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1985/02/12 第104回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第104回国会 大蔵委員会 第3号
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1985/02/12 第104回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第104回国会 大蔵委員会 第3号

#1
第104回国会 大蔵委員会 第3号
昭和六十一年二月十二日(水曜日)
    午後零時九分開議
出席委員
  委員長 小泉純一郎君
   理事 笹山 登生君 理事 中西 啓介君
   理事 中村正三郎君 理事 堀之内久男君
   理事 上田 卓三君 理事 野口 幸一君
   理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君
      越智 伊平君    大島 理森君
      加藤 六月君    金子原二郎君
      自見庄三郎君    田中 秀征君
      高鳥  修君    中川 昭一君
      長野 祐也君    林  大幹君
      東   力君    藤井 勝志君
      宮下 創平君    村上 茂利君
      山崎武三郎君    山本 幸雄君
      伊藤  茂君    伊藤 忠治君
      兒玉 末男君    沢田  広君
      戸田 菊雄君    中村 正男君
      堀  昌雄君    柴田  弘君
      古川 雅司君    矢追 秀彦君
      薮仲 義彦君    安倍 基雄君
      正森 成二君    簑輪 幸代君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
 出席政府委員
        外務大臣官房審
        議官      福田  博君
        大蔵政務次官  熊川 次男君
        大蔵大臣官房総 北村 恭二君
        大蔵省主計局次
        長       保田  博君
        大蔵省主税局長 水野  勝君
        大蔵省理財局次
        長       中田 一男君
        大蔵省銀行局長 吉田 正輝君
        大蔵省国際金融 行天 豊雄君
 委員外の出席者
        人事院事務総局
        給与局給与第一
        課長      小堀紀久生君
        厚生省保険局国
        民健康保険課長 近藤純五郎君
        郵政省電気通信
        局電気通信事業
        部業務課長   品川 萬里君
        大蔵委員会調査
        員       矢島錦一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十日
 辞任           補欠選任
  越智 伊平君       倉成  正君
  加藤 六月君      小此木彦三郎君
同日
 辞任           補欠選任
  小此木彦三郎君      加藤 六月君
  倉成  正君       越智 伊平君
同月十二日
 辞任           補欠選任
  藤波 孝生君       林  大幹君
  山中 貞則君       長野 祐也君
  薮仲 義彦君       坂井 弘一君
同日
 辞任           補欠選任
  長野 祐也君       山中 貞則君
  林  大幹君       藤波 孝生君
  坂井 弘一君       薮仲 義彦君
    ―――――――――――――
二月七日
 国民年金特別会計法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出第一九号)
同月六日
 消費生活協同組合の個人年金共済事業に係る税
 制上の改善に関する請願(伊藤茂君紹介)(第
 三五七号)
 同(串原義直君紹介)(第三五八号)
 同(山中末治君紹介)(第三五九号)
 同(横江金夫君紹介)(第三六〇号)
 同(天野等君紹介)(第四〇二号)
 同(兒玉末男君紹介)(第四〇三号)
 同(馬場昇君紹介)(第四〇四号)
 同(細谷治嘉君紹介)(第四〇五号)
 同(村山富市君紹介)(第四〇六号)
 同(元信堯君紹介)(第四〇七号)
 同(和田貞夫君紹介)(第四〇八号)
 同(渡部行雄君紹介)(第四〇九号)
 同(渡辺嘉藏君紹介)(第四一〇号)
 同(阿部未喜男君紹介)(第四三二号)
 同(加藤万吉君紹介)(第四三三号)
 同(上坂昇君紹介)(第四三四号)
 同(関山信之君紹介)(第四三五号)
 同(田並胤明君紹介)(第四三六号)
 同(松前仰君紹介)(第四三七号)
 大型間接税導入反対等に関する請願(新井彬之
 君紹介)(第四二五号)
 同(大橋敏雄君紹介)(第四二六号)
 同(木内良明君紹介)(第四二七号)
 同(二見伸明君紹介)(第四二八号)
 同(森田景一君紹介)(第四二九号)
 同(山田英介君紹介)(第四三〇号)
 同(吉浦忠治君紹介)(第四三一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処
 理の特例に関する法律案(内閣提出第一号)
     ――――◇―――――
#2
○小泉委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案を議題といたします。
 趣旨の説明を求めます。竹下大蔵大臣。
    ―――――――――――――
 昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○竹下国務大臣 ただいま議題となりました昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 昭和六十年度におきましては、給与改善費を初めとする追加財政需要が相当程度に上る一方、税収は当初予算を下回ると見込まれ、政府は、補正予算編成に当たり、歳入歳出両面にわたる最大限の努力を払ってきたところでありますが、なお財源の不足が生じ、特例公債の追加発行によって対処せざるを得ない状況にあります。
 本法律案は、こうした特例公債の発行額を極力抑制するため、臨時異例の措置として、昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の全額を一般財源に充当することができるよう財政法の特例を定めるものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 財政法第六条第一項においては、各年度の歳入歳出の決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債または借入金の償還財源に充てなければならないこととされておりますが、昭和五十九年度の剰余金については、この規定は適用しないこととしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#4
○小泉委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○小泉委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤忠治君。
#6
○伊藤(忠)委員 伊藤でございます。本委員会に所属することになりまして、ふなれな面が多々ございますが、ひとつよろしくお願いをいたします。
 今も大臣の方から提案理由の説明がございましたが、つまり、剰余金の処理について特例措置を行うということなのであります。私考えますに、当初予算からかなり税収が下回っている、したがって、歳入歳出の面で最大限努力を払ってきたけれども財源不足については特例公債の追加発行で対処せざるを得ない、この特例公債の発行額を極力抑制するために今回異例の措置として剰余金の全額を一般財源に充当する、こういうことなのであります。
 そこで、財政法六条には定めがあるわけですけれども、それが実行できないので今回全額を一般財源に充てていくというこの特例的なやり方、これが今回限りで果たして乗り切っていけるのかどうかという点を私は非常に疑問に思うわけでございます。なぜかといいますと、それでは六十一年度の場合にはそういう措置をとらなくても果たしてやっていけるのであろうかということなのであります。
 実際の話が、財政事情は財源確保の面を見ましても非常に厳しいわけでありまして、財政再建、六十五年に赤字体質脱却をしていくという大方針についても、税調で審議がなされておりますとおり、税制の仕組みにメスを入れなければなかなか六十五年目標を達成できないという置かれている厳しい現状の中で考えますと、果たして今回の特例措置で来年はまた財政法六条に従ってやっていけるというふうになるのであろうか、この点で私は率直な疑問を感じます。その点どうでございましょうか、まずお伺いしたいと思います。
#7
○竹下国務大臣 今、伊藤先生おっしゃるとおりでございまして、これは半分は当然入れるというのは義務づけられておる。その上に大平大蔵大臣答弁というのがございまして、財政再建期間中は全額入れるという建前でいきたい、こういうことの筋は厳然として残っておるわけであります。
 今までやりましたのは、減税財源に充てようというときにやったことがございますが、今回の場合はまさに歳入不足に充てよう、こういうことでございます。したがって私は、原則はこの六条の精神は守るべきものである、あくまでも臨時異例の措置であるという認識の上に立っていないと、我々自身がだれてしまいますから。
 また将来、なかんずく六十一年度どうなるか、こういうことになりますと、これは今、これが最上と思って見積もった歳入額で御審議いただいておるわけでございますから、それが将来狂うであろうという前提でお答えするのはなかなか難しい問題でありますが、原則的にあくまでも法の精神と、それから大平大蔵大臣答弁というのも本筋としてはやはり守るべきものだというふうに思っております。
#8
○伊藤(忠)委員 御答弁の趣旨は私よくわかるのですが、実際に置かれておる状態が非常に厳しいと思うのですね。六十一年度のことを大臣にここで明確にということを言っても、見通しの非常に不透明な部分を含んでおるわけですから、それは予断ができないという点で理解ができるわけですけれども、私、疑問として申し上げたのでありますが、確かに置かれている情勢が厳しいわけで、来年になったらうまくいくのだというふうにはなかなか言えない現状ではなかろうかという点を私は強調したいわけでございます。
 これと関連をしまして次の点、ちょっと質問を申し上げたいわけですが、つまり、事ほどさように置かれている財政の事情は厳しい。しかし一方では、総理発言にもございますとおり、今政府税調で税制の抜本的な改革に取り組んでいる。四月段階になれば大幅減税ということが答弁でも明らかにされてきているわけです。しかしこれも、考えますと、プラス・マイナスをゼロにするという考え方で、秋には財源確保の面でどういう方策があるのかということについて一定の結論を出していく、こういう一定の課題が税調に対しても政府側として出されているということになるわけです。プラマイ・ゼロということは、制度にメスを入れてプラマイ・ゼロにするということでありますから、それではプラマイ・ゼロになってさらに財政再建の新たな財源が確保できるのであろうかということになれば、そのことについてはどうも明らかにされていないと思うわけであります。
 そうすると、結局総理が言われているように、国民の皆さんの重税感も今非常に高まっている、そういうものを解決していくという意味からも四月段階には大幅減税をやりたいと思っておる。ところが税収の面は秋に結論を出すのだということだけで先行していきましたのでは、その時点になって全体像が明らかになったときに、期待をしている国民の側からすれば、これは果たして何であったのかという非常に大きな不信を招くのではないか、こう思うわけでございます。
 最近の動きとして、財界の方でも税調の動きにタイミングを合わせるような格好で、「増税なき財政再建」とは言うけれどもこれは実際不可能なのではないか、そのことだって決意をしないことには、税制に抜本的にメスを入れると言うけれども、なかなかいい言葉ずくめだけではいかないのじゃないか、そういう意思が働いていると思うわけです。
 私はそういうことを全体に考えますときに、何か減税だけを先取りするような格好、その方が非常にいい格好ができるわけですから受けはいいでしょうけれども、しかしそういう問題では済まないと私は思うわけでございます。ですから、税の面でどのようなサービスをしていくかという減税と財源確保の面とプラマイをゼロにするということが基本方針でやられることになるならば、じゃあ財政再建に向けてどのように財源確保を図っていくのかということが一体のものとして議論をされなければいけないと私は思うのですが、何かこれまでのそういう答弁を聞いている限りでは、切り離すような格好で、しかも宣伝にこれ重点を置いたような態度表明のように思っているわけですが、大臣としてはその点をどのようにお考えなのかお聞かせをいただきたい、かように思います。
#9
○竹下国務大臣 あくまでも税の基本は、国の歳出を賄うに足りますところの主な歳入が税に求められるというのは理想的な姿でございましょう、公債発行したりしないで。したがって、税というものについて税制調査会等に諮問いたしますときには、安定的歳入の確保ということはだれしも念頭にあるわけでございますから、したがって、初めにどうしたら財政再建ができるかという、歳入をふやすための諮問というものも一般的にしないわけでございます。また別の意味において、減税をするための諮問というものもしないで、いわばシャウプ以来の抜本的な税制改正のあり方は那辺にあるや、今度はその手法といたしまして、まずはどこに痛みを感じ、まずはどこにゆがみ、ひずみを感じているかというところをまずは御議論をしていただきたい。それに基づいて、あくまでもニュートラルなものでないといかぬから、さようしからばそれを埋めるためには考えられるものはこのようなものがあるではないかという手順で、秋にはまとめたものの答申を賜ろうということでございます。
 矛盾をお感じになると思いますのは、私どももしたがって今度の税制調査会の答申ではいわば増税の種を探すわけではないわけであります。言ってみれば、あくまでも歳入歳出のニュートラルな姿のものをいただいて、それから先は政策選択の問題になろうかと思うのでございますが、今日財界でいろいろなお話があるにいたしましても、私どもとしてはあの臨調の「増税なき財政再建」、すなわち新たなる税目を求めることによって大きく租税負担率を変えるようなことをしちゃならぬということは今守っておるわけでございますから、したがってそのいわば新たなる税目というようなものが出た場合には、ある意味において政策転換をしなきゃならぬかもしらぬ。
 だから、私どもは今「増税なき財政再建」というものを堅持しておるわけでありますから、例えば仮に八月にまた概算要求基準を設けます際には、それが変更された形で概算要求がなされるということは非常に難しい問題じゃなかろうか。その秋になって両方そろって、まあニュートラルな形でございますが抜本改正のあるべき姿というものが出て、その後やっぱり国会の問答等を通じながら国民のコンセンサスが那辺にあるか、もっとサービスを削ってもらってもいいというコンセンサスになるのか、いや、いささかの負担増は、受益者も国民だしまた負担するのも国民だからその負担増に耐えなければならないというコンセンサスになるのか、その辺を見きわめて、政策選択の問題としてその増収措置というのは残っていく課題ではなかろうか。税制調査会の諮問はあくまでもニュートラルなものであらねばならぬではなかろうかというふうに考えておるところであります。
#10
○伊藤(忠)委員 大臣がおっしゃるとおり、税制改革というのはそこに目的を置くというのですかね。やっぱりそういう趣旨でやられていることなんですね。ところが、政策選択が必要だといみじくも言われましたけれども、そのいい部分だけを取り出して、しかも全体像は秋の段階でなければ明らかにならないにもかかわらず、四月の段階で大幅減税だけを何かやるような、あたかもやるような格好で言われるということは私は大変問題だと思うのですね。
 ですから、税制改革というのはやっぱりトータルでメスを入れていって、制度としてこういうことが不公平税制なんだということですから、その中で例えば政府としては、まさに大臣言われたように政策選択の問題として出てくるのであればよくわかりますが、そのことがまだ議論の途中で、四月段階にはこういうことだというふうにぶち上げるのは、これは総理の考え方が那辺にあるのか。政治的な判断も加わっておるわけでございましょうが、そういう点ではひとつ大蔵大臣、その点は遠慮なさらずに、台所を預かる大蔵省としてはそういうことじゃ困るんです、そういうことじゃ困るんですと。いい格好だけされて、秋の段階でトータルで一応の結論が出ます、答申が出ます、そこで政策の選択をやるときに狭められるということになったのでは、かえってこのことで期待する国民が、何じゃそうじゃなかったじゃないか、これは増税じゃないか。大衆課税、しかも大型間接税というのがもう何か本当にやられるような格好で先行しているわけですよ。そういうことではいたずらに、税制をめぐる本来やらなければいけない、抜本的にメスを入れなければいけないというその目的がどこかに吹っ飛ぶんじゃなかろうか、私はこのように考えるわけでして、ぜひともその点は、そのようないいところどりで、しかも先行させるような格好は、かえって税制調査会も言うならば冷静な判断を失いかねない、このように思いますので、その点についてもう一度お伺いしたいと思うわけであります。
#11
○竹下国務大臣 やはり税制調査会で御答申をちょうだいするその審議の手順として、今御指摘なさいましたようにゆがみ、ひずみ、重税感、それがどこにあるかというようなところから入っていこうということでございますので、別に私はいい格好しいとでも申しますか、そういうことではないではなかろうかなというふうに思っております。それから、それで国民にある種の誤解を与えるようなムードを生ずるということは、日本国民の方が賢いわけでございますから、そんなことはなかろうと思っております。
 したがって、まだ予見を挟むわけにはいきませんけれども、まさかこれだけの減税をやりなさい、金額を明示して、それはこれとこれとでやるべきですというようなところまで必ずしも具体的な――中間報告がいただけるかどうかもまだわかってはおりませんけれども、中間取りまとめのときに金額まで明示してのものがいただけるかどうかということは、にわかにそうだろうとは私は予測しておりません。やっぱり重税感、そのひずみ、ゆがみ、そういうものはこの辺にあるからこういうところに力点を置いた勉強、政策選択をすべきだ、こういうようなことになるのではなかろうかな。中間報告をちょうだいできるかどうかも、これは税調の自主的な判断で進められるわけでございますが、まあ春と言っておられますが、スプリング・ハズ・カムがいつであるかは別といたしまして、そのころまでにゆがみ、ひずみは指摘しなさいよ、こういうことじゃなかろうかなと思っております。
#12
○伊藤(忠)委員 最後に一言。今も大臣おっしゃいましたけれども、「増税なき財政再建」ということで進められてきたわけですが、どう考えてもそれは難しいんじゃなかろうかという感じがします。その点について大臣の見解は依然として変わらない、こういうことでありますか。
#13
○竹下国務大臣 やっぱり「増税なき財政再建」というのは今日まで大きなてこになったと思います。要するに糧道を断ち切っておいて、そこで歳出削減からまず入りなさいということで、いろんな無理をお願いしながらこの四年間、前年度一般歳出マイナス予算を組ましていただいたわけでございますから、そのてことしての役割はやっぱり果たしたと思います。
 しかしながら、それまでの間におきましても、例えば五十九年の所得税減税を行います際には法人税をふやしていただいたり、そういう摩擦的な対応策とでも申しましょうか、そういう問題は今日までもやらしていただいた。やはり臨調の統一した考え方というのは、新たなる税目によって大きく租税負担率が変わるようなものは財政再建の手法としてとるべきでない、これだけはまだ今日まで守っておるわけでございます。
 ただ、税調の抜本策以後は、その際どういう答申が出るかによってまた国会等とも相談をしていかなければならぬ課題である。だから再三申し上げますように、結局、概算要求時点などは今までどおりの状態が続くのかなというふうに私も胸を痛めておるという状態であります。
#14
○伊藤(忠)委員 時間があればもっとお聞かせをいただきたい、こう思っているわけですが、配分もございまして、次の問題に移らしていただきます。
 NTTの株問題について、大臣一時間ほど御在席だと聞きましたので、私の予定としてはちょっと順序が逆になっているのですが、この問題は非常に大きなものですから、この問題からお聞かせをいただきたいと思います。
 新聞記事でなかなか詳しく出ておりまして既に御案内のとおりだと思うのですが、これは二月四日の朝日新聞を私読んだわけでございます。非常に具体的でありまして、例えば株売却の方法については二段階方式でやっていく、大蔵省が何かそういう方針を固めたというような表現になっているわけです。ですから、この新聞をそのまま読んだ感じでは、ああそうかな、こういうふうに思うわけでして、そういう方針を大蔵省が早々とお決めになっていたのかなというふうに私、疑問として感じますので、まず一点、その点についてお伺いいたします。
#15
○竹下国務大臣 結論から申し上げますと、大蔵省として電電株式の売却方針を固めたという事実はございません。これは前国会いろいろ御議論いただきまして、やはり国有財産中央審議会というものが存在しておる、しかし必ずしも株売却等についての学識経験者の方ばかりとも限らない、したがって、その公的な審議会の了承を得た上で、大蔵大臣の研究会として民間有識者の方に集まってもらって電電株式売却問題研究会を設けて、そして適宜関係者の意見を聞きながら目下鋭意検討をしておるということでございます。
 研究会に対してお願いしておりますのは、四月をめどに意見の取りまとめをお願いする、こういうことになっております。その研究会の意見を今度は了解を得た国有財産中央審議会に諮問して答申をいただくという手順をとりますので、売却方針を固めたという事実はございません。今度予算書に入れさしてもらった評価、どういう評価で入れたらいいかという勉強で我々は精いっぱいであったというのが現状でございます。
#16
○伊藤(忠)委員 研究会で今具体的に議論をされているわけですから、その研究会で議論をされた一定の結論、審議会にさらにこれが持ち込まれて最終的には答申、こうなるわけですが、しかし、六一の財源確保に絡みまして百九十五万株ですか、二十一万何千円ということで一応予算に組み込まれる、その任に大蔵省は当たられているわけですから、研究会との言うならば意思統一といいますか、その辺は非常に緊密であろうと思うのですね。ですから私は、新聞記事にどうのこうのと言うわけじゃありませんが、今日まで議論をしております研究会の考え方と大蔵省の考え方には両者そう懸隔はないと思うのです。全くこれは懸隔があって研究会が勝手に別の方向を向いて走っているというものではないと思うのですが、その辺はどうですか。
#17
○中田政府委員 大蔵省の見解というものを実はまだ固めておりませんので、御質問のように研究会の意見と大蔵省の意見が分かれるかどうかということに対して、今即座にお答えする段階ではないと思います。
 私ども、国会でいろいろ御議論いただきましたときに、できるだけ広く民間有識者の方々の意見を聞いた上で勉強し、結論に到達したいと言っておりますので、むしろ大蔵省の立場は白紙と申しましょうか、研究会等に既に参考人の方々が来て御意見をいただきましたが、まだ研究会自体としてのこの問題に対する議論は進んでおりません、したがいまして、研究会の意見が那辺に落ちつくかということも今の段階ではまだ推定することも不可能ではございますけれども、いずれにいたしましても、皆様方の御意見をよく伺った上でしかるべき結論に到達する必要がある問題だと思っておりますので、あらかじめ大蔵省の意見が存在するというわけではないということを御理解賜りたいと存じます。
#18
○伊藤(忠)委員 そうしますと、研究会で議論がされまして審議会に行きまして、審議会で最終的に答申が出まして、それを受けて大蔵省が一定の方針を決められます。方針を決められて、それが国会に諮られるのですか。国会の意見はどこで具体的にお聞きになる方針なのか、その点はどうでしょう。
#19
○中田政府委員 既に研究会には、前国会までの法案の審議の状況でございますとかあるいは各委員会での御意見ですとかいうものは御披露いたしております。また今国会においてもいろいろ御意見を賜ることだろうと思いますし、そういうものは研究会の意見に可能な限り反映させていきたいというふうに考えております。
 ただ、これから先のステップにつきましては、中央審に研究会の報告が出ましたら、先ほど大臣からも御答弁ございましたように、それを参考にしながら、国有財産中央審議会というのは一応国有財産の管理、処分に関する公的な機関でございますので、そこの御意見をちょうだいするというところまで固まっております。その後、政府が意思を決定するまでにどういう段階を踏むかということまで詰めておるわけではございません。
#20
○伊藤(忠)委員 今御答弁ございましたけれども、やはり国会の場での一定の議論なり、議論を通じて意見なりを聞かれるということは、事が重要なだけに、そのことの段取りについてはまだ検討されていないと言われましたけれども、しかしそのことは、やはりこれだけ世間が騒いでいる中でこの問題が扱われていくわけですから、そういう手だてといいますか、政府、大蔵省としての考え方というのはこの段階で明らかにしていただいた方がいいのではないかと私は思うのです。これまでの委員会の審議は、私もひもといてみましたけれども、実際にやられている委員会というのはもちろん大蔵、逓信ですね、それほど突っ込んだ議論というのは余りされていないわけですよ。あのときには法案、三法審議が中心でございまして、実際に株売却をどうするのか、しかもそれはどういう範囲、どのような方法で株を売り出していくのかなんという、そんな細かい議論はこれまでなかったと思うのですね。ですから、株を売却するに当たっての具体的論議というか、そういう検討というのはまさに今やられておりますし、これからが、国会の場でも意見を聞いていただくというか、そういう議論の場があった方が、大きな問題を扱われるわけですから、これは政府としてもその方がかえっていいのではないか、こういう立場で私は申し上げておりますので、そのことについての段取り、展望についてお考えでございましたらひとつ明らかにしていただきたい、かように思います。
#21
○竹下国務大臣 国会の意見はもとよりこれは尊重すべきものでございますし、研究会等についても、今までおっしゃいましたとおりに、専門的な議論をしたことは必ずしもございません。個々にお会いしたときにいろいろな意見を承っておるわけでありますが、初めてのことでございますので、本当のところ、町の知識者を集めれば、恐らく百人集めれば百人違った意見が出るかもしれぬなというように思いますが、執行権と議決権ということから考えて、この予算を議決していただければいわば売却は授権、権利を授けていただくことになるわけでございますが、国会の中でどういう機関をおつくりになるかというようなことは国会自身の問題ですから行政府が申し上げる筋のものではなかろうかと思いますけれども、私ども初めてのことでございますから、各方面、国会の中をも含めて十分意見は聞かなければならぬなと思っております。俗な言葉で言えば根回しというよりも、もっと濃密な意見を聞きながらの根回しみたいなのはしていかなければいかぬという姿勢は持つべきだと思っております。
#22
○伊藤(忠)委員 次に郵政省にちょっとお伺いをしたいのですが、電電三法が改正されまして電気通信市場が自由化されたわけでありまして、新規参入業者が今どのような状態、どういう現状にあるのだろうか。つまり第二種業者というのは相当多数に上っていると思うのです。これはVANを中心にしたサービスですから二百社を超えているように私たちも聞いているわけですが、第一種電気通信業者の市場参入の状況は現時点どんなものでしょうか。これから市場参入の進捗状況というのですか、どのように進んでいくのかという点についてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#23
○品川説明員 お答え申し上げます。
 現在の状況で申し上げますと、昨年の六月二十一日付で第一種電気通信事業者といたしまして、略称で申し上げますが第二電電、それから日本テレコム、日本高速通信、いわゆる地上系の通信会社三社、それから衛星系の会社といたしまして、日本通信衛星、それから宇宙通信株式会社、この二社、計五社につきまして許可がなされたところでございます。現在これらの五社はまだ営業を開始してございませんで、目下準備中ということでございます。各般にわたる営業活動を続けているようでございます。
 今後のスケジュールでございますが、地上系三社につきましては、今年秋に専用線サービスを開始したいということで工事あるいはセールスということを進めておるところでございます。また衛星系の二社は、六十三年春サービス開始を目途に諸準備を進めておるという状況でございます。
 以上でございます。
#24
○伊藤(忠)委員 今お答えいただきましたが、そうしますと第一種業者の場合、地上業者の場合には六十一年の秋あたりが専用線サービス開始、それから六十二年の秋に一般電話サービスを開始する。この段階で市内ネットワークにアクセスするというような格好になると思うのです。衛星通信業者の場合には、今御答弁がございましたように六十三年の春にサービスインですか、実際に営業開始するというのはそれ以降ですね。大体そういうようなペースで市場参入が行われるということが理解できるわけです。
 そうしますと、本格的な競争体制に入るというのは早くても六十三年というふうに考えられるわけですけれども、そういう理解でまさか否定されないと思うのですが、どうですか。
#25
○品川説明員 事業態様によりまして違った面が出てこようかと思いますけれども、ことしの秋からどのような市場環境になるのか、六十一年秋早々からどうなるのか、今予断を許さないところでございますけれども、いわゆる本格的営業ということになるためには相当日時を要するのではないかというふうに見ております。
#26
○伊藤(忠)委員 結局は、完全な競争体制に入った状況の中で初めて、民営化したNTTももちろん商売はこんなものかときつく感じる場面もあるだろうし、それが公正競争条件のもとでやっていってほしいという民営化の趣旨だろうと思うのですね。電電の民営化というのはそこに求めていたと私は思うのです。市場の自由競争というのですか公正競争、民営化して会社として一人前にやっていけるというのは、そういう状態になって、そこでどのように経営がやられていくだろうかという状況を見て初めて、民間としての言うならば実態というのですか状況を把握することができる時期だろう、このように私は考えるわけですが、その点どうですか。そういう理解でいけませんか。
#27
○品川説明員 電気通信市場における市場一般論としては、先生のおっしゃるとおりだろうと思います。
#28
○伊藤(忠)委員 そこで、大蔵省にお伺いをするのですけれども、株売却の時期なんですが、これが六十年度中に――これは研究会が今そういう検討をなされているやに私は聞いているわけですね。六十一年度中に株売却の体制をつくられたい、そういう一定の意向をお受けになって、大蔵省としても六十一年度予算の中に百九十五万株をこれこれの値段で売った場合にはこれだけの財源が入るだろうということで本予算が組まれているわけですが、六十一年度中に株売却の時期を決められるということは、今郵政省の一定の見解がございましたとおり、私は二年ほど早過ぎるのじゃなかろうか、このように思うのですが、その点についてどうお考えでございましようか。
#29
○中田政府委員 電電株式売却問題研究会で都合八回ほど議論をしていただいておりますが、全般いろいろ御説明を申し上げました後、これをいつから売却するのが妥当だろうかというふうな御議論は、予算編成の関係もありまして早目にしていただいたわけでございます。
 そのときに研究会として基本的な考え方は、やはり電電公社の民営化の趣旨からして、必要な条件が整い次第、漸次株式の売却をしていくことは基本的には妥当ではないだろうか。そういうことから、では一体六十一年度という年は売却するに当たってどんな感じであろうかということで、六十一年度におきましては民営化後最初の電電株式会社の決算が発表されるわけでございまして、そうなれば、投資家に対する企業内容の開示など、広く民間に株式売却を行う上で必要な条件は整ってくるであろう。また、議論しておりました途次にNTTの中間決算の発表もございましたけれども、その中間決算の経営成績も順調に推移しておりまして、当初の収益計画を相当上回るような予想が成り立っておる。そういうことからいって、六十一年度に株式売却を行うと言っても支障はないだろう。したがいまして、具体的な売却方法等については研究会としては今後検討を進めていかなければいけないけれども、六十一年度中に株式の売却を実施する体制を整備しておくことは十分可能ではないだろうか。そうであるとすれば、この法律に基づきまして売却を行います場合に国会の議決が必要なので、あらかじめ議決を得ておくということが必要になってまいるわけでありますが、研究会はそれについて、このような理由から、六十一年度に電電の株式売却を行い得るよう、政府において予算上の必要な措置を講じておくことが適当であろう、こういう御意見をいただいたわけでございます。このような考え方は私ども納得できるところでございますので、これを受けまして六十一年度予算に売却限度数を掲げさせていただいたというのが現状でございます。
#30
○伊藤(忠)委員 御説明があったのですけれども、やはり完全な競争体制に入っていないその段階で早々と株売却を行うということは、NTTという会社が実際に市場競争の中で耐えていけるのか、財務の関係は一体どうなるのかということが本当にわからぬと思うのです。本来純粋に考えたら、政策的な観点が絡んだら別ですけれども、そうでなければそれが本筋ではなかろうかと私は思うのです。そういう会社の状況の中でこの株を売却する場合に、一体それにどういう値段がつくのかということは、もちろん市場の動向にもよりますけれども、その会社の体力そのものによって売り出しの場合には値段というものが大きく形成されてくるわけです。そういう立場で考えますと、六十一年から売っていくということは、今も説明がございましたように、市場に参入して電気通信市場が完全競争体制になっていない段階でそのことを先行させるというのはいただけないのじゃないか、早過ぎるのじゃないか。民営化の趣旨を生かしてということならば、少なくとも六十二年のNTT決算を見た上で、大蔵省は一人株主ですかも、そのあたりから売りに出ようか、そのように時期を決められるのが妥当なのではないか、その方がベターなのではないか、私はこのように思いますが、大臣、どうでございましょう。
#31
○竹下国務大臣 やはり、苦労していただきまして民営化した。民営化した段階で一つの疑問として生じますのは、いわゆる私一人株主という状態。やはり多くの人が株式を所有することによっていろいろな意見も出てくるでありましようし、民営化の実が余計上がるのじゃないかという本質の問題があります。それからもう一つは、いわば国民共通の財産であるからこれは可能な限り有利に売られなければいかぬ、しかもそれはいささかの疑惑を与えるものであってはならぬということでいろいろ議論いたしました。
 それで実際問題、まずは決算を一遍もしないのに値決めができるのか。随分部内で議論いたしましたが、その根拠は、必要に応じて理財局次長から御説明申し上げても結構でございますが、民営化の趣旨に沿って可能な限り早く民間へ放出するという筋はやはり通しておいた方がいい。しかも、今までの状態からして、少なくとも今これが配当可能の状態にあるということは十分判断できるわけでございますから、そういうことを研究会でもいろいろ議論していただいて方針として決め、予算として議決をお願いするように提案をしておる段階でございます。
#32
○伊藤(忠)委員 私は言葉じりをとらえているわけではありませんが、できるだけ早くこの株式を放出するのがいいというのは、逆ではないかと思うのです。株主として実際に置かれている大蔵省の状況というのは、そのことよりもむしろ財政赤字を何とか埋めていくためのメリットというのをそこに求められる。だから、むしろそのことを重視してやられていると私は感ぜざるを得ないのです。
 なぜかといいますと、国民に放出していくことを急ぐ理由が私どもちょっと思い当たらないわけですが、例えば六十一年度に売り出す株数が百九十五万と言いますが、百九十五万という大変な数の株式を市場に放出するのは今時期がよくないと私は思うのです。なぜかといいますと、現在は世間では非常に財テクブームでして、これは近々の雑誌じゃありませんが、もうかるぞというような宣伝、最近は言葉も非常にきつく、もうかるぞというような表題になっていまして、NTT株は百万円かと書いてあるのですよ。そういう雑誌広告が車内にだあっと張ってありますね。そうすると、今財テクブームでございまして、公定歩合で金利は下がるわ、貯金をするよりも株でもうけようかという雰囲気が非常に広がっている中でこの売却を急がれるということは、かえっていたずらに投資熱をあおることになるのじゃなかろうか。財政を預かるという大蔵省の立場からするならば、一人株主という立場からじゃなくて、これを早く売って六十一年度の赤字財政の補てんに充てる、六十一年度に売却の時期を決められたその心はそこに強く置かれているのじゃなかろうか。
 それではいかぬ。それでは角をためて牛を殺すというようなことになるわけです。NTTを民営化した趣旨というのはそういうものではなかったはずだ。その趣旨を生かすのだったら、市場の実勢からいきましても、今説明があったように少なくとも六十二年の決算を終わった段階でそのことを検討される、あるいは六十二年、実際に市場競争が完全にやられるという状況で踏み出してもむしろ遅くはないということを私は強調したいのですが、再度、どうでございましょうか。
#33
○竹下国務大臣 民営化したというのは、そして決算の見込みで一応配当も出るというような状態である限りにおいては、可能な限り多くの国民が株主として参画するような状態をつくった方がオーソドックスであるという考えが基本にございます。いま一つは、国民共有の財産だから可能な限りいい値で売れるようにという気持ちはもちろん持っておりますが、かれこれ勘案いたしまして、結局今度のような八分の一ということで授権をいただこうかという結論に到達したわけであります。
 今おっしゃいます議論は、競争相手ができて本当の市場の値決めがしやすい環境ができるまで待った方が国民に対して親切じゃないかという御趣旨であるとするならば、その意見は私にも理解できないわけじゃございませんけれども、それは国民の方が賢いわけでございますので、今日の時点においてこれを売却する。それは時間のかかることでございます、すぐ結論の出る話じゃございませんけれども、授権していただいておいて年度中にそういう行為が行われるというのが、むしろ民営化の本来あるべき姿ではなかろうかと考えております。
#34
○伊藤(忠)委員 私がお聞きしたい点に触れられなかったわけですが、時間の関係がございますので次に行きます。
 売却の方法について、これは新聞だけじゃなくて雑誌の方も随分切り込んだ記事を出しているわけです。大蔵省としては、売り出し価格を決める方法として競争入札方式でいくのか随意契約方式でいくのか、何か二つあるそうですが、どちらのやり方で対処されようとしているのか、その点をお伺いします。
#35
○中田政府委員 先ほども申し上げましたように、大蔵省として態度を決めておるわけではございません。
 一般論として申し上げまして、市場価格の存在しない株式を売却する場合に、基本的に二通りのやり方があろうかと思います。一つは、売り出す前にあらかじめ価格を決めてこれを広く公募していくというやり方でございます。それに対しまして、むしろ価格はマーケットで決めていただくという考え方による売り出しの仕方、この二つが基本的な態様としてあろうかと思います。それぞれ一長一短でございまして、私どもまだどちらがいいというふうな結論に達しておるわけではございません。むしろ、参考人の意見も分かれておりましたし、またこれから研究会で自由に御議論いただきまして、その議論の帰趨を見きわめてまいりたいと考えておる次第でございます。
#36
○伊藤(忠)委員 売り出し価格を決める方法は、今おっしゃったように一通りではないということなんですね。それは検討いただくことになるんでしょうし、私たちもまた意見は申し上げなければいかぬと思っておりますが、研究会で言われている一定の考え方というのは、お聞きしますと二段階方式だ。つまり少数の人が競争入札をやりますと、値決めする際に非常に低く落札される。不当に安い値段で落札をされますと、これが市場に出た場合との格差が非常に大きくなります。そのことによって不当な利益が特定の人たちに入るということではいかぬわけですから、何かそういう議論が非常にやられて、二段階方式がよかろうということでもあったそうです。
 この二段階方式というのですか、より多くの人が集まって値段を随意契約方式でやっていくということを私は主張したいわけであります。つまり、国民共有の財産ですから広く国民に行き渡るように配慮しなさいということが、これまでの国会審議の中でもあるいは大蔵大臣答弁でもその趣旨が述べられているわけですから、その趣旨を踏まえて、ぜひとも私たち主張したいことなのでございますが、多くの人に公平に行き渡る方法は一体何かということを考えますときに、それは電話加入者を優先的に申し込めるようにしまして、希望者全員に行き渡るということに実際なかなかならないと思いますが、今電話加入者の持ち数というのは四千万近いわけですからとてもそれだけの株は出ませんから、そうするとそこは、公平にどう行き渡らせるかということになれば抽せん方式ですね。希望者を募りまして、抽せん方式でもってその人が当たったということになれば、くじに当たった人との間で随意契約を結んで売り渡す。
 この株を大衆化していくというか、多くの人に共有財産の一端を持っていただくという意味でそういうやり方をぜひとも採用していくべきだ、私はこういう考え方の持ち主でございますが、この考え方について大蔵省はどうお考えでございましようか。
#37
○中田政府委員 前段の部分で先生の御意見、朝日新聞の記事が研究会での議論であるかのような御紹介ぶりでございましたけれども、必ずしも研究会の御意見は、朝日新聞の記事のようなものが色濃くにじみ出ておるわけではないと思います。まだそこまで煮詰まっておりませんで、いろいろな考え方を議論していただいているところでございます。
 そして、基本的には、やはり公正な売り出しでなければいけない、それと同時にできるだけ多くの国民が参加しやすいようなやり方でなければいけないというふうな考え方は、研究会でも多くの方が述べておられるところでございます。そういう基本的な考え方は割合わかりやすいのですが、それを具体的な売却方法に当てはめていくとなるといろいろな問題が出てくるのだろうと思います。その辺は、これからじっくりと詰めさせていただきたい。
 したがいまして、今先生がお取り上げになりました、広く公募して、そして申込者が多ければ抽せんなりなんなり公正な方法で割り当てるというのも、恐らく一つの考え方として研究会でもいずれ議論に出てくるものであろうと思いますが、それ以外にもやはりいろいろな考え方は出てこようかと思います。
 その前に、まず基本的に売り出しの価格というのはどうなるのだろうか。大勢の方が申し込んでくださるかどうかというのは、一にかかってNTT自体の企業内容、業績にもよりますけれども、その売却される価格にもよるわけでございます。そういうところを一体どうして決めていったらいいのか。先ほどお答えしましたのは、市場価格がないわけでございますから、この価格の決め方としては、マーケットで決めてもらうというやり方と、あらかじめ何らかの方法で政府が決めるという二つの基本的なパターンがあるわけでございます。そのいずれにつきましても一長一短がございますので、そういう問題も含めて広く研究会で御議論していただいて、そしてその議論の帰趨を見守ってまいりたいというのが私どものただいまの立場でございます。
#38
○伊藤(忠)委員 二つの点をぜひとも今後しんしゃくされたいと思いますが、その一つは、多くの人に株を所有していただこうという点で検討中であるということは、私たちも大いにその点は喜んでいるわけでありまして、それを実現させていく具体的な方法として私は自分の考えていますことを申し述べましたので、そういう意見を研究会の場にも反映ができますように、大蔵省の方としても鋭意ひとつ努力をいただきたい。もちろん別途国会の場でも審議の機会があろうかと思いますが、それが第一点でございます。
 二点目は、売り出し価格と初値の関係、BT、イギリス電電の例をとりましても、非常に格差が大きかったものですから非常に混乱をいたしました。その辺、私たちは実態調査で聞いておるわけであります。したがって、そういうことが起こらないように、不当に安い値段で売り出し価格が決められるということのないように、その点はぜひとも大蔵省の方でも研究会に反映ができるような努力をいただきたい、このように思いますが、どうでございましょう。
#39
○中田政府委員 本日の先生の御議論も研究会の場には率直にお伝えし、その研究に十分参考にしていただきたいと考えております。
#40
○伊藤(忠)委員 次に、持ち株会のことについて省の見解を賜りたいと思います。
 社員持ち株会の制度は、東証一部上場で調べましても九〇%程度の企業が既に採用しているわけであります。これらの持ち株会へは新株の発行に際して一〇%の割り当てがなされている、大体これが実態でもございます。持ち株会がこのように一般的に設置をされているその趣旨といいますか目的といいますのは、一つは株の安定的な確保、二つが職員の勤労意欲の増進を図る、持ち株会というのはそういうものとして寄与できるところにメリットが求められて、今日九〇%程度の上場企業で持ち株会が運営されているということなんでありまして、このような立場から、NTTの方でも既に全社員を対象にしました結成の準備が行われているように私は聞いております。
 そこで私は、NTT持ち株会が設置できるように、次の具体的な意見を含めまして、大蔵省の見解を賜りたいと思うわけです。
 その一つは、持ち株会の結成といいますのは、さきにも述べました趣旨に基づくものなんでございますが、最近の傾向といいますのは、安定株主対策というよりも財産形成に流れていくような傾向が実態としてございます。こうなっては世論の批判を受けることになるわけでありまして、そうならないための歯どめというものを内面指導で行う必要がやはりあるだろう。その具体的な対処策として、例えば定款上、途中で脱会したり再加入を認めないというようなことを明記することによって――そういう財テクの方法としてこれがやられていく、それがいつの日にか主目的にすり変わっていたというのではこれは持ち株会をつくる趣旨にやはり反しているわけですから、そういうことを定款で今私が申し上げましたような格好で明記をして歯どめを行うというのが第一。
 第二は、株式売却の中でも述べましたように、電話加入者に広く株を所有してもらう、このこととの関連で、持ち株会員は二重権行使が問題になると思うのです。つまりどういうことかといいますと、持ち株会員でもあるし、電話加入者の一員でもあったら、その持ち株会員だけは一人一株で制限した場合には二株持てるという、二重権行使と私は呼んだわけでございますが、そういうことになったのではこれはやはり問題になると思いますので、これは常識的に考えてそういうことはやっちゃいかぬわけですから、ここのところもしっかり歯どめをしなければいかぬと思うんですが、以上のようなことを玩味の上で、世間一般で行われておりますように、新株発行に際して売り出し価格で一〇%の割り当てがNTTの持ち株会になされますように、大蔵省としてぜひとも最大限の検討といいますか、オーケーと言っていただきたいと私は思うのでありますが、どうでございましょう。
#41
○中田政府委員 御質問を二つに分けまして、まず持ち株会の形成でございますけれども、これは基本的に会社と従業員との間の、組合との間の問題でございますので、私ども、それに対して指導するとかあるいは何か御助言申し上げるとかというような立場には全くございませんで、むしろその成り行きを注目して見守っておるところでございます。
 現時点では持ち株会はまだできておりませんけれども、持ち株会ができたらそれに対して特段の割り当てを願いたいというふうな御意見は、研究会の参考人の意見聴取の際も、何人かの参考人からそういうことは世間常識だからいいではないかという御意見もございました。しかしながら、必ずしもそれに好意的な意見ばかりでもございませんでしたので、恐らく研究会で今後この問題もかなり議論になるだろうと思います。
 私どもの現在の立場は、先ほど来申し上げておりますように白紙の状況にありまして、研究会等でいろんな御議論が出てまいる、それの帰趨を見守ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#42
○伊藤(忠)委員 研究会の意見なり審議会の答申が出ればという前提で言われてしまうんですが、研究会の意見なり答申はもちろん尊重されるという立場で大蔵省は対処されると思うのですね。同時に、一人株主なんですね、大蔵省は。ですから、そういう立場でひとつお考えをいただいて、答申が出ればそれを最大限に尊重するし、これまでの国会審議の答弁の過程でも、持ち株会については、直接は触れられておりませんけれども、主張をされる趣旨については極めて前向きの印象ある答弁がございますが、この点について再度どうでございましょうか。
#43
○中田政府委員 きょうの伊藤委員の御議論を率直に研究会の方に御報告いたしまして、そして審議の際の一つの参考に供さしていただきたいと考えております。
#44
○伊藤(忠)委員 それでは次に、給与改善費の問題についてお伺いをしたいと思います。これは六〇補正の中でも非常に大きなウェートを占めている問題でございます。
 給与改善費の人勧との関係、ずっと私も過去の経過を見たわけでございますが、民賃とのラスパイレス比較で人勧が検討されるようになったというのは、たしか三十四年、実際は三十五年ですか、三十五年の人勧からそういうふうに今日まで推移をしていると思うのです。それで、この給与改善費が盛り込まれるようになったのが四十四年ですか、当初は五%から始まりまして二・五%、さらに五十五年が二%、五十六年からは一%に削減をされてまいりまして六十一年度がゼロですか、ということに給与改善費の削減状況がずっと推移しているわけです。
 まず初めにお伺いしたいのは、この給与改善費が計上されるようになった理由。四十四年以前はなかったわけですね。四十四年からは給与改善費が事前に何%か組まれるようになった。それはなぜかという点について、ちょっとお伺いしたいのです。
#45
○保田政府委員 給与改善費としまして給与の何%かというものを当初予算に計上するに至ったのは、昭和四十四年であります。
 当時は、かなりの高率で人事院の勧告が実施を要請するといったような状態でございました。同時にまた、財政的にも非常に豊かな時代でもあったわけでございますが、そういう財政事情を背景としまして、一つには、総合予算主義という言葉が当時はやったわけでございますが、予算を編成するに際して、向こう一年間に予想されるあらゆる財政需要を全部当初予算に織り込むべきである、補正を当然必要とするような、かつまた、員数、単価等々が明瞭であって、これを当初予算に計上することができるようなものは極力当初予算に計上すべきである、そういう考え方に基づくものであります。
#46
○伊藤(忠)委員 事前にほうり込めるものは全部ほうり込むというのですけれども、なかなかそういうことに人勧との関係はいかないということを、後でまた私が聞けばお答えになる場面が出てくると思うのですよ。それは、人勧がどれだけ決まるか、どういう答えを出すかわからぬことを、前もって決めると言われたってそうはいきませんよ、というような議論がこれまではしばしばやられてきているわけですよ。
 ですから今の答弁じゃありませんが、大体予想できるもの、予定できるものは当初予算に組んでいけということで、この五%から始まったということなんですね。そうすると、二・五%に削られる、一%に削られる、果てはゼロになったということは、そういう考え方からいったらどこかで矛盾するんじゃないですか、そういう組み方だけで引き直していけば、そう思うのです。
 なぜかといいますと、例えば人勧のアップ率が二けたを超えるという時代は、もちろんこれはございました。石油ショックの狂乱インフレのときなんかもそういうことを出していますけれどもね。しかし人勧のアップ率、つまり人勧の数字と給与改善費の数字とは、これは必ずしもリンクしてませんね、ずっと見ましても。これはやはりそうは一貫してないのですよ。ですから、そういう理由だけで組まれたということになると、いろんな面で矛盾を生じるのですが、その点はどうですか、ちょっと私は疑問に感じますけれども。
#47
○保田政府委員 給与改善費としまして予算に計上する趣旨でございますが、これは財源措置をあらかじめ講じておく、こういう趣旨に出るものでありまして、これによりまして毎年度予算編成の後、八月ごろに予想される人事院勧告におきまするアップ率の目安というような趣旨のものではございません。財源措置、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
 したがいまして、従来の予算に計上しましたパーセンテージと勧告との間には、非常に大きな乖離があり得るわけであります。
#48
○伊藤(忠)委員 そうすると、これは単なる財源措置であるから人勧とは直接関係がない、財源措置ができる年は、これまで歴史的に見れば最高五%なんですが、そういう場合だってあり得るし、財源が組めなければゼロでいくんだということなのですか。
#49
○保田政府委員 単純に言えばそういうことでございます。しかしながら、そのことと政府が人事院勧告をどのように扱うかということとは、必ずしも直接的な結びつきはございません。
#50
○伊藤(忠)委員 しかし現実には、人勧完全実施をされた年度はもちろんでございますけれども、非常に政治判断が入った、そういう年度だって多いわけですよね。そうすると、財源が組めれば給与改善費は計上するが、財政的にやりくりができなければこれはゼロだっていいんだということになっていけば、それが人勧としては、もちろん人事院が決めるのだから出ますけれども、これをどのように実施するかという段階で政策決定に多様なインパクトを、影響を現実に及ぼすことになるだろうと私は思うのです。そういうふうに、給与改善費をどれだけ盛り込むか盛り込まないかということが、直接間接を問わずそういう財政的な環境をつくってしまう、このように私は考えるわけですけれども、かなりこれは影響が強いと思うのですが、その点はどうですか。
#51
○保田政府委員 人事院の勧告制度を尊重するという基本的な姿勢からいたしますれば、もちろん財政事情が許す限り何%かの給与改善費を計上することが望ましい、このことは私、否定しておるわけではございません。しかしながら、財政事情が給与改善費の計上を許さないような厳しい情勢であるからといって、裏を返して、では政府は人事院勧告を尊重しないということにはならないわけでございます。
#52
○伊藤(忠)委員 私が聞いているのは、給与改善費をどれだけ組むか組まないかということが、人勧完全実施に対してこれは非常に大きな影響力を及ぼすと私は考える。及ぼしませんか。そのことを聞いているんです。
#53
○保田政府委員 及ぼさないように処理をしたい、こういうふうに考えております。
#54
○伊藤(忠)委員 人事院にお伺いしたのです。
 今の話に関連するのですけれども、公務員の賃上げというのは、私先ほども少し触れたのですが、たしか三十四年あたりでしたですかラスパイレスにかわりまして、民間賃金との較差是正を図るという立場で人事院としては検討されまして勧告がなされる、こういうことなのでありますが、この給与改善費があるかないか、組まれているかどうかということが、人事院の勧告を検討される場合に有形無形の圧力になるんじゃなかろうか。この点について人事院はどうでございますか。
#55
○小堀説明員 お答え申し上げます。
 給与改善費の計上の問題につきましては、ただいま大蔵省から御答弁がありましたようなものだと私どもは考えております。
 一方、人事院の勧告制度と申しますのは、労働基本権制約の代償という機能を有し、公務員の勤務条件、これは世間一般の情勢に適応させるという考え方に基づいておりまして、そういう意味で、先生おっしゃいますように三十四年から今の方式に基づきまして、正確に官民給与を比較して、その給与を均衡させるということを図ってまいったわけでございます。そういうわけでございますので、従来から申し上げておりますように、当初予算における財源措置によって勧告が影響を受ける、そういう性質のものではないと考えております。
#56
○伊藤(忠)委員 大蔵省にお伺いしたいのですけれども、今人事院の方から、勧告については給与改善費のいかんを問わず影響は受けないという答弁がございしたけれども、人勧実施に伴ういわゆる政府としての方針決定、政策決定ですね、そういうものにはこれはどうですか、実際の話、やはり影響を受けるでしょう。
#57
○保田政府委員 簡単に言いますと、受けないわけでございます。人事院の勧告制度尊重という基本姿勢は、政府として終始これを堅持しておるところでございます。その点につきましては、昨年の十一月八日に政府を代表しまして官房長官の談話も発表されておるわけでございます。それをごらんいただければ、この政府の姿勢は明らかであるというふうに考えます。
#58
○伊藤(忠)委員 これは別に書いたものがあって私は言うわけじゃございませんがね、今次長はそういうふうに言われましたけれども、六十年度勧告五・七四%ですか、これがたしか七月一日実施で、四月一日実施からずれましたですね。実施時期はずらせましたけれども、あれはやはり、給与総額を頭に置いてそうしてこの数字をはじきますと、五・七四という勧告を勧告どおり実施をしますと実施時期をずらさなければ帳じりが合わない、数字が合わないということでそういうふうにやられた。これがもし較差四・一%という、これはさかのぼりますと官房長官時代の後藤田発言がございますが、四・一%でいけば四月一日実施でやっていけたのです。ところがベースアップ率を、四・一%よりも五・七四%は多いものですから、そういうふうにして合わさざるを得なかったというような一面もあったことを私は聞いているわけです。これは実際にどうであったかということは、私は現場にいたわけじゃありませんけれども、やはりそのことが示しますとおり、財源を事前に確保するかしないかということは、人事院がそのことに拘束をされてはいかぬわけですけれども、実際に勧告に基づいて行政府としてこれをどう実行するかという過程では、あなたはそれは全然影響はない、それは影響があると言ったら大変なことなんでしょうけれども、実際にはそれがやはりついて回るんですよ。
 このことは実態認識というのですか、そういうことにならざるを得ないというふうに私たちは思っておりますので、これは本来、今八六春闘がもう滑り出しているわけですけれども、八六春闘でも、これは民間の賃金が何がしか上がるでしょう。一定の較差が出れば、人事院としては勧告というものを出すことになると思うんですね。そうしたら公務員の皆さんには賃上げということになっていく、そうすると給与改善費というのは必要になるということを見通せば、六十一年度の給与改善費がゼロだというのは、いかんせん財政事情が苦しい今日とはいえやはり問題じゃないか、このように思うのですが、その点についていかがでありましょう。
#59
○保田政府委員 先ほど来御答弁申し上げておりますように、給与改善費というのは、公務員の給与改定に備えるための単なる財源措置だ、こういうふうに御理解をいただきたいわけであります。したがいまして、財政事情によりましてその何%を計上するかということについては、先ほど先生御指摘のような経緯を経てついに六十一年度予算編成におきましてはこれをゼロ計上にとどめたということでございますけれども、先ほど来何度も御答弁申し上げておりますように、人事院の勧告制度を尊重するという政府の基本的な姿勢には変わりがないわけでございますので、勧告が出ました段階で所要の財源措置を検討させていただく、こういうことになります。
#60
○伊藤(忠)委員 時間の関係がございますから、最後にこの点だけはひとつ確認をさせていただいたらどうかと思うのです。つまり、これまでは五%から改善費を持ってきましたけれども、六十一年はゼロにした。ゼロにしたというのは、財政事情が苦しいから心ならずもそうしたのであって、従来と方針を百八十度変えたというものではない、したがって、人勧が出されればそれを尊重し完全実施に向けて努力するという従来の大蔵省の基本方針、政府の基本方針は変わらない、このように理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
#61
○保田政府委員 結構でございます。
#62
○伊藤(忠)委員 最後になりますが、厚生省、遅くなりましてどうも済みません。
 国民健康保険の特別交付金のことなんでありますが、私がここで取り上げますのは、制度発足のときに種々論議がございまして、そんな経過の上にこの制度がスタートしたと思うのですね。したがって、実際にその退職者医療制度に加入される人がどれくらい出るのだろうかということを私も関心を持って見ていました一人でございますので取り上げたのですが、ところが当初の予想に反して相当の見込み違いを生じているわけですね。なぜそうなったのか、その原因について説明をいただきたいと思います。
#63
○近藤説明員 私ども、退職者医療制度の創設に当たりまして、各種の統計に基づきまして加入者の見込み等にっきましては正確を期したつもりであったわけでございますけれども、統計上の制約等によりまして予測し得ない見込み違いが生じたということでございます。
 退職者医療の対象者の減少について若干敷衍いたしますと、退職後も被用者保険の任意継続被保険者制度を利用する方が私どもが思ったよりはずっとふえているというのが一点でございます。それから通算老齢年金と申しまして、いろいろな年金を渡り歩く方がいらっしゃるわけでございますけれども、この通算老齢年金の受給者につきましてある程度の数を見込んだわけでございますけれども、これにつきましては、厚生年金だけの統計しかなかったということで過大な見積もりになったということでございます。
 それからもう一つ大きな点でございますが、退職者の配偶者でございます。これは被扶養者ということで対象者になることになっているわけでございますけれども、この方がサラリーマンになりました自分のお子さんの被扶養者になっている。つまり被用者保険の方に加入していったという事情がございまして、こういったことが私どもの見込みよりずっと多かったということで、四百六万と見込んでおりましたのが約二百六十万程度になったわけでございます。
#64
○伊藤(忠)委員 そういうふうな実態把握のための資料は、今お聞きしますと非常にラフな中で予算も組まれてきているのですね。でなければこんな大きな違いは出ないと思うのです。あれもこういくと思ったけれどもそうでなかった、これもそうだった、私たち意外に思うのですね。厚生省と言えば、所管事項については何もかも大体把握できるだろうと思っていたのですが、聞いていますとなかなかうまくいっていないというのですが、そういう把握、捕捉するという点について改善策はとられているのですか。
#65
○近藤説明員 制度創設のときでございますので、年金の受給者の方から把握したわけでございます、ですから、国保に入っている方のというよりも、どちらかといえば年金の受給者の方から推計したわけでございまして、その面で、医療保険の適用の関係と年金の適用の関係ということで連絡の統計の資料が十全ではなかったということでございまして、今後におきましては、当然のことながら実績が出ておりますので、その実績に基づいて推計をしているわけでございます。
#66
○伊藤(忠)委員 国民健康保険のサイドからそういうのは実際たぐっていかないと、年金の方からたぐっていって本当に把握できるかというのはやはり疑問に思います。私詳しくないのですが、私でさえそう思います。やはり健康保険からどう流れるかということで決まっていくわけですから、そのことはひとつ次年度の実態が正しくつかめるように努力をいただかなければいかぬと思います。
 六十一年度予算は二百三十億ですか、そうですね、計上されているのは。非常に少ないわけですよ。六十年度の補正でいきますと一千三百六十七億ですものね。私、金額のことを言うわけではありませんけれども、相当見込み違いですね。今回二百三十億を計上してやっていった、ところがまたぞろ同じような見込み違いが起こってはいかぬわけですから、その点で、特にこれは議論がある中で政府の方としてもやっていこうというかなり強い決意でこの制度を踏み出されたわけですから、その帳じりが別のところに回ってくるようでは困りますから、ひとつ十分努力をいただきたいと思います。
#67
○近藤説明員 六十一年度以降の国保の対策につきましては、先ほど先生御指摘のような特別交付金が二百三十億ございます。それから、これは法定のものでございますけれども、財政調整交付金約三千七百億程度あるわけでございます。こういったものの有効活用でございますとか、あるいは老人保健制度の改革あるいは医療費の適正化等を通じまして、私ども市町村国保の財政安定のために最大限努力いたしてまいりたいと考えております。
#68
○伊藤(忠)委員 どうぞひとつよろしくお願いしたいと思います。
 これで終わります。
#69
○小泉委員長 午後五時四十分再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時四十五分開講
#70
○小泉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。柴田弘君。
#71
○柴田(弘)委員 大蔵大臣がまだ予算委員会ということでありますので、それでは、大蔵大臣がお見えになる前に、一、二点にわたって質問をしていきたいと思います。
 それは、今回の補正予算を見てまいりますと、要するに国保に対する交付金千三百六十七億円が措置されているわけでありますが、昨年の厚生省の調査によればこれは二千八十億あった、こういうことであるわけですね。この千三百六十七億円の積算基礎はきちっとした根拠があるのかどうか、まずその辺から答弁願いたい。
#72
○保田政府委員 退職者医療制度の実施に伴いまして市町村の国保の財政に大きな影響を与えましたことは、まことに我々として残念な次第でございますけれども、御指摘のように五十九年度実績としまして約六百七十億円、それから六十年度で千四百十億円、これは見込みでございますけれども、その程度の影響を与えるということになりましたのは、先生の御指摘のとおりでございます。
 これに対して何らかの措置を講じなければならぬということで、今回御提案申し上げております本年度の補正予算におきまして、国民健康保険特別交付金として千三百六十七億円を新たに計上して財政措置を講じたわけであります。当然のことながら、厳しい財政事情のもとでございましたので、我々といたしましてはあらゆる努力を重ねた結果がこの数字に凝縮されているということで御理解をいただきたいと思っておるわけであります。いろいろな施策もございますので、これらを合わせますと、保険者の財政力等々を勘案してうまく配分すれば何とか国保の財政はやっていけるのではないか、こういうふうに思っております。
#73
○柴田(弘)委員 私は、この千三百六十七億の積算の基礎、その妥当性というものはないと思うのですね。それを聞いているわけです。今さら答弁は要りませんけれども。
 要するに厳しい財政事情の中で精いっぱいやった、そういう努力は私は認めますよ。だけれども、現実の問題として、二千八十億と積算されておった、そして、これに対して厚生省としては今年度内に所要の財政措置を講ずるように大蔵省と話し合う、こうなっておったのですね。
 現実に、昨年、厚生省もいろいろ調査いたしました。こういったいろいろな赤字の結果国保料金をいわゆる値上げした市町村、三〇%以上の市町村が百ある。全体の三・一%です。それから二〇%以上三〇%未満が四百七、一二・四%になります。一〇%以上二〇%未満が千百四十七、三五・一%、一〇%未満が千六百十六、四九・四%、こういうことですね。
 いずれにいたしましても、こうした国保の赤字というものが退職者医療制度の見込み違いによってもたらされたということは、やはり大いに責任を感じてもらわなければいかぬということになりますが、積算の根拠もないようなそういった予算措置をして、まあこれで大丈夫だ。それは財政調整交付金というのはこれで大丈夫だ、こういうことかもしれませんが、これが三千五百六十億円ですか、それから今回の千三百六十七億で、四千九百億円余のいわゆるお金があるわけです。問題は、それで本当に全国三千二百有余ある市町村に対する国保財政というものをしっかりと見きわめて、そして住民の負担にはね返ってこないように、あるいはまた一般財源から各市町村が大きな持ち出しをしないように、他の行政経費に食い込まないように、私はその配分というものもきちっと考えていかなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。大臣、私の言っておる意味がわかりますか。その辺を一遍大臣から答弁をしていただきたいと思います。
#74
○保田政府委員 先ほど申し上げました千三百六十七億円を各団体に配分するに当たりましては、各保険財政の強弱を勘案しながら配分については工夫を凝らしていきたいと考えておるわけであります。同時に、先ほど先生おっしゃいましたように三千数百億円に上る財政調整交付金もございます。これらの配分はいずれもこの年度末に行われるわけでございますので、その際に、各市町村国保の財政状況等はよく勘案した上で配分を決めさせていただきたい、こういうふうに考えております。
#75
○柴田(弘)委員 厚生省、今こういったいわゆる千三百六十七億予算措置された。そして調整交付金もある。今大蔵省の方も、要するに配分についてはある程度市町村をよく考えて配分をしていきたいという御答弁があった。現実に六十年度末にそういうのがきちっとして配賦される。なおまた、六十一年度の問題もこれはあると思う。それは老人保健法の中でいわゆる按分率というもの、ここでは議論しませんが、そういう点でもいろいろある。千五百億円の見込みというものがまた赤字になってくるのではないかと言われているわけですよ。だから、六十年度、六十一年度を展望して、先ほどから言っているようにきちっとした配分をして、また、本当に困った市町村に対しては六十一年度に何らかの財政措置をしていかなければならない、私はこういう可能性が出てくると思うわけです。だから、六十年度の決算を見て、六十一年度の状態も見て、やはりきちっとした対応をしていただきたい、こういうように思うわけでありますが、その辺は厚生省、どうですか。
#76
○近藤説明員 六十年度につきまして、先ほど保田次長から申し上げましたように、私どもといたしましては、公平を旨としつつも、財政影響が大きい市町村、特に今まで経営努力によりまして健全財政を維持されてきた市町村につきましては、財政調整交付金の有効な活用を通じましててこ入れをしていきたいというふうに考えておりまして、全体として申し上げれば、先ほどの措置、それから今までの国保の財政状況、こういったもので六十年度は大体何とかやっていけるのではないかというふうに思っておりますが、個々の市町村におきましてはなかなか難しいところもあるわけでございますので、財政調整交付金等の有効な活用、こういったものを心がけたい、それとともに市町村におきます医療費の適正化努力、収納率の向上、こういったものにつきまして特段のお願いをしたいというふうに考えておるわけでございます。
#77
○柴田(弘)委員 大蔵大臣、この問題で最後に、例えば私、名古屋市の資料を持っておるわけでありますが、これは昭和六十年の決算はまだ済んでいませんから予算です。退職医療制度の創設による負担減が十一億三千八百万円。今度国庫補助の変更がありました。四五%から三八・五、これの負担増が八十八億二千六百万円、合計七十六億八千八百万。今度も大蔵省の方はしきりに特別調整交付金があるからいいですよ、こう言うのですが、またこれは配分が決まっておりませんが、一応の交付率で見てまいりますと四十五億二千八百万円、差し引き制度改正による負担増は三十一億六千万円もあるわけですね。個々の市町村をずっとやっていくとこれは相当出てくるわけなんです。だから、個々の市町村で本当に困ったところを――断っておきますが、私は何も名古屋市でやってくれと言っているわけではない。そこら辺のところを本当に公平にやって、住民の負担増あるいは一般財源から持ち出して他の行政経費に食い込まないような措置をきちっとしていただかないとだめだということを申し上げたいわけです。どうなんですか。
#78
○竹下国務大臣 六十年度の補正で措置をしたことについては、それなりに財政調整交付金の効率的配分によりまして私は国保の安定的な確保はできるものと考えております。しかし、この問題、六十一年度の問題は、今後における市町村国保の財政状況の推移を見ながら安定的運営に支障を来すことのないように、財政調整交付金三千六百九十三億円でございますか、それから国保特別交付金二百三十億円の有効活用、それからいろいろ御意見の中にもありました老人保健制度など関連制度の改革を鋭意行う等によって適切に対応してまいりたいと今思っておるところでございます。しかし、その適切な配分につきましては、もとより我々も関心を持ちますが、担当の厚生省においてかなり濃密な調査の上で行われるであろうと期待をいたしております。
    〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
#79
○柴田(弘)委員 ただ一言、今後六十一年度を展望して、本当に困った市町村があった場合、今回の補正あるいは財政調整交付金あるいは六十一年度で二百何億、またそれ以外に、本当に困ったところに対しては厚生省との話し合いのもとに大蔵省としてはきちっとした財政措置をしてもらいたい、これだけ要望しておきますが、どうですか。
#80
○保田政府委員 基本的には先ほど大臣がお答えをしたとおりなのでございます。こういうこともあろうかということで、六十年度の予算編成におきましては、財政調整交付金の総額を、従来の国庫補助金の一四%であったものを二〇%にまで大幅に広げまして、個々の団体の財政力等、あるいは経営改善努力といったようなものもよく勘案しながら、配分について非常に弾力的に対応するということで、金額も大幅にふやしておりますので、それらを有効に適切に活用させていただきたいと考えております。
#81
○柴田(弘)委員 もう結構です。私の聞いておるのはそういうことではないのです。
 大臣、本当に困った市町村がまた今後出てきたら、これ以外の財政措置できちっとやっていただけますかということを念を押して聞いているわけなんです。
#82
○竹下国務大臣 これは六十一年度ということになりますと、今これが最善なりとして予算の審議をいただいておるときに補正をやりますというのは、私の答えてはならないことであろう、既定予算の範囲内において十分これに対応していきますという決意を申し述べるのが適当であろうと思っております。
#83
○柴田(弘)委員 非常に水臭い答弁だと思います。いいです。これは今後やっていきたいと思います。
 それで、いよいよ本論に入りまして、今回の剰余金処理の特例措置、これを議論するに当たりまして、私は、六十年度補正予算というものも絡めて考えていかなければならぬ、こういうように思っている。
 問題は、今回の補正予算を見てまいりますと、一つは租税収入の減額を余儀なくされた財政経済運営であったなということ。租税収入が四千五十億円減額修正をされている。そして赤字国債の追加発行をせざるを得なかった。これは所得税が九百億円、法人税が三千四百九十億円。所得税の場合は給与の伸びを六・八%見込んでおったが五・一%で一・七%落ち込んだ。あるいはまた、法人税の三千四百九十億円の減収は、円高不況というものもございますし、同時に、それに並行した企業収益の悪化という問題があったと思います。現実に内需拡大という問題が大きくここでクローズアップされてくるわけでありますが、内需の寄与度も、当初見通しは四・一%であったのが実績は大体見込みで三・四%に下方修正せざるを得ない。こういう点を考えますと、一つはこうした政府の財政経済運営が問題にされ、責任を追及されなければならぬと私は思う。この辺についての大臣の責任はどう感じていらっしゃるか。
 あわせて、赤字国債四千五十億円の追加発行というのはだれが見ても財政再建に逆行しているわけです。租税収入の減収によって、赤字国債四千五十億円の追加をせざるを得なかった。その結果、六十年度の赤字国債発行額の減額はわずか三千二百億円にとどまった。当初計画は七千二百五十億であったのですね。「財政の中期展望」「仮定計算」によれば一兆一千五百億円だったですかな。それがわずか三千二百億円の減額にとどまった。私は、こうした見通しを誤った政府の財政経済運営の失政というものも大臣としても深く反省をしていただかなければならないと思うわけでありますが、感想はいかがでございますか。
#84
○竹下国務大臣 私は、いつでも税収見積もりということになりますと、これは歳出と違いまして見積もりでございますから、別に大蔵省で統一した見解でもございませんが、一%は誤差のうちというようなことをよく言ってまいりましたが、一%をちょっと超しておりますのでじくじたるものがあることは事実でございます。
 しかし、これは五十年から五十五年を土台にGNPの見直しを行いましたこともあろうかと思いますが、今年度における過去の実績あるいはヒアリング調査等をして積み上げたものがまさに四千五十億円ということになりましたので、これは見通しを一%以上下回ったではないかと言われればそれにはかぶとを脱ぐ以外にない。事ほどさように、ある意味においては見積もりというのは難しいものだなという感じを強くしております。
 五十六年、五十七年と大変な歳入欠陥があって、せっかく八、九と幾ばくかの剰余金を出しながら、今度、補正段階においてでございますけれどもこれだけのものを出したことになって、三年見るとそれがチャラになってしまうわけでございますから、それについては、なかなかうまくいかないものだなという感想を率直に私も持っておるところでございます。そして、このことはやむを得ざることであったといたしましても、今おっしゃいましたように、当初のいわゆる特例債減額がそれだけ後戻りしたということには、私もそのとおりでございますとお答えせざるを得ないと思います。
#85
○柴田(弘)委員 今、大臣も確かにおっしゃいましたですね。昭和五十六年、このときは大臣は大蔵大臣ではなかったですが、渡辺さんが大蔵大臣でしたかね。このときにやはり所得税、法人税が大幅に落ち込みまして、三兆三千三百十八億円の減収になりました。それから同じく五十七年度、このときにはもう六兆一千百二十八億円ですよね。そして今回が四千五十億円。当然ながら赤字国債の発行ですね。
 特例公債の場合を見てみますと、五十六年度は当初五兆四千八百五十億円発行いたしましたが、結果的には五兆八千六百億円で、三千七百五十億円の増額である。五十七年度が三兆九千二百四十億当初予算で見込まれたわけでありますが、今のような大幅な減収で七兆八十七億円の国債発行であった。驚くなかれ三兆八百四十七億円ですよ。倍近くなった。そして今回も、先ほど来申しておりますように四千五十億。「中期展望」では一兆一千五百億円だった。それが三千二百億円の減、こういうことなんですね。
 成長率の問題を見ましても、昭和五十一年度からずっとデータがありますが、最近では名目成長率の実績が当初見込みより上回ったのが昭和五十九年度、あとは全部だめです。実質経済成長率も大体同じような結果。「八〇年代経済社会の展望と指針」でも六、七%の名目成長率、それに弾性値一・一を掛けると七・二%の税収、こうなっておったのですが、これからいっても、今日までの例からいって昭和六十五年度を目指すいわゆる財政再建、赤字国債脱却というものは本当にできるだろうかという心配を、私ならずともちょっとわかった人たちならみんなされておるわけであります。
 だから私は、大臣が予算委員会等々で「増税なき財政再建」の旗は絶対におろしません、困難であるけれどもとおっしゃっておる、あるいは六十五年度赤字国債脱却はやり遂げていきますよとおっしゃっているわけですが、であるならば、今日まで予定どおり赤字国債減額ができなかった反省の上に立った今後の財政経済の運営でなければならぬ、こういうふうに思います。いたずらに緊縮路線を貫いて、そして歳出削減、一般歳出の伸びはゼロだ、こう言って胸を張っても、結局、今日まではその財政再建というのは予定どおり進んでこなかった、ここを大いに問題にして、過去の反省の上に立った、六十一年度を出発点とする今後の新たな財政再建というものを志向していかなければいけないというような気がちょっとしておるわけでございます。どうでしょうか。
#86
○竹下国務大臣 財政改革あるいは財政再建、いろいろな目標がございますが、一つは六十五年度赤字公債依存体質から脱却しよう、そして毎年毎年歳入面における公債依存度を下げていこう、それから三つ目は、六十五年度以降のことになりますが、残高の対GNP比を下げていこう、こういうことが大筋言えると思うのであります。したがって、六十五年度脱却というのは容易でないと私も問題意識は十分持っております。しかし、そのことがやはり一つのてこになり、かせになり、これは「増税なき財政再建」も同じことでありますが、そういうかんぬきがあったればこそ、私は、ここのところ四年、いわば前年対比一般歳出マイナスということが貫き得たのではないかなという考え方にも立っておるわけでございます。したがって、最終的にはこれは国民の選択にまたなければなりません、負担するのも国民、受益者も国民でありますから。しかし、その間、国会の問答等を通じながら国民の真のコンセンサスは那辺にあるかということを見定めていかなきゃならぬ。
 柴田さんが御意見を交えての御質問の中におっしゃいましたが、確かに名目成長率が落ちておることは事実であります。このことに対しては、「中期展望」あるいは「仮定計算」の中でどうしたらいいものかと思っておりましたら、経済企画庁の例の「展望と指針」のリボルビングの中で、まあ平均的に見ればこの数字は変えなくていいじゃないかということでございますので、展望とか指針には依然として七、六、五抜きの四、三、二、一を使わしていただいておるというのが現実でございますが、私どもも将来にわたって、平均的にはそれにいたしましても、絶えず目配りをしながら対応していかなきゃならぬ問題だと思っております。
 それからいま一つは、いわば毎年毎年要調整額というのをお示ししながらいろんな工夫をいたしましてそれを埋めてきておるわけでありますが、新たな要素として何が出たかといえば、ことし初めて「中期展望」の中にいわゆるNTTの株式売却益というものを挙げたということがやはりこの審議の参考にしていただくための一つの新しい要素であるのかなど思っておるところであります。
 税の問題につきましては、臨調で言う「増税なき財政再建」、これはいわゆる新たなる税目によって租税負担率が大きく変わるようなことをしてはいけないよと言われておるその線を守りながら、いずれ税制の抜本改正がどういうものが出てまいりますか、その際、政策選択としてどのような考え方に立つかというのはやはり六十二年度以降の問題ではなかろうかというふうに考えておるところであります。
#87
○柴田(弘)委員 六十一年度予算を見てまいりましても、本来ならば赤字国債の発行はこれは四兆円にとどまるべきである。ところが、現実には五兆二千億。この「財政の中期展望」あるいは「仮定計算例」を見ましても、もしも六十五年度赤字国債脱却ということであるならば、これは毎年一兆三千億の赤字国債を減額しなければならない。それは要するに一般歳出の伸びをゼロにして六十五年度まで継続すればできますよということなんですね。これはあくまで機械的な計算なんですよね。だから、そういった方向でもし大臣がかたくなに「増税なき財政再建」を貫いて、そしてあくまで六十五年度赤字国債脱却をしていくというのであるならば、今、我々のよりどころとするのはこの「中期展望」であり、「仮定計算例」です。これは機械的な計算としては一般歳出伸び率ゼロを続けられるかもわからないが、現実にそれは続けられるかということになると、果たしてどうかということ
なんですよね。
 ですから、私が申し上げたいのは、せっかくもうここまで来たわけであります。過去もずっと財政再建が失敗してきた。予定どおり国債減額できなかった。それだけあなたの方がかたくなにおっしゃるならば、六十五年赤字国債脱却、「増税なき財政再建」、あくまで貫いていきますよ、新税も設けませんよと、そういったものをやはり方策、手順として国会に出していただいて議論をし、あるいはまた国民の理解、コンセンサスを得られるために大いに私は議論をしていきたい。そういったたたき台というものをこの際出すべきだと私は思います。もしそれが出なかったら、これは口先だけで今大臣がおっしゃったようにやりますよと言ったって、これはだれも信頼いたしません。ただそういった口先だけの決意表明だけではもういかぬ時期に来ておる、私はこういうように思うわけですが、どうなんでしょうか。
#88
○竹下国務大臣 せんじ詰めて言えば、六十五年赤字公債脱却の具体的手法を示せ、こういうことになろうかと思うのであります。具体的手法ということになりますと、これはなかなか困難でございます。現実問題といたしまして、最終的には国民の選択にゆだねるわけでございますが、具体的に何年度にはこの程度の増税を行いますとか、あるいは歳出削減は社会保障にあっては何ぼ、公共事業にあっては何ぼ、そういうような趣旨でもって削減をしますと、いずれにしてもそれをお示しするというのは、現実の問題としては、予算の単年度主義の中でなかなか難しい問題であろうかと思っております。したがって、今日までいわば「中期展望」あるいはさらに参考にしていただくための「仮定計算」というものを、一定の基準を前提に置いて機械的に結んだものをお示しいたしておるにとどまっておるわけであります。
 強いて言いますならば、「中期展望」の中に初めからいわばNTTの株の売却益というようなものを数字として入れることができるようになったわけでございますけれども、これとてまだいわば下敷きでも透かしが入ったようなものでございますので、徐々に徐々にその透かしが浮き彫りになっていって、そして国民の理解が逐次得られていくであろうというふうに考えておるわけであります。
    〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
 したがって、かたくななまでにも私がそういうことを申しておりますのは、今日の段階でまだ現実株が売れたわけでもなし、そしてあるいは税調からどういう答申が出るかも決まったわけでもない段階に、ある程度リジッドなど申しますか、きちんとした財政再建の青写真をお示しすることは、なおのこと非常に困難な問題であると言わざるを得ないわけでございます。
#89
○柴田(弘)委員 それじゃ、端的にお聞きしますが、大臣は、要するにこの「増税なき財政再建」を軌道修正する意思は全然ない、それから六十五年赤字国債脱却を先送りする意思もない、こういう判断でいいんですね。
#90
○竹下国務大臣 まず最初の「増税なき財政再建」というものは、今税調で抜本審議が行われておる、その前に、新しい税目によって大きく租税負担を変えるような考え方を表明する立場にはこれは全くないと言わざるを得ません。
 それからもう一つは、六十五年度赤字公債依存体質から脱却するというのは今後まだ非常に難しい問題であるということは私も承知いたしておりますが、なお歳入歳出両面にわたっての厳しい検討を加えていくべきであって、今旗をおろしてしまうと、それこそ、今まで四年間もいわば対前年度マイナス予算を組んだ努力がまさに水の泡と消えてしまう、そういう懸念を持っておるから、かたくななまでにもそういうことを申し上げておるわけであります。
#91
○柴田(弘)委員 「増税なき」というのは、大臣、新しい税目をつくらないことだ、こういうように私は理解をしている。それでよろしいわけですか。
#92
○竹下国務大臣 「増税なき」とは、これは臨調の解釈でございますけれども、新しい税目を設け、大きく租税負担率等を変えるようなものはやらない、こういうことであります。
#93
○柴田(弘)委員 そうしますと、例えば六十二年度以降大型間接税を導入する、これは新しい税目。こういった場合に「増税なき財政再建」に違反しないのかどうか。あるいはまた、大型間接税を導入しても、租税負担率が余り大きく変わらないと増税じゃないんだ、「増税なき」と趣旨は合っていますよ、こういうことなのか。その辺のところをちょっと。
#94
○竹下国務大臣 やはり「「増税なき財政再建」とは、当面の財政再建に当たっては、何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであり、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない」というように私どもはこれを解釈をいたしておるところでございます。
#95
○柴田(弘)委員 要するに、とにかく租税負担率の上昇をもたらさないような新たな措置をとらなければ「増税なき」なんだ、だから、大型間接税を仮に導入しても租税負担率が余り上昇しなければそれは増税じゃありませんよ、こういうふうに私は理解しているわけです。だから、経団連の稲山会長がくしくも言っておったけれども、「増税なき財政再建」一点張りでなく、この旗をおろさねばいかぬかなということもあるわけですよ。
 それからもう一つは、やはり中曽根総理の諮問機関であるところの国際協調のための経済構造調整研究会、これは三月にきちっとした答申が出るわけでありますが、やはりこういった委員の中からも、建設国債を増発をしてそして内需の拡大をやっていかなければいかぬ、つまり今日までとってきた政府の財政再建路線、緊縮路線というものをやはりここで見直さなくてはいかぬじゃないかなというような議論がだんだん出てきた、こういうことなんですね。一番初めに質問いたしましたように、今日までの財政再建の失敗の反省の上に立って、内需拡大を中心にした路線変更というものもしていかなければ本当の財政再建というのはできませんよということを指摘を申し上げているわけであります。
 それから今、財政再建計画の話も方途、手順ということで言いましたが、今日までの大蔵省の緊縮路線ですね、要するに一律カットをやって、そしてただただ予算を抑え込む、そこには、日本の政策選択をどうしていくんだ、政策の優先順位というものをどうしていくんだという何の意思もないわけです。各省庁がんじがらめになっちゃって、一律削減をやって、ただ予算を切ることに専念をしているわけです。
 大臣、私は提案をするんですが、今税制の抜本改正をやろう。これは大臣、言うなれば一つの財政改革でしょう。そうでしょう。であるならば、財政改革のプログラムをこの税制改革と一対のものとして、歳入歳出両面にわたってきちっとした財政再建計画を出すときに来ておるんだなということを私は痛切に感ずるんですよ。困難なことかもわかりません、今ここでやりますという答弁は私も期待しておりませんが、やはりそういう点は政府は真剣に考えていただくところへ来ておるということを強調をしたいと思うのです。路線変更とも絡めて財政改革のプログラムの作成、こういった問題について、大臣の将来を展望した御所見を伺いたいと思います。
#96
○竹下国務大臣 税制調査会に税の抜本的改正はいかにあるべきやということで持ち込むまでに、私はたしか六年かかったんじゃないかと思うのであります。それはやはり機熟さなければそういうところへなかなか本格的に持ち込めないと思うからであります。五十四年から物価論議よりも税制論議にずっと大蔵委員会の方も来ておりますので、ああやっぱり六年ぐらいかかると、税制調査会へ諮問するのも適当だというような環境が大体熟するんだなということをしみじみと感じております。
 そして一方、「増税なき財政再建」というようなものを唱え、いや、多少の増税はやむを得ないじゃないかという議論が浮かび上がってくるのもやはり五、六年かかるものだなという感じを最近持っておるわけであります。したがって、今日の時点において、私は、「増税なき財政再建」、すなわち租税負担率を大きく変えていくような新税はつくらないということは、税調でどういう答申が出るかは別といたしまして、それを変更するわけにはまいらぬというふうに思うわけであります。
 それから建設公債でも発行して、確かに一兆円発行すれば三年くらいで四千億程度税収にはね返ってくることは事実でございます。しかし残高は残高としてやはり一兆円は六十年間にわたって三兆七千億円の後世代へのツケ回しになるという、これもまた冷厳な事実であるということになると、緊縮財政と申しましょうか、いわば各省に投資的経費の五%、それから一般の経費の一〇%というような枠の中で、ひとつ優先順位は専門家である皆さん方で工夫してくださいという手法というものがいろんな意味において内なる改革というものを刺激したのではないかなというふうに思っておりますので、これまた概算要求の時点でどうなるかということは、比率等において今から予測するわけにはいきませんけれども、やはりそういう厳しい対応をまだしていかなきゃならぬのだなという問題意識は私にも十分あるわけでございます。
 したがって、今、そういってもなかなか出せぬだろうなとおっしゃいましたが、私も可能な限り審議にも役立つようなものを出してみたいと思いつつも、現実として今お出ししている「中展」とかあるいは「仮定計算」というのが、現実問題としてはこれが資料としてお出しすることの限界ではないかなという気持ちにいつもなりながら毎年同じようなものをお出ししておるというのが現実でございます。
#97
○柴田(弘)委員 だから、国債減額も目標どおりいかなくてついに財政再建も失敗をする、こういうことに最後はなるということであります。非常に私は残念であります。
 もっとこの問題をやりたいのでありますが、もう時間もだんだんなくなってまいりましたので、最後に一つ、ソウル・オリンピックに対して、この間予算委員会で我が党の矢野書記長がやりましたし、外務大臣に対しても我が党の石田、草川両代議士が陳情いたしましたが、要するに在留韓国人あるいは日本の個人、法人等でありますね、協力するということで寄附金を出した場合に免税にしてもらいたい、こういう要望があっているわけであります。これについては、せっかくきょう外務省、来ていただいたが、時間がありませんので、外務省は意向はよくわかっておりますので、答弁要りません。済みません。大蔵大臣は、この間の御答弁では、前向きに検討、こういうことでありますね。
 これは別に税制改正をやらなくても、いろいろお聞きしますと、所得税法の施行令二百十七条あるいは法人税法の施行令の七十七条の「試験研究法人等の範囲」、この中の全く同じ「財団法人日本体育協会」を通してやればこれは税金がかからない、こういうことであります。こういった手法を講じてやったらどうかな、こういうふうに思っておるのですが、その辺のところは大蔵省として御検討になっているのか、もうちょっときちっとした煮詰まったものがあるのか、大臣のお考え、どうですか。
#98
○竹下国務大臣 これは先般矢野書記長の質問にも答えましたように、私もその事情をよく承知しております。いわゆる指定寄附にするわけでございます。その場合、私も個人的に、これはあるいは体育協会を通したら新しい試験研究法人をつくらなくてもいいから、その方がいいんじゃないかなとも思ってみましたが、あるいは関係者と相談したら、いや、新しく財団をつくった方がいいという意見もあるかもしらぬ、いずれにせよ我が方の税制一課へお越しいただければというので、関係方面へ御連絡を申し上げておるということであります。
 なお、外務大臣の言われたことでなるほどなと思ったのは、その場合、日本の関係企業ですね。向こうへ工場を出しているとか、そういうところの分も一緒に受け取ったらいいじゃないか。それもなるほどそうだなというふうな感じ方で、事務的にはいつでも前向きで対応できるように御相談に応じようというので、何か御相談の相手もだんだん決まってきておるようでございます。
#99
○柴田(弘)委員 事務当局に、これは技術的にどうしたらいいか、そこら辺の検討はどうなんですか、それをお聞きして、私の質問を終わります。
#100
○水野政府委員 ただいま大臣からお答えいたしておりますように、いろいろな手法があり、いろいろな形式もあろうかと思います。関係者のお話を十分承り、趣旨に即して対処できるように研究いたしたい、検討いたしたいと思います。
#101
○柴田(弘)委員 いろいろお聞きしたいことがあるのですが、終了時間でございますので、これで終わります。財政再建問題は、大臣、また一遍改めて議論をしたいと思っております。それから、外務省、お越しいただきましてどうも恐縮でございました。
 では、終わります。
#102
○小泉委員長 安倍基雄君。
#103
○安倍(基)委員 竹下大臣、何回も予算編成で非常に御苦労さんと思います。
 この六十年度の補正でございますけれども、私の理解によりますと、また随分これは苦労してつくっているのだな、いろいろ給与改善費あるいは義務的経費の追加、そういったものは既定経費をまたぎゅっと抑えた、予備費も取り崩し、それを大体税外収入あるいは剰余金の受け入れでもってバランスさせた。それにプラス今度は税金が約四千億見込み違いだった。それを公債で処理した。あとは、災害復旧は建設国債でやったというふうに、いわばぎりぎりの編成だなという気がいたします。
 私がここでお伺いしたいのは、税収の見込みというのは非常に難しいことは事実でございますけれども、今回の税収の見込み違い、これは主としてどこから来たと考えていらっしゃるか、その点をまず第一にお伺いしたいと思います。
#104
○水野政府委員 六十年度税収につきましては、これまでの課税実績、改定された経済見通しにおきますところの諸指標、それから納税者へのヒアリング等を基礎にして、個別税目ごとに積み上げたものでございます。結果といたしまして、六つの税目につきまして補正をいたしております。
 その一番大きなものは法人税と源泉所得税でございます。大半は法人税でございますが、法人税につきましては、御承知のとおり今回の経済見通しの改定におきましても、鉱工業生産が当初見通しでは六・五、これが改定見通しでは四・一になる、それから法人税に影響の大きい卸売物価が一・一%の上昇からマイナス二・四%になる、こういった大きな指標の変化があるわけでございます。補正におきますところの見通しでございますと、こうした諸指標も参考としつつ、これまでの実績をもとにヒアリング等をもとにした個別の積み上げを主としておるわけでございますが、背景といたしましてこのようなかなりな経済情勢の変化がございますので、どうしましても法人税につきましてはかなりな額の減収を見込まざるを得ないわけでございます。
 また、源泉所得税につきましては、当初見通しにおきましては一人当たり雇用者所得の伸びは五・〇%程度と政府経済見通しでも見通されておったわけでございますが、これは改定によりまして四%に低下する、こういったことから、給与を中心に源泉所得税の減収も見込む必要があるのではないかと思うわけでございます。
 そのほか、円高等によりまして石油税、関税等につきましてそれぞれ減収が見込まれ、こうしたものを積み上げまして四千五十億円という減収を補正予算に計上させていただいているわけでございます。
 税収見積もりにつきましては、常にその時点時点におきましては最も適正な見積もりということを心がけて見積もっておるわけでございますが、結果としてこのような減を立てて補正を御提出させていただいておりますということは私ども遺憾に思っております。今後とも適正な見積もりをいたすよう努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
#105
○安倍(基)委員 法人税が減収ということは、やはり円高不況が少しずつ見えてきたということかと思いますけれども、今度私が非常に気になりますのは、皆様御承知のように現在えらい円高が進行している、そうなると六十一年度の予算でも補正が相当行われざるを得ないのではないか。例えば今の物価なんかむしろ落ちついてきている。そして輸出もいわば伸び悩み。いろいろ各庁に聞きますと、今の一―三くらいはまだいいけれども、四―六くらいはどうも見通しがつかぬというくらいに言われております。六十年度予算の補正のときに議論するのはあれでございますけれども、六十一年度予算というのは大体どのくらいの円ドル関係でつくっているのか、どのくらいの成長率を見込んでいるのか。それが結局この年末になって、六十一年度で相当狂ってくる可能性があるのではないのかという懸念があるのでございますけれども、この点どういうぐあいに――六十年度の補正のときに議論するのはあれかと思いますけれども、私は一年たったときにえらい大きな見込み違いが出てくる可能性があるなどいう気持ちがございます。
 まず第一に、現在進行しつつあります円高、これはなかなかコントロールしづらい面もございますけれども、どの辺でおさめていくというか、その辺の考え方をお聞きしたいと思います。
#106
○水野政府委員 六十一年度税収、中でも大きなウエートを占めます法人税につきましては、これは六十二年三月決算をも含めて見通すということでございますので、いろいろ難しい面はあるわけでございますが、いろいろな指標、課税実績等を見込んで極力適正な見積もりを行うように努力をいたしておるわけでございます。
 六十一年度につきましては、御承知のように政府経済見通しにおきましても鉱工業生産は三・六%伸びるという見通しでございます。ただ、卸売物価はマイナスの一・八%、消費者物価はプラスの一・九%、こういったような見込みになっておるわけでございまして、こうした諸指標によれば、法人の企業活動も全体としてはある程度の上昇が見込まれるところでございます。また雇用者所得につきましては、一人当たりにつきましても三・九%程度の見込みが見通しにおきまして出されておるわけでございます。こうした政府経済見通しにおきますところの指標、こういったものを参考としつつ、極力個別的に積み上げを行いながら適正な見積もり額を作成するよう努力したところでございます。
#107
○行天政府委員 円相場につきましては、委員御指摘のとおり最近ドル高の修正が進んでおりまして、本日は東京市場百八十六円五十五銭というところで引けております。この動きは御承知のとおり昨年の九月のG5以降進行しておりますドル高是正の一環でございまして、私ども基本的にはこういうドル高是正が定着していくということは結構なことであろうと思っております。
 ただ、今後これがどう動くか、あるいはまた、通貨当局としてどういう水準が望ましいかという点につきましては、従来もたびたび御質問を受けたわけでございますけれども、御承知のとおり、為替市場は、非常にいろいろな情報に対しまして必ずしも合理的とは言えないような反応を示すことも間々ございますものでございますから、通貨当局としての適正水準についての考え方という点につきましては、恐縮でございますが答弁を差し控えさせていただきたいと思っておる次第でございます。
#108
○安倍(基)委員 為替相場についてはなかなか言えないということはわかるのでございますけれども、私、この円高が急速に進んでいるということを考えますと、いわゆる政府経済見通しで四%前後の成長を見込んでいる、恐らく民間の調査によると大体一%ぐらい低い形で考えている。となりますと、この政府経済見通しで租税収入をはじいていくと、必ずまた六十一年度のときに相当大きな減収があるのじゃないか。特に最近のようにこういう大きな円高ということを見ますと、この辺また、六十一年度は相当大きな補正を要するのじゃないかという懸念があるのでございますが、今の六十一年の税収見積もりはいささか過大になっているのじゃないかなという懸念がございます。この点、やはり経済変動に応じましてある程度弾力的に考えていかなければいけないのじゃないかということを考えておりますが、いかがでございましょう。これは主税局、また大臣の御感想も聞きたいと思います。
#109
○水野政府委員 政府経済見通しも適正な見通しとして策定されているものと思いますし、私どももこうした諸指標を基礎に極力適正な税収見積もりをいたす努力をしておるところでございますので、六十一年度のこれは適正なものであるというふうに考えておるわけでございます。
 毎年適正な見積もりとしてお出しはいたしておりましても、結果としてある年は大きく上回り、ある年は減収になっているということは確かでございます。そうした点からいたしますと、これがまた絶対に一〇〇%適正なものであるということを申し上げるということは、過去の実績に照らしての御指摘でございますとなかなかそこは苦しいわけでございますが、現時点におきますところのもろもろの諸指標、これまでの実績、ヒアリングに基づく積み上げ、こういったものからいたしますと、私どもとしてこの六十一年度見積額は適正なものであると考えておるわけでございます。
#110
○竹下国務大臣 私がいつでも個人的意見として前提に置いて申し上げますのは、五十六年、五十七年のときは別としまして、大体見積もりでございますから、歳出と違いますので、一%は誤差のうちなどとよく言ってまいりましたが、この八、九年と、一%は誤差のうちでもプラスの方へ振れましたが、今度はマイナスの方へ一%以上振れておるわけであります。これは、私見とはいえ一%は誤差のうちなんということを余り言わなければよかったなと思っておるわけでありますが、しかしながら、現時点で考えますときに、もう既に円高基調に来た状態であるということ、この予算の見積もりをやりましたときはもう十二月でございますから、そういうことをかれこれ考えてみますと、なおその上に若干のプラス要素になるとすれば一月に入ってから行われた公定歩合の引き下げというようなことと相まって、成長率等にも大きな狂いは出ないのじゃないか。これは安倍さん、大蔵省の出身ですから百も御承知でございますが、そもそも本予算を審議しているときに、そうなったら補正しますと言うわけにも大臣さんいきませんので、これが現段階における最も適当な見込みであるというお答えをするのがまた当然であろうと思っております。
#111
○安倍(基)委員 まあそのとおりでございましょうけれども……。
 今度の内需拡大策でございますけれども、これだけ上がってくることはちょっと予想してなかったろうと私は思うのであります。いろいろ内需拡大策の第二弾が必要であるという議論も生まれてきております。きょうあたりのエコノミストにもそんな論が出ておりますけれども、これ以上の公定歩合の引き下げとか、あるいは特に新しい内需拡大策をこれから考えていかれるものかどうか、この点について、なかなか機微な問題に触れますけれども、私は、本当にまさかここまで来るとは思いませんで、大体二百円前後で落ちつくのではないかという楽観的な見通しを持っておりました。これはあるいは国際金融局からお答え願うかと思いますけれども、これだけ円高になってきた基本原因は何と考えていらっしゃいますか。
#112
○竹下国務大臣 あるいはそれは専門的な行天さんにお答えいただいた方が適当かと思いますが、内需の問題で第一弾というのは、十二月の二日でございましたか、要するに地方自治体を中心にする単独事業、それから緊急融資等を決めまして、第二弾というのが結局十二月末の予算編成のときに、それに税制の方向を加え、そして公共事業等、要するに国費ベースでは減っておるけれども、現実問題として昨年を上回る伸び率を確保するというようなこと、さらには御審議いただいておる補正予算でございますが、いわゆる債務負担行為によって契約可能にするものを事業費ベースで六千億ぐらい出すというのが第二弾じゃなかったかなと思います。
 それで、第三弾ということになりますと、これは〇・二弾かもしれませんけれども、その後に行われました公定歩合の引き下げ、これは政府がやったわけじゃございません、もちろん日本銀行さんの専権事項でございますが、これがより四%成長を確実ならしめるため役立つ一つのものではなかろうかなと思っております。
 そこで、恐らく安倍さんの考え方というのは、あるいは今度は予算が通った場合の、なかんずく公共事業等の執行面の扱いだと思うのですが、これはやはり予算委員会中の御議論を聞きながら、予算が通った翌日とか、そういうところで決めるべきものであろうと思っております。ただ、前倒し契約を六千億ぐらい見ますと、俗称自然体で行ったのでも相当に上半期に行くものであるというのは、過去の実績が物語っておるところでございますので、第三弾というように銘打って今何をやるかというようなことを言える段階ではございませんが、さらに私は、原材料がいわば安く入ってくるという円高メリットの方をもう少しお互いが検討してみなければならぬな、今は円高デメリットの方だけが論議の中心になっておりますので、私の頭の中も円高メリットの問題も整理してかからなければならぬなと思っておるところでございます。
#113
○行天政府委員 最近の円高と申しますか、ドル安の原因についてという御質問でございましたが、率直に申しますと、私どももこれでございますと申し上げるような自信のあるお答えがないのでございますが、基本的には、昨年の春まで続いておりましたドル高指向の考え方が訂正される過程というのがまだ続いておるのではなかろうかと思うわけでございます。特に最近は、米国の経済の成長がかなり鈍化をしておるということから金融緩和への期待もございますし、また例えば、石油価格の下落の問題も、これはいろいろ見方はございますけれども、現実の市場ではドル安の方の要素にとらえておるようでございます。
 ただ、最近の動きは決して円高だけではございませんで、ドイツ・マルクとかスイス・フラン等もドルに対しては円と同じように強くなっておりますので、その意味ではドルの全面的な高値修正の局面だというふうに言って差し支えないと思います。
#114
○安倍(基)委員 ちょっと話はそれるかもしれませんが、私、今度の租税特別措置法の関係でまたお聞きしようと思っておりますけれども、実はかつての大蔵委員会で私はこういう質問をしたことがあるのです。みんなが一生懸命貯蓄するようにというので貯蓄奨励税制をしていく、そうすると随分資本蓄積がある、それが海外に大量に流れていく、年間五百億ドルとも六百億ドルとも言っておりますけれども、それが、もしドルが一挙に下がったときには非常に巨大なキャピタルロスを生じるんじゃないか、そういったときにどうするんだということを私は御質問したかと思います。そのときのお答えは、それぞれの企業が大体ちゃんとヘッジをしておるからそう心配はないよというお答えだったようでございますけれども、それにしても、せっかく金利差を求めていったのがほとんど収益が一遍にパーになる、キャピタルロスでもって全部飛んでしまう、それじゃ何のために、貯蓄奨励税制をやっているのか、この面からも、貯蓄奨励税制から内需拡大のための投資促進あるいは消費促進の税制に切りかえるべきだ、減税をすべきだという議論をしたのでございます。その後、御承知のようにこれだけ下がってきてしまった。国民経済として非常に大きなロスをこうむったわけでございますけれども、それを大体どの程度と評価されておられるのか。これはあるいは一般質問ですべき問題かと思いますけれども、たまたま経済見通しあるいは減収との関係で、一つの糸口でございますので、その大まかな感触を――私は、実はこれは本会議のあれで、総理に例の税制体系のいわば転換という意味でお聞きしようかと思っておりましたが、一応当面大蔵大臣からそれについてのお考え、数字などはもちろん政府委員で結構でございますが、なかなかこれは数字として公にはしづらい面もあるかと思いますけれども、大まかな感じをお聞きしたいと思います。
#115
○行天政府委員 我が国の対外資産の残高につきましては、現在わかっておりますのは実は昭和五十九年末の数字が一番新しいわけでございます。それによりますと、我が国の民間部門が保有しておりました証券投資による残高、これをドル建てにいたしますと八百七十六億ドルでございまして、一方外国の個人とか企業その他が日本の証券を持っておる分もございます。これは日本にとって負債になるわけでございますが、こちらを同じくドルで表示いたしますと七百七十一億ドルということでございます。したがって、御指摘のとおり証券投資につきましては日本の純資産があったわけでございます。
 こういうふうに純資産がございました場合に、ドル安になりますと、これを円で表示いたしました金額というのは御指摘のとおり減るわけでございます。この中でどれだけが本当にドル建てのものであったかというのは、まことに申しわけございませんが、統計がございませんのではっきりした数字は申し上げられません。ただ基本的には、これは委員御指摘のとおり、当初投資を行いました段階では、金利の問題もございましょうし、為替の変動への見通しもございましょうし、それから債券価格そのものの上昇というキャピタルゲインの期待もあったわけでございますから、どの程度の損があったというのは、ちょっとこれは計数的には把握できかねる問題ではないかと思っております。
#116
○安倍(基)委員 五十九年末の暫定数字を聞いたわけでございますけれども、長期資本の流出が大体年間ネットで五百億ドル、六百億ドルといわれたわけでございますから、この五十九年の末の数字はいささか小さ過ぎるような気がいたします。その後の変化もあるかと思いますし、その点詳しい数字はなかなかわからぬかもしれないけれども、やはり大まかな損得勘定というものを国民経済上の立場から把握しておいていただきたいという気が私はいたしますが、いかがでございますか。
#117
○行天政府委員 確かに残高の円評価額がどれだけ変わったかということは数字として出てくるわけでございますが、今委員の御質問にございました損得ということになりますと、これは繰り返しになりますが、評価額だけの問題ではございません。実際投資をなさった方々が既に利子として金額を受け取っていらっしゃるわけでございますし、あるいは持っていらっしゃるドル建ての債券の価格そのものが上がっているということも考えられるわけでございます。この統計というのは、買ったときの金額で表示しておるわけでございます。ですから、損得の数字ということにつきましては、まことに申しわけないのでございますけれども、これはちょっと計算のしようがないんじゃないかというふうに考えております。
#118
○安倍(基)委員 大分技術的な議論になりますので、これはまた改めていろいろ議論したいと思っております。
 いずれにいたしましても、私は、たしか去年の本会議の予算反対討論でも話したわけでございますが、内需拡大の一つの方法に公共投資もある。しかし、公共投資というのは非常に波及効果が大きいかと言われておったのでございますけれども、必ずしもそうでもない。あるいは一部の業界しか潤わぬという話があるので、やはりどうしても税制体系を変えていかなければいかぬ。いわば消費性向の高い給与所得者、そちらの方にむしろ減税をして、余り消費の多くない資産所得者の方から税を取るという形にするのが一番いいのではないかと思うのでございます。
 これはまた一般質問のときにもいろいろ議論をしたいと思っておりますけれども、もう時間もございませんので、最後に、内需拡大の面から税制構造の変換という形でやるのが、財政をそう傷めないでしかも内需をふやしていくという方法じゃないかと思いますが、その点について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#119
○竹下国務大臣 税制に関する御意見につきましては、これからの問題、抜本対策の問題がございますので、正確に税調へお伝えすべき課題だと思っておりますが、内需拡大の第二弾の際に、税制についても抜本の域にはさわらない範囲内でこれを行ったということになろうかと思います。
 それから、内需拡大ということにつきましてよく言われますのは、所得税が十五兆円あってその三分の一の五兆円を減税しても貿易収支に響くのは七億ドル程度じゃないかとか、あるいは公共事業を三兆やりましても十三億ドル程度じゃないかとかいろいろな計算があるようでございますが、まあ公共事業等にもそれなりの配慮をしたつもりでございます。
 それからキャピタルロスの問題も、ちょっとあのときお答えする機会を失いましたが、九月の初めに少し海外へ流れ過ぎるというようなことを各方面から注意を受けました場合に、この問題は為替レートの問題もありますよ、ただ金利だけを追っかけるべき問題ではないという一般論としての、忠告でもございませんが、そういうことを関係方面へお話をしたという実績もあるわけであります。したがって、内需拡大というのは、いわば物価が下がってきてそれに対する問題、なかんずく輸入品あるいは原材料を基とする製品、そういうものを考えてみますと、私も消費性向というのも逐次なだらかには上がっていくのではないかなという考え方の上に立っております。
 税制の問題につきましては、今の御意見は十分税調にもお伝えすべき意見だというふうに考えておって、今年度は本当に抜本に触れない範囲内のことしかしていないというのが事実でございます。
#120
○安倍(基)委員 時間でございますから私の質問は終わりますけれども、ひとつ今後の審議を通じてこの問題を何回か取り上げてみたいと思います。どうもありがとうございました。
#121
○小泉委員長 簑輪幸代君。
#122
○簑輪委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますけれども、昭和五十年十月二十九日の衆議院予算委員会において、当時の大平大蔵大臣は、特例公債の償還について次のように述べておられます。「第一に、国債整理基金特別会計法第二条の規定に基づく前年度首国債総額の百分の一・六の定率繰り入れ、第二に、財政法第六条の規定に基づく剰余金繰り入れ、第三に、国債整理基金特別会計法第二条ノ三の規定に基づく必要に応じて行う予算繰り入れ」、この三つの財源によって特例公債の償還を行っていくというふうに述べているわけです。特に、第二の「剰余金の繰り入れ」に関しては、「特例公債償還までの間は、その全額を充てる予定」であるというふうに言われておりますけれども、今日、定率繰り入れは停止され、そして今回の法案でさらに二番目の財政法第六条の規定に基づく剰余金の繰り入れも適用しないという事態になるということになりますと、当時の予算委員会の答弁ということと考え合わせてみて大蔵大臣としてこれでいいものであろうか、こういう状況を一体どのようにとらえておられるのか、お答えいただきたいと思います。
#123
○竹下国務大臣 これはそもそも法律で二分の一はストレートに入っていく。なお、剰余金が出ました場合には、財政再建期間中は全額入れるべく努力しますというような大平答弁というものがあるわけでございます。したがって、今度の場合もその限りにおいては悩みました。今までも減税財源に充てるときにはやったことはございますけれども、今度は減税財源ではないわけです。しかし、今度の補正予算を見ておって、さればそれをやらなかったらそれだけ赤字公債を増発しなければならぬ、端的にそういう表裏の関係が生じてきまして、したがって、臨時異例の措置として今回はみんな使わしてちょうだい――使わしてちょうだいじゃない、今回はこういうことにいたしますよということで御審議をお願いしておるさなかである。その限りにおいて、これが補正の財源であるということにおいてこのように深夜まで御審議いただいておるということに対して大変感謝をしております。
#124
○簑輪委員 このように財政法六条の規定を停止する。財政法そのものは健全財政を担保するためにさまざまな規定を設けているわけですけれども、次から次へとそれを踏みにじっていく。それは、国の財政のあるべき姿から考えてみても、当面赤字国債を発行しなければ乗り切れないのだから、それから比べるならばこの剰余金については全額繰り入れるのはいたし方ないというような言い方でこの法律を踏みにじっていくということが許されるならば、財政法そのものの精神まで踏みにじられることになるというふうに言わざるを得ないと私は思うのです。特例公債の発行そのもの自体が財政法に反しているということもありますし、やはりその辺のところはうんと厳しく受けとめて、安易にこのような財政法の適用をしないというようなことをやるべきでないということを私は強く主張したいと思うのです。剰余金が一般財源に使われる、補正予算に使われる、それが例えば災害対策であるとかそのほかに使われるのだからどうのこうのというようなことは理屈にならないと私は思うのです。あるべき財政の姿から考えて、その辺のところはもう少し大臣として厳しく受けとめてもらう必要があるのではないかということを重ねて申し上げたいと思いますが、御所見を伺いたいと思います。
#125
○竹下国務大臣 猛烈に厳しく受けとめております。それは、法の精神に照らせば、それがたとえ減税財源であれ、たとえ災害財源であれ、たとえ今度の場合の一般歳入に繰り入れさしていただくことにしろ、法の趣旨は厳しく受けとめていなければならぬ。したがって、本来あるべきところの全額公債償還財源に充てるという基本方針を放棄したものではない。まさに臨時異例の措置としてお願いをしておるということであります。
#126
○簑輪委員 臨時異例の措置というようなことがたび重なって特例公債はずっと発行され続けてきておりますし、そして、臨時異例の措置の定率繰り入れ停止も続けてくる。そして今回もまた、臨時異例の措置だからということでこれを通そうということはやはり間違っているということを重ねて申し上げたいというふうに思います。
 きょうは、補正関連で国民健康保険について幾つかお尋ねしたいと思います。
 国民健康保険につきましては、再三私も大蔵委員会等で質疑をさしていただいておりますけれども、さきの健康保険法改悪によって国庫負担率が四五%から三八・五%に大幅に削減されたために、全国各市町村では大幅な赤字が生まれてきております。この国庫負担率の削減は、退職者医療制度創設に伴って国保の財政負担が軽減されるという名目で行われたものであります。そしてその際、政府は、これによって国保加入者の負担増にはならないというようなことを繰り返してきたわけでありますけれども、現実はとてもそんなものではなく、今日、大変な問題になっていることは御承知のとおりだと思うのです。退職者医療制度創設に伴う見込み違いによる市町村国保への財政影響額は、既に明らかになっておりますように、五十九年度六百七十億円、六十年度千四百十億円合計二千八十億円に上っております。これについてはもともと国の責任でございますので、この全額について直接責任を持つべきものであるというふうに思いますが、今回六十年度補正予算案で措置されているのは千三百六十七億二千五百万円、結局、七百十三億円を値切られたということになるわけですけれども、これは、これまでの政府の答弁から考えてみても極めて不当であると思いますし、当然これは全額措置すべきものだというふうに思います。ところが、こういうふうに千三百六十七億で七百十三億円の値切りということになったのは一体どういうことなのでしょうか。まことに無責任だと言わざるを得ないと思うのです。
#127
○近藤説明員 退職者医療制度の実施に伴います市町村国保への財政影響は、先生御指摘のとおり私どもの調査で二千八十億ということでございます。
 今回の措置は千三百六十七億円という国保の特別交付金ということでございましたが、これは極めて厳しい補正財源の中で大蔵省に最大限の配慮をしていただいた結果でございまして、私どもとしては、現在の国家財政を考えるとこれがぎりぎりの線であるというふうに考えておるわけでございまして、厚生省といたしましては、市町村国保の財政状況でございますとか、あるいは退職者医療に伴います影響の推移を見守りながら、私どもといたしまして今後とも誠意を持って対応してまいりたいというように考えておるわけでございます。
#128
○簑輪委員 今度の制度改悪のもとで市町村は次々に保険料の引き上げを余儀なくされております。
 厚生省にお尋ねしますけれども、六十年度における保険料、保険税の引き上げ状況、大まかなところで結構ですけれども、お答えください。
#129
○近藤説明員 六十年度の保険料の市町村国保における引き上げ状況でございますが、三千二百七十市町村のうち一〇%未満の市町村が四九・四%、一〇%から二〇%未満が三五・一%でございます。それから、二〇%以上三〇%未満が一二・四%、三〇%以上が三・一%ということでございまして、単純平均で一〇・九%、加重平均すると恐らく一〇%ちょっとになるのじゃないかと思います。
#130
○簑輪委員 六十年度において既にこれだけの値上げが行われているわけですけれども、六十一年度はさらに大幅な値上げが大変心配されるわけです。現に岐阜市におきましても、六十年度は一四・一四%の値上げでございましたが、六十一年度には三〇%の値上げを予定しているという状況にあります。全国各市町村を調べてみますとこのような大幅な値上げがいろいろなところで見られるだろうと思いまして、こういう事態を招いたのは本当に政府の責任だろうということを重ねて申し上げたいと思います。
 実際、国保料、国保税の値上げによって低所得者層は特にその負担が耐えられないものになっているという状況があります。国保税、国保料そのものの決め方自体が、所得との関連からいえば平等割なり均等割なりということを含めて、当然のことながら低所得者により高い負担を負わせているという構造になっているわけです。このような全体的な値上げの中でもこうして低所得者に対する負担は大変大きなものになる。そして、生活保護基準を考えてみましても、生活保護基準近辺あるいはそれ未満のところでもこの国保負担が押しつけられているという状況があるわけです。今、厚生省の方は国保の滞納ということを大変問題にしておられますが、こういう実態から見て、国保料の値上げが特に滞納の増加ともかかわりがあるのではないかと思わざるを得ません。現に国保運営実務研究会の記録の中で、山梨県の方が、「山梨県では六十年度に平均一〇%ぐらいの引き上げをしており、ほとんどの保険者が保険料を引き上げています。年々八%、今年は一〇%程度引き上げ、この財政難を乗り切ったわけですが、保険料の連続の引き上げにより収納率が低下しており、それが一番心配です。」と述べておられます。
 こうした国庫負担率削減の中での国保料の大幅な引き上げ、国保料の負担の中にある逆進性という問題の低所得者層に対する影響の強さからきた滞納の増加とも見られないことはないのじゃないかと思うのですが、その点について厚生省はどういうふうに見ておられるのでしょうか。
#131
○近藤説明員 国保税の所得に対する負担でございますが、国保は社会保険システムをとっておりますので、受益に応じて負担していただくという関係で保険者の均等割でございますとか世帯平等割をいただくという形をとっておりまして、低所得者ほど高い負担になるということはやむを得ないものと考えておるわけでございます。
 それで、生活保護との関係でございますけれども、御承知のように生活保護は本人の申請でございますし、それからミーンズテストを経て適用されることになっておりますので、フロートして生活保護以下の方が国保に入っているというケースが当然あるわけでございます。こういう人たちにつきましては、確かに受益者負担をしていただくわけでございますけれども、一律の保険料の軽減措置、六割なり四割の軽減措置をとっておりますし、さらに市町村におきまして、条例で、災害その他失業とか倒産、そういったケースに対応するために減免基準を設けて、実態に応じた保険料納付ができるようにお願いをしているわけでございます。
 それで、保険料収納率の関係でございますけれども、私ども、本質的には国保は源泉徴収でないという制度としての宿命的なもので、なかなか保険料が納めにくいと思っているわけでございます。
 近年の傾向を申し上げますと、都市化が進展いたしまして被保険者の住所移動がなかなか把握できないというケースが特に大きな都市ではあるわけでございます。それから、ひとり暮らしの世帯がふえているとか、共稼ぎの世帯の方がいらっしゃいまして、昼間いない、夜もいつ帰ってくるかわからないという世帯が多いわけでございまして、個別の納付指導がなかなかできづらい世の中になってきているわけでございます。それから、先生御指摘のように国保料の大幅な引き上げというのは一つの要因であろうかと思っております。
#132
○簑輪委員 確かに厚生省もお認めになったように、国保料の値上げが収納率低下と関係があるということから、逆に収納率を向上させるためにありとあらゆる手段をとるのだということで、今日、保険証を渡さないとか電話加入権を差し押さえるとかいろいろな形で、制裁とも思えるような措置を講じながら収納率向上を図る、だから、徴収員というのがサラ金の取り立て並みの行動さえ行っているという指摘もあります。現実にこの取り立ての中で大変被害を受けて困っているというケースもあります。
 今減免申請の制度があるとも言われますが、減免申請そのものについては、各自治体でそのような条例を制定してやらなければなりませんし、全国すべての市町村に条例があるというわけでもございません。そしてさらに、申請をする人に対して、現実にはさまざまな形でその申請の取り下げを強要しているというケースが報告されております。千葉県の市川では、国保税の減免申請をしたのに対して、戸別訪問して、災害などよほどのことがない限り申請はできないのだから申請を取り下げなさいと言う。また、宮城県の方では、市職員が夜間に来て、なぜ減免申請をしたのか、だれに言われて申請した、減免は災害でないと適用にならないから取り下げてほしい、あるいは申請しても通らない、他の申請者は取り下げた、あなたが取り下げなければ奥さんの勤務先などを全部調べなければならないと言ったり、それから母子家庭のところへも出かけていって申請取り下げを要求するというようなことまで行っているわけです。
 このような申請取り下げの強要というのはまさに越権行為であると私は思いますし、このような人権侵害は決して許されないはずだとも思うのです。厚生省はこういった事態を一体どのようにとらえておられるのか、こんなことが許されるとお思いなのか、お尋ねしたいと思います。
#133
○近藤説明員 この条例によります減免制度を設けておりますのは大体必要があるところということだと思いますけれども、八五%程度の市町村におきまして減免制度を設けて運用しているわけでございます。
 個々具体的なケースにつきまして私ども十分承知していないわけでございますけれども、いろいろの市町村でお聞きいたしますと、やはり減免するからにはある程度の資料が要るわけでございます。所得の調査とか、これを改めてやるということでございますので、その辺を調べるというと御辞退なさる方もいらっしゃるというふうにお聞きしているわけでございます。特に減免申請を取り下げろというふうなのは決して好ましいとは思いませんけれども、減免申請をするからには、やはり私どもとしては調査をした上で初めて減免を行うというふうな建前をとっておりますので、その調査そのものはやむを得ないのではないかというふうに考えております。
#134
○簑輪委員 私は、調査がけしからぬと言っているんじゃないんですね。調査の方法が異常であり、そしてそこに取り下げを強要することが人権侵害ではないかと申しているわけで、その点についてお答えいただきたい。
#135
○近藤説明員 取り下げを強要するという行為につきましては、決して好ましい行為ではございませんので、私ども、県を通じましてその点については御指導申し上げたいと思います。
#136
○簑輪委員 今いろいろ申し上げたこと、大蔵大臣もお聞きになったように、政府がやったこの退職者医療制度創設に伴って国保料の値上げがあちこちで行われる、そしてそれが滞納にもつながる、保険証をもらえないケースもある、そしてそれを督促するために呼び出す、さらにまた、減免申請に対してもこのような圧力がかかるというような状況を考えてみますと、やはりこの七百三十一億円を値切ったということは、私はけしからぬことだと思うんですね。大蔵大臣は財政を預かっておられるわけですから、こうした政府の見込み違いにおける不足分については、十分な財政措置を講ずるように私は強く求めたいと思いますので、その点について大蔵大臣の御答弁をいただき、質問を終わります。
#137
○竹下国務大臣 今度の補正予算、これは六十一年度予算もそうでございますけれども、まさにぎりぎりの厚生省、大蔵省折衝の上で決定したものでございますので、これの執行について十分なる配慮をなさるならば、私はそのことはカバーできるではなかろうかということを期待し、そして信じております。
#138
○簑輪委員 終わります。
#139
○小泉委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#140
○小泉委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 昭和五十九年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#141
○小泉委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#142
○小泉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#143
○小泉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時二十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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