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1985/05/14 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 商工委員会 第17号
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1985/05/14 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 商工委員会 第17号

#1
第104回国会 商工委員会 第17号
昭和六十一年五月十四日(水曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 野田  毅君
   理事 奥田 幹生君 理事 佐藤 信二君
   理事 野上  徹君 理事 与謝野 馨君
   理事 城地 豊司君 理事 和田 貞夫君
   理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君
      尾身 幸次君    加藤 卓二君
      梶山 静六君    粕谷  茂君
      岸田 文武君    高村 正彦君
      椎名 素夫君    辻  英雄君
      仲村 正治君    奥野 一雄君
      後藤  茂君    中村 重光君
      浜西 鉄雄君    水田  稔君
      横江 金夫君    渡辺 嘉藏君
      近江巳記夫君    青山  丘君
      小沢 貞孝君    工藤  晃君
      野間 友一君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  渡辺美智雄君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      平泉  渉君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局取引部長 利部 脩二君
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        経済企画庁物価
        局長      斎藤 成雄君
        経済企画庁総合
        計画局長    及川 昭伍君
        経済企画庁総合
        計画局審議官  勝村 坦郎君
        経済企画庁調査
        局長      丸茂 明則君
        通商産業政務次
        官       田原  隆君
        通商産業大臣官
        房審議官    松尾 邦彦君
        通商産業省通商
        政策局長    黒田  真君
        通商産業省貿易
        局長      村岡 茂生君
        通商産業省産業
        政策局長    福川 伸次君
        通商産業省基礎
        産業局長    岩崎 八男君
        通商産業省機械
        情報産業局長  杉山  弘君
        通商産業省生活
        産業局長    浜岡 平一君
        資源エネルギー
        庁長官     野々内 隆君
        資源エネルギー
        庁次長     小川 邦夫君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       逢坂 国一君
        資源エネルギー
        庁石油部長   畠山  襄君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 山本 幸助君
        中小企業庁長官 木下 博生君
        中小企業庁計画
        部長      広海 正光君
        中小企業庁指導
        部長      遠山 仁人君
        中小企業庁小規
        模企業部長   佐藤 剛男君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局暴
        力団対策官   山本 博一君
        警察庁警備局外
        事課長     笠井 聡夫君
        外務省中近東ア
        フリカ局中近東
        第一課長    伊集院明夫君
        大蔵省国際金融
        局国際機構課長 久保田勇夫君
        大蔵省国際金融
        局短期資金課長 金子 義昭君
        農林水産省経済
        局国際部国際経
        済課長     白井 英男君
        商工委員会調査
        室長      倉田 雅広君
    ―――――――――――――
五月十二日
 官公需についての中小企業者の受注の確保に関
 する法律の一部を改正する法律案(福間知之君
 外二名提出、参法第七号)(予)
同月八日
 柏市への大型店新規進出反対等に関する請願
 (長田武士君紹介)(第三九九三号)
同月九日
 皮革革靴輸入自由化反対等に関する請願(串
 原義直君紹介)(第四一八六号)
 同(吉原米治君紹介)(第四一八七号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第四三一四号)
 同(小林進君紹介)(第四三一五号)
 同(渋沢利久君紹介)(第四三一六号)
 同(和田貞夫君紹介)(第四三一七号)
 柏市への大型店新規進出反対等に関する請願
(長田武士君紹介)(第四三一三号)
同月十二日
 皮革・革靴輸入自由化反対等に関する請願(多
 賀谷眞稔君紹介)(第四五〇八号)
 同(細谷治嘉君紹介)(第四五〇九号)
 同(上坂昇君紹介)(第四六一九号)
 回(清水勇君紹介)(第四六二〇号)
 同(新村勝雄君紹介)(第四六一二号)
 同(渡辺嘉藏君紹介)(第四六二二号)
同月十三日
 皮革・革靴輸入自由化反対等に関する請願(奥
 野一雄君紹介)(第四八三七号)
 同(浜西鉄雄君紹介)(第四八三八号)
 柏市への大型店新規進出反対等に関する請願外
 一件(長田武士君紹介)(第五〇〇三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
五月十二日
 悪質商法の規制に関する陳情書(京都市中京区
 麩屋町通り九太町下ル植松繁一外一名)(第二
 二〇号)
 中小企業情報化対策の拡充に関する陳情書外一
 件(愛知県議会議長浅野市郎外一名)(第二二
 一号)
 中小企業に対する円高不況対策に関する陳情書
 外三件(東海北陸七県議会議長会代表岐阜県議
 会議長古庄三六外十六名)(第二二二号)
 電力石油ガス業界の円高差益還元に関する
 陳情書外十件(山口県議会議長河村五良外十一
 名)(第二二三号)
 非鉄金属鉱山の経営危機救済に関する陳情書外
 一件(兵庫県議会議長上田勝信外一名)(第二
 五一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商産業の基本施策に関する件。
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○野田委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。仲村正治君。
#3
○仲村委員 東京サミットの総括について通産大臣にお尋ねをいたします。
 政府は、第十二回サミットの議長国としてその円滑な運営と実りある成果を目指し、しかも我が国政府の名誉と威信にかけて東京サミットに当たってこられたと思います。
 東京サミットの開催について一番の関心事は、極左過激派の妨害に対する警備対策でありました。一部には初日に会場の迎賓館をねらっての迫撃弾発射という不祥事件もあったが、大事に至らず無事全日程を終了することができまして、国民が一様に胸をなでおろしたところであります。
 国民が東京サミットに期待していたことは、世界の経済問題とか日本の円高対策とか東西の平和軍縮問題等々について、西側陣営の団結と相互協力、繁栄の意見の一致を見出すことでありました。
 そのような全国民の注視の中で行われた東京サミットについて、参加国は、それぞれニュアンスの違いはありますが、米英両国を初め西ドイツ、フランス、イタリー、カナダそしてEC代表が、ともに満足すべき成果だったと一様に高い評価をいたしているのに対し、国内のマスコミは一斉に、東京サミットは参加国に押し切られた、日本は何もとるものがなく空振りをした、特に経済サミットであるべきものが政治サミットにすりかえられたなどなど、極めて厳しい論評でありますが、通産大臣は経済担当大臣として、第十二回東京サミットの成果についてどのような御見解をお持ちか、その総括的な評価についてお尋ねしたいと思います。
#4
○渡辺国務大臣 私は、結論から言えば高く評価をいたしております。理由は、今世界の経済をみんなで立て直ししようというためには、みんなが手をつながなければ世界経済というものはよくなっていかない、一国だけが繁栄をし続けるということは、これは言うべくして不可能に近いと私は思っております。なぜならば、自由貿易体制下では全部経済というものはチェーンのようにつながっております。したがって、アメリカがだめになれば日本にもでかい影響があるし、日本がだめになれば東南アジアにも大きな影響がある、こういうことになってくると私は思います。
 したがって、世界経済を活性化するためには、やはり自由貿易主義というものを守っていかなければならぬ。自由貿易でだれが一番恩恵を受けておるかということになりますと、それはそれぞれ恩恵は受けておりましょうが、殊に日本のように、資源がなくて、しかもたくさんの資源を消費するような国は、貿易が縮小すればストレートに国民生活に影響するわけであります。しかしながら、世界じゅうがみんなで自由貿易は守っていこう、新ラウンドに対しましてもそれは一歩踏み込んでいこうというような取り決めが行われたということは、みんなが保護貿易をともかく抑えていこうということで一致したわけでありますから、保護貿易になって一番損する日本にとっては、保護貿易を抑えるという足並みができたということは大変いいことだ。その他いろいろございますが、私といたしましては、これは高く評価していいというふうに信じて疑いません。
#5
○仲村委員 今大臣は、東京サミットは大成功であったということをおっしゃっておられます。
 先進七カ国によるサミットの目的は、相互の利害を調整し、関係国の繁栄、発展を図り、もって途上国の発展に寄与していこうということだと思いますので、その結果について勝ったも負けたもあってはならないと私も思っておりますが、しかし、現実には各国が自国の政策遂行と利益擁護を主張し合うわけですから、その主張は必ずしもかみ合うものではございません。
 レーガン大統領は離日に当たって七日午前記者会見して、東京サミットは大成功だった、目標を全部達成して極めて満足すべき結果だったと伝えております。そしてまた、サッチャー英首相も六日夕方の記者会見で、東京サミットは非常に有益で建設的であったと報道されております。ドロールEC委員長も、史上最高の成果だ、こういうふうな評価をしているわけでありますけれども、私が先ほど申し上げましたように、これに反して国内のマスコミや評論家は一斉に、欧米に振り回された東京サミットであったと厳しい論評を加えているわけでございます。これは日本として得るものは何もなく、すべて与えたという印象にしかなりません。
 このような参加国の勝ち誇った態度と国内の厳しい論評は一体どうなのかという感じがいたしまして、私は、これはくどいようですけれども、そういう状況に対しての大臣の御所見をいま一度承りたいと思います。
#6
○渡辺国務大臣 日本は国際国家でございまして、世界に通用する議論以外は余り値打ちがないのじゃないか。日本国内だけでは通用するが世界には通用しないという議論では、貿易国家として、国際国家として長続きできないと私は思います。したがって、世界じゅうが評価しているサミットをなぜ日本だけが評価できないのか、もし世界の認識と日本の認識がまるきりずれているということが長く続けば国際的仲間外れになる、私はそう思っております。やはり世界じゅうに通用する議論でなくてはならない。でありますから、私は、マスコミがいいか悪いか知りませんが、世界じゅうで評価をしているものをなぜ日本は評価ができないのか、その点がよくわからない。
 立場を変えれば、OPECが一時油の大幅な値上げをやって、そして一千億ドルからの金を自分たちが数年間にわたってため込んできた、それが世界経済に悪い影響を及ぼした、これはだれも否定する人はおりません。ところが、ここ最近にわたりまして日本の貿易が一方的に拡大をして、かつてサウジアラビアが一国で集めた金七百億ドル、こういうようなものを日本は今集めようとしておる。恐らくことしの貿易はそれぐらいにあるいはなるかもしれません。それ以上だと言う人もあります。したがって、それに対する世界の懸念が集まっても、これは少しも不思議ではないと私は思います。
 したがいまして、貿易のバランスということについては、日本自身も一方的に売りまくればいいという姿勢をとれば、各国とも日本に対する差別的な輸入制限措置その他の保護主義というものが次々に立法されるということになりますと、そのことの被害の方が現在よりもはるかにひどいことになるというふうに私は考えておりますから、やはり日本も是正をすべきものは是正をして、そして世界の協調体制の中に入っていくということは、避けることのできない一つの宿命である、インフレなき持続的な繁栄を図るためには宿命である、そのように私は考えております。したがいまして、世界じゅうが褒めておるサミットを、日本は全然考え方が次元が違うのだから反対なのですということは世界に通用しない議論ではないか、私はそう思っております。
#7
○仲村委員 私も、先ほど申し上げましたように、サミットの目的は参加国の利害を調整し、それで世界の経済に寄与していこうということでございますので、まさに大臣が今おっしゃったとおりだと思っているわけでございます。しかし、マスコミのあのような報道の仕方しか国民は信じないわけでございますので、そういうところはやはり政府としてもきちっとした評価を国民に知らせる必要がある、こういうような立場からお尋ねをした次第でございます。
 東京サミットで意外としか言いようのないほどにスピーディーに参加国の意見がまとまり、採択されたのが国際反テロ声明であります。これは、恒常化してきた中東を初めとする地中海沿岸地域で頻発している国際テロが世界の人々に脅威を与えていることから、その防止についての声明が出されたことは至極当然であり、その理由がどうであれ、野蛮なテロ集団によって罪のない人々が殺傷されることに世界各国が激しい憤りを感じ、その防圧に毅然たる姿勢と勇気ある行動をとることは当然なことであります。
 しかし、一部には、リビアを名指ししたことについて議長国日本への報復を懸念する声があると同時に、中近東地域に石油資源を依存していることへの不安がないわけではありません。このような観点から、もしかしたらという心配は否定できないわけでございます。今後の石油輸入に懸念される事態が起こることはないか、これについての御答弁をいただきたいと思います。
#8
○渡辺国務大臣 結論から言うと、ないというように私は思っております。
 私は、この間サウジに行ったときも、名前はあえて申しませんが、実力者の方とお会いをしたときに実はその話もいたしました。サウジとリビアは同じアラブ関係にある、しかしながらリビアのやっていることについては我々は同調しがたい、やはり国際的に見て国際テロというものはみんながそれに加担しないというようなことでなければなくならないし、非常に無用な不安を与える、それについてどのようにお考えになりますかというような話を聞いたところが、名前は向こうは申されませんでしたが、いかなる国のテロといえども、サウジとしてはそのようなテロ行為には絶対加担をしないし絶対に反対をしていくということを明言されております。したがいまして、たまたまリビアという国が名指しで非難をされたといたしましても、それによって日本のアラブ政策が変わるわけてはございません。リビアだけが日本に対して多少の反発がありますけれども、全体から見まして、私は、心配することはない。
 この間のリビアに対する制裁措置の問題も、こんなことをこんな席で言っていいのかどうかわかりませんが、もっと具体的に、例えばリビアの石油を輸入しないとか、その他幾つかの項目が実はあのほかに原案としてある国から出されておりました。おりましたが、そういうものは実はカットをされた。殊に私どもは、フランスとかイタリアがどういうような態度に出るかということで非常に関心を持っておったわけでありますが、殊にフランスですね、フランスの態度が、ミッテランさんの態度は非常に前と変わっておったということはちょっと私は意外と思ったのです。しかしながら、ある国が出したもっと激しい十五項目にわたるリビアに対する制裁措置、それがうんと緩和をされ、そして満場一致であのような特別声明になったということは、まあ妥当なところではないか、世界の一致したところでありますから、妥当なものである。したがって、日本のOPEC諸国等に対する石油輸入その他について不安はない、私はさように考えております。
#9
○仲村委員 確かに、理由がどうあれ、野蛮なテロ行為に対しては毅然たる態度で立ち向かっていかなければならない、こういうことでありますけれども、しかし、現にEC外交団を退去命令にした、こういうことも出ておりますので、あるいは報復措置かなという感じを持っておるわけであります。
 そこで、外務省は、このような状態に対して、アラブ諸国を刺激するのではないかという懸念に対してどういう対応をしておるのか、お答えをいただきたい。
#10
○伊集院説明員 今回採択されました声明の趣旨は、あくまでも国際テロを対象としているものでございまして、どの地域であれ、いかなる形であっても、国際テロは断固防止、阻止しなければならない、こういうことでサミット参加国の決意とそのための具体策を示したものでございます。そういうことで、この声明はアラブ諸国に向けられたものではない、我が国の中東政策を変更するものではございません。そういうことで、私どもは既に在外公館に訓令を出しておりまして、我が国の中東政策はいささかも変更するものではないということを各国首脳に説明するように指示してございます。
 私どもとしては、今後とも従来からの中東和平問題、イラン・イラク紛争等の平和的解決のための努力は引き続き我が国独自の立場から実施していくということでございますし、中東地域の国づくりの努力を支援するための経済技術協力も今後とも拡充していく方針でございます。そういうことでございますので、今回の声明はあくまでも国際テロ防止の見地から発せられたものであって、我が国の中東政策を変更するものではないということでございますので、今回の声明によって邦人の安全に影響が及ばないことを希望しておるということでございます。
#11
○仲村委員 警察庁は今回のこの国際テロ防圧声明に対してどういう御見解をお持ちか、そしてまた、実際にその防圧の行為に出るときにどういう関与の仕方があるのか、その点について警察庁から御答弁をいただきたいと思います。
#12
○笠井説明員 警察といたしましては、従来からICPO、国際刑事警察機構等を通じまして各国警察機関と国際テロ対策について積極的に協力を行ってきたところでありますけれども、今回の声明を機会に、なお一層必要な情報交換あるいは捜査協力等緊密な協力に努めて、国際テロの防止に寄与してまいりたいと考えております。
#13
○仲村委員 円高問題についてお尋ねをしたいと思っております。
 我が国の輸出関連中小企業は、今や急激な円高で決定的な打撃を受け、最悪な状態に陥っておりますが、政府は、東京サミットでこの急激な円高を抑制するための協調介入を戦略として準備していたと思うが、参加国は我が国の貿易黒字に対して依然として厳しい警戒の姿勢をとっているために、アメリカのベーカー財務長官提案のサーべーランス、経済運営監視機構の設置にすりかえられ、そしてG7の場で協議しょうということになったとのことであります。今回のサミットで我が国が提案しようとしていた円高是正の協調介入提案はなぜ入れられなかったのか、また今回設置された経済運営監視機構というものが為替相場調整にどのような役割を果たそうとしているのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
#14
○渡辺国務大臣 もともとサミットの場は通貨調整の具体的な問題を協議する場ではありません。日本は大蔵大臣の権限が強大でありまして、日本銀行法というものは昭和十七年か何年か戦時立法的に制定をされておりますから、ほかの国よりも非常に強い権限が大蔵大臣にございます。しかし他の国は、通貨当局は中立的で政府の権限はなかなか及ばないというようなのが多いわけであります。したがって、通貨の調整の具体的問題について協議をする場合は、中央銀行総裁を入れない会議でそういうことを決めるということ自体がおかしなことであって、そういうことはまたやれるものではありません。したがって、そういうような具体的な介入問題というものはこの場では議論されていないというのが事実だと私は存じます。
 しかしながら、一般的な問題といたしましては、やはり市場介入について一九八三年のウィリアムズバーグ・サミットでの、有意義である場合には市場に介入するというあの約束は確認しておきましょうということで、抽象的な表現になったわけであります。これは、G5などではやはり大蔵大臣だけでなくて、中央銀行総裁等が参加をいたしまして金融の調整等の問題は議論をすることがございます。そういうことに対する道を開いておいたということであると存じます。
    〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
#15
○仲村委員 今大臣がおっしゃったのですが、しかし実際には我が国政府としては円高傾向を抑制していこうという腹づもりはおありだったと思うわけでございます。しかしその後、それが入れられなかったためか何か知りませんけれども、円高はますます進行してきた、こういうことでございます。きのうの米議会におけるベーカー長官の円高は一応達成したという発言によって、これである程度是正されるのではないか、こういう考え方が大蔵省にもあるようでございますけれども、これについてどういうお考えをお持ちか。
#16
○金子説明員 為替相場につきましてサミットでどういう議論が行われどういう結論が出たかということにつきましては、今通産大臣がお話ししたとおりだと思いますが、委員御指摘のとおり、昨日アメリカの議会証言でベーカー長官が為替相場についてもいろいろ話をした。私たちは現在まだその詳細を把握しておりませんが、いろいろな新聞報道その他で見ますと、為替相場がかなりいいところへ来たというニュアンスの発言をしたやに聞いております。ただ、これも厳密にその発言を見てみないとわかりませんが、少なくともそういう印象を与えるようなことであり、過去におけるベーカー長官の発言とはやや違った発言がなされたやに聞いております。そのベーカー長官の発言を受けまして、本日の為替市場では円相場がやや戻しておりまして、つい先般百六十円を割り込むような相場でありましたけれども、本日は百六十五円十銭で寄りつきまして、大体百六十四円程度の動きになっているのではないかと思います。
 ただ、まだ為替市場は必ずしも確たる見通しを持っているというわけではありませんで、やや不透明感もあるものですから、今後どうなるかはかなり難しいと思いますけれども、いずれにしても為替相場の安定は非常に重要なことでございますので、私たちも為替相場の安定に向けてできるだけのことをしたいと考えております。
#17
○仲村委員 経済宣言の中で農業問題が取り上げられているわけでございますけれども、これをざっと読んだだけでは全く意味がわかりません。ただ感ずることは、農業技術が向上して余剰農産物がふえているので、これを何とか調整せぬといかぬのではないかという感じであるわけでございます。これは言いかえれば、農産物輸入国である我が国に対してそういう押しつけがましいことが来るのではないか、こういう感じがするわけでございます。
 我が国のように国土が狭くて生産コストの高いところであっても、あくまでも自給率維持が農業政策の主であって、輸入は補完的な措置でなければならないと思うわけであります。特に農産物というのは自然、天候に非常に左右されやすいものでございますので、地球のどこかで豊作であればその裏側では不作である。そういう食糧安保という立場からも、このサミットの中で余剰農産物問題が取り上げられて、これを農産物輸入国である我が国のようなところに押しつけられるようなことがあってはいかぬと思うのでありますけれども、この意図するところは何であるのか、御説明をいただきたいと思います。
#18
○渡辺国務大臣 ここに書いてあることはかなり抽象的でありますので、ちょっといろいろ理解が難しい点もありますが、私が、大蔵大臣会合等での夕食会や昼食会その他の会合で、あるいは個別会談等を通じて聞いたところでは、こういう議論をしていました。
 要するに、発展途上国を我々は応援をして助けてやらなければならぬ。しかしながら、応援だけどんどんしていったからといって、彼らの生活水準を引き上げて、我々と同じような社会保障とか教育という点まで果たしてできるのか。幾らつぎ込んだってそれはなかなか難しいんじゃないか。問題は発展途上国の自立、彼らが立ち上がってもらうということが大事なんだが、発展途上国の自立を妨げているのは逆に我々じゃないか。先進国が発展途上国の自立を妨げている。その理由は、彼らにハイテクをやれとかバイオをやれとか言ったってできるわけがない。発展途上国のできるものは何だ。一次産品である。とりあえず一次産品をつくってそれを売って、それで生活をまず第一段階から築いていくことである。それを邪魔しているのがおれたちじゃないのか。というのは、何かというと、彼らが農産物をつくって売ろうとしても、どの国でも農業補助金を出して、無理してつくらせている、中には輸出補助金まがいのものも出している、だからこれはなくすべきなんだ、そうすることによって彼らに生きる道を与えてやることができるんだという議論なんですよ。
 そんなこと言ったって、なくしたら、彼らの農民パワーというのはすごいんだから、政権がもたなくなってしまうじゃないかという議論もありましたよ、もちろん。だから、アメリカさんだって、あなたそんなこと言うけれども、あなたのところで二百三十億ドルの生産をしておって、二百億ドルも補助金を出しておるじゃないか、人のことを言う資格があるのかという話も出ますよ、それは。言われてみると全くそうだ、みんながみんなすねに傷を持っておるわけだから、わかりやすく言えば。だから一国じゃできないと言うんだな。だから、みんなでまとまって発展途上国を助ける以外には、彼らの品物を買ってやる以外にはまずないんだ。一国じゃできないから、みんなで用意ドンで、国際で決まめたんだから、みんながやるんだから仕方がないじゃないかという方向に持っていくほかはないだろうと言うのだけれども、具体的にはなかなか進まない、実際は。しかし、そういう考え方がにじみ出ているわけですよ。
 だから、農産物が余剰になるというのは、補助金を出して無理してつくるから余剰になる。だから発展途上国が生きられないんだ。だから我々はやはり産業の構造の調整をしていくことが必要であって、簡単に言えば国際分業的な発想ですわな。そういう国から買ってやって、それで我々はそういうところにまた輸出もするというように、産業構造を世界的な視野において調整する必要がある、だから今後これらの問題についてOECDの作業を全面的に支持するという決意を表明しますということになっているのですね。中身は大体そんなふうじゃないですか。詳しいことは局長から説明させます。
#19
○仲村委員 これは、私が先ほど申し上げましたように、やはりそれぞれの国が需給計画を立てて必要なだけ生産をするということが一番大事だと思うのであります。アメリカがどんどんつくって、それを他国に押しつけていくというようなことがあってはならぬ。それは、アメリカがそういう政策をとれば、カナダもオーストラリアも非常にそれに抵抗を感ずるという感じがするわけでありますが、たとえ我が国のように食糧輸入国であっても、これはあくまでも自給というものが主でなければならぬ、こういう考え方から、懸念をいたしまして言及をしたわけであります。
 この我が国の輸入数量制限措置について、アメリカはガット違反だということでいろいろ騒いでおったわけでありますが、二年前の牛肉、オレンジの輸入枠拡大で一応は棚上げということでありましたが、またこれが再燃してきているわけであります。この十三品目について、我が国としてはぎりぎりのところまでこれは絶対に守らなければならない、こういうことだと思うのでありますけれども、今後の交渉に当たってもこの姿勢を貫くのかどうか、これをひとつ御答弁いただきたいと思います。
#20
○白井説明員 答弁いたします。
 先生おっしゃいました十二品目問題、これにつきましては、二年ほど前の牛肉、オレンジの決着の際に、相前後いたしまして十二品目問題ということで二年間の合意が成ったわけでございますが、さきの四月二十二日でその期限が切れるということで、昨年の暮れからアメリカ側と話し合いを続けてまいったわけでございます。
 さはさりながら、アメリカ側は、我が国のこの十二品目はガット違反であるということで、これは完全自由化すべきであると強く主張をいたしております。これに対しまして、我が方としてはこれは自由化することはできない、我が国農業の厳しい実情、それから十二品目のそれぞれの地域における重要性、それぞれを説明いたしまして、我が方としては、前回のような決着の姿、これを念頭に置きまして、日米双方が受け入れ可能な現実的解決策を見出すべきであるということで努力をしてきたわけであります。
 四月二十二日という期限が切れまして、その後、駐米松永大使それからヤイター通商代表との間の接触等、レベルを上げまして接触を続けておりますが、日米間の基本的なスタンスにはなお相当の隔たりがあるということで、この溝を埋めるには至っておりません。さはさりながら、双方とも、話し合いは今後とも続けていくということで意見の一致を見ているところであります。
 我が方といたしましては、この問題に対しましては、我が国農業に悪影響を及ぼさないよう、現実的な解決を目指して、今後とも粘り強く最大限の努力を払っていく考えでございます。
#21
○仲村委員 これはもうこの十三品目は自由化すればたちどころにして全部崩壊してしまう、こういう感じを持っているわけであります。特に、その中に私の出身地の沖縄の特産でありますパインも含まれているわけでございまして、何としてもこれは自由化阻止の方向で貫いていただきたいということを御希望申し上げておきたいと思っております。
 次に、石油情勢についてお尋ねをしたいと思います。
 調査したところによりますと、石油の輸入量は、昭和四十八年対五十四年は一三%減少、五十四年対五十九年は二四%減少、五十九年対六十年は八%減少となっておりますが、これは、昭和四十八年の二億八千九百六十九万八千キロリッターに対し、六十年は一億九千五百九十四万五千キロリッターということでありまして、その間の我が国の経済成長は、昭和四十八年のGNPが百十六兆六千八百億円に対して、昭和六十年度は三百二十兆四千億円となっていますので、昭和六十年度は四十八年度の何と一七四・六%ということになります。これを考えますと、いかに我が国が第一次及び第二次オイルショックの教訓を受けて、代替エネルギー開発を推進し、脱石油産業構造に積極的に取り組んできたかがうかがえるわけであります。
 しかし、今日なお金エネルギーの五九・六%を石油に依存し、しかもその石油の九九・八%を国外に求めている立場から、石油の安定的確保は極めて重要であります。その石油が最近下落を続ける中で、さらに急激なドル安という、二重に産油国側にとっては極めて不利な情勢となってまいりました。もちろん、我が国のような消費国にとっては有利になってまいりましたが、このような急激な石油情勢の変化に全く不安がないわけではございません。
 政府は、このような世界の石油情勢を中長期的にどのように見ているのか、また、現在の一バレル当たり十五ドルという価格は今後どのように推移するのか、この点について御説明をいただきたいと思います。
#22
○渡辺国務大臣 石油の値段とドルのレートというものは、だれも余り当たったことはないそうであります。したがいまして、私も最終的に幾らだというようなことをはっきり申し上げるだけの自信はございません。ございませんが、皆さんの意見を総合して判断をいたしますと、やはり石油の安定的な供給は必要であるということはだれも一致をいたしております。したがって、値段がどんどん下がって供給できなくなってしまうというようなことになると、一遍閉鎖した油田が小さければ小さいほど、再び復活をするのには大変なコストがかかって困難である。そうすると、石油の探査はやめる、試掘はやめる、現在の油田が閉鎖されるということになってしまうと、仮に好景気が出て石油が必要だというときに暴騰するのじゃないかという心配があります。したがって、そういう心配のないようにする必要がある。からめ手からいえば、まず、今石油が非常に安いというときには大いに備蓄をふやしたらいいだろうという議論が一つございまして、我が国などは賛成でございますから、今回も年度内に五十万キロリッターの国家備蓄をふやしましょうということを私が発表いたしたわけであります。
 第二番目は、石油の消費節約、代替エネルギー、この政策はやはり変えるわけにいかない。かつてOPECが弱みにつけ込んで石油価格を上げたときにはそういう準備がなかったからだ。全くそのとおりであって、日本も昭和四十七、八年ごろは二億七千万キロリッター程度輸入をいたしておりましたが、今は恐らく一億九千万ぐらいでしょう。それぐらいに石油の消費量が減った。しかも経済成長を続けているという裏には、代替エネルギー、石炭、天然ガス、原子力、こういうようなものをやってきたからであって、今後もそういう政策を世界各国が協調して続けていけば石油の需要が一遍にふえてくるということにならぬから、仮にある程度石油の井戸が閉鎖されるものがあってもそんなに急激に石油の需要がふえまい、したがって石油価格は暴騰しないで済むであろう、だからやはり代替エネルギー、省エネルギー政策はやるべきだという意見が多い。我が国もそれはかねて提唱しているところであります。
 なおもう一つ、我が国といたしましては、エネルギーの相互的な弾力的な利用として、石炭、石油その他ガスとか相互に上手に使えるようなやり方の技術開発をもっと進めていこうということも提唱をしておるわけであります。サミットにおきましても、そういう意味から我が国の政策の幾つか主要なものが宣言に取り入れられることになって、世界的に認識を得たことは大変にありがたい。そうすれば、また石油がスポット四十ドルとかなんとかというようにはね上がることはないだろう、そう思っております。
 石油価格の下落も十ドルを割って長期に続くということになれば、幾らそうはいっても急に今言った省エネルギー、代替エネルギーあるいは弾力利用なんて一遍にできるものではありませんから、これは問題がございます。しかしながら、ある程度のところで産油国も大体気がついて、自分の利益ばかり主張しないでほどほどのところで、我々は国際カルテルを結ぶことを奨励するわけではありませんが、必要にして十分な量の供給ができる値段ということになれば、それが十五ドルになるのか、あるいは十二ドルか三ドルになるのか十八ドルになるのかわかりませんが、ほどほどのところで必要にして十分な石油が供給できる中で、一番安い値段で安定してもらうことは日本にとって一番いいことだという願望はございます。
#23
○仲村委員 今まで省エネと代替エネルギー開発を徹底的に進めてまいりまして、コストの面でもその方が有利だということになったわけでありますけれども、こんなに石油が下がり円高になれば、あるいはまた省エネ対策あるいは代替エネルギー開発に何らかの変化が生ずるのかな、こういう気持ちを持っておるわけであります。
 それと同時に石油の備蓄計画ですが、第一次、第二次オイルショックにおける教訓というものは絶対に忘れてはならない。今石油の需給が少し緩んできたからということで、のど元過ぎれば熱さを忘れるというような感じてこの備蓄計画に後戻りがあるようなことがあってはならぬ、こういう感じを持っているわけでありますが、これはまさに今大臣からもう質問する前に御答弁がありましたので、ぜひそういう形でこの代替エネルギー開発それから備蓄計画については既定方針どおり進めていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げておきたいと思っております。
 次に石炭問題でありますが、昭和六十年度の石炭消費量は国内炭が千四百九十八万六千トン、輸入が八千五百四万トンで合計一億二万六千トンとなっていますが、現在の石油の大幅な価格変動からいたしまして、石炭に対しても何らかの変化が生じてくるのじゃないか、こういうふうに思うのでありますけれども、今の国内炭と輸入炭の割合というものがそのまま推移するのかどうか、その点についてひとつ御説明いただきたいと思います。
#24
○野々内政府委員 石炭需要は一般的には今後増加すると思われておりますが、原料炭につきましては国内の粗鋼生産が横ばいあるいは減少ぎみでございますので、今後原料炭の消費がふえるということはないであろうと考えております。
 それから一般炭につきましては、電力用を中心に今後需要が伸びるというふうに考えております。その中で国内炭の占めるウエートでございますが、現在第八次石炭政策ということで来年度以降の国内生産のあり方につきまして石炭鉱業審議会において御検討いただいておりますが、一般的には内外炭格差が非常に開いてきており国内炭の意義も従来とは変わってきているという現状を踏まえますと、国内炭のウエートというものは減少ぎみにならざるを得ないのじゃないかと考えております。具体的には今後審議会の議論を踏まえて政策の検討をいたしていきたいと考えております。
#25
○仲村委員 今御説明があったとおりでございますが、六十年度の資料からいたしますと、一般炭で国内炭のトン当たり値段が一万九千九百十五円、それに対して輸入炭は一万百六十三円で、国内族は九千七百五十二円高いわけですね。原料炭は国内炭が二万四千二百二十円、輸入炭が一万三千四百六十一円で一万七百五十九円高いわけであります。そういうことで今それの見直しも必要かなという感じてお話があったわけでございますけれども、しかし実際には二万五千人の炭鉱労働者を抱えている。こういうことで今千五百万トンの石炭に対して約千五百億円ぐらい補助をしている形になっているわけでありますけれども、こういったものを含めてこの二万五千人の炭鉱労働者との関係でどういう形でこれを調整していくのか、非常に問題だと思うのでありますけれども、その点についてもう一度お願いいたします。
#26
○野々内政府委員 エネルギー総体におきます国内炭のウエートというものが減少ぎみであることは事実でございますが、石炭産業が地元経済あるいは雇用に占める意味というのはまだまだ重要性があるわけでございますので、今後第八次石炭政策を立案いたします過程におきまして、地元経済への影響あるいは雇用への影響というものを十分勘案しながら検討を進めるべきであるというふうに考えております。
#27
○仲村委員 電源開発についてお尋ねをしたいと思いますが、エネルギー庁からいただいた資料からいたしますと、昭和六十年で電源別の発電能力が原子力で一六%、石炭七%、LNG一九%、地熱〇・一%、石油LPG三七%、水力二二%。これを昭和七十年までには原子力を二三、石炭を一〇、LNGを二一、地熱を〇・七、石油LPGを二四、水力を二一にしよう、こういうことでございますが、先ほどから質問をいたしておりますように石油の値段が値下がりをしてきた、こういうことでも電源別の開発計画は変化はないのか、この既定方針どおり進めていくというおつもりなのかどうか。
#28
○山本(幸)政府委員 ただいま先生が御指摘になった電源構成の実績及び十年後の電源構成につきましては御指摘のとおりでございます。電源開発計画は、基本的には非常に中長期的な視点から考えざるを得ない。実際に発電所をつくる場合に、その発電所の種類にもよりますけれども、敬年から十数年のリードタイムが必要であるということでございます。そういった観点に立ちまして、経済性がどうか、あるいは供給安定性、その燃料についてのリスク、今後の安定性等を総合的に勘案して進めるべきものであるというふうに考えております。
 そういった観点から考えますと、現在の原油価格の低下というのは短期的にはそうした情勢が見られますけれども、果たして中長期的にはどうか、さらに言えば、原子力のように十数年のリードタイムがある場合に、十数年後には一体現在の石油価格はどうかということも考えますと、現在の状況では、電源開発計画についてそうした短期的な情勢を踏まえて大幅に変更する必要はなかろうというふうに考えているわけでございます。
    〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
#29
○仲村委員 私がこの質問をいたしましたのは、石油の問題もありますけれども、先般ソビエトで起こった原子力発電所の事故の問題に関連をいたしまして、原発を、今皆さん二千四百五十二万キロワット、七十年までには四千八百万キロワット、約二倍にしようということでございますけれども、果たして原子力発電所というのは大丈夫なのかなという素朴な疑問が起こってくるのは当然なことだと思います。この安全性についていま一度きちっとした説明をいただかないと、国民の理解は得られないのじゃないかという気がいたしますけれども、ひとつよろしくお願いします。
#30
○逢坂政府委員 我が国の原子力発電所の安全性の問題につきまして御質問でございますが、基本的には、我が国の原子力発電所の安全については問題ないというふうに私ども思っております。
 もう少し具体的に申し上げますれば、我が国の原子力発電所の設計につきましては、多重防護の考え方に基づきまして、事故の発生、拡大防止など何重もの安全対策を講じておるところでございますし、また運転段階あるいは工事段階それぞれにつきまして厳しい安全規制を実施しておるところでございます。特に運転段階につきましては、毎年入念な定期検査を実施しておりまして、安全上問題のないということを確認しながら次の運転に入るということを実施しております。
 今回ソ連で事故の起こりました原子炉は、炉型からいいますと黒鉛減速軽水冷却という形のものでございます。我が国で持っております原子力発電所は軽水冷却軽水減速のものでございまして、これまで伝えられておりますような黒鉛による黒鉛水蒸気反応というような事故の拡大要因もございませんし、今回の事故によりまして直ちに我が国の原子炉の安全性が問題になるとは考えておりません。
 ただ、このような事故を起こしたということは厳然たる事実でございますので、関連の情報の入手に努めまして、今後参考になるべきものが出てきましたときには、我が国の原子力発電所の安全性の確保のために反映させていきたい、このように考えております。
#31
○仲村委員 四月二十六日にチェルノブイル発電所が爆発をしたわけでございますけれども、それから四、五日たって二十九日に初めてタス通信はその事故の状況を報道しているわけでございます。それまでひた隠しに隠しておこうという気持ちだったと思うのでありますけれども、北欧諸国において六倍以上の放射能検出がなされて大騒ぎになって、逃げようにも逃げられなくなってようやく発表したという感じであります。これに対して今回の東京サミットでも、原子力の安全対策についての声明も出されているぐらいであります。したがいまして、我が国の原子力開発についても慎重にも慎重の上でこれからの開発計画を進めていかれるように、安全第一という線でひとつ進めていただきたいということを希望いたしておきたいと思います。
 次に、沖縄電力の民営化についてであります。通産省ではその作業を進めておられると思いますが、その時期はいつなのか。また、沖縄電力の民営化の前提条件は、何としても地域の主要企業として健全な運営をし、地域の産業経済の振興と雇用に寄与させようということでございまして、そういう立場から県からも多くの要望事項が出ておると思います。ぜひそれは満たされるべきである、また満たさなければ今後の民営化後の健全な運営はできない、こういう考え方に立っているものでありますけれども、その点についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
#32
○山本(幸)政府委員 沖縄電力の民営化につきましては、先般沖縄県知事から、民営移行方式としては独立民営が適当だ、さらに構造的な不利性を考えまして適切な援助、助成措置が必要であるということでそういう要請がございました。現在、そうした要請を受けまして民営移行のための具体的な方法あるいは内容につきまして検討をいたしている段階でございますが、そのために五者での懇談会というのをつくりまして検討をいたしております。五者と申しますのは、沖縄県、沖縄電力、沖縄開発庁、電気事業連合会、エネルギー庁、この五者が集まりまして沖縄電力民営移行推進懇談会というのを設けまして検討中でございます。こうした検討を踏まえまして、できれば次期通常国会に関係法律を出したいというふうに考えております。
 それから、先生御指摘の沖縄電力につきましての今後の助成問題でございますけれども、最近円高あるいは油の価格の値下げということで沖縄電力の経理も比較的順調に進んでおります。そういう意味では、六十年度決算におきまして過去の累積赤字が大体解消できるかという状況ではございます。しかし、そう申しましてもようやく赤字から脱却するという程度でございまして、そういう意味では体力的にもまだ非常に問題が多い。さらには離島が多いとか、どうしてもロットが小さいということで、構造的な不利もございます。そうした点を勘案しまして、今後民営移管が円滑に進められるようにということで、既存の助成措置をできるだけ継続するようにということで努力する方針でございます。
#33
○仲村委員 幸い最近になりまして円高あるいは石油の値下がりで息を吹き返しているような状態でありますけれども、経営基盤は非常に脆弱な状態であります。今おっしゃったとおり、たくさんの離島を抱えておって、その離島の電力まで全部一元的に運営をしているためにそのリスクは非常に大きいものがございますので、民営移管後も健全な運営ができるようにその条件整備をしていかれることが大事であります。今沖縄県から出されている要望事項は、健全運営をするための最低の条件だというふうに考えておりますので、ひとつ大臣もよろしくこの点についてはぜひ御配慮をいただきたい、こういうふうに思っております。
#34
○渡辺国務大臣 沖縄電力の民営化は私も支持いたします。
#35
○仲村委員 どうも私が聞いた質問に対する御答弁ではなかったような気がいたしますが、ぜひ支持をしていただきたいと思っております。
 次に、円高の関係で、国内物価への影響についてお尋ねをしたいわけであります。
 円高は輸出国日本の立場としてはデメリット面がメリット面よりも大きいことは確かであります。しかし、メリット面をフルに活用するならば、これによってある程度デメリットはカバーできるのではないかと思うのでありますけれども、現時点においてはこのメリット面が余り生かされていないというような感じがするわけであります。まず食料品の大半を外国に依存していますが、その物価は一向に安くならない。サミットで来日した外国人が異口同音に、日本は品物が高過ぎる、こういうふうに言っているわけであります。
 大体輸入商品は、輸入価格が上がるのだという情報が入れば、安く仕入れた在庫品まで全部高くあしたから売るようになるのですね。しかし、外国が下がっても、為替相場が下がっても、みんな世論が立ち上がらない限りなかなか下げてくれないという感じがするわけであります。したがいまして、経企庁としてはこういったものに敏捷に対応していく必要がある、私はこういうふうに考えておりますけれども、一体経企庁はそれに対してどういうふうに対応をしているのか。
 なぜ私がこのようなことを申し上げるかといいますと、皆さんは四月三十日に調査をしているけれども、三十七品目調査をして、そのうちの三分の一は依然として以前の為替相場の状態で売られている、こういうこともありますが、もう一つは、例えば麦、トウモロコシ、大豆など二千六百万トンの穀物類を輸入しているわけであります。これはもちろん食糧庁が所管をしている品物でありますけれども、しかしこの為替差益というものはそのまま政府が吸い上げでいいものかどうか。やはり消費者に還元をすべき性質のものでないか。たばこにしろウイスキーにしろ、すべてそういう形でどこかがこれを吸い上げる、こういう形のものであってはならぬと思いますけれども、経企庁はそれに対してどういう対応をしておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
#36
○斎藤(成)政府委員 お尋ねの点でございますが、御指摘のように四月三十日に発表いたしました調査では、調査いたしました三十七品目のほとんどが、輸入価格では円高の影響で下がっておるけれども、小売価格ではおよそ三分の一ぐらいはほとんど影響が出てないという状況でございまして、私どももそれが問題点であるというふうに考えております。
 ただ、輸入した品物が、いろいろ加工を経まして市場に提供されるというものがかなりあるわけでございますから、そういうものについてはどうしても時間的な余裕というものを見ていかなければならないというふうに考えております。そういう意味で、先般の調査につきましては、調査を行いました関係の業界に対しまして、調査を実施いたしました関係省庁の方でいろいろ事情を聞いた上で善処方を要望しているところでございます。
 特に御指摘のございましたウイスキーにつきましては、所管の大蔵省の方で十分指導を行いつつございまして、既に幾つかのウィスキーなどは値下げをしておりますし、残るものもかなりのものが検討しますという返事をいたしておりますので、逐次効果があらわれてくるものと思っております。
 農産物につきましては、御指摘のように支持価格制度ということで、むしろ海外の価格変動が直接日本の市場に影響しないような格好、そういう仕組みができておりますので、御指摘のように円高の効果が直ちに出てこないという大変厄介な状況になっております。これにつきましても農林水産省といろいろ相談をいたしておりますけれども、御存じのように、畜産物などについては既にその支持価格の内容を変更いたしたところでございます。制度始まって以来下げたことのなかった品目につきまして、例えば乳製品でございますとか原料乳でございますとかあるいは牛肉につきまして価格の引き下げを行ったところでございます。その幅などにつきましてはなお議論があろうかと思いますけれども、今後もその支持価格制度という制度のもとでどのように円高を反映させていくか、十分農林水産省と協議をして効果あるようにいたしてまいりたいと考えております。
#37
○仲村委員 時間が参りましたので、終わりたいと思いますけれども、経企庁長官、せっかくお見えになりましたので、一言だけ御答弁をいただきたいと思います。
 先ほども申し上げましたように、この円高は確かに我が国のような輸出国家にとってはデメリット面が多い。しかし決してメリットがないわけではない。それをある程度活用すればデメリットのカバーはできる。それは経企庁の役目だと考えておりますので、今事務段階から御答弁はいただいたわけでありますけれども、経企庁としての今後の物価に対する姿勢、これをひとつ御答弁いただきたいと思います。
#38
○平泉国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、為替のレベルというのは基本的に考えればメリットとデメリットが相殺をいたしまして、どちらかというとメリットの方が大きいというふうに私どもは見ておるわけでございますが、ただ、今の当面の問題といたしましては、速度が速過ぎたということでデメリット面が早く出てくる、こういうことがございます。殊にメリット面が大きいというのは、原油価格の低落という現象が加わっておるわけでございまして、そういう点を考えますと、我が国経済、全般的に見れば、ことし例えば六十一年度全般というもの、年度からいいますと四月から始まるわけでございますから、六十一年度全般で見れば相応の効果があらわれてくるということは十分私どもも認識をいたしております。
 ただ、それが本当に効果をあらわすためには、先生おっしゃいますように、実際の実質所得の上昇、購買力の上昇というものが生産活動、消費活動にすぐ反映されるということがないといかぬわけでございまして、まさに物価のその意味での指導というものは極めて重要であるという認識を持っておるわけでございますので、今後とも行政各部署とも十分連絡をとりましてその点の趣旨の徹底を図りたい、かように存じておるわけでございます。
#39
○仲村委員 どうもありがとうございました。終わります。
#40
○野田委員長 水田稔君。
#41
○水田委員 昨年の十二月に私ども社会党は、円高による中小企業の産地の調査を行いまして、通産省、大蔵省に対して緊急の対策、一つは為替の安定、さらには政府の決定した融資金利では実効がないということで金利の引き下げなどの申し入れを行ってきたわけであります。
 その当時がたしか一ドル二百円になるかならぬときであります。既に今日では一ドルが百六十円を切る、切らない、あるいはちょっと上というところへ来たわけでございます。まさに日本の経済にとっては危機的な状況ではないか。
 こういう中で、この為替の変動というのはまさに昨年九月のG5によるものでございます。そしてサミットにおいても今後の経済の監視体制その他を含めてG5もしくはG7でやろう、こういうことで、本来なら経済官庁である経企庁なり通産省がちゃんと対応ができる条件を整えてやるべきであるにもかかわらず、まさに大蔵主導の形になっておると思うのです。通産省や経済企画庁は蚊帳の外、こういうことで、いわゆる円高不況に泣く業界からの怨嗟の声をまともに受ける、こういう官庁になっておるわけでございます。
 そういう中で、昨日も通産大臣は、総理の指示に基づいて円高対策どんとやる、こう言われております。どんとやるというのは、口だけでは生きていけぬわけですから、どんとやるというのは一体具体的に何をやろう、こう考えておられるのか。
 それから、通産大臣は後の予定があるようですから含めてお伺いいたしますが、もう一つは、先ほどの質問にもありましたように、我が国はいわゆる原料を輸入して製品輸出、ですから膨大な輸入、食料から原材料を輸入しておるわけですね。だから、本来言えば、円高というのは大変なメリットがあってしかるべきですが、まさにデメリットだけがずっと出てきておるということであります。
 それは例えばナフサというのは市場メカで動いている。ですから今、半値くらいに下がってきておる。LPGは、プロパンガスというのは本来ならば市場メカで動かなければならぬ。通産省が指導するまでは下げぬわけですね。大変な利益を上げておる、そういう業界。片一方ではガスは公共料金で、これは許可が要る、こういう問題。そういういわゆる産業の、経済の仕組みの中に問題があるだろうと思うのですね。ですから、円高のメリットを生かすとするならば、いわゆる日本の経済の構造を市場メカで動くような形にすればもう少し動いてくるんではないか、そのように思うわけでございます。
 そういう点について、日本の産業構造を変えるというのは大変なことですが、この七、八カ月でこれだけの、四割を超す、五割近い円高になれば、これは産業界としては対応の仕方は全くないだろうと思うのですね。ですから、産業構造を変えていくということを総理も言われておる、いわゆる輸入型に変えるというけれども、そんな簡単にできるものじゃない、相当な金も要れば知恵も要る、そういうものだと思うのです。
 そういう点で、総理は簡単に軽々と、レーガン大統領との話の中で、私的諮問機関の前川レポートに基づいてそういうことを言ったわけですが、国民に対して責任を持つべき経済企画庁なり通産省としては、実際やれる方法を一体どういうぐあいに考えておるのか、聞かしていただきたい。
 それから、特に中小企業の場合、まさに為替の安定ということがとにかく一番望まれることなんです。この点について、サミットでもそれは成功しなかった。きょうあたり、きのうですか、アメリカの方で少し為替は好ましいところへ来たという発言がありましたけれども、これまでは全く孤立無援の中で日本は来ておるわけでございます。そういう中で、中小企業のための為替安定ということを大きな課題としてやっていただきたい、その点についての御見解を、通産大臣並びに経済企画庁長官にまずお伺いをしたいと思います。
#42
○渡辺国務大臣 中小企業の対策をどんとやる、何をやるんだという話でございます。これは今各省で詰めておりまして、中小企業だけに限定したものもございますが、やはり日本の国内経済との関係は密接でありますから、経済全体の押し上げのための方法といたしまして、どういうふうにしたならば事業の量がもっと国内でふえるか、その資金対策はどうするかという前向きの話を一つ、それから救済策としてのやり方、これを一つ、目下練っておる最中でございまして、そう遠くない時期にまとめたい、そう思っております。
 それから、円高メリットを生かせということで、既にもう御承知のとおり、一兆一千億近い電気、ガスの還元をやりますし、それからLPGにつきましても、これは極力値下げをやらせまして、一千億円ぐらいの還元を行政指導を通してやらせたい、そういうことで、既に各メーカーの重立ったものを呼びまして、政府としては指導をいたしております。さらにこれは強めていきたい。そのほか、市場メカニズムを生かして、ガソリン等は下がっておりますが、食品類、えさ、その他たくさん輸入品があるわけでありますから、こういうようなものについても、さらに、途中で円高が消えてしまわないように、末端にまで影響があるように指導をしてまいりたい。
 それから、産業構造の改革はなるほど一朝一夕に簡単にできるものではありません。それはどこの国でも同じであります。ある年月がかかりますが、しかしながらやはりそれはやっていかなければならない宿命にあるわけでございますので、つらくとも耐えこたえて、変えるべきものは変えていくという姿勢が大切である。したがって、中長期的にはやはり前川報告というような方向に行かざるを得ない、そうすべきであるというふうに私も思っておるわけであります。
 為替相場の安定は非常に重要なことでありますが、これは、余りにも激しい乱高下が繰り返されるというようなときには共同介入の余地は残してあるわけでございますので、それを見守っておるわけであります。大体幾らぐらいがいいのかということになりますと、それは落ちついたところがいいと言わざるを得ないのであります。
#43
○平泉国務大臣 経企庁といたしましては、経済関係閣僚会議の主宰者と申しますか、主宰する立場にございまして、経済関係のすべての政策につきまして総合調整を行う、こういう観点から、今回の急激な円高問題に関しましては随時、経済関係閣僚会議の席でいろいろと対策を協議いたしておるわけでございます。
 殊に最近の四月八日の総合経済対策というものを打ち出しましたのもそういう一つの成果でございまして、関係各省庁が十分協力をいたしましてこの対策を立てておる。現在も既に、この総合経済対策の実施面におきまして鋭意フォロースルーと申しますか実施面の調査、さらには、不徹底なところはさらに徹底をさせる、かような努力を今しておるところでございます。
 さらに加えまして、殊にこの一カ月ほどさらに一段と円高が進捗をした。きょうあたり少し風向きもまた変わっておりますが、しかし、それにいたしましてもその実質水準が極めて高い、こういう状況でございますので、さらに一層の――輸出零細関係企業に特に打撃がある。先般の施策の中でも、中小企業につきましては通産省が中心になりまして特段の施策を行っておるわけでございますが、なおかつ、それで不十分ではあるまいか、かような観点から今鋭意関係省庁の間で施策のすり合わせを行っておりまして、昼夜兼行でこの努力を続けておる次第でございます。極めて近日中に十分な対策をとりあえず打ち出せるのではあるまいか、かように考えておる次第でございます。
 なお、輸出輸入の関係からくるメリットの問題につきましては、先ほどの委員にも御答弁を申し上げたところでございますが、もちろん企業によりましては、この円高というものにつきましてドル建て価格の面にも半分程度はそれを反映できるというふうなところから、そのデメリットがそのまま全部輸出価格上反映されておるという、必ずしもそういう状態ではございません。
 なお、石油価格の下落に伴いまして、輸入メリットはおっしゃるとおり潜在的にも顕在的にも膨大なものがあるわけでございまして、これを十分顕在化させていくということが現下経済政策上極めて喫緊なことであるという認識を持ちまして、消費者物価の面における反映、そうして同時に、おっしゃるとおり生産資材の面におきましては、これは市場のマーケットメカニズムで下がるべきものは今どんどん下がっておりますが、他面、それが十分下がらないような現象につきましては、所管の省庁とも十分協議を続けてまいる所存でございます。
#44
○水田委員 そこで委員長にお願いですが、為替の安定が、いろいろな政策を考えるにしてもそれができなければ、今例えば百七十円で対策を組んだ、百六十円になれば全部パアになるわけですから、そういう点では一番重要なことでございますので、ぜひこれは委員会で為替安定の決議を上げていただいて、できれば本会議決議まで持っていっていただきたいと要望いたします。
#45
○野田委員長 要望は委員長として承っておきます。
 これは事柄が国会決議になじむことであるかどうか、いろいろございますので、これは検討させてください。そのままお引き受けをして、そうしますというわけにはいきません。御了承願います。
#46
○水田委員 私は、理事会で、そういうなじむかどうかを含めて御検討いただければ結構だ、こういうことでございますから……。
#47
○野田委員長 その趣旨であればわかりました。
#48
○水田委員 じゃ、ぜひそのようにお願いしたいと思います。
 そこで、来月から電気、ガスの値下げを申請したということで、十五日には認可をするというようなことでございます。両方で一兆八百五十九億円ですか。これは、電力というのは二回にわたるオイルショックで上がるときには即丸々上げたわけですね。一番ひどいのは七割上げたわけです。ここで還元還元と言いますけれども、これまでのものは還元しないわけですね。五月までの分はそのまま置いておくわけです。ほかに使うわけですね。去年の九月からずっと円高になって、苦境にある業種というのはそれに対する資金手当てが本当は今一番欲しい。非鉄金属にしてもそうです。
 そういうものを考えれば、還元というのはこれから値下げをするだけの話なんです、六月から。そしてこれは一バレルが十九ドル、一ドルが百七十八円の計算なわけでございますね。そこで全体の額からいうと、想定される、何の手間もかけずに上がる円高差益というのを七割しか還元しない。これは全部返してしかるべきだと思います。返しが少ないと私は思うわけです。その点を、なぜこういうぐあいな申請、これはもちろん会社の申請という形式にはなっているけれども、通産省と協議の上でこういう申請をしていることは間違いない。エネ庁の考え方、通産省の考え方がそうだからこういう申請になっておると思うのです。
 それからもう一つは、いろいろな業種についてこれで負担が減る、還元じゃなくて負担が減る。そういう中で化学産業についてはどのくらいのいわゆる負担減があるのか。これは還元という言葉を使うのはおかしいと私は思うのです。ですから、負担減が幾らになるのか、その点をお伺いしたいと思います。
#49
○山本(幸)政府委員 お答え申し上げます。
 まず初めの七〇%にするのはなぜかという点でございますが、実際に今後一年間分の為替の水準あるいは原油価格の水準を見通すのは非常に難しいわけでございます。なかんずく、LNGにつきましては現在も下がっておりません。そういうものも含めましてある程度の算定をしまして円高差益を出すわけでございますが、そうした場合に、後になってその算定が大幅に狂うということも十分ございます。そういうわけで、全体の七割を還元に回し、残りの三割はそうした事態に備えるということでございます。ただ、電力会社の中には、さほどのリスクはない、あるいは現在の経営状況からいって三割まで備える必要はないというところは八割ということで、電力会社四社が七割、残りの五社は八割という還元額でございます。
 それから、先ほど先生の六月からということでございますが、差益は四月から来年三月までの一年間分を返す、それを六月からということで、十二カ月分のものを十カ月で返すという形になってございます。
 第二のお尋ねの化学工業についてはどうかということでございますが、化学工業も中小企業、大企業さまざまでございますが、中小企業の方はそうした業種別の数値はございません。いわゆる大口電力ということで化学工業の中でも非常に大口のものだけをとって考えますと、今回の措置によりまして約四百二十億円という還元額になろうかと考えております。
#50
○水田委員 上がるときにも、原油価格というのはどう変動するかは不確定ですね。そして、ちょっとでも上がるとすぐ電力料金を上げてきたわけですね。まさにそこは取る方はすぐ取る、返す方は何で残さなければならないのか。そして六十年度分は、電力、ガス両方ですが、四千億あるわけですよ。余裕を見るなら、そこでちゃんとあるわけですよ。なぜそんなことをするのかというのは、国民の中には疑問が残りますよ。それはどうですか。
#51
○山本(幸)政府委員 その点につきましてはいろいろな意見がございます。電気につきましては電気事業審議会、ガスにつきましては総合エネルギー調査会の都市熱エネルギー部会というのを開催いたしまして、そうした点も含め、かつ各般の代表する人々も含めて議論いたしまして、一定部分についてはそうした今後の変動に備えてとっておく、残りの部分については還元する、還元する内容はできるだけ多い方がいいという結論でございました。その還元の大体の比率といたしまして、先ほど申しましたように七割というラインを出しましたが、電力会社によっては八割というところもございます。
#52
○水田委員 幾ら言ってもこれは切りがない話でございますが、業界からいえばできるだけ残したいのは当り前なんですよ。しかし消費者の側からいえば、上がるときには即取られて、返すときには余裕を残すというようなやり方は通産省の姿勢に問題があるわけです。ですから私は納得しませんが、時間の関係で先に進みますけれども、電力料金の問題については、少し円が弱くなったといっても百六十三円ですからね、今でもこの上まだ出ておるわけですから、我々として引き続いて引き下げを要求していくということで打ち切りたいと思います。
 そこで、化学産業の関係で二、三お伺いいたします。
 一つは、輸入品というのはぐっと下がってくる。一昨年来心配したのですが、サウジ、中東の石化プラントが動き出す、あるいはシンガポールが動く。それらは引き取りの約束があるものですから、もし向こうで売れなかったら日本へ入ってくる。日本のエチレンセンターをどうするか大変な心配をしたものですが、この一、二年は何とかそういう状態にならずに推移したわけです。この円高であれば、当然価格競争の中では大変な量が入ってくるのではないか、そういう心配があるわけですが、一体それはどういうぐあいに通産省として見ておられるのか。
 それから、続いて質問いたしますが、肥料の関係でいいますと、窒素肥料、いわゆる尿素の関係については、輸入もありますけれども、主体としてはまだまだ国内を中心につくりながら、燐その他は国際的な動きの中である程度は輸入もやむを得ぬ、こういうことでやってこられたと思うのですが、これだけの円高になりますと、構造改善をやっておるけれども、設備処理の状況が大変変わってくるのではないか。ですから、そういう点で肥料の構造改善について変更をせざるを得ないのかどうか、そういう影響は一体どういうぐあいになるのか。
 さらに、燐酸系の肥料の原料の燐鉱石や硫酸の価格などは、民間の企業が手に入れる場合、この円高の中で一体どのくらい変わってくるのかという点をお伺いしたいと思います。
#53
○岩崎政府委員 確かに現在この円高の中で、化学産業全体にわたって輸入圧力というのが一般的にはかなり危惧されておりますけれども、今ちょっと先生も御指摘のように、例えば石油化学工業などサウジ等からの輸入が相当ふえるのではないか、こういった危惧が強くあったわけでございますけれども、現状は幸いにしてそういう製品の世界的な需要の伸びがございまして、むしろ量的にはタイトな状況で推移している、今こういうことになっておりまして、当初危惧したほどの影響は今は出ていない、こういう状況にあろうかと思います。
 それから肥料も同様でございまして、この肥料というのは国際市況製品でございますので、市況そのものもかなり国際的には変動いたしますけれども、この円高の中でそういう現状における内外価格差というのはかなり開いておりますけれども、ただ、これは肥料年度ごとのユーザー、メーカー間のいわば協定価格が、国内で現状この六月まで昨年の七月から続いておりますものですから、その価格との間においてそういう格差があるというふうに考えておりまして、先生御承知のとおり、肥料そのものも材料費が八割から九割を占めておりますし、その材料というのは、もとをただせばほとんどすべて輸入品でございますので、これはこの七月から始まります六十一肥料年度における取り決め価格というのは相当な価格低下が国内的に見込まれるであろうと私ども期待しております。
 現在、これはユーザーとメーカーの間で交渉中でございまして、六月中には私どもあるいは農林省に届け出があり、確定いたしますけれども、その価格というのはこの円高のメリットによって相当低下するであろう、したがって内外価格差は、もちろん今後の国際市況いかんでございますけれども、縮小していくであろう、このように期待しておるわけでございます。
#54
○水田委員 抽象的なお答えですが、具体的な数字の入った資料は後ほどいただけますでしょうか。
#55
○岩崎政府委員 原料、これは御承知のとおり、高度化成等の原料というのは全農からメーカーへ支給されるような形でつくられておりますけれども、そういう原料支給の現在の価格等について、私どもの資料でわかる限り、後ほど御提出申し上げたいと思います。
#56
○水田委員 それではぜひお願いいたします。
 そこで、肥料関係で最後の質問ですが、化成肥料というのは、昨年も私がちょっと委員会で聞いたわけですが、BB肥料との競合というのは激しいものがあって、だんだん侵食されておる。例えば北海道では、最近もセントラルの子会社の北海化成が工場を閉鎖するというような事態も起こっているわけですね。これは先ほど言いましたように、原料の関係も円高の中で変わってくる、こういう中で、通産省としては、化成肥料の内需あるいは外需が一体どうなるのか、そういう中でBB肥料と化成肥料との競合がどういうぐあいになっていくと見ておられるのか、お伺いしたいと思います。
#57
○岩崎政府委員 化成肥料のほかに、使いやすさあるいはコストが一割程度低いというようなことで、近年BB肥料がかなり増大してきている。特に北海道においては、大規模改革比等の施肥にBB肥料が多く使われるようになっておる、これは御指摘のとおりでございます。ただ、この二、三年の状況を見ますと、さすがにBB肥料の伸びというのもほぼ頭打ちになってきているのではないか、また化成肥料総量においてもほぼ横ばいでずっと推移しているのではないかというふうな私ども大勢判断をしておりまして、やはり用途用途による一つの限界というのはどうしてもあるのではないかというふうに考えております。
 化成肥料につきましては、現在の構造改善促進法に基づきます設備処理を現在進行中でございまして、来年度までにほぼ終わる、現在まだ六五%程度の進捗率でございますが、ほぼ終わると思いますが、そういたしますと、需要の下げどまりという中で、化成肥料についても二つの安定した状況が実現できるのではないか。それ以上、今構造改善の中身等を変更しなければいけない、そういう状況にはないのではないかというふうに考えております。
 また、化成肥料の輸出につきましては、第二KR等に基づきます輸出が若干ある程度でございまして、その輸出が非常に大きなウエートを現在も占めておりませんし、今後とも占めていくことはないのではないかというように考えております。
#58
○水田委員 次に、同じ構造改善で、セメントと生コンの構造改善について伺いたいと思うのです。
 これは、現在どういうぐあいに進んでおるのか、現状をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#59
○浜岡政府委員 生コンクリートの構造改善事業でございますが、これは先生御高承のとおり、中小企業近代化促進法によりまして推進をいたしております。
 昭和軍十三年に業種指定が行われまして、五十四年に近代化計画を告示をいたしました。これを受けまして、岐阜県生コンクリート工業組合を初めといたしまして、逐次構造改善計画が策定され、承認を受けておりまして、現在三十七の工業組合で事業を行っております。昭和五十九年に近代化計画の見直しを行いまして、三年間の延長を行っているわけでございまして、六十一年度、今年度で終了するということになっております。
 この近代化計画の中身でございますけれども、品質管理の徹底、新技術の開発、設備の近代化、生産方式の適正化、競争の正常化、取引関係の改善といったような内容が盛り込まれているわけでございます。それぞれ積極的に取り組みが行われておるわけでございますけれども、行われております事業の数が一番多いのは、計算事務共同化あるいは共同輸送といったようなものが多いというような状況でございます。
 ただ、先生御高承のとおり、昭和五十四年以来生コンの需要量が減り続けておりまして、現在約五千三百の工場、四千八百の企業が稼働しているわけでございますけれども、五十四年当時の二五、六%の操業度に比べまして、現在は二〇%を割りまして、一八、九%というような稼働状況でございまして、まだまだ問題は大変多いというぐあいに申さざるを得ないのではないかというぐあいに思っておるわけでございます。
 なお、セメントにつきましては、いわゆる産構法の対象業種といたしまして、やはり構造改善というものに取り組んでいるわけでございます。昭和五十九年に現行法の特定産業に指定をいたしまして、設備廃棄それから共同事業会社の設立といったところを中心に事業を進めてきているところでございます。
 設備処理目標につきましては、ことしの三月の末でほぼ目標を若干上回る程度の処理を行っているわけでございますけれども、計画策定当時に考えました以上に需要量が減退をいたしております。また、最近では輸入圧力というようなものも増大をいたしまして、さらに追加的な設備処理が必要なのではないかというような意見もあるわけでございますが、なお私ども結論を下しかねているというような状況にあるわけでございます。
 共同事業会社につきましては、これも先生御高承のとおり、五つのグループができまして、それぞれのグループごとに共同事業会社が設立をされております。今後さらにこの事業会社の業務内容の拡充充実といったようなことが必要だという声が強いというぐあいに承知をいたしているわけでございます。
#60
○水田委員 今局長も言われましたように、五十四年の生コンの会社の数は四千三百八十一、工場数が四千九百士三、操業率が二五%。たくさんな金をかけて構造改善をやったのですが、きょう現在では、五十九年の数字しかもらっていませんが、会社数が四千七百六十八、工場数が五千三百十一。まさにこれはふえておるわけです。構造改善の実は全く上がってないと言わなければならぬ。セメントは構造改善が終わったが、セメントを売ってくれないという業者がたくさんおるわけです。構造改善をやったら操業率は上がったのかもしれないけれども、セメントは欲しい人へ来ない、そういうことが起こっておることは局長はよく御存じだと思うのですね。
 そこで、しかもこれは昨年五月三十一日に公取が北大阪、阪神地区生コン協同組合に出荷停止措置を撤回するよう警告しておる。そして、ここに資料がありますが、こういう通知を組合に出していながら、同じ日に公取の警告を無視して、出すなど。これは通産省、私お見せしたから知っておるはずなんです。こういうことが構造改善をやっておる中で現に行われておる。
 そして、ことしの五月七日、これは神戸いすゞ自動車株式会社の名前の入った用せんの中で、いわゆるアウトサイダーについては自動車を、生コンクリートのミキサー車を売るな、売ったらこの協同組合は全部車は買わぬぞ、こういうことをやった。それから、セメントを供給してはならぬ、そういうことを現実にやってきた。そして五月七日に、大阪兵庫生コンクリート工業組合に対して、生コンミキサー車の購入とセメント供給停止について公取から警告を受けた。これは通産省、御承知のとおりだと思うのです。
 しかも、これは通産省から構造改善に当たっては八項目の要請をセメント業界にやっておるわけです。その中には、アウトサイダーといえども差別的な取り扱いなり不公正な取引方法を用いないこと、こういう通達文書も出しておる。その中でこういうことがずっと起こっておるということは、一体どういう行政指導をされてきたのか不思議でならぬのですが、なぜですか。
#61
○浜岡政府委員 構造改善の実行に当たりまして、当然のことでございますが、独禁法を初めといたしまして法令に違反するようなことがあってはならないわけでございまして、私どももかねがね、たびたびこの点につきましては関係業界に注意を喚起いたしてきておりますし、その点の姿勢は全く不変だと御理解をいただければと思うわけでございます。
 ただ、推察いたしますと、ただいま先生からも御指摘ございましたように、需要は減っておるけれども企業数がふえる、プラント数がふえるというような状況にあるわけでございます。恐らく、かなりの買い手市場でございますので、できるだけ建築現場に近いところにプラントを据えつけなければならないというような産業体制といいますか、あるいは市場の力関係みたいなものが存在をしているというような背景もあろうかと存じます。
 そういう意味で、やはり新規企業の増加ということに対しまして既存の企業がかなり神経質になり、ナーバスになるという背景があるというようなことは言えるのではないかと思うわけでございますけれども、基本は、まさに構造改善計画にも示されておりますように、関係業者が、志を同じゅうする者が結束をかたくして対応していくということが基本でございまして、新規業者あるいはアウトサイダーに対しまして、繰り返しでございますが、独占禁止法なり法令に違反するような行為に及ぶのはやはり行き過ぎと言わざるを得ないのではないかと思っております。
 私どもも重ね重ね注意をしてきているわけでございますけれども、今のような背景もあるのかと思いますが、まだ十分に浸透し切れてないという点は極めて残念だと思っております。
#62
○水田委員 残念で済まぬ話なんで、私どもは例えばここに今、公取から警告された、妨害をした暴力団の自動車がずっと追いかけた記録があります。さらにまた、それでやられた運転手が暴力団からどういうぐあいに、だれが、どういうことを、いつやられたか、全部記録があるわけです。そして、それに基づいて公取が調査に入って警告したわけですね。
 行政官庁である通産省が全くそういうことを知らぬということはない。私どもは何回となく言ってきた。言ってきたけれども通じない。通じないというのは、通産省がなめられておるのか、通産省が向こうと結託しておるんじゃないか、そう思われても仕方がないんじゃないですか、どうなんですか。
#63
○浜岡政府委員 ただいま二つのお話があったと思います。
 一つは、独占禁止法の問題でございまして、これは今回、今回といいますか五月になりまして、公正取引委員会から工業組合及び傘下五協同組合に対しまして警告書が発せられているというようなことでございます。公正取引委員会から警告書が発せられるということでございますので、事態は非常に重大というぐあいに受けとめております。私どもも重ねて注意を喚起いたしているわけでございます。
 それから、出荷のコントロールに関連をいたしまして、先生御指摘のような、いわゆる暴力団絡みのような行動がかなりあるのではないかというような点は、御指摘のとおり私どもの方にもたびたびお話を承ってきております。私どもといたしましても、そうしたことがあってはならないということを繰り返し関係業界に伝えてきていることは、先生も御承知いただいていると思うわけでございます。確かに私も提出をされております写真等を見ました。
 ただ、通産省という官庁の性格といたしまして、一つずつの行為につきまして、例えば一人一人の方をとらえまして、どういう御身分の方であるか、あるいはどういう経歴の方であるかということを問いただすというようなことはできないという限界もあるわけでございまして、そういう意味では、私どもとしましては引き続き厳重な指導を続けてまいりたいと思いますけれども、個々の行為につきましてはやはり、例えば警察サイド等でのお力をお借りしなければならないというような面もあるのではないかというぐあいに思っております。
 癒着をしているということは決してないつもりでございます。なめられているのではないかというお言葉は、ある意味では、私どもがなめられているとは思いたくございませんけれども、もしそういうお言葉があるとすれば、それは甘受しなければならないのかと思いますけれども、従来の厳正な指導姿勢というものは今後とも続けていきたいと思っております。
#64
○水田委員 実際には全く指導ができていない。私は、まさに癒着じゃないかと言ったら、そうじゃないと言われますけれども、これは別のところから大きな圧力もかかって指導ができないということじゃないのですか。
 例えば昨年、大阪地区の生コンクリート協同組合が市場調査費の名目で五百万円を各社から集めておる。これは十二社ですから六千万円。そのうちの四千五百万円が山田商事と東京光信リサーチの二カ所へ払われておる。これは事実上は山口組系の山田組に流れておる。こういうことも通産省に指摘して、調査をして指導するように求めたわけです。いまだにこれは何のあれもされていない。
 そして公取が調査に入った。その中で、これは危ないというので手を切ろうとした。そうすると、今度は逆に暴力団からその組合がおどされておるという話さえ入っておるわけでございます。しかも、この五百万円を、各社が負担した金は、セメント業界が後で買い入れるセメントの価格で値引きをしてカバーしておる。これは生コン業界だけではなくてセメント業界も関連をしておる。しかも、暴力団とのつながりというのは、セメント業界の大手の会社の重役がしょっちゅう接触しておる、そういう情報まで入っておるわけです。
 私どもはそういう話も通産省へしてきた。よっぽどしっかりして指導しなければだめですよ、こう言ったけれども、何にもできていない。それはなぜですか。ほかに大きな力が加わっておるわけですか。警察庁もおいでだと思うので両方に答えていただきたいと思うのですが、こういう点について大阪府警の捜査四課が動いておる、こういう話も私どもは聞いておるわけでございますが、そういう点についての事実を知っておられるか、あるいはまたそういう事実に基づいて捜査をされておられるのか、これは警察庁へ、前段はもう一遍生活局の方で答えてください。
#65
○浜岡政府委員 市場調査費というような慣行が存在をしているということは、私どもも御指摘をいただきまして関係業界から聴取をいたしております。そういう調査費の支出というものが行われておるということは事実のようでございますけれども、関係業界からの説明によりますと、この市場調査費は、納品が的確に行われているかどうかというような状況を把握するとか、あるいは当該地域の需要見通しの把握をするとか、そういった用に供しているというような説明を受けておりまして、事柄の性格上やむを得ないのかもしれませんけれども、先生御指摘のような事実を、相手側が正面からそういう事実があるということは認めておらないというのが実態でございます。私どもといたしましては、いわゆる強制捜査権はないものですから、おのずから非常に隔靴掻痒の感は持っているわけでございますけれども、完全に先生に御納得いただけるような結論を出すに至ってないということが事実でございます。
 しかし、先ほども申し上げたことでございますが、基本的な考え方といたしましては、法令に反するような問題が業界の構造改善等に絡んで入り込んでくるのは好ましくないということは、私どもとしましても改めて思いを新たにいたしまして関係業界に指導はしていかなければならないし、またそのつもりでいるわけでございます。
#66
○山本説明員 先生御指摘の件につきましては、警察といたしましても、大阪府警が関連情報を入手いたしまして、現在所要の調査を行っているところでございます。
#67
○水田委員 局長、これだけの証拠を局長に見せたわけですよ。これはみんな暴力団の犠牲者です。やられた連中が全部事細かに、何月何日どこでということまで出しておるのですね。それでさえ限界があるということで指導できないというのは、あなたは認められないけれども、私がまさに癒着があるのではないかと言うのは、ここに、私が窯業建材課長と私の部屋で二人だけで話したことが全生コンから大阪のこの事務所へ電話が行っておる。向こうで受けたメモがあるのです。私の部屋におらなかった人を、一番業界が嫌っておるある人の名前、これがおったと、こう書いておる。そういう電話をしておるのです。
 ですから、これは課長が全生コンペこのままストレートに、これはことしの一月二十八日のことです。そして、こういうことなのです。関係者の中で、暴力団にやられて石を家へ投げ込まれておる、一月七日にやられた、それからアウトサイダーの連中に対していわゆるセメントを供給させない、そういう圧力をかけておる、そういう点で指導しなさいと言ったことに対して、課長がこの全生コンに「(1)(2)の件は問題にならない。」こう言っておるのです。そう言って全生コンから現地へ指導しておるわけですね。
 私は、こういう事実を全部挙げて、こういうことをやめさせなさいと言ったのです、そのことを。これはだれか言ったのでもない、通産省が全生コンにこう言っておるのです。そして、その中では、水田からいろいろ話があったけれどもそんなことは問題にならぬ、こういう通知をしておるのです。これは向こうのある組合の新聞にも出たそうです。これは何ということですか。私は注意したのです。相済まぬ、こう言って、しかし改まっていない。
 私が疑問に思うのは、そこで、私が四月になって経験したことですが、そういう中で私のところへ全生コンの目崎専務ですか、これが会いたい、あることで謝りたい。会う必要はない、こう言ったのです。私の部屋へ入ってきた。四月十七日の午前九時三十分ごろですが、ドアをあけて勝手に入ってきた。私はオーケーしてないのにあなたはなぜこの部屋へ入ってこられるのか、衛視を呼んで警備で調べてこいと言ったのです。調べさせたら、稻村佐近四郎の部屋へ入ってそこから勝手に来たというのです。あの会館はそういう入り方はできないようになっているのですよ。そこで名前が出てきた。
 もう一つ、私は十六日に浜岡生活局長に、この問題について私は委員会でやらざるを得ぬ、そう言ったのです。そうしたら、稻村佐近四郎にそのことが即日耳に入っておる。その動きがある。一体どういうことですか。私が、どこか圧力があるのじゃないですか、こう申し上げたのはそういう意味なのですが、そういう関係は弁解できますか。できぬでしょう。癒着の最たる証拠じゃないですか。
#68
○浜岡政府委員 生コンクリートの取引ををめぐります問題につきまして、私自身はいかなる方面からも圧力を受けたことはございません。先生御承知のとおり、今私の局は大変難しい問題を抱えているわけでございまして、すべての問題につきまして極めて慎重に、神経質に行動しているつもりでございまして、圧力を受けるとかあるいは癒着をするというような姿勢でこの問題に当たっているというようなことはないということは信じていただきたいと思うわけでございます。
 初めに御指摘をいただきました私どもの、多分前任の課長ではないかと思いますけれども、それと先生との接触の様子につきましては、私が聞いております限りは、もうたびたび先生のお部屋に伺いまして、場合によりましては板挟みになるという状況になりながら、本当に懸命に関係者間の話し合いの場、機会をつくるというようなことに努力をしていたというぐあいに私は受けとめているわけでございまして、決してこの問題につきまして不遜な姿勢で取り組んでいたというようなことはないと思います。
 また、今後とも真剣に、もちろん当事者があることでございますので私どもの思うとおりにはならないかもしれませんけれども、真剣に、真摯に取り組んでいくというようなつもりでいるわけでございます。
 後段で御指摘いただきましたような経過というものは、私もその後担当官の方から耳にいたしまして、ちょっと私自身も理解に苦しむような状況であるというぐあいに思うわけでございますけれども、冒頭申し上げましたようなものが現在の私の姿勢でございまして、そこのところはぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
#69
○水田委員 私の言ったことに対して、例えばこれは現物があるわけですよ。こういう話をして、通産省が全生コンにこうやっておるのです。そして、大阪へツーツーなんです。指導をしておるような証拠はないですよ。まさにこれは一体じゃないですか。そして、何で稻村佐近四郎代議士のところへ、私がこの問題を質問するというのはほかの人にだれも言っていない、局長に言っただけです。即日話が行って、私は変なことに、横手君のように裏からこの質問やめてくれと言われて変なあれに巻き込まれるのじゃないかと大変不安になったような状態が起こったわけですよ。そして私がこの質問をやるのに、資料として、たかだかこれだけのものです、生コン業の構造改善事業に対する金融措置、それから税制上の措置、この内容がどのくらいかというのを、これだけの資料をもらいたいと言ったら、なかなか出さぬじゃないですか。大変苦労してこれだけのものを手に入れた。一体どういうことですか、それは。どこからか圧力があったとしか考えられぬでしょう。
 そして、私はこれはおかしいと思っていろいろ調べてみた、大阪のを。そうすると、昨年の六月に岐阜県でありました。これは、疑惑を持たれている人が亡くなったものですからしり切れトンボになっておるけれども、生コンと稻村代議士との関係は非常に深いという。そして、これは単に岐阜だけではなくて、大阪もそうだという情報がどんどん入ってくるわけです。そうしますと、局長は公正にやっておると言うけれども、この生コンの構造改善が一番に決まったのはどこですか。岐阜でしょう。二番目が大阪ですよ。そこらでの動き。ですから、私は、まさにこれは政、官、業界、そして暴力団絡みですから、撚糸工連よりはもっとたちが悪い、そういうものじゃないかという感じがして仕方がないわけです。
 そこで、これは御承知のように、我々が調べたところでは同じような政治献金がやられておる。例えば、代議士の秘書の名刺の裏に五百万円領収、預かりました、こういうものが書かれて、それを現に見た者が、証人がおる。あるいは、パーティーの際に五百万円渡して、そしてそれを工面するために、組合の理事の中には交際費あるいは交通費の空伝票を切ってとにかく捻出した、そういう証言なども出てきたわけです。そして、五十三年の財務報告の中には、二千二百万円の使途不明金というのがそこでは出てきておる。
 協同組合の指導というのは通産省の仕事だと思うのですが、こういうことで、まさに岐阜と全く同じようなことを大阪でやっておられたのではないかという疑いが多分に出てきたわけです。しかも、先ほど来私が言うように、局長に言っただけが、稻村代議士のところへ、私の質問をどうするつもりか知らぬけれども、情報が流れておる。あるいは、ここに証拠があるように課長と話したのが即全生コンペ行って、大阪へストレートに行っておる。
 これは指導じゃないのです。謀議を凝らしておる。こんなものはほっておけということになっている。そういう指導が、あなたは指導をやってきたけれども不十分だったと言うけれども、まさに、指導するんじゃなくて、癒着してそれを助けてきた、そういう責任があるんじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
#70
○浜岡政府委員 本件につきまして、先生に大変おしかりを受けまして、私自身も本当にびっくりしたものですから、一体どういう状況になっているのか、担当課はもちろんでございますが、私自身関係業界のトップから事情を聴取したという事実は確かにございます。また、それを聞かないととても先生のお怒りを理解できないというぐあいに思いましたので、私自身が直接聞きました。しかし、それ以外のことは全く私はやっておりませんし、特別の国会の関係の方にそういう御連絡を申し上げるというようなことをやった覚えはないわけでございます。
 この協同組合にいたしましても工業組合にいたしましても、経理の面等につきましては厳正を期していかなければならないということは、引用するのが適当でないかもしれませんけれども、撚糸工連事件以来、本当に痛感をいたしているところでございまして、ただいまの先生の御発言につきましては、深く心いたしまして、この生コン関係の業界に対する指導に当たりましても適正を期していかなければならないというぐあいに思っているところでございます。
 しかし、先生御指摘のような、大変関係者間の感情的な行き違いとかあるいは利害の錯綜がございますので、私どもとしましても、問題が起きますごとにいろいろと関係者から事情を聞かなければならない。また、当事者の片一方の方でどういうぐあいにおっしゃっておられるかというようなことは伝えているということは確かにございますけれども、しかし、これは何とか適切な解決方法を見出そうというようなことでの努力の一環でございまして、決して癒着してやっている、あるいは先生からの御指摘をないがしろにするような姿勢で臨んでいるものではないということはぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
#71
○水田委員 私は、ここまでは言うまいと思ったのですが、例えばこれは労使の関係もあります。
 法に基づいて結成された労働組合を、ここにおられる我が党の議員にまで、窯業建材課は、あれは暴力団の集団みたいに言っておるじゃないですか。この全生コンの同じ本部のある中に関東の組合があります。行ってごらんなさい、労働組合は入るべからずと書いてある。構造改善というのは、業者も生き残らなければならぬけれども、そこに働いておる労働者の雇用も考える、産構法では、それはまさに一番論議されたところなんです。
 そういうことをやっておることはあなたたちはみんな知っておる。あなたたち自身が我が党の議員に今まで言ってきたんじゃないですか。それで、反省は全くないと私は思うのです。しかも、これは中小企業等協同組合法の五条三項には、「組合は、特定の政党のために利用してはならない。」先ほど来私が言っておるように、金が流れておる、あるいは使途不明金がある、そういう点で、いわゆる組合を指導する責任がある局が一体何をしてきたのか。できてない。何にもできてない。
 そしてこういう疑惑がいっぱいある。全部証人を出してやってもいいですよ。ここにおる人も、通産省から言われたのですよ。アウトの連中はみんな暴力団みたいなものだ、そういうことまで我が党の議員に耳打ちしたのは通産省じゃないですか。これは何ですか。
#72
○浜岡政府委員 もしそういうような発言があるといたしましたら適切でないと思いますので、私がこの場で深くおわびを申し上げまして、撤回をさせていただきます。
 先ほど来申し上げておりますように、私どもも、非常に残念に思っていることが多々あるわけでございまして、そういう思いをかみしめながら行政に今後とも真剣に取り組んでいきたいというぐあいに思う次第でございます。
#73
○水田委員 もう時間も参りました。私は、渡辺通産大臣にこの論議を聞いていただいて、大臣から答弁をいただきたいと思っておりましたが、まことに残念です。
 田原政務次官にこの状況をずっと聞いていただいたわけです。まさに撚糸工連がある。この問題は撚糸工連より以上に暴力団が絡んでおる。それは、今まで私がずっと言ってきたけれども、全くできない。できないのは圧力があるからだとしか考えられぬわけですね。まさに撚糸工連を上回る政、官、業界、暴力団、これの癒着の中にこういう問題が起こっておる。
 ですから、いわゆる撚糸工連で大臣はおわびのあいさつもされたけれども、通産省の中は一つも改まっていない、全くたるんでしまっておる。そういう気がして仕方がないわけです。これをただして、セメント業界、生コン業界のあり方を徹底的に改善するようにぜひやってもらいたいと思うのですが、決意のほどを大臣にかわってお願いしたいと思います。
#74
○田原(隆)政府委員 お答えします。
 許認可行政などと違って、いわゆる行政指導というのは非常に微妙な問題があることは事実でありますので、いろいろなことが、撚糸事件のようなことも起こりましたが、これを機会に通産省は深く反省して、内部の改革、監査等を含めて今取り組んでおる次第であります。生コン業界の問題につきましても、いろいろ御指摘ありましたが、これについて十分対処してまいる所存でおりますので、どうぞよろしくお願いします。
#75
○水田委員 終わります。
#76
○野田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四分開議
#77
○野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。渡辺嘉藏君。
#78
○渡辺(嘉)委員 日本長期信用銀行、いわゆる日本長銀、こう言いますが、その常務の昨日の談話によりますと、輸入は四十兆、輸出が五十兆、こういう状態の中では、三〇%の円高によって輸入によるメリットは〇・三〇すなわち十二兆円ある。それから輸出によるデメリットは、輸出価格を一〇%値上げをしているので三〇%が二〇%になって〇・二、いわゆる十兆円のマイナスになる。差し引きをいたしますと、むしろ円高によるメリットが現象として二兆円出るんだ、こういう説明をしていらっしゃるわけです。
 今、電力の還元金が公表されまして、その中身を拝見いたしますと、午前の質疑でも明らかになっておりますように、その還元金は各社によってばらつきがありますが、七〇ないし八〇%である、そしてあとの二〇ないし三〇は内部留保をしておる。ということになりますと、これは市場に出回って国民経済にメリットを与えるということはないんじゃないか。ということになると、先ほど申し上げました長銀の常務が言いました、三〇%の円高は輸入においてそのまま国民生活にプラスする、こういう作用はあり得ぬと思うのですが、どうですか。
#79
○赤羽政府委員 円高のメリットの計算でございますけれども、これは大体、大ざっぱな計算でいきまして、先生が御紹介になりました長銀の試算のようになるかと思います。
 それで、円高のメリット、デメリットを考えるには経済全体、マクロの効果、それからそれぞれの個別産業あるいは企業という観点から見ますミクロの観点、こういうことがあると思います。いずれもメリットとデメリットがあるわけでありますけれども、マクロのメリット、デメリット、マクロの効果、これは日本経済をあたかも一つの企業体のように考えて計算をする、こういうことでやりますと、プラスとマイナスを差し引きしてプラスが残るというのはそのとおりだろうと思います。
 ミクロの観点からのメリット、デメリットでございますけれども、この場合には、輸出で商売をしておられる産業、企業、こういったものは円が高くなるに従いまして、円建てで見ました輸出収入がその都度即刻減っていく、こういうことで売上高がどんどんと減っていく、収入が減っていく、こういうことで大変な不況になるということでございます。ところが、輸入品で商売をしておられる産業なり企業、こちらの方は輸入代金の支払い額が節約になりますから、これは非常にもうかってくる、こういうことでございます。
 問題は、ミクロの観点から申しましたときに、プラスとマイナス、これが両極分解と申しますか偏在をする、こういうところにございます。したがいまして、経済政策としてどうするのか、この偏在をしているものを、できるだけメリットをデメリットで苦しんでいるところへ均てんさせる、こういうのが経済政策の課題ではないか。そういうことで円高差益の還元といったことが当面の課題になる、こういうふうに理解しております。
#80
○渡辺(嘉)委員 今度の円高差益の還元については、これはもう何回も明らかになっておるわけですが、一ドルが百七十八円で計算をした、それから一バレルは十九ドルで計算した、これが基礎になっておる、これは御承知のとおりですが、今日の実勢が一ドル百六十円前後に来た、それから一バレルは十六ドル前後と今日では言われておるわけですね。当初、電力料金の計算をいたしますときには、一ドルが二百四十円、一バレルが二十九ドル、こういう計算でなされておりましたのでその差益が出たわけですが、そこで三〇%ないし二〇%内部留保した。その上に、今日の実勢から見るとまだ余禄がある。両方を合わせますると、いわゆる円高によるものと石油価格の下落によるものと両方合わせますると、いまだに二十数%の余禄指数が明らかなのです。そういたしますると、内部留保を三〇%して、その上に二十数%の余禄がまだある、こういうふうに現在の数字では言えるわけですが、そのように計算してよろしいですか。
#81
○渡辺国務大臣 計算の細かいことは私わかりませんが、その為替レートを幾らに見るかといっても、これは神様でなければ実際わからない。したがって、直近何カ月、三カ月なら三カ月というものの平均をとらざるを得ない。円が強くなるだろうという思惑もありまして、それですぐに電力料金を改定して早くメリットを還元しろ、しろというやかましい御質問、御要請が各地からあったのですが、早くやれば円が弱いところで計算せざるを得ない。幾らになるかだれもわからぬから直近何カ月、やはり少し延ばしまして、この点は百七十八円という数字が出たのです。もっと後に延ばせばもっと強い数字で百六十何円が出たのじゃないか、こう言われるかもしれませんが、あるいは戻ってしまうかもわからない話であって、これはこれで仕方がない。
 それから原油価格、これも早くやると二十七ドル、二、三月二十七ドルですから、もっとおくらしたらばもう少し安くなるのじゃないかといっても、これも実際わからない。一方には早く還元してくれというせつない要望が特に不況業種等からもありまして、そこで六月一日検針分からということにしたわけでございます。
 ところが、御承知のとおりガス業界なんというのはかなり、七五%がLNG、天然ガスなんですね。これはいまだに石油換算でキロリッター二十七ドルだ。そういうようなこともございまして、さあこれはしかし長期の数量と価格の契約ですから、相手が下げてくれなければだめなわけですね。七五%が二十七ドル。それじゃ還元のしようがない。そこでスブロトさんとかいろいろ来たときに私からも話をしまして、それは契約はそうかもしらぬけれども、石油は下がったのだから、幾ら契約だから高く売ってそのままでいいのだと言ってもなんだから、下げてやってくれないかという話をしたのですよ。ところが、我々は石油が高いときにも二十七ドルでやったじゃないか、今度はあなた方が我々の面倒を見る番だという話だったけれども、ともかくそこのところは弾力的に二十三ドルぐらいまではというニュアンスの話が実際はあったのです。そういう交渉もあるものですから、十九ドルと二十七ドルとの真ん中をとって二十三ドルぐらいで、まだ下がってないのですよ、ないのだけれども、見込みでやっておるのです。
 電力の方でもかなりLNGは使っておる、そういうようなこともございまして、それは全部吐き出させてしまえという声もありますよ、ありますけれども、本当にこれが下がらなかったりしたら責任問題が起きちゃうわけですから、そういうふうなことも心配がありまして、そこで全部吐き出しということでなく、三割程度の内部留保を認めさせた。万が一の場合も来年の三月ぐらいまではつなげるのじゃないか。もし確実につなげるということがわかってもっと出るという場合には公共事業投資等もやれと言ってありますから、そういうような面にも向けていきたいという考えもございまして、いろいろありますが、御存じのようなことで申請が出ているから、十五日ごろまでに中を見て特別に問題点がなければそれで認可をしたい、そう思って今中身を昼夜兼行で検討しておるという最中でございます。
#82
○渡辺(嘉)委員 円高によるところのメリット、デメリット、両面ある。これはそのとおりなんです。ただ、今政府の施策を見ておりますると、円高による輸入メリットをPRする、これもいいことなんです。いいことなんですけれども、これを大上段に宣伝することによって、本当に円高で苦しんでおる問題点がぼかされる危険があるから、私はこれをまず申し上げたのです。
 どういうことかというと、私の方である輸送会社を調べてみた。そうしたら、原油価格は軽油でなるほどその会社は一億円の値下がりがありましてそれだけのメリットはあったのです。ところが今度売り上げを調べましたら、収入は一億三千万円落ち込んだ。これは企業努力、やり方からしてもそうなるのです。物が動かない、人が動かない、こういう結果が出るのです。細かい話ですが、食料品はどうだろう。あるパン屋を私の方で調べてみた。これも売り上げが五%落ちる。米屋も調べてみた。米屋さんも売り上げは伸びておらない。パンを食わないから米を食ったかと思ったら、米もそうじゃない。
 こういうように見てみますると、輸入する場合でもストレートにそのままレートが反映しないのです。向こうも値上げを考えるわけですね。向こうは下がりますから当たり前のことなんです。そういういろいろな相関関係を考えますると、マクロであろうとミクロであろうと、まずマクロ的な言い方をしますが、日本経済全体としてこの円高によってプラスがあるのだプラスがあるのだ。なるほどプラスはあるのです。プラスがあるからそれを生かす、これは当然なんですが、全体としては日本のような加工貿易国においてこのプラスが作用するのは先の話であり、時にはそれはかなり流通の部分で消えてくる。
 こういうことを考えましたときに、しからば今度のこの円高によって、経済成長を四%と従来見込んだわけですが、経済企画庁としてはこれをどのように下方修正しておられるのか。下方であるか上方であるかは別にして、どのようにこれから経済の見通しを修正していかれるのか、これを承りたい。
#83
○赤羽政府委員 現在公表されております政府の経済見通しは、実際に作業いたしましたのは昨年十一月の後半から十二月の前半にかけてでございます。既に五カ月余りたっている。発表は十二月の末、閣議決定は一月の末ということでありましたけれども、作業の実態は五カ月前のものであります。その間に前提条件の顕著なる変化というのがございました。その最大なものは円レート。これは二百四円を前提にしておりますけれども、実際にはこれがどんどんと急速に上がってきた、こういうのが一つであります。もう一つは石油の値段。これはCIFベースで二十七・三ドル、こういうのを前提に計算しておりましたけれども、これも四月からは十ドル余り下がるということが起こっております。こういうことで前提条件に変化がございますけれども、これらの変化、それに他の要素も総合的に加えてみればどうなるだろうか、こういう点から考えてみたいと思います。
 まず、円が前提以上に高くなった。当然円高にはメリットとデメリットがある。先ほど申し上げましたけれども、デメリットが大きくなっております。これは決して軽視することはできない、深刻に考える必要のある点だと思います。しかしまた、円が余分に高くなったことによりますところのプラスも大きくなっているだろう、こういうことが言えると思います。それに加えまして石油の十ドル余りの値下がりの効果、これによるところの輸入代金の支払い節約によって国内の購買力がふえるという効果がつけ加わります。
 さらに、この間のサミットの宣言のところにも入っておりましたけれども、去年のサミットと比べましてことしのサミットには幾つかの好条件がある、先進国を中心として世界経済は明るくなった、こういうパラグラフがございますけれども、去年の暮れの時点に比べまして現在の時点で申しますと、欧米主要国の景気見通しは明るくなっているという点がプラスの要素でございます。それに加えまして、公定歩合の三回の引き下げ、さらにはこの間に政府が打ち出しております景気対策と総合経済対策、こういうものを勘案いたしますと、確かにマイナスの点は大きくなっているけれども、またそれを相殺する明るい要素も今申し上げましたような四点ということでふえておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
 経済見通しについての改定の作業というものはやっておりませんけれども、現在時点での判断として考えますと、プラス・マイナス相殺ということで、基本的な見方、基本的な経済観というものは現在でもなお有効である、変える必要がない、こういうふうに理解しております。
#84
○渡辺(嘉)委員 今経済企画庁は、四%の成長率そのままこれは維持していける、こういうお話ですが、おたくどもはいろいろな数字がずっと上がってきて三月なり半年たっているのです。私どもはいろいろな現場で、その場その場の各企業の実態を見ておるのです。そうすると、今申し上げたように、一億のメリットはあったけれども、一億三千万売り上げが落ち込んでおるのです、物流が減るのです、全体として財布のひもはかたくなったのです。こういう動きから見て、補正予算も組まない、あるいはまたその他何もしないという前提で組んでおられるわけですが、そういうような状態で内需の拡大が起きて――原油が安くなったって使わなかったら同じことですから、こういうような意味から見て、この成長率を維持するには何らかの方策がなければならぬ、私はこう考えておるわけです。
 その意味で、過日問題になりました、何らかの補正をしなければならぬのじゃないか、そうしないと内需は拡大しないのじゃないか、こういうことが深刻に言われておるのだけれども、今のように経済企画庁が今のままで四%はいけますわというようなことなら、そういう補正予算を組むという意見を述べる人はおかしくなるのですね。どういうことになるのですか。
#85
○赤羽政府委員 ただいま私が説明申し上げましたのは、そういうプラスの要因と考えられるものが幾つかあるということを申し上げたわけでございますけれども、これは、そのままほっておけばそれが実現する、こういうことではないと思います。経済政策、これは弾力的かつ機動的に運営をする、こういうことでございます。
 特にメリットとデメリットということを申しましたけれども、メリットが本格的に需要効果、個人消費とか住宅あるいは企業の設備投資などにあらわれてくるにはかなりの期間、いわゆるタイムラグと言っておりますけれども、これが必要でございます。そういったような間をつなぐもの、さらには予想以上に円が高くなってきているわけでありますから、その面でのマイナス効果も大きいということを申し上げました。それがまた特に余りにも早く出てきたということから企業の対応ができない、時間がありますと対応ができるものが多いわけでありますけれども、対応ができない、こういう厳しい条件のもとで、ほっておいて当初の見通しの基本線がこのまま実現できる、こういうふうに考えているわけではないわけでございます。
 そうした観点から、これから先も機動的に対策を打ち出していく必要がある。特に最近のように急激な、百六十円台の前半といったような事態に対処いたしまして無策であることはできない、こういうことだと思います。総理大臣の御指示もございまして、現在その作業をしているところでございます。
#86
○渡辺(嘉)委員 大臣に承りますが、現在百六十円で定着をし始めているように思うわけですが、これでいいのかどうかということが一つ。
 それから、日本の経済の基礎条件、ファンダメンタルズから見ると、では、日本経済としては好ましいと思うレートは、これはいつも何回も聞くのですがその都度答弁を明確にいただいておらぬわけですが、日本の経済を支え、そしてそれに一定の指針を与える通産省並びに経済企画庁としては、一定の、日本経済ならかくあるべきだというものを明確に出されるべきじゃなかろうか。昨日もアメリカのベーカー財務長官が発言をしたら百六十円が百六十三円になった。いかにもアメリカに鼻面を引きずり回されておるような印象を受けるわけです。そこで、今申し上げたように百六十円でいいのか、しからずば、好ましいレートはどのくらいに考えておられるのか。
 それから、今経済企画庁の局長から御答弁をいただいたわけですが、この四%を維持する、維持できるというような話を聞いたものですから、おかしいじゃないか、こう再質問したわけです。今日この落ち込みがこれからますます深刻化してくる。私の周辺でも廃業、倒産が現実に起きつつあるのです。自殺一歩手前という企業もあるのです。こういう実態から見まして、どうしても内需拡大の一定の注射がこの際は必要だと思う。あるいはまた、先ほどの午前の質疑にもありましたが、レートを幾ら幾らに安定させる、こういうことが今緊急に必要だと思うわけです。
 そういうような観点から、この際、通産大臣並びに経済企画庁長官にそれぞれ承りたいわけですが、今申し上げた点と、それがために内需拡大のためのカンフル注射が必要だとすれば、これはもう補正予算を組まざるを得ないと私は見ておるのです。先ほど局長はその作業に入っておるとおっしゃいましたが、どういう内容のものなのか、この際承りたい。
#87
○渡辺国務大臣 円ドルレートが幾らがいいかということは、それは安い方がいい人もあるし高い方がいい人もありますから、政府は幾らがいいとなかなか言い切れないわけですね、利害関係が違うわけですから。それはもう輸入をして消費をじかにする人はなるべく高い方がいいだろう。しかし、これにも限界がございます。百六十円がいいと言う人もあれば、いや百八十円ぐらいがいいのだと言う人もあるわけですから、政府は幾らがいいとなかなか言い切れません。まあどこかで折り合うところがいいのでありまして、それはアメリカだって、ドルが安くなる、暴落するということは、日本に対して通貨の価値が下がる、値打ちが下がるということで、日本からの輸入品は高くなるということになりますし、どうしても買わなければならぬものはやはり輸入インフレの危険だってないというわけじゃありません。そういうものを総合勘案して落ちつくところに中長期的に見て落ちついていくということがいいのであって、落ちついたところがいいのですと実際は言わざるを得ないのです。
 それは目先で見れば、百七十円か百八十円がいいでしょうなんて言う人はいっぱいありますよ。あるいはそれはその人にとってみればそうかもしらぬ。しかし、そこは自由にならない。ただ、言えることは、余りにも、十円も上下に短期間にふれる、そういうことは好ましくない。幾らまで円が強くなるのか弱くなるのかわからないと、産業界でも計画が立たぬというんですよ。それは幾らなら幾らと決まってしまえば仕方がない、動かしようがないんだから。それは世界じゅうのことであって、日本銀行がしゃっちょこ立ちしたってだめなときはだめですから。だけれども、計画が立たないのがもっと困る。だから落ちついてもらいたい。当分ここらで行くのだという目安ができることがいい。そういう点については、投機筋等によって余り急激なドル安あるいはドル高に振れることは、アメリカもこれは実際は困るんですよ。そういう場合には、有効なことであるならば共同介入の余地は残しておきましょうということで合意をしておるわけであります。しかし私は、あるところへ行けば岩盤にぶつかって、そんなに円高になる、どんどん進んでいくと思いません。その揺り戻しが、きのう、きょうあたり出ているのはそこだろうと私は思っております。これがこのままずっと落ちついていくかどうか、もう少し先を見なければわかりません。しかしながら一方、輸出関連の事業が非常に深刻な状況にあることは事実です。したがって、強いところは値上げをしたり合理化をしたり、結構頑張ってやっておるわけです。四月の物量ベースは大体とんとんぐらいになっちゃったんですね。二月が物量ベースでどんどん、三月がマイナス二・一%、これは輸出がだんだん減るのかなと思ったら、四月でまたもとに戻しちゃいまして前年並みぐらいの数字が出てきたということですから、これはもう少し様子を見ないと、輸出はだめだ、だめだと言っているのだけれども物の面ではそんなに減ってないじゃないかという点もそれはあるかもしれません。ですから、もう少し様子を見たい。
 しかしながら政府としては、内需拡大のためには住宅減税もやりました、投資減税も決めました、お金もそろえました。それから電力料も、一兆円もともかくガス、電気で負担軽減を図ります。それから公共事業の前倒しもやります。それは半年、九月までにやりなさい、やりなさいと言っているわけですけれども、それがまだやってない。それを速やかに実行してもらうということが先決であって、六月、七月、八月とあるわけですから、動きを見ながら秋以降、必要があれば適切な措置、それは財投に頼るのか、建設国債にするのか、一番いい方法は何なのか。公共事業といっても、ただ一律にべたっと張りつけたってそれは土地買収費と権利の補償金だけで八割も消えちゃう。東京なんかそうだからね。そんなところはやったって余り意味がない、一年目はみんな地主に取られてしまうような話では。だから、そういうようなことでないような方法で本当に波及効果の大きいものは何か。そういうものも含めて研究は怠らない。そして、まず秋口以降いざというときに出動できるという態勢だけは最小限度とっておく必要があるのではないか、そう思って政府内部でも今鋭意検討をしている最中でございます。ですから、内需拡大は必要である、私はそう思っております。
#88
