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1985/04/10 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第11号
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1985/04/10 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第11号

#1
第104回国会 社会労働委員会 第11号
昭和六十一年四月十日(木曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 山崎  拓君
   理事 稲垣 実男君 理事 小沢 辰男君
   理事 高橋 辰夫君 理事 浜田卓二郎君
   理事 池端 清一君 理事 村山 富市君
   理事 大橋 敏雄君 理事 塩田  晋君
      愛知 和男君    伊吹 文明君
      稲村 利幸君    古賀  誠君
      斉藤滋与史君    自見庄三郎君
      谷垣 禎一君    友納 武人君
      長野 祐也君    野呂 昭彦君
      浜野  剛君    箕輪  登君
      網岡  雄君    金子 みつ君
      河野  正君    竹村 泰子君
      中村 重光君    永井 孝信君
      森井 忠良君    沼川 洋一君
      橋本 文彦君    福岡 康夫君
      古川 雅司君    森田 景一君
      森本 晃司君    伊藤 昌弘君
      塚田 延充君    浦井  洋君
      小沢 和秋君    江田 五月君
      菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 今井  勇君
 出席政府委員
        外務大臣官房審
        議官      福田  博君
        厚生省保健医療
        局長      仲村 英一君
        厚生省生活衛生 
        局長      北川 定謙君
        厚生省社会局長 小島 弘仲君
        厚生省年金局長 吉原 健二君
        厚生省援護局長 水田  努君
 委員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参事官    杉浦  力君
        総務庁恩給局恩
        給問題審議室長 鳥山 郁男君
        科学技術庁原子
        力安全局原子力
        安全課長    堀内 純夫君
        外務大臣官房審
        議官      林  貞行君
        外務省アジア局
        中国課長    槇田 邦彦君
        文部省教育助成
        局海外子女教育
        室長      牛尾 郁夫君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 矢田貝寛文君
        社会労働委員会
        調査室長    石川 正暉君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十日
辞任          補欠選任
  永井 孝信君     中村 重光君
  橋本 文彦君     福岡 康夫君
  森田 景一君     古川 雅司君
  菅  直人君     江田 五月君
同日
 辞任         補欠選任
  中村 重光君     永井 孝信君
  福岡 康夫君     橋本 文彦君
  古川 雅司君     森田 景一君
  江田 五月君     菅  直人君
    ―――――――――――――
四月九日
 国民の医療と福祉の充実に関する請願(工藤晃
 君紹介)(第二八三六号)
 同(松本善明君紹介)(第二八三七号)
 国立療養所静澄病院と国立津病院の統廃合反対
 等に関する請願(伊藤忠治君紹介)(第二八三
 八号)
 老人医療への定率自己負担導入反対等に関する
 請願(大久保直彦君紹介)(第二八三九号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第三〇〇〇号)
 建設国民健康保険組合の改善に関する請願(森
 井忠良君紹介)(第二八四〇号)
 老人保健法改悪反対等に関する請願(浦井洋君
 紹介)(第二八四一号)
 同(小沢和秋君紹介)(第二八四二号)
 同(大久保直彦君紹介)(第二八四三号)
 同(岡崎万寿秀君紹介)(第二八四四号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第二八四五号)
 同(中林佳子君紹介)(第二八四六号)
 同(東中光雄君紹介)(第二八四七号)
 同(不破哲三君紹介)(第二八四八号)
 同(山原健二郎君紹介)(第二八四九号)
 同(不破哲三君紹介)(第二九四四号)
 同外三件(柴田睦夫君紹介)(第三〇〇六号)
 同(田並胤明君紹介)(第三〇〇七号)
 同(高沢寅男君紹介)(第三〇〇八号)
 同(山花貞夫君紹介)(第三〇〇九号)
 老人保健法等の一部を改正する法律案に関する
 請願(北口博君紹介)(第二八五〇号)
 同(浜田卓二郎君紹介)(第二八五一号)
 同(松野頼三君紹介)(第二九四五号)
 同(大西正男君紹介)(第三〇一〇号)
 老人保健法改善等に関する請願(大久保直彦君
 紹介)(第二八五二号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第三〇一一号)
 同(田中美智子君紹介)(第三〇一二号)
 同(高沢寅男君紹介)(第三〇一三号)
 東京都の国立病院・療養所の統廃合反対等に関
 する請願(大久保直彦君紹介)(第二八五三
 号)
 公共事業による失業対策推進等に関する請願
 (中林佳子君紹介)(第二八五四号)
 同(宮崎角治君紹介)(第二八五五号)
 同(伏屋修治君紹介)(第二八五六号)
 同(浦井洋君紹介)(第三〇一四号)
 広島県の国立病院・療養所の統廃合反対等に関
 する請願(大原亨君紹介)(第二八五七号)
 高齢者の生活保障等に関する請願(正森成二君
 紹介)(第二八五八号)
 国立腎センター設立に関する請願(臼井日出男
 君紹介)(第二八五九号)
 同(友納武人君紹介)(第二八六〇号)
 同(永江一仁君紹介)(第二八六一号)
 同(山本幸雄君紹介)(第三〇一六号)
 原子爆弾被爆者等の援護法制定に関する請願
 (有島重武君紹介)(第二八六二号)
 同(市川雄一君紹介)(第二八六三号)
 同(遠藤和良君紹介)(第二八六四号)
 同(薮仲義彦君紹介)(第二八六五号)
 老人保健法の医療費拠出金の加入者按(あん)
 分率に関する請願(小平忠君紹介)(第二八六
 六号)
 同(清水勇君紹介)(第二八六七号) 
 同(米沢隆君紹介)(第二八六八号)
 同(伊藤昌弘君紹介)(第二九四六号)
 同(野口幸一君紹介)(第三〇一七号)
 国立病院及び療養所の統廃合反対等に関する請
 願(天野等君紹介)(第二八六九号)
 同(五十嵐広三君紹介)(第二八七〇号)
 同(井上泉君紹介)(第二八七一号)
 同(井上普方君紹介)(第二八七二号)
 同(伊藤茂君紹介)(第二八七三号)
 同(伊藤忠治君紹介)(第二八七四号)
 同(石橋政嗣君紹介)(第二八七五号)
 同(小川仁一君紹介)(第二八七六号)
 同(小澤克介君紹介)(第二八七七号)
 同(大原亨君紹介)(第二八七八号)
 同(岡田利春君紹介)(第二八七九号)
 同(岡田春夫君紹介)(第二八八〇号)
 同(上西和郎君紹介)(第二八八一号)
 同(川崎寛治君紹介)(第二八八二号)
 同(河野正君紹介)(第二八八三号)
 同(木島喜兵衛君紹介)(第二八八四号)
 同(木間章君紹介)(第二八八五号)
 同(串原義直君紹介)(第二八八六号)
 同(小林進君紹介)(第二八八七号)
 同(小林恒人君紹介)(第二八八八号)
 同(兒玉末男君紹介)(第二八八九号)
 同(島田琢郎君紹介)(第二八九〇号)
 同(清水勇君紹介)(第二八九一号)
 同(新村源雄君紹介)(第二八九二号)
 同(関晴正君紹介)(第二八九三号)
 同(田中恒利君紹介)(第二八九四号)
 同(田並胤明君紹介)(第二八九五号)
 同(多賀谷眞稔君紹介)(第二八九六号)
 同(竹内猛君紹介)(第二八九七号)
 同(竹村泰子君紹介)(第二八九八号)
 同(武部文君紹介)(第二八九九号)
 同(戸田菊雄君紹介)(第二九〇〇号)
 同(中西績介君紹介)(第二九〇一号)
 同(中村茂君紹介)(第二九〇二号)
 同(浜西鉄雄君紹介)(第二九〇三号)
 同(日野市朗君紹介)(第二九〇四号)
 同(藤田高敏君紹介)(第二九〇五号)
 同(細谷治嘉君紹介)(第二九〇六号)
 同(前川旦君紹介)(第二九〇七号)
 同(松浦利尚君紹介)(第二九〇八号)
 同(水田稔君紹介)(第二九〇九号)
 同(武藤山治君紹介)(第二九一〇号)
 同(村山喜一君紹介)(第二九一一号)
 同(元信堯君紹介)(第二九一二号)
 同(森井忠良君紹介)(第二九一三号)
 同(八木昇君紹介)(第二九一四号)
 同(矢山有作君紹介)(第二九一五号)
 同(安井吉典君紹介)(第二九一六号)
 同(安田修三君紹介)(第二九一七号)
 同(山下八洲夫君紹介)(第二九一八号)
 同(横山利秋君紹介)(第二九一九号)
 同(渡部行雄君紹介)(第二九二〇号)
 同(渡辺三郎君紹介)(第二九二一号)
 同外一件(浦井洋君紹介)(第三〇一八号)
 老人医療費の患者負担増大反対等に関する請願
 外一件(玉置一弥君紹介)(第二九四三号)
 同(浦井洋君紹介)(第二九九六号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第二九九七号)
 同(高沢寅男君紹介)(第二九九八号)
 医療・福祉の改善等に関する請願(柴田睦夫君
 紹介)(第二九九五号)
 老人医療の患者負担増額反対等に関する請願外
 二件(田中美智子君紹介)(第二九九九号)
 老人保健制度の改悪反対等に関する請願(浦井
 洋君紹介)(第三〇〇一号)
 老人医療の無料化制度復活等に関する請願外一
 件(柴田睦夫君紹介)(第三〇〇二号)
 同(辻第一君紹介)(第三〇〇三号)
 同(林百郎君紹介)(第三〇〇四号)
 母子保健水準の維持発展に関する請願(愛知和
 男君紹介)(第三〇〇五号)
 看護婦の夜勤日数制限等に関する請願外一件
 (浦井洋君紹介)(第三〇一五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第三三号)
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)
 原子爆弾被爆者等援護法案(森井忠良君外十三
 名提出、衆法第五号)
     ――――◇―――――
#2
○山崎委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森本晃司君。
#3
○森本委員 私は、まず中国残留日本人孤児の問題について数点お伺いしたいと思う次第でございます。
 まず、日本人孤児の肉親調査につきましては、厚生省を初めいろいろ関係各位の皆さんに御尽力いただき、またお骨折りをいただいておるわけでございますけれども、まず現況をお伺いしたいと思います。
#4
○水田政府委員 日中双方で確認をいたしております孤児の数は、現在二千百三十五名でございます。このうち既に身元が判明いたしております者が九百四十一名、それから訪日調査を行ったにもかかわらず身元が判明しなかった者が四百九十四名となっております。六十一年度には残る七百人全部を日本に迎えて訪日調査を概了させることにいたしております。
 なお、日中国交正常化以後今日まで日本に永住帰国いたしております孤児は二百七十二名でございます。
#5
○森本委員 今の御答弁いただきました中に、六十一年度の訪日孤児というのは七百人が予定されている、非常に数多くの人数でございます。この訪日者数の増加によって一人当たりの調査時間が一層少なくなるというふうに考えられるわけでございます。今日までの調査の中でもいよいよ帰国寸前になりまして涙の対面ということがテレビでよく報道されているところでございますが、日にちが数多くあればそれでいいというものではございませんけれども、今日までの十二日間の滞在期間ではやはり非常に日数が少ないと考えられるわけでございます。しかも今度の七百人という場合を考えたときに、滞在期間を十五日あるいはまた二十日間と日を延ばしていく考え方があるかどうかお伺いしたいと思います。
#6
○水田政府委員 確かに、先生御指摘のとおり、人数がふえますので、一人当たりの調査時間の面、それから関係の向きからは、やはり一日でも長い方がそれだけ関係の肉親の申し出をする期間が長引くので延長すべきではないかという声がございますので、私ども十二日を十五日に延長するようにということを強く今外交ルートを通じて中国側にお願いをいたしておりまして、その点につきましては、私どもおおよそ中国側から要望にこたえてもらえるのではないかと強い期待を持っておるところでございます。
#7
○森本委員 外務省、お見えいただいておりますでしょうか。――外務省の感触として、あるいは要望として、姿勢としていかがでございますか。
#8
○槇田説明員 外務省といたしましても、訪日調査の期間ができるだけ長く確保されまして調査が十分に行われるようになることが望ましいという基本的な立場を厚生省と一にいたしております。厚生省の方としても予算の問題とかいろいろあると思うのでございます。また、委員が先ほど御指摘になりましたように、長ければ長いほどいいということではないかもしれませんが、基本的には十分な調査が行われるということが重要であると考えておりますので、私どもといたしましても、中国側とこの点について協議をする際には十分関係の方々の御要望等を踏まえながら進めていきたい、こう考えておるわけでございます。
#9
○森本委員 ぜひ厚生省、外務省、呼吸を合わせていただきまして、中国側に期日延長十五日までというふうに要望していただき、また、それが実現するように御尽力を賜りたいと思うわけでございます。
 次に、肉親調査の判明率がだんだん低下してきておるわけでございますけれども、未判明者については中国に帰られても今後調査を続けていかれるかどうか、身元判明の努力に尽くす姿勢を厚生省は今後続けられるかどうかということについてお伺いしたいと思います。
#10
○水田政府委員 私ども、その点につきましては大臣の強い御指示がございまして、未判明で帰られた孤児につきましても引き続き継続して追跡調査をするという強い決意で当たっているわけでございまして、その具体的な方法といたしまして、一つは、コンピューターを使いましての追跡調査のシステムを完成したわけでございます。内容的には、これまで未判明になった孤児の方の手がかり資料と、それから肉親の方から捜してくれという申し出が出ておりますので、その具体的な資料両方をインプットしましてコンピューターで検索をするというシステムを半年がかりで完成をさせまして、四月から稼動させ、スイッチオンを大臣につい先日やっていただいたところでございまして、これをフルに活用してやってまいりたいという点が一点でございます。
 それから二点目は、未判明孤児の四人に一人が複数の養父母の間を渡り歩いているということで非常に手がかりに乏しいという面がございますので、昨年の十二月に中国の公安部の方に外交ルートを通じて、中国政府の方で孤児と認定したその資料を提供してもらえればさらにまた肉親捜しの上に寄与するのではないかということでお願いをすると同時に、その資料入手の督促をするために東北三省につい三月係官を派遣して重ねて要請をしてまいったところでございまして、そういう資料が入手できればさらに未判明の方の肉親の割り出しができるのではないかと思っております。
 それから第三点としましては、援護局の調査マンはことし七百人参りますので全部そちらに投入いたしますが、ことしを過ぎますと大きな山を越しますので、六十二年度からは地方に出しまして、国内の開拓団の関係者その他からさらに手がかりの掘り起こしをやるというようなことで、私ども、一人でも多くの肉親が判明するように今後とも引き続き最大限の努力をしてまいるつもりでおります。
#11
○森本委員 調査として今度の七百名でほとんど終わってしまうという感じでございますけれども、どうか引き続き身元判明の努力をお願いしたいと思います。
 次に、身元未判明孤児に帰国の道が開かれまして、六十一年度ぐらいから非常に大量帰国が見込まれるわけでございますが、残留孤児問題は今日までの身元捜し時代からむしろ大量帰国時代に入ったというふうにも言われております。
 そこで、厚生省は帰国希望者がどれほどおられるかということをある程度把握しておられるかどうか。また、日本語の習得、住宅入居、就労問題など多くの問題を抱えておるわけでございますけれども、こういったことに対する受け入れ態勢は万全かどうかお伺いしたいと思います。
#12
○水田政府委員 現在既に二百七十二名の孤児が帰ってきておられまして、具体的に厚生省の方に帰国するので旅費の申請の手続をとっておられる方が現在百六十名ございます。この百六十名のうち、未判明孤児が大宗を占める百三十二名になっております。
 これらの方が日本に帰られた場合、日本社会に適応していくためにはそれなりの準備が必要になりますので、御案内のとおり所沢に定着促進センターというのがございますが、この大量帰国時代に向けて若干収容能力がございませんので、本年度の予算でそれを倍増するということをやっております。それを中心にフルに回転させながら、そこで初歩的な日本語の勉強あるいは日本の社会生活への適応の訓練をさせる、それで落ちつき先に卒業後振り向けるということになるわけでございますが、私どもとしましては、本年度から労働省の全面的な御協力を得まして、所沢のセンターに入所中から職業の指導あるいは個別の就職相談等を専門家の労働省の方でやっていただく。それでセンター入所中に就職の決まる者は決まる、決まらなくても求人申し込みは既にして落ちつき先の職安にその求人票を送っていただくということで、私どもはさらに厚生省が委嘱しております生活指導員にそういうことも十分連絡しまして、自立へ向けての体制づくりに全力を挙げてまいりたい、このように思っております。
#13
○森本委員 先般私たちも定着促進センターを視察させていただきました。そこで特に日本語の習得については非常に少人数で担当の先生方が一生懸命教えてくださっている姿に私は大変感銘をした次第でございますが、やはり、今ちょっと御答弁の中にもありましたように、定着促進センターを出た後の落ちつき先というのが非常に大きな問題になってくるのではないかと思うのです。
 そこで、現況は都道府県によっていろいろと受け入れ態勢が異なっていることも事実でございます。同時にまた、実生活に即した相談をきめ細かにやってあげないと、孤児たちが日本の生活習慣になれ切れずに、また言葉の障害等々がありまして、中には就職問題を含めて今度は家庭の中に大きな亀裂が及んでいくということも考えられるわけでございます。したがって、全国同レベルにそういった相談が受けられるようにいろいろと配慮をお願いしたい。早めに、センターにおられるときに住宅入居や就労がスムーズにいくように地方自治体との連携を特に密にしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#14
○水田政府委員 いずれも先生御指摘のとおりであると私ども考えております。都道府県の孤児に対する定着促進の取り組みというのは御指摘のとおりばらつきがあるわけで、これが全部足並みをそろえた態勢をとらせることは最も重要であると考えておるわけでございまして、そのためには都道府県が行うべき仕事、それから、都道府県知事が委嘱してその手足となって動いてくれる生活指導員の業務内容を明確化する。こういうことをしていきますと、かなり関係都道府県の業務の進め方が均一化が図れるわけでございまして、三月二十四日に援護の主管課長会議を招集いたしまして、その席で今申し上げました定着化の取り組みについての具体的な取り組み方を指示しまして、ばらつきがないように強く指示したところでございます。
 それから、先生が御指摘のように、センターにいるうちから早目早目の施策を講ずべきだというのは御指摘のとおりでございますので、センターに四カ月いるわけでございますが、その三カ月目に入ったところで落ちつき先の都道府県にこういう孤児世帯が帰るぞという連絡をしてやり、県はそこですぐに担当する生活指導員を決めていただきまして、孤児が戻ってくるまでの間に公営住宅その他の住宅の確保をする、あるいは子供の就学の手続をとらせる等の受け入れの準備をするように、本年度からそういう態勢をとるように強く指示をいたしましたので、私どもばらつきというものは相当程度に解消ができるものと考えておるわけでございます。
#15
○森本委員 一番問題になっているのは、やはり日本語の習得という面でございますが、促進センターに伺いましたときに、子供たちが、これは非常にスムーズに日本語を習得することができていたわけでございますが、大人の方はなかなかそうはいかないという状況下であります。
 先般もテレビで、四十数歳の人が一たん社会に出たけれども、結局日本語習得が不十分である、そこで生活になじめないということで、自分の受け入れ先から離れて東京で生活をして、そこで日本語のスクールに通っておられる、その人の状況が報道されておりましたけれども、交通費もすべて自己負担であるという状況から、とても養父母等々に物を送ったりすることのできる状況ではないというのが報じられておりました。
 そこで、日本語習得に当たりましては中国語に堪能な民間の人の知恵をおかりする。ボランティア、臨時講師の方にいろいろとお願いして活用し、そして教師の巡回派遣等々を考えるなど、その部分については前向きに取り組んでいかなければならないと思いますが、この日本語習得に当たる厚生省、文部省の考え方をお伺いしたいと思うわけでございます。民間のボランティアの人たちの力をどう活用していくかということについて御回答願います。
#16
○水田政府委員 所沢のセンターで四カ月間、四百五十時間、初歩的な勉強としては、通常の外人の日本語を勉強する場合のほぼ二倍ぐらいの密度でやっているわけでございますが、社会生活の中で言葉をやる場合に、自分でしゃべるのと相手方の言うのを聞き取るのと両面ありまして、所沢のセンターを卒業して地方に行きますと、所沢のセンターで習ったのは全部標準語でございまして、地方に行きますとまず方言にみんな戸惑ってしまうわけなんです。ここで挫折するかどうかが非常に重要な点でございまして、私どもは、そこを乗り越えて職場で実践的に日本語を体で覚えていくことがどうしても大事なんだということを言っておりまして、先生御指摘のように、その上で堪能な人が補講をしてやる。これは非常に相乗効果があるわけでございますので、生活指導員の月四回、本年度からそれを三回ふやしまして、その三回分を、先生が今御指摘のような方を生活指導員として任命しまして、日本語の課程なり、あるいは数の多いところでございましたら日本語教室という形で夜間集めて補講をして実践的な日本語を身につけていただく、そういう方策を私ども本年度から積極的に取り入れさせていただきたい、このように考えているわけでございます。
#17
○牛尾説明員 中国からの引き揚げに伴いまして学校に受け入れられている帰国子女の日本語習得の問題でございますけれども、現在、全国各地の学校におよそ二千名ほどの中国引揚者の子女が在籍をしているわけでございます。こうした子供たちの指導に当たりまして、学校でそれぞれ努力をしているわけでございますけれども、効果的に行いますためには、御指摘のように中国語を理解できる教員がこれに当たるということが一番望ましいことであるというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、正規の教員としてそうしたことのできる教員を確保するというのは大変難しい問題でございますので、当面の現実的な方策といたしましては、ただいま御指摘のありましたように、民間に中国語の理解できるボランティアの方々がたくさんおられるわけでございますから、そういう方々の中から適当な方を学校に非常勤講師のような形でお迎えをして、学校における指導について御協力をいただく。そうした形で進めてまいりたいと考えているわけでございまして、本年度の予算におきましてもそうしたことができるような措置がなされておりますので、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#18
○森本委員 大臣に決意をお伺いしたいわけでございますけれども、中国残留日本人孤児の肉親調査を今後ともより積極的に進めていただきたいということともに、帰国を希望する孤児の受け入れ、また定着促進に向けての大臣の決意をお伺いしたい。
#19
○今井国務大臣 先ほどから政府委員が御答弁申し上げましたが、中国残留日本人孤児の問題というのは、これは人道上の問題でございまして、その早期解決に向かいまして、政府だけじゃなくて国民も全力を挙げて取り組んでいかなければならない問題だと考えております。
 そのため、肉親捜しを一日も早く進めるために、六十一年度は残りました七百人、今わかっております七百人の方々の訪日調査を一挙に進めましてこれを概了するということにしておりますほか、中国帰国孤児の定着促進センターを拡充いたしまして、受け入れ能力を倍増するというふうにして受け入れの態勢の整備を図っているところでございます。
 さらに、何といいましても、こういった方々が地域社会になじんで自立していただくことが極めて大事でございますから、今、先生からお話がありましたような生活指導あるいは日本語の指導というものも充実強化をして、同時に関係各省の御協力を得ながら就職、住宅、それから子供さんの教育、そういったいろいろの問題が総合的に進められるように私は最大限の努力をいたしておるつもりでございます。
#20
○森本委員 中国残留孤児へのさらなる調査、また、定着促進のための御尽力をお願いしたい。
 同時に今度は、日本人孤児の身元が判明して、その孤児たちが日本へ帰ってくる、あるいはまた未判明孤児も多く日本へ帰ってくるわけでございますけれども、ここにまた一つの新たな問題が今起きている。それは、敵国の子供であります我が日本人孤児を引き取って一生懸命育ててくださった養父母の人たちに対する問題がこれから大きな問題にもなってくると思いますし、これがまた、日本人というのはどれほど良識を持っているのかと、一生懸命育ててくださった人の心の中に残っていく問題でございます。日本人孤児が判明するとともに、今度はまた新しい別離が始まるということでございます。
 先般、NHKで「二つの祖国」というテレビが放映されておりました。大臣も見ていただいたのじゃないかと思っておりますけれども、そこで、徳をもって怨に報ずる、以徳報怨が中国の一つの言葉であって、侵略者の日本人の子供を我が子のように育ててきた。同時に、中国では老後の親の面倒は子供が見るという家族制度にある。ところが、その子供が日本へ帰ってしまって、そして一生懸命親に仕送りをされている方もありますけれども、実際は自分の生活で精いっぱいだ。大半が生活保護を受けておられる。親にいろいろなことをしたいけれども、実際はなかなかできない。テレビの中でも年老いた養母が盛んに憤っておったのが私に非常に印象的でした。マイクを向けられても、何が取材だと言って怒っておられたし、それから、息子はお金を送ってこない、日本人には良心がない、日本人はみんなそうだというふうに、その激怒の模様がテレビで放映されておりました。インタビューしている人が、日本政府に何か要望はというインタビューをやりましたら、その養母さんが、何を言ってもむだだ、私は何を食べ、何をして生きていけばいいのかというふうに涙ながらに怒っておられた姿は、私も非常に鮮明に残っているわけでございます。
 だんだんそういった養父母の皆さんが年をとって動けなくなる。五十九年三月に日中両国政府で口上書が交わされて、もう既に二年たっているわけでございますけれども、その口上書の中で、日本政府が責任を持つということが確認されているわけでございます。今日までいろいろと努力はいただいているだろうと思いますけれども、具体的な問題は何一つできていないと思うわけでございます。こういった養父母に対する恩に報いていくということは早急に解決しなければならない問題であると私は思いますけれども、厚生省の考え方、それから外務省は、外交上のいろいろな問題点がありますけれども、いつまでもこのままにしてほっておくというわけにはいかないと思うのですが、いかがでしょう。
#21
○今井国務大臣 まず私から、養父母に対します扶養費支払いの早期解決についての基本的なただいまの考え方を申し上げたいと思います。
 先生おっしゃいますように、養父母に対します扶養費の問題については、一日も早く解決しなければならぬ極めて大事な問題だというふうに私も考えております。
 そこで、実は明十一日から始まります日中の定期外相会談におきましてこの問題を議題として取り上げて、早期解決に向かって協議していただくように先日私から安倍外務大臣に直接お願いをいたしました。そうしたら、わかったというお話でございまして、この問題をお取り上げいただくようでございますが、とにかく孤児問題の所管大臣といたしまして一日も早くこの支払いが開始できるように最善の努力をいたしたい、このように思っておるところでございまして、詳細につきましては後ほどまた政府委員の方からも答弁させますが、そんな決意でおりますことをまず申し上げておきたいと思います。
#22
○水田政府委員 先生御指摘のとおり、五十九年三月十七日に両国間で口上書を交換いたしまして、扶養費の額、支払い期間、それから支払いの方法は別途外交ルートを通じて協議するということに相なりまして、この間二年を経過したわけでございますが、その間、厚生省並びに外務省、手をこまねいていたわけでございませんで、五十九年五月、六十年二月及び五月、本年の二月の四回にわたりまして私ども厚生省の担当課長を差し向けまして、誠心誠意交渉をしてまいったところでございまして、最後の大詰めのところに参っておるというふうに認識をいたしておりますが、今後とも、外務省と協議しながら、大臣の御指示のとおりに一日も早く解決するということで文字どおり全力投球をさせていただくつもりでおります。
#23
○槇田説明員 委員御指摘の問題につきましては、外務省といたしましてもこれは本当に早く解決をしなければならない問題であると考えておりまして、従来、確かに口上書の交換によりまして基本的な枠組みについて了解ができましてから時日がたち過ぎるじゃないかというお考えももちろんおありだろうと思うのでございます。私どもも、これは中国との話し合いによって了解に達する話なものでございますから、実施細目についての協議を続けてきておるわけでございまして、今後とも続けていかなければならないし、早く解決をしなければならない。ただ、もちろん私どもこの話をする場合にお金で解決すればいいという考えを持っているわけでは決してないわけでございます。もっと心の問題であるという感じがいたしますので、そこのところは、私ども政府挙げまして誠意を持って中国側と話をしてきておるということで御理解をお願いしたいと思います。
#24
○森本委員 十一日に安倍外務大臣が中国と話し合われるときに厚生大臣から強い要請を合していただいたと伺っておりまして、一日も早くこの問題が解決していかなければならない大きな課題であり、日本人が信義を守るかどうかということを問われる問題にもなっていくかと私も思います。また、今外務省の方からお答えいただきましたけれども、私もこれは単に金額の問題ではなくして、本当に孤児を我が子のように育ててくださったあの大きな心の中国の人たちに私たちがどれだけの真心でこたえていくことができるかという問題だと思うのです。
 私の友人に奈良県で中華料理店を今経営している中国孤児の方がいらっしゃるわけでございます。この方は日中国交回復前に日本へ帰ってきたものですから、今の孤児の皆さんほどの温かい指導や手当がなかったわけでございますけれども、その中で一生懸命中華料理の店を経営して頑張っておられる。私もよくその店へ行くわけですけれども、その方がいつも言っておられることは、私もいろいろ外交上の問題があって扶養費をどうするかという問題は非常に難しい問題だと話しするわけでございますけれども、そんな難しいこともさることながら、これは解決してもらわなければならないけれども、日本にはお中元やお歳暮という考え方がある、それは中国にも同様なものがあるんだから、せめてそれくらいの気持ちのものを何とかできないだろうかと、行けばいつも声を大にして私に訴えられる。日本人の真心は一体何なのですかというふうにその人から問われるたびに、私も胸の痛む思いでございます。そういった扶養費の問題を全部一挙に解決するということもさることながら、それまでの間、何らかの形での真心が通じていくという方策を講じていただきたい。
 また同時に、養父母を日本へお迎えすると申し上げましても、その養父母の人を日本へ迎えるだけの状況、極めて困難である。黒竜江省だけでもこの前は三十五人の人が要望したけれども、実際は九名の人しか帰れなかったという状況でございます。こういった養父母の方々を一時日本へ迎えることについても、また十一日に私も多大の期待をしておるわけでございますけれども、同時にまず真心の御礼をしなければならない、このことを大臣にさらに強くお願いしておきたい、こう思う次第でございますが、大臣、いかがでございましょうか。
#25
○今井国務大臣 先生の今おっしゃいました意味、よくわかりますので、私どもも精いっぱいの努力をさしていただきたいと思います。
#26
○森本委員 次に、中国残留孤児だけではなしに、朝鮮民主主義人民共和国にも戦時中死亡扱いをした人が千三百六十人いらっしゃるというふうに聞いておりますけれども、当時の状況を考えますと、中国残留孤児の皆さんと同じケースの人たちが相当いると思うのです。国交の問題も、両国に国交がないという障壁はありますけれども、厚生省として残留邦人の実態をどのように把握されているのか、また国交がないということであれば赤十字ルートを通じて実現できないかということをお尋ねしたいと思います。
#27
○水田政府委員 北朝鮮の未帰還者は現在八十三名というふうに把握をいたしております。そのほかに留守家族の同意を得て戦時死亡宣告の処理をいたしたものが、先生の御指摘のとおり千三百六十名と相なっております。
 これらの方についての肉親捜しというものは、過去日赤ルートを通じまして三十五年、四十九年に行いました。また、五十三年に国会議員の代表団が行かれたときにも託しまして、消息調査をしていただいたのでございますが、いずれのケースの場合も回答に接しておりません。実は昨年の暮れに名古屋の方面から北朝鮮が従来の姿勢と若干変わってきているのではないかという情報がございましたので、私ども早速日赤の外事部と相談をいたしまして、従来の方式を改めて、つい最近まで日本にいる家族と文通をしておられる五名の人に限定をしまして、住所もわかっておられますので、日赤のルートを通じてその五名の方と日本にいる家族の方との再会をぜひ実現するように力をかしてほしいということを北朝鮮の紅十字会あてにお願いいたしておりまして、その再会の方法は、日本に来ていただいてもよし、日本から北朝鮮に訪れてもよし、いずれにしても北朝鮮がよしとする方法で人道上の立場から何とか実現させてほしいという新しい形での働きかけをいたしております。残念ながら現在までまだこれと接しておりませんが、この小さいパイプを何とか実現させれば、そこからまたおのずと道が開けていくのではないかということで、近くまた日赤を通じて紅十字会の方に督促をしていただくつもりにいたしている段階でございます。
#28
○森本委員 今国交がない国でございますけれども、今御回答いただきましたように、一つの小さな問題から突破口を開いていただいて、そしてその再会が実現でき、そしてまたそれが大きな太いパイプになっていくようにぜひ御尽力を賜りたいとお願いをしておきます。
 次に、戦没者遺児のための記念館について質問をさせていただきたいのでございます。
 私もおやじを戦争で亡くした一人でございますので、この遺児記念館をぜひ建てて、しかもこの建物が今後世界平和のために貢献できるような建物であっていただきたい、今一日千秋の思いでおるわけでございますけれども、遺児記念館構想について大臣にお伺いしたいと思うわけでございます。
 現在、大臣の私的諮問機関としての懇談会で基本構想がまとまっていると伺いますが、メンバーの構成、そしてその経過をお伺いしたいと思うのです。
#29
○水田政府委員 御案内のとおり、日本遺族会の方から報告書が提出されたのを受けまして、昨年から厚生大臣の私的諮問機関としまして御指摘の座談会をスタートさせておりますが、構成メンバーは、元東大学長の向坊先生を座長にしまして八名で構成いたしております。京都大学の先生をしておられました猪木先生でありますとか、内閣の副官房長官をしておられました翁先生、国際大学の副学長の細谷先生その他幅広い構成をとっておりまして、先生の御指摘のとおりに、後世に残る立派なもので、しかも内外に与える影響も十分見きわめて慎重の上にも慎重を期しながら、しかも幅広い視野から真に平和に寄与する建物をつくりたいということで、現在まで大体二月に一回ぐらいのペースで既に五回御検討いただいておりまして、ことしの暮れぐらいに中間意見を出していただけるのではないかと思います。また、その中間意見に対する内外のいろいろな反響を見きわめながら、相当慎重にさらに検討していただきまして、最終結論を出していただくのは来年の暮れあたりになるのではないかと思っております。
 いずれにいたしましても、私ども、先生に昨年も御質問いただいておりますので、大体先生の御指摘をいただいたような方向を踏まえながら御審議をしていただいているつもりでございますので、どうか立派なものができるよう答申をいただきたい、こう思ってお願いいたしておるところでございます。
#30
○今井国務大臣 ただいま担当局長から御答弁を申し上げましたが、私もこの問題については大変大事な問題だと思いましていろいろお願いしておりますが、最終結論というのは大分長くかかりそうなものですから、それでは皆さん方のお気持ちに沿わないだろうというので、どうしても本年中にも中間的な報告でもいいからとにかくいただきたい、それでまたその問題をいろいろ皆さん方の御意見も聞きながらやってもいいじゃないかということで、そういった議事の進め方について一日も早いことをお願いしている状況でございます。
#31
○森本委員 時間が参りましたので、遺児記念館についてはぜひ平和への記念館であっていただきたいことをお願い申し上げますと同時に、最後に厚生大臣に私の要望としてお願いをしておきたいわけでございます。
 永住帰国をしていた中国の元日本兵の方が一たん五十八年に日本へ帰ったわけでございますけれども、そのまま今度は中国へ帰って、そして亡くなった。これは奈良県の野迫川村というところの出身の方で、そのお子さんが今中国に二人いらっしゃるわけでございます。そして父親の望郷の念を何とかかなえてあげたいということで、せめて父親の遺骨だけでも日本へ持って帰りたいという非常に強い要望をしておられるわけでございます。これは当然御当人が最終的に日本へ帰るという申請をしなければならないわけでございますけれども、このことについては一般紙も大きく取り上げまして、また同時に私の方の地元紙では全面にわたる、これくらいの大きな記事で連日取り上げているところでございます。これは直接厚生省あるいは外務省の責任云々という問題ではないようでございますけれども、今のところこのお子さんが日本へおやじの骨を持って帰りたいと思っておりますので、具体的に厚生省、外務省どうかということはございませんが、この問題が今後具体的になりましたら、慈悲深い大臣あるいは厚生省の皆さんでぜひ御尽力、いろいろお力添えをいただいて、この日本へ帰りたいという望郷の念を実現さすようにお願いしたいと私も思っておるところでございます。大臣、お願いします。
#32
○今井国務大臣 まことに心温まるお話でございまして、日本に遺骨を持ってまいられるときに入管の手続、いろいろな面で万が一問題が生じるようなことがございますれば、先生の御要望を踏まえまして、厚生省といたしましてもお役に立つことがあれば存分に協力してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
#33
○森本委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
#34
○山崎委員長 大橋敏雄君。
#35
○大橋委員 私がただいまから質問申し上げる問題は、もう既に過去二回委員会で取り上げた問題でございます。初めは昨年の三月八日、総理府所管の事項として予算第一分科会で、二度目は昨年の四月二十五日、約一カ月半後でございましたが、社会労働委員会のこの援護法の審議の際に取り上げた問題です。そしてきょうが三度目でございまして、当初からもう一年以上が経過しているわけでございますが、ことわざにも三度目は定の目と申します。きょうは結論的な回答をぜひ期待しながら質問申し上げますが、まず初めに今井大臣の認識を深める意味から、これまでの過去の質問を要約して申し上げたいと思っております。
 かつて日本に強制連行された朝鮮半島の人々が過酷な労働を強いられて過労や事故のために死亡し、その多数の遺骨が各地に散在し、あるいは放置されているという状態にございます。これは人道的あるいは道義的、国際的立場からも早期に善処すべき問題であると訴え、その対策を求めたのでございますが、具体的な事例といたしましては福岡県の嘉穂郡桂川町にかかわる問題を提起いたしました。その実態を調査をして適切な措置をとってほしいとお願いした件でございます。時あたかも皇太子殿下が訪韓なさるという日程が話題になっているときでもありますし、前向きに対処すべき重要問題であるという認識にまず立っていただきたいことを強く要望しておきます。
 そこで、問題点は二つであります。かつての墓地に朝鮮半島の多くの人々の遺骨がそのまま放置されているのかどうかという確認です。これは発掘調査の有無も含めましてそういう実態を調査するということが一つと、もう一つは、各所に散在している朝鮮関係の人々の遺骨の収集と、それをいかなる形で弔意を表するかという二つの問題であります。
 そこで、時間がございませんので、過去二回の答弁を要約してここで申し上げます。藤波官房長官は、この問題につきましては余り時間をかけないでなるべく早く対応させます、これが一つ。それから、関係省庁、厚生省、外務省、労働省、文部省等と連絡協議会を開き、発掘調査の適否も含めて対処してまいります。それから、遺骨の収集と弔意の気持ちは国境、民族を超えてみんな同じ心境ではないかと思う、これは朝鮮半島の問題として軽視したりうやむやにはしない、おろそかにはいたしませんという意味が含まっているわけです。それから、慰霊塔の建設についても、今後どう対応していくかということを考える際に協議を進めていく、こういうことです。これが藤波官房長官を中心とした答弁でございました。
 次に、社労では当時増岡厚生大臣が、慰霊塔の建設の問題も含めましてこのように言われました。私も御質問の趣旨には賛成だが、総理府が中心の仕事であり、恐らくその実施の場合には厚生省のいろいろな経験が生かされなければならないと思う、そういう意味で全面的な協力をいたします、このような過去の答弁があるわけでございます。増岡前厚生大臣も全面的な協力を約束したわけでございますが、今井厚生大臣のまず総括的な気持ちをお伺いしておきたいと思います。
#36
○今井国務大臣 まず、この問題については、おっしゃいますとおり、前大臣がおっしゃいましたように私もこの問題は本当に人道的な立場からぜひやらねばならない問題だ、このような率直な気持ちを持っております。
#37
○大橋委員 それでは具体的にお尋ねしますが、総理府の指示によりまして関係省庁の連絡協議会が開かれたと思うのでございますが、いつごろどこで、そして厚生省の代表はだれが行かれて、会議の結論として厚生省の役割と分担あるいは責任はどういうふうに問題になったのか、お尋ねしたいと思います。
#38
○水田政府委員 構成メンバーには援護局の庶務課長がなっておりまして、私ども遺骨の調査と収集をその分担役割として協力するということに相なっております。
#39
○大橋委員 その会議の結論として、厚生省は何をしてこいということになったのですか。
#40
○水田政府委員 先生御指摘の福岡県桂川町の遺骨がなおあるという問題について調査をし、その処理に当たるべきである、こういう任務を受けましてそれに当たってまいりました。
#41
○大橋委員 それでは、もう一年が経過したわけでございますが、現地の実態調査はなさいましたか。
#42
○水田政府委員 いたしました。
#43
○大橋委員 私の質問の中で、これはもう地域が限定されているわけだから発掘調査するのが一番明快ですよ、単なる残骨なのか、あるいは私が質問した中で一番問題になっておりますのは、納骨されたという思いがあったにもかかわらず、その後にたくさんな人骨が発見されてきたわけですから、これは単なる残骨ではないぞという意見が二つあるわけですね。これは発掘調査をするのが一番手っ取り早く解明する問題だ、こういうふうに申し上げたわけでございますが、発掘調査はなさったのですか。
#44
○水田政府委員 私どもは、まず福岡県等を通じまして事情聴取をした上で町に職員を派遣いたしまして、町長を初めとする町当局から十分この問題についての事情聴取をしまして、町当局の立ち会いのもとで現地の調査に当たりました。この場所は、先生御案内のとおり、麻生吉隈炭鉱の会社の墓地で、大正十四年ころから従業員、その家族の墓地として設けられたものでございまして、三十五年に墓地、埋葬等に関する法律の手続に従いましてこの遺骨を掘りまして、麻生鉱業が新たにつくりました納骨堂にすべて納めたということになっております。
#45
○大橋委員 そういうことは全部わかっているのです。既に質問しているわけですから。その上で発掘する必要はないか、こういうことで質問したわけですね。だから、今回発掘する必要がないというふうに判断をされたのかどうかということを聞きたいわけです。
#46
○水田政府委員 町当局とも十分意見交換をした上で、厚生省としては発掘調査をする必要はないというふうに最終判断をいたしました。
#47
○大橋委員 地域は墓地の範囲だということで限定されているわけでありまして、一カ所か二カ所掘ればもう明快な問題なんです。この問題に関心を持っている人はたくさんいるわけですよ。
 それでは、もしそういう民間の方々あるいは関心を持っている方々が自費で発掘して確認してみたいという申し出があった場合は許可してくれますか。これは大臣にお尋ねしておきます。
#48
○水田政府委員 これは墓地、埋葬法の手続に従いまして当該墓地というものは改葬が完了いたしておりますので、地元の感情としましては、もう残骨しかないのであって、仮に若干の残骨は出ても既に立派な納骨堂をつくっておるので、そこにお納めすればよろしいということで、新たに掘ったり捜したりする必要はないという現地の町当局及び住民の感情でございますので、私どもはそれに従うのが適当であるというふうに判断をいたしております。
#49
○大橋委員 過去の質問にも申し上げたのですけれども、昭和三十六年に五百四体分中無縁仏は四百五十体、これが納骨堂へ納められた。したがって、あとはもう一部の残骨程度である、四分の一程度だというような内容であったわけでございますが、その後に作業をやっている段階で出てきたわけでございまして、これは大変だ。その上に今度は埋葬の地図まで実は出てきたわけでしょう。具体的な問題があらわれてきたわけですから、これが恐らくそのままになっているのではないか、こういうことでございますので、今後そこの地域が何かの作業で発掘されるような問題が起こった場合に、もしもたくさんな遺骨等が出てきた場合は厚生省の責任になると思うのですが、その場合はどういう態度で臨まれますか。
#50
○水田政府委員 ここは麻生産業が所有していた墓地でございまして、そこを公的な手続に従いまして新たな納骨堂に納めるということで法の手続に従った改葬がもう既に行われておりまして、改葬する場合にはいかなる土地においても若干の残骨その他というものが出るわけでございますが、これは残骨の処理という形で今後その納骨堂に納めればいいというふうに私ども判断しておりますし、これは麻生産業の従業員の墓地だったわけでございます。当時の関係者は全部住民としてまだ住んでおられるわけでございまして、その方々の御意向としてももう主要なお骨は全部納めてあるので、あるならば残骨しかあり得ないというふうに関係者は全部証言をしておられるわけでございますので、過去出たという話も若干の残骨が出たのでございまして、一部の方から言われたようなオーバーなことは、私どもの職員が聴取をしたところ、なかったということでございますので、私どもは大丈夫である、このように判断しております。
#51
○大橋委員 それでは時間の関係でもう一つ話題を変えますが、遺骨の返還ですね。朝鮮半島の人々の遺骨の返還事業をやっておられる方もおりますし、あるいは無縁仏の遺骨の扱い、そういうことについて今あちこちの地域にあるわけですから、それを一カ所にまとめて、いわゆる一つの朝鮮半島の方々の墓地をつくるなり、あるいは慰霊塔を立ててその霊を弔うなりという物の考え方が必要だと思うわけでございますが、この点についてはどういうお考えですか。
#52
○水田政府委員 遺骨の送還は、一応総理府における関係各省との協議の結果、外務省の分担ということに相なっておるわけでございますが、送還いたすまでの間の仮安置、供養は私ども厚生省がやってまいらなければならぬ問題である、このように受けとめております。
 なお、慰霊碑の建立の問題につきましては、桂川町のようにお使いになった麻生産業が立派な碑を立てて町ぐるみで毎年慰霊をしておられるというやり方もございますし、どういう形の慰霊碑のあり方がいいかということは総理府を中心に私ども相寄って検討してその結論を出すのが至当ではないか、このように思っております。
#53
○大橋委員 最後に、大臣にお尋ねしますが、朝鮮半島の方々は南と北といらっしゃるわけですね。しかも、その身元が不明な方がいっぱいなんですよ。したがって無縁仏という格好になりますね。そういう遺骨は返還しようにも返還しようがないわけですよ、相手がわからぬわけですから。したがって、今日本の各地に、あそこにここにと散在しているわけですね。そういう格好でいいのか、それともやはり朝鮮半島の皆さんの墓地としてここにみんな集めましたよというものをつくって慰霊塔でも立ててその霊を弔う、これが国際的な立場での形ではないか、私はこう思うのでございますが、大臣はどうお考えですか。
#54
○今井国務大臣 私の立場から申しますと、お説のとおりやはり慰霊碑を建立をして霊を慰めるということは極めて必要なことだと思います。ただ、役所の関係でございますと、これは多分いろんな問題があるんじゃないかと思います。例えばこういう問題は総理府におきますいろいろの検討の結果を待たなければならぬのではないかと思いますが、いずれにしても、こういうことをやることにつきましては私は先生のおっしゃるとおりだと思いまして、もしそういう手続が要るものであるならば、また総理府にもよく打診をしてそれができるような形で努力をしてみたいと思います。
#55
○大橋委員 時間が参りましたので、きょうはこれで終わりますが、私はきょうで打ちどめにしたかったのですが、まだちょっと残りましたね。また次の機会で続きをやらせていただきたいと思います。
#56
○山崎委員長 塩田晋君。
#57
○塩田委員 戦傷病者戦没者遺族等援護法改正法案につきまして今井厚生大臣並びに関係の局長に御質問をいたします。
 不幸な戦争の結果、中国に多くの残留日本人孤児がおられるということは御承知のとおりでございますが、これに関連いたしまして御質問を申し上げます。
 中国残留日本人孤児の肉親捜しのために日本に帰国をされて肉親を捜した結果、見つかった方もあるいは見つからない方もあるわけでございますが、いずれにいたしましても、戦後四十年経た今日、早くこれを完了しなければ親もまた孤児本人も年をとっていく、これはもう時の争いであるということを申し上げまして、それが逐次予算化をされ厚生省は非常に前向きに積極的に取り組んでこられまして、親捜しは順調に進んでまいりました。感謝を申し上げます。
 過去何回かごの問題を取り上げまして、一刻の猶予も許さないから、もう一挙に今わかっている日本人孤児は総員帰国をさせてもらいたいということを強く主張してまいりました。その結果、昭和六十一年度、今年度に七百名全員を肉親捜しのために帰国をしてもらうということになったことは御同慶にたえないところでございまして、評価するものでございます。そしてまた、定住希望者に対します所沢のセンターの建設も行われ、そしてまた運営がなされております。私たちも見せていただきましたが、なかなか職員、御苦労でございますがよくやっておられる、これも率直に評価をしたいと思います。その御苦労に感謝を申し上げたいと思います。
 そこで、これからの問題でございますが、永住帰国希望孤児が今現在中国にどれぐらいいらっしゃるか、お伺いいたします。
#58
○水田政府委員 具体的に帰国旅費の申請手続をとっている者は百六十名でございます。
#59
○塩田委員 既に帰られた方、定住をしておられる方は何名でございますか。
#60
○水田政府委員 二百七十二名でございます。
#61
○塩田委員 この百六十名の中国に現に住んでおられて帰国を希望しておられる方、これはまだまだふえると思いますけれども、この人たちを今後どういう計画で帰国させようというふうにお考えでございますか。
#62
○水田政府委員 所沢のセンターの受け入れ能力を倍増させまして年間百八十世帯受け入れるということで今拡張をやっているわけでございますが、申し上げました、現在具体的手続をとっております百六十名のほかに、今後千名近い者が帰国を希望してまいるのではないか、このように私ども考えているわけでございます。そういたしますと、今改装中の所沢センターがフルに回転するのは六十二年度からでございますので、おおむね完了するのは六十二年度から五年近くかかるのではないか、このように考えております。
#63
○塩田委員 現在もう既に希望されている方が、希望を申し出たことによりまして希望を申し出る前と後とで中国におきましてどのような事情の変化が起こっているか把握しておられますか。
#64
○水田政府委員 私ども直接に帰国孤児から個別の事情を聴取いたしておりませんが、新聞等を通じて承知しておりますのは、私どもは、センターに入所手続を完了し、こちらから通知するまで離職をしたり子供の学校をやめさせたりすることのないように、早まらないようにということを連絡をとっているのでございますが、やはり帰心矢のごとしで既に職をやめたり学校をやめさせたりした結果困っておられる方も一部あるやに聞いております。
#65
○塩田委員 百六十人の希望者が現にあり、今後千人にもふえるであろう、こう言われたわけでありますが、既に希望している百六十人につきまして今お話のありましたように職業の面あるいは学校の面で変化が起こっている。しかし、受け入れ側の日本はセンターの余地がないということでもって、今のお話だと今後ふえることを見込んでも六十二年度以降五年もかかるということでございます。この間、非常な変化が起こったまま、非常に不安なままで祖国の空を望みながら待っておるという事態が数年続くということですね。これは大変なことだと思うのです。その御本人にとってみれば大変不安な状態の中で過ごされておることになると思うのです。センターのあきがなければ帰れないということになりますか、もう一度お伺いいたします。
#66
○水田政府委員 私どもは、御本人が日本社会で円滑に定着、自立していくためにはセンター的なもので初歩的な日本語なりあるいは日本生活についての十分な訓練を受けて復帰された方が円滑にいくというふうに考えているわけでございまして、ここが絶対というふうに考えているわけではございませんが、定着、自立対策の大きなキーステーションということになっておりますので、できるだけこのルートを通って日本社会に言うならば復帰をしていただきたい、このように考えているわけでございます。
#67
○塩田委員 この孤児センターをつくるにつきましては、私もここで何回か強く要望し、それが実現したということを喜んでいるわけでございます。四カ月では短いかなという感じはございますけれども、一生懸命やられておりますし、実績は上がっていると認めておるわけでございますけれども、このセンターのあきがなければ、中国で一刻も早く帰国したいということを希望しておられる方がおるにもかかわらず待たなければならない。待つことによって、その間、先ほど言われましたようなかなりの変動が起こっておる。それを長い間不安なままで待ち続けなければならぬという状態です。これは厚生大臣いかがお考えでございますか。
#68
○今井国務大臣 おっしゃるように、今の受け入れのセンターを倍増いたしましても、やはり能力があるわけでありますから、この際全く民活といいましょうか、既存の民間の施設を使いまして今後の孤児の大量の帰国に備えて検討しておくべきものじゃないだろうかというふうに私は考えまして、実は事務当局に検討しろということを命じているところでございます。
#69
○塩田委員 大臣の前向きのそのお気持ちでぜひとも実現をしていただきたいと思います。
 実は、こう申し上げますのも、中国の国内問題ではございますけれども、今のケ小平体制がいつまで続くかということであります。ケ小平体制になってから良好な日中の関係になり、特に孤児の問題については良好な関係で我々の希望、要望が大幅に受け入れられた、そして孤児問題が解決の方向に大きく進展しておるということは御存じのとおりでございます。その前の四人組体制のときと違ったわけですね。ところが、このケ小平体制というものがいつどのような状況になるか、これは我々としてははかり知ることはできません。今の状態のままが続けばいいのですけれども、どのような状況が起こるかもわからない。これはもう予測ができないことでございますが、そういった何が起こるかわからぬということも考慮しておかなければならない。これはまた孤児も敏感に感じて不安な中で生活をしておられるということをひとつ酌み取っていただきたいのでございます。
 そこで、民活によりましてこういった孤児センターを増設しようという大臣のお考えでございますので、これは東京に全国各地の方を皆集めるのではなしに、やはり東京もあり、これは中心になるでしょうけれども、関西、大阪なり兵庫県なり、非常に前向きにこの問題に取り組んでおるところがありますし、県も既に補助を出していろいろなことをやっております。そういった地域の状況も考え、関西はぜひとも、そして東北が多いわけでございますから東北にもしかるべきところに、中国にも九州にもというふうに各地に設けていただきたい。先ほども議論の中で、各地の方言があるので標準語を東京で習ってもなかなかという話もございました。そういった問題もございましょうし、いろいろな風習、考え方、生活様式等も違う場合もありましょうし、やはり地域に根差した、地域になじんでもらうというような形でこの問題を実態に即したものとしてぜひとも各地に増設していただきたい。このことをお願い申し上げます。
 そして施設は、所沢センターの場合もそうでございましたが、新たな政策になりますと新たな予算を計上して今年度いっぱいかかってこれをつくる。そうしますと、入れるのは早くても来年から、こうなりますね。しかし、各地域で工夫をしてもらえば、施設は新たに今から土地を求めて建設しなくても、遊休施設というとあれですが、例えば中学校を統合してあきの中学校があるとか、あるいはこれこれの集会所になるようなものが余裕があるとか、いろいろな施設を当たってもらえば、各地で知恵を出せば実現するものがあると思うのです。これを借り上げればいいのです。そうすると直ちに利用できます。
 それから通訳あるいは講師、日本語の先生等、適切な人でないといけないということがございます。その人たちがなかなか得られないということを言われるかもわかりませんが、何も東京だけにいるわけじゃなし、関西にもベテランの方あるいはボランティアでこういったことを既にやっておられる方がございます。こういった方々をボランティア、あるいはボランティアでなくても政府がはっきりとそういう体制をつくるとなれば協力する方は各地にかなりおられると思います。既に日本人孤児で帰国されて日本社会に溶け込んでおられる方もおられますし、そういった方もはせ参じると思いますし、そういった体制を政府が音頭を取ってつくられれば十分に孤児の定着促進の対策はできると思いますので、ぜひともそういったことを考えて進めていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
#70
○今井国務大臣 いろいろな点を十分御配慮された御提案でございまして、私は全く同感でございます。したがって今年じゅうに、そうたくさんはできないと思いますが、少なくとも数カ所、先生の構想のような施設をできるような形でひとつ積極的にやってまいりたい、こう思っております。
#71
○塩田委員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願い申し上げます。
 次に、帰国をいたしました日本人の孤児及びその世帯員の方々の今一番の問題点は就職の問題でございます。そしてまた、就職のためにも必要な職業能力の開発の問題あるいは学校教育の問題でございますが、この就職あっせん、雇用対策について現在どのように進めておられますか、労働省からお答えいただきます。
#72
○矢田貝説明員 御説明申し上げます。
 今、先生からもお話がありましたように、中国から帰られた方々を温かく迎え入れて着実な社会生活を営んでいただくという意味におきましては、この職業の安定、確保というものが極めて重要だという基本的な考え方で諸般の対策を進めているところでございます。
 具体的に申し上げますと、既にセンターに入っていらっしゃるころから中国におきます職業の経験なりあるいは本人の御希望等々も伺いながら、日本での企業、事業所を見学していただくとか、あるいは加古川なら加古川に帰られて就職されたいということでありますと、そういった地域に行かれる場合に、広域的な求職活動ができるといった方につきましては職業転換給付金といったような制度を活用してそういった活動を助けるとか、あるいはなかなか難しゅうございますけれども、実際にお雇いいただける事業主の方々につきましては特定求職者雇用開発助成金といったような助成金制度を活用するといったような方向でやっております。
 それから、職業訓練につきましても、一般的にももう四十歳代を過ぎますとなかなか仕事が難しいという中でございますので、この問題につきましても特に力を入れてやっておりまして、労働市場の状況等を見ながら御相談の上、公共の職業訓練校に入っていただいて訓練を受けていただくということで、六十年度の例で申しますと約二百二十名の方々がこの訓練校で新しい職業を目指して学んでいらっしゃる、そういった状況でございます。
#73
○塩田委員 全国各地に帰国孤児の方がおられるわけでございますから、またその世帯の方々は自立しようと一生懸命になっておられるわけでございますから、ぜひとも全国的な広がりの中でこの雇用対策をきめ細かく進めていただきたいと思います。特に職業能力開発の場合、先ほども出ましたように、小さい子供さん――小さいといいましても小学校、中学校あたりは割合言葉の方は早く習得して日本社会になれてくるわけですが、孤児はもう既に六十歳を前後しておられる方が多いわけですから、あるいは四十歳の方が多いのですか、四十歳から六十歳くらいまでと思いますが、日本語の習得が非常に困難である。四カ月間孤児センターにいましても、なかなか四十過ぎた方が日本語になれて出てこられる方が少ないわけですね。大人の場合に特に問題でございますが、職業能力をつける際にそういった言葉の問題を克服するのにどういう工夫を職業訓練校等でなされておるか、対応する体制があるのかどうか、これについてお伺いいたします。
#74
○矢田貝説明員 まず第一点の全国的な連携のもとでやるようにという点につきましては、全くそのとおりでございまして、先ほどお話しいたしましたように、所沢のセンターに入所いたしておりますときに、あそこにございます安定所でいろいろと相談した結果をそれぞれ帰られていくあるいは就職される地域の安定機関へも過去のデータ等も送りながら引き続き情報を提供し相談していくというような体制を続けております。
 それから、今御指摘の言葉の問題でございますが、確かに日本に帰られまして四カ月程度訓練を受けて、それで私どもの公共職業訓練に入られるわけでございますが、この訓練期間は大体六カ月から一年ということで、帰国孤児の方々だけではなくてインドシナ難民等の方々もこの訓練に入っていらっしゃいますが、一番困りますのは言葉の問題でございまして、指導員の方々も片言の中国語の勉強をボランティアの御協力を得ながらやっていくとか、いろいろなことで努力はいたしておるようでございますけれども、言葉の隘路という問題について名案がないということで非常に訓練の推進について悩んでおるというのが実情でございます。
#75
○水田政府委員 厚生省としましても、孤児の方、特に中年でございますので、職訓校に入って積極的に職業上の技術を身につけていただくことが安定的就労の場合に非常に有利になるものですから、積極的に労働省の方にも対応していただくということをお願いしておるわけでございますが、言葉の点が隘路にならないように、職訓校にもう既に言葉ができる、中国語ができる生活指導員を派遣して学校側と生徒の間の意思疎通を図る仕掛けをつくっておりますし、また本年度から日本語の補講制度をつくっておりますので、その面では大丈夫ではないか。最終的には本人の意欲でございます。
 おしかりを受けるかもしれませんが、私がいつも申し上げているのは、高見山や小錦を見習ってくれ、あの人たちは決して言葉の勉強を受けていないけれども、テレビのインタビューに十分応じているわけで、言葉というのは最終的に意欲と体で覚える面があろうかと思いますので、そこは本人の意欲として積極的に対応していただくことが大事ではないかなと思っているわけでございます。
#76
○塩田委員 この問題については、今後非常にふえてまいります。百六十名といっても、子供たちを入れますともう既に五倍ぐらいにしないといけない。千人になりますとこれは五千人、全国に広がるということになります。今、厚生省から、そういった体制づくりをしておられる、またしようとしておられるという御答弁がございましたが、労働省サイドもそれと十分に連携を密にして万遺憾なきを期していただきたい。このことを特に強く要望いたしておきます。
 さらに孤児問題について、帰国をされたほとんどの方が生活保護を受けておられます。特に当初はほとんどの方が生活保護を受けられ、そして順次自立をして、年がたつに従って生活保護適用の方が減ってきていることはいいことではございますけれども、生活保護を受けるについては、親戚、縁者等が非常に肩身が狭いというと語弊がございますが、問題がある。しかも、生活保護適用を受ける際のいろいろな要件もかかってまいりますし、いろいろな面で支障があると思われる点が見出されるわけでございます。
 そこで、生活保護要件に合わなくても一定の期間、二年なら二年、三年なら三年に限っていただいても結構なんですが、生活保護の要件をやかましいことを言わずに日本人孤児であって帰国した方、定住希望者については生活を保障するといった制度。新たな生活を始めるわけですから、住宅をお世話していただいても暖房機が要るあるいは冷蔵庫が要る、いろいろな世帯道具が要ります。生活を始めるについてはある程度のものは見ていただいております。それは結構なことでございますが、これも不十分だという話もあります。これも上げていただきたいですが、それのみならず、聞いておりますと、お互い連絡をとり合ったり、あるいは帰国した人たちが帰ってきた場合には出かける、しかし生活保護の中では旅費は出ないと言うのですね。いろいろな面で日本にずっと生活している人とは違った生活費がかさむ、いろいろな面で支障が来ておるようでございますので、ぜひともこれは特別に、援護の期限を限って結構でございますから、生活の面倒を見るという方策を講じていただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
#77
○水田政府委員 私ども帰国孤児の実態調査をいたしますと、帰国後三年経過をしても約半数の人がまだ生活保護適用を受けている実態がございまして、この点強く反省をいたしているわけでございますが、孤児の中には生活保護を打ち切られないために、日本語ができないから日本語学校に行っているということを口実にしながら生活保護の上に安住する向きもあるやに生活指導員からの報告を私どもは受けておりまして、大変憂慮をいたしているわけでございます。
 今回、三月の援護の主管課長会議で私どもが都道府県に特に強くお願いを申し上げましたのは、肉親があろうが未判明であろうが、所沢のセンターに入っている間に落ちつき先の都道府県に連絡をするので、まず公営住宅を用意し、帰ってきたら直ちに入れ、かつ生活保護の適用ができるように準備を進めておいてください、肉親の方とか身元引受人の方の負担にならぬような体制をとってください、そして落ちつき先に着いたら、今回本年度から労働省に全面的に御協力いただいておりますので、落ちつき先にはもう既にそこの職安に求職票が行っておりますので、一応一年以内に生活保護から脱却して自立できるように働きかけをぜひとも強くしてください、そのために必要があれば日本語の補講体制を十分とってやってほしいということをお願いいたしているところでございまして、私ども、生活保護に長く安住しておられる方にはむしろ今後どう自立していくのかという、生保の福祉事務所の関係だけじゃなく、援護の主管課の方も実情に応じながらケース・バイ・ケースに自立計画を立てるように、生保の上に安住することのないようにするように強く指示をいたしたところでございます。
 先生の御指摘の点は、非常にもろ刃の剣ではなかろうかという気がいたしておりますので、入り口において御指摘のような問題が生じない形で生活保護を使わせていただくのが一番迅速であるし、実情に合っているのではないかと私どもは思っているわけでございます。
 帰還手当については先生の御指摘の面があろうかと思いますので、私ども、今後とも改善に努力してまいるつもりでございますので、そういう運用面の改善で対処させていただきたいと考えておるわけでございます。
#78
○塩田委員 帰還手当につきましては、増額に努力していただきたいと思います。
 今の生活費の問題につきましては、生活保護でいいということですね。もろ刃の剣だというお話でございますが、片方はほんのわずかの問題かもわからぬと思いますね。それでもって全体だめだという考えに立たないで、これは前向きに今後の問題として御検討いただきたいと思います。
 続きまして、恩給の問題について御質問いたします。
 一つは、短期の軍歴の期間に応じた恩給支給はできないか。いわゆる恩給欠格者の問題でございますが、これについてどのようにお考えか、総理府の方にお伺いいたします。
#79
○鳥山説明員 恩給制度を所管しております者の立場からお答えいたしますと、恩給制度も年金制度も一つでございますので、何年勤務すれば年金権がつくかということは制度としての基本的な約束事でございます。したがいまして、勤務が終わりましてもう四十年たちました今日においてこれを改めるということになりますと、制度の根幹に触れる問題であろうということで極めて難しい、私どもはこういう見解をとっております。
#80
○塩田委員 この問題とあわせまして、戦後強制抑留されました方の問題につきまして、いろいろな問題があろうかと思いますが、それらの問題をどのように検討しておられるかということをお伺いしたいと思います。
 戦争が終了したにもかかわらずシベリアに強制抑留された方の御労苦というものははかり知れないものがあったと思います。しかも、ポツダム宣言に違反して強制抑留されたわけでございまして、人道的な取り扱いに関する国際慣習にも違反をしておる。そして過酷な労働を強いられたこの事実、我々はこれを忘れることはできません。この抑留者問題、恩給その他いろいろな問題につきましてどのように検討されておられるか、お伺いいたします。
#81
○杉浦説明員 御説明申し上げます。
 先生御存じのことだと思いますが、総理府総務長官の私的懇談会といたしまして今から四年ほど前、五十七年六月に戦後処理問題懇談会を設けたわけでございます。ここにおきまして現在先生からも御指摘のございましたいろいろな戦後処理にかかわる問題につきまして、戦後処理をいかにすべきかという点につきまして御論議をいただいたわけでございます。
 そしてその中で今御説明のございましたようないろいろな問題点を御論議いただきまして、期間的には大変長うございましたが二年半の御審議の結果、基本的には今までとったいろいろな行政的な措置、例えば今のお話の恩給欠格者の関係でございますと今までなかったような制度としても一時恩給を恩給の中に取り入れたとか、あるいは抑留中の期間について加算をつけたとか、あるいはシベリアの関係の方でございますと抑留中の給与につきましてお払いをしておった、あるいは留守家族手当等についてもお払いをしたとか、いろいろな措置がございました。
 したがって、こういった措置を一応踏まえ、そして戦争によりましてあらゆる国民が何らかの損害を受けたという点も前提といたしまして、処理懇の御報告といたしましてはもはや制度的には何らかの措置をとる必要はない、しかし、いろいろな御心情等考え、特別基金をもってこの方々に対して措置をとるべきであるということをいただいたわけでございます。
 総理府といたしましてはこの方針を足といたしまして、これによりまして現在関係者の方あるいはこういった基金の成立につきまして調査をいたしたところでございます。私どもこの調査の結果を拝見させていただきまして、今後具体的な事業の中身を詰めさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
#82
○塩田委員 それでは、最後にこれに関連いたしまして、恩給の関係ですが、戦務加算が一年につき三年プラスして四年の換算になっていますね。これと同じように、抑留加算につきましても現在の一年を一年プラスして二年の制度を戦務加算並みにできないかどうか、このことを恩給局にお伺いいたします。
 あわせまして厚生省にお伺いいたしますが、軍歴を厚生年金あるいは国民年金の年数に通算できないか。この二点をお伺いいたしまして終わります。
#83
○鳥山説明員 抑留加算の制度は昭和四十年につくったのでございますが、ただいま先生おっしゃいましたとおり、一月に一月の割り増しをするという制度になっております。これを、当時のシベリアのああいう過酷な条件下に置かれた方々の実態をにらんで、戦闘公務と同じように三月の加算をつけたらどうかという御要望は以前から伺っておるわけでございますが、しかし抑留された方々の中には恩給の適用を受けない方々というのも相当含まれております。さらに、軍人の中でも例えば二十二年ぐらいまでに二十万人くらいお帰りになっていらっしゃいます。そういう方々の中にはたとえ三月にしても年金権がつかない方も相当あるわけでございます。
 そういうことをもろもろ考えました場合に、全体の公平ということを考えますと、この恩給の加算を三月に引き上げるということが根本的お解決につながるわけではないというようなことから、私どもは非常に難しいのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
#84
○吉原政府委員 厚生年金ができましたのが昭和十七年でございますし、国民年金ができましたのが御案内のとおり昭和三十六年でございます。そういった厚生年金なり国民年金ができるはるか以前の軍歴の期間、恩給の受給資格期間を満たし得なかった軍歴の期間をその後にできました国民年金なり厚生年金に通算するということは年金制度の上ではどうしても難しい問題ではないかと私は思っておるわけでございます。
 この点につきましては、先ほど来もお話がございますように、既にいろんな機関で広い角度から検討が行われておりまして、昭和五十七年に総理府の総務長官の委嘱を受けまして軍歴通算問題に関する検討会が設置をされまして、そこでの結論、報告が出されているわけでございますけれども、その報告におきましてもそういったことは不可能である、適当でないという結論になっております。
 それから昭和五十九年に同じく総務長官の私的諮問機関で戦後処理問題懇談会、先ほどもお話しございましたけれども、そこでもこの問題が検討されたわけでございますが、やはり適当でないという結論になっているわけでございます。私どももなかなか制度上は難しい問題だというふうに思っております。
#85
○山崎委員長 小沢和秋君。
#86
○小沢(和)委員 初めにカネミ油症被害者の救済についてお尋ねをしたいと思います。
 カネミ油症の第二陣控訴審判決が近く福岡高裁で出される予定で、私のところにも早期解決への協力要請が来ております。最初にこの問題を二、三お尋ねしたいと思います。
 このカネミ油症は今から十八年前に私の地元北九州を中心に西日本一帯で、届け出された分だけでも一万数千人の被害者が発生した事件でありますが、いまだに治療法が確立されず、被害者は苦しみ続けております。死亡者も多数出ております。既にPCB入りの食用油を製造したカネミは全面的に責任を認めております。今裁判で争われているのはPCBを製造した鐘淵化学と政府の責任でありますが、既に鐘化については六回責任を認める判決が出され、国の責任も一昨年三月、昨年二月と続けて認められております。
    〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
私は国が一日も早く責任を認め、むしろ鐘化をも強力に指導して被害者を救済する強力な態勢をつくってくれることを心から願っておるわけであります。
 その点で去る二月十九日、本院予算委員会で今井厚生大臣が、治療費と療養費を安定的に確保するための基金をつくってはどうかという質問に対しまして、「今の御指摘の基金の問題でございますが、これは幾つか困難な問題があるものと思われますが、油症患者の治療費が将来にわたって安定的に支払われるということは非常に肝心なことだと思っておりますので、今後の動きをもうちょっと見守ってまいりたいと思っておるわけでございます。」というふうに答弁をされております。
 私は、これは前向きの姿勢を示したものと理解をしておりますが、私が関係者に伺ったところでは、この問題でカネミの社長や鐘化の東京支社長などと既に話し合ったこともあるようだというようなことも聞くのでありますが、そういうようなことも既に始めておられるのかどうか。それから、カネミからはこれまで十八年間、治療費としてどれくらい負担をしたかというようなこともいろいろ聞いているというようにも聞くのですが、これもわかっておればお示しをいただきたいと思います。
 いずれにしろ、大臣がこのような発言をされたことで被害者が明るい期待も持っておりますので、基金実現に向けて積極的に取り組んでいただきたいと思います。改めて大臣の決意もお伺いしたいと思います。
#87
○浜田(卓)委員長代理 小沢君に申し上げます。議題の範囲内でできるだけ質疑をお願いいたします。
#88
○北川政府委員 カネミ油症事件は昭和四十三年に西日本を中心にして起こったライスオイルによるものでございますが、被害者の方々の長年の御苦労に対しては心から御同情申し上げているわけでございます。
 今、先生御質問のございました油症患者の治療費につきましては、昭和六十年末までの金額は治療費として約十三億六千六百万円ということになっております。これはいずれもカネミ倉庫が支払いをしておる分でございます。
#89
○今井国務大臣 この問題につきましては、先般も御答弁申し上げたところでございますが、まず最初に被害者の方々の長年の御労苦に対しましては御同情申し上げる次第でございます。
 先生御指摘の基金につきましては、幾つか困難な点があるものと思われますが、油症患者の治療費が将来にわたって安定的に支払われることは肝心なことと考えておりまして、今後の動きを見守ってまいりたい、こう思います。
#90
○小沢(和)委員 一問だけでやめるつもりだったのですけれども、さっきお伺いしたように、いろいろ接触をしたりしておられるというようなことも聞いているのですが、そういうような努力は始まっておるのじゃないですか。それだけもう一遍お尋ねいたします。
#91
○今井国務大臣 陳情はお受けいたしておりますが、特段のあれはございません。
#92
○小沢(和)委員 それでは次に、中国残留帰国孤児の問題についてお尋ねをいたします。
 私が非常に残念に思いますのは、孤児たちが大量に身元調査のために訪日するようになりましてから、規模が大きくなるたびに判明率が目に見えて落ちておることであります。第五回までは五十ないし六十名の規模で判明率は五〇ないし七〇%、最高の場合には七六・七%という時期もあったわけであります。それが六、七回目になりまして九十名という規模になった途端に四三、四%というようなところに落ちまして、八、九、十回目、これはごく最近でありますが、百三十五名という規模で一挙に二五%前後に落ちておるわけであります。
 このようになっている原因についてどうお考えか。六十一年度はさらに七百名という大量の訪日調査が予定されておるわけであります。判明率を大幅に向上させるためには、私は抜本的な改善策を考えるべきだと思います。私が特に考えますのは、国内で子供を中国に置いてきた肉親などからもっと徹底的に情報を集めて、それと孤児の方の記憶などと結び合わせるというようなことが必要ではないかと考えますが、この点も含めて承りたいと思います。
#93
○水田政府委員 訪日調査を始めました初期のころは、具体的な手がかりを持っている者を中心に訪日調査をさせていたわけでございますが、具体的な手がかりの有無にかかわらず孤児は全部日本に連れてきてマスコミの協力を得て調査をするという方針に切りかえて、これが大量調査という形をとっているわけでございます。この大量調査というのは、六十年度、八次、九次、十次がそうでございます。四百名でございますが、御案内のとおり判明率は四人に一人の二五%程度になったわけでございます。判明率が落ちた最大の原因は、訪日調査に参加した者の八割が終戦時に五歳以下であったということで、本人にほとんど記憶がないということが一番判明率が低くなっている理由でございまして、しかも未判明の方の四割がもう具体的な手がかりがほぼゼロに近い状況でございます。
 以上が判明率の落ちている大きな原因であると私ども考えております。(小沢(和)委員「対策も聞いたんだ」と呼ぶ)
 対策でございますが、対策につきましては大きく言って三点ございます。
 一つは、今申し上げましたように未判明の孤児の四割が具体的な手がかりがほぼゼロに等しいわけでございますので、中国の公安当局に孤児と認定した資料の提供をひとつしていただけないかということを外交ルートを通じて今お願いをしているのが一つでございます。
 それから二つ目は、コンピューターの検索システムで追跡調査をしていくという点が第二点目でございます。
 それから第三点目は、国内の関係者の情報の掘り起こしをすべきではないか、御指摘のとおりでございまして、これはやはりベテランの調査マンが当たらないとできませんので、ことし七百人来ますからそれに全力をとられますので、六十二年度から国内にキャラバン隊を出して情報の収集に当たらして、一人でも多くの孤児が発見できるように努力をしてまいりたい、このように考えております。
#94
○小沢(和)委員 次に、帰国者の受け入れと定着の問題でありますが、肉親が判明しなくても帰国できるようになりましたけれども、実際にはいろいろ手続などに時間がかかって、判明した人よりも帰国が不利というかおくれるというようなことにはならないか、この点どうでしょうか。
#95
○水田政府委員 御指摘の面はあろうかと思います。
#96
○小沢(和)委員 だから、その点についてもひとつ格段に努力をしていただきたいと思います。
 次に、そうすると帰国者が非常なテンポでふえるわけでありますから、所沢の収容者を大幅にふやすというぐらいのことでは、私はそこがネックになって帰国がおくれるというような事態が起こってくるのではないかと思います。もっと例えば大阪などにももう一カ所ぐらいつくったらどうだというような声も私なども聞くのですけれども、この点、あなた方の方は自信がありますか。
#97
○今井国務大臣 厚生省としましては、当面、中国の帰国孤児の定着促進センターの受け入れ能力というのを倍増することによりまして今後の帰国孤児の大量帰国に備えることとしておりますけれども、先生の御指摘の点につきましては、受け入れ態勢を拡充強化するために現在民間施設などの利用、いわゆる民活方式というものの導入について検討させておるところでございます。
#98
○小沢(和)委員 だから、実際に民間施設などで今所沢がやっている以上の受け入れ態勢が、どうっとその人たちが帰ってくる場合にはできるというふうになりつつあるということですか。
    〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
#99
○水田政府委員 私どもは、ナショナルセンターであります所沢の受け入れ能力倍増、これを中心にしまして、オーバーフローする面につきましては、今大臣からお話がございましたように、民活という形でほぼ所沢のセンターに教育内容その他遜色のない形のものをつくるべく検討を進めている段階でございます。
#100
○小沢(和)委員 次に、私は日本語の習得の問題で特にお尋ねをしたいのです。
 昨年も私は、センターで四カ月しか日本語の教育をせずに各地に送り出しても社会の中に溶け込んでいけるようにならないのではないかということを指摘いたしました。先ほどから、帰国してからもなかなか生活保護から抜け出られない人が多いという話があっております。
 私もそういう人をぜひ紹介してくれと言って、都内で二組の生活保護を受けている帰国孤児の夫婦、どちらも片一方は中国人の方でしたが、会って話を聞いてみました。やはり決定的な問題は言葉なのですね。今まで余り勉強する機会に恵まれず、まして外国語を勉強したというようなことは全くないというような人が、四十幾つになって祖国の言葉であるといったって、日本語を勉強するのは、この人たちにとって外国語の勉強なのですよ。これはもう想像以上の大変なことです。
 あなたは先ほど高見山や小錦に学んでもらいたいというようなことを言われましたけれども、高見山や小錦というのは十代で、一番吸収力の旺盛なときに来ているのです。だから、こういうような人たちにあやかってもらいたいというようなことを局長さんが言って、四カ月で基礎だけやって、あと送り出せば何とかなるというような発想に立っておったのでは、この人たちがどんなに深刻な壁にぶつかっているかということが御理解できていないのじゃないかという不安を感ずるのですが、いかがですか。
#101
○水田政府委員 私も決して所沢のセンターの四カ月で必要かつ十分であるということを申し上げているつもりはないわけでございまして、初歩的な意思を疎通させるために必要なことはやってまいっておるつもりでございまして、社会に定着するにはやはり日本語の補講が必要である、このように考えております。その補講を行うために、本年度から生活指導員の月四回分を七回分にして、その三回分を語学の補講に当てるように家庭に派遣するなり、例えば北九州のようにある程度数のまとまったところは夜間の日本語学校も開設してもらって、そこに集めて、生活指導員の名において講師として日本語の補講をし、一日も早く自立できるようにやるこの補講体制をつくったわけでございますので、今後ともその充実強化で御指摘の点の解消に当たってまいりたいと思っております。
#102
○小沢(和)委員 私がお会いしたその夫婦というのは、一方はもう三年近くたつのです。もう一方は帰国して九カ月、所沢を出てまだそう間がない方ですね。三年近くたつ人でも、今なお日本語を学ぶために毎日、銀座に紅卍という何か宗教系の学校があるそうですが、そこに通って日本語の勉強をしているというのだけれども、私どもがしゃべる言葉はある程度わかったふうですけれども、向こうの方から返ってくる言葉は片言、ちょっと自分の意思をまとめて言おうというふうになったときには中国語にすぐなってしまうのですね。だから、通訳抜きでは話ができなかった。これが三年近くたった人の現状なんですね。だから私は、抜本的な改善は本当に必要だということを強く訴えたいと思うのです。この紅卍というところには、そういう帰国孤児の人たちが何十人と来ているというふうに言っておりましたよ。その現状、恐らくあなた方は御存じだと思うのですね。
 今その打開の決め手として、生活指導員にさらに何回も行って日本語の指導をするようにさせるというお話だったのですが、その生活指導員についても、その二組の夫婦から聞いたところでは、あなた方が言っておられるように来ているという状態じゃないようですよ。あたなた方、この前も、それはちゃんと月四回は行っておりますというお話だったのですけれども、全国的に間違いありませんか。
#103
○水田政府委員 私どもは、生活指導員は落ちつき先について一応一年間、月四回行ける計算で委託費を流しておりまして、その生活指導員の派遣の仕方は、家庭の状況、ニーズに応じて県が弾力的な派遣をしてよろしいということを指示しているわけでございまして、非常に問題のある家庭については、場合によっては月五回行くこともあろうかと思いますし、余り問題のないケースについては二回くらいということで、そこは都道府県の援護課の弾力的な運用に任せているところでございます。機械的に皆一律月四回行けということをいたしているのじゃなくて、四回行ける分の委託費を流しておる、こういう意味でございます。
#104
○小沢(和)委員 私が会ったうちの一組の、もう三年近くたつという方に聞いたら、生活指導員は今まで二回来た。しかし、その二回というのは、一回は、病院に行くのに自分の病状の説明が自分ではできないからと言って頼んだ。もう一回は、子供の学校に入学する手続をするのに、これもまた自分ではできないからというので頼んだ。この二回しか記憶にないというのですね。もうこんなに長くたつのにですよ。もう少し聞いたら、その指導員の人はそういう家族を四組預かっているそうですよ。本業も持っておる。だから、私は余りその人自身を責める気にはちょっとなれなかったのだけれども、しかし、あなた方がそういうふうに予算を流しているからそうなっているはずだというふうに思っておったら、これが多くの実態ではないのですか。
 だから、この辺も調べて、本当に改善するように責任ある手を打たないと、あなた方がお金の面で手当てしたから何とかなっているというふうに思っておったら、現実にはさっぱり改善は進まないのじゃないでしょうか。
#105
○水田政府委員 小沢先生の御指摘のようなことがあってはならないわけでございまして、本年度から生活指導員の全国の研修会というものをやるようにいたしておりますので、私どもも直接に実態をつかみ、適切な資質の向上を図るようにしてまいりたいと思います。
#106
○小沢(和)委員 それから言葉の問題で、これは文部省の方がお見えいただいていると思うのですが、子供はすぐ日本語が話せるようになるといって非常に楽観的な話が多いのですけれども、確かに日常会話は余り不便をしないようには割に簡単になるのだけれども、しかし、学校で授業の内容を理解して身につけるというだけの話学力というのは、これは水準が違うのですね。
 私がお訪ねをしたところの子供さんは、中国で小学校の五年だった子供が、こちらに帰ってきて三年に入るというようにしているのだけれども、それでもなかなか理解ができない。どうしても言葉と授業の内容について、放課後なりあるいは日曜日なり、補講みたい省ことを中国語のわかる先生にやってもらいたい。自分たちはもう四十過ぎていてどうにもならぬけれども、せめて子供はそうしてもらいたい。これは切実に訴えられましたけれども、どうですか。
#107
○牛尾説明員 中国引揚者子女の学校での教育でございますけれども、御指摘のように、特に受け入れた初期の段階においての日本語指導というのは大変重要なことであるというふうに考えているわけでございます。こうした日本語指導も含めまして、生活面あるいは学習面での指導の充実を期するということで文部省では従来から研究協力校というものを設けまして、そこには専任の教員を加配するというような形でいろいろな指導を充実してもらうようにやってきているところでございますが、今後もこの研究協力校をさらに拡充して、そこでの日本語指導を初め学習指導、生活指導が充実するようにやってまいりたいと考えております。
 さらに今年度から新たな措置でございますけれども、教育委員会が民間から中国語の理解できる方を委嘱して、関係の学校に非常勤講師のような形で派遣して学校での指導に協力してもらう、そういった事業も始めたいというふうに考えているわけでございます。
#108
○小沢(和)委員 仕事の問題などについてもお尋ねしたいと思っておりましたけれども、時間もありませんし、先ほど既に説明もありまして、センターにいるときから仕事については取り組みを強めていくというお話でしたから、これはそれで省略したいと思います。
 ただ、生活保護の問題ですけれども、先ほどから、安易に生活保護に安住して、日本語をなかなかマスターできないということを口実にしてずるずる保護を受け続けるような傾向があるのは遺憾だというような話がありましたけれども、私は、これは帰国者に対してちょっと酷な言葉じゃないかと思うのです。実際、さっきから申し上げているように、日本語を学ぶことは我々日本で生まれ育った者には想像がつかないほどの大きな難問だということですね。だから、そういうようなことについても配慮した温かい生活保護行政が行われて、本当の自立が一日も早く行われるようにすべきだというように私は痛感したのですが、いかがでしょうか。
#109
○小島政府委員 確かに語学のハンディというのが自立を妨げる最も大きな原因の一つであろうと思っております。したがいまして、生活保護は必要の度合いに応じてやっているわけでございますが、と同時に自立を図るということも一つの大きな制度の目的でございますので、できるだけそういう指導は必要だと思います。ただ、実態に着目して適正な生活保護の運用を図るべきということは御指摘のとおりだと考えておりますし、生活保護世帯につきましては、必要があればその技能修得資金を活用しての日本語の習得というようなことの便宜をあわせ用いながら、できるだけ早い自立を図るような運用をしておるところでございます。
#110
○小沢(和)委員 では、最後に年金の問題で、これは大臣にお尋ねしたいと思います。
 去年帰国孤児の人たちの年金問題というのが盛んに議論をされました。私も質問をした当事者の一人なんですが、私が衆議院で質問したときには余りいい答弁が出なくて、その後参議院でさらに議論をされました段階で、昨年の四月十九日に時の増岡厚生大臣が「御指摘のように、将来の問題」、これは年金の将来の問題ですね、「につきましては現行制度ではそのようなことになるわけでございますから、今後将来の課題として研究をさせていただきたいと思います。」というふうに答弁をされておられるわけであります。私はこれで、少なくともこれを将来の課題として受けとめていただいて、何とか帰国孤児の人たちの老後の心配がないようにしたいということで取り組んでいただけるというふうに期待を持ったわけであります。
 その後、私はいろいろな機会に帰国孤児の人たちに会いました。中には日本社会に立派に溶け込んでちゃんとやっているというような方にも会ったけれども、そういう人だちも含めて老後、特に年金のことが心配だとみんな共通に言っているのですね。だから、私はますますそのことが重要だと感じたのです。ですから最後に大臣に、昨年こういうことで受けとめていただいたが、その後、研究が始まっているかどうか、そして今井厚生大臣も同じように積極的に前向きの姿勢で取り組んでいただきたいと思うがどうかということをお尋ねして、終わります。
#111
○今井国務大臣 この問題につきましては、まず今回の年金改正によりまして残留孤児の方々の帰国前の期間、すなわち中国におられました期間を年金をもらうのに必要な資格期間として見ることによりまして残留孤児の方々を年金に結びつけることにしたわけであります。ただ、今回の新年金制度のもとでも社会保険方式というものを維持することが基本となっておりますから、年金の額について特例を認めることにつきましてはなお研究させていただきたいと思いますけれども、私は、年金制度上これは極めて難しい問題であるというふうな感じを持っております。
#112
○小沢(和)委員 終わりますけれども、非常に難しいというのはわかっているからぜひ検討して、本当に帰国した孤児には何の責任もないことで中国に長くおったわけですから、そういう実情に合うようにさらに検討を続けてください。終わります。
#113
○山崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#114
○山崎委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#115
○山崎委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#116
○山崎委員長 この際、稲垣実男君外五名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合六派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。稲垣実男君。
#117
○稲垣委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    戦傷病者戦没者遺族等護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項につき、格段の努力を払うべきである。
 一 国民の生活水準の向上等に見合って、今後とも援護の水準を引き上げ、公平な援護措置が行われるよう努めること。
   なお、戦没者遺族等の老齢化の現状及び生活の実態にかんがみ、一層の優遇措置を講ずるとともに、援護の水準の引上げに伴って被用者医療保険における被扶養者の取り扱いが不利にならないよう配慮すること。
 二 第二次大戦末期における閣議決定に基づく国民義勇隊及び国民義勇戦闘隊の組織及び活動状況等について明確にするとともに、公平適切な措置をとり得るよう検討すること。
 三 満州開拓青年義勇隊開拓団については、関係者と連絡を密にし、一層資料の収集に努め、問題解決のため努力すること。
 四 戦没者遺族等の高齢化が進んでいる現状にかんがみ、これら遺族の心情に十分に配慮し、海外旧戦域における遺骨収集、慰霊巡拝等については、更に積極的に推進すること。
 五 生存未帰還者の調査については、引き続き関係方面との連絡を密にし、調査及び帰還の促進に万全を期すること。
 六 訪日調査により肉親が判明しなかった中国残留日本人孤児については、引き続き肉親調査に最大限の努力をするとともに、今後とも、日本人であることが判明した中国残留孤児については、すべて訪日調査の対象とすること。
   多くの中国残留日本人孤児が帰国を希望している現状にかんがみ、これらの日本人孤児が一日も早く日本に帰国できるよう、中国帰国孤児定着促進センターのほかに民間施設の活用を図るなどその受入体制の一層の整備を図るとともに、定着先における自立促進を図るため、関係省庁及び地方自治体が一体となって、広く国民の協力を得ながら、諸施策の総合的な実施に遺憾なきを期すること。
 七 かつて日本国籍を有していた旧軍人軍属等及び旧国家総動員法による被徴用者等に係る戦後処理のなお未解決な諸問題については、人道的な見地に立ち、早急に、関係各省が一体となって必要な措置を講ずるよう検討すること。
 八 原子爆弾による放射能、爆風、熱線等の傷害作用に起因する傷害、疾病を有する者に対する障害年金の支給及び死亡者の遺族に対する弔慰金、遺族年金等の支給に当たっては、現行援護法の適用につき遺憾なきを期すること。
 九 ガス障害者に対する救済措置は、公平に行うとともにその改善に努めること。
 十 法律の内容について必要な広報等に努める等更にその周知徹底を図るとともに、相談体制の強化、裁定等の事務の迅速化に更に努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#118
○山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 稲垣実男君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#119
○山崎委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。今井厚生大臣。
#120
○今井国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力いたす所存でございます。
    ―――――――――――――
#121
○山崎委員長 お諮りいたします。
 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#122
○山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#123
○山崎委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時八分開議
#124
○山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び森井忠良君外十三名提出、原子爆弾被爆者等援護法案の両案を議題といたします。
 これより両案について質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森井忠良君。
#125
○森井委員 数多くの被爆者から、一刻も早く被爆者援護法をつくってくださいという毎年毎年の血のにじむような要求があります。いかがですか。
#126
○今井国務大臣 私も、何遍となくそういう皆様方の切実な御要望、御要求につきましては、お聞きをいたしているところでございます。
#127
○森井委員 ちょっと局長にテストしてみるかな。局長、被爆者援護法案が今議題にかかっておるわけですけれども、賛成ですか。
#128
○仲村政府委員 四十年前に原爆が投下されまして、未曾有の、人類初めての被害を受けたことを私ども承知しておるわけでございまして、野党の先生方から援護法案を御提出受けておることは承知しているところでございます。
 しかしながら、私どもといたしましては、従前から対策の柱として掲げておりますいわゆる原爆二法につきまして、この方向を拡充してまいりたい、このように考えている次第でございます。
#129
○森井委員 厚生大臣、私どもが出しております法案というのは御賛成ですか、あるいは反対ですか。ちょっと先ほどの御答弁でわかりにくかったのですが、再度所信のほどを承りたいと思うのです。
#130
○今井国務大臣 私は、このような悲惨な原爆の被害というものを二度と繰り返してはいけない、そういうお気持ちというものは全く同感なんです。そういう意味でよくわかると申し上げたのです。しかしながら、野党の皆様方の御提案の援護法の問題でございますが、残念ながら私は二つの点でどうしても賛成しがたいと考えておるわけでございます。
 これは何遍も答弁いたしておりますが、第一点は、原爆で亡くなられました遺族の方に対しまして、遺族であるという理由で補償を行いますことは一般戦災者との均衡の問題があること。その二は、国に戦争を行ったなどの不法行為責任がありましてこれに基づきます国家補償を行うという点であります。
 しかしながら、私どもとしましては現行の原爆二法によりまして被爆者対策の充実を図ってまいりたいというのが念願でございます。
#131
○森井委員 今までの政府の態度と全く変わってない答弁でありまして、極めて遺憾であります。私どもが出しております被爆者援護法案、具体的にどこが問題になりますか。
#132
○仲村政府委員 援護法に同調できない部分について若干申し上げますと、国家補償の精神に基づくことを明記されておられまして、これは不法行為責任を前提としておるということで、私どもこの部分について肯定できないところがあるということが一つでございます。それから、ただいま大臣からも御答弁していただきましたけれども、被爆者の遺族の方に記各国債を支給するということがいかがかという点でございます。それから二世、三世に対する医療等の給付につきましても、私どもこの部分を直ちにということではいかがかということで申し上げておるところでございます。
#133
○森井委員 国家補償がいけないと言いますけれども、現行の医療は国家補償じゃありませんか。これは所得制限もついていない、それからどこの国の人でも適用する等々、医療法は読めば読むほどこれは国家補償になっているじゃありませんか。最高裁判所の判決でも根底に国家補償があると明確に打ち出しておるじゃないですか。遺族に対して国は今まで何をしたのですか。一本の線香代も出していないという表現に見られるように、遺族に対して何もしてないじゃないですか。あなた方の一々の反論というのは私は全く納得ができない。そういった問題について私どもが中身をある程度変えれば同調するんですか。
#134
○仲村政府委員 原爆によりまして被害を受けられた方々の健康障害というのは原爆の放射線による障害でございまして、私どもとしても特別の犠牲であるということで考えておるわけでございます。したがって、それを広い意味における国家補償の見地に立ってということで申し上げておるわけでございます。しかしながら、国の不法行為責任を直ちに認めるという意味ではございませんで、結果責任として相当の補償を認めるべきであるという考え方に立っておるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
#135
○森井委員 議論がすれ違いになりますから多くは申し上げません、時間の制約があるものですから。ただ、私ども野党が提出しておる、今回は共産党さんが一緒でありませんけれども、そのほかの野党が全部一緒になって、昭和四十九年から国会に出しておる、我が党の場合は昭和三十年代から援護法案を出しておるわけですけれども、毎年毎年出してきであなた方は一顧だにしないというのは何事ですか。去年、被爆四十周年でした。去年は何とかできるということで期待を持ったけれども、結論からいけば社会労働委員会の立派な附帯決議や特別決議がつきましたけれども、あなた方はそれ以上のことをしようとしない。
 しかも、考えてみますと、大臣も次から次へかわられるわけですね。ほぼ一年に一回かわられる。担当の局長もこれまた二年くらいするとかわる。課長もかわる。大体あなた方は私どもの苦労がわかっておりませんよ。本気で具体的に私どもが出しておる援護法案、こことここはいい、こことここは悪い、これはのめる、のめないという問題があると思うのだけれども、何とか援護法案を吸収をして政府独自の新たな施策はないものか、そういう態度が全く見られない。一年か二年すれば局長がかわる、大臣もかわるということで今までいいかげんに扱ってきたのじゃないですか。これは承知できぬと思うのです。四十九年からですよ、全野党でまとまってきたのは。今もってあなた方は真剣に考えた形跡は見られない。ことしはその意味では明確な前向きな答弁がない限り、私はこれ以上質問を続ける気はありません。はっきりしてください。話し合うなら話し合う、どうすればいいのか、新たな施策は何なのか、この際、明らかにしてもらいたいと思います。
#136
○今井国務大臣 私もこの委員会の委員もいたしておりましたし、また党の社会部会長等もいたしましたので、この問題についての認識というのは決してきのうきょうのものではないと私は思っております。ただ、皆様方の御提案の問題等について先ほど私は二つの点を申し上げましたが、この二つの点につきましては、物の考え方が、特に国に戦争を行いました不法行為責任がある云々の問題につきましては、これは皆様の御意見と極めて違う考え方でございますから、なかなか折り合いがつくと申しましょうか一致点を見出すことが極めて難しいと私は思います。
 しかしながら、その他のいろいろの手当等の問題につきましては、現行二法によります枠組みの中では最大限の努力をいろいろやってまいったというふうな感じを私は持っております。
#137
○森井委員 大臣、一生懸命答弁をしていただく気持ちは十分私もうれしいのですけれども、私も本委員会は長いものですから歴代大臣と議論をしてまいりました。例えば表現が適当でないかもしれませんが、自民党の社労族の四奉行の一人と言われます齋藤邦吉先生、厚生大臣でありましたけれども、彼とも私は議論をいたしております。これは人格の評価はいろいろありますが、原爆に関して言えばあの齋藤厚生大臣のときでも断っていないのですよ。議事録を持っておりますけれども、齋藤さんは「人類の歴史において原爆が投下され、その洗礼を受けましたのは唯一、日本民族だけであります。」こう言っておられまして、結論から言いますと、平和憲法を持つ日本として、まだこういった原爆の問題が処理されておらないことについては極めて遺憾であるとも話された後で、「私はいまここでいつのときこの法律をつくりまして提案したいというお約束はできませんが、何とか援護法というふうなものができないであろうかということを前向きに検討さしていただきたい。それにはもうちょっと時間をかしていただきたいということを私は率直に申し上げます」と話しておる。むげに断った例はない。
 なるほど、あなたが言われました身分関係あるいは一般戦災者との均衡論、そういったもので役人がやんわりと断られた例はありますけれども、今までないのです。現に与党も一遍も否決をしたことはないのです。びびってしまって、政府案と私どもの野党案のどっちを先に採決するかということで議論になる、どっちを先に採決するかを採決して、結局、政府案が成立するというパターンを繰り返したじゃないですか。否決していないのです。大臣の今の話は明らかに否定をされていると私は理解したものですから、そんなものじゃないでしょう。しかも、一年や二年出したのじゃない。もうここ十何年来出してきたものを、単に一遍の採決で断られてしまう、それでいいものかどうなのか、私は政治家としての御答弁をいただきたいと思うのです。
#138
○今井国務大臣 私は、先ほど申し上げたように、その中身についてこういうことをやりたい、ああいうことをやりたいということについての共通点は多々あると思います。したがって、私はそういう意味で全面的に否定をしているわけじゃないのです。
 ただ問題は、繰り返しますけれども、援護法の物の考え方というものが、私どもが基本に考えているものと皆様の考え方とが基本的に違うところがありますものですから、私は直ちに賛成しがたいと申し上げているわけでございます。
#139
○森井委員 大臣、言葉じりをとらえるつもりはないのでありますが、もう長年大臣とおつき合い願っておりますからこれ以上は申し上げませんけれども、齋藤大臣その他歴代の大臣が、私どもの顔を見て、まともに援護法というのは断れない、その気持ちだけでは――ですから、時間をかしてくれと言うならまだしも、あるいは検討させてくれと言うならまだしも、そうじゃなくて明らかにだめだと言われますと、我々としても一年や二年の提出じゃないのですから、それはわかっていただくまで、この後に来る法案もありますけれども、これが片づかなきゃ私は質問しない、こう言っているのです。
#140
○今井国務大臣 私は先生のおっしゃることはよくわかるのです。だから、全面的にだめだと言っているわけでは決してないのです。だから、そういうお話し合いなり物の考え方というものを絶えず交換しながら前進していくということについては私は否定するものじゃないのです。そのことだけは申し上げておきたいと思います。
#141
○森井委員 そこで、言葉じりをとらえるわけじゃないのですが、三月六日に大臣の所信表明に対しまして、ちょっとだけですけれども、被爆者援護法について私が質問をしておるのですね。速記録を読んでみますと、非常に御丁寧な答弁をいただいているので私も感激をしておるわけでありますけれども、「非常に御熱心に被爆の問題に取り組んでおられます先生の今のお言葉でございますから、十分まじめに受けとめまして、できる限りのことをいたしてまいりたいと思っております。」非常にありがたい御答弁を三月六日に本委員会でいただきました。その次がついておりまして、「厳しい財政状況下ではありますことを存じながらも、できる限りのことをいたしてまいりたい、こう思っております」、こういう御答弁なんですね。だから、先ほどの大臣の御答弁と若干違うわけでございます。
 「二つの点」というのがなかったわけでありますが、気持ちは十分わかる、ただし財政上の制約もある、こういう意味だと私は受け取っておるわけでありますけれども、被爆者の皆さんと話をしてみますと、例えば原爆関係の予算は昭和六十一年度はざっと千九十二億の予算が組んでございますが、これは与党の人にも聞いていただきたいのですけれども、千九十二億という予算はやむを得ない、こう仮定をしたら、その中で組み替えていただけませんかと。例えば諸手当が減ってもやむを得ません、そのほかの施策が後退してもやむを得ません。私ども生きている者はいいが、亡くなられた方やその遺族に何にもしてもらってないというのは本当にもう断腸の思いだ。だから、この際、今申し上げましたように、現行の予算の範囲内でどこを削るかは検討するとしましても、今ごろのあれですから一円、二円ということは申し上げませんけれども、たとえ一万円でもいい、今の原爆の予算の中で弔慰金を差し上げてください、これはもう身につまされる被爆者の皆さんの話であります。
 いいですか。予算は決まっておる。しかし、私ども生きておる者はまだそれでも生きているから幸せなんだ。亡くなられた方に思いをいたすと本当に胸が張り裂ける思いだ。だから、どこを削ってでもいいから弔慰金を出してください、金額の多寡は言いませんと。先ほど言いましたように、たとえ一万円でもいい。一万円で、仮に遺族の方々が十万人としますと、これはわかりませんが、私どもの援護法案によりますと、私どもも死没者の正確な数をつかんでおりませんから、苦労いたしまして、とりあえず広島、長崎の慰霊碑に安置してあります過去帳の数によりました。そのうち何人取りに来るかといった確率も含めながら、仮に十万人の方が弔慰金を取りに来るとしたら、受け取ってもらえるとしたら十億です。千九十二億の予算の中で十億削れ、それでもいいから死没者とその遺族に弔意をあらわせ、この考え方はどうですか。
#142
○今井国務大臣 確かに厳しい財政の状況のもとではございますが、被爆者対策の充実のためにできる限りのことをしたいという気持ちは私は全く変わりはないのです。
 ところが、先生からこの間も御質問がありましたように、原爆で亡くなられた方の遺族に弔慰金を支払えということにつきましては、予算の問題とは別に、一般戦災で亡くなられた方の遺族との均衡という問題がございますので、これは御要望に沿うのは極めて難しいのじゃないかなと考えて、今でもそう思っておるわけでございます。
#143
○森井委員 これは言いにくいのだけれども、私は重大な食言だと思うのです。先ほど議事録を読み上げましたでしょう。何でもやりたい、しかし予算の制約があるからと、読めば読むほどそう書いてある。予算の制約ではなしに、今度は中身がいけないとおっしゃるわけですか。それは困るのでしてね。
#144
○今井国務大臣 私は食言ではないと思っているんです。弔慰金というものは難しい。ですけれども、何らかの弔意をあらわすことはできないかという気持ちはございます。これは私ははっきり申し上げておかなければいかぬと思うのです。
#145
○森井委員 保健医療局長さん、昨年本委員会で特別決議をやりましたね。その中で今まで政府・自民党がかたくなに断っていた例えば死没者という言葉、遺族という言葉、弔意という言葉、ちょっとその一節だけ読んでみると、「この際、原子爆弾の投下がもたらした数多くの死没者やその遺族に深く思いを致し、弔意を込め平和への祈念を新たにしなければならない。」若干玉虫のところはありますけれども、死没者やその遺族に弔意をあらわすということが明確に書いてあるでしょう。事務当局としては今までどれだけのことを検討したのですか。
#146
○仲村政府委員 御指摘のように、「原子爆弾の投下がもたらした数多くの死没者やその遺族に深く思いを致し、弔意を込め平和への祈念を新たにしなければならない。」という文言は決議にございます。先生からの御指摘もございましたけれども、私ども昨年度実施いたしました被爆者実態調査の中に死没者調査を含めるということを今現在作業をしておりますが、そういうふうなことで、死没者についての新たな資料の発掘等を含めた作業も組み入れておるわけでございます。
 また、本年度の新しい予算の中では、八月十五日の終戦記念日に被爆者の代表の方を記念式典にお呼びするというふうな予算も組まさせていただいておりまして、そういう形での御弔意をお示ししたいということで考えておるわけでございます。
#147
○森井委員 だめです、そんなことでは。検討したうちに入らない、今までのことをやっておるだけで。
 いいですか、これは大臣もお聞き願いたいのだけれども、いろいろ議論があったけれども、去年、社会労働委員会で特別決議をしたんですね。そして、先ほど大臣は弔慰金はだめだとおっしゃいましたが、具体的に死没者や遺族に弔意をあらわす、これは明確になっておるのです。ついでにつけ加えて「平和への祈念を新たにしなければならない。」こうなっておりますが、今までタブー視されてきた死没者あるいは遺族、それに対する弔意という言葉だけは与野党一致です。与党の皆さんも賛成してくださってこういう決議ができたのです。世の中動いておるんですよ。
 例えば被爆三十周年で申し上げますと、これは時間があれば後で御質問するつもりですけれども、初めて保健手当というのを創設をしたのです。これは被爆三十周年のまさに記念事業ともいうべきものです。これは認定疾病とかなんとか関係なしに爆心地から二キロ以内におった人にはすべてにこの手当を差し上げる、そういう形になっているのです。考え方によってはこれも国家補償的施策と言えなくもないのですが。
 被爆四十周年に何ができるか。去年あれだけの特別決議をいたしましてことしに至っておるのです。決議をしてすぐにやれというのは、それは無理があります。だから、私どもは一年待ちました。もう一度申し上げますが、世の中動いておるのですから、一緒に今まで社労でずっと苦労していただいた今井厚生大臣ならわかってもらえる、そういう意味で私は声を大きくして今質問しておるのでありまして、今申し上げました特別決議に基づいてでも、先ほど大臣がおっしゃいました弔慰金はだめだとむげに断るのではなしに、もうこの際、戦後四十年たった、せめて弔慰金も含めて弔意をあらわす方法を考えてみましょうというぐらいの答弁はしてくださいよ。
#148
○今井国務大臣 私は先ほど再答弁をいたしましたときに、弔慰金というものは難しいけれども、先生おっしゃいますように何らかの弔意をあらわすことができないか考えてみましょうというふうに申し上げたのは、その意味なんですよ。そういうふうに何かの形で弔意をあらわすことができないだろうか、そういうことは私も本当にそう考えております。
#149
○森井委員 弔意をあらわすことを具体的に考えていただくということですから、この場はほかの質問もありますからこの程度にさせていただきたいと思います。
 次の質問でありますが、外務省の高官が時間があるようでありますから若干順序を繰りかえまして、在韓被爆者の渡日治療の問題についてお伺いいたしたいと思うのであります。
 これはもう五年の期限が切れるわけでありますが、かいつまんで、今まで何人渡日治療をされて、来年以降はどうなるのか、まず厚生省からお伺いしたい。
#150
○仲村政府委員 五十六年の日韓両国政府の合意以降、一応期間は五年ということでございますので、六十一年十一月までの取り決めてございまして、五十五年が十人、五十六年が十九人、五十七年二十六人、五十八年六十九人、五十九年八十八人、六十年五十八人ということで、この年度全部を合計いたしまして二百七十人の方々が渡日治療をされているというのが実績でございます。
#151
○森井委員 ことしは八十四人でしたか。
#152
○仲村政府委員 六十一年度は八十四人を予定しております。
#153
○森井委員 仲村局長、答弁が抜けているのだが、期限が切れるけれどもどうするのかと聞いているのです。
#154
○仲村政府委員 大変失礼いたしました。
 そういうことで六十一年の十一月で切れるわけでございます。これをどのような形で継続するかについては、現在、外交ルートを通じて韓国側の意向を打診しているところでございまして、その対応については正式の回答を得てからということになるかと思いますが、継続についてできるだけ努力をしてまいりたい、このような基本的な態度でおるわけでございます。
#155
○今井国務大臣 この問題は大事な問題ですから私からもお答え申し上げますが、これは先生のおっしゃるとおりなんです。この問題は今のようなことでやっておりますけれども、私は継続につきましてはできるだけ努力しまして、その意向を韓国側にもよく伝えましてやろうと思います。
#156
○森井委員 大臣の前向きな御答弁でありますが、外務省はどうですか、韓国側の意向というのは。
#157
○福田(博)政府委員 この問題については、人道的な見地からぜひ継続した渡日治療が行われるようにすべきであるというのが我々の考えでございますので、この両国当局間の合意を延長することについての申し入れを韓国政府に行っております。韓国政府は、今までのところ、関係者の間で目下協議をしておるということを言っておりまして、まだ回答はしてきておりません。実はごく最近、四月に入ってからも督促をしております。もうちょっと待ってくれということでございます。
#158
○森井委員 これは、御存じのように日本への渡航費は韓国の政府持ちなんです。韓国の予算に縛られております。こちらへ見えたら後はすべて日本の国内法で処理できるわけですが、韓国側にとっては渡航費という予算上の制約がある。
 私どものところへもしばしば韓国の被爆者の皆さんから、どうも韓国政府は予算上の都合もあるようだ、そのほかの理由もあるのかもしれませんが、予算上の理由もあって、来年度以降については韓国政府としてももう打ち切りそうだという意味のことも来ておるわけです。その意味では、旅費の問題が一つひっかかると思うのです。
 仮に韓国政府が旅費をお出しになったにしても、韓国の被爆者の方々は、数字が出ているのですが、毎年最低二百人くらいは受け入れてほしいということ。先ほども申しましたように、昭和六十一年度で八十四人ですね。要求とも相当違っております。ですから、今外務省から答弁がありましたように、韓国政府が仮に旅費を見るにしても、被爆者の皆さんの要求とは人数の上でも相当な隔たりがあるわけでございます。
 そこで考えられるのは、日本政府が渡航費を持つわけにはいかないか、それが一つ。もし日本政府がだめだというのなら、民間の団体等の募金によって旅費ができた場合にはそれはどうなるのか。その点についてお伺いをしたいと思います。
#159
○仲村政府委員 渡日治療の問題につきましては、今先生からお話がございましたように、私どもといたしましても韓国の事情はあろうかと思いますけれども、できるだけ多くの方々がお見えいただくということは望ましいことだと考えておりますので、その方向で努力してまいりたいと考えます。
 今お話しの民間の方々から募金を募って篤志の方々の御意向をどう受け入れられるかというお尋ねでございますが、具体的にお話がございますればできる限りのことはいたしたいと思うわけでございますが、合意書として取り扱うかどうかを含めまして、さらに検討さしていただきたいと思うわけでございます。
#160
○森井委員 外務省の考え方はどうですか。
#161
○福田(博)政府委員 ただいま韓国側に申し入れて回答を待っておりますのは、こういう渡日治療を続けたい、そのために、両国当局間の合意がことしの十一月末で切れるので、これを延長してはどうかということを言っておるわけでございます。
 先方が回答してくる場合にどういう回答をしてくるか、その中に旅費の問題とかその他具体的な話が入っておるのだろうか。先方の内部事情を内々聞いてみますと、大分細目が詰まっているけれども、もうちょっと関係者の間で協議をしているから待ってほしいということでございますので、来たところでその対応ぶりを誠意を持って考えたいと思っております。
#162
○森井委員 ことしの二月二十日付で韓国原爆被害者協会が一定の決議をして、日本大使館を通じて日本政府に申し入れをしたという知らせが私のところに来ておるのですけれども、これは今申し上げました韓国の原爆被害者協会から日本大使館を通じてこの問題についての要請書が届いておりましょうか。
#163
○福田(博)政府委員 入手しておりまして、厚生省の方にもお渡ししてございます。
#164
○森井委員 それですと、非常に話がしやすいわけでありますが、本件に関しては韓国の被爆者の皆さんも非常に関心が高い。二万人とも二万五千人とも言われます在韓被爆者の中で、先ほど来話がありましたように、まだ三百数十名しか日本で医者に診てもらっていない。しかも、それはこちらへ来ましてもわずか二カ月という短い治療期間なんです。
 そこで、先ほど言いましたように、もっとふやしてもらいたいという要望が出てきておるわけですが、これは単に今までやっておりました人道上の見地からこの韓国の被爆者の皆さんを治療してあげるということ以外の意味があるのですね。私も、いただきました文書を見てはっとしたのでありますが、最初はその渡日治療というのは韓国の被爆者は何か頭越しに恩着せがましくやってやるということで、こんなものボイコットしてもいいと思っておった。ところが、来てみると非常に親切に医師と言わず、看護婦と言わず、もう日本国民挙げて親切にしてもらう。治療が終わったら涙ながらにまた引き揚げていく。その間、友情が生まれて文通まで始まるというようなこともありまして、これはそういう意味では両国の親善、その上にも非常に役に立っておるということを私は聞いておるわけですよ。
 それだけに、これは期限が来て、韓国側の事情があるからこれでやめたということにはならない。もう歴史的なことをひもとくまでもないのですけれども、これは一九一〇年ですね、日韓併合条約ですか、そして植民地活動が日本で始まって、あれだけたくさんの朝鮮人の方々を日本に連行してきて、結果として原爆の災難に遭われたというケースでありますけれども、これは日本としても放置ができない。今までは人道的な見地から――外務省に聞きますと、これはもう日韓基本条約があるのだから人道上の見地しかできませんという答弁に終始をしてきておられたわけですけれども、これももう時代が相当変わってきておる。どういう事情があるにしろ、これを日本側が打ち切るということについては大きな問題がある。したがって、万難を排して厚生省としては渡日治療を続けるという立場でなければならぬと私は思うわけでありますが、これは局長、どうですか。
#165
○仲村政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、私どもといたしましては、先生がおっしゃいましたような趣旨に基づきまして、当然のことながら延長できればということで外交ルートを通じて申し入れをしているということでございます。
#166
○森井委員 最悪の場合と言うとちょっと語弊があるんだけれども、韓国政府が旅費を持たない、そういう場合には、厚生省あるいは外務省の予算も含めて、つまり国の予算、もしくは先ほど言いました民間の善意による募金などなど、どういう形にしろ実現をしたいというその決意は表明していただけますか。
#167
○仲村政府委員 ただいまのところは、先ほどから申し上げておりますように外交ルートを通じまして正式な韓国の意向を打診しておるところでございますので、その点で、趣旨としては延長いたしたいという趣旨はございますけれども、正式な外交ルートの御返事をお待ちしておるというところでございます。
 先ほど善意の方々の募金でということのお話もございましたけれども、その際にはどういう形になりますかを含めましてさらに検討してみませんと、ただいまここで直ちにお約束するというふうな中身ではないと考えておる次第でございます。
#168
○森井委員 これは外務省も聞いてほしいのですけれども、去年の八月六日、国際人権擁護委員会韓国連盟というのが声明を出しているんですが、仄聞いたしますと、それは「韓国の原爆被害者に対する責任は、韓国人を強制連行し徴用した日本政府にあり、その医療と福祉は日本政府の責任においておこなうべきである」、こういう声明を出しております。さらに、去年の十二月二十三日でありますが、韓国原爆被害者協会は韓国被爆者の救済について、大韓弁護士協会というのがあるそうでありますが、大韓弁護士協会に陳情書を提出をしております。当然のことでありますが、これらは一連の動きとなって日本弁護士連合会、日弁連に、何とか日弁連としてもこの問題を取り上げてもらいたいという動きが既に出てきておりまして、そのために韓国人権擁護委員長の柳さんがそういった要請書というのをわざわざ日本に来て手渡しておるという状況があるわけであります。こういった一連の動きについては、厚生省か外務省か把握しておられますか。
#169
○福田(博)政府委員 全部承知しているというわけにはまいりませんけれども、例えば先ほど先生がおっしゃいました去年の八月六日の声明等の内容は承知しております。この点につきましては、御承知のとおり今から二十一年前基本関係条約その他一連の条約を結びまして、日本と韓国の間で国交回復いたしました際に、請求権にかかわる協定がございまして、お互いに請求権の処理を行っておるわけでございます。したがいまして、法律的に日本政府の責任云々と言われますと、これは条約とか協定でいろいろ議論があるわけでございますが、しかし、これは先生最初からおっしゃっていますように、それから私ども御答弁で申し上げておりますように、すぐれて人道問題でございます。
 したがいまして、その人道問題の一つとして、より経験のある日本における治療というものが引き続き可能になるよう韓国側の検討を申し入れておって、その内容がどういうものになるかということは、今の時点で回答がないもので、あれこれ言うのは差し控えた方が、向こうの立場もあるでしょうから私はいいと思いますが、それが参りましたら、引き続き渡日治療が可能になるよう関係省とも相談をして努力をいたしたいというのが我々の考え方でございます。
#170
○森井委員 外務省は、先ほど私が申し上げましたことしの二月二十日の韓国原爆被害者協会の決議書といいますか要請書といいますか、要望書ですね、要望書を既に入手しておられますから多くは申し上げませんが、この際、注意を喚起しますために申し上げますと、渡日治療の問題だけじゃありませんで、韓国に原爆総合病院を建ててもらいたい、あるいは地域別に、全国十カ所ぐらいでありますが、福祉センターの建設を要望する、それから韓国内の被爆者の治療費を日本政府が負担してもらいたいなどなどの要求が出ておるわけでありまして、今外務省の答弁によりますと、それらのものは人道的な見地から見てもだめだというように受け取れたわけでありますが、せっかくいろいろなパイプがあるわけでありますから、外交ルートを通じてできるだけこれらの要望についても前向きに対処してもらいたいと思うが、いかがですか。
#171
○今井国務大臣 私は、そういったもろもろの問題が韓国への内政干渉というふうなことに触れないようにしながら、我が国の関係者の熱意が実るように、いろいろ努力をしておられる方に対しまして私どもがその熱意が実るようにこれをするということについては大賛成でございます。
#172
○森井委員 それで、時間の関係がありますから、次の質問に移らせていただきますが、去る三月十六日から十七日にかけて、広島の放射線影響研究所で第四回の日米合同原爆放射線量再評価検討委員会が開かれておりますね。そこで、広島、長崎に投下された原爆の放射線量について、従来準拠してまいりました一九六五年の暫定値、俗に言うところのT65Dという、これを二十一年ぶりに修正をされるということになりました。そして、新たに線量計算システムとしてDS86というのを決定したわけでありますけれども、これは時間がありませんから、かいつまんでどういうことなのか、御報告をいただきたい。
#173
○仲村政府委員 おっしゃいますように、三月十六、十七日に日米両国の研究者が集まりましてワークショップを広島で行いました。これは従前から行っておりました日米両国の研究者によります研究の成果を最終的に検討するという段階であったわけでございます。
 検討の内容は、まだ最終報告になっておりませんので、細かく御説明できる段階ではございませんけれども、原子爆弾の出力でございますとか、地形や家屋による遮へいの効果、あるいは爆発時の気象の条件等の影響を考慮してつくられました、今おっしゃいました新しい線量計算体系、DS86と呼ぶようでございますけれども、その計算方式によりまして原子爆弾の放射線の物理学的な線量を決定するというふうなものだということで承知しておるわけでございまして、最終報告は本年中というふうに私ども聞いておるところでございます。
#174
○森井委員 私も当事者じゃありませんから新聞報道によるしかないのでありますけれども、原爆の威力は従来考えられていたものよりも相当強くて、放射線量の見直しが行われて線量の増大が予定されておるというように聞いておりますが、これは事実ですか。
#175
○仲村政府委員 新聞報道によりまして今おっしゃったようなことが報道されたわけでございますけれども、これまでの検討によりますと、私ども聞いております範囲では、広島の原子爆弾の威力は従前の推定よりももっと強かったというふうに聞いておりますし、長崎についてはぼ同程度ではないかという意見があったということでございます。しかしながら、この点につきましても、被曝線量を含めまして、なお詳細については検討の余地があるように聞いておるところでございます。
#176
○森井委員 従来は何もかもいわゆるT65Dで処理してまいりました。しかし、今度DS86というのが決定するわけでありますが、これはやはり被爆者の中には相当不安めいたものが出てくるというふうに私は思うわけでございます。
 今局長さんもちょっと答弁をされましたけれども、例えば原爆の破損規模についても、広島の場合でいきますと、TNT火薬換算で今まで十二・五キロトンという評価があったわけでありますが、これが十五キロトンになった。相当強力なものだったということが明らかになっておるわけであります。おっしゃったように、爆発規模については長崎は余り変わっておりません。しかし、そのほかの面ではいろいろ変化が出てきておるわけですね。
 局長は非常に慎重でありますけれども、やはり新聞報道というのは私は根拠のない報道じゃないと思うのでして、何か局長の答弁を聞きますと、まだこれから、今やっておるのだからということで慎重に言われるようでありますが、これは日米のそれぞれの委員長さんの談話、コメント等を新聞で読んでみましても、もうこれが最終のものであるし、相当根拠も正確なものだ。だから爆心地の位置も変わりますね。それからガンマ線あるいは中性子線の威力もそれぞれ違ってきておる。
 ですから、新聞報道によりますと、広島の場合、ガンマ線は爆心地から一キロで従来の二倍、二キロになりますと従来の四倍に増加しておる。長崎の場合も、爆心地から一キロということになりますとガンマ線は十分の九ぐらい、やや減っておりますけれども、二キロでもこれは減っておるのですね。十分の七に減少しておるという、いろいろな今までの私どもの常識を覆すような再評価検討がなされておるわけであります。
 特に私が驚きましたのは屋外の中性子線であります。中性子線は、広島の場合、今までの評価と比べますと、爆心地から二キロで十分の一に減っておる。ガンマ線は四倍になっておるわけでありますが、中性子線は十分の一になっておる。例えば白血病です。今まで長崎に比べて広島の方々に白血病が多いというのは、これは中性子線量が多いからだろうというふうなことが定説になっておりました。これは覆ってくるわけですか。そうすると、今度はガンマ線の威力というのはどうなんだろうか。従来の評価からすれば、ガンマ線の場合、広島は四倍になっているわけでありますが、そうすると、ガンマ線が多いから白血病が多いのかということにもならざるを得ない。これはすぐれてこれからの検討結果に待つのだろうと思うのですけれども、それまでじっとしておりますということなのか、一体どういう形になるのか。
 今私が申し上げました数字というのは、これは新聞が勝手に書いた数字であって、まだ権威あるものじゃない、いやそうじゃなくて、若干の修正はあるにしてもほぼこのとおりになるだろう、その辺の見通しについては、当然のことでありますが、明らかにされるべきだと思うのです。
#177
○仲村政府委員 合同ワークショップの後で田島先生その他の責任者の方が記者会見をされたということを私も承知しておりますし、田島先生が御自身で私のところへお見えいただきましてその内容についての簡単な御報告をいただきましたけれども、これは日米共同の作業でございまして、現在ありますドラフト、報告書案につきましては、日本側がさらに最終コメントをアメリカ側に提出するというふうな手順もあるようでございますし、各ドラフト担当著者グループが責任を持ってコメントに対処して最終報告書を作成するというふうな手順のようでございます。
 したがって、個々の研究者から外部へ余り漏らさないようにというふうな打ち合わせもあったように聞いておりますので、私どもといたしましては、最終報告書ができ上がるまで公式的なコメントはできないということで先ほどから御答弁をさせていただいているわけでございまして、前にも御答弁申し上げましたとおり、報告書の公表は本年じゅうに行いたいという御意向のようでございます。
#178
○森井委員 そうすると、今年じゅうに確定をするようでありますけれども、そうなりますと今まで行ってまいりました厚生省の被爆者対策に変更が予想されますか。
#179
○仲村政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、DS86というのは原子爆弾が爆発して放射線が空中へ出る、そういう際の物理学的な線量の把握のための作業でございます。それから今度は、人間、他の生物等への被害を与えるわけでございますけれども、いわゆるその生物学的な効果と申しますか、生物学的な影響等につきましては、この委員会とは関係ないわけでございますけれども、今後、放射線影響研究所でそのような作業をするようになるというふうに聞いておるわけでございます。
#180
○森井委員 まだ確定しておりませんからこれ以上申し上げませんけれども、要望だけしておきたいと思うのです。
 例えば保健手当、先ほどもちょっと申し上げましたように、被爆三十周年を契機といいますか、昭和五十年度に創設をされたわけですね。これは二十五レムというのが基準になっております。これはガンマ線とそれから中性子線を合わせたものでありまして、中性子線の場合は計算上四倍にするということになっておりまして、そういうものを合わせて二十五レムというのが基準になっておるわけであります。先ほど言いましたように、爆心も変わってまいりました。だから、一例ですけれども、保健手当一つとってみてもこれは再検討しなければならぬ事態になるのかどうなのか。私が計算をしましても、今のところ私の計算では異動はないと思いますけれども、しかし、今申し上げましたようにまだ明らかになっておりませんから、この際、新たにそういうものが出ましたのを契機に全般的に被爆者対策というものをもう一度再検討してみるといいますかチェックしてみるといいますか、その作業は必ず必要になってくると思うのでありますけれども、その御意思がありますか。
#181
○仲村政府委員 手順のことをちょっとまた御説明させていただきますけれども、この線量の評価検討委員会の最終報告あるいは放射線影響研究所での計算、解析等が出ますと、その後で国連の科学委員会、さらには国際放射線防護委員会、御承知のICRPでございますが、そこで検討されるというふうに聞いております。したがって、そのような時点で私どもといたしましてはその結果等について慎重に種々検討しなくてはいけないというふうに考えているところでございます。
#182
○森井委員 この際、杞憂になってもいけませんが、私の懸念だけは申し上げておきたいと思うのです。
 今話にありましたICRP、これも当然今度のDS86との関係ではまた基準で検討される時期が来るんじゃないかという感じがするわけですけれども、ICRPの歴史を見ますと、例えば一九五〇年代は一生に一度の人類が受ける放射線量の基準を決めておりますけれども、これは当初百レムから始まっているのですね。先ほど言いました保健手当のときは二十五レムがICRPの基準ですからそうなっているわけですけれども、くるくる変わっているのですよ。年度によっては五十レムが許容限度といったときもあるし、現在みたいに二十五レムといったときがある。全般的に、あちこちに原子力発電所等ができましてどちらかというとICRPの許容限度というふうなものはややもすれば緩められるのじゃないかという懸念がございます。これは答弁は要りませんけれども、私どもそういった懸念をしておるということだけ申し上げておきたいと思います。
 さて、時間があとわずかになってまいりましたけれども、そのあとわずかのときにこういう質問をするのほかえって中途半端で誤解を生むかもしれませんが、それでも時間の許される限り最後の一問をお願いをしておきたいと思うのですが、認定制度であります。
 これは非常に評判が悪いわけですね。せっかく権威あるお医者さんにちゃんと書類を書いてもらっても審議会で落とされていってしまうというふうな経過がある。そして明確な認定基準もない。もし、あるのなら認定基準を出していただきたいのですけれども、認定基準もない。あたかも落ちるのはやむを得ないというふうにも受け取れる面もある。認定基準を撤廃しなさい。
#183
○仲村政府委員 お尋ねの認定疾病に係ります認定の基準でございますけれども、原爆医療審議会におきます原爆症の認定につきましては、申請者から出していただきました被曝放射線量でございますとか患者さんの傷病の状態等をもとにいたしまして個々のケースごとに専ら医学的な見地から判断をいたしておりますものですから、基準といったものはないわけでございます。被爆の状況は屋内、屋外、遮へい物の有無等、もう先生も御承知のことだと思いますけれども、現病歴、既往歴等も含めまして種々医学的に判断をするということでございます。
#184
○森井委員 局長、純医学的と言うけれども、白血病で例をとりますよ。これを見ますと、医療法の第七条に書いてあるのですね。「原子爆弾の傷害作用に起因して負傷し、又は疾病にかかりこれは原爆の起因性と言われるものですね。それから「現に医療を要する状態にある被爆者」、要医療性とも言いますか、この二つの要件があるわけだ。
 白血病で原爆に起因しておるかいないかというのは見分けがつくのですか。
#185
○仲村政府委員 白血病にもいろいろのタイプがあるのは先生も御承知だと思いますが、そういう点で区別するものもございますし、被爆者が受けられました線量等を勘案して決めるというふうに聞いております。
#186
○森井委員 そんなのはだめだ、答弁にならぬ。白血病は原爆に起因するものもそうでないものも見分けがつかないのだよ。そうでしょう。見分けがつくものは一つしかないのだ。白内障です。白内障だけは、原爆特有の症状があらわれてくるものだからこれは見れば原爆症とすぐわかる。それ以外のものはけじめがつかないのです。だから法律に無理がある。
 法律のやり方も、例えば原爆医療審議会というのは年に何十回やっているのですか。たったの四回でしょう。一遍落とされたらもう何カ月もまた待たなければならない。不便なことでしょう。あなた方は、恐らく予算上の制約があるからばっさりばっさり切っている。五十九年度の広島の場合の認定率というのは三八%です。三人に一人は落とされている。僕はおかしいなと思って法律を読んでみましたよ。そうすると、疾病を認定する場合に絶対に医療審議会にかけなければならぬとは書いてないのですね。例えば医療法の八条の二項に「厚生大臣は、前項の認定を行うに当っては、原子爆弾被爆者医療審議会の意見を聞かなければならない。ただし、当該負傷又は疾病が原子爆弾の傷害作用に起因すること又は起因しないことが明らかであるときは、この限りでない。」と書いてある。明らかに原爆だとわかるものは、例えば白内障等そうなんですけれども、医療審議会にかけなくてもいいのです。これをあなた方は全部かけているのですか。
 そこで、私は、この際認定制度というのはなくして、例えば大量に放射能を受ける可能性のある位置にいた人、つまり放射線をいかに大量に浴びたかどうかということだけでも判定ができるわけです。認定制度というのはそういう意味で要らない。再検討する余地があるかないか。
 もう時間が来ましたから、最初に私が危惧しておりましたように、時間があるときにやらないとあなた方は逃げると思ったけれども、質問の順序でこうなってしまいましたが、もう一遍この認定制度について再検討いたします、こう答弁しなさい、そうしたらやめるから。
#187
○仲村政府委員 おしかりでございますけれども、原爆医療法の厚生大臣の認定は専ら医学的見地から判断されるべき事柄ということで考えておりまして、私どもといたしましては、原爆医療審議会の意見をお聞きすることにいたしたいと考えておるわけでございます。
 しかしながら、運用の面で、回数の問題でございますとか、認定までの期間の短縮のことでございますとか、そういう面で改善できるべきところはできるだけ改善に努めたいとは考えておる次第でございます。
#188
○森井委員 残余の質問は後日に譲りまして、まことに残念でございますが、私の質問を、時間が参りましたので、終わります。
#189
○山崎委員長 中村重光君。
#190
○中村(重)委員 仲村局長、あなたの答弁がどうも聞きとりにくいのだな。あなたが悪いんじゃなくてマイクが悪いんだろうから、委員長、マイクはかえた方がいい。はっきりしないんだ。
 外務省の林審議官、お見えですね。昨日九日の衆議院の外務委員会で安倍外務大臣が鯨岡委員の質問に答えているのですけれども、東京サミットの際に会場となる東京元赤坂の迎賓館で広島、長崎の原爆資料展を開催すべきだという提言、これに対して、広島、長崎両市長から要望があれば、中曽根首相と参加各国との個別の首脳会談の際、両市長が各首脳と会見できるよう取り次いてもよい、こう答えているわけです。非常にいいことなのですが、こっちへ来られて、そして個別に会う際に取り次いてもよい、会わせでもよろしい、こういうことですが、これは時間的に間に合うのだろうか。この外務大臣の真意はどういうことなのだろうかということですね。
 東京サミットで、これは資料展とあるのですけれども、広島、長崎両市長が言っているのは写真展ですが、それはどちらでもいいんだけれども、この点、時間的な関係、東京サミットで写真展を開くことができるよう対処する、こういう意味なのか、それをお聞かせくださいませんか。
#191
○林説明員 広島、長崎両市長がサミットの機会に平和と軍縮の願いを訴えたいという強いお気持ちであることは私どもとしてよく理解している次第でございます。
 昨日の外務委員会で安倍大臣がお話し申し上げましたのは、広島、長崎両市長よりサミット参加国首脳とお目にかかりたいという御要望がありますれば、外務省に寄せられますれば、それを関係国に取り次ぎたいということだと私どもは考えておりまして、それは安倍外務大臣の発言の御趣旨を踏まえまして、私どもとしてしかるべく外交チャネル等を通しまして関係国にその趣旨のことはお伝えしておきたいと思います。
 先生最後に御質問がありました原爆展でございますが、サミット期間中にサミットの開かれます迎賓館等におきまして原爆展を催すことは事実問題として極めて困難であるということは従来私どもが申し上げているとおりでございます。
#192
○中村(重)委員 先ほど長崎市長も見えたんだけれども、その点を心配しているのです。私も、こっちへ来てしまってから取り次ぐ、それから写真展ということはなかなかできないのではないか。しかし、本当にそうさせなければならないということであれば、これから努力をすると可能だと思うのですよ。唯一の被爆国家である日本として、この日本で開かれるサミットだから、そこで写真展をやる意義は大変大きいと私は思うのです。ともかくこの地球から核兵器を廃絶させなければならぬということは世界の諸国民の願望なんだ。ただ、それができないのは、米ソの不信から均衡と抑止というような名のもとに核兵器の拡大を続けている、何としてもこれを避けさせなければならない。日本におけるサミットの開催の期間中に写真展を開くということは最も絶好の機会だと私は思う。
 だから、今のあなたの答弁からしても、事務当局が積極的に対応していこうとする気迫というものが感じられないんだな。これは国務大臣としても重大な関心をお持ちにならなければならぬでしょうし、私どもの援護法の制定も被爆者の援護強化にとどまらず、このことが核兵器の廃絶、世界の恒久平和に役立つ、そういう基本的な認識の上に立って援護法の制定の要求をし続けているわけです。だから国務大臣としてあなたもこれから推進をしていくという構えが必要であろうと思うので、お答えをいただきましょう。
#193
○今井国務大臣 今の原爆のあの悲惨さを広く世界に知っていただくための写真展、こういうことを世界のトップグループが集まるときにやろうじゃないかという考え方は、私はまことに時宜を得たものだと思いますが、ただ、それができるかできないかというのは外務省の方でもよく検討をしてもらわないといけない問題だと思います。やろうとするお気持ちは全く賛成でございます。
#194
○中村(重)委員 やれるように努力しなさいと言うんだ。やる気があったらやれないことはない。こっちに首脳が来てからただ取り次ぐということではできないじゃないですか。そんな消極的な態度であってはならぬと思う。あなたにやかましく言って、筋違いだと言われても困るんだけれども、国務大臣だから、当然あなたとしても重大な関心を持って対処していかなければならぬ。
 外務省、安倍外務大臣と話をされて、間に合うように事務当局は推進していくということでなければならぬと思います。もう一度。
#195
○林説明員 御発言の趣旨は私として大臣によくお伝えいたしますが、先ほど申し上げましたとおり、迎賓館等サミットが実際に行われる場所において写真展を行うことは物理的に極めて難しい状態にあるということは御理解いただきたいと思います。
#196
○中村(重)委員 そんな消極的な態度では話にならぬね。だから、あなたと問答してもしようがない。
 厚生大臣、外務省で検討してもらわなければしようがないんだからって、外務大臣が外務委員会でそう答えているんだから。鯨岡委員も東京サミットで写真展をやるべきであると提唱しているんですよ。この質疑は軍縮議連の立場からやっているわけです。だから、外務省で検討してもらわなければやれるかやれぬかわからぬのだということではなくて、これは非常に意義があることだからぜひ実現させなければならぬということで、やはり国務大臣としてのあなたの積極的な対応が必要だろうと思うのです。もう一度。
#197
○今井国務大臣 先ほどの私の答弁がより消極的だというお話でございますが、私は極めて御趣旨に賛成でございます。したがいまして、閣議等におきまして外務大臣によく申し伝えます。
#198
○中村(重)委員 先ほど来森井委員との質疑を聞いていたのだけれども、私も二十五年から二十六年間ぐらいこの原爆の問題を取り上げてないことはないんだ。小沢元厚生大臣もいるんだけれども、先ほどの弔慰金の問題だって、当時の小沢厚生大臣は非常に積極的だったんだよ。実は三つの問題があって、小頭症の問題、近距離被爆者の問題、二世の健康診断の問題、それから弔慰金の問題、我々とは合意したんだよ。ところが、その中の二つは曲がりなりにも実現したけれども、弔慰金だけは実現していない、こういうことなんだ。やる気があればできないことはないんだ。だから今井さん、あなたのもっと積極的な取り組みが必要だと思うんだよ。いかがですか。
#199
○今井国務大臣 原爆に関しますいろいろな問題につきましては、私も熱意のほどは人に負けないつもりでおるりですけれども、ただいますぐにできることとできないこととがあるものですから、そういう意味でいろいろ慎重な御答弁を申し上げておるわけでございまして、先ほど森井委員にもお答えをいたしたようなことが私の真意でございます。
#200
○中村(重)委員 できることとできないことがある――我々は国会議員なんだよ。できないことは言わない、そんな無責任なことは。できることをやらないから、やりなさいと言っているんだ。援護法の制定の問題でもそうでしょう。基本懇だって援護法の制定をしてはいけないと言ってないんだ。あるいは地域是正の問題についてもだめだとは言ってない。その当時、地域是正の問題については、園田厚生大臣と長崎の本島市長がテレビでもって二元放送で対談をした。基本懇はやるなとは言ってませんから、あなたとよく相談をして実現に向かって努力しようじゃありませんか、そういう対談があったんだ。
 ところが、基本懇がこうだからできないんだ、できないんだ。それは、当初原爆関係の予算は二十三億ぐらいだった。これが一千百億ぐらいになっているから、絶対額はふえているんだよ。しかし、実際中身については後退の方向になっているんだよ。だから、できることはやるが、できないことはやらないと言うが、できないような方向に努力をしているような感じがしてならないんだ。具体的なことでそうじゃないと言えますか。
#201
○今井国務大臣 後ろを向いて進んでいるつもりはさらさらありません。私も、先ほど御答弁申し上げましたように、援護法の問題は、当委員会におりましたからよくいきさつを知っておりますし、また野党の先生方の御提案に対しまして討論したことがあるわけでございまして、したがって気持ちとしてはよくわかるのでございますけれども、直ちにやれるものとまだしばらく検討しなければいかぬものがありますよということを先ほどから申し上げておるつもりなんでございまして、私の気持ちはひとつ御理解いただきたいと思います。
#202
○中村(重)委員 今のは大分前向きの答弁なんだ。今すぐやれないことがある、しばらく研究させてもらいたいということはあり得ることですから、そのことにけちをつけません。
 そこで、具体的な問題についてお尋ねをするのだけれども、我々は随分前から死亡調査をやるべきだと言ってきたのだが、今度死亡調査をやりつつあるのです。ところが、どうも我々が期待をしておったような調査の方向じゃないんじゃないか。どういう目的で、そして現在の状況はどういうことなのか、それを聞かせてくださいませんか。
 私が言うのは、僕も家族十二名を失ったのだが、私のところなんか報告をしてほしいという調査の資料すら全然来ないのだよ、だから死亡調査については真剣にやってないんじゃないか、どうですか。
#203
○仲村政府委員 死没者調査につきましては二つございます。一つは、被爆者実態調査の中で、調査票の中に書いてあることから死亡者についての情報を得るということでございます。二つ目といたしましては、原爆被災関係の資料、昨年末厚生省と広島、長崎両県市で協議の場を設けまして、官公署とか企業等が有する資料、こういうものを発掘、収集するようなことを検討しておりまして、それが集まり次第死没者についての調査をやってまいるということでございます。具体的には、広島、長崎にございますマスターファイルにそういう情報を入れてチェックをするということで作業をしているわけでございます。
#204
○中村(重)委員 まだデータが上がってきてないのですか。
#205
○仲村政府委員 被爆者全体に実態調査の調査票を配りまして、ことしの一月ごろ締め切りをいたしまして、それを今コンピューターに入れておるところでございまして、その分については集まっております。それから、二番目に申し上げました各種の資料を集めて、既に広島、長崎にございますマスターファイルとチェックするという作業は、資料が集まり次第どんどんやっておるということで、進行中でございます。
#206
○中村(重)委員 そうすると、死亡者実態調査等が出てくると、何か具体的な施策というものが講じられてこなければならないんだけれども、そういう中で弔慰金の支給等についても関連して考えていますか。
#207
○仲村政府委員 十年置きにやってまいりました被爆者実態調査につきましては、被爆者の現在の生活、健康等の実態を総合的に把握して今後の被爆者対策の基礎資料を得ようとすることでございまして、結果が出た段階で十分に検討するわけでございますが、死没者につきましては、ただいま申し上げたような大きな流れの中で二つの情報源としてそれを活用いたしまして、原爆によりまして死没した方々の数等を明らかにして、原爆の被害の実態をより詳細かつ明確にすることを目的としているわけでございます。
    〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
 しかしながら、今回の調査結果が直ちに援護の措置に結びつくというふうに申し上げるのはなかなか難しいのではないかと考えております。
#208
○中村(重)委員 死没者の実態調査をする、これは目的がなければいかぬ。単なる調査のための調査であってはならない。だから、先ほど来今井厚生大臣から何らかの弔意を表することを考えなければならない、考えたい、私は誠意を持って答えておったように思うのですよ。大臣、そうすると、死没者の実態調査等がまとまったらば、今の弔意を表する問題を含めて前向きの施策というものが当然期待されると思うのですが、そうした期待にこたえるという考え方を持っていますか。
#209
○今井国務大臣 まず弔意については、弔慰金につきましては、先ほどから何遍も申し上げたことでございまして、やはり何らかの弔意をあらわすことはできないか、考えてみようということは先ほど申し上げました。
 そこで、遺族に対する援護措置の問題でございますが、これはやはり政府の原爆対策の基本方針として行わない、こうしておるものでございますから、今回の調査結果が援護の措置に直接結びつくというものではないというふうに私は申し上げざるを得ないと思います。
#210
○中村(重)委員 そういうことだったら、何のための調査か。死没者の実態調査、調査もせずして、いろいろなデータによると、広島、長崎で調査をしたことあるいは原水禁で調査をしたこと、全く数が違うんだ、こんなでたらめなことでは死没者に対する弔意を表することにはならない。昨年の委員会でしたか、私はそのことを指摘をしてきたわけです。
 初めから前向きの施策に結びつかないなどというような結論を出して調査をするというのは何のための調査が、こう言わざるを得ない。調査をしたらこれに応ずる人たちも誠意を持って応じていくわけです。だからして、やはり前向きの施策を講じていくということでなければならぬと私は思う。それなくしては、先ほどあなたが言った何らかの弔意をあらわしたい、そういうことにはならぬじゃありませんか。ただ単なる答弁のための答弁ということになるではありませんか。違うと言うならば、では、どういうことを考えるのです。
#211
○今井国務大臣 何遍も同じことを繰り返しますが、何らかの弔意をあらわすことをできないかと思って、私は考えてみましょうと言っているわけです。では、今その中身は何だとおっしゃいますから、まことに答えにくいと申し上げているわけで、何かをしようという気持ちをお察しいただきたいと私は思います。
#212
○中村(重)委員 だから、私もそのとおり言っているわけですよ。援護法の制定にも結びつかない、あるいは弔慰金の支給等、そういうものには結びつかない。もう調査をしている段階でできないという結論を、そういう答弁を繰り返しているではありませんか。だから、前向きな施策を講ずる、講じなければならぬ、そういう考え方があるか、こう言っているのだから、今具体的にこうしなさいということで、弔慰金とか援護法の制定の問題は別ですけれども、いろいろあるだろうと思う。そういうことについてあなたは誠意を持って対処する意思があるか、こう言っているのだから、あなたの答えていることとその限りにおいては違っていないと私は思うのです。
 問題は、答弁のための答弁ではなくて、誠意を持って施策を講ずる、そういう姿勢をあなたに求めているわけです。だから、答弁をし直してください。
#213
○今井国務大臣 まず、この死没者調査のことでございますけれども、私は死没者のお名前が全くわからないというふうなことでは遺憾じゃないかということから、死没者の調査をしましょうということで、やはり死没者のお名前を埋もれさせるのじゃなくて明らかにするということが弔意をあらわす一つだと私は思っているわけです。
 そういうことで実はこの調査を始めたわけでございますが、それから、その実態について今後どうするかということについてのお尋ねにつきますれば、先ほど私が申し上げた私の気持ちを繰り返して申し上げざるを得ないわけでございまして、先ほど申し上げたとおりでございます。
#214
○中村(重)委員 時間が大分短く、きょうは私の期待しておった半分ぐらいの時間しかないので、次の質問をします。
 この近距離被爆者対策、これも先ほど申し上げた小沢厚生大臣との話し合い、その後この近距離被爆者対策については若干前向きになっているわけだ。医療手当等についても十万八千円から十一万八百円、こういう形に今度は増額をされるわけですね。ですから、その他の手当と合わせますと、十二、三万というような額になるわけです。ところが、私が特に近距離被爆者に対する手厚い措置が必要であろうということを申し上げるのは、二・五キロ、その二・五キロの中で被爆をした人はがんの疾患の患者が非常に多いのです。
 これはあなたの方でデータを持っているだろうから、もっと手厚くしていく必要がある。でき得るならば、二キロないし二・五キロの範囲の中で被爆をして健康管理手当等を支給している人、そういう人には認定被爆者というくらいの扱いをしていく必要があるのではないか、これは申し上げたように、がん疾患が非常に多いでしょう、二・五キロ以内が。だから、そういうことを考えてみる必要があるのだと思うのですが、いかがですか。
#215
○仲村政府委員 近距離被爆者の対策につきましては、先生も御指摘でございますが、基本懇の答申におきましても、これに重点を置くべきだということで御答申をいただいているわけでございます。
 これを受けまして、認定疾病患者に対する医療特別手当を手厚いものにすることでございますとか、原爆小頭症手当を設けることでございますとか、二キロ以内の被爆者に対し疾病の有無にかかわらず保健手当を設けることということで改善を行ったわけでございまして、今回の法律の中でもこれらの手当の引き上げを御提案申し上げているところでございます。
#216
○中村(重)委員 ともかく二・五キロ以内が、申し上げたようにがん疾患の患者が非常に多いということになりますと、事実はそうなっているわけですから、一キロないし一・五キロくらい、そこらで被爆をした人は特にそういう症状に侵されるということではないかというように思うのです。特に、厚生大臣、これについてデータを見たりして、前向きの施策を講ずるために検討する用意がありますか。
#217
○今井国務大臣 これは、近距離被爆について重点を置くということは、私も先生のおっしゃるとおりだと思っております。
#218
○中村(重)委員 被爆二世の問題についてお尋ねするのですが、これは今健康診断を希望者に限って実はやっているわけですね。ところが、ただ健康診断をするだけで、原子病にかかっておったにしても手帳を交付する、その医療を講じないというようなことなんですが、そうではなくて、現実にそうした被爆二世が原子病にかかっている、厚生大臣が指定する十一の病気の一つにかかっておるというようなことを含めて、何らかの措置をこの際講じていく必要があるのではないでしょうか。いかがですか。
#219
○仲村政府委員 原爆の放射線の遺伝的影響につきましては、現在までのところ、被爆者の場合と比較いたしまして有意な差があるとは認められておりませんので、被爆二世に対する各種手当の支給等の施策は考えておらないわけでございますけれども、二世の方々の中には健康面に不安を持っておられる方が少なくないという事実もございますので、おっしゃいますように、昭和五十四年度から調査研究の一環といたしまして希望者に対しまして健康診断を実施しておるところでございますけれども、この健康診断につきましては今後ともこれを継続してまいりたいと考えております。
#220
○中村(重)委員 原爆との因果関係、そういうものはない、ずっと同じような答弁ばかり今まで返ってきているわけだ。しかし、被爆二世の問題で、やはり健康診断をしてみなければいけないなというようなことから健康診断に踏み切ったんだと私は思うのです。私どもも、強制的にということになってくると、遺伝性という形になってくると、お嫁にも行きにくいとか、あるいはお嫁に来る人も被爆者の二世に対しては来ないとか、あるいは就職であるとか、いろいろなことにマイナスが出てくるかもしれない、そういうことをおもんぱかって実は希望者にというようなことで、その点は政府の考え方と違ってないのです。しかし、やはり問題がある、診断をしてみなければならぬ、これが前提としてあると私は思う。
 だから、その診断の結果が原子病にかかっている、また、その疑いが十分ある、こういったような人が現実にいるんです。私の周りにもいるんです。私と一緒に被爆をした私の身近な者ですけれども、そしてそれは女性ですが、結婚してその子供、三世になるんですが、これが原子病にかかっています。だから、因果関係がありませんよということで片づけられることについては私は抵抗を感じるのです。だから、現実に診断の結果がそういう症状があらわれているということであるならば、ここで救済の手を差し伸べていくということが政治ではあるまいか。いかがですか。
#221
○仲村政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、原爆放射線被曝の遺伝的影響に関する調査におきましては、二世の方々と他の方々との有意な差は認められておらないということでございますけれども、なお、先生おっしゃいますように、二世の方の中にはみずからの健康をそういう点から御心配なさっている方が多いということで、私ども、二世健診ということをやっておるわけでございます。不安解消を目的としたカウンセリングも必要だと思いますけれども、そういうものも含めまして、今後、引き続き健診を続けてまいりたいということが私どものお答えになろうかと思います。
#222
○中村(重)委員 これは大臣、あなたからもお答えください。単なる、いかにも親切でやっているということで、結果がどうあっても、ただ希望者に健康診断だけをやっていく、そういうことで我慢ができましょうか。やはりそうした健康診断の結果が、症状がこうだというデータが上がっているはずだから、それに基づいて判断をしていくということでなければならない。だからして、あなたに前向きの答弁を期待したいのだが、いかがですか。
#223
○今井国務大臣 今の御質問等のやりとりを聞いておりまして、確かにそういうお方もあろうかと思います。そういうことですから、今希望者に対して健康診断をしているわけですが、そういう方の中で先生のような事態がおありのようでございますから、私、これはよく検討させるようにいたしましょう。
#224
○中村(重)委員 それでは、今の検討するということは、私の質疑、意見、そういうものを頭に置かれて対処する、こういうように受けとめておきます。
 次に、援護局にお尋ねをするのですが、大浦愛子という人、これは認定被爆者のはずなんです。この人が、動員学徒ですから、長崎の三菱兵器に勤務をしていた。そして、洋服を着がえなければならないので、爆心地から三百メーター――私の家が爆心地ですから、三菱兵器の浜口寮というのが私の家からちょうど二百八十メーターぐらいある。だから、約三百メーターです。そこで被爆をしたわけです。そして、これは調査の結果わかっているわけでしょうが、太もものところに大きな溝のような傷が実はできているのですね。そして長崎県の北松浦郡、金子前農水大臣のところですが、そこの生月町に戻ったのです。そこは医者がいないのです。医者がいるところといったら平戸市に行かなければならない。なかなか行けない。そこで手前で養生じたのですね。そして大きな傷がそのままになっているのですが、座ることができないのですよ。それから、子宮、いわゆる婦人科というのは全部摘出してしまっている。何にもないのですよ。よく生きていられるものだなと思うぐらいです、私もその人とお会いをして傷も見たのですが。
 この人が、障害年金の申請をしているのですが、却下される、また出す、また却下、こういうことの繰り返しになっているのです。どうしてそういうことになっているのか。認定被爆者のはずですから、認定被爆者に認定されなければならないというようなこと等かう考えてみると、これは当然障害年金の支給というものがなされなければならぬと思うのですが、一応援護局から、いかがですか。
#225
○水田政府委員 事実関係はほぼ先生の御指摘のとおりでございます。五十一年、五十六年に二回にわたりまして障害年金の請求が出されて却下され、六十一年三月十四日付で異議の申し立て書が出されておりますが、従来二回の却下は、相当因果関係を立証するに足りる資料がなかったということで却下されておりますが、今回出ております異議の申し立てでございますので、私ども最大の努力をして、本人の相当因果関係があるかどうかを私ども事務当局としても十分カバーをしながらこの異議の申し立ての審査に当たってまいりたい、このように考えております。
#226
○中村(重)委員 前向きの答弁ですから評価をいたしますが、五十一年の申請を五十二年に却下したときは、いわゆる五款症に達しないということで却下になっているのですよ。その次の、五十六年に申請をして六十年に却下、その途中もう一回申請して却下されたんじゃないかと思うのですが、このときは公傷と認められないとあるのです。五十二年の却下のときは公傷とは認めているのだけれども、五穀症に達してないと言って却下しているのでしょう。その次の却下は、公傷と認められない。そんなばかなことがありますか。私が間違いでしょうか、いかがですか。
#227
○水田政府委員 突然の御質問でございましたので、取り急ぎの資料で十分ではないかもしれませんが、五十二年のときの却下理由は「(石化膿性股関節炎後胎症)は」「援護法に規定する公務によるものとは認められない。」こういうことになっております。それから六十年九月のものは「右股関節強直は同法に規定する公務によるものとは認められない。」というのがこの方の却下理由になっております。
 いずれにいたしましても、原爆の認定障害を受けておられる方の不服の申し立てでございますので、事務当局として十分本人の立場に立って極力有利な資料を見出しながら、補強すべき材料の整うものは整えて審査会にお諮りをするようにいたしたいと考えております。
#228
○中村(重)委員 誠意を持って対処するという考え方は、そのとおり受けとめます。
 今あなたのお答えの中にも出ましたように、認定被爆者ということ、これは明らかに原爆によるそういう大腿部の大きな傷を受けているとか、あるいは婦人科を全部摘出されてしまっているということは、それは被爆者認定のとき、厳しい審査の結果これが認められて認定になっているのです。だから、障害年金のことは、もう紛れもない事実なのです。今あなたの答弁で誠意があるということで期待を持てましたから、あえてこの点については大臣の答弁は求めません。この方はもう随分おばあさんです。ですから、早く結論を出して救済をするようにしてほしいということを要望しておきます。
 もう時間の連絡があるのでしょうから最後になりますが、この援護法の制定について、大臣、これはやはり援護法の制定に踏み切ること以外にないんですね。先ほどあなたは、野党とは基本的に考え方が違うのだ、こう言っておられたのですが、何が基本的に違うのですか、私はわからないのです。不法行為に対するところ、そのことは意見が違う。そういう考え方の上に立ってないということも一つあるのかもしれない。国家責任論、これも責任はないのだといったような考え方の上に立って野党と基本的に違うというようなことなのか、その点、明確ではないのです。
 私も言葉にはしたくないのですけれども、いろいろ言いますと、責任がないということになってくると、真珠湾攻撃というのは宣戦布告の前に行われたのではないか。これは不法と言えるのか、言えないという考え方の上に立っているのだろうか。そうすると、東京裁判なんというものは明らかに強引にやられたのであって、これは事実に相違する裁判であったのだ、こういう考え方の上に立っておられるのだろうか、私はその点が実はわからない。
 そしてまた、先ほどの森井委員の質問の中で、漸進的に進めている、いわゆる国家補償の方向に向かって進めておるという意味であったのだろうと思うのですが、ここらあたり、野党と基本的に違うということは何でしょう。
#229
○今井国務大臣 先ほどから何遍も答弁いたしますけれども、戦争責任の問題につきまして、やはり国に戦争を行った等の不法行為の責任があってこれに基づく国家補償を行うということ。それからもう一つは、先ほども申しましたが、原爆で亡くなられた方の遺族に対して遺族であるという理由で補償を行うということは、一般戦災者との均衡上問題があるということを申し上げたわけですが、特に国に戦争を行った等の不法行為責任があって、これに基づく国家補償を行うということについては、私は問題があるというふうに申し上げたわけでございます。
 この点については、私は先ほど申し上げたことを繰り返さざるを得ないと思うのでありますが、しかしながら、被爆者に対して援護を行うということは極めて大事なことでございますから、私は現在の原爆二法によりまして被爆者の援護対策の充実を図ってまいりたいというふうに先ほど申し上げたところでございます。
#230
○中村(重)委員 いわゆる国家補償による援護法の制定の問題については、あなたは、今回は共産党は外れたのですが、野党が一致して長い間制定を求めている――当初は、私も提案者になりましたが、社会党だけで提案をしておったときもあるのです。与党の中にも、野党の主張は当然だろうというので、今の予算の範囲で援護法だけをつくったらどうかという主張をする議員もいるのですよ。それから、援護法制定の議員連盟をつくろうではないかという声も与党の中にも出ているのです。だから、あなたが本当に被爆者援護強化というものが非常に重要である、こういうことをお考えになるならば――これは基本懇でも援護法の制定をするなと言っているわけじゃないのです。他の被災者との均衡ということを言っているのですよ。
 これもおかしいのです。他の被災者に何にもしてない、戦災者に対しては何にもしてないでおいて、他の戦災者との均衡云々ということが出てくることがおかしい、そういうことが活字になるということが矛盾していると私は思っているのです。だから単なる言い逃れにすぎない。したがって、もう弔慰金の支給であるとか国家補償による援護法の制定ということで与野党の間に意見が一致しないということがあってはならないと私は考えるのです。だから、ひとつ前向きでもう一度お答えをいただきましょう。
#231
○今井国務大臣 前の答弁をまた繰り返しますけれども、やはり被爆者に対します援護を心からやって、そして二度とこのような戦争を起こしてはいかぬ、私はそう思うのでありますけれども、そのやり方について、援護法の性格そのものについて、政府の考え方とそれから野党の皆さん方の考え方にいささか違うところがあるものですから、私はこの点については意見を異にするということを申し上げているわけでございます。
#232
○中村(重)委員 これで終わりますが、弔慰金の問題については、もう被爆四十一年です。いいですか。線香一本上がっていません。全く弔意をあらわしていない。こういう冷たい仕打ちが行われているということを銘記してほしい。
 さらに、今は葬祭料というものが支給されることになりました。その制度ができるまでは、そのとき亡くなった人ではなくて、その間に亡くなった方々に対しては葬祭料の支給もないのです。そういうことを反省をして、私は今の前向きで対処するという大臣の答弁が具現化することを期待をするわけです。もう一度決意を伺って、私の質問を終わります。
#233
○今井国務大臣 先ほどから何遍も御答弁申し上げますが、弔意をあらわすという場合に、弔慰金というものについては極めて難しい話だと思いますけれども、何らかの形で弔意をあらわすことができないか、これをひとつ考えてみようじゃないかというふうに申し上げたのを繰り返さざるを得ないわけでございます。
#234
○浜田(卓)委員長代理 福岡康夫君。
#235
○福岡委員 私、厚生省事務当局に対しまして、原爆の被災の拠点である広島一区選出の国会議員として、三月十七日広島の地におきまして日米原爆放射線委員会が記者会見いたしまして放射線量の見直しを公表されておりますが、この件につきまして種々お尋ねいたしたいと思います。
 つきましては、この三月十七日における日米原爆放射線委員会の公表の事実は厚生省事務当局は当然御存じだと思いますが、いかがでございましょうか。
#236
○仲村政府委員 三月十六日、十七日に広島で第四回の日米合同ワークショップが開催されました。ここでは各ワーキンググループによりますドラフトと言っております案の検討、それからDS86と呼んでおります新しい線量計算方式の採用を了解するということ、それから共同のステートメントを発表したということでございますが、最終報告書は昭和六十一年じゅうに出すということで作業を進めるということで合意に達したということでございます。
#237
○福岡委員 その結果、広島市を中心とする日本国全体に、被爆被災関係者に対しまして相当の心理的影響が広がっておることは御承知のとおりでございます。また、翌日の広島を中心とする新聞、テレビ、ラジオ等ではトップ記事でいろいろ報道されております。「放射線量、二十一年ぶり修正」「広島型の威力十五キロトン」「日米再評価委新計算システム決定」「原爆放射線量の修正 人体への影響新たな論議」こういう見出しで、社会的影響が非常に多となっておるわけでございますが、先ほどこの委員会におきまして先輩議員のこの点に対するお話をお聞きしておりまして、まだ行政対応は行っていない。
 まさかこの発表を行った後きょう現在まで、この放影研の今後のスケジュール等の問題点についての厚生省との対話も何もないということはないと思うのです。今後の見通しは確かに先輩議員にもお答えしましたようにその最終答申を待って行政対策は考えたい、これは当然言えると思いますが、そのスケジュール等の問題、それから当面の解析等は当然行われておるはずだと私は理解いたします。
 先日、この問題が余りにも大きいので放影研に参りましていろいろ関係者から事情を聞きましたところ、そういう形の手続は進めておるということでございましたが、厚生省の方でどういう方向でその方針をお進めになるのか、御発表いただきたいな、かように考えるわけでございます。
#238
○仲村政府委員 先ほど森井先生の御質問にもお答えしました今後の日米合同研究会のスケジュールでございますけれども、一部重複いたしますが御勘弁いただきまして答弁させていただきますと、ことしの五月十五日までに最終報告ドラフトに対する日本側の最終コメントをアメリカ側に提出するようでございます。それから各ドラフト担当者グループが責任を持ってコメントに対して対応をいたしまして最終報告書を作成する。最終報告書を、日米両国の今のワーキンググループの上に上級委員会というのがございますが、そこで承認いたした後で印刷、発表する。この両国委員会の承認は秋ごろになる見通したということでございます。そして報告書の公表は本年じゅうに行いたいという意向のようでございます。
 先ほどもお答えいたしましたけれども、これはあくまでも原爆放射線の物理学的な線量決定の作業でございまして、生物学的な効果の関係につきましては、今お尋ねでございますけれども、放射線影響研究所で被曝線量計算と臨床データを突き合わせて検討するということになるわけでございまして、その作業は四月から始めるように聞いております。それで計算は半年ぐらいはかかるということでございまして、当面の解析結果は来年一月くらいにはまとめたい、このように作業を立てておるわけでございますが、これは第一段階でございます。第二段階といたしましては、日米合同委員会の最終報告、先ほど申し上げました最終報告を見た上で全体について詳細な検討を行いまして、最終的な検討結果については来年末にまとめて発表したい意向だと私ども聞いておるわけでございます。
#239
○福岡委員 暫定スケジュールにつきましての今の保健医療局長の御答弁、非常に抽象的でございますが、具体的に四月から行いまして来年の十二月まで、これに対する具体的なスケジュールについて教えてもらえたらお知らせ願いたいと思います。
#240
○仲村政府委員 お尋ねの放影研、放射線影響研究所での新しい計算方式DS86を用いていたします作業の中身についてのお尋ねでございますが、第一段階といたしましては一部の臓器に限定いたしました試算作業、すなわち自由空気被曝線量並びに遮へい歴を有する被爆者、これは約一万六千人の方でございますけれども、この方々の特定臓器、例えば乳房、肺、骨髄、腸におきます推定線量の算出、寿命調査集団におきますDS86適用群、これは約七万五千人の方でございますが、この集団におきますDS86の計算方式によります線量推定を行いまして、九月ごろまでに個別の線量計算及び死亡率、疾病の発生率等特定の指標について比較解析を行い、その結果を、先ほど申し上げましたように、来年一月ごろにはまとめたいというのが第一段階でございます。
 第二段階といたしましては、日米合同委員会の最終報告を見た上で全体について詳細な検討を行い、最終的な検討結果については来年末にまとめて発表したいというふうな意向と聞いております。
#241
○福岡委員 どうも御協力ありがとうございます。
 そこで、はっきりお願いしたいことは、このDS86の決定が一〇〇%広島、長崎の地における犠牲の上に成り立っておるということでございます。今後、この決定がぜひ被爆者の健康管理のために、また世界人類のために役立てられるよう、私としては厚生省当局に強く要望いたします。
 この結果の事例としてお尋ねしたいのでございますが、今までは放射線後障害である白血病が長崎より広島に多い。これは前の方もそれに関連したことをおっしゃって御質問されておりましたが、中性子線量が高いためであると。今回の見直しでは、爆心から二キロの空中線量は、広島の場合はガンマ線は四倍だが、中性子線は逆に約十分の一、こういうことをおっしゃっておりますが、それでは、広島に白血病が多い事実を厚生省当局としてはどのようにこの放影研の発表の結果お考えになっておるのか、きょうまでの結果の御見解で結構でございますが、お願いしたいと思います。
#242
○仲村政府委員 広島に白血病が多いということは事実でございますけれども、それが中性子線によるもの、あるいはまたガンマ線によるものということでなかなか推定できない部分もたくさんあろうかと思います。先ほど申し上げましたスケジュールで、放射線影響研究所におきまして個々の被爆者の線量計算を行うわけでございますし、特定の疾病、これは白血病も含むと思いますが、特定の疾病等の死亡率、発生率等の生物学的な影響についての計算あるいは解析がなされるわけでございます。私どもといたしましては、学問的な知識も乏しいので申しわけないのでございますが、直ちに今のお尋ねについてのお答えにはならないわけでございますが、そのような解析の結果を待ちまして、なお専門家の御意見等もお聞きしながら対処してまいりたいと考えております。
#243
○福岡委員 次に、科学技術庁にお尋ねいたしたいと思いますが、ことしの三月十七日、放影研の放射線量の二十一年ぶりの修正がこのように公表されているわけでございますが、これに関連して、医療面や原子力発電所で働く従業員の健康管理を考えるとき、放射線防護基準の速やかな改定が必要になってくるんじゃないかと私、考えるわけでございます。また、被爆者の立場から見ましても、人体に対する影響がどれほどのものか、不安を持つような状況にきょう現在なっております。この基準については、放影研が研究、策定したものを国際放射線防護委員会が勧告を出して、そして国連科学委員会が報告書を提出になる手続があると先ほども保健医療局長も申しておりましたが、科学技術庁としてはこの問題についていかに対処されておるのか、この点について御見解をお聞きしたいと思います。
    〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
#244
○堀内説明員 本年三月に出されましたDS86と言われるものは、これは従来から言われておりましたT65Dというものと若干違うところがございます。といいますのは、T65Dと申しますのはネバダの実験をもとにして広島の被爆者の線量を推定したものでございます。しかし、今度発表されましたDS86といいますのは、その後いろいろなデータに基づきまして新しい計算コードを作成した、その被曝線量を測定するための計算コードでございます。
 ここでちょっと、このコードが発表されたときの報道ぶりから見て若干誤解があるのではないかと思いますが、このDS86といいますのは、今申し上げましたように計算コードでございますけれども、それに基づきまして屋外での放射線量を試算したものが新聞等で報道されて、これが従来のものと比べて非常に大きいという話が出ております。
 しかしながら、この検討の際には、そのほか遮へいとか場所とか人の姿勢の問題とか、それから臓器に与える被曝線量のあり方の問題とか、いろいろな問題が検討されておりまして、従来のネバダのときに使われましたデータとは違うデータが出ております。実際に被爆をされた方々の被曝線量を評価するといたしますと、今私が申し上げました幾つかのもろもろのファクターを全部計算して、それとその被爆者に出ておりますいろいろな疾病の状況、そういうものを十分に比較しなければならない。この計算が今後放影研において行われると聞いております。
 その結果を、各種の被曝疾病率との関係を調査した結果を今度は恐らく国連の科学委員会、これは先生も今おっしゃったとおりでございまして、ここに提出され、そこの場におきまして、今度は、エックス線の治療患者とかウラン鉱山の労働者とか、そのほか国連の科学委員会が集めておりますいろいろなデータがございます。これは疾病の状況と放射線の関係ということを調べたものがかなりございますが、それらともう一度比較考量をされることになります。その上で、放影研が行いました作業の結果が評価されることになろうかと存じます。
 また、国際放射線防護委員会、ICRPと言っておりますが、ここにおきましては、これらの国連の科学委員会等の検討を経ましたものを検討いたしまして、現行の放射線基準を見直す必要があれば勧告を出してくるであろうというふうに私どもは見ております。その勧告といいますのは非常に基礎的なものになろうかと思いますが、勧告がもし出されたといたしますと、今度はそれをいかに行政に適用するかにつきまして、IAEAとかOECDとかそういう関係の機関がそれぞれまたは合同でもって検討するというのがこれまでの形でございまして、そういう各国の意見を踏まえました、採用する場合に当たっての注意その他、考え方というものが示されようと思います。それを受けまして、今度は、我が国におきましては、放射線審議会というのが放射線防護の基準を検討するところでございますが、これらの問題につきましてはそこで慎重に検討してまいりたいと思っております。
 大分長くなりましたけれども、手続的にはそういう手続を経ていくということでございますし、現在の段階は、放射線を実際に受けた人の被曝線量が多くなったのか低くなったのかということについてはまだ定かではないというのが現状であるということでございます。
#245
○福岡委員 重ねて科学技術庁にお尋ねいたしますが、今の御答弁の中に、放影研の発表に一部誤解がある、こういう点を御指摘されておりますが、もう一度、どういう点に誤解があるのか、御指摘願いたいと思います。
#246
○堀内説明員 今、誤解があると申し上げましたのは、報道の多くが、爆心から二キロほど離れた点における屋外の空間線量だけを取り上げているということでございます。そういう点におきまして実際に人が受けました被曝線量並びにそれの影響を知るためには、その人がいた状況――例えば向こうから放射線が来るといたしますと、ここに遮へい物がございます。それから、私のどこの臓器が被曝を最も受けやすい状態にあったかという体の姿勢の問題もございます。かがんでいた場合とか立っていた場合でかなり違ってくるようでございます。そういうものが考慮された数値が公表されたのではなくて、空間の、しかも屋外の何もないところでの線量が大き目に出たということが大きく報じられているということにおいて誤解を招きやすいというふうに考えておるわけでございます。
#247
○福岡委員 ただいまの科学技術庁の御見解に対しまして、厚生省側はどういうようにお考えでございましょうか。
#248
○仲村政府委員 先ほどもちょっと触れたつもりでございますけれども、物理学的な線量の計算方式については、科学技術庁からのお答えが今ございましたように、日米合同のワークショップで大体合意を得て、これから最終段階に入るということでございますが、それを今度は原爆あるいは放射線の作業によります人体影響ということになりますれば、そこで先ほども科学技術庁からもお答えがございましたように、それぞれ遮へいの状況でございますとか御本人の姿勢の問題でございますとか、それによって変わってくるので、それを臓器別にいろいろ線量計算してみたりということをやるということで御説明したわけでございますので、科学技術庁のお答えと私どもの考え方とは同一だと考えております。
#249
○福岡委員 次に、厚生大臣にお尋ねいたしたいのでございますが、今までの経過がございますし、そういう放射線量の二十一年ぶりの見直しについて、このDS86が決まったことで、放影研が現在所持しております広島、長崎の約七万人のデータ解析に着手するわけでございますが、この得られた結果を今後どのように被爆者援護行政に反映されるおつもりか、厚生大臣の御意見をお聞きしたい、かように思います。
#250
○今井国務大臣 原爆によります放射線の被曝線量の見直しにつきましては、今現在日米の共同研究によりましてその作業が進められておりますが、まだ最終的な結論は出ていないと聞いております。
 また、線量見直しを踏まえて行います放射線量の生物学的な効果の研究もこれから始まるところでございまして、これが被爆者の行政にどのように影響があるかを御説明できる段階にはないと私は思っております。したがいまして、被爆者の行政を行う立場から今後の研究の推移というものを十分フォローしてまいりたいというのが私の今の考え方でございます。
#251
○福岡委員 一応放射線量の問題はこのぐらいにとどめまして、次に別の問題でお尋ねいたしたいわけでございます。
 私、先日被団協の方から、暁部隊という旧陸軍に関連する問題の陳情を受けたわけでございますが、それに関連をして、今月の四日付の地元新聞に「被爆証人捜し」の見出しで次のような記事が載っておりました。「広島平和会館の原爆被爆者相談所は三日、被爆者健康手帳取得のため、証人捜しをしている二人を新たに公表した。」そのうち一人、陸軍暁部隊所属の倉吉市在住の伊東長美さん六十一歳が陸軍船舶練習部隊の隊員を捜している。また、私が先日、先ほど申しましたように、被団協の幹部の方から暁部隊所属の被爆者は全国各地から集まってきた寄り合い部隊の性格上、自分の同じ隊の人の名前や部隊長の名前も知らないのが通常で、証人捜しは困難をきわめ、手帳をもらえないのでどうにかならないかとの要望を受けております。
 そこで、援護局長にお伺いいたしますが、昭和二十年の八月六日、広島に原爆投下された際の暁部隊の編成部隊名及び二十年の八月六日から終戦の八月十五日までに死体処理や救護のため駆けつけた暁部隊以外の救護部隊名を御説明願いたいと思います。
#252
○水田政府委員 暁部隊は陸軍に所属します船舶部隊約三百の部隊を総称する兵団の符号でございまして、原爆投下時に広島におりました暁部隊は二十八部隊でございます。
 部隊名を申し上げます。船舶司令部、陸上勤務第二〇〇中隊、二〇八中隊、二〇九中隊、船舶砲兵教導隊、海上輸送第一九大隊、第二〇大隊、陸軍船舶練習部、船舶臨時軍法会議、暗号教育隊、船舶気象教育隊、船舶衛生隊教育隊、船舶倉庫、船舶倉庫警備中隊、船舶診療所、潜航輸送修理班、警戒機整備隊、機動輸送第二一中隊、船舶整備教育隊、輓馬輸送隊、船舶砲兵団司令部、船舶砲兵第一連隊、教育船舶兵団司令部、船舶通信第二大隊本部、野戦船舶本廠、船舶衛生隊本部、病院船衛生第一四班、第五三班、以上の二十八部隊でございます。
 それから、ただいま申し上げました暁部隊二十八部隊以外に、被爆の際の救援に駆けつけました部隊は十ございます。その十の部隊の部隊名は、第二総軍司令部、中国軍管区司令部、広島地区司令部、防空勤務中隊、建築勤務中隊、独立工兵隊、電信第四五連隊、電信第四八連隊、宇品憲兵隊、東京第二陸軍造兵廠忠海里造所救護班、以上の十部隊でございます。
#253
○福岡委員 続けて援護局長にお尋ねいたしますが、この暁部隊の性格及び昭和二十年八月六日前後の暁部隊の動静がわかれば御説明をお願いしたいと思います。
#254
○水田政府委員 暁部隊は陸軍に所属する船舶部隊のうち約三百の部隊を総称する兵団の符号でございまして、その任務は海上輸送を主とした任務といたしております。
 なお、お尋ねでございますが、先ほど申し上げました二十八の部隊は被爆時に広島におり、かつ救援活動に従事したということはわかっておりますが、そこの編成人員その他の詳細は残念ながら不明でございます。
#255
○福岡委員 ただいま援護局長から八月六日前後の暁部隊の状況はわからない、こういうことでございます。
 そこで、例えば暁部隊所属の被爆者のように、ケースによってはどうしても証人捜しができないという場合が今の援護局長の御答弁によってあらわれておるわけでございますが、最終的には被爆者本人の申し立て書と誓約書を出せばよいことにもなっておると思います。
 そこで、昭和三十二年の五月十四日ですか、おたくの方で衛発第三百八十七号通達という形でこの趣旨のことを各市町村長にお出しになっておりますが、私も当委員会におきましていろいろこの問題をお尋ねいたしまして、そういう場合もあり得るという御回答をいただいておるわけでございますが、この通達の趣旨を全国の担当者の集まった機会を利用して徹底したいとの答弁が前の委員会におきまして私にありましたが、その後、この趣旨を徹底されたのか、また徹底後、証人のない場合の被爆者手帳交付件数はどのくらいあるのか、ひとつお示し願いたいと思います。
#256
○仲村政府委員 昨年お尋ねございましたとおり、私ども議事録でも確認してございますが、この三十二年五月の通知と申しますのは被爆者健康手帳交付の申請に当たって添付書類はこういうもの、こういうものということで中身を規定した通知でございますが、第三者による証明等により可能な限り客観的に被爆事実を確認することが当然望ましいわけでございますけれども、どうしても証明する方がいないような場合には本人に当時の状況を詳細に述べていただきまして信憑性が認められれば手帳を交付するというふうにしておるわけでございます。
 そこで、この通達の趣旨を徹底せよというお尋ねでございましたので、特に昨年の六月に開催いたしました各都道府県の担当者を集めました会議におきましてその趣旨の徹底を図ったわけでございますが、今後ともさらにこの手帳の交付につきましては制度の趣旨に沿った運用がなされるように窓口を指導してまいりたいと考えております。
 お尋ねの、証人のない場合の手帳の交付件数を広島、長崎両県市で見てみますと、五十九年が百七十九件、六十年度が二百二十件となっておりまして、このような形で増加をしておるところでございます。
#257
○福岡委員 次の問題に移らせていただきます。
 先ほどこの委員会におきましてやはり先輩議員がいろいろ御質問されていた問題に韓国被爆者の渡日治療の問題がありますが、いろいろ御陳情されておりました。私も、この男性の韓国被爆者のことを聞いて理屈を抜きにして何とかならないものか。韓国被爆者のほとんどは広島や長崎に連れてこられており、日本人として被爆させられた人であります。当時は日本人として被爆したこれらの人たちに温かい援護の手を差し伸べることがなぜできないものだろうか、先ほどの先輩議員と同じように私もこれを訴えたいと思います。これが現在の私の偽らざる心境でございます。厚生大臣、この点についていかにお考えなのか、御答弁をいただきたいと思います。
#258
○今井国務大臣 韓国在住の被爆者の方々につきましては、日韓の両国政府の合意によりまして人道上の見地から渡日の治療を実施いたしておりますが、こうした方々に対します援護をどうするかという問題は基本的には韓国の主権に属する事柄であります。したがいまして、御指摘の点につきましては韓国政府の立場を尊重しながらその意向を踏まえて適切に対処いたしてまいりたいと考えております。
#259
○福岡委員 韓国には現在被爆者が約二万人いるそうでございますが、政府としても実態調査をする必要があると存じます。韓国の女性連合会及び韓国原爆被害者協会に調査委託をしてはいかがかと私は考えますが、厚生省の御見解はいかがでございましょうか。
#260
○仲村政府委員 ただいま大臣からお答えいたしましたように、外国におられます被爆者の問題については私どももできるだけのことをしてまいりたいと考えておりますけれども、基本的には主権を有するそれぞれの国の問題とかかわりが非常に大きいわけでございます。したがいまして、今お尋ねの在韓被爆者の実態調査を行うといたしましても、日本が行うということについては相手国の主権との関係もあって直ちには非常に難しい問題ではないかと考えております。
#261
○福岡委員 ソウルと釜山の中間に台慶というところがございますが、嶺南大学の柳総長は、原爆病院用の敷地を貸してもよいから、日本政府の出資のもとに、韓国被爆者のために小さくても結構ですが原爆病院または診療所を設置してほしいということを考えておるそうでございますが、厚生省はこれについてどういうような御見解をお持ちですか。
#262
○仲村政府委員 全般的な在外被爆者の問題のところでも申し上げましたけれども、ただいまお尋ねの韓国の国内におきます病院建設につきましてそれをどう判断するかは、基本的にはもちろん韓国の国内問題として処理すべき性格の問題だと私ども考えておりまして、日本政府自体がその病院を建設するというのは非常に難しいと考えております。
 しかしながら、病院建設について相手国政府から具体的に何らかの協力要請があってそれが可能ならば、その時点で私どもも関係の省庁といろいろ協議をして検討を進めてまいりたいと考えております。
#263
○福岡委員 それに関連してでございますが、韓国人の医師を日本に招いて被爆者治療について研修させる必要があるという意見も関係者にあるわけでございますが、この点についてはいかがでございますか。
#264
○仲村政府委員 四十四年に一回韓国のお医者さん五人の方に来ていただいた事実はございます。これは当時の海外技術協力事業団を通じてでございますけれども、そういう事実はございました。韓国政府から具体的にもしそのような日本に来られて研修をしたいという御要請があれば、その時点で関係の省庁と協議して検討してまいりたいと考えております。
#265
○福岡委員 渡日治療の問題でございますが、その場合、福岡空港まで来て福岡空港から広島までの旅費は一体どういうようになっておりますか。
#266
○仲村政府委員 政府間の合意書に基づきまして五年間ということで現在その渡日治療が行われているわけでございますけれども、渡日治療の患者の旅費につきましては韓国政府が負担するということになっておりますので、ただいまのお尋ねの点も韓国政府の負担ということでございます。
#267
○福岡委員 この点について、そんなに金額もかかりませんが、福岡空港に着いて広島までの旅費負担という問題については、あちらの方は非常に生活が困窮された方がいらっしゃいますので、厚生省といたしまして前向きに御検討いただけないものだろうかと私は考えますが、いかがでございましょうか。
#268
○仲村政府委員 両政府間の合意に基づきまして行われている事業でございまして、その中で旅費につきましては相手国政府がということで決まっておりますので、今直ちにはここで私が検討したいというふうなお答えにならないというふうに御理解いただきたいと思います。
#269
○福岡委員 せっかく福岡空港までは韓国政府の費用で来ます。そうしてここから入ってくるときにせめて日本の国内へ入ってからの旅費負担、これはやはり日本政府として経済負担していただく方が日韓親善友好の面においてもいろいろな面から考えてみてもできる範囲内のことではないか、こういうように考えますが、一応この点について関係省府との御検討をしていただくことはできないものだろうか、かように考えますが、いかがでございましょうか。
#270
○仲村政府委員 先ほど申し上げましたように、両国政府の合意に基づいて行われている事業でございまして、渡日に要します費用につきましては韓国が負担ということになっておりますので、そのような形で私どもからそれを申し上げるのはいかがかと思いますが、御要望ということで、韓国からそのようなお話がございますれば、外交ルートを通じるなりいたしまして検討をすることは可能だと思いますけれども、現在、私どもから直ちにそのようなことをするというお約束は非常に難しいと思っていただきたいと今お答えせざるを得ません。
#271
○福岡委員 含みのある言葉でございますので、ぜひ御検討いただければと私この席上をおかりしてお願い申しておきます。
 さて、公明党の関係議員が一昨年の十一月、増岡厚生大臣のときに南米被爆者の健診について大臣に陳情いたしました。そして、南米被爆者の健診については昨年度実施されたわけでございますが、この件について、ぜひ引き続きお願いいたしたいと思います。
 ことしはいつごろ実施されるのか、また今後の見通しについて厚生省当局の御見解をお聞きしたいと思います。この問題を最後にお聞きしまして終わらせていただこうと思っております。
#272
○仲村政府委員 お尋ねの南米健診でございますが、御指摘のとおり昨年の十月、外務省、広島、長崎両県と共同でブラジル、アルゼンチン、パラグアイに巡回医師団を派遣いたしまして、合計百三十三名の現地の在住被爆者の方々に健康相談を行ったわけでございます。ことしも引き続き行うかどうかにつきましては、財政措置のみならず、健診を担当する医療関係者の意向を勘案しながら今後関係者と十分協議した上で決定したいと考えております。
#273
○福岡委員 最後に厚生省当局にお願いしたいのでございますが、私がまず最初に取り上げました放射線量の二十一年ぶり修正、これは非常に広島を中心とする被爆関係者の動揺を来しておりますので、なるべく早い機会に行政的処置の発表をお願いしたいと思いますが、この点について厚生大臣の御決意はいかがでございましょうか。
#274
○今井国務大臣 お説のように十分検討いたしてやってまいりたいと思います。
#275
○福岡委員 委員長、では終わらせていただきます。
#276
○山崎委員長 古川雅司君。
#277
○古川委員 引き続きまして、ただいま議題になっております原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に関連いたしまして、厚生大臣並びに厚生省に対し若干の質問をしてまいりたいと存じます。
 各委員のこれまでの御質問に大いに重複する点もあるかと思いますが、この点はあらかじめ御了承いただきたいと思いますし、また同じ趣旨の質問を繰り返さなければならない、しかもそれを年々繰り返さなければならないという被爆者援護対策の実態についても、ひとつさらに深い御理解をいただきたいと思うのであります。
 最初に、被爆者援護対策の充実について若干お伺いを進めていくわけでございますが、申すまでもなく、教育であるとか農政であるとか、こうした政策、制度、法律につきましては、その効果を一年であるとか二年であるとかそうした短期間で見きわめることは極めて困難でありまして、やはり十年、二十年という長期的な視野に立たなければならないのは当然でございます。福祉政策も同様でございまして、今お伺いを進めていく被爆者の援護対策につきましてもそうした視点が十分に必要ではないかと思うわけでございます。
 前厚生大臣の増岡大臣から今井大臣にこの被爆者援護法に対しどのような引き継ぎをお受けになったのか。厚生大臣が一年ごとに交代をされていくという実情にかんがみまして、その点は非常に大事だと思いますので、まずお伺いをいたしておきたいと思います。
#278
○今井国務大臣 被爆者援護法の問題について前大臣から私に対するあれは特になかったのでございますが、先ほどからしばしば御答弁申し上げますように、私はこの委員会とは極めてつながりの深い、また長いものでございますので、従前からの皆様方のいろいろな御意見あるいはまた与党の意見等につきましても逐一といっては大変失礼でございますが、ある程度知っているつもりでございまして、そういうものを踏まえましてこれからまたいろいろやってまいりたいな、こう思っております。
#279
○古川委員 前大臣から特にそうした申し継ぎはないということになりますと、現今井大臣は次の厚生大臣に対してこの被爆者援護についてどういう申し継ぎ、申し送りを、特にどの点に重点を置いてしていくおつもりであるか、既にそういう点お考えをお持ちであればお示しをいただきたいと思います。
#280
○今井国務大臣 被爆者対策というのは極めて長い歴史を持っておりますし、この間、諸先輩が多くの御苦労をされまして今日の姿になっておるわけでございます。したがって、また、私としましてもこれまでの経緯を踏まえまして援護対策の充実に取り組みたいと思いますし、そういった私の気持ちを、もし次の大臣に引き継ぐとするならばバトンタッチをしたいと思います。
#281
○古川委員 大臣おっしゃるとおり、確かに長い経緯があるわけでございますが、申すまでもなく、昨年は終戦後四十年、広島、長崎にとりましては被爆後四十年という大きな節目を通り過ぎてきたわけでございます。
 そこで、核兵器の廃絶という問題と被爆者援護法の制定という二つの願いに凝縮をしているということ、これが特に四十年の節目を通して再確認をされたわけでございますが、厚生大臣としてはこれを御存じではないことでしょうか、それともよく周知していらっしゃることでありましょうか。
#282
○今井国務大臣 私はよく存じておるつもりでございます。
#283
○古川委員 さらに、被爆者が長い年月を通し、四十年の節目を経て老い行く世代、残された時間の少なさが非常に切迫している被爆者の実情、この点については厚生大臣はあるいは深く御理解をしておられると思いますが、その点はいかがでございますか。
#284
○今井国務大臣 お説のとおりでございます。
#285
○古川委員 大変率直にその点の御認識をお示しになったわけでございますが、そうなりますと、国家補償の精神に基づく被爆者援護というのは一体何なのかという原点に返って、また大臣の所信をお尋ねしなければならない。
 これが繰り返し繰り返しというところになるわけでございますが、昨年の夏、四十周年のときに総理が広島にお見えになりました。そのときも大変スマートな行事日程を消化されたわけでございますけれども、援護法制定の要求に対しては、今言われている内容には政府としては共鳴できない点もあるという、歴代政府の姿勢を変えなかったというよりも、むしろ消極的な姿勢を明確にしたという感じを私たちは受けているわけでございます。前厚生大臣から今井大臣にバトンタッチがされまして、さらに今井大臣は、一般戦災者との均衡上援護法制定は難しい、現行二法、すなわち原爆医療法と被爆者特別措置法によってできるだけの努力をさせてほしいという従来の政府の姿勢を改めて強調をしている感じがいたします。
 むしろそうした強調をすればするほど、被爆者援護に対しては今後後退を余儀なくされるのではないかという危惧が出てくるわけでございますけれども、こ際、大臣の援護対策に対する姿勢について、そのようなことがあるのかないのか、明確にしておいていただきたいと思います。
#286
○今井国務大臣 私は、先ほどから何遍も御答弁申し上げますように、現在の政府としてできることはこれこれでございます、そしてこれについてはひとつ十分検討させていただきたいということを申し上げているわけでございまして、一般戦災者との均衡の問題、あるいはまた皆さんがおっしゃっています、国に戦争を行ったという責任があって、これに基づく国家補償をやれということにつきましては、私どもとしては、そうでございますかというわけにはなかなかいきにくい点がございます。しかしながら、私どもとしては現行の原爆二法によってやってまいります。
 さらにまた、先ほどから何遍も御答弁申し上げますように、弔慰金等の問題については、弔慰金という形ではなかなか難しいのでございますけれども、何か皆さんの御趣旨を踏まえたものができないか、ひとつない知恵を絞ってみようということを先ほどからるる、例えばでございますが、御答弁申し上げていることでございまして、私の今できますことはそういうことでございます。
#287
○古川委員 このいわゆる現行二法によってできるだけの努力をしていきたいという大臣のお考えをそのまま受けるといたしますと、現行二法の措置を今後さらに充実をさせ、また援護の範囲を拡大していくという方向に努力をする、そのように受け取ってもよろしいのかどうか、これはこの後お伺いを進めていくわけでございますが、いろいろな制約もあり、また援護の拡大についての大きな要求もあるわけでございますが、その点、いかがお考えか、ひとつお示しおきをいただきたいと思います。
 と申しますのも、今年度は老人医療費の患者負担を強化する老人保健制度の改革が議題に上ってまいりました。これはいわゆる当然増の捻出のために福祉の切り込みを行ってきたということを明確に示しているわけでございまして、こうした危惧から考えてまいりますと、同じくこの被爆者援護対策につきましても現行二法の施策そのものに財政的な切り込みが迫られるのではないかという心配が大いにあるわけでございますが、この援護対策について、特にそういった心配は絶対にないのか、あるいは今後何らかの検討の対象にのせていくプログラムを既にお持ちなのか、その点をひとつお示しおきいただきたいと思います。
#288
○今井国務大臣 幾つかあったと思いますが、まず援護の各項目についての私の基本的な考え方でございますが、私は援護そのものについての各種の対策の充実はやってまいりたいと思いますが、拡大ということにつきましては、いろいろ調査をいたしております。そういう調査の結果を見まして、必要があればいろいろ考えてやっていこうという考え方でございまして、充実と拡大と同じようにいくかというふうに御質問でございますれば、やはりまず充実を図りたいと私は思っております。
 それから、今やっております援護の切り下げの問題でございますが、これはどんな算段をいたしましても切り下げのないように必死に頑張ってまいりたいと私は思います。
#289
○古川委員 これはかつて附帯決議の中にも盛り込まれ、そしてまた本委員会の決議でも国家補償の精神に基づくという援護対策の基本については十分確認をされているわけでございますが、先ほどの御質問にこれまた重複をいたしますけれども、野党が提案をしている援護法、この考え方と政府並びに与党との相入れない考えの相違、野党がこうした提案をする以上、これに過ちがあれば、あるいはここに考え方の大きな乖離があれば、政府としては当然与党に呼びかけて与党提案のいわゆる国家補償の精神に基づいた援護法の法案提出があってもしかるべきではないか、このように考えるわけでございますが、広義でも結構でありますし狭義でも結構でありますし、国家補償の精神ということに対する認識を改めてここでお示しおきいただきたいと思います。
#290
○仲村政府委員 お尋ねの広義の国家補償の精神でございますけれども、原爆被爆者対策が広い意味におきます国家補償の見地に立って行われるべきであるということは国の戦争責任を認めるという意味ではございませんで、原爆被爆者が受けた放射線による健康障害という特別の犠牲に対しまして結果責任として被害に相応する相当の補償を認めるべきであるという趣旨でございます。
 この相当の補償と申しますのは、国民的合意を得ることができる公正妥当な範囲において放射線障害の実態に即しました適切妥当な対策を重点的に講じるという趣旨でございまして、完全な賠償あるいは完全な補償とは異なるということで理解しておるところでございます。
#291
○古川委員 この国家補償の精神ということのとらえ方によって援護対策の内容についても随分解釈とその実施について開きが出てくるんじゃないか。少なくとも、しばしば議論になります原爆被爆者対策基本問題懇談会、いわゆる七人委員会の意見書も被爆者の援護対策は広い意味での国家補償の精神で行うべきであると明確にしているわけでありまして、その対策の内容につきまして、先ほど大臣は充実と拡大とは違うということで、後退はさせないけれども拡大は厳しいという趣旨のことを御答弁になりました。
 私どもの広島並びに長崎の原爆被爆者援護対策促進協議会、これは広島、長崎県市を挙げて持っている協議会でございますが、この中で掲げております要求の一つ一つは、これは援護対策の充実であると同時に、その内容はほとんど拡大に通じているわけです。これは、大臣としてはこうした広島、長崎両県両市の要請に対して真っ向からこれを否定していく姿勢をとり続けていかれるのか、その点をまず確認いたしておきたいと思います。
#292
○仲村政府委員 法律外の援護事業を各地方公共団体が被爆者のために単独事業として行っておるわけでございまして、受診奨励金の交付でございますとか、老人ホーム入所者に対する費用徴収の差額補助等があるのは私どもとしても承知いたしております。いずれもそれぞれの自治体が地域の実情に応じて行っているものでございまして、これは国の制度として一律に制度化するのは困難ではないかと考えておるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、被爆者対策につきまして健康診断でございますとか、医療の給付あるいは諸手当の支給、福祉的な事業に対する助成、調査研究等従前から行っております施策をさらに充実してまいりたいと考えておるところでございます。
#293
○古川委員 多少私の質問をお取り違えになっての御答弁だと思います。後から各論として具体的にお伺いしようということに対して先に御答弁をいただきました。
 私がお伺いしたのはそういうことではなくて、広島・長崎原爆被爆者援護対策促進協議会という広島、長崎両県市をもって構成しているこの協議会が政府に対してお願いをし要請をしていることは、先ほど大臣がお述べになりました被爆者援護対策の充実、そしてまた拡大、大臣は充実と拡大は違うとおっしゃった。
 しかし、この協議会の要請は、内容をこれから一つ一つ読み上げてもいいのでありますが、時間がございません。急いで申し上げますと、第一に、被爆者及びその遺族の年金制度の創設、これは援護法に通ずるところであります。その内容は、被爆者年金の支給であるとか遺族弔慰金、年金の支給ということも入ってまいります。それから第二の柱として、被爆者に対する諸手当支給制度の拡充強化については諸手当の所得制限の撤廃であるとかあるいは諸手当の大幅増額。ただいま議題になっております法律案は若干の増額を示しているわけでございますが、ここでは大幅の、と要求をいたしております。その他項目が続きまして、第三の大きな柱としては老人被爆者医療費の地方負担の解消であるとか、あるいは第四の柱として被爆者健康診断、医療の充実強化であるとか、こうして延々と続いていくわけでございます。
 これを真っ向から否定しなければ先ほどの大臣のような拡大は認められないということにはならないわけでございまして、この協議会の要求は理不尽なものなのか、あるいは当然なことであるけれども事情によって受け入れられないのか、その点をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
#294
○仲村政府委員 先ほどの答弁は、問いを取り違えいたしましてまことに申しわけございませんでした。
 八者協と言っております援護対策促進協議会については、毎年、予算時期にもお見えいただいて内容を聞いておるところでございますが、私どもといたしましても、この原爆二法の枠組みの中で御要望のうち取り入れられるものについては取り入れるような努力をしてまいったつもりでございますし、今後もし続けてまいりたいと考えているところでございます。
#295
○古川委員 そうなりますと、この協議会の政府に対する要請は受け入れたものもあり、受け入れてないものもありという御答弁になりますが、私この協議会から毎年要請書をいただいておりまして、年々ほとんど変わっておりません。政府が受け入れたことについては次の年度の要請書からは削除されるはずでありますが、同じ繰り返しをいたしております。
 その点については非常に手ぬるいのではないかということを心配するわけでございますが、大臣の御答弁がまだ残っておりますので、その点も含めて、さらに先ほどお伺いいたしました財政の逼迫による援護対策への切り込み、絶対に後退は許さないという大臣の御決意をより一層確認をして、御答弁をいただきたいと思います。
#296
○今井国務大臣 各公共団体が独自でやっておられますこと、それが間違いであるとかいうことを私は言っているつもりはさらさらございません。やりたいのです。そういうことも国としてやりたいのですけれども、限られた予算の中では現在とてもできませんので、やはり現在国がやっております基本的な施策を重点としてやりたいということを言っている。私は基本的にそういう考え方を持っておるものでございます。
#297
○古川委員 もう少しその点について確認をさせていただきたいのでありますが、くどいようでありますけれども、被爆者がどんどん高齢化をしていく、特に医療の問題については、この老人被爆者の医療費について地方負担が非常に増大をしてきているわけでございます。昨年の補助金一括削減法の成立以来ただいま連合審査で審議を進めております今後三年にわたる補助金の一括削減、こうしたことも通して地方の負担というのは非常にこれから増していくばかりでありまして、広島、長崎においても地方負担の増大、地方財政の逼迫というのは例外ではないわけでございまして、これが被爆者対策の充実について、あえてまた私から言わしていただければ、拡大について非常に危惧されるのではないか、このように思うわけでございますが、地方負担の解消についてはどれだけの決意を持っていらっしゃるのか、厚生省としてのお考えを局長と大臣にお伺いしたいと思います。
#298
○仲村政府委員 老人医療費につきましては、老人保健法の施行によりまして地方負担が生ずることになったことは十分御承知だと思いますが、これに伴いまして多数の被爆者老人を抱えておるために相当の財政負担増となる広島、長崎四県市及び広島市、長崎市の周辺市町村に対しまして、これを緩和する見地に立ちまして老人保健臨時財政調整補助金を交付しているのは御承知だと思いますが、この厳しい財政状況ではございますけれども、六十一年度におきましては六十年度対前年比一億五千万増の十七億の臨調を確保いたしまして地方負担の軽減に努めるよう努力をしておるところでございます。
#299
○今井国務大臣 今局長が御答弁申し上げましたように、私どもは原爆臨調の趣旨を踏まえましてできるだけのことをしたいということで年々その増額をしているところでございまして、私どもの考え方は、厳しい予算の中ではございますが、皆様方のためにできるだけのことをやっていきたいというのが基本的な考え方でございます。
#300
○古川委員 本格的な高齢化社会に入っているわけでございますから、非常に老齢化をした被爆者の医療、そしてまた援護対策については今後ますます地方としても大きな課題として抱え込んでいかなければならない。そういう意味では、厚生省がさらに積極的になって負担の軽減というよりもむしろ解消という意気込みでこれは取り組んでいただかねばならない。」それが私は国家補償の精神に基づいたというその一端になるのじゃないかと思うのでございますが、大臣に重ねて御答弁をいただきたいと思います。
#301
○今井国務大臣 苦しい財政の中ではございますが、できるだけのやりくりをやってまいりたいと思います。
#302
○古川委員 法外援護事業につきましても、これは先ほど大臣も声を大きくしてやりたいんだということを強調されました。お気持ちは十分お察しするわけでございますが、これはあくまでも国が責任を持って実施をしていなければならない、既に制度化をしていなければならない一つ一つの事柄でございまして、被爆後四十年を過ぎてこれを現地の事業としてゆだねておかなければならない、この点にひとつ政府としてはお考えを置いていただきたいと思うわけでございます。
 一体なぜできないのか。やりたいのにできないという理由はもう申し上げるまでもないと思いますけれども、その点、まず御答弁をいただいてからお伺いを進めたいと思います。
#303
○仲村政府委員 法定外の援護事業についてのお尋ねでございますが、これは先ほども御答弁したわけでございますけれども、いずれもそれぞれの自治体が地域の実情に応じて行っておるということでございますので、一律に制度化は難しいというお答えをさせていただいたわけでございます。受診奨励金でございますとか老人ホームの差額徴収補助でございますとか、見舞金補助金等、各種幾つかの施策を私どもとしても把握しておりますけれども、国の制度といたしましては一律にこれを制度化するのは難しいということで御理解いただきたいと思います。
 しかしながら、従前から行っております被爆者対策については、さらに引き続き努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
#304
○古川委員 どうも明確ではないわけでございますが、法外援護事業の制度化ということを特に強く私は求めたいのでありますけれども、繰り返しますが、大臣はやりたいけれどもできないとおっしゃった、そして今の局長の答弁はどうも歯切れの悪いことでありまして、はっきりしないのでありますが、財政的な事情と一言でお答えになってしまうことなのか、その辺はいかがでありましょうか。
 質問の最初に申し上げましたとおり、いわゆるさらに老い行く、年をとっていく被爆者にとっては、残された時間が非常に少ない。もっとむごい言い方をすれば年々減っていっているわけです。残された人々に対してせめてということになりますと、もし財政的な事情だけが理由であるとすれば、こうした法外援護対策事業の法制化について何らちゅうちょはないと思うのでありますが、この点、大臣はどのようにお考えでございましょうか。長年被爆者援護対策に取り組んでいらっしゃった大臣でございますから、この点は明確にしていただけると思います。
#305
○今井国務大臣 おっしゃいます御趣旨もわからぬではないのでありますけれども、やはり法外援護事業の法制化の問題につきましては、少なくとも現状では、一律に制度化するということは限られた予算の中で極めて難しいだろうと私は思いますので、ここで私が断定的なことを申し上げるのは、まことに残念ではございますがお許しを賜りたいと思います。
#306
○古川委員 決して大臣をいじめているわけではございませんで、一歩たりとも現在の実態から前進はできないのか。今井大臣の時代でだめだったら次の厚生大臣にこれはしっかり申し継いでも何とか改善の道、充実の道、あるいは制度の内容の拡大の道を開いていこう、まず私はその御精神が大事だと思うのでございますけれども、いかがでございますか。
#307
○今井国務大臣 重ねての先生のお問いでございます。確かに長崎とか広島の両市は被爆者を多く抱えておられます。しかも、だんだんとそういう方々が年を召していく。それでどうするのだという先生のお気持ちはよくわかります。そこで、決定的なことは申し上げませんが、何かそれを助ける方法はないだろうか、ひとつよく考えさせていただきたいと思います。
#308
○古川委員 時間もなくなってまいりました。もう一つの要点といたしまして、被爆者援護対策の実態につきましては二、三お伺いをいたしておきたいと思います。
 実態調査の取りまとめの進捗状況については既に御答弁が繰り返されておりますけれども、いずれにいたしましても、四十年を経て国が実態調査を手がけたということに対しましては十分評価をしているわけでございますが、既に国が行いましたこの調査の取りまとめが完了しなければお答えしにくい点もあると思いますけれども、被爆者団体等が調査をしている結果と既に大きな乖離が問題にされているわけでございまして、そうした点、この実態調査のあり方、また政府の取り組む姿勢についてさらに決意を新たにしていただきたいと思うわけでございます。
 生存者の実態調査あるいは死没者についてもこれを手がけているわけでございますけれども、いろいろな問題点は既に出ましたので、この点は重複を避けますが、一つ気になりますのは、被爆後、戦後になりまして膨大な資料がアメリカに持ち去られている。その資料は今回の調査では使用していないのじゃないかと思うわけでございまして、今後この調査の結果を内容をさらに精密化していくためには、どうしてもアメリカに対してもそうした資料の貸し出しを要求して、その資料も駆使してさらに調査の精度も高める、こうした大きな事業も残されているのじゃないかと思いますが、この点はいかがでございましょう。
#309
○仲村政府委員 実態調査につきましては、生存被爆者の方々につきましては六十年の十月に実施をさせていただきまして、大変な御協力をいただきまして八六・七%という回収率でございまして、現在この資料の解析に着手したところでございます。
 死没者調査につきましては、被爆関係の資料を集めますことでございますとか、被災家族等の状況調査等もあわせて行ったわけでございますし、ただいま御指摘のアメリカの国会図書館に資料というのはあるというふうに私ども聞いておりますが、それがどのような形で見せていただけるものかを含めまして検討させていただきたいと考えております。
#310
○古川委員 このアメリカの資料につきましては検討と今御答弁なされたわけでございますけれども、アメリカの持っている資料を調査の対象として、調査の資料として使うというお考えがまだはっきりしていないとアメリカとの交渉あるいは事前の話し合いといったものはまだ行われていないのじゃないかと思いますが、検討というのは今後アメリカに対してそういう働きかけをしてこの被爆者の実態調査に資することができるかどうかということを確かめる作業というふうに受け取ってもよろしゅうございますか。
#311
○仲村政府委員 アメリカの国会図書館に原爆に関しますどのような資料があってどの程度見せてもらえるかということを含めまして検討という言葉を使わせていただいたわけでございますけれども、お尋ねの、例えば死没者調査について有力な資料があるとすれば、私どもとしては何らかの形で見せていただくような交渉もできるのかなということで申し上げたわけでございます。もしそのような資料が活用できますれば、非常に私どもとしても有力な資料になり得るかとも考えておりますので、そのような形での検討はさせていただきたいと思います。
#312
○古川委員 大臣、お聞きになっていたと思いますが、この点いかがでございますか。
#313
○今井国務大臣 海外の、例えばアメリカなどにいろいろ資料があるとするならば、そういう資料もぜひひとつ利用させていただきたいな、そういうふうに考えております。
#314
○古川委員 私がお聞きしたのは、そういったことについてアメリカならアメリカという相手とそういう交渉を、した方がいいというのではなくて、するのかしないのか。相手と交渉しませんと、相手のあることでありますから、そうした資料が被爆者の実態調査に有効なものであれば、今回行ったこの調査の精度を上げるために必要なものであれば、これはもう外交ルートを通して直ちに交渉を始めるべきだという意味でお聞きしているわけでございます。
#315
○今井国務大臣 質問を取り違えまして大変失礼いたしました。
 お説のとおりでございまして、有効に使えるものならばぜひそうしたい、そういう気持ちでございます。
#316
○古川委員 アメリカに対して交渉をするというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
#317
○今井国務大臣 そういうものをぜひひとつ利用させていただきたい、一遍当たってみたいと思います。
#318
○古川委員 なお、韓国人の被爆者の援護の実態あるいは最近在米の被爆者の疾病率が非常に高くなっているということが指摘をされている問題あるいはまた原爆放射線量の修正の問題、これはるるこれまで御質問がございましたけれども、先ほどのこの被爆者の実態の問題一つにいたしましても、今回の調査では日本人以外の韓国在住の被爆者であるとか中国人、アメリカ人、東南アジア人、そういったことについては除かれているわけでございまして、今後の作業として、作業というよりもむしろ事業としてスケジュールにのってこなければならない問題であると思いますが、その取り組みについてどうお考えになっているか、この際お示しをいただきたいと思います。
#319
○仲村政府委員 お尋ねの在外居住の被爆者の方たちの実態についての把握でございますけれども、主権の及ぶ範囲というのはおのずから限定されるわけでございますし、相手国との関係もございまして、政府が直ちにそのような形で調査をするのは非常に難しいと思いますけれども、いろいろな形で民間の方々の情報とかそういうものを集めることについて努力をすることは可能だと考えております。
#320
○古川委員 最後に、こうした被爆者援護対策の内容の充実あるいは拡大ということ、その実態の調査、あるいは韓国人の例を挙げましたけれども、こうした対外的な問題も含めて今までお聞きしているように一生懸命お取り組みをいただいているわけでございますが、政府の取り組みを繰り返してまいりますと間もなくまた被爆五十周年を迎えてしまうことになるわけでありまして、大変意地悪く申し上げれば、五十周年、六十周年をじっと政府は待っていらっしゃるのかというふうに憤慨にたえない気持ちもあるわけでございまして、決してそうではないと信じますけれども、その点をひとつ大臣から表明をいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
#321
○今井国務大臣 お言葉ではございますが、私どもは五十年、六十年をじっと待っているというつもりはございません。一つ一つ積み上げていこうと思いますが、そのテンポがなかなか先生の御期待のようにいかないということはあろうかと思いますが、ひとつそういう私どもの真心だけをお信じいただきたいと思います。
#322
○古川委員 終わります。
#323
○山崎委員長 次回は、来る十五日火曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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