くにさくロゴ
1985/05/15 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 農林水産委員会 第18号
姉妹サイト
 
1985/05/15 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 農林水産委員会 第18号

#1
第104回国会 農林水産委員会 第18号
昭和六十一年五月十五日(木曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 大石 千八君
   理事 衛藤征士郎君 理事 近藤 元次君
   理事 島村 宜伸君 理事 玉沢徳一郎君
   理事 串原 義直君 理事 田中 恒利君
   理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君
      伊吹 文明君    上草 義輝君
      鍵田忠三郎君    片岡 清一君
      金子原二郎君    菊池福治郎君
      佐藤  隆君    鈴木 宗男君
      田邉 國男君    谷垣 禎一君
      月原 茂晧君    林  大幹君
      藤本 孝雄君    堀之内久男君
      松田 九郎君    上西 和郎君
      城地 豊司君    竹内  猛君
      日野 市朗君    細谷 昭雄君
      松前  仰君    山中 末治君
      岡本 富夫君    菅原喜重郎君
      津川 武一君    中林 佳子君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  羽田  孜君
 出席政府委員
        農林水産省経済
        局長      後藤 康夫君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    関谷 俊作君
        農林水産技術会
        議事務局長   櫛渕 欽也君
        食糧庁長官   石川  弘君
 委員外の出席者
        参議院農林水産
        委員長     成相 善十君
        厚生省薬務局安
        全課長     渡辺  徹君
        農林水産委員会
        調査室長    羽多  實君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十五日
 辞任        補欠選任
  太田 誠一君    谷垣 禎一君
  野呂田芳成君    金子原二郎君
  山岡 謙蔵君    伊吹 文明君
  島田 琢郎君    山中 末治君
  新村 源雄君    松前  仰君
  辻  一彦君    城地 豊司君
  駒谷  明君    岡本 富夫君
同日
 辞任        補欠選任
  伊吹 文明君    山岡 謙蔵君
  金子原二郎君    野呂田芳成君
  谷垣 禎一君    太田 誠一君
  城地 豊司君    辻  一彦君
  松前  仰君    新村 源雄君
  山中 末治君    島田 琢郎君
  岡本 富夫君    駒谷  明君
    ―――――――――――――
五月十四日
 農用地開発公団の存続に関する請願(井出一太
 郎君紹介)(第五〇五八号)
 同(田中秀征君紹介)(第五〇五九号)
 同(中島衛君紹介)(第五〇六〇号)
 同(宮下創平君紹介)(第五〇六一号)
 同(若林正俊君紹介)(第五〇六二号)
 森林・林業の活性化に関する請願(井出一太郎
 君紹介)(第五〇六三号)
 同(田中秀征君紹介)(第五〇六四号)
 同(中島衛君紹介)(第五〇六五号)
 同(宮下創平君紹介)(第五〇六六号)
 同(若林正俊君紹介)(第五〇六七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第五〇号)(参議院送付)
 外国人漁業の規制に関する法律の一部を改正す
 る法律案(参議院提出、参法第八号)
     ――――◇―――――
#2
○大石委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細谷昭雄君。
#3
○細谷(昭)委員 質問に入ります前に、せんだって終わりました東京サミット問題について農林水産大臣にお尋ねしたいと思うのですが、サミットの東京経済宣言、この採択が日本農業に及ぼす影響、そしてその対策等について若干お考えをお聞きしたい、こういうように思います。
 東京サミットの経済宣言の採択といいますのは、日本農業への外圧というのが一層強くなるのじゃないかというように私どもは大変心配しておるわけでありますが、例えば、十二品目の開放を初め、とりわけアメリカの中間選挙との絡みもございまして、全国の農民団体、生産者農民にはかなり危機感が漂っておるわけであります。恐らく大臣に対してもたくさんの陳情その他あろうかと思うのですが、私のところにも、電報それからはがき、そういうふうな危機感に支えられたところの陳情がたくさん届いておるわけであります。これに対して、中曽根内閣の閣僚としまして、日本農業、農民の立場に立って、内閣の方針であります開放政策、これにどう立ち向かうかという大臣の基本的な姿勢について、お考えについてお聞かせ願いたいと思うわけです。
#4
○羽田国務大臣 ただいま御指摘のございましたサミットの経済宣言でございますけれども、これの中に農業のコミュニケ、これが盛られたということでございまして、この点が各地方の農業者や関係の皆様方にも御心配を与えているというふうに思っております。
 この背景は、国際的な農産物の過剰、輸出競争の激化、農産物価格の低迷、こういったものがございまして、当面の問題の焦点は輸出補助のあり方にあるというふうに理解をいたしております。これはただアメリカというだけでなくて、補助金というものを負担し過ぎるために大変財政が厳しくなっているというような国も中にはあったようでございまして、いずれにしましても、補助金によって助長する、それによって生産が過剰になってしまっておる、そこに価格の低迷、いろいろなものを招いておるという問題があったようであります。このような背景から見まして、今回の経済宣言に盛られました内容というのは、第一義的には、補助金によって国内の非効率な生産を増大して、そして、余剰分を輸出することによって世界的な過剰を生み出すような輸出国の問題であるというふうに私どもは考えております。
 しかしながら、輸入国でございます我が国としても、農業構造の改善ですとか市場アクセスの改善などとも関連する問題とも受け取らなければならないであろうというふうに思います。生産性向上を通じて、我が国農業の体質強化、これを図っていくことがまず第一に重要なことであろうというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、今回の宣言では、OECDで今議論をいたしておりますが、この作業を通じて検討を進めておるということになっておりますので、我が国といたしましても、やはりこの検討に積極的に参加しながら、我が国の農業の実情というものを十分反映できるように対応していく、これが大事なことであろうというふうに私たちは考えまして、これからOECDの議論の中でも、積極的に日本の実情というものをきちんと訴えていく必要があろうかというふうに考えております。
#5
○細谷(昭)委員 それで大臣、内閣自体としてはかなり窮地に追い込まれるというふうに考えられるわけです。つまり、この経済宣言によりまして、そういうコミュニケの中にあります、日本の農業といいますか外国の農畜産物についての輸入制限、この輸入制限についてのいろいろな問題がございますね。したがって、どうしてもそういう外圧の中で内閣としては受け入れざるを得ないというふうな状況を招来するんじゃないか、そんなふうに我々は危惧しているわけなんですよ。
 今言いましたように、OECDならOECDという場で日本の実情をうんと話をする、話をするのはいいのですよ。話をするのはいいのですが、これは国際的な環境の中で、例えば中間選挙が迫っておる、そういう中間選挙が迫っておって、はっきり言いますと、アメリカも中間選挙の対策として、すべてこういう責任というのは、例えばECなり日本なりこういったところにあるんだという、まあ球を投げたわけでしょう。それに対してこのサミットでは、ECの方がさらに反撃しまして球を打ち返してくる。結局は、日本自体がもう窮地に追い込まれておるというのが現状じゃないかと思うのですよ。そういう中で、内閣そのものが非常に窮地に追い込まれてしまう。
 そういう中で農林水産大臣としては、閣内でどういうふうな態度で、日本農業がこれをはね返していくのかということなんですよ。
#6
○羽田国務大臣 今、御質問が、今度の経済宣言という中でのコミュニケですか、このコミュニケについて農業が入ったということで私は今そういうふうに申し上げたのですけれども、ただ、今、アメリカとの例の十二品目の問題もございますし、そのほかの国からもいろいろな日本に対する市場開放要求というのが出ております。そういうことで、私どもとしては、その都度現実的な対応をしましょうという話を実は各国に対してしておる、特にアメリカに対して合しておるところなんです。
 ただ、全体的な問題としては、結局OECDで話し、そして今ニューラウンドでも議論が進められようとしております。そのときに、やはり農産物の貿易というのは一体その国に対してどんな影響を与えるのかということ、そういうことを徹底して話していく必要があろうというふうに思います。そして、アメリカはアメリカなりきに、やはりみずからも国境保護措置というのをやっておりますし、ECはECで国境保護措置というのをやっておるわけでございますから、そういうものをお互いにぶつけ合いながら、一つの農産物貿易というものについてのルールづくりというものをその中でしていく。そのときに、やはり日本のような立場というものをきちんと訴えていくということが必要であろうというふうに考えております。
 ですから私どもとしては、いずれにいたしましても、基本的には、食糧というのはやはりその国が余剰のものが出たときに初めて売るということです。ですから、今度のチェルノブイルですか、あの発電所のああいう爆発、私たちはいろいろなことを予測しながら食糧安全保障ということを言っておったのですけれども、まさかああいったものが爆発するところまでは考えていなかったけれども、しかし、ああいったものが爆発したことによって、ソ連一国だけじゃなくて東欧の農産物からも相当高いものが検出されるということで、これを輸出するのをやめましょうということをECあたりは言い出してきておる、あるいはそのほかの国も言ってきておるということが現状であるわけですが、食糧というのはそういうお天気だけが相手じゃなくていろいろなものを相手にして考えなければいかぬことですから、そういうことをよく説明すれば先方にも理解を求めることができるであろうと私は考えております。
#7
○細谷(昭)委員 私はやはり全国農民の大変な心配というのがたまっていると思うのです。ぜひ、今言ったような立場ももちろんですし、内閣としましても、農相が十分その点での農業に対する理解を内閣自体として深めていく、そして内閣全体として日本農業を守っていくという立場でひとつ押し返していただきたいと強く要望したいと思うのです。
 これに絡みまして来年度以降のポスト第三期転作、これについて非常に心配を持っておるというのが実情でございます。したがって、この来年度以降の、農業関係者ばかりでなくて目覚めた消費者の皆さん方も、一体どうなっていくのかと、農政の行方に対して極めて大きな関心を寄せておるのが現状でございます。したがいまして、政府は来年度以降の、つまり第三期転作以降の基本的な考え方、農政の方向をどう考えておられるのか、今の時点で結構ですのでお示し願いたいと思うのです。
#8
○羽田国務大臣 米につきましては、現在でもまだ大幅に供給の方が上回っておるのが現状でございまして、この需給ギャップというものは、いろいろな措置をしてきましたけれども、残念ですがいまだにまだ拡大する方向にあるというのが現状でございます。こういったものに長期的な視点に立って我々としては対応しなければいけないわけでございまして、その中で、麦ですとか大豆ですとか飼料作物、こういったものに戦略的にやはり転作を進めていかなければいけないし、それと同時にその定着化を図っていかなければいけないということで、今日まで水田利用再編対策、ちょうど十年目に今入っておるわけでございます。
 ただ、ずっとこうやって見てみますと、果樹ですとか野菜ですとか、そのほかの幾つかのものについて定着しておるものがあるし、また、地域によっては麦ですとか大豆が大変定着しているものがありますけれども、まだ不安定であるという要素もございます。そういうことで、この十年間やっております現状というものをもう一度レビューして、そしてこれからの中でどう対応するのかということを今実は検討を進めておるところであります。その中で、特にその対策のあり方としましては、米の需給の均衡というものを着実に実現するように、例えば米の消費の拡大なんというものをまたこれからもやっていかなければならないと思います。そしてそれと同時に、水田の農業のあり方をそういうものを背景にしながら今後どのように進めていくのかということも考えていかなければいけないというふうにも思っております。
 いずれにしましても、こういった問題について、ちょうど秋口、秋のできるだけ早い時期にあれしなければいかぬと思っておりますけれども、秋に向かって結論を出すように農政審議会で今御議論をいただいておるところでございます。
 いずれにしましても、米の問題というのは我が国の農業の基本にかかわる問題でございますから、私どもとしてもやはり慎重に検討すると同時に、生産者あるいは農業団体といった方々にも本当に理解していただいてこれと取り組んでいただかないと、日本の農政、農業そのものの基本が狂ってしまうと考えております。そういう意味で、私どもはいろいろな角度から検討を続け、そしてまた皆さん方のいろいろな意見も聞きながら、また理解を深めながら、水田利用再編対策をさらに進めていかなければいけないのじゃないかなということを、私、個人的に感ずるところであります。