○平泉国務大臣 大体通産大臣が各面にわたって答弁をされたので、特に意見の違うところもございませんし、補足するところもそんなにございませんが、二、三申し上げれば、昨年の九月のプラザ・アグリーメントと称する、いわゆる日米を初めとして主要五カ国の大蔵大臣及び各中央銀行総裁が集まって協議以来、累次にわたっていわゆる変動相場制の変動幅をもう少し安定的に導こうという種類の努力が行われてきた。最終的に先般のサミットでその辺の努力を各国首脳が再確認をいたしまして、さらにその機構を五カ国から七カ国を含めるというような点、今後もこの努力を続ける、必要とあらば介入も辞さない、その際に必要なファンダメンタルズについてはさらに各国ともあらゆる材料を十分に点検しよう、こういう合意が行われたわけでございまして、ある意味では変動相場制の展開の中でかなり大きな前進が見られた。
 今通産大臣も申しましたが、取引の安定とか、おっしゃるとおり経済は生き物でございますから、いかに経済のファンダメンタルズの潜在的な力があっても、経済活動の中にそれを具現するための心理的な要素といったもの、あるいは景況感と申しますか、そういったものも十分に支えていかなければならぬわけでございますので、そういう点では、各国の間におおよその合意が見られておるというようなことが、今後の景気を支えていく上においてポジティブというか積極的な一つの大きな要素ではあるまいか、そのような成果も一つはきょうあたりからの為替の相場にもあらわれておるのではあるまいかと思うわけでございます。為替の相場そのものということよりは、余りにも変動が激しいことが経済活動の実体面に影響を及ぼすということは私どももよく認識をしており、また各国もこれは十分認識をしておると思うわけでございます。
 それから内需拡大策につきまして、おっしゃるとおりデメリットが非常に大きいわけでございますから、それにつきましては閣議の席でも内閣総理大臣みずからも発言がありまして、関係各省庁すべての閣僚がそれぞれ所管の事務について内需拡大について思い切った措置をぜひ考えてもらいたい、こういう指示も特にあったわけでございます。私ども経済企画庁が中心となりまして、関係の各省庁との間で十分な調整を行いながら、とにかく経済状況の維持、景気をよくしていく、一言で言えばそういうことのための努力は今本当に昼夜兼行で鋭意行われておるわけでございまして、旬日を待たずしてその結論が得られるというふうに私は了解をいたしておるわけでございます。
 さらに、その後この六十一年度の経済見通しを実現するために追加の措置が必要であるかというようなことにつきましては、さらに今後の経済情勢を慎重に見守りまして随時措置をとっていかなければならぬと思っておるわけでございます。
#89
○渡辺(嘉)委員 それぞれ御答弁をいただきましたが、合点のいくところまではどうしてもすれ違っていけませんけれども、一応今承りましたことを前提にいたしまして、ぜひひとつこの円高によって苦しんでおる問題を、ぼかさないようにしていただいて、そしてそれの対応を十分措置願いたい。
 そこで、この円高対策等のために特定中小企業者事業転換法が過日、二月二十五日に施行になって以来三カ月たったわけですが、その間にもまた急ピッチな円高が進んだわけです。ところが、本法を具体的に進めていくに当たりまして、やはりいろいろな問題点が出てきたわけです。この点について承りたいと思います。
 組合が事業転換のための円滑化計画をつくって特定商工組合がそれを組合員に実施させる、こういう作業に実際もう入っておるわけです。入らざるを得ないので入っておる。これをつくりますと、今度は県に提出して県の審査、認可をいただいて、これが局に提出され本庁に回ってくる、こういう仕組みになってくるわけですが、本庁の方では現在その円滑化計画がどういう状態になっておるか。
 そして、もし仮に今度は六月にこれが認可になったとします。そうすると、これは直ちに特定商工組合に対して助成、いわゆる補助金等の交付をして、すぐその作業に入らせる。こういたしましても、今度は県が一緒にセットになりますから、県が六月議会で対応できない場合には、今度九月議会になってくると、これが実際末端に来るのは八月になったり十一月になったりする可能性があるわけです。そうすると、問題はそういうふうに遅くなったということと、それからあとの残された何カ月間でそれを消費しなければならないのかどうか。いわゆる補助対象の使用期間ですね。こういうようなことから考えますと、これは少なくともこの四月から始めておる部分についてはもう対応してやるというふうにして、まずやっておるものはやりなさい、そして認可にならなかったらやむを得ぬから自分持ちですよ、認可したならばこれは当然対象にしましょう、これぐらいのことで進めませんと、実際問題、来るまで待っておれないのが実情なんですが、この点についてはどういうふうに措置をされますか。
#90
○広海政府委員 御質問の、商工組合等が実施いたします転換円滑化事業に対する補助金の件でございますけれども、これは御案内のとおりに、県が認可いたしまして、そして県がそれに対して補助事業を行う、それに対して、それといいますのは県ですが、県が行う補助事業に必要な経費を国が補助する、こういう仕組みになっているわけでございます。したがいまして、これは組合に対する国の補助ではなくて、県が組合に対して補助をする、その補助について国が補助をするということでございますので、まずもって県が補助をするという交付決定をすることが前提にならざるを得ないわけでございます。仕組みがそういうことでございますので、やはり本事業に対します県の補助金の交付決定を待ちまして補助を行うということをせざるを得ないわけでございます。
 しかしながら、事業の円滑な執行を図るという観点から何かもう少しできないだろうかということは、検討はしてみたいとは思います。しかしながら、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というのもございまして、それとの絡み、あるいは県の意向、県の予算制度、もろもろのことを考えますとなかなか難しいことではないか、このように判断しております。
#91
○渡辺(嘉)委員 今のようなのんびりした御答弁をいただいておると、その間に、転換したくてもしていけない、中小企業は自分だけではやっていけない、だから共同でやろうというのが、そんなのんびりしたことをやっておったら、つぶれてしまいますよ。やっていけませんよ。今それぞれ非常にムードのいい御答弁を、大臣以下いただいておりますけれども、そんなものじゃないのですよ。私が言うように県がやるのですよ。だから、県が六月議会で間に合わぬからといって今度九月議会にしたら、九月議会が終わって交付決定するのが十月過ぎであったら、十一月しか金が来ないのですよ。そうすると、それ以後しか使えないということになれば、その間は何もやらずに待っておるのかどうかということです。そんなわけにいかぬのです。やらざるを得ないのです。やるとすれば、当然この四月からはその対象にしてやらなかったら、やれっこないじゃないですか。出てくるのは先でもいいですよ、やむを得ぬから。事務的におくれてもやむを得ない。しかし、対象は四月からなら四月からにしてやる、こういうふうにしてもらわなければどうしようもないのですが、その点はどうですか。
#92
○広海政府委員 御指摘の事情はよくわかるのでございますけれども、先ほど申し上げましたような補助制度、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づきまして補助金の交付の施行をしていかなければならないという立場がございますので、先ほど申し上げましたように、その法律との絡み、それから実態、県の意向、県の予算制度、そういうものも踏まえて検討してみたい、このように考えております。
#93
○渡辺(嘉)委員 では、その善処をぜひひとつお願いいたします。
 次に、それと関連するわけですが、その補助対象になりまする内容につきましては、転換先の情報収集であるとか技術開発、販路開拓あるいはまた転換先の技術、ノーハウの研修、そういういろいろなものがあるわけですが、問題は、それらの研究員、これに対しては補助の対象にならない、こういうふうに承っておるわけです。それぞれの組合員あるいはまたそこの職員等々にどうしてもいろいろなことを実際にやらせなければならない。ところが、外から雇い入れた外部の先生ならいいけれども、あるいはまた人件費ならいいけれども、中の人はいけない、こういうことになるわけですね。
 私は、そういうことでなしに、さきに税法でも明らかに出ておりますが、いわゆる試験研究に専ら必要な者が専門的に専従した場合には税法の面でも対象にいたしておるわけです。そういうような意味から見て、実際に必要なそういう人件費は見ていいのではないか。そうでなかったら、今度その人々が出向してきた場合にはそれに対して何らかの実費弁償、謝金を払う、こういうようなことででも見るなり、実際問題として可能な方法で見てやらないと、物だけは備えたけれども、それを動かす人がおらない、動かすものは手前持ちだ、こういうようなことではとてもやっていけないわけですね。そこらについてどうですか。
#94
○広海政府委員 本補助金の補助対象は、組合等がその構成員等の事業転換の円滑化を図るために行う情報収集提供事業あるいは需要開拓事業、新商品・新技術開発事業あるいは研修事業ということになっているわけでございます。それで、その事業のうち、補助の対象となります経費につきましては、謝金、旅費、庁費、委託費といったところでございまして、組合に雇われている例えば専従の研究員の人件費は対象になっていないわけでございます。その点は、御指摘のとおりでございます。
 なぜそうなっているかと申しますと、実はこの補助制度だけじゃなくて、類似の制度がみんなそういう形になっておりまして、雇われている人の人件費、これは補助対象になっていない。これは類似の制度みな共通した扱いになっているわけでございます。
 これは実はいろいろな問題があるわけでございます。一つには、補助対象事業に専従しているかどうかということの証明が実際は非常に難しいという問題が実はございまして、ほかの補助制度で人件費を対象にしたものもあったわけでございますが、会計検査院検査上、本当にそれだけに専従していたのかどうかということをめぐりましていろいろ問題が出たこともございまして、これは実際の証明というのはなかなか難しいわけでございます。その組合がその事業だけをやっておればいいのでございますけれども、いろいろな仕事をしている。そうしますと、補助対象事業にだけ専従しているということの証明はなかなか難しいということもございまして、そういうような現行の制度になっているわけでございます。
    〔委員長退席、佐藤(信)委員長代理着席〕
#95
○渡辺(嘉)委員 だから、税法においては、所得税法、法人税法でも、ここに明らかにいたしておりまするのは、法第十条に定める試験研究に要する費用で政令で定めるのは次のとおりだ。「その試験研究を行うために要する原材料費、人件費(専門的知識をもって当該試験研究の業務に専ら従事する者」、こういうふうに明らかにしておるわけですから、これは不可能じゃないのです。ですから、専らそれに当たる者ならこれはその対象に入れませんと、仏つくって魂入れずなんですよ。こういうような意味で、この際はこれを何らか具体的な措置で可能な方法を検討していただきたい、こう思うのですが、どうですか。
#96
○広海政府委員 検討してみろということでございますので、もちろん検討はいたしてみたいと思っておりますが、先ほど申し上げましたような実際上のいろいろな問題もございまして、どういう便法が考えられるか、さらに検討はしてみたいと思いますが、先ほど申し上げましたようになかなか難しい問題であるというととも御了解願いたいと思います。
#97
○渡辺(嘉)委員 難しい難しいと言っておらずに、検討するなら一遍検討をきちっとして、先ほどから何回も言うように、仏つくったら魂も入れてもらって、この事業転換の実を上げていただきたい。
 ちょっと時間を超過しましたもので、はしょりますが、次に訪問販売の問題で聞きたいわけです。
 この訪問販売の問題で公正取引委員会は五十九年に行政指導をされまして、十一月二十九日にその文書を出されたわけですが、これによりますと、訪問販売でいろいろなトラブルが起きますのは、売り手と買い手の消費者、ここで問題が起きるわけです。ですから消費者保護でいろいろな措置を講じてきたわけですが、問題は、この売り手と消費者との間に売るためのいろいろな機構があるのです。この機構が直接そこの売り手の社員である場合もあるし、中間の委託業者の場合もあるのです。化粧品等、ポーラを初めとするそういう業界は中間に一つの機構が置いてあるのです。これが委託契約という形で動き出すのです。ですから売り手と消費者との間にもう一つの機構が存在しておる、これが現実なんです。だから、そのいわゆるパイプ役になるべき機構に対して売り手、メーカーは不当なことをやってはいけませんよ、これを過酷なことをやりますといろいろな問題が出てくる、そこで、それに対するいろいろなことをされたわけですが、これについてその後この行政指導がどのような実を上げてきたのか、公取の方からお答えをいただきたいと思います。
#98
○利部政府委員 ただいま御指摘の行政指導のガイドラインを出しまして、訪販化粧品業界でもその趣旨の徹底を会員会社に努めて行ったことは聞いております。その後、それまでにちらちら起きておりましたトラブルのようなことも出ておりませんし、消費者の方からの苦情というのも出ておりませんでして、一応行政指導で目指した訪販化粧品業界の適正な秩序立った販売の方向に向いてきているのではないかというふうに理解しております。
#99
○渡辺(嘉)委員 それは表面立って出ない、しかし内部にいろいろ底流で始まったのです。しかし、もう時間がありませんのでそれを個々に指摘はいたしませんが、それがためにここにポーラ化粧品を取り扱っておられる、その中間の機構である、委託を受けておる販売業者の方々が企業組合をつくられた。それで従来の営業所を企業組合の営業所として活用することによって相互扶助を図ろうとされたわけですね。そうした場合には、この企業組合に対してそれぞれの営業所と従来同様の委託契約を結ぶことは当然だと思うのですが、その点はどうですか。
#100
○利部政府委員 企業組合というものの性格につきまして私の方は十分知っておりませんので明確なお答えはできませんが、企業組合というのは数個の中小企業が一つの企業体に変わるということになりますと、それまでの取引関係、取引契約の相手方がまた変わるということになりますから、契約の変更のようなことはしなければいかぬことになりそうですが、それに伴って、しかし今まで複数であった相手方企業が一つになったからといって、今までの取引関係を継続できなくなったという理由もどうも取引慣行、取引実態の上からしてよくわからない。そういうことがどうもあるようには思われないのでございます。今の問題、独禁法との関係が非常に難問でございまして、直ちに明確なお答えができないのは残念でございますけれども、今まで独禁法の関係で余り起きたことがない問題なのでございます。
 例えば、二つの小売店が合併して一つになったという場合に同じようなことが起きそうに思いますけれども、実態的にはそういう場合に取引を切るということはありません。実態的に企業組合になった場合に同じものなのか違うものなのか、にもかかわらず従来の取引関係が継続できなくなったというのがどういう理由があるのかによって判断が違ってくる面があろうかと思います。
#101
○渡辺(嘉)委員 要は、中小企業者が相互扶助の組織としての企業組合をつくったら契約を拒絶するというようなことができるのかどうか。これはもう一遍公取と中小企業庁の方ですね、企業組合になったらそういう契約はしませんよというようなことは、中身が変わらぬ場合に法律の原則論としてあり得るのかどうか、どうですか。
#102
○遠山政府委員 今のお話の、企業組合になったことによって取引の契約を変えるかどうかという問題でございますけれども、企業組合と申しますのは、これは御説明するまでもございませんが、組合自体が一個の企業体として事業を行うものでございまして、そういう一個の企業体、つまり個人ではなくて法人としての組合と取引を行うかどうかというのは、これは契約自由の原則に従いまして個々の企業が決めるべき問題でございます。したがいまして、そういうことによりまして企業組合がどうかということにつきましては、それは個々の企業が判断するものでございますので、私どもとして特段判断すべきことではない、こういうふうに考えております。
#103
○渡辺(嘉)委員 時間がないから一点だけ言いますが、そういう間の抜けたような答弁をしておったら、中小企業の相互扶助のための組織化をしなさいと言いながら、そんなことはそちら側でやりなさいというようなことなら、これから相互扶助の組織論なんて言いなさんな。冗談じゃないですよ。少なくとも中小企業が固まって相互扶助でやりなさい、これは中小企業庁の本来の任務じゃないですか。それを企業組合になったら契約をしませんよというようなことは原則論として許されるのかどうか。そんなことは許されぬですよ。今まで青色申告やっておった人が有限会社になったら取引しませんよ、そんなことはあり得ないのと一緒で、むしろ前向きに、企業組合になったら契約を打ち切ることのないように、もっと相手方に指導してやっていくのが中小企業庁の仕事じゃないですか。その任務を忘れて今のような答弁をしておるというのは、これはやり直しですよ。答弁をやり直されるかどうか、もう一遍答弁してください。
#104
○木下(博)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、経緯を私も聞きましたところ、ポーラ化粧品として製品販売しているルートとしては、法人形態は各地の販売社までであって、支店以下は個人形態であるということになっているようでございます。そのためにこういう問題が起こったのだと思いますが、確かに先生御指摘のように、中小企業者の場合、こういう組織化をしてお互いに相互扶助をやって事業をやっていくということを私ども進めているわけでございますから、本来であれば、そういう形で販売をやっている人たちが一緒に集まってやるものを、今度は、形式的には確かに法人になったわけですから、法人になったものを除外するという会社の方針自身が本当はちょっとおかしいなというふうに私は思っておるわけでございます。ただ、会社としてはそういう形態でやっているということなものですから、あとは独禁法上の問題で何かおかしなことがあるなら公取の方にお願いしたいというふうな感じでございます。
#105
○渡辺(嘉)委員 時間がありませんから要望だけしておきますが、ひとつ中小企業庁もその点はきちっと相手にも指導すると同時に、公取の立場から見ても、優位的地位を利用してのそういう拒絶等があったらこれは断固として取り締まっていただきたい、このことを強く要望して質問を終わります。
#106
○佐藤(信)委員長代理 奥野一雄君。
#107
○奥野(一)委員 最初に、貿易収支の黒字などがどんどんふえて、円高になってもさっぱり減らないというようなことで、貿易摩擦の解消ということで企業の海外進出などが随分ふえているわけです。いろいろな企業があると思いますけれども、すべてについてお尋ねをするわけにはまいらないと思いますので、特に自動車の関係で、最近のいろろな報道なんかを見ておりますと、日本でつぐらないで海外に工場を建てて向こうで生産をするというのが大分ふえてきているわけですが、一体どのくらい海外に進出をして生産をしようとしているのか。雑誌なんかにもその経過など載っているのがございますけれども、それをお聞きしたいということと、どのくらい海外で生産されるのか、あるいは、向こうで当然現地雇用ということになるわけでありますが、どのくらいの数になるか。恐らくその分だけ国内の生産が当然減るだろうと思われるわけでありますけれども、それに伴って国内の関連の企業、そこに勤める労働者もそうでありますが、相当な影響を受けるだろうと思われているわけでありまして、どういうような影響が出ると思われているか、あるいはそれに対して何らかの対策というものを今講じようとしておられるか、その辺のところからまずお聞きをしていきたいと思います。
#108
○杉山(弘)政府委員 自動車産業の海外進出についてお尋ねがございましたので、お答えを申し上げます。
 まず我が国の自動車産業の海外進出の状況でございますが、私どもが把握しておりますところでは、現在までに既に海外に進出をいたしまして現地で自動車の生産を開始しておりますものでございますが、これはアメリカにおきまして三社ございます。御案内のとおり、本田、日産、それにトヨタとGMの合弁企業がございます。これ以外はいずれもまだ工場の建設に着手したところないしは進出計画を発表したところでございますけれども、これにつきましては、米国ではトヨタが単独進出を先ごろ決定をいたしておりますし、マツダ、さらには三菱自工とクライスラーの合弁企業も現地での工場を建設中でございます。カナダにおきましては、本田技研とトヨタの二社が進出を決定いたしておりますし、英国につきましては日産自動車が現に工場を建設中でございます。
 これらの海外進出によります現在及び将来におきます自動車の生産台数及びその現地での雇用数ということでございますが、現在までの生産能力は、トラックを含めまして年間約六十万台分が既に操業を開始いたしております。これによります現地雇用は約六千人というように承知をいたしております。
 次に、現在建設中のものが稼働に入りました場合どうなるかということでございますが、先ほど申し上げました各社の計画が現実化いたしました場合、これもトラックを含めた台数でございますけれども、全部合計をいたしまして年間八十五万台程度の生産能力を持つ、そしてそれに要する現地雇用は約一万二千人ということに相なろうかと思います。したがいまして、現在までに既に進出済み及び工場建設中のものがフル稼働いたしました暁には、一九八〇年代の末におきまして生産能力は約百七十万台、これに要します現地雇用が約二万人程度というふうに私ども承知をいたしております。
 それから次に、こういった自動車企業によります海外進出が実際に行われた場合に、部品産業等に対する国内での影響はどうかというお尋ねでございますが、現在までのところは、先生御案内のように、自動車の輸出自主規制につきましても、去年、ことしの間は枠が横ばいでございますけれども、二年前に比べますと百八十五万台から二百三十万台というふうにふえてもおりますし、自動車全体の全世界的な輸出も決して減ってはおりません。したがいまして、国内での自動車の生産台数が減少するというところまでは至っておりませんので、現在までのところ、この進出に伴う国内産業の空洞化というのは、現実の問題としては起こっておらないと私どもは承知しております。
 ただ、先ほど申し上げましたように八〇年代末で百七十万台という能力が現地にできました場合に、これらの国々への輸出が現在と同じ程度の規模を期待できるかどうかということになってまいりますと、この点につきましては、例えば最近米国に進出いたしました韓国の現代自動車の問題でございますとか、ユーゴその他からの新しい小型乗用車の米国における発売といったことで、我が国の自動車産業の得意にいたしております小型車分野におきましての競争が相当激しくなるという予想もありますので、そうしたときに、日本からの乗用車の海外輸出が現状程度を維持できもかというところにつきましては、かなり問題があろうかということになります。
 そうなってまいりますと、先生御心配の空洞化ということが現実の問題になってまいろうかと思うわけでございますが、いずれにいたしましても将来の話でございまして、これがどの程度我が国からの輸出の減少につながるのかというところについて、まだ今の段階で数量的に把握することは非常に難しいのではないかというふうに考えておりますので、お尋ねの、どの程度の影響が現実に出るのかということにつきましても、ただいま現在ではまだ私ども確かな数字を手にしておるわけではございません。ただ、心配はありますので、その点については十分注意深く見守っていきたい、かように考えているところでございます。
#109
○奥野(一)委員 これは後の方の質問ともちょっと関連してまいりますから、後の方でもまた触れたいと思っておるわけてありますが、いただいております資料ですと、六十年の生産台数は全部で千二百二十七万台でございます。そのうち輸出比率というのは五五%とありますから、六百万台以上ということになるわけでありますが、大体それの三分の一近くが現地生産、こういう形に将来はなっていく、数字だけではそう見られもわけですね。三分の一ということになりますから、やはりその分だけ台数が伸びれば別ですけれども、伸びないで今のままだということになれば、それは国内で生産する分が当然減る、算術計算でそうなるものですから、ちょっと心配があって今お尋ねしたわけですが、これは後でまたちょっと関連して触れていきたいと思います。
 それで次は、産構審の企画小委員会の中間答申の中では、昨年九月二十二日のG5以降、主要国間の政策協調によってドル高是正が図られつつある、これが長期にわたって継続することができるならば、国際収支の不均衡はかなりの程度改善される、こう述べているわけです。今日まで約半年以上たっているわけでありますけれども、円はとにかく毎日のように上昇を続けている、一向に国際収支の不均衡というものは改善されていない、こういうことなんですが、その原因は一体何だというふうにお考えになっているか。それと、長期というのは一体どの程度と考えられているのか、これをひとつお尋ねをしておきたいと思います。
#110
○福川政府委員 円は昨年のG5以来上昇を続けてまいったわけでございます。現在四月の段階で見ますと、ドルの表示では大体前年同期に比べて二〇%ぐらい高くなっておりますが、円で見ますると一五、六%ぐらい低い水準になっているわけでございまして、そういう意味では円の手取りが減りますことを、何とかこれを取り戻そうというわけで、ドル価格を高くしているわけでございます。
 数量ベースで見ますと、三月は前年同期に二%減でございました。四月はそれより少し減少が少なくはなりましたが、そういった輸出数量の減というのは、この円高によって徐々に効果が出てくるわけであります。しかしながら、ドル価格を引き上げておりますために、どうしてもドルで表示をいたしました国際収支の黒字が今高く出る、こういうことになってまいるわけでございます。
 そういう点で考えますと、私どもとしては、ぜひこの円高を吸収する上で、また国内の需要不足をカバーする意味で、内需の拡大ということに非常に努力をしなければならない、かように考えているわけでございます。また、特にそのドル価格を今引き上げておりますのは、日本の中でかなり非価格競争力の高い産業分野が価格を高くしても通るということで、それがドル価格が高くなっているわけでありますが、そういったように円レートの変化というものは業種によってその影響するところが違ってくるわけでございます。
 私ども、この最近の円高ということによってかなり海外投資も促進される、あるいは国際分業が進む、こういうふうになるものと考えておりますが、今後この日本の大幅な黒字を解消していくということになりますと、今のこういった円高も一つの加速する要因でもございますし、あるいはまた、必要がございますれば政策的な支援を講じて国際的な分業を進めていく、そして膨大な黒字を減少させて適正な関係に持っていく、こういうことが必要であると考えているわけでございます。そのような産業調整、構造改善を進めていくに当たりましては、やはりどうしても私どもとしては内需を拡大をする、プラスサムの形でこれを吸収していくということがこういった摩擦を少なくする一つの重要なポイントである、かように考えているわけでございます。
 ただ、この構造改革というのは、特に雇用の移動を伴うわけでありますから、相当の時間がかかることになるわけでございまして、そういった意味では、かなり早目からそういった意識を企業経営者が持っていくということが必要であり、その意味で私どもも二十一世紀をにらんだ展望をつくった、こういうことでございます。
 私どもとしては、この円高というのはいろいろな意味で当面の収支の改善にも役立ちますし、あるいはまた国際分業の形成にも役立つと思っておりますが、その間に生ずる摩擦というのは私どもとしてはそれをミニマイズしていく政策的な努力が必要である、かように考えております。
#111
○奥野(一)委員 後でまたお尋ねをする部分も今ちょっとお答えになっておりますが、これはまた後の方でちょっとお尋ねしていきたいと思います。
 最近新聞紙上をにぎわしておりますのは、円高差益の還元というようなことが随分最近の話題になっているわけですけれども、反面今度の国会が始まりましてから問題になりました円高によって打撃を受ける企業対策、これが何か少し忘れられてきているような感じがするわけでありますけれども、依然としてそれは残っているわけですね。きょうもそういう議論というのが若干あったわけでありますけれども、私どもどうも不思議だなと思っておりますのは、昨年九月にG5というようなことで政策協調によってドル高を是正しよう、そういうのが持たれて、確かにその効果があらわれた。端的に言えば、少し急激にあらわれ始めた。そういうことで、国内ではなかなか対応に追われて、企業も困っておる、そういうようなことだ、こう思っているわけでありますけれども、一体このG5という中では何かそういうことについて決めたのだろうと思うのですね。こういうことをしようじゃないか、ああいうことをしようじゃないかということで、ドル高是正というものをやろうじゃないか、各国が協力し合おうじゃないか、そういうふうなことになったと思うのですよ。
 それで、私どもどうしてもなかなか理解できないのは、我々が何か物事を決めようというときには、その結果こういう影響が出るんじゃないか、それに対してはどういうような対策をしておこうか、大体事前にそういうことを決めていろいろな行動を起こすはずだと思うのですね。それが急激に来るか来ないかは別にして、二百四十円なら二百四十円の円レートということでは少し安過ぎるのじゃないか、これは二百二十円とか二百円とかあるいは百八十円とか、そういうふうにしようじゃないか。そのときには、それじゃ国内の産業にどういう影響を与えていくのか、当然そういうことに基づいていろいろな対策というものがとられるべきだ、こう単純に思っているわけでありますけれども、どうしてそういうことについて今日まで対策がおくれてきたのか、その辺のところがちょっとわからないわけなんですよ。ですから、大蔵省の方でもおいでになっておると思うのでありますが、その辺のところをおわかりになっている点があったら教えていただきたいということが一つですね。
 それから大蔵関係の方だけ次にやっていきたいと思いますけれども、今度の東京サミットで円高調整についての協力が得られなかったというふうに我々認識しているわけですけれども、昨年九月のG5でドル高調整をやろうというときに、当然それはドルを安くするということは円なりほかの貨幣が上がるということだと思うのですね。ですから、それぞれの国はそれに対応したいろいろな対策というのを立てるということが当然考えられておったと思うのだけれども、何で東京サミットで円高是正ということについて協力を求めなければならなかったのか、この疑問が一つあるのですね。ですから、そういうようなことについてはG5の中でどんなことが議論されたのか、その辺についてわかっておったら教えてもらいたい。これが二つ目ですね。
 それからもう一つ、今度イタリア、カナダの二国を含めてG7というようなことで何かやるんだそうだというふうに報道されておりますが、これは今の国際収支の問題だとか、あるいはドル高是正の問題だとか円高の問題だとか、そういうものが五カ国だけではどうしてもやり切れない、そういうものが含まれておったのか、こう思うわけでありますけれども、これはどんな意味を持っているのか、これについてもひとつお尋ねをしたいと思います。
 それからもう一つでございますが、これは先ほど渡辺議員の方から通産大臣の方にお尋ねをして、円レートが幾らであればいいんだということについては簡単に言われないよ、こういうお答えがあったわけでありますけれども、産構審の方で出しているものをちょっと見ますと、こういうようなことを書いてあるんですね。「輸入の拡大を図るためには、為替レートの適正化・安定化と内需拡大」云々、こうあるわけですが、安定化はわかります。これはどの辺の円レートであろうが落ちつくということは安定化だろうと思うのですが、適正化ということになりますと、これは日本から見て円レートがこのくらいであれば適正だ、こう思われるものがなければこういう言葉は出てこないと思うんですよ。だから、それについての見解があれば一緒にお尋ねをしておきたいと思うわけです。
#112
○金子説明員 第一点の昨年の九月のG5でどのような決定が行われたかということでございますが、御承知のとおり昨年の九月にG5がニューヨークで行われまして、その際には、為替相場が各国の経済パフォーマンスを正しく反映していない、そういう認識に基づきまして、まず第一点として各国が経済政策の協調を行う、それから第二点として為替相場適正化のためにより密接に協力する、第三点として保護主義をできるだけ抑える、こういうことが合意されたわけでございます。
 ただ、委員御指摘のとおり、適正な為替相場という話なんですけれども、昨年のG5におきまして、特に特定の水準を念頭に置いて、そこまで持っていこうとか、そういうような合意があったということではございません。ただ、その当時の為替相場というものが必ずしも経済ファンダメンタルズを正しく反映していなかったということで、少しでもそういうものをより反映するように持っていこうという合意であります。その場合に、どんどんドルを安くしていくんだということではございませんで、昨年のG5の合意の中でも、あくまでもなだらかなドル高の是正をいうことでございまして、そういう方向で努力するということになりまして、その線に沿って一応の協調が行われたということかと思います。
 それから第二点で、それではサミットで何とかしてくれというようなことを言うのはおかしいではないかというお話でございましたが、今申しましたように、当初期待しておりましたのはあくまでもなだらかなドル高是正ということでありましたところ、御承知のとおり最近の為替相場というのは相当急激な動きをしておりまして、その点につきまして、私たちはサミットで我が国経済への悪影響について十分説明いたしましたし、為替相場の安定の重要性を強調したところでございます。もちろんのことながら為替相場の安定というのは極めて重要なことでございまして、これは各国とも完全に意見が一致しているところでございます。ただ、為替相場というのは各国のいろいろな経済活動の反映でもございますので、やはり為替相場の安定を図るためには政策協調というのが最も重要だということでございます。したがいまして、サミットにおきましては、そういう政策協調を促進するという観点から、主要国間のサーべーランスの強化に合意したわけでございまして、私たちは、このような政策協調が今後の為替相場の安定に寄与することを期待しているところでございます。
 それから、第三点のG7の話は別途担当の方から御説明させていただきますが、最後に、第四点の適正レートの問題でございます。
 一般論としては、為替相場は基本的に経済ファンダメンタルズを反映すべきであるということが言えるわけでございますが、確かに、経済ファンダメンタルズとは何かというようなことになりますといろいろ議論もありますし、それから適正というのも一体どういう観点から適正なのか、先生御指摘のようにいろいろな観点があるではないかということでございまして、これについてはいろいろな議論があるわけでございます。人によって何が適正かということについてはいろいろな考え方があり得ましょうし、私たちとしてあるいは政府として、これが最も適正なレートであるというのをお示しするのが非常に困難でございます。それに加えまして、何かまあまあこんなところかとかいうような感じが仮にあったとしましても、やはり通貨当局がこれが適正だと申し上げるのは、為替市場への影響もありますのでむしろ差し控えるべきではないか、かように考えておるところでございます。
#113
○久保田説明員 お答えいたします。
 御質問の趣旨は、まず今回G7の創設に当たってイタリア、カナダが入ることになったことの理由はどうか、それからさらには、それが、通貨の問題は五カ国でできなくなったから強めるために入ったものであろうか、こういうふうに理解をいたしておりますが、御承知のように、今回のサミットは、四年目に入りました先進国経済の拡大でございますとか、インフレ率の下降でございますとか、あるいは金利の大幅な低下でありますとか、経済の基礎的な諸条件をよりよく反映したような為替レートの顕著な変化等、あるいは石油価格の下落といったような一般的な意味では割に明るい状況のもとで開かれたというふうに言われているわけでございますが、今次のサミットでは、これらの成果は、これまでのサミット諸国間のいわばインフレなき持続的成長に向けての節度ある財政金融政策、あるいは主要国間の協調の進展のもたらしたところが大であるということにされまして、そういうふうな背景を踏まえまして、今回のサミットにおきましては、インフレなき経済成長の促進とか為替レートの安定等のために、サミット諸国間の緊密かつ継続的な経済政策の協調が重要とされたわけでございます。
 そして、その効果的な協調を一層確実にするために追加的な措置を講ずることが適当とされまして、そういう意味では、フォーラムとしては二つ言及されております。第一点は、従来からあるG5の存続を確認するということでございますし、第二点は、これは従来からのイタリア、カナダの希望も踏まえて、新たに両国を加えたサミット七カ国の蔵相によるいわゆるG7会合を創設するというふうになったわけでございます。
 したがいまして、第二点の御質問の御趣旨でございますが、この合意の大枠等につきましては、なお解釈の余地が諸国間にも多少とも残されておるとは考えておりますが、通貨につきましては、基本的には従来どおりG5で議論するということになるのではなかろうかというふうに考えております。
#114
○奥野(一)委員 政府の方としてどのくらいが適正なレートなのか発表するのはどうか、こういうようなことでありますけれども、私はちょっとそれは納得できない。というのは、これからいろいろな経済政策を進めていくということでは、産構審の方でもあるいは総理の私的諮問機関でありますか、経構研の方でもそれなりの方針というのは出しているわけですね。恐らくそういうものに基づいてこれからの経済運営をやられるのだろう、こう思っているわけでございます。特に経構研なんかの方だったら、日本の経済というのは、我々から言わせれば抜本的に直さなきゃだめだというようなふうにとれるくらいの決意を込めた答申を総理に出しているわけですね。
 そういう面から見ると、業種とかあるいは人によって何が適正なのかということについてはまちまちだと思うのですよ。これは輸出業者なり輸入業者によっても違うし、またそれぞれの業種によっても違うとは思います。しかし、例えば方針として出す場合に、これは産構審の方でも出ているわけですけれども、これからは輸入を拡大していかなければならない、これは経構研の方でもそういうものを出して、総理がサミット前に訪米したときにもそれを持っていっているはずですね。そういうものの中に「為替レートの適正化」、こう書いている場合、日本としてはそれは大体どのくらいが妥当と思うのかというようなものは、腹づもりとしてある程度なければ困るのじゃないかと思うのですよ。
 アメリカの方では、円レートが百六十円台になったということに対して、一応ドル商是正が達成された、こういう評価をしているわけですね。日本の場合にはどの程度が一体妥当なのかということをある程度考えておかないと、例えば中小企業などに対する指導なんかをする場合だってできないということになるんじゃないか、こう思うのです。そういうものを何かうやむやにしたままで、状況の推移を見るさ、こういうことでは適切な経済対策なりあるいは、後でまた触れますけれども、産業構造の改善とか産業調整なんということにはなっていかないのじゃないか、そういう心配をするわけなんですが、できたらもう一遍その辺のところをお尋ねしたいと思うわけです。
#115
○福川政府委員 まず、産業構造審議会の御答申についてお触れになられましたので、その点について御説明したいと存じます。
 産業構造審議会の方で「適正化」という表現を使った趣旨は、ちょうど前川委員会の経構研で使っておりますが、「内外需バランスの実現には為替市場がファンダメンタルズを反映したかたちで安定することが不可欠」こう書いてあります。この「ファンダメンタルズを反映したかたち」ということを「適正化」ということで表現をされたのであると思います。
 先ほども渡辺大臣が御答弁申し上げましたように、確かにレートというのは高い方がいい人と安い方がいい人とあるわけでありますが、この為替レートがうまく経常収支の調整機能を果たすということが一番好ましいわけです。しかしながら、現実の為替レートの動きは、昨年であれば大変なドル高であった、また今度は大変な円高に振れたということでございまして、そういった総合調整機能を果たすのに非常に極端に振れるということは好ましくないわけです。したがって、そういったファンダメンタルズを反映する形で経常収支がちょうどうまく調整する、内外需のバランスの実現が保たれる、こういう形でのレートということを考えたわけで、先ほど大蔵省からも御答弁がございましたが、そういう形でできる限り政策協調をしていこう、こういうことを産業構造審議会でも言っておるのであると思います。
 しからばどの水準がいいかということについては、先ほども大蔵省から御答弁がございました。また、レートの関係者は高い方がいい人、安い方がいい人、いろいろいますから、幾らがいいかという点についてはなかなか判断がつきにくい問題ではございますけれども、今の内外需のバランスが実現されるような形で、ファンタメンタルズを反映するような形で安定していこう、こういう趣旨が産業構造審議会の趣旨であると考えております。
#116
○奥野(一)委員 納得したというわけではありませんけれども、次の方にひとつ進みたいと思います。
 内需拡大ということについてお尋ねしたいと思うのですが、その前に、経構研の答申の中で「従来の経済政策及び国民生活のあり方を歴史的に転換させるべき時期を迎えている。かかる転換なくして、我が国の発展はありえない。」こう述べているのですね。経済政策ならある程度わかるのですね。国際協調型だとかなんとか言っているわけですけれども、はてそれでは国民生活についても歴史的に転換をしなければならないというのは何を言っているんだ、この点がわからないものですから、まずそこから聞いておきたいと思うのです。
#117
○福川政府委員 この前川レポートの執筆に参画したわけでもございませんので正確なところは私も申し上げかねるのでございますけれども、ここで「生活のあり方」と書いておられる趣旨は、例えば「消費生活の充実」という項がございまして、その中では労働時間の短縮あるいは週休二日側の実現というようなことがあろうと思いますし、それから、いわゆる国際交流というようなことで輸入品への理解を深めるといったようなことが恐らくこの趣旨に入っているのではないかと存じます。私どももこのレポートをちょうだいして勉強している限りでございますので、真の意味はあるいは私が申し上げたのは当たってないかもしれませんが、私が読みました限りではそういうところではないかと考えております。
#118
○奥野(一)委員 内需拡大の方に入りますけれども、内需拡大ということについてはこの委員会でも随分いろいろな方々から議論されてきたところなんですが、私もこの前の一般質問の中で経企庁長官とも若干議論させていただきました。時間がなくて十分な論議にならなかったわけでありますが、今までの政府の方針なりやり方を見ておって、本気になって内需拡大をやる気があるのだろうか、こういう疑問もいまだに解けないわけでございます。
 しかし、いろいろな方針を見ますと、内需拡大はやらなければだめだということが次から次へ出てきているわけですね。今度の経構研の答申でもあるいは産構審の答申の中でもいろいろ触れられておりますけれども、第一に挙げているのは、消費支出の拡大ということについて触れているわけでありまして、適切な賃金の引き上げと所得税の減税による可処分所得の増加、さらに労働時間の短縮と完全週休二日制、これを指摘しているわけです。週休二日制なんかだと、それを完全実施するだけで三兆円の消費支出の拡大効果がある、こう言っているわけですが、内需拡大の中で、GNPの約六割を占めるわけでありますから、一番重要なことはこれらの施策を早急に行うことだと思っているわけですが、一向に遅々として進んでいないわけであります。やる気があるのかどうか、その点について聞いておきたいと思います。
 それから、私どもから言うまでもないと思うのでありますが、需要が伸びなければ経済というのは伸びないと思うのですね。だから、今後も日本の経済成長というものを持続しようとするならば、何としても内需を拡大する以外にないのではないか、こう思っているわけでございます。それで最初に言ったように、内需を拡大するのには、大きく分ければ個人消費支出とか政府支出とか設備投資とかそういうものがあると思いますけれども、一番重要な個人消費支出に関する政策についてどうとられようとしているのか、これが第一でございます。
 それから、ついででありますから次の方に入りますが、中曽根総理はアメリカに行ったときに、日本を輸入大国にすると言ったと伝えられているわけでございます。これは産構審の中でもあるいは経構研の中でも述べておられるわけですが、本来内需拡大を図ろうとするのと輸入拡大をしようとするのは相反するというふうに私は受けとめているわけであります。輸入大国になったとしても貿易摩擦は解消するわけではありませんし、今仮に黒字を減らすために輸入をしようとすれば相当莫大なものを輸入しなければならない。
 学者の説によりますと、今五百億ドルの黒字だとすれば、それの三倍に匹敵するくらいのものを入れなければ黒字は減っていかない、こう指摘をしているわけであります。そうすれば、その分だけ国内産業は打撃を受けるということになりますし、いわゆる内需というものが食われていくということになるわけでありますから、この内需増と輸入増というものを両立させるということは非常に難しいということになるわけでありまして、これを両立させようとすれば、内需が独立をして伸びるという可能性のある政策をともにとらなければ、これはなかなか難しいと思うのですね。そういう点について、これは経企庁の方になるんじゃないかと思うのですが、どんなようなお考えを持っておるか、お尋ねをしておきたいと思います。
#119
○赤羽政府委員 内需の拡大でございますが、基本的な認識におきましては、ただいま先生が御指摘になりましたような認識を共通に持っているということをまず申し上げたいと思います。
 政府といたしましても、昨年の十月の十五日それから予算編成の過程で年末、さらには本年度に入りまして、予算成立をきっかけといたしまして、その執行の面も含めまして四月の上旬、こういうことで内需拡大策に努めてきているということでございます。
 しかし、それにしても効果が余りあらわれないではないか、こういう御指摘かと思いますけれども、この間に予想以上に急速な円高があった。何もこれは言いわけをしているわけではございません。この円高が余りにも急速であるために、企業の対応、これが物理的に不可能である、こういったような事態が進行しておるということでございまして、内需拡大策の効果というのが目に見えであらわれる、あるいは統計にもはっきりと反映する、こういうところまで来ていないということではないかと思います。そうした場合に、さらに内需の拡大策ということの中心、一つの大きな柱が総需要の六割を占めております個人消費の振興にある、これは仰せのとおりでございます。
 それについての考え方でございますが、これは先ほど先生も御引用になりました経構研あるいは産構審などにも示されているような基本的な方向、これに沿って政府としてもやれることをやっていく、こういうことだと思います。適切な賃上げ、こういうことは望ましいという話がございますけれども、これについて直接政府が介入するというわけにはまいりませんけれども、そのような方向で考えるということだと思います。労働時間の短縮、これは昨年の十月の内需拡大策においても、一つの中長期的な柱といたしまして、向こう五年間の間に休日を十日程度ふやすということを中心といたしまして、労働時間の短縮、休日の増加、こういうことに向けてはっきりした方針を打ち出しているということでございます。
 所得が伸びなければ、あるいは需要が伸びなけれは消費が伸びない、こういうことになるわけでありますけれども、所得が先か需要が先々これは鶏と卵のような関係だと思います。ただ、現在の状況のもとにおきまして、政府として国民の、消費者の所得をふやす、これは物価の安定を通じて実質所得をふやす、こういう経路で物価の一層の安定、それから円高メリットの物価への早急なる反映、こういうことでふやしていく。そういう形で実質所得がふえることによりまして実質消費が伸びる、こういう方向を期待しているわけでございます。そういうことで、物価の一層の安定、円高メリットの物価への早急なる反映というところに当面の政策というのがあるのではなかろうか、こういうふうに思っております。
 それから輸入大国ということと内需の拡大、これが矛盾するところはないかということでありますけれども、日本の輸出が非常に伸びている、伸び過ぎる、そのために黒字が大きいということでありますけれども、何も日本は押し売りをして輸出を伸ばしている、こういうことではありません。外国の消費者、需要家が、日本の商品に対してこれを欲しいと考えるからでございます。したがいまして、世界経済という観点からいいましても、輸出を日本が抑えるということは好ましくない。そういうことであれば、むしろ輸入をふやす、こういう方向で黒字を縮小する、貿易摩擦の解消に努めるべきである。世界経済全体の拡大均衡、こういう観点から考えると、やはり輸入をふやす、こういうことだろうと思います。
 そうした場合、この輸入をふやすのは、国内の競合するそういう産業の製品を排除するということではなく、むしろ競合してふやしていくというためには内需拡大、それによって両方がふえていく、こういう方向性というのをとらなければいけない、こういうふうに考えて努力しているというところでございます。
 基本的な考え方の方向は先生の御指摘のとおりである、こう考えております。
    〔佐藤(信)委員長代理退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
#120
○奥野(一)委員 ちょっと何かうっかりしている間にもう時間がなくなったのだそうでありますけれども、これは経企庁だとか通産だけの責任ではないと思うのでありまして、政府全体が取り組まなければならないことだ、こう思うのです。例えば個人消費支出をふやすのに一番いいのは賃上げあるいは減税、これはもう当然のことだと思うのですよ。しかし実際には、では政府は国家公務員に対して何をやったのか、ことしはベースアップの予算も組まない。政府がある程度見本を示していかないと、例えば休暇にしたって労働時間の短縮にしたって、そう簡単にできるものではないと思うのです。民間はなかなかそれでも大変なんですから。休日を十日ふやすなんて言っていましても、実際には年次休暇さえ消化できないという実態はたくさんあるわけですよ。きょうは労働省の方を呼んでおりませんからあれですけれども、年次休暇さえ完全に消化できないというのがたくさんある。だから、仮に休日をふやしてみたって、これは役に立たないということだってあるのですね。だから政府はまず率先してそのことについて、国家公務員をそれではどうするのだ、地方公務員をどうするのだ、政府がある程度手のかけられるところを積極的にやっていくということだって一つの方法だと思うし、そしてそれを民間の企業にもやらせていくということにこれはなっていかなければならないと思うのですね。時間がないから、そんなにあと言いません。
 それから輸入をふやすということと内需拡大ということは、これは矛盾するわけでしょう。それは私は矛盾すると思っているわけです。輸入をふやしたからといって、輸入をふやすということは外需のマイナス部分ということになるのであって、それは内需にはならないと私は思っているわけでございます。
 それから、例えば、それじゃ輸入をふやして黒字がなくなったらすべて解消するのかといったら、そうはならないと思うのですよ。農産物を五百億ドル日本が買ったら黒字はなくなる、じゃ貿易摩擦というのは消えるのかといったら、それはないと思うのです。貿易摩擦は、仮に車なら車というものは依然として残る。これは個々のものだと思うのですね、貿易摩擦の方は。国際収支の方はそれでバランスがとれるということになろうと思いますけれども。だから、それは個々に対応しなければならない問題だと思うのですね。
 ですから、輸入もある程度ふやさなければならないでしょう、こういう状況ですから。それはそれでやる。しかし、それと並行して内需が拡大できるような施策というものを一緒にやらなければだめだ。一緒にやらないとまた別な混乱が起きてくる。だからそれは並行してやるということと、それからもう一つは、輸出型の産業というものを内需型に転換させていくということも考えなければだめだ。これは非常に難しいと思いますよ。自動車なんかだったら、それじゃ今五五%の輸出比率になっているものを、例えば二〇%ぐらいの輸出比率にして、残りの三〇%を国内に向けられるかというと、なかなかそうはならないかもしれない。うんと安くずれは買いたいという人方がどんどん出るかもしれませんけれども、そういうようなことなんかも一緒にやらなければこれは非常に難しいと思っているわけであります。
 ちょっと時間がなくなっちゃったのですが、最後にもう一つお尋ねしておきたいのです。
 石油価格ですが、今円高でもって一兆八百億ほどの差益還元をやるわけですが、大体四兆円くらいは差益というものがあるのじゃないか、こう言われていますね。きのうあたりも、テレビなどでもそのことを盛んに報道しておりました。四兆円もあるのだけれども、実際には一兆八百億円ぐらいより還元しないで、あとは内部保留、そういうふうになる。それは計算の仕方、先ほど渡辺さんなんかも言っておりましたけれども、百七十何円で計算したのと百六十円で計算するのとまた違うとか、いろいろなのがあると思うのですが、それだけある。これは私は、実態をまず明らかにするということが政府として必要ではないかと思うのですよ。会社の方がこういう計算でもって料金値下げの申請をしてきました、大体いいであろうなんということでやるのではなくて、それはそれで結構でございます、おやりになって結構だ、しかし、円高の差益というのは一体どうなっているのかという実態は、これは国民に知らせるべきだと思うのですよ。そういう作業というのは政府の方でやるべきではないか、こういう点は一つ申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つは、原油が下がってきているのだけれども、これは実際に業界の方から苦情として出ているのですが、特約店というのですかね、メーカーの方からそこへ卸す値段、向こうに言わせると仕入れ価格ということになるのだけれども、こっちはなかなか下がってこないと言うのですよ。ところが、小売の方だけはどんどん下がっていく、もうそれに追いつかないということで大変困っているというような状況があるわけでありまして、何で小売価格だけが先に下がるんだ。この辺、小売店、ガソリンスタンドなんか、自分で勝手に下げているはずはないと思うのですね。やはり仕入れている大手メーカーの関係の方は、それなりに安い値段で卸しているのではないかと思うのですよ。ところが、特約店の方にはそれでおりていかないのだ。そういうようなことでもって特約店の方は非常に困っているという苦情も出ておりますから、そういう面は少し洗ってみて、流れがうまくいくようなそういう形のものにしていただかないというと、私も流通経路というのは詳しくわかりませんけれども、大手の方から行くガソリンスタンドの方だけが勝手にどんどん下げられていったり、農協も下げている方の一つだと思いますけれども、そっちの方だけやられて、中間にある業者の方にそういう点が行かないということになりますと、これまた市場で混乱する、こういうことも出てまいりますので、そういう面をひとつ十分配慮していただきたいと思います。
 時間がないのでこれでやめます。
#121
○奥田(幹)委員長代理 長田武士君。
#122
○長田委員 まず初めに、経企庁長官にお尋ねいたします。
 平泉長官は、先月、東京サミットに先立ちまして行われましたOECDの閣僚理事会に出席をされました。ちょうどOECDから四月十八日に経済見通しの改定値を発表をいたしております。それによりますと、アメリカが、予測が二・七五だったものが三・二五、さらに、日本の場合は三・五〇だったものが三・二五、西ドイツは三・二五から三・五〇、OECDヨーロッパは二・二五から二・七五、このように修正をされた改定値が出ております。
 さらに、経常収支で見てまいりますと、アメリカの場合はマイナスの千四百六十億ドルが千三百億ドル、日本の場合は、五百七十億ドルが七百七十億ドル、これはプラスです、黒字ですね。それから西ドイツがプラス二百億ドルが二百七十億ドル、OECDヨーロッパが三百五十億ドルが五百四十億ドル、このようないわゆる改定値を発表いたしております。
 さらに、民間の調査機関によりますと、実質経済成長率は、富士銀行が二・二%、住友銀行が二・五%、日本興業銀行が二・七%、野村総合研究所が三・三%、それから日興リサーチセンターが二・七%、国民経済研究協会が四・〇%、日本経済研究センターが二・七%と、このようにいずれも下方修正し、予測値というものを改定をいたしております。
 日本経済新聞によりますと、「サミット後の日本経済」という形でいろいろ試算をいたしております。これは五月八日の新聞でございます。円レートが一ドル百六十五円で推移した場合、二・三%の成長しか可能性はない、それから百五十円ならば一・五%の成長ということへさらに落ち込む、このように予測をいたしておるわけであります。この日経新聞の予測はさらに加えて、この達成をする場合は条件があります。それは、六月上旬に〇・五%の第四次の公定歩合の引き下げを当然加味しております。さらに、年度下期に一兆円の公共投資の追加をいたします。それから、原油の備蓄積み増し、この合意によりまして原油価格は下げどまり、平均一バレル十六ドルで推移する、こういうような石油の価格の問題等も含めまして全部計算されて出た数字でございます。
 そこでお尋ねしたいのでありますけれども、平泉長官は前回の私の質問に対しまして、今年度の政府見通しの四・〇%は達成できるという見通しを答えました。そうでしたね、間違いないですね。そこで、十二月と今日では多少状況が違っていると私は認識します。為替レート一つをとってみましても、予算編成時における政府の予測は二百四円でありますが、今日では百六十円、そういう数字というのは確かに変わってきております。また、経常収支や貿易収支は円高と原油の値下がりの影響で大幅にふえますが、輸出は数量ベースで既に二月、三月と前月比では減少いたしております。三月には前年同月比でも減少しております。鉱工業生産、出荷も弱含みで推移している状況でございます。
 そういうような状況がございますけれども、長官としては今年度の四・〇%の経済成長は達成できるという強い確信をお持ちであるかどうか、あるいは可能であると言われるならば、具体的にどういう手だてをすれば可能なのか、数字を具体的にお示しをいただきたいと思います。
#123
○平泉国務大臣 今段々お話のございましたように、我が国の経済の現状につきましては、さまざまな違った見解があるわけでございます。もちろん、今おっしゃるOECDの見通しなどは、非常に専門の経済学者、経済研究家が十分分析したものでございますから、我々としても十分そういった情報も重視をいたしておりまして、四%の成長が可能である潜在的な要素というものももちろん十分あるんだ。先般来当委員会におきまして我が経済企画庁の担当局長その他からも答弁をいたしておりますように、この円高の問題というのは、デフレ面もあるけれどもメリット面もある、比較考量しますと、全体としてはむしろメリットの方がある状況である。ただ、そういう状況を、本当に経済活動が活発にそれを具現していく、こういう体制でなければならない、そういうことが実施されるということであれば、六十一年度はまだこれで四月、五月と二カ月目でございますから、あと十カ月全体をならしてみて、我が経済の四%実質成長というものはまだ十分可能な体制であるということについて、我々はまだそういう考え方を持っておるわけでございます。
 ただ、もちろんそれは何もしないでいいということではなくて、そのときどきの経済情勢に応じて、生き物としての経済が活発に与えられたいい条件というものを十分に活用できるような経済政策、経済体制というものがとられていかなければならぬ。その意味におきまして政府の責任も、こういう経済与件の極めて重要な部分が変動する条件のもとにおいては、経済政策の実施、運営というものは非常に重要でございます。
 そういう意味におきまして、政府も拱手傍観して、四%できます、かようなことを申し上げておるわけでは決してございませんので、そのときそのときの情勢、そのときそのときの為替の状況、そのときそのときの金利の状況というものを十分考えまして、どういう手を打ったらいいかということは日夜注意をして経済運営に当たっておる、かような次第でございます。
#124
○長田委員 私は、今までのような円高が続いても、大幅な経常収支の黒字の解消については相当疑問がある、このように実は考えております。今回のサミットを私はいろいろ分析をいたしておりますけれども、公明党のアメリカ派遣団に話を聞いてみました。日本は小出していろいろな政策を出してくる、しかし依然として経常収支は減少していない、もはや言葉では通用しない、日本の政府はそういう点では非常に弱腰といいますか、小出しでとぎどきその場を繕うけれども、これではとてもアメリカはやっていけないと強い姿勢で我々訪米団に対しては姿勢を述べられたということを伺いまして、私はサミットの結果を見まして、やはりアメリカも相当強い決意だなという感じを持ちました。
 そうなりますと、どうしても内需の拡大がなかなか思うようにいってない、さらには、どうしても輸出がだんだんまた拍車がかかるということになりますれば、四%の中身でありますけれども、内需は四・一%、外需がマイナス〇・二%というようなことで四%ということに設定をされたわけでありますが、これがちょっと難しくなるのじゃないかという感じを私は抱いております。その点についてはどうですか。
#125
○赤羽政府委員 先ほど大臣からもお答えを申し上げましたように、いろいろな見方があるわけでございます。ただ、この政府の経済見通し、実際に作業をいたしました昨年末、その時点から約五カ月を経過し、その間にいろいろな前提条件の違いがある、そのことは評価をしなければいけないということは事実だと思います。
 そうした場合に、前提条件の中で一番大きな違いは、やはり円レートが予想以上に急速に上がっているという点だと思います。それに加えまして石油の値段がこの四月以降十ドル台に下がる、昨年と比べまして十ドル以上下がる、こういう状況だと思います。そうした状況に加えまして、その他の有利な事情もございます。そういったような点は何かと申しますと、欧米先進国の景気見通しが昨年暮れの時点におきますものよりも最近明るくなっている。先日のサミットの経済宣言におきましても、先進主要国を中心として世界経済の見通しが明るくなったということをうたっておりますけれども、こういったような事情がございます。さらに、金利の引き下げでございますけれども、公定歩合につきましても三回にわたって引き下げられている。こういうようなことで、確かに円高のデフレ効果は当初の想定以上に大きくなっているということでありますけれども、また円高のプラスの効果も大きくなっている。それに加えて原油値下がりのプラスの効果がある。欧米先進国を中心とした世界経済の見通しも半年前よりは明るくなっている。金利の引き下げが実現している。それに加えまして政府といたしましても内需拡大策、こういうのをとっておるわけでございます。そういう関係から申しまして、昨年末に作業した時点で基本的に描きました六十一年度の姿というのは変える必要がない。
 ただし、内需と外需の組み合わせというような点になりますと、内需の伸びが当初よりも高まるというふうに期待をする一方で、外需のマイナスは大きくなるということだと思います。先ほど先生が御指摘になりました例えばOECDの見通しなども、確かに成長率におきましては若干の下方修正になりましたけれども、内需の伸びはむしろ高く見ておる、こういうことでございますし、国内の各種の予測機関、これは上方修正もございますし、下方修正もございますが、いずれも内需の伸びについては、たとえGNPについて下方修正の機関でありましても内需については上向きに見ているということで、パターンは当然変わってまいると思いますけれども、基本的な要素といったようなものについては現在のところ変える必要がない。
 ただ、これも大臣のお答えを繰り返すようでございますけれども、手をこまねいておって自然に実現するものではない。機動的な、弾力的な政策運営が必要でありますし、現在急激な円高、これにこたえまして総理大臣の御指示もございます。今、一層の内需拡大あるいは円高に伴うところの中小企業対策、こういったようなことにつきまして作業を進めているという段階でございます。そうした政策運営によって昨年の暮れ以降にあらわれました好ましい要素というものを実現をしていく、経済成長に結びつけていく、こういう努力をする必要がある、このように認識をしております。
#126
○長田委員 今御答弁がございましたけれども、今までのいろいろな方針とか施策というものについては私も了といたします。それにもかかわらず依然としていわゆる貿易収支は減っていかないという状況ですね。私は、アメリカの日本に対するクレームはやはりそこに大きなポイントがあるように思います。そういう意味で私は、今までのことはいいのでありますけれども、総理もきのうも閣議で、円高対策を早急にやるべきだとか、いろいろ具体的に指示されていますね。長官に対しては、円高追加対策を具体的にやりなさいと指示を四月二十八日にされておりますし、また通産次官には、五月九日ですか、官邸で具体的な円高対策の追加の施策をやりなさいという指示をされておるわけであります。具体的には、こういう総理の円高対策、内需拡大対策、これに対する方針、施策、どういうふうなことを考えていらっしゃいますか。
#127
○赤羽政府委員 総理大臣から事務当局がいただいております指示は、円相場の動向とその国内産業、特に輸出関連中小企業に与える影響を注視しつつ、所要の対策につき関係箱と急いで検討する、こういうことを指示されてございます。私どもといたしましては、昨年以来とってきております内需拡大策、さらには今年度に入りまして予算成立とともに打ち出されました四月八日の総合経済対策、このフォローアップと申しますか、この効果ができるだけ速やかにあらわれてくるように各省におきまして一層の工夫をお願いする。それから、円高の被害を非常に受けております中小企業対策、これは四月八日に打ち出しておりますけれども、さらにそれにプラスアルファの対策ができないのか、こういうことを中心に現在各省と作業を急いでいる、こういう段階でございます。
#128
○長田委員 通産省は主要産業につきまして円高の影響を調査された、そういうことが報道されておるわけでありますけれども、既に操短や設備投資の圧縮が深刻になっているような状況下でございます。そこで、調査の内容について簡単にひとつ御報告をいただきたいと思います。
#129
○福川政府委員 主要産業への影響でございますが、私どもは素材型の産業とそれから加工組み立て型の産業に分けて影響調査をいたしてみました。別途、中小企業に関しましては中小企業の輸出産地を中心に調査を行っております。
 まず、業種別に見まして素材型の産業についてでございますが、これは主として三つのグループに分けられるのではないかと思っております。
 一つは、輸出比率の比較的高い鉄鋼あるいは合繊といった産業でございますが、これは円換算の手取り額が減少いたします。また、輸出数量も落ちてまいっております。例えば一−三月で見ますと、数量ベースで鉄鋼は既に一五・六%のダウン、合繊織物では九・七%のダウンということでございまして、数量的に減少してきておりまして、他方、国内の需要も強くないということでございます。したがって、企業みずからが行い得る円高対応策というのは当面有効な手段がない、収益が圧迫している、こういう感じがいたします。
 また、もう一つは、輸入品と競合しております基礎素材産業で、例えばアルミ、銅、鉛、亜鉛等でございますが、これは大変国内の市況が低迷をいたしておりまして、私どもとしても大変危機的な状態にあるというふうに考えております。
 三番目の基礎素材産業のグループは輸出あるいは輸入の影響よりも、むしろ諸外国からの安値輸入等によって国内の市況が悪化するといったようなものでございまして、例えば石油化学、紙・板紙、セメント、綿糸、小棒といったようなものでございます。こういうものはかなり市況が悪化をいたしておりまして、そういう意味で収益を大変圧迫している、こういう感じがいたします。
 加工組み立て型の産業でございますが、自動車、VTR、半導体集積回路あるいはNC工作機械等は、日本の技術力でかなりこれは、ある程度ドル価格を上げても輸出ができるわけでありまして、数量的に見ればとんとん、あるいは微減という形で推移をしてまいりますが、ただ、相当の値上げを行いましても百六十円というようなレートでは、こういったものでも収益はかなり圧迫をするというふうに考えております。
 また諸外国と競争関係にあります機械類、例えばカラーテレビであるとか建設機械とかプラントとかいうことになりますと、これはかなり生産も落ちるというふうに思いますし、また工作機械は、ただいま先生御指摘のように、設備投資が落ちてくるというようなことからことしの生産も減少せざるを得ない、こういうことが言えるわけであります。
 こういうことに対応いたしまして組み立て型産業では、何とか競争力を回復するというために、例えば諸外国から部品を調達する、あるいは国内の原材料部品の価格の引き下げを求める、あるいはまた海外の現地生産を拡大するといったような対策が講じられてくるわけでございまして、百六十円前後というような円高では、こういった主要な産業もかなり大きな影響が出てくる。もちろん今申しましたように業種によって差はございますけれども、私どもとしてはその影響を懸念しておる状況にございます。
#130
○長田委員 円高の影響によります倒産についてでありますけれども、東京商工リサーチの調査によりますと、二月が十三件、そして三月は三十三件へと大きく急増いたしております。通産省でその後の様子がどのようになっておるのかお調べでしょうか。
#131
○広海政府委員 同じ東京商工リサーチ調べでございますけれども、四月には三十八件ということになってございます。
#132
○長田委員 そのように倒産がだんだんふえてくるという状況でございます。もともと今回の円高は、昨年九月二十二日のG5合意によりましてドル売り介入が協調して行われたわけでありますが、そのとき、為替レートについて特段のターゲットはないが、円が高くなり過ぎたりあるいはドルが安くなり過ぎれば、当然協調介入によって適正なレートは維持されるのだというように政府は説明をいたしておりました。そして、この四月に総理が訪米したころは一ドル百八十円程度であったわけであります。また、竹下大蔵大臣が訪米してベーカー財務長官と会いました。そのとき一ドル百八十円程度で安定させるということについて合意をしたというように伝えられました。そうして公定歩合の協調引き下げを行った途端、円は一段と実は高くなったわけであります。
 こうした中にありまして、期待しておりました東京サミットの場においても、為替レートの安定のための協調介入には応じてもらえなかった。そのことがかえって円高放任という印象を与えまして市場心理をかき立てた、そういうような状況で、今や円は百五十円台へと突入するのではないかというような、そういう危惧を抱かれております。
 日本経済新聞によりますと、予測でありますけれども、一ドル百六十五円で推移しますと、全国製造業の九百七十七社のうち百社が赤字に転落する。赤字転落を含めて五割以上の減益となる会社が百七十五社に及ぶ。一ドル百五十円だと、赤字転落が百十八社、五割以上の減益が百九十一社、このように拡大してくるという調査が出ております。これは、中小企業はもちろん大企業まで大打撃を受けるわけでありまして、この点は非常に深刻な問題だろうというふうに考えております。
 そういう意味で、政府が何らの見通しもなくドル売り協調介入に応じたとすれば、私は去年の九月の介入というのは非常に大きな責任だなという感じがいたしております。
 そして、逆介入について各国の協調が得られないならば、もはや一日も早く別の手だてといいますか、減税とかあるいは公共事業の追加、そうした思い切った内需振興策、こういうものによってこの経済の難局を切り抜けるべきである、このように私は考えておるわけであります。
 こうした円高に対する政治責任の問題と対応策について通産大臣と経企庁長官にお尋ねいたします。
#133
○村岡政府委員 先生御指摘のとおり、昨年九月は二百四十二円というレートでございましたが、本日は少し円安ということに振れておりまして、現時点では百六十四、五円、三円から五円ぐらいの間で動いているものと承知しております。
 問題は、このように円が急激に円高になっていく、余りにもそのテンポが速過ぎるということから、経済あるいは産業に与える影響が大変懸念されるところであります。相場のことは基本的には市場に聞くよりしようがないと私ども思うわけでございますけれども、これに対しましてサミットにおきます論議では、協調介入ということも非常に重要ではあるけれども、それより先に各国の経済政策の協調が非常に大切であるということから、十の指標を中心としていろいろ今後七カ国あるいは五カ国などで議論を進めていこうというようなことになったわけでございます。これはやはり為替相場の安定にとりまして一つのプラスの要素、こう理解しております。それと同時に、先生御指摘のとおり内需の拡大ということが今や大変重要な時期になってまいった、こう理解しておる次第でございます。
#134
○渡辺国務大臣 ただいまの答弁のとおりでありまして、円高の責任がどうのこうのといいましても、これはその国の経済的な基礎的条件の反映でございますから、だれに責任を帰すべきものかといっても、だれの責任であるというように断定することはなかなか困難だと存じます。
#135
○平泉国務大臣 変動相場制ができましてから為替市場の状況を見てまいりますと、昨年九月のいわゆるG5の会合以前は大変異常なドル高が続いておる、逆に言うとドル高が非常に長く続いたということが我が国の輸出を非常に伸長させるということにもなったわけでございまして、その以後のいわば協調的な体制というものは、大きな目で見れば前進であるということは否めないのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
 殊に今度のサミットにおきましては、さらにこの協調の姿勢を一層強めて、各国の、七カ国にわたってそれぞれの経済の実情というものをあらゆる角度から十分に検討していく、その上で必要とあれば協調介入してでも為替相場の一応の一つの安定した状況というものを重要に考えていこうじゃないか、こういうことが各国の最高行政首脳部において合意された、こういうことは、長い目で見て、なかなか難しい国際為替制度の管理の中においては一つの大きな前進であったのではあるまいか。その間においていろいろな為替変動が起こったということについては、もちろん十分な手だてをしていかなければならぬということは事実でございますが、長期的に見て、国際為替相場を安定する立場に置いていこうという点についての合意はできてきた、かように見ておるわけでございます。
#136
○長田委員 私はなぜそれを言うかといいますと、去年の九月二十二日のG5の合意以降急激な円高になった。そのとき政府の考え方としては、ドル安・円高になった場合また協調の介入をいたします、そして適正水準というのはがっちり守ります、こういうことを口々に言っておったのですね。そういう点では責任が大きいよということを私は申し上げたわけなのです。もう一度ちょっと言ってください。
#137
○渡辺国務大臣 幾らで守るかということでございますが、適正な水準自体が幾らということをどの大臣もとやかく言ってはいないと思います。大幅な乱高下、上がったり下がったりは困るわけでありますが、アメリカが、今まではドルが強いのは自分の国力のためであるというようなことを三年前まで言っておったわけですから、過大にドルが評価されておったことは事実だと私は思います。そういう点で、世界じゅうが認識は一致をしたというようなことから円ドル相場が見直されたということになったと考えます。したがいまして、今後ともやはりサーべーランスもやり、乱高下する場合に必要があれば共同介入の余地は残してあるわけでありまして、それを放棄したというわけではございません。
#138
○長田委員 今通産大臣がおっしゃったとおり、私はたしかあると思いますね。ただ、この東京サミットでは経済政策の協調ということが随分強調されたわけでありますが、現在の円高の局面でもそうでありますけれども、各国の利害や思惑がどうも違うのですね。そこでなかなかうまくいかないという問題があるように私は思うのです。したがいまして、ここで今通産大臣がおっしゃいましたとおり、「有益であれば為替市場に介入するとの一九八三年のウィリアムズバーグ・サミットにおける約束を再認識しつつ、」というふうに、協調介入もいたしましょうというようなことも再認識しておりますよと、このようにうたっております。しかし、私は、この協調介入ということはなかなかスムーズにいかないのではないかということを実は心配をいたしております。簡単なものじゃないというふうに考えます。
 経済宣言では十項目に上る経済指標が例示的に挙げられました。先ほどちょっと話がございましたように、GNPの成長率、インフレ率、金利、失業率、財政赤字比率、経常収支それから貿易収支、貨幣供給量の伸び、外貨準備、為替レート等の十項目でありますけれども、この十項目に対しまして、各国の「蔵相及び中央銀行総裁が多角的な監視を実施する際に、当初意図した進路から相当な乖離が生じるときは、常に適切な是正措置につき了解に達するよう最善の努力を行うことを慫慂する。」慫慂というと非常に難しいのですけれども、促すという意味ですね。こういうことを宣言いたしておるわけであります。こういう問題については、一歩間違えば内政干渉にもなりかねないのではないかという問題を内蔵しておると私は考えております。この点については両大臣の御見解はいかがでしょうか。
#139
○渡辺国務大臣 私はいつも言っておるのですが、今の経済というものは、世界の経済はつながっておりますから、一国がでたらめをやればほかの国にも影響する。極端な話が、どこか一国が大変な経済的な失敗をやれば、それがほかの国へ影響するということが大いにございます。これがサミット国間だけでなくて、例えばイラン・イラク戦争が拡大すれば日本の経済に悪い影響を及ぼすということでございますし、アメリカの西海岸でストライキが長期に続けば日本の物価が上がる、食料品の値段が上がるとか、みんな影響しているわけですよ。だから、経済政策を間違ってどこかの国がインフレになればやはり何らかの影響は受けるということでありますので、ソ連の原発が故障したおかげでソ連だけに、自分でやったことだから自分でしりぬぐえと言うわけにはいかないわけでして、それはああいうふうな高度な原子力を使うということになれば、自分の国だけで、失敗だから人の国に迷惑かけないよというわけにいかぬわけで、ちょうど放射能の雨が日本に降ってくるということと似ておると私は思うのです。したがって、これはそんなとんでもない失敗をしたのでは困りますから、そういうことにならないように、手助けするところはお互いに手助けもしましょう、しかし、きちんとしたこともやってくださいよ、こういうふうにとってもらって私は結構だ。
 日本は、あらかじめ四%の経済成長をいたしまして内需も拡大しますということを公表してあるわけですよ。そして、貿易もバランスをとらせるように努力しましょうと言っておったのだが、どうも内需拡大もやらない。それで、四%成長だというのにどうも二%を切りそうじゃないかということになれば、一体どういうわけだ、おたくさんの方は四%と言っておったのだから、自由にならないにしても、幾ら何でも二%なんというのはおかしいじゃないか、もっとこういうことをやるべきじゃないのかという御叱正をいただくことは、それはあるかもしれない。
 しかしながら、それは日本だけでなくて、アメリカが何か特別に原因があったというようなことになれば、例えばアメリカは、財政赤字をともかく詰めますよ、こういう計画でやります。ところが、逆に財政赤字がふえちゃった、軍備競争が激しくなって、財政赤字が前以上に、言ったよりも余計ふえるというようなことになって、そして高金利になっちゃった。そのおかげでこっちまでとばっちりを受けるということになれば、おまえさんの方だって違うのじゃないのか、やはり財政赤字をなくすというのだから、なくすようにもっと努力してくれたらいいじゃないですかということを言い合っていいのですよ。
 そのときに内政干渉にならないようにということで、ここに書いてあることは、そういうふうに自分たちが当初意図した進路からかけ離れちゃったというときは、なぜ離れたのかということについて、真にそれはやむを得なかったのかどうか、やむを得なければ、こういうわけで、努力はしてみたのだけれどもこういうふうな事情によって、天候が悪かったとか、経済というものは天候だって関係があるわけですから、大地震だって関係があるわけですから、そういうことでわかりやすい話を例示的に私は言うのですが、四%に至らなかったけれどもこれはこういうわけで仕方がないのだということで相手が了解をしてくれればいいわけですよ。だから、了解する最善の努力をやってくれ。だが、了解されない。ともかくあなたは自分で何にもやらぬじゃないかというときは責められることもあるかもしらぬということですから、みんなで気をつけ合って助けられるところがあったら助けましょうし、自分たちも努力することは努力もしましょう、そういうことをお互いに申し合わせた、こう言っていいと私は思うのです。
 例えば貿易収支の問題にしても、輸入努力しますと言って、さっぱりやらぬじゃないか。やらずぶったくりで売る方ばかりというのでは、これはまた文句を言われることだってありますよ。だから、お互いに牽制し合うということは確かにありますが、それはストレートに内政干渉というのじゃなくて、お互いにそういうふうなことで、持ちつ持たれつの世の中なんだから、要するにみんなでそれぞれの義務を尽くす。権利も主張するが義務もお互いに尽くしていきましょう。ともかく日本が突然輸入制限をやっちゃって、国内産業保護だというようなことを言い始めれば文句を言われる、ほかの国に対しても文句言える立場にあるわけですから。ですから、やはりガットで決まったことは守りましょうとか、そういうことをやって、みんなで助け合いながらいきましょうという趣旨であると私は解釈をいたしております。
#140
○長田委員 経企庁長官にお尋ねをします。
 最近私はちょっと気になることがありまして、それはマネーサプライの件でございます。M2プラスCDの前年同月比の伸び率が昨年十一月から九%台をマークしておるわけであります。正式にはこの二月現在九・〇ですね。消費者物価が一%台、卸売物価は前年比マイナス八%。名目GNPも政府見通しては五・一%でありますが、最近の円高デフレでこれはもっともっと落ち込むのではないかという感じがいたしております。いずれにしましても、マネーサプライの水準はちょっと高いかなという感じを私は持っております。その上、金利水準は極めて低い水準でありまして、金融は非常に緩和状態になっております。
 それに加えまして、最近急激な円高のために日銀のドル買い介入で円が大量に放出されまして、マネーサプライはふえざるを得ない、こういう状況が続いておると思います。そこで、この余ったお金が現在、株式や債券市場に流れまして、株が、御案内のとおりダウが更新をいたしております。そしてマネーゲームが盛んに行われておるという状況ではなかろうかと思います。同時に、最近の特徴といたしまして、長官よく御存じのとおり、都心部の土地が狂乱物価のとき以上に実は値上がりをいたしております。
    〔奥田(幹)委員長代理退席、野上委員長代理着席〕
 こうした状況を見てまいりますと、昭和四十七年、ニクソン・ショック以後狂乱物価になったときと何となく似ているのではないかという感じがどうしてもいたしております。ニクソン・ショック、スミソニアン合意によって円は三百六十円から三百八円になりました。そして間もなくフロートの時代に入ったわけであります。
 ところが当時日銀は、円高によって輸出が打撃を受けるということを恐れまして、大量のドル買い介入を行いました。そのためにマネーサプライは急速に膨張いたしまして、昭和四十七年度のM1は前年度比で二三・三%、M2が二六・八%と膨張をいたしております。当時物価は上昇機運にありましたが、このマネーサプライの膨張によって、過剰流動性という言葉があのとき随分はやりましたね。そこに田中内閣の誕生がありまして、列島改造論が唱えられましたので、一億総不動産屋などという汚名を着せられたわけであります。土地ブームというのが起こりました。それに加えて昭和四十八年の第一次石油ショックが起こってあの狂乱物価となったわけであります。
 当時と今日では、私は、経済の状態は違うとは思います。当時はインフレ、今日においてはデフレ的な傾向。当時の原油は上昇、今日的には原油は下降ぎみである。当時の財政状態も今日ほど悪くなかった。そういうような違いはありますが、金が余っているという状態は同じなんですね。その上、日銀がドル買いに介入という点についてもちょっと類似しているように思います。今は余ったお金が株式などに向かっておりますが、都心部の土地の値上がりは単に需給関係だけで値上がりしているというようなことでもなさそうなんですね。どうも投機的なそういう動きもあるので似ないかという感じを持つわけであります。余ったお金がマネーゲームから土地に向かいつつあるということであるならば、とれはちょっと問題だなという感じがいたしております。
 これから公共事業等内需拡大のための追加的な政策も打ち出されるということを伺っておりますが、余ったお金が物に向かってくるということになりますれば、私は、再びインフレーションになり得る、なってしまうという感じを持っております。このマネーサプライの現状について経企庁長官はどのように判断されていらっしゃるのか。私の心配は当たらないならばそれにこしたことはありませんけれども、そこらの感触、見通しをお答えいただければと思います。
#141
○平泉国務大臣 合いわゆる狂乱物価のときのこととのアナロジーを言われたわけでございますが、当時の予算に対する姿勢は、政府も非常に積極的な財政及び財投政策、もう両方拡大的な対策をとっておった。世上、いわゆる調整インフレ論というようなものが起こった時代でございますので、先生もよく御承知のとおり確かにマネーサプライが非常にふえた、金余り現象が生じたことは事実でございます。ただ、その当時と比較いたしますと、今回は客観情勢がすべて全く異なっておるという意味においては、情勢は根本的に違っておると私は存じます。
 ただ、このマネーサプライそのものの現象につきましては、もちろん景気の動向がちょっと緩慢であるということが一つございます。それから、いわゆる金利自由化商品というようなものがふえておって、それもマネーサプライがふえておる現象の原因の一つにあるのではあるまいか。いろいろな理由は考えられますが、おっしゃるとおり物価の上昇率と比較いたしますとマネーサプライの上昇が相当大きいということは、金融当局も十分注意を払っておるところであると私どもは理解をいたしておりますし、経済企画庁といたしましてもこのマネーサプライの状況については今後とも十分注意をしてまいる所存でございます。
 なお、おっしゃいました都心の不動産価格その他の問題につきましては、実需の面がかなりございまして、実際問題としてオフィスの需要というようなものが非常に盛り上がってきておるというのが実情でございますので、その点は十分考慮に入れながら、なおかつ投機的な活動が余り度を踏み外すことのないようにということは各方面から十分注意を承っているところでございます。
#142
○長田委員 ところで、輸出に依存しております企業や輸入品との価格競争力を失った企業は、海外に生産拠点を移さざるを得ない、こういう問題が既に出てきております。大企業、中小企業を問わずこうした状態になっているわけでありますが、これに伴いまして下請の中小企業などは親企業の海外進出によって大変痛手を受ける、こういう大きな、深刻な問題が出てきております。こうした海外への直接投資は前川レポートでも言われておるわけであります。我が国が輸出依存体質から脱却するためには、今後こういう進め方が当然だろうと私は考えますが、これに対しては、企業にとっては大きなリスクが伴うこともまた事実なんですね。
 昨年行った調査では、撤退、休眠などで失敗に終わったものは四分の一もあったという結果が出ております。これらの失敗はほとんどが事前調査の不完全さということが指摘をされております。つまり、製品の品質や価格などで優位性を保ち、それを持続できる環境が現地にあるかどうか、特に技術開発力やマネジメントの能力が問題だと思いますけれども、企業というのは価格競争力、あと利益の問題もありますけれども、そういうところにどうも目が向いてしまう。中小企業では、こうした事前調査、将来を展望するという点が非常に欠けている点で、ただ利益とかあるいは価格競争力、この点だけでは海外ではちょっと対応できない部分もあるようですね。その証拠には、四分の一も撤退をせざるを得ないという結果が出てきておるわけであります。
 したがいまして、公共機関が十分な情報を提供してあげる、そしてアドバイスをしてあげる、そういうことをきちっとやってあげませんと、せっかく海外に進出しても、かえって信用を落とすというような結果になるんじゃないかという感じが私はいたしております。この点についてはどうでしょうか。
#143
○松尾(邦)政府委員 先生御指摘ございましたように、私どもとしては、海外直接投資は、対外不均衡是正の観点から産業構造を国際協調化してまいるための大きな柱として考えていくべきだと思います。かつまた、これは相手国との経済関係の多様化、緊密化にも資するわけでございますが、おっしゃいますように、進出する企業にとりましては大変いろいろなリスクを伴うこと、特に中小企業の場合にはそのような点が大きいことは御指摘のとおりだと存じております。
 私どもといたしましては、従来から、海外投資の推進を図るために、先生の御指摘のございました情報提供、金融、税制などの措置によりまして側面的支援を行ってまいっておりますけれども、特に御指摘のございました情報提供につきましては、ジェトロでございますとか中小企業事業団、あるいは商工会議所等にいろいろな情報提供の場を設けております。
 例えばジェトロで申しますと、投資情報コーナーというのを設けまして、企業の方が一体どこにどういうふうな進出をしたらいいだろうかということをまず問い合わせたいときには、そこにおいでになって見当をつけられる。さらに、ある程度見当がつきましたら、ジェトロの中に指導、相談の窓口がございまして、産業協力特別あっせん事業と申しておりますけれども、一体どんなパートナーを選んだらよいだろうか、あるいは地域の周辺のいろいろな状況はどんな状況になっているだろうか、あるいは関係者に面談したいのだけれどもアレンジをしてくれないだろうかということについてきめ細かな相談体制を整えておりますし、事業団では、海外投資の経験あるいは海外勤務の経験の豊富な方をアドバイザーとして登録しておりまして、企業の方がいろいろな具体的な御相談がある場合には、そのアドバイザーがきめ細かく、実情に応じた国別のお話をさせていただくというような制度、あるいは商工会議所におきましても、海外投資あっせん事業といたしまして、パートナーのあっせんなどを行うような手だてをいたしておるところでございます。
 しかし、先生御指摘になりましたように、これから海外投資が一段と盛んになるにつきましては、事前調査をしっかりやる、立派なパートナーを選ぶ、環境をよく調べていくということがますます大事なことでございますし、先般産業構造審議会で取りまとめました「二十一世紀産業社会の基本構想」の中間報告におきましても、投資関連情報をしっかり整備するようにという御指摘もいただいております。先生の御趣旨も十分体しまして、これから一層これら情報提供の充実を図ってまいりたいと考えております。
#144
○長田委員 私は、もちろん海外に進出する企業はそういうことをきちっとやっていただきたいし、親企業が海外へ行ってしまいますと下請が残ってしまうのですね。そして、一緒に行けるかなどという条件は、とてもじゃないけれども全うできるものじゃございません。そういうことで、そういう場合においてはもっと一年前とか二年前にその計画を教えてあげるとか、あるいはそういう下請企業に対しては有力な親企業を紹介してあげるとか、そういう親切さがどうしても必要だということも私は指摘をしたいのです。この点はどうでしょうか。
#145
○松尾(邦)政府委員 おっしゃいますように、大企業が進出したことに伴います下請企業あるいは孫請企業への影響、こういった問題もこれから大変気を配っていかなければならない問題だと存じます。そういう意味では、私どもも、進出いたします大企業につきましては、先生御指摘のように海外投資についての計画の前広な関連企業への周知徹底を図るとか、あるいはどうしても海外に行けない中小企業につきましては、国内で新製品の開発あるいは新しい事業分野への進出等を円滑にするための支援措置、こういったことも総合的に考えて対処していくことが必要だと考えております。
#146
○長田委員 次は、エネルギー問題についてお尋ねします。
 渡辺通産大臣は、サウジアラビア、それからフランス、イギリスを回って石油価格安定について話し合い、四月下旬に帰国されました。大きな成果を上げられて、御苦労さまでございます。東京サミットにおける経済宣言でも、エネルギー問題は一項目盛り込まれました。ここは大臣の御尽力だということを私は漏れ承っております。
 確かに、石油の大幅な値下がりは産油国の財政に大きな打撃を与えております。まして、累積債務を抱えております国というのは、大変大きな問題でございます。国を挙げて大変恐縮ですけれども、メキシコなどは強烈な打撃をこうむっております。そういう意味で、こういう状態というのは世界経済全体にとっても必ずしも好ましい状況ではない、私はこのように考えております。
 石油が適正な価格で落ちつくことが望ましいわけでございますけれども、私は、石油が値下がりしている今こそ、日本の場合も、アメリカなんかは備蓄に大分力を入れようという動きがあるようでありますけれども、日本も備蓄の積み増しをすべきである、私はこのように考えておるわけであります。その点については、通産大臣、五十万キロリットル積み増しをするというお話を何か私漏れ承っておりますけれども、備蓄については具体的に進められたらどうでしょうか。
 ただ、問題は資金ですね。原油が安くなりましたから、石油税がなかなか入ってこないという側面もありますから、ここいらの財源をどうするかという問題が残っております。この点について、あわせて御答弁をいただければと思います。
#147
○渡辺国務大臣 今のお話にありましたように、五十万キロリットルを積み増しをする。現行の予算の中で、石油の値下がり等もございますから、何とかなるということで実は決定をしたわけでございます。
 しかし、先ほど言ったように、石油の値下がりということは短期的には非常に我が国にプラスになるのですが、また、余り下がり過ぎて暴騰するようなことは困る。それから、何とか安定供給に役立っておった国がたくさんあるわけですが、そういう国が、非常に石油を頼りに予算を組んでおりますから、それが入らないために財政的に参ってしまう。メキシコなんかそのいい例で、それで一千百億ドルからのたくさんの国際的な債務を持っておる、それが支払いがつかない、そこから金融不安が起きるということになってアメリカの銀行がつぶれるというようなことになりますと、今度は別な問題を起こしてしまう。したがって、ベーカー提案のようなものも我々は賛成をいたしまして、やはりみんなが出し合って――そういう債務国から貸した金を高利貸し的にすぐ巻き上げよう、どこかの国が一つやれば、みんな倒産する前に先にとった方が勝ちだから、そうなると、本当に倒産してしまうわけですよ。それは自重しよう。それからリスケも認めてやろう。そして、ただ取り上げるということよりも、その国の経済を興してやって、少し長くなってもいいから返してもらえるように保護してやろうという空気になったことは大変いいことだと私は思っております。
 これらの政策について、個別的にはいろいろな方々といろいろな会談をいたしました。大体、値段の点については意見の違うところもありますが、備蓄するということについては意見は一致いたしました。アメリカなどは、この備蓄の積み増し声明のところで、これはIAEAですか、そこで備蓄しようということになって国際的な協定で決まっているのだが、備蓄を実行しない国がある、それじゃ困るから、実行させるように、備蓄の積み増しを必要とする国がそれを実施することを可能とするということを強く書けという議論が全体会議で実際はあったのです。いろいろ議論がありまして、これはニードと書かないで別な言葉がいいということですね、ウイッシュ、それがいいというようなことで論争がありましたが、アメリカの方が撤回しまして、それで原案どおり「希望する国が」となったのですが、みんなそれならば全部がまとまれるからということでこういうふうな表現になったのですけれども、備蓄がやはり必要だという空気は全体的に統一された、そう見ていいと思います。
#148
○長田委員 私は、大きな項目にエネルギーの項目が一項目入ったことは大きな成功だろうと考えております。
 次には、前川レポートに関連いたしまして、前川レポートに国内炭の見直しの問題が実は提言をされております。
 先日は、石炭鉱業審議会の小委員会から、今後国内炭の生産は一千万トンに減らすという答申が出されておるわけであります。既に我が国の石炭各社は大幅な欠損企業でございまして、しかも、生産された石炭はトン当たり一万円以上も海外炭に比べまして高いということがございます。したがいまして、国内炭を縮小して順次海外炭に依存をするということについては、私は悪いことではないなという感じもいたします。ただ、経済摩擦の関係や経済の合理性からそういう方向を打ち出すのであれば、前川レポートや東京サミットの経済宣言でも言っているように、農業の問題もあることですから、石炭だけがこういう運命にさらされるということは私はちょっと気の毒だなという感じがいたしております。この点については、石炭を一千万トン体制にするというような提言に対しまして通産大臣はどういうお考えでしょうか。
#149
○渡辺国務大臣 現実の問題として、今二千万体制というのですが、実際に掘っているのは千五、六百万トンぐらいですか。しかし、地域の問題もありますから一挙にというわけにはできませんでしょうが、ただエネルギーの中に占める石炭の重要性ということになりますと、ドイツとかイギリスと違いまして日本は三%ぐらいに減ってしまった。食料品の中に占める大豆みたいな話ですね。大豆は非常に少なくなってしまったという現実があります。石炭の方もそういうふうに少なくなってしまうと、国家安全保障上という点ではやはり目方が減ってしまったわけです。ネグリジブルな話、三%節約すればエネルギーなんかなくたって済むじゃないかという議論も一方あることは事実です。しかも内外炭の格差がこれだけある。だから、今のままで結局無理しながら補助金を出しながら掘り続けるということについての疑問というのは、第三者から見れば当然あってしかるべきだと私は思います。需要者あるいは消費者、納税者との問題でございます。だから、実際はちょっとぐらいの手助けでやっていけるようなところは当然残すべきでしょうが、かなり無理をして、これからますますコストがかかって、深度が深くなって事故が起きる危険性がふえてということになると、何といっても人の今も大事ですから、そういう点も考えるとそう無謀な、安全対策もなかなかやりきれるものではないということとの兼ね合い、だからといってすぐなくすと町全体がなくなってしまうという騒ぎ、両方あるわけです。しかしながら、過渡的な問題は別としても、将来問題としては、非常に不採算性で危険を伴うというようなものをどこまでてこ入れできるのか。余りてこ入れして会社がつぶれてしまって、働いている労働者が裸で出ていくようなことは悲惨きわまつないことになる。ですから、そこらとの兼ね合いを考えて今後対処すべき問題ではないか。
 前川提言というものはそういう細かいことは言っておりませんが、不足する分は輸入炭ということなんでしょうが、どれだけ需要がふえるのか、そこらのところも数量的にはよくわかりません。いずれにしても、国内の石炭鉱業の合理化というものは地域性とのにらみ合いをしながら処理するという方向が書かれたのだ、そうすべきだという学者の意見でしょうね。ですから私は参考になる点も多いと思っております。
#150
○長田委員 通産大臣、前川レポートに国内炭の見直しということが提言されておりまして、石炭鉱業審議会の小委員会からは国内炭の生産は一千万トンにという提言がございました。そのいきさつでお尋ねをいたしました。
 次に、電力、ガスの値下げの問題についてお尋ねをいたします。
 試算基準を原油一バレル十九ドル、それからドルのレートは一ドル百七十八円といたしまして一応計算したということでありますけれども、実勢は既に原油がこの四月には一バレル当たり十六ドル、円も一ドル百六十円ということでありますから、できるだけ早い時期に、電気事業法の本来の趣旨に沿いまして原価主義で計算し直して新しい料金体系というものに改めたらどうか、私はこういうふうに考えております。
 そこでお尋ねいたしたいのでありますけれども、通産省、エネルギー庁は今後為替レートや原油価格の動向にかかわらず暫定値下げを来年の三月まで続ける方針なのかどうか、この点はいかがでしょうか。
#151
○野々内政府委員 電気料金はできるだけ安定している方がいいというのは基本的な考え方でございまして、原価要素が変わるごとに料金を改定するという考え方も他方にはあろうかと思っておりますが、私どもはできるだけ安定した方がいいという考え方に基本としてなっております。それで今回の引き下げにつきましても、来年の三月までを見通して計算をしたいわけでございますが、御承知のような状況でございますので、一体この一年間が幾らで推移するかということは的確には非常に難しい状況にございます。したがいまして、過去においてもそうでございますが、一番新しいデータに基づいて判断をする、為替レートの場合には五月上旬までの直近三カ月をもって判断をし、それから石油につきましては三月、四月の平均をもって判断をいたしました。
 確かに今現在若干これとは変わっておりますが、しかしまた、いつ逆の方向に振れるかもしれないという不安定な状況でございますので、私どもは例えば今よりももっと円安になったりあるいは石油が上がったりしましても、逆の方向が起こりましても、来年の三月まではこの状態でいった方がいいのではないかと考えております。むしろ来年四月以降の問題として別途年末にも判断をすべきではないかというふうに考えております。
    〔野上委員長代理退席、与謝野委員長代理着席〕
#152
○長田委員 私は、今回の六月からの電力、ガス料金の引き下げについては大いに歓迎でございます。ただ一部には、国民の間にはちょっと遅過ぎたのではないか、あるいはもうちょっと返せるのではないか、素朴なそういう意見があるのもまた事実なんです。そういう意味では、来年の三月までという条件つきでございますから、本来ならば料金改定については基本的な原価主義というものを貫いた方がいいということを私は提言をしたわけであります。この点ひとつその線に沿ってやってもらいたいという意味なんです。
#153
○野々内政府委員 原価主義ということでやりたいというふうに考えております。
 ただ最近の原価の構成は、従来に比べまして燃料費のウエートが下がり資本費のウエートが上がるという状態でございますので、燃料費だけをもって全体を改定というわけにはまいりませんで、やはり改定することになりますと、資本費、人件費とも含めた全体についてやることになろうかと思っております。これはできれば燃料事情が安定をした段階でぜひそういう方向に持っていきたい、そのときには抜本的にすべてのコストを洗い変えをするということが適当だろうと考えております。
#154
○長田委員 きのうガス、電力業界は一律値下げの特別料金の制度の見直しを通産省に申請をいたしました。電力、ガス業界は、当初差益還元の算定基準を原油が一バレル当たり二十二ドル、そしてドルが百八十円、このようにいろいろ試算をしておったようであります。しかし、原油安、円高がさらに進んだために、きのうの申請では一バレル当たり十九ドル、それから一ドル当たり百七十八円と修正をされたようであります。
 そこでお尋ねしたいのでありますけれども、今回の料金措置については電気事業法の第二十一条ただし書に基づいて実施するということでございますけれども、何で第二十三条の規定によらなかったのか。今回は国が主導的に料金引き下げ命令といいますかそういう還元を行うというのが筋ではなかろうかな、そういう意味で私は、第二十一条のただし書きではどうもちょっと無理があるのじゃないかなという感じがいたしております。これは、去る五十三年の差益還元のときにも私は当委員会でこの問題を取り上げております。そういうことでありますから、今回は五十三年のときのような単なる還元ではないわけでありますから、第二十三条の通産大臣の価格引き下げ命令というような措置の方が国民的にはわかりやすかったのじゃないかなという感じがいたしております。この点はどうでしょう。
#155
○野々内政府委員 若干技術的な点でございますので御説明させていただきますが、電気事業法には二つの方法がございまして、一つは、御承知のように十九条に基づきまして抜本的に見直すというやり方、もう一つは、一時的に二十一条ただし書きによる方法、この二つの方法があるわけでございますが、二十三条は、結局十九条一項に基づく変更認可申請を行うことを大臣が命ずるということになるわけでございますので、この十九条、または二十一条ただし書きのいずれによるかということがその基本にあろうかと考えております。現在、非常に状態が不安定でございますので、この不安定な状況をもちまして直ちに「著しく不適当」な状態になったという判断をするのはいかがかと考えておりまして、もしこの状態が長く続いて、かつ電力会社が変更認可申請をしないというような事態になりましたときには、二十三条の規定による命令ということはあり得るかと考えておりますが、現状では、不安定でありますし、かつ当方の指導で事実上電力会社の方から変更認可申請が出てまいりましたので、特に二十三条によって行う必要はないのではないかというふうに考えております。
#156
○長田委員 通産大臣、今回の料金引き下げは私は歓迎なんですけれども、通産大臣から二十三条を発動しまして安く料金を改定するというふうにされた方が、政府が能動的に還元に力を入れておるという点では国民的にはわかりやすい。申請を待つのじゃなくて、そのくらい積極姿勢が大事じゃないのでしょうか、どうでしょうか。
#157
○渡辺国務大臣 私は権力主義的なことは余り好きじゃないので、命令してやらせるよりも、向こうがこうしたらどうでしょうかとちゃんと向こうからの申請をもって民主的にやった方がいいですから、やはり命令でやらせるよりも自発的にやってもらった方がいいじゃないですか、そういう感じです。だから私はそうしたのです。
#158
○長田委員 通産大臣の人柄がにじみ出ておりますからこれ以上私はどうのこうの言いませんけれども、四月十九日の日本経済新聞の報道によりますと、今回の円高でどのぐらい差益が出るのかという経企庁の試算が出ております。その内容は、円レートが一ドル二百四十円から百八十円に上がると合計七兆七千七百億円、それから原油価格が一バレル二十八ドルから二〇ドルに下がると二兆六千億円の円高差益が経済全体に生ずるというようなことを試算いたしております。つまり、これは合計いたしますと十兆三千七百億円の円高差益が出る、このように試算をいたしております。特に、円レートは現在百六十円から百五十九円台を推移しておりまして、きょうは百六十三円へ戻しましたけれども、そういう状況になりますと差益はさらにふえます。
 こうした十兆円以上に上る円高差益のうち、具体的な形で国民に戻ってくるというのは、きのう決められた電力とガスの合計で一兆八百五十九億円でございます。あと九兆円残っているのです。そうなりますと、国民から見ますと、ガスと電気は確かに還元を受けましたというふうに実感として感じまするけれども、あとの九兆円はどうなってしまっているのか、このような素朴な疑問が出てくるのです。ですから、話は別になりますけれども、国際貿易黒字五百億ドル以上、十兆円以上と言われましても、では国民のどこの懐にあるのかということが素朴な国民の疑問だろうと私は思います。
 そういう意味で、円高差益の還元ということになれば、あと九兆円はわかりやすく国民経済にプラスしてあげるということが国民の側に立った経済の物の考え方であろうというふうに私は考えますけれども、通産大臣どうでしょう。
#159
○渡辺国務大臣 全くそのとおりです。これは石油のように、しかも管理価格になってみればすぐわかるのですが、石油だけでなくてプロパンガスでもそれは千億円ぐらいの還元を現にさせるように指導しておりますし、そのほかたくさんの、自動車用とか何かガソリンが三割ぐらいあるでしょう。そういうものが値下がりをしていくということは市場メカニズムで還元されるわけですし、現に農家の豚や鶏に使うえさのようなものが安く手に入る。そのほか、日本は鉄鉱石を初めいろいろな原材料というものはほとんど外国に頼っておりますから、そういうものは時間がかかりますが何らかの形で非常に円高差益の恩恵を受ける。ですから、そういうものは今すぐに値段を決めてずっと政府が下げさせるというものではありませんから、じわじわと効いてくる。それは一年経過後という話になるのであって、今一遍に効果がまだ出ていない。
 輸出の方は円高差損で結局輸出は手取りが少なくなってしまったというので騒ぎが出ていますが、片一方の方はそう急に効果が表に出ていませんから実感がないのでありますが、だんだんこれが出てくる。そういうことはもっと政府がPRをして途中でパイプが詰まらないように、どこか流通過程でもうけられてしまう、ある人ばかりがぶくぶくやみ太りになっては困りますから、そういうところはパイプ掃除をうまくやらせるようにしていくことが大事だ、そう思っております。
#160
○長田委員 大臣は先日茨城県での講演の中で、円高というのは日本の金に値打ちが出てきたということだ、こういうふうに言われていらっしゃいますね。ところが、その割には私たち消費者には円高によってこういうメリットがあった、またこういう輸入品がこれだけ安くなったというような生活実感というのは実はないのです。
 メリットという点で輸入製品が安くなるというのは当然でありますから、私は先日、この一両日でありますけれども、都内のデパートで輸入製品をくまなく見て歩きました。その資料はただいま皆さんのところにお配りをしたとおりでございます。これは、主な輸入品を、一つには「値下げしたもの」、二つには「ほとんど値が変わらないもの」、三つには「むしろ値上げしたもの」というふうに三種類に分類をいたしました。
 輸入品価格の動向につきましては、各省庁が三月時点での対象三十七品目での調査結果を発表していることは私も知っているわけでありますが、そうした調査結果を踏まえた上で、五月時点における調査を私は行ってまいりました。今皆さんのお手元に差し上げている調査の数字でありますが、この調査はつい最近でございますから、一番新しい調査だろうと私は考えております。これでほぼ間違いがないかどうか、経企庁どうでしょうか。間違っていたら具体的に言ってください。
#161
○斎藤(成)政府委員 三十三品目の御調査でございますが、御存じのように、三省庁でやりましたのは三十七品目でございまして、品目の間に出入りがございます。したがいまして、品目の共通しているものについて比べてみますと、大体傾向としては同じなのではなかろうか、つまりかなりの程度まで円高の効果が浸透しつつある。四銘柄が、ちょっと御調査いただいたものと私ども政府の調査したものと動きが食い違っております。全体として見ますと、全体としてと申しますか、共通しているところで見ますと、大体同じ傾向ではなかろうかというふうに考えております。
#162
○長田委員 通産大臣それから経企庁長官、これは調べてごらんいただいていると思いますが、たしか値下がりしたものもあります。このほかにもたくさんありますけれども、ほとんど値段が変わらないというのも実に多いのですね。あるいはむしろ値上がりしている、こういう奇々怪々のも実はあります。こうなりますと、私たち店頭に、デパートとかスーパーへ行きましても、確かに円高によって私たちはメリットがあるという、こういう品物を見た限りでは、私は実感としてわかないのじゃないかという感じでありますけれども、これは一体どこに原因があるのでしょうか。
#163
○斎藤(成)政府委員 よく御存じのことでございますけれども、価格の決定につきましては輸入価格だけが決めるのではなくて、それ以外に需給要因でございますとか、あるいは在庫の関連でございますとか、いろいろ決定する要因がございます。
 三省庁で調査したものと長田先生の調査なさったものと比べてみまして、一番の特色は、先生の調査の対象にはブランド品が多いということでなかろうかと思います。これは百貨店でお調べいただきますと、輸入品というのは大体ブランド品に象徴されておりまして、そういう意味でブランド品が政府、三省庁の調査よりは多い。御存じのことでございますけれども、ブランド品と申しますのは多くの場合に輸入総代理店が存在をいたしておりまして、ブランド品の価格を極力安定させるという政策をとっております。このブランド品についての高価格維持政策というのがかなり効果を上げておる、そういった総代理店の側から見ると効果を上げておるわけでございまして、そういうふうに価格が変動しないがために贈答品その他で重宝がられている、こういう要素があるようでございます。
 ですから、今お調べになりましたものの中で、価格が動いてないもの、あるいはさらに価格がむしろ上がったものというのにつきまして、政府内部、三省庁で調査をいたしましたときの結果から見ますと、このブランド品政策の結果価格が動いてないというものがかなりございます。
 そのほかにも、これはまたブランドによって違うわけでございますけれども、輸入品の輸入のときの価格の決定の仕方につきまして、ブランド品につきましては、例えば昨年の九月に比べてむしろ向こうが価格を引き上げたというようなものも幾つかございます。そういう意味で、この価格につきましては、ブランド品が大きな影響を与えており、そしてその内容としては需給の問題もありますけれども、むしろ契約の仕方、あるものにつきましてはまた円建てということで、円建てで契約しておきますと幾ら円高になりましても全然影響が出てこないわけでございます。これは先生のお調べの中にあるので申しますと、例えばフィルムというのは、これは全然変わってないうちに入っておりますけれども、これは政府の調査でも円建て契約になっておりまして、したがって現行価格が全く動いてない、こういう状況でございます。
 ですから、品目によって価格が動かない理由というのはそれぞれまちまちでございますけれども、それぞれブランド品であるとかあるいは在庫の状況であるとか円建て契約であるとか、そういったいろいろな要素で価格がむしろ動かない方向に働いているものが見受けられるということでございます。
 ただ、すべてのブランド品が値段が動いてないかというとそうではございませんで、これは先生の御調査にはないのですが、政府の調査の中には幾つか出ておりますけれども、ブランド品の中でも下げているものもございますし、それらについては政府側がいろいろ今指導いたしておりまして、業界の側でも検討するという報告を出しているものもございます。
#164
○長田委員 両大臣、今輸入製品の実態調査を、私、価格の動向調査をやりまして感じた点でありますけれども、やはり消費者が考えるように円高が余り作動してないというのが実態でございます。そういう意味では、経企庁においてもあるいは通産省におきましても、こういう価格の動向調査、流通経路に至るまでのある程度の追跡調査をきちっとやりまして、やはり下げるところはきちっと下げるべきだというようなことをやりませんと、通産大臣みたいに人がよくて、向こうから来るのを待っているということをさっき言っていましたけれども、その姿勢ではちょっと下がらないんじゃないかなという感じが私はするのですが、どうでしょうか。
#165
○渡辺国務大臣 それにはやはり政府が先にやらなければいかぬと私は思っているのですよ。例えば畜産事業団とか食糧庁でしこたまもうけちゃったというようなことでは、これはぐあいが悪い話ですから、まず政府もやって、それで我々も監督をして、途中でパイプが詰まらないようにそれは極力していきたい、そう思っております。仰せのとおりだと思います。
#166
○平泉国務大臣 この問題につきましては、今通産大臣からもお話がありましたけれども、国会の御意思によって国際価格と国内価格とを断絶している制度というものが相当広範に存在するということもやはり考慮に入れなければならぬ要素でございまして、この辺に非常に大きな問題がある。
 それからもう一つは、やはり我が国が島国であって、外国の価格というものがなかなか消費者の目にすぐ触れられない。輸入業界そのものがどうしても閉鎖的な市場の中で運営される、こういう問題もあるのではあるまいか。この問題の第二の問題になりますと、やはり政府がこういう我が国の地理的状況、例えて言うとブラッセルやジュッセルドルフの市場の価格というのは、すぐに一時間ドライブすればフランスやベルギーの価格がお互いにわかるわけですから、そういう状況とは非常に違う我が国の島国である条件というものを、どうやったらこれを輸入商品の市場について競争的な市場が形成されるかという問題につきまして、十分政府も注意を払っていかなければならぬと思っておる次第でございます。
#167
○長田委員 そこで私は提案でございますけれども、貿易摩擦の大きな要因といたしましては、貿易収支の黒字、この点が日本がターゲットになっている大きな理由だろうと考えます。そこで中曽根総理は百ドルずつ国民の皆さん買ってほしいという要請をいたしました。実際問題、それが思うようにはかばかしくいってないということもまた事実であります。ただ、輸入製品を買う気がないのかどうかということになりますれば、私は、決してそうではない、こういう感じがいたしております。今話題になりましたブランド製品、こういうものに対しては相当買う余地といいますか、意欲といいますか、私はあるという感じがいたしております。例えばいろいろなブランドのバッグであるとか、そういうものについては相当意欲があるのじゃないかという感じがいたしております。これはいいかどうかわかりませんけれども、そういう外国製品を買う場合においては、領収書とか証明書をきちっともらって、思い切った減税政策をとってあげれば、私は確実に外貨は減るという感じがするのですが、ちょっと粗っぽい議論ですけれども、両大臣に感想をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#168
○渡辺国務大臣 輸入したものに減税をする。それは今度、税制の中で、輸入機械で特殊なコンピューターか何かついているものを買ったものについては減税措置を講ずるという機械輸入促進税制の創設、これはことしから実行するんです。中小企業新技術体化投資促進税制ということで、輸入機械を取得する場合は二〇%の割り増し減税率をやるということは一つやっておるのですが、一般の商品について、輸入品に減税をするというのは、関税をまけるというようなことはございますが、輸入品を買った人に御褒美を何か現金でくれるとか、そういうことはやはりちょっと政府のやることとしては余りなじまないんじゃないか。むしろ、安く入ったものは安く流すということについての指導はいいと私は思いますが、じゃ輸入品を買った人にどういうふうにして減税をするのか、物品ごとにするのか、品目もたくさんあります、原材料はどうするのかという問題もございますから、どこで仕切りをつけるか、技術的に非常に難しい問題があるんじゃないでしょうか。頭のいい人にちょっと答えてもらいますから。
#169
○村岡政府委員 余り頭がよくなくて申しわけないのでございますが、先生御指摘のように、去年の今ごろ中曽根総理が一人百ドル買おう、こういう提唱をなさったわけですが、あのときの円レートというのは二百六十円内外でございました。非常に円安ということで輸入品が買いにくかった時期でございますが、最近百六十数円という台になりますと、神の摂理とでも申すのでしょうか、やはりおのずから輸入品が買いやすくなる、こういう状況でございます。
 製品輸入に限定して申しますと、現にことしに入りまして、一−三月平均して八・八%、前年同期に比べてかなり伸びてきました。四月には二四、五%の伸び、こういうかなり高い伸び率を記録しているわけでございます。その結果、四月の製品輸入比率というのは四割台と、かなり大きな伸びということなっております。
 減税というのも一つのアイデアでございますが、このような円のレートということによって、製品類は今後も輸入が相当増加するのでないかと私ども期待しておるところでございます。
#170
○長田委員 長官のお考えはどうですか。
#171
○平泉国務大臣 税制の問題で奨励をするということももちろん一つのアイデアでございますが、その前に、やはり輸入に対するいろいろな内外の障壁ということが言われておるわけでございまして、そういったものについて可能な限り、なかなかそれぞれの困難を含んでおるものでございますが、既にアクションプログラムその他で行われているいろいろな措置をさらに徹底させていくということがまず第一段階ではあるまいか、かように考えておるわけでございます。
#172
○長田委員 それでは、最後に中小企業庁にお尋ねをいたします。
 円が強烈に高くなりまして、今国会召集のときに中小企業対策をまずやろうということで、当商工委員会では二月に中小企業に対する円高緊急融資制度と事業転換法を成立させました。ところが、事業転換資金の利用が極めて低率であるということが報道されておるわけであります。私は、現場のいろいろな調査によりまして今まで、事業を転換するというのは大変なことなんだな、業種を転換させるということは簡単なものではない、そういうことは認識しておりましたけれども、これが非常に低調であるということが報道されておりまして、この点非常に心配なんですが、どうでしょうか。
#173
○広海政府委員 中小企業国際経済調整対策等特別貸付制度の利用実績でございますが、去年の十二月からことしの四月末までの約五カ月間でございますけれども、全体で六百八十億ということになっております。この中で御指摘の転換資金に対する融資でございますが、今のところ実績はないという状況にございます。
#174
○長田委員 以上、終わります。
#175
○与謝野委員長代理 青山丘君。
#176
○青山委員 若干重複するかもしれませんが、私からもお尋ねさせていただきたいと思います。
 実は私の出身は愛知県の瀬戸市、瀬戸物の瀬戸でいささか名前だけは知られていると思いますが、この瀬戸市における輸出業者はこの円高で大変な苦しみに今遭っております。もっとも、このような円高の状況の中でもたくましく、十分競争に闘い抜くことができると自信をほのめかしております業者もありますが、しかし実質は、この百円に近い円高で今までの経営姿勢ではとてもやっていけるものではない。中には、私は死んでいくけれども、同じ死んでいくのなら竹下さんも道連れにするんだというように息巻いている、苦し紛れに悩んでいる業者もありまして、その状況をぜひひとつ理解していただきたい。
 例えばけさのベーカー・アメリカ財務長官の発言等はまさに、ようやく底を打って、これからは一転大きく逆転できるのではないかというような期待感を強く持っております。貿易小委員会のベーカー財務長官の発言で業者は一定の期待を持ち、さりとて軽々にこれに乗ってよろしいのかどうか、最近は大分疑い深くなってますから、たやすく乗るわけにもいかないのかもしれないということで心は千々に乱れて、実は悩み抜いております。新聞にはドル安打ちどめ宣言というように受けとめている節もありますが、両大臣はどのような受けとめ方をしておられますか。
#177
○渡辺国務大臣 もう打ちどめであることをこいねがっておるということであります。
#178
○平泉国務大臣 ファンダメンタルズから見れば、確かに最近の円高は行き過ぎであるという認識は、これはもうアメリカ側も持ち始めた、こういうことではないかと私は思いますが、実際の市場の動きは、いろいろ投機筋の動きもありますので、まだまだ警戒を要するというふうに見ております。しかし、我々としては現在の円高基調というのは少し行き過ぎである、こういう認識をいまだに持っておるわけでございます。
#179
○青山委員 両大臣も期待してくださっておりますし、私もぜひひとつこのあたりで底打ちにしてもらいたい。実際は東京サミットに大きく期待をいたしまして、あのあたりで協調介入がしてもらえるのではないかと、中曽根総理を初め日本の閣僚に対して期待をしておりました。
    〔与謝野委員長代理退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
実際は失望せざるを得ない状況がサミット以降、連休明けからまた円高が進んで、一体どこまでいくのか焦燥感は尽きないものが実はありました。ただ、全体を見てまいりますと、世界全体ではインフレはいささか鎮静化していますし、金利も低下傾向ですから、総じて明るい基調の中にあるのではないか。しかし、貿易収支のアンバランスであるとか、一部の国は高い失業率を抱えて苦しんでおりますから、そのような情勢の中で今回の東京サミット、我が国が強く希望してきた円高に対する是正の協調介入、協調行動をとってもらえるように強く訴えていただいたとは思いますが、東京宣言あたりではどうもまだ明確な態度が出されておりません。
 このあたりに対して両大臣はどのように受けとあておられますか。今回の東京サミットに対する御見解あるいは、円高がきのう、きょう、これでとまってほしいという同じような期待感を私も持っておりますが、現在の御所見をひとつぜひお聞かせいただきたいと思います。
#180
○平泉国務大臣 今の円の水準が少し高過ぎるのではないかということは、総理ももうたびたび公の席上でも言っておられるわけでございます。また、その速度が速過ぎて、おっしゃるとおり我が国の産業に重大な対応上の問題が生じておる、殊に輸出に関連の深い中小零細企業には重大な問題が生じておるということは、政府、各関係閣僚、いずれも大変強烈な認識を持っているわけでございまして、先般の総合経済対策の策定にまたさらにつけ加えまして、近日中に新たな対策を特に立てたい、かように考えておる次第でございます。
 他方、外国側に対しましてもこのような意思は十分に伝達しておりますし、また大蔵当局もこの辺については十分そういう認識を持って行動しておるということを私ども承知いたしておるわけでございまして、今後ともこういう御迷惑のかかるような急激な円高が継続しないように、あらゆる努力を重ねる所存でございます。
#181
○渡辺国務大臣 企画庁長官と同じであります。
#182
○青山委員 円高是正のために協調行動をとってもらいたい。しかし、先進国の中にはたやすくそういう要求に乗れない。これは先ほど来話がありましたが、大幅な貿易黒字が日本にある。今年も数字の上から見ると相当大きくなっていく。しかし、このように大きな円高になってきますと、貿易収支の数字の上ではいささか是正されてくる方向になると私は思いますが、この数字が反映されてくるのにはやはり相当な、半年、一年ぐらいかかるのか、どのような形になってくるのか、その実勢をどういうふうに予測し、見通しを立てておられるのか、通産大臣、いかがでしょうか。
#183
○村岡政府委員 この円高の効果が貿易収支に、効果をあらわしてくる時期でございますが、一般的には十二カ月ないし十八カ月ぐらい、こう言われているわけでございます。御案内のとおり、短期的には、ドルベースではじいた場合の輸出金額はかなりの勢いで現在上昇しておるところでございます。私どもの方の見方によりますと、今年度内は輸出金額の増加傾向は衰えないというか、そう目覚ましく減らない、このように理解しております。しかしながら、中長期的に見ますとどうしても輸出数量が減ってまいります。それとの関係で、明年度に入りますれば輸出数量の減少ということを通じまして輸出金額が減ってくるということを期待しているところでございます。
 一方、輸入でございますが、目を離せない要素が非常に多いわけでございますけれども、先ほど製品輸入の数字で申し上げましたように、かなり輸入が増加している項目もございます。そのような点を十分ウォッチしていく必要があるのではないか、このように考えております。
 結論的には、今年度の貿易の黒字が目覚ましく減ることを期待するのは無理じゃなかろうか、このように考えております。
#184
○青山委員 円高がこのまま推移したら一体どのようになっていくのか、メリットの面、デメリットの面、どういうふうに受けとめておられますか。先ほどから話がありましたように、円高でメリットを受けているところも相当多くあると思います。しかし、国民生活の中になかなかそれが反映されておらない。そうなってまいりますと、デメリットの面で輸出業界が悩み苦しんで、もだえておりますと、これがどうしても強く出てこざるを得ない。緊迫感の方が強くなってきている。そうしますと地域経済に与える影響も非常に強くて、とても円高が内需拡大の導火線にはなり得ない。これでは一体輸出関連企業はどのようになっていくのかという危機感から、私どもに寄せられる政治に対する不信感、不満感は非常に強くあります。
 このままではとてもいけないということはわかっていますが、一体どうしていくのか。為替相場の安定のために具体的にはどうしてくれるのか。また内需拡大のためにはどうしてくれるのか。その意味で先般の総合経済対策が出されましたので、これはまず確実に実施していただく、そして年度の途中ではありますけれども減税を打ち出していただく、あるいは公共投資をこの際明確に拡大を打ち出していくというような姿勢がないと、危機感ばかりが先行して、政府はそれなりに手は打ってはいるものの、さてその効果たるやどのようなものが期待できるのかと考えざるを得ないのであります。この辺のこれからの対処方針、決意をひとつ聞かせていただきたいと思います。
    〔奥田(幹)委員長代理退席、与謝野委員長代理着席〕
#185
○渡辺国務大臣 これはサミットでも言われておるわけですが、日本が五百億ドルとか、ことしは七百億ドルを上回る黒字になるのではないか。石油の価格が大幅に下がったということで、製品輸入がふえても到底石油の輸入代金の減った分を埋めるほどふえるということは困難であります。したがって、貿易収支はことしはあるいは去年よりも大きく出るかもわからない、出るだろうと言われております。それらについては、なるべく我々は門戸の開放をやり、輸入の促進をやるから大いに諸外国も輸出努力をしてくださいよ、我々はもう障害を取り除いてありますから輸出努力をしてくださいということを言っておるわけであります。
 今後の対処方針としては、自由競争でございますから、もう日本は関税障壁や非関税障壁を設けていないんだということを徹底をさせる、あとは、結果的にはこれは私がいかんともしがたい。
 そこで、アメリカなどにも話をしたところが、短兵急に全体の問題の改善を図れというわけではない、部分的にはいろいろある、最終的には、経構研で出した、世界にも御披露になったわけですから、それを日本政府が着実に実行するということであれば、それはやむを得ないのではないかというようなことを言っている方が多いわけであります。
 したがって、これは当面の問題と将来の問題とに分けて考える必要があって、当面は、円高によって非常に輸出ができないというやつを内需に振り向けさせるための金融上の措置、あるいは必要に応じては今まで非常な円高不況のときにとられた前例に従った措置、それから内需拡大のために、それは建設国債の発行によるかあるいはその他の財投によるかは別としても、何らかの形での公共事業の拡大措置、しかもこれが悪平等配分にならないような知恵を絞り、なおかつ、公共事業が波及効果の少ない部門に行くことを食いとめる措置、波及効果の多いものにだけ絞ってふやす、しかし臨時的な措置ですね、あるいは金利の一層の引き下げ措置等をいろいろミックスしたものを考える必要があるいはあるかもしれません。
 その前に、我々は現行措置の中で公共事業などは七七%以上の前倒しをやると言っておるわけですから、まずそれを実行してもらう。実行しないうちから騒いでおったって仕方がない話で、出したごちそうはまず食べてもらって、食べ切るころになったらまた出しますから、だから食べもしないうちからもっとごちそうを出せ、ごちそうを出せと騒がれましても、これも困るのですよ。ですから、まず食べてくださいということでやっていただく。あとは経済の状況、世界の状況等を見ながら適時適切な措置を講じて、やはりサーベーランスのときに、日本だけがけた外れた方向に行ってしまったではないかというようなことを言われないようにする必要があると私は思っております。
#186
○青山委員 総合経済対策が一定のごちそうだとは思いますよ。しかし、中小企業の立場から見ますと、これで本当にかゆいところに手の届くような手を打ってくれたというようなふうにはとても思えない。サミットが終わったらまた円高、これでは一体どうなっていくのかという危機感がこの数日非常に深刻であったのです。しかし私は、何とかこのあたり、きのう、きょうあたりで底打ちになってほしい。先ほど大臣も希望しておられましたが、ただしかし、政治の場で希望だけしておるわけにいきませんから、一体これからさらにどうしていかなければならないのか。
 現状は、例えば百六十円、これではなかなか契約してくれません。それから、まだまだ安くなると思っている人たちも多かったわけで、それから、中進国からの追い上げもあって、新しい輸出契約というのがほとんどとまっている状況です。こうなってくると、一体どこで安定してくれるのかというのが一つの重要な問題になってくるわけでありますが、輸出業者は、休業、廃業、倒産、こういった不安に毎日真剣に駆られているわけです。もちろん、対応策を何にもやっていないわけじゃないのです。一生懸命やっておるのです。しかし、なかなか急激には競争力もつかない。技術革新をして新しい競争力の強い製品をつくろうと急激に取り組んでも、わずかこの数カ月、実質は八カ月ぐらいあるわけですけれども、最初の二、三カ月はまだそんなに深刻に受けとめておりませんでしたので、この半年ぐらいは、それはなかなか深刻に受けとめているわけです。
 政府としては、今の状況、輸出業界をどのように見ておられますか、現状をどのようにとらまえておられますか、聞かせていただきたいと思います。
#187
○広海政府委員 円高によります中小企業に対する影響につきましては、これまで累次調査をしてきたわけでございます。
 最近で取りまとめた調査結果のポイントだけ申し上げますと、これはちょっと古いのでございますが、三月の上旬に取りまとめた調査の結果のポイントでございますけれども、主要な輸出中小企業の産地五十五産地につきまして調査した結果でございますが、新規成約がストップした企業が出ている産地というのが六七%ある。それから、契約は結んでいるけれども、その新規成約価格がかなり下がっておりまして、それが前年同月を二〇%以上下回っている産地の比率でございますが、これが二四%ということになっております。それから、輸出向けの受注残でございますけれども、新規成約が滞っている関係上、これも全体として減ってきてございまして、適正水準、通常の水準より五〇%以上下回っている産地が七五%、こういうことになっております。それからまた、操短の見られる産地の比率でございますが、これが五八%、休業の出ている産地が二二%と、ごくかいつまんだポイントだけでございますが、そのような結果になっております。
 その後さらに円高が進行してございまして、これは御承知のとおりでございまして、今申し上げた調査結果よりさらに厳しい状態になっているのではないか、このように推測してございますが、ただいま詳細な調査を実施中でございまして、近近取りまとめることができるという状況でございます。
#188
○青山委員 受注残を持っております企業は、やはり非常に競争力の強い製品をつくっております。そういう苦労といいますか日々の努力をしてきて、このような極めて厳しい状況に置かれてもなお闘い抜くだけの企業体質といいますか、製品に対する競争力を持つ努力をやってきたわけです。ところが、大多数はやはり、当時の一ドル二百六十円から二百四十円、二百二十円ぐらい、あのあたりでまあまあやっていけるというような内容でありますと、今日の段階ではとても競争に太刀打ちできない。したがって、一生懸命合理化をして何とかコストダウンをしていかなければいけない、今まで外需に頼ってきたけれども、内需品種に転換していかなければいけないというような努力を必死でやっておるのです。やっておるのですけれども、一ドル百六十円、今のような円高の状況ではもう打つ手はない、こういうようなまさにギブアップのような状況をぜひ理解していただきたい。そのために既に事業転換措置も、あるいは今度の総合経済対策もやってきておるということでしょうけれども、さらに対応策を私はぜひ考えていただきたい。政府もそのような方針だということは私なりに受けとめておりますが、中小企業のそうした輸出業界、非常に苦しい状況であることを理解いただいて今後の対応策をぜひ検討していただかなければいけない。そのあたりをどのように考えておられるのか、これが一点。
 それから、円高によって経営が非常に苦しくなってきておる、そういう苦しい中であるからこそ融資をお願いする。ところが、金融機関は優良企業だけにしか貸さない。これは金融機関の立場に立てはそうでしょうけれども、そういう選別融資がだんだんと強くなってきておるというふうに受けとめています。これらに対する指導はどのように取り組んでおられますか。この二点、いかがでしょうか。
#189
○広海政府委員 まず第一点の方でございますが、近時の急激な円高によりまして中小企業が受ける影響が深刻になってきたことにかんがみまして、御承知のように四月八日に総合経済対策を決定したわけでございますが、その中で例えば中小企業向けの貸付金利の引き下げ等の対策を拡充強化したわけでございます。しかし、その後さらに円高が進行しているという状況にかんがみまして、産地中小企業対策等を幅広く今検討を行っているところでございますが、いずれにしましても今後の円相場の動向、中小企業への影響等を注視しながら適時適切に対策の検討を進めていきたいと考えている次第でございます。
 それから、第二点の金融機関のいわば選別融資の問題でございますが、確かに最近の金融緩和基調のもとで、民間金融機関を通じます資金調達面で中小企業間の格差が拡大している可能性が御指摘のとおりあるわけでございますけれども、政府といたしましては、従来からこの差をできるだけ埋めるために、政府系中小企業金融三機関を通じます融資によりまして、主に民間金融機関では融資が困難と思われるところを中心に貸し付けを行いまして、中小企業の資金調達の円滑化を図っているところでございます。今後とも引き続き、個別の中小企業者の実情に応じまして適切な貸し出しが行われるように努めてまいりたい、このように考えております。
#190
○青山委員 商工会議所であるとか商工会ではこの円高対策による中小企業のいろいろな相談に乗っている、そういうふうに聞いておりますが、中小企業がこの円高に伴って各商工会議所であるとかその他に対してどんな相談を今持ちかけているのか、そのあたり、どんな把握をしておられますか。
#191
○佐藤(剛)政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生の御質問でございますが、私ども、商工会、商工会議所がどのような相談を受けているかということを三月の中旬から下旬にかけまして一応調査いたしました。そしてその実情を把握いたしたところでございます。御承知のように商工会議所は先生の瀬戸にもございますが、全国四百八十五ございます。そして、経営指導員を約三千三百人配置いたしておるわけでございます。こういう人材を活用して相談を受ける体制というのができております。特別窓口というものも設置いたしております。
 そこら辺の三月の調査によりますと、まず一つは、円高によってどういうふうな影響を受けて、どういう資金を借りられるのか、どこに行ったらいいのか、どういうふうなシステムなのか、こういうのが結果によりますと一番多うございます。その他、下請関係についての仕事のあっせんをしてもらえないか、あるいは事業の転換がどうだとか、こういう話の実態でございますが、そのような形での実情を常時把握いたしまして、そして体制をとっております。
 これも四月八日の総合経済対策閣議におきまして、その中ではっきりと、商工会、商工会議所にそういう相談窓口というものを置く、また中央会にもかような窓口を置く、そして都道府県等と緊密な連絡を図って行う、かような形でやっておるわけでございます。そして、先月には都道府県の商工部長会議を招集いたしました。そして、そこで各県における実情というものを把握し、また、やはり全体で均衡のとれた運用をとるということが必要でございます。かような形で進めてまいっております。引き続きかような形で進めてまいりたいと思います。
#192
○青山委員 商工会議所の会員あたりは、どの制度を有効に活用したらいいのか、実はまだよくわからなくて、いろいろな相談に乗っていくときに、比較的親切に指導してくださるということでは評価を受けておりますが、まだまだ零細な企業に対していろいろな形で相談相手に十分なっていないような場合には、ひとつ零細な企業者に対して手を差し伸べていただきたい。
 それから、中小企業庁でも下請等中小企業対策推進本部を設けていろいろな相談事、円高対策あるいはそれに伴う影響調査をしておられたり、苦情の窓口も設置して受けておられると聞いておりますが、その成果はいかがでしょうか。
#193
○広海政府委員 御指摘のとおりに、二月二十四日に中小企業担当政務次官を本部長といたします下請等中小企業対策推進本部を設置したわけでございますが、その後の活動状況を御報告申し上げますと、これは主なものでございますが、三回ほど今までに会合を開いておりまして、産地及び下請中小企業についての円高影響調査の実施をしております。それから第二点目といたしまして、親企業及び事業者団体に対しまして、下請中小企業に対するしわ寄せの防止を図るという趣旨での指導通達を発出してございます。それから三番目といたしまして、先ほどちょっと触れましたように、各都道府県の商工担当部長にお集まりいただきまして円高の影響についての実態把握等を行った。それからまた、随時相談の処理を行っているわけでございます。
 それからまた、各通産局におきましても、関係都道府県、政府系金融機関あるいは中小企業指導団体等で構成いたしますプロジェクトチームを設置いたしまして、中小企業庁の下請等中小企業対策推進本部と密接な連携をとりながら活動を行っているという状況でございます。
 なお、これまでに中小企業庁それから各局で受けた相談件数でございますが、約百二十件ということになっております。
#194
○青山委員 中小企業庁、今のやりとりで広海さん、実際に円高で苦しんでいる中小企業対策、今これを質疑しておるのですが、具体的にはしたがってどのような対策が今必要だと考えておられますか。どうでしょう。
#195
○木下(博)政府委員 四月八日に総合経済対策の一環といたしまして、中小企業対策、円高対策も含めて政府として方針を出したわけでございますが、その中で、五・五%の金利を事業転換については五%、それからその他の経営安定資金については五・三%という形で引き下げるということを中心に対策を打ち出したわけでございますが、その後も円高が進んでおりますということで、現在政府の中で追加的にどのような対策ができるかという点を検討している段階でございます。
 当然のことながら中小企業対策はどうしても金融対策が中心になりますので、私どもとしては、現在とりましたそういう金融対策のほかにもう少し、例えば低い金利で貸し出す方法がないかどうか、そういう点を含めまして現在検討をやっているところでございます。
#196
○青山委員 四月八日の総合経済対策で、今お話がありましたように五・五が五%、あるいは五・三%に引き下げられましたが、その後、今お話しのように円高がさらに進んでおりますし、公定歩合が下げられております。したがって、私は一番最初からできるだけ低い金利、低い金利とばかの一つ覚えのように繰り返し言ってきておりましたが、せっかく下げていただいて、しかしなおその後公定歩合も下がっておりますので、今お話がありましたようなさらに低い金利ということはぜひ必要ではないかと思います。この点についてもう一回。
 それから先般の事業転換法におきましては、円高要因による業種として全国業種が百十八、地域業種がちょうど十、百二十八業種の指定がありました。実はその後も円高が相当進んできておりまして、当時、あれは幾らのころでしたか、百八十円をまだ切っておらなかったころじゃないかと思うのですね、百八十円に入ったころでしょうか、それからさらに円高が進んできております。したがって、さらに例えば追加の業種指定も必要になってきておるのかどうか、そのあたりの御見解はいかがでしょうか。
#197
○木下(博)政府委員 金利の点につきましては、御指摘のように公定歩合が三度にわたって引き下げられておるわけでございます。現在中小企業金融公庫の基準金利は六・四%ということになっておるわけでございますので、それと事業転換のための特別の低利融資の五%との間には一・四%の差があるわけでございます。実はその六・四%の金利が今後どうなるだろうかという点を最近の長期プライムレートの動き等見ておるわけでございますが、最近やや長期資金につきましては金利が高とまり的な感じの傾向もあるわけでございまして、現在三度目の公定歩合の引き下げが行われ、短期資金の金利が下げられましたけれども、必ずしも長期資金がすぐに下がるという状況ではありません。
 ただ、いずれにいたしましても、中小企業の円高で影響を受ける業種につきましては、特に事業転換等に迫られている人たちに対しては、何らかの形でもう少し安い金利で支援をする方法がないかという点を研究しておるわけでございます。
 二番目の御質問の点でございますが、業種指定、百八十三業種を事業転換対象業種として指定したのは三月四月でございますけれども、それ以降、追加で指定してほしいという御要望が幾つか出てきておるわけでございまして、現在中小企業庁の中で個々の御要望について検討いたしている段階でございますので、これは今後対策が全体として打ち出されることがあれば、その中で業種の追加指定というものは当然その対象として上がってくるだろうと考えております。
#198
○青山委員 ぜひ進めていただきたい。金利の点でも厳しく受けとめていただきたいのは、決して猫かわいがりをするということではなくて、政治の責任でここまで一挙に、しかも急速に円高が進んできた。したがって、政治の責任においてできるだけ手を打つ、底支えはする、こういう姿勢でないと、政治に対する信頼、行政に対する信頼というのはなかなか難しくて、多くの企業経営者が政治に対して冷たく見ていたり信頼を持っておらないということに対して、私どもは心痛むものが実はあるのです。その点でぜひ金利についてはできるだけ、特に円高で苦しんでいる中小企業に対して対処していただけるような取り組みをお願いしたいと思います。
    〔与謝野委員長代理退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
 それから例の事業転換法を審議しておりましたときに、輸出関連中小企業への特別融資という措置は補助金に当たるのだ、こういうことからガットに反するものだというアメリカからの批判が実はありましたね。そういうところが政府がなかなか思い切って対処してくれない理由なのかしら、こういう経営者あたりからの疑問がよく言われます。この辺の見解はいかがでしょうか。
#199
○木下(博)政府委員 中小企業者に対する円高対策、特に低利融資についてアメリカからいろいろと疑問が出されたのは周知のとおりでございますけれども、二月の終わりから三月の初めにかけてアメリカに対して説明をいたしまして、私どもとしては中小企業円高対策というのは、何も補助をして輸出をどんどん伸ばすために使っているというものではなくて、むしろ事業転換等がスムーズに進むために低利の資金でつなぎの融資等を行っておるという説明をしたことによって、十分理解を得たと思っております。したがいまして、アメリカとの関係において、今後こういう種類の考え方に基づいて対策を講じていくということにつきまして、また再びアメリカからいろいろ言われるということはないだろうというふうに考えております。
#200
○青山委員 アメリカに対する配慮をすることは、日本の経済全体に一定の必要な面があるというふうに私は受けとめておりますが、この点については中小企業庁の方で、ひとつ今お話しいただきましたような受けとめ方でできるだけ勇気を持って取り組んでいただきたい。
 それから、円高のメリットが中小企業に対してどういう形で反映というか影響してくるのか、円高のメリットを余り受けておらないという声が非常に強くあるのですが、その辺の御見解はいかがでしょうか。
#201
○木下(博)政府委員 昨日、電力業界等から円高差益還元のための料金引き下げの申請が出たというふうに資源エネルギー庁から聞いておりますが、その申請の中身の中で特に中小企業者が関係しますものは小口の電力料金等があるわけでございます。小口の電力料金につきましては、各社の申請額を総計すると約三千億円になるというふうに資源エネルギー庁から聞いておりますが、したがって、そのような料金引き下げが行われれば、電力料金の低下によって、特に電力を使う中小企業者にとっては相当大きなメリットが出てくるだろうと考えております。それ以外にも原材料関係で輸入品を使うために、その輸入品の価格が安くなることに伴って原材料価格が安くなるというものも、私どもは具体的に余りフォローはしておりませんけれども、そういうものもたくさん出てきておるわけでございまして、現実には原材料価格の低減という形でメリットを受けておる中小企業者も広い範囲にあるのではないかというふうに考えております。
#202
○青山委員 この問題の最後ですが、さきに事業転換対策を打ち出していただいた、あのときの審議も私どもはできるだけ積極的にということで賛成をしてきましたし、ぜひこの総合経済対策も確実に実施していただきたい、期待を込めて見守っておりますが、第三点、その次には一体何が必要か、こういうことを考えておられたらひとつ聞かせていただきたいと思います。事業転換対策、そしてさきの総合経済対策、その次には何を考えているのか。
#203
○福川政府委員 確かに大変急激な円高で、現在私どもも中小企業庁を中心に中小企業の対策をいろいろ検討いたしております。私どもとしては、まず全体の総合経済対策については、四月八日に決めました総合経済対策をできるだけ早期に着実に実行するというのがまず第一であろう、かように考えておる次第でございます。私どもも、さらにこういった内需の拡大の必要性ということから見て、将来どのような形で必要があるかという点はもう少し事態の推移を見て検討いたしたいと思いますが、当面はそこで決めておりますことをまずできるだけ早期に、着実に実施するということで対応いたしたいと思っております。
 なお、中小企業の対策に関しましては、さらに中小企業庁の方でも検討を進めておりますので、中小企業庁の方からお答えさせていただきます。
#204
○木下(博)政府委員 中小企業関係の対策は、先ほどもちょっと御説明申し上げたわけでございますが、現在までいろいろな対策を実施しておりますものを金融面中心にもう少し深めていくということで広く検討しておるわけでございまして、特に全く新しい対策が出てくるというような感じではないかと思っております。
    〔奥田(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
#205
○青山委員 石油問題にいきたいと思いますが、その前に一点だけ。
 国鉄が民営化されてまいりますと、旅客、貨物鉄道会社という形で、新しく輸送業以外の関連事業ができるようになっていくようであります。国鉄としては今後関連事業として本屋さんあるいはクリーニング、花屋さん等々中小企業事業分野への進出が検討されていると聞いておりますが、この法案の閣議決定の前に運輸省と中小企業庁との間に相当突っ込んだ話し合いがなされたと聞いております。その内容について少し御説明いただきたいことと、この新しい会社ができるに当たっては次の法案で「中小企業者の事業活動を不当に妨げ、又はその利益を不当に侵害することのないよう特に配慮しなければならない。」この配慮規定というものが定められてはおりますが、この条文においては中小企業への配慮基準というものが余り明確ではない。配慮基準というものを考えておられたらひとつこの際明らかにしていただきたい。
#206
○遠山政府委員 国鉄が新しい会社になります場合に、御指摘のとおり事業の範囲が現在の国鉄に比べまして拡大をいたします。それに伴いまして、新しい旅客鉄道株式会社あるいは貨物鉄道株式会社が、中小企業の事業分野につきまして中小企業者の事業活動を不当に妨げたりあるいはその利益を不当に侵害したりということがないようにということで、運輸省の方と協議をいたしまして、先ほど御指摘のありました法律の第十条「中小企業者への配慮」にかかる規定を設けた、こういうのが経緯でございます。
 その中身でございますけれども、中身の配慮の基準というものはどうなっているかという内容の御質問だと思いますが、この点につきましては、新会社はこの十条の規定に基づきまして中小企業者の事業活動を不当に妨げたりあるいはその利益を不当に侵害することがないように、こういうことでございますが、現実の紛争事例を見てみますと、地域の中小企業者が国鉄、そういう大企業者等の事業を事前に十分に知らない、そのためにいろいろ紛争がややこしくなったりあるいは調整が十分図られないというケースが多いものですので、私どもとしては、そういった個々のケースごとに事前に計画の段階で十分に時間的余裕を持って地域の中小企業者に説明をし、それをベースにいたしまして話し合いが行われたりあるいは調整が行われたり、こういうことが重要ではないかと思いますので、そういうことが十分図られるようにということがこの規定である、こういうふうに了解をいたしております。
#207
○青山委員 次に、ソ連のチェルノブイル原子力発電所の事故についてと政府の対応について、わずかの時間ですけれども、若干お尋ねしたいと思います。
 ソ連の原子力発電所で事故が起きた、そのことによって、日本だけではなくて世界の多くの国々が相当な衝撃を受けた。周辺諸国はもっと大変であったであろうと思います。しかし、事故が発生してから今日までのソ連の情報公開の面では、全く不適切きわまりないものがある。私は大変残念でならない。このことが日本の原子力政策に大きく影響を持ってきてはいけないことだと思って心を痛めているわけでありますが、ソ連の情報の公開については全く残念で仕方がありません。
 そこで、政府がこれまで把握しておられる内容について少しお尋ねしたい。あのチェルノブイル原子力発電所の事故の概要というものをどれぐらい把握しておられるのか、事故の原因はどのようなふうに受けとめておられるのか、被害の状況はどうか、あるいはまた事故の現場は今どのようになっておるのか、把握しておられる範囲でぜひひとつ明らかにしていただきたい。
#208
○逢坂政府委員 ソ連のチェルノブイル原子力発電所の事故につきましては、詳細はただいま先生御指摘のとおり依然として不明なところがたくさんございます。ただいままで把握しております概要は、大体次のようでございます。
 まず、ソ連邦のウクライナ共和国キエフ市の北方約百三十キロにございますチェルノブイル原子力発電所四号機におきまして、日本時間の四月二十六日の午前六時二十三分に事故が発生しております。それから、原子炉建屋の屋根の破壊と火災が発生いたしまして、また、炉心の大幅な損傷によりまして大量の放射能が漏えいしてございます。
 ソ連の公式発表によりますれば、当初、二人が死亡いたしました、二百四人が被曝により入院した、そのうち十八人が重体であるという発表でございましたが、一昨日、五月十二日の公式発表では、六人が死亡、三十五人が重体となっております。IAEAの事務局長が招かれましてソ連の地点を視察したわけでございますが、そのときの状況は、発表によりますと、半径三十キロメーター以内の最大放射線レベルは一時十ないし十五ミリレントゲン・パー・アワーを記録いたしましたけれども、五月八日時点で約百分の一程度に減少しているということでございます。
 それで現在のその現場の状況でございますが、火災はしばらく燃え続けたということでございますが、現在はほぼ鎮火しておって、その後始末にコンクリート固めの作業に入っておるということで、本日の公式発表では周辺の七カ所のモニタリングのうち五カ所は正常値に戻っておるということでございます。
 それから近隣諸国への放射能の問題につきましては、かなり大きな数字が発表されておりますが、一たんピークに達した後低下傾向でございます。特に西側の諸国に対して健康上の被害までは至ってない、こういうような発表もございます。それから、我が国及び米国の西海岸におきましても微量の放射能を検出しているところでございます。
 事故の原因その他につきましては、まだ詳細が発表されておりませんし、またソビエトの事故調査委員会によりますれば、事故の経過といいますか、結論を出すにはまだしばらく時間がかかる、こういうようなことを発表しております。
#209
○青山委員 日本政府としてはソ連政府に対して情報の公開を求めてきたのか、あるいは一定の回答があったのか、そのあたりはいかがでしょうか。
 それから、こうした事故が起きますと、原子力の日本における安全利用についても国民的な不安が増大して、現在原子力発電所が置かれている地域あるいは立地予定地域周辺の住民の人たちに対して日本政府としていささか説明をしてきたのか。その後の対応策はどうでしょうか。
#210
○逢坂政府委員 まず、ソ連に対する対応でございますが、これにつきましては、先般サミットの場におきまして援助の申し出、情報の提供の要請並びに国際機関での事故の検討、緊急時の対策のためのスキームの作成等について特別声明が出たところでございまして、これにつきましての効果は、去る五月九日、事務局長とソ連邦との共同声明によっても今後国際の場でこの情報を出していくというようなことで、この特別声明の効果は出てきておると思っております。そのほかにも、各国の大使その他に断片的ではございますが情報を出すような雰囲気になってきております。
 我が国の対応につきましては、外務省からいろいろソ連邦に対する援助の申し出その他をしておりますが、我が国に対しては特に個別の要請はまだ来ておりませんので、その対応はしておらないといいますか、援助はまだしてないという状況でございます。
 それから、我が国の中に対してどう対応したかという御質問でございます。私ども通産省といたしましては、この原子力発電所の事故を非常に重要視いたしまして、早速調査を開始いたしました。現在までのところ、我が国の原子力発電所の運転管理その他について問題があるということではございません。もともと日本の原子力発電所につきましては安全第一でやっております。そういうことで、今すぐにどうしなければいかぬという問題があるというふうには考えておりませんが、このソ連邦の事故が起こったという事実を厳正に受けとめまして、今後、この情報収集の結果得られた事項に従って、もし反映すべき事項があればこれを反映させていくという心構えでおります。
 それから、地元の関係につきましては、この事故が起こりまして以来、今現在運転している地点及び今後計画している地点を中心に、私どもの方からこのソ連邦の事故に関連する情報を積極的に提供して、この問題についての理解を深めていただくようにしているところでございます。
#211
○青山委員 石油などのああした有限の資源を少しでも節減していかなければいけない、そのためには、原子力発電というのは相当な規模での安全対策がきちっととられていけば、やはり人類が依存していかなければならない重要なエネルギー源だと私は思っております。しかし、今回のこの事故を反省点にいたしますと、やはり技術の革新も進歩もこれからもさらに取り組んでいかなければならないという点を一つ強く感じましたと同時に、放射能等の非常に危険な一面もやはりあるのかと思いますと、ソ連のようなああした秘密主義に対して人類の名において批判をし、強く糾弾をしていかなければいけない。日本政府としてこの点はぜひひとつ明確に理解しておいていただきたい。
 そこで、今回のような事故が再び起きてはいけませんので、そしてまた先般のサミット等の合意もありましたように、今後こうしたことが起きれば一体どのような国際機関で救援体制を持ち、情報を公開し、その他のいろいろな住民の不安に対応していくことができるのかというようなことが、これからの重要な課題であろうと思います。その辺の御見解をぜひ聞かせていただきたい。
#212
○野々内政府委員 御指摘のとおり、原子力発電は今後のエネルギーの非常に中心的な柱になると考えておりますが、今回の事故の経験も踏まえまして、今後安全第一で開発を進めていきたいと思っております。原子力につきましてはIAEAという国際機関がございまして、ソ連も入っておりますが、今回のソ連の情報公開が非常におくれたということで国際的な非難もございまして、最近ではソ連もIAEAに積極的に協力いたしておりますので、今回のサミットの宣言にもございますように、今後IAEAを中心といたしまして安全対策の向上あるいは事故のときの情報の公開、救援について積極的に検討してまいりたいと考えております。
#213
○青山委員 終わります。
#214
○野田委員長 工藤晃君。
#215
○工藤(晃)委員 最初に、現在の円高の中小企業への影響について初めに大臣に伺います。
 七八年の円高のときと比べておおよそ三つの違いがあると考えられております。七八年も百七十円台という記録がありましたが、月としては百八十三円、それから七八年一年平均では二百十円ということであります。ですから、今の方がはるかに激しく、しかも長期化する見通しのもとにある、これが一点。それから二つ目に、国内的に内需不振の中で非常に激烈な円高にぶつかっている。それから三つ目にアジアNICS、多くの国は通貨がドルとリンクしているわけでありますが、この追い上げといいますか、そこからの輸入がふえる状況の中で迎えている。およそこういう三点を考えると、中小企業にとって七八年より深刻なものがある、これは一般的にそう見られますが、いかがでしょうか。
#216
○渡辺国務大臣 五十三、四年のとき、あのときから見ると切り上げ幅も大きいし、それからスピードが速いという点で今回の方が影響は大きい、そう見ております。
#217
○工藤(晃)委員 中小企業庁としては、産地中小企業の調査を行って近く発表するということですから、それは発表後、我々は知ることができると思いますが、通産省として、五月九日発表の円高の主要産業への影響について、それから円高の中小企業への影響についてとありますが、特に中小企業への影響について、この調査結果として新しく重視した点があれば説明していただきたいと思います。
#218
○木下(博)政府委員 中小企業庁といたしましては、昨年の秋以来四度調査をいたして、その結果を発表いたしておりますが、五度目の調査を現在実施しております。対象としては五十五産地でございますけれども、最近の急激な円高がございますので、その五十五産地のうち主要な十数産地について緊急に調査をしたわけでございます。
 その結果でございますけれども、必ずしも全体の産地をカバーしておるわけではございませんが、百六十円台に円が上がったということで、新規の輸出契約がストップしている企業が相当の産地において出ておる。それから、受注残が全くないという産地もあるということもございます。特に、今も御指摘ございましたが、ドルとリンクしております通貨を持っております韓国、台湾、香港等の競争国が、輸出市場において日本品と競争し、あるいは日本の国内にそういう製品を出してきているというような面が強く見られるようになっております。それと同時に、百六十円レベルのものがもしずっと続けば、相当の企業が赤字になってしまうのではないかという感じでございます。
#219
○工藤(晃)委員 ところで、下請企業に対して大企業、親企業が単価の切り下げをやってくることに対して、公取委員長、それから中小企業庁長官ですか、通産大臣ですか、通達を出していますね。
 それで、私、二月の予算委員会でもこれはもっと厳しく指導する必要があるのじゃないかということを言ってきたわけでありますが、どうもその後、これは四月十四日の日経産業新聞を見ても、一度だけでなしに二度も、繰り返し円高値下げ要請が行われているという実情があります。特に電子部品は、一、二月に一〇%から三〇%、こういうような値下げ要請、それで四月にはまた一五%というのがあります。そういうことで、自動車部品、金属製品、その他いろいろありますが、一度、二度と値下げ要請が行われている。ですから、一方ではそういうことをやらないようにという指導がありながら、実際に東京都で行われた調査あるいは大阪で行われた調査、いろいろ見ても、全国的に一月あるいは四月というふうに繰り返し値下げの圧力が加えられている。こういう問題は見逃すわけにいかないわけなので、ひとつ通産大臣としてもこういうことに対する対策を一段と強める必要があるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#220
○渡辺国務大臣 円高問題については、適時適切に対処をいたします。
#221
○工藤(晃)委員 ちょっと今の私の質問を聞きそびれたんじゃないかと思いますが、親企業が円高だといって中小企業に単価をどんどん下げるようなことをしてはいけませんよという通達を出されたわけですね。もう出してあるわけなんです。それに従って私、二月十日ですか、予算委員会で渡辺大臣にも伺いましたが、実際にそれが行われているようならそれに対処しなければならないという趣旨の答弁を得たと思いますけれども、最近の状況の中で、依然として広がっているだけではなしに、電子部品なんか、一月ごろやってまた四月ごろ、再度来る、こういう状況は見逃すわけにいかないので、やはりこれに対してはっきりした対策をとる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
#222
○広海政府委員 円高によります影響を下請中小企業者に不当に転嫁するという問題につきましては、かねて中小企業庁としましても大変重視しておりまして、昨年の十一月にも既に通達を発出しておりますし、また、関係団体の長を招きまして、直接大臣からも要請をしていたわけでございますが、二月二十四日に下請等中小企業対策推進本部を設置いたしまして、それでまた改めて親企業あるいは関係の事業者団体に対しまして通達を発しているわけでございます。さらにまた、この推進本部で、下請代金法に基づきます円高影響の特別調査を実施しておりまして、それで特に問題のありそうな企業をピックアップいたしまして、今またそういう不当なしわ寄せをしている疑いのある企業につきまして改めて特別な調査をしているということで、御指摘の点につきましては、鋭意努力を傾けている次第でございます。
#223
○工藤(晃)委員 きょうここでは、特にどの企業という名前を挙げるわけではありませんが、再度そのように指導を強めることを強く求めて、次の問題に移ります。
 例の、新しい事業転換法が商工委員会で可決されたとき、二月十二日、ちょうどレートが百八十六円でありました。それから四月八日に新しい円高対策で、金利が少し下げられたということですが、このときも百八十一円ということであって、現在の百六十円台はさらに進んだ状況であります。
 先ほど来、政府としても追加的な円高対策をとるということですが、それは主として金利の引き下げとか融資条件の緩和とか、あるいはいろいろ特別な融資枠の拡大とか、大体そういう方向を含むのでしょうか。
#224
○木下(博)政府委員 ただいまお話しになりましたような金融面での対策等もいろいろ検討を行っておりますが、それと同時に、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法に基づく対象業種も、三月四日に指定した対象業種以外に指定を要望されている分野がございますので、現在どのくらい追加できるかを含めて検討しておるわけでございます。
#225
○工藤(晃)委員 それならば、金利の引き下げや対象業種の見直し、拡大とかいうことだと理解しますが、それでよろしいわけですね。
#226
○渡辺国務大臣 できるもので、できそうなことで、効果のありそうなものは状況によっては何でもどかんとやるということであります。
#227
○工藤(晃)委員 大臣も聞いていただきたいのですが、今円高緊急融資の利用実績というのを各地方について聞いてみますと、これはたしか三月末現在ですが、愛知県ですと、県の融資は金利が五%、据え置き四カ月−一年で四年返済、これは九百二十八件で百二十四億円ぐらいです。ところが国の場合は、例の金利が五・三%で百六十二件、三十三億円。県の融資の方が条件がよくて利用も大変多い。新潟県も、県が金利が五%で二百二十九件、十九億円。国は利用件数三十五件。金額はちょっとわかりません。岐阜県も、県の融資が五%で二百四十五件、二十億円です。国の方が百四十七件で二十一億円というように、県の制度の方がより利用されているということは政府として反省していただきたい。
 というのは、それこそ政府の責任があって起きている今の円高の進行に対して、その補償は国が責任を負わなければいけないというときに、国の方が自治体よりももっと積極的な姿勢をとるのが当然であるにもかかわらず、金利その他で県の制度の方がよく、利用も多いということ、これはこの際今度の新しい対策の中でぜひ改めるようにしていただきたい。そういう点で、我が党はかねてから激甚災害などの三%を当然ではないかという立場でありますが、再度この金利の問題について伺いたいと思います。
#228
○木下(博)政府委員 国際経済調整対策特別貸付制度の実績についての御指摘でございますが、三月末は四百数十億円であったわけでございますけれども、四月末の実績は五・三%の特利適用分が六百七十八億円ということでふえております。これは五十三年に実施いたしました低利融資制度のときもそうでございましたが、制度を実施いたしまして数カ月間は比較的利用者が少ないというのは、いろいろと審査等にも時間がかかるという面もありましてそういう状況であったわけでございますが、三、四カ月たちますと急激に貸し出しが伸びてくるという実績があったわけでございまして、現在それと同じような感じになっております。したがいまして、政府のそういう制度も十分に活用されているというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 それから県の方との比較についての御質問がございましたけれども、確かに県の融資制度の方が先行している面があるのは事実でございます。ただ、県の場合には融資規模が比較的小さい、それから融資期間が短いというようなことがございますので、業者としてはまず県の方で借りておいて、それからまたこちらの国の方の融資対象に切りかえていくということもあるために県の方が先行しているという面があるわけでございまして、決して県の方の制度にどうこう言うわけではございませんが、両々相まって円高対策の融資を今後も進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#229
○工藤(晃)委員 何となく県の制度にけちをつけているような今の答弁ですね。やはり実際に県の制度が使われるということは、金利が低いじゃないですか。大体五%とか、五%以下のところもありますよ。そういうことなんですから、そこのところはこれまでの対策の足りなかった点としてぜひ反省していただきたいと思います。
 同時に、この際融資の問題でぜひ再検討、見直してみる必要があるというのが特別小口保険についてです。無担保、無保証人融資、今限度額が三百万円ということであります。なぜ見直さなければいけないかというと、例えば燕市などで聞きますと、円高の中で市や県の緊急融資を受ける際、赤字企業であることを理由に無担保、無保証人の信用保証が受けられず、小さな業者、言ってみれば今の円高の中で一番犠牲を受けて苦しんでいる業者は保証人を立てるのに大変苦労しているということなんです。それでこれはぜひ考えなければいけない点は、なぜそういうことが起きるかというと、これは理由もあるわけなんで、中小企業信用保険法の施行規則、通産省令の中で「特別小口保険に係る小企業者の要件」として所得税、事業税、市町村民税の所得割の課税を受けていて、かつ完納しているという縛りをかけられている。そういうことで事実上赤字企業は特別小口保険は受けさせないということになっているのです直しかし、一番困った業者が、しかも政府の責任のある今の円高で、無担保、無保証人融資を借りたい、とても保証人がつかない、担保ももちろんないというとき、これは実情に合わない極めて冷たいやり方ではないか。
 そういうことで、例えばこれは国税庁が、特に中小企業の中で資本金一億円未満の欠損中小企業は全中小企業の中でどのくらいの比率にあるか、特に零細な資本金一千万未満について述べますと、昭和四十年は三六%が赤字でありますが、五十九年になると五九%が赤字企業になっている。こういう経過から見ても、この通産省の省令ですか、出されたときと比べて今もう六割の零細な企業というのは最初から受けられる対象になっていない。これが大変不合理な点になっているのではないかということが一つあります。
 それから同時に、先ほど言ったことを繰り返すことになりますが、今の円高の不況の中で一番末端の零細業者が犠牲を受けている。ここを救わなければいけないのに、この制度が利用できないという問題もあるわけです。先ほどの通産省の調査によっても、今の百六十円台が続くと大部分が赤字企業になってしまう、そういう結果さえ出ているわけでありますから。ここでこうやりますということにならないとしても、これからの円高対策の中でこの特別小口保険の運用、赤字企業も実際受けられるような内容にすることを含めてひとつ検討を願いたいと思いますがいかがですか。
#230
○広海政府委員 御指摘の特別小口保険でございますが、これは御承知のように無担保かつ無保証人の保証制度ということでございまして、もしこの返済が滞った場合にはほとんど回収のめどが立たないということで極めてリスクの大きい保証制度であるわけでございますので、御承知のように、源泉徴収によらない所得税、事業税または道府県民税もしくは市町村民税のいずれかの税を完納しているという程度の企業につきまして保証する、こういう仕方をとっているわけでございます。
 なお、この納税実績ということを一つの歯どめにしながらこの保証をやっていくという追加的な理由といたしましては、やはり保証するに当たりまして事業の安定性、収益性ということをしんしゃくするわけでございますが、納税実績という定型的な審査基準を採用することによりまして、手続面での簡素化も図っていくということも同時にねらいとしているわけでございます。
 せっかくの御提案ではございますけれども、こうした理由がございますし、また現下の厳しい財政状況にもかんがみてみますと、赤字企業に対して特別小口保険を付保することは非常に困難だろうというふうに判断しております。
#231
○工藤(晃)委員 そんな答弁は私は絶対に理解できません。だってリスクがあるといっても、突然八カ月で五〇%の円高になって、リスクは自分でつくったのじゃないでしょう、G5やなんかの結果出てきたリスクでしょう。それで、緊急融資を受けなければならないというときに担保もない、保証人もいない。そこを当然救済する義務があるじゃないですか。そのための制度としてこういうものもあるし、別枠もつくったわけでしょう。しかも、別枠をつくっても利用者がそれほどいないというのはそういう困難があるからなんですよ。大部分の産地の零細企業が赤字になってしまったとき、この制度が何も生かされないといったら、一体何のためにこの制度はあるのですか。だから、リスク、リスクなんて言う前に、だれがリスクを与えたんだ、どうしてリスクが生じたんだ、そのことをよく考えてくださいよ。そこを考えないと物事間違ってしまうのですよ。
 大体中小企業信用保険公庫への出資金は、五十七年度六百二十五億円から六十一年度三百九十億円、減る一方じゃないですか。こういうことをしてリスクを与えておいて、そして何とか金を借りたいと言えば、おまえのところに貸すとリスクがあるから貸さない、そんなことは通用しませんよ。ぜひ検討してください。大臣、いかがですか。
#232
○渡辺国務大臣 金融の問題というのは、政府の機関であっても民間であっても、貸した金は返してもらうということが前提になるわけです。しかし、こういうふうな異常な事態ですから、何らかの工夫はしなければならぬと私どもは考えております。ただ、責任問題論ということになりますと、これは一つはアメリカの政策の変更なんです。ドル高是正ということはアメリカの基軸通貨としての政策の変更であった。
 かつて、二年ぐらい前でしたか、トヨタだと思った。私は新聞で読んだのだが、円安のときに史上空前の利益を上げた。そのときに社員に訓辞をした。このもうけというのはみんな生産性で上がったんじゃないのだよ、これは思いがけない円安によって空前の利益が出たんだということを私は聞きまして、これは賃上げ抑制のために言ったのかなと思ったけれども、現実には円安のために思いがけない利益があったという時代も実際はあったわけです。ところがアメリカの方が、ドルはその国の強さに比例しているんだ、それは、どこかで国際紛争が起きると間違いなく必ずドルが今まで強くなった。なるほどそう言われてみれば、円を持って逃げる人はいないけれども、ドルを持って逃げる人はいることはいるな、マルコスさんじゃないけれども。だから、そういうようなことも実際はなるほどなと私は思った。
 ですから、それは政府の責任によって上がったんだとだけ言われましても、それは国際的な全体の問題ですからこれは当たらないのじゃないか、私はそう思います。しかし、現実の問題として、余りにも急激な円高によって苦しんでいる中小企業、輸出業者があることは事実ですから、これは、構造改革という問題も当然さることながら、当面の措置としてできるだけ温かい手を差し伸べてやらなければならぬ、我々はそう思っております。したがいまして、そこらにつきましては今勉強中なんです。ですから、できるだけのことはしたいと思っております。
#233
○工藤(晃)委員 どこに責任があるか、一番最後にまた少し議論したいと思いますから、そのときに譲りますが、もう一つ具体的な問題として雇用調整助成金について伺います。
 これは雇用保険法の関係なんですが、新事業転換法の中でもこの趣旨は入っております。三月十二日の中小企業庁の産地調査をやっても、百七十円レートで五十五産地のうち三十産地で休業発生が見られる。それから、先ほどの通産省の調査でも休業や廃業、倒産がふえている、こういうことがあるわけなんです。これは端的に言ってこういうことなんです。大阪府の方からも中小企業庁に要請が来ていると思うのですが、これはこういうことです。要するに、新事業転換法第十五条で雇用安定対策をうたっている。それで緊急経営安定対策の認定を受けて、しかも、本当にさっき言ったように新規契約がストップしているというようなことで仕事がないのですから、休業したい、同時にこの雇用安定対策としての雇用調整助成金を受けたいな、こういう希望が非常に広くあるわけなんです。
 それで、例えば大阪府とか各自治体の窓口に行って、一応緊急安定対策の融資が受けられるという認定は受けられたものの、今度は雇用調整助成金を受けて休業して何とか従業員を維持していきたいといっても、それがそのまま受けられない。というのは、業種指定が、第九条の認定がたしか全国で百十八業種、それから雇用調整助成金の指定業種が八十四業種、百十八と八十四というふうに新事業転換法の方が少し広くとっているということもありますが、とる角度も少し違うために、重複しているのは百十八業種の半分ぐらいしかないという問題がありまして、各自治体として中小企業庁にも今後なるべくこれが重なるようにして、そして緊急経営安定対策も受け、同時に従業員を維持していくための休業ができるような雇用調整助成金も受けられるようにしてほしい、これは非常に強い具体的な要望なんです。ですから、私もここですぐにこうという答えは得られないと思いますけれども、今度新しい円高対策を打ち出すというときに、なるべくこれが重なるように、というのは、新事業転換法の中にも雇用安定ということは非常に大事でやっていきますと書いてありますし、あのときの附帯決議の中にもあるわけですから、実際にこれが制度として生かせるようにしていただきたい。
 それで、言い方からすれば、これは通産省所管でありこれは労働省所管であるからずれるのは当たり前だという言い方がありますけれども、本当に困って県の窓口、府の窓口、都の窓口なんか行ったときにそういうことを言われたって、一般の人はなかなか理解できないわけなんです。ですから、そういう縦割りの悪い面は、この際異常な激しい円高の中での中小企業対策としてそういうことが起きないように、ぜひその辺も検討していただきたいと思いますが、大臣いかがですか。
#234
○広海政府委員 雇用助成金の問題は、御指摘のとおりこれは労働省の問題でございますけれども、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の規定にもございますとおり、私どもとしましては、できるだけ必要な業種につきましては雇用助成金の適用が受けられるようにということで、かねてより労働省の方にもお願いしているわけでございますが、去る三月に雇用調整助成金制度を労働省の方で一部改正いたしまして、円相場の高騰により大きな影響を受けている業種につきまして、業種指定の追加を行う等の雇用対策を講じているというふうに聞いております。このような制度改正も受けまして、逐次新転換法の対象業種の中でも雇用調整助成金の支給対象業種として指定されている業種がふえてきておりまして、例えば三月の一日には五十二業種ございましたが、それが五月一日現在では六十五業種ということで、この業種がふえてございます。
 ただ、これはやはり若干制度が違いまして、雇用助成金の場合には二年間この業種指定を受けますと六カ月のクーリングオフを設けるということになっておりますので、業界の方では本当に必要があるときまで待つというビヘービアが出てくるように聞いております。それからまた、場合によっては雇用助成金を受けますと社会的なイメージが悪くなる、あるいは金融機関との関係がまずくなるというような問題もあるやに聞いておりまして、労働省に指定を申請するときに、そういうような、今申し上げましたような点も含めて申請をする動きがございまして、どうも私どもの特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の業種指定とはちょっと違った状況があるという点は御認識いただきたいと思います。
 いずれにしましても、当省といたしましては、今後も労働省に対しまして必要とされる業種指定につきまして要請をしていく所存でございます。
#235
○工藤(晃)委員 これは具体的にそういう都道府県から中小企業庁にも要請が来ていることでありますし、さっき言ったように、このまま続くと休業に追い込まれる零細な業者、中小企業がふえるわけでありますから、これは労働省と通産省だという縦割りでなしに、これは自動的に連動できるようにぜひしていただきたいし、これは通産大臣もひとつ閣議で労働大臣に対していろいろ提起していただきたいと思います。いかがでしょうか。
#236
○渡辺国務大臣 労働大臣とよく協議をいたします。
#237
○工藤(晃)委員 円高差益還元ということで、電力、ガスの申請の内容について、きょう実は私いろいろ説明を受けたわけでありますが、これは自動的に承認、認可というのですか、なるのかどうか、まだはっきりしていないところだと思いますが、通産省として幾つかの点をぜひ検討していただきたい。やはり還元という以上、国民にとってすっきり納得のいく形にする必要があるのじゃないか。
 差益の総額の計算の仕方に一つ大きな問題があると思いました。五十九年度基準の一ドル二百四十五円、バレル二十九・一四ドルで計算したというふうに説明を伺っておりますが、しかし、一九八〇年の電力料金認定のときは、一ドル二百四十二円ですからこれはほとんど変わらないけれども、バレル三十二ドルで計算されたわけであります。今の電気料金といのはバレル三十二ドルという燃料費を見積もってそのとき料金が決められたわけでありますから、当然それで計算すべきであります。そうすると、為替差益、これは電力の場合、私の計算では、これは原油の値下がり益それから円高が進んだということで、おおよそ電力の場合で言いますと一兆七千億円ぐらいの差益が出ます。ガスは大体凡百億円ぐらいでこれは余り変わらないのではないかと思います。したがいまして、一兆八千億円ぐらいが差益の総額になると考えますし、それから、どういうわけか、これは通産省の方でも、昨年十月来、差益として約半年で三千億円ぐらいあるということを言っておられました。これは三月末までだと思いますから、四、五月含めますと恐らく四千億円ぐらいあるだろう。そうしますと、国民に還元する差益の総額というのは、おおよそ二兆二千億円ぐらいにしなければいけないのではないかということ、これが一点であります。
 それからもう一点は、還元の方式の問題なんですが、さっき言った電力九社で昨年の十月からことしの五月分は除いたとしても約一兆七千億円あるのですが、差益を一兆三千四百二億円としますと、私の計算では、四千五百億円ばかり隠し差益みたいなものが生じてしまう。そしてこの一兆三千四百二億円の計算された差益のうちに、内部にとめられるのが三千六百八十八億円ということでありますから、さっきの隠し差益と合わせると八千二百億円ぐらいが電力会社にとどめられてしまう。
 さて、残りの九千七百十四億円のうち、これが還元されるというわけですが、大口に行くのが三千四百億円、中小企業に行くのが三千六十億円、その他が三千二百五十四億円ですが、電灯の分が書いてない。恐らく使用量二五%と見ますと二千四百億円ぐらいになるのではないか、こういうふうに考えるわけなんです。
 そうしますと、結局実際の電力九社の差益の一兆七千億円のうち内部にためられるものが四八%、大口に行くのが二〇%、中小企業に行くのが一八%、その他が一九%ぐらいですが、普通の一般家庭に行くのは一四%だというので、これはちょっと、余りにもひどい配分ではないか。
 ですから、やはりここでもう一度差益の総額を洗い直すということが一点と、それで少なくとも半分ぐらいは一般の消費者に返るような還元をすべきではないか。それから産業も特に中小企業、円高被害がはっきり出ているところにもう少し限定していく、こういうやり方をする必要があるのではないか。
 このほかいろいろ問題はありますが、そういう点でぜひこの電力、ガスの差益の計算とそれから還元方式としては、通産省として以上の点に立って責任を持ってやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#238
○渡辺国務大臣 通産省は厳正、公平に責任を持ってちゃんと還元案を指導いたしまして、向こうからそれに対する認可申請があって許可しようと思っておるわけでございます。
 あなたのおっしゃるように電気料を還元するには、七五%が産業営業用、二五%が一般用ということで電力を使っているわけですから、それは電力を使った分に応じて出すのであって、あなた何か、大企業向け、余計返したとかなんとかすぐおっしゃいますが、そうじゃなくて、これは電力を余計使ったという人は余計払っているのだから余計返す、当たり前のことじゃないですか。だからそれはちゃんとそういう原則に従って還元をするわけです。
 それから去年の分については、これも半分は国民にお返しするわけですよ。それはどうしてかというと、地方団体とか国に納めるということは、国民の代表がお国であり地方団体なんですから、税金を納めているのですからね。だからお国がどういうふうに配分して使うか、それは結局間接的には国民に返す、そういうことになっておるわけです。
#239
○工藤(晃)委員 今の説明は全く納得できませんが、時間がだんだん過ぎてきましたので一言だけ申し上げておきますと、例えば今度大体一キロワット時値下げが二・二円ぐらいですが、電灯料は大体二十八・八円。大口でも特別高圧になりますと十六・四七円ということですから、二・二円で値下げを一律にすると、電灯の方の値下げは七・六%しか下げないけれども、大口の特別高圧は一三・四%も下げられるから、決して一様に下げられることにはなっていないということを私ははっきり申し上げまして、長官もおられますので、最後に長官に伺いたいことがあります。
 それは、今の円高が非常に異常であるということをいろいろな角度から言われますが、購買力平価から見てどうかという問題が一つあります。
 それから、もう一つの問題として、先ほども、今度の円高というのは結局何となく犯人がわからない、こういうことが言われているわけでありますが、私は今度の円高の犯人というのは大きく三つあるというふうに考えているんです。
 一つは、さっき通産大臣もいみじくも指摘されましたように、アメリカがあるときにはドル安をとる、今度はドル高をとる、今度はまたドル安になった、こういう一方的なものに振り回されているというので、ここに一つの犯人があることは間違いない。その犯人というのは突き詰めればレーガン政権そのものが非常に財政の赤字を出す、これは軍拡と関係ありますね。もう一つは、アメリカの大きな企業というのは多国籍企業的ないろいろなビヘービアをもって、特にオフショアプロダククションなんていって、みんな日本とか東南アジアヘ来て生産して、輸入する、こういうことから空洞化を進める、こういうことがアメリカの対外インバランスの非常に大きな原因になっている。
 もう一つの犯人は、明らかにこれは日本の輸出が伸び過ぎるけれども、伸び過ぎる伸び過ぎるといったって、これは産地の輸出が伸びているのではなしに、上位五十社が大体五六%の輸出のシェアを持っていますから、こういうところが輸出をむやみやたらに伸ばす。なぜそういうことになるか。これは私二月の予算委員会でも資料で示しましたが、非常に賃金が低い、長時間労働という労働条件のもとで伸ばしている、ここにもう一人の犯人がある。
 三つ目は、今の世界の大きな金融の勢力ですね。一日千二百億ドルという外国為替の売買をやられる。調べてみると、貿易の額の二十倍にもなる。それが大きな証券会社であり、銀行であり、商社であり、大企業であり、金融資産家である。ニューヨークとか東京とかロンドンで売った買った、売った買った二十四時間やっている。ですから、これがアメリカ政府の数字を見ていろいろ投機に動くから、あるときにはドル高をつくり、あるときには円高に向かう。ですから、決して犯人が明らかでないということはないんじゃないかというのが大きな二つ目の点です。
 それから三つ目の点として、一番問題なのは、今後を見ていくのに、今の円高がこれほど進んでもアメリカの赤字が簡単に引っ込まないのじゃないか。同時にまた、日本の黒字も簡単に引っ込まないんじゃないか。そういうときに、例の相互監視でいろいろ指標をとってやられると、日本は結局一番問題があるから、やはりもう少し円高を我慢せいということになっていくんじゃないか、そういうことですから、以上の点につきまして、せっかく長官がおいでになって、質問しないと失礼に当たりますので、お願いします。
#240
○渡辺国務大臣 私の後で長官に納得のいくまで答弁をしてもらいます。
 私は、だれが犯人だとかどうとかいいましても、そういう例えにはならぬのじゃないか。それじゃ円安のときは犯人のおかげでこちらはもうけ過ぎたのかという話になるわけですから、実際は裏と表なんですね。確かに、その中ではアメリカ企業が金もうけのために空洞化を図った。自国でつくるよりもほかでつくった方が安いからといって、ほかの国でつくらして、輸入を促進して貿易赤字になったとか、それは事実です。そういう点は必ずあります。
 それから、その他あなたのおっしゃった中で多少それらしいものもないではない。けれども、全部は私は賛成しませんよ。したがって、日本も国際国家ということになれば、世界じゅうに通用する議論でないと。幾ら井戸の中のカワズで騒いでみたからといって通用しない話はだめなわけですから、やはり国際的に通用する話をしないと日本は孤立をしてしまう、これだけは事実です。日本は孤立をしてうまいぐあいになることはないと私は思う、世界じゅうを相手に戦争をして勝つようなことはできないのだから。もう一回やりますかって、そんなことはできませんよ、私の方は。そうなれば経済戦争だ。ですから、やはり世界の協調という問題については、これは御理解をいただかなければならない。
 それから、家庭と大口需要の問題では、家庭というのは小さいところまで全部線を引いて、それからメーターを細かくつけて、維持管理から何からたくさんの掛かりがかかるのです。そういうような点等も考えて、まとめてコストが安く引ける場合と非常に細かく売る場合と、それは違うわけですよ。卸屋の差益と小売屋の差益と違うでしょう。ですから、そういうことも考えれば、あなたの理屈に全面降伏というわけにいかないということです。
#241
○赤羽政府委員 為替レートにつきまして、購買力平価のような考え方から見て適正かどうか、こういう御趣旨の御質問があったと思いますけれども、為替レートの水準が適切かどうか、こういうことを判断するにつきましては、本委員会におきましても先刻からしばしばそういう御質問がございまして、それに対しまして通産大臣あるいは経済企画庁の大臣からお答えしておりますように、いろいろなそのときの経済状況もございますし、対外不均衡の状況というのもございますし、また立場によってどれが適切かといったようなことがございますので、一概にどの程度が適切か、こういうことは言えないと思います。
 しかし、世上、専門家の間において購買力平価で比較をしようという考え方がございます。これは一つの参考になるだろう、こう思いますけれども、しかし、そうは申しますものの、この購買力平価を計算する、そのときのいつを基準に計算するのか、どのような物価指標を比較するのか、それに基づいて計算するのか、これによって極めて大きな違いがございます。お答えに違いがございます。そうなりますと、その大きな違いのあるうちのどれがいいのか、またどちらの方が適切なのか、両方とも適切でないのか、これはわからないわけでございます。そういうことでございまして、必ずしも決め手にはならない、こういうふうに考えます。
 しかしながら、最近の百六十円台の前半というような水準、これはやはり日本の現在の基礎的な経済条件に照らしても高過ぎるもの、こういうふうに認識をしております。それとともに、さらに、余りにも急激に上がっている、こういう点に問題もある、こういうふうに見ているわけでございます。
#242
○工藤(晃)委員 長官、お願いします。
#243
○平泉国務大臣 今の局長の答弁をもって大臣答弁にかえさせていただきます。
#244
○工藤(晃)委員 じゃ、これで終わります。
#245
○野田委員長 次回は、来る二十一日水曜日午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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