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1985/04/08 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 商工委員会 第9号
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1985/04/08 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 商工委員会 第9号

#1
第104回国会 商工委員会 第9号
昭和六十一年四月八日(火曜日)
    午前九時三十四分開議
出席委員
  委員長 野田  毅君
   理事 奥田 幹生君 理事 佐藤 信二君
   理事 野上  徹君 理事 与謝野 馨君
   理事 城地 豊司君 理事 長田 武士君
   理事 宮田 早苗君
      甘利  明君    尾身 幸次君
      加藤 卓二君    梶山 静六君
      粕谷  茂君    岸田 文武君
      高村 正彦君    林  大幹君
      原田昇左右君    渡辺 秀央君
      奥野 一雄君    後藤  茂君
      中村 重光君    浜西 鉄雄君
      横江 金夫君    渡辺 嘉藏君
      近江巳記夫君    木内 良明君
      青山  丘君    横手 文雄君
      工藤  晃君    野間 友一君
 出席国務大臣
       通商産業大臣   渡辺美智雄君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       平泉  渉君
 出席政府委員
       公正取引委員会
       委員長      高橋  元君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  厚谷 襄児君
       公正取引委員会
       事務局取引部長  利部 脩二君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁調査
       局長       丸茂 明則君
       通商産業大臣官
       房総務審議官   鎌田 吉郎君
       通商産業大臣官
       房審議官     松尾 邦彦君
       通商産業省通商
       政策局長     黒田  真君
       通商産業省貿易
       局長       村岡 茂生君
       通商産業省産業
       政策局長     福川 伸次君
       通商産業省立地
       公害局長     黒田 明雄君
       通商産業省機械
       情報産業局長   杉山  弘君
       通商産業省生活
       産業局長     浜岡 平一君
       工業技術院長   等々力 達君
       資源エネルギー
       庁長官      野々内 隆君
       資源エネルギー
       庁石油部長    畠山  襄君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    高橋 達直君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  山本 幸助君
       中小企業庁長官  木下 博生君
       国税庁調査査察
       部長       日向  隆君
委員外の出席者
       臨時行政改革推
       進審議会事務局  加藤 武久君
       参事官
       経済企画庁調整
       局調整課長    吉川  淳君
       経済企画庁物価
       局審議官     井上  正君
       法務省刑事局刑
       事課長      原田 明夫君
       外務大臣官房審
       議官       太田  博君
       外務省アジア局
       南東アジア第二
       課長       小林 秀明君
       国税庁直税部法
       人税課長     熊澤 二郎君
       会計検査院事務
       総局第五局審議
       官        沢井  泰君
       参  考  人
       (中小企業事業
       団理事長)    森口 八郎君
       参  考  人
       (商工組合中央
       金庫理事長)   佐々木 敏君
       商工委員会調査
       室長       倉田 雅広君
    ―――――――――――――
四月四日
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)
 (参議院送付)
同月七日
 柏市への大型店新規進出反対等に関する請願
 (長田武士君紹介)(第二八〇六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○野田委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。尾身幸次君。
#3
○尾身委員 私は、これから日本経済を取り巻く幾つかの問題について質問をさせていただきます。
 最初に、国際石油情勢につきまして質問をいたします。
 原油の価格動向がことしに入りましてから大きく低下傾向を示しておりまして、そのような状況の中で、三月の十六日から始まりましたOPECの臨時総会におきましても何も結論が得られなかった、そういう状態で中断をしたと聞いているわけでございます。そして、このOPECが価格問題について実効ある統一行動をとり得るか否かが、今後の原油価格の動向を左右すると思うわけでございますが、今月の半ばから再開されると言われておりますOPECの総会で、何らかの有効な決定が価格問題についてなされるかどうか、その辺の見通しについてまずお伺いをさせていただきたいと思います。
#4
○畠山政府委員 ただいま御質問の中にお触れになりましたOPECの三月半ばの総会におきましては、全体の数量につきまして千四百万バレルでございますとか、あるいは千四百五十万バレルでございますとか、そういうふうに制限をするという点については、ほとんど実質合意があったという状況であったというふうに聞いております。しかしながら、それを国別にどういうふうに割り当てるかというところに合意がございませんで、それで何らの具体的な結論もなかったということになったわけでございます。したがいまして、現在OPEC諸国はその千四百万なりあるいは千四百五十万なり、そういったものを国別にどういうふうに割り振っていくかということについて、それぞれの国の中で検討をしているようでございます。
 したがって、今度の四月十五日から始まりますOPEC総会では、そこの具体的な国別の割り振りがどうなるかということについて合意ができるかということが一つ。それから他方、価格が下がってきておるものですから、今のままでは四月十五日のときの値段が三月のときの値段よりも低いということになりますと、各国としては割り当ての量を余計もらいたいということになるものでございまして、そこのところがどうなるかということ。それから価格が下がってきて収入が減っているので、できるだけ早く合意をとりたいという感じもOPEC諸国に出ておりますので、そういった三つぐらいの要因がどういうふうになるかということを私どもこれからよく見ていきたいと思っております。
 今価格は三月三十一日に十ドルを割ったわけでございますけれども、その後ノルウェーのストライキなんかがありまして少し戻しておるという状況になっております。
#5
○尾身委員 そこで、ただいま日本が買っています原油の価格の水準が一体どうなっているかということについて、二番目に質問したいわけでございます。
 いわゆる円高と原油価格の低落の中で、私ども地元に帰ってみますと、例えばガソリンとか灯油とか軽油といったような石油製品の価格はもっと下がってもいいのではないかという声をいろいろなところで耳にするわけでありますけれども、まだまだ石油製品価格の低下ということが余り顕著になっていないというのが日本経済の全体の実情じゃないかと思うわけでございます。そういう中におきまして、原油価格の低落あるいは円高というものが製品価格の低下にいつごろどういう形ではね返ってくるか、またその見通しはどうかという点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
#6
○畠山政府委員 日本に入っている原油価格の状況でございますが、一月が二十七ドル七十七、二月が二十七ドル五十七ということで、御指摘のように余り下がっていないという状況でございます。御案内のとおり、スポットは十一ドルを割るとかそういった状況にもなっているわけでございますけれども、日本に入っております原油の価格は昨年の平均が二十八ドル七でございますから、今申し上げた数字と比較しますとほとんど下がっていないという状況でございます。ただ、国内の石油製品価格の方は非常に下がっておりまして、三月の平均で見まして、例えばガソリンが百三十二円というところへ下がってきておるというような状況でございまして、そういう意識があるかどうかは別にしまして、やや先取り的に値下がりが起こっておるという状況であろうかと思います。
 ただ、論理的に考えますると、先ほどのような原油価格の低下状況でございますので、これが本格的に下がってきて、在庫等の期間を経て、そして本来石油製品価格に反映されるべき時期というのは、ことしの夏以降であろうかというふうに考えております。
#7
○尾身委員 それに関連をいたしまして、今まで何年かの間石油精製業界が非常に赤字的な体質を持ってきたというふうに考えているわけでございますが、その赤字体質であった石油精製業界の赤字を解消した後、初めて値下がりが行われるようなことになるのか、ただいまガソリンの価格の話がございましたが、全体の原油価格の値下がりあるいは円高というものが輸入で実現した段階で、ほぼそんなに大きなタイムラグなしに製品価格の低下につながることになるのか、その辺についての見通しをちょっと聞かせてください。
#8
○畠山政府委員 御指摘のように、六十年度の上期は石油産業全体といたしまして約一千億円の赤字でございました。下期がどうなるかでございますが、先ほど申し上げましたような、やや先取り値下げ的な現象がございますけれども、上期の一千億円の赤字というものは解消をしていくのだろうと思っております。したがいまして、解消いたしますると、原油の在庫期間が三カ月でございまして、中東からの輸送日数とかそういうことを考えますと、本格的に国内製品価格のコストダウンに原油価格の低下が効いてくるのは、ことしの六月ぐらいからかなというふうに考えております。
#9
○尾身委員 そこで、円高、原油価格の低下という全体の日本経済に与えるインパクトの中で、円高は、先ほどの輸出停滞という面で非常に大きなマイナス要因を与えるわけでありますが、原油価格の値下がりとか輸入価格の低下という点でプラスの効果もあるわけであります。そしてそういう中で、原油価格の低下は、全体として言いますれば、消費国、特に非産油発展途上国には好影響を与えることになるわけでございますが、他方で余りにも原油価格の低下が進みますと、新しい石油資源の開発や代替エネルギーあるいは省エネルギーの技術開発に悪影響があると考えられるわけでございます。
 そういう意味で、長期的な観点からエネルギー政策を進めていくためには原油価格が安定していなければいけない、しかもある程度低い水準で安定していなければいけないと考えているわけでございますけれども、この辺について通産省どう考えておられるかお聞きしたいと思います。
#10
○野々内政府委員 御指摘のとおり、急激な価格の変動というのは、国民経済あるいは世界経済によくない影響を与えると考えております。特に、石油の開発あるいは新エネルギーの開発というようなことについてもマイナスの影響を与えるというふうに考えております。したがいまして、価格の安定が大事であろうということで現在各方面にいろいろなチャネルを通じまして働きかけを行っております。
 現在、アメリカ政府も英国政府も、市場メカニズム重視という点からまだなかなか乗ってこないわけですが、アメリカも最近南部諸州の石油開発業者、石油掘削業者に対して悪い影響が出てきたということを認識し始めておりまして、石油価格の安定が必要だという考えをだんだん持ち始めたというふうに聞いておりますので、あらゆるチャネルを通じまして今後価格安定の重要性というものを訴え、そういう形でのコンセンサスづくりに努力をしてみたいというふうに考えております。
#11
○尾身委員 そこで、これはやや答えにくい質問かとも思うのでありますが、日本としてどの程度の水準に安定することが望ましいと考えるか。これは安過ぎてもいかぬという考え方もあるわけでございますし、また消費国という立場から見ればできるだけ安い方がいいという考え方もあるわけでございますが、この辺についてのお考えを追加でひとつお聞きしたいと思います。
#12
○野々内政府委員 これは大変難しい問題でございまして、実はたまたま先週太平洋エネルギー協力シンポジウムが開かれまして各国のエネルギー関係者と会う機会がございました。いろいろな方に同じ質問をぶっつけてみましたが、大体産油国の方たちは二十ドルから二十三ドルぐらいが望ましいという感じ、消費国の方は十ドル台の中ほどから上ぐらいが望ましいかなという感じを言っておりました。したがいまして、余り確定的なことは言えませんが、二十ドルプラス・マイナス・アルファぐらいが世界的な価格の落ちつき場面ではないかと考えておりますが、これはいろいろな人の見方あるいはいろいろな利害が絡まりますので、通産省としましてこの値段がいいというのはなかなか言えないのが実情でございます。
#13
○尾身委員 そこで、次の質問に移らせていただきますが、今の円高、原油安という中で話題になっております電力とガスの円高差益等の還元問題でございます。
 つい先日出されました円高差益問題懇談会の報告書の基本方向を読ませていただきましたが、この基本的な方向の内容とこれに対する通産省の対応、どういうふうに考えておられるか、この点についてお伺いさせていただきます。
#14
○野々内政府委員 去る三月二十八日に電力・ガス差益問題懇談会が基本的な方向を出しております。昨年の暮れごろからいろいろな差益の活用についての意見が出てまいりまして、特に五十三年に六カ月にわたりまして暫定的に引き下げを行ったということについての評価、このときラーメン一杯の還元とかというようなことも言われたわけですが、そういうものについての評価も締めましていろいろな差益の活用論が出てまいったわけでございますが、それについてこの懇談会で基本的な方向を整理をいたしまして、今後審議会における正式の議論に橋渡しをするというような考え方から報告書が出されたわけでございます。
 その基本的な方向は四点ほどございますが、まず第一点は、差益は需要家の利益のために還元することが原則である。これは電気事業法に、電気料金は原価に基づいて算定されるべきであるという基本原則がございますが、この線に沿ったものと考えられると思います。
 二番目に、具体的には暫定的な措置として、電気については料金の引き下げ措置及び料金制度の調整、ガスについては料金の引き下げ措置を行うべきであるということでございました。これは、現在の為替レート及び油の価格の変動が非常に不安定でございますので、恒久的な制度を行うことは無理があるということで、とりあえずの暫定的な措置として行うということでございまして、六十二年度につきましてはこれから様子を見て別途考えるということでございます。また、中身につきましては、料金の一律引き下げ、これは前回、五十三年度に行った方式でございますが、これと同時に、現在ございます制度上のひずみ、特に業務用、産業用の特別料金制度、これは新たな需要については従来のものよりも高く取るという特別料金制度、もう一つは、家庭用につきまして三段階料金制度、これは需要量の多い部分については高く取るという制度でございますが、この二つについて見直しを行ってはどうかという点でございます。
 ガスにつきましては、基本的に一本の料金でございますので、引き下げを行うということでございます。
 三番目に、今後の原価変動に伴うリスクに対応するために差益の一部を内部留保の確保に充てる、これを活用いたしまして設備投資の前倒しに積極的に対応することが適切である、こういう方向でございます。実は、電力、ガスともにLNGを使っておりますが、このLNGは石油のGSP、ガバメント・セリング・プライスと連動いたしておりまして、これが今のスポットと連動しないというシステムになっております。したがいまして、今後このLNGの契約更改交渉いかんによりまして差益の額はかなり変動すると考えざるを得ません。また、スポット価格の変動も今後未確定でございますので、内部留保をリスクのためにとっておく必要がある、それを今後の設備投資の活用にいたしたいということでございます。
 四番目は、差益を経済協力など特定の政策目的の財源に充てることは不適切である、これは最初の原価主義という原則からいった方針であろうかと思っております。
 この四点が基本的な方向でございまして、通産省といたしましては、この基本的方向が適切であると考えておりますので、けさ開かれております経済対策閣僚会議の決定も受けまして、今後関係審議会の意見も聞きながら、早急に具体的な方策について検討を進めたいと思っておりますが、これは六月から実施したいと考えております。また、差益の計算につきましては、四月にさかのぼりまして計算をしたいというふうに考えております。
#15
○尾身委員 通産省の考え方の基本は大体わかったような感じがいたしますが、料金面での対応で言いますと、前回の五十三年に差益還元をいたしましたときには、そのすぐ後、昭和五十五年にまた大幅な料金引き上げを行わざるを得ないようなことになったわけでございまして、今回も、これから以後、原油の価格が多少上がったり、あるいは多少円安になったら、すぐまた料金を引き上げるというようなことのないよう、料金面での対応あるいはそれ以後の対応につきましても、中長期的な観点に立って、腰を据えた具体策を打ち出していくべきであるというふうに考えているわけでございます。
 そこで、一般論としては、先ほど長官おっしゃいましたような考え方で円高差益還元問題を考えておられると思いますが、具体的な対応の中で、今のような一たん下げてまたすぐ上げるというような不安定要因をもたらさないような配慮が特に必要だと思うわけでございますが、その点について御意見をお伺いしたいと思います。
#16
○野々内政府委員 今回の差益還元の議論の中で、御指摘のように、五十三年の経験というものが非常に大きく問題にされておりました。したがいまして、やはり見通しが非常に不透明であるという現状を考えますと、それに伴うリスクというものは当然コストの中に算定をしておく必要があるわけでございまして、今回の電力・ガス差益問題懇談会の報告書におきましても、現状では為替レートや原油、LNG価格の動きが不透明であり、このような状況のもとで差益の規模を予測するということには相当なリスクが伴います、これに適切に対応できるような措置をとることが必要であるというふうに指摘されておりますが、具体的には、一つは、不透明な状況のもとで差益の規模を見通すことに伴うリスクヘの対応、これを考えまして、差益の一部分を内部留保の充実に充てる必要があるという指摘でございます。これは、リスクがあるということでありますと、当然保険を掛け保険料を払う必要があるというのと同じ発想でございまして、前回は大体六割から七割、会社によりましては低い四割ぐらいの還元もございましたが、差益の中の一定率をやはりリスクのための内部留保とする必要があろうかというふうに考えております。
 その場合に、この内部留保をただためておくだけではなしに、これを活用いたしまして、配電線の地中化とかあるいはガスの保安対策というような社会的要請の強い設備投資、こういうものを前倒し実施するというような形によりまして積極的に対応していくことが望まれております。通産省としても、この懇談会の指摘というものは適切な指摘であろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、こういう懇談会の指摘のような点も踏まえまして、具体的な方策の詰めを急ぎまして、なるべく早く差益の還元を行ってまいりたいと考えております。
#17
○尾身委員 今の内部留保との関連でもございますが、今やはり日本経済全体が非常に景気が低迷している中にありまして、非常に景気がいいといいますか経営状態が良好なのは、電力とかガスあるいは石油精製とか原料を輸入に依存している分野でございまして、そういう意味で、これらの産業の設備投資あるいは景気浮揚に対する活動というものが大いに期待されるわけでございます。
 そういう意味で、内部留保の確保が一体どうなるのかということにもよりますが、円高差益の還元の一環としてぜひ、例えば送電線の地中化とかあるいはガスの保安対策の充実とか、そういう点につきましても十分に力を注いで、景気の底上げをする一つの原動力になってもらいたいというふうに強く希望しているわけでございまして、この点について御意見をお聞きしておきます。
#18
○野々内政府委員 本日、経済対策閣僚会議が開かれまして総合経済対策が決定されたわけでございますが、この中で、電気、ガス事業につきましては設備投資の繰り上げ発注及び配電線の地中化投資の増加に努めるということが決定されておりまして、今後ともそういう形で業界を指導してまいりたいと思っております。
 具体的には、電気事業につきましては、公共投資の端境期となります四−六月期を中心に、六十一年度の上半期に七千億程度の繰り上げ発注を行いたいと考えております。従来四−六月期は大体二二、三%程度の発注の比率でございましたが、これを三四、五%まで高めるということによりまして四−六月の公共事業の端境期をできるだけ埋めるようにしたいと考えております。また、この四−六を含めまして上期は従来四五%程度でございましたが、これを六〇%程度まで高めるということを考えたいと思っておりまして、これによります上期の前倒し発注が七千億程度のプラスになるという意味でございます。
 また、配電線の地中化につきましては、既存計画、当初年間二十キロ程度でございましたが、これを昨年の経済対策で年間百キロ程度までふやすことにいたしましたが、これをさらに六十一、六十二年度におきましては一千億円程度積み増しを行おうということを考えております。従来の計画でいきますと六十一年度が約四百億円でございまして、これが八十三キロ程度に相当するわけでございますが、これをさらに約一千億追加いたしまして、距離にいたしますと二百キロぐらいの追加、したがいまして、六十一年度は大体二百八十キロメートルぐらいの地中化を行おうということを考えておりますが、また六十二年度につきましても同じく一千億程度追加をいたしまして、六十二年度トータルでは三百キロメートルを超える地中化を実施したいと考えております。
 また、ガス事業につきましては、六十一年度の上半期には特に保安の強化の事業の繰り上げということに努めるように指導いたしてまいりたいと考えております。
 現在、電力業界におきましても内部に検討のための委員会を設置いたしまして、繰り上げ発注、追加投資の具体策について検討中でございます。また、配電線の地中化につきましては、各社それぞれ地元レベルで詳細な詰めを行っているということでございます。
#19
○尾身委員 それで、当面、先ほどお話を伺いました差益還元が行われるわけでございます。これは六十一年度を対象といたしました暫定的な料金の引き下げあるいはそれに関連する対応であるというふうに考えられるわけでございますが、円高の動向や石油価格の動向がやや安定しました段階におきましては、この動向を早急に見きわめまして、原価主義の方針に基づきまして中長期的に安定した料金体系の確立ということが急がれるのじゃないかと思うわけでございます。それを確立することによって、日本経済が安心していろいろな面で新しい経済の枠組みに対応できるということでございますので、できるだけ早く円高、原油価格の動向を見きわめた上で、新しい料金体系への移行ということをぜひ御検討いただきたいと思っているわけでございますが、この点についてお伺いいたします。
#20
○野々内政府委員 今回の差益への対応につきましては、関係各方面から早期に還元してほしいという要望が非常に強かったこと、それから、御指摘のように現在為替レートあるいは原油価格についての見通しがなかなか難しいというようなことも踏まえまして、とりあえず六十一年度を対象に暫定的な引き下げ措置ということを考えているわけでございますが、六十二年度以降につきましては、電力・ガス差益問題懇談会報告の中でも、「為替レート、原油価格等の動向を見極めつつ、適切な対応をとるべきである。」旨指摘されております。当省といたしましても、こういう方向で今後考えていきたいと思っております。
 具体的には、シナリオとして三つぐらいあろうかと思っております。一つは、御指摘のように為替レートあるいは原油価格についてかなり落ちつきが見通されるという状況では、長期的な抜本的な料金制度の改正というものに取り組むということであろうかと思っております。もう一つは、現状のように非常に不安定な状態が依然として続いているという場合には、若干の手直しもあろうかと思いますが、ことしの措置を継続するということであろうかと思います。もう一つは、再びOPECで何らかの措置がとられて原油の価格が急騰する、あるいは為替レートが安くなるというような場合には、六十一年度の暫定措置を撤回せざるを得ないと考えております。
 この三つぐらいのシナリオが考えられますが、できるだけ長期的な配慮から料金を考えていきたいと思っております。
#21
○尾身委員 次に、中小企業対策について質問をさせていただきます。
 現下の急激な円高の進展の中で、特に輸出型の中小企業を中心といたしまして大変に大きな影響を受けているわけでございます。この輸出型の中小企業に対します対策をさらに十分講じなければいかぬと考えているわけでございますが、本日決定されたと聞いております総合経済対策の中身も含めまして、これに対する中小企業政策の問題をどう進めていくか、この点についてお伺いをさせていただきます。
#22
○木下(博)政府委員 急激な円高で影響を受けます中小企業に対する対策といたしましては、二月十五日に成立いたしました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の実施に全力を挙げて努めておるところでございますけれども、当時よりもさらに一段と円高が進行しているということもございますし、また、三月、四月にかけて既契約が底をついてしまって生産を落とさざるを得ないという中小企業者の方も非常にふえてきているという状況でございますので、さらに一段と対策を強化する必要があるだろうということで、本日の経済対策閣僚会議において中小企業対策もさらに内容を充実したものにしたわけでございます。
 その第一点は、中小企業国際経済調整対策のいわゆる低利融資の金利の引き下げでございますが、現在まで五・五%の金利で運用しておりましたものを、事業転換対策については五%に引き下げる、それから、いわゆるつなぎ資金の経営調整資金については五・三%に引き下げるということを決めたわけでございます。専業転換につきましては、現実の運用としてすぐに具体的な事業転換計画をつくりにくいというような面もあるわけでございますが、現実には、今のような円高が進めば事業転換等も真剣に考えていかざるを得ないという企業の方も非常にふえているわけでございます。御承知のように、事業転換対策資金は運転資金と設備資金とございますので、今後、本日の決定に基づきまして、でき得る限り業種の実態あるいは産地の実態に応じて弾力的にこの事業転換資金を活用していきたいというふうに考えております。
 それから、このような金利引き下げは本日からということではなくて、特につなぎ資金については昨年の十二月から実施をしておるわけでございますので、十二月末から実施されているものについても認定中小企業者である限りにおいてはさかのぼって適用するということを考えておりますし、事業転換資金につきましては二月二十五日に法律が施行されておりますので、そのときにさかのぼって実施するということを考えております。
 それと同時に、マル経資金につきましても、現在六・八%の金利になっておりますが、これが最近の全体的な金利引き下げに伴って国民金融公庫の基準金利よりも〇・四%高くなっているという状況でございますので、〇・五%引き下げて六・三%にするということを本日決定したわけでございます。それが金利の引き下げの関係でございます。
 それ以外に、下請企業対策につきましても、現在の下請代金支払遅延等防止法という法律に基づく下請企業に対するしわ寄せ防止対策をさらに強化するほか、都道府県あるいは商工会、商工会議所に相談窓口を設けまして、一層の下請対策の充実を図りたいというふうに考えております。
 それと同時に、事業転換等を真剣に考えていかざるを得ない産地が非常にふえておりますので、そういう方々から、実際にどういう事業転換をやっていったらいいかなかなかわからないという声をよく聞くわけでございます。したがいまして、事業転換をするに際してどういう心構えでいくべきかということは、やはり役人がいろいろと指導助言するよりも、実際の経営の任に長い間あった人たちの声を聞く方がいいだろうということで、産地中小企業活路開拓アドバイザーという方を任命いたしまして、臨時に通産大臣から委嘱いたしまして、その方々に産地に行っていただいて、それで産地の人たちとの話し合いをしていただくというようなことを考えております。そういうアドバイザーとしては、例えばファナックの社長の稲葉さんとか京セラの社長の稲盛さんとか、そういうような方を現在考えておるわけでございます。
 三番目に、同じような事業転換を実施するに当たりましては、各地方ごとにきめの細かい対策が必要であるだろうということで、関係都道府県に産地対策推進協議会というのを設けまして、都道府県の関係者及び中小企業関係者によって構成された協議会によって、きめの細かい事業転換対策を進めるようにいたしたいというふうに考えております。
 それから、次の対策といたしまして、中小企業の高度化資金の前倒しの問題がございます。
 中小企業の高度化資金は、国から出される金と都道府県から出される金、両方あわせて実施しておるわけでございますが、ともすれば都道府県の予算措置がおくれますために、事業の実施が非常におくれるということがございますので、都道府県の方に協力をお願いしまして、できるだけ早く予算措置をやっていただくというようなことで、今年度におきましては、上期に従来ベースよりも百億円程度前倒し執行できるようにしたいと考えております。これは地方の民活事業にも当たるわけでございますので、そういう意味で中小企業対策にもなり、民活公共事業対策にもなるというような効果があろうかと私どもは考えております。
 それから最後に、公共事業の前倒し執行あるいは電気事業者、ガス事業者、NTTの設備投資の拡大ということは今回の対策で決まったわけでございますけれども、そういうものができるだけ中小企業者に均てんし得るように、中小企業者の受注機会の拡大を図っていこうというようなことを最後に取り決めたわけでございます。
#23
○尾身委員 中小企業の政策について、地元を回ってみますと次の二つの点の要望が非常に強いわけでございまして、この点について要望いたしまして長官の御意見をお聞きしたいと思います。
 一つは、こういう御時勢になるので安い金利のお金を借りたいと思うのだけれども、昔借りた高い金利の金、例えば七%とか八%とかいう金利で借りている債務、中小企業三機関に対する債務を何とか安い金利に切りかえてもらえないかということで窓口に行っても、なかなか言うことを聞いてもらえない。確かに契約で借りているわけでございますから、難しい面があろうかと思うのでございますが、しかし、ここまで金利が下がってまいりますと、やはりそういう借りかえをしていきたいという声もまた納得できるところでございまして、この点についての弾力的な配慮をぜひひとつお願いをしたいということであります。
 それから、もう一つは担保の点でございますが、中小企業三機関に金融を頼みに行きますと担保をとられる、そのとられる担保が第一抵当でとられるというのが原則なのでありますが、そのとられ方の評価が割に安くしか見てくれない。そういう点で、中小企業がお金を借りたいと思っても担保がないために借りられないというケースが非常にあるわけでございます。これもいろいろな事情があるわけでございますけれども、しかし、この点についてはもう少し弾力的に担保の評価なりあるいは担保の確保という条件を緩和する方向で御検討をぜひお願いをしたいと思うわけでございまして、以上二点について質問をさせていただきます。
#24
○木下(博)政府委員 確かに先生御指摘のように、最近金利が急速に低下しておるわけでございます。公定歩合の二度にわたる引き下げに伴いまして、中小公庫、国民金融公庫からの貸付金利も七・二%から現在六・四%まで引き下げが行われておるわけでございます。従来は八%台の金利で融資をしていたというのも二、三年前にあったわけでございますので、そのときに比べると大幅な金利引き下げになっておるわけでございます。したがいまして、従来七%台の上の方あるいは八%台で借りておられた中小企業者の方々が、現在の金利水準でいえば相当安い金利で借りられるのに、そういう高い金利負担をせざるを得ないという状況におありになるという点は、確かに私どもとしてもよく理解できるわけでございます。
 ただ、中小機関の立場から申しますと、高い金利で貸した金の原資はやはり高い金利で財投金利として借りているというようなことがございますので、中小公庫、国民金融公庫が最近利幅の縮小によって赤字を余儀なくされているという状況下において、そういう運用をするのは非常に難しいという面も確かに一面あるわけでございます。しかし、過去、五十年代の前半におきましても、同じようなときに、やはり金利が大幅に下がって、高い金利の融資を何とかしてほしいという御要望があったときもありまして、そのときは若干弾力的に運用した時期もあったわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、今同じような御要望が出ておることを踏まえまして、何とか少し弾力的にできないかという点の検討を行っております。
 ただ、先生御承知のように、政府関係金融機関の融資は固定金利で融資をしておりますけれども、市中銀行の場合には変動金利で融資しているケースもある。したがって、その間に差があるわけでございますが、実際の運用といたしまして、中小企業者の方々が期限前償還をするというようなことで、別に安い金利を市中銀行で借りられるというようなときにはそういうことも行っておられるわけでございますので、そういう点はできるだけ中小企業者の方々もいろいろ知恵を働かせていただきたいなという感じもしておるわけでございます。
 いずれにしても、今御指摘の点は十分検討をさせていただきたいと思っております。
 それから担保の点でございますが、中小企業金融公庫にいたしましても国民金融公庫にいたしましても、金融機関でございますから、当然信用力がある方に貸さざるを得ないという原則を変えるわけにはいかないという立場にあるわけでございます。しかし、政府関係金融機関の融資でございますし、現在のように非常に厳しい経済情勢下におきまして、政府関係金融機関が普通の金融機関と同じような融資態度で接するということでは、その意味をなさないということもございます。昨年の暮れに大蔵省と通産省連名で、そういう機関に対しまして、特に円高で影響を受けている方々に対する融資については機動的に弾力的に運用するようにという通達を出しておるわけでございますが、そういうような通達を踏まえまして、個々の金融機関の窓口で、担保問題を含めて融資に当たっては十分親切に対応するように今後とも指導していきたいというふうに考えております。
#25
○尾身委員 次に、中小企業と行政改革の関係についてお伺いをさせていただきます。
 現在行革審におきまして、中小企業金融公庫の融資問題について限定をつける方向で検討しているというふうに聞いておりますけれども、先ほど来お話がございますように、中小企業円高対策等におきまして重要な役割を果たしている中小企業金融公庫についてその機能の縮小を検討するということは、現在の日本経済の実態あるいは中小企業政策のあり方から見て本末転倒ではないかと考えるわけでございます。この点についてお答えをいただきます。
#26
○加藤説明員 特殊法人問題等小委員会におきましては、個別法人の活性化の観点からの見直し、それから各法人を通じます一般的活性化方策につきまして検討審議を行っているわけでございます。その一環といたしまして、中小公庫等の政府関係金融機関につきましても検討審議を行ってきているということでございます。
 現在、各省庁からのヒアリングを一応終えまして、目下小委員会内部で検討審議を進めているわけでございますが、小委員会内部における審議の過程におきまして、中小公庫の融資対象につきましては、民間金融機関が融資困難なものに重点化すべきではないかといったような趣旨の意見も一部参与から出た経緯があるわけでございます。
 ただ、先ほど先生御指摘のように、中小公庫につきましては、円高対策等で重要な役割を果たしてきているということも事実でございます。このような事実をも踏まえまして、先生御指摘のようなことも踏まえまして、今後十分検討審議を行っていくということでございます。本年の四月末をめどに小委員会としての意見をまとめまして審議会に提出すべく、目下鋭意検討審議を進めているということでございます。
#27
○尾身委員 今のお話を聞きますと、特殊法人の活性化というようなことを目標にいろいろ検討しているけれども、円高対策の点もこれあり、その役割をやや前向きに検討をするというような説明であったように私は聞きましたけれども、中小企業金融公庫に対しては補給金を増加することはいかぬというようなことを検討しているのじゃないですか。もう一遍お聞きしたい。
#28
○加藤説明員 中小企業金融公庫につきましては、先ほど中小企業庁長官が申されましたように、利幅が縮小していること等によりまして補給金が近年急増しているという実態があるわけでございます。このような問題につきましても、もちろんいろいろな角度から検討をしているわけでございますけれども、先ほど先生御指摘の中小企業対策における中小公庫の重要性、そういったことをも十分踏まえまして検討審議が進められているということでございます。
#29
○尾身委員 今そうおっしゃっているのですから、中小企業金融公庫についてこれ以上追及はいたしませんが、今の中小企業金融の重要性ということは我々もずっと長い間考えてきたことでございまして、この点について、この機能を縮小するというようなことは到底容認できないというふうに考えているわけでございますから、たとえ行革審の答申が出ても、そんなに簡単にいかないという点だけをひとつはっきり申し上げておきます。
 それから、特に、同じく行革審において、商工中金に対する政府の出資を縮減していくべきではないか、将来は出資をゼロにすべきではないかということを検討しているというふうに聞いているわけでございますが、商工中金については、既に前回の第二臨調におきまして十分検討をいたしまして、その結果問題がないということで、昨年の通常国会のこの商工委員会で恒久機関としての位置づけを改めてして、体制を整えて、出資もふやして、中小企業金融における役割を今後十二分に果たしていただくように対応した段階でございます。
 そういう直後に、商工中金という機関を個別の指摘対象として取り上げるということは、今までの経緯及び国会の審議の経過を軽視しているものではないかというふうに感じているわけでございますが、この点について、ひとつ腹を据えてお答えをお願いいたします。
#30
○加藤説明員 商工中金につきましても、政府関係金融機関を通じます活性化方策の検討の一環といたしましていろいろ検討をしているわけでございます。
 その中で、政府出資の問題につきましても一部参与から意見が出た経緯があるわけでございますが、小委員会の各参与とも、昨年の商工中金法の改正の経緯等については十分承知しているわけでございまして、そのような経緯等を踏まえまして慎重に検討をしていくということでございます。
#31
○尾身委員 ちょっと言葉じりをとらえるようで恐縮でございますが、特殊法人の活性化という観点から議論をしている中で、どうして商工中金の政府出資の縮減という問題が議論の過程としても出てきたのか、その点もひとつお聞きしたいと思います。
#32
○加藤説明員 小委員会における検討はいろいろ多角的にやっております。いろいろな意見が出るわけでございます。そういったいろいろな側面からの検討の一環として、一側面として政府出資の問題も取り上げられたということでございます。
#33
○尾身委員 私は、政府系金融機関の改革の報告書原案というのが出されていると思うのです。行革審の事務局から各省庁に、こういうのでどうかというのが出されていると思うのです。その中には商工中金については、「組合金融機関にふさわしい自立的経営を達成するために毎年の政府増資を縮減しつつ、できるだけ早期に中止し、将来、経営基盤の整備をまって政府出資分を段階的に償却し、自立化を図る。」というふうに書いてあると思っているのでありますが、あなたの意見だと、ただ中の議論としてそういうことが行われたというふうに聞こえますけれども、どうなんですか。
#34
○加藤説明員 小委員会におきましては、先ほど申しましたようにいろいろな議論が出ているわけでございます。またそういった議論につきましては、それぞれ各省庁のお話も聞きつつ詰めていくということでございます。そういった中で政府出資の問題も取り上げられた経緯がある。ただ、先生の申されました新聞報道でございますが、それはあくまでも記者の取材に基づくものでございます。
#35
○尾身委員 この問題はこれ以上ここで議論しても仕方ありませんので、行革審事務局に対する質問という形ではやめさせていただきますが、私は、現在の円高や厳しい国内経済の現状といういわゆる短期的な問題だけではなしに、日本経済の長期にわたる安定的な発展を図っていくという観点から、経済の中核であります中小企業の育成強化が極めて重要であり、中小企業の金融問題というのはそのための最も有効な手段としてますます強化拡充をしていくことが必要であると考えているわけでございます。
 そして、こういう基本的な考えにつきましては、恐らく当商工委員会の委員の先生方におかれましてもほぼ異論のない、いわば国民的コンセンサスを得たものであると考えているわけでございますが、現在、このような考え方の方向に逆行する議論が行革審の場でなされているということはまことに遺憾でございまして、この点は去る四月三日の自民党の中小企業調査会におきましても、こういう行革審の審議の内容は極めて遺憾であるということで明確に決議がなされたところでございます。したがいまして、もしこのような方向で、中小企業金融機関の機能を縮小するような方向で答申がなされるならば、私どもとしてはこれに絶対に反対をしていかざるを得ないというふうに考えているわけでございます。
 そこで、最後に、中小企業を担当しています通産大臣にお伺いをいたしますが、今のような状況のもとで、商工中金や中小企業金融公庫に対しまして政府出資の縮減やあるいは機能の縮小といったようなものを行革審で検討しているということにつきまして、通産大臣としてのお考えをお聞きしてまいりたいと思います。
#36
○渡辺国務大臣 政府機関が行うことは、民間ができないことを政府機関がやる、これが原則でしょう。今、中小企業が非常に厳しい状況の中に置かれておるというようなときに当たって、やはり民間ができない問題はいっぱいあるわけですから、そういうのを政府機関がやっていくというために、私は、この中小企業金融公庫というようなものはまだまだ非常に重要な存在価値がある、そう思っております。
 商工中金の問題におきましても、これは窓口で預金を一般に募集する機能を持っておりませんし、商工債の割引債等を発行して財源に充てているわけですから、非常に金利が高い。それでは中小企業の要望にこたえていけない、そういうために、ずっとここ十数年来、毎年百億円程度出資をしてやって援助をしてきたわけです。やはり商工中金というのは一方において組合金融であって、中小企業を組合化し、そして合理性を持たせ、むだな経費を省いて指導していこうというためにいろいろな組合がつくられているわけであります。今後も中小企業が生存をしてやっていくためには、そのような組織と共同事業等は欠かせない問題でございます。したがって私は、商工中金を民間に全部するというようなことは適当ではないと考えておりますから、今後ともそれらの存続については尽力をしてまいりたいと思っております。
#37
○尾身委員 次に、当面の経済運営について質問させていただきます。
 昨年の秋以来の円高が我が国経済にさまざまな影響を与えてきているわけでございますが、特に輸出輸入の両面に与える影響は一体どんなふうに、なっているのか、この点についてまずお伺いをさせていただきます。
#38
○村岡政府委員 円高がいろいろな局面で日本経済に影響を与えております。一般的に言いますと、物価の安定などを通じまして実質国民所得がふえる、あるいは輸出の数量減というものを通じてデフレ効果を与える等、さまざまな影響がございます。
 御指摘の輸出入のポイントについて申し上げますと、まず輸出につきまして、現在の局面は典型的ないわゆるJカーブ効果という現象が出ている状況にあろうかと思います。昨年の四半期別の輸出の対前年伸び率を申し上げますと、第一・四半期がマイナス一・三でございました。第二・四半期が〇・六プラス、第三・四半期が二・八%プラスということでございましたが、第四・四半期に至りましては一〇二一%と急激にその伸び率が高まったわけでございます。その内訳はほとんど価格要因であるということでございます。このようなJカーブ効果は来年の上期も継続するものと思われます。金額において減少するのは来年の下期からやっと見られるのではないかと思います。
 一方、輸入面においては、一般論といたしましては円高によりまして相当輸入額がふえることが期待されるわけでございますが、御存じの当今の原油価格の低下等によりまして今年度も輸入額は伸び悩む、このような状況になるのではないかと思っております。
#39
○尾身委員 そろそろ時間でございますので最後の質問にさせていただきますが、現在円高が我が国の産業に与える影響を考えてみますと、今の六十一年度の政府経済見通しを達成するためにはもっと積極的な財政運営、経済運営が必要なのではないかと考えられるわけでございます。そして特に、五百十億ドルと見積もられていますけれど一も、この経常収支の黒字幅を何としてももっと縮小していかなければならない。そうでなければ日本という国が世界の中で孤立してしまうという非常な危機感を私は持っているわけでございますが、そのためには何といってもさらに二層の内需拡大を図っていく必要があると考えます。そして、本日の総合経済対策におきましてもその点の決定がなされたわけでございますが、現在の総合経済対策に決められた内容程度で本当に十分な内需拡大が図られ、そして経常収支の黒字幅の縮小が図られるのかというと、まだまだこれが不足しているんじゃないかと考えるわけでございます。そういう意味におきまして、きょう、あすの問題ではございませんが、そう遠くない将来に内需拡大をして日本経済をさらに一段と引き上げるための抜本的な対策、例えば建設国債の増発なども積極的にやっていかなければならぬと考えているわけでございますが、この点につきまして最後に通産大臣の御意見を伺って、質問を終了させていただきます。
#40
○渡辺国務大臣 きょう決定をいたしました中小企業対策、それから経済全体を活性化するための総合経済対策を決定いたしましたが、まずそれによって公共事業は、事業量は去年よりも四・三%程度ですかふやしてありますから、それをまず前倒しで、過去に例のないほどの大きな前倒しをやろう。七七%が今までの最大の前倒しなんですが、それ以上幾ら積めるか、七九になるか八になるか、できるだけまず前倒しをやっていこう。それから我々の所管する電力、ガス会社等においても、先ほど長官から答弁があったような設備投資の前倒しそれから追加、こういうものもやっていこう。金融も大幅に緩和し、金利の引き下げもやっていこう。そのほかいろいろな施策を講じてまずやってみるということが先だと思います。
 やった結果、それでも足らないというときには、それは私はどんなことでも補正予算を組んでやればいいわけでありますから、今の段階においてはまず定められたことを全部やってみる、それで秋口に状況を見て適宜適切に対応していく、その中に必要があれば建設国債を臨時的に増発することなども考慮に入れてもいい、そう思っております。
#41
○尾身委員 質問を終わります。
#42
○野田委員長 渡辺嘉藏君。
#43
○渡辺(嘉)委員 私は、撚糸工連の不正不当事件について質問をいたしたいと思います。
 社会党の撚糸工連特別対策委員会の次長として、関係者の事情も聞き、御意見も聞き、あるいはまた現地石川県にも三回出かけました。そして、いろいろ不可解な点もありました。そこでお伺いをいたしますが、まず第一に、この撚糸工連に通産省からどなたとどなたが昭和五十年以来再就職をしていらっしゃいますか。
#44
○浜岡政府委員 累計をいたしまして五名でございます。昭和五十年四月に通産省を退職いたしまして同年四月に連合会の専務理事に就任をいたしました井上修吾、それから四十八年六月に通産省を退職いたしまして五十三年十二月に参与に就任をいたしました倉田時中、それから五十四年四月に通産省を退職いたしまして同年五月に参与に就任いたしました福田中助、それから五十八年十二月に通産省を退職いたしまして五十九年一月に参与に就任いたしました桑田秀男、それから昭和四十四年十二月に通産省を退職いたしまして五十九年五月に常務理事に就任をいたしました石川正敬、以上、累計五名でございます。
 現段階におきまして連合会に籍がございますのは、現在嘱託という身分になっております井上修吾、それから現在参与になっております福田中肋、それから現在常務理事でございます石川正敬の三名でございます。
#45
○渡辺(嘉)委員 そういう前提で承りますが、職員でありました三谷被告が撚糸工連に大きな穴をあけた金は総額見通しで幾ら、そしてその金はどの金を使い込んだのか。
#46
○浜岡政府委員 昨年の九月、連合会が三谷前経理課長を告訴したわけでございますが、その際の告訴状によりますと、三谷が勝手に商工中金から引き出しました金額は十一億七千九百万円でございます。この十一億七千九百万円は、設備共同廃棄事業、昭和四十九年度から五十年度にまたがって行われました板より業に係るものでございますが、これの返済原資と思われるわけでございます。
 なお、撚糸工連はこのほかになお数億円の追告訴をする予定だというぐあいに私ども聞いておりましたが、その後幹部が逮捕されるというような事態が先生御承知のとおり発生いたしておりまして、通告訴は行われておりません。
 なお、三谷元経理課長につきましては、昨年十二月、東京地検から起訴が行われておるわけでございますけれども、この起訴されております金額は二億七千万円でございまして、その差額等につきましては現在なお捜査が行われておるものだろうと私どもは推察をいたしております。
#47
○渡辺(嘉)委員 今承りますと、四十九年、五十年の板より返済原資である、こういうことですが、そのほかに参議院の予算委員会での答弁によりますると、五十七年、五十八年の板より加工糸業振興対策基金、事業費の一〇・五%を各参加業者から徴収をいたしまして約十六億に近い金があるわけですが、これも使い込んだ、こういうふうに承知してよろしいですか。
#48
○浜岡政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、連合会が告訴いたしました十一億七千九百万円のほかに、なお、先ほど数億円と申し上げましたが、私どもが聞きました説明では約五億円程度と聞いておりますが、そういう使い込みがあるということでございまして、追告訴の予定だったものが今日まで告訴はされていないわけでございますけれども、この分につきましては、先生御指摘のような性格の資金等が手をつけられているのではないかというぐあいに私どもも承知いたしていたわけでございます。
#49
○渡辺(嘉)委員 それでは当時の井上専務、今嘱託になっていらっしゃるわけですが、この人は昭和五十年から撚糸工連の専務です。この方は、逮捕される前に証言されておることによると、四十九年、五十年の板より返済原資は商工中金に預けてある、保護預かりであった、こういうことですね。ですから質権設定、担保設定等がしてなかった、だから引き出されて横領されたのだ、こういうことを説明していらっしゃるわけですが、これについては、これも参議院の審議の中でも出ておるわけですが、商工中金がこういう大事な返済原資を預かっておりながら、単なる保護預かりで、そして要望があったから出しちゃったというようなことをすれば返済原資がなくなってしまいますね。そうすると、事業団は大事な金を商工中金に預けたのです。中小企業事業団は当然それに担保なり質権なりつけて、これは返済原資です、大事にこれを運転してもらうことによって十六年先に全部が返せるのです、こういう前提から、当然これはそれ相当な手段が講じられておるべきだ、こう思うのですが、この点なぜそれをやらなかったか。
#50
○浜岡政府委員 御指摘のとおり、四十九年度、五十年度に実施されました板より機共同廃棄事業に係る返済原資につきましては、保護預かりになっていたわけでございます。なお、一般的にはこの返済原資につきましては中小企業事業団の質権が設定されておりますので、このような事態がほかのケースについて起きるというような懸念は存しないわけでございます。
 しからば、なぜあの四十九年度、五十年度のこの事業について保護預かりになっていたかということでございますけれども、この共同廃棄事業は、先生御承知のとおり、中小企業事業団からの融資によるというような新しい仕組みが働き始めましたいわばテストケースというような性格を持っていたわけでございます。そこで返済原資につきましては残存者負担というような考え方をとりまして、設備廃棄が行われました後、みずからは設備廃棄をしないで残っている人たちがほかの人がやめることによって何らかの利益を受ける、その受益に着目しまして残存者からおいおい返済原資を集めていくというような仕組みをとったわけでございます。したがいまして、次第次第に返済原資が集まってきてその額が大きくなっていくというような形になっておりましたものですから、まとめて質権を設定するというような手続に必ずしも乗りにくかったという面がございまして、保護預かりというような姿になっているわけでございます。
 その後の事業につきましては、これは直接受益者負担といいますか、みずから設備の廃棄をしまして、買い上げを受けた人から返済原資を徴収するという仕組みになっておりますものですから、これはまとめて返済原資というものが入ってまいりますので、一括して質権を設定するというような状況になったわけでございまして、このケースは、今振り返ってみますとただ一つの例外的なケースなわけでございますけれども、どうもその点に非常に大きな盲点が存在していたというぐあいに思うわけでございます。
#51
○渡辺(嘉)委員 特に残存業者も不況の中で苦しんでおる。その残存業者が出したという金なら、これが当然返済原資になるわけですから、少なくともこの制度が五十二年からやり方が変わっておるわけですから、当然中小企業事業団はその段階においてでも、一切を質権設定なり担保設定をしておくべき責任があったと思う。これは中小企業事業団にとっても通産省そのものも、そういう指導をしなかったということは大きな責任がここにある、こう思うのです。
 それから、時間が貴重ですから続けていきます。
 そこで、そういう質権設定をしない、だから引き出しがなされた、そのいわゆる四十九年、五十年の板より機の共同廃棄による業界負担を今度いたしておるわけですね。その業界負担金と今の返済原資、これはそれぞれが負担するわけですね。業界負担も残った人々が負担するのか、これは設備廃棄に参加した人が負担しておりますね。そうすると今度は返済原資ですが、それが十三億数千万円、十四億近くたまったというのです。ところが、残った業者の方々はそれを出しておらぬ、こうおっしゃるのですが、どうですか。どこから出たのですか。
#52
○浜岡政府委員 第一の御指摘の点につきましては、そういうチャンスがあったのではないかという御指摘に、そのとおりでございますと率直に申し上げざるを得ないと思います。私どもといたしましても、そういうチャンスを逸しましたことは非常に残念でございますし、申しわけないと思っております。
 それから第二点でございますけれども、実は一般的に行われております仕組みにつきましては、先ほど申し上げましたように受益者負担といいますか、現実に設備の買い上げを受けた人に返済原資を負担していただくということになっていると申し上げたわけでございますけれども、これは実態的な面での姿というものを御説明申し上げたわけでございます。この工業組合連合会に返済原資がたまりまして利益を生んでいくというような姿になるわけでございますけれども、この辺の税務上の取り扱いにつきましては、別途国税庁と御相談をいたしまして、形式上残存者負担というような姿になるように税務処理上取り扱っておりますものですから、あるいは先生御指摘のような声があるかもしれませんけれども、これは税務処理上の手続の問題でございまして、実態的には先ほど申し上げましたように受益者負担というような姿で資金の流れは行われておるわけでございます。
#53
○渡辺(嘉)委員 私もそれを不思議に思っていろいろ調べておるのですが、このからくりを一遍あなたの方できちっと調べていただきたい。残存業者は出しておらない、そしてそれをからくりで出したのです。いいですか、それをきちっと調べてください。そして、後日また私の方へ出してもらいたい。
 と同時に、そういう残存者負担を今度は廃棄業者負担にするために、そうすると廃棄業者としては自分たちが負担しなければならぬものですから、非常に過酷だ、こういうことになる。そこの異議を言うたのに対して、高丸常務はこの二月にこういうことを述べておるのです。今までのそういうやり方から変えるために五十三年からはその価格を廃棄業者が負担してもいいように見直しました、こうおっしゃっているのです。だからその価格を調べてみますと、四十九年、五十年のときの設備廃棄価格では、板よりで三菱重工LS2というのが、事業廃止の場合には一錘当たり三万七千円の機械を、今度は五十三年のときの買い上げはこの同じ機種が十五万一千二百五十円とこう上がったのです。四倍以上になっているのです。おかしいじゃないですか。あの当時物価が上がったということはわかっておりますが、四十九年、五十年ですよ、それと五十二年との比較で四倍以上に同じものの値段を上げてしまうというようなことは、これにこのからくりが出るのじゃないですか。
#54
○浜岡政府委員 ただいま御指摘いただきました第一番目の税務上の取り扱いの問題につきましては、詳細をペーパーにいたしまして先生の方に御説明をさせていただければと思います。
 それから第二点の、個別の機種に即しての数字は、実は私も今初めて見たわけでございますが、現在の処理要領によりますと、残存簿価の三倍以内、それを判定することが難しい場合には再取得価格の二分の一以内、こういうメルクマールの範囲内でいわゆる指導会議におきましてその価格等を決めていくというような仕組みになっているわけでございます。この辺のギャップにつきましては、かなり昔の時点のことでもございますし、また、かなりの関係資料が私どもの手元にもまた連合会の手元にもございませんので制約がございますけれども、なお可能な範囲で、どうしてこういう開きができたか調査をいたしてみまして、後日御報告をさせていただければと思います。
#55
○渡辺(嘉)委員 第一点の税務上のことを私は聞くのじゃないのです。残存業者負担だと言いながら残存業者は出しておらない、それを聞いておるのですよ。それがたまってくるのです。この仕組み、税務上の問題じゃないのですよ。これを私の方でも調べてみて、こういうばかなことを少なくとも通産と大蔵と打ち合わせしてやったというなら大変なことになる。だから、この点をきちっと出してもらいたい。
 それから今の値段についても、こんな幾ら何でも第一回と第二回が四倍以上に値段が上がるというのは、少なくとも中小企業事業団の金は国の一般会計から入っておるわけですから、こういうべらぼうなことをやってもらっては困る。
 そこでしからば、先ほどもちょっと触れましたが、五十七年と五十八年の問題の設備廃棄のときに、板より加工糸業振興対策基金というものを十六億、この指導要綱にもないしあるいはまた契約書にもない、そういうものを集めたわけですね。そしてそれは、十六億集めて、組合員からこういうえらいときに一〇・五%も取られたのじゃもう手取りがなくなってしまうという異議が出て、そしてそれを返すべきだということになって、今度返すときにはこの預かり金で取ったものを融資という形にして金利を三二・五%、それから三七・五%、五十七年、五十八年と年度が違うわけです、金額も違うわけですが、そういう比率でこれを差し引いておるのですね。こういう仮より加工糸業振興対策基金という制度そのものは通産省はお認めになったのですか。
#56
○浜岡政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたのは、昭和五十七年の十月にこの連合会が策定をいたしました板より加工糸業振興対策基金運用規約に基づきまして、五十七年度及び五十八年度に実施されました板より機共同廃棄事業参加者から買い上げ価格の一〇・五%相当額を八年間無利息で預託を受けるという仕組みの問題であろうかと存じます。
 御指摘のとおり、この制度の目的は、新しい生産技術あるいはシステムの研究開発、新製品の開発さらに新需要の開拓に関する調査研究といったようなことを目的にしたようでございますけれども、その後業界をめぐる状況が急速に悪くなりまして、将来へ向けてのそういう先行投資よりも目先の資金だというようなことで返済の要求が出てまいりまして、一部が返済をされているわけでございます。今回私どもも初めて承知したわけでございますが、その返済に当たりまして、八年間無利息で預託した場合連合会サイドに生まれたであろう利息というものを返済額の中からいわば天引きしているといいますか、控除しているという格好をとっているようでございまして、組合の中の問題ではございますが、私どもも率直に申し上げまして、いささか首をひねらざるを得ないなというような心境になっているわけでございます。
 なお、こういう仕組みをつくること、あるいはこういう仕組みの後始末について今のような措置をとるようなことにつきまして、私どもが当時の担当者にただしましたところでは、当時の担当者の記憶では、そういったことについて了解を与えたようなことはないというぐあいに申しておるわけでございます。
#57
○渡辺(嘉)委員 そういう国の金が来るのに天引きしてしまうということを本省も了解しておらぬようなことなら、これは即刻指導して是正して、組合員にまず戻してやる、この措置をとってもらいたいことと、いま一つは、これと関連するのですが、この石川工組はこのほかにまた撚糸振興対策基金と称して事業費の三%を十六年間預かり金で無利子で天引きしたんですね。これも承知のはずだからもう次に行きますが、そうすると、前の一〇・五といい、今度の石川工組だけの三%といい、組合費がどんどん天引きされておる。そこで、そういうことは好ましくないと通産からの指導もあって、撚糸工連からそれは好ましくないという通達が行ったのです。そのかわりもう一遍同意書をとればいいんだというようなことが指導で行った。だから、この一週間ほど前から、役員が今度は強引にこういう同意書を集め始めたんです。今までは十六年間だ、十年間にしてやるから判こを押せと言って集めて歩いておるのです。これはことしの三月二十八日、二十九日、それから四月のこの上旬にかけて集めておる。出さぬ人も当然ありますけれどもね、わけがわからぬから。こういうばかなことを通産省は指導していいのかどうか。
 それから、前のときは何もわからずにこういう同意書をとったのです。判こを貸せということでぼんぼんと判こを押しただけなんです。だから各自は何も知らなかった。私どもが判こを押して出した書類を見せてくれと言ったときに初めてこれが出てきた。知らなかった。そこで、今度こういう同意書を集めておるような強引なやり方、こういうばかげたことはやめさせて、この際、そういう関係の方をみんな寄せて、通産省としてはこういう考え方なんだ、これは好ましくない、あるいはまたおかしいということならそういうことをはっきり言う。そして皆さんの大事な金なんだから、それでも出したいという人は出しなさい。一遍全員に戻す、そして出したい人は出して基金制度をつくる、こういうふうに指導されるべきではないか。そうでないと、こういうばかげた同意書をまたこの一週間彼らは強圧的に集めておるのですが、どうですか。
#58
○浜岡政府委員 第一番目の一〇・五につきましては、返済するのが適当であろうと私どもも思います。ただ、先ほど申し上げましたように、残った資金はどうも元経理課長が使い込んでしまっている対象のようでございまして、今後司直サイドにおきまして、最終的にどれくらいの金額を元経理課長が使い込んでいるのか、また使い込んだ資金が一体本当に費消されてしまったのか、どこかに残されているのか、その辺がわかりましたところで対応ぶりを考えなければならないというぐあいに思います。あるいは民事上の問題として処理しなければならないかもしれないと思いますけれども、性格上は返済するのが適当なものであろうというぐあいに思うわけでございます。
 それから、第二の点につきましては、実は私どもも大変心外でございまして、こういう産地組合で賦課金をさらに上乗せするというようなことは適当でないという通達を出しておりますことは先生も御承知のとおりかと思います。それで、今先生いみじくもおっしゃったわけですけれども、さはさりながら、産地の実情に応じて、総意によって何らかの形でそういう業界のためになるファンドをつくろうということであるならば、まさに先生おっしゃったとおりに、全員集合の場でそういう全体的な意思決定をし、さらに個々の事業者として自分はどうなんだということを、はっきりイエス、ノーを言っていただくチャンスをつくるために、同意書というようなものを個別にいただくべきだというぐあいに指導をいたしたわけでございますけれども、どうも今の先生のお話を承りますと、全く逆手に使っているというような感じがしないこともないわけでございまして、よく実情を調べまして、私どもの真意と違うような動きでございましたら、これは厳重に注意をいたしたいと思っております。
#59
○渡辺(嘉)委員 では、今の御答弁で、現地に行ってそういうことをきちっと指導しませんと、今の話、逆手にとって、格好だけつければいいということでやっておる危険があります。これはたまたま百何十人のうちで一人の人が強引にこれを押さえ込んだ。だからやっとこれが手に入った。あとは全部持って帰っちゃう。写しも何もないのです。こういうばかなことはあり得ないのですね。だから、その点ひとつ厳重にやっていただきたい。
 それから次に、産地組合助成金は五十七年三億五千九百万、五十八年一億一千五百万、こういうふうに撚糸工連の決算書には出てきたわけです。そのうちの、いろいろなファクターがありますが、三%の手数料のうちの一・五%相当額はそれぞれの産地へ助成した、こうおっしゃる。通産省の説明ではそういうことです。そこで私は、現地の石川工組等に産地振興資金としてこの一・五%が来ましたかと言うたら、来ておらないと最初はおっしゃる。その後は、記憶がないとおっしゃる。これは少なくとも億という金です。記憶にないというようなことはあり得ぬと思うのですが、この点は本当に産地へ行っておるのかどうか。どうですか。
#60
○浜岡政府委員 多分こういうことだと思います。連合会サイド、逮捕を免れております職員等から聞きましたところでは、確実に産地組合に交付したと言っております。それから、石川県以外の産地組合から確認をしたところ、いずれの産地組合も確かに交付は受けているというぐあいに申しておりますので、石川県の産地組合の場合には、先生御承知のとおり、あの産地組合も強制捜査を受けておりまして、ほとんどの書類を押収されておりますので、書類で確認をすることができないという趣旨のことを申し上げたのではなかろうかと思うわけでございますが、なおよく調べてみます。
#61
○渡辺(嘉)委員 石川県だけ特別でなくていろいろあるのですが、石川県の方は、この出島という専務の方は五十七年一月に県からおいでになった方なんですよ。ですから、この方が五十七年、五十八年のこの産地振興基金が来ておるのか来ておらぬのか記憶がないということはあり得ないのですね。いずれにしても、一遍これはきちっとされまして、税法上の問題じゃないのです、本当に産地振興のために助成をしたならば、その金が行って、生きてこなければいけないのです。この金が生きておらない、まして行っておらぬ、こう言うのです。ですから、この点はきちっとしていただきたい。
 その次に、今度の十三台の不正のもとになったのもそうですが、いわゆる籍のない、登録をしていない撚機、仮撚機あるいは織機等、これが動くわけですね。どういうふうに動くかというと、それら無籍の機械が有籍になってくる。このからくりは、それぞれの工業組合へ行きますと一台幾らでこの票が出てくるのです。そういうことは御承知だと思うのですが、どうです。
#62
○浜岡政府委員 今回、不正融資ということで問題になりました十二台の板より機につきましては、先生御指摘のように、本来登録を受けることができないものを登録を受けたかのように装ったということでございまして、これはどうも登録簿そのものを操作したというぐあいに判断をすべきではなかろうかと思っているわけでございます。
 なお、一般的に現在の登録制度のもとでは、登録されました設備の譲渡というものは認めているわけでございます。したがいまして、設備の拡張等を意図いたしております企業が、登録されている、一種の権利になると申してもいいのかもしれませんが、その登録権に着目をいたしまして、登録された設備、必ずしも性能面では評価できないものかもしれませんけれども、そういうものが売買をされるというような実態があることは承知いたしておるわけでございますけれども、登録票だけが取引されるというようなことになりますと、これはもう全く登録制度の趣旨に反しているわけでございまして、何者かが登録制の趣旨と全く違うことをやっているというぐあいに考えざるを得ないわけでございまして、もしあるとすれば極めて遺憾なことであるというぐあいに断ぜざるを得ないと思います。
   〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
#63
○渡辺(嘉)委員 私も直接お会いしたその会社の社長は、五十六年のときに板より機を買った。ところが登録がない。そこで、そういう登録のない機械で仕事をやると、メーカーの方から仕事をやらせないと言って、これは伊藤忠なんですけれども、仕事を切ってくるのです。ですから、やむを得ぬので、その人は組合へ登録票を買いに行った。一台当たり三十五万円、その人は四台買われましたから百四十万払って、そして登録票を買ってきて、張って、初めて仕事が成り立つ。こういうことが現実に行われておるわけです。聞くと、これは方々でやっておるというのですが、それを通産省が知らぬなんて言っておったら、どうかしておるのですね。先ほどちょっとおっしゃったように、何とか感じておるようなことを言っていらっしゃったが、現実にこういうことは方々であるのです。だから、こういう登録票のひとり歩き、これがこういう不正の温床の一つを生み出す、こう思うのですが、この点はどういうふうに調べていらっしゃるのですか。
#64
○浜岡政府委員 登録票だけが転々としているというような、私どもの常識では考えられないような事態が存在をしていないとすれば、あるいは存在しているのかもしれませんが、もう一つ考えられます事態といたしましては、先ほど申し上げましたように、登録をされました設備は譲渡できるということになっておりますものですから、ただいまのようなケースにつきまして、組合サイド等で、ややサービス過剰かもしれませんけれども、登録済みの設備を譲渡する意思のある方を見つけまして、その人の設備を廃棄をしまして、その設備についておりました登録ナンバーを今御指摘のような人に移しかえる、形の上では登録済み設備の譲渡ということになるわけでございまして、その譲渡を受けました後、その設備を廃棄しまして新しい設備に置きかえるということは認められておるわけでございますので、あるいはそういうサービスをした人がいるのかもしれないという気もするわけでございますが、初めに申し上げましたように、あるいはとんでもないことが行われているのかもしれませんので、その辺は、私どもといたしましても、大臣からも非常に大きな宿題としていただいておるわけでございますので、今後眼を見開きましてよく調べてみたいと思います。
#65
○渡辺(嘉)委員 レールの上に乗った譲渡、そういうものじゃないのです。スペアがあるのですよ。そしてそれが転売されていくのですよ。だから、そういうことがこういういろいろな問題を生み出す。それに設備廃棄事業が絡まってくるのですね。
 時間がありませんので、次に次にといきますが、五十八年の秋、九月と十月ですが、石川県で、丹後清さんがニット業者を二十五人ほど集められまして、そしてそこのグランドホテルで、ニットの設備廃棄をしようではないか。そこには地元の有力代議士も出席をせられて、じゃそういうことをみんなやると言うのなら一台当たり五%出せ、こういうことをおっしゃったそうです。ところが業者の方々も、不況のえらいときだから、それだけ出しても結構だから設備廃棄の共同事業をやってほしい、こういうふうで、その場が決まったそうです。この丹後清さんという人は、ある有力な政治家の石川県繊維産業後援会の代表者をやっていらっしゃる。そして五十八年の十二月にそれを設立して、そして百万円の収入があるのです。現地で私が聞いてくるとこういう話が出てくるのですが、こういう事実は御案内ですか。それからニットに対してはどういうふうですか。
#66
○浜岡政府委員 ニットにつきましてもさらに新たな設備廃棄事業が必要なのではないかというような議論は、確かに業界内にございます。ここ数年いろいろと論議が重ねられ、また実態調査等もいたしているわけでございますけれども、現在までのところは、まだ計画の内容が固まるというところまでは至ってないわけでございまして、関係者の間でいろいろと論議がされ、また調査が続けられているというような状況でございます。
 先生御指摘のような事実につきましては、幾つかの委員会等でそういう御質問をいただいているわけでございますが、私どもといたしましては、そういう事実関係を確認できるという状況には至っていないわけでございますけれども、大変神経質になっているところでございます。
#67
○渡辺(嘉)委員 法務省にも一遍聞きますが、織機の関係でいきますと一台五万円、そして今のようにニットだと五%、こういうような一種の努力賞といいますか、これは政治献金なのか。そしてまた、こういう政治献金が、いま一つの資料を見ますと、ある代議士の後援会で小田グループ後援会というのがあるのです。この小田グループ後援会というのは五十八年の十一月に設立されておる。両方とも五十八年のあの選挙前です。ところが、この方は収入はゼロで支出もゼロなんです。妙なものができたものだと思うのです。
 そこで、こういう政治献金の事実が調査、捜査の中であったのかどうか、あるいはまたそれはどういうものなのか、こういうことについてお答えいただきたい。
#68
○原田説明員 お答え申し上げます。
 ただいまお尋ねの件につきましては、私ども承知しておりませんし、また捜査の中身と申しますか、従来の捜査の経過でどういう点が明らかになったのかという点でございますれは、これは進行中の捜査の中身に関することでございますので、お答え申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、検察当局におきましても、この関連につきまして国会でもいろいろ御論議がなされ、また各種報道機関で報道されているという事実については承知しておるものと考えております。
#69
○渡辺(嘉)委員 井上元専務は、その方の談話によりますと、これは逮捕される前ですが、そういう政治献金のメモは、今度のごたごたがあったものだからそのときに消却してしまったというのですが、そういうことはどうですか。
#70
○原田説明員 大変恐縮でございますが、その辺の事実があったかどうかという点につきましても、捜査の中身に直接かかわることでございますので、お答え申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
#71
○渡辺(嘉)委員 では、時間もありませんので、もう二点ちょっと聞きたいのですけれども、大蔵省、この交付金――交付金という言い方をするとなんですが、廃棄事業をやることによって本人の廃棄業者の手元へは三八・一%交付金が来ます。そのほかに違約の担保として保証金を一〇%、業界負担金を一〇%、預かり金として今のようなものを三%。だからトータルいたしますと六一・一%、これだけが今度は課税される場合には対象になるのです。これだけが所得となるのです。収入と扱われる。
 そうすると、ここに一つの例を申し上げますと、十四台売って二千七百九十四万円事業をやった方が、実際に手取りは一千六十四万あったのです。ところが、今のような保証金だとか業界負担金だとか預かり金、そういうものを加算いたしますと千七百万円が課税対象になる。その約半分八百五十万が中小法人ですから課税になったのです。そうすると、その人はずっと税金から何から全部引きますと手取りは二百十四万になる。総事業費は二千七百九十四万円、十四台売った手取りは二百十四万円、これで本当に業者が立ち直れるであろうか。転廃業できるであろうか。これは疑わしいと思うのです。そこで、こういう実態から見て、大蔵省としては少なくとも十六年間無利子で預かりますよと言った保証金。これは交付そのものの保留だと私ども思うのです。とすれば、当然これは課税の対象から外して十六年先の本当に金が来たときに課税をすべきではないか、こう思うのですけれども、この点どうですか。
#72
○熊澤説明員 先生お尋ねの点は、買い上げの交付金を業者が受け取る、一方で保証金として買い上げ価格の一〇%ですか、これを差し出している、したがって手取りはその差し引き少ないものになるではないか、こういうことなのに、交付を受けた金をもとにして課税をしているのはきついではないか、こういうことであろうと思います。
 先生よく御承知のように、保証金というのは、この買い上げ事業に伴いますいろいろな約束を履行する担保として差し入れているといった性格だろうと思いますけれども、一般にもそういった営業の保証金というようなやり方はいろいろございます。この場合の保証金と申しますのは、課税上は保証金を差し出しているものの資産でございますので、損金として扱うべき性格のものではないわけでございます。そこで、そういう保証金を差し出したときに、交付金から差し引いてその額だけ、ネットの額について課税をせよという御趣旨かと思いますけれども、そうした保証金の税金の一般の扱いからいたしますと、保証金は資産でございますので、そういう扱いにはできないということを御理解賜りたいと思います。
#73
○渡辺(嘉)委員 そういうしゃくし定規なことではなくて、実態として私は申し上げたように、頭から一〇%保証金として天引きしてしまって預かっているということは、交付そのものの留保なんですよ。留保されたものまで課税されたらかないません。だから十六年先の本当に交付されたときに、実際の手元に入ったときに行うべきなんであって、大蔵省と通産省でこれは一遍よく打ち合わせされまして、実態に合った課税システムを検討しておいてもらいたい。この点要望しておきます。
 そこで、最後に大臣に聞きますが、先ほど冒頭にお聞きしたように、昭和五十年から通産省から経験者が行っておられて専務、常務、参与等をやっておられる。それがこういう事件を起こしたのです。このことは私どもは軽視することはできない。そこへもってきて幾多の政治献金も行われておる。政治献金は好ましくないという通達は出したとおっしゃるが、その通達は中小企業団体中央会に出しただけでその先っぽじゃないということ、そういうような意味から末端ではそれが徹底しておらない、こういうような点。これを考えますと、では本当に業者はこれによって救われただろうか。先ほど申し上げたように、税金引いたら二千七百万の事業費が十四台売って二百十何万しか手取りにならぬという実態、一台当たり二十万になるかならぬかなんです。
 こういうところから見て、私はこの事件は政官通産ぐるみだと言われてもこれは否定できないのじゃないか。そこへ通産省の課長等が逮捕された。これもまた重大なことなんです。こういうような意味から、この制度は、必要なためにこの設備の共同廃棄をやるわけなんです。ですからこれの見直しによって本当に業者が助かって、転廃業のばねになるような制度にすべきではなかろうかということと、いま一つは、こういうように通産省から逮捕者が出たわけですが、これに対して、現地で聞きますと、当時の担当の通産省の役人の方々が頻繁に石川、福井の方へ行っていらっしゃるんですね。そうすると、先ほど申し上げたように撚工連の専務、常務、参与が通産から行っていらっしゃる。そしてまた頻繁に行っておる。そこへもってきて小田理事長の会社があるのは石川県、こういうように考えますると、将来、通産省の中でそういうような第二、第三の逮捕者が出る危険はありはしないのかどうか。そうなったらまた大変なんですけれども、こういう点について大臣はどのようにお考えになり、それから将来のこと並びに省内のこと、ひとつ御所見を承りたい。
#74
○渡辺国務大臣 第二、第三の逮捕者が出るなどということは私は夢にも考えておりません、そういうことはあってはならぬわけですから。しかし疑惑を与えるような行動があれば、そういうことのないようにこれから注意をしなければならぬ。私はこの問題のやりとりを聞いておりまして、大変利口になりました。私の知らないようなことをたくさん教えてもらって、今後の改革に役立つと私は思っております。もともとこれはかなり甘えの構造で、どうも惰性で来ていたんじゃないかなという気が私はします。確かに現実に損する人がない。国だけ損をする。損する人がない仕組みですから、チェック機能がよく働かない。
 仮に農家などで、減反政策というのを今やって、一つの産業調整ですが、そうするとみんな田んぼをつくりたい。つくらないで転作をするという人を募集しまして、それじゃ国が出す単価以上に払いましょう、共補償ですな。残った人は、自分が稲作をやめる人にお金を出しますから、そこで田んぼのごまかしなんかがあったんでは、これは残った人は承知しませんわね。だから監視、監督がきちんといくわけですよ。この場合を見ていると、残った人が自分が金を出してというんじゃなくて、みんなお国の金でうまいからくりをどうもやっているんじゃないかという疑いを持たれる。ですから、そうなってくるとどうしてもルーズになる、損する人がないから。だから、今後こういう制度を続けるとすれば、ここらにもやはり共補償的なものを取り入れて、仲間が一番よく知っているんだから、実際、中央あたりから行ったってわかりはせぬでしょう。私はそう思いますよ。そんな簡単にわかるわけがない。現場、現場が持っているんですから、現場でわかっている人にひとつ監視をしてもらえるような仕組みを何か考えていくということも必要でしょう。
 いずれにしても、今までのようなずさんなやり方では、それほど通産省の予算に余裕はありませんから、こういうものは大幅にカットさせていただいて、もっと有効に使う方法が幾らでもあると私は思う。しかしどうしても必要ならば、やはりそこらのところはむだのないような仕組みをこしらえてやりたい。毎日国会で、勉強している暇はない、実際の話。ですから、国会終了後この問題は、検察から言われるまでもなく、通産自体が抜本的に中身の構造的な問題によくメスを入れて、実態を把握して、それで指導しなければ同じ問題がまた起きるかもわからない。ですから、そういうことのないように厳正に対処をしたいと思っております。
#75
○渡辺(嘉)委員 では、以上で終わります。
#76
○奥田(幹)委員長代理 横江金夫君。
#77
○横江委員 八六春闘から質問してまいりたいと思います。
 八六春闘は、あすの金属労協の集中回答指定日を前にいたしまして、大詰めの労使交渉が実は展開されているわけであります。史上初の鉄冷えということで二%台の賃上げとなりました鉄鋼や、五%の歯どめをめぐりまして労使が異例の対決をしております電機労連、新しい賃金闘争のあり方を模索しておる第三次産業の共闘の発足。そういうような中で急激な円高に揺れる今春闘であると私は思います。同時にまた、労使ともに大きな転換期をも迎えておるというふうに考えるわけであります。
   〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
 経営側は、急激な円高を口実にしまして賃上げ抑制を図っている観も今見えるわけでありますが、今春闘が例えば経営側の思惑どおりに推移をしたとするならば、勤労者所得の停滞は免れなくて、消費支出の停滞とか、あるいは一番大事な内需の拡大はおろか、日米間の貿易摩擦の解消ということすらもほど遠くなるような感じが私はするわけであります。今春闘において積極的な賃上げの実現を図る、そして内需の拡大を図ること、そのためには何よりも国民総需要の六〇%を占めます雇用労働者の所得をふやすこと、そのことが基本であるというふうに私は考えるわけでありまして、大幅な賃金の引き上げこそが内需拡大のかぎを握っておる、私はそのような確信を実はいたしておるわけであります。
 きょうは総合経済対策の決定もされましたし、昨日はまた経済構造調整研究会からの報告も実はあるわけでありますが、すべてこれは、国際協調にいたしましてもあるいはその根源は内需拡大だ、このように言われているわけでありますが、通産大臣から、我が国経済の緊急課題である内需拡大、こういう問題からまいりまして、今大詰め、山場を迎えた春闘、賃上げを含めて、この位置づけ、その御見解を賜りたいというふうに思います。
#78
○渡辺国務大臣 適正なベースアップが内需の拡大に影響が多いということは当然のことでございます。しかし、現実の問題のベアを幾らに決めるかということは、純然たる労使の問題でありますから、政府が干渉することはできません。できませんが、一般論からいいますと、生産性に見合った、その範囲内での適正な利潤の配分ということは、これは結構なことである。私は、何も不況産業に右へ倣えをする必要もないのであって、出せるところは出してやったらいかがですかという程度のことは、それとなく折に触れて申し上げておるわけであります。それ以上のことを言いますと、また口は災いのもとでありますから、十分注意をしておるわけであります。
#79
○横江委員 非常に御慎重な御発言でございますけれども、確かに労使間で決めることであります。
 私は、適正な賃金、例えば労働者側の取り分の関係、これは実は平泉長官にもちょっと伺いたいと思うわけでありますが、国民所得の統計やあるいは雇用者所得、勤労所得等も数字の上では出ているわけであります。それで、私は、とりわけ国民総生産に占める雇用者所得の割合を示す、いわばGNPに対する労働側の取り分を示す労働分配率の動向を見ると、五十九年度あるいは六十年度と景気は順調に拡大をしておるわけでありますけれども、分配率は五十八年度の数字でまいりますと五五・八%、五十九年度は五五%、六十年度がまた下がりまして五四・五%と低下の傾向を続けているわけであります。このために、労働側には、好況期にも賃上げを抑えた企業側の留保分を、景気が不透明とされるこの期に分配をして、消費拡大を図り、景気の落ち込みを避けるべきだという声が随分あると私は思うのですが、一口に申し上げますと、今通産大臣から適正なというお話もございましたけれども、結果的にはこの企画庁の調査でまいりましても、労働側の取り分というのが少ないんだ、こういうことを傾向として示されているわけであります。そういう点からまいりますと、適正な賃金ではないというような雰囲気も実はあるわけでありますが、私は、この労働分配率の傾向からまいりまして、今春闘におけるその位置づけ、賃金の問題を含めて平泉長官からも伺っていきたいというふうに考えるわけであります。
#80
○平泉国務大臣 労働分配率というのは指標がいろいろございまして、どういうとり方で見るかという点は、その国の産業構造の状況によりまして非常に違った形になってまいる、こういうこともございまして、なかなか意味ある数字が読みにくいわけでございますが、私ども就業者一人当たりのGNPというものを分母にいたしまして一人当たりの雇用者所得を見るというその指標で見ますと、五十六年度七六・〇、それから七六・二に五十七年上昇しておりますが、その後少しずつ下がってきておるという数字が確かにございます。そういう点では、私どももそういう数字を見て注意をしておるわけでございます。
 おっしゃるとおり、経済成長の成果というものが労働側にも十分に配分されなければならぬということは、私どもは累次の経済審議会報告でちゃんとその点は述べておるわけでございまして、その点、私どもは経済政策の成果よろしきを得たその結果というものは、労使双方において十分にお話し合いをいただいて、おっしゃるとおり国民所得の七割近いものが雇用者所得である、そういう点を十分配慮していただきたいな、かように考えておるわけでございます。
#81
○横江委員 今お話しのように、数字のとり方によって違うと思いますけれども、お話のございましたような長官からの御答弁の数字も、また私が示しました数字も、五十七年度若干上がっていますが、全体的には労働側の取り分というのが下がっていることは、これは今の二つの、私の場合もあなたの場合についても明確であると思います。
 その意味合い等からまいりまして、確かにここで私は景気の問題とかあるいは内需の拡大、そして雇用労働者が六〇%から七〇%も占めるという点からまいりまして、今のような御答弁、それは了とさしてはいただきますが、いま少し、この春闘は今山場に来ている関係等からまいりまして、長官の場合には、数字を並べる具体的な政策というのは、これは経済企画庁じゃなしにそれなりの例えば通産とかその他の関係でございましょうが、数字を見きわめて、その上でこのような状況なんだ、労働者の側からした場合にはやはりもっと適正な、もっと具体的なそのような賃上げが必要ではないかというような、そういう踏み込んだ答弁ということも、この春闘の中で必要であるというふうに実は私は考えるわけであります。
 まして、ちょっと話も長くなりますけれども、質問時間が長くなりますが、例えば今通産大臣は、そんな悪いところに右へ倣えじゃなくて、いいところもあるのだから、そういうお話も実はあるわけでありますけれども、例えばまた金丸自民党幹事長にしても、そのような労働側に応援をしているような、応援ということより、そのことが日本の経済基調に大きく貢献をするのだという必要性を幹事長も指摘をしてみえると思うのです。私は、経済の一番の中心的な省であります長官としては、金丸さんまでいってくれとは申し上げませんけれども、そこらあたりのところは、この時期でございますから、ぜひ何かもう少し進んだ御答弁をいただきたいというように思うのです。
#82
○平泉国務大臣 ですから、これはもちろん通産大臣も申しておりますが、払えるところは払える、これは当然のことであろうと思います。つまり、私ども申しておりますのは、労使双方でお話し合いをいただきまして、十分な成果の上がっておる企業は十分に労働側にも配分を願いたい、また賃金だけでなしに、労働時間の短縮という面でも十分御配慮をいただきたい、こういうことを申しておるわけでございます。
#83
○横江委員 今企画庁長官からも、労働側の取り分については数字の上からいって下降ぎみだというお話がございました。
 通産大臣、私は内需拡大という関係等からまいりますと、少なくとも労働者に可処分所得、余裕が出てこなければそのような内需拡大、消費の拡大につながってこないと思うのです。その意味合いからまいりまして、今の状況からいって、大臣は、その可処分所得の今の労働者の実態は余裕があるというふうにお考えになってみえるのか、いやそうではなしに、やはりもっと可処分所得をつけて、そして消費の拡大を図るべきだ、こういうふうにお考えになってみえるのか、可処分所得を中心としたその辺のお考え方を示していただきたいと思うのです。
#84
○渡辺国務大臣 それは可処分所得がふえればふえた方がいいということは、もう政治家としても当然でございます。どういうふうにしてふやすか、方法論についてはいろいろ論議のあるところでございます。決して全体として十分であるというようには申しませんが、まあ今労働組合の力も強いし、公務員には人事院勧告があるしいたしますから、そう極端に低いということもないだろう、そう思います。
#85
○横江委員 私は、今のこの関係等からまいりまして、例えばあすの集中回答あるいは私鉄を初めとした十日のストライキを構えた問題等からまいりまして、円高によって抑え込もうとするその雰囲気、ムードだけは通産大臣に、企業を指導するという面もあるかもしれませんが、あるいはまた行政指導の立場からも、ここらあたりについて、可処分所得が多いのは結構でございますという、そういうような話は当然ではありますけれども、春闘に対する何がしか御発言というものもぜひ求めていきたいというふうに実は考えておるわけであります。
 特に私鉄の賃上げをめぐっての労使の交渉が、その攻防が十日に設定されておりますストの直前まで続くと私は思うのです。そういう関係等からまいりまして、ストが行われたとした場合の例えば日本経済に与える停滞の影響というのもあるでありましょうし、あるいはまた円満に話がついて、そのことによって労働者側に若干でも要求を満たすような賃上げの結果が出るとするならば、これまた内需拡大にもつながってくるというような、そういう今一番時代的な問題等からまいりまして、私は、あすの集中回答日、そしていま一つは十日の私鉄を中心としてストを構えている、こういう大詰めの段階における通産大臣としての、賃上げを含めた、ストをやらせないという形を含めた、そこらあたりの見解というものもぜひ示していただきたいと思うわけであります。
#86
○渡辺国務大臣 ストライキは極力避けていただきたいと私は希望をいたします。決して内需拡大に役立たないし、景気の刺激にもなりませんから、大衆に迷惑をかけることでもあるので、ぜひとも話し合いで円満に妥結をしていただきたい、そう思っておるわけであります。
 賃金の具体的な交渉問題につきましては、私が容喙すべきものではございません。先ほど言ったように、これは労使双方の良識ある話し合いによって決めていただく。円高、円高と言うけれども、円高によって非常にメリットを受けるという部門もあるわけでございますから、一律にすべてが円高でだめになるというわけじゃありませんので、そういうような点等もよく話し合いをしてお決めをいただきたい、そう思っております。
#87
○横江委員 円高抑制は、今のお話からいきまして、そういう形で経営者が臨むのじゃなしに、メリットもあるんだ、この上に立って労使の話し合いが、私は経営者が少しでも理解を示していただける、これを強く期待をしながら、また大臣としては機会もおありだと思いますから、そういう関係からも喚起をひとつお願いしておきたいと考えるわけであります。
 特に、春闘からまた円高不況の深刻な中小企業の問題に移ってまいりたいと思いますが、この深刻さは確かに日増しに私は増していると思います。そして、とりわけ中小企業の皆さん方の息切れというのか、そういう状態も今出てきていると思うわけであります。とりわけ輸出関連企業の多い私ども中部地区におきましては、この三月には五件もの円高倒産が出たわけであります。私は他府県は余り承知をしておりませんが、中部のこの地区で三月で五件というのは大変な数字であると思うわけであります。その一つは食品メーカーで、負債額が十三億円、アメリカにほとんど輸出を依存しておりましたが、採算割れのために倒産した。あるいはまた染色工場、ここも倒産をしてしまった。こういうような資金繰りが苦しい等々の関係から倒産ということでございますが、私はこれからの円高倒産の多発が心配されておるわけでありますけれども、その倒産の見通し、そしていま一つはこれに対する緊急な救済措置、先ほど答弁等もございましたが、金利の引き下げやその関係による条件の緩和等も含めた、そのような中小企業の緊急措置等々につきましてぜひ御答弁をいただきたいと思います。
#88
○木下(博)政府委員 中小企業庁といたしまして産地の中小企業の実態調査をしております中で、御指摘のような倒産、休業というような事態も起こってきておるわけでございます。去る二月に調査いたしましたところによりますと、昨年の十二月からことしの二月末までに四産地、九企業で倒産が発生しておりますし、休業も十二産地で発生しているというような厳しい状況でございます。既契約がどんどん切れてまいります四月から五月にかけては、もっとたくさんの企業が同じような状況に陥るのではないかということで私どもは心配しておるわけでございます。民間の調査機関によりますと、負債額一千万円以上で倒産した企業も、ことしに入って一月、二月は十二件、十四件ということで少のうございましたけれども、三月には三十二件ということでふえまして、昨年の十月から三月までの合計が七十二件ということになっております。三月は決算期ということもあったので数字が多かったのかもしれませんが、四月、五月とまた倒産がふえることを私どもとしては憂慮しておるわけでございます。
 そのような状況でございますので、本日の経済対策閣僚会議におきましても、総合経済対策の中で中小企業対策を一つの柱といたしまして、先ほども御答弁をいたしましたが、五・五%の金利を事業転換資金については五%に、それから経済調整資金については五・三%に引き下げる、それからマル経資金も六・八%から六・三%に引き下げるというような措置をとったわけでございまして、二月に通過いたしました特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の施行とあわせまして、今後、このように苦境に陥る中小企業者に対する対策は万全を期していきたいと考えております。
#89
○横江委員 三月にこのような全国的な数字が出たわけでありますが、今後企業の経営に及ぼす影響というので、資金繰りが一層悪化をする、あるいは休廃業、倒産がふえる等々の具体的な調査結果が出ているわけでありまして、しかもその中にはこれからの倒産が随分心配をされているわけであります。今倒産の見通しはどうだということで聞きましたけれども、その数字が出ませんですが、厳しくなるということはわかるわけでありますけれども、どのような推移になるのか、ここらもひとつ御答弁いただきたいと思います。
#90
○木下(博)政府委員 前回の円高時では、五十二年の半年で六十九件、五十三年に二百七十二件という形で、次の年に相当ふえておるわけでございますが、私ども中小企業行政を担当する者としては、将来の倒産はゼロでありたいと考えております。
#91
○横江委員 希望は確かにそのとおりであると私は思います。愛知県からも、この深刻な円高によりまして異例な要望書が出てきております。他府県ではそのような異例な要望書はまだないと私は思っておりますが、こんな異例な要望書が出るということは、将来の倒産とか、あるいは大変な状況だということを、特に愛知県というのはそのような関連の関係者が多いわけでありますから、そういう先行きを心配して要望書を出していると思うのです。将来一件もないのは結構でございますという答弁は私はわかりますけれども、しかし実際にはこういうような要望書が出るという背景は、大変心配だということを示していると私は思うのです。円レートの問題もあるし、あるいは税制や金融面の問題や、その優遇措置、円高差益の還元等も含めて。
 そしてその中で、愛知県の場合で申し上げてまいりますと、特に最高三千万円もの中小業者への貸し出し、そして五%でも融資の申し込みが約七百件、八十八億三千万円。その影響の大きさを物語っていると私は思うわけであります。県からそんな優遇措置をしてくれという要望が出ているということからいきまして、ただ願望とか希望だけの答弁では、実際の地域の皆さん方は納得できないと私は思うのです。だから、愛知県のこういうような要望に対するその具体策、そして今のような、希望は希望として結構でございますけれども、希望とあわせて現実の姿というものも答弁をいただきたいと思います。
#92
○木下(博)政府委員 倒産の数字ばかりは、いかに経済見通しが立派にできる方でも予測することは実際上難しいことでございまして、どのくらい出るだろうかということは全く私どもとしては言えない数字でございます。
 ただ、そういう苦境にある企業がたくさんあることは事実でございますので、私どもといたしましては、都道府県とも十分連携をとりながら、商工会あるいは商工会議所に倒産の対策のための相談室がありますので、そういうところを十分活用いたしまして、企業の方々で倒産に瀕するような資金繰り等が非常に苦しくなった方があれば、その方々に対する相談には十分応じていくというようなことで、倒産の数がふえないようにやっていきたいというふうに考えております。
#93
○横江委員 この愛知県の要望に対しては、具体的な措置はいかがでございますか。
#94
○木下(博)政府委員 中小企業庁といたしましては、倒産は毎年相当の数出ておるわけでございますので、そのための対策としては、たくさんの措置を考えておるわけでございます。連鎖倒産防止のためには倒産防止共済制度というのもございますし、それから中小企業金融公庫等の政府関係金融機関からの倒産貸し付けというようなものもあるわけでございます。したがいまして、私どもとしては、倒産というのは必ず金繰りがつかなくなるところから起こるわけでございますので、そういう企業が立ち直れるという可能性があるならば立ち直れるようにできるだけの経営指導を行った上で、それに見合う融資をしていくということになってくるわけでございますので、先ほど申し上げましたように、そういう政府関係金融機関等の援助措置に加えまして、商工会あるいは商工会議所による倒産相談というものを通じて、そのような倒産がふえないように、起こらないように処置しているわけでございますので、そういう処置を今後とも十分強化していきたいというふうに考えております。
 本日の経済対策閣僚会議におきまして決まった中でも、各県に産地協議会というのを設けてやっていこうということも決めておりますし、また下請等の相談を受けるということで、必ずしも下請のしわ寄せ問題ではなくて、そういう金融問題等についても商工会議所、商工会あるいは中央会というようなところで十分に面倒を見るように措置を強めていきたいというふうに決めたわけでございます。
#95
○横江委員 今申し上げましたように、円高によりまして大変な業界あるいは会社もあるわけでありますが、円高差益で大きな利益を得て喜んでおる人もあると実は私は思うわけであります。そこで、円高差益で喜ぶ、また差損で苦しむ、まさにさまざまでありますけれども、日本の円高差益の総額と差損の総額というようなものを計算しておみえになりましたら、ひとつ示していただきたいというように思います。
#96
○吉川説明員 お答え申し上げます。
 円高のプラス面、マイナス面ということで私どもいろいろな計算をやっておるところでございますが、これにはいろいろな方法がございまして、その一つの例ということでお聞きいただきたいと思います。
 それは六十年の円ベースにおける輸出入の額というものを基礎にいたしまして、そしてそのときの数量というものを一つ固定いたします。そして、その場合に円高による輸出の減少、これは輸出の金額でございます、それから輸入の減少が生じまして、その差が一つの円高の差益といった形でマクロであらわれます。これは以前に、ことし六十一年の一−二月につきまして前に先生から御質問がございましたときに、私が通関ベースでお答えした記憶がございます。きょうそれを御紹介いたしますのは、六十一年につきまして全体をあるベース、百八十円なら百八十円で推移したと仮定したときの計算でございます。
 それによりますと、これは私ども交易条件改善効果と呼んでおりますけれども、輸出の方は、全体で例えば三割の円レートの上昇があったときに三割だけ輸出価格が下がるということはないわけでございまして、幾分かはドルに転嫁いたします。仮にそれを半分転嫁したというふうに考えますと、今までのような計算で六十暦年の輸出額が五十二兆円というふうな仮定のもとで計算いたしますと、そこから六・五兆円ぐらいのマイナスが立つことになります。これは輸出価格の低下によるものでございます。
 それから他方、輸入の価格、これは転嫁ということはございませんで、ほぼ円レートの上昇に見合って円ベースでは輸入価格が下がるというふうに仮定いたします。そういたしますと、六十暦年の輸入の額を四十兆というふうに考えまして、これは実績が出ておるわけでございますが、それで百八十円になったというベースでやりますと、輸入価格の低下、つまり輸入の節約が円ベースで十兆円出てまいります。
 この差、つまり三・五兆円というものを私ども、やや専門的な用語で恐縮でございますけれども、交易条件の改善効果というふうに呼んでおるところでございます。これがマクロ的に見ました一つの差益かなという感じがございます。ただし、これは円レートの変化に基づく計算でございまして、これには原油の値下がりの計算は入ってございません。
#97
○横江委員 結論的には、差益が三兆五千億というような数字でございますが、渡辺通産大臣は先般新潟にお行きになりまして、今の話と直接ストレートにいくわけじゃありませんが、円高差益の還元は年間四兆から五兆円ぐらいあるのだ、こんなことを言われたわけであります。年間四兆円から五兆円、例えば今のような話と具体的にはどのように整合するのか。四兆、五兆というもの、差益の還元、ここらあたりについてちょっと御答弁願いたい。
#98
○渡辺国務大臣 それは私は子細に計算したわけじゃありませんが、日本の総輸入量というものが千三百億ドルぐらいあるわけですから、それの三〇%余ということ、全部じゃありませんけれども、日本に売るために石油にしても鉄にしても値上げをしておるなんていうのはないのですから、石油なんかむしろ値下がりしちゃっておる。したがって、そういう輸入についても三〇%も安く円にすれば買えるというようなことは、それを二百円とか百九十円で掛け算をすればそれぐらいの数字が出る。
 輸出についても同じように、今度は売り上げが減るじゃないかという問題が一方で起きますよ。起きますけれども、それには、強い輸出企業、自動車なんか現に半分ぐらい値上げしている。一〇%以上値上げしているというのもありますから、輸出はやはり千六百億ドルとか七百億ドルとか出るかもしらぬけれども、それについてはもろには円高はかぶらないというようなことで、そのメリットの部分だけ見れば、差っ引き計算はしていないけれども、そういう程度の長い時間、一年間かければそれはみんな市場メカニズムで安くなっていくのですから、飼料、豚や牛の食うえさ、御飯、それが現実に安くなっておる。したがって、政府は小麦も安く買える。輸入牛肉も安い、石油も安い、LNGも安い、鉄鉱石も安い、非鉄金属も安い、買うものはみんな安くなるわけですから、したがって、そういうメリットが時間とともに国民に波及してきますということで、円高だけで全部がだめだということは間違いです。いい面もあるのですから、いい面をちゃんと生かしていくように指導する必要がありますということを言ったわけです。
#99
○横江委員 確かに輸入そのものによって安くなる、その差益というものを国民に還元をしていく、それが単純計算では四兆相当の数字だという御答弁でありますが、きょう決まりました総合経済対策、これはここらあたりの円高差益の還元というのが一番の目玉であるというふうに実は理解をしておるわけであります。このこと自身が内需拡大に大きくつながる、こういうことであるというふうに思うわけであります。
 ここで、きょう決まりました、一本追加をした七本の柱で、特に円高差益還元等々について、今のこの四兆円とか五兆円とかということを含めながら、ひとつ具体的な施策を示していただきたいと思います。
#100
○渡辺国務大臣 これは政府が指導してできそうなものを書いたのであって、石油価格、ガソリンのようなものは、これは自動的に競争原理が働いて下がっていきますから、そういうものを直接ここには載せたわけではありません。
 政府が関与しておるということになれば、電力料金、ガス料金、これは認可料金でございますから一番関与をしているわけです。その中で、為替レートの動向等もあるけれども、大体百八十円台ぐらいのところ。それから、石油の値下がりも、これは非常に不透明ではあるけれども、八月ごろまではどうもずっと下がっていきそうだ。しかし、それ以降はわからぬ。これは、あの人たちも非常に痛みを感じますから、どんどん値下がりで。非常に苦しくなってくるから、結局仲間けんかしないで、それじゃ一律にみんなで生産制限しようという話が決まれば、それはばんと上がってきます。北海油田の一部、ノルウェーがやっているところで、一日三百万バレル程度かな、それがストライキを何日がやったというだけでもばんとスポット価格が上がっているわけです、きょうあたりは。ですから、生産調整に全体がつくとなったら、値段は上がりますよ。
 そこらの安全ケースを見ながら、平均して二十二、三ドルかというようなところで見ても一兆円余の差益が出るので、そのうちおおよそ一兆円をめどに、電気、ガス、そういうようなもので国民に還元するということになれば、電気料金の三割が大体家庭用、七割というのは産業用です。したがって、その中で非常に不況産業というのはどういうのだというと、電力をいっぱい使う中にかなり多い。ソーダ灰にしても、アルミにしても、非鉄にしても、鉄鋼にしても、製鉄にしても、二割とか、中には四割とかをコストの中で電気料金が占める。そういうものが下がるということになれば、これは非常に大減税と同じですよ。これは大減税、一兆円の減税。したがって、これができるということは、今後の内需拡大の非常に目玉になるということを私は申し上げておるわけであります。時間の関係がありますから、これを全部ここで申し上げる気はありませんが、そういうことを申し上げたわけであります。
#101
○横江委員 私は、電力、ガスあるいは油、油の関係では一番もうかっているのは電力よりも原油の値下げではないか。ところが、油関係では、何か四月に一リットル十円ぐらい下げるというせこい話しか実はないわけであります。もちろん、市場メカニズムで随分ガソリンの値段は下がっています。下がっていますけれども、これだけの原油の値下がり、あるいは円高の関係等で、元売の方が四月に十円ぐらいなんというのは、何かみみっちい感じが実はするわけであります。
 そこで、電力については一兆円という今のお話でございますが、これからそれ以外のいろいろな還元がされてくるわけであります。特に政府は、電力とかあるいはガス以外の関係等につきまして物価担当者会議を一月の三十一日におやりになっているわけであります。ここでは輸入品の価格動向を調べるということでございますけれども、かれこれ五十日くらいたつわけでありますが、末端までの実際の価格動向等はどうなんでしょうか。現実には、私は、いろいろなものは余り下がっていないというふうに思うのです。輸入は安いのですが、現実には、消費者に来る段階では全く下がっていないのが多い。これは同友会も随分きつい指摘をしているようなふうでございまして、一月の三十一日から動向調査をされながら、その結果はまだ発表されていませんけれども、現実にはどうなんでしょうか。
 私が調べた数字からまいりましても、特に指数で、端的なものでございますが、政府関係の輸入牛肉にいたしまして丸、あるいはエビ、ウイスキーとかバナナとかオレンジ、農業関係等も実はあるわけでありますが、これらあたり、二月までの全国指数でいきましてもほとんど下がっていないのですね。現実に懐に入れて随分もうけている人があるのに末端は下がってきていない。そこらあたりが一体どうなっているのかということですね。だから同友会の石原会長も政府に対して、何だこれは、という強い指摘があったと思うのです。この会議の調査と、その数字が政府の調査によってどのようになっているかも一度御答弁いただきたいと思います。
#102
○渡辺国務大臣 詳しいことはわかりませんが、在庫を持っていますと、在庫の高いやつを売るまではということで渋っているのもあるでしょう。しかし、安い在庫に入れかわってまいりますと、どこかがどんと値下げの広告、チラシをやれば、これはまさにイタチ一匹だけれどもネズミがわっと逃げていく話と同じで、黙ってほかは下げないわけにいかない。したがって、ある時期が来れば必ず下がる。現にデパート、スーパー等では四月からずっと一〇%ないし二〇%の輸入品の値下げを実行し始めたし、それから計画しているところもあって、通産省も報告を受けています。したがって、それが実際実現するように指導もし、監督もしていきたい。どこか一カ所始まれば、皆つられるのですよ。自分だけ高いレッテルを張って売るわけにいかぬわけですから、必ずそういうことになります。またなるように仕向けてまいります。
#103
○横江委員 大きな期待をするわけでありますけれども、私は、デパートやスーパーで一〇%とか二割の安売りですよというキャンペーンですね、このキャンペーンを政府が指導するだけでは、こんな何兆円というような差益の還元にはほど遠いと思うのです。そんなキャンペーンだけの、号令をかけて、笛を吹いて踊るんだと言うだけで円高差益の還元ができるかといいますと、僕は、現実にはそんなわけにいかないのじゃないかと思うのですね。商売の関係等というのはこんなことも言われているわけであります。安くすると品物が悪く見える、だから安くできないという話もあるのですね。こんな消費者をばかにした話はないと僕は思うのです。ただキャンペーンをやるだけでは、今の話から申し上げましたように、効果は出てこないと僕は思うのです。例えば値上がりをしているものもあるし、同友会の御指摘のように、やはり追跡調査をする。
 例えば僕はこんなことを思います。何でも輸入しているのですね。今エビの話を私は申し上げましたけれども、てんぷらといった場合に、てんぷらのエビも輸入品であるし、小麦の粉、皮も輸入品なんですね。身の回りにあるものすべてが輸入品であるのにかかわらず、てんぷら屋へ行くとてんぷらは安くなっていない。豆腐屋へ行っても、円高にずっとなりましてから半年以上になりますが、豆腐屋さんがどうだということは言いませんけれども、大豆が輸入されても豆腐の値段は下がっていない。そういう末端まで調査をする。豆腐屋さんが、下がった大豆が来たけれども下げてないんじゃなしに、輸入業者が下げておらぬじゃないか。エビだって、輸入業者が下げてないんじゃないか。食べる物は、はしと茶わんくらいが日本のものか知りませんけれども、ほかのものはみんな、例えば小麦の粉からいったって、クラッカーにしても、せんべいにしても、チョコレートにしても、みんな輸入品なんでしょう。そういう末端のところでは、円高差益だ、差益だと言っても全く効果がないのですね。
 そういう点の調査を物価担当会議というのはするのかな、それをやって初めて効果が出てくると僕は思うのですね。安くしたら品物が悪く見えていけません、だから安くできませんよ、こういうような観点からまいりましたときに、今大臣が言われるようなキャンペーンだけでは効果は出てこないということから、私はそのようなことを実感として思うのです。そういう点はいかがでしょうか。
#104
○渡辺国務大臣 それはキャンペーンだけではあるいは出てこないかもしれない。しかし、キャンペーンは非常に大切である。特に追跡的に調査もして、慫慂、勧告といいますか、法律上の勧告ではありませんが、指導もする。しかし、なかなかてんぷら屋は下がらないじゃないか……(横江委員「例えばですよ」と呼ぶ)例えば、てんぷらは一番下がりづらいでしょうね。なぜかというと、ガスも下がって油も下がって、てんぷらもエビも下がれといっても、加工食品で一番末端の人件費との絡みがありますから、下がるのは下がるかもしらぬが、一番下がりづらい例示かもしれません。しかし、できるだけそれは下げるようにみんなで力を合わして、農林省所管のものもあれば通産省所管のものもございますから、政府が一体になってメリットが還元できるように今後も努力をしていきたいと思います。
#105
○横江委員 大臣は随分円高差益を御宣伝してみえます。ところが、これは消費者には全く利益がないということで、大臣がこのようなことを言われて、五兆円とか四兆円とか言われた。そして、今の経済会議等からも新聞は皮肉っていますね。ちょっと読ませてもらいますけれども、「自国の通貨の国際価値が高くなるのだから、プラスがあってもしかるべきなのに、なぜかマイナスしか語られなかった円高現象、通産相や蔵相がやっとメリットを論じる。」やっとです。私も余り聞かなかった。初めてです。「でも「利益の還元は大規模に」なんてまさか毛バリじゃないだろうな。」なんということも出ていました。私、これは本当に非常に短縮をした、まさに的確な、これでないようにしていただきたい、実はそんな感じがするわけでございます。こういうものも私が言っているわけじゃありません、新聞に出ている。ということで、何かコメントがあったらまたしていただきたいと思います。
 時間もございませんけれども、電気の関係でございます。還元約一兆円、そして産業七千億円、家庭に三千億円ということでございますけれども、家庭に返した場合、五一三年のあんな形の、使用した使用料金から差し引くような、そして五百円とか三百円という形では何かもらった感じがしないのですね。だから、ここで内需拡大というならば、予想しなかった金が入ったということで、先ほど六月から始まるというお話がございましたけれども、これを六月から一括してぼんと払う。そうしますと、レストランでも何でも、てんぷらでも食べに行けるというように実は思うのですが、こういうように五百円や三百円使用料から取るだけでは、これは入ったという気持ちがないのです。たとえ一万円でも七千円でも入ったとすると、内需拡大に効果満点だ、こういうことを実は僕は思うわけでありますが、手続的には難しいのでしょうか。その辺のところが一つ。
 もう一つは、五十三年の場合、産業と家庭用なんですが、例えば五十五年以降の原油の値下がり等があるわけです。そしてもう一つは、六十一年だけしか対象にしないということで、六十年までの随分の保留分もあると思うのです。だから、そういう面等から考えまして、やはり家庭用に多く回すという考え方も大事じゃないかというふうに思うわけでありますが、この比率の分配の問題等も含めて御答弁をいただきたいと思います。
 いま一つは、これは産業用の関係としてちょっと触れていきたいと思います。合金鉄のたぐい、アロイでございますけれども、電力料金が一円で二億円も違ってくるわけでございますし、製品の六〇%から七〇%が実は電気代であるわけです。だから、このアロイの関係の電気料金についても、今回の政府の考え方の中で、例えば国策的に考えていくならば、補助を出すとか等々を含めた何か政策的なものがあってもしかるべきではないか。今度の答申では政策的なことはいけないと言っていますけれども、そういう点も含めた電気の関係について三点をひとつ御答弁を願っておきたいと思います。
#106
○野々内政府委員 四点御指摘がございましたので、まとめてお答え申し上げたいと思います。
 まず第一点のまとめて返す方法、これは私どもいろいろ研究をいたしましてそういう方法の方が目立っていいかとも思ったのですが、今の法律上原価主義になっておりますので、電気の使用料に応じて料金を取り、したがって料金を下げるという感じでございます。例えば卑近な例で言いますと、引っ越しをした人の分はだれが払うのかとかなかなか難しい問題もございまして、結論的には、今考えておりますのは、四月からの十二カ月分を六月からの十カ月分で割って十分の十二で返すという程度のまとめがせいぜいでございます。それ以上まとめますと、原価主義からいって問題になるのではないかという感じでございます。
 それから、六十年度分につきまして実は利益から税金も払うという形、三月で締め切っておりますので、税金も払う形になっておりまして、これをそのまま料金で返すというのは若干経理上も手続上問題がございますが、いずれ情勢が落ちつき次第抜本的改正をやろうと思っておりますので、その過程で過去の積立金も利用できるというふうに考えております。
 それから、政策的に特にフェロアロイのような大量に使うところについて手が打てないか、これも感覚的な立場はよくわかるのですが、やはり料金が原価主義をとられておりますことを考えますと、いろいろな政策的配慮も要求されている方面がたくさんあるわけですが、そういう方へ一々返しておりますと、結局すべて同じようになってしまいまして、やはり今の法律の原価主義ということが最も公平ではないかというふうに考えております。
 それから、前回は家庭用、産業用すべてキロワットアワー当たり一定額を値下げするという方向をとっておりまして、これが発電原価の変動に対応するという意味では公平な方法ではないかと思っております。もちろん、送電に伴うロス等を考える必要はあろうかと思っておりますが、それが最もいいかと思っております。そういたしますと、キロワットアワーで計算いたしますと、家庭用が二五%、産業用が七五%という比率になるのではないかというふうに考えます。
#107
○横江委員 終わります。
#108
○野田委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三分開議
#109
○野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件調査のため、本日、参考人として中小企業事業団理事長森口八郎君、商工組合中央金庫理事長佐々木敏君に出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#110
○野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#111
○野田委員長 質疑を続行いたします。中村重光君。
#112
○中村(重)委員 経済見通しの問題から質疑をいたしたいと思っていましたが、経企庁長官が見えておりません。
 通産大臣にお尋ねをするのですが、例のマルコス疑獄の問題については、特別委員会の設置、具体的な構成等について、与野党のまだ完全合意ではありませんけれども大体まとまったという形でありますから、特別委員会において十分究明をされるであろうというように思っております。ですけれども、四省庁の交換公文という形で、特に通産省の経済協力に果たす役割は大きいわけでありますから、渡辺通産大臣もこの問題に対しましては極めて強い関心を持ってこれに対処していこうというような心構えであろうと思っているのですが、アメリカ下院外交委員会アジア・太平洋小委員会で公表した、円借款に伴う工事受注のための一五%のリベートが支払われた、そこで関係企業を招致された、七社から事情聴取をしたということが報道されているわけですが、どの程度事情をつかまれたのか、一応伺ってみたいというふうに思います。
#113
○黒田(真)政府委員 お答えいたします。
 フィリピンに対する円借款の関係でいろいろな疑惑がございまして、その関連で関係業界、企業からの事情聴取を行おうという準備は現在しておるところでございますが、いずれにいたしましてもソラーズ委員会から公表されました資料が二千ページ余という大変膨大な資料で、やや脈絡なくばらばらと出ている状況でございまして、現在その分析に鋭意取り組んでいるというのが現状でございます。
 お尋ねの企業からの事情聴取というのは、そういう意味で今後にまたなければならないわけでありますが、とりあえず外国為替管理法の関係で、一部の報道にその辺のところの問題点の指摘がございましたので、外国為替管理法に限っての事情を聞くということを、私どもといたしましては四社に対して行ったという事実はございます。これはやや部分的な手続的なところに限られた事情聴取でございまして、全体的な事情聴取はなお今後の問題だ、かように考えておるわけでございます。
#114
○中村(重)委員 フィリピンに対する円借款は十二次借款になるわけです。マルコス前大統領から中曽根総理に直接電話をされて、その借款額をふやしてもらいたいという要求に応じられたというようなことも伝えられているわけです。今までも賠償であるとかあるいは経済援助が、どす黒い霧に覆われているのだということはいつも取りざたされておりましたし、国会でもその点の指摘が行われましたけれども、うやむやに終わっているというようなことです。今回のマルコス疑獄というものは、やはりそうだったかという感じを、私は野党とか与党とかというのではなくて、全国民がそのような感じを持ってこれを受けとめているのではないかという感じがいたします。
 そこで、ソラーズ委員会の文書で名指しされた商社の元重役が、円借款に伴う輸出契約に当たつでは一〇%前後のリベートはつきものだ、こういうことを証言しているようでございます。これらの点について何か通産省としても関心を持っていろいろ調査もしているのではないかと思いますが、このような証言についてはどのような見解をお持ちですか。
#115
○黒田(真)政府委員 そのような報道があることは承知をいたしております。
 現実に幾つかのプロジェクトに対する契約が行われた際に、コミッションといいましょうか、手数料というようなものが支払われている状況にあるということは一般的に見られるところのようでございますが、それがどのような形で、あるいはリベートというようなことに使われたのかどうかということについては、必ずしも私ども承知する立場にはないということでございます。一定範囲の手数料でございますならば、これは正当なものとして、かつて為替管理を比較的厳重にしいております段階におきましても、一定範囲での送金は認めてきているという、ある範囲内のものは商慣習上認められ得るものではないだろうか、かように考えているわけでございますが、報道等によりますと、さらに大きな数字等も言及されておりますので、今後企業に対する事情聴取等におきましては、そういう点についても可能な限り解明をすべきもの、かように考えておるわけでございます。
#116
○中村(重)委員 通産大臣の見解を伺うのですが、中曽根総理大臣も徹底究明ということを言明をしている。特に通産省は、先ほど申し上げましたように関係省であるわけですから、この点についてはどのような関心をお持ちになり、またこれからどう対応していこうという決意でおられますか。
#117
○渡辺国務大臣 海外経済協力は今後も国際的な責任を果たすという意味においてふやさなければならない、日本はもっと経済協力を持てというのが国際世論になっております。したがいまして、そうなりますと一層この問題は見逃すわけにはいかないのでございます。
 本来ならば、経済協力というのは、向こうの政府がこういうことをしたいので幾ら幾らの金を貸してくれということですから、相手を信用して、全部どうぞ御自由にお使いくださいというのが、一番私は理想的だと思うのです。余り、干渉する必要は全くない。ところが、これがなかなか問題でありまして、私は各国の状況をよく知っていますが、ややもすると、ばかに現実離れした、地域の住民とかけ離れた理想的なものをこしらえようとしたり、またばかにでかいものをこしらえようとしたり、整合性がないのですね。その結果は、ダムをつくって発電所をつくったが使う人がいなかったとか、水のないところへ製紙工場をつくっちゃったとか、そういうようなことが過去にはなきにしもあらずだったわけです。
 したがって、枠での贈与というのは、枠での円借款を安易に与えるということは、案外といろいろな問題を起こす危険性があるのです。したがいまして、私は大蔵大臣になったときに、枠供与はやらないよと言い出したのです。枠の供与はだめだ。問題は、全く目安がなければ向こうも困るでしょうから、幾ら応援してくれるのかわからなければ困るでしょうから、一応の目安として何億ドルとか何千億円とか何百億円とかというものは示しますが、それはその中身を調べさせていただかないと、一つ一つ調べてもらわないと、すぐお金を貸すことはいたしませんよと言って、プロジェクトの個別案件を審査をするということを、前にもやっておったのでしょうが、非常に強化を実はするようにしたわけです。
 その結果は、円借款で枠を与えても使い切れないというと金が余っちゃうというようなことになって、今度は検査院とか決算委員会で逆に指摘をされて、あらかじめやったものが何でそんなに枠が、金が余るのだというようなことを言われたこともございます。ございますが、やはりそういうようなこともあわせてやっていかなければならぬ。
 ところが、援助を受ける国というのは、日本から比べますと、かなり社会の仕組み、風俗習慣が種々雑多でえらく違うわけですね、アフリカにしても東南アジアにしても中南米にしても。ですから、非常にそこのところが、日本の国内できちっといくようなわけにはなかなかいかない。そこで大問題が実はある。日本国内でこれだけやかましく言っても、撚糸事件が起きちゃってこれは困っているわけです、実際は。まして法律が、そんなに厳格な法律もないですよ。習慣も変な習慣があるという国が、えてしてあるわけですから、そういうところに対する海外経済協力というのは、うんと厳格にやったらやるところがなくなっちゃうというような話になりますし、そうかといってでたらめやられたのでは国民に申しわけないし、どこらで線を引くかというのが現実の問題として非常に難しい問題ではあります。ありますが、やはりそれはせっかく供与する以上は、日本国民のおかげで我々はこれだけいいものをつくってもらった。いい生活ができるようになったということを知ってもらわないと、我々も、出す方はやはり出しがいかないことになります。したがって、今後も両にらみでやはり経済協力を進める必要があると、つくづくそう思っておるわけでございます。
 したがって、どんなふうに使われたのかについては、こちらから積極的に調べるというわけにもなかなかいかないでしょう、実際は。相手政府のあることでありますから、相手政府がよく、正しく実態をつかんでいただいて、御報告を願いたいというように私は考えております。
#118
○中村(重)委員 今大臣も触れられたのですが、円借款にしてもその他の経済協力にしても、これは相手国の福祉の向上、経済自立、相手の国が、国民が幸せになるということが基本であるわけです。また、これは国民の税金ですから、まさに公金であるわけですね。したがって、予算委員会等における質疑の中でも、もっと真相を徹底的に究明をする必要があるとか、あるいは円借款にしてもその他の援助にしても、もっと中身をチェックしていくべきだというような指摘に対しては、下手をすると内政干渉になるということで、極めて保守的な答弁というものが返ってきているように思われるのです。
 しかし、私が申し上げましたように、この目的、基本というものを踏まえていくならば、やはり今大臣がお答えになりましたように、援助する側の国民の納得するものでなければいけないし、また被援助国の国民が本当に援助を受けてよかったという喜びを味わうものでなければ、援助の目的を達成をしたということにならないというように私は思うのです。ですから、もっと突っ込んでいかなければならない。
 同時に、今マルコス疑惑、フィリピンに対する円借款の問題だけがこれは議論になっているわけですけれども、これらの援助であるとかあるいは借款なんかにいたしましても、先ほど申し上げましたように随分問題があるということは、これは既成の事実ということで考えられていたわけですから、フィリピンだけではなくて、それ以外の国においても同様だとまで私は言いませんけれども、似たような形のものがあるのではなかろうか。
 今文書に指摘をされております企業というのは、総合商社ですね。実際は総合商社ではなくて、建設関係でも相当大手の企業が暗躍しておるという事実があるのですね、実際は大手の建設業者がやるわけですから。これらの問題については特別委員会の中で徹底的に究明されるであろうことを私は期待しているわけですから、大臣も、率直な答弁であったわけですが、勇気を持って対処してもらいたいと思うのです。
 経企庁も、これは四省庁の一つでありますし、かつては経企庁が調整役を担当しておった時代も――若干内容的に事務機構が変わっておるのではないかと思うのでありますけれども、これは重大な関心をお持ちになるでしょうし、あなたはそれらの問題について比較的通じておられるのではないかと私は感じるのですが、どのように感触を持ち、これに対応していこうとお考えになっておられますか、また問題点をどのように把握しておられますか。
#119
○平泉国務大臣 既に通産大臣から御答弁を申し上げておるわけでございますが、円借款の場合には、相手国政府との間に交換公文が結ばれるわけでありまして、そしてまた経済協力基金と相手国政府との間では借款契約というものも結ばれる。これらにはいずれも、相手国政府との間に公に明記される目的、それからその目的に違反するような不正使用が行われることはないように、こういうようなことが十分書かれておるわけでございます。
 そういう意味で、相手国政府が援助の目的に従って厳正に援助の資金を活用するということが国際的な約束になっておるわけでございますから、日本政府としては、相手国政府に対してこういう点は十分に究明をお願いしたい、こういうことがまず第一ではないかと思っているわけでございます。もちろん、今おっしゃいましたようなさまざまな問題がございますので、我々としましては、まず日本側において明らかになる部分については、これも十分明らかにしていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
#120
○中村(重)委員 政府開発援助を七カ年計画で倍増する、ことしはその初年度になるわけです。私は、経済援助のあり方ということについて、もう見直しをしなければならない時期に来ているのではないかというようにも感じるわけです。同時一に、日本の政府各省、窓口が余りに多過ぎるのですね。そして、縄張りみたいなものがありまして、被援助国もわずかの援助を受けたりする場合、日本にやってきまして窓口が多いものだからきりきり舞いをするというようなことで、日本の援助のあり方というものに対しても批判があるわけです。
 内に外にこれらの問題を考えてみるときに、もうこの機会に徹底見直しをする、そして対処するというようなことが必要ではないかと感じますが、通産大臣いかがですか。
#121
○渡辺国務大臣 結論から言えば、私は徹底見直しをするということがいいと思います。
 これは非常に難しいことでして、例えばダムを一つつくるにいたしましても、要するに請負金額の中で日本だけでつくってやればいいものができるのですよ、確かに。ところが、それでは技術移転にならない、我々も一緒に参加させろ、こう必ず言ってくるのです。一緒にやりますから能率が悪い、金が余計にかかるという問題もある。しかし、長い目で見ると、一緒にダムをつくるから、フランスは自分が全部やっちゃったけれども日本は一緒にやってくれたから、おれたちがダム建設の技術を覚えた、ありがたい、そのかわり少しロスが出たというようなこともありますね。ですから、日本で行われることと同じような非常に能率的な、合理的な方法を即座に全部当てはめるということは言うべくして非常に難しい。
 ただ、もしこちら側にすきがあるとすれば過当競争ですね。要するに、どこの国でも自分の方の業者を連れてきて入札させているわけです、日本だけじゃないですから。我が社がとりたい、我が社がとりたいといってやる。そこで結局、日本なら入札のたたきというやつでしょう。ところが、たたくかわりに幾らか上納ですか、これはちょっと言い過ぎるから言わないことにしますけれども、そういうすきができるのではないだろうか。海外にまで行って過当競争をやる気になりますと、必ずそこで、不当に安い入札になるのか、安くないかわりに、高く入れたけれども何か裏から手を回してとっちゃったのかというような話になって、どっちにしても余りいい話じゃないのですね。ですから、それは公正取引委員会と話をつけなければいかぬのかどうか私知りませんが、そこは過当競争をやって、腐敗政権につけ込まれることのないようにするということは、私は一つの現実的な解決策ではないかなというような気もしております。
 いずれにいたしましても、結局相手の政権が腐敗しておると、仮にの話だが、入札に加入するときに何%か取られたということが、事実は知りませんがあったとすれば、そこだけじゃないのですね、地方に仕事が行くから、その下のセクション、その下のセクションで現場監督にまで取られちゃったら、これは半分くらいになってしまう。つくった道路はどうしたって手抜き工事になってしまう。ですから、そこらのところは相手が一番問題なわけですね。だけれども、そこらはこれから十分に、そういうことをやる国には悪いけれども援助はしませんよというぐらいの、こわもてと言っちゃ外交的にしかられるのかもしらぬが、それくらいはっきりした態度でやらないというと、経済協力をやっても後で謝るような話ばかりになっちゃって全く後味が悪い。
 ですから、これはよく勉強して、類似のことがほかにもあるかどうか知りませんが、やはり私はむだのない援助をするように工夫をしていく必要が非常に大切だと思っております。
#122
○中村(重)委員 同感するところは多いのです。商魂たくましい日本の企業ですから、たくましいのはいいのでしょうけれども、企業のモラルも何も考えないような、もうかりさえすればよろしい、だから受注に狂奔するというやり方、それで今回のような事件がようやく明るみに出てきたというような感じなんですが、相手国に対して強い姿勢が大切だ、援助あるいは円借款の目的、その基本にのっとって大臣が今のようなことを言われることは、私はそのとおりだと思っているのです。
 同時に、商魂たくましい企業が援助というものを非常に毒しておる、相手国にも今怨嗟の声を起こさせるといったようなことの原因をつくっておるということも言えなくはないと私は思うのです。したがって、問題企業というものはいずれ明るみに出るでしょうから、行政的な面からいたしましても、これはフィリピンに限定するのではなくて、問題企業はそういう事業の受注を遠慮させる、発注をしないでくれというように相手国に注文をつけるくらいの断固たる姿勢が大切だろうと思いますが、大臣、いかがですか。
#123
○黒田(真)政府委員 なかなか難しい問題でございまして、そういった誤解、疑惑のうわさというものにつきましては、真相究明のためにできるだけの努力を行うということでございまして、それらが明らかになりました上、改善すべき点があれば改善すべきものであるというふうに考えます。
 もし非常に不適正な行為を行った事業者が明らかになるということになれば、当該国の立場から見て好ましくない企業として取り扱われるというようなこともあるいは考え得ることかと思いますが、現在の段階で具体的な改善の方向について特別のことを申し上げる立場にはないということでございます。
#124
○中村(重)委員 私の質問に対して、大体事務当局が答弁をするような質問はしていないのです、大臣の答弁が当然あるわけだけれども、その大臣の答弁を遮るようなそういう官僚答弁みたいなものは遠慮してもらわないと。そういうことではだめなんです。大臣、いかがです。
#125
○渡辺国務大臣 円借款等の事業に参画する日系企業が、不正な手段によって競争に勝ち残るというようなことがはっきりした場合には、やはりそういう企業については、今後そういうことを繰り返されては困るわけですから、それは何らかの社会的な制裁というものは仕方がないことであると思います。
#126
○中村(重)委員 特別委員会の設置の名称にしても、与党はフィリピンに限定するという、野党は、これは単なるフィリピンだけの問題ではなくて、多くの被援助国との関係についてそれがあるのだ、だからしてフィリピンに限定しないということで問うというようなことで、そこは妥協ができたというようにも言われているのですけれども、今の大臣の姿勢をあえて私は、毅然たる態度で臨もうという決意を持っておるというように理解をし評価をしますから、そういう態度で対処してもらいたいということを重ねて注文しておきたいというふうに思います。いかがですか、もう一回言いますか。
#127
○渡辺国務大臣 厳正、公平、毅然たる態度でやらせてもらいます。
#128
○中村(重)委員 経企庁長官、あなたも決意の表明を。
#129
○平泉国務大臣 適正でないことに対しては、あくまでも適正でないという考え方で臨まなければならぬと思います。
#130
○中村(重)委員 長官、あなたの答弁にけちをつけるわけじゃないけれども、適正でないということは、もう既に事件が起こってきたときに言えるわけだ。そういうことが起こらないように対処していかなければならないし、またそういう問題企業に対しては強い態度で臨んでいくという、少なくとも渡辺通産大臣のような決意というものを持たないと、あなたはいろいろ関係が深いのだから、あなたが一番そういう点については考えておかないといけませんよ。
 経企庁長官、今度はあなたの得意なところですが、六十年度の経済見通し、実績は完全にデータができてないのだろうと思うのですが、この見通しと、それから急速な円高、原油急落、こういったことによって六十一年度の経済見通しの変更、今ようやく予算が通った段階で変更いたしますなんということは答弁を期待もしませんけれども、あなたの六十年度の経済実績の見通しと六十一年度についての見通しはいかがですか。
#131
○平泉国務大臣 政府の経済見通しでございますが、政府の経済見通しについては、最近いろいろな要因の変化というようなものもたくさんございます。今御心配のとおりでございますが、我々としましては、諸要素を勘案いたしまして、その後のいろいろ円高というものの及ぼす影響、また原油の価格の低下、さらには公定歩合の引き下げ、そういったものを全体を考えますと、総合いたしましてやはり経済見通しというものを達成できる、かように見ておるわけでございます。
#132
○中村(重)委員 経構研の答申にしましても、内需拡大の大合唱が今財界においても、これは全国民的に起こってきているのですが、通産大臣の午前中の同僚議員の質問に対する答弁は、公共事業の前倒しを思い切ってやらなければならぬ、それでできなければ予算の追加、それから建設国債等についても考えなければならないんだというようなお答えであったわけですが、これは極めて常識的なことなんです。私も全くそのとおり思っているわけです。
 そこで、経構研の答申も具体的なものがわからないのですけれども、大臣がけさ答弁をされたことも常識的ではあるのですが、それこそ大勇断をもって外需依存から脱却をして内需拡大をやっていくということでなければならないと思うのです。今進めておる施策、そういったようなことについての期待はなかなか難しいというように私は思うのですが、大臣は今後どのような態度でもって対処していこうと考えておられますか。
#133
○渡辺国務大臣 これもけさほどからお答えをいたしているように、公共事業をかって例がないほど前倒してやる。それは七八になるか九になるかわかりませんが、中には八五も九〇もやれなんと言う人がありますが、そういうことはできないそうですよ。実際問題として。それは設計も必要だし、農業関係なら、みんな田んぼに水が入ってしまってから土地改良をやるといったってできるわけがないので、これはやはり秋にならなければできないというようなことですから。
 いずれにしても、去年よりも四%程度公共事業費全体の額はふえているわけですから、それを過去に例のないほど前倒しをやる。そして、あと円高の差益についても、おおよそ一兆円をめどにしてこれは六月から実行する。そのほかいろいろ、電気、ガスを初め我々のところもやるし、それから民間の方も、民間活力のいろいろな規制緩和等をやってこれを進めていくということでありますから、まずやるものをやってみないことには、後の話をしても仕方がないことであって、やってその結果、そこで三カ月なり四カ月経過をするわけですから、そのときに景気の状況やなんかもわかってまいりまして、それでも足らぬというときには、それは異常、非常の手段としてできることは何でもじゃんじゃんやっちゃうのですよ、何でもやっちゃう。
#134
○中村(重)委員 経企庁長官、今、通産大臣と見解は同じだろうか、こうあなたに尋ねてみたい、あなたは経済、物価関係の担当大臣でもあるわけですから。
 ですから、今の財政再建というものはもう見直しをしなければならぬ、今のような財政再建の方向では、実際問題として、抜本的に内需拡大に転換をしていくことは今の財政計画では不可能だろうというように私は思っているのです。宮澤さんが言われたように、建設国債の問題もそうなんです。それらのもみもろのことについての担当大臣としてのあなたの考え方はどのようなものであろうかということと、それから、先般来の土地騰貴ですね。まさに狂乱と言われる、インフレヘの警戒すらしなければならないんだというように思うのですが、これらの点については長官はどのような考え方をお持ちですか。
#135
○平泉国務大臣 今おっしゃる、財政再建というのが内需振興等の上でなかなか問題があるのではあるまいか、こういう御意見でございますが、確かにそういう御意見は各界各層にかなりございます。
 ただ、現在の内閣におきましては、この問題につきましては大蔵大臣の所管の問題であり、大蔵大臣がこの問題については終始一貫した意見を持っておられますし、また内閣総理大臣もそういう趣旨で御答弁になり、またそういう方針で経済政策を進めておられる、こういう状況でございますので、いろいろな御意見はございますが、今の内閣としては今の財政再建の粋を今になって取り払うことはできない。その中でいかにして内需拡大、経済成長の維持発展、こういうことを行っていくかというところに苦心の存するところでございまして、今朝も特に総合経済対策を長時間かけて審議決定をいたした次第でございます。その辺をひとつ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
 また、第二番目の土地の値段の問題につきましては、確かにおっしゃるとおり、殊に東京都におきまして都心部の商業地域、いわゆる業務用地域で大変大幅な上昇が局部的に見られるわけでございます。これは最近の世界経済における日本経済の地位の向上、日本が世界経済の大変重要な中心地であるというようなこともございまして、今日本の東京の都心、いわゆるオフィスビルの需要というものが国内的にも国際的にも大きな需要の中心になっておるということが、非常に重要な原因であると心得ておるわけでございます。またそのほかにも、最近は金融情勢が緩和基調でございますし、資産保有のための不動産投資という影響もあろうかと存じます。
 現在国土庁において東京都との連絡会議を行うなどいたしまして、関係法令の運用等について検討を行い、けさ決めました総合経済対策の中におきましても、金融政策については「過度に投機的な取引が助長されないよう配慮する。」という一行を加えておりますのもひとつ御注意を願いたいと思うわけでございます。経済企画庁としましては、このような投機的な土地取引によって国民生活に影響の及ぶことのないよう、今後とも関係省庁と十分協議をしてまいりたいと存じておるわけでございます。
#136
○中村(重)委員 総合経済対策の中にも出ているわけですし、経構研の中の指摘もあるわけですが、内需拡大のためには、柱は何といってもGNPの六〇%を占める個人消費をいかに伸ばしていくかということでしょうし、公共事業であるとかあるいは住宅の建設等々を積極的に進めていかなければならぬ。同時に、税制というものを思い切って改革をしていくということでなければならぬ。かつては日本経済の高度経済成長というものに役立った税制が、今では足を引っ張るような形になっておることも否定できないだろう。働きがいのないというようなことであってもならないし、それからトーゴーサンであるとかクロヨンとか言われるような税の不均衡、こういうものにもメスを入れざるを得ないであろう。それから同じサラリーマンにしても、もろもろの分離課税的な形で一般のサラリーマンとは均衡がとれていないという税制、指摘をいたしますといろいろあるわけなんですが、そういったような面からいたしましても、所得税であるとかあるいは住民税の大幅減税をしていかなければならないということは政府も否定をしていないというように思うのです。
 同時に、間接税を見合いで引き上げていくということになってまいりますと、間接税の増税というものは消費者の財布のひもが締まってくるということになる。したがって個人消費という一ものは、これは盛り上がらないという形になってまいります。この税制改革、所得税の減税の問題、それから言われておる大幅間接税の増税はすべきではないというような、他にいろいろメスを入れるところはあるわけですから、そういうところに知恵を出して、日本の経済を安定成長に持っていかなければならないと思うのですが、今この税制改革の具体的なことについて私は触れたわけですから、両大臣ともこの点についての考え方をお示しいただきたいと思う。
#137
○平泉国務大臣 もちろん所管は大蔵大臣でございますが、先生段々のお話はいずれも大変経済の運営にとって重要な問題でございますし、大変ごもっともな御示唆も含まれておるわけでございます。私ども十分閣内において大蔵大臣にも御相談申し上げる、また政府としましては政府税調において現在いずれも審議をしておる項目でございますので、段々の御趣旨を十分お伝え申し上げまして、十分遺漏なき税制改革、中曽根内閣としては極めて重要な税制改革をいたしたいということを公約いたしておりますから、その趣旨を尊重してまいりたいと思うわけでございます。
#138
○渡辺国務大臣 内需拡大には所得税の減税とか法人税の減税ということが役立つ、これは全くそのとおりだろうと私は思います。ところが、国家財政というのは御承知のとおり、釈迦に説法ですが、歳入があって歳出があるわけですから、歳出で切ることのできないものには何らか歳入を見つけて充てなければならない。そこで歳入は税収と税外収入あるいは借財、大体大きく分ければ三つしかないわけでございます。借金はこれ以上はするな、赤字国債は増発はけしからぬ、こう皆さん言っているわけですから、そうすると歳入をふやす方法というのは税収と税外収入しかない。税外収入というのは、結局、株を売り飛ばすとかあるいは日銀から納付金を納めさせるとか国有財産を売り払うとかというようなことしか実際はない。しかし、こんなものも数兆円にしかすぎないということになりますと、大減税をやれと言っても、身がわり財源がなければなかなかできない、あるいは歳出の大幅カットをしなければできないということになります。
 そこらのところが選択の問題でございますから、高齢化社会を控えて、社会保障費は幾ら不正請求や水増し請求をなくしても着実に雪だるまのように大きくなっていく、これは景気、不景気にかかわらない。ということになると、景気、不景気で左右される法人税や所得税だけを財源として果たしていいのかねという問題にもなりますから、これは総合的にどういうような税制の改正というものが今後必要であるか、どうすれば所得税減税ができるかというものを税調等で抜本的に原理原則に照らして勉強してもらう必要がある、私はそう思っております。
#139
○中村(重)委員 間接税の増税の問題についてはどういう考え方ですか。
#140
○渡辺国務大臣 これも間接税は広げないのがいいという人もございますし、全体との整合性の問題で、何にそれが使われるかということについては、これは特定な間接税だけを広げていっていいのかねという議論もございます。不公平になるではないか、テープ一本買っても税金を取られる、子供の机でも税金を取られるが、三十万円の洋服は一銭もかからぬとか、そういうようなことですから、特定品目の間接税だけで今かけられておるものだけが高くなるということに対する不合理さというものもございます。
 私は大蔵大臣もやったことがありますけれども、これは私の個人の持論から言えば、どこの国でも間接税がある国は多いですね。フランスなどは六割が間接税ですよ。フランスは六割、あるいはドイツ、イギリスあたりは大体五〇から五五が間接税です。かつて日本も昭和の初めごろは六割が間接税。それで高度経済成長時代は大体五割から四割五分ぐらいが間接税でした。それがだんだん間接税は取らなくなったものですから、直接税だけで税収の大半を占めて、税収の七二%以上が直接税で占めておる。間接税が三割弱、二割七、八分になっちゃった。このままの税体系でいいのかどうか等も含めまして、取るか取らぬかということよりも、どれがいいのかということは選択の問題でありますから、私は、この一年間しっかり勉強をして、いずれの選択をするか、それは国民の代表である国会にお任せをするのがいいんじゃないか、そう思っております。
#141
○中村(重)委員 ともかく取りやすいところから税を取るというようなことでなくて、今不公平税制の問題については、これを是正しろということは全く大合唱であるわけですから、大臣は大蔵大臣もおやりになった、ユニークな一つの政策、取り組みを推進してきたわけですから、問題はよくわかっているはずなんですね。ところが、そこにはなかなかメスが入れにくい。だから避けていく。そして間接税の増税であるとか、ともかく安易に取りやすいところから取っていこう。それから、物に税金がかかっているから抵抗というものは案外ないんだ、そういうようなことであってはならないと私は思うのです。ですから、まず不公平税制の是正を断固としてやる、こういうようなことを重点施策として取り組んでもらいたい。重要な問題ですから、そのことについてもう一度大臣の考え方を聞かせてください。
#142
○渡辺国務大臣 よく不公正税制と言われるのですが、不公正税制とは何だ。どこが不公正かというそこから始まらぬとこの話はわからぬわけですね。ですから、不公正税制と言われるものは何と何と何であって、もしそれをなくせば幾らの税収になるかということを計算しなければならぬわけです。よく我々が言われたのは、医師の診療報酬課税の特例、こういうものは不公正税制であると言われました。あるいはいろいろな政策税制であるところの特別措置法、これも不公正税制である。しかしながら、これを取ろうとするとなかなか抵抗がありまして、これは与党ばかりじゃありませんよ、それはほかにも抵抗のあるところはいっぱいありますから。ですから私は、何が不公正税制であるかということの定義をはっきり決めて、そこで認識を一致させるということから始まらなければなるまいと思います。
#143
○中村(重)委員 その点、まだお尋ねしたい点があるのです。撚糸の問題、石炭問題、円高差益、中小企業の問題等について盛りだくさんお尋ねをしたいのですが、時間がありません。したがって、単刀直入にお尋ねをしますから、お答えもひとつ率直にお願いをしたいと思います。
 午前中も、また法務委員会その他の委員会でも、この撚糸汚職の問題については取り上げられることになろうと思うのですが、過去に機種のごまかし等というものがあったのではないか。これは破砕の確認というものが必要になるわけですからね。そこで、そうした今までの不正、後で触れますけれども、会計検査院の指摘等もあるわけですから、この点についてはもう問題点を把握しておられて、実際は手をつけないで避けてきたのではないかというふうに感じられるのですけれども、いかがですか。
#144
○浜岡政府委員 御指摘のとおり、この設備共同廃棄事業につきましては、一つずつの設備が所定の要件に合致しているかどうかというところが非常に大事なポイントでございます。五十三年度、五十四年度において会計検査院から御指摘をいただいたのも、個々の設備の適格性というところがポイントだったわけでございます。当時、問題案件については繰り上げ償還を行わせると同時に、関係団体に対してはチェックの厳正さについて十分意を尽くすように通達等もいたしておるわけでございますけれども、今回の起訴された事件につきましては、やはり個々の機器の適格性が問題になっているわけでございます。先生御指摘のとおり、破砕に当たりましては通産局または府県の職員の立ち会いを要請をするということになっておりまして、実際上は立ち会いは行われているわけでございますけれども、結果としてああいう事態になっているわけでございます。
 私ども、現在、既に大臣が国会でお示しになっております御所見、非常に重く受けとめておりまして、あらゆる角度から見直しにかかっているところでございますけれども、この制度を今後さらに続けていくとすれば、個々の設備の適格性のチェックは大変重要なポイントの一つではなかろうかというぐあいに思っております。大変数が多いわけでございますので、府県の御協力をさらに強く要請をしなければならないだろうというぐあいに思うわけでございますし、また、ある程度の期間がたちますと、通産局の場合も府県の場合も職員が交代してまいりますので、立ち会いの際の、本当に十分意を尽くしたマニュアルのようなものを整備することも必要なのではないか、まさに絵入り、写真入りというようなところまで考えるべきではないかというようなこともあれこれと議論いたしているわけでございますけれども、今後さらに十分検討いたしまして、機会を得ましたら御報告をさせていただきたいと思っているわけでございます。
#145
○中村(重)委員 午前中の質問に通産大臣はうなずいて、真剣に耳を傾けて聞いておられた。そのことが答弁にも出てきたわけですが、大臣の知らないところに実に落とし穴があるのですね。連合会と産地組合がうまくやればもういろいろなことが、審査がパスしていくというような、そういう癒着ぶりというものは目に余るものがあると言われているのです。
