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1985/05/07 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 商工委員会 第16号
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1985/05/07 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 商工委員会 第16号

#1
第104回国会 商工委員会 第16号
昭和六十一年五月七日(水曜日)
    午前九時三十五分開議
出席委員
  委員長 野田  毅君
   理事 奥田 幹生君 理事 佐藤 信二君
   理事 野上  徹君 理事 与謝野 馨君
   理事 城地 豊司君 理事 和田 貞夫君
   理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君
      甘利  明君    石原健太郎君
      尾身 幸次君    奥田 敬和君
      加藤 卓二君    梶山 静六君
      粕谷  茂君    岸田 文武君
      高村 正彦君    椎名 素夫君
      谷垣 禎一君    辻  英雄君
      中川 昭一君    仲村 正治君
      林  大幹君    浜田 幸一君
      原田昇左右君    渡辺 秀央君
      後藤  茂君    上坂  昇君
      佐藤 徳雄君    田並 胤明君
      中村 重光君    水田  稔君
      横江 金夫君    中村  巖君
      日笠 勝之君    福岡 康夫君
      伊藤 英成君    工藤  晃君
      野間 友一君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  渡辺美智雄君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局取引部長 利部 脩二君
        通商産業政務次
        官       田原  隆君
        通商産業大臣官
        房長      児玉 幸治君
        通商産業大臣官
        房総務審議官  鎌田 吉郎君
        通商産業大臣官
        房審議官    松尾 邦彦君
        通商産業省産業
        政策局長    福川 伸次君
 委員外の出席者
        議     員 上坂  昇君
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   国松 孝次君
        経済企画庁国民
        生活局消費者行
        政第一課長   里田 武臣君
        法務省民事局参
        事官      濱崎 恭生君
        法務省刑事局刑
        事課長     原田 明夫君
        大蔵大臣官房企
        画官      坂  篤郎君
        文部省初等中等
        教育局中学校課
        長       林田 英樹君
        商工委員会調査
        室長      倉田 雅広君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月七日
 辞任         補欠選任
  甘利  明君     石原健太郎君
  椎名 素夫君     中川 昭一君
  松野 幸泰君     浜田 幸一君
  水野  清君     谷垣 禎一君
  奥野 一雄君     佐藤 徳雄君
  浜西 鉄雄君     上坂  昇君
  渡辺 嘉藏君     田並 胤明君
  近江巳記夫君     中村  巖君
  木内 良明君     日笠 勝之君
  青山  丘君     伊藤 英成君
同日
 辞任         補欠選任
  石原健太郎君     甘利  明君
  谷垣 禎一君     水野  清君
  中川 昭一君     椎名 素夫君
  浜田 幸一君     松野 幸泰君
  上坂  昇君     浜西 鉄雄君
  佐藤 徳雄君     奥野 一雄君
  田並 胤明君     渡辺 嘉藏君
  中村  巖君     近江巳記夫君
  日笠 勝之君     木内 良明君
  伊藤 英成君     青山  丘君
    ―――――――――――――
五月二日
 円高不況克服対策の確立に関する請願(天野光
 晴君紹介)(第三七〇九号)
 円高による輸出関連中小企業の救済対策に関す
 る請願(近藤元次君紹介)(第三七一二号)
同月六日
 柏市への大型店新規進出反対等に関する請願
 (長田武士君紹介)(第三九〇〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 特定商品等の預託等取引契約に関する法律案
 (内閣提出第八五号)
 訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律
 案(上坂昇君外三名提出、衆法第一一号)
     ――――◇―――――
#2
○野田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特定商品等の預託等取引契約に関する法律案及び上坂昇君外三名提出、訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
#3
○中村(重)委員 東京サミットは終わったわけですが、渡辺通産大臣も通商担当大臣として出席をしておられたのですから、一応御苦労さまでございましたと申し上げます。
 非常に残念なことですけれども、マスコミは一斉に日本側は完敗だ、アメリカは目標をすべて達成、日本は目標は皆実らなかった、私もそういうようなことで受け取っているわけです。具体的な内容になってくると、非常に懸念されるのは、テロに対するところのリビアを名指しをして非難したということなんですが、そうなってまいりますと、アラブ外交というのを独自に進めてきただけに、中東諸国がすべて反発をしているわけですから、したがって、我が方のアラブ外交に対して影響が出てこないということは言えないのだろうというように思っているわけです。具体的に懸念される点はどういうことだとお考えになっていらっしゃるかということが一つであります。
 その次に、為替協調介入の問題についてお尋ねいたしますが、一応リビアを名指し非難をしたことによってこれからのアラブ外交にどういう影響があらわれてくるのか、懸念される点は何か、その点をひとつお答えをいただきます。
#4
○渡辺国務大臣 テロ問題は直接私の所管ではございませんが、日本は議長国でございますから、議長から進んで意見を述べるという場面は余りございません。大勢を見て、それでまとめなければならない立場であります。
 今回意外と我々が感じたのは、農業問題とかテロ問題その他でフランスがどういうような考えを持っているかということが非常に興味のあったところでございます。ところが、テロ問題についてアメリカ、イギリスが強い姿勢を示すのは当然でございますが、それに非常に理解を示したというようなことになりますと、カナダあるいはイタリー等も同調するということになりまして、日本は議長国として孤立するわけにいかぬわけでありますから、そういう意味で、議長が取りまとめをしたというだけであります。
 私はこの間サウジなども歩いてまいりましたが、いろいろな情報を聞きましても、サウジはいかなるテロに対しても断固たる措置をとる、それはもういかなる国、いかなる人の問題でも、テロそのものはこれは認めるわけにはいかないというようなことを言っておりました。
 別な情報、ニュースによれば、ムバラク・エジプト大統領等も、ともかくテロは絶対いかぬというようなことでございまして、今回のテロについて、確たる証拠があって、リビアが関連をしておったという証拠を次々出されると、やはりそれはいいことだということはなかなか言えないわけでありまして、結局そういうことのないように今後してもらわなければならぬというような点でまとまったものというように理解をいたしております。
 以上であります。
#5
○中村(重)委員 テロというものが野放しできないということはわかるわけでして、そのことを私はお尋ねをしているのではないのであって、通商担当大臣として、アラブ外交というものを独自に進めてきた、これをリビアを名指しで非難をしたということについて、中東諸国がみんな反発をしているわけですね。したがって、通商面からしても、今まで進めている独自のアラブ外交というものに対して何らかの影響がないということは私は言えないと思う。したがって、あなたの進めるこの通商政策の面について懸念される点は何か、こうお尋ねをしているわけですから、そのことに対してのお答えをいただけばいいわけです。
#6
○渡辺国務大臣 まだ声明が出たばかりで、詳しい反応等の分析はいたしておりませんが、やはりテロそのものはいかぬということでありまして、それがたとえリビアのテロであろうとどこのテロであろうとテロはいかぬということでございますから、私は一部の国等において多少反発があったとしても、大勢には影響ない、そういうように考えております。
#7
○中村(重)委員 時間がありませんから、私の質問と答えがかみ合わないのですけれども、次に為替の協調介入、我が国の願望というものは実現をしなかった。結局、各国ともそれぞれの国の国情であるとか国益というものが優先をしてきた。いかに国際外交というものが厳しいものであるかということを、身をもって日本政府としても感じ取ったであろうというように私は思うわけです。だが、大変心配なことは、円が高値に定着をするという可能性が出てくる、そうなってくると、我が国経済にとって大きな影響というものがあらわれてくるわけです。なかんずく、中小企業は深刻な状態に陥っていくことになるわけですが、大臣は中小企業の援助を今後どう進めていこうとしておられるのかということが一点であります。
    〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
 いま一つは、内需拡大、これに本気で取り組んでいかなければならない。内需拡大政策は国際的な一つの公約ということにもなってきたわけですから、考えられる内需拡大政策というものは今後どう進めていこうとされるのか、具体的な点についてお答えをいただきたいのが二点であります。以上について。
#8
○渡辺国務大臣 中小企業が円高のために、特に輸出業者、中小企業もいろいろございますが、輸出関連の方々が非常な苦境に立っているということは、これは事実でございます。したがいまして、これに対してはかねて申し上げておるとおり、特定中小企業者等の事業転換に対する法律等によって、できるだけこれは金融その他で政府としては面倒を見ていかなければならぬという考えでございます。
 それと同時に、事業の転換についてはやはり一つの産業調整、構造の調整でございますから、人によってはどうしても転換せざるを得ないというお方もないとは限らない、あるだろう、私はそう思っております。これはできるだけの配慮をしてまいりたいと考えております。
 一方、内需の拡大という問題につきましては、これもかねて御説明を申し上げておるとおり、公共事業の前倒しを行うとかあるいは投資減税を行う、あるいは住宅減税を行うあるいは金利を引き下げるというようなこともやることにいたしておりますし、また民間活力を利用していろいろな大型プロジェクトを遂行する、こういうことももう既に予算その他でお認めを願っておるところでございます。一つの手だけというわけにはまいりませんので、いろいろな手を組み合わせまして、できるだけ内需の振興を図ってまいるというのが政府の考えであって、詳しいことは既にもう膨大な資料で発表しておるとおりでございます。必要があれば事務当局から説明をいたさせます。
#9
○中村(重)委員 今あなたのお答えを聞きましても、貿易摩擦、国際的な関係ということから言葉を選んでお答えになっておられる。そのことはそれなりに理解をするわけです。しかし、我が国は、中小企業というものの事業活動が経済のかなめだということを言ってもよろしい特異な国であるというように私は考えているわけです。それだけ中小企業の経営の安定というものは強力に推進をしていかなければならないというように思うのです。
 円高によって深刻な打撃を受けて倒産に次ぐ倒産というような状態にあるのに対して、これに対する税制、金融政策に対して強力な施策を講じていくのが当然だろうと私は思う。これをもって援助であるというようなことで批判を受けるということは当たらないというように考えているのです。ですから、アメリカからあるいはその他の国からいろいろな批判、非難といったようなものがあったにしても、これに対して右往左往するのではなくて、日本の置かれておる立場、そういうことを胸を張って強調していくという態度でなければならないというように考えます。
 ですから、これから内需拡大の転換対策というものを強力に推進すること、中小企業を支えていくということ、このことをひとつ渡辺通産大臣は自信を持って対処していかれることを要望いたしておきます。
 時間がありませんから法案の質問をいたしますが、まず、預託等の取引契約の解除の点についてお尋ねをするのですが、第九条のクーリングオフ、十四日間ですね、これを経過した後契約解除の違約金一五%とあるわけですが、これは高過ぎるというようなことで修正等の話し合いについても今与野党の間において折衝が行われているように伺っているわけですが、大臣はそれらの与野党の動き等に対しての見解というものをどのようにお持ちになっていらっしゃるのか伺います。
#10
○渡辺国務大臣 与野党間でいろいろ修正点、附帯決議等について真剣な話し合いを行われているということを聞いております。私は、話し合いがついて与野党間で適切な修正が行われることはやむを得ないと考えております。
#11
○中村(重)委員 これは事務当局でよろしいですが、クーリングオフの経過後、これは現金決済後ということになりますね、違約金を支払えば契約解除はできるということになっているわけですが、トラブルの懸念はありませんか。
#12
○松尾(邦)政府委員 先生御案内のように、クーリングオフ及び中途解約権の規定は、消費者が万一十分な判断をしないままに契約を結んでしまった場合に、後で考え直して、これはやはりリスクも大きいしやめておいた方がいいという場合に認められる措置でございますが、クーリングオフの場合は十四日間無条件でございますけれども、先生御指摘のとおり、中途解約権の場合には、今与野党でお話し合いされておりますけれども、一定の解約料の支払いが必要なわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、この預託等の取引契約自体は、そのもとになりました品物、対象になっております預託等取引の目的となっている商品、これをどういう形で販売したかということとは無関係に、一定の法律の要件に従えば解約ができることになっているわけでございまして、特に現金取引であったことに伴う事由をもって解約にトラブルが生ずることはないと考えております。
#13
○中村(重)委員 今のお答えからいたしますと、これは私どもは一五%を肯定するわけじゃないですけれども、政府の提案に一五%とありますから、そういうことでお尋ねをするのですけれども、一五%違約金の支払いをすると、相当長期間に及んでの契約解除ということであってもそれは可能である、こういう理解でよろしいわけですね。
#14
○松尾(邦)政府委員 預託等取引の契約期間内であれば、消費者の一方的な判断によりましていつでも解約をしていくことができるというのが中途解約権の趣旨でございます。
#15
○中村(重)委員 訪販法は現金決済後の契約解除の規定はないわけですが、私は、現金決済後の違約金を支払うことによっての契約解除は、これはユニークな考え方であるというように思っていますから、これはこれでよろしいんですけれども、訪販法にはない、今回の法案にこれを盛り込んだ積極的な理由というのは何ですか。
#16
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘のように、訪問販売法では、現金取引について、既に契約が完全に履行されてしまったものまで、その契約の効果をもとに戻して、なかったことにするということについてはいろいろな法的な安定性の問題がございます。つまり、もう現金を決済して、品物も渡したというのにもかかわりませず、無条件にまた契約をなかったことにするということになりますと、あらゆる契約ということになってしまいますと、なかなか商売も安心してできないということで、訪問販売法では現金販売についてはクーリングオフの規定を適用しないことにしているわけでございます。
 本件預託等取引契約の方についてもう少し敷衍して申し上げなければいけなかったのかと思いますけれども、法案で書いてございますクーリングオフあるいは解約の権利と申しますのは、金なら金、そういった商品等を預ける、そして預けたことに伴いまして一定の財産上の利益をもらうということを約束した契約についての解約が書いてあるわけでございます。クーリングオフにしましても中途解約にしても、そういう趣旨で書いてあるわけでございます。その根っこには恐らく金等を業者が消費者に販売するという行為があって、販売した上でそれをそのまま預かるというのが豊田商事なんかの事例だったと思います。私が申し上げた趣旨は、金等を販売する際に、それが分割払いであろうが現金決済であろうが、そのことと、この法律のいわゆる預託等取引契約の解除ということとは一切関係なしに解約権の行使ができるということを申し上げたわけでございます。
 ただ、それでは今度は、預かる契約以前に結ばれておりました金等の売買契約のところについてどういう効果が及ぶのかというのが、あるいは先生のもう一度御指摘されたい点だったのかと思いますけれども、そこまでさかのぼりますと、この点につきましては、法律上は預託等の取引契約の解除のことを書いてあるわけでございまして、そのもとになりました売買契約まで果たしてこの解約と同時に自動的に解除されるかどうかについては、法律では触れておらないのでございます。ですけれども、私どもの考えでは、そのもとになりました売買契約が現金決済によるものでありましても、個別ケースに応じまして解約の効果が及ぶ場合が当然あるだろうというふうに考えております。
 具体的には、これは個別ケースごとに、あるいは裁判になれば裁判所の判断を仰ぐことになる場合もあろうと思いますけれども、例えば売買の契約と預かる契約とが一括したような契約になっている、そして、売買契約が預かる契約の成立を条件として行われているというような場合、あるいは両者、売買契約と預かる契約とが不可分一体になっているようなケースも当然あると思います。そのような場合については、私どもの感じでは、現金決済であろうとも当然解約ができてしかるべしというふうに考えているわけでございます。
 なぜこのようなことをいたしたかと申しますと、やはり預託等取引契約の場合は、豊田商事の例を見るまでもなく、大変多額の金銭を消費者は損失するという社会的に大きなゆゆしい問題を生じた経緯がございます。単なる商品を一つ買うのと違いまして、かなり多額の財産上の損失を生じたということにかんがみまして、あえてこのような立法例を設けだということが趣旨でございます。
#17
○中村(重)委員 この点については社会党案に対してのお尋ねをしたいのですけれども、時間がありませんから後でまたお尋ねをすることにいたします。
 措置請求について伺いますが、社会党案は措置請求を認めている、政府案はこれを認めていないのですが、この理由は何ですか。時間がありません、簡潔に答えてください。
#18
○松尾(邦)政府委員 措置請求制度を設けておらない点について理由を二点申し上げたいと思います。
 第一点は、私どもとしましては、消費者相談窓口などにおきまして個別の契約にかかわります消費者の苦情処理は従来から十分行ってきたつもりでございますし、今後も省内に消費者トラブル情報会議などの行政的な体制を整備いたしまして機動的に進めてまいることにいたしております。また、この法律案におきましては、主務大臣に報告、立入検査、業務停止命令等の機動的な権限も付与されているということが第一点でございます。
 第二点は、措置請求権のあり方ということになりますと、これは行政手続の基本的な命題ということになりまして、他法令にも当然波及する問題になってぐるわけでございます。政府といたしましては、このような行政法万般に波及するような問題につきましては慎重な検討が必要なわけでございまして、現に最近の立法例でもこのような制度を設けたものはないということからも、そのような事情をお酌み取りいただきたいと存ずるわけでございます。
#19
○中村(重)委員 そういうことを認めた他の立法はない、今こうおっしゃったのですが、社会党案は、被害者本人だけではなくて何人にも措置請求を認めているわけですが、この点に対しての社会党案に対する政府の考え方はどうなんです。
#20
○松尾(邦)政府委員 措置請求制度そのものについて先ほど申し上げたような問題点があるわけでございますが、恐らく、この法律に措置請求の考え方を持ち込むといたしますと、多分に業者と契約を結んだ消費者が被害を受けることになる、その人たちが実際の利害関係を有する方になると思うのでございますけれども、一般消費者あるいは消費者団体について広くこういう制度を認めるということにつきましては、この法律が業者と個人との間の契約関係について種々規定をいたしているという趣旨から見ますと、対象としている範囲にややずれがあるというふうにも理解いたしております。
#21
○中村(重)委員 本法案は消費者保護立法であることは間違いございませんね。そういう考え方ですね。
#22
○松尾(邦)政府委員 仰せのとおりでございます。
    〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
#23
○中村(重)委員 そうすると、あなたは措置請求について他の立法例がない、そういうように聞こえたのですが、独禁法四十五条「違反事実の報告・探知」という規定がある。これは「何人も、」ということになっている。それから、消費生活安全法九十三条、これも同様に「何人も、」要求することができる。それから、家庭用品品質表示法十条、これも「何人も、」要求することができる。こういうことになっているのですが、いずれも消費者保護立法です。他に立法例がないということはどういうことなのか。この独禁法四十五条であるとか消費生活安全法九十三条、家庭用品品質表示法十条、あなたはこれは必要であって、本法案は必要はないというようにお考えになる点はどういうことです。
#24
○松尾(邦)政府委員 先ほど私が申し上げましたのは最近の立法例にはないということを申し上げたつもりだったのですが、確かに独禁法、製品安全法それから家庭用品品質表示法には先生御指摘のとおりの規定が存在していることを私どもも承知しております。
 これにつきましては、先ほどの措置請求権をなぜ導入しないのかというお尋ねについてのお答えとやや重複して申しわけございませんけれども、今先生御指摘になられました独禁法、安全法、品質表示法等にこの措置請求権が規定された時代と今日とで行政面での整備の状況にかなり違いがあるのじゃないか、つまり、消費者相談の窓口もその当時はまだ充実しておりませんでしたけれども、その後一生懸命政府の方で充実を図ってそのような制度ができたということが一つでございます。
 それからもう一つは、安全法、品質表示法等を見てみますと、確かにこれは国民全般、消費者全般にわたる生命、身体等の安全問題が日本全体に広がっていくという性質のものでございますけれども、あるいは独禁法についても公正な競争の確保ということが日本経済全体の課題ですけれども、本件の場合は、個別の契約を結んだ人、消費者と業者との関係、非常に特別な限定された人間だけの関係という限られた世界であるという点も違いがあるのじゃないかと思っております。
#25
○中村(重)委員 今あなたが言っていることは逆なんだ。今は政府には相談窓口とかいろいろあるが、最近ぐらい悪徳商法がまかり通っている時代はない。消費者保護立法というものがより必要になってきた、にもかかわらずそういう誤った認識を持って法律案をつくるからこんなでたらめな――これは理事がどういう態度をとろうとするかわからないので、余り批判をすると後で修正したから賛成だということになったときに困るわけなんだが、今のあなたの答弁はまことに認識不足であって、そういう考え方を持って立法すると、これは賛成できないようなことになる。与党といえども賛成できないような形になってしまうよ。時代は逆になっているんだ。そういう誤った認識は勉強して改めてもらいたい。
 次に、業務停止命令についてお尋ねをするのですが、社会党案は、まず改善の指示を出して、従わない場合に業務停止命令を行う、こういうことになっている。政府案はいきなり停止命令を発動することになっているのですが、発動のタイミングが重要になるわけなんですが、いきなり停止命令を出すということになってくると、どうしても及び腰になる、後追いになる。このことは、社会党案はすべての物品や財産権というものを法律の中に明記することになっている。ところが、政府案は政令指定ということになっている。このこととあわせて後追いになるわけです。いきなりということになってくると及び腰になる。これは豊田商法によって実証例がもう出ているわけなんです。にもかかわらず、こうした不十分な法律案をお出しになったのはどういうことなんですか。
#26
○松尾(邦)政府委員 お答えの順序があるいは後先になるかもしれませんが、商品指定制につきましては、確かに全体の商品を全部網羅しなくてもいいかという御指摘をかねて伺っているわけでございますけれども、私どもといたしましては、消費者相談等のネットワークを通じまして機動的に被害の後追いにならないように政令指定をしてまいりたいと考えております。
 一般的に申しまして、経済活動自由の原則、そしてまた、産業の活力というものを保持していくためには必要のない分野にまで規制を及ぼすことはいかがかということから、必要最小限度の規制をするために商品の政令指定制をとっているわけでございますが、この点は消費者の相談窓口等、十分目を光らせまして機動的に処してまいりたいと考えております。
 それから、業務停止命令につきましては、法文にございますように、業者が法令の規定に違反する行為をし、かつ、その行為を引き続きするおそれがあると認めるときに発動するということになっております。あるいは先生の御指摘ですと、要件が厳しい、要件がきつくてなかなか発動できないのじゃないかというお考えかと思いますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げたことになりますが、消費者相談の窓口を通じていろいろな案件が上がってまいりまして、これはどうも規定に触れるのではないかという感じがいたしましたら、もちろん司直あるいは裁判所の判断をまつまでもなく、行政府といたしまして主務大臣の責任においてこれは違反する行為であると認める。そして引き続き、どうもほうっておくと被害が拡大するのじゃないかと考えましたならば機動的に措置を発動してまいる、こういう所存でございます。
 先生の御指摘のように、その前に指示を置くという考え方も社会党の提案の中にはありました。その点については私どもも勉強させていただきました。しかし、指示をして指示を守らなかった場合には業務停止命令をかけるという法体系を組む場合には、私どもとして二つ問題があると思うのでございます。
 一つは、私どもの法律案にあります業務停止命令は、違反する行為があった場合に命令を発するということでございますけれども、法律に違反していないけれども消費者保護士何か必要ではないかということで指示をして、それに従わなかったら業務停止命令をかけるというのは、違法な行為に対する業務停止命令と果たしてバランスするのであろうかという問題。もう一つは、仮に事前に指示があり、その後守らなければ業務停止命令という仕組みだといたしますと、行政府といたしましては、業務停止命令に慎重にならざるを得ないとするならば、その前段階である指示についても同様な心構えで臨むことになり、かえって機動性という点においてはどうだろうかというような疑問を抱いておるわけでございます。
 以上のような理由から、業務停止命令を機動的に発動してまいるという心構えで臨みたいと思っております。
#27
○中村(重)委員 これは、豊田商法、悪徳商法の被害者が続出したということからこの立法をなさったわけですね。そのことをお考えになるならば、少なくとも社会党案のように、まず全物品とか財産権を法律の中に明記しておくということ、今あなたが言われたような行為規制というものはそれによって具体的にやれるわけだ。やりやすいようにしておかないと及び腰になり後追いになるんだと私は言っている。
 豊田事件をごらんなさい。社会党案の提案者になっている上坂委員が私と話し合いをして、発言もなさったのですけれども、豊田事件に対して政府が立ち上がったのは二年以上たった後ですよ。大阪で被害者の申し立てによって捜査をしてみたんだ。ところが金は全然なかった。そういうことがわかりながら、二年間という長い間、出資法あるいは刑法による詐欺罪、それから物がないわけですから広い意味において先物取引というようなこと、証取法の疑いありということで通産省も動けるわけだけれども、大蔵省も動かなかった、法務省も動かなかった、通産省も動かなかった、そしてあのような多くの被害者が続出するという実に深刻な状態に陥った、この事実をどうお考えになるのか。
 そういう考え方の上に立ってこの立法をしたというならばもっと適切な立法をなさらないと、いかにあなたが言葉巧みにお答えになろうとも、後追いになり及び腰になることだけは間違いないんだ。だからして私どもは、このままではいけない、だから修正をしなければならないという考え方の上に立って与党との折衝を行いましたが、これは今後の審議によって最終的に決まるわけでございましょうけれども、いわゆる措置請求それから指示、いわゆる停止命令の前の指示、そういうこと二つを組み合わせた形の修正の話し合いがなされておるということについて私は評価をするわけです。
 この点に対して大臣――聞いているのですか。大事な問題です。大臣、サミットで疲れているのだろうから、今私が申し上げたこと、それから修正の話し合いがあっていること等について大臣の見解を伺いたいのですが、大臣も大変お疲れになっていらっしゃるので、私はそれをとがめ立てをしようとは思いませんが、事務当局からひとつお聞きになって、これをお答えいただけませんか。
#28
○松尾(邦)政府委員 確かに、豊田商事が大変大きなゆゆしき被害を生じたことについては私どもも大変遺憾に存じております。
 私どもとしましては、かなり前から企業に呼び出しをかけて実態調査をしたいと思ったのでございますけれども、今度の法律案に入っておりますような報告徴収、立入検査等の規定もございませんで、結局、行政のよりどころがないために、なかなか的確なタイムリーな措置がとれなかったという点の反省にかんがみまして、今回は報告徴収、立入検査等も含め種々の規定を盛り込んだ法律案を御審議いただいているわけでございます。
 ただいま御指摘のございました措置請求あるいは指示の規定が持っております機能を何らかの形でこの政府案に織り込むべきではないかという与野党間のお話し合いにつきましては、私どもはそのお話し合いの成果を見守り、適切に対処さしていただきたいと考えております。尊重さしていただきたいと思います。
#29
○渡辺国務大臣 以前は立法措置がありませんので、政府が強制的に介入することがやりたくてもできなかったわけであります。今回、皆さんの御協力によって本法案が成立をいたしました暁には、この法律をうまく活用いたしまして再発防止に努めてまいりたいと存じます。
#30
○中村(重)委員 大臣は同僚議員の質問に対して、そういう悪徳行為というものがある場合に、注意をする、聞かなければ停止させるんだ、こう言っていましたから、政府の法律案の中にはなかったのだけれども、野党の社会党提案の法律案の中にあることをあなたはお答えになっておられたから、私も同じだなというように思っていました。したがって、この与野党間の修正の話し合いは、これはもうあなたが答弁の面で既に賛意を表しておられたということが実は言えるわけです。
 そういうことで、たとえ修正をいたしましても、事前に、そういう深刻な被害の状況に陥る前にいろいろな措置を講じられるということが大切だろうと私は思いますから、その点は責任を持ってひとつ対処してほしいということを要望いたしておきます。
 次に不当行為の禁止、これは第五条ですが、この規制についてお尋ねをするのですが、第五条の不当行為の禁止行為に罰則がないのですが、これはなぜですか。
#31
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘のとおり、第五条の不当な行為等の禁止については、直接の罰則はかけておりません。これは確かに、この第五条に掲げられております行為の性質によって、かような扱いになっているわけでございます。
 つまり、これらの行為はそれ自身、商業倫理上極めて不当な行為だと存じます。ただ、これを罰則という面から見ますと、刑罰法の観点から見て、果たして構成要件等も含め刑罰性のある違法な行為と決めつけることができるかどうかということになりますと、他の立法例などを見ましても、なかなかここのところは直接に罰則を設けることは難しいのじゃないかというのが従来の政府の見解でございます。
 もちろん、しかしそれではこれに違反する行為があっても野放しかということになりますと、もしこの第五条の規定に違反いたしますれば、第七条、先ほど御議論のございました業務停止命令を発動することができるわけでございます。そして業務停止命令を守らないで違反した場合には、当然その命令に対して、違反は罰則がかけられることになっております。したがいまして、直接の罰則の規定はございませんけれども、十分この不当な行為等の禁止の実効は確保できるというふうに考えております。
#32
○中村(重)委員 同じく不当行為の禁止の条文の中に、社会党案に入っているのですが、住居での長時間居座り勧誘行為、あるいは電話等による長時間のしつこい勧誘ですね、そういうことに対して、申し上げたように社会党案にはそれが対象になっている。政府案には対象になっていない。ここが実は問題なんです。罰則を入れないということとあわせて、極めて不十分だと私は思う。だから、今あなたがお答えになったように、指示であるとかあるいは措置請求といったようなことを、社会党案にあるもので修正をいたしますと、この項を生かして、こういうことも、いわゆる執拗な居座り勧誘あるいは電話、そういうようなことに対するいろいろ苦情が出てまいりましょうから、それによって指示をしたりあるいはいろいろと措置をやったりする、こういうことになるのだという理解に立ってよろしいですか。私はそれでも不十分だと思うので、この点に対しては政府案に続いて、社会党の提案者の方からもひとつお答えをいただきたい。
#33
○松尾(邦)政府委員 確かに、この不当な行為というものにどういうものを例示すべきかということにつきましては、審議会の中でもいろいろ議論がございました。それから参考人の質疑の中でも出ていたようにも思います。
 しかし、例えば先生御指摘の例示の、長時間の居座りということにつきましては、果たしてどのくらいの長い時間居座っていたら問題なのかという構成要件を明確にするのがなかなか難しゅうございます。それから、座っていただけで果たして本当に規制しなければならない強い不当性があるのかどうか。もちろん、帰ってくれと言っても帰らない、消費者の意に反して、消費者が幾ら言っても帰らないという場合は、当然不退去罪とか別途の法律の規定もあると思いますけれども、そうではなくて、消費者が特に求めないけれども、ただ長い時間座っているというようなことだけで、果たしていろいろ業務停止命令をかけて、最後は罰則までかけるようなものになり得るかどうかという点についてのなかなか難しい技術上の問題があったわけでございます。
 ただ、長時間の居座りの場合でも、もしそれが消費者に対しまして、ちっとも帰らないということが不安な感じを与えまして、これはとても、帰ってくれないことが私にとってはもう生活が危機に瀕するのではないかという威迫を受けたというような場合もあり得ると思います。そのような場合には、この第一号の「威迫する言動」という要件に該当する場合もあり得ると思います。したがいまして、長時間の居座りの場合でも、該当する場合もあり、該当しない場合もあります。
 それから、今後いろいろ問題が出てきた場合には、第五条の第三号に、特に保護に欠けるもので何か書かなければいけないというものがあれば、省令で規定させていただくという機動性も持っているわけでございます。
 それから、先生御指摘のように、措置請求とか指示とか、社会党の方で御提案なすった点にかわる措置を与野党でお話し合いでございますけれども、もしその内容が固まりましたならば、それが成文化された暁には、私どもは機動的に当然それに対処してまいることが運用上必要だと考えております。
#34
○上坂議員 今先生の御指摘の不正、不当な行為等の禁止の問題でありますが、政府案によりますと、これは訓示規定みたいなものになってしまうと思うのです。こんなのではどうにも規制のしようがないので、これはやってはいけないと言われたって、ここに書いてあることはやってませんよと言われればそれまでだと私は思うのです。
 そこで私どもの法律案では、第九条の四に「悪質な営業方法の規制」という項を設けまして、ここに具体的にこれを出したわけです。今政府の答弁によりましても、いざとなれば省令をつくる、こう言っておるわけでありますから、ここに一項から七項まで明記をいたしまして、それについて常識的な範囲で、何時間いけないとかなんかということはできるわけでありますから、例えば寝たきり老人のところへ行って一時間も二時間も粘れば、これは悪質な行為に決まっているわけであります。
 そこで私どもとしては、こういうことをちゃんと政令で常識的に決められるという信念に基づいております。そしてまた、こういう行為が行われた場合には、それを行われた当事者から申し出をするということはなかなか困難であります。特に寝たきり老人とかなんかという人たちは非常に難しいわけであります。そこで、それを知ったほかの消費者も、これに対しては、これを取り締まるようにという主務大臣に対する措置請求をできる、こういうことを設けておけば、私は、こうした不正行為は、完全とはいきませんけれども、かなり多方面にわたって禁止ができるのではないかというふうに考えております。
#35
○中村(重)委員 書類等の備えつけ及び閲覧という項目がありますね。ここで政府案は預託者本人に限定しているのですが、今、社会党案の提案者からお答えがありましたように、高齢者の場合なんかは、当然これは代理人を認めてやらないと実情にそぐわないと思うのだけれども、この点はいかがです。
#36
○松尾(邦)政府委員 今御指摘の「書類の閲覧」、第六条の規定につきましては、確かに法律の規定上は「預託者の求めに応じ、閲覧させなければならない。」とございますから、もちろん預託者本人、つまり消費者そのものは当然対象になるわけでございますけれども、今先生御指摘になりましたように、独居老人あるいはお体の不自由な方々がみずから出向くわけにいかない場合には、当然のことながら代理人が出向いて閲覧することも十分可能なことだと私どもは考えております。
 したがいまして、この点につきましては、法律成立の暁には、お年寄りの方々を中心といたしますいろいろな組織を通じましてきめ細かくよくPRをさせていただきまして、老人の方々が直接おいでにならなくても、代理の方が見ていただいて、本当にこの契約をこのまま続けていいのかどうかをよく判断していただけるような材料があるんだということをわかっていただくようにいたしたいと考えております。
#37
○中村(重)委員 今あなたはそのようにお答えになるのだけれども、法律は預託者本人に限定しているんだよね。だから、附帯決議か何かでその代理を認めるような形にしておかないとだめじゃないかなというように思うのだけれども、後でこれは検討していただきましょう。
 それから、これは大臣にお答えいただきますが、本法案は現物まがい商法なんですが、社会党案は非常に幅広く、現物まがいだけではなくて、マルチまがいであるとかあるいは訪問販売法の改正であるとか、そこまで範囲が広いわけです。しかし私は、このマルチまがいであるとか訪問販売の被害続出という状態の中においては、当然これも、法律案をつくるとかあるいは改正をするとかという措置が速やかに講じられなければならないのではないかというふうに思うのです。同僚議員の質問に対しての大臣のお答えも、それで同感のようなふうに受け取られる答弁もあったのですけれども、大臣、この点いかがでしょう。
#38
○渡辺国務大臣 委細につきましては事務当局から答弁をさせますが、このマルチまがいというのは、気分の上で何とかしなきゃならぬということはわかるんだが、立法技術上非常に難しいというように聞いております。
#39
○松尾(邦)政府委員 確かに社会党の御提案の法案の中には、マルチまがいあるいは役務取引等についても規制の対象に加えるべきである旨の御提言等が含まれているわけでございます。
 私どもといたしましては、今大臣からお答えを申し上げましたように、マルチまがいと申しますものにつきましては、産業構造審議会の答申の中にも書いてございますけれども、業態がまちまちである、そして消費者の被害が、マルチそのものというのは、在庫を消費者に抱え込ませるというようなことがあって被害が非常にはっきりしているのですけれども、被害の形もはっきりしないということで、実情把握の上鋭意検討を進めるという立場をとっているわけでございます。その他の点についても、役務に関しましては、今既に省内に研究会を設けまして研究をいたしているわけでございます。
 いずれにいたしましても、訪問販売法を含めまして訪問販売に関する施策の充実につきましては鋭意検討を進めているところでございますし、今後とも勉強してまいりたいと思っております。
#40
○中村(重)委員 大臣、今のお答えを肯定なさいますね。研究しているということですが、できるだけ早く研究の結論を出して立法措置なりあるいは改正等を行う必要があるだろう、こう思うのですがよろしいですか。
#41
○渡辺国務大臣 研究を続けます。
#42
○中村(重)委員 結論に入りますが、政府案はこの種商法の存在を容認をして、被害発生の段階で規制をするといういわゆる行為規制の立法になっているわけです。社会党案は、この種悪徳商法の存在を許さない、撲滅をするというような、そういう思想の上に立った立法であるというように私は考えているわけです。もし、社会党の提案者の方でそうではないということであればお答えをいただいて結構ですが……。
 本来、商行為というものは、消費者の嗜好を満たして生活を豊かにする、そのことが基本なんです。その上に立って国の経済を発展をさせるということでなければならないと私は思う。商行為というものはそういうものであると私は考えているわけです。だから、古典的な自由主義経済というようなものでもって立法していこうとする考え方というものでは、現実に今日の非常に悪徳商法がまかり通っておるという時代には適応しない、そういうことでは間に合わない、そのように私は考えるわけです。
 だから、消費者保護の原点に立って、両法案のよきをとり、そしてまた補うところを補っていくというようなことが必要であろう。与野党の間においてそういったような観点から話し合いをされているということについては、重ねて私は評価をするわけです。政府の方も、これを提案をしたからということにこだわることなく、ひとつ十分立法側との話し合いをされて、よりよい法律としてこれを成立をさせる、こういうことが必要であろう、そのように私は考えます。
 これに対しましては、大臣並びに社会党の提案者、それから、そういう話し合いも進めていることでございますから、委員長からもひとつお答えをいただきたいというように思います。
#43
○渡辺国務大臣 政府・与党一体でありますが、政府が絶対というわけではありませんし、お互いに話し合いでやっておるわけでありますから、与党とよく相談をして、与党がまた野党と相談をして、その話し合い線上において解決されることがあれば、それは結構であると私は思っております。
#44
○上坂議員 社会党案も完全であるとは決して思っておりません。したがいまして、私どもの案につきましても、いろいろな問題があればそれを訂正するにやぶさかではありません。
 しかし、今度の委託等の特定商品の政府案につきましては、これはやはり基本的には、豊田式悪徳商法のいわゆる訪問販売を利用した手口から生まれているものであるという基本に立たなければいけないと思うのです。そこで、そうした基本に立つ限りにおいては、やはり訪問販売にかかわる行為として現在の法律を抜本的に改めるという方向に進んでいかなければならないということで、私どもは、抜本的な改正を含めて訪問取引法という形で提起をしたわけであります。
 今政府からの答弁で研究研究と言っておりますが、いつでも研究ばかり重ねていたのでは、いつまでたっても悪徳商法を駆逐することはできないのでありまして、やはりある段階ではきちんとした法律をつくって規制をしていく、そして、こうした悪徳商法については存在を許さないようなところへ持っていくという形にしていかなければならないと思います。そうでないと、本当の消費者保護というものは達成できないというふうに私たちは考えております。
#45
○野田委員長 委員長からお答えをするというのもどうかと思いますが、理事会で鋭意検討いたしておりますので、実質的にそういった悪質な取引が横行することのないような形をつくっていくように努力をいたしておりますので、さよう御了承願いたいと思います。
#46
○中村(重)委員 私の割り当て時間が三十六分まででございますから、ちょうど時間でございますから、これで終わらせていただきます。
#47
○野田委員長 水田稔君。
#48
○水田委員 今の中村議員の質疑の中にもありましたように、今回の法案ではいわゆる現物まがいを中心にやられておる。マルチまがい、それから千差万別、とにかくあらゆる商品を使った訪問販売の中に、まさにこれは商売というよりは詐欺的な行為の商法がまかり通っておるわけですね。通常の、いわゆる正常な商取引としての訪問販売をやっておる業者にとってもこれは大変迷惑な話で、正常な商行為そのものさえ阻害されるという事態が起こっておるわけですね。
 先ほどの答弁を聞いておりますと、いわゆるマルチまがいについては、法規制という点ではなかなかたちまちに結論が出ない。そういうことでたちまち手がつかない。いつになるかわかりませんけれども、しかし、現実の被害の状況というのは毎日のように起こっておる。例えば豊田商事だけでなくて、豊田商事が解散になるとその残党がまた新しい会社をつくって、やられたから今度はやられないようにもうひとつ巧妙な手口を使ってやるというように、いわゆる被害が分散していく、そして被害の額そのものは減ってこないというようなことが起こっておるわけですね。
 そういう中で今回の法案が出されたわけですが、そうするとまさに消費者保護という立場で一体今までなぜできなかったのか。それはどこに問題があったのか。あるいはまた、この法案が通ればそういう点ではほとんどが解消すると恐らくお考えになっていないと思うのです。ですから、私は先ほどの答弁を聞いておりまして、まだまだ対策としてはほど遠しという感じがするわけです。中村議員からも要望がありましたように、早急にその他のものについてもマルチまがいその他含めて対策を講ずべきだと思うのですが、その点をまず冒頭お伺いしておきたいと思うのです。
#49
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘の悪徳商法というものは、確かにいろいろな幅の広がりを持っているものでございます。その一つの典型的なものとして、今いわゆる現物まがい商法の対応措置を御審議いただいているわけでございますけれども、悪徳商法と言われるものが多種多様であるだけに、私どもの対応も、この預託等取引法案だけではなくて訪問販売法あるいは海外先物法、いろいろな法律を総動員いたし、かつまた法律だけでは十分でないところは消費者啓発を念入りに行いまして、その法律と消費者啓発を車の両輪として取り組んでいくことが必要な問題だと思っているわけでございますので、今後ともそのような観点からいわゆる悪徳商法に対する対応に遺憾なきを期してまいりたいと考えております。
 なお、特に御指摘のマルチまがい商法について申し上げますと、確かにいろいろな問題が提起されておることは私どもも承知いたしておりますけれども、現在法律で規制されておりますマルチ商法でございますと、商品の再販売を規制対象としているわけでございますので、一般消費者が大量の在庫を抱えてしまう、そうして大変苦境に立たれるという具体的な被害が問題になっているのに比べますと、現在のマルチまがい商法というのは、いろいろ多様でございますけれども、例えば紹介商法あるいは委託販売商法ということになりますと、今日の世の中でも大変健全に行われているものもございます。また、大量の在庫を抱え込むという仕組みになっていないわけでございます。
 したがいまして、そういう意味で産構審の答申でも指摘しておりますように、具体的な被害の対応がはっきりしてない点をはっきりさせる必要がある。それから取引の形態もさまざまでありますから、一体どのような形態があってどのような形態についてどのような手を打てはよいのか、それから、先ほど申し上げたような健全な商慣行が現にいろいろあるわけですから、いたずらに企業の活力をそぐことのないように、健全な商慣行と悪徳なものとの切り離しがどのように可能であるのか、そういった点について綿密な検討をする必要があるという御指摘でございますので、これらについて鋭意検討を進めてまいりたいと考えている次第でございます。
#50
○水田委員 これまでに豊田商事やその他のベルギーダイヤモンドなど訪問販売絡みで、例えばなべの問題もあろうし健康食品の問題もあろうし、そういった点では苦情はどういう種類のものがどの程度上がっておるわけですか。これまでに上がっているわけでしょう。例えば豊田商事にしても、もう二年も前からこの委員会で問題になりながら、今日ようやくこれだけのものが出てきた。ですから、構えとしては一体どうだったのかという疑問があるわけですね。やる気があるのだったらもっと早くこの問題は、さらにベルギーダイヤモンドその他についても立法措置がとられてしかるべきだったと思うのです。
 それからもう一つは、調査をするというけれども、それじゃどのくらいの陣容でどのくらいの予算をかけて消費者保護ということでやられるお考えなのか、伺いたいと思うのです。
#51
○松尾(邦)政府委員 今第一に御指摘になられた点、訪問販売に関する苦情相談はどのようなものが多いかという御趣旨がと存じますけれども、私どもの消費者相談の窓口で受理いたしました苦情相談の件数を見てまいりますと、多岐にわたっておりますけれども、大きなものを二、三例示いたしますと、例えば英語その他の教材あるいは書籍に関する販売に関するトラブル、これは教科書を買えばそれに伴って後でセミナーがある、あるいは海外旅行に安く行けるというようなことで買ってみたけれども、ちゃんとしたセミナーがなくて、また海外旅行にもなかなか行かしてもらえないというような種類のお話、あるいはその他いろいろな商品について勧められて買ってみましたけれども、思ったとおりの品質でなかったとか、そのようなものがございます。あるいはまたクーリングオフの規定があるにもかかわらず、クーリングオフの規定を適用してもらおうと思っても業者側がなかなか応じてくれない、どうしたらいいかというような御指摘等々があるわけでございます。確かに多様な苦情の内容になっております。
 それで私どもといたしましては、そのような苦情の内容につきましては毎月担当課長レベルで、省内でどのような苦情についてどのような対応をしたらいいかということにつきまして消費者トラブル情報連絡会議を開きまして、省を挙げて対処に遺憾なきを期してまいっているところでございます。
 それから、先ほど第二に御指摘になりました、マルチまがい等の商法について実態の分析を進め所要の策を講じてまいるということについてどれだけの具体的な予算、人員等を考えておるのかということでございますけれども、私どもといたしましては、いわゆる悪徳商法を今後とも消費者に被害を与えないように規制してまいるということ、再発を防いでまいるということのためには、一つは何と申しましても消費者啓発が大事だろうということも考えまして、商取引指導官という専門職を本年十月から新たに設置することにいたしておりますほか、予算措置の面におきましても、悪質な手口の被害内容を調査したり、あるいは適正化のための指導をしたり、あるいは啓蒙普及資料を作成したりするための予算を新たに本年度予算措置として計上いたしておりまして、このような組織の拡充、それから予算の拡充を十分に活用しながら進めてまいりたいと考えているところでございます。
#52
○水田委員 人員も予算も幾らというのは御答弁ないわけですね。今これだけ大きな社会問題になっておるのに、対応するだけの予算も人員も恐らくないのが実態ではないかと思うのです。
 それから、啓発を中心と言われますけれども、恐らく審議官は実態を御存じないのじゃないですか。私どもは地域へ入って普通の奥さん方といろいろ話しますが、あの口のうまいのが来たら、だれでもとにかくもうやられるというのですよ。少々の啓発では対応できないからこそ、これだけの被害者が出ておるわけですね。それから、先ほど中村議員からの質問の中にもありましたように、お年寄りの、もはや十分の判断ができないような人を、親切ごかしですね、おどすのじゃないのですよ、そして情にほだされる、そういうだましのテクニックを身につけたプロがやるわけですよ。それを、普通の社会常識があり普通の社会生活をしておる人たちに啓発するというような感覚では、とてもじゃないがこの被害は防げないと私は思うのです。ですから、被害の実態全体を恐らく通産省はそれほど深刻には受けとめてないのじゃないか、そういう中で、今日まだこれから検討とか、あるいは現物まがいだけについての法案を出してきたのじゃないか、そういうぐあいに私どもは思わざるを得ないわけです。
 ですから、どうなのですか、実態については本当にどういうぐあいにお考えになっているのですか。被害を受けた人たちがどういう中で――啓発をやること、あるいは苦情が来たのを聞いて今の陣容で十分対応できておるのなら、こんな被害は起こってないわけですよ、もっと早く対応ができておるはずですね。そういう点ではどういう反省があるのですか。
#53
○松尾(邦)政府委員 確かに悪徳商法というのは明確な定義をすることは難しいわけで、多種多様なものが折に触れて出てまいるということでありますので、私どもとしても常時目を光らせておかなければならないと考えております。そんな意味で、先ほど御指摘になりました啓発にいたしましても、かねて行われておりましたような一般的な啓発だけでは十分でないと存じまして、昨年からは、例えば御指摘のありました老人の方々に十分この啓発の趣旨が行き渡るように、民生委員の方々等厚生省の老人ホームのルートその他を厚生省と御相談しまして、御老人そのものが啓発資料を読むわけにいきませんけれども、老人ホームの看護をされている方あるいは民生委員の方々の口から、かんで含めるようにお話しいただけるようなことをいたしてまいっております。そういう意味で今後もきめ細かな配慮をして、特に老人層の方々に十分な御認識をいただくような配慮が必要だと思っております。
 それで、消費者啓発のためにはいろいろな予算が組んでございますけれども、先ほど申し上げた予算というものは、本年度の新規分といたしまして八百七十五万円の予算を組んでいるわけでございます。もとよりこれは新規追加分でございまして、もっと基本的には何億というオーダーの消費者保護のための予算の中で重点的に新たに計上いたしました分を御説明したわけでございますけれども、私どもの通産局、本省の消費者相談窓口はもとよりでございますけれども、関係各省にもそれぞれ所管の窓口があり、また都道府県にも窓口がございます。私どもといたしましては、これらの関係省庁の窓口とも有機的な連携を図りまして、消費者相談の実態把握、それからそれに対応した的確な措置が行われるよう、引き続き関係各省との連携を一段と深めてまいる努力をしてまいりたいと考えております。
#54
○水田委員 どう聞いてみても、今の答弁で、あるいはこの法律で広範な被害が防げるとは私は思えないわけです。
 そこで逆の聞き方をしますが、社会党案が提出されておるわけです。ごらんになったと思います。これは現物だけでなく、いわば訪問販売という形の中でもろもろの現物まがい、マルチまがい、その他の役務の問題等すべてが入っておるわけですね。ですからそういう点について、訪問販売法も手を加えなければならぬ、検討しておると言うのですが、そういう認識はあるのですか、どうですか。
#55
○松尾(邦)政府委員 確かに社会党の御提案は、訪問販売に関する種々の問題点について成文化を図ろうという御趣旨の御提案と承っております。今御審議いただいております私どもの預託等取引に関する法案は、訪問販売かどうかということは問わず、店頭のみの取引でも訪問販売でも、いずれも対象にして規制してまいろうという趣旨から出ておりますことは御承知だと思いますけれども、あと、訪問販売法万般についてどのような対応をすべきかということでございます。
 この点につきましては、御高承のように、一昨年の割賦販売法及び訪問販売法の改正によりまして相当程度施策の拡充が図られたと私どもとしては思っておりまして、これらの改正規定の周知徹底、厳正な施行ということをまず考えてまいりたいと思いますが、もとよりそれだけで果たして十分かどうか。訪問販売法を初めこの訪問販売に関する施策につきましては、法律の面、それから行政指導面あるいは業界の自主規制面、いろいろな形で取り組んでいる課題があろうかと思います。果たしてそれは今後どのような形で取り組んでいくことが適切であるか。先ほど申し上げましたように、マルチまがいにつきましては産構審の場で、それから役務取引につきましては省内の研究会におきまして、関係各界の方々の御出席を願い御審議をいただいているところでございますので、これらの審議を鋭意進めてまいるようにいたしたいと考えております。
#56
○水田委員 もう一つ別な面から、これは通産省の所管ではないかもしれませんが、だまされる場合に会社の名前というものも影響があるわけですね。例えば信託という言葉が使ってある。これは、いわゆる大手の信託会社、その関連と思われるような信託あるいは証券ということが使われるわけですね。その場合、当然信託会社なり証券会社というものは許可を受けた業者なのですね。それと類似の名前を使っておるということで、被害者に聞いてみると、そういう証券と入っておるから、信託と入っておるから信用したのだということがあるわけですね。そういう点も、法律の中には入らないかもしれないけれども、規制があれば、全然違う名前であれば当然信用しないのじゃないか。ですから、被害を少なくするという点では必要なことではないかと思うのですね。これは信託法なりあるいは証券取引法それぞれで規定があると思うのですが、そこらあたりはどのようになっておるのですか。あるいはそれを直すことができるのであればこれはだまされぐあいも違ってくるだろう、そういうぐあいに思うのですが、いかがでしょうか。
#57
○松尾(邦)政府委員 確かに悪徳商法を行ってきた会社の中には、有名企業の名前でございますとかあるいはおっしゃいましたように信託の名前を付して、いかにも一流企業であるようなあるいは信託会社であるような名前を使っていた場合もございました。そのうち、例えば信託を例にとりますと、信託業法の規定によりまして信託会社でなければ、つまり、免許を受けて信託業を営む会社でなければ信託という字を使ってはいけないという規定がございますので、先ほど先生の御指摘になりましたような場合には、信託業法の法規定に違反する事例だったというふうに存じます。それは、信託業法の厳正な運用という面でしかるべき措置がとられるものと私どもとしては考えております。これは所掌しております省庁で処分することだと存じております。
 それから、先生おっしゃいましたように、いろいろ有名企業、一流企業の名前に似せてつくる例も幾つもございます。この点は実はなかなか難しいのでございますけれども、法律の体系といたしましては、不正競争防止法あるいは商業登記法の規定によって一応の手当てはなされているのでございますけれども、もちろんそれで十分というわけではございません。さりとて、これを抜本的に、一流企業の名前に似たものを使ってはいけないということを法律上規定することは立法技術的になかなか難しい問題がございます。したがいまして、私どもは、消費者啓発の際に悪質な手口をいろいろ消費者に周知させまして、一流企業の名前を似せて使ってあるけれども、これは実態は一流企業と関係ないんだという場合がたくさんありますよということを、実例を使いながらあらゆる機会をとらまえて消費者啓発を進めておりますので、今後ともそういう面できめ細かく対応してまいりたいと思いますし、この法律に関する限りで申せば、いろいろ業者の概要とか契約の概要あるいは財産の状況等が消費者に十分わかるような仕組みになっておりますが、その中でいかがわしい内容のものであれば、その法律の規定に基づいて提出する書面あるいは閲覧の際に実態の把握が可能になる面も十分あろうかと考えております。
#58
○水田委員 例えば投資ジャーナルの問題では、日本証券流通という名前を使っている。被害者がたくさん出ています。それから、豊田商事と同じようなものでは、例えば豊田商事の残党がやったのは三和信託というのがありますね。とするならば、例えば通産省へ苦情相談があればそれが直ちに大蔵省にいって、それは信託法に違反しておるわけですが、そういう点の措置がとられたことないですね。私は不思議でかなわなかったのです。確かにあるはずなのに、そういう点でそういう取り締まりがやられたことがない。それは通産省も、そういう苦情相談があったときに、そういうことだからこれは信託会社ではない、あるいは証券会社ではないということを公表しても構わぬわけですね。そういう点では、これまで本気で被害者をふやさないという努力をした、したと言われるけれども、欠けておったのではないかと思わざるを得ないのですが、その点いかがですか。
#59
○松尾(邦)政府委員 例えば、三和信託の場合を例に出されましたのでちょっと申し上げさせていただきますと、この場合につきましては、信託協会の方で、このような名前を使うことについては非常に困るという申し入れをしたりしまして、その後社名の変更なども行われているわけでございます。
 確かに先生御指摘の点は大事な問題でございますので、先ほど申し上げたように私ども消費者啓発も一生懸命やってまいりますけれども、昨年六月からは関係六省庁の会議もできておりますので、その関係六省庁の会議を通じまして機動的に、問題の所在を関係省庁にも十分徹底させて、所要の措置をとっていただくよう手配させていただきたいと考えております。
#60
○水田委員 全然別な観点からこの法律を見ますと、被害者の方たちが心配しているのは、これは参考人の意見にもありましたが、我々は不十分だと思う、限定されたもので、まあ届け出とか認可とかないからそういう点では政府登録とはよう使わぬでしょうけれども、それにしても、そうなることによって下手をすると、今まで被害が出たものを今までの法律で訴訟をやっておる、そういう点が、まあこれができたんだから、この枠内で今度はやっておるのだからこれは免罪されるのだということになりはしないかという心配を被害者の方々がしておる、こういうことなんです。そういう点は一体心配ないのかどうかということをお伺いしたいと思います。
#61
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘の点は、あるいは二つの点からお答えすべきかもしれないと思っておりますが、一つの点は、現在豊田商事等について被害者あるいは検察当局から民事、刑事の裁判あるいは訴追がいろいろ行われているわけでございますけれども、今回政府がこのような法案を提出したことは、これら具体的な事例に何か影響を与えるのではないかという面から申し上げますと、これは私どもがお答えするのは適切かどうか、あるいは法務省からお答えがかねてもございましたし、要すればお答えいただく問題だと思いますけれども、私どもが法務省の御答弁として伺っているところによりますれば、豊田商事なり類似企業が事件を起こして、詐欺あるいは出資法等の規定に違反しているということで訴訟が起こされている、あるいは訴追が行われているといたしますれば、当然それはその事件が起こった際にございます法律を厳正に適用して判断が下されるものでありまして、その後に政府が法案を提出したことは何ら影響を与えるものではないというふうに伺っているわけでございますので、その点は私どもは心配いたしておりません。
 それから第二に、この法律は行為規制法であり禁止の法でないから、何か業者に免罪符を与えることになりはせぬかという御指摘でございます。この点は、私どもの法律案は、産構審の答申にもございますように、行為規制法の形をとっておりますけれども、悪質な業者については実質的な禁止の効果を持つように、契約締結前、契約締結時、契約締結後の各段階にわたりまして、消費者がこの契約に取り組んでいいかどうかの判断の材料を十分提供する、あるいは危険だと感じ問題だと感ずればいつでもその契約から逃げ出すことができるというような規定もございますし、罰則も重くして、通常の罰則の重さに比べればかなり重い規定を置いているわけでございますし、行政府に対しては報告徴収、立入検査、業務停止命令等の行政のよりどころも多々備えているわけでございますので、このような規定を通じまして、まさに悪質な業者にとっては実質的に禁止の効果のある規定が設けられることになると考えております。
    〔委員長退席、与謝野委員長代理着席〕
#62
○水田委員 現在この法律を審議する最中もマルチ、現物、訪問販売、いろいろなもので被害が出ておる。今通産省が掌握しておるのは、苦情が出たもの、それも一件や二件じゃなくて相当数出たものというのが一つの問題としてとらまえられておると思うのです。被害が出てからでは、とにかく手の打ちようはいつも手おくれになるわけですね。豊田商事にしたって何%取り返せるかというのは、被害を受けた人にとっては本当に微々たるものしか返ってこないだろう、こう予測されるわけですね。
 ですから、そういう悪徳な商行為をどういう連中がやっておるのかということをまず把握することが必要だろうと思うのですが、それは難しいと思うのです。一つは、例えば許可制にするなら、信託会社なら信託会社はちゃんと許可されたものであるわけですけれども、そういうものでないわけです。届け出にすれば、また一面政府公認という看板をかけて内容でごまかしをやってはびこるという心配もあるわけです。しかし、一番問題は、とにかくだれがそういうことをやっておるのかということを掌握することが被害を未然に防ぐという点では必要ではないか。そういう点はこの法律では全くできないわけですが、通産省としては、被害を未然に防ぐという立場からいえば、社会党案のように全部を網羅しないにしても、どういう連中がやっておるのかということぐらいは事前に把握する必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
#63
○松尾(邦)政府委員 確かに悪徳商法を行っている企業の実態把握というのは大事な問題だと考えております。それで、その実態把握のためには、かねて御説明申し上げておりますように、消費者相談の窓口で集まってまいります情報につきましては、先生はたくさん起こらないとなかなか十分役所は注目して対処しないのではないかというお言葉がございましたけれども、私どもは昨年来消費者トラブル情報連絡会議というのを省内に設置しまして、件数は少なくとも将来非常に問題になる可能性のある案件については、担当課長が寄り集まりまして、どのように対応したらいいかという相談もいたしております。それから、消費者トラブルの情報の収集につきましても従来よりも一層機動的にいたしまして、電話連絡を含めまして消費者からの苦情を各通産局が受けましたら、機動的に本省に情報を伝えてくることにしてもらっておりまして、そういう意味で情報も的確に収集する、そしてその出てきた情報は、件数の多さももちろん判断の一つの材料でございましょうけれども、件数が少なくても、今まで余りなかった事例で今後何か危険な兆候があるものにつきましては、きめ細かく今後の対応方策を練るという省内体制をつくったわけでございます。
 あわせて申しますと、今回御審議いただいております法案におきましても報告徴収、立入検査あるいはその他所要の行政面の措置が講じられるようになっておりますので、これらの規定も十分活用いたしまして、消費者相談の情報とあわせて実態把握に問題のないように運用してまいりたいと考えております。
#64
○水田委員 実態把握を通産省なり関係省庁がしても、一般消費者には伝わらぬわけですね。
