くにさくロゴ
1985/03/18 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 農林水産委員会 第5号
姉妹サイト
 
1985/03/18 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 農林水産委員会 第5号

#1
第104回国会 農林水産委員会 第5号
昭和六十一年三月十八日(火曜日)
    午前十時五分開議
出席委員
  委員長 大石 千八君
   理事 衛藤征士郎君 理事 近藤 元次君
   理事 島村 宜伸君 理事 玉沢徳一郎君
   理事 串原 義直君 理事 田中 恒利君
   理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君
      上草 義輝君    太田 誠一君
      鍵田忠三郎君    片岡 清一君
      鈴木 宗男君    田邉 國男君
      月原 茂皓君    野呂田芳成君
      藤本 孝雄君    三池  信君
      山岡 謙蔵君    島田 琢郎君
      新村 源雄君    竹内  猛君
      辻  一彦君    日野 市朗君
      細谷 昭雄君    稲富 稜人君
      菅原喜重郎君    津川 武一君
      中林 佳子君
 出席政府委員
        農林水産省構造
        改善局長    佐竹 五六君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (全国土地改良
        事業団体連合会
        理事)     松永 清蔵君
        参  考  人
        (東京大学農学
        部教授)    今村奈良臣君
        参  考  人
        (北海道空知郡
        南幌町長)   竹内 正一君
        参  考  人
        (宮崎県美々津
        地区土地改良区
        事務局長)   黒木清五郎君
        農林水産委員会
        調査室長    羽多  實君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月六日
 辞任        補欠選任
  上草 義輝君    山口 敏夫君
同日
 辞任        補欠選任
  山口敏夫君     上草 義輝君
    ―――――――――――――
三月十四日
 農業振興対策の充実強化に関する陳情書外九件
 (宮崎県町村議会議長会会長児湯郡新富町議会
 議長太田直満外十八名)(第七一号)
 老朽農業用ため池の整備促進に関する陳情書
 (広島県議会議長木山徳郎)(第七二号)
 農林水産業における各種普及事業制度の堅持に
 関する陳情書外八件(香川県議会議長植松定良
 外八名)(第七三号)
 マグロ類の輸入枠規制対策等に関する陳情書
 (高知県議会議長有光重一)(第七四号)
 農林水産物市場開放阻止に関する陳情書外一件
 (岡山県和気郡吉永町議会議長尾本弘外七名)
 (第七五号)
 他用途利用米制度の改善に関する陳情書(愛知
 県市長会会長西尾市長本多貫一)(第七六号)
 大麦縞萎縮病の被害対策に関する陳情書外二件
 (栃木県小山市議会議長橋本金次郎外二名)(
 第七七号)
 蚕糸業の振興に関する陳情書(宮城県伊具郡丸
 森町字木落三五佐藤美佐男外二十七名)(第七
 八号)
 ブロイラー産業の振興に関する陳情書(徳島県
 議会議長糸林寛行)(第七九号)
 良質米奨励金の現行確保に関する陳情書(関東
 甲信越一都九県議会議長会代表東京都議会議長
 若松貞一外九名)(第八〇号)
 宇都宮営林署の存続等に関する陳情書外三件
 (栃木県芳賀郡芳賀町議会議長戸田茂外三名)
 (第八一号)
 山林伐採に関する陳情書(熊本県上益城郡矢部
 町浜町二橋内豊)(第八二号)
 森林整備財源に関する陳情書外一件(高知県土
 佐清水市議会議長山下峯義外一名)(第八三号
 )
 林業振興対策の推進に関する陳情書外四件(東
 北市議会議長会会長盛岡市議会議長千葉正外十
 三名)(第八四号)
 水産振興施策の拡充強化に関する陳情書外二件
 (東海北陸七県議会議長会代表福井県議会議長
 今村重治外八名)(第八五号)
 銀サケ養殖業の漁業災害補償制度に関する陳情
 書(宮城県議会議長畠山孝)(第八六号)
 北洋漁業の救済対策に関する陳情書(北海道議
 会議長吉田政一)(第八七号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の
 一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
     ――――◇―――――
#2
○大石委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 本日は、本案審査のため、参考人として全国土地改良事業団体連合会理事松永清蔵君、東京大学農学部教授今村奈良臣君、北海道空知郡南幌町長竹内正一君、宮崎県美々津地区土地改良区事務局長黒木清五郎君、以上四名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
 しの際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、審査の参考にしたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。松永参考人、今村参考人、竹内参考人、黒木参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 それでは、松永参考人にお願いいたします。
#3
○松永参考人 私は、岐阜県土地改良事業団体連合会の会長でございまして、さらに、先ほど御紹介いただきました全国理事を務めさせていただいております松永でございます。本日、土地改良法改正について意見を述べる機会をいただきまして大変光栄に存じ、ありがたく思っております。
 実は、私も兼業農家でございます。殊に岐阜県の最南端でございます高須輪中地区に住み、きょうまで何とか生きていける、否、生き残れる農業地帯にいたしたいと、農林水産省を初めそれぞれの各位にお世話になり土地改良を進めてまいっております。
 もともと私どもの輪中は、約三千五百町歩の水場地帯で、標高がゼロメートル以下が約三分の一くらいあるのじゃなかろうかと思っております低湿地帯でございます。したがって、たびたび土地改良をお願いしてまいりましたが、最終的に高須輸中の約三千五百町歩の総合的整備計画を立案いたしまして、ただいまその計画に基づき、昭和五十五年度より国営かん排、県営かん排、さらに湛水防除事業あるいは圃場整備事業と進めてきております。
 今さら私が申し上げるまでもありませんが、我が国の最近の農業を取り巻く環境は極めて厳しいものがあります。その一つには、日本の穀物の実態でございます。自給自足ができるのであろうか。日本は食糧の輸入大国と聞いております。殊に雑穀についてしかりでございます。この現状でもしそれ一朝有事の場合が発生いたしましたならばどうなるでしょうか、大変憂えるものでございます。また、一九七三年ごろであったと思いますが、金があれば買えばいいではないかというその裏腹に、アメリカの大豆輸出規制によりまして大豆の価格が高騰し、国民は大変困惑をした事実があるわけでございます。私は、食糧の高い自給率を確保することは日本の安全のためにも必須条件であるということを信じております。
 今我が国の土地の状態を眺めてみますと、まだまだ利用されていないところがたくさんあるのではないかと思います。しかし、あってもどうしようもない実態ではないかと思います。と申しますのは、土地の交換だとか農家の農地面積の拡大だとかあるいは水利用等々、あらゆる手を加えて初めてその対応が図れるのではないでしょうか。
 その第二には、農業の基本となるものは土地と労働力であると思っております。もちろん資本も必要としますが、この組み合わせがより効率的で、しかも生産に直結できるかということではないでしょうか。今の現状で果たして後継者が出てくるのでしょうか。
 第三番目には、アメリカの貿易摩擦に対応して一番大切なことは、足腰の強い農業をつくることではないでしょうか。小規模農業ではいかんともいたし力なく、この際思い切った集団経営に切りかえていかねばならない構造的なものを持っているのではないだろうかと思います。
 私どもは、二、三申し上げましたこの解決策については、徹底して行うには今法改正を願っております一連の土地改良事業で解決できるのではないだろうかと考えております。そこで私は、さきに述べました地元の土地改良の実態を若干申し上げて結論づけてまいりたいと思っております。
 この輪中は二つの町ででき上がっておりまして、一つの町は農業の補給基地、一つの町は第三次産業を取り入れておるところでございますが、いずれも土地改良を実施して、特に意を用いておりますのは圃場整備事業の換地による農地集団化、利用権の集積で、できれば専業、兼業の別なく規模拡大をして生産を上げようと努力いたしております。このことによりまして地域経済は活性化し、環境も大変改善され、快適な暮らしよい環境をつくることができるのではないかと考えております。
 ただ問題なのは、三千五百町歩にわたります大規模な土地改良でございますので、いろいろ問題はあると思いますが、大変工期が長くかかることでございます。例えば一般会計の中で国営長良川用水事業に例をとりますと、本来ならば土地改良の骨格をなす事業でありますので、他の事業に先んじて完工させねばなりません。ところが現実は、本年で着手して六年目になりますが、この進度率は三一%、県営かん排事業は同じく六年目でございますが、一七%、またその他の事業も大幅におくれております。当時の計画書によりますと、事業費も少ないのでということで、国営につきましては十年の工期となっております。五十五年に着工しておりますので六十四年に完成しなければなりませんが、さきに述べましたような進度率でありますので、相当大幅におくれるものと心配をいたします。また、輪中一円に展開しております圃場整備事業でございますが、五十五年着工して、計画の工期は約九年で完成をすると伺っておりますが、この調子でいけば、六十三年、六十四年に完成するのでございますけれども、六十一年度終わって五〇%の進度率でございますので、かなり大幅におくれてくると思います。
 ところが、用水の基幹であります国営かん排事業がおくれておりますので、実質的には両者一致して完成するというのはかなり先送りになりまして、特に用水が遅くなってまいりますと、圃場が先へ進みますので、水たまりだとか池だとかを利用して揚水しなければなりませんし、それでは圃場を待ったらどうかというような意見も出てきますが、一番基本的な問題でございますのでそれをぜひ完工しなければならないというところに苦慮いたしておる実態でございまして、この辺、賢明な皆様方の御推察を願いながら、一日も早く完成をさせていただきたいということを思うわけでございます。
 なお、このたびの制度改正の利点でございますが、伺うところによりますと来年度で約四百億円程度の事業量の増加になると伺っております。言いかえれば工期が特別会計で大体一年ぐらい、一般会計で三年ぐらい短縮されるのではないかというふうに伺っております。さらに一般会計の中で実施される場合、地元は建中利息を支払うということがなくて済むということで、私どもとしては画期的な法案ではないかと大いに期待を申し上げております。
    〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
 以上申し述べてきましたが、それぞれの問題を解決するために政府・農林省は十カ年計画で約三十二兆円の事業の計画を五十八年に閣議決定をされております。私どもは大変ありがたいことと受けとめております。しかし、その実態はどうなんだと申し上げますと、五十八年だと記憶いたしておりますが、九千億の大台を超したのが一回、後はだんだん下がるという現在の実態でございます。これもやむを得ないものとは思いますけれども、何とか知恵を出してこの克服をして、石にかじりついても目的達成に努力してほしいと願うものでございます。その意味からいたしまして、今度の制度の改正は大ヒットではないか、こんなふうに考え、喜んでおるものでございます。どうか一日も早く法案成立が実施されますよう切にお願いを申し上げ、さらに本事業の進度向上のために御検討をお願いし、継続されて推進されることを心から御期待を申し上げるものでございます。
 なお一言、この国営事業によります維持管理の問題でございますが、大変複雑化し高度化されてまいりました。大規模な国営の管理につきまして何とか助成、指導の方法等をしていただけないものであろうか、こんなことをお願い申し上げながら私の意見を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
#4
○島村委員長代理 ありがとうございました。
 次に、今村参考人にお願いいたします。
#5
○今村参考人 東京大学農学部の教授をしております今村でございます。
 私は大学で日本の農業問題あるいは農業政策につきまして研究してまいりましたが、きょうは土地改良法等の改正法律案について妥当か否かという意見を述べろということでありますので、この法律案に関連いたしまして私これから三つの点から述べていきたいと思います。
 第一は、この法律案についての私の基本的見解、第二は、その理由あるいは根拠、第三は、この改正に伴うあるいは土地改良事業にかかわるそのほかの問題点、大きくこの三つの点にわたってこれから述べさせていただきたいと思います。
 今回の土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、この要点につきましては皆さん御承知だと思いますので省略させていただきますが、私なりに受けとめたところでは、今日財政事情が大変厳しい事態になっておりますが、それに対処するために特に土地改良事業の進度を促進する、進度が大変おくれてきておるわけでございますけれども、その促進を図るためにも、国営土地改良の事業費の財源として都道府県負担分について財政投融資資金からの借り入れを活用する制度を設けて、それによって国営事業等の工期の一層の短縮あるいは促進を図るというお考え方でございます。もちろん、これに関連しまして新たに国営土地改良事業特別会計というのをお設けになることもあわせて提案されておるわけですけれども、これにつきまして私の基本的な見解といたしましては、極めて妥当であろう、さらに言えば、ある意味では遅きに失したのではないかというふうに考えております。そういう意味でこの法律改正案はぜひとも成立させるべきであろう、こういう基本的な考え方に立っております。