 そこで、登録の中に中古機械が存在をして、これが悪用されたということが言われているのですが、どうして登録機がそういった――破砕をしたはずなんだけれども、そういうような無登録機が存在をしたということでしょう。どこにあるのですか。
#146
○浜岡政府委員 私どももまだ事件の詳細について東京地検の方から御連絡をいただいておりませんので、私どもの聞き取っておりますところとある程度の推測がまじってまいるわけでございますけれども、今回問題になりました十三台の設備、一部は、問題の時期よりも数年さかのぼりました時期に中国向けに中古の撚糸機器の輸出が行われたわけでございますが、その際に、いわば手元に残ってしまった設備が一部まじっているというぐあいに聞いております。それからまた、残りにつきましては、東京地検の発表いたしております被疑事実によりますと、大手企業から入手した設備がまじり込んでいるというぐあいに記述されているわけでございます。いずれの場合も、登録番号がなければならないわけでございますけれども、登録番号そのものはついていたようでございまして、ここから先は推測になってくるわけでございますが、どうも登録すべからざるものが登録されていたというような事態が絡んできているというぐあいに思われるわけでございます。
 今後いずれ東京地検の方からも事実関係が明らかにされてくると思いますし、関係者が逮捕され関係書類も押収されている状況でございますけれども、私どももいろいろな角度からチェックをいたしておりますので、チェックすべきポイントというものはいずれ明らかになってくると思いますし、是正を考えます際には深くメスを入れなければならないと思っている次第でございます。
#147
○中村(重)委員 破砕をすると確認書というものが当然あるわけです。だからその点がどうなっておったのだろうか。これは理事長なんかが商工中金に保護扱いにしておったものが引き出される、そういうようなことなんですけれども、そんな単純なものではないので、計画的犯罪というように私は考えているわけです。それから、本体を破砕して、これを生まれかえるようなことが公然と行われてきておったのではないかというのです。そういったいろいろな手口を使って、横領目的で実はやっておったのではないかというように思われるのです。
 法務省から原田刑事課長がお見えですから、この点について捜査の状況、言えないところもありましょうけれども、お答えをいただきたいということと、会計検査院が指摘をしていますから、検査院からも、このような不正が明るみに出たことについて会計検査院はどのような問題点をお考えになっておられるのか、お聞かせをいただきたい。時間がありませんから簡単で結構でございます。
#148
○原田説明員 お答え申し上げます。
 お尋ねの件は、問題の公判請求されました事実に関します十三台の機械がどのようなものであったか、その経緯ということでございますが、この点につきましては、いずれ公判廷において明らかにされるべき事柄でございまして、現在公判廷に願出しない段階でございますので、この段階でお答え申し上げることにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。
#149
○沢井会計検査院説明員 私ども、五十三年及び五十四年度に、中小企業事業団の共同設備の廃棄事業につきましての不当事項を指摘しました。それと同じような事態が数年後においても繰り返されていたということは非常に残念に思っております。その後につきましては通産省、中小企業庁、事業団の方で改善措置をとられたということでありましたので、推移を見守っておりましたから、この設廃事業につきましては検査を十分にいたしておりませんでしたが、今度こうした事態が起こりましたことを契機に、貸し付け自体の不適正な事態を究明するということと同時に、制度自体の問題点につきましてもあわせて究明していきたいと思っております。
#150
○中村(重)委員 通産大臣は午前中、何かこれを監視するようなシステムが必要だということを言っておられたようですけれども、もう既にこれは監視委員会というのがあるわけです。その監視委員会の構成であるとか監視委員会は何を監視しておったのかということ。商工中金も事業団も実際は融資決定については参画をしているわけです。どうして商工中金は、事業団も同じなんですけれども、こういうものに参加していながら、こういう事件が起こるというようなことになったのか。
 それから、商工中金は保護扱い預金にしておったわけです。これを払い出しをやった。ここらあたり何か商工中金としてチェックしていかなければならなかったのではなかろうかというように思うのです。融資決定に参画をしておる事業団や商工中金、それからこれは監視委員会の中に入っているのかいないのか知らないのですけれども、これらの点についてその内容をどの程度把握しておられたのか。余りにもでたらめというのか、法務省から事件捜査中ですから具体的なことについては触れられなかったのですけれども、これは悪いことをしようとして計画的にどうも進めてきたという感じがしてならない。これらの点についてそれぞれお答えをいただきたい。
#151
○浜岡政府委員 ちょっと初めに事実関係を御説明申し上げますが、先生ただいま御指摘になりました監視委員会といいますのは、設備登録制に関連しまして存在をしている委員会でございまして、先生御承知のように、無登録織機の監視というものを主たる任務にいたしているわけでございます。
 設備廃棄事業に関しましては指導会議というものを設けておりまして、これに私ども生活産業局、中小企業庁、中小企業事業団、商工中金、関係府県等が参加をいたしまして、共同廃棄事業の全体の輪郭を決めるわけでございます。ただ、ここでは業界全体の現在の状況をどう診断をし、今後の処理によってどういう構造改善を行うべきか、廃棄すべき設備の全体のスケールをどういうぐあいにとらえていくかというような議論が行われるわけでございまして、一つずつの設備の適格性につきましては、先ほど先生が御指摘になりましたような破砕の際のいわゆる立ち会いというものに大きく依存をいたしておるわけでございますけれども、この点が今後の問題点であることは先ほど申し上げたとおりでございます。
 なお、質権設定の問題につきましては、一般的には質権が設定されておるわけでございますけれども、午前中御説明申し上げましたような事情がございまして、たまたまこの撚糸工連の当初立ち上がりの時期の事業につきまして質権が設定をされてなかったというような特別の事情が存在しているというようなことがあるわけでございます。
 以上、事実関係として御説明申し上げました。
#152
○森口参考人 お答え申し上げます。
 私の方の事業団は、設備廃棄事業に関し融資も行っておりますし、それから指導委員会のメンバーでもあります。そういうことでありながら、今回かかる不祥事件を見るに至りましたことを、まことに遺憾に存じておるわけであります。
 設備の廃棄事業に関しまして今後どういうふうなことになりますか、通産省の方で御検討中でございますけれども、存続するということでありますれば、従来のようなことを起こさないよう、私どもは従来以上にチェック体制を厳格にしてやっていきたいというように感じております。
#153
○佐々木参考人 商工中金につきましては、本融資につきまして事業団の代理業務を実施する立場で行っておったわけであります。関係者の一員といたしまして、本件についてまことに厳粛に受けとめておる次第であります。
 今後、ただいま生活産業局長のお話のように、お役所の方で検討し、新しい方針が決まりますれば、関係者の御指導に従いまして金融機関の立場で厳正な取り扱いをさらに一層いたしたい、かように考える次第でございます。
#154
○中村(重)委員 厳重にやらなければならぬことは当たり前のことなんですけれども、当たり前のことが当たり前になされていなかったというところに、今回のような事件が発生をしたということでしょう。これはしかし、事業団とか商工中金とか、これは直接金を融資する窓口になっている関係上、なんですけれども、問題の根は相当深いものがあるというように私は思う。全く計画的だろうというように思うのですが、時間がありませんから、大臣に、現在六十年度実施された設備廃棄の下期の融資が百五十五億、これがストップしているわけですね。地方自治体はこれは予算を組んでおったのでしょうけれども、この予算の執行はできない、したがって繰り延べもできないということになってくると、この融資はできないという形になってくるのですが、通産大臣は、悪いことは悪いこととして徹底的にやらなければならぬことですが、かといって悪くない人が犠牲になるということでもだめなんだし、繊維産業というのは歴史的な日本の産業であるわけですから、下手をやったら産地の崩壊ということにもつながりかねないというように思うのですが、今後どう対処していかれますか。――いや、もうあなたはちょっと長い。大臣に答えてもらいたい。
#155
○野田委員長 簡単に。
#156
○浜岡政府委員 事実関係だけ御説明申し上げますが、確かに六十年度下期の融資決定がベンディングになっていたわけでございますが、私どもももちろんでございますが、関係工連の方でも総点検をしてもらいまして、大筋において問題はなさそうだということでございますので、撚糸につきましては全数点検中でございますのでなおペンディングになっておりますが、それ以外の業種につきましては融資決定はやらせていただきました。ただ、資金交付までにさらによくチェックをいたしまして、問題のケースは排除するという方向で対処していきたいと思っております。
#157
○中村(重)委員 大臣、あなたは公の席だけでなくて、今回の事件でやかましく言われて頭が痛い、そんなにつつかれるのだったら登録なんかはやめてしまった方がいいということも言っておられるのですが、からんときてそれはそういう気持ちにもなられるのだろうけれども、問題は、そうからんときたからといって簡単に片づける問題じゃないのでしょうが、この登録設備共同廃棄事業、これらの点についてメスは入れることは入れるけれども、今後これをどうして対応していこうとお考えですか。
#158
○渡辺国務大臣 私はずっと今まで全くこれは無関心で、残念ながら大蔵大臣をやっておってもそこまで目が届かなかったわけですが、話を聞いてみて、これは本当に甘えの構造だなという感じをまず一つ受けました。それから、設備廃棄をやるのですから、私企業ですからね、私の企業ですから、自分で勝手につくったわけですからね。それを、しかしながら全体が困るというので公の金で買い上げてつぶすのですから、後はふえないのならいいのですね。いつの間にかまたそれがふえていってしまう。また買い上げる、またふえる。しょっちゅう不況対策をやってこんなことを繰り返しておったら、それはもう国民の税金を納める方が怒りますよ、これは。ですから、そこらのところが限定的にやることでなければ、何回も繰り返しになるということが一つあると私は思うのです。これは一回かっきりの話なら話がわかるが、何回もやるというのはいかがなものか。そんなに余裕があるわけがない、国の財政には。
 第二番目は、確かに今も話があったが、古い機械と新しい機械を差し繰っちゃって、そして古い機械をレッテル張って買ってもらうというようなのがあるらしい。これは一種の詐欺みたいなものだね。しかも値段が何か取得価格の三倍とか、いわゆる新品を買う場合の半値だとか、そういう価格をつけていい。普通なら、自分が使ったものを買ってもらうのならば、減価償却をした帳簿価格の残存価格で、くず屋に売ったのでは一貫目幾らになるけれども、そいつを幾らか評価して買ってもらうというならまた話がわかる。新品の半値ぐらいとか、そういう通達が出ているというさっきの話を聞いたけれども、ちょっとこれは余りにもひど過ぎるのじゃないかという感じが実際に私はした。しかも、これは損する人がないんですね。みんなが買ってもらって、だれか機械を新しいのを払い下げてもらった人はそれはよかったろうし、それからまた買い上げてもらった人ももうかったし、組合ももうかったし、損をしたのは国民だけということになるわけですね、これは政府が損をしたということになれば。ですから、これはどうしたってもらい得みたいな感じになりがちなんですよ。
 政府が何万台なんというのは目が届くわけがない、立ち会ったって何だってそんなものは。したがって、仮に業界でそれをやるとすれば、農業でやっているように共補償にして、やめる人はやめてください、そのかわり政府の方はスクラップのコスト代しか払ってくれませんから、残った我々がそれによって生きられるのだから、一台について何千円か出しましょう。農家で減反をやる人が、みんなして一割ずつ休むのは困るから、だれかが全部やめてくれるのならば、政府の補助金のほかに我々は自腹で一反歩一万円ずつ出します。よくやっていますね、これは共補償といって。そうなりますと、結局休まない田んぼにつくった人が金を出すわけがないし、みんなが見ていますから、ごまかしがきかない。何かそんなことでもやれば、専門家同士ですから、これは全部わかるわけです。利害が相反するわけですからね。仮に残すとすれば、何かそんなふうなことを取り入れるとか、やはり発想をかなり変えてやらないと後を絶たないということになりがちだし、そいつを監視するのに今度は何十人の役人が必要ですよ。そんなことできませんよ。ですから信用すれば、今度は裏切られたときまた事件、こうなるわけですから。
 だから私は、これは発想を変えて、残すのなら残すか、あるいはそういうふうなものはもう一回だけであとはやらないということにしてしまうか、いずれにせよ中身をもっとよく調べた上で決断をしたいと思っております。
#159
○中村(重)委員 時間がありません。石炭問題で第八次答申、これから七月か八月ごろ答申されるのでしょうが、そういう石炭政策の基本についてお尋ねしたかったのですが、時間がありませんから単刀直入に、問題になっている三菱高島炭鉱の存続、この点について大臣はいろいろな方面から陳情を受けておられるわけでしょうし、検討しておられるでしょうから、どのようにお考えです。
#160
○渡辺国務大臣 結論を先に言いますと、私のような素人が結論を具体的に言うべきではない。第八次審議会が今勉強をしておるという中で、その人たちが現実的な問題をとらえまして答申を出すでしょうから、その答申に従って対処したいというのが私の結論です。ちょっと御不満かもしれませんが。
#161
○中村(重)委員 あなたは自由経済主義者だから、ベイしないものはやめてしまえというようなこともあるのだろうが、かといって社会保障で抱えていくということも問題だが、かといって山を財政措置だけで継続をしていくということもいかぬから知恵を出せ、こういうことで事務当局にも指示をされたということも伺っているのだし、閉山をするにしても激変緩和というものを考えてやらなければいけない、これもあなたが事務当局に対して指示されたというように伺っているわけです。
 ただ、高島炭鉱というのは、歴史だけを大切にしているとは私は言わないけれども、百年の歴史が経過しましたね。五千数百人の高島町の住民、そして山で働く者が下請を含めて千二百名で、これは全人口が山の関連の仕事をしていると言ってもいいわけです。だから、経済ベースだけで問題を処理できないということもあるのだと私は思う。同時に、貴重な地下資源なんです。私どもは、これはかつて後ろ向き国営を真剣に考えたときもあるわけです。それから、今原油が下がっている、だから経済界ももう切りかえるという声にもなるのでしょうけれども、石炭政策ぐらいくらくら変わったものはないのですね。可採炭量というものを多目に見積もってもらって閉山交付金をもらってぬくぬくと、そして労働者はほっぱらかされた、山は荒廃してしまった、これが実態です。高島の場合にも第八次答申が出ないと結論が出せないとあなたが言うのは当然でございましょうけれども、私がただいま申し上げましたように、これはもう残せというような――きのうの経構研の答申の中にも、国内炭を縮減して外国から輸入をしろというような、私が今あなたに注文していることとは逆な答申が出てきているということですけれども、やはり実態を考えて対処していかなければならぬでしょうし、あなたの言われる激変緩和というものはどういうことであろうかということをお尋ねしたい。
 それから、野々内長官は、山の方とも、経営者の方とも接触をしたでしょうが、誤報であったそうですけれども、鉱山側は閉山すると言ったということも伝えられている。あなたも経営者側と接触をして、経営していこうという考え方が非常に弱いのじゃないかということでいろいろと山との話し合いもしているでしょうし、石炭の火は消えても地方自治体、これは雇用の問題等いろいろお考えになって、そこでそういう産地の火は消してはならないということで、いろいろと防衛庁なんかに何か使い道はないかという折衝をされたというようにも伺っているわけです。それらの点について、大臣と長官からお答えいただきたいと思います。
#162
○野々内政府委員 石炭鉱山が、エネルギーとしての石炭という意味だけではなしに、地域の経済あるいは雇用にとって非常に大きな意味を持っているということは私どもも十分承知いたしておりますし、そういう観点から従来の政策も進められておりましたが、最近のように内外炭格差というものが非常に開いてまいり、また需要産業も大変つらい立場になってまいりますと、やはり経済性というものが前面に出てこざるを得ない状態にもなったわけでございまして、山を守りたいという皆様方の心情につきましては私どもも十分理解いたしておりますが、現実がなかなか厳しいということもまた事実であろうかと思っております。
 高島炭鉱につきましていろいろなうわさが出ておりますが、まだ私どもは閉山するというような話を正式に鉱山から聞いておりません。ただ、各方面から、また大臣からも、激変緩和あるいは山が縮小した後何とかならないかという御指示もあり、私どもとしても、知恵がないものかということで各方面に御相談もし、知恵を練っているというのが現状でございまして、現在なかなかいい知恵もないというのが正直なところでございますが、八次策の検討の中で、また各方面の御意見も伺いながら何らかの知恵を出していきたいと考えております。
#163
○渡辺国務大臣 数年前、私は山の中ヘピクニックに行きまして、炭焼きさんの家へ行ったのです。きれいな家を建てて入っておった。私が行ったものですからお茶を沸かしてくれるのですが、炭焼きがプロパンガスを使ってお茶沸かしをしたのです。私が、あなたは炭焼きだから何で炭を使ってお茶を沸かさないのですか、何でプロパンガスを使うんだと聞いたところが、それはお金がかかる、プロパンガスの方が安いからだ、たき火をしない、家が汚れるからだ、ガスを使ってやった方が安上がりだという話をしました。一カ月分の費用にすると幾ら幾ら違うとか言っていました。
 この問題は、石炭の問題にも言えることではないのか。私は非常にわかるのですよ。わかりますが、コストが倍もするということになって、しかもこれを掘っていくということになると、深く掘ってまた事故が起きる。一〇〇%事故が起きないようにやるということではまた莫大な金がかかる。人命は地球よりも重いくらいに大切であるという問題を考えると、時の流れというものをここで食いとめるということはなかなか難しい問題だ。
 しかしながら、一方において、そこの地区で長らく働いておる従業員の方がいる。石炭というのは、徐々に減らすということはなかなか難しいそうですね。そこに実は問題がある。それなら永久に掘り続けるのか、どこかで撤退をするのか、二つに一つを迫られる問題にぶつかってくるわけですね。さてどうするかという話だと私は思うのです。もう行き着くところまで行き着いちゃって、会社に全く力も何にもなくなっちゃったというときに撤退をするのか、会社に余裕があって退職金ももらえて、まだ何とか後の就職の道に多少のゆとりを持って撤退をするのか、どちらがいいのか。それとも永久に掘り続けることができるのか。そこらの兼ね合いというものは非常に難しいのじゃないか。
 したがって、従業員を中心にして、従業員が路頭に迷わないように、後の道をどうすればその人たちにとって一番幸せになるかということを、やはり父の愛で一緒になって考えてやるということではないのかな。だから、そういうことの具体策は私はわからないから、専門家の意見を聞いて、その意見に従って処理をしていきたい。いずれにせよ、急激に従業員が困るようなことだけは絶対にさせないようにする方法を見出すべきである、これは私の哲学であります。
#164
○中村(重)委員 これで終わりますが、今のお答えがいわゆる激変緩和、もう山は閉山した、雇用の問題あるいは町の崩壊の問題というようなものはそれと関係なしということであってはならぬということですね。雇用の問題、それから自治体の崩壊にならないように考えて総合的に対処していく、こういうことですか。
#165
○渡辺国務大臣 今私が答えたとおりでありまして、急にその人たちが路頭に迷うようなことは困る、したがってそうならないように最大限の努力をしていきたい、そう思っております。
#166
○中村(重)委員 恐縮ですが、円高差益の問題あるいは中小企業の問題についてそれぞれ御出席をいただいておりましたが、時間がありません。あしからず御了承をいただきます。
 これで終わります。
#167
○野田委員長 近江巳記夫君。
#168
○近江委員 私は、まず初めに、対フィリピンの援助問題についてお伺いしたいと思います。
 フィリピンに対します援助の問題につきましては、かねがねうわさのあったところでございますが、マルコス政権の崩壊によりまして、現実の問題として非常にいろいろな問題点が明らかになってきたように思うわけでございます。いわゆる日本の援助というものにつきましては、これは国民の税金でございますし、こうしたものがわいろ等によりまして不当に使用されるということは、国民感情として絶対に許すことのできないことでございまして、そういう点におきまして、今回のマルコス疑惑という問題につきましては真相の徹底した解明を行わなければいけない、また、経済協力のあり方等につきまして検討し直す必要がある。このように思うわけでございます。
 今回のこの疑惑に関しまして、通産大臣また経企庁長官はどういう認識、感想をお持ちであるか、まずお伺いしたいと思います。
#169
○渡辺国務大臣 結論を申しますと、日本で低利のお金を貸して利子補給を行って相手国のためによかれと思ってやったことが、その国の国民から喜ばれなかったということは、まことに残念至極であるというのが結論であります。
 なぜそうなったかといいますと、一つは、これは安易に経済協力をしたということが言えるのじゃないか。しかし、せざるを得なくてしたということもあろうかと私は思います。ともかく、たくさんの国に経済協力をしておりますが、まして無償援助とかあるいは賠償援助とかの場合は、よほど注意しなければならぬ。それから、有償の援助であっても、それをやった場合に、相手の国の法律の体系、それから世の中の習慣、清潔度というものが千差万別でございます。
 したがって、一つは、これは何といっても相手の国の問題なんですね。日本のように、非常に近代国家で、それで刑法も民法もいろいろな法律も何千種類もあって厳重にやっておっても、実際は撚工連事件が起きてしまう。かなりこれは目を光らせても起きる。まして、本当に憲法なんかやたらに停止してしまったり、すぐ戒厳令なんかしいてしまったり、そういうような自分勝手なことをやる国でありますから、これはよほど注意をしなければならないと私は思うのです、実際は。そういうところで、極力総枠主義でなくて一つのプロジェクトごとに点検をするというやり方が一番いいのでありますが、これにも限界がある。したがって問題は、そういう国に経済援助をしたのが悪いといえば悪いということに結論はなるのだろうと思います。そういう国にはやらないと言ってしまえば一番簡単、明快なんですが、現実はそうはいかない。問題がいっぱいあります。
 ところで問題は、一つは日本の企業がすきを与えた。どういうすきかというと過当競争である。私は、談合しろなんて言っているわけじゃないのですよ。要するに、過当競争であって、そのために自分がとりたい、自分がとりたいということになれば、たたき合いをして損するか、そうでなければ、どうせ損するにしても利益が少なくなるなら何か別なことをやるかというようなこと、もしあの事実どおりであるとすればそういうようなことが想像をされます。
 したがって、過当競争は永続できるものではありませんから、結局はリベートを取られる。そういうリベートを取られるような国だと、上が取れば下も恐らく取るからね。そういうことになるともうキックバックどころの騒ぎじゃない、自分が事業をできなくなってしまうから手抜き工事、その結果は、立派にできたはずの道路が五、六年で穴があいたということになりかねないのではないか。まあ推理小説みたいなことを言ってしかられるかもしれませんが、私は、そういうところが一応想像される問題点ではなかろうかと思うわけであります。
#170
○平泉国務大臣 今回の問題は、調査が本当の緒についたばかりでございますので、まだ詳しい具体的な条件というものは十分わかっておらないわけでございます。日本側としてとるべき情報は十分集めまして、遺憾なきを期していかなければならぬ。
 今通産大臣も申しましたように、この問題につきましては非常に複雑な情勢がございます。とにかく相手が主権国政府である、こういう問題もございますし、一方、先進国はできる限り低利、有利な条件、グラントエレメントと申しますか、いわゆる贈与部分の多い援助、高度の援助をできる限り大量に提供してもらいたいという国際的な要請と申しますか、こういうものもある。他方、そういう国々の政情というものについては不安なしとしない。こういうようにいろいろな難しい条件の中で援助の実をますます上げていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
#171
○近江委員 この対フィリピンの援助につきましては、特に、もう御承知のように、世界各国の中で我が国が一番なんですね。最大の援助国でございまして四五%、アメリカが三六・三%、西ドイツが五%、豪州が四・四%、その他が九・四%、こういうことで図抜けて日本が援助をいたしておるわけであります。
 私の調査によりますと、これは政府からもらった資料を集計しておるわけですが、今日まで、六十年度までで有償資金協力四千六百六十七億三千九百万、それから無償資金協力五百四十六億九千三百万、技術協力三百八十一億二千二百万、合計五千五百九十五億五千四百万。実際はもっと行っておると思うのですね。マスコミ等が伝えておるのは七千億ぐらい行っているだろう、こう言っていますね。まず額はどうですか、経企庁長官。
#172
○赤羽政府委員 有償、無償につきましては六十年度までの累計、技術については五十九年度末の累計であると承知しております。それでいいと思います。
#173
○近江委員 いずれにしましても五千五百九十五億五千四百万、はっきりしているだけでもこれです。
 大臣はいろいろ感想をずっとお述べになったわけでございますが、国民の血税なんですね、これがこういうマルコス資産といいますか、こういうずさんなことに使われておる。国民としてこれほど情けないことはないわけですね。御承知のように、今教科書の無償配付の予算が四百五十億ですよ。お母さん方は存続だと必死になっている。今フィリピンの援助は年に五百億を超えているわけでしょう。教科書問題これだけ騒いでいますが、予算措置は四百五十億ですよ。こういう海外援助というものが、国民の血税でもって、それはいろいろな事情があるにしても、ずさんな形で行われておる。これは知れば知るほど国民は憤慨しますよ。
 そこで私は、少なくともこの問題は徹底究明をしなければいかぬ、こう思うのです。これは中曽根総理も三月二十二日参議院予算委員会におきましてそういうようにおっしゃっておりますし、そういう点から四省庁の中でも通産、そして経企両大臣は、真相究明に最も真剣に取り組んでもらわなければならない責任者であろうかと思います。まず、どういう決意で真相究明されるか、また両省がそういう真剣味があるなら、今日までどういう取り組みをしてきたかについてお伺いしたいと思います。
#174
○渡辺国務大臣 具体的に取り組みといいましても、毎日国会で朝から晩までこうして来ておりますから、特別に私自身が現地調査をしたわけでもないし、何でもありませんけれども、いろいろな情報を確実に入手をするということで、事務当局も夜なべでアメリカから来た資料の分析を行ったり、いろいろなことを今調査をしている最中でございます。
#175
○平泉国務大臣 日本側でまず当然わかる、あるいは政府部内でいろいろ努力をして究明できることは十分やらなければならぬ、こういうことで、今我が経済企画庁におきましても大変努力をいたしております。また、直接関係のあります経済協力基金に礼十分この点につきましては協力をさせておる次第でございます。
#176
○近江委員 サロンガ委員会などで具体的な企業名等も出ておるわけですが、こういう出た企業については事情聴取したのですか。今一生懸命真相究明をやっておると言っておるわけですから、したか、してないか。
#177
○黒田(真)政府委員 現在まで事情聴取はしておりません。
#178
○近江委員 現在まで事情聴取はしてないのですか。これは両省庁ともですか。四省庁ありますね。そうでしょう。あと大蔵、外務。今通産と経企庁はやってない。あとの二省庁はどうなんですか。
#179
○黒田(真)政府委員 ちょっと私の言葉が足りませんでしたが、本件円借款に関係をいたしまして、現在疑惑を持たれている事件に関する企業等に関しましては、事情聴取を行う必要があるのではないかというふうに考えておりますけれども、現在までのところでは、専らアメリカから提供されました膨大な資料を各省手分けして分析をしている段階でございまして、いずれ準備が整いますれば、四省庁が共同して事情聴取に当たるべきではないかというふうには考えておるわけでございます。
   〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
したがいまして、現時点までのところで特別の事情聴取をしていないというふうに申し上げました。ただ、当省、通産省といたしましては、外為法の関係で関係部局が一部の企業からその部分について事情を聴取したということはございますけれども、全体的な円借款の関連という今回の大きな話に関しては、今申しましたように四省庁で準備をしてから事情聴取を行おう、こんな段取りで考えているということでございます。
#180
○近江委員 そうすると、外為の関係では何社事情聴取したのですか。
#181
○杉山(弘)政府委員 外為関係で私どもが調査をいたしましたのは、一部の新聞報道に、円借款受注企業が実際よりも低い手数料を輸出申請書に記載をした、そして輸出承認を受けたという記事がございましたので、私ども過去もそうでございますが、現在でも円借款につきましてはその輸出申請書に手数料の額を記載させるということにはなっておりませんので、そういうことはあるまいとは思いましたけれども、念のためその点についてだけ四社につきまして確認を求めたわけでございます。
#182
○近江委員 そうすると、外為のことについて四社から事情を聞いた、しかし経済援助、借款等の問題について本筋にかかわるようなことについては事情聴取は四省庁ともやってないということですね。四省庁ともやってないのですか、それをはっきりさせてください。
#183
○太田説明員 お答えいたします。
 ただいま通産省から御説明がありましたように、四省庁足並みそろえての事情聴取というのはこれからでございますけれども、今までのところ、外務省といたしまして関連の企業の二、三から、ごく部分的でございますけれども事情聴取をいたしております。
#184
○赤羽政府委員 経済企画庁におきましては、まだ該当の企業から事情聴取は行っておりません。これにつきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、現在私どもの手元の資料、それから管轄をしております経済協力基金に命じましてその資料の洗い直し、こういうことをやってもらっております。
 それで、関係企業からの事情聴取につきましては、ばらばらにやるというよりは四省庁が共同してやろう、こういうことでございまして、先週の参議院の予算委員会で外務省の局長も答弁しておりましたし、私も同様の答弁をいたしましたけれども、できるだけ早い時期に相手側企業を呼び出して事情聴取を共同でやろうということになっております。やはりこうした問題につきましては十分な準備をいたしまして、さらに事情聴取につきましての作戦を立てた上でやりませんと、何のために聞いたのかわからない。新聞で報じられているようなそういう悪いことをあなたはしましたか、いえ、そんなことはしません、これで終わってしまうわけでありますから、私どもとしても、事情聴取をするからには十分な準備をし、作戦をしてからやろう、こういうことで申し合わせをしているわけでございます。課長レベルあるいは担当官レベルにおいて今打ち合わせをしている段階でございます。
#185
○近江委員 四省庁の御意見を聞きますと、実質上まだ何ら調査が進んでいないということですね。これは両大臣が徹底して真相究明をするとおっしゃっているその姿勢からして、準備といいますか、その作業が遅々としておるように私は思うのです。
 これは法務省としても重大な関心を寄せておられると私は思うのですが、法務省はどういう見解を持って見ておられるのですか。
#186
○原田説明員 お答え申し上げます。
 法務省といたしましては、現段階におきましては、犯罪の成否という観点からいたしますと、事実関係が明らかではございません。ただ、検察当局におきましても、国会におけるいろいろな御論議、また各種報道で報道されている内容等についても承知していると考えておりますし、事態の推移に応じて適切に対処するものと考えております。
#187
○近江委員 これは国民がこれだけ注目しているのですが、実質上進んでないということですね。これだけ巨額の国民の血税がいいかげんな形で使われているんですよ。これはもう放置するわけにいかないわけですね。
 そこで、これは参議院の予算委員会におきましては安倍外務大臣が、フィリピン政府と契約を交わした日本企業名のリストについて当然公表してもよいのではないか、こう答弁されているのです。この問題について両大臣は同意見ですか。
#188
○渡辺国務大臣 それは外務省のお考えで、外務省がおやりになったことだと思います。私どもは、政府としては、これは一応外国の政府が日本の企業と契約をしたものである、したがって向こうの政府の方で発表をなさることは大いに結構なことであって、ぜひ発表して教えてもらいたい。
 もう一つは、私は先ほど言ったように、こういうことは相手国政府の国内のふしだらな話でありますから、本来ならば、そういうようなでたらめに日本から金を借りて使ったらば早期返還、直ちに返してもらうということが本当の筋じゃないのか。少なくともそれができないのならば、リベートを払ってマルコスが私腹を肥やしたというならば、その分は少なくとも援助じゃないのですから、それは日本政府に速やかに返還をしてもらう、それを外務省はやるべきだ、私はむしろそう思います。
#189
○平泉国務大臣 この問題は、相手が主権のある外国の政府であるというところになかなか難しい問題がございます。筋から言いますと、相手の国の政府の主要な責任になる問題でございまして、相手国政府がどういうふうにこの協定、交換公文に合致した行動をとっておるのか、どの程度まで合致していないのか、こういう点が重要な問題である、かように考えるわけでございますが、それ以上の問題になりますと、外交問題という要素もございますし、外務大臣もその点を十分御配慮で御発言であろうと思いますので、所管が違います私がここでその外交問題に入る部分について言及することは、いささか差し控えさせていただきたいと思います。
#190
○近江委員 これはサロンガ委員会においては具体的な企業名が出ているのですよ。この四省庁のお話では、これはほとんど何も聞いてないわけですよ。ただ外務省が本当に部分的に、さわりにちょっとお聞きしましたという程度なんですね。なぜ関係省庁は、こういう具体的に企業名が出ておるものについて、まず取っかかりということで事情聴取しないのですか。何をちゅうちょしているのですか。そのちゅうちょしている理由を聞かしてください。はっきり名前が出ているんだ。どうなんですか。
#191
○黒田(真)政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、現段階ではいろいろな関係資料の分析を行いまして、そして事情聴取をするということになれば、十分準備をしてその全貌について聴取をすることが適切であろうということで、現在準備の段階でございます。準備が整い次第必要な事項について聴取を行う、かような段取りになろうかと思っております。
#192
○近江委員 準備が整い次第事情聴取に入る、こういう答弁でございます。
 日本企業のこういうわいろ商法、それは相手が要求したからやむを得ず払ったとか、そこにはいろいろな言いわけがあるかもしれないけれども、こういうわいろ商法ということで、日本自体それでなくてもいろいろな点で経済的な批判が高まっておるわけですね。日本はわいろ商法である、こういうことで国際的な信用を非常に失うことになると私は思うのです。日本政府としてマルコス疑惑にどう対処するか、これは全世界が注目していると私は思うのです。特に東南アジア諸国は非常に大きな関心を持って見ておると思うのです。これはフィリピンだけではなく、ほかにもいろいろな援助も行われておるわけでございますし、そういう点では我々も非常に心配しておるわけでございます。
 ここで、援助体制自体にとういう制度的な問題が非常にあるのじゃないかと私は思うわけでございます。例えば、円借款の供与については四省庁の会議で慎重に行われておるということを聞いておるわけでございますが、決定した後は野放し状態になっている。チェック機能は一体あるのかどうか、こういう問題もあるのです。この援助体制またチェック体制について、関係省庁はどういう点を反省しているのですか。まず両大臣からお答えください。
#193
○渡辺国務大臣 具体的にどういうふうな形でチェックをしているか私はよくわかりませんから、事務当局から答弁させますが、私の経験によりますと、あるところで、援助のプロジェクト等をやっている大きなところには企画庁あたりから派遣された――企画庁じゃない、基金から派遣された人がおりまして、それで行った金がそういうような方向で使われて事業がうまくいっているかどうかというようなことの点検は、やっている現場を見ましたから、やっていると思います。
#194
○平泉国務大臣 審査その他、援助の具体的、技術的な取り決めの進め方というようなものは、今詳しく専門家から御答弁をさせる所存でございます。
#195
○赤羽政府委員 円借款の決定をするに当たりましては四省庁がこれに関与しているわけでございますけれども、この四省庁は外務省、大蔵省、通商産業省、経済企画庁でございます。
 まず、通常の手続で申しますと、相手国からの要請がございます。この要請を受けまして四省庁が集まり、相手国の経済開発に与える効果、外交政策、財政、国際金融政策、あるいは政策以外にも国際金融事情といったようなこともございます。それから通商政策、こういったような観点から、この援助がこの相手国のためにどれぐらい役立つのかといった点を検討いたします。それで、それぞれの専門家官庁が集まっているということで、四省庁がそれぞれの専門的分野から検討するということでございます。その上で、借款供与についての金額でありますとか条件でありますとか、そういったような大まかな内容を決定した上で意図表明ということをいたします。その際、経済協力基金が事前にいろいろな情報を集めた上で調査、審査をしておりますから、こうした結果をも参考にするわけでございます。そうした上でさらに交換公文の締結といったところに進むわけでございます。こうした四省庁の関与という点は、それぞれの専門領域からその効果、必要性を審査するという点では極めてすぐれたものである、こういうふうに考えております。