 そこで、この法律案でいいますと、五条では不当な行為等の禁止、それから七条で業務停止命令というのがあるわけですね。業務停止命令を出した場合は公表ということがあるわけですね。しかし、被害を防ぐという点からいえば、おかしな商売をやっておる者をどの時点で公表するか。ある程度は啓蒙のために、たくさんの被害が出た上で、例えば豊田商事はこういうあれがあったというようなことでなくて、現に新しい形を次々に考え出すわけですから、その中でこういう問題があるということは、少なくとも何らかの形の公表が必要なのではないだろうか。あるいはまた、不当な行為が行われて、後に手続をして禁止命令を出すという前に、立ち入り等をやったときに指示をする、そういうことはやめろ、やめない場合には公表するとか、そういう事前の、いわゆる禁止命令を出す、公表するもう一つ前の段階が、実際にこういう悪徳商法をはびこらせないための前段の措置としてあればもっと効果があるのではないか。これだけでは、とにかく相当程度の被害が出ない限り、禁止命令も出ないし業者の公表ということができないのではないか。その前段階でその二つぐらいの手順は踏めないものかどうかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#65
○松尾(邦)政府委員 確かに御指摘のような点は大事な問題だと思っております。ただ、私どもといたしましても、公表という制度についてはそれなりに十分裏づけのあるものについて公表いたしませんと、企業にいたずらに不利益のみをこうむらせてしまってはいけません。その点においては慎重であるべき面も一面においてはあるのだろうと存じます。
 私どもといたしましては、いろいろなやり方で消費者啓発は進めてまいりたいと思っておりますし、それから、例えば今おっしゃったような法律の規定に基づくいろいろな問題が生じた場合には、こういう企業についてこういう問題が生じているということは少なくも消費者相談の窓口には十分に周知徹底させまして、消費者相談の窓口がそのような情報を活用して消費者に適切な助言が与えられるような仕組み、これは少なくとも考えてまいりたいと思っているわけでございます。
 なお、ちなみに訪問販売法では、消費者トラブルが多発するような手口につきましては、別途の公表制度も訪問販売法の運用としていたしているわけでございます。それらの措置と、それからただいま申し上げたような措置、いろいろな措置を組み合わせまして適切な消費者への情報提供ということについては勉強してまいりたいと考えております。
#66
○水田委員 勉強してまいりたいということは聞きおくということの官庁答弁なんでしょう。私どもは、公表というのは単なる一件の申し出があったからといってやるべきじゃないと思いますが、少なくとも不当行為が重なって被害者が大分出て、そこで禁止命令が出た、それで公表では遅過ぎる。だから、その前の段階で、例えば改善の指示、命令でなくて指示を、幾つか出た場合にすぐやる、その場合にある程度の周知徹底ができるぐらいにすれば、やはりやっておる方もむちゃなことはできないだろうし、被害者もそこでとめることができる、そういうぐあいに思うわけです。この点は、私ども、政府の方が出した案をそう簡単に改正するというわけにいきませんでしょうが、理事会等ではぜひそういう指示の問題等については修正のあれをさせてもらいたい、そういうぐあいに思っておるということを申し上げて終わります。
 そこで、上坂先生にこれから御質問したいのですが、今までずっと聞いてまいりましてはっきりしておるのは、閣法は現物まがいだけ、まさに広範多岐にわたる訪問販売、その中のマルチ、役務の問題等についてはまだまだ通産省としてはすぐにはやろうとしておらぬわけであります。社会党の案は、そういう点では相当広範なものを規制の対象にする、こういうことですが、政府案を見てどうしても社会党案を出さなければならぬ、そういうふうにお感じになった具体的な理由を幾つか御説明いただければありがたいと思います。
#67
○上坂議員 お答えします。
 訪問販売、例えば政府案は特定商品の預託等取引、こういう名前が出ております。豊田式商法というのは訪問取引、訪問販売から生じているということは皆さん御承知のとおりでありますが、元来、訪問販売と店頭販売、ここのところをきちんとわきまえないと、私は、法律をつくる上においても非常に認識が違ってくると思うのです。店頭販売というのは消費者が商品の選択の自由があるということなんです。ところが訪問販売は、非常に商品の数は多いかもしれない、あるいは販売のやり方も多いかもしれないけれども、しかし、いざ商品を買うとなると選択の自由が非常に狭められているということなんですね。狭くなっている。そこのところに目をつけないといけないわけです。選択の自由がありませんから、したがって、選択の自由のない品物を消費者に売るわけでありますから、そこに執拗な勧誘であるとか何回も行くとか、それから座り込みとかというような形の販売方法が生まれてくるのであります。こういう定義とか概念とかというものをきちんと踏まえて法律をつくらないとだめなんですね。ところが、政府案はそういうことを全然無視してやっているわけです。
 例えば、この前もお話ししましたように、平気で現物まがい商法などという間違った言葉を使っているわけであります。これはまさに間違いであります。本来は、商品取引詐欺まがい商法でなければなりません。そういう定義からして概念ができないのですね。そこで法律をつくろうとするから、非常にいいかげんな法律になり、無理があると言わざるを得ません。
 私どもは、豊田式商法、それに類するいろいろな悪徳商法がありますが、これらは現在の商法の中では訪問取引の中から生まれてきたものであり、その中にはいわゆる財産権の問題、証券とかあるいはゴルフの会員権とかそうした役務に関する問題も全部含まれているという観点から、早急にこれに取りかかっていかないと、悪質業者は手をかえ品をかえていろいろな販売方法を編み出すし、商品も出てまいりますから、そこで、単に今の豊田式商法だけを取り締まるようなものであってはならない、したがって訪問販売法の抜本的な改正を行わなければならない、こういう観点に立ちまして訪問取引法というものを提案をいたした次第であります。
#68
○水田委員 そこで、先ほど通産省にお伺いして、いろいろ悪質な商法が行われておる、だれがやっておるかなかなかつかまえにくいわけです。その点では、届け出にするか、あるいは閣法のような形にするのか非常に議論があるところだと思うのですが、いずれにしたところで、だれがやっておるかということが相当被害者が出なければわからぬというところに問題があると思うのですが、その点については上坂先生はどのようにお考えになっていますでしょうか。
#69
○上坂議員 非常に広範な取引方法が生まれてきまして、悪徳商社というのは、人の弱みにつけ込んで先ほど言いましたように特定商品を売っていくという販売方法でありますから、非常に広範にあらゆる手を生み出してくると思います。そこで私どもの社会党の案では、訪問販売全般にかかわる問題としてこれを取り上げないと、いつまでたってもこの種の悪徳商法を駆逐することができない。特に政府が提案しております預託等の取引につきましては、これは悪徳商社を全面的に駆逐してしまう、こういう観点がないとだめだという観点に立ちまして、第二章に一項を設けまして預託等の取引に関する取り締まりをここに挿入した、こういう形になっております。しかし、これだけではとてもできませんから、そのほかにマルチまがい、先ほどから先生が御指摘になっているいわゆる信託であるとか証券であるとか、いろいろこれからどんどん出てまいりますから、それらについても早いうちにメスを入れていかなければならないということでこの法律を提起したわけであります。
 もう一つつけ加えさせていただきますが、私ども社会党案に対しまして、いろいろ業界等から非常にきつ過ぎるというような御指摘があります。しかし私は、本当に正しい取引をやっているならば、どんなに規制が厳しかろうとその規制に当てはまらないような商売というのはできるわけでありますから、そういう意味では、豊田式商法の訪問販売の取引によって社会的な評価が低下をしている訪問販売業界は私どもの法律を支持していただいて、この法律が通るならば、むしろ社会的な評価が上がって訪問販売業界の業績は非常に上がってくる、こういう自信を持って提起をいたしております。
#70
○水田委員 そこでもう一つ、先ほど通産省にもお伺いしたのですが、五条で禁止規定、それから七条で命令という手続になっておるわけですが、その前にやはり機動的に被害を未然にあるいは最小限に防ぐという点では、何らかの措置を指示する権限、あるいはどの時点かは別として、禁止命令を出した時点以前でも指示に反した場合等は公表できる、そういった措置をすべきだと私は思うのですが、提案者の御見解を伺いたいと思います。
#71
○上坂議員 先生の御指摘のとおりだと思います。私どもは悪質な営業に対して厳しく規制しようといたしております。これは第九条の四、一項に設けまして、長時間の勧誘であるとか、執拗に何回も電話をかけるとか、あるいは路上によるところの執拗省勧誘であるとか、威迫というか、脅迫的なものにならないかもしれませんが、そうしたものに類するようなもの、あるいは全く不実のものを告げるとかいうようなことの規制をいたしまして、これらに違反をした場合には当然指示をしてやらせないようにしていくということをまず行政でやらせる。政府案にはこの指示がございません。政府案は、営業の自由というものを大幅に認めるという観点に立っていながら、むしろその業界を指導する指示をしないというところに私は大きな矛盾を感じておるわけであります。
 私どもは、厳しい取り締まりの中にもやはり業界をきちんと指導するということがなければならないということで指示を入れまして、それで指示に従わない場合には営業の一部または全部を停止させる、そして停止をさせた以上はこれを公表する、こういう段階になっております。そしてそれでも他に問題があればこれは罰金に処するという形で、二十一条の二に罰金も設けてあります。そのほかに主務大臣に対する措置請求というものを十八条の三に設けまして、被害を受けた当事者だけではなくて、一般の人も、この商法が社会的な正常な取引を阻害するものであり消費者に悪影響を与えるものであるという認識に立つならば、それを発見した場合においては大臣に対してだれでも措置請求ができる、こういう独禁法四十五条の精神を入れたということで御理解をいただいて、ぜひこの法案を通していただくように私はお願いをいたしたいと思います。
#72
○水田委員 通産省にお伺いしたいのですが、先ほどの私の質問に対する答弁と違って、提案者の説明は、具体的に私は被害者、いわゆる消費者の立場あるいはこれまで被害を受けた人たちからいえば、まさに的を射た措置と考えるわけです。先ほどの答弁とは全然違うわけです。ですから今の上坂先生の御答弁に対して、まさに政府も本当に耳を傾けるなら、それがいいですということで修正ぐらいやってもいいと思うのですが、その点は今の答弁についてどういうぐあいにお考えになりますか。
#73
○松尾(邦)政府委員 私ども、この法律の運用については機動性を持って運用しなければならないということ、あるいは消費者に対しては的確な情報提供をしなければならないということ、それらの点については上坂先生のお考えと基本的には同じだと思っているわけでございます。
 ただ具体的な手段につきまして、例えば業務停止命令に先立つ指示の問題ですとかあるいは公表の問題という点につきまして、手段が違っているという点があろうかと思っております。ただ、私ども業務停止命令につきましては機動的に発動いたしてまいりたいと考えているわけでございます。それは法律の規定にもございますように、例えば消費者相談の窓口で非常に問題のある案件が出てまいりますれば、行政府限りの判断で、つまり主務大臣の責任において、これは違法なのではないかと思いましたならば、そしてこれが放置できない、引き続きまたそのようなことが広がるおそれがあるとなりますれば、機動的な命令も発せられるわけでございます。
 ただ、先ほど御指摘がございましたように、この業務停止命令というものとの関連におきまして、指示とかあるいは措置請求などにつきまして、そのような趣旨を政府案に生かすことについてはどうかというような御質問があり、かつまた与野党でお話し合いもされておるという御指摘もございました。したがいまして、これらの点につきましては、与野党のお話し合いが行われることにつきましては、私どもといたしましても十分それを注視してまいりたいと考えております。
#74
○水田委員 続いて提案者の方へ御質問いたします。
 政府の閣法但特定商品等の預託等の取引の規制に関するものでございます。そこで社会党案の訪販法の改正というのは出資法の改正的なものも含んでおる、それを訪問販売法の改正で手当てをしよう、そういうぐあいにされたお考えはなぜなのか、その点をちょっと御説明いただきたいと思います。
#75
○上坂議員 豊田式商法について、私どもも出資法の違反事項でこれは摘発できるというふうに考えておりましたけれども、政府によりますとこれができないということであります。したがって、これも改正をしていかなければだめだという形になってしまうと思うのです。ところが、出資法の改正に取りかかるということになればまたまたこれは時間を要する、また研究研究という形になりましていつまでたっても出てこないという格好になるだろう、こういうふうに考えておりました。そこで、出資法でなくて、現在ある訪問販売法の抜本的な改正によってこれはできるというふうに考えまして、改正法案を提出をしたわけであります。
 私どもの今度の訪販取引法の改正によりますと、今政府が出している法律に関する項におきましては、預託をした物品が預託者に対して完全に返還をされるということが基本になっております。元本を保証していくという形にするわけであります。したがって、預託等の取引は銀行なり保険会社と契約を結んで、そして社会的な保証のある会社でなければこうした商売はできないという形にして、出資法の改正のできない点を補っていきたい、私たちはこういうふうに考えて提出をいたしました。
#76
○水田委員 そこで、社会党案の中に「支払保証委託契約」という条項があるわけです。これは一体どういうことで、どういう機能を持つのか、その点について御説明いただきたいと思います。
#77
○上坂議員 まず第一番に、いわゆる委託取引業者は、こうした委託業務を行う場合には、銀行あるいは保険会社等と「支払保証委託契約」というものを結ばなければこうした業務を取り扱うことができない。そして、この委託業務はどういうことになるかといいますと、銀行、保険会社は、取引業者がもし元本が払えないような場合には、その元本に相当する金額をかわって支払う、こういう契約を結ぶということであります。したがって、預託等の取引業者は、銀行にいわゆる保証料を納めるとか保険会社に保険料を納めるとかというような格好になりまして、銀行、保険会社は、そうした保証料なり保険料なりを納めることのできる経営内容、資産内容、経営姿勢、そうしたものをきちんと調査いたしまして、契約の結べるような社会的に信用のある会社だけがこれに参入ができるという形になると思います。
 そこで今度は、返還の期間が来ても物品を取引業者が返さない、あるいはまた契約を解約しても預託物品を取引業者が預託者に返さない場合には、預託者の方が銀行あるいは保険会社にこれを請求できる、その請求を受けて銀行、保険会社はこれを支払うという形式になるものであります。
#78
○水田委員 そうすると、この委託契約を結んでおる会社と消費者が契約をした場合には、いかなる場合もその損害は弁償される、そういう仕組みになるということですか。
#79
○上坂議員 おっしゃるとおりであります。したがって、この委託契約の場合には、解除であるとかクーリングオフというものを必要としない形になります。
#80
○水田委員 最後の質問になりますが、社会党案では、悪徳業者の行う預託等取引の前提と劣っておるところの物品とか財産権の販売については規制をしないということなんでしょうか、その点はどのようになっていますか。
#81
○上坂議員 私どもの法体系の中での訪問取引の中における連鎖販売であるとか通信販売といったものについては、クーリングオフなり解約というものを設けております。しかし、いわゆる特定商品の委託契約については、これはあくまでも元本を保証することを担保するという形になっておりますから、特別に途中で解約したりなんかしなくても必ず返ってくるということになっておりますから、確実に預託者の権利というものが保障されているという立場に立ちまして、特にそうした商品を指定しなかったということであります。
#82
○水田委員 ありがとうございました。
 政務次官、ずっと閣法に対する質問、それから社会党案に対する質問を続けてまいりました。閣法ではいわゆる現物まがい、特定商品詐欺まがい商法ということだけになっておる。しかも、これは相当程度の被害者が出なければ実際問題としては禁止命令も出せないという不完全なものと私どもは考えておる。マルチまがいなり役務等についてはまさにこれから検討、そして、この悪徳商法の形態というのは千差万別で、きょうもまた被害者が次々と出ておる状況の中で、この委員会でこういった悪徳商法の問題が提起されたのは既に二年も前であります。それでなおかつこの程度のことというのは、通産省の悪徳商法に対する取り組みが極めておくれておる、そういう感じがして仕方がないわけです。今の政府の答弁なり提案者の答弁を聞いていただいて、政務次官として通産省は今後どういう決意で取り組んでいくのか、決意のほどを聞かせていただきたい、こういうぐあいに思うわけでございます。
#83
○田原(隆)政府委員 水田委員が非常に勉強されまして詰めた質問をされておりますが、通産省としましても、係が日夜これについて非常に神経質過ぎるほど神経質に実は取り組んでおるわけであります。この現物まがい商法に対する対応でも遅いように言われておりますけれども、先ほどから委員が御質問になるときに言われておりますように、浮かび上がってくるまでに時間がかかるとか、あるいはそれに対して強過ぎれば強過ぎるだけ逆にデメリットがあるというようなこと等で、非常に悩みながらその都度その都度対応してまいっておるわけでございますから、どうしても時間はかかりますが、しかし適切な対応。それから啓蒙にしましても、やり過ぎれば報道の自由とかいう問題に対してまたひっかかるような感じになってくるというようなこと等で非常に微妙な点が多うございますので、日本は自由な国でありまして、人権並びにそれに準ずるものが非常にとうとばれるということが前提になっておりますから、何事にもどうしても時間がかかる。
 それから、社会党案に対しては、私も深く敬意を表する非常にきっちりした案でございますけれども、現実の問題はなかなか、訪問販売法にいたしましても消費者の利益の増進や流通近代化等に、逆に流動的な面があってこれに貸さなければならないという使命もありますから、今回こういう形で各省連絡協議会あるいはその他でまとめてきたわけでございまして、これからも通産省としては今までの御質問の趣旨を体して、きっちりと神経質にまじめに取り組んでいく考えでございますので、御了承いただきたいと思います。
#84
○水田委員 終わります。
#85
○与謝野委員長代理 福岡康夫君。
#86
○福岡委員 まず、冒頭警察庁にお尋ねしたいのでございますが、私、けさの新聞を見ていますと、「豊田商法まね4億円詐取 大阪府警 元幹部3人を逮捕」とかこういうセンセーショナルな記事が出ておるわけでございます。この記事の内容の中で「ペーパー商法は、集めた現金で純金を購入していたかどうか突き止めにくいが、大阪府警は、入手した帳簿で会社ぐるみの詐欺商法を裏付けた。」こういう記事が載っておるわけでございますが、今までの豊田商法に対する詐欺事件の捜査と、企業ぐるみという形で一歩前進した段階だとこの新聞記事からうかがわれるわけでございますが、まず第一に、大阪にありますアド・インベストメント社、これに対する事件の捜査概要をお知らせいただくと同時に、この事件が、いろいろ前の詐欺商法的事件より一歩前進したものかどうか、この点についても御説明いただきたい、かように考えておりますので、よろしくお願いします。
#87
○国松説明員 お答えを申し上げます。
 まず、お尋ねのアド・インベストメントの関係でございます。
 大阪市の南区にございましたアド・インベストメントという株式会社、これは昨年の九月七日に倒産をいたしておるわけでございますけれども、大阪府警におきまして、昨日、同社の役員三名を、純金預かり名下に全員を騙取したという詐欺容疑で逮捕いたしまして、現在捜査中のところでございます。
 なお。いわゆるまがい商法の関係でございますが、豊田商事につきますこの現物まがい商法につきましても、同じく大阪府警等全国十五府県警察に詐欺などで告訴が出されておるところでございますので、大阪府警を中心にいたしまして、これら関係府県において現在捜査中のところでございます。
 会社ぐるみ云々というお言葉もございましたけれども、アド・インベストメントの件に関しますと、会社役員三名を逮捕いたしましたというのは、これは代表取締役あるいは総務部長、管理部長等の役職にあった者でございます。ほぼ会社の主要メンバーを網羅しているような感じでもございますので、もちろんこの詐欺罪の容疑を問いましたのは、これは三人の者に対するものでございますけれども、当然この詐欺容疑で逮捕するまでには、会社そのものの経理内容であるとかそういうものを全部解明をいたしまして、その経理状況につきましての判断をいたしました上で、私どもとしての判断をいたしたわけでございます。
 ただ、私どもの犯罪捜査と申しますものは、一つ一つ具体的な事件につきましてそれぞれの極めて個別の判断をいたしていくものでございますので、このアド・インベストメントの事件に私どもが着手できたということをもって全体に前進とか後退とか、そういうことでお答えのできるものではないわけでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、豊田商事のまがい商法にいたしましても何にいたしましても、具体的な事件に即しましてできる限りその事案の解明に努めてまいりたいというように考えております。
#88
○福岡委員 今までの豊田商法まがいの事件につきましては、末端のセールスマンの詐欺の立証という形でいろいろ調査されておりまして、今回のように下から上に上がってくるというような形というのは、警察庁がいろいろ御苦労されたと思います。やはりこの豊田商法に関連するような事件というのは、まさに末端ではなくて会社ぐるみかどうか、そして代表者の責任を追及するというところに大きな意義があると思います。特に詐欺罪については個人の責任の追及でございますので、末端から上に頂工作戦をとるのは非常に難しいことでございます。
 本件につきましては、会社ぐるみという形になってくれば、トップの範囲の追及ができるのだということについては、私非常に警察庁の今回の措置は大きな評価ができる、こういうように考えておりますので、今後とも頂工作戦につきまして全力を挙げるように叱咤激励いたします。
 次にお尋ねしたいのでございますが、警察庁で最近「金の現物取引にかかる相談の実態」という数字を公表されておりますが、この内容についてひとつ御説明願いたいと思います。
#89
○国松説明員 「金の現物取引にかかる相談の実態」ということでまとめた数字がここにあるわけでございますが、いろいろな数字のとり方はあるわけでございます。この数字は、私どもの各府県警察に生活相談という窓口がございまして、そこに寄せられたものの数字を一応とってみたわけでございますが、例えば五十九年六月から六十年の五月までの期間をとってみますと、ちょうどこの間が例の豊田商事のいろいろな問題が一番起こっていた時期に当たるわけでございます。この五十九年六月から六十年五月までを見ますと、全国で六百六十八件の私どもに対するいろいろな金の現物取引に係る相談がございます。六百六十八件でございます。
 それをずっと見てまいりますと、非常に特色的なことは、年齢順にいろいろとってまいりますと、今申しました六百六十八名のうち七十歳以上の方というのが三百二十二名、全体の四九・七%に当たるというようなことがございます。
 また、男女別でとってみますと、二百五十三人の男に対しまして四百十五人の女となっておりまして、女性の率が全体の六二%、男性に比べてかなり多いというようなことがうかがわれるわけでございます。お答えになっているかどうかわかりませんが、大体そういうようなことでございます。
#90
○福岡委員 続いて警察庁にお尋ねいたしますが、昨年私、本委員会におきまして大阪の大泉商事の問題についていろいろ御事情をお聞きしたのですが、その後の捜査経過についてお知らせ願いたいと思います。
#91
○国松説明員 大泉商事のいわゆる現物まがい商法につきましては、前回たしか先生の御質問が昨年七月十八日にあったかと思うわけでございます。
 その後、昨年の八月二十七日になりまして、大阪府警察に対しまして、詐欺罪に当たるということで、告訴人二十六人ばかりの方でございますが、その方から告訴が提出されましたので、大阪府警においてこれを受理をいたしました。
 現在、この告訴に基づきましていろいろな関連の捜査をやっておるところでございますが、現在捜査中でございますので、いましばらくお時間をおかしいただきたいと思います。
#92
○福岡委員 そこで、通産省にお尋ねいたしますが、昭和五十八年の三月、「かしこい消費生活へのしおり」というものをお出しになっております。ここで豊田商法に対しての問題点についていろいろ記事が載っておるわけでございますが、通産省の機関誌として、三つの問題点があることを指摘されております。「この種の取引は、この業者には取引に見合う大量の金地金の現物の裏付けがあるとは考えられないこと、」それから二番目には「金という相場商品を運用して利益をあげ、確実に顧客に一割の配当を行うには、家賃、人件費等の莫大な必要経費を考えると成り立ちにくいこと、」三番目には「大勢の顧客が一度に解約を申し出た場合に倒産する恐れが強いこと」この三つが本件の問題点だということを御指摘されておりますが、本法案についてのこれとの関連性、法律の構成要件にこれがどういうように組み入れられておるのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
    〔与謝野委員長代理退席、委員長着席〕
#93
○松尾(邦)政府委員 確かに先生御指摘のように、昭和五十八年の私どもの消費者啓発の資料「かしこい消費生活へのしおり」におきまして、豊田商事を念頭におきまして、T商事ということで、三点について具体的な情報提供を消費者に向けていたしたわけでございますけれども、実はこの時点では、当然のことでございますけれども、政府の方に立入調査権とかいうこともございませんので、一応業の実態について推定される範囲のことをもとにいたしまして消費者への情報提供を行ったところでございます。
 いずれにいたしましても、このような事件、このような状態にあります企業がその後大きな消費者被害の事態を招いてしまったことについて、私ども大変ゆゆしいことだと思っておりますので、この豊田商事が行いましたこのような商法について十分念頭に置きながら、しかしまた豊田商事以外にも類似企業が別途あるわけでございますので、豊田商事及びその類似企業によるいわゆる現物まがい取引の再発防止ということで、私どもとしてはこれらのそれぞれの要件について一つ一つ吟味しながら、そしてその後の被害の状況なども吟味しながら、今回の法案の策定をいたした次第でございます。
 例えば、金地金の裏づけがどうなっておるか、あるいは配当がどうなっておるか、あるいは解約についてはどういうふうになっているか、このようなことについてはそれぞれ実情を調査の上、どういうふうな形で法規制をすれば脱法行為も取り締まれるか、あるいは類似企業の商法も取り締まれるか、こういうことについては個々の事例に即しまして審議会で御審議いただいた次第でございます。
#94
○福岡委員 通産省にお尋ねいたしますが、先ほど警察庁の方から御説明がありましたように、金の取引に係る相談の実態は、まさに五十九年の六月−六十年の五月には六百六十八名の相談があった中で、半分を超えるものがお年寄りや女性である、こういう数字があることは御認識されておるでしょうか、どうでしょうか。
#95
○松尾(邦)政府委員 私どもの消費者相談窓口と警察庁の窓口とで、もちろん個別にケースが同じではないわけでございますけれども、大きな流れといたしましては、金の国内取引につきまして多数の相談事例があり、その相談事例の中には確かにお年寄りあるいは婦人の方が苦情を訴えられる、あるいは相談を持ちかけられるというケースが多かったのは御指摘のとおりでございます。
#96
○福岡委員 七十歳以上で社会的に弱い立場に立つ方、失礼な言い方でございますが、この対象者になっておられる方は知識面、教育面、いろいろな面において弱い方でございます。そういう知識のない方に対して書面交付という問題について、これを交付することによって相手がこれを理解していただけるかどうか、その点については通産省はどういうお考えをお持ちでございましょうか。
#97
○松尾(邦)政府委員 この法律案の規定におきましては、契約締結前、契約締結時に消費者にお渡しする書面につきましていろいろ省令で詳しいことを決めることにいたしているわけでございますけれども、私どもといたしましては、その省令で、お年寄りでも十分字が読めるように大きな字で書く、あるいは色とか形とかについて、例えばほかのところは黒い字で書くけれども大事なところは赤い色で書くとか、あるいは大事なところは四角く枠でくくって読みやすく、目につきやすいように、わかりやすくするというようなことにつきまして、ぜひ省令の段階で具体的に規定してまいりたいというふうに考えているところでございます。
 そういうことによりまして、単に形式的に書類を渡した、小さい字でごちゃごちゃ何か書いてあるけれども、とても見る気もしないというような書面ではなく、うん、ここは大事だから読んでおかないといけないんだなというところだけは、おのずと目に入るというような書面をぜひ省令で規定いたしたいと思っておるわけでございます。
 しかし、もとより、じゃこの書面だけきれいに書いてあればどんなお年寄りでも必ず読めるのかということになりますと、これは必ずしもすべてそういうわけにいかない場合もあろうかと思います。したがいまして、私どもは、法律で可能な限りきめ細かな手当てをいたす一方、消費者啓発を、特に老人層あるいは婦人層に浸透いたしますよう、例えば民生委員の方を通じて詳しく情報を流すとか、あるいは老人ホームを通じて、その老人ホームの方々からその中に入っていらっしゃる老人の方によくお話ししていただくとか、いろいろきめ細かい啓発と法律の書面と両方相まちまして、御老人の方々にも十分御理解いただけるように努力をいたしてまいりたいと考えている次第でございます。
#98
○福岡委員 当事者同士の書面交付、渡す、受ける、こういう形について行政当局である通産省自体はどういう形の対策をおとりになりますか。単に当事者同士の利害関係だから、これなりのものを相手方に任されるかどうか、これに対して通産はその後相手企業の状況についてどういうような対応をおとりになるのか、その点についてちょっとお尋ねします。
#99
○松尾(邦)政府委員 書面の交付につきましては、先ほど来申し上げましたように契約締結前、契約締結時に法律に従った書面を出していただくようにしないといけないわけで、業者にはそのような義務を課しているわけでございますから、もし定められた書類を提出しない、あるいは内容に間違えたことあるいは虚偽のことを記載しておるというようなことでございますれば、罰則の規定もかかりますし、あるいは業務停止命令もかけることができるようになっておりまして、この書面の交付につきましては、内容の的確なものをきちんと渡すように法的な担保がとられているわけでございます。
 しかし、それだけですべて足れりというわけにはいかない場合もあろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、消費者相談の窓口からどのような苦情が出てくるか、どのようなトラブルが出てまいるか、目を皿のようにして十分注視いたすと同時に、必要とあらば、この法律案にございますように報告徴収あるいは立入検査等の規定も活用いたしまして、この規定の趣旨が十分生きているか生きていないか、個々の業者ごとに、問題があれば直ちに機動的な対応ができるように運用してまいりたいと考えております。
#100
○福岡委員 まさに私が指摘するのはその問題でございます。書面を交付する、それで通産省そのものはもういいんだという観念を絶対にお持ちにならないように、これをきめ細かく、今私が申し上げましたように、また警察庁の方の統計からわかっておりますように、七十歳以上のお年寄りであり、そして女性の方である、社会的な教育、知識の面においてどちらかというと余り恵まれてない方でございますので、そういう方の保護こそ、通産の消費者保護政策としてのきめ細かい優しさのある何らかの配慮がどうしても必要だと私は思います。そうでなければこの書面交付はただ形式だけに終わってしまいまして、行政効果が全くないものだと私は確信いたしますが、いかがでございますか。
#101
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘ございましたように、法律の規定は規定としてきちんと守ってもらうような担保措置は機動的にとってまいるつもりでございますけれども、それとあわせて、車の両輪といたしまして、もう一方において十分消費者の啓発も行う、そして個々の業者がどのような動きをしているかについても十分把握してまいる。これらのことに総合的に取り組みまして、この規定が真に悪質な業者にとって実質禁止となるような、法の目的を達成できるような運用をいたしてまいりたいと考えております。
#102
○福岡委員 次に、通産省にお尋ねいたしますが、業務停止命令を出せるように本件はなっております。これに対しての、本法案が実施になった段階における予算、人事面その他いろいろ教育、研修等、こういう問題についてはどういう対策があるのか、現在時点でのお考えで結構でございますが、ひとつお聞きしたいと思います。
#103
○松尾(邦)政府委員 私ども、この法律が施行になりました暁には、いずれにいたしましても省の組織を挙げて、本省だけではなくて通産局も含めまして全国的な取り組みも必要だと存じますし、また、関係各省とも密接な連絡体制のもとに協調して悪徳商法に対する対応をしていく必要があると考えております。
 通産省に限って、特に六十一年度から新たにどのようなことで対応しようとしているかという点について申し上げますと、一つは組織面でございますけれども、悪徳商法の防止、改善を専ら担当する商取引指導官というものを本年十月から専門職として設置することになっております。それから、あわせて不適正な商取引の防止、改善に関する各種の消費者啓発のための予算措置を新規に八百七十五万四千円計上させていただいております。既往の消費者啓発予算も別途あるわけでございますが、特に悪徳商法に限りまして集中的に被害内容の調査ですとか、適正化の指導ですとか、啓蒙資料の作成ですとかに取り組んでまいることにいたしております。
 このような新たな予算、既往の予算、それから従来から持っております省内の組織あるいは関係者との連係プレー、これらを集中いたしまして、問題の発生することのなきよう再発防止に最大限努力いたして実効を期してまいりたいと考えております。
#104
○福岡委員 ただいまお話しの中で指導専門官を設置するそうですが、これに伴う人員は何名か、それからこれに関連する実質的な予算はどうなっているのか、この点でございます。
#105
○松尾(邦)政府委員 ただいま申し上げた専門職としての商取引指導官は一名でございますけれども、従来から消費者保護行政あるいは流通行政に取り組んでいる職員は相当数いるわけでございますから、これらの職員を有機的に組織いたしまして体制をしっかり組んでまいりたいと考えておりますし、各通産局にも消費者保護行政に取り組んでいる職員が多数いるわけでございます。これらの職員との連係プレーもしっかりやってまいりたいと考えているわけでございます。
 それから予算につきましては、先ほど新規予算約八百七十五万円ということを申し上げたわけでございますけれども、これは確かに本年度の新規予算でございますから少額に見えるかと存じますが、全国の八通産局におきます消費者相談窓口の運営あるいは本省におきますいろいろな消費者啓発のための既往の予算、これらをひっくるめますと何億というオーダーの予算を持っているわけでございますが、今こういうことがぜひ必要だというときには、機動的に、思い切ってそこに集中して予算の活用を図ってまいりたいと考えております。
#106
○福岡委員 ただいま御説明のありました予算は調査費ですか。それとも旅費等はその中にどの程度含まれておるのか。具体的にその内容についてちょっとお示し願いたいと思います。
#107
○松尾(邦)政府委員 今の予算につきましては、費目としましては庁費とか旅費とかいう種類の予算になると思いますけれども、具体的中身をちょっと御説明させていただきますと、一応四つの項目から成り立っているわけでございます。
 一つの項目は、被害の内容を調査する、これは通産省の通産局を含めました各窓口にいろいろ苦情相談が寄せられますけれども、これを迅速に整理、分析して、どこに問題があるのかということについて把握すると同時に、問題の案件につきましては詳細な調査が実施できるというような仕組みを考えているわけでございます。
 第二には、被害の発生を防止するための対策連絡会議を開催いたしたいと思っておりまして、省内の関係課長会議のほか、通産局の担当官との会議も機動的に開くような趣旨で、旅費等を計上もいたしているところでございます。
 第三には、適正化のための指導といたしまして、都道府県などに対しまして、消費者相談窓口を持っているときにどのような対応をしたらよいか判断に迷う場合も当然あろうかと思いますので、本省で、各通産局の窓口あるいは本省の窓口から上がってまいりました案件についてこのような処理が適切であるということにつきましての考え方を整理いたしまして、都道府県の担当官に対する説明会を開き、適切な対応をしていただくための資料をお配りするというような予算でございます。
 第四番目には、一般の消費者に向けての啓蒙資料の作成でございます。先ほど来先生の御指摘もございましたように、とにかくパンフレット、リーフレット、ポスターなども含めまして、消費者を中心に、場合によったら地方公共団体その他の特にお年寄りとか御婦人の方によくお話をしていただけそうな方を選び出しまして、そのような方にこのような資料を集中的にお配りして周知徹底を図っていただく、このような予算を先ほど申し上げた新年度の新規予算として計上させていただいているところでございます。
#108
○福岡委員 今のお話を聞いておりますと、この法律ができて人員がふえるのは一名ということですが、私考えてみて、今通産省も地方の通産局も手いっぱいじゃないだろうかと思います。この消費流通関係のお仕事というのは山積みされておると聞いております。今の御答弁の中には鋭意地方局、また通産省全力を挙げてとありましたが、どこの部署も余裕がないものと思いますが、あるのですか。その点、人員が一名ふえただけであるか、それから違反の調査旅費は幾らか。この点について、この体制で果たしてこの法案によって遂行ができるかどうか私はちょっと疑問に感ずるのですが、いかがなものでしょうか。
#109
○松尾(邦)政府委員 違反事例の調査旅費の件数はちょっと手元に持ち合わせておりませんが、全体像は先ほど申し上げたような姿になっているわけでございます。確かに、このようないわゆる現物まがい商法の再発を防止するためには、できるだけたくさんの人員を確保し、できるだけたくさんの予算をぜひ獲得いたしたいところでございますけれども、御高承のような行革の時代であり、また財政再建の時代でございますので、私どもといたしましては、別にぶらぶら暇な人がたくさんいるからそれを使えばいいということでは決してございませんが、それぞれに皆忙しい仕事を持っておりますが、事柄の重要性にかんがみ、また事柄の緊要度に応じまして、現在流通消費関係に携わっている職員の中で、どうしてもこの業務に割かなければならないという職員はどうしても確保して、省内でやりくりをいたしまして、問題が生じないように最大限努力いたしたいと考えておりますし、消費者啓発の問題につきましても、あるいはおっしゃいました違反の状況の調査にいたしましても、確かに人に限りがあり、お金に限りがありますれば、なかなか十二分にというわけにいかないかもしれませんが、限られた予算の中で、できるだけ事態の緊要性にかんがみたりあるいは事態の重要性にかんがみまして、融通を弾力的に可能な限りやらしていただきまして、そのときどき、最も予算として適切な使い方をしていく、あるいは最も適切な人員配置をしていく、こういうことについては精いっぱい心がけてまいりたいと考えております。
#110
○福岡委員 今の御答弁によりますと、確かに御努力は認められます。しかし、精神的高揚だけでこの問題は片づく問題じゃないと思います。やはりお金と人じゃないでしょうか。これの実効確保の手段がなくして、この法案そのものの適正な促進強化ができるとお思いになりますかどうか。精神高揚のお気持ちは十分わかります。しかし、審議官がいろいろ御努力されても、やはりお金と人がなければどうにも実態に対応ができない。
 それから、いろいろお聞きしておりますと。通産省そのものも政策官庁として幅広いいろいろの政策をお持ちになっております。人間にもお金にも全く余裕がないと思っておりますが、その点について精神高揚のものだけでこれが片づけられるものかどうか、この点についてどういう御見解をお持ちですか。
#111
○福川政府委員 御指摘のように、消費者行政は非常に多様でございまして、私どもとしてもこの行政には全力を挙げて取り組んでおるわけでございます。現在、本省の消費経済課を中心にいたしまして、消費者相談室を加えて三十六名の人員でやっております。予算も大体この関係の部分では三億ぐらいの予算が消費者全体のこういった消費者保護の点について使い得るものがございます。
 精神高揚だけじゃだめじゃないかという御指摘はそのとおりでございますが、私どもとしても、限られた定員の枠あるいはまた予算の枠、こういうことの制約の中でこの行政をいたしておるわけでございまして、従来も私どもこういった消費者相談の中でこの種類の問題もいろいろと取り上げてまいったわけでございますが、この大変限られた行政定員あるいは予算の枠内でございますけれども、私どもとしても、今松尾審議官から御答弁申し上げましたように、現在あります体制を効率的に運用いたしまして、この法律の運用には万全を期したいと考えております。
#112
○福岡委員 大変でございましょうが、また来年度でも結構でございます。人員が一人、またその調査旅費も特にふえたような感触を得られなかったので、こういう形の補強はやはり十分必要だと思います。来年度予算編成のときに当たりましては十分そういう点を補足していただきたい、こういうように思いますが、政府委員の御答弁をいただきたいと思います。
#113
○福川政府委員 御指摘のように、先ほど八百万強の新たな予算ということでこれの見合いのものを準備をいたしたわけでございますが、御指摘のように、来年度の予算編成、これはどういう形のシーリングになりますか、まだ今後の方向に得たざるを得ないわけでございますが、私どももこの法律を成立さしていただきました暁には、この消費者行政に遺憾なきよう、私どもでも可能な範囲で予算上の措置は考えて検討さしていただきたいと思います。
#114
○福岡委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、通産省の方に続いてお尋ねしたいのでございますが、今までの通産省そのもののこういう違反事件が起こったときの調査方法、これについてひとつお知らせ願いたいと思います。今までの前例で、過去にいろいろこういう事件がありましたときに、どういうようにやっていくのか、そしてどういう形でどうするのか、それをちょっと御説明願いたいと思います。
#115
○松尾(邦)政府委員 悪徳商法にもいろいろな種類がございまして、それぞれ、あるものは法律があり、あるものは法律がないということになるわけですし、また法律の内容も必ずしも同一ではないというわけでございます。
 例えば海外先物法でございますれば、立入検査あるいは業務停止命令等もあるわけでございますから、報告徴収を受けて、どうもこれは問題だとなれば立入検査を実施し、さらに必要とあらば業務停止命令をかけるということに進んでまいるわけでございますし、例えば訪問販売法の場合でございますれば、消費者にトラブルを生じさせるような販売手口につきまして、消費者相談等の窓口を通じてたくさんの事例が出てきたような案件につきましては、ぜひ消費者に知っていただかなければなりませんので、そのような手口につきまして、企業によく実情も確認いたした上で、手口を公表いたしまして、手口の公表をいたしましても、かつまた企業に対していろいろ是正方を指導いたしましてもこれに応じない場合には、企業名も公表するというような制度も運用として実施いたしているわけでございます。
 そういうわけで、法律そのものあるいは法律をよりどころにしながら行政的な措置としての対応、あるいは全然法律がない場合になりますと、これは残念ながら、例えば去年の豊田商事の場合には、いろいろ企業に調査をしようと思いまして働きかけましたけれども、応じてもらえないというようなこともありまして、この点については大変私どもとしては不本意だったわけでございますけれども、今回のこの法案によりまして報告徴収、立入検査、業務停止命令のような規定を設けるように案としてなっておるわけでございますので、これが施行されました暁におきましては、このような規定を機動的に運用してまいることにいたしたいと考えております。
#116
○福岡委員 私の聞いておりますのは、具体的な問題が起こったときにどういうような方法で、当然法的根拠に基づく事実聴取をやる場合に、どういう方法でどういうようにやるのか、具体的なものをひとつ御説明願いたい、こういうことでございます。
#117
○松尾(邦)政府委員 法に触れるような案件あるいは法に触れないけれども非常に問題があるような案件、いろいろ色合いはあろうかと思いますけれども、法に触れるような案件で、例えばよその省庁の所管に属する法律にどうも問題があるのではないかというようなものにつきましては、それぞれ所管の省庁に、こういう問題が私どもの消費者相談窓口に来ておりますけれども、どのように手当てしたらよいか、よくその所管省において機動的に対応してもらいたいということを申し入れをする場合もございます。あるいは、私どもの所管している法律について問題がある場合も当然ございます。
 私どもの所管している法律上問題がある場合には、もちろん部内でまず検討いたしますけれども、その上で、必要とあらば法令の解釈について所掌しているそれぞれの関係省庁にも照会する、あるいは必要とあらば弁護士に、この扱いをどうしたらよいか、専門的な意見も伺う、そんなようなことを通じまして、やはりこれは法律的にかような問題がある、あるいは法律的にはかような問題はないけれども、やはり実態面においていろいろ問題があるというような判断をいたしまして、それぞれ実態判断に即した対応をしてまいっているのが実情でございます。
#118
○福岡委員 重ねて申しますが、私具体的に、例えばこの訪販法でようございます、訪販法で違反の疑いがある場合に、関係者をどういうような形で呼んでお調べになって、その事実を認定されるのか、そのやり方について、具体的な一つの事例でよろしゅうございますから、御説明願いたい、こういうことです。
#119
○松尾(邦)政府委員 例えば訪問販売法でございますれば、もちろん報告徴収を、具体的に権限があるでしょうし、しますけれども、まずはその前段階といたしまして、消費者相談窓口等から問題があるとわかりました企業につきましては、まず企業に通産省に出向いていただくよう要請いたします。要請に応じまして企業が参ります。参りましたら、消費者相談ではこういうふうな苦情が出ておるけれども、あなたのところはこういうことをやっているんじゃありませんか、法令に違反するようなことがあるように消費者から言われておりますけれども間違いがないかどうかということをただします。それに対して、企業は即答できる場合にはそこで、自分たちはこういうわけで全然やっておらないとか、あるいはやっておりまして反省しますとかということもあると思います。しかし、それは社内に持ち帰らないとわからない場合もあると思います。その場合には、また一たん社内に持ち帰り、その回答を、追って役所にまた出てきまして聴取する。その上で、先ほどのようなことで、法律に触れるのか触れないのか、触れないとしても問題があるのかないのかという判断を何回も、企業からの事情聴取、それから省内での会議、それから必要とあらば専門的な法制に関する関係部署への照会あるいは弁護士への照会等を通じまして、そういう一連の手続を、会議を開きながら判断に誤りのなきよう運用しているのが実情でございます。
#120
○福岡委員 本件の場合、こういう訪販法違反が成立した場合の違反調査でございますが、会議にかけるとかかけぬの前に、被疑事実の認定をどうするかという調査テクニックが非常に大事なんだと私は思っておるのです。それで今の問題を聞いておるわけです。だから、通産省はこういう事件について、調査テクニックとして、違反事実の認定をする場合にヒアリングだけかどうか、総合的にどういう判断をしてこれが違反だという法律構成要件の認定をされるのか、その点をお聞きしたいのです。
#121
○松尾(邦)政府委員 訪問販売一般につきましては、もちろん報告徴収権はございますけれども、立入検査権その他全般にわたって強い権限があるわけではございません。ですが、私どもの先ほど来申し上げた趣旨は、一つは、消費者からいろいろ問題提起がある、その問題提起を、果たして企業が本当にその問題提起のとおりの問題の行為をしているのかしていないのかということとの突き合わせをする必要があるわけでございますが、その突き合わせにつきましては、企業の呼び出しをかける場合が一般的でございますけれども、必要とあらば、権限はきちんと持っているわけじゃございませんけれども、こちらから企業に出向いて実態の把握をする場合もあり得るわけでございます。いずれにしましても、企業の実態にできるだけ接近いたしまして、企業が本当にどういうことをやっているのか、その点についても十分実情を踏まえながら、そして一方におきましては、消費者の声が一つの物差しとしてそういう企業の行動を判断する大事な材料になるわけでございますので、それらを兼ね合わせて判断をいたしているわけで、出向く場合もあれば呼んで事情を聴取する場合もあり、あるいは書面をいろいろ出してもらって、その書面が本当に問題がないのかどうかというチェックをする場合もあります。したがいまして、そういう意味では事情聴取、実情調査あるいは書類の点検、そのようなことをいろいろ必要に応じまして織りまぜながら判断をいたしているのが実態でございます。
#122
○福岡委員 なぜ過去のそういう問題点をお聞きするかと申しますと、本件については通産大臣の業務停止命令があります。この業務停止命令を、行政命令で通産大臣名でお出しになると思います。その場合に、相手方がこれを聞かなくて裁判所に異議の申し立てをした、こういう行政訴訟の場合の対処はどうなるのか、こういう点が私、心配なのでございます。その点についてどういう対応をお考えになっておるのかどうか、それをお聞きしたいと思います。
#123
○福川政府委員 御指摘のように、法律上の措置を講ずる場合には、我々としてもそれなりの事実を把握していなければならないことは当然でございます。今お話がございましたように、まず情報の入手の端緒は、消費者相談の窓口へ来る、あるいは投書が来るといったような格好でつかめますが、それに関しまして、今申しましたように当事者を呼び出して意見を聞く、しかしそれだけでは、当事者の主張だけでは明確な事実の把握ということになりませんですから、それから関係の第三者の意見も聞く、あるいは関係の物件の提出を求める、こういうことでございまして、報告徴収権あるいは立入検査権というようなものがございます。したがいまして、行政上の措置をとるのに、それなりの事実を固めた上で備えなければならないわけでございます。
 あるいはまた、そうした場合に相手方、例えば今回の場合であればこういう取引業者の方が、場合によっては今お話しのように訴訟に出ていくということもあろうかと思います。したがって私どもとしても、そういうことにも十分対抗できるような事実を把握をする、こういうことでございまして、もちろん当事者の事情も聞きますが、あわせて関係の第三者の事情も聞く、あるいは必要があれば関係の物件も調べる、こういうような形で事実を固めてまいる、こういうふうに考えております。
#124
○福岡委員 本件について業務停止命令をお出しになりますときに、これに対する例えば行政命令を出す、出したものを先方の企業が行政訴訟――私がなぜこれにこだわるかといえば、今までの対象になっているこういう豊田商法まがいの商法というのは知能犯が多いわけでございます。果たして行政命令に従うかどうか。過去の事実関係をいろいろ私が聴取しているところによると、非常に抵抗を示す企業なんです。善良なる企業じゃないわけですよ。善良なる企業であれば、まさに行政命令だけでこれは対処できると思います。しかし、ノーマルでない企業、これに対して通産省自体として、この証拠保全に対する、また調査テクニックについてどういうような方向をおとりになるのか、この点がちょっと私疑問がありますのでお尋ねしておるわけでございまして、これからの方向についてどういうお考えをお持ちなのか、ひとつお示し願いたいと思います。
#125
○松尾(邦)政府委員 確かに、業務停止命令の発動に当たりましては、十分状況について正確に把握しておくことが必要だと存じます。したがいまして私ども、先ほど来申し上げておりますけれども、特にこの法律の場合には、報告徴収、立入検査の権限も持っているわけでございますから、報告徴収でまずいろいろなことを聞きまして、なおわからないところは当然立入検査をして、そこにございます書類を見るとかあるいは契約書面を見るとか、実際にどのような業務を行っているのか実態を把握するということももちろん可能でございます。
 一方におきましては、消費者からのいろいろな苦情あるいは相談も重要な判断の材料だと思っておりますし、片やまた、これらの消費者の苦情相談、それから立入検査、報告徴収によって得られた情報を、本当にこの第七条の業務停止命令の要件に当てはまるものとして行使していいのかどうかということについて、法的な解釈にもし疑義がある場合には、法制に関する専門部署あるいは弁護士の御意見なども場合によりましたら承りまして、法的にも、事実関係におきましても、この法律の発動要件に当たるような実態を備えた上で発動することになると思っております。
#126
○福岡委員 私、本件のようなこういう法案につきましては、善良なる企業でない方が非常に多いところなので、例えばさきに審議官がお話をなさっておったように、豊田商法でも出てこいと言うけれどもなかなか出てこなかった、こういうようなお話もされていたように、行政官庁が出ていらっしゃいということで、はいはいと出てこられるのは善良なる企業です。ノーマルな企業でないものに対処するのに、この単なるお呼び出し、そして話を聞く、ヒアリングだけで果たして被疑事実の認定ができるかどうか。これははっきり申し上げて非常に困難ではないか、私はそういう気がしてならないわけでございます。
 やはり通産省は、これに対する何らかの対応なり法務研修的な形、またいろいろな面の対応というものをお考えにならないと、もし相手方が行政訴訟を起こしますと――企業としてはやはり企業の浮沈にかかわる問題です、業務停止命令を受けるということは。命令に従わないで行政訴訟が起こって、第一審の判決が出る前に仮執行でもやられた場合、政府の面目丸つぶれになってくるという形があります。それで、第一号が失敗したら、次から次に行政訴訟が起こってくると思うのです。これに対する対応をどうするかということが本件の問題点であると私は思うわけでございますが、いかがでございますか。
#127
○松尾(邦)政府委員 確かに、この業務停止命令の発動につきましては、十分な備えを持って臨むべきことはもとよりでございます。
 ただ海先法、海外商品市場の先物取引の受託に関する法律におきましても、同様の立入検査もありますし業務停止命令の権限もあるわけでございますけれども、これについては既に運用の実績もございまして、私どもなりに勉強もいたしてまいったつもりでございます。したがいまして、このような海先法の運用の実績も念頭に置きながら、それからまた先生も御心配いただいておられますように、私どもの職員の法的な素養あるいは事実認定に関する能力の向上、こういったことにつきましては、今後私どもも一生懸命気を配っていかなければいけないことであろうと存じます。
 本来こういう法律に関する問題というのは、法務省とか人事院が研修の制度でも持っておればぜひ参加するのも一案だと思っております。現在当面の予定には入っていないようでございますけれども、私どもも省内に研修所も持っていることでございますから、今後どのようにやっていくかよく関係部署とも相談しないと確たることは今申し上げられませんけれども、先生が御懸念なさいましたように、業務停止命令の発動に関する法律的な素養あるいは事実認定に関する素養について格段努力して樹立すべきだというような実態について省内の関係部署との話がつきましたら、そういう研修も機動的に行うようなこともこれからの課題として考えてみたいと思っております。
#128
○福岡委員 法律構成要件の論評は第二段階でございます。まずその違反の事実、被疑事実の認定、これが第一義的な問題だろうと思うわけでございます。ですからこの面につきましては、被疑事実を認定してその後法律的解釈の問題だと思うわけでございます。その第一義的な被疑事実の認定が、まさに善良なる企業が多いところでなく、逆にノーマルでない企業を対象にするので調査テクニックが最優先すると思います。この点に対する対策が通産省には必要ではないかと思うのでございますが、政府委員、いかがお考えでございましょうか。
#129
○福川政府委員 私どもとしても、この法律を厳正に運用するには、今御指摘の点は大変重要な御指摘だと思っております。現在も消費者行政に関しまして研修制度を私どもでは持っております。消費者関係、消費者保護行政についての法令の研修、実際上の相談への対応の仕方等の研修を行っております。都道府県の職員も参加をさせてやっておりますが、今御指摘のような問題について、今後そういった私どもでの研修制度、これを十分今御指摘のようなポイントを含めてカリキュラム等についても検討いたしまして、この法律の運用に遺憾なきを期すような研修制度の充実は検討してまいりたいと思います。
#130
○福岡委員 次の質問に移らしていただきますが、先ほどの「消費生活へのしおり」でおたくの方が書いてあります事項で、第一点として、「T商事」とは豊田商事のことであると思いますが、これはそうでございますか、どうでしょうか。
#131
○松尾(邦)政府委員 仰せのとおりでございます。
#132
○福岡委員 第二点として、「極めて不明朗な取引」と断定した根拠に関し、どのような調査に基づくものであったかを具体的に明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#133
○松尾(邦)政府委員 この豊田商事につきましては、私どもの消費者相談窓口へ苦情相談が多く見られるようになりましたので、実は私どもとしては会社に業務内容について責任ある人間に説明に来るようにということを求めたのでございますけれども、先ほども申し上げたことになりますが、この時点では当然のことながら役所の方に報告徴収権も立入調査権もない。行政のよりどころが具体的にございませんでしたので、会社の方が、役所の権限がないものですから、来なくてもいいだろうということでどうしても応じてもらえなかったという経緯がございます。したがいまして、私どもとしては会社の中に立入検査をして、あるいは報告徴収権を行使して中身について十分実情を調べたというわけではないのでございますけれども、相談を受けました内容等からいたしますと、どうもやはり豊田商事の商法を見ますといろいろ問題があるのじゃないかということで、その中身について三点、御指摘のようなことを消費者に対して警告いたしたわけでございます。
 その第一点は、具体的に取引の量に見合うだけの金地金の現物の裏づけがあるとは考えられないという点でございますけれども、これにつきましては豊田商事の取引額も非常に欠きゅうございます。したがいまして、金地金の流通のデータを読んでおれば、もし本当に豊田商事が手当てをしておれば、相当大量の金が販売されて豊田商事に向かっているということは全体の統計からもある程度読み得るわけでございますけれども、どうも全体の流通統計を見ましてもそのような姿が出ておらないということがありましたので、これは確たる証拠があるわけではございませんが、どうも情況証拠としては現物の裏づけがないのではないかということを注意を喚起いたしたわけでございます。
 それから第二番目に、金について配当一〇%ということを豊田商事は約束しておったわけでございますけれども、考えてみますと、金は御案内のように相場商品でございますから、上がるときもあるでございましょうけれども下がるときもある。かつまた、いろいろ商売をやっていく上ではセールスマンに対する給与の支払い、事務所の費用その他いろいろな経費がかかっていくわけでございますけれども、それらの経費もかかりながら、しかもまだ相場商品として価格の変動が大幅であるにもかかわらず、一割は必ず配当いたします、こういうことを約束することは一般常識的に見て果たして可能なんだろうかということで、これも情況証拠に基づきましたけれども、問題ありという警告を発したわけでございます。
 第三に、一般的に消費者がみんな解約していくと倒産するのじゃないかということも触れているわけでございますけれども、これは返還期が到来した消費者が約束どおり豊田商事に支払いをしてくれと言って集中いたしてまいった場合に、豊田商事の方で十分手元に流動資産を持っておればもちろんそれは対応できるのでございましょうけれども、どうも見ておりますとそれほど十分な流動資産を手元に持っているとはなかなか思いがたい、かつまた到来期が来たお客さんにお金を払うために、絶えず新しいお客を集めて、その新しいお客から集めたお金でどうも従来のお客さんにお金を返しているらしいという感じが情況証拠としてわかりました。
 そのようなことで私どもとしては、これは放置することは問題である、消費者におかれて十分注意して、危険なものと推定いたしまして消費者の方々に御注意を喚起したということでございます。
#134
○福岡委員 審議官は、私第一点だけしか聞かなかったのですが、後の分も多分あると思われてお答えいただいたので、ありがたく拝聴させていただきます。
 次に、公正取引委員会にお尋ねしたいのでございますが、本法の従来の預託等取引行為について独占禁止法第十九条や景品表示法で規制することはできるのか、また具体的にはどういう行為が問題となるのか、この点について御見解をお聞きしたいと思います。
#135
○利部政府委員 預託等に関する取引につきましても、独占禁止法の構成要件の定めに照らしまして違法と見られるものにつきましては、当然取り締まりができるわけでございます。ただ、外形的に独禁法の規定に当たりますけれども、公正競争の問題と関係のない、そもそも社会的に存在を許されない、独禁法で是正措置を講じてもとてもまともな商売にはならないというようなものですと、独禁法のらち外であろうかとは思いますが、公正競争の観点から是正させることによって一つの商法として成り立ち得る、そういう行為でありましたら、独禁法あるいは独禁法の附属法であります景品表示法によって規制されることができます。
 以上でございます。
#136
○福岡委員 そうすると、今のお話を聞いておりますと、指定商品以外のものについて独禁法の十九条なり景品表示法の適用できる部分もある、ない部分もある、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
#137
○利部政府委員 おっしゃるとおりでございます。できる部分もあり、場合によってはできないものもあるということでございます。
#138
○福岡委員 通産省にお尋ねいたしますが、ない部分についてはどういう形になってきますか。
#139
○松尾(邦)政府委員 今お尋ねの趣旨、私も必ずしも正確に理解していないかもしれませんけれども、独禁法上の具体的な解釈ということであると私どもからはお答えがしづらいわけでございまして、これは所管の公正取引委員会からお答えいただくのが筋だと思いますけれども、いずれにいたしましても、法律の世界で考えますと、私どもの法律で適用可能な体系と申しますのは、指定商品制のもとで勧誘行為から契約締結へのいろいろな行為、そして契約締結時、契約締結後、各段階にわたりまして行為を規制いたしておるわけでございますから、その指定商品に関する限りは、そのような規制規定によりまして再発の防止を図っていくという体系になるわけでございます。
#140
○福岡委員 いや、それは当たり前のことで、特別法ができればその方の対象になります。ですから、私が今聞いたのは、指定商品以外のもので当然独禁法の十九条の一般指定の九の適用範囲内が一部あるという先ほどの公正取引委員会の御見解でございます。ですから、その当たらない部分の対象もあり得る。これはどういうようにフォローされるか。
#141
○松尾(邦)政府委員 私どもとしての法律で申せば、指定商品に追加し得るものがあればもちろん追加いたしますけれども、仮にそのような指定をするには、それなりの被害の発生の蓋然性というものを見てやるのだと思います。それらの状況が必ずしもそこまでいってないような場合であり、特に公正取引委員会において法の厳正な運用を図っていただく必要があるときには、公正取引委員会と御相談をして厳正な運用についての措置をお願いするということになろうかと思いますけれども……。
#142
○福岡委員 現在日本では罪刑法定主義をとっておりますので、指定商品に指定されて初めて本件の対象ができると思うのです。その間までは一週間か二週間かかりますが、わあっと出ます。そして、こういうものは一つのムードで動きますから、その場合の救済をどうするかということですよ。
#143
○松尾(邦)政府委員 私どもの法律の商品指定に関して申しますれば、被害の後追いにならないように機動的な指定を行いまして、現実に被害がたくさん出なくても、これは被害の発生の蓋然性があるなどいう段階で商品指定をどんどん機動的に進めていくことによりまして後追いにならないような運用をしてまいりたいというのが、私どものこの法律に関する基本的な運用の態度でございます。
    〔委員長退席、野上委員長代理着席〕
#144
○福岡委員 後追いにならないと言ったって、罪刑法定主義をとっておる以上やはり後追いにならないことはない。後追いになるけれどもそれをなるべく早くやるという意味ならわかるけれども、後追いにならないようにすると言ったって、後追いになるじゃないですか。
#145
○松尾(邦)政府委員 御指摘のとおり、政令で指定する以前に問題が起こった場合には法律の適用がないわけですから後追いになりますけれども、私ども申し上げた趣旨は、できるだけそういうことのないように政令の指定を極力前広に、被害発生の蓋然性があれば、具体的に被害が何件も起こらなくても機動的に政令指定をいたしまして、何とかそのような事態を回避するように運用してまいりたい、こういう趣旨で申し上げた次第でございます。
#146
○福岡委員 現行法の成立となれば、それが一番問題点だと思います。いかに通産省そのものが具体的に指定商品を迅速果敢に指定するか、これが本法案が生きるか死ぬかの一番頂点になると思います。本法案をこのまま可決した場合にそこが一番問題点ではないかと思いますので、十分――後追いになるのです。後追いになるのだから、迅速果敢に早く指定商品にしていただかなければいかぬ。こういうところでまさに命運は通産省の手にかかっておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に公正取引委員会にお尋ねしたいのでございますが、アメリカのFTC法第五条と日本の独占禁止法第十九条の違いはどういう点にあるのでございますか。
#147
○利部政府委員 日本の独占禁止法では、違反として問擬できる行為は公正競争を阻害するおそれのある行為、公正競争阻害という枠が示されておりますが、その中で違反になるということでございますが、FTC法、アメリカの連邦取引委員会法では公正競争阻害という枠がございませんで、単に欺瞞的な商慣行行為というものも違反にし得るというふうになっております。その点が大きな違いだと思っております。
#148
○福岡委員 続いてお尋ねしたいのですが、いわゆるマルチ商法について公正取引委員会としては今後どういうように取り組んでいかれるおつもりか、ひとつ御見解をお示し願いたいと思います。
#149
○利部政府委員 マルチ商法につきましては、数年前、訪販法ができる前に、当時ホリデイ・マジック社というものがありまして、化粧品の販売にいわば籍口して実は人狩りによる利益を上げていた、そういうケースでございますが、それに対して独占禁止法を適用して正式な措置を命じた例がございます。ということは、同様な行為につきましては現在でも当然独占禁止法の適用ができるわけでございまして、そういうマルチ商法あるいはいわゆるマルチまがいの商法で公正競争を阻害する行為と見られるものであって、かつ独占禁止法なりあるいは景品表示法なりで効果的な排除措置を講ずることのできるものについては、それを厳しく規制することにためらうものではございません。
#150
○福岡委員 重ねて御質問したいのでございますが、ホリデイ・マジック社の商法と、豊田商法に関連いたしまして事件が起こりましたベルギーダイヤモンド社の商法の相違点、どういう点が違うのか、公取の御見解をお聞きしたいと思うのです。
#151
○利部政府委員 ホリデイ・マジック社の商売のやり方は、化粧品の販売の形式をとっておりましたが、その実態はむしろ化粧品の販売によって利益を上げていくという商売よりは、その販売に関与する人間を集めてその者から保証料的なものを取る、さらにその下位にある販売員を募集してそれからまたお金を取る、まさにマルチによる人狩り組織でありますが、実質的にそれが主であったと思われる、そういうところから正常な化粧品販売業とは見られないということで措置をしたわけでございます。ホリデイ・マジックの場合は、その商法のシステム自体から、これは人狩りが主であってまともな商売をやる気ではないのだということが相当はっきり見えてきた、それを前提にして審査を進めていったところが、違反が立証できたので措置をとったということでございます。
 ベルギーダイヤモンドの方は、形式からしますとダイヤモンドの販売であって、かつそのダイヤモンドを買う人を紹介したら紹介手数料を払うという形になっておりまして、そういう形式からだけ見ますとマルチとは必ずしも言えない形でありました。その紹介料というものも、事前に見ている限りでは著しく不当、過大な額の紹介料とも一概には言えないような状況でありましたので、直ちに不当を前提とした調べ方はできにくかったわけでございます。しかし公正取引委員会では、それだけにはとどまらずに、ダイヤモンドの販売を仮装しているけれども、実はダイヤモンドの販売代金ということでいわゆる特定負担的なものを取っているのではないか、あるいは紹介料、ダイヤモンドを購入する紹介手数料に籍口して実は人狩りの代償みたいなものを取っているのではないかということを追及しなければいけないと考えまして、その調査をやっていたところでございますが、御案内のとおりそのころ事実上閉鎖の段階になりまして、それ以上審査を続けることができなくなった、そういうことでございます。
#152
○福岡委員 私が公正取引委員会に申し上げたいことは、先ほどのお話をお聞きしておってもはっきりしておるのでございますが、独禁法の十九条の一般指定の九「正常な商慣習に照らして不当な利益をもって、競争者の顧客を自己と取引するように誘引すること。」この一般指定の九は、ひとつ指定商品以外のものについて有効かつ厳格に適用していただきまして、この指定商品以外のものについての本指定に当たる部分については取り締まることを要望したいと思いますが、最後に御決意をひとつお願いしたいのです。
#153
○利部政府委員 御質問、御要望の趣旨どおり私ども公正取引委員会も考えておりまして、本当に悪いことをやろうという事業者が通産省の方の法律からは逃げる、独禁法からも逃げるというようなことはあってはならないので、あっちでも押さえられる、独禁法でも押さえられる、両方の法律が効果が倍加するというようなことで運用されるべきものだと思います。そういう点から、公正取引委員会も、通産省とも協力しながらそういう悪質なものの再発防止のために効果的なやり方を考えていきたいと思っております。
#154
○福岡委員 次に、通産省にお尋ねいたしたいと思います。
 この法案は、ディスクロージャーが中心の規制になっております。この制度が効果を上げるためには、受け手側に理解能力がなければなりません。読解能力とか判断能力がありさえすれば、豊田商事の被害がこれだけふえることもなかったと思うわけでございます。先ほども私この問題から、おたくの方の消費者便りを手引にいたしましていろいろ問題点をお聞きしたわけでございます。書面の内容を開示するだけで被害を未然に防止することができないことは、豊田商法の被害者の大部分が契約内容を理解できない高齢者であった、これを指摘しなければならないわけでございます。したがって、私は、単に契約の内容をディスクローズするだけでは規制効果として限界のあることは否定できません。契約内容をいかに公正に確保し、担保していくのか、このことが重要になってまいると思うわけでございます。行政コストの問題はあるとしても、通産大臣に係る預託等取引約款の設定を検討すべきだと私は考えますが、この点について通産省はどういうお考えをお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#155
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘のように、私どもといたしましても契約締結前、契約締結時に書面をお渡しすることをもって再発防止が全うできるとは思っておりませんで、先ほども申し上げたことになるかと思いますけれども、まずは書面の交付については様式等について消費者に非常に読みやすいようにすることももちろん大事でございますし、さらには、その書面に不実の内容が書いてあったり、あるいは書くべきことが書いてなかったりした場合には、すぐ罰則あるいは業務停止命令をかけることも大事なことだと思いますし、報告徴収、立入検査でその辺の事実も把握する、消費者相談からもそのようなアンテナを伸ばしていく、そういったことももちろん心がけてまいるつもりでございます。
 他方、今先生が御指摘になりました、例えば標準約款というかあるいは約款を認可制にするとか、そういうアイデアをお述べになられたのではないかと考えるわけでございますけれども、実は確かにいわゆる現物まがいの商法、この法律の用語に従いますと商品等を預かってこれを運用するという取引対象について考えてみますと、事業の内容がいろいろな形があり得るわけでございます。したがって、例えばある標準的なものをつくって、このひな形に従ってやるべきであるというようなことは、実態からいってなかなか難しい面がございます。
 それからもう一つ問題になりますのは、例えば大臣あるいはしかるべき者が約款について認可制をとるということになりますと、結局は、この約款は大臣の認可を受けているんだから商売の内容も全部お墨つきを受けているんだということで、消費者に向かいまして認可を悪用するという事例もあり得るわけでございます。したがいまして、私どもとしてはそのような方法によらず、一体この契約がどんなにリスクが大きいのかということをよく消費者にわかっていただく、それから不当な行為があればこれは禁止する、そしてもし消費者が一たん契約したけれども問題があるなと思ったらいつでもその契約から逃げ出すことができるというような、取引の各段階で各種の消費者保護のための措置を講じて悪質な事業による被害の防止を図るという本法案の考え方が、目的上一番適切ではないかと考えている次第でございます。
#156
○福岡委員 今の御答弁の中でちょっと腑に落ちない点があるのです。約款についてむしろ通産省のお墨つきが出るから云々と言われましたけれども、私、一概に弊害だけではないと思うのです。約款があればこそ逆に行政当局がいろいろ指導をする一つの基準になると思います。全部が全部弊害行為とは思いません。確かに一部そういうおそれもあるが、それはごく一部であって、約款があること自体消費者行政には非常に大きなプラスではないかと私は考えておるわけでございますが、その点いかがですか。
#157
○松尾(邦)政府委員 それも一つのお考えかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、確かに非常に契約の種類が多岐にわたる可能性があると思います。それで結局、消費者に渡すべき勧誘段階における書面あるいは契約締結時における書面にこういうことは書かなければならないということについて、かなりきちんと法律及び省令で定めることにいたしておりますので、これは先生のお考えとぴったり合っておらないかもしれませんけれども、ある意味では一つの約款の構成すべき内容を示しているということにもなるわけでございます。したがいまして、この法律と細目を定める省令によりまして先生のお考えはある程度満たせるのではないかと思いますので、この法律、省令の運用に当たりましては、先生のお考えも念頭に置きながら的確な省令を制定して運用してまいりたいと思っております。
#158
○福岡委員 そうおっしゃれば私の方も納得いたしますが、先ほどの御発言はそういう発言が全くなかったので、私の方が再度質問したわけでございます。
 次に、経済企画庁にお尋ねしたいと思いますが、本年の三月二十日、経済企画庁国民生活局から出されました「資産形成取引に係る米国実情調査報告書」によりますと、「アメリカにおける悪徳商法の現状と規制方法等について調査することにより、我が国の対策に資することを目的とする。」と書いてあります。そこで、経済企画庁にお伺いするわけでございますが、本報告書の何ページのどの部分が今回の法律案のどの条文に具体化されておるのか、お示し願いたいと思います。
#159
○里田説明員 今回アメリカで調査いたしましたのは、アメリカにおける悪質商法全般を幅広く調査したものでございまして、現物まがいにこだわらず、マルチまがいとか先物とか幅広く調査したわけでございます。それから、アメリカと日本は法制度が違いますので、ストレートに右から左にというぐあいにはなりません。そういうことでこの資料の性格というのは御理解いただきたいと思うのでございます。
 アメリカの取引の実態を見ますと、物を一たん売却した後、それを再び預かりまして、それで一種の運用をいたしまして運用益を配当するというケースはそれなりにあるわけでございまして、これまでの事例を見ましても、例えばグレープフルーツやイチジクの果樹園であるとか、あるいは牛であるとかミミズであるとかというような動物とか、あるいはトレーラーとかパーキングメーターとか、いろいろな事例があるわけでございます。ただし、こういう事例につきましてそうでたらめなものはない、大体まじめにそれなりにやっておられるのですが、その大きな根拠といいますのは、やはりアメリカにおける証券法の存在が大きいのではないかというぐあいに思います。この証券法の物の考え方といいますのは、投資に関する情報を正しく開示させる、詐欺的なものは許さない、こういう考え方でございますけれども、今回通産省から御提出いただいております法律につきましては、こういう点につきましても適切に盛り込まれているのではないかというぐあいに考えております。
#160
○福岡委員 余り具体的な部分の御説明がないので、ないのでしょうと思います。
 そこで、次に大蔵省にお尋ねいたしますが、本件が適用対象としている契約というのは豊田商事、鹿島商事の現物まがい商法であるとされておりますが、そうすれば、出資法の一部を改正すれば全面的に禁止することができ、産構審の答申にある実質的禁止の確保も可能ではないかと私は思うわけでございますが、この点について大蔵省はどういう御見解をお持ちでございますか。
#161
○坂説明員 お答えいたします。
 豊田商事等の現物まがい商法を防止するということは非常に重要なことであると私どもも考えておるわけでございますが、今先生が御指摘のように、これを出資法の改正で行ってはどうかということにつきましては、出資法を改正いたしますとしても、悪質なそういう行為形態のみを的確に取り出しましてこれを法律に規定いたしますことは、技術的に見まして非常に難しいのではないかと考えておりまして、あえて言えば、むしろ技術的に可能か否かというふうに考えております。また他方、それでは広く禁止してしまえばいいではないかということもあろうかと存じますが、余り広く禁止してしまうということになりますと、例えば物を預かるという行為全般にまで禁止が及ぶということにもなりかねないわけでございまして、そうなりますと、経済活動に対する規制といたしましてはやはりこれは広過ぎるのではないかというふうにも考えている次第でございます。
 また、出資法と申しますのは、御承知のように金銭の預かりとか、あるいは出資、出資法になっている出資でございますが、出資というものを規制する法律でございまして、物に着目して規制をつくるということとは法律の体系が若干なじまないという問題点もあるのではなかろうかというふうに思っておりまして、私どもといたしましては、通産省さんが今度お出しになっておりますこの法律案で、消費者保護の観点から申しますと有効な一つの方策ではないかなというふうに考えている次第でございます。
#162
○福岡委員 では、本法案の成立後、悪徳業者が法の網をくぐる商法を生み出した場合、そのときは大蔵省当局としては出資法を積極的に適用していく用意があるかどうか、その点について、いかがでございますか。
#163
○坂説明員 お答えいたします。
 御承知のとおり、出資法の二条と申しますのは、他の法律、例えば銀行法等でございますけれども、他の法律において特別の規定のあるものを除きまして預かり金をなすことをしてはいけないというふうにしてあるものでございますが、ここで預かり金と申しますのは、預金と同様の経済的性質を有するものというふうになっているわけでございます。個々の取引が預かり金に該当するか否かにつきましては、本法案の適用の有無とは独立して判断されるものでございまして、その取引の実態に応じて決まってくるということでございます。したがいまして、本法案が成立いたしましたからといって出資法の適用が排除されたりあるいは影響を受けたりというようなことはないわけでございます。
 したがいまして、今先生が御指摘のように、仮に本法案の成立後またいろいろなことが起きた場合には、その取引の実態あるいは当事者の認識等に応じまして、出資法が適用できるものであれば厳正、的確に適用していきたいというふうに考えている次第でございます。
#164
○福岡委員 最後に、通産大臣にお伺いいたします。
 私、今までずっといろいろな問題点を質疑してまいったわけでございますが、要約すると、現在の社会の消費者行動を見ますとき、高齢化社会、低金利時代を背景に、金融資産を持つに至った消費者が、その金融資産を利殖志向で運用していこうとする意思を持っていると私は思うのでございます。このような消費者行動を基礎に、海外先物取引とか現物まがい商法とかマルチまがい商法が展開されておるのではないかと思うわけでございます。
 本来、危険性のない投資はないのでありますが、今後は、投資環境をいかに整備するかが行政が負う任務ではないかと私は思うわけでございます。ここに本法案も位置づけられるのではないかと私は考えるわけでございます。したがって、投資環境を整備しながら、あわせて投資知識の浅い高齢者や主婦が悪徳商法の犠牲とならないように、行政の後見的配慮が政府としては必要になってくるのではないかと私は思います。
 本件が豊田商事の現物まがい商法を教訓にして立案された規制法であることを考えますときに、私が今まで述べました考え方で法の運用をすべきだと私は考えますが、通産大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
#165
○渡辺国務大臣 消費者の擁護、特に老齢者等がわずかな金融資産等を奪われないようにいろいろな面で保護してあげる、非常に重要なことでありまして、そのために本法案を提出をいたしましたが、また、どんな法案でも、一〇〇%すべて取り締まれるということは不可能です。ですが、各省庁ともよく連絡をとりながら、悪徳商法をやる者をばっこさせない、抑えていくということにしたいと思っております。
 しかしまた一方、消費者の方には、世の中にはうまい話というのはないのですよ、普通の話よりいい話は必ず普通以上にリスクが伴いますから。一番危険なのは、正常な取引であっても通貨の取引、先物というのは大変ですからね。それから商品相場、株式、いずれにせよ、どれをとっても当たり外れがでかい。したがって、そういうことは専門家でも失敗しているわけですから、素人の方にお勧めはいたしません。特に年配者の方は、一番安全な方法で貯蓄をされる、必要に応じておろすということがいいのじゃないか。いい話は必ずリスクがあるのだということだけはよくPRをして覚えていただきたいと思っております。
#166
○福岡委員 時間が参りましたもので、文部省の方来ていただきましたけれども、失礼させていただきます。
 以上をもちまして質疑を終わらせていただきます。
#167
○野上委員長代理 次に、宮田早苗君。
#168
○宮田委員 まず、大蔵省の方に二問だけお聞きをいたします。
 さきの質問者と重複するかもしれませんが、豊田商事の現物まがい商法については現行法の厳格な運用で対処が可能とする意見があるわけでございますが、この点についての見解と、もう一つは、預かり金を規制しております出資法の厳格な適用で対応できるという意見もあるわけでございますが、両方の見解をひとつ聞かせていただきたいということです。
#169
○坂説明員 いわゆる現物まがい商法と言われているようなものが、現行法、特に当省所管の法律であれば、例えば出資法の預かり金禁止の規定でございますけれども、これに違反するか否かという問題につきましては、個々のケースごとに、会社の勧誘行為の実態でございますとか、あるいはその資金を出された方がどういうふうに考えておられたかとか、そういう実態を勘案いたしまして慎重に判断がされるべきものであろうと考えておりますが、いずれにいたしましても、豊田商事の具体的なケースにつきましては現在捜査当局で御捜査中というふうに伺っておりますので、これがどうであるかということについては答弁はここでは差し控えさせていただきたいと思っております。
 より一般的に申しまして、こういうケース自体、まがい商法の防止につきまして厳格な適用で対応できるのではないかという一般的な問題といたしましては、私どもといたしましては、個々のケースにつきましてはその実態等に応じまして出資法等によって処罰される、あるいは禁止がきくというケースもあるというふうに考えておりますけれども、出資法は預かり金等を禁止するものでございまして、いわば個々のケースごとに該当しないものもどうしてもあるのではなかろうかと思います。
 本法律案は、特定商品の預託等取引につきまして、そういう取引形態に着目いたしまして消費者保護の観点から一定の取引に規制を課すという形になっておりまして、出資法とはちょっと観点が違うわけでございますが、そういう意味で被害防止という観点からは有効な一つの方策ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#170
○宮田委員 大蔵省の方、結構です。
 公取の方お見えのようですから、一問だけお聞きをいたします。
 マルチまがい商法に対します公正取引委員会の実態認識についてお聞きをしておきたい、こう思います。
#171
○利部政府委員 マルチまがい商法と呼ばれるものでもいろいろな態様のものがございます。その中でも独占禁止法の公正競争阻害行為に当たるもので法律の要件を満たしたものにつきましては、独禁法違反としてあるいは独禁法の附属法である景品表示法によって厳しく規制してまいりたいと考えております。
#172
○宮田委員 公取の方も結構です。
 それでは通産省の方にお聞きするわけでございますが、違約金を払えばいつでも解約できるようにしておるわけでございますが、これは思い切った措置として評価ができますが、反面、民法上の契約履行義務の原則に例外をつくったことになって、取引の安定という面において問題が生じるようなことはないかどうか、この点についてお聞きをいたします。
#173
○松尾(邦)政府委員 確かに、この中途解約の規定を設けることにつきましては、一方においては消費者の保護も図らなければなりませんが、他方において取引の安定ということも考えなければならない。この両者をどのようなところで調整してまいるかということが大変重要な課題だというふうに思っているわけでございます。消費者の立場からいたしますれば、やはりいつでもこの契約をやめたいと思ったときにはやめられるようにしたい、しかもそれもできれば余りお金をかけずに逃げ出せれば逃げ出したいというのはもっともなことかと思います。
 しかし他方、今度は健全な業務を行っております業者の立場のことを考えてみますと、ある日突然に理由もなく、もともと三年の約束だったけれども今直ちにこれを解除したいのだと言われますと、業者にしてみますと、それなりに解約後の手続としての商品等の返還等あるいは金銭の返還等で資金調達もしなければなりませんし、業務運用計画上もいろいろ支障を生ずる場合もあろうかと思います。
 したがいまして、この両者の兼ね合いをどのようにとっていくかということは確かに大変難しい問題でございますけれども、私どもといたしましては、この両者を調整する接点といたしまして、違約金といいますか解約のために必要となる消費者の負担を一応一五%と定めまして、消費者が必ずしも身勝手に解約権を乱用しないような歯どめも一方において設けましたし、一方においては、業者が取引の安定という面におきましてとりあえず必要な資金手当て等を行えるような金利コストなども支弁できるような金額ということで一五%ということを定めまして、これによりまして両者の安定を何とか図ってまいりたいということで考えた規定でございます。
#174
○宮田委員 関連ですけれども、一五%にされた根拠は大体何ですが。
#175
○松尾(邦)政府委員 確かにこれは何%がいいかというのはなかなか難しい議論でございまして、必ずこうでなければならないという絶対的な真理みたいなものがあるわけではないと存じます。ただ、先ほど申し上げましたように、消費者の利益それから取引の安定、両者のバランスを考えながら考えてみますと、業者としては急に消費者から予告もなく解約したい、ではお金か現物を返す、こういうことになるものですから、それなりに業者は考えておった計画が狂うわけでございましょうから、それに見合って資金調達等を市中から行わなければならないかもしれません。そのための資金調達コストとしてひとつ考えておく必要があるだろう。
 もう一つは、通常の取引でございますと延滞利息というものを払う場合が多いわけでございますけれども、その延滞利息の水準、それから先ほど申し上げたような金融調達のコスト、それらを勘案いたしまして一五%ぐらいが妥当なところではないかというふうに御提案いたしたわけでございます。
#176
○宮田委員 書類の閲覧権は預託者に限定をいたしておるわけでございますが、預託者が寝たきりの独居老人等の場合は事業所まで出向けないわけです。別途弾力的な運用を検討する必要があると思いますが、この辺はどうお考えですか。
#177
○松尾(邦)政府委員 御指摘の書類の閲覧につきましては、その前に御議論がございましたように、中途解約をする際などには消費者にとって判断の材料として非常に重要な情報がここから得られるのじゃないかと思います。そういう意味で、この規定はこれからも非常に活用していただきたい規定なのでございますが、先生おっしゃいましたように、寝たきり老人のような方ですと御自身では行かれない場合があろうと思います。私どもとしては、この規定は、業者と契約を締結している消費者、つまり預託者が本来閲覧の権利を持っているわけでございますけれども、法文上預託者本人でなくても代理人でもこの規定を適用することができるというふうに考えておりますので、独居老人のような方あるいはお体の不自由な方々も代理人の方に書類を閲覧していただき、それを御本人に見せていただくということもこの法律上十分可能だと考えております。
 しかし、さらに大事なことは、独居老人の方々にこういう制度があるということをよく周知せしめることが必要だと思いますので、この周知方につきましては、民生委員等老人の方によく接する機会の多い方などに集中的に的を絞りまして、できるだけそういう制度の普及を図ってまいりたいと考えております。
#178
○宮田委員 次に、書面の交付についてです。被害者が高齢者の場合が多いという経験にかんがみまして、活字の大きさ等について省令段階で十分配慮しておくことが必要じゃないかと思いますが、この点についてはどうお考えですか。
#179
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘のように、書面の交付を義務づけましても、何か小さな字でごちゃごちゃ書いてあってとても読む気がしないという書面では、なかなか消費者の目に触れないと存じます。したがいまして、私どもといたしましては、省令の段階で活字の大きさも相当大きな字にしてもらう、それから大事なところは別の目立つような色で刷っていただく、あるいは枠取りをいたしまして、その枠の中だけはいやでも目がそこに向くというようないろいろな工夫をいたしまして、老人の方々でも自然と内容が読めるような工夫をいたしてまいりたいと考えております。そのような観点から、省令制定に当たりましては、単なる形式的な書面の交付にならないように十分配慮して制定してまいりたいと考えております。
#180
○宮田委員 悪質業者に対しまする主務大臣の業務停止命令の発動のタイミングというのが極めて重要であると思いますが、この運用方針についてまずお聞きしたいということ。特に本案の場合、指示の段階を置かず発動できることになっておるわけですが、機を失せず発動することが重要と思いますが、その点についてどうお考えかもお聞かせ願いたいと思います。
#181
○松尾(邦)政府委員 御指摘のように、業務停止命令は機を逸さず機動的に発動することが重要だと存じております。私どもとしては業務停止命令発動の要件といたしまして、主務大臣が、業者がこの法律の規定に違反する行為をし、かつ引き続き違反するおそれがあると認めるときにこの命令を発することができるわけでございますけれども、この持っております意味は、必ず規定に違反することが、例えば裁判とか何かで確定するということではなくて、主務大臣の責任でこれはどうも違反していると認めましたら発動も可能でございます。かつまた、引き続き違反するおそれがあるということにつきましても、また何件も何件も違反行為を積み重ねなければ発動しないのではなくて、業者が一たん違反行為をした後これを再発しないように手だてを講じていないという場合には、引き続き違反行為が出るおそれがあると認定いたしまして、機動的に対処することにいたしてまいりたいと思います。
 このきっかけといたしましては、消費者からの相談もございましょうし、報告徴収、その他この法律に基づいて定められました主務大臣の権限を活用いたしまして機動的に進めてまいりたいと考えております。
#182
○宮田委員 今までの消費者保護法等に比べましてこの法律の罰則についてはかなり厳しいものになっておるわけですが、今回の罰則設定の考え方をひとつ聞かせていただきたいと思います。
#183
○松尾(邦)政府委員 確かに、この法律におきましては、他の消費者保護立法に比べて重い罰則を付することにいたしまして被害再発の防止に意を用いたところなんでございますけれども、これは、いわゆる現物まがい取引というものが従来消費者に多額の損害を与えたということ、しかも、特にお年寄りとかこういう経済問題についての知識に十分なれておられない方々が容易に巻き込まれて大きな財産上の損害をこうむってしまったということにかんがみまして、一般の消費者の保護という大事な法益の侵害の可能性が高くて、また現実の侵害の程度も深刻であった、こういう事態を十分認識いたしますと、相当重い罰則をもってこの再発を防止する必要があるのではないかということから、特に重い罰則を設けさせていただいた次第でございます。
#184
○宮田委員 現物まがい商法による被害の再発防止を図るための法律として、この法案の効果に政府は自信を持っておいでになるかどうか、ちょっと聞き方はどうかと思いますが、お答え願いたいと思います。
#185
○松尾(邦)政府委員 私どもといたしましては、この御提出しました法律案におきまして、契約締結前、契約締結時におきまして、どのように消費者がこの契約を結べばリスクを負担することになるかということについて十分な情報が得られるようにいたしましたし、それから契約締結後におきましても、クーリングオフばかりではなく、契約から離脱したいということであればいつでも解約が自由に行えるというような規定も織り込みました。
 また、報告徴収、立入検査、罰則が大変重くできておるというようなことなどにかんがみますと、この法律を立案いたしましたときの審議会の答申にございますように、悪質な取引については実質的な禁止の効果が十分この法律によって見込むことを期待することができると考えているわけでございますけれども、もちろんこの問題につきましては、種々御指摘もございましたように、法律だけで悪徳商法というものが駆逐できるわけではございませんので、あわせて消費者啓発をきめ細かく行いまして、この法律の機動的厳正な運用と消費者啓発、両者を車の両輪といたしまして実効を上げることができるものと考えている次第でございます。
#186
○宮田委員 産構審の答申では、今回の行為規制によります立法措置については当面の対策として位置づけておるわけです。これは現物まがい商法等の今後の展開次第では再検討の余地があるという含みを残したものと理解をしてよろしいかどうか、この辺をお答え願いたいと思います。
#187
○松尾(邦)政府委員 御指摘のありました産構審の答申では、確かに今後この法律案につきまして随時検討を加えることが不可欠だという指摘をいたしております。これは、今後のいわゆる現物まがい商法類似の商法の展開がどういう形で行われるのか予測しがたい面もありますので、随時検討を加えていくべきだということを指摘されたわけでございますけれども、現段階で私どもは、いわゆる現物まがい商法としてどういう形で世の中に広まっていったかという従来の経験からすれば、この法律案で十分対処できると思っているわけです。
 しかし、先ほど申し上げましたように、悪知恵の働く悪質業者が今後どんな事業展開をするか、これは正常な取引以上にいろいろなものが出てくる可能性があるということでございますので、そういう事態に至りましたときには、御指摘のように新たな事態へ対処する方法は何かということにつきまして、この法律のよしあしもあわせて議論することにいたしたいと考えております。
#188
○宮田委員 法の盲点をつくこの種の悪徳商法に対しましては、法律をつくっても厳格かつ機動的な運用がなければ効果を上げることができないわけでございまして、既存の法令を含めて政府の運用姿勢、これについてひとつお聞かせ願いたいと思います。
#189
○松尾(邦)政府委員 私どもといたしましては、この法案につきましては、対象となります商品等の政令指定から始まりまして、いろいろ政府のとるべき例えば業務停止命令などの措置の機動的な運用を含めまして、この法の施行に当たりまして政令の制定、措置の発動等についてはぜひ機動的に進めてまいりたいと考えているわけでございます。特に、商品指定等におきましては、消費者相談等を踏まえまして、被害の発生の蓋然性がございますれば、後追いにならないように前広にできるだけ決めてまいりたいと思っているわけでございます。
 そういうわけで、この法律の全体系を機動的に運用することによりまして実効あらしめたいと考えているわけでございますが、あわせて、先ほども申し上げましたけれども、この法律と車の両輪となるべき消費者啓発についても、極めて重要な問題として、これからも鋭意力を注いでまいりたいと考えております。
#190
○宮田委員 豊田商事の類似会社のその後の動向について把握をしておいでになると思いますが、通産省の昨年八月の調査結果によりますと、当時の問題会社は十二社で、そのうち七社が倒産したとされておりますが、残りの会社はどうなっておるか、その後の追跡調査、やっておいでになるならばお聞かせ願いたいと思います。
#191
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘ございましたように、昨年夏、消費者相談窓口に寄せられました案件を見まして、対象といたしまして十二社を選び、実情聴取をいたしたわけでございますけれども、ほとんどが既に現段階では問題とされるような業務を中止しておるということをその時点におきまして報告されたわけでございます。
 その後、私どもといたしましては、引き続き消費者のトラブルの未然防止を図っていかなければならないという観点から、省内に消費者トラブル情報連絡会議という組織を設けまして、消費者の相談案件、苦情案件につきまして全省的に機動的に対応してこの実情を把握するようにいたしているところでございますけれども、その後の消費者相談窓口での状況を見ますと、豊田商事及びその類似企業につきましては、御案内のように破産手続が進められている会社もたくさんあるわけでございまして、ごく最近までずっと見てみますと、最近の相談件数は、昨年秋以降急速に減少いたしております。
 最近ですと、月に十数件あるいは一けたの件数というような実情になっておりまして、私どもといたしましては、現段階としては、この豊田商事及びその類似商法の大きな流れとしては、消費者に対して被害をたくさんもたらすような形での展開は行われておらない。もちろん、先ほどお話が出ましたように、アド・インベストメント社という会社について警察のお調べが行われたわけでございますけれども、この案件も含めまして、消費者相談の窓口に寄せられる件数というのは、月々せいぜい一けた、あるいは二けたの十台というのが実情になってまいっております。
#192
○宮田委員 豊田商事約七千五百人と言われていたわけです。系列会社を含めて一万数千人と言われる従業員のその後の動向が気になるわけでございますが、聞くところによりますと、現在うさん臭い会社が約三十社ある、こういうふうに言われております。その中で相当数が元豊田商事の社員が経営するかまたは関与しているとも言われておりますが、実態を把握しておいでになりますならばひとつ報告していただきたい、こう思います。
#193
○松尾(邦)政府委員 確かに、きょうの新聞で報道されました大阪におきますアド・インベストメント社の役員の中にも豊田商事の社員がおったということが報道されているわけでございまして、私どもも豊田商事のまだ残された問題点がこういうところにもあらわれたなということを痛切に感じているわけでございますけれども、豊田商事の元社員がどのような会社に、具体的にどこに勤務して、どういう問題を起こしそうなうさん臭い会社として営業しているかということについての全容は、私どもとして承知しているわけではございませんけれども、私どもといたしましては、豊田商事の元社員であるか否かを問いませず、先ほど申し上げましたような消費者トラブルにつきましては目を大きく開きまして、新しい案件でありましょうとも従来からの案件でありましょうとも、適切に把握して省を挙げて機動的に対処いたしますし、また、関係各省とも連係プレーで問題のないように進めてまいりたいと考えております。
    〔野上委員長代理退席、委員長着席〕
