではないか」と呼ぶ)失礼申し上げました。
 順番に御説明申し上げます。
 御質問の中で、想像の域を出ないということでございますが、ソ連におきまして、今回の事故を起こしたタイプのもののほか、PWR、BWR、それぞれしかるべき基数の建設が既に行われているわけでございまして、そのポリシーがどこにあるかということはつまびらかにされておりません。ただ歴史的に見ますれば、この型の炉は比較的古くから開発が進められていたということは言えると思いますけれども、当該炉は二、三年前に運転開始という炉でございますから、この炉自身が古いとか、また、設計も古いというのは言い過ぎではないかというような気はいたします。これが今もソ連の原子力発電の中でウエートを占めておるのは、一つにはそういった歴史的な背景があるのかなという気もいたすわけでございます。
 なおそのほか、第二番目に御指摘のプルトニウム生産炉であったのではないかということ、これは巷間言われているところでございますが、この点、そういう目的であったのかどうかということについては私ども明確な御答弁はできない状況でございまして、多分そういう可能性もあろうかと思うわけでございます。
 稼働状況につきましては、私ども全くデータがございませんので、御返答申し上げられません。
 格納容器があったかどうかという問題でございますが、これについても、先ほども御答弁申し上げましたが、はっきりとは申し上げられませんけれども、きょうお配りしましたそのパンフレットのページなどを見ましても、我々が通常考えておりますような格納容器が見当たらないわけでございます。現状ではそういう段階の御答弁にとどまらせていただきます。
#124
○小渕(正)委員 わかりました。
 じゃ、次に移ります。
 先ほど来の質疑の中で、我が国における稼働中の安全対策についていろいろ触れておられましたが、あらゆる技術には絶対の安全はあり得ない、この前のスペースシャトルの事故発生の際、レーガン大統領がこういう言葉を言われておるわけであります。あらゆるものに絶対ということはあり得ないにしても、現在考えられ得るものとしてそれぞれの安全対策が講ぜられると思いますが、いろいろ言われておりますが、いかに機器類の装置を万全なものにしても、結果的にそれを動かすのは人間であるから、そういう意味での人為的、初歩的ミスが事故につながる可能性もある。逆にそういうことでスリーマイル島の事故は発生したと言われております。
 現在の我が国の安全対策といえば二重にも三重にもダブルチェック式に行われているような報告でございましたが、端的にお尋ねいたしますが、現在の我が国の技術水準で考えられる可能性、もしこういう場合に事故が発生したらどうなるか、こういう場合どうなるか、考え得るものについてはあらゆるものの可能性を十分考えた上で、その場合にこのようにしていくという形でのダブルチェック的な方式で現在万全にされておると思われるかどうか、その点はいかがでしょうか。
#125
○辻政府委員 御指摘の問題につきましては、まさに設計についての安全審査を行う場合の検討事項でございます。
 炉心溶融あるいは炉心損傷の対策といたしまして、ECCSを装備する、あるいは電源を二重に配備する、その他もろもろの考え得る各種の安全対策を講じるということをいたしまして、これをある幾つかの重大事故を仮定してそういう事故が起こる可能性についてチェックをいたしまして、それを設計に反映させていくというようなやり方をとって安全審査をやっているわけでございます。そういうことから、通常の常識の範囲内では大きな放射能放出のようなことが起こることは考えられないわけでございますが、安全審査の際にはさらに安全を期すということで、現実には考えられないようなことで無理やり原子炉の一部を壊してみる、その結果放射能が原子炉圧力容器内から出てきて格納容器内にたまる、そしてその一部がまた外部へ放出される、その場合にどうであろうかというようなことを原子炉の立地を決める場合の判断基準の一つの指針として検討も行っているわけでございます。
 こういったようなことから、設計面についてはまず十分の安全対策が講じられていると思うわけでございまして、先ほど来申し上げましたその後の運転管理あるいは維持管理等につきましても、所要の施策なりあるいは業界での対策なりがとられているところでございます。これらのやり方が円滑に実施されている限りは事故は起こらないのではないかと思いますが、先ほど大臣も申し上げましたように、また通産大臣からの指示がございましたように、マニュアルどおりのメンテナンスあるいはオペレーションができなかった場合にはやはり問題が出てくる可能性もありますので、そういうことのないよう、ひとつふんどしを引き締めて管理に当たることが肝要であろうか、かように考えておるわけでございまして、今回のソ連の事故もまさにそういうような意味におきまして重大な警鐘であるというふうに認識しているわけでございます。
#126