#9
○細谷(昭)委員 聞くところによりますと、水面下で、農政審議会の議論の中でそうなっておるのか、それとも農水省部内の検討なのかわかりませんけれども、来年度以降はさらに十万ヘクタールいわゆる減反を広げていくというふうな意向だと伝えられておるわけであります。
 それでなお、十万ヘクタールにふやした場合に、その作付する作目については極めて難しいという考え方から、食管法そのものについても手直しをしていく、見直しをしていくというふうな動きさえあると聞いておるのですが、その点は当局の現在の考え方はいかがでしょうか。
#10
○関谷政府委員 私の方から今の目標面積問題について先にお答え申し上げますが、御承知のように、現在の目標面積は六十万ヘクタールで実施しているわけでございます。それは単年度需給という面からではなくて、それに数量で四十五万トン毎年在庫造成をしていく、面積にすると十万ヘクタール分、それだけ余計米をつくっておるということになるわけですが、これからの需給の関係でその在庫造成がどうなるかということになりますと、非常に厳しい場合には十万ヘクタール分が上乗せになる可能性が非常に強いということで、今お尋ねのように、まだそういう意向を固めたとかそういう方向で決定的な検討をしているということではございません。ただ、我々転作担当部局としては、そういうことまで含めて相当厳しい水田利用再編成というか需給均衡化対策をやらなければいかぬ、そういう気持ちで臨まなければいかぬ、こういうふうに思っております。
 ただ、全体の目標面積をどういうふうに転作作物に向けていくか、これについては、従来の傾向から見ますと、やはり麦、大豆、飼料作物、この辺のところが面積的には相当主体を占めると思いますが、この第三期までの実施状況も見ながら、どういうものに向けて転作を誘導していくかということについては、先ほど大臣の御答弁にありましたように、これから秋に向けまして各方面の意見も聞きながら十分検討していきたいと思っております。
#11
○細谷(昭)委員 委員長に要望申し上げたいと思うのですが、我が党としましては、今御答弁のように政府部内としましては農政審議会等におきまして十分意見を聞いた上で秋口あたりまでには結論を出したい、そういうお話でございますが、我我は一方、国権の最高機関であります国会におきましては、単に政府から出された問題について協議するというばかりではなくて、今大臣からお話がありましたとおり、極めて重要な食糧問題でございます、日本の農業をどうするのか、日本の食糧をどうするのかという基本問題でありますので、農政審議会の結論を政府が待つという状況の中で、積極的に我が委員会としましても、第三期以降の農政をどうするのか、いろいろな問題がございますけれども、その点に絞りましてぜひひとつ集中審議その他、集中的に国会の議論というものを起こしていただきたい、こんなことを我が党としてはお願いしておるわけであります。
 理事会におきまして委員長のもとで十分に検討していただきますことを要望したいと思います。
#12
○大石委員長 わかりました。
#13
○細谷(昭)委員 本法の審議に移りたいと思うのですが、今回の種子、種苗法の改正は、いろいろな点にいろいろな背景があろうかと思うのです。例えば、政府で説明しておりますのは、ハイテク研究による新品種の開発がある、そしてまた行革審の勧告があったというふうに言われておるわけでありますけれども、私は、この改正案の背景というものはもっと根深いところにあるのではないか、こんなふうに考えておるわけであります。
 例えば、経済同友会の農産物問題のプロジェクトが昨年の九月二十一日に提言をしておるわけであります。この提言によりますと、種子を握るものは食糧を制するというのが欧米の一般的な認識であるということからいいますと、種苗革命とそのための国際連帯が欧米の一般的な潮流である、それに対しまして日本は、これまで極めて鈍感であったというふうな指摘をしておるわけであります。そしてその理由をずっと八項目挙げております。
 さらには、ことしの二月二十五日に「バイオテクノロジーに関する研究開発の環境整備について」という中間報告の形で、日本化学工業協会技術委員長の吉田さんという方が大変に膨大ないろいろな提言をしておるわけであります。近年のバイオテクノロジー研究の進展、特に最近に至り実用化が近づいているので、私企業の活力をどう生かすかが重要な課題になっているとしながら、この前我が委員会で審議をいたしました生物系特定産業技術研究推進機構、この設立に期待を寄せ、しかしながらという形で、私企業の研究開発を促進するためには、その前提として研究開発環境の整備が必要である、そして、経団連が各省の大臣に対し法令の規制の見直し等について要望したというふうに指摘しているわけです。
 この規制の見直しということになりますといろいろあるのですが、中身を見ますと、今回のいわば種子、種苗法の改正について具体的に提言しているわけです。これはずっといろいろありまして、規制が結果として阻害要因となっている、その主なものを挙げるとということになりまして、十一挙げておるのです。その第一が主要農作物種子法、今審議しておるものですね。二番目が農作物検査法、三番目が食糧管理法、四番目が植物防疫法、そして五番目がやはり審議されております種苗法なんです。六番目が食品衛生法、以下続いておるわけでありますが、このように、今まで農業や食糧と余り関係のなかった日本化学工業協会が具体的に主要農作物種子法並びに種苗法のいわば規制見直しを提言しておる、こういう背景があるわけです。
 ですから私は、こういった単なるバイオテクノロジーの研究が進んだとか、それから今言いましたように行革審の勧告があったからというばかりではなくて、その背景には財界の非常に強い要望があったというふうに解釈さぜるを得ないのですが、この点についていかがですか。
#14
○関谷政府委員 今先生お尋ねのような経過があることは事実でございます。全体として見ますと、財界なり、特に化学工業協会とかそういう関係の企業の方たちは、ある意味では主要農作物のような非常に基本的な農作物について、種子開発、品種開発にかなり積極的に参加したい、こういうような意欲を前々から持っておりまして、私どももそういう状況は承知しておったわけですが、それが、全体として見ますと、行革審の場合にこれを規制緩和という観点から取り上げているわけでございます。
 それはどういうふうなことかと申しますと、現在の主要農作物種子法が、結果的に法律制度の上で専ら国と県の育成した品種をその系統で生産に結びつけるということになっておりまして、制度上全く民間の種子生産の道がないという制度がどうか、こういう観点から取り上げられたわけでございます。
 そういうふうに見ますと、民間も含めた品種開発なり研究、種子生産という面から見ますと、やはりそこにある一つのエネルギーというものを活用する、一方、制度として見ると、制度上一種の独占状態に置かれている、こういうふうなことでございまして、全体を考えると、国や県は従来どおり主要農作物については品種の育成なり種子生産なりを主導的にリードしていくわけでございまして、民間の道を開くこと自身についてそう拒否的になることはないのじゃないか、これも道を開けばある時期にはそれなりの一つの日本農業にとっていい意味での成果も出てくるのじゃないか、こういう期待も持てるのではないかという観点から今度の改正をした次第でございます。
 なお一つつけ加えますと、この二月に出ました日本化学工業協会の意見は、結果的には私の方が法案をかなり固めた段階で出てまいりまして、内容を見ますと、法案に盛り込まれたいわば道を開くという面では評価をしておるようでございますけれども、反面、この法案では簡単に言えば物足りないというか、国や県のいわゆる主導的役割と私ども称しております奨励品種の決定でありますとか、それから種子生産の面でのチェックとか、いろいろな面がまだ依然としてかなりきついのではないかというような面での、民間の立場でのまだ十分じゃないというような感じも表明されておりますので、そういう意味では、私ども全体として国や県のいわばリードする役割を持ちながらそこに民間も入れる余地を開いた、そこでとのぐらいどういうものが出てくるかというのは今後の問題であるという意味で、私どもとしましてはいわゆる財界的な意味での意見に単純に追随したということではないというふうに考えておる次第でございます。
#15
○細谷(昭)委員 当然そうあってほしいと思うのですが、同友会で言っておりますように、これは極めて明確な意図を持っておるというふうに私は思っておるのです。それは、今の主要農作物といいますと、米麦ばかりでありません。それから種苗になりますと、いろいろな野菜その他たくさん入ってくるわけであります。果樹その他入ってくるのですが、私は財界が目指しておるのは米麦の分野だと思うのです。米麦分野に対する参入。今までは種子とか、種苗の中では野菜とか果樹、そういう部門にはむしろ民間の方が非常にたくさん入ってきているわけですね。それはシェアとしても大勢には余り影響がない。しかし問題は、ここで同友会が、後から触れますけれども、価格の問題でも言っておるのですが、何としても参入したいというのは、一番利潤の追求できる米麦の分野なんですよ。私はそういうように考えるのです。
 したがって、そういう意図がありありという中で、これは農林水産省の姿勢が問われるというふうに思うのです。この今回の改正の背景にはそういう根深いもの、財界の利潤追求というのがついに米麦にまで及んでいるというふうにとらざるを得ない、私はそう思うのです。そういう点で、今局長がお話しのとおり本当に毅然たる姿勢で臨まなければいけない、こういうように思うのですが、その決意のほどをお聞きしたいと思うのです。
#16
○関谷政府委員 先ほども申し上げましたように稲、麦、大豆のような基幹的な作物、これは農業生産の面でも基幹的ですし食糧消費という面でも非常に主体になるものでございますので、その良質かつ安定的な生産を確保するという意味で、その種子生産というのは非常に大事でございます。
    〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
 そういう意味で、私ども、いわゆる先生のお尋ねのような意味での財界的な利潤追求的な視点から専ら種子生産が行われる、つまり国や県が完全に品種改良や種子生産から手を引いてしまって、専らそうなるということは大変危険なことだ、やはり従来どおり国や県が中心になって育種をし、それを種子生産に結びつけていく、こういう基本は後退してはならないというふうに考えております。そういう範囲の中で、民間の方で全体の制度の枠の中で自分もこういうものをやってみたい、こういうことがあったら、それは全体の枠の中で一つの位置づけとして認めていく、こういう基本的な考え方に立ちまして今回の改正を仕組んだわけでございます。
 そういう意味で、国や県の稲、麦等の育種の関係の研究体制、それから原原種生産を県がやはり中心となってやる、それから奨励品種決定調査は県が行う、こういう基本は完全に置いておく、それから種子生産の面では、圃場の指定なり生産物審査、圃場審査、こういう審査面も全部従来どおりやっていくという、国や県の役割をしっかり置いたままで民間の出てくる道を開く、こういう考え方に立っている次第でございまして、そういう意味では、利潤追求的、あるいは稲、麦に大変関心を持っている民間企業関係に全くゆだねるというようなことは大変危険なことであるというふうに考えております。
#17
○細谷(昭)委員 再確認したいと思うのですが、主要農作物種子法の沿革から見まして、これは戦時中に国民食糧の増産、その確保という奨励法的な意味合いというものが非常に大きかったと思うのです。そのために、種子については国家管理、これは全責任を持って国家が種子管理をしていく、そういう方向で今まで来たのではないか、こんなふうに思うのですが、その基本的な考え方は変わらない、それにいわゆる民間のある程度の参入を認めていくのだけれども、今までのそういう国家がきちっと管理していくという点での基本的な姿勢というものは変わりませんね。
#18
○関谷政府委員 国家の管理という言葉が当たるかどうかわかりませんけれども、まず種子生産のもとになる育種は、従来どおりやはり国と県が主導的であり、役割を果たさなければなりません。御承知のように、この面で国や県の持っておる蓄積、人員、施設、これは非常に立派なものでございますし、やはり食糧の安定的供給という面から見れば、この面は従来どおりやっていく、この辺の後退があってはならないと思います。
 それから、法律の問題としましては、現在の制度が国や県の育成した品種を生産に結びつけるという前提だけでできておりますので、これが先ほども申し上げた制度的独占になっているというのは、いかにも何か制度としては少し行き過ぎであるというか、逆に民間の道を全く閉ざしているというのは、制度として見た場合には多少議論の余地があるのじゃないか、疑問があるのじゃないかということで、行革審答申にこたえまして今御提案しているような民間参入の道を開く、それもあくまで制度の枠の中で開くということでございますので、国家管理という言葉がそのまま当たるというわけではございませんけれども、基本的な考え方については先生のお尋ねのとおりであるというふうに考えております。
#19
○細谷(昭)委員 これはあいまいにできない問題を含んでいると私は思うのです。種子を制するものは食糧を制する、これは当然だと思うのですよ。したがって、一企業によって専有されるような事態があるとすればこれは大変な問題だというふうに考えるのは当然でありまして、私は、そういう意味でやはりあくまでも国が主導的な立場で種子というものは管理をしていくべきじゃないか、こんなふうに考えておるわけでありまして、その点についての決意を促しておるわけなんですよ。そういうことは政府としてもひとつ十分とめ置いていただきたい、こんなふうに思うのです。