 第二に、そういう見解をとった理由ないしは根拠について述べてみたいと思います。
 まず第一点といたしまして、農業基盤整備あるいは土地改良という問題の重要性について私なりに考えておることを述べてみたいと思います。
 農業の生産力の発展にとりましては、農業基盤整備あるいは土地改良事業というものは大変基礎的な投資であるというふうに考えております。いずれの国においてもそういう問題はございますけれども、歴史的に稲作農業、水田農業として展開してきた我が国の農業にとりましては、とりわけこの問題は重要であろう。つまり、新たな農業生産力の発展にとっては、土地改良は基本的な前提であり欠かせない課題であるというふうに考えております。
 ちょっと余談になりますが、私一昨年から昨年にかけまして一年余り、文部省から派遣されてアメリカの大学に客員教授として参っておりましたが、その折、種々アメリカ農業を研究調査する機会に恵まれました。一言で言いまして、アメリカ農業と比較して日本農業の特徴は何かといいますと、日本農業はストックの農業であると考えております。言わんとする意味は、数百年にわたって我々の祖先が汗とあぶらで築き上げた水利施設を維持管理しつつ今日の農業生産力の発展に寄与してきた。それに対してアメリカ農業は、畑作を基本とするわけですけれども、フローの農業と言ってもいいかと思います。日本農業はストックに依存する農業、この点を日本の農業の基本的な特質として考え、そのストックを維持し管理し、なお改良していくという観点に立つことが日本農業発展の基本的前提になるというふうに考えております。もちろん、農業生産力の発展ということは食糧自給力の強化ということと裏腹の関係でございますから、土地改良事業は単に農家の所有する農地の改良ということにとどまらず、国富の増進につながるのだという観点から、国費あるいは公的資金を投下することは必要であろう、こういうふうに考えております。
 さらに、第二点といたしまして、農業の構造改善あるいは農業の体質強化という点、さらには生産性の向上というふうな問題を考えた場合に、土地改良事業はその基本的な前提条件となることは言うまでもありません。今日、農業の機械化は非常に進んでまいりました。例えば稲作あるいは麦作をとってみますと、社会的標準技術体系といたしましてはいわゆる中型技術体系、中型トラクター、田植え機、それから自説型コンバイン、人工乾燥機といった機械化体系が今日日本特有の体系としてでき上がっておりますけれども、中型技術体系というものが適用できないような耕地、あるいはそういう条件にない農用地は、長い目で見ますとだんだん新境の外にはね出されていかざるを得ない。一言で言いますと、林地化、原野化にしていかざるを得ない。幾ら農地の貸し手がいても、借り手がいない、こういう状況が全国いろいろな地域で見られつつございます。さらに、農業労働力の高齢化というふうな問題が進展していきます場合には、どうしてもそれぞれの地域ごとの農業の構造改善という問題を進めていかざるを得ません。その場合にやはり土地改良、基盤整備ということが前提とされなければこの問題を進めていくことはできないと思います。
 さらに、農業の構造改善と関連いたしまして、今日農業を取り巻く国際的な環境は非常に厳しくなってきております。好むと好まざるとにかかわらず、農業の国際化という問題は避けて通れない問題になってきておる。そういう意味も背景に置きまして、生産性の向上あるいは農産物コストの引き下げというふうな課題に直面してまいります。それも農業の基盤整備、土地改良という問題と切り離せない課題だろうと思います。
 さらに、農産物についての需要が近年だんだん停滞傾向にございます。高度成長期に見られたように需要がどんどん伸びていくということではない事態が出てきております。端的に言えば、そういう中で需要に即応した生産体制、生産構成をとっていかざるを得ない、こういう事態になっているわけですけれども、農業生産を再編成していく、こういう点からも土地改良事業というのは欠かせない課題だろうというふうに考えております。
 さて、いま一つの理由あるいは根拠といたしまして、今日、一言で言えば財政危機の中で、公共事業費あるいは農業基盤整備費に対する抑制ということが非常に強く要請されてきております。そのことが事業の進度の遅延をますます大きくさせようという状況にございます。それがさまざまな問題をもたらしてきております。事業費の増大あるいは農家負担の増大それから農業を取り巻く情勢変化が激しい中で、農家の営農計画が容易に定まりにくくなってきている、あるいは大幅な変更を余儀なくさせられてきているというふうな問題が出てきております。こういう中でやはり事業進度を速めていく、こういうために今回この対策がとられるわけですから、そういう意味でもぜひともこの改正法律案を成立させるべきであろうというふうな考え方を持っております。
 それで、あと大きな第三点目といたしまして、この法律改正に伴いますいろいろの問題点あるいは土地改良事業、農業基盤整備事業についての問題点、八点ほど整理してありますけれども、どうも時間が来たようですので、また後で御質問の折に私から必要なことをお答えするということにさせていただきまして、ちょっとしり切れトンボになりましたが、御勘弁いただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)
#6
○島村委員長代理 ありがとうございました。
 次に、竹内参考人にお願いいたします。
#7
○竹内参考人 このたび参考人として意見を申し上げる機会を得まして、まことに光栄に存ずるところでございます。
 意見を申し上げる前に、南幌町の土地改良事業との関連等について状況を申し上げさせていただきたいと思うところでございます。
 まず、南幌町は札幌市から東南に約二十五キロの石狩圏の真っただ中にある町でございまして、農業を中心とする町でございます。農業生産額が約七十億六千六百万、これは昭和六十年度の推計でございますが、全産業に占めるパーセンテージといたしまして八四・四%を占めておる状況でございます。農業人口が三千百五十一人、総人口の五千八百七十六人に対しまして比率が五三・六%になっておるところでございます。農用地面積といたしましては五千七百六十ヘクタールあるわけでございますが、そのうち水田が五千五百十二ヘクタールでございまして、割合といたしまして九五%を占めておるところでございます。なお、農家戸数が昭和六十年度におきまして六百七十二戸でございまして、そのうち五ヘクタール以上の農家が五百六十七戸を占めておるわけでございまして、専業農家が大体八〇%を大きく超えておるわけでございます。そのような中で一戸平均約八ヘクタール強の水田面積を持っておるわけでございます。
 それで、国営事業でこの土地改良事業が昭和二十八年からの緊急開拓から実施されてございまして、既にかかわっております国営事業といたしまして七地区が完了いたしておりまして、現在実施中が二地区ございます。さらに現在調査をいただいておる地区が一地区あるわけでございます。
 なお、道営事業でございますが、昭和四十年以来道営客土事業といたしまして四地区、事業費約十七億をもって五十二年度で完了いたしております。それから道営農地開発事業も一地区ございまして、約三億五千万をもちまして五十六年に完了を見ておるところでございます。道営かん排事業におきましては四地区ございまして、二地区が既に完了いたしておりまして、現在二地区が継続中でございまして間もなく完了見込みでございます。事業費といたしまして約百十億円が想定されてございます。それから道営圃場整備事業が地区数におきまして十二区、そのうち六地区が既に完了を見ております。継続中が六地区でございまして、明後年をもちまして完了の見通しにございまして、全水田、面積の約八〇%が実施済みになる、こういう状況でございます。その他の事業といたしましては、道営の湛水防除事業が二地区ございまして、一地区が着工いたしておりまして、一地区が現在全計が六十一年度で行われることになっておるところでございます。そのほかに農道整備事業、農村総合整備モデル事業、土地総、その他あらゆる土地改良事業が実施されておるところでございまして、四十年以降今日までの道営事業のみをとりましても約四百億を突破するわけでございまして、全国一の規模で土地改良事業が実施されてきた町である、このように考えておるところでございます。
 したがいまして、このような事業によりまして全地区で近代化の完了が目前であるわけでございますが、そういう中におきましてこの土地改良法の改正でございますが、今村先生、松永先生のお話のとおり、全く賛成でございまして、この事業にもっと早く特別会計制度が導入されておったら、このように考えておるところでございます。本年度以降大きく事業の進展を見ることができるのではないかというふうに考えておるところでございまして、大きく期待をいたしておるところでございます。そのような意味で賛成をさせていただく次第でございます。
 なお、最後に一言、北海道の私の町のことでお願いを申し上げたいと思うところでございます。
 と申し上げますのは、今日の米の需給の状況から転作が余儀なくされておるわけでございますが、これについては現下の状況からやむを得ないものと考えておるわけでございますが、北海道においては約四四・四%、極めて過重な転作が余儀なくされておるところでございます。したがいまして、本町におきましても水田面積の三九・五%が昭和六十一年度の転作でございます。一〇〇%ぎりぎり毎年達成をさせていただいてきております。しかしポスト三期に向けまして、これ以上減反が強化されるということになりますとまことに大変な事態を迎えるわけでございます。
 と申し上げますのは、ただいま申し上げましたように大幅な国費、道費、地元負担を伴いまして基盤整備を実施してまいったわけでございまして、そのことによりまして大きく近代化農業ができる状況ができたわけでございますが、十年前とさま変わりまして、北海道の米も大変優良米が産出されるようになってきております。これは土地改良事業のおかげだと思っておりますし、それからさらに品種の改良によるところが多いわけでございます。最近におきましては消費の都府県から、三十三都府県にわたると聞いておるわけでございますが、引く手あまたの状況にあるわけでございます。そういう状況の中でこの転作がこれ以上強化されますと、農家自体のみならず北海道経済に与える影響、これはゆゆしき事態と考えておるところでございまして、せっかく基盤整備事業を実施しておるわけでございまして、専業農家率が八五%にも及ぶ――現在南幌町では二十ヘクタール以上の農家も十四戸ございます。私も現在二十一町五反ほどの水田経営を息子がやっておるわけでございますが、この中でポスト三期におきますところの減反強化がなされるということになりますと本当に大変なわけでございまして、良質米ができるようになった、基盤整備が進んだ、こういうことの中で何とか諸先生方も御理解をいただきまして、北海道におけるこれ以上の減反の強化ということにつきまして何とか御配慮をいただきたい、このようにお願いを申し上げまして、時間と思いますので終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。(拍手)
#8
○島村委員長代理 ありがとうございました。
 次に、黒木参考人にお願いいたします。
#9
○黒木参考人 ただいま御紹介をいただきました黒木でございます。
 私は、現在宮崎県の美々津地区土地改良区の事務局長をいたしておる者でございます。今回の土地改良法の一部改正につきまして、現場において土地改良の実務に携わっておる者としての立場から御意見を申し上げる機会を与えていただきましたことは大変ありがたいことでありまして、深く感謝申し上げる次第でございます。
 まず、私の意見を申し上げます前に、美々津地区農用地開発事業の概況及び経過を申し上げたいと存じます。
 美々津地区は、宮崎県の中北部沿海地帯に位置する日向市、東郷町、都農町の一市二町から成る地区面積一千百六十五ヘクタールで、背後地は尾鈴山系の畑倉山等、標高八百メートル前後の連山より成りまして、東面は日向灘に面した緩傾斜地帯でございます。耳川を挟みまして南北に二十キロにわたる標高五十メーターから四百七十メーターの地域でありまして、地層の形成は第三紀層に属し、海岸寄りの平坦地は第四紀沖積層となっております。黒潮暖流の影響で暖かくて、年平均気温は十六度から十七度と高温で、降雨量も年間二千二百ミリから二千四百ミリと多いわけでございます。また、地区が谷間を挟んだ起伏の多い地形なので、局地的にはかなり変化に富んだ気象条件となっております。
 交通事情を申し上げますと、短距離輸送につきましては、南北に国道十号線が走り、宮崎市へ一時間四十分、北九州市へは約六時間。長距離輸送につきましては、日向市細島港より川崎、大阪、神戸間に日本カーフェリーが就航して比較的便利でありますけれども、農家経営の安定、近代化のためには輸送時間の短縮を図ることが必要な地域でございます。
 この地域の農業は、山間、谷間に開けた水田を主体に行われておりましたが、地形的条件から零細農業地区でありました。また、この地区の中央を水量豊かな耳川が流れていながら、畑地帯は全く利用できる水もなく、不安定であったために、農外所得に依存を余儀なくされている地域であります。
 このような状態を打開すべく美々津地区の事業計画の構想が出されまして、土地改良長期計画の調査に基づき、かつ一方では宮崎県の新産業都市計画に対応して背後地域における農業開発、つまり県政の方針であるところの農工併進の行政の方向を当地域に具体化すべく、昭和四十二年七月に大規模開拓パイロット事業の開拓基本計画が採択され、調査計画が行われ、昭和四十五年七月に基本計画の決定がなされたものであり、地区面積は当時一千九百六十六ヘクタール、うち国有林の活用面積が二百九十六ヘクタールあります。これを対象に一千六百ヘクタールの農地造成、参加農家八百二十六戸の全体計画を完了して本格的に農地開発に取り組むことになりまして、昭和四十六年度から昭和五十三年度の八カ年計画で、総事業費七十五億五千万円の国営農地開発事業として着工され、農家の経営規模を拡大し、機械化営農に対する道路網、畑地かんがい施設等を施行し、営農作物としてわせ温州ミカン、桑園、牧草を選定、導入することによりまして地域の農業構造改善を図り、農家経営の安定と所得の向上を図るというものでありましたが、厳しい農業情勢の変化、中でも温州ミカンの新規植栽抑制措置とか価格の低迷、農業従事者の老齢化等による参加農家の農業生産に対する意欲の減退及び地形による開墾不適地等によりまして、造成面積が大幅な減少を余儀なくされたものであります。