○小渕(正)委員 設計面から見た場合にはまさに万全と言われるほど取り組んでおられるということでは理解いたしますが、あれだけの総合的な機器を使っている炉でございます。いかに設計から見た場合には万全であったにしても、それらを本当に生かすための機器類が果たして実際にどうなのか、またその機器類を点検する、特に今は現場でほとんど監視労働的なことになっておりますが、そういう中で人為的、初歩的なミス等が万一発生した場合でもつい見過ごしてしまった。スペースシャトルの事故なんか、報道されているところではまさにこれは人為的なミスが結果を招いたように思われます。
 そのように、ああいう膨大な機器類が動く中で初歩的、人為的なミスの場合にそれを機器類によってチェックし、カバーできるのかどうか、そこまで問題はいっているのかどうか。その点については、私も運転の現状を見ますと、みんなそれぞれがいろいろなデータをずっと監視して、二十四時間それぞれ交代勤務によってやられているわけでありますが、そういう中でもしデータの一部の見誤り、または見損ない等があって人為的に事故が発生したとき、それをまた逆にほかの機器でチェックできて、警報装置その他そういったものの方にでもすぐ作動するようになっているのか。そういう点いろいろ考えますならば、一応現状では、そういう考えられるすべての可能性について十分追求した上での現在の万全の措置だということで言われるのかどうか。その点はいかがでしょうか。
#127
○神田説明員 運転段階における安全監督でございますが、まず国は電気事業者の策定した運転管理体制に関する保安規定の確認を行うとともに、原子炉主任技術者をサイトから選任させて、これに保安面の責任を当たらしている。それから、昭和五十五年以降各サイトに国の運転管理専門官を常駐させまして、常時運転監視を行っております。それで、異常等がありますればすぐ本省に報告する。運転管理専門官室と本省との間にファックス等専用電話を設置し、速やかに事故を報告させる等の連絡体制に万全を期しています。
 多重防護の考えの中で、まず異常の発生を極力防止する。二番目に、事故への発展を防止するための施策として、機器の異常を早期発見ができる検出監視装置、これは常時見ておりまして、異常が起きましたら運転員が敏速に対応する。そういう考えでやっているわけでございまして、運転中のいろいろな事象に対する運転員の対応というのは、運転員の教育訓練の効果と相まって十分なされているものというふうに考えます。
#128
○小渕(正)委員 今、運転中に異常が発生した場合に、それを監視することでそういう体制があると言われましたが、そういう監視をするのは、これはすべて人間がやるわけです。そういう中でもしも人為的なミスが発生した場合に、逆にそれで機器類が作動するようなシステムが完成しておるのかどうかという意味で聞いておるわけでありますが、どうも答弁なさる課長さんですか、前の質疑の中からお聞きしておりましても、何か法文ばかり読んでいるような感じがしてならぬのですが、そういう点についてはいかがですかということを聞いておるのです。
#129
○辻政府委員 まさにそういう個々の機器における多少のトラブルが出るということは設計段階においては十分考慮に入れておりまして、それなるがゆえに構造上いろいろな機器の重要度分類を行いまして、御指摘のような機器の故障によるもののうち安全性に非常に重要なもの、そういったものについては多重防護というシステムをとっておるわけでございます。御指摘のような点、メンテナンスの不備あるいは運転の不備は施設面でカバーできるということは十分に考えた設計が行われておるわけでございまして、先ほどから申し上げておりますのは、それにもかかわらずそれぞれの機器がやはり適正にメンテナンスされ、かつ十分な余裕を持った運転が行われることが肝要であるということを申しておるわけでございます。
#130
○小渕(正)委員 先ほども、今回のこういった事故に対しては、まず我が国とは全然炉型が違う、その他いろいろありましょうが、通産省としてもそれぞれ運転中、稼働中の原子力発電所については、再度気を引き締めて安全に徹するようにという通達を出されたということでございました。科学技術庁長官からいえば、完全というか十分にやっているのだから、それがあったからといって今さらいろいろやることもなしに、考えられ得る資料の中でいろいろやっていけばいいことだということでございましたが、こういう事故が発生したときは国民の皆さん方が大変不安感をお持ちですから、ただ精神論で、通産省はもう一回安全を厳しく徹底してやっていけよということだけじゃなしに、少なくともどことどことどこの箇所等についてはもう一度チェックして、その報告を一カ月以内ぐらいに出せというところまでの具体的な指示がないと、そういうただ精神論的な、今後より一層安全に徹した運転を行えということだけでは、私は行政当局としては少し弱いのではないかという気がするわけです。
 そういう意味で、もう一度そこらあたりについて、より徹底するという方向での何かお考えはないかどうか、お尋ねいたします。
#131
○神田説明員 先ほど申し上げましたのは、今情報が不足しておりまして、事故の原因あるいは事故の内容、こういったものを把握した後でなければ具体的な指示をつくり上げることはなかなかできません。最初にその辺の事故の内容等を把握するのに全力を注ぎまして、その後、具体的な指示等、必要がありました場合には先生の御意向を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。
#132
○小渕(正)委員 別途また機会がございましょうから、これ以上この問題は申し上げません。
 最後に、先ほどからも出されておりましたが、現在先進諸国はほとんど原子力発電が稼働しておるわけでありますが、これは事故が発生した場合、一国のみならず、国際的に非常に大きな影響を与えることが今回の事故で一層鮮明になったわけであります。そういう意味で、IAEAですか、そういう国際原子力機関等については、現在こういう原子力の実際稼働中、運転中の安全対策といいますか、そういうものについてまで強く発言力があるような機能になっていないわけですね。そういう意味で、先ほどから科学技術庁長官も申しておられましたが、特に早急にそういった体制まで国際的な機関としてのものを強化し、確立しないと大変なことだと思いますので、先進諸国、特に今度開かれる東京サミットでは、それぞれみんな原子力発電が稼働中の国ばかりでありますから、ぜひひとつサミットの特別議題にでも入れていただいて、国際的な機関として権威あるものが原子力の安全性の確保についてすぐ合意できるような、そういったものに至急向かうべきであるということでの何らかのアクションをぜひ起こしていただけぬものかどうかということを強く感じるわけでありますが、その点に対してひとつ長官の決意のほどをお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
#133
○河野国務大臣 国際的な原子力行政は、例の核不拡散条約というものが一つございます。これは、既に核兵器を保有している国としていない国とでは分けて書かれている。それともう一つは、先ほど来議論になっているIAEA、こういった考え方といいますか、制度がございます。さらに西側、東側と少し問題意識の違う国々がございます。そうしたことから、なかなか普遍的、共通的な情報の交換が十分に行えないということが今回の事故で非常にはっきりしたわけでございます。
 私は、多少個人的な意見で恐縮でございますが、この問題はやはり全人類的にとらえるぐらいの心構えが必要なのではないか、人類が受けた非常に大きな大気汚染といいますか、環境汚染というものでございますから、これを国境とか政治情勢とかいうことに矮小化して議論するのでは十分ではない、もっと現代に生きる人類がこうした問題にどう対応するかという見地からぜひ論じてもらいたいというふうに思っているわけでございます。
 先ほども申しましたが、先進国の首脳がお集まりになる機会があるわけで、確定しているわけではございませんのではっきりとしたことは申し上げられませんが、恐らく先進国の首脳がお集まりになれば、こうした問題にも話題が広がってくる可能性は十分あると思いますので、日本を代表して出席をされる中曽根総理にそうした点も十分お考えをいただきたいというふうに私は思っているわけでございます。総理は、先般来ソ連のアブラシモフ大使に対しましてもそうした意味の御発言をしていらっしゃいますから、十分そうした認識はおありというふうに考えておる次第でございます。
#134
○小渕(正)委員 どうもありがとうございました。終わります。
#135
○大久保委員長 山原健二郎君。
#136
○山原委員 最初に、今回のチェルノブイル原発の事故につきまして、実相の把握ということについて一言我が党の見地を申し上げたいと思うのです。
 特にこういう事故の場合、事故の実相が早く明らかになることが大事なわけです。これはけさほど来各委員も主張されたところでありますが、今回の原発事故が国際的影響を及ぼしているという点から見ましても、災害を最小限に食いとめるという措置を講ずる上でも不可欠な問題であると思います。この点で、ソ連政府の原発事故の発表が北欧諸国の異常察知よりも大幅におくれたこと、また、事故の経過や内容が詳しく公表されていないことなどはまことに重大だと考えておりまして、我が党としましても、一刻も早く事故の真相を公表し、各国に報告すべきであるということを、党の科学技術局長の談話をもって発表したところです。この点で私は、けさから大臣もお答えになっておりますからこの点の質問はおきますけれども、日本政府としても対応を十分にやっていただきたいと思うのです。
 この点では、例えば昭和五十六年三月に起こりました日本原電敦賀原発事故の場合、当初電力会社によりまして事故が隠されたことがあって、この委員会でも随分問題になったことがあるのです。我が国の場合は公開の原則を踏まえているわけでございますから、我が国においても原発における事故の公表については一層徹底を図る必要があると思います。その意味におきまして、単に自治体だけでなくて、関係住民による例えば立入調査を認めるような措置が講ぜられていいのではないかと思いますが、この点について今度の事故の教訓としてどうお考えになっておるか、最初に伺いたいのです。
#137
○辻政府委員 事故情報の提供につきましては、私どもも通産省もそれぞれ所掌する規制対象に応じまして、事故が発生しました場合には遅滞なくこれを発表するということでこれまでも対処してきたところでございまして、今後もこの方針は貫いてまいりたい、かように思っております。しかしながら、具体的にこの事故対策の問題、それに関連する検査等の問題につきましては、行政当局による専門的なチェックをもって行うのがしかるべしというふうに私どもは考えている次第でございます。
#138
○山原委員 これは反論する時間がありませんから、続いて、七年前にスリーマイル島の事件が発生しまして、七年目の重大な事故ということになりますね。そうなりますと、今まで政府側として主張し、それが安全神話と言われるくらい原子力発電所は安全だということの主張そのものが一定の崩れを示しておると思いますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
#139
○辻政府委員 先ほどから私御説明申し上げておりますが、私ども決して原子力安全神話などは申したことはないわけでございまして、安全確保につきましては、行政当局といたしましては全力を挙げてこれに取り組んできているところでございます。TMI事故の反映のみならず、各種の内外の事故の内容につきましては十分な調査を行いまして、しかるべき安全規制等に反映させるべくこれまでも努力してきたところでございます。また、これに関連しまして安全研究が必要であるというような認識が出た場合には、さらに安全研究を深め、そのデータを安全規制に応用する、かようなやり方によりまして、私どもできるだけ細心の科学技術的な知見を安全行政に強く反映させるように、不断の努力を払ってきているところでございます。
#140
○山原委員 今回のソ連の大事故、これは日本のものとは炉型が違うのだということで、だから日本の場合は危険性がないのだというような主張が例えば電力会社の首脳部等によってなされているわけでありますけれども、こういう考え方、そこへ逃避することの危険性というものを私は指摘しておきたいと思いますが、これはどうお考えでしょうか。
#141
○辻政府委員 この点につきましては先ほど来御答弁申し上げているとおりでございますが、しかし原子炉の炉型が違うということは、事故の原因またその対策につきましてもいろいろ変わってくる面があるわけでございます。そういう意味におきまして、我々まず海外において事故が起こった場合には、やはり炉型の要素というのは非常に重要な要素であろうかと思います。これは必ずしも原子力発電設備のみならず、自動車であろうと飛行機であろうと同様な問題であろうと思います。
 日本の原子力発電設備の現状につきましては、先ほどからるる申し上げておりますように、私どもといたしましてはいささかの不安も持っていないところでございます。こういう状況を踏まえまして、炉型の違う海外の炉で起きた場合に、直ちに我が国の原発は大丈夫かと騒ぎ立てることはいかがなものであるかということは考えておるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、原子力委員会において事故調査委員会をつくったわけでございます。炉型が違うといいましても、あるいは軽水炉に共通するような事故があるかもしれませんけれども、現段階では、先ほど来るる申し上げましたように、今回のソ連の事故の内容は全く明らかでございません。どの点を反映させるべきかという点につきましては今後の調査にまたなければならないということで、私どもこの調査を今後鋭意進めてまいりたい、かように思っているところでございます。
#142
○山原委員 メルトダウンあるいは炉心の核分裂反応の暴走など、重大な炉心事故に発展した原子炉事故の実例というのは幾つかあるわけです。これは私は数え方が違うかもしれませんが、一九五二年のカナダ・チョークリバーの事故、一九五七年のイギリスにおけるプルトニウム生産炉の事故、一九六一年のアメリカ・アイダホ州の軍事目的実験炉の事故、それから一九七九年のスリーマイル島、そして一九八六年四月のソ連の今回の事故というふうに見てみますと、これは七年に一度こういう事故が発生しておるわけでございます。結局炉型の違いを超えて、炉心溶融あるいはそれに準ずる重大事故が約七年に一度の割合で起こっているというふうに見られるわけでございまして、決して炉型だけの問題ではないわけです。原発の重大事故は必ずある確率で起こっておるというふうにも、この数字は示しておるわけです。そういう意味で、近い将来、世界の約一割強の原発を保有する我が国において、重大事故が発生しないという保証はないということをしっかり見ておかなければならぬと思いますが、この点はいかがですか。
#143
○辻政府委員 先ほどから申し上げておりますように、原子力の開発利用にとって安全問題は大前提、これを過ごしては通れない問題でございます。私ども今後とも原子力の安全についてはそれを第一という線を堅持いたしまして、安全規制に意を払ってまいりたい、かように思っております。
#144
○山原委員 そういうお考えであれば、こういう事故がスリーマイル、七年後には今回のソ連における事故というふうになってまいりますと、日本においてこれ以上原子力発電所の新増設をすることについてはこれを中止すべきではないか、あるいはまた原子力発電所推進政策を再検討する必要があるのではないかというふうに思います。その点は今どう考えていますか。
#145
○中村(守)政府委員 先ほど来いろいろ御答弁ございますように、我が国の原子力発電のシステムにつきましては、まさに安全確保を第一としてこれまで開発を進めてまいりました。安全審査のみならず、運転管理の面におきましても慎重な取り扱いをいたしておりますし、過去の事故例等につきましては、十分にそういった経験を反映させつつやってまいっておるわけでございまして、現在のソ連におきます事故につきましてはまだ詳細もわからないわけでございますが、私どもは、原子力発電の安全性ということにつきまして、これまで我が国がやってまいりました安全規制体制、それから各電力会社における安全確保の体制等からいって、十分に安全を確保できるものと信じております。資源エネルギー小国としての我が国は、原子力の開発利用につきまして今後とも安全確保を旨として推進していきたいと考えております。
#146
○山原委員 真相はわからないことは私もわかります。けれども、かつてない大事故であることは間違いないと思うのですね。それから何を学ぶかということになりますと、今おっしゃるわけですけれども、しかし私が具体的に例えば住民によるところの立入調査ということを言えば、これを否定される、あるいはまた今のように、こういうことについての原発の推進を再検討するということをなさってはどうですかと言うと、それも否定をされるという、具体的なこの大事故から教訓を学んでこうするんだということが出てこないですね。これから出てくるかもしれませんが、少なくとも今の時点で私の質問に対してはお答えにならない。
 スリーマイルのときのケメニー報告の場合は、御承知のように、原発プラントは安全だという考え方が確信に変わっていったという点を挙げて、これを戒めている。これがもう冒頭から出てくるわけでして、これはスリーマイルの大教訓であろうと思うのですね。ところがこの七年間大事故がなかったものですから、また安全性を軽視する風潮が出てきた。私はその点を指摘したいと思うのです。
 例えば、昭和五十九年三月の第十七回原子力産業会議年次大会で四国電力の山口会長が、今の軽水炉は安全の余裕度を十分とってあるので、もっと効率的な発電所建設を目指すべきだとして、全体として三〇%程度のコスト低減を目標として提起をされております。それから、申し上げる必要もないと思いますが、ことしの原産会議年次大会では、有沢会長御自身が「軽水炉についていえば、緊急炉心冷却装置のデザインがオーバー・デザインではないのか、あるいは配管の瞬時における破断は実際にありえない、」「安全規制当局も、厳正な安全審査を行うだけでなく、どこまでが安全か、その指針を示すことも必要だと思われる。」こういうふうにあいさつの中で述べておられます。
 これら一連の発言や動向を見ますと、原発のコスト低減という経済的利益のために、これまで講じてきた安全システムさえ過剰なものとしてそぎ落とそうというものではないのか。私はここにうぬぼれにも似た危険性を感じないわけにはまいりませんが、この指摘はどうお受けとめになりますか。
#147
○河野国務大臣 商業炉でございますから、経済性について検討をするということはあり得ると思います。しかし、私どもは何よりも安全を第一にする、経済性のために安全性というものがいささかも揺らぐようなことがあってはならぬという姿勢は今後も一貫して貫きたい、こう考えております。いろいろな方々からいろいろな御意見がございますが、私どものこの考え方は変わらないと御承知をいただきたいと思います。
 先ほど来山原委員いろいろ御指摘でございますが、私は今回のソ連の事故について、やはり一番問題は秘密主義というものがあってはならないということではないかと思います。議員も御指摘になりましたように、TMIの事故は、それ自体は極めて残念な重大な事故でございますけれども、その調査その他が十分に公開をされたという点で、あれを境に技術は一歩前進をしたということは事実であろうと思います。今回のこの事故が、秘密主義によって何ら国際的にもあるいは科学的にも貢献しないばかりか、大きな迷惑をかけっ放しにするというようなことは断じてあってはならぬというふうに思っているわけでございまして、先ほど議員御指摘の御意見には、その点では全く同意見でございます。
#148
○山原委員 ソ連の場合も、私は一定のおごりがあったのではないかと思うのです。それは、ソ連東欧貿易会が出しております「ソ連東欧貿易調査月報」の八四年三月号に、ソ連の原子力発電に関するレポートが載っています。その中の「四、ソ連の原子力発電所の安全性の問題」という項目の中に、こういうくだりがあるのです。「西側の重大事故の発生を想定した安全対策に比べて、ソ連は現実に起こるとは考えられないような事態の過剰防止手段は概して講ぜられていない。例えば、ソ連の原子炉は伝統的に格納容器を持たない」こういうレポートでございまして、これが正確な内容であるかは別にいたしまして、今回のソ連における原発の事故は、格納容器を持っていなかったことが放射能の拡散を深刻なものにした大きな要因となったという指摘が一般になされております。こういう点から見ましても、安全システムを過剰などとして削り取ることがいかに重大なことかは明らかでございまして、この点では、真相は今後明らかにしなければなりませんけれども、ソ連の原発推進にもそういうおごりがあったのではないかという一つの証明ではないかと思います。
 これは今後明らかにしていかなければならぬわけですが、こういう点を踏まえますと、安易なコストダウン方策など絶対に認めず、一層厳格な安全対策を指導すべきだというのが私の今の気持ちでございますが、この点について通産省の御見解を伺っておきたいのです。
#149
○山本説明員 先生の御指摘の点でございますが、原子炉の設置につきましては、設置の許可、それから具体的な工事をする場合には工事計画の認可というものがございますが、そういうものの適用に当たりまして厳正に判断をしてまいりたいというふうに考えております。
#150
○山原委員 それならば、今回の事故を契機にしまして我が国の原発の安全性の総点検を実施すべきだと思いますが、そういう御決意はありませんでしょうか。
#151
○神田説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、我が国の原子力発電所は、設置許可の段階から運転管理の段階まで十分な安全管理が行われておりまして、現時点で総点検をすることは考えておりません。
#152
○山原委員 この点を科学技術庁はどうお考えでしょうか。
#153
○辻政府委員 先ほどから申し上げておりますように、現段階では日本の安全基準、安全規制については十分なものという認識を持っております。したがいまして、今回のソ連の事故を警鐘として受けとめまして、十分な保守、管理、運転という面について意を払っていくということが基本的に重要なことであると考えております。現段階において、発電所を停止して総点検をしなければならないという具体的理由は見当たらないわけでございます。なお、今後安全委員会の調査委員会における調査が進みまして、具体的な教訓が出てまいりました場合につきましては、これを取り入れることについてはやぶさかではございません。
#154
○山原委員 最後に、スリーマイル事件を契機にしまして、原発防災対策について一定の検討もなされ、一定の前進を見たことは、長官が先ほどお答えになったとおりです。しかし、これらの対策がさまざまな点でまだ不十分であることが指摘されてきましたが、今回のソ連の原発事故に照らしてみると、その点が一層明らかになったと思います。
 具体的に言いますと、我が国の原発防災対策は、原発立地点を中心として半径八キロから十キロ程度を対象地域としていると思うのでございますが、今回のソ連原発事故の場合、原発立地点から半径三十キロ以内は特別警戒地区とされ、住民の避難が行われているとも伝えられております。こういう点から見ましても、日本の防災対策対象地域は狭過ぎるのではないかと思いますが、この点が一つ。
 もう一つは、住民の参加を得ての防災訓練が実施されていないと私は思います。そういう意味で、関係住民が原発防災対策を知らず、訓練にも参加もしない現状で仮に重大事故が発生した場合、パニック状態になることは十分察知されるわけですが、この点について何らかの対策をお考えになっているかどうか、これを伺いたいのです。
#155
○辻政府委員 原子力の防災対策につきましては、これは最も典型的なTMIの事故の経験の反映をいたしたというふうに私ども認識しております。すなわち、TMI事故以後、当時の大平総理の特段の御指摘もございまして、防災につきましての基本的な枠組みを中央防災会議において定めたわけでございます。従来から原子力防災につきましては、災害対策基本法によりまして、大量の放射性物質の放出があった場合には災対法の対象となるということになっておりましたが、スリーマイルアイランドの事故以後、我が国における具体的な原子力防災体制の方針が定められますと同時に、原子力安全委員会において諸般の防災に関する指針を取りまとめました。
 さらにまた、国の予算も投入いたしまして、地方、中央との通信連絡体制の整備あるいは医療体制の整備、医療材の整備あるいは放射能観測、測定のためのモニタリング体制の整備、こういったようなものが図られましたし、これに関連する各機関の協力体制についても取り決めが行われました。そして現在、こういったものに動員される人も具体的に指名されておるわけでございまして、先ほど御指摘の防災訓練につきましても、毎年防災の日の一週間前後いたしまして、これらの担当官あるいは都道府県の担当職員の間におきまして諸般の訓練が実施されておるところでございます。
 なお、御指摘の範囲の点につきましても、防災の指針におきましては、あらかじめ防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲の目安として八ないし十キロという距離を定めておるわけでございまして、これ以上の範囲のところを防災対策の対象としないという筋合いのものではございません。あくまでその範囲を中心として防災対策を考えるということでございまして、事故の態様に応じまして逐次、実際の運用につきましては範囲を幾らでも広げて対応する、こういう形になっているわけでございます。ひとつ御了承、御承知おきいただきたいと思います。
#156
○山原委員 狭い日本、人口の密集地を抱えた日本の場合ですから、これを契機にしまして一層厳しい態度をとられますよう要請しまして、私の質問を終わります。
#157
○大久保委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#158
○大久保委員長 速記を始めてください。
     ――――◇―――――
#159
○大久保委員長 この際、ソ連チェルノブイル原子力発電所の事故に関する件につきまして決議いたしたいと存じます。
 本件につきましては、各党間において御協議いただいたところ、お手元に配付いたしておりますとおりの案文がまとまりました。
 委員長からその案文を朗読して、説明にかえさせていただきます。
    ソ連チェルノブイル原子力発電所の事故に関する件(案)
  去る四月下旬、ソ連チェルノブイル原子力発電所で発生した事故は、我が国を含め、世界各国に強い衝撃を与えている。
  よって、政府は速やかに関係諸国とも協力しつつ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 事故の状況、原因等に関する情報の速やかな公開をソ連に働きかけること。
 二 国際原子力機関を中心とした国際協力のもとに、事故の原因究明、情報分析等に努め、国内における安全の確保と安全規制に十分反快させること。
 三 本件事故に関し、放射能対策に万全を期すること。
  右決議する。
以上であります。
 お諮りいたします。
 これを本委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#160
○大久保委員長 起立総員。よって、さよう決しました。
 この際、本決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。河野国務大臣。
#161
○河野国務大臣 政府といたしましては、ただいまの御決議の趣旨を十分に体しまして、原子力安全対策に最大限の努力を払ってまいる所存でございます。
#162
○大久保委員長 なお、本決議の議長に対する報告及び関係各方面への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#163
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#164
○大久保委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 内閣提出、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び関晴正君外五名提出、原子力基本法及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案審査中、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#165
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、来る六日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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