 全体としてこれまで有効に機能してきていると私どもは信じておりますけれども、四省庁でやっているということから、あるいはボールがそれぞれのところから落ちてしまう、こういったような危険性というものもないわけではございません。そういった点で、こうした審査の体制につきまして、大筋では専門家官庁が関与する、その上で合議の結果決定するという現在の体制を前提としながら、今後改善の余地というものを考えていくべきであると現在反省しているところでございます。
#196
○近江委員 四省庁のチェックが完全に機能できているというような話がありましたけれども、できていたらこんな問題は起きないのです。全く機能していないのです。私は後で資料でいろいろ相手国のことも話をしますけれども、これは作文ですよ。あなた方、作文に乗っかっているのです。四省庁は機能していませんよ。
 その前に、例えば商品借款につきまして、マルコス疑惑におきましては一五%、二〇%の手数料あるいはリベート、こういう口銭が支払われておる。これは通常のコミッションとかけ離れた数字です。いろいろな取引の態様があると思うのですけれども、通常の適正な手数料というものは常識的に大体どんなものですか、お答えください。
#197
○黒田(真)政府委員 通常適正な水準はどの辺であろうかという点は、その場その場の状況によって違うと思いますので申し上げることは非常に難しいと思います。ただ、何らかの御参考という意味で、現在は既に自由化しておりますのでそういうことはなくなっておるわけでありますが、かつて日本が比較的厳重な為替管理制度を採用しておりました際に、貿易にかかる手数料というものにつきましては、一〇%までは外国為替公認銀行限りでの処分を認めていた、そしてもし一〇%を超える場合には私ども通商産業省が個別に承認をするというような手続、仕組みを採用していたことがございます。そういうこと等も頭に置きますと、あるいはそういった一〇%という水準以下のものであれば、通常起こり得るものだというふうな考え方で対応していたのかもしれないということが推測できるわけでございます。
   〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
#198
○近江委員 いろいろな例を引かれて、常識的に言ってもこれは異常だというようなニュアンスの答弁が今あったわけですけれども、そのとおりです。
 私はここに資料を持っておりますが、これは東鉄工業の社内報です。本店、大数見昇さんという人が書いているわけです。これはマニラ市の都市縦貫鉄道建設工事をやったときの報告書です。その中に、これは十五ページにありますが、「本件工事の入札価格と契約価格を対比しますと次のようになっています。」「入札価格」見積もり価格ですね。「契約価格」「差額」、主として「価格には、公然の秘密である要人えの謝礼金二一%が含まれる。」社内報でぴしっとこう書いているわけでしょう。今日までのそういう援助につきまして、常識的に考えられないようなことが平気で社内報にも出ているのでしょう。政府がきちっと、四省庁がチェックしておいたら、こういうことだって当然わかっているはずでしょう。そういうことを今までなぜ見過ごしてきたのですか。こういうむちゃくちゃなリベートをあなた方は知らないわけないでしょう。本当に知らなかったのですか、どうなんですか。知っておったのか知っておらなかったのか、それを答弁してください。
#199
○赤羽政府委員 そういう報道が間々行われておるということは時に触れて我々の耳に到達しておりましたけれども、個々のプロジェクトごとにそういうような事態があったといったようなことを承知をするような情報に接したことはございません。
#200
○近江委員 日本の経済援助によるプロジェクト、こういうことを優先的に落札するために、相手側に少なくとも一〇%以上のリベートを支払うのが暗黙の常識になっている、このように言われているのです。こうしたことは事実なのかどうか。また通産省を中心として四省庁はそういう実態をきちっと今後調査しますか。その点についてお伺いします。
#201
○赤羽政府委員 先ほどからもお答えしておりますように、四省庁協力をして実態の究明に全力を挙げたい、こういうことでございます。
#202
○近江委員 特にフィリピンが非常に大きいわけでございますが、円借款におきまして商品等いろいろあるわけでございますけれども、そのときの商品の価格は幾らであったか、そういう資料、過去のを全部政府は持っておると思いますが、それは出していただけますか。我々は我々の範囲でまた今後調査していきたいと思いますし、そういう資料を出していただけるかどうか、まずお伺いしたいと思います。
#203
○赤羽政府委員 そうした具体的な契約事項の内容にかかわることにつきましては、従来からの政府の立場といたしまして、それにつきましては相手国政府と私企業の関係であり、日本政府としてはこれに対しまして公表したりあるいは特定のコメントをする立場にない、こういう考え方で来ております。経済企画庁の管轄のもとにあります円借款の実行機関であります経済協力基金、これも国家機関の一つとして政府のそうした立場に従っていただく、同じ立場をとっていただく、こういうことでこれまで国会におきましても御答弁申し上げております。現在も同じ立場でございますので、せっかくの御要求でございますけれども、今申し上げましたような立場から、提出することは差し控えさせていただきたいと思います。
#204
○近江委員 国会へはそれを提出することはできない。そうすると、この四省庁が徹底して今後解明をしていただくということになるわけですが、これは税法上からも非常に大きな問題がありますし、国民の血税を協力基金等を通じて貸しているわけですから、会計検査院も重要なかかわりがあるわけです。国税庁と会計検査院は、これだけの膨大な国民の血税で乱脈を極めた援助が行われておる、この実態に対してはどういうお考えを持って、今後どういうことをなさろうとしているのですか。まず国税庁、そして会計検査院からお伺いしたいと思います。
#205
○日向政府委員 三月二十日公表されましたマルコス関係文書に記載され、かつ各種の報道等により伝えられておりますいわゆるリベート、これにつきましては、その実態によっては支出法人において交際費等として課税関係が発生するものでございますので、私どもといたしましても十分に関心を持っているところでございます。したがいまして、これら資料や各種の報道等、課税上必要な資料、情報の収集に全力を挙げる傍ら、既往の調査事績等の検討を行い、これらに基づき必要な場合には随時調査を実施し、適正な処理に努めているところでございます。
#206
○沢井会計検査院説明員 お答えいたします。
 会計検査院といたしましても、再三各委員会等で御答弁いたしておりますように、このフィリピンに対します海外援助につきましては重大な関心を持っております。この際、過去の基金からフィリピンに対する借款につきまして全般的に見直してみよう、検査の見直しをしてみようということで、先般来特別班も組織いたしました。そして、現在会計検査院に提出されております計算証明の書類などを中心にそれを整理し、その分析に当たっているところでございます。そして、その他の各種の情報につきましても今後集めていきたいと思いますし、基金等でも見直しの作業をされておりますということを伺っておりますので、その資料の提出を求め、厳重に検査をして事態の究明に当たりたいと思っております。
#207
○近江委員 要するに、我が党も先般調査団を送りまして、黒柳君をキャップとして送ったわけでございますが、若干の資料は手に入れておりますが、今その資料をいろいろと検討しておる段階であります。今政府は、四省庁を初め、法務省そして国税庁、会計検査院も非常に重大な関心を持って調査に入っておるという御答弁があったわけで、今後の推移を見守っていきたい、このように思うわけでございますが、これはこういう疑惑が事実ということになってきますと、今日まで放置してきた政府の責任というものは重大なものがある、私はこのように思うわけでございます。
 実は、フィリピンの経済協力につきましては数々疑問が出されていたわけですが、これは昭和四十七年、今から十四年前ですよ、十四年前に外務省経済協力局が中心で出しておる。私はこれを全部読みましたけれども、今まで政府が、これはそうそうたるメンバーですよ、今皆さんにさわりのところをコピーしてお渡ししていますが、調査団員の名簿を見ましても、大慈弥前通産事務次官をキャップとしまして関係各省のそうそうたる人が団員で行っているわけです。しかも、その報告を見ますと、まさに政治が関与していろいろな計画、いろいろなことはすべてこういう政治力によって動かされる、そういう表現がここに出ているわけですよ。それを今渡しておるから読んでくださいよ。
 これは中ほどですけれども、「大統領が承認した投資優先計画は大統領の行政命令により実施されることとなる。従って、BOI、NEC、大統領、PES相互間の意見調整及び統一が十分に行ない得ないのみならず、計画案の策定から決定、実施に至るまでの過程で政治的な考慮が加わる危険をはらんでいるとも言えよう。」普通こういう政治的なことはなかなか政府の調査団というのは書かないのですよ。これは十四年前に厳重に警告しているのです、この中身を見ますと。こういうような、政府としてれっきとしたこういう調査団を送ってこれだけのものをつくっておきながら、何をしてきたかということなんですね、これは。それについてはどう反省しているのですか。外国だからということでそういう形だけのチェックをして、国民の血税が六千億近くもそういうように使われておって、国民の血税を何と政府の皆さんは考えているのか。こういう報告書を出しておって、何らそれに真剣な取り組みをやっていませんよ。どう反省していますか、これは。まず両大臣からひとつ心境を聞かしてください。
#208
○渡辺国務大臣 そういう調査団が行ってそういうような疑念があったとすれば、そのときからフィリピンに対する援助については条件をもっと厳しくすべきではなかったか。
 それからもう一つは、やはり国民に御迷惑をかけないということは、貸した金ですから、返してもらうんですよ。問題は、三%という低金利でやるから問題があるわけです。ですから私は、フィリピンの内政問題としてマルコスが資産形成に一部をピンはねをしたといって騒ぎになっているわけですから、フィリピン政府が調べれば一番わかることであって、その中で日本の援助の中から彼らがピンはねをしたという部分は、これは円借款の交換公文違反ですから、違反のものは速やかに返還をしてもらいたい。返してもらう。しかも利息も普通につけてもらう。これが一番私は簡単明快で、国民に一番納得のいける方法じゃないか。それができなければあとの借款はいたしません。それが今後の防止策としては一番いいことではないのか。それは余り例がないかもしれませんよ、こういう例は。例はないかもしれませんが、やはり向こうの政権のやった仕事ですから、それでしかも蓄財があるというのですから、あるのならその蓄財を押さえて、それで日本政府と約束した以外に使った部分は返却をしてもらう。返却できないのならそれは別金利、高い金利にして別建ての借財の借金としてちゃんと証文を入れて返還計画をつくって出してもらう。それができなければあとの経済援助はできませんというぐらいのことは私はすべきだと思います。できるかどうか、余り例がありませんからね。
#209
○平泉国務大臣 ただいまの報告書にも、そういう危険性がある、こういうことを指摘されておるわけでありますから、今後ともこういう点につきましては、どのようにして十分にそういう相手国政府の内部の問題というのを我々が把握できるか、こういう点、問題を含めまして、十分検討していかなければならぬと思います。
#210
○近江委員 通産大臣はかなりよく考えて発言されている。かなり勇気を持って発言されたと思うのですね。やはり国民が納得する形のそういうものをしないと、我々は、そういう海外援助は、それは今日経済大国に日本はなっているわけですから、それだけの累積債務を持って、実際の内情は苦しいけれども、しかし国際社会に生きる我が国としてそれはやらなければならない。しかし、それはあくまでも対援助国の国民が喜び、どこから見ても日本はよくやってくれている、やはりすっきりしたものでそれが使われなければいけないと思うのですよ。それが、時のそういう政権の連中が私腹を肥やしてどこに使われたかわからない。それじゃ本当に、教科書を無償配付してくれ、四百五十億の金を何とか存続してくれ、毎年そういうように全国のお母さん方が四百五十億のことでそれだけ真剣になっているのですよ。そのことを思うと、こんな金を湯水のごとくずさんに使うようなことじゃ、これは許されませんよ。そういう点では非常に私は、渡辺大臣、いい答弁をしたんじゃないかと思います。今後そういう線に沿って、国民が納得できるその線をきちっとお願いしたいと思うのですね。
 それから、今後関係省庁がこの徹底究明に当たられるわけですが、そうすると、今までこういうずさんなことをやってきたこれは業界自体も問題ですな。そうでしょう。だからそういう業界自体で今後こういうことに参加させるのはどうか、今後どういうような措置を考えておられますか。そういうような相手にわかりながら平気でそういうことをやってきた業者、それについては今後どうしますか。
#211
○黒田(真)政府委員 いろいろな疑惑が現在持たれておるわけでございまして、できるだけその間の事情の解明ということに努めておるわけでございます。したがいまして、現段階で実際にどういうことが起こったかということが必ずしも明らかでございませんので、仮定の問題について、私どもからここである方針を打ち出すことは適当ではないのではないかということで差し控えさせていただきます。
#212
○近江委員 これは、こういうことが行われていたんじゃないかと言われる大体のタイプなんです。それを私ちょっと申し上げてみたいと思いますが、そのとおりであったとおっしゃるのか、それについて答弁いただきたいと思うのです。
 この円借款に伴うフィリピンとの関係におきまして、日本の商社や日本のコンサルタント会社が、一般的に手数料のほかに一〇%から一五%、場合によっては二〇%というリベートを捻出するにはどういう方法で行われるか、こういうことですが、その水増しの実態として、フィリピン国家経済開発庁、NEDAがプロジェクト等をまとめて日本に要請する。しかし、事実はこれに反して、NEDAが日本に要請するプロジェクトの大部分は日本商社やメーカーが立案し、あたかもNEDAが作成したかのように働きかける。この間、既に政府の要人や関係者へリベートの高低が話し合われている。水増しは、NEDAが日本に要請するプロジェクトの予定価格の算定段階で実施される。こうなった場合、偽証罪が生まれるのじゃないかと思うわけです。その方法は、商社はコンサルタント会社と組んで単品ごとに五%から二〇%程度の上乗せをする。特殊機材や海外から調達する機材については、一〇%から四〇%程度上乗せするのが業者間では当然となっている。そして、特に長期プロジェクトの場合は、その国のインフレなどによる諸要因、五%から一〇%の安全率を掛けて日本に要請する。だから、一〇%から二〇%のリベート要請に対する捻出はいとも簡単に行われている。こういういろいろな意見を聞いたまとめというのがあるのですよ。
 ほぼ妥当だと思いますか。四省庁の関係者の人はいろいろなことをもう既に捜査されておるはずですから、どうですか、ほぼ合っていますか。
#213
○黒田(真)政府委員 ただいまのお話は、私どもの円借款を供与する際の前提となっております要請主義というものがあるわけでございますが、その要請が行われる過程でそういうことがあったのかなかったのか、その間の事情に関する一つの推論かと思われますが、いずれにいたしましても、それは相手国政府が日本国政府に要請をいたしてまいりますまでの段階の、先方の相手国政府あるいは相手国の中で起こった事情でございますので、これを的確に把握するということはなかなか容易なことではないように思われます。
#214
○近江委員 政府としては、答弁としてそのとおりでございますとなかなか言えないと思うわけですが、マスコミの皆さんもいろいろ新聞紙上、私全部読んでいますけれども、やはりかなりの調べをしていますよ。だから、大体こういう感じに近いのじゃないか。大臣も、ほぼ近いのじゃないかと思いますか、どうですか。
#215
○渡辺国務大臣 それは、実務のことはわかりません。
#216
○近江委員 それで、これは一つの参考としてとどめていただきたいと思うわけでございますが、アキノ政権のサロンガ委員会、これは政治倫理委員会でございますが、これのダサ委員長代行が、日本の国会から正式の資料要請があれば協力したいと述べておられるのですね。そういう点で、本商工委員会といたしましても、理事会において協議をいたしまして、正式の資料要求をフィリピンの政治倫理委員会に行うことを検討していただきたいと思うのです。これは、今委員長に要請したいと思うのです。委員長、いかがでございましょうか。
#217
○野田委員長 承っておきますが、理事会で相談をします。御希望に沿えるかどうかはわかりませんが、理事会で相談します。
#218
○近江委員 では、理事会でよろしく検討をお願いしたいと思います。
 そこで、きょうは関係省庁全部出られておるわけでございますが、このサロンガ委員会に対して政府は資料を要請されるかどうか、これについてお伺いしたいと思います。
#219
○太田説明員 お答えいたします。
 ただいま政府といたしましては、アメリカから入手いたしました資料の分析を鋭意行っているところでございまして、フィリピンから資料を要求するという考えはございません。
#220
○近江委員 いろいろなことを徹底究明していくという姿勢からするならば資料要求しないというのは腑に落ちないのですね。向こうは要請があれば協力しますと言っているのですよ。徹底して解明をするのならば、どんどん資料要求して協力をしてもらって、そして真相を究明するのが真摯な姿勢だと私は思うのですね。そうでしょう。公表されたものだけでちょこちょこと聞きます、それじゃ徹底して究明する姿勢というのは言えないと私は思うのです。向こうがそういうように言っているのですから、喜んで、日本政府としても本腰を入れてやるんだからよろしく協力してもらいたいというのが姿勢でしょう。それじゃ国民は納得できませんよ。その点、大臣はどうですか。
#221
○渡辺国務大臣 これは外交案件なものですから、私がフィリピン政府に対してどうこうというのはお門違いであって、外交一元化で外務大臣からこういうことはお答えをすることになるので、私は差し控えさせていただきます。
#222
○近江委員 それでは、きょうは外務省から大臣にかわるすばらしい人がお見えになっているわけですから、外務省を代表して答えてください。
#223
○太田説明員 本件につきましては、日本とフィリピンとの間の経済協力という重要な事項にかかわることであり、また、フィリピン政府あるいはいろいろな企業が絡んでいる問題でございますので、どういう観点から何のために資料を要求するか、あるいは協力を要求するかということの検討なしに、ただ資料を要求するというのは、相手国との関係もございまして、適当ではないというふうに考えている次第でございます。
#224
○近江委員 何のためにといって、それは徹底して究明する手がかりとして資料は幾らあったって邪魔になりませんよそんなのはあなた方の言いわけです。帰ってもう一遍安倍さんによくお伝えになって、よく検討していただきたい、そのように強く要請いたしておきます。
 それから、アキノさんに今度はかわったわけですから、私は、まず責任ある第三者機関を両国に設けて、援助の評価、監査体制を確立する必要がある、このように思うのです。援助の条件として監査機関設置を義務づける、こういうことはできるのですか、どうですか。
#225
○太田説明員 お答えいたします。
 我が国が開発途上国、この場合はフィリピンでございますが、これに対して行いました援助が適正かつ効果的に行われたかどうかということをチェックする上で、事後の評価、これが非常に重要でございます。それで、これまでもフィリピンに対する経済協力につきまして種々評価をいたしてまいりましたけれども、今回の事態の発展等もございましたので、一層こり評価活動を強化するということを考えておりまして、評価のための調査団をフィリピンに派遣いたしますけれども、その評価の活動にフィリピン側からも参加してもらう、こういうことで評価の効果を一層高めるようにいたしたいというラインで今考えているところでございます。
#226
○近江委員 いろいろな知恵を凝らしてよくチェックできる、そういうものをさらに充実していただきたい、このように思います。
 仮称経済協力基本法、こういった基本法の制定、日本側のチェックの機能の強化等をぜひ検討すべきである、このように私は思うのですが、この点についてどのようにお考えでございますか。
#227
○太田説明員 お答えいたします。
 経済協力基本法が必要ではないかという御指摘でございますけれども、先ほども御説明申し上げましたように、円借款の実施に関しましては、現在四省庁で十分な連絡をとりつつ実施いたしておりまして、全体として現行の体制は順調に機能しているというのが我々の判断でございまして、経済協力基本法の必要は特にないのではないかというふうに考えております。
#228
○近江委員 私は大いに必要があるということを申し上げておきたいと思うのです。よく検討していただきたいと思います。
 要するに、こういう援助の取り決めも、交換公文を取り交わすだけで、膨大な予算が組まれまして、そして国会の承認も必要としないでやってしまう、ここに一番問題があると私は思うのです。国民の代表である国会の承認もなしにこういうことをやっていく、そこに非常に大きな問題がある、この点についてはどう思いますか。私は、ぜひ国会の承認を今後必要とする、こういうように変えなければいかぬと思うのですが、いかがですか。
#229
○太田説明員 円借款の実施に関しましては、先ほどから御説明申しておりますとおり、四省庁間で緊密に連絡をしながら、相手国政府から提出されました、要請されましたプロジェクト、これが真に経済協力に値するかを十分チェックした上で閣議に図りまして、その上で交換公文を相手国政府との間で結んでいるという手続をとっておりまして、当然のことながら、交換公文、これは必要に応じて国会で見ていただけるということになっておりまして、そういう点から申しまして、現在の援助の体制は十分有効に機能しているのではないかというふうに考えております。
#230
○近江委員 さっきから私が質問しているのは、有効に機能してないから考えなさいということです。むちゃくちゃでしょう。何が有効に機能しているのですか。相手の政府があるからという、そんなの理由にならないのですよ。我が国のチェック体制が全然これはできていないのだ、だから今すぐにその答弁ができない、その事情は理解しますけれども、よく検討なさって、機能していないことを重々反省されて、今後いかにこれをチェックしていくか、関係省庁知恵を絞って対処していただきたい、このように強く要望しておきます。
 だんだん時間が来ますから、次に移ります。
 撚糸工連の問題でございますが、これも通産省を舞台に起きまして、通産大臣も就任されて非常に責任を痛感されておると私も思うわけでございます。今まで通産省を舞台にいろいろな事件が起き過ぎているのです。四十一年一月には特許庁汚職、四十三年二月はJISマーク汚職、四十四年三月は輸入関税汚職、四十八年九月はガソリンスタンド認可汚職、五十二年三月は叙勲汚職、五十三年九月はコンビナート施設汚職、五十九年六月は鉱害汚職、五十九年十月は工業技術院汚職、このように、通産省だけでもこういうような記録があるのです。
 今回の撚糸工連事件、これも見ていきますと、いわゆる昨年の十二月に使い込みが発覚をしている。これは一つの事件ですね。二番目は買い上げてはいけないようなもの、買い上げ不当のものをごまかしてやっておる。いかにチェックがずさんであるか、これが二つですね。それからいわゆる公金の流用事件。そして四つ目は監督官庁が逮捕される、いかに監督官庁がずさんな監督をしておったか。この事件一つを見てもいろいろなことをそこにはらんでいるのですね。
 こういう事件を見まして、まず大臣は今どのような感想ですか。
#231
○渡辺国務大臣 これは本当に残念至極なことでありまして、深く国民に申しわけないと、そう思っております。
#232
○近江委員 そこで、法務省は、いろいろな工作が広い範囲を含めて行われておるんじゃないか、この事件についていろいろと調査をされておると思うのですが、この解明に臨む基本的態度と、一連の不正事件の捜査がどの程度進んでいるかについて御報告をいただきたいと思います。
#233
○原田説明員 お答え申し上げます。
 お尋ねの件に関しましては、ただいま御指摘ございましたように、現在贈収賄事件ということで関係被疑者身柄拘束の上取り調べ中でございまして、これにつきまして必要な捜査を遂げた上で適切な処分がなされるものと考えております。
 また、今後の捜査ということでございますけれども、検察当局におきましては、いろいろな機会に、国会の御論議も含めまして、さまざまな事例と申しますか、事柄が指摘されあるいは報道されていることにつきまして、十分承知していることと考えております。
 いずれにいたしましても、所要の捜査を遂げた上、その事案に応じて適切に処理いたすものと考えております。
#234
○近江委員 非常に含みのある答弁をされまして、いろいろと広いそうした中で今後捜査を進めていく、こういうことでございまして、ひとつやはりこういうこともきちっと究明をしなければいけない大問題である、このように思います。
 今回、現職課長が東京地検に逮捕された、こういうことについて後藤田官房長官は、逮捕者を出してまことに遺憾である、今後さらに綱紀粛正に努め、国民の信頼回復に努めたい。また大臣は、さきの商工委員会で、綱紀粛正に努め、省内にそのための検討委員会を設置する、このように答弁されたのですが、今回のこの事件については、これはもう本当に国民全体の信頼を失うことになるわけでございまして、大臣も、また政府はそのように綱紀粛正を言っておられるわけでございます。
 あれからもう二週間過ぎておるわけでございますが、それでは、現実に職員に対する綱紀粛正に関する具体案というものは示されているのですか。いかがですか。
#235
○鎌田政府委員 あの逮捕がございました後、通産省といたしましては、直ちに緊急に臨時省議を開催いたしまして、全職員に対し、綱紀の厳正な保持について改めて注意を喚起したところでございます。また、ただいま御指摘ございましたように、事務次官を長といたします綱紀問題委員会が早速発足いたしておりまして、現に、今後の具体的措置について検討を始めておる段階でございます。
#236
○近江委員 昭和四十六年当時アメリカが輸入規制を表明した、こういうときから設備が過剰ぎみになってきた。五十八年十月に、繊維工業審議会におきまして新繊維産業ビジョンがまとめられたわけです。通産大臣に答申したわけですが、この中で一番問題になったのが、設備調整対策の見直しと設備共同廃棄事業制度であった、このように言われておるのですね。これがまた存続になった。そういうときにいろいろな動きがある、そういうように言われているのですね。それがまた今回のこういうことにつながっておるのじゃないか。だから、そういうことはずっと一連してすっきりしないものが通産省にはあるわけなんですね。こういう点をどう思うかということです。
 それから、昭和五十四年度に、中小企業事業団から日本撚糸工業組合連合会への設備共同廃棄事業資金の貸し付けが、会計検査院から不当と指摘されているのですね。だから、これは五十四年でございますから、あのころから真剣な通産省の取り組みがあれば、ここまでの不祥事にならなかったと思うのですね七その点についてどういう反省をされておりますか。
    〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
#237
○浜岡政府委員 確かに、五十二年度、五十四年度の事業につきまして会計検査院から御指摘をいただいているわけでございまして、当時も、問題案件につきましては繰り上げ償還を行わせますと同時に、関係団体に、今振り返ってみましても大変厳しい通達を出しておるわけでございますけれども、極めて類似した事件がまた発生していることは事実でございまして、私どもといたしましても本当に歯がみをする思いでございます。
 午前中来、大臣からも御発言がございますように、今後やはり制度の骨組み等にさかのぼりまして有効性、その意義を吟味すると同時に、仮にこういう制度を残していくとしましても、ダブルチェック・クロスチェック等が十分に働くような仕掛けを、乏しい知恵でございますけれども、振り絞って考えなければならないのじゃないかというぐあいに思っている次第でございます。
 また、御指摘がございましたように、五十八年ごろ、新繊維産業ビジョンをめぐりまして、設備登録制度のあり方あるいは設備廃棄制度のあり方についていろいろ議論がございました。
 設備廃棄制度につきましては、当時、実施回数を今後は絞るべきである、また対象事業も範囲を限定すべきであるというようなことで、現在、各業種一回限り、しかも従来と違いまして、転廃業者に限って設備廃棄事業の対象とするというようなかなり厳しい歯どめをかけて動かしているわけでございます。
 登録制度につきましては、確かに当時随分議論がございまして、一定の経過期間を置いた上で廃止の方向に持っていくべきであるというような意見も途中であったわけでございますけれども、最終的には、特に関係業界での議論が十分に浸透していないということで、今後引き続き検討を行うべき事項というような扱いになっているわけでございまして、この辺の経緯も十分路んまえまして、先ほど来大臣から御発言のございます洗い直しに取り組んでいかなければならないと思っているところでございます。
#238
○近江委員 今回撚糸工連を舞台に起きているわけでございまして、撚糸工連以外でこの廃棄処分をやっているのは今何団体あるのですか。こういう一つのところでの事件、これは氷山の一角というような見方もまたあるのですよ。だから、そういうことがあってはならぬと思いますし、やはり他山の石といいますか、きちっとそういうところに対しても、そういう事件が起きないような厳重な監督指導ということが大事だと思うのです。
 そういう点について、まず、幾つの団体があり、またそういう他の団体に対しては、今回のこの事件を通じてどういう指導をし、どういう改善をしようとしているのか、これについてお伺いします。
#239
○浜岡政府委員 現在、設備共同廃棄事業を行っております業種は七業種でございます。綿スフ織物業、化合繊織物業、絹織物業、毛織物業、タオル織物業、編みレース製造業、それから問題の撚糸業でございます。このうち化合繊織物業と絹織物業は同一団体で実施をいたしておりますので、七業種六団体で行っているという状況でございます。なお、六十一年度からのスタートということで用意をいたしておりました業種が二、三あるわけでございます。
 私どもは、まず、六十年度下期の融資が当面の問題でございますけれども、これは午前中も御審議がございましたように、既に設備を破砕をいたしまして融資を待っている企業が約四千六百あるわけでございますので、これにつきましては関係団体で総点検を行い、さらに私ども通産局、さらに府県の職員を動員をいたしまして抽出チェックをいたしました。撚糸につきましては全数チェックをやるというようなことで取り組みましたわけでございますが、一応撚糸以外につきましては融資決定は行いましたけれども、さらに個別案件の洗い直しを十分行いまして、融資実施までの間に、問題のあるものがあればはじき出して融資の資金交付というところに持っていくべきであろうと思っております。撚糸につきましては全数チェックを行っておりますので、結果的に六十年度下期は年度内に融資決定ができませんで六十一年度に持ち越しておりますが、実態を十分チェックいたしました上で、どうすべきか判断をいたしたいと思っております。
 これらの業種の専業は、六十年度から六十二年度までの三年度計画になっているわけでございますけれども、先ほど申し上げました総点検という状況になっておりますので、六十一年度、六十二年度分は当面凍結せざるを得ないと思っております。洗い直しの結果をまちまして、この凍結を解除していくのか、あるいは新しい仕組みに乗せるべきなのか、あるいは凍結したまま見送るのか、その辺の決断をしなければならないというぐあいに思っているところでございます。
#240
○近江委員 こうした不祥事がありますと、ぴしっと当初通産省が想定した事業目標といいますか、そういうことも停滞するわけでございますし、また非常にまじめにやっている、次の新しい道を前進しようとする生産業者も、非常にまじめな人がやはりまた迷惑を受けるわけでございます。そういうことで、二度とこういう不祥事を起こさないように通産省は襟を正して、通産省だけではなく各省やっていただきたい、このように思います。
 きょうは公取委員長も先ほどからお待ちをいただいていますし、次にまた経企庁さんにも通産省さんにもお伺いしたいと思います。
 それは、大変な円高また原油価格の下落ですね。こういうことは、確かに中小企業等は、特に輸出関連等は大変な壊滅的な影響が出てきておるわけでございますが、反面、円高のメリットなり原油下落のメリットなりはあるわけなんですけれども、国民に正しくこれが還元されてないという非常に大きな問題があるわけでございます。
 ちなみに、私が一番新しい時点で調査をしました輸入品の円高に伴う価格動向調査の表をお渡ししております。まず、値下げしたものはこういうものがある、値下げしてないものはこういうものがある、それだけの条件がありながら逆に値上げしたものはこういうものがある、現在検討中にはこういうものがある。まず、経企庁はこういうことを専門に調査なさっているわけでございまして、私の調査が妥当なものであるかどうか、これについてひとつ御答弁いただきたいと思うのです。
#241
○井上説明員 お答え申し上げます。
 先生も御承知のとおりに、円高と申しますと、一般的には輸入品の価格を引き下げる効果を持つわけでございます。ただ、これらの輸入品は、消費者の手に渡りますまでにいろいろな加工段階あるいは流通過程を経るというようなこともございますので、円高の価格引き下げ効果が小売段階に浸透いたしますまでに、やはり一定の時間が必要であるということでございます。その場合にどのくらいの時間がかかるかは、そのときそのときの経済情勢によっても変わってくるだろうということでございます。
 それで、経済企画庁といたしましては経済をマクロ的に見ているわけでございますけれども、最近のいろいろな物資の情勢を見ますと、一部の消費財につきましては、円高効果の波及によりまして価格低下の動きが出始めているというふうに見ているわけでございます。さらにそういった傾向を促進いたしますために、本日決定いたしました総合経済対策の中でも、円高あるいは原油価格の低下に伴います差益の還元ということで、いろいろな諸対策を決定させていただいたわけでございます。
#242
○近江委員 私が今皆さんの手元に差し上げていますが、これは一番新しい調査なんですよ。これが妥当であるかどうかということを、その前に渡しておるわけですから、どうなんですか。ほぼこれは間違いありませんか。ほぼでいいです。
#243
○井上説明員 私たちのところで把握できますのは小売物価統計に掲上されているもの、あるいは卸売物価の中で採用されておる品目、そういった品目になるわけでございますけれども、そういった品目につきましては、ただいま先生からいただきました資料はおおむね正しいといいますか、正当なものだと思っております。
#244
○近江委員 私が一番新しい、デパートに行き調査してきたこれがほぼ正しい、こういう答弁があったわけでございまして、それはもう現実のことですからそのとおりであろうと思います。
 このように見ますと、値下げできたものもあれば、全然やってない、検討中のもの、いろいろこのようにあるわけでございます。とにかく昨年の九月からこれだけの円高で推移しておるわけでございますし、通産省は、輸入品価格がまず何よりも下がるように業界を指導すべきである、このように思います。そして経企庁は、やはり徹底して追跡調査をやらなければいけませんし、通産省とタイアップをして、知恵を出して国民に還元できるように努力をしていただきたい、このように思うわけでございます。まず通産省と経企庁、私が申し上げたことに対してお答えいただきたいと思います。
#245
○松尾(邦)政府委員 円高によります輸入品の価格の低下を、我が国の経済の各分野に円滑に浸透させることが重要であることは先生御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、このような円高のメリットが市場メカニズムを通じまして一般消費者に均てんされるようにいたしてまいらなければならないと考えております。
 具体的には、先ほど経済企画庁からお答えがございましたように、一月の物価担当官会議あるいは本日の総合経済対策で決定を見ましたように、主要な輸入消費財について価格の動向の調査を行いまして、これによりまして消費者に的確な情報を提供いたしまして、市場メカニズムが一層有効に機能するような環境の醸成に資するよう鋭意調査を進めているところでございます。
 あわせて同時に、主要百貨店、スーパーに対しまして、円高を活用するプランの策定の指導をいたしたところでございまして、これによりまして、一つには円高メリットを活用したフェアの開催、小売価格の引き下げ、あるいは新規の輸入品を開拓するというような内容の円高活用プランの策定指導をいたしたところでございます。現在までに主要な百貨店、スーパーから聴取したところでございますと、このようなフェアの開催が全国延べ三千四百カ所で行われる予定になっておりますし、主要な百貨店、スーパーでは、既に酒類、衣料、家具等延べ約千品目にわたりまして一〇ないし二〇%の小売価格の引き下げが実施あるいは近々実施の予定というふうになっているわけでございます。さらにまた、新規の輸入開拓という点におきましても、延べ二百程度の品目について計画されているというのが実情でございます。
#246
○井上説明員 ただいま通産省からお答えのとおりでございますけれども、まず直接的には、今お話がございましたが、主要な輸入消費財三十七品目につきまして、現在通産省あるいは農水省、大蔵省が調査をしております。今月末を目途に、その調査結果につきまして適切に消費者に情報を提供してまいりたいと思っておるわけでございます。
 さらに、今お話がございましたように、市場メカニズムを通じまして円高の利益が販売価格に適正に反映されるように、関係各省で、必要でございますれば関係業界の御指導をいただくというようなことを企画庁といたしましても御要請申し上げたい、そう思っておるわけでございます。
#247
○近江委員 我が党の委員が、大蔵だったと思いますが、中曽根総理に、輸入品が下がらない、メリットが生かされていない、これに対して、独禁法上から考えて対処する、きのうこういう答弁をしているのですね。だから、市場メカニズムが本当にきちっと機能すればいいわけですが、人為的な操作がそこにあるのじゃないか、そこに大きな疑いがあればこそ、中曽根総理が独禁法上から検討するということをおっしゃったと思うのです。独禁法の番人として最高の公取委員長がきょうはお見えになっていらっしゃいますし、昨日の総理の答弁もお踏まえになって、最近の、こういうように輸入品も下がらない厳しい現状にかんがみて今後どのように対処されるか、また決意もお伺いしてみたいと思います。
#248
○高橋(元)政府委員 円高差益の還元、国民各層に対するその利益の均てん、これが大変重要であることは今たびたび御指摘のあったとおりでございますし、きょうの総合経済対策の中でも、円高差益還元、石油価格の引き下げについて諸般の施策が書かれておりまして、今も両官庁からお答えのありましたように、調査なり御指導なり的確なものがなされるというふうに思うわけでございます。
 ただしこの問題は、両省のお答えの中にもありましたように、また今のお尋ねの中にもございますように、市場メカニズムが十分に発揮されるということがあって初めて可能なわけでございます。公正で自由な競争を阻害するような何らかの要因が市場にありますと、例えば輸入品の仕入れ価格が下がっても人為的な高い価格が維持されるということがある。それがどの程度あるかというのは、私どもが常時非常に注意をして情報なり端緒なりの把握に努めておるわけでございますけれども、輸入品の流通調査とか問題点を随時検討いたしまして、その結果も発表したり指導したりしておるわけでございますが、例えばいわゆるやみカルテル、やみ再販、そういうようなことが一部の事業者の間で行われるということがありますと、せっかくの円高の利益というものから国民が疎外されることになりますので、従前からそういう点につきましては独禁法違反行為が生じないよう十分な注意を払ってきたつもりでございますけれども、今後一層厳正に対処してまいりたいというふうに考えます。
#249
○近江委員 公取委員長からは厳正によくフォローしてやっていく、こういうことでございまして、きのうの総理の答弁の後、実施の長官がそのようにお答えになりましたので、それを特に御期待申し上げる次第でございます。
 最後に渡辺大臣、先ほどから円高メリットが生かされていない、通産省として一番そういう省庁でございますし、原油価格等の下落もございますし、それも含めて国民にメリットを還元する通産大臣の決意、また具体的な方法をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
#250
○渡辺国務大臣 まず、輸入品についてはその値下がりを極力要請いたします。それから円高メリットについて、電気、ガス料金については一兆円の大減税に相当する値下げをいたします。その他随所に市場メカニズムを通して、なるべく円高メリットが広く国民に還元されるように努力をいたします。
#251
○近江委員 終わります。
#252
○奥田(幹)委員長代理 横手文雄君。
#253
○横手委員 私は、今我が国の大きな政治問題となっております海外援助の問題、とりわけフィリピンにおけるマルコス政権に対する我が国企業の不当なリベート問題、マルコス資産問題、さらには今後我が国のフィリピンに対する援助問題について大臣並びに各省庁に御質問を申し上げます。
 まず大臣にお尋ねいたします。
 国民の大切な税金によって行われた海外援助が、工事落札企業を通じてマルコス政権に不当に高いリベートとして支払われ、しかもこの金はマルコス個人または近親者の個人的資産として、フィリピン国内はもとより世界各地に分散保有されていた事件は、まことにゆゆしき問題と言わざるを得ません。自分たちの税金が発展途上国の国民生活の向上に大きく寄与しているものと信じていた国民に対する重大な裏切りであります。今後も海外援助を続けていかなければならない我が国にあっては、かくのごとき不祥事は徹底的に究明され、その結果は国民の前に明らかにされ、今後はこのような不明朗なことのないように、この際厳に襟を正さなければならないと思いますが、本問題に対する政府の考え方と、マルコス資産の解明に向けて政府はいかなる基本姿勢をもって臨むのか、お尋ねをいたします。
#254
○渡辺国務大臣 たびたびお答えをいたしておるように、この円借款というのは低利の融資でございます。したがいまして、その一部に国民の税金が使われておるということは当然のことであります。したがって、これが有効にフィリピン国民全体の福祉の向上、生活の安定に役立っていただきたい、そう思っておったわけでありますが、伝えられるところによりますと、その一部がマルコスの資産形成に使われたというような新聞報道を受けております。
 これらの問題はフィリピン国内で起きた問題でありますから、まずフィリピン国内において明らかにし、マルコスの蓄財されたものをいち早く押さえて、交換公文等その約束に違って使われた部分については速やかに返還をしてもらうことが一番いいのじゃないか、それができなければ普通の金利で別に借款契約を結んだらいいのじゃないか、それが日本国民に対してせめても損害をかけない一番賢い道である、私はそう思っております。
 再びこういうような問題が起こらないように、これからはでたらめな政権には借款はやらない、こういう基本姿勢をもって臨むことが大切であって、そうでなければ何回もこういう問題で問題を起こすことになるわけでありますから、やはりどういう道に使われるのか、どういう事業に使われるのか、それが正しく使われているかどうか、常に関心を持っていくべきである、そう思っております。
#255
○横手委員 次に、マルコス資産の実情と凍結についてお伺いいたします。
 マルコスの隠し資産は世界の各地に散らばっていると言われております。したがって、日本にその一部があっても決して不思議ではないと思われますが、日本国内にマルコス資産が、あるいは明らかにマルコスのダミーと思われるような資産が存在するのかどうか、その全容を明らかにすべきだと思いますが、捜査、調査の段階はどの程度進んでおりますか。
#256
○小林説明員 お答えいたします。
 外務省が把握している限りにおきましては、マルコス大統領関係の資産が我が国に存在するという情報は把握していない次第でございます。
#257
○横手委員 それはどの程度調査されて、これからの見通し等についてはいかがですか。
#258
○小林説明員 ただいま申し上げましたのは、これまでに得られた情報ということでございます。
 なお、フィリピンのいわゆるサロンガ委員会のサロンガ委員長も、これまでのところ我が国においては、つまり日本でございますけれども、日本においては特段のマルコス関係の資産の存在についての情報をサロンガ委員会としても有していないということを最近発表している次第でございます。
#259
○横手委員 サロンガ委員会は今調査の段階、まさに緒についたところだと思いますし、先般私どもの塚本ミッションに私自身もついていってまいりましたけれども、最初は一、二カ月で終わるのではないかということで調査を始めたけれども、それはそれは大変なものでございます。きょうもたくさんのマルコス氏の隠し資産が国内から出てきております。この分でいくと世界じゅうにいっているのではないか、あるいは、これから先わからないけれども、日本にもそういったものがある可能性は全くないではないというような発言もあったわけでございますが、こういったことがあるとするならば、先ほど大臣がおっしゃいましたように、この際それらの問題について国民の前に明らかにするということであれば、日本としてもやはり積極的に調査をしていく必要がありはしないかと思いますが、いかがでございますか。
#260
○小林説明員 お答えいたします。
 外務省といたしましても、今後いろいろな情報等が把握されてくるかと思いますが、それにかんがみまして適切な対応に努めていきたいというふうに考えております。
#261
○横手委員 先ほども申し上げましたように、フィリピンにおいても調査が進んでくることだと思います。しかし、後ほど触れますが、いろいろな形でこのリベート問題が我が国の国内にあってもその舞台になったという疑いが持たれているわけであります。特にそういった企業については、通産省の方でも各省庁を取りまとめて通産省が窓口になって企業等の調査も始めた、こういうようなことでございますけれども、それらを通じてこういったマルコス資産が、あるいはそれと思われるようなものが我が国に存在するかしないか、こういったことについては積極的に調査をすべきだと思いますが、いかがでございますか。
#262
○黒田(真)政府委員 私どもといたしましては、円借款に関する関連につきましては、関係四省庁で関係企業から事情聴取を行うべく現在準備を進めておるところでございますが、その事情聴取の範囲をどの範囲にすべきかということも現在の検討中の課題でございます。しかしながら、それが果たしていわゆるマルコス氏の隠し財産というところまで及び得るかどうか、やや難しいような気がいたしますが、検討させていただきたいと思います。
#263
○横手委員 次は、税法上の問題についてお伺いをいたします。
 課税上、通常の商習慣として交わされるリベートは、手数料として、損金として会計処理が行われている場合ある程度非課税扱いとされていると聞いておりますが、この実情はいかがでございますか。
#264
○日向政府委員 委員御案内のように、リベートと一口に申しましてもいろいろな状態があるわけでございまして、売り上げ割り戻し、または契約に基づき具体的でかつ提供される役務との間に相当性が認められるといった正当な手数料の場合には、支出法人において損金に算入されるわけでございます。ただし、それ以外につきましては、取引先への謝礼または贈与は交際費または寄附金といたしまして課税されますし、このような場合にその支出先が明らかでないときには、使途不明金として私ども課税することになっております。
 したがいまして、私どもといたしましては、伝えられるリベートの実態を解則して、必要があれば課税上適正な処理をしてまいりたい、かように考えております。
#265
○横手委員 その前段に言われた、ある程度の問題についてはという、その基準はどういうことに、なっておりますか。
#266
○日向政府委員 問題は、売り上げ割り戻してはなくてコミッションの話だと思いますが、これは、私ども通達で取り扱っておりますものは、今申し上げましたように、契約に基づき具体的でかつ提供される役務との間に相当性が認められるということでございまして、この相当性があるかどうかはケース・バイ・ケースで判断しておるところでございます。
#267
○横手委員 パーセントで言うとおおむねどの程度ですか。
#268
○日向政府委員 今私が申し上げましたように、まさにケース・バイ・ケースでございますので、具体的な数字について御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
#269
○横手委員 例えば一、二%だとか、あるいはケースによっては四、五%だとか、あるいはケースによっては一〇%を超えるとか、いろいろなとり方があると思いますが、おおむねどの程度ですか。
#270
○日向政府委員 再度のお尋ねに対しまして恐縮でございますが、ケース・バイ・ケースでその率は異なるという答弁でお許しいただきたいと思います。
#271
○横手委員 そうしますと、今言われております一五%から二〇%というリベート率、これは商慣習の範囲というものを逸脱しているというぐあいに思いますが、この点いかがですか。
#272
○日向政府委員 問題は、幾らかということではなくて、提供される役務との相当性であろうかと思います。
#273
○横手委員 そうしますと、これからその捜査が進んでまいりますし、その手数料を支払ったという事実が出てくる、リベートを払ったという事実が出てくる、しかも、それがどういった会計処理によってなされていたかということがこれから明らかになってくると思いますけれども、そうなった場合に、国税庁の方としては、先ほども言われたけれども、これらの問題に対して明らかに不正であるということであるとするならば、課徴金をもって厳然として処理をしていく、こういう姿勢でございますか。
#274
○日向政府委員 私がただいま申し上げましたように、リベートの実態を解則いたしまして、必要がある場合には課税上適正な処理をしてまいる所存でございます。
#275
○横手委員 次に会計検査院にお尋ねをいたします。
 会計検査院は、特に国民の血税が適切に使われているかどうか、そこにむだはないか、あるいは不公正や不正はないか、こういうことで真剣に取り組んでおられるわけでございまして、その点については敬意を表すみわけでございますけれども、ただ、この海外経済協力基金というものはそこまでであって、そこから先がどうなっていたかというようなことについてはその資料を求めることができない、こういうようなことが見解として述べられているわけでございます。しかし、納税者の国民にしてみればそれではなかなか納得がいかないわけでございまして、今後再発防止のためにどういう形で進めていかれるのか。五十九年三月、参議院の予算委員会でこれらの問題も提起をされ、外務大臣の方から我々としてはきちっとやっておるというような答弁もあったわけでございますが、そういうことを踏まえて会計検査院としての見解をお聞かせいただきたいと思います。
#276
○沢井会計検査院説明員 お答えいたします。
 御承知のように、私どもの検査対象は海外経済協方基金でございまして、貸付先といいますか、借款の相手方でありますフィリピン政府等につきましては検査の範囲外でございます。主権の問題もございまして、私どもが貸付先からその資料の請求をするといったようなことはできないことになっております。しかしながら、この問題につきましては会計検査院といたしましても重大な関心を持っております。そして基金の方は本院の必要的検査事項の範囲でございます。したがいまして、同基金の検査におきまして基金の持っておる資料等を厳しく点検していきたいと存じている次第であります。そして疑問点があれば基金を通じて照会をするといったような形で、その実態をできる限り調査してまいりたいと思っております。
 これに関連いたしまして、私どもの検査体制の方も、併任発令等をいたしまして整備を行っております。現段階では、会計検査院に提出されておる計算証則の資料等の分析検討を始めておりますし、それから情報収集等の活動も始めております。ただいま先生のおっしゃいましたことにつきましても、貴重な情報として、私どもの今後検査をしていく上に参考にさせていただきたいと思っております。
#277
○横手委員 国民の税金の行方を確かめる会計検査院の立場からも、そういった形で許される範囲内でさらに積極的に乗り出していかれることが、先ほど大臣が申された、これからはそういった不祥事は断じて起こさないようにやるということにこたえることになるし、それはまた納税者の皆さん方の期待にこたえる道であろうと思う次第であります。
 さてそこで、経企庁にお伺いをいたしますけれども、海外経済協力基金の現地スタッフは本件のリベートをあらかじめチェックすることができなかったのか、この点についてはいかがでございますか。
#278
○赤羽政府委員 御質問の点につきまして、基金に照会をして調べたわけでございますけれども、基金の現地調査員がそうした事実関係について承知をしたという事実はないということのようでございます。ちなみに、基金のマニラ駐在員事務所というのは五十年の十二月に創設をされましたけれども、このときには単身、一人が赴任をしておる。それから、五十二年の十一月以降二人駐在をする、こういう体制になっております。
#279
○横手委員 寂しい答えになってしまうのでございますが、そういうことは現地に調査をしてみたけれどもわかりませんでした、かつては一人でございました、今は二人おります、こういうことなんですね。私どもも現地に入りまして、在留邦人の皆さん方あるいは会議所の皆さん、いろいろな方とお会いをいたしました。そうしましたら、率直に言われるのでございます。この国については大変なことでございました、とにかく何か仕事をもらうとリベートをよこせ、リベートをよこせということで大変なんです、だからそれにこたえられずにそこから手を引いた企業も幾つかございましたということが現地では語られているわけなんですよ。ところが、これらの問題に対してチェックをするその派遣をされた方々が、全く知りませんでした、これは一体全体どういうことなんでしょうね。
 それは、経済協力基金法の二十条の五項にその権限がございますが、それは国内のことであって、相手方には手も足も出ないことなんですということなのか。かつては一人、今は二人でございますということを今おっしゃいましたが、とてもじゃないが、これだけの件数があるのにこの程度のスタッフではどうにもなりません、これをふやせばあるいは事前に何とかチェックができたかもわかりません、こういうことなんでしょうかね。
#280
○赤羽政府委員 現地の駐在員は、むしろいわば連絡員ということでございます。相手国政府との連絡、あるいは日本からいろいろなミッションが参りますけれども、それについてのいろいろな準備とかお世話とかといったようなことをやっておるわけでございます。
 実際の審査等につきましては、東京の基金の本社と申しますか、それでやりますし、さらにプロジェクトについてのいろいろな事前の調査等につきましては、政府ミッションあるいは基金のミッションでやっておるということでございます。もちろん現地におけるいろいろな情報収集というものも役目の一つではございますけれども、個々のプロジェクトごとに、ただいま先生が御質問になっておりますような観点からの事実関係の調査といったものは、これまでのところ特にやっていない。そういう意味で、いろいろなうわさなり風説なりは聞いたことがあると思いますけれども、特定のプロジェクトについて事実関係を把握したような事実はなかった、こういうことでございます。
    〔奥田(幹)委員長代理退席、佐藤(信)委員長代理着席〕
#281
○横手委員 大臣、冒頭に基本姿勢の中できちっとおっしゃいました。こういったそれぞれの国が我々が言ったとおりやってくれないのだったらこれからの援助も考えなければいかぬ、こういうことをおっしゃったわけでございます。しかし、我が国としては途上国に対する海外援助はやはり続けていかなければならないと私は思うわけです。それで、途上国というのは何かかにか今話題になっておるような要素といいますか下地を持っておるわけですよ。それだけ体制がきちっとして、そして国が隆盛であったら、何も援助は要らないわけですから。いろいろな役所、機構もきちっとしてないし、あるいは個人の権限が大き過ぎて法律が個人の力によって曲げられてしまうということもたくさんあるわけなんです。だから、そういうことを一応前提としては承知の上でやるわけなんです。
 それで、こういうことが起こり得る要素があるところについて行うときには、後になってこんな問題にならないように、こちらの方のチェック体制も常日ごろからきちっとやっていく必要があると思うのですが、今まで私が聞いてきた中では、何か知らぬ存ぜぬでございました、こういうことに逃げられるような気がするのです。ちょっとせつないのですが、大臣いかがですか。
#282
○渡辺国務大臣 これはやはり第一義的には、幾ら途上国といえども物には程度問題というのがありますから、今伝えられているようなあのようなことをやられたのでは、到底援助は継続できない。したがって、やはり新政権がそういうことをよく解明をして、それで我々も援助を受けるからにはマルコスの二の舞は絶対にやらないということをまず表明をしてもらわなければ困るわけですね。幾らこちらがチェックをするといったって、それはこちらの役人を全部派遣して、現場監督につけて何をしてなんということは事実上不可能ですから。したがって、まず第一義的には相手国が約束どおりにやってくださいよということが第一番。
 それから、こちらについては、つけ込まれないようにする必要がある。それはやはり過当競争でありますから、過当競争にならないようにする必要がある。
 それから、そういうようなチェックを政府側で大いにいたしますが、仮にどんなにチェックをしてうまくやったとしても、例えば適正な原価計算をもってこれでこの仕事をやるのですと言われますから、みんなで、コンサルタントやなんか突き合わせてこれでいいじゃないかと言っても、執行の段階ででたらめやられたのでは、それがもうよほど極端なことをやれば目につくけれども、少しぐらいのことでは全く目につかないという問題がございます。したがって、どういうふうなチェック体制がいいかという問題でありますが、まずはそういうような約束違反のことをやったらば早期返還をしてもらうとか、そういう歯どめもかかっていないと、幾らこっちでやったからといって、執行の段階でごまかされてしまったのではできないことですから、私は、そこらのところははっきり言うべきことは言った方がいいのではないか、そう思っているわけであります。
#283
○横手委員 ただ、私は現地へ行ってそういう感を非常に強くしてまいりましたし、非常に難しい問題だと思います。進めていけば内政干渉になってくるということもありますし、お互い独立国でございますから、相手が出した書類を、本当かや、本当はこの裏があるのではないかというようなことを言うのも、これまた国際慣例上大変問題があると思います。先ほど言われたように、今後はそういったことについて十分気をつけながら、さらにいろいろと資料提供を求めながらやっていきますということでございますから、そういう程度にしておきたいと思います。
 次に、私は外国為替管理法の問題についてちょっとお伺いをしておきたいと思いますが、これは通産省でございますか、五十五年に外為法が変わりました。この外為法に基づいて外国為替管理令が出され、これを通じて、手数料が一〇%を超える場合には通産大臣の許可が必要であったわけでございます。しかし、この事件はさかのぼってかなり前から行われておるということでございますので、これが一〇%を超える手数料を払っていたにもかかわらず許可をとっていなかったということが明らかになった場合にどうなるのか。あるいはもう一つは、一〇%を超える手数料を払いながらそれがいかにも一〇%以内であったような形で記載をした、つまり不実記載というようなことが明らかになってきた場合には、これらの企業に対する政府の対応はどうなりますか。
#284
○村岡政府委員 委員御指摘のように、現行の外為法ではこの種の輸出代理手数料というのは原則自由という建前になっておるわけでございますが、御指摘の昭和五十五年外為法改正以前におきましては、貨物代金の一〇%を超える代理手数料の支払い、これについては原則として通産大臣の許可を要するということになっていたわけでございます。
 ただいま横手委員御指摘のようなケースを一般論として申し上げてみますと、どうも一五%を超える代理手数料を現実に支払っていた、しかしながら通産大臣の許可を受けていなかった、こういうケースに当たるかと思います。そのような場合を一般論として申し上げますと、当時の外為法に違反する行為であったということが言えるのではないかと思う次第でございます。なお、また同時に、それを二〇%未満と偽って、例えば為替銀行の承認を得て送金等をしていたということになる場合につきましても、同様それは当時の外為法に違反する行為だったと言うことができるかと思います。
#285
○横手委員 そういうことがこれから調査の中で明らかになってきた場合に、それらの不正行為を行っていた企業に対する処置はどういう形でとられますか。
#286
○村岡政府委員 ただいま御指摘の点について、二つ厄介な問題があろうかと思います。
 一つは、何分古い話でございます。いろいろ資料等が散逸しているだけではなくて、私どもの文書保存規定によりますと、一年ないし三年という処理期間が定められております。したがいまして、効果的な書類があるかどうかという問題が一つございます。
 第二は、それに加えまして、時効という厄介な問題がございます。犯罪行為だと仮定いたしまして、その行為が終了いたしましてから三年で時効が成立するということに相なりますので、本件は、多分時効が成立しているのではないかと思う次第でございます。
#287
○横手委員 そうしますと、これから調査が進められて、不正なリベートを支払っていた、しかもそれがこれら管理令に違反をしていたというようなことが明らかになった場合には、しかし、それが明らかになっても、ついに時効という壁でこれはどうしようもない、それらの企業に対する制裁措置といいましょうか、そういったものについては全くお手上げである、何もなされない、こういうことになりますか。
#288
○村岡政府委員 捜査、調査の結果いろいろな事実が判明をいたしたという仮定で申し上げますと、私ども、何にもできないというわけでは決してございませんで、時効が成立しているということを念頭に置きつつ、いろいろ通常のこの種のケースで処理をいたしますような始末書をちょうだいするとか注意を喚起するとか、そのような行為を行うことは可能かと思います。しかしながら、きつい制裁措置、告発であるとかその他の措置はかなり無理があると思います。
#289
○横手委員 そうしますと、例えば時効という壁に阻まれて刑法的な処罰は一切できないということです。しかし、そのほか始末書をとるというようなことでございますが、役所の始末書がどのくらいきくかよくわかりませんけれども、例えばそういった企業については、これから、このような政府援助に対する他国における事業の参加資格といったようなものにある程度の制限を加えるとか、そういったことは考えられるのですか。
#290
○村岡政府委員 外為法の運用ということでお答えいたしますと、まことに残念でございますが、外為法というのは、法律にも明定されておりますように、可能な限り取引を自由にするという原則のもとに運用されておるわけでございます。
 新聞等に報ぜられております行為が事実だといたしますと、確かにそれは企業倫理にもとる問題であろうとか、あるいは相手国の法律に違反するかもしれない、こういった事態かと存ずるわけでございますが、外為法という法律でそれを防止するというのはやや出過ぎているように思うわけでございまして、外為法の目的に即しながら、いろいろな罰則あるいは時効その他の措置が定められているものと理解しておる次第でございます。
#291
○横手委員 外為法を発動してこれらに対する制裁措置というのではとても無理がある、こういうことをおっしゃるのですが、それでは、他に国内法でこれに適用するようなものがあるのですか。
#292
○村岡政府委員 外為法の運用当局者がお答えする問いじゃなかろうかと思いますので、遠慮させていただきたいと思います。
 私の個人的に知る範囲では、やはりかなり企業倫理の問題という点が多かろうかと存ずる次第でございます。
#293
○横手委員 私ども、フィリピンのサロンガ委員会に行ってまいりまして、委員長はお見えにならなかったのですけれども、委員長代理の方といろいろ話をさせていただきました。その中で幾つかの質問をしたわけでございますが、今調査の段階で、これは不当であるというようなことでフィリピンの刑事罰の対象となるという証拠を握っておられるような日本の企業はありますかと言ったら、イエスと言われたのであります。それは幾つでございますかと言ったら、はっきりしておるのは二つだ、そのほかにこれは疑わしいというのが三企業ある、こういうことをはっきり言われたわけでございますが、これについて日本側として掌握をしておられますか。
#294
○小林説明員 その点はそのように伺っております。
#295
○横手委員 企業名を御存じだったら言ってください。
#296
○小林説明員 報道等でいろいろ言われている点は承知しておりますが、外務省として申し上げる立場にないというふうに考えております。
#297
○横手委員 これはサロンガ委員会で、フィリピンの国内法に照らして国内法のこれとこれとという二つの法律も列挙されたわけですけれども、これに照らして今二企業ははっきりしておりますということを言われた。承知をしておられますかと言ったら、承知しておる、どこでございますかと言ったら、外務省としては言えませんと言うのですが、これはどこが言われるのですか。
#298
○小林説明員 ただいま承知していると申し上げましたのは、そういった二社ないし三社についての話が出たということを外務省として承知しているということでございます。
 それから、ただいま先生の方からフィリピンの法律の適用関係についてのお話がございましたけれども、その点について外務省として承知しておりますのは、サロンガ委員会のダサ委員長代行がフィリピンにおいてリベートにかかわる刑罰に関しましては改正刑法及び贈収賄腐敗行為禁止法に適用があるということを語ったというふうに承知しているわけでございます。
#299
○横手委員 それは私も行って本人にそういう話を聞いてまいりました。おたくの国内の法律はどれですかと言ったら、今おっしゃった二つの法律があります、それに違反する日本の企業はありますかと言ったら、二つあります、はっきりこういうことをおっしゃったわけです。あと調べてみなければわからぬけれども、何とかこれも引っかかるのじゃないかと思われるようなのは三社ありますということを言われた。ダサ委員長代行がそこまでおっしゃったということでございますので、外務省としてもその二つの企業というのはお聞きになってないのですか。
#300
○小林説明員 先ほどお答えいたしましたとおり、報道等では承知しておりますが、外務省として申し上げる立場にないということでございます。
#301
○横手委員 わかりました。それでは次へ参ります。
 特別委員会にお邪魔をしたときに、その席上で、日本の国会に近く特別委員会が設置をされることになっております、資料の提供とか関係者の証言とかの問題が出てくると思われます、国会の調査に応じていただけますか、こういう質問をいたしましたら、イエス、協力しますという御返答があったわけでございます。したがって、こちらから要請があれば、こういうことでございますので、これは要請をすべきだと思いますが、大臣いかがでございましょうか。
#302
○渡辺国務大臣 これはフィリピン政府の問題であります。日本政府としては外務大臣がかねがね答弁をしておるとおりでありまして、私はフィリピン政府に対して要請をするという立場のポジションにはありません。
#303
○横手委員 ただ、特に先ほど答弁の中で、これは外務、経企、四省庁にまたがる問題であって今通産省がそのまとめ役、窓口みたいなことでいろいろな調査もしておりますというようなことをおっしゃったわけでございます。そうなってまいりますと、これは特別委員会の議題かもわかりませんけれども、またそのときにもさらに議論もなされるのでございましょうが、せっかく向こうは出かけていく、要請があればとおっしゃっておるのです。先ほど答弁を聞いておりましたら、四省庁まとめて今通産省が窓口でやっておりますというようなことでございますから、これは通産大臣、私は全くその任にあらずとおっしゃるのはちょっと変じゃないかしらんと思いますが、どうなんですか。私は揚げ足を取るのじゃないですよ。
#304
○小林説明員 お答えいたします。
 外務省、政府といたしましても、現在事実関係の把握に努めている段階でございます。こうした現段階におきましては、特にフィリピン側に対して政府として証言また資料の提供等を求めることは考えていない次第でございます。
#305
○横手委員 私は特別委員会でこれは議論がなされることだと思いますが、特別委員会を開いても日本の国の資料だけでこれが究明できないわけでございますから、フィリピンの資料あるいはアメリカに行っておる資料等についていろいろな形で取り寄せながら、そしてその事実関係に基づいて議論をしてもらわなければ、せっかく向こうから出しますよ、要望があったら行きますよと言われるのに、来てもらわぬでもいい、その資料は要りませんというようなことで我が国だけで議論をしていたのでは、これは思い思いにいろいろな資料が出てきたりあるいは妙な人たちからガセネタが入ってきたりしてかえって混乱するのじゃありませんか。事実はかくのごとくだ、だからそれはガセネタでございますということをきちっとしていきませんと、かえって混乱しますよ、そうじゃないですか。
#306
○小林説明員 ただいまお答えいたしましたとおり、現在のところ事実関係の把握に努めているところでございまして、いろいろ状況等も明らかになってきているところでございますけれども、今後ともそれぞれ事態が明るみに出た段階で、それに応じまして適切な措置をとっていきたいというふうに考えております。
#307
○横手委員 その適切な措置というのは、国会の要請があれば資料の提出を求めたり、あるいは場合によってはどなたか関係者に来てもらうというようなことが適切な措置だ、こう理解してよろしゅうございますね。
#308
○小林説明員 先ほど申しましたとおり、現段階ではフィリピン側に対しては特段の証言を求めたり資料の提供等を求めることは考えていないということでございます。
#309
○横手委員 真相究明のためにいろいろの措置をとるということをおっしゃるのでございますが、真相究明をするためのいろいろな措置ということのためにフィリピンの資料は要らない、証言も要りませんということでは、真相究明のために努力しますと言われるあなたの言葉と全然違ってまいりますが、これは私が頭が悪いせいでしょうかね。
#310
○小林説明員 繰り返しになりますが、現在私どもでできるだけの事実関係についての把握に努めているわけでございまして、現段階においてはそういうことを考えていないということでございます。
#311
○横手委員 大変くどいようで申しわけございませんが、あなたが同じことばかり言われると私も同じことばかり言わざるを得ぬのですけれども、そうしますと、先ほど来言っているように、この問題は特別委員会でさらに議論をされることだと思います。だけれども、乗りかかった船ですから、ちょっとは私も洗い出さなければいかぬと思うものですから。
 特別委員会が開かれようと何が行われようと、これらの問題の究明については、外務省は今持っている資料で十分でございます、ほかに要りません、こうおっしゃるのですね。こんなばかなことがあるか。
#312
○小林説明員 繰り返しになりますが、現在までに入手した資料をもちまして、現在外務省、それから関係省庁におきまして調査を進めている段階でございます。したがいまして、今後どういう措置をとるかということについては、今のところ申し上げられないということでございます。
#313
○横手委員 きょうの時点でそこまでと言われるならこれは押し問答にすぎません。
 それでは、今度はこちら側のことでちょっとお聞きをしたいと思いますが、サロンガ委員会にお邪魔したときにおっしゃっていたのは、米下院のソラーズ議員は、米国議会に出ているマルコス文書は二〇%にすぎないと言っている、そのほかにどの程度解明できるのかというような質問をしたわけでございます。そのときに、先ほど申し上げましたように、今出ておる数字が二〇%なのかどうかもわかりません、やればやるほど出てまいります、そしてその金の動きもまことに複雑でございます、一筋縄ではいきません、したがって日本の企業に支払われた金がまた本社へ戻っている、本社は必ずしもそこの会社の本社ではない、別の代理会社みたいなところへ振り込まれて、そしてそれがまたフィリピンに戻ってきている、こういう複雑なことになっておりますという話の中から、これらをフィリピンとしても解明したい。特にかの国についてはマルコス資産を取り上げなければいかぬわけでございますから、どこに何ぼ流れたということは目の色を変えて探しておられるわけであります。そういったときに、それらを究明するために日本の協力も必要でございますということで、どうか日本企業の証人あるいは捜査等に協力をしていただきたい、こういう要請も受けてまいりましたが、我が国としてはいかがでございますか。
#314
○小林説明員 先生御存じのとおり、現時点におきましては、フィリピン側より特段具体的な要請は来ておらないわけでございますが、今後フィリピン側から要請があれば、その具外的な要請がなされた段階で、要請の内容を踏まえまして、どのような協力が可能か検討したいというふうに考えております。
#315
○横手委員 原則としてどうですか。要請があった場合には考えるというところまではわかりました。しかし、どう考えるのかによって全然変わってくるわけでございますから、原則協力ということで、しかしそこまではできません、それはもうこの程度でございますということでいろいろ考えられるのか、そこら辺はどうですか。
#316
○小林説明員 ただいま申し上げましたとおり、まだ具体的な要請の内容も明らかになっていない段階でございますので、現段階では、今後要請の内容を踏まえまして、協力の内容について検討したいということでございます。
#317
○横手委員 それでは、これらの問題についてもこれからさらに特別委員会で明らかにされることだと思いますし、これからも日比関係というものは我が国の安全保障の関係からいっても大変大事なことだと思いますから、これはできるだけのことをしてあげるべきだと私は思います。
 先ほど大臣は、これからきちっとやるということならば、我が国としてもこれから援助も続けていかなければならないというお話でございました。私どもはフィリピンに参りまして、アキノ大統領、ラウレル副大統領を初め多くの要人の方々あるいはアメリカの大使等ともお会いをしてまいりました。特に、アキノ大統領がおっしゃるには、フィリピン人が自由を選んでよかったという国を私はつくっていきたい、そのためには我が国は貧しい、そういったことでこれから先も日本の借款、援助というものは不可欠であります。今まではしかし日本の国民の皆さん方に政府として御迷惑をかけた、このことについては我々も大変残念に思う。そもそも援助というものは、日本の国民がフィリピンの国民に対して行うものだ、援助するのは日本の国民であり、それを享受するのはフィリピンの国民であります、政府はそれのとりなしの代行機関にすぎない、こういうことで我々はこれからやってまいります。ラウレル副大統領は、これは別の時間に会ったわけでございますが、アキノ大統領は主婦だから、これからはもう家計簿をつけるように一円たりとも間違いのないようにやってくれるに違いないという話もしておられました。
 これからあの政権がどうやっていくのか、どういう形になっていくのかということは、いろいろな見方があると思いますけれども、やはり経済的な自立、明るさというものを見出していくというのが大きな要素だし、そのことのためには日本の援助というのは大きな柱だということをつくづくと感じてきたわけであります。しかし、先ほど大臣は、かの国がけしからなんだらそんなところへやる必要はないではないか、かの国がきちっとしたらやるというのが原則ではないかということをおっしゃったわけであります。
 そこで、私ども民社党の塚本委員長の方から、名前はどういうことになるかわからないけれども、今おっしゃるように、これからは一円たりともそれが不正な形に流れていないというようなことをつくり上げるためには、お互いに主権がありますから、それぞれの国でそういった委員会をつくって、日本との間にこれが上手にドッキングするようなお互いの委員会をつくって、そこで慎重に審議をしていく、こういうようなものをつくったらどうだろうという提案をされたわけでございます。これはもう皆さん方がそういったことは一日も早くつくって、我が国としてもすっきりした形で日本の援助を仰ぎたいということを言っておられたわけでございますが、これらに対する大臣のお考えをお聞きをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#318
○渡辺国務大臣 私は、日本の政府は善意をもって円借款を結んだわけですから、そのときにはちゃんと交換公文がありまして、その約束がもし裏切られておった、そのために一部が不正蓄財に回ったということがフィリピンで発覚したというならば、フィリピンの国内問題でありますから、まずフィリピン政府がその蓄財を取り上げて、日本政府の約束と違った部分については速やかに返還をしてもらうということが筋道ではないだろうかということを私は言っているのですよ。今後も、ほかの国でもそういう問題があった場合は、それは経済協力はできませんということを言わぬと、それはもうのべつもなくそういうふうなことになってきます。そういう可能性もありますから、だからフィリピンで蓄財があるというならまずそいつを押さえて、それで不正な部分は、全部じゃないのでしょうから、リベート部分だというのですから、その部分は日本に返してもらう。返せなければそれは普通の金利にしてもらう。日本国民に損害を与えないため、貸した金を返してもらえばいいのですからこっちは。そうでしょう。だから、金利が安過ぎるから、七%か何かのやつが三%でやっているから、その差額が要するに利子補給になって国民の税金が使われているということでしょう、実際問題として。ですから、国民の感情からすれば、貸した金は返してもらう。住宅公庫から金を借りて住宅をつくるといってほかのものに使っちゃったら、それは返してくれ、こう言われるわけですからね。だから私は、まず返してもらうのが先じゃないのか。それで今度は向こうが調べて、日本企業がそれに援助をしているということがはっきりわかれば、それはそれなりにフィリピンの法規で、罰則で出入り禁止をすればいいわけですから。だから、またこういうことをはっきり調べてもらって、我々は今後未然に防止できるような材料があればそれは非常に役立つことですから、そういう場合は援助はストップ、あるいは慎重にやらなければできませんということで、やはりけじめをつけないとこれはいかぬと思うのですよ。それは撚糸事件じゃないけれども、撚糸事件だってやはりけじめをつけないと、だらしなくやられたら幾ら監督官庁、国内だって監督できないのだから、それであれは実際は捕まっちゃったんだから。まして海外の問題については、そこまで言われたって実際は不可能に近い。だから向こうの政府に反省を求めるということが第一義的だ、私はそう思っておるのです。
#319
○横手委員 時間が参りましたので終わります。
#320
○佐藤(信)委員長代理 工藤晃君。
#321
○工藤(晃)委員 私は、きょうはクリーン・ジャパン・センターについて伺いますが、この問題は、具体的ないろいろな問題が出ておりますので、大臣もよく聞いておいてください。
 まず、クリーン・ジャパン・センターの成立のいきさつについて伺いますが、このクリーン・ジャパン・センターは、通産省の廃棄物再資源化政策推進の必要上設立された財団法人である。具体的には、立地公害局長の私的諮問機関である再資源化懇談会、昭和四十九年十二月二十三日に中間報告が取りまとめられて、その中でこの構想があり、五十年度に通産省がクリーン・ジャパン・センターへの国庫補助金予算の新規要求に対して予算がついたというのでクリーン・ジャパン・センターが設立され、その中間報告に出されたような各種事業に着手することになった、こう理解しておりますが、これはイエスかノーかだけでいいですから答えてください。
#322
○黒田(明)政府委員 大体そのとおりでございます。
#323
○工藤(晃)委員 それでは次に伺いますが、通産省の省資源再資源化事業費補助金交付要綱で、この補助金の交付の目的、第二条がどうなっているのか。これは読み上げていただいてもいいのですが、私、手元にいただいておりますから、私の方から読みましょう。「第二条 廃棄物の処理及び省資源・再資源化を促進するため、センターが行う廃棄物の処理及び省資源・再資源化に関する調査研究、啓蒙普及等の事業に必要な経費について助成を行うことにより、環境の保全並びに国民生活及び産業活動の省資源化に寄与し、もって、国民福祉の増進と国民経済の効率化に資することを目的とする。」こうありますね。
 さて、このCJC、クリーン・ジャパン・センターに対して補助金を出すときは、やはりこの目的にかなっているということが要件になると思いますが、これもイエスかノーかだけで結構でございます。
#324
○黒田(明)政府委員 そのとおりでございます。
#325
○工藤(晃)委員 じゃ次に、クリーン・ジャパン・センターでは実証プラントというのを、これまで五十年度から五十九年度まで十本と言われております。もう十一本になったのでしょう。その設置費に二分の一の補助率で補助金が出されている。これは交付要綱を見ましても、大臣が書類などを審査することになっておりますから、当然実証プラントとは一体何であるかという概念がはっきりしてないと交付できないと思いますが、それはどういう概念になっているでしょうか。
#326
○黒田(明)政府委員 実証プラント事業と申しますのは、各種の要素技術を組み合わせましたシステム技術を用いまして、廃棄物を再資源化するためのプラントを建設する、そしてその運転実験を行うことによりまして実用性のあるシステム技術を開発することを目的といたしております。
#327
○工藤(晃)委員 その場合、要素技術というのは、もう既にある要素技術がどうかということが一つと、それから各種の実験をやって実用性というとき、技術上でともかくこのプラントが動くか動かないかを実験した。それから経済性ですね、経済性があるかどうか確かめる。どっちの実験、実証をやるプラントなんですか。
#328
○黒田(明)政府委員 要素技術は既にある技術を使うことに通常はなってございます。
 また実用性の点につきましては、技術的実用性のみならず、それが実社会において実用的であるかという観点も含めて見ることにいたしております。
#329
○工藤(晃)委員 ちょっともう一度そこを確かめたいのですが、技術的に動くかどうかだけでなしに、経済性を持っているかどうか、それも同じような重要性、意図を持ってそれをやることになっているのですか。
#330
○黒田(明)政府委員 経済的にも実用性があるかどうかを見通しを得ることにいたしております。
#331
○工藤(晃)委員 そうしますと、「クリーンジャパン」設立十周年記念号で、これは五十五号となっておりますが、ここでこれまでを振り返った座談会が行われております。ここにはクリーン・ジャパン・センターの関係者、環境庁国立公害研究所主任研究官後藤典弘、その他長藤史郎立地公害局公害防止企画課長などおられて座談会をやっておりますが、クリーン・ジャパン・センターのこれまでの事業としては、技術的にどうかということを確かめるのがせいぜいであって、経済的実証プラントということはこれからの課題だということをちゃんと書いてありますね。これは十年間を振り返ってそうなっているのですが、そうしますと、同じ実証プラントといって通産省は補助金を出しておきながら、クリーン・ジャパン・センターの方は経済性の実証はとてもまだそこまでいかないんだと言っている。こういう概念がかなり違うところに、そういう概念で出されていたということになりますが、それでよろしいですか。
#332
○黒田(明)政府委員 経済性と申します場合、技術について実証実験をいたす段階で見るわけでございますので、この技術を用いて商業的に行った場合にそれが経済性を持つかどうかということについては、到底確定はできないというふうに考えます。私どもが考えております実証実験における経済性の観点からの実用性と申しますのは、事業を遂行いたします場合に、その事業が成り立つかどうかは、単に技術によるのみならず、その事業を行う経営の方式あるいはその他の経営に関係いたします諸要素が当然加味されてくるわけでございまして、商業的な意味での経済性はそういったものの結果として判定できるものでございます。したがいまして、技術の実証実験の段階における経済性というのは、そういったものを除きまして、やりようによっては技術として経済性を持ち得るものであるかどうかというような観点から見るわけでございます。
#333
○工藤(晃)委員 要するに技術もこれでやれるかどうか、このプラントが動くかどうかということであるし、経済性も一体どうかということだと伺います。
 さて、そうすると、実証プラントの事業を見ますと、クリーン・ジャパン・センターがこのプラントを設立して実証実験を行っていく。つまり建設、実証実験に責任を負う。したがって、クリーン・ジャパン・センターに補助金が出されるということでありますが、クリーン・ジャパン・センターのプラント建設費の残りの部分や、それから実証実験の諸経費ですね、それはクリーン・ジャパン・センターが負担するのではなしに、私もいただきましたが、これまで十本なら十本の実証プラント、それぞれ運転委託者というのがあって、委託先が自治体であったり民間企業であったりしますが、そこなどがそれらを負担しているわけでありまして、例えば建設費の分担費に関して言えば、ともかくクリーン・ジャパン、センターに寄附をして、そしてそのプラントを建設するということになっているわけです。それはもうそういうことなんです。したがいまして、今立地公害局長も言われたように、技術的にうまくいくかどうかもこれから調べるんだ、経済性がうまくいくかどうかということもこれから調べるんだ。そうすると、クリーン・ジャパン・センターは、運転委託を受ける者など協力者に、これはまだ技術的にこれから確かめるんですよ、経済性もこれから確かめないとわからない点が多いんですよと言って、リスクを伴うということを事前によく知らせて、それを承知で、協力者に対して運転委託あるいはいろいろ寄附を仰ぐということをやらなければならない、リスクがあるということをはっきり知らせなければならないと考えるが、どうですか。
#334
○黒田(明)政府委員 この事業は要素技術は存在するけれども、システム技術として成り立つものであるかどうかを実証実験するものでございます。実用規模のプラントでこのような技術を運転してみて、それがうまくいくものかどうかということをいわば実証的に見ようという事業でございますので、当然これにはそれなりのリスクが伴うわけでございます。リスクが伴うがゆえに補助金も出すわけでございまして、このような実証実験であるということはいろいろな方面で明確にうたわれておりますし、それぞれの事業採択の際は明確になっているはずでございます。
#335
○工藤(晃)委員 はずでありますでなしに、クリーン・ジャパン・センターは、仮にある人が協力者になってあるいは運転委託するとき、そういうリスクがありますよということを共同の事業が始まる前に知らせる義務があるし、通産省はそういうことをしなければいけないと指導してきたかどうか、もう少しその辺を聞きましょう。
#336
○黒田(明)政府委員 個別にこの事業に該当いたしますテーマを取り上げる場合に、この事業に参和する人たちの間で通常は覚書が交換されるわけでございますが、その覚書の段階で実証実験であるということが明確にうたわれております。また、その後の契約におきましても明確にうたわれております。
#337
○工藤(晃)委員 覚書にそういう言葉があればいいというのではなしに、リスクが伴うということを相手に知らせないと、メーカーが欠陥プラントか何かつくって、そのためにその人がお金それからいろいろ経費を出して損害を受けるということが起こり得るわけで、それを防ぐためには事前に知らせなければいけないわけでしょう。大体実証プラントという概念についても、先日田守総務課長を呼んで私お聞きしたら、通産省にはそんな概念ございませんと、まことにあっさりと言われましたので大変びっくりしたのですが、この質問のごく間際になって、実はこういう概念があったというふうに言ってきた次第なんですね。ですから、実証実験というのは、もしこれに参加すると大変リスクがありますよということをわかりやすく知らせるように指導してきたかどうか。覚書にこういう言葉を入れなさいというのじゃなしに、もっと親切にそういうことをやってきたかどうか、それを伺います。やってこなかったなら、こなかったと答えてください。その方がわかりやすいから。
#338
○黒田(明)政府委員 これは言葉にも出ておりますように実験でございますので、事柄の性格上、当然にそれなりのリスク、これは現実に行った事業から見ますと実際には成功しておるわけでございますけれども、その事業そのものについてはそれなりのリスクが伴うというのは、実験ということで当然明確になっているというふうに考える次第でございます。
#339
○工藤(晃)委員 私が聞いているのはそういうことじゃなしに、実証実験に協力を求める人に、クリーン・ジャパン・センターがやる仕事なんだから、万が一こういうリスクを受けることもありますよということをはっきりしてやっているか。要するにそういうことをやってなかったというふうに判断して私は質問を進めますが、よろしいですね。そういうことだと思います。これは簡単に答えてください。
#340
○黒田(明)政府委員 実証実験でございますから、繰り返しでございますけれども、リスクが全然なければこのような実験をするまでもないわけでございます。(工藤(晃)委員「相手に伝えるように指導したかどうか聞いているので、それに答えてくださいよ」と呼ぶ)ですから、どういう文言でやるかということは別といたしまして、その趣旨は明確になっているというふうに考えるわけでございます。
#341
○工藤(晃)委員 じゃ少し具体的なことをお話ししましょう。さっきクリーン・ジャパン・センターの実証プラントがみんな成功しているなんて、そんなでたらめなことを言ってはだめですよ。大臣、第二号、第三号プラントなんかできてやしないじゃないですか。それはグリーン・ジャパン・センターの人たちの座談会の中にも書いてありますよ。
 だから、私が具体的に挙げるのは、富山新港背後地の北洋材バーク固形燃料化実証プラント、これは五十七年度に始まっています。北洋材というのは、御存じのようにソ連などから輸入される北洋材で、エゾマツなどがあるわけですが、富山県として外材輸入量は年間百五十万立米、富山県にとっていいますと木材業は基幹産業と位置づけられている。バークというのは木の皮などのくずだと理解していただけばいいわけですが、年間六万トン。これまで木材業者はこの処理に多額の経費をかけてきたし大変苦労してきた。燃やすのも大変だし、どこかに埋め立てるのも大変だ。そして、たまると、特に暖かくなるとショウジョウバエが発生して近所の人たちが大変迷惑する、公害発生ということになるわけです。これの建てられましたのは富山新港の背後地であります。国庫補助事業としてこのプラントが設置されて、本当に心からみんな成功を願って協力をしてきた。ところが一体どういうことが起きたか。これは昨年の六月十日、富山県木材協同組合連合会理事長小池善三郎氏、新湊地区木材協同組合理事長釣谷荘一氏連名の申し入れ、あるいは六月十七日、新湊市長渡辺一雄氏、新湊商工会議所会頭柴秀一氏連名のCJC、クリーン・ジャパン・センターに対する申し入れがありますが、この中にまことに具体的に書いてあります。例えば前者の申し入れによりますと、
 我々は当時JSWが日産百屯のペレットを連続生産可能のプラントを完成させ、貴センターが十分な点検の後TNKに引渡す契約だと認識していました。ところが建設工事着工後二年有余も経たのに未だに未完成とはまったく理解に苦しむところであります。我々が大いなる犠牲と最大の協力をもって搬入したバークがペレット化するどころかバークの山と化し、しかもこれが公害の発生源に化しつつあるとあっては只々呆然とせざるを得ません。このような状態は当初の約束からはまったく考えられないことであり極めて遺憾な事と慚愧に堪えません。
後の方の申し入れ書でありますが、
 現在までに集積された二十五万立方米に及ぶバークの巨大な山が、このまま放置されるならば思わぬ公害の発生をもたらすのではないかとする附近住民の不安も増大しつつあります。
冨山新港背後地への企業誘致にも悪い影響を与えるとか、いろいろな心配が出されているわけであります。
 そして、私もこの三月、現地に行きましていろいろ状況を伺ってまいりました。富山燃料開発株式会社の方、それからまた県の木材管理センターの方、あるいは木材業者の団体の方々に会ってまいりました。ここではもう時間が余りとれませんので詳しい状況が得られませんけれども、ともかく昨年六月、こういう要請書が出されました。ちょうどそれと前後して四月、七月に富山燃料開発、そして県の木材管理センターが通産省に対して陳情を出している。もう一年たっているのに、通産省はクリーン・ジャパン・センターに対して一体どういう指導をしてきたのか、簡単でいいですから伺いたいと思います。
#342
○黒田(明)政府委員 本件は、プラント設置までは補助対象事業でございますけれども、それが設置された後、このプラントをどのように活用していくかということはクリーン・ジャパン・センターが考えるわけでございます。そして、このクリーン・ジャパン・センターを中心にいたしまして、設備メーカー、そして今委員御指摘の富山燃料開発株式会社等の間で、この運転性能をめぐりましていろいろとトラブルがございました。この間通産省は、当事者の問題であるので、ぜひとも当事者の間で円満な解決を見出し、そして運転にこぎつけるようにクリーン・ジャパン・センターに対して指導をいたしてまいりました。
#343
○工藤(晃)委員 この点はもう少しはっきりと聞いていきますけれども、問題は、この北洋材バーク固形燃料化事業を始めるに当たりまして、クリーン・ジャパン・センターは、この事業に協力するところの富山県や木材業者あるいは富山燃料開発株式会社の関係者に対しまして、これは実証プラントでリスクを伴うのは当たり前だということは全く言わなかった。言わないところか、プラントとしてはこれこれのコストで必ず生産二万四千トン製造できますということを何度も繰り返し言ってきましたし、それはクリーン・ジャパン・センターの技術関係者の集まりである推進委員会の議事録にもはっきり残っているところであります。
 むしろ地元の人たちは、こんなプラントに参加してそういうことが起きたらどうなるか、自分たちは零細な業者だと思ったから、これは繰り返しクリーン・ジャパン・センターに対しましても日本製鋼所に対しましても確かめてきているわけであります。ところが、これは技術的にはうまくいっている、心配はないということで始まってしまったというのがいきさつであり、先ほど言いましたように、私が三月に先ほど挙げました関係者の方々に会ったら、そろって同じように言うわけであります。それで私が、この実証プラントに対して、通産省は、このように実証なんだからそれはリスクがあるかもしれませんよ、そういう理解ですと言ったら、我々はそんなことは一度も聞かされたことはない、これはクリーン・ジャパン・センターの黒須業務部長に対しても何度も確かめたけれども、そういうことは絶対ないと言っていました。県の木材管理センターのある方は、問題は技術的な実証ではなくて、つまり生産能力はこのとおりあります、コストもこれだけ出ます、問題は、ここヘバークを搬入して固形燃料をつくって、それが販路に乗って、そういう意味でうまく商業ベースに乗るかどうかその実証だ、そういうふうに考えてきたし、それ以外に考える者はこの地元には一人もいないということでありました。
 もちろん、これは富山燃料開発の方々もそうであります。あるいは新湊地区の木材協同組合の方は、プラントが正規稼働しているならば通産省やクリーン・ジャパン・センターに言うことはない、ともかくもプラントが動かないんだ。仮に石油の価格が下がった、それでこのコストでは固形燃料の採算がとれなくなる、そういうリスクなら負うのは仕方がないと思うけれども、ともかく約束したプラントの性能が全く出ない、動かない、こういうことが起きているんだとそろって言っております。特に、木材管理センターの方はこういうことを言っております。ともかくクリーン・ジャパン・センターや日本製鋼所に仕事を任せてこんなことになるとは思っていなかった、天下の通産省だからすっかり信頼してきたということであります。しかも重要なのは、さっき覚書とありましたけれども、五者のうちクリーン・ジャパン・センターと日本製鋼所を除く三者、地元の三者ともみんな同じことを言っているわけであります。
 先日、立地公害局の田守栄一総務課長が私の部屋においでになりまして、この問題は何とか解決したいとそこでは言ったわけですが、いみじくも豊田商事のように相手に誤った考えを持たせたようなことがあったとすれば問題であり、通産省のクリーン・ジャパン・センターへの監督責任はあるということも言っておりましたが、この問題点を確かめるのにそう時間はかからないと思うのです。去年からもう一年たっているでしょう。そして、粟屋理事長など前からやっておられた方に、最近あそこに通産省から天下った業務部長さんは前の業務部長と全く違うことを言うのですからだめですよ。粟屋理事長とか地元の関係者に立地公害局が行ってよく聞いてくださいよ、率直に。これまでの会議の議事録を見てください、どういういきさつがあったのか。なぜこういう調査をしないのか。この問題点についてはっきり調べる方針をとっていただきたいと思いますが、どうですか。
#344
○黒田(明)政府委員 当事者の間でどういう話し合いが行われたかというその現場的なやりとりは、私ども確認のしようがないわけでございますが、この実証実験をいたします場合に、当初生産コストは幾らになるかというような計算が行われております。私の見るところでは、それぞれの第三者あるいは関係者の言い分が別にあるかもしれませんが、最初に設定された含水率を前提とした技術は、実証実験の段階でも問題なく出たのではないかというふうに思うわけでございますが、実際に運転いたしてみますと、この含水率とそこに投入されます原料の含水率との間に差があった、ここが一つの問題点ではないかというふうに思うわけでございます。
 含水率が目標性能の前提とされていたものと実際のものと食い違った原因については、あらかじめバークを堆積してあって、そのために水分を余分に含んだとか、いろいろなものが想定されるわけでございますが、当初想定された性能は実現できていたものと思われますし、その後現実のバークの含水率を踏まえまして、改造を二度にわたって行っているわけでございます。
 そして、昨年の十月の十六日から十九日にかけまして、関係者全員立ち会いのもとで立ち会い運転というのを行ったわけでございます。その結果、このプラントは十分連続運転ができるということで、実際にそれが立証されたわけでございまして、現段階においてはこのプラントは連続運転可能のものというふうに考えております。
#345
○工藤(晃)委員 立地公害局長は、あなたはなぜ一方的にクリーン・ジャパン・センターや日本製鋼所の意見だけを聞くのですか。
 二度の大修理をやりましたね、それは全く運転できないからです。もし今水分の問題、湿度の問題を言うならば、ここで富山県木材管理センター今井専務談、私書類がありますけれども、「五十七年七月六日、五社協定の席上で通年的に五五%確保は当地では不可能と強く主張したところ、JSW土屋部長は、六〇%でも六五%でも生産できます。どこかで基準を設定しないと計画が進まないので」ということであります。そして、日本製鋼所は現場を見て、水分五五%−六五%でも結構ですというふうに言ったということもあります。これは木材管理センターの現業務係長の川口氏も言われておりますけれども、やはり同じように、日本製鋼所の営業技術宮本氏がおいでになりまして、スイッチを入れるとどんなバークでも燃料になるというので、日本製鋼所というのはすごい技術があるなど感心した、こういういきさつもあります。
 それから、富山燃料開発の方が日本製鋼所の広島研究所のあるプラントを見せられまして、これで何でもうまくいくのだというような話を聞き、その後八回にわたり、バークといっても水分の比較的少ないものもあればいろいろなものがある、水分の多いものもある、古いものもある、八回に分けていろいろなサンプル、相当な量を送って実験してもらったところが、どれもうまくいきますというので、すっかりそこで湿度問題、相手をだますような結果になってきたわけであります。
 ですから、最初に立地公害局長は、水分さえ少なければ――これは富山の気候を御存じないのですか。今まで本当に。行って、実は私も行ったとき、きょう初めてお目さまを見たというようなことで、三月四日ごろでしたが、それで、五五%以下の月なんて何カ月とないですよ。だからこそ地元の人たちは、こういう水分を大量に含んだパークが処理できるということを相手が言うから、日本製鋼所も言うし、クリーン・ジャパン・センターもそのことを言って、性能が出るというからこの仕事にうかうかと乗ってしまった、こういうことじゃありませんか。
 それから、第一、プラントが完成したということはもう全くとんでもないことでありまして、これは私もこの議事録を持ってきていますが、五十九年十二月十二日から十三日、ここではクリーン・ジャパン・センターの黒須部長がそこに来た日本製鋼所の土屋部長、谷口、福田氏などに対しまして、この場所で黒須部長が「土屋さん、連続性がない、改造しなければならないことは認めますか。」土屋部長は「認めます。」そう言うので「抜本的に見直しは必要と思うか。」「認めます。」いつできますか。六カ月後にできます。
 これを後でお見せしますが、そのとき黒須部長直筆で、どの部分は日本製鋼所は直さなければいけない。それで認めたわけですね。どこが完成しているのですか。
 そしてもう一つ、そのころから、このプラントの性能の検定では大変権威のある日本技術士会にクリーン・ジャパン・センター、恐らくこれは黒須部長が頼んだのだと思いますけれども、「北洋材パーク固形燃料化実証プラント操業運転性能評価に関する報告書」、六十年三月発表になっております。聞くところによりますと、こんなプラントろくでもないと余りにも強く書き過ぎたために、三回直して調子を和らげているということがありますが、私たちこれを見ても、今あなたが言ったように連続運転できないということが書いてあるのですよ。プラントの連続運転性能は不十分であると判断されるということを書いてあります。それから「設置メーカーは、これらの前提条件」これらの前提条件というのは、「原料への異物の混入、水分の変動、材料の変化、収荷量の変動等は予想外に大きいことがしばしばおこり得ることである。したがって設置メーカーは、これらの前提条件を十分配慮してプラントの設計をすべきであり、異物混入、水分変動、材料の変化を理由にして、ユーザー側の責任とすべきではなく、むしろメーカーとして設計に考慮不足が責められるであろう。」と書いてあるでしょう。そして結論としては、講評の中で「プラントは本文中で述べた如く、設備の不具合と思われる問題点を解決しない限り、現状のままでは、連続運転性の確立は困難」であると書いてあるのです。
 黒須部長も、日本製鋼所はこんな不完全なことをやってはだめだ、直しなさいとはっきり言ったし、その直後に発表された日本技術士会のこの報告書にもそう書いてあります。これをよく読んでください。いいですか。
 そして、一度、さっき言いました五十九年十二月の段階で、日本製鋼所は修理しますと約束したにもかかわらず、その後態度を変えたというのがいきさつでございます。したがいまして、その後の修理は全く行われておりません。
 それで、あなたが言われた例の立ち会い実験というのは、もともとこれは富山燃料の側もはっきりと、いろいろな条件でこのプラントの性能を確かめるそういう実験でなければ意味がないといって反対しておりましたけれども、ともかくも一度はやってみなければというようなことで、全く例外的な条件で、そのころはバークの湿度が六〇以上のかなり高い、こういう条件であった。それにもかかわらず、前もってバークを日に干して、さんざん乾かして、そしてその前に非常に長い期間プラントをとめて修繕をしたり整備をして、いつもの何倍という人がやって、三日間か四日間連続運転したというので、もうプラントは完成した、こんなことを一方的に出している。そのとき、こちらは本当にいろいろな条件のバークでこれを実験して、本当にどこの機械にどういう問題があるか、そういうことを立ち会ってやろうじゃないか、そういう地元の人たちの期待、要求を全く踏みにじった一方的なやり方でやって、それをもってもうプラントは完成したなんてとんでもない、このときのやりとりは一体どうなっているのか、こういうことであります。
 しかも、私にとって一つ非常に強く感じる問題は、黒須業務部長のときには、ともかくこれは日本製鋼所の責任をあくまで追及するという態度がはっきりとられてきましたが、六十年の三月までおられて、業務部長が矢島業務部長に、これは通産省から行った人ですが、かわってから、このときから、実証プラントというのはこういうリスクがあるのは当たり前だと言い出した。だから地元の人は、そんなことを聞いたのはこの矢島さんになってから初めてだ、こういうことを言い出した。そして先日も、何か報告会をやると言って、最初から飛行機の時間が四時だからと言って、私はその会議録を読みましたけれども、まさに捨てぜりふのように、プラントは完成しております、問題は燃料とオペレーターの方だというようなことを平気で言って行ってまった。しかしこれまでの経過を見れば、さっき言いましたように、五十九年十二月十三日、黒須部長が日本製鋼所に欠陥をはっきり認めさせて修理するという約束をさせた、日本技術士会がこのプラン小は大きく改善しなければ連続運転ができないと言った、こういう事実からして、あなたが言ったように、ブラントはもう完成しているというようなことは、これはまさに矢島部長と同じような言い方であって、非常に不信を買っていると思うわけであります。
 それで、私もこの問題をもっとゆっくり時間をかけてここで質問したいと思いますけれども、時間の関係がありますけれども、一つだけ、私がなぜきょうここでこの問題を取り上げたか言いたいわけであります。
 これはさっき言いましたように、最初の段階で補助金が簡単にクリーン・ジャパン・センターに出されて、例の補助金交付要綱でいえば、普通は競争で入札されるということなんですが、随意契約で日本製鋼所というのが一遍に出てきてしまった。それで、技術的にはもう完成しているかのような印象を与えた。ところが、竣工式が済んだら途端に機械が動かない、トラブル続出、それで一次改造、二次改造。このときまではまだクリーン・ジャパン・センター、それから日本製鋼所も応誠意を見せたと思うわけです。それで、さっき言った五十九年十二月、黒須部長が直接具体的にここの欠陥を直しなさいということにして日本製鋼所は約束した、その後で黒須部長と矢島部長が今度は入れかわって、こういう態度を急変させるようなことになった、このことは極めて重大な問題であります。
 これはよく悪徳商法にあるのですよ。悪徳セールスで、こんなことを言わなかったよと。ところが、前の人だとそれは都合が悪いものですから、人をかえてきて、うちのそれはそんなことを言っておりませんということを平気で言うのですね。しかし、よく考えてみてくださいよ。クリーン・ジャパン・センターのその責任者は財界の大立て者の永野さんでしょう、そして後ろは通産省の事業だ、地元の人が本当に信用してしまうのですよ。しかも、最初に何度も、経済性に問題があるのではないか、我々はそれが不安だ、こんなに湿気の多いところでバークの処理ができるか。それもできます、できますと言ってとうとう引きずり込んできて、それである程度までは修理をしたけれども途中で突き放して、もうプラントは完成しました。これまでの議事録にそんなことは書いてないじゃないですか。
 ですから、私がこれをきょう取り上げたのは、実は富山燃料の経営がこのままでは相当厳しくなってきている。これは県や地元木材業者の協力、地元銀行の協力があるから今日まで来ているけれども、富山燃料の方からいえば、自分の敷地も出した、プラント本体約半分の負担も出した、附属施設も出した、これまでのいろいろな運転だとかメンテナンス、それも経費を負担してきた、しかも製品が余りできないからもちろん収入は少ないというので、当然ここでは経営が苦しくなってくる。この問題でとてもこれ以上長くほっておけないので、そういうことで私はきょう取り上げたということが一つ。
 それから、昨年六月でさえ二十五万立米の巨大なバークの山ができて公害が発生する。地元木材業者は、ただでさえこの不況の中で苦しい目に遭っているのに、このバークの山を見て夜も寝られないという状態がきている。富山の基幹的な産業である木材業界に対して大変な危機になっている、こういうことできょうどうしても取り上げなければならなかっということ。
 そして、本来なら私の場合、こういうトラブルがあるとき、もちろん地元の人、富山燃料の方の意見も聞くけれども、当然クリーン・ジャパン・センター、日本製鋼所の方の意見を十分聞いて、反論も十分聞いて確かめていきたいと思ったところが、一度私に会うと約束しながら、一方的にもう会うことができないということを言ってきた、こういうことになっているわけであります。
 これは通産省の対応も非常に遅い用甚だ遺憾であります。昨年の十二月二十日、公害防止指導課の石田課長にいろいろ私の方の要望も伝えました。ことしになってから、今度は田守総務課長がおいでになりまして、私が代表していろいろこの問題の解決に当たりましょう、そしてさっき言ったように、豊田商事のようなことがあればこれは問題だということもそこで言われたわけであります。
 ところが、その後田守総務課長に会おうとすると、どこに行ったかいつまでたっても会えない。そして、補助金交付要綱も私の質問する前の日まで出してこない、資料も出さない、こういう状態なんです。それで聞くと、立地公害局のある課長が逮捕されたから、それで混乱していてできないんだ、こんなことを言うありさまであります。
 しかし、さっき言いましたように、これは通産省の事業であり、それで通産省が設立したクリーン・ジャパン・センター、国から巨額の補助金が行っている。さっき言った補助金の交付要綱の中の目的というのもはっきりしている。地元の環境の改善、それから生活の改善に役立たなければいけないと言っているのに、全く逆ですね。環境はますます悪くなる、下手をすると企業は倒産するかもしれない。理に木材業者は非常に苦しんでいますよ。そういうことになっていることに対して、もっと通産省は責任を持ってこの問題を見て、そして道理のある解決、前向きの解決をぜひしていただきたい。それで、今立地公害局の内部で逮捕者が出たからといって、これをおくらせるようなことがあってはならないと思います。
 ともかく、一方的に、一方の意見を聞いてもうプラントは完成したとかいうのではなしに、もう一度関係の資料を、私も出すのを協力しますから、局長さんも私の部屋へ来てください。私が行ってもいいです。それでいろいろ資料を突き合わせて、この問題をもう少しじっくり煮詰めて、そして問題の解決に当たっていきたいと思いますが、そういう点で、どうでしょうか、通産大臣、お答えいただきたいと思います。
#346
○黒田(明)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、当事者同士の話し合い、特にこれは当事者同士の契約に基づくものでございますので、どうしても当事者同士の話し合いがベースにならざるを得ないわけでございます。
 それから、当事者同士現場でどのようなやりとりがあったかというところは、双方いろいろと言い分があるのでございましょうが、私ども役所の立場からは、なかなかどっちが正しいとか言うわけにもいかない問題を含んでおります。
 この点についてはぜひとも御了承いただきたいと思うのでございますが、経緯につきまして今工藤委員が言われましたのと私が承知いたしておりますのとでは若干差がございます。途中二度にわたりまして日本製鋼所が改造を行っております。また、その間にかけた損害に対しまして金銭を払っておるわけでございます。そしてその後、日本技術士会でその評価をお願いしました。その評価は大きく分けますと二つに分かれるわけでございますが、一つは設備面の問題、もう一つは操業管理面の問題でございます。この二点について問題ありというのが日本技術士会の指摘でございましたが、これらについて日本製鋼所及び富山燃料開発株式会社両方から異論が出ました。それで、クリーン・ジャパン・センターは何とか本件の円満かつ適正な解決を図りたいということで、それぞれに折衝いたしましたが、その結果、それでは立ち会い運転をやろうということになって、関係者立ち会いのもとに運転が行われたと承知いたしております。そして、それが四日間にわたり連続運転が可能であったということでございます。その間、先生おっしゃられましたように、例えば前処理のところで思ったよりは人が多く要ったとかいうようなことがございます。金属をよけるとかいろいろなことは……(工藤(晃)委員「肝心なことを答えてください」と呼ぶ)事前にそういうような話もあった、そういったことで行ったようでございまして、格別そこで当初の条件が変更されたのではないという言い分もございます。
 そこで、私どもはクリーン・ジャパン・センター、ましてや日本製鋼所の肩を持つ立場には毛頭ないわけでございまして、本事業が北洋材のバークの適正な処理を新しい技術の導入によって解決したいというところに、その一点にございます。したがいまして、その一点に立ってこれまで指導してきたわけでございますけれども、当事者の言い分が食い違うといったような点に阻まれてきているのがただいまの状況でございまして、私どもは一生懸命やっているわけでございます。現在、地元におきまして関係者の話し合いが行われていると承知いたしておりまして、何とかここでいい解決方策を見出してほしいと考えております。
#347
○渡辺国務大臣 これは事業のトラブルの話で、行き違いの話……(工藤(晃)委員「事業じゃないのです、通産省の……」と呼ぶ)いや、だから事業でしょう。ですから、よく当事者間でもっと話し合いをしてやったらいかがですか。通産省が介入してどうこうという話じゃないように、両方の話を聞かないとわかりませんが、私、両方聞いておって、どうもそのような気がいたしました。
#348
○佐藤(信)委員長代理 工藤君、時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。
#349
○工藤(晃)委員 はい、わかりました。
 それで、今言われたことで、日本技術士会が出したことに双方からというようなことで、何か双方にあれするというのはちょっとおかしいのですね。富山燃料の方から大きな意見があったと聞いておりません、厳しい意見を受けとめたというふうに聞いておりますが、問題は、このプラントの幾つか、非常に多くの点を直さないとこれは連続運転できないという指摘がこの技術士会の指摘なんであります。
 それから、よく話し合いをしろということを大臣も言われました。これは非常に大事なんですが、先日矢島部長が富山に来まして、説明会というのを三月に行われました。これは三月十二日。そのとき、最初からもう飛行機の時間があるということを矢島部長が言われまして、そうしてもう一方的なことを言って、報告会は終わった、再度開くことは考えていない、何もかもこれで終わりだという捨てぜりふを言ったんだが、これでは話し合いにならない。こういうことを含めて、どうしてもこれは双方のことをよく聞く、話し合うようにやっていただきたい。
 それから、これは通産省が介入するものじゃないと言うけれども、最初言いましたように、通産省の補助金、指導要綱、通産省の事業として始めたことでありますから、その結果こういうことになっていることに対しては、やはり考えていただかなければならないということを申しまして、私の質問を終わりたいと思います。
#350
○佐藤(信)委員長代理 次回は、明九日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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