 この事業実施につきましては、一般会計予算では予算の伸びが悪く事業完成までには長年月を要し、計画年次どおり完成しないので、昭和五十一年度に参加農家の同意を得まして、特定土地改良事業として特別会計に切りかえ、移行し、事業の早期完了を図ることといたしたものであります。
 この時点で一番問題となりましたことは、財政投融資資金の建設利息が問題となり、県、市町で種々協議がなされまして、道路事業費の負担は市町負担とすることになり、また利息分についてはなるべく農家負担を軽くするとの話し合いがなされたものであります。
 また、参加農家は未墾地取得資金とか植栽資金、経営資金等の借り入れの返済、さらには昭和五十六年二月末の当地区の異常寒波の被害によりましてミカンの枯死等による収益城、価格の低迷が重なり、畑地かんがい施設、それに伴う維持管理費の負担等で極めて困難な状態になったので、このような実情から参加農家のかんがい施設工事の除外の陳情、請願等が出されました。県、市町の行政当局としては、水施設の必要性を受益農家に対して啓蒙されたのでありますけれども、農家といたしましては農産物価格の低迷、維持管理費の増大等、農家経営の不安定等で水計画は断念せざるを得なくなったのであります。経営状態が安定したるときは、県営とか団体営等の他事業による水施設を導入することとして、国営事業による水計画を除外することといたして、受益農家の計画変更の同意を得たものであります。
 土地改良区の設立につきましては、美々津地区の事業内容が国営事業一本やりで、県営、団体営等の末端事業もなく、本来なら事業認可申請時点で土地改良区を設立することが常道であると思いますが、この地区の事業推進は一市二町の行政主導の促進協議会で進められたものであります。昭和五十四年度より、計画変更の説明会と一緒に、土地改良区の設立も並行して進められて設立が図られたものであります。
 この地区、団地の説明会で、計画変更の水の問題のほか、事業費の地元負担金軽減のことが受益農家より強く出されましたので、土地改良区といたしましては農家の負担軽減に努力してまいり、幾分かの負担金軽減がなされたものであります。
 土地改良区は、昭和五十七年六月県知事の認可を受けて設立され、ようやく三年七カ月の改良区でありますが、国営事業が昭和五十九年度、六十年三月に十四カ年の長年月と総事業費百四十七億円で工事並びに換地業務としての換地処分及び清算事務も同時に完了となりました。
 この工事の完了に伴いまして、昭和六十年度、六十一年三月より事業費の据置期間の償還に入ることになっております。この地元負担金につきましては、国、県、市町において、それぞれ負担額の引き上げが図られましたので、農家負担が幾分か軽減されましたが、これは農業振興を図るとの観点で、県条例で地元負担は四十六年から五十七年までが一一%、五十八年、五十九年が五・六%となったものであります。農業情勢の厳しい折からであるので、農家には頑張っていただくよう、改良区の役職員一体となって努力いたしているところであります。
 本土地改良区の問題点を申し上げますと、第一点として、土地改良区の運営の問題があります。御承知のように、兼業農家がふえてまいりますと、農家の考え方も多様化して、せっかくの有意義な事業を実施いただいても、組合員の土地改良区に対する関心が薄れてまいることであります。
 第二点としては、維持管理について、昭和五十九年の法改正で排水処理等については改善が図られておりますけれども、耕作農道等については、地方交付税も五十九年度より五カ年間で減額補正されることになっており、新規の農道については交付税の算定基準の対象から外されております。弱小の土地改良区といたしましては、市町との助成の話し合いもなかなかであります。維持管理等のことの問題が出てくるわけでございます。
 第三点といたしましては、山林原野を開墾して、また急傾斜地でありますので豪雨等による災害の心配があることであります。この災害防止のために農地保全事業を行政当局へお願いしておるところでございます。
 第四点といたしまして、事業費負担金の徴収の問題がありますが、負担金は確定いたしましたので、組合員に十分に説明を申し上げております。また、前に述べたとおりでございますが、農業情勢が厳しいので、償還条件あるいは税制面等の緩和はできないものかと思っております。
 今回提出されました改正法案につきまして簡単に意見を申し述べさせていただきます。
 土地改良事業は、農業の生産性の向上、農業構造改善の推進を図る上で重要な事業であることは申すまでもありませんが、しかしながら、近年の土地改良事業におきましては、工期の延伸、完了の遅延で工事費の増加等の事態が生じておりますことは、土地改良事業に参加する農家にとっては甚だ迷惑なことであります。参加者、また土地改良区としても、計画どおり一日も早く工期を短縮して早く事業効果が生ずることを望んでいることであり、また、事業参加者は事業負担金が幾らかということが最大の関心事であります。事業負担金のいかんで事業の遂行も左右されるというものであります。
 今回の土地改良法及び特定土地改良工事特別会計法の一部改正につきましては、借入金をもってその財源とすることができる国営事業の範囲が拡大されることは、土地改良事業遂行、推進上、土地改良事業の早期完成が図られること、農家の負担が増加しない等のことでは期待が持てるわけであります。事業が計画どおり実施されれば、本当に一定の評価はできると思います。しかし、県、市等の地方財政事情も厳しい折からでありますので、国としても配慮していただきたいと存じます。
 そのような意味におきまして、今回の提案されている改正案につきましては時宜に適したものと考えられますので、ぜひとも委員の皆様方のお力によりまして、できるだけ早く成立を願いたいと思う次第でございます。
 以上述べまして、私の意見といたします。どうもありがとうございました。(拍手)
#10
○島村委員長代理 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#11
○島村委員長代理 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤元次君。
#12
○近藤(元)委員 参考人の諸先生方には、大変御多忙の中、私どもの審査に御協力をいただいて大変ありがとうございました。にもかかわらず、意見の開陳の時間が大変短いようで申しわけないわけでございますが、今村先生、まだ意見の開陳の時間が不足で十分御意見をお述べになることができなかったような感じでございますので、私の時間を割愛して、先生から残余の御意見をお聞かせをいただきたいと思います。
#13
○今村参考人 どうもありがとうございます。
 理由を述べる中で、いま一つ、ちょっと時間がなくて落としたことは、この農林水産委員会におきまして、調べてみましたところ、五十一年の三月二十九日、それから五十九年の五月十五日、いずれも土地改良法の一部改正法律案審議に当たって附帯決議をされております。それを拝見いたしますと、その中身は、土地改良長期計画の達成あるいは予算の確保、事業進度の促進、農家負担の軽減といったような点についての附帯決議がなされているようでございます。今回の改正は、この附帯決議の一部を実現しようとするように私、受けとめておりますので、そういう意味からも、本委員会で早期に成立させるようお図りいただければよろしいのではないか、こういうふうに感じております。
 私、ちょっと時間の配分を間違えまして先ほど申し上げられませんでしたが、幾つかの問題点を私なりに整理しております。
 第一点としまして、今回、この法改正による措置によっても、なかなか工期の短縮がそう大きくは実現できない、平均してせいぜい一年ぐらいというふうな、資料を検討してみますとそういうふうになっておりますので、こういう点からも一層短縮し、効果を早期に実現するという意味からも大幅な予算確保が必要ではなかろうか。ただし、今日、非常に難しい状況の中で、それをどう実現するかというのは皆さん方の御努力を待ちたいというふうに考えております。
 それから第二点といたしまして、事業量をやはりどうしても拡大したい。日本全国から土地改良事業、基盤整備事業についての要望が強い中で、六十一年度予算を拝見いたしますと、高率補助については一割カットしてできるだけ広く実施しようというふうな措置がとられているようです。これは資料を拝見しますと、六十三年度までこういう措置をとっていくというふうに言われておりますけれども、これが地方財政等に及ぼす影響はかなり大きいのではないか、こういうふうに考えております。地方財政も非常に窮迫している状況の中で、こういう点からも財源あるいは負担割合というものを、再度慎重に検討してみる必要はないか、こういう点が第二点でございます。
 それから、財投資金の借り入れを今回積極的に行うということなんですけれども、これは変動金利になっております。予算策定時、法案の策定時は六・五%ぐらいを予定していたようなんですけれども、最近、低金利政策の中で若干下がっておるように見ております。六・三%程度だろう。ただ、これは変動金利でございますので、将来また上がっていく可能性もございます。こういう状況にどう対処するかということも、今日の状況の中で将来を考えておく必要がありはしないだろうかというふうに思います。
 それから第四点は、大きく言えば、従来、特定工事特別会計でやられた事業、これは申すまでもなく、事業進度を速めて早期に完成させようというふうな考え方で、都道府県負担金それから地元負担金もかなり財投資金を借りでやってきた、こういうことなんですけれども、農家負担あるいは地元負担が非常に高くなってきております。
 そういう実態の中で、一つは償還方法を改善する必要がありはしないかというふうに私は考えております。つまり、いろいろの地域の実態などを拝見しておりますと、営農が定着するまでは負担能力はそう大きくない、営農経営あるいは実態が定着していく段階に応じて償還金を、言うならば高めていくというふうな償還方法の改善が必要ではないかというふうに考えている、これが第一点でございます。
 それから、概して農地開発事業にかかわることなんですけれども、もちろん土地改良事業、かん排事業なども含めてもよろしいわけですが、特に農地開発事業について見ますと、道路とか橋梁だとかあるいは河川改修にかかわるような工事だとか、それから土砂の流出防止といったような、言うならば一般建設事業にかかわるような工種がかなり大きく含まれておりますし、その部分が工事費を非常に高めているというふうに私観察しております。やはりこういった工事を取り込んでいかなければ一体としての土地改良、農地開発ということは困難でございますから当然入れられているわけですが、結果として見ますと、道路だとか橋だとか土砂流出防止だとかいったような工事というのは、土地改良事業というよりも言うならば一般建設事業のたぐいに入る。それはまた県や市町村が県道とか市町村道といったようなことで整備するものとあるいは通じる性質のものでございます。こういう意味で、それを農家の負担というふうに持っていくことがかなり大きい問題を今日もたらしておるやに考えますので、こういった問題について自治体、地元という間で寄り寄りしっから検討し協議してもらいたい。この点は先ほど美々津の黒木さんからお話があったこととも関連いたします。
 それから第六点といたしまして、第三次土地改良長期計画というのが策定されておりますけれども、御承知のようにこれは非常に進捗率が今日おくれております。約二二%。もう四年たったわけですけれども二二%という状態で、今後これをどうしても目標達成するならば大幅に伸ばしていかなくてはならない。日本農業の自給力を強化するというふうなことと関連して早期に達成していかなければならない。このことについてやはりこの農林水産委員会で十分御討議願い、予算の確保という方向を打ち出していただく必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
    〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
 それから第七点といたしまして、一言で言えば土地改良事業による構造改善効果というものを達成する視点で土地改良事業の運営といいましょうか、実施を考えていく必要があるだろう、こう考えます。特に、御承知のように日本では、一言で言えば零細地片の分散錯圃ということが特徴でございます。アメリカのように農場制ということではございません。共同事業として土地改良事業をやられますけれども、それをより効果を高めるためにも、幾ら借地によって農地が集積しても、ばらばらの土地では大きく生産性の向上効果あるいは構造改善効果が発揮できないと思います。やはり集団的な農用地としてどういうふうに利用していくか、こういう考え方を土地改良事業の中に生かしていくあるいは土地改良区の指導体制の中にそういう方針を取り上げていく、こういうことが必要ではないかと思っております。
 それから第八点、最後になりますが、最近あるいはこれからの傾向といたしましては、中山間地帯に基盤整備の重点がだんだん移動してきております。先ほど言いましたように、社会的な標準技術体系に適応できない農地はだんだん新境外へ放置されていく傾向にございます。しかし、中山間地帯になるほど工事費、事業費は高くなり、農家負担も増大してきております。中山間地帯の農家ほど負担力が実態として低い。こういう状況の中で土地改良事業をどういうふうに進めていくか、一種の社会問題とも関連して、そういう観点からも取り組む必要があるのではないか。さらには、地域のいろいろの資源、山、緑、水といったような資源を維持管理し保全するためにも、土地改良事業は非常に重要な役割を背負うております。そういう観点からも取り組んでいくべきではなかろうか、こういう点を指摘したかったわけでございます。
 時間をいただきまして、どうもありがとうございました。
#14
○近藤(元)委員 大変貴重な御意見をいただいて、この法律並びに土地改良事業推進に当たりましては御参考にさせていただきたいと思います。