 次に、今回の民間参入によりまして、いわゆる日本の農業や実際の農業者、それから消費者にとって、果たしてこれは本当にプラスになるのかどうか、この点を問い直していかなければならないと思っておるのです。と申しますのは、さっき言いました日本化学工業協会の中間報告でも具体的に指摘しておりますが、日本の種子は安過ぎるというのです。民間の研究開発を賄えるような、私企業が利潤を得ることの可能な種予価格にせよというふうに明確に要求しております。したがって、彼らのねらいというものはあくまで米麦にあると私は思うのです。
 こういうふうな点で私は、やはり大変な問題を含んでおる、単純に、民間の参入によって農薬、農業者、そして一般消費者国民に本当にプラスになるとは思えない、むしろ危惧する面が非常に大きいと言わざるを得ない、こんなふうに思っておるのですが、いかがですか。
#20
○関谷政府委員 民間が参入してそれが種子生産に入ってきた状態を考えてみますと、これがプラスという面では私は二つの問題があるというふうに考えております。
 一つは質の面でして、これは国や県の育種及びそれにつながる現在の種子生産体制の中で優良な品質の種子は十分に供給し得る能力を持っておりますので、質的な面ではそれが基幹になり、同時に、民間については奨励品種とか原原種及び原種、さらに採種段階での県のチェックというものが十分に行われますので、質的な確保の面は問題がないし、ある意味では民間が自分の努力によっていいものを出してくるという余地を全く否定するわけにはまいりません。現実にも、ビール麦については御承知のようにビール会社の開発育成した品種がかなりつくられておるわけでございます。そういう実態から見ても、これは大分時間はかかると思いますけれども、稲等についても何らかの意味の成果が出てこないというふうにも言えないのではないかと思っております。
 次に価格の問題ですが、これは今先生のお尋ねのように、財界方面では、民間で種をつくりました場合に、品種育成の研究開発面も含めた投資回収あるいはコストの回収を価格でやりたい、こういうことになりますので、どうしても現在の種子生産の体制よりは価格が高くなる、こういうことになろうと思うのです。そういう意味で、価格の引き上げというようなことをいろいろな機会に意見として言っておることは私どもも承知しております。
 この点は、本当に民間の種子生産が出てまいりました場合の問題として考えますと、やはり従来からやっております国や県の育成した品種を主として生産者団体の段階でつくるという場合の価格は、これは従来どおりの考え方で決めるわけですから、これを民間にいわばさや寄せして引き上げるというようなことはおよそ考えられないわけでございますから、これは従来どおりの供給でまいりますとすると、おのずから民間がそこへ出てまいりますと、民間の種というものは傾向としてはどうしても高くなるのだろう。
 しかし、高くなるけれども本当に質がよければ売れるだろう、こういうことで、そこはやはり競争という感じで運営されますので、あながち民間の方に引き寄せられて価格が上がるということも予想されませんし、いわんや、私どもがこの法律改正を機会に種の価格を上げるような指導をするということは全く考えておりませんので、そういう意味では御懸念のような点はない、ある意味ではいいものが出てこないとも言えない、こういう意味での期待があるというふうに考えております。
#21
○細谷(昭)委員 これは極めて微妙な問題を含んでおると私は思うのですよ。今民間が参入をした場合、私は、一般に、さっき言いましたようにやはり米麦、例えば麦はビール麦をやっておりますけれども、米の部門だと思うのですよ。しかも、その米の部門でも、百年の伝統を持っておるいわゆる国や県の研究機関、その一般的な品種改良部門というものへの参入はしないと思うんですよ、そんなものは絶対間に合いませんから。
 そこで、考えられるのは、例えば住友化学工業が米国のローム・アンド・ハース社と共同研究を行っておりますハイブリッドライス、これに代表される全く違う手法による米の新品種。例えばバイオテクノロジーの手法とか化学処理とか、こういう従来の日本の一般的な品種改良の手法とは全く違う方法で開発してくる。そこに参入するというのがねらいで、もう焦点をきちっとそこに当てていると思うんですよ。利潤を上げるとすればそれしかない。ですから、ねらわれておるのは今言ったような米、ハイブリッドライスに代表されるようなそういう手法による品種改良、その種子だ、私はそう思うのですが、政府としても今こういう法律改正をしていろいろな点を予想していると思うのです。局長、そういう予想はしておりませんか。
#22
○関谷政府委員 まず第一に、民間が主要農作物の分野でどこに一番関心があるだろうかという一つの想定でございますが、確かに先生お尋ねのように、やはりそれだけ市場も広いわけでございますので、稲という部門に一番関心を持っているのは事実だろうと私は思います。
 ただ、どういうふうにその分野で出てくるかということについては、一つの予想でございますけれども、これは技術会議の方が御専門でございますけれども、品種改良の面で、あながちハイブリッドライスあるいはバイオテクノロジー的なものだけではなくて、いわゆる従来の交配法による育種の面でもかなり実績を上げたいという気持ちもないわけではないと思います。
 それから、ハイブリッドライスに限らず、果たして稲の面で新しい手法を用いたものがいつごろにどんなふうに出てくるか、こういう点については、今非常に予測が難しいと思いますし、一方国の方では、農業生物資源研究所の設置等によりましてこういう新しいバイオテクノロジー等の技術を使った品種改良についても積極的に取り組んでおるわけでございますので、この辺、民間の方がそこで非常にリードをして、何かそういうハイブリッドライス等のもので相当実績を上げるということはなかなか予想しにくいと私は思っております。
 ただ、一般的には、種なり品種というものは、はっきり言いますとどうしても一つの実力の問題になるわけでございますので、本当にいいものがどこから出てくるかという問題として考えますと、やはりこれは国や県の方も、従来の大変な蓄積をもって大いに頑張らなければいけない、こういうふうに考えております。
#23
○細谷(昭)委員 それでは局長、今回種子法によりまして種子生産分野に対するいわば参入を許したわけですが、その場合の原種、原原種ないしは種子、こういう生産分野における種子協会とのシェアをどういうふうな程度まで考えておるのか、その参入の範囲。これはもうこの前、いろいろな面で種子協会の中心をなしております農業団体の皆さん方からも危惧が出されたわけでありますけれども、民間の参入について、今まで片っ方は種子協会、そこでは農業団体を中心としていわゆる都道府県との連携のもとにやっておった。それに新たに入ってくる。できればその種子協会に入って一緒にやってもらいたいという要望であるのだけれども、これは必ずしも入らなくてもいい。そういう場合に当然問題が出てくるわけですが、一応政府としてはどの程度のシェアまでは許すというふうにお考えですか。
 もう一つ大変重要なことは、さっきも局長が触れておられましたが、いわゆる種子代が安過ぎる。日本の種子が安過ぎるというのは、今までの研究開発は全く都道府県ないしは政府機関でやっておった、したがってその研究開発費は見ておらないわけですね。つまり、投資回収はしておらない。ですから、日本の種子は非常に安い。
 ところが、今度民間が入ってきますと、局長はさっき、民間に引き込まれて上げるようなことはないとは言っておるのですが、私はその点非常に危惧するのです。やはり財界のいろいろな要望、要求には非常に弱い、残念ながら皆さんの政府の方は弱い。したがって、財界の巻き返しに遭いまして、今まで安かった日本の種子が研究開発費を含めて次第に上がっていくのではないか、そんな心配を私は持っておるわけです。これが危惧なのかどうか。この法律の改正に際しまして、きちっとしたお考えをここで言明していただきたいと思うのです。この二つの点。
#24
○関谷政府委員 まず、種子協会でございますが、御承知のように、これは農業者団体を中心にしまして各県段階で主要農作物種子の需給調整、価格安定ということを主眼にして、いわば実際上主要農作物種子法を支えるような団体活動を行っているわけでございます。
 これから改正後民間参入の道が開かれた後での問題でございますけれども、基本的にはこの種子協会の従来の役割あるいは組織というものはそのままこれからも種子法を支える役割を担当すべきものだと私ども考えておりますので、民間参入の道が開かれた場合には、民間事業者も種子協会に参加してもらうということで、いわばむしろ参加を促すような形で、種子協会の中でいわゆる需給調整、価格安定――ただ、これは民間が参入した状況で民間分も含めて完全に従来と全く同じ機能をするのはなかなか難しいので、基本的には情報交換をしながら、種子協会としては、従来の流れで流れるような種子について従来と同様な機能を担当するけれども、民間分まで完全に同じようなコントロールの中に、話し合いの中に入れるのは難しいかもしれませんけれども、種子協会としては、民間も含めた種子生産のいわば情報交換の場として活動する、こういうようなところまでは体制を整えませんと、需給の安定の面で非常にうまくいかないと考えておりまして、種子協会への民間の参加を促すという方向で指導したいと考えております。
 次に、種予価格の面でございますが、これは実は私も技術会議におりましたときから、非公式でございますけれども、価格の問題については、財界が仮に稲、麦等、これは稲、麦だけではないのですけれども、特に稲、麦について出てくる場合の一番つらい点であるというような感じで内々意見を聞いたことはございます。
 ただ、それで農協系統でやっております従来の国、県の育成した品種の開発価格を引き上げるかということについては、私ども全くそういうことは考えていないわけでございます。現実の種予価格の決定の仕方は、生産者団体の系統で生産するものについては、御承知のように、米の政府買い入れ価格をベースにしまして、それに種子生産の過程での一種のかかり増し経費的なもので少し割り増しを加えて算出をするというのが基本になっておりますので、やはりこういう考え方はこれからも継続していくことになるのじゃないか。そこに、国や県の方が研究開発投資回収的な気持ちで元種を供給する価格を上げるというようなことになればこれはまた別ですけれども、今のところそういう考え方は全くございません。
 全体としては従来どおりの価格決定の基準でやっていくということでございますので、引き上げるというような可能性は全くないし、実際に担当しております農業者団体が財界のそういう気持ちに応じて上げていくというふうなことは全く考えられない、また、そういうことのないように我々指導してまいりたいと思っております。
#25
○細谷(昭)委員 これは一般的な我々の危惧ですので、危惧を打ち消すような形で、本当はこういう改正の際には、もう不当な値上げというのは絶対にしませんということをはっきりしていただきたいと思うのです。従来の方法によるというのはいいです、そのままずっと踏襲しますという、そういうことをきちっとやるべきなんです。民間はちゃんと投資を回収しますから、民間の方が高くなるのは当然なんですよ。しかし、今まで都道府県、国の機関で出した新品種、この原原種なり原種なり種子、この種子代については今までのようにやりますと明言していただきたいと思うのです。
#26
○関谷政府委員 従来どおりの生産過程で生産されます生産者団体系統の価格については、御指摘のように、この改正を契機にして引き上げるなんということのないように十分指導してまいります。
#27
○細谷(昭)委員 次に、米の種子の流通分野における問題について、これは食糧庁長官だと思うのですが、お伺いしたいと思うのです。
 米の種子の流通は、現行の食管法によって規制、管理されている、そのように承知しておりますが、変わりませんね。
#28
○石川政府委員 先生御承知のとおりでございまして、やはり種子用米穀につきましても、これは米穀でございますので、主食に転用可能でございます。そういうことになれば、主食の流通に混乱を与えるということもございますし、それから、主食の米を安定的につくるためにも種自身も安定的に供給したいということで、現在流通規制を行っております。
 このことにつきましては、今回の法改正によりましても別に規制の必要性が変わるわけでございませんので、民間業者による種子用米穀の流通が円滑に行われますよう、所要の改善措置は必要かと思っておりますけれども、流通規制を今後とも継続するつもりでございます。
#29
○細谷(昭)委員 そこで、長官にお聞きしたいのですが、今回の民間参入によって、実際問題としては食管法があるためにメリットが少なくなるという反面の問題があるのです、民間の場合。したがって、だんだんに食管法の運用について後退をしていく、そして、ついにはいわゆる民間の要望という形でいわば食管法の適用を外していくということが危惧されるわけですよ。これは、先ほど私が挙げました日本化学工業協会のあれにもきちっと書いているのです。食管法の規制を外すべきだという一つの項目にちゃんと書いてあるのです。これは長官もごらんになったと思うのです。そういう中で、そういう圧力が非常に強くなってくるということが予想される。
 ですから、この流通分野における民間参入ということがあっても、絶対適用を外さない、これは堅持するということについて明言していただきたい、私はこう思うのです。
#30
○石川政府委員 現在、流通規制をかけておりましても、実は動かしておりますのは農業団体に限っておりますから、農業団体だけみたいなことを書いておけばそれ以外はできないという意味でそういうのは困るという、これはある意味では当然の御要望で、そういうことにはこたえなければいかぬわけですが、今度何か変わったからといって、種子用米穀が主食と全く違った形で完全にコントロールできるということはございませんで、種もみはあくまで種もみでございます。そういう状態で私どもが合理的な規制をすることまで反対ということでございますと、それは要求をなさる方がおかしいわけでございますので、私どもは守るべきものはきちっと守るつもりでございます。
#31
○細谷(昭)委員 これは局長にお聞きしたいのですが、さっきもお話がありましたが、米の種子は種子協会、ここで大体需要と供給のバランスをとりながら、安価で、しかも安定的に、しかも必要なだけ今まで供給してきたというわけなんです。それに民間企業が入ってくるわけでありまして、こちらの方の希望のように協会に入ってくれればいいわけですが、入ってくるとメリットがないという問題もございます。
 しかも同友会やそういう財界が言っているのは、全然競争原理が働かないので、これはいかぬじゃないか、競争原理を働かして、民間が参入することによっていろいろな点で激しく刺激されることが必要だ、こういうことなんですよ。したがって、米の種子の流通、販売のシェアをめぐって、結果としては、将来民間がどんどんシェアを独占していく、寡占していくということに私たち非常に大きな懸念と危惧を持っているわけですが、これに対して、この改正法は歯どめがあるのですか。
#32
○関谷政府委員 種子協会については、先ほどお答えしましたとおり、私どもとしては、ここへ民間の参加を促すということで指導いたしたいと考えておりますし、農業者団体の方も、既に非公式に、この改正を機に種子協会に民間に入ってもらいたい、それの方がいいのじゃないか、こういう意向でございます。
 民間企業の方がそれに対してどう対応するかについては、私ども、とにかく参加を指導する方向でやっていくわけでございますが、制度上の最終的な担保としましては、現在、主要農作物種子法の第三条で、指定種子生産圃場を指定する場合には、県は、「あらかじめ農林水産大臣が都道府県別、主要農作物の種類別に定めた種子生産は場の面積を超えない範囲内においてこういうことがございまして、農林水産大臣が県別に圃場の面積を決めるわけでございます。これは、さらに申しますと、内容的には、品種別まで中を決めませんと生産に入れませんのでそういうことをやっておりまして、種子協会というのは、あくまでもその前段階として、団体の活動として調整を行う、今度民間が入りますれば、民間と一緒になって調整を行うわけでございます。
 そこがうまくいかない場合もないわけではないと思いますけれども、最終的には、今引用いたしました条文に即しまして県が責任を持ってその需要に応じて調整をするということでございますので、全体として米の種子の需要がどのくらいあるか、さらには品種別にどのくらいあるか、それから、民間の種が出てまいりましたら、民間の分がどのくらいあるか、これを調整した上で圃場指定をいたしますので、実行上の困難というのは、そういう意味で行政の段階で防げるというふうに考えております。ただ、理想としては、あくまでも種子協会の段階でできるだけ前広にいろいろな調整をしていくということが建前であろうかと思っております。
#33
○細谷(昭)委員 次に、技術会議の皆さん方にお伺いしたいと思うのですが、超多収米、私たちはこれはえさ米、飼料米とも言っているのですが、この超多収米の研究開発の現状はどこまで進んでおるのでしょうか。
#34
○櫛渕政府委員 超多収米の私どものプロジェクト研究の現在の進展の状況でございますけれども、昭和五十六年から、国の地域農業試験場等を中心にした稲の育種あるいはその関連する研究勢力で、かなり大きなプロジェクト研究で進めておりますが、現在までの成果といたしましては、まず西日本を中心にします超多収の新品種として、アケノホシという品種を昭和五十九年に育成してございまして、さらに、寒冷地域、東北、北陸地帯に好適する超多収品種候補として北陸百二十五号、これを今年新品種登録候補、登録品種候補として育成をしてございます。
 さらに、この研究は十五年間で現在の収量水準を五割上げるというそういう研究目標でございますが、それも、各地域ごとにそういう品種をつくる、非常に具体的な目標設定のもとに進めておる研究でございます。その中で、特に従来の育種と違いまして日本稲と外国稲との交雑を中心に据えたプロジェクトでございまして、そういう目的で日本稲と外国稲をかけて育種を始めてからはまだ数年しかたっておりません。ただ、その中から今年のこれまでの成績でかなり出てきておりますのは、各地域で、それぞれそういった外国稲を材料にしたものの中での有望系統が育成されつつある状況にございます。
 なお、超多収の今の外国稲と日本稲の交雑中心の育種に、さらにハイブリッド技術、ハイブリッドライスの恥技術を駆使する、こういう観点でも研究を進めておりまして、この方面でも、現在それぞれの地域で特に優秀な組み合わせの材料を選ぶこと、それから雄性不稔の材料等をどんどんつくること、それからいわゆる採種効率を高くする技術を開発すること、この三つの点に絞りまして現在研究を進めておるところでございます。
#35
○細谷(昭)委員 北陸百二十五号、中国九十一号等のプロジェクトチームが作出した品種ができた。私たちはえさ米と言っているのですが、私も民間におけるえさ米運動の責任者でありますけれども、このえさ米と言われる超多収米の条件は三つあると私は思っているのです。一つは粗放栽培に耐えるということ。労力を余り使わない、投げておいてもちゃんと生育する。第二番目は耐冷、耐病性がすぐれておるという点。第三番目が超多収であるという、この三条件だと思うのです。
 そうしない限りは私どもの言うコストが下がらない、えさ米にはならないというふうに考えるからでありますけれども、私はこの三条件を全部一〇〇%満たすというものはなかなか出てこないと思うのです。しかし、これに近いものが、北陸百二十五号なり中国九十一号なり、こういうものが出ましたら、一定の条件にかなったものはその地域の奨励品種にできないのかどうかということです。局長どうですか。
#36
○関谷政府委員 奨励品種の意味合いというのは、その県において普及すべき品種ということでございますので、現在はいわゆるえさ米というかそういう用途を予定した品種は奨励品種になっておりませんけれども、これから、えさ米なりあるいはそういう用途に向けるような米生産ということが一つの現実の問題として出てまいるということとの関連で、ではそういう用途に向いた品種はどれかということになると、例えば今の超多収米の開発から出てきた品種が奨励品種として指定されるという道は開かれておるわけでございます。ただ、これはえさ米というような生産の方法が一つ形として出てくるということとの絡み合いで奨励品種にもする、こういうことであろうと思います。
    〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
#37
○細谷(昭)委員 私は、このえさ米の評価についてひとつ皆さん方と一緒に考えていきたいと思うのです。
 大臣、特に日本の食糧問題を考える場合一番問題なのは、今飼料作物が全く自給できておらないという点だと思うのです。したがって、日本食糧政策の中で、えさ米というか超多収米というか、私がさっき三条件を挙げましたが、とにかく粗放栽培に耐えるということ、これは非常に大事な点です。それで超多収であるという点、コストを下げない限りはだめなんですから。日本の水田の優位性の問題、蓄積された農民の稲に対する技術、そして日本の天候、気候、これに合ったものは何といっても水田なんです。その水田の中でこういう超多収米の位置づけというのは物すごく大きな評価をすべきじゃないかというふうに思うのです。
 したがって、自給率の向上に最適の作目であるという点で、私はそう考えてこれは推進すべきであると思う。もちろん技術会議もやっているでしょう、私は技術会議にこういう特性のあるものをぜひとも一日も早く作出していただきたい、こういうふうに思っておりますし、日本の農業政策、食糧全体の中で、このえさ米、超多収米ですが、この位置づけということをひとつ大臣からもきちっとしていただきたい、こんなふうに思うのですが、どうでしょう。
#38
○羽田国務大臣 御指摘のとおり、我が国の自給率を下げている一番大きな原因というのは、飼料が十分賄えないということでございます。そういう意味で、今御指摘のとおり技術会議におきましてもこの方面の研究というものをなしておりますし、また、あるいは農業団体とか各県なんかでもこういった問題については大変関心を持って研究をされておることは私どもよく承知しております。そういう意味で、これからもこの研究が成果を上げていくように私どもとしても側面からいろいろと協力してまいりたい、かように考えます。
#39
○細谷(昭)委員 最後の質問なんですが、私は、種子というのは最も大事な基本的な生産資材だと思うのです。そういう点で考えますと、残念ながら、全天候型ないしはどこでもりっぱにつくれるとかいう理想的な品種は現在まだできておらないわけです。現状では、肥料をうんとやるとか農薬をうんとやるとか技術をいろいろ駆使するとか、割合にこういう投資をしながら農作物の生産をしているわけでありますけれども、これはやむを得ないことだ、そういうふうに私も認めます。
 問題は、しかしながら現状の農薬の問題です。私、非常に心配しておるのがいゆわる人間の安全、確かに作物はそれによって大変よく育つのですが、人間の安全性という点でこれは困る問題もあるわけです。それは除草剤のパラコートなんです。これは社会的に非常に問題になっておるのですが、きょうは厚生省からも来ていただいておりますので率直に言いますが、パラコートは、年間六百人も中毒死していて、その大部分が自殺だと言われるのです。
 これは社会的な大変な問題なんですが、厚生省としては、なぜこうした社会的な問題のある薬品を特定毒物に指定しておらないのか。二番目は、非農耕用パラコート剤が非常に安いために農耕用に使用されておるわけです。これにどう対処をしておるのか。第三番目は、年間六百人という中毒死亡者を出しておる現実をどう厚生省は考えておるのか。この三つの点についてお聞きしたいと思います。
 農水省に対しては、一つは、パラコートの除草剤としての優位性は評価できますけれども、原因が自殺という問題にあるにせよ、農作業とは全く別な形でこんなにたくさんの人が死んでいる。これに対してどういうふうに考えておられるのか。それから、四百万戸というたくさんの農家に対して完全な管理を要求するのは最初から無理なんです。私はそう考えるのです。したがって、パラコートにかわる除草剤の開発はどこまで進んでおるのか。三つ目は、農耕地以外の使用というものに対してどう行政指導しておるのか。四番目、無登録パラコートをどうやって現在規制しておるのか。
 これらについて、それぞれ農水省と厚生省からお答え願いたいと思います。
#40
○渡辺説明員 厚生省でございますが、先生御指摘のように、パラコートによる死亡事故ということで年間数百例に及ぶ事故例が報告されておるわけでございます。特に昨年におきましてはパラコートの清涼飲料水への混入などの事件もあったわけでございますけれども、こうしたことから、パラコート剤を特定毒物に指定すべきではないかという御意見が多々あるわけでございます。
 この毒物及び劇物取締法という法律でございますが、化学物質の毒性を評価いたしまして毒物あるいは劇物に指定をし、その取り扱いについて規制をするということになっております。この毒物の中で特に毒性の強いもの、毒性が極めて強いもの、この毒性は主としてLD50値と申します急性毒性値を参考といたしまして、毒性が極めて強く、通常の使用方法によりましてもその毒性の強さゆえに人への健康被害を発生するおそれのあるものを特定毒物として指定するということにされておるわけでございます。
 そこで、これまでに十種類ほどの特定毒物が指定されておりまして、例えば農薬につきましても特定毒物に指定されておるわけでございます。これまでの事例で申し上げますと、例えばメチルパラチオンという農薬がございますけれども、この特定毒物に指定されたことによりまして事実上使用が禁止されておるというのが現状だろうと思います。特定毒物にいたしますと、その使用目的、使用方法あるいは使用場所というようなものも極めて限定されてくることになるわけでございます。
 そこで、このパラコート剤につきましても特定毒物に指定したらどうかという御意見もあったわけでございますが、先生先ほど御指摘のように、年間多くの死亡事故が発生しているわけでございますが、その事例は自殺が大半である、それからさらに誤用でございますとか昨年多発いたしましたパラコートの混入というようないたずら事例、犯罪事例、こういうような不適正な使用による事故例が非常に多いということでございます。
 私どもといたしまして関係省庁とも協議をいたしたわけでございますが、とにかく当面このパラコート剤につきましては現行法規制の中で保管管理の徹底を図る、あるいはその取り扱いについて、特に私ども販売業者というような業態を毒物及び劇物取締法の観点から所管しておるわけでございますけれども、この取扱業態に対する指導を徹底していくことを推進していこうということにいたしました。
 実は、昨年十一月農林水産省と協力いたしまして、まず都道府県に対して、パラコート剤取扱業者、特に販売業者に対する監視、指導を重点的に行うこと、あるいは販売業者におきます購入者の身元確認を徹底するよう指導をするというようなことを中心といたしまして指導の強化を図ったわけでございます。この通達を受けまして、都道府県におきましても、パラコート取扱業者に対する監視、指導の重点的な実施、あるいは毒物、劇物取扱者に対する講習会の実施というような形で指導を徹底したわけでございます。こうした措置によりまして、私ども、このパラコート剤についての現状の不適正な使用によるいろいろな多くの事故例の減少の成果を期待しようということで、当面こうした措置に期待をしていくというふうに考えたわけでございます。
 このパラコートを特定毒物に指定するということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、私どももパラコートの除草剤としての有用性は極めて高いというふうにお聞きしているわけでございますが、毒物及び劇物取り締まりを所管する私どもとしましては、人の生命、健康に直結する問題でございますので、今後こうした指導を徹底してまいる所存でございますけれども、今後の推移を見ながら、特定毒物としての指定の可能性というような問題につきましても私どもは将来の課題として考えてまいりたい、かように考えております。
#41
○関谷政府委員 パラコートの使用というか実態から見まして、先生お尋ねのような問題が出ております。こういう事態は、農薬としての本来の用途以外に使われていることが主体であるにしましても、やはり農薬担当の部局としましては、こういう事態をできる限り防止するような措置を講じようということで、既に先生も御承知と思いますが、販売業者に対して保管設備の再点検とか盗難、紛失の防止とか、購入者の身元、使用目的等を確認して販売するとかいうことをやっております。それから、防除業者についても、使用者についてはかぎのかかる場所に保管するとか盗難、紛失の防止、または盗難、紛失事故が発生した場合には警察署に届け出る、こういう対策を指導しておるわけでございます。
 一方、お尋ねの中にございました第二点の、薬そのものが何とかもう少しよくならないかという点でございます。これは二つ問題がございまして、パラコートにかわる別の製剤ができるかどうかということでございまして、これは今まで幾つかございますけれども、機能なりコストなりから見ますとなかなか有望と言えるものが今のところまだないわけでございます。こういう面の代替剤の開発についてはこれからも農薬製造業界において取り組んでいただきたいと思っておりますが、当面私ども重点に置いておりますのは、パラコート剤自身の製剤改良ということでありまして、五十五年に催吐剤の添加、それから五十七年に着色をする、それから六十年に着臭、においをつける、こういうような製剤を登録しております。今後の検討課題としては、苦み成分を添加するとか低濃度化するとかという形で剤を改良するということが考えられますので、さらにこの面の開発について業界を指導してまいりたい、かように考えております。
 お尋ねの第三点の農耕地以外の問題につきましては、農薬取締法の適用が農耕地で使われるものに適用するという法律になっておりますので、実はまともに農耕地以外で使うのだ、例えば公園のようなところで使うのだということになりますと取締法の適用にならないわけでございます。
 ただ、従来の問題、多くの場合には、農耕地以外の、要するに四番目の無登録の農薬なんですけれども、実際には農耕地向けに売られているあるいは使われているという実態もございます。そういう大変問題がございますので、私ども、そういう無登録の農薬で、農薬ではないと称しているけれども実際には農耕地に使われているものがあるということで、先般かなり広範にこういう関係の剤を扱っている販売業者を調査いたしまして、その調査の結果に即しまして一部営業の停止というような処分を既に出しまして、これからもこういういわゆる無登録農薬の販売については厳しくチェックをしてまいりたいと考えております。
#42
○細谷(昭)委員 パラコート問題につきましては、きょうのお答えをもとにしましてまた機会があったら議論したいというふうに思っております。
 以上で質問を終わりますが、どうか今回の種子、種商法の改正というものが、私どもが心配しておりますように、財界によるところの種子の支配とか利潤追求ということのえさにならないような配慮ないしは姿勢というものを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#43
○大石委員長 上西和郎君。
#44
○上西委員 私は、ただいま議題に供されております種子法並びに種苗法の改正について、基本的に賛成の立場を鮮明にしながら、以下若干の質疑を申し上げていきたいと思うのであります。
 まず、今さら申し上げるまでもありませんが、種苗、種子というものが農業生産にとって最も基礎的な生産資材であり基盤であるということは明確であり、そうした観点から我が国の基幹作物である稲、麦、大豆の種子については、現在生産から流通まで国及び都道府県が全責任を持って実施している、このように私は理解しております。
 そのような観点から見ますと、今なぜ主要農作物種子法を改正しなければならないのか、その必要性はどこから生まれてきたのか、現行どのような問題点があるのか、そうしてこの改正によってその問題点がどのように改善されていくのか、解消していくのか、こうした基本的な問題について、最も農業問題に精通をされ、大きな期待を持って迎えられておる羽田農林水産大臣に見解をいただきたいと思うのであります。
#45
○羽田国務大臣 今先生から御指摘がありましたように、まさにこれからの農業というものあるいは農業生産というものを生産性を高める、これの必要性が今迫っておること、また、国際的にもそういったものに着目しまして、新しい技術というものあるいは新品種の開発等について活発に行われておるという事情にございます。
 そういう中にありまして、我が国といたしましても、国ですとかあるいは都道府県の公的機関だけではなくて、民間の事業者の皆さん方も含めまして、非常に積極的にこの技術開発あるいは品種の改良が進められておるというふうに考えております。この技術開発などの成果というものを、厳しい現下の農業、こういったものをよりよく進めるために、私どもとしても積極的に役立てていく必要があろうというふうに考えております。
 このため、今回の種子法あるいは種苗法を改正しまして、主要農作物の種子の生産分野に技術力を有しますところの民間事業者、この人たちが活発に参入でき得る道を開くこと、そして、これらの進展に対応した適正な種苗の流通、これを図ることによって、優良な種苗の生産と適正な流通、これを促進することとした次第でございます。
 今回の改正法によりまして、国際的な種苗に関する技術開発が活発化する中にありまして、我が国の民間を含めた全体的な品種の改良、種苗生産の技術水準の高度化、これが促進されることによりまして、我が国農業というものがさらに発展でき得る、そのための一つの基盤づくり、環境整備であるというふうに認識をいたしております。
#46
○上西委員 基本的なこと、わかりました。
 では、順次この改正点についてお尋ねをしていきたいと思うのであります。
 今回の改正は、明らかに民間事業者の参入、ここに力点が置かれておるわけです。私ももともと民間出身でありますから、民間が持つ活力、エネルギーというものは否定しません。また片一方、国や都道府県を含めて公務員という立場で皆さん方が、法律や規則、政省令、そうしたものをきちっと守りながら行政を進めている、両々相まって日本の社会が維持され運営されていると思うのでありますが、この改正後、どの程度の民間事業者がどうした分野で参入されるか、そうした見込みは一体どうなっているのか。また、それが仮に実現した場合に、今申し上げたような国や都道府県が果たす役割と、入ってきた新しい民間事業者の分担はどうなっていくのか。
 というのは、ずばり申し上げて、あなた方は農政の推進、もちろん私たちもその立場で一生懸命やっておりますが、とかく民間というのは、エネルギーと活力を持ちながら利潤追求ということが基本的な命題でございますので、そこら辺が矛盾する点が出てこないのか、若干の懸念もございます。そうした点について、見通しなり見込みというものについて御説明いただきたいと思います。
#47
○関谷政府委員 民間参入の場合の態様としましては、やはり民間で育成した品種について、その品種の種をつくって販売する、こういう形になるわけでございまして、やはり民間参入の根元は品種開発のところから問題になってくるというふうに思っております。
 従来の主要農作物の世界では、稲、麦、大豆については、民間の方でつくりました品種があるのはビール麦の分野だけでございまして、これはビール会社がつくりました品種が現実にはかなり生産に仕向けられております。ただ現状では、種子生産の段階になりますと、現在の主要農作物種子法では、ビール会社が品種をつくりましても、種の生産過程からは県が原原種、原種を生産する、それから種子生産は大体農業団体が委託をして農家がつくる、こういう形になっておりますので、つくりました品種が実際の種生産になると自分たちではつくれない、こういうふうな形になっているわけであります。
 これから改正法によりまして民間参入が起きます場合には、恐らく民間の一番の関心としては、稲のようなかなり市場の大きいものをねらうと思いますけれども、私どもとしては、現状で本当にどういうものが稲なり一般の麦なりに出てくるかについては非常に見通しがしにくい。改正をしておいて何だということかもしれませんけれども、というのは、逆に言えば、それだけ国や県の従来の稲、麦についての育種の過程での蓄積、実力が非常にすぐれているし、今後も稲、麦については国や県の育種がかなり行われてくる、そうでなければならぬというふうに考えております。
 ですから、役割分担の問題になりますけれども、やはり民間としては、そういうかなり新しいバイオテクノロジー等の技術も使った品種の開発なり種苗生産の面で相当勉強してもらって、かなりいいものが出てくるということでないと、種子生産には出てこない。ただ、基本はやはり国や県の育種したものが、種が出回っているだろうけれども、そこに民間の努力によって少しでもいいものが出てくれば、それが流通されるのじゃないか、こういうような感じでございまして、全体として見れば、やはり国や県が中心的な役割を果たしているところに民間の力で出てきたものが少しでも出てきて、それが日本の農業にとってプラスの面が出てくれば改正法の効果もそこに出てくるということで、実は具体的にこういう部面でというふうにまだ見通しがしにくいわけでございますが、恐らく民間としては、この法律改正を契機にして育種それから種子生産に向けて相当の努力をしてくる、こういうふうに思っております。
#48
○上西委員 わかりました。
 次の質問は、今度の民間事業者の導入といいますか参入によって、農家の皆さん方が期待されている耐病性、耐冷性、多収量等の新品種が開発されるのじゃないか、こういう期待がやはりあると私は思うのです。ただ問題は、そうしたときに、せっかく開発された品種の選択、これが現在都道府県の奨励品種決定審査会で行われている。この構成を見てみますと、正直申し上げて民間の代表というのがほとんど入っておられないのではないか。だから、せっかく民間事業者の参入をやられようとするならば、この都道府県の奨励品種決定審査会の構成等についてやはり変更が必要ではないか、こう考えるのでありますが、その辺についてはどのようなお考えなのか。
 あわせまして、現在、審査基準が非常に厳しい、厳格である。これはある意味では必要だと思うのですけれども、せっかく開発された民間品種が合格しないというようなこともよく聞くのであります。だから、これらについて基準を若干緩和する。例えば奨励品種、準奨励品種、こうしたものを設けていくこともお考えにならないかどうか。
 あわせまして、各都道府県単位にこの決定審査会がありますので、広域に適用する品種、こういうものが開発されたときに、せっかく広域に広がるとわかっていても、あえてその関係都道府県で厳しくといいましょうか、きっちりそれぞれの都道府県で審査会にかけていかなければならないのか、そうした点について、今後運用上の弾力性ということについては考慮されているのかどうか。これらの点についてお尋ねをしたいと思うのであります。
#49
○関谷政府委員 主要農作物種子の場合に、それが実用に供される一番かなめになりますのが奨励品種決定という制度でございまして、今度の改正におきましても、この決定制度自身はやはり存置をしてその適正な運用を図っていくということでございますので、先生のお尋ねになりました三つの点、大変大事な問題であるというふうに考えております。
 第一の構成の問題でございますが、現在、御承知のように県の試験場とか行政の関係者、それから農業団体等が構成員となっておりますが、我々としましては、そういう県の内部組織的な運営について一つの指導をする必要があろうというふうに考えておりまして、やはりこれから育種技術も大分高度化してまいりますし、品種の需要も多様化してまいる、そこに一つ民間参入の道も開かれるということでございますので、構成メンバーにそういう新しい育種なり育種技術の動向に即しました学識経験者、それから民間育種関係者、それから小麦等に特に大事になります農産物の需要者、そういう方たちを加えましたもう少し幅の広い構成で考えて、そういう方たちの審査会によって、単に試験対象品種を決定するというだけではなくて、その後の奨励品種の普及状況とか、制度の全体も含めた幅広い検討を行っていくように指導したいということで、構成の幅を少し広げたいというのが第一点でございます。
 二番目の審査基準の問題については、これはもう国や県の育成した品種が中心でございますので、あるいは国や県であるだけに非常に厳しい要求をしております。これは国や県の育種担当者にそれだけ厳しい、いわば育種の課題を課しているわけでございますが、民間の参入もあるし、それから多少農産物の需要の方も多様化が進んでくるというようなことになりますと、もう少し基準を下げるというわけにもまいりませんけれども、やはり実際の需要の動向、特に多様化している需要の動向に即して、ある程度の優良性が認められるし、需要もあるだろう、こういうようなものを奨励品種の中で少し柔軟に対応していく、こういう指導をいたしたいというふうに考えております。
 その辺については、奨励品種の中を二つに分けるとかいうことではございませんけれども、実際上の、いわば本当の従来からの系統のものと、それから少し現実の需要に対応したもの、それから一部、耐病性、耐伏性等のような品種の重要な特性のうちで、特定のもので明らかに改善が認められる、こういうある部門の優等生みたいなものとか、少し評価の幅を広げていくということは必要であろうかということで、この奨励品種の決定についてそういう指導をいたしたい、かように考えております。
 三番目は、各県だけではなくて、少し幅広い範囲で広域に運用される品種が出てくるという問題でございます。
 現在でも、コシヒカリ、ササニシキはかなり各県でつくっているわけでございまして、やはり制度の建前としては、日本のような非常に南北に長くて標高差も大きいとか、気象、土壌条件、その他いろいろ違うところでは、少なくとも県単位あるいは県の中の地域に適合する、こういう観点で優良品種の決定をしなければいけないという実態はこれからも変わりないわけでございます。ただ、相当広くなってまいりますと、広く使われるような適応性のある品種については、こういう県ごとの運用だけでもまいりませんので、今後はある県が既に奨励品種として使っておる、採用しているという場合に、そのいろいろな品種決定試験のデータのうちで、ほかの県にも適用されるもの、そういうデータで代替可能なものは、既に奨励品種として採用されている県のデータをほかの県でも少し幅広く使う、こういうような広域的な運用をしていきたい、こういう方向で指導していくことによりまして、制度のかなめになります奨励品種決定試験、調査を十分に活用してまいりたいと思っております。
#50
○上西委員 私の質問に対して極めて前向きにお答えいただいてうれしく思っているところでありますが、そうした方向で今後ともお進めをいただきたいということを中間でまずお願いし、あと少しく質問を続けさせていただきたいと思うのです。
 原原種及び原種の生産基準は指定種子生産圃場に係る基準を準用する、こうなっておりますが、その内容は具体的にどのようなものなのか、現在の栽培管理と比べてどう変わるのか、このことについてお答えいただきたいと思います。
#51
○関谷政府委員 原種、原原種の生産基準については、一般の種子生産の場合以上に厳格な管理を行う必要があるということで基準を決めておりまして、これは今後の問題として、法律改正後も特に変える必要はなくて、従来の考え方で進んでいいのではないかというふうに考えております。
 その基準と申しますのは、一般の種子生産については、やはり責任ある管理者の存在だとか、圃場がそれに向いているとかいうことがございますが、特に原種、原原種の場合には厳格な管理を行って、生産物の純正度、品質も高度なものを確保するということが必要でございます。
 幾つかの審査のポイントがございますが、まず第一には、一般種子以上にほかの花粉源から隔離がなされているかどうか。それから、由来の正しい育種家種子または原原種を使用しているかどうか。それから三番目に、一本植えによる系統栽培など原原種または原種生産のための特別の栽培様式がとられているか。それから四番としまして、生育中の植物体が品種固有の特徴を示しているか、また、その特徴が異なるものが一定基準以下にとどまっているかどうか。それから五番目に、生産物中の異品種、病害虫粒等が一定の基準以下であるか、また、発芽率等の品質面も基準を満たしているかどうか。こういうような点でございまして、全体としては農業試験場の専門技術者等の適格な者が審査を行いまして、達観的な調査よりも全数調査を採用する、審査回数を増加する、そういうことで、十分確実な原原種、原種の生産が確保されるような基準により今後とも運用してまいりたいと思っております。
#52
○上西委員 御説明はわかるのですが、局長、それは現在の栽培管理と比べて大差ない、こういうふうに理解して構わないのですか。その点一言。
#53
○関谷政府委員 原種、原原種については現在の基準でそのまま実施をするということでございます。
#54
○上西委員 では、次に移らせていただきますが、農家への種子生産、これは指定種子生産圃場で行う、こうなっておりますが、今回の法改正によって民間事業者も委託者に入れる、こうなります。そうしますと、国並びに都道府県の基準といいますか、従来いろいろ規則もありましてこの面積は限られていますね。一定の枠の中に限られている面積の中で過当競争にならないんだろうか、やはりちょっと不安が出てくるのです。したがって、こうした場合の指定の問題について優先順位などをお考えになっているのかどうか。こういうことについてとりわけ私が懸念しておりますのは、種子生産農家を圧迫しないような配慮がどうとられているか、ここがやはり一つの問題点と思いますので、こうした点についてはどのような御見解なり対策をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
#55
○関谷政府委員 指定圃場の面積のいわば割り振りと申しますかの問題でございますが、一つは、基本的にはやはり需給調整ということが基本でございまして、種子生産の過不足の問題が非常にございますので、指定圃場の指定に至りますまでの間に、種子購入の需要量の把握ということがまず基本的に大事でございます。需要量も、総体としての需要量だけではなくてやはり品種別、それからさらに、民間が出てまいりますと、民間の具体的な今度出てまいりました品種についてどのくらい需要があるか、これは、できれば一種の予約というような段階まで確認できればなおいいわけでございますが、そういうことも含めて、需要がどのくらいあるかということを品種別に見込みまして、それに応じて面積の配分をしていく、こういうことになろうかと思います。
 ですから、やはりその段階でシェア争いというか一種の競争的なことは潜在的にはあるわけでございますけれども、最終的に圃場指定になります段階では需要といわゆる供給面での種子生産の面積の規模、これが合ってまいりまして、いわゆる極端な過不足がないような状態で生産に入るということでございます。
 これを担当するのが、従来ですと種子協会という県段階の団体がございまして、これは改正後も民間の参入も得てその機能は今後とも運営していきたいと思いますが、また最終的には、法律上は、県が指定種子生産圃場の指定をする場合には農林水産大臣が県別に決めました面積の範囲内で指定をするということになっておりまして、行政部局の機能としてそういう需給の調整をやって圃場指定をしていくということでございますので、その段階で御懸念のような生産農家あるいは種子生産をする農家、両方にとって支障のないように運営してまいりたいと思っております。
#56
○上西委員 局長、ちょっとその辺でひっかかるのです。冒頭の大臣のお答えからずっと今までお聞きしていますと、民間事業者の参入の道をあける、これが今回の法改正の大きなポイントだ、それは私たちも理解しています。ただ、一体どのところにどんな事業者が参入するかまだ十二分には把握されていない。しかし、道をあけておかないといろいろな現在の新しい情勢にあるいは国際的な競争に太刀打ちできないのではないかといってあらかじめ道をあけておる。ところが、今ずっとお答えを黙ってお聞きしていますと、仮に出てきたときには、最終的には種子協会とか県がやるんだけれども、その段階で十二分に種子生産農家に対する配慮もやる、こうなっていきますと、何も問題がなくてスムーズにいくようなんです。しかし、先ほど我が党の細谷議員がお尋ねしたように、やはり基本的に懸念を我々は持っているのです。基本的には賛成します。しかし、日本の農業がどう守られていくのか、農業生産がどうなっていくのかということが基本的にあるものですから、今局長さんおっしゃったように、悪いけれども、民間事業者がどんどん出てきたと仮定すると、そうスムーズに今のような面積の割り当てその他調整がいくのだろうか、一抹の不安と危惧が出てくるわけであります。その点についてあと一つ突っ込んだ御見解をいただきたいと思うのです。
#57
○関谷政府委員 これは民間の種が出てまいります段階を考えてみますと、まず育種ということである品種ができた段階で、奨励品種決定調査ということで、これは何々県で奨励する品種である、こういうようなことが決定をされた、そういう手順を経てまいるわけであります。実際に種をつくるということになりますと、今申し上げましたように民間の立場でできた種というのは、先ほど売り込みと申し上げましたけれども、こういうものができたので自分は売りたいということで需要開拓というようなことがそこに出てまいるのだろうと思います。
 そういう意味で、先生まさにお尋ねのように、何か絵にかいたようにスムーズに最終段階にいくのではなくて、そこに新しく出てきた民間の種がどのくらい希望があるかというところで一つの競争が起きまして、それではまず初年度は大体このぐらいやってもいいのじゃないかということになって、それが最終的に採種圃の面積、その前に原種、原原種の生産の段階がありますけれども、原種、原原種の生産の段階から採種圃に向けて、ではこのぐらいの規模でつくることにしよう、そういう意味では、稲の全体の種の需要の総量が一定であるとすれば、これは更新率や何かによっていろいろ変わりますが、総量の中では確かに民間がそれだけ従来分の中に出てくるわけですけれども、そういう過程を経て決まっていく段階では、生産農家の方が新しいものについてどのくらい使うかという見込みというものが競争過程の中で決まってくるのじゃないか、こんなふうに考えております。確かに一種の販売競争的な面がそこにあるわけでございますので、ずっと手順を申し上げましたけれども、そこには一つのいろいろな意味での調整が必要になってくると思います。
#58
○上西委員 局長、私はやはりここで念を押しておきたいのです、とりわけ農水省の皆さん方に。何度も言いますけれども、私も民間出身ですからわかるのです。確かに民間の持っている特性があります。しかし、一歩誤ると利潤追求が優先する危険性もあるわけですね。そうしたときに、営々として今まで努力をしてきていた種子生産農家が、いろいろな御配慮をいただきながらも結果として圧迫される、そうした懸念が吹き飛ぶようなことを、この問題の具体的な取り組みに当たって万全を期すような方策をぜひお考えになり、お立てになってほしい、こういうことを重ねてこの場でお願い申し上げておきたいと思うのです。
 次は、種予価格の決定方法です。現在種子協会があるわけですが、私が非常に気になりますのは、この種子協会の位置づけと、新しく参入が見込まれる民間事業者との関係といいますか、その辺は一体どうなるのか、明快にお答えをいただきたいと思うのです。
#59
○関谷政府委員 種子協会につきましては今大体各県に設置しておりまして、農業者団体が会員として入っておりまして、その機能としては需給調整、価格決定というようなところであるわけでございます。
 今後の問題としましては、こういう種子協会の組織、機能は基本的には改正後も存置すべきでありますし、そういう機能の中で需給調整、それから価格についても適正な決定がなされていくということであろうと思いますが、民間の業者については、私どもむしろ、この種子協会に参加してもらいたい、そういう参加してもらうような道を開き、かつ参加してもらうように指導をしたいと思っております。それから農業者団体方面でも、この改正法案の決定の過程までに、この種子協会に民間事業者の参加もされた方がいいというようなことでございます。民間企業の立場から申しますと、その協会に参加した場合の状態としては情報交換というようなことが一番基本になろうかと思います。
 価格決定ということになりますと、民間のつくりました種の価格と従来の国や県が育成した品種の生産を農業者団体が農家に委託してやる場合の種の価格と、価格決定の原理というか考え方が大分違うような感じがいたしますので、種子協会の場で両方とも含めて統一的に決定するのは恐らくなかなか難しくなるのじゃないかという感じは持っております。ですから、種子協会の方は農業者団体の関係については従来どおり実際上価格を決めるけれども、民間の分まで統一的に決めるというところまで協会の場で調整するというのは、実際問題としてはなかなか難しいのじゃないかというような見込みを持っております。
#60
○上西委員 局長、種子協会で民間の分云々、それはわかります。では、これから種子の価格はどこでどうお決めになるのですか。今お話しのように種子協会にも仮に民間事業者の加入を指導し、そして入れた、しかし、いよいよやっていくと、民間のせっかくつくったものまでこの種子協会で決めることは難しいとおっしゃるならば、では具体的にはどうなさるのですか。そこが生産農家にとっては一番の問題点じゃないでしょうか。そこらについてはどういう方針なりお考えをお持ちなのか、一番大事なところだと思いますので明確にしていただきたいと思います。
#61
○関谷政府委員 現在の種子協会の機能は、生産農家からの最低買い入れ価格と売る場合の最高配布価格を決めているわけでございますが、現実に種を販売するのは経済連と農協でございますので、そこは販売の中で価格が決まっていく、協会はそこで一種の調整機能を行っているということでございます。
 民間の種が出てまいりました場合のその辺のあり方を想定して考えますと、民間の場合には、先ほども申し上げましたように価格決定の原理というか考え方が少し違うので、恐らく従来の研究開発投資的なものも含めた多少コストの高いものを回収しませんと引き合わないということが出てまいりますので、従来の農業者団体の分だけでやっておりました価格決定とはどうも原則が違うような感じがしております。
 ですから、協会の方が民間の分までいわば価格調整をすることは実際上難しくなってきて、協会としては農業者団体の分だけ最高価格等を決めていく、民間の方はもう民間、自分自身で決める、こういうふうな二元的な状態というのはどうしても出てきてしまうのではないか。そこで協会は、そういう決定に至りますまでの情報交換的なことはそこでやるけれども、協会の場で民間の分の種までいわば最低価格とか最高価格を決めるということは、それができれば望ましいと思いますけれども、どうも何か難しいような感じがしておりますし、恐らく今民間の関係の方の御懸念も、協会に参加すること自身はされるかもしれませんけれども、そういう場で価格が何かこう決められてしまうというようなことについては、そういうことは歓迎しない、やはり価格は自分で決めたいというふうなお考えをお持ちになるのではないか、こういうふうに思っています。
#62
○上西委員 局長、私さっき申し上げたように、すうっと来たのですけれども、ちょっと今のお答えを聞いているとどうしてもひっかかってくるのですよ。
 民間事業者の参入の道を開くという法改正の趣旨はよくわかっています。ただ、従来種子協会で価格決定をやってきた、それに民間も入ってもらいます、指導いたしますと。大体民間事業者も同意している。しかし、いざ種子の価格決定のときには、私たちの分まで決めてもらっちゃ困るということであれば、やはり従来やってきた農林水産省の基本的な方針というものに混乱が起きるのじゃありませんか。どうもその辺、とかく日本の政府というのは法律、政省令、規則、通達、これを金科玉条でやってきている。そこを、このことに対して何かぼかされてしまうと、ここで私不安が出てくるのですよ。果たしてそれでいいのですか。
 今は都道府県にある種子協会で全部ぴしっと決めている。今後民間が入ってきたら、入ってくるのにアンバラがあるわけでしょう。すうっと入ってくるところもあるでしょう、いっときかかるところもある。そういうところでちぐはぐなものが起きてきて、そして生産農家に混乱を与える、あるいは種子生産農家に圧迫、悪影響を及ぼす、こういうことがやはり懸念されるのです。
 だから局長、あなたほど優秀な方が、もうちょっとすかっとしたお答えができないのだろうか。それができないのであれば、この法案の審議をそう急ぐ必要もないのじゃないかとまで私つい思いたくなるものですから、素直にお尋ねをしておりますので、率直にお答えをいただきたいと思います。
#63
○関谷政府委員 種子協会それから特にその価格決定というのは、まさに法令による仕事というよりは通達、指導でやっている世界の話でございますので、これからの改正法のいわば目的達成という意味で、どういう運用が一番いいかということで我々が考えていかなければいけないことですが、価格の問題については、結論的にはっきり申し上げるならば、従来種子協会が、農業者団体の分しかございませんでしたので、すべての種子について最低買い入れ価格、最高配付価格を決めておりましたが、今後はそういうことを、民間の分も含めてそういう機能を行うということは恐らくできないであろう。我々もそこまで期待するのは実際上難しいというふうに考えております。
 ですから、種子協会の機能は、価格については、農業者団体の従来の分は従来どおりの価格をそこで決定されるということを禁止する意味もありませんので、それは恐らくそういうこともやられると思いますけれども、役所として、民間も含めた全部について同じような価格決定機能を担当せよということを期待するのは、どうも民間の意向からしても難しい。やはりそこでもって、例えば民間本位にまいりますと、どうも価格を引き上げていくというような方向にならないとも限りませんし、やはりそこは、価格そのものについては協会の場での調整というのは難しかろう、こういう感じでございます。
 では、協会の役割は新しい場合には何だということになりますと、民間の分も含めて、いわゆるそこについては情報交換的な機能ということであって、価格については、協会の場でもし決めるとすれば、従来の農業者団体のつくる部分だけは価格を、いわば最高、最低を決めていく、こういうようなことをやられるということは、我々としても別にそれもやめなさいと言うことはなかろう、こういうようなことでございます。
#64
○上西委員 大変恐縮ですが、こだわるようですが、今の局長のお答えを聞いておりますと、まさに画竜点睛を欠くという感がしないでもないのです。
 民間の事業者を参入させますよという法改正だ。そして今ずっと圃場から何から、そういったことでうまく調整してやっている。いよいよ価格の問題になったら、とてもじゃないが、民間まで規制することは不可能ですから情報交換的な立場で終わらざるを得ないでしょう、こうなりますと、やはり生産農家の方々は不安を持つのじゃないでしょうか。せっかくいいのができた、価格は向こうが一方的に、極端に言うと、民間事業者が決めておれたちに持ってくる、何のための種子協会が。種子協会に加入を指導するとおっしゃっている。入れられるのならば、やはり種子協会で、従来のいわゆる農業団体その他の部分も含め、新しく民間事業者が開発したものも含めて、種子協会がやはり価格決定のきちっとした機能を堅持する、このことがないと、今回の法改正は文字どおり仏つくって魂入れずになるのじゃないか。これから先のことですから、私の杞憂であればいいのでございますが、どうしても、さっきからのお答えを聞いておりますと、すうっと来て、ここで流れがとまるような感じがするものですから、お答えにこだわるようですが、これ以上のことは進まないのですか、今のお答え以上のことはお考えになっていないのですか。
#65
○関谷政府委員 結論的には先ほどお答えしたとおりになるわけでございますが、どうしてそういうふうに考えるかと申しますと、民間の種子生産の場合に、やはり価格を、種子協会の場で従来のを決めておりますのと同じような考え方、基準で決めることに対して、民間の方では相当懸念を持っている。つまり、自分たちはそれでは引き合わない、こういうふうな懸念を持っておりますので、もちろん理想的には先生のおっしゃいますとおり協会の場で民間も含めて統一的に決められればこれが一番いいことでございますし、民間がそれに服するというようなことであれば、それは種子の価格の安定の面で一番いいわけですが、なかなか、完全に民間の分までも価格統一をするということは、協会の場に限らず、実際問題として難しかろうということで、協会の機能としては、民間の分の価格決定までもそこに期待するのは難しいのではないか、こういうふうに申し上げているわけでございます。
#66
○上西委員 もうこれ以上は繰り返しません。
 局長、農水省として今度これだけの改正をおやりになるのですから、やはり種予価格の決定については、生産農家のそうした不安を一掃する、こうしたことを前段に置いて、種子協会なら種子協会で、従来同様、民間事業者の方々も何とかそこで決定することに御同意いただく、それがなければ極端に言えば民間事業者の参入を認めませんよ、これくらいの毅然たる姿勢で民間にも当たっていただきたい。そして生産農家のそうした不安を解消していくような方向への御努力を重ねてお願いをし、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次は、審査の問題であります。
 現在種子については、本法による圃場審査と生産物審査及び農産物検査法による農産物検査が義務づけられておりますが、この二重チェックをこの際、この法改正に合わせて簡素化させる意向ありや否や、こういうことをお尋ねしたいと思うのです。
#67
○関谷政府委員 この点についてはまさに先生のお尋ねのように、現状は生産物審査とそれから農産物検査、これが二重チェック的な面がございます。これは臨時行政改革推進審議会の答申の中でもこの点指摘されておりまして、今この両方の調整という問題について検討をいたしているところでございます。ただ、一方的にどちらかを廃止するというわけにまいりませんので、項目的に考えていこうということでございます。
 これは御承知のように、時間的な関係から申し上げますと、生産物審査の方が先にございまして、その後で農産物検査法の農産物検査が行われるということでございますので、この両方の調整をする場合に、簡単に申しますと、種子の商品性の付与、そういうような問題については農産物検査の方でいく、こういうことで項目を分けまして実施をしていくということにしたらいいのではないか。
 まず、生産物審査の方で言いますと、例えば一リットル当たりの重さとか、整粒、品質、水分、こういうような関係のものについては項目としては生産物審査からは廃止をする、こういうことにいたしまして、そうすると生産物審査の方ではどういうことを実施するかといいますと、発芽率、それから被害粒の中の病虫害粒、それから、異物の雑草種子とか違う品種のものが入っていないか、異品種、それから異種穀粒、簡単に申しますと、こういうような比較的質的な面を生産物審査の方で実施をする。量目とか包装とか、やや商品性、流通面的な面の検査は農産物検査の方で実施をしまして、現在でも入っているのですが、農産物検査の中にも発芽率とか病虫害粒とか雑草種子とか異品種粒とか、こういう既に生産物審査の方で審査をしております項目がございますので、これについては、生産物審査を既に合格しているものについてはそれを書面審査等で省略をする、こういうようなことで両者の調整を図って、項目によるダブりのないような運用をしようということで、私どもの方と農産物検査の方の食糧庁と今項目の調整、やり方について検討している、その方向は今申し上げたようなことでございます。
#68
○上西委員 内容的に私のお尋ねしたことにお答えいただいているわけでありますが、二重チェックを完全に廃止して一元化しろとまでは申し上げませんが、ただいま局長お答えのように、内容的に、むだとは言いません、ダブる面を調整をし、そして、やはりせっかく法改正をやったら、若干の問題点はこの際あわせて解消し、そしてこの法の運用がスムーズにいくような配慮を各面でさらにいただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。
 次に、種苗法の方に移らせていただきます。
 私、寡聞にして知らなかったのでありますが、この種苗法が制定されてから、その後、ヨモギの新品種について特許法による特許が行われている、こう聞いておるのでありますが、その内容、その経過、現実、こうしたことについて少しく詳しく御説明をいただきたいと思います。
#69
○関谷政府委員 お尋ねのヨモギ特許案件でございますが、これは、五十二年二月、日本新薬株式会社から特許出願された「ヨモギ属に属する新植物」という案件でございます。
 その内容でございますが、出願公告によりますと、人為四倍体のクラムヨモギに自然に存在する六倍体のミブヨモギというものを交配して五倍体のヨモギをつくりまして、それが両親に比較しますと高いサントニン含有率を示し、高温多湿に強く、生育旺盛で挿し木増殖が可能だ、そういう新植物という出願公告になっております。
 これについてはいろいろ特許庁の方で審査をされまして、大分審査過程が長引いたわけでございます。その過程で農林水産省としましても、この特許の取り扱いが種苗法によります品種登録との関係がどうか、こういうようなことで検討してまいりまして、最終的には、特許庁と私どもの方の一つの検討の結果としまして、昨年の六月でございますけれども、この案件については――これは御承知のように種苗法のもとになっております国際条約、品種保護条約、いわゆるUPOV条約でございますが、そこで、一種の二重保護、同じ植物について二つの制度で保護するという権利保護的な育成者の保護をすることはしない、そういうような条項が条約にございまして、それとの関係がまず問題にされたわけでございます。これは特許庁と外務省と私どもの三者で協議しました結果、実はこの出願が五十二年の二月七日でございまして、UPOV条約に日本が加盟したのが五十七年の九月三日になっております。こういうことで、条約加盟前の出願であるということで、そういう加盟前の出願であれば、その扱いについては、加盟後の状態として見ても、これを特許の方でしましても今私の申し上げました二重保護の条項には抵触しない、こういう外務省方面の解釈も明確になりました。そういうことでございますので、このヨモギについては、簡単に言いますと、特許法上の審査に任せる、こういうことでいっても差し支えないという了解が六十年の六月に三省の間で、農林水産省、外務省それから通産省、具体的には特許庁の間で成立をいたしまして、それに即しまして六十年七月に特許査定がされた、こういうようなことでございまして、全体的には、UPOV条約の効力が発生する以前の出願であるということで、特許庁の判断によって処理された、こういうことでございます。
#70
○上西委員 経過はわかりました。
 ただ、このような特許が認められたとすれば、今後この法律に、それを所管する農林水産省と特許庁との関係にはいわゆる調整規定を設けるようなことは必要がないのか。こうしたことについては見解はいかがですか。
#71
○関谷政府委員 これは、農産種苗法が種苗法に改正されましたとき、さらにその後の今申し上げましたヨモギ案件の最終的な処理の決定の際に、特許庁との間では、植物品種については、特許要件に当てはめて考えた場合、これは新規性の問題とかいろいろございまして、それに当てはめて考えた場合、今後これに特許が与えられることは事実上まずない、そういう旨が法律制定当時も確認されたわけでございますが、ヨモギ案件の処理に際してもこの点がさらに確認をされました。
 こういうことで、今回、実は種苗法の改正も入っておりますので、この問題についても、法制局も含めて取り扱いについてさらに確認をしたわけでございますが、今お尋ねのような調整規定、これは要らないということで特許庁との間でも確認がされ、法制局もそういう考え方でいくということで調整規定を設けなかった、こういう経過でございます。
#72
○上西委員 それではちょっと私は不安が出てくるのです。というのは、今盛んにバイオテクノロジー、こういう言葉がもてはやされております。農林水産省の中にもこの種のことが今どんどん持ち込まれてお取り組みも始まっている。そうしますと、このバイオテクノロジー等の発達により、従来と全然異なった育種技術、方法、そうしたものによって生まれてくる開発された新品種、そうしたときに、この保護は一体どこでどう行うのか、今の局長のお答えでわかったような気もせぬでもないのですけれども、やはり不安なんですよ。特に、各省庁間でいろいろ縄張り意識とか、とやかく話題になるときでありますから、今申し上げたように、全く従来と変わった新しい育成技術で生まれてきた、あるいは開発された新品種の保護は一体どこでどうするのか、種苗法なのか、あるいはやはり特許法に持っていくのか、こういうことに一抹の不安といいますか疑問が残りますので、この辺についての見解を明らかにしていただきたいと思います。
#73
○関谷政府委員 これは従来の育種技術の問題の場合にはそういうことはなかったわけでございますが、先生お尋ねのように、特にバイオテクノロジー関係の技術が発展しまして、ある技術、ある素材でございますが、そういう素材を使いましたいわゆるやや工学的な手法で品種がつくられたりいたしますと、その技術なり素材の方が特許法の特許の対象にもちろんなる場合があります。そうしますと、そういう技術なり素材を使ってつくられた植物体まで特許請求の範囲に入りますと、それが特許査定によって権利が及ぶというようなことがそのままいけば出てくるわけでございます。それ自身が一つの問題になるわけでございまして、植物体ということになりますと、新品種であれば品種登録の保護の方の問題になってくるわけでございますが、まず条約上の二重保護という規定との関係がどうか、それから国内法的に見ましても、同じ新品種でありながらたまたまその育成の仕方が違ったために保護の態様が特許法と種苗法で違っているというのは非常に問題になる、そういう両面の問題がございまして、私どもはそういうものもやはり種苗法で保護すべきだという考え方を持っておりますけれども、これはまず国内的には特許法と種苗法との関係の問題。それからもう一つは、条約上、工業所有権の条約がございますし、それから新品種保護の条約もございます。国際的な問題にも既になっております。そういうことで、現在は、そういう新技術を用いましてできます品種の扱いについて、国内では私どもと外務省と特許庁との間で協議をずっと続けております。