#194
○宮田委員 マルチまがい商法に対する法規制につきましては、今後の検討課題として残されることになっておりますが、この商法に対しまする現時点での政府の実態認識と今後の検討項目、さらには検討のタイムスケジュール、こういうものを持っておいでになりますならば御説明願いたいと思います。
#195
○松尾(邦)政府委員 マルチまがいの商法につきましては、産構審の答申の中でも引き続き検討すべき旨指摘を受けているところでございますけれども、その産構審の指摘の中にもございますように、私どもこのマルチまがい商法の検討に当たりましては、幾つか心がけなければならない点があるかと考えておるわけでございます。
 一つは、現在訪問販売法で規制されておりますマルチ商法そのものでございますと、一般消費者が大量に在庫を抱えて行き詰まるという大変具体的な被害、かつ金額もかさむ被害というものが現実に出てくるわけでございますけれども、このいわゆるマルチまがい商法というものは、あるいは委託販売あるいは紹介販売ということで一般消費者に具体的に果たしてマルチ商法そのものと同じような被害があるのかどうか、また、被害がどのような形でどの程度あるのかということにつきまして必ずしも全容が把握されておらないわけでございますし、また、取引の形態も、紹介もありましょうし委託販売もありましょうしいろいろな形態があり得ると思いますが、一体どのような形態について私どもとしては目を向けていかなければならないのかという点についての検討も必要だと思います。
 さらには、御案内のように紹介販売あるいは委託販売におきましても、現在世の中において正常に健全な商慣行として行われているものもいろいろあるわけでございますけれども、一体正常、健全な商活動とこのような問題視されますマルチまがい商法とをどのように仕分けしていくべきか、この辺についても十分な検討が必要であろう、かように考えているわけでございます。
 検討のポイントは以上のようなことになろうかと思うのでございますが、あと審議のタイミングでございますけれども、これにつきましてはこれからまた審議会で御審議をいただくわけでございますので、事務当局からあらかじめいついつまでという確約は申し上げかねるわけでございますけれども、私どもといたしましては、問題の重要性にかんがみまして、鋭意検討を審議会にお進めいただくようお願いいたしたいと考えております。
#196
○宮田委員 それでは、社会党の提出されました案につきまして若干の質問をさせていただきます。
 最初にお聞きいたしますのは、出されましたこの法案を、新規立法とせずに現行の訪問販売等に関する法律の改正案とされた理由、この辺を具体的に御説明をしていただきたいと思います。
#197
○上坂議員 お答えいたします。
 政府案は、預託等取引契約に関する規制のみをその内容としておりますが、しかし、現実に社会問題となっている悪徳商法はこれらに限られるものではありません。豊田商事事件を見ましても、銀河計画というような形でくくられておりますけれども、その内容としては私は三つに区分していいと思うのです。一つは、豊田商事の金地金によるところのいわゆる委託契約の商法であります。もう一つは、鹿島商事が行いましたゴルフ会員権等を預託といいますか、これをファミリー契約というような形で巻き上げていく商法。もう一つは、ベルギーダイヤモンド、これはいわゆる紹介販売といいますか、そういうようなもの三つに区別することができると思います。
 この最後のいわゆるベルギーダイヤモンドの商法というのが、すなわちマルチまがい商法に該当するわけであります。したがって、政府案の規制だけでは豊田商事が編み出したいわゆる詐欺的な商法、マルチまがいの商法は規制することができないわけであります。これはもう野放しになるわけであります。
 そこで、私どもとしましては、預託等の取引契約の前提となるいわゆる金地金などの商品やゴルフ会員権などの役務受益権の訪問取引に対しましても規制の網をかぶせなければならない、このように考えております。また、ベルギーダイヤモンドにあらわれました営業所外で誘引をし、そして営業所に連れていって売買契約等をさせる、こういうケースについても訪問取引の規制対象にする必要があるというふうに考えております。さらに、現行法の規制を受けない委託販売、紹介販売、たくさんの連鎖販売取引があります、いわゆるマルチまがい商法でありますけれども、これも放置するわけにいきません。したがいまして、こうした訪問取引において起こってくるいわゆる社会に存在を許してはならない悪徳商法、悪質商法というものについてはこれを徹底的に駆逐する、こういう観点に立たなければならないというふうに思います。
 そこで、私ども社会党の案は、これは現行の訪問販売等に関する法律のスタイルを継承いたしました。けれども、内容的には抜本的な改正だと考えております。したがって、名称も訪問取引法という形にいたしまして、役務提供からすべてをこれに含める。そして、政府が出しております預託等の契約、預託等の商品の取引、これについて特に第二章の二を設けまして、そこでこれに対する規制を図ったというのが私どもの立法の趣旨でございます。
#198
○宮田委員 社会党案は、訪問販売、通信販売、連鎖販売取引の規定に新たに預託等取引契約を加え、さらにそれぞれの取引の概念を拡張する趣旨であろう、こう思います。この措置は不正行為を防止し得る反面、私的取引の自由を余りにも強く規制してしまうことになりはしないかと思いますが、その点の見解はどうですか。
#199
○上坂議員 適切な御指摘だと思いますが、公共の福祉のためにやはり必要かつ合理的な限りにおいて営業の自由を制限していくということは、私は、憲法上もこれは認められていいのではないかというふうに思います。豊田商法を見ました場合に空前の詐欺商法でありまして、四万人と言われる被害者、しかも二千億円というふうに言われたその集めた金額、こういうものを見まして、それがほとんどいわゆる消費者の手元に返らない、預託者あるいは取引をした人たちの手元に返らないという非常に悲惨な消費者の被害を出しておることは御承知のとおりであります。
 したがいまして、営業の自由ということはもちろん資本主義社会の基本的な原理ではございますけれども、私どもはこの法律によってそれらが制限されるというふうには思っておりません。むしろ正常な商取引というものがこの法律によって確実に進められるということを、自信を持ってお答え申し上げたいというふうに思っておるわけであります。
 ちなみに、昭和四十七年の十一月二十日に最高裁の判決が出ておりますが、これにおきましても、「経済活動の自由に対する規制は、精神的自由に対する規制と異なって、立法府の政治的技術的な裁量・判断を尊重するのを建前とし、その規制措置が著しく不合理であることの明白な場合に限ってこれを違憲とするのが相当である。」こういうふうなことを言われておりまして、営業の自由というようなものを野放しにしてはいけないということと同時に、決して規制をする立場ではない、むしろ正常な発展をさせるものであるという観点に立ってこの法律を提案した次第であります。
#200
○宮田委員 もう一つは、預託等取引契約において金融機関の元本保証を伴わない契約を禁止する、こういうことになっておるわけですが、この措置は、ただいま申し上げましたことに加えて、私的取引の自由の原則にもとる結果になるおそれがあるんじゃないかと思いますが、その辺についての見解をお聞かせ願いたいと思います。
#201
○上坂議員 私ども社会党の案によりますと、預託等の取引契約につきましては金融機関、いわゆる保険会社であるとか銀行とかに元本の保証をさせる、そういう契約を取引業者に結ばせるということを基本に置いて第二章の二を設けたわけでありますが、これに違反をした場合には、それについては刑罰を科す、いわゆる締結を禁止させる、あるいは契約は無効とする、こういうことになっております。豊田商事の例を見ましても、消費者は完全に元本をそのまま失ってしまったというのが実態でございますから、こうした危険から預託者を守るということが今必要かつ合理的な手段である、こういうふうに考えましてこの法案を提案したわけであります。
 政府案におきましては、信用力のある預託等取引業者に対しても、信用力のない業者に対しても、同様にクーリングオフあるいは損害賠償の制限その他の規制がかかっているというのが今度の法案の中身でございますが、私どもの案におきましては、預託等の取引契約について元本保証が伴っておりますから、したがってそのほかに特別な規制を必要としない。その意味では、むしろ大幅に私的取引の自由の原則を備えているというふうに考えて差し支えないのではないかと私は思っております。
#202
○宮田委員 クーリングオフ制度が社会党案は一週間になっておるわけですが、政府案と比較して短いわけですが、これの考え方についてお聞きしたいと思います。
#203
○上坂議員 クーリングオフというのは、頭を冷やしてもう一回考えるということがその基本になっているのでありまして、この品物がどうも自分の嗜好に合わないとか、あるいはまた自分の生活にこれは必要としない、あるいはだまされたというときにクーリングオフを発動する、あるいはまた解約をしていくという形になるだろうと思います。また、品物の価値から見て金額が非常に高いような場合には解約をする、こういう形になっていくものだと思っております。したがって、クーリングオフや損害賠償の制限の制度というのは、売り手と買い手の立場の強弱の差に着目して、弱者救済のために設けられる制度であると考えております。
 その意味で、これを預託等の取引に利用するよりは、むしろ預託等取引についてはそうした途中解約するとかクーリングオフ等をする前にこうした商法というものは禁止をする、禁止に近い方法で駆逐をしていくことの方がより妥当である、豊田商法的な商法を今後社会にばっこさせない手段である、こういうふうに私どもは考えております。したがって、この預託等取引契約の中におきましては特別にクーリングオフを設けたり途中解約の制度を設ける必要はない、あくまでも元本を保証するという立場に立って提案をしているわけでございます。
#204
○宮田委員 もう一つお伺いいたします。
 こうした悪徳商法の問題は、いかに予防措置を講ずるかが重要であると考えますが、社会党案では、元本保証措置以外に何か具体的なお考えがありますればお聞かせ願いたいと思います。
#205
○上坂議員 これにかわる措置というものは特別に考えてはおりませんけれども、先ほどから政府が答弁しております消費者啓発といいますか、これはやはり非常に重要な役割を果たすであろうと思います。しかし、その啓発におきましても、ラジオも聞かない、テレビも見ない、あるいは新聞、広告等にも目を通さないといういわゆる老人、寝たきりの人たち、病人といった人たちに対する被害が出ておることにかんがみまして、そういう人たちに対しては民生委員を利用するとか、ホームヘルパー等を通じましてこれに対して宣伝をしていくとか、あるいは地方自治体を通じましてこれらに関係している人たちに対してまず啓発を行い、そしてそういう人たちが日常接触をするところの老人や婦人や社会的に活動していない人たちに対して具体的に情報を提供していく、これでなければとても防げるものじゃない。具体的にはそういう方法を伴いまして、そして例えば、私どもの法律を可決させていただくとするならば、こういう中身のある法律が現実に存在をしておるのであるということも含めて啓発をしていただけば、私は十分そうした被害を防いでいくことができるのではないかというふうに考えております。
#206
○宮田委員 最後でございますが、大臣がお見えのようでございますから、要望を含めて申し述べ、また決意のほどをお聞かせ願いたいと思いますのは、資産運用の手段が多様化をして、消費者の資産形成に対します関心が非常に高くなっております。こういう中で、資産形成取引をめぐります消費者トラブルが増加の傾向をたどると予想されるわけでございます。一方、これらの業者のターゲットが高齢者や学生とか主婦等に集まっておるという傾向が見受けられます。
 以上申し上げましたようなことから、我が国ではまだ知識が十分浸透をしていない資産形成に関する消費者教育や啓発活動を、あらゆる手段を使って積極的に展開していくことが極めて重要と思うわけでございます。その辺についてのお考え、決意、それから豊田商事問題の経験から独居老人に対します情報提供のあり方、また啓発活動のあり方が問われていると思いますが、この辺について政府はどう対応なさるものか等々を、ひとつ総括的な決意を含めたところの御意見をお聞かせ願いたい、こう思います。
#207
○渡辺国務大臣 法の運用によって、そういうむちゃな販売をさせないというようなことを徹底させたい。それから、今お話がありましたように、なるほど寝たきり老人等についてはホームヘルパーとか介護人、だれかがおるわけでございますから、そういうところを通してどういうようなPRができるか、できれば一番いいことでございますから、厚生省などとも相談をして、いずれにしても、再発防止のために万全を期してまいりたいと存じます。
#208
○宮田委員 では終わります。
#209
○野田委員長 午後二時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時四十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十五分開議
#210
○野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。野間友一君。
#211
○野間委員 法案の質疑に入る前に一言大臣にお伺いをしておきたいと思いますが、午前中も質疑がありましたが、円高の是正の問題ですね。これは我が党の不破委員長も四月二十五日の党首会談の中で、G5に始まりますアメリカの貿易収支、経済を助けるという意味から始まった為替操作、これが二百四十円台から百六十円台に、しかも、二国間あるいは全体のサミットの中でアメリカやあるいはヨーロッパ諸国が冷たくあしらってこれも成功しなかった、途端に百六十五円台ということで非常に深刻になっております。こういうような事態をどう考えるのかということと、こういう深刻な事態がずっと続くということが予想されますが、これに対応して具体的にどういう施策をとろうとされておるのか、そのあたりぜひ聞かせていただきたいと思います。
#212
○渡辺国務大臣 円高の問題というのは、別にアメリカの輸出を手伝うために円高にしたわけではありません。私が大蔵大臣当時から円の実勢レートは必ずしも反映されていない、もっと円が強くていいはずだということを言っておったのです。しかし、アメリカの高金利、財政赤字、やはりこういうものがドル高にしておった。アメリカはかなり無理をして、要するにドルの高いのは国力の反映である、したがって金利が高いからドルが高いわけじゃないんだということを言って、協調介入等にも一切協力はしないという姿勢でありました。もともと不自然な形、そこにきてアメリカが好景気になったものですから、さらにそういうことが持続をし、過去三年間日本の貿易収支が大幅な黒字になった、それ以前は大したことないのですから。そういうような状況が一つあるわけであります。
 ところが、アメリカが、やはりこれは世界じゅうから言われたのですから、日本だけでなく世界じゅうから、アメリカの高金利はいけない、いけないと言われた。それを彼が反省をいたしまして、必要に応じては共同介入もあり得るというその話だけで――共同介入しても百億ドルくらいだと言われているのですよ、世界全体で、何千億ドルと動いている中で。そこで要するに二百四十円がら二百十五円までにつり上がって弾みがついてずっときたということが事実でございます。これは円高にする円安にするという、自由にはとても一国の力等でなれるものではありません。これは日銀が裸になったってなかなかできない問題でございます。多少のことは動きますが、すぐもとに戻ってしまう。これは経験値からいって私はまことに間違いないと思っておるのであります。
 今回の円高そのものは、これは日本の円が強くなることですから、お金に値打ちが出てくることですから、そのこと自体悪いと言うことはできませんが、余りにもそのスピードが速過ぎたということのために対応ができない、そのために非常に困っている人が多い、ショックを受けた、これも事実でございます。しかし、現実がそうなってきている以上は、それをもとへ戻すといって、どうすれば戻るのですかという話にすぐなってくるわけですから、世界じゅう相手にけんかしてみたところで始まらないし、やるだけの力もないということになれば、やはりこれについては貿易面でブレーキがかかったのは確かに事実であります。二月の統計は物のベースで横ばい、三月の統計は二・一のマイナス、円ベースではマイナス一二がマイナス一六、こういうふうになってきておりますし、しかしドルベースでは、二月のドルベースの貿易の伸びが一六%、三月が二一というようにふえておる。円ベースでは減っておる、物の量も減っておるということでございますから、これは苦しい状況になつつつあることは間違いありません。ありませんが、一方ことしは七百七十ないし八百億ドルと言われる貿易黒字が出てくるということになると、それはかつてサウジが一年間に集めた金と同じ金が日本だけに集まってしまう話ですから、これは世界じゅう騒ぎになることは間違いありません。したがって、内需対策等については極力それを実行し、輸入も促進をするということをやっていかなければ、日本はひとりだけでは繁栄はできませんから、世界の協力を得ながら日本はやるべきことをやるというほかに方法があれば私は教えてもらいたいということであって、ほかにはないんじゃないか、そう思っておるわけであります。
#213
○野間委員 そうすると、これだけ急激に上がり、しかも今百六十円台という状態が続いておりますけれども、それでやむを得ないというお考えなんですか。
#214
○渡辺国務大臣 これはやむを得るもやむを得ないも、方法がないのですよ。きのうのサミットなどでも、結局我々は百七十円を切るというのは非常に苦しい、つらいということで、ともかくもう少し緩やかにしてもらいたいという気持ちは私自身ももちろんありますよ。世界じゅうにだれも同情する人がないわけですから。ただこちらで悲しんではかりおったって陰ではいい気味だなんと言うのはあるかもしれない。しかしながら同情する人がないというのが現実の姿。ということは、結局日本の貿易収支が輸出が千八百億ドル近くいって輸入が千三百億ドルだ、そこに問題があるわけですから。したがって、日本だけで金をみんな奪い取って世界経済をおかしくしちゃっている。簡単に言えばオイルショックの裏返してはないか。要するにOPECが金を全部集めちゃってみんな世界じゅう貧乏にした、そいつを日本がやっているんじゃないかというふうな認識なんですからね。
 だから我々といたしましては、輸出入のバランスをとるということについて極力努力をしますという誠意を示さなければ寄ってたかって袋だたきに遭う、現実がそうなっていますね。したがって、世界じゅう相手にここで経済戦争がぶっ始まって、実際は勝つ見込みはないね。だからそれは世界と協調をしていく。協調して、一挙にできないけれども、我々は過度な集中豪雨的な輸出はできるだけ手控えましょう、輸入はふやしましょう、もうかった金は経済協力に使いましょう、内需の拡大もいたしましょうというような線で、ここで世界じゅうで寄ってたかっていろんな法律で日本いじめみたいなルールをつくられたのではもう後々までも大変なことになりますから、そういうものを防止をするということでやらざるを得ないのじゃないか。したがって野党の皆さんでも、共産党でもいいんですよ。あなたの意見だって、本当にこうすればいいですよという意見があったら教えていただけば、我々は皆さんから広く知識を求めてやっているわけですから、建設的な御意見を教えていただければ、それは大いに参考にいたします。
#215
○野間委員 もう時間がありませんけれども、我々は常に提案をしてきたわけですけれども、アメリカのむちゃくちゃなドルの垂れ流しとか財政赤字、こういうものの根本的な是正。国内では異常な大企業の輸出力、国際競争力の強岩ですね。こういうものを例えば賃上げとかあるいは労働時間の短縮とかあるいは下請いじめもやめさせる、工賃の値上げとかそういったような根本的なところにメスを入れなければならぬということを常に主張してきたわけですけれども、と同時にG5等の協調介入、否定されますけれども、実際にやったのですよ。しかも今回のサミットでこれは全く触れられていなかった。今言われたようにみんなから冷たい目で見られた、これを契機にしてまた投機が始まったということになっておるわけですね。これはどうしても是正をしなければ、このままいったら中小企業は大変なことになりますから、その点申し上げて質問に入りたいと思います。
 まず、いわゆるペーパー商法――松尾さん、聞いておいてくれよ。ペーパー商法、あるいは現物まがい商法、この典型がいわゆる豊田商法ですね。こういうものが取引上も許されない、そういう取引だというふうに私たちは認識しておりますが、いかがですか。
#216
○松尾(邦)政府委員 私どもといたしましては、確かに、豊田商事が行いましたようないわゆる現物まがい商法の中でも特に豊田商事類似企業が行いました商法、これは大変あくどいものでありまして、これはまさに禁止に値するものだろうと思っております。
#217
○野間委員 日弁連、私も会員ですが、日弁連からもっとに指摘しておりますように、この種商法は形の上では物の売買、これに籍口しますけれども、実際には不特定多数から金を預かるというのが実態なんですね。これは当然出資法違反とかあるいは刑法の詐欺罪、これで取り締まりをしなければなりませんし、することが可能だ。出資法でも八条の二号で脱法行為の禁止、これが出ていますね。この種豊田商事の破産管財人の報告書を見ましても、実際にはその金地金の管理が全くなかったとか、あるいはこれの手当てがされていなかったというようなことが出ているわけですね。だから結果としては、これはまさに預かる手段として、お金を集める手段としてこういう商法がなされたということが明らかなんですね。ですから出資法違反あるいは詐欺商法、詐欺罪に該当するということは今では明らかなんですね。ですから、日弁連が言っておりますように、脱法行為の禁止、出資法に違反するから、それをさらに明確にするためには八条の二号でも例示規定を置いてこれを明確にして、この出資法違反で取り締まるということは当然の姿だというのが要求ですけれども、私もそう思いますが、いかがですか。
#218
○松尾(邦)政府委員 豊田商事の具体的な案件につきましては、私どもも、詐欺あるいは出資法違反で現在裁判あるいは訴追の手続が進められていることを承知いたしております。豊田商事のような案件につきまして出資法あるいは刑法が厳正に適用されて、出資法違反の事例であれば、ぜひその出資法を適用して厳重な処理が行われることを私どもとしても期待いたしているわけでございます。
#219
○野間委員 これは実際できるわけだし、破産管財人が経営の実態を後でいろいろ調査しておりますけれども、それを見ましたってこれはまさに金(きん)の預かり名下、金(かね)をかき集めだということが事実明らかなんですね。ですから、これはそんなに難しいことではなくて、実際に厳正にこの法の適用を考えればこれはこれで解決できる問題ですね。これはぜひ検討を十分していただきたい、こう思うのです。
 同時に、本法について言いますと、預託等取引契約、こういうものの中に豊田商法的なものが是認される、許容されることになりはせぬか、これを公認することになりはせぬか、こういう疑問がありますが、この点はどうでしょう。
#220
○松尾(邦)政府委員 私ども、先ほど申し上げましたように、豊田商事のあのあくどい商法につきましてはまさに禁止さるべきことであり、出資法なり詐欺なりの規定の適用が可能であれば、可能な限り厳正に処していただきたいと私どもも期待をいたしているところでございます。
 ただ、今先生が御指摘になりましたように、私どもの御提案している法律案は行為規制法として出させていただいているわけでございますけれども、この行為規制法は悪質な事業にとっては実質的に禁止の効果を持つように、契約を勧誘する段階、契約の段階あるいは契約後の段階、いろいろと消費者の利益を確保できるような規定を織り込んでおり、悪質な事業者であれば実質上これは禁止されたと同様の効果が発揮できるる内容という形で法文化したものでございます。
 一言、この私どもの法律の対象としております取引について敷衍させていただきますと、確かに豊田のやり方はあくどいやり方でございました。したがって、禁止に値するものだと考えております。しかし、これを脱法行為も含めて法的に規制するにはどのような形で規制したらよろしいかという議論になりますと、これは産構審の答申にもございましたように、結局のところ、物品を預かり、その預かったことに見合って対価を支払うということで法律構成をすることが基本的な建前になるわけでございますけれども、私どもといたしましては、品物を預かりそめ対価を支払うということ、それ自体が反社会的なものというわけにはまいらないと思うのございます。むしろ、やはり豊田商事のようにあくどいやり方で預かることを約し、あくどいやり方で勧誘も進めた、そのやり方に問題があったのではないかと思うわけでございます。
 私どもの実態調査というものは、草の根を分けて全部調べるというわけにはまいりませんけれども、例えば品物を預かってその対価を支払うということについて考えてみますと、幾つか現実の商売でも行われているものがあるように思います。例えば、ダイヤモンドを使ったアクセサリーのようなものをお客の注文に応じて結婚式のためにつくったということで消費者がお買いになられた、しかしそれは結婚式のとき以外余り使わない、一方お店の方は一つの見本をいつも手元に置いておいて、消費者が新たに御注文をしたいというようなときには、その見本を見ながら自分の好きなデザインを発注しておやりになる。その際、結局アクセサリー屋さんは消費者から品物を預かり、そしてそれを見本として使う限りにおいて、見本としての効用を発揮させるために借り賃を消費者に払うと思います。したがいまして、そのように預かってそのことに見合って対価を支払うということ自体は、世の中に健全なものが幾らでもあり得る。しかし、やり方が豊田の場合には悪かった、それを規制していきたいというのが私どもの立法の趣旨でございます。
#221
○野間委員 物を売り、売ったものを預かり運用益を支払う。しかし、豊田商法の場合にはそうじゃないのですね。あなたは今、ネックレスか何か、ダイヤモンドですか、例を出しましたけれども、確かにそういう資産運用取引は現実にはあろうかと思います。しかし、少なくとも豊田商法等についてはそうではなくて、物の売り買いに籍口して要するに不特定多数から金を集めておる、これは紛れもない事実ですね。ですから、この法案はそういうものまで一応許容する、取引として認容するという手法になっておるわけですね。私はそこに問題があると思うのです。
 ですから、そういうものについては出資法できっちり、これは脱法行為の禁止がありますからね。こういうふうな豊田商法そのものが脱法行為にかからないとするならば、一体脱法行為にかかるものはあるか、そうしたらそんなにないですよ。ですから、そんなに間口を狭めるのじゃなくて、こういう売買に籍口して不特定多数から金を預かるという場合には、これは出資法の預かり金あるいは脱法行為に該当するということで明確に通常の資産運用取引とは区別していかなければいかぬ、これは当たり前のことなんですね。
 そこでそういうものも含めて、つまり詐欺まがい、ペーパー商法も含めて本法では許容しておる。行為規制と言われた。しかし行為規制と言われますけれども、これは後で触れますが、書面の交付にしたって、書面の中身についての真実性を担保するものがない。あるいは勧誘行為についても、これは注意規定、訓示規定であったりあるいは制裁がないとか、しかも威迫等だけに絞られておるとかいうことで、これはまさにしり抜けになっていますね。ですから、実質これで禁止ということにはならないわけですね。だから私が言いたいのは、要するに現物まがいの商法と、それから今あります実際に物を預かってそれを運用するという取引、預託取引、それとは明確に区別をして、ペーパー商法は一切許さない、これは出資法のジャンルでけりをつけるということが、私は行政としても当然とるべき態度だし、大事なことだと思うのです。いかがですか。
#222
○松尾(邦)政府委員 出資法の規定につきましては、私どもといたしましても、最大限豊田商事のような事例について適用されることを期待いたしているわけでございますけれども、この出資法の規定の具体的な解釈ということになりますと、当然のことながら大蔵省の所管ということになりまして、私どもの立場で責任のあるお答えをするのは必ずしも適当でないわけですけれども、私どもの理解している限りで申しますと、やはり出資法におきます預かり金と申しますのは、金銭の受け入れであって、元来の返還が約されているというようなことが大前提になっているわけでございますし、金銭以外のものが間に何らかの形で契約上なりあるいは実質上なり含まれている、商品などが含まれているというような場合には果たして出資法の適用があるかどうか。この辺についてはいろいろ判例によって決まってくることであろうかと思いますが、一部の判例では、金銭以外のものの介在があってもこれを否定して出資法の適用を認めたものもあるやに伺っております。したがいまして、そういう意味では、私どもとしては、出資法の適用は大いに厳正に行っていただきたい。
 それで、私どもが今回御提案申し上げております法律案は、いずれにいたしましても、物を預かり、そして預かったことに対応いたしまして財産上の利益を供与するということを約する契約という形で規定させていただいておりまして、その前に販売行為があるかないかということについては、特段この法律の前提条件に置いておらない。それはなぜかと申しますと、物を売るところから要件にしてしまいますと、脱法行為で別の会社に物を売ることをやらして、預かるところは別の会社ということになりますと、物を売るところから一貫した行為としての規制になじまない、むしろ脱法行為を許す形になってしまうから、そのような形でまず物を売ることは切り離し、物を預かるところから入ったわけでございます。
 しかし、物を預かることを約し、そして預かることに見合って財産上の利益を供与することを約するというものはすべて対象になるわけでございますので、消費者の保護の観点からいたしますと、仮に出資法で十分訴追できないものにつきましても、この法律で消費者保護の実を上げることが必要であろうという観点から立案をいたした次第でございます。
#223
○野間委員 だから、やはりそこに問題がありまして、これは豊田商法を公認するような役割を果たすことは明らかだと私は思うのです。
 そうすると、もう一つは、いわゆる資産の運用取引、物を預かって云々という取引ですね。この際に、今予定されておりますのは、運用益については確定利益を分配する取引、これが本法の対象になるわけですか。
#224
○松尾(邦)政府委員 この法律におきます預かることに見合う財産上の利益につきましては、事前に確定している場合もありましょうが、確定している場合に限るということにはいたしておりません。
#225
○野間委員 そうしますと、信託業法との関係で問題になると私は思うのですね。金銭の預かりについては出資法で規制があり、銀行業務等以外にはできない。それから、他人の資産を管理運用して実績に応じて配当する業務については信託業法、これがあるわけです。いずれも厳しい免許制等、あるいは資産運用方法の制限等があるわけですね。
 ところが、今お聞きしますと、必ずしも確定利益だけではなくて、不確定な場合でも含まれるとするならば、これは信託業法に言う信託行為、これとの区別は一体どこでどうつけるわけですか。
#226
○松尾(邦)政府委員 信託につきましては、先生御案内のように、一般的に申せば、受託者に相当する相手方に全幅の信頼を置いて、自己の財産の管理運営を託するということであると存じます。したがいまして、そのような信託とこの御提案申し上げている私どもの法案との関係を見てみますと、私どもの法案と信託の場合の中身は、かなりの点で違っている点があると思っております。
 一つは、信託の場合でございますと、所有権が信託をする人から受託する人に移りまして、財産権は受託者の名義となることもございます。それから、受託者は信託の目的に従いまして受益者のために管理運営をすることになりますし、また受託者の管理運営に当たりまして生じた利益等は、額こそ確定しておりませんが、いずれにしても利益が上がればすべて受益者に帰属する、こういうのが信託の概念だろうと私どもとしては理解いたしております。
 他方、私どもの御提案申し上げております預託等取引契約の場合でございますと、所有権の移転あるいは財産権の名義人の変更等は必ずしも伴わないわけでございますし、またこの管理運営につきましても、必ずしも受益者のためだけに、これだけを念頭に置いて運営するわけではありません。やはりそれは預託をしている会社の計算も当然働くわけでございます。それからまた、生じた利益につきましても、信託と違いましてすべて受益者に帰属させる必要はなく、思った以上の収益が上がれば当然預託を受けました企業がみずからの収入として上げることも妨げないわけでございます。そういうわけで、私どもとしては、信託とこのような預託等取引契約との間には、かなり法律的な差異があるのではないかというふうに考えております。
#227
○野間委員 いやそれはおかしいですよ。
 それで、そうしたら預託取引の中に民法上の寄託、特に消費寄託ですね、これも含まれると思いますが、いかがですか。
#228
○松尾(邦)政府委員 預託の中には、おっしゃるように消費寄託も入ると考えております。
#229
○野間委員 だから消費寄託ということになりますと、預かったものを金にかえる、つまり処分することができるわけでしょう。これは消費貸借の適用、あるわけですね。そうすると信託業法に言う信託と全く変わりない。今いろいろ言われましたけれども、これは非常にあいまいなんですよ。それは一体だれがいつの時点でどういう基準で区分するんですか。後にも触れますけれども、要するに信託は除くというのがありますね、「信託によるものを除く。」というのが。これは区別を、だれが一体どういう基準でいつするんですか。これは非常にあいまいですよ。
#230
○松尾(邦)政府委員 確かにこの法律案で定義いたしております預託の概念は大変いろいろな場合を含んでいると存じます。おっしゃったような消費寄託の場合もありますし、そうでない場合もある。それからその定義規定でも述べておりますように、場合によりましては信託に相当するものも含まれる可能性がありますので、法文上そこの疑義を明確にするために、信託については別途信託業法及び信託法によりまして法律的な関係をきっちり整理したものがございますので、わざわざあえてこの法律で重複適用の必要はないであろうということで外さしていただいているわけでございます。この点につきましては、当然のことながら信託業法、信託法の関係につきまして所掌している官庁は、これは当然のことながら信託業法でいくべきである、信託法でいくべきであるという判断はなされるわけでございますので、私どもとしては法律の適正な運用はそれぞれ所管の省庁と御相談をしながら厳正に運用してまいりたいと考えております。
#231
○野間委員 これは区別がつかないですよ。処分まで認めるわけですからね、預託取引契約の中身として。しかも、この金銭の預貯金預かり等については銀行等一定のそういう事業主体そのものが規制があるわけでしょう。信託業法そのものも規制がある。つまり、これは他人の貴重な財産を預かるから規制を厳しくしておるわけですよ。ところが預託取引契約を見ますと、全くそれと甲乙つけがたい、同じような性格を持つ他人の貴重な財産を預かるわけですよ。運用するわけですね。だからそういうものについての消費者の保護という建前からすれば、当然事業主体に対する規制、例えば免許制等々をとらなければ、銀行法とかあるいは信託業法等との整合性からおかしくなると思うのですね。矛盾しないですか。
#232
○松尾(邦)政府委員 信託業法の関係について申せば、先ほど申し上げましたように、信託の場合には必ず財産権は移転をいたして、受託者を全幅的に信頼をしてその善良な管理を前提に仕組みができ上がっているということになっているわけでございますけれども、この預託等取引の場合にはいろいろな場合があり得る。(野間委員「それはおかしいな」と呼ぶ)いろいろな場合があり得るわけでございます。つまり消費寄託もあれば消費貸借もあり得るし、処分権がついている場合もあれば、ついてない場合もある。そういう意味で、この預託等取引契約の場合については信託とは非常に仕組みが違っていることが前提になっておるということは言えましょうし、また出資法の関係で申せば、全面禁止ということではなくて、別途の法律で、例えば銀行法において営業が許されているものについては預かり金の営業ができるわけでございますけれども、これにつきましては銀行法等金融秩序を守っていかなければならないという法益からスタートしていることでございます。
 この預託等取引契約につきましては、先ほど申し上げましたように、物を預かってそれに伴って対価を支払うということについては大変いろいろな形態が存在している。そのいろいろな形態につきまして、私どもとしては悪質な業者が行う取引については実質的禁止になるような行為規制を行うということをいたしているわけでございまして、それらの間にはそれぞれの法目的の違い、法益の違いがあることから生じたものだと理解いたしております。
#233
○野間委員 とんでもないことなんですよ、それは。信託の場合には預ける、受託する業者に対して全幅の信頼を置いておる、こういう話ですね。そうしたらこの場合には、全幅の信頼を置くことのできないような業者であれば、なおさらこれについての行為規制でなくて、その事業主体そのものを規制せぬことにはこれは消費者はたまったものじゃないですよ。むしろ逆にこういう取引についてこそもっと厳しい規制をしなければならない。行為規制ということを言われましたけれども、先ほど言ったようにその書面の内容の真実性を担保するものはないわけです、この法律では。しかも勧誘行為そのもの、これも威迫等しかありませんし、刑事罰もない。民事上の効果も、私法上の効果も与えていない、こういう代物ですね。ですからあなたのおっしゃるようなのと道なんで、消費者の保護という立場からもっと厳しいことをしなければなりませんし、なぜ許可とか免許という制度をとれないか。預託取引契約そのものはそんなに数はないと私は思うのですよ。ちっとも難しくはないと思うのですね。だからそういう点から考えますと、私は消費者保護の観点が欠けておると言わざるを得ないと思いますが、もう一遍答弁してください。
#234
○松尾(邦)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、預託等取引契約というものについてこの法律案で定義いたしましたように規制対象を取り込んでまいりますと、いろいろな業態のものが当然あるわけでございます。これに対しまして、先ほども申し上げました信託の場合には必ず所有権の移転を伴う、そして財産権の名義人も変更を生ずる、管理責任があり、生じた利益の配分についても特定のルールを設定しているということになるわけでございます。
    〔委員長退席、佐藤(信)委員長代理着席〕
申し上げたいのは、この私どもの法律案で定義いたしております預託等取引というのは非常に幅広い概念である。そういう意味におきまして、悪質なものもありましょうし、やり方次第によっては悪質でないものもあるということになるわけでございます。
 そこで、先生がおっしゃっておられるのは、悪質でないものについて許可制なり免許制なりをとってきちんとしていったらよろしいのではないか、こういう御指摘だと存じますけれども、私ども考えてみますと、何にいたしましても現段階で考えますと、悪徳な企業がいろいろな知恵を絞って許可を求めてくるであろうことは必定であろうと考えておかなければならないと思います。そういたしますと、許可の基準を、あるいは免許の基準を法定いたすとなりますと、そこには当然のことながら、過去に経営者が罰せられたことがないことあるいは経理的な基礎があることなどなど、既往の法律でよく見られますような基準で許可の入り口規制をすることになると思いますが、悪質な業者であればそれこそ入り口ではお化粧をして通ってまいりましょう。いや、これはあなたはお化粧ではないかと言って許可をしなければ、裁判を起こされたときに、何でそれでは許可が受けられないかということについての立証はなかなか難しいと思います。したがいまして、お化粧してきたものは許可をせざるを得ない。
 悪質な業者であればあるほど、お化粧をして出てきた後で、許可を受けた後で、その許可を受けたということを大いに活用しながら、消費者にそのお墨つきのもとにいろいろな行動をとる。その行動の中には、お化粧がだんだんはげて悪質な行為も間々出てまいる。それをすべて役所が一元的に見るということはなかなか大変なことでございまして、この行政改革の時代に相当な組織を新たに設けることがなければ、とてもそのようなことは不可能だと存じます。
 したがいまして、私どもとしては、この法律案にございますように契約の締結段階の以前、勧誘の段階そして契約の締結の段階に、一体この契約を結ぶと消費者の方々はどんな不利益をこうむる可能性があるのか、どんな危険が伴っているのかということについて十分おわかりいただけるような情報が提供される。また契約を締結した後におきましても、この契約を結んだことが非常に不利益が来るのではないかと思えばいつでも逃げ出せる、そういうような法体系を組むことによりまして消費者の保護を図っていくことの方がより現実的である、かつまた実効も上げられるということから、このような法体系をとらしていただいたわけでございます。
#235
○野間委員 これは全く理由になってないですよ。整合性が全くとれてないですよ。
 じゃ続けますけれども、今そういういろいろな取引の形態があるんだというふうに言われましたが、じゃ具体的に現在預託取引契約を行っておる物なり会社はどのくらいありますか。どういうふうに把握しておりますか。信託業法とかを除いて、これに係るやつは。
#236
○松尾(邦)政府委員 この法律の定義は、御案内のように預託等取引契約の中身を幾つかの変形も含めまして書いてございますけれども、基本形は、申し上げるまでもなく、一般消費者を相手といたしまして商品などを一定期間預かることを約して、その預かることに対応した利益を提供するということなわけでございますけれども、脱法防止の観点から、返還されるものが預かった商品でなくても金銭その他の代替物でもよい、あるいは業者が将来買い取ることを約して品物を預かってもよろしいというように、幾つかの場合について規定をいたしているわけでございます。
 その中で、どういう場合にどういう業者があるかということについて草の根を分けて全部調べるわけにまいりませんけれども、例えば業者が将来買い取ることを約した契約の場合はどんな場合があるかと申せば、銀行、証券に限らずクレジット会社なども行っております金投資口座あるいは金貯蓄口座もその例に当たると存じます。それから基本パターンでございます、品物を預かり、預かったことに見合った財産上の利益を提供し、そしてまた同じ物を返すというものについては、これはなかなか調査が難しいのでございますけれども、先ほどほんの一例として申し上げたのがダイヤモンド製の例えばアクセサリー、これをアクセサリー業者が一たん売った消費者から借り受けて、それをショーウインドーに並べて、新たなお客さんが注文をするときにその注文の参考にしてもらう場合もありましょう。あるいはお客様から預かった品物をレンタルというかリースというか、そういう形で別の消費者にお貸しするということも当然あっておかしくない。
 そういう意味で考えてみますと、この中にはいろいろなものが入っている可能性がございます。また今後もどのような新しい商売が出てくるかもわかりません。したがいまして、それらのものすべてを現段階でどれどれが幾ら幾らあるということは明確に申し上げられませんけれども、いろいろなものがあるに違いないというのが私どもの立案に当たっての考え方でございます。
#237
○野間委員 時間の制約がありますから、できるだけ短い簡潔な答弁をしていただきたいと思います。
 預託取引契約について、私は詐欺商法、ペーパー商法は絶対出資法でやれ、これと明確な区別をしなければならぬという立場からなんですが、あなたが言われるような預託取引契約、これについて言いますと、例えば物を売って預かって運用益を支払うというケースですが、その場合の要物性ですが、直接は相手に売り渡しをしなくても要物契約としての要件は整えるというふうにお考えなんですか、どうですか。
#238
○松尾(邦)政府委員 おっしゃる趣旨を私なりに理解いたしますと、品物は売ったのですが、品物を売ったお客さんに渡さないでそのまま預かるということをおっしゃったんじゃないかと思います。そういう場合もこの定義の中に含まれると考えております。
#239
○野間委員 ですから、それでも要物契約の要物性は充足するということになるわけですね。そうすると、結局これまた不特定多数から金をかき集めるという、いわゆるまがい商法と全く変わりがないという取引形態にもなるわけで、そうすると信託業法とか銀行法、こういうようなものとの関係からしても、どうしても事業そのものを主体の規制をしなければならぬと思いますが、その点についてはもういろいろ答弁しておりますので省きます。
 次に、特定商品についてでありますが、これは金とかプラチナ等々言われると思いますが、観音竹とか抵当証券、こういうものは具体的に特定商品として指定することを今考えているのかどうか、いかがですか。
#240
○松尾(邦)政府委員 この法律の定義上からは、抵当証券、観音竹ともに政令で定めることは可能な物品だと私どもは理解いたしております。しかし、具体的に政令で指定するかどうかにつきましては、一般的に被害が発生する蓋然性を前提に考えてまいらないといけないと思います。
 そういう意味で考えた場合に、例えば抵当証券については、果たして今問題になっておりますことがこの法律の対象として政令指定することにあるのか、あるいは被担保物件の価値以上に受益証書を発行することが問題なのかという点になりますと、どちらかというと、私どもは今世の中で問題になっているのは後者ではないか、つまり担保価値以上の受益証書を分割して発行することに伴うトラブルの方が多いと思っております。そういう意味では、現段階でこの物品指定の蓋然性が非常に高いかとなりますと必ずしも私ども高いとは今思っておりませんが、可能性としては十分私どもとしては目を光らせて、必要とあればいつでも機動的に指定してまいりたいと考えております。
#241
○野間委員 観音竹は既に三百億から四百億円の被害が出ておるのですよ。これは御存じでしょう。大変なことですよ。しかも、これは今二年間一応ペンディングになりまして凍結しておるわけです。これは出資法違反の容疑等で強制捜査もやりまして、今和歌山県警を中心にやっておるのですけれども、こういうものすら今のところまだ特定商品として指定する用意がないというふうに今聞こえたようですが、そうですか。
#242
○松尾(邦)政府委員 私の説明が舌足らずだったかもしれませんが、抵当証券を例に申し上げたわけでございます。
 観音竹につきまして引き続き被害発生の蓋然性があるという認定が関係省庁の間で下されるようでございましたら、機動的に政令指定いたしまして問題の生じないようにいたしたいと考えております。
#243
○野間委員 だから指定商品制度の欠陥はそこにあるわけですよ。要するに後追いになるわけですよ。迅速に対処するということをよく言われますけれども、今なおそういう状況で、今とにかく下火だ、今度また出てくればその時点で考えるということにならざるを得ないわけですよ。しかも商品の追加、これだって迅速に正確にできますか。どういう手続をして追加されるのですか。その要件はどうですか。
#244
○松尾(邦)政府委員 物品を政令で定める手順につきましては、私どもとしては、消費者相談の窓口を通じての情報の収集あるいは関係省庁との情報交換、それらをもとにいたしまして、決して後追いにならないように前広に、被害の蓋然性を将来のことまで想定いたしまして指定してまいりたいと考えております。
 しかし、もとより規制というのは必要最小限度にとどめる必要がございますので、全く今後消費者が被害をこうむるおそれがないような品物、例え話で失礼でございますけれども、鉛筆ですとか果物ですとかそういったものを預かって、まさに財産上の利益をもらおうと思う人はないだろうと思います。したがいまして、常識的な範囲があると思いますけれども、これはどうしてもあらかじめ指定しておかないと心配だという物につきましては、機動的に前広に決めて、決して後追いにならないように今後運用してまいりたいと考えております。
#245
○野間委員 観音竹というのは市場価格が大体三千円くらいですよ。これを三十万で売買しているわけですね。一年ごとに六万円ずつの利息をつけて払う、そして最後には三年たてば三十万は返還する。これは負の商法で、売れば売るほど損をする、そういうものが商売になるわけですね。それでもやっておるわけです。なぜか。ここにからくりがあるわけです、時間がありませんから触れられませんが。
 それからもう一つは勧誘行為ですが、威迫行為は確かにしてはならないとなっている。しかし、これはあくまで注意規定ですね。これを細かく書くと、構成要件云々は非常に書きにくいという話がありましたが、しかしこれは、例えば軽犯罪法で見ましてもいろいろありますよね。この中で、例えば一条の二十八を見ますと「他人の進路に立ちふさがって、若しくはその身辺に群がって立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者」云々、たくさんありますよ。これは実際の話、いろいろ工夫はできるわけですよ。それもしない。しかも民法上、これは恐らく九十条とか九十六条の公序良俗違反とか詐欺、強迫による取り消し、そういうものにかかるならともかくとして、そうでない勧誘行為についてはどうにもならぬ、無効取り消しの理由にならぬというのが恐らく前提じゃないかと思うのです。だから、やはり被害者、消費者の保護の立場からすれば、この点はきっちり私法上の効果も及ぼさなければどうにもならないというふうに私は思うのです。
 時間がありませんからこれで終わりますが、そういう点でこれは大変足りないわけですね、不十分だ。むしろ悪徳商法を公認するような、そういう役割すら果たしかねない欠陥法だと私は指摘をして、質問を終わりたいと思います。
#246
○佐藤(信)委員長代理 和田貞夫君。
#247
○和田(貞)委員 私は悪徳商法を壊滅する、悪徳商法を禁止して消費者を保護するという場合に、次のことを考えて、それを具体にどういうように、規制するのであれば規制する、禁止するのであれば禁止するかということが必要だと思うのです。悪徳業者というのはかなり頭がいい者がやるのですから、具体に、だれがどんな商品や施設の利用権等をどのような方法で利用して、そしてだれを相手にごまかして金をくすねていくのだということを、やはり文法上そのことをきちっとして、それを具体にどうするかということじゃなければならないのじゃないかと私は思うのであります。
 したがって、悪質な取引を実質的に禁止していくということであるならば、各委員がるる述べておりましたように、やはり出資法を改正して、預託形式による預かり金も出資法の違反だということで、現物まがいの取引というものを禁止させていく。その他信託業法や訪問販売法、それらをもっと拡大解釈して積極的な運用によって、そして事によればそれを具体に機能的に改正等を行って、この現物まがい取引というものを、多くの被害者が出たわけですから、断固としてその再発を防止する、そういう策を講ずることが必要であろう、このように思うわけであります。その点について、ひとつ政府の方からお答え願いたいと思います。
#248
○松尾(邦)政府委員 確かに悪質な取引というものは多種多様でございます。したがいまして、一筋縄の対応ですべて事足れりというわけにまいりませんので、可能なあらゆる手段を駆使してこれに立ち向かわなければならないと考えているわけでございます。
 たまたま先生がお述べになりました出資法の規定につきましては、私どもの所掌でございませんので責任あるお答えをする立場には必ずしもございませんけれども、先ほどの大蔵省の御答弁でも、出資法で禁止することについていろいろ考えてみたけれども、禁止する行為を摘出して、これを禁止すればいいということをきちんと仕分けすることがなかなか難しいということもおっしゃっておられたように思うのでございます。
 私どもの考え方といたしましては、確かに豊田の行った行為は悪といものでありまして、これはまさに禁止に値するものだと存じますけれども、私どもに課せられた使命は、豊田商事及びその類似企業によります被害の再発を防止するということにあるわけでございます。したがいまして、豊田のような悪とい商法を一〇〇%コピーしたもの、これだけを取り締まればいいのだということであれば、きちんとした要件が書けるかどうかは別としまして、あるいはそういう禁止法をつくるのも一つの考え方かと思います。
 ただ、どうせ悪徳業者のことでございますから、一〇〇%のコピーは禁止されるなら、少し変化をつけて脱法行為を考えようということは想像にかたくないわけでございますので、何とかこの脱法行為も防止するという形で取り組まなければならない。脱法行為を取り締まるためには、法律の対象となる定義規定もかなりいろいろな場合を想定しておかなければならない。そういたしますと、本来物を預かって、その預かったことに見合って対価を支払うということ自体は反社会的な行為でもないのにもかかわらず、これまで一緒くたになって規制されてしまうということでは、経済の活力も非常にそがれてしまう、経済の実態にも合わなくなってしまうということで、行為規制という形をとり、悪質な取引については実質禁止の効果を持つようにするという考え方でこの法案を整理したわけでございます。
 もとより悪質な商法につきましては、このいわゆる現物まがい商法以外にもいろいろございます。先ほど先生の御指摘にもございましたように、私どもとしましては、他の訪問販売法あるいは海先法等々関係法律も機動的にかつ積極的に活用いたしまして、悪徳商法の再発がありませんように最大限の努力をいたしてまいりたいと思いますし、法律だけでは効果の上がらない分野もあるかと思いますので、あわせて消費者啓発もきめ細かく進めてまいることによりまして問題に対処してまいりたいと考えている次第でございます。
#249
○和田(貞)委員 今の政府の答弁に対して、社会党案の提案者である上坂議員はどんなお考えですか。
#250
○上坂議員 私は、今政府が出しているこの法案では、そうしたものを取り締まることができないと思います。私が一番最初この豊田商事問題を取り上げたのは五十八年の五月十八日、そして同年の十月四日に商工委員会で一時間にわたってこの商法を突いているわけでありますが、そのとき指摘して三年になっても、何ら手を打つことができなかった。したがって、今ある法律の中ではとてもだめだという形になりますと、この種のものは取り締まれない。そして、豊田商事が壊滅に瀕するような状態になってからようやく法案をつくる、こういうことではどうにもなりません。そこで、今度の私どもの訪問取引法を提出をしたわけであります。早急にこれを審議をして、これによって取り締まるような形にしなければ、とても豊田商事的なもののばっこを防ぐことはできないし、それに類する商法もこれを規制をすることはできないと考えます。
#251
○和田(貞)委員 政府の方は、この法案の提出に当たって、悪質な取引を禁止することができる、またそのための立法措置であるということを言われておるわけですが、問題は、この悪質商法というのはいわゆる手段、方法なんです。だから、商品とか施設利用権というのを、一定の政令で枠をはめて決めるという形であるならば、政令で決めた以外の商品や物権をまた利用してはびこるということになるのであって、やはりこの行為自身が、その手法自身が、手段自身が問題であるのですから、そのようなことを政令で枠をはめるというようなことはどうかと思うのですが、この点についてどうですか。
#252
○松尾(邦)政府委員 私どもの案では、行為規制法ということでございますけれども、行為規制の中身におきましては、先生のおっしゃったようなこういう方法ではぐあいが悪いということについてはいろいろ規定をいたしたつもりでございまして、悪徳な業者であればいろいろそこをごまかして通ろうと思ってもごまかして通れないように、契約締結前の書面交付におきましても、契約締結時における書面交付におきましても、いずれにしても消費者が惑わされないように基本的な事項、特に消費者が負担しなければならない危険性のある部分につきましては、明確に消費者にわかるようにしなければならないようにいたしております。また、勧誘行為につきましても、故意に事実を告げなかったり不実のことを告げる行為をしてはならないことにいたしておりますし、そのほか不当な行為の禁止もいたしております。また、書類の閲覧の規定も置いております。さらには、業務停止命令、その他契約の締結後におきますクーリングオフに限らぬ契約の解除、中途解約権も規定しております。そういうようなことで、私どもといたしましては、契約締結前、契約締結時、契約締結後にわたりまして、消費者が悪質な取引に取り込まれないように、また取り込まれたと思ったときにはいつでも逃げ出せるように、こういう規定を設けることによりまして悪質な取引による被害を食いとめることができると思っております。
 なお、あわせて先生御指摘の、政令で商品を指定することでいろいろ問題が起こりはせぬかということでございますけれども、私どもといたしましては、消費者からの苦情や相談なんかも踏まえまして、被害の後追いにならないように機動的に商品の政令指定等を行ってまいることによりまして、御指摘のような御懸念がないようにいたしてまいりたいと考えております。
#253
○和田(貞)委員 単に今までのようなダイヤだとかあるいは金だとか銀だとか、そういうようなこと以外にかなり、手段は同じ方法であるけれども、拡大をしていっているわけです。そういう点で私は言っておるわけですが、悪徳商法をやるような者は、一回味をしめましたら次から次へと手をかえたり品をかえて被害者をどんどんと続発させていって、そしてお年寄りや主婦を食い物にしていくというたぐいであります。今手をつけなければならないのは、マルチまがいの取引によるところの被害あるいは抵当証券の訪問販売による被害、海外商品取引による被害等々であって、これらの防止策というのは、やはり申し上げたように出資法や信託業法の改正というものを急ぐ必要があるわけです。
 この点については私たちの所管外でもございますが、せめて我々の所管である訪問販売法を早急に改正する、そして指定品目の拡大を図ったり、あるいは今対象になっておらない役務規制を対象にしたり、マルチまがいを全面的に禁止していく等々を行わなければならないと思うわけでございますが、この点についてひとつ、せっかく訪問販売法の提案をされてこれを並行審議にしておるわけでありますから、せめてこの訪問販売法を早急に改正する、こういうお考えがおありであるのかどうかということを大臣から御答弁いただきたいと思います。
#254
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘になりましたように、役務あるいはマルチまがい商法の規定、訪問販売法に取り組むべきではないかというような御指摘につきましては、私どもといたしまして、今まさに役務につきましては省内の研究会におきまして関係各界の方々と御議論をさせていただいているところでございますが、何分にも役務取引というものは多種多様な形態がございまして、果たして定型的に処理ができるかどうか、定型的な指定制になじむかどうか、あるいはサービスの提供をすると一回一回そのたびに費消されてしまうということになるわけですから、商品のように後々まで残っているとは限りません。そういうものについてクーリングオフは果たして実効が上がるのだろうかというようなこともありまして、果たして法律になじむのかどうだろうか、あるいは業界の自主規制にゆだねた方が実効が上がるのだろうかどうだろうか、そういった議論を今いただいているところでございます。
 また、マルチまがい、この点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、産業構造審議会の答申においても指摘されておるところでございますけれども、法律で現在規制されておりますマルチ商法そのものと一体どこがどのように違った形で被害者が出てくるのだろうか。マルチ商法でございますれば、在庫を抱え込んで消費者が大変苦労するという被害もたくさん見られたわけでございますけれども、例えば委託販売あるいは紹介販売というものには大変健全なものが世の中にたくさんあるわけでございます。これらについて、果たしてどういう消費者の被害があると考えるべきなのか、また商法もいろいろさまざまなタイプがございますが、さまざまなタイプをそれぞれどのように考えたらよいのか、健全な商法との仕切りはどうしたらよいのか等々検討すべき課題も多々ございますので、引き続き産業構造審議会におきまして鋭意審議をさせていただくことにいたしているわけでございます。
 そういうわけでございますので、私どもといたしましては、訪問販売法を含みます訪問販売に関する消費者保護の施策のあり方につきまして鋭意検討を進め、その充実を図ってまいるつもりではございますけれども、このような事情にございます点、御理解を賜りたいと思います。
#255
○渡辺国務大臣 今審議官から委細説明があったわけでございますが、自由主義経済のもとで規制をするというのはなかなか難しい。先ほども言ったように、寝たきり老人のところに二日も行って座り込んで、それでおむつの世話までしてすっかり信用させて、その金を全部取り上げちゃうという例があるのだという話をさっき聞きまして、実はびっくりしたわけなんです。それなら、大体そういう寝たきり老人のところで商売するのは全部禁止したらどうだということを言いますと、しかし、寝たきり老人といっても頭のしっかりした人もいるし財産をしこたま持っている人もいるし、一概に寝たきり老人のところで商売してはいかぬと言うわけにはなかなかいかない。やはり商売の仕方そのものが一番の問題である。したがって、商売の仕方を規制する以外にないじゃないかという話があった。
 それと同じように、マルチの話になりますと、マルチまがいというのは、寝たきり老人というよりは今度はむしろ半プロみたいな人が多いのですね、実際は。自分が商売をやっているとか、あるいはまるっきりの素人でもある場合もございます。しかしながら、いずれにいたしましてもこれをどういうふうに規制するかということが非常に難しいと言われておりますが、せっかくの御提案でございますから、できるかできないかも含めましてそれは真剣に検討をさせていただきたい、そう思っております。
#256
○和田(貞)委員 社会党案の提案者、今の大臣の御答弁あるいは審議官の御答弁、そういうことに対するあなたの見解をひとつ。
#257
○上坂議員 私の聞いているところでは、アメリカでは詐欺まがい商法あるいはマルチまがい商法等がなお八百種類ぐらいあるというふうにも言われております。これらが続々と日本へ上陸するのではないかと私は危惧しております。というのは、六十年の一月十九日から一月三十日まで経済企画庁の国民生活局から七名の人が参ヶまして調査をしてまいった結果、販売の対象となる商品については、金地金やその他の貴金属、ダイヤなどの宝石類、油田のリース、外国通貨などさまざまである。そして、これらについていろいろな商法が行われておりますが、ほとんど豊田商事が行ってきたと同じような商法になっております。
 マルチ商法というのは、ネズミ講もそうでありますが、元来アメリカから上陸したものであります。したがって、これらをまねた商法というのがどんどん日本に上陸したら今どうするのか。今のこの法律ではとても取り締まることができない、こういうふうに思います。自主規制ということも確かに重要でありますけれども、自主規制をやる業界というのはかなりしっかりした業界でなければならないけれども、その業界自体の中に、せっかく自分たちの決めた自主規制が守れないようなケースもたびたび聞いております。それからまたアウトサイダーもおります。これらはとても規制することができません。そうなりますと、結局内部からその規制が崩れていってしまうおそれもありますし、アウトサイダーについては適用ができないというような状況もあります。
 したがって、そういうところに悪質商法がはびこってくるわけでありますから、豊田式の悪質商法、不正商法は世の中のいわゆる正常な商取引の中に存在をさせてはならないという基本的な考え方の上に立って対処をしていきませんと、とても撲滅することができないと考えております。
#258
○和田(貞)委員 大臣、これは東京都の知事や関東の知事会が、やはり自治体としていろいろと被害者の訴えを受けて、訪問販売法を早く改正してほしいという要望が既に昭和五十七年にもう出ているのです。それから総理の諮問機関である国民生活審議会も、五十八年の十二月九日に、店舗外における消費者取引の適正化を求めるということで訪問販売法の改正を答申しているのです。いつの場合でも、総理の諮問機関でありましたら、その答えが出てまいりましたら直ちに政府は取り組むのですが、何かこのことだけはゆったりと構えておるというところが私はどうも解せぬおけであります。
 今大臣が御答弁いただきました内容を私はかなり積極的に受けとめたいと思うわけでございますが、政府がせめて次の国会でこの訪問販売法の改正を後追い後追いにならないように積極的に提案をしてくる、こういうように受けとめてよろしゅうございますか。
#259
○渡辺国務大臣 それはあなたの受けとめ方は御自由でございますが、実際のところどういうふうに禁止ができるのか私自身も勉強不足なんです。したがいまして、よく勉強しまして、諸外国の立法例等もございましょうし、そういうものも調べまして、被害が出ないようにすることが大事でありますから、最大限の努力をいたします。
#260
○和田(貞)委員 ひとつその最大限の努力を次の国会にぜひとも、今作業に入っておるわけでございますから、その作業を進めて提案してもらうことを強く要望しておきたいと思うわけであります。
 そこで、法務省来ておられますね。今日豊田によるところの被害者が四万人になんなんとする、被害額が二千億円を超える、こういう大詐欺による未曾有の被害でございます。全国各地で、国の責任もあるということで国家賠償訴訟、あるいは詐欺であるということで刑事訴訟をやられたり、あるいは民事訴訟をそれぞれやっておられるわけでありますが、一体これらの訴訟事件がどのぐらいであるかということを法務省として把握しておられますか。
#261
○原田説明員 お答え申し上げます。
 まず刑事事件関係でございますが、豊田商事及びその関連会社と思われます鹿島商事の商法につきまして、刑法上の詐欺でございますが、詐欺あるいは出資法違反に該当するということで告訴あるいは告発がなされているものにつきましては、現在東京地検などにおきまして捜査中でございますが、その数は十数件に上っております。
#262
○濱崎説明員 民事事件関係についてお答え申し上げます。
 民事事件の係属数につきましては、私ども法務省として直接把握できる立場にはございませんが、最高裁判所の事務当局に問い合わせてみましたところ、正確な統計的な資料ということではないけれども、その概況は把握しておるということでございました。
 それによりますと、本年の四月末日現在で、全国の地方裁判所に係属中の関連会社を含みます豊田商事関係の民事訴訟事件の数はおおむね百三十件余り、原告の方々の数にしておよそ二千四百名余り、そういった事件が係属しているという概況ということでございます。
#263
○和田(貞)委員 法務省に続いてお尋ねしますが、この豊田商事にかかわる被害者の皆さんが、今数字を示されたように、全国的に国に対して、あるいは刑事事件として、民事事件として訴訟を起こしておられるのです。ついておられる弁護団の皆さんも被害者の皆さんも、この法律ができることによって自分たちの係争中のこの事件はどうも不利になりはしないかという心配をされておられるわけです。これにつきまして、そういうことは裁判上不利にならないということが断言できるのかどうか、この機会にひとつお聞かせ願いたい。
#264
○原田説明員 お答え申し上げます。
 なお、先ほど私、東京地検と間違えて申しましたが、大阪地検などでございますので、訂正させていただきたいと思います。
 ただいま先生お尋ねの件に関しましては、今回提案されております法案の作成過程、またその研究過程におきまして、私どもといたしましても六省庁会議の一員という立場もございまして、いろいろな角度から御協議いただいたところでございます。この法案につきましては、現に社会の中でそれなりの需要があって行われている営業の形態について、これまで格別の行政的ないし民事的な規制がなされていなかったものに関しまして、新たに消費者の保護という観点に立ちまして必要な規制を行おうというものと承知しているのでございますが、現在大阪地検初め各地の検察当局において捜査しております刑事事件につきましては、この法案で講じられることとなっております新たな規制とは別に、豊田商事及び鹿島商事なの関係者らが現実にそれまでに行った行為につきまして、その行為当時の法律、これは刑法ないし出資法その他の法律ということでございますが、これに違反するものがあるかどうかを調べているということでございまして、今回の法案が成立いたしまして法律となりましたことをもって、現在捜査中の事件の捜査処理に格別影響を与えるものとは全く考えておりません。
#265
○濱崎説明員 民事訴訟関係についてお答え申し上げます。
 民事関係につきましては、既に先生も御案内かと思いますが、会社自体に対しましては不法行為に基づく損害賠償請求であるとか、あるいは契約の無効あるいは取り消しを理由とする支払った金銭の返還の請求であるとか、また、取締役個人に対しましては商法二百六十六条ノ三という規定による損害賠償請求であるとか、あるいは取締役あるいはセールスマン等に対しましては直接不法行為に基づく損害賠償請求とか、そういった請求が考えられるだけでございまして、現にそういった種類の訴訟が、先ほど申しましたように数多く提起されているように伺っているわけでございます。
    〔佐藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
 そういった請求が成り立つかどうかということは、この法律案が法律として成立するかどうかにかかわらず、現行法の民法あるいは商法等の規定の解釈によって定まるわけでございます。したがいまして、この法律案が法律として成立したからといって、その解釈に何ら影響を与えるということは考えられないというふうに考えます。したがいまして、これらの訴訟に今回の法律案が悪影響を及ぼす、あるいは被害者の方々にとって不利になるような影響を及ぼすということは考えられないというふうに存じます。
#266
○和田(貞)委員 国政調査の場であるこの委員会であなた方が御答弁いただいたことは責任を持ってもらいたい。今断言されたわけでございますから、この法律が成立をした後に、仮に訴訟中の事件に不利をもたらすというようなことがあれば、これは国家賠償訴訟に発展するわけですから、その点はひとつ今の発言を十分にしかと受けとめておきたいと思います。
 次に、私は、本来元本保証を伴わないような預託等の取引契約というのは、これは締結すること自体を禁止させるべきである、こういうふうに思うのですが、通産省、どうですか。
#267
○松尾(邦)政府委員 社会党の御提案によりますと、確かに元本等の返済を履行することを保証する契約のないものについては締結を禁止するという案になっているわけでございますけれども、私どもといたしましては、一方において消費者の保護は万全を期さなければなりませんけれども、もう一方においては健全な事業に対する影響が過剰にならないような配慮も必要でございまして、消費者保護と健全な商活動、企業の活力との兼ね合いをどの辺にとるかということが非常に問題になるのではないかと考えております。
 今御指摘の、支払い保証委託契約の義務づけをいたすということになりますと、その内容は、詳細を政令に譲られておりますので必ずしも明確ではございませんけれども、私どもが金融機関等に当たってみましたところでは、相場商品のように品物の値段が大幅に変動する可能性のある商品を返還することを銀行が保証するということは、なかなかこれは現実的ではないのではないか。それからまた、たくさんの消費者を相手にする個々の契約について、これを一件一件銀行が消費者を相手に保証していくということは、果たして経済実態上可能なのかどうかということになりますと、これはかなか難しい。
 仮にあえてということになりますと、総括的な保証契約、例えば一種のクレジットラインのようなものがあるいは観念的には考えられるかもしれませんが、そのようなものであります場合には、これは一体だれがその保証契約の利益を受けることになるのか明確ではないわけでございます。つまり、保証されたものが履行されたといたしましても、それは一般的な各種の債権にしかるべく振り分けられてしまう。もし赤字になって倒産するような会社にそれが戻ってくれば、一般債権者によって分割されるということになり、消費者へ優先弁済される保証もないということにもなりかねないわけでございまして、健全な事業もあり得るような私どもの法規定の体系からまいりますと、過剰の規定となってしまうおそれがあるわけでございます。
 そういうわけで、私どもとしては、悪質な業者にとって実質禁止の効果を持つということにおいての目的は全く同じなわけでございますが、その目的は、私どもといたしましては、契約締結前、契約締結時において消費者が十分その危険なことがわかるように、何が危険かということがわかるようにする、そして契約を締結した後に、これは危険だと思って解約したければ、クーリングオフあるいは中途解約権を行使いたしましていつでも逃げ出せるようにするということをもって実質的に悪質な取引を禁止する効果は十分上げ得るのじゃないか、さように考えている次第でございます。
#268
○和田(貞)委員 せめて三条の二項で、契約内容の明示の書面の中に元本保証を含めた契約履行を運用面も含めて担保する措置というのを挿入させて、これを記載させることを義務づけるというようなことはどうですか。
#269
○松尾(邦)政府委員 三条の二項には、契約締結に当たっての契約についての基本的な事項につきまして締結時に書面の交付をすることになっているわけでございます。
 ただいま御提案がございましたのは、預託等取引契約の履行を消費者に対して担保するための措置が講じられているか講じられていないか、講じられているとすればどんな内容かということを明記することはどうかという御提案かと思いますけれども、私どもとしては、これは今後の一つの課題といたしまして前向きに検討すべき問題かと思っております。
#270
○和田(貞)委員 ぜひともこの履行に関する運用実態を書面にあらわすことができるような内容をこの中に網羅すべきであるというように私は思います。
 今私が担保するための措置ということを申し上げましたけれども、あなたも今御答弁の中にその言葉が出てきたわけでございますが、あなたの方では、この担保するための措置というのは大体考えられる面はどんなようなものが浮かんできますか。
#271
○松尾(邦)政府委員 具体的にこの場合とこの場合であるということを明確に申し上げる準備もないわけでございますが、例えば保証を業として行っており、それについて事業規制などの行われております金融機関等が行う履行を保証する契約などでございますれば、こういう書面に記載することについて意義があるのではないかというふうに考えております。
#272
○和田(貞)委員 極めて抽象的な御答弁でございますが、ぜひとも委員長、この点については法案に盛るようにひとつ要請しておきたいと思います。
 次に、第三条の一項ではいわば契約を締結しようとするとき、二項では締結したとき、このときに顧客ないしは預託者に対しまして契約等の内容を明らかにした書面の交付ということを義務づけておるわけでございますが、ややもいたしますと、従来からの被害の状況を見てまいりますと、まずそれ以前の勧誘の時点で、勧誘するときに契約内容以外のでたらめなセールスマンのトークで年寄りや主婦がだまされる、またそのだます手段を講じておる。これについての規制措置というのはどう考えているのですか。
#273
○松尾(邦)政府委員 今御指摘の契約締結に至るまでの勧誘段階におきます手当てといたしましては、一つは先生の御指摘があったかと思いますけれども、第三条第一項で書面の交付を義務づけております。この書面の内容につきましては詳細を省令にゆだねておりますけれども、省令におきましては、内容がたれが見ても見やすいようなものになっていなければいけない、特に大事なことは目立つようにしなければならないというような様式のことも決めますけれども、あわせて同時に、契約の内容が契約締結時に交付される書面と同程度に詳細に消費者に知らしめられるような形を通じまして、消費者がこの契約を今後交渉して締結することになったときには、どのような危険を消費者が負担しなければならないかということの判断材料が十分に出るようにいたしておることが一つでございます。
 あわせて同時に、第四条には、契約の締結に至るまでの過程についての勧誘行為につきまして第一項にその規定を設けているわけでございます。さらに第五条には、不当な行為につきまして取引業者が威迫する言動等を行う場合のことを定めておりますが、これにつきましても、以上のような点におきまして消費者が契約を締結することについて果たして正しい判断ができるかどうかという際の参考になるようなこと、あるいは妨げになるようなことは出てこないように、三条一項、四条、五条を有機的に結合して活用することによりまして御心配の点がないように手当てをいたしているところでございます。
#274
○和田(貞)委員 四条の一項、二項の「政令で定めるもの」というその内容。あわせて五条で言う不当な行為を禁止するもので「顧客又は預託者の保護に欠けるもの」とは一体どういうものかということ。あわせて第六条で書類の閲覧ということがございますが、この条文を読む限りにおきましては、預託者の求めのみに限定しているように受け取れるわけであります。被害者の中にはお年寄りもおられるわけでありますし、あるいは身体障害者の場合もおありであるわけでございまして、またそのことが予測されるわけであります。その場合に本人のみの請求というようなことでなくて、その介護人あるいは代理人、そういうものも含むのかどうかということについて、改めてひとつお答え願いたいと思います。
#275
○松尾(邦)政府委員 何点か問題の御指摘がございましたけれども、第四条の勧誘等につきましての政令で定める事項につきましては、顧客に重大な不利益をもたらすおそれのあるような事項といたしまして、具体的に考えてみますと、例えば今たまたま金がこの契約について問題になるといたしますれば、金の国際的な相場がどのようになっているかというようなことについて十分消費者にわからしめることが必要だと思っております。そういう意味で、どうしても顧客がこの契約を締結するに当たって知っていなければならない、知らなければ大変不利益をこうむるおそれがある事項、こういったことを規定してまいりたいと考えているわけでございます。
 また、第五条の不当な行為の禁止等の第三号の省令で定めるものとしてどんなものを考えているかという点でございますが、これは第一号、第二号におきまして例示されているもののほか、将来新たに不当な行為が考えられ、これをぜひとも第五条において規定しておく必要が生じた場合に機動的に対応するために設けたものでございます。ただいまの時点で具体的にこういう行為類型をぜひ書きたいということはあるわけではございませんけれども、悪質な業者のことでございますから、今後先行きどのようなことをしてかすかわかりません。そのようなときには機動的に対応できるようにしておきたいという趣旨でございます。
 それから第六条の書類の閲覧におきまして、預託者の求めに応じて閲覧させなければならないと書いてございますけれども、先生もただいま御指摘がございましたように、お体の不自由な方が預託者になる場合も多々あろうかと思います。そのような場合につきましては、当然のことながら、代理の方が閲覧をすることによってお体の悪い預託者の手元にその情報が届くようなことは十分できるというふうにこの規定で理解をいたしているところでございます。また、特にお体の悪い方あるいは独居老人のような方については、こういう制度があるということを周知することはなかなか難しいことでございますけれども、できるだけきめ細かく民生委員の方々あるいは老人ホーム等を通じまして、こういう制度があるので御自身が行かれなくとも代理の方に行っていただいて、十分情報を得て、必要な消費者としての利益確保を図っていくようにということを啓発してまいりたいと考えているところでございます。
#276
○和田(貞)委員 これは法文では「預託者の求めに応じ、」となっていますが、今消費者の方にはそういうように徹底を図るということを言われておりますが、業者に対してどうするのですか。この法文である限りは預託者のみですよ。
#277
○松尾(邦)政府委員 私ども業者に対しましても同じ趣旨を十分徹底させたいと思いますけれども、この業者というのはいろいろな業者があり得ると思います。まずは消費者相談の窓口にあらわれるような、特に閲覧について問題のあるような企業については念入りに徹底を図ることはもとよりでございますけれども、それ以外の企業につきましても報告徴収、立入検査等種々の権限を行使し、あるいはその権限を背景にする指導を通じまして、内容について十分業者側にも徹底するようにいたしたいと考えております。
#278
○和田(貞)委員 法文の内容からいうならば預託者だけに限られているようにだれが見ても読める。だからそういうことであれば、そのことを通達等で業界に徹底するということをやりなさい。
 それから、時間がだんだんと参りますので第七条の点について質問したいと思うのですが、これは私たちはどうしても消費者の利益を保護する消費者保護という立場に立つならば、主務大臣に対しての措置要求の権利というものをうたわれるのが当然である、こういうように思うわけであります。しかしながら、それがないのであります。七条で業務停止命令がうたわれておるわけでありますが、従来からのこのような悪徳商法によるところの被害というものは、この法文におきましても三条から六条までの規定に違反する行為をしただけではだめであって、引き続いてするおそれがある、すなわち反復するおそれがある、そういうことを認めた場合に初めて適用されるわけでありますが、これにはかなり時間を要するわけであります。そこで、それまでに手を打たなければ従来のようにどんどん被害が増大していくことになるわけでありますので、これを防止するためには、仮にもそこに至るまでにトラブルがあったとかあるいは消費者からの苦情があったという場合には、直ちにその業者に対しまして指示をするとか勧告するというようなことをぜひともこの七条に盛り込む必要がなかろうか、こういうように思うのですが、御答弁をお願いします。
#279
○松尾(邦)政府委員 この業務停止命令がなかなか機動的でないので、その前に簡易に発動し得る指示のようなものを明定できないか、こういう御趣旨だと存じますけれども、私ども仮に指示をいたしましたといたしまして、指示が守られなければ恐らくそれについてはまた何らかの強制的な措置が伴わなければ意味がない。まさに先生がおっしゃっておられましたように、まず指示をしてそれが守られなければ業務停止命令につなげていったらどうか、こういう趣旨ではないかと考えるわけでございます。私どもといたしましては、一つは、法的な面におきまして、果たしてそういう構成がとれるかということについてなかなか法律的な解が見当たらないわけでございます。と申しますのは、法律に違反した行為をしたと認められる場合には業務停止命令に直ちに行くことは可能な法制になっているわけでございますけれども、仮にその前に指示を置くといたしますと、法律に違反しないけれども、どうも消費者保護上問題があるということを書かざるを得ないのではないか。そういたしますと、そのことについて指示をいたした後指示が守られないというときにはまた業務停止命令ということになりますと、第七条で業務停止命令をかけている意味は、法に違反する行為をした場合について業務停止命令をかけているのにもかかわりませず、法には違反していないのですけれども、消費者保護上何か欠けるところがあるので指示をいたして、それを守らなければ業務停止命令をかけるというのは、原案にございます第七条の業務停止命令と先生の御示唆にありますような指示との関係において法的なバランスがいかがかという点が第一点であります。
 第二点には、指示の後に直ちに業務停止命令がくっついているということになりますれば、指示、が守られなければ業務停止命令に行くという体系である以上、指示についても、運用については一貫性を持って、慎重な態度が必要な場合には慎重にならざるを得ないということになってしまうのじゃないかと思うのです。他方、第七条の業務停止命令は、先生御指摘のように一見なかなか発動が難しいのじゃないかとお考えかもしれませんけれども、主務大臣は、第三条から前条までの規定に違反する行為をすると認めたということは、これは主務大臣が認めればよろしいわけでございます。消費者の相談等を通じまして、どうも法に違反する行為が行われたというような情報が集まってまいりますれば、主務大臣の判断限りでまず第一の要件をクリアするわけでございまして、これは例えば裁判所とか何かで結論が出るまでなかなか違法だということが認められないというわけではないわけでございます。
 さらに、引き続き違反行為が行われるおそれがあると認めるときという意味も、決して続々と違反行為が続出するまで黙って見ているという趣旨ではございません。業者が一たん起こしました違反行為について、再発を防止するために有効な措置を社内的にとっておるあるいはとっておらない、その辺のことを十分見きわめまして、会社の方が違反行為を繰り返すような社内体制のままであるということであれば、直ちに違反行為を起こしていなくても、違反行為を起こすおそれが極めて大と認めることは主務大臣としては当然のことだろうと思います。
 そういうようなわけで、私どもといたしましては、違反する行為をし、引き続きするおそれがあると認めるときというのは、かなり機動的に解釈することができるのじゃないか。そして、消費者の相談等がその発火点になるのじゃないか。消費者からそういう相談、苦情等がございますれば、直ちにこの規定に照らして発動ができるかどうか機動的に検討いたしまして対応してまいりたいと考えております。
#280
○和田(貞)委員 いずれにいたしましても、業務停止命令を出すまでにも顧客や預託者の利益を保護するための必要な措置というものはぜひとも必要であろうか、こういうように私は思いますので、その点につきましてもひとつ委員長の方で処理をしてもらいたいと思うのであります。
 時間が参りました。最後に契約の中途解除の問題についてでございますけれども、この中途解除の違約金等の割合が上限百分の十五ということでございますが、これはちょっと高過ぎるわけでありまして、いい商売やなというような感もしてなりません。これは率が少なければ少ないほどそういう悪徳業者が規制されることになるし、被害者も少なくなっていくということに通ずるのじゃないかと思いますので、私は、この百分の十五というものを百分の五程度にすべきであるという考え方であるわけです。また、クーリングオフの期間を経過して、一年たっても二年たっても契約の中途解約ができるのかどうかということを、ここでもう一度改めてお答え願いたいと思います。
#281
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘の第二の点からでございますけれども、クーリングオフの期間からどれだけ期間がたちましょうとも、この預託等取引契約の契約期間内でございますれば、第九条の中途解約権の行使を消費者が行うことについては何ら妨げるものはございません。
 第二に、解約の手数料一五%の是非でございます。この一五%を御提案申し上げております趣旨は、一方において消費者の立場に立ては安ければ安いほどいいわけでございますけれども、他方においてこれは大変な、契約の大原則を曲げた大特則なわけでございます。ある日突然に理由もなく、とにかくまだ先まであるはずの契約をやめにしたいというわけでございまして、やめたからにはすぐ品物あるいはお金を返せということになるわけでございますから、業者にしてみますれば、長期の計画のもとに運用していた計画を急遽変更いたしまして、例えば市中から資金を調達してそれを消費者に回さなければならないかもしれません。そういうことも考えますと、資金調達のコストもある程度は考えなければならないでございましょう。それからまた、消費者の利益の保護、それから取引の安定性のバランスという点では何がいいかということになりますと、絶対的なものはもちろんございませんけれども、例えば通常取引で行われております延滞利息の水準などを勘案して一五%を御提案いたしているわけでございますが、この点についても、いろいろな今後の検討課題として御示唆賜る点については検討させていただきたいと思っております。
#282
○和田(貞)委員 社会党の提案者はこれじゃだめだと言っておる。あなたの方はこれでいけると言っておる。しかし、いけなかったらこれは大変な責任問題であります。これは責任を持ってもらいたい。そういう点を肝に銘じて、あくまでも被害者の続発をさせない、悪徳業者が後を絶つように法の運用面についても努力してもらいたい、こういうふうに私は思います。
 中村委員がちょっと二、三分関連して質問したいと言っておりますが、最後にひとつ、社会党の提案者の見解を述べてください。
#283
○上坂議員 特定商品等の預託等取引契約というのは、消費者に品物を買わせて、もう一度それを預かって運用して利益を与えるという目的を持って行われるものなんです。したがって、預かった物は当然買った人の物なんですから、その人に完全に返すという立場がなければなりません。これの立場が至当だと思うのです。しかし、この法律の審議でありますから、私はこの法律に対して一言言わせてもらえれば、先ほど和田議員がおっしゃったように、預かった物を運用して、そこで利益が生まれて、その利益を与えることを約束するわけでありますから、預託物件の運用というものによって利益が生まれるということになります。したがいまして、預託物件の運用という問題が出ましたけれども、この運用についてやはりきちんと内容を明記するということが私は非常に大切な問題であると思いまして、和田議員の御指摘に私は敬服をいたした次第であります。
#284
○野田委員長 中村重光君。
#285
○中村(重)委員 まだ時間がありますから、二問だけ注文をつけておきます。
 先ほど、社会党の法律案の中にあります金銭債務保証についての和田委員の質問に対して、消費者保護も大切であるけれども商行為の活性化も大事なんだ、こう言われた。したがって、金融機関が倒産するような企業に対して債務保証をするということはなかなか難しい、こう言われたんだね。金融機関が債務保証もしない、それで倒産するということになってくると、今度は預託者の方はそのまま倒産によって被害者になってしまうということになるのです。だからあなたの答弁は、消費者保護と企業の活性化と両面において、その考え方の中にどうしても商行為、企業保護、いわゆるそれに重点を置くような傾斜した考え方があるということです。ですから、政令等について十分担保することを考えろということに対して、十分ひとつそれらの点について考えてまいりますというお答えがありましたから、その点は十分可能な限り、金銭債務保証というのはなかなか難しいでしょうから、いろいろな行政指導、政令等について十分担保できるように配慮される必要があるということを指摘をいたしておきます。
 それからもう一つ、六条の書類の閲覧ですね。いろいろなことをやるということをおっしゃったんだけれども、相手は役所じゃないので、企業なんですよ。比較的に悪の業者がいるわけだね。そうすると、身体障害者であるとかあるいは独居老人、いろいろ弱い立場の人、これはなかなかみずから行って閲覧することができませんから、代理人によって閲覧させなければなりません。したがって、あなたの方はいろいろやると言ったのだけれども、通達はやはりお出しになる、そのことをはっきりそうしますということを議事録に載せておいてもらわないと、この条文だけでは不明確ですから、そのことをはっきりさせていただきたいというこの二点だけを強く求めておきます。御答弁を。
#286
○松尾(邦)政府委員 第一点の、債務を履行することの保証につきましては、契約を締結したとき、あるいは契約を締結しようとするときの書面の中に記載するということは有益な御示唆だと考えております。したがって、前向きに検討させていただきたいと思っております。
 それから、第二の点でございますけれども、書類の閲覧につきましては、消費者にも徹底させますけれども、関係業界にも周知するよう通達を出していきたいと思います。
#287
○中村(重)委員 通達を出すね。
#288
○松尾(邦)政府委員 はい。
#289
○野田委員長 以上で内閣提出、特定商品等の預託等取引契約に関する法律案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#290
○野田委員長 本案に対し、佐藤信二君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合四派共同提案に係る修正案が提出されております。
 この際、修正案について提出者より趣旨の説明を求めます。和田貞夫君。
    ―――――――――――――
 特定商品等の預託等取引契約に関する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#291
○和田(貞)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表して、私からその趣旨を御説明申し上げます。
 修正案は、お手元に配付されているとおりであります。
 修正点の第一は、預託等取引業者が、契約締結時に交付する書面の記載事項に、特定商品等の返還義務の履行を担保するための措置の有無及び措置が講ぜられている場合にあってはその内容を記載することを加えることであります。
 第二は、主務大臣の預託等取引業者に対する業務停止命令のほか、預託者等の利益保護のために必要な措置命令を加えることであります。
 第三は、預託等取引契約の中途解約における違約金等の割合の上限を一五%から一〇%に引き下げることであります。
 以上、いずれも消費者保護の一層の徹底を図ろうとするものであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
 以上です。
#292
○野田委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#293
○野田委員長 これより討論に入ります。
 特定商品等の預託等取引契約に関する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。与謝野馨君。
#294
○与謝野委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、内閣提出の特定商品等の預託等取引契約に関する法律案及び同法律案に対する修正案に賛成の討論を行うものであります。
 豊田商事に端を発したいわゆる現物まがい商法による一般消費者の被害が昨年来大きな社会問題となりましたが、本法律案は、消費者保護の観点から、この種の商法による被害の再発を防止するため、産業構造審議会の検討結果を踏まえ、提案されたものであります。
 本法律案は、規制の対象となる預託等取引契約について、勧誘段階における書面の交付義務と不当な勧誘行為の禁止、契約締結時における書面の交付義務、そして契約後においては十四日間のクーリングオフとその後における自由な中途解約制の導入等、各段階ごとに規制が行われることとなっており、これらを担保するために、立入検査、業務停止命令、罰則等が規定されております。
 本法律案は、このようにいわゆる行為規制の形をとっておりますが、これらの各段階ごとの規制措置によって、現物まがい商法のようなリスクの大きい商法に対しては、実質的に全面禁止と同じ効果が期待できるものとなっております。
 また、修正案は、契約締結時に交付する書面の記載事項に、特定商品等の返還義務履行の担保措置の有無等を追加する等三点でありますが、いずれも消費者保護の一層の徹底を図るためのものであり、適切な措置と評価できるものであります。
 なお、本法律案は、現物まがい商法等の悪質な商法による一般消費者の被害の再発を防止するためのものでありまして、現在係争中の個別の訴訟等については何ら影響を与えるものではないことは、質疑応答によって明らかにされているところであります。
 以上の点から、私は、修正案及び修正部分を除く原案に賛成の意を表し、討論を終わります。(拍手)
#295
○野田委員長 工藤晃君。
#296
○工藤(晃)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、政府提出の本法案及び四派共同提出の同法修正案に対し、原案に反対、修正案に賛成の討論を行います。
 我が党は、四年前から本委員会においても、豊田商事の名を挙げて政府の厳しい対処を求めてきました。被害者や日弁連等が強く指摘してきたように、政府がやる気でさえいたなら、被害を最小限に食いとめる対応がもっと早くとれたはずであります。私は、初めに、悪徳商法規制に極めて消極的であった政府の態度を強く批判するものです。
 今日、政府はあらゆる悪徳商法の規制を行うべきであるのに、これを行わないばかりか、本法案を見ても、一、商品等の預託等取引契約を自由にできるとして、豊田商事のような商法を公認する、二、悪徳商法を行為規制で抑えると言うが、指定された商品以外は対象とならないだけでなくその規制そのものも全く不十分である、三、被害を防ぐ主な方法は、消費者が業者の提示する書面でリスクを判断することに任せるなど、その骨格において重大な問題を持っております。
 私や野間委員が本委員会で指摘してきたように、客に金を買わせ、それを預かるといって事実上お金を巻き上げる現物まがい商法は、不特定多数者からの預かり金を禁じた出資法違反で取り締まるのが筋であります。百歩譲って、いわゆる商品等の預託取引業を認めるとしても、預かった商品等を現金にかえ自由に運用することには大きなリスクが伴うものであり、このような商法に信託業に見合う公的規制を加えることが最小限必要であります。しかも、参考人意見にもあったように、この法案が成立することで、現行出資法をもとに訴訟等で闘っている被害者、弁護団の活動に悪影響を及ぼすおそれがあることも指摘しなければなりません。
 日本共産党・革新共同は、不十分で問題の多い本法案に反対するとともに、真に実効ある悪徳商法規制のために、出資法、訪問販売法、商品取引所法、海外先物取引規制法の関係四法の改正が必要であると主張し、既にその大綱を発表しておりますが、その内容については省略します。
 修正案については、これによって悪徳商法を実質的に規制できるとは考えられませんし、また、第九条第二項中百分の十五を百分の十に改める点については、百分の十はまだ高過ぎるだけでなく、このような業者への違約金を公認することには賛成できませんが、全体として一歩前進と考え、これに賛成するものです。
 以上、終わります。(拍手)
#297
○野田委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#298
○野田委員長 これより採決に入ります。
 まず、佐藤信二君外三名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#299
○野田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま議決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
 修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#300
○野田委員長 起立多数。よって、本案は佐藤信二君外三名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#301
○野田委員長 この際、本案に対し、佐藤信二君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者より趣旨の説明を求めます。長田武士君。
#302
○長田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代者して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    特定商品等の預託等取引契約に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行に当たり、消費者保護に万全を期する見地から、次の諸点につき、適切な措置を講ずべきである。
 一 本法第二条第一項に基づく政令指定、第七条第一項に基づく業務停止命令等その他本法の定める措置の発動に当たって、消費者からの相談、苦情をも踏まえ、迅速かつ機動的に対応する等本法の運用に万全を期すること。
 二 預託等取引契約の今後の動向を把握し、悪質な取引を実質的に禁止するとの立法趣旨が全うされるよう本法の施行状況をも踏まえつつ、随時適切な検討を加えること。
 三 訪問販売法等訪問販売をめぐる消費者保護のための諸施策に関し、引き続き消費者被害の実態把握に努め、施策の充実を期することとし、特に連鎖販売取引類似取引及び役務提供に係る諸問題について早急に検討を進めること。
 四 消費者を相手として多様に展開される取引に対応して、新たな態様の消費者被害の早期防止について、関係各省庁等の協力を強化するとともに、消費者相談の充実を図ること。
 五 消費者被害の防止は、消費者の適切な判断に依るところが大きく、消費者に対する適切な情報提供が不可欠であることにかんがみ、本法の趣旨の周知徹底に努めるとともに、消費者相談の状況に応じたきめ細かな消費者啓発活動の一層の充実を図ること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審議の経過及び案文によって御理解いただけると存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
 以上であります。
#303
○野田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 本動議について採決いたします。
 佐藤信二君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#304
○野田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺通商産業大臣。
#305
○渡辺国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存であります。
    ―――――――――――――
#306
○野田委員長 この際、お諮りいたします。
 ただいま修正議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#307
○野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#308
○野田委員長 次回は、来る十四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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