 限られた時間でございますので時間が余りございませんけれども、松永参考人にお伺いしたいと思います。
 四人の参考人それぞれが、遅きに失した感があり、財政上やむを得ない、工事の短縮のためにも事業推進のためにも一日も早いこの法律の成立をということでございますけれども、その線に沿って私ども全力を挙げていきたい、こう思うわけであります。これからの農業の事情というのは諸般大変厳しくなってきておりますし、また農家の中も実態的には専業、兼業というようなもので、意思統一をするのに非常に困難をきわめておる状況ではないかと推察をいたします。そういう意味では、意見の中に出てまいりませんでしたけれども、同意の問題で御苦労されておるのではないかと思うので、同意の点についてどのような状況であるかを一点お聞かせをいただきたい。
 もう一点につきましては、基盤整備を進めていくことはこれからの事業で欠くことのできないことはお互い了承いたすところでございますけれども、もう一つの御意見の中にございました集団経営の中にスムーズに入っていけるのか、いくために行政や政治が何をやらなければならないかということについて御意見がございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
 また最後に、お答えされる時間もそうございませんけれども、維持管理の問題で具体的なものがございましたら御意見をいただければありがたいと思います。
#15
○松永参考人 三点の最初の問題でございますが、やはりまず一番基本的な問題は生産性を強めるということであると思います。生産性を強めるということは、逆に言いますとコストを下げることではないだろうかと思います。特に、この情勢の中ではなかなかお米を値上げするわけにまいりません。したがいまして、やはり大規模な相互関連のある圃場整備をしてほしいなと私は考えておるわけでございます。しかも、先ほど来お話がございましたように、工期が長くなると経営者そのものも正直申し上げまして意欲をなくするのじゃないかと思っております。そういうことで御理解をいただきたいというのが第一点の願いでございます。
 それから、集団化してくるために、大変難しいのじゃないだろうか、事実近藤先生のおっしゃるとおりでございます。私の意見の中では兼業、専業にかかわらず集団化をしていきたいと述べているわけでございますが、特に兼業農家がそういう形の中に溶け込んでいけるかということになってくると、問題が大変多うございます。でも、これをやらないことにはこれから農業は立ち残っていけないのではないかと思っております。そういう意味で、私が今とっている手段といたしましては、幾夜も幾夜も理解と協力を求めるために部落回りをいたしておりますが、もし国の方でお世話が願えるならば、まずその規模の少ない土地の人たちの、過去農地制度の改正がございました、そういう点に対する利用増進法という法律がございますが、その中で絶対の私権は認めるんだよと言ってはおりますものの、不安を持っておりますので、それが集約されるような形の促進が願えないだろうかということをまず第一点として思うわけです。
 それから第二点目として、兼業は兼業なりに実はグループをつくりまして――今の政府の方針は、専業農業に絞って、あるいは自立できる農業経営に絞って経営の生きを期していきたいとお考えになっておりますが、時代の推移によりまして、兼業農家等も集まりまして、例えて言えば農業協同組合の営農の指導のもとで、奥さんあるいはおじいちゃん、おばあちゃん等も含めて、オペレーター等は農業協同組合の指導の中で、もう少しこれを規模拡大をしていかなければ、農業の土地の保全についても蚕食されるおそれがあるのじゃないかと私は思っております。先般国会で、二〇〇〇年にはアメリカの総生産と日本の総生産とは一緒になるのじゃないかなというような意見が出ておりました、討論の中で。もしそういうことになりますと一番大事な農地が蚕食されるおそれがかなり多いので、私は利用計画の中である程度農地を残していっていただきたいなということを特に痛切に思うわけでございます。
 第三点目の維持管理についてでございますが、御免こうむって言いたいことを申し上げたいと思いますが、今農家の負担は、米を主体にしている農家の負担というふうにおとりいただきたいのですが、この経常費のために、地域によって違いますが、少なくとも維持管理のために実質四千円から五千円を負担として出しておるわけでございます。今のままの現状でございますと赤字という形にならざるを得ないのでございます。したがいまして、私がやかましく言っておる問題は、何とかこの大規模な国営管理の経常維持管理について、少しでも油となるような回転があるならば、さらに勢いづいてその全きを期していけるのじゃないだろうか、こんなふうに考えております。
 大変言いたいことを言いましたが、近藤先生、こんなふうに考えておりますので、ひとつよろしくお願いを申し上げます。以上で終わります。
#16
○近藤(元)委員 時間が来ましたので、残念ながらこれでやめさせていただきます。
#17
○大石委員長 辻一彦君。
#18
○辻(一)委員 参考人の皆さん、どうも御苦労さんです。
 私、国営の農用地開発の問題、そしてまた特許をやった地区にいろいろな問題が出ておりますので、それらについて二、三お尋ねをいたしたいと思います。
 まず第一に、黒木さんにお尋ねしたいのですが、一昨年の七月の下旬であったと思いますが、私も美々津をお訪ねしまして、そして大変お世話になってありがとうございました。美々津とそれから三重の青蓮寺と福井の坂井北部は、五十一年の財投導入によって三地区が同時に出発した地域でありまして、私も一、二回ずつずっと見て回ったのですが、それぞれいろいろな特殊な問題また共通の問題を持っていらっしゃる。その中で水に対する扱いが非常に変わっているように思いますが、美々津は計画の途中で水を断念をして、これを棚上げにした。青蓮寺はダムがあるところから水を引いた。坂井北部は川から水を上に揚げたということで、これは水を中心にしますと非常に形が違うわけですが、まず一つは、美々津で水を棚上げにされた事情というものを第一にお尋ねしたい。これは時間がありませんから、ごく要点で結構であります。
 それから第二は、今償還問題が非常に大きな問題になっております。おくれているので早くやるために財投を導入をした。特急料金を買って乗り込んだのですが、途中で鈍行になる。そのために特急料金を国鉄並みに払い戻せというような意見もありますが、工期がおくれたために結局利子がかさむ。いろいろな事情が重なりまして事業費が増大をし、結果としては地元の負担金が非常にふえてくるということになりますので、これが非常に問題になっている。そこで、美々津においてこの全体の負担金がどうなったのか、その中で県や市町村がどういう軽減措置を講じたかということですね、これについてお伺いしたい。
 それから三つ目に、営農にたえる償還金は美々津の状況においてどのくらいとお考えになっておるのか。
 それから最後に、この法が改正されますと、府県分は財投で借り入れてやるわけですが、農家の地元負担金は、これは国費で扱っていくということになりますね。そういう意味で、従来方式の特許制度と比べて農家負担は利子等々の面からいうとかなり軽減される可能性があるのではないか。そういう面では大変結構なんですが、ただ、美々津を初め全国に七つの特許地区があります。それらはそういう意味では後に残された感じがしますが、そういうことについてどういうお感じを持っていらっしゃるか。
 以上についてまずお尋ねしたいと思います。
#19
○黒木参考人 辻委員にお答えいたしたいと思います。
 水の除外の理由ですが、簡単に申し上げますと、五十六年の二月末の大寒波によりましてミカンが枯死したということが最大の理由で、農家が水を要らないと。それから、水をつけますと約七十二億の工事費がかかって地元負担金がふえるのではないかということの二点が、農家の水除外の、反対の姿勢でございました。
 それから、全体の負担金でございますが、総事業費が百四十七億、国費等が百十四億、それから県が二十七億、地元が約十七億ということですが、県負担分が、事業費分として三十三億、建設利息分が十一億で……(辻(一)委員「一反当たりの償還額で結構です」と呼ぶ)一反当たりの償還額でございますか。美々津の土地改良区といたしましては、耕地面積でなくしていわゆるテラス面積の植栽面積ということで賦課をいたしております。それによりますと、一反当たり、据置期間におきまして一万三百六十一円、それから償還期間に入りまして約二万円近く、一万九千四百幾らでございます。そういうことでございますけれども、全体からしますと三万一千円程度ということになりますが、水寺を入れますと、これは実際にやっていないのですが、逆算の計算で一万五千円ぐらいふえるということになりますし、また水計画を入れるとしたら工期を一、二年は延ばさなければいかぬということ等を勘案しますと、やはり全体で四万九千円程度になるんじゃなかったろうかということが考えられます。
 それから営農に対する償還の問題でございますが、美々津地区は大体ミカンが主体でございまして、これもわせミカンでございますので、大体収入が、粗収入として約二十四万円程度六十年度あっております。所得としましては十四万円程度、所得率として大体五七、八%ということでございますので、二万円の償還をいたすということになれば、現在の時点では大丈夫じゃなかろうかというふうに考えております。
 それから、負担金の県とか市町の対応ということでございますが、最前申し上げましたように、条例の関係で四十六年から五十七年までは一一%でございますが、五十八、五十九年度五・六%ということになりましたので一応農家の負担は軽減されましたが、それに伴いまして建設利息の持ち分関係を、県当局がちょうど五十九年度にいろいろ負担金の協議をいたしましたときに、当初県は一五%、それから地元が一一%ということでございましたので、その一五と一一の割合で建設利息を算出をしておったわけでございます。一五%としますと五七%になりますし、地元が四三%ということで負担金の建設利息の関係が県で計算されておりましたけれども、条例が一一%であれば建設利息も地元は一一%じゃなかろうかということで県に陳情いたしました結果、そのとおり、地元は一一%ということで、負担割合が大体県が九〇%、地元が一〇%程度、いわゆる五十八年と五十九年が平均といたしまして五・六三%になっておりますので、そういうことに県が持っていただきまして、その一〇%の地元負担につきましても、いわゆる道路費と農地造成費、道路費につきましては、最前も申し上げましたように、いわゆる国営事業費負担分は市町で持つということが市町村議会でも承認されておりますので、その分は市町負担でございます。
 それから、建設利息につきまして、当初申し上げましたときに、特別会計に移行する時分に建設利息のことが問題になったということを申し上げたわけですが、その当時の県、市町長さん方との話し合いの中で、農家の負担を軽減せなければならぬからその時期になったら何とか考えようじゃないかということがあったものですから、市町にもお願いしまして、いわゆる道路事業費と農地造成事業費のパーセンテージを申しますと、道路事業費が五〇・八三%、農地造成が四九・一七%、そういうふうなことになりますので、建設利息の約十一億の中の一億一千六百万がいわゆる地元負担、この地元負担の中で今の造成区分によりますと道路費で約六千万、それから農地分が五千七百万というような格好になります。この五千七百万の建設利息分は市町に持っていただくように今度の負担金をしていただきました。
 それから、法改正に対すること、これは申し上げましたように、私たち美々津地区はもう終わりましたけれども、農家負担が軽減されるということは非常に喜ばしいことじゃないかというふうに考えます。しかし、どうしても事業を急いで早く事業効果を上げなければならぬという地区は、やはり現在のような特別会計も導入していただいて、早く終わらした方がいいんじゃないかという考え方を持っております。
 以上でございます。
#20
○辻(一)委員 時間の点から詳しくお尋ねできませんが、かなり県や市町村が負担軽減にやっていらっしゃるようであります。問題点はいろいろありますが、それは今、割愛させてもらいます。
 そこで、今村先生にお尋ねしたいのですが、時間がありませんので簡単にお尋ねします。
 償還方法をいろいろ改善する必要があるというお話がありましたが、これはほかの例をいろいろ見ると、ステップ償還というような問題もありますし、またいみいろな方法があると思うのですが、どういうことをお考えになっていらっしゃるかということですね。
 それともう一つ、あわせて松永さんにお尋ねしたいのですが、全国に特許地区が農用地開発で七地区あるのですが、今度法改正によって農家の負担はいわゆる財投から外されたのでこれは軽減になると思うのです。しかし、あと残っていると地区はその問題が依然として残っている。そういう意味で、償還条件の緩和等の声は非常に、現在三地区、それから将来は四地区にだんだん大きくなると思うのですね。そうしますと、全土連としてそういう声を、四十二の開発国営の中で七つは一部で、少ないのですが、もうちょっとその声を全国的に吸い上げて、反映させてもらうというようなお考えがないかどうか、私はその二点をそれぞれお尋ねしたい。
#21
○今村参考人 償還方法、細かい具体的なことは別といたしまして、原則的な考え方として、営農が定着し償還能力ができるようなことがまず必要ですし、もちろんその前提には営農が定着するような方策をどう講じるか、これが重要だと思います。
 なお、農業以外の分野では、例えば住宅ローンにしても、所得がだんだん増加していく中で、返済を当初は軽く、だんだん大きくしていくというふうなことも講じられているようでございますから、そういうふうな方向が考えられるべきであろうと思っております。具体的な方策その他は農林省その他でもう少し検討していただきたい。
 もちろん、地元の御意向もいろいろございましょうから、例えば利息がふえていくという問題も裏腹の問題としては出てきますけれども、それをどういうふうに解決していくか、こういうことが大きな検討課題だろうと私は考えております。
#22
○松永参考人 御指摘のように、私どもといたしましては、特別会計の中で県分、それから地元、その県分を今度の制度で財投から借りてやるということで、大変望ましいことでございますし、大いにありがたいと思っています。
 そこで、お話しの開発地域の問題でございます。負担等とのいろいろな問題がありますが、その地域の状況によって若干違うかとは思いますけれども、本質的には、やはり全土連といたしましても、もっとこの線を新しい会計方式の中に取り入れて進んでいった方がいいのではないだろうかということで、ただ、従来の方法で早くやらなければならないという面につきましてはそういうことにならざるを得ないと思いますが、あの事業はえてして息の長い事業になってまいりますのでこその辺はこれからも十分仲間の中で話し合いながら要請を申し上げていきたいと思っておりますが、現実の問題としては、できるだけ早く完成できるような体制をとるような方向にお願いをいたしていきたい、こんなふうに考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
#23
○辻(一)委員 終わります。ありがとうございました。
#24
○大石委員長 竹内猛君。
#25
○竹内(猛)委員 参考人の皆さんには、御多用中大変貴重な御意見をありがとうございました。
 私はそれぞれの参考人の方々に一括して御質問申し上げますけれども、その前に、私どもの農業に対する考え方というものの基礎は、農業というのは新鮮な食糧を一億二千七百万の国民に供給する大事な仕事をしておるという命と物の関係が第一。第二は、国土の保全、治山治水、空気の浄化、緑を培養する、あるいは観光資源としても大事なものである。三つ目が、地域社会の担い手として、道路や橋その他の整備をすると同時に、混住社会においては、特に集落において専業農家及びそういう方々が面倒見をする、こういうような役割を果たしている重要な産業である、こういうふうに考えております。
 そういう中から、土地改良事業というのはまさにその基礎をつくるわけでありますから、大事な仕事であります。これに対しては進めなければならないと考えております。
 これは今村先生にお伺いするわけですが、現在、政府が土地改良十カ年計画をやり、三期目に入っています。ところが、防衛予算というのは第五次まで毎年毎年自動的に金がふえるわけだけれども、土地改良は、三十二兆八千億という十年間のあれを置きながら、単年度で仕切られて、農林省の予算を見ると八千七面億しか盛り込まれていない。来年はどうかというと、来年もまた削られる心配がある。去年は三兆三千億程度の農林水産省の予算があったけれども、ことしはそれをさらに千数百億落としておりますね。防衛庁の予算の方はふえてしまった。こういうように本予算が減った中で財投を入れたりいろいろな努力をしていることはわかるけれども、これは本来の農業を大事にする政治姿勢じゃないというふうに考えるのですが、その点は先生としてはどのようにお考えか。やはり連続をしていかなければだめじゃないかということが第一です。
 それから第二の問題は、土地改良は立候補主義でありまして、どこでも好き勝手にやるものじゃないわけですね。立候補して、一定の調査をし、手続をしてこれが決まってくるわけだ。その中で、補助率というものが面積によって違う、これが問題なんだ。一般の物価、交通費、学校の授業料、あるいはたばこを買っても酒を買っても何を買っても、平野の地帯と山村僻地はみんな同じですよ。ところが、土地改良に関する限り、面積によって補助率が違うというのは一体どういうことなのか。
 例えば国営であった場合には、土地改良の場合には三千ヘクタール以上は国が六〇%負担をする、受益者は二〇%だ。ところが団体営になると、二十ヘクタールということになれば国は四五%しか出さない、受益者が四五%負担をしなければならない。残った分は県ということになる。あるいは農地造成の場合には、国営四百ヘクタール以上は国が七五%、受益者が一二・五%。ところが団体営になると、十ヘクタールということになりますが、国は五五%で受益者が二五%になる。これはどうしてもおかしいじゃないか。この補助率というのはおかしい。何を基準にして決めたかわかりませんが、ともかくこの点はどうも不明朗だ。これが第二点です。
 第三点の問題は、先ほどから償還の問題がありましたが、償還の問題については、こういう状態であり、しかも工期が長いですね。大体三十年の末、三十七、八年ごろに調査をして、四十年の初めに着工をして、本来六十一、二年に終わるというのに、二十年ぐらいかかってもまだ終わらない。その間に農業情勢が激変をする、そういう中で負担が、金利が増してくる。福井県の坂井北部なんというのは、米一俵という約束をしておきながら、水田の場合には九万円も反当負担をしなければならない、金利がかさんでしまってどうしようもない。こういう状態を考えてみると、これは、やはり工事が終わって、いよいよ生産ができて、所得が確保されてから一定の比率で返していく、こういうことが素直な行き方じゃないのかな、こういうふうに思うのですけれども、この点はいかがなものか。
 その次に、松永参考人にお伺いをします。
 岐阜県の輪中地区というのは低湿地地帯ですね。水を除去するのに非常に金がかかるところだと思います。それの土地改良が終わっての維持管理費というものは、率直に言って一体反当どれぐらいかかっているのか。
 私は茨城県の霞ケ浦周辺あるいは利根川の周辺が選挙区です。ここでいろいろ調べてみますと、茨城県の場合には、農林省が米価を決めるときに反当五千六百三十七円、それに小規模の土地改良で六百八十一円、こういうふうに言っておりますが、農協中央会は、面積十アールから三百ヘクタールまでを挙げておりますけれども、その中で四千二百八十八円から五千四百円というのが農協中央会の米価に対する算定の中の織り込みですね。茨城県の土地改良の典型的な二つを調べてみますと、一つは反当一万二千円、これは水田です。畑はそれの半分六千円。もう一つは一万一千八百九十二円、その半分の五千九百四十六円が畑になっております。
 こういうように、地域によって土地改良の負担、維持管理費が違う、これを何とかしなければ、これも法の前に必ずしも平等だとは言えない、こういう点についてひとつ松永参考人からお伺いしたい。
 それから、竹内参考人には、北海道で大変御苦労されておりますが、ほとんど水田地帯でありますね。その水田地帯で米の減反というものがこれ以上もうどうにもならない、こういうわけですけれども、面積は都府県よりははるかに広い、それにしても減反に耐えられないということになりますから、この第三次減反と土地改良のこれからのあり方についての御意見をいただきたいと思います。
 それから、黒木参考人の方には、先ほど辻委員からも細かい質問がありましたが、開田をし、それから山を崩して、大変苦労されておりますね。そういうところで、作目がミカンと養蚕ですね。これはいずれも農林水産省が長期計画の目測を誤った代表的なものですね、ミカンと桑園は。そういう中で、責任を地元にだけとらせるのではなしに、行政側に対して何か物を言わなければいけないじゃないか、こういうふうに私は考えるのです。行政だけに責任をとらせるというのもぐあいが悪いけれども、長期見通しというものを閣議で決定をしている、これが大幅に狂っているわけですから、それについて黙っていることはないだろう、こういう点については主権者としてもう少ししっかりしてもらいたいな、こういうふうに思っております。
 以上です。
#26
○今村参考人 大変難しい質問を三ついただきましたが、第一点から簡単に私の見解を述べてみたいと思います。
 かつて、イギリスでバターか大砲かという議論が国会で行われまして世界的に反響を呼んだことがございますが、今回の予算を見せていただきまして、ある意味ではそういう問題と関連することなのだろうと思いますが、日本の国会ではそういうことをイギリスでやられたほどやられなかった、もう少し御議論いただければよかったという感じを持っております。
 安全保障の問題につきましては、食糧、エネルギー、国防という三つの側面がございます。食糧安全保障の問題につきましては、近年世界的に食糧需給緩和の状況の中で当面は下火になっておりますが、この問題をやや長期的な視点に立って考える場合どう考えるかということを、私どもともども先生方の方で十分お考えいただきたい、こういうふうに私からお願いする次第でございます。
 と同時に、アメリカで昨年の十二月二十二日に発効いたしました食糧安全保障法の審議経過を私注目しているわけです。御承知のように、レーガン政権は大変厳しい農業保護政策切り捨て法案を昨年二月二十二日に議会に提案いたしまして、十カ月間もみにもんで法案がやっと成立したわけでございますけれども、あの経過を見ておりますと、レーガン政権の出した法案は国益を非常に重視するという観点であるのに対して、アメリカの下院が、下院というと都市を代表する議員が圧倒的多数なのですけれども、農業、農村地方の実情を踏まえてだろうと思いますが、不思議なことに農業保護政策を主張する、上院は共和党が強いわけですけれども、それにもかかわらず、妥協の産物として食糧安全保障法ができた、こういう経過を見ておりまして、まだ詳しい資料はわかりませんけれども、どうしてああいう農業保護色の強い法律をつくり上げていったのか、この辺は私も勉強いたしますが、先生方、皆さんにおかれましても――これは一国の農業というものをどういうふうに考えるかということをアメリカなりに打ち出しているのではないかと考えております。それが第一の私の見解です。
 それから第二の、補助率が受益地域の面積の大小によって違うという問題でございます。
 これを私なりに研究してみますと、昭和二十四年にドッジ公使が来られて、超均衡予算を作成されて、その折に、土地改良事業が公共事業であるか公共性を持つものかということが見解として出されております。そのときに面積の大小、例えば国営土地改良事業については公共性が高いという観点から、それから団体営などについては、これは自分でやってもいいのじゃないかというふうな観点から予算を切り捨てる、削減するということが、二十四年度予算について行われた経緯がございます。その折に、物理的な物差しが要るわけですから、公共性というのが広さとかかわってできたのではないかと考えております。
 ただこの点も、ドッジはアメリカの農場制ということを頭に描きながらそういうことを言った形跡がございます。日本は、先ほど私冒頭で申し上げましたように分散錯圃の状態でございまして、零細農家が零細地庁の土地を持っている。同時に、日本の水利という共同性を前提にしながら水田農業を行い、土地改良を歴史的に行ってきたという経緯がございます。そういう点について十分な考察がないままにドッジがああいう見解を出したのではないかと思っております。
 それがそのまま土地改良法あるいはその後の土地改良事業に引き継がれたかどうか、資料的には私よくわかりませんけれども、新しい時代において、特にこれから中山間地帯というふうな受益地域が面積が小さいところに行かざるを得ない、こういう事態の中でいま一つ新しい状況に応じて検討してみる必要があるのではないかと思っております。
 第三点の償還問題につきましては、時間がございませんし、先ほど大筋のことは申し上げたので、この点は先ほどの私の意見でかえさせていただきます。
#27
○松永参考人 岐阜県の例でお話がございましたが、茨城県の竹内先生の地元と大体似通っているのではないかと私思っております。
 実は私も理事長をやっておるのですが、考え方といたしましては、投資いたしました費用の経済効果を勘案しながら、どの程度までは負担にたえられるだろうかというような基本理念でまとめておるわけであります。先ほど近藤先生の御質問にもお答えいたしましたが、国営関係で、面積の規模、地形また農業者の体質等々の関係からしていろいろ違うと思いますけれども、五千円前後ということを申し上げたのでございますが、大体似通っていると思います。
 ただ、今私どもが一番意を払っている問題は、生産効果を上げるために十町歩ぐらいの先端的な考え方の営農をやりますと、反当一万円以内に絞れるのじゃないかと思っております。従来は二万円前後かかったと思っておりますが、これもモデル的にやっておりますのでなかなかそこまで持っていけませんが、そんな関係になってまいりますと思い切った投資ができ、負担もできてくると思います。
 いずれにいたしましても、今は大変厳しい状況でございますので、実は無理やりに強制執行までいたしております。笑い話で牛の角に強制執行の赤い紙を張ってきたということがございますが、全く苦しい現況であることも申し添えて、御理解いただきたいと思います。
 以上で終わります。
#28
○竹内参考人 減反とポスト三期がどうなのかということでございますが、私は、土地改良事業というのは、農地として耕作を続けている限り永遠に実施すべきもの、必ずこれが効果があるのだ、このように考えておるものでございます。
 北海道の場合、経営面積が大きいわけで、ほとんどが専業なわけです。その中で畑作をするということになりますと二重投資になるわけでございます。しかるに、約半分近く畑作をやるということの中で、せっかくのスケールメリット、いわゆるコストを下げる、安くて良質なものを生産することが困難になるのだということで、専業農家を育成することの中で、米生産の専業農家は全国で数%にすぎないわけでございますので、そういう貴重な専業農家であるこの地帯においては、今後とも、土地改良事業を進める中で当然畑作の汎用化も図っていけるわけでございますので、そういう意味で土地改良事業を進めていかなければならない、このように考えておるところでございます。
#29
○黒木参考人 お答えいたします。
 ミカンと養蚕関係、それに複合経営作物ですか、農林省とか行政に対して注文をつけなければいかぬじゃないかということでございますが、私たちも生産者大会等で行政に対するそれぞれのことは注文をつけて、いろいろお願いしております。
 ミカン等につきましては、本年度も五十九年、六十年あたりのキロ当たり八十円ぐらいの価格が維持されれば何とかやっていけるというふうな考え方を持っております。
 養蚕につきましては、繭価格が非常に下がっておりますので養蚕農家としては苦しいわけですけれども、私たちの地区としては複合経営でやっておりますので、その方面につきましてはいろいろ営農指導の体制を何とか強化していただくように行政側にお願いしているところでございます。
#30
○松永参考人 申し落としましたので若干述べさせていただきたいと思います。
 たまたま管理費に対しまして県の方である程度環境整備事業も含めて取り入れておりますので、排水については若干援助を願っておる面もあって、他とは若干違っておる点があるかもしれませんということを申し添えておきたいと思います。
 以上でございます。
#31
○竹内(猛)委員 時間が少しオーバーしてどうも恐縮でした。
#32
○大石委員長 武田一夫君。
#33
○武田委員 きょうは朝早くから、四人の参考人の皆さん方には大変に御苦労さまでございます。いろいろと貴重な御意見をちょうだいいたしました。
 まず最初に、竹内参考人にお尋ねをいたします。
 国の補助あるいは負担の一割カットの問題、これは財政が非常に厳しい中で町政を施行するに当たっていろいろ御苦労なさっていると思うのでありますが、これによって土地改良事業等へしわ寄せが起こってこないかというので私は心配をしている。町長さんのところは農業が中心でございまして、非常に農業に力を入れていると先ほどもお話ございましたが、歩いてみますと、そうでない地域などはこういう補助率のカットはほかの事業とのかかわりの中でいろいろとしわ寄せが来るんじゃなかろうかという心配を私はしておりますので、この点、そういうことがないものかどうか、町長さんの立場からお考えをひとつお聞かせいただきたい、こう思います。
#34
○竹内参考人 一割カットの御質問でございますが、例えば昭和六十一年度の予算編成に当たりましても、確かに土地改良事業以外の問題についての一割カットで、地方自治体、町村におきましては大変苦労しているということは間違いございません。
 しかし、土地改良事業につきましては、カット分を都道府県が持つというようなことで、直接自治体あるいは受益者に今のところ影響が出ておらないわけでございまして、町の農道整備事業等におきましてのカットなども道の方で差額を負担していただいておるということで、土地改良事業については今のところ影響を受けてない、こういう内容でございます。
#35
○武田委員 次に、松永参考人と黒木参考人にお尋ねいたします。
 私たちは、この法案の取り扱いに関しまして、各地を歩きましていろいろお話を聞きますが、きょう皆さん方からもお話がございましたように、財政的な事情で非常に金の伸び率が少ない、そのために工期がおくれている、その負担も農家の方々にどんどん来ている、聞くところによると、農家の負担はここ十年くらいに二倍以上になっているのじゃないかという話も聞きます。
 ここで私がお尋ねしたいのは、農家の負担の限界がもうそろそろ来ているのじゃないかという声があるのでありますが、その点はいかが見られておりますか、お二人にお聞きしたいと思います。
#36
○松永参考人 先ほど竹内先生にお答えいたしましたように、私どもといたしましては、国のもとである農業をいかにして栄えさせていくかという基本的な観念に立って、負担についてもできるだけ応じられるような対応をとっていってほしいというふうに考えております。
 限界点についてのお尋ねでございますが、これは、今すぐ効果が出るものと、それから、借り入れをいたしまして逐次生産を上げまして償還をしていくという段階といろいろあると思います。そこで、今の農林省の考え方もそうであろうと思いますが、ある程度の限界点は出てくると思いますけれども、私どもは現在体制の中の負担については応じていきたいという感覚で進めておるわけでございます。そして、やはり思い切った土地改良事業を進めてほしいなあという、全体の立場に立っての御答弁を申し上げておきます。
#37
○黒木参考人 お答えいたします。
 非常に難しい問題でございますが、農家の負担が軽いにこしたことはないというふうに考えます。しかし、ほかとの関係でいろいろとまた出てくるのじゃなかろうかと思いますが、一応申請事業を行ったときに計画された工事費の中で完成していただくというということが一番必要ではなかろうか、かように考えております。
#38
○武田委員 今、黒木参考人がお話しになったのでありますが、国の財政事情によりまして工期がおくれる、事業量が縮小されてくるということで基盤整備が進まない、そうすると、毎年人件費やら資材費が上がりますね、十年でできるものが十五年になれば、五年分の負担は農家にくる、こういうものは国が責任を持てと私は言っているのですが、あちこちに行きますと、こういう私の考えに賛成する人がいて、そのとおりだと言います。今村参考人に、こういう考えについてはいかがなものか、ひとつ率直な御意見を聞かしていただきたい。
 それからもう一つ今村先生にお願いしたいのですが、各地を歩きますと、余り立派過ぎるのじゃないか、こんなに立派なものでなくても十分やれる、立派過ぎるものは、農家の人間よりも土建屋とかそういう関係者の方が十分利益をもらっているのじゃないか、こういう声が多いのでありますが、この点いかがお考えでございましょうか、御意見を伺いたいと思います。
#39
○今村参考人 一言で言うと国費負担を増大しろというお考えですけれども、客観的に見ますと、これもどうしても財政事情と大いにかかわることでございます。
 土地改良事業は、建設省などがやっている道路とか橋をつくるのと大分違いまして、地元の申請主義というのが日本の土地改良事業の一番の特色でございます。これは世界にほかに例がないものでございます。つまり、本来の姿としては自分たちで自発的にそれをやる、それがいろいろな地域的な広がりもあってできない、それを国が助成するというのが、非常に長い歴史、江戸時代以前にさかのぼったような考え方をとりますとそういう考え方でございます。
 と同時に、いま一面は、土地改良をやった成果は農家の資産の増加、土地所有者の資産の増加ということになってくるわけです。これが、そういう投資をやることを通して農業の生産性を上げる、あるいは食糧の供給価格を安くしていくということを通じて社会にその成果を還元していく、こういう論理で土地改良事業はやられているわけです。
 この点をどの程度にするかというのは、これまた非常に難しい問題がございますし、いま一つの考え方は、長期の低利の資金でもってやるという方法ももちろんあるわけでございます。こういう方法によって、事業をより早期に完成するという手法も制度としてはございます。いかようにそれを選択するか、限られた財政資金の中でかなり長期にかけてやるかどうか、いろいろの選択が実際上はございます。こういう点がいろいろ絡んでおりますので、その問題を一元的に補助率の引き上げということだけでは解決できない問題があるかと思います。
 それから、いま一つの第二点でございますが、施設が立派過ぎるという、間々そういうことは感じます。土地改良事業だけではなくて、ほかの事業について感じることも、私、実感としては持っております。が、ある意味では、日本の自然条件、立地条件からして、非常に豪雨が多いとか、地形上の特殊性だとかいうことがございまして、やはり災害が起きない、こういう工事をやっても将来起きない、そういう見きわめが非常に難しい点がございます。こういうことで、結果的にはリスクを回避するために立派になっていくという側面も否定できないと思います。
 この点も、いずれ実施する段階で地元と十分協議してやっていくという方法以外に、やはりなかなか解決策はないのじゃないだろうか、こういうふうに考えております。
#40
○武田委員 もう一つ、松永、黒木参考人にお尋ねします。
 この土地改良の施設、いろいろ高度化、複雑化しているわけであります。その管理を皆さん方受益者の方でやらなければいけないということでありますが、そのためにはダムあるいは排水溝のいろいろな取り扱い等の専門家の養成も必要となり、そうすると、当然皆さん方にはそれだけの負担がかぶさってくるというのは必然のことであります。
 そこで、私はあちこち聞きますと、やはり管理費を生み出すのに相当腐心しているようでありますが、国の方では施設管理費のシェアというのは非常に少ないように私、思うのであります。私はこれが今後皆さん方が管理していくときに永久につきまとってくる問題であると思うのでありますが、この点についての御要望なり希望がございましたら、ひとつお聞かせ願いたい。
#41
○松永参考人 大変いいところを聞いていただきましてありがたく思うわけでございますが、今の制度の中で、特に国営管理なんかの問題についてはだんだん労力を避けた管理体制ということになってまいります。そうしますと、コンピューターだとかあるいはまたいろんな施設がそろってまいりまして、お説のように機械管理と、これを操作する人が必要になってくるわけでございます。同時にまた、機械等につきましても大変高度な機械になってまいりまして、専業的に管理者を決めていかなければならないということになると思います。
 それで、これは従来は土地改良区で兼業で農業をやりながらその任に当たっているという人であったわけでございますが、ところが今度はそういうわけにまいりません。専業にならざるを得ないわけであります。したがいまして、何とかこの人たちの生活保障をしていかなければならないことと、それから機械購入をしていかなければなりません。
 ただ、これは事業の計画の中である程度取り入れておっていただきますから、負担金という形で出てくるわけでございますが、管理上、修理その他になってまいりますと自前でやらなければならないことになるわけであります。だからお説のように、この種の管理については今までの情勢では助成らしい助成というのはないわけでございます。ただ、規模の大きい国営事業については国において負担をしょってくれるという形で補助をいただいておるというのがございますけれども、若干規模が小さくなってまいりますとそういうことの恩典はないわけでございます。したがいまして、規模が小さいほど実は経費がかかって負担が大きくなるわけなんです。でも、全く小さいものはまた別でございますが、その辺ではそれぞれのあれがあると思いますけれども。
 特にこいねがいたい問題は、私どももその国営管理についての助成については格別に御面倒を見ていただきたい。特にきょうは御信頼申し上げておる委員の先生方ばかりでございますので、ぜひそんなことでお力添えをいただければ、勇気百倍、この種事業に取り組んでいけるのではないかと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
#42
○武田委員 それじゃ、松永さんに代表してもらって、時間が少ししかないので、もう一つ聞きます。
 さっきも出たのですが、これからの土地改良は山間地域にどんどん移動していく、非常に条件が悪いところから金もかかる、負担も大きくなる。そうなると、やはり平地の条件のいいところと違った補助の体制、あるいはバックアップをしてやらなければいけない、これは当然やらなければいけない。しかしながら、もう一方考えてみると、平地であっても十年前と現在では随分いろいろな条件が違う。そう考えると、そういうものをひっくるめて助成の対応というものをこの辺で少し見直しをしていかなければいけない。
 それから、同じ田んぼでありましても非常に手の入れやすい田んぼと、東北のように湿田地帯が多くて非常に苦労する地域とございます。私はそういう地域は余りさわらないで米だけでやれ、こう言っているのですが、減反ということで、これを田んぼでなくて畑にするとかというようなことで苦労しているのですが、そういうことで今後、負担の率の改定も必要ではないか。
 あわせて、私たちは田畑輪換方式をもっと積極的に各地で取り入れるべきだと思っているわけでございますが、この点について参考人の皆さん方に最後に一言ずつ御所見を聞かしていただきたい。簡単で結構でございます。
#43
○松永参考人 今お話しのように、山間部と平たん部の問題でございますが、だんだん山間部に移行せざるを得ないんじゃないかという趨勢であることについてはよく私も承知をいたしております。
 ただ、今たまたま私は県の議会に籍も置いておりますので、本問題については、特に山間部におきまして要請をいたしておりますのは、県単独事業等については山の方に持っていくべきではないだろうかという感覚を述べておるわけでございます。そして、平たん地につきましては大規模な思い切った農業をして生産性を上げたらどうだろうか、こういう感覚でお願いいたしておるわけでございます。
 お説の中で湿地帯におきます問題についてお取り上げをいただいたわけですが、私も実はその湿地帯に住んでおる一人でございますが、御指導いただきまして、おかげさまで田畑輪換ができるような形まで水位を下げて整備を終わろう、あるいは終わらんといいますかアイ・エヌ・ジーになると思いますが、としておるわけでございます。
 そこで問題なのは、それでは田畑輪換をできる体制に持っていくためには経常経費がどれだけかかるかということが問題になってくるわけなんです。私どもとしては、いわゆる合理化された排水費の捻出というような形の中で実はやりくりをしながら進めておる状況でございまして、今この事業の完成と相まちまして、何とか田畑輪換に持っていけるような感覚を持っていかないことには私の方の農業経営は成り立たないという信念でやっております。
 ちなみに私の方の三千町歩の排水の実態について申し上げてみますと、これは何ミリ何ミリということが妥当でございますけれども、馬力数で表現した方が、妥当ではございませんがおわかりいいと思いますので申し上げますが、キティー台風を例にとりまして、大体一町に一馬力ぐらいという感じでおりましたが、とてもこれではどうにもなりませんということで、今度の国営事業あるいはがんがい排水事業の中で何とか倍ぐらいに排水能力を上げてほしいということで、国の建設省と農林省ともどもにお願いをして今進めている最中でございますので、この線ができますといわゆる御質問の趣旨におこたえができて、田畑輪換ができてかなり活力ある農業地帯になるのじゃないかということで大変期待を込めております。そこで私どもは、先ほど来申し上げておりますように、経常費の問題については篤とひとつ御勘案をいただくとなお一層ありがたいと思っております。
 以上で終わります。
#44
○大石委員長 あとお三方、なるべく簡潔にお願いいたします。
#45
○今村参考人 今、松永さんからお話があったことは除きまして、武田先生からの御質問にかかわること二点だけ申し上げます。
 一つは、負担問題が平地でもだんだん大きくなってきているということでございますが、私が懸念しているのは、土地改良事業の償還金が例えば標準小作料といったものを上回るような事態が出てくると、非常に困った事態になるというふうなことを考えておるわけです。そういうところはそう多くばございませんけれども、これから可能性はあり得る。
 と申しますのは、構造改善を進めていく上で、今日利用権設定その他農地の流動化政策がとられているわけですけれども、農家の実感としましては、償還金を小作料で取り戻せないということだったら貸さないというような実感がございます。もちろん理論的には償還金と小作料とは全然関係ございませんで、当然土地所有者の資産がふえるわけですからその負担を自分が償還するということと、だれかに貸して小作料でそれを補えるかどうかということは別の問題でございますが、農家の実感としてはそういう問題が起きやしないか、そうすると農地の流動化もストップせざるを得ないというふうな問題は懸念している問題でございます。
 第二点は、やはり水田地帯の田畑輪換を、大規模といいましょうか定着性あるものとするためには、大家畜畜産を水田地帯にどう入れていくか、これは非常に難しい問題ですけれども、日本農業の将来の問題を考えた場合に、これが成功するか否か、つまり大家畜を大水田地帯に入れられるかどうかというふうな問題と関連しまして、これは今後の大きい研究課題だというふうに私は考えております。
#46
○武田委員 時間が来たようでございますから、お二人の参考意見だけで終わらせていただきまして、お二人には大変恐縮でございますが、時間を厳守したいと思いますのでよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#47
○大石委員長 神田厚君。
#48
○神田委員 参考人の皆様方には大変貴重な御意見をありがとうございました。
 二、三御質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に松永参考人にお尋ねをいたしますが、現在土地改良が全国各地で行われております。私どもの感じでは、その土地改良に参加をしない農家が大分出てきているような状況に思われるのでございますが、その辺のところはどういう状況になっておりますか、お教えをいただきたいと思います。
#49
○松永参考人 都市混住化というようなことがございまして、おっしゃることがかなり多くなってきたことは事実でございます。私どもといたしましては、例えば一つの例でございますが、一つの用水幹線を通そうといたしますと、通すことについて土地改良に参加しない人が農家でもかなりある場合大変困るわけでございまして、これはもう役員あるいは関係者の努力によって、協力してもらうように、理解してもらうように、足で実はお願いをいたし続けていくわけでございます。
 ただ、どうしようもないときがございます。ややっというのがございます。これは絶対にそういうことがあっては土地改良事業だけはだめなんで、やらないつもりでおりますけれども、ある程度全体の合意を得てごくわずかの方々の反対の場合については、その人たちに最後まで御理解を願うことを条件といたしまして、法に示されておるような、それを振りかざすつもりは毛頭ございませんけれども、合意を得られるような形で踏み切っていかざるを得ないのじゃないか、これが国策の中でも大事な問題でもあろうと思いますので。しかし、それはあくまで方々の御了解を得る、あるいは納得のいく方法を考えていけば必ず通ずるものがあると思います。でも先生のお説のように、これからは大変難しい事態があるのじゃなかろうか、こんなふうに考え、危惧をいたしております。
 そこで、絶対的なものではございませんけれども、これらに対する、国の方で是なりと考えられた場合については、何かの方法を考えられながら御指導がいただければ最高にありがたいなと思っております。
 以上、要望も申し述べて、私の意見を終わります。
#50
○神田委員 そういう状況が広がりつつあるということは、要するに先ほどから議論になっておりますが農家負担のあり方に問題がある、こういうふうに考えておりますが、現状で農家の適正な負担というのはどんなふうなところなんだろうかということを、それぞれの参考人の皆さんから感じていることをちょっとお教えいただければと思うのです。
#51
○松永参考人 簡潔に申し上げます。
 先ほど来申し上げておりますのでお聞きいただいておりますが、やはり私どもの地帯で対応はできるということを土台に置いて一つの仕組みをいたしております。全体を眺めてどうしても応じ切れないなというときには、残念ながら思いとどまるような形にならざるを得ないのじゃないかと思いますが、ただ長い目で考えていきますと、農林省当局でお考えになっておられることの判断を加えて結論を出していきたいと思っておりますが、それについてはかなりの勇気が要ると思います。
 生産性を上げるための若干の経費投資は、私はやむを得ないものとして進めていくつもりでおります。
 以上でございます。
#52
○今村参考人 大変難しい御質問でございますけれども、最初の御質問と関連して申し上げますと、不参加農家がふえてきている、これは地域によって随分違いがあります。例えば、都市地帯、平地農村地帯、山村地帯、いろいろに違いがございます。それからまた、農家の営農に対する考え方、意欲あるいは価値感といったような問題、随分分化が進んできております。特に農業の後継者がいないような農家は、将来について、例えば将来二十年にわたって償還するというふうな事態をどう考えるかというところで選択を迫られているのが実情だろうと思います。こういう点、あるいは営農の形態によって所得水準の違いが出てきておりますので、以前のように水稲の収益性だけで判断するというふうになかなかいかない事態が出てきております。
 そういう意味で、一律に負担の限度はどの程度かということは理論的に考えても非常に測定しがたいことなんでございますけれども、一つの目安は、構造改善を進めていく、地域農業を活性化していくためにはどうしても農地の利用集積を進めていかなくてはならないという観点から、先ほど言ったような、例えば標準小作料を下回るような負担水準というのがどうしても必要ではなかろうか、これは農家の実感として多分そうだろうと思いまして、その辺が一つの目安になるのではないか、こう考えておる次第です。
#53
○竹内参考人 先ほども申し上げましたが、私は農家でございます。昭和二十八年以来土地改良区の役員に出まして、いろいろの立場で今日に至っておるわけでございますが、北海道の場合、何回も申し上げておりますように大規模経営と申しますか専業農家が非常に多いわけでございます。そういう意味におきまして、補助率が高いほどありがたい、これはもう実感でございます。
 ただ、負担の問題でございますが、土地改良事業によりますところのメリット、生産性の向上、これから勘案いたしまして、まだまだ土地改良法に基づく申請事業がこれからも行われる、私はこのように考えておるわけでございます。ただ問題は、面積が大きいために圃場整備等、特に泥炭地地帯、いわゆる戦後の開拓によりますところの土地、これらが立派な土地になったわけでございますが、単年度二百万、三百万という償還金を生ずる農家が、ほとんどそれに近いのが六割、七割という状況でございまして、でき得れば何とかもう少し期間の延長が願えないものか、このように考えておるところでございます。
#54
○黒木参考人 お答えいたします。
 農家の負担割合ということですが、同じ土地改良事業地区内で負担割合を変えるというのはなかなか問題があるのじゃなかろうか。農地面積の多い人、少ない人等についていろいろ土地の条件等が大分異なるということであればたやすいと思いますけれども、私の経験した範囲内では、反当たりの負担金を同じ土地改良事業地区内で変えるというのはなかなか難しいことではなかろうかと考えております。
#55
○神田委員 今村参考人にお尋ねしますが、このように土地改良に対しましても農家の人たちの立場というのはもう一歩積極性を持てないという現状があるわけであります。それは近年、今畜産物の政府価格の問題が論議をされている時期でありますが、そのように政策価格、米価を中心として、それらがもう五年も六年も据え置かれあるいは押しとどめられているという状況があると思うのでありますが、この辺のところの価格問題についてはどういうふうにお考えでありますか。
#56
○今村参考人 価格問題にすぐ入る前に、私は日本農業の今日の苦境という問題について少し総括的に見解を述べておきたいと思います。
 一言で申しますと、今日日本農業の苦悩は過剰と不足の併存構造になっているというところに根本原因があると思います。それは、第一に食糧の自給率の二重構造ということがこの数年間農業白書でも言われておりますけれども、この食糧自給率の二重構造というのは、御承知のように、一応八〇から一〇〇%くらいの自給率が高い農産物と非常に低い麦とか大豆、飼料穀物といったようなものに画然と分かれているという構造に端的にあらわれております。なお、ついでながら言いますと、この食糧自給率の二重構造という問題につきまして、たしか七年くらい前だったと思いますが私、学術雑誌に書いておりまして、最近やっと皆さんも認めてくれたように思いますが、こういう問題が十年来の基本的な傾向でございます。
 それで、農業の生産要素について見ますと、労働力についても土地についてもあるいは資本についても過剰と不足の併存構造が見られます。労働力について言えば、あるいは経営者という点について言えば、若い経営者、労働力は非常に不足している、それから高齢者がどんどんふえてきている、こういう意味で過剰と不足でございますし、農地についても、一方では三十万ヘクタールに達するような不作付地といったものが統計的にある反面、有効利用を促進するという利用権設定は十八万ヘクタール程度という状態である、つまり、必要な土地が少ない反面、耕作放棄がまた片方であるという事態があります。あるいは資本についても、個別農家の機械投資というのは過剰でございますが、片方で土地改良などの社会資本と言われるものはこれまた不足である、今日三分の一くらいしか土地改良は行われてないというふうな事態が今日の日本農業の苦悩の大きいもの、簡単に申し上げましたけれども、そういう問題を抱えているだろうと思います。
 同時にかつ、農産物の輸入圧力、つまり、経済摩擦を背景にしながら輸入圧力というものが強まってきております。こういう状態の中でなおかつ何とか世界に伍していけるような農業をということ、それから反面では需要がなかなか伸びないというふうな問題がいろいろな政策面にあらわれてきて、これをどうやって進めていくかということを、私も当然のことながら日夜考えておるのですけれども、これは一面では価格政策によって解決できる面と、一挙には進みませんけれども日本農業の構造を改革していく方向と、この二つの方法によってしかできないだろうと思います。特に、農業のあり方あるいは地域農業の活性化ということを本当に考えるならば、しっかりした経営者群をつくりながら改革していく以外に方法はないのではないか。
 多くの農業者もそういうふうな方向を考えておりますが、それをどういうふうに国が助成するか、あるいは国会の先生方もそういう方向をとられるという新しい政策の方向を打ち出していくことが今日必要ではないか、かように私は今のところ考えております。
#57
○神田委員 そこで、先ほど御質問申し上げました価格の問題についてどんなふうにお考えでありますか。
#58
○今村参考人 その価格の問題、例えば政策価格の問題につきまして、これは例えば米価一つとっても非常に今日難しい。先ほど最初にお答え申し上げましたように、農家の分化が進んでおります。やはり規模の大きい生産性の高い農家は、例えば今の米価を前提にしてもある程度はやっていける。だけれども、規模の小さい農家は、例えば土地純収益とってみれば赤字になるというふうな実態がございます。平均的な自作農を前提にした場合の価格政策と、今後どういうふうな方向性を持っていくか、そういう観点から考えた価格政策、これはおのずと考え方は違ってこざるを得ません、理論的に考えまして。
 それを具体的に、実際的に政策的にどうするかというのは、私政策実現の手段、力がございませんので何とも言えませんけれども、考え方としてはそういう方策を価格政策でも考えながら、かつ片方で非価格的な政策手段、例えば農地の流動化といったようなことをいかに組み合わせていくかということで日本農業の根本的な体質改善を図っていくということしかないのではないか、こういうふうに思っておる次第です。
#59
○神田委員 時間が来ましたので。
 ありがとうございました。
#60
○大石委員長 中林佳子君。
#61
○中林委員 参考人の皆様、本当に長い間御苦労さまでございます。
 最後の皆様方にお尋ねする者でございますけれども、まず初めに、松永参考人とそれから今村参考人にお伺いしたいと思うのです。
 私、婦人の立場から現在の農業問題を見ますと、農業を支えているのは婦人だと、実際もそうなっておりますし統計上もそうなっているわけなんですけれども、しかし、やはり婦人の方々が農業関係のいろいろな役員になるということは、大変おくれているというか実際なれないような状況になっているわけですね。土地改良区の問題につきましても、加入資格者は土地の所有者があるいは耕作権がある者に限られているわけですね。ところが、ほとんどが世帯主に当たる夫の名義になっているということで、妻はこの役員の選挙の対象者にはなり得ないというのが実態になっております。もちろん理論的には所有権だとか耕作権を移せばいいということにはなるわけですけれども、日本の歴史的な家族制度のもとではなかなかこれが改善できていないのが実態ですし、そう簡単にはいかないというふうに思います。
 しかし、土地改良区といえども、やはりその営農の中心になっている婦人の声が反映されなければならないというふうに思うわけです。いろいろ難しい問題はあると思いますけれども、もっと婦人が土地改良区の役員に進出できるような改善策、これを、現行法の改正要望もあわせてですけれども、何かお考えがあればお二人の方から御意見をお伺いしたいと思います。
#62
○松永参考人 今の制度の情勢下においては大変難しい問題だと思います。
 実は、もう少し厳しい面をちょっと御紹介しておきたいと思いますが、男性でも農林年金を受給します六十歳以上になりますと、改良区の役員から去っていかなければならないというような実態もあるわけでございます。しかし、これは暫定で、学識経験者以外の方々については、それぞれの土地改良区である程度認めてもらいながら、全体の合意を得て役員就任をお願いしているような経緯もあるわけであります。法的に言いますとそのことがどうなのかちょっとよくわかりませんけれども、全体の合意を得られればいいのじゃないかという感覚の中で進めておるようなことがまずあるわけでございます。
 特にお説のように、現在は三ちゃん農業というような形になってまいりまして、おじいちゃん、お母ちゃんというような農業になってまいりますので、おっしゃるとおりであると思います。ただしかし、その方法はということになりますと、法はそれを許しておりませんので、やはりその地域の代表で、女性でなければならない、あるいは女性でいいんじゃないかというような合意が得られれば、例えばきょうの私たちのような参考人的な立場でその会議にも参加していただいて御意見を聴取するということができるのじゃなかろうかと思っています。
 ただ、婦人の立場というのは、今お話がございましたように先天的にいろいろなお仕事があるわけでございます。したがいまして、そこまで今の状況の中で農家の奥様方に、何かちょっとわかりませんけれども、過重な負担をかけることがいいのかというような感じもないわけではございません。これは、これからの時代の中でいろいろ婦人の立場というような問題も論議されていくと思いますが、私どもはやはりその主体である所有者、耕作者――耕作者が御婦人であるという形でいければこれは最高に望ましいと思っております。答弁にならなかったかと思いますが、大変難しい問題もありますので。
 ただ、さらに繰り返しますと、全体の合意を得ながら私どもは意見を聴取していけば、あるいはまた述べてもらえば、役員に参加した方がいいのじゃないか、こんなふうに感じております。参考までに申し上げます。
#63
○今村参考人 結論的には松永参考人の意見と同じようなことになるのですが、若干この問題について私なりの考えを述べてみたいと思います。
 先ほど私、アメリカに一年ほど研究に行かしていただいた折に、いろいろ農場の相続あるいは譲渡、継承という問題について日米比較を若干なりとも研究してまいりました。
 アメリカの場合は、両親が息子あるいは娘に農場を売るんです。売ることによってその息子や娘が経営者になる。もし息子や娘が農業をやりたくないというのだったら、ほかのだれかに競売に付すというふうなことで、親はその売った金で余生を楽しむといいましょうか、自分の余生、ゴーイング・マイ・ウェー・オブ・ライフといってアメリカ人の好きな言葉なんですが、そういう生活を送ってまいります。
 今非常に簡単にモデル的に言っているのですが、それに対して日本の場合は、おおむね息子、それも長男に、あるいは娘の場合は養子をとるのでしょうけれども、おおむね長男に農地を無償で譲渡いたします。相続させます。そのことによって同時に息子の方は、長男は親の扶養義務が生じるというふうなのが日本の慣行として続いてきております。そういう意味で、アメリカと日本とでは農場の継承だとか譲渡、相続というふうなのが非常に慣行的に、慣習的に違ってきております。
 アメリカの場合には、そういう意味も含めまして女性の経営者というのが、今ちょっと統計を私持っておりませんけれども、かなりの数にわたるぐらいございます。それに対して日本では、やはり世帯主、これは男性がいろいろの所有権、息子たち、奥さんたちが持っていたとしても、それを統括して一種の家を代表する、農家を代表するという形で、例えば土地改良区の組合員、農協の組合員としての資格を持っているようなのが一般的でございます。もちろん農協の組合員になるについては、農協によっては、少ない例ですけれども御婦人の組合員あるいは息子の組合員などもいますけれども、おおむねそういう形態だろうと思います。
 そういう実態ということと、それから先ほど松永参考人から述べられましたように、法制度の枠ということを前提といたしまして、今日女性がなかなか土地改良区の役員その他になれない。それから、農協などについても、婦人部というようなところでは活動できるけれども、なかなか役員にもなれないというふうな実態があるのではないかと思います。これは、確かに御婦人、女性の方が農業のほとんど三分の二近くを支えているという実情から見ますと、それからまた、農業の実態を一番知っているのは逆に御婦人だと私も考えておりますが、そういう日本の農村の一種の慣行といいましょうか、ずっと続いてきたあれを打ち破るのはそうそう簡単ではないし、あるいはそれでもって、結果的には合理的に家庭内あるいは地域内で問題の処理を行ってきているということもまた事実でございます。
 そういう意味で、なかなか答えにくい御質問なんですけれども、先ほど松永参考人がお述べになりました考え方というか、私もそういう考え方を結論的にはとらざるを得ないというふうに今のところ思っております。
#64
○松永参考人 申し落としましたが、実は改良区で理事会あるいは総代会ということはそういう形になりますけれども、一たびこの問題をそれぞれの理事あるいは総代が持って帰りまして部落の集会べ行きますと、大体側婦人の方が半数近く御出席になっております。だから、その辺では、中にはすばらしい御意見を開陳していただく方々もあるわけでございます。私も大いに敬服している点があります。特に女性の立場から、食生活等を通じて農業はこうあるべきではないかというような話まで出てきまして、大変敬服していることもありますので、申し添えておきたいと思います。
 以上です。
#65
○中林委員 続いてで恐縮ですけれども、今村参考人にお伺いしたいと思います。
 土地改良事業といいましても、いろいろあるわけですね。かん排だとか農地造成、農道整備、圃場整備、埋め立て、干拓など、これだけの種類がある中で干拓の問題についてお聞きしたいわけですが、干拓事業は直轄、補助合わせてここ数年来各年度百億円程度になっておりますし、対象地区も直轄で七地区になっているわけです。
 この百億円組んであるうちの約半分近い額が私の地元であります中海干拓で実は占められております。この干拓計画は周辺住民や漁民が大変反対をしておりまして、営農の見通しについてもまだ立てられていないという状況なんです。湖だとか沼だとか、それを干拓するわけですから、貴重な自然も破壊されてまいりますし、造成費もほかの開発事業と比べて割高になっております。これは五十八年の試算ですけれども、この中海干拓で農水省が試算しますと、十アール当たり百六十万、こういうことになっているわけですね。
 私個人としては、今日時点で考えて、今後の計画としては、貴重な自然を壊してまでこういう干拓という手法をあえて行う必要があるのだろうかということを思うわけです。実は昨年会計検査院が指摘をしているのですが、未利用の造成地の利用をもっとやるべきだとか、それから全国に十二万ヘクタールという遊休農地がありますので、こういうものの活用をした方が経済効果としてもいいのじゃないかというふうに思うわけです。干拓に求められている農地のカバーはこういうことでできるんじゃないかというふうに思うのですけれども、今後の干拓の問題について御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
#66
○今村参考人 中海の干拓問題につきまして、実は私、日本農業経済学会の会員なんですけれども、昨年、日本農業経済学会が松江で開催されました。ちょうど一年前、四月の初めなんですけれども、その折にこの問題が議題になりまして、報告議題がございまして議論になりました。新聞社の方を初めマスコミその他いろいろな方が来て大変注目を浴びて、もちろん私が報告したわけじゃありませんが、大変議論になった点でございます。別にその折に、しっかりした対策、方策、具体策といったようなことまでは、もちろん学会ですから結論は出ませんでしたけれども、議論としては、非常に焦点を絞っていろいろ問題点が出たと思います。
 先ほど中林先生がおっしゃったような、片や自然あるいは景観、観光といったような問題、それから漁業の問題を主張される方、それから片や農地として非常に高い、農地造成費、取得費がかかりそうだというふうな議論を含めまして議論がございました。私もこの点非常に苦慮しているわけでございます。まあこれだけのことをやってきたわけですから、それぞれの問題の矛盾を最小限に食いとめる以外に、やはり、ちょっと妥協的なんですけれども、方法がないんじゃないかというふうに結論的には思っております。つまり、あれを全部やめてしまったらこれまた国富の非常な損失になりますし、片方では自然の保護あるいは景観の保護、漁業の保護といったような問題、それをどれだけ盛り込んでいくか、この辺に現実の解決策としては妥協点を、解決策を見出すしかないのではないか、こういうふうに今のところは思っております。
 ただ、私、現地を実態調査しておりませんので、報告者の皆さんの御意見を参考にして申しているわけで、私自身足で歩いて調査しておりませんので、もう少し強い意見がきょうここで述べられないのがちょっと残念でございます。
 いま一つは、後段の議論なんですけれども、耕作放棄地、不作付地などが確かに多いことは先ほど私が総括的に申し上げたとおりなんですけれども、残念ながら土地が動いていけないのです。土地と人との結合という中で農業というのはできるわけなんですけれども、土地と人がやはりどうしても――マクロでいいますと、土地が二十万ヘクタール余っている、つくられてない、やりたい人は百人いるといっても、それを結合する手段が地域的な広がりとしてなかなか求めにくい、こういう問題がございます。
 農業というのはやはり非常に地域性を持っております。どんなに耕作距離があったとしても、二十キロを超えれば実際的にはもう不可能に近いだろうと思います。そういう意味で、過剰と不足が地域的に偏在しているということを、先ほど急いたものですから今補足いたしますけれども、地域的にいろいろの農業資源の過剰と不足が偏在している、こういう問題をどう解決するかというのは、やはりそれぞれの地域ごとにやっていかざるを得ない、ここが農業の一番難しいところであろうというふうに考えております。そういう意味で、それぞれの地域ごとに、ある一定のまとまりのある地域ごとに、最も効率的な農業、それから資源を生かした農業をどういうふうにやるかというのをやっていかざるを得ない、これがほかの産業とは非常に違うところだと思っております。
 そういうために私もできるだけない知恵を絞っていきたいのですが、先生方、皆さんもぜひともそういう具体的な方策について、それぞれの地域ごとに問題を発見し、解決していく方策を提起していただければありがたい、こういうふうに存じております。
#67
○中林委員 最後の質問になろうかと思いますけれども、松永参考人にもう一回お尋ねしたいと思います。あとお二人の方には、御意見を聞きたかったのですけれども、時間の関係でお聞きできないことをお断りしておきます。
 松永参考人にお尋ねしたいと思うのですけれども、私の地元の島根県では、実は、この中海干拓は別にしまして、あと三カ所国営の農地開発事業を行っているわけです。実際にもう既に入植していらっしゃる方もあったりして、私もそこに行っていろいろお話を聞きますと、せっかく造成した農地が農民にとって価格が高くて手が出ないというようなことであっては本当に困る。先ほどから農家負担の話はたびたび出ているわけですけれども、県当局も、農家負担の軽減のために、従来の特会事業の農地開発事業では財投金利であるものを三・五%金利に引き下げろ、支払い期間も三年据え置き十五年返済から八年据え置き二十五年返済に延ばすよう国へ要望してきているわけなんですね。私は、この県の要望というのは最低の要望ではないかと思います。
 農家の方々は実際はこういうふうにおっしゃるわけですね。国営という以上は、営農が軌道に乗るまでの間はせめて利息分だけでも国で負担するという方法がとれないか。特に従来の特会事業ではこうした要求は切実で、本当に土地改良事業を効率よく円滑に進めようとするならば、やはり国としてもこれくらいの措置をとらなければならない時期にもはや来ているのではないか。今回の法改正というのは遅きに失した感がある、待ってましたとはおっしゃいましたけれども、事業量としてはそんなにふえない、期間も一年とかほんのわずかしか短縮できないということで、私どもとしてもその意義は認めますけれども、農家の人たちの切実な願いと比べるとまだはるかに遠いのではないかと思いますので、国に対してこのくらいはということを、今までもおっしゃってはおりますけれども、再度強く御要望されることがありましたもお聞きしたいと思います。
#68
○松永参考人 確かにそのとおりであろうと私も思います。今、三・五%の二十五年の償還の中で効果が上がるまで据え置きをというようなお話、まさにそのとおりだと思います。実は、土地改良全体につきまして固定相場制という形でございますので、何とも言えませんが、例えば六・五%が大体今の金利なんですな。今この状態の中で六・五%一律に課せられているという問題についても、正直なことを言って私どもはいささか文句が言いたいわけでございます。だけれども、これはことしから〇・一%下がったんですね。六・四%になったわけです。先般も全土連の会議の中で何とかならぬかなというような話をしたわけでございますが、今申し上げましたように、やはり限界というものがあるのじゃなかろうかと思っています。
 それで、これはやはり事業量をふやしていく、いわゆる十年計画の三十二兆八千億円ですか、そういう十カ年計画で事業を進めていく過程の中で、ある程度、国の中でいろいろな感覚があるのじゃないかなというふうに私は想像いたすわけなんです。本当に農家としては、特に入植時の農家としては、私も補助干拓というのをやっておりますが、大変苦しい状態であることは論をまちません。何としても頑張り通さなければならないということで頑張っていますが、国におかれましても、特にこの経済情勢の中でもしそういうことで少しでも御理解いただけるならば、大いにひとつ皆さんにお願いして、強力な御推進方をお願いいたしたいと思っております。
 答弁にならなかったかもわかりませんが、私の意見を申し上げました。終わります。
#69
○中林委員 時限が参りましたので、終わります。
 参考人の皆さん、どうもありがとうございました。
#70
○大石委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人各位に一言お礼を申し上げます。
 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚くお礼を申し上げます。
     ――――◇―――――
#71
○大石委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産業の振興に関する件、特に、農業協同組合合併問題について調査のため、来る三月二十日木曜日午前十時、全国農業協同組合中央会常務理事桜井誠君、宮城県伊具郡丸森町農業協同組合組合長理事高野正道君、長野県下伊那郡喬木村農業協同組合組合長理事福澤益人君に参考人として出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶぶ者あり〕
#72
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト