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1985/04/24 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第15号
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1985/04/24 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 社会労働委員会 第15号

#1
第104回国会 社会労働委員会 第15号
昭和六十一年四月二十四日(木曜日)
    午後零時十二分開議
出席委員
  委員長 山崎  拓君
   理事 稲垣 実男君 理事 浜田卓二郎君
   理事 池端 清一君 理事 村山 富市君
   理事 大橋 敏雄君 理事 塩田  晋君
      伊吹 文明君    古賀  誠君
      自見庄三郎君    谷垣 禎一君
      戸井田三郎君    友納 武人君
      長野 祐也君    西山敬次郎君
      野呂 昭彦君    浜野  剛君
      林  義郎君    箕輪  登君
      網岡  雄君    金子 みつ君
      河野  正君    竹村 泰子君
      永井 孝信君    森井 忠良君
      橋本 文彦君    森田 景一君
      森本 晃司君    伊藤 昌弘君
      塚田 延充君    浦井  洋君
      小沢 和秋君    菅  直人君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 今井  勇君
 出席政府委員
        厚生大臣官房審
        議官      木戸  脩君
        厚生省保険医療
        局長      仲村 英一君
        厚生省保険医療
        局長      黒木 武弘君
        厚生省社会局長 小島 弘仲君
        厚生省保険局長 幸田 正孝君
 委員外の出席者
        総務庁長官官房
        地域改善対策室
        長       熊代 昭彦君
        厚生省社宅局老
        人福祉課長   阿部 正俊君
        社会労働委員会
        調査局長    石川 正暉君
    ―――――――――――――
四月二十三日
 福岡県田川地区の失業対策事業の存続活用等に
 関する請願(多賀谷眞稔君紹介)(第三五三一
 号)
 同(多賀谷眞稔君紹介)(第三六〇三号)
 老人保健制度の改悪反対等に関する請願(関晴
 正君紹介)(第三五三二号)
 同(日野市朗君紹介)(第三五三三号)
 同(上坂昇君紹介)(第三六五九号)
 老人医療費の患者自己負担増大反対等に関する
 請願(横江金夫君紹介)(第三五三四号)
 老人保健法改悪反対等に関する請願(稲葉誠一
 君紹介)(第三五三五号)
 同(上田哲君紹介)(第三五三六号)
 同(河上民雄君紹介)(第三五三七号)
 同(元信堯君紹介)(第三五三八号)
 同(山本政弘君紹介)(第三五三九号)
 同(池端清一君紹介)(第三五七七号)
 同(稲葉誠一君紹介)(第三五七八号)
 同(上田哲君紹介)(第三五七九号)
 同(小沢和秋君紹介)(第三五八〇号)
 同(永江一仁君紹介)(第三五八一号)
 同(不破哲三君紹介)(第三五八二号)
 同(森井忠良君紹介)(第三六三〇号)
 同(伊藤茂君紹介)(第三六六一号)
 同(上野建一君紹介)(第三六六二号)
 同(新村勝雄君紹介)(第三六六三号)
 同(永井孝信君紹介)(第三六六四号)
 同(前川旦君紹介)(第三六六五号)
 老人保健法等の一部を改正する法律案に関する
 請願(岸田文武君紹介)(第三五四〇号)
 同(保利耕輔君紹介)(第三五八三号)
 同(保利耕輔君紹介)(第三六三一号)
 同(愛野興一郎君紹介)(第三六六六号)
 広島県の国立病院・療養所の統廃合反対等に関
 する請願(大原亨君紹介)(第三五四一号)
 同(大原亨君紹介)(第三五八七号)
 カイロプラクティック等の立法化阻止に関する
 請願(河上民雄君紹介)(第三五四二号)
 同(永井孝信君紹介)(第三六三二号)
 原子爆弾被爆者等の援護法制定に関する請願
 (鈴木強君紹介)(第三五四三号)
 国立腎センター設立に関する請願(岸田文武君
 紹介)(第三五四四号)
 同(中井洽君紹介)(第三六七一号)
 老人保健法の医療費拠出金の加入者按(あん)
 分率に関する請願(左近正男君紹介)(第三五
 四五号)
 同(大出俊君紹介)(第三五八八号)
 同(佐々木良作君紹介)(第三五八九号)
 同(富塚三夫君紹介)(第三五九〇号)
 同(中野寛成君紹介)(第三五九一号)
 同(永末英一君紹介)(第三五九二号)
 同(左近正男君紹介)(第三六三三号)
 同(西田八郎君紹介)(第三六七二号)
 国立病院及び療養所の統廃合反対等に関する請
 願(小川仁一君紹介)(第三五四六号)
 同(奥野一雄君紹介)(第三五四七号)
 同(小林恒人君紹介)(第三五四八号)
 同(関晴正君紹介)(第三五四九号)
 同(藤田高敏君紹介)(第三五五〇号)
 同(松浦利尚君紹介)(第三五五一号)
 同(小川仁一君紹介)(第三五九三号)
 同(奥野一雄君紹介)(第三五九四号)
 同(小林恒人君紹介)(第三五九五号)
 同(関晴正君紹介)(第三五九六号)
 同(辻一彦君紹介)(第三五九七号)
 同(辻一彦君紹介)(第三六七三号)
 同(富塚三夫君紹介)(第三六七四号)
 国立横須賀病院の移譲反対に関する請願(岩垂
 寿喜男君紹介)(第三五五二号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第三五九九号)
 重度戦傷病者と妻の援護に関する請願(塚原俊
 平君紹介)(第三五五三号)
 同(稲村利幸君紹介)(第三六〇一号)
 同(増岡博之君紹介)(第三六〇二号)
 同(稲村利幸君紹介)(第三六三五号)
 同(船田元君紹介)(第三六三六号)
 国立療養所神奈川病院・国立小児病院二宮分院
 の統廃合反対等に関する請願(富塚三夫君紹
 介)(第三五七一号)
 老人保健制度の拠出金増額反対等に関する請願
 (富塚三夫君紹介)(第三五七二号)
 老人医療への定率自己負担導入反対等に関する
 請願(富塚三夫君紹介)(第三五七三号)
 老人医療の無料化制度復活等に関する請願(関
 山信之君紹介)(第三五七四号)
 同(正森成二君紹介)(第三五七五号)
 同(関山信之君紹介)(第三六六〇号)
 老人医療無料制度復活等に関する請願(藤木洋
 子君紹介)(第三五七六号)
 医療保険制度改善に関する請願(富塚三夫君紹
 介)(第三五八四号)
 公共事業による失業対策推進等に関する請願
 (小沢和秋君紹介)(第三五八五号)
 同(正森成二君紹介)(第三五八六号)
 同(後藤茂君紹介)(第三六六九号)
 同(関山信之君紹介)(第三六七〇号)
 国民の医療と福祉の充実に関する請願(正森成
 二君紹介)(第三五九八号)
 老人医療の患者負担増額反対に関する請願(藤
 木洋子君紹介)(第三六〇〇号)
 同(後藤茂君紹介)(第三六三四号)
 同(河上民雄君紹介)(第三六七五号)
 同(土井たか子君紹介)(第三六七六号)
 同(永江一仁君紹介)(第三六七七号)
 同(堀昌雄君紹介)(第三六七八号)
 老人医療費の患者負担増大反対等に関する請願
 (上野建一君紹介)(第三六二九号)
 同(石橋政嗣君紹介)(第三六五六号)
 老人保健制度の拠出金増額反対に関する請願
 (伊藤茂君紹介)(第三六五七号)
 同(富塚三夫君紹介)(第三六五八号)
 老人保健法改善等に関する請願(上野建一君紹
 介)(第三六六七号)
 同(小渕正義君紹介)(第三六六八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 老人保健法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二五号)
 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法
 律案(内閣提出第七五号)
     ――――◇―――――
#2
○山崎委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、老人保健法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
#3
○永井委員 老人保健法の改正問題でありますが、福祉の切り下げということがここ数年国民の大多数から大変厳しく批判をされてきているわけであります。そういう中で、なぜ今この老人保健法を改正しなくてはいけないのか。表現で言えばこれは明らかに大改悪でありまして、これだけの批判の中でなぜ福祉の切り捨てという形で国民にしわ寄せをしなくてはいけないのか、この辺が一番大きな問題であると私は考えるわけであります。非常に残念なことでありますが、きょうは極めて質問時間が短く制約をされておりますので、冒頭にお願いをしておきますが、政府当局関係者の答弁はできるだけ簡潔にお願いをしたいと思うわけであります。
 さて、私が大改悪であると言う根拠について若干申し上げてみたいと思うわけでありますが、政府がこの老人保健法の改悪を進めようという一つの理由の中に、際立って医療費がたくさんかかり過ぎるようになってきた、当初の見込みよりも老人医療に対する医療費が大変金額的に大きくなってきている、だからここで一部負担の増加を初めとしていろいろな内容について改正をしたいというのが政府の言い分であります。
 その中に一つは、直接の大きな引き金だ、こう言われているわけでありますが、一九八四年の健康保険法改正の際に退職者医療という制度をつくりました。この退職者医療に対してその目的としたものは、国保からお年寄りの数を減らすということにあったわけですね。ところが、その退職者医療に該当する人数が当初の見込みよりもはるかに少なかった。そのために国は補助率を削ったわけでありますから、そのことが非常に大きな圧迫となって国保の財政が厳しくなってきている、そういうことも大きな理由の一つに挙げられているわけでありますが、私からすれば、その数字の見込み違いというのはむしろ初めから仕組まれておったのではないかという気さえするわけであります。この辺はどうでございますか。
#4
○幸田政府委員 退職者医療の見込み違いについてのお尋ねでありますが、ただいま御指摘のとおり、私ども、当初四百万人を超える退職者医療の対象者がいるというふうに見込んでいたわけでありますが、現在のところ二百九十五万人ということでとどまっております。この見込み違いの原因でありますが、一番大きな原因は、近年退職をいたしましても被用者保険にそのまま引き続いて加入をできます任意継続被保険者の制度がありますが、その活用が私どもが考えておりました以上に、予想以上に急増をいたしておりまして、国民健康保険に移る時間的なタイムラグが一年ないし二年、任意継続被保険者制度を活用することによって出てきているということが一つだと思います。
 もう一つは、本人の数が減少いたしましたために配偶者の数も減少するということでただいま申し上げましたような数字に相なっているわけでありますが、これは私どもが当初そんなことを仕組んだということは全くございませんで、既存の統計資料をできる限り活用いたしまして把握に努めたつもりでありますけれども、今申し上げましたような事情から見込み違いを生じたということであります。
#5
○永井委員 それだけではないのです。今言われましたように、退職者医療の対象者数の見込み違いというのは、昭和五十九年度において当初の見込みが四百六万人、これがざっと二百六十万人ですね。六十年度においては同じく四百三十万人程度、これが二百九十万人程度に落ち込んでいるわけであります。これだけではなくて、一人当たりの保険料についても大変な見込み違いをしているわけですね。一人当たりの保険料が当初見込みは二万八千九百円。これが実績で五万三千五百円。実はこの差額については退職者医療会計に入っているわけですね。別枠になっているわけですね。その結果、国保にいわば大きな穴があいてしまって、五十九年度で六百七十億円、六十年度で千四百十億円、合計二千八十億円の見込み違いが出たということで、千三百六十七億二千五百万円を六十年度の補正予算で組みまして補てんをしているわけです。
 これだけで私は事が済むと思えないわけでございます。なぜならば、この見込み違いということも一つの理由にして、もしも国保にその圧迫が行ったとするなら、今局長が言われたように見込み違いの責任というのは政府みずからがちゃんととるべきでありまして、六十年度まではたとえわずかでも補てんをしたとしても、六十一年度にはその予定がない。六十一年度以降も予定がない。だから見込み違いの穴埋めについては政府が金額的に、財政的に責任をとるという形になっていない。その責任はどこへ持っていかれるのかというと、他の被保険者、そうして老人保健に加入する人たちのいわゆる一部負担の引き上げという形になってきているわけですね。
 そのことはどういう影響を与えるかというと、厚生省の資料でも明らかでありますけれども、いわゆる加入者按分率というのがありますね。この加入者按分率の公平化ということで健康保険組合で千九百五十二億円、政管健保で千三百八十九億円、それだけの金額がふえるわけですね。そうして被用者保険全体で三千九百七十二億円も負担がふえることになっている。そして、その分が、お年寄りを大切にするということはだれしも一緒でありますからそこは大切にしたいのでありますけれども、それがそのまま老人保健に全部役立てられるのではなくて、逆に国保への国庫負担が二千百九十九億円も削減をされる。こんな虫のいい話が通るのですか。むしろそれよりも、退職者医療制度の見込み違いを起こしたのですから、国庫負担率を当初の四五%程度から三八・五%に変更しているわけでありますから、この国庫負担の補助率の見直しを最優先にするべきだと考えるのですが、大臣、どうですか。
#6
○今井国務大臣 御答弁申し上げる前に、前の委員会が時間が少し超過をいたしまして遅参いたしましたことはまことに申しわけないことでございます。お許しをいただきたいと思います。
 ただいまの退職者医療の問題でございますが、見込み違いにつきましての問題は、今回老人保健法の改正等をお願いしておりますが、これは先生御案内のように、医療保険各制度の老人加入率の不均衡を見直しましてどの医療保険でも同じ割合で老人を抱えるようにすることによりまして老人医療費の公平な負担を図っていくことを目的とするものでございまして、退職者医療の見込み違いを補てんしようとするものではないと私どもは考えておるわけでございます。
 そこでまた、国保の国庫負担についてでございますが、先生が御案内のように、保険料の事業主負担はないわけでありますから現在医療給付の二分の一という高い率の補助を行っているところでございまして、現下の厳しい財政状況から見ましてもこの負担率の引き上げというのは極めて困難であろう、このように考えているものでございます。
#7
○永井委員 きょうは時間がありませんから本格的な議論は後ほどの機会に譲りますけれども、政府が見込み違いをやって――そこが大事なんだ、もともとの見込み数字に基づいて補助率を下げた。ところが、見込み違いのために国保財政に大きな穴をあけてしまった。その穴のあいたものを政府がすべて補てんするのではなくて、昭和六十年度については補正予算で部分的に補てんをしましたけれども、六十一年度以降は補てんの予定がなくて老人保健に加入しておる人々の負担を重くする、関連する健康保険組合など他の被保険者に負担を求めるということは根本的に筋が間違っておる、このことを私は申し上げているわけであります。
 もう一つは、この加入者按分率の引き上げでありますけれども、公平化という問題でありますけれども、この前この加入者按分率を決めた際には、無制限に他の健康保険組合などからの拠出がふえていかないように一定の歯どめをする目的でもって現在の負担率が決められた経過を持っているわけであります。その負担率を一定の歯どめとして決めた際は、大臣、あなたは社会労働委員会のメンバーとしてその協議に入っているのですよ。自分が今度大臣になったときにはこれを公平化で全部一〇〇%にするということは、過去の経過からいってちょっと問題があるのではないか、こう思いますが、どうですか。
#8
○今井国務大臣 各医療保険への老人の加入状況を見ますと、サラリーマンも退職すれば国保に加入するということでございますから、国保というのは健保組合の四倍の割合で老人を抱えておりますし、また、老人の一人当たりの医療費というのは若い人の五倍もかかりますから、国保のように老人を多く抱えております保険というものは重たい負担となっているわけであります。
 今回の加入者の按分率の引き上げというのは、老人保健制度の長期的な安定を図るという観点から、こうした老人の加入率の格差によります負担の不均衡を直してどの医療保険も同じ割合で老人を抱えるようにすることによりまして老人医療費の負担の公平化を図りたいということのものでございます。したがいまして、私は、被用者保険の拠出金につきまして御指摘のような歯どめをかける措置を設けるというふうなことは適当ではないと判断したものでございます。
#9
○永井委員 この問題については納得ができません。できませんので、これは後ほどの機会に改めて議論をするために保留をしておきたいと思います。
 時間の関係で次の問題に入ってまいります。
 一つは、具体的な事務処理上の問題のことでありますけれども、前々から医療費については本人にできるだけ告知をするということが議論をされてまいりました。それは、自分の医療にお金がどれぐらいかかっているかということも知ってもらうことが医療費を適正に進めていく上で大事なことだという視点だったわけですね。いろいろな事務上の処理はしてもらっているわけでありますが、診療費の告知ということについては形の上ではかなり進んできておるのですが、中身については全く具体的になっていないのですね。例えば国保の告知にすれば、自治体によっては一年間に一回告知すればいいということで済ましているところもあるし、抽出でやっておるところもあるし、いろいろ千差万別なのですよ。この問題についてきょうは多くを議論しようとは思いませんけれども、でき得れば、せめて国立病院ぐらいから全員に告知でき得るように配慮するようなことを考えていくべきではないかと一つは思います。
 時間がありませんから、まとめて答えてください。
 もう一つは、このレセプトの審査において減額査定がされる場合がありますね。この減額査定をされる場合に、保険者に対して要求してきた診療費は、減額分は差し引いて支払いするということになります。ところが、現在保険は一部負担制度が導入されているわけでありますから、もしも本人の一部負担をしたものについても減額措置で減額をしなくてはいけない分については直接本人に支払いができ得るようにしなくてはいけないと私は思うのです。
 ここに昭和六十年四月三十日の保険課長通知というものがあるのですが、その通知で見るとどういう中身になっておるかというと、この一部負担金の減額の幅が大きいケース、一万円以上については本人に告知するようにしなさいということの趣旨がこの通知の中に書かれているわけでありますが、一万円以上の減額の対象になるようなものについて全員にその告知は行き届いていない。これが一つの問題。もう一つはその告知の仕方でありますが、それぞれに、あなたはこれだけたくさん払っていますよという付記をした場合に、その書類に医療機関名が入っていない。医療機関名を入れることになっていないことが二つ目。三つ目には、その説明の中で「返還してもらうことができます。」こういう説明に終始しているということは、これは返還を求めることができない場合もあり得る。もちろん医師、医療機関と患者の信頼関係ということが大事でありますからその関係はわかるのでありますが、しかし、保険者は過払いの分については支払わないけれども、一部負担をした患者にはその返還が十分なされないということは問題があると思うのですが、これはどういう措置をとられますか。お考えを聞きたいと思います。
#10
○幸田政府委員 最初にお尋ねのありました国立病院等について領収証の発行を義務づけるべきではないか、こういう御指摘でありますが、五十六年以来厚生省としてできる限り領収証の発行をするように指導いたしているわけでありまして、厚生省所管の国立病院・国立療養所につきましては領収証はすべて発行をいたしている状況であります。ただ、その内容の明細につきましては事務上の都合等がありまして、まだ、一部の国立病院・国立療養所は発行している、こういう状況にとどまっているわけであります。
 それから、減額査定に関連してのお尋ねでありますが、一万円以上の減額のあったケースについてすべて通知をすべきではないか、こういう御指摘であります。御指摘のとおり、一万円以上の減額のあったすべてのケースについて保険者から被保険者に通知をいたすことにいたしております。昨年度の下半期から実施をいたしておりますので、私ども、現在実情がどうであるかということを調査をいたすことにいたしておりまして、私どもとしましては一万円以上の全数について当然に通知が行われているものと考えておりますが、その実情についてできるだけ早い機会に把握をしたいと考えております。
 それから二番目の、減額査定通知に医療機関名を記載させるべきではないかというお話でありますが、患者自身はどの医療機関でどのくらいの一部負担を払ったかということは知っているはずでありますが、他方、保険者の事務の現状から考えますと、何分にも膨大な数のレセプト、全体で支払基金関係だけで八億枚の年間レセプトがございますから、現実問題として今すぐに医療機関名を記載させるということはなかなか困難だと言わざるを得ないと思います。医療機関名を記載するかどうかということは保険者の今後の事務量等の関係をも勘案する必要があり、今後将来の検討課題、こう考えている次第であります。
 それから三番目の、減額査定による被保険者の過払い額については、医療機関に被保険者への返還を義務づけるべきではないかというお尋ねでありますが、現在の健康保険では、患者負担は一部負担に関する限り医療機関と患者との間の民事上の関係として構成をされておりますので、御指摘の過払い額の返還は医療機関と患者との間で民事上の手続にのっとって行われることになるわけであります。
 そういったことで、どのくらいの過払いがあるかということを保険者から被保険者に通知をするということが現在の健康保険の制度、仕組みからまいりますとせいぜいのところでありまして、具体的な返還の問題は医療機関と患者で話し合いをしていただくということにならざるを得ないかと思います。もちろん、医療機関は民法上の規定に基づきまして患者の請求に応ずる義務が当然にある、こういうことになっているわけであります。
#11
○永井委員 冒頭にお願いしましたように、要領よく答弁してもらいたいのです。時間がないので時計とにらめっこをしているのですから。
 今言われた中に、例えば過払いについて告知を受けた。医師との信頼関係がありますから、そこは大切にするんですよ。だからといって、過払いの分が戻ってこないということは、こんなばかげた話は通らないと思うのです。だから戻すようにすることが行政の責任であって、これを民事問題としていってみたって、なるほど裁判所はありますが、実際大衆がそんなことを一々裁判に持ち出せますか。常識的に考えてくださいよ。だから、そこは時間の関係で再答弁は要りませんから、厚生省としてきちっとした対応がとれるようにひとつ積極的に取り組みを検討し、対処してもらいたいということをお願いをしておきたいと思います。
 次に、大臣にお伺いしますが、あってはならぬことでありますが、残念ながら不正請求ということも起きているんですね。医療機関に対する信頼を回復するためにも不正請求は絶滅させなくてはいけないと思うのです。ところが、この不正請求にかかわってどういうことがあるかというと、監査官による指導監査がありますね。古い話でありますが、この監査については昭和二十八年六月九日の保険局長通知が生きているわけです。その監査要綱の中身に完全でない、欠けた部分がありますから、この不正請求の分についても患者がそれを請求することは極めて難しい状況になっていることも事実でありますから、これも医療機関に対する信頼を回復するためにひとつ大臣の見解をただしておきたいと思います。簡単にやってくださいよ。
#12
○今井国務大臣 おっしゃいますように、保険医療機関に対する監査の結果、不正請求があったものにつきましては、保険医療機関の取り消し処分を行うと同時に、不正請求にかかわる過払い分につきましては保険者に対して保険医療機関から返還を求めるというふうに厳重に指導しているところでございます。この場合、患者の自己負担分に減額のあったときには保険者から患者に対して通知することについては、当然行われるべきものと考えておりまして、このような方向で関係者を十分に指導してまいりたいと思っております。
#13
○永井委員 例えば富士見病院問題がありますけれども、あれだけ社会を騒がせた、政治問題にもなったあの富士見病院事件についても、明らかに不正を働いていることがわかっておっても、いまだに何の措置もとられてないのですよ。これが実態です。大臣、どうですか。
#14
○今井国務大臣 先ほど申し上げたように、それをきちっとすることが国民の信頼をつなぐもとだと思っておりまして、これはおっしゃいますようにきちっとさせたいと思います。
#15
○永井委員 そのきちっとするという中身について強く取り組んでもらって、どういう取り組みをするかについては委員会で議論もしますけれども、取り組みの内容について、こういうふうにしますということも私のところにもひとつ御報告願いたいということをお願いしておきます。よろしゅうございますね。
 次に、去る予算委員会の中で我が党の川俣議員が質問した中に、いわゆるお世話料に関する保険外負担について質問をしているわけでありますが、そのときには調査をするという約束がされているわけであります。その調査の結果どうなったのか。もし調査ができておるなら、負担額とその地域ごとの実態、負担の内訳についてごく簡単に報告してください。
#16
○黒木政府委員 昨年の十二月に全国の老人病院を対象として実態調査を行ったわけでございますが、その結果がこのほどまとまったところでございます。
 それによりますと、入院患者一月当たりの保険外負担の額でございますけれども、平均二万七千五百円という結果を得ております。ただし、これは差額ベッド代、付添看護料は含んでいない金額でございます。地域別には東京近郊と大都市圏で高く地方で低いといったような地域差が相当見られます。負担の内訳でございますけれども、四割以上がおむつ代関連でございますが、その他電気製品使用代、雑費、理髪料等、全体としては通常家庭においても必要とされる費用の実費徴収的な部分が大半を占めておる実態でございます。
 なお、お世話料等保険外負担につきましては、保険給付と重複するものについてはその是正につき従来から都道府県を通じて指導を行っているところでございますが、今回の調査結果を踏まえましてさらに指導の徹底を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
#17
○永井委員 今概略説明していただいたのでありますが、ちょっと聞いた数字によりますと、四国は他に比べて金額が著しく低いわけですね。関東は極めて多額になっている。そこは一体なぜそうなったのか、さらに精査をすべき必要があると思うのですね。そしてまた、我々が事前に把握したところによると、厚生省の実態調査の数字とかなり食い違っておるわけですよ。だから、どのような方法で調査をされたのかわかりませんけれども、さらに本当の実態を洗い出すという立場で精査を重ねてお願い申し上げておきたい。これについては、保険外負担でありますから、医療費、医療費といってみたって本人は保険外負担でかなりの額を負担するわけです。これは大変なことでありますから、この保険外負担の問題については議論にかなり時間がかかります。次の私の質問の機会にこれは譲っておきたいと思いますが、調査をされた資料は後ほど提出してください。いいですか。
#18
○黒木政府委員 提出いたします。
#19
○永井委員 この問題は後ほどに譲りまして、一部負担の問題について冒頭に私は申し上げました。これも議論は後ほどに譲っていくわけでありますが、いわば老人保険法の大改悪の根幹をなすものでありますから、これについてはその一部負担の関連で他の問題について若干質問をしておきたいと思うわけであります。
 それは、劣悪な生活環境に置かれているいわゆる同和地区の関係でありますが、部落差別に起因した深刻な健康、生活実態が山積しているのは、私は国の責任だと思うのであります。同和対策事業特別措置法が十三年、地対法ができまして現在まで四年余り過ぎているのでありますが、これらの健康を維持し生活をよくするための環境であってさえ、いまだにこの問題については完全に解消はされていないわけであります。
 そこで、この関連について若干のお伺いをしておきたいと思うのでありますが、まず初めに実態を申し上げておきたいと思うのであります。
 部落解放同盟の調査によりますと、部落のお年寄りの三人に二人が病弱者という結果が出ております。これは、全体の地域に比べるとかなり高いのですね。生活実態はどうかというと、年収三百万未満が七〇・五%、就労している者についても、そのうちの三四・二%が臨時雇いなどの不安定就労になっている。また、極めて残念なことでありますが、一九・一%に相当する人が不就学である。これが部落解放同盟が調べた実態調査なんです。
 これについて、こういう状況を考えた場合に、もちろん国民の中には生活保護を受ける人もたくさんいる、いろいろな状況の人がおりますけれども、この部落の環境を改善していくといういわゆる同和対策の立場に立つと、特別の措置があっていいのではないかと思うのですが、これは大臣、どうでございましょう。
#20
○今井国務大臣 おっしゃいますように、国保も老人医療も社会保険をベースにした一般的な医療保障制度であるわけでありますが、この両制度とも、災害が起きたときというふうな特別な事情によりまして一部負担を支払うことが困難な場合には個別に減免することにしておりますが、今の社会保険とかこれに類似する制度におきましては、同和地区の方々について特別な措置というものを講ずることは今現在極めて困難な事態になっておるわけでございまして、せっかくの先生のお尋ねでございますので、ひとつよく十分にまた検討させていただきたいなと思っておりますが、現状はそのようなことでございます。
#21
○永井委員 この問題に関連して、例えば重点施策として老人福祉センターの整備であるとか、あるいは地区専任の保健婦の配置であるとか、あるいは在宅障害者のデイサービス、そういう事業についても、厚生省は同和行政を進める立場でそれを必要だと認めて、毎年大蔵省に予算要求してきているわけですよ。古いものは七年前から要求してきているわけです。新しいものでも五年前から要求してきているんだ。しかし、この間、その予算が認められたことが一回もないのですよ。全部大蔵省にけ飛ばされてしまっている。
 厚生省がその必要を認めながら、なぜその予算措置ができないのかというところが問題なんですね。だから、厚生省の姿勢として、今まで予算要求を七年間もずっと続けてきたんだから、その施策は今後とも必要な重要な施策であるという認識でこれからも取り組んでもらいたいし、またもらえるのか、この辺のところをお聞きしたいと思うのです。
#22
○小島政府委員 確かに、一定範囲のものは、一般施策と区別いたしまして地域改善対策事業ということで補助率のかさ上げ措置が講じられているわけでございます。老人福祉センター等につきまして、これも地域改善対策事業の中に盛り込むべきだという強い御要望もありまして、それを受けていろいろ交渉していた経緯は御指摘のとおりでございます。ただ、結果として実現できなかった。これは一般施策として行うのが妥当かどうかという判断の調整の問題でありますので、現在たまたま地域改善対策協議会の場でも今後の施策のあり方等について御検討が進められているところでございますので、その辺についても厚生省の考え方も十分申し述べまして、そこでの御結論を参考としながら差別解消のために必要な施策の充実を図ってまいりたいと考えております。
#23
○永井委員 私が特段にお願いをしておきたいと思いますのは、私が冒頭に申し上げましたように、今国民の大多数は、軍備はどんどんふえるけれども福祉は切り捨てられているではないかという強い批判を持っている。その批判の中で、老人保健法が大改悪をされようとすることに見られるように、一般の福祉はどんどん切り込まれていっているわけですよ。厚生省が今まで毎年毎年予算要求してきても、大蔵省が緊縮財政ということでそれを認めない。それをどうやれば穴をあけて予算化させることができるのか。厚生省が必要としてきた立場から、求めてきた施策が実現するのかという視点に立って厚生省はより努力をしてもらいたいということなんです。だから、これは一言だけ、もう一回答えてください。
#24
○今井国務大臣 おっしゃいますように、物的な事業につきましては、十七年間の特別対策事業の結果、相当の改善を見たわけでございます。ところが、先生おっしゃいますように、福祉であるとか保健、衛生といったいわゆるソフトの面、これは実はまだなかなか十分なことが行われてないというのは御指摘のとおりだと思います。
 そこで、私どもは、地域改善対策協議会で検討中でございまして、法がそろそろもう期限が参りますので、この法の延長の問題をそこで検討してもらいまして、それで、法の延長問題を含めまして、この問題については十分やはり先生のおっしゃいますことを含めまして充実を図ってまいりたい、そのように考えるものでございます。
#25
○永井委員 大臣、今大変いい御答弁をいただきました。法の延長が必要であるという立場でありますから、私どもそれを意を強くしてこれからもお願いをしてまいりたいと思うのであります。
 総務庁にひとつお伺いいたしますが、今大臣が言われたように、法がないとこういう問題は前へいかないわけでありますから、これから引き続き法整備は必要でありますが、現在の地対法の中にいわゆる政令事業として四十四事業を認定しているわけですね。この中に、今私が求めているようなものが入っていないからできないとするなら、現在の地対法の中に盛られている政令についても改善する必要があるのではないのか、こう思いますが、どうでございますか。
#26
○熊代説明員 お答えいたします。
 御承知のように、同和地域におきましていろいろな事業を行うということは、一般施策でもできますし、それから地域改善対策特別措置法でもできるということでございます。
 それで、先ほどからお話がございますように、三分の二というような高率の特別な措置をしておるものでございますから、現行で四十四項目と定められております政令につきましていかなるものをこの特別対策の中に入れるかということにつきまして十分関係行政庁で検討いたしまして、各省間で合意されたものが載っているわけでございます。そういう意味でございまして、これに載らなければ一切できないということではございませんで、一般施策でするのが適当であるか、これに載せるのが適当であるかということで相当吟味してなされたというふうに理解しております。
#27
○永井委員 総務庁の中に基本問題検討部会というのがありますね。ここに各省庁が代表を出すのでありますが、総務庁はその単なる取りまとめじゃ困るのですよ。総務庁が同和行政の責任官庁だとすると、江崎総務庁長官のもとに、各省庁を督励してでも施策が前へ前へ進んでいくようにするのが総務庁の任務なんだから、総務庁は単に調整だけするということでは困るわけだね。その辺のところ、どうですか。今積極的に大臣がああ言われておるわけだから、総務庁としてちゃんとやるのかやらぬのか、もう一遍答えてください。
#28
○熊代説明員 同和問題の総合調整を担当させていただいております総務庁でございますが、同和問題を解決するために何が大切かということにつきまして一生懸命やるというところにつきましては、総務庁はぜひ一生懸命やりたいというふうに考えておりますが、御承知のとおり、十七年間、十八年目に入りましたけれども、特別措置法の下でやってまいりまして、いろいろ批判もございます。逆差別論等もございますので、そういうものも勘案しつつ、同和問題の改善のために何が一番大切かということを考えつつ一生懸命やってまいりたいというふうに考えております。
#29
○永井委員 逆差別論なんてこんなところで持ち出す問題じゃないのです。政府がやってきた施策は自信を持ってやるべきじゃないですか。そういう答弁の仕方は私は断じて納得できません。もう一回答えてください。
#30
○熊代説明員 先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、同和問題の解決のために何が大切かということでまいりたい。現在、先ほどから出ました基本問題検討部会で同和問題の適正化、それからこれまで何をなしてきたかということを十分検討いただきまして、今後に残された課題は何かということを御検討いただいておりまして、御指摘の課題も厚生大臣等から御答弁ありましたように十分検討させていただきたいと思います。
#31
○永井委員 時間がありませんからそれぞれ問題提起だけに終わっておりますので、改めて次の機会に中身についてはそれぞれやってまいります。
 最後に大臣、マイナスシーリング下における予算編成がずっと続いてまいりましたね。そのマイナスシーリング下で予算を編成する際に、私が冒頭申し上げたように、社会保障関係予算の切り下げに集中的にその施策があらわれてきているわけです。その社会保障関係の予算を切り込む対象というのは年々拡大の一途をたどってきているわけであります。
 例えば昭和五十六年までは当然増については一○〇%措置がされてまいりました。昭和五十七年にはまず厚生年金の一部繰り延べがなされました。五十八年には厚生年金の一部繰り延べの上に国民年金の平準化という問題が取り上げられました。さらに医療費の適正化という追い打ちがかかりました。そして五十九年にはその三つの上にさらに医療保険制度の改革ということで、私からすれば大改悪がなされました。昭和六十年にはさらにその上に政管健保への補助金の削減、国保会計年度の区分変更などで大変な当然増の分が削り込まれました。そして今の六十一年度、この老人保健法の大改悪であります。もしもこれをマイナスシーリングでなくて切り込まずにやってきておったら、概算でありますがざっと五兆円ぐらいは厚生省の予算はもっとふえておらなければいかぬわけです。その分だけ切り込まれておるものが社会保障の削減として国民大衆にしわ寄せがきているわけです。しかも新聞報道などによると、大蔵省が言ったのか官房筋が言ったのかどこが言ったのかわかりませんけれども、これから始まっていく昭和六十二年度の予算編成においてもマイナスシーリングは避けられない、こう言っているわけです。
 では、これ以上厚生省は何を切るのか。厚生省が最も大切な国民に対する福祉を憲法に基づいて充実させなくてはいけないと口で言ってきているのだから、当然増を削り込まれないように頑張ってきたはずだけれども、ここまで切り込まれてしまった。これ以上切り込むとすれば一体どうなっていくのか。庶民の立場に立って考えるなら、そういう積み重ねの中での切り下げでありますから、私どもはどうしてもこの老人保健法に協力することはできないわけであります。
 もう質問時間が来ましたからおきますが、このマイナスシーリング下における社会保障に対する集中的なしわ寄せは断じて容認できないし、厚生省を挙げて社会保障を充実するために努力することが国民に対する使命であって、この老人保健法の提案は撤回してもらいたい、このことを私は申し上げて質問を終わりたいと思います。
#32
○山崎委員長 伊藤昌弘君。
#33
○伊藤(昌)委員 このたびの老人保健法改正案を提出されました目的、これはどこにあるのでございましょうか。
#34
○黒木政府委員 今回の老人保健法の見直しでございますけれども、一つは、老人医療費が年々伸びておりまして、それをどう適正化するのか。二つ目には、その増加する医療費をどう国民が公平に負担するシステムをつくるのか。この二つを基本にしまして老人保健制度を総合的に見直したわけでございまして、その中で今回負担の公平等の見地に立ちまして一部負担の改定、それから加入者按分率の引き上げをお願いいたしますとともに、さらに今後増加が予想されます寝たきり老人に対して新しい施設体系を用意する必要があるということで老人保健施設の創設ということを盛り込みまして、今回改正の御提案を申し上げるところでございます。
#35
○伊藤(昌)委員 前段は幾らか合っていますが、まん中で述べられた負担の公平というのは大間違い、あなたのような専門家が真実がわかっていないわけはない。やはり本当のことを言わないとだめですよ。本当のことを言いさえすれば国民は納得するのです。本当のことを言わないで逃げようと思うから納得ができない。日本の政治はこのごろそうなってしまった。怖がることはない。本当のことを言わなければだめですよ。
 そこで、このたびの法改正の目的というものは国庫負担の軽減、いいのですよ、国庫負担の軽減、当たり前だもの。これ以上財政が困窮してくると日本の国は困る、私はそう思いますが、もう一度、どうお考えになります。私の言うことは間違っていますか。
#36
○黒木政府委員 私どもは、先ほど申し上げましたように、これからの老人医療費をどう国民が公平に負担をするかということは、これからの高齢化社会を踏まえまして非常に重要なポイントであろうと思っているわけでございます。
 そのためには、お年寄りも、それから若い世代も公平に負担していただく。一部負担のあり方について見直す必要がある。それから、各保険者ごとに拠出金をお願いしているわけでありますけれども、その各保険者間における拠出金のありようにつきまして国保と健保組合とを見まするに、被用者保険を退職された方が国保に加入されるということで、健保組合に対しまして国保は四倍のお年寄りを抱えている。老人加入率の格差がある上にそれが拡大しているという現実を踏まえますと、どうしてもこの時点で老人保健制度につきまして各保険者間、各制度間でどう公平に負担していただくかということの公平の観点に立って制度を見直す必要があるということで、私どもはそれこそ本気で公平な制度を目指して御提案を申しているつもりでございます。
 その結果、国庫補助についてマイナスの影響が出ますけれども、それはそれぞれの改正に伴う影響額でございまして、国庫補助の削減のための改正ではない、制度の長期的な安定を図るための改正であるということで御理解をいただきたいと思います。
#37
○伊藤(昌)委員 加入者按分率の問題を研究していってごらんなさい。今の医療保険制度の基盤のもとでこういうやり方をしていきますと、労働者の保険料の負担がどんどんふえていきますよ。本当はもうこの辺で日本の医療保険制度にメスを入れていかなければだめですよ。こういう基本にメスを入れないでおいて、そして金が足りなくなったからといってこのような法案を出して目先で糊塗しようと思うと、これからまたどんどんいろいろな間違った問題が起きてきて、そのたびに厚生省は苦労しなければいけない、そのたびに反対運動がどんどん起きなければいけない、これは枝葉末節をいじっておりますよ。
 あなた方は専門家ですから、今の医療保険制度の欠陥はどこにあると思いますか。
#38
○幸田政府委員 私どもが今回御提案をしております老人保健制度は、現在の医療保険制度の仕組みはそのまま維持をするという前提のもとでお年寄りの医療費をいかに公平に負担をしていただくか、こういうことで考えたものでございます。現在の老人保健制度もそういう考え方の上に立って創設をされたものでありますが、ただいま御指摘のとおり、現在の医療保険制度それぞれを白紙に戻しまして全く新しい形で構築をするという考え方ももちろん成り立ち得ると思いますが、私どもはいろいろな保険集団、健康保険組合もあれば共済組合もある、あるいは政府管掌健康保険もあれば市町村国民健康保険もある、こういういろいろな制度の仕組みをそのまま前提にいたしまして、老人医療費の負担の適正化、公平化を図りたいということで考えたものでございます。
 御指摘のとおり、現在の医療保険制度はそれぞれ制度が分立をしておりますので、その結果としてということでありましょうか、給付と負担との間に格差がある、あるいは給付の内容につきましても八割給付、七割給付、九割給付というふうな格差がありますし、負担の面におきましてもそれぞれ格差がある。そういう給付と負担の公平化を図ることが私ども最も肝要なことだと考えております。
#39
○伊藤(昌)委員 そんなことばかり言っておりますと、いつまでたったって同じことを言うことになりますよ。大臣、もっと本当に医療制度の根本にメスを入れなければ、そこから始めていかなければだめですよ。いわゆる倫理性の高いお医者さんが収入は少なくて倫理性の低いお医者さんの収入が高い、それから、医療技術の高いお医者さんの収入が低くて医療技術は余り重視しておらないところのお医者さんの収入が高い、こういうような間違った医療制度を持続していく限りは、いつまでたったって今のような問題が起きてきますよ。この機会に本式に今の間違った医療保険制度そのものにメスを入れていかなければいけないと思う。しかし、今それを言ったって、もう法改正が出てしまっているんだからいたし方ありません。
 それではお尋ねいたしますが、国保の拠出金の五五%が国庫負担になっておりますゆえに、国保拠出金を軽減しますと国庫負担も軽くなりますが、加入者按分率八〇%の場合に一体幾ら国庫負担が軽くなるのですか、一〇〇%の場合に幾ら軽くなるのですか。
#40
○黒木政府委員 国保の八〇%見直しに伴います国庫負担の減でございますが、約千六百億負担減に相なります。それから、一〇〇%の場合にはおおむねこの二倍になろうかと思っております。
#41
○伊藤(昌)委員 大臣、八〇%にしますと千数百億円、一〇〇%にすると二倍とおっしゃる。それでは、その額が被用者保険の負担に振りかえられてしまうわけですよ。すなわち、国庫負担をこれだけ軽減させる、だれがそれを負担するかというと、全国の勤労者が負担するわけです。それで、今のような間違った医療制度のもとでやりますとまた赤字が出てきます。また労働者が負担するのです。だから、小手先でやったってだめですよというようなことを申し上げることになる。大臣、どうお考えになりまするか。
#42
○今井国務大臣 私は、今度の老人保健の問題につきまして、老人保健をみんなで助け合おうじゃないかというようなものは、各保険間の老人加入者率の格差によります負担の不均衡というのを直しまして老人医療費を公平に負担してもらおうという観点から設けられているものだというふうに理解をいたしておりますので、国保の問題も、そこだけが極めてお年寄りの加入率が高いものですから、それだけ余分なというより余計な皆さんの御負担もありますし、ひとつそれをならしていこうと考えていくものというふうに私は理解しております。
#43
○伊藤(昌)委員 こんなことを言っては申しわけないですが、私も前は自由民主党員だったのですが、大臣、この前の三共のがんの薬クレスチンの問題についても、十年前に中央薬事審議会でこれを許可した、それから今日までのごまかし、からくり、こういう専門のことを大臣にお尋ねしても大臣はおわかりにならないから、私は大臣に対しては優しく優しく、遠慮しながら質問申し上げた。今の問題でもそうですよ。もう少し医療制度というものをよく御研究いただかないと、ただ大臣になりたい方を順番に大臣におおさめをするようなことでは困るのでございます。
 そこで、こんなことを申し上げては悪いけれども、今度の制度を通しますると、国庫負担がそれだけ軽減するわけです。国庫負担の軽減というのは労働者に負担がかかってくるのです。労働者に負担がかかってくるということは増税と同じことなんですよ。保険料というのは課税と同じことだ。中曽根先生が「増税なき財政再建」、そのとおりだ、そうやってちゃんとおっしゃっておられるときに、同じ政府で、片方の厚生省がこんなことを平然とやって悪いところにメスを入れようとしない。医療保険制度の間違いにメスを入れようとしないで、目先の見えることだけでやっておられるから、これじゃ本当に行政にならないと思う。私が言うようなことは厚生省のお偉方はわかっておるはずだ。こんなことは本当に納得できないですよ。税金のむだ遣いを省かなければいけないのだから、そして国庫負担を軽減するということは正しいことなんだから、それを堂々とおっしゃらなければ、それを言葉だけで公平、公正なんて、この次の質問のときにこのたびの法案が果たして公正であるか公正でないか、私は数字をもってお示ししますよ。数字をもってお示しすれば、だれだってこれはひどい法律だなということがおわかりになると思う。
 時間だというからこれでやめますが、もう少し研究して本当のことをおっしゃって、そしてこれからの医療行政が誤りなきようにしていかないと、日本の医療行政は、今までは間違いだらけ。(「いいところもあるんだよ」と呼ぶ者あり)何にもありゃしない。これで終わります。(発言する者あり)
#44
○山崎委員長 不規則発言はおやめ願います。
 大橋敏雄君。
#45
○大橋委員 私は、まず初めに、我が国の医療費の増高現象というものは異常的だということを申し上げたい。毎年約一兆円ずつのふえ方でございます。現在は総医療費は十六兆円を超えてしまった。これを押し上げている大きな要因は老人の医療費だと言われておりますけれども、総医療費に占める老人医療費の額と割合をまず最初にお尋ねしたいと思います。
#46
○黒木政府委員 国民医療費に占める老人医療費の割合のお尋ねでございますが、五十八年度実績で二二・八%、それから六十年度は見込みでございますけれども二四・三%ということで、構成比と申しますかウエートが年々高くなっているのは事実でございます。
#47
○大橋委員 もう総医療費の四分の一を占めるほどになっておりますが、老人医療費増高の主な理由として考えられるものは、急速な高齢化現象のために老齢人口の自然増加、また老人はどうしても病気しがちになりますし、一たんかかれば非常に重い、また長引くというようなことで、一般の人々に比べると一人当たり診療費は五・三倍という内容になっております。また、家庭の事情等もあってでしょうけれども、退院できる状態にありながら退院しない、病院がいわゆる福祉施設がわりに使われているという傾向もある。一人当たり入院費が平均しますと二十五万二千百円だと言われております。そのほか検査づけ、薬づけ、乱診乱療の問題もいろいろと取り上げられているわけでございます。
 老人医療費の増高の主な理由としてこういうものが考えられると理解いたしておりますが、これはいかがですか。
#48
○黒木政府委員 老人医療費の増加の要因でございますが、やはり何といいましてもその第一は老齢人口がふえている、人口そのものが毎年四%程度ふえておりますから、どうしてもこの人口増分は老人医療費を押し上げるというのが一つでございます。
 それから二つ目には、先生御指摘のように、入院医療費が相当伸びておるわけでございます。入院につきましては、新しい老人保健制度ができて以来一貫して受診率が増加いたしておりまして、その結果、老人医療費の増加の寄与率で申しますと六三%を占めているわけでございまして、老人医療費を増加せしめている原因としまして入院医療費の増大があるのではなかろうかと考えております。
#49
○大橋委員 これまでいろいろ申し上げました諸般の事情から三年前に老人保健法を創設する理由が出てきたわけでございますが、私は、まず初めに、今回の老人保健法改正案に対する公明党の態度を明確にしておきたいと思います。
 この改正案については問題点が多過ぎる、賛成できないということです。しかし、国民が納得できる内容、ここが大事なところですよ、国民が納得できる内容に大胆に、大幅に修正ができるとなれば、話は別でございます。そうでない限り成立は無理です。廃案にすべきだということが公明党の基本的な考え方です。
 ただし、老人を多く抱え込んでおります国保財政、このことを真剣に考えますと、私は非常に複雑な心境にならざるを得ないのであります。しょせん老人保健法は、我が公明党がその下敷きになる原案と申しますか、誘導的な役割を果たした形で創設されたものであります。この老人保健法の本質そのものは極めて妥当なものだと私は考えております。問題は、その本質や基本が計画どおりに実施されないところにある、こういうことであります。従来の、病気にだけ適用される医療保険とは異なりまして、予防とリハビリに重点を置いて、予防、治療、リハビリテーションと一貫した総合性ある制度として発足させたわけであります。しかも、老人に関する医療費をみんなで公平に負担していこう、世代間、保険者間、制度間の均衡を図るための措置も講じられたわけであります。そこで、福祉はただという考え方も改められまして、無理のない範囲で自己努力はすべきではないかとその必要性が言われて一部負担の導入がなされたわけであります。
 しょせん社会保障というものは、公平、公正が原則であります。この老人保健法が創設された当時は、一般的には画期的な制度だと高い評価もあったわけであります。したがいまして、私は、この老人保健法の構造的、骨格的な部分は、先ほども話がありましたように、医療保険制度が抜本的な改革をなされない限りは今後とも守り抜いていく制度だと考えているわけであります。しかし、医療保険制度自体が問題だらけでありまして、これを根本的にやりかえなければならぬ問題がありますので、これは私自身も、国民基礎年金構想を打ち出したと同じように国民基本医療保険制度の構想を、まだ党が了承しておるわけではございませんが、持っておりますが、そういうふうになれば、そのときはこの老人保健制度も統合されていくことになろうかと思うわけでありますが、それまではこの本質的な考え方は守り抜いていくべきだと思うわけです。
 今回の改正案は、一部負担も、加入者按分率もその引き上げが大幅過ぎる、急激過ぎるというところに問題点があるわけでございます。今申し上げました私の考え方についてどのような受け取り方をされたか、お答え願いたいと思います。
#50
○今井国務大臣 老人保健制度の創設のねらいであります予防から治療、リハビリに至ります総合的な保健医療サービスの提供という問題、それから、先生おっしゃいましたように、老人医療費の公平な負担という制度の基本的な骨格につきましては、本格的なこれからの高齢化社会を控えましてより一層重要なものであるというふうに考えておりまして、今回の改正におきましてもこれは維持することにいたしておるものであります。今回の改正におきましても、こうした基本的な考え方に沿いまして、まず、特に寝たきり老人に対します保健、医療、福祉の総合的な施策として私どもは新たに老人保健施設の制度化というものを行うことにしておりまして、同時にこの保健事業についても予算の大幅な増額というふうなことで一層の推進を図ることにいたしておるわけでございます。
 また、お尋ねの老人医療費を公平に負担するという観点から、私どもは一部負担及び加入者按分率の見直しを行うことにいたしておりまして、これはひとつぜひ御理解を賜りたいものだと思うものでございます。
#51
○大橋委員 先ほども申しましたように、老人保健法の創設のときには、我々もその下敷きを出したという立場もあり、真剣に検討協議した結果、賛成でこれを成立させました。その後、非常にそれなりの成果が出てきたと思っていたのですけれども、またもとのもくあみとなってきたわけでありまして、ただ単に計数の上でつじつまを合わせようというような今回の改正案についてはどうしても納得いかぬのでございます。
 特に加入者按分率の問題でございますけれども、最終的には一〇〇%に持っていこうという考えがあるようでございますけれども、先ほどから申し上げますように、制度間の負担の公平という立場からは、理論的には私は理解できるものでございます。しかし、これには条件整備といいますか、全体的な老人の総医療費をずっと抑え込んでいくというのが先決問題でございます。すなわち予防対策、いわゆるヘルス事業ですね、保健事業やリハビリ施設の整備充実、これらの計画的実施が前提条件だということでございます。
 私は老人保健法が実施されて、今日じっと見てきておりますと、その肝心のヘルス事業、保健事業あるいはリハビリの対策が非常に計画からおくれているように思うのでございますが、当初の計画に対して実績がどうか、説明願いたいと思います。
#52
○仲村政府委員 御指摘のとおり、老人保健制度におきますヘルス事業、いわゆる保健事業は、本格的な高齢化社会の到来を控えまして、健やかな老後を迎えるためということで非常に大切な事業だと私ども認識しておるところでございます。
 お尋ねの保健事業の実績でございますけれども、法律制定以降、五カ年計画に基づきましてこれまで段階的かつ計画的に事業の実施、拡充を図ってまいってきたところでございまして、健康相談、機能訓練あるいは訪問指導等は、予算で見込みました水準を上回る実績になっております。
 しかしながら、健康診査につきまして申し上げますと、健康診断でございますけれども、受診者数で、実数におきましては一千六百万人を超えます実績を上げておりますけれども、私どもがねらいといたしました予算上の目標といたします水準から比べますと、いわゆる一般診査におきましては約七割、胃がん検診につきまして五割、子宮がん検診について八割程度の実施率ということでございまして、御指摘のように、全体としては目標を下回っておる部分がございます。
 人口階級別に見ますと、郡部の方の市町村が非常に受診率が高くなっておりますが、問題は都市部でございまして、私ども今後都市部のいわゆる都市保健をさらに充実していかなくちゃいけないと思っておりますけれども、これは予算委員会でも公明党の先生から御質問ありましたように、休日夜間の診断体制でございますとか、そういう実施上の工夫をさらに図っていく必要があろうかと思います。
 予算上におきましては、もう既に御承知かと思いますが、ヘルス事業につきましては総額三百五十八億円の増を図りまして、対前年度比三五・八%と内容も若干の向上をさせているところでございますが、基本的には、今お尋ねの医療費の最もオーソドックスな抑制策と申しますか、そういう観点からしますと、このヘルス事業というものを私どもさらに拡充をさせていく必要があると考えておるところでございます。
#53
○大橋委員 大臣、今お聞きのとおりです。肝心の保健事業等が計画からかなり立ちおくれているわけですね。そういう実態を私ども感じましたので、昨年は保健事業やリハビリ対策のおくれをカバーしようと、それから将来の拡充強化を目指して、老人に対する緊急百億円プランというものを六項目の柱を立てて厚生省に要求をしたわけです。ことしの、六十一年度の予算にこれがほとんど反映されたという事実を見まして、この点について私も非常にうれしく思っております。百億円プランであったのが、今も答弁があったように、ヘルス事業だけでも三百五十八億円という計画、予算がついたわけですから、この意味において私は高く評価するわけでございます。
 しかしながら、問題は在宅の問題です。在宅介護支援体制の強化をもう一段やらねばならぬということです。寝たきり老人約四十八万人のうち約二十七万人が家庭内にありまして、しかも人口の老齢化に伴って寝たきり老人の数も急速にふえつつあります。昭和五十三年には約三十六万人が、昭和五十九年には約四十八万人。したがいまして、特に家庭奉仕員ですね、ホームヘルパーあるいは派遣事業、在宅老人短期保護というショートステイ事業あるいはデイサービス事業、これは適所サービス事業及び訪問サービス事業等、在宅介護のニーズに対応したサービスの飛躍的な充実が必要であろうと思います。
 同時に、中間施設の問題なんです。きょうは非常に時間が限られておりますので、はしょって質問しておりますけれども、中間施設の制度が非常に重要だと思いますけれども、ここでお尋ねしたいのは高齢者の施設利用状況、これを説明していただきたいと思います。
#54
○阿部説明員 施設利用状況といいましょうか、老人ホームの入所者数でちょっと表現してみたいと思うのでございますが、五十九年十月現在で、養護老人ホームに入所されている方が六万六千名、特別養護老人ホームが十一万二千名、軽費老人ホームが一万五千名、有料老人ホームが六千名というふうになっておりまして、ここ十年程度の推移を見てみますと、養護老人ホームの利用者が大体横ばい、それから特別養護老人ホームの利用者が約二・三倍、それから軽費老人ホームが二・五倍、有料老人ホームが一・六倍というふうな推移になってございます。
 それからショートステイなりデイサービスなりの方の利用者というのは、利用形態が入所という形をとっておりませんので、なかなか難しいのでございますけれども、例えばホームヘルパー数でいいますと、現在約二万名のホームヘルパーを配置してございます。それからショートステイにつきましては、千余りの特別養護老人ホームで実施中でございます。それから御指摘のございましたデイサービス等につきまして、現在まだ百カ所弱というふうな状況でございます。
#55
○大橋委員 先ほど中間施設の問題を取り上げましたけれども、今回老人保健施設という表現で出されてきておりますが、予算の内容を見ますと、モデルで十カ所程度でございますね。これでは話にならぬと思うのです。少なくとも三倍、四倍の数に直ちにふやすべきだと私は思います。そうしないと、本当の意味のモデル的な施設、その内容を掌握するわけにはいかぬと思うのです。
 同時に、この中間施設の重要性について申し上げておきますけれども、核家族化現象の中で、例えば寝たきりあるいは痴呆状態等に陥った場合、一体だれが面倒を見てくれるのかということになるわけでございます。介護する人がいなければ、病院に行くかあるいは福祉施設が、そういうところも今満員状態であるということになるわけですけれども、また在宅で介護する人がいたとしましても、大変な負担がかかっていくわけでございます。ところが、現在は医療と福祉はそれぞれサービス体系が分かれておりまして、その中間というのがないわけですね。医療と福祉の両面の長所とむだを省いた新しい施設が要求されているわけでありまして、これがまさに中間施設であり、老人保健施設でなければならぬと私は思うのでございますが、その点についてはどうお考えですか。
#56
○今井国務大臣 お説のとおりで、今後非常に増大します寝たきりなどの要介護老人の多様なニーズに対応して、医療サービスと先生おっしゃいましたように生活のサービスをあわせ行います。そういう老人保健施設というのは極めて大事なことであります。そういうことで私どもは老人保健法の中でこれを制度化して六十二年度以降本格実施しようとしているわけでございます。
 それで、十カ所のことしのモデルが少ないじゃないかというお話でございますが、それは確かにおっしゃるとおりかもしれませんが、私どもはまずモデルでやってみて、そうしていろいろな御意見を聞いて六十二年度から本格実施をいたしたいと考えておりますので、まずひとつ私どもの試行をさせていただきたいと思います。その間にいろいろまた御意見を承りまして逐次改善をしていこう、こう思っておるものでございます。
#57
○大橋委員 最後になりますが、今中間施設をとにかく実施させてくださいということですけれども、十カ所では少な過ぎるということをしっかり頭に入れて、私が三倍、四倍はとりあえずふやしなさいと言うことを真剣に考えていただきたい。強く要望しておきます。
 今後の高齢化社会において特に悩みの種となるのが寝たきり老人、痴呆性老人の対策ではないかと考えるわけでございますが、最後にこの寝たきり老人、痴呆性老人の将来推計と出現率をお尋ねして終わりたいと思います。
#58
○阿部説明員 お尋ねの寝たきり老人、痴呆性老人の数でございますが、出現率ということでございまして、出現率といいますのは六十五歳以上人口の中での割合という意味で申し上げますと、寝たきり老人につきましては、厚生行政基礎調査等によりますれば出現率は三・九%という程度でございます。それから痴呆性老人につきまして同じような意味での出現率を計算いたしますと、およそ五・二%という程度ではないか、こう考えております。
 これを将来の老人数の増というのに単純に掛け算をいたしまして将来数をはじき出しますと、寝たきり老人につきましては昭和七十五年時点では大体八十万人程度、それから痴呆性老人につきましてはおよそ百万人というふうな数字が計算されるわけでございます。
#59
○大橋委員 非常に大変な数になるわけでございますが、この対策いかんによって高齢化社会の姿が決まっていくと言っても過言ではないと思います。
 時間が来ましたので、終わります。
#60
○山崎委員長 浦井洋君。
#61
○浦井委員 まず山崎社会労働委員長に私、要望をしたいのであります。
 こういうような老人保健法の改悪案、こういう重要な法案についてこういう短時間に、社民連はやられないわけでありますけれども、実質的に野党一巡方式をとったというようなことは我が社会労働委員会の慣行に反する、こういうように私は思うわけであります。だから、きょうは野党一巡をしたことにならないということを確認しておきたいと思うわけであります。こういうような重要な対決法案といいますか、改悪案を審議するには我が党の小沢議員が理事会で主張しておりますように、少なくとも野党全員、与党も含めてできるだけたくさん質疑をする、我が党は一委員五時間を要求いたしておりますけれども、そのほか中央、地方公聴会あるいは連合審査、参考人質疑、それから総理質問、こういうものをやって、慎重の上にも慎重を期して審議すべきであるということを私はまず冒頭に山崎拓社会労働委員長に要望をしておきたいのであります。
#62
○山崎委員長 本日の日程につきましては理事会で決定したことでございます。
 法案の審議につきましては、理事会で、オブザーバー御出席でございますから、お諮りを願いたいと存じます。
#63
○浦井委員 私、十分しかないので、この内容に入りたいと思うのですが、厚生大臣、この老人保健法改正案の目的は一体何でありますか。
#64
○今井国務大臣 老人医療費というのは、人口の高齢化がだんだん進んでいく中で今後とも増大しますことは避けられないものだと考えております。こういった老人医療費を長期的な観点に立ってどのように適正なものにするか、それをいかに国民が公平に負担していくかというのが今日の極めて大事な問題だと私は思っておるわけです。また、非常にふえております介護を要しますお年寄りについての保健であるとか医療あるいは福祉の総合的な推進というものが急務になっております。
 そういうことで、今回の老人保健法の改正というのはこういった課題にこたえるものでありまして、これによりまして老人保健制度の長期的な安定を図って、二十一世紀におきましても安心して老後を託せるそういう制度の確立を目指そうというふうに私は思っておるものでございます。
#65
○浦井委員 大臣の御認識そのものが間違っておると私は思うのであります。だから、その誤った認識の上に立案されたこういうような改正案というのは決して高齢者の健やかな老後を保障することにならないし、特に先ほどから言われておるように世代間の負担の公平を図るというような議論そのものが福祉の概念から逸脱しておる、いわゆる社会保障の概念から逸脱しておるというふうに私は思うわけであります。
 先ほども指摘があったように、この改正案の実態というのは福祉、社会保障の面での国庫負担削減の極めて巧妙な手法である。皆さん頭がいいですから、そういうところから出てきた、三年前の老人保健法もそうでありますけれども、今度の改悪案も極めて巧妙な手法を駆使してきておるというふうに言わざるを得ないと思うわけであります。吉村事務次官も、それから幸田保険局長もよく言われておるように、今度の老人保健法の改悪案というのは厚生省当局から言わせると、福祉の改革の第一ラウンドから第二ラウンドへの橋渡したというふうに位置づけられておるわけでありますけれども、そういう点ではまさに福祉切り捨ての第二ラウンドの始まりだというふうに位置づけたいと私は思うのであります。
 そこで、なぜかといいますと、一つはこれは高齢者の自己負担をさらに引き上げて、あなた方は否定するけれども受診抑制を図っておる。現にこの前のときにそういう現象が起こっておるわけなんです。高齢者にとっては最大の関心事は、どういうアンケート調査をやっても自分の健康が心配だということなんです。ところが、これが成立しますと、さらに高齢者の健康を損ねることは確実なんです。さらに不安が募りますから、革新共同の田中美智子議員が本会議で指摘しましたように、今でもこの法案が三年前に通ってからずっと高齢者の自殺がふえておる。この改悪案が通るならば、ますますそういう現象がふえていくのは確実だろうというふうに思うわけであります。
 それから二番目には、按分率の問題にいたしましても、これも今ずっと指摘がありましたように、若い被保険者集団の負担が重くなる。そうすれば、国は出さないわけでありますから、ひいてはこれはそういう集団の保険料のアップに究極的にはつながっていく。そうして家計を圧迫する。このことは極めて確実であります。
 それから三番目に、いろいろと中間施設、いわゆる老人保健施設のことが論議されておりますけれども、これは病院の方から中間施設の方に転用するということであって、そういうことになりますと、中間施設を評価するというようなことは私はできないと思う。安上がりの老人病院をさらに一つのカテゴリーとしてつくり上げるということになって、全体として、あなた方が言われておる百七十万床を百万床にとにかくベッドを削減したい、そして医療費を抑制したいという一番的確な手法のこれは始まりではないか、そういうふうに私は思うわけであります。
 それからもう一つけしからぬのは、老人保健法、老人保健法と言っておりますけれども、老人保健法等ということで、等の中に国保の滞納者に対する制裁措置が入ってきておるわけであります。何でこんなものが老人保健法の改正案の中に一括できるのですか。要するに、これは国保の料金を払わない人あるいは滞納している人には保険証を渡さない、こういうことの始まりである。こういうことが進めば、国民の運動によって国保と健康保険で何とか今まで国民皆保険制度がずっとでき上がってきた、その国保の制度の崩壊の突破口になるのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。特にこの国保の滞納者の制裁措置については、人権をじゅうりんする疑いさえもあると私は言わざるを得ないわけであります。
 このように述べてまいりますと、この改悪案というのは憲法二十五条あるいは老人福祉法の精神を全く政府が真っ向から踏みにじるものにすぎないということを私は指摘をしたいわけであります。だから、どなたか言われておるように、もうこういうものは政府が責任を持って即刻撤回をすべきであるということを私は強く主張をしたい。どうですか、大臣。
#66
○今井国務大臣 今、今回の老人保健法の改正について幾つかの御項目を挙げてのお尋ねがございましたが、この保健法の改正というのは、これから訪れます本格的な高齢化社会の到来に備えまして、例えば老人医療費の問題でございますれば負担の公平を図るために加入者按分率の引き上げあるいは一部負担の改定を行うということでございますし、また、介護を必要としますお年寄りのための老人保健施設の創設を図るものであると私は考えております。
 また、最後にお尋ねがありました国保の問題でございますが、国保法の改正というのは被保険者間の負担の公平を図るための措置であると私は考えておるわけでございます。
 そんなことでございますから、今回のこの改正というのは、国民の負担の公平を図り、しかも老人保健制度を長期的に安定したものとして、二十一世紀におきましても安心して老後を託せるような制度とするためにぜひともこれはやらねばならない改正だと私は考えております。したがって、撤回する考えはございません。
#67
○浦井委員 これで終わりますけれども、冒頭に私が申し上げましたように、大臣を先頭にして厚生省の高官の人たちの根本の認識が誤っておる。その誤った認識の上に立って立案されたこういう法案は、私はもう一遍重ねて言いますけれども、政府の責任で即刻撤回すべきだ、このことを主張いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 以上であります。
     ――――◇―――――
#68
○山崎委員長 次に、内閣提出、国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。今井厚生大臣。
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 国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法
  律案
    〔本号末尾に掲載〕
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#69
○今井国務大臣 ただいま議題となりました国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 国立病院・療養所は、昭和二十年の発足以来、国民医療の確保に大きな役割を果たしてきたところでありますが、近年、疾病構造の変化、医学医術の進歩等によりまして医療内容はますます高度化、多様化してきております。また、この間、他の公私医療機関の整備が年々進められ、マクロ的に見れば、我が国の医療機関の量的な確保はほぼ達成されつつあると言えます。
 国立病院・療養所の再編成は、このような情勢の変化を踏まえ、適切かつ効率的な医療供給体制の確立という国民的課題の中で、今後国立病院・療養所が国立医療機関にふさわしい役割を積極的に果たしていくためには避けて通れない道であります。
 このため、政府といたしましては、昭和六十一年度を初年度として今後おおむね十年を目途に、相当数の施設の移譲または統合を行うこととしておりますが、再編成の円滑な実相を図るとともに、再編成に伴う地域の医療を確保するため、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、国立病院等の移譲に係る資産の譲渡の特例についてであります。国は、公的医療機関の開設者等が、国立病院等の移譲を受け、医療機関を経営しようとするときは、当該国立病院等の資産を、地方公共団体に対しては無償で、地方公共団体以外の者に対しては時価からその七割を減額した価額で譲渡することができることとしております。
 第二は、その他の資産の譲渡の特例についてであります。国は、公的医療機関の開設者等が国立病院等の資産の譲渡を受け、引き続きその者の開設する医療機関の用に供しようとするときは、当該資産を、地方公共団体に対しては時価からその五割を減額した価額で、地方公共団体以外の者に対しては時価からその三割五分を減額した価額で譲渡することができることとしております。
 第三に、国の補助についてでありますが、移譲を受けて医療機関を開設する公的医療機関の開設者等に対し、国は当該医療機関の運営に要する費用を補助することができることとしております。
 以上のほか、国立病院等の資産の譲渡を受けて開設される医療機関の運営が円滑に行われるように医師を派遣する等の必要な配慮を行うことなどを規定しております。
 なお、この法律の施行期日につきましては、公布の日としているところであります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#70
○山崎委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ります。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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