 それから、特に問題になりますのは国際的な動向でございまして、これは工業所有権の方の条約の関係の会議、それから新品種保護の方の条約の会議で何回も何回も議論をされておりまして、まだ結論が出ておらないような状況でございます。それというのも、細胞融合とかDNA組みかえのような、ああいう関係の技術が高等植物の場合にまだどんなふうに実現するかがもう少し技術的にはっきりしない面もあるというふうに考えておりますが、いずれにしてもここははっきりしませんと、国内、国際的にも、工業的にも大変混乱が出てまいりますので、これからその辺を明確にするように、今申し上げましたような国際的な協議と国内的な協議、両面進めていきたいと思っております。
#74
○上西委員 局長のお答え、それなりに理解できるのです。ただ私がここで強調しておきたいのは、この種子法、種苗法改正について今議論しているのですが、種子に関し新しい品種が育成され、開発されたときに、それの所管といいますか、それはやはり農林水産省がすべきだ。これを基本的に置かないと、ただ条約だ何だということで特許とかなんとかとあっちこっちいくのじゃなくて、本当の基本は農林水産省なんだ、この原点を明確にして、そのことを主張しながらこの問題についてお取り組みいただかないと、何か開発、育成の過程が違うからということで農林水産の方から外れていくようなことになっては混乱が起こるし、将来に禍根を残す、こう思いますので、従来いろいろあったようでありますけれども、少なくとも種苗法でぴしっといく、こういう姿勢を堅持されることを重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。
 時間が残り少なくなってまいりました。ここで大臣にお尋ねしたいのであります。
 今回の法改正に伴って、ここ数年の本法に関する農林水産省の予算書を見てみますと、大変残念なことに漸減の一途をたどっている、こう言わざるを得ないのが現実に明らかになっている数字であります。片や、新しい時代に対応し、そして国際的競争力を高めようという大きな観点に立っての本法の改正が提案をされている。しかし、それを裏づける予算面は極めて乏しい。幾ら口で立派なことを言い、字句の表現でよいことになっても、裏づけるものが乏しければどうにもならないではないか。そのことを含めて私は羽田農林水産大臣に、今後どのような御所存、御見解、抱負をお持ちになってこの種子法、種苗法に対するお取り組みをお強めになっていくのか、その辺の基本的な見解を承りたい、こう考える次第です。
#75
○羽田国務大臣 これは漸減といいますか、確かに前年に比べますと多少実は減っておるというのは率直なところでございます。ただ、今お話がありましたように、種苗は農業生産における最も基礎的な農業生産資材であるということ、この認識は全く同様でございます。このため、優良な品種の開発を積極的に推進するとともに、従来からいわゆる生産、普及あるいは種苗の流通の適正化などに関する格段の施策を講じてきたということであります。
 この財政事情の厳しい中で予算が減っておるわけでありますけれども、しかし私どもといたしましても、これからの新しい要請に対してこたえるための、例えばバイオ等についても、芽を出すところはやはり芽を出していくということで対応してまいっておるところでありまして、これからも所要のものについてはきちんと確保するようにさらに努めていきたいと考えております。
#76
○上西委員 ちょっと予算の方にこだわって大臣お答えになりましたけれども、予算面はこうなっておりますが、基本的な種子法、種苗法に対する、例えばざっくばらんに言って、特許との関係などを含めてあと一言大臣から、ちょっと幅の広い御見解、お取り組みの、はっきり言えば抱負経綸を承りたい、こういうことであります。
#77
○羽田国務大臣 今、予算につきましてはそういうことでありまして、所要のものを確保するということで努めたいと思います。
 それと同時に、種子法並びに種苗法を御審議いただいておるというのは、前段で申し上げましたように、やはりこれからの日本の農業が、国際的にもこういった問題について非常に関心が高まり、しかもそういった研究が進められておるという中にあって、我が国農業というものが厳しい環境下の中にあってもこれから前進をするために、これからの新しい研究開発が望まれるわけでございます。そういう意味で、この種苗の開発に携わる立場の皆さん方もきちんと確保すると同時に、また、そういったものによって恩恵を受けるべき生産者の立場というものも、従来のものをずっと振り返りながら、そういったものが損なわれないように、そういった点を私たちは十分注意深く見守りながら、本当に農業のためになるんだというものを私たちは進めなければいけないと考えております。
#78
○上西委員 大変ありがたいお答えをいただきましたが、私もやはり、種子法、種苗法が日本農業の発展のために厳然たる立場を堅持し、かつ重きを加えていく、こういう方向に運用されますように、大臣以下農水省の高官の皆さん方の一層の御精励を心からお祈り申し上げ、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#79
○大石委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
#80
○大石委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。津川武一君。
#81
○津川委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 第一に、改正案は、大手化学メーカーで構成する日本化学工業協会の報告でも明らかなように、稲、麦の種子開発に進出している財界の要求に積極的にこたえたものであり、独占的大企業に新たな利潤追求の市場を提供するものであります。
 第二に、大企業の参入を認めることは、主要農作物種子の公共性を後退させるものです。それは主食を安定的に供給するという国の責任を大きく後退させ、国民食糧の供給を不安定にするものです。
 第三に、大企業は巨額の投資をして新品種開発を行うため、当然そのコストを回収することは明らかであり、結局農家は高い種子を買わされることになります。
 さらに、バイオテクなどの新技術を駆使することによって、種子と農薬、肥料とをセットで販売することも可能になります。既に国内の飼料穀物種子のほとんどが欧米の種子企業に握られていることからも、大企業による種子などの独占化につながるものであります。
 また、中林委員の指摘でも明らかなように、カーギル社などの海外企業の進出も可能にするものであります。
 今回の改正案は、民間活力導入の名のもとに、主食の分野まで大企業の参入を認めるものであり、種子行政を後退させるものと言わなければなりません。
 我が党は、主要農作物の重要性からいっても、国の責任において新品種開発に体系的に取り組み、農家に優良な種子を安定的に供給することが当然であると考えております。
 以上の点を指摘して、反対討論を終わります。
#82
○大石委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#83
○大石委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、参議院送付、主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#84
○大石委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#85
○大石委員長 この際、本案に対し、玉沢徳一郎君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。上西和郎君。
#86
○上西委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して、主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    主要農作物種子法及び種苗法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、優秀な新品種の育成と優良な種苗の生産、流通を確保することが農林水産業の振興の基本であることにかんがみ、本法の施行に当たっては、国及び都道府県の優良種苗の供給確保機能がいささかも低下することのないよう努めるとともに、左記事項の実現に遺憾なきを期すべきである。
     記
 一 主要農作物の原種又は原原種の生産は場及び指定種子は場の指定に当たっては、優良な種子生産を確保し得る厳格な指定基準を定めるとともに、民間事業者を含めた適正な採種計画に基づく指定が行えるよう必要な措置を講ずること。
 二 奨励品種制度が農業者に対する優良品種の普及奨励に果たす役割の重要性にかんがみ、今後とも本制度を堅持しつつ、その運用に当たっては、農産物需要の多様化の進展動向に弾力的に対応し得るよう奨励品種決定基準及び奨励品種決定審査会のあり方を改善すること。
 三 主要農作物の種予価格については、種予価格の変動により種子生産農家の生産意欲及び一般農家の種子更新意欲が損なわれることのないよう適正価格の実現に万全を期すること。
 四 主要農作物種子の流通の適正化を確保するため、農業者が品種の特性、栽培適地等の識別を的確に行えるよう表示基準を早急に定め、その厳正な運用に努めること。
 五 品種登録制度の運用に当たっては、出願品種の増加及び多様化に対応した適切かつ迅速な審査が行えるよう人員、施設等審査体制の一層の充実を図ること。
  また、バイオテクノロジー等の技術開発により創出される新品種の保護については、農林水産業の振興を図ることを基本として適切に対応すること。
 右決議する。
 以上の附帯決議案の内容につきましては、質疑の過程等を通じて委員各位の十分御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
#87
○大石委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 玉沢徳一郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#88
○大石委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。羽田農林水産大臣。
#89
○羽田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
     ――――◇―――――
#90
○大石委員長 次に、参議院提出、外国人漁業の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。参議院農林水産委員長成相善十君。
    ―――――――――――――
 外国人漁業の規制に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#91
○成相参議院議員 ただいま議題となりました外国人漁業の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 近年、二百海里体制の定着に伴いまして、我が国の遠洋漁業をめぐる情勢には極めて厳しいものがあること等から、国民の食生活の安定を確保する上で、沿岸漁業及び沖合漁業の振興が重要な課題となっております。
 しかるに、近年、我が国の近海には、外国漁船の進出が著しく、領海内での不法操業等外国人漁業の規制に関する法律の違反が多発しており、我が国漁業の正常な秩序の維持のため、関係者からその発生防止を強く要請されているところであります。
 外国人が、我が国の領海内において漁業または水産動植物の採捕を行った場合には、同法により、三年以下の懲役または二十万円以下の罰金等に処することといたしておりますが、その罰金の額は、昭和四十二年の法制定以来据え置かれてきております。
 しかしながら、この間、物価上昇等経済事情は著しく変動しており、同法の罰金の額は、現在の経済事情等に必ずしも適合したものとなっておらず、抑止力として十分であるとは言いがたい状況にあります。
 また、近隣諸国における外国漁船の違反操業に関する罰金の額も高額化しており、同法の罰金の額は、国際漁業情勢にも対応したものとなっておりません。
 この法律案の内容は、このような情勢を勘案し、外国人漁業の規制に関する法律に規定する罰金の多額を現行の二十万円から四百万円に改定しようとするものであります。
 以上がこの法律案の提案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
#92
○大石委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#93
○大石委員長 本案に対しましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 参議院提出、外国人漁業の規制に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#94
○大石委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#95
○大石委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#96
○大石委員長 次回は、来る二十